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1999-01-19 第145回国会 参議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年一月十九日(火曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第一号
平成
十一年一月十九日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
第二
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
日程
第一 一、
特別委員会設置
の件 一、
日程
第二 ─────・─────
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) 第百四十五回
国会
は本日をもって召集されました。 これより
会議
を開きます。
日程
第一
議席
の
指定
議長
は、本
院規則
第十四条の
規定
により、
諸君
の
議席
をただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。 ─────・─────
斎藤十朗
2
○
議長
(
斎藤十朗
君) この際、
特別委員会
の
設置
についてお諮りいたします。
災害
に関する諸問題を
調査
し、その
対策樹立
に資するため、
委員
二十名から成る
災害対策特別委員会
を、
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
に資するため、
委員
二十名から成る
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
を、
国会等
の
移転
に関する
調査
のため、
委員
二十名から成る
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
を、
行財政改革
・
税制等
に関する
調査
のため、
委員
四十五名から成る
行財政改革
・
税制等
に関する
特別委員会
を、 また、金融問題及び
経済活性化
に関する
調査
のため、
委員
四十五名から成る金融問題及び
経済活性化
に関する
特別委員会
を、 それぞれ
設置
いたしたいと存じます。 まず、
災害対策特別委員会
、
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
、
行財政改革
・
税制等
に関する
特別委員会
並びに金融問題及び
経済活性化
に関する
特別委員会
を
設置
することについて
採決
をいたします。 以上の四
特別委員会
を
設置
することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤十朗
3
○
議長
(
斎藤十朗
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、
災害対策特別委員会外
三
特別委員会
を
設置
することに決しました。 次に、
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
を
設置
することについて
採決
をいたします。 本
特別委員会
を
設置
することに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
斎藤十朗
4
○
議長
(
斎藤十朗
君) 過半数と認めます。 よって、本
特別委員会
を
設置
することに決しました。 本
院規則
第三十条の
規定
により、
議長
は、
議席
に配付いたしました
氏名表
のとおり
特別委員
を指名いたします。 ─────────────
議長
の指名した
委員
は左のとおり ○
災害対策特別委員
市川 一朗君
景山俊太郎
君
鈴木
正孝君
田村
公平
君
長谷川道郎
君
松谷蒼一郎
君 森山 裕君 依田 智治君 江本 孟紀君 高嶋 良充君 藤井 俊男君 本岡 昭次君 和田
洋子
君 海野 義孝君 但馬 久美君 大沢 辰美君
山下
芳生君
大渕
絹子
君
鶴保
庸介君 岩本 荘太君 ○
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員
海老原義彦
君 釜本 邦茂君 鎌田 要人君
佐藤
泰三君 中川 義雄君
橋本
聖子君
三浦
一水君 森田 次夫君 山内 俊夫君 笹野 貞子君 竹村 泰子君 内藤 正光君 松崎 俊久君 風間 昶君 福本 潤一君 小泉 親司君 立木 洋君 照屋
寛徳
君
田村
秀昭君 堂本 暁子君 ○
国会等
の
移転
に関する
特別委員
大野つや子
君
太田
豊秋
君
久野
恒一
君 国井 正幸君
末広まきこ
君
鈴木
政二君
平田
耕一
君
山下
善彦君 郡司 彰君
佐藤
雄平君
長谷川
清君 松田 岩夫君
山下
八
洲夫君
加藤 修一君
木庭健太郎
君
緒方
靖夫
君 畑野 君枝君 渕上 貞雄君 平野 貞夫君 水野 誠一君 ○
行財政改革
・
税制等
に関する
特別委員
阿南 一成君 石渡 清元君 岩永 浩美君
海老原義彦
君 大島 慶久君
太田
豊秋
君 狩野 安君 亀井 郁夫君
久野
恒一
君
佐藤
昭郎君 清水嘉与子君 田浦 直君
田村
公平
君 長峯 基君 畑 恵君 水島 裕君
吉川
芳男君
吉村剛太郎
君 脇 雅史君 伊藤
基隆
君
小川
勝也君
岡崎トミ子
君
川橋
幸子君 櫻井 充君 寺崎 昭久君 福山 哲郎君 本田 良一君 柳田 稔君 吉田 之久君 荒木
清寛
君
日笠
勝之
君
弘友
和夫君
渡辺
孝男君 富樫 練三君
橋本
敦君 吉岡
吉典
君
吉川
春子君 大脇 雅子君 菅野 壽君 谷本 巍君
阿曽田
清君 星野 朋市君 奥村 展三君 菅川 健二君 石井 一二君 ○金融問題及び
経済活性化
に関する
特別委員
石川 弘君 岩井
國臣
君 岩城 光英君 岡 利定君 加納 時男君
景山俊太郎
君 金田 勝年君 木村 仁君 坂野 重信君 塩崎 恭久君
世耕
弘成君
田中 直紀君 林 芳正君 日出 英輔君
平田
耕一
君
松谷蒼一郎
君
三浦
一水君 溝手 顕正君
山本
一太君
浅尾慶一郎
君 江田 五月君
小川
敏夫君 木俣 佳丈君
小宮山洋子
君 齋藤 勁君 直嶋 正行君
峰崎
直樹君 簗瀬 進君
魚住裕一郎
君
浜田卓二郎
君
日笠
勝之
君 益田 洋介君 森本 晃司君 池田
幹幸
君
緒方
靖夫
君 笠井 亮君 小池 晃君
大渕
絹子
君
三重野栄子
君
山本
正和君 入澤 肇君
渡辺
秀央君
田名部匡省
君
高橋紀世子
君
佐藤
道夫君 ─────────────
斎藤十朗
5
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて午後四時まで
休憩
いたします。 午前十時五分
休憩
─────・───── 午後四時一分
開議
斎藤十朗
6
○
議長
(
斎藤十朗
君)
休憩
前に引き続き、
会議
を開きます。
日程
第二
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から外交に関し、
大蔵大臣
から
財政
に関し、
堺屋国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
小渕内閣総理大臣
。 〔
国務大臣小渕恵三
君登壇、拍手〕
小渕恵三
7
○
国務大臣
(
小渕恵三
君) 第百四十五回
国会
の開会に当たり、私は国政を預かる
責任
ある立場にいる者として、施政に関する所信の一端を申し述べます。 本年、一九九九年は一九〇〇年代最後の年であります。と同時に、次の新しい
千年紀
、ミレニアムを迎える前夜でもあります。
千年紀
をまたごうとしているこの重要な時期に、
日本
は
経済
的な苦難に直面しております。この苦難を克服し、次の
世代
に力強い品格あふるる、そして美しい
日本
を引き継ぐため、私は身命を賭して
国政運営
に当たる覚悟であることをまず冒頭に申し上げるものであります。 冷静な
状況認識
はもとより重要であります。しかしながら、私は今や大いなる
悲観主義
から脱却すべきときが来ていると考えます。行き過ぎた
悲観主義
は
活力
を奪い去るだけであります。今必要なのは、確固たる意志を持った建設的な
楽観主義
であります。コップ半分の水を、もう半分しか残っていないと嘆くのはたやすいことであります。私は、まだ半分も残っているじゃないかと考える
意識
の転換が今まさに求められていると確信するものであります。私
たち
が愛してやまないこの
日本
