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1999-07-28 第145回国会 参議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十八日(水曜日)    午後一時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四十号   平成十一年七月二十八日    午前十時開議  第一 平成八年度一般会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(第百四十回国会内   閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)  第二 平成八年度特別会計予算総則第十四条に   基づく経費増額調書及び各省庁所管経費   増額調書(第百四十回国会内閣提出、第百四   十五回国会衆議院送付)  第三 平成九年度一般会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その1)(第百四   十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議   院送付)  第四 平成九年度特別会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その1)(第百四   十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議   院送付)  第五 平成九年度特別会計予算総則第十三条に   基づく経費増額調書及び各省庁所管経費   増額調書(その1)(第百四十二回国会内閣   提出、第百四十五回国会衆議院送付)  第六 平成九年度一般会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その2)(第百四   十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議   院送付)  第七 平成九年度特別会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その2)(第百四   十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議   院送付)  第八 平成九年度特別会計予算総則第十三条に   基づく経費増額調書及び各省庁所管経費   増額調書(その2)(第百四十二回国会内閣   提出、第百四十五回国会衆議院送付)  第九 平成九年度決算調整資金からの歳入組入   れに関する調書衆議院送付)  第一〇 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一一 農業振興地域の整備に関する法律の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送付   )     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、特別委員会設置の件  一、国旗及び国歌に関する法律案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、特別委員会設置についてお諮りいたします。  国旗及び国歌に関する法律案を審査するため、委員二十五名から成る国旗及び国歌に関する特別委員会設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、国旗及び国歌に関する特別委員会設置することに決しました。  本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。     ─────────────      ─────・─────
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、日程に追加して、  国旗及び国歌に関する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。国務大臣野中内閣官房長官。    〔国務大臣野中広務登壇拍手
  6. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 国旗及び国歌に関する法律案趣旨を御説明いたします。  我が国におきましては、長年の慣行により、日章旗及び君が代が、それぞれ国旗及び国歌として国民の間に広く定着しているところであります。  そこで、政府といたしましては、このことを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに、この法律案提出することとしたものであります。  その概要は、次のとおりであります。  第一に、国旗日章旗とすることとし、その制式を定めることとしております。  第二に、国歌君が代とすることとし、その歌詞及び楽曲を定めることとしております。  以上が国旗及び国歌に関する法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  7. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。橋本聖子君。    〔橋本聖子登壇拍手
  8. 橋本聖子

    橋本聖子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま御説明がありました国旗及び国歌に関する法律案に関しまして、小渕総理並びに関係閣僚質問いたします。  御承知のとおり、我が国国旗日の丸国歌君が代は、ともに遠く一千年以上も昔にその起源を持ち、歴史のあるヨーロッパ諸国のそれと比較しても、長い歴史伝統を有しております。  起源が古いだけではありません。日の丸君が代は、この一千年の間、絶えず広く庶民の間で大切にされ、伝え続けられてきた歴史的事実があります。  日の丸の意匠は、西暦七〇一年、文武天皇の朝賀の儀において使われたと続日本紀に記録され、以後、平安末期から戦国時代には武門の誉れ、正義の旗印として使われてきました。また、近世初頭に東南アジアへ雄飛した朱印船には日の丸の旗が翻り、江戸時代は専ら幕府の御用船で使われました。  さらに、日の丸は、武家社会だけでなく、田植えの田楽などでも広く庶民の間に広まっておりました。古今和歌集に詠み人知らずで記載された君が代も、鎌倉・室町時代には神社仏閣行事うたに、江戸時代には庶民たちの小うた、浄瑠璃、盆踊りうたなどに歌い込まれ、各層に親しまれたのであります。それは、京や江戸といった都市部だけでなく、遠い南海の種子島の祭礼歌にも登場するなど、全国各地に普及しております。君が代は、身分の分け隔てなく、地域の隔てなく、一千年以上にわたり我々の祖先が歌い継いできた、まさに祝賀の一大国民歌謡であると言えます。  また、近代国家の成立とともに国際交流が盛んになる中で、この日の丸君が代はさまざまな国際会議スポーツ祭典でも国旗国歌として内外にあまねく認知されてきました。  長野オリンピック金メダリストであるスピードスケート清水宏保選手は、練習の一つであるイメージトレーニングで、自分自身が金メダルをとり、表彰台の一番高いところで日の丸掲揚され、君が代を歌う自分の姿を繰り返し繰り返し想像し、日本を代表する選手として頑張らなければならないと奮起したのだと話しておりました。私自身もそうでしたが、スポーツ祭典日の丸を掲げ君が代を歌うことは、夢や目標であり、最大のエネルギーになっていたという事実は否めません。  戦後、我が国では、国旗国歌に関してさまざまな時期での論議世論調査幾度となく行われてきました。その結果を見ても、日の丸にかわる別の国旗君が代にかわる別の国歌が正式に提唱され、大きな国民世論の支持を得たという事実は一切ありません。私は、戦後五十数年の間、既に幾度も繰り返し論議されてきた国民的合意到達点が今般の国旗国歌法案であると理解しております。  二十一世紀を目前に控えた今、新たな国づくりへ向け、日の丸君が代国旗国歌として法制化することは日本人アイデンティティーにもかかわる大切なことだと思われますが、法制化をすることの意義について総理にお伺いいたします。  次に、君が代の「君」に関する政府解釈についてお伺いいたします。  「君」は象徴天皇意味するとの政府解釈に対し、一部には国民主権うたった憲法に違反するとの声があります。しかし、国民主権に立ち制定された日本国憲法には、その第一条に「天皇は、日本国象徴であり日本国民統合象徴」であると明記されているのであります。統合とは共同社会共同体を示し、その象徴である天皇を大切にすることは日本国及び日本国民全体の永続と繁栄を願うことであり、至極当然なことであります。これはゴッド・セーブ・ザ・クイーンを高らかに歌い上げるイギリス国歌と同様のものであると思います。この点に関する総理の御認識をお伺いいたします。  そもそも国旗国歌とは、それぞれの国の民族、歴史文化、地理、宗教などをあらわし、神聖かつ荘厳なるものであります。したがって、自国はもとより、すべての国の国旗国歌を尊重し、ひとしく敬意を払うことは国際社会の一員として当然であると言えます。そのため、諸外国では公教育の場で国旗国歌歴史やそこに込められた意味教育することを大変重視しております。教科書には国旗国歌内容を示し、それに対する厳粛な姿勢をとることを教えている国も少なくありません。  しかるに我が国では、公教育公式行事の場における国旗掲揚国歌斉唱実施に際して、まことに痛ましいことではありますが、自殺者が出るというゆゆしい現実に直面しております。教育現場では、国旗掲揚国歌斉唱に対する反対運動者が、日の丸君が代には法的根拠がないことを主張し、大変な混乱を招いてきました。  参議院自由民主党では、去る四月に、教育問題で混乱する広島県に調査団を派遣いたしました。実態調査の中で、校長会教職員のみならずPTA役員からも、国旗国歌法制化へ向けた強い要請があり、調査団としても、教育現場での秩序回復には法制化が必要であるとの結論に達した次第です。  学習指導要領には、「入学式卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と明記されております。しかし、学校現場では、入学式卒業式での混乱もさることながら、我が国国旗国歌意義をきちんと記述した教科書もほとんどなく、学習指導要領趣旨が十分に反映された指導が行われているとは思えません。  そこで、文部大臣にお伺いいたします。  この際、児童生徒たち国旗国歌に対し正しい認識を持ち、それらを尊重する態度を育てるための具体的な教育内容指針文部省としても示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  入学式卒業式での国旗国歌実施ももちろん大切なことではありますが、そこに臨むまでに児童生徒たち国旗国歌への理解をはぐくむことがまず優先されるべきではないかと考える次第であります。  締めくくりに当たり、一言申し上げます。  近年、特に都会において、祝祭日に玄関先日の丸の旗を掲げる光景を見かけることが少なくなりました。国民としての一体感連帯感が次第に薄れていくのではないかと懸念いたしております。  日の丸は、古来我が国名「日本」の起源である「日出る国」、「日の本」にも由来します。その赤は、万物に恵みをもたらす太陽を崇拝する心、清き明るき心を象徴し、また白は、正義、純粋、真理、神聖を示すものとして考えられてきました。私どもは、こうした祖先が培ってきた日の丸に託された精神文化をこの法制化論議を通じて一層深く認識し、実行に移す機会にしなければならないと考える次第であります。