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1999-08-09 第145回国会 参議院 法務委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月九日(月曜日)    午後七時五十三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 佐々木知子君                 世耕 弘成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 吉川 芳男君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君    衆議院議員        修正案提出者   笹川  堯君        修正案提出者   上田  勇君        修正案提出者   漆原 良夫君        修正案提出者   達増 拓也君    国務大臣        法務大臣     陣内 孝雄君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○組織的な犯罪処罰及び犯罪収益規制等に関  する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆  議院送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十  二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送  付)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  組織的な犯罪処罰及び犯罪収益規制等に関する法律案犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  この際、三法律案審査のため、去る六日に行いました視察について、視察委員報告を聴取いたします。鈴木正孝君。
  3. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 現地視察につきまして、御報告を申し上げます。  去る八月六日、組織的な犯罪処罰及び犯罪収益規制等に関する法律案犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案審査に資するため、東日本電信電話株式会社東京支店NTT霞ケ関ビル本館視察しました。視察委員は、荒木委員長円理事大森理事平野理事世耕委員小川委員橋本委員福島委員中村委員及び私、鈴木の計十名でございます。  NTT霞ケ関ビル本館は、千代田区内に存在する電話のうち約七万六千回線を取り扱っているいわゆる電話局です。そこで、通信施設実情視察するとともに、固定電話傍受する模擬実験を見せていただきました。  その内容について、簡単に御報告申し上げます。  まず、MDFにおける通信傍受について申し上げます。  MDFは主配線盤と言われ、各家庭等固定電話からのケーブルとNTTビル内にある交換機とをジャンパー線という細い電線で結んでいるものです。そこでは数多くのジャンパー線が無数に接続されています。MDFにおける通信傍受模擬実験は、電話アナログ回線である場合とデジタル回線である場合とに分けて行われました。MDFにおける通信傍受は、物理的に回線をクリップでとめて捕捉するという方法で行いました。その結果、電話アナログ回線である場合には、通信傍受することが可能であり、デジタル回線である場合には、通信傍受をしても音声としてはノイズのようなものが出るだけで会話傍受することは困難でありました。これは、回線を流れている情報デジタル信号であるためであるということでした。  次に、TWS、すなわち試験制御装置端末における通信傍受について申し上げます。  試験制御装置は、故障の場合等に回線状態確認するためのもので、通常はこの端末を操作して行うものであり、この試験制御装置端末における通信傍受についても、アナログ回線の場合とデジタル回線の場合とに分けて模擬実験が行われました。その結果、アナログ回線については、通話中に割り込んで会話傍受することは可能ですが、あらかじめ回線を捕捉しておいた場合には、捕捉している回線から発信した場合の通信傍受は可能でしたが、捕捉した回線への着信については、電話が話し中になり、着信そのものができませんでした。他方、デジタル回線の場合には、通話中に割り込んで行う傍受のほか、捕捉している回線からの発信着信傍受ともに可能でありました。  なお、現在、全国のデジタル回線は約四百数十万回線で、アナログ回線は約六千万回線であり、アナログ回線の方が圧倒的に多数ですが、インターネットの利用が普及するに伴ってデジタル回線への移行が急速に進んでいるものの、アナログデジタルがいつ逆転するかについては予測ができないということでありました。  最後に、PTT端末を利用した通信傍受模擬実験も行われました。  PTT端末は、回線試験等のために、試験制御装置を離れた別のNTTビルから操作するためのもので、いわば試験制御装置端末をハンディーなものに置きかえたものです。そして、PTT端末プログラムは、アナログ回線の場合とデジタル回線の場合とでは全く異なるということでありました。  PTT端末を利用した通信傍受模擬実験についても、アナログ回線デジタル回線とに分けて行われました。  アナログ回線の場合、通話中に割り込んで会話傍受することは可能でありましたが、あらかじめPTT端末で捕捉した状態では、そもそも電話の受話器を持ち上げても発信音がせず、発信することができませんでした。また、外部から捕捉した回線への着信については、電話が話し中になり、着信そのものができませんでした。  これに対し、デジタル回線の場合には、そもそもPTT端末にモニターの機能がないため、通話中の割り込みによっても、また待ち受けによっても、通話傍受することはできませんでした。  以上を要約しますと、MDFからの通信傍受に関しては、アナログ回線の場合は発信着信ともに可能、デジタル回線の場合は困難、試験制御装置からの通信傍受に関しては、アナログ回線の場合は通話中に割り込んでの傍受は可能、あらかじめ捕捉していた場合に発信されたときの通話傍受は可能、着信傍受は不可能、デジタル回線の場合は発信着信ともに可能、PTT端末を利用した通信傍受に関しては、アナログ回線の場合は通話中に割り込んでの傍受は可能、あらかじめ捕捉していた場合には発信着信とも傍受は不可能、デジタル回線の場合にはそもそも通話傍受する機能プログラムにないため傍受は不可能ということでありました。  最後になりましたが、今回の視察に当たり、東日本電信電話株式会社を初め関係者皆様から御協力いただきましたことを、この席をおかりして厚く御礼申し上げます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) これをもって視察委員報告は終了いたしました。  お立ちになっている理事委員の方に要請をいたしますが、本委員会に参加をするつもりであれば、直ちに着席をしてください。(発言する者多し)御静粛に願います。──まだお立ちになっている方はどうですか。出席されますか。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 自由民主党鈴木正孝でございます。  本日、大変大勢の方にこの委員会においでをいただき、大変関心を持っていただきまして、心から感激もしているところでございます。  この通信傍受法案を初め三法案、六月一日に本院に回ってまいりまして、法務委員会では六月十日から審議をしているわけでございます。御案内のように本日は六十九日というような経過がたっているというようなことでもございますが、まだまだいろいろと確認をしたいというような点もございますので、いろいろと時間の許す範囲で御質問をさせていただきたいというように思っております。  この三法案につきまして、どちらにしましても、覚せい剤の蔓延、学校、家庭への浸透、低年齢化というような非常に深刻な事態日本社会がいまだかつて経験したことのないような状態が続いているというようなことでもございますし、また集団密航等の国の安全にかかわるようなことも非常に懸念材料としてございます。