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1999-03-17 第145回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十七日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     柳田  稔君      益田 洋介君     高野 博師君      宮本 岳志君     八田ひろ子君  三月十七日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 鴻池 祥肇君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 大野つや子君                 狩野  安君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 常田 享詳君                 長谷川道郎君                 溝手 顕正君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 若林 正俊君                 脇  雅史君                 海野  徹君                 江田 五月君                 郡司  彰君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 円 より子君                 柳田  稔君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 浜田卓二郎君                 小池  晃君                 須藤美也子君                 八田ひろ子君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 奥村 展三君                 菅川 健二君                 石井 一二君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     陣内 孝雄君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        法務大臣官房長  但木 敬一君        法務省民事局長  細川  清君        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省条約局長  東郷 和彦君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十一年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十一年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、締めくくり総括質疑を行います。照屋寛徳君。
  3. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 おはようございます。社会民主党照屋寛徳でございます。  いよいよ予算委員会締めくくり総括二日目で、最後の日でございます。  さて、私は中村法務大臣辞任に至る経緯についてただしておきたいのでありますが、中村法務大臣辞任は私は当然だと思いますし、むしろ遅きに失した、そして前大臣改憲発言やあるいは指揮権発動を思わせるような言動があった際に総理罷免をすべきであった、こういうふうに思うわけであります。ところが、本人自分言動国会運営支障を来して申しわけない、こういう理由で辞任をされたようでありますが、むしろそうじゃなくして、みずからの複合疑惑とも思われる大臣適格性を欠く行為にこそ原因があったことを私ははっきりさせるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。  あえて、おやめになりましたので繰り返しませんけれども、二、三、入管行政のあるべき姿との関係でただしておきたいと思います。  法務省中村大臣は、当予算委員会における私の質問や民主党の小川委員質問に対して、シュワルツェネッガー特別上陸許可をするに際して、ファクスで送られたてんまつ書の写しで決裁したと言っていますが、それは事実でしょうか。
  4. 竹中繁雄

    政府委員竹中繁雄君) お答えいたします。  まず、事実関係でございますけれども、実際にどういうことが起こったかと申しますと、昨年の十月二十七日の夜にシュワルツェネッガー氏が上陸を求めてやってまいりまして、深夜のことでもあり、担当課長電話大臣に事実関係報告し、上陸特別許可決裁を受けております。  それから、この上陸特別許可をした翌日の二十八日に、シュワルツェネッガー氏の始末書が一件の記録とともにファクスで本省に送付されてまいりまして、担当課長がその次の日の二十九日にこのファクスで送られてきたものを大臣に示して上陸特別許可てんまつ報告し、改めてその了承を得ているということでございます。  中村大臣発言で、確かに今、委員が御指摘のような発言の部分もございましたけれども、また別のところで、委員からの御質問に対して大臣は、「それは夜中のことでありました」、「決断したのは夜中でありますから、そのときは、内容は聞いておりましたけれども現物は見ていなかったと思います。」と、このように答えておられます。したがいまして、大臣答弁はおおむね私が冒頭申しました事実関係に沿うものと考えております。
  5. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 実際は、今答弁あったように、深夜に電話決裁をしたというのが真実なんです。ところが、三月三日の当委員会小川委員質問に対しても同じように、てんまつ書ファクスで送られてそれで決裁したと。  さて、特別上陸許可をする際に当該当事者からてんまつ書は必ずとっておったんでしょうか。
  6. 竹中繁雄

    政府委員竹中繁雄君) お答えいたします。  上陸特別許可をするに際して全部の案件についててんまつ書あるいは始末書のたぐいを徴しているということではございませんけれども、案件によっては、本人注意喚起をしておいた方がよいと思われるような事案、あるいは上陸後の善行保持を約束してもらった方がよいと思われる事案等がございまして、そのような場合には従前から本人てんまつ書あるいは始末書のたぐいを徴しております。
  7. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 特別上陸許可の際の特別審理官審問調書作成手続について説明してください。
  8. 竹中繁雄

    政府委員竹中繁雄君) まず、外国人が入ってまいりまして上陸審査官審査をいたします。審査をして上陸は不許可だと判断したものについては、すべて特別審理官の方に事案が回されます。特別審理官審理をしまして、これを許可して結局上陸を認めるものと、認めないものは認めないと判断し、それを伝え、それから認めない場合には、あなたはさらに異議の申し立てができますよということを本人に伝えます。
  9. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は、法務検察行政がゆがめられてはいけない、あくまでも法務検察行政というのは厳正公正であるべきだというふうに考えます。特に出入国管理行政もそうであります。大臣職権乱用があったりあるいは大臣裁量権を著しく逸脱したり乱用したりすることがあってはならないと思うのであります。中村法務大臣行為は、そういう大臣職務権限乱用裁量権の逸脱、これが著しかったところに私は問題があるというふうに思うのであります。  ところで、理事会調査経過についての報告があったようでございますが、官房長官、改めて前法務大臣辞任についてどういう所感をお持ちでしょうか。
  10. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 三月二日、本予算委員会におきまして照屋委員質問を初めとする一連中村法務大臣に対する質問が行われたわけでございますが、御承知のように、三月八日、中村法務大臣小渕内閣総理大臣に対しまして、このたびの私の言動をめぐりまして国会運営に重大な支障を来し、政治家としてまことに申しわけなく、その責任を痛感しており、法務大臣辞任させていただきたいというお話をされまして、辞表を提出され、辞任をされたわけでございます。  しかし、私としては、照屋委員から今いろいろと御指摘を賜りましたけれども、三月二日の当予算委員会における御質問を通じまして、中村法務大臣及び法務省当局答弁はとても委員の御納得のいけるような状況にありませんし、大臣所管庁との関係をも危惧いたしまして、官房長官としてこれの調査をお預かりしてお願いをしたわけでございます。それによりまして、総括質問の際には調査結果を御報告できませんけれども、この最後締めくくり総括において調査報告を申し上げることで事態の収拾のお願いを申し上げたつもりでございます。  ところが、残念ながら、その後、私の報告をきょう申し上げるまでに、衆議院等において法務委員会の開催を、大臣辞任しなければ開催できないなどという状態が出まして、この一連経過から考えましたときに、国会のありようとして、私は一人の政治家としてまことに残念な結果に終始したと思っております。  中村法務大臣は、そういう中におかれましても、国会の円滑な運営のためにみずから政治家として最大の責任をとられたものと認識をしておる次第であります。
  11. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 入管局長にお伺いいたしますが、いわゆる入管法に基づく特別上陸あるいはまた在留に関する大臣の裁決のあり方でございますが、私は、入管局長名平成四年四月八日付、平成八年八月十日付で出された地方入管局長支局長あて通達、これでもう長年にわたって入管行政をやってきたわけですから、この長年に及ぶ通達による入管行政で特別な支障がありましたか、実務的に。
  12. 竹中繁雄

    政府委員竹中繁雄君) その時点では特別な問題があったというふうには聞いておりません。
  13. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 陣内法務大臣にお伺いをいたします。  私は、この長年に及ぶ通達による入管行政を突如として中村法務大臣がなしにして、そして上陸許可もそれから在留許可もすべて自分決裁をするんだということで、そして深夜未明にまでその決裁のための携帯電話を持参して、記録も見ないで電話決裁する、そのことが私は公正であるべき行政からすると大いに問題があると思うんです。  新大臣、どうでしょうか。改めて、この確立された内部基準通達による入管行政へ戻ること、そのための私は黄金の橋をあなた御自身がかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。──いや、あなたに聞いていないですよ。
  14. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これは私の権限ですから。  各省庁の機構、そしてその運営につきましては総務庁長官責任を持っております。  私がたびたび閣議で申し上げまして各閣僚の方々お願いをいたしましたのは、ただいま言われました通達につきましては、大臣がそれぞれみずからの判断で出すことであって、大臣以下の、通達を出す権限が法的にないそれ以下の方々は出さないようにということをたびたび申し上げております。  大臣が法律に基づく大臣権限の行使というものをみずからやるように、みずからのリーダーシップでやるようにということをたびたび申し上げてまいりまして、中村法務大臣は恐らく最もそれに対して忠実におこたえをいただいたんだと思っております。  ただいまの入管手続につきましても、私は何ら不公正な取り扱いはなされておらないというふうに判断をいたしております。
  15. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたが入管行政を担当するわけじゃないでしょう。
  16. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) いやいや、要するに大臣とその……
  17. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 質疑者は挙手をして発言してください。
  18. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は入管行政のことを聞いているんですよ、入管行政をめぐってのことを聞いているんですよ。法務大臣、答えてくださいよ。
  19. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 中村法務大臣は、行政改革あり方、こういうものに大変御熱心に取り組んでおられまして、そういう中でこの入管行政の実態がどういう状況であるか、まずはそれをしっかりととらえようということで大変御苦労をいただいたわけでございます。  そういう中で、私といたしましては、大臣がこの取り組みをなされたその結果を十分に分析いたしまして、そしてこれからどのような形で行政改革の中でこの重要な入管行政事務をとり行うべきか検討してまいりたいと思っております。
  20. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 今の陣内大臣答弁は大変前向きだというふうに私は評価をするわけですが、行政改革、あるいは政治主導ということをおっしゃる。しかし、政治主導の名のもとに法務行政司法行政政治に支配されるようなことがあってはならないわけであります。そのことが今度の問題で問われたのです。  法務大臣司法改革を進めるについて法曹三者の意見を一致させるように努めるという衆参法務委員会附帯決議があることは存じておられますか。
  21. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 事務当局からそういうことは伺っております。
  22. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 新しい法務大臣として、衆参法務委員会附帯決議を尊重されるという御意思はおありでしょうか。
  23. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そのつもりでおります。
  24. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 ありがとうございます。  それでは、法務省、新大臣就任に当たって祝い酒を贈ったという事件についての経緯責任について御説明ください。
  25. 但木敬一

