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1999-08-02 第145回国会 参議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月二日(月曜日)    午後零時四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四十一号   平成十一年八月二日    正午開議  第一 通商産業省関係基準認証制度等の整   理及び合理化に関する法律案内閣提出、衆   議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国家公務員等任命に関する件  一、産業活力再生特別措置法案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、預金保険機構理事篠原興君、松田京司君及び吉田正弘君を、また、同監事高橋善一郎君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  これより採決をいたします。  まず、預金保険機構理事のうち篠原興君及び同監事任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十四     賛成             二百二     反対             二十二    よって、同意することに決しました。     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、預金保険機構理事のうち松田京司君及び吉田正弘君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  6. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  7. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十七     賛成            百四十九     反対             七十八    よって、同意することに決しました。     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  8. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、日程に追加して、  産業活力再生特別措置法案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 斎藤十朗

  10. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 産業活力再生特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  我が国経済を自律的な成長軌道に乗せるためには、需要面での対策のみならず、経済供給面体質強化に取り組むことが不可欠であります。しかるに、我が国経済供給面における現状を見ますと、経済の潜在的な成長力を大きく左右する生産性伸び率が近年大きく低下しており、国際的に見てもOECD加盟国の平均を下回るなど、憂慮すべき状況にあります。  その最大原因は、我が国企業の多くが効率性の低い設備負債等を抱え収益性を低下させていること、さらには、失業率が依然高水準にあること等に見られるように、景気低迷長期化に伴い労働技術などの経営資源が有効に活用されていない状況が生じていることにあります。加えて、国際的産業再編の進展、資本市場による企業評価の一層の厳格化会計基準国際基準への変更など、企業を取り巻く環境が一層厳しくなっており、こうした状況を早急に打開する必要があります。  そのためには、各事業主体がその営む事業についての選択集中を進め、経営資源生産性の高い分野に重点的に投入することを円滑化するとともに、創業中小企業者による新事業開拓に対する支援を抜本的に強化することにより、十分活用されていない経営資源の発掘と有効利用を図ることが不可欠であります。さらに、事業者が新たな事業の種となる技術に関する経営資源最大限活用できるような事業環境整備することにより、事業者による研究活動活性化を図ることも我が国生産性向上にとって極めて重要であります。  以上のような認識もと我が国生産性向上のための一連の施策を講じ、我が国産業活力の速やかな再生実現するため、本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、事業者選択集中を進めるために行う合併、分社化等組織再編や新商品の開発等事業構築としてとらえ、その円滑化のための措置を講ずることとしております。具体的には、事業構築に係る計画について、主務大臣認定を受けた者に対し、会社設立等に際しての検査役の調査、一定の要件を満たす子会社の取締役や使用人に対するストックオプションの付与、営業の全部譲り受け等について商法上の特例措置を講ずるとともに、金融税制面からの支援を行うこととしております。あわせて、事業構築によっても活用できない経営資源を有効に活用して事業を行おうとする者に対しても支援措置を講ずることとしています。  第二に、創業者及び新事業開拓を行う中小企業者に対して、信用保証制度拡充都道府県による無利子融資制度拡充などの金融支援措置を講ずるとともに、行政機関中小企業支援団体によるソフト面からの支援官公需における配慮等措置も設けることとしております。  第三に、技術に関する研究活動活性化し、及びその成果を効率的に活用することを促進するため、国等委託研究開発から生じる特許権等受託者に帰属させることを可能とするとともに、大学における研究成果民間事業者への移転促進するため、大学技術移転機関に対する特許料減免等措置を講ずることとしております。  なお、このような新たな制度が施行されることにあわせて、現行の特定事業者事業革新円滑化に関する臨時措置法を廃止することとし、所要の経過措置を講ずるものとしております。  以上が本法律案趣旨であります。(拍手)     ─────────────
  11. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。簗瀬進君。    〔簗瀬進登壇拍手
  12. 簗瀬進

    簗瀬進君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案について、総理及び関係大臣質問を行います。  経済構造の大きな変化を予測してからもう十年を超える歳月がたちます。産業構造変化は必然的に失業者をふやします。とするなら、この間の政治最大の課題は、新しい雇用をいかにつくり出すかにあったはずであります。  第一に、新規雇用をふやす、第二に、効果的な労働転換政策を打つ、そして第三番目に、緊急避難的な失業対策を打ちながら失業率を押さえ込んでいく、これが望ましい政策手順であります。  しかし、残念ながら新規雇用拡大策はまさに十年一日のごとく、今回の補正予算のように長期的対策緊急避難策が支離滅裂に列挙されるなど、政策手順は全く逆立ちをいたしており、後手後手に回っているではありませんか。さらには、今回の経済再生関連法案のように関連分野が広範な大きな施策については、小出しを避けて統合的に、網羅的な法案提出を心がけるべきではないでしょうか。  この十年、何もやってこなかったとは申しません。それなりにやってきたことも認めましょう。しかし、その効果は全く上がっていない。そして完全失業率は今や過去最悪の四・九%になり、いよいよ我が国は大失業時代に突入しようといたしております。  古来より、恒産なければ恒心なしと言うとおり、失業対策政治根本命題です。二十一世紀を目前にして恒産恒心をともに失おうとしている我が国の現在、それはまさに政策的な失敗が導いたものであります。構造変革の波を乗り切る展望が今もって開けていない現状、これをどう認識し、またその原因をどう分析しているのか。まず、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  さて、この間の政策的な失敗原因を分析いたしますと、私は以下の五点に集約できるのではないかと考えます。  まず第一番目に、政府自身世界的な経済構造変革本質を十分にとらえていなかったということ。  第二番目に、従来と同様の対症療法的政策しかとらずに、規制緩和策に代表されるように政策実現スピードがのろ過ぎるということ。  第三番目に、雇用拡大の方向を成長十五分野すべて、このように総花的に拡散してしまった結果、焦点がぼけてしまったということ。  第四は、関連する政策を時期をずらしながら分散的に立法化したために、政策インパクトが極めて低くなってしまったということ。  第五は、結果評価についての仕組みが入っていなかったために、政策実現チェック担保ができていなかったということが挙げられると思います。  そこで、このような反省と教訓が、今回の産業活力再生化法案にどのように生かされているのか、総理及び通産大臣の御見解をお聞きしたいと思います。  さて、それでは、現在世界を襲っている構造変革の波、その本質をどうとらえるかということであります。  私は、その根本的な原因を、世界的規模情報革命にあると考えます。コンピューターネットワーク世界的な広がりは、経済の姿を変え、軍事や安全保障の姿を変え、国境を越えた市民活動を生み出し、人々意識やライフスタイルさえ変えています。まさにプロメテウスの火、あるいは原子の火、そしてそれに続く情報の光であり、農業革命産業革命に続く第三の革命情報革命であります。  これが日本のみならず世界を襲っている構造変革本質であります。これを真っ正面からとらえながら対策を立てるべきでした。  ところが、今までは情報政策といえば、直ちに情報産業のための振興策としか理解されてこなかった。この短絡的な誤解と本質矮小化日本経済政策の全般的なおくれの原因になってきたものと考えます。  したがって、私はこれからは、例えば成長十五分野という考え方自体も、この情報革命を基本的な座標軸にしっかりと据えて、もっとめり張りのきいた形に見直しをすべきではないかと考えますが、以上の指摘について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。  さて、次に、今回の経済活力再生法に欠けている重要な観点を私は二つ指摘したいと思います。  まず第一は、国民勇気を奮い立たせるようなメッセージであります。また第二は、不安な国民のよりどころとなるセーフティーネットの提案であります。  かつてケネディ大統領は人類を月に送ろうというナショナルゴールを提案いたしました。このビジョンは、アメリカ国民のプライドに訴えるとともに、科学技術を初め経済全般に大変大きな刺激を与えた。  今、我が国政治に最も求められているのは、まさに難局に恐れずに挑戦できるような国家的な目標、すなわちナショナルゴールの提示ではないでしょうか。