運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-05-24 第145回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十四日(月曜日)    午後三時四十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十二号     ─────────────   平成十一年五月二十四日    午後三時三十分 本会議     ─────────────  第一 日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊と   の間における後方支援、物品又は役務の相互   の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国   政府との間の協定改正する協定締結につ   いて承認を求めるの件(第百四十二回国会内   閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)  第二 周辺事態に際して我が国の平和及び安全   を確保するための措置に関する法律案(第百   四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆   議院送付)  第三 自衛隊法の一部を改正する法律案(第百   四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆   議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派   遣労働者就業条件整備等に関する法律等   の一部を改正する法律案(第百四十三回国会   閣法第一〇号)及び職業安定法等の一部を改   正する法律案閣法第九〇号)(趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)及び職業安定法等の一部を改正する法律案閣法第九〇号)について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。甘利労働大臣。    〔国務大臣甘利明登壇拍手
  4. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案及び職業安定法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  近年における社会経済情勢変化背景として、労働者就業形態就業意識多様化が進んでおり、労働力の多様なニーズに対応した需給の迅速かつ的確な結合を促進し、適正な就業機会拡大を図ることが必要であります。  また、一昨年六月のILO総会において労働者派遣事業を含む民間労働力需給調整事業運営を認めること及びこれを利用する労働者保護することを目的とする第百八十一号条約が採択されたところであります。  このような状況のもとで、ILO第百八十一号条約の採択により労働者派遣事業についての新たな国際基準が示されたことを踏まえるとともに、社会経済情勢変化への対応、労働者の多様な選択肢の確保等観点から、中央職業安定審議会において労働者派遣事業制度の見直しについて検討が重ねられ、昨年五月に、臨時的、一時的な労働力需給調整に関する対策としての労働者派遣事業制度実施及び派遣労働者の適正な就業条件確保を図るための措置を講ずるべき旨の建議をいただいたところであります。  政府といたしましては、この建議を踏まえ、本法律案を作成し、中央職業安定審議会等関係審議会審議を経て成案を取りまとめ、ここに提出をした次第であります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一に、労働者派遣事業対象業務範囲について、港湾運送業務建設業務警備業務その他中央職業安定審議会意見を聞いて定める業務を除いた業務をその対象業務とすることとしております。  第二に、許可等手続等について、許可申請書等記載事項及びその変更の際の手続を簡素化するとともに、許可等欠格事由として社会保険労働保険等に係る法律規定により罰金の刑に処せられ一定の期間を経過しない者を追加することとしております。  第三に、労働者派遣期間について、臨時的、一時的な労働力需給調整に関する対策として労働者派遣事業制度位置づけ観点から、専門的な知識、技術または経験を必要とする業務等のうち中央職業安定審議会意見を聞いて定める業務等を除き、派遣先は、同一の業務について一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしております。また、労働大臣は、この労働者派遣期間制限に違反している者に対し、指導助言をした場合において、なおそれに違反し、または違反するおそれがあるときは、勧告公表をすることができることとしております。  第四に、派遣先は、一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしている業務に継続して一年間労働者派遣を受けた場合において、引き続きその業務に従事させるため労働者を雇い入れようとするときは、当該派遣労働者を雇い入れるよう努めなければならないこととしております。  第五に、派遣先は、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所給食施設等の利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第六に、派遣労働者の適正な就業条件確保を図るため、派遣元事業主等のその業務上知り得た秘密の漏えいの禁止労働大臣に対する申告理由とした不利益取り扱い禁止労働者派遣事業適正運営協力員委嘱等措置を講ずることとしております。  以上が本法律案趣旨でございます。  なお、本法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。  第一に、一般労働者派遣事業許可基準として、個人情報を適正に管理し、及び派遣労働者等秘密を守るために必要な措置が講じられていることを追加するものとすること。  第二に、派遣元事業主は、労働者派遣役務提供を受ける期間制限対象となる業務について新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣役務提供を受けようとする者から当該期間制限規定に抵触することとなる最初の日の通知がないときは、当該者との間で、当該業務に係る労働者派遣契約締結してはならないものとすること。  第三に、労働者派遣役務提供を受けようとする者は、労働者派遣契約締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないものとすること。  第四に、派遣元事業主は、労働者派遣をするときは、当該労働者派遣に係る派遣労働者健康保険の被保険者資格取得確認厚生年金保険の被保険者資格取得確認及び雇用保険の被保険者となったことの確認有無に関する事項であって労働省令で定めるものを派遣先通知しなければならないものとすること。  第五に、派遣元責任者業務として、派遣労働者等個人情報管理に関することを追加するものとすること。  第六に、労働者派遣役務提供を受ける者がその指揮命令のもとに労働させる派遣労働者就業に関しては、当該労働者派遣役務提供を受ける者もまた、当該派遣労働者雇用する事業主とみなして、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律中の職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮並びに妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置規定を適用するものとすること。  第七に、労働大臣は、派遣先労働者派遣役務提供を受ける期間制限に違反して労働者派遣役務提供を受けており、かつ、労働者派遣役務提供に係る派遣労働者派遣先雇用されることを希望している場合において、派遣先に対し、派遣労働者を雇い入れるように指導または助言をしたにもかかわらず、派遣先がこれに従わなかったときは、派遣先に対し、派遣労働者を雇い入れるように勧告することができるものとすること。また、派遣先がこの勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。  第八に、派遣先労働者派遣役務提供を受ける期間制限規定に抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行った派遣元事業主に対し、所要罰則を科すものとすること。  第九に、施行期日を、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とするものとすること。  以上でございます。  次に、職業安定法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  近年における急速な産業構造変化国際化労働者就業意識変化等社会経済構造変化に伴い、労働力需給に係るニーズは大きく変化してきております。また、一昨年六月のILO総会において、職業紹介事業を含む民間労働力需給調整事業に関する新たな国際基準として、これらの事業運営を認めること及びこれを利用する労働者保護することを目的とする第百八十一号条約が採択されたところであります。このような状況及び現下の厳しい雇用失業情勢のもとで、労働者雇用の安定を図っていくためには、労働力需給ミスマッチを解消し、失業期間の短縮が図られるよう、労働市場のルールの整備充実とその履行確保を行っていくことが重要であります。  このような観点に立って、中央職業安定審議会において職業紹介事業等に関する法制度あり方について検討が行われ、本年三月に、公共及び民間の各機関がその特性、活力等を生かし、労働力需給調整を円滑、的確に行えるようにするとともに、労働者保護が十分に確保されるよう、職業安定法等改正を行う必要がある旨の建議をいただいたところであります。  政府といたしましては、この建議を踏まえ、本法律案を作成し、中央職業安定審議会全会一致の答申をいただき、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一は職業安定法改正であります。  その一として、法律目的規定に、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等労働力需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営確保すること等を追加することとしております。  その二として、公共職業安定所及び職業紹介事業者等は、事業目的の達成に必要な範囲内で求職者等個人情報を収集、保管、使用し、これを適正に管理するために必要な措置を講じなければならないこととするとともに、賃金、労働時間といった基本的労働条件等明示は文書により行わなければならないこととしております。  その三として、有料職業紹介事業について、港湾運送業務につく職業建設業務につく職業、その他命令で定める職業を除き、労働大臣許可を受けてこれを行うことができることとするとともに、許可有効期間を、現行の一年を新規三年、更新五年に延長することとしております。また、無料職業紹介事業許可有効期間現行の三年を五年に延長することとしております。  その四として、通勤圏外からの直接募集に係る届け出を廃止するとともに、委託募集従事者に対する報償金に係る許可制を見直し、認可制とすることとしております。  その五として、公共職業安定所業務として、求職者への情報提供地方公共団体労使団体等協力による求人または求職の開拓、公共職業能力開発施設等との連携及び職業体験機会付与等措置実施について新たに規定を設けることとしております。  その他、職業安定機関職業紹介事業者等協力有料職業紹介事業に係る手数料制度改正職業紹介責任者選任義務有料職業紹介事業者等秘密を守る義務求職者等からの労働大臣に対する申告制度罰則整備等所要整備を行うこととしております。  第二は、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律改正であり、派遣元事業主による労働者個人情報取り扱いについて職業安定法改正内容に準じた規定を設けることとしております。  第三は、建設労働者雇用改善等に関する法律改正であり、労働省令で定める区域に係る直接募集について通勤圏の内外を問わず届け出を要することとする等、所要整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が本法律案趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。今泉昭君。    〔今泉昭登壇拍手