    政府委員但木敬一君) 今月八日の陣内法務大臣就任に当たりまして、就任をお祝いするために原田事務次官が私費をもって日本酒を贈ったということがございます。  しかしながら、この点につきましてさまざまの御意見がございました。その中には厳しい御批判も含まれておりました。原田事務次官といたしましては、こうした御批判を受けること自体大臣に申しわけないことでありますし、また事務次官自身の本意でもございませんので、大臣と御相談の上、気持ちだけを受け取っていただき、日本酒そのもの大臣から原田事務次官に返戻されております。
  26. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は、これはたかが祝い酒じゃないかという問題じゃないと思うのです。かつて汚職を摘発する際に検察は、一杯のコーヒーからそれは始まるのだ、こういうことを言ってきたわけです。公務員に倫理を求めるときにもそのことが強調されてきたわけであります。やっぱりお祝いとはいえ、私は事務次官の名前で贈ること自体、これはとても考えられないことだと思います。  ところで、これは私的に贈ったのじゃなくして公的に贈ったのじゃないのですか。だれがどの酒屋から、いつ、幾らで買ってきたのですか。
  27. 但木敬一

    政府委員但木敬一君) 詳細につきましてお尋ねでございますので申し上げます。  大臣の交代が確実になりました後、事務次官事務次官付、これは秘書のような役割をしている者でございますが、この職員に対しまして、新大臣が決まった段階でたる酒を酒屋から購入して届けてもらいたいということを指示いたしました。事務次官付庶務係の方にその旨を伝えまして、庶務係出入り業者に発注いたしました。出入り業者酒だる庶務係の方に届けてまいりました。その折、請求書を持参しておりますが、請求書内容は、日本酒一本二千百三十円、十本で二万一千三百円、それから入り山が一千六百円、合計が二万二千九百円のものでございました。これは内税でございまして消費税は書類上ございません。  そして、新大臣が確定いたしますと、新しい政務の秘書官をお決めいただいたり、あるいは給与、税務等手続がございますので、秘書課庶務係の者が必ず大臣のところに参るわけですが、その折にこの酒だるを持参いたしました。  以上でございます。
  28. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は聡明な原田事務次官がとても私的に贈るとは思えない。その一連経過からすると、これは法務省が組織として行ったのではないかという疑いをいまだに持っているわけであります、これ以上この場では聞きませんけれども。  さて、小渕総理大臣、私は中村大臣を任命された総理責任もあるのではないかと思います。というのは、新年賀詞会発言段階できちんとした調査をして、直ちに罷免をすべきであったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  29. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 中村法務大臣の任命につきましては、特に中村法務大臣就任時におきまして司法制度改革も含めまして大変な強い熱意を持しておられまして、その実現のために大臣の手腕、力量を強く期待いたしておったところでございます。ただ、結果的に、既に御案内のようにみずから国会運営に対しての責任も感じて辞任をされました。その辞表を私自身は受けとめたわけでございます。  結果的に、こうしたことでもって中村大臣初志貫徹はできなかったことでもございますし、その過程でいろいろな点について御指摘をされました。辞任をされることに対してまことに残念であると思っておりますが、その本志を十分達せられないままに辞任をされ、辞任をされた大臣を任命いたしたということにつきましては、結果的にその責任を痛感いたしておる次第でございます。
  30. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 それでは次に、TMD問題について外務大臣にお伺いをいたします。  私ども社会民主党TMDの導入あるいは予算措置については反対であります。特に、軍縮の流れに逆行するだけでなく、日本がアメリカの核戦略に組み込まれて、かえって東アジアの軍事的な緊張を招くおそれがある、こういうふうに思うわけでありますが、中国の朱鎔基首相全人代大会の後に、日米TMD共同研究を始めたことについて断固反対である、こういう表明をされました。  朱鎔基首相発言をどういうふうに外務省は受けとめておられるんでしょうか。
  31. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 従来から繰り返し申し上げていることでございますけれども、我が国の検討するBMDは純粋に防御的なシステムでありまして、それ自体他国軍事的脅威を与えるものではありません。したがって、本来的に軍拡競争を引き起こしたり地域の平和と安定に悪影響を与えたり、いわんや内政干渉を引き起こすといった性質のものではないわけであります。  我が国平成十一年度からBMDに係る日米共同技術研究に着手することを決定したところでありますが、この枠組みを第三国・地域に広げることは考えておりません。また、我が国の検討するBMDは、専ら我が国に対する弾道ミサイルの攻撃から我が国防衛するためのシステムであり、別に台湾を防衛するためのものでは全くないわけであります。  いずれにいたしましても、昨年末の政府の決定はあくまで技術研究に係るものであり、開発段階への移行配備段階への移行については別途判断する性格のものであります。これらの判断は、弾道ミサイル防衛の技術的な実現可能性及び将来の我が国防衛あり方等について十分検討した上で行うことになります。  これらの諸点については、中国側にも政府として既に説明しているところであり、今後ともしかるべく透明性を確保していきたい、こういうふうに思っております。
  32. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 TMDの中国の朱鎔基首相発言について、総理、どういう所感をお持ちでしょうか。
  33. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それぞれの国の責任ある立場にある方の御発言というものは注目しなければならぬかと思っておりますが、今、外務大臣答弁申し上げましたように、このTMD計画そのものはあくまでも純粋な防御的なものでございまして、他国に対して脅威を与えるというものでございません。  すなわち、我が国の平和と安全を確保するために必要なこととして研究を始めることでございますので、もし十分な理解が得られておらないとすれば、我が国としては関係諸国に対しましてもその意のあるところを十分伝えていきたい、このように考えております。
  34. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 それでは次に、防衛庁にお伺いをいたします。  在沖米海兵隊が一九九七年、訓練のために沖縄から山梨県の北富士演習場に移動した際に、全日空機をチャーターして、兵隊と、それから弾薬と小銃などの武器を運んだことは間違いありませんか。
  35. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) お答え申し上げます。  平成九年の七月に北富士演習場で実施されました沖縄県の一〇四号線越えの実弾射撃訓練に参加いたします米海軍海兵隊約七十名を六月三十日に沖縄の嘉手納飛行場から横田基地まで全日空で輸送した際に、弾薬を装てんしていないライフル約七十丁、同じくピストル約二十丁を木の箱十数個に収納の上貨物室に、またピストル一丁用の弾薬約三十発を所定の容器に収納の上機長の指定した場所におのおの保管して輸送したところでございます。
  36. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 その全日空機は防衛施設庁がチャーターしたんでしょうか。
  37. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 沖縄県の海兵隊の移転訓練につきましては、御案内のとおり沖縄県における基地の負担をできるだけ少なくするという政府の方針に基づきまして本土で分散訓練が行われるものでございます。そこで、政府といたしましてその移転経費を負担するということで、防衛施設庁で経費の執行を行っているところでございます。  具体的には、輸送関係の契約を統制された形で一体的に行う必要があるということで、この輸送契約に当たりましては、防衛施設庁が日本通運と輸送役務契約を締結しております。この契約のもとで先ほど御説明申し上げました全日空による空輸が行われたものでございます。
  38. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 武器弾薬の輸送にどうして米軍機を使用しなかったのでしょうか。
  39. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、沖縄の海兵隊が県道一〇四号線越えの砲撃訓練をしていたわけでございますけれども、沖縄県の基地の周辺の方々の御負担を少なくするという基本方針のもとに、本土で分散して実施することを政府として決めたわけでございます。その方針のもとに、やはり移転につきましては政府としてその経費を負担するということで、防衛施設庁が移転の関係の経費負担、また手続をとったわけでございまして、米軍の軍用機を使うというより、むしろ民間のコマーシャルの航空機を使って経費を負担するということが適当であるというふうに判断しているものでございます。
  40. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 この全日空機によって武器弾薬を輸送した場合に、当該飛行機は日米地位協定五条の適用を受けるんでしょうか。
  41. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今防衛施設庁の方から説明ありましたように、御指摘の民間航空機につきましては、米軍からの具体的な要請に基づいて防衛施設庁を通じて間接的にチャーターされた航空機でありまして、契約面におきましても、また実態面におきましても、米軍の指揮官が同航空機に乗り込み、同航空機の運航を管理していることから、その運航が米国の管理のもとに公の目的で行われているものであると承知をしているわけであります。そうであれば、当該航空機は日米地位協定第五条の適用なる航空機に該当すると考えられます。
  42. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 過去に、米軍の武器弾薬だとかあるいは兵員だとか、その他の物資でも結構ですが、民間の飛行機で輸送してそれが地位協定五条の適用を受けた、そういう事例があるんでしょうか。
  43. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 防衛施設庁といたしましては、先ほど御説明しました沖縄県の一〇四号線越えの砲撃訓練に当たっての海兵隊員及びその武器弾薬の輸送というふうなことを承知しておりますけれども、それ以前につきまして、防衛施設庁は間接調達をやっておりますけれども、過去にそのような例は私ども承知しておりません。
  44. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 外務省はどうですか。
  45. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 実際にそのような具体的な例があったということについては私も承知をいたしておりません。
  46. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 恐らく私はないだろうと思うんです。日米地位協定の五条を、そういうふうな民間の飛行機や船をチャーターして移転訓練のために輸送をする、武器弾薬を運ぶ、兵隊を運ぶ、これに地位協定五条を適用するというのは私はおかしいと思うんです。地位協定五条についての一九六九年四月十九日の衆議院内閣委員会における政府答弁は、緊急の場合、そのときに適用されるんだ、こう言ってきたのではありませんか、外務省
  47. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この日米地位協定第五条そのものが想定しております事態というのが、ちょっと御説明させていただきたいと思いますが、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は」、ここからでございますが、「合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」というふうに規定しているわけでございまして、間接調達による場合におきましても、合衆国の管理のもとに公の目的で運航される船舶とか航空機ということがあり得るということは、この第五条が想定しているところでございます。
  48. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 日出生台演習場で行われた訓練の際も船で武器弾薬を運びましたね。
  49. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 御指摘のとおりでございまして、日出生台演習場で行われました砲撃訓練に際しましても、船で武器の輸送をしております。弾薬につきましては、日出生台の場合につきましては、佐世保の弾薬庫から車両で運んでおります。
  50. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は、この移転訓練のための武器弾薬の輸送、兵隊の輸送に地位協定五条がストレートに適用されるのであれば、周辺事態法なんか要らないと思うんですよ。そのことはまたこれから議論いたしますけれども、施設庁、その実弾砲撃演習の移転訓練費、政府の負担は幾らですか。
  51. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) お答えいたします。  移転訓練は、九年度から実施しておりまして、九年度予算額は九億二千七百万円でございまして、実績額は約九億二千六百万円となっております。また、平成十年度の予算額は約八億五千六百万円でありまして、その実績につきましては、先般日出生台演習場で第八回目の訓練が行われまして終了したところでございまして、現在、集計といいますか、請求書その他を精査しているところでございますので、実績額はちょっとまだ固まっておりません。また、十一年度におきます予算計上額は、約八億五千九百万円を計上させていただいているところでございます。
  52. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 今答弁ありましたように、移転訓練に要した政府の負担額は単年度でおよそ約九億ぐらい平均で要しているわけですね。それも全部国民の税金で負担をしておるわけであります。おまけに民間の船舶や飛行機もそれに使われる、こういうことでありますが、外務大臣、いろいろ見解の相違はありますけれども、日米地位協定第五条が適用されるとして、船の入港料とかあるいは飛行機の空港使用料というんでしょうか、それはどういうふうになされておるんですか。
  53. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 先ほど数字を間違えましたので、恐縮でございます、ちょっと訂正させていただこうと思いますけれども、九年度予算額は六億二千七百万、九億と申しましたけれども、失礼いたしました。  御質問にお答えいたします。入港料、着陸料でございますけれども、先ほど外務大臣の方から御答弁がありましたように、地位協定五条で免除されているところでございます。しかしながら、具体的な港湾管理者、また空港管理者の損失につきましては、私ども防衛施設庁の方で管理者からの申請によりまして相当額を損失補てんするということになっているところでございます。
  54. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 施設庁長官、大分の港に入ったとき、あるいは全日空機で運んだときの入港料、空港使用料などはどうなったんですか。
  55. 大森敬治

