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1999-05-20 第145回国会 参議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十日(木曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     有馬 朗人君      保坂 三蔵君     竹山  裕君  五月十九日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     佐々木知子君      斉藤 滋宣君     久野 恒一君      竹山  裕君     山内 俊夫君  五月二十日     辞任         補欠選任      藁科 滿治君     藤井 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 井上  裕君                 岡野  裕君                 久野 恒一君                 佐々木知子君                 山内 俊夫君                 吉川 芳男君                 海野  徹君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 藤井 俊男君                 藁科 滿治君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    国務大臣        法務大臣     陣内 孝雄君    政府委員        法務大臣官房司        法法制調査部長        兼内閣審議官   房村 精一君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   浜野  惺君        最高裁判所事務        総局人事局長   金築 誠志君        最高裁判所事務        総局刑事局長   白木  勇君        最高裁判所事務        総局家庭局長   安倍 嘉人君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○司法制度改革審議会設置法案内閣提出、衆議  院送付) ○外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十八日、保坂三蔵君及び阿南一成君が委員辞任され、その補欠として竹山裕君及び有馬朗人君が選任されました。  また、昨十九日、斉藤滋宣君、有馬朗人君及び竹山裕君が委員辞任され、その補欠として久野恒一君、佐々木知子君及び山内俊夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 司法制度改革審議会設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 円より子

    円より子君 民主党の円より子でございます。  社会の仕組みが高度に複雑化してまいりました。そうしますと、人間同士の摩擦や紛争も増大し、また複雑になってきておりまして、二十一世紀に必要な司法改革というものが今各方面で言われております。  当然、司法役割というものが大きくなってきていると思うんですが、そこで今回、司法制度改革審議会というものを設置なさるというふうに考えておりますけれども、今、司法現状は二割司法なんというようなこともよく言われておりますけれども、現実に、今の司法状況というものは本当に二割程度しかできていないのか、またはそうではないということなのか。それならば、今回審議会設置し、どのような改革をお進めになるおつもりなのか。今回の設置目的として、二十一世紀のあるべき司法の全体像というものをきちんとさせなきゃいけないということがその底辺にあると思うんですが、まずあるべき司法の全体像とは何か、司法改革のビジョンというものを今の現状に加えて法務大臣また最高裁からお聞かせ願えればと思います。
  5. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 我が国司法制度につきましては、これまで国民ニーズにこたえるべく、司法関係者においても最善の努力が払われてきておるものと認識しております。政府といたしましてもさまざまな努力をしてまいりましたが、国民各層からは、ただいま委員指摘のような点も含め、なお司法がその役割を十分に果たしていないなどとの観点から、司法制度改革について種々の御提言がなされていることは十分承知しております。  時代変化は激しい上、二十一世紀我が国社会におきましては、社会複雑多様化国際化等に加えまして規制緩和等社会のさまざまな変化が起こりまして、それに伴いまして司法役割は従来にも増して重要になるものと考えられます。そこで、司法機能国民ニーズにより一層こたえ得るように改革する必要がある、このように考えております。
  6. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者浜野惺君) ただいま委員指摘の、二割司法という表現はいささか感覚的でございまして、これが司法のどのような客観的な状況に対する批判なのかよくわからない点がございますが、その趣旨とするところは、国民法的紛争に直面したときに身近に相談する弁護士がいない、裁判手続がよくわからないので裁判制度を利用しにくいなど、現在の司法制度全体が国民ニーズに十分に対応していないという点にあるのではないかというふうに理解しております。  ところで、国民民事紛争に巻き込まれました場合を考えてみますと、紛争の発生から解決に至るまでの間、まず身近な相談先において法律的なアドバイスを受けて解決方法を考えてみたり、それで十分な解決が得られなければ、弁護士などの法律専門家等が間に入って簡易で迅速な法的解決方法というものを期待するということもあるのではなかろうか思われます。もっとこじれた紛争につきましては、最終段階として裁判による決着を図るということも考えられるわけでございます。私的紛争解決につきましては、国民はこのような紛争の内容、程度段階等に対応いたしました利用しやすい多様な解決方法を望んでいるのではないかと考えております。  裁判所といたしましては、これまで我が国司法は、公正な手続に基づきまして私的な紛争解決法的秩序維持を図るという使命を果たしてきたと考えております。しかしながら、社会経済情勢が大きく変化する中で、国民法的ニーズ司法制度現状を十分に把握して、歴史的、文化的背景の中で果たしてきた司法制度機能特質等を踏まえまして、改めるべきものは改め、受け継ぐべきものについてはさらに受け継いで発展させるという観点に立ちまして、実証的かつ多角的な検討をしていく必要があるのではないかと考えております。
  7. 円より子

    円より子君 確かに、最高裁の方といたしましては、一生懸命やっていらっしゃるのに二割司法などと言われては大変心外かもしれません。この二割司法とおっしゃったのは、弁護士住宅金融債権管理機構社長の中坊公平さんがおっしゃったらしいんですが、これはアンケートかららしいです。日弁連の会長をしていらした一九九〇年に、法律紛争裁判所に持ち込みますか、あなたの身近なところに弁護士がいますかといったようなアンケートで、はいと答えた人はいずれも二割だったということで、それ以外の八割の人は、司法決着をするよりも政治決着ですとか不透明な行政指導による調整とか、そんなことにゆだねているという人が多いというところから出てきたらしいんです。  今お答えいただきましたように、弁護士裁判官の数の少なさ、身近なところで利用しにくい、そういったお答えがあったように思いますが、そういったことも司法に対しての国民の側の不満が少しあるのかもしれません。また、私もこの法務委員会かなり長く属させていただいて、いろいろ質問もさせていただきましたし、他の委員からも、裁判官の数のこと、また弁護士の数のこと、また都市と地方での格差、さまざまなことを聞いております。  実は、せんだって六人の参考人の方に来ていただいてお話を伺いました中に、最も今必要なのは裁判所法務省関係予算拡大ではないかとおっしゃった方がいるんですが、この予算拡大さえすればかなりうまくいくんじゃないかとおっしゃったこの御意見に対して、大臣、どう思われますでしょうか。
  8. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法制度拡充に当たってもそうですが、法務行政全般にわたりまして、いろいろな施設等を見たりあるいは省内を見てみまして、確かに予算の点でまだ行き渡っていないといいますか相当おくれをとっているなという実感がございます。  今後、私も、また委員先生方の御理解を賜りまして、そういう面でも十分努力したいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
  9. 円より子

    円より子君 私ども法務委員会委員は、裁判官をもっとふやしたらどうかとか、何か一生懸命予算拡大に尽力しているような質問をよくするんですけれども、そうしますと、いやもうこれで十分でございますというような感じの御答弁が返ってきまして、法務省裁判所方々かなり抑制的な方々が多くて、これは大変喜ばしいことでもあるんですけれども。  いろいろ質問をさせていただいて、裁判官方々が毎年少しずつ人数がふえておりまして、一人の方がお持ちになる、担当する件数も少しずつ減ってきているということは存じているんですけれども、それでも各国の裁判官方々の感想などを見聞きいたしますと、日本の裁判官が持っていらっしゃる件数は多くて、一つ担当事件について一月に一回しか審理できない、また次の日は別のものなんて言うと、よくそれで頭の切りかえができますね、間違いませんねというようなことも言われると聞いております。  最高裁にお伺いいたしますが、人数をふやして、そして事件の数、担当事件を減らして、一カ月に一回なんというんじゃなくて、まとめて審理できるような体制があった方が、裁判を受ける国民の側も、迅速に裁判をしてもらえるし、そんなにたくさん持っていて本当に私のことをちゃんとやってくれているのかしらという不安も持たないで済むかと思うんです。そのあたりについて、これは通告していなかったかもしれませんが、司法改革の中の人員をふやすことの関連ですので、お答えいただければ、お願いいたします。
  10. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者浜野惺君) 委員指摘のとおり、特に最近、大都市を中心に民事事件系統事件が急増している状況でございます。そういうことで、裁判所といたしましても、特に平成十一年度は裁判官三十人、その前は二十人、二十人と続けて増員をお願いしていただきまして、十一年度、三十人の増員をお願いしていただいたわけでございます。  かように、事件動向を踏まえまして、裁判所といたしましても、裁判官を含めた人員の増強というものを図ってまいったわけでございますし、今後とも事件の急増の動向を踏まえまして人的な充実をさらに図っていきたいと考えているわけでございます。  委員指摘の例えば民事裁判期日関係で、月に一回しか入らないということでございますが、この点は、一つには弁護士先生の、いわば代理人の準備の都合関係、あるいは期日都合関係で、そう詰めた期日が入りにくいというような実情が実はございます。  もう一つは、御案内の新民事訴訟法というものができて、その運用定着弁護士先生方も含めて裁判所努力をしてきております。この運用の中では、集中した証拠調べというものが一つの実施の目標になってございます。昨年一年間、新民事訴訟法の施行についての運用定着のために裁判所努力してきたわけでございますけれども、その成果が少しずつあらわれつつございまして、何回もの期日にわたって証拠調べをするというのではなくて、集中的に一回の期日に、今委員指摘のとおりまとめて証拠調べをするという運用が少しずつでございますが定着してまいっておるということを御報告させていただきます。
  11. 円より子

    円より子君 今の関連で、民事訴訟だけではなくて、例えば刑事訴訟などでは、刑事訴訟規則原則としては連日開廷となっていますが、やはり月一回程度の間隔でしか公判期日が入らないというようなことを聞いておりますが、その点はいかがですか。
  12. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者浜野惺君) 確かにそういう事件も全国的にはあろうかと思いますが、大きい事件で、しかも刑事ですから弁護人の協力を得て月に複数開廷連続開廷で行っているという事例も相当全国的にはふえてきているというふうに承知しております。
  13. 円より子

