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1999-06-10 第145回国会 参議院 労働・社会政策委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十日(木曜日)    午後零時十分開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      高橋紀世子君     山崎  力君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉岡 吉典君     理 事                 田浦  直君                 溝手 顕正君                 川橋 幸子君                 笹野 貞子君                 山崎  力君     委 員                 大島 慶久君                 斉藤 滋宣君                 鈴木 政二君                 中島 眞人君                 今泉  昭君                 小宮山洋子君                 谷林 正昭君                 但馬 久美君                 山本  保君                 市田 忠義君                 大脇 雅子君                 鶴保 庸介君    国務大臣        労働大臣     甘利  明君    政府委員        労働省職業安定        局長       渡邊  信君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者就業条件整備等に関する法律等の一部  を改正する法律案(第百四十三回国会内閣提出  、第百四十五回国会衆議院送付) ○職業安定法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者就業条件整備等に関する法律等の一部  を改正する法律案吉川春子君外一名発議) ○職業安定法等の一部を改正する法律案吉川春  子君外一名発議)     ─────────────
  2. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山崎力君を指名いたします。     ─────────────
  4. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)、職業安定法等の一部を改正する法律案閣法第九〇号)(いずれも内閣提出衆議院送付)並びに労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(参第一八号)及び職業安定法等の一部を改正する法律案(参第一九号)(いずれも吉川春子君外一名発議)を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 今泉昭

    今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。  先日、視察で現場を見せていただきました。いろいろと世間で心配されている点を現場を見ながら安心させていこうという行政の方の配慮という意味もあったんでしょう、行った先は大変立派なところでございまして、見た限りにおいては全く問題はないというような印象を強く持ちました。  しかし、派遣事業者実態を私ども見てみますと、この間見たところはベストテンに入るような立派なところじゃないかと思うんです。問題は、やっぱりそうでないところが大変多いという心配が先立っておりまして、この派遣法に対しましていろんな立場から疑問が呈されているわけであります。特に、国会の周辺にはこれに対して不安を持っている数多くの方々が連日のように座り込みをやったり、あるいはまた抗議行動を起こしているというのもそういうところにあるんじゃないかと思うんです。  調査室の方から出されている資料を見てみましても、実は派遣事業者の七割近くが年間売り上げが一億円未満のところが多いわけです。この間見に行ったところは年間二十億からの売り上げがある、こういうふうに申しておりましたが、年間一億程度売り上げで一体どれだけの管理体制ができるのか。それから、派遣労働者に対していろんな意味での心配をされているような問題を、法律の中で指針なり政令や省令でいろいろ出してもどこまで守れるのか、こういう不安が大変多いわけでございます。特に、年間一億円以下というところにおいて、派遣スタッフに対する相談、援助、教育指導管理ということがどれだけできるのか、何人人を置いてそういうことができるのかということを考えてみますと、大変問題を含んでいる、まだまだ論議をしなきゃならない点がたくさん出てくるんじゃないだろうか、こういう気がしてならないわけであります。  そこで、そういうことを前提にいたしまして、きょうは幾つ大臣を初め当局にお聞きをしたいというふうに思っております。  きょうは、何か衆議院の方のいろんな難しい日程の中で、特に昼休みなんという異常な時間に設定をされたものですから、限られた質問しかできないので大変残念でしようがないんですが、そういう意味で、その中の一部を質問させていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。  まず最初に当局の方にお聞きしたいんですけれども、いろんな形で指導されていると思うんですが、今私が申し上げましたように、一億円未満程度売り上げという企業が大多数を占めているところの指導監督というのは今の体制で大丈夫でしょうか、それをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  6. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今泉先生指摘のとおり、企業のスケールによって行政指導徹底するしないの濃淡はあろうかと思いますが、企業格差によってその中身の格差が生じないように極力指導してまいりたいと思います。  それを今の人員体制で完璧にできるか、もちろん正直申せばスタッフがもう少しあればいろいろということも考えておりますけれども、限られた条件の中で最善を尽くしたいというふうに思っております。
  7. 今泉昭

    今泉昭君 そういうことを考えてみますと、ネガティブリスト化されまして業種が拡大をしていくわけでございますから、ただでも今まで紛争が多発してきていることは否定できない事実でありまして、今まで以上に数多くの紛争苦情というのが出てくるはずだと私は思うのであります。  少なくとも、こういうふうに自由化規制緩和をするならば、この間の参考人方々意見の中にもございましたように、労働者保護という視点が大変重要だということを言われておりましたように、紛争処理の別な機構というものを早急に考えていかなければならないのではないかと思うんです。  例えば、我が国の特に労使間におけるいろんな問題を解決するために、地方には地方労働委員会ができていき、中央には中央労働委員会ができてきた。ところが、最近の労使関係安定化に伴いましてこの活用というのが大変少なくなっている。紛争件数が少なくなっていることは事実だろうと思うわけであります。笑い話じゃないんですけれども、一時、地方の中には、例えば紛争年間に一件も受けたことがなかったなんというようなこともございまして、急遽その教育をしなきゃならないなんというような話も聞いたくらいでございます。  要するに、労働行政の全体の体制というものに大きくメスを当てていかなきゃならないような条件もあるわけでございますから、そういう意味では思い切った紛争解決のための新しい機構をつくる必要があるんじゃないか。  これは実は中職審建議の中にもそういうことが盛られていたはずだと思うのでございますけれども、これにつきましてはこの法文の中でどのように考えてつくられたのか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
  8. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先生指摘のとおり、中職審建議の中に、個別紛争処理にどう対処するか、幾つかの示唆も含めて建議をいただいているところであります。  労働条件をめぐる個別紛争につきましては、先般の基準法改正によりましてその迅速な解決を図るシステム整備したところでありますけれども、雇用問題一般についての個別紛争処理機関整備については、そのあり方をさらに鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。  いずれにしても、当委員会での御指摘をしっかり踏まえて、どう対処していくか検討させていただきたいと思います。
  9. 今泉昭

    今泉昭君 苦情処理に関しましては、それぞれの各地方にある職安が前面に対応をしていくということになっているようでございますけれども、派遣労働中心登録型が大体八割以上を占めているようでございます。個別の紛争というものは登録型を中心として起こっているというふうに私ども判断をしております。これから急激に登録型の派遣がふえるとするならば、当然それに比例して紛争処理の必要な件数がふえていくだろうと思うわけでございます。  ところが、前回も私申し上げましたように、今地方職安行政は大変だと思うんです。これだけ失業者がふえて、一つ失業保険の給付の作業だって今まで以上に大変な処理に当たらなきゃならないと思うし、さらにはまた就職窓口として紹介業務、当然これはもう今までにないぐらいに件数は多いはずでございます。そういう中で、職安人員がふえたわけじゃない、行政改革の一環としてむしろ人は減らすような方向にあるような中であります。  今労働行政の中で一番重要なのはこの職安行政だろうというふうに私は認識しているわけでございますが、大臣は、これから審議会などの意見も聞きながら検討していくというような姿勢をとっていらっしゃいますけれども、これはそんなに待てない状態じゃないかと思うんです。ですから、今後これは積極的に何か対策を考えていただく必要があると思うんですが、いかがでしょう、どういうふうにお考えでしょうか。
  10. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 現在、職業安定所は全国に約四百七十所設置をして、県に勤務する職員を含めますと地方に約一万五千名の職員が配置されておるわけであります。  御案内のように、その仕事の中核は職業相談職業紹介ですけれども、今窓口は大変な混雑をきわめているというような状況でございます。安定所はそのほかに、雇用保険認定支給事務でありますとか求人開拓事務、あるいはいろいろな事業主労働者への助成金支給、こういったものの事務をやっているわけで、雇用対策第一線機関としてあらゆることをやっているところでございます。  そういったことでは、業務を今なかなか処理し切れない、長い時間待って本当に職業紹介に充てる時間はわずかであるというふうな不満も大変漏れているわけでありまして、なかなかこれを職員の増だけで単純に対応するというような状況ではありませんし、いろいろな事務合理化というものを通じながら体制整備をしていかなきゃいけないという問題意識を持っております。  特に、そこに当たりましては機械化できるものはできるだけ機械化をしていくというような問題と、それから今般も雇用対策の中で考えておりますが、特に中高年のような短時間の職業紹介では無理だというような方については、職業相談とか就職についての心構えでありますとか、そういったことは民間の力もおかりをして特に中高年の方に重点的に職業相談に応じる。こういったこともいろいろ考えながら、体制見直しながら、できるだけ人員増というようなことではなくて、そういった観点ももちろん大事なのでありますけれども、組織の合理化重点化、こういうことを中心にして今見直しを進めているところであります。  今般、派遣につきましても労働大臣への申告とかあるいは公共職業安定所への相談というようなことを改正法で明記をしているわけでありまして、こういったことについても件数が増加するというふうに想定されますので、体制が不備なために派遣労働者権利が守られないということでは大変まずいわけですから、十分その辺を留意しながら合理化重点化ということを中心にしながら体制あり方について検討してまいりたいと思っております。
  11. 今泉昭