  6. 今泉昭

    今泉昭君 私は、ただいま議題となりました職業安定法労働者派遣法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して、総理大臣並びに労働大臣質問いたします。  法案に対する具体的質問の前に、現下の深刻化する雇用情勢と新たな雇用対策について、小渕総理にお伺いいたします。  総理は、訪米中、シカゴでの演説で、失業率四・八%に関し、規制緩和を含む懸命な構造改革努力の結果として直視しなくてはならない数字と述べ、失業増加日本経済再生への痛みとの認識を示されました。  私は、昨年一月の本会議で、著しい失業者増加は橋本前内閣のもとでとられた誤った経済政策の結果であることを指摘いたしました。総理も前内閣の一員であり、政府の間違った政策によって失業せざるを得なかった多くの失業者痛みをみずからの痛みとして感じるべきであります。  雇用対策強化は、社会の安定及び景気回復観点からも現下の最重要課題であります。  ところが、我が国のGNPに占める雇用対策費割合はわずか〇・五%であり、欧米諸国の二%から四%の比率と比較して極めて低い水準にとどまっております。さらに、雇用保険にかかわる国庫負担率は、本則で四分の一と決められているにもかかわらず、九二年から暫定的に徐々に引き下げられ、雇用情勢が既に厳しかった昨年も二〇%から一四%へと六%も引き下げられたのであります。総理の意気込みとは逆に、国の雇用対策に対する責任は徐々に後退しているわけであります。  私は、これまでの低い失業率に対応した雇用対策から転換し、在職中からの能力開発失業中の所得保障拡充、ワークシェアリングを促す政策の推進などが必要だと考えます。そのために、複雑な各種の助成制度の新たな枠組み国庫負担率拡充が必要であります。さらに、青年海外協力隊シルバーボランティア制度抜本的拡充による青年中高年層国際協力事業拡充、年齢による雇用差別禁止する法案なども検討俎上にのせるべきだと考えるわけであります。  七〇年代前半に形づくられた雇用対策基本的枠組みを見直し、二十一世紀の雇用対策の新たな枠組みをつくる覚悟で雇用対策に取り組むべきであります。総理雇用対策の基本的な考え方、打ち出そうとしている具体的政策と時期について伺います。  次に、改正案の具体的問題について質問いたします。  まず、総理派遣労働に関する基本方針についてお伺いしたいと思います。  九七年に国際労働機関ILO有料職業紹介自由化労働者派遣原則自由化を認める百八十一号条約を採択した背景には、世界的な市場経済化の進展に伴う無原則労働力自由化のもたらす弊害の増大がございました。この条約は、市場原理を活用して労働市場効率化を図ると同時に、自由化に伴う弊害を防止するために、派遣元派遣先事業主に厳しい雇用責任を負わせているわけであります。  派遣労働は、世界的には六〇年代後半から登場してきた新しい働き方であり、労働者の側から見れば、自発的に働き方を選択できることや常用雇用へのステップになるという利点も一部に有しています。  しかし、派遣先企業の都合、すなわち組織のスリム化人件費削減のために派遣を利用するケースが大変多いのであります。ILO条約趣旨に即して派遣労働自由化しようとするならば、厳しい期間限定と徹底した労働者保護措置が必要であります。総理に、今回、派遣労働ポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に転換するに至った基本的考え方労働者保護措置必要性についてお伺いしたいと思います。  第二に、派遣労働位置づけについてお伺いいたします。  今回の改正案の最大の問題点は、派遣労働の概念が不明確なことであります。  中央職業安定審議会は、昨年五月に出した報告書で、常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的、一時的な労働力需給調整に関する対策として労働者派遣業位置づけることが適当であるとしているわけであります。  ところが、本改正案では、派遣労働を臨時的、一時的な労働需要に対応する労働とする規定はありません。さらに、現在まで認められている専門的業務の二十六業種はそのまま残るわけであります。現行の二十六業種については専門性で縛りをかけ、新たに認められる業種は一年という期限で縛りをかけることになるわけです。改正に当たって、派遣労働に関する基本的考え方が整理されておらず、二種類の派遣労働者の存在が労働現場での混乱を生み出すわけであります。  また、派遣労働者には常用型と登録型があります。登録型は、派遣のたびに派遣元雇用されて派遣されるという不安定雇用の典型であり、社会労働保険加入問題も大半が登録型で問題が生じているのであります。今後の登録型のあり方については、その労働実態を踏まえて、抜本的に見直すべきであると考えます。  私たちは、派遣労働を臨時的、一時的な労働需要を満たすものとして位置づけるべきだと考えますが、労働大臣見解をお伺いしたいと思います。  第三に、派遣受け入れ期間制限についてであります。  臨時的、一時的な労働として派遣労働位置づけることを担保する措置は、期間限定を行うことであります。改正案では一年間の限定を付していますが、その実効性確保が不十分であります。衆議院修正で、一年の受け入れ期間を超えて派遣労働者を用いた場合は、派遣先には雇い入れ勧告と、従わない場合の企業名公表派遣元には罰則を科することが盛り込まれました。  重要な修正と評価しますが、諸外国の派遣期間限定する法制においては、おおむね派遣期間を超えた場合には派遣先への雇い入れが強制される制度を持つ国が多く、期間限定を自発的に遵守させる効果を持つものであり、その導入を検討すべきであると考えます。  さらに、同一業務の定義とクーリング期間については指針で明確にすることになりましたが、特に同一業務の認定は、業務多様化している中で困難が予想されるわけであります。具体性のある指針早期に確立すべきであると考えます。労働大臣見解を伺いたいと思います。  第四に、派遣先責任についてであります。  派遣労働は新しい働き方であり、その新しさの意味は、従来の直接雇用使用者労働者という二者間の当事者関係であったものが、労働者派遣元派遣先という三者間の当事者関係になったことであります。  今改正案の不十分さの根源は、三者間の当事者関係正面からとらえておらず、派遣事業者規制法としての性格の延長上での改正にとどまっていることであります。派遣労働においては、派遣元派遣先派遣労働者の三当事者関係を伴うために、使用者責任があいまいになりがちであります。  ILO条約の第十二条でも、労働条件職業訓練社会保障給付など九項目について、派遣元派遣先のそれぞれの責任を決定し、割り当てることを規定しております。衆議院修正で、合理的理由のない中途解約の場合の派遣先責任明示母性保護、セクシュアルハラスメントについての派遣先責任明示等々、幾つかの前進は図られております。  三者間の当事者関係という労働形態正面からとらえ、使用者責任の分担、割り当てを抜本的に検討していくべきと考えますが、労働大臣見解をお伺いしたいと思います。  最後に、社会労働保険加入問題、個人情報保護苦情処理等についてお伺いいたします。  派遣労働者社会保険に関するトラブルが頻発しております。衆議院修正で、派遣元による派遣先への通知事項社会労働保険加入有無が加えられました。適格性を有する労働者には加入を促進することはもとより、短期雇用労働者に適した社会労働保険あり方を早急に検討すべきであります。  派遣労働者個人情報保護措置基本的人権確保観点から大変重要なことであります。保護される個人情報明確化情報の開示や訂正の請求をできるようにすること、派遣先による事前面接禁止、違反に対する制裁の強化など、実効性ある個人情報保護措置を図るべきであります。  派遣労働者のみならず、離転職増加やリストラの強化などで労働者個人苦情増加することが予想されるわけであります。従来の集団的労使紛争処理に加えて、個人苦情や問題が生じた場合、これを適切に解決するための体制を整備することが必要であり、個別紛争処理システムの確立に向けた検討を急ぐべきだと考えます。  以上の三点についての労働大臣見解を求めます。  派遣労働は今後も増加していくでありましょう。ただし、先進諸国でも雇用者に占める割合は一、二%程度であり、経済界などが期待する雇用創出効果はそれほどないと考えられます。むしろ大切なのは、適正な労働条件確保し、派遣労働が安心して働ける働き方として位置づけられることであることを指摘いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  7. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今泉昭議員にお答え申し上げます。  二点でございました。  まず、雇用対策についてお尋ねがありました。  現下の厳しい雇用情勢を改善するためには、雇用創出、安定に向けた産業界努力を期待いたしますとともに、能力開発や円滑な人材移動による早期再就職の促進のためのセーフティーネット整備していくことが急務でありまして、新たな雇用確保に向けた政策展開を図るべく施策検討を進めております。  具体的には、雇用対策といたしまして、人材のエンプロイアビリティーの向上と雇用ミスマッチの解消に向けた施策検討いたします。また、雇用機会創出策といたしまして、新事業創出支援策周知徹底を図るとともに、医療福祉情報通信など、今後雇用の大幅な増加が見込まれる分野における一層の規制緩和、予算の有効活用等具体化に努めます。これらの対策につきましては、密接に関連する産業競争力強化対策とあわせまして、六月中旬に取りまとめたいと考えております。  次に、派遣法改正基本的考え方についてのお尋ねでありますが、本改正案は、労使の多様なニーズに対応して、臨時的。・一時的な労働力需給の迅速的確な結合を促進しようとするものであります。派遣対象業務拡大に伴いまして、プライバシーの保護等労働者保護措置につきましても一層の充実を図り、派遣事業が適正に行われるよう配慮することといたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣甘利明登壇拍手
  8. 甘利明

    国務大臣甘利明君) お答えいたします。  まず、派遣労働位置づけについてのお尋ねでありますが、今回の改正法案は、我が国長期雇用システム配慮しつつ、労使の多様なニーズに対応した、臨時的、一時的な労働力需給の迅速的確な結合を促進することとするものであります。  なお、現行の二十六業務とこれら以外の業務とが紛れることによる混乱を防ぐために、運用面において十分な配慮を払ってまいります。  次に、派遣期間制限を超えた場合の派遣先への雇い入れについてのお尋ねでありますが、特定の労働者について雇用義務づけを行うことは、事業主の営業、採用の自由の観点から疑問がございます。また、そのような制度をとることについて、現段階では社会的コンセンサスが得られていないことから、適当ではないというふうに考えております。  次に、同一の業務についてのお尋ねでありますが、常用雇用の代替防止という今回の法改正趣旨や、これが客観的に明らかになる必要性等を考えまして、その具体的な判断基準については、中央職業安定審議会にお諮りをした上で、指針に可能な限り明確なものとなるように定めることといたしております。  次に、使用者責任の分担についてのお尋ねであります。  派遣労働の適正執行には派遣元使用者責任を明確にすることが不可欠でありますが、現行法は、このような観点に立った上で、労働基準法等の一部の規定の適用については派遣先につきましても使用者責任を負わせているところであります。  今回の改正案におきましては、さらに派遣先就業環境の維持等に努めること等を規定いたしておりまして、改正法案成立後においては、指針によりまして適正な派遣就業確保を図るために派遣先が講ずべき措置を具体的に定めてまいりたいと考えております。  次に、短期雇用労働者に適した社会労働保険あり方についてのお尋ねであります。  この問題は、派遣労働者だけではなくて、臨時あるいはパート労働者等を含む広範ないわゆる短期雇用労働者にかかわる問題でありまして、広く関係者の意見も聞きながら慎重に検討すべき課題であるというふうに考えております。  次に、派遣労働者個人情報保護についてのお尋ねであります。  今回の改正法案におきまして、労働者個人情報の収集の制限保護や適正管理に関する規定等を設けましたほかに、派遣労働者による開示や訂正請求につきましては指針において明記したいというふうに考えております。  また、派遣先によります事前面接等につきましては、衆議院における修正によりまして、派遣労働者を受け入れようとする場合に、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないように努めなければならないとされたところでありますので、こうした規定を的確に運用し、派遣労働者個人情報保護を図ってまいります。  最後に、個別紛争処理システムについてのお尋ねがありました。  労働条件をめぐる個別紛争につきましては、先般の労働基準改正によりまして、その迅速な解決を図るシステムを整備したところでありますけれども、雇用問題一般についての個別紛争処理機関整備につきましては、そのあり方につきましてさらに検討してまいりたいと考えております。  以上であります。(拍手)     ─────────────