国民一人一人の名誉と誇りに訴えて、同時に経済的なインパクトを持つビジョン政治は必死になってこのことを考えるべきであります。  総理真空掃除機のようになって人々意見を吸収することも結構です。しかし、一国のリーダーとしての最も大きな責務は、難局に当たって国民勇気を奮い起こすビジョンや理想をみずからの言葉で高らかに語ることだと思いませんか。ボキャ貧とうそぶきながらこの責任から逃れるのは許されないと思います。  そこで、総理、あえて提言いたします。  私は、我が国ナショナルゴール情報による平和と安心の実現に置くべきであると考えますが、いかがでありましょうか。  情報は、福祉や医療そして教育の格差をなくすことに大きな力を発揮いたします。また、新しいビジネスのチャンスを拡大し続けています。それどころか、国境を越えた情報の交流は、世界的なNPO活動を生み出し、さらには戦争の背景に横たわる相互不信を取り除き、平和の実現に貢献することも可能であります。  幸いなことに、我が国は現在でも情報ハード面では世界トップレベルであります。そして一貫して核兵器の廃絶を訴え、平和を希求してきた日本国民誇りがあります。  このように考えたときに、情報を駆使し平和をつくろうではないか、そして安心な世界実現しようではないかといったそんなナショナルゴールを設定して、すべての政策根本にこれを位置づけたらどうだ、このように私は思いますが、総理の御意見をお伺いしたいと思います。  さて、経済再生を図る場合に最も大切なこと、それは経営者の厳しい自己批判であります。その上での自助努力であります。過剰雇用過剰設備過剰債務の三つの過剰を、あたかも構造問題のように語りながら論点をすりかえてはなりません。失敗原因はまずは経営判断にある、この点の反省をなおざりにして、苦しくなったから国の助けをというのでは、再び同じ過ちを繰り返すのは明らかであります。  そこで、この法案の中で、企業モラルハザードを防止し経営責任を明確にする原則がどのように貫かれているのか、通産大臣にお聞きしたいと思います。  ところで、総理施政方針演説で、旧来システムとの決別を高らかに宣言しました。そして事前コントロール社会から事後チェック型の社会改革すると明言したではありませんか。しかし、その言葉とは裏腹に、どうですか、今回の法案枠組みは、まさに事前コントロール復活強化ではないでしょうか。担当大臣による事業構築計画認定、あるいは都道府県知事による経営資源活用事業計画認定認定認定、お役所のお墨つきがなければ優遇措置は一切受けられないような枠組みになっています。総理、まさにこれは厚顔無恥の言行不一致と言うべきではありませんか。総理の御所見をお伺いしたいと思います。  また、この認定制度に関連してでありますが、今回の法律仕組みでは、認定の有無によって優遇措置適用二つに分かれてしまう。このような大ざっぱな二分法では実情に応じた柔軟な対応ができないのではないか。通産大臣見解をお聞かせいただきたいと思います。  さらに、今回の法案については、産業界の内部で実は大変激しい不公平感が出ていると聞いています。すなわち、大規模設備装置を抱える産業にはこの法案恩恵はある、しかし、それ以外の産業には余り意味がないといった批判であります。この批判にどうこたえるか、通産大臣見解をお聞きしたいと思います。  さて、次に法案の定める優遇措置問題点指摘したいと思います。  まず、過剰な設備廃棄したときに出る欠損金についての優遇税制についてであります。  これについては、自力で競争力をつけて過剰設備問題を処理した企業よりも、その努力を怠った企業の方を優遇するといった大きな矛盾がある。  さらに、欠損金繰越期間は、米国では二十年、英国やドイツでは無制限となっているが、今までの五年間を七年間にするといった延長でどの程度の意味があるのか、私は大変疑問であると思います。  また、恩恵対象機械装置建物廃棄のみに限定している点もかなりこそくな感じがする。まさに出し惜しみの小出し政策の典型ではないでしょうか。  以上についての総理通産大臣見解を求めます。  次に、過剰債務株式化、いわゆるデット・エクイティー・スワップと呼ばれるこの制度は、会社債務株式に振りかえるものであります。会計上は負債を消すメリットはあるものの、債権者としての金融機関にとっては資産の不安定化につながっていくのではないか、また、銀行と企業株式の持ち合いが認められている我が国では、企業モラルハザードを助長しかねないのではないかとの疑問があります。これについては、金融再生委員長見解をお聞かせいただきたいと思います。  さて、この法案については、労働者のリストラを一方的に促進するのではないかとの大きな不安があります。  分社化過剰設備整理中心にした事業構築がさらなる雇用削減につながらないような考慮、あるいは、経営失敗のツケが働く者に転嫁されないようなセーフティーネット法案上どう考慮されているのか。総理及び労働大臣見解を求めます。  そして、これらの懸念に対して、確かに法案の第一条には、雇用安定等に配慮する、また第三条第六項第六号では、事業構築計画認定に当たって従業員の地位を不当に害するものでないとの文言が入った。さらに第十八条では、事業者に対して、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずる努力を求めています。しかし、いずれも具体的な内容は明記されていません。また、規定の仕方も単なる努力義務の宣言にとどまっています。これでは、セーフティーネットどころかクモの巣のような危ないネットではありませんか。実効性を担保するためには、努力規定ではなく事業主に対する義務規定に改めるべきであると考えますが、総理及び通産大臣の答弁を求めます。  さらに、この際、企業組織変更における労働者保護についての一般的な法律を制定すべきであると考えますが、総理及び労働大臣から、政府の今後の取り組みについてお示し願いたいと思います。  次に、新規事業ベンチャー企業支援策についてお聞きします。  衆議院において、民主党起業家支援法案を提出しました。これは、政府案を上回る総合的な施策の集大成とも言える法案でしたが、残念ながら可決には至りませんでした。  そこで、まず通産大臣お尋ねいたします。  大臣は、衆議院の論議においては明確に民主党案反対との態度を示されたそうでありますが、例えば、民主党の提案している女性起業家育成する必要性補助金を交付されなかった理由の開示の必要性、あるいはエンゼル税制ストックオプション税制などを拡充する必要性国立大学教官民間役員兼務必要性、これらの諸点について、よもやその必要性を否定するものとも思えません。もし、これらの必要性大臣がお認めになるのなら、なぜ今回の法案とセットで立法化しなかったのか、小出しにする積極的な理由でもあるのか、通産大臣見解をお伺いしたいと思います。  さて、アメリカの例を見るまでもなく、これからはむしろ中小企業ベンチャーこそ新たな雇用を生み出す主要な分野であります。そしてベンチャー育成ポイント二つ。第一番目に、直接的な投資環境整備、第二は、失敗が致命傷にならない社会環境、そしてもう一つつけ加えれば、産業と学術の連携の促進であります。この三点が早急に取り組まなければならないポイントであることは、今や共通の認識になっている。  しかしながら、今回の法案でとられた政策手段を見てみると、従来の制度金融延長でしかない。多くの税制についての規定を置きながら、ベンチャーへの投資優遇税制について踏み込んでこなかったのは、画竜点睛を欠くとの批判を免れない。さらに、総理みずから補正予算の審議の過程で、ベンチャーへの投資促進が不十分であるということをお認めになっているではありませんか。後出ししてはインパクトがありませんよ。なぜ一括でお出しにならないのか、総理見解をお伺いいたします。  さらに、勇気を持って創業に挑戦した起業家たちが、失敗しても何度でも再挑戦できるような社会を目指すべきであります。この点、日本倒産法制はどうしても清算を中心規定されており、いわば企業幕引き法制になっている。しかし、これからは敗者復活が容易にできるような新たな企業整理法構築をしていくべきだと考えますが、この点について法務大臣所見をお伺いしたいと思います。  最後に、今回もまたしても小出し、後出し、先送りの法案が出てまいりました。フルコースを小皿料理で出されたって料理のだいご味は国民には伝わりません。関連法案を統合しインパクト強く出す、このようなダイナミックな政策展開を行わなければ第三次産業革命は絶対に乗り切れません。  政治的な思惑を優先させ、未熟児のまま法律を誕生させていく。モラルハザードを助長し、自己責任を放棄したまま経済の自立を妨げていく。真空という無原則と無定見、その中で失われていく我が国未来総理のにこやかな笑顔を見詰めながら、大悪は小善に似たりという中国のことわざを指摘し、私の質問を終わりといたします。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 簗瀬進議員にお答え申し上げます。  まず、構造変革の波を乗り切る展望を今もって開けていないのではないかとの厳しい御指摘であります。  私は、現在を明治維新、第二次大戦後に続く第三の改革の時期と位置づけており、各般の改革に取り組んでいるところであります。国内外の経済社会の大きな環境変化もとで、我が国としても国を挙げての意識改革取り組みが不可欠であるとの認識もと、今般の産業活力再生法案を初め全力で取り組んでまいる所存でございます。  政策実現スピードなど、これまでの反省をどう反映させるかというお尋ねでありますが、本法案は、産業活力の速やかな再生を図るため、現実のニーズを踏まえた必要な施策を重点化し、早急に具体化したものであります。  また、各省庁横断的な施策を盛り込むとともに、平成十五年三月三十一日までに本法案による施策成果十分評価、検討することとしており、御指摘の点をすべて反映しているものと考えております。  情報技術改革に伴い、成長十五分野を見直すべきではないかとのお尋ねでありました。  経済構造変革と創造のための行動計画におきまして、新規産業創出にかかわる分野横断的な環境整備として、資金、人材技術と並ぶ柱の一つに情報通信高度化を掲げ、ネットワークインフラ整備等、重点的な取り組みを行っておるところでございます。  国家的ビジョンについて、情報平和主義実現との御提言も含めてお尋ねがありましたが、私は、日本経済が低迷する中、国民未来への明るい展望を示し産業創出を図るため、今こそ国家としてのしっかりとした戦略を持つことが日本に求められていると確信いたしております。  そこで私は、産学官の英知を結集して国家産業技術戦略を策定するとともに、特に新たな千年紀、ミレニアムを迎えるに当たり、御指摘情報化分野のほか、高齢化環境の三分野につきまして官民挙げて求心力を持って取り組むプロジェクト、いわゆるミレニアムプロジェクトを推進していくことといたした次第でございます。  担当大臣による計画認定には問題があるとの御指摘でありますが、本法案における計画認定は、企業自主性を前提とした上で、法令に定める基準に照らし、当該計画各種支援適用するのにふさわしいものかを確認するために必要なものであり、御指摘懸念は当たらないと考えます。  