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1999-07-19 第145回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月十九日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月十六日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     加納 時男君      脇  雅史君     佐々木知子君      渡辺 孝男君     高野 博師君      宮本 岳志君     池田 幹幸君      菅川 健二君     山崎  力君  七月十九日     辞任         補欠選任      市川 一朗君     山下 善彦君      斉藤 滋宣君     森下 博之君      森山  裕君     岸  宏一君      福山 哲郎君     円 より子君      松 あきら君     浜田卓二郎君      小泉 親司君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹山  裕君     理 事                 鴻池 祥肇君                 長谷川道郎君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 大野つや子君                 岡  利定君                 加納 時男君                 狩野  安君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 佐々木知子君                 斉藤 滋宣君                 常田 享詳君                 溝手 顕正君                 森下 博之君                 山下 善彦君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 海野  徹君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 郡司  彰君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 円 より子君                 簗瀬  進君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 小池  晃君                 須藤美也子君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 奥村 展三君                 山崎  力君                 西川きよし君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     陣内 孝雄君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局長       河野  昭君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院総裁    中島 忠能君        警察庁長官官房        長        野田  健君        金融監督庁長官  日野 正晴君        総務庁長官官房        審議官      久山 慎一君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁国民        生活局長     金子 孝文君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁科学        技術政策局長   青江  茂君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        法務大臣官房司        法法制調査部長        兼内閣審議官   房村 精一君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        外務大臣官房長  浦部 和好君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵大臣官房長  林  正和君        大蔵大臣官房総        務審議官     原口 恒和君        大蔵省主計局長  武藤 敏郎君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省金融企画        局長       福田  誠君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     御手洗 康君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁次長  宮島  彰君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        通商産業省通商        政策局長     今野 秀洋君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省機械        情報産業局長   広瀬 勝貞君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  鴇田 勝彦君        海上保安庁長官  荒井 正吾君        郵政大臣官房長  松井  浩君        郵政省通信政策        局長       有村 正意君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君        建設大臣官房長  小川 忠男君        建設大臣官房総        務審議官     林  桂一君        建設省建設経済        局長       風岡 典之君        建設省河川局長  竹村公太郎君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  二橋 正弘君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  千葉 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十一年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。長谷川道郎君。
  3. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 おはようございます。自由民主党の長谷川道郎でございます。  本予算案に関連いたしまして、冒頭、少子化対策についてお伺いいたしたいと存じますが、その前に一点、総理に御感想というかお考えを承りたいと存じます。  七月十六日の本委員会質疑におきまして、総理北欧の例を挙げられまして、少子化対策について極めて示唆に富んだ御答弁がございました。私自身、以前から不思議だなと思っておったことがございますので、この点、一点お伺いをいたしたいと存じます。  七月十三日、代表質問におきまして、我が党の中曽根議員が、若い人が子育てに積極的な意味や価値を見出せなくなったという基本的な問題を十分検討し、分析しなければならないというくだりがございました。人は子孫を残したい、子供に幸せになってもらいたいというのは、極めて自然な考えであると思うんです。なぜ人間がそう考えるかと言われても、それは人間DNAがそういうふうにプログラムをされていると言うしか言いようがないと思うのでありますが、どうも最近、日本には新しい人類が出現したのではないかというような感じがいたします。  総理府の少子化意識調査によれば、結婚しても子供は要らない、子供が欲しくないという回答が三十歳以下の男性では一三%、女性に至っては二〇%の女性がそういうふうに考えていらっしゃる。同様のNHKの調査におきましても、今の生活充実をしているから子供は要らない。言ってみれば、うがったというか悪く言えば、今の自分たち生活のためには子供が邪魔になるということではないかと思うのであります。  もちろん、子供を産むか産まないかは、かかって個人的な問題であります。私も三人の娘がおりますが、私は子供を溺愛いたしております。子供が要らない、欲しくないというのは、私にとっては理解できないわけでありますが、そういう皆さんのお考えはお考えとして、私の世代ではどうも理解ができないわけであります。  少子化対策質疑に先立ちまして、日本人のDNAが変わったのかどうかわかりませんが、特に若い女性子供が欲しくない、子供が要らないという考えが多くなっている。これについて、御答弁というよりは総理の御感想文部大臣も御感想がございましたら、ぜひ承りたいと存じます。
  4. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 子孫を残すということは、人類のある意味では生存の本能かもしれませんが、現下、日本におきまして非常に少子化が進んでおるという、原因は申すまでもありませんが、子供さんを産まない、こういう現象がますます大きくなってきております。  原因をたどればいろいろあるんでしょうけれども、昔のように、当然結婚して子供をもうけて子孫を残して、そしてまたそれを慈しみ、またそうした子供も親を敬い、そしてそうしたサイクルの中で、おのおのの人生もそうでありますが、国自体もそうした人口構成の中で存立してくるというパターンだったと思いますけれども、今御指摘のように、最近、若い夫婦の間で子供が大変生まれてこないという状況は、そういう人たちが、みずからの生活を楽しむという風潮もさることながら、やはり子供さんが生まれて、その後の子供の成長の中で、社会的風潮の中でいろいろ悲劇やその他がたくさん示されて、家庭内暴力とかいろいろのことが起こってきているということで悪い面が非常に強調されるものですから、なればあえて子供さんを産まなくてもよろしいというような風潮もできているんではないかなという気がいたしております。  先般も御答弁の中で北欧の例を申し上げましたけれども、やはり生活が非常に安定してきて、そして若い時代でなくてむしろ三十代、四十代に子供さんが生まれ、そしてそのことを通じて本当意味での幸せというものをつかみ取ろうという風潮が、あの社会保障制度が完備されていると言われる北欧に出てきておるというようなことを考えますと、日本としても、やはり世の中をそういうふうな安定的な姿に持っていくことが、政府としてはそういう姿にするためのあらゆる努力を講ずることでございますけれども、同時に若い人たちにも、みずからの生活を追求するということと同時に、本当意味の幸せというものは、先ほど申し上げたような北欧の例みたいな形で、やはり望んで子供さんが生まれてくるようなお気持ちを持てるようになることが望ましいのではないか、こう考える次第でございます。
  5. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 子供たちを安心して育てるという環境をつくり出すことが一番大切だと思っております。  一つは、男女共同参画時代がいよいよ実現しておりまして、特にお母さんたちが安心して子育てができるような環境ということが重要だと思っています。例えば、保育所充実であるとか幼稚園の充実というふうなことが極めて喫緊の課題かと思っております。そして、若者家庭子育てに希望や夢を持てる、そういう環境を整備していかなければならないと思っているわけであります。特に、子供たち教育にあずかっております文部省として最も重要な課題は、そういうふうに若者が安心して子供を育てる環境を整備していくことだと思っております。  具体的には、例えば親が安心して子育てに取り組めるように、乳幼児や小中学校等子供たちを持っているすべての親に対しまして、参考になるような家庭教育手帳であるとかノートを配付するという努力をさせていただいている次第でございます。  それから、もう一つ重要なことというのは、やはり地域社会全体が子供たちに対して愛情を持って見守って育てていくという環境をつくっていくことであろうかと思っている次第でございます。そういう意味でも、社会教育において子育ての意義や楽しさを啓発するリーフレットを作成いたしまして、成人式などの機会を活用して、これから親となる若い男女に配付することといたしております。  こういうふうに、大いに文部省といたしましても、親が安心して子育てができるようなことを検討しているところでございます。  そして、もう一つ重要なことは、何といっても教育余り費用がかからないようにしていかなければならない。そのためには、さらに奨学金を促進するというふうなことを考えているところでございます。
  6. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 総理文部大臣、大変ありがとうございました。  それでは、本補正予算関連少子化対策事業についてお伺いをいたします。  厚生大臣少子化は、もちろん私が申し上げるまでもなく社会的、経済的に極めてドラスチックな変化をこれから日本に及ぼす大変重要な問題でございます。先ほど申し上げましたように、子供を産むか産まないかは、それはもちろんかかって個人的な問題でありますが、人口政策社会政策という意味では極めて緊急的な国家的な課題であるわけでございます。  よくアンケートを見ますと、子供は何人欲しいか、私は二人欲しい、三人欲しいと。若い御夫婦子供が何人欲しいかというふうなアンケートが出ますと、大概二人、三人と答える。平均理想子供数が三・一人だそうであります。子供を産みたい数が三・一人でありますにもかかわらず、実際生まれてくる出生率が一・三九人。このギャップは何か。これも申し上げるまでもなく、今、総理文部大臣から御答弁がありましたいろいろ社会的な影響、問題がある。子供が三人欲しいのに、実際は一人しか産まない。それが社会的な原因であるとすれば、それはかかって政治的な責任というか政治的な問題だと思うわけであります。  まず、厚生大臣、第一問といたしまして、本補正予算雇用就業機会創出のため少子化対策事業として二千億円を計上いたしました。この特例交付金の政策的な意図並びに期待するところは何であるかをお伺いいたします。
  7. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今回補正で計上いたしております特例交付金は、一つは、少子化対策の呼び水といたしまして保育所待機児童解消を図るということ。そして、市町村等がその創意工夫を生かして地域における少子化対策に取り組めるようにしたいという市町村の自由な発想を尊重した対応をしたいということ。それから三番目は、今回の補正全体がそうでございますが、雇用就業機会創出に資することを目的としたものでございます。  私どもとしては、この特例交付金によりまして、今までエンゼルプランをつくりましたり、あるいはその中で緊急保育対策等五カ年計画によって施策の推進を図ってまいりましたが、こうした効果と相まちまして、待機児童解消に資するなど、地域におきまして子育てをしやすい環境整備が一層図られるとともに、雇用就業機会創出されるものというように考えて御審議をお願いしているところでございます。
  8. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、厚生大臣の御答弁にもございましたが、地方の自由な発想、いわば国の押しつけにならない地方の極めて独創的ないろいろなアイデアを出していただくということであります。それについて、厚生省が幾つかその事業例示として挙げていらっしゃいます。この例示の文書は後で今井理事がお配りになるそうでありますので、委員皆さん今井理事の御質問のときに御参照いただきたいと思うのであります。  この例示によりますと、地方がこの予算執行する事業が、少子化対策キャンペーン幼児教育シンポジウム作文コンクール家族運動会という例示がございます。別にこれで作文コンクール運動会をどんどんやりましょうということではもちろんないわけでありますが、私は、二十項目例示がございますが、予算執行、特にこういう緊急対策の場合は集中、大量というのが一つの条件になると思うんです。ちょっとオプションが広過ぎるのではないかと思うのでありますが、もちろん地方独自性は重要なことでありますが、もうちょっと政策的に的を絞るべきではないかと思いますので、厚生省でこの例示のような各事業、一定のガイドラインを設定されるおつもりはございませんでしょうか、お伺いいたします。
  9. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ただいま申しましたように、今回の特例交付金というのは、市町村がみずから知恵を出していただくということで、その創意工夫を生かして少子化対策に取り組むということが目的でございます。  今お尋ねの二十項目につきましては、これは例示として資料として提出させていただいておりますけれども、私どもとしては、本制度執行に当たりまして作成する要綱で、委員の今おっしゃられるような制度の基本的な考え方あるいは制度趣旨から交付対象としない事業など、本制度の大枠とともに典型的な事例等についてお示しをする予定でございます。例えば、この中では個人に金銭を支給するようなことはもちろん含まれておりません。  そこで、私どもとしては、補正予算が成立後速やかに全国会議を開催いたしまして、本事業趣旨や内容の徹底を図るということと、それから市町村の取り組みの参考となる少子化問題全般にわたります情報提供等も行っていきたいと思っておりまして、この特例交付金が私どもの意図しているような方向で適切、有効に活用されることを期待しているわけでございます。
  10. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 総花的なことも必要な場合もあるかもわかりませんが、今回はあくまでも緊急的、臨時的な措置ということでありますので、冒頭申し上げましたように、ぜひある程度的を絞ったガイドラインというのが必要なんじゃないかなというふうな感じがいたします。(資料配付)  今、お配りいただいた資料をごらんいただけるとおわかりになると思うんですが、この例示を別紙で二十項目つくられた方は非常に善意あふれる方だと思うんでありますが、民間では恐らくこういう企画書は通用しないと思うんです。私のささやかな知識でも、補正予算というのは緊急的、臨時的に執行しようというものでありますので、緊急的、臨時的な補正予算作文コンクールだとか運動会というのはちょっと納得できないわけであります。厚生大臣は今介護保険で大変御活躍でございますので余り大きな声では申し上げませんが、小さな声で申し上げまして、次の質問に移らさせていただきます。  次は、児童手当の問題であります。  今、国会内でも少子化対策議員連盟、また各党でも少子化対策のいろいろなプランを検討中でございますが、一つには児童手当の問題が話題になっております。現在、第一子には五千円、第二子には五千円、第三子には一万円の児童手当が支給されているわけであります。  国が子育ての金銭的な面をサポートしようということであれば、それは五千円でも一万円でも意味があるかとは思うのでありますが、政策として、少子化対策という面での効果という点は非常に薄いのではないかと思うんです。例えば、子供を産めば五千円もらえる、五千円もらえるからもう一人子供をつくろうかしらという方は恐らく日本じゅうにどなたもいらっしゃらないと思うんです。そういう意味では、少子化対策のインセンティブとしては、先ほど申し上げた財政的に、金銭的に援助しようということではいいかもわかりませんが、政策としてのインセンティブというのは私は極めて疑わしい。  もう一点、私は民間の出身でありますが、この児童手当というのは、本則でいいますと七〇%が事業者の負担、国が二割、地方が一割、児童手当制度というのは七割が民間の拠出にあるわけです。品のない言葉で言えば、人のふんどしで相撲をとるというような感じがいたすわけでありますが、児童手当制度の政策的な効果はどういうところにありますか。厚生大臣にまずお伺いいたします。
  11. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) この児童手当につきましては、現行の制度は、第一子、第二子に五千円、第三子以降に一万円を月に支給するということになっておりまして、対象児童としてはゼロ歳児から三歳未満ということで、約二百五十万人の児童に支給されております。  この制度は、四十七年に創設されておりますけれども子育てを行う家庭生活の安定ということが一つでございますし、それから児童の健全な育成及び資質の向上を目的として、義務教育修了前の第三子以降を対象として四十七年につくられましたが、その後対象をどんどん制限してまいりまして、就学前になり、さらに三歳児以下にするということで手当額も倍増する、このような経過をたどってきております。  なお、今御指摘のように、国の支出分が割合に少なくて、企業の負担を求めております。これは特別会計で収受してそれを支出しておりますが、こうした制度がございますので、私どもとしては、この児童手当制度の政策効果は、全く一つの政策だけで本当少子化対策がいいということはございませんけれども、かなりな効果を示しているものと私どもは思っておりますが、なお今後検討する課題だというように存じております。
  12. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ただいまの御答弁の最後に、今後検討というお話がございました。申し上げましたように、少子化対策のインセンティブとしては、五千円、五千円、一万円というのは金額的には極めて些少ではないかと私は思うんです。  例えば、外国では、第一子には支給しないが第二子から支給するという国、フランスやヨーロッパ諸国ではそういう国がございます。単に金額をふやすというだけではなくて、やっぱりそういう支給制度そのものを今後考え直さなければならないと思うのでありますが、その点について、先ほど今後検討する余地があるとおっしゃいましたが、私も全くそのとおりだと思いますし、もしも検討するとしたらどういう点を検討されるのか。
  13. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) この点につきましては、諸外国の例も引用なさいましたが、諸外国では賃金体系がある程度の水準でフラット化しておるというような事情もございます。我が国の場合は、年功序列的な賃金体系になっておるというような点もございまして、所得税で扶養控除をどうするかという問題と非常に関係しておりまして、いろいろの見解はございますけれども、私どもとしては、公党間でこの検討会も約束をされておりますので、税のあり方を含めまして今後その改善について検討すべきものというように理解をしております。
  14. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 次に、私どもよく地元で、保育所の問題で一番多く伺う御要請の事項の中で、保育料が高過ぎるというお話がございます。厚生省にちょっとお伺いしますが、議論のデータとして第四分類、第五分類の推定所得と保育料はどのぐらいになりますか。ちょっとお教えいただけますか。
  15. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) この保育料の徴収基準額の表でございますが、十分類を七分類にいたしてございます。そのうちの第四階層と第五階層についてのお尋ねでございますが、推定年収四百三十一万円で三歳未満と三歳児以上とに分けられておりまして、第四階層では三歳未満児は三万円、それから三歳児以上は二万七千円ということになっております。それから第五階層は、推定年収が五百七十三万円でございまして、三歳未満児は四万四千五百円、それから三歳児以上は四万一千五百円ということになっております。
  16. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今お話がございましたように、第四分類で年収四百三十一万円、月額保育料負担が、今の例えばの話でありますが、第一子、第二子合計で五万七千円、月収三十数万円の家庭で五万七千円の保育料負担、それから第五分類でも、私の計算では四十四万五千円の月収でありますが、保育料が八万円云々と、極めて急な傾斜になっております。これはほかに地方ではそれぞれ手当てをしているということでありますし、また児童福祉法改正の国会決議も絡む問題でありますが、いかにもこの傾斜が極めて厳しい。  本来、所得政策というのは年金制度生活保護や税制で所得制度考えるべきで、保育所の保育料で所得政策をお考えいただくというのはいささか納得ができないと思うのでありますが、今後この極めて過重な傾斜について是正される御意向はおありかどうか、お伺いいたします。
  17. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) お尋ねの第四階層、第五階層については数字でお示しいたしましたが、十段階から七段階にするということは、そういう今御主張のような御趣旨で緩和していこうというあらわれであると私どもは理解しております。  それからもう一つは、子供二人が両方とも保育所を利用されている場合は、一方の子供にかかわる保育料は半減する、しかも第三子以降は九割を減ずるというようなことによりまして、たくさん子供をお持ちの方々の負担はなるべく少なくして少子化対策に資するようにしておるということでございます。
  18. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、厚生大臣からお話しありましたように、さっき申し上げましたのは本則の話で、今ほかに別途いろいろ手当てされていらっしゃるわけでありますが、それにしてもかなり傾斜が厳しいというのが実情でございます。ぜひ今後御検討をいただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。  先般のガイドライン質疑の中で幾つかの問題が積み残しになっております。一番大きな問題は船舶検査の問題だと思うのでありますが、船舶検査がペンディングになっている状況について、防衛庁長官、いかがお考えでございますか。
  19. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 委員御承知のとおり、政府としては船舶検査活動についてガイドラインの実効性を高めるためにぜひ必要であるという考えのもとで法案に盛り込んだところでありますけれども、この問題につきましては、法案の修正協議の際に三会派間でぎりぎりまで協議された結果、最終的には協議が調わないで今国会中にも別途立法措置をとるという前提で削除されたところでございます。  私としましても、この船舶検査活動はぜひ必要なものと考えますので、できるだけ早く三会派間での協議が調いまして新たな立法措置が講じられることを強く期待している次第でございます。
  20. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 お話しのように、今各党協議の場に移っておりますので防衛庁としては御発言しにくいと思うのでありますが、極めて重要なガイドラインの三本の柱のうちの一本でございますので、このままというわけにはまいらないと思います。今後ともひとつぜひ積極的にお取り組みをいただきたい。  同様な問題で、海上警備行動の法制度充実という問題がございました。三月二十四日、我が国で初めて自衛隊法八十二条による海上警備行動が発令されました。その結果、いろんな面で、例えば装備の問題、ROEの問題等で大変大きな問題が幾つか浮かび上がってまいりました。  あのときはたまたま自衛隊による極めて適切というか、ある意味では自衛隊による先制攻撃というか、結果的には極めていい対応であったわけであります。いい対応というのは、たまたま執行命令が出るときに自衛艦が訓練のために出撃を整えておった、第六航空団のF15が訓練のために飛行しておったら、たまたまその下が問題の海域であったというふうな、極めてうまいぐあいの対応をしていただいたわけであります。しかし、この次もそういうふうにうまいぐあいに対応するというわけにはいかないと思うんです。  海上警備行動の幾つかの問題点が浮かび上がってきたことにつきまして、海上警備行動の今後の充実という点につきまして、防衛庁は現在どのように御検討されていらっしゃるか、お伺いいたします。
  21. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 海上警備行動のあり方につきましては、さまざまな御議論が出ているわけでありまして、例えばせっかく相手の船に乗り込んでも、警職法の準用で自衛隊が活動するわけでございますが、行政警察権しかなくて司法警察権がないという前提で相手方を逮捕することが不可能であるとか、あるいは武器を使うことはできても、相手に危害を与えるという点では正当防衛か緊急避難等の場合にしか危害を加えられない、こういうことになりますので、いろいろな不十分さがあることは事実であります。  しかしながら、そういうことでそれらの問題は検討課題一つであるというふうには考えられますけれども、まず政府としては現行の法制度のもとで最善の努力を払うのが至当であるというふうに考えまして、先般、内閣において取りまとめた不審船事案に対する教訓、反省の事項が整理された次第でございます。  こういう事態に基づいて、私どもも今、現行法で自衛隊としてはどういう行動がとれるかということを詳細に検討を加えておりまして、何とか先般よりはうまい対処の仕方をやらなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。  御承知のとおり、海上警備の問題は、まず第一義的には海上保安庁の問題でありまして、私ども自衛隊が出動する場合は、海上保安庁では対応が不可能であるか、あるいは著しく困難な場合に限定されておるわけでありますから、そして内閣総理大臣の承認を得て行うということになっておりますから、この制度を尊重しながら海上保安庁と密接に連携をして不審船事案に適切に対処してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  22. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 海上警備行動の問題につきましては、内閣の承認の手続の問題、それから今お話のございました警察権の問題、ROEの問題、海保との問題、たくさんの問題がそのまま積み残しになっております。  例えば、きょう現在、もう一遍同じような事件が起きれば、また現場の自衛隊の皆さんひとつよろしくお願いしますということになると思うのでありますが、長官、今お話のございましたように、問題点はもちろん整理されているわけでありますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願い申し上げたい。  なお、同様のことでありますが、有事法制についてでございますが、ガイドライン審議に際しまして一つだけはっきりしたのは、日本の国内の法制が極めて不十分である。本来であれば、国内法制を整えた後に初めてガイドラインであり、初めてACSAであるはずなのが逆転をしておったということであります。今回のガイドラインの成立によって周辺で米軍との共同行動ができるようになったわけでありますが、国内で米軍と共同行動するということは今のところ法制上できないというおかしな現実にあるわけです。  危機が起こらなければ何もできないが、危機が起これば一発で解決してしまうということでは、これも相済まないわけです。かつては有事法制のユと言っただけでもハチの巣をつついたような大騒ぎになったわけでありますが、最近は有事法制というのが極めて冷静に語られるようになってきたのは非常にいいことであると思うんです。  自衛隊による災害出動ももちろん大切なことでありますが、日本にとって最大の災害は外国からの侵略であるわけです。それを未然に防ぐ抑止力の機能を万全にするためにも、国内法制、まあ有事法制と言うかどうかわかりませんが、国内の法制を整えることが私は納税者に対して責任を果たすことであると思うのであります。  防衛庁長官、これもちょっとお答えになりづらい問題かもわかりませんが、国内法制の整備について研究をしていらっしゃるようでございますが、その状況についてまずお伺いいたします。
  23. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、長谷川委員から御指摘ございましたとおり、防衛出動の発令をいたしましても、国内法の整備が行われていないのでなかなか十分に防衛出動の任務を果たせないという点があります。  例えば現行法では、よく指摘されますとおり、海岸に相手が上陸しようとしているわけで、海岸に簡単な陣地を構築しようとしても、海岸法や自然公園法等の制約で許可をとるのに数週間かかるという制約がございます。また、簡単な指揮所をつくろうと思っても基準法でやはり数週間の許可が必要だということになります。そういうことで、防衛出動がなされても動かないという様相がございます。また、防衛出動がなされても米軍とのかかわり合いはどうなるのかという問題もありまして、そういうことの整備が必要だということは皆様が御承知のとおりであります。  私どもは昭和五十二年から二十二年間この問題について研究してまいりましたが、あくまでも政府の立場としては研究であって立法の準備じゃないという制約がございますので、もう既に二十二年間やっているわけで、私がこの国会で既に一貫して答弁しておりますことは、できるならば立法化が望ましいということを答弁してまいった次第でございます。  一方、総理がこの問題に対して終始一貫申し上げておられますことは、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することは考えているわけではないが、政府としては、有事法制は重要な問題と認識しており、国会における御論議、国民世論の動向を踏まえて適切に対処してまいりたい、こういう御答弁総理は終始一貫して申し上げているところでありまして、私どももこの総理の御答弁の方向に従って対処してまいりたい、こう考えておるところであります。
  24. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、総理の御答弁の引用がございまして、防衛庁長官もしばしばお答えになっていらっしゃいますが、立法が望ましいという今お話もございました。しかし、中には研究であり立法じゃないというお話がございますが、研究はするけれども立法はしないんだったらば、聞きようによっては国内法制は要らないというふうに聞き取れないこともないわけであります。  先ほど申し上げましたように、さきの不審船事案でも自衛隊が極めて前へ前へと行動していただいたおかげでああいうことになったわけでありますが、これは現場任せのシビリアンコントロールで、現場の皆さんよろしくお願いしますということであればシビリアンコントロールにならない。また、いざとなれば超法規でやればいいやというようなことではこれも相済まないわけであります。  ぜひ、今の防衛庁長官のお話にもございましたようなことでお取り組みをいただきたいというふうに思うわけであります。  次に、経企庁長官にお伺いいたしますが、先般の新聞報道によりますと、経企庁ではGDP統計の方式を変更するというお話がございました。これについてちょっと御説明をお願い申し上げます。
  25. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のGDP統計の新方式の採用でございますが、一九九三年に国際連合において定められた国民統計計算の新たな体系、これを93SNAと呼んでおりますが、これを我が国においても来年の十月を目途に採用したいと考えております。  この新しい93SNAへの移行の内容といたしましては、基本的に、経済のソフト化、金融市場の進展、グローバリゼーションの進展など、経済構造のソフト化、大きな変化に対して対応するような国民経済計算の計算方法でございます。  かなり専門的な部分を含んでおりますので、もしさらに詳しいことが必要でございましたら政府委員答弁させます。
  26. 新保生二

    政府委員(新保生二君) 内容は大臣から今御説明があったとおりでございますが、特にGDPへの影響の大きい変更について申し上げますと、例えば無形固定資産という概念を導入したという点でございます。例えば、コンピューターのソフトウエア等、これも無形固定資産として総固定資本形成の中に入れ込むということになります。この部分が投資の金額が膨らむという形になります。  それからもう一つは、政府の行っております公共投資で道路、ダムをつくった場合、これは補修等必要な経費がかかるわけですけれども、新たに減価償却費を統計でもちゃんと把握するということになりまして、この部分がまた政府消費の金額を膨らませるという形で、全体としてGDPは若干、三%弱ぐらい大きくなるという形の影響が出てくるかと思います。
  27. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 では、事務方にお伺いいたしますが、先ほど大臣の御答弁で明年十月から導入というお話でございました。しかし、導入するとしたらFY、会計年度主義ではないかと思うのであります。なぜ十月なのか。  もう一点、公共事業の償却を政府消費として計上するというお話でありますが、私は企業会計しかわかりませんが、企業会計の減価償却の考え方というのは、減価償却をしますと償却資産が減るわけです。そして、その減った減価償却分を損金算入して経費から落とす。ということは、企業にとって再投資を準備するという意味での減価償却なわけでありますが、その企業会計上の考え方と国の会計法上の考え方というのは違うんでしょうか。ちょっとお伺いします。
  28. 新保生二

    政府委員(新保生二君) まず、導入時期の点でございますが、鋭意作業を行いまして、十二年の十月末を目途に公表する予定でございます。この際には、名目値、実質値とも平成二年から平成十年までの統計を新たな概念で公表するというふうに考えております。  それから、政府の減価償却の点でございますが、これは政府関係が持っておる資産、ダムとかあるいは道路等の資産につきましても当然に年々減価償却費が要るわけでございます。この部分は今までのところはGDP概念に捕捉されていませんでしたが、これも政府支出の一部である、費用であるというふうに考え政府支出の金額をその分だけ膨らませるということでございます。
  29. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 この計算方式ではGDPが実質的に三%はねるのだそうでありますが、それで公約を達成すると言うつもりはもちろん全然ないでしょうけれども、新聞発表では極めて小さな記事でしかなかったのですが、しかし大きな問題だと思いますので、ぜひ今後もうちょっと御説明をいただければと思います。
  30. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先ほど政府委員が申しましたように、これを発表するときには平成二年にさかのぼって同じ方式のものを発表し、それから旧方式のものを両方発表いたしますから、伸び率の計算とかいうのは前年との対比で修正して見ることができますから、方式が変わりましても、それが今言っております経済の伸び率とかそういうことには関係ございません。
  31. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それでは最後に、建設大臣にお伺いいたします。  先般も広島で災害が起こりました。私の地元新潟県もほぼ毎年災害が繰り返されている。災害の現場に行きますと、毎年ほぼ、毎年というか何年か置きに起こる災害がほぼ同じ場所で起きています。特に河川の災害は、例えばヘアピンになったヘアピンの一番その突端で毎回同じ災害が起きる。市町村の担当者の皆さんに、こんな小さい川だったらショートカットをするのは簡単だから、ショートカットをしたらどうですかと申し上げると、よく市町村の担当者の皆さんは、いや、災害復旧というのは原形復旧が原則で余計なことをすると建設省にしかられるんですよということを言うんです。そんなことはないことは私もわかっているんです。わかっていますが、ただ市町村にすれば、原形復旧さえしておけば、とりあえず面倒な設計もないから、用地の問題もないわけです。しかし、同じ場所で同じ災害が繰り返されるということは、これは一回目はいいが、二回目以降は人災ということになるわけです。  災害復旧について、原形復旧ではなくて改良復旧を原則とするというような、改良復旧が原則であり、原形復旧は特殊であるという考え方に切りかえないとまずいのではないかと思うのでありますが、最近の災害復旧の考え方、新しい考え方を含めて大臣の御答弁を承ります。
  32. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 時間が終わっておりますので、急いで早口で答弁をさせていただきたいと思います。  先生おっしゃるとおりでございまして、今までは原形の復旧が基本で、基本といいましょうか、もうそれ以上はできなかった。なぜかといいますと、上流でかさ上げをしますと水がそれだけ一度に今度は下流に流れるものでございますから、下流がまた越水をしてしまうというようなことで、今までは、おっしゃるようにおかしいと言えばおかしいのでございますが、もとの状態に復旧するというようなことでございましたが、今やそういうようなばかげたことはできないわけでございまして、越水させない原形復旧という新しい制度改正を行っておりますので、今後はそういうようなことは起こりません。  それともう一つは、そういうようなことで、この河川災害復旧等関連緊急事業、略して復緊事業と言っておりますけれども、先生御承知のように、上流と下流も同時に重点的に予算配分をしてそういうところを指定してやっていくということでございますから、おっしゃられますように先般あったところでまた越水が起こるなんということは今後はありませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  33. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 終わります。
  34. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で長谷川道郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  35. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、今井澄君の質疑を行います。今井澄君。
  36. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  本予算委員会が開催されたのが先週の金曜日、十六日でしたが、この十六日以降さまざまなことが起こりました。一つは九九年度の経済白書が閣議了承されて発表されたことでありますし、また厚生省の方からは九八年の国民生活基礎調査が発表されました。また、民間では朝日新聞社の社会保障制度についての世論調査も発表されております。もう一つ介護保険制度についての厚生大臣答弁をめぐっての自民、自由両党間での何かあつれきが起こっているようであります。さらにもう一つ堺屋長官補正予算審議のこのさなかに、昨日ですか、公共事業を中心とした五兆円規模の第二次補正予算に言及をされた。  実にいろいろなことがこの週末は起こるわけでありまして、私の方も、そういうことですから、質疑書を木曜日までに準備してやったわけですけれども、多少変更のあることについてはぜひ御理解いただきたいし、質疑通告とちょっと違ったことについても誠実に御答弁いただきたいと思います。  さて、週末から土日にかけて次々といろいろな新しいことが発表されたり起こったりしているわけですが、この中で、特に経済白書をめぐったいろんな論評があります。リスクをとれということが国民一人一人に求められているということについて、本当はここのことを少しやりたいんですが、時間の関係もありましてちょっとそこに踏み込めないんです。  実際問題として、現在、経済の再建というのは大変急がれているわけですし、それから少子高齢社会対策のあり方についても緊急に何とかしなければならないわけでありまして、いずれにしても、経済白書が提案するような方向をとるにしろとらないにしろ、セーフティーネットの構築というのが喫緊の課題であるということはすべての人々が言っていることであります。特にその中で、失業の不安の問題、老後の不安、こういったことを解消することが経済対策としても極めて重要であるということも各論調共通しているところであります。そんな意味で、本補正予算予算委員会を開いてやっているのは、そういう一つのセーフティーネットをどうつくるかということが中心的な課題ではないかと思っておるわけです。  その前に、最初に総理それから厚生大臣にお尋ねしたいんですが、どうも年金制度の方の安定化について先送りされつつある。それから、医療の改革は全くまだ枠がどうなるのかわからない。国民には来年と約束したわけですが、これがわからない。それから、介護保険制度についても今またわからなくなってきている。こういう将来への不安をますますかき立てるようなことが消費をさらに冷え込ませるおそれがあるし、今景気は若干よくなってきているようですが、これは楽観を許さないと思います。どのようにして国民に安心を与えようとしているのか、まず総理、お答えいただきたいと思いますが、いかがですか。あるいは厚生大臣がお先に答弁されますか。どちらでも結構です。
  37. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のように、少子高齢化が大変急速に進んでおる中で、国民が安心のできる社会を築くために、国民に信頼をされ、将来にわたって安定的に運営できる社会保障制度を構築していくことは極めて重要であると認識をいたしております。とりわけ、高齢化の進展に伴いまして給付の増大が見込まれる中で、社会保障制度を、国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済との調和がとれ、将来世代の負担を過重なものにならないようにしていくことが必要である、このような考え方に立って、制度の効率化、合理化等を図るため、社会保障制度全体の構造改革に取り組んでおるところでございます。  今後、介護保険制度の円滑な実施を図るとともに、目下の課題である年金制度改革、医療制度の抜本的改革などに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  詳細な点につきましては、厚生大臣から御答弁をさせていただきます。
  38. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 基本的な方向につきまして、年金、それから医療、介護につきまして総理の方から御答弁をいただきました。  基本的にはその方向でやらせていただいておりますが、特に年金問題は、一応の成案を得ましたがなお閣議決定には至らないという状況でございます。そして、私どもとしてはどうしてもこれを早く御理解をいただいて、非常に重要な課題でございますので、審議をお願いしたいなというように思っております。  それから、介護につきましても、先週、衆議院の予算委員会でいろいろな御討議がございました。それにつきましていろいろ報道されて御承知かと存じますけれども、私の申し上げた点は、介護保険につきましては法律も制定しておるし、所管大臣としてはこれを実施する以外にないという趣意のもとに御答弁申し上げております。そんなことであります。  それから、医療保険制度の改革も、厚生省の提案いたしました日本型参照価格制度、いわゆる薬剤定価・給付基準額制という制度をずっと長いこと検討してまいりましたが、なかなか合意が得られないということでございまして、これも一応、その方式それ自体はいわば白紙還元ということであります。しかし、薬価問題その他の診療報酬のあり方、老人医療のあり方、非常に重要な課題がたくさん控えておりますので、今精力的にこれの取りまとめに努力をしておるということでございます。
  39. 今井澄