    政府委員大森敬治君) 大分の日出生台で行われた場合でございますけれども、着陸料につきましては、大分空港を使用しているわけでございますけれども、同空港は国が管理する空港であるということでございまして、損失補償の対象とはなっていないということもありまして、着陸料は支払っておりません。  入港料につきましては、日出生台の場合、大分港を使用しているわけでございますけれども、この場合につきまして、港湾管理者に対して船舶会社の方が、基本的に払わなくてもいいわけでありますけれども、入港料を払っております。  入港料につきましては、先ほども申し上げましたように、防衛施設庁の方で損失補償をするというふうな基本的な対応でまいりたいというふうに考えておりますけれども、若干私どもの指導の不徹底がございまして、入港料につきましては船舶会社の方から払っている状況でございますけれども、今後は防衛施設庁が損失補償をするというふうな手続を徹底してまいりたいと思っております。
  56. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 私は、今のやりとりを聞いておりまして、もう既に実態としては、アメリカ海兵隊の実弾射撃演習の移転訓練、このことから見ますと、新ガイドライン関連法が成立しない前にそれがもう既に先取りされているということを強く強調しておきたいと思います。  そして最後に、これは答弁は要りませんけれども、広島県立世羅高校の石川敏浩校長先生がお亡くなりになりました。この原因については、県教育委員会の職務命令がその背後にあったという指摘も私は無視をしてはならないと思います。特に私ども、悲惨な沖縄戦を体験し、それに続く二十七年余のアメリカの軍事支配を経験した沖縄の立場で言いますと、沖縄の心も広島の心も一つであり、日の丸・君が代の法制化の問題については慎重でなければならない、このことを申し上げて質問を終わりたいと思います。
  57. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  58. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、入澤肇君の質疑を行います。入澤肇君。
  59. 入澤肇

    ○入澤肇君 締めくくり総括でありますので、私はきょうはアメリカの景気の見通しと我が国の経済政策の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。  アメリカの景気状況を概観してみますと、本年三月で九年目の景気拡大となりまして、六〇年代に次ぐ黄金の景気拡大、長期拡大というふうに言われております。  アメリカの金利は、この景気拡大の中で上昇するどころか下落している。もっとも、ことしの年央には長期金利は若干上がるんじゃないかというふうな見通しもございます。物価につきましても、インフレどころか下落傾向でありまして、景気の拡大はまだまだ継続しております。  このようなアメリカの景気につきまして、景気循環論の立場から先行きを心配する向きもありますけれども、八〇年代までの米国の景気拡大と今回の景気拡大は大きな違いがございます。  まず、実態を見ますと、アメリカの株価ダウ平均、きょうは新聞にも一面トップで一万ドルを一時突破したというふうに言われています。それから、家計部門の純資産総額、これは株高を背景にいたしまして九八年九月では二十一兆一千億ドル、これは九四年度の数字の一・五倍であります。一方で、貿易赤字は九八年でプラス五三%、対前年比、千六百八十五億ドル、これは過去最大であります。失業率は四・四%、これはいわゆるアメリカの完全雇用状態の失業率五%を下回っておると言われております。それから、九八年の実質成長率、GDPは三・九%、九九年もGDPは三%を超えるんではないかというふうに言われております。  今までの状態と違うのは、東西冷戦の終結によりまして地球全体に安い労働力がある、安い商品があふれていてインフレが起きないという基本的条件がございます。それから、アメリカ以外の国、日本、ドイツなどの景気が後退しておりまして、安い金利が海外から流入してくる。安い資金で投資ができる。このために企業収益が高まって財政収支が大幅黒字となっているという指摘がございます。  九八年より財政の黒字化が始まりまして、これは二十八年ぶりでございます。二〇〇〇年から二〇〇九年の十年間に一兆五千億ドルの大幅な黒字。八〇年代の財政赤字は完全に解消いたしました。九九年だけで一千億ドルの黒字の見込みだというふうに言われています。  このように見ますと、アメリカの経済、まさにひとり勝ちであります。これは、冷戦の解除を機に世界の為替の自由化を進めて他国の安い資金をアメリカが意識的に呼び込んだ。冷戦解除の時期に、将来のディスインフレ経済の到来を予測して、税制とか雇用、財政対応策を思い切って大改革した。要すれば、東西冷戦後は地球全体が新しい資本主義経済に突入するんじゃないかということを予期して、積極的に大胆な産業構造改革をしたのではないかというふうに指摘されております。  こういう状況下で、我が国の金融政策がアメリカの経済に非常に大きな影響を与えている。日本の低金利、安い資金、円資金を使ってアメリカ景気を拡大させ、ドル高あるいは株高を演出しているという指摘がございます。アメリカ政府はさまざまな形で我が国に金融政策の一段の緩和とか財政支出の拡大とかいうことを要請してまいりました。我が国もそれにこたえております。ゼロ金利に近づいていても、きのうの新聞にも発表されておりますけれども、マネーサプライは十分には、思ったほどは伸びていない。  しかし、ここで日本の金利が上昇いたしますと、アメリカのドルあるいは価格が低落してアメリカの景気は後退するんじゃないかという懸念もあります。それからさらに、バブルも間もなくはじけるんじゃないかというふうな指摘もございます。ヘッジファンドは一様に悪いと言われましたけれども、このヘッジファンドにも大きな役割があったことは事実でありまして、このヘッジファンドの力がなくなったアメリカ景気の行方は日銀の金融政策が握っているんじゃないかと言うエコノミストもございます。  そこで、このような景気に沸いているアメリカの経済の今後の見通しと我が国の経済政策、これから景気回復をやっていくに当たって低金利政策はいつまで続くかということでございますから、そこら辺についての基本的な考え方をお聞かせ願いたい、詳しく説明していただきたいと思います。
  60. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) アメリカの長期好況につきましてはいろんな見方がございます。一部には新しいパラダイム、ニューパラダイム派という学派もございまして、工業社会から知価社会に転換したことでアメリカの景気循環の基本が変わってしまったんじゃないか、こういう説もございます。また一方では、新古典派といって、やはり景気循環はあるんだ、だからいずれ崩壊するだろうと危惧する人もございます。もちろん日本の学者の中にもそういう見方がございます。  アメリカのCEAという経済諮問機関でございますが、それが出している状況を見ますと、今後のアメリカ経済の動向は大体実質GDPで二%から二・四%ぐらいでずっと行くだろう、名目の方で言いますと四%から四・五%ぐらいで行くだろうというような安定した見方をしております。  なぜこのようにアメリカが長期好況を続けているのかといいますと、まず第一に、やはり大胆な自由化を行いました。これに伴いまして、一九八〇年代にはかなりアメリカ経済も疲弊するといいますか混乱をした時期がございましたが、やがてこれが新しい産業を生みました。その産業の中でも比較的多いのはやはりサービス業でございまして、全体の就業者の増加の六〇%をサービス業が占めているというような状況で、新しいアウトソーシング、家事のアウトソーシングとか割と単純なものもふえております。それからもう一つは、御存じのようにハイテクが非常にふえている。この両輪で比較的技術のない人にも職があるし、高度技術の人もうんと収入がある、これがうまくいっているという状況でございます。  それで、金利との関係でございますが、確かに日本は貿易黒字でございますから、これがアメリカに還流しているというところもございますけれども、アメリカ自身のやはり循環が日本のみならず世界じゅうからお金を集めているというところもございますし、信用創造もございます。アメリカが再三日本に低金利政策を要望していることも陰に陽に事実でございますが、これは、アメリカ経済のためというよりも、やはり現在の日本の不況、特に貿易黒字が大量に出る、輸入が伸びないというような状況から見て、日本経済のために低金利政策が有効だというまあ公正な意見、もちろんそれはアメリカの利益もございましょうけれども、公正な意見もあってやっていることだと。我々も低金利政策を支持しておるわけでございますけれども、それもアメリカの要望でやっているわけではございませんで、現在の経済状況からこれがいいと思ってやっております。  今後アメリカがどうなるかにつきましては、最初に申しましたように二つの学説がございますので、いずれが正しいか私どもも論評する限りではないと思います。
  61. 入澤肇