    今泉昭君 そういう意味で一番心配しているのは、不安定な雇用労働者自由化によってふえていくということが重なってくるわけでございますから、特に登録型に対しての労働界のアレルギー、心配というのは私は大変強いものではないだろうかと思うんです。  今この法律によって出発しようとしているのは、我が国にとっては経験のない新しいネガティブ化という形で大幅に自由化していこうということでございますから、予測をしている以上のいろいろなケースがそしてまた問題が出てくることは私は必至だと思うわけであります。  そういう意味で、恐らくこの法律が施行されて何年か後には、最も近い時期に見直しというものが当然言われることになるでしょうし、この見直しのための行政としての資料を整える意味実態調査というものを今まで以上にやっていただく必要があると思うんです。  そういう意味で、労働大臣、どうでしょう、三年後の見直しに向けての、要望というのはいろんな形で各方面から出されていると思うわけでございますが、どのような気持ちで、どのような決意でこの問題に臨んでいかれるか、ちょっとお答えを願いたいと思うわけであります。
  12. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 結論から申せば、じっくりちゃんと状況を踏まえて情報をとってということになるのでありますが、改正法の施行後三年を経過した後において、労働者派遣法規定についての検討に際しまして、今回の法改正において新たに対象となる業務分野における登録型の派遣労働者について、その就業の実情であるとか労働条件確保等状況を把握、分析をしまして、必要な検討を加えることといたしたいというふうに考えております。
  13. 今泉昭

    今泉昭君 三年後という話もございましたけれども、一回法律が出ますと、その推移を見ながら、三年よりももっと短い期間にこれを直すというのは実質的には不可能だろうと思うんですが、それでもなおかついろんな問題点が出てきたら緊急にこれは取り上げて見直しをしていただくように要望しておきたいというふうに思うわけでございます。  さて次は、そういう意味で、今回のネガティブ化自由化をされるときに、政府がよく言われておりますように、実は一般の働く人たち一般方々意向として、自分の都合に適した、時間的にも自分生活パターンからいっても自由な時間に働けるような形の就業形態に対する期待が多いと、こういうことを再三述べられていたというふうに理解しております。  実は実態調査をいろいろしてみますと、どうも最近の流れというのはそういうふうにいっていないんじゃないかという気がしてならないわけであります。例えば、自己選択ができる就労体制というものに派遣労働を期待するというのが、毎年出されている実態調査を見てみますとその割合が減ってきているわけです。  なぜ派遣労働選択しているかという実態を見てみますと、むしろ失業を強制されるような経済情勢にある。要するに、正規従業員として実は自分は働きたいんだけれども働く機会がない、働けないという割合がどんどん最近はふえてきているわけでありまして、むしろ労働省の方でよく言われていたような、この派遣労働というシステムをつくることによって自己選択機会をふやすんじゃないかというような意味合いは、最近の動向から見るとちょっと違うんじゃないだろうか、そういうような気がしてならないわけであります。  そして、私としてもその人たち意向調査をいろいろ分析してみても、実際に派遣労働者を雇う側の、派遣先というんでしょうか派遣を受け入れる企業立場意識調査を見てみましても、その第一のねらいはやっぱりできるだけ正規従業員を圧縮したい、そして賃金とか福祉とかのコストを減少させたいというねらいが大変最近は強まっている。  そういう意味で、一時的に間に合わないからとか、一時的に事業がそういう人材を必要とするから派遣労働というものが必要だという意識を持っている企業家派遣先というのが何か少なくなってきているように統計などによって受けるんですが、この点について当局としてはどのように見ていらっしゃいますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  14. 甘利明

    国務大臣甘利明君) さきの東京都の調査あるいはこの派遣法改正に当たってさらに詳細な調査労働省がいたしました。その時点での働く側のどうしてこの働き方を選択するかという回答については今までもお話をしたとおりでありますが、それから若干の経緯がございまして、雇用失業情勢経済情勢がその間も変化しているのは事実でありますし、それが働く側にとって、先生が御指摘のような選択をする事由の変化になっているかもわかりません。  一方で、企業の側にとっても選択するにはするなりの有利であるという理由があるわけでありまして、ただ恒久的、恒常的にこの働き方を企業戦略として採択するということにならないように期間制限等をつけているわけでありまして、本来、法の趣旨にのっとって、この派遣労働を使う側の企業もその趣旨徹底をするように厳正な対応をしていくということでございます。
  15. 今泉昭

    今泉昭君 データをいろいろ見てみますと、特に登録型だけに限らず、派遣労働者の約八割はどちらかといえば女性の方が多いというふうに思います。  今度の自由化規制緩和によりましてこの割合がどう変化しているのか私も推測がつきませんけれども、恐らくそんな大きな比率の変化はないのではないだろうかという気がしてならないわけです。もちろん、男子の職場と今まで一般的に言われていた部門に、規制緩和がぐっと広がっていって、そこの部分は相変わらず男子が多くあるという可能性もないとは言えませんけれども、しかしながら、全体的な傾向としては女性方々がこの派遣労働という就労システムを使うという流れは私は変わらないのではないだろうかと思うわけであります。そういう意味で、幾つ女性問題に関する配慮対策というものについて、改めて確認の意味でお聞きをしておきたいというふうに思うわけでございます。  その一つは、派遣先におけるところのいわゆる男女雇用機会均等法、この適用というものが衆議院修正により規定されましたけれども、派遣という身分上の弱さから、いろんな意味で十分に派遣先に対して、派遣先事業者がこの問題の認識を持っていない場合が大変多いわけでありまして、さらに、先ほど私が申し上げましたように、中小零細事業者が大変多いわけであります。中小事業者というのは、どこの企業でもそうですけれども、社長がすべてを取り仕切っている。その道の専門家をそろえているということは実はほとんどないわけでございまして、これに対する指導徹底というものが大変重要になってくるんじゃないかと思うのであります。  この点について、労働省としてはどのようにこの雇用機会均等法に基づいてその問題に対する問題が起きないように指導徹底をされるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  16. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 均等法における問題といいますか、例えば女性であれば派遣先におけるセクシュアルハラスメント等がございますけれども、これらを防止するために、派遣先に対しまして必要な指導等適切な措置を講ずることとしてまいりたいというふうに考えております。  それから、男女雇用機会均等法上の事業主としての派遣元事業主責任について指導徹底することとしたいというふうにも考えておりますし、また、労働者派遣法第二十七条、第四十条第二項、及び衆議院における修正によりまして追加をされました派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限規定等の的確な運用によりまして、派遣先における派遣受け入れ決定業務指示あるいは契約解除において性による差別的取り扱いがなされることがないように指導してまいりたいというふうに考えております。  さらに、正社員は男性、派遣女性ということが生じないように、また、ポジティブアクションの推進を図るために男女雇用機会均等法の周知を徹底しますとともに、必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  17. 今泉昭

    今泉昭君 特にこの点につきましては、先ほどから何回も申し上げておりますように、男女雇用機会均等法に基づくところの対処というものが、大企業といえども完全になされていないような状態でございますので、中小零細企業が多い派遣事業者に対する指導徹底というものを強く要請しておきたいというふうに思います。  それからあわせまして、この派遣労働者を含む短期雇用者育児休業介護休業適用を推進すべきじゃないかという強い要望もあるわけでございます。この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
  18. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 派遣労働者を含めまして、期間を定めて雇用される労働者育児介護休業との関係の整理につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  19. 今泉昭

    今泉昭君 もう一つ、特に心配されているのは、短期雇用労働者の実は社会保険の問題であります。  我が国は、最近はいろいろな種類就労形態による労働者種類がふえてまいりまして、それぞれの種類によって保険適用される人、されない人が大変あるわけであります。憲法によれば、そういう社会保障を受ける権利を平等にだれも有しているわけでございまして、この点の検討というものが大変おくれていることも事実ではないかと思うんです。  前々から課題としては考えているけれども、これは労働省だけではなくしてほかの省庁とも関係があるということもありまして、検討をしているという話は聞きますけれども、必ずしもそのスピード、検討の度合いというのは進んでいないようなふうにも見受けるわけであります。それとは別に派遣労働だけが自由化をどんどんされていって、問題点ばかりが先送りをされているという現状でございます。  したがいまして、短期雇用労働者に関する社会保険見直し、今後の計画、そういうことについてどのように考えていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘の問題は、本委員会におきまして今泉先生初め各委員からもお話のあったところでありまして、そのときにも検討が必要だということだけはお話をしておきましたけれども、この問題、つまり派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る雇用保険あり方については、なるべく早くスピードアップをして検討するということにいたしたいと考えております。  それから社会保険あり方につきましては、これは我が省の所管ではありませんが、検討が行われていくように担当省関係省庁に働きかけることとしたいというふうに考えております。
  21. 今泉昭