そういう中での質疑ということでございますので、いろいろとお話を申し上げたいというようにも思っております。  まず、法務大臣にお伺いをいたしたいというふうに思いますが、今までの質疑の中でひょっとして出るかなというふうに実は思っておりましたのですが、質問も出てまいりませんので確認をしたいというふうに思っております。  実は、マスコミ報道機関のことにつきましては、通信傍受につきまして若干適用除外的な取り扱いをしたい、そういうお話でもございました。ところが、今の医療現場実情を考えてみますと、薬剤師皆様につきまして、この法案第十五条の「医師等業務に関する通信傍受の禁止」というその対象となる者の中に薬剤師が含まれていないということがいささか問題ではないかというふうに私は思っております。  先ほどお話ししましたように、マスコミ運用上、国民の知る権利という立場からこういうものは当面の運用措置として原則適用除外ふうな扱いをするというようなお話でございましたけれども、医師看護婦等とともに医療の過程において患者との信頼関係に基づいて業務を行うというような立場でございますし、民事訴訟法あるいは議院証言法立場を考えてみましても、薬剤師の方々には言ってみますと証言拒絶権等が認められている、あるいは刑法においても秘密の漏示罪というようなものが定められているようなことを考えてみますと、他の法律との均衡上、あるいは職務の本質的な内容、それに内在するそういう諸般の状況を勘案してみますと、どうしても薬剤師さんに関してはやはり法律をしかるべきときに改正をしてこれに入れていただく、適用除外というような扱いをするのが筋だというふうに思いますし、また刑事訴訟法におきましてもこれにきちっと対応するように法改正をしかるべきときになるべく早くやっていただく、そしてまた運用においても、運用のマニュアルをいろいろとつくられるときに報道機関と同等に当初から適用を外していくというようなことをお考えいただくのが全体の筋ではないかというふうに思いますので、その辺の御見解をぜひいただきたいと思います。
  7. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今御指摘の問題でございますが、法案第十五条において傍受が禁止される職業、これは「医師歯科医師、助産婦、看護婦弁護士弁理士公証人又は宗教の職にある者」、こういった職業範囲刑事訴訟法において押収拒絶権及び証言拒絶権が与えられている職業範囲と同一としたものでございます。  しかしながら、今委員指摘の件はまことにもっともなことと思います。したがって、関係法律を含めた改正において真剣に検討してまいりたいと思います。  なお、そのような法改正を待つまでもなく、御指摘のような薬剤師職業の特質にかんがみまして、本法運用においても、その業務に対する信頼の保護が図られますよう十分な配慮をしていきたいと考えております。
  8. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 法務大臣、大変前向きな御答弁をいただきまして、私もほっとしているというようなことでございますが、いずれにいたしましても、これが間もなく成立して運用される場合には、適用除外ということで扱っていただきたい、そのように思いますし、刑事訴訟法改正をぜひお願いいたしたい、そのように思います。(発言する者多し)
  9. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) お静かに願います。
  10. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 それから、警察庁長官にお願いいたします。(発言する者多し)
  11. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) お静かに願います。
  12. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 この法律が施行されるという段階になりまして、国民との信頼というものが非常に大事なポイントになってくるだろうと思います。この法律を生かすも殺すも、この法律に魂を入れることができることもできないことも、言ってみますと、この通信傍受という新しい捜査手法国民皆さん執行機関の中心である警察機関に与えるということになるわけですから、これは大変なことだと思うんです。  ですから、そういう観点からいたしましても、大変不幸なことではありましたけれども、共産党幹部のお宅の盗聴事案、これもいろいろと刑事司法あるいは司法手続的には刑事民事も一応決着はされております。決着はされているんですけれども……(発言する者多し)黙っていてくださいよ。
  13. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 傍聴の方、お静かに願います。
  14. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 国民の目から見れば、社会的な目から見れば、このことはやはり複数の警察官がかかわった非常に紛らわしい行為だというふうにも思いますので、単純な個人的な行為というようにはなかなか言えないと思います。  そんなことを思いますと、どうしてもやはり警察庁長官として、警察組織最高責任者として、ぜひ国民信頼を受けて、余り言葉は要りません、とにかくあの反省に立って組織犯罪と戦うということを、その決意をぜひ聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  15. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) お尋ねのいわゆる共産党幹部宅盗聴事件につきましては、昭和六十二年当時の東京地方検察庁捜査におきまして、警察官による盗聴行為未遂があったと認められたこと、また、その後の民事訴訟においても同様の行為があったことが推認されたことは、警察としても厳粛に受けとめておりまして、深く反省をしているところであります。  警察としては、本件の反省を踏まえ、二度とこのようなことが起きることのないよう、その後十年にわたりましてより一層適正な職務執行に努めてまいったところであり、さらに今国会での御議論を真摯に受けとめまして、今後とも国民信頼を裏切ることのないよう、厳しく戒めてまいる所存であります。  警察としては、通信傍受法運用に関して、いささかも国民の疑惑を招くことがないよう、その適正な執行に万全を期すべく最大限の努力を払いつつ、法の効果的な活用を図り、組織犯罪に対しまして敢然と戦ってまいる所存であります。
  16. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 警察庁長官、大変真摯に受けとめて、ああいう紛らわしい行為は、社会の目から見ればあれは言ってみますと組織的な行為というふうに見られると思うんですよ。国民の目はそうだと思うんです。ですから、ぜひ今の長官反省言葉を踏まえた上でやっていただきたいと思います。  それから、法務大臣最後に一つ。  この法律、いろいろと問題があることも事実です。これだけの関心のある非常に深刻な話でもあるわけですので、三年たったらいろいろと問題点を整理して、五年くらいをめどにやはり見直しをやる、そういうことを国民皆さんにお約束していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  17. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 本法施行後の運用状況につきましては、これまで申し上げてきたとおり、国会においても、政府からの報告を踏まえて広く御議論いただけるものと考えておりますが、法務省といたしましても、種々の観点から、改善すべき点がないかどうか真剣に検討して、必要に応じ見直しを行ってまいりたいと考えております。
  18. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 終わります。(発言する者多し)
  19. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) お静かに願います。静粛に願います。
  20. 円より子

