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1999-02-22 第145回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月二十二日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     江田 五月君  二月一日     辞任         補欠選任      奥村 展三君     松岡滿壽男君      島袋 宗康君     佐藤 道夫君  二月二日     辞任         補欠選任      松岡滿壽男君     奥村 展三君  二月八日     辞任         補欠選任      石川  弘君     竹山  裕君  二月十日     辞任         補欠選任      簗瀬  進君     柳田  稔君  二月十八日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     角田 義一君  二月十九日     辞任         補欠選任      金田 勝年君     片山虎之助君      高野 博師君     渡辺 孝男君      市田 忠義君     畑野 君枝君      須藤美也子君     橋本  敦君  二月二十二日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 鴻池 祥肇君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 大野つや子君                 狩野  安君                 片山虎之助君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 常田 享詳君                 長谷川道郎君                 松谷蒼一郎君                 溝手 顕正君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 若林 正俊君                 海野  徹君                 江田 五月君                 郡司  彰君                 角田 義一君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 柳田  稔君                 加藤 修一君                 浜田卓二郎君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君                 橋本  敦君                 畑野 君枝君                 宮本 岳志君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 奥村 展三君                 菅川 健二君                 佐藤 道夫君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     中村正三郎君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁警備局長  金重 凱之君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁国民        生活局長     金子 孝文君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        科学技術庁科学        技術政策局長   加藤 康宏君        科学技術庁科学        技術振興局長   田中 徳夫君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        法務大臣官房長  但木 敬一君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        国税庁次長    大武健一郎君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        食糧庁長官    堤  英隆君        林野庁長官    山本  徹君        水産庁長官    中須 勇雄君        通商産業省貿易        局長       佐野 忠克君        中小企業庁長官  鴇田 勝彦君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省貯金局長  松井  浩君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十一年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十一年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹山裕君を指名いたします。     ─────────────
  4. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 平成十一年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日及び明日の総括質疑割り当て時間は三百二十分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党百十分、民主党・新緑風会八十二分、公明党三十三分、日本共産党三十三分、社会民主党護憲連合二十四分、自由党十四分、参議院の会十六分、二院クラブ・自由連合八分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────
  5. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十一年度総予算案審査中、必要に応じ、日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日の委員会預金保険機構理事長松田昇君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより総括質疑に入ります。角田義一君。
  9. 角田義一

    角田義一君 おはようございます。民主党・新緑の角田義一でございます。  最初に、大変お疲れのところを恐縮でございますが、大蔵大臣におかれましてはG7に御出席をされまして、大変難しい局面の中で、日本の国益を守り、しかもG7の中で協調もしなければならないという大変重大な会議に出てこられて、昨晩帰ってこられたというふうに承っております。  大変お疲れのところ恐縮でございますが、せっかくの機会でございますので、G7で何が問題になったのか、そして日本としてどのような主張をしてきたのか、さらにそれがどの程度通ったのか、あるいはまだ解決をしなければならない課題等があるんだというようなことについて、ひとつ国民の皆さんにわかりやすく御報告いただければありがたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日曜日にドイツボンG7の会合がございました。その模様をかいつまんで簡単に申し上げます。  全体の世界経済を見る雰囲気は、昨年後半に比べますと多少いい兆候が幾つかある。東南アジアの経済状況が多少落ちついてきたように思う、あるいはユーロが発足をした、世界全体の金利が低下ぎみである、また日本財政あるいは金融システムについて必要な措置を講じつつあるといったようなことがどっちかといえば明るい兆候であるけれども、しかし、ことし全体の世界経済は、恐らく昨年よりはいろいろな要因もあって多少マイナスになるのではないか。それから通貨危機というものもまだ伝染をする可能性があるし、ロシアとかブラジルとかいうケースもあると。それから日本の場合は、いろいろ道具立ては整ったが、どのようなそれが成果を上げるかというのはこれからの問題であるといったようなことが今年の経済見通しと思われるので、我々としては世界全体の雇用の維持、金融の安定あるいは社会的な不安が起こらないようにというような努力を強化する必要があると。大体それが全体の会議に集まりました者のコンセンサスと申しますか、考え方の基本でございました。  議論された問題はそのほかにもいろいろございまして、ヘッジファンドの問題でございますとか、これはみんな問題はわかりながら的確な処理がなかなか難しいという御承知のような事情でございますし、為替の安定につきましても、具体的に何をするかということになりますと各国の国内あるいは各国の間にいろいろ違いがございます。ございますが、それらの問題は、いわばある範囲の中でマネージできると申しますか、とんでもないことにならないような処理ができるのだろうといったような、確たる結論はないままにそんなことでみんなが議論をいたしておりました。  概して申しまして、前回に比べますと、前回はちょうどそのヘッジファンドが、例の問題が起こりました当座でありましたし、日本の国会もいろいろ金融につきまして御議論の途中でありましたし、またブラジルの急変がございましたもので一種の異常な雰囲気でございましたが、今回はそれがともかくやや落ちついたと。それで、四月にもう一遍IMFの総会のときにG7がございますし、六月には今度ボンでサミットがございますから、いろんな問題はそれでつないでいけるではないか、つないでいこう、大体そのような雰囲気でございました。
  11. 角田義一

    角田義一君 では、二つだけちょっとお尋ねしておきますけれども、ヘッジファンド規制につきましては、日本ヨーロッパ等はかなり主張したけれども、アメリカがどうしても首を縦に振らぬ、前向きでないというようなことが報道されておりまして、これはいかがなものかなというふうに私は率直に思うのでございますけれども、そのヘッジファンド規制についてのアメリカ態度あるいはヨーロッパ態度、今後の見通しをどういうふうに大臣としてはお考えになっておりますか。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ヘッジファンドにつきましては、昨年あの長期金融機関とか称するもののヘッジファンドが大きな穴をあけた、そこでニューヨーク連銀が時を移さず事態を収拾するためにいわば呼びかけをしたということで、アメリカにおいてもヘッジファンドという全く個人的な人の集まりに対して公のニューヨーク連銀というようなものが呼びかけをしたということは、これはいいことであるか悪いことであるかという議論が御承知のようにございますが、同時に、しかしあのときに呼びかけをしないと実は非常に大きな事態に発展したのではないかというような見方もございまして、そこはいろいろな議論があったところであったと思います。  しかし、どうもああいうことがしょっちゅうあっては困るということまでは、これはアメリカといえども同じ見方をしているわけでございますが、問題はヘッジファンドというのが全く個人的な人の金の出し合いでございますから、それに対して何かの義務を課することができるのかということ、もし義務を課すれば、それはアメリカから世界どこへでも本拠を移す、本拠と申しますか頭の上での本拠を移すことができますから、という問題がございます。  ただ、去年のアメリカの場合も、多くの銀行がこれにかなりの金を少なくとも貸しておる、あるいは出しておるものもあるかもしれない、金融機関はそれは責任を持たなければならないところでございますから、ここに義務を課すということはだれも文句の言えないところでございまして、そこのところまではみんなの合意がございます。そして、国際機関も我々もG7もそういう金融機関に対しては少なくとも取り締まりをきちんとすべきである、ここまでは合意がございました。  しかし、ヘッジファンドそのものについて何ができるのかということになりますと、しなければならないという意見はあるものの、有効な方法は何かということをもう少し探すしか仕方がないなと。そこはある意味でみんなが注意をして見守っていこうというようなことでございました。  この点は、おっしゃいますように、国についてのニュアンスもございますけれども、しかも昨年の場合大きな元凶はアメリカ籍でございますけれども、ヘッジファンドといういわば人格のないクラブみたいなものに対して法律的に何ができるかということはみんながちょっと考えあぐねているといったようなところで、問題をこれからも少なくともバーゼルの銀行を初め国際金融機関あるいは我々の政府が関心を持ち続けていこうといったようなところが今回の一応の結論であったということでございます。
  13. 角田義一

    角田義一君 今、若干円安傾向というふうに言われておりますけれども、円の相場が一定の幅で安定するということは私ども日本経済にとって大変大事だというふうに思います。  大蔵大臣は昔から対米交渉で、ドル建てでなくて円建てを大変御主張されてきたというふうに承っておりまして、今度はまたG7でもいわば為替の安定のための目標圏構想といいましょうか、そういうようなものも議論されたというふうに思うわけですが、私は率直に申し上げまして、アメリカ口先介入と言ってはちょっと極端でございましょうけれども、アメリカドルが基軸だということで適当に口先介入されて円がぐらぐら動くというようなことをいつまでも放置してはいけないんじゃないか。やはり、国際経済安定化を図る意味でも、一つ目標圏構想というのはそれなりに価値のある、大いに検討する構想だというふうに思うんですが、これまたアメリカが余りいい顔していないようでございます。この辺はどうだったのでしょうか。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ことしユーロが誕生いたしましたので、ドルという通貨のいわば一極体制というのは多かれ少なかれ変わるということがございますから、そこで通貨間の安定、為替の安定ということはもう一遍みんなの頭に上っておりますが、殊にユーロの場合には、新しくそういう国際通貨ができたということから、ドイツあるいはフランスの政治家たちはやっぱり何かドルとの関連あるいは円との関連一つの安定的な関係を見出したいという志向が強いわけでございますけれども、それらの国々でも、銀行家たちはなかなかそうはいってもというような現実面を余計考えられるんだと思いますが、必ずしも一致しておりません。  いわんやヨーロッパ中央銀行総裁になりますと、これはもっとその辺は慎重でございまして、少なくともユーロというものは物価の安定に寄与をすることが最大の問題であって、それ以外のことはそれから後だといいますか、何と申しますか、多少ヨーロッパ中央銀行というものと各国貨幣主権みたいなものとの関係は実際問題としてこれから片づけていかなければならない問題でございますので、それも幾らか入っておりますと思いますが、それの間の意見が違っております。  アメリカはその間、終始それはファンダメンタルズの反映であればそれでいいのであって、それについてあれこれ介入するということは、政策としての介入というのはなかなか問題がある、当たることもあるけれども当たらないこともあるので、それを一つのプリンシプルとして考えることには問題があるということは、これは政治の方も金融の方もアメリカは終始そういう考えでございます。  しかし、理論としてはそうでございますけれども、実際問題として、我が国とアメリカとの間で話し合って介入をいたしたことも何度も御承知のように実際にはございますわけですから、そういう必要な場合において必要なことをするということを何もアメリカとしても反対しているわけではない。ただ、システムとしてそういうものを打ち立てることは当たり外れが多過ぎてそれは問題が多いのではないかというのは終始一貫した立場でございますから、今回もですからそこから何か一つ結論を得ようということはみんなが考えておりませんで、こういうような何となく雰囲気というものがあってくれていれば何かのときにはこれでいいのかなといったようなところまではあるわけでございますけれども、それから先はなかなか具体的な結論が出るような雰囲気ではございませんでした。
  15. 角田義一

    角田義一君 もう一点お尋ねしておきますけれども、日本の景気の回復ということが大きな問題になり、そして長期の金利の上昇ということが懸念されているという中で、これは国内問題には違いありませんけれども、日本における国債の中央銀行の引き受けというようなことは率直に言って議論になったんでしょうか、G7の間で。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ここへ来まして長期金利がまた二%を割っておりますので、みんなその点はしばらく前のようではございませんでした。  それから、今の日本の国債云々は、よそからの発言は別にございませんで、イギリスの中央銀行総裁日本経済見通しについて質問しましたときに、日本速水日銀総裁が日銀としての決定、それは同時に政府としての決定でも考え方でもあるわけでございますけれども、それをお述べになりまして、その中で中央銀行として国債の新規発行の買い入れというものはアウトライトには基本的にはしないという話をしておられました。別にそれについてあれこれの発言はございませんでした。
  17. 角田義一

    角田義一君 総理にお尋ねいたします。  去年の十一月十九日に、いうところの自自連立政権ということで、総理と小沢党首との間で協定ができましたが、どうして自自連立政権というものをつくらなければならなかったのかということについての国民に対する御説明を、私はこの際参議院においてもきちっとしていただきたいと思います。
  18. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 昨年の十一月十九日に私と小沢党首の合意をいたしました。自由民主党と自由党との間で真剣な話し合いを積み重ねた結果、現在国家的危機のただ中にあるというこの政治情勢にかんがみまして、その時局認識を等しくいたしたわけでありまして、政局の安定も含めまして、国家と国民のために政権をともにし、その責任を分かち合うことが必要である、こうした考え方に基づきまして自由民主党と自由党との合意に至った、こういうことでございます。  そうした形で政局を安定し、そして懸案の多くの課題につきまして相協力してこの状況を乗り越える、そうした考え方が基本的に一致をいたしましたので両党間で合意書をつくり、そしてこの政治の安定のために相力を尽くしていこう、こういうことでございます。
  19. 角田義一

    角田義一君 あの金融再生法、毎日毎日私どもも徹夜に近い状態でいろいろ議論をさせていただきながら、私は立派なものができたというふうに思っております。長銀の問題にしろあるいは日債銀の問題にしろ、今日混乱もなく一定のけじめがついていくというのは、失礼でございますけれども、自民党さんが出されたブリッジバンク方式程度ではこのでかい二つの銀行処理はできなかったと思います。  それはみんなで苦労したわけですよ、みんなで苦労した。自自だけで苦労したんじゃないんです。国家国民のためということで政変にもせず、これは協力をするときは協力をすべきだといって、私どもはあなた方と一緒に徹夜もしながらあの法律をつくり上げた。それは地獄であるといって自民党の国対の幹部はもう懲り懲りだと、何とか政権の安定をかち取りたいといって自自に走った、こういうことじゃないのでございましょうか。
  20. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今御指摘にありましたように、私が内閣をつくりまして以降、最初の課題が金融システム安定化ということでありまして、その過程におきましていわゆる金融二法につきまして、各党間の御協力を得ながら再生法並びに健全化法が通過をいたしたわけであります。  そういった意味では、議会のそれぞれ各党との話し合いを十分いたした上でこれは成立いたしたことでございまして、そのことはまことに国会の中で政府考え方に御理解をいただきながらこの法律を制定いたしたということにつきましては大変すばらしい、国民考え方に基づいて国会が機能されて政府考え方もこれを通過せしめたということにつきましては、私はこれはもう論をまたないことであったというふうに認識をいたしております。  でありますけれども、先ほど申し上げたように、自由民主党と自由党との間におきまして基本的な考え方を一致させ、相協力して、より政権を安定する形で国民の期待にこたえていくということもこれまた重要なことでございまして、そういった点で考え方が一致をし、そして連立内閣が成立した、こういうことでございます。
  21. 角田義一

    角田義一君 私は、自民党と自由党がどういうふうに組むかということについて、これは党対党のことですから余り申し上げる立場ではないかもしれないが、しかしはっきり申し上げますけれども、当時、小渕政権を倒したい、政変にしたい、その急先鋒は自由党だったことは間違いない。これは我々ある意味では大変苦労した、当時政変にしてはならないと思ったんだから。この金融の危機を乗り切るためには政変にしないと。いろいろ議論はありましたよ、党内では。しかし、これは……(「お疲れさま」と呼ぶ者あり)お疲れさまとかそんなことを言うもんじゃないよ、あなた。そんなものじゃないよ。そんな不謹慎なことを言ったらいかぬ。真剣に我々はやってきたわけですよ。そして、一番政変にしろと言った強硬な部分と手を組む。それを私は邪道だと言うんです、王道ではないと。少なくとも国民の理解を得られないと私は思う。どうでしょうか、総理、もう一遍お尋ねしたい。
  22. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 一番政権の安定ということは、与党が過半数を国会に維持できるということは議院内閣制の立場から当然のことだと思います。そういう意味では、衆議院におきましては解散という制度がございますから国民の判断をいただくという機会もあろうかと思いますが、参議院におきましては三年に一遍、すなわちそうした形での選挙ということでございまして、そういうことから考えますと、両院において多くの与党としての議席が安定するということは望ましい形であります。  しかし、政治のやり方としては、そういった形で選挙を通じて安定政権をつくるということも当然でありますが、また同時に、基本的考え方につきまして改めて御相談をして、考え方が一致できるという点があれば、これを一致させることによって合意を行って政党間の組み合わせが変わっていくということも、これまた民主政治の中におきましてはあり得ることだと思っております。そういった意味で、今回はその一つの例として、自由党と自由民主党との合意により政権をともにするということに一致した次第でございます。
  23. 角田義一

    角田義一君 少なくとも、野田さんもおられますけれども、自由党さんは去年の参議院選挙のときには鮮明に反自民を訴えていたんですよ。そしてあれだけの票を国民からいただいたわけです。これは、憲政の常道からいって私は国民の期待を裏切るものだと思うんですね。政策が一致するとか一致しないとかの以前の問題として、政党としての政治姿勢が問われるんじゃないですか。  野田さん、あなたは小沢さんの名代で入っているようだから、お答えください。
  24. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 昨年の参議院選挙の際に自由党として国民に訴えてきたことは、現下の経済の低迷というのは政策の失敗ということによるところが極めて大きい、したがって政策転換をしていかなければならぬ、しかし残念ながら当時の政権はかたくなに政策転換を拒んできた、したがってこれをこのまま許すわけにいかないというところが最大の眼目であります。そして同時に、私たちはかねてから、消費税の引き上げというタイミングは早過ぎたし、あるいはむしろ直接税については、十八兆という数字も出しましたけれども、大幅減税をやるべきであるということを訴えてきたわけであります。  そういう意味で、この日本経済を立て直すということが第一。それから、あらゆる分野において今壁にぶつかっている状況を乗り越えていくためには、言うならタブーなきといいますか、あらゆる分野における構造改革を断行していかなければならないということもあわせて訴えてきたわけであります。その結果が御案内のとおりの参議院選挙の結果でありました。  私たちは、当時の民意は少なくとも橋本政権に対してはノーという結果を突きつけたんだ、そう判断をしました。そして同時に、それは橋本内閣だけではなくて自民党がやってきた政策についてのノーという判断でもあるということでありました。  そこで、その後、橋本総理がおやめになり小渕内閣が誕生されました。その中で、私たちはできるならばその流れの中で、むしろここでもう一遍首班指名ということが国民の意思を反映した形の中で行われてしかるべきではないか、そうであるならばできるだけ早期に国民の意思が直接反映されるような衆議院の解散ということがあってしかるべきである、それに基づく政権があっていい、そこへ行くまでには暫定的に、当時菅さんで結構であるという意味で首班指名を菅さんにしたことは事実であります。しかし、その後……(発言する者あり)いろいろやじっておられますけれども、そのことをあえて、今はそういうことをすべきではないということで、むしろそういう道をお避けになったわけであります。  そのうちに、小渕内閣が率直に言ってそれまで否定しておられました経済政策について大幅減税を打ち出し、言うなら経済再生内閣という形で、私から言わせれば従来の経済政策について根本的な見直しをおやりになる。さらに、これからその先の展望を考えますと、安全保障の問題について、私たち自由党が民主党の皆さんと本当にどこまで国づくりのために相協力していけるのかということについていささか不安な思いを持ったことも事実であります。そういう意味で、当時の野党の中で一緒に日本の国のために政策を一致させて政権を築けるかどうかについて自由党の中で疑義が生じたことも事実であります。  そこはお互い、政党同士のことでありますから政策が異なることは当然のことであると思いますが、そういう意味で基本的な政策について多少違ってきたのではないか。あるいは金融問題についての取り扱いについても、私たちはむしろ、現下の金融システム不安をどうやって鎮静化させるか、そしてまた、中小企業が貸し渋りでばたばたとつぶれている状況の中で何を優先すべきか。そういう中で、むしろ私たちは、中小企業に対する信用保証の拡充措置をこそ今は優先すべきであるということを当時の野党三党協議でお話ししたことも事実であります。  いずれにしても、政策の力点が多少異なってきた、そのことが残念ながらそういう形でできないということであるならば、いたずらに政党間の言うなら権力闘争といいますか政争を繰り返して批判をしているだけでは必ずしもいい政治にはならぬのではないか。それよりもむしろ、小渕内閣として、十一月に両党首で合意を交わされました。時局認識においても同じ、そしてこの日本の言うなら仕組みから立て直そうという基本的な方向性についても合意がなされ、そういった中で、基本政策の方向性と、それからスピード感を持ってこの時局を乗り越えていくということは極めて大切なことである、そのことを重視して、具体的な、あれは九項目ぐらいでありましたでしょうか、党首間で当面の政策についても一致をされ、その上で合意が成立したことでありまして、その中身はかねてから自由党が主張してきた政策を大幅に取り入れる形で合意がなされたことであります。  そういう点で自由党は、小沢党首も、自由党が掲げている政策を一緒に実行しようということであればどの政党とでも一緒にやりましょうということはかねてから言ってきたことであります。政党は、政策を掲げ、その基本政策を実現することをこそ命とすべきであるということであるならば、まさに小渕総理がそのことについて真摯な話し合いをされて、両党首の間で基本政策の一致を見て、それを連立内閣のもとで実行していこう、実現していこうという強い決意を表明された中でありますから、そういう意味では、自然な流れの中で、小渕総理、そして自民党の皆さんが、今までのいろんな経緯はあろうとも、大局的見地の中であえて勇断を持って臨まれたことに私は敬意を表しておる一員であります。
  25. 角田義一

    角田義一君 野田さんの言うのは全く手順が逆ですよ。  私どもは、菅さんに自由党さんが投票してくれた、大変ありがたいことだと思っています。政策協定が別にあるわけでもないけれども、しかし、当時、参議院選挙の結果を踏まえて、民意に反応するためにあえて自由党さんが菅さんに入れていただいたということについては、私は今でも感謝しています。  とすれば、この野党の結集というものをどういうふうにやっていくのか。仮に政権を組むとするとすれば、率直に、なるかならないかわからぬけれども、自由党さんは我が民主党なり公明さんなり社民さんなりに、じゃ一緒に政策を組んで総選挙をやろうじゃないですかと言って声をかけるのがまず憲政の常道じゃないですか。総理大臣を一緒に投票しておいて、その努力もしないで、ある日突然今度は自民党と組むというような、君子豹変するという言葉があるから、君子だかどうだかわからぬけれども、そういうむちゃくちゃなことをやって私は国民の理解は得られないと思う。  あなた方は我が党に対して、一緒にやろうじゃないか、政権をともにしようじゃないか、こういう政策協定をやろうじゃないかということを提起したことがありますか。提起していないでしょうが。どうですか。
  26. 野田毅

    国務大臣野田毅君) あえて申し上げませんでしたが、先ほどお触れになりました金融再生法案の衆議院のいろんな審議の過程の中で、当時、三党首、民主、平和・改革、そして自由党、三党首が夜中までかかって合意した内容が、数時間の間に自由党を除いた中で二党だけでお進めになったのはどこの政党であるか。私はあえてそれ以上のことは言いません。私はそのことを申し上げておきたいと思います。  それよりも、少なくとも私たちは、金融問題については時間の勝負もある、そして何よりも金融早期健全化法案、そっちの方を非常に重視しておりました。底抜けになってはいけない。率直に言って、いわゆる特別公的管理、国有化というやり方、これも一つであるが、ブリッジバンクの方式とそれほど大きな隔たりはない。それよりも、私は早期健全化、そっちの安定の方こそを重視すべきであるということは、八月のころから我が党としては言ってきた内容であります。そのことは申し上げておきます。
  27. 角田義一

    角田義一君 一言だけ私申し上げておきますけれども、仮に今あなたがおっしゃったとおり三党首会談をやって自由党が外されたと。おもしろくない、それはおもしろくないかもしれませんよ。おもしろくないということと自民党と組むということはまた別でしょう。おもしろくないから何でもいいから自民党と政権を組んじゃおうというのは全然次元が違うじゃないですか。そんなのは通りませんよ。
  28. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 感情論で申し上げているのではなくて、政策の違いが明らかになってきたということであります。しかも、さっき申し上げましたが、金融問題の過程の中で衆議院議論しておりますときに、少なくとも中小企業がまさにこの金融デフレスパイラルに陥りかねない、そういう貸し渋りの中でどんどん倒産に追い込まれていっている。これに何とか手を、対策を講じなきゃならぬという中で例の信用保証の強化措置を提案した。これは率直に言って三党で提案したんです。  しかし、そのことについて、私はもうここは余りどうのこうの言うのはどうかと思いますが、少なくとも当時の友党と考えていた皆さんがそれほど熱心でなかったことは事実なんです。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)そうなんです。ですから、私はそのことが、自由党と自民党の両党の間で事柄の重要性について認識が一致して進んできたこともこれまた厳然たる事実なんです。したがって、経済政策を進めていく上でも、本当に経済のことをどこまで、他党のことをとやかく言いませんが、我が党と路線が一致できるんだろうかなということを見ていきますと、甚だ心もとないという印象を受けたことも事実であります。  だから、それ以上お互い傷つけ合うということはもう避けた方がいいので、あえて菅党首について私から、衆議院予算委員会で質問がありましたときに、政策の力点の置き方が異なるように思いましたという表現を用いたわけであります。
  29. 角田義一

    角田義一君 まあ、戦国時代みたいなものですから、また自由党さんがどうも自民党さんが気に食わない、もう一遍一緒にやりたいな、こういうこともなくはないと思うから、これ以上のことは言わないけれども。  こういうふうに聞きます。政策合意の中で幾つか大事なことがあるので聞きますが、消費税の問題です。  自由党さんは消費税の凍結を言ってきたわけです。凍結ということは、やめろということでしょう、景気が回復するまでゼロにしろということでしょう。きのう討論会がありまして、青木幹事長が出られました。自民党は絶対凍結はできない、消費税を下げるなんてことはとんでもない。ところが、自自協議の中では税率の問題が書いてある。  あなたは今日なお、自由党としてはなお今日この段階でも消費税の凍結を主張するんですか。
  30. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 結論だけまず申し上げますが、現在、私は小渕内閣の閣僚であります。そういう点で、小渕内閣の方針に従うことはまず当然のことであります。  しかし、今あえて自由党はどうなのかということでお尋ねになるならば、自由党は参議院選挙のときには消費税について三%に戻せと、一定期間、ということを選挙のときには申しました。  その後、かなりさらに下振れが強くなってきました。そこで、消費税について、三%に戻すということだけでなくて、一たん凍結をして、一年間、そしてその後毎年二%ずつ引き上げていくということがより数年間の経済に対するアクセル効果があっていいのではないか、あるいは財政の赤字を未来永劫拡大するのではないということもはっきり見えていいのではないか、そういう趣旨から参議院選後その話をしたことも事実であります。  同時に、それだけがすべてではなくて、それにかわる具体的な経済の立て直し策、当面の、下振れしているといいますか、極めて深刻な経済状況を何とかベクトルの方向を変えるような手だてがあるならばそれでも結構でございますということをあわせて言ってきたことは何度も何度も私も申しております。  そういう点で、今回、両党間の協議の中で、もう既に税制改正については十兆円近い規模の減税が行われるということがはっきりいたしましたし、あるいは住宅あるいは設備投資、こういったところについて時限的な一つのアプローチも現に出されてきておることも事実であります。  率直に言って、その点で果たして自由党からすれば百点満点かどうかということについては問題はあろうけれども、一生懸命やられた誠意は高く評価をすべきことであるし、そして同時に、経済政策全体について再生を最優先するんだという小渕内閣の方針ということを高く評価し、この期においてもう一遍そのことを言わなければならないような経済状況にならないことを期待しつつ現在は注目しているというのが今の自由党の立場であるということであります。
  31. 角田義一

    角田義一君 これはごまかさないでほしいんだよ。いいですか、ごまかさないでください。  私が言っているのは、自由党として、なお今日消費税は凍結すべきであると、この方針は自由党としては変わらないのか変わったのか、このことをはっきりしてもらいたい。
  32. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 私は、今言いましたように、自由党としてそれがすべてだと言っているのではないということを繰り返し申し上げております。それにかわる方策があるならばその代替案でも結構でありますということはかねてから申しておりますから。  ただ単にそのことについてイエスかノーかだけでは話にならぬと思います。
  33. 角田義一

    角田義一君 あなた、参議院選挙で自由党さんがそれなりの国民の支援を得たのは、当時、消費税を三%に下げる、さらには今度は凍結をすると。毎日毎日の消費税、どれほど国民が関心を持っているか、それは民主党だって骨身にしみていますよ。  そのことを、一番大事なことを言っておきながら、今日なおその意思を自由党として持っているのか持っていないのかと言ったら、はっきりしなさいよ、もう自由党は凍結は主張しないんだというなら主張しないでいいですよ。はっきり言ったらどうですか、ここで、国民の前で。
  34. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 捨てたのか持っているのかと問われたら、捨ててはおりません。そのことだけは申し上げておきます。
  35. 角田義一

    角田義一君 総理、お尋ねしますけれども、自民党さんは消費税を凍結するお考えはあるんですか。
  36. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 凍結ということは、要するに下げるということですか。
  37. 角田義一

    角田義一君 ゼロ。
  38. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ゼロ。  政府といたしましては、現在、せっかく二%の引き上げをさせていただきまして、この貴重な財源を福祉関係を初めといたしまして特に地方に対する還元という形で活用させていただいておりますので、現時点におきましてはこれを引き下げるという考え方はございません。  先ほどの御議論を聞いておりまして、一致した点がすべてなければ……
  39. 角田義一

    角田義一君 そんなこと言っていないよ。
  40. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いや、ということであって、一致した点があればまた一緒になれるという逆の御議論をいたしますれば、民主党も現在の五%の税制についてはこれを維持すべきだという考え方でありますから、この点では政府考え方が一致しているわけですから、両党がそれは、あるいはその点だけ言えば連立が組めるのかもしれませんが。  自由党との間の税制改正につきましては、やっぱり消費税についての税率、福祉目的への限定、基礎年金、高齢者医療、介護等の見直しを抜本的に行うということで合意をいたしておりまして、この点につきましては、自由民主党と自由党との間のプロジェクトチームにおきまして議論を積み重ねておるわけでございます。そういった点で、今後ともの話し合いはあろうかと思いますけれども、合意につきましては、かねて来の御主張のすべてを両党が納得して合意をして政権をともにするということであるとすれば、すべての点で一致すれば、それこそそれは二つの政党であるべき基盤がなくなると思いますので、そういった点では、それぞれの考え方を突き詰めながら、国民に対していかなることが必要かという観点に立ちましてこの合意がなされたということにつき、御理解を賜りたいと思います。
  41. 角田義一

    角田義一君 私も上州でございます。総理と一緒です。だけど、この消費税の問題で上州連合というのは組めませんな、簡単には。  私が申し上げたいのは、片一方は凍結をしてほしいんだと。消費税というのは大問題です。片一方は凍結できないんだと。そうすると、もう協議のしようがないんですよ、これは。あと協議ができるとすれば、消費税を上げることしか協議がないんだよ、これ。  後で話しますけれども、目的税については一致していることは変わりませんけれども、税率、消費税の性格等について協議することになっている。しかし、少なくとも税率については、自由党さんはあくまで凍結凍結と言っているけれども、これはだめ、認めないと言っているんですから、一緒になるはずないんです。残ったのは、もしこれから税率を協議するとすれば、消費税率をアップする、このことについて自自連合はやるんだと、こういうふうに我々はもう今日理解せざるを得ないんですよ。どうなんですか、この辺。自自連合は消費税について今後上げるんですか。協議するといったらそれしかないでしょう。
  42. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 消費税の取り扱いについて先ほどからいろいろ御議論いただいておりますが、重ねて申し上げますが、消費税、何が何でも、世の中の経済がどうあろうが消費税についての凍結論を言っているのではないのであって、現下の極めて深刻なる経済状況をどうやって打開できるかという一つの方策としての問題提起をしておったということは幾度も申し上げておるとおりであります。  したがって、経済政策というのは、当然のことながら、租税政策を含めて経済状況を常に敏感に察知しながら、タブーを余り最初に置いておくべきではないのであって、選択肢の一つとして自由党としてまだ残しておるということを申し上げておるので、あくまで何が何でもそれだけをやればいいということを言ってきたのではないということは申し上げておきたいのです。(発言する者あり)  したがって、経済政策というのは、今いろいろやじがありましたけれども、経済政策を最初からタブーをつくってやるとろくな結果は出ないということを申し上げておるのであります。  それから、今消費税の引き上げの話がありましたが、少なくともこの消費税の……(発言する者多し)  今ちょっと答弁中でありますので……
  43. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 審議の妨げになりますので、質疑者以外の方は御静粛に願います。
  44. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 消費税率の取り扱いについて、引き上げということを両党間で現在協議の俎上にしておることはありません。
  45. 角田義一

    角田義一君 だから、あなたの先ほどの論理を聞いておると、自分たちは消費税率はもう凍結はあきらめたと。あきらめたというのは、主張としてはするけれども、自自連立の中の経済政策で何とかカバーできるわなということになると、もう消費税率は……(「どうでもいい」と呼ぶ者あり)どうでもいいんじゃない、もう下げることはできない。あとは、もしこの政権がこの協定に基づいてやるとすれば、消費税率のアップのことしか協定の対象にはないでしょうと僕は言っているんです。だから、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはなくはないんですよ。目的税は、後で聞きますけれども、はっきりしちゃったんだから。あと残っている税率といったらもう上げる話しかないんですよ。総理、どうなんですか、上げるんですか、自由党さんと組んで。
  46. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今消費税率をいじる考え方はございません。
  47. 角田義一

    角田義一君 そうすると、いつまでこの自自連立が続くかわかりませんけれども、消費税率のアップということについては、当然自自連立とすればそれは協議の対象になっていくんだというふうに理解してよろしいですね。趣旨はわかりますか。
  48. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 角田議員、もう一度お願いします。
  49. 角田義一

    角田義一君 総理は、当面いじることはない、こう言っているんですけれども、今はいじらないと言っている。しかし、いつまで自自連立が続くか私はわかりませんけれども、この協定が生きている以上は、もう自自連立で消費税のことを協議するときは税率アップしかないんじゃないんですかということを聞きたいんですよ。
  50. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 十一月十九日に交わされた両党首間の政策合意事項は、今直ちに実行すべき事柄ということでの表現でございました。その中身は、必ずしも税制改正等について、そのことだけに限定しているわけではございません。当面、今直ちにやることであります。  それから、当然のことながら、これからの連立政権が多分直面するいろんな経済政策の課題であったりその他の課題について、十一月十九日に例示されました事柄だけがすべてを律するということでは私はないと思います。当然経済政策が新たな対応を、常に問題があれば両党間で協議を重ねて対応していくということは当然のことだと思います。したがって、これから抜本税制改革、あるいは社会保障の取り扱い、その他もろもろの問題について、大事なテーマについて両党間で協議が重ねられていくことは当然のことであります。  したがって、消費税についてこれからどういう形で問題になっていくのかというのは、その時々の情勢を反映した協議になるというのは当然のことじゃないでしょうか。
  51. 角田義一