    今井澄君 努力をしていることはわかるんですけれども、この大事な社会保障の幾つもの柱が全然姿が見えてこない、あるいは安定しない。  総理、このことについて、国を預かる、国民に安心を与える立場としてどういうふうに責任をお感じになっておられるんですか。
  40. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 年金の問題、介護保険の問題、そして医療改革、それぞれ正直申し上げて極めて難しい問題でございますので、一つ一つ答えを出していく努力を今いたしておるところでございます。いずれにいたしましても、厚生大臣が今御答弁申し上げましたようなことで、全力を挙げて当面の課題、また将来にわたる方向性というものを定めながら、結論を得るべく努力をさせていただいておるところでございます。  年金につきましては、今御答弁申し上げましたように、財源をめぐりましていろんな考え方がございます。そういった点も含めまして、今最後の決着といいますか、方向性を見出すべく努力をさせていただいております。  介護保険につきましては、先生も専門でございますので、昨晩のドイツの介護保険制度についての番組をごらんになったかと思いますが、私も一時間拝見しておりました。この制度を始めて五年のドイツにおきまして、なおいろいろな問題が起こっておるというような状況を拝見いたしまして、介護保険の先進国たるドイツの実態をいろいろ勉強いたしますにつけても、我が国もこれを来年四月一日から導入するということにつきましては、できる限りいろんな問題につきましてもなお検討していくことではなかろうかという考え方をいたしております。医療制度につきましては、国民総医療が三十兆近くになってきておるという状態をこのまま続けていけるかどうかという問題もございます。  いずれも冒頭申し上げましたように極めて難しい問題でありますが、国民にとりまして将来安心のできる社会とは何ぞやということになりますと、社会保障制度の改革ということがなければならぬということは申すまでもないことでございますので、懸命の努力をいたしておるということでございます。
  41. 今井澄

    今井澄君 社会保障制度の柱として、私は年金制度が一番大きいと思っているんですが、朝日新聞の調査でもやはりそのことが出ておりました。  この年金制度について、自治大臣は自由党の立場でどういう制度が安定すると考えておられるのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  42. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは、社会保障を考えます場合に、特に日本の場合に特徴的なのは、単に高齢化というだけでなくて少子高齢化ということ、このことの現実なんです。そういう意味で、社会保険方式というものが本当にそれだけで対応できるんだろうか。少子高齢化、かなり世代間負担ということを考えれば、特に今のいわゆる団塊の世代が給付を受ける側に回ったときに本当にどういうような仕組みになるんだろうか。  そういう意味で、年金の問題について現在は五年ごとに再計算をして見直しするということになって、今回そういう意味での見直しの論議ということになっております。しかし、そもそも年金制度の安定というのは五年の中だけの視野で解決できるものではないのではないか、むしろ十年、二十年、三十年というより長期的な展望というきちんとした方向性をそろそろ本気になってやらなきゃいかぬのじゃないか、そういう発想の中でまず検討すべきであると。  それから、年金は今いろんな仕組みがあります。厚生年金のほかに公務員の場合は共済年金があり、国民年金があり、いろんなのがあるんですが、いずれにせよ、基礎年金という形で統一はしたものの、今現在国民年金の中で、学生とかいろいろありますけれども、一体どれだけの人が本当に年金の保険を支払っているのかということを考えると、そもそも根本のところ、特に基礎年金の部分に関してかなり大きな問題点が出てきているんではないか。このことはみんな承知しているはずだ。そうであれば、そういった根源的な問題をもう一遍きちんと仕組みを冷静に立て直すという議論を党派を超えてやるべきじゃないか、それは単に政府だけの話ではないんじゃないか、そういう考え方が実は根底にありまして、そういう議論を今やっている。  そういう中で、消費税というのは、そもそも導入の時点から少子高齢化に対応する、老後の不安をなくするために導入した税であるという説明をしてきたんだと。したがって、介護と高齢者医療と基礎年金、むしろ消費税の使い道をそこに限定すべきではないか。そういう発想をしてきて、そして昨年、自自両党間でとりあえず現在の消費税収入、国税部分についての消費税収入については、その三つ以外には使わないというか使途を限定する。今現在そこに使われている歳出の方が消費税収入よりもはるかに大きいわけですから、そういう意味ではそれは満たされているということで、予算総則でそれを明記するということにしたわけであります。  しかし、今後、では今までの積み立てられてきた年金についての保険料はどういうふうに取り扱っていくのか、あるいは将来消費税というものを、基礎年金部分は消費税をもって充当していくとした場合に、いつからどういう形でそこにランディングさせていくのかなどについて十分な詰めた議論をする必要もある。来年から一気にごろっと変えるわけにもいかないでしょう。そういった議論を冷静に、相談していくべきであるということを実は言ってきておるわけであります。  物事の考え方というものを将来的な、十年、二十年、三十年先というものを視野に入れた中で、当面の措置として、そういう基本的な方向を向いているから当面どういうところに向けてどういうところをどの程度五年間で手直しすべきか、そういう位置づけで対応すべきであるというふうに考えているというのが自由党の基本的な考え方であります。
  43. 今井澄

    今井澄君 日本の少子高齢化が、特に少子化が激しいから社会保険方式がふさわしくないというのは、私はこれは乱暴な議論だと思います、そういう議論を今してもしようがないんですが。  ただ、年金に関しては、自治大臣が今言われたように、基礎年金が実はかなり形骸化している、未加入者やあるいは低所得者は三分の一しかもらえないわけですから生活の足しにもほとんどならない、この部分をしっかりさせることが年金制度を安定化させる第一だということは、私もそのとおりだと思います。したがって、基礎年金部分、現実に社会保険方式として崩壊しつつあるわけですから、しかもこれは単なる財政調整の仕組みなんですね、基礎年金と言いながら、導入された直接のきっかけが。そういう意味では、ここはきちっと税方式でやっていくということについては、私はこれは党派を超えて、国民が一番望んでいる老後の安心はまず所得保障なんです。そういう意味では、基礎年金の税方式化というのは私は進めるべきだろうと思っております。  ところで、自治大臣にお尋ねしますが、十六日の閣議で署名をされなかった年金法改正案、それはやっぱりその辺のところが主たる原因ですか。
  44. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 年金問題についていろいろ自民党、自由党両党間で協議を重ねてきていただきました。そして、一応の結論を得て、法案としてどういう形で表現をするか、同時に、それを担保する措置としてのさらに引き続いて両党間で協議していくべき事項ということを二段構えで合意したという背景がございます。  一方で、介護の問題につきましては、公的介護体制を来年四月から実施に移すということ自体は、自由党もそれはやるべきである、ただ、その財源を何に求めるのかということについて、頭からこれ以外にない、つまり保険方式以外にないということで本当にいいのかどうか。御承知のとおり、トータルの介護コストの中で実際に保険料で賄うのは半分もないわけであります。本人負担が一割あるし、公費負担は残りの半分があるわけですしね。そういった意味で、市町村間のかなりの格差が現にあるわけです。  そういう意味で、そもそも人口二百人の村から三百万人を超える横浜市まで、市町村には非常に大きな財政力あるいは高齢者割合、いろいろな格差がある中で、本当に画一的なやり方でうまくいくんだろうかという懸念があったので、介護に関して、そういう意味でもう一遍冷静に改めるべきところは改めるという協議をやろうじゃないかということで、昨年の暮れに合意をして確認文書を交わしたわけでございます。  そういう点で、この点は来年四月を目前にして冷静に協議をしっかりして、円滑な形で公的介護サービスがスタートするためにどうすべきかということで協議しましょうということになって、それに関する質問がございました。総理からその点について、公明党は公明党なりに別途別の考え方もございますが、いずれにしても、現在のままでいけるかどうかについて、さらに公明党も含めて、場合によっては三党間で協議もして、その上で結論を得てきちんとした対応をしなければなるまいという趣旨の御答弁がございました。  そういうことであればそのとおりで結構だと思っておりますが、若干厚生大臣答弁が、総理答弁はそれはそれとして、この問題だけは別であるという趣旨の御発言があったものですから、党の方においては、介護においてそういうことであるのなら、年金においても党の合意事項についてうまくちゃんと後がワークできるのかどうかということについて、これはちょっと待ってほしいと、もう一遍その点の確認はしたいという趣旨のことがありましたので、私は、拒否というよりは多少その辺が明らかになるというまで署名を見合わせている、今のところ手控えているという状況にございます。その点で確認がとれればまたちゃんとした対応が可能になるのではないか、私はそのように考えております。
  45. 今井澄

    今井澄君 そうすると、閣議でその法案に署名をされないのは、年金制度の問題ではなくて介護保険制度の問題ですか。
  46. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今申し上げましたとおり、少子高齢社会における対応、その中で介護の財源も年金の財源もともにこれからなお両党間、あるいは場合によっては公明党も含めて協議して結論を得ていかなければならない、そういうテーマであると考えております。そういう点で、連動していると私は考えております。年金に関してもあるいは介護に関しても、そういう財源についての協議を約束していることでありますから、それは同じ次元の話だと考えております。
  47. 今井澄

    今井澄君 ちょっとその問題については後に回しまして、後ほどまたちょっと議論させていただくこととしまして、どうもこういう形でセーフティーネット、特に社会保障が全くあいまいなんですね。混乱を起こしている。私も今の年金改正法案がいいとは思いませんけれども、いよいよ閣議決定となったら、こういうところでとんざをしている。ますます国民は何だかわからないわけです。  さて、もう一つのセーフティーネットに関連いたしますが、総理にお尋ねいたします。今回の補正予算編成の目的は何でしょうか。
  48. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回の補正予算の御審議をお願いいたしておりますのは、申すまでもなく、最近の日本における雇用問題の重要性にかんがみまして、昨年来、いわゆる十五カ月予算と申しますか、十一年度予算も含めまして予算的措置は講じてきたものの、さらに現下の雇用の状況等をかんがみますれば諸般の政策を打ち出すべき必要がある、こう考えまして補正予算審議をお願いしておる、こういうことでございます。
  49. 今井澄

    今井澄君 この前の十六日の質疑、特に我が党は雇用対策、労働省関係の問題について随分議論をさせていただきましたが、新規・成長分野雇用創出推進事業九百億円、昨年の六百億円に次ぎますもの、これはほとんど使われていない、今度も見せ金に終わるんじゃないかということも明らかになりましたし、また緊急地域雇用特別交付金二千億円についても、これは都道府県からいろいろなアイデアを出してもらうということですけれども、これも何か新たな雇用創出というんじゃなくて、余り効果がないということがはっきりしてきたと思います。  そこで、もう一つの対策である今回の少子化対策臨時特例交付金交付対象として、先ほども長谷川先生のときに私の資料を配らせていただきましたが、二十項目ありますけれども、この交付金二千億円の雇用創出効果はどのぐらいありますか。  厚生大臣と、それから労働大臣にも所見をお尋ねいたします。
  50. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 二千億円の目的は、雇用創出ということ、待機児童解消することによる雇用創出、それも大きなねらいでございまして、今四万人とも言われます待機児童、これを何とか解消したいということでございます。よしんば、仮に四万人が解消できれば約六千人の保育士の雇用の増加になると私どもは推算はいたしておりますが、この予算市町村の創意と工夫を尊重して上げておきなさいということでやらせていただいておりますので、全額待機児童解消ということでは必ずしもございません。ただ、七割くらいは待機児童解消になるというように私ども考えておりまして、待機児童解消による雇用効果を考えておるということを申し上げさせていただきます。
  51. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先ほど配付された先生の資料、これは例示として二十項目挙げられておりますが、厚生大臣答弁のとおり、一、二項目に重点的に配備をされればそういう結果が出ますが、基本的には市町村の自由意思でどういうものに取り組むか。ほかの項目がゼロだということは申しませんが、その配置の仕方によって数字が変動すると思います。いずれにしても雇用対策に資することは明確であると思います。
  52. 今井澄

    今井澄君 労働大臣ちょっと、労働省の方では何万人というあれが出ていますけれども、今六千人と言われたわけですよね、待機児対策で。ほかの項目をごらんになって、ちょっと労働大臣として、どこかに雇用が生まれますか。
  53. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 直接雇用ということに関して言えば待機児童の対策ということになりますが、それ以外のことに関して間接的にゼロということはないという意味で申し上げたわけであります。
  54. 今井澄

    今井澄君 ちょっと労働大臣、今省庁の縦割りを廃して、本当雇用について責任を持っておられる大臣として、この中で何万人、何千人という雇用がどこか生まれてきますか、この二十項目の中で。感想をちょっとお尋ねします。
  55. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 実は、政府が発表した七十二万人の中にはこれはカウントされておりません、御案内のとおり。プラスアルファとして、少子化対策雇用に資するという意味厚生大臣のあの試算が発表されたわけであります。  ですから、雇用対策という意味では、これは少子化対策でありますから、少子化対策雇用にも資するということでお話をされているわけでありまして、緊急雇用対策としての数字のカウントには入れておりませんが、雇用創出効果はあるということであります。
  56. 今井澄

    今井澄君 これ以上お尋ねしませんけれども、確かに今回の補正予算、これは大蔵大臣の説明の中でも、歳出面においては「緊急雇用対策費として五千百九十八億円を追加計上しております。」ということで書いてありますが、しかし今この二十項目を見ていただいてもわかるように、保育所をつくる以外には雇用というのはほとんどないですよね。公民館で何か行事があるときに、その子供を預かるのに人を雇う、それはいいでしょう。だけれども、それは雇用にはなるでしょうけれども雇用対策にはほとんどならぬわけです。  しかも、厚生省の……(「建設省予算雇用にはなる」と呼ぶ者あり)そうですね。この別紙がついている四枚紙の最初のところの説明は非常に苦しい説明で、「もって地域における少子化対策の一層の普及促進を図るとともに、雇用就業機会創出に資することを目的とする。」というので、これは大蔵大臣の説明と厚生省の説明とはちょっとずつ違ってきているんです。現にこれを見ていただければ、これは雇用創出効果はほとんどない、しかも緊急の雇用創出効果はないということはおわかりだと思うんです。しかも、この二千億円の七割を待機児童解消策に充てるということです。  私は、少子化対策が重要でないなんて全然言うつもりはありません。これは喫緊の重要な課題でありますし、冒頭にも申し上げました厚生省の発表した国民生活基礎調査を見ても、例えば二十代のお母さんの五五%が育児について悩みを持っていると言っているわけですし、三十代の母親も三割が持っているわけでありますし、実際これは非常に重要な問題だと思うんです。それからまた、緊急のことはともかく、長い目で見てこの少子化対策というのが日本の将来の労働力対策、そしてまた経済対策として重要であることは、これは論をまたないわけであります。  そこで、総理にお尋ねしますが、少子化対策への現在の政府の取り組み状況は具体的にどういうふうに進んでおりますか。どういう本部をつくったとか、どういうふうになったとか。
  57. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 少子化対策は、小渕内閣として最重要課題であるという位置づけをいたしまして、これは橋本内閣のときにつくられた有識者の会合をもちまして、民間の方々から広くこの少子化問題の意見を聞こうということで有識者会議の答申を得ております。その後、閣僚協議会を設置いたしまして少子化問題について精力的に取り組む。少子化問題というのは単に厚生省とか文部省だけの問題ではなくて、住宅も入りますし、雇用環境の改善も入りますし、あらゆる面が総合化されなければなりませんので、この前実施いたしました閣僚会議におきまして基本方針をつくるということを確認しております。年内に総合的な基本方針をつくりたいということでございます。  なお、国民会議というのを立ち上げまして、各界各層の代表者から成る国民会議の第一回をこの間いたしまして、総理にも御出席いただき、少子化問題の認識を深めると同時に、広報その他あらゆる手段を通じましてこの少子化対策を国民の各層に広く認識していただいて対応していこうということで、そのような対応を今させていただいておるところでございます。
  58. 今井澄

    今井澄君 総理、そうすると、これまで厚生省を中心に保育対策はそれなりに五カ年計画などでやってきているけれども、全体の少子化対策は、関係閣僚会議を五月にやって、今やっと国民会議をつくって基本方針を検討する、具体的な方針はこれからだということで確認してよろしいですか。
  59. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 結論を申し上げればそういうことだろうと思いますが、今日までいろいろな形で少子化対策ということ、それ一本ということではありませんけれども子育てができるような環境づくりに努力をしてまいりました。  やはり今ここで改めて日本の人口構造を考え少子化問題について国民的な理解を得る努力をしなきゃならぬということで、厚生大臣から今御答弁申し上げましたようなことで、閣僚会議あるいはまた有識者の皆さんにお集まりをいただいて会合を開いておりまして、できればその中で一つの方向性というものを打ち出し、具体的政策もその上にのせて実行できるような形にいたしていきたいと努力をいたしておるところでございます。
  60. 今井澄

    今井澄君 そうすると、今回の補正予算はますますおかしいと思うんです。  ところで、先ほどお話のありました待機児童というのは、全国にどのぐらいいて、それは主にどういう市町村にいて、そして今度の二千億円の中では七割というお話でありましたが、具体的にどのぐらいが待機児童解消対策に使われるのか、それをもう一度お答えください。
  61. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 待機児童は、季節によって違いますけれども、約四万人くらいと私どもは想定しております。あるいは年度途中に増減がございます。  今回の二千億の配分につきましては、今御指摘のように待機児童を抱えている市町村というのは約六百六十弱、六百五十八でございましたか、そういうことでございますが、それに対して約七割、千三百七十億でございますか、これを交付することにしておりますので、待機児童解消にかなり有効に働くということだと思います。  なお、その残余の予算につきましては、これは先ほどメニューで御議論ございましたように、市町村の自主的な取り組みを尊重してまいって、そして少子化対策への多様な需要にこたえようということでございますので、そのような対応にさせていただいております。
  62. 今井澄

    今井澄君 確かに待機児童のいるところ、ゼロ歳児とか一、二歳児、主にゼロ歳児ですね、横浜とか東京二十三区、それから大阪、特に堺市なんかも随分ひどいようですね。集中的にそういうところにあるわけです。  ところで、昨年も実は補正予算待機児童解消策として百七十億円が計上されている、しかもこれは十分の十国庫補助ですが、これはどのぐらい消化されていますか。
  63. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 十年度の第一次補正予算におきまして、保育所の乳児保育の取り組みを推進するために、沐浴設備あるいは調乳設備等ゼロ歳児を保育するに必要な設備の補助を百七十億円計上いたしております。このうち執行されましたのは約八十六億円、五〇・七%ということでございます。これは十年度におきまして既に市町村で独自に整備をされているところもありました。また、保育所が狭いということでこれらの設備を整備する余裕がないところもあったというふうなこともございました。  この結果につきましては、まだ十一年度四月時点の入所者数がございませんので、どの程度乳児がこれによってふえたかお示しすることは困難でございますが、ちなみに直近、十年度四月一日と十年度の十二月一日を比べますと、四月一日時点で五万九千人ゼロ歳児が入所しておりましたけれども、十二月一日現在で九万七千人ということで、この間三万八千人ぐらいゼロ歳児の保育がふえている状態になっております。
  64. 今井澄

    今井澄君 緊急に必要だとか、どうしても必要だとかといって補正で去年組みながら、半分ですよね、消化されているのは。今度もこれ二千億のうちの七割が行くというわけですね、千三百何十億。これ、どのぐらい使われる見込みですか。これもまた、金曜日の労働何とか基金の九百億の積み増しと同じで、見せ金に終わるんじゃないですか。
  65. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) これは市町村の自主性に任せて、そして要求していただくことを建前としておりますので、確たることは申し上げられませんが、私どもとしては、メニューの選択も広げておりますし、市町村少子化対策の重要性を考えておりますので、十分私は要求が満たされてくるものというように考えておりますが、先ほどの問題は、五〇%の消化率という問題は、あとが不用になっておりますので、確かに問題なしとしません。こうした予算執行上の問題についてもやはりきちっとした対応が今後必要であろうかというように私自身は考えております。
  66. 今井澄

    今井澄君 大体かなりいいかげんなもので雇用対策にもならないということがわかったんですが、そのほかの六百億余りですけれども、この二十項目、例えばと挙げているのを見ると、少子化問題キャンペーンの実施とは何かパンフレットかポスターでもつくるんでしょうか。自治体版エンゼルプランの作成、過疎の市町村でどうやってつくるのか知りませんけれども。  そうすると、先ほど、国としてはまだ基本方向すら出ていないという中で、この六百数十億円はまさにばらまきじゃないですか。要するに国でこれから考えるんだけれども、過疎の町村も含めてアイデアを募集するのに六百億円かけるんですか。これは研究費じゃないですか、じゃ。そんな膨大なお金を今全市町村に上限一千万でばらまいて、おかしいんじゃないですかね、これ。
  67. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 従来のやり方で申しますと、一定の保育所の基準があり、その基準を満たすものだけを追加要求はさせて財源を措置するということが建前であろうと存じます。  しかし今回は、やはりこの少子化問題は国が一方的に上意下達的な形で押しつけるのではなくて、地方の自主的な取り組みを尊重するということに基づくものでございますので、ちょっとメニューを見ますと、確かにおっしゃられるように何かこんなことでいいのかなという感じを持たれる項目もないわけではございませんが、私どもとしては、予算が通ればこれは全国課長会議を開きまして、そして基本的な考え方を申し上げ、出てくるものは何でもいいというわけにもまいりませんので、精査して執行していきたいと思っております。
  68. 今井澄

    今井澄君 やっぱりおかしいと思うんですよね。この時期に補正予算を五千億組んだ理由は一体何ですか、総理、お尋ねいたしますが。この程度の規模であれば、もう当然失業者がふえるということは予想されていたわけですから、当初予算の中へ組んでもよかったわけですよ、少子化対策も含めて。現に公共事業用に予備費というか五千億組んであるわけですから、それだけの余裕があったわけですよ。何で今この時期に緊急雇用対策としてこういう中身のない、緊急雇用対策とは関係もない、しかもばらまきのようなさっきのアイデア募集で何で六百何十億ですか。総理、どうしてこんな予算を組むんですか。理由を説明してください。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) このたびの補正予算を組むにつきまして、本来、雇用については前年度の補正予算、それから当年度予算について一兆円の施策をしておりますけれども、ここに来まして企業のリストラもございまして、これが非常に具体化して問題になってまいりました。殊に、景気回復の最終段階で雇用というのは遅行指数として出てまいることは御存じのとおりですから、その問題と、それから同時に、リストラも我が国経済の不況脱出の最終段階の問題であると思いましたので、両方含みまして緊急対策をいたしたわけでございます。  その中に含まれている今御指摘の少子化対策あるいは保育所等々の問題というのは、それ自身がすぐに雇用に幾ら響くということではないにしても、保育士にしてもあるいはいわゆる保育ママと言われているお母さん方にしても、そういう働く場がふえるわけでありますし、またいわゆる待機児童がこういう形で受け入れられるということになれば、それは何がしかの意味で、あるいはいろんな形で雇用に影響するということは否定できないであろう。それが数えられなくてもそれに貢献するということは否定できないところであります。所管大臣がぜひこれは必要だというお考えであれば、本来このこと自身はおっしゃるように間違ったことでない、悪いことでない、どちらかといえば行き届かない部分でございますから、私としてはこれを全体の予算に含むことが相当であるという判断をいたしたわけであります。
  70. 今井澄

    今井澄君 今の御答弁では、相当でないと判断したということなら、最後に判断せざるを得ないという御答弁ならわかりますけれども、論理矛盾じゃないですか。あなた御自身が緊急雇用対策費として五千百九十八億円を追加計上しているとちゃんとこの委員会で説明されたんじゃないですか。そうなっていないじゃないですか。  しかも、今度出されたのは、恐らくあさってですか、閣議で決定される産業活力再生特別措置法案、これでリストラを進めやすくする、そうすれば余計また失業者が出るわけです。そのこととセットだと私どもは受けとめているわけです。だからこういうものもセーフティーネットで出したんだと。前回の質疑でも、自殺者がどんどんふえているということもあるでしょう。そういうときに、それ自身は悪くないです、少子化対策、やるべきだけれども、それを何で緊急雇用対策の中で出したかということを聞いているんです。総理、内閣の責任者として答えてください。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 問題は私は明らかだと思うんです。これでどれだけ雇用がふえるかということにすぐにお答えできないにしても、こうやって施設がふやせればそれだけ実際働く人たちにとっては朗報でございますから、その限りで雇用がふえるという論理に間違いがありませんでしょう。幾らと言えなくてもそのことに間違いはございますか。
  72. 今井澄

    今井澄君 間違いありますよ。そんな答弁で逃げないでください。緊急雇用対策といったら、だれでもここで首になる人が出てくる、あるいは現にふえている、だからその人たちに緊急に当面でもどういうところで働いていただくか、その対策でしょう。労働省の方がそうやって出しているでしょう。何で少子化はこうなんですか。どこで働いてもらうんですか、今リストラに遭った人たちは。答えてください、大蔵大臣。この二十項目の中から選んで答えてください。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 働く意思があり、働く場所がつくられても、自分の子供さんたちをどうもできないというケースはたくさんあるんですから、それをこういう施設で御面倒を見る、それは雇用の増加になるじゃないですか。
  74. 今井澄

    今井澄君 四万人でしょう。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 待機児童が四万人ではいかぬのですか。具体的にこれで雇用が幾らふえるかということは、それは両大臣が言っていらっしゃるように計算できないにしても、雇用の増に貢献するということは別段間違いがなかろうと思います。
  76. 今井澄

    今井澄君 全くあなたはいいかげんにうそを言ってたぶらかそうとしている。だって、今、待機児童というのは現に働いている人なんです。その人たちが困っているんです。その人たちがリストラに遭うのに慌ててこれから待機児童対策をつくってどうなるんですか。全然ピント外れのことを言わないでください。総理、答えてください。こういういいかげんな大蔵大臣答弁でいいんですか。ふまじめじゃないですか。
  77. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 閣内でそれぞれ担当の大臣も含めまして検討した結果、こうした数字としてお願いをいたしておるところでございます。
  78. 今井澄

    今井澄君 そこで、まさに雇用対策ということであり、セーフティーネットを張るということであれば、私はこの際、少子化対策もいいけれども、それよりは介護保険対策をやった方がより実効的であると思うんです。  それは、今介護保険制度に現場は不安を持っているわけです。基盤整備ができていない、ホームヘルパーが足りない、ショートステイが足りないと。そうでしょう。そして、ホームヘルパーは来年末に十七万八千人にすると言っていますけれども、これじゃ足りないわけですよ、在宅にはとても。だから、私ども民主党は、緊急失業・雇用対策として、ホームヘルパーをさらに十三万人増員して三十万人体制にしたらどうか、あるいはショートステイを四百カ所、デイケアについては五千カ所を施設増設したらどうかという提案を出し、衆議院では補正予算の組み替え動議も出しました。それは御承知ですね。  なぜ、雇用創出効果のある、しかも緊急に、もうスタートが来年四月ですよ、この介護保険制度の介護人の緊急基盤整備に補正予算を組まなかったんですか、総理大臣。
  79. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 介護保険の前提となる介護基盤の整備が重要であることは、もう委員の御指摘のとおりでございます。これはかなり前広に準備をする必要がございますので、私どもとしては、今あります新ゴールドプランの達成を目標といたしまして、そして毎年度、所要の事業量を確保するための予算措置を優先的に確保してまいりました。  具体的に申しますと、平成十年度の第三次補正予算におきまして、景気対策の臨時緊急特別枠ということで、介護保険関連サービス基盤を整備するための予算を盛り込んでございます。そして整備を図ろうということでありますし、十一年度予算におきましても、ケアハウスについてはちょっとこのゴールドプランの目標値には到達できませんけれども、これを除いたいろいろ各種の施設については目標量を達成するための必要な予算を盛り込んでございます。  これで十分かどうかということになりますと、今後高齢化が進みまして要介護者がだんだん、今二百八十万人とも言われておりますけれども、年間十万人もふえるとも言われています。したがって、こうした施設も重点的に整備していかなければなりません。そして同時に、在宅介護と施設介護とのバランスも考えていかなけりゃいかぬという問題を踏まえながら、今後その整備には十分意を用いていきたい、こう思っております。
  80. 今井澄

    今井澄君 いや、だから、それにさらに上乗せしてここで緊急雇用対策ということで補正予算を組むならば、ホームヘルパーを思い切って、我が党の言うように十三万人じゃなくてもいいですよ、三万でも五万でもやったらどうですか。きのうだってやっぱりテレビでやっているわけです、老人ホーム、特別養護老人ホームに入っていて自立と判定された人は出ざるを得ないと。それで、家族もいると。そうすると、ホームヘルパーがいれば家で見ていけるわけです。そのために緊急整備したらどうかということを今お尋ねしているんですけれども、そっちの方が先だったんじゃないですか。どうですか。  では、大蔵大臣、今度はどうですか。
  81. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点になりますと、やはり所管大臣が仕事の前後をお考えになって、その上でいつどういうふうにとお考えでございますから、またそういうお話があれば私としては十分に考えるにやぶさかでございませんけれども、その判断はやはり所管大臣にしていただかないとならぬと思います。
  82. 今井澄

    今井澄君 そうすると、やっぱり総理にお尋ねしなければならないと思いますが、では今度の少子化対策は担当大臣の方から要請があって、ぜひここで緊急雇用対策をやりたい、こういうことだったから組んだのですか。
  83. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そうでございます。
  84. 今井澄

    今井澄君 緊急雇用対策にはならないところにお金を回して、しかもそのお金もかなりの部分は使われないだろうと。残りのお金は市町村からアイデア募集の、言ってみれば研究費的に六百何十億円と。一方で、介護保険では基盤整備が足りない、ホームヘルパーが足りない、こう言われているんです。これは一体、国民はどう考えるでしょうね。本当に話にならないというふうに思います。  そこで、ここで改めてちょっと介護保険制度についてお尋ねしたいんですが、今大分混乱が起こっているようで、税方式なんという話もあるようですが、そもそもこれは社会保険方式として介護保険制度として法が定められ、今準備が進められている。なぜ税ではなくて、税でこれまで見てきたわけですが、それをやめて社会保険方式にすることになったのか。その理由を厚生大臣にお尋ねいたします。
  85. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) これからの少子高齢化社会を控えまして、高齢者の介護問題、非常に深刻かつ重大な問題であるという基本的な認識に立っております。したがって、これを従来のような方式でなく、相互に支え合う方式でシステム化しようというのが介護保険制度だったと思います。  そして、一昨年の十二月にこの法案が成立いたしまして、私は所管大臣として、この法の定めたところに従いまして諸準備を今精力的にやらせていただいておる、こういうことでございます。
  86. 今井澄

    今井澄君 事務当局でもいいんですが、なぜ措置制度から、税による制度から保険方式にしたのか、いろいろ経過で議論があったと思うんですが、理由を説明してもらえますか。
  87. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護システムについての財源をどうするかというのはいろいろ議論がございました。それで、最終的に今の案になりましたのは、個人の自立自助、これを基本といたしまして、サービスと負担の関係が明確である、負担について国民の理解が得やすい、大体社会保険方式で社会保障制度の主なものができておりますので、そういう面で国民になじみやすい、こういうことで社会保険方式ということで介護保険ということを導入いたしたわけでございます。
  88. 今井澄

    今井澄君 いや、それだけじゃないんじゃないですか。民活ということは目的にありませんか。
  89. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 特に在宅サービスにつきましては民間企業も参入できる、こういう意味も込めて、広く多様な主体がこの介護サービスに参加する、こういうものも一つ目的でございます。
  90. 今井澄