    円より子君 いずれにいたしましても、ますますの御尽力をいただきたいところでございます。  国民の側から見ますと、オウムの裁判にいたしましても、さまざまな裁判が時間のかかることが多いというところで、それにかかわった方々や被害を受けた側の方々から見れば、余りにも長期化してしまうことは、やはり人権に配慮した制度とは映らないというところがございますので、ぜひともそのあたりは今後の司法制度改革審議会検討していただきたいことだと思います。  ただ予算拡大し、数をふやしたといっても、うまくいくものではないということの御指摘もまた参考人方々から受けました。その場合、裁判官の質とか弁護士検察官の質、人間を質でいろいろ評価するのは大変難しいかと思いますけれども、制度だけの問題ではないというところがございまして、例えば司法教育ということなんですが、子供のころからの国民の側の教育一つあるでしょうし、また法曹界に入る方々教育という問題もあるかと思います。  国民に信頼される司法を構築するために法曹三者にはどのような人材が必要で、またそのための研修というものはどうあるべきか、それから法曹三者としては人間的にどうあるべきかという、その辺、大変難しいかもしれませんけれども、大臣の方と、また最高裁でのお答えがありましたらお聞かせください。
  14. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) ただいま法曹の質の確保が重要であるというような趣旨お話でございますが、法曹確保されるべき質につきましてはさまざまなものがあると思われますが、国民の権利、利益の実現や法秩序維持という法曹の果たすべき役割とその職責の重大性にかんがみれば、法曹には、これからの社会ニーズに的確に対応し、高度かつ複雑な法律問題にも対応できる法律専門家としての能力や社会に対する広い視野、高い識見と柔軟な思考力、高い倫理観などが求められる、このように思っております。
  15. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) 裁判官研修等の問題について私からお答えいたします。  事件はますます複雑で難しいものがふえてきておりますし、それから専門化もしてきております。そういう中で裁判官が適正に事件裁判していくというためには、裁判官が広く社会実情に通じる広い視野と高い識見を持つということがますます要請されていると思います。次の世紀裁判所を担う裁判官というのは、そういう広い視野、高い見識を持った裁判官でなければならない、新しい問題に積極的に取り組んでいくという姿勢を持った裁判官でなければならないと思っております。  そういう意味で、裁判官に対する継続教育というのはますます重要になってきていると思いますので、今までも司法研修所に第一部という裁判官研修専門のセクションをもう大分前になりますが設けまして努力をしてまいりましたけれども、今後ともそういう努力を重ねてまいりたいと思っております。
  16. 円より子

    円より子君 今回の司法改革といいますのが、自民党と財界主導で進められたのではないかというようなことも一部で言われております。それで、大企業にのみ有利な規制緩和政策のようなものが出てきては困る、そんなことも聞いております。古い話でございますが、大正時代司法改革が当時勃興してきた産業資本利益のためのものであった、当時の弁護士もそれに気づかないままその後の翼賛体制に組み込まれていった、そういったことをおっしゃる方もいらっしゃいます。  それで、私が先ほどから質とかそういうことをお話しさせていただきましたのは、やはり法曹界方々がしっかりと人権のとりでであるという人権擁護の部分というものに、もちろん今もそれをきちんと念頭に置いてやってくださっていることはわかっておりますけれども、なおそのあたり尽力していただきたいと思いまして質問させていただいているんです。  今、裁判官についてはというお答えがございましたけれども、例えば少年部における家庭裁判所裁判官の質の低下ということが随分指摘されているそうでございます。今度、少年法がさまざま改正されるされないということでずっと国民方々も関心を持っていらっしゃいますけれども、子供と向き合って子供意見を聞くことができない人たち、また子供の成長、発達の支援のために何をすべきかということを単独でなかなか判断できない人たちが多いのじゃないか。  このあたりの家裁でのことなどを考えますと、家庭裁判所で、裁判官だけではなくて調査官増員がもっと必要かもしれないとか、それから子供の虐待というような問題につきましても、裁判官調査官方々かなりこのあたり研修をしてくださり、また質的、量的な充実をしてほしいという声が随分上がっているんですけれども、これは質疑通告しておりませんが、一応これから審議会ができて司法改革というときに、もしかして忘れられがちな子供関係少年部家事部の人的、物的拡充や質の問題等審議に入ればいいなというふうに考えております。  そして、その中で、先ほどから弁護士の数、それから裁判官の数、そういったことを話してまいりましたけれども、こういった人的な問題以外に、経済的に困っている人たち裁判費用を用立てる法律扶助制度、これも随分この委員会では拡充をすべきであるということも言われてきました。また刑事被疑者弁護援助制度をつくるべきだということ、それと同時に少年事件付添扶助制度、こういったものも、今子供のことをお話しさせていただきましたけれども、国民という概念の中には必ず子供が含まれておりますので、子供人権救済における司法役割を前進させる、こういったことを課題にしてほしいと思うんですが、これは大臣にお聞きした方がよろしいでしょうか。子供人権という面での審議もぜひしてほしいという私の要望でもあり国民方々要望でもありますが、いかがでしょうか。
  17. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 先生お尋ねのように、被疑者弁護の問題、これはいろいろ御議論があるところでございます。今回の少年法改正案作成過程におきまして、少年に対する弁護の問題というのも改めて論議の対象になったわけでございます。法案の中では、検察官が関与いたします場合には、少年弁護士がついていない、弁護人がいない場合にはそれを国でつけるというような法案になっておりますが、そのほかの場合につきましても、法制審議会で今後も検討課題である、検討すべきであるということで論議されておりました。法務省としても重要な検討課題であるというふうに考えているところでございます。
  18. 円より子

    円より子君 それでは、またもう一度審議会の方に戻ります。  この司法制度改革審議会が今回内閣設置されますが、内閣設置されるということについてお聞きしたいと思います。これは国会直属とすべきだとおっしゃった参考人もいらっしゃるんですけれども、このあたり内閣設置する意義、根拠についてお伺いできますか。
  19. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この審議会は、司法という国政の基本にもかかわる重要な事項について調査審議することを目的としておるものでございます。このような審議会国会設置するということも一つの考えではあろうかと思いますが、国家の総合的施策のあり方を検討するとともに、立法的及び財政的措置が必要な場合もございまして、そのための方策を実施することを責務とする立場内閣に本審議会設置するのが適当であるというふうに考えたわけでございます。
  20. 円より子

    円より子君 それでは、委員の構成なんですが、十三人となっておりますけれども、これは果たして適切な人数なのか。十三人となさった根拠を教えてくださいますでしょうか。
  21. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この審議会は、国民的見地から、二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、そして司法制度改革と基盤の整備に関して必要な基本的な施策について調査審議することを目的としておるわけでございます。こういう本審議会目的に照らしますと、その委員の数については、司法関係者を含めまして国民各層意見を適切に反映できるように構成する必要があるわけでございますが、加えまして、審議充実効率性確保するという見地から、十三人とするのが適当であろうというふうに判断したわけでございます。
  22. 円より子

    円より子君 十三人以上だと議論が紛糾するだろうし、適切な数だとおっしゃった参考人もいらっしゃいました。  それでは、どういった人材というか、どういった方々がその十三人の委員になられるのか。どのような人選を考えて十三人にされたのか、そのあたりをお聞かせ願えればと思うのです。
  23. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) どのような有識者を選任すべきかということについてでございますが、司法を利用する側の立場から、例えば経済界労働界、それから消費者等国民各層からふさわしい有識者を選ばせていただきたい、このように考えておりますし、また、審議事項司法にかかわる事項になりますから、司法関係者法律学者を選任する必要もあると考えております。
  24. 円より子

    円より子君 この件についてもさまざまな御意見が今出ておりまして、例えば矢口洪一元最高裁長官は、行政改革会議がメンバーに役人を一人も入れなかったことから学ぶべきだとおっしゃっていらっしゃいますし、今大臣がおっしゃったように、利用される側の方々を入れていただくということはとても大事だと思います。  それと同時に、この審議会の中の論議公開されることが大事だと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。
  25. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 審議会審議公開につきましては、従来から政府基本方針として、中央省庁等改革基本法におきましても公開原則がうたわれております。また、衆議院法務委員会における本審議会設置法案可決の際の附帯決議におきましても、本審議会の「調査審議状況に関し、情報公開等透明性確保に努めることとし、法務委員会は、必要に応じ、同審議会事務局を介して、同審議会議事録並び審議状況について報告を求めることができる」旨決議されているところでございます。  したがいまして、審議会における具体的な公開方策については、審議会において、これらの中央省庁等改革基本法趣旨衆議院法務委員会附帯決議等を踏まえて適切に対応されるものと考えております。
  26. 円より子

    円より子君 事務局体制についてお伺いいたします。  いろいろ事務局の側が議論のレールを敷いてその上を走らせようとするような審議会等があるということをよく言われておりますけれども、そういったものであってはならないということで、審議会の運営に事務局の関与は排除すべきだ、そういった御意見もあちらこちら、新聞にもまたさまざまな各界からも出ていることは御承知のとおりだと思いますけれども、今度の事務局体制をどのようになさるかについてもお伺いしたいと思います。
  27. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 事務局役割というのは、司法制度改革審議会審議のための資料の調査、収集、整理、分析及び審議結果の整理等の職務を行うなど、審議会において委員による十分な審議が行われるようにその補佐的な役割を果たすべきものであると考えております。それにふさわしい知識等を有している者を充てることが必要であるわけでございます。もとより、事務局審議会調査審議を方向づけたり、誘導するようなことがあってはならないと考えております。
  28. 円より子