    角田義一君 私ははっきり申し上げます。  この自自連立政権というのは消費税を将来上げる政権であると、もうはっきりしておる、私はこういうふうに思っていますよ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)やじったって構いませんよ、私はそう思っているんだから。  そこで聞きますけれども、福祉目的税化を両方で決めましたな。その福祉目的税にしたのを予算総則にお入れになった。これはどういう理由でございましょうか。これは大蔵大臣でしょうか。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 消費税そのものにつきましては国民の間にいろいろな御議論がなおございますが、これを基礎年金あるいは老人福祉、介護等々、国民にとって非常に関心の深い福祉目的にのみ使うという政府としての予算の編成方針を明らかにいたしまして、国会の御審議を得てその許しを受けるならば、消費税についての国民の理解というものはより深まるのではないか、こういう意図でいたしたことでございます。
  53. 角田義一

    角田義一君 大蔵省の政府委員で結構ですが、世にいわば目的税と言われるものはたくさんあるんですけれども、そういう目的税は必ず私は法文の中に目的税ということが書いてあると思いますね、税制の中にはっきりと。そういう例が幾つかあると思うので挙げてください。大臣、恐縮です。では、大臣に教えてもらいます。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 例えば非常にはっきりいたしておりますのは、電源開発目的税のように、これはもうきちんとはっきりいたしております。それから自動車重量税のようなものは、それにはそうなっておりませんけれども、ほかの法律等々の関係で慣例的にある部分が道路に使われるということもございます。  それらは、一番最初の電源開発促進税はもう極めてはっきり法律的になっておりますが、二番目も事実上はそれに近いもの、こういう例がございます。
  55. 角田義一

    角田義一君 今、大蔵大臣がおっしゃっている今回のような例、ある程度はっきり福祉目的にするということが決められて、そして予算総則にそれを書くというような例がかつてございましたでしょうか。私が調べた限りではございませんのですけれども、いかがでございますか。
  56. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) ございません。
  57. 角田義一

    角田義一君 戦後五十何年たって、日本の税制というのはしっかりした一つシステム、原理によってやられているわけです。ところが、自自の連立政権では、今まで一遍もやっていない、明らかに目的税というふうに限定をしておきながら予算総則に書いた。予算総則に書くということは、これは一年間限り、一年ぽっきりということですよね。将来的な保証、担保は何もないということですよ。これはどういうふうにお答えになりますか。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まだ編成をいたしておりませんときの予算につきまして余り詳しく申し上げることはいかがかとは思いますけれども、しかしこれからの三つ挙げました福祉の目的というものは、恐らくますます支出としても大きくなると考えられますし、また消費税そのものは現に行われておりますので、したがいまして、今度総則に書きましたような物の考え方が将来そうでなくなるというようなことは恐らく私はないのではないか、こう考えております。
  59. 角田義一

    角田義一君 何しろ戦後一遍もないようなことを予算総則に書いて、これはもう自自でつくっちゃったものは何でもありなんだ、はっきり言えば、私から言わせれば。何でもありで予算総則にぶち込んで、そしてこれを乗り切ればいいんだ、来年は来年、また別の風が吹くわい、こんなことで大事な消費税のことをさわられては困るんですよ。  いいですか、本当に消費税を福祉目的税にするならば、名前を変える、福祉目的税にする、堂々とそれを天下に明らかにするのが政権政党としてあるべき基本じゃないですか。私は野田さんに聞いていません。自民党さんに聞いているんです。大蔵大臣、どうですか。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今の段階におきまして、この三つのための予算の支出は八兆八千億円ぐらいと思います。消費税の国庫における歳入はそれほどございませんから、実際には三つの目的に使われている方が大きいというのが現状でございます。したがって、これを目的税にいたしましても、この三つそのものを賄うわけにはかえってまいらないということになりますし、また今の消費税の歳入から考えますと、将来この三つのものを抱えていけるかどうかということも必ずしもはっきりいたしません。  ですから、私の申しますのは、一遍総則に書いた、この次は書かないのかというもしお尋ねであれば、やはりこういう物の考え方は本来継続していくべきものであろうというふうに、まだ次の予算のことを申し上げるのは早うございますけれども、考えております。
  61. 角田義一

    角田義一君 そうすると、いつまでこの政権が続くかわかりませんけれども、いずれにしても永久に続くはずはないんだけれども、それにしても、その年その年適当に、今までもやったことがないような、予算総則に盛り込めばそれで乗り切れるんだ、それで世の中は通っちゃうんだと。そんなのは政治の邪道ですよ。  私が申し上げたいのは、もう少しおてんとうさまの下で堂々と歩く政治をやってもらいたいんだ。それならそれではっきりと、これは法律を改正して目的税にするんだ、国民の皆さん議論してくださいと。これが王道なんですよ。そういう道を上州の小渕さんもまた歩んでもらいたいんですが、どうですか、総理大臣
  62. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いろいろの御批判は承りましたけれども、十一年度予算編成におきましては、先ほど大蔵大臣から御答弁申し上げましたように、福祉関係の三つの問題についての予算の総額からいきましても、予算的にこれを全部賄い得ないわけでありまして、先ほど五%の消費税の問題をお尋ねありましたが、現下の状況、環境の中では、これを引き上げる環境にはございません。そういった中で予算編成をいたすということでありますれば、このような形で予算総則にしっかり載せて、その姿勢というものを明らかにしていくというのも一つ考え方ではないか、こういうことでありますので、御理解をいただきたいと思います。
  63. 角田義一

    角田義一君 総理、私がお尋ねいたしておりますのは、予算総則に書いたというのは全くこれは便法の便法、もうひどいものですよ、言っちゃなんですが。戦後でこんなことやったこと一遍もないんだもの。これは、日本の税制のありようというものを根本から変えて、何でもありでやっちゃったんです。  だから、私が聞きたいのは、やっぱり政治の王道からすれば、当然消費税法の改正ということを国民に問うたらどうですか、それが政治の王道じゃないんですかということをお尋ねしているのでございますので、もう一度そこのところを御答弁願いたいと思います。
  64. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ただいま御答弁申し上げましたように、消費税だけですべての福祉関係予算を賄うということはできない状況にあります。ありますが、同時にまた、これを引き上げるような環境にもないわけでございまして、そういった意味で、必要な経費を賄うということであれば、今回編成させたような予算の編成のあり方ということも一つ考え方として御理解いただきたいと申し上げておる次第でございます。
  65. 角田義一

    角田義一君 総理は一生懸命自分の立場はこれだ、これだからということで御理解をしてほしいと私に言っているわけです。ただ私が申し上げているのは、政治の王道として堂々と消費税法の改正を国民に問うたらどうですか、こう聞いているわけです。それに対してやっぱりはっきり答えてもらわなくちゃうまくないと思いますね。どうですか。これは答えてください。
  66. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今予算総則に書いております三つの目的の経費は将来ともふえていく可能性が非常に多うございますので、ただいまのお尋ねに答えを間違いますと大変意図しないお尋ねの結果になりかねないので、総理大臣が言っておられますように、消費税というものは今上げる環境にないということをもちましてお答えにしておきませんと、ふえるんだなというお話は片一方の話になりかねませんので、そこはそう申し上げるわけにいきませんのです。
  67. 角田義一

    角田義一君 これ大事な問題なんですよ。私はもちろん消費税率上げろなんて言っちゃいないんですよ、言っちゃいませんよ。だけれども、消費税というのはこれだけ国民の中で大激論になってきて、もう政変にもつながれば、勢力分野も変わっている。国民的な最大の問題になることは間違いないんです。とすれば、それは税率はいいですよ、今のままでも。としても、法律に堂々とこれはもう消費税というのは目的税になるんですということを問うて、国民の審判を仰ぐというか国民の理解を得るというか、そういうふうにするのが当然じゃないですかと聞いているんですよ。  だから、私が言っているのは、じゃ今の自自連立政権は永久に消費税法には手をつけないで、このままごまかしで毎年毎年総則に書かせてもらっていっちゃうんだ、こういうことなんですか。法律に堂々と書いたらどうですか。そのことは全然あなた方の視野にはないんですか。このことを聞いているんです、大蔵大臣
  68. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) つまり、こっちが上げられないとしますとこっちを下げるのかいと、こうなってもまたそれは悪いわけでございますから、なかなかそこは難しいところだと思います。
  69. 角田義一

    角田義一君 だめ、これは答えになっていない。  要するに私が言っているのは、ちゃんと消費税法というものに手をつけて、あるいは改正して国民に出す意思があるのかないのか、ここのところはっきり答えるべきだと言っているのに、二人とも上げるんだ下げるんだとわけのわからぬことを言っている。だめだ、こんなものは。許さぬ。全然答弁になっていない。
  70. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  72. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 先ほど御答弁申し上げて、消費税についての自由民主党と自由党との、私と小沢党首との最初の、十一月十九日の合意につきましては先ほど御説明いたしました。その後、自由民主党と自由党との間のプロジェクトチームにおきまして、その専門家同士の話し合いの結果、最終的には、消費税の使途を基礎年金、老人医療、介護保険に限定する、ここで統一をいたしたわけでございまして、その両党の最終的な協議の確認が行われたものに基づきまして連立を組む以上、政府といたしましてはこのような形でその合意の趣旨を明らかにする意味予算総則に載せたということでございます。  委員は、これを法律化すべきである、あるいは社会保障関係の諸費用をこの目的税でと考えればと、こう言っておられるんではないかと思いますけれども、そういう形であれば法的にきちっとした形でやるべきだという御主張ではございますけれども、与党自民党と自由党との話し合いはこうした点で協議がまとまっておりましたので、そのことを明らかにする意味でも予算総則に載せてその方向性を明らかにしたということが、これが十一年度予算編成における政府の方針であり、そのような形で進めさせていただいたということでありますので、これはぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  73. 角田義一

    角田義一君 私は総理の言うことを全部御理解しちゃっているんですよ。  私がさらに聞きたいのは、だから御理解をした上で、その消費税法というものについては全然手をつける意思はないんだ、相変わらずもう総則でいくんだと。私は、堂々と消費税法の改正というものを国会に出すなり、あるいは国民にいろいろ審判を受けたらどうですか、聞いたらどうですか。このことについて、要するに政府はどうなんだと。これは法律なんか出すことは全然考えていません、永久にこの予算総則でやります、こう言うんですか。法律でこれを改正する案なんか出すことは全く考えていないと、こういうふうにはっきりここで言い切るなら言い切ってもいいんですよ。いや、将来やっぱり大事だから、消費税法の改正ということはあり得ます、それはそのときはまたお世話になりたい、こういうふうに言うのならそれでもいい。そこは全然あなたは答えていないんです。  僕が言っているのは、そこを答えてください、こう言っているんです。だから、総理の言うことは全部納得した上で、よく理解した上でさらにそこを聞いているんです。わかるでしょう。わかってくださいよ。ぜひわかってください。
  74. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 角田委員の御主張は御主張としてわからないではありませんけれども、今の私の立場で、十一年度予算編成に対してこれを予算総則に載せましたこの段階におきまして、明年度以降の税制改正その他につきましてここでコミットメントすることは、私自身の責任から申し上げましても今これを言明するということは、これは無理であることはぜひわかっていただきたいと思う次第でございます。
  75. 角田義一

    角田義一君 総理、私は同じ上州ですから余りきついことを言いたくないんだけれども、ここは心を鬼にして聞かざるを得ないんだけれども、それは一国の宰相として困りますよ、そういうことじゃ。  私が言っているのは、一国の宰相としての見識として、私は消費税法を改正するなら改正したいんだ、すべきなんだ、将来それを考えなきゃならぬこともあるでしょうなというようなことなのか。いや、そういうことは角田さん、私は全然考えられない、もう全部予算総則これ一本でいくんだ、これでいいんだ、ごまかしと何と言われてもそれでやっちゃうんだ、こういうことなんですかと聞いているんですよ、私は。  だから単純なんですよ、私が言っているのは。法律としてこれをちゃんと提起していくという気持ちがあるのかないのか。それを勘弁してくれと言うのは、それは総理、ちょっと無理じゃないですか。それを国民に、皆勘弁しろとか納得しろと言ったってそれは無理です。そこのところをもう一遍言ってくださいよ。はっきり言ってもらわなきゃいかぬですよ。
  76. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) これは先ほど自治大臣からも御答弁申し上げましたように、税制が、予算編成に当たりまして単年度として考え方を明らかにしてやっていくわけでございますので、将来の方向につきまして今の段階で私が申し上げることは、これは不可能であると思っております。  いろいろこの点につきましての考え方につきましては、例えば与党自由民主党の中におきましても、福祉関係のこのものを目的税化すべきだという議論もありましょうし、またそうでない御議論もあります。かつては細川政権におきましてもこのことを明らかにして、総理大臣みずからがそれを主張されたこともございまして、そういったことを考えますと、この問題については大変大事な税の根本にかかわる問題でございますので、今の段階で私が基本的な方向性を明らかにしていくということは、これは正直無理なことでございます。  いろいろの考えあるいは国会のそれぞれの御意見、あるいはまたお聞かせ願えれば角田委員の御意見もお聞きしながら、どういう方向性を持っていくべきかということについては真摯に受けとめますが、今政府の責任者として、将来にわたってこれを法律化すべきであるか、あるいはどのような形で福祉関係予算をいかなる税制の中でこれを組み込んでいくかということを断言するということは、これは無理だということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  77. 角田義一

    角田義一君 では、総理、助け船を出すつもりはありませんけれども、少なくとも私が提起した法律、消費税法を変えなきゃならぬこともあるのかな、それは重大な課題だなと、この認識はお持ちですか。ここが大事ですよ。せめて、将来、消費税法の改正ということは大きな問題になるでしょう、このくらいのことは言えるでしょうが。言ってくださいよ、どうですか。  これはもう政治的妥協だよ、一種の。どうですか、これは。このくらいのこと言ってもらわなきゃだめだ。とまっちゃうよ、この予算委員会
  78. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 振り返りますと、消費税が創設されましたとき竹下内閣でございまして、私、時の官房長官を仰せつかっておりました。新税の導入ということにつきましては、国民的ないろいろの御理解を得ながらこれを三%として創設をいたしましたが、当時の感覚といたしましては、公平、公正、簡素そして選択というようないろいろな観点から取り上げられまして、しかも、直間比率の是正という観点からもこの問題を取り上げられました。  今時点には福祉関係の税制として考えるべきだという議論が相当起こってきておることは承知をいたしておりますが、今の段階で私自身がその方向性につきまして断言することはなかなか困難でありまして、これは大いに、国会はもとよりでありますが、国民的世論も背景にして取り組んでいかなけりゃならない重要な課題であるということは承知をいたしておりますが、現時点ではこの程度の御答弁でお許しをいただきたいと思います。
  79. 角田義一

    角田義一君 私も随分小渕総理の立場は考えて質問しているつもりなんですが、だれが考えても消費税法の改正なりという問題は出てくるだろうなと、これは。やるかやらないかは別ですよ、消費税法を改正するかしないかは別です。しかし、消費税法の改正という問題まで踏み込むのか踏み込まないのか、そういう課題としては存在するだろうなと。このぐらいのことはだれでもわかっていることでしょう、これ。だれも異存ないですよ、そのことについては。どうですかそれ、総理。そのぐらいのこと言ったっていいんじゃないですか。何か差し支えますか。
  80. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 福祉が世界的に非常に進んでおると言われる国々の中で、消費税率あるいは付加価値税率が二〇%を超えるような国々もあることは承知をいたしております。
  81. 角田義一

    角田義一君 ちょっと待ってくださいよ。私は、この予算委員会というのは大事な委員会だし、そしてできれば、与党と野党は違うけれども、しかしいろいろ議論する中で、そういうこともあるわなというぐらいのことになっていかなきゃ困っちゃうんですよ。私、座っちゃいます、悪いけれども。これじゃだめだ。幾ら総理でもだめだ、それは。
  82. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) これは、先ほど大蔵大臣からも御答弁をいただきましたが、結局、予算総則に今次十一年度予算で載せさせていただいたということは、明年度以降について申し上げることはできないがと、こういう限定つきでありますけれども、その方向性については大蔵大臣もお認めになっておられるわけでありまして、今後どのような形で対応すべきかということにつきましては、少なくとも今の段階でこれを明言するということはできかねるということでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  83. 角田義一

    角田義一君 私は、これほど丁重に、丁寧に、だれが考えても、それによって小渕政権がどうなるというようなことも私は別に問題にしていませんよ。しかし、そのぐらいの答弁は、これは常識として私はあってしかるべきだと思っていますから、そこのところまで拒否されたんじゃ、ちょっと私としても困ります。
  84. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  85. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  86. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 先ほど委員の御指摘につきましては、大変重要なことでございます。したがいまして、税は常に政治の大きな課題でございますので、この問題につきましては、十分重要な問題として考慮いたしてまいります。
  87. 角田義一

    角田義一君 もうこれ以上私は言わない。私の理解だけ言っておきます。  総理が重要な問題だと答弁したのは、私は国民もああ法律の改正も含むな、あるかないかな、これが常識ですよ。そういうふうに勝手に理解させてもらいますから、それでよろしいですか。私が勝手に理解するということはよろしいかと聞いているんです。
  88. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 続けて質問してください。
  89. 角田義一

    角田義一君 私がそういうふうに勝手に理解をするというふうに言ったら、総理は、それは勝手にやってください、そういうことになりますかな、どうですか。
  90. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 角田委員の御理解として十分承っておきます。
  91. 角田義一

    角田義一君 次にお尋ねしますが、この自自協議の中に衆参の定数是正の問題がうたわれておりまして、えらい乱暴な話だと私は思うんだけれども、はっきり十九日の協定に書いてあるんです、衆参五十人ずつ削減すると書いてあるんです。衆議院は五百人のところを五十人、参議院は二百五十人のところを五十人、衆議院は一割、参議院は二割。参議院が憎らしいのかなというようなひがんだ気持ちにもなるぐらい参議院はばっさり切られるんですな。  どうして参議院を五十人、二割もお切りになるというようなことを協議でお決めになったんですか。
  92. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 委員ちょっと誤解がおありになるのではないかと思いますが、このときの合意につきましては、衆議院議員についての比例代表定数を五十人削減することを内容として合意されたところでございまして、参議院につきましては、議長のもとで各会派が協議をしておるということでございますので、その独自性は尊重することにいたしておりまして、この両党間の私の合意以降の協議会におきましては、「参議院の議員定数削減に関しては、現在、議長の下で各会派が協議しているため、その独自性を尊重する。」ということになっておりますので、これまた御理解いただきたいと思います。
  93. 角田義一

    角田義一君 御理解できないんですよ。御理解できないどころか、全然総理大臣の言っていることは間違っています。  あなたは、十一月十九日に小沢さんと協定を結んだときの、速やかにやるべきことといって別紙があって判こを押してあるわけですね。その別紙のところには、衆議院五十人、参議院五十人と書いてあるんです、はっきり。それを見て私はびっくりしたんだよ、跳び上がったんですよ。  だから、何で衆議院は五十人で、参議院は二割も、五十人切るんですか、こういうことなんです。
  94. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 失礼をいたしました。  あの合意の段階では、委員御指摘のように、衆議院、参議院ともと、こういうことで合意をいたしましたが、その後、両党間で話し合いを進めてまいりました結果、最終的には今のような、先ほど申し上げましたように、参議院につきましては、現下、議長のもとで各会派で御協議をいただいておりますので、それを尊重するということで、最終的にその方向性で両党間は進めていくということで合意しておることでございます。
  95. 角田義一

    角田義一君 総理、最初、衆参で五十名ずつ切って、そして成立させたいと書いてあるんですよ、ちゃんと。  だから、私が言いたいのは、なぜ参議院を、五十人切るというようなことをそこで決めたんですか。最初はそうなっているんですよ。だから、私はびっくり仰天して、恐らく参議院はみんなびっくり仰天したと思いますよ。何で勝手に五十人首切るんだと。リストラだ、はっきり言えば。リストラするんだということですよ。
  96. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 経過を申し上げますと、自由民主党と自由党両総裁、党首の間での話し合いの過程で、先ほど私が御説明いたしました、「いま直ちに実行する政策」として、衆議院、参議院とも云々ということは、これは自由党から提案をされた政策として、これを真摯に受けとめるというのが合意だったんです。その合意に当たりまして……(「直ちに実施すると書いてある、何で合意したんだ」と呼ぶ者あり)
  97. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) どうぞお答えください、続けて。
  98. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いや、二人の間でお話をしましたときに、自由党から直ちに実行してもらいたいというペーパーをもらいまして、そのペーパーにつきまして双方とも真摯にこれを受けとめると同時に、この問題につきましては両党間で話し合いを進めるという合意になっておるわけで、その合意の結果、先ほど御紹介申し上げましたように、衆議院につきましてはこの比例の五十名を削減するということにいたしましたが、参議院につきましては既に議長さんのもとで御論議をされておりますので、その方向について御議論をしていただく。そのためには、自由民主党並びに自由党としては、その方向について議長のもとにおきまして参議院において定数問題について御論議することについては、両党はその方向性について参議院における御論議の中には加わってまいります、こういうことだろうと思います。
  99. 角田義一

    角田義一君 総理、いいですか、これは私ども参議院にとっては大事なことなんで、いや参議院だけじゃなくて国民にとっても大事なことだから聞くんですよ。  要するに、こう書いてある。この合意書に判こを押しているのは、あなた、小渕恵三内閣総理大臣、自民党総裁だ。それでこうなっている。自由党党首提案の政策については両党党首間で基本的方向で一致した、これに基づいて直ちに両党間で協議を開始する。そして、自由党党首提案の政策についてというのは、別紙で「いま直ちに実行する政策」と書いてあって、その中に「衆議院、参議院とも、当面、議員定数を五十ずつ削減する」、こうなっている。  だから、あなたはここでもって自民党総裁であり内閣総理大臣としてこの五十名ということに判こを押しているわけですよ、押しているんでしょうが。間違いないでしょう。これまで否定されますか。
  100. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) その自由党から提案されました「いま直ちに実行する政策」につきまして、基本的に真摯にこれを実行するということについて両党首間で合意をいたしたことは事実でございます。  ですから、基本的な方向についてということでございますので、このすべてをそのままということであり得ないということで、その後におきまして五つのプロジェクトチームをつくりまして、個々の問題につきまして両党間で話し合いを進めてまいりまして、その話し合いの結果が先ほど申し上げたような趣旨でございます。
  101. 角田義一

    角田義一君 いいですか。これはいやしくも両党の党首が、しかも内閣総理大臣小渕恵三と立派な筆で書いてあるんですね。それで、その中にはっきりと五十人切ると書いてあるんですよ。  だから、私が聞きたいのは、いいですか、二つあるんです。この五十人を切るという自民党と自由党とのこの協定をつくるときに、失礼ですけれども、あなたは参議院の自民党の幹部に御相談なさったことはありますか、ありませんか。
  102. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) この合意書を十九日のときにまとめるに当たりましては、私、総裁ではありますけれども、政党政治の立場でございますので、当日、別室に党の五役をお招きいたしまして、この合意書につきましての自由党の考え方につきましてもこれを御説明申し上げまして、基本的にこの方向について御理解を得た上で私は合意書にサインした、このように認識いたしております。
  103. 角田義一

    角田義一君 私、他党のことでまことに御無礼な質問をして恐縮ですが、私が申し上げたいのは、五役さんでも何でもいいですが、その五役さんの中に自民党の参議院の幹部というのは入っておられるんでしょうか、おられないのでしょうか。他党のことはわからないから聞いているんです。  そして、その方々は入っているのか入っていないのか。仮に入っていないとしても、大事なことだから、参議院のことだから参議院の最高幹部に聞いてみようじゃないかというようなことは丁寧におやりになったのか、なっていないのか、ここを聞きたいんですよ。
  104. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 自由民主党の組織のことでございますから、やはり党の責任を負っておられる最高の幹部といたしましては、当然のことですが、参議院における代表の方々にも御参加いただいておることは事実でございます。  なお、念のため、この問題につきましての経緯は先ほど申し上げましたが、最終的には、自由民主党、自由党との間にプロジェクトチームがございまして、その両党間の関係者の合意が先ほど御紹介もいたしたような経過でございまして、こういった問題の取り扱いについて逐一申し上げませんが、いわゆる自由民主党総裁あるいは自由党の党首とのトップダウンで、ただにこの個人的な二人の約束事ということであってはならぬことは当然のことでございます。  ただ、すべての問題につきまして合意をいたすまでにあらゆる党内の組織の中でこれを十分な議を経てということになりますと、これは時間的にもなかなか困難なことでございましたので、そういった形で党を代表する執行部の責任ある皆さんとも御相談をさせていただいて、そしてこのような決定をさせていただいた。  長くなりましたが、お尋ねの点につきましては、参議院自由民主党における責任をいただいておる方々にも出席をいただいております。
  105. 角田義一

    角田義一君 これは非常に重大なことなんですね。  というのは、参議院は去年の八月、議長さんから参議院の選挙制度について各党でひとついろいろ御議論を願いたいといって我々は諮問を受けて、それなりに真剣に今各党とも議論をしているところです。そのことを当然、はっきり申し上げますけれども、自民党の参議院の幹部、名前は言いません、存じませんから、どなたが最高幹部だかわからないけれども、その方は必ずそのことを言ったはずでありますよ。議長のでこうなっておるんだと。  だから、言っていたのか言っていないのか。私は言っていないことは絶対にないと思う。総理、それはやめてくれ、そういうことをやったらこれは大問題になりますよというようなちゃんとした総理に対する直言があったと私は思うんですよ。ここに五十人、こんなことをここで書かれたんじゃ参議院は飛んじゃいますよ、これ、おやめになってくださいというふうに言われたのか言われていないのか。言われたとしてもやっちゃったのか。そんなことは関係ない、この際、小沢さんと手を握ることが大事だ、構うことはない、やっちゃえ、こういう乱暴なことをやったのかどうかということですよ。これは我々にとってはまことに大事なことなんです。どうなんですか。
  106. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 院として、参議院の重要性につきまして今さら申し上げるつもりはありませんが、参議院におきましてそうした議論のありましたことは責任ある立場の方からお聞きをいたしましたが、私といたしましては、今後両党間で話し合いをする過程で、この問題につきましてもどのような方向性をいたすべきかということにつきまして御議論をしていただくということで御理解を願ったように思っておりますが、この点につきましては最終的には合意書に署名いたしました私の責任と、こう考えております。
  107. 角田義一

    角田義一君 これは重大な問題です。これは重大問題です。参議院の、少なくとも御党の幹部が、議長のもとでこういうことをやっておるんだということをちゃんと説明された上でなおかつ総理はそれをやっちゃったということなんです。それだったんです。そういう線しかないんです。  小沢さん、このことはどうも参議院の議長さんからいろいろ諮問があって各党で御相談するようでございますよ、したがいまして、この参議院の五十名というのはやめましょうや、切りましょうやと。これがあなた、自民党の総裁としてとるべき道じゃなかったんですか。その時点ですよ、僕が言っているのは。十一月十九日の時点だ。後のことを言っているんじゃないんです。その時点でそのことをわかっておって、なおかつ強引にやったというのは、これは参議院としては勘弁ならぬ話ですよ。どうしてくれるんだ。議長が言った、議長の権威は一体どうなるんだということで、これはもう参議院全部、これは自民党だってみんな同じだよ。今の答弁聞けば憤慨しない参議院議員は一人もいません。これは大変なことを総理はおやりになったんですよ。
  108. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) しばしば御答弁して申しわけありませんが、自由党からの党首の提案の政策として「いま直ちに実行する政策」というものがございまして、その中に記されておることでございます。そのことについては、そうしたことのすべてについて基本的な方向について了解を得て、合意書が成り立ちました。  しかし、今のようなお話もこれあり、現下、両院の問題であり、議員の身分にかかわることでございますので、その後、両党とのプロジェクトチームにおいて十分御議論いたした結果、最終的には参議院の問題につきましてはそのような方向として、先ほど御説明したような方向で、院のもとでやっておることでありますので、参議院として対応していただくということについて自民党と自由党との党首の合意から外しましてそのような結論になっておるのでございますので、私はそうした結論が、参議院として独自のお考えでこれを進められるということにつきまして、今の段階におきましてそのことを尊重していかなきゃならぬと改めて考えておる次第でございます。
  109. 角田義一

    角田義一君 総理、その後の経過はいいです。その後の経過の中で、自由党と自民党との協議の中で参議院のところは消えていました。私も調べたけれども、ない。それは当然の話ですよ。  私が聞いているのは、十一月十九日の談判の結果の判こをおたくが押した、その時点で既にあなたは自民党の参議院の幹部がこういうふうになってございますよと言っているのもけ飛ばして小沢さんとこれを結んだということの政治的な意義ですよ、責任ですよ。これは大きいことをやっているじゃないですか。──何か官房長官が言っているけれども、官房長官に聞いているんじゃないんです。  私ども参議院とすると、看過できません、これは。十一月十九日のこの部分については全く参議院については効力がない、こういうものをやったことは不明だったとはっきり陳謝してもらわなかったら、参議院もたないですよ、これは。
  110. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) この合意につきましては、繰り返して申し上げませんが、自由党の今やるべき提案として受けとめまして、これを基本的な方向について一致をいたしたわけでございまして、詳細についてはその後において五つのプロジェクトでしっかり現状を踏まえてどうやっていくかということについて協議をして、協議がまとまったので実は両党の間の連立政権が誕生したということでございますので、当初の合意がそのままにすべて一点も変更なし、変更なしというか、考え方が明らかにされて違背するものであるとすれば、それは私は問題があると思いますが、これとて自由民主党と自由党との間の合意でございまして、ぜひそういった意味で、この合意書すべてをそのまま私がそのとおり実行するということにつきまして、それは両党間で細かい諸点については話し合っていくということでございまして、その過程で論議をされて、参議院の議員定数につきましても、これはやはり両党間におきましてもかくなる方向で定めるべきものということでございましたので、私自身もその方向である、こう認識をした次第でございます。(発言する者多し)
  111. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 一言申し上げますが、審議の妨げになりますので、質疑者以外の方は御静粛にお願いをいたします。
  112. 角田義一

    角田義一君 はっきり申し上げます。後の経過はどうでもいいです。私が問題にしているのは、十一月十九日に、それは小沢さんから提起をされたか何だか知りませんけれども、結果的にあなたは総理大臣としてその五十名の削減について同意しているんですよ、その方向性について。基本方向で一致しているんです。一致しているんだ。しているんですよ、これは。はっきりしているんだ、文書に書いてあるんだから。  そこで、私が申し上げたいのは、しかも、そのときに参議院の自民党の幹部から参議院はこうなっているんですよという話は聞いているというんだ。聞いているとすれば、そんな五十人切るなんということは、自由党との間で、談判で判こを押せない、押せっこないですよ。  そして、私が言いたいのは、それは小沢さんに事情を話して、参議院はこうなっているようですよ、この部分はやめましょうやと言うのが自民党の総裁として私は当然のことだと思う。それを知っておりながら、無視してこの判こを押して開き直っておる。これはだめです。  したがって、はっきり申し上げる。議長のあっせんなり議長の要請なりを受けて参議院はやっておるんだ、そのことを何しろ無視して五十人の判こを押しちゃった、これはまことに申しわけないことだとまず謝ってもらうことが一つ。そして二番目に、その部分についてはこれは今日効力がない、十一月十九日の協定のこの部分についてはこれは無効である、死文である。この二つをはっきりさせてください。これは参議院として当然の要求です。──だめだ。関係ない。聞いていないよ。
  113. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  114. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  115. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 何度も申し上げて恐縮でございますけれども、「いま直ちに実行する政策」としての御提案をちょうだいいたしました。事細かにいろいろな項目について挙げられておりますが、こうしたことを基本的な方向で小沢党首と私との間では合意いたしまして、それでそれに基づきまして各項目別につきましては両党間で協議を開始するということにいたしたわけでございます。  そうした意味におきまして、自由党の御提案はこれは真摯に受けとめましたが、この国会議員の定数の削減ということについて基本的な方向で私は一致をしたものというふうに認識をいたしておるわけでございまして、その過程で、先ほど申し上げましたように参議院の実態につきましてはお話もございましたが、今後どのような形で進めていくかということにつきましては、これは申し上げたように両党間でさらに詰めて協議をいたしていくということで一致をした、こういうことでございます。  全体としては、公務員の問題もそうでございますが、やはり国会における定数の問題も、世に定数問題について大変考え方が国民各界各層にございますので、このことにつきましては政治家として、両党の党首としてその方向性について基本的な合意をいたしたということでございまして、両院の数につきまして今後どうするかということにつきましての方向につきましては、これはその後の協議におきまして先ほど御報告いたしましたような結論に達しておるということでございます。
  116. 角田義一

    角田義一君 私は、質問は極めて明確なんです。後のことはいいんです。経過はよくわかった。いろいろ協議して参議院の部分についてはなくなっているんです。  私が聞きたいのは、十一月十九日にこの判こを押されているんです。その押される前に、何にも知らなくておれは判こを押しちゃった、それも困るんだけれども、私が言いたいのは、自民党の参議院の幹部が、参議院はこうなっているんです、八月に議長から諮問があって、選挙制度や定数については各党でいろいろ御論議を願って、そして三月までに出してくださいよというお話があったというんだ。あったんなら、わかったと言うんです、普通だったら。わかった、じゃそれは参議院に任せようや、小沢さん、そのことはやめておこうやと。これが自民党の総裁としてとってもらわなきゃならぬことだと私は思うんです。それにもかかわらず、それがわかっていながら、参議院の今までの流れを完全に無視して、そしてその協定を結んだということ、これは私は許せない。はっきり言って許せない。  だから、私は総理大臣が知らなかったんならしようがないなと思った。だけれども、知っていてやったというんなら、これは私は参議院の、これは自民党さんはどう思うかわからぬけれども、少なくとも我々野党は、こんなことで、はあはあごもっともじゃだめです。一体、議長の権威はどうなるんです。  これははっきりと十一月十九日のこの部分については不明を恥じてもらって、間違ったと陳謝してもらって、この部分については効力がない、死文である、参議院は参議院独自でやってくれと、このことをはっきりさせてもらわない限り、私はこれはもうこれ以上質問できません。
  117. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔午前十時五十一分速記中止〕    〔午前十一時二分速記開始〕
  118. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  119. 角田義一

    角田義一君 もう一遍、再度質問します。  いいですか、総理、今私が申し上げたとおり、ここは陳謝して、これは不明だったと陳謝して、そしてこの部分については、これは死文である、効力がないんだと。だから参議院を何もこれは拘束するものではない。  要するに、自分が知っていてやっちゃったんだから、はっきり言って。そこのところの責任をはっきりさせていただいて、そこは陳謝をするなら陳謝をはっきりしてもらう。そして、これは死文である、参議院に対して何の効力もない、このことだけはっきりしてもらえばいいんですよ、してくださいよ。そうしてくれなかったら参議院はもたないというんだよ、僕は。そんなにばかにされて、そのことを知っていてそれで強引にやられて、それでおまえらこれでやれと。そんなばかなことで、我々はそれは屈服できない。  だから、はっきりそこのところだけは、総理がこれは大所高所に立って、まずかったら、これはまずいやと思ったらはっきり謝ればいいんですよ。その点はどうなんでしょう。陳謝しますか。
  120. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ぜひ御理解賜りたいのは、しばしば申し上げておりますように、この第五項目については、これは小沢党首がこれを直ちに実行してもらいたいという政策として提案をされました。いいですか。
  121. 角田義一