  9. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 山本保君。    〔山本保君登壇拍手
  10. 山本保

    ○山本保君 私は、公明党を代表して、労働者派遣法改正案並びに職業安定法改正案について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  初めに、緊急事態にあります雇用対策全般についてお尋ねいたします。  三月の完全失業率は四・八%、失業者数は三百三十九万人、そのうち一年間以上の失業者は七十万人といずれも過去最悪の雇用情勢にあります。政府は、景気は上向きであると強弁していますけれども、OECDによる我が国の九九年度経済成長見通しはマイナス〇・九%、失業率は四・九%、また来年は五・三%となると予測しております。また、民間の経済調査機関は、三年連続のマイナス成長が必至であるとし、追加的な景気対策が必要だとしているのであります。  総理は、産業競争力会議を開催し、雇用対策を中心とした経済再生の取りまとめを指示されたと伺っております。総理の考えておられる基本的な理念はどのようなものなのでしょうか。  私の懸念するところは、産業の競争力を回復するために過剰な設備、雇用、債務を処理することが優先されるならば、必然的に失業がふえるのではないか。雇用の維持と労働力の流動化、また、過剰雇用の克服と雇用不安の解消という二律背反的な課題に同時に対応しなければならないわけです。具体的にはどのように進められようとしているのか、小渕総理の明快な答弁を求めるものであります。  さて、ここで私は、雇用対策の一つとして民間公益セクターの飛躍的な拡大を訴えます。  といいますのは、雇用創出のために重視されておりますのは新規創業、起業であります。先端的な産業部門と同様に、これまでの我が国では公務員の仕事とされていた例えば介護や福祉、環境保全などの分野民間の仕事に移していくことが効果的なのであります。そのための法的な整備がNPOであります。昨年NPO法は成立いたしましたが、しかしながら、そこでもNPOとは本業を別に持ったボランティアのことだというとらえ方が先行してきました。最近ようやく創業や雇用への効果が理解されているようですが、経済企画庁はこの点についてどのように考え、施策を進めていくつもりか、お聞きします。  さらに、私は、NPOに対する支援措置が必要だと昨年の予算委員会においても指摘したのでありますが、政府は取り上げず、最近に至りやっとその必要性が与党や経済界でも取り上げられるようになったことは極めて遅きに失したと感じております。私は、特に福祉などの公益部門のNPOに対する優遇税制措置が行われることによる経済と雇用への効果は極めて大きなものがあると考えるのでありますが、大蔵大臣の御所見をお尋ねいたします。  次に、雇用保険制度であります。  失業給付の急増で五年連続赤字となり、保険料の引き上げの報道などもあります。しかし、私は、保険料の負担増を安易に行うことは国民の御理解をいただけるものではないと思います。この際、まず国庫負担を雇用保険法の本則どおり給付の四分の一まで引き上げることが必要であると考えますが、いかがでありましょうか。  さらに、雇用調整給付金について、余剰労働力を抱える企業に支払うという従来の方法では、結局、事業主労働者も、最悪の事態になるのをおくらせているだけだとも考えられるのであります。この際、労働者個人に直接、職種転換のための教育訓練にかかわる費用として支給するという方向に変える必要があると思いますけれども、労働大臣の御所見をお聞きいたします。  なお、失業の多くは専ら職種や年齢のミスマッチなどによる構造的・摩擦的失業だとも言われております。ミスマッチの解消には、適切な情報提供とそれに見合った能力開発が不可欠であります。労働者職業能力や技術の向上のために労働省はそれなりの努力を払っておられると私は思いますけれども、しかし、この課題は本来、学校教育が果たすべきものではないかと考えるのであります。  例えば、ことしの大学卒業生の就職率は九二%、女子大生は九〇%を切るという実態にありますが、このことは、言いかえれば、大学が社会に送り出す側として十分な責任を果たしているのかどうかという視点から検討されてもよいのではないかと思うわけであります。また、高等学校というものは、戦前の旧制中学のように大学予備校ではありませんで、本来、社会職業能力や倫理観の修得の役割を中心とする社会人のための学校であったはずであります。しかし、現状は中学からところてん式に進学しており、生徒自体が社会参加への意欲が低く、本来の教育効果が期待できないのも当然であります。  現在、労働行政は、二度目以降の就職のために能力開発を進めようとしていますが、私は、問題は、二度目ではなく、最初の就職のために学校教育が適切な役割を果たしていないのではないかということを申し上げます。いわば、再婚よりは最初の結婚のときが問題なのであります。こうした実態を踏まえ、高等教育などのあり方検討するのかどうか、文部大臣にお伺いいたします。  また、ようやく社会人の要請に応じ、職業能力を高め、技術を取得する本来の高等教育の場が求められてきております。それにこたえて、例えば奨学金制度職業訓練支援制度とを総合的に実施したり、単位制をもっと徹底したり、土曜日、日曜日あるいは夜間にも学校を開くということを私はしばしば指摘してまいりましたけれども、文部大臣の見解をお聞きいたします。  もう一つ追加しますが、甘利労働大臣は、二十一日に、非自発的失業者に対する失業手当を優遇するという意向を表明されたと新聞で読みました。非自発的というような統計上の分類でありますこの区分で、本当に自発的なのかそうでないのか把握できるかどうか私は疑いますけれども、それはそうとしまして、この施策は、現在労働省や通産省が進めている新しい雇用構造、つまり雇用の流動化の方針とは反対のものではないかということであります。つまり、新しい職場とかよりよい自分の人生、職業というものへ転職していこうと自発的に取り組む者よりも、黙って会社任せにしておく者の方が有利になるということになるのではありませんか。お尋ねいたします。  次に、改正法案の基本的な問題点についてお伺いいたします。  労働者派遣制度は、労働力需給調整システムとして一定の役割を果たしています。しかしながら、十年が過ぎ、適用対象業務外への違法な派遣、一方的な中途契約解除、事前面接社会保険の未適用等、派遣労働者保護観点から多くの問題点が出てまいりました。  私ども公明党は、衆議院において他党とともにこれらの改善をより効果的にするために修正を行ってまいりました。この際の私どもの基本方針は、労働者の権利を守ること、特に女性や中小の職場で働く労働者の権利を守ることに置いたものであります。  さて、私は、雇用労働分野においてこのような公的な国の規制を設けるという意味は、本来弱い立場にある労働者の個性、能力を発揮させ、自発的に経済合理的な行動をすることを保障するところにあると思います。このことによって市場経済はそのまま円滑に発展するとともに、人間的な生活が保障されるというふうに考えます。  そうしますと、一般的に、派遣労働への規制を弱めていくということは、弱い立場にある労働者をさらに弱くさせ、人件費を削減したり労働条件整備を軽視させることにならないのかどうか、派遣とは雇用構造の中でどんな意味を持つのか、その本質をどうとらえているのか、労働大臣確認的にお尋ねいたします。  次に、これまで労働者派遣事業は専門的で特別な業務対象としておりましたが、今回は広く短期的、一時的な業務に変更しております。なぜ変更することになったのか、その背景はどのようなものか、これは重要な転換であると思いますので、御説明いただきたいと思います。  さらに、雇用関係と職場での指揮命令関係が異なる派遣制度は、国が放置すれば労働者の権利を侵害するおそれが大変大きい。そのため、労働者派遣法制は、例えば少なくともパートタイムなどで労働者が個別的に事業主と契約を結ぶよりは、もっと雇用条件が向上し、安定が図られるように運用される、これが当然であります。  その意味から、衆議院において、一年以上の雇用派遣ではなく通常の雇用とする、派遣期間制限違反に対する制裁規定を設ける、労働者の特定を目的とする行為の防止、セクハラ防止の事業主責任、こういうような修正は極めて重要と思います。これらの修正の意味と効果についてお尋ねします。  最後に、臨時的・一時的労働枠組みそのものが、ILO条約が要請している労働者の権利保障に合致していない部分が残っているのではないかということを提案します。つまり、母性とか親や子としての権利の保障である育児・介護休業の権利は、雇用の定めのある労働者には必ずしも法律上保障されておりません。派遣労働者も含めて有期契約労働者にも等しく保障されるよう制度を抜本的に見直すべきではありませんか。労働大臣の御所見をお伺いいたし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  11. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 山本保議員にお答え申し上げます。  経済再生と雇用対策についてお尋ねがありました。  十一年度に回復基盤を固め、プラス成長を確実にすることに向けまして、引き続き不退転の決意で取り組む考えであり、緊急経済対策を初めとする思い切った諸施策を果断かつ強力に推進してまいりたいと思います。  また、経済再生のための事業再構築を進めていくに当たりまして、雇用取り扱いが重要でありまして、能力開発人材移動による早期再就職の促進のためのセーフティーネット整備など、雇用対策及び雇用機会創出策のさらなる充実につきまして検討いたしておりまして、所要対策を六月中旬に取りまとめるよう指示いたしたところでございます。  残余の質問につきましては、それぞれ関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣甘利明登壇拍手
  12. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 山本先生から私に対して七点の質問がございました。  まず、雇用保険の国庫負担の引き上げについてのお尋ねでありますが、雇用保険制度は、失業中の生活の安定及び就職の促進を図るためのセーフティーネットとして、将来にわたって十分な役割を果たすことが重要であります。  特に、最近の厳しい雇用失業情勢の中で、雇用保険制度に対する信頼性の確保が強く求められておりまして、制度全体の見直しも視野に入れつつ、御指摘のような問題も含めて給付や財政の先行き等について検討を進めてまいりたいと思っております。  次に、雇用調整助成金についてのお尋ねであります。  厳しい雇用情勢が続きます中で、企業における雇用の維持を支援する本助成金は、失業を予防いたしまして雇用の安定を図る上で重要な役割を果たしておると考えております。  一方で、職種転換であるとかあるいは労働移動に必要となる教育訓練に対する支援を充実させることも重要でありまして、本助成金の教育訓練に対する支援を手厚くするとともに、労働者の主体的な能力開発の取り組みを支援するために教育訓練給付制度を設けておるところであります。  次に、非自発的失業者に対する失業給付についてのお尋ねであります。  雇用保険制度あり方について、基本設計を変更する際には種々の観点からの検討が必要だと私は表明をいたしたわけでありますが、いずれにいたしましても、雇用保険制度失業中の生活の安定及び就職の促進を図るためのセーフティーネットとして、将来にわたって十分な役割を果たしていくことが必要であるというふうに考えております。  次に、今回の派遣労働の本質についてのお尋ねがありました。  今回の法改正は、広範な業務分野において臨時的、一時的な労働力需給の迅速的確な結合を促進するために労働者派遣事業を行うことができることとすることにより、労使ニーズに対応した多様な就業機会拡大に資するものであります。また、常用雇用の代替の防止や労働者保護のための各般の措置を講ずることといたしております。  次に、労働者派遣事業対象業務を変更する背景についてのお尋ねがありました。  産業構造労働者就業意識変化のもとで、希望する日時や職場において働きたいとする労働者及び必要な人材を臨時・緊急的に確保したいとする企業の双方のニーズが高まっておるわけであります。このようなニーズにこたえまして、我が国長期雇用システム配慮した上で、広範な業務分野において臨時的、一時的な労働力需給結合を促進することによりまして多様な就業機会拡大に資するようにするものであります。  続きまして、衆議院における修正の意味に関するお尋ねであります。  今回の改正は、労働者派遣原則自由に行えることとする一方で、常用代替の防止、労働者保護充実等について規定をするものでありまして、衆議院における修正は後者についての担保措置をさらに強化する観点からの修正であるというふうに理解をいたしております。  最後に、育児休業、介護休業の権利を有期契約労働者にも等しく保障することについてのお尋ねであります。  育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業は、一年または三カ月にわたる長期の休業の権利であることから、期間の定めのある労働契約を締結している労働者にも等しく保障することにつきましては慎重であるべきと考えているところでございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣堺屋太一君登壇拍手