国歌君が代平和的精神もまたしかりであります。  私どもは、今、政治、経済、社会のあらゆる分野で大変な難局に直面しております。その意味でも、国旗日の丸国歌君が代に込められた時の流れを超えた遠い祖先からの平和と繁栄メッセージを思い起こし、今こそ国民が一致団結してこの時代を乗り切る機会としたいとも願っております。  このことにつきまして、総理の御決意をお伺いし、質問最後を締めくくります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  9. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 橋本聖子議員にお答え申し上げます。  国旗国歌法制化する意義についてお尋ねがございました。  議員御指摘のとおり、日の丸君が代はともに長い歴史を有するもので、さまざまな国際会議や、議員が出場されたオリンピック大会など国際競技大会でも我が国国旗国歌として内外にあまねく認知されてきたものであります。  政府としては、このように日の丸君が代が、長年の慣行により、それぞれ我が国国旗国歌として内外で広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うことといたしたものであります。  君が代の「君」に関する解釈についてお尋ねでありますが、政府といたしましては、日本国憲法下における国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民統合象徴であり、その地位主権の存する日本国民総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民総意に基づき、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、また君が代歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。  さまざまな重要な課題に直面するこの時代を乗り切る決意についてお尋ねがありました。  ただいま議員から貴重な御提言をいただきました。  今回の国旗及び国歌法制化趣旨は、既にお答え申し上げたとおりでありますが、私といたしましても、我が国はもとより世界の一層の繁栄と平和のため、今後とも全力を尽くしてまいる所存でございます。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人登壇拍手
  10. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 橋本聖子議員の御質問にお答え申し上げます。  国旗国歌教育内容指針を示すべきとのお尋ねでございましたが、学校における国旗国歌指導は、学習指導要領に基づいて行っているところでございます。  具体的には、社会科で、国旗国歌意義を理解させ、諸外国国旗国歌を含め、それらを尊重する態度を育成することとしております。また、音楽の授業では、国歌君が代指導することとし、入学式卒業式などでは、国旗掲揚国歌を斉唱するよう指導することといたしております。  学習指導要領に定められたこれらの指導内容趣旨等につきましては、さらに学習指導要領解説書等でより具体的に示しております。  文部省といたしましては、今後とも、学習指導要領に基づく学校における国旗国歌指導の充実に努めてまいります。(拍手)     ─────────────
  11. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 広中和歌子君。    〔広中和歌子登壇拍手
  12. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました国旗及び国歌に関する法律案に対して、総理並びに関係大臣質問させていただきます。  日の丸は、日出る国日本の力強さと誇りをあらわすシンボルとして多くの国民に親しまれており、また古今和歌集を原歌とする君が代は、荘厳な雅楽の旋律のもとで、悠久、共生、愛などを表象する国歌であるとされております。日の丸君が代は、ともに古来より親しまれ、今日まで引き継がれてきており、事実、日の丸君が代にかわる我が国国旗国歌は存在しておりません。  本法案最大問題点は、その提出経緯です。  政府は、国旗国歌という日本国基本的枠組み象徴天皇制にかかわる重要な法案を、通常国会会期末一週間前に提出しましたが、延長国会で軽々に処理すべき問題でないのは明らかです。  本法案は、自自公という数に物を言わせた世紀末的政権、九九年体制が生まれつつあるまさにそのときに提出されました。国旗国歌を政争の具として用い、自自公流れの中で、本法案を含め、いわゆる盗聴法案や、国民全員がそれぞれ番号を持つ住民基本台帳改正案など、十分な議論もなしに通されようとしております。国家の管理がますます強まりそうな勢いで、個人の生活が窒息してしまいそうな不気味な気配が感じられるのです。  二月末に総理は、国旗国歌法制化については考えていないと発言して一週間もたたないうちに法制化の検討を言い出されました。この早変わりについて総理は、よくよく考えてみたら法制化の必要があったと、まことに国民を小ばかにしたコメントです。何をよくよく考えられてのことなのでしょうか、お伺いいたします。  政府・自自公路線は、我が国伝統慣習に基づく価値観の共有の意味を余りにも安易に受けとめているのではないでしょうか。民主党は長時間、国旗国歌法制化について議論を積み重ねました。愚直なほど何度も議論を重ねましたのは、日の丸君が代にまつわる種々の事情と、国旗国歌法制化する際のデリケートな問題が重なり、党内に多様な意見があったからです。それほどこの問題は深いテーマなのです。  国旗国歌法制化については、国会での慎重な審議を通じ、より多くの国民意見を聴取し、国民間のコンセンサスを形成していくことが何よりも重要だと考えます。この議論を通じて、二十一世紀に向けた日本国のあり方について大局的な議論国民間に起きる契機になるよう、国会は努力していくべきだと考えます。  そこで、第一の質問です。  小渕総理は、国旗国歌法制化についてどのような認識をお持ちなのでしょうか。延長国会で数時間審議すれば足りるとお考えなのでしょうか。なぜ国家の根本にかかわる重要法案会期末ぎりぎりに提出したのか、総理の真意をお伺いいたします。  第二に、国旗国歌法制化意義をお伺いいたします。  日の丸君が代は、オリンピックを初め種々行事で使用され、国際的にも国内的にも日本国旗国歌として扱われております。さらに、各種世論調査の結果を見ても、広く国民の間に定着していると考えられます。一方で、日の丸国旗とし、君が代国歌として法制化することに対しては、約半数以上が慎重な態度です。  この結果にこそ、国旗国歌法制化の難しさがあらわれていると考えます。つまり、日の丸君が代には抵抗感が少ないが、国旗国歌法制化にはためらう気持ちがあるというのが今の一般的な日本人の感覚なのではないでしょうか。総理のお考えを伺います。  国旗国歌法制化愛国心を強要する手段になるのではないか、国旗国歌愛国心の踏み絵に使うのではないかという強い懸念が、私たち日本人の心の奥底に横たわっているように感じますが、日の丸君が代に対する態度により差別されたり不利益に扱われることはないのでしょうか。憲法十九条で保障される思想、良心の自由は尊重されるのでしょうか。総理の御見解を求めます。  また、国旗国歌法制化はあたかも親孝行を義務づける法律をつくるようなものではないかという白けた思いもあります。自発的だからこそ意味あるものを、わざわざ法制化することにより、その本髄を壊すものになります。  長い歴史を持つ我が国は、国旗国歌をあえて法制化しなくても、日本国日本人としてのアイデンティティーは自然と確立できるだけの悠久歴史があると言えます。慣習によることも一つの選択肢であったと言えると思います。  そこで、お伺いします。  歴史伝統のある日本が、今、国旗国歌について慣習もしくは憲法によらず、いかなる理由から法律規定するとしたのか、国旗国歌に係る規定慣習法律憲法で行ったとき、どのような効果の相違が発生するのか、総理の御所見を聞かせてください。  政府案は、日の丸君が代法制化セット考えております。しかし、各種世論調査を見ると、君が代に対しては日の丸よりも抵抗感を持つ人が多く、法制化についてはその差がさらに広がります。  そこで、民主党は、以下の理由により日の丸君が代は別々に対応すべきだと考えます。  日の丸掲揚君が代斉唱という行為は本質的に性質が異なります。国旗掲揚は眺める動作、つまり不作為で済みますが、国歌斉唱はみずから歌うという作為が要求されます。また、国旗は国籍をあらわす標識であり、船舶に旗を掲げる等の慣例にも見られるように、制度的な側面を有しますが、国歌は専ら儀式的な要素の強いものと言えます。  よって、両者法制化意味は全く異なり、両者に対して異なる対応が求められるのは当然です。つまり、君が代に対しては、日の丸に対して以上に法制化について慎重な配慮が必要とされます。  そこで、総理に伺います。  日の丸君が代は同様な取り扱いをしてよいのか、一括で扱う根拠は何か、世論調査両者に対して差があり、さらにその性質に差異があるとしたら、なぜ日の丸君が代セットで扱うのでしょうか。  第四に、君が代解釈についてお伺いします。  君が代は、日の丸と異なり、歌詞を持っているのでストレートにメッセージを発信します。それだけに、日の丸以上に君が代には慎重な対応が必要とされるゆえんでもあります。  政府は、君が代における「君」を、日本国憲法下では日本国及び日本国民統合象徴である天皇としていましたが、先月の総理答弁では、日本国憲法下においては日本国及び日本国民統合象徴であり、その地位主権の存する国民総意に基づく天皇という新しい見解が出されました。  しかし、そもそも歌詞意味政府が一方的に公示して統一すること自体、甚だ疑問が多いと言えます。つまり、それは国民解釈の自由を奪うことにほかならないのです。  君が代は、千二百年にもわたる歴史を有し、その歌詞意味も豊かな広がりを持っております。だからこそ人々に歌い継がれてきたのです。昨年の夏、私は屋久島を訪れ、コケむす原生林の中を歩きながら頭に浮かんだのは君が代の和歌でした。  総理にお聞きします。  君が代解釈する権限が内閣にあるとお考えでしょうか。あるとしたらその根拠はどこにあるのでしょうか。私はあくまでも君が代解釈国民一人一人の胸のうちの豊かな発想にゆだねるべきと考えますが、その点について総理はどのようにお考えでしょうか。  第五に、国旗国歌法制化による立法効果強制力についてお伺いいたします。  先般示された政府見解では、国旗掲揚等に関し義務づけを行うようなことは考えていない、したがって現行の運用に変更が生じることにはならないと考えているとしております。何ら変化が生じないのであれば、そもそも法制化する必要がないことになります。  教育現場では長い間日の丸君が代をめぐり多くの混乱が生じてまいりました。ことし二月の広島で起きた不幸な事件が契機となって、政府は自自公路線で強硬に日の丸君が代法制化しようとしております。官房長官は、国公立学校教職員については、少なくとも教育公務員として公務員法に基づいて職責を得る人は、我が国法律に忠実であるべきだと述べております。この発言は、法制化に伴い、教職員に対する国旗掲揚国歌斉唱指導が強化されることを意味しているのではありませんか。明確な御答弁を求めます。  本法案根拠となって、学習指導要領国旗掲揚国歌斉唱指導に一層の強制力を持たせることのないよう、都道府県教育委員会に徹底すべきです。総理官房長官文部大臣の御答弁を伺います。  つい最近、君が代の伴奏を拒否した教諭が校長職務命令違反として戒告処分を受けました。