    角田義一君 それはいいんです。(発言する者多し)
  122. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御静粛に願います。
  123. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) そのときに、衆議院、参議院とも議員定数を五十名削減することを目標にしてと、こういうことで、今後自由民主、自由党の間で協議を行うということになりました。  この五十の削減について、私と小沢党首の間でその方向性で一致したわけじゃないんです。いいですか。(発言する者多し)その基本的な定数を削減するということについて、これは参議院におきましても既に定数削減問題につきましては御議論がされておられるんでしょう。ですから、そういうことで定数削減の点について基本的方向で一致をして、したがって、さればこそその後に協議を両党間で開始したということで、じゃこの党首の提案というものを全部私がそのままにうのみにしているかということではないんです。  例えば、その前の項目につきましても、大臣の定数につきましても十七にする。では、これも二人が合意したから十七にしたか、しなければ合意にならないと言われますと、その後にそうした基本的方針について方向を定めながら後々直ちに自由民主党と自由党で協議をするということを約束したのでありまして、全部自由党の党首の言われたとおりこれは実行してほしい政策として預かりましたけれども、そのままということでは、例えば大臣の定数につきましてもその後の協議においてやったんですから、基本的な方向として合意をし、その後についてのことにつきましては両党間で御議論をしていこうということですから、私は何ら問題はない、このように考えております。
  124. 角田義一

    角田義一君 だめ、だめ、それはだめです。それはだめだ。私は何も閣僚の定数のことを言っているんじゃないんですよ。参議院の五十人の定数の問題に絞って聞いているんですよ。しかも、私は丁寧に総理に聞いている。この問題については五十人とはっきり書いてあるんですよ、あなた。衆議院、参議院とも当面議員定数を五十人ずつ削減することを目標とし、自由民主党、自由党、両党間の協議を行い、次の通常国会において公職選挙法の改正を行う、これが基本方向だという判こを押しているんですよ。  だから、もう五十名という、それは四十五人になるかどうかわかりませんよ、それが三人になるかわからぬけれども、私が言いたいのは、参議院で既に議長から言われておるんですよ、各党で、諮問があってそして出してくださいよと。だから、こんなことをやられては困るということを参議院の幹部から言われておりながら、なおかつ強引にこの判こを押したということについては、これは参議院としてはたまらないということを言っているんですよ。そうでしょう。議長の権威のもとに各党が一生懸命やっているということをわかっていながら、あえてこの判こをついたということになるんだから、これは間違いだと、それは陳謝してもらって、ここの部分については少なくともこれは死文である、そのことをはっきり認めてもらわなかったらいけない。  小渕総理が閣僚の問題についていろいろやっているということについて何にも私は言わない、そんなことは言わないんです。事は参議院にかかっているんですよ。しかも、議長がそのことをちゃんと諮問してやっておるということをあなたも自民党の参議院の幹部から聞いておられたんなら、さっきも言ったように、これはやめておこうや、これは小沢さんやめておこうやと言うのが常識です。それを踏みにじってあえてやったから、私は、それは総理行き過ぎだと。だから、申しわけないけれども自分の不明を恥じてもらって、これは死文であるということを言ってください。そうでなかったら参議院はもちません。審議できません。
  125. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 一般の公務員につきましても大変厳しい定削を考えておる。こういう状況について、国民各界各層もその前提として国民を代表する国会議員の議席の数につきましてもいろいろ御議論がある。そういう意味で、衆議院、参議院、すなわち国会そのものの議員の数につきましてもこれは削減する方向でいくべきだということで基本的に一致したことは事実であります。  ただ、この文書は、自由党から、そうしたことを目標として今後協議を行い、そして通常国会において云々ということが書かれておるわけでありまして、したがって、その協議をした結果は先ほど申し上げたとおりでございます。  私は、参議院におかれましても、事細かい経緯について、何月何日に議長から御諮問があり、それに対してどういう協議が十分されたかということを承知はしておりません、細かい日にちとか内容について。ただ、そういう問題について参議院自体も定数の問題も含めましていろいろと院のあり方について御議論されておるということは、国民のサイドから見たらこれは当然評価されておられると考えておりまして、そういった意味で、私は、国会議員の定数の問題として、両党間において、党首間において考え方が一致をした、これは基本的な合意と、こういうことでございますので、五十人について二人ともこれが決まりであるということで両人が署名して決定したということであれば、自由党の持ってこられた案をすべて実行しなければこれは違反になる、こういうことになるんだろうと思います。
  126. 角田義一

    角田義一君 全くこれは御無礼な話だと思いますけれども、私が言っている質問の内容を御理解いただいていないんじゃないの。  私は、あなたが今言ったようなことを聞いているんじゃないんですよ。もっと参議院の立場に立って、これは許せないでしょう、知っていてやったことならなおさら悪いでしょう。だったら不明を恥じて、この文については死文だということを言った方がよろしい、言うべきだということを言っているんですよ。それを全然お答えにならないで、今のようなことやってたってだめだ、これは。だめだ、私は質問に立てない。立てないよ、これは。こんなことやっていられないよ。
  127. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  128. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。  角田義一君の質疑の途中でありますが、このままで五分間だけ休憩をさせていただきます。  その間、理事間で協議をいたしますので、このままでひとつ休憩をしていただきたいと存じます。    午前十一時十七分休憩      ─────・─────    午前十一時二十五分開会
  129. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度総予算三案を一括して議題として質疑を行います。  先刻の角田義一君の質問を留保し、質問を先にお進め願いたいと存じます。角田義一君。
  130. 角田義一

    角田義一君 大変重大な問題ですから、理事会でどういうふうにこのけじめをつけていくかということについては深刻に協議していただきたいと思います。  定数問題については、私どもは議長の諮問を受けていますので、真剣に各党とも考えているわけですね。そういうことをよく理解した上で、我々もそれは場合によったら身を削らにゃならぬだろうということもちゃんと考えながらやっておるのですから、後で昼休みにこの問題についてどういうふうにけじめをつけるかということを御議論されるようですから、それを待ってまた午後この問題については質問させてもらって、次の問題に移りたいと思っております。  法務大臣おられますか。法務大臣大臣に御就任早々検事総長をお呼びになって検察庁と法務大臣との関係について御見識を述べたというふうに聞いておりますが、どのようなことを発言され、どのようなことを検事総長に言われたのでしょうか。
  131. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 検察庁は法務省の一つの機関であり行政の一機関であるから国会に連帯して責任を持つ一つの行政機関である。そういう意味で国会にはアカウンタビリティーがあるものだと。そして、国会から選ばれた小渕総理が指名した私が法務省の長であり、私の指揮のもとにある機関であるということを認識して仕事にかかってもらいたい、そういうふうに申し上げました。
  132. 角田義一

    角田義一君 指揮はいろいろあるんですけれども、あなたは、私は国会で選ばれた小渕総理が指名された大臣である、その指揮下にあって厳密に自分の心を体して君らは仕事をしろ、こういうふうに議事録には載っていますね、あなたの発言が。これは検察官の独立とどういう関係になりましょうかな。えらいことを言った法務大臣だと私は思うんですよ。
  133. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) これは検察庁法の制定のときの木村篤太郎大臣の提案理由説明にもございますけれども、従来どおり検察は司法大臣の指揮下にあるということを明確に述べておりまして、法務省の一機関でありますから、それは法務大臣の指揮下にあるものだと思います。
  134. 角田義一

    角田義一君 木村さんの提案理由説明を私も読みましたけれども、その後がちゃんと大事なんです。要するに、検察官の独立、政治からの独立、指揮権なんというものは簡単に行使してはならない、こういうふうに書いてあるんですよ。それはどうなんですか。そこのところを言わなきゃだめですよ。
  135. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 検察庁法十四条の説明のところで、個々の捜査の独立性を維持するために大臣は個々の捜査の仕方については検事総長を通じて指揮をするということが書いてございます。
  136. 角田義一

    角田義一君 私はそんなことを聞いているんじゃないんです。検察官独立の原則あるいは政治的な干渉を受けない、こういう保障は、ちゃんと検察庁法の十四条のただし書きはそういう微妙なことを規定しているわけなんですね。そのことをあなたは理解をされないで、ただ検事総長を呼んで、自分の心を体してやれと言ったんでは、これはあなた、全然検察官の独立なんというものを認めない、そういう恐るべき法務大臣のお立場じゃないんですか。
  137. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 検察の幹部にも話しましたときに、検察官は捜査において独立性を持たなければいけない、だからそんないろいろなことで私は指揮をするつもりはない、指揮するつもりはないけれども、この民主主義のルールの中において国会に対してアカウンタビリティーを持つ行政の一環であるということを意識してくれということを申し上げたのであって、一つ一つの捜査に要らない干渉をするというようなことは一つも申しておりません。
  138. 角田義一

    角田義一君 法務大臣、要するに指揮権という問題は、当然のことながら大臣が個々の事件については検事総長のみを通して指揮することができるというふうに書いてある。要するに政治と検察のあり方、これは非常に微妙なバランスの上に立っているんですよ。それを無視されて、検事総長を呼んで、おまえはおれの心を意に体して一生懸命やれというようなことを言われるのは、これは昔の殿様と家来のような関係ですよ。そういう感覚で検察行政をおやりになるというのは、私は恐ろしいことだと思っているんですけれども、どうなんでしょうか。
  139. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) おっしゃるような趣旨で私は申したのではございません。行政機関でありますから、それは国会に対して連帯して責任を持つというのは憲法の規定でございます。そして、そういうことを常に意識して仕事をやってくれと。その上に申しましたことは、やはり公平公正、そしてどこに犯罪があるかということを的確に裁いていくということが必要であろう、そういった仕事をやる場合に、常に検察が人を捜査したり起訴するのも国民生活のためにあるんだということを意識してくれという意味で申し上げました。
  140. 角田義一

    角田義一君 私が聞きたいのは、あなたの検察官の独立ということですね、準司法的な作用としての独立、このことについてどういう基本的な認識を持っておられるのか。これが一番肝心なところですよ。それを聞きたいですね。
  141. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 個々の捜査において検察官は独立して捜査を行います。それは厳然たる事実であり、それは守られなければいけないと思っております。
  142. 角田義一

    角田義一君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。私が言いたいのは、検察官の要するに独立性、検察の独立性、政治からの干渉を排する、そのことはどういうふうに理解をしておられるのか、そういうことをどこら辺まで理解していわば検事総長と対しているのかと。少なくとも検察官独立の原則あるいは政治的な干渉から守らなきゃならぬ、そういう観点に立つならば、おまえはおれの心を体してやれなんということになれば、部下である検事は皆、一々中村法務大臣の顔を思い浮かべて、大臣はどういうお気持ちでやるんだと、こうなっちゃうんですよ、これは。そこが普通の行政機関と違うんです、検察行政は。その本質をあなたは理解していないんじゃないですか。
  143. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私の心を見てとか、私の方を見てとかいうことは申しておらないわけでありまして、組織としてそういう地位にあるものだと。ですから、国民のために公平公正に働いてくれという意味で申し上げました。
  144. 角田義一

    角田義一君 あなた、それはだめですよ。私は全部調べた。ちゃんと衆議院予算委員会の中で、私の心を体してやれとはっきり言っているんだから。国会で、予算委員会等で一遍言ったことを軽々にひっくり返す、そういうことをやっちゃいけないです。それはだめだ。それではだめです。どうですか。
  145. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 心を体してともし私が申しておりましたら、それは議事録に書いてあることは正しいと思いますが、その意味は、国民のためにやっているということを意識して、そしていろいろ検察の方とも話したんですが、昭和三十年ごろまでは検事が国会に出てきていろんなことを答弁していたそうであります。その後いろいろなことがあって、検事を直接呼ぶのはやめようということで、今は刑事局長が来て御答弁をするということになっております。  しかしながら、私も国対でいろいろな仕事をしてまいります中で、いわゆる国会法の百四条の国政調査権と刑事訴訟法四十七条のことでいつもぶつかりまして、検察は何もしゃべってくれないじゃないかとか、それでいいのかというような話もよく野党の方から出た話であります。  ですから、私は、そういうことをもって、やはり政治に限らずいろいろな必要のない圧力がかかってはいけないということは委員のお考えと一緒でありますけれども、であるからこそ、検察全体というのは国民のためにあるものだ、そういうことを意識して働いてくれという意味で申し上げたわけでございます。
  146. 角田義一

    角田義一君 私がこだわっているのは今のせりふじゃないんです。  要するに、法務大臣の、我が心を体して君らはやれと。それははっきりと予算委員会の議事録に載っているんです。そんなことを言った法務大臣は歴代だれもいないんです、これは。そんなことを言うべきでないんですよ。そこのところをあなたがわかっていないんじゃないか、こういう質問なんです。
  147. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私は、個々の問題について政治が干渉するべきでないということはよくわかっておりますし、検察の方々にも、こういうことを一々いろいろな捜査について私は指揮するつもりがあって言っているのではない。そうでなくて、民主的なルールのもとに置かれた行政機関の一員として国民のために働いているんだということをわかってもらいたいために申し上げたことでございます。
  148. 角田義一

    角田義一君 それは、国会で今こういうチャンスがあってからあなたがそこで弁明しているだけの話で、受けた検事総長はこれはびっくり仰天したと思いますよ、こんなことを言われたことは恐らく歴代の検事総長でもないと私は思いますから。  この問題は非常に大事なことなので、時間の関係もありますから、また私どもの同僚議員が質問をいたしますが、これは私がはっきり申し上げたのは、中村法務大臣は検察官の独立性、そういう問題についての理解が全くないというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。  そこで、それとの関連で聞きますけれども、石垣島のいわば日本生命が開発許可をとらないで建築をやったという問題について、大臣が記者会見でいろいろと御説明をされたようでありますが、どんなことを説明されたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  149. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) このことがあったのはもう一昨年のことではございますが、私が就任しましたのが七月末ですが、十月ごろになってある新聞に私が故意にいろいろなことをやったというような報道がございましたので、その間の経緯を説明いたしました。それは相手の会社のこともあることでありますし、私の個人のことですから内容は余り細かく御説明するべきではないかと思ったんですが、私のことが事細かく新聞に報道されましたので経緯を説明しました。  すなわち、あの日本生命が開発行為の申請をしないで大規模な開発を始めたということと、それからもう一つ、地域で農業をやるために県が払い下げた土地が、そこに予算がいろいろ入ってダムをつくったりなんかしたところがまた売られて、そこに開発行為がなされようとしていると。その二つの件について、地元の農業委員の方から、こういうことはどういうことなのか調べてほしいということがありまして、それを役所に聞いた、こういうことでございます。
  150. 角田義一

    角田義一君 あなた、刑事局長に一件書類をお渡しして、日本生命は法律違反をやっているんだ、これを早くちゃんと処分しろというようなことをおっしゃっておるんじゃないですか。
  151. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 法務省の内部においてそうした事件の捜査の内容でどういう会話がなされているということは外部に申し上げるべきことではないと私は思いますが、あえて私のことだから申し上げますが、そういう事実は全くございません。
  152. 角田義一

    角田義一君 あなた、失礼だけれども、いろいろ新聞等の記事を拝見して私なりにどうしても聞いておかにゃならぬなと思いますのは、あなたはこの関係する写真を刑事局長にお見せになったことあるでしょう。
  153. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) そういった事件がありまして私が新聞報道をされましたので、記者会見と、それから私の机の上にいっぱい写真はございますから、それは見たかもしれません。
  154. 角田義一

    角田義一君 いや、見たかもしれませんじゃなくて、私がずばりお聞きするのは、その現場の写真を刑事局長にお見せになっていますね。
  155. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 何らかの意識を持って見せたことはございません。
  156. 角田義一

    角田義一君 意識の問題──いや、じゃいいですよ。刑事局長に写真を見せたという事実だけははっきりしているんですな。
  157. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私の問題が新聞にあたかも私が悪いように出ましたものですから、こういう事実があるということで幹部の方にお見せしましたので、そのとき見たかもしれません。
  158. 角田義一

    角田義一君 端的に答えてください。これは非常に大きな問題なので、正直に私は法務大臣に答えてもらいたい。要するに、その写真を刑事局長に見せたということははっきりしているんでしょう。はっきり答えてもらいたいんですよ。
  159. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) この事件は、私が就任いたしまして間もなく送検された事件であります。それから、送検から数カ月たってそういう報道がありまして、私が書類を見せたとか分厚い書類を渡したというようなことがありますけれども、そういう事実はございません。
  160. 角田義一

    角田義一君 いいですか。私の質問に的確に答えてください。写真を刑事局長にお見せになったんでしょうと、こう言うんです。
  161. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) これは送検された事件であり、刑事局長に書類を見せるとかそういう必要がございませんので、私が報道されたときに幹部の方にお見せしたときに、ここに刑事局長がいたかもしれません。ただ、意識を持ってそれを見せる必要もないし、そういう見せ方はしておりません。
  162. 角田義一

    角田義一君 だんだんはっきりしました。幹部の方に必要な書類と写真をお見せになった、こういうふうにここで聞いている人は全部理解しますよ、今の答弁について。そういうふうに理解してよろしいですな。
  163. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) そもそもこの事件は、送検された事件でありますから、私が書類を見せる必要もないし、書類などお見せしておりません。しかも、開発行為の申請をしなかったということですから、私は内容はよく知りませんけれども、恐らくちゃんと送検するときに調べたものがもう刑事局には行っているのが、それは常識的に考えればでありますけれども、私は送検した事実も検察から聞きませんし、刑事局長からも聞きませんし、送検の内容についても確かめておりませんし、わかりません、そこらは。
  164. 角田義一

    角田義一君 私の質問に答えておられませんな。今の経過からいうと、あなたは、これは自分の関係する、経営するホテルと非常に関係がある問題で、非常に関心を持っているんです、持っていたんです。そのことははっきりしている。  したがって、今ずっと質問で聞いていますと、やはり書類をお見せになったんだなという感じはしますが、強いですけれども、もう一遍聞きます。  大事な写真を刑事局長にお見せになっているでしょう。どうですか。
  165. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 新聞報道があったとき、私を批判した新聞報道でありましたから、こういうことですというので幹部の方にはお見せしましたし、記者会見でもお見せしました。それから、私が大蔵政務次官をやっておりましたときに、いろいろな新聞社の方が写真を発表したりなんかしておりましたから、皆さん写真は知っていると思いますが、私が何らかの意識を持って刑事局長に写真をこれがこうでこうであってこうだというようなことでやったことはございません。
  166. 角田義一

    角田義一君 もう一遍繰り返して聞きます。  意識は関係ないんです、意識は関係ない。いいですか、これは指揮権と関係する大事な問題で、事実関係をはっきりさせているんですよ。  写真を見せたか見せないかということは猛烈に大事なことなんで、そこのところだけはっきりしてくださいよ。
  167. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) これは八月に送検されてしまっていることですから、私が見せる必要も感じておりませんし、何らかの意識を持っていたならよく覚えておりますが、私は幹部に、こういうような批判をされているけれども、記者会見でこういう写真を記者にもお見せして、それで、記者の方も前に大蔵省の時代から来ておられた方もいらっしゃいますから御存じの方も多いわけでありまして、記者の方もいっぱい写真を持っておられましたし、そういったものを刑事局長に見せる、これはこうでこうだからこういうことをというようなことで見せるということはないわけで、幹部が集まったときに、こういう問題があってこんなだよというところで写真は見せたかもしれません。そのときに刑事局長が見たかもしれません。
  168. 角田義一

    角田義一君 見たかもしれないということですから、ちょっと聞きにくいけれども、刑事局長に聞きます。  法務大臣から写真は見せられましたか。
  169. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) お尋ねは、法務省内部の法務大臣と刑事局長の間のことでございますので、答弁は差し控えたいと思います。
  170. 角田義一

    角田義一君 法務省の内部のことではあっても、これだけ大問題になって、しかも今、大臣が写真は結果的には見せたかもしれない、こう言っているんですからね。(「見せたんじゃない、見たんだ」と呼ぶ者あり)見たかもしれないと言っていない。だから、失礼だけれども、これはきっちりと刑事局長も答えなきゃならぬと思う。刑事局長として答えなきゃいけません。私は捜査の秘密を聞いているんじゃないんだから、事実関係を聞いているんだから、これは答えてもらわなきゃいかぬ。
  171. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 再度のお尋ねでございますが、申しわけありませんが、前回の答弁のとおりでございます。
  172. 角田義一

    角田義一君 これはちょっと協議してもらいましょうか。
  173. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  174. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  175. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 先ほど法務大臣も御答弁になりましたが、記者会見で石垣島の問題について大臣がお話をした機会だったと思いますが、その直後だったと思いますが、法務省の幹部がおります席で、私も同席しておりましたが、法務大臣が石垣島の件につきまして、経過の説明と写真をそのとき見せていただきました。  以上でございます。
  176. 角田義一

    角田義一君 写真を見せていただいたと。これは大変なことですね。  要するに、私が言いたいのは、法務大臣が個々の事件について幹部に資料を見せたということです。そこでどういうせりふがやりとりされたか、それはわからぬ。また、しゃべらないでしょう、口が裂けても。  しかし、個々の事件についてそういうことをやった法務大臣は今までおりません。なぜやらないか。それは指揮権と結びつくから、そういうことは全部かつての法務大臣は慎んできたんです。その慎みがあって法務大臣としての任務が全うできる、検察の権威も確保できる。それにもかかわらず、今はっきり出たのは、そういう捜査の関係の資料を幹部に見せて、そこの会話は私はあえて問わないけれども、これは非常に大事なことだと思うんです。  大臣、何か弁明ありますか。
  177. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 捜査の関係の資料を見せたとか捜査の写真を見せたんじゃございません。記者会見で私が言ったことを説明しただけです。
  178. 角田義一

    角田義一君 それが大変なことなんですよ。それが大変なことだという認識がないんだ、あなた。ここが問題なんだ。ここが大事なんです。そういうことをやっちゃならないんだよ、法務大臣は。  それをやったということ、そんなことをやった法務大臣はいまだかつていないということ。これどうします、あなた、法務大臣
  179. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 法務大臣が会見した内容は、これは幹部は知っております。すべて通知されますし、知っております。  そして、私が悪いことをしたというような報道でありましたので、私も政治家であります、やはり悪いことをしたということになれば票が減る問題でありますし、弁解をさせていただいたわけであります。  そのときは、既にこの事件は八月に送検になっておりますから、事件との関係性においてでなくて、私がやったことは、やったというか、いろんなこと書いてあるけれども、これは誤った報道もあるよということを説明したということであります。
  180. 角田義一

    角田義一君 午後にやりましょう。休憩してください。時間です、休憩しましょう。午後にしましょう。
  181. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  182. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。角田義一君。
  183. 角田義一

    角田義一君 法務大臣に引き続いて若干お尋ねいたしますけれども、先ほど写真のことを尋ねたんですが、結局、大臣は石垣島に自分がオーナーでありますホテルを所有しておられまして、その近辺にいわば日生というものが開発をした。その開発にまつわって、大臣の紹介した弁護士が警察に告発をした。そして大臣が就任されておるときにはもう既に送検されておる。こういう事実関係があるということは否定されませんね。どうですか。
  184. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私が所有しているホテルを随分前につくったのは事実であります。  そして、日生のことが私の所有しているホテルと競合するから何か口を出したのではないかという趣旨でお尋ねとすれば、それはそうではありません。日生のホテルはフランスの地中海クラブが運営をするということで地元へ御説明があり、新聞でも随分報道されましたので、極めて高級なリゾートクラブであります。一般のホテルと競合するようなものではないと同時に、随分前からあそこはホテルが開発される、ゴルフ場もつくられるということで計画のあった地でありまして、そういう関係ではありません。  それから今、弁護士がとおっしゃいましたけれども、一年以上前の話になると思いますけれども、地元の農業委員会の方が、私がたまたま行ったときに、先ほど申し上げました二つの件について関心を持っているということで、その方は十年ぐらい前にお会いしてからずっと会っていなかったんですが、来られまして、極めてオピニオンリーダーであり、何と申しますか、法律違反を随分指摘してこられた方でありまして、その方が、石垣市には弁護士がいない、那覇からもなかなか来てくれない、この二つの件について相談をしたいので弁護士を紹介してくれないかと言われたのは事実であり、御紹介したのも事実であります。
  185. 角田義一

    角田義一君 告発をした人は大臣がやっておられますホテルのもとは従業員であったということは間違いないんですね。
  186. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 随分前のことでありますけれども、警備員として警備に当たっていたことがあるというふうに聞いております。
  187. 角田義一

    角田義一君 まことに失礼な質問をいたしますけれども、その告発の費用等は大臣が経営しております会社が御負担になったんでしょうか。
  188. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 弁護士を御紹介して以来お会いもしておりませんし、連絡もとったことはございません。これは弁護士と依頼人の間の話だと思います。
  189. 角田義一

    角田義一君 いずれにしましても、日本生命の石垣島の問題について大臣が、個別事件でございますけれども、大変御熱心だというか、私に言わせれば、大臣としてなぜこれほどの関心をお持ちになるのか。私は大臣の個別的な利害が絡んでおられるんじゃないかというふうな気がしてしようがないんですけれども、どうですか。
  190. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 大臣とおっしゃられますけれども、このことが起こったのは一昨年のことでありまして、私が大臣に就任したのは七月の三十日であります。それで、八月にはこの事件は送検しておりました。だから、送検されたということを私も当局には聞きませんし、内容も聞いておりませんが、新聞発表で知りました。熱心だということはありません。
  191. 角田義一

    角田義一君 私はあなたと議論するつもりはないんだけれども、この事件についてわざわざ記者会見までして、法務大臣がこういう一つの事件について記者会見でいろいろ説明するということ自体がもう普通じゃないんですよ。どう思いますか。こんなことをする法務大臣いませんよ。
  192. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) それは、実は新聞に、これ中央紙は取り上げなかったんですが地方紙が取り上げたので、地方の新聞をごらんになった方は御存じかもしれませんけれども、突然私が検察長官会議日本生命を捜査しろということを発言したと、こんなことは起こるわけないし、あり得ない発言であります、そういう発言をしたという報道がありました。そして、私が分厚い資料を渡して捜査を指揮したというような報道でありました。  そういう報道がなされましたので、私は自分を弁護する必要もあるだろう、それは許されたことだろうと思いまして、記者会見で、そういう事実はない、事実あったのはこういうことだという説明をして、そのときにうちの幹部にも、私の記者会見は皆さん聞いておられますから、それを言わないのもおかしな話でありますから、幹部の方には事実はこういうことであったんだということをお話ししたわけです。
  193. 角田義一

    角田義一君 それで、写真を見せたりいろいろ資料を見せたりして、そして日生が悪いんだというようなことを言われるということ自体がこれはもう法務大臣としてやるべきことじゃない、こういうふうに私は思うんですよ。これはやっちゃならぬことですよ。答えは要りません。  次に聞きますが、東京の新宿に中村企業という会社がございますが、これと法務大臣との御関係を説明してください。
  194. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私が今から三、四十年前に設立した会社でございます。
  195. 角田義一

    角田義一君 長い経過は私は言いません。この中村企業が税務署とのトラブルがありまして、課税について不服であると国税審判所に問題を出しましたけれども、これが却下されたということで、この中村企業が平成十年九月二十五日に国を相手にして民事裁判を起こしておりますね。これは間違いないでしょうか。
  196. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 起こそうとしてやめたという話は聞いております。
  197. 角田義一

    角田義一君 起こそうとしてやめたのではなくて、十年九月二十五日に提起をして、十一月に訴えを取り下げておるんです。このことについて大臣は全部事実をわかっておるでしょう、経過について。
  198. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 社長がおることで、私も大臣になってしまっておるものですから、経過の細かいことは知りません。しかし、事件の内容は存じておりますので申し上げますと、それは、中小企業の資本金を一千万に上げるということが国会で決まりました。一千万に上げなきゃいけないんだけれども、中小企業はお金がないので、積立金を資本に繰り入れて株式配当でやっていいということが税務署から各企業に通知があったわけでありますけれども、普通の中小企業はそういうことになれておりませんので、そこに、先生もう御専門家で私よりよく御存じだと思いますけれども、宥恕規定という規定がありまして、法人税法で、株式配当をやったということを申告書に明記しないとその減税の恩典が得られないということがあるんだそうです。  そして、忘れておってその減税が得られない、すなわち法律によって、一千万に株式を上げるためにやったんだけれども、そのために株式配当したものが両方に課税になってしまうということがあって、その宥恕規定にやむを得ない場合はいいと書いてあるので、そのやむを得ない事由に当たるんじゃないかということで、後で聞きましたんですが、この中村企業のことをやっております経理事務所が、公認会計士事務所ですが、そこが忘れたわけでありまして、そこで、済まないということで国税不服審判を起こして裁断を仰ごうということでやったということでございます。そういうふうに伺っています。
  199. 角田義一

    角田義一君 要するに、大臣が事実上株を一〇〇%持っておられますオーナー会社のその課税のトラブルをめぐりまして、国を相手にして裁判を起こしたという、これは前代未聞のことですよ。裁判を起こされた国は、国の代表をするのは法務大臣です。そして訟務局があります、法務省には。その訟務局があなたのこれは直接の部下です。当然の話ですが部下です。訴えを起こさせておいて、自分がそれを受けて、そして訟務局長に命ずることができるわけですね。そんなでたらめなことがこの世の中にまかり通るはずないんですよ。これはえらいことですよ。どうですか。
  200. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) これは正確に御意見をいただかなきゃいけないと思うんですが、法人格のある法人でありまして、そこの私は取締役でもないし、代表取締役でも従業員でもございません。私が株を持っているというだけの話でありまして、その法人格において動くということはその法人の自由だと思いますし、そういった手続が法律的に定められている。国税不服審判というのはだれしもが出せることであり、そこの上で法できちっと裁くということは、例えば私のところに来て大蔵省に圧力をかけてくれとか言うよりか、こういったシステムに乗ってきちっと、だれしも国民、裁判を受け、法の裁きを受ける権利があるわけですから、私は、やったことは悪いことじゃないと思っておりますが。
  201. 角田義一

    角田義一君 これは恐るべき法務大臣だよ。もう私はあきれて物が言えない。自分が一〇〇%持っている会社で、これだけの経過を全部わかっておって、そして国を相手にして裁判をする。みずからが国の代表で出ていく。これは別に間違ったことではない。これを言い切るということは恐るべき法務大臣です。これはやめてもらわなきゃならない。とんでもない話だ。これはだめだ、通らぬ。通らぬ、これは。
  202. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私は、そのことが雑誌か何かに書かれたので聞いたのでありまして、それまでの手続をどうやるというのは、それは法人格のある法人の代表取締役がやったことでありますから、代表取締役は私ではございません。今、資本と経営の分離ということがあるわけでありまして、私は経営には口を出しておりません。
  203. 角田義一

    角田義一君 政治家、しかも法務大臣、これは政治的、道義的責任というのは一番問われるべき大臣なんですよ。国家の中枢なんです。その国家の中枢に座っている法務大臣が、しかも自分がオーナーをしておって全部経過をわかっておって、それで国税審判で却下されたから今度は国に裁判を起こす、どこが悪いかと開き直る、そんなことを言っているからわかるものもわからない。そんなことが世の中に通るはずないですよ。これはやめてもらう以外にないな。あなた、おやめになった方がいい。どうですか。
  204. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) それは、法律で定められた一千万円の資本金を上げるために減税措置が受けられるということを国税並びにいろいろなところで説明しておったことだそうであります。そういった恩典が受けられなかった、それは確かに会計事務所のミスであったかもしれない。しかし、それを、法律に定めのあるやむを得ない場合はいいんだということを頼りに、国に対して、これはやむを得ない事由に当たるんじゃないかということで国税不服審判を仰ぐということは、私は普通の企業はやることだと思っております。
  205. 角田義一

    角田義一君 いろいろ時間がありますから、あなたの年頭のごあいさつについてはまた別の同僚議員に質問してもらいますが、私ははっきり現時点で申し上げる、あなたはやめるべきであると。そして自分の進退について今晩一晩考えてもらいたい。それでもなおかつやめないとおっしゃるのであれば、我々は重大な決意をしなきゃならぬことも来るなということぐらいに深刻に考えていますよ、こっちは。そのことだけきちっと最後に申し上げておきます。  次の質問に移ります。(図表掲示)  日債銀のことについてちょっとお尋ねいたします。  日債銀のことについていろいろ御議論があるんですが、一つ聞いておきますが、大蔵省が俗に言う奉加帳を回しまして、そして関係機関から二千九百億円の金を集めた。しかし、それが結局日債銀がつぶれたことによって全部むだ金になった、こういうことでございますね。そのときに、問題になっておりますのは、大蔵省がお金を集めるときに、最近の報道ですと確認書というものがある。要するに、日債銀は間違いないんだよと、そして一つの行でも賛成してくれなかったら日債銀は再建ならない、だからぜひ皆さん協力してくれと言って確認書なる文書を持って当時の山口銀行局長、中井審議官はいわば根回しに回った、こういうことでしょう。  その確認書というような文書はあるんですか。私の知っている範囲では大蔵省の銀行局の相当の幹部の判こが押してある。その物はあるというふうに聞いておりますが、物はありますか。
  206. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  その表題の文書が確認書というふうに題するものかどうか、その点はよくわかりませんが、少なくとも大蔵省銀行局において行っておりました業務につきましては、御案内のとおり個別金融機関の検査・監督に関しましては金融監督庁に引き継がれておりますので、その当時の文書類、それは確認書と題するかどうかはちょっと定かではございませんけれども、新聞で報道されておりますところは確認書というふうになっておりますが、およそその大蔵省銀行局において執務上用いておりました各種の文書類は金融監督庁において引き継いでおります。
  207. 角田義一

    角田義一君 引き継いでおるということは、その文書が今日あなたのところにあるというふうに理解してよろしいですか。
  208. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 今お答え申し上げましたように……
  209. 角田義一

    角田義一君 表題はいいです。
  210. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 表題は確認書かどうかはともかくといたしまして、当時、大蔵省といたしましては、個別の出資・融資先との間のやりとりがございまして、大蔵省がその当時認識していたことを個別の金融機関との間で文書において確認されたということは承知しております。
  211. 角田義一

    角田義一君 表題はともかく、今も私が指摘した文書を委員会に出してください。あれだけ新聞報道で騒がれているんですから、きょう私がこの問題について質問するということは当然予想されているし、当然金融監督庁はその文書を見つけ出す責任がある。当たり前の話ですよ。誠意を持って出してください。
  212. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) この確認書等でございますが、幾つかの出資要請先と取り交わした、すべての出資要請先と取り交わされたものではございませんで、個々の出資要請先との間で個別に取り交わされたバイラテラルなものでございまして、当局の方から一方的にそれを公表するということにつきましては控えさせていただきたいというふうに存じております。
  213. 角田義一