    今井澄君 一つ目的というより、実はそれが大きかったのじゃないかというふうに思います。  私自身ももともとは税方式でした。この公的介護制度の議論が始まったときに、ナショナルミニマムとして国の責任で保障すべきではないかと考えてきたんですが、途中から保険方式に宗旨がえをいたしました。  そのきっかけは何か。私も一時与党におりまして、ゴールドプランを新ゴールドプランにするときに一生懸命頑張った、そのときの与党福祉プロジェクトの座長だったんです。大蔵省にも行きました。自治省の人とも話しました。それで、来年の末までにホームヘルパーを十万人、これがゴールドプランだったんですが、それを十七万人まで持っていくのがやっとだったんです。当時、私たちは二十万人にしようと思ったけれども、大蔵省が先に十七万人というチラシをつくってまいちゃったんです。結局、国が予算を立てて何万人にしますというふうにやっていくのは限界があるということを私ははっきりわかりました。ここなんですね、保険方式は。  保険基金からお金がおりるということになると、民間の人が我も我もと開業するようになるんです。そのいい例が医療保険なんです。医療保険は戦後、国民皆保険制度を目指して、特に市町村では昭和二十年代、三十年代に国民健康保険を広げてきたんです。住民から保険料をもらって保険証を渡した。そのときに何が起こったか。保険あって医療なしということが言われたんです。市町村長さんたちは物すごく責められました。ある村長さんのところは家に石が投げ込まれてドアを壊された。戸を壊されたといううちもあるんです。だけれども、保険からお金がおりる、金持ちだけを診ていなくても、貧乏人を診てもちゃんと収入があるということのわかったお医者さんがどんどん開業を始めたんです。開業を始めたお医者さんで成功した人は有床診療所になりました。それで成功した人は小さな病院をつくりました。そのうち成功した人はお医者さんや看護婦さんを大勢雇って大きな病院をつくって、一番成功した人は医科大学までつくっちゃったんですよ。こういうふうにして、今日本では保険証一枚あれば、よほどの僻地、離島でない限り医者、病院に不自由しない状況ができたんですよ。まあ、質はわかりませんよ、質はわかりませんけれども量だけは十分なんです。  これは医療保険制度のおかげなんですよ。むしろ今過剰になりつつある。まさに私たちが今、予算でホームヘルパーをふやす限界、そういうことがわかったからこそやるというのが非常に大きな理由だと私は思っております。  さて、そこで最初のところに戻りますけれども、この介護保険制度、特に市町村皆さんや現場の皆さんは物すごい不安を抱え、不満を言いながら、今一生懸命その方向へ進んでいるわけですよ。市町村だって、反対はあるというが六、七割は一生懸命賛成でやっている、やるしかないとやっているんです。もう条例もつくりました。そして、認定審査会の委員の任命まで終わりました。いざ十月一日から今度は要介護認定の審査受け付けが始まるわけですよ。そのときに何ですか、こんな混乱が起こって。  私は総理の責任は大きいと思いますよ。それは自自の合意があるかもしれませんけれども、三党で話し合ってその結果に基づいて財源問題を含めて討論する。こんなことでできますか。法律改正するんですか。間に合いますか。  総理、お答えください、それ。
  91. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この財源問題につきましては、段々の公党間とのいろいろお約束の中で論議が進められてきておるところでございまして、そういった意味で、今各政党間でお話し合いを精力的に詰めておるわけでございます。  今、今井先生おっしゃるように、確かに来年四月一日から実施ということで、各市町村におきましても懸命の努力をいたしておるところでございまして、そういった意味で、一日も早くそれが結論を見出さなければならぬと思っておりますが、政治は、行政の責任をゆだねられている私にいたしましても、各政党間の話し合いによりまして、より本格的な財源というものを将来にわたっての考え方としてどう取り組むかということも、これまた重要な課題でございますので、今そうした話し合いの最終段階に来ておりまして、一日も早くその結論を得て、そして来年の実施に向けまして、安心してそれがスタートのできるように最善を尽くしていきたいというふうに考えております。
  92. 今井澄

    今井澄君 いや総理、そうじゃないんですよ。いいですか。もし財源問題について別の結論が出たら法改正するんですか。間に合いますか。
  93. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ですから、間に合いますか間に合いませんかと言われましても、どういう結論になるかということについて、それこそ政権を担当しておる政党同士の話し合いが今精力的に進められておる段階でございますので、それが一日も早い結論を得て、しかるべき措置を講じていかなきゃならぬと思っております。
  94. 今井澄

    今井澄君 いや、そうじゃないんですよ。現場はもうやっているんですよ、人も張りつけいろんなことを。これを変えろと言うんですか。来年の四月からこれではやらないよという可能性があると言うんですか。  私は厚生大臣答弁が正しいと思いますよ。来年四月のスタートはもう決まっているんですよ。その後、ひょっとして税方式に変えるかどうか、保険方式でやっても保険料を集めなければやっていけないわけですから、出してくれなければ。そういう問題でしょう。  だから、来年四月からやるべきじゃないですか。お答えください。
  95. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは、きちんと四月一日からの実施に向かって今着々と政府もまた地方自治団体におきましても努力をさせていただいておるということでございますけれども、根本的な財源問題につきまして各党間の話もございますので、今その話を進めさせていただいておるということでございます。
  96. 今井澄

    今井澄君 野田自治大臣にも聞きたいですね。  これだけ国民が一生懸命頑張っているときに、来年四月どうなるのか、市町村が今やっている仕事をやめなきゃならないのかどうか。そんな混乱を与えるのはよくないでしょう。将来の問題でしょう。来年はいいじゃないですか、四月一日、今のままの実施で。それ以外にないでしょう。
  97. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 先ほどから申し上げておりますが、来年四月一日からの公的介護体制というものは実施すべきである、この点は重ねて申し上げておるとおりでございます。  ただ、それはそうとしても、具体的に各市町村間におけるそれぞれの格差がございます。そういう点で、今現在そんなに粛々と進められているという背景ではない。それはもう報道されております。そういう中で、どうやって円滑に公的介護サービス体制をスタートするか、この一点が大事であって、それに向けて、その財源をどういう方向性でやっていくのかということについて、公的介護という問題と介護保険という問題は別問題なんだということをまず申し上げたい。  それから、先ほど来お話がございましたが、社会保険というときの保険料、何を基準にして保険料を取るのか。つまり、社会保険料というのはある意味では強制徴収、税の変形でございます。消費税というのは、まさに消費をある種の課税標準にして保険料を取っているのと同じことなんじゃないでしょうか。そういう意味で、パーヘッドで取るようなやり方の介護保険というやり方がいいのか、あるいは消費というものに着目した中で消費税で取ってやった方がはるかによりベターな形でのこの少子高齢化における介護サービスの財源になるんじゃないか。  そういった意味で、どちらが混乱をするかということは、今おっしゃるとおり、法律で決まったから決まったとおりやれば混乱がないんだということなのか、あるいは逆に、今大事なのは来年四月一日から公的介護サービス体制を実施する、そこへ向けてどういう具体的なやり方をすればより混乱を避けられるのか、私はいろんなアプローチの仕方があると思います。  そういう点で、自由党も連立を組んでいる与党の一角を占めておるわけでありますから、そんな無責任なことを考えているわけではございません。もう少しこの点について、思い込みだけをするんじゃなくて、私たちも何も自由党の言っていることが百点満点で、あとは零点だということを言っているわけじゃございませんが、そういう中で冷静に、どうすれば来年四月からの公的介護体制を実施できるのかという、本当にそこのところに着目した具体的な協議をやっていくべきではないか、そのように考えておるわけであります。
  98. 今井澄

    今井澄君 私は、あなたは自治大臣として無責任だと思うんです。各市町村に大変な混乱を与えているんですよ、金曜日以降、あるいは木曜日以降と言ってもいいです。現実的に考えて、今法改正をして財源方式を見直して来年四月からできると思っていますか、答えてください。
  99. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 中身がどういうことか、それがはっきりしないうちにできるできないという議論は避けたいと思います。しかし、それは当然のことながら、対応の仕方いかんで来年四月一日からの実施は十分可能であると考えております。
  100. 今井澄

    今井澄君 どういうふうに可能ですか、どういう方式で。
  101. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ですから、私は何か思い込んでおられるような気がしてしようがないんですが、例えば認定作業をスタートする、これは当然財源問題とは別途にスタートできるはずのことであります。そうでしょう。  あるいは、かつて新進党時代に、今現在公明党におられますが、ある先生を中心にして具体的な介護保障体制というものを党として検討したことがございました。そのときには、むしろいわゆるバウチャーという問題を考えたこともあったわけであります。そういう点で、必ずしも措置方式であるからコストがかかるというだけではなくて、民間における介護サービス、そういう業者なり民間のそういったものを育成していく、その中でバウチャーというやり方を考えていくということにおいて総コストをどうやって低めていくか、いろんな議論をやっぱりしておくべきじゃないか。  私は、率直にそんなことを考えますときに、先ほど来申しておりますが、公的介護サービス体制を四月一日から実施する、そのために必要な認定作業なり、基準づくりなり、そういったことは着々と進めていくべきは当然のことである、あるいは必要な施設の整備なりホームヘルパーの育成なりということは当然進めていかなければならない課題であると思っています。  その問題と財源の話というものが直接的にリンクしなければならないものではないのではないかというのが自由党の考え方であり、私は、今御質問で自由党はどう考えるかということだからその立場で今申し上げておるわけで、今、自治大臣として言えば、できるだけ各市町村がこのことにおいて混乱が生じないようにしてもらわなければいけない。それから、できれば市町村の財政調整という問題は、むしろ本来的に、各行政分野に応じた財政調整が行われるということは一体いかがなものだろうか。私はその点、地方自治ということから考えても多少問題なしとしない部分もあるということは申し上げておかなきゃならぬと思っております。
  102. 今井澄

    今井澄君 この問題は、非常に総理自治大臣の責任は大きいと思っておりますが、時間が来ましたので、きょうはこの辺にして、関連質問をお許しいただきたいと思います。
  103. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  104. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 速記を起こして。  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  105. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度補正予算二案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。簗瀬進君。
  106. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 時間が限られておりまして、多少早口になることもあると思いますが、お許しをいただきたいと思います。  私の敬愛する田中秀征さんがかつて、オウムは時代のよどみの中から生まれてきた一匹のハエであると大変秀抜な例えをなさいました。実は、そのハエが茨城県の旭村から栃木県の大田原市の方に飛んでまいりまして、今地元では大変大きな騒ぎになっているわけであります。本席には栃木県の自民党の矢野理事さんもいらっしゃいますので、同じような気持ちだろうと思います。そういうことで質問させていただきたいと思うんです。  実は、林容疑者もかつて宇都宮の病院に勤務をしていたことがございました。その他のオウムの関係者の中に意外に栃木県の関係者も含まれておりました。そういう背景もありまして、大田原市を初め周辺の住民の皆さんは戦々恐々といたしているわけでございます。  そこで、まず、この問題に対処する総理の基本的な考え方をお聞かせいただければと思います。
  107. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) オウム真理教は、地下鉄サリン事件を初めとする組織的な凶悪事件を引き起こした後も、現在に至るまで、組織として何らの謝罪、反省もせず、反社会的教義を維持しており、最近では各地に新たな教団施設の取得を図るなどして施設周辺住民に対して多大な不安を与えていると認識をいたしておるところでございます。  このため、オウム真理教にかかわる諸問題につきまして、関係省庁の密接な連携を確保し、政府として必要な対応を検討するため、内閣にオウム真理教対策関係省庁連絡会議を設置いたしたところであります。オウム真理教問題に対しましては、現行法による対応のほか、関係省庁において法改正等必要な検討を行っていると認識をいたしておるわけでございます。  簗瀬委員お地元のお話をお取り上げになられました。実は私も、私の選挙区にかつてその施設がありまして、その撤去の問題等で管財人でありました阿部弁護士さんなどと当時いろいろお話をしました。地元住民のこれに対する敏感な感情というものを承知いたしておるつもりでございますが、政府といたしましては、今申し上げましたような趣旨にのっとって対応させていただいておるところでございます。
  108. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 現在、大田原市の転入届の受理拒否ということがまず焦点になっているわけであります。憲法には多くの人権が列挙されております。その中で、公共の福祉に反しない限りという文言を入れ込んでいる条文と入れ込んでいないものがございまして、憲法二十二条一項の居住移転の自由という条項には「公共の福祉に反しない限り、」という文言がついているわけであります。  私は、もちろん居住移転の自由は保障されなければならないとは思うんですけれども、問題は、教団が現時点に至っても教団の犯罪行為を総括し反省しようとしてはいない、ここが最大の問題だと思います。その結果、オウム信者が来るところ必ず再犯のおそれを周辺住民に対して与え続けている、こういうふうな状況であるわけであります。  こういうふうな背景があるわけでございますので、ある意味では、この大田原市の転入届の受理拒否、それは公共の福祉を守るためのやむを得ない措置として是認されるべきなのではないのかなと思いますが、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  109. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 確かに憲法第二十二条においては、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」ということがございまして、「公共の福祉に反しない限り、」ということが書いてございます。そこで、今御指摘の大田原市を初め他の地方公共団体においても、なかなかこの辺、苦渋の中で結果としてそういう転入拒否というようなことをしておられるんだろうと考えております。  ただ、この問題等、直接的に自治省として公権的なこの辺の解釈を申し上げるのはちょっと私も遠慮したいとは思います。  ただ、これはどういうあれかわかりませんが、宗教法人法第八十一条に基づいて、平成七年東京地方裁判所では、このオウム真理教というのは、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をし、かつ宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたものであって、もはや宗教法人としての保護を受けるべき宗教団体であるとは認められないというようなことが東京地裁において述べられておりますし、この破防法の適用の是非を審査された当時の公安審査委員会の、これは官報の中にいろんなことが書いてございますが、結論は、請求は棄却されたんですが、しかし、途中の時点でかなり、九割方は、政治的目的を持って組織的な暴力的破壊活動をやったとか、いろんなことが認定をされております。  その中のところで、結局、本団体が教義の危険な部分を破棄、払拭したとは認めがたく、現時点でも開祖松本への帰依を中心として本団体の存続を目指して組織の維持に腐心していることが認められ、本団体の危険性が消失したと言うことは到底できないということも公安審査委員会では述べておられるわけでございます。  そんなことももろもろ考えますと、関係の地方自治体がオウムの問題について、自治体だけではなくて住民においても非常に神経をとがらせるべき事情というのは痛いほどよく理解ができることだと考えております。
  110. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 居住、移転の自由という人権との絡みもある、すべての自治体が転入を拒否ということになるとどこに行ったらいいのかという問題も起きてしまう、そういう意味では大変悩ましい問題ではあります。しかし、ぜひとも住民の率直な気持ちを受けとめていただきまして、きちんとした対処をしていただければと思うわけであります。  そこで、私は子供たちに罪はないとは思います。例えば、今大田原に来ているのは次男の五歳の子供、それから十八歳の次女、こういう二人の松本被告人の子供が来ているわけであります。私は、基本的には子供たちに罪はないし、また教育を受ける権利もしっかりと認めてあげなければならない。  ただし、一方で、その子供たちの周りの者たちが子供に対して、単なる子供じゃなくて宗教的な位置づけをしっかりと与えてしまっている、これが非常に悩ましい問題であります。子供であって子供でない。例えば、大田原に来ている次男の方は教祖という教団での位置づけをしっかりと与えられているようであります。ここが非常に私自身もいろいろと、人権を守らなければならないと思いつつ悩ましい一番のポイントだと思うんです。  私は、本当子供たちの人権を守ろうと考えたときには、ある意味では教団の維持のためとかあるいは教団関係者のエゴによっていわゆる判断能力のない子供を宗教活動に利用している、こういう側面をやっぱり最も重く見るべきなのではなかろうかと思うわけであります。  そこで、例えば民法八百三十四条という条項があります。親権の喪失宣告についての規定が定められているのがこの民法八百三十四条でございまして、親権者が親権を乱用する場合あるいは親権者に著しい不行跡があった場合には、検察官の請求によって家庭裁判所が親権喪失の宣告をすることができる。当然、親類縁者あるいはそれがなければさらに適当な者の中から後見人を選んで、その後見人がその子供たちのことをしっかりと養育し監護する、こういう規定があるわけであります。  また、児童福祉法にも同様の規定があると聞いているわけでありまして、これらの諸規定についての積極的な検討をする段階に来ているのではないのか。法務大臣にその見解を伺いたいと思います。
  111. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 二点について御指摘がございました。  まず最初の民法八百三十四条についてでございますが、親権の乱用というのは、ここでは監護教育権、住居指定権等の乱用を意味しております。また、著しい不行跡とは、飲酒、賭博にふけること、放蕩により自己の財産を浪費することなど、子以外の者に向けてなされる甚だしく不良な素行をいうものとされております。  オウム真理教が自己の子供を置いている養育環境の問題については、監護教育権または住居指定権の乱用に当たるか否かが検討されることになりますけれども、具体的な事案に従って判断されるべきことでございますので、一般論としてしか申し上げることはちょっとできかねると思います。  また次に、児童福祉法についても、これは今の状態では一般論としてしか申し上げるべき段階ではないと思っております。
  112. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 子供の人権を守りながら、しかもその周辺の皆さんの不安をしっかりと解消するためにとる対策の仕方として、私は、まさに子供を不当に宗教的活動のために乱用している。五歳や六歳の子供には事理弁識能力はありません。そういう子供を宗教的な環境の中に置き続けることによって自分の都合のために利用している。これはまさに子供の人権を著しく疎外しているというのはもう明らかではないのか。  また、その不行跡というようなことも、これは殺人というのは不行跡の最たるものですから、それについて法務大臣が今後の推移を見守ってみたいな、そういうちょっとゆったりとした解釈を述べるのは私は納得がいかないんですけれども、いかがですか。
  113. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 民法八百三十四条の適用については、ただいま申し上げたとおりでございます。  ただ、オウム真理教の現在のあり方につきましては、私ども法務省、公安調査庁として極めて注意深く見守っておりまして、これに対する法的措置も別途考えていく必要がある、このように取り組んでおるところでございます。
  114. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 八百三十四条の適用についてはどうですか。
  115. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) これはただいま申し上げましたように、国家権力によりまして親権を奪うということは極めて慎重に行わなければならないということでございます。
  116. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 今慎重な御見解であるというようなことでありますけれども、私はこれは一つの解決策ではないのかなと思います。  そして、しかるべき後見人を選んだ上で、場合によっては子供たちを宗教的な教団の囲いの中からある意味で助け出す。そういう意味では、人身保護法、何人もこの請求ができるというふうな規定もあるので、この辺の積極的な適用も検討していいのではないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか、法務大臣
  117. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 親権の重要性にかんがみまして、検察官が親権喪失宣言の請求を行うことにつきましては、今申し上げましたように慎重な配慮が必要である、このように考えておりまして、本件につきましても、親の親権や子の利益、福祉の観点から慎重に検討してまいりたいと思います。
  118. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 オウム問題についてはこの辺にさせていただきまして、実は最近、タイム誌に載せられました昭和天皇の写真についていろいろと新聞をにぎわしたことがございました。  総理にお聞きしたいわけでありますけれども、これがタイムの記事でございます。(資料を示す)そんなに大きくはないんですけれども、ここに天皇陛下の軍服姿、これは当時で言えば大元帥閣下としての正式な軍装だったと思いますが、この写真が掲載されました。  タイム誌は、今世紀に大変影響を及ぼした百人を選ぶ、こういうふうなことで昭和天皇を選び、それについて総理に推薦文を寄せていただきたいという依頼があったわけでありますけれども、どのような推薦文を寄せられたのか、こちらに英語では書いてありますけれども総理のお言葉で御説明いただければと思います。
  119. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 去る二月にタイム誌より推薦の要請を受けました。自分といたしましては、昭和の御代といいますか、六十四年の長い御在位の中で、戦前、戦中、戦後、大変御苦労もされましたし、また私自身も個人的に、昭和天皇が崩御されたときの内閣官房長官として昭和の最後に立ち会い、かつ平成の元号を発表する責任にあった経験を踏まえまして、来るべき新しい世紀が真に日本そしてまた世界の平和と繁栄の世紀になるように尽力をいたしたい、こういう意味を込めまして御推薦させていただいたところでございます。  しかしながら、今回タイム誌が記事とともに掲載した軍服姿の戦前の昭和天皇のお写真は、このような自分の考えを体現しないものであり、タイム誌がそのような写真を掲載したことは大変残念に思うということを申し上げまして、内閣副広報官より東京支局長に対し遺憾の意を表明させたところでございます。  タイムというのは、アメリカ国内それからアジア版、ヨーロッパの版はちょっと記憶していませんが、それぞれの地域に出ておるんだろうと思います。そういう意味で、私としては、昭和天皇のあの終戦時における御決断といいますか御聖断といいますか、そうしたものを通じて今日の我が国の繁栄があり、このことをもってして世界平和にも我が国が貢献をするその礎を築かれたという気持ちも込めまして御推薦を申し上げたわけでありますが、確かに、御生涯の中には軍服を召された陛下もおられるでしょうし、また戦後国民とともに歩まれる皇室、そして新憲法における象徴としての天皇の御態度、こういうことを考えますと、軍服に代表される陛下でなくて、むしろ国民とともに歩まれ、日本国の象徴として、また日本が世界の平和に貢献するというその意味の象徴としての陛下のお姿とすれば私は遺憾である、こういうことでそのような対応をさせていただいた、こういうことでございます。
  120. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 そのような写真を使われたら困ると抗議をなさった、しかしタイムの方はその抗議は受け付けなかった、こういうふうな話のようでございます。  今の総理答弁を聞いておりますと、やっぱり願望としては、昭和天皇に対する国内的な見方は平和の担い手としてアピールしたいとお思いになっているようでありますけれども、例えば交戦国のアメリカとか、あるいはアジアの国々では、やっぱり昭和天皇のイメージというものは、戦争を終結させたということよりもむしろ戦争を始めたということのイメージがまだ強いというふうなことをこの写真でお感じにならないでしょうか。
  121. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) であればこそ、私としては、終戦といいますか、昭和二十年八月十五日に至る間の陛下の御聖断といいますか、そういうことに始まって、戦後の我が国が真に平和国家として世界に貢献していこうということを具現されたお方として御推薦いたしたわけでございます。先ほど申し上げる途中だったのですが、アメリカにおいてはそのお写真以外のものがあったのか、あるいは意図的にそうされたのか、非常に私としては私の気持ちを十分伝えるものでなかったという趣旨で申し上げました。  ただ、メディアに対する抗議あるいは訂正その他につきましてはいろいろな手法があるかと思いますが、例えばザ・レター・オブ・エディターというような形で真意を伝えるという方法もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私の御推薦を申し上げた気持ちにそぐうものでないということで、私としてはそのようなことを申し上げさせていただいておるところであります。
  122. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 私は、この写真を見るときに、アメリカあるいはアジア、それぞれの国が、盗聴法あるいは住民基本台帳法、そして国旗・国歌法案と、昨今大変急速に国家管理の色彩を強めている我が国に対する一つの潜在的な恐怖感、これのあらわれがこの天皇陛下の写真に出ているんではないのかなと思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  123. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) さすればこそ、そうした考え方で、日本国民もまた日本国の象徴たる陛下もそのようなお考えが存しないという趣旨をあえて世界に大きく御理解いただきたいということも気持ちの中にはあっただろうと思います。  であるがゆえに、今お話しのように、その写真を使われたことが、すなわち米国において今の日本における諸法律案に対しての対応とか、あるいはアジア諸国において日の丸・君が代の国旗・国歌の問題について、その気持ちのあらわれとしてそのお写真になっておるのだというようなことは私は全く考えられないことだろうというふうに理解しております。
  124. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 一部のマスコミにも出ておりますが、日の丸・君が代の法制化に当たって、かつての軍国主義との関連をどう総括するのか、その点が明確になっていない、こういうふうな批判もあるようでございますので、その点についての総理の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  125. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、今現在衆議院におきまして法案が提案されて御審議をされておられるところでございますので、そうしたところで十分御議論されておると思います。  私自身は、今国旗・国歌の問題につきまして、過ぐる大戦の時期における国民の国旗・国歌に持つ感情については、かなり世代を上にする方々にはそうしたお気持ちも全くないとは申し上げませんけれども、しかしこの戦後だけでも半世紀にわたる期間、国民的な考え方としては、これからの二十一世紀に向かって、我が国の国旗・国歌として存立するゆえんのものと理解をしておられると、こう認識をいたしておりまして、政府としても法案として出させていただいておるということでございます。
  126. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 最近の世論調査を見ますと、国旗・国歌の法制化については反対の意見が徐々に数を増している、そして反対と賛成が逆転をしているといった結果も出ております。私個人としては、国旗・国歌、特に歌についての法制化というようなものは絶対避けた方がいいのではないのかなと思っております。  私自身も合唱の経験を持っております。歌は自由です。歌の言葉の中にいろんな思い入れがあって初めて歌は命を持つ。例えば君が代と歌うときに、それを天皇陛下のことを思い浮かべて歌ってもよし、あるいは自分の愛する妻や子、あるいは父や母、あるいはふるさとの山や川、これらを思い浮かべて歌ってもいいんです。  しかし、それを法制化するということになりますと、当然立法者は言葉の解釈をしなければならない。解釈をする過程でいわゆる自由な意思というようなものに対する間接的な束縛を与えることは明らかでございます。そういう意味で、ぜひともイギリスの例に倣って、私は慣習法の段階にとどめておくべきなのではないのかなと思っております。まだ今からでも遅くはありません、この法案を撤回するお気持ちはありませんか。
  127. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国会において十分御審議をいただきたいと存じます。
  128. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 それでは、補正予算についての私の考え方を述べさせていただきたいと思います。  私は、今井議員あるいは先週行われた今泉、平田両議員の質問で、まさに今回の補正予算が泥縄予算あるいは羊頭を掲げて狗肉を売る、こういうような予算なのではないのかなと思っております。七十万人の雇用就業機会の増大と言うにはいかにもその額が少な過ぎますし、またその対策もすべて小出しであり、後出しであるわけであります。  そもそも今日の失業率の増大というのは世界的な構造変革の結果である。当然失業率が高くなってくるというのは予想しなければならない、対策をあらかじめ立てておかなければならないはずのものでありました。  そこで、まずお聞きしたいのですけれども総理大臣といたしましては、例えば構造改革とか経済の激変が日本を襲うなというふうな予感をなさったのはいつごろなのか、ちょっとその辺の個人的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
  129. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 個人的というよりも、自由民主党の議員という立場もありますし、一連の政策を遂行する与党という立場もございますが、いずれにいたしましても、これを考えますれば、円高の進展から冷戦終結による大競争時代の本格化に至るまで、国際経済環境は八〇年代半ばから大きく変化を遂げてきたところであります。九〇年代に至り、国内におきましてもバブル経済の破綻、人口構成の変化や消費構造の多様化が明らかになり、従来の我が国の経済システムが抜本的構造改革を迫られるに至ったと考えられます。こうした中で、歴代政権が取り組んできた構造改革、経済改革等は新たな産業と雇用機会創出を目指すものであったと思います。  私は、就任以来、これまでに増しまして、新規・成長分野における質の高い労働力の確保が円滑に進められ、労働者ができる限り失業を経ずに労働移動ができるよう、労働力需給調整機能の強化や職業能力開発対策を積極的に推進してきたところであります。  さらに、今回の緊急雇用対策におきましても、規制改革等による新たな事業創出、成長分野における雇用創出推進や人材移動特別助成金の創設等、民間部門における雇用創出や円滑な人材移動に向けた施策を盛り込んだところでございます。  今後とも構造改革や雇用創出、安定に積極的に取り組むことによりまして、二十一世紀が希望と活力にあふれる経済社会となるよう全力を尽くしてまいりたいと考えておるところであります。
  130. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 経済構造の変動というようなものはもう八〇年代の半ばから予測をしておった、これは大体皆さん一致していると思うんです。  本来でありますと、まず順番としては、新しい新規のパイをつくる、そしてそのパイに対して労働移動していく、そしてその上で今回の補正予算で出されるような緊急対応に入っていくというようなものが通常の一つのパターンだと。ところが、今もって新産業を十分に育成し切れていない、新しい経済のパイをつくれていない、そういう状況で、大変泥縄式な対策を今回の補正予算でもつくってくる、これは私は大変政府の猛省を促したいと思う次第であります。  そこで、検証の意味でちょっとこちらにまとめたフリップがありますけれども、(図表掲示)これは通産省あるいは経企庁が中心になってつくった二〇一〇年を目指したいわゆる十五分野の雇用・市場規模の拡大見通しでございます。見通しということでありますけれども、一定の数字を挙げております。例えば、二〇一〇年を目指して拡大見込みが、十五分野で現時点では一千六十六万人の雇用が一千八百二十七万人、七百六十一万人増大する。それから市場規模も百九十八兆円が二〇一〇年には五百六十一兆円になる。大変遠大な計画を立てられた。  この計画の、見込みということでありますけれども、現時点での達成状況といいますか、その辺の実績をちょっと聞かせていただきたいと思うんですが、まず概括的に通産大臣からお話をいただきたいと思います。
  131. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 平成九年五月に閣議決定をいたしました経済構造改革のための行動計画は、医療・福祉、情報通信、環境等の今後成長が期待される十五の分野について、関係省庁が総合的かつ戦略的に取り組むべき政策パッケージを整理し、これを政府一丸となって強力に推進することを目的としたものでございます。新規・成長十五分野について公表されている数字は、こうした総合的な政策を講じることによる効果として二〇一〇年においてどの程度の雇用・市場規模が見込まれるかをあくまで参考として示したものでございます。  通産省としても、新規・成長十五分野について各種の施策を講じてきたところであり、例えばまず第一に、医療・福祉分野については医療機器、福祉用具に関する技術開発を医学的、工学的見地から実施、第二に、情報通信分野については電子商取引の推進に向けた行政、研究開発、教育等における情報化の推進、第三には、環境分野については資源循環型経済社会システムの構築を目指したエコタウン事業推進などに取り組んでおります。こうした新規・成長分野ごとの取り組み等を通じ、引き続き政府一丸となって新規産業の創出及び良質な雇用機会の確保のための環境整備努力してまいる所存でございます。
  132. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 単なる見込みだからとの答弁であります。しかし、このような計画をつくる際には、当然アクションプログラムをしっかりとつくり、また事後的な評価体制というようなものをつくりながら進めていくというのが、これは経済計画の常道なんじゃないんでしょうか。そういうフォローアップのシステムを持たないでこれを立てたというようなことについて問題点をお感じになりませんか。
  133. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日本は別に社会主義経済でもなければ計画経済でもございません。ただ、政府としては、大体世の中がこういう方向に進むと政府もみずから努力をいたしますし、民間においてもそういう一定の方向性を持って企業努力をしていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  134. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 計画経済じゃないというのは、この議論を予算委員会でやっているときに再三いろんな大臣がおっしゃいます。しかし、だからといってその見込みが根拠のないものであってはならないと思うんです。そういう意味で、私は、本当意味でこの見込みというものがなかなか恐らく今のところしっかりと到達できるような、そういう実現可能性というのは非常に少ないからあのような答弁になるのではないのかなと思うんです。  そういう中で、なぜこのような計画の仕方がだめなのかということを考えてみるときに、私は最初から思ったんです。十五分野ということですべての分野にばらまいて、どこにインセンティブがあるのかということが全然示されていない。私は、かつての通産省のいろんな計画の中では、例えばこれから軽薄短小の時代ですよと、その時代一つの指針というようなものがあったような感じがいたします。しかし、この十五分野ということでばらっとばらまかれたことによってその辺のインセンティブが社会的、経済的に非常に薄められてしまったんではないのか、あるいは政府がその部分についてのしっかりとした認識を持っていないからこういうふうな不十分な計画になったんではないのかなと思うんですけれども、通産大臣、いかがですか。
  135. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) バブルがはじけました平成二年から三年にかけて、経済に対して経済評論家を初め学者の多くの皆さんあるいは我々も含めて何を考えていたのかということを思い起こしていただきたいと思います。  それは、バブルがはじけたのは構造問題ではなくてむしろ循環的な不況がやってきたんだというふうに多分私どもは理解していたんだと思います。その後、やはりこれは循環的な不況だけではなくて、日本の経済構造そのものに実は問題が起きているんではないかということに多くの方が気がつき始めました。それは複合不況という形でも呼ばれていた時期でございまして、これは循環型経済不況と構造的な不況とが重なり合っているんだと、そういう理解をしていたわけでございますが、もちろん循環的な部分もありますし、むしろ我々が二十一世紀を目指すのであれば、やはり構造問題に大胆に取り組んで二十一世紀に日本もまた強い経済を持てる、そういう方向を考えなければならないというのが小渕内閣の競争力に対する私は基本的な考え方であると思っております。  そして、そこに掲げております十五分野というのは、むしろ社会のニーズあるいは国民のニーズにこたえる分野はどういう分野かということが書いてあるというふうに私は理解をしております。荒唐無稽にばらまき的に分野を並べたわけではありませんで、例えばその中に環境ということが書いてありますが、十年前に環境分野が産業としても社会的ニーズが出てくるということは恐らく考えていなかったんだろうと思いますが、現在では環境とか介護とか従来は考えられなかった分野に国民的ニーズがある。そういう分野を点検していった結果がその十五分野であると思いますし、また経済自体の変化、例えば情報産業とか通信産業が大変盛んになるという分野に対応するためにはどういうふうに雇用がふえていくのかということを頭の中で考えた話でございまして、実体経済にそれが実現するためには政府も相当政策的な努力をしなければなりませんし、また民間の方も勇気を持ってそういう分野に進出し投資をしということがなければ、ただこれは絵にかいたもちになってしまうということであれば、先生のおっしゃるとおりでございます。
  136. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 本委員会でも出ておりますけれども、アメリカでは一九八〇年代に大企業が三百五十万人の雇用削減を行った、一方、従業員五百人以下の小規模企業が一千七百万人の雇用創出したと言われておるわけでありますが、この要因を通産大臣はどのように分析なさいますか。
  137. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一つティピカルに言われております話は、やはり一九八五年を境にとりましたプロパテント政策、技術を大切にする政策というのが大いに効果があったと言われております。かてて加えまして、私はそのプロパテント政策というものを生み出せるだけの科学の力、技術の力というものがやはりアメリカにはあったんだろうし、それが私は花開いたんだろうと思います。  我々が心しなければならないのは、ただ新規産業を創出するとかあるいは新規分野に行くんだということだけではだめなんで、それを支えるアイデアあるいは科学や技術、こういうものに心して国の資源を投下していかなければ、私はベンチャービジネスというものは発現をしないんだろうと思います。  今の論じられ方は、何かお金があれば、そして勇気のある青年がいればベンチャービジネスというのは急にできるというふうに錯覚をしている人がおるんですが、やはりベンチャービジネスが生まれるための一番根っこのところにある力というのは科学や技術の力だと思いますし、その科学や技術の力というのは、医療や健康や環境やすべてを含んだ科学や技術の分野で日本が基礎的な力を持っている、その基礎的な力を活用して業を興す、これが私は正しい手順であろうと思いますし、そういう環境が整った中で、例えば資金が足りないという場合にはみんなで応援をする。これはベンチャーキャピタルのマーケットしかり、あるいは公的な分野から資金を応援するというアメリカ的な考え方もしかり。こういうものは必要になってまいりますが、基礎になる分野、それはやはり厚みのある基礎的な力だと、私はそのように思っております。
  138. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 私も、今の基本認識は通産大臣と全く同じであります。  ただ、もう一つつけ加えさせていただければ、科学技術の力ともう一つはやっぱり情報の力だと私は思っております。  実は、ここに「九〇年代のアメリカにおける雇用増加上位二十業種」というようなものが、これは野村総研の資料でございますけれども、(図表掲示)ずっとこれを眺めたときに、コンピューターネットワークを巧みに利用した業種がぐんぐん伸びている、こういうふうに認識をすることができるんではないのかなと。人材派遣にしてもレストラン・バーでも、流通でございますけれども、その流通を効率よくするためには絶対欠かせないネットワークの力というようなものがある。  すなわち、私が言いたいのは、先ほど十五分野と、このように申し上げましたけれども、この分野の縦軸としてしっかりとあるのは、やっぱり一つは情報革命なんだと。こういう点は筋の立った柱として私は立てるべきなんではないのか。ということで、私はその情報革命の本質を問うという質問をさせていただきたいと思います。  よく情報化の問題といいますと、情報通信産業のバックアップと勘違いなさっている方がある。私はこれは大間違いだと思います。端的に言えば、キーボードがたたけなくたって、パソコンの本当意味での道具としての特色がどこにあるのかということをわかっていればどんなことだってできる。どんな機構改革だって、新しいビジネスへのチャレンジだってできる。しかしそれがわかっていなければ、キーボードがたたけたって結局その人にとっては道具でしかない、こういうふうなことだと思うんです。  そこで私は、情報教育というようなことで最近随分熱心に取り組んでおるようでありますけれども文部大臣にお伺いしたい。情報教育の本質といいますか、どこが一番大切だと思っているか、その認識を聞かせていただきたいと思います。
  139. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 大変世の中変わったと思います。私が初めて計算機を導入しようと言ったときに、おまえは頭が悪いから計算機を使わなきゃいかぬのかと批判をされたものでありました。今そういうふうな人はほとんどいなくなった。大変世の中が進展したと思っております。  しかし、先生の今御指摘のように、単にハードウエアを使えるようになるだけではだめだと思います。まず、ハードウエアに対してソフトウエアを十分こなすような人間ができてこなければだめで、日本の中で一番おくれているのはソフトウエアの方だと思います。  それからまた、先生は多分ソフトウエア、ハードウエアという、そういうことではなくて、もっと情報化社会というものにはどうしたらいいかということを今お聞きになろうとしておられると思うんですが、まず機械に使われないように、人間が主体的に、創造的に対応できていかなければならない。そして、情報が余りにもあふれている中で、適切な情報を選び出す能力、それを生かす能力を教育していかなければならないと思っています。そして、情報化が人間の社会に悪い影響を与えないように、よい影響を与えるように今後努力をしていかなければならないと思っています。  そういう意味で、情報社会の中へ参画していく上で、人間として最も理想的な姿を教育していくべきだと思っております。
  140. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 もっと明確に答えていただければと私は思うんです。  どうも情報教育といいますと、道具を教えること、操作性の教育を情報教育と勘違いしている教師が多いんじゃないのか。そうじゃないんです。子供たちに、こういうすばらしい道具がある、この道具を使ったらあなたのこういう気持ち、例えば趣味とか友人とか、こういうのが無限に広げられるんだよという、言うならば道具を使う前の、自分が何をやりたいのかという、その自分をわかってもらう、それを教育の出発点に置かなきゃだめだと。その辺をすごく履き違えているような感じがするんですけれども、いかがですか。
  141. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 決して履き違えているわけではありませんで、先生のお考えと私は全く同じだと思います。ただ、しかしながら、まず道具が使えないことには自分のものが表現できないということもありますので、やはり道具の使い方も教えなきゃいけない。畳の上の水練ではだめでございます。  そういう意味で、文部省といたしましても、平成十四年度から実施予定の新しい学習指導要領におきましては、小学校段階から新設されます総合的な学習の時間を初め、各教科等の学習においてまずコンピューターやインターネットをどう使うかということを教えてまいりますが、先生のおっしゃられるように、さらにまた計算機を使うことによってどういうふうに人間を、自分自身をあらわしていくか、そういうさまざまな情報に振り回されないような教育をしていかなければならないと思っています。中学校や高等学校で新たに情報に関する教科を必須といたしまして、より高度なコンピューター活用や情報に関する科学的な理解、情報に関するモラルの育成を教えていきたいと思っています。  精神は先生のおっしゃるとおりでございます。
  142. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 最近、行政の情報化ということがどんどん進んでまいっております。ホームページもたくさんできましたけれども、どうもそのホームページが各省庁ばらばらで、またその規格も統一されていないし、こちらの省庁にはあったりこちらの省庁にはなかったりというふうな感じがするんです。  利用者すなわち国民に使いやすい各省庁の情報化の窓、これがホームページです。この際、そのホームページのつくられ方についての一つの基準というようなものを明らかにする必要があるのではないのかなと思うんですが、総務庁長官、どうでしょうか。
  143. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えをいたします。  行政の情報化の具体的な取り組みは、今各省庁でインターネットのホームページを活用した各種行政情報の電子的提供の促進をし、また国民からの申請・届け出手続について、ネットワークによる申請を可能とする措置やワンストップサービスの推進を図っているところであります。  行政部内の情報化も今進めておりまして、行政事務のペーパーレス化などの事務処理の効率化、省庁間、省庁内のネットワークを活用した文書交換システムや情報公開制度に対応した文書管理システムの整備などを進めているところでございます。省庁再編など行政改革が進む中にありまして、行政の情報化を一層強力に推進することを考えております。  今、委員の言われました省庁の中でのスタンダードというものをつくるということでございますが、今は、霞が関のLANとかWANとかいうことで統一的に進める、対国民に対するサービスの方ではありませんけれども、省庁間の文書交換などについては統一的に進めているというふうに考えております。  なお、今行政改革のことにこの情報化が関連があるという委員のお考えでありましょうけれども、それはもとよりそのように考えておりまして、平成十年から十四年までの五カ年計画で行政の情報化を行政改革の重要な手段として位置づけて、総合的、計画的に推進しようというふうにいたしております。
  144. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 大蔵大臣にお尋ねをしたいんですが、大蔵省のホームページをごらんになったことはございますか。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) もとはございませんが、プリントアウトしたものはたまに見ております。
  146. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 実は、私もきのうの夜久しぶりに大蔵省のホームページを見てみました。随分使い勝手はよくなっているような感じがいたしますけれども、若干問題があるなと思ったのが「先輩だより」でございます。これ、ダウンロードしてまいりましたが、言うならば大蔵省に入ったⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の方が後輩に託すメッセージというようなものを送っていらっしゃる。  それはそれで大蔵省にとってはいいことでしょう。しかし、すべて登場人物の写真がついているんですね。インターネットをやってみればわかるんだけれども、写真というのはすごく重いんです。だから、この「先輩だより」に載せられた大蔵省のエリートの皆さんの写真を見、文章を読むために物すごくホームページの容量を使われているんですよ。  だから、すなわちホームページはだれのためにあるのかということなんです。大蔵省に入らんとする人たちのためにあるのか、あるいは大蔵省の情報を見たいと思う国民のためにあるのかという観点がちょっと僕はずれているような感じがするんですけれども、いかがでございましょうか。
  147. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういうお尋ねを承りましたので、詳しいことであればまた官房長から申し上げますけれども。  確かに、写真、映像を使いますと大変ハードディスクの記憶容量を使います、これは文字と比べものになく使うそうでございますから。しかし、写真がない文章だけというのは、またこれ、私はこうやっているとかああやっているとかいうんですが、これもまた色気のないものですから、どこかその辺のところで、使い過ぎているようでしたら、よくそこは御趣旨を体しまして、しかし、べただけでもいけませんから工夫をさせます。
  148. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 ホームページは国民のためにあるというその視点をぜひとも踏み外さないでいただきたいと思います。  さて、本当に残り時間が少なくなってまいりました。  先ほど通産大臣の答弁の中に、科学技術の重要性というようなことがありました。総理に聞いてみたいんですけれども、岐阜県の神岡町にある東大宇宙線研究所に行かれたことがございますか。
  149. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大変関心を持っておりますが、残念ながらまだ伺っておりません。
  150. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 先日、私は行ってまいりました。有馬文部大臣の額がちゃんとありましたので、どんなものか、ちょっと有馬文部大臣に説明していただくとともに、もう持ち時間がなくなってしまいましたということで、一つだけ。  実は、神岡でニュートリノについてのすばらしい実験を昨年やりました。そしてつい先日も、つくば市から二百五十キロの岩盤を通してニュートリノを神岡の宇宙線研究所に当てることに成功した。それによって、ニュートリノに実は質量があるのではないのかなというふうなことが確認をされて、今実は世界がこの分野について大変な興味を持っている。  私が一番残念に思っているのは、こちらにアメリカのマサチューセッツ工科大学の、やっぱりこれもホームページからダウンロードしたんですけれども、昨年の六月の実験直後にクリントン大統領が、日本の神岡の実験成果についてマサチューセッツ工科大学の卒業式でちゃんと触れているんですよ。アメリカの大統領が、日本総理大臣が知らない実験をしっかりと知って、しかもそれをアメリカの科学技術の一番盛んなマサチューセッツ工科大学の卒業式で、日本にもしかしたらまた抜かれるかもしれぬよというようなことで話をするんです。これがやっぱり科学技術を喚起するための政治家のリーダーシップの一つのすばらしいあらわし方なんだろうなと私は思うんですね。  ぜひとも総理にそのような、科学技術というのは新しい知的世界に挑戦をする挑戦者です。その挑戦者への称賛といいますか、それを社会的にバックアップするような、そういうことをやっていかない限りは、私は、本当意味日本がすばらしい科学技術を持って新しい新規産業を生み出していくという力は生まれてこないのではないのかなと思います。  ということで、答弁はもう結構です、時間がおくれましたので。  以上でございます。ありがとうございました。
  151. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で今井澄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  152. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
  153. 山下栄一