    円より子君 この審議会は一応二年という期限の中で司法改革をある程度進めたいということでございますが、確かに十年もやっていては今の世の中に間に合いませんから、二年というのがちょうどなのかなという感じはしております。問題が山積しておりますから何を優先するかというのは結構難しいんではないかと思いますが、ある程度こういったことをという、今回の二年間で審議すべき大枠がおありかと思うんですが、いかがですか。
  29. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法制度改革我が国の喫緊の課題でございます。司法制度改革におきましては二十一世紀司法のあり方を審議していただくわけでございますので、二十一世紀に入ってできるだけ早い時期に審議会の御意見をいただき、これに基づいて速やかに具体的施策を講じていく必要があるということから、一応二年を期間としてお願いしようとしているわけでございます。  それで、この審議会でどういうテーマが審議のテーマになるかということでございますけれども、これは今申し上げましたように、二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにして、司法制度改革と基盤の整備に関し必要な基本施策について国民的見地から調査審議していただくわけでございますが、この具体的な審議事項につきましては、この審議会において審議を通じて明確にしていただくことが適当であると考えております。  その審議テーマとしましては、衆議院におきまして、本設置法案の修正の際に盛り込まれた「国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民司法制度への関与、法曹の在り方とその機能充実強化」等が取り上げられていくものと考えております。
  30. 円より子

    円より子君 国民がより参加しやすい司法ということで、例えば、陪審・参審制度の実現ですとか、先ほど言いました法曹人口の増員司法予算の増額等はもちろんなんですが、法曹一元ですとか、また法律扶助制度拡充ですとか、そういったさまざまなことが話し合われるというふうに考えてよろしいわけですね。
  31. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そのようなテーマが取り上げられるのではないかと思っております。
  32. 円より子

    円より子君 とにかく、先ほどお話しいたしましたけれども、法曹界方々教育だけではなくて、私たち国民の側もしっかり司法に参加する力を持たなければいけないという気がしております。子供のころから私たちはどうも法律に疎いとかそういったところがあるかもしれませんので、小さいころから、政治もそうですけれども、裁判ですとか検察ですとか弁護士ですとか、そういった司法の世界になじめるような状況をつくり出した方がいいのではないかというふうに考えているんですが、子供たちの教育とか国民の側に司法の力をつけるということについて、今後文部省などとの関係もあるかもしれませんが、大臣としてはどんなふうなことを考えていらっしゃるかお聞かせ願えれば、お願いいたします。
  33. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 大事な御指摘をいただいたと思っております。  二十一世紀我が国社会において、司法国民に身近な存在としてその役割を十分に果たしていくためには、司法の意義、役割、その重要性等につきまして広く国民に御理解をいただく必要性が一層高まっていくものと考えております。  法務省といたしましては、司法に関する広報活動のあり方等について一層の意を用いるなど、国民によりよく司法を理解していただくため今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  さらに、司法制度改革についての各界の提言中には、委員も御指摘のように初等中等教育における司法についての教育のあり方について言及するものも少なくありませんので、この点も重要な検討課題一つであると認識しております。
  34. 円より子

    円より子君 ありがとうございました。  私の質問を終わります。
  35. 海野徹

    ○海野徹君 民主党の海野であります。数点質問させていただきます。  現在の司法制度現状認識についてということで質問させていただきますが、その前提として、今回の司法制度、なぜ改革を求めるか。人権が最大限尊重される社会の実現に努力する、あるいは身近な司法制度の構築に取り組むというような大命題があるかと思います。司法のあり方を論ずる、あるいは司法制度のありよう、また、要するに法律というのは我々人間人間らしくより豊かな生活を送るための仕組みですから、そういった意味では極めて哲学的な議論になるんではないかなと思います。そういう哲学的議論をしなくちゃいけない司法制度改革審議会、これは大変なことだなと思いますが、まずその点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  36. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 我が国司法制度につきましては、その機能を十分果たし、国民に利用しやすい適切な紛争解決手段を提供すべく、この点につきましては司法関係者において最善の努力がされているものと認識しております。  政府におきましてもさまざまな努力をしておるわけでございますが、なお司法国民に身近なものになっていないなどの御指摘も含めまして、国民各層から司法制度改革についての種々の提言がなされているというふうに認識しておるわけでございます。  そこで、昨今の時代変化が激しい中で、間もなく二十一世紀を迎えようとしておるわけでございますが、その社会というのはますます複雑化、多様化し、国際化も進み、また規制緩和等の面からもさまざまな変化が起こってくるということで、司法役割は従来にも増して重要なものになると考えられます。こういうものについてのあるべき姿という点については、委員指摘のように一つの理念、哲学というか、そういうものが必要であることはそのとおりだと思っております。そういうものを踏まえて私どもも取り組まなきゃいけませんけれども、さらに国民的な論議をいただく意味から、司法制度改革審議会設置して、二十一世紀へのふさわしい司法制度のあり方を確立していきたいと考えております。
  37. 海野徹

    ○海野徹君 国会というのは哲学を論議する場じゃなくて、国会議員が哲学を持って行動する場ですから、そういった意味では審議会、期間、あるいは人選というのは非常に哲学的にすぐれた人をお選びいただきたいなと思うわけなんです。  これは通告していないものですからまことに恐縮に思うんですが、どうしても確認しておきたいことがあります。これは総理がお話ししているわけなんですが、人権が最大限尊重される社会ということがこの司法制度改革審議会一つの大きな方向、命題になっているわけなんです。人権というのは、どんな状況下でも、どんな人に対しても断固として守られるべき最大の価値観だと思います。思想とか信条とか政治観、あるいは言論、表現の自由も立場によって制限されるものでは全くない。守るべき人権について差がつけられてはいけないと思っていますが、どうもいろいろ我々を取り巻く現状を見てみますと、特定の人々の人権がほかの人々の人権よりも重んじられているという実態があるんではないか。これは私の誤解だったら、危惧だったらいいんですが。  そういう人権論、ダブルスタンダードというようなことがときどきマスコミにも登場しますし、我々の世界でもそれでいいのかなというような危惧の念を持つことがあるんですが、その点について、大臣何か御見解はありませんか。
  38. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今委員指摘のように、人権を擁護するということはもう一番大事な基本的な立場でなければならないと思っております。  それで、今回の司法制度改革目的というのも、先ほど来申し上げましたように、社会複雑多様化していく、あるいは国際化等に加えまして、規制緩和等の推進によって社会が事前規制型から事後チェック型に移行していくわけでございます。このような社会において、利用者にとって利用しやすい司法の実現を図ることは、これは人権を守るという意味でも大事なことでありますし、また司法がルールの維持という役割を十分果たすことによりまして、社会的弱者の保護、救済、人権確保が図られるというふうに考えておるところでございます。
  39. 海野徹

    ○海野徹君 この問題は私の単なる誤解であればいいかと思うんですが、今私は人権のダブルスタンダードがあるかないかということをお聞きしたかったんですが、その辺は私が単なる危惧の念としてとらえているということで御理解いただきたいと思います。  それでは、司法制度現状認識、各論に入っていきたいと思います。  日本国憲法、三権分立、これは基本原理でありますから、法の支配を実現するという役割が当然司法にも期待されております。そういうものがどうも機能していないんではないか、この憲法の理念が機能していないんではないか。特に、立法裁量や行政裁量が絡む事件においては、司法の方が過度に抑制的になっているんではないかな、大きな行政、一方で小さな司法というような体制が温存されているんではないかなというような指摘があります。このことについて大臣の見解はどうだろうかということが一点であります。  二点目は、先ほど委員からも話がありました二割司法、これ二割か三割かというような数字的な問題は別にして、なかなか利用しにくい、むしろかなり利用しにくいシステムになってしまっている。特に行政訴訟、これはもう優先的に行政側が、優先的というか一方的に行政側が勝っている。国民というのは泣き寝入りしているのかな、そういうことが多いのかなということもあります。その点について御見解をお伺いしたい。  もう一つは、身近な司法の構築。身近な司法の構築と言われたら具体的にどんなことをイメージできるのか、今できていないとしたらそれが具体的に何なのか、どこに原因があるのか、歴史的な背景は何なのか、その点について御見解をお伺いします。
  40. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 我が国司法制度につきましてはいろいろな御批判があるのは承知しておりますけれども、私どもといたしましては、その機能を十分果たし、国民に利用しやすい適切な紛争解決手段を提供すべく、司法関係者において最善の努力をしていただいているというふうに認識しておるところでございます。  しかし、委員も御指摘のように、いろいろな御意見もあることは承知しておりますので、二十一世紀に向けて司法国民により身近なものになっていくように司法制度のあり方について十分な論議が必要である、このように認識したわけでございます。  その中で、これからどういう問題を具体的に審議して改善の方向を打ち出すべきかということにつきましては、この審議会審議の中で方向づけをしていただくように、私どもとしてはこの審議会に期待をしておるところでございます。
  41. 海野徹

    ○海野徹君 私が答弁していただきたいのは、法の支配が機能不全かどうか、大臣はどう思っていらっしゃるか。その二割司法とやゆされるような状況が現実にあって、そう認識しておられるのか。あるいは利用しにくい制度だというような批判がある、指摘がある、それについては大臣の率直な御意見はどうなのか、それを聞きたかったんですけれども、いま一度お願いしたいと存じます。
  42. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) これは先ほどちょっとお触れしたつもりでございますけれども、司法関係者においては最善の努力をしておられるという基本的な認識を持っております。  ただ、法曹関係者が少ないということで、地方において弁護士さんにお願いするにしてもなかなか簡単にお願いできないとか、またちょっと国民司法になじみにくいという実態は、私も地方に住んでおりますのでよくわかりますので、そういう点についてこれからさらに改善していく余地があるなと。そういう改善の中で、今委員が御指摘になったような懸念があるとすれば大幅に改善が可能になるんじゃないかと期待しております。
  43. 海野徹