    円より子君 私は、民主党・新緑風会の円より子でございます。声が聞こえませんね、皆さん。よろしいでしょうか。  先週の金曜日、自民党参議院国対委員長は、議員総会で、八月九日月曜日、つまり本日の法務委員会組織対策法案採決をすると明言されたそうです。それがテレビのニュース等でも流れた中で、私たち理事懇談会で今週の日程協議に入りましたが、自民、自由、公明が主張するような採決を前提とした委員会開催に、私は民主党理事として強硬に反対し、平行線のまま理事懇は深夜に及びました。  ところが、突然荒木委員長は、自民、自由、公明理事だけの賛成のもと、職権を乱用し、委員会開催定例日でもないこの月曜日に、通信傍受、いわゆる盗聴法を含む組織対策法案委員会を決定しました。私は、共産、社民のオブザーバーとともに反対を表明し、怒りを持って退席しましたが、本日、まずそのことに強く抗議いたします。  さらにきょう、こんな時間帯に、定例日でもないのに委員長はまた強行職権を乱用し、こうして委員会を開催なさいました。私は、抗議の意味できょうこれから質問をしたいと思います。  くしくも、委員長職権を乱用した先週の金曜、八月六日は、五十四年前、広島に原爆が落とされた日であり、そしてきょうはまた長崎に原爆が投下された日であります。情報を操作し、国家管理を強め、戦争へと突入した結果、多くの人命が失われたあの戦争の後、私たちは、二度と国民のプライバシーを侵し、国民を監視するような国にしてはならないと誓い合ったはずです。  それなのに今、小渕内閣は、国家管理を強める危険性のある、そして国民の生活を再び不安定に陥らせるようなこのいわゆる盗聴法を本日成立させようとしています。私たちの意思に反し、自自公の横暴と委員長職権乱用で設定された本日の委員会ではありますが、弁護士であり、この法案に慎重な態度を取り続けられた荒木委員長強行採決などをなさらないよう、私たち国民怒りを代表して本日出席した次第です。  大臣、ちょっとお伺いいたしますが、陣内大臣聞いていらっしゃいますか、大臣はこの法案衆議院強行採決されたことは御存じですね。
  21. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 衆議院の方で粛々と法案審査をしていただいた、そのように受けとめております。
  22. 円より子