    今泉昭君 派遣労働者の働く場におけるところの、直接の雇用者派遣元なんでしょうけれども、派遣先において現場仕事をしている際に直接指導をしているのは派遣先人たちであります。当然そこにおいて、仕事の面でも労働者としてでもいろんな意味での問題が出てくるはずでございます。  一般正規従業員でございますと、例を申し上げますと、本社における労使関係というものと、本社ではなくして地方工場があるところの労使関係というものは、それぞれその責任の範囲の分担をしながら労組法に基づいた関係というものが維持されているわけです。例えば、全体的な労働条件本社で決めても、個々の工場におけるところのいろんな安全衛生の問題やらあるいは労使協議会の問題やらいろんな問題はその工場に任されているというような実態がありますし、それは大枠において労組法の枠の中で適用を受けながら上手に管理をされていっているわけであります。  ちょっと考えてみますと、派遣労働者というのは、本社派遣元だと、行っているところが派遣先でありますから、それは本社じゃなくて地方工場で働いているような関係があるわけであります。ところが、派遣労働者は、実際に指揮監督を受けているところとは例えば団体交渉をするような保障も権利もないという実態になっているんですが、この関係について労働省としてはどのようにお考えですか。
  22. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 労働者の団体交渉権等に関する御質問でありますけれども、団体交渉権はあくまで使用者との間にあるということで、派遣事業について言いますと、派遣元事業主が当該派遣労働者の使用主になるということであります。労働組合法の適用については、派遣元派遣労働者との間に適用があるということで整理をされております。  ただ、おっしゃいましたように、雇用主と指揮命令する人とは違うというようなことでいろんな問題が生じているのも事実でありますし、派遣先には派遣先責任者というふうな方を置くことにもなっております。また、今回の法改正によりまして派遣先における適正な就業環境の整備配慮するという規定も入ったわけでありまして、そういったことで、いろいろと派遣先においても話し合いをする必要性は大いにあるだろうというふうに思いますので、派遣先責任者等を通じまして派遣労働者派遣先とがいろいろ自主的な話し合いをするということは十分行われてしかるべきことではないかというふうに思います。
  23. 今泉昭

    今泉昭君 企業によってはいろんな形態があると思うんです。派遣をされていく人たちもいろんな企業によっていろいろ事情が変わってくると思うんです。今大変問題になっているのは、例えば派遣労働者でない場合でも、正規従業員は一割ぐらいしかいない、ほとんどの従業員が例えばパートであるとか日雇いであるとか、いわゆる短期雇用労働者あるいは正規従業員でない人たち中心になっているような職場があるわけであります。それと同じように、派遣をされた方々が行った先が実は大変人数が多くて、そこの基幹労働者である正規従業員が大変少ないというような場合がございます。  実際の問題として、例えば残業の問題が起こってきた場合、具体的な取り扱いになりますと、もう派遣労働者もそこの場に入っているわけでありますから、正規の従業員とともに残業の処理というものを自然に取り扱わなきゃならないような実情が生まれてくるわけであります。普通でありますと、三六協定を結ぶ場合には従業員の代表という形で三六協定を結んで、そこで残業協定というものができ得るわけでございますけれども、ところが派遣労働者にはそういう労働組合というのはほとんどない。ないのが全体でしょう、恐らく。正規労働者であるならばこれは別でございますけれども、登録型という形で派遣されている場合はほとんどないわけでありまして、そういう場において、それは派遣先派遣元で残業問題も契約の中に盛り込まれているという一言で済むのかどうか。  もう実際職場の中に正規従業員と同じような形で組み込まれてしまった場合に、それじゃどっちみち残業をやらなきゃならないんだからということで全体の職場の人たちを代表するという形で相談する、仲間に入れる余地があるのかどうか。そういう点はどうなんでしょうか。
  24. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 先ほどの団体交渉権等労働組合法の適用につきましては、派遣元派遣労働者の間に適用があるということで整理をされておりますが、労働基準法等につきましては派遣法の中で規定の整理の仕分けをしておりまして、一定の分野については派遣先事業主としての責任を負うというふうに規定されております。労働時間の管理なんかはまさにこれに該当するものでありまして、超過勤務に関する協定は派遣元派遣労働者の代表との間で結びますが、派遣先における具体的な労働時間の管理、今おっしゃいましたような例えばきょう幾ら残業するというようなことについての指揮命令は派遣先が行うわけでありますから、これが労働基準法の規定に違反する、あるいは派遣元派遣労働者との間における三六協定の定めに違反しているというふうなときの責任派遣先に負わせているということになりますので、基準法上の労働時間の取り締まりについては派遣先が一定の責任を負っているわけであります。  ただ、それは基準法の適用ということでありますから、実際の日々の現場における労働ということになりますと、派遣労働者派遣先労働者と一緒に派遣元とは違う超過勤務に服させるというふうなことはもちろん適当でありませんから、そういう事態がありましたときには両者でよく話し合いをする、あるいは安定所等へ相談をしていただくというふうなことで、労働時間管理が派遣先で法を逸脱するということがないように努めていかなければいけないと思います。  先ほどから御議論がありますように、派遣先においても、一々監督機関への申告とまでいかなくても、実際の現場派遣労働者派遣先との、例えば責任者との間の話し合いでそういった問題が自主的に解決されていくことが本当は一番望ましい道じゃないかというふうに思います。
  25. 今泉昭

    今泉昭君 きょうは大変限られた時間でございますので、用意してまいりました質問を全部聞くような時間はちょっとないようでございます。特に、大臣は何かきょう大変詰まっているようでございまして、できるだけ時間を詰めてというような要請も来ているので先を急がなきゃならないんですが、具体的な確認のための答弁はまた次の機会にお願いをするといたしまして、残された時間、今大変重要な雇用問題について、少しこの機会にぜひ大臣の見解もお聞きしておきたいというふうに思います。  我が党としましては、この雇用問題というのは今大変重要な問題でありまして、長銀の問題と並んで、参議院においてぜひ予算委員会を開いて予算委員会徹底的に雇用問題を取り上げる時期である、この時期を除いてないじゃないかというような意識を持っているわけでございまして、そういう意味でお聞き願いたいと思うんです。  さきに発表されましたデータによりますと、全体的な失業状態は四・八%、横ばいでございましたが、男性は五%台に乗りました。  いろいろ見てみますと、この失業率、特に有効求人倍率という面で見てみますと、今まで我が国を代表するような工業県というのが大変悪いわけです。例えば、京浜工業地帯といって名をはせていました神奈川県なんかは、有効求人倍率が何と〇・三三%というふうに平均の〇・四八を大きく下回っているわけであります。大阪、兵庫、これもまた同じでございまして、地域によるところのミスマッチというものが目立っております。ところが、どちらかといえば地方においては有効求人倍率が高い。一体これは何を意味しているんだろうか。我が国におけるところの工業の、あるいは産業の再配置というものが大変ミスリードされているということなんだろうか。  いろいろ聞いてみますと、地方では人が欲しいんだけれども人がいないという声も私ども聞くんです。ところが、大都市に行けば行くほど失業率が高まっている。南関東では五・二%。五・二%を超えると何かが発動されるという法律がもうできているはずでございますけれども。  このような状態にある中で、派遣労働者を見てみましても、派遣労働者の大体半分が南関東なんですね。三分の一が近畿圏。派遣労働者というのはほとんど大都会だけでなされている雇用の形態である。もしこれがなければもっとすさまじい失業率が記録をされているわけです。ある意味ではこの失業率を補う意味で南関東やあるいは近畿圏において派遣労働者が活用されているということは、もう間違いなくこれが雇用調整の手段にされているということが言えるのではないかと思うんです。  そこで、政府におきましては何か十一日に発表されるというふうに聞いておりますけれども、その中で、私ども聞くところによりますと、どうも当面の緊急対策というよりも中長期的なところの数字が躍っている、今すぐという対策がないように見えてならないんです。当面の緊急対策としてあるのは、表現は悪いけれども、ばらまき行政ということになっちゃうんでしょうか、三事業会計ですか、特別会計の中から、雇用保険会計の中から給付金をふやすとか日数を長くするとかという程度のものしか見えない。例えば介護に対してという話もあるけれども、あれは今すぐふえるわけじゃないし、受け皿がまずできていないということもあります。  そういう意味で、緊急の対策としてほかに何か考えるものはないんでしょうか。十一日に発表される中でもしありましたら、聞かせていただきたいと思います。
  26. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今すぐできるということからいえば、どうやってこのミスマッチによる失業を解消するかということでありますし、そして、景気が回復するのを待たずに就業の場を設けろということであるならば、直接雇用は公共ができないにしても、何らか民間の力を使って具体的なエリアに具体的な人数を雇用させることができないかという議論になるわけであります。  ただ、その際にもお金が必要でありますから、そうしますと、その先に、では臨時的な予算を組むのかどうかという議論になるわけであります。そういった意味で、短期的には今の予算の構図を崩さずに対処できるもの、それから中期的には新たなる財政出動を視野に入れつつ考えられるもの、長期的には来年度予算と来年度国会、つまり法律改正を含んで検討できるものというような仕分けになってくるんだと思います。  明日発表されます対策について、全体像を私自身がすべて詳細に把握しているわけではありません。まだ、これから具体的な数字の設定をするとかいうことになるんでしょうし、あるいは財政出動が必要な部分について今から具体的な数字を発表するということにはなかなかいかないんだと思いますが、中期的まで含めれば具体的にこの部分にこういう雇用をというような策が何らか発表できるんではないかというふうに思っております。
  27. 今泉昭