    ○海野徹君 私の指摘したようなものがあればということなんですが、では政府委員の方の答弁はどうでしょうか、今の三点について。
  44. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいま大臣が答弁をいたしましたように、司法に携わる者、それぞれ国民に満足していただけるよう最善の努力をしているつもりでございます。何といっても司法国民に利用していただくという制度でございますので、この利用者の国民司法制度をどうとらえているかということに謙虚に耳を傾けて、改善すべき点があればでき得る限りの改善をするということが当然要請されるのだろうと思っております。私どもとしても、日ごろからそういう努力はしているつもりでございますが、それは必ずしも十分その声を酌み取っていないかもしれません。  そういう点も含めまして、このような審議会の場で国民的な見地に立って、国民各層から選ばれた委員方々司法の問題について突っ込んだ論議をしていただくということは、私ども司法に携わる者にとっても非常にありがたいことだろうというぐあいに考えているところでございます。
  45. 海野徹

    ○海野徹君 なかなか期待するような答弁が出てこないんですが、改革をしようということでいろんな検討課題が出てきています。法曹三者の中でも協議が逐一行われているやに聞いておりますし、部分的な改良とか改正に向けての努力が十分なされていると思います。  そのことは多としながらも、今、現状を聞いたわけなんですが、我々国民にとっても非常に関心が司法に対して薄いということは事実であります。その原因がどちらにあるのか、国民側にあるのか、あるいは皆さん方の方にあるのか、そういう問題もあろうかと思うのです。これはやはりある意味では日本の統治システムに大きな欠陥があるのではないかと思うのですが、その点について大臣の御見解はどうでしょうか。
  46. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) いろいろな論議の中に、法曹一元化の問題とか、国民が身近に司法を利用できるようにする、また迅速適正な判断が下るようにしてもらいたいとか、いろんな要請がございます。  そういう問題を解決していくためにはいろんな取り組み方が必要であるわけでございますが、こういったものがこれからの司法制度改革審議会の中で十分論議され、それを私ども改善の方に向かって適切な施策に反映していかなければならないと考えております。
  47. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、これは私の意見を交えてお話しさせていただきますが、今回の司法制度改革目的というのは、ある意味ではいろんな紛争処理をする、要するに基盤整備だけ、機会をふやすということだけじゃない。先ほど質問しましたように、本来法の支配、その理念がとにかく拡充、発展することだというふうに思っております。そうだからこそ哲学的論争をしてほしいということを言っているわけなんです。  私は、改革目的をそう理解しておりますが、その点について、大臣の御見解をお伺いします。
  48. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法の支配が大事であるということは、もうそのとおりでございます。そのために、特にこれから事前規制型から事後チェック型に社会のありようが変わっていくわけでございますので、司法のルールをきちっと明らかにして、それが十分維持できて、国民の権利、法秩序維持が図られるようにしていくのは当然のことだと思っております。
  49. 海野徹

    ○海野徹君 先ほど委員からも内閣設置する理由ということで御質問があったわけなんですが、内閣設置するということになると、この法務委員会役割はどの程度あるわけなんですか。
  50. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法制度改革審議会というのは、司法制度の利用者である国民各層の視点に立って、二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を見据えまして、司法制度全般について幅広く調査審議するために内閣設置されるわけでございますが、この審議会における審議状況につきましては、法務委員会国会からの求めがあれば審議会から適切な形で報告がなされるものと考えておるわけでございます。  また、この審議会司法制度改革と基盤の整備に関し必要な基本施策について調査審議を行い、その結果を踏まえまして講じられる施策に関して具体的な立法化を図る段階で、立法府として法務委員会において御審議いただくことになるということは当然のことだと思っております。
  51. 海野徹

    ○海野徹君 我々はこの設置法案審議して、これについて皆さん異論はないかと思うのですが、私も改革するということについては賛成しております。それで、採決してこれで終わってしまって、それ以降については我々法務委員会が関与するということは具体的には余りないのですね。
  52. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 審議会審議の途中におきましても、委員会に対して必要に応じて事務局から御説明を申し上げるということは衆議院の方で御報告したわけでございます。そのような中で、あるいはまたこの委員会審議状況などにつきましても、審議会としてもそれを見ながら十分審議をしていただけると思いますので、委員が御懸念のように、この法案を通してしまえばそれで審議会委員会委員先生方の間に関係が薄らいでいくのじゃないかということでございますけれども、私はこの委員会審議経過というのは適切に審議会においてもお酌み取りいただけるのじゃないかなと期待しております。
  53. 海野徹

    ○海野徹君 せっかくこういうような議論をしているわけですから、我々法務委員会が何らかの形で関与できるようなことはお考えいただけませんか。そういうものを明文化するといったらあれかもしれませんが、何らかの形で規定するということのお考えはございませんか。
  54. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 審議の進め方については、審議会において協議してお進めいただけると思います。そういう中で、ただいま委員の御発言のようなものも十分参考にしていただけるのではないかと思っております。
  55. 海野徹

    ○海野徹君 国会が国権の最高機関でありますし、我々国民から選ばれているわけですから、しかも大変重たい議論審議会は二年間でやろうと。後で二年間の問題もするわけなんですが、やはり何らかの形で我々法務委員会が関与すべきだ、我々は発言すべきだ、いろいろ審議状況の報告を受けるべきだと私は思っていますが、その点については意見として申し述べておきます。  二年間ということ、これはいろんな方々から議論されていると思います。例えば法曹一元制度についても、前回、三十七年に臨時司法制度調査会が内閣にできて、三十九年に意見書を出して、まだ条件が整備されていないというような話があります。それから三十七年間いろんな条件整備が図られてきたと思うんです。  このこと一つとっても、三十七年間かかってまだどうだろうか、あるいは慎重な御意見もあるやに聞いております。こうなると、いろんな問題、検討事項がメジロ押しの中で、二年間というのは余りにも短いのではないか。しかも、検討項目についても審議会の中でいろいろ議論していただく、哲学的論争に時間を割かなくてはいけない。その中でプライオリティーをつけながらやっていくということになると、二年間というのは余りにも少な過ぎるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  56. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法制度改革というのは我が国の喫緊の課題でございます。司法制度改革審議会においては、二十一世紀司法のあり方を審議していただくわけでございますので、二十一世紀に入ってできるだけ早い時期に審議会の御意見をいただきたいと考えておるわけでございます。この審議会において速やかに具体的施策を講じていく必要がありますので、審議期間としては二年間が相当であると考えたところでございます。
  57. 海野徹

    ○海野徹君 大変言葉じりをとるようで申しわけないのですが、喫緊の課題、すぐ検討してすぐ実施できるものは幾つかあると思うんですよ。それは別に審議会議論しなくてもやらなくてはならない明確な課題として浮かび上がっているのじゃないか。そうではなくて、本当にやらなくてはならない国のありように関係する法のあり方、そういうことを考えると、やはりどうしても二年間というのは余りにも短過ぎて、喫緊の課題ということだけ吸い上げてこれでよしとして終わってしまうということがどうも懸念されるのですが、その点どうでしょうか。
  58. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二年間という間に十分審議を尽くしていただいて所期の目的を達成していただく、最大限の努力を私どもとしてはお願いしたいところでございます。
  59. 海野徹

    ○海野徹君 私は先ほどから何回も言っていますが、大変な重たい課題、とにかく二十一世紀の日本のありよう、国民生活のありようがそこでイメージされてくるわけですから、何段階かに分けて改革を行っていく。今まで日本人というのは部分的な改良を重ねれば全体もそれによってよくなっていくだろうというような感覚で、これは商品開発も製品開発もそんなところがあったんですけれども、だから部分的に改良することについては非常に技術的、能力的には高いものがあると思うんですが、どうも枠組みを論ずることというのは非常に苦手かなと。それをあえてしなくちゃならないのが今回のこの審議会だと思うんです。  そうなったら、やっぱり数次的に段階を追ってやっていくべきである。五年とか十年とかそのぐらいの期間でプログラムを組んで目的検討項目を特定化して、そして国民が十分参加できるようなシステムをつくりながらやっていくべきじゃないか。重ねて質問しますが、御答弁をお願いします。
  60. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二十一世紀のあるべき姿、これを長期的に見通した上で、今おっしゃいましたように、中には直ちに改革に着手していくもの、中期的に解決するもの、そういうものも必要だと思います。  しかし、いずれにしましても、全体の方向づけ、枠組みというのを見定めた上での部分の改善が必要じゃないかと思いますので、委員お話のような姿でこの審議会審議なりあるいはそれを受けての法務省の対応というのは行われていくべきであろうかと思っております。
  61. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、次の質問に入ります。  法曹一元制度の採用について、私は採用すべきだという観点からお話しさせていただきたいんですが、これも先送りされて、三十七年間ずっと議論を重ねてきたんじゃないかと思います。参考人質疑の中でも、もう既に実験段階だ、やるべきだという方が、私が聞いている限り全員そうだったんじゃないかなと思うんですが、法務大臣の御見解をお伺いします。
  62. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法曹一元制度の前提条件といたしましては、法曹人口を飛躍的に増加してもらう、今弁護士さんの地域的分布が偏っておる点がありますので、これをやっぱり平均化していただく、こういった多くのことが必要だというふうに指摘されておるわけでございます。  政府におきましても、これらの事項に関しまして司法試験合格者の増加を図るなどの施策を講じてまいっておるわけでございますが、現状においてはこれらの諸条件が整備されているというふうには言いがたいと考えるわけでございます。  しかしながら、司法制度改革に関する各界の提言の中にもこの制度について言及するものが少なくございませんで、この司法制度のあり方についての一つの考え方として広く国民意見を踏まえまして議論される必要があると考えるわけでございます。
  63. 海野徹