    円より子君 法を遵守する責任のある法務大臣が、衆議院強行採決されたこの盗聴法がまた参議院でも強行採決することをお望みなんでしょうか。
  23. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 国会での御審議について私からいろいろと申し上げるような立場でございません。御理解いただきたいと思います。
  24. 円より子

    円より子君 大変この法案はかわいそうな法案ですね。両方強行採決されるような憂き目に遭い、大変傷のついた形で生まれてくるわけです。  たしかマスコミ報道機関盗聴法とは呼ばないでほしいと言われた。どこかにやましさがあるからそう言われたんだと思いますけれども、こんな両方で傷つくような形には私はぜひ法務大臣としてはなさるべきではないと思います。それをしっかり申し上げて、次に進みたいと思います。  さて、この間、審議を進めるにつれ、この盗聴法問題点がますます顕著になってまいりました。立法府としては継続審議にして徹底して問題点を解明するのが国民への責務ですが、それを本日強行に打ち切ろうと与党はしています。  私たちはそれを何としても避けるつもりですが、事ここに至った今は、民主党として国民にしっかりとこの法案危険性をさらに理解してもらう必要があり、そして委員長が良心の声に従い採決強行させられるようなことのないよう、主な問題点指摘したいと思います。委員長聞いていらっしゃいますね。大丈夫ですね。
  25. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) もちろん聞いております。
  26. 円より子