    角田義一君 これはだめです。とんでもない話だ。ちょっとパネル出して。(図表掲示)  ここに書いてあるとおり、二千億という金をかき集めたわけです。かき集めたときに、確認書であれ何であれ大蔵省が判を押して、相手の銀行と、再建間違いないよ、だから金出してくれと、こういう文書があるんでしょう。あるんなら出しなさいよ、ここに。出してくださいよ。
  214. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 同じ御答弁で大変恐縮でございますが、その確認書などと題する、さまざまな恐らくタイトルがあると思いますが、その文書はその当時の大蔵省銀行局とそれから個別の出資・融資先との間に交わされた文書でございますので、当局の方から一方的にそれを御提出申し上げたり、あるいは公表するということは、個別先に対する関係の点からいっても、私どもの方から一方的にそれを公表したり御提出申し上げたりするということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  215. 角田義一

    角田義一君 いいですか。この二千億円、奉加帳を回された銀行の方は今日何と言っていますか。大蔵省にだまされたと。ちょっと言葉はきついですよ、言葉はきついけれども、国家的詐欺ではないかということまで言う人だっているんだよ。それだったら相手が困るはずないですよ、そうでしょうが。取れなくなっちゃったんだ、パアになっちゃったんだから。  なぜ大蔵省と判こを押したものが出せないんですか。相手は全然迷惑していませんよ、今金が取れなくてみんなひいひいしているんだから。出してください。  委員長、諮ってください。協議してください。
  216. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  今大蔵省と判こが押してあるというふうに仰せでございましたが、私が承知している限りでは、確認書などと申しますものは、大蔵省側とそれから個別の融資先との間で取り交わされた文書でございますので、仮に大蔵省の判が押してあるものがあるとすれば、それは大蔵省銀行局やあるいは金融監督庁にはございませんで、それはその個別の融資先の方に行っているということで、御答弁にさせていただきたいと存じます。
  217. 角田義一

    角田義一君 そんなこと、子供だましのこと言っちゃだめ。確認書を持って回って、大蔵省に控えもない、現物もないなんというお役所はありませんよ、どこへ行ったって。そんなこと、あなた、通らないよ。だめだ、それは。出してくださいよ。  ちょっと協議してください、これ。資料要求です。出してください。だめだ、こんなこと言ってちゃ。
  218. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまの角田君の要求につきましては、その取り扱いを後刻理事会で協議することといたしたいと存じます。
  219. 角田義一

    角田義一君 これはどんなことがあっても出してもらいますからね。この二千何億というお金がどうなっちゃったかということについて、これははっきりさせなきゃいけませんから、どうしても出してもらいます。  それからもう一つ、日銀の総裁お見えでございますから、日銀もこのとき日債銀に対して八百億円というものを出してございますが、これは言うところの日銀特融として八百億円出しておるのですか。
  220. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  私どもが八百億円を出しましたのは、払い込んだのは一昨年の七月でございますが、決定はその前に、新金融安定化基金という、当時何も金融システムの不安が起こったときに対応し得る財政的な準備も金融面での整備もできていなかった時点において、起こりそうだということで新金融安定化基金というのができて、それに日本銀行から千億円入れることを政策委員会で決定いたしました。  その中から、四月の一日に日債銀が新しいこれからの改革案を発表いたしまして、それにはどうしても資金が要るということで、日本銀行から八百億出してほしいという政府からの強い要請もございまして、八百億円を安定化基金の中から出してもらうことにしたわけです。これは、今ありますいわゆる日銀特融というものではございません。
  221. 角田義一

    角田義一君 総裁、ちょっと。  そうすると、この八百億はどうなります。日銀としては回収できないでしょう。
  222. 速水優

    参考人速水優君) このままでまいりますれば、恐らく出資金は毀損されたものということになろうと思っております。
  223. 角田義一

    角田義一君 総裁、済みません。ちょっと申しわけありません。
  224. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 角田議員、一度席に戻らせますので。
  225. 角田義一

    角田義一君 そうですか、御年配だからちょっと。  八百億円、いとも簡単にこれはもう取れない。これどういうことになりましょうかな。最終的にはこれ国民の負担でしょうや。日銀はどういう責任をとりますか、その八百億円取れなくなっちゃっていると。だれかおやめになりますか、責任をとって。
  226. 速水優

    参考人速水優君) この資金は、先ほど申し上げましたように、何の金融システムに対応する準備のないときに、これがもし日債銀が破綻を起こすようなことになりますれば国じゅうの金融システムが不安定化していくといったような事態、国内のみならず海外にも非常に大きな迷惑がかかってくるであろうといったようなことを考えて、金融安定化基金というのに金を千億出すことを決めたわけでございます。その中から八百億円を政府の依頼に基づいて日債銀に出すことが、その後いろいろ調査もいたしましたし、現実に払いましたのは、政府の検査結果をある程度見当をつけた上で七月の末に払い込んだことになっております。
  227. 角田義一

    角田義一君 私は、その八百億円という金が結局損金のような形になっていく、欠損になるでしょう、こういうふうにいとも簡単に総裁おっしゃるんだけれども、そんなものなんですか、そんなことでだれが責任をとるんですかと。このことを私は聞いているんですな。お答えいただきたいと思います。
  228. 速水優

    参考人速水優君) 今回は、結果として当該出資が毀損することになったわけでございますけれども、その間の過程を考えてみますと、この八百億円のつなぎで日債銀の問題がここまで続いてきておる間に、御承知のように財政面でも特別の措置が講ぜられ、金融システムに関する法案が二つ成立し、我々、金融政策面でも十分それに対応する措置をとるだけのつなぎとなり得たという意味では、決してむだではなかったというふうに考えております。こういうものがなかったら、恐らくこれだけのことはできていなかったのではないかというふうに思っております。  私どもとしては極めて重く当出資金が毀損されたことを受けとめておりますけれども、昨年四月に新日銀法が施行されまして、今回の教訓をも踏まえながら我が国金融システムの健全化に役立つ政策を行っていくということが新しい日本銀行に課せられた責任であるというふうに考えております。
  229. 角田義一

    角田義一君 これはまた大事な問題ですから、引き続いて同僚議員から質問があると思いますけれども、とてもじゃないけれども納得できませんよ。  それからもう一つ、最後に松田さんにお尋ねしますが、佐々波委員会に保管されている資料というのは、佐々波委員会は解散されたんですね、その議事録というのはだれが保管しているんですか、今。
  230. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  金融再生法の附則で、議事録その他は預金保険機構に引き継ぐとなっておりますので、議事録その他は私が保管していることになっております。
  231. 角田義一

    角田義一君 あと一問だけ。  その法律の規定によりますと、相当の期間たったら公表するということになってございますが、あなた方が勝手に、佐々波委員会を解散するときに、ビッグバンであります平成十三年の三月まで出さないでおこうやというふうに勝手に決めたんですか。
  232. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生御案内のとおり、議事録公表の問題は、もともと旧安定化法に、審査委員会が相当と定める、そして委員長が公表する、こういうことになっておりました。前国会でもいろいろ御論議ございまして、中に、なぜ早く決めないかという議論もございました。  そこで、二回の審査委員会を開きまして、最終的に七名の審査委員全員そろいまして、公表することの重要さと、それからこの議事録をしばらく手元に置いておくということの兼ね合いで議論をした上で、二〇〇一年の三月末までは原則として公表しないことにしようというのが審査委員会結論でございました。  それを法律の規定に基づきまして私、引き継いでおりますので、その精神を尊重して現在に至っている、こういうことでございます。
  233. 角田義一

    角田義一君 最後。  その精神を尊重するということは納得できないから、原則としてという話ですから、これだけ大きな日債銀の問題になっていますから、この佐々波委員会の議事録はきちっと出してもらいたいということを要求し、理事会で協議してください。  今井議員に関連質問をお許しいただきたいと思います。
  234. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまの角田君の要求につきましては、後刻理事会で協議することといたします。  関連質疑を許します。今井澄君。
  235. 今井澄

    ○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  私は、大きな問題二つについて、時間が大分短くなりましたが、質問いたします。(図表掲示)  お配りしました資料の一枚目、今パネルで示しておりますが、これは政府の減税案、そして私ども民主党が提出しております減税案及び子育て支援手当案、そして現在の税制等であります。この緑色でかいたのが政府の減税案です。この政府の減税案は、最高税率を五〇%から三七%に減らすというものであります。お金持ちの人、所得の多い人の最高税率を減らすということ、結果的に八百万円以下が現在の特別減税の状態に比べると増税になるということがたびたび指摘されておりますが、このことについて、どういう目的で、なぜこのような年収八百万以下の標準世帯には増税になるような案を出したのか、御説明をいただきたいと思います。
  236. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま増税と言われましたが、委員の御指摘の増税という意味は、平成十年分所得に課せられた減税、これは一遍限りの減税でございますが、それに比べて政府の御提案しております平成十一年分以降の所得に係る税制はそれだけの差があると、こういうふうにおっしゃっておられます。  正確に申し上げさせていただきますれば、平成十年分所得に行われました減税は一遍限りの定額減税でございますので、平成十年が過ぎますと、この減税は当然のことながらなくなりまして、我が国の本来の所得税の規定であります課税最低限、標準世帯三百六十一万円というところに当然のことですが返るわけでございます。政府が御提案いたしましたのは、そのもとに戻りまして、今度は定額でなく定率の減税をさせていただきたいという御提案をいたしております。  したがいまして、平成十一年分所得からお願いをしております減税というのは、一遍限りの平成十年分所得、その課税最低限は換算いたしますと四百九十一万円でございますので、それと比べますならば、ある層につきましては当然平成十一年分に払われます所得税の方が平成十年分の一遍限りの減税によって免れました所得税、払わなければならない所得税よりは多いということになるのは事実でございます。  それはなぜかというお尋ねでございます。  私ども、今回できるだけ大きな減税をいたしたいと考えておりました。しかし、将来に向かっての我が国のことも考えなければなりません。ただいま、先ほど申しました従来の三百六十一万円という最低課税限は国際的に見てかなり高うございまして、英国で申しますと百十万円ぐらいでございます。アメリカは、州によって違いますが、ニューヨーク州で二百六十万円ぐらいでございますから、それよりはるかに高い三百六十一万円という課税最低限でも実は高過ぎる。それだけの納税者が納税をしておられないということは、やむを得ないことですが、高過ぎる。それを四百九十一万円にするという、一遍限りでしたからようございますが、それを将来に続けていきますことは、到底我が国の将来のことを考えますと、御承知のように、所得税はどんなに少しでもなるべく多くの人に負担をしていただきたいというのが累進というものの考え方でございます。四百九十一万円にすることによって八百万人近い納税者が実は一遍いなくなったわけでございます。その状況を二十一世紀まで続けていくわけにはいかないと私ども考えましたので、それで、もう一遍本則の三百六十一万円に戻りまして、その上で定率の減税をお願いした、そういういきさつでございます。  もう一遍申しますと、我が国の所得税は課税最低限が非常に高いということと、最初の税率が一〇%でございますが、これは大抵の国が一五%ぐらいになっておりますので、課税最低限が高いということと最低税率が低い、この二つによって非常にたくさんの納税者が納税者でなくなっているというのが我が国の現状でございますから、これをもとに戻すことはできないにしても、何とかこれ以上納税者の数が減ることはやはり社会正義からいっても避けるべきではないか、累進課税というのはそういうものではないか、そういう考えに基づくものでございます。
  237. 今井澄

    ○今井澄君 そういう御説明があったわけです。低所得者にも広げて税を払う人の数をふやしたい、これが本来の姿、未来の姿だと。  さて、そこで総理にお尋ねしたいわけですが、例えば総理は財政構造改革法を凍結されたわけですね。財政構造改革は日本の将来のためにやらなければならないけれども、今この景気を、不況を何とかするためにはやむを得ないんだ、そういうことだったと思います。  そうしますと、日本経済の六割を占める消費、一般の消費者、この消費者に消費意欲を持ってもらわなければ経済は回復しないわけです。経済再生を第一とする小渕内閣が、理屈はわかりますけれども、何で今この時期に八百万以下の人には実質今年度に比べて来年度は増税になる税制改正をされるんですか。お答えください。
  238. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 特別減税という制度を続けていくということになりますれば、今、大蔵大臣御答弁のような形になるわけでございます。  そういった意味で、所得課税あるいは法人課税というものを恒久的な減税として住宅その他の減税を含めますと九兆四千億という大きな減税をさせていただくということになりました。したがいまして、もとに戻りまして今申し上げたような税制改正を行う。しかし、この二つの法人あるいは所得課税につきましてもかなり思い切った減税でございまして、これを行うということ、やや従来長い間この問題については御議論されてきましたが、ある意味では決断をしてそのような税制改正に踏み込んだということでありまして、そうしたことによりましてやはり日本経済全体の活性化を図りたいという考え方をいたしたわけでございます。  御指摘は、特別減税によって恩恵を受けた今年度の税制改正をそのままに引き継いでいかない場合、消費の減退になるのではないかということを申されておるのだろうと思いますが、このことについて全くこのことを否定はいたしませんが、しかしこのままの税制を続けるということの問題を考えましたとき、そのことは、繰り返しますが、当然日本経済全体にも大きな影響を及ぼす。したがって、この際は定率減税を行うという一つの方向を打ち出すことによって、これからの将来にかけての税制の制度的な改正を行うことが今どきは必要ではないか、このように判断をしてそのような決定をさせていただいた次第でございます。
  239. 今井澄

    ○今井澄君 総理、それはおかしいんですよ、総理。だって、総理は何しろ今は景気回復をすることが大事なんだから、借金をして将来の子孫に借金のツケを回してでも景気対策を従来型でやっておられるわけでしょう。今の既得権を持った企業を守ってやる景気対策をやっているじゃないですか。(図表掲示)だったら、何でこの八百万以下、現実に増税になる人たちに何とか方法を講じないんですか。民主党案はこの赤ですよ。だから、あるべき税制に変えながら、民主党案は課税最低限は二百何万のところまでずっと下げようという案です。だけれども、同時に子育て支援策をやることによって少子化対策も景気対策もやろうとしているんです。  これは、政府案はおかしいじゃないですか。じゃ、景気対策として借金して公共事業を一方でやりながら、どうして税制だけは低所得者に対しては増税するんですか。おかしいじゃないですか。
  240. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、先ほども少し長く申し上げて悪うございましたけれども、増税ということではありませんので、平成十年分に対して行われた一遍限りの減税をもとへ戻して、その上で減税案をお願いしておるわけでございますから、問題は、ですから、これを拝見いたしますと、政府案はここでクロスをしておりますし、民主党案は少し上の方でクロスをする。その点では、これに関する限り、平成十年分に比べまして民主党案の方が平成十一年分に多くなるというところは確かに少のうございます。  ただ、これをそのまますぐ、何ともよくわかりませんのは、課税最低限とか税収とかがわかりませんので何とも申し上げられませんけれども、政府案といたしましては与えられました減収の幅で民主党案と比べまして、恐らく民主党案の方が最高税率を少し下げておられます。その分だけ政府より最高税率の引き下げに伴って失われる歳入のより少ない部分が民主党案ではそれより下の方の減税に向けられておる、そういうメリットだと思います。  そこはわかりますが、全体の減収がどのぐらいになりますかがわかりませんので、全体としては申し上げられませんが、そういう御工夫だということはわかります。
  241. 今井澄

    ○今井澄君 今、私は総理にお聞きしたので、今非常に苦しいんですよ、二者択一、どっちをとるべきか苦しい。だけれども、景気を回復させることが第一の目的だから、残念ながら大事な財政構造改革を凍結しても公共事業や何かをやっているわけでしょう、借金して。税制改革についてもわかりますよ、説明はそれなりに。  だけれども、それは景気が回復してからやればいいんじゃないですか。何で今、景気が悪いときにこうやって八百万以下の人は、去年というより、現在より来年の方が税金をたくさん払わなきゃならなくなって、一方お金持ちの人は楽になるわけですけれども、何でこういうことになるのか、それを説明してください。総理にお聞きしているんです。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それも先ほど申し上げましたが、四百九十一万という課税最低限をいたしました。もう一遍それをやれというお話なんですから、簡単に言えば。    〔今井澄君「民主党案は出しています、民主党案は」と述ぶ〕
  243. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 発言は挙手をして、今井君お願いします。
  244. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでも完全にいきませんから、本当に前の年よりだれも多く払うものがないようにしろとおっしゃれば、同じことをやればいい。それは四百九十一万円という、そういう課税最低限を恐らく二年続けてやればもとへ戻すことは不可能になる。それは将来に向かって必ずよくないことだ、こう申し上げておるわけです。
  245. 今井澄

    ○今井澄君 私がさっきからお尋ねしているのは、税の論理のことはわかりますよ、それはそれで。ちょっと議論したいけれども時間がない。だけれども、当面はこうあるべき税制という議論を離れてもやっぱり景気対策ということが大事なんじゃないかと総理にお尋ねしているんです。  だから、これをもうちょっと先延ばししたら、あるいは民主党案を取り入れられたらどうですか。
  246. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今の今井委員の御説は、所得の低い人に減税した方が必ず景気対策上効果があるという前提にお立ちのようでございますけれども、もしどこの部分を、同じだけの税収を上げるとして、減税した方がいいかということは、今、大変複雑でございまして、限界所得性向から見ますと、所得の低い人は若年層とかそういう人が多いので必ずしも消費性向は高くないということがございます。  だから、もし委員が景気対策、消費の額だけをお尋ねでございますれば、それは何とも言えない。したがって、本来の税制の形にするのがこの際大事ではないかという景気判断が出ると思います。
  247. 今井澄

    ○今井澄君 総理の景気判断、景気対策の判断はそれでよろしいんですか。これは難しいことを言えば、一体どの層を減税すれば消費に結びつくか、いろいろ議論があるでしょう。だけれども、少なくとも去年から今の税よりは来年の方が税がふえればその層の消費は冷え込むに決まっているじゃないですか。そんなのは当たり前ですよ。しかも、それが八百万以下の膨大な層なんです。数からいえば物すごく多いんですよ。  総理、本当に総理お答えください。景気対策が大事ならこんなことをやるべきじゃないですよ。
  248. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 税は安いにこしたことはないだろうと思いますし、やはり可処分所得がふえるという意味におきましても、税が低いことにおいて、このことは望ましいことだろうと思っております。  ただ、今年と同じような税制改正であれば消費がそのままに拡大するということにつきましての議論はいろいろとあろうかと思いますが、政府といたしましては、このような臨時的な減税の措置を引き続いて行うということにつきましては、これは日本経済の今後の活性化のためにも、この際税制改正の観点から考えまして、今年お出しをいたしましたような定率的な減税によりまして、しかもその額はかつてない大きな額をいたしておるわけでございますので、そうした効果によりまして日本経済が活性化するということによりまして、そして景気の回復ということに大きな意義があろうと、こう考えてそのような決定をいたした次第でございます。
  249. 今井澄

    ○今井澄君 水かけ論ですが、要するに簡単に言えば、本来日本財政構造改革をすべきだけれども、今それは当面凍結して景気対策をやると。しかし、税制改革は、非常に抜本的な恒久的税制改革は大事なので、たとえ年収八百万以下の人、これは納税者の六割、サラリーマンの八割ですけれども、この人たちの収入が減っても、手取りが減っても、これだけはやり抜くんだというのが小渕内閣の姿勢だと受けとめました。  ところで、最高税率を下げるというのが世界の傾向であるのは私もそれを認めます。政府案では大分下げるようですね、民主党案は下げ方がちょっと少ない。さて、日本人は総中流意識を持っているということで、日本世界の先進国の中では一番貧富の格差がない、こういう国だと言われてきておりますね。ところがどうでしょうか。厚生省、厚生省の方でジニ係数という貧富の格差の数字を調べているそうですが、最近の傾向を教えてください。
  250. 真野章

    政府委員(真野章君) お答えいたします。  ジニ係数と申しますのは、所得分配の不均衡の度合いを示す指標でございまして、ゼロに近いほど分布が平等、一に近いほど不平等であるということを示しております。厚生省では三年置きに所得再分配調査を行っておりますが、当初所得のジニ係数と、社会保障給付、税、社会保険料負担による所得再分配後のジニ係数、両方を計算いたしております。  ちょっと細かくなって恐縮でございますが、当初所得のジニ係数は、昭和五十九年では〇・三九……
  251. 今井澄

    ○今井澄君 ちょっと西暦で言ってもらいたい。
  252. 真野章

    政府委員(真野章君) 西暦ですか。一九八四年では〇・三九七五、八七年では〇・四〇四九、九〇年では〇・四三三四、九三年では〇・四三九四となっております。再分配所得のジニ係数は、同じく一九八四年では〇・三四二六、八七年では〇・三三八二、九〇年では〇・三六四三、九三年では〇・三六四五というふうになっております。この間、高齢者の世帯がふえたり単身者の世帯がふえているところも影響しているのではないかというふうに考えております。
  253. 今井澄

    ○今井澄君 今、厚生省の方からお話があったように、それよりさらにもう少し前の数字もいただけると大変いいんですが、この十年ぐらいの間で、税金を払う前のジニ係数は〇・三幾つから〇・四幾つ、約〇・一上がっているんですね。大変貧富の格差が拡大してきている。  ところで、アメリカと比べてどうですか。
  254. 真野章

    政府委員(真野章君) ジニ係数の国際比較につきましては、各国の調査方法その他に相違がございまして、なかなか比較というのは難しい面がございます。  ただ、OECDが一九九五年に調べました調査によりますと、私ども知っている限りでは、アメリカは一九九一年には〇・四二八という数字を承知いたしております。
  255. 今井澄

    ○今井澄君 今の厚生省のお話をお聞きになってもおわかりのように、あの貧富の差が非常に激しいと言われるアメリカより日本の方が既にジニ係数は上がっているわけです。私の手元の資料でも同じ税金を引かれる前のジニ係数、一九八九年、日本が〇・四三三、アメリカが〇・四〇ということなんです。いつの間にか日本は先進国の中で非常に所得格差、貧富の差の大きい国になっているんです。いろいろ数字を調べますと、日本より所得格差が大きいのはフランスぐらいですね。先進国の中で日本が最も高い。  そういう状況の中で、先ほども示しましたように高所得者の税率を下げる。これもやむを得ない面はあるにしても、しかし高所得者は所得以外にいろいろなメリットがあるわけですね。例えば預金の利子、株式の売買の譲渡益、こういうものは結局のところ源泉分離課税で二〇%の課税なんですよ。何億と預金を持っている人の利子はわずか二〇%の課税なんです。それから、例えばフリンジベネフィットというのがありますね。大会社の社長が大きな官舎に住んで、つい最近は税務調査で日銀が調べられましたが、日銀の支店長宅、こういうものを非常に安い値段で借りているわけです。そうすると、日本全体が今のように貧富の差が拡大しているときに、ただ最高税率だけ下げて済むのか、預金の利子や株式の配当課税、これを一方で強化してやらないと公平が保てないんではないですか。どうですか、大蔵大臣
  256. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税制についていろいろ本格的なお話を提起されつつあるわけですが、我が国も戦後毎年給与が上昇していきましたころにはOECDの国の中でも一番ジニ係数の小さい国でありました。五分位間の格差もそうでございましたが、こうやって経済情勢がうんと違ってまいりまして、殊に最近この何年間か、今、今井委員からジニ係数が悪くなっているというお話がございまして、それはもうそうだろうと常識的に考えてもわかります。ただ、それが国際的に非常に悪いところにあるかどうかということは必ずしも明確ではありませんし、それから高齢者世帯だとか一人世帯だとかそういう社会的な変化もありましょうから、説明は何ぼかあるにしても、我が国自身として悪くなっているということは、私もそのとおり、残念ながらそうだと思っております。  ですから、減税というようなことも必要になってくるわけですが、その際に最高税率をなぜ下げるのかと言われますと、いかにもその組み合わせは確かによくありません。ただ、民主党でもお考えになるように、やっぱり最高税率は高過ぎる、これはいつか下げないといけないということがございまして、この際思い切ってやらせていただきました。  そこで、その次の問題は、しかし高額所得者はいわゆる源泉分離の利益を受けておるというお話がございまして、これもかつての非常にオーソドックスな考え方からいえば、預金の利子にしてもあるいは譲渡所得にいたしましても本当は総合課税をして高い税率を受けるべきだというのがいわば長い間のオーソドックスな考え方だったと思いますし、大蔵省自身もそういうことを長く考えてきたと私も思っていますけれども、最近ございます。これは余り自慢して申し上げる話でもないかと思いますけれども、やはり金融資産というものが外国に非常に行きやすくなっております。  したがいまして、これはちょっと余り自慢して申し上げることではないんですが、高い所得を置いておきますと外国へ逃げてしまうという危険がかなりあるということ。それからまた、納税番号というようなことになりますと、これはこれでいろんな問題があるということから、まあ源泉でもきちんと取れておればそれでよしとすべきではないか。あえて総合とまで行くと所得がむしろ把握できなくなるんではないかという現実の税務行政上の問題があるようでございまして、したがって、その全部を総合所得にすることについての議論が税制調査会なんかでもひところほどどうも強くないような印象を持っております。  ただ、これはそういうことが完全に証明できたと申し上げているわけではございませんので、今井委員のおっしゃいますようなことは、従来のオーソドックスな御議論でそうだと思いますが、多少この節、やはりそういう問題があるということも聞いております。
  257. 今井澄

    ○今井澄君 私は何も高所得者の最高税率を下げるなと言っているわけじゃないんですよ。国際的なあれですし、金融の問題もそうなんです。だけれども、今の政府のやり方は、貧富の格差が拡大している中でますます不公平に金持ち優遇じゃないかということをさっき言ったんです。預金の利子でも、お金持ちもわずかな預金の利子をもらう人も同じ二〇%というのは不公平だと思いませんか。どうですか。
  258. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 源泉で済ませれば累進がきかないということは、その限りではもうそのとおりでございますが、ただそれを本当に総合までしようとすれば、もう一つ申し忘れましたが、毎年確定申告をする、サラリーマンがそういう確定申告を本当にし始めたらもう大変な数になりますね。  そういうこともございますし、かたがた預金というものは実は外国へ持ってもいけるということも現実には考えなきゃならぬという問題も、これが全部じゃございません、おっしゃっていることをだから間違いだとまで私申し上げないんですが、そういう事情もございます。
  259. 今井澄

    ○今井澄君 やっぱり大蔵大臣のお答えもおかしいですね。先ほどは、税制のあるべき姿。だから、今こんな不景気なときでも、一部の人は増税になっても本来のあるべき姿にしなきゃならないと言っておいて、今は、本来はこうだけれどもできないできないとばかり言われる。私は不公平を是正する税制にしたらどうですかということで先ほどから預金の利子の問題とかを出しているんですよ。  総理、いかがですか、不公平がますます拡大しますが。
  260. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 正直申し上げて、一概に委員の御指摘のような点にはならないのではないかと、そう考えますが、御指摘の点について、これは種々御意見のあるところではないかというふうに私は感じております。
  261. 今井澄

    ○今井澄君 要するに、今この税制は不公平、これだけでも不公平があるんですが、そのほかにいろんな不公平がある。これを是正する方向を出さないとだめだということをお聞きしているんです。  何かお聞きしますと、自民党さんも総合課税について今前向きに検討を始めたと聞いているんですけれども、そうじゃないんですか。大蔵大臣、いかがですか。
  262. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私どもの税制調査会にもいろんな意見がございます。従来であれば、今井委員の言われるとおり、すべての所得は総合課税をすべきだというのが伝統的な考え方でございましょうと思います。将来税制の抜本的改革をするなんというときにもやっぱりそういう議論は出てまいると思うんですが、ただ、それならば納税番号までやるかというようなことになりますといろいろ議論がございますし、他方で、こういうふうに資産が世界を転々しているときに必ず総合課税というものを目指すということがいいのか。あるいはきちんと分離課税で取れるものは取ってしまうというのがいいのか。これは一種の戦術論と言ってはいけませんが、現実の税務行政もあわせまして、そういう議論をされる学者などもこのごろはございますので、党内で今両方の議論がございます。  大蔵省自身は今まで今井委員のおっしゃいましたようなオーソドックスな考え方で大体参っておりましたけれども、このごろ、税務行政のことなんかも考えてみて、現実に一番公平と申しますか、受け入れられる税制はどんなものかということで、いろいろに議論を今始めております。
  263. 今井澄

    ○今井澄君 そうすると、この新聞記事は間違いなんでしょうか。二月十九日の某新聞記事ですが、十八日に自民党とある会派が交わした確認書の要旨は次のとおり、「一、税制の次期抜本的見直しでは、利子・株式譲渡益等に対する総合課税を含め、課税の適正・公平化を図る。」、こういうふうに確認したんじゃないんですか。うそですか、これは。
  264. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのことをよく存じませんけれども、それはきっとあることだろうと思います。今やはり総合課税を主張される方の方が多うございますから、そういう確認がございましても、私はそうもあろうなと思います。
  265. 今井澄

    ○今井澄君 やはり税制というのは、透明でかつ公平でなければ払わないわけですよ。低所得の人はその中から一生懸命税を納める、高所得の人も一生懸命高率で納めている。  ところで、一方で、フリンジベネフィットや利子所得なんかが同じだったらどうなんですか。フリンジベネフィットについてはどう思いますか。
  266. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはやはり課税ベースを広くすることが大事でございますから、とらえられるものはとらえていくのが本当だと思います。
  267. 今井澄

    ○今井澄君 大事なことは、税率は下げても大勢の人に税を負担してもらうという意味で、やはり不当に低い税や利益のある人からはいただかなきゃいけないと思うんですね。  それで、この前日銀に税務調査が入って、支店長宅なんかが問題になったんですが、何で特に大蔵省は日銀に入ったんですか。その辺、理由があったら説明してください。
  268. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今ちょっと国税庁がおりませんのですけれども、背景は、御記憶でいらっしゃると思いますが、日銀の支払い所得がきちんとしているかどうかということが国会で御議論になったことがございました。ああいうこともありましたものですから、一遍やはりそういうことを日銀にもちゃんとしていただきたいという気持ちがありまして、その支店長宅が一種のフリンジベネフィットになっていないかどうかというようなことまで調べたんではないかと思います。
  269. 今井澄

    ○今井澄君 それだったら、日銀だけではなく大企業なども、幹部宅だけではなくて、いろんな保養所というか役員用のクラブとか、その辺の有名なビルのところには社交用のところとかいろいろ持っているわけですから、日銀だけいじめるんじゃなくて、やっぱりちゃんとやるんだったらやってください。  さて、時間がないので税制の問題はこの程度にしまして、あくまでも公正な税制をお願いしますが、もう一つ、景気対策の点で私が非常に大事だと思うのは、やはり将来の老後の安心の問題だと思うんですね。  これは、私も地元に帰っていろいろお話ししてみましても、今お金を使う気にならないと。なぜかというと、年金はもらえなくなるかもしれない、医療も自己負担がふえる、介護も自己負担がある、こういうことなんですよね。景気対策として社会保障の充実あるいは国民に安心させるということは非常に大事だと思うんですけれども、この点、余り総理の口からお聞きできていないんですが、総理、経済再生内閣としていかにお考えでしょうか。
  270. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 専門の社会保障の問題に触れられて、景気対策の関連につきましてお尋ねがありました。  もとより、二十一世紀の本格的な少子高齢化に向けて、将来世代の負担が過重にならないようにしながら、将来にわたって安定的な運営のできる社会保障制度を構築していくことの重要性は変わりないと思っております。今後、社会保障にかかわる給付と負担の増大が見込まれる中で、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら制度の効率化や合理化を進めるなど、年金制度改革、医療制度の抜本的改革など社会保障構造改革に引き続き取り組んでまいりますが、今、委員御指摘のように、この問題についての不安感というものが少なくとも将来にわたって国民の中に存在することは確かだろうと思います。そういった意味でも、将来にわたる制度の問題についてしっかりとした対応をいたすべく、今政府で全力を挙げて対応いたしておるところでございます。
  271. 今井澄

    ○今井澄君 今、社会保障構造改革というお言葉があったんですが、そうすると小渕総理としては橋本内閣の六大改革あるいはその前の五大改革の一つの社会保障構造改革は引き継いでいくというお考えですか。
  272. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 私は、内閣を引き受けましたときにも、いわゆる橋本前内閣が掲げられました六大改革というものは、これは極めて重要なことだというふうに考えておりました。これは引き続いて継続していきます。  ただ、御案内のように、財政構造改革という点に触れましては、この問題は国会での御議論も得ましたが、やはりこの問題については将来の課題として少しく法律も凍結させていただいておるということでございますから、そのプライオリティーについてはいろいろと考え方はあろうかと思います。しかし、社会保障に関する構造改革もこれまた極めて重要な点であるという認識のもとで対応することは言うまでもないことだと考えております。
  273. 今井澄

    ○今井澄君 その社会保障構造改革のポイントをどうぞ教えてください。
  274. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 私どもは、今社会保障制度の問題につきまして、年金、医療、介護、具体的にはそういった柱について検討をしておりますが、総じて言えば経済の成長が低成長下に入っているということ、それから二十一世紀に向けてとにかく少子高齢化が急速なスピードで進行していくという事態があること、これらを背景に、年金について言えば五年ごとに財政再計算の見直しがございますから今取り組んでおります。そして、委員のおっしゃるように、年金について国民の皆さんに将来こういう姿になるんだぞということをはっきり示して、そして安心、安定といいますか、見通しができる制度にしたいということで鋭意今検討中でございます。  医療につきましても、診療報酬の問題とかあるいは薬価の問題でありますとか、それからまた老人医療制度を独立するかどうかというような問題、それから医療の提供体制の問題、これはもう委員御専門でございますが、こうした問題についても今鋭意検討中でございます。そして医療も、二十一世紀に向けて老人医療費はどんどんかさみますけれども、安心してこの程度になるんだなということの見通しを持ちたいと。しかし、それにはやはり合理化、効率化ということがどうしても欠かせません。それが構造改革と言われるものだと存じます。  介護につきましては、来年四月からこれを実施しようということで鋭意準備をしております。  そのほか、厚生省は福祉政策その他いろいろ万般にわたっておりますけれども、二十一世紀に向けて本当に私どもの幸せな老後が、あるいは少子化対策も重要でございますし、そういった問題を含めて対応できるようにきちっとしなけりゃいかぬということで今せっかく努力中であることを申し上げておきます。
  275. 今井澄

    ○今井澄君 橋本総理は社会保障構造改革の中でこういうことを言われているんです。今のそれぞれの政策もそうですけれども、民活ということを言われているんです。それから、国民負担率は五〇%以内に抑えるということも言われているんですね。  小渕総理、いかがでしょうか、それも引き継いでおられるんでしょうか。
  276. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 国民負担率につきましては、家計の直接の負担である所得税や社会保険料の雇用者の負担のみならず、企業が負担している法人税や社会保険料の事業主負担分も含まれておりまして、国民負担率につきまして、前の総理は五〇%と言っておりましたが、家計の負担がそれだけ徴収されておるということではないと理解しております。  しかしながら、こうした国民負担率が国民全体負担の面から、公的部門がいかなる国民経済に関与するかを示すものでありまして、今後の経済の発展及び社会の活力を確保するために、家計の直接の負担である所得税等と同様、法人税等の企業負担も含め、極力その上昇を抑制する必要があると考えております。そういった意味におきまして、国民負担率というものにつきましてのいろいろな計算といいますか、考え方もありますけれども、やはりそうした負担率につきましては、政府としてはこれをお願いしていかなければならないことだと考えております。
  277. 今井澄