は、必ずやこの困難を脱することができる、そういう土性骨の座った
社会
をつくり上げたい、そのために私は蛮勇を振るい、間もなく訪れる二十一
世紀
への
かけ橋
を築くために邁進することを誓うものであります。 私は、現在を
明治維新
、第二次
世界大戦
後に続く第三の
改革
の時期と位置づけております。
明治維新
以来、我が
日本
は
官民一体
となった先人の血のにじむような努力で
近代国家
としての基礎を築いてまいりました。驚異的な
経済成長
と今日の
繁栄
はそのたまものであります。しかしながら、私どもは今、この
成功体験
の上に安住し続けることは許されない
状況
になりました。
価値観
が多様化し、
世界
が流動化する中で、過去には有効だった
システム
や
意思決定
の方法が、今や
足かせ
になることも少なくないのであります。
明治維新
と第二次
世界大戦
後の
改革
は、大変困難なものでありました。しかしながら、先人の勇気と覚悟がそれを可能にいたしました。現在の
改革
の難しさはまさにそこにあります。
社会
を挙げての
意識
の転換が不可欠であります。
足かせ
となるものを壊すだけでなく、新しい
システム
をつくり上げなければなりません。同時に、私ども
日本
の持っているすばらしいものを残す努力も必要であります。申し上げるまでもなく、第三の
改革
は
政治家
だけでできるものではありません。
国民
挙げての
意識改革
と支援がなければ何事もなし得ないのであります。
国民各位
の御
理解
、御支援をお願いするとともに、党派を超えた
議員各位
の御
協力
をお願いする次第であります。 もとより最も重要なのは、
国民
お一人お一人が豊かで幸せに安心して暮らせる
社会
を築くことであります。国は立派だが
国民
は不幸せというようなことはあり得ません。と同時に、
国民
がすべて国に頼って生きるということも健全な
社会
とは言えない
時代
になったと考えます。戦後五十数年、私
たち
は豊かさをひたすら追求してまいりました。豊かになりたいという目的はある程度は達成されましたが、その反面、心の充実という人間にとって最も重要なことを忘れがちだったことは否定できません。
内閣
をお預かりして以来、私は事あるごとに
富国有徳
ということを申し上げてまいりました。健全な
資本主義
は
利潤追求
だけでは維持できません。それはドイツの
社会学者マックス・ウェーバー
を初め、
世界
の哲人が主張いたしているところであります。徳すなわち高い志を持った
国家
でなければ、豊かな国であり続けることは不可能であり、何よりも
世界
から信頼されなくなるわけであります。 他人に優しく、美しきものを美しいとごく自然に感じ取ることのできる
社会
、隣人が優しく触れ合うことのできる
社会
、そして何よりも住みやすい
地域社会
を建設することが必要だと考えるものであります。このような考え方に基づいて、私は、二十一
世紀
のあるべき国の姿について
有識者
から成る
懇談会
を早急に設置し、次の
世代
に引き継ぐべき指針をまとめたいと考えております。
国会
においても十分御議論いただき、ともに考えていこうではありませんか。 私は、二十一
世紀
に向けた
国政運営
を次の五つの
かけ橋
を
基本
にして考えてまいります。第一に
世界
への
かけ橋
、第二に
繁栄
への
かけ橋
、第三に安心への
かけ橋
、第四に安全への
かけ橋
、第五に未来への
かけ橋
であります。この五つの
かけ橋
に沿って、私の
基本
的な考えを申し述べたいと思います。この際、個別の
施策
について十分触れられないことをお許しいただきたいと思います。 今日の
世界
では、いかなる国も孤立して生きていくことはできません。まず考えるべきことは、
我が国
の安全と
繁栄
が確保されること、そして
我が国
が
国際社会
の中で尊敬され、その地位にふさわしい
責任
を果たしていくことであります。私は、二十一
世紀
に向け
世界
への
かけ橋
を築いてまいります。
我が国
の
安全保障
を考えますときに、第一に、
日米関係
をこれまで以上に強固なものとしていかなければなりません。このためには、
日米防衛協力
のための
指針関連法案等
の
早期成立
、承認が極めて重要であります。また、
米軍
の施設・区域が集中する
沖縄
が抱える諸問題に対し、
沖縄
県の
理解
と
協力
を得ながら、さらに真剣に取り組んでまいります。 次に重要なことは、米国と並ぶ地域の
主要国
である
ロシア
、中国との安定的な
関係
を築いていくことであります。特に
ロシア
とは、あらゆる分野での
関係
を一層強化しながら、
東京宣言
と
モスクワ宣言
に基づいて来年までに
平和条約
を締結し、
両国
間の
関係
を完全に正常化するよう、引き続き
全力
を尽くしてまいります。また
日中関係
は、昨年の
江沢民国家主席
の訪日を契機に新たな段階に入りましたことを踏まえて、
両国
間及び
国際社会
における共通の目標に向けてともに行動する
関係
を
発展
させてまいりたいと考えております。
朝鮮半島情勢
は、
我が国
の
安全保障
に大きなかかわりを持つ問題であります。昨年秋の
金大中大統領
との話し合いを通じて、
日韓両国
は過去との決別を果たし、今や
名実とも
に近くて近い国になったのであります。一方、
北朝鮮
に関しましては、米国、韓国などと緊密に連携をとりながら、先般の
弾道ミサイル
の発射や
秘密核施設疑惑
をめぐる国際的な懸念、
日朝間
の諸懸案の解決に向けて努力してまいります。
北朝鮮
がこのような問題に建設的な
対応
を示すのでありますれば、
我が国
として対話と交流を通じ
関係改善
を図る用意があります。
我が国
の
繁栄
は、
世界経済
がしっかりと安定していることが前提であります。特に、
アジア経済
の三分の二を占める
我が国
としては、
アジア各国
の
通貨
・
経済
の安定に積極的に貢献していくことはみずからの
責任
でもあります。欧州では本年より
単一通貨ユーロ
が導入され、
世界
の
経済
・
通貨体制
は新しい
時代
を迎えました。私は、
我が国経済
と
世界経済
との
相互依存関係
を十分考慮しながら、
世界経済
の新たな
枠組み
や
ルールづくり
に積極的に参画していくとともに、円の一層の
国際化
が
実現
するよう今後とも取り組んでいかなければならないとの思いを新たにいたしております。 さらに、
我が国
が
世界
への
かけ橋
を築いていく上で、
国際社会
への応分の貢献を行うべきことは当然であります。
開発途上国
に対する援助や、
PKF本体業務
の
凍結解除
を含む国連の
平和活動
への一層の
協力
について、ぜひとも
国民各位
の御
理解
をいただきながら、積極的に進めてまいりたいと考えております。
経済
の
繁栄
は、豊かで潤いのある
国民生活
の
実現
と、
国家
や
社会
の
発展
にとっての
基本
であります。私は、
内閣
の命運をかけて
繁栄
への
かけ橋
を築いてまいります。 昨年七月に
総理大臣
に就任以来、
国会
の御
協力
をいただきながら、喫緊の
課題
である
金融システム
の
再生
に取り組んでまいりました。
金融再生関連
二法や
政府保証枠
を
整備
し、また、貸し渋りに直面していた
中小企業
などに対して思い切った
対策
をスピーディーに実行してまいりました。全国の
中小企業
の皆さんから、何とか苦境を乗り切ることができたなどの声が数多く寄せられたところであります。このことを、
関係
された方々とともに深く心に刻み、今後とも
問題解決
に
全力
を傾けてまいります。 また、昨年末に成立した第三次
補正予算
のもとで切れ目なく
景気回復策
を実施しており、十一年度
予算
におきましても、当面の
景気回復
に
全力
を尽くすとの観点から、
公共事業
や
中小企業対策
、
雇用対策
に最大限配慮するとともに、
科学技術
の振興など、将来の
発展基盤
を確立する
施策
も十分に取り入れたものとなっております。
税制面
でも、内需の拡大や
我が国企業
の
国際競争力
の強化を図るため、従来なし得なかった思い切った内容の
個人所得課税
や
法人課税
の恒久的な
減税
の実施を決断するとともに、
住宅ローン減税
を初めとする
政策減税
を実施いたします。これらの
減税
は九兆円を超える規模のものとなります。また、
消費税
に対する
国民
の御
理解
を一層深めていただくよう、
予算総則
に
消費税収
の使途を明記し、広く
国民
の
老後等
を支える
基礎年金
、
老人医療
及び介護のための
福祉予算
に使う旨を明らかにしたところであります。 これらの諸
施策
と民間の真剣な
取り組み
とが相まって、
平成
十一年度には