    山下栄一君 私は、まず最初に、この平成十一年度の補正予算の財源の問題でございますけれども、これは、平成十年度の決算の結果を踏まえてそれが組み込まれておるわけですけれども、ただ、この平成十年度の決算の中で税収の見込み違いといいますか、これが非常に甚だしくなっているという、この問題点を取り上げたいというふうに思うわけでございます。  平成十年度は三回補正を組んだわけでございますけれども、最終的に税収不足が七千四百七十億円というふうになっておるわけです。特に、法人税でございますけれども、法人税収が、当初見積もり十五兆二千七百四十億円、三度の補正予算の中でも二度減額修正、第一次六百七十億、第三次三兆五千億やって、なおかつ三千億円の不足が生じている。これは、今回の補正予算を組む前提となった平成十年度の決算の結果わかっておるわけでございますけれども、当初予算から見ればこれは三兆八千五百億円強の見積もり違いが生じたことになる。誤算率三三・七%。これは過去二十年間、最大の誤算になっているわけでございます。  こういう事態になぜ陥ったのか、その原因について大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 平成十年度の財政見積もり、租税収入見積もり、当初五十八兆五千億でございましたが、決算としては四十九兆四千億でございますので、その間非常に大きな、九兆一千億円の対当初の増減になりました。その中でも法人税は今おっしゃいましたような落ち込みをいたしたわけであります。  原因は二つあったと思いますが、一つは、いわゆる発射台と称するもの、最初の計算のベースにいたしました平成九年度の税収が見積もりよりもかなり現実には減ったということがあると思います。御承知のように、見積もりの時期が大体十一月から十二月でございますので、その後にもっと大きな目減りがあった。  しかし、それと同じぐらい、少なくとも同じぐらい私は平成十年度の経済の推移についての見方が事実と違っておったと。だれの責任ということを申すつもりはございません。そうではございませんが、これだけの十年度の不況というものが大規模であり、かつ永続的であったということについて、それは殊に御承知のように法人についてあらわれるわけでございまして、法人がある意味では従来戸惑っておりましたいろいろな不良部分を決算に出してきたということがあると思いますけれども、それにいたしましても、それは非常に大きな金額でございました。このことが法人税収の落ちに一番の関係があったというふうに思っております。
  155. 山下栄一

    山下栄一君 今、二つの原因のうち一つだけ言っていただいたんですね。  次の質問が中心の質問なんですけれども、昭和五十三年度に財政難を理由にして税収区分を見直して、年度内、三月までに納税義務が発生した場合でも、翌年四月、五月に納入された税金、これもその年度の税収としてカウントするというふうになったわけでございます。この変則的な税収区分が税収見通しを非常に困難にしておる、これがずっと昭和五十三年度から続いておるということがこの見積もりの誤りの一つの大きな原因でもあるというふうに思うわけでございます。  大蔵大臣が、昭和六十三年、当時も大蔵大臣であったわけですけれども、この税収区分の現状につきまして、余り都合のよいことじゃないということを認めた上で、今後の財政事情の変化を見ながらよく検討すると、このように参議院予算委員会で答えられておるわけでございます。さらに、平成三年、今度は総理大臣のお立場で、衆議院本会議ですけれども、見積もりが狂うのはやはり税収の年度区分が悪いのではないかということを痛感している、いつか直したい、このように考えているというふうに答弁をされておるわけでございます。その間、その間というか昭和六十二、三年の財政事情が極めてよかったときにも見直されないままに今日に至って、今最悪の状態になっているわけでございます。  いずれにしましても、この税収の算出が非常に信頼できない状況になっておるということ、これは非常に大きな事態であるというふうに考えるわけでございまして、いつか直したいとおっしゃって七年、八年たつわけですけれども、やはり本来の税収区分、四月一日から翌年の三月三十一日納入分で切るという基本に戻すべきだというふうに考えるわけです。繰り返しこの問題についてはお考えになってきたわけですけれども、そろそろ結論をお聞きしたいなというふうに思います。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは昔からこの問題についての御指摘がありまして、正直を申し上げていまだに御指摘にこたえていないということを正直に申し上げなければなりませんけれども、理屈としましては、これはもう前にも申し上げました。  税収というのは納税義務が発生したそのときに属するという考え方でございますから、そういうわけで年度内に納税義務が成立しております税収はその年度に属するということで、三月期決算法人の法人税は翌年度の五月税収に本当はなるべきところを当年度に組んでおる。この理屈はこれでよろしいのですが、ただ、先ほど私は平成十年度の法人税収を、十一兆四千億でございますが、申し上げましたが、実はそのうちでことしの四―五月に入っておりますのが四兆六千億円ございますので、四〇%は実は今年度になってから入っているという、こういうことを毎年毎年繰り返していくようなことになっていますので、これを変えるとなりますと非常に大きな特例公債でも出しませんと、そのつなぎ目が泳げないという問題がございまして、言いわけみたいなことでどうも立派なお答えにはならないんですが、それをずっと続けてきておりまして、確かにこれが税収見積もりを困難にしておる、そのとおりと思います。  結局、五十三年ですから、二十年間やってまいったということになりますけれども、どう申しますのでしょうか、もう少しいい時代になりましたら何とかしなきゃならぬなということは考えておりますけれども、なかなか今どうも変えられないというのが正直な話でございます。
  157. 山下栄一

    山下栄一君 次の問題に移ります。  ダイオキシン類対策特別措置法、七月十二日に成立したわけでございますけれども、去年の九月から法案に取り組んできました我が党といたしまして、多くの関係者の方々の支えがあって、また住民の皆様方の厳しい監視もあって、今国会で成立にこぎつけた、感無量であるわけでございます。  ただ、この法律は、国の枠組みはできましたけれども、かぎを握るのはこれからであるわけでございます。すなわち、来年一月に施行されるわけですが、その成否は、政省令事項、環境基準を初めといたしまして、対象施設もこれから特定されていくわけでございます。中央省庁にゆだねられている。また、対策の実施主体、これは自治事務でございますので地方自治体がかぎを握っておるわけでございます。まさに枠組みはできたけれども、その成否はこれからだというふうに思うわけでございます。  このダイオキシン問題、二月に閣僚会議でも取り上げられて、内閣の最重要課題、最重要課題が多いわけですけれども、ダイオキシンもその大きな課題だというふうにおっしゃった小渕総理のこの法律の実効性に万全を期すための御決意をお伺いしたいと思います。
  158. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) このたび、国民の健康をダイオキシンから守ることを目的とするダイオキシン類対策特別措置法が議員立法によりまして成立をいたしましたこと、政府といたしまして深く敬意を表するものでございます。  ダイオキシン対策は、国民一人一人の安全性を確保し、安全へのかけ橋を築いていく上で重要と認識をいたしており、これまでも政府一体となって取り組みを進めてきたところではあります。今後は、法が成立したことを真摯に受けとめ、地方公共団体とも連携を図りつつ、ダイオキシン対策をさらに強力に推進することにより、国民の皆様の不安の解消に努めてまいりたいと思っております。  御指摘のように、これから政省令等を出していくわけでありますけれども、まさにこの法律が制定された趣旨をそのもととして、十分な政府としての対応を、もちろん閣僚会議もそうでありますけれども、万遺漏なきを期して努力をいたしていきたい、このように考えております。
  159. 山下栄一

    山下栄一君 それにかかわる話ですけれども、二十一世紀は環境配慮が求められる、そういう社会になることは間違いないと思うわけです。中央省庁の再編、法律が通りまして、平成十三年一月に発足するわけですが、環境庁の組織、定員等の体制強化、これは総理大臣、既に国会答弁でお答えになっておられますけれども平成十三年一月ということは来年度予算に反映させなければならない、今まさにこれは取り組まなければいかぬわけでございます。この十二月の政府原案を目指しまして、これは総理の特段のリーダーシップにかかっておるわけでございますけれども、この点のお考えをお聞きしたいと思います。
  160. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まさに環境省として出発をするわけでございますので、そのための準備怠りなく対処していきたいと思いますし、庁から省に格上げされたこのゆえんのものも、国民に対する責任と政府の中での環境省の重さということがあるかと思いますので、その十分な配置その他、環境省にふさわしいものにしていくべくこれから最善を尽くしていきたいと思っております。
  161. 山下栄一

    山下栄一君 排ガス規制の問題につきまして、環境庁それから厚生省にお伺いしたいと思います。  一月施行までに排出基準を決めるわけですけれども、これは新設炉と既設炉で今差を設けながら行政指導をやっておるわけです。平成十四年まで八十ナノグラムという基準で既設炉は猶予されているというふうに考えるわけですが、これを見直さなきゃいかぬと。来年一月施行と同時に排出基準は新しく法律事項として実施されるわけですから、今までの行政指導を改める必要があると考えますが、お考えをそれぞれお聞きしたいと思います。
  162. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) まず、廃棄物の焼却施設の排出濃度基準の設定でございますが、今、委員御指摘のように新設の場合と既設の場合で基準を異にしておりますが、これは一々申し上げませんけれども平成十四年の十一月までは八十ナノグラムということになっておりまして、平成十四年十二月以降につきましてはこれをさらに相当強化する基準値を設定してございます。これは、いろいろの技術的可能性を考慮した上で、できるだけ低い値を設定したものというように私どもは理解しておりますが、今度のダイオキシン特別措置法の制定によりまして、最終的には最新のデータを踏まえて、専門的な見地からの検討が必要であるという認識は持っております。  したがって、生活環境審議会におきましてTDIも四ということで、政府の方でも先般のダイオキシン閣僚会議で報告させていただいておるわけですが、産業廃棄物焼却施設に係る基準の妥当性を検証するために、厚生省としては廃棄物処理法に基づく排出濃度基準の見直しの必要性について検討を進めていきたいと思っておるところでございます。
  163. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ダイオキシン類の危害については国民一致した危険性を持っておりまして、全党一致でこのたびダイオキシン類対策法案が通過いたしたわけであります。それに基づいて、これからいろいろな問題が派生するわけでありまして、的確に対応していかなければならないと思っております。  先生今御指摘の大気汚染防止法でございますけれども、これに基づきまして、廃棄物焼却炉等に対しまして可能な限りの排出抑制を図るという観点から、新設の施設については現在とり得る限りの厳しい基準を設定いたしておるところであります。また、既設の施設については技術的な対応可能性をもとに当面の基準を設定するとともに、先ほど御指摘のありました平成十四年の十二月からさらに厳しい基準を適用することといたしております。  そして、今後、環境庁といたしましては、ダイオキシン類対策特別措置法の施行に向けて排出基準値の設定について、現在の基準値の見直しの必要性も含めて検討を急いでまいりたいと考えておる次第であります。
  164. 山下栄一

    山下栄一君 結論から申しますと、現行の行政指導、既設炉に対しては見直しをして、国民の皆さんが納得できる対応をお願いしたいと思います。  残された時間、青少年問題をお伺いしたいと思うわけでございますけれども、青少年の問題というのは世界的な課題になっておるわけでございます。  よく言われますように、青少年の凶悪事件が激増しておりますし、薬物汚染、低年齢化、性犯罪の増加、いじめ、また高校中退者がどんどんふえておるという状況、極めて深刻な問題であるわけです。  私は、この一月に出されました青少年白書、これを見させていただきまして、特に十代の青少年が一番大きな問題であろうと思うわけです。青少年問題審議会、これは首相の諮問機関であるわけですけれども、また有馬大臣も直接中教審等、有識者会議にかかわってこられたわけですけれども、私はこれを読ませていただいて、現実のこの十代の子供たち、青少年の命に響かない、そういう対応になってしまっているなということを感じるわけです。  大人が青少年に対して指導するということではないんでしょうけれども、命に響くような状態になかなかなっておらない。何となく、いろんな会議をつくり施策をされておるんですけれども、心を揺り動かすような状況になっておらないということはどこから来ておるのかなというふうに感じるわけですけれども、やはり青少年の側に立った施策が最も求められておる。もちろん、そういう観点からお考えなんでしょうけれども、非常にずれがあるなということを感じます。  私は、特に学校教育、それはもちろん高校もありますし中学もある、そして各種学校、専修学校、いろんな教育機関があるわけですけれども、そこから社会に出る接続の問題、これは現状は非常にうまくいっておらないというふうに思うわけです。健全に青少年を社会参加させていく、そして思いやりの心を育てるための貢献ができるような、そんな社会参加の活動に参加させていく仕組みが余りないというふうに思うわけです。  NPO、法律は施行されておりますけれども、そういうところにも自然に入っていけるような、そんな仕組みも情報不足でできていないというふうに考えるわけですが、この点につきましての総務庁長官、所管大臣、それから総理大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  165. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、私から御答弁申し上げますが、なかなか難しい問題であろうと思います。  ただ、山下委員も中学、高校の教諭として青少年の教育に携わった御経験も持っておられるわけでございますので、いろいろ御苦心もあったことだと思っております。  青少年について、お話しのように、いろいろと不良化あるいは麻薬の汚染の問題、性犯罪等々、大変暗いニュースばかりが非常に報道されるわけでございますが、もちろん、こうしたことは改めていかなければならない、諸政策は講じなきゃならぬと思いますけれども、同時に、今お話のあったNPO、またある意味ではNGOなどの活動を通じて青少年の皆さんもみずから社会に貢献しようと、あえて意図するまでもなく自発的にそういう行動をとっておる者も非常に最近多くなっているんじゃないかなという気がいたしております。  そういう意味で、戦後のいろいろ教育の中で、学校教育もさることながら、家庭教育等におきまして、自信を持ってみずからの子供を含めて教育をするということについてややちゅうちょしたようなことがございまして、そういった点にもろもろの問題も惹起してきておるのではないかと思います。  繰り返しますが、ぜひひとつ、みずから自発的に社会のためにいろんな形で働いておる端的な例が、あの阪神・淡路のときにいかに多くの青少年があの地に参って努力したかというようなケースを見ますると、そうしたことを助長し、これからもやはり世の中としてもこれを認めていくような目を持って対処することも必要なんじゃないかなということを感じておるような次第でございます。
  166. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  青少年の健全育成を推進していくためには、NPO活動、ボランティア活動などの社会参加活動の実践を通じて、青少年みずからが社会とのかかわりを自覚して積極的に社会の中で役割を果たしていく機会を持たせていくことが極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  結局のところ、社会の中で自分が不可欠の役割を果たすことになっているということはだれしもそうなのでありまして、そのことをよく自覚するということは、すなわちそのようなことをもう中学生、高校生のときに経験をしておくということは、まことに大事なことでございます。  いわゆる青少年対策推進要綱というものが平成九年にできておりますけれども、その中でも青少年のボランティア活動の促進というのは大変大きな位置づけを与えております。  総務庁は青少年対策本部を所管しておりますけれども、青少年対策本部におきましても、青少年ボランティア活動等促進連絡協議会というのを毎年ブロック単位で開いているところでございます。
  167. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 今、ボランティアについては総理及び太田長官よりお答え申し上げましたけれども、職業教育ということは非常に大切だと思っています。  したがいまして、現在いろんな工夫をしております。緊急地域雇用特別交付金を活用いたしまして、企業の経験者等が高等学校においてきめ細かな就職相談に応じたり学校が職業教育をする際に大いに支援をする、それから子供や学生がインターンシップに参画いたしまして企業で少し勉強してみるとか、さらにまた地域の例えばスーパーマーケットというようなところで勉強してみる、こういうふうなことを促進しようとしているところでございます。
  168. 山下栄一

    山下栄一君 労働大臣にはまた別の機会にお聞きしますので、きょうは申しわけありません。  では、加藤委員に譲ります。
  169. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 関連質疑を許します。加藤修一君。
  170. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今回の補正予算の中で、新規・成長分野雇用創出推進事業ということで緊急対策が内訳にございますけれども、私は、中長期的な視点に立ってもこれは非常に重要ではないかと思います。この分野の成長、雇用創出をどういうふうに図っていくか。例えば環境関連分野については、先ほど簗瀬委員の方から配付された資料の中では、二〇一〇年で市場規模三十七兆円、百四十万人の雇用創出を展望しているわけでありますけれども、私は、環境関連分野の成長、雇用創出を促進させていく上では行政が民間に向けてどのようなシグナルを出すか、そういうことが非常に重要ではないかと思います。  先ほど与謝野通産大臣が、この数値については国民的ニーズである、そうであるけれども、やはり政府政府として政策的に対応しなければいけない、努力が必要である、さらに心して国の資源を投入していかねばいけないという答弁があったわけでございます。  そこで、私は総理にお尋ねしたいわけでありますけれども総理はGEA、地球環境行動会議、そのメンバーとして環境問題に熱心に取り組んでおられると聞いております。今日の環境問題は、地球環境問題から身近な危険でありますダイオキシン問題、これは非常に国民の生活に幅広くかかわっている、そういうふうに考えておりますけれども総理の二十一世紀に向けた環境行政のビジョンを明確に示していただければと思います。
  171. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) かけがえのない地球を守り、これを子孫に引き継いでいくことは私たちに課せられた最も重い責任の一つであります。  この責任を果たすべく、地球温暖化問題への対応、ダイオキシン対策などを進めることによりまして環境への負荷の少ない循環型経済社会を実現するとともに、国際的な取り組みにリーダーシップを発揮していくことが必要であると考えております。  このような認識のもと、環境行政の充実強化を図るべく環境省の創設も決定されたところであり、二十一世紀に向けて、地球環境の保全から国民一人一人の安全の確保に至るまでを旨とする安全へのかけ橋を築いてまいりたいと考えております。  時あたかも、京都におきましてCOP3が開かれました。我が国も環境問題につきましては、熱心にこれにお取り組みいただいた多くの国会議員の先生方はもとより、社会におきましてもこれに取り組んでおられる方がありまして、先ほどお話がありましたGEAにつきましても、今、平岩さんが会長になっておられますけれども、我々議員も含めまして参加をして、民間の中からもそういう声を大きくしていかなきゃならぬということで努力をさせていただいておるわけでございます。  そういった意味で、日本にとりましてこの環境の問題は、日本だけの問題でなくして、世界をリードしていく国としての環境問題に対する国民的な大きな運動を展開すると同時に、世界に発信していくべき大きなテーマであると思っております。  また、経済の問題から考えましても、やはり環境問題に対して経済的ないろいろの、雇用の問題も含めまして、大きな役割があるのではないか。こういった観点からも取り組んでいくべき大きなテーマだというふうに認識をいたしております。
  172. 加藤修一

    ○加藤修一君 そこで、実は参議院の行財政改革・税制特で附帯決議がなされたわけですけれども、衆議院に引き続き、「国際情勢、環境や福祉などの国民の行政ニーズの変化等を踏まえ、組織の在り方、所掌事務、定員配分等について、」「政治主導で見直す」とされたことに加えて、参議院の附帯決議としては、「循環型社会への転換及び自然との共生を図る観点から、環境省の体制強化を図り、環境関係行政の統合一元化を積極的に進める」と、そういうふうに書かれてあるわけでありますけれども、これを受けて総理はこの辺についてどのように御決意をされていらっしゃるか、お示ししていただきたいと思います。
  173. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは省庁改革法案の審議のときにも御答弁申し上げておりますが、いよいよ環境省の体制に入っていくわけでありまして、この環境省にふさわしいものとなるよう十分努力をいたしていきたいと考えております。  環境省への環境関係行政の一元化につきましては、中央省庁等改革基本法の趣旨にのっとりまして環境省設置法が成立いたしておるところでありまして、さらに具体化の作業を進めてまいりたいと考えております。  御指摘の附帯決議、今、先生が御指摘されましたが、この点につきましても、十分、今後の作業に当たりまして、その趣旨を体して配慮をいたしてまいりたいと考えております。
  174. 加藤修一

    ○加藤修一君 ただいまの答弁の中で具体化の作業を進めていくという話がございましたけれども平成十三年一月の環境省発足に際しては、既に総理答弁されていますように、環境省にふさわしい体制を整える、そのために十分な組織、定員等の体制の充実強化を図るとともに、十分機能を果たし得る予算措置を講ずる必要がある。  平成十三年一月から三月までの三カ月間は平成十二年度の第四・四半期に当たるわけでありますけれども、そこで来年度の予算、組織、定員においては環境省の特殊事情に十分配慮した措置を講ずるべきと考えておりますが、この辺についても総理の御決意をお示ししていただきたいと思います。
  175. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘をいただいておりますとおりでございまして、環境省の組織、定員及び予算につきましては、今後の予算編成におきまして具体的に検討することとなりますが、今後の環境省の体制については、申し上げてまいりましたとおり、平成十三年一月の新省発足時に組織、定員等の体制の充実強化を図り、環境省にふさわしい体制を整えるように十分努力したいと考えております。
  176. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど総理答弁の中にCOP3の話が出てございましたけれども、私は、今地球温暖化の問題というのは極めて深刻な状態に来ているんではないかなと思います。  例えば、南極大陸というのは日本の四十倍ぐらいの面積がございますけれども、平均二千五百メーターの氷が乗っかっておりますし、最大では五千メーターもいくという話も聞いております。一九九五年に淡路島の五倍の氷山が滑り落ちた。日本の府県サイズの巨大な氷山が十六基、南氷洋に滑り落ちて浮いている状態なわけであります。  このCO2の問題というのは極めて温暖化に寄与しているわけでありまして、私は自然エネルギー、これはそういった面ではエネルギー供給の面の極めて重要な部分だと思うんですけれども、例えば風力発電、これもそうだと思います。  風力発電については通産省が欧州にミッションを派遣したと伺っておりますけれども、その成果についてちょっとお聞きしたいと思います。
  177. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) お尋ねの件につきましては、六月二十日から二十七日までドイツ、デンマーク、イギリスにミッションを派遣いたしまして、風力発電導入のための諸制度、技術的問題点などにつきまして相手国政府、電力会社などからヒアリングを行ったところでございます。各国それぞれ電力供給体制、自然条件などの諸事情に合わせたさまざまな制度を構築いたしております。  ドイツにつきましては、総発電電力量の三%に相当いたします二百八十七万五千キロワットの風力発電の導入を行っておりますが、制度といたしましては、供給電力量の五%を上限といたしまして電力会社に新エネ電力の買い取りを無期限に義務づけております。この買い上げ価格につきましては、約十一円でありますけれども、一般の発電コスト四ないし五円との差額に関しまして政府からの補てんはいたしておりません。  デンマークでありますが、総発電容量の一四%に相当いたします百四十六万キロワットの導入を行っております。これは買い取りを電力会社に義務づけ、価格もまた設定をしているということでございまして、買い取り量の上限及び買い取り期間については制限をしておりません。買い取り価格は石炭・火力発電の発電コストの八五%相当のものに政府から助成金で上乗せ補てんをいたしてございます。財源は一般会計でございます。  イギリスにつきましては、〇・五%の電力容量に相当いたします三十五万キロワットの導入が行われておりまして、政府が入札をいたして決めましたプロジェクトについて新エネ電力の買い取りを電力会社に義務づけております。買い取り価格は、その落札価格にプレミアムとして政府から補てんをいたしてございます。また、風力発電の不安定性を吸収する仕組みといたしまして系統全体を使ってございます。数多くの近隣諸国、地域間の系統連系が行われておりまして、連系先の火力発電などからの豊富な予備電力によってこの不安定性を吸収するという形をとっております。  なお、各国それぞれ導入量が増加するに伴いまして、各国共通の問題として住民問題が顕在化してきているところでございます。景観や騒音の問題から建設許可がおりないなどの事情もふえているという様子でございます。  以上であります。
  178. 加藤修一