また、御指摘のように、産業競争力強化のためには、規制緩和や諸制度改革新規事業ベンチャー育成など経済構造改革を推進することが不可欠であり、引き続き強力かつ速やかに取り組んでまいります。  次に、欠損金特例措置についてお尋ねがありました。  本特例措置は、単なる設備廃棄のみならず前向きの事業構築に取り組む懸命な自助努力を行う企業のみが、その業種、規模いかんにかかわらず利用できるものであります。  また、今回の税制改正は、我が国産業活力再生の速やかな実現に資するため税制上の措置を講ずるものでありますが、我が国と諸外国の制度では基本的な法制が異なっており、同一に論ずることはできず、またその適用対象につきましても、法目的から全くの任意で一般的に行われるような設備廃棄対象とすることは適当でないと考えます。  本法案がさらなる雇用削減につながるのではないかとの御指摘でありますが、本法案は、事業構築のための環境整備を通じ、人材等経営資源有効活用を図るとともに、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業ベンチャー企業の振興などの施策を講ずるものであります。こうした取り組みは、経済の自律的発展を図り、新たな産業雇用を生み出すものであり、御指摘の点は当たらないと考えます。  産業活力再生特別措置法第三条及び第十八条の規定についてお尋ねがありましたが、認定事業者の責務として、労使間で十分な話し合いを行うこと及び雇用の安定に十分配慮することをその具体的な内容といたしております。  なお、御指摘の十八条第一項後段につきましては、雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることを認定事業者が果たすべき責務として規定いたしておるものでありまして、緊急雇用対策政府支援措置と相まって十分な実効性を担保できるものと考えております。  労働者保護法につきましてでありますが、企業組織変更に伴う労働関係上の諸問題については、基本的には現行法等で対処できるものと考えておりますが、企業分割等の新たな制度的検討も進んでおりますので、企業組織変更に伴う労働関係上の問題への対応について必要な検討を進めてまいります。  最後に、ベンチャー支援のための投資環境整備についてお尋ねがありました。  ベンチャー企業等を資金、人材技術等の各方面から適切に支援することが重要であるとの認識は同じくいたしております。特に、投資環境整備が極めて重要との観点から、個人投資家の投資リスクを軽減するためのエンゼル税制等の施策を既に講じているところではありますが、この制度がさらに活用されるよう、そのあり方につき検討いたしてまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣与謝野馨登壇拍手
  14. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) お答えを申し上げます。  政策実現スピードなど、これまでの反省をどう反映させているのかというお尋ねでございますが、本法案は、産業活力の速やかな再生を図るため、産業競争力会議等の議論を踏まえつつ、現実のニーズにこたえ、かつ必要と判断した施策を重点化し、早急に具体化したものであり、まさに政策実現スピード化を図り、総花主義を排したものであります。  また、本法案は、特定産業に限定することのない事業構築円滑化創業や新事業開拓の推進、研究活動活性化といった各省庁に横断的な政策課題を統合的に盛り込んでいるところであり、必要な施策の統合的処理を図ったものであります。  さらに、本法案による成果については、平成十五年三月三十一日までに十分に評価、検討を加えた上で本法案自体を見直すこととしており、その趣旨を本法案の附則に明記しているところであります。これにより結果評価のシステムは本法案の思想の中に組み込まれていると考えております。  次に、経済再生を図る場合には企業モラルハザードを防止し、企業経営責任を問うべき大原則を貫くべきではないかとのお尋ねですが、供給サイドの構造改革を進め、生産性向上を図っていくに当たっては、民間の自主性を尊重すること及び市場原理に立脚することが重要であると考えております。  本法律案も、このような考えに基づき、事業者自身の手による企業事業構築を円滑に進めるための環境整備するものであります。  また、具体的な措置の内容も欧米諸国でも広く取り入れられているものであり、基本的にはグローバルスタンダードの範囲内であると考えております。  このような本法案の基本的考え方及び措置内容にかんがみても、本法案モラルハザードを招くことはなく、また、本法案において経営責任を問うのは適当でないと考えております。  次に、認定の有無により優遇措置適用が二分されるようなやり方は問題であるとの御指摘についてであります。  本法案による計画認定は、法令に定める基準に照らし、計画が各種措置適用するにふさわしいものであるかを確認するために必要なものであります。  認定基準については、可能な限り客観的かつ明確なものとすることにより適用の透明化に努める必要があると考えているところであり、これによって本法に基づく措置適用の有無が明確になることはむしろ適切なことであると考えております。  次に、過剰設備のあるなしについては業種によって異なっており、産業界にも不公平感が出ているとの御指摘でありましたが、本法案適用対象は特定の業種に限定するものではなく、また、事業構築の内容としても設備廃棄のみを対象としているわけではありません。したがって、業種によって不公平な扱いとなっているとの御指摘は当たらないものと考えております。  次に、過剰設備廃棄における欠損金特例措置について、企業優遇措置となるのではないかとのお尋ねですが、本特例措置は、新商品の開発や新たな生産方式の導入等の事業革新をあわせて行おうとするものが、経営資源有効活用の観点から設備廃棄を行う場合に適用されるものであります。  本特例措置は、かかる前向きの事業構築に取り組む賢明な自助努力を行う企業のみがその業種、規模いかんにかかわらず利用できるものであり、御指摘は当たらないと考えております。  次に、欠損金特例措置繰越期間及び適用範囲に関するお尋ねですが、欠損金の繰越制度を七年に延長したことは、帳簿の保存期間、除斥期間といった基本的な法制との整合性、さらには、現在講じられている他の設備廃棄欠損金に係る特例措置とのバランスを勘案して期間を設定したものであります。  また、欠損金一般に制度適用すべしとの御議論については、今回の法案の目的が経営資源有効活用にあることから、単に設備廃棄するだけでなく、事業革新をあわせて行う場合に限り欠損金繰越期間の特例を講じたものであり、企業の全くの任意で一般的に行われるようなすべての設備廃棄等まで対象にすることは適当でないと考えております。  次に、産業活力再生特別措置法第一条、第三条及び第十八条の規定についてのお尋ねですが、認定事業者の責務として、事業構築認定段階と実施段階の双方において労使間で十分な話し合いを行うとともに、従業員企業内配置転換、出向及びそのための再訓練など、雇用の安定に十分配慮することをその具体的な内容としております。  なお、御指摘の第十八条第一項後段の規定については、雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることを認定事業者が果たすべき責務として規定しているものであり、緊急雇用対策政府支援措置と相まって十分な実効性を担保できるものと考えております。  次に、民主党提出の起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案への反対理由についてのお尋ねですが、第一に、国立大学の教官等の民間企業役員兼業問題の取り扱いについては、新規事業創出産業界への技術移転等を通じた産業活性化等に資するものであるものの、国家公務員の全体の奉仕者としての性格等も踏まえた上で、兼業を可能とする場合の適正なルールのあり方について進められている検討の結果を待つ必要があること、第二に、民主党案に盛り込まれたベンチャー企業支援税制については、真にベンチャー企業育成に資するものであるかの観点から疑問のある項目や、課税の公平性の観点から、理論的、実務的に慎重な検討が必要である項目があること、第三に、女性による創業等の促進中小企業者等の新技術を利用した事業活動の支援については、既存の創業支援策、中小企業関連施策等により対応可能であること、等により、政府としては賛同できないと考えた次第であります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣柳沢伯夫君登壇拍手
  15. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 過剰債務株式化について、金融機関側の財務の不安定化企業側のモラルハザードの観点からお尋ねがございました。  金融機関債権者として企業債務株式化に参画することにつきましては、一般論として、銀行の株式保有の増大が財務の不確実性をもたらす可能性があります一方、それが適切に行われる場合には、銀行の不良債権処理の選択肢になり得るというメリットも否定できないところであります。  したがいまして、企業債務株式化への参画は安易に流れてはならないということは一方にあるものの、個々の銀行の厳しい経営判断によって個別のケースごとに決定されるべき問題である、このように考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣甘利明君登壇拍手
  16. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 事業構築がさらなる雇用削減につながらないような配慮などについてのお尋ねでありますが、今回の法案におきましては、まず目的規定におきまして雇用の安定についての配慮が明確に規定をされておりまして、また、事業構築計画認定、実施に当たりましても雇用の安定に配慮する旨の規定が設けられているところであります。  私といたしましては、企業事業構築を実施するに当たりましては、安易に人員削減をするのではなく、労働者雇用の安定に最大限配慮することが企業社会的責務とも言えるべきものと考えておりまして、今後とも雇用の安定のための最大限の努力をしてまいります。  次に、労働者保護法の制定についてのお尋ねでありますが、総理から答弁がありましたとおり、基本的には現行法等で対処できるものと考えておりますが、企業組織変更につきましては、企業分割等の新たな制度的検討も進んでおりますので、労働省といたしましても、労使の意見等も踏まえつつ、企業組織変更に伴う労働関係上の問題への対応につきましては必要な検討を進めてまいります。(拍手)    〔国務大臣陣内孝雄君登壇拍手
  17. 陣内孝雄