    今泉昭君 時間が参りましたので、次の機会にお願いいたします。
  28. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  私は、時間が短いようですので、限られたことだけについてお聞きしたいわけです。  最初に、この委員会の持ち方で、先週、参考人意見を聞き、そして、本当に少しだけでしたけれども、都内の実際の場を見せていただきました。その効果については先ほど今泉先生がおっしゃいましたけれども、私は、やり方として、今までいろんな委員会に出てまいりまして、参考人意見というようなものは、実際は最後のときに聞いて、最後に委員長が大変有益な御意見をいただいたので審議に反映させていただきますというふうに大体ごあいさつされて、その次の瞬間といいますか、その次の日にはすぐに採決をしてしまうというような、非常に失礼なといいますか、実態があったような気がしております。  それは、参考人意見を聞くというのが、実際には参考にするのではなくて単に採決へ持っていくための一つの儀式にしかすぎない。よって、通したい方は少しでも早く参考人を呼ぶような、形式だけまず踏もうとする、そうでない方は極力おくらせていこうと、こういう駆け引きに使われていたような気がします。今回、そういうことはどうだろうかということを申し上げ、皆さんの賛同を得まして、最初に総括的な質問が終わってから、すぐに御意見を聞き、また視察をするということができたのは、私は自分ではよかったんじゃないかなという気がしております。  それで、私自身いろいろありますけれども、一つだけちょっとその中の感想めいたものでございますけれども、この法の意図するところの労働者派遣事業というものと、特に反対をされておられる実態、これはどの程度数量的に行われているのかというのが非常に微妙ではあると思いますし、労働省も正確に把握していないという問題がありますけれども、しかし、多くの問題が指摘されている実態との間の乖離、これが非常にあるような気がして、どうも双方が違うものについて議論をしているような気がしてしようがないというのが私の実感でございます。  この際、法律改正、そして労働省はこの事業を適切に運営する責任があるわけでございますから、この法の意図するところが、現在の労働状況の中にワークシェアリングとかジョブシェアリングと言われているような新しい分野が出てきたときに、今までの正規雇用というようなものでない、短期の一時的な労働者というのがふえており、この人たちが今よりも保護され、そして権利が守られるということのためにある法律のはずなのでございまして、ここをきちんと今後やっていただきたいなと思っておるわけでございます。  第一問といいますか、最初にお聞きしますが、そうなりますと、その考え方からしまして、この労働者派遣事業の非常にポイント、かなめは、いかに働く方の能力を、いわゆる労働能力を高めるかということ、そしてそれに見合った適切な事業紹介が行われるかというところじゃないかなという気がするわけでございます。  ですから、今回でも三つの法律に分かれているわけですが、つまり労働者の能力開発という分野とそれから職業紹介という分野とそしてこの派遣事業という分野は、総合的にもう一度組み直して、当然労働者の能力を高めるということも含めて今後一緒に展開されるべきではないかなと思っておるのでございますけれども、この辺についてどうお考えでございますか。
  29. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御指摘いただいた件でありますが、改正労働者派遣法及び改正職業安定法の施行後三年を経過した後における両法の規定検討に際しまして、派遣労働者の能力開発等労働者派遣事業の制度のあり方及び短時間労働者に対する職業紹介と民間の職業紹介事業の制度のあり方につきまして総合的に検討を加えることとしたいというふうに考えておりまして、御指摘趣旨を踏まえて対応していきたいと思います。
  30. 山本保

    ○山本保君 私は、自分自身は福祉の方が専門でありましたので、この問題については今回の法案が出てきたときに初めて勉強しました。そして、連合の方々にもいろいろお話を伺って最初に感じたのがそのことでして、どうして能力開発ということと別なんでしょうかということを申し上げましたら、その幹部の方も、いや、実は外国ではこういうものも総合的に行われている国もあるんですというようなお話もあり、なるほどそれはそうだなという気がしたんです。この辺については、これで終わりというのではなくて検討していきたいと思っております。どうぞ労働省についてもぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、ちょっと細かい話になりますけれども、先ほど今泉先生から育児介護休業についてということで確認をされましたけれども、私はそれに加えまして、産前産後の休業についてちょっとお聞きしたいのでございます。  といいますのは、御存じのように、育児介護休業法の特例によって製造業の直接生産過程にある業務についても特例として派遣が認められているわけでございますけれども、今回、その法文は削除されるというふうに聞いております。そうなりますと、現実にそういう過程の方で、育児、介護、また産前産後というところにおいて、実際にもう既に運用されているところが、この法律だけを見ますとひょっとすると使われなくなるのではないかという気がするわけでございまして、これはそういうことがあるべしとかなかるべしという議論ではなくして、現実にそういう方がおられる以上、この辺についてはきちんと担保すべきだというふうに思っておるわけでございますが、どうでございますか。
  31. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 重要な御指摘だと思います。  そこで、育児介護休業に加えて、産前産後休業の代替要員に係る労働者派遣につきましても、製造業の直接生産過程の業務について労働者派遣を行えるように省令において措置することとしたいというふうに考えております。
  32. 山本保

    ○山本保君 それでは、その辺はよろしくお願いしたいと思います。  次に、また条文の中にあることで、これも先ほど今泉先生からお話があったことと関連します。男女雇用機会均等法でございます。  先ほど大臣の方からは、いわゆるセクハラについての事業主責任についてはきちんと指導をしていきたいというお話があったわけでございますけれども、均等法の二十二条または二十三条の方には、妊娠中とか出産後の保健指導、母性保護、健康診断等々についての事業主責任がうたわれておるわけでございます。  この辺についても、当然行われると思いますが、もう一度確認したいのでございますけれども、きちんと指導をしていただけるかどうかでございます。
  33. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほどの私の答弁が舌足らずであったと思うのでありますが、派遣先男女雇用機会均等法に基づきまして妊娠中及び出産後の保健指導あるいは健康診断等を受けるために必要な時間の確保等を行うよう必要な指導等を行ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 山本保

    ○山本保君 それでは次に、先ほどちょっと申し上げたことにまた戻るような気がいたしますけれども、派遣先労働者について就業環境の維持というふうなことに努めなければならないと。何度もお話しされているわけでございますけれども、教育訓練というようなことについても、実際にその職場で働き、そこでやっていただくわけですから、やられるのは当然だと私は思いますけれども、この辺がきちんと的確に、またはある一定の基準に基づいて行われるような形が望ましいと思うわけでございます。  この辺について、派遣先にもその責任を負わせるのが私は道理にかなっているという気がするんですけれども、いかがですか。
  35. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 職業に関する訓練はこれからの労働行政の中でますます重要な地位を占めていくというふうに考えております。  そこで、今の御質問でありますが、派遣先派遣労働者に係る教育訓練につきまして必要に応じた便宜を図るよう努めなければならないという旨を指針に明記することとしたいというふうに考えております。
  36. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  最後に、これは指針とか指導ということとはちょっと違う次元かもしれませんけれども、私の持論でもありまして、今回いろんなところでも議論させていただいております。また、感じたことを少し申し上げたいんです。それはNPOなんです。  NPO、いわゆる非営利事業の団体、これがまだなかなか実際には理解されていない。労働大臣も覚えておられると思いますが、去年の十二月の予算委員会で、いろんな新しい雇用に対して労働省そして通産省が応援をするという事業ができたときに、今までNPOで雇っているような人については、当然雇用保険の対象であればいろんな応援をしていたのに、今回の事業は、通産省の方の横やりと言っては申しわけありませんけれども、通産省は業についているという業を営利業であるというふうな解釈。  それは、当時できたときは確かにそうであったかもしれない。その当時、三十年も前は非営利業というのはまさに公務労働のことを言ったわけで、当時は非営利の民間事業という概念がなかったわけですから、その法律では確かにそういうものを含まなかったとしても、現在ではさまざまな官庁も、民間の非営利業というものが一つの大きな産業セクターであるというふうになっているではないか。  ならば、今回のいろんな支援についても当然非営利業も含むように解釈すべきではないかと申し上げたところ、労働大臣は、はっきりとは言われなかったけれども私の質問については非常に好意的な御返答をいただいたと思っておりますが、残念ながら通産大臣は何か非常に感情的になられまして、そんなものは含むはずがないのだと、たしかテレビで私と、ちょっと激したようなことをおっしゃったような記憶がございます。そうしましたら、最近、何か突然、雇用対策にNPOを使うんだということで、これはぜひ一度通産大臣に私は面と向かってお聞きしたいと思っておるわけでございます。  そうなりますと、もちろんNPOというのはさまざまな事業があるわけですが、特に私は、福祉でありますとか、それから環境行政でありますとか、つまり今まで公務労働が独占していたようなところに関して、これは非常に有効な方法だと思っておるわけなんです。  今回二つ申し上げますが、一つ職業紹介事業。いろいろこの委員会でも議論になって、無料紹介というのと有料紹介という二つの概念しかない。そこで何か議論がかみ合っていなかったような気がしております。つまり、NPOが行う事業、非営利事業というのは有料でありますが非営利なんです、無料ではない。無料でやるのであれば、それは何かほかに本務を持っているような団体しかできませんので、この仕事はできるわけがない。適正なお金をいただくわけですけれども、しかしそれは営利ではない。  営利ではないことはどこで担保されるのか。それは、今の成立しているNPO法でもそこだけは我々も一生懸命つくったところでして、公開原則がありまして、一般の株式会社などのように株主だけに責任を負うのではなくして、住民全体に責任を負いますので、その経理などを公開しなければならないという、ここが営利事業と非営利事業の一番大きな違いなわけです。  ですから、私は、今回この法律改正ではできませんでしたけれども、例えば職業紹介事業に関しても、非営利型の有料といいますか、この場合、今の有料事業とは当然基準も違ってこなければならないし、無料とも違わなければならないと思うわけですけれども、こういう分野を当然もっと広めなきゃならないというふうに思っております。  それから、もう一点言いますと、派遣事業も同じでありまして、今回いろいろ議論を聞いておりまして、やはり不信感がある。それは派遣会社というのは労働者の上前をはねているんだ、私もそういう質問をした覚えがあります。これは確かに営利企業がやる以上、そう言われてもやむを得ないところがやはりある。善意の方が一生懸命やっておられることもよくわかりますけれども、しかし法律の構成からいったらそう見られても仕方がないわけです。そこで、このような仕事というのは実は民間の非営利事業として行うのが私は一番適しているんじゃないかと思うわけです。  大臣、今いろいろ申し上げましたけれども、こういうNPO、非営利事業、非営利団体というものがもっと今回の分野に今まで以上の重要な位置を占めるべきだというふうに思いますけれども、どうお考えですか。
  37. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 山本先生がNPO法の成立に向けて大変な御尽力をされたということは私もよく承知しておりますし、先生からたびたびの質問の中でNPOの意義について、まだ私は一端の知識しかありませんけれども理解をさせていただいているところであります。  今回発表されます雇用対策に関しましても、恐らく初めてNPO云々という言葉が入ってくるんだと思いまして、それは先生を初めとするこの法案を成立された方々の御熱意が次第に浸透してきているんだというふうに思います。  そこで、NPOにつきまして我々が何ができるかということなのでありますが、許可の手続であるとか事業運営に関しまして、必要な相談であるとかあるいは助言をすることはできるんだというふうに思います。雇用情報の充実であるとか職業紹介に係る技術の向上のための協力をするなどの配慮を行うことをしたいというふうに考えております。
  38. 山本保