    ○今井澄君 やっぱり国民が今一番不安に思っているのは、確かに保険料や税金は安いほどいいんですけれども、それを抑えるかわりにサービスも減ると。そして、国は大体民活ということで、民活ももちろんいい面があるわけですけれども、できるだけ手を引こうとしているんではないかということを国民は不安に思っているんです、社会保障に関して。国がどこまで責任を持ってくれるかということを見ているんですね、もちろん自己責任でやらなきゃならないこともありますよ。  これは衆議院予算委員会の公聴会で自民党が推薦された貝塚教授が、社会保障政府国民に最低限これだけは保障するということが大事だと強調しておられるわけです。この逃げの姿勢ですね。できるだけ負担も少なくするけれども、サービスもできるだけ逃げようという、このことが国民の大きな不安を招いているということを知っていただかなければならないと思います。  そこで、個々の問題にちょっと入りたいと思いますが、先ほど厚生大臣から年金、医療、福祉、介護、いろいろお話がありましたが、私は、のっぺらぼうにそう述べるだけではだめだと思うんですね。どこにポイントがあるとお考えですか。  現に、介護は一割負担ということになっています。なぜ老人からも一割負担いただくか。年金がかなりのレベルになったからだということなんです。老人医療、今お年寄りは定額負担ですけれども、これも介護と同じように一割自己負担にしていこうという流れになっていますよ。政府がそう進めています。これもその理由は、年金がそこそこ、かなりの額になったからだということなんです。  ところが、一方で今度、年金の給付水準を切るわけでしょう、下げるわけでしょう。あっちも削る、こっちも負担じゃ、これどうなるんですか。ポイントを教えてください。
  278. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) ちょっと万般にわたり申し上げたいわけですが、年金について特にお尋ねでございますから申し上げておきますが、年金は二〇二五年までの中期的な視点で計算をいたしております。その中で収支が合うようにということでございますが、委員の今おっしゃられるように、給付水準は全体として五%程度は調整したいというように思っております。しかし同時に、それはどういう手法によるかといいますと、いろいろ年金の今の支給額をカットするのではないかとか、あるいはこれから受けられる方々が水準の低いものになっていくのではないかという心配がございます。  しかし、私どもは、はっきりここで申し上げておきたいのでありますが、今の既裁定年金者の年金はカットはいたしません。そして、それは物価スライドによって、上昇すれば改定をしてまいりますから、実質的価値は保持されるということは明確に私ども申し上げているところでございます。  しかし一方、賃金スライド等につきましては、在職中の再計算はずっとやってまいりますけれども、退職時以降の年金改定につきましては、賃金スライドはこのたびは中止いたしまして、物価スライドだけでやるというようなことも申し上げております。  また、在職老齢年金というのがございますけれども、これも今大体決められておるのは、六十歳から六十五歳までの方で所得が高い人たちは年金を調整しております。しかし、私どもは、若い世代と今の既裁定年金者とのバランスを考えますと、もうちょっと考慮すべき点があるのではないか。  つまり、六十五歳から七十歳くらいまでの間は、かなりの所得のある方々は、社会保障としての年金給付はしばらく御遠慮いただいて、そして保険料も納めていただく、給付はいたしません。そうして、七十歳になれば、どんなに所得が高かろうと所定の年金は給付するというようなことも考えております。  しかし、これは直ちにできませんから、基礎年金は既に二〇〇一年から二〇一二年までの間にかけてこれを六十から六十五にいたしますが、それが完了した後で今申し上げたような点は──失礼しました。ちょっと報酬比例部分の問題とごちゃまぜにしましたので、えらい失礼しました。報酬比例部分については二〇一三年から六十から六十五にしていくという手法が一つ。  それから、先ほど私が申し上げた在職老齢年金の六十五歳から七十歳の話は、これは事務的な問題等もございますから、ことし法律改正で御承認いただければ平成十四年ぐらいから物理的に可能かなというようなことを考えております。すべてそういったことで考えておりますので、年金はカットされるとかなんとかいろいろ不安感があるようでございますけれども、既裁定年金者はカットいたしません。  それから、給付水準の五%カットも、実際はこういう制度を変えるときには現下の水準よりも計算上は下がる場合もありますが、現給は保障して、ある程度追いついたらそれで物価スライドしていくという手法が従来国家公務員の改正なんかの場合もとられておりますが、今回もそういう意味で絶対カットはいたしませんから、その点だけは御理解をいただきたいと思います。
  279. 今井澄

    ○今井澄君 年金制度について今ちょっと詳しい御説明がありましたが、私が申し上げているのは、あれもこれも財政が苦しいからということで結局年金も減るわけですよ、今までよりは。そういう制度になるわけです。そうではなくて、その中で何に重点を置いてこれを保障するということをやるのが政府の使命だと私は申し上げているんです。  私は、中心は年金だと思うんです。そして、年金は三階建てですね。一番大事なのは基礎年金だと思うんですが、その基礎年金が今崩壊しつつあるという事実についての御認識は、総理、いかがでしょうか。
  280. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 事実関係がございますので、私の方から国民年金についてのお尋ねでございますから申し上げます。  今の年金は国民皆年金でございまして、申し上げるまでもございませんが、自営業者等は約二千万人、千九百三十六万人ですが、委員の出された資料にもそのことが記載されております。  それから、二号被保険者、これは二号被保険者の被扶養配偶者が千二百万、これはサラリーマンや公務員の奥さんでございます。これは保険料を納めないで基礎年金給付ができるようなシステムになっております。それから、民間サラリーマンが三千八百八十二万ということで、ほかに公務員等があります。  今御指摘の点は、この国民年金の第一号被保険者の中で未加入とか未納とか、それから免除者がかなりの数を占めているのじゃないかという御指摘だと思うんです。私どもも大変そこは注目しておりまして、未加入者がこの千九百三十六万人のうち百五十八万人ということになっております。それから、加入はしておるけれども保険料を納めていない未納者、これが百七十二万人でございます。それから、免除者というのは三百五十九万、約三百六十万おりますが、これは低所得の方々その他を制度的に免除しておりますから、これは政策判断の問題として別に制度の欠陥があるわけではございません。  問題は、未加入と未納者で三百三十万人、これをどうするかということでありますが、私どもとしては、この問題をかなり深刻に受けとめてはおりますが、しかしこの未加入者の解消にどういう手を打てばいいかということでございまして、未加入者については、例えば年金手帳、二十歳になりますと保険者の資格がありますから年金手帳を交付するとか、あるいはそういう人たちも医療保険の方は結構加入しているんですね。それは病気になるときに負担が多いからであります。だから、そういう人たちに医療保険の側面からとらまえて年金もどうしても入ってくださいねというようなことにするとか、あるいは年金番号というものを今度もうつくっておりますから、それによって他の企業から国民年金に移った場合は把握していくというようなこと等も通じまして未加入解消をしていきたい。  それから、未納者につきましては、これは加入しているけれども、税金を納めていないわけですから、これはいろいろ細かなことは申し上げませんけれども、納めていただくような最大限の努力を各面にわたってやっております。  したがって、これは後の議論になるのかもしれませんが、私どもはこういうことを解消していくというのが制度を維持するゆえんでございまして、そのために衆議院予算委員会等でも議論がございましたが、これを全部税金で賄ったらそういう問題は全部解消するのではないかという御指摘があることがございます。しかし、これは……
  281. 今井澄

    ○今井澄君 そこまでお聞きしておりません。
  282. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) それでは、それは後の議論にさせていただきまして、以上でございます。
  283. 今井澄

    ○今井澄君 今、厚生大臣かなり詳しく先ほどからいろいろ御説明をいただいているんですが、しかしこの国民年金、基礎年金が現在崩壊しつつあるという認識はむしろ識者の常識だと思うんです。幾らそういうふうに言ってみてもだれも信じないんですよ。  第一、免除者は制度の欠陥ではないと言われた、その認識そのものが問題なんです。低所得者は保険料を免除しますよ、その分国庫負担が三分の一入っている、それしかもらえないでしょう。月一万三千三百円払えないから免除してあげる、けれども普通だったら六万五千円何がしもらえるのがその三分の一しかもらえないんです。これで老後暮らせますか。ここにも基礎年金制度の根本的な欠陥があるんです。幾ら厚生省が頑張ってみたって、これで未納者が納めるわけないですよ、ふえているんですから。だから、その欠陥を根本的に克服するためには低所得であれ何であれ、そして多くの先進国がやっているように基礎年金は税方式、それでやったらどうかと思うんですが、その税方式についてどう考えているのか、お答えください。
  284. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) この問題は、先ほど私がちょっと先走りまして申し上げようとしたわけでございますが、大変重要な課題でございまして、私どもとしては社会保険の特色を生かしていきたい。これは私的保険と違いまして公的な扶助が入った保険制度でございますが、ある程度報酬が高い人は保険料をたくさん払ってもらう、そのかわり給付も高いものをもらうというのが原則的社会保険の特色でございますが、この方式を維持していきたいなということが一つございます。  それから、全額税方式にいたしますと、これは数字的に申しますと、例えば三分の一の補助を二分の一にするだけで二兆二千億かかるんですね。今現実に四兆九千億の基礎年金の三分の一を計上してございますけれども、それでいきますとそれを足し算していただけば六兆幾らになるわけです。七兆円を超えます。  それから、これを全額税で賄うとした場合は、制度をそのままにしてこの給付を全額税で賄うとした場合は八兆八千億増加するんですね。そうすると、既存の四兆九千億に八兆八千億足したもの、つまり十四兆弱のものを基礎年金だけで賄わなくちゃならないということになりまして、これを税金で賄うということが果たして資源配分としていいのかどうかという判断がございます。それは申し上げるまでもなく、一般会計の規模は八十一兆八千億です。そのうちの十数%以上を基礎年金の税金投入だけで資源配分が可能かどうかという、これは財政全体の問題等ありますから、そういった点をちょっと申し上げさせていただきたい。  それから、この前、税金で所得保障いたしますと生活保護者と同じようになりますよということを申し上げたのでありますが、私は税金でやる場合、いわゆる資力とか所得によってやっぱり給付に差等をつけざるを得ないと思うんですね。そうすると、私どもが六十五歳以上になったから歳費をもらいながら年金をもらうということはいかがかなと、これは当然考えられますね。税金で全部もらうとしたら、それは返上すべきであるという議論が必ず出てまいります。  ですから、税でやるということはさっきの国民年金の欠陥の解消とか、あるいはサラリーマンの妻の問題の解消には役立つかもしれません、その視点から見れば。しかし、もっともっと大きな視点から全体を我々は見て設計していかないといけない。それから、財政との絡みも当然これは大きな世帯になりますから見ていかなけりゃいかぬ、こういうことを申し上げたいと思います。
  285. 今井澄

    ○今井澄君 大変おかしな御答弁ですね。  確かに、今三分の一税を入れているのを全額にすると八兆六千億必要なのは当たり前なんですよ。それを国民は保険料で払っているわけです。今度国民にその保険料を払わなくていいから、一人一万三千三百円を払わなくていいから、例えば消費税で買い物のたびに少しずつ年金の分を税で出してもらいますよと。振りかえればいいわけじゃないですか。別にどこかからお金がわいてくるなんという話をしているわけじゃない。だから、そういう御答弁は困るんです。  それから、この前は生活保護と同じだというようなお話がありましたが、生活保護と年金とは全然違うということはもうよろしいですね。厚生省の役人ももう二度とそういうことを言わないですね。税方式にしたら生活保護と同じだと答えますか、局長
  286. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 税金で全額所得保障をしておる制度としては生活保護世帯があるわけでございます。そのことを申し上げた上で、全額今度は社会保険方式でなくて税で所得給付をやるとすればそれと同じようなことになるということは、これはごく当たり前のことでございまして、そのことを厚生省は申し上げておったわけでございます。
  287. 今井澄

    ○今井澄君 それがごく当たり前じゃないんですよ。生活保護というのは生活保障なんです、年金というのは所得保障なんです。それだけで生活できる人もいるし、できない人もいるし、要らない人もいる。その違いをごっちゃにして、税金でやれば生活保護と同じだ、こんなのはやめてください、二度と。どうですか、厚生大臣
  288. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) ちょっとわかりやすく説明するという点もございまして、生活保護者が一〇〇%税金で賄われておりますので、一〇〇%賄われた場合はどういうことになるのかなという例証として申し上げたわけでございますが、もちろん所得の多寡に応じて年金も多少調整しているのは在職老齢年金がございますから、それは否定はいたしませんけれども、基本的には今申しましたような角度からの検討がぜひ必要だということを申し上げておるわけです。
  289. 今井澄

    ○今井澄君 おかしいんですよ。生活保護は資産調査をやるわけです、所得調査と資産調査を。だけれども、そんなことは必要ないでしょう、年金の場合。どうですか。
  290. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 年金の場合も国民皆年金という制度でございますから、小渕総理大臣も年金を受給するということになります。そうすると、おかしいじゃないかという議論が当然出てまいります。国会議員の先生たちも歳費をもらった上にそういう全額税でやる給付を受けられるかという議論が必ず出ます。それはおかしいじゃないですかということになると、資力とか所得によって制限をしていくということになりやすいということを申し上げておるわけです。
  291. 今井澄

    ○今井澄君 自治大臣、どう思いますか。
  292. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今の議論のやりとりを聞いておりまして、閣僚としての答弁は今回は控えたいと思います。  それは、この問題について午前の議論でもありましたが、消費税の使途を基礎年金、そして介護、老人医療、この三つに限定をするということで両党間で合意ができ上がって、それが予算総則に反映をされたわけであります。その先どうするか、いわゆる目的税化ということまで踏み切るか踏み切らないかということについてはなお両党間で調整をしなければならないテーマでもあります。  それから、所要経費が現在税収として上がっております国税たる消費税四%分で十分に賄い得るかどうかということについて、今後、所要経費がどういうふうに増嵩していくかということとの絡み、展望もあるわけでありまして、そういったことを踏まえて、この問題については引き続き介護保険の話をも含めて両党間で協議をしていくテーマになっております。  ただ、自由党として今日まで基礎年金、介護それから老人医療に関しては、保険方式ではなくて税、消費税を社会保障税と名前を変えて充てるべきである、その方がこれからの少子高齢社会に堂々と老後の不安を卒業するための制度を責任を持って構築することができるのであるということは内外に明らかにいたしておるとおりであります。
  293. 今井澄

    ○今井澄君 いずれにしても、私は年金制度がしっかりしないと高齢社会の中ではみんなが心配で消費も絶対拡大しない、その点も小渕内閣としては経済再生内閣として絶対力を注ぐべきだと。それは先ほども言いました自民党推薦の公述人も言われたわけです。  そこで、一番大事なのが基礎年金、これが崩壊しては二階部分も三階部分もなくなるわけです。ですから、この基礎年金をどうするか。これは小渕総理も厚生大臣に任せたとか厚生省に任せたとかいうことではなく、まさにこれは国民にとって死活の問題ですから、ぜひ関心を持って、この基礎年金が崩壊しないように、これをしっかりさせるように、税方式ということについてしっかり考えていただきたいと思います。  そういうことで、もう時間が来ましたので終わりにしますが、年金制度、このことを安定させることと、それから先ほどの減税ですね、とにかく景気対策だけは借金してでもどんどんやるけれども、ほかのことは筋を通して低所得者が困っても構わない、こんなような政策をとらないように、今年度の今出ている予算を見直していただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
  294. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣小渕恵三君。
  295. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 午前中の私の答弁につきまして、前後関係の答弁、十分でない点がありましたので、申しわけなく存じ、改めて補足をさせていただきます。  十一月十九日の党首会談におきまして両党が合意いたしました直後、自民党の五役で控えておりました参議院の青木幹事長から、既に参議院は議長のもとで定数削減も含めた参議院改革の検討を進めておりまして、参議院五十名削減の点につきましては参議院議長のもとでの協議が自自の協議に優先すると思うので参議院としてはそれは従うことができないとの申し出がありまして、私も小沢党首もこれを了解いたしました。  したがって、十一月十九日の合意に達しましたもののうち参議院の五十名削減の部分につきましては、自由民主党、自由党両党間の協議で参議院の独自性を尊重することとされておりますので、事実上意味をなさないものであることを申し添えさせていただきたいと思います。
  296. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で角田義一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  297. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、竹山裕君の質疑を行います。竹山裕君。
  298. 竹山裕

    竹山裕君 自由民主党竹山裕であります。  私は、前国会では小渕内閣の一員として閣僚席に座らせていただいておりました。今回はサイドが変わりまして予算委員会のメンバーの一人として質問をさせていただきますので、小渕総理初め関係閣僚、よろしくお願いをいたします。  小渕内閣発足以来七カ月になろうとしているわけでありますが、この間、戦後最大のデフレ不況、金融危機をいかに乗り切るか、経済再生内閣の最大の課題に懸命に取り組んでこられました。かつてない規模、内容の財政出動、減税等やるべき対策はほとんど打ち出して、その効果が徐々にあらわれてきております。まだら模様、跛行性はありますが、明るい兆しも出てきているわけでございます。このように小渕総理のまさに生命を賭しての不況克服への取り組み、また短期間に首脳外交を積極的に展開されてきたことなどによって、真剣な政治姿勢が国内外の評価を高めつつあります。過激なスケジュールの中で総理のおそばに弥勒菩薩のほほ笑みのような千鶴子夫人のお顔が見えるとほっとしたり、これがまたベターハーフ、よりよき半身というのはかくのごときものかなと思ってみたりしているところでございます。  ところで、国民の不安は、まだ景気底入れの実感は乏しい、さまざまな心配をしていることも少なくないわけでありまして、消費を拡大し、景気を回復軌道に乗せるために不可欠の要諦であると。  総理は、年頭の記者会見で内閣の取り組む課題として五つの安心、真の豊かさの実現を強調されました。経済再生への安心、雇用への安心、豊かな地球・国土・地域環境への安心、老後を含めた国民生活への安心、育児と教育、子育てへの安心、これらはいずれも国民の皆さん方が抱いている不安をなくそうという総理の決意表明と思います。経済の再生、雇用はまさに待ったなしの課題であるし、また環境、老後の生活、教育等は中長期的な方針を明確にして取り組んでいかなければなりません。  国民の望んでいるわかりやすい政策課題のもとでそれを実現するために政策を総動員し、体系化して国を挙げて取り組むことが重要であります。そのために、総理は施政方針演説でも繁栄へのかけ橋、安心へのかけ橋等の五つのかけ橋を打ち出しておられ、国政の運営の基本とされるものと理解しております。  このような総理の基本課題、新たな政策への取り組みにより二十一世紀において真の豊かさを実現し安心して暮らせる日本になるような大きな期待を持っておりますので、まず最初に総理の御決意を伺っておきます。
  299. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 竹山委員には、この内閣発足以来科学技術庁長官としてその大任に当たっていただきましたことに対しまして、私からも心から感謝を申し上げる次第でございます。  参議院議員とされまして、また自由民主党の代表としてただいま御質問に立たれているわけでありますが、内閣として今後誠心誠意、各般にわたりまして全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思いますし、竹山大臣はおられませんが、ここに並んでおられる各大臣とも全力を挙げて国家と国民に対するそれぞれ責務を果たしていく覚悟で対応いたしておりますこと、よろしく御鞭撻をいただきたいと思います。  内閣が発足以来最大の課題は、何といっても金融問題に対しての世界の信認が失われてきた、これはバブル崩壊以降一日も早くこれを処理しなければならないということであったんであろうと思いますけれども、なかなか歴代内閣も本格的な取り組みがなされないままに、実はとどのつまり今日日本金融システムそのものが広く世界から信頼を失いかけてきておるわけでありまして、この点につきましては、直ちに参議院選後開かれました国会におきましてそれぞれ各党各派の御協力も得ながら金融再生法並びに健全化法、二法が通過をいたしました。若干の時間は要しましたけれども、これに対する世界の方々、経済あるいは金融関係の皆さんの日本の取り組んできた対応につきましてはかなり積極的賛意が表されておるというように理解しております。  要は、これから、今進んでおりますけれども、金融再生委員会また委員長を通じまして的確にこの法律を適用して、さらにこのことを確実なものにしていかなきゃならぬと思っております。  そこで、その後臨時国会が開かれまして、補正予算を通過させていただきました。並びに、今日十一年度予算の御審議をちょうだいいたしておるわけでございますが、このことにつきましても、衆議院におきましてもかなり早い機会にこれを参議院の御審議にお願いすることになりましたのも、恐らく現在のこの日本経済に当たりまして国としてできること、すなわち予算の執行について一日も早くこれを行うことにより景気の回復に資するべきだと、こういうお考えのもとに対応していただいているものと確信をいたしております。  必ずやこの予算が通過し、そして先年以来の二次にわたる補正が効果を発揮してまいりますれば、私は日本経済としてはお約束をといいますか、どうしてもプラス成長にしなきゃならぬという形で臨んでおることにつきましては、それが達成できるという確信を持つと同時に、背水の陣をしいて今対応させていただいておるということでございます。  先ほど五つのかけ橋のお話がありましたが、これは施政方針演説で申し述べましたように、やはりそれぞれ政府の各省庁を考えますと、大体この五つの分類になるのではないかということでございまして、そういった意味で、ちょうどたまたま二〇〇〇年を二十一世紀の初頭にするか二〇〇一年なのかという議論はありますけれども、少なくとも二十世紀から二十一世紀にまたいでいくわけでございますので、そういった意味でかけ橋という言葉を使わせていただきました。五つのかけ橋をそれぞれ具体的に実行いたしていくということができますれば、これからの日本の二十一世紀についての責任を負うまず第一歩は踏み出せるものと確信をいたしております。  逐一申し上げませんが、ぜひこれが実行できますように、その基盤となるのは十一年度予算でございますので、この点につきましても一日も早い成立にひとつ御協力いただけるよう改めてお願いいたす次第でございます。
  300. 竹山裕

    竹山裕君 総理は、今国会の施政方針演説の中で司馬遼太郎の「二十一世紀に生きる君たちへ」を引用されておりました。そこには、二十一世紀にあっては科学技術がもっと発達するだろう。科学技術が洪水のように人間を飲み込んでしまってはならない。川の水を正しく流すように君たちのしっかりした自己が科学技術を支配し、よい方向に持っていってほしいのである云々とあります。  今世紀を振り返ってみますと、まさに二十世紀は科学技術の貢献の時代であった。私も科学技術庁の責任者をさせていただきまして、こうした背景の中で、科学技術というのはもろ刃のやいばの面があるなということも感じております。特に、日本学術会議の会長をやっている吉川弘之会長さんもこうしたもろ刃のやいばの正の剣と邪悪の剣といいますか、その両面を大変心配しておられ、正の面でのより一層の貢献、貢献といいますか、一方では負の面では脅威といったような表現もできるかと思います。  こうした負の脅威の面をいかに事前にセーブしていくか、抑えていくかというのが新世紀の二十一世紀に向けての科学技術のあり方かなと、こんなふうに思っております。  二十一世紀の人類の発展を支えているこの大事な時期に、科学技術の負の側面をどうして回避していくか、これらの科学技術を振興する一方での考え、私も実は参議院でライフサイエンスの分野で、臓器移植に関する特別委員長などという役も仰せつかったときには、多くの問題、医療関係はもとより、哲学的、宗教的、網羅的な要件の勉強もさせていただきました。  そういう面で、新しい世紀へ向けての科学技術のあり方、また負の面をどう制御し事前に察知していくかというようなことについて、総理のお考えを伺いたいと思います。
  301. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 科学技術が発展すればするほど、今、竹山委員が御指摘のように、正しい科学技術が人類のために大きな貢献をなすと同時に、また負の問題を提起するということは事実だろうと思います。  遺伝子組みかえにいたしましても、例えばクローンというような問題が今いろいろと御議論されておりますけれども、人間が人間をつくる、いわゆる科学技術の分野でそのようなことを行うということについてのいろいろの問題を惹起していることは事実だろうと思います。  その昔、ノーベルがダイナマイトを発明して、それは大きな人類に対する貢献をされたわけですが、一方、いろいろ軍事的な意味で、大きな爆発力がまた戦争に対して大きな被害をもたらしたというような点も考えますと、結論から申し上げれば、科学技術はますます発展させなきゃならない、そのために、現代の科学を発展させるためには相当の資金的な予算も必要であります。  そういった意味での予算的措置も講じてすばらしい科学技術を発展させていかなきゃなりませんが、同時に、問題になる諸点につきましては、最終的には人知といいますか、人間がそのことを制約していかなきゃならないわけでございますから、そういった意味でのこれからの科学技術の発展と同時に、これをいかに負の問題としては抑制していかなきゃならぬかということにつきましては、これを十分考慮しながら対処していくべきものと、このように考えております。
  302. 竹山裕

    竹山裕君 二十一世紀を展望してこうした困難な諸問題を克服していく上で、科学技術の成果を用いることなくして問題解決は不可能だというような総理の御見解。先般閣議決定されました産業再生計画においても、現下の経済と科学技術の組み合わせ、創造的な技術の開発普及、そして情報化社会への投資など、まさに大きな場面として新産業の創出が考えられるわけでございまして、この困難な時代にこそ短期的視野だけでなくて中長期的な物事のとらえ方をして強靱な足腰をつくっていかなきゃならない。  これがまさに総理の言われる二十一世紀への、未来へのかけ橋だと思いますが、この面での科学技術の振興についての御見解もあわせ伺っておきます。
  303. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 科学技術は、将来の経済国民の暮らしの発展の原動力でありまして、その振興に我が国として、世界の最先端をリードしていく気概を持って取り組んでまいらなければならないと考えております。  このような観点から、科学技術基本法及びそれに基づく科学技術基本計画に沿った研究開発の強力な推進を図りますとともに、その成果の活用を通じて新産業の創出や国民の健康で豊かな生活の実現を目指すなど、未来へのかけ橋として科学技術の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  科学技術の振興に当たりましては、資源の乏しい我が国におきましては特に知的創造力が極めて大切でありまして、そうした点からも、すぐれた人材の育成確保を図っていくこともこれまた重要な点であると認識をいたしております。
  304. 竹山裕

    竹山裕君 こうした展開の中で、そのもとは何といっても人材になるわけでございまして、この科学技術系の人材の養成、確保が不可欠であろう。  一方で、文芸春秋二月号で立花隆さんも指摘しておりますが、現下の日本国の中で憂慮すべき事態として、科学技術離れ、特に若い人たちのそうした傾向がある。国民一般の調査においても、日本国民の科学技術に対する認識、関心の度合いは、OECDの調査でも、先進国のみならず、どうも多くの国々の中では低い方に位しているという点では大変懸念が大きいわけでございまして、国民の科学技術に関する理解を基本的に高めていくためにはどうあればいいか、この辺について、これは文部大臣がよろしいんでしょうか、よろしくお願いいたします。
  305. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず最初に、竹山先生が前科学技術庁長官として御活躍になられましたそのお仕事を辱めないように、後任として全力を投入させていただきたいと思っております。  一つ、その前に、科学技術の負の面についてのお話がございましたが、ちょっと感想を申し上げておきたいと思います。  環境問題、特に公害問題を解決していく、それからまた生物研究、いわゆるライフサイエンスのさまざまな倫理問題、こういうふうなものを解決していくこともやはり科学技術の一つの大きな仕事であると思っております。また、そのためには人文社会の人々、人文系、社会系の人々と大いに科学者、技術者が協力をしていかなければならないと考えております。  さて、ただいま御質問の、科学技術離れをどうしていったらいいか、どういうふうに教育していったらいいかという問題の御指摘でございますけれども、確かに御指摘のように、特に高等学校を過ぎるころから科学、理科に対する関心が弱くなっております。中学校までは、日本の子供たちが低いとは言われながらもかなり高い、五〇%以上が理科に興味を持っておりますけれども、高等学校から少し悪くなっていき、社会に入っていったところで大変悪くなります。  そこで、二つの面、すなわち科学技術庁としての仕事とそれから文部省としての現在の対策、その二つについて申し上げてみたいと思っております。  まず、科学技術庁といたしましては、サイエンスキャンプであるとか科学の祭典等、科学技術体験機会の提供に努めております。特に、竹山先生が大臣として御尽力になられまして昨年十月にサイエンスチャンネルの試験的放送が開始されました。それから、科学技術振興の総合的拠点となる「さいえんすワールド」の整備に着手する予定でございます。こういうふうにして、今後とも科学についての情報を発信して、若い人々、特に小学校や中学校の子供たちにこういう問題に大いに理解をしてもらうよう努力をしてまいりたいと思います。  それから、文部省といたしましては、子供たちの理科離れを抑えるために新しい指導要領では大変工夫がしてございまして、まず第一に、自然に対する興味、関心、知的好奇心を高めるという努力をいたします。二番目に、科学的に自分で調べる能力や自分で問題を解決していく能力を育成することをやっております。三番目に、自然体験や日常生活と関連づけて科学的な見方考え方を育てようといたしております。  より具体的に申し上げますと、学校などで科学に関する講演会などを実施する科学技術・理科教育推進モデル事業を実施する。それから、二〇〇二年以降は完全に学校が五日制になりますので、そういう土、日を利用いたしまして市町村が地域で開催する子供科学物づくり教室などへ支援をしていきたいと思っております。  それから、マルチメディアに関してもさまざまな情報技術を使いまして、新しい博物館としての新館の整備であるとか子供たちのための科学物づくり教室プログラムの開発など、あるいは国立科学博物館及び科学技術庁といたしましては科学技術館等の一層の充実を図ってまいりたいと思っております。
  306. 竹山裕

    竹山裕君 昨今はコンピューターの利用者も順調に増加しておりますし、科学技術の発達に、個々人の生活の中にも浸透が図られているわけでありますが、一方で、どうも科学者、技術者と一般の国民の間でのつながり、科学技術というのは難しいものだと、なかなか説明を聞いてもわかりにくい。  これは調査の中で、科学技術に関係する話を聞いてみたいと思うか、必ずしもそうした人々が多くなくて、専門的でわかりづらいからというような理由で敬遠しがちだというような心配も言われておりますし、私自身もそうした分野で半年間ではございましたが仕事をさせていただいて、特に小渕総理からも原子力行政については意を尽くせという中で、一生懸命原子力行政の関係者に一般の国民の皆さん方が安心できるような説明をしてくれと何度も申し上げて、何度か聞いていると理解はできるわけでございますが、なかなか技術者自身は平易に説明しているつもりでも一般の受け入れ側との段差が大きい。  この辺についても、まさに科学者の真髄をきわめられた有馬大臣の御見解を伺わせてください。
  307. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のとおりでございまして、科学者、技術者は、自分のやっていることですから、易しいと思っているんですけれども、なかなか説明がうまくないという問題点があるということを反省いたしております。  そこで、専門的過ぎてわからないというイメージの今御指摘の問題がございますので、何とかしてこれを易しく話すことができないだろうかという努力をいたしております。  先ほども既に申し上げましたけれども、例えばサイエンスキャンプをやる、これは国立研究所あるいは特殊法人の研究所等々に若者、特に高等学校の生徒諸君を呼んで教育をするとか、あるいは科学の祭典で中学校、小学校の子供たちに科学のおもしろさを教えるとか、あるいは竹山先生大変御尽力なられましたサイエンスチャンネルでは、試験的放送をやりまして全国的に科学のおもしろさ等々を教えていく努力をいたしております。  また、文部省といたしましても、全国子どもプランの中に、衛星通信によって相互通信でこちらから話をするとそれに対して子供たちやあるいは大人も含めて質問をする、こういうふうなところでも理科さらに広く科学技術について話をする、そして科学者、技術者が十分科学と技術のおもしろさを説くということ、そしてそれに対する質問を受けてお答えをするというふうな努力を今後させていただくことにいたしております。
  308. 竹山裕

    竹山裕君 文部大臣たびたびお出かけいただきましたので、この辺で教育改革に入っていきたいと思っております。  総理は、当面経済再生内閣としてスタートされまして、しかし一方では教育問題にも必死に勉強し、なおかつ取り組むという姿勢を明確にされておられまして、特に人づくりの問題はまさに長期的な課題であるわけでございまして、この教育改革の今後の進め方について、総理並びに当然ながら文部大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  309. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 前の内閣で六大改革がございましたが、その中で教育改革ということも強く訴えられておったわけでございます。  現在は経済再生を第一に掲げておりますけれども、やはり二十一世紀に向けて改めて教育のあり方、教育の改革、この点に我々も努力を傾注していかなきゃならぬと思っております。そのためには、子供たちがぜひこうした子供たちとして教育を受けて、そして育っていっていただきたいという願いも込めまして、先般、施政方針演説の中で司馬遼太郎氏の言葉を引用させていただきました。未来を担う子供たちに、自然を慈しむ心、助け合う心、社会的倫理観、生きる力等をしっかり身につけまして、心身ともに健康な人間が育つように、こう考えております。このような考えに立ちまして、今、文部大臣を中心にして全力で取り組んでおります心の教育、この充実を図りまして、我が国のすぐれた文化や伝統などを次の世代に引き継ぐ教育の推進に努めてまいりたいと思います。  と同時に、教育の原点は家庭にあるわけでございまして、そういった意味で家庭教育あるいは学校教育、そしてまた社会における種々の教育等もございましょうが、そうした点について、文部省で現在進めておられます家庭教育等につきましても、この点について家庭の果たす役割が極めて重要であると認識をいたしまして、この点についてのこれからの教育の一つの大きなテーマとして、過去を反省しつつ未来に向かっての教育を考えていかなければならない、このように考えております。
  310. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 教育改革については今、総理がおっしゃられたとおりでございますが、二つの面が重要であろうかと思います。  一つは、二十一世紀において活躍をしていくための人材をつくるという理念、この点と、それからもう一つは、現在さまざまな問題が指摘されております心の教育の問題、この二点に関してごく短くお返事を申し上げたいと思います。  まず、子供たちが大変忙し過ぎる、先生方も忙し過ぎるというふうな問題がございます。そこで、子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくんでいくということを今大きな目的にいたしております。そこでは、今まで行き過ぎた平等主義がございますので、それを是正していく。そして、子供たちが基礎、基本を十分勉強した上で、理解した上で、その子供たちが持っている個性に応じて多様な選択ができるような学校制度を実現してまいりたいと思います。  それからまた、教育の地方分権を進めて、学校が主体的にいろいろ教育を進めるようにいたしたいと思っております。  そしてまた、国際社会の中で競争力を維持し、活力ある社会を実現するための、これは初中教育ではなく大学教育でございますが、大学教育の改革を進めていきたいと思っておりますし、また国立研究所も大学も含めて、教育だけではなく研究の振興ということを図ってまいりたいと思っております。  それからもう一つの、より身近な心の教育の問題でございますが、そこではまず第一に家庭での教育ということをぜひお願いいたしたいと思っております。今までのように、倫理観であるとか正義感であるとか義務感であるとか、こういうふうなことを教えるのを、すべて学校だけではなく、家庭でもぜひともしつけなどに一生懸命御努力を賜りたいと思っております。しかしながら、今日のように子育てが大変難しい時代でございますので、子育てホットラインを二十四時間お母さんのために引く、子供たちがさまざまな悩みを持つときに子供たちが聞ける子供のためのホットラインを二十四時間引くというふうなことを考えているところでございます。  そしてまた、地域社会に対しましてもお願いをいたしまして、子供たちが伸び伸びと遊び、伸び伸びと自分の力を伸ばしていくようなそういう教育をお願いいたしたいと思っています。  そして、厚生省と協力いたしまして今回こういう二冊のパンフレットをつくりましたので、この際宣伝をさせていただきたいと思います。(資料を示す)  片方は「家庭教育手帳」、片方は「家庭教育ノート」でございます。ここには、お父さん、お母さんが家庭でどういうふうに子供さんを指導していったらいいかということが書いてございます。漫画もたくさんありまして、こういうふうに漫画もありますので、大変読みやすいと思います。余り物を買ってやるのはよくない、家事を手伝わせてください、正しいことは正しいと教えてくださいというふうなことが書いてございます。これを厚生省と一緒になって、お手伝いいただきまして、お父さん、お母さんに配ることになっております。こういうさまざまな努力をいたしております。  私どもちょっと心配をいたしました。こういうことまで国が家庭まで入っていって、こうしてください、ああしてくださいとお願いすることがいいことであるか、大変私は悩みました。悩みましたけれども、どうも逆にお父さん、お母さんがどうしたらいいかということをよくお聞きになるのであえて踏み切ったことをここで申し上げておきたいと思います。
  311. 竹山裕