    国務大臣(陣内孝雄君) お答えを申し上げます。  敗者復活が容易にできるような新たな企業整理法の創設についてお尋ねがありました。  破綻に瀕した企業について、その再建を効果的に行うための法制整備することは重要な課題であると認識しております。  法務省では、従前から倒産法制全体について見直し作業を進めてきましたが、中小企業や個人事業者に利用しやすい再建型の手続については、特に緊急に整備する必要があるとの判断から、倒産法制の他の課題とは切り離して、現在、鋭意検討作業を進めており、次期国会には関係法案を提出することを予定しております。(拍手)     ─────────────
  18. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 浜田卓二郎君。    〔浜田卓二郎君登壇拍手
  19. 浜田卓二郎

    ○浜田卓二郎君 私は、公明党会派を代表して、産業活力再生特別措置法案につき、総理並びに関係大臣質問をいたします。  私は、日本経済はいまだに活力を持った経済であると確信しています。そして、今日の深刻な長期デフレ状況をもたらしてしまった原因は明らかであるとも考えています。  一つは、たび重なる経済政策失敗の積み重ねです。  すなわち、政策転換のおくれでバブルを大きくし過ぎたために、総量規制等の非常手段で急ブレーキをかけざるを得ず、バブルをつぶし過ぎることになってしまいました。しかも、この急ブレーキを外すタイミングの判断を誤り、深刻なバブル崩壊の後遺症を残してしまったのです。  その上、不良債権の累積を初めとする後遺症を早期に取り除くことなく、甘い自律回復の期待のもとに長く放置してしまう結果になったのです。このことが金融システムを機能不全に陥らせるとともに、今日の深刻なデフレ的状況をもたらしてしまったと考えます。  もう一つは、このような時期に我が国経済が、世界経済の一層のボーダーレス化、大競争化、さらに国際的産業再編の進展の中で構造変革を迫られつつあることであります。  この二つ状況の同時進行の中で、日本経済の本来持てる力が覆い隠され、人々は将来に対する展望を持てなくなり、家計や企業の財布のひもは締まり、消費も投資も落ち込んでしまったのです。  以上、述べてまいりましたとおり、私は、日本経済が今日の状況に陥った原因は明らかであり、したがって、この原因を一つ一つ取り除き、かつ経済の構造変化を推進するために必要な手だてをきちんと打っていきさえすれば、日本経済は本来の持てる力を回復できると確信するものであります。  小渕内閣は、それ以前の政策失敗反省の上に立って、宮澤蔵相のもとで思い切った政策の転換を図り、なりふり構わず拡大策を打ち出してこられました。そして、金融の正常化にも大胆に取り組んできました。この一年間の取り組み努力は私も評価するものであります。  しかし、いまだ経済が自律的回復の軌道に乗ったか否か判断は分かれています。失業も深刻の度合いを高めています。総理我が国経済現状認識と、追加的補正予算の編成も含めた今後の取り組みについての御所見をお聞かせいただきたい。  私は、政策失敗により持てる力を発揮できなくなった我が国経済の再活性化はまさに政治責任であり、今回の産業活力再生特別措置法案の提出は時宜を得たものであると考えております。まずその意図はよしと私は考えます。  しかしながら、内容について幾つかの点を指摘しなければなりません。  まず、この活性化法の適用を受けるためには、事業構築計画を作成し、主務大臣認定を受けなければならないとされていることです。主務大臣認定するということは、官僚が認定作業をするということです。  しかし、事業がうまくいくか、生産性が相当程度向上することが見込めるか、このような判断を直接事業に携わっていない官僚が当の事業者以上にできるはずがありません。官僚は万能ではありません。官僚が経営に介入してきた事例は、金融業にしろ農業にしろことごとく失敗をしてきているのです。  しかも、役所は時間がかかります。役所に身を置き、その後民間サイドで苦労してきた私の口癖は、役所で一月かかることでも民間でやれば三日でできるということであります。  この法律案を読んで感ずることは、かなりの大企業で、時間も人手もあり、煩瑣で気の遠くなるような役所の手続に耐えられる限られたところだけがこの制度適用を受け、特別措置恩恵に浴せるということであります。つまり、再活性化対象となり得る企業は限られたものにならざるを得ず、日本経済の再活性化も限られた範囲にとどまらざるを得ないだろうということです。  だからといって、私はこの法律を否定し去るわけではありません。これはこれでやればよい。そのために、計画認定の手続をできるだけ簡素化し、書類の数も少なくし、短期間で処理できるようにすること、認定基準を極力客観化し、官僚の恣意ができるだけ入り込まないようにすることは最低限必要であると考えます。  そして同時に、この法律による対応は、日本経済を再活性化するための方法の一つにすぎないという認識を明確に持つことです。今後、より進んだ広範かつ有効な対応につき、引き続き検討していくことです。  これらの点についての通産大臣の御決意を伺いたい。  私は、この法律案は、過去の過大投資の清算あるいは大きくなり過ぎた企業の方向転換など、時代の激変に対応し切れなかった比較的規模の大きな企業にとってはそれなりに有効な手段を提供するものとして評価いたします。  しかし、我が国経済の持つ活力を広範に引き出して、真に経済活性化し、産業構造変化を推し進め、新しい雇用機会をつくり出すためには、雑草のようにたくましい民間の創意や工夫に、行政が選別、介入することなく、創業事業拡大のチャンスを制度として保障していくことがより大切だと思うのであります。  過去の清算、後追い的施策も重要ではありますが、将来に向かってこれから育つ芽を大きく伸ばす意欲的・積極的対応がより重要であります。  そのためには、まず、現在進行中の我が国金融システムの正常化と、いわゆる土地本位とも言われた担保依存一辺倒の金融から事業本位の金融への移行など、時代の要請にこたえられるバンキングの確立を急ぐことです。二〇〇一年四月一日からのペイオフ移行の時期を文字どおりデッドラインとして、金融当局は徹底した不良債権の処理、新しい金融ルールの確立を急ぐべきであります。  金融再生委員長金融正常化への展望と決意をお聞かせいただきたい。  次に、政策金融を新しく企業を起こそうという意欲を持つ人々にもっと広範かつ容易に利用できるものとすることであります。  その意味で、本法律案信用保証制度拡充都道府県による無利子融資制度拡充などの金融支援措置を講じていることは一定の評価ができると思います。しかし、私は、もっと踏み込んで、今国会の法律改正で誕生した日本政策投資銀行に、思い切った創業者及び新事業開拓を行う企業向けの専門金融をやらせることを提案したいと思います。  現在、同銀行の前身である日本開発銀行にもベンチャー企業向けの融資制度はありますが、実績はわずか五十億円程度、その金融に携わっているスタッフも十数名という名目的なものにすぎない現状です。スタッフの大幅増員、資金枠の大幅な拡大により、本格的な融資体制をつくるべきと思います。  さらに、リスクを伴う創業者及び新事業開拓を行う企業への投資税制上優遇し、投資促進する工夫も必要であると考えます。いわゆるエンゼル税制拡充です。  これらの点について、大蔵大臣見解を伺いたい。  さらに、私は、日本経済活性化の決め手は、やはり各種規制の緩和ないし撤廃であることを再確認すべきだと考えます。一時、熱心に取り組まれていた規制の緩和、撤廃への熱意がどうも弱まったような気がしてなりません。しかし、我が国現状は、いまだにそこに法律があり、官僚がいるから事業ができない分野を多く残しています。  例えば、都市計画法による多くの規制であります。この規制の緩和、撤廃が行政の末端まで徹底されれば、どれだけの地域開発投資が動き出すかはかり知れません。  新駅の前で市街化調整区域のまま放置されている土地がどれだけあるか、建設省は多分その実態を知らないでしょう。また、線引きの見直しが遅々として進まない中で苦肉の策で考え出された地区計画制度も、昨年十一月に地方自治体に通達されて以来、いまだに一件の適用事例もありません。これが規制最前線の実情であります。  本気で日本経済活性化しようとするなら、その材料は規制国家日本のどこにでもあるのです。法律の改変を急ぐとともに、単に法律を変え、通達を出すだけでなく、地方自治体の直接の窓口まで含めて、教育、啓蒙を徹底すべきであります。  総理大臣の御所見と御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  20. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 浜田卓二郎議員にお答え申し上げます。  まず、我が国経済現状認識と今後の経済政策取り組みについてお尋ねがございました。  現下の我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況にありますが、各種の政策効果が浸透しつつあり、このところやや改善しております。本年一—三月期の実質国内総生産速報もこうした景気判断を需要面から裏づけたものと考えております。  政府といたしましては、十一年度予算の着実な執行に努めているところであり、今後はその効果も本格的にあらわれてくることが期待されます。本格的な経済の回復に向けては、今まさに正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えでございます。  また、経済を自律的成長軌道に乗せるためには、雇用対策及び経済供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの観点から、先般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところでございます。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、諸施策を速やかに実施していく考えであり、雇用対策については、先般成立いたしました補正予算の迅速かつ適正な執行に努めてまいります。産業競争力強化対策につきまして、産業活力再生特別措置法案を今国会に提出し御審議いただいておるところでございます。  当面の財政運営につきましては、今後の我が国経済の動向、具体的には四—六月期の経済指標等を見きわめた上で、必要がありますれば公共事業等予備費の活用、十五カ月予算という考え方に立った平成十一年度第二次補正予算の編成も視野に入れ、回復力が弱いながらも改善しつつある景気の腰折れを招くといったことのないよう、引き続き景気に十分配慮した財政運営を行ってまいりたいと考えております。  各種規制の緩和、撤廃の断行についてお尋ねがありました。  政府は、自由で公正な経済社会構築していくため、聖域を設けず規制緩和を推進することが重要であるとの考え方に立ち、去る三月に改定をいたしました規制緩和推進三カ年計画経済構造変革と創造のための行動計画を着実に実施いたしており、今国会にも規制緩和のため所要の法律案三十法案を提出し、既にそのうち二十三法律が成立をいたしております。その他の法案につきましても速やかに成立を期待いたしておるところでございます。  またさらに、去る七月十三日には、政府産業構造転換・雇用対策本部におきまして、新たな雇用創出産業競争力強化の観点から具体的な措置を決定いたしております。  なお、規制緩和を推進していくに当たりましては、今後とも個々の具体的措置について、地方公共団体の窓口も含め行政の担当者にその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣与謝野馨登壇拍手