    円より子君 しっかりと聞いていただきたいと思います。  この三法案は六月一日に衆議院から参議院送付されてきました。大変残念なことに、衆議院では審議は全く尽くされず、また公聴会などで国民意見を聞くこともなく、問題を積み残したまま、自民党委員長によって強行採決されるという異常な事態衆議院を通過したわけです。  参議院では、このような状態を非常に憂い、三法案問題点をしっかりと究明する必要があるとの観点から、国民立場に立った審議を行ってまいりました。しかしながら、十分な審議をし尽くしたという与党の言い分は決して認められるものではありません。  確かに、参議院では良識の府として、委員らによる対政府質疑だけでなく、参議院の会と、きょうはまた二院クラブの委員外発言を認めました。また、参考人質疑中央公聴会を開いて専門家一般国民から広く意見を聞いてまいりました。  しかしながら、私たちが要求していた総理が出席する総括質疑はいまだ開催されておりません。小渕総理は本会議で、こういった法案が通ると警察が権力を乱用するのではないかと言う人があるが、私は警察を信用しているし、違法捜査などということは決してあり得ないという趣旨のことをおっしゃいましたが、そういった総理の勝手な楽観主義では国民の心配は決して消えません。だから、委員会での総括質疑に応じることできちんと国民の疑問に答えてほしかったのです。  また、衆議院自民党委員長強行採決をした後、小渕総理電話魔でいらっしゃるということですけれども、そのときも杉浦委員長電話をなさり、よくやったとねぎらわれたそうです。もうとっても褒められてうれしかったと杉浦委員長はおっしゃったそうですが、立法府の手順と民主主義を無視したことを褒めたたえる総理態度にはとても納得できません。それも私たち総理を呼ぶ総括質疑確認したかったのですが、総理出席総括質疑はいまだ実現されておりません。  また、携帯電話インターネット傍受対象とするということで、今後の日本経済を牽引していくはずの情報通信産業の発展を阻害する危険性もあるため、私たち通産大臣郵政大臣自治大臣が出席しての連合審査を求めていました。これらの連合審査は、担当の経済産業委員会、交通・情報通信委員会地方行政警察委員会からの要求によって開かれるわけですが、民主党はそれらの委員会連合審査を要求していたにもかかわらず、与党がかたくなに拒否し、連合審査をやらせるようにはしませんでした。これについては何度も私どもの委員や他の野党の委員から委員長に、議運委員長から連合審査をしてほしいと、この法案参議院に来たときに委員長にお願いなさったはずですが、そして私たち委員会で何度も委員長連合審査をしてほしい、そういう労をとってほしいと頼んだはずですが、委員長、それはどうなっておりますか。
  27. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本日は対政府質疑でございまして、私がお答えするべきかどうかわかりませんが、お答えをいたします。  その連合審査の件でございますが、私は議運委員長からの要請は極めて重く受けとめ今回までやってまいりました。  しかしながら、本日に至るまで、もう既に参議院送付をされまして七十日を経過するという時点であり、かつ公聴会も終わり、そしてもう会期末を迎えるという段階でございます。そういう段階に至りましても、どこの委員会からも連合審査申し出はありませんでしたし、また私に対して、非公式でもそのような打診、折衝というのはなかったわけでございます。  連合審査というのは、私は、筋としては、他の委員会からの申し出を待って、その場合には議運委員長要請を誠実に体して法務委員会として行うべきである、そういう心構えで来たわけでございますが、本日に至るまで何らの申し出もないということを申し上げて、私の答弁とさせていただきます。
  28. 円より子

    円より子君 連合審査については、委員長、他の委員会で何度も理事懇連合審査をしたいと申し出がありました。それを法務委員会での審査がまだ十分でないとの理由で与党反対に回ったということを聞いております。それをもしこれから受けてやるというのであれば、この法案継続審議になさって、そして連合審査をなさればいいことであって、今ここで打ち切る必要性は何もないと思います。  では次に、与党が言いますのは、参議院では衆議院よりも長時間の審議を行ったと言っております。長時間やれば十分審議を尽くしたと言えるものでしょうか。決してそうではありません。  これまでの審議によって法案のさまざまな問題点が浮かび上がってきたわけです。新聞やテレビもそれを報道し、国民もそれが大変危険な法案であること、そして問題点が究明、解明されていないことにようやく気づいてきたところです。なぜここで、それらの問題が決して究明されたり解決されていないときに審議を打ち切ろうとするのか。  先ほど、私は理事会で、なぜこんな夜理事会を開くのか、絶対に議了して採決はしませんねと委員長に迫りました。すると委員長は、ただ審議をするだけです、そう言いました。うそではありませんね、委員長
  29. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) それは、円理事の私の発言の引用の仕方は誤解を招くと思います。
  30. 円より子