    ○山本保君 検討の中にそういう、言うなら無料、有料、そうではないところ、非営利事業というものの新しい運用の基準を検討していただくことをぜひお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  39. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  今回の労働者派遣の原則自由化によって、常用代替が起こるんではないか、常用雇用と派遣との代替が進むんではないかというさまざまな分野から当然の心配の声が上がっております。  これに対して渡邊職業安定局長は、あくまでも常用代替については厳格にこれを禁止するという方策をとる、そういう答弁をされました。政府案ではそれを期間制限の措置でやろうということになっているわけですが、この委員会でも、期間制限だけではなくて派遣事由の制限をすべきだ、こういう議論がたびたび出されています。  日本共産党としては、この問題について、例えばリストラのために人減らしをした企業については一年間派遣労働者を受け入れることを制限する、そういう対案を出しています。  私は、これが各委員から出された問題提起にこたえる方法だというふうに確信していますが、この問題を本会議で私が質問したときの小渕総理の答弁は、「リストラで人を減らした企業への派遣に対するお尋ねでありました。 このような企業への派遣を一律に禁止すればその企業への派遣を希望する労働者のニーズに的確に対応できなくなり、不適当であると考えます。」、こう答えられました。  労働大臣も同じ考えですね。
  40. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいまの御質問でありますが、リストラで人を減らした企業への派遣を一律に禁止する、一時的にせよ禁止するということは云々ということでありますけれども、やはり今、総理の答弁を御引用されましたけれども、その企業への派遣を希望する労働者のニーズに的確に対応できなくなる、あるいは当該企業の経営の立て直しに支障をもたらすということでありますから、それをリストラをした企業に対して禁止行為をするということは適当ではないというふうに考えております。その点は同じでございます。
  41. 市田忠義

    ○市田忠義君 いや、総理の答弁と違うじゃないですか。だって、総理が言ったのは、そういう企業を希望する労働者のニーズにこたえられなくなるからだめだと、それしか言っておられないですよ。今は別のことも大臣はおっしゃったじゃないですか。全然違いますよ。総理大臣一つしか理由を言っていないですよ。
  42. 甘利明

    国務大臣甘利明君) それは恐らく求職側に対しての御回答をされたんだと思います。それだけではなくて、当然その企業も経営戦略の中で勝ち抜いていかなければならないわけでありますから、ある手段は有効に使えるということは企業側の論理としても当然働くわけでありますから、求職側にとってこういう理由、それから企業側にとっても……
  43. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間がないから短く。
  44. 甘利明

    国務大臣甘利明君) はい。  経営の立て直しについて、それが禁止をされると支障をもたらすということは事実だと思います。
  45. 市田忠義

    ○市田忠義君 いや、総理はそんなこと言っていないですよ。企業の経営戦略上それを禁止するのはよくないと、そんなこと全然言っていないですよ。派遣労働者のニーズにこたえられなくなるからだめだと、それしか言っていないです。  大臣と総理大臣、全然違うじゃないですか、答弁が。そんなので質問は続けられないですよ。一つしか言っていないです。ほかにも理由があるが、労働者の側から見ればこの理由だと、そんな答弁していないですよ。唯一の理由としてこれを挙げているんです。ちゃんと答弁メモも持って言われたんです。会議録にも載っています。違いますよ。そんないいかげんな答弁で質問は続けられないですよ。
  46. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ですから、両方にとって一定の意味がある。総理の答弁は、そのうちのこういうニーズの一端をお話しされたんだと思います。
  47. 市田忠義

    ○市田忠義君 それはあなたの勝手な総理の答弁への推測であって、総理に聞く以外にないじゃないですか。  委員長、ちゃんとしてください。あんな答弁だめですよ。
  48. 甘利明

    国務大臣甘利明君) いや、それは、理由を全部毎回一つ残らずきれいに述べ切れるかということを言われたら、それは答弁漏れというようなことというのは恒常的に起きるんだと思います。
  49. 市田忠義

    ○市田忠義君 理由を全部述べろなんて言っていないですよ。  大事な理由として、今、甘利労働大臣がもう一つの理由があると。そんな大事な理由だったら、本会議で質問しているときにちゃんとその理由も答えるべきじゃないですか。  私、これでやりとり続けていたら、私の持ち時間なくなりますから、委員長、ちゃんと理事会で議論してください。
  50. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 総理と労働大臣の答弁の食い違いだという問題提起ですので、理事会で検討いたします。
  51. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ、大臣に聞きますが、総理が本会議で答えた答弁のあの部分はそのとおりだというふうにおっしゃったわけですね。  それで、その次、その点について聞きます。  じゃ、派遣労働者は、特に登録型の派遣労働者登録する派遣会社、派遣元を選ぶことはそれはできるでしょう。しかし、その労働者派遣先を選ぶことができないじゃないですか。ところが、そのニーズを抑えることになると。  それとも、派遣労働者というのは自由に派遣先自分で選べるんですか。一般にもそういう形で派遣先が決められているのかと。そんなことあり得ないじゃないですか。
  52. 甘利明

    国務大臣甘利明君) そこは誤解があるんだと思います。  労働者派遣事業というのは、派遣法第三十条に、派遣元派遣労働者の希望及び能力に応じた職業機会確保に努めなければならないというふうにうたわれていますように、本来、労働者自分の希望する日時であるとか職場において働きたいというニーズにこたえようとする制度であります。  したがいまして、派遣労働者は、就業を希望する派遣先事業所を派遣元に申し出るということができますし、また、派遣元の提示をする派遣先が希望に合わない場合にはそこでの就業を断ることもできるというものでございます。
  53. 市田忠義

    ○市田忠義君 それは、できるだけ希望に沿うようにしなければならないということであって、労働者がその派遣先を自由に選ぶことなんてできないですよ。  雇用契約を結ぶのは派遣元と結ぶんでしょう。派遣元派遣先を決めるんでしょう。労働者が自由にこの企業に行きたいということで選択権、そんなのあるはずないじゃないですか。そんな契約になっていないですよ。いかがですか。
  54. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 法律上、そういうふうに選べるようにできるようになっているのでございまして、もちろんそれは、そのすべてが自分の要求どおりを満たす派遣先はないかもしれませんけれども、少なくとも、自分はここには行きたくない、できればこういうところに行きたいという主張はできるのでございます。
  55. 市田忠義

    ○市田忠義君 それは、行きたいという希望を持つのはできますよ、だれだって。ここへ行きたくないとは言えますよ。  しかし、労働者がこの派遣先でなければ困る、ここを選びたいと言ったら、それはかなえられるんですか。それはできるだけ努力する、努めるというだけの話じゃないですか。  そういうニーズを抑えちゃうからというのを唯一の理由にするというのは成り立たないですよ。どうですか。
  56. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今の雇用失業情勢の中には、当然自分の希望と職種と合わないというミスマッチもあるのでありまして、世の中、自分が希望することが一〇〇%調えられるなんということは私は考えられないと思います。
  57. 市田忠義