    ○入澤肇君 非常に明快な御説明をありがとうございました。  次に、我が国経済の構造改革につきまして御質問申し上げます。  この構造改革論というのは、言葉がひとり歩きしているんじゃないかというほど新聞を毎日にぎわせております。私も委員会で再三構造改革の中身につきまして詰めようと思って質問をしております。例えば需給ギャップが四十兆円ある。これはしかし、中身を見ますと、需要不足なのか供給過剰なのかよくわからないところがあります。  あるエコノミストによりますと、産業別の資産効率とか売上高をもとにいたしまして、七割が供給過剰で三割が需要不足だというふうに推計している人もおります。特に、これもまた一つの計算ですが、建設、金融、流通など非製造業の過剰設備、これはこの前、通産大臣が最盛期の例えば鉄鋼の生産高と今の生産高による比較の御説明をくださいましたけれども、建設、金融、流通などの非製造業だけで百十九兆円、過剰割合が三四%だと、それから製造業に至っては十九兆円、過剰割合が一六%だと。こういう数字もあるわけです。  しかし、私は、この構造改革論というのは、業種、業界ごとに内需の見通し、それから外需ですね、輸出のこれからの見通し、それからやっぱり何といっても技術革新の状況、新技術の導入状況、こういうことを総合勘案しなければなかなか出ないんじゃないかと思っています。  ただ、総じて言えることは、やはりマクロ計算の中で資本ストックの調整が必要だなということは共通の認識があるのじゃないかと思っているんです。  そういう中で、今度は具体的に行政として何を中心に、何を優先度合いでやらなくちゃいけないかということは、前回、経企庁長官にも御質問申し上げましたけれども、私はやはり喫緊の課題は都市の再開発、特に住宅を中心とする都市開発。住宅投資は一般に波及効果が投資額の約二倍というふうに言われていますから、これは一番の効果があるわけでございます。都市の再開発、住宅の広さを広げること、特にバリアフリーを含めて高齢者対策に配慮した住宅政策を強力に進めるということ、これが必要だと思うんですけれども、これをどうしても生活空間倍増計画の中で第一順位に取り上げて、九九年度予算もそこに優先的に張りつけるというふうな方針で臨んでいただけたらいいのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 供給過剰がどれぐらいになるか、これはバブルのときの最高値と現在と比べて単純に申し上げるわけにはいきません。バブルのときには残業したり供給を能力以上に出していたこともございます。それから後の十年間の老化、劣化もございますから、これは諸説いろいろございますが、かなり供給過剰があることは事実でございます。しかも、これから増加するであろうと思われる分野と現在供給過剰になっている産業とが一致していない。したがって、ある程度供給施設の廃棄をして立て直さなければいけないということは事実だと思います。  その中で、都市の問題の御指摘がございました。これはまことに我々も同様でございまして、生活空間倍増戦略のプランのほかにいろんな政策もとっております。  特に重要なことは、人口がどんどん増加して都市が拡大するという一方で、そこに集まってくる人をいかに収容するかという状況から、効率のいい都市、そして御婦人やお年寄りが働きながら暮らせる都市をつくらなきゃいけない、そういう政策を痛感しておりまして、さきの経済戦略会議からもそういう提案がありました。  また、今年度の予算でも、小渕総理大臣の主導のもとに四つの未来型プロジェクト、二十一世紀先導プロジェクトというのを立てておりますが、その一つに、電子立国や雇用の安定とともに、未来都市の交通と生活、安全・安心、ゆとりの暮らしというものを掲げまして、これから、歩いて暮らせるような町、お年寄りが仕事をしながら、また同時にその町で生活ができるような町づくり、そういったように方向を転換していきたいと考えております。  しかし、いろいろな分野、建築基準法から不動産の権利、法律の問題などにかかわる問題ですので、これは十分検討しながらそれぞれの問題を取り上げていきたい。この点につきましても、総理大臣から御諮問を経済審議会にいただいておりますので、その点で回答をしていきたいと考えている次第でございます。
  63. 入澤肇

    ○入澤肇君 ありがとうございました。  経済戦略会議では、えらく長期的あるいは抽象的な提言があるかと思うと非常に細かい提言もあります。特にこの過剰設備の問題につきましては、短期間に過剰設備を処理する支援策といたしまして、まず第一に設備投資に伴う欠損金の繰越期間を現行の五年から十年に延長しようとか、あるいは設備廃棄を伴うMアンドAに対しては譲渡益減税などを導入しろとか、あるいは設備廃棄に伴う遊休地の流動化促進のために土地利用上の規制を緩和しろとかいうふうなことが言われていますけれども、これらに対してどのようなお考えで対応していくかをお聞かせ願いたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) あの戦略会議の答申の中で、今この段階日本経済がすべきことは老朽化したあるいは劣化した設備投資を廃棄することであると。これは、まさに今しなければならない、ここの段階になりますと一番緊急を要する課題だと思っております。  そこで、それをもちろん政府は支援をしなければならないと思っておりますけれども、従来でございますと、役所が先に立ちましてここにこういう老朽設備があるというようなことを、率直に申しましたら、通産省でも大蔵省でもあるいは今ですと金融再生委員会でも、昔なら言ったと思いますが、なかなかそういうことは言えない状況になっております。実情は把握している、殊に金融再生委員会、通産省もかなり正確に把握していると思いますが、結局、これは産業界と金融界がその気になって動かしてもらわないとなかなか動きがとれない。  と申しますのは、特定の会社、特定の設備投資が恐らくほとんどの場合協調融資の対象になっておりますから、どの銀行がそれをしょうか、どういうふうに分けるかといったようなことは、どう考えましてもやっぱり産業界と金融界でやらなければなりませんし、このことはかなり雇用の問題にも関係いたしますから、産業界としてはしなければならないことは知っておりますけれども、雇用のことも考えなければならない。そこで逡巡をするわけでございますから、そうしますと、金融界が先般資金の導入を受けて、そしてやっていかなければならない金融界にとっての重荷を何とかやはりおろさなきゃならないという、そういうことは強く感じているわけですけれども、おのおのがまた言い出せないという状況だと思います。  それで、総理大臣が産業再生会議を提唱されまして、やがてそれが行われると思いますけれども、そういう中でそういう議論があって、何とか産業界、金融界の中でそのような自主的なと申しますか、そういう仕組みを考えてもらうことが私は着手の第一歩だと思っておりまして、そういうことが具体的に動くということがはっきりいたしましたときに、国としてどのような支援ができるかということを考えたいと思っております。
  65. 入澤肇

    ○入澤肇君 今、大蔵大臣からも、雇用の問題にも配慮しながら具体的な政策をこれから詰めていかなくちゃいけないというお話がございました。この雇用の問題の中で今まで議論されていなかった労働のミスマッチの状況、これをちょっとお聞きしたいんです。  これは正しいかどうかわからないんですけれども、一般的に、通常の完全雇用の場合に日本の失業率は大体二%ぐらいだ、先ほど申しましたけれどもアメリカは五%ぐらいだと。それを上回るか下回るか、これによって雇用状態がいいか悪いかの判断ができるという説がございます。これは適切な考えかどうかわかりませんけれども、そのミスマッチ、これが業界ごとにどんな状態になっているのかということについて、もし労働当局で把握していましたら教えていただきたいし、またその理由は一体何なんだろうか、これからこのミスマッチというのはどのようにしたら解消できるのかということをお聞かせ願いたいわけであります。  私は、労働条件が不十分なために労働力がスムーズに移動しないということでいろんな調査をしたことがございます。  農山村に定住するための条件として、各地の状況をつぶさに検討してみますと、三つの条件がある。一つは、やっぱり安定した収入がなくちゃいけない。都市のサラリーマンほど安定した所得がなくてもいいんだけれども、要するに、毎年毎年確実に取れる所得、これがなくちゃいけない。農業政策ではそれを生涯所得ということで言葉を置きかえまして、生涯所得を実現し得る農業ということを目標にしてやったらどうかということで、具体的な政策を提言したことがございます。それから二つ目はアクセスですね。都市と農村のギャップを埋めるためにはどうしてもアクセスが必要だと。このアクセスをきちんと整備すること。道路ですね。三つ目は水洗トイレ。特に環境衛生。この三つの条件がそろいますと定住する、若者も定住をするということでございます。  雇用を確保したり所得の面でいろんな工夫が必要だと思うんですけれども、まずミスマッチの状況と、それからまた所得政策の面でどのようなことが必要なのかということを、案がありましたら教えていただきたいんです。  私は、その所得政策のところでひとつやりましたのは、実は自治省から交付税をもらいまして、各都道府県別に、林業労働者につきまして余り所得が低いものですから、林業労働力確保支援センターというのをつくりまして、そこに基金を積んで、その基金から社会保険料の掛金の一部助成をやってまいりました。これは非常に有効でした。いろんなアプローチの仕方があると思うんです。  そういうことも含めて、若干の御説明をいただけたらありがたいと思います。
  66. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御質問が大変多岐にわたっておりますし、一部は先生御自身がお答えになっている部分もございます。  まず、ミスマッチの現状についてでありますが、失業率四・四%のうち、いわゆる需要不足の部分が一・三、残りの大宗がミスマッチによる構造的、摩擦的要因ではないかというふうに言われております。  その中身でありますけれども、例えば技術職についていいますと、求人は多いけれども求職者の能力開発が追いついていないということがあります。ホワイトカラーにつきましては、管理部門の合理化とかあるいはコンピューター化によりまして、事務職の求人は少なくなっていますけれども、ここへ求める人は多いというのが現状であります。  それから、賃金、労働時間等の労働条件に問題があるために求職者が少ない、求人はある。年齢でいいますと、対象年齢がやっぱり若い方に偏っていて中高年齢者に少ない。これは年齢条件の緩和というのを企業にお願いしている。  それから、生じる理由でありますけれども、企業側に改善すべき問題があるところ、求職側に問題があるところ、それから御指摘のように地域間による不均衡、年齢間による不均衡があります。  企業側にある場合には、経営の基盤強化、雇用管理改善の指導を行う、助成金を出したりしております。供給側にある、つまり人の方に問題があるときには、これは職業能力開発というのを適宜適切に行うということであります。  それから、地域間格差に関しましては、雇用機会が不足している地域をそういう指定地域として指定をいたしまして、事業所をつくるときに支援措置を行うということを行っております。年齢間の問題に関しましては、ある一定年齢以上の人を採ったときには助成金を出すとか、あるいは中高年齢者のマッチング事業というのを今度活性化プランで行っております。  それから、情報については、経済団体とのネットワークを行うということ等大変広範にいろんな対応を今しているところでございます。
  67. 入澤肇