    円より子君 そうですか。どうしてですか。じゃ採決をするとおっしゃったんですか。
  31. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 私が申し上げましたのは、私が金曜日に決めましたのは、本日法務委員会を開き、組織犯罪対策三法案につきまして視察委員報告及び対政府質疑を行いますということを決めただけですということを申し上げたわけでございます。
  32. 円より子

    円より子君 じゃ、絶対にきょうは議了して採決なさらないということですね。わかりました。
  33. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) そうじゃないと言ったんです、だから私は……
  34. 円より子

    円より子君 ああ、そうですか、そうじゃない。じゃ採決するということですか。  六月一日に参議院法案が付託されてから七月三十日で六十日が経過しました。その前後から理事懇では憲法五十九条第四項の条文が頻繁に話題に上るようになりました。憲法五十九条第四項は次のように言っています。「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」、そして衆議院で出席議員の三分の二以上で再び可決した場合は法律となるわけです。  これまで百以上の法案が六十日を経過しましたが、五十九条四項によってみなし否決されたのはたった三例にすぎません。ほとんどの法案が六十日を過ぎても審議を続けましたのは、国民立場から慎重で徹底した審議を行っていたからであり、みなし否決された三例は、保安庁職員の給与等早く決めるべきものではあっても、国民生活を左右するような重要法案ではありませんでした。  今回の通信傍受法はこれからの二十一世紀の日本がどうなるかを決するほどの重要法案です。それを憲法の規定を盾にとって、私、民主党理事に対し脅迫材料のように採決しろ採決しろと自自公が言い続けたのは、むしろ国民軽視として非難されるべきことではないでしょうか。  参議院で、衆議院では明らかにされなかった問題点を明らかにし審議している最中に衆議院がみなし否決をするのであれば、それは参議院を侮辱するものであり、与野党そろって抗議する姿勢こそ参議院の存在意義であると私は思っておりました。ですから、自自公のそのような脅迫にも動ずることはありませんでした。そして、法律案のさまざまな欠陥を国民の前に明らかにしてきましたし、今後もさらなる審議を尽くしていくことが国民の利益であると考えます。  それでは、これまでの審議の中で明らかになってきたいわゆる盗聴法の主な問題点についてまとめてみたいと思います。  まず、この法案が本当に必要なのかどうかということです。これは、審議をしていく中でますますその必要性がないということが明らかになってきたと言わねばなりません。  聞くところによりますと、法務省では二、三十年前から通信傍受を可能にする法律の制定を検討されてきたということです。若い検事が毎年アメリカに留学し、彼らはアメリカで盗聴が捜査に有効だと聞かされてきました。自白が年々得られにくくなっている状況の中で、何とか日本でもこの捜査方法を取り入れたいというのが長年の悲願であったと聞いております。  しかし、本当になぜこの法律が必要なのでしょうか。  陣内法務大臣は、趣旨説明の中でその理由を急増する組織犯罪に対処するためということを言い、その最大の具体例として一連のオウム事件を挙げてきました。大臣は、某テレビ番組の中で通信傍受法があればオウム事件は防げたという趣旨の発言をなさっております。しかし、この法律があってもオウム事件は未然には防げなかったということは審議の中で明らかになりました。大臣は後にテレビ番組での発言を撤回しましたが、テレビ番組であのような発言をしたということで、国民に及ぼす影響は大変大きかったことは間違いありません。多くの国民がこの法案組織犯罪を取り締まるために、特にオウムによるあのようなサリン事件を取り締まるには大変有効だと思ったはずです。大臣のあのテレビでの発言は大変国民をだますものというふうに言われても仕方がないのではないかと私は思います。  また、与党委員は、参議院審議の中で暴力団、オウムなど昔とは犯罪の形態が変わってきており、通信傍受法があればいかにもサリン事件は起きなかったというような言い回しでやはり質問をしております。この盗聴法があってもオウム事件は未然には防げないのに防げるような言い回しをすることは、これは明らかに国民を惑わすものであり、国民の不安をあおることによってこのいわゆる盗聴法の必要性を印象づけようとする卑劣なやり方です。  さらに、組織犯罪の大ボスを捕まえるには携帯電話傍受が必要だ、だからこの通信傍受法がどうしても必要なのだということも随分言われてまいりました。ところが、携帯電話傍受は現在の技術では非常に困難であることが保坂さんの携帯電話、テレビ朝日との電話の中から出てまいりまして、技術者の参考人を呼びましたところ、携帯電話傍受は現在の技術では非常に困難であるということが明らかになりました。そうすると今度は、今後補助金を出して法案が通ってから技術開発を進めるなどということを言われました。できないことをできると言い、できないことがわかると今度はこれからやると言う、これでは全く詐欺と同然ではないでしょうか。  これと同じような答弁傍受対象報道機関を含めるかどうかという点についてもありました。政府は当初、報道機関は基本的に通信傍受対象となるという答弁をしておりました。ところが、つい先週になって、基本的に報道機関傍受対象にはしないというふうに答弁内容を変えました。しかも、それは運用で対応すると言います。つまり、法案に書かない限り、後でいかようにも対応を変えられますし、抜け道はあるというわけです。  このように、政府がころころと答弁内容を変え、妥協してくるというのは、理にかなっていなくても、何が何でもこの法案を通したいという傲慢な態度のあらわれだと私は思います。  また、ある与党委員は、覚せい剤があたかも一般市民へ蔓延しているよう印象づけるために、細かな数字を使って次のような説明をいたしました。ことし半年で押収された覚せい剤の量は千百三十二・八キロであり、これは約三千七百七十六万回分の使用量に当たる。そして、これがもしも十トンであれば約三億三千万回分となり、全国民が一年に一回以上使う計算になると言いました。  このようなばかげた仮定に基づいた説明をして、いかにもすべての国民覚せい剤汚染に関係するかもしれないような言い方をする、私は国民はそんなばかではないと思いますから、こんな扇動に乗りはしないと思いますが、組織犯罪が広がり、日本覚せい剤によって支配されてしまうかのような宣伝をするなど、国会議員として大変恥ずかしい議論ではないでしょうか。  日本国内の凶悪犯罪の発生状況は、欧米諸国と比較して極めて低い水準で推移していることは政府も認めています。(発言する者多し)
  35. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) お互いに静粛に、良識的にやっていただけますか。(「やっていますよ、こちらは」と呼ぶ者あり)
  36. 円より子