  21. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) お答え申し上げます。  事業構築計画認定の手続の簡素化についてのお尋ねですが、事業者の負担を軽減するため、申請書類については極力簡素なものとするよう配慮したいと考えております。また、認定基準については、経済実態や専門家の意見などを踏まえ、かつパブリックコメントなどを経た上で客観的な指標を策定し、告示にて明確化することとしております。  このように、認定手続を簡素化し、かつ認定基準を客観化、明確化して恣意性のない運用を行うことにより、事業構築計画の申請受理から原則として一カ月以内に認定することとしたいと考えております。  次に、日本経済の再活性化のためには、本法案にとどまらず、さらなる対応を検討する必要があるとの御指摘がありました。  我が国経済の自律的発展を確保するためには、供給サイドの体質強化、すなわち事業者の自主的努力促進しつつ、企業の構造改革が円滑に実施されるような環境整備することが重要であります。  政府としては、従来から規制の緩和、撤廃、持ち株会社の解禁などを初めとする経済構造改革を進めており、今般の産業活力再生特別措置法案もその延長線上にあるものと考えております。  今後、我が国経済の中長期的な発展基盤を形成するため、本法案を新たな第一歩とし、中小企業等の事業再建手続法制などの制度整備ベンチャー企業中小企業育成、研究開発の活性化規制緩和の一層の推進などにさらに力を入れて取り組んでいく考えであります。  また、こうした供給面での体質強化とあわせ、需要面についても経済動向を注視しつつ、機動的、弾力的な経済運営に努めていく考えであります。(拍手)    〔国務大臣柳沢伯夫君登壇拍手
  22. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 金融正常化への展望と決意につきましてお尋ねがございました。  我が国金融は、現在、金融再生法と金融健全化法のもとでシステムの安定化に向けて一定の進捗を見つつございます。しかし、これら臨時、異例とも言うべき措置の有効期限はいずれも二〇〇一年三月まで、すなわちペイオフの解禁予定時期と軌を一にいたしております。  私どもといたしましては、この期限までに我が国金融機関のすべてを通じて不良債権を処理し、十分な資本を持ち、さらに効率的で競争力の強いものとし、これによってある程度のリスクに耐えるとともに、他方、信用リスク、市場リスクなどのリスクを的確に管理できる能力を持つ体制を築いてまいりたいと考えております。  このようにして、現行の二法が失効しても金融機関が自立してその役割を果たし得るという、議員のいわゆる金融の正常化を実現してまいりたい、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  23. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 政府の提案には基本的には賛成であるけれども、幾つか注文したいことがあるという中で、一つ、いわゆるベンチャーキャピタルについて御指摘がありました。  我が国経済が今の危局を乗り切って二十一世紀に臨むためには、どうしても私はこの問題が大変必要であると思いますから、御指摘になられたことに大変共感を感じております。  御存じのように、いわゆる開発銀行は民間のリスクがとりにくい、戦後で申しますと重厚長大な産業を育ててまいりましたが、八〇年代ごろになりますと、日本経済が円熟しまして、どうも開発銀行というのは民業圧迫だというようなことが言われた時代がございます。  ところが、今になりますと、また市中銀行がどうも元気がすっかりなくなりまして、今度の日本政策投資銀行に負うところが多い、まことに皮肉な展開をいたしておるわけですが、それこそベンチャーキャピタルなどは本当に市中機関がたとえ力が強くなってもなかなかリスクがとれない分野でございますから、今でこそ日本政策投資銀行に、それは私も大いに期待をいたしたいと思います。  そのための資金等々の手当て、入り用なことは必ずいたしますが、人員につきましては、開発銀行の仕事が大分長年の間に変わってまいっておりますから、人々の重点配置ということも銀行で十分に考えてもらうべきではないかというふうに思います。  それから、同じ問題につきまして、エンゼル税制ということについてもお話がございました。  御承知のように、今エンゼル税制というのは、あるのはあるわけでございます。申しわけ程度とは申しませんが、なかなかこれ、税法で面倒なものですから、思い切ったエンゼル税制はできていない。  ただ、それは、我々国民ももう少し投資マインドを持ってもらいませんと、貯蓄だけではなかなかいきませんので、投資をするということをやはり国民が考えてもらう必要があって、今、金利が低いものですから、勢いそういう動きが出ておりますので、投資マインドが出てきましたら、やっぱりそれにふさわしいぐらいなエンゼル税制みたいなものをもう少しアクセントをつけてやるべきではないかというふうに私も考えています。(拍手)     ─────────────
  24. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 西山登紀子君。    〔西山登紀子君登壇拍手
  25. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、産業活力再生特別措置法案について、総理並びに関係大臣質問いたします。  まず初めに、このような重要法案を、衆議院において十分な審議時間を保障せず、採決が強行されたことはまことに遺憾なことであることを申し上げ、質問に入ります。  本法案は、大企業生産性向上を目的に、得意分野にシフトする事業構築、すなわちリストラを支援するものです。過剰設備の問題でいえば、民間研究機関の調査でも、その四分の三が景気低迷による需要不足によるもの、残りがバブル期の過剰投資などによるものだと言っています。我が国経済の自律的回復を目指すというのなら、今なお深刻な事態にある個人消費の拡大を図ることこそ先決ではありませんか。総理及び大蔵大臣に答弁を求めます。  本法案では、目的で、雇用安定等に配慮することを規定しています。総理も、事業構築を進める際には雇用面にしわ寄せしないよう最大限配慮すると言ってきました。しかし、これは表向きにすぎません。実際には、産業競争力会議参加企業のソニーグループが四年間で全体の一割、一万七千人の削減、同じく日立製作所は来年三月末までに本社の約一割、六千五百人を削減するなど、大がかりな人減らしが計画されているではありませんか。総理、今実際に行われている大企業のリストラ計画で人減らしを伴わない計画がありますか、はっきりお答えください。  今回、この法案に組み入れられる事業革新法にも、雇用安定等に配慮するという同様の規定があります。しかし、同法に基づく事業革新計画の承認を受けた企業のうち、株式上場企業六十社は九五年から九八年の間に全従業員の一三%、五万六千人もの人減らしを行ってきました。こうした事実があるのに、なお事業革新法を例にとって雇用安定のために実効ある配慮はなされると言うのは、全く国民労働者を欺瞞するものではありませんか。総理、お答えください。  次に、本法案は、事業構築計画認定要件の一つに「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」を定めています。  そこで、お聞きします。  これは、例えば事業の合併、譲渡の場合には従業員は全員承継され、労働条件もそのまま引き継がれることが原則だということでしょうか。さらに、事業の縮小・廃止や設備の撤去や廃止の場合には具体的にどういう措置になるのか、お伺いいたします。  政府は、労働組合や従業員の同意を前提にしていない事業構築計画であっても認定することがあると答弁しています。労働者の生活に重要な変更がある場合、労使間の事前協議で合意を前提にすることは当たり前のことではありませんか。そんなことも認めないのであれば、この法案はまさに政府が財界と一体となって問答無用の人減らしを進めるリストラ競争推進法ではありませんか。  総理、あなたはリストラで失業した人々の実態を御存じでしょうか。総務庁が七月三十日に発表した六月の完全失業率は四・九%と過去最悪を更新しています。倒産やリストラによる非自発的離職者が過去最多の百十八万人にもなっています。昨年一年間で自殺者が三万人を超え、そのうち七三%が三十歳から五十歳代という働き盛りです。  先日、リストラによる失業で、学費が払えず、やむなく子供を中途退学させざるを得ない家庭が前年に比べ二六%も急増している、何とかしてほしいと私立学校の先生方や保護者から陳情を受けました。総理、家計を支える大黒柱が次々と失業や自殺に追い込まれている過去最悪の深刻な事態をあなたはどうお考えですか、政府としての責任を感じないのですか。  リストラのやり方も問題です。視察に行ったNKKでは、仕事の場所も中身も変わらずユニホームと帽子が変わるだけという分社化が次々と数百人規模で行われ、労働者に有無を言わさず出向、転籍させ、三〇%もの賃金カットなどを強要しているのです。また、セガでは職場の中でリストラルームと呼ばれる隔離部屋までつくって退職を強要するという人権侵害のやり方まで横行しています。総理は、こういうリストラ、雇用削減のやり方が許されると考えているのでしょうか。人権侵害の行為は絶対に認めないなど厳しく対処すべきではありませんか。答弁を求めます。  ヨーロッパでは、解雇規制法とともに、企業譲渡などの際に労働者の既得の権利を保護する目的で労働者の権利義務の移転企業譲渡などを理由とした解雇の禁止、労働者に対する事前の情報提供などについて規定するEU既得権指令がつくられました。大企業が利潤追求第一で社会のことを考えない行動をとったときこそ、それを正すのが政治の役割ではありませんか。EUのような労働者保護のルールこそ今制定すべきではないでしょうか。  また、本法案は、経営の見通しに失敗して過剰設備債務を抱えた大企業ほど税の優遇を受けられる仕組みになっています。総理は、国民責任を押しつける一方、この法案では経営責任は問わないと答えています。では、過剰設備廃棄税制上の優遇を受ける企業経営責任をいつ、どのように問われるのでしょうか。  