    ○海野徹君 三十七年間いろいろ議論されながら、大変重要な課題だと言いながらまだ条件が整備されていないとしたら、そのことについて皆さん方の努力はどの点にどう具体的になされてきたのかお聞かせいただきたいと思います。この問題については、その前に最高裁からも答弁を求めたいと思います。
  64. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) いわゆる法曹一元制度、これは主張する人によって多少内容が違うところもあるようでございます。一般には弁護士の中から裁判官を選任する制度というふうに理解されておりまして、御指摘の三十九年に出ました臨時司法制度調査会の意見書でもそういう前提で意見が出ているわけでございますが、その中で、「これが円滑に実現されるならば、我が国においても一つの望ましい制度である。しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだに整備されていない。」という認識を示しているわけでございます。  法曹一元の制度我が国におきましても、これはもともとは英米法系の国の制度でございますけれども、こういう制度が「一つの望ましい制度である。」というこの臨時司法制度調査会の意見そのもの、この部分については特に最高裁としても異論を持っているわけではございません。  ただ、法務大臣の方からも御答弁ございましたけれども、その条件整備の点についてはまだ整備されていないんじゃないかという指摘があるということでございまして、例えば弁護士の地域分布の平均化、こういった点はやはりまだ改善が進んでいないということは余り異論がないところではないだろうか。  法曹一元制度はたくさんの弁護士の中からすぐれた人を裁判官に任命する制度でございますので、裁判所があるところ、所在地の都市とかその近辺に任命されるべき裁判官の何倍もの弁護士が存在するということを前提にしていると思うわけでございます。  裁判所はもちろん大きな都市ばかりにあるわけでございませんで、全国的にいろいろな都市にあるわけでございますが、全国的に見ますと、今言いました前提条件というものを満たしているかどうかということは大変疑問ではないか。  それから、弁護士の執務の共同化などということも臨司の報告書の中に出てきておりますが、こういう点も果たしてどのぐらい進んでいるのかというふうな問題があろうかと思っております。
  65. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 委員指摘法曹一元の制度の前提条件として、臨時司法制度調査会意見書では、法曹人口の飛躍的増加、弁護士の地域的分布の平均化等、弁護士に対する国民の信頼度の向上、弁護士の職域拡大法曹国民生活との親近性、国民の法意識の向上、弁護士の公共的性格の強化等、弁護士の執務の共同化、検察官の職務内容についての改革裁判官の職務内容についての改革裁判官の待遇の改善等、それから精神面における法曹一体感の強化と、実に十二項目を掲げているところでございます。  ただいま申し上げた各項目については、法曹一元の制度を抜きにいたしましてもそれぞれある意味では追求されるべき課題ではないかと思っております。法務省としても従来こういう項目について、例えば法曹人口につきましては、司法試験合格者、当時は三百人に満たないような人数であったものを順次ふやしておりまして、ことしから一千人にふえるというような努力をしているところでございます。そのほか、現在も弁護士方々の職域あるいは執務の共同化等についてもいろいろの努力をしているところでございます。  ただ、この臨時司法制度調査会で指摘された諸条件が満たされているかということになりますと、やはり現状においてもまだ法曹一元を実現できる程度には達していないであろうと認識しているところでございます。
  66. 海野徹

    ○海野徹君 その十二項目の条件、その中で皆さん方の方で努力されてやってきた点、幾つかあるとは思うんですが、それがすべて整備されてから採用される、それも一つの考え方だと思うんですが、ある意味ではそれが採用されることによって整備が促進されていくという側面があるかと思うんです。  その点について、もうこの際思い切って導入すべきだと私は思うんですけれども、これは改革論議されるべきなんですが、その点についてもどうも御努力がまだまだ不十分であったのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  67. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この意見書で指摘されている項目の中には、例えば法曹国民生活との親近性というようなものがあることによって法曹一元がうまくいく、あるいは逆に法曹一元が実現されればそれが深まるというような事柄もあろうかと思います。  しかし、同時に、法曹人口の飛躍的増加あるいは弁護士の地域的分布の平均化というようなものは、これは法曹一元を採用する当然前提となる事項でございますので、やはりそういうものを無視して法曹一元を直ちに実現するということは非常に困難かと思います。そういう点から、この臨司の意見書においても前提条件が満たされていないと判断をされたのではないかというぐあいに考えております。
  68. 海野徹

    ○海野徹君 別な観点からお話ししますと、本当に大切なことは、裁判所、検察、弁護士、そういう方々が我々のような普通の人間の世界に近づくことが大事じゃないかと思います。法や社会正義の実現というのは、法曹界だけでやっているのではなくて、どんな人たちもそれぞれの立場でやっているわけです。だから、ある意味では一般の国民の上に立って裁く者という特権意識を離れていくこと、それが真の司法改革だと思うんです。そういうものが今度の改革審議会議論されるべきだと思うんです。  そういった意味で、法曹一元制度というのは、その方々の側から消極的な姿勢があるということではございませんね。その辺についてお聞かせください。
  69. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 先ほど大臣がお述べになりましたように、まさに司法一つのあり方であることは間違いございませんし、臨時司法制度調査会におきましてもそれなりに真剣な議論がなされた制度でございます。  私どもとしては、この条件につきましても、どういう状況にあるかということを含めて国民的な議論をしていただければというぐあいに考えているところでございます。
  70. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、次にお伺いします。  国民司法参加ということなんですが、陪審制度あるいは参審制度についてはやはり大きな議論を呼ぶところだと思うんですが、この点について法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  71. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 御指摘の陪審・参審制度の導入につきましては、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義があるといった提言がなされていることはよく承知いたしております。  この問題につきましては、我が国司法基本にかかわる問題でございますので、広く国民意見を踏まえて、そのような制度による裁判に対する国民の信頼の確保、あるいは陪審員等としての責務を負うことについての国民の理解など、種々の観点から慎重に議論される必要があると考えております。
  72. 海野徹

    ○海野徹君 国民主権ということが具現化される中では、どうしてもこういうものが必要になってくるのではないかと私は思います。それだけにこの導入をどうしても今回の制度改革で実現してほしい。だから、ある意味では法曹一元制度、そして今回の陪審・参審制度、こういうものが議論の中心となっていくべきだ、このことだけで二年間議論を費やしてもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  73. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今回、衆議院の方で修正をしていただいた中にも国民に身近な司法制度ということがあるわけでございますが、その意図するところは、参審・陪審制度あるいは法曹一元化、こういったものを十分審議会のテーマとして論議していくべきじゃないかという御意思のあらわれだと理解しております。
  74. 海野徹

    ○海野徹君 審議状況国民に逐一報告する、これも十分必要なことだと思うのですが、具体的にどういうような努力をなされようとしていらっしゃるのか、大臣から答弁をいただきたいと思います。
  75. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 審議会審議状況公開につきましては、従来からの政府基本方針としておりまして、中央省庁等改革基本法においても公開原則がうたわれております。また、衆議院法務委員会における本審議会設置法案可決の際の附帯決議におきましても、本審議会の「調査審議状況に関し、情報公開等透明性確保に努めること」、そういう趣旨の決議をされているところでもございます。  審議会における具体的な公開方策につきましては、これは審議会において、これらの中央省庁等改革基本法趣旨衆議院法務委員会附帯決議等を踏まえて適切に対応していただけるものと考えております。
  76. 海野徹

    ○海野徹君 その辺は審議会任せということで、具体的に大臣の方から何か担保すべき、こういうことをとにかくやってほしいというような要請ということはお出しになることはございませんか。というのは、我々が法案を上げたらそれでおしまいということになっては非常にこれはもったいない話でありますし、それを避けたいということがありますから。
  77. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいまの審議状況公開の点でございますが、この審議会は、言うまでもなく内閣に附属して置かれる内閣の補助機関でございます。その内閣基本方針ができ得る限り審議会等審議状況については公開をしていくということではっきりしておりますので、これは審議のあり方を決める審議会において当然適切に対応していただける。現に、現在行っております審議会においてもそれぞれでき得る限りの公開のための措置をとっているところでございます。  このような国会での審議状況も当然審議会委員方々は認識をされて、その審議公開に当たる措置をお決めになるというぐあいに私どもは考えております。
  78. 海野徹

    ○海野徹君 それが進んでいけば、当然いろんなことが公開されて、そして我々の意見が反映されて、答申がなされていくということが結果として出てくるわけなんです。そして答申を尊重しよう。しかも、内閣がこれを進めるということになりますと相当重たいことであります。とにかく答申が出たら、それは予算措置もします、制度もつくります、その方向に向けていついついかなる状況で達成しますということが出てくるかと思うんですが、それに対して法務委員会あるいは法務大臣としてはどういうふうに答申尊重を担保していくんだと。そのために委員会としてはどういう意見を今述べようとか、あるいは大臣としてはどういう意見を述べていこうというようなお考えはありませんか。
  79. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 内閣の一員でございますので、必要に応じてこの審議会に対して意見を申し上げる立場にあろうかと思いますし、また審議会審議状況につきましては、先ほど来御説明申し上げましたようにこの委員会に対しても報告がなされるわけでございますので、そういったものに対する委員会としての審議状況、これも十分視野に入れて審議会としても審議を進めていただけるものと思っております。
  80. 海野徹

    ○海野徹君 それでは次に、利用しにくいということの中で先ほどからも幾つかの答弁が出ているわけなんですが、法曹人口が少ないということが原因にあるわけなんです。法曹人口が少ない、今まで少なくなってきた歴史的な背景、原因というのはあるのではないかと思うんですが、その点について見解をお伺いいたしたいと思います。
  81. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 法曹というのは、国民の権利、利益の実現あるいは法秩序維持という極めて重要な役割を担っているわけでございます。したがいまして、そういう人たちにつきましては、法律についての深い知識、社会についての幅広い物の見方あるいは高い倫理観、こういったものが当然に要請されるわけでございます。  このような資質に欠ける者が他人の権利義務を取り扱い、あるいは場合によれば生命にもかかわるような、左右する立場に置かれるということになっては大変でございますので、やはり法曹となる者についてはその質の確保を十分にしていかなければいけないということになろうかと思います。  そういうことから、司法試験で一定の能力を持った者を選抜した上で、司法研修所において実務法律家としての必要な知識、経験、能力を身につけていただくということで実務法律家を養成してきたわけでございます。そのようなことから、法曹になっていく人数が必ずしも多くなかったということになろうかと思います。その点いろいろ御意見がありまして、私どもとしても、この質の確保を図りつつ、そういう社会からの法曹に対するニーズにこたえていくということで司法試験合格者の増員に努めてきたところでございます。  なお、まだ法律家が足りないという御指摘も受けておりますので、そういう国民の負託にこたえるに足りる水準の質を確保するということと同時に、社会ニーズにこたえるということで、今後とも法曹人口の増大については考えていきたいと思っておりますし、この司法制度改革審議会設置されますれば当然そのような問題も議論されることになると思っておりますので、そういう議論も踏まえ、法曹の質及び量の充実に今後とも努めていきたいと考えておるところでございます。
  82. 海野徹