我が国経済
の
実質成長率
が〇・五%程度まで回復するものと確信しております。
我が国
には巨額の
対外資産
や
個人貯蓄
、高い
技術力
に支えられた
製造業
の底力、勤勉な
国民
の資質など、国際的に比較して極めて強固な基盤が存在いたします。私は、この
平成
十一年を
経済再生元年
と位置づけ、
日本経済
の
再生
に
全力
で取り組んでまいります。 今後、
日本経済
が豊かさの中の不況ともいうべき現在の
状況
を脱し、自律的に
発展
していくためには、
経済構造改革
の一層の
推進
を図り、
経済
の
供給サイド
の
体質強化
、とりわけ、新
事業
を創出することにより良質な
雇用
の確保や
生産性向上
を図ることが重要であります。このため、今月末を目途に
産業再生計画
を策定いたします。また、
社会資本
の
整備
は、二十一
世紀先導プロジェクト
の
推進
を核として、
民間活力
を最大限活用しながら、
情報通信
、都市・住宅、
環境
・教育・福祉など、
我が国経済
の
活性化
に不可欠な分野について戦略的、重点的に行ってまいります。さらに、
政府
全体の
取り組み
として百万人規模の
雇用
の創出・安定を目指し、
雇用活性化総合プラン
などの
雇用対策
を強力に
推進
してまいります。
我が国財政
は、
公債残高
が三百二十七兆円にも達する見込みであるなど極めて厳しい
状況
にあり、将来
世代
のことを考えるとき、私は
財政構造改革
という大変重い
課題
を背負っていると痛感しております。
日本経済
が
回復軌道
に乗った段階におきまして、
財政
・
税制
上の諸
課題
につき、中長期的な視点から、幅広くしっかりとした検討を行い、
国民
の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。 昨年末に
経済戦略会議
から貴重な
提言
をいただきました。今後の
政策運営
に当たりましては、この
提言
をしっかりと受けとめるとともに、
法制度
の
整備
を含め、
国会
の場におきましても十分御議論をいただきたいと考えております。また昨日、私は
経済審議会
に対し、新たなる
時代
の
我が国経済社会
のあるべき姿と、その
実現
に向けた
政策方針
の策定について諮問いたしました。今後十年程度の間にとるべき政策の
基本方針
をできる限り早くお示ししたいと考えております。
我が国経済社会
が、二十一
世紀
におきまして一段と
活力
と魅力にあふれたものになるためには、それを構成する一人一人の
国民
や個々の
企業
がみずからの個性や
独創性
を生かし、積極果敢に
創意工夫
の
実現
に挑戦できる
社会状況
をつくらなければなりません。 そのためには、
規制緩和
や
地方分権
の一層の
推進
、官民の
役割分担
の見直しなどを通じて、
国民生活
や
事業活動
に対する
政府
の関与のあり方を抜本的に見直し、スリム化された
政府
を
実現
することが何よりまず必要であります。今
国会
に提出を予定いたしております
中央省庁等改革関連法案
におきまして、二十一
世紀
の
我が国
にふさわしい
中央省庁
の具体的な姿をお示ししたいと考えております。また、
地方公共団体
の
自主性
、
自立性
を高めるため、昨年決定をいたしました
地方分権推進計画
を踏まえた
関連法案
を今
国会
に提出するなど、
地方分権
の一層の
推進
を図り、あわせて、
市町村合併
を含む
体制整備
や
行財政改革
への
地方公共団体
の積極的な
取り組み
を求めてまいります。
国民
に開かれた
政府
の
実現
のため、
情報公開法案
の
早期成立
にも、
政府
として引き続き最大限努力してまいります。 今日、
日本国民
の多くが、人類の古くからの願いであります長寿を享受できるようになりました。その一方で、
国民
の中には老後の
生活
に対する不安も広がっております。二十一
世紀
の本格的な
少子高齢社会
に向けて、安心への
かけ橋
を今から
整備
し、明るく
活力
ある
我が国社会
を築き上げていかなければなりません。
我が国社会
には、
人生
五十年
時代
に形づくられた
制度
や慣習が、現在の
人生
八十年
時代
に適合するよう
改革
されないまま残されているものも多く見られます。
日本
人のライフサイクルの変化に合わせて、
人生全般
にわたり健康で生きがいを持って充実した
生活
を送れるよう、
高齢者
の
雇用
・就業の
促進
、
高齢者
が活動しやすい
生活環境
の
整備
など、
社会
の
仕組み
や人々の
意識
を変えていくことが必要であります。また、
高齢社会
の到来は多様なニーズを持った大
消費者層
の出現であり、
経済活動
に新たなチャンスを与えるものであります。
社会
の
仕組み
全体を見直す中で、
セーフティーネット
としての役割を担う
年金
や
医療
、介護などの
社会保障制度
につきましても、将来にわたり安定的に運営のできるよう、
構造改革
を強力に推し進めていかなければなりません。必要な給付は確保しつつ、将来
世代
の
負担
を考え、
社会経済
の
活力
を維持するため、給付と
負担
の均衡を図るとともに、
利用者
の選択の拡大、
民間事業者
の導入なども含め、
制度
の
効率化
、
合理化
を図ってまいります。特に
年金
、
医療
につきましては、
制度改革
に
取り組み
、取り巻く
環境
の変化に
対応
し、信頼できる安定した
制度
を確立してまいります。
少子化
の急激な進行も、
我が国経済社会
に大きな影響をもたらすものであります。私は、先般、
少子化
への
対応
を考える
有識者会議
から、家庭や子育てに夢を持てる
環境
の
整備
は
社会
全体で取り組むべき
課題
であるとの
提言
を受けました。私は、この問題に適切に
対応
すべく、
各界関係者
の参加を募り
国民会議
を設け、
国民的広がり
のある
取り組み
を
全力
で進めてまいります。今
国会
には
男女共同参画社会基本法案
を提出いたしますが、こうした
取り組み
の大きな
推進力
になると確信いたしております。 生命や安全な
生活
を守ること、すなわち人間の
安全保障
、
ヒューマンセキュリティー
の確立も私
たち
が果たすべき重要な責務の一つであります。私は、
地球
全体の
環境
の保全から
国民
一人一人の安全の確保に至るまで、安全への
かけ橋
を築いてまいります。
大量生産
・
大量消費
型の
社会
は、大量の
廃棄物
を生み、
地球環境
に大きな
負担
をかけております。美しい安定した
環境
を守り、子孫に引き継ぎ、循環型の
経済社会
を築き上げることは、私
たち
に課せられた最も重い
責任
の一つであります。この
責任
を果たすべく、
地球環境
問題への
対応
、
省エネルギー対策
、原子力や新エネルギーの開発・利用の
促進
、実態に即したきめ細やかなリサイクルなどに努力してまいります。また、ダイオキシンの
排出削減
、いわゆる
環境
ホルモン問題への
取り組み
、
化学物質
の管理の
促進
と
環境保全
のための新たな
法的枠組み
の
整備
を行います。自然を慈しみ、資源を大切にする
社会
を築き、かけがえのない
地球
を守るため、
我が国
がその先頭に立って取り組んでまいらなければならないと考えます。
国民
が安心して暮らせる安全な国土、
社会
の
整備
も
政府
が引き続き取り組むべき重要な
課題
であり、阪神・
淡路大震災
や昨年のたび重なる
豪雨災害等
の教訓を踏まえ、
災害対策
や
危機管理
の充実に最大限努力してまいります。また、国の
発展
は良好な治安に支えられるものであり、
情報通信技術
を悪用した
ハイテク犯罪
や
市民生活
の安全を脅かす
毒物犯罪
、組織的な犯罪、さらに深刻さを増す国境を越えた
薬物犯罪
に断固として対処してまいります。 さらに、最近の
我が国
を取り巻く
国際環境
の中で、
我が国
の安全を確保するため、
安全保障
や
危機管理
に資する
情報
の収集、分析、
伝達等
に関し、
情報収集衛星
の導入を初めとする
対策
を講じてまいりたいと考えております。 二十一
世紀
の
社会
を考えるとき、今から取り組んでおくべき多くの
課題
に向けて、いわば未来への
かけ橋
を築いていかなければなりません。 二十一
世紀
は、ますます
科学技術
が
発展
し、また、
情報化
が急速に進展すると見込まれます。
科学技術
や
情報化
は、将来の
経済
や
国民
の暮らしの
発展
の原動力でもあり、
我が国
として
世界
の最先端をリードしていく気概で、
科学技術
の振興や高度
情報通信
社会
の
実現
に向け、官民挙げて取り組んでまいります。一方で、コンピューター西暦二〇〇〇年問題や、コンピューターネットワークにおける不正アクセス