法制化後さらに職務命令日の丸君が代指導に対する強制力が強くなるのか、それによりさらに教育現場での混乱が拡大するおそれはないのか、文部大臣野中官房長官の具体的な答弁を求めます。  日の丸が、過去において、アジアに対する侵略の象徴であった事実があります。さらに、沖縄からの声も含め、つらく悲しき存在であったことも決して忘れてはならないことです。しかし私は、こういったマイナスの過去を踏まえて、日本日の丸国旗と定めるべきだと考えます。過去を直視し、それを戒めとして、誇りに思える日本の未来を切り開いていくという、日本国民の意思を日の丸法制化に託したいと思います。  君が代は、主権天皇制から現在の象徴天皇制に連続しているため、抵抗感を持つ人も少なくありません。不幸な歴史を引き起こした戦前の天皇制をきっぱりと否定し、現憲法における国民主権下での象徴天皇制を積極的に位置づけるためにも、国民間での一層の議論が必要とされていると考えます。会期末までの二週間足らずで、どうして十分な議論が尽くせましょう。  最後に、私は、本法案国会内外での議論を通じ、自国の国旗及び国歌に対する正しい理解と態度が培われ、ひいては他国の国旗国歌を尊重し、さらに日本と他の国々の文化歴史伝統を敬愛する態度が定着することを心から期待し、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 広中和歌子議員にお答え申し上げます。  まず、国旗国歌法制化に関する認識についてお尋ねがございました。  長年の慣行により、日の丸君が代はそれぞれ我が国国旗国歌であるとの認識国民の間に広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、これまで慣習法として定着してきた国旗国歌成文法で明確に規定することが必要と考え法制化を行うことといたしたものであります。政府としては、参議院においても御審議の上、本法律案が速やかに成立することを期待いたしております。  国民は、日の丸君が代には抵抗が少ないものの、国旗国歌法制化についてはちゅうちょする気持ちがあるとの御指摘をいただきましたが、各種世論調査の結果を見ても、日の丸君が代我が国国旗国歌として国民の間に広く定着していることと考えており、このような国民の意識を踏まえ法制化を行うこととし、所要の法律案国会提出したものであります。  なお、先ほど答弁申し上げましたとおり、法制化については最終的には国権の最高機関である国会での御判断によって決せられるものと考えております。  国旗国歌法制化憲法第十九条の思想及び良心の自由との関係についてお尋ねでしたが、政府としては、法制化に当たり、国旗掲揚及び国歌の斉唱に関し義務づけを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることとはならないものと考えております。  国旗国歌法制化に関し、慣習または憲法によらず法律規定することとした理由についてお尋ねがありました。  日の丸君が代につきましては、慣習法として定着しているところではありますが、成文法根拠がないことをもって、日の丸君が代我が国国旗国歌と認めない意見国民の一部にあることも事実であり、国旗国歌慣習法として定着しているだけでは不十分と考え法制化を行うことといたしたものであります。法制化することにより、国旗日章旗であり、国歌君が代であることが極めて明確になるものと考えております。  政府としては、国旗国歌法制化を行うに当たっては、一般法で定めることでその趣旨が達せられることから、特段憲法規定することは考えなかったものであります。  日の丸君が代を一体として法制化することについてのお尋ねですが、各種世論調査の結果を見ると、日の丸君が代に対する国民の意識は若干差はあるものの、全体として見れば、日の丸君が代はともに我が国国旗国歌として既に国民の間に広く定着しているものと考えております。  今回、このような国民の意識を踏まえ、国旗国歌法制化を行うこととしたものであることから、政府としては、国旗国歌を一体として法制化することが必要であると考えております。  君が代解釈する権限などについてのお尋ねですが、政府といたしましては、さきに石垣一夫衆議院議員より、君が代の「君」の解釈及び君が代歌詞解釈を含む国旗国歌に関する質問主意書が提出されたことから、これらに対する答弁書の中で、御指摘の件について答弁いたしたものであります。  また、政府として国旗及び国歌に関する法律案国会提出するに当たっては、君が代歌詞などについて政府見解をお示しすることが必要であると考えており、衆議院におきましても、これらに関して政府見解をお答えしてきたものであります。  なお、国民一人一人が君が代歌詞意味などについてどのように受けとめるかについては、最終的には個々人の内心にかかわる事柄であると考えております。  最後に、学校教育における指導についてのお尋ねがございました。  今回の法制化に伴い、学校教育における国旗国歌指導に関する取り扱いを変えるものではなく、今後とも各学校におきまして適切な指導が行われることを期待いたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣野中広務登壇拍手
  14. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 広中議員の私に対する御質問にお答えをいたします。  国公立学校教員の責務に関する私の発言についてのお尋ねでございますが、国公立学校教員は、公務員としてその職務の遂行に当たり、国家公務員法、地方公務員法学校教育法などの法令に従うべき職務上の責務を負うという公務員としての当然のことを述べたつもりでございます。  なお、本法案によりまして教員の職務上の責務について変更を加えるものではありません。  次に、学校教育における指導についてのお尋ねでございますが、今回の法案は、国旗国歌根拠成文法として明確に位置づけるものでございまして、これにより学校教育においても、国旗国歌への正しい理解がさらに進むものと考えております。  法制化に伴い、学校教育における国旗国歌指導に関する取り扱いを変えるものではなく、今後とも各学校において指導の充実が図られることを期待いたしております。  次に、法制化に伴う教職員への指導に関するお尋ねでございますが、文部大臣からお答えになると思いますが、今回の国旗国歌法制化は、現行制度における校長教職員との関係に変更を加えるものではございません。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人登壇拍手
  15. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 広中和歌子議員にお答え申し上げます。  法制化に伴う学習指導要領に基づく国旗国歌指導についてのお尋ねでございますが、今回の法案は、国旗国歌根拠について、慣習であるものを成文法としてより明確に位置づけるものでございまして、学校教育において国旗国歌に対する正しい理解をさらに促進するものと考えており、意義のあるものと受けとめております。法制化に伴い、学習指導要領に基づく学校におけるこれまでの国歌国旗指導に関する取り扱いを変えるものではないと考えており、今後とも学校における指導の充実に努めてまいります。  第二に、国旗国歌をめぐる学校現場教職員に係る状況についてのお尋ねでございますが、校長、教員は関係の法令や上司の職務上の命令に従って教育指導を行わなければならないものでございます。各学校においては、法規としての性質を有する学習指導要領を基準として、校長教育課程を編成し、これに基づいて教員は教育指導実施するという職務上の責務を負うものでございます。本法案により、このような教員の職務上の責務について変更を加えるものではございません。(拍手)     ─────────────
  16. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 森本晃司君。    〔森本晃司君登壇拍手
  17. 森本晃司

    ○森本晃司君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました国旗及び国歌に関する法律案について、総理及び関係大臣の所見を伺うものであります。  質問に入る前に、まず、総理の所感をお伺いいたします。  それは、太平洋戦争を経験した人々にとって、国旗日の丸国歌君が代日本の戦前の、また戦中の許すべからざる行為やつらい記憶への連想となっているということであります。日の丸を抱き締めながら散っていった犠牲者が存在したことは歴史の事実であります。小渕総理としては、あのように愚かで残虐な戦争は二度と繰り返してはならないとかたく決意を秘めた上で本法案提出に踏み切られたことは重々承知しておりますが、とりわけ肉親を失われた御遺族の皆様方にとってさまざまな回想が本法案に対する強い拒否感となったとしても、むしろ人間の当然の感情であろうと思うのであります。法案提出した最高責任者として、このような国民の皆様にどのようなねぎらいの言葉をお持ちなのか、一言率直な気持ちを述べていただきたいと思います。  かく言う私も戦争被害者の一人であります。私は、二歳のとき父親が戦死し、三歳のとき大阪の大空襲で家を焼かれ、母は私を背負って戦火の中を逃げ延びてまいりました。戦後、母の手一つで育てられた私は、多くの日本国民の皆さんと同様に戦後復興の塗炭の苦しみを味わい、二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはならないと誓っているものであります。  しかしながら、私は、日の丸君が代をあたかも軍国主義の象徴のようにみなし、戦争を招いた共犯者のごとくに扱うことについては抵抗感を覚えずにはいられません。確かに、さきの戦争で日の丸が使われたことは事実でありますが、それ以前から我が国国旗として通用していたから使われたのであって、冷静に考えれば、日の丸のデザインに何らの思想性もなく、まして何の罪もないことは理の当然であります。日の丸の、君が代の一体どこに他国への侵略性や戦争賛美の意図がうかがえるのでしょうか。  日の丸君が代法制化されることによって再び軍国主義が再現されるようなことは到底考えられませんし、また、再現させてはならないのは当然のことであります。  私は、むしろ法制化機会に、日の丸君が代を二十一世紀への平和のシンボルとして新しいスタートをさせるべきではないかと思いますが、総理はこのことについてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。  そもそも、日の丸が太陽に由来することはよく知られた事実であります。続日本書紀の記述に、また白地に真っ赤な太陽のシンプルな意匠は古来絵巻物などにもしばしば見られます。そのデザインは今も諸外国から高い評価を得ており、本質的に帝国主義などとは全く無縁であることは明らかであります。  また、君が代も、詠み人知らず古今和歌集の原歌は周知のところであり、古くから我が国国民の中で広く伝承されてきた祝い歌であることは歴史的に検証済みの事実であります。我々の祖先日本のあちらこちらの村や里で、喜びにつけ悲しみにつけ、さまざまなうたげや催しで君が代を長寿と平和を祈る民衆の歌として歌い継いできたことは、想像にかたくないのであります。四季の自然と海に守られ、平和で豊かな暮らしを享受してきた、和すなわち他者との友好関係を大切にする日本国民の長所があらわれた歌なのであります。  いずれにしても、日の丸君が代の双方について共通して言えることは、その起源は一千年以上の日本民族の歴史をさかのぼること、また、本来の意味において好戦の思想が片りんも見られないことであります。