    竹山裕君 ありがとうございました。  教育予算の取り組み姿勢について伺っておきたいと思います。  教育費の重みが国民の間でよく言われます。昨年の国民生活白書においても、家計における教育費の年ごとの上昇が見られる。また、中年世代に重い教育費負担がかかるし、特に高等教育における教育費負担はアメリカと比べても重い、こういうようなことが言われておりました。  ことし、この平成十一年度の予算、税制については、育英奨学資金の拡充あるいは特定扶養控除のかさ上げなどあるわけでありますが、これをしても必ずしも十分なものではないということで、十一年度の予算もさることながら、一般論としての今後の教育費に対するお考えを伺っておきたいと思います。文部大臣
  312. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 教育に関しましては、実にさまざまな点でさらに努力をする必要があると思っております。  ただいま御指摘いただきました育英奨学金に関しましては、かなり抜本的な充実を図る努力をいたしているところでございます。しかしながら、例えばいじめの問題やいわゆる学級崩壊というふうな問題に対処するために、さらなる努力をいたしていかなければならないと思っております。  十一年度の予算に関しましては、今申し上げました育英奨学金の抜本的改革、それから先ほどお話をいたしました子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した心の教育の充実、二番目に大学を中心にいたしました学術研究教育の推進、三番目に私学助成の充実、四番目に先ほど申しました育英奨学金の抜本的拡充、そしてまた文化やスポーツ、国際交流の振興など国民や社会の期待に十分こたえられるものになるような努力をいたしているところでございます。    〔委員長退席、理事鴻池祥肇君着席〕  いずれにいたしましても、教育に関しましてはまだまだ十分な財政上の援助のないところもございますので、これから大いにはかって、大いに努力をしてまいりたいと思っております。
  313. 竹山裕

    竹山裕君 文部省の教育改革プログラム、この中には、先ほど来お話のある心の教育、学校制度の改革、大学改革の三つが言われているわけでありまして、現在の教育制度、特に学校教育制度が新しい困難な問題を抱えているという、昨今のマスメディアでもよく言われます学級崩壊に見られるような場面、文部省御自身もなかなか実態をつかみ切れていないのではないかとも思われるわけでございます。  こうした多くの難問、課題について文部省として正確な御認識がなされているか。また、この実態の把握が正確であるか、また将来的に日本の教育をどういう方向へ持っていかなければならないか。今当面のお話を伺いましたが、ある意味での現下の問題解決の処方せん的なものを伺っておきたいと思います。
  314. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) ただいま、まさに文部省といたしましても私といたしましても大変苦慮している問題の御指摘でございます。  この学級崩壊というのは、私は本当かどうかということを自分の目で見たいと思って、今努力をいたしております。私は科学者の端くれでございますので、自分の目で見、自分でさわってみないとその現象についての信念が得られませんので、おとといも浜松の高等学校及び小学校を見てまいりました。それに先立って、幾つかの小学校、中学校を都内及び地方で見てまいりました。しかしながら、私が見るだけではとても十分見ることができません。それから、私どもが参りますとどうしても各学校で準備なさるという問題もございます。  そこで、文部省では先般、学級崩壊と言われているものが本当なのだろうかどうだろうかと。少なくとも私が見た学校ではありませんでした。なかったのです。それで、多少教える上で困難だという子供が一人二人いる例は聞きました。それから、登校拒否がいるということも、二、三いるということは聞きましたけれども、いわゆる学級崩壊のような厳しい状況ではございませんでした。そこで、もっと私どもが見られないところがあるだろうということで、小中学校における学級経営の実例を幅広く収集し、得られたデータを多面的、体系的に分析するために、学級経営の充実に関する調査研究を国立教育研究所や大学の研究者に委嘱して、今取り組んでいるところでございます。  ここから出てまいりましたさまざまな問題点並びに我々が自分自身で見た、あるいは聞いたというふうな問題点について具体的にさらに対策を講じてまいりたいと思っております。
  315. 竹山裕

    竹山裕君 心の教育の取り組みの中で、来年度から始められる予定の子どもプランの例を挙げて少し伺ってみたいと思います。  ゆとりの中で子供たちの生きる力をはぐくむことを目的として、平成十四年度から導入される学校週五日制。夢を持ったたくましい子供を地域で育てることを目指したものである。同じ目的を持ち同じ関心を持つ子供たちを対象に授業を展開することを考えている。  一方で、現在の子供たちの行動様式は以前とは違ってきている。スキンシップを伴うような行動には余り参加してこない。また、関心を同じくしている一方で、群れたがらない。インターネット、携帯電話でコミュニケーションをとるといったような行動がとられがちである。そういう面で、地域において、こうした子供たちを大きくまとめながら対応していくという場面が非常に乏しくなってきているのかなと。  こうした行動様式、問題行動をどう認識して、若干時間はかかるとは思いますが、最近の子供たちのこうした特徴のある生活行動について、文部省として、今もお話があったのですが、また全体的な子どもプランとして、これは文部省だけの問題ではないと思います、あるいは警察庁、厚生省、総理府などと総ぐるみで取り組んでいかなきゃいけない大きな課題、対応範囲だと思いますが、御見解を伺わせていただきたいと思います。    〔理事鴻池祥肇君退席、委員長着席〕
  316. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず、今御質問の全国子どもプランについて少しく申し上げたいと思います。  次代の中心になります子供たちが健やかに伸びていくために、子供たちの体験活動の機会を充実することが必要であると思います。それから、家庭教育を支援するなど心の教育を推進していくことが我々に課せられた責務であると考えております。その中でおもしろいことは、自然に触れた人ほど、子供たちほど正義感がある、あるいは家事を手伝ったことの多い人ほど正義感や責任感があるというふうなデータが出ております。こういうことを我々は重々認識いたしまして進んでいるところでございます。  そこで、二〇〇二年からは、先ほども申し上げたかと思いますが、学校完全週五日制が実施されます。そこで、地域や家庭での御努力をさらにお願いしたいところでございます。そのために、全国子どもプラン、緊急三カ年計画というものを今策定いたしまして、関係省庁との協力を得ながら緊急かつ計画的に施策を推進することにいたしております。  具体的には、全国子どもプランの内容を申しますと、先ほどもちょっと申し上げました、衛星通信により毎週学校休業土曜日などに全国の子供たちの心に有名なスポーツ選手や科学者などが直接語りかけるプログラムを提供する子ども放送局を設置する、あるいは全国の親や子供たちにさまざまな体験活動や家庭教育支援に関する情報提供を地域ごとに行う子どもセンターの方にお願いをする、この子どもセンターを全国的につくっていくというふうなことを考えております。  また、他の省庁と協力させていただきまして、まず先ほど申しましたように自然体験を豊かにするというふうなことをねらって、例えば農林水産省と一緒になってあぜ道とせせらぎづくりのプロジェクトをやっております。あぜ道あるいは休耕田等を子供たちのために開放していただくという努力をしております。それから、建設省と協力させていただきまして、子供たちが安全に川や湖のそばで遊べる子どもの水辺再発見プロジェクト、それから子ども長期自然体験村などをつくる、これも農林水産省と一緒にやらせていただくことになると思います。それから、環境庁と一緒になりまして、国立博物館等におきますレンジャー、そのレンジャーに子供たちにいろいろな指導をしていただくべく努力をしているところであります。  そして、科学技術庁といたしましては、サイエンスチャンネルをつくることによりまして、子供たちにより新しい科学技術の情報を正しく伝える努力をさせていただきたいと思っております。
  317. 竹山裕

    竹山裕君 今のお話の中にもありました、群れたがらなかったり団体行動を余り好まないという最近の子供たちの行動様式からいけばスポーツの効果というのは大きいと思うのでありますが、これは特に集団的に責任を持って一つの目的に向かって頑張る、こういうようなことで、日本体育協会などの組織を通じてのこれらの対応に具体的な方策は、何か知恵はないものかなと思うんですが、いかがでございましょうか。
  318. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今さまざまな工夫をさせていただいているところでございます。  スポーツの振興に関しましても文部省として大いに努力をしているところでございまして、一つはスポーツ選手の顕彰、それから子供たちが具体的により安全でスポーツができるような場所の提供、そのためのグラウンドなどよりよいものを構築するような努力をいたしております。
  319. 竹山裕

    竹山裕君 こうしたさまざまな対応を文部省はとっていただいているわけであります。  これはみずからを省みても言えるわけで、昨今の特に幼稚園児の入園時のマナーの問題とか、心配される部分ばかりが大きく取り扱われるのかもしれませんが、親としての指導原理、倫理観、哲学、こうしたものがまさに家庭においての子供教育に欠けているという面では、これは総理としてというよりは、政治家として、父親としてといいますか、総理のお考えを伺っておきたいと思っております。
  320. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いろいろテレビの番組等を通じまして、それぞれ学級における幼稚園児、あるいはもっと小さい子でいえば託児所の子供、そしてまた学校教育における生徒の姿等に、今問題となっている学級崩壊の中で生徒たちが呻吟されておられるというような状況について、我々もこれを、大変大切な難しい問題ではありますけれども、乗り越えていかなければならない課題であるというふうに思っております。  これは先生方の御努力、また先ほどのお話のように家庭における親の方々におかれましても、やはり将来そうしたみずからの子供たちがどのように成長していくかということにつきましては、愛情深く、そして社会の中の一員として生活のできるような者として成長していけるように、温かく見守りつつ時に厳しく対応していかなきゃならないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  321. 竹山裕

    竹山裕君 大学改革についてお伺いをさせていただきます。  高等教育の発展段階でいろいろな仕分けの仕方があるようでございますが、成立局面、これは高等教育がエリート段階という就学率が一五%ぐらいまで。その後の拡大局面、これは多くの人々が、といっても一五%から五〇%ぐらいが就学をする。そして再編局面、これはまさにユニバーサルな段階で、就学率が五〇%、希望すればだれもが高等教育を受ける段階。  こんなような分け方の中で、日本の場合は現在短大を含めて四七%の進学率というデータでございますが、まさにユニバーサルな段階に行きつつある、だれもが高等教育を受けるといった、ある意味では過渡的でもありますが、教育の機会均等の比重がますます大きくなってくる。こんなときにまさに求められる高等教育のあり方についての新たな理念について、文部大臣にお伺いをしておきます。
  322. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 先生御指摘のように、日本は高等教育に進む人のパーセンテージが極めて近年高くなりました。したがいまして、高等教育でどういうふうな教育をしていくかということがさまざま議論の対象になっております。  そこで、文部省といたしましては、大学審議会にお願いをしまして、大学の教育研究の体制について御検討をいただき、昨年十月にその答申があったわけであります。  そこで、学部段階については、責任ある授業運営と厳格な成績評価などを通じまして、いわば生きる力の高等教育版でございますが、課題探求能力の育成を図ることとしております。そのために、教育の中で一つの重要なステップでございます教養教育などということも重要視し、そしてさらに専門教育の基礎、基本の重視など学部教育の充実に努めてまいりたいと思っております。  また、大学院につきましては、学部における専門教育を踏まえまして、より高度の専門教育を実施する観点から、専任教員の配置や高等教育のためにさらに活躍をしていただく高度専門職業人の養成などに配慮いたしました教員の配置、そしてそのことを考慮いたしまして、大学院の質、量をともに整備していくということを現在考えているところでございます。
  323. 竹山裕

    竹山裕君 次に、新しい学習指導要領について伺っておきます。  昨年七月の教育課程審議会の答申を受けて文部省は新学習指導要領を告示、そのねらいは、中央教育審議会の答申にもあったように、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを基本として、知識を一方的に教え込むことでない、そうなりがちな教育から、みずから学びみずから考える教育へ転換を図っていきたい、教育内容を決めて厳選していこう、各学校がゆとりある教育活動を展開し一人一人の子供たちに生きる力を育成することにあると。  今回の改訂は、こうした考えのもとで、授業時間数を少なくするとともに、内容についてもいわゆる三割カットが行われる、こういう方針でありますが、国民の皆さん方あるいは親御さんの中には、こうした国際的に競争原理の厳しい中で、日本国は人的資源でなければ新世紀はやっていけないというような懸念もあるわけであります。教育内容の大幅な削減は学力水準の低下にもつながっていきはしないかというような懸念の声もあるわけでございまして、こうした面について文部大臣に伺っておきたいと思います。
  324. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 二〇〇二年より完全学校週五日制が導入されます。そこで、それが実効あるものにするためにはどうしても教育内容を厳選しなければならないということで、今御指摘のように、三割程度すべての科目について削減をする予定でございます。  そこで、確かによく批判を受けますことは、今でも教えることがいっぱいあるのに時間数を削減し、内容を減らしていいのか、こういう御質問が一方でありまして、どうもそれだと六日制でも足りないくらいだという、そういうお考えの方もおられます。しかし、やはり基礎、基本を十分教え、それが完全に身につくためには、少し量を減らしてゆとりを持ってきちっと教えるということが必要であると思います。その基礎、基本が身につきさえすれば自分の力でいろいろなことを勉強できるだろうと考えております。ですから、量は確かに三割減りますけれども、みずから考えみずから問題を解いていく力という点では、基礎、基本を勉強した上で、その上で十分そういう力が育つという私は信念を持っております。  もう一つ申し上げておきたいことは、教育というのは長く教えれば効果が出るというものではないということです。むしろ、週に二時間程度教えた子供たちの方が、二時間から三・五時間教えた子供よりも理科などはよくできることがあるんです。ですから、こういうことについては我々は十分検討していかなければならないと思っております。
  325. 竹山裕

    竹山裕君 ありがとうございました。  それでは、社会保障問題に移りたいと思います。  少子高齢化社会のプラス面とマイナス面をちょっと取り上げてみたいと思いますが、これからの我が国の少子高齢化社会を迎えるに、一般的にはどうしても悲観的なマイナス面が強調される傾向がありますが、そうした気の部分、特にこれは景気は気からと言われているわけでありまして、そういう面でも大変マイナス要因は否定できない。本当に少子高齢化がマイナス面ばかりなのだろうかという観点から若干見てみますと、少子高齢化のもたらすプラス面だってあるではないかということも言われてきております。  昨年末の経済企画庁で発表した国民生活白書では、戦後経済活動の中核的な存在であった団塊の世代に着目して、今後の高齢社会は、国民一人当たりの資本、住宅ストックの充実や高齢者向け商品・サービス提供産業の振興といったいい面が期待できる社会であるとあるわけでありまして、そのほかにもプラス面、生活水準さえ維持できれば高齢まで人生を楽しんで生き抜いていくことができる社会である。あるいは都市の渋滞、通勤ラッシュ緩和もなるだろう。人口密度低下による生活空間が広がっていく。あるいは一人っ子がふえていけば相続資産が増加して富の蓄積ができるだろう。土地・住宅ストックの充実で老後の消費生活にゆとりが生まれてくる。教育機会の増加や水準の向上によって国民文化全体が充実する。また、多くのシルバー産業、特に余暇活用の面での勃興、成長。中高年齢者の雇用の機会が増大するとともにこうしたことが広がっていくであろうというようなことどもを思い浮かべながら、さきの国民生活白書の前文をみずから執筆されました堺屋経済企画庁長官に、こうした少子高齢化社会についての具体的なイメージ等について、景気浮揚策を含めて御意見を伺っておきたいと思います。
  326. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 竹山委員御指摘のように、昨年十二月発表いたしました国民生活白書では、特に、現在の中年、四十代、五十代に焦点を当てて分析を行いました。その中で、五十前後、いわゆる団塊の世代の者が非常に数が多うございます。この人たちが高齢化したときに、日本は非常に活力がなくて、年金負担、医療負担の重い国になってしまうんじゃないかという心配が一般になされておりますし、その心配のあることは事実でございます。  しかしながら、これからの時代を考えますと、一方においては高齢者がふえるということは資本蓄積が非常に進むといういい面がございます。また、雇用形態が変わりまして、現在よりもさらに高齢まで働けるような構造ができてくるだろうと予想することもできます。  需要の面から見ますと、高齢者市場というのが非常に拡大いたします。特に、元気な高齢者のための家事のアウトソーシング、家庭の仕事を職業としてやってくれる人がふえてくる。年金もございますし財産もございますから、比較的豊かな高齢者が多い。もちろん、全員がそうでないということは重々用心する必要がありますけれども、そういうところから高齢者マーケットが出てくる。こういうような社会的なプラスの面もございます。また、高齢者自身から見ましても、高齢者の数が多いということはマーケットが広がりますから、それに対応した供給がふえる、それに対応した仕事の仕方ができる、わずかな高齢者が隠居されるんじゃなしに大勢の高齢者が社会の中核の部分に入り込むことができる、そういうような社会変革が期待できます。もっとも、これはほっといてできるわけではございませんから、政府といたしましても、また企業といたしましてもそういうような努力をしていかなければならないだろうと考えております。  私どももそういう観点からこの未来の見通しを分析いたしまして、必ずしも暗いばかりではない、高齢化社会、少子社会には非常に明るく長い人生を楽しめる期待ができるということを述べた次第でございます。
  327. 竹山裕

    竹山裕君 堺屋長官のお話のように、明るい面、そしてどうしても一方ではデメリットの面も幾つかある。具体的には年金、医療、介護などの社会保障費が増加し、財政が悪化していく。要介護者の増加によって家族の介護負担、そしてまた精神的な負担も大きくなっていく。生産人口減少等、経済活力、成長率の低下によって財政も悪化する。消費年齢層、今お話の中高年を含めて増加し、消費拡大に伴う日本の輸入増大、経常収支の赤字化と資本収支の黒字といった恒常化する対外支払いが増加して国の富の継続的な損失にもつながっていく。これは両々相まつわけでございますが、高齢化社会の明るい面を、マイナス面ももちろん無視できないわけでありますが、こうしたマイナス面を極力排除し、整備しながら、年金医療の効率的な進め方で社会保障体制の構造改革を図っていかなければならない、こんなふうに思っております。  国民負担率、先ほども話題になっておりましたが、高齢のピーク時においても五〇%以下にとどめるべきであると、これは橋本前総理当時からの認識を示されているわけでございまして、社会保障制度審議会の勧告においても、国民負担率が五〇%以下という目安を設定することは活力ある安定した社会を維持するための公私の活動の適切な均衡を取り上げる上での指標となると言っております。九五年度の国民負担率四五・二%に対して、将来の少子高齢化社会を考えた場合、今の段階では抜本的な社会保障改革に着手しなければなりません。  総理は、少子高齢化社会をにらんで、社会保障の改革についてどのような認識をお持ちになるか、また財政の方の構造改革の凍結、そしてまた将来の国債償還のツケが回る中で、国民負担率を五〇%に抑えていくということが不可欠と考えますが、この点についての総理の御認識を伺っておきます。
  328. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 先ほど御議論がいろいろございましたが、国民負担率のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏をなすものでございます。受益と負担のバランスを眺めつつ、その時々の情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事項であると考えます。  国民負担率は、今後の少子高齢化の進展に伴いまして、長期的にはある程度上昇していくことが避けられないと見込まれますが、経済の発展、社会の活力を損なわないよう、また将来の負担が過重にならないよう、社会保障も含めた公的支出の効率化、合理化によりまして極力その上昇を抑制する必要があると考えております。
  329. 竹山裕

    竹山裕君 医療費の問題について、厚生大臣に伺っておきます。  一月二十一日に発表されました国民医療費が厚生省からの報告で継続的に増加して、平成十一年度の国民医療費は前年度比三・〇%の増、三十・一兆円になるとの試算が提示されておりますが、特に七十歳以上の老人医療が六・二%増の十一・二兆円と、全体の四割弱を占めております。ことし七月から高齢者の薬剤費の別途負担を免除する優遇措置が加わりますので、さらに千五百億円程度の医療費がふえるとの推計もあります。  国民医療費の増加傾向は、平成十二年度からの介護保険の実施、開始と相まって中長期的に財政を圧迫することになります。介護保険のある部分が国民保険で賄われることになる面もあって、単純計算で増加するわけではありませんが、総体としての国民医療費の増大傾向に対して厚生大臣はどういう認識をお持ちか。また、その増大傾向を抑制するために行政は何らかの措置を講ずる構えであるでしょうか。薬剤費、老人医療費など医療費の部門ごとの増加状況ともあわせてお伺いをいたします。
  330. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 医療費の動向につきましては、今、委員の大体御指摘のとおりでございまして、実は一昨年の九月に医療費改定をいたしまして薬剤費の一部負担をお願いいたしました。その後、多少医療費の増嵩が鈍化するかに見えましたが、最近では全くもとの姿に戻りつつあるというのが現状でございます。  なお、老人医療につきましては、国民総医療費三十兆円と仮にいたしまして十一兆円と今の御指摘のとおりで、三分の一を超え、やがてこれが二分の一になるだろうと予測もされております。  したがって、これから国民医療費をどうやって確保していくかということは大変重要な課題でございまして、私どもはやはり見通しのつく医療体系にしていきたいということでございまして、具体的には、医療保険、医療提供体制について合理化、効率化を図っていこうという考え方のもとに立っております。  その中で、医療保険につきましては、一つは、診療報酬のあり方、これは例えば今急性期の疾患と慢性期の疾患を一応出来高払いで全部同じように扱っておりますけれども、慢性期疾患は定額払いを考えたらどうかとか、いろいろそういった点がございます。  それからまた、次に薬価制度でございますが、薬価差、つまり今一万二千円くらいのお薬全部公定いたしておりまして、それを医療機関が使うわけでございますけれども、安く買えば、大量購入等によって差額が発生すれば薬価差が生じて経営にプラスになるという側面があることも指摘されております。だんだん減ってきてはおります。しかし、全然皆無ではございません。そういった薬価差がありますと、高額医療を給付するとか、あるいは薬を大量に投与するとかいうような行為になってまいりまして、なかなかむだもあるのではないかという指摘もございます。  したがって、この薬価差に基づく医療制度はやはり本来解消すべきでございまして、私どもは、医者の所得保障は技術料の評価、つまり診療報酬等によって対応すべきものだと考えておりますので、薬剤費の問題はそういった視点から審議会の御議論も踏まえまして今検討中でございます。  一応、厚生省の案としては薬剤定価・給付基準制という制度を導入しようとしております。いわゆるドイツの例をとった日本型参照価格制度と一般に言われておりますが、これはいろいろ議論があることはもう承知しておりますけれども、何とかこの薬価差を解消して医療が本来の診療報酬の世界でお医者さんたちが本当に尊敬される所得と地位を与えられるようにしていきたいなと思うんですね。そんなことで薬価制度の改革を今議論させていただいております。  それから、老人医療につきましては、これは今御指摘のとおりでございまして、国民健康保険と並んで市町村の中の老人勘定で処理させていただいております。ところが一方、保険組合の方の現役でサラリーマン等がおられる方々は病気を余りしないわけですから収支はいいわけですね。しかし、拠出金を老人保健の方へ出していただかなくちゃいけないというので、一定比率で拠出をお願いして経理はやっておるんですが、景気が低迷して健保組合等の保険料もなかなか上がらない、拠出金が非常にままならぬという状況もございますので、この老人医療制度をどうしても維持していくためには、やっぱり独立した老人保健医療制度にすることが必要ではないかという議論がございます。  それから、一つの方法としては、健保組合等が先輩、OBを全部抱えてオールジャパンで一つの保険集団にして面倒を見るようにしたらどうかとか、今二つくらいの案がございまして検討中でございます。  なお、七月から薬剤費の、七十歳以上の方々と六十歳以上の身体障害者その他の方々にはこの負担を国がかわってやる、つまりその方々は自己負担をせぬで済みますが、これは応急的、臨時的な措置として私どもが考えたものでございまして、抜本改革は来年の平成十二年からやりたいということでございますから、それまでのつなぎとして、非常に医療機関にかかる回数の多い年輩者の方々等に配慮し、また現下の経済情勢等を勘案して決定したものでございまして、パーマネントにこの制度を続けるつもりはございません。  なお、最後に、医療提供体制の問題が非常に重要な問題としてもございます。例えば医療のレセプトの開示でありますとかインフォームド・コンセントというような問題、情報開示の問題等がございます。これからの医療はやはり医者にかかる国民がその医療の給付内容を知ることも必要だと思います。そういった点からインフォームド・コンセントとかレセプトの開示の問題が議論されております。  なお、医師の研修の問題も議論されております。これは、今は大学を出ますと国家試験に受かれば開業が直ちにできますが、これからは二年くらいの期間、研修医制度を設けてはどうかというようなことも議論されておる。  つまり、今いろいろちょっと詳しく申し上げましたけれども、それらの項目について全体としてやはり整合性のあるもの、これはみんなそれぞれ関連をいたしておりますから、そういう中で医療保険がこれから持続できる制度にしていこうという改革をやろうとしておるわけでございまして、何とぞいろいろ改革についての御理解も賜りたいと思います。
  331. 竹山裕

    竹山裕君 いよいよ来年四月から始まる介護保険制度について伺っておきます。  昨年の秋にこの介護認定の予行演習といいますか第一次判定といいますか、各市町村で行われていろいろな問題点が浮き彫りにされてきているということでありますが、第一次の判定は調査員による八十五項目の基本調査をコンピューターで判定するもので、第二次は一次との関係で本番へ向けての二次判定、コンピューターの判定ソフトを改善するなどいろいろな修正率の改善をすべきだというような意見や、コンピューターの判定にとらわれるのか、いろいろ意見があるようでございますが、本番スタートへ向けましてのこの一次判定、二次判定のことについての問題。それから、要介護認定の水準について、受ける保険サービスの金額の格差、五段階評価の最も重い要介護Ⅴは月当たり三十五万円の支給が受けられることになるわけですが、それだけは、判定結果に関しては本人、親族の間から不平不満が聞かれることが頻繁に起こり得ます。また、要介護認定の見直しも定期的にする必要があろうかと。  厚生大臣の、この要介護認定後のアフターケアといいますか、不満やなんかに対応するお考えを伺っておきたいと思います。
  332. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 私どもは法律の定めるところによりまして、平成十二年の四月からこれを完全にスタートさせたいということで万般の準備を行っております。  その中で、私どもが一番今まで議論もされてきたのは介護認定の問題でございますが、今、委員の御指摘のように、これが公平公正でないといけません。そして、それを一次的にはコンピューター処理で、今御指摘の八十五チェックポイントで判定をいたしまして、後、審査会でかかりつけ医等の判断も交えて最終決定をするわけでございますが、今般、ほとんどの市町村でモデル的に実施いたしました。その結果、多少疑義を持たれる、あるいは不安感を持たれるケースも多いわけでございまして、今この見直し等をやっております。  なお、第一次コンピューターの処理がブラックボックスであってはいけないと思うんです。やがてこれは公開していかないといけない。だから、批判に耐え得るものでなければなりませんので、介護認定というのは、広域的にやるということで今進めておりますけれども、私は円滑にやっていきたいなと思っています。  なお、制度の仕組みその他は申し上げませんけれども、市町村の事務関係、コンピューター処理の事務経費その他万般は補正予算を通じてかなり充実してきております。  なお、介護費用がどのくらいになるかという点は、今各市町村におきまして、例えば所得の高い人、低い人、それから老健施設の多いところ、あるいは療養型病床群が非常に多いところと少ないところ、いろいろこれは事情が違いますので、例えば老健施設でありますとか療養型病床群でありますと単価がどうしても高くなります。そういう施設が多いところの市町村の保険者の集団はやはり保険料も高くなるということもございますので、それらも見ながら適正な保険料負担もお願いしなくちゃなりません。  それも、標準的な保険料を算定した上で私ども政令を改正いたしまして、所得によって五割増の保険料もいただける、また低所得の方々には五割減、あるいは条例によってそれ以下もさらに可能だというような手はずも今やっておりますし、それから給付の一割負担もお願いしておりますが、実際に支払うことのできない方々もございますから、そういった点は高額医療制度に倣って、かなり思い切って負担の問題は扱っていきたいというように思っています。  それから、もう一つは市町村間の財政調整の問題がございますが、これは調整交付金あるいは安定交付金を使って地方団体が不安のないようにしたい、保険者である地方団体が不安のないようにしたいというようなこと、万般はいろいろ今考えつつやっておりますが、何としてもこれは初めての制度でございますので、医療と福祉のはざまをどう線引きをして、どちらへどうするかというような非常にいろいろな問題がございます。  なお、今例えば特老に入っている人あるいは老健施設に入っている人でも、判定で要支援以外で自立と判定される方も中には出てくると思います。しかし、これは社会保険である介護保険で見るわけにまいりませんから、老人保健事業をさらにこれから充実するとか、総合的にいろいろ対応していかなければいけない、こう考えております。
  333. 竹山裕

    竹山裕君 いずれにいたしましても、少子高齢化の進展は不可避であるわけで、介護保険制度の充実をあわせて進めていかなければならない。地方によって受け入れ設備やマンパワー体制の段差、格差があると伺っておりますので、厚生大臣は介護保険実施に当たって万全の体制でそれに臨むと。初めての試みという難しい面もありますが、さらに中長期的な推進体制の整備も同時に進めていかなければならない。  こうした面での厚生大臣の御決意を伺っておきます。
  334. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 社会保障の中で、年金は社会保険のシステムをとっておりますし、医療もそうです。介護につきましては、今までは補助金的な福祉施策を中心にしてまいりましたが、もういよいよ高齢化を迎えて、到底家庭介護だけに頼るわけにまいらないということもございまして、社会の責任でお互いに支え合っていこうじゃないかというのが介護保険の制度でございますから、これは国民的な要望も非常に強うございます。私どもの承知している限りでも、絶対にこれは早くやってきちっとしてほしいという要望の方がむしろ非常に多いですね。  ですから、そういうことを踏まえまして、きちっとした体制で四月からできるようにしたいと万般の準備を今整えているところでございます。私は、これについては初めての試みであるだけに、多くの方々から意見をお寄せいただいて、それに基づいてやっぱり準備をしていくことが成功の秘訣であると思います。ただ、頭の中で考えただけではうまくいかないという点はございますので、そういう点から私どもは絶対成功させてスタートさせたいという思いで今準備中でございます。
  335. 竹山裕

    竹山裕君 次に、雇用対策についてお伺いしてまいります。  現下の国内雇用情勢、大変深刻な事態でございまして、昨年十一月四・四、十二月四・三と政府経済対策の効果もあってやや回復しておりますが、依然四%台の高率を占めている。こうした厳しい雇用状況の中で、特に特徴的には、失業の波が中高年層だけでなくて世帯主、四十代、三十代に及んできている、あるいは倒産等によって非自発的失業だけでなくて希望退職、早期退職などが増加している、そして高校、大卒の新卒者の採用枠も縮小しているというようなことが指摘されております。  これらの原因は、不況を背景に企業、特に製造業、大型、中小企業を問わないで本格的なリストラが断行されているからだと思います。言うまでもなく、雇用の悪化、失業の防止は国民生活、社会秩序の維持安定のために極めて重大な政策目標であり、政府も種々の政策ビジョンを実施してきておられるわけですが、抜本的な解決に至っていない。  そこで、まず今後の政府がとられる主要政策についてお尋ねをしていきます。  雇用の維持確保については、昨年の六月の総合経済対策以来、雇用調整助成金の拡充等によって相当程度の雇用維持が達成できていると思いますが、当面はこうした助成方式で雇用を維持する必要があると思いますが、一方では、これら助成金の増加によって雇用保険財政に悪影響が出てきている、深刻な影響を及ぼしていくということ。この緊急事態を突破するのにどうしていくかということをお伺いしておきたい。  また、失業保険受給者も九八年度には初めて百万人を突破するという大変大きな事態になっているわけでございます。失業保険財政は大丈夫なのか、財源手当て等を含めて当面の対応策を伺っておきます。
  336. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 昨年の五月に総合経済対策で雇用対策を組みました。そして、御指摘のとおり、昨年の十一月の緊急経済対策で雇用の安定ということをその対策の柱の一つに据えました。予算も補正と新年度予算合わせて一兆円と、春の規模でいえば二十倍を組ませていただいたわけであります。  中身につきましても、従来の雇用維持、これを、もちろん新しい施策も含めて手厚くするということは当然でありましたけれども、それに加えて、今度は雇用の場をつくっていくという政策まで雇用政策の中で踏み出させていただいた次第であります。法律改正をいたしまして、中小企業を創業する、あるいは個人企業、あるいは新分野に分社化等で進出していく、その際の支援施策を強化させていただいた、あるいは新設をさせていただきました。  加えまして、新しいセーフティーネットといたしまして、従来からある中高年齢者を雇い上げた場合に加えて、非自発的失業者を雇った企業に対しましてはさらに緊急雇用創出特別基金というのを創設いたしました。  また、ホワイトカラーの離職者が深刻になっております。職業訓練等におきまして、従来のブルーカラーに加えまして、ホワイトカラーを幅広に充実させていただいた次第であります。  また、雇用情報のネットワークをつくりまして、いわゆる情報のミスマッチを解消するということ等をさせていただいたわけであります。  こうした施策のうち、第一点目でありますけれども、中小労確法の改正に基づきます中小企業の支援、これとかあるいは中高年労働の移動支援特別助成金、あるいは中高年の休職者の就職支援プロジェクト等につきましては本年一月より実施をしているところであります。また、特別基金につきましては、沖縄におきまして一月の三十日から発動をさせていただきました。  それから、二つ目の雇用保険の会計が大丈夫かというお話であります。  正直申し上げまして、取り崩しが相当多額になっております。十一年度予算におきましては九千八百億ほどの取り崩しでありますから、こういう状況がずっと続くとすると、いろいろ考えなくちゃならない事態になるわけであります。これは、失業者がふえて雇用保険の給付対象者がふえているということが一番大きい原因でありますが、景気の動向それから失業率の動向によって大きく左右をされますものでありますから、当面は推移を見守っていきたいというふうに思っております。
  337. 竹山裕