設備廃棄による欠損金の繰り越し・繰り戻し特例は、設備廃棄すればするほど優遇されます。さらに、銀行が企業の借金の一部を棒引きするかわりにその企業株式を受け取るという債務株式化によって、銀行支援六十兆円の公的資金が結局迂回して大企業の借金棒引きに回されることになります。なぜ国民が税金で大企業失敗の穴埋めをしなければならないのですか。こんなことをすれば、銀行だけでなく大企業モラルハザードを一層進めるだけではありませんか。総理、お答えください。  最後に、自民党は、産業競争力会議の参加十六企業と業界団体から九三年から九七年の五年間に総額二十六億五千六百万円もの政治献金を受けています。本法案がこうした企業献金の見返りではないかと疑われても仕方のない関係ではないでしょうか。総理は、衆議院で、経団連、財界の要求を丸のみしたものではないと答えていますが、そうでないというのならこの際きっぱりと産業競争力会議参加企業からの企業献金をやめるべきではないでしょうか。総裁である総理の決断でできることです。答弁を求めます。  大企業の目先の利潤追求を応援する政治からは、二十一世紀の国民生活と国民経済の明るい未来は見えてきません。大企業にその力にふさわしい社会責任を果たさせる政治の転換を強調し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  26. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 西山登紀子議員にお答え申し上げます。  まず、本法案労働者に不安を与えるという懸念と、経済の自律的回復方策についてお尋ねがありました。  現下の我が国経済は、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善しておりますが、本格的な経済再生には民間設備投資や個人消費を初めとする民需の回復が不可欠であると考えております。  政府といたしましては、十一年度予算におきまして、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、個人所得課税の恒久的減税を実施するほか、公共事業中小企業対策雇用対策最大限配慮するとともに、住宅ローン減税を行うこととするなど、人々の生活基盤の安定化につながる施策を積極的に講じているところであります。加えて、雇用対策について、先般成立いたしました補正予算の迅速かつ適正な執行に努めてまいります。  また、本法案は、事業構築のための環境整備雇用創出効果の高い創業等への支援策を講ずることを通じて経済の自律的発展を図るとともに、良好な雇用機会の創出実現するものであり、御指摘の点には当たらないと考えております。  本格的な経済の回復に向けては今まさに正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えであります。  リストラ計画と人減らしについてお尋ねですが、企業事業構築は、合弁や事業提携、子会社設立等による新分野進出など多種多様な内容を含み、一概に雇用の縮小を伴うとは言い切れないと考えます。御指摘産業競争力会議参加企業もグループベースで見ますと全社合計で雇用は増加の傾向にあります。  また、我が国企業は、これまでもリストラ計画雇用調整を行う場合にあっても、自然減や配置転換、出向等を行うことにより雇用の安定を図ってきており、今後ともこうした責務を果たすよう求めてまいります。  事業構築計画認定の要件中、従業員の地位を不当に害するものでないことに関するお尋ねでありますが、本要件は計画認定時点におきまして、事業者事業構築を行う際に雇用の安定に配慮しつつ行っているか否か、労使間で十分な話し合いを行ったかどうか等を確認するものであります。したがって、本要件は従業員の全員承継、労働条件の継続等を意味するものではありません。  労使間の事前協議で合意を前提にするのは当然ではないかとのお尋ねでありますが、事業構築には経営権に属する事項も含まれることなどから一律に合意を義務づけていないものであります。  また、人減らしのためのリストラ推進法案ではないかとの御指摘ではありますが、本法案事業構築のための環境整備雇用創出効果の高い創業への支援策を講ずることを通じて経済の自律的発展を図るとともに、良好な雇用機会の創出実現するものであり、御指摘の点は当たらないと考えております。  リストラで失業した人々の実態についてのお尋ねでありますが、六月の完全失業率四・九%と過去最高を更新するなど雇用情勢が厳しさを増す中で、非自発的失業者数も過去最高水準となっているものと認識しております。今後とも、今回の緊急雇用対策の着実な実施に努めることなどにより、国民雇用不安の払拭に向け全力で取り組んでまいります。  人権侵害につながりかねないリストラや雇用削減についてお尋ねがありました。  人権侵害はあってはならないものであると考えておりますが、出向、転籍、退職勧奨などの問題については基本的には労使間の十分な話し合いによって解決されることが重要と考えており、政府としては、裁判例等の情報提供に努めるほか、労使当事者からの申し出などに応じ適切な指導を行ってまいりたいと考えております。  労働者保護のルールについてのお尋ねでありました。  EU諸国と我が国では、企業における労使関係の実情、雇用労働市場の状況等が異なることから、EUの労働者保護のルールを我が国に導入することについては適当でないと考えます。  企業経営責任及びモラルハザードに関するお尋ねでありますが、今回の事業構築計画に係る認定事業者への措置は、生産性向上に向けて、既存の中核的事業の拡大や新たな商品や生産方式の導入など、将来へ向けた経営上の努力を行う事業者に対して行うものであり、本法案において経営責任を問うことは適当でなく、また本法案によりモラルハザードを推進することもないと考えます。  最後に、産業競争力会議に参加している企業からの自由民主党への献金についてのお尋ねでありますが、御指摘の事例についてこの場でお答えすることは差し控えますが、一般論としてお答えをいたしますれば、政治資金規正法に定められたところに従って、それぞれの企業や団体が政党の理念等を支持し支援するため政党に対する寄附が行われているものであり、問題はないと考えます。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  27. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この法律案はリストラを支援するものであって、我が国経済の自律的回復を目指すというのならば、今深刻な事態にある個人消費の拡大こそ先決ではないか、大蔵大臣に答弁を求める、こういう御趣旨の御質問であります。  確かに、リストラをいたしますと、殊に大幅なリストラを急激にいたしますから、雇用に深刻な影響があるということは、私は御指摘のとおりと思います。でございますから、昨年度の補正予算から今年度の本予算にかけまして一兆円の施策をいたしておりますし、先般も補正予算を御審議願ってお許しをいただいたわけでございまして、そのことは私どもも抜かりなく準備をいたしておるつもりでございます。  でありますが、自動車を導入すれば人力車が失業する、反対といったようなことはだれも思わないわけでありまして、今の我が国の内外の情勢を考えますと、どうしてもやはりリストラはしなければならないというふうに私ども思うわけです。  アメリカ経済がきょうこれだけ好調なのは、現在労働生産性が三%になっているそうで、つい前まで一%という時代であったのですから、やはり労働生産性が上がっていくということが私は大事で、それによって雇用生産性の高い方へ移っていく、それによって賃金も労働条件もよくなる、こういうふうに私どもはいたすべきだと思っておるわけです。  十分注意はいたしますが、御理解をいただきたいと思います。(拍手)     ─────────────
  28. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 三重野栄子君。    〔三重野栄子君登壇拍手
  29. 三重野栄子

    ○三重野栄子君 三重野栄子でございます。私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案につきまして、総理並びに関係大臣質問をいたします。  本法案は、我が国産業活力再生を速やかに実現し、豊かな経済社会構築していくため、企業事業構築支援を目的としていると政府は説明していますが、企業が抱えております雇用設備債務の三つの過剰の解消を国として後押しをするという内容は、まさに企業事業者中心としたものであり、労働者、生活者の視点に立ったものではないことは明らかであります。  現下の我が国経済は依然として厳しい状況にありますが、この原因をつくったのは、バブルの発生を防げず、またその崩壊後における政府政策対応の誤りに基づいたものであり、その結果として多くの国民が今後の我が国経済の行く末に大きな不安を抱えているためであると考えております。  社会民主党はかねてより、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるために、一、安心できる生活展望を示し生活の不安を解消する、二、健康、福祉、老後の不安を解消する、三、共生の地域社会づくりで地域の不安を解消する、四、雇用対策拡充失業不安を解消する、五、中小企業対策、貸し渋り対策の充実で不安を解消するという五つの不安打開策を主張してきましたが、今回の法案はこうした国民の不安にこたえるものではなく、企業のリストラ強化支援するというものでありまして、国民の不安をますます増大するものではないでしょうか。  まず、この点につきまして総理の御見解をお伺いいたします。  今回論議を呼んでおります過剰設備廃棄過剰債務の圧縮、過剰雇用整理は、言うまでもありませんが、バブル経済の清算にほかなりません。過剰設備過剰債務をもたらした原因はまさしく経営者の重大な判断ミスによるものでありまして、そのツケを国民労働者に押しつけようとすることには到底納得することができないのであります。経営者責任を問うこともなく、設備廃棄を国として支援しようとすることは、企業経営者モラルハザードをいたずらに助長する以外の何物でもないのでありませんか。  事実、当の産業界からも特定の業界や企業優遇税制を設けることに対して反対の声が強いと聞いております。経営上の失敗からもたらされた過剰設備過剰債務につきまして、当然、企業経営者責任が問われてしかるべきであると考えますが、あわせて総理の御見解を伺いたいと思います。  法案に盛り込まれております事業構築支援策が企業のリストラを一段と加速させることは否定できません。企業のリストラの拡大は雇用問題だけにとどまらないことは言うまでもありません。設備廃棄が工場の撤退に結びつき、地域経済に重大な打撃を与えるものだと言わざるを得ないのであります。  企業城下町と言われるような地域の商店街などが受ける影響について、政府はどのように考慮しているのでしょうか。