    ○入澤肇君 長い間の審議で、総理大臣大蔵大臣関係閣僚に心から敬意を表しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  68. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で入澤肇君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  69. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、菅川健二君の質疑を行います。菅川健二君。
  70. 菅川健二

    ○菅川健二君 まず、けさ早朝、北朝鮮の核施設疑惑につきまして米朝協議が合意に達したやに聞いておるわけでございますが、合意の内容につきまして外務大臣にお聞きしたいということと、総理の見解をあわせてお聞きいたしたいと思います。
  71. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般、北朝鮮の核施設疑惑につきましての米朝間の協議が妥結するに至りまして、我が国としてはこれを歓迎し、高く評価いたすところでございます。  今回の北朝鮮をめぐる国際社会の懸念の一つでありました秘密核施設疑惑につきまして、交渉を通じて解決する道筋がつけられたことは、我が国を含む関係諸国と北朝鮮との関係を展望した上で極めて好ましいと考えております。このことは、今後の対北朝鮮政策を検討していくに当たりましても、一つの好ましい材料であると考えております。これを契機に、北朝鮮がさらに建設的な対応をとることを期待いたしております。  また、私は、今週末に訪韓をいたしまして、金大中大統領と会談する予定がございます。先般のペリー北朝鮮政策調整官による政策見直しの現状についての説明を踏まえつつ、対北朝鮮政策につき忌憚のない意見を交換いたしたいと考えております。  この米朝会談の内容につきましては、外務大臣から御説明を申し上げます。
  72. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、総理がおっしゃったとおりでありますが、合意内容としては、北朝鮮は、金倉里の施設への満足できるアクセスを米国に提供することを決定し、一九九九年五月に米側代表団の最初の訪問を招請し、この施設の将来の使用に関する米側の懸念を取り除くために追加的な訪問を認める、そして米国は、二国間の政治・経済関係の改善のための措置をとることを決定したと、こういうふうに承知をしております。
  73. 菅川健二

    ○菅川健二君 このことが朝鮮半島の緊張緩和に役立つよう、ぜひ引き続き日本側としても努力していただきたいと思いますし、また総理の訪韓に当たりましてもぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。  そこで、国旗・国歌の法制問題についてお聞きいたしたいと思います。  まず最初に、国旗・国歌をめぐりまして広島県立世羅高校の石川校長先生が自殺された件につきまして、かつて私自身広島県の教育行政に携わっていた者として校長先生の胸中がわかるだけに痛恨のきわみでございまして、衝撃を受けたわけでございます。心より哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたしたいと思います。  この不幸な事件を直接のきっかけといたしまして、小渕総理野中官房長官におかれましては、国旗・国歌の問題を政治の課題として真正面から取り上げられようとする政治姿勢に対しましては、敬意を表したいと思います。  これまで国旗・国歌の問題は、すぐれて政治的な問題であり、まずもって政治の場で解決すべき課題であります。ところが、戦後ずっとこの問題につきましては政治の場から回避されてまいりました。そこで、文部省の告示という形の学習指導要領でもって、専ら教育の問題として解決を求められてきたわけでございます。国旗・国歌は、多くの国におきまして憲法や法律で制定されている現状から見ましても、教育の現場だけで解決するにしては余りにも重過ぎる課題でございます。  そこで、まず文部大臣にお聞きいたしたいと思います。  文部大臣には、世羅高校の校長の自殺に関連してこれまでの御答弁をお聞きしますと、まるで血も涙もない官僚答弁でございまして、権力執行者の顔しか映らなかったわけでございます。大臣、まず大臣自身大臣である前に長らく教育者であって、今でも教育者であると思うわけでございますが、同じ教育者としての悩みを共有する立場から、国旗・国歌の問題につきまして苦悩しております校長や教職員の皆様に血の通った言葉で働きかけていただけないだろうかとお願いいたしたいと思います。
  74. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 同じお答えをすることになると思います。  血も涙もないというのは、いささか私としては不満な御質問であります。これくらい真剣に考えてお答えを申し上げている。  まず、教育の現場でこの国歌・国旗を教えていただかなければ、国民の人たちが大人になったときにやはり同じ問題を繰り返していくと思います。  ですから、教育現場の方たちが大変御苦労になっていることは私もよくわかっている。私自身も、東京大学の学長時代に自分自身の学校でどうすべきかということを大変苦労いたしました。そういう面から見て、今回のことの難しさ、御苦労ということはよくわかっている。  しかし、この際にこそ国歌・国旗というものの重要性についてもう一度はっきりと国民全体が、そしてまた教育現場の人たちがこの問題を認識し、さらなる御努力を賜るということが一番大切なことだと思っております。
  75. 菅川健二

    ○菅川健二君 教育現場が一番苦悩しておるということをよく御認識いただきたいと思うわけでございます。  そこで、国旗・国歌につきましては、教育現場におきましてはやみくもに強制するものではなくて、理解と説得と納得が基本でございます。国旗・国歌の指導に当たりましては、その意義と歴史的経緯について正しい理解を児童生徒に教え込み、みずから敬愛の念を持たせることができるように実施をするということが望ましいと考えますけれども、文部大臣、いかがですか。
  76. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) その点に関しては、議員と同感でございます。  子供たちが国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長するためには、やはり学校教育においてしっかりとした国民としての基本的な礼儀作法を身につける必要がある。そのためにはまず、みずからの国の国旗が持っている意義、歴史、国歌の持っている意義、歴史をきちっと理解していくことが必要であると思います。  したがいまして、学校現場にお願いをして国旗・国歌の持っている意義を、特に日本の日の丸及び君が代が持っている意義を十分教育していただくべく学習指導要領でもお願いをしておりますし、これを実行していただきたいと思っております。
  77. 菅川健二

    ○菅川健二君 意義とあわせて、歴史的経緯につきましてもぜひ教えていただきたいと思うわけでございます。  法制化の問題につきまして官房長官にお聞きいたしたいと思っておりまして、若干その間、関連質問で奥村委員にバトンタッチさせていただきたいと思います。
  78. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。奥村展三君。
  79. 奥村展三

    ○奥村展三君 今、国旗・国歌のお話が出ました。文部大臣、青少年の健全育成、これは私はスポーツ振興と不可欠だと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 委員指摘のとおりでございまして、スポーツというものは極めて私ども重要なものと思っております。  現に、昨年六月の中央教育審議会答申において非常に強くこの点を指摘いたしております。スポーツ活動は、それ自体が楽しい活動であること、健康でたくましい体づくりに資するものであること、そしてまたルールを守って公正さを重んじる精神、思いやりの心、忍耐力、克己力を涵養するなど、子供たちの心の教育にとって大変重要なことだと認識しておりますし、今申しましたように、この点が中央教育審議会の答申の中に書かれております。
  81. 奥村展三