    ○海野徹君 量も大事だけれども質がそれより優先するというようなお話かと思うんですが、それはある意味では、司法修習時代教育のあり方等でも質を高めるということは十分可能だと思うんです。これからますます紛争がふえるかもしれない、あるいは予防司法という考え方であればそれもふえていく。となると、法曹人口が飛躍的に拡大していかないとなかなか期待にこたえられない。結局、使いにくいねということがずっと続いてしまうのではないかなと懸念されるわけなんです。  やはりある意味では、二十一世紀はこういう状況の中でこういう国になります、となったらこのぐらいの事件が出てくるんじゃないか、予防司法でもこの程度考えられるんじゃないかというような、あるいは数値的な目標というものもシミュレーションの中で出てくるんじゃないか。それに対して何%ずつふやしていけば十年後にはできるんじゃないかというような、そういう客観的な要するに数値的目標というものも設定して、その中で質を追っていかないとなかなか達成できないんじゃないかと思うんですけれども、その辺について御見解はいかがですか。
  83. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 世の中に存在する法的ニーズをどう把握するかということはなかなか難しい面もございますので、ただいま委員の御指摘になったような、この程度人数法律家が必要で、それを達成するためにどの程度ずつふやしていくというようなことが数字的に明確に決められるのかどうかというのは、なかなか難しい問題もあろうかと思います。  ただ、いずれにしても、法曹人口のあり方等についていろいろな観点から検討をし、社会動向をにらんで法曹としてどの程度が必要とされるのかというようなことを検討していかなければならないのは、委員指摘のとおりだろうと思っております。そういうような議論をこの審議会でしていただければと思いますし、私どもも今後もそういう観点でいろいろ検討していきたいと考えております。
  84. 海野徹

    ○海野徹君 今十万人で十三人ぐらいですね、法曹人口というのは。十二・何人か十三・何人ぐらいだと思うんです。やはり待っていたってだめなんですね。どんどん外へ出ていきながら、現状を把握しながらやっていかないと出てこない、私はそう思うんです。  だから、そういった意味では、せっかく内閣設置されて、それが予算措置を伴いますからということが一つの理由だったと思うんですが、私はやっぱり積極的に打って出て、数値的目標を設定して、例えば十万人当たり二十人にするには毎年五%ぐらい伸ばしていけば十年で達成できますよというのが出てくるんじゃないかな、そのための予算措置、そのための教育をどうするかという具体的なものが出てくるかと思うんです。私ども、民間で経済活動をやっていた人間だったらすぐそういうことを考えつく。その辺はどうなんでしょう。
  85. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 法曹人口としてどの程度が適当かということにつきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ社会状況、これからの社会の動きに対する予測、あるいは国民の考え方、こういういろいろな要素を考慮しながら判断していくことになろうかと思います。  委員の御指摘のような判断の仕方も参考にさせていただきつつ、私どもとしても今後も検討を続けたいと思いますし、また審議会においてもそういった検討がされるのではないかというぐあいに思っております。
  86. 海野徹

    ○海野徹君 最後に、大臣に御質問させていただきたいんですが、大変いろんな重要な課題が山積しております。しかも、それを議論するには二年間という限られた期間の中で議論しなくちゃいけない。  また、取り巻く日本の現況がどうかというと、これは私の判断です、あらゆる面であらゆる意味の力の行使というのを戦後どうも忌み嫌ってきている風潮があるんじゃないか。そういった意味で、力から離れることによってかえって余り好ましくない力に支配される、そんな国になっちゃったんじゃないかと私は今思っているわけです。あえて言えば、これがいい表現かわかりませんが、いろんな意味での力を否定することによって健康的な意味での力まで失ってしまった、その発揮をする機会を少なくさせてしまっている、そういう風潮が今、日本にあるんではないか。  そうなると、この改革というのは大変な負担というんですか、可能性として、抜本的な改革をしようといってもなかなかそれができにくい状況が今、日本にあるんじゃないかなということを感ずるわけなんです。  ましてや、いろいろの最近の事例の中で、私がリーダーかどうかわかりませんが、リーダー層と言われる、あるいはサブリーダー層と言われる人たちが、非常に精神の衰弱現象があるやに思われてなりません。  そういうことがあるものですから、この改革を期待するだけに、大変困難性を伴うと私は思うんですが、大臣、今日的な風潮、力の行使の仕方、あるいはそういう健康的な力の行使もできにくくなっている、あるいはそれが否定されてきてしまっているというような観点からどう取り組んで動かれるのか、個人的な見解で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
  87. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この世の中、世界情勢、大きく、激しく変わっていく中において、やはり国民の権利を保護する、あるいは利益を守る、あるいはまた法秩序を守っていくということは、これはもう一番大事なことでございます。そういうことに備えて司法制度改革審議会において十分な論議をしていただく。そして、そこで英知を絞って、日本の国のあるべき姿をどういう法社会として確立していくかの御議論、あるいは方向を出していただけるというふうに期待するわけでございます。  そういう中で、今委員が御指摘になりましたような懸念もないわけではないとは思いますけれども、私は国民の将来の繁栄、安定に向けて、鋭意力を惜しみなく出していただく、そういう場になることを期待しておるわけでございます。  法務省といたしましても、与えられた法務行政の中で、社会正義の確立、あるいは法秩序維持、こういったものについてあらゆる困難を排除しながら立ち向かっていかなければならないと思っております。
  88. 海野徹

    ○海野徹君 ありがとうございました。  これで終わります。
  89. 大森礼子

    ○大森礼子君 公明党の大森礼子です。  早速、質問いたします。  先ほどの円委員質問と重複することがあるかと思うんですが、一応確認の意味でまず法務大臣にお尋ねいたします。  まず、基本的な認識としてお伺いしたいのですが、司法の果たしている現状認識、これが二十一世紀にはどのように改革されるべきであるとお考えなのか。それは審議会でやってもらったらいいとおっしゃるかもしれませんが、まず大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  90. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法現状をどのように認識しているかというお尋ねでございますけれども、我が国司法制度につきましては、これまで国民ニーズにこたえるべく司法関係者において最善の努力がなされているものと考えております。政府といたしましても、さまざまな努力を払ってまいりましたが、しかし国民各層からは司法制度改革について種々の提言がなされておるわけでございまして、そういうことについて十分承知しながら対応が必要だと思っております。  時代変化は大変激しく動いておりまして、二十一世紀我が国社会におきましては、社会複雑多様化国際化等に加えまして規制緩和等社会のさまざまな変化が起こるわけでございますが、そういうものに伴って司法役割は従来にも増して重要なものになると考えられますので、この司法機能国民ニーズにより一層こたえ得るように改革する必要がある、このように考えるわけでございます。
  91. 大森礼子

    ○大森礼子君 先日の参考人質疑で大変貴重な御意見参考人の方からいただきました。その中で、佐藤幸治参考人は大学教育との関係で次のようなことをおっしゃられました。あくまで要旨です。要するに、大学教育においても安上がりな大量生産をしてきた、そのマイナス面のツケを今支払わされているのではないか。佐藤参考人は、教養科目と訳せばいいのでしょうか、リベラルアーツが不足している、そのためにクリエーティブインディビジュアルを育てることができなかった。要するに、佐藤参考人は人を育てることに知力、財力を注ぐべきであるという御意見を寄せられました。  それから木佐参考人は、不況の時代になって司法の増大というのは難しいことかもしれない、しかしやるべきだとおっしゃっているんですが、要するにこれまでの機能不全のツケが今回ってきたのではないか、こういうこともおっしゃられました。あくまで要旨でございます。  それで、今大臣がおっしゃられたこと、これは提案理由説明の中にも挙げられているわけなのですが、この趣旨によりますと、「二十一世紀我が国社会においては、」と始まります。そして、今大臣もおっしゃったように「社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等改革により、社会が「事前規制型」から「事後チェック型」に移行するなど社会の様々な変化に伴い、」と続くわけなのですが、新しいニーズが出てくるということはわかるんですが、もしかしたらこれまでも国民ニーズにこたえていなかったのではないか、こういう検討も必要ではないかと思うのです。  というのは、同じく参考人の飯室参考人が、まず司法改革についても、例えば早期解決ということを目指すとなると社会的弱者を守れなくなる、そうすると弱肉強食の世界にもなりかねない。だから本来司法権の役割である、人権のとりでである裁判所として人権を守るためにどうあるべきかという観点基本とすべきではないか、あくまでも要旨ですけれども、こういうことをおっしゃいました。  そうしますと、司法を考える場合にも、これから二十一世紀を見据えて新たなニーズが加わってくるから、その新たなニーズに対して体制を整えなければいけないということもありますが、二十一世紀司法のあり方といいますか、ここの部分がきちっとできていたのかどうかというまだ残されている問題があるのではないか、こういう観点も必要ではないかと思うのです。  ですから、余り新たなニーズニーズと言いますと、基本的な本来果たすべき司法役割、ここが抜け落ちる危険があるのではないかと思うのですけれども、この点について大臣はいかがお考えか。これは通告しておりませんけれども、余り新しいニーズばかりに走り過ぎると、本来の司法機能として不十分であったところを置き忘れることになるのではないかと思いますので、あくまで出発点としては、まず本来二十一世紀司法のあり方として確立しなければいけなかったところ、そこでまだ不十分なところ、これをまず中心にここからスタートすべきではないかと私は考えるのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。  それによりまして、本来二十世紀で足りなかった部分は法務委員会とかほかですればいいんだというお答えもあり得るのかと思うので、こういう点も審議会審議していただく事項に含めるべきとお考えかどうか、お答えいただければと思います。
  92. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法国民にとって身近で利用しやすいものであるべきだということは一番大事なことだと思います。そういう点で、これまでいろいろお聞きするところによれば、迅速な裁判が行われてきたんだろうかとか、あるいはいろいろ弁護士さんにお願いしたいと思うけれどもどうやってお願いしたらいいかわからぬとかいう点で、必ずしも国民がみんな満足しておったとは言いがたい面があると思います。  そういう基本的なところをひとつ踏まえながら、これは二十一世紀においても一番大事なことだと思いますので、これを解決する知恵といいますか、英知を審議会審議を通じて出していただきたい。それに加えて、今後、特許とかいろいろ新しい面でのニーズもふえてくると思いますので、そういったものへの対応も大事になろうかと思っております。
  93. 大森礼子