    円より子君 民主党は大変良識的にやっていると思います。  委員長、よろしいですか。
  37. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) はい。
  38. 円より子

    円より子君 日本国内の凶悪犯罪の発生状況は、欧米諸国と比較して極めて低い水準で推移していることは政府も認めています。  人口十万人当たりの発生率では、日本は、殺人ではアメリカの約九分の一です。強盗では何と百十三分の一にしかすぎません。銃器を使用した犯罪も増加していません。オウム事件に対する捜査盗聴法やマネーロンダリングの規制がなかったため十分でなかったという主張は全く論外であります。  つまり、このような与党側の質疑政府答弁からもわかるように、必要性のための根拠が全く明確ではないのです。このような説明で幾ら法律の必要性を説かれても、良識ある市民ならとても納得がいくはずがありません。これは、この法案がまともな法律ではないことを示しています。本当に必要な法律なら、偏った数字を出して脅迫めいたことをせず、普通に事例を出して普通に審議をすれば、必要性が自然に理解できるはずだからです。  通信傍受法案の成立を急ぐ理由として、国際的な要請があるということも言われてきました。しかし、いわゆる国際組織犯罪条約はまだ金融活動作業部会、いわゆるFATFですが、ここで審議中であり、採択はされていません。条約の内容がまだ確定していないのに国内法を整備するなどということは大変おかしなことです。採択された条約を批准するために、必要があれば国内法を整備するというのがこれまで我が国の通常の順序でした。特に日本は、人権関係条約の批准にはこの通常の手順すら踏まず、大変消極的で、長い時間をかけて渋々国内法を整えるという状態でありました。それなのに、なぜこのいわゆる盗聴法案の成立だけはこんなに急ぐのでしょうか。不思議でなりません。  そもそも、国際組織犯罪条約の原案では各国の状況に応じた組織犯罪対処策を広く認めており、つまり各国に任せているわけですが、私どもの日本盗聴法の制定を義務づけているわけでは決してないのです。そのような捜査手法の国際化などより、日本においては刑事手続の改革の方が先決ではないでしょうか。例えば、捜査段階における弁護士の立ち会いや証拠の全面開示など、捜査の可視化が急務です。それをしないで、なぜ通信傍受法案の成立にだけこのように執拗にこだわるんでしょうか。全く理解できません。  盗聴捜査はサミット参加国からの要請というなら、一九九八年十月に国連規約人権委員会から出された警察での取り調べの改善や死刑廃止等の勧告を無視しているのはどうしてなんでしょうか。権力を拡大するときだけ国際社会要請を持ち出しても、国民は決して納得しません。  通信傍受法案は、憲法二十一条に定める通信の秘密を侵すものであり、国民のプライバシーの権利を脅かすものであることもこれまでの審議の中で広く指摘されてきました。政府は、公共の福祉のため必要やむを得ず市民の基本的権利を制約する法律であると言いますが、とてもこの通信傍受が公共の福祉に当たるとは、また必要やむを得ずのものであるとは思えません。  法務省は報道関係者盗聴法と呼ぶなと指示したそうですが、後で、いやお願いしただけだと答弁なさっていますが、人々はこの通信傍受法盗聴法としか思えない不安を持っています。そして、盗聴は個人の内心の秘密に対する著しい侵害性を持つにもかかわらず、既に存在している犯罪の証拠物件を対象とするのではなく、これから話される会話対象とするため、強制処分の範囲が全く特定されないという特質が盗聴捜査にはあるという危惧を専門家が訴えていますが、国民もまたその不安を本能的に察知しており、その危惧は審議過程で全く払拭されてはおりません。  通信傍受法案は、このように憲法に違反する疑義があるだけでなく、刑事訴訟法の根本概念をも変えてしまうものであることも多くの弁護士や刑法学者によって指摘されました。通信傍受法案は、従来の刑事訴訟法の概念である、犯罪から犯人を求めるを犯人から犯罪を求めるものに変えてしまうものだからです。  また、この通信傍受法案固定電話を想定してつくられたものであって、インターネット通信傍受についてはほとんど想定されておりません。参考人質疑公聴会でも、この法案のままでは不特定多数のメールが警察に捕捉され、産業に悪影響を与えることが指摘されました。  インターネットを初めとする情報通信産業はこれからの日本経済にとって大変重要であり、今後ますます隆盛になるべき産業分野でありますのに、通信傍受法案はそれに逆行し、情報通信産業を萎縮させるものでしかありません。この点にもっと気づき、産業界はもっとこの法案反対してもよかったのではないでしょうか。  この点に関しても、失業率が五%にならんとする雇用不安を抱え、貸し渋りも決して解消せず、多くの人々がボーナスももらえず苦しんでいるこのときに、従来どおりの経済政策しかできず、将来の産業であるインターネットをつぶすようなこの盗聴法を数の力で押し通しては将来に禍根を残すことになるでしょう。  さらに、インターネットを使っている市民やその業者から出ている懸念として、今回の盗聴法では通信事業者内部の情報の漏えいが発生しないようにする技術的な歯どめが規定されていないことへの憂慮や、盗聴への協力にかかるコストのこと、顧客からの法的な損害賠償などのトラブルへの対処等も全く解決しておりません。  さて、国民警察に対する不信感も審議の中では払拭することができませんでした。小渕総理は、警察信頼する、通信傍受の乱用はあり得ないとおっしゃいましたが、国民はこれまでの政府側の答弁では決して警察を信用することはできないのではないでしょうか。  ことし三月二日の参議院予算委員会で、共産党の緒方元国際部長宅の電話を現職警察官が盗聴していた事件について、野党の議員がこれは警察違法捜査ではないかと追及したのに対し、警察庁長官はついにイエスとは言いませんでしたし、この法務委員会でも警察組織の犯行とは認めませんでした。  現職警察官が盗聴行為を行ったんです。東京地裁も、上司の命令なしに警察官が実行したとは到底認められないと指摘しているんです。それにもかかわらず、このように組織としての非を認めない警察がこの盗聴法ができた段階で絶対に乱用しないという保証が、ただ単に総理の信用しているという言葉だけで担保できるものでしょうか。そんなことを国民が信じられるわけがありません。  制度的に歯どめをかけてそのようなことが起きないようにするというのが人間の知恵というものでありますし、総理のリーダーとしての責任ではないでしょうか。  私たちは、総理を呼んでの総括質疑を何度も要求してまいりましたが、総括質疑が開かれず、もしこのままこの法案が継続せず、きょう委員長強行採決をして打ち切られるならば、全く総理にこの点を追及できないわけで、これは非常に残念です。国民としても心残りであり、ますます警察に対する不信だけではなく、政治に対し、小渕総理に対し不信感が募ると思います。  さて、令状できちんとチェックするとの説明も政府側からなされました。これまでも裁判所が令状請求を却下したのは〇・一%以下です。審議では、逆に令状では歯どめにならないことも明らかになりました。  立会人についてもさまざまな問題点が挙げられました。立会人に切断権を認めるべきであることや、通信事業者ではなく裁判所職員に立ち会わせることも私たち民主党は主張してきました。そうすれば、裁判官も令状審査を慎重にせざるを得なくなるからです。  傍受した通信のうち、捜査に関係のない通信の当事者には当該通信傍受した旨の通知が行かないこともプライバシー保護の観点から非常に問題です。政府は、通知すると逆にプライバシーの侵害になるなどという説明をしましたが、全くおかしな論理です。何がプライバシーなのかということを全くわかっていらっしゃらないのではないでしょうか。傍受されたことは重大なプライバシーの侵害でありますが、傍受されたことさえわからないということはさらなるプライバシーの侵害ではありませんか。このような事態がまかり通れば、日本は間違いなく互いが互いを監視する監視社会となってしまうでしょう。  通信傍受にかかるコストが膨大であることも指摘されました。特に、携帯電話傍受を可能にするためのコスト、開発費は巨額になることが参考人の質疑等で明らかになりました。  このように、まだまだ挙げれば切りがないほどさまざまな問題点が出てきますが、まとめますと、このいわゆる盗聴法通信傍受法にはその必要性、実効性、有効性、そして妥当性が全くなく、国民の影響を考えた場合、百害あって一利なしということが言えます。確かに犯罪を取り締まることは必要です。しかし、犯罪を取り締まるためにはもっと根本的な解決策が必要です。例えば、オウムの問題を解決するには脱会者の社会復帰を進める政策を打ち出すなど、さまざまな社会改革が必要ではないでしょうか。また、国際的犯罪については、日本がターゲットとなる根本的原因を解決し、縦割りではなく横のネットワークを重視した総合的な解決策が必要です。  つまり、結局のところ、犯罪をなくすためには捜査方法を強化するのではなく、国民が安心して暮らせる公正な社会をあらゆる側面から構築していくことこそが必要なのです。それこそが根本的な解決策だと私は思います。そのためには、いわゆる盗聴法の制定などという拙速な対応ではなく、省庁横断的、そしてそこに専門家や一般市民をも交えたプロジェクトチームなどを設置し、国民的議論を巻き起こしていくことが必要です。  以上が、本日議了できない最大の理由であり、先週金曜日の理事懇で本日の議了に私どもが反対した理由です。そして、きょうまたこのような時間に、大勢の人に御迷惑をかけながら委員会を開催し、そしてこれから議了、採決しようという暴挙に対し、私たちは大きな反対をいたしますが、これは委員長職権の乱用であり、強引に委員会を開催するとは、数の論理ですべてを押し通そうという考えであり、そのような数の横暴を国民は決して許さないでしょう。(発言する者多し)委員長、聞いてください。後ろでお話なさらず聞いていただけますか。
  39. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ちゃんと聞いております。
  40. 円より子