    ○奥村展三君 大臣のいろいろ御所見を述べていただきましたが、今も申されましたように、やはりスポーツにはルールがございます。今、菅川先生からも国旗・国歌のお話がございましたが、やはり自然な姿でふだんからそれを身につけていく、特にスポーツ大会なんかには国旗・国歌の斉唱等、いろいろきちっとした形でやっているわけであります。ですから、あえて強調しなくても、そういうスポーツを通じて私は、体力の向上はもとよりでありますけれども、そういうしつけあるいはルールというものを重んじていく教育が大変大事であろうと思います。  特に、知徳体という言葉が今までも使われてきましたし、私もそのとおりであったと思いますが、しかし体があってこそ、総理初め連日この予算委員会でも御苦労いただきましたが、各大臣の先生方も私は大変体力があるなというように思いました。この長丁場においてもこれだけ受け答えをし、我々の質問に対して堂々とお答えいただける、これは体力がなかったらこれだけできないなというような思いもしておりました。やはり小さいときから体力を身につけておくということも大変大事であろうと思います。  ぜひ今後、青少年の健全育成にはスポーツを通じてより以上はぐくむということが大事だと思いますが、小渕総理の御所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  82. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 奥村委員のただいまの御説は全くもっともなことでございまして、昔から健全な身体に健全な精神が宿るという言葉もございまして、ともどもに両々相まって人格を形成しておるのだろうと思います。特に、子供たちにとりましてスポーツを通じてということはまことにもっともなことでございまして、スポーツ精神とよく申されますけれども、やはりその中に人間としての涵養すべき多くの事柄があるのではないかと思っておりますので、ぜひそういった意味で健全なるスポーツを大いに振興して子供たちの人格形成のためにも大きな役割を果たしていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  83. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ、この際ですから総理にもお願いをしておきたいと思います。あらゆる全国の青少年やあるいはまた大人のスポーツ大会等もたくさんあるわけであります。お忙しいと思いますが、できるだけその現場に、大会等に出向いて激励をしてやっていただき、肌で感じていただき、そして国民とともどもに体力向上、そしていろんな意味での総理の活躍をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  先ほども申し上げましたが、文部大臣、知徳体と言われたんですが、私は体徳知と思うんですが、いかがでしょうか。
  84. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 一番最後にあるから一番値打ちがないというふうには認識しておりません。重要なものほど後ろに持っていくことがあろうかと思います。  御説のとおりでありまして、私は卒業式であろう入学式であろうさまざまな経験をいたしましたが、そういうあらゆる機会を通じて、人間は頭よりも体である、健康であるということを言っている次第でございます。もしお疑いがありましたら、私の講演を聞いた人にお確かめいただければ幸いでございます。
  85. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました、何か説教を受けているような感じでありますけれども。  私は、青少年のいろいろスポーツも振興させながら、また以前にもこの委員会等で申し上げましたが、この予算委員会を通じて教育の問題あるいは自然保護の問題等々いろんなお話もございました。体験学習といいますか、やはりみずからが、子供がその中に入っていっていろんなことを学んでくれる、それが自然の姿で身についていく、そういうことが非常に基本になって大事ではないか。そういうことこそが小さいときからの大切なところではないかなと思いますから、ぜひひとつ、総理も力強く御答弁いただきましたので、よろしく文部大臣お願いしておきたいと思います。  文部大臣、実は三年後に実施される新しい学習指導要領の中で、体育の授業時間が二時間から三時間以前より減っていくわけですね。しかし、三月十五日のNHKのニュースでやっておられたんですが、WHOのいろんな流れを見ますと、逆に体育の授業をふやしたらどうだというようなことを子どもの運動量増進会議という中で提言もなされておるわけですが、今日、子供たちが運動不足で糖尿になったりあるいは肥満になったりしている、これは運動不足からきていると言われておりますが、こういう問題についてどのようにお考えになっているか、お伺いいたしたいと思います。
  86. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 子供たち並びに教育に携わっている人たちに時間的な余裕を持たすべきであるというのが、中央教育審議会及び現在の文部省の考え方でございます。そのために学校完全週五日制を導入することに踏み込みました。そのことによって、今御指摘のように、体力の方から、すなわち体育の方からももう少し時間があった方がいい、あるいは社会の方からももうちょっと時間があった方がいい、数学からも理科からも随分時間の要求がございました。しかし、思い切ってこの際大幅に減らしました。  そのためにどういう対策を講ずるべきかということは、放課後あるいは土日において地域社会で体育などをぜひともやっていただきたいと思っておりますし、時間は少なくても学校では今まで以上に熱心に体育の教育をしていくべく準備をしているところでございます。  そういう意味で、すべて学校に任せてしまうという考え方をこの際改めていかなければならないと思っておりまして、たびたび申し上げることでありますが、地域社会にぜひともお願いしたいと思いますし、また、お父さん、お母さんにぜひともお願いしたいことは、学校から帰ったら塾に行くというふうなことを強制しないでいただきたいと思っております。
  87. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  学校任せの体育・スポーツ振興ではなくてというお話でありますが、やはりそこには指導者が必要でございます。あるいは、学校開放を完全にやるとかいろんな問題が交錯してくると思います。ぜひその問題につきましても、今後文部省として全力を挙げて取り組んでいただきますことを要望申し上げて、私の関連質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  88. 菅川健二

    ○菅川健二君 官房長官、お帰り早々恐縮でございますけれども、実は先ほど官房長官に敬意を表したわけでございます。と申しますのは、国旗・国歌の問題を政治の問題として真正面から取り上げようとしておられる姿勢に対して私は評価いたしておるわけでございます。さすが地方行政に長い間苦労された官房長官だなと思ったわけでございます。  そこで、法制化の問題でございますけれども、まず法制化ありきということではなくて、これまでのいろんな国旗・国歌をめぐる論争があるわけでございまして、国民的なコンセンサスを得られているかどうかというやはり確認的な作業も要りますし、論点も整理していく必要があろうかと思うわけでございます。  そこで、官房長官には、これから国旗・国歌についてどのようなスケジュールで、またどのような手続で法制化を検討されようとしておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  89. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 政府といたしましては、総理答弁をされたと思いますが、長年の慣行によりまして国民の間には日の丸・君が代が国旗・国歌であるとの認識が既に定着しておるものと考えるわけでございます。  このような中におきまして、二十一世紀を迎えるに当たりまして、我が国でも国旗・国歌を成文法といたしまして位置づけることについて検討する時期に達したのではなかろうかと考えるわけでございまして、今回、国旗・国歌の法制化を含めた検討に着手させていただくことにしたわけでございます。  法案の取り扱いでございますけれども、その時期につきましては、もちろん国権の最高機関たる国会の御議論を踏まえ、また各界の意見をも踏まえなければならないと思うわけでございますが、ただいま事務当局でその検討をさせておるところでございますが、でき得れば今国会に法案を提出できる運びになることが私は望ましいと考えておるところでございます。
  90. 菅川健二

    ○菅川健二君 日の丸を国旗にすることについてはまず異論がないわけでございますが、君が代を国歌にすることについては、歌詞の問題とかメロディーのテンポの問題とか若干の議論もあろうかと思います。  そこで、私は、余り時間をきちっと限らずに、とにかく意見が一定の方向に収れんするまで議論を尽くしていくということが極めて重要だと思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  91. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お説の御意見はよく承知をするところでございますけれども、こういう問題につきまして、お許しをいただければ、私も現場でいろんな場面を見てまいりました一人でございますし、委員はまた広島におかれましていろんな経験をされた方でございます。  それだけに、私どもといたしましては、学校現場だけを考えましても、これから入学式、そしてまた来年の卒業式、入学式等、それぞれ時期時期を考え、あるいはこれから国民全体の儀式等を考えますときに、この成文化をするに当たっては余りたなざらしにするのじゃなしに、慎重にそれぞれ意見を聞くべきでございますけれども、時期的にはでき得れば今国会お願いをするべき立場が一番望ましいのではなかろうかと存じておるところでございます。
  92. 菅川健二

    ○菅川健二君 私は、国民的コンセンサスが得られておるという状況下にありますと、それは間髪を入れず法制化するということも一つだと思うわけでございますが、余り無理をして法制化を急がれますと、法律で規定されても、結果としてはなおやはり学校現場とかいろいろなところにおいて混乱が収束しないという状況も予想されます。したがって、そういう意味から、法制化されたらみんなが一致して国旗・国歌を敬愛するような形にぜひ持っていっていただきたいというのが私の要望でございます。  最後に、総理にこの問題についてお聞きいたしたいと思います。  教育の現場を除きまして、一般社会では国旗・国歌につきまして依然として関心がどちらかといえば薄いわけでございます。先般何かテレビを見ておりますと、国旗を売っておるお店屋さんが、日本の日章旗はほとんど売れなくてイタリアの国旗が一番売れるんだと。なぜかといいますと、何かイタリア料理のレストランによく売れておるんだということのようでございます。  したがいまして、仮に法制化するに当たりましても、一般国民が進んで敬愛の念を持って受け入れる環境を整えていただくということが重要であろうかと思いますが、法制化に当たって総理のお考えをおまとめいただきたいと思います。
  93. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府といたしましては、日の丸・君が代が我が国の国旗・国歌であることは、これまでの世論調査の結果を初め、特にオリンピック等でもよく見られることでございますけれども、日の丸が掲揚されて、もとより入賞された選手諸君はそうでありますが、それを見詰める国民の目もまた大変国旗に対しましても深い敬愛の念を持ち、このことは内外とも認識され、国民の間にも定着しておるものと考えております。  なお、政府といたしましては、既に申し上げましたように、長年の慣行によりまして国民の間に日の丸・君が代が国旗・国歌であるとの認識は既に定着しているものと考えており、現在のところこの法制化に当たりまして特に国民の世論をお聞きするということは考えておりません。  立法化ということになりますと、当然内閣としてこのことを国会にお諮りするか、あるいは議員の立場で国会でこれを提起されるかということだろうと思いますが、内閣としてはこの問題に対しまして、慎重ではありますけれども、先ほど官房長官答弁申し上げましたような趣旨によりまして、国会、国民の皆さんに御理解を得たいというふうに認識をいたしております。  申し上げましたように、国旗・国歌に対しましても戦後いろいろな変遷があったことは事実でございまして、特に終戦、大戦という大きな歴史的な試練を経た日本の国民にとりまして、国旗・国歌に対していろいろの感慨を持っていることは承知いたしております。  先ほど照屋先生からも沖縄のことに触れましてお話がありました。私もそうした感慨のあることは承知いたしております。私の体験上から申し上げますと、昭和三十年代に、実は沖縄復帰運動に学生として取り組んでおりましたときに沖縄県に参りまして、当時の教職員会は、会長は屋良朝苗先生、事務局長が喜屋武先生でございまして、当時、まだ米国の施政権下にありまして、日の丸を国旗として掲揚することが許されざる状況でありまして、祝祭日等に当たりましては、紙に書いた日の丸を一本のみならず一家に数本上げて祖国復帰を願ったという心情も私は承知しておるわけでございます。そうしたことを考えますと、時代の変遷を経て半世紀、二十一世紀を前にいたしておりますので、この機会に国民の皆さんにもぜひ御理解いただきたいと同時に、きっかけになりましたのは御承知のように世羅高校の事件でございます。  正直申し上げて、私自身の生まれました地域におきましては、今やそういった問題についての誤解といいますか、そういうものはほとんど解けて理解が深まっておると認識いたしておりますが、日本全国いろいろ地域地域によって状況が異なるというようなことがございますれば、そのことをもって学習指導要領だけでこの問題に対して対処しておるということにつきましては、委員自身大変御苦労されたという経緯も承知いたしておりますので、政府責任として、この問題について国民の理解を得ながら結論を出していくべき時期であるという認識で対処させていただきたいと思っております。
  94. 菅川健二