    竹山裕君 次に、雇用の創出面についてお伺いいたします。  昨年十一月の緊急経済対策では、政府は雇用の維持確保でなく、雇用の新規創出を図るということで、二〇〇一年までに百万人雇用創出・安定ビジョンを表明したわけであります。これを受けて産業再生計画、大変具体的に示されました。  戦略的にバランスのとれた政策ビジョンであると思いますが、問題はこうしたいわゆる構造改革を行う際に必ず痛みが伴うわけで、それが先行してしまう。企業体質を改善し、競争力を強化し、新しい分野を開拓する前に、まず人員の精鋭化、既存部門のスリム化が先行してしまって、当然これは当面の雇用には需給ギャップの拡大として作用してしまう。我が国の今日の経済状況では、ますます雇用面にはマイナス面として動く可能性があるわけであります。  政府は、雇用維持のためお話しのセーフティーネットを維持しつつ、こうした構造改革を推進していくこととしておりますが、実際には非常に難しい課題であり、例えば百万人の雇用創出ですが、その内訳はベンチャー企業開発に三十七万人、産業雇用ネットワークの整備、中高年雇用促進のための緊急雇用創出特別基金設立によっての人材移動の円滑化で六十三万人という百万人への雇用の創出でありました。  現在の産業再生計画、二%程度の経済成長、ネットでの百万人雇用増が達成できるという点では大変考えにくいわけでありますが、ネットで百万人雇用をふやすためにベンチャー企業への集中的な前倒し的支援、有望な新規産業分野への選択的支援がもっと必要なのではないかと思いますが、御見解を伺っておきます。
  338. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘のとおり、百万人の雇用創出・安定は、安定部分が主になっております。それは、労働移動助成金だけではなくて、各般の施策を通じまして、六十四万人ほどほうっておけば失われていく仕事を支えていこうという部分があります。創出部分は三十七万人でありまして、これはGDPの押し上げ効果の反転部分と、あとは昨年の秋に法律改正をしていただきました労働力確保法を使ったものが六万人弱であります。  ただ、この数字につきましてよく御指摘をいただくのでありますけれども、秋にこのプランを策定した時点ではじける、少なくとも数式にのっとってはじける数字はそういう内訳であると。ただ、それで終わりではないことは衆議院でも申し上げてまいりました。  政労使の雇用対策会議の席上で、とにかく目標値を、数字を置こうじゃないか、そして当面できるもの、それから後から追っていけるものがあってもいいというお話のもとに掲げさせていただいたわけでありまして、今、政労使雇用対策会議では事務局会議というのを行っております。関係省庁の課長クラスが具体的に話を詰めておりまして、先般、労使から提出をされました、創出で百万人近くできるじゃないかと、安定じゃなくて。その案を具体的に落とし込んでいくとこのぐらいの数字になるじゃないかという議論をさせていただきました。労使から提案をされた数字とは少し違うのでありますけれども、そういう作業も進めさせていただいております。  あるいは、産業再生計画が先般策定されましたが、まだそれがどう具体的な数字にはね返るかという精緻な算定がなかなかできないようでありますが、これも実はできるだけ努力をお願いしているところでありますから、百万人の創出と安定、創出部分が現況は三十七万でありますけれども、必ずこれが大きくなってくるというふうに確信をいたしております。
  339. 竹山裕

    竹山裕君 触れましたベンチャー企業育成の問題について、何か付言して、もちろん時間と労力と資金のかかるテーマでございますが、ベンチャー企業育成について、通産大臣ですか。
  340. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 既存のいろいろな会社がやっておりますことのほかに、やはり新たな分野で新しい産業を生み出していくということが今後日本の発展、繁栄のためにどうしても必要でございます。具体的には、雇用を吸収するという意味では新規産業と言ってもいいですし、また新たな分野に挑戦するベンチャー企業と言ってもいいんですが、こういうものを日本の社会が生み出していかなければならないというふうに考えております。  ただ、話はそう簡単ではございませんで、新しい仕事を始めようとする方はやはり資金がどのように手に入るかということについても心配されておられますし、一人ではできないので人材を確保しようということが必要になってくるかもしれませんし、またもう少し技術が欲しいという場合もあるでしょう。しかしながら、今後、雇用のことを考え、あるいは二十一世紀の日本の発展を考えますと、新しい企業、新しい産業を生み出していくということは我々の世代のまさに責任であると考えておりまして、私どもは、人材確保の面、資金確保の面、あるいは技術確保の面とあらゆる側面からベンチャーが育つ、そういう土壌をつくり出していきたいと思いますし、また過去においても税制の面でもあるいはその他の制度の面においてもベンチャー企業育成のためにいろいろな政策をとってまいりましたが、今後ともそのような土壌をさらに制度的に広げていきたい、そのように考えております。
  341. 竹山裕

    竹山裕君 雇用対策、抜本的な面でもう一つ伺っておきます。  昨今の不況の原因を考えてみますと、金融関係の不良債権問題を契機として大型企業の倒産などが相次ぎ、国民が先行き不安を感じている。企業経営者や消費者心理に悪影響を及ぼしたという面で多面的に心理的な側面はあるわけでございますが、政府の打ち出す改革は内容的には適切なものだと思いますが、一方ではいかにも緊急事態発生というような感じが、そうするためではないんでしょうが、強調され過ぎますと、そうした感じを国民がいち早く察知して、緊張感が高まって、一層財布のひもが締まる。そういう意味では、「確固たる意志を持った建設的な楽観主義」と総理も言われておりますが、そういうものも必要かと思います。その点で、小渕総理の提唱された生活空間倍増戦略などは国民に希望を抱かせるビジョンだと思います。  小渕総理、新しい世紀に向けての政府の長期ビジョンを近々明らかにされると伺っておりますが、経済審議会において内容が検討されております。ぜひ、このビジョンによって景気そのものが回復し、ひいては深刻な雇用情勢を改善するようなものをつくっていただきたいと思いますが、御見解を伺わせていただきます。
  342. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 一月十八日に小渕総理大臣から経済審議会に対して諮問がございました。従来は経済計画という形でございましたが、今回は十年ぐらい先を見たあるべき姿とそれに至る政策を問うという形で御諮問をいただきまして、今五つの部会をつくりましていろんな面からこれを検討しております。基本問題を考える企画部会、経済構造を考える構造部会、あるいはグローバル化の問題を考える部会、それから国民生活文化を考える部会、さらには地域経済と社会資本を考える部会、そういう観点で広い人材を集め、衆知を集めて目下検討しておりまして、できればことしの中ごろぐらいまで、来年の新政策予算までに一つの案を出したいと考えております。  その中では、委員御指摘のように、国民に将来の日本のビジョンというか安心感を与える日本像をつくれるように、非常に広い選択肢の中から考えていくようにしていただきたいと私からもお願いしている次第でございます。
  343. 竹山裕

    竹山裕君 ありがとうございました。  それでは、農林水産関係に移らせていただきます。  昨年九月の食料・農業・農村基本問題調査会の答申によって、さらに昨年十二月の農政改革大綱を受けて、今国会に現行農業基本法にかわるものとして新たな基本法が提案されることになっております。  昭和三十六年に現行の農業基本法が制定されて以来、実に三十八年の歳月が流れようとしております。しかしながら、現行農業基本法については、この間、現実の農政との乖離が甚だしいなどといろいろ御批判がありまして、一度も実質的な改正が行われることなく現在に至っているわけであることもまた厳然たる事実であります。  今回、食料・農業・農村基本法(仮称)が提出されるに当たりまして、これまでの農業基本法と基本法農政を初めとする一連の戦後農政をどのように総括されるか、まず農林水産大臣にお伺いをしておきます。
  344. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生御指摘のように、このたび新たな食料・農業・農村に関する基本法を国会で御審議いただくわけでございますが、戦後の農政を振り返ってみますと、現行の基本法に基づく農政におきましては、農業と他産業との間の生産性と生活水準の格差是正を図るため、経営規模の拡大等により生産性を向上し自立経営を広範に育成すること、農業生産を需要の伸びているものに転換し総生産を増大させること等を目指してまいりました。  このうち、農業の生産性につきましては、機械化の進展等により相当程度向上しましたが、他産業の生産性が高度経済成長により同様に向上したため、他産業との格差是正には至りませんでした。また、農業従事者の生活水準については、農外所得を含めた農家世帯の所得水準が勤労世帯のそれを上回る水準に達しましたが、専業農家の所得水準については依然として勤労者所得を下回っております。  土地利用型農業の経営規模の拡大については、北海道におきましては進展いたしましたが、都府県においては兼業化の進展や農地の資産的保有の強まり等により期待どおりには進展せず、結果として自立経営の広範な育成も実現されませんでした。  そして、農業従事者の高齢化あるいは農村の過疎化が進展、進行しております。  農業生産につきましては、選択的な生産が進められ、米、麦中心の生産から畜産物、果実の生産が拡大し、総生産を増大いたしました。しかし、五十年代以降、需要が頭打ちになる中で輸入が急増し、総生産の増大は制約されております。さらに近年、特に安全な食糧の安定的供給に対する要請あるいは農業農村の持つ国土の多面的機能、水源涵養とか国土保全とかいったことに対する期待の高まり等、現行基本法では予想していなかったものについてのニーズも高まっております。  このように、国民が農業農村に求めている現下の農政の諸課題に対して、もはや現行基本法に基づく農政では対応が困難となってまいりましたので、このたび新たな政策として新しい基本法づくりをし、今後、今国会におきまして御審議をお願いしているところでございます。
  345. 竹山裕

    竹山裕君 次に、水産関係についてお伺いいたします。  漁業白書が述べているように、四海、海に囲まれた我が国における水産業、水産資源を海洋から食卓へ、魚食民族、日本世界一の長寿を誇っているのもこの水産動物たんぱくの供給があればこそという自負もあるわけでありまして、我が国は平成八年七月の国連海洋法条約の締結のもと新しい漁業秩序のもとで資源の適切な管理と有効活用に取り組んでおります。  また、去る二月五日の新たな日韓漁業協定に基づいて操業条件をめぐる交渉がようやく決着をいたしまして、農林水産大臣はもとより事務当局の御苦労を多とするわけであります。  しかし、残念ながら、我が国周辺水域における水産資源の管理体制はなお不十分であり、課題は山積していると言えます。日本と韓国の間では竹島の領有権問題を棚上げするということ、また暫定水域内での操業が未決着のまま先送りになっております。中国との間では、日中漁業協定が署名されたまままだ発効しておりません。枯渇が懸念される周辺の水域での水産資源の維持管理が喫緊の課題でありまして、日本海の豊かな海が再生でできるように、農林大臣の一層の御努力をお願いしておきます。  そしてまた、水産関係では、同じく水産基本法の制定も言われているわけでございまして、従来の沿振法にかわるものとして新たな基本法の制定を望む強い声も出ておりますので、あわせてこの辺について御決意を農林水産大臣にお伺いして、私の質問を終わります。
  346. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 新たな国連海洋法条約のもとで、日本あるいはまた近隣の中国、韓国等が適切な資源管理をしながら、魚文化を持続し発展させていくということが大変必要だろうと思います。  そういう中で、今、先生御指摘ありましたように、昭和四十年以来の日韓漁業関係が新たな時代に入り、一月二十二日に発効、そして二月五日に合意に至って、本日正午から操業再開が可能となったところでございます。しかし、この後もきちっとした資源管理のために日韓間で詰めていかなければならないことがございますので、日韓漁業共同委員会でできるだけ早期に合意が得られるようにしていきたいと考えております。  また一方、新しい日中漁業協定につきましては、操業条件等の話がまだついておりません。しかし、日中双方ともできるだけ早く発効させるということで意見の一致は見ておるところでございますので、外務省ともよく連携をとりながら早期発効に向けて努力をしていきたいと考えております。  また、新たな基本法の制定につきましては、先生からも今お話があったように、新たな時代の漁業、そしてまた漁業資源あるいは漁業に携わる方々の環境の変化等々の中で、沿岸漁業等振興法の観点だけではない新たな基本法というものを念頭に置きながら、現在、水産基本政策検討会で御審議をいただいておるところでございます。時代に合った新しい形の水産の基本法づくりというものに向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  347. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。鴻池祥肇君。
  348. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 総予算が参議院にやってまいりました。長丁場でございますが、小渕総理初め閣僚の皆様方には悪性のインフルエンザなどにお気をつけいただきまして御精励くださいますことを祈念申し上げる次第であります。  そのインフルエンザについてお聞きをしたいと思います。  猛威を振るっているようでございますが、連日の新聞やテレビを見ておりますと、福岡の病院で何人亡くなった、宮城でどうの、横浜で十二名が亡くなった、こういうことが大きく報道されておりますので、国民の間で大きな不安が広がっております。  二月十五日の読売新聞の調査によりますと、ことしのインフルエンザが原因でお亡くなりになりました方は現在までに全国で二百三十六人という数でありますが、これは例年に比べて異常に多い数であるかどうか、お聞きしたいと思います。  また、昨年の調査では幼稚園から高校までの子供たちだけで百二十七万五千人がインフルエンザにかかったということでありますが、ことしの患者数はそれに比べてどうなのか、今後も患者数は増加するんだろうかということも聞きたいと思っております。  また、昨年は過去十年間で最大の流行と言われた年でありますが、昨年の大流行に基づいてことしはどんなインフルエンザ対策をとってきたのか。また、インフルエンザの予防にはワクチンの接種が有効であると聞いておりますが、本年度のワクチンの接種状況は昨年に比べて改善されているのか、ワクチンの生産能力は向上しているのか、供給体制は十分であるのかといったことをお聞きしたいと思いますが、政府委員にお答えをいただきたいと思います。この次の国会からは政府委員がいらっしゃらなくなるということで名残惜しい限りでございますので、しっかり御答弁をいただきたいと思います。
  349. 伊藤雅治

    政府委員伊藤雅治君) インフルエンザの流行状況につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  インフルエンザの流行状況につきましては、まず全国の小中学校などを対象といたしまして学級閉鎖、学校閉鎖などの状況を報告していただいておりますが、ことしの流行状況につきましては、一口で申し上げますと平年並みでございます。昨年が過去十年間で最も流行した年でございましたが、昨年の患者数と比較をいたしますと約三六%の患者数ということになっております。  また、全国二千四百カ所の医療機関にかかったインフルエンザ様疾患の患者数を報告いただいておりますけれども、この報告によりますと、例年よりやや多目の推移をたどっておりますが、昨年のシーズンと比べますと約半分程度の流行の規模となっているわけでございます。現在、このインフルエンザが最も流行する時期は終わったものと判断しておりまして、例年どおりの動きを示すとすれば今後近いうちに終息するものと考えられます。  なお、インフルエンザによる死亡者の数でございますけれども、現在の厚生省の統計によりますと、人口動態統計におきましては迅速に把握できる制度になっておりませんが、平成九年のインフルエンザによる死亡者数は八百十五名でございます。したがいまして、ことしの冬のインフルエンザの流行による死亡者につきましては、現時点では多いか少ないかにつきまして正確な判断はできないわけでございますが、私どもといたしましては、インフルエンザの死亡者の把握につきましてできるだけ迅速に把握していくという観点から、ことしの四月から施行されます新しい感染症法に基づきまして総合的なインフルエンザ対策を進めるための指針を策定することにしておりまして、今後この指針の中で迅速に死亡者の数を把握していく制度を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  350. 中西明典