つまり、日の丸君が代の千年の長きにわたる歴史から見れば、本来の意味とは逆行して利用された一時の不本意な歴史は、日本歴史の中で戦前、戦中の五十有余年の間ということになるのです。逆に言えば、日の丸君が代は多くの歴史の節目を経ても変わりませんでした。終戦の激変にあったときでさえ、日本国民国旗国歌に他を選択しなかったのであります。  このように変えなかったという歴史的な事実の重みこそが、日の丸君が代を見る際に、決して忘れてはならない視点だと思うのであります。この点、日の丸君が代歴史的な流れについて総理はどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。  最後に、日の丸君が代問題の教育現場での取り扱いについてお伺いいたします。  確かに、今回の法制化法案のきっかけは、日の丸君が代の扱いをめぐり教育委員会と教職員の板挟みになった県立高校の校長先生の痛ましい自殺事件がありました。  私ども公明党は、日本国憲法第十九条の思想及び良心の自由の規定から、国旗国歌といえどもこれを敬う心情は国民各個人の良心の領域の問題であり、決して強制的に扱うべきものではないとの一貫した考え方は不変であります。  小渕総理法案質疑の中で、法制化に関して、国旗掲揚を義務づけることは考えておらず、国民生活に影響や変化が生じることはないと明言するとともに、国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設する考えのないことを改めて確認し、文部省も、学習指導要領に基づく学校現場での日の丸掲揚君が代斉唱指導について、児童生徒が国旗国歌意義を理解し尊重する態度を育てるとともに、すべての国の国旗国歌にひとしく敬意を表する態度を育てるのが目的だと極めて中立的な立場を堅持されていることは、まことに妥当な姿勢だと思われます。  こうした言明にもかかわらず、国旗国歌を否定あるいは認めたくないとする立場の一部の人々の間で、掲揚、斉唱そのものが思想、良心の侵害であると声高に主張し、あたかも憲法違反であるかのごとき非論理的な反対論が繰り返されています。逆に、日本国憲法に基づく象徴天皇制を是認する多くの人々、日の丸君が代国民の間に定着していると感じている人々にすれば、ためにするイデオロギー論争の域を出ないものではないかと思えるほどであります。  いずれにしても、このようなイデオロギー論争は、間に立つ子供たちにとって大迷惑であり、教育的ではありません。  特に、教育現場での取り扱いについては、平成六年十月の村山内閣時代に、衆議院予算委員会において政府から三項目の統一見解が示されました。三項目とは、一、学習指導要領に基づいて教育課程が編成されなければならないこと、二、校長教員は、学習指導要領に基づいて入学式卒業式などにおいて国旗掲揚国歌斉唱指導されなければならないこと、三、掲揚や斉唱の指導は、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要とされました。簡明にして要を得て、学校における指導と内心の自由の関係及びその範囲を明示しています。  この統一見解は、たとえ日の丸国旗とし、君が代国歌とする法案が成立したとしても、指導指針としての有効性は何ら変わるものではなく、今後とも学校現場における明快なる原理とされるべきであると考えますが、文部大臣見解、さらに総理見解をお伺いし、質問を終わります。    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 森本晃司議員にお答え申し上げます。  さきの大戦で肉親を失われた御遺族の方々等に対し、どのようなねぎらいの言葉を持っているかとのお尋ねでありました。  私といたしましては、我が国は戦後五十年余を経て、今や繁栄と平和を享受する国となりましたが、この繁栄と平和はさきの大戦における先人の方々のとうとい犠牲の上に築かれていると認識をいたしており、このことは決して忘れてはならないものと考えております。  法制化機会日の丸君が代を平和のシンボルとして新しくスタートさせるべきではないかとの貴重な御指摘がありました。  今回の国旗国歌法制化は、日の丸君が代が、長年の慣行により、それぞれ国旗国歌であるとの認識国民の間に広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として成文法にその根拠を明確に規定するものであり、議員御指摘のとおり、軍国主義の再現などとは全く無縁のものであると考えております。  私としては、日本国憲法のもとで、今後とも世界の繁栄と平和のため努力してまいることは言うまでもありません。  日の丸君が代が一貫して我が国国旗国歌として変わらなかった歴史的重みについてお尋ねがありました。  日の丸は、江戸時代の末期に我が国国旗として取り扱われて以降、一貫して我が国国旗として定着しているものであります。また、君が代につきましては、歌詞は十世紀古今和歌集に由来し、鎌倉時代以降、祝い歌として民衆の間で広く支持されてきたものであり、明治十三年に現在の歌詞と曲を持つ君が代が成立して以降、国民の間に浸透し、国歌として広く演奏され歌われてまいりました。  議員御指摘のとおり、日の丸君が代は、幾多の歴史の節目を経て、さきの大戦後も変更されることなく、今日に至るまで我が国国旗国歌として国民の間に広く定着しているものと考えております。  平成六年の政府統一見解についてのお尋ねがございました。  学校における学習指導要領に基づく国旗国歌指導は、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものでなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものであります。この統一見解は、国旗国歌法制化された後も変わるところはないことは言うまでもございません。  以上、お答えを申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人登壇拍手
  19. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 森本晃司議員にお答え申し上げます。  平成六年十月の政府統一見解についてのお尋ねでございますが、ただいま総理より御答弁申し上げたとおりでございまして、学校における国旗国歌指導は、児童生徒に我が国国旗国歌意義を理解させ、諸外国国旗国歌を含め、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございます。このことは、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます。  平成六年の政府統一見解は、国旗国歌法制化された後も変わることはございません。(拍手)     ─────────────
  20. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 筆坂秀世君。    〔筆坂秀世君登壇拍手
  21. 筆坂秀世

    ○筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、日の丸君が代国旗国歌とする法案について、総理質問いたします。  まず、ただしたいことは、政府が言う国民的定着論についてであります。  言うまでもなく、今問われているのは日の丸君が代国旗国歌として今国会法制化すべきか否かです。この点で、法案国会提出されて以降どうでしょう。法制化に反対する声は日増しに高まり、先日も学者、文化人、宗教者等々、広範な人々の呼びかけによる日の丸君が代法制化反対の一点での共同による大集会が行われました。  今国会での法制化について、国論が二分していることは世論調査でも明瞭であります。中でも特徴的なことの第一は、論議すればするほど反対の声が広がっていることであります。JNNの調査では、この四カ月間に反対と賛成が逆転し、反対が賛成を約一〇ポイントも上回りました。  第二に、今国会での成立を急がず議論を尽くせというのが、朝日新聞の六六%を筆頭にほとんどの調査で多数を占めています。衆議院の公聴会、参考人質疑では、賛成十七人、反対十三人、慎重意見二人と賛否は完全に分かれました。政党を見ても、党として賛成したのは自自公三党だけであります。  総理、これでも今国会での法制化について国論は二分していないと言うのですか。  日の丸君が代には、いずれも一世紀前後の長きにわたって国民国旗国歌だとして押しつけてきた歴史があります。それでもなお国論が二分しているのは、これが憲法主権在民とは相入れないこと、また、侵略戦争の旗印とされてきたという独特の負の歴史意味を持っているからであります。  日の丸君が代が戦争したわけではないなどという議論がありますが、旗や歌が直接戦争をするわけがないのは当然です。問題の核心は、日の丸君が代が侵略戦争に国民を動員するために使われ、敵の城に日の丸の旗が高く翻りましたと戦時中の教科書に書かれたように、侵略の旗印になっただけにとどまらず、君が代国歌にするような国だったというところにこそあります。  総理答弁したように、君が代は大日本帝国憲法の精神でつくられたものであり、天皇を絶対の統治者とする体制に最もふさわしい歌として意味づけられました。実際、天皇主権の体制とは、戦争権限から立法、行政、司法に至るまであらゆる権力を天皇が一身に握る体制であり、国民を無権利状態に置くことと一対のものでありました。だからこそ、天皇の決定だけで侵略戦争という歴史的誤りを犯したのであります。  ところが、政府の新解釈でも、「君」は天皇、「代」は国だというのですから、日本天皇の国ということになり、天皇主権や大日本帝国憲法にこそふさわしい歌としての本質に変わりはないということになるではありませんか。  戦後、日本国憲法はこの体制を厳しく退け、その前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやう」「主権国民に存する」ことを明記しました。主権在民の原則は戦争放棄など恒久平和の原則と強固に結びついた憲法の骨格であり、天皇の国や天皇主権とは対極に位置するものではありませんか。  また、政府は、国旗国歌外国からも敬意を表されるものと言ってきました。しかし、日の丸を掲げて侵略され、君が代を無理やり歌わされたアジア諸国の人たちはどう受けとめるでしょう。現に、アジア各国のマスコミは厳しい批判の声を上げ、ある有力紙は、日の丸君が代は国内的には絶対君主制のシンボルであり、対外的には侵略と戦争の象徴であると書きました。それでも総理はアジア諸国民日の丸君が代に心底敬意を表すると思うのですか。明確な答弁を求めます。  政府は、教育現場での反対論に法的根拠がないという議論があることを取り上げ、法制化によって法的根拠ができ、問題は解決すると言います。しかし、議論抜きの法制化によって、日の丸君が代国旗国歌にふさわしくないという意見も、押しつけ、強制はやめるべきだという抵抗も決して押しつぶすことはできません。それとも、異論や押しつけ、強制に反対する声を一切問答無用で封殺するつもりですか。そうでないというなら、法制化教育現場で起きている問題の前向きの解決にどう役立つというのですか。  日本国憲法第十九条は、思想、良心の自由、いわゆる内心の自由を厳格に保障しています。政府は、学習指導要領に基づく指導教育上の指導であり、内心の自由の侵害に当たらないと答えてきました。しかし、問題になるのは、国旗国歌の一般的意味合いを教えることではありません。卒業式入学式国旗掲揚国歌斉唱という形で一律に義務づけるというやり方であります。  その人が何を考えているか、その考えを表明するか否かは、これは全くの自由です。