  13. 堺屋太一

    国務大臣(堺屋太一君) NPOについて、その社会的役割と雇用効果についての御質問がございました。  NPOにつきましてはいろんなとらえ方がございまして、公益法人、医療法人、学校法人等を含めて、広い意味での利益を目的としない組織という形で見ますと、経済規模といたしましてGDPの約三%を占めております。しかしながら、ボランティアなど市民活動団体という範囲に限って見ますれば、その経済規模はまだ極めて小さいものであります。もちろんこの中には専属の有給者がおられるところもございますし、将来はそうした形が広く受け入れられていくものだと考えております。  このように、NPOにつきましてはさまざまなとらえ方がございますので、国民生活審議会において、NPOをどのような範囲でとらえるのか、経済社会における役割をどう考えるのか、どのような政策対応を講じていくのか等々について検討を始めたところでございます。その検討結果を踏まえて適切な対応をしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  14. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 雇用対策の推進上NPOの役割を重視しなければならないということはかねてからの御主張でございますが、政府としても同様に考えております。  そこで、この法案が両院を通過いたしました昨年、附帯決議がおのおの付されておりますが、その御趣旨は、今後どのような団体がどのような活動をするか、そういうことをよく考えて二年以内にその実態を見きわめろということでございますが、現に実際にどのような団体が誕生し、どのような活動が展開されるのか注意して実態を見ておりまして、それを見きわめました上で税制についての結論を出したい、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人君登壇拍手
  15. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 山本保議員の御質問にお答え申し上げます。  まず第一に、高等教育のあり方についてのお尋ねでございますが、景気低迷による雇用情勢が大変厳しい中、今春卒業学生の就職状況についても厳しい結果となっており、大学においてもより細やかな就職指導に努めるとともに、これまで以上に学生に高い付加価値をつけた上で卒業させることができるよう、教育機能の充実を図る必要があると認識いたしております。  文部省といたしましては、学生が課題解決能力や高い職業観を適切に身につけることができるよう、各大学におけるインターンシップや職業観を高める授業科目の設定、責任ある授業運営への取り組みを促し、充実した大学教育が実施されるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、社会人の要請に応ずる職業能力の向上策についてのお尋ねでございますが、近年における技術革新の進展や産業構造変化に伴い、大学など高等教育機関において社会人に対して継続的な教育を行い、生涯にわたり最新かつ高度の知識、技術を教授することが重要となっているところでございます。  このため文部省では、奨学金の拡充を行うと同時に、大学への社会人の受け入れ拡大するため、社会人特別選抜制度の導入、科目等履修生制度の活用などの措置を講じるとともに、社会人の便宜のため、夜間大学院の設置や大学院等の昼夜開講制の整備を図ってきているところでございます。また、社会人受講者の負担軽減の観点から、教育訓練給付金の対象拡大検討など、職業教育訓練支援施策とも連携して総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  16. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 市田忠義君。    〔市田忠義君登壇拍手
  17. 市田忠義

    ○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、職業安定法並びに労働者派遣法の一部を改正する法律案に対して、総理並びに労働大臣質問をいたします。  そもそも職業安定法は、職業選択の自由、生存権や勤労権の保障をうたった憲法の理念を実現するものとして、一九四七年、第一回国会で制定されました。それ以来、職業安定法職業安定行政は、この法律目的、すなわち、各人にその能力に応じて適切な職業につく機会を与え職業の安定を図るために、職業のあっせんに営利を持ち込むこと及び人貸し業である労働者供給事業をかたく禁じ、国による無料の職業紹介を原則としたのであります。これは、労働関係の近代化と労働条件の向上、安定的な雇用の発展に大きな役割を果たしてきました。  総理お尋ねします。  政府の失政によって完全失業者が三百万人を超えている今日、各人にその能力に応じて職につく機会を与え職業の安定を図るという職業安定法目的達成の責任はいよいよ重くなっていると考えますが、いかがですか。  ところが、政府提出の職安法及び労働者派遣法改正案は、有料職業あっせん事業を建設と港湾運送を除くすべての職業に全面的に解禁するとともに、労働者派遣事業を建設、港湾運送、警備を除き、原則としてすべての産業とあらゆる業務へ解禁しようというものであり、およそ職業の安定とはかけ離れた内容と言わなければなりません。  なぜなら、職業紹介が業として成り立つためには、どうしても職業紹介の成立数が競われることになります。そのためには、紹介の効率が追求されることはあっても、適切な職業紹介の原則は顧みられなくなるでしょう。その結果、不本意な就職と、それを理由とする離職が急増するからであります。さらに、紹介件数をふやすためには、長期安定雇用の紹介より短期雇用を繰り返すことが重視されるでしょう。  総理、あなたは、本改正案の提案理由を、雇用ミスマッチを解消し、雇用の安定を図るためと述べておられますが、どうして雇用が安定すると言えるのですか。そうならないことはイギリスにおける職業紹介のエージェンシー化などによって既に実証されているではありませんか。ミスマッチの解消とは、不本意な職業でも我慢せよということなのですか。明確な答弁を求めます。  派遣事業自由化は何をもたらすのでしょうか。雇用機会拡大などでは断じてありません。広がるのは雇用の一層の不安定化とそれによる労働条件の切り下げ、そして人権侵害であります。  今、企業では、労働者派遣がリストラの道具として使われています。みずからの従業員を書類の上だけ系列の派遣子会社に転籍させて、そこからの派遣社員として扱うことで人件費を大幅に切り下げるなどがまかり通っています。常用雇用派遣による代替どころか、常用労働者派遣化が進められているのです。文字どおりの雇用の不安定化ではありませんか。派遣事業自由化はこうしたむちゃくちゃな事態を一気に広げることになるのであります。それとも、こうしたことが起こらない確実な保障があると言い切れますか。総理、どうですか。  常用労働者派遣労働者との代替を起こさないというのであれば、少なくともリストラで人減らしをした企業の派遣受け入れ禁止すべきではありませんか。さらに、事実上の第二人事部である特定の企業への派遣についても要件を厳しくして禁止すべきだと思いますが、あわせて答弁を求めます。  さまざまな労働組合や弁護士団体などが行った派遣労働相談では、契約期間が残っているのに一方的に契約を解除され、そのまま解雇された、解雇予告手当どころか働いた期間の賃金も支払われない、仕事の内容や働く場所が契約と違う、有給休暇もなく雇用保険社会保険にも入れない、苦情を言うと、派遣労働者はいつでも首にできるんだとおどされるなど、およそ一般には考えられない不当、無法がまかり通っている現実が共通して指摘をされています。このような過酷で不法な実態は、労働省の調査でも全く同様であります。  労働大臣、こうした実態についてあなたは、特に「適用対象業務以外の業務派遣に関するもの、労働者派遣契約の中途解除を含む解雇に関するものにつきましては、派遣労働者特有のもの」と答弁をされています。すなわち一般の労働者には見られない派遣労働者固有の弊害だと認めておられます。そうだとするなら、労働者派遣制度をやめること、少なくとも労働者派遣対象を今以上には広げないことが必要なのではありませんか。明確な答弁を求めます。  派遣労働にかかわるこうした弊害は、登録型と呼ばれる派遣において最も顕著にあらわれています。だからこそ、多くの労働団体が登録派遣の廃止を求めているのであります。派遣労働自由化の要求は一体どんな団体から出されているのか、労働団体から要望があったのかとの衆議院での我が党の質問に、政府は、日経連、経団連など経営者団体の名前しか挙げることができませんでした。総理、あなたは財界の声にはこたえても、実際に被害を受けている労働者の声を聞く耳は持たないというのですか。はっきりと答えてください。  労働大臣は、登録型の労働者派遣事業を認めないこととしますと、かえって就業機会を狭めるなどと述べています。労働者はなぜ派遣を選択するのでしょうか。東京都の調査によりますと、この十年間で、都合に合わせて働けるとした者は三割減ったのに対し、正社員の職がないからという人は六割もふえています。しかも、派遣を続けたいという声が二割減り、正社員で働きたいという声が三割もふえている。つまり、派遣以外に働く道がないため、やむなく選択したという人が多数を占めているのであります。登録型を禁止すれば、就業機会が減るのではなくて、直接雇用機会がふえるのであります。  労働大臣、あなたに求められているのは、弊害のはっきりしている登録派遣をきっぱりやめて、安定した職業提供するためにあらゆる知恵と力を発揮することではありませんか。答弁を求めます。  本改正案衆議院で一定の修正が行われ、本院に送られてきたものであります。しかし、当事者である労働組合は、その潮流のいかんを問わず、いずれも厳しい評価を与えています。本院には、これらの声に真摯に耳を傾け、参議院にふさわしい結論を導き出すことが求められています。  我が党は、これ以上の派遣労働者拡大と被害の蔓延を防ぐために、最小限必要と思われる点に絞って独自の法案提出しております。そこでは、現在では極めて不十分な法の執行体制を補うために、職業安定監督官の創設も新たに提起をいたしました。我が党案の実現こそ雇用の安定と派遣労働者保護に真に寄与するものと確信するものでありますが、その審議も含めて、よりよき結論のために全力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 市田忠義議員にお答え申し上げます。  まず、職業安定法目的を達成する責任についてお尋ねでありました。  現下の厳しい雇用失業情勢や近年における急速な産業構造変化労働者就業意識多様化等に的確に対応し、雇用の安定を図っていくためには、雇用創出、安定対策とともに、労働力需給ミスマッチを解消するための対策として、官民の労働需給調整機能を強化するとともに、労働市場のルールの整備充実とその履行確保を図っていくことが重要であると考えます。  今回の改正雇用を不安定化させるのではとのお尋ねでありましたが、今回の改正によりまして、違法事案の申告苦情処理の制度、違法な事業等に対する指導、改善命令規定が設けられ、さらに個人情報保護労働条件の文書明示義務づけ等、労働者保護措置強化していることから、御指摘のような事態は生じないものと考えます。  派遣法の改正がリストラ等の手段とならないかとのお尋ねでありましたが、今回の改正法案は、常用雇用労働者の代替を防止するため派遣期間一年の制限を設けるとともに、労働者保護拡充を図るものでありまして、あわせて特定の企業への労働者派遣の規制の徹底を図ることによりまして、御質問のような事態を招くことのないものと考えております。  リストラで人を減らした企業への派遣に対するお尋ねでありました。  このような企業への派遣を一律に禁止すればその企業への派遣を希望する労働者ニーズに的確に対応できなくなり、不適当であると考えます。  また、特定の企業への派遣についてお尋ねですが、労働者派遣を専ら特定の企業に提供することを目的として行われる労働者派遣事業につきましては、これを規制する現行法の厳正な運用に加えまして、改正法成立後はこうした労働者派遣事業を行わないことを許可の条件として付すことによりまして、こうした労働者派遣事業が行われることのないようにいたしてまいりたいと考えます。  労働者派遣法改正に係る各界の要望についてお尋ねがありました。  今回の改正法案は、派遣労働者の実情等を十分踏まえつつ、公労使三者構成による中央職業安定審議会におきまして十分な検討をいただいた上で、労使の多様なニーズに対応した臨時的、一時的な労働力需給の迅速的確な結合の促進と労働者保護拡充強化を図るものであることを御理解いただきたいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣甘利明登壇拍手