総理通産大臣の御見解をお伺いいたします。    〔議長退席、副議長着席〕  次に、今回の法案には、創業者・中小ベンチャー支援策が盛り込まれております。環境や福祉分野など二十一世紀を見据えた新規産業創出育成は極めて重要な政策課題であると認識しておりますけれども、今回いち早く取りまとめられました事業構築枠組み支援策に比べまして、新規産業支援策は極めて不十分であり、この問題に取り組む政府の真剣さは疑問であります。  中小企業ベンチャー企業創出につきまして、人材、資金、技術面にわたる総合的な支援体制の確立が急務であると考えますが、通産大臣の御見解を伺いたいと存じます。  加えて、今回の法案におきましては、優遇税制などの恩典を受ける企業をどのように認定するかにつきまして、施行日までに通産省令を策定する予定であると聞いていますが、この規定があいまいなままでは裁量行政そのものになりかねません。そのためにも明確かつ客観的な基準を策定するべきであると思いますが、通産大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、雇用問題に関連して伺います。  本年六月の完全失業率は四・九%と、再び史上最悪の状況にあります。小渕総理は、今国会の冒頭の施政方針演説におきまして、百万人規模雇用創出を目指し、雇用対策を強力に推進してまいりますと述べておられますが、また、先般の平成十一年度補正予算におきましても、緊急雇用対策費が大きな柱であると言っております。しかし、五千億円程度という極めて不十分な雇用対策であり、雇用不安の解消を図るという観点とはほど遠い内容となっていると言わざるを得ません。  政府がこれから推し進めようとしています補正予算緊急雇用対策法案による事業構築支援策という二頭立ての政策でもって我が国経済の建て直しと雇用不安の一掃が本当に可能なのでしょうか。史上最悪の状況にある雇用情勢を一段と増大させ、リストラの加速が失業率の一層の悪化を招き、雇用不安の高まりから、景気回復のかぎを握っている個人消費の回復をおくらせるばかりではないでしょうか。  総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三重野栄子議員にお答え申し上げます。  まず、本法案労働者、生活者の不安をますます増大させるものではないかとの御指摘についてでありますが、本法案は、事業構築のための環境整備を通じ、人材等経営資源有効活用を図るとともに、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業ベンチャー企業の振興などの施策を講ずるものであります。  こうした取り組みは、経済の自律的発展を図り、新たな産業雇用を生み出すものであり、御指摘の点は当たらないと考えます。  過剰設備については企業経営者責任を問うべきであるとのお尋ねでありました。  今回の事業構築計画に係る認定事業者への措置は、生産性向上に向けて、既存の中核的事業の拡大や新たな商品や生産方式の導入など、将来に向けた経営上の努力を行う事業者に対して行うものであり、この法案において企業経営者責任を問うことは適当でないと考えます。  事業構築の地域経済への影響についてでありますが、事業構築に対する支援我が国経済活性化させ、地域の事業者を含む幅広い事業者に新たな成長の機会を提供するものであります。また、本法案におきまして、地域の中小企業者等の新事業開拓についての支援措置も講ずることといたしております。加えて、中心市街地活性化等の既存の施策も積極的に講じ、地域経済活性化には十分配慮してまいります。  最後に、事業構築支援策と緊急雇用対策の効果についてのお尋ねでありますが、企業事業構築を通じた体質改善を円滑化することは、新たな投資を誘発し、我が国の自律的発展を実現する上で不可欠であります。  あわせて、本法案は、雇用創出効果の高い創業、すなわち、業をつくり、起こすこと等への支援策も盛り込んでおり、先般の緊急雇用対策と相まって、経済活力再生とそれを通じた良好な雇用機会の創出実現するものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣与謝野馨登壇拍手
  31. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 三重野先生にお答え申し上げます。  まず、事業構築が地域経済に及ぼす影響についての御質問ですが、本法案は、事業者生産性の高い分野経営資源をシフトさせることを円滑化するものであります。かかる取り組みを通じまして、我が国生産性向上を図り、我が国経済活性化を図ることにより、地域の事業者を含め幅広い事業者にとって新たな成長の機会が創出されるものと考えております。  また、本法案においては、創業及び中小企業の新事業開拓に対して支援措置を講じ、地域の中小企業者等の活性化を図ることとしております。  加えて、地域産業集積活性化対策中心市街地活性化対策、さらには昨年十二月に成立した新事業創出促進法に基づく地域プラットフォームの創設、支援等の一連の施策を積極的に講ずることにより、地域経済活性化についても万全を期してまいります。  次に、中小・ベンチャー企業支援体制についてのお尋ねですが、本法案においては中小・ベンチャー企業等に対する設備資金の無利子融資制度拡充信用保証制度の特例等、特段の措置を講じていくこととしております。  さらに、法案に直接盛り込まれた措置以外にも、中小企業総合事業団において中小・ベンチャー企業に対する出資、助成等の積極的な支援を行うほか、人材データベースの設置及び企業経営に必要なアドバイザーの派遣事業等を推進してまいります。また、技術面においては、SBIRの創設により中小企業による研究開発を支援しているところでございます。  今後とも、中小・ベンチャー企業が活発に活動できるよう、人材、資金、技術面にわたる総合的な施策を推進してまいる所存でございます。  次に、事業構築計画認定税制等の支援策の適用に係る基準についての御質問ですが、明確かつ客観的な指標を設け、恣意性のない透明な運用を行ってまいりたいと考えております。指標の作成に当たっては、経済の実態や専門家の意見等を踏まえつつ、明確かつ客観的な指標を策定することとし、これを公表する考えでございます。  以上です。(拍手)     ─────────────
  32. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 水野誠一君。    〔水野誠一君登壇拍手
  33. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、参議院の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  この法案の提案理由にも述べられているように、産業界設備債務雇用の三つの過剰から危機的な時代を迎え、我が国企業生産性伸び率はOECD平均を下回る水準に低迷し続けております。  バブル崩壊後、政府も景気回復への甘い期待を抱いて、真の改革を先送りしてきました。しかし、市場競争のグローバル化の進展がもはやこうした態度を許さないことから、現在、我が国経済社会が置かれている非常に厳しい状況を招いているものと考えます。  必要なことは、競争力のなくなった業種や部門を大胆に縮小し、人材や資金を成長力ある分野に投入するという大構造改革であり、産業再生法案がまさに選択集中を重要なキーワードとしていることは評価したいと考えます。  長い間、日本企業の経営目標は売り上げとマーケットシェアの拡大にありました。しかし、経済のグローバル化により、企業は売り上げそのものよりも利益率を上げ、格付を高めなければ株式市場によっていや応なしに淘汰されるという厳しい時代を迎えております。企業が生き残っていくためには、設備投資削減過剰債務の解消、過剰雇用削減という事業のリストラクチャリングが避けられず、現にマーケットでは、実効あるリストラ計画を発表した企業はリストラ銘柄と呼ばれ国内外の投資家からの評価が上がるという、過去には見られなかった現象が出てきています。  しかし、我々は、失業の増加が社会不安につながらないように十分な対策をとりつつも、一方で産業構造の転換を迅速に進めていくという極めて高度な政策選択を迫られています。  これまで国は、景気対策というカンフル注射一本やりの政策をとり続けてきました。しかし、これからの経済社会を構造改革していくシナリオにおいては、構造改革雇用確保を単純に二律背反的にとらえる発想では何も問題を解決できないわけであり、そこにはそれを両立させるための全く新しい知恵が求められているものと考えます。  私自身、二十一世紀はこの構造改革雇用問題に限らず、環境問題や人口問題などあらゆる分野で構造的矛盾が噴出してくる時代であり、そこでは二十世紀的な知識偏重ではなく、人類の歴史に立ち戻った真の知恵を働かせない限り問題を解決していくことはできないだろうと言い続けてまいりました。  堺屋長官も、人類は近代工業社会を超越して新しい知恵の時代を迎えていると繰り返し発言されております。改めて、この経済社会の転換期に求められる知恵とは何か、また、あるべき知恵の社会とはどんなイメージの社会かという点について、長官の御認識を伺いたいと思います。  次に、宮澤大蔵大臣に伺います。  今回の産業再生法案の一つの柱に、分社化手続の簡素化があります。機動的な経営を図るために、事業ごとに収支や人事を独立させる手法に対する関心が一部民間企業の中に高まっており、それを後押しする意味で一定の効果が期待できるものと評価しております。しかし、分社化の真のメリットは連結納税制度が導入されないと生まれてこないという指摘があることも事実であります。  連結納税制度もとでは、短期的には利益を上げにくい研究開発部門などを子会社として独立させても、グループ全体として税負担を軽減できるというメリットがあり、企業にとっては、二十一世紀の国際競争をにらんで、より積極的、創造的な研究開発活動、長期的な視野に立った事業活動に弾みをつけられる可能性が期待できるものであります。  企業が構造改革しやすい環境整備する観点から、また、やせた企業から当面の税収を搾り取るよりも企業経済活力を復活させてから税収をふやすべきという観点からも、連結納税制度を含めた法人税のあり方について、抜本的な改革論議を行うべき時期を迎えているものと考えますが、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。  私は、現在の日本経済は、過去の投資決定の誤りに基づく膨大な過剰設備を抱える一方で、今後の潜在的なニーズの増加に対応すべき新規・成長分野への資源投資が十分に伸びてきていないというアンバランスの中にあり、この構造的なアンバランスは産業構造調整を経ずして解消できる性格のものではないと考えています。  もちろん、大がかりな産業構造調整を実施していくとすると、縮小すべき産業から拡大すべき産業労働力の大規模な移動が必要であり、一たんは雇用が失われるという過程も生じましょう。