    政府委員(中西明典君) ワクチンの状況でございますが、本年のインフルエンザワクチンの製造量につきましては昨年冬の約二倍の百五十三万人分が製造されたところでございますが、一月末におきましてワクチン需要が急激に増加いたしまして、流通在庫が二十九日の時点で約十五万人分という状況になったことから、二月三日に薬の卸の団体の方に、卸売業者間でのワクチンの相互融通も含めて、供給に支障を来すことがないよう協力を依頼したところでございます。  今、直近の状況を見ますと、ほぼ需要につきましては落ちついた状況にございまして、流通在庫量や医療機関の保有量を勘案し、またインフルエンザ自体が終息に向かっているという状況からいたしまして、ワクチンが足らなくて困る、こういう状況にはないのではないかというふうに考えております。
  351. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 今回、特に問題とされていますのは、老人施設における集団感染であります。  この場合、老人施設の運営というのは民間の社会福祉法人が行う、インフルエンザの予防対策は自治体の保健所が中心となってやる、インフルエンザにかかると治療は医療の専門機関が行うという分業体制に抜け落ちる点はなかったのか。よく言われるところの保健、医療、福祉の連携が官民の間で十分に密接に行われていたのかどうか。この点の対策を中心に御答弁をいただきたいと思います。
  352. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘は、インフルエンザにつきまして保健、福祉の面と医療の連携の問題だと存じますが、特別養護老人ホームとか老人保健施設には元来病気に対する抵抗力の非常に弱いお年寄りが入所しておられますから、常勤または非常勤の医師を配置することとしておりまして、このお医者さんが常に入所者の健康状況に注意するとともに必要な措置をとるように指導いたしております。  また、インフルエンザに感染した入所者につきましても、投薬とか病院への入院などの対応を施設の医師が判断いたします。これは協力医療機関、病院を指定しておきまして、そこと連携をとりながらやらせていただくということでございます。  なお、ワクチンの問題は今、局長から御答弁申し上げましたように、これは任意接種でございますけれども、そういう呼びかけを入所者、職員に対しまして行って、なるべく予防措置ができるように指導していきたいと思っております。  それから、インフルエンザに関します情報、予防方法あるいは患者が発生した場合の対応方法等を盛り込んだいわゆる特別養護老人ホーム等におけるインフルエンザ予防対策マニュアルというのを作成して配布もいたして、医療機関と密接にとにかく連携しながら、適切な処置ができるように周知徹底を図るように努力いたしております。
  353. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ところで、猛威を振るっておりますインフルエンザも、実は基礎体力というものが十分で免疫力が高い健康な人にはかかりにくい、またかかっても大したことにならずにすぐに治る、こういうことだそうであります。  そこで、日本経済にこの基礎体力というものを置きかえてみますと、昭和三十年代までの日本経済は非常に基礎体力がなかったわけでありまして、アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪を引く、このようによく言われておりました。ところが昭和四十四年、今からちょうど三十年前にGNP世界第二位を達成いたしまして以来、その後毎回にわたる経済危機というもの、これを国民的努力で克服してまいりました。その後、少々アメリカが風邪を引きましても日本は感染しづらくなりました。感染しても二、三日休養すればすぐ回復をする、それだけの体力を維持してきましたし、維持する努力を続けてきたわけでございます。    〔委員長退席、理事矢野哲朗君着席〕  また、現在も十分にその体力があるのではないかと私は考えているわけでありますけれども、まずこの点の御認識、つまり私の言葉で言います日本という国家の基礎体力というものにつきまして現状をどのように認識しておられますか、総理にお伺いをしたいと思います。
  354. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、鴻池委員御指摘のように、日本経済のファンダメンタルズと申し上げましょうか、この大きさというものは、率直に申し上げて日本人がみずから考える以上にかなり大きいものだという世界の批評があることは御案内のとおりでございます。  どういうふうに計算するかということでありますけれども、まず巨額な対外資産約百二十五兆円というものがございます。また、言われますように個人貯蓄、これは約一千二百兆円、そしてまた高い技術力に支えられた製造業の底力、そして日本人の勤勉な資質、こうしたものを考えますと、国際的に比較して極めて強固な基盤が存在しておるということは自信を持ってよろしいのではないかと考えております。  ただ、現在我が国の経済が、金融機関の経営に対する信頼の低下、雇用不安などと重なりまして、家計、企業ともにマインドが非常に冷え込んでおりまして、そのために消費、設備投資、住宅投資といった最終需要が減少するなど極めて厳しい状況にあることも事実であります。ただし、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入りまじりまして、変化の胎動も感じられる、こういうことでございます。  私は、この平成十一年を経済再生元年と位置づけておりますが、思い切った諸施策を果断かつ強力に推進し、日本経済の再生に全力で取り組んでまいるつもりでございますが、現下のこの不況の状況というものにつきましては、堺屋長官がしばしば申し上げておりますように不況の環という悪循環が起こりつつありまして、これをどこかで断ち切らなければならない、また断ち切ることができればよき循環にめぐっていくということだろうと思います。  今、委員が御指摘のように、かつて戦後の経済不況といういわゆるそういう時期を迎えましたが、二、三年ということかもしれませんが、ともかく回復基調におりまして、不景気のある意味の循環的なものであり、時が至ればという感じがいたしておったわけですが、現下はある意味では豊かさの中の不況といいますか、消費につきましても、かつて物不足の時代におきましては非常に国民の需要の喚起というものが早く到来いたしましたが、現在はなかなか、今小型自動車とかあるいは白物の電気製品とか、その他幾つかの点には非常に好調な分野もございますけれども、一挙にすべて消費が拡大いたしていくという環境にない新しい状況の中での景気回復に対する対応という難しさがあろうかと思います。  今時点におきます状況につきましては、堺屋長官からあるいは詳しく御説明をさせていただければ幸いだと思っております。
  355. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ただいま総理から詳しくお話をちょうだいしましたけれども、大蔵大臣経済企画庁長官にも今の御認識を聞かせていただきたいと思います。
  356. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昔のことから思いますと、先進国に追いつけ追い抜こうという、そういう目的感がなくなってしまいましたものですから、どうもエネルギーがすっかり静かになってエンジンが、これは余り置いておきますと冷え過ぎてしまうような心配がございます。しかし実際は、これは一たん動けば相当な力がございますものですから、今こうやって苦しんでいるのももしかしたらエンジンがだんだん暖まっていこうとする過程じゃないかというふうに思っていまして、とにかく二十一世紀には全くある意味で違ったことをして、もう一遍世界に出ていかなければなりませんので、そのことは国民はみんな意識し始めているのではないかと思っております。
  357. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員御指摘の例えで言いますと、日本の基礎体力は大変大きなものがございまして、その点は小渕総理がおっしゃったとおりでございますが、ここしばらくバブルの時代から相当不養生を続けてきたのではないか。これがいろんな点で、まず第一に、バブルのときに相当食い過ぎをして体重がふえ過ぎて基礎体力を悪くした、体形を悪くしたことがあります。それから、その後にまたちょっと発熱しているときに不養生を重ねるというようなことがありまして、今かなりインフルエンザが進んでいるような状況だと思います。しかし、これは死に至る病ではございません。日本という経済から見ますと、やはり風邪引きか下痢か、そんな状態でございますから、必ずこれは復活すると思います。  ただ、一番心配なのは、こういう状況が長く続きますと、国民の間に不安感が広がって士気が低下してきますと悪循環が長引きます。したがって、今やはり全力を挙げて経済対策に取り組んでいかねばならない、そのことも諸外国からも期待されているところでございますから、日本としては、今この不況の環を断ち切る、そして同時に、二十一世紀に向かって新しい知恵の時代の社会をつくり上げていく、そういうことに全力を挙げなければならないときだと思っております。
  358. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 大蔵大臣からは、エンジンが今冷えているところで、そのうちにぶるっと動き出すと、経済企画庁長官は、バブルのころに食い過ぎて体重がふえ過ぎたのではないかと、極めてわかりやすいようなわかりにくいようなお話をちょうだいしたんです。  素朴な疑問なんです。基礎体力があるのに、ファンダメンタルズはいいのに、どうしてこんなに景気がよくないのか、回復しないのか、これはもう本当に国民の素朴な疑問でございます。一度引いた風邪がなかなか治らない、これはやぶ医者が効かない薬を出しているんじゃないか。(発言する者あり)野党からそのとおりと言われておりますので戸惑うわけでございますが、内閣の支持率にこれも反映されているのではないかと思うわけであります。  国民の命、財産を守るのが政府としての一番大事な役割ならば、我が国の経済がこんなに病んでおる、この実態が病んでおる、本当は体が立派で強いのになかなか病が治らない、そのためにどうしたらいいのか。病状の説明、そして治療が必要であれば治療方針を説明して協力を求めなければならないのではないかと思いますし、もし痛みを伴う手術が必要であれば、なぜその手術が必要なのか、そして回復までの日時はどれぐらいかかるのか、こういう見通しの説明も必要ではなかろうかと思うのでございます。  大蔵大臣経済企画庁長官にもう一度、ファンダメンタルズは良好なのに景気が低迷している原因は何か、その原因をどのように克服しようとしているのか、その対策に国民の協力が必要なのかどうか。そうであれば、国民はどのような協力をすればよいのか、お答えをいただきたいと思います。
  359. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 現在の日本の病状は、三つの症状が重なっていると考えております。  まず第一に、短期波動といたしまして、九七年の初頭に頭を打って下り坂に入っている、そういう短期波動の下り坂になっております。そこに一昨年の四月に過重な増税等をしたことも、ちょっと風邪引きかげんのところに冷や水をかぶせたというような悪影響もあったと思っております。  もう一つ、二番目には長期波動といたしまして、あのバブルを頂点として下り坂になっている、これがかなり大きな負の遺産を積んでおります。今太り過ぎと言いましたけれども、そういうぜい肉がついておりまして、これが相当長期の患いとなってきました。この患いを、本来ならもっと早く撤去すべき、回復すべきところでございましたけれども、先延ばしが続きまして今日までたまってしまったということであります。  そして、第三番目には、ちょうど日本経済が中年を迎えまして、今体質を改善しなきゃいけない、従来の規格大量生産で追いつけ追い越せの時代から新しく創造力を持った世の中に変えていかなきゃいけない、それはもう社会全体の構造変化が必要な問題、この三重の問題がかぶっております。  それで、これに対しまして、治療法といたしまして、まず第一に、バブルの崩壊以来たまりました一番の問題点は、やはり金融システムの悪化でございます。これを除去すべく、金融対策、金融再生法案等をお願いいたしまして、今まさにその問題に入っております。  その次には、需要不足を解決しなきゃいけない。これは短期波動の問題でございますが、この点につきましては、公共事業の拡大あるいは減税等を行いまして需要刺激をしているところでございます。  そして、あわせて雇用の問題あるいは雇用制度の問題、さらには新しい業を起こす、起業の創出、そういったことから多様な知恵の時代に対応する経済構造、社会構造をつくり上げていこうということでございます。  この最後の問題につきましては、先ほど竹山委員からも御質問をいただきましたように、経済審議会あるいはさらに小渕総理大臣考えておられる日本全体についての未来像の検討等を含めて、ことしの前半のうちに、中ごろまでには一つの目標値をつくり上げていって、国民の方々に新しい日本像をもって安心していただけるようにしたいと考えております。  病が三重でございますから、日本の対策も三重に必要であります。その中で、特にこれから投資が拡大するまでの間は、やはり各企業のリストラ等が進みまして、さらに悪い数字、特に雇用のような後次的な、おくれがちに出てくる数字では悪い数字が出てくるだろうと思いますけれども、これをやはり乗り越えて、痛みを乗り越えてやらなければならない、そういう時期が今まさに景気回復の胸突き八丁のところに来ているんじゃないかという感じを持っております。
  360. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 金融機関の不良債権処理がおくれた大きな原因で、基礎体力はあるけれどもなかなかインフルエンザが治りにくい。これはもう当然のことであろうかと思いますが、長官が今るる御説明をいただきましたけれども、お触れになりませんでした。私は、こういう問題についてはそれほど知識が深い者ではございませんけれども、もう一つ大きな要因があるのではないかと思います。  それは、BIS規制、これではないかというふうに思うんです。体が元気であればばい菌が入ってきたらはね返す力がありますけれども、国というのはやはり意思を持って発言をきちっとしなければならない。そういう菌をストップさせるような果たして発言をしておったか。それは、しておったからいいのか、してこなかったからいいのかということは、私は今申し上げたようにわかりません。しかし、BIS規制というものが日本経済の足を引っ張ってきているんではないかという気がしてなりません。八%以上にしなくてはならない、十年前に国際決済銀行が定めたルール、このルールをクリアするために各銀行というのは今公的資金の導入や増資によって自己資本を高めようとしておる。片方、自己資本比率の分母である総資産の圧縮を行っているわけでありますけれども、それが貸し渋り、既存貸し付けの回収にあらわれておるような気がして私はならないわけであります。  昨年十二月、保証協会枠の拡大により貸し渋りはかなり解消をされた、そのように報道もされておるわけでございますが、実態はなかなかそういうことではありません。逆に、銀行の姿勢は現在非常にはっきりしていて、優良貸出先、つまり利益を上げている企業にしか貸さないという姿勢がありありと見えております。貸出先がどんどん減ってきて、このまま三月期決算を越えれば新規の貸出先はゼロになるんじゃないかというような、私の友人の銀行マンも笑いながら言っておるようなところでございます。  戦後五十年間、日本企業の資金調達を円滑に行い日本経済の発展を支えてきた銀行による貸し出し、つまり間接金融が完全に先細りになるのではないか、このように思っております。これでは幾ら税制面で優遇しても民間の設備投資はふえない、このようにも思います。他方、BIS規制をクリアできない銀行はどんどん海外業務から撤退してきているわけでございます。  このBIS規制、外国為替銀行は自己資本比率八%以上という規制は条約でもなければあるいは法律でもない、何ら法的根拠のない先進国間での銀行同士の取り決めであろうかと思いますけれども、しかしこの取り決めはどう考えても日本銀行に不利、アメリカ、イギリスの銀行に有利なルールではないかと私は思います。日本銀行アメリカ、アジア、ヨーロッパ金融市場から締め出すためにつくられた、考えられたルールではないかとも思うわけでございます。これがグローバルスタンダードだといって押しつけられ、十年間続いているわけでありますけれども、この十年間で日本銀行は見事に現実に締め出されてきているわけであります。  そこで、先進主要二十五カ国の銀行の海外融資残高はこの十年間でどのように推移したか、邦銀のシェアはどのように低下してきたか、また円建て決済比率は国際金融世界の中でこの十年間どのように変化したか、数字で御説明をいただきたいと思います。
  361. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  お尋ねの先進主要二十五カ国全体についての我が国からの融資額といいますのは、実はBISの国際与信統計によりますと、一九九七年十二月末現在では約五千六百五十億ドル、これは当時一ドル百三十円で計算いたしまして約七十三兆五千億円でございました。それから、一九九八年、昨年の六月末現在で約五千三十億ドル、これは昨年の六月末現在一ドル百四十一円で計算いたしますと約七十兆九千億円と、こうなっております。  今のところ、このBIS統計につきましては、十年間の分はございませんが、しかしこの二年の統計をとってみましても、確かに平成九年から平成十年までのこの一年間の間には円で計算いたしましても少なくなっておりますし、ドルで計算しても少なくなっているといった状況にございます。
  362. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 私はどう考えても、このBIS規制というのはアングロアメリカン・スタンダードでしかない、このように思えてなりません。日本銀行を国際金融世界から締め出して、次には我が国に対して国内に貸し渋りの状況をつくり出し、その片方で、日本経済の低迷がアジア不況の最大の原因である、もっと金融を緩和して民間設備投資を多くしろ、内需拡大をしろ、景気をよくしろ、こういうキャンペーンが張られるわけでございます。これは、手足を縛って、さあ泳げ、しっかり泳げと、このように言われているのと同じじゃないかと思います。  日本の景気をよくしろと要求されるならば、BIS規制八%を四%に下げましょう。いや、一たん廃止して、我が国経済が安定回復の基調に戻った時点で再協議しましょう。そうすれば日本の景気回復は確かなものになりますし、アジア諸国に対する民間の融資ももっと増加します。これがアジア経済の回復、ひいてはアメリカ経済ヨーロッパ経済に好影響をもたらしますと主張してはだめなのでしょうか。  日本銀行がどんどん海外拠点を閉鎖して撤退してきている今現在、円の地位向上、円の国際化などと言っても私はどうも空虚に聞こえてなりません。これがグローバルスタンダードだと、水戸黄門の印籠のようにひれ伏する、これはやはり私はきちんと我が国の国益に沿ってそれをはね返す免疫力にすべきと考えますが、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  363. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はただいま銀行行政に直接かかわっておりませんのでかえって申し上げやすいかと思いますのですが、確かにBIS規制が行われたその過程において、我が国の銀行が、プラザ合意後ぐらいは、もう世界の十のうちみんな日本銀行だなんということが一遍ございました。    〔理事矢野哲朗君退席、委員長着席〕  ただ、そのころに、先ほどアングロサクソン云々とおっしゃいましたのは、確かに考えが落ちますのは、我々は非常に薄い利益で仕事をする国、銀行も製造業もみんなそうでございますし、そこへいきますと彼らはかなり厚い利益で仕事をしておると思います。したがって、BIS規制のようなことをやりますと、厚い利益を持っているところはやっぱりそれに耐えられるし、薄い利益でやりますところはなかなかそれに耐えていけないということがございますから、薄い利益で暴れる人間を縛る、結果としてそういう作用をしたということはある見方からすれば言えるのだろう。これは政府見方として申し上げるわけじゃございませんが、そうおっしゃいますから、そういうことが言えるんだろうなと思っています。  ですから、もう一つ先を言えば、BIS規制というものが日本の薄い利益で仕事をしてきた金融機関を非常に苦しめているのではないかというのはやっぱりそのとおりということになりますが、それを政府がBIS規制をやめようと全体として呼びかけるよりは、どうも私は今金融監督庁のお仕事あるいは再生委員会のお仕事を見ていますと、おたくなんかは無理をして外国に店を出すことはないじゃないですかというような行政指導を、行政指導と言っちゃいけませんでしょうか、そういうときにアドバイスですか、むしろ中身を健全になさいということを言っておられるようにお見かけするので、それは今、鴻池委員の言っていらっしゃるようなことにやっぱり結果としてなっていくのではないか。  ステータスシンボルのようなものがあって、猫もしゃくしもどこか外国に店を出したなんということは、もう考えてみると何にもないつまらぬことであったなという反省が起こってきて、そして国内に向かって仕事をする、ならばもう少し厚い利益率の上で仕事をするという金融業者と、いや自分はどうしても国際的な規模で仕事ができるんだと、たくさんいるとは思いませんが、だからするんだというふうに分かれていくようなことは自然に今起こりつつあるのではないかというふうに、これはやや無責任な立場で申し上げるので申し上げられるんですが、観察しております。
  364. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 よく理解のできるお話をちょうだいいたしました。  おっしゃるように、このBIS規制というのは銀行の健全性とか安全性の維持を目的とされておりますけれども、しかし自己資本比率が八%以上であればその銀行は健全で安全かというと、そんな保証はどこにもないわけであります。  特に、近年普及してきましたデリバティブという商品、私はオプション取引だとか指数先物取引だとか幾ら説明されましてもわかりませんけれども、これはいわゆる元本がなくても非常に大きな取引ができて、そしてこれに手を出して失敗をすると、巨額の損を出した場合にはどうにもならなくなるというようなことらしゅうございますけれども、そのパーセントがよくても支払い能力がなければ元手の小さい銀行などはすぐにつぶれてしまうということだろうと、当たり前のことでありますけれども。  要するに、銀行が健全であるかどうかというのはそれぞれの銀行のビヘービアにかかっているわけで、比率ではない、このように思います。国内の場合でも、これだけ金融不安が騒がれていても、堅実に経営をしてきた地方の銀行や信用金庫は幾らでも、比率が低くても大丈夫だ、こういうことで健全、安全であるというふうに私は見ておるわけであります。  ですから、こういう無意味規制は廃止すべきだし、我が国がそれを主張すべきではないか。そして、もしそれでは日本銀行経営に対する海外市場の不信感が払拭できないというならば、日本銀行はデリバティブ商品には手を出しません、不良債権処理が完了した時点でギャンブル経済から手を引きます、ヘッジファンドには金を貸しません、こういう経営状況は国際会計基準でディスクローズをいたします、それが我が国日本の姿勢ですと堂々と私は世界に向かって言ってほしいなというふうに思っているわけであります。それが総理のおっしゃいます富国有徳の志ある国家の姿ではなかろうかと思いますけれども、御所見を承りたいと思います。
  365. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 鴻池委員、大変恐れ入りますが、御質問の焦点がちょっととらえにくかったものでありますので、お許しをいただいて、いま一度お願いいたしたいと思います。
  366. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 総理が富国有徳ということをおっしゃっておりまして、我々国民はどういうものだろうかということで節々に御発言の中でそれを知り得ておるし、勉強もしておるわけでございますが、海外に向かって日本銀行というもののあり方、そういうものが今問われているわけでありますし、私自身もBIS規制というものをもっと堂々と、四%にするんだ、あるいはこれをなくすんだというぐらいのことを言って、いわゆるばくちには日本銀行日本は手を出しません。今の状況で見ますと、商家の若だんながやくざのばくち場にほうり込まれておるような感じがするわけであります。ですから、堂々とそういうことはしないんだというようなことを言うのが富国有徳ではなかろうかと思いますが、総理の御所見を。
  367. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 富国有徳からちょっと御説明申し上げないといかがかと思いますが、いわゆる日本の国のあり方として富国、ということは国として豊かになるということで、それからただリッチであるだけではだめだと。有徳というのは別に英語には直せませんけれども、シビライズドということでありましょうか、やはり経済もそして心も豊かな日本をつくりたい、こういうことが富国有徳の理念であると私は考えておりますが、そのことと今の金融機関日本のビヘービアの問題についてどうかと、こういうお尋ねのようにお聞きをしました。  日本金融機関のあり方につきましては、いわゆる戦後経済が復興する過程におきまして、それぞれの産業資金として、間接金融として非常に大きな役割を果たしてきた。そのことが、ある意味では、中央には日銀がございますけれども、そのお金も活用しながら企業に対して資金を供給してきた。その過程では、どうも金融機関も、俗に言えば床の間をしょって、お金を借りに来る方が頭を下げて来なければならないというような形であった。  それにまた、金融機関の相対的な重要性にかんがみまして、行政もいわゆる護送船団方式と申しますか、すべての都市銀行から地方の各金融機関にわたりましても、大切なお金をお預かりしておるという意味も含めまして、これが経営につきまして、皆この経営が成り立つような形でのいろいろ指導がなされてきた。そこに大きな甘えもあり、国際社会において堂々と立ち向かって競争するというようなことがなかったのではないかと。そのことでほころびが大きく出て、今日のような状態になったのではないか、こう考えております。  あえて富国有徳ということを言われますれば、やっぱり金融機関の本旨に立ち戻って、そしてある意味ではそれぞれ厳しい今オーバーバンキングの状況の中で、銀行もそうでありますが、証券あるいは生保、損保その他のところ、それぞれが合体をしながら強力な体制をつくり上げて、真に国民に期待をされる金融機関として、今厳しい環境の中で生き残りをかけてやっておるんじゃないか。そういうことができ上がれば、必ず金融機関としての大きな役割を果たし得る。そうすれば、結論的に言いますと、富国有徳の国ができ上がるのではないか。  お答えになったか存じませんが、私はそのような気持ちで、現下の金融機関がこの厳しい国際化の中で必ずや日本における状況、それぞれのお仕事を十分やっていく、そのためには大いにリストラも必要、それからビジネス感覚も持ってしっかりやっていくと。従来の発想を超えて、みずから生きていく姿勢をつくり上げる、このことが必要ではないか、このように考えております。
  368. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 今もう総理がお答えになられたとおりでございますが、前半の部分でちょっと私の立場から補足をさせていただきたいという気持ちがいたしております。  端的に申し上げますが、BIS規制も自己資本比率という物差しでもって銀行経営の健全性を維持していこうという発想に立つものでございます。では、国際的にだけそういうことになっているのかというと、鴻池議員も既に御承知のとおり、実は国内の銀行の健全性の維持につきましても、早期是正措置というのは自己資本比率を一つの物差しにしまして、これ以上自己資本比率が低くなったら危ないということで、いわば株主の資本でもって受けとめられる程度に資産を常に健全に保持していくということで、納税者にまで迷惑をかけるような破綻、破綻後の姿が納税者に迷惑をかけて、税金で穴埋めしなきゃならぬような破綻にまでは及ばないように、その一歩手前で経営の健全性を保持する措置を講ずる、こういう仕組みになっているわけでございます。  ぜひ、そのあたりの仕組みが、戦後というか一九二九年の恐慌以来つくられてきた金融機関規制にかわる新しい発想に立つ考え方として出てきている、国内も国際も両方出てきているということを御理解賜りたいと思います。
  369. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 総理、ありがとうございました。富国有徳、よくわかりました。  私は、基礎体力があるのに体力の回復が遅いということ、いろいろございますけれども、余り今まで議論にならなかったBIS規制というのがどうかなということで実は御質問を素人なりにさせていただいたわけでございます。  今、柳沢長官がお出になりましていろいろ御説明がございましたけれども、この十二日に、公的資金による資本注入申請を予定している都市銀行十五行に約十兆円程度の規模の注入を仮決定されました。そうですね。そのときの記者会見等、不良債権処理は今三月期で完了させ、国内外の信認を回復させたいと強く発言をされました。また、リストラが不十分なところには資本注入をしない、再三の発言もございました。  このことにつきまして、簡単で結構でございます、いっぱい質問したいことがありますので。今、総理からおしかりをいただきましたように私の質問も簡単にしますので、御答弁もひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  370. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 去る十二日の日に私ども金融再生委員会は、現在内々に、というのは事前の審査をしておりましたので、内々に資本注入の申請をしてきております十五行の銀行に対しまして、資本注入を前提として株主総会が必要なところはこれを開催することを進めてよろしいと、こういうことを申し渡したところであります。金額を内定したとかそういうようなことは全くありませんで、これは今後の正式の申請を待って、我々が正式の決定をした後の話になるということで御理解をいただきたいと思います。  この資本申請、三月末の決算に向けて行いますけれども、私ども最大の眼目は、このそもそものもとになっておる金融機能早期健全化法が言っておるように、円滑な金融の供与を実現するということと並んで、不良債権の処理ということであるというふうに考えておりまして、そのために私どもにゆだねられた引き当ての基準を決める権限等、これを活用いたしまして、国際的にまさるとも劣らない引き当ての基準を決めさせていただきました。そういうことをもって、私どもは、この引き当てをしてくれた決算ができ上がることによって不良債権の解決が図られる、あとはもうことしの九月期あるいは来年の三月期以降は平準化した引き当てをしていけば十分足りるという状況をつくり出したい、このように考えております。  なお、一言だけつけ加えさせていただきますと、さらに今度の決算からは連結決算になりまして、子会社あるいはその他関連会社のものも一緒に決算の中に盛り込まれますので、今までのように、子会社を使ってやや飛ばしをやるとかというようなことがあったやに聞く向きもありますけれども、そういったことも一切今度はできないという決算になる、このことからも、我々はこの三月期でもって不良債権の解決を最終的に終えたいと、このように考えていることを申し添えたいと思います。
  371. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ひとまずこれで資金不足は解消された、まず金融システム安定化である、一応やれやれと、こういうところだろうと思います。  二〇〇一年四月からビッグバンの一環としてペイオフを予定されておるということで、それは賛成だとかあるいは反対だという議論がそろそろ出てまいりました。私は、このペイオフというのは見送り、延期をすべきではなかろうかという立場の意見に同調いたしております。  私は、これの議論というものは特に今していただきたいという思いではございませんけれども、やはり金融システム安定化をさせて資金不足が解消してくれば、次は預金者が安心して銀行に金を預けておくことができるという安心、安定感というものをつくっておく必要があるんではなかろうか。もうすぐに一千万円以上は保証されないということになったら、どんどん金を別のところに入れていく、小口に分けていく。そういう個人の一千万というのは大きいですが、企業の一千万、大口というのは相当ありますから、こういうものがいろんなところに逃げ出すということも懸念されるわけでございます。特に、昨年末ででも郵貯の方に十兆円近い増があった、こういうことも聞いているわけであります。  私は、日本経済が悪化してきた要因というのは本当にいろいろあると思いますけれども、不良債権問題だけではなく、一昨年に始まった貸し渋りというのがやっぱり大きな原因である、このように思えてなりません。したがって、政府が貸し渋り解消ということを最優先されるということ、これが体力が回復しない日本経済に非常に大事な、最優先すべきことではないかと私は思います。その時期にペイオフを実施するということが目の前に見えてきたら、日本経済は果たしてどのようになっていくんだろうか、これが非常に私は心配をするところであります。まずは、経営者あるいは一般の国民の方々の行き過ぎた不安から、いわゆる金についての開放感を持たすということが一番のカンフル剤ではないかというふうに私は思っておるところでございます。  そして、一千万まで保証するけれどもあとは自己責任だよ、選んだ銀行がつぶれたらもうあんた、しようがないんだと、そのかわりハイリスク・ハイリターンで高金利の利回りがあるかもしれない、こういうふうなことでしょうけれども、これはもう日本人の性格には合いません。日本人は、耕し種をまき水をまき収穫を待つ、こういう国民性なんです。そういう非常に危険なことに日本人の多くは手を出していかないと私は思います。  やはり、ハイリスク・ハイリターンというのは欧米の方で、あれはうまそうだから殺して食おうかと、逆にかみつかれるかもしれぬけれども、とにかく殺して食ってみたらうまかった、もう一匹いこうか、こういうのがハイリスク・ハイリターンなんです。  私は、いろんな反論が経済担当の閣僚の皆さんにおありかと思いますけれども、きょうはできるだけ早く終わりたいと皆さん方思っていらっしゃると思いますから、そのように御議論、御反論については随分あると思いますけれども、ちょっとこれはおいておいて、こういう意見もあるということだけ知っておいていただきたいと思います。  そして、今十兆円ぐらいが郵貯の方に回っているということを言いましたけれども、郵便貯金、これの限度額というものもちょっと考えなきゃいかぬのじゃないかと思うのです。  野田大臣、一番端っこで御苦労をずっとかけておりますが、いよいよ出番であります。この郵貯の限度額というのを上げるということはお考えの中にあるんだろうか。  まだあります。一遍にやりましょう。これと同時に、私は民営化反対の中に立っておりまして、公社化になったということでやれやれという一応の、気は抜けませんけれども、変人奇人がおられますからわかりませんけれども、やはり今言った日本人の安心、安定を求める気持ちというのは郵便三事業につながっているんです。草深い、バスが一日に一台か二台しか通らないところに特定郵便局があるんです。都市銀行はあそこへ行きません。三事業はできない。  それから、阪神大震災で家も壊れ何がどこにあるかわからない、焼け出された。そこに非常取り扱いという明治二十年にできた制度でもって約三億の現金が神戸を中心として阪神間に流れたんです。もちろん日本人の道徳観というのは非常に高い。コロンビアの方にしかられるけれども、暴動は起きなかったでしょう。欲しいものが手に入ったんですよ、地震がきつくないところに八百屋さんがあったから。そういう信頼関係というものをやはり私は残さなきゃいかぬ、このように思って郵政事業民営化というものに対しては反対してきたわけであります。  そういったことも含めて、野田大臣に御所見をちょうだいしたいと思います。
  372. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御質問いただきありがとうございました。  まず初めに、郵便貯金の限度額の御質問でございますが、答える前にまず、なぜ郵便貯金には総額制限があるかということですが、これは郵便貯金が利殖とか投資、そういった目的のための高額なお金を受け入れるところではないということと、あわせて簡易で、簡単で確実ないわゆる国民大衆の貯蓄手段である、そういう制度であるというその本旨に沿って設けられているわけであります。  今日ある限度額の一千万円というのは、平成二年のときにいわゆる貯蓄目標額というのがございまして、それを参考に決定させていただいたものであり、この目標額というのが今日現在もさほど変わっていない、同じ水準で推移しているので、結論から申せば、今のところ引き上げ等は具体的には考えておりません。  つけ加えるならば、ペイオフの解禁後におきましても、一般国民大衆の預金を保護する観点から預金保険法では一千万円までの民間金融機関の支払いが保証されている、そういうことで、現在の郵便貯金の限度額が一千万円ということで、これはバランスが図られており、適正ではないかと私は感じているところでございます。  あわせて、三事業のお話でございますけれども、実はいろいろと行政改革の折に、先ほど先生御指摘あったような民営化というような少数意見もございました。結論からいえば、二〇〇三年からの国営の新たな公社という郵政公社においても今と同じ国営であることは変わりない。むしろ、今後とも不採算地域を含めて全国津々浦々あまねく公平なサービスを提供するという姿勢を変えずに、さらにもっともっと郵便局を利用していただく皆様にとって便利な場所になっていこうということで弾力的な経営も付加されたところでございます。  いずれにしましても、こういう基本理念のもとで、国民の利用者に喜んでいただけるようきめ細かいサービスを提供しつつ頑張っていこうという決意でございますので、御理解いただきたいと思います。
  373. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ありがとうございました。  民営化に反対している以上は一生懸命応援をいたします。いわゆる民間企業と違うというところを国民の皆さんにしっかりわかっていただく郵政事業でなければならない、このように思っておりますので、しっかり頑張っていただきたいと思います。  それでは、高村大臣、昨日からきょうにかけて大変御苦労さまでございました。極めて不機嫌なお顔だろうかと思ってまいりましたらそれほどでもないので、うまくいったところはイワノフさんとうまく妥協ができたのかなと。外交のことでありますから全部は教えてほしいとは言いませんけれども、イワノフ外相との会談の経緯で御説明できるところがありましたら、極めて簡単で結構でございますのでお願いいたしたいと思います。
  374. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 昨日、私は現在訪日中のイワノフ外相との間で平和条約締結問題日ロ合同委員会の共同議長間会合を行いました。  協議では、クラスノヤルスク以来の日ロ間の一連の合意及び宣言に従って精力的な作業を継続していくことを確認するとともに、日ロ双方の案を踏まえて外務大臣レベルで極めて率直な話し合いを行いました。その結果、四月一日、二日には東京で国境画定委員会と共同経済活動委員会を開催すること、また私の訪ロの際にも協議を継続していくことで一致したわけであります。
  375. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ロシアという国は力と打算の原理にしか反応しないと私はずっと思っております。他の国も大なり小なりそういうところがあるわけでありますけれども、特にロシアは今までの経緯とか歴史とか国際的な道徳とか、そういうものには反応しない国だと、非常に不愉快に思っております。ミズーリ号の上で日本が敗戦のセレモニーをやっているときに、その二、三日前からばりばりと北方領土に上がってまいりました。その後も日本に攻撃をし続けてきたり、そして今のあの北方領土はロシアのものだ、ソ連のものだと言っておるわけであります。  日本国民は、非常に不愉快に思いながらも、外交努力に期待をかけながら今も見詰めておるわけであります。旧島民の多くはふるさとにも帰ることができない。帰りたいと思いながら亡くなった方も大勢いらっしゃる。早く帰りたいけれども年老いてきた。そういう方々のことをどうか念頭に置いていただいて、北方四島は我が国固有の領土である、そのような思いでぜひとも、苦しい嫌なこともあるでしょうけれども、政府に頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、日中関係について申し上げたいと思います。  昨年十一月、江沢民中国国家主席が中国の元首として初めて日本を訪れました。このときの江沢民主席の発言は、韓国の金大中大統領が訪日によって歴史の清算を果たしたのとは極めて対照的でありました。もうサンフ条約とかいろいろ申し上げませんけれども、江沢民主席は宮中晩さん会においてまで、近代史上、日本軍国主義は対外侵略活動の誤った道を歩み、中国人民、アジアのほかの国々の人民に大きな災難をもたらした、また日本人民も深くその害を受けたと主張したのであります。そうですね。  主張はどうぞお好きなようにやっていただいたらいいのでありますけれども、このような発言に、私だけではないと思います、反発をしている、あるいは不愉快に思っている。日中友好が大事だと思っている人でも、何だあの国はと、このように多くの国民の方々が思い出したのではないかと思います。  そういった中で、江沢民初め中国の首脳部が日本糾弾を繰り返しているその一方で、日本側は第四次対中円借款の一九九九年から二〇〇〇年までの後期二年分を積み増すという実利を中国に与えております。すなわち、当初日本側は厳しい財政状況から後期分を前年度に比べて削減する予定であったのに、結果的には二十八件、三千九百億円の増額をしたのであります。我々日本国民にしてみれば、日本はなぜあそこまで中国に糾弾されなければならないのかと思っている偽らざるところがあるわけでありますけれども、中国に対するODAの増額は配慮のし過ぎではないか、私はそのように思います。  今申し上げた約束分も含めると、一九七九年から始まった中国へのODA供与総額は二兆九千億円に達するのでありますが、なぜ中国にこのような配慮をしなければならないのか、多くの国民が疑問に思っていると思いますので、このような状況を踏まえて、総理から国民が納得いくような御説明をいただきたいと思います。
  376. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 昨秋の江沢民国家主席の訪日につきましては、日中共同宣言、共同プレス発表等の作成によりまして、日中両国一致のもと、両国が共通の目標に向けてともに行動する枠組みを示すことができ、これによりまして日中関係は新たな段階に入ったものと考えております。中国側も江沢民主席の訪日で大きな成果があったと評価しておりまして、この旨繰り返し明らかにしていると承知をいたしております。  今後、日中関係につきましては、二十一世紀に向け、江沢民主席訪日の成果を踏まえ、一層の対話と協力を通じ平和と発展のための友好協力パートナーシップを強固にしていく考え方でございます。  今、鴻池委員いろいろ日本国民のお考えということでお話がございましたが、やはり隣国である中国との関係というものは、私ども日本にとりましては、それこそ歴史始まって以来の深いかかわり合いでございます。今、中国におきましても経済発展のために大きな事業を展開いたしておるわけでございまして、なるほど日本も大変厳しい経済状況でありますし、国家財政も大変大きな重荷をしょっておるわけでございますが、やはりアジア全体の発展ということで従来から中国に対する協力は申し上げてきた次第でございます。  そういった意味で、日本の気持ちということを受けとめていただきまして、中国が発展をすること、そのことは同時に我が国の発展につながるという意味合いにおきまして協力を惜しまなかったわけでございます。  いろいろの御意見のあることは、私も日本国民の御意見承知をいたしておりますが、ぜひそういった意味で、変わることのできない、お互い隣国であると同時に歴史的にも深い交わりがあり、かつて一時期大変不幸な時期がございましたけれども、それを乗り越えていくということのために果たさなければならない役割は我が国としてもあるわけでございますので、ぜひ国民各位の御理解も得たい、こう願っておる次第でございます。
  377. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 現実は現実としてただしておかなければならないことがあります。  中国人犯罪組織の我が国への進出実態、不法滞在中国人による犯罪の発生及びその状況、この対策、こうした問題に関し外務当局がこれまでに中国政府に行った具体的な外交努力の内容、そして我が国の不法滞在外国人の実態とその対策、平成九年中に犯罪を犯し検挙された来日外国人に対してとられた処分の概要について聞きたいと思います。
  378. 野田健

    政府委員野田健君) 近年、来日外国人による犯罪は激増しております。  昨年中の刑法犯の検挙数は二万一千六百八十九件、五千三百八十二人でありまして、平成元年の三千五百七十二件、二千九百八十九人と比べて件数で六・一倍、人員で一・八倍となっております。  そして、中国人による犯罪というものを見ますと、来日外国人全体による犯罪検挙人員五千三百八十二人のうちの二千四百一人、四四・六%を占めているというような状況にあります。そのうちの約三割は不法滞在中国人による犯罪であります。  これらの中国人による犯罪は、中国人の密航請負組織、いわゆる蛇頭といわれる組織であるとか、あるいは香港の犯罪組織である香港三合会等の中国人犯罪組織が我が国で犯罪を行っているというような実態がございます。  そこで警察庁では、外務省と協調いたしまして、中国の警察機関との連携が重要であるという認識に立ちまして、実務レベルで各種情報交換を行っているほかに、昨年江沢民国家主席が来日された際には、総理との間において各種国際犯罪対策等の取り締まり面での協力を強化するということで意見が一致したというような状況にございます。
  379. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) 今、既に詳細な御説明がございましたけれども、外交当局といたしましても、麻薬でございますとか密輸、不法入国等について中国の関係当局と協力していこうということは、随時、従来やってきているところでございます。
  380. 竹中繁雄

    政府委員竹中繁雄君) 不法滞在者のことについてお答えいたしたいと思います。  不法滞在者は、平成十年一月現在で不法残留者の方は今二十七万七千という数字があるわけでございますけれども、その中で、先ほど先生から御指摘がありました中国の方については、非常に高い、一番ではございませんけれども、ランクの上の方に入っております。  それから一方におきまして、不法入国者についてでございます。これにつきましては、特に水際で捕まえた船舶による集団密航、そういう者の数がどのぐらいかということで申しますと、平成九年には千四百六十三名という数字が出ておりますが、その過半数は中国から来た者でございます。
  381. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 しっかりお願いしたいと思います。  事のついででございますが、日本はハッカー天国である、こういうことが言われ出していると聞いております。ハイテク犯罪対策には高度な専門的知識や技能が必要と考えますが、警察における体制、法制の整備等の取り組み、これについてお答えいただきたいと思います。
  382. 野田健

    政府委員野田健君) コンピューター技術あるいは電気通信技術を悪用したハイテク犯罪の検挙件数は年々増加して、昨年は検挙件数が四百十五件でありました。平成九年が二百六十二件でありましたので、五八%の増加という状況にあります。平成五年に比べますと約十三倍というような大変憂慮すべき状況というふうに考えております。  そこで、昨年六月、警察庁におきまして、ハイテク犯罪に対処するための総合的な施策として、体制及び法制の整備などを内容とするハイテク犯罪対策重点推進プログラムを策定して公表し、サイバーポリス、電脳警察ともいうべき体制の創設を目標として掲げたところであります。このプログラムに基づき、主要都道府県警察に専従のハイテク犯罪捜査班を設置するほか、ハイテク犯罪捜査を技術的に支援するため、警察庁情報通信局にナショナルセンターを創設したいと考えておりまして、そのための装備、資機材の予算、警察法の一部改正案を今国会へ提出しているところでございます。  また、不正アクセスがハイテク犯罪を助長するものであることから、法制の面では不正アクセスの規制等に関する法律案、仮称でありますけれども、これを今国会に提出する予定であります。  今後とも、全国の警察を挙げてハイテク犯罪対策の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
  383. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ただいまの官房長の御報告と答弁を踏まえて、自治大臣からの御決意をちょうだいしたいと思います。
  384. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 概略、今、警察庁の官房長が申し上げたとおりでございますが、インターネットを悪用するなど国民に不安を与えるようなハイテク犯罪が急増いたしておりまして、このハイテク犯罪対策の充実は極めて重要な課題であると認識をいたしております。  この問題は、国際的組織犯罪防止のテーマと並んで、サミットでも国際的に大事なテーマの一つとして取り上げられておることは御案内のとおりでございます。  このハイテク犯罪に効果的に対応するため、高度な技術力を備えたサイバーポリスともいうべき体制の創設、それから不正アクセス対策法制の整備など、ハイテク犯罪対策の一層の充実強化に取り組んでいく決意であります。
  385. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 私は、一昨日の土曜日の夜にテレビ朝日の「ザ・スクープ」という番組で、韓国の海岸で座礁した北朝鮮の潜水艦の内部の映像を見ました。テレビ朝日でございますが、久米宏というダイオキシン、ホウレンソウの方は出ておられなかったので安心して真剣に見ておったわけでございますが、この映像を見ますと、レーダーなどハイテク機械はすべて日本製でありました。  こういうハイテク機器を北朝鮮に輸出するのは、それが民生用であっても輸出貿易管理令で広範囲に禁止されており、こうした機器の輸出は特別な許可がなければできないはずだと思いますけれども、通産省はどのようにお考えですか。
  386. 佐野忠克

    政府委員(佐野忠克君) 委員御指摘のとおりの輸出貿易管理令で管理をいたしておりますが、「ザ・スクープ」に出ておりました点の御指摘の件につきましては関係省庁の協力も得ながら事実関係を調査してきておりますが、現在までのところ、外為法、輸出管理令に違反する事案は確認されておりません。  一般論で申し上げますと、国際的な平和及び安全の維持を妨げるものとなると認められる貨物につきましては、外為法、輸出貿易管理令に基づきまして厳格な輸出管理を行っておりますところでございまして、今後とも輸出管理に万全を期することといたしたいと存じます。
  387. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 北朝鮮へ日本のハイテク機器が送られているという現実、これをしっかり我々は押さえていかなければならないと思います。  私の調査では、金秀幸という人物、これはアエラという週刊誌にも出ておりましたし、ワシントン・ポスト紙などもこの人物に関心を持っておる。この人の証言によりますと、ICチップは三菱電機、日立、日本電気、大手電機メーカーから製品をすべて購入した、特殊金属分析装置は清水工業、センサー関連部品は京セラから購入した、ノドンもテポドンも北朝鮮製のものは電気と水だけである、こんなことを豪語しておるようです。  こういったことを把握しておられますか、警察庁。
  388. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 御指摘のような報道があったことは承知いたしておるところでございます。  個々の報道についてコメントするのは差し控えさせていただきたいというふうに思っておるわけでありますけれども、一般論として申し上げまして、警察としまして、我が国から北朝鮮等への物資、技術等の不正な輸出につきましては重大な関心を有しております。したがいまして、必要に応じて国内外の関係機関と各種の情報交換等を行うなどの実態把握にも努めておりますし、それからまた、過去におきましても北朝鮮関係の不正輸出事件や不正送金事件を四件ほど検挙いたしてもおるところでございます。  今後とも、同種事案の取り締まりについては、厳重に厳正に行っていきたいというふうに考えております。
  389. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 このハイテク技術や機器が北朝鮮に渡っておる、こういったことを今申し上げたように、それぞれのつかさつかさは、しっかりと把握をしていっていただかなきゃいかぬというふうに国民の多くは、特におとといのテレビを見た者は心から思っております。  もう一つ、その送金の規制でございます。  これも文芸春秋にも載っておりましたが、朝鮮総連系の商工人が納税するときに、かわりに税務署に行って交渉し、税金をまけさせたり、そのまけさせる手数料を取って本国北朝鮮に送っておった、こういうことがあるようであります。私はないと思いますよ、ないと思いますけれども、あると言っているんです。あると言って、こういう向こうの公式の機関紙に、総連関係の公式の機関紙に載せておるんです。  国税当局に聞きますけれども、そういう団体交渉権を総連系の商工会あるいは総連合会の商工部あたりに与えておるんですか。
  390. 大武健一郎

    政府委員大武健一郎君) お答えさせていただきます。  税務当局の使命は、先生言われましたとおり適正公平な課税の実現を図ることにありまして、国税庁として特定の団体なりその会員に対し特別な取り扱いを行うことはあり得ず、在日本朝鮮人商工連合会とのいわゆる合意事項というものもございません。  先般、新聞紙上におきまして、あたかも合意事項が存在しているのではないかというような国民の誤解を招くおそれのある報道がなされたこともございまして、今般、合意事項なるものは存在しないということについて改めて国税職員に周知徹底を図る旨の指示をしたところでありまして、今後とも適正かつ公平な税務の執行に努めてまいる所存でございます。
  391. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ただいまの御答弁で安心をいたしました。しかし、このコピーを持っておりますように、彼らはそうでないと言っておるんです。  委員長、ここで一度この総連の商工会の責任者を参考人として私は招致をして、その辺のところをきちっと押さえなきゃいかぬ、このように思っております。これだけまず申し上げたいと思います。  いろいろ疑惑について申し上げたいのでありますが、北朝鮮の兵士と見られる一連の死体漂着事件について御質問したいと思います。  各漂着事案の調査結果と警察庁の評価、我が国の沿岸警備対策はいかがになっているか、この二点についてお伺いします。
  392. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 先生御指摘の事案でございますけれども、昨年の十二月十六日と二十五日に島根で一体、福井県で三体、それからことしに入りまして一月十四日と二十二日に福井及び鳥取でそれぞれ一体の死体、いずれも男性でございます、これが漂着したという事案がございました。  それで、警察におきましては、それぞれの事案について所要の調査等を実施いたしまして、各事案の関連性につきましても分析したところでございます。その結果、服装とか発見されたメモ等から、一連の遺体につきましては、漁労に従事しておる中で乗り組んでいた船の機関の故障、エンジンの故障で遭難した北朝鮮軍の兵士である可能性が大であるということで私ども今判断しておるところでございます。  そこで、日本の沿岸警備対策はどうかということの御質問がございましたけれども、従来から我が国におきましては北朝鮮工作員等による不法出入国事案が発生しておりますし、それからまた、先ほど来話が出ておりますように、最近では蛇頭というふうに呼ばれております密航の請負組織等が介在したところの集団密航事案が多発しておるというようなことで、治安上重大な問題というふうに私ども認識しております。  その防止、発見、検挙のために海上保安庁等関係機関との連携を図ってきておりますし、同時に、漁業組合を初めとする沿岸住民の御協力を得ながら、海上における警備艇による警戒だとかあるいは沿岸部におけるパトロールとか検問等々、各種の対策を実施しておるというようなことでございます。こうした警戒活動の重要性ということにかんがみまして、今後とも各種沿岸警備対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、大変申しわけございません、先ほど私、北朝鮮に関連する不正輸出事件と不正送金事件が四件というふうに申し上げたと思いますけれども、五件でございますので、訂正させていただきたいと思います。
  393. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 北朝鮮の赤十字か何かからそういった方々の遺骨、遺体を返してくれぬか、こういう話があるそうですが、事実ですか。
  394. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) 北朝鮮の赤十字からそのような要請が届いていると承知しております。
  395. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 どうされるんですか。
  396. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) 先ほども御説明がございましたような状況であるというふうに私どもも承知をしておりますので、先方赤十字から返還要請があったことを受けまして、人道的な観点から、必要な国内手続を経て遺骨の返還が実現されることを希望している、こういう立場でございます。
  397. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 人道上のこともわかりました。軍服を着た軍人がどうして魚釣りをしているのかわかりません。  そのことは別にいたしまして、人道上のことと言うならば、拉致された人々、拉致された家族、そういう人は人道上の対象にならないんでしょうか。外務大臣、お答えください。
  398. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 人道上の対象にならないかと言われれば、当然なります。  我が国としては、北朝鮮による拉致の疑いが持たれている事件については、我が国国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立って、従来より北朝鮮側に対してこの問題をしっかりと取り上げてきているわけであります。  これに対し、昨年六月、朝鮮赤十字会は、行方不明者に関する調査の結果、該当者はいなかったとの声明を発表いたしましたが、このような北朝鮮側の対応は到底受け入れられるものではないと考えております。  政府としては、今後とも引き続き問題解決へ向けての効果的な方法を追求しながら、あらゆる機会をとらえて北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めてまいります。
  399. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 大変心強い外務大臣の御意見でありました。しっかりお願いを申し上げたいと思います。  総理に拉致被害者の家族が会いたいと、このように言っておるようでございますが、お会いになるお気持ちがございますでしょうか。
  400. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 私、外務大臣のときにその御家族の皆さんとお目にかかりました。従来、政府としてそういうことはなかったわけでございますけれども、事情を直接お伺いした方がよろしいと思いまして、いたしました。  したがいまして、どういう方がどういうふうに御希望されておるか十分把握をしておりませんが、機会があればお目にかかってみたいと思いますけれども、私の立場から言いますと、何らかの意味で希望を持つことのできるようなそういう形をとり得るように、今、外務大臣は必死の思いを申し上げておりましたけれども、いろんな形で今努力を傾注しておるわけでございます。私、別に最高の責任者ということを申し上げるわけではありませんが、せっかくいらしたときに、お気持ちを拝聴するということだけでなくて、できれば明るい希望を持ち得るようなことのために最善を尽くして、そしていい御返事ができないかなと、こういう気持ちを率直に持ちながら、毎日毎日、かの地で生きておるのではないかと、こう考えて日々過ごしておられる御両親を初めとして皆さんのお気持ちを察しますと、お目にかかることは結構ですが、申し上げたように、ぜひ本格的な解決のめどが立ち得るように努力することもその任であると、こう考えておる次第でございます。
  401. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ありがとうございます。  拉致された家族も、今の総理のお言葉で大変胸を熱くしているだろうと思います。ぜひともそういう機会もつくってあげていただきたいということを私からも、実は神戸にいる方もいらっしゃるので、よろしくお願いをしたいと思います。  さて、昨年八月末のテポドンミサイルの発射以来、我が国としての制裁措置がとられておりますけれども、最近、食糧援助は制裁措置から切り離して解除しようという動きもあると聞いております。そんなに簡単に食糧支援を再開していいのだろうかという疑問があります。要は、金正日政権を政府はどのようにしようとして考えているのか。一般の人々は餓死に追いやられたり、物の言えない北朝鮮人民のことを考えると、数多くの亡命者が言うように、金正日政権を延命させることはむしろ犯罪的ではないか、このように私も考えております。  これについてお考えがあればお聞かせをいただき、まだまだ御質問申し上げたいわけでございますが、次の機会に譲らせていただきまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  402. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 食糧援助を再開する動きがあるやに聞いているとおっしゃいましたが、そのようなことは私自身聞いておりません。私自身は、現時点で残念ながら食糧援助を再開していいような北朝鮮側の動きがあると考えておりません。  それから、判断の問題ですが、北朝鮮、金正日体制が近々に崩壊するとか、そのような情報は持ち合わせておりませんので、少しでも建設的な対応を示してもらえるように国際社会とともに働きかけてまいりたい、こういうふうに思っております。
  403. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  404. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会