    ○市田忠義君 何言っているんですか。そういう希望がかなえられないと今おっしゃったでしょう。そのとおりじゃないですか。  ところが、派遣先を自由に選べるそのニーズを抑えることになるというふうに答弁しているじゃないですか。全然違いますよ、言っていることが。
  58. 甘利明

    国務大臣甘利明君) それは、あなたの質問が正確でないから私が申し上げたのであります。
  59. 市田忠義

    ○市田忠義君 どこが正確でないんですか。けしからぬです、そんな答弁は。どこが間違っているんですか。
  60. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 希望を申し述べることができないとおっしゃっているわけであります。法律上そんなことはありませんと言ったんです。
  61. 市田忠義

    ○市田忠義君 そんなこと言っていないですよ。  どこそこを選びたいという希望は言うけれども、選択権はないですよ。必ずここということにはならないですよ。それを決めるのは派遣元ですよ。そうじゃないですか。そんなこと、どこに書いてあるんですか。
  62. 甘利明

    国務大臣甘利明君) じゃ、あれですか、伺いますけれども……
  63. 市田忠義

    ○市田忠義君 あなたに質問権ないですよ。
  64. 甘利明

    国務大臣甘利明君) だって、今の御質問は、ここへ行けと決められたらそこに行くしかないと、拒否権もないようなお話だったのでありますから。
  65. 市田忠義

    ○市田忠義君 そんなことは言っていない。
  66. 甘利明

    国務大臣甘利明君) そういうふうにとれました。
  67. 市田忠義

    ○市田忠義君 それは大臣の誤解ですよ、とれたというのは。そんなことは言っていないですよ。
  68. 甘利明

    国務大臣甘利明君) じゃ、もっとわかりやすいように。
  69. 市田忠義

    ○市田忠義君 何を言っているんですか。何を言っているんですか。そんなことをあなたが言う権利ありますか。けしからぬですよ。取り消しさせてください、あんな答弁は。何という言い方ですか。
  70. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私の理解能力がないんでありましょうからできるだけわかりやすくお願いしますという希望を申し述べました。
  71. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間がないので次の問題に移ります。専ら派遣について聞きます。  銀行などに典型的ですが、子会社である派遣会社が親会社に専ら派遣する、これは典型的な常用雇用の代替でありますが、局長はこの間何度もこの問題について、今度法改正で新たに許可要件に入れたので防止できる、そう言われました。例えば、専ら派遣が行われておりますときには現行法でもその改善について勧告することができるようになっております、さらに今般、許可基準の中に専ら派遣はだめだということをはっきりとうたうことにしております、こういうふうに述べておられます。  そこで聞きますが、現行法四十八条二項で専ら派遣は勧告の対象とされています。派遣法ができて十三年になりますが、この四十八条に基づいて勧告は何件行われましたか。
  72. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 派遣法の四十八条二項は、今御指摘のありましたようにいわゆる専ら派遣に係る規定でございまして、例えば例で見てみますと、平成九年度の派遣法に関する公共職業安定所指導件数というものは約三千件ございます。このうちの中に是正指導を行ったものがありますが……
  73. 市田忠義

    ○市田忠義君 勧告は何件ですか。
  74. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この指導の中には事例として専ら派遣に係るものも若干見られたようでありますが、勧告につきましては、この点を含めまして、法制定以来今日まで勧告を行った件数というものはございません。
  75. 市田忠義

    ○市田忠義君 もう時間がないから簡潔に答えてください。勧告はゼロですね、この法律ができてから。  それで、専ら派遣というのは、職業安定局の民間需給調整事業室が編集している「労働者派遣法の理論」、こういう本によると、こう書いてあります。「定款等に記載され具体的に明らかにされている事業目的だけではなく、事業運営実態にも照らし、客観的に特定の者への労働者派遣を目的としているか否かにより判断される。」と。すなわち、定款にどう書いてあるかと。不特定多数に人を募集していると。定款にどう書いてあるかというだけではなくて、実態に即して判断する、これが労働省が出している本の中に書かれてある。  これまで勧告がゼロだということは、労働省が知り得る限りでは、今述べたような判断基準、これに該当する派遣が一件もなかったということになるわけです、勧告がゼロということは。  この間、専ら派遣の典型だとしてしばしば世間の厳しい指弾を受けてきた銀行の派遣子会社、一〇〇%出資であり、限りなく一〇〇%親会社に派遣している場合でも、「定款等に記載され具体的に明らかにされている事業目的だけではなく、事業運営実態にも照らし、客観的に特定の者への労働者派遣を目的としているか否かにより判断」しても何ら問題なしという認定を下したということになりますね、勧告ゼロということは。いかがですか。
  76. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 先ほど申しましたように、年間約三千件の派遣事業に対する指導監督というものを行っているわけでありまして、その中には、平成九年の例を見ましても指導したものはあるわけでございます。  ただ、勧告に至っておりませんから、具体的詳細は承知しておりませんが、この指導を行ったものについては、その指導指導どおり是正をされたものというふうに理解をしておりまして、勧告に至ったものはないということでございます。
  77. 市田忠義

    ○市田忠義君 勧告していないということは、先ほどの基準に照らしても勧告に及ぶようなことは起こっていない、専ら派遣とは言えないということですね。
  78. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 行政のやり方といたしましてはまず指導をするということでございまして、違反があるからいきなり勧告だというふうなことは従来から行っていないわけでありまして、その指導によって是正されればそれで終了するということになります。
  79. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ聞きますが、定款に特定企業及びそのグループだけ専ら派遣するとうたって、一切の営業努力もしないでひたすら一〇〇%特定の企業だけに派遣している、それ以外はすべてよいということですか。
  80. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 派遣事業の許可をする際には定款等で書面審査というようなことで審査をする以外にないと思うんですが、実際に営業活動を始めたというときには実態に即して判断するということにもちろんなります。  今般、派遣の許可に当たりましては、専ら派遣を行わないということを許可の条件に付するということにしたいと思っておりますので、実態としてそういった許可条件の違反があれば許可を取り消すということにこれからはなります。
  81. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ、定款に書いてあるだけではだめですね。ちゃんと実態が事実上の専ら派遣ならそれは許可を取り消すということはあるんですね。確認していいですね。
  82. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) もちろん、定款の記載だけじゃなくて、実態がそういうことであれば勧告の対象にもちろんなりますし、最終的には許可の取り消しまで行く場合もあり得ると思います。
  83. 市田忠義

    ○市田忠義君 皆さんにお配りしている資料を見ていただきたいと思うんですが、一つは、第一勧銀オフィスサービス。これは第一勧銀が一〇〇%出資している派遣会社ですが、「ハートの銀行で働きませんか 派遣スタッフ募集中」と、こういうリーフレットです。それから、東京三菱銀行の派遣子会社ダイヤモンドスタッフサービス。これは、「東京三菱銀行で働いてみませんか」と。これ、一〇〇%出資している子会社です。「東京三菱銀行で働いてみませんか」と、こういうパンフレットです。  こうしてほとんどすべて第一勧銀、東京三菱銀行にこの派遣会社から派遣されている。どう見てもこれは専ら派遣であるのに、労働省はこういうところに専ら派遣だと現行法でもやれるはずなんだけれども勧告していないでしょう、こういうことがまかり通っているということは。  しかも、このリーフレットの裏を見てくださいよ。これ、小さく何と書いてあるか。虫眼鏡で見ないとわからぬですけれども、例えば第一勧銀オフィスサービスの「ハートの銀行で働きませんか」、裏の右の肩には小さく「他の金融機関または金融業務を営む会社の派遣登録も受け付けております。」、申しわけ程度にちゃんと書いてあります。もう一つ、「東京三菱銀行で働いてみませんか」、これも裏の右肩、「(関連会社及び他の金融機関のお仕事もございます。)」。これはまさに脱法行為じゃないですか。  こういうことを書けば専ら派遣でないんだと、だから勧告の対象にもならない。これ、勧告していないでしょう。こういうところの是正や指導もやりましたか。こんな脱法行為けしからぬという指導や助言はやりましたか。手続としては一遍には勧告に持っていかない、順番を踏むんだと。順番を踏むんだったらこういうところ、これは衆議院委員会でも我が党の委員指摘していますよ。それについて調査をやったりしましたか。
  84. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 年間三千件くらいの指導を行っておりまして、なかなか具体的な中身について各県からそこまで現在報告をとっていない実情ではありますが、ただいまいろいろと具体的な御指摘がありました、この特に金融機関に係る派遣については、早急に調査をしてみたいというふうに考えております。
  85. 市田忠義

    ○市田忠義君 あなたは衆議院委員会でも、早急に調査してみます、ヒアリングをやりますと。この法律が今大きなここにかかって問題になっているときに、そういう質問が出たら真っ先に、全国幾つもあるからなかなか難しいなんて言わずに、具体的に指摘しているんだから、その問題について調査する、直ちにやってここに報告するぐらいのことをやらなかったら、こんな重要法案通してくださいと言えないじゃないですか。また調査します。いつまでにやるんですか。
  86. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) これは法律の改正後に、法案を通していただきました後に速やかに着手したいというふうに思っております。
  87. 市田忠義