対策
などにも適切に
対応
してまいります。 本格的な
少子高齢社会
の到来に備え、
国民
一人一人が将来に夢を持ち、生涯の
生活
に安心を実感できるような
社会
基盤を
整備
していくことが必要であります。このため、広く快適な住空間や
高齢者
に優しい空間などの
実現
を目指し、かねてより私が提唱してまいりました
生活
空間倍増戦略プランを今月末を目途に取りまとめ、向こう五年間を視野に入れたあすへの投資を
推進
するとともに、バリアフリー化への
取り組み
などの安心への投資に重点的に取り組んでまいります。また、地域の特色を生かした魅力ある地域づくり、美しい国土づくりを進めるため、地域戦略プランや新しい全国総合開発計画を、首都機能
移転
問題への
取り組み
も含めまして積極的に
推進
してまいります。 農林水産業、そしてそれを支える農山漁村は、食糧の生産に加え、国土、
環境
の保全や地域文化の継承などの面で幅広い機能を有するものであります。こうした機能に十分目を向けながら、
社会
の変化や
国際化
が進む中で農政
改革
を
実現
するため、国内生産を
基本
とした食糧の安定供給の確保や経営の安定、
発展
などの
課題
に関し、
基本
法を制定するなど政策の具体化に
全力
を挙げてまいります。 未来の担い手は、言うまでもなく若者
たち
であります。私
たち
大人が未来の担い手のためになし得ることは、二十一
世紀
へのさまざまな
かけ橋
を築いていく努力を精いっぱい行うことであるとともに、司馬遼太郎氏が説かれたように、未来の担い手が頼もしい人格を持ち、自分に厳しく、相手には優しい自己を持つ人間に育つ
環境
をつくっていくことであります。 私は、教育の原点は、生きる力、助け合う心、そして自然を慈しむ気持ちにあると信じます。こうした点をしっかりと心に刻み、幅広い視野を養い、個性を大事にして生きるべきこと、ボランティア活動への参画等を通じた地域や
社会
への貢献は大変に意義深いものであること、人には多様な生き方があり、お互いにそれをたっとぶべきであること、そんな観点に立った心の教育を充実させていきたいと考えております。また、多様な選択を可能とする学校
制度
、現場の
自主性
、自律性を尊重する特色ある学校づくり、国際的に通用する大学を目指した大胆な大学
改革
の
実現
に向けた教育
改革
にも、引き続き力を注いでまいります。 家庭や地域、職場などにおいて長年にわたり培われてきた道徳心や温かい人間
関係
、すぐれた文化や伝統などは、大切な未来への財産として次の
世代
に引き継いでいくべきであります。また、すべての人々の人権が最大限に尊重される
社会
の
実現
に努力するとともに、より
国民
に身近な司
法制度
の構築にも取り組んでまいります。 二十一
世紀
の足音が聞こえてまいります。新しい
世紀
を希望と
活力
のあるものにするためにも、今
世紀
中の
課題
は今
世紀
中に解決の道筋をつけることが必要であります。
経済
を自律的な
回復軌道
に乗せることにまず
全力
を尽くしてまいります。その上で、個人や
企業
が希望と誇りを持って活動のできるような
環境
を整え、格調の高い
国家
を築くため取り組んでまいります。
日本
は
国際社会
でみずからにふさわしい貢献をしなければなりません。それと同時に、いかに安全な
国家
にしていくべきか。英知を結集して困難に立ち向かえば、必ずや
世界
が尊敬を寄せ得るような
国家
建設は十分可能だと確信いたしております。 内外の重要
課題
が山積する折、
意思決定
は速やかでなければなりません。そのためには私は安定した政治基盤をつくることが肝要と考え、先般、自由党との連立政権を樹立いたしました。当然のことながら、各党各会派との協議も従来の信頼
関係
の上に継続してまいる所存であります。 今や、
国家
の意思を決めるという重要な任務を帯びた政治そのものの真価が問われております。一
内閣
、一政党の利害を超越した高い見地からのスピーディーな
対応
が求められております。自由党との協議におきまして、副大臣
制度
の導入や
政府
委員
制度
の廃止などで合意いたしましたが、これは、国権の最高機関たる
国会
の権威を高め、
国民
に直結した政治に転換し、迅速な政策決定を可能にしたいとの考えからであります。 大転換期の国政のかじ取り役として、私は、微力ながら精魂込めて、
責任
ある政治を
実現
するべく
全力
を尽くしてまいります。
国民
の皆さん、また、
議員各位
の御
理解
と御支援を心からお願いいたします。(拍手) ─────────────
斎藤十朗
8
○
議長
(
斎藤十朗
君) 高村
外務大臣
。 〔
国務大臣
高村正彦君登壇、拍手〕
高村正彦
9
○
国務大臣
(高村正彦君) 第百四十五回
国会
の開会に当たり、
我が国
外交の
基本方針
について所信を申し述べます。
国際社会
は、冷戦の終えんを経て、新しい
世紀
を迎えようとしております。この間、
世界
規模
での戦争の可能性は大幅に低下したものの、
地域
紛争及び国内における民族紛争の頻発、大量破壊兵器が拡散する危険性の増大、テロの深刻化など、いわば脅威の多様化とも呼べる
状況
が生じております。我々が目指す平和で安定した
世界
への道のりは決して平たんではありません。また、
世界経済
は、グローバリゼーションの進展により近年一層の
発展
を遂げてまいりました。その一方、
アジア経済
危機とその
世界
的な波及に見られるように、グローバリゼーションの陰の部分も明らかになり、それへの
対応
も急務となっております。 このような中、二十一
世紀
に向けて、
我が国
の安全と
繁栄
を
確保
するためには、現下の諸
課題
に着実に取り組むとともに、将来も見据えて積極的な外交を展開し、安定的な
国際環境
を主体的につくり上げていかなければなりません。
我が国
が広く
世界
に外交を展開していくに当たり、
基盤
となるのは
米国
との同盟
関係
であります。この同盟
関係
を一層揺るぎないものとするためにも、日米安保体制の信頼性を一層高めることが必要であります。今
国会
に継続審議となっている
日米防衛協力
のための
指針関連法案等
の
早期成立
、承認のため、
議員各位
の御
理解
と御
協力
をお願いいたします。また、
米軍
の
施設
・区域が集中する
沖縄
が抱える問題の
解決
については、
沖縄
県の御
理解
と御
協力
を得つつ、SACO最終報告を踏まえ、
米軍
施設
・区域の整理、統合、縮小に向け、
政府
として引き続き
努力
をしてまいります。 次に、
我が国
を取り巻く安定した
環境
を
整備
するために、
ロシア
、中国、韓国等近隣諸国との
関係
を
強化
することが重要であります。昨年秋に展開された一連の首脳外交の成果を
基礎
として、それぞれの国とのパートナーシップをさらに深めてまいります。 このような
取り組み
の中、問題となるのが
北朝鮮
との
関係
であります。先般のミサイル発射や最近の
秘密核施設疑惑
などは、
我が国
はもとより、
国際社会
にとっても大きな懸念材料となっております。
我が国
は
北朝鮮
の核兵器
開発
を封ずるためKEDOを引き続き
支援
していく用意がありますが、KEDOの
枠組み
を維持する上で、
北朝鮮
がミサイル及び核の問題に関し、こうした懸念を解消する行動をとることが重要であります。
我が国
としては、米韓
両国
と緊密に連携しつつ、国際的な懸念並びに拉致疑惑や国交正常化問題などの
日朝間
の諸懸案に対処していく方針でありますが、
北朝鮮
がこれらの問題に建設的な
対応
を示すのであれば、対話の再開を通じ、
関係改善
の用意があることを明らかにいたします。
我が国
は、近隣諸国との二国間
関係
強化
に加え、ASEAN諸国、大洋州諸国との
関係
強化
、APEC、ARFなど
地域
協力
の進展への貢献、そして必要に応じ新しい対話の
枠組み
の構築などを通じて、アジア太平洋
地域
の安定
強化
に努めてまいります。 さらに、アジア太平洋
地域
の先をも見渡した外交を展開することが重要であります。私はこのたび、中東五カ国及びパレスチナ自治区を訪問し、二国間
関係
の
強化
とともに中東和平の
実現
に向けた働きかけを行ってまいりました。
国際社会
の多くの国々とともに中東
地域
の安定に貢献することは、
我が国
外交の財産となり、
日本
の国益にも資するものであります。
国際社会
の相互依存が深まる中、
我が国
としても
世界
全体にかかわる諸問題に積極的に取り組んでいくことがますます重要であります。新しい
世紀
の
世界
を、より安定し、より
繁栄
し、さらに人々にとってより住みよいものとするため、