「註解日本国憲法」は、「自己がいかなる思想を抱懐するかにつき、これを口外し又は沈黙する自由が認められる」として、内心の自由には沈黙の自由があることを明快に指摘し、政府もこれを認めました。日本国憲法が内心の自由を厳しく保障したのはゆえなきことではありません。本来侵すことが不可能な思想、良心の自由を侵してきた歴史天皇主権のもとでの日本にはあったからであります。それが思想まで厳罰に付した治安維持法でした。ところが、国旗掲揚国歌斉唱を一律に義務づける指導は、起立しない、斉唱したくない等々、その人の思想や考えをその行動によって表明させることになり、事実上の踏み絵を踏ませることになるのです。これが沈黙の自由とどう両立するというのですか。  しかも、看過できないことは、一部の議員らから、日の丸君が代に異論を唱える人を異端者と呼んだり、敬意を払うのは日本人なら当然などという、およそ歴史の進歩を見ようとしない時代錯誤の発言が公然となされていることであります。  ここには内心の自由を保障しようという立場はみじんもありません。総理も同様の立場に立つのですか。そうでないのなら、教育現場への義務づけ、強制は直ちにやめるべきであります。総理答弁を求めます。  国旗への敬礼強制は、良心の自由に対する侵犯だとして、アメリカのバーネット事件判決は、強制的に反対を除去しようとする人々は、やがて反対者を絶滅させようとしていることに気づくであろう、意見の強制的な統一は墓場への統一をもたらすにすぎないと指摘し、国旗への敬礼強制が自由と民主主義の原理と相入れないことを断罪しました。政府のやり方はまさに強制的統一であり、こうしたやり方は君が代日の丸に、主権在民に反すること、侵略戦争と重なり合うことというだけでなく、数の暴力で強制的統一を図ろうとしたという三つ目の汚点をつけ加えることになるでしょう。  日本共産党は、この問題で二つの提案を行ってきました。第一は、十分な国民的討論と合意の上で、今の日本にふさわしい国旗国歌法制化しよう。第二は、仮に法制化しても、国民にも、ましてや学校教育での押しつけ、強制は絶対に行わないというものであります。この提案の最大の眼目は、押しつけ、強制とそれへの抵抗という閉塞的な対立状態を解消し、国民的解決を図ろうという点にあります。幸い、今活発な国民的討論が始まっています。国旗国歌をどうするか、日本歴史上初めての主権国民による討論であります。国旗国歌の問題をまじめに考える政党であれば、この討論は本来歓迎し、喜ぶべきことであります。  これを忌避しようという政府は、国民的討論にさらされることに何か不都合でもあるというのでしょうか。しかし、たとえ数の力で日の丸君が代法制化を強行しても、この国民的討論の流れを押しとどめることはできないでしょう。  日本共産党は、本法案の廃案を目指すとともに、この国民的討論に積極的に加わり、今の日本にふさわしい国旗国歌国民合意でつくり上げるため全力を尽くす決意を述べ、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  22. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 筆坂秀世議員にお答え申し上げます。  国旗国歌法制化についてお尋ねがありました。  国民の一部には、日の丸君が代国旗国歌であることや法制化に対して反対する意見があることは承知いたしておりますが、政府としては、これまで長年の慣行により、国民の大多数の間に日の丸君が代国旗国歌であるとの認識が広く定着いたしており、また、このことは、世論調査を初め、オリンピック各種国際大会において日の丸の旗が掲揚され、君が代が演奏されていることからも裏づけられるものと考えております。このような国民の意識を踏まえ法制化を行おうとしたものであり、法制化については、最終的には国権の最高機関である国会の御判断によって決せられるものと考えております。  君が代解釈主権在民の原則についてのお尋ねでありますが、現在、日本国憲法下では、国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民統合象徴であり、その地位主権の存する日本国民総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民総意に基づき天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、君が代歌詞もそうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であり、日本国憲法主権在民の精神に反しないものと考えております。  国旗国歌法制化に対するアジア諸国の受けとめ方に対するお尋ねでありました。  アジア諸国の政府より何らかの懸念の表明があったとは聞いておりません。  また、日の丸君が代歴史認識歴史観の問題と区別して考えていくべきであると考えております。  なお、戦後五十年を経て、我が国は今や平和と繁栄を享受する国となりましたが、過去の一時期に多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめるとともに、現在の我が国の平和と繁栄が先人の方々のとうとい犠牲の上に築かれたことを決して忘れることなく、今後とも、我が国はもとより世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていく所存でございます。  学校教育における今般の法制化意義についてお尋ねですが、今回の法案国旗国歌根拠成文法としてより明確に位置づけるものであり、これにより、学校教育においても国旗国歌への正しい理解がさらに進むものと考えております。  内心の自由と学校における国旗国歌指導に関してお尋ねがありました。  学習指導要領による学校における国旗国歌指導は、憲法教育基本法に基づき、人格の完成を目指し、個人の価値を尊重し、平和的な国家及び社会の形成者としての国民を育成するという基本的な目的のもとに行われているものであります。  これは、児童生徒に我が国国旗国歌意義を理解させ、諸外国国旗国歌を含め、それらを尊重する態度を育てるため、学習指導要領に基づいて行われているところであります。  このことは、子供たちの内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めるべきものであります。  最後に、国民的討論に関するお尋ねですが、今回の国旗国歌法制化は、日の丸君が代は、長年の慣行により、それぞれ国旗国歌として国民の間に広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うことといたしたものであります。  したがいまして、政府としては、既にお答えをいたしましたが、このような国民の意識を踏まえ法律案国会提出したものであり、国権の最高機関である国会での御論議の上、決していただくべき事柄であると考えておるところでございます。  以上、お答え申し上げました。(拍手)     ─────────────
  23. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 清水澄子君。    〔清水澄子君登壇拍手
  24. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、国旗及び国歌に関する法律案について、小渕総理並びに関係大臣質問をいたします。  国旗国歌に関する法案国民的な議論がないまま会期末直前に閣議決定され、延長国会審議にゆだねられました。国旗国歌法制化は有史以来初めてのことであり、国会審議に十分時間をかけるべきであります。総理は三月の参議院予算委員会で「国会で十分御議論をいただいて」と私に答弁されましたが、本法案の衆議院での政府質疑はわずか二日でした。そもそも、法案国会提出まで総理初め政府態度は二転三転しましたが、総理は、国民の動向も踏まえなければならないので、法制化考えていないと答弁をされていたのです。  日本国民は、自分たちの国の旗や歌について今初めて議論を始めたところであります。国民主権を尊重するなら、十分国民の声を聞くべきであります。それでこそ国民が納得する国旗国歌ではないでしょうか。総理見解をお伺いいたします。  旧帝国憲法のもとで、君が代日の丸は、天皇に忠誠を誓わせ、軍国主義へと国民を駆り立てました。また、日の丸はアジア太平洋地域における日本の侵略と植民地支配のシンボルとして使われました。  ある十九歳の学生は投書で、日本との悲しい過去を持つ中国で君が代を歌えなかった。日本に生まれた以上、過去の歴史も背負っていかなければならない。君が代法制化を急ぐのは、日本人歴史に対する認識の甘さを象徴する恥ずべき行為に思えてくると訴えています。  このような、明治以降、そして敗戦までの日の丸君が代が果たした歴史についての総理の御認識を伺います。  ドイツ、イタリアでは戦後、国旗国歌を変えました。これに対し、戦前と戦後を漫然と継続させ、日の丸君が代国旗国歌として法制化することに、戦争の犠牲を強いられた日本国民及びアジア太平洋地域の人々は納得をしておりません。  一九九五年、戦後五十年に当たり、衆議院では歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議が採択されましたが、本院では提案すらされませんでした。  総理国旗国歌法制化をする前に、過去の歴史の過ちを真摯に反省し、平和国家日本を宣言する必要があると考えますが、見解を伺います。  在外公館ではつい最近まで君が代の英文訳を天皇の治世とするリーフレットを配布していたことに政府認識が示されております。  今回の法案提出に当たっても、当初の政府見解では、君が代の「君」は象徴天皇と解するのが適当とされましたが、天皇をたたえる歌という意味では旧帝国憲法下と同じであります。  この問題に気づかれた総理は、その地位主権の存する国民総意に基づく象徴天皇とつけ加えました。さらに、「代」とは、広辞苑を引用して、時間的概念が転じて国、国家意味があると答弁されております。  その広辞苑では、「代」の②では「同一の氏族・系統・政体などが、引き続いて国家主権を持つ期間。時代。」とあり、例として源氏の代、武家の代が挙げられ、そして③では「転じて、国。国家。また、その政治。時には政治的機関・朝廷・天皇の意にも用いる。」とあります。  総理答弁はこの一部を引用されたのでしょうが、このような君が代についての解釈は余りにも便宜的、御都合主義であり、朝令暮改の対応としか言いようがありません。政府の新たな解釈に多くの国民は納得しておらず、ましてやこれを教育現場に持ち込めば、ますます教師や生徒に混乱をもたらすことは必至であります。  一九五三年、当時の大達文部大臣は、参議院文部委員会で国民主権との関係で、文字にとらわれて言えば君が代時代おくれであると答弁していますが、政府のくるくる変わる解釈は学問的にもまた歴史にたえ得るものであるという自信をお持ちでしょうか。総理見解を伺います。  同時に、文部大臣は、この解釈教育上最も真理に基づくものであると確信されていますか、見解を伺います。  天皇国民統合象徴とされていますが、実際には、皇室典範一条で、天皇地位は、男系男子が継承すると規定されています。これは男子だけが皇族、女子は臣下へという家父長制度を象徴するもので、それを千代に八千代にわたってたたえる歌が果たして二十一世紀にふさわしいのでしょうか。  今国会で制定された男女共同参画社会基本法の理念との関係において、総理はどのような見解をお持ちでしょうか。  野中官房長官は、戦後補償問題に関連し、二十世紀日本が起こしたことは今世紀中に解決したいと述べ、耳目を集めました。しかし、戦争で負傷した在日韓国・朝鮮人の元日本軍人軍属、旧植民地出身のBC級戦犯、そして日本軍人軍属であった台湾の皆さんなどは、いまだに何らの名誉回復や補償も受けていません。  