    ○加藤修一君 ただいま答弁の中にデンマークが百四十六万キロワットという話がございました。デンマーク全体としては一千万キロワット、北海道の倍の電力容量でありますけれども、二〇三〇年には五百五十万キロワットの導入ということを考えていると。  現在、日本は二〇一〇年で三十万キロワットの予定になっておりますけれども、これはやはり私は二〇一〇年、大幅に上方修正を図るべきではないかと思っております。可能性から考えていくと三百万キロワットも十分可能であると考えているわけですけれども、この辺について通産大臣はどのようにお考えでしょうか。
  179. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 長期エネルギー需給見通しにつきましては、将来にわたって供給不足を招くことのないよう中長期的な視点に立って省エネの進展やエネルギー源全体の開発、供給の状況等、エネルギーを取り巻く各種の要因について十分に見きわめた上でその内容を考える必要がございます。  風力発電の導入量が現在の長期エネルギー需給見通しにおける導入目標、すなわち三十万キロワットを超えることが明らかとなる場合は、風力発電の導入目標の考え方を変えていくべきではないかと考えておりますが、長期エネルギー需給見通しを実際に見直すタイミングについては、中長期的な視点から作成した長期エネルギー需給見通しの全体の目標の達成状況等を見きわめる必要がありますので、いましばらく時間をかけて見ていただきたいと考えております。  また、実際に長期エネルギー需給見通しを見直す場合においては、風力発電の導入目標を具体的にどのようなレベルにするかについて、今後の風力発電の導入計画等を十分に踏まえ検討することが必要であると考えております。
  180. 加藤修一

    ○加藤修一君 ただいまの答弁の中に、将来の達成状況を見て見直すという話でございますけれども、現在の北海道でさえ、風力発電のことを考えていきますと計画を含めて五十万キロワット、明らかに日本全体の二〇一〇年の目標値三十万キロワットを超える、そういうニーズが事業者としてあるわけであります。やはり私は強力にその辺のことを見直しをして大幅な修正を図るべきだと思いますけれども、重ねて申し上げます。
  181. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 風力発電を導入する場合には幾つか問題がございます。  一つは、風力発電の技術、またその技術を反映したコストの問題。それから、風というのは定常的には吹いておりませんので、やはり風力発電をする場合には、その風力発電がございます地域の当該電力会社がそれなりのバックアップの電源を持っていなければならないわけでございます。そういう意味で、やはり電力会社ともよく話し合いながら風力発電をやっていただくということが、全体としての電力エネルギーの安定的な供給という面からは非常に大事でございます。  しかしながら、先生は多分、風力発電の有望性、将来性について期待をされていると思います。私自身、個人的には風力発電は有望なものだと思っておりますので、現在既に通産省が手がけておりますいろいろな技術的な支援とか、あるいは資金面での援助とか電力会社との連系とか、そういうものは順次進めていって、市町村等が風力発電をやりたい場合にはそれがやりやすい環境をつくっていくのが我々の責任である、そのように思っております。
  182. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、安定性の問題が出てまいりましたけれども、これは技術的に私は解決できるような余地は十分あると思うんです。視察へ行ってきたわけですから、この辺についても十分調査をしていらっしゃると思いますけれども、これはどうでしょうか。
  183. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 風力発電にかかわります出力の不安定性に対する対応策というのは、国際的には二つの方式がございます。  今回、我々が調査してまいりました欧州につきましては、全体の発電容量の中の一定率以下である場合に、系統全体で、ヨーロッパ全体の電力のネットワークの中で吸収をするというやり方でございます。いま一つはアメリカにおきますやり方でありまして、供給サイドの方で、ある一定の幅の安定供給を図るというものでございまして、例えばウインドファームと言われるような風力発電のプール制あるいはディペンダブルキャパシティーと言われる中での供給の確保というものでございます。  我が国におきましてこういう系統内で吸収する範囲がどの程度までであろうか、あるいは我が国の風の吹き方、風況などから見てどの程度の広がりのプールを考えればいいか、こういった問題につきましては、大臣から申し上げましたように、バックアップや周波数調整などの技術的な問題とあわせまして専門的な検討を行うことが必要であるというふうに考えてございます。  したがいまして、早急にこうした課題を検討するための専門家より成る委員会をこの秋までにも立ち上げたいと考えてございまして、現在、論点を整理し、その解決策に向けての導入策についての検討を行いたいと考えておるところでございます。
  184. 加藤修一

    ○加藤修一君 安定性の問題については、ミクロ、マクロについて安定的に技術的な面で確信性がかなり深まってきておりまして解決の見通しがつき始めていますので、ぜひとも強力にこの辺のことを考えに入れていただいて、大幅な上方修正を行っていただきたいと思います。  先ほど大臣の方からコストの問題が出てまいりましたけれども、私は環境負荷の観点から、やはり風力発電についても、あるいは自然エネルギーを促進するということも非常に重要だと思います。自然エネルギー促進のために電力会社の電気購入に当たっての財政的な負担の軽減方策、例えば電力特会、そういったもので補てんしていく、そういったことも必要ではないかと思いますけれども、通産大臣はこの辺についてどのようにお考えですか。
  185. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 風力発電の意義につきましては、大臣からも申し上げましたように重要な課題というふうに考えてございまして、現在初期の導入コストについての各般の助成制度を行ってございます。  この風力発電につきましては、バックアップの問題、周波数の乱れの問題などがございますが、現在、電気事業者において余剰電力の購入メニューを作成し、その買い取りを行っておるところでございます。今後、この風力発電事業のプロジェクトの急増を踏まえまして、どのような導入策が望ましいかということを検討してございます。そうした中で、この各種の課題の解決方法及び一般電気事業者を含めた負担のあり方の問題について検討したいと考えてございます。
  186. 加藤修一

    ○加藤修一君 ぜひお知恵を絞ってやっていただきたいと思います。  それでは最後に、自然エネルギーの促進の取り組みについて、総理にこの関係についての御決意をお伺いしたいと思います。
  187. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今お話のございました風力発電あるいは太陽光発電等自然エネルギーに関しまして、地球環境問題への対応及びエネルギーセキュリティー確保の観点からその開発、導入を積極的に促進することが重要であると考えます。一方、自然エネルギーは安定性や経済性の面に課題があるため、平成十一年度予算におきましても風力発電や太陽光発電の開発、導入、促進等の措置を拡充しておるところでございます。  今、先生から大変セキュリティーの問題についてはいろいろ課題解消されつつあるというお話がございましたが、なお政府としてもこれの確保のために努力をしなきゃならぬと思っております。これらの措置を着実に実施するとともに、今後とも引き続き新エネルギーの積極的な開発、導入に努めてまいりたいと考えております。
  188. 加藤修一

    ○加藤修一君 二十一世紀に向けて、やはり本格的な循環型社会の構築を図っていかなければいけないわけですけれども、炭素税とかエネルギー税、そういったものの組みかえも当然していかなければいけない、資源消費の極小化を目指さなければいけない、そういう時代状況だと思います。そうしたところから新規産業としての環境産業、その興隆の可能性、雇用創出、そういったものがあると思われます。  そこで、きょうは繊維業界のリサイクルについて伺いたいわけですけれども、社団法人環境生活文化機構が行っている制服、ユニホームのリサイクルマーク事業というのがございますけれども、この目的と活動状況、あるいはさらにユニホームがリサイクルしやすい理由について環境庁にお伺いしたいと思います。
  189. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  社団法人環境生活文化機構では、ユニホームのリサイクルを推進するために、平成八年より一定の条件を満たすユニホームに対しまして回収識別マークを付与いたしまして、製造業者、販売業者等と協力しつつリサイクルを進めておるところでございます。  平成八年度は初年度だということでそれほどまだ多くはなかったんですが、九年度以降意欲的に取り組んでおりまして、また協力する製造業者、販売業者等もふえまして、この六月までの間でトータル二十八万枚を超えるユニホームに対しまして回収識別マークを付与しておると聞いております。  ユニホームがなぜ回収しやすいかというお尋ねでございましたが、同一の素材のものが特定のユーザーに大量に納入される場合が多いということ、また使用期間があらかじめ予測されるものが多いため回収が容易であり、リサイクルに適しているものというふうに考えております。
  190. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、同質で大量にあるからという話でしたけれども、これはたしか建設省も制服のリサイクルマーク事業を活用していると思いますけれども、この状況についてお示しいただきたいと思います。
  191. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 建設省といたしましても、リサイクルが行いやすい製品を選択する等、リサイクル推進の重要性につきましては十分認識しておりまして、その方向で行っておるわけでございまして、本省及び一部の地方建設局において活用をいたしております。  ただ、購入総数を調べてみますとまだ胸を張って言えるほどの数値ではないわけでございまして、平成八年度が作業服といたしまして本省で百二十、それから九年度が、どうして減ったのかちょっとわかりませんが九十に減っておりますので、前向きに努力はしていきたいと考えております。
  192. 加藤修一

    ○加藤修一君 一部の地方建設局はどうですか。
  193. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 地方の建設局では、中国地方建設局でこれを活用いたしておりますので、他の地建でもこれを活用するようにいたしたいと思います。
  194. 加藤修一

    ○加藤修一君 積極的な答弁ありがとうございます。  建設省以外にも、警察庁、防衛庁、郵政省、海上保安庁など制服をたくさん使っているところがあるわけですけれども、年間予算、支給総数、リサイクルの状況について教えていただきたいと思います。
  195. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 防衛庁におきましては、被服貸与のための十一年度の予算は約百億円でございます。貸与数は百八十万着でございます。  財政の厳しい折でありますから、なるべく長期にこれを使おうということで努めておりますが、使えなくなったときは物品管理法とか内閣及び総理府物品管理取扱規則によって不用決定をいたしております。その後は武器等の汚れ取り等に活用しているというのが現状でございます。
  196. 野田健

    政府委員野田健君) 警察庁の警察官あるいは皇宮護衛官の制服につきましては、おおむね年間予算が八千万円で、三千二百着を支給しております。  都道府県警察の被服費は国庫補助対象の経費でございませんで、いわゆる単独経費で措置されているのでありますけれども地方財政計画上では一人当たり約八万四千円であり、全国分を推計いたしますと約百九十億円で、年間当たりおおむね七十万着の支給規模となっております。  全国での警察官の制服のリサイクル状況につきましては、支給期間が終了し返納された制服のうち、使用可能なものについては体型の変化等に伴う交換用として採用しておりますが、制服として使用不可能なものにつきましては一部の県で再製品化等を実施するほかは、悪用防止のため焼却等による廃棄処分をしておる状況にございます。
  197. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 外務職員約十一万三千人分の制服の年間予算は約十九億円です。外務職員の制服の支給総数は夏用、冬用のジャケット及びスラックス合わせて約七十九万着です。  リサイクルにつきましては、転職などにより返納された制服で使用可能なものは再度貸与したりしておりますし、平成十一年度調達分からはペットボトルから生成した再生ポリエステルを繊維原料とした制服を採用することといたしております。具体的には、平成十一年度約三十三万着導入予定ということでございます。
  198. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 海上保安庁の制服についてお答え申し上げます。  制服の支給総数は七万枚でございまして、予算は一億二千万でございます。現在、制服はすべて廃棄処分にしておりますが、一部の制服、特にウールの製品につきましては、再生利用、地球環境の保全に配慮して処分方法、回収方法を検討しているところでございます。  御指摘のリサイクルマークの取り入れについても、その一環として検討してまいりたいと考えております。
  199. 加藤修一

    ○加藤修一君 廃棄処分しているところもあったりして、行われていないところも随分あるように思いますけれども、非常に重要な観点だと私は思っておりまして、総理はこの辺についてどのようにお考えか。やはりリサイクルマーク事業を取り入れて、政府が全面的に率先してやるべきだと私は思いますけれども、どうでしょうか。
  200. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 平成七年六月に実は率先実行計画というのを閣議決定いたしておりまして、リサイクル品の使用を政府全体として進めることといたしておりますが、今それぞれ関係省庁の責任者から御報告がありましたとおり、なかなか制服というものをリサイクルするということの難しさもあるのではないか。一部たしかアジアでしょうか、カンボジアなどに少し移転して利用するようなことができないかというようなことも考えて、あるいは若干実行したかとも思いますが、いずれにいたしましても、問題の観点としては重要な諸点であると思います。さすればこそ、環境生活文化機構というのがございまして、その認可等もいたしておるわけでございます。  先ほど郵政大臣がお話しされましたリサイクル製品を用いた制服の使用についてでありますが、昨年十二月の閣僚懇談会におきまして環境庁長官から各省庁に対し要請が行われておるところでございます。私も若干関心を持ちまして、あるデパートでこれを販売しているということで、そこまでの関心でまだ実は着用に及んでおりませんけれども、そうした形でリサイクル製品を活用するということは非常に重要な観点かと考えております。  いずれにいたしましても、このような政府の取り組みに当たりましては、御指摘のリサイクルマーク事業も踏まえながら対処させていただきたいと思っております。
  201. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、次にダイオキシン問題でございます。  ダイオキシン類対策特別措置法が七月十二日に成立いたしましたけれども、欧米に例を見ない総量規制やあるいは環境基準の設定など画期的な法律が誕生したと私は思っております。今後、耐容一日摂取量や大気、水質、土壌の環境基準あるいは廃棄物焼却場や工場からの排煙、排水規制、これは先ほど同僚委員が言っておりましたけれども政令で決めることになっております。今後、この法律を基本にいたしまして、実質的にダイオキシンの排出量を削減していくことが非常に重要になってまいりますけれども、この法律にはどのような意義があるか、さらにこの法律をもとにして削減へどう決意されていかれようとしているのか、総理にお伺いしたいと思います。
  202. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども山下議員にもお答え申し上げましたが、今般、議員立法によりましてダイオキシン類対策特別措置法が、長年の懸案でございましたが、これが立法されたということを大変意義深いことと考え政府といたしましては、この立法の趣旨を踏まえ、行政の立場からこの問題を解決するために懸命の努力をいたしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、法が成立いたしましたことを真摯に受けとめ、その適正な運用を図り、ダイオキシン排出量の削減対策をさらに強力に推進することによりまして国民の皆様の不安の解消に相努めてまいりたい、こう決意いたしておる次第でございます。
  203. 加藤修一

    ○加藤修一君 六月二十日のある新聞の報道によりますと、現時点で二〇〇二年の削減目標は九割削減というふうになっておりますけれども、一般焼却炉の設備予算の試算が出ておりましたけれども、一兆五千億円を超えるそれが必要であると。報道が勝手に書いたかもしれませんが、そもそもこういう予算が私は必要だと考えられますけれども、推計すべきだとも思っております。どうでしょうか。
  204. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 平成十一年度から平成十四年度までの間に必要な市町村におきます一般廃棄物焼却施設の整備に要する費用についてでございますが、昨年六月に都道府県から提出をされました市町村の施設整備計画というのがございます。それによりますと、施設の新設が約百件、それから改造につきましては約二百件というふうに報告がなされているわけでございまして、これにこれまでの整備実績というものがございますが、それによりますと、一施設当たりの平均的な事業費をこれに掛け合わせまして算出いたしますと、平成十一年度から十四年度までの間の施設整備にかかわります全体の費用につきましては、国の補助も含めまして約一兆五千億円になるというふうに試算をしたところでございます。
  205. 加藤修一

    ○加藤修一君 現段階で国庫補助はたしか原則四分の一でありますけれども、北海道なんかのいろいろな例を聞いてみますと、非常に自治体にとっては過剰な負担になっている。やはり住民の生活環境保全ということを考えていくならば、政府としてできるだけ財政支援をするべきだと思いますけれども、この辺について御見解をお示ししていただきたいと思います。
  206. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今お話しのように、平成十一年度予算におきましては、焼却施設に係るダイオキシン対策のための経費をかなり増額いたしまして、一八%ぐらい、七百三十二億円を計上してございます。  同時に、十二年度までの緊急特別の措置といたしまして、焼却炉等の設置に伴う建物の整備費用も補助対象とするなどの財政支援をやっておりますが、ダイオキシン類の排出削減を推進するための規制措置の徹底を図るとともに、市町村に対する支援の充実を図ってまいりたいと思っております。
  207. 加藤修一

    ○加藤修一君 より一層強力な財政支援をお願いして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  208. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  209. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、池田幹幸君の質疑を行います。池田幹幸君。
  210. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。私は、政府の新しい対策の目的一つとなっております経済の自律的回復について質問したいと思います。  政府はこれまでも、経済の自律的回復のためには、景気牽引の二大主役であります個人消費と設備投資、なかんずく中小企業の設備投資の回復が不可欠だというふうに説明されてこられました。  そこで、小渕総理伺いますが、日本経済は今なおこの二大主役が主役としてその役割を果たすことができないでいる、そういった状態にあるんだということだと思いますが、そのことに関しての総理の認識を伺いたいと思います。
  211. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のとおり、我が国経済は依然として厳しい状況にありますが、昨年来の需要面を中心とする各般の政策効果が浸透し、このところやや改善をいたしております。本年一―三月期の実質国内総生産速報もこうした景気判断を需要面から裏づけるものと考えております。  これらの動きを力強いものとし、雇用不安の払拭を図るとともに、我が国経済の再生に結びつける緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を先般決定いたしたところでございます。こうした取り組みは我が国経済の自律的な発展を図る上で不可欠のものであると確信をいたしておりますが、消費動向につきまして、また設備投資動向につきましては依然として厳しい状況にございます。  何番バッターかという議論を以前予算委員会でもされましたが、この二つの大きなポイントにつきまして、数字的といいますか、現在のその状況につきましてはそれぞれ担当の大臣から御答弁させていただければありがたいと思います。
  212. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今、総理から答弁のあったとおりでございまして、日本経済はこの一―三月期のGDP、QEはよかったのでございますけれども雇用問題あるいは企業利益の問題などは依然として低迷しております。消費はまだら模様でございまして、まだ確実にこれでよくなったと言える状況ではありません。輸出の方は、アジア経済が少し上向いてまいりましたので、やや明るさを取り戻してまいりました。  総じて申しますと、幾分改善の兆しも見られますが、依然として厳しい状況で、楽観は許されないというような状況だと思っております。
  213. 池田幹幸

    池田幹幸君 個人消費も設備投資も非常に厳しい状態にあるということだと思うんです。  個人消費について伺っていきたいと思うんですけれども、先週末に発表されました経済白書では、「消費を増加させるためには、現在の所得を増加させるだけでは不十分であり、家計が将来の所得が増加するという確信を持てるような施策が必要である。」と述べています。  当然の指摘だと思うわけですけれども、それでは、どうやって家計の所得を増加させるのか、具体的に何をしようとしているのか、総理伺いたいと思います。
  214. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 家計の収入がふえるためには、一人一人の平均所得がふえるのと、それから勤労者全体の数がふえるのと両方でございますが、現在のところ、残念ながら、どちらも景気低迷の影響を受けて増加しているわけではございません。これを回復させるためにはやはり景気全般の回復が必要でございます。  そのためには、日本全体の労働生産性の向上を長期的には待たなきゃいけない。短期的には、政府の減税策でございますとか、あるいは公共事業によります後押し、下支えというような政策も効果がございますが、長期的に見ますと、やはり日本の産業競争力を高め、投資を盛んにして生産を拡大していかなければいけない。そういう意味でいいますと、やはりリストラクチャリングというのは不可欠だということを申し上げているところでございます。
  215. 池田幹幸

    池田幹幸君 後の過剰設備の問題については、先日、我が党の笠井委員の方から質問しましたように、現実には過剰設備も消費の低迷から発しているということだと思うんです。  今、私が質問したのは、家計消費をふやす、家計の所得をふやす、この具体的対策ということでお伺いしたんですが、答弁されたように減税があります。それも一つなわけですが、また減税以外に政府ができることとしては、消費に回せる収入をふやせる手段、国庫負担、そういったことをふやしていくということもあるかと思うんです。  そこで、まず減税について伺いたいと思うんですけれども、先日の本会議で私は大蔵大臣質問しました。宮澤大蔵大臣は、消費税減税につきまして、消費税減税は消費の拡大に結びつくだろうと思いますけれども、ただでさえこれだけ国債を出しておりますので、なかなかどうも、お話しではございますけれども、いい御返事はできないわけでございます、こう答えられました。  総理伺いたいのですけれども、消費税減税が効果があるということを認めるのならば、財源の問題でもやっぱり知恵を絞って消費税減税、これを検討すべきじゃないか。とにかく国民の消費税減税を求める声はますます大きくなっているんです。これだけ国民の声が大きくなってきているぞということを総理は認識しておられるでしょうか。
  216. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これも、十一年度予算審議に当たりまして当委員会でもしばしば御議論のあったところでございますけれども、それは税は安いにこしたことはないというのは一般的に国民が願っておることだろうと思います。  しかし、政府としては、消費税の二%の増徴につきまして、これは諸般の政策を遂行する上でやむを得ないこととして国民の理解をぜひ求めたいとお願いをいたしておるところでございまして、現在はこれを引き下げるような考え方はございません。
  217. 池田幹幸

    池田幹幸君 国民の声を一つ紹介したいんですが、電通が四月に発表したアンケートの結果によりますと、減税すべきだと思う税金、これはトップに消費税が挙がっておって、八六%。次が所得税で八二・三%なんですね。それからもう一つ項目があって、まず最初に減税すべきだと思う税金は、消費税が六三・七%でトップ、所得税は三一・八%なんですね。いかに消費税減税を求める声が大きいかということはこれでおわかりだと思うんです。  また、日銀が五月三十一日に発表した生活意識に関するアンケート調査では、支出をふやすための条件は消費税の引き下げが五二・四%でトップになっています。雇用や収入の不安の解消がそれに次いで四三・二%なんですね。  このように、国民の声に本当に正面から向き合うべきだというふうに思うんです。総理答弁、何度も同じなわけですけれども、改めて消費税の減税を検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  218. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは何度も同じ答弁になるかと思いますけれども、現在、この五%という消費税につきましては、二%引き上げを申し上げた一%は地方にも回しておるわけでございまして、そういった意味でこれを引き下げて中央、地方の行政は行い得ない、こう考えておりますし、特に社会保障関係の予算が歴年増大している中で、少なくともそうした面の政策を遂行する上ではやむを得ないこととして御理解を願いたいと思っておる次第でございます。
  219. 池田幹幸

    池田幹幸君 情勢がだんだんやっぱり消費税は減税しなければならないというところに行くだろうと私は考えております。そのことを申し上げまして、もう一つの個人消費の拡大策について伺いたいと思うんです。  お手元の資料を見ていただきたいと思うんですけれども、我が国の消費の実態を諸外国と比べてみますと、民間最終消費支出、これは個人消費の対GDP比は約六割程度で、他の先進国、資本主義国並みになっております。しかし、政府最終消費支出を見ていただきますと、日本が九・七%に対して、フランス一九・四、ドイツ一九・八、イギリスが二一・一、アメリカ一五・七とまさに日本は欧米諸国のほぼ半分程度なんですね。  これは経企庁長官にちょっと伺いたいんですが、日本は何でこんなに低いのか、分析しておられますか。
  220. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 日本政府最終消費の目的別なものを見ますと、一つは国防費が低いということもあるんですが、大体政府の人員の数と関係がございます。それで見ますと、諸外国に比べて高い方は教育とそれから一般政府サービスというのが高いのでございますけれども、これはちょっと分け方が違うので必ずしも言えません。低い方は、保健関係とそれから防衛費が低くなっているというような格好でございます。
  221. 池田幹幸

    池田幹幸君 教育は。
  222. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 教育は高くなっております。教育日本の場合、政府最終消費というのを一〇〇といたしますと、三二・八でございます。それで、フランスが二六、ドイツが一八・六、だからその中で見ますと低い部類になるんです。全体で、おっしゃるように政府最終消費支出が少ないですから、GDPで見ると大きくなります。
  223. 池田幹幸

    池田幹幸君 表2のことを既に経企庁長官は説明されたわけなんですが、このように目的別最終消費支出を見ますと、日本はよりその性格がはっきりしてくるわけなんです。  ちょっと経企庁、政府委員の方で結構なんですけれども、この表2の項目、一般政府サービス等々ずっと挙がっておりますけれども、これの項目についてその概要をちょっと説明いただけますか、どういう内容なのか。
  224. 新保生二

    政府委員(新保生二君) 日本政府サービス支出の中の主な項目について御説明申し上げます。  まず、教育でございますが、これは主として国公立学校における教育サービス及び国、地方公共団体の教育行政等の人員が主体でございます。  それから、保健に含まれるサービスというのは、国公立病院における診療サービス及び国、地方公共団体の医療、保健にかかわる行政等の人員が主体でございます。  さらに、社会保障とか福祉に含まれるサービス、これは国公立の老人・身体障害者福祉施設、児童福祉施設における福祉サービス、それから国、地方公共団体、社会保障基金の福祉、社会保障にかかわる行政の人員、こういう内容が主なものかと思われます。
  225. 池田幹幸

    池田幹幸君 小渕総理、今聞かれたとおり、これを見ていただいたらわかりますが、日本は諸外国に比べて教育、保健、社会保障、福祉サービスが非常に低いんです、もう極端に低くなっております。一般行政サービスというのは、徴税ですね、税金を集めたり、外交やそれから国内の警察等ですから、これは諸外国並みというよりも少し多いぐらいになっておる。  この非常に国民生活にとって重要な部分が極端に少なくなっているわけですが、これをどうごらんになりますか。どういう感想を持たれましたか、総理
  226. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これはなかなか難しいことでございまして、統計のとり方、それから職員の状況あるいはその施設のあり方が違います。  例えば、保健衛生関係の割合は非常に低いのでございますけれども、これは日本の場合、民営の病院施設が多いということもあります。それから、教育でございますが、これも日本の場合、私立が多いということもありますし、それから入学金が高いとかそういうようなこともございまして、さまざまな理由がございますので、一概にちょっと言いにくいところがあろうかと思います。
  227. 池田幹幸

    池田幹幸君 いや、いろいろと条件が違うからこういう違いとしてあらわれてきているわけですが、要するに教育行政、保健・福祉行政が諸外国に比べて貧弱だということなんですよ、一言で言えば。それだけの簡単なことなんです。そんなに難しいことじゃないんです。  この数字にあらわれた、これは非常に具体的にわかるわけですが、さらに見ますと、今言われた教育なんです。これは文部大臣伺いますけれども、国公立大学の入学金、授業料、学生納付金、これは諸外国と比べて日本はどうなっていますか。
  228. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 入学金及び授業料のことについてのお尋ねでありますが、日本は高いです。日本の国公立大学が今四十四万八千円。アメリカが、州立ですが、三十六万五千円。ヨーロッパ諸国は、つい最近までほとんどの国で授業料がなかったのですが、最近イギリスでは、平成十年から年額約二十一万円取るようになりました。それまでは留学生に対してのみ取っておりました。ドイツは一州、バーデンビュルテンベルク州だけが今十四万円を徴収しています。フランスは取りません。それからもう一つ申し上げておきますと、イギリスは国立ばかり、フランスも国立ばかり、ほとんどです。ドイツは州立ばかり、ほとんど。  こういうふうなことで、日本と大分事情が違います。アメリカの私立は随分高い、こういうことを申し上げておきたいと思いますが、これはやはり今までの大学の歴史的な事情でこういうふうになってきているんだと思います。
  229. 池田幹幸

    池田幹幸君 結局、はっきり言えることは、諸外国では国や地方自治体が負担している部分が日本では家計の負担になっている、国民負担になっているということなんです。  教育、医療、社会保障、福祉、こういった分野での公的負担をふやしたら、その分、家計の可処分所得がふえる、消費増大に寄与するわけです。やはりこういった方向に政策転換をすべきだと思うわけですが、いかがですか。これは総理、お答えください。
  230. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先ほども申し上げましたように、公立中心主義にするか、私立主義にするかということもございますが、もし仰せのように、日本の場合に、例えば今の教育費用をすべて大学まで持つといたしますと、かなり税負担は大きくなると思います。アメリカやイギリスの場合には、私立はまた別に非常に高額の授業料を取っている学校もございまして、公立学校だけを比較して云々することもちょっといかがかと思います。  いろんな事情がございますが、日本の学校教育全体のコストをどう引き下げていくかというのは考えなきゃいけない問題だとは思います。
  231. 池田幹幸

    池田幹幸君 医療や社会保障、福祉の問題もさらに大きな問題なんです。私は、今教育だけ申し上げましたけれども、後で我が党小池議員が介護の問題を伺います。  今おっしゃった税金を上げないといけなくなる、そういうことじゃないんです、私が問題にしているのは。パイの再分配の問題です。ですから、どのお金を持ってきてそれに充てるかということが問題になるんです。この表にもありますように、公的資本形成、表1を見ていただいたらわかりますけれども、これがまた一般政府日本はむちゃくちゃ高いわけです。ここの部分を削ってやっていくということが非常に大事になると思うんですけれども、公共事業のこういったところへの負担をこっちへ振りかえていくという問題について、どうお考えですか。
  232. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 日本は、国土の形態から見ても、また発展段階から見てもまだ公共事業が非常に必要な状況にあります。例えば、同じような場所でも地形によって国土の保全が大分違います。フランスのように平らで台風も地震も来ないというところと日本を比較されてもやや違うところがあるかと思います。  それから、やはり戦後の成長の中で公共事業というのが必要であった。特に今この段階でいいますと、やはり不況対策としても公共事業というのは重要な支えとなっておりますので、急にこれを減らすわけにはいかないと思います。しかし、長い段階で見れば日本も、公共事業は建設を減らして消費、一般の個人消費あるいは政府消費をふやしていくような形になる。それは長期的な傾向としてはそうだろうと思いますが、今直ちにそれを変えるというのは大変危険なことだと思います。
  233. 池田幹幸

    池田幹幸君 公共事業の問題については、いかにむだな公共事業が多いかということはここ二、三年来ずっと論議され尽くしてきていることなんです。このむだな公共事業をなくしていくということが今非常に大事になっている、我々はこれをずっと主張してきました。  ちょっとこれを計算してみますと、GDP比だけで比べて見ているから余り大きくないように見えるんですけれども、一ポイントだけでも大変な数字です、五百兆ですからね。五百兆の一%で五兆円に相当するといったことを考えますと、公的資本形成を諸外国並みにするとすれば大体半分になる。半分にするのは、今、長官がおっしゃったように一気にするのは無理だとして、四分の一削減したと仮定しましてもGDP比で一・六%分削減になるわけです。額にすると八兆円。この半分を最終消費支出に回したとしても四兆円の増加になるわけで、非常に大きな額になる。これだけ国民の家計負担が軽くなるわけです。  授業料や保育料の引き下げとか介護制度充実とか、こういったことはやる気があればすぐできるわけです。この程度のことはすぐやるべきではありませんか。これは景気対策になるし、国民生活の向上にもつながるわけです。いかがですか。
  234. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 医療問題はまた医療保険の問題とも絡んでおりますし、それは直ちにすべてが家計支出になるとは言えないと思います。
  235. 池田幹幸

    池田幹幸君 長官、ちょっと勘違いしておられるんではないですか。これは政府最終消費支出ですから、医療保険とは関係ないんです。その点をお間違いになっては困るんです。  結局、やらないということですね。総理もそういうお答えですか。そういう国民生活にシフトしていくような政策転換はやれない、やらないと。
  236. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 十一年度予算並びに今お願いをしております補正予算も含めまして、政府としては現在の一般政府総支出につきまして、これを変更するつもりはございません。
  237. 池田幹幸

    池田幹幸君 次に進みたいと思います。  もう一つ、今度は設備投資の問題について伺いたいと思うんです。  ともかく設備投資の回復が見られない、これは重大な状況にあるわけです。この背景には消費落ち込みという共通の要因があるわけですけれども、中小企業の場合にはこれに加えて大企業のリストラ、これによる影響が非常に大きくなっています。与謝野通産大臣は、リストラについて合成の誤謬という言葉を使われましたが、リストラで打撃を受けるのは雇用だけではありません。非常に下請中小企業の打撃が大きいわけです。  下請中小企業は大企業のリストラで危機的な状況に置かれているというふうに考えますが、通産大臣はどうお考えですか。
  238. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 長引く不況によって、それぞれの企業内容が悪くなって、最近はリストラという名目のもとに雇用を社外に出すというようなケースが幾つもございます。企業が生き残るというのは企業にとっては大事なことでございますけれども、その問題と雇用の問題をどう考えていくのかというのが実は重要なポイントであるわけでございます。  私は、政治が雇用考える場合には、やはり働く立場の方々、また家族を養っている方々の立場を十分考慮した上で政策を決定していくべきものだと考えておりまして、雇用に関しては、いかに経済構造改革という名目であろうとも、あるいは競争力回復という観点であろうとも、ソフトランディングをさせるという政策努力というものが不可欠だろうと思っております。  そういう意味では、労働省が用意しております社会的なセーフティーネット、プラス私ども考えなければならないことはたくさんあるんだろうと思って今取り組んでいるところでございます。
  239. 池田幹幸

    池田幹幸君 私は下請の実態について、その認識を伺ったんですが。
  240. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 下請も同じことでございまして、親企業が悪くなれば下請も悪くなるということでございます。そういう意味では、日本の企業というのは親、下請、孫請、こういう一連のパッケージとして成り立っているケースが非常に多いわけでございます。  したがいまして、業種を転換しよう、あるいは他の分野に進出しようというときに、いたずらに犠牲が出るということは好ましくない、そのように思っておりますし、特に下請の雇用問題についても、労働大臣と御相談しながら、十分政策の光を当てていかなければならないと思っております。
  241. 池田幹幸

    池田幹幸君 親企業が危なくなったからというだけじゃないんです。もっと深刻な事態が出ております。  まず、ちょっと中小企業庁に伺いますけれども、下請受注単価は九一年以降どのように推移していますか。
  242. 鴇田勝彦

    政府委員(鴇田勝彦君) お答えいたします。  中小企業庁としましては、毎月、下請中小企業短期動向調査という調査をやっておりますが、その中で下請受注単価の推移についても調査をいたしております。  平成三年十二月以降、連続いたしまして前年同期比で減少を続けてきておりまして、最新時点では、平成十一年一―三月期におきましては、対前年同期に比べ約六%の減となっております。
  243. 池田幹幸