    円より子君 じゃ、結構でございます。(発言する者あり)そうですね、きっと聖徳太子でいらっしゃるんでしょう、後ろでお話をなさっていても聞いてくださっているんだと思います。  では、もう一度申します。以上が本日議了できない最大の私どもの理由であり、そして先週金曜日の理事懇で本日の議了に反対した理由ですが、それを委員長職権の乱用で強行委員会を開催するとは、数の論理ですべてを押し通そうという考えであり、そのような数の横暴を決して国民は許しません。  弁護士でもあり、国民の人権を守る観点から、法案審議に慎重であった荒木委員長の良識ある判断に、良心に恥じない判断に最後まで私は希望をつなぎ、本日強行採決をなさらないことを望みたいと思います。──聞いていらっしゃいますよね。
  41. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 聞いております。
  42. 円より子

    円より子君 はい、結構でございます。  二十一世紀はもう目の前です。二十一世紀を担う子供たちが安心して暮らせる社会をこの国がつくっていくために、二十一世紀の日本を監視社会にしないために、与党委員皆さんも再度考えを改め、良識ある対応をしてくださることを切に期待するものです。  もう一度委員長にお尋ねします。委員長、私、今ずっと……(「相手が違うだろう」と呼ぶ者あり)じゃ、大臣に聞きましょうか。法務大臣、よろしいですか。  今、私がいろいろ議了できない理由を話しましたけれども、法務大臣の御答弁ももちろん欲しいんですけれども、私は総理にも先ほどからぜひ質問をしたいと申し上げておりましたが、大臣はこの総括質疑をすることに反対でいらっしゃいますか、賛成でいらっしゃいますか。
  43. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) その点については委員会でお決めいただくことだと思います。
  44. 円より子

    円より子君 申しわけありません。今全く聞こえませんでしたので、もう一度お願いできますでしょうか。
  45. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 委員会でお決めいただくことだと思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
  46. 円より子

    円より子君 では、これは多分理事懇理事会での協議になると思いますので、委員長、ぜひ総理への質問ができるように総括質疑を開いていただきたいんですが、明確なお答えをいただけませんでしょうか。
  47. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 理事会で協議をいたします。  ただし、そのようなことであれば、どうして金曜日の八月六日の理事懇の際にそういう御主張がなかったんでありましょうか。大変私は不思議に思うわけでございます。少なくとも……(発言する者多し)
  48. 円より子

    円より子君 私どもはまず──皆さんちょっとお静かにしていただけませんでしょうか。(「理事会、理事会」と呼ぶ者あり)  私どもは、六月一日に衆議院からこの法案送付されたときに、まず質疑の日程について全体にこういう形で質疑をしていこうという提案をいたしました。そのときに、しっかりと総理を招いての総括質疑をお願いしたいと申しております。  先週の金曜日は、そういったことの話し合いもできないうちに、荒木委員長が御自分の裁定できょうの組織三法の委員会を開くと、それこそ強行なさったわけで、今ごろ、金曜日になぜ言わなかったのか、そんなことをおっしゃるとは思いませんでした。今ぜひ、もしあれでしたら今から理事懇を開いていただきたいと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  49. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 円理事に申し上げます。質疑を続けてください。──質疑を続けてください。
  50. 円より子

    円より子君 理事会を開いていただくということの確約がありましたら、私、これから質問したいと思います。(発言する者多し)
  51. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 円理事に申し上げます。質疑をお続けください。(「答えは」と呼ぶ者あり)  先ほど申し上げましたように、理事会で協議をしますということは申し上げましたが、それは今やるべきことではございませんから、質疑を続けてください。──質疑をお続けください。
  52. 円より子

    円より子君 今、理事会を開くとおっしゃいましたよね。協議をするとおっしゃいましたね。いつそれはなさいますか。
  53. 鈴木正孝

  54. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 後刻、後刻……(議場騒然、聴取不能)  鈴木君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。(議場騒然、聴取不能)    〔委員長退席〕    午後八時五十五分      ────・────   本日の本委員会における鈴木正孝君の発言の後の議事経過は、次のとおりである。    ○組織的な犯罪処罰及び犯罪収益規制等に関する法律案(第百四十二回国会閣法第九二号)    ○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第百四十二回国会閣法第九三号)    ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会閣法第九四号)      右三案は、質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。