戦争に必要なときは日本人として駆り出し、戦後になれば国籍条項を設けて外国人だとし、補償から排除するという政府のこれまでの対応は、だれの目から見ても道義に反するものであります。  朝鮮民主主義人民共和国との間では、一九一〇年の日韓併合以来八十九年を経た今日に至るも、過去の清算が行われず、国交正常化交渉の展望も全く見出せていないのが実情ではないでしょうか。  政府はまず、これらの問題を解決することによって日本人誇りを取り戻し、アジアの人々との和解と信頼回復のために努力すべきであります。  官房長官は御自身発言を実行されますか、決意を伺います。  秋田市の中学校総合体育祭で、君が代を斉唱しない人が退場させられました。教育現場地域社会との接点で、このような排他的な状況がもたらされていることは非常に残念であります。国旗国歌法が制定されれば、地域社会君が代を斉唱しない人たち、国旗掲揚しない人たちが村八分にされないという保証はありません。  政府は米国の例をよく出されますが、米国では国旗国歌の尊重規定があっても、憲法の保障する内心の自由との関連で、尊重義務の強制は憲法に違反することが判例で定着しております。政府はまずこの事実を認識すべきであります。  日本国憲法第十九条で、思想、良心の自由は、これを侵してはならないと明記されていますが、総理は、国旗国歌法制化により国民の思想、良心の自由が侵されないことをどのように保証されますか、お答えください。  次に、文部大臣にお伺いいたします。  憲法で保障されている思想、良心の自由と、教育指導要領に言う指導のいずれが日本の法秩序の中で優位にあるか、見解を伺います。  政府は、国旗国歌法が制定されても日の丸君が代は強制しないと答弁していますが、実際は職務命令に従わない教師は処分されています。  憲法の思想、良心の自由は国民すべてに適用されるものであり、日の丸君が代を強制しないと言うのであれば、教師に対しても強制しないことを担保する措置を示していただきたいと考えます。文部大臣見解をお伺いいたします。  周辺事態法、組織犯罪対策法案、住民基本台帳法改正案、国旗国歌法案など一連の動きは、国民に対する国家統制を強め、憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を形骸化するものであります。さらに、有事法制、憲法改正さえ日程に上り始めました。  戦争の反省や痛みを忘れる政治や教育は、憲法が求める理念とは相入れないものであり、二十一世紀への展望を切り開くことは不可能であります。また、国旗国歌法案は、戦後国民が築いてきた平和と民主主義を取り崩すものであり、歴史に大きな禍根を残すものであることを小渕内閣に強く警告して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  25. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 清水澄子議員にお答え申し上げます。  国旗国歌法制化に関し国民の声を聞くことについてお尋ねでありました。  長年の慣行によりまして、日の丸君が代がそれぞれ我が国国旗国歌であるとの認識国民の間に広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、これまで慣習法として定着してきた国旗国歌成文法で明確に規定することが必要と考え法制化を行うことといたしたものであります。  政府としては、参議院におきましても、御審議の上、本法律案が速やかに成立することを期待いたしております。  日の丸君が代と過去の歴史との関係についてお尋ねがありました。  昭和二十年八月十五日以前に生起した出来事に対する認識と評価につきましては、歴史認識歴史観の問題として整理すべきであり、日の丸君が代はこれと区別して考えていくべきであると考えております。  過去の歴史に対する我が国対応についてお尋ねですが、先ほど申し上げましたとおり、昭和二十年八月十五日以前に生起した出来事に対する認識と評価につきましては、歴史認識歴史観の問題として考えるべきものであり、日の丸君が代はこれと区別して考えていくべきであると考えております。  また、戦後五十年余を経て、我が国は今や平和と繁栄を享受する国となりましたが、過去の一時期に多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめるとともに、現在の我が国の平和と繁栄は先人の方々のとうとい犠牲の上に築かれたことを決して忘れることなく、今後とも、我が国はもとより世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていかなければならないと考えております。  君が代に関する政府解釈についてのお尋ねでありますが、君が代とは、その地位主権の存する日本国民総意に基づき天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、また君が代歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。  なお、このような考え方は、これまでの政府答弁趣旨を踏まえこれを論理的に整理したものであり、国民の皆様方の御理解をいただけるものと考えております。  君が代と男女共同参画社会基本法の理念との関係についてお尋ねがありました。  君が代につきましては、長年の慣行により国歌であるとの認識が広く国民の間に定着していることを踏まえ法制化を行うといたしたものでありまして、君が代歌詞も、国民総意に基づき天皇日本国民及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であり、我が国国歌としてふさわしいものと考えております。  なお、君が代は皇位継承のあり方をうたったものではなく、男女共同参画社会基本法との関係で議論されるものではないと考えます。  最後に、国旗国歌法制化と思想、良心の自由との関係についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、法制化に伴い、国民に対し国旗掲揚国歌の斉唱等に関し義務づけることは考えておりませず、現在の運用に変更が生ずることとならないことから、法制化により思想、良心の自由との関係で問題が生ずることにはならないものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣野中広務登壇拍手
  26. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 清水議員の私に対する御質問にお答えいたしたいと存じます。  まず、在日韓国・朝鮮人の元日本軍人軍属の処遇についてのお尋ねでありますが、この件につきましては、現在の恩給法、援護法等の範囲を超える問題でございまして、また韓国の方々に係る財産請求権の問題についても、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によりまして、在日韓国人の方々に係るものを含めまして日韓両国間では法的には完全かつ最終的に解決済みであります。  しかし、清水議員も御指摘がございました例に見られるように、これらの方々の現在置かれた状況にかんがみまして何らかの処置が行えないかと考えまして、現在、関係省庁の協力も得て内閣外政審議室におきまして、一つには従来の法制・制度の問題点、二つには戦後処理の枠組みとの関係、三番目に韓国における処理の状況等につき調査、検討を急がせているところであります。  次に、日朝関係についてのお尋ねでありますが、我が国は北朝鮮との関係につきまして、第二次世界大戦後の不正常な関係を正すという観点及び朝鮮半島の平和と安定に資するようにするという観点を踏まえまして、韓国、米国と緊密に連携をしながら対処をしていくという基本方針をとっております。  こうした考えに基づきまして、政府は北朝鮮に対しまして、現在、両国間に存在しておる諸懸案の解決につき建設的な対応を示されるのであれば、対話を通じて関係改善を図る用意がある旨繰り返し呼びかけておるところでございますが、現時点において、残念ながら北朝鮮側より十分前向きな対応は示されておらないところであります。引き続き日朝間の改善に努力してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人登壇拍手
  27. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 清水議員にお答え申し上げます。  君が代解釈についてのお尋ねでございますが、日本国憲法下における国歌君が代は、その地位主権の存する日本国民総意に基づく天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解釈することが適当であると考えております。  次に、思想、良心の自由と学習指導要領に基づく指導との関係についての御質問でございますが、憲法第二十六条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と定めており、学習指導要領は、この憲法第二十六条の精神にのっとり、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、教育機会均等を実質的に保障するため、教育課程の基準として文部大臣が告示として定めているものでございます。  一方、憲法第十九条に定められている「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」、このことは当然でございますが、国旗国歌指導は、憲法第二十六条の精神にのっとり、児童生徒に我が国国旗国歌意義を理解させ、諸外国国旗国歌を含め、それらを尊重する態度を育てるため、学習指導要領に基づいて行われるところであり、思想、良心の自由を侵害するものではないと考えております。  次に、法制化に伴う教員への指導に関するお尋ねでございますが、学校における国旗国歌指導について、教員は、学習指導要領に基づき、または校長の指示に従って、これを適切に実施する職務上の責務を負うものでございます。したがって、公立学校の教員は、公務員としての身分を有する以上、校長の職務上の命令に従い職務を遂行しなければならないものでございます。(拍手)     ─────────────
  28. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 星野朋市君。    〔星野朋市君登壇拍手