現に倒産やリストラによる非自発的失業者が大幅に増加しており、今後リストラがさらに本格化すればその傾向が一層強まる可能性が大きいと思われます。  そこで、既存産業に対する需要を刺激しようとする従来型の政策から、産業構造転換の促進に重点を置いた政策への本格的な転換を、細心の注意を払いつつ、かつ速やかに行うべきであると考えます。そして産業構造転換の過程での労働力の移動を速やかにするためにも、日本労働市場を真のマーケットとして十分機能するものに改めることが不可欠であり、このための制度的基盤の整備が最優先課題であると考えますが、通産大臣並びに労働大臣、それぞれの御所見を伺いたいと思います。  最後に、総理に伺います。  今回の産業再生法案は、産業構造の抜本的な再構築を推し進めることに目的がありながら、事業構築計画の申請期間を平成十五年三月までとしていることが示すとおり、この法案自体には産業社会のその先のあり方、すなわち二十一世紀産業社会の明確なビジョンが込められていないのではという危惧を抱いております。  九九年度経済白書は、「新しいリスク秩序の構築に向けて」という章を設けています。序文で堺屋長官は、重大な問題として「長い社会的安定と経済成長の中で、終身雇用慣行が定着し」「青少年もリスクのある自営や起業を避け、安全確実とみられる大組織への参加を選ぶようになっていること」を述べ、さらに、「今や日本は、外国に手本のない段階に入っている。」として、リスクをとる社会を提唱しておられます。  経済社会において、リスクは分散させても決してなくなるものではなく、必ずどこかへ回されるものであります。必要なのは、リスクの不透明なつけ回し、先送りを断じて許さないことであると考えます。そしてどのようなリスクがいつどこでどの程度あらわれるのかを明らかに示し、そしてそのリスクをどのようなルールに従ってだれが負担するのか、正面から明確に説明し続けることであり、それを欠いては、政策のバイパスをたくさんつくるのは結構だが一向に向かっている未来の方向性が見えないという批判を免れられないものと考えます。  総理御自身のビジョンと御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  34. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 水野誠一議員にお答え申し上げます。  リスクをとる社会実現というものは不可避であり、政府として正面から説明すべきとの御指摘がございました。  私自身、かねてから、我が国経済社会が二十一世紀において一段と活力と魅力にあふれたものとなるためには、一人一人の国民や個々の企業がみずからの個性や独創性を生かして、積極果敢に創意工夫の実現に挑戦できる社会状況をつくらなければならない、すなわち、みずからリスクをとってチャレンジすることができる社会実現を強調いたしてまいったところであります。  他方、こうした社会には、当然のことながら、すべての人々に機会を与え、失敗しても再挑戦が可能となるような適切な安全ネットが必要となると考えます。こうした取り組みには国民を挙げての意識改革支援が不可欠であり、事あるごとに国民の方々に対しても訴えていきたいと考えており、また、政府といたしましても、その目標を明らかにする努力を続けてまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣与謝野馨登壇拍手
  35. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 水野議員にお答え申し上げます。  労働市場の整備についてのお尋ねでございますが、産業構造の転換を図り、円滑な労働移動を行うためには、まず何よりも旺盛な労働需要が重要であります。このため、緊急雇用対策においては、雇用機会の創出最大の柱として、政府として規制改革の推進、新規開業支援等新事業創出を図る環境整備を強力に推進することとしているところでございます。  また、就業能力の向上雇用のミスマッチの解消、人材移動の円滑化を大胆に進めるため、民間及び市場機能を最大限に活用し、個人の自主選択を重視する雇用政策への新たな展開を図ることとしております。  今後は、関係各省とも連携し、これらの施策の着実な実施に全力を挙げ、円滑な労働移動のための制度的基盤の整備に努めてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣堺屋太一君登壇拍手
  36. 堺屋太一

    国務大臣(堺屋太一君) 水野議員から「あるべき姿」などに出ている「知恵の社会」とはどのようなものか、また、経済社会の転換期においてこれから必要となる知恵とはどんなものかという御質問がございました。  日本は、明治以来、ひたすら近代工業社会の形成に励んでまいりました。近代工業社会とは、規格大量生産の産業を全社会的に成立させることでございますが、日本は一九八〇年代の後半にはほぼこれに成功し、世界の先進国の中でも人口一千万人以上のところでは一人当たり国内総生産が最も高い国になりました。  ところが、八〇年代から世界の文明の流れは、人々の欲求の多様化と情報技術の発展によりまして、多様化、ソフト化、グローバル化の方向に進むようになりました。これからの社会では、多様な創造力、広範な情報収集、志のある決断力などの知恵によって生み出される価値が、経済成長企業の利益と人々の満足を高める主要な要素になるでしょう。  今、世界に起こっている経済社会の歴史的転換期に求められる知恵とは、広範な情報力に裏づけられた多様な創造力を生み出す知的能力だと思います。これは、これまでの欧米先進国の技術制度を学び、覚え、確実に実施することとは大きく異なっています。これからの知恵の時代に対応するためには、個性と創造性に富んだ人材育成するとともに、そうした人材が活躍しやすいような社会的気質を醸成することが必要だと思います。  こうした新しい知恵の社会に向けて、日本社会の構造を積極的に改革することによって日本経済を新生し、新たな発展軌道に乗せることが、新しい雇用をふやし希望に満ちた楽しい世の中をつくる道だと考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  37. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 企業が組織変更をいたしますときに、なるべく税法がじゃまにならないようにということは心がけておりまして、商法が改正されまして株式交換制度ができましたが、この際の譲渡益課税は繰り延べることができるというようなことなどはいたしております。  そこで、御指摘分社化をする場合の一番大きなメリットは、実は連結納税を導入できることではないかということは、確かにそういうことはおっしゃる方が多うございますし、したがいまして、この連結納税制度は、政府税調の中に法人課税小委員会がございまして、そこで検討を始めてもらっておるわけでございます。  しかし、どうも専門家方の御議論を聞いていますと、現在の我が国の法人税制が基本的に一つ一つの個々の法人に課税するという建前に立っておりますので、連結納税ということになりますと法人課税の体系全般を見直さなければならぬという御議論が多い、意外に多くの問題があるということを言っておられますが、しかし、確かにもう連結納税というのは、恐らくこれからだんだんそうなっていくような世の中の動きでございますから、幅広い論点について、専門的な実務的な検討をなるべく早くしてもらいたいということを申しておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣甘利明君登壇拍手
  38. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 産業構造転換促進に重点を置いた政策に転換をすべきであるとのお尋ねであります。  今後の雇用政策は、雇用の維持安定を図りますとともに、積極的に産業政策等との連携を図りまして民間の活力や創造性による新しい雇用の場をつくり出し、成長産業企業への円滑な人材移動を実現することが重要であるというふうに考えております。  このために、緊急雇用対策におきましても、規制改革による新たな事業創出成長分野における雇用創出の推進、そして人材移動特別助成金の創設によります失業なき労働移動支援強化等、民間部門における雇用創出や円滑な人材移動に向けた施策を盛り込んでおりまして、その迅速かつ効果的な実施に全力で取り組んでまいります。(拍手
  39. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  40. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 日程第一 通商産業省関係基準認証制度等整理及び合理化に関する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長須藤良太郎君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾掲載〕     ─────────────    〔須藤良太郎君登壇拍手
  41. 須藤良太郎

    ○須藤良太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近の消費生活用製品等の安全性及び電気工作物等の保安水準の向上を踏まえ、従来政府中心となっていた基準・認証制度について、可能な限り事業者みずからが安全性を確認し、必要に応じて民間第三者機関による検査を義務づける等の措置を講じるため、通商産業省所管の十一法律を改正しようとするものであります。  委員会におきましては、規制緩和と安全性の確保、第三者検査機関の中立性及び公平性の担保等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党の西山委員より反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  42. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  43. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  44. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十七     賛成             二百四     反対             二十三    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  45. 菅野久光

    ○副議長(菅野久光君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時三分散会      ─────・─────