  19. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二点、御質問をいただきました。  まず、派遣労働対象業務についてのお尋ねでありますが、派遣労働につきましては契約の中途解除等の相談や苦情が寄せられることもございますけれども、調査によりますと、派遣労働につきましては積極的な就労理由を挙げる労働者が多数を占めております。  今回の改正は、労働者のプライバシーの保護等、労働者保護措置についても一層の充実を図りまして、労使の多様なニーズを踏まえて派遣労働対象拡大することとしているものであります。  次に、登録派遣禁止すべきであるということに関するお尋ねでありますが、派遣労働につきましては、登録型を含めまして積極的理由を挙げる者が多数を占めていることはただいま答弁をしたとおりでございます。  今回の改正案は、労使の多様なニーズを踏まえまして、雇用の選択肢を拡大し、労働力需給ミスマッチの解消に資そうとするものであります。  以上です。(拍手)     ─────────────
  20. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 大脇雅子君。    〔大脇雅子君登壇拍手
  21. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、議題となりました職業安定法の一部を改正する法案及び衆議院修正を施された労働者派遣法の一部を改正する法案について、小渕総理大臣甘利労働大臣お尋ねいたします。  今回の労働者派遣法の一部を改正する法律案は、労働市場規制緩和及び失業対策として、労働力需給調整システムの適正化を進めることを目的に、港湾運送業務建設業務警備業務及び当分の間製造業務を除いて、派遣労働のネガティブリスト化を柱としています。  派遣労働のネガティブリスト化は、コストの削減と雇用調整弁的に派遣労働を活用する道を開き、正規雇用労働者派遣労働者に代替していく危険性があります。別会社による従業員の派遣労働者化とともに、派遣活用事業場における派遣労働者割合は高率化しつつあり、直接雇用による経費負担を回避するための方策として、現在直用のパートタイム労働者派遣化が予想されます。  改正法案は、派遣労働を臨時的、一時的な労働需要に対応するためのテンポラリーワーク型派遣へ統一することを目的とすると言いながら、その見直しは三年後に見送られ、派遣労働を臨時的、一時的な活用に厳しく限定する措置は、派遣期間の一年を除き、何らとられておりません。派遣業種やポストを臨時的、一時的なものに法文上限定するなど、実質的な歯どめが必要と考えます。  そこで、総理大臣お尋ねいたします。  正規労働者派遣労働者による代替は起こり得ないと予想しておられるのでしょうか。また、今回の職安法、派遣法改正により雇用創出効果をどのように試算しておられるのでしょうか。  また、現行労働者派遣法は、一九八五年以来、専門的領域や経験を生かして働く雇用として定着してきたことから、通達で二回までの更新が許され、派遣労働者の賃金はそれなりの水準を維持してきました。派遣がすべての業務に無制限拡大する中で、賃金や労働条件が大幅に低下することは必至です。専門的・技術的職種の派遣あり方について将来どのように位置づけるお考えでしょうか、労働大臣お尋ねいたします。  第二に、派遣労働は、派遣元雇用関係と派遣先指揮命令関係とに対応して、使用者責任雇用責任と使用責任に分離しています。しかし、派遣先における指揮命令関係は、労働者に対する業務命令という労働契約の基本的部分を占めており、労働の継続関係を考慮するとき、派遣先責任明確化し、派遣労働者の一層の権利保護が図られなければなりません。その点において今回の改正修正はいまだ不十分であります。  最も重要なことは、派遣労働者の人権保障として派遣労働者の適正な労働条件確保を図ることです。  派遣元は、派遣労働者登録派遣決定の平等取り扱いに加えて、派遣労働者の賃金や労働条件について、その就労の実態、派遣先における同種同等の業務に従事する通常の労働者の賃金や労働条件との均衡を考慮して派遣料金を取り決め、派遣先は、業務の指示や配置及び労働環境について、派遣労働者と同種同等の仕事をする通常労働者との均衡を考慮すべきだと考えます。  生産性のみに力点を置き、人件費や雇用管理費の節減のためにのみ派遣労働を利用すれば、公平平等な社会を構築するという二十一世紀の日本社会に、働く人たちの所得格差とさらなる差別を持ち込むことになります。多様な雇用形態で働く労働者が不合理な差別を受けることのない均等待遇の原則の確立は重要な課題であります。この点に関する総理及び労働大臣の御所見を伺います。  加えて、労働者派遣の契約当事者は、業務の遂行上、性別または年齢に係る事項が不可欠であると認められる場合を除き、派遣労働者の性別または年齢に係る事項を定めるべきではないと思います。特に、職業紹介についても不合理な年齢差別が禁止されるべきです。高齢化社会においては能力と意欲によって働き続けられるエージレス社会の構築が不可欠であると考えますが、総理の御見解を伺います。  次に重要なことは、派遣が一年を超えた場合の派遣先雇用責任の問題です。  派遣労働者派遣先雇用されることを実現する措置として、労働大臣の雇い入れ勧告と企業名の公表制度が導入されました。この勧告の法的要件はどのようなものですか。違法派遣と雇い入れ勧告を監視する機関はどこでしょうか。どのように一年を超えた違法な雇用の存在をチェックしていくのでしょうか。企業名公表の要件についても伺います。  また、その法的関係、すなわち民事的効力はいかなるものと解されますか。私は、一年を超える労働者派遣は、事実上の就業関係を重視して、派遣先派遣労働者の間で法的に労働契約成立のみなし規定、または契約成立の推定が働く明文規定を置くべきであると考えますが、いかがですか。単なる行政上の雇い入れ勧告企業名公表という行政指導のみで、派遣先に対する派遣労働者雇用義務づけがどれほど効果があるか疑問だからです。労働大臣お尋ねいたします。  第三は、プライバシーの保護についてです。  容姿におけるランクづけなどの九万人の派遣労働者情報が流出した事件は、重大なプライバシー侵害として社会を驚かせ、注目を浴びました。しかし、今回の改正では、派遣元に対しては規制がかかっても、派遣先の規制は不十分です。まず、派遣元は、業務と合理的関連のない情報申告させ、第三者から収集することを禁止すべきです。例えば、年齢、家族関係、本籍、医療情報、容姿等であります。また、派遣元から派遣先提供される個人情報取り扱いについても業務との関連性が重視されるべきであり、労働者個人情報の開示請求に加えて、修正、削除を労働者の請求権として規定し、派遣先が持つ情報に関しても徹底した保護が必要と考えます。労働大臣、いかがでしょうか。  第四に、我が国では事前選別、適用対象業務を超えた業務命令やセクシュアルハラスメント等、労働法上の責任を回避するために派遣を活用しながら権限の逸脱や乱用が目立っています。例えば、派遣契約の中途解約の場合の取り扱い派遣先の適切な就業環境の維持のための措置等、派遣元派遣先の連帯責任強化する考え方が世界の流れとなりつつあります。今回の改正法案の実効性を高めるために、派遣先使用者としての責任強化が最も必要なのです。労働大臣にお伺いします。  第五に、登録派遣を取りやめて常用型にすべきだという意見があります。登録派遣の不安定さが権利侵害、差別的労働条件の原因となっていることはこれまでにも強く指摘され続けてきました。だからこそ、将来廃止すべきと考えますが、いかがですか。  最後に、ILO百八十一号条約は、派遣民間職業紹介の自由化促進のみを目的とするものでなく、労働者保護のルール化とセーフティーネットの徹底を求めています。この視点から改めて今回の改正案を見てみますと、改正案派遣先派遣元事業主に使い勝手のよい労働者を供給する制度として機能し、一生の生活設計もままならぬ不安定雇用創出が図られて、労働者の権利に深刻な影響を及ぼすでありましょう。また、民間職業紹介の弊害から労働者保護するという歴史的経過を踏まえるとき、公共職業安定所が果たす役割と権限が改めて問われていると思います。  これらの問題をめぐる労働政策に関する総理の御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  22. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大脇雅子議員にお答え申し上げます。  正規労働者の代替等について、まずお尋ねがありました。  今回の改正により新たに労働者派遣事業対象となる分野につきましては、派遣期間を一年以内に制限し、違反した派遣元に対し改善命令罰則を適用する等の措置を講じておりまして、さらに衆議院修正によりまして派遣先に雇い入れ勧告を行うこととされ、これらの措置の適切な運用により常用雇用の代替は十分防止できると考えております。  また、雇用創出効果を具体的に見通すことは困難でありますが、本改正労働力需給ミスマッチの解消に資するとともに、多様な就労機会拡大が確実にもたらされるものと考えております。  派遣労働者と通常の労働者との均衡についてお尋ねであります。  賃金等の労働条件につきましては、派遣労働者派遣元事業主との間で決定されるものであり、さらに、我が国の賃金制度は勤続年数、年齢、学歴等が大きな決定要素になっていることから、派遣先の正社員との均衡を考慮した賃金とすることにつきましては、労使のコンセンサスの面から困難であると考えます。  エージレス社会についてお尋ねがありますが、急速な高齢化が進展する中で、高齢者がその能力と意欲に応じて働き続けられる社会を構築することは、高齢者にとりましても、活力のある経済社会を築いていく上でも大変重要な課題であります。このような社会の構築に向けまして、引き続き努力してまいる所存であります。  派遣労働者による常用代替の防止等についてのお尋ねでありましたが、新たに拡大される業務派遣期間原則として一年以内に制限し、これを担保するための措置を講じております。また、公共及び民間職業紹介機関の連携の強化等を図りますとともに、民営職業紹介事業についても秘密の漏えいに対する罰則規定を新設するなど、労働者保護を十分図ることといたしております  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣甘利明登壇拍手
  23. 甘利明