    ○大森礼子君 ありがとうございました。  憲法三十二条では裁判を受ける権利が保障されておりまして、ここがまず充足されるということが大事であろうと思います。そして、その裁判においても、やはり基本人権にかかわるようなところ、この部分がまず第一に充足されるべきではないかと私は考えます。  次の質問に移りますが、法案の各条文についてお尋ねいたします。  第一条に、内閣審議会を置くとありますが、司法改革のあり方を調査審議するものであるだけに、司法の中にはもちろん法務省という行政府も入りますし最高裁判所も対象となり得ることになります。  そこで、この審議会設置でいろいろ論議することはいいのですが、そのことが行政府による司法権の独立を侵す、直接的に侵すことにはならないと思いますが、こういう危険がないかどうか懸念されます。その点について、そういう問題はないのかどうか、あるとしても何か担保があるとおっしゃるのか、この点お聞かせください。
  94. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 本審議会は、「司法制度改革と基盤の整備に関し必要な基本施策について調査審議する。」ことを所掌事務とするものであります。このような審議会内閣に置き、その調査審議の結果を踏まえて司法機能充実強化のための施策を講ずるということは、司法権の独立を侵すものではなく、むしろ内閣の責務であるというぐあいに考えております。  政府としても、従来から常に司法権の独立を尊重してまいったところでありますし、いやしくも行政による司法への干渉ととられることがないように十分配慮してまいりたいと考えております。また、本審議会においても、このような審議経過をも踏まえ、司法権の独立を侵すとのそしりを受けるような調査審議が行われることはないと考えております。
  95. 大森礼子

    ○大森礼子君 それから次に、先ほど委員の方からも、審議会内閣に置くことにした理由は何かということで、国民各層の広い意見を吸収するため、こういう御説明があったと思います。  内閣に置く理由としてそういう説明はできると思うんですが、では何で法務省のもとだったらだめなのか。法務省のもとに置いたのでは十分機能しない、こういう何か積極的な理由があるのかなという気もするので、お尋ねします。
  96. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 本審議会は、司法という国政の基本にもかかわる重要な事項調査審議するものであります。また、その調査審議事項は複数の省庁の所掌にかかわることも予想されるものでありますから、そういうことからこの調査審議一つの省ではなく行政の最高機関である内閣のもとで行うべきであるというぐあいに考えたわけでございます。  例えば、法曹養成ということになりますと、大学の法学教育との連携とかそういうことも問題になりますし、先ほど大臣からも申し上げた特許のあり方について司法制度を考えるということになりますと、特許を所掌している特許庁あるいは通産省との関係ということも出てまいります。そういった意味で、広く司法制度全般をこの審議会審議していただくということから、これは内閣に置くのが適当であろう、こういうことでございます。
  97. 大森礼子

    ○大森礼子君 実はこれからする質問の答えが今のお答えの中に含まれているかと思うのですが、確認という意味で聞かせていただきます。  法務省のもとよりも内閣という御説明はわかりました。次に出てくるのが、何で国会の中じゃだめなのかということになると思うんです。例えば、一つの方法としまして、司法制度特別委員会というものを設けましてあらゆる角度から時間をかけて検討する方法もあると思います。そして、それが一つの民意を反映する方法にもなると思うのです。  しかし、国会の方がやらないから我々がやるんですと言われたら困るんですけれども、本当は国会の方がいいんですが国会がおやりにならないものでという理由であれば、ではこれから国会がやりますからそうしたら審議会は要らないですね、こういう流れにもなるのですからお尋ねします。そういう国会における検討はそれはそれとして、これは国会が決めることだと思います、別に並立してもいいと思うんです。それとは別にやはりこういう形が必要なのだという理由をもう一度、実は先ほどお答えの中に入っていた気もするんですが、簡単に説明していただきたいと思います。
  98. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいま委員から御指摘のありましたように、こういう司法に関する審議会国会設置するということも一つのお考えであろうかとは思っております。しかし、内閣として国家の総合的施策のあり方を検討し、立法的及び財政的な措置を全体的に講じていく、こういう内閣の責務を考えますと、やはり広く司法にかかわる施策審議し、それに基づいて施策を講じていく、内閣にこの審議会設置することが相当ではないかというぐあいに考えたところでございます。
  99. 大森礼子

    ○大森礼子君 次に、これは六条一項ですけれども、「資料提出その他の協力」という条文がございます。「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、最高裁判所及び日本弁護士連合会に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」と規定してございます。それは何も司法制度改革については審議会だけがおやりになればいいということではなくて、やはり関係省庁も積極的に協力していかなければならない、そして資料提出等を求められたときには本当に役立つよい資料といいますかこれを提出しなくてはいけないのだろうと思います。  そこでお尋ねするのですが、この審議会調査審議に対して、法務省それから最高裁の対応として、省庁内あるいは最高裁の中にどのような体制を用意しておられるのでしょうか。そして、それはどのようにかかわっていくことになるのでしょうか。まず最高裁判所、それから次に法務省にお尋ねいたします。
  100. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者浜野惺君) お答えいたします。  審議会調査審議がどのような形で行われるかということに対応して考えていくべき問題でございますけれども、最高裁判所といたしましては、昨今の社会経済情勢変化を反映した国民司法に対するニーズがさまざまに変化する中で、これらの司法制度全般の機能のありようというものをさまざまな角度から総合的な検討をする体制を整備する必要があるというふうに考えております。  このようなことから、最高裁判所におきましては、この四月に審議官を中心といたします検討チームを発足させまして、事務総局のそれぞれの担当局課とともにこのような問題を検討する体制をとることといたしました。  裁判所といたしましては、このような体制のもとで、審議会からの要請がありますれば各種の資料の提供、実情の紹介をいたしまして、また御説明等をさせていただくことはもちろん、仮に意見を求められるようなことがあれば、裁判の実務を担当する者の声も十分踏まえましてこれに対応してまいりたいと考えております。
  101. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 法務省といたしましては、司法制度改革そのものを直接担当しておりますのは私ども司法法制調査部でございますが、この審議会における調査は法務省の所掌事務全般にわたるということも当然予想されますので、全省的にこの審議会審議、調査には協力をするということを考えております。  その体制として、事務次官を委員長といたしまして各局から委員を出していただいて省内にこの審議会に対する協力委員会設置して、審議会の方から資料の提出あるいは意見の開陳その他必要な協力を求められた場合には十分これに対応できるような体制を整えているところでございます。
  102. 大森礼子

    ○大森礼子君 最高裁の方はよくわかりました。  法務省の方は、協力委員会というのはこれから設置するということですか。
  103. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 既に省内的に設置をいたしまして、どのようなことがこの審議会で取り上げられるのか、どのような提出できる資料があるかというような基礎的な作業を行っているところでございます。
  104. 大森礼子

    ○大森礼子君 わかりました。  今、司法法制調査部のお話が出ましたので、ちょっとこれを先に聞かせていただきます。  この審議会設置されるからといって、法務省司法制度改革とかあるいは司法制度についてのいろんな諸問題についての検討、この任務から解放されるわけではないと思うわけです。それで、いろんなそういう問題を扱い調査する部署として司法法制調査部というものがあると伺っております。  それで、この司法法制調査部についてちょっと質問したいのですが、これはいつごろできたものなのか。それからまた、どのような経緯からできたものなのか。これはもともと必要だからもとからあったんだということかもしれませんけれども、まずこの点を教えてください。
  105. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 調査部の最初の設置ということになりますと、昭和二十三年でございます。御承知のように戦前は司法省ということで、裁判所、検察庁の仕事を束ねておったわけですが、戦後、憲法の改正に伴いまして司法部が独立をされて別個になる。そういうことを受けまして司法省も解体をされまして、当時法務庁ということになりました。その法務庁の中に法務調査意見長官という方がおられまして、その下に調査意見第一局、あるいは資料統計局というような局がございまして、そういうところで現在の調査部が扱っているような事務を扱っていたという意味でそれが一番最初かと思います。その後、法務庁から法務府、法務省へと変わってまいりまして、最終的には昭和三十三年の五月に法務大臣官房司法法制調査部という形になっております。以後、現在まで調査部ということで仕事をしております。  ちなみに、所掌事務といたしましては、司法制度に関する法令案の作成、内外の法令並びに司法制度及び法務に関する資料の調査、収集、整備及び編さんに関する事項、こういったようなことを取り扱っております。
  106. 大森礼子