    池田幹幸君 ずっと下がり続けて、九一年を一〇〇とすると大体七〇ぐらいになっているんですね。下請単価は結局七年間で三〇%下がっているということなんですけれども、この間卸売物価が約七%減少なんです。そういった点からも大変な下がり方なんですけれども、これはあくまで平均で、実際は中には四〇パーとか五〇パー引き下げろということで引き下げられているところもあります。  例えば、キャノンが九五年にそれまで三百社あった下請協力会のメンバーを四分の三減らして七十社にした。こういったことが起こっておるわけですけれども、この下請取引先への本格的な影響はこれから本番を迎えるというふうに言われておるぐらいなんです。これ以上、下請中小企業がどんどん減らされていく、つぶされていく、切り捨てられていくということになりましたら、設備投資の回復など望めませんし、ましていわんや日本経済の再生といったことも望めません。  通産省は産業再生法案を出されるということなんですけれども、その中に下請子会社に対するこういった安易な切り捨て、これに対する歯どめはありますか。
  244. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 現在、政府内部で検討中の産業活力再生特別措置法案は、効率性の低い分野からより新しく生産性の高い分野に経営資源を円滑に移転させることを目的とするものでございます。  こうした観点から、一つは、各事業主体が選択と集中を進め、経営資源を生産性の高い分野に重点的に投入することを円滑化すること、第二には、創業や中小企業者による新事業開拓に対する支援を抜本的に強化すること、事業者による研究活動の活性化を図ること等の施策を盛り込む方向で検討しております。
  245. 池田幹幸

    池田幹幸君 では、リストラ支援で、むしろ下請に対する切り捨て政策というものは全く盛り込んでいない、こういうことですね。
  246. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 共産党の委員からリストラ問題につきまして三たび質問がございましたので、ちょっと時間をとって答えさせていただきたいと思います。  リストラを認めないというのは、技術進歩に対して無視するということになります。これはやはり、どんどんと新しい産業を起こし、新しい技術を取り入れて、労働生産性を向上していかなければなりません。中小企業についてもそうでございますが、今のところ大企業の方が設備投資は下がっているような状況で、これは相当厳しい状況でございます。  過去の例を見ましても、例えば一九六〇年代には重油ボイラー規制法までつくって石炭を守ろうとしました。そして、政府も、たくさんお金を投入して、なるべくリストラをしない、従業員を保護しようとしましたが、結果としては、産業もつぶれましたし、地域も不幸になりました。また、国鉄もそうでしたし、映画会社もそうでした。  やはり新しい産業を起こす方向に動かしていかないと、今の雇用、今の状況をそのまま守ってリストラをやらないということでは日本の産業再生はあり得ないと思います。したがって、ここは多少痛みを感じましても、できるだけ今審議していただいておりますような雇用対策をとり、また新しい産業が起こるように対策をとりながら、新しい時代に向かってリストラクチャリングをしていかなければならないと考えております。
  247. 池田幹幸

    池田幹幸君 私の時間は非常に短いんですが、一言やっぱり申し上げておかなきゃいかぬ。  これは二度目の笠井議員の質疑のときにきちんと申し上げたはずです。リストラを進めているというのは、もう会社が危なくなったからというところじゃないんですよ。体力を持っている、もうけている企業なんです。そのことについては十分申し上げたはずじゃありませんか。  私はここで、労働者問題でなしに下請問題を今やっておりますので、続けさせてもらいたいと思いますが、結局、下請切り捨ての歯どめは何もないということなんですね。  全国中小企業団体中央会、これは御存じと思いますが、ここでことしの五月、調査をやっております。それから、前回の九八年十月の調査もあります。この二つの調査を比べた調査を発表しているわけですけれども、そこでは、九八年十月段階でコストダウン要請、内製化の推進、下請企業の見直し、選別・集約化ということで、非常に下請企業は困難な状況に置かれておると。この五月の調査で、下請中小企業を取り巻く環境は一段と厳しさを増しているということで、こういったコストの切り下げ等々がどんどん進められておるといった実態が報告されているわけなんです。  だから、このことを考えれば、こういうもうけている企業がどんどんリストラして首を切るだけじゃなしに下請をどんどんいじめておる、下請を切り捨てようとしておる。こういったことについては、そういう身勝手なことをやらせないという規制が必要だということを申し上げているんですが、通産大臣はいかにお考えですか。
  248. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 既にいろいろな法律の中で、親企業が下請企業をいじめるということはできない仕組みは幾つかあるわけでございます。もちろん、優越的な地位を利用してという独禁法の規定もございますし、そういう既存の法律の枠組みを通じて、私どもも中小企業が不当ないじめに遭わないような、そういうことについてはよりよく監視をしてまいりたい、そのように思っております。
  249. 池田幹幸

    池田幹幸君 この中央会の調査でもはっきり出ているんですよ。その下代法、下請法が余り機能していないんです。もう全く下請法違法すれすれのことを要求してくるということで、この中央会の調査でも出ておりますからごらんになっていただきたいと思うんです。  もう一つ私伺っておきたいんですけれども、七月一日にNKK、日本鋼管ですね、これが表面処理鋼板部門をエヌケーケー鋼板という新会社に分社化しました。政府は、これをことし二月に施行された新事業創出促進法の適用第一号として承認しました。これによってNKKは特別措置法の登録免許税等、優遇税制が受けられるわけですが、この新事業創出促進法、何を目的にしてつくられたんですか。
  250. 江崎格

    政府委員(江崎格君) この法律はことしの二月から施行されている法律でございますけれども、主として新たに事業を始めるという創業者に対する支援を目的としておるのが一つ、それから中小企業に対しまして研究開発予算を重点的に投下いたしまして、研究開発ができる環境をつくっていこうということが二番目、それから三番目に、地域における研究開発から事業化までの一貫した支援策を提供するための地域プラットホームを整備するといったようなことを目的にした法律でございます。
  251. 池田幹幸

    池田幹幸君 いずれにしても、新しい事業創出ということが目的になっておるわけですけれども、このエヌケーケー鋼板の場合、どういう事業がつくり出されましたか。
  252. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 御指摘の会社は、これは鋼板の表面処理をする会社ということでございまして、新事業創出促進法の中におきましては、企業が分社化をして新しい事業に取り組むというのも支援の対象にしておりまして、そのケースに当たるものでございます。
  253. 池田幹幸

    池田幹幸君 分社化でやったということは私も申し上げたんですけれども、結局この分社化で何が変わったかといいますと、何も変わらないんです。というのは、表面処理部門というのは高炉から流れてくる連鋳の一部門なんですから、そのラインの一部です。これを切り取って分社化したわけですから変わりようがないんです。結局、新しい事業など全然ありません。今までと変わりない。変わったのは何かというと、労働者のヘルメットが変わった。  それから、計画がひどいことになっています。賃金がNKK水準の七〇%、労働時間は年間六十時間増加、下請の支払い総額の圧縮、こういう形でまさにひどい状態になっておる。こういうことを新事業創出として許すような、こういったやり方というのは下請いじめにほかならない。こういったことをやるべきじゃないということを申し上げておきたいと思います。  私の時間はなくなりましたので、小池議員に譲りたいと思います。
  254. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 関連質疑を許します。小池晃君。
  255. 小池晃

    小池晃君 実施まで九カ月を切り、国民の不安が広がっている介護保険について聞きます。  基盤整備のおくれ、高過ぎる保険料、利用料の負担、要介護認定の問題点、こういったことが指摘されています。全国の三分の一の自治体で介護保険の改善を求める意見書が採択されています。  厚生大臣にお聞きしますが、第一号保険料の取りまとめ状況と現時点での保険料額の集計を示してください。
  256. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 保険料算定の基礎となります各市町村における介護サービス基盤の見込み等の取りまとめにつきましては、都道府県に対しまして六月までに出すようにお願いしておるところでございます。しかしながら、都道府県におきましてこれをスルーで持ってくるというわけにはまいりませんで、圏域ごとの施設サービスの必要量の調整とか、あるいはデータの精査が必要なために報告が全般的におくれぎみになっております。  現状では、都道府県における精査ができているのは約半数だと、提出は全体でなされてきておりますが、まだ精査が半分しかいっていないということでございまして、報告のデータにつきましてはできる限り精査を行いまして、近いうちに平均保険料額を算定し、公表したいと考えております。
  257. 小池晃

    小池晃君 もう実施まで九カ月を切っているわけであります。情報を明らかにしない、締め切りは六月末だったわけですから、こういったことが国民の不安、不信をあおっているんじゃないか。国の責任で保険料額、基盤整備の到達、認定の準備状況などを一刻も早く明らかにすべき、このことを指摘したい。  その上で、二点目として、保険料も大きいんですが、利用料の負担も非常に大きい。利用料負担についてお聞きしたいと思います。今ホームヘルプサービスを無料で受けている人の比率はどのくらいになるでしょうか。
  258. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) ホームヘルプサービスでございますが、抽出調査でございますけれども、九年度で無料の方は約八割でございます。ただ、これは国の基準を超えてやっております市町村単独事業も含まれているということでございますが、八一%でございます。
  259. 小池晃

    小池晃君 今、無料の人が八一・三%もいるんです。配付資料の一を見てください。一万円未満という人を加えると九割超えるんです。こういった人たちには保険料に加えて新たに利用料負担が加わってくるということであります。さらに施設の入所者はどうか。介護保険後の特養ホームの一月当たりの負担額は、一般で五万円、住民税非課税者で四万円、老齢福祉年金受給者で二万四千円であります。  配付資料の二を見ていただきたい。今、特養に入所している人で負担額五万円以内の人の比率というのはこの斜線部です、六四・五%。これ以下の方というのはみんな負担増になる。この所得層は介護保険後は利用料負担はふえるわけです。これは、今入っている人は経過措置があるわけですが、これから入る人に関しては、こういう所得階層の人はみんな負担増になってくるんだということであります。  今、国民年金の平均受給月額は四万七千五十八円。これしか収入がない人が特別養護老人ホームに入るとしましょう。保険料を仮に三千円、住民税非課税として利用料と食費で四万円、手元には四千円ちょっとしか残らないんです。どうしてこれで生活ができるのか。  厚生大臣にお聞きしますが、これで低所得者対策が十分というふうに言えるんでしょうか。
  260. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) これは、保険料と給付の面で両方低所得対策を私どもとしては考えております。  まず、保険料につきましては、市町村民税の非課税者を中心にいたしまして、これを上下に展開をするようにお願いしてございますので、低所得者は五割減あるいは条例によってさらにそれを引き下げることも可能な状況になっております。  それから、給付の方は一割負担の原則といたしますけれども、医療保険における高額療養費制度に倣いまして、介護費用の一定割合、つまり今審議会に御諮問をしておるのは三万七千円くらいでございますが、ごく低所得の人たちは一万五千円くらいの頭打ちというようなことも考えております。  そんなことでございまして、もっともっと低所得対策をやれという声も私ども承知しておりますが、来年の四月の実施に向けましてどのような対応が可能であるか、総合的に実態をよく把握した上で対応しなければならないなという感じを持っております。
  261. 小池晃

    小池晃君 高額介護サービス制度を利用しても、住民税非課税の方は利用料と食費で四万円かかるんですよ。そして、今の年金の平均受給額は四万七千円なんです。これで、今高額介護サービス費があるから低所得者対策になっているとおっしゃるが、低所得者対策になっていないんじゃないか、不十分なんではないかというふうに、高額介護サービス費を設定したとしても不十分ではないかというふうにお聞きをしているんです。どうですか。
  262. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 国民年金の平均受給額を算定の基礎にしての御議論だと存じますけれども、確かにそれだけでございますと、今申しましたような一割負担あるいは保険料を引きますと剰余は非常に少なくなります。  しかしながら、実際上はそういう方というのは非常に少ないわけでございまして、資産なり他の所得なり、そういうものを勘案しながらやっておりますので、全体としてやっぱり把握する必要はあるというように考えております。
  263. 小池晃

    小池晃君 厚生省の先日の最新のデータですが、国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯で年金、恩給だけで生活する世帯の割合は五八%です。年収二百万円以下の低所得世帯で見れば七三・一%が年金だけで暮らしているんです。今の議論は通用しないですよ。  もう一回聞きます。低所得者対策が十分だとお考えですか、これでも。
  264. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 年金だけで生活している方々が五八%くらいだというのはそのとおりだと存じますけれども、国民年金だけであるのか、あるいは厚生年金で比例報酬部分まで含めたものであるか、それは明らかで必ずしもありません。そういったことを勘案しますと、その数字上の五八%だけからのみ断定することはできないと存じますが、私どもとしては、低所得の問題は常にこの保険制度の中でやはり配慮すべき領域の一つであるかなという感じは持っておりますが、実態がもう少し明らかになってまいりましてからいろいろの対応を考えていきたいと思っています。
  265. 小池晃

    小池晃君 実態が明らかになってからといって、もう九カ月を切っているんですよ。今から何が一体明らかになると言うんですか。もう既に国民生活基礎調査で、厚生省の数字で、年収二百万円以下の低所得者世帯、これはほとんど国民年金、老齢年金受給者ですよ。こういう方は七割が年金だけで暮らしている。低所得者対策として不十分ではないか。  もう一度お尋ねします。お答えください。
  266. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 九カ月を切っておる状況でまだわからぬのかというお尋ねでございますが、先ほど申しましたように六月までの報告が多少おくれておりますから、私どもとしては、これを七月中にはぜひ取りまとめて、どのような保険料でありどのような負担率になるか等々も実態を明らかにした上で対応を考えていきたいと思っています。
  267. 小池晃

    小池晃君 さらに七十五歳以上の後期高齢者、介護の対象になる方はそういう方が多いわけですが、この六五・二%、すなわち三人に二人は女性です。その多くは単身であります。単身の高齢女性の平均年収というのは百五十万円未満が五六・五%。これもまた実態としてあるわけです。本当に私はこの介護保険制度は、高額介護サービス費を設定したとしても、利用料だけ見ても低所得者対策というのは全く不十分だ、ここに保険料負担が加わる、これはもう大変だという声が全国各地から、国民から上がってくるというのは、これはもう当然のことだろうというふうに思うんです。  そこで、総理にお聞きしますが、保険料の軽減、利用料の負担軽減、これは切実に求められていることだろうというふうに思うんです。国庫負担をふやして保険料と利用料の軽減に充てるべきではないか、そう考えるんですが、いかがでしょうか。
  268. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 介護保険制度における国庫負担割合をふやすことは大変難しいことであります。保険料が高額にならないように配慮すべき旨の市町村からの要望のあることは承知をいたしております。  こうした要望につきまして、各市町村介護保険事業計画の策定過程において見込むこととされている介護サービスの必要量を国に提出いただくこととしていることから、その集計に基づく給付費の推計等を踏まえた上で対応を検討することといたしておるところでございます。
  269. 小池晃

    小池晃君 そういうこの期に及んで一般的なことを聞いているのではないんです。実施まで九カ月を切っているんです。これだけ大変な問題になっている。きのうの新聞報道によれば、自民党の政策責任者から、保険料の軽減に国庫負担を充てると表明されているじゃないですか。円滑なスタートのために国庫負担による保険料や利用料の軽減、これは与党の責任者からもそういう言葉が述べられているんです。それについてどう思うか、それを実施するつもりがあるのかどうか、そのことを聞いているんです。そのことに答えていただきたい。
  270. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 与党の方でいろいろと研究、検討はしているんだろうと思いますが、まだそうした決定をしたということは聞いておりません。
  271. 小池晃

    小池晃君 決定ではないにしろ、私は中身を聞いているんじゃないんです。よく聞いてください。国庫負担による保険料や利用料の軽減、このことを否定されるんですか。このこと自体をやるのかやらないのか、そのことに向けて検討するのかどうか、そのことをお聞きしているんです。ぜひ答えていただきたい。
  272. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先ほど総理の方から、国庫負担の割合については変更できないということでございまして、これは今のシステムで国庫負担の割合が法定されております。したがって、それを変えられないということを総理が申し上げられたと存じますが、今後介護保険を円滑に実施するためにどのような方策が可能であるか、今、保険料の党側の意向等の質問もございましたけれども、私どもまだ決定してはおりません。実態をよく明らかにした上でどのような対応が必要であるかを今後検討してまいりたいと思っています。
  273. 小池晃

    小池晃君 ということは、保険料、利用料の軽減のために法定の二五%の法定外の負担ということでは検討する、そういう余地があるんだと、そういう検討を進めていくということでよろしいんですか。
  274. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 結果としてそのような保険料負担に影響するような施策をとるかとらないか、これは今後の検討にまちたいと思っておりますが、それも否定するものではないというようには思います。
  275. 小池晃