    国務大臣甘利明君) お答えいたします。  まず、専門的・技術的職種のあり方についてお尋ねがありました。  今回の改正法案におきましては、専門的な知識、技術、経験等や特別な雇用管理を必要とする現行の二十六の業務につきましては、既にその業務において就業している派遣労働者雇用確保及び専門的な能力の活用の観点から、引き続き現行枠組みを維持することといたしております。  将来的には、専門的業務に関する制度あり方について、改正法施行三年経過後に労働者派遣法規定について見直しを行う中で必要な検討を行ってまいりたいと思っております。  次に、派遣労働者と通常の労働者との均衡についてのお尋ねであります。  先ほど総理から御答弁がありましたとおり、我が国の賃金制度との関係や労使のコンセンサスなどの面から困難であるというふうに考えておりまして、派遣労働者能力開発派遣先での適正な就業確保を通じて労働条件の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、雇い入れ勧告実施条件についてお尋ねがありました。  この条文は衆議院修正によって追加されたものでありますが、条文によりますと、まず一年を超えて派遣を受け入れている場合、次に派遣労働者派遣先への雇用を希望している場合等が規定されているところであります。さらに、具体的な運用については今後の検討課題であるというふうに考えております。  違法派遣や雇い入れ勧告に係る監督についてのお尋ねがありました。  違法派遣に対する許可の取り消しであるとか雇い入れ勧告等についての事務は、基本的には公共職業安定所が行うこととなります。今回の改正によりまして、公共職業安定所における苦情処理や違法事案の申告についての規定が設けられていることから、この適切な運用を図るとともに、定期監督や臨検監督を的確に実施することによりまして、一年を超えた違法な派遣等を厳格にチェックしてまいりたいというふうに考えております。  さらに、雇い入れ勧告に従わない場合の公表の要件については、衆議院修正によって追加されたものであり、具体的な運用については今後の検討課題であるというふうに考えております。  次に、雇い入れ勧告についての法的関係、民事的効力についてのお尋ねがありました。  勧告は、派遣労働者派遣先雇用されることを希望する場合には、派遣先に対して雇い入れるよう勧告をするものであります。  実際の例として、一年を超えて就労していて、派遣元との雇用契約は終了しているケースにおいては、派遣先との雇用関係が成立していると解釈される場合もあると考えられますが、みなし雇用であるとかあるいは雇用契約成立の推定が働く明文規定を設けることについては、我が国における法制度のもとにおいては困難であろうというふうに考えております。  続きまして、プライバシー保護についてのお尋ねがありました。  今回の改正によりまして、派遣元はその事業目的範囲内で派遣労働者等個人情報を収集、保管、使用する旨の規定が設けられるところでありますが、この収集できる個人情報の具体的な内容や、派遣元派遣先提供することができる個人情報の具体的な内容並びに派遣労働者による個人情報の開示、訂正等につきましては、中央職業安定審議会意見を聞いて、指針におきまして具体化してまいりたいと考えております。  次に、労働者派遣契約中途解約取り扱い等についてのお尋ねでありますが、派遣先の責めに帰すべき事由による中途解約については、衆議院の附帯決議を踏まえまして、派遣先派遣元に対し派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償を行うべき旨を指針に明記することと、また派遣先における適切な派遣就業確保についても、指針においてその内容の一層の具体化明確化を図ることを考えております。  最後に、登録派遣をやめて常用型にすべきとの見解についてのお尋ねがありました。  仮に登録型を認めないということにいたしますと、希望する日時であるとか職場において、みずからの専門的な能力や経験を生かして働きたいとする労働者及び専門的な業務分野の即戦力となるような人材期間を限って臨時・一時的に確保したいとする企業のこの両方のニーズにこたえることができなくなりまして、このような労働者雇用機会を失わせることになるとともに、労働力需給ミスマッチの解消が困難となりますことから、適当ではないというふうに考えております。  以上です。(拍手
  24. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  25. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定改正する協定締結について承認を求めるの件  日程第二 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案  日程第三 自衛隊法の一部を改正する法律案   (いずれも第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。日米防衛協力のための指針に関する特別委員長井上吉夫君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔井上吉夫君登壇拍手
  26. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 ただいま議題となりました協定及び法律案二件の三案件につきまして、日米防衛協力のための指針に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、日米物品役務相互提供協定改正する協定は、周辺事態に際して活動する自衛隊と米軍との間の後方支援、物品または役務の相互の提供を日米共同訓練、国連平和維持活動等の場合と同じ枠組みに従って行い得るようにするため、現行協定改正するものであります。  次に、周辺事態安全確保法案は、周辺事態に対応して我が国実施する措置及びその実施手続等を定めるものでありまして、後方地域支援、後方地域捜索救助活動等を実施する際には、閣議決定により基本計画を定め、国会に報告すること、自衛隊実施する後方地域支援等の活動は、原則事前、緊急時には事後に国会の承認を求めること、地方公共団体の長に対し必要な協力を求めることができること、後方地域支援等の職務に従事する自衛官は、生命・身体を防護するため、やむを得ない場合、武器を使用することができること等を主な内容とするものであります。  次に、自衛隊法改正法案は、外国における緊急事態に際して、自衛隊が行う在外邦人等の輸送の手段として、新たに船舶等を追加するとともに、自衛官等の生命・身体を防護するため、やむを得ない場合は武器使用ができることを定めるものであります。  委員会におきましては、これら三案件を一括して議題とし、周辺事態の定義及び目的規定修正理由周辺事態の地理的範囲とその認定基準、船舶検査規定を削除した経緯とその復活修正、船舶検査実施のための国連安保理決議の要否及び警告・威嚇射撃、船舶検査に関する新規立法、国会承認規定の新設と承認範囲、後方地域支援における武器使用、地方自治体協力の具体例と協力拒否の正当理由周辺事態が沖縄に及ぼす影響、法案に対する近隣諸国の反応、有事法制と領域警備体制の整備等について質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取、公聴会のほか、沖縄県において地方公聴会を行いましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑終局の後、民主党・新緑風会の柳田理事より、周辺事態安全確保法案について、国連安保理決議を要件とする船舶検査に係る条項を政府原案のとおり加える旨の修正案が提出されました。  次いで、日米物品役務相互提供協定改正する協定周辺事態安全確保法案及び自衛隊法改正法案の三案件並びに修正案について討論に入りましたところ、民主党・新緑風会の木俣委員より、協定修正案及び自衛隊法改正法案に賛成し、周辺事態安全確保法案に反対する旨の意見が、自由民主党及び自由党を代表して自由民主党の竹山理事、公明党の荒木委員より、それぞれ三案件に賛成し、修正案に反対する旨の意見が、日本共産党の笠井理事、社会民主党・護憲連合の日下部委員、二院クラブ・自由連合の島袋委員より、それぞれ三案件及び修正案に反対する旨の意見が、参議院の会の山崎委員より、三案件及び修正案に賛成する旨の意見が述べられました。  次いで、順次採決の結果、日米物品役務相互提供協定改正する協定は多数をもって承認すべきものと決定し、周辺事態安全確保法案につきましては、まず修正案を否決した後、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、自衛隊法改正法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  27. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 三件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。伊藤基隆君。    〔伊藤基隆君登壇拍手
  28. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました日米物品役務相互提供協定改正案に賛成、衆議院送付周辺事態安全確保法案に反対、自衛隊法改正案に賛成の立場で討論いたします。  民主党・新緑風会は、日米安全保障条約を支持し、日米防衛協力を進めることが日本の安全保障のために不可欠であり、ガイドライン関連法案整備は基本的に必要であるとの認識に立っており、この立場からACSA協定改正に賛成いたします。  自衛隊法改正案についても、邦人救出の実効性を高めるために艦船を派遣する選択肢を加えることの必要性にかんがみ、これに賛成いたします。  次に、周辺事態安全確保法案についてであります。  日米防衛協力に当たっては、我が国の主体性確保と国民生活に対する配慮法律規定することが必要であります。衆議院送付周辺事態安全確保法案は、こうした点が不十分であるばかりか、看過できない重要な問題点があり、賛成できません。  第一に、新ガイドラインにおいて日米間で合意した根幹部分の一つである国連決議に基づく船舶検査活動が削除されており、法案として未完成な欠陥法の姿となってしまったことであります。  第二に、基本計画全体ではなく、自衛隊の一部活動のみを国会承認事項規定しており、地方自治体や民間協力に対する行き過ぎた協力要請等があった場合、国会が歯どめをかけられないことであります。  第三に、周辺事態の定義や政府統一見解拡大解釈の余地があり、専守防衛を大きく超えて自衛隊の活動領域に歯どめがかけられないことであります。  なお、日米物品役務相互提供協定、ACSAは日米の協力内容についてはおのおのの国がその国内取り決めに基づいて行う旨を協定しており、ACSAには同意しても、それに関係する周辺事態法に欠陥があってそれを修正できないときにこれに反対することは全く矛盾いたしません。  次に、自自公三会派は衆議院において不透明で旧態依然の国対政治の結果修正に合意したのでありまして、これをやすやすと受け入れた小渕内閣は、理念と見識を放棄し、政策軸など何もないことを内外に明らかにしたのであります。政権維持のために総理の訪米前に何が何でも成立させようとしたことに始まり、ガイドライン審議政策論争ではなく政局論争におとしめたことの責任、とりわけ政府・自民党を代表する総理責任は極めて重大であることを申し上げなければなりません。これは議会制民主主義の否定であり、決して国民に理解されるものではなく、結果的には日米関係に傷をつける可能性さえあり、まことにもって遺憾千万であります。  国の根幹の安全保障政策を政争の具に使ったことは、国民の不信を招き、同盟国である米国や国際社会から冷ややかなまなざしで見られるであろうことを強く総理に申し上げます。  最後に、民主党は、日米安保のためなら国民生活と日本の外交的主体性を犠牲にする政党とも、日米安保そのものに反対する政党とも一線を画した真の責任政党として、日本の防衛政策と平和創出外交のあり方を国民に提示していく覚悟であることを改めて申し上げ、私の討論といたします。(拍手
  29. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 月原茂皓君。    〔月原茂皓君登壇拍手