  29. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は、自由党を代表して、国旗及び国歌に関する法律案に対し、総理にお伺いをいたします。  世界には多くの国旗があり、国歌があります。しかも、国旗のデザイン、国歌内容はその国の歴史とともに多様であります。それらに託された思いの上に国民はみずからの国旗国歌に敬意を表し、したがって他国のそれにも同様の敬意を払うことが世界の常識であります。  日本国旗日章旗日の丸であり、国歌君が代であります。日の丸君が代は、我が国の長い歴史伝統の中で培われてきたものであり、日本の、そして日本人象徴として世界の人々にも広く認められているところであります。いずれも今新たに創設されるものではございません。  まず、総理にこの認識に対する御意見を伺います。  国歌君が代は、つとに知られますように、古今和歌集に題知らず・詠み人知らずとして掲げられております。一千年を超えるはるか昔から日本人の心に響き、日本人の心に残る詩歌として語り継がれ、歌い継がれてきたものであります。  万葉の時代より君が代の「君」には「大君」という意味と尊敬語としての「あなた」の用例があるとされております。民族の祭典と言われるオリンピック日本選手が優勝台に上がるとき、国旗である日の丸掲揚され、国歌である君が代流れるのを我々はごく素直に感激して見ていると思いますが、私はこの素直さが大事であるとあえて言いたいのであります。  法制化機会に、子供たちに国旗国歌は世界の国々が自国の国家威信の象徴として保持しているものであることを教え、理解させなければなりません。  学校での日の丸掲揚君が代斉唱は、児童生徒の思想、信条にかかわるものとの主張もございます。しかし、この教育は、日本人であることを、日本人としての存在を確認するための必須の教育であり、児童生徒の内心の問題とは全く次元を異にするものであります。  法案成立後の学校教育が従来の日の丸君が代と同じ扱いにとどまることなく、新たな教育指導が徹底されるよう期待したいと思います。これについて総理の御所見をお伺いいたします。  長い歴史を有する日の丸君が代を仰ぎ見、歌い続けることに我々は誇りを持つべきであり、過去の歴史とともに日の丸君が代を背負い続けることこそ過去と未来をつなぐ今を生きる我々日本人の使命であります。  最後に、今回の法制化によって国民一人一人が自国の国旗国歌について正しい認識を持ち、理解を深めることを心から願い、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 星野朋市議員にお答え申し上げます。  国旗国歌に関する基本認識についてお尋ねでありますが、議員御指摘のとおり、日の丸君が代が長年の慣行により、それぞれ我が国国旗国歌であるとの認識国民の間に広く定着しているものと考えております。  今回の国旗国歌法制化は、このように慣習法として定着していることを十分に踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに行うことといたしたものであります。  法案成立後の教育現場指導についてのお尋ねでありますが、今回の法案は、国旗国歌根拠成文法としてより明確に位置づけるものであり、これにより、学校教育におきましても国旗国歌への正しい理解がさらに進むものと考えます。  また、法制化に伴い、学校教育における国旗国歌指導に関する取り扱いを変えるものでないと考えており、今後とも各学校における適切な指導を強く期待いたしておるところでございます。  以上、お答え申し上げます。(拍手)     ─────────────
  31. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 菅川健二君。    〔菅川健二君登壇拍手
  32. 菅川健二

    ○菅川健二君 私は、参議院の会のお許しを得て、ただいま議題となりました国旗及び国歌に関する法律案に対して、総理並びに関係大臣質問いたします。  国旗国歌の問題は、すぐれて政治的な問題であり、まずもって政治の場で解決すべき課題であります。ところが、戦後今日まで、この問題は政党間のイデオロギーの対立のテーマとなり、政治の場での解決は回避され、専ら教育の分野の問題として、文部省告示という学習指導要領でもって解決を求められてまいりました。  国旗国歌は、多くの国において憲法法律で制定されている実情から見ても、教育現場にだけ解決を求めるにしては余りにも重過ぎる課題でありました。私も、入学式卒業式などにおいては、国旗掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとするとされた平成元年の学習指導要領の改訂の当時、第一線の教育行政の責任者として重い課題を背負って呻吟してまいりました。  このたび、広島県立世羅高校の校長の不幸な事件を直接のきっかけとして、総理並びに官房長官国旗国歌の問題を政治の課題として真正面から取り上げられた政治姿勢には敬意を表したいと思います。  ところで、小渕総理には、今なぜ国旗国歌法制化しようとされているのか、改めて御見解をお伺いします。  また、この法案国会提出会期末間近の時期になってどたばたと駆け込み的になされ、衆議院でも十分審議を尽くされないまま本院に送付されてきました。国民国旗国歌に対する関心もようやく高まり、国民はみずからの問題としてこの論議に参加したいと望んでおります。私は、本院において十分審議を尽くすことはもとよりのこと、積極的に国民の声を吸い上げ、合意形成に努める方策をとるべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いします。  次に、国歌とする君が代については、歌詞についてこれまで歴史的にさまざまな解釈がなされてまいりました。天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い平和と繁栄を祈念したものとする政府見解も現行憲法下の解釈としては是認できるものの、人々の間では、明治憲法下における天皇地位に思いをいたし、身分差別のおそれがあると主張する向きもあります。  この歌詞は、古来、敬愛する人の長寿を願うめでたい歌として愛唱されてきたことを考えますと、公式の解釈はともかくとして、一般的にもっと広がりのある歌として解釈し、国民に愛唱されるようにしたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。  曲についても、若者のスポーツの試合にはテンポが合わず、闘志もわかないと言われております。正式の楽譜のほか、時と場合によっては自由にアレンジできるようにしたらどうでしょう。  いずれにしても、国民が進んで敬愛の念を持って君が代を斉唱するような創意工夫があってもよいのではないかと思います。官房長官の御見解をお聞きします。  次に、この法案の成否により直接影響を受ける教育現場の反応は複雑です。  これまで争点の一つとされてきた日の丸君が代国旗であり国歌であるということについては、法制化により根拠が明確に整理されることとなる反面、これまでより指導が強化され、強制にわたるのではないかと懸念されるからです。  もとより、教育の場における指導は、問答無用ではなく、やみくもに強制するものでもなく、理解と説得と納得が基本であります。国旗国歌指導に当たっては、その意義歴史的経緯等について正しい理解を児童生徒に教え込み、おのずから敬愛の念を持って国旗掲揚し、国歌を斉唱するよう指導すべきものと考えます。  文部大臣には、強制にわたるものではないとの見解ですが、指導と強制の境界をどのように線引きするのか、具体的かつ明快な御答弁を求めます。  最後に、私は、国旗国歌に対する本院内外での議論が十分に尽くされ、国民に、自国はもとよりのこと、すべての国の国旗国歌に対してひとしく敬意を表する態度が生まれることにより、お互いの国の歴史伝統文化に対する理解と敬愛の念が一段と深まることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  33. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 菅川健二議員にお答え申し上げます。  まず、国旗国歌法制化する趣旨についてでございますが、日の丸君が代が、長年の慣行によりそれぞれ我が国国旗国歌であるとの認識国民の間に広く定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えることを一つ契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うことといたしたものであります。  国旗国歌法制化に関し、十分審議を尽くすべきとの御指摘がございました。もとよりと考えております。  政府としては、昭和四十九年の政府世論調査や、政府として国旗及び国歌法制化の検討に着手する旨表明をして以来、報道各社で実施された国旗国歌に関する世論調査の結果からも、日の丸君が代がそれぞれ我が国国旗国歌として国民の間に広く定着しているものと考えております。  また、本法律案審議に当たりまして、衆議院では地方及び中央の公聴会並びに参考人質疑が開催されたところでありますが、政府といたしましては、参議院におきましても御審議の上、速やかに本法律案が成立することを期待いたしておるところでございます。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣野中広務登壇拍手
  34. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 菅川議員の私に対する御質問にお答えをいたします。  君が代歌詞について国民が敬愛の念を持って斉唱することの創意工夫に関するお尋ねでございますが、君が代歌詞につきましては、日本国民総意に基づき、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えておりまして、この解釈日本国憲法主権在民の精神に合致することなどについて国民の理解が得られるものと考えております。  また、君が代の曲については、本法律案で定めた楽譜はその主旋律であり、君が代はこれまでも時と場合に応じてさまざまな演奏形式の楽譜が使用されてきたものと承知いたしております。  なお、国民お一人お一人が君が代歌詞意味などについてどのように受けとめられるかにつきましては、最終的には個々人の内心にかかわる事柄であると考えております。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人登壇拍手
  35. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 菅川議員にお答え申し上げます。  国旗国歌指導についてのお尋ねでございますが、学校における国旗国歌指導は、児童生徒に我が国国旗国歌意義を理解させ、諸外国国旗国歌を含め、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございます。  その際、どのような指導が強制に当たる場合になるかについては、具体的な状況に即して判断されることではありますが、児童生徒の内心にまで立ち入って強制することがあってはならないことは当然であり、学校においては、学習指導要領に基づいて教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要であると考えております。(拍手
  36. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  37. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  日程第二 平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書   (いずれも第百四十回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)  日程第三 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)  日程第四 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)  日程第五 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)  日程第六 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第七 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第八 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)   (いずれも第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)  日程第九 平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書衆議院送付)  以上九件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長久世公堯君。     ─────────────    〔審査報告書は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔久世公堯君登壇拍手