    ○菅川健二君 国旗・国歌の法制化につきましては、慎重かつ積極的に対応していただきたいと思います。  以上で終わります。
  95. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で菅川健二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  96. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、石井一二君の質疑を行います。石井一二君。
  97. 石井一二

    ○石井一二君 総理以下、閣僚の皆さん、お疲れさまでございます。  予算の審議もいよいよ大詰めでございますが、百里の道も九十九里をもって半ばとするという言葉もございますし、港の口で船を破るという言葉もございます。また、先ほど有馬文部大臣の御答弁では、一番大事なものが一番最後にあると、そういうことでございますので、緊張感を持って聞いていただきたいと思います。  この委員会において総理の御答弁を聞いておりますと、入るをはかって出るを制す、こうおっしゃっておるわけですが、出るを制さず足らずを赤字国債で埋める、こういう考え方があるのではないかと思えてならないわけでございまして、パネルにするとこういうぐあいになるわけでございます。(図表掲示)  私は、かねがね政府のむだ遣いを正せということを主張いたしておりまして、昨年暮れの行財政改革・税制特別委員会でも十項目を指摘いたしました。総理と宮澤大蔵大臣と経企庁長官に大きくうなずいていただいたわけでございます。  そういった中で、堺屋長官も、週刊朝日の三月十九日号では、エッセーを出されて、「評価高まるレーガノミックス」、米国の財政改善の根本は歳出の削減にありと、こうおっしゃっておるわけでございまして、可処分所得の増というものが減税とともに大きく景気を上向けさせた、そういう事実があるわけであります。  このことに関連いたしまして、私は、鉄のトライアングルと俗に言われます政官財の関係について若干申し述べてみたいと思います。  特に、族議員という言葉がありまして、本来、族議員は政策に通じ、世のため、国家のため豊富な専門知識を持っていろいろ政治に取り組んでいく、そういうことであろうと思いますが、各省庁にわたりまして、例えば防衛族、農水族、建設族、郵政族、厚生族云々というように、いろんな省にそれぞれそういう方がおられていろいろと三角関係ができておるわけでございます。  実は私は、この族というものが国を滅ぼすのではないかと危惧をいたしております。先週も農水委員会で渡辺構造改善局長に、構造改善局長になった途端にバッジをつけたがり、そして議員になればすぐ土地改良の予算の増幅に走り回るが、地元自治体とかあるいは農家等で、これは負担ができないというようなケースが多々見えてきておるというようなこともいたしましたが、きょうは国防関係に絞りまして若干の検証をしてみたい、そのように思うわけでございます。  自自連立内閣が発足して以来、ひときわ活発な論議が行われ出したのが防衛関係の論議でございました。小沢一郎党首も、自衛隊の海外展開を初めTMD、新ガイドライン、偵察衛星、空中給油機、F2戦闘機等々、非常に大きな話題というものがもたらされております。  そういった中で、日経ビジネス九八年十一月十六日号でございますが、「競争なき兵器調達が不正の温床に 国防の大義名分が価格高騰を助長」というような記事も出ております。また、違う号の同雑誌に、一位から十位までのいわゆる納入高のランキングが出ておりますが、三菱、川重、三菱電機、NEC、石川島播磨、東芝、コマツ、日産自動車等々、皆様方おなじみの名前が連なっております。また、防衛庁の天下りは一千四百二十人、こういうような大きな数になるということも、朝日新聞も報じております。  こういう中で、自民党の政治献金を集める団体であります国民政治協会は、五億七千万という金を、この具体的な会社名と金額もここに書いてありますが、防衛産業から集め、平成十年だけで国民政治協会から自民党本部には五十九億円というお金が流れ込んでおります。  また、自由党に至りましては、改革国民会議という会議がございまして、これは自由党の東京総支部と同じ場所にございますけれども、できて間がないのに五千百五十九万円ということで、そのうち二千七百万円が小沢一郎さんの陸山会に入っておる。  こういう中で、私は、このトライアングルというものが本当の意味で国民のためになっておるか、そういうような気持ちを持っておるわけでございまして、こういう問題について総理が英断を持って、特に大臣を決めるとき、委員長を決めるとき、調査会メンバーを決めるとき、そういう中で、党の総裁として、一国の総理として、派閥の領袖として、大いに今後見識を持って、勇気を持って頑張っていただきたいと思うわけでございます。  私は、特に御用学者とか、第三者的な客観的な意見を述べない人、こういう人はやっぱり政治の世界から一歩引いてもらう、こういう必要があるように感じるわけでございまして、総理の英断を期待しつつ、御所見を承って、残念ながら時間でございますので、一問で終わりたいと思います。
  98. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいまの石井委員の御主張、御指摘をしっかり拝聴いたしたところでございます。今後の行政運営、政策立案等の過程におきまして、種々の御指摘の点につきまして十分意を用いてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、議員を初め皆様方の御理解、御協力を得て、国家の発展と国民生活の安定、向上のために頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  99. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  100. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で石井一二君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、平成十一年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  101. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。郡司彰君。
  102. 郡司彰