    小池晃君 否定するものではないという御答弁でありました。  きょうはちょっと時間がないので触れられませんでしたが、このほかにもたくさんの問題があるわけです。基盤整備のおくれ、要介護認定ではねられちゃうという問題もあります。四十歳以上のすべての国民から保険料を取っておいて、それで実際サービスを受けられないということになったらこれは大変なことであります。  私たちは、国の責任による基盤整備それから利用料、保険料の負担の軽減、これはどうしてもするべきである、このことは絶対に必要である、もしそれができないというのであれば、一定の準備ができるまでは保険料の徴収を延期すべきであるというふうに考えております。ゼネコン奉仕の、公共事業偏重の税金の使い道を改めれば十分に財源はある、それこそが国民の今の切実な願いにこたえる道である、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  276. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で池田幹幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  277. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、大渕絹子君の質疑を行います。大渕絹子君。
  278. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 連日、御苦労さまでございます。  有事法制立法化について、総理はその必要性を強調されておりますけれども、我が国が武力攻撃を受ける要因があるのか、まずお尋ねをいたします。
  279. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 備えあれば憂いなしということで、国民の生命、財産を守るために、政府としてはあらゆる事態を考慮しながらその安全のために全力を尽くしておるところでございます。
  280. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 敵対されるとすれば、我が国の外交姿勢にこそ問題があると言わなければならないと思います。アメリカ偏重の外交をやめて世界との平和外交に徹するべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  281. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のアメリカ偏重外交というものの具体的な意味するところは明らかでございませんが、我が国外交は、国際社会全体の安定と繁栄、ひいては日本自身の安全と繁栄のために、米国を含む近隣諸国との関係強化、アジア太平洋地域をめぐる地域協力の推進、国連を初めとするグローバルな取り組みへの協力を基本方針といたしておるところでございます。  日米関係が我が国外交の基軸であり、その中核をなす日米安保体制により我が国は平和と安全を確保し、今日の繁栄を築いてまいったものであります。この日米安保体制の意義は冷戦後もいささかも変わることなく、政府としては、今後とも日米安保体制を堅持し、日米関係を外交の基軸としつつ、我が国の安全と繁栄を確保するために尽力をいたしてまいる考えであります。
  282. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理はどんな法律を想定して有事法制が必要だと言われておるのでしょうか。
  283. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 防衛出動が命ぜられるという事態における自衛隊の行動に係る法制につきましては、現行の自衛隊法等において防衛出動の規定及び防衛出動時における権限に関する規定等が定められており、自衛隊の任務遂行に必要な法制の根幹は整備されていると認識をいたしております。  他方、これまで行ってきた有事法制の研究におきまして、いわゆる第一分類と言われる防衛庁所管の法令につき、現行法令に基づく法令の未制定の問題等や、第二分類と言われる他省庁所管の法令につき、幾つかの法令にかわる特別措置の必要性等が指摘されており、現行法制上など不備な事項が残されていることは事実でございます。さらに、第三分類と言われる所管省庁が明確でない事項に関する法令等に関し、その取り扱いについて内閣安全保障・危機管理室で調整中でございます。  有事法制の問題につきましては、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することは考えているわけではありませんが、政府としては有事法制は重要な問題と認識をいたしており、国会における御審議、また国民の世論の動向等を踏まえて適切に対処いたしてまいる考えであります。
  284. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理が御答弁のように、自衛隊の日常の訓練は事あるときを想定されて行われているというふうに思いますけれども、その上に、なおかつ、さらに必要な有事法制ということになれば、国民の生活そのものにかかわってくる分野に踏み込んでいくのではないかということが危惧をされております。  世界じゅうの平和を求める人々が、日本の憲法のあり方について非常に高く評価をし始めている時代でございます。こんな中で、日本はその大事な宝物を捨てようとしているような動き、総理、あなたが今突き進もうとしている道が本当に国民に対して幸せをもたらす方向であるというふうに確信を持っておられるのでしょうか。
  285. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) このことは以前御答弁させていただいたと思いますけれども、やはり有事法制ということにつきましては福田内閣時代に三原防衛庁長官のもとでこれを研究することを始めました。しかし、法制化をその当時においては考えておらないという答弁をたしかいたしておると思います。  有事法制といいますと、何かしら有事を引き起こしてくるのではないかという、そういう印象なり考え方が当時においてはかなり強いものがあったと思っておりますが、今考えてみますれば、やはり法制的にきちんとした対応をいたしていくことがむしろシビリアンコントロールにとりましても必要なことではないかという意見も、最近、新聞論調を含めて大変出てきておることも事実でございます。  委員おっしゃるように、このことはむしろ憲法に基づいて我が国の安全保障に自衛隊がかかわり合いを持つことにつきまして、いろんな意味でのきちんとした法体系をつくり上げるべきことが必要ではないかという考え方が今や私はかなり国民の間にも浸透しつつあるんだと、こう考えておるわけでございまして、やや考え方をその点は先生と異にいたしておると思っております。
  286. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国民の間には、総理がおっしゃるような方向を求める人あるいはそれに大変な危機感を持っている人、さまざまあると思います。しかし、今の国会状況の中で、多数をもってすれば何でもできるという方向であらゆることが法制化をされていくというこの現状は、国民の意思とは違うところで動いていると言わざるを得ないと思っております。ぜひしっかりとここは国民の意識というものを賢察した上で進めるべきだということを主張しておきたいと思います。  次に、七月十二日に発生をいたしました敦賀原発の冷却水漏れ事故について、詳細な報告を求めます。
  287. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 七月十二日早朝、敦賀発電所におきまして各種の警報の発報がございました。一次冷却材の漏えいが認められたため、事象発生後、直ちに手動停止の作業を行いました。  その後、原子炉の温度、圧力を低下させました上で、原子炉格納容器内に作業員が立ち入りまして、漏えい箇所を特定するとともに、漏えいを停止いたしました。  点検の結果、浄化等のために主配管から抽出をした一次冷却材の温度を調整するための装置である再生熱交換器の配管の曲げ部分に長さ約八センチのひびを確認いたしました。漏えいした水はすべて原子炉格納容器の中に閉じ込め、さらにその後、廃棄物処理系の貯蔵タンクに移送をいたしました。  なお、外部への放射能の影響はなく、非常用炉心冷却装置の作動にも至っておりません。IAEAの国際評価尺度の暫定評価はレベル一といたしました。必要な除染作業を終了いたしまして、現場にて漏えい箇所等の詳細調査を行いました。今後、配管の当該部分を切り取りましたので、これを研究施設に持ち込み、原因究明のための調査を行うこととしております。  なお、今回のトラブルの再発防止のために、今後、原因究明の上でさらなる措置をとりますが、当面、運転中の全プラントにつきまして、各種パラメーターの監視、パトロールによる点検等、細心の注意を払うことを指示いたしてございまして、現在までのところ、異常値その他は出ておりません。  また、定期検査中のプラントにつきましては、類似の再生熱交換器の配管の健全性を超音波検査などによりまして確認し、結果の報告を求めることとしております。
  288. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 九六年にもこの原発は同じような事故が起こっていますけれども、そのときの教訓が生かされていないと思います。  今も原因の徹底究明をするということを言っているわけですけれども、九六年当時の原因究明が徹底的になされないままに再運転がされたのではないのですか。
  289. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 九六年の際のトラブルにつきましては、その原因が、その製造過程において品質管理上の問題があったということがはっきりいたしました。このため、当該メーカーによる当該部品に類似した部分についての総点検を行ったところでございます。  今回の事象につきましては、さらにその原因を十分に究明して今後の対応をとりたいと考えております。
  290. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 放射能の汚染除去作業に当たっていた方は、その放射能について、原発の中身について十分熟知をされた管理者の皆さんが当たっていたのか、あるいはまたそうではなく、ただ単に通常掃除に当たっているような人が使われたのか、お聞かせください。
  291. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) この除染作業に当たりました人間は、通常この管理区域の清掃等を担当しておる者でございます。
  292. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 危険性について十分周知をさせた上でお使いになったのでしょうか。
  293. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 放射線防護にかかわる研修を受けた者たちでございます。
  294. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 汚染物の処理は今後どうなさるのですか。
  295. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 汚染物の処理は、漏えいをいたしました一次冷却水とこの除染作業で用いました各種の物品との二つに分かれます。  この漏えいした冷却水につきましては、十三日に格納容器の外にある貯蔵タンクに全量移送をいたしました。今後は液体廃棄物処理設備で処理をいたします。具体的には、まず蒸発装置で処理をし、蒸留水と放射性物質を含む濃縮廃液に分離をいたしまして、濃縮廃液につきましてはアスファルト固化した上でドラム缶に封入をいたします。  除染作業から発生をした汚染物につきましては、雑固体廃棄物と称しておりますが、可燃物として雑固体焼却設備で焼却をし、焼却灰はセメント固化された上でドラム缶に封入をいたします。  これらのドラム缶は、通常の放射性廃棄物と同様に固体廃棄物貯蔵庫の中で定期的に線量測定、巡視点検等、厳しい管理のもとで保管をいたします。
  296. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 評価基準三、評価レベル一は「もんじゅ」の事故と同じというふうに言われておりますけれども、配管の金属疲労ということ、原因究明はこれからと言われていますけれども、金属疲労などが考えられるとすれば、再稼働というのは無理ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  297. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 今回のトラブルにつきましては、現在漏えい部分を切り取り、今後、試験施設において原因究明のための調査を行うこととしております。当省といたしましては、まずは徹底した原因究明が行われ、このようなトラブルが発生しないよう再発防止に万全を期すことが重要と認識をいたしてございます。  当該プラントの再稼働につきましては、再発防止を着実に実施し、安全性が確認された上で行われるものと考えております。
  298. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大変原発の事故が常態化をしている状況でございますけれども、最近五年間の事故発生件数を教えてください。
  299. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 暦年の数字で申し上げます。  平成七年、レベル〇が十五件、レベル一が四件。平成八年、レベル〇が二十件、レベル一が一件。それから平成九年、レベル〇が十六件、レベル一が三件。平成十年、レベル〇が十四件、レベル一がゼロ件。平成十一年、レベル〇が十六件、レベル一が今回の一件でございます。
  300. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 通産大臣、こういう事故が大変多発をしています。こういう中で、さらに政府は点検期間の縮小を提案したり、あるいは耐用年数を長くするというような計画を立てていますけれども、ここは管理責任者として、こういう事故の発生が常態化をしていることについて、その責任を逃れることはできないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  301. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 御存じのように、原子力発電所を建設いたします場合には、原子炉等規制法あるいは電気事業法というものが適用され、その中で、原子力委員会、原子力安全委員会、そして私ども資源エネルギー庁が原子力発電所の安全性についての責任を持っているわけでございます。  今回、このようになりましたことについては大変申しわけないことだと思っておりますし、またこの事故は、トラブルはきちんと原因を究明した上で、今後の原子力開発に支障のないように、皆様方の御理解をいただきながらこの問題の始末をしていきたい、そのように思っております。
  302. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事故の常態化についてはどうしてだと思いますか。
  303. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 原子力発電所の安全性というのは一体何によって成り立っているのかという問題が一つございます。  一つは、設計思想の問題がございます。この設計思想は、例えばソ連のチェルノブイリの場合には、その設計思想自体が昔から危ぶまれていたということがございます。ただ、日本が使っておりますいわゆる水炉、軽水炉というものは、温度、圧力が上昇した場合には反応度がマイナスに働くという特性を持っておりますので、それ自体は固有の安全性を持っていると私ども考えておりますし、それは世界的にまた認められたところでございます。  ただ問題は、そういう炉自体の設計思想のほかにもう一つは、やはり原子力発電所というのは実は特別な機器で成り立っているわけではありません。実際は、水を回すポンプとかあるいは配管とか、その他のいろいろな測定用の機器とか、そういう在来の機器で成り立っているのが原子力発電所でございまして、特別新しい技術というもので成り立っているわけでは実はないわけでございます。  したがいまして、設計の思想も大事でございますが、実際は原子力発電所をつくりますときの機器一つ一つ、あるいは例えば今回の場合ですと、パイプ一つ一つの信頼性と申しますか安全性と申しますか、そういうものにもよって立っておりますし、またそういう信頼性のある部品を組み立てるときの組み立て、我々施工と呼んでおりますけれども、そういう施工のときの注意、また施工後の一つ一つの施工がきちんと行われたかどうかを点検する検査、こういうものも非常に大事でございます。  かてて加えまして、もう一つは、原子力発電所は機械が動かすように思っておられる方がいますが、実際は人間が運転をしているわけでございます。したがいまして、もちろん機器による安全性ということが担保はされておりますが、やはり原子力発電所を運転している人間がいつも安全に対する細心の注意を払いながら発電所を運転していく。  そういう三つの安全性、安全を確かめるための物事がすべて順調にいかなければならないわけでございまして、我々役所も、また実際発電所を運転する人たちも、細心にも細心の注意を払いながら物事を進めていくというのが私は原子力発電所を運営していくための基本であろうと、いつもそのように思っております。
  304. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 点検のあり方なども十分に考え直していかなければならないというふうに思いますし、信頼性を持ってつくられた原発であっても事故が常態化する状況になっていますから、日本の原発は大丈夫、安全だというようなことにはならないんです。ここをしっかりと認識をした中で、安全の確保にさらに努めていく必要があるというふうに思います。  そこで、総理、さらに原発推進を政策に掲げておられますけれども、クリーンエネルギーの開発を進めて原発から撤退をする方向を決めていく必要があるというふうに思います。今回の事故を教訓にしながら政策の転換を早急に図るべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  305. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 原子力発電所でトラブルが発生した場合には、今後とも徹底した再発防止策を講じ、原子力発電所の運転におきましても安全性の確保に万全を期してまいる所存でございます。  我が国のエネルギー政策の基本目標は、エネルギーの安定供給の確保、経済成長及び環境保全の同時達成を図ることであり、特に地球温暖化問題への対応のためにも、安全性の確保を大前提としつつ原子力を着実に推進させていくことが必要不可欠と考えておるところでございます。
  306. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひその安全性の確保を図っていくために最大限の努力をしていただきたいと同時に、あらゆるソフトエネルギーの開発にさらに力を入れていただきたいと思います。  笑っていられるうちはまだいいのです。事故が起こったときに本当にどうなさるのかということを私は皆さんにも問いかけておきたいというふうに思います。  次に、衆議院定数の五十削減についてでございます。  自自連立がつくられましてから、この衆議院定数の五十議席削減を比例代表の部分で削減するという法律が出されておりますけれども、選挙制度と民意の反映について総理にお伺いをいたします。どうあるべきと思っておられますか。
  307. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この選挙制度のあり方につきましては、第八次選挙制度審議会の答申が平成二年四月に行われまして、民意の反映と同時に民意の集約、政治による意思決定と責任の帰属の明確化、さらには政権交代による政治の緊張感等の要請を満たすことが必要であるとされております。  その上で同答申は、このような要請を満たす上で小選挙区制がより適合するものとしつつ、小選挙区制、比例代表制それぞれのみではさまざまな問題があるので、小選挙区制、比例代表制を組み合わせることが必要といたしておるところでありまして、その後、この答申以降の衆議院における選挙制度のあり方につきましては、既に御案内のように、小選挙区比例代表制度を取り入れて現行に至っておるということでございます。
  308. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 比例制が併用された経過についてお聞かせください。
  309. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、細川政権時代に、当時政権を持たれた細川首相と自由民主党の総裁でありました河野総裁との間に最終的な合意を見まして、現行の小選挙区比例代表制度を採用することとしてこれが法律化されたものでございます。
  310. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 小選挙区制度だけでは死に票が圧倒的に多く出るということに考慮し、民意の反映を的確にしていくためには比例代表制度の併用がどうしても必要だという議論の中で導入された比例代表制でございます。国民の皆さんの多様化しているニーズを小選挙区制度だけでは実現することができないという中でこの選挙制度ができてきたと思います。  その経過を見ますと、比例代表制の議席を五十減らすということは民意とは相反する方向であると私は思います。自自連立の政権維持のためにこれに踏み切るということは、私は国民の意思に逆行するものだと思いますけれども総理はどのようにお考えでしょうか。
  311. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お話しのように、自民党総裁としての私と自由党小沢党首との間で現在の国会議員の定数の問題につきましていろいろとお話をさせていただいた過程におきまして、やはり定数を減ずることは、現下、国民の皆さんから見ても必要なことではないかという考え方に基づきまして決定をいたしたわけでございまして、いずれを減ずるかということにつきましてもお話をいたした上で、比例部分について五十議席を減少するということで一致を見た次第でございます。
  312. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこがおかしいと思います。国会によって決められた法律を改正するのに、連立を図るために、自自連立を保つために使われるということが私は納得ができません。  どうして国民が五十議席比例を減らすことを望んでいると思うんですか。具体的な根拠を示してください。
  313. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、両党の話し合いによって、そういう考え方に基づきまして法律を出させていただいておるということでございますので、その御批判につきましては、現在提出をさせていただいている法律も含めまして御議論を賜りたい、こう考えておるところでございます。
  314. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この法律がつくられた経過をお聞きしたのは、そのつくられた経過をきっちりとわかっていただければそういうことにはならないということを総理にわかっていただきたいと思ったからでございます。まだ審議に入っておらないわけでございますけれども、私は即刻撤回をしていただきたいと思っておるところでございます。  関連質疑を照屋議員にお願いいたします。
  315. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 関連質疑を許します。照屋寛徳君。
  316. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 選挙制度と関連をいたしまして、一点だけ法務大臣に関連質問をいたします。  公職選挙法と学歴詐称の問題、それから告発と時効制度をめぐる捜査の問題についてお伺いをいたします。  七月十二日に女優の浅香光代さんがタレントの野村沙知代さんを、一九九六年衆議院選挙に立候補した際の学歴詐称で、公選法二百三十五条一項で東京地検に告発をしたようであります。  ところが、その告発が公選法の時効まであと二カ月半しかなく、捜査しても時間切れになってしまう、十分な時間がない、こういう理由でその告発状を受理しなかったということがかなりマスコミで報道をされました。  そういう事実はあったんでしょうか。
  317. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 具体的事件にかかわることでございますので、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  318. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 法務大臣、私は具体的な告発の事実、内容を聞いているんじゃないんです。  告発をめぐってこういうことが報道された、このことを、私は、答えられないと言うのであれば、法務、検察行政への国民の信頼を揺るがしてしまうことになりはしませんか。もう一度お答えください。
  319. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 基本的にはただいま申し上げたとおりでございますが、重ねての御質問でございますので若干触れさせていただきたいと思いますが、そのような報道がなされたということは承知いたしております。しかし、東京地検が受理を拒否したという事実はなく、お尋ねの告発状に関しては、浅香さん本人がみずから告発を撤回したため浅香さんに返還されたものと承知いたしております。
  320. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 法務大臣、最初からそういうふうに答えていただければいいんですよ。  私は、どちらかに軍配を上げようと思って質問しているんじゃないんです。制度の根幹にかかわることですよ。笑い事じゃないんです、法務大臣、これは。  時効が迫っていても被疑事実についての捜査に全力を尽くすのが検察の使命じゃありませんか。だからこそ、場合によっては懸賞金をかけて犯人を追い詰めるじゃありませんか。数日前に迫っても逮捕して起訴まで至る事件だっていっぱいあるじゃないですか。  それでは、お伺いいたします。浅香光代さんは七月十五日に再度同じ内容で告発をしたようでございますが、これは受理されましたか。
  321. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) その後、七月十五日、浅香さんが再度告発状を提出いたしましたので、東京地検において所要の手続を進めている、このように承知いたしております。
  322. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 所要の手続とは、受理をされた、こういうことですね。
  323. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) 具体的なことについては刑事局長から説明させます。
  324. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 告発状が出されますと、とりあえず預かるということがございます。これはなぜ預かるのかといいますと、その告発状の内容、あるいは犯罪が特定しているかどうかということです。あるいは、告発された方の手持ちの証拠の有無につきまして、持参された方、多くの場合弁護士が付き添ってくることが多いのですが、弁護士さんも含めましていろいろ質疑応答があります。その段階で告発を維持するということでありますと告発状を受理することになりますが、告発状を持参された方がもう少し考えるということで、それを持って帰られることもございます。  先週の月曜日に浅香さんが告発状を持参してまいりましたが、そのときは今言ったような経緯の中で、もう一度考えてみますということで浅香さんはそれを撤回して持ち帰られております。それで、今、大臣からも御答弁申し上げましたが、七月十五日木曜日でございますが、再度告発状が提出をされまして、本日、浅香さんと弁護士さんがおいでになって、また検察官と話をするということになっております。  東京地検といたしましては、難しいから受理しないんじゃないかとか、あるいは熟女の闘いに巻き込まれるのは嫌だというようなことでこれを受理しないのではないかというような報道があって、大変けしからぬというようなおしかりもこうむっているわけでございますが、受理をしなかったということはありません。  今申し上げたような経緯で、あくまで告発をされる方の意思を尊重しながら、再度提出された状況でございますので、本日の説明で告訴の意思が非常にはっきりしている、あるいは受理をしてくれということでございましたら、恐らく東京地検はこれを受理して捜査をすることになると思います。
  325. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 局長、簡単に熟女なんて言ったらセクハラになりますよ、怒られますよ。そうじゃなくして、この問題でたくさんの新聞に法務省や検察庁に抗議の電話が殺到したと書いてある。私は金丸事件を思い起こしました。  一般論として、時効が迫っているから、二カ月半しかないから受理しないということはあり得ませんね。あってはいかぬことだと思いますよ。それだけ確認して、終わります。
  326. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 今、熟女と申し上げたのは、そういう報道がなされているということで御理解いただきたいと思います。  それで、時効の点等、確かにいろいろ御指摘があるわけでございますが、そういったことは受理をしない理由にはなっておりません。あくまでも告発した人の意思がはっきりしていればこれは受理するということでございますので、その点だけでございます。
  327. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、続きまして年金改革についてお尋ねをいたしていきます。  年金の改革につきましては、さまざまな政局との絡みがありまして、御質問があり答弁が続いているところでございます。一九九四年の附帯決議に、五年後の法改正のときには国庫負担を二分の一にする努力をするということが附帯決議にも盛られたわけでございますけれども、残念ながら今回の年金改革についてもこの国庫負担二分の一が見送られてしまったわけでございますが、このことについて明快な答弁を求めます。
  328. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 基礎年金の国庫負担の割合を二分の一に引き上げることにつきましては、莫大な財源を毎年必要とすることになります。現下の厳しい財政事情のもとにかんがみまして、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。  なお、今回提出を予定いたしております年金改正法案におきましては、基礎年金につきましては、財政方式を含めてそのあり方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引き上げを図るものとするということを法律上明記するということで予定しておるところでございまして、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討が必要であるという立場をとっております。
  329. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 前回の改正のときにもここのところは大変議論になりまして、社民党、自民党との折衝の中で、次回の法改正のときにこの財源問題も含めて国庫負担のあり方について検討するということが図られて今回の改正に至ったわけでございますけれども、さらにそれが五年後に見送られていったということはまことに残念でございます。  基礎年金というのは税方式に移行すべきであると思いますけれども、このことについてもさまざまな議論がありますけれども、さらにお答えをいただきたいと思います。
  330. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ただいま予定しております法律案の内容につきましては、基礎年金の点につきましては先ほど申したとおりでございますが、この基礎年金の検討事項の一つとして、税方式化の問題もあるとも認識をいたしておりますので、そうした問題を含めまして、基礎年金のあり方について幅広く検討していきたいと考えております。
  331. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国民年金の現行制度の諸問題、いわゆる空洞化の問題について、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  332. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 現在、国民年金につきましては、未納者、未加入者、免除者ということで、約二千万人のうちの三〇%くらいがそれに該当いたしております。人数的に申しますと、未納者が百七十二万人、免除者が三百五十九万人、未加入者が百五十八万人ということになっております。  未加入の方につきましては、届け出の必要性とかあるいは制度の仕組みを知らないということがあったり、忘れた方が多いようでございまして、このため、制度の周知を初めといたしまして未加入の解消を先行して進めているところでございまして、一定の成果が上がりつつあるものと認識いたしております。  それから、未納の方につきましては、経済的な理由や学生であることを理由にされる方が多いわけでありますが、未納者対策としては、納めやすい環境づくりとか、あるいは収納対策の強化などを重点にしていきたいと思っております。  さらに、今回の年金制度改正案におきましては、半額免除制度の導入とか学生納付特例の創設などの制度的な対応を行うことも予定しております。
  333. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国民年金の発足当時、当面はやむを得ず定額掛金で発足するけれども、早い時期に応能負担に改めたいということが厚生省から言われておりましたけれども、この考え方は今も持続しておりますでしょうか。
  334. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 我が国の公的年金制度は社会保険方式をとっておりまして、所得の捕捉が可能な限り、所得の高い者により多く負担を求め、その保険料の支払い額とか保険料の期間に応じまして給付を行う仕組みとなっております。  この仕組みにつきましては一定の合理性があり、国民の理解を得やすいものであるというように考えております。
  335. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 年金制度というのは、人間が暮らすのにどのくらいの費用がかかるかというところから出発して、国民の暮らしをきちんと維持できるだけの額を給付するというところに原点があるのが給付の公平の観点というふうに私は思います。負担した額に応じてということになりますと、年金のあり方とはちょっと違うのではないかなというふうに思いますけれども、給付の公平と負担の公平について、厚生大臣のお考えをお聞かせください。
  336. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) この社会保険制度は、負担と給付を非常に明確に関連づけております、もちろん国庫補助等もございますけれども。そういうところに特色がございまして、これは厚生年金等の比例報酬部分が基礎年金の上に二階建て構造になっているところはそれが言えようかと存じます。  一方、国民年金については、これは定額の納付、今一万三千三百円でございます。そして、給付の方も定額の給付ということになります。ただし、納付期間に応じまして、その額が、フルに四十年満期の場合は一人六万七千円ということでございますが、これが短ければ減額されて計算されてくるということでございまして、この辺をどう考えるかという問題は基本的にはあろうかと存じます。  先ほど申しましたように、国民年金のあり方についてはいろいろ問題なしとしません。特に、サラリーマンの三号被保険者、専業主婦の問題、あるいは男女共同参画型社会の中における位置づけの問題、あるいは税の控除の問題等々いろいろ関係がございますから、これらを総じて全体として検討した方がいいと私どもは認識をいたしておりまして、そういう検討の機会は設けた方がいいのではないかと思っております。
  337. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 給付の公平と負担の公平というのは必ずしも負担額に応じて給付が図られることではないということを私は再度確認させていただきたいと思います。  まず、消費税のパーセントを上げるというところから税財源に入るということではなく、さまざまな方向から検討することが私は可能だと思っているんです。今現在、国民年金もそれぞれ定額で国民が負担をさせられておりますから、それが税方式に移行していくときに、その負担をしている国民年金額に相当する税金を出していくなら課税対象限度をどこまで下げていけるかというようなことも議論の対象になっていってもいいと思います。また、負担が全くできない、困窮をしていらっしゃるところは負担がなくても給付が受けられるという制度をつくり上げていかなければならないと思います。これからもぜひそういう多方面からの検討をお願いいたします。  総理、この財源の問題につきまして、自自連立の中で政局と絡めてこの問題が利用されておることに私は非常に不快感を持っております。ぜひこの年金改革が、自自連立を維持できるかどうかというようなことに絡めて議論されることがないように、御答弁をお願いしたいと思います。
  338. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 年金制度は年金制度として、将来不安なきように政府としてはきちんと考えてまいりたいと思っております。  本問題につきまして、自民党と自由党がいろいろお話し合いをするということも、そうした意味合いにおきまして、よりよいものを目指すということにおいて政党同士話し合っていくことは否定するものではないと思っております。
  339. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 政党同士で話し合うことは私はいいと思いますけれども、約束が約束になっておらないじゃないですか。では、一九九四年の約束はどうなるんですか。そのことを私は申し上げたいと思います。いかがですか。
  340. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 委員の九四年の御指摘は附帯決議のお話でございましょう。  その点は、私どもとして、今回の年金改正に当たりましても、あとう限り保険料の引き上げを抑制したいという気持ちもございまして、これは五年後ということを決めたわけではございませんが、次の再計算期までには安定した財源を得て、これを二分の一にするということを明記することを今予定させていただいておるということでございます。
  341. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大蔵大臣にお伺いをいたします。  今回の補正予算案の財源でございますけれども、決算剰余金を財源としてお使いになりました。決算剰余金というのは、会計法上いつ明らかになるのでございましょうか。
  342. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 会計法上は、いわゆる主計簿の締め切りというのが七月三十一日、ことしの場合は三十日でございます。
  343. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 主計簿の締め切りが終わらないうちに補正予算の財源として使うことは許されるのですね。
  344. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 二分の一は国債整理基金に入れなければなりませんから、二分の一を超えることはもとより許すことができません。  今度の場合は、多少の安全を見まして二分の一よりかなり少ない数字を流用いたしました。これは、万一、二分の一を超えてはいけないという考慮でございました。その点は過去にも例がございます。
  345. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 過去に例があるからといって、こういうことが常態的に許されることにはならないというふうに思います。  会計法上も、またそれに基づく政令第百三十九条にも明快に、会計検査院の検査官その他の職員の立ち会いの上で大蔵大臣が署名をして、そして締め切るということが決められておるわけで、その手続に沿ってやるならば、七月三十一日以前に補正の財源として使ってしまうということは私はいかがかなというふうに思います。また、予備費の取り崩しにつきましても、当初予算のときにも予備費の問題を私は指摘いたしましたけれども、この時期に予備費を一千五百億円取り崩した中で補正の財源に充てるということは、予備費の趣旨からしても私はどうかというふうに思いますけれども、この指摘についてはどうでしょうか。
  346. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 本来、予備費は、予算編成当初において予想し得なかったような事情が生じましたときに使うことができるわけでございますが、国会開会中でございますから、そのことは、補正予算の形をもって国会の御審議を得てそして使うということでございまして、当然のことでございますが、当初に積みました予備費の一部を補正予算という形で国会の御審議を得て、御許可を得て取り崩すということでございますので、別段問題はないと存じます。
  347. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 当初予算のときにも、この不況は深刻であり雇用対策が十分に図られるべきであるということを私たちは主張し続けさせていただいたと思います。そういう配慮もない中でこういう補正が出されるということに対して、私は全く見通しが立たない政府であるということを指摘しておきたいと思います。  文部大臣にお伺いをいたします。  東京都が学級崩壊についての調査を行いましたけれども、この調査結果についての御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  348. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 東京都の教育委員会が行いました小学校における学級経営の実態に関する調査結果が出たという報道はよく存じております。ただ、まだ詳細についての報告を受けておりませんから、それについてはまだ承知していないところであります。  しかし、学級崩壊の問題につきまして私も非常に心配をしておりまして、文部省におきましても、現在、小中学校における学級経営の現状把握とその分析、学級経営上の諸問題についてとられました実践的対応等についての研究を今専門家の研究グループに委嘱しているところでございまして、その結果を踏まえながら今後の対応を検討してまいりたいと思っております。
  349. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 本会議質問におきまして、三十人以下学級について鋭意検討をしているという総理答弁をいただいておりますけれども、検討の具体的な内容について述べてください。
  350. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 今の一クラスの定員をどうするか、こういうふうな問題でございますけれども、現在、まず中央教育審議会で昨年九月の報告、答申でございますが、教員一人当たりの児童数を欧米並みの水準に近づけること、それから弾力的な学級編制ができるよう必要な法的整備を図ること、学校の実態に応じた指導が可能となるよう教職員配置をより弾力的に運用できるようにすることなどの教職員の定員配置や学級編制のあり方について幅広く提言をいただいたところでございます。  文部省といたしましては、この答申の趣旨を踏まえまして、現在、今後の学級規模のあり方や学級編制の弾力化等につきまして、特に学校週五日制時代における新しい教育課程の実施も視野に入れまして、専門家の協力を得て検討を行っているところでございます。
  351. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。  ありがとうございました。
  352. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で大渕絹子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  353. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、月原茂皓君の質疑を行います。月原茂皓君。
  354. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。  厚生大臣にお尋ねいたします。  十五日の衆議院予算委員会において、介護制度に関して総理は、昨年十二月十六日の自由、自民両党の介護制度に関する合意を受けて与党協議を尊重して対応する旨の答弁されたのに対し、宮下厚生大臣は、この合意とは関係なく介護保険制度を予定どおり行う旨の答弁をされました。しかし、十六日の本委員会において宮下厚生大臣は、総理と同様、与党間合意は大事なことであり、それに沿って厚生省も対処する旨の答弁をされました。  この答弁は、衆議院での答弁の反省の意味を込めて答弁したものと理解してよろしいでしょうか。
  355. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 私が衆議院において両党間の約束及びこれを前提とした総理答弁と異なるかのようなお答えをし、国会並びに国民の皆様に誤解を与えたことに対し、甚だ申しわけなく存じております。  私の真意は、十六日の本委員会答弁どおりであります。
  356. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よくわかりました。  それでは次に、自由党は、介護保険制度は国民の大きな関心事であり、予定どおり来年四月から実施し、その財源については広く国民に負担を求めるなどの見地から、消費税による税方式に変えるべきだと主張しているところであります。  介護保険制度の来年四月からの実施に向けて昨年十二月十六日、自由、自民両党が合意した介護認定、介護サービス体制の整備など介護の総点検の状況はどのようになっているか。実施しているなら手順、方法など具体的なやり方、現在までの結果など、その細目について文書をもって私に提出していただきたい。  あわせて、本委員会にも提出するよう、委員長に対し、所定の手続をおとりくださるよう要望いたします。
  357. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御要望の件につきましては、直ちに文書をもって提出させていただきます。
  358. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 次に、総理にお尋ねいたします。  総理、日曜の各紙に介護問題で国が、これは金額まで書いておるわけですが三千八百億ですか、一部補てんすることを自民党が検討していると報じられておりますが、総理としてはどのように考えられておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  359. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今のお尋ねは、いわゆる党の研修会におきましての自民党政調会長代理の丹羽発言に基づいてのお尋ねかと思います。  結論から申し上げますと、政府としてはその問題について、先ほども答弁申し上げましたが、承知をいたしているものではありません。党内の議論の一部として紹介されたものだと、このように考えております。
  360. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 総理が衆議院の委員会でもお答えになったように、与党と話し合いをし、その結果に基づいて、政府を預かる私といたしましてはその方向で検討するということを答弁されておりますが、この姿勢で臨まれるわけですね。確認のために、当たり前のことですが、一応総理の姿勢を。
  361. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) そのとおりでございます。
  362. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 厚生の関係はこれで、次に移らせていただきます。あえて申し上げましたのは、いろいろ国民に誤解を招いてはいけないのでしっかりしたことを示しておく必要があると思って、あえて厚生大臣、また総理大臣に答弁していただいたわけであります。  さて、労働大臣にお尋ねいたしますが、七十万人の雇用創出、それから現在七・六%の完全失業率がありますが、こういう数字がひとり歩きしておると私は思うんです。  そういうことからお尋ねしたいんですが、地方公共団体の仕事で三十万人雇用創出として二千億計上されておりますが、その積算根拠、この前も委員会でお答えになっておったと思いますが、簡潔にお願いします。
  363. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 失業率は、恐らく数字のお読み違いだと思いますが、四・六でございます。
  364. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 失礼、四・六です。
  365. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 労働省の調査によりますと、失業された方が再就職されるまでに要する期間が三カ月であります。そして失業保険の平均給付額が約十八万、これをもとに試算いたしますとその数字が出てまいります。
  366. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 これは、国民から見ると、三十万というのは、本当に常時三十万雇ってくれておるのか、そういうものができるのか、こういう印象を受けておるわけです。  しかし、今の答弁でも、私は間違っておると言っておるのではありません。政治というものは国民が間違って理解しないように説明する責任がある。ならしてみたら七万五千です。四分の一です、三カ月だから。三カ月は一年に四つあるわけです、三カ月掛ける四ですから。  そうすると、七万五千人と言えばわかるんですけれども、三十万人と言ったら、期末に三十万ぽんと雇ったら金目は一緒でしょう、技術的な話はやめますけれども。俗に、これから出てくるのは七万五千人しか雇用していないよという意味に私はとれるものですから、そこの点は労働省の方も十分国民に説明していただきたいと思います、上げ底だなんて言われないように。  そこで次に、もう一つ国民が期待しておるのは、四・六の完全失業率、これは経済企画庁長官にお尋ねしたいと思うんですが、これがひとり歩き、もちろんひとり歩きというのはこれがちょっとよくなるのかな、これだけの補正も組むし、そういうふうな印象を与えておると思うんです。  しかし、現実はそんなものではない。だから、この政策というものが直ちに失業率に影響するものではないと言うとちょっときついですが、しばらくの間は失業率が上がるのはやむを得ない、こういう理由でやむを得ないんだということを国会の場で国民の皆さんにお伝え願いたい、こう思うんです。
  367. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これからの雇用情勢をどう見るか、まだ不透明なところが多くて難しいわけでございますけれども、五月には少し四月から雇用数が、季節調整済みでは増加に転じてまいりました。女性の方は前年比でも増加しておりますが、男性の方はまだ増加しておりません。  バブル崩壊以来各国の雇用状況を見ますと、日本はバブルが崩壊した一九九〇年を一〇〇として一〇四、まだ高いんですね。それほど減っておりません。ということは、逆に言いますとリストラが進んでいないということかもしれない。したがって、これから雇用情勢が一段と厳しくなる可能性も十分あると。  そういう意味で、我々は警戒をし、本予算も通していただいてなるべく早期に手を打たなきゃいけない、こういう強い危惧と決意を持っております。
  368. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 それでは、防衛庁長官にお尋ねいたします。  もう既にノドン一号は千三百キロメーターの射程を持って日本をカバーしているわけです。それは一九九三年に撃たれ、そして配備完了というようなことがニュース等であり、大臣も既に答弁されたところであります。そういう意味では、日本の軍事的脅威ということでいえばもうノドンでもって十分なんですと見る見方もあるわけであります。  そうすると、テポドン二号については我が国の軍事情勢にどういう影響を与えると考えられておるのか、お教え願いたいと思います。
  369. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 北朝鮮のノドンミサイルのような長射程の弾道ミサイルについては、今世界でこれに対処するシステムを持っている国はないと思っております。我が国もエイジス艦や能力向上型のペトリオット、例えばPAC2なんかがございますが、これによっても対処することは困難であると思っております。ですから、やはりノドンというのは一般に発射台つき車両に搭載して移動され運用されるもので、北朝鮮のあらゆる場所から発射しても我が国が射程距離に入るという点では大変重大な懸念を有しなければいけないところだと思っております。  お尋ねのテポドン二号でございますが、これは三千五百キロから六千キロの射程を有するものでありますからもちろん我が国は全域射程内におさまりますが、このような北朝鮮の長射程のミサイル開発は、核兵器疑惑と相まって、単に我が国のみならず、アジア太平洋地域全域あるいは国際社会全体に不安定をもたらす要因であると考えております。例えば、北朝鮮のこういったミサイルのシステムがパキスタンやイラクに転移されているという懸念もあります。そういう意味で、防衛庁としては今後とも北朝鮮のミサイルの開発動向等に引き続き細心の注意を払ってまいりたい、こう思っております。  私としましては、こういった北朝鮮情勢に対しては、今後とも日米韓三国間の緊密かつ継続的な協議によります三国間の協調に基づく対応が何よりも大事である、こういうふうに考えているところであります。
  370. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 総理大臣にお尋ねいたしますが、今、防衛庁長官は日米韓で協調してというお話でしたが、この間、総理大臣は中国及びモンゴルをお訪ねになって、そしていろいろお話しされた中にこの長射程ミサイルのことについてもお話があったようでありますが、どのようなお話し合いをされたのか、お教え願いたいと思います。
  371. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先般の中国、モンゴル訪問では、北朝鮮のミサイル再発射の問題につきまして、私から、日本政府としては現時点において再発射が差し迫っていると判断しているわけではありませんが、仮に再発射があれば日米韓との関係が大きく後退することが必至であり、再発射を抑止することが極めて重要であるとの我が国の考えを説明申し上げました。  これに対しまして、朱鎔基総理よりは、中国は朝鮮半島の平和と安定のためにできることはやる用意があるとの発言があり、李鵬全人代委員長よりは、北朝鮮のミサイル発射についての日本国民の心情は理解できるものであり、機会があれば日本側の心配の気持ちを北朝鮮に伝えたいとの発言がありました。また、モンゴルのナランツァツラルト首相からは、ミサイル発射を抑止する観点から北朝鮮と話をする用意があるとの意図が表明されました。  このような両国の対応は、北朝鮮のミサイル発射抑止の観点からも一定の効果があるものと認識をいたしております。  本来的に言えば、日本が直接的に北朝鮮と対話ができればこれは望ましいことでありますが、現在そのような状況に相なっておりません。こうした立場で、たまたま北朝鮮と国交を保ち、過去の関係も深い両国の責任者の皆さんに我が国の考え方をお伝えし、機会があればそのことを伝えていただきたい趣旨を十分申し上げてきたところでございます。
  372. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よくわかりました。その点、私がいろいろ新聞を見ていると、中には総理がおっしゃった日本の立場、そしてアジアの安定というところからそういう意見を伝えてくれというお話なのでわかりましたが、読む人が読むと誤解をして、何かそこへ頼みに行ったのかというような、外交の基本を踏み外しておるようなことを言っている一部の人がおるだけに、ここで総理からそういう答弁を得ましたので、もう当然のことですが安心いたしました。  次に、外務大臣にお尋ねいたします。  発射された後いろいろなことをするということは、これはある人に言わすとルール違反だと。前に、発射したらこういうことが起こるんだぞということをあらかじめ警告しておくのが外交の普通のことではないか、こういうふうに言われておるわけです。  そういう意味で、外務大臣は、この間出身地の方に帰られて講演されたときに警告の意味のことを言われておったが、どのような方法で、どういう時期に、どういう内容の警告をされるつもりか、お答え願いたいと思います。
  373. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 現時点の情報を総合して、政府として北朝鮮によるミサイルの再発射が差し迫っているとは判断していないわけでありますが、北朝鮮によるミサイルの再発射は我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定に深刻な影響を与えて、我が国を含む関係諸国と北朝鮮との関係に重大な影響を及ぼすことになります。我が国政府としては、まずそのような事態を回避すべく米韓と連携しつつ、北朝鮮のミサイル再発射抑止のために最大限の努力を行っていくことが肝要であると考えております。  現時点において具体的な対応措置を申し上げることは差し控えたいと思いますが、仮に発射の具体的兆候があらわれるような場合には、具体的なことを含めて警告を行う考えでございます。これは日本考えでもあり、米韓も同じように考えていると承知をしております。
  374. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 効果のある内容の警告を発するようにお願いしたいと思います。  最後に、総理大臣にお尋ねいたします。  防衛庁の省昇格問題、もう中央省庁等の改革法案も通ったので一段落でありますが、この大きな問題が残っておるわけです。その判断するときの基準というものを総理はどのように考えておられるか、お願いいたします。
  375. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今の時点におきましては、政府としてはいわゆる防衛庁から防衛省の昇格ということは、今次中央省庁改革におきましてこれは変更するものでないという結論を出しております。  いずれの時期にどういうことかというお尋ねでありますが、結論から申し上げれば、国民の理解を得て、国民の総意といいますか、そういうものが防衛庁から国防省としてきちんと体制を整えるべきだというお考えでまとまるということの中でこの問題は考えるべきものと考えております。  いずれにいたしましても、この問題につきましてはいろいろ識者も含め、また自由党もそうでありますし、また今般、自民党の中にもそうした考え方に基づいて省としてきちんとした体制を整えるべきだという御主張のあったことも十分承知をしております。  また、英語に訳しますとエージェンシーというような国防関係の役所の命名については、そのような形はない。自衛隊の場合にはいわゆるエージェンシーということになっておりまして、この姿は、ほかの国々と比較いたしますと必ずしもそうした形でなく、ミニストリーとしての体裁を整えている国が多いというふうに理解はいたしております。
  376. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 総理が大変理解されておるので感激いたしました。  また、幹部会同で総理も、防衛庁、自衛隊の幹部を前にお話しされたと思いますが、本当に必死になって国の守りのために一筋に進んでいる、そういう方々にお会いになったときにおのずから結論が出てくる、こういうふうに思います。  そして、最近になって国民の理解、前は政治の場というのが国民の理解というふうにも置きかえられたんですが、国民を代表しておるのが国会でありますから、国会議員の多数の者がそういう方向になった場合には、政治の場でそういう意見が出た、そしてそういう結論を得た、こういうふうに理解する以外に、住民投票があるわけではありませんから、その点よく御承知願いたい、こういうふうに思うのであります。  それから、ちょっと時間がありますので外務大臣に要望だけしておきますが、警告の中には経済封鎖あるいは輸出規制を入れなければ、今までと同じようなパターンでは効果がない、そのように思いますので、私の要望をつけ加えて質問を終わります。  ありがとうございました。
  377. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で月原茂皓君の質疑は終了しました。(拍手)     ─────────────
  378. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、山崎力君の質疑を行います。山崎力君。
  379. 山崎力

    山崎力君 参議院の会の山崎でございます。  あと少しでございますが、おつき合いのほどよろしくお願いいたします。  前に質問なさいました月原委員の方からも出た話ですが、昨今の報道、そういったものから一、二お尋ねしたいと思います。    〔委員長退席、理事鴻池祥肇君着席〕  北朝鮮のミサイル問題ですけれども、今の政府の判断というものはわかりましたが、私が気にするところは、先週末来、アメリカ、特に議会筋等からミサイルの発射準備が北側で着々と進んでいるんだというような発言が相次いでいるように受け取れる報道がなされております。  そういった点で、その発射準備について具体的にどのような状況にあるのか、かなり近いのではないか、来月にも発射されるのではないかというような報道もありますが、その辺の認識、それとアメリカの政府側の認識、情報交換の中での認識がどのようになっているか、まずお伺いしたいと思います。
  380. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 北朝鮮のミサイル再発射の準備状況につき、具体的に御説明することは適当でないと考えておりますが、現時点の情報を総合すれば、我が国政府として北朝鮮によるミサイルの再発射が差し迫っているとは判断しておりません。  御指摘のような報道が種々あるということはもちろん承知しておりますが、米国政府とはとりわけ緊密に連絡をとり合っており、このような我が国政府の認識は米国政府も共有しているものと理解しております。
  381. 山崎力

    山崎力君 念のため防衛庁長官、つけ加えることがあれば。なければそれで結構ですけれども、よろしゅうございますか。
  382. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、外務大臣からお答えしたとおりでありますが、米国側の公式発表と思われるものの一つには、七月六日の米国国防報道官は、準備が進められていることを意味する証拠を得ている、これが大変有力な政府筋の発表であると思います。  では、どういう準備が進められているかということにつきまして、アメリカも言っておりませんし、私どももこの場で公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
  383. 山崎力

    山崎力君 要望ですが、まだ具体的な準備が進んでいるとは思わないと言って、その舌が乾かないうちに発射されたという事態にはならないように希望したいと思います。  もう一点、その報道と全然別のことですが、今回の補正予算の絡みで言えば、いろいろな不況対策というのは、やっぱり背景に金融不安も含めてグローバルスタンダードというものがあると思うんです。そのグローバルスタンダードなるものが本当にあるかどうか、ユナイテッドステーツスタンダードなのかアングロサクソンスタンダードなのかという話もあるんですけれども、アメリカの司法省が我が国の有力というか、一、二を争うトヨタの現地法人に対して最大で七兆円の支払いを求める可能性のある訴訟を起こしたと、環境対策が不十分であるという理由なんですが。アメリカの政府当事者がこういった、簡単に言えば、もしそれがそのとおりに司法判断があれば、今回の不況対策なんか吹っ飛んじゃうような影響を我が国に与えるような訴訟を現実に起こした、こういうふうになっているわけでございます。  そういった点で、我が国としても、政府としても、一民間企業の問題だというふうにばかりは言えないと思うんですが、まず総理にその辺の御感想伺いたいと思います。
  384. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 米司法省が米国トヨタ販売に対し訴訟を提起した件について今お尋ねがございました。  本件につきましては、現在、係争中の案件でもあり、コメントは差し控えたいと考えます。しかしながら、本件は我が国の基幹産業である自動車産業にかかわる問題でありまして、私自身、強い関心を持って事態を注意深く見守っておるところでございます。
  385. 山崎力

    山崎力君 担当者として、通産大臣、いかがでございましょうか。
  386. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、司法省は大気浄化法に基づいて米国トヨタ販売に対して訴えを起こしまして、一九九六年から九八年にかけ販売した約二百二十万台についてのリコール、これをトータルしますと最大約五百八十億ドルに及ぶ罰金の支払い等を求めてきたものでございます。邦貨に換算いたしますと七兆に及ぶわけでございます。  本件に関しまして、通産省としては、きちんと報告を受けながら事態を注意深く見守っているところでございます。  本件については、係争中の案件でございまして、現時点でコメントすることは差し控えなければならないと思っておりますが、米国の司法制度にはわからないことがたくさんあるというふうに思っております。
  387. 山崎力

    山崎力君 確かに、ただアメリカは本当に、これは中身はいろいろあるかもしれないんですけれども、総額日本円で七兆円という膨大な請求金額も驚かせるといいますか、アメリカの司法制度、今いみじくも大臣おっしゃられましたけれども、ちょっと我々日本人の感覚からするととんでもないような金額だということでございます。  そういった中で、これからいろいろな外交交渉その他あることになろうかと思いますが、時間の関係で、外務大臣、この辺は結構でございますけれども本当にこういったアメリカ、そういった司法制度の国が、幾ら国内の問題とはいえ、スタンダードを自分でつくっている、国際貿易に関するようなスタンダードを自分のところがスタンダードだというふうに言ってはばからない、そういったところとどうやってつき合っていくんだということの根本に関する疑問が日本国民の中に今回の訴訟で改めて出てくるんじゃないかということを私は危惧しております。  政府としてその辺の適当な対応をお願いして、次の問題に移りたいと思います。  まず、今回の補正に関して一つの柱となっております緊急地域雇用特別交付金、この辺は二千億円だということが一つあるわけですけれども、この額を考えた、この辺で補正を組んでやろうじゃないかと考えた根拠はどういったものがあるのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  388. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私が説明を受けておりますのは、雇用促進のためにはいろいろ研修事業等々コストがかかるわけでございますけれども、そういうことを考え、また雇用期間あるいは平均賃金水準等について仮定を置きますと平均的な一人当たりのコストは六十万円ぐらいだというふうに説明を受けておりまして、仮に三十万人の雇用考えるのならばこのぐらいの所要であろうかという、そういう説明を聞いております。
  389. 山崎力

    山崎力君 そういった中で、結局この雇用問題というのは、その背景にはやっぱりリストラというものがある。そのリストラの中にはグローバルスタンダード、日本企業を世界に通用するような企業形態に持っていかなきゃいかぬという背景もあるわけでございます。それが一部では行き過ぎじゃないかというような話もあって、同僚議員からそういった観点から質問があるわけですけれども、それはそれとして、世界に通用する企業をつくる、だけれどもリストラをしなきゃならぬ、そうすると景気・雇用対策が一層必要になる、雇用情勢が一層悪くなる。これはある意味じゃ二律背反だろうと思うんですね。    〔理事鴻池祥肇君退席、委員長着席〕  それで、そういったところで、今回の補正予算はどういう視点でどういった考え方で雇用対策をとろうとしているのか、その辺のところを総理からまず基本的な姿勢についてお伺いしたいと思います。
  390. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは労働大臣あるいはその他の方からもお答えがあろうかと思いますが、私が財政当局として考えましたのは、ともかくこの不況脱出の最終段階においてリストラが起こってくることは当然でございましたから、雇用はもともと前年度の補正、あるいは前年度予算で一兆円というものを頭に置いてやってまいりましたが、本格化をいたしますので、ともかく、大変正直なことを申しますと、一人でも路頭に迷う人が少ないことが大切なことである。  同時に、しかしながらリストラということは、やはり我が国はこれから新しい道へ、企業もそうですが、雇用も進んでいかなければならないということでございます。したがって、そのような教育あるいはそのような訓練を伴うことによってより高度なと申しますか新しいと申しますか、そういう方に向かって雇用が流れていく、あるいはそういう新しいものになっていく、このチャンスにそれをしなければ恐らくする機会はなかなかないだろうという思いもございまして、あれこれそういうことで、とにかく一人でも失業者が減ってほしいが、そのためにまた、ならば将来に向かって有用な雇用状況をつくりたい、そういうことのいわばいろいろな願いの集まりましたような、そういう政策のねらいだというふうに私は考えていたしました。
  391. 山崎力