    ○市田忠義君 むちゃくちゃな暴言ですよ。こういうことが、専ら派遣は現行法でも是正したり指導したり勧告の対象になると言いながら、一件も勧告はやっていない。しかも、衆議院委員会でこういう具体的な問題まで追及されて、調査いたします、法案が通ってから調査しますなんて、何ということですか。
  88. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) 私ども、全国にわたって年間三千件もの指導を行っているわけでありまして、先ほど申しましたが、具体的な指導の内容について全数を把握している、そういう報告の形式にしていないわけでありまして、それが不備であるというふうに言われますと大変不備であるかというふうに思います。  今般は、そういった指導内容の具体的な把握を本省で行うというふうなことも含めまして、今御指摘の点も含めまして、早急に改善したいというふうに思いますし、具体的な事案についても早急に調査に着手をいたします。
  89. 市田忠義

    ○市田忠義君 直ちに調査して報告してくださいよ。そのことを私は強く求めておきたいと思います。  しかも、それだけじゃないんです。三枚目の資料をごらんになってください。株式会社キャリア・デベロプメント・インタナショナル、こういう企業があります。インターネットで調べてみた。何と書いてあるかと会社概要を見ると、「ソニーグループ唯一の技術者派遣会社。派遣先はもちろんソニー。」。これは専ら派遣そのものじゃないですか。「あなたのキャリアをさらに伸ばせるような仕事をソニーの中からご紹介します。」。これは勧告件数は一件もないわけですから、これも労働省の許容範囲なんですよ。こういうことをオーケーにして、専ら派遣は禁止しますとか、許可条件に入れますと、いろいろ法案を通したいために言っているけれども、こんなことがまかり通っている。  結局、専ら派遣で勧告を受けたり、許可取り消し、こんなことを野放しにしておいたら、何ぼ国会でわかったようなことを言っても、それがいかにいいかげんかということを証明しているのと一緒だと私は思うんですよ。全然厳しくやるつもりないということを自己表明しているのと一緒だと私は思うんです。これは本当に、厳しくやるから大丈夫だ大丈夫だ、だから通してくれと言うけれども、私は国会を愚弄するものと言ってもいいと思うんですよ。これすらまともに調べようともしないで、さらにこういうことまであるじゃないですか。こんなひどいのを私は野放しにすることはできない。もう一度どうですか。
  90. 渡邊信

    政府委員渡邊信君) この専ら派遣につきましては、今般改正法にも新しく許可の条件として許可しないということで規定が盛り込まれているわけでありますし、さらに運用といたしましても許可の際の条件に付する、条件違反であれば許可も取り消すという考えでおるわけでございますから、この専ら派遣については当面の重点的な調査あるいは指導の対象というふうにして取り組んでいきたいというふうに思います。
  91. 市田忠義

    ○市田忠義君 こんないいかげんな審議のままで、まともに調査もしないで、通ってからやるんだとか、そういういいかげんな答弁を繰り返しては本当にだめだということを私は言っておきたいと思うんです。  ほかにもこれまでの審議を通じて、例えばリストラ目的の丸ごと派遣の禁止の問題だとか、政府案の期間制限措置の実効性の問題。例えば日経連の常任理事が、一年を超えた派遣、その場合に雇い入れの勧告をしたときに従うかという委員の質問に、これは契約の自由という原則があるんだからそういう勧告にはにわかに従うわけにはいかないと。いや大丈夫だ、勧告する企業名も公表するんだから大丈夫だと言っているけれども、当の相手方はそんなことに従う気はないと、ここまで言っている問題もあります。  あるいは、製造業で広がっている偽造請負の禁止の問題もある。それから、派遣労働者の中途契約解除からの保護の問題もある。派遣先との均等待遇の問題もありますし、個人情報の保護に関して収集できる情報の範囲、それと閲覧権の問題だとか修正請求権の問題もある。それから、派遣先との団体交渉権、それから法律の実効性を担保するための行政体制の問題、まだまだ解明されなければならない問題が私は山積していると思うんです。これらを残して、審議が尽くされたなんて到底言えない。  そのことを厳しく指摘して、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  92. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは、労働大臣にお尋ねをしたいと思います。  登録型など派遣労働者に対する派遣先による適正な派遣就業確保するという観点から、派遣先による労働者派遣契約違反の是正とか防止の徹底を図るべきではないか。とりわけ、派遣先における責任の甘さということが指摘されている現状をどのようにお考えでしょうか。
  93. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 派遣先におきまして労働者派遣契約に違反をする事案が生じた場合、この場合には、まず、派遣先は違反について知っていたときはその違反状態を早急に是正すること、そして、労働者派遣契約に違反する行為を行った者及び当該派遣先責任者に対しまして労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、さらに、派遣元事業主と十分に協議をした上で労働者派遣契約違反に対して損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずべき旨を指針に明記いたしまして、派遣先による労働者派遣契約違反の防止等のための指導徹底するということと考えております。
  94. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 法案中の同一業務及び継続という概念につきまして、その判断基準を客観的かつ明確に指針等で定めるとともに、実態においても派遣期間制限を意図的に潜脱するような行為が生じないよう指導徹底を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この点も先生を初め多くの委員から御指摘をされた点でありますが、同一業務及び継続の判断基準につきましては、中央職業安定審議会にお諮りをしました上で、指針に明確なものとなるように定めますとともに、派遣期間制限を意図的に潜脱するような事態が生じないよう指針に基づきまして指導徹底することとしたいと考えております。
  96. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 臨時的、一時的でない労働の需給調整のために派遣を使わないということが法の趣旨であると思います。潜脱防止はあらゆる判断基準をつくる際の基本原則でありまして、結果としての潜脱もまた許されないという視点で指針づくりをしていただきたいと思います。  次に、法第四十九条の二第二項の実効性を確保するために、指導、助言は文書で行うのか、口頭で行うのか。また、期限を設けて指導、助言する必要があると思います。さらに、指導、助言から勧告、企業名の公表までの全体の期間は最大限一カ月とするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  97. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいまの点でございますが、指導、助言につきましては、派遣先によるその履行を確保するための派遣先の個別の事情に応じまして、また指導、助言の段階に応じまして、文書または口頭、いずれか適切な方法を採用したいというふうに考えております。  ただし、最終的に勧告を行う前提となる指導、助言につきましては、文書によりまして期限を設けて行うこととしたいというふうに考えております。  指導、助言から勧告、企業名の公表までの全体の期間についてでありますけれども、御指摘趣旨を念頭に置きつつ、できる限り迅速な解決が図られるよう対処していきたいというふうに考えております。
  98. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 雇い入れ勧告制度における企業名の公表につきましては、先回、新聞等に発表すると言われましたが、制度の実効性を上げるために指導、助言、勧告に至る経過とか内容もあわせ明らかにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  99. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 雇い入れ勧告制度の実効を高めるために企業名公表以外にも公表することが適当と考える事項もあるというふうに思われますので、御指摘趣旨を踏まえまして、公表すべき事項を通達に明確に定めてまいりたいというふうに考えます。
  100. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その事項は必要的な事項というものであって、制限的であってはならないと思いますので、その他の状況も踏まえるなど弾力的な公表ができるようにお決めいただきたいと思います。  次に、勧告における派遣労働者の雇い入れに関する民事的効力について先回お聞きをいたしました。労働大臣の勧告がなされるようなときには、派遣労働者労働大臣窓口のハローワークに申し出たときから通常は派遣労働者派遣先との雇用関係の存在がみなされる、推定されるということは前回の質問で答弁いただいたと承知しております。  私は、これを踏まえまして、さらに明文規定を設ける等によって実効性を確保すべきものと考えますが、いかがでしょうか。
  101. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいまの点でありますが、改正法の施行後三年を経過したその後における労働者派遣法規定についての検討に際しまして、御指摘の点について検討課題というふうにさせていただきたいと思います。
  102. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 法第二十六条第七項の派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限規定があります。また、法四十条二項も派遣先における適正な派遣就業確保等規定があります。いずれも努力義務とされておりますが、より一層派遣労働者の保護を図るために、それぞれ義務規定に改めるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  103. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘の点につきましても、改正法の施行後三年を経過した後における労働者派遣法規定についての検討に際しまして、検討課題というふうにさせていただきたいと考えております。
  104. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 過日、NHKテレビの「クローズアップ現代」を見ました。そこで取り上げられていた事例では、労働者派遣元企業に転籍させ、そこから派遣労働者として受け入れて転籍前の業務と全く同じ業務に従事させるという、いわゆる専ら派遣の手法によるリストラ策を派遣会社が積極的に売り込んでいました。法第七条第一項第一号を「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと。」と改正をした目的及び解釈によれば、こうした事例は違法であると考えられるわけです。厳正に許可の取り消し等行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  105. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御指摘の件につきましては、御説明にありましたように、派遣専用の子会社をつくって、労働者を当該子会社に転籍をさせて、そこから派遣労働者として受け入れて転籍前の業務に従事をさせようとするものでありまして、これを事業として行うということは御指摘のとおり改正法第七条第一項第一号によります許可基準に違反をいたしておりまして、許可は認められないというふうに考えております。  労働省といたしましては、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行わないことを許可の条件として付与するということを予定しております。専ら派遣を行った事業所は許可の取り消しであるとか事業の停止等の行政処分の対象となると考えておりまして、このような措置の徹底によりまして専ら派遣の防止を図ってまいりたいと思っております。
  106. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 職業紹介労働者派遣について年齢による差別的取り扱いを許さないということについて、私は法律に明文規定を置くべきではないかというふうに考えるものですが、明文化できないとしても、三年後の見直しにおいてはこれを検討課題としていただきたいと思います。この不合理な年齢差別を防止するために、指導の実施も含めまして実効性確保の措置を徹底しなければならないと考えますが、その点いかがでしょうか。
  107. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 合理的理由がなくて年齢による差別を行うことは不適切であるという旨を通達において明らかにいたしまして、職業紹介事業労働者供給事業並びに労働者派遣事業について指導徹底を図りたいと考えております。  なお、年齢による差別的取り扱いの問題につきましては、改正法の施行後三年を経過した後における職業安定法の規定についての検討に際しまして、検討課題とさせていただきたいと考えております。
  108. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 とりわけ中高年とか女性労働者においては、派遣労働に限らず、年齢差別というものが大きな壁となって自己の能力を発揮できないという状況にあります。私は、年齢差別というのはまさに違法であるというぐらいの法規制が必要だと考えておりますので、ぜひこの年齢と就労の問題、募集、採用の問題等きめ細やかに事例等を検討されまして、指針等に定められて指導徹底していただきますようお願いをいたします。  最後に、厳しい雇用情勢のもとで、公共職業安定機関の機能強化というものがなされるということは評価されると思います。先回、ハローワーク等を私ども視察いたしまして、そこに実に深刻な事例を目の当たりにいたしました。求職者への紹介を初め、ハローワークにおける体制整備を十分図っていかないと法律を改正しても何の意味もないと考えます。  労働大臣のこうした体制整備に向けた決意を伺いまして、私の質問を終わります。
  109. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 公共職業安定所が憲法に定めます勤労権及び職業選択の自由の保障のセーフティーネットとして役割を適切に発揮できますように、最近における求人求職双方のニーズの変化を踏まえた職業紹介、職業指導等の機能の拡充強化、そして求職者、派遣労働者等からの苦情等への対応の充実を図りますとともに、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  110. 山崎力