  38. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいま議題となりました平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外七件、並びに平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、決算委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。  予備費関係八件は、憲法及び財政法の規定に基づき、平成八年五月から平成十年三月までの間の予備費の使用等について、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  それらの主な費目について申し上げますと、まず一般会計の予備費使用は、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費、老人医療給付費負担金の不足を補うために必要な経費、雇用保険の求職者給付及び雇用継続給付に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費、ナホトカ号流出油災害対策に必要な経費などであります。  次いで、特別会計の予備費使用は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における返還金等の調整勘定へ繰り入れに必要な経費、労働保険特別会計雇用勘定における失業等給付金の不足を補うために必要な経費などであります。  また、特別会計予算総則規定に基づく経費の増額は、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定における地方譲与税等譲与金に必要な経費、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業の連携調整等に必要な経費などであります。  次に、平成九年度決算調整資金からの歳入組入調書は、同年度における一般会計の歳入歳出の決算上生じた不足を補てんするため、同資金から一般会計に一兆六千百七十四億円余を組み入れたことについて、決算調整資金に関する法律規定に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  委員会におきましては、去る七月二十六日に、これら九件を一括して議題とし、まず大蔵大臣から説明を聴取した後、九年度一般会計の歳入歳出の決算上不足が生じた理由決算調整資金制度のあり方や調書提出時期の問題、雇用保険に係る予備費使用と今後の財政見通しなどについて熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党の八田委員より、平成八年度一般会計予備費、平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額平成九年度一般会計予備費(その1)、平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その1)及び平成九年度決算調整資金からの歳入組入調書について反対、その他の予備費関係四件には賛成、自由民主党の鹿熊理事より、予備費関係八件及び平成九年度決算調整資金からの歳入組入調書についていずれも賛成の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終わり、採決の結果、平成八年度一般会計予備費、平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額平成九年度一般会計予備費(その1)、平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その1)及び平成九年度決算調整資金からの歳入組入調書はいずれも多数をもって、その他の予備費関係四件はいずれも全会一致をもって、それぞれ承諾を与えるべきものと議決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  39. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  まず、日程第一、第三及び第九の予備費使用総調書等三件について採決をいたします。  三件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  40. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  41. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十二     賛成             二百九     反対             二十三    よって、三件は承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  42. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、日程第二及び第五の経費増額調書二件について採決をいたします。  両件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  43. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  44. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十二     賛成             二百九     反対             二十三    よって、両件は承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  45. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、日程第四及び第六ないし第八の予備費使用総調書等四件について採決をいたします。  四件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  46. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  47. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十二     賛成           二百三十二     反対               〇    よって、四件は全会一致をもって承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  48. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一〇 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外交・防衛委員長河本英典君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔河本英典君登壇拍手
  49. 河本英典

    ○河本英典君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、外交・防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を踏まえ、陸上自衛隊の師団の改編等及び統合幕僚会議における情報機能の充実等を行うことに伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更を行おうとするものであります。  委員会におきましては、情報収集・分析体制の強化、中期防に基づく師団改編等の進捗状況、即応予備自衛官の確保状況と訓練実績、法律改正に伴う予算の節減効果等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の小泉理事より反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  50. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  51. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  52. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十四     賛成             二百九     反対             二十五    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  53. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一一 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長野間赳君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔野間赳君登壇拍手
  54. 野間赳

    ○野間赳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、近年における農業及び農村をめぐる諸情勢にかんがみ、農用地等を良好な状態で確保するとともに、土地の農業上の利用を確保しつつ、農業振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、優良農地を確保するために本法が果たす役割、食料自給率向上に必要な農地総量、農振制度と他の土地利用制度との関係、都市農業の振興等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して須藤理事より反対である旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  55. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  56. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  57. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十四     賛成            二百十一     反対             二十三    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  58. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会      ─────・─────