我が国
は、
国際社会
における地位にふさわしい主導的
役割
を担っていく考えであります。 このグローバルな問題への
取り組み
に際し、最も重要な国際的
枠組み
が国連であります。二十一
世紀
を前にして、国連が
時代
の要請に適合した
役割
を一層効果的に果たすためには、全体として均衡のとれた形での
改革
を早期に
実現
し、その機能を
強化
しなければなりません。そして
我が国
としては、このような国連
改革
が
実現
される中で、安保理常任理事国として
責任
を果たす用意があることは、これまで繰り返し表明してきたとおりであります。 脅威が多様化する中、より安全で安定した
世界
を築いていくためにまず重要なのは、軍備
管理
・軍縮により脅威を削減する
努力
であります。今日必要とされているのは、核兵器、生物化学兵器などの大量破壊兵器やこれを運搬するミサイルから、対人地雷、小火器などの通常兵器に至るあらゆるレベルでの軍備
管理
・軍縮であります。昨年は、国連において
我が国
が提案した今後の核軍縮・不拡散への道筋を示す決議案が圧倒的多数の
賛成
を得て可決されるなど、
我が国
は積極的にイニシアチブをとってきており、今後とも国際的な
取り組み
の先頭に立ってまいりたいと考えております。 この関連で、大量破壊兵器廃棄のための国連
特別委員会
の査察を拒否してきたイラクに対し、昨年末、
米国
、英国により武力攻撃が実施されました。
我が国
は、イラクが関連安保理決議上の義務を即時かつ無条件に履行し、
国際社会
の一員としての
責任
ある
対応
をとるよう引き続き働きかけてまいります。 一方、いまだに後を絶たない
世界
各地での紛争に対処していくには、実際に起こった紛争の迅速な
解決
、紛争後の復興、起こり得べき紛争の未然防止、さらには、紛争の根源にある貧困等の
社会
問題への対処までを視野に入れた包括的な
取り組み
が必要とされております。昨年、
我が国
は第二回アフリカ
開発
会議
を主催し、東京行動計画の取りまとめに当たるなど、紛争との連関をも視野に入れた
開発
促進
へのイニシアチブをとりました。
世界
的にも認識の深まりつつあるこの包括的な
取り組み
を
強化
する必要性を一層強く訴えていく所存であります。 次に、より
繁栄
した
世界
を築いていくために必要なのが、グローバリゼーションへの
対応
であります。近年、浮き彫りになってきたグローバリゼーションに伴う危機の連鎖的波及といった問題の背景には、現在の国際的な
枠組み
がグローバリゼーションの流れに十分
対応
できていないことがあります。
我が国
は、
我が国経済
の
発展
のためにも、既存の
枠組み
の
強化
、さらには、新たな
枠組み
の構想などにおいて主導的
役割
を担っていかなければなりません。 現在進められている国際
金融システム
強化
に向けた議論の中で、迅速かつ有効な
支援
のあり方や被
支援
国に課される条件等につき、
我が国
として議論に積極的に貢献していく考えであります。
我が国
はまた、二〇〇〇年からWTOにおいて始められる自由化交渉を包括的なものとすることを主張しております。グローバリゼーションのもとで
我が国経済
のさらなる
発展
につながるような国際ルールの構築に向け、産業界及び
関係
団体などとも十分に意見交換を行いつつ、
我が国
として最善の
対応
をとるべく取り組んでまいります。
アジア各国
経済
と
我が国経済
との
相互依存関係
の深さにかんがみれば、
アジア経済
の回復が
我が国
にとって極めて重要であることは申すまでもありません。
我が国経済
の自律的な回復のために必要な
施策
をとるとともに、
我が国
としてなし得る最大限の
支援
をアジア諸国に対し引き続き行っていく考えであります。これまで発表してきた一連の
支援
策を着実に実施していくとともに、今後とも
アジア経済
危機克服のために創造的に貢献を行っていく考えであります。 折しも、欧州においては
単一通貨ユーロ
が
導入
されました。ドルに次ぐ主要な国際
通貨
の誕生が
世界経済
に与える影響については
我が国
としても注目しており、ユーロが安定した信頼できる
通貨
となることを期待しております。また、
我が国
自身も、国際
通貨体制
の一層の安定に資するよう、国際
通貨
としての円の
役割
の向上などに努めていかねばなりません。 そして、
世界
が安定と
繁栄
を享受するのみならず、人々にとってより住みやすいものであるためには、
地球環境
問題、薬物、国際組織
犯罪
、難民などの国境を越えた問題への
取り組み
が必要であります。近年、
人間
の生存、
生活
を直接脅かすこれらの諸問題を
人間
の
安全保障
という観点から包括的にとらえ、
対応
を
強化
するという考え方が提唱されております。
我が国
は、先般、国連での
人間
の
安全保障
基金設立のため資金を拠出することを表明しましたが、国際機関やNGOとの連携を深めて、この
分野
での
取り組み
を
強化
していく考えであります。 このように山積する諸問題に対処していくに当たり、
我が国
外交の手段及び実施体制を
強化
していくことが急務であります。 中でも、ODAは
国際社会
全体の安定と
繁栄
を
確保
し、もってみずからの安全と
繁栄
を
確保
しようとする
我が国
にとって、最も重要な外交手段であります。
政府
といたしましても、現在の厳しい
経済
・
財政
状況
の中、援助を
推進
していくためには、
国民
の皆様による一層の御
理解
と御支持が不可欠と認識しており、
情報
公開の
強化
などにより、ODAの透明性向上に努めてまいります。そしてODA中期
政策
や国別援助計画の策定などを通じて、貴重な財源をより効果的、効率的に活用できるよう
努力
してまいります。 また、資金面だけでなく、人的な貢献も
我が国
の国際
協力
の重要な柱であります。昨年は、カンボジアやボスニア・ヘルツェゴビナへの選挙監視団の派遣、ハリケーン
災害
に見舞われたホンジュラスへの国際緊急援助隊派遣に対し、
関係
国を初め、
国際社会
から高い評価を得ました。その一方で、タジキスタンで秋野国連政務官というかけがえのない人材を失ったことは痛恨のきわみであります。この教訓を生かし、派遣要員の安全の一層の
確保
に努めつつ、今後とも
国際社会
の期待にこたえて、積極的に顔の見える国際
協力
に取り組んでいく所存であります。 さらに、外交を展開するためのいわば足腰である外交実施体制の
強化
もまた重要であります。来年度
予算
ではアゼルバイジャンの公館
設置
などを計上させていただいておりますが、これらを通じて外交の幅を広げ、将来を見据えた外交活動を展開してまいりたいと考えております。 二十一
世紀
はもはや目前です。新しい
世紀
を希望の
世紀
とするために
我が国
が示し得る
世界
像は、まず第一に、
我が国
自身が
発展
の
基盤
としてきた自由、民主主義といった価値が広く共有される
世界
の姿であります。同時に、
我が国
としては、多様な
価値観
や文化が共生し得る
世界
こそ、歴史も民族も異なるさまざまな国や
地域
が安定的な
関係
を結んでいくことのできる
基盤
であることを訴えていきたいと考えます。この観点からも、国際交流を通じてさまざまな国や
地域
の人と人がお互いに対する
理解
を深めていくことが極めて重要であります。
我が国
は、現下の困難を乗り越えるべく、
官民
を挙げて
全力
を尽くしております。このときに当たって、あすのよりよい
国民生活
のため、安定した
国際環境
を
確保
する外交の
役割
は一層重要であります。
外務大臣
としての私の信念は、リーダーシップのある外交であります。内においては、世論を喚起し
国民
とともに外交を進めるべく、そして外においては、
国際社会
の中で率先してみずからにふさわしい
役割
を果たしていくべく、
全力
を尽くしてまいる所存であります。 御臨席の
議員各位
、そして
国民
の皆様の御
支援
と御
協力
を心からお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
斎藤十朗
10
○
議長
(
斎藤十朗
君) 宮澤
大蔵大臣
。 〔
国務大臣
宮澤喜一君登壇、拍手〕
宮澤喜一
11
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
平成
十一年度
予算
の御審議に当たり、今後の
財政
金融
政策
の
基本
的な考え方について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要を御説明いたします。
我が国