  30. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私は、自由民主党、自由党を代表して、衆議院から送付された周辺事態確保法案等三案件に賛成の討論を行います。  以下、賛成の理由を申し上げます。  我が国は、自由、民主、人権、自由な市場など、同じ価値観に立つ米国と同盟を結び、我が国の安全を確保するため日米安全保障条約締結しました。  ガイドライン関連法案は、我が国周辺の地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に際して、憲法の範囲内で我が国が主体的に後方支援を行い、あるいは後方地域捜索救助活動を行うことにより日米関係の信頼をより強固にし、我が国に対する武力攻撃の抑止に資するもので、日本の安全に大きく寄与するものであります。さらには、米国の政策について我が国の発言力を高めることにもなります。冷戦後も依然として不安定性及び不確実性が存在するアジア太平洋地域が、二十一世紀においても平和で繁栄することは日米の関心事であり、ガイドライン関連法案は日米同盟の基盤強化、ひいてはこの地域の平和と安定に大きく資するものであります。  法案審議に際し、このような認識の上で、憲法の理念に基づき、その範囲内でいかに国家の最大の使命である国民の生命等の安全を守るか、国会におけるシビリアンコントロールをいかに確保するか等を論じました。別途、国連を中心とした平和活動への積極的参加等についても論じられました。  そのまま放置すれば我が国に直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等の例示等を加え、目的をより明確にしました。自衛隊の出動についての国会承認・事後報告、武器使用等を設け、船舶検査活動については新法で対処することになりました。  これらにより、日米安全保障体制の信頼性を高め、ガイドラインの実効性を確保し、その抑止力を発揮することが大いに期待されるのであります。また、この法案により適切かつ迅速な対応措置実施し、周辺事態我が国への直接的な武力攻撃に転化することがないよう危機管理を行い、我が国の国民の生命と財産に対する危害を未然に防止するものであります。  我が国の安全保障のあり方については、専守防衛であるからこそ、相手につけ込まれるすきをなくすことが不可欠であり、このことについて国民の関心も高まり、世論調査において、ガイドライン関連法案について日本の安全のためや国際環境の変化に対応するため、三分の二が賛成するという結果も出ているところであります。  本法案は地方自治体等に対する協力を求め、依頼することができることとされていますが、この規定は、強制に当たるものではないことは政府側の答弁で明らかであります。周辺事態という事態の重要性にかんがみ、本法案趣旨を十分御理解いただき、協力の依頼があった場合には適切に対処していただくようお願い申し上げます。  自衛隊法の一部改正は、在外邦人等の輸送手段の追加、外国において職務に従事する自衛官の武器の使用等を認めることであり、ACSA改定は、周辺事態に際して活動する自衛隊と米軍との間の物品または役務の相互の提供の基本条件を定めることであり、遅きに失した感もありますが、当然のことであります。  申すまでもなく、船舶検査活動に関する立法化を今国会中に行うことは当然のことであります。  防衛庁のあり方、有事法制の整備、領域警備などについての明確な対応、方策、我が国防衛の基本である防衛力の効率的な整備、沖縄米軍基地問題解決への努力、二国間、多国間の信頼醸成等、重要な課題に真摯に取り組む決意であることを述べて、ガイドライン関連法案に対する賛成の討論といたします。(拍手
  31. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 橋本敦君。    〔橋本敦君登壇拍手
  32. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、ガイドライン周辺事態関連法案に対し、反対の討論を行います。  本法案は、戦争をしない国から戦争をする国に変えるという、我が国の命運にかかわる重大法案であります。それにもかかわらず、我が党が厳しく追及した自由党小沢党首の戦争参加法案という発言と政府見解との重大な食い違いやこの法案の基本概念など、いまだに明確な答弁が示されず、審議を十分尽くさないまま採決を強行することは、議会制民主主義を踏みにじり、国会責任を放棄するものであります。  さらに、先日、太平洋戦争で悲惨な戦場となった沖縄で地方公聴会が開かれ、平和を願う切実な沖縄の心が訴えられ、国会法案の通過儀礼とするなとの怒りに満ちた声が表明されましたが、早くもこれを踏みにじってよいのですか。  まず私は、我が党の強い反対を押し切り、自民、自由、公明の多数による本日の採決強行に強い抗議を表明するものであります。  反対理由の第一は、このガイドライン法案が、アメリカの起こす戦争に日本が参加する紛れもない憲法違反の戦争法案であり、我が憲法のもとではそもそもその存在が許されないものだからであります。  侵略戦争を深く反省し、世界に先駆けて戦争を放棄した我が日本国憲法第九条は、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇、武力の行使を厳しく禁止しています。国会のどんな多数派といえども、主権者たる国民の意思を問うことなしに、この憲法を踏みにじって戦争に参加する法律をつくる権限などあるはずはありません。  ところが、ガイドライン法によって日本が引き受けることになる後方地域支援、すなわち戦闘中の米軍に対する武器弾薬、兵員の輸送や軍事物資の補給、武器の修理などは、紛れもなく米軍の戦闘行為と一体不可分の兵たん活動であります。  この支援行為が武力の行使であることは、本院の審議でも我が党が究明したように、国際司法裁判所の判決や国連総会の諸決議に照らし、今日の国際法の到達点であることは明白であります。また、戦争には前方も後方もない、これも軍事の常識であります。このことは、軍事目標だけでなく放送設備や発電所に至るまで爆撃の対象とされている今日のユーゴの実態を見ても明らかであります。  日本が行う後方地域支援が武力行使と一体になるものでないという政府の主張は、まさに日本的造語であり、世界が絶対に受け入れない詭弁であります。そもそも憲法第九条によって世界で最も武力行使を厳格に放棄した日本が殊さらに武力行使の範囲を意図的に世界で最も狭く解釈していること一つとってもこの破綻は明白であります。みずからの国の憲法を誠実に守れない政府を世界のどこが信頼するというのですか。  反対理由の第二は、法案の骨格をなす根本概念、定義を明らかにしないままで押し通そうとしていることであります。  そもそも日本周辺地域とはどの地域か、いかなる事態を周辺事態というのか、この肝心かなめの問題について法文には一切規定がないという、まことに法律として異常な法律なのであります。政府は、地理的概念ではないと言いながら、一方では周辺事態が起こると想定される地域があると述べ、それでは台湾が含まれるのかと、こう追及すれば、これには明言できないなど、我が党が明確な政府統一見解を要求しても何ら答えられないありさまであります。  結局、明白なことは、周辺地域も周辺事態有事の判定もすべてアメリカの軍事的判断とアメリカに追随する政府の判断にゆだねるもので、このような白紙委任立法なるものは、法としての適正手続、デュープロセスに反し、およそ主権国家のありようでも法治国家のありようでも断じてないと言わざるを得ません。  第三の理由は、国連と国際法を無視したアメリカの無法な干渉と先制攻撃の戦争に日本が協力することであります。  政府は、アメリカの軍事行動は国連憲章と国際法に基づくものと繰り返し答弁しています。しかし、このアメリカ絶対正義論なるものが、国連総会決議で厳しく批判されたパナマ、グレナダへの軍事侵攻やイラクへの一方的攻撃のみならず、米国防関係文書そのものが米軍は国益のためには先制攻撃も行うと公然と明記していること、そして現に、何ら国連決議もない今日のユーゴ無差別爆撃によってもその破綻は明白ではありませんか。  このアメリカ絶対正義論なるものは、我が国周辺諸国はまるで無法国家とでも言うべき不当な立場と一体のものであり、アジア諸国を敵視し、そこへの介入を前提にしたものにほかなりません。  次に、日本政府は、アメリカの戦争に自動参加するのではなく主体的に判断すると、こう言いますが、今多くの国々がユーゴ空爆の即時中止の声を上げているにもかかわらず、この世界の世論に反し、アメリカに対して即時中止を求めることができない日本政府に主体的判断などできるはずはないではありませんか。  アメリカがユーゴ空爆のような介入戦争をアジア太平洋地域などで行った場合に、まさにこれを周辺事態として日本が参加することになるのであります。だからこそ、中国を初めアジア諸国が繰り返し深い危惧と懸念を表明しているように、この法案はアジアの軍事的緊張を高め、日本がアジアの孤児の道を歩もうとするものであり、二十一世紀への日本の進路を誤るものであることは明白であります。  第四の理由は、国民や地方自治体の不安や懸念、疑問に答えないままアメリカの戦争に自治体と民間を動員し、日本列島全体を米軍の発進基地、一大補給・兵たん拠点とすることであります。日本の平和と安全に影響を及ぼす事態なのだから協力は当然という政府答弁が示すとおり、一たん周辺事態となれば自治体と民間の動員は事実上の強制になり、国民の生活と権利が脅かされることは明らかであります。  米軍基地を持つ十四の都道県知事連絡協議会は、五月二十日の緊急要請で、自治体協力内容手続期間などを何ら規定せずにすべて政府に白紙委任することへの重大な懸念を訴えています。また、地方議会でも反対、批判の意見書は既に二百三十六に上っています。憲法は、政府の行為によって国民を再び戦争の惨禍に巻き込むことを許さないと宣言しています。だからこそ、採決の前にこれらの声に正面から答えるのは政府の当然の責任ではありませんか。輸送の分野を担わされる民間の陸、海、空、港湾の労働者がその立場を超えて共同し、国民の先頭に立って大きな反対の声を上げているのも当然であります。  海員組合の代表が本院の公聴会で、第二次世界大戦、朝鮮戦争、中東でのイラン・イラク戦争など、大きな犠牲を出した痛恨の経験に基づいて、政府後方支援だから戦争ではない、安全だという見解がいかに現実離れした机上の空論にすぎないか、日本の船員は砲弾の飛び交う戦場の海に再び動員されることを断固として拒否すると述べました。  ところが、政府は、このいずれについても、うそとごまかし、答弁不能に陥りました。いよいよ二十一世紀を前にして、憲法第九条の値打ちが、平和を希求する世界の諸国民の公正と信義にこたえ、国際的にも脚光を浴び、光り輝いているまさにそのときに、これをなきものとする本法案は、世界の平和と進歩の歴史への許しがたい逆行と言わねばなりません。  だからこそ、法案内容がわかるにつれ、今まさに日本列島各地で国民の反対世論は大きなうねりとなって広がっているのであります。たとえきょう、この戦争法案が強行成立させられても、国民の闘いはそこで終わるどころか、さらに広がり進むでしょう。  小渕総理は二十一世紀へのかけ橋をと言いましたが、自由党、公明党と手を組んで、事もあろうに戦争参加の橋をかけるなど、平和、中立の日本の進路を願う国民は断じて容認しないところであり、必ずや歴史は厳しい審判を下すに違いありません。  最後に、私は、日本共産党は侵略戦争反対を貫いた平和の党として、いかなる場合にも、アジア太平洋地域におけるこの戦争法の発動を許さない闘いを国民とともに大きく進め、さらには平和を願う主権者国民の意思として、この戦争法そのものを廃止することを目指し、先頭に立って奮闘するかたい決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手
  33. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 山崎力君。    〔山崎力君登壇拍手
  34. 山崎力