    山崎力君 ちょっと質問通告の順番と違うんですが、今回の審議を通じて一つまず大きな意味での問題というのは、今回の制度が現行のいわゆる専門的と称される二十六業務、それに特殊なという三種類、警備業務であるとか港湾運輸とかそういったもの、それから今回のいわゆるネガティブ化によるような問題、三本立てにまずなるわけですが、これはいろいろいわく因縁、これまでの事情でそれぞれの対応策として出てきたというのはもちろん了解するわけですし、これでスタートすると。それで、平場でこういった制度をつくるというのであれば、それぞれやりたいところなんだけれども、現実に今までの経過があるのでという御答弁もいただいているわけです。  これは形式論になるかもしれませんけれども、こういった制度、いわゆる今回の労働関係に関する制度全体の見方からすれば、やはりある時点において再検討する、つくっておいてこれからすぐ再検討というのもおかしいかもしれませんけれども、それは少なくても視野に入れておかなきゃいけない。この機会において、やはり二十六業務の中身、プラスするのか減らすのか、それともゼロにするのか、その辺のところの将来に向かっての展望というのはある程度必要だろうと思うんですが、その辺について、大臣、いかがお考えでしょうか。
  111. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二段階、先生の言をかりれば三段階になっているわけでありますが、つまり専門性を有する部署、それから特定の雇用管理が必要なところ、それと今回の規制緩和部分、これが二段階に分かれているわけでありますけれども、これは先生が既に御指摘されましたように、その事情は、今回自由化する部分と若干違う専門性、特定の雇用管理という観点と、それからもう既にこの業について派遣労働者として仕事をしている人たちにいきなりほかと横並びということもいかがなものかという、大きく分ければ二つの理由だというふうに思います。  そこで、三年後に見直すときに、先生初め当委員会で御指摘をされている点を踏まえて、そのときに必要な検討を図ることとしたいというふうに思っております。
  112. 山崎力

    山崎力君 その三年後の見直しなんですが、一番問題点指摘としてわかりやすいのは、今回の改正が常用代替の防止、そういったものをいかに担保できるか、労働条件の問題もございますけれども、こういうことが一つの焦点になろうかと思うんですが、三年後の見直しの前提として、少なくても実態把握を今からしておかなきゃいかぬ。  もし仮にこれが施行された場合、現状はかくかくしかじかであった、三年後の状態はかくかくしかじかである、こういう変化をもとに、我々というか、将来の我々の立場の役所にしろ議員にしろ、ある程度皮膚感覚も大切ですけれども、その実態の数字をもとに検討する必要があるのではないかと思うわけです。そのためには、三年後の見直しで三年たってみてというのではなくて、現状の労働条件、これに関するようなところのあれがどうなのかという点である程度把握する、今まで以上の現状の労働状態の把握を必要とすると思うんですが、その辺の対応策というのと、将来それに対してどうなさるのか、その辺の状況をお聞かせ願いたいと思います。
  113. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 三年たった後に検討するということは、当然現状を把握し、その推移も把握していなければならないと思います。  私どもが想定していたのと違う事態が決して起きないということでも当然ないと思いますから、その辺はこの法改正意味するところがきちんと行われていくように、あるいは懸念されていることが極力出てこないようにしっかり目配り、気配りをしながら三年後に備えたいというふうに思っております。
  114. 山崎力

    山崎力君 少なくてもやっていらっしゃると思うんですが、三年後のときに、こういう状態になっておる、こういう数字が出ておる、だけれども、三年前どうだったのか、そのときはちょっとこの数字はございませんでということのないように、これは将来のことですけれども、関係者はしっかりしたデータ収集を現時点から行っていただきたいと希望いたします。  そして、最後の質問になるんですが、今回の改正案、派遣法、安定法、いろいろな同僚議員の質問を聞いていて一番問題になるのは、非常に抽象的になりますけれども、全体としての流れの中でいろいろなことが行われようとしているけれども、労働者の保護措置というものが総体として十分なのかどうなのか、今回のことで悪化するのではないか。これは常用代替防止という一つの具体例がございますけれども、そういったものが的確に労働省として、行政として対応できるのか、今のやり方でできるのかという疑問、そこに対する疑問がかなりの部分を占めたと私は受けとめております。  逆に、それでいけば、それを締め過ぎればまた今回のこと、本来の目的であった労働者の雇用の確保あるいはそういった新たな労働市場の拡大という部分も、効果の部分を減らすことになる。本末転倒になるのか、それとも角を矯めて牛を殺すことになるのか、そのあんばい、バランスをどうとるか。こっちに行き過ぎたら片方の方が被害が大きくなるし、反対に行き過ぎても問題だ。そのハンドリングは極めてデリケートな問題だろうと思います。これは労働問題全般にかかわる問題ですけれども、今回の改正というものについても当然それが出てくる。  その辺について、果たして今までの労働行政でそれに対応できるんだろうかという不安といいますか疑問といいますか、そこが根底にあろうかと思うんですが、その辺のところを国民にわかりやすく説明してといいますか、関係者は非常に多種多様でございますからその辺は難しいとは重々思うんですけれども、その辺のところ、行政の長、今回の改正の責任者としての大臣の所見を伺いたいと思います。
  115. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 非常にいい御指摘だと思います。  今回、この改正法を提出させていただくに当たり、働く側のニーズとそれから採用する側の企業側のニーズ、両方にうまくバランスよくこたえていきたい、それはとりもなおさず、片方に対する懸念を、最終的に心配がゼロまで追求していくと、おっしゃるように健全な経済社会の発展に一体全体どう資するのか、健全な経済社会の発展というのはその結果として雇用の場をこれから国際競争の中でつくっていくという大事な使命がありますから、そこをどうバランスをとっていくかというのは物すごく大事な問題だと思います。  私も産業政策を少しかじりましたから多少なりともバランス感覚はあると思うのでありますけれども、逆に言えば、企業側の論理が入り過ぎないかということも自分なりに気をつけて今回の法改正に臨んだつもりでありますし、省庁再編が行われていく中で、私どもは社会のセーフティーネットを担う役所になっていくわけであります。セーフティーネットが機能するためには、きちんとした経済社会自体が存在するということとあわせてでありますから、これは関係省庁ともしっかりと連絡をとりながら、しっかりとしたバランスをとって対応していきたいというふうに思っております。
  116. 山崎力

    山崎力君 決意のほどはうかがえました。しかし、現実にそれがどうなるかというのは、これはまた別の次元の問題でございまして、大臣がいつまで大臣でいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、次の大臣も含めて、役所のそれこそハンドリングをするのは行政の、労働省の、名前が変わるかもしれませんけれども、その辺のところを我々国民の代表者が見なければいけないんだ、多種多様の国民の代表者である我々国会議員の中から選ばれた大臣だという視点を忘れずにやっていただきたいという希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  117. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 四案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時五十六分散会