は、戦後五十年余りの間にさまざまな試練に直面いたしましたが、
国民
のたゆまない
努力
と創意により、その都度これを乗り越え、今日の
日本
を築き上げてまいりました。 しかし、今日の
我が国経済
は、資産市場の低迷や不良債権問題の深刻化などバブルの後遺症を抱える中、金融機関に対する信頼の低下、
雇用
不安などが重なり、極めて厳しい低迷
状況
にあります。また、
我が国
を取り巻く国際
経済
情勢も、一昨年アジア諸国に端を発した
通貨
・
経済
の不安定な
状況
により、先行きは極めて不透明であります。 こうした内外の諸情勢のもと、今
我が国
がなすべきことは、
国民
の英知を結集して不況を早急に克服し、二十一
世紀
に向かって豊かで
活力
ある
社会
を再構築するとともに、対外的には
世界経済
の
発展
のために
我が国
に期待されている
役割
を果たしていくことであると考えます。 今後の
財政
金融
政策
の
運営
に当たりましては、このような認識のもとに、以下に申し述べる諸
課題
に
全力
を挙げて取り組んでまいります。 まず、
財政
面から最大限の措置を講じて不況克服に
全力
で
取り組み
ます。 このため、昨年秋取りまとめました緊急
経済
対策
に盛り込まれた諸
施策
を着実に実施すべく、先般成立した
平成
十年度第三次
補正予算
を迅速に執行してまいります。さらに、
平成
十一年度
予算
につきましては、例えば
公共事業
について、
公共事業
等予備費を含め
予算
ベース、支出ベースともに前年度に比べ一〇%を上回る伸びを
確保
するなど、
景気回復
を最優先
課題
とした
財政
運営
を行うことといたします。 同時に、景気の回復
基盤
を固めるためには、
金融システム
を早急に再構築することが不可欠であります。 このため、昨年秋に制定された金融機能
再生
法及び金融機能早期健全化法を活用するとともに、中小・中堅
企業
等の資金需要に的確にこたえ得るよう、
政府
系金融機関の資金量を十分に
確保
し、また、信用保証
制度
を
強化
して信用収縮や貸し渋りの防止に努めてまいります。 さらに、
税制
につきましては、現下の厳しい
経済
情勢等を踏まえ、
平成
十一年度改正において、恒久的な
減税
を初め、国、地方を合わせ、平年度九兆円を超える
減税
を実施することとしております。 まず、所得税につきましては、最高税率の引き下げを行うとともに、定率
減税
を実施するほか、扶養控除額の加算を行うことといたします。 法人税については、
我が国企業
が
国際社会
の中で十分競争力を発揮できるよう、
基本
税率の引き下げを行うとともに、中小法人等に対する軽
減税
率についても引き下げを行うことといたします。 また、
景気回復
に資するため、
住宅ローン減税
を実施するほか、
情報通信
機器の即時償却
制度
の創設等の措置を講じてまいります。 さらに、有価証券取引税及び取引所税を廃止し、
経済
・金融情勢等の
変化
に
対応
して適切な措置を講ずることとしております。 なお、今回の所得税及び法人税の
減税
は、この際早急に実施すべき
負担
軽減措置を講ずるためのものでありますが、今後の
我が国
の
経済社会
の構造的な
変化
、
国際化
の進展等に
対応
した個人及び法人の所得課税の抜本的な
改革
につきましては、引き続き検討を続けてまいります。 このように
財政
・
税制面
で
景気回復
に
全力
を尽くすことといたしました結果として、
平成
十一年度
予算
における公債依存度は、前年度当初
予算
の二〇%と比べ一七・九ポイント増加をいたしまして三七・九%となります。
平成
十一年度末の
公債残高
は三百二十七兆円に達する見込みであり、
財政
状況
の急速な悪化は避けられない
状況
であります。
我が国
の将来の
世代
、
社会
の
変化
を考えますと、
財政構造改革
は必ず
実現
しなければなりませんが、これについては、
我が国経済
が
回復軌道
に乗った
段階
において、改めて二十一
世紀
の初頭における
財政
・
税制
の
課題
として、根本的な視点から必要な措置をとらなければならないと考えております。 他方、
経済
の
国際化
が進む中で、
我が国
は
世界経済
の健全な
発展
への貢献にも取り組まなければなりません。 一昨年のアジア
通貨
危機に際しては、
我が国
は、IMF、
世界
銀行、アジア
開発
銀行及び
関係
各国とも協調しつつ、二国間
支援
としては
関係
各国中最大の
支援
を表明し、それを着実に実施してまいりました。 また、アジア諸国の
経済
困難の克服を
支援
し、国際金融資本市場の安定化を図るため、昨年十月には三百億ドル
規模
の資金
支援
を含むアジア
通貨
危機
支援
に関する新構想を表明し、既に大部分の国について
支援
の具体策を
決定
するなど、その実施に努めているところであります。
我が国
としては、今後とも
関係
各国及び国際機関とも密接に連携しながら、アジア
支援
を行っていく所存であります。 国際
金融システム
につきましては、アジア
通貨
危機以降、短期的あるいは投機的な資金の激しい移動が、特に新興市場諸国に対して、混乱や大きなリスクをもたらすおそれがあるということが国際的な
理解
になりつつあります。 私は、現在の国際
金融システム
には、短期資本移動のもたらすリスクとそれへの
対応
、危機に陥った国への流動性供給のあり方、適切な為替相場
制度
とはどのようなものかという三つの根本的な問題があり、これらにいかに対処していくかが重要であると考えております。 今後とも、G7や主要な新興市場諸国等とともに、国際
金融システム
の
改革
の
実現
に向けた議論や検討に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、多角的自由貿易体制の維持
強化
及び貿易円滑化については、
我が国
は、WTO、APEC等を通じ、積極的に取り組んでおります。
平成
十一年度関税改正におきましても、特定品目の関税率の引き下げなど、所要の改正を行うことといたしております。 本年一月、欧州において新しい
通貨
ユーロが誕生いたしました。ユーロの誕生により欧州
地域
経済
はさらに
活性化
するものと期待され、また、ユーロは国際
通貨
システム
の中で重要な地位を占めるものと思われます。
我が国
としても、ユーロの誕生やアジア
通貨
危機といった内外の
経済
・金融情勢の
変化
を踏まえ、
我が国
通貨
円の
国際化
を進めていくための
環境
整備
を図っていくことが極めて重要な
課題
であると考えております。 先般、海外の投資家が
我が国
の国債に投資しやすくなるよう、
政府
短期証券を公募入札により発行することとし、また、国債利子については非居住者を非課税とする
制度
を創設するなど、円の
国際化
推進
のための具体的な方策を取りまとめたところでありますが、今後とも、円の国際的な使用を一層
推進
するため幅広い
分野
で
努力
をしていきたいと考えております。 次に、今
国会
に提出しております
平成
十一年度
予算
の大要について御説明いたします。
平成
十一年度
予算
は、
平成
十年度第三次
補正予算
と一体的にとらえ、年度末から年度初めにかけて切れ目なく
施策
を実施すべく、いわゆる十五カ月
予算
の考え方のもとに、当面の
景気回復
に向け
全力
を尽くすとの観点に立って編成しております。 歳出面については、一般歳出の
規模
は四十六兆八千八百七十八億円となり、前年度当初
予算
に対して五・三%の増加となっております。
国家
公務員の定員については、増員は厳に抑制し、三千五百六十四人に上る行政機関職員の定員の縮減を図っております。補助金等についても、地方行政の
自主性
の尊重、
財政
資金の効率的使用の観点から、その整理
合理化
を積極的に
推進
しております。 また、現下の金融情勢にかんがみまして、預金保険機構に交付しております国債の現金化に充てる財源として二兆五千億円を国債整理基金特別会計に繰り入れることといたしました。 なお、
平成
九年度の決算上の不足に係る決算調整資金を通じた国債整理基金からの繰入相当額一兆六千百七十四億円については、法律の
規定
に従い、同基金に繰り戻すことといたしております。 これらの結果、一般会計
予算
規模
は八十一兆八千六百一億円、前年度当初
予算
に対して五・四%の増加となっております。 歳入の根幹である
税制
につきましては、さきに申し述べましたとおり、所得税及び法人税について恒久的な
減税
を実施するとともに、
住宅
建設及び
民間
設備投資の
促進
、
経済
・金融情勢の
変化
への
対応
等の観点から、適切な措置を講ずることとしております。 以上の措置を受けまして、公債発行予定額は、前年度当初