    山崎力君 この問題、立場が違うといえば、通産大臣と労働大臣と、どちらがどちらかわかりませんがアクセル役とブレーキ役で、両方一遍に踏んでいるんじゃないかというようなあれもあるんですけれども、具体的なことでちょっとお伺いしていきたいと思います。  今回の特別交付金配分基準ということについてお伺いしたいんですが、路頭に迷う人が一人でも少なくと、こういうことになっているわけですけれども、余り大きな声で言えた話ではないんですけれども、私の出身県である青森というところは五月の有効倍率が〇・三一、ある県に続いて全国で二番目に厳しい状況にある。厳しいところと厳しくないところはこれは地方の情勢で随分違うと思うんですが、その辺のところを実際の交付等についてどういうふうに考えているか。やはり厳しいところは厳しいときなりに、この特別交付金について配慮すべきではないのかというふうに感じておる次第なんですけれども労働大臣、いかがお考えでしょうか。
  392. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) おっしゃるとおりでございまして、そこで、人口比とそれから事実上の失業の深刻度合い、つまり有効求職者比率でそれぞれ半分ずつ配賦をするということにいたしております。
  393. 山崎力

    山崎力君 そういったことで御配慮願えれば非常に助かることが多いと思います。  ただ、もう一点言えば、そういうところというのはもう一つ産業基盤が弱いところが非常に多いわけでございます。今回、緊急措置的にこういった形でお金をいただいて何らかの雇用をつくるということは、これはこれでいいんですけれども、中長期的に見れば、やっぱりそこのところに何らかの本格的な雇用の場、就業の場を考えていただかなければならないと思うわけです。  そうすると、そういったものにつながる対策というものが今回の緊急雇用対策でどのように考えられているのか。これは労働大臣だと思いますが、よろしくお願いいたします。
  394. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 雇用失業情勢は従来から地域間格差というのがありまして、厳しい地域にその地域を指定いたしまして、労働省としての施策を重点的に投入する。そこにしっかりとした産業立地政策ができやすいように各種対策を講じているわけであります。  具体的には、緊急雇用安定地域あるいは雇用機会増大促進地域に指定をいたしまして、雇用調整助成金の支給とか、あるいは事業所の新増設に伴う地域求職者の雇い入れに対する賃金助成等、その地域の実情に応じて濃淡をつけさせていただいております。
  395. 山崎力

    山崎力君 この問題で関連するのは、同僚議員からの質問でもちょっと関連した部分があったんですけれども雇用創出する具体的なプランです。これは本当のことを言えば、今まででしたら大蔵省、労働省で、労働省側から具体的な話が出て、それを査定して積み上げて、どうのこうのでここがこれだけの予算というのが今までの予算考え方だったと思うんですが、今回は地方公共団体その他のアイデアを尊重して、そういったところに予算をつけるというような話が伝わっております。  逆に言えば、大枠だけ決めて、あと具体的にどこへ使うかというのは地方自治体の考え方、アイデアに任せていこう、それが実効性があるんだというような考え方、これは非常に私も賛成なんです。ある意味においては地方時代をもう先取りしたような形だとも思えるんですけれども、これは旧来の大蔵省的な感覚ではないなと。  新しい方策がないからそうしたとはなかなか言えないんでしょうけれども、似たようなのが中心市街地の再活性化法についての予算のつけ方もそんなところが私、考えましたけれども、こういったこと、いわゆる予算のつけ方、積み上げ方式でない、腰だめと言うと非常に悪い表現になりますけれども、ある程度のめどをつけて、それに具体的にのってきたところを優先的にやるということでよろしいんでしょうか。ちょっと大蔵大臣の意見を伺いたいと思います。
  396. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今度の場合、私は事務当局には、ともかくこれだけ深刻な雇用の問題というのは日本は経験したことがないので、労働省は非常に一生懸命やっておられるけれども、一緒になってひとつ考えるぐらいな気持ちでないと、お互い経験がないんだからということを申しましたので、おっしゃいましたようなことはございましたと思います。  それに、先ほど青森の有効求人倍率のことをおっしゃいましたが、雇用の様子は地方によって大変違いますし、問題の形態も違いますので、それは一番よく知ってくれているのは県であろうということは恐らく御異論のないところでございます。  そういうことでこういうことをいたしましたし、また国が画一的にこうせよと言ってもできるものではありませんし、それが何かの形で非常に長く失対のようなことになってしまってもこれはまた問題でございますので、そこらを考えていたしたことというふうに思っております。
  397. 山崎力

    山崎力君 残余の時間、同僚議員に質問させていただきたいと思います。
  398. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 関連質疑を許します。奥村展三君。
  399. 奥村展三

    ○奥村展三君 先日の当委員会でも質問させていただきましたが、そしてまた代表質問等でお聞きをいたしたわけですが、厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今回の雇用・就業の機会創出ということでいろいろ具体的なことを提起されているわけでございますが、特に少子化の問題もそうでありますけれども、小手先と言ったらちょっと失礼かもわかりませんが、私はこんな簡単な呼び水的な対応では解消されないというように思っております。  今後、やはり当初予算にもしっかりと対策を計上して充実を図っていかれるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  400. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今回、計上してお願いしております臨時特例交付金は、たびたび申し上げておりますように、保育所待機児童解消、それから少子化対策の呼び水として地域における少子化対策の一層の自由な発想に基づく普及促進、それから、現下の厳しい雇用情勢にかんがみまして、雇用・就業の機会創出に資するということを目的としたものでございます。  この交付金につきましては、今年度の当初予算に盛り込まれております保育関係の予算等と相まちまして、地域の実情に応じた少子化対策に有効に活用されるように努力したいと考えております。しかしながら、この交付金は少子化対策の呼び水として行われる臨時緊急の単年度限りの特別措置でございまして、平成十二年度当初予算に盛り込むことは考えておりませんが、なお保育対策の充実については一層努力してまいることを申し上げておきます。
  401. 奥村展三

    ○奥村展三君 やはり対策として、長期的に立っておやりになることがいいと私は思います。要望しておきたいと思います。  ただ、この中に、きょう今井先生から出された資料の中にもあるんですが、この十二番目に「家庭的保育制度に対する助成事業」と、これは漠然とし過ぎて、実際に現場といいますかその受け入れ側というのはなかなかこれは難しい問題でもあります。そしてまた、「幼児教育シンポジウム等啓発事業の実施」というのが十九番目にあるんですが、これは現実にもうやっているわけなんですよね。  だから、しっかりチェックをしながらどういう形でやっていただきたいということを明確にされないと、受け入れ側もまたこれは消化試合で、国から言ってきたから、県から言ってきたからやったらええわだけのことになってしまうおそれがあります。ですから、しっかりとそこをチェックしながら推し進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。  先日の私の質問の中に、二十兆円資金を出していただいて、全国の五十二の保証協会でそれぞれ対応していただいているわけですが、残り四兆円というお話がございました。しかし、考えますと、これは金融機関が保証つきの形にすりかえてきょうまでの不良債務をどんどんとそういうような形でやってきたと一部で言われたりしたわけでございますけれども、こういうような置きかえというような形が横行してしまいますと、本来の国がこれだけ努力をされた趣旨とは私は相反すると思います。  ということは、先日も申し上げましたように、中小企業の底力をしっかりと支えることが私は雇用創出にもつながるというように思うんですが、いかがでしょうか。
  402. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) いわゆる貸し渋り対応特別保証制度、我々特別枠と呼んでおりましたが、これは中小企業に対する円滑な資金供給を目的としたものでございまして、信用保証つき融資を自行の救済、いわゆる保証なし融資に充当するいわゆる旧債振りかえは原則認めないとの方針のもと、これまで各信用保証協会に対する周知徹底や新聞、テレビ、中小企業団体等を通じて広く広報に努めてまいりました。  本年に入りましても、一部の金融機関におきまして、保証つき融資に関して不適切な表現を含む内部文書というものが見つかりまして、この事実が確認されましたので、金融監督庁の業務改善命令が出されております。中小企業庁及び地方の通商産業局としても、これら金融機関に対し、制度趣旨に沿った運用を徹底するように申し渡してございます。  今後、中小企業庁としては、金融監督庁とも連携をとりつつ、全国信用保証協会連合会を通じて実態調査を引き続き行うとともに、悪質な旧債振りかえについては断固たる対応をとるとの強い決意で本特別保証制度の運用に万全を期してまいりたい。すなわち、我々は、金融機関を助けるためにこの制度をつくったのではなくて、中小企業のためにつくったわけでございます。この断固たる対応というのは、保証をいたしましても悪質な場合には保証自体を取り消すということも含まれております。
  403. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。  大臣に今お答えをいただきました。本当に私は零細の零細でございますが、小さな商店みたいなものですが、実際、地域で商売をやらせてもらったりいろんな事業をやらせてもらって考えますと、本当に厳しい状況でございます。従来の形をそのまま固守されてきておるということに、たくさんの相談を私自身も受けているわけでございますが、これは私の地域だけじゃなくて全国的なことであろうと思いますから、ぜひ今、大臣がおっしゃったような形で、しっかりと指導しながら本来の目的が達成できるようにお願いをしておきたいというように思うわけでございます。  そこで、同じような質問になると思いますが、金融再生委員長に質問をさせていただきたいと思います。  金融機関の支援というような形でこれが進みますと、やはり今申し上げたように、通産大臣から御答弁いただきましたように、本来の趣旨とは全く違う方向に進んでいって金融機関そのものを有利にさせてしまうような形になるわけでございますが、実態はどのようになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  404. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) いわゆるこの特別保証枠の適切な活用ということについては、もう前々から大変厳しい御指摘をこの国会、各先生方からいただいておりまして、それを受けてというわけでもありませんけれども、全銀協、また監督庁の方でも特別力を入れた指導をいたしておるところでございます。  そういう結果、旧債振りかえについては、私どもとしては、行われたものについては一定のルール、つまりそのことによって中小企業の皆さんがより有利な条件で借り入れができるというような場合に限って、しかも信用保証協会の承認ということを伴う場合だけに限ってこれを認める、こういうようなことになっておるわけでございますけれども、大体事態はそのようになってきているのではないか、このように考えております。  私ども今、実際の保証枠の活用ぶりというものをできるだけ細かに分析してみたいとも思っておるわけですが、資料が非常に限られておるわけですが、現在のところ、これ、ひょっとして通産省の資料だとしたら与謝野大臣に大変恐縮で、後でまた御了解もいただかなきゃならないんですけれども、十六兆と言われている、一口に十六兆、十五兆九千何ぼの十年十月からの保証累計でございますけれども、この保証つきの貸し出しをどの業態の金融機関が使ったかということを見てみますと、一番たくさん使っているのが実は信用金庫ということになっております。二番目が地方銀行ということになっておりまして、都市銀行は三番目のシェアであるというようなことになっております。  そういうことを考えますと、これは一般的な印象論みたいな話になってしまいますけれども、中小企業のための融資機関がよりたくさん使っているということでは、この制度は非常に的を射た運用が行われているのではないか、こんなことを感じているというのが現況でございます。
  405. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  ぜひ、中小企業の基盤、足腰の強い経営ができますように御指導、そしてまた、これが有効に活用されますことをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  406. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で山崎力君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  407. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 次に、西川きよし君の残余の質疑を行います。西川きよし君。
  408. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  総理、十六日の私の質問で、娘より三日間長生きがしたいというお話に対して、本当に心ある感想をいただきましてありがとうございます。まず、冒頭、お礼を申し上げます。  本日は、私の方からは先週の十三日に発表されました雇用創出・産業競争力強化のための規制改革に関連してお伺いをしたいと思います。  今後、発展が見込まれております福祉分野について、雇用創出をどのように見込んでおられるのか、まず労働大臣にお伺いしたいと思います。
  409. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 平成九年の五月に閣議決定をされました経済構造の変革と創造のための行動計画によりますと、二〇一〇年までに医療分野と合わせまして福祉分野で百三十万人の新たな雇用機会が生まれると予測されております。  私といたしましても、このとおりいってくれれば本当にうれしいのでありますが、労働省といたしましては、特に介護の分野につきまして、介護労働安定センターにおけるホームヘルパーの養成研修であるとか、あるいは公共職業能力開発施設における介護科目の設置を行うなどの施策を講じまして、福祉分野における雇用の拡大策の促進に努めてまいりたいと思っております。
  410. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、今回の福祉専門職の規制改革についてでございますけれども、ホームヘルパーの養成研修の時間を短縮する、あるいは介護福祉士の受験資格の要件を緩和する、こうした具体策が検討されているわけですけれども、介護福祉士の受験資格の要件を緩和する、こうした具体策は目を通しまして私自身も大変不安で、そして疑問であります。しかし、決定された具体策を見せていただきますと、一応安心はいたしました。このあたりを一体どのような方針で、また基準で判断されたのか、今度は厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  411. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ホームヘルパーにつきましては在宅サービスの中核でございまして、その質の確保を図ることは極めて重要な課題でございます。したがって、今回の規制緩和ということによって、研修時間とか内容の水準を落とすことなく現場の実情を踏まえまして実習の実施方法を弾力化することとしたものでございます。  また、介護福祉士につきましても、その質の確保を図ることはまことに重要なことであると存じます。このために、良質な人材を幅広く確保できるように、受験資格として認められる実務経験の対象事業施設の範囲拡大とか、あるいは通信教育の普及を図るなど、国家試験を受験しやすくしようとするものでございまして、決して委員の御心配になるような質の低下がないように措置してまいりたいと思っています。
  412. 西川きよし

    西川きよし君 介護保険が始まりますと、これからは福祉サービスの利用を利用者が自分で選べるというわけですから、福祉専門職の技術の向上は大変重要であると思います。  今回の具体策の中でも、ヘルパー研修につきまして実習の簡素化を行うと。研修の中でも実習というのは本当に大変な重要なことであります。この簡素化には少し私も疑問を感じておるところでございますけれども、質の向上とさもすれば逆行するのではないかなというふうにも思うわけですけれども、もう一度厚生大臣にお伺いします。
  413. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 訪問介護養成研修におきまして、実習が極めて重要な役割を果たすのは御指摘のとおりでございます。  こうしたことを踏まえまして、しかし、実際は近年受講者数が増加しておりますので、施設とか実習先の確保が困難になってきておりますので、ここで、こうしたことを踏まえまして、実習の実施方法につきまして、まず第一は、介護サービスの実務経験者に対する実習科目の一部免除をしたいということ。それから二番目は、施設研修の実習先として認められる施設の拡大、例えば有料老人ホームとか痴呆性の老人グループホーム等もつけ加えるということでございます。それから第三に、ビデオ学習とか模擬実習の活用を図っていく予定にいたしております。  これらはいずれも受講機会の拡大を図るものでございまして、研修内容の水準を落とすことなく、質の確保には十分配慮しているものというように存じております。
  414. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。質を低下させることなく、ヘルパー研修を受けやすく、そしてそのことで雇用につながると大変すばらしいことだと思うわけです。  そういう意味で、例えばホームヘルパー研修を受けるために経済的な負担を軽減するということも大変重要だと思います。一級あるいは二級の研修を民間の施設で受ける場合には、十万円前後の費用がかかるとも言われております。例えば、実習に行く場合は、今、大臣の方からもお話がございましたけれども、すべての施設が駅前にある、便利だというようなことではございません。往復のタクシー代なんかでも大変な出費でございまして、それぞれに研修しておられる個々の方々は本当にびっくりしておられます。  そこで、労働省にお伺いをいたします。  昨年の十二月に導入されました教育訓練給付制度でございますけれども、大変人気が高いようでございます。これまでの利用実績と利用対象者の状況などをお聞かせいただきたいと思います。
  415. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) この教育訓練給付制度は昨年の十二月から実施をされまして、ことしの三月から支給を開始しております。三月から五月の実績で見ますと、受給者数は約四千人、支給額は約三億円となっておりまして、この四千人の内訳は、行政書士等の事務処理技能関係が四四%、社会保険労務士、中小企業診断士等の法務、財務、経営労務等で二六%、それから今お話のありました介護福祉士あるいは保育士等の医療、保健衛生、社会福祉関係で約一一%というふうになっております。
  416. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  大変な人気ですけれども、残念ながらといえば、例えば介護や育児のために退職をされていた方、この方々が職場復帰を目指して研修を受けようという場合にはこの制度を受けることができないわけです。労働省では、こうした方々が利用できる制度として、自己啓発教育訓練の受講援助という制度に取り組んでおられるわけですけれども、その内容とこれまでの予算額、そして利用実績、労働省よりお願いいたします。
  417. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 労働省では、今、先生御指摘のとおり、育児、介護等によりまして退職したためにかなり長期間職場から離れているために教育訓練給付制度の対象になり得ない方々、主として家庭の主婦の方々が多いと思いますけれども、こういう方々で将来は再就職を希望したいと思っている方々のために、特別に再就職希望登録者支援事業というのを実施してございます。  これは、私どもの外郭団体に登録をしていただきまして、その登録された方に情報提供したり、あるいは相談に応じたりということをやっておるわけでございますが、それに加えまして、ただいま先生の御質問にございました、自己啓発のための教育訓練の受講援助というのを行ってございます。  具体的には、ちょっと複雑になるんですが、登録者が指定された教育訓練コースを受講される場合に自己啓発促進割引券というものを発行してございます。受講費用の二割を援助するということになっておりまして、後ほどその教育機関にはこの二割相当分を私どもからお払いするという形になってございます。  その利用実績でございますが、平成八年十月から開始したものでございますので、八年度は百四十件、四十九万四千円の支給にとどまっておりますが、九年度は千五百七十五件、一千百十三万九千円、十年度は四千四百八十四件、四千百六十九万六千円ということで、毎年実績が上がってきているところでございます。  なお、受講される主な講座には、医療事務、ホームヘルパー、消費生活アドバイザー、保育士などの講座があるようでございます。  なお、予算額は、十年度で八千七百七十五万円となっております。
  418. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  そこで、これから介護サービスが充実されると、例えば家のおじいちゃん、おばあちゃん、介護は介護サービスを利用するわけですけれども、今度はその家族介護をしていた娘や息子が研修を受けてプロのヘルパーとなる、そして活躍をしていただく、堺屋長官がおっしゃるアウトソーシングにつながるわけですけれども。  そういう意味ではこの援助を、今御答弁いただきました二割というふうに、限度五万ということですけれども、せめてこれを僕は五割に引き上げていただけないものかなと、今世の中に勢いがないときだけに、ひとつお願いをしたいと思うのですが、これは労働大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  419. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) ただいま女性局長から説明をさせていただきましたとおり、離職をしてたしか一年以内であるならば教育訓練給付制度というもっと補助率が高い上限二十万までが使えるわけであります。しかしながら、それを超えて職場をリタイアされて再就職に向けたときにある支援制度が、この先生御指摘の制度であるわけであります。  支援をする補助率といいますか割引率といいますか、その引き上げにつきましてはいろいろ御指摘も御要望もいただいております。重要な課題考えていることは考えておるわけでありますけれども、いろんな観点からまだまだ十分な検討が必要であるというところまでが今役所が用意している回答であります。  しかし、主に女性がこの対象になるわけでありますが、女性の力を社会に、能力をこれからも活用していくというのは大事な課題でありますので、五割というのは難しいと思いますが、私の判断として、少しでも引き上げる方向に向かって検討したいと思います。
  420. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  使いたくてもなかなか今の家計では捻出できないというような方々の御要望をたくさんいただいておるものですから、よろしくお願い申し上げたいと思います。  最後の質問にさせていただきます。  福祉職の俸給表について以前からずっと御質問させていただいておりますが、この福祉職の俸給表につきましては、昨年の人事院勧告の直後に厚生大臣、そして人事院の給与局長に御質問をさせていただきました。  今後の取り組み方の方針、その際の御答弁は、福祉関係職員の多くが勤務している地方自治体あるいは民間施設においても類似のものを導入するためには、そのあたりの十分な環境整備が必要であるというふうにお答えをいただきました。  現在の整備状況を厚生大臣に、そして人事院には今後の対応そして方針をお伺いいたしまして、最後の質問にしたいと思います。
  421. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 福祉職の俸給表の創設につきましては、厚生省としては平成二年度以降毎年度、福祉職俸給表の創設を要望してまいりました。今は行(一)の適用でございます。  これに対し、昨年の八月には人事院から、福祉関係の職員を専門職種として適正に評価するために新たな俸給表を設けることが必要であり、そのために所要の環境整備を関係者に求める旨の報告が出されたところでございます。  厚生省としては、この報告を受けまして、福祉職俸給表の円滑な導入に向けまして福祉関係団体、労働組合等の理解が得られるように努めるとともに、関係省庁と協議を進めてまいっておるところでございますが、福祉職俸給表の導入のための環境整備はおおむね整ったものと受けとめておりますので、福祉職俸給表の早期実現に今後とも期待し、努力をしたいというように思っております。
  422. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いします。
  423. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 福祉職俸給表の新設につきましては、橋本前総理も国会で前向きな答弁をしておられます。  今、厚生大臣からお話がございましたように、環境整備というものが必要だというので、昨年の勧告の際に関係省庁にその整備方を呼びかけたところでございます。  ただいまの厚生大臣の話を伺っておりますと、ほぼそれができ終わったということでございますので、最後には、直接厚生大臣とお会いいたしましてその旨をよく確認して、私たちの今後の方針を決めてまいりたいというふうに思います。
  424. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  425. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  426. 竹山裕

    委員長竹山裕君) それでは、これより平成十一年度補正予算二案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。内藤正光君。
  427. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっております平成十一年度補正予算二案について、反対の立場から討論を行います。  小渕内閣は、発足から一年の間、基本的な政策や考え方の違いを覆い隠したまま自自連立を推進するなど、党利党略最優先の政治を進めてきました。さらに、最近は自自公へと連立の枠組みの拡大を図っています。価値観の多様化した今日、連立は不可避とはいえ、その無軌道、無定見ぶりは目に余るものがあります。私たちは、小渕内閣のこのような理念なき政治姿勢を断固糾弾するものであります。  さて、現下の景気に対する政府の認識は、リストラの影におびえる国民一人一人の実感とはかなりかけ離れており、特に一段と悪化する雇用情勢に対する政府の認識は極めて甘いと言わざるを得ません。今回の補正予算の内容からも危機感は全く感じられず、焦点もぼけたばらまきそのもので、国民の雇用不安を払拭することは遠く及ばず、到底認めることはできません。  以下、反対の主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、最大の課題である景気回復、経済構造改革の推進に対して、質、量ともに十分にこたえる内容とはなっていないことであります。  そもそも、この第百四十五回国会にて本予算が成立したばかり、そしてそれからわずか三カ月余りで今回の補正予算、さらに早くもこの秋の第二次補正が取りざたされている始末です。本予算を補強するものならまだしも、新たに項を起こしての今回の補正予算は、先見性を欠き、場当たり的とのそしりを免れません。  反対の第二の理由は、緊急雇用対策が対症療法的なものに終わり、実効性に乏しいことであります。  都道府県に配分される緊急地域雇用特別交付金も、その基準が不明瞭であり、支給期間もわずか一両年に限定されているなど、雇用創出効果はさして期待できず、まして、今、日本に蔓延する雇用不安をぬぐい去ることなど到底できません。  政府が今緊急に取り組むべき課題は、雇用保険給付の一時的な拡充など、不安を払拭するためのセーフティーネットを整備することではないでしょうか。  反対の第三の理由は、二千億円もの少子化対策臨時特例交付金がばらまきそのものであることです。  仕事と家庭を両立させる環境整備の一環として保育所充実目的としてはいるものの、目的が施設の整備に限定され保育士などの人件費には使えないこと、来年度以降については全く考慮されてはいないこと、待機児のいない二千六百もの市町村にまでくまなく配分されることなど、その実効性はかなり疑わしいものがあります。そもそも少子化対策とは恒久的な取り組みとして推進すべきものであり、唐突に計上された今回の少子化対策費は場当たり的との批判を免れないものであります。  しかし、あえて緊急の課題として少子化対策を盛り込もうとするならば、まず都市部における四万人もの待機児童解消すべく保育士の増員を図る、また共働き夫婦が強く求める学童保育事業や延長保育、休日保育等を大幅に拡充するといっためり張りのあるものとするべきであります。  最後に、国民の大切な血税を理念なき連立を組むための取引材料に使おうとする小渕内閣の国家運営に対する無責任きわまりない姿勢を厳しく批判し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  428. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 高野博師君。
  429. 高野博師

    高野博師君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度補正予算二案に対し、賛成の立場から討論を行います。  賛成の第一の理由は、我が国の経済は依然として厳しい状況にあるものの、本年に入って景気回復の兆しが見えてきた中で、この傾向をより強くするためにも、今最も必要な雇用対策を講じている点であります。  長引く不況の中で、企業のリストラにより失業率は五%近くまで上昇し、国民は失業の不安にさらされております。一刻も早く実効性のある雇用対策を実施することこそが国民の期待にこたえるものであります。  本補正予算においては、地方自治体の創意工夫を生かす緊急地域雇用特別交付金二千億円を創設するほか、緊急雇用創出特別基金を拡充して新規・成長分野における雇用創出推進しております。これらの施策が相まって、実に七十万人を上回る規模の雇用就業機会創出が見込まれており、かかる施策を評価するものであります。  賛成の第二の理由は、国民が安心して子供を産み育てるための少子化対策が盛り込まれている点であります。  現在我が国は、周知のとおり、他国に例を見ない急激な少子高齢化に直面しております。出生率は低下の一途をたどり、平成十年度の合計特殊出生率は一・三八まで低下し、過去最低を更新いたしました。  我が公明党は、かねてから少子高齢社会への対応の必要性を主張し、具体的な提言を行ってまいりました。本補正予算には、少子化対策のための経費二千億円が盛り込まれております。これは、地域の実情に応じて各自治体が実施している少子化対策事業に対し緊急的に臨時特例交付金を交付するものであり、こうした措置が雇用機会の増加と子育て環境整備に大いに資するものと確信するものであります。  賛成の第三の理由は、以上の対策にもかかわらず国債の発行を回避している点であります。  景気対策は国民の強い要望であり、政府が責任を持って緊急に推進すべきものでありますが、しかし一方で、国及び地方の財政が危機的状況にあることもまた事実であります。いたずらに将来の国民の財政負担を招くことは極力避けるべきでありますが、本補正予算は、国債の増発によらず、前年度余剰金を活用するなど、適切な措置を講じており、これを評価するものであります。  以上、本補正予算に賛成する主な理由を申し述べましたが、さらに政府におかれましては、今後の経済動向には特に留意し、必要に応じて適宜適切な措置を講ずることを強く期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  430. 竹山裕

  431. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、九九年度補正予算二案に対する反対討論を行います。  反対の第一の理由は、本補正予算案が深刻化する雇用危機に対し何ら根本的解決を図るものになっていないことであります。  深刻化する雇用危機の最大の原因は、大企業のリストラ、人減らしにあることは明白であります。上場企業千九百二十二社がこの五年間に五十六万人も雇用を減らし、今後もさらに人減らしを行おうとしています。政府は人減らしに何ら規制をかけようとしませんが、これは雇用と国民を守るという政府の役割をみずから否定したものと言わざるを得ません。  それどころか、政府雇用対策が大企業のリストラ、人減らしを促進する産業競争力政策と一体不可分のものになっていることは重大であります。政府の対策は、雇用流動化は必要とし、そのための支援を積極的に行うが、その結果、失業者がふえるのは仕方がないから雇用対策を行うというものです。  リストラが個々の企業に一時的な増益をもたらすとしても、日本経済全体としては、失業者を増大させ、所得、消費の減退、不況の一層の深刻化、そしてさらなるリストラにつながるという悪循環を招く大不況運動となることは明らかです。  反対の第二は、本補正予算による雇用対策は実効性に乏しく、政府の強調する七十万人の雇用創出は絵にかいたもちにすぎないからであります。  政府はその中で、緊急雇用創出特別基金によって三十五万人の雇用創出効果を見込んでいます。しかし、半年前から実際に発動された沖縄での実績は、わずか三十二人にすぎませんでした。中高年失業者を雇用する企業に奨励金を出すというこの基金は、雇用への年齢差別が横行しているもとでは、ほとんど役に立たない見せ金にしかならず、安定的な雇用を確保する保証はありません。  緊急地域雇用特別交付金は二年を限度とする施策であり、このような極めて短期の施策では、今日の深刻な失業状況を打開し、安定的な雇用拡大を期待することは到底できません。  今、雇用対策として必要なことは、世界でも異常な我が国のサービス残業、長時間労働に歯どめをかけること、大企業のリストラ、解雇を規制すること、介護、教育、防災など、国民が切実に求めている公的分野での雇用創出を図ることであります。  以上を申し上げまして、反対討論を終わります。(拍手)
  432. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 入澤肇君。
  433. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、自由民主党、自由党を代表して、ただいま議題となっております平成十一年度補正予算二案に対し、賛成の討論を行うものであります。  足元の景気は下げどまったという見方が出ておりますが、依然として厳しい状況にある我が国経済の回復に向けた動きをより確実なものとし、喫緊の課題となっている雇用不安の払拭を図るとともに、それを我が国経済の再生に結びつけるため、政府は、六月十一日に緊急雇用対策及び産業力強化対策を決定したところであります。今回の補正予算は、この緊急雇用対策に盛り込まれた施策を実施するために必要な緊急かつ不可欠なものであります。  以下、賛成する主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、今回の緊急雇用対策においては、これまで政府が実施している雇用活性化総合プランにおける各般の取り組みをさらに拡充、推進し、厳しさを増している雇用失業情勢の影響を特に受けている中高年の非自発的失業者に焦点を当てつつ、雇用就業機会の増大策を実施することとしていることであります。  今回の補正予算においては、これらの施策を実施するため、具体的には、新規・成長十五分野を中心に雇用創出推進を図るために必要な経費、中高年非自発的離職者の就職の促進等に必要な経費、国・地方公共団体において臨時応急の措置として雇用就業機会創出を図るために必要な経費、地域における少子化対策の一層の普及促進を図るとともに雇用就業機会創出を図るために必要な経費等が盛り込まれております。  これらの施策により、雇用活性化総合プランの中で、七十万人を上回る規模の雇用就業機会の増大を確実なものとし、雇用不安の解消に向けて着実な効果があらわれてくるものと期待されます。  賛成の第二の理由は、我が国財政の極めて厳しい状況に配慮し、今回の補正予算においては、平成十年度の決算上の純剰余金の二分の一の範囲内で約三千七百億円を計上するとともに、予備費を千五百億円取り崩すことにより、公債の発行によらず所要額を確保していることであります。  以上、私は、本補正予算に盛り込まれた諸施策は、現在当面する緊急課題となっている雇用不安を払拭し、我が国経済の再生に向けた動きを支援するために必要不可欠のものであると考え、本補正予算の速やかな成立を望みまして、討論を終わります。(拍手)
  434. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 大渕絹子君。
  435. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、平成十一年度補正予算に対し反対の討論を行います。  我が国経済には、依然確たる回復の動きが見られません。特に雇用情勢は深刻で、失業率は過去最高をたびたび更新し、五%に迫るほどであり、失業者の数は三百万を大きく超えるなど、現在の雇用環境は戦後最悪の水準にあります。かかる状況を早急に解消するためには、二十一世紀を展望した新産業の創出と育成を図るとともに、十全な財源措置を伴う総合的な雇用対策の実施こそが喫緊の課題となっております。  しかるに、政府の対策は依然として場当たり的なものが多く、本補正予算においても雇用環境を改善し国民の不安を払拭するにはほど遠い内容で、到底評価できるものではありません。  以下、本補正予算に反対する主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、雇用創出に効果のある具体的施策が盛り込まれていない点であります。  緊急地域雇用特別交付金による施策は、主にパソコンや外国語など専門的な能力を有する労働者が対象として想定されておりますが、こうした専門的能力を持つ失業者は一部産業分野の失業者に特化されており、失業者全体のものとなっておらず、納得できません。各種助成金の拡充や公共職業安定所の役割の強化などは従来型の施策の延長にすぎず、少子化対策臨時特例交付金の対象事業も短期間の事業に限られ、さしたる効果は期待できません。  反対の第二の理由は、雇用不安を払拭するためのセーフティーネットの整備が不十分な点であります。  いざ失業したときに最も頼りになるのは失業給付であります。しかるに、本補正予算では失業給付の抜本的拡充は盛り込まれておらず、労働者個々人のことを考慮した雇用対策とはなっておりません。  反対の第三の理由は、財源の調達において財政の規律が軽んじられている点であります。  本補正予算では、前年度剰余金からの受け入れ三千七百億円が計上されておりますが、まだ決算額が概数しかわからない段階でのかかる措置は財政の規律をないがしろにするものと言わざるを得ず、到底容認できません。  また、財源として予備費の取り崩し千五百億円が計上されておりますが、当初予算成立後わずか三カ月で予備費を取り崩すということは、当初予算の予備費三千五百億円、公共事業等予備費五千億円は最初から補正財源とするもくろみであったとしか考えられません。  以上、本補正予算に反対する主な理由を申し述べました。  本補正予算は、政府の失業問題に対する認識の甘さを如実に示し、無策を露呈したものと断ぜざるを得ません。その場しのぎの対応に終始し、旧態依然としたやり方を続ける政府に反省を促して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  436. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して採決いたします。  両案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  437. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 多数と認めます。よって、平成十一年度補正予算二案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  438. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会