    ○郡司彰君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度総予算三案について、反対の討論を行うものであります。  我が国経済は未曾有の不況下にあります。景気をここまで悪化させた原因が政府の経済運営にあることは明らかであります。また、本予算案は、構造改革に全くと言っていいほど踏み込んでおらず、到底賛成できるものではありません。  以下、反対の主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、欠陥減税であります。  政府の減税案は、実際は納税者のほとんどが増税になるという欠陥減税であり、本来消費拡大効果を図るのであれば消費性向の高い低額所得者の税負担を減らすのが政策の常道であります。  民主党が提案している所得税率の一律二割引き下げによる累進構造の緩和、最低税率の適用範囲の拡大、納税者番号と総合課税の導入という改正こそが、消費の拡大及び国民生活の安定にとって最善の策であると確信をします。  反対の第二の理由は、雇用対策や社会保障政策が極めて不十分な点であります。  失業率が過去最悪の中で、実効性ある雇用対策は実施をされておりません。政府は、新たに七十七万人の雇用創出目標を発表しましたが、積算根拠や実現性は依然乏しく、とても国民の不安を解消するものとは言えません。失業保険の延長給付、育児・介護休業制給付の所得保障を早急に実施すべきであります。  公的年金改革への取り組みも不十分であります。年金制度改革大綱では、国庫負担率の引き上げはうたわれているものの、肝心な実施時期や財源については明示をされておりません。  さらに、消費税の福祉目的税化について、政府は、予算総則において消費税の使用範囲を制限するという前代未聞の対応を行いました。福祉目的税化は消費税法の改正をもって行うのが本筋であり、このような政策で国民の理解が得られるはずがありません。  反対の第三の理由は、無節操な借金財政であります。  放漫財政を行った結果、国債発行額は当初ベースで過去最高の三十一兆円に膨れ上がり、国と地方の債務残高もGDPの一・二倍に達しております。財政悪化は、長期金利の上昇を招き、景気回復に冷や水を浴びせています。国債価格の下落は国に対する信頼の低下を示すものであり、これはすなわち財政政策の責任者である小渕政権への信頼を低下させ、政治不信を増大させる以外の何物でもありません。  以上、主な理由を申し述べて、私の反対討論を終わります。(拍手)
  103. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 月原茂皓君。
  104. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私は、自由民主党及び自由党を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度一般会計予算外二案に対して、賛成の討論を行います。  まず、異例の速さで本日委員会採決ができるのは、各党各会派が国の行方に責任を持って真摯に対処された結果と感無量のものがあります。  さて、我が国の経済は、二年連続マイナス成長、戦後最悪の不況。景気回復のため、すべてを動員して編成されたのが十一年度予算案であり、十年度第三次補正予算と切れ目のない十五カ月予算と位置づけられる。  歳出面では、積極的財政・金融政策のもとで、公共事業、中小企業対策、雇用対策に重点を置くとともに、科学技術の振興など二十一世紀への発展基盤をなす施策も取り入れて、一般歳出対前年度比五・三%の増加となっております。  歳入面では、恒久的な減税を初め、国、地方合わせて平年度十兆円に迫る過去最大規模の減税であります。  これらの施策が相まって、マイナス成長からプラス成長に転ずるものと期待しております。  この予算案は、政策面について基本的方向で一致を見た自由民主党と自由党が協力して編成したもので、自自連立内閣が責任を負うものであります。  以下、賛成する主な理由を箇条的に申し上げます。  消費税の福祉目的化を予算総則に明記したこと。新たに公共事業等予備費を計上し、公共事業費の対前年度比は一〇%増。金融システムの安定化、健全化を図る。中小・中堅企業のため、政府系金融機関の資金確保と信用収縮、貸し渋り防止対策として信用保証制度を強化した。最高限界税率五〇%への引き下げ、定率減税など所得税の恒久的減税。住宅ローンを含む住宅関連減税。法人課税の実効税率四〇%への引き下げ。有価証券取引税の廃止。百万人規模の雇用創出など、いわゆるセーフティーネットの構築、こういうものであります。  ここ一両日、景気は全般的に下げどまりとの指標も示されるに至っております。今がチャンスである。予算成立の暁には、自自連立により安定した基盤を持つ政府が断じて行えば、鬼神もこれを避くの信念のもとにスピーディーに意思決定し、果敢に実行し、入念にフォローし、我が国経済を一日も早く回復基調に乗せることを強く希望します。  自由民主党と自由党は切磋琢磨して小渕内閣を支えることを申し添え、私の賛成討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)
  105. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 加藤修一君。
  106. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  我が国経済は、二年連続のマイナス成長といういまだかつてない最悪の不況に陥っております。消費は低迷が続き、設備投資も大幅な減少が見込まれ、雇用情勢は一段と悪化し、小渕総理言うところの不況の環は依然として強固であります。  このような深刻な状況の中、提出された平成十一年度予算案は、我が国経済を不況から脱出させなければならないにもかかわらず、当面の不況対策、さらに中期的な構造改革につながらず、到底認めるわけにはまいりません。  小渕内閣は、五つのかけ橋を強調してはおりますが、国民の生命、生活に重要である安全へのかけ橋について、全く不十分と言わなくてはなりません。ダイオキシン問題に関する政府の対応は極めて不十分な内容にとどまっております。これは、廃棄物処理、深刻化する環境汚染に対する認識不足以外の何物でもないことの証左であります。ダイオキシン、PCB、環境ホルモンなどの汚染実態や健康影響等の総合的な調査研究を進めるとともに、抜本的な廃棄物対策及び発生源対策を進めるよう政府に強く求めて、以下、本予算案に反対する主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、平成十一年度税制改正で負担増となる中低所得者層への配慮が不足し、その結果、景気に悪影響を及ぼすことであります。  個人消費は国内総生産の約六割を占め、景気回復のかぎを握ると言っても過言ではありません。しかるに、政府の減税策では、減税の大部分が定率減税方式で実施されるため、年収七百九十三万円以下の標準世帯で昨年よりも大きな負担増となっており、これでは個人消費の拡大による景気回復、そしてプラス成長はおぼつかないと言わざるを得ません。政府は、一刻も早く我々公明党が提案している二兆円規模の特別戻し税を実施に移し、中低所得者層が減税の恩恵を受けられるようにすべきであります。  反対の第二の理由は、少子化対策が不十分である点であります。  若い夫婦の家庭では、本当に安心して子供を産んで育てることができるのか、十分な教育を受けさせることができるのかという不安に駆られています。  不況のあおりを受け、可処分所得が減少する中で、児童手当制度の拡充は子育て支援にとってなくてはならない政策であります。多くの子供を持つ世帯に配慮して、所得制限、対象年齢、支給額などについてヨーロッパの制度に見られるように最大限拡充を図るべきであります。  奨学金制度についても、成績要件や保護者の所得制限の撤廃など、制度の大幅な拡充を図ることが不可欠であります。  反対の第三の理由は、ばらまき型予算によって財政赤字を大幅に拡大させている点であります。  不要不急の公共事業への支出により膨らみ続ける財政赤字によって、国と地方の債務残高はGDPの一・二倍となり、そのことによって昨年末からことし初めにかけて長期金利の上昇を引き起こし、今後の状況次第では設備投資の一層の落ち込みや住宅建設を冷え込ませることは必至であります。小渕内閣の政策が景気を冷え込ませようとしているのは火を見るより明らかであります。むだな予算を削減し、財政支出の効率化を通じて財政再建の展望を示すことが必要であるにもかかわらず、そうした努力を放棄した本予算案は到底認めることはできないのであります。  以上、本予算案への反対の理由を申し述べました。  我が国は、二十一世紀において国民生活の豊かさを維持発展できるかどうか、重大な岐路に立たされています。我々は、財政難を理由とする福祉切り捨てを断固阻止し、二十一世紀を展望し、社会保障の整備、教育、環境対策を推進して、国民が安心、安全に暮らせる、いわゆる人間の安全保障が確立された社会の実現を強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
  107. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 小池晃君。
  108. 小池晃

    小池晃君 私は、日本共産党を代表して、九九年度予算三案に対して、反対の討論を行います。  反対理由の第一は、政府の減税案が、実際は国民の七割に一兆円の増税を押しつけ、大企業、高額所得者を減税する庶民増税案となっていることであります。  こうした施策が景気をさらに冷え込ませることは明白です。年収七百九十四万円以下の中低所得者層への増税で八千数百億円の消費減が起こることも明らかになりました。また、小渕総理が真剣に取り組むとした経済戦略会議の最終答申の中で、消費税の増税は不可避と増税路線を打ち出したことは重大であります。国民が景気回復の決め手として消費税減税を求めていることは、繰り返し行われる世論調査結果で毎回示されています。今こそ消費税の減税に足を踏み出すべきであります。  反対理由の第二は、本予算案が、財政再建の展望もないまま公共投資を大幅に拡大し、国と地方の財政赤字を空前の規模に膨張させることです。  景気対策の名による大型公共事業の積み増しは、今日の財政危機の根本原因となり、景気回復にも効果なしと、政府自身が禁じ手にしたものであります。予算案は再びこれを拡大し、国と地方合わせて六百兆円という空前の長期債務を生み出します。膨大な浪費の一方で、社会保障と教育は切り捨てられ、深刻な将来不安を呼んでおります。巨額の公共事業予算を計画的に半減し、福祉、教育の充実に努めるべきであります。  反対理由の第三は、本予算案が銀行への本格的な税金投入に道を開くことです。  大手銀行への資本注入は、日債銀、長銀の破綻で実証されたとおり、返ってくる保証は何もありません。しかも、この資金がゼネコンの借金棒引きの原資となること、資本注入を受けた銀行ほどひどい貸し渋り、資金回収を行っていること、貸し渋りは解消どころかふえていることなどが審議の中で次々と明らかになりました。バブルに踊ったゼネコン、大銀行の不始末に、バブルで苦しめられた国民の税金を注ぎ込むことは断じて容認できません。  反対理由の第四は、中国、韓国、ASEAN九カ国の合計を上回る五兆円もの軍事費を計上していることです。  この中には、BMD構想の研究費用やNECとの契約を前提にした中央指揮システムなども入っています。一連の水増し疑惑にも全く無反省ではありませんか。  さらに、予算委員会の論戦では、ガイドライン関連法案が、アメリカの不法な先制攻撃に日本を参戦させる戦争法案であり、憲法九条を根本から否定するものであることも明らかになりました。  最後に、本予算案は、昨年の参議院選挙で国民が自民党政治に厳しい審判を下して後、初めて提出されたものです。国民の願いに根本から反する予算案は本院において否決すべきものであることを強く主張し、反対討論といたします。(拍手)
  109. 倉田寛之

  110. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、平成十一年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。  小渕内閣は経済再生内閣として登場いたしました。しかしながら、我が国経済はいまだ低迷を続けており、回復の兆しさえ見えてはおりません。政府予算案は、歳出総額八十二兆円に上る予算規模にもかかわらず、国民の期待する方向とは大きくかけ離れております。停滞著しい景気の現状と厳しさを増している国民生活を好転させるためには、国民が将来に安心を実感できる対策こそが求められているのであります。しかしながら、政府原案は、相変わらず従来型公共事業に偏重したばらまき予算であります。三十一兆円にも及ぶ国債発行も、これによって景気が回復しなければ、ただ後世代への負担のツケ回しに終わってしまうのであります。  以下、本予算案に反対する主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、不公平是正には全く手をつけないままの最高税率の引き下げであり、給与所得者の約九割が実質増税となるという高額所得者優遇の減税策となっていることであります。これでどうして国民の納得と理解が得られるのでありましょうか。  反対の第二の理由は、公共事業等予備費を計上していることであります。  予備費は、その使途について事前に国会の承認を受けるものではなく、それゆえ例外的かつ制限的に考えるべきものであります。にもかかわらず、本予算案には予備費三千五百億円に加え、公共事業等予備費として公共事業費全体の約五%にも上る五千億円が計上されております。どうしても必要ならば公共事業費として計上するか、補正予算を編成し国会の議決を経るのが憲法による事前議決の原則であります。  政府に使途を白紙委任するに等しい公共事業等予備費の安易な計上は、財政民主主義の視点から絶対に認められません。  反対の第三の理由は、雇用対策が現下の深刻な雇用環境を顧みない予算となっていることであります。  政府は、昨年、百万人の雇用創出を掲げ、本予算案にもその経費を計上しておりますが、具体的施策に欠け、単なる希望的観測にすぎない計画で、全く現下の厳しい雇用情勢には対処できません。国民の生活不安を一日も早く解消するために万全の財政措置を講じることが必要であることを強く指摘いたします。  社会民主党は、現下の不況は国民が先行きに安心を実感できないことに起因しており、安心感を培う予算案が求められていることを予算の審議を通じて主張してまいりました。定額方式による特別減税の継続、拡充、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度の創設、基礎年金の国庫負担率の引き上げ、新児童手当の創設、ダイオキシン、環境ホルモンなど環境対策の拡充などであります。これは国民の期待する方向でもあるのであります。  しかしながら、年金については賃金スライド制が凍結されただけではなく、基礎年金の国庫負担割合の引き上げも見送られました。我が党が提案し、既に実施されてきた臨時福祉特別給付金の支給も十一年度予算案では切り捨てられております。政府案には高齢者層に対する温かな配慮もないのであります。  さらに、二十一世紀に向けて最も重視しなければならない子育てに対する支援等も少子社会への対応を著しく欠いたものであります。  国民に対し明るい未来の展望を何ら示すことができない小渕内閣の政策運営を厳しく批判して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  111. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  112. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 少数と認めます。よって、平成十一年度総予算三案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会