予算
より十五兆四千九百三十億円増額し、三十一兆五百億円となります。特例公債の発行については、別途
平成
十一年度における公債の発行の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。 なお、
消費税
の
福祉
目的化につきましては、
消費税収
の使途を
基礎年金
、
老人医療
及び
介護
に限ることとし、その旨を
予算総則
に明記いたしました。これにより、
消費税
に対する
国民
の皆様の
理解
を一層深めていただけるものと考えております。
財政
投融資計画につきましては、
景気回復
に十分配慮して
財政
投融資資金の活用を図るとともに、特殊法人の整理
合理化
への
対応
等、
改革
に向けた
努力
を継続することとしたところであり、一般
財政
投融資の
規模
は三十九兆三千四百九十二億円となり、前年度当初計画に対して七・三%の増加でございます。また、資金運用
事業
を加えた
財政
投融資計画の総額は五十二兆八千九百九十二億円となり、前年度当初計画に対して五・九%の増加となっております。 次に、主要な経費について申し上げます。
社会
保障
関係
費については、急速な人口の高齢化に伴いその増大が見込まれる中、
経済
の
発展
、
社会
の
活力
を損なわないよう、
制度
の
効率化
、
合理化
を進め、将来にわたり安定的に
運営
できる
社会保障制度
の構築を図ってまいります。 文教及び科学振興費については、創造的で
活力
に富んだ
国家
を目指して、教育
環境
の
整備
、高等教育・学術研究の
充実
、創造的・
基礎
的研究に重点を置いた
科学技術
の振興等の
施策
の
推進
に努めております。
公共事業
については、当面の
景気回復
に向け
全力
を尽くすとの観点に立って、
公共事業
関係
費を前年度当初
予算
に対して五%増額するとともに、別途、
公共事業
等予備費五千億円を計上することといたしました。また、
公共事業
関係
費の配分に当たりましては、物流
効率化
による
経済構造改革
に資する
分野
、二十一
世紀
を展望した
経済
発展基盤
となる
分野
、
生活
関連
社会資本
への重点化を図っております。さらに、その実施に当たりましては、再評価
システム
の
導入
などを通じ、
公共事業
の
効率化
、透明化に努めることといたしております。
中小企業対策
費については、厳しい経営
環境
に配慮し、金融
対策
、新規開業・
雇用
創出
支援
等に重点を置いて
施策
の
充実
を図っております。 農林水産
関係
予算
については、今後の農業の担い手となるべき者へ各種
施策
を集中させるとともに、農産物価格
政策
における市場原理の一層の
導入
を図りつつ、所要の
施策
の着実な
推進
に努めております。
経済
協力
費については、アジア
支援
に関する
我が国
への期待の増大等に
対応
しつつ、援助の
効率化
、重点化を一層進めております。 防衛
関係
費については、一昨年末に見直された中期防衛力
整備
計画のもと、効率的で節度ある防衛力
整備
を行うこととし、防衛装備品の調達価格の引き下げ等経費の一層の
効率化
、
合理化
等を図っております。 エネルギー
対策
費については、
地球
温暖化問題への
対応
の重要性等も踏まえ、総合的なエネルギー
対策
の着実な
推進
に努めております。 地方
財政
につきましては、国の
財政
とともに巨額の財源不足が見込まれるところでございます。こうした
状況
を踏まえ、国と地方のたばこ税の税率変更による地方のたばこ税の増収措置、法人税の交付税率の上乗せ、地方特例交付金の創設などにより恒久的な
減税
の影響を補てんするとともに、所要の地方交付税総額を
確保
するなど、地方
財政
の
運営
に支障を生ずることのないよう所要の措置を講ずることといたしております。
地方公共団体
におかれましても、歳出全般にわたる見直し、
合理化
、
効率化
に徹底的に
取り組み
、
行財政改革
をより積極的に
推進
されるよう要請するものであります。 以上、
平成
十一年度
予算
の大要について御説明を申し上げました。
我が国経済
が戦後初めての四四半期連続マイナス成長という厳しい局面を迎える中で、こうした
経済
情勢から早急に脱却することを最優先に
予算
の編成をいたしました。また、そのような心構えで今後の
財政
金融
政策
を進めてまいりたいと存じております。 何とぞ、
関係
法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手) ─────────────
斎藤十朗
12
○
議長
(
斎藤十朗
君)
堺屋国務大臣
。 〔
国務大臣
堺屋太一君登壇、拍手〕
堺屋太一
13
○
国務大臣
(堺屋太一君)
我が国経済
の当面する
課題
と
経済
運営
の
基本
的考え方について、所信を述べます。
我が国経済
は、二年連続のマイナス成長という戦後最悪の不況に陥り、
経済
国難ともいうべき
状況
にあります。この不況を克服して
我が国経済
を
再生
することが、当面の最重要
課題
であります。 今日の深刻な
経済
状況
には、短期循環、長期波動、歴史的
発展
段階
の
転換
という三重の波が重なり合っています。 まず、短期の循環では、九七年初期を頂点として景気は下降局面に入っています。このため、景気の
拡大
が続くと信じて行った
財政構造改革
は、その
基本
的考え方においては誤っていなかったものの、極めて時期の悪いものとなってしまいました。加えて、バブル崩壊に伴う巨額の不良債権が負の遺産として残存していたため、
企業
の投資意欲も消費者の心理も冷え込んでしまいました。 次に、長期波動においては、戦後一貫して成長
拡大
してきた
我が国経済
が、八〇年代末のバブル景気を境として、安定成熟局面に入っていることです。これには、人口の少子高齢化、国際競争の激化、
地球環境
問題の重大化など、物的成長に対するさまざまな制約条件が加わったことも影響しています。 もう
一つ
は、より大きな歴史的
発展
段階
の
転換
です。
我が国
は、明治以来百年余、規格
大量生産
型の近代工業の育成
強化
に努めてきました。この目標は一九八〇年代に達成したと申せましょう。 ところが、
世界経済
と人類文化の歴史的潮流は、規格
大量生産
型の近代工業
社会
を超越して、多様な知恵の
時代
に変わりつつあります。
我が国
民の欲求もまた、物財の量的充足だけではなく、
情報
の獲得や自己
実現
にも広がっています。このため、規格
大量生産
型
社会
の
実現
のためにつくられた
我が国
の
制度
や慣習の中には、今日の
社会
に不適合なものがふえています。 以上、三重の波は相互に絡み合い、
経済
の実態には不況の環を、
国民
の心理には
未来
不安を引き起こすことになりました。現下の
経済
国難から脱出するには、これら三重の波を同時に解消していかねばなりません。 以上のような認識に立って、
政府
は、
平成
十一年度の
経済
運営
に当たって三つの目標を立てました。 第一は、
平成
十一年度の
経済
をはっきりプラス成長にすること。第二は、失業をふやさないこと。第三は、
経済
における国際協調を進めることであります。 これら三つの目標を達成するため、小渕
内閣
は、発足以来、不況の環を断ち切るべく
全力
を挙げてまいりました。 小渕
内閣
が行った不況の環を断つ第一の手だては、
金融システム
の
再生
であります。これを行うに当たっては、守るべき四つの原則があります。第一は、倒産や失業など金融機関の破綻や信用収縮による
社会
的コストを最小に抑えること。二つには、これに要する国庫の究極的な
負担
を最小にとどめること。三つには、
再生
を最短の期間でなし遂げること。四つ目には、経営の倫理が守られることであります。 これら四つの基準はいずれも重要でありますが、まずもってなすべきことは、
社会
的コストを最低にとどめることでしょう。こうした考えに従って、小渕
内閣
は昨年来、
金融システム
の
再生
のための法的
整備
や
予算
措置、中小・中堅
企業
等に対する貸し渋り
対策
などを行ってきました。 今後は、用意された法的、
財政
的
枠組み
を的確かつ厳格に運用し、
我が国
金融システム
の早期健全化に努める一方、このような
枠組み
の中で、金融機関に対しては厳しい
効率化
と
情報
公開を求める方針です。また、金融ビッグバンを緩みなく進めるとともに、特定目的会社の活用を含む証券化などの手法を通じて、資金調達の拡充、多様化を図ります。 これらの
施策
は、一部に痛みを伴うものでありますが、それを乗り越えてこそ、