    ○山崎力君 参議院の会の山崎であります。  今回の新ガイドライン関連三案件につき、不十分な点は多々ありますが、結論を先に言えば、賛成の立場から討論をいたします。  今回の新ガイドライン関連法案は、審議途中、衆議院で、三案件の一つ周辺事態法の三本柱の一つと言うべき船舶検査活動が削除されるなど、提出者である政府みずから、現状だけでは欠陥ありと認められたものであります。しかも船舶検査活動を削除、先送りして別の法律でつくるという方法は法体系の面からも問題があると言わざるを得ません。  さらに、今回の審議で明らかになったというよりも、むしろ以前から関係者には自明のことであったのですが、日本緊急事態時における法体系、特に国民あるいは地方自治体の権利義務自衛隊出動の際の権利義務はもとより、米軍にどこまで協力するかなど、非常事態あるいは危機管理対応の法体系が全く不十分のままであるという点が、改めて最大の問題として浮き彫りになったと思うわけでございます。  すなわち、今回の審議の中で浮き上がった最大の問題点は、法案自体よりも、宮澤大蔵大臣が万感の思いを込めてと私には受け取れた答弁の中でお認めのごとく、我が国は有事法制が幾多の事情によりこれまでほとんど論議、整備されてきておらず、このままでは一朝有事の際、法的裏づけのある十分な対応ができないというゆゆしき事態が明らかになったのであります。一々その具体例は挙げませんが、一つだけ申し上げれば、周辺事態となり後方地域で支援中、例えば日本領海近くの公海上で、米艦に自衛艦が燃料補給という支援活動中に日本有事となったとしたら、日米がより一層協力して事に当たらなくてはならない事態になったのにもかかわらず、日本有事に燃料補給を許す法律がないため補給を中止しなければならない、そういった日米間の信頼関係を大きく損なうばかりでなく、それこそ世界じゅうからその非常識ぶりが物笑いの種、嘲笑の的になる仕組みになっております。  まず、日本一国で対処すべき有事において、政府自衛隊はどのような行動まで許され、国民や地方自治体はどこまで協力するか、あらかじめできるだけ予算面も含めた法制度を吟味、準備しておくのが法治国家と自称する以上当然のことであります。  そうでなければ、法律を守れば有効な防衛措置がとれず、いたずらに国民の生命、財産を損ない、侵略をやすくするだけでなく、逆に有効な対策をとろうとすれば、結果として超法規的措置をとらざるを得ぬケースが頻発して、政府自衛隊と国民あるいは自治体の間に要らざる摩擦を生むことになりかねません。  まず、日本有事の法律が定まって後に日米共同対処の法律があり、次いで日米協力周辺事態あるいは国連協力の順でなくてはならないはずです。まさに、家をつくるのに最も大切な土台の部分がないまま柱を立てて屋根をふこうとする法案だということであります。  近代法治国家の国民として、我が日本国民は法の意味を本当に理解してきたのでしょうか。戦争は嫌だからその際の法体系は考えたくない、考えれば戦争となるといった近代以前の小児の法意識で、みずから律する自律の意識が欠けていたと言わざるを得ません。  今回の審議でいえば、こうした事実が改めて明確になってきたにもかかわらず、政府側にこうした国家の緊急事態に対応する法体系を早急につくろうとする意欲がいま一つ感じられない点が私には最大の問題だと思えるのであります。原文漢文につき、読み方に差異はあると思いますが、国大なりといえども戦いを好まば必ず滅ぶ、天下太平なりといえども戦いを忘れなば必ず危うしという山本五十六連合艦隊司令長官の言を思い出すのであります。  もう一点、これが今回の法案に関してだけ言えば最大の問題点だと思うのですが、かつての六〇年安保の際の議論として、極東の平和と安全のために米軍が我が国から直接出撃しなければならない事態、すなわち六条事態となったとき、これを相手国から見れば基地提供をしている日本が敵対国となり攻撃される可能性が強いという、当時の反対陣営が特に主張した戦争巻き込まれ論がありました。この巻き込まれ論が反対の立論点として今回改めて浮上した感が強いのであります。  しかし、こうした我が国の平和と安全に資するか、それとも戦争参加の道を開くのか、そういった日米安保条約自体に対する国民の総意は既に締結後四十年近く、何回もの選挙を通じて出ていると思います。特に、かつて日米安保に強固に反対した旧社会党が、政権につきながら日米安保を廃止しようとせず、むしろ支持に回ったことは特筆物であります。  しかしながら、改めて今回の周辺事態法がこの巻き込まれ論の問題とどう関連してくるかを考えなければなりません。  ここで、従来は日本の領土・領海内のみの対米協力、それが専守防衛だというのであったのを、憲法の許す範囲内とはいえ、日本国周辺の公海上とはいえ日本国外においても対米協力を可能とするということになり、理論上、相手国から見て日本の役割がより一層目ざわりになり、日本攻撃の動機づけが強まるのではないかという不安はあると言えるわけであります。  両者の差は、政府答弁により実質上は大きな違いはないかもしれません。しかし、この際、改めて国民に対し、日本有事となれば、最近の兵器の発達等により、ミサイル攻撃など、現在有効な防衛手段がないといった事情などは、政府としては説明がなされなければなりません。  そして、さはさりながら、それを単に恐れて対米協力を中止すれば、日本が事実上条約遵守の義務を怠り、対米のみならずかえって国際信用を失うばかりか、ひきょう、憶病のそしりを甘受しなければならなくなります。したがって、米国の行動が安保条約本来の趣旨に沿ったものである限り、国連はもとより多数の国家が否定するものでない限り、我が国としては事前協議で米国の行動を阻止すべきでないと私は考えます。  つまり、今回のガイドラインの問題は、戦後一貫して歩んできた自由で民主的な国家群の一員として日米安保条約を今後も是認するか、それとも改めて否定するかに帰着する問題であり、ひいては日本国民、その代表者たる政府と我々国会がそのときに当たってなすであろう対米協力の判断について、我ら自身を信用できるのか信用できないかの問いかけに帰着すると思うのであります。  さすれば、偽らざる私自身の気持ちからすれば、そうした米軍協力の是非の判断をする事態に当事者として立ち会いたくはないし、そうはならないための一層の外交等の努力が必要と思うのでありますが、もし万一そうした時期に遭遇した場合、国民の代表としてみずから的確な判断ができるとの自負を持つがゆえに、今後に多くの課題を残している現実を認識しつつ、現時点の結論としてこれら三案件に賛成する次第であります。  以上、私の討論といたします。(拍手
  35. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 梶原敬義君。    〔梶原敬義君登壇拍手
  36. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府が提案をしておる周辺事態安全確保法等三案件に対して反対討論を行います。  歴史は繰り返すと言われますが、私は、かつて日本が中国や朝鮮、東南アジア諸国を侵略しましたが、またそれを忘れ、再び同じ道を歩き始めようとしていると思うのであります。すなわち戦争をしてはいけない国が戦争のできる国へと歩き始めようとしている、そのように思うのであります。しかも法案審議するに当たっての政府の態度には、独立国家としての姿勢がいささかも感じられないのであります。このことをまずもって申し上げ、反対の討論をしたいと思います。  反対の第一の理由は、法案審議が十分に尽くされていないということであります。  衆議院においては、総理の訪米日程に合わせて審議が打ち切られ、本院の特別委員会においては、ACSAが自然成立する前には参議院で法案を成立させなければならないという理由をもって審議が打ち切られようとしております。日本の進路を決する重要な法案を十分に審議を尽くすことなく採決するというやり方は断じて容認するわけにはいきません。  しかも、この間の審議において法案問題点がますます浮き彫りになっているのであります。自衛隊の行う米軍への後方地域支援が国際的常識では後方支援であり、戦争行為の一部であること。すなわち憲法が禁止する集団的自衛権の行使にほかならないこと。遭難者救援や船舶検査活動における自衛隊の武器使用が武力による威嚇や武力の行使とならない保証はどこにもないのであります。  政府が求める国以外の者の協力は、補助金や許認可権で中央省庁に縛られている自治体や民間にとっては実質的強制であり、自治権の侵害にもつながるものであること。武器弾薬や兵員輸送に協力した民間航空機がシカゴ条約対象外となり、安全の保障がされなくなること。民間航空機がテロやハイジャックに遭う危険が大きいこと。したがって、現場で働く交通・運輸労働者の懸念もますます深まっているなどであります。  さらに、関連法案実施手続や施行に関する事項がすべて政令にゆだねられており、立法権の侵害につながる欠陥のある法案であることも明らかになりました。政府は、これらの指摘について明確に答える責任があります。また、二百を超える自治体から関連法案に対する反対や慎重審議を求める意見書も寄せられました。政府は、これらに対して真剣に耳を傾けるべきであります。  第二の理由は、自民、自由、公明三党による修正案が政府原案よりも危険な内容となっていることであります。  修正案では、周辺事態目的に、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」と文言が加えられましたが、これは自衛隊の行動をさらに拡大し、集団的自衛権の行使に道を切り開くものであります。後方地域支援における武器使用の規定も加えられ、自衛隊の武器使用の範囲拡大されておるわけであります。政府の答弁も納得できるものではありません。しかも、周辺事態の定義も地理的概念も依然不明確であります。日本の平和と安全、極東における国際平和及び安全の維持に限定された安保条約枠組みすら超えてしまうものであります。国民の不安や我が党の主張はまさにここにあるわけであります。すなわち周辺事態における自衛隊の実際の行動が憲法の範囲内にとどまり得ないということであります。  第三の理由は、日中共同声明や日中平和友好条約で台湾は中国の一部であることが確認されているにもかかわらず、この周辺事態法の適用範囲から台湾が除外されるかどうか明確にされていないところであります。台湾を対象としない旨は明確に法案に記すべきであります。  最後に、我が党は、自社さ連立政権時にこの新ガイドライン関連法案をめぐり協議を行ってまいりました。しかし、与党間の協議は結局合意を得るには至らなかったのであります。我が党が、自衛隊の行動はあくまで憲法と安保条約の枠内にとどまるべきであり、専守防衛に徹すべきであることを強力に主張したからであります。しかし、政府・自民党は、自社さ間の合意を得るに至らなかったという合意を無視し、法案作成の作業を強引に進めてきたのであります。我が党が政権を離脱した理由は、まさにここにあったのであります。  アメリカという国は、自国の憲法を大切にする国であります。日本国憲法は明らかに自衛以外の武力の行使を禁じているわけでありますから、政府は、憲法の規定によってアメリカの後方支援には協力できないこと、このことを明確にアメリカに対して主張し、憲法の理念を貫くべきであります。  日米の真の友好は、お互いの原則的立場を主張し合い、お互いに国の憲法を認め合うことが前提であります。我が国の国際社会における責任は、平和憲法の理念を強く訴えることであり、このようなアメリカの国際戦略に無原則に従うことであってはならないのであります。  以上、社会民主党・護憲連合はこの関連法案に反対であることを明言し、私の反対討論を終わります。(拍手
  37. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  38. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  まず、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定改正する協定締結について承認を求めるの件の採決をいたします。  本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  39. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  40. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十九     賛成            百九十九     反対              四十    よって、本件は承認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  41. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  42. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  43. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十九     賛成            百四十二     反対             九十七    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  44. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  45. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  46. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          二百四十     賛成             二百一     反対             三十九    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  47. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時十分散会      ─────・─────