我が国
の持つ巨大な資金力と生産力を生かした輝かしい金融市場を築くことができるのです。 不況の環を断つ第二の手だては、需要の喚起であります。今回は
アジア経済
の不振などもあって、輸出からの
景気回復
は期待しがたい
状況
にあります。また、卸売物価の下落や、国内市場の供給過剰感などにより、
企業
の投資意欲は極めて低調です。 こうした中で、
我が国
の
経済
を下支えするためには、
社会資本
整備
の
拡大
と
減税
による消費刺激で需要を喚起する必要があります。
政府
が昨年十一月に
決定
した緊急
経済
対策
及び
平成
十一年度
予算
は、このような考え方でつくられています。緊急
経済
対策
においては、総
事業
規模
十七兆円超の
事業
を実施することとしました。また、これを受けて
平成
十一年度
予算
においては、
公共事業
について
公共事業
等予備費を含め、
予算
ベース、支出ベースともに前年度に比べて一〇%を上回る伸びを
確保
しました。また、
税制面
では、緊急
経済
対策
で発表した六兆円を超える
個人所得課税
、
法人課税
の恒久的な
減税
に加えて、個人の
住宅
取得や個人
事業
者または法人の
情報通信
機器取得等に対する特別措置を初めとする
政策減税
を含め、国、地方を合わせて平年度九兆円を超える
減税
を実施することといたしました。 不況の環を断つ第三の手だては、
雇用
及び起業の
拡大
であります。これからの
日本経済
では、
企業
別、産業別の盛衰には大きな格差が生じると見られ、より柔軟で適切な労働力の再配置が必要になります。
雇用対策
においても、新しい産業構造や就業形態に即した
雇用
の
開発
と創造に力を注ぐべく、さきの緊急
経済
対策
及び
平成
十一年度
予算
においては、勤労者の能力
開発
を
強化
し、新規
雇用
創出に対する新たな助成
制度
を設けるなど、合計一兆円
規模
の
施策
を実施することとしました。 また、産業
基盤
整備
基金に新
事業
創出等
促進
信用資金を設ける等、新たに
事業
を起こそうとする者の資金調達を
支援
することといたしました。 以上のような諸策によって、金融、需要、
雇用
の三点で不況の環を断ち切ることによって、来る
平成
十一年度には〇・五%
程度
のプラス成長を見込むことができます。重要なのは、これを
平成
十二年度までに本格的な
経済
再生
につなげ、二十一
世紀
においても
我が国
が
世界
の先端を行く国であり続けるように、
経済社会
の構造と
国民
心理を
未来
志向型に
改革
することです。 そのために、緊急
経済
対策
には、
生活
空間倍増プラン及び
産業再生計画
の策定を打ち出すとともに、二十一
世紀先導プロジェクト
を盛り込みました。二十一
世紀先導プロジェクト
とは、先端電子立国、
未来
都市の交通と
生活
、安全・
安心
、ゆとりの暮らし、高度技術と流動性のある安定
雇用
社会
の構築の四つの柱のもとに、省庁横断的な
事業
を展開するものです。 こうした省庁の
枠組み
を超えた
未来
型プロジェクトを
推進
することは、二〇〇一年からの行政機構の抜本的改組と相まって、
公共事業
の重点配分と施行
効率化
を徹底することになるでしょう。 また、
民間
の資金やノウハウを活用して公共の
施設
やサービスの
充実
を
促進
する手法、いわゆるPFIを
推進
することが重要と考えています。このためにも、
民間
資金等の活用による公共
施設
等の
整備
等の
促進
に関する法律案の
早期成立
を期待するものであります。 小渕
内閣
が進めるもう
一つ
の重要
経済
政策
は、国際
経済
への貢献です。
世界経済
、中でも
我が国
とかかわりの深い
アジア経済
の安定には、
我が国経済
が果たす
役割
が極めて重要です。 こうした認識に立って、緊急
経済
対策
には、
事業
規模
一兆円
程度
のアジア
支援
策等を盛り込むとともに、三年間で総額六千億円の特別円借款を創設しました。また、
我が国
の
制度
や慣習をより国際的に調和のとれたものにするため、市場開放苦情処理体制を活用しながら、諸外国の要望にこたえていくなど、輸入や対日投資の
促進
に取り組んでまいります。 以上のような積極的な諸
施策
と大
規模
な
減税
の結果、
平成
十一年度の当初
予算
では、三十一兆五百億円の公債を発行することになります。
財政
の健全性は、もとより重要であります。しかし、現下の
経済
情勢においては、何よりも急ぐべきは不況からの脱出であり、その成果を新しい産業の
発展
と意欲的な起業の増加につなげることでしょう。それができれば、
経済
拡大
による歳入の増加、景気
対策
事業
の縮小による歳出の削減、国有財産の売却など、
財政
再建の多様な選択肢が生じてきます。
経済
は生き物であり、現在の
財政
赤字がそのまま将来の
負担
につながると考えるべきではありません。 小渕
内閣
が行った重要な業績の
一つ
は、官僚主導からの決別を知らしめたことです。
我が国
の業界の中には、
規制緩和
や競争
促進
が言われながら、現実には業界横並び
意識
と官僚機構への依存感が色濃く残っていました。この中で、例えば金融の
分野
においては、小渕
内閣
が発足以来とってきた透明かつ公正な金融行政への
転換
、
推進
、金融機関の検査・監督、市場規律による不健全な金融機関の淘汰などは、
政府
が言葉だけではなく、実際の政治や行政においても厳格な自由
経済
を志向していることを知らしめる重要なメッセージになっています。 昨日、小渕
総理大臣
より
経済審議会
に対して、この歴史的な
転換
期に当たって、
我が国経済社会
のあるべき姿と、その
実現
に向けての
経済
新生の
政策方針
を策定いただくよう諮問がありました。
総理大臣
の諮問機関である
経済戦略会議
は、昨年十二月の中間報告で百六十四項目から成る
経済
改革
案を提出されました。それは、才能と
努力
と幸運を持ち合わせた人々にはそれにふさわしい称賛が与えられると同時に、不運な人々にも安全で
安心
な
生活
が維持できる安全ネットが存在する
社会
を目指すものであります。
経済審議会
では、この
提言
をも踏まえて、今後十年
程度
の間に達成すべき
我が国経済
のあるべき姿と、それに至る道程を指し示していただけるものと期待しています。 これからの
時代
が、人それぞれの好みと感性が充足されるような多様な知恵の
社会
であるとすれば、
政府
の
経済
運営
でも
民間
の経営や家計でも、速やかな判断と正しい選択が大事です。そのため
政府
としても、
経済
に関する統計や
情報
をより早く、正しく、わかりやすく発表できる
体制整備
を図ってまいります。 選択の自由が広い市場
経済
では、公正な競争と
事業
者の
情報
公開が欠かせぬ一方、選ぶ者の自己
責任
も重くなります。それに
対応
して、消費者と
事業
者との間の契約に広く適用される民事ルール、いわゆる消費者契約法の制定も積極的に検討いたします。また、人々の善意による活動の重要度も増すことでしょう。
政府
は
民間
の非営利団体、いわゆるNPOの活動を
促進
するための条件
整備
を今後とも続けてまいります。
我が国
は今、深い不況のやみに閉ざされています。しかし、我々の立つ
基盤
は揺るぎないものです。
我が国
には三千百兆円を超える実物資産があり、約一兆ドルの対外純資産があります。巨大な生産力と強力な競争力を持つ産業があり、
国民
各層に勤勉と秩序と教育を受ける習慣が行き渡っています。 これからの
日本
が目指すのは、夢と
安心
がともにある世の中です。若者が夢膨らませる可能性があると同時に、
高齢者
や失敗者にも新たな挑戦の機会のあることが重要です。消費だけではなく、教育や住居や職業でも選択の幅を広げることが大切です。
拡大
する
高齢者
市場、歩いて暮らせる町づくり、育児や家事のアウトソーシングなど、これから広がると見られる
分野
は限りなくあります。
世界
に先駆けて
高齢社会
が現実となる
日本
は、その豊かさとすぐれた慣習を生かして、これからの人類文化に積極的な貢献ができることでしょう。 今、この国に必要なのは、みずからに対する自信と
未来
への夢、そして
改革
を
実現
する勇気ある実行です。
国民
の皆さん方の御
理解
と御
協力
を切にお願いいたす次第であります。(拍手)
斎藤十朗
14
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤十朗
15
○
議長
(
斎藤十朗
君) 御
異議
ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十三分散会