    ○大森礼子君 わかりました。  それで、そういうところでいろんな問題提起、ある意味では二十一世紀司法のあり方とか、二十世紀司法のあり方でもいいですけれども、やはり改善すべき点とか、そういう問題に取り組んでいると思うのですが、これは例えば法律扶助の問題もこの中で検討されているのでしょうか。
  107. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。  民事法律扶助制度につきましては、法務省としましては、その充実強化のために、法律扶助制度研究会が平成十年三月に取りまとめました研究成果などを踏まえつつ、関係機関とも協議しながら法制度化を含めて現在検討しているところでございます。
  108. 大森礼子

    ○大森礼子君 せっかくこの司法法制調査部について質問しましたので、司法制度のあり方について別に法務省もしっかり検討しているんだということを示すために、あるいはこの調査部の中でほかに重要な課題がいろいろとあると思うんですが、こういうふうな問題に今取り組んでおりますということがあれば、簡単に御説明いただければと思います。
  109. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 司法法制調査部で現在いろいろ取り組んでいる課題でございますが、まず法曹人口のあり方、あるいは法曹養成のあり方、こういった問題について、これも法務省内で司法試験を直接所掌しておりますのは人事課でございますので、そこと協力をしながら種々検討を続けているというようなことがございます。そのほか、弁護士業務のあり方につきまして、規制緩和委員会からも指摘を受けております弁護士事務所の法人化の問題、あるいは総合的な法律経済事務所の開設の問題、こういったような問題にも取り組んでおりますし、また現在、指摘を受けております陪審・参審制度等について諸外国の例を調べるとか、そのような調査研究というようなことも行っております。
  110. 大森礼子

    ○大森礼子君 今言った弁護士事務所の問題とか、今度は例えば日弁連など、そういうところとお互い意見を、外の意見も聞きながらということでいろいろ指導する、それとも法務省法務省立場として意見集約しようということでしているのか、その辺は開かれた調査になっておりますでしょうか。
  111. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この弁護士事務所の法人化の問題につきましては、日弁連においても取り組まれているところでございます。  私どもとしても、直接の当事者である日弁連がどういう取り組みをしているかということを無視して、私どもだけでこの問題について解決ができるような問題ではないと思っておりますので、密接に連絡をとり合って検討を進めているところでございます。
  112. 大森礼子

    ○大森礼子君 今、司法法制調査部の活動についてちょっと詳しくお尋ねしたのは、法務省法務省でやはり独自の問題について検討していくことが必要であろうと思います。そして、最高裁の方でもやはり審議会に向かった調査もあるでしょうし、最高裁判所の問題としていろいろ取り組まなければいけない問題を最高裁判所内で協議、検討するのは当然であると思います。  それで、例えばそういう各機関の中で検討されていることと、それから審議会との関係なんです。もちろん審議会の方から要求された場合に、検討が進んだ事項であれば、いい資料として、いい情報として審議会の方に伝達することができると思います。しかし、すべての審議会の御意見を聞いてからスタートするというのではないと思いますので、この審議会検討していく事項と重複するものがあると思うのです。重複する部分については、審議会意見意見として、あくまで早期に取り組むべきものについては、その審議会の結論をまつまでもなく、当然法務省あるいは最高裁判所の方で取り組んでいくのかどうか。この両者の関係がよくわからないものですから、ちょっと質問が抽象的になったかもしれませんが、審議会の活動と最高裁判所、それから法務省の中の活動との関係についてお答えいただきたいと思います。
  113. 房村精一

    政府委員(房村精一君) まず、この審議会審議に協力をしていくということはもう委員指摘のとおりで、私ども全力を挙げてできる限りの協力をしていきたいと考えております。  それから、この審議会で取り上げられる事項と現に私どもが検討を加えている事項との関係でございます。これは審議会で取り上げられる事項について、一切私どもはその間何もしないということではなく、審議会でどのような審議状況にあるのかということを踏まえて、その問題の重要性あるいは切迫性等を考えながら適切に対応していきたい、こういうぐあいに考えております。  したがいまして、場合によれば審議会審議中にも必要な施策を講ずるということもございましょうし、現に審議会がそれについて検討を始めているということであればその検討を見るというようなこともありましょうし、そこは審議状況を見ながら適切に対応していくということを考えております。
  114. 大森礼子

    ○大森礼子君 最高裁は。
  115. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者浜野惺君) 裁判所といたしましては、委員指摘のとおり、これからの司法制度全般の機能のありようを考えるという検討裁判所としても必要であろうというふうに考えております。紛争の発生から解決までのプロセス、紛争予防のプロセス、社会的、文化的背景の中で司法制度が果たしてきた機能と特質とを実証的、総合的に検討いたしまして、改めるべきものは改め、受け継ぐべきものは発展させていくという観点に立った検討が必要ではないかというふうに考えております。  それからさらに、制度面、運用面での今の具体的な検討の方法でございますが、裁判所といたしましては、まず運用面では、先ほども御説明いたしましたように、新民事訴訟法運用も含めて、これは既に法律ができておりますので、既に法律ができている趣旨をさらに一層実現するように運用面での改善、定着について検討し、努力をしてまいりたいと思っております。  それから、制度面につきましては、基本的に担当していただくのが法務省でございますので、法務省関係部局と御相談しながら準備的な検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 大森礼子

    ○大森礼子君 それでは、再びちょっと大臣の御意見を伺いたいと思うのですけれども、社会複雑多様化国際化等に加えと、例えば国際化社会ということを前提としてこういう社会ニーズも高まってくるということだと思います。  私、常々感じていることなのですけれども、国際化が進んでいく、それから多くの外国人の方が日本に入ってくる。例えば一方で、不正規の入国者を防ぐために入管法を改正するとか、こういういろんな施策もとられるわけなんですけれども、今回の改正もそれに関係してくるわけなのですけれども、国際化していくということ、それから外国人がふえてくるということは、やっぱり事件も犯罪も起きてくるということだと思います。  特に、入管法なんかでも、不法入国者が入るとすぐ犯罪が増大するとかという言い方をするわけで、この入管法等改正案についての質疑を見ましても、ちょっと政府側と我々と認識が違うところがあるのですけれども、よく法務省は、不法入国者、不法在留者がふえると犯罪がふえるんだという言い方をされるわけです。そうしますと、では、犯罪が起きるならば摘発ということが起きる、そして摘発が起きた後には捜査されて、起訴されて裁判になる、こういう過程になるんですね。  だから、国際化社会、それから外国人が日本にふえるとなったならば、当然裁判手続の適正ということについても思いを及ぼさなければいけないわけで、ただ摘発の必要性だけを強調すべきではないと私は思うわけです。  こういう社会状況というものを考えていきますと、常々この法務委員会でも取り上げておりますが、司法通訳の問題というのがどうしても私の頭の中では出てくるわけです。外国人に対して憲法の保障するところの公正な裁判を受ける権利、これは国民に限るわけではありませんので、公正な裁判を受ける権利の内容として司法通訳というものが適正に行われなければいけないと思っているわけなんです。  ところが、司法制度改革等についてはいろんな各界の方からの御提言とかもありますけれども、どうも司法通訳の問題というのは出てこないんです。これは、もしかしたらマイナーな問題、現場を知る機会がなかなか持てないということも理由かもしれません。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  いずれにしましても、司法通訳の問題は裁判を受ける権利との関係でも非常に大事な問題だと認識しているんですが、大臣、率直なところでいいですから、この司法通訳の問題、どういう御認識か。まず、関心がおありかどうか、関心をお持ちとすればそれは重大な関心かどうか、大事な問題とお考えか、これは正直にお答えくださって結構です。余り関心がない、知らないというのであれば、これから私は大臣のもとに通ってこれは大事だということをお話ししたいと思いますので、司法通訳制度につきまして大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  117. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 来日する外国人の犯罪の増加とその国籍の多様化を背景にいたしまして、通訳が必要とされる言語が多数に及んでいる上、いわゆる少数言語の通訳人の確保や特に地方都市における通訳人の確保に困難を伴うなど種々の問題が生じており、有能な通訳人を確保し適正迅速な捜査、裁判と、被疑者、被告人の権利の保障を実現するため、通訳制度の整備充実を図ることが重要であると考えております。  私も、先般いろんなところを視察させていただく中で、こういう通訳が大事だということからどういう状況にあるのかと関心を持って見させていただいたわけでございますけれども、入国管理に携わる方々にもしっかりと通訳について語学の勉強をさせている、研修をさせているという状況がございました。しかし、それらの担当官そのものに対する研修も必要でございますけれども、専門の通訳人というのもさらに重要だと認識しておりまして、まさに委員指摘のとおりの認識を持っておるところでございます。
  118. 大森礼子

    ○大森礼子君 司法通訳といった場合は、これは捜査段階における通訳、それから公判廷、裁判における通訳と二つに分かれますので、裁判所とそれから検察庁と両方にかかわってくる、さらには警察段階にもかかわります。ですから、いつも私はどちらを向いてお話しすればよろしいのかと迷うことがあるのです。  いずれにしましても、検察庁では通訳を介して検察官が調書をとって、その証拠に基づいて起訴するかどうかを決め、あるいは求刑も決めるわけですので、まず捜査段階において適正な通訳の確保ということも非常に大事なことであろうと思います。ぜひこの問題、積極的に取り組んでいただきたいと思います。時間の関係でこれ以上は申しません。  それから、三条について伺います。  委員人数については、十三人以内で組織すると定めております。人選の基準について多くの問題があることは、もう既にいろんな方が衆議院の方でもお聞きになっていますので次回に回すとして、十三人以内というと十三人以下のこともあるのかと思うんですが、十三人以下、最低十三人というのでもないわけですね。この人数のところ、では十人の場合があるのかということが一点。  それから、女性が入るのかどうかということなんです。十三人ですと、今審議会には三割を女性という方針が出ておりまして、そうすると三・九人ですから最低四人は必要であろうという計算になります、四人でいいということにはなりませんけれども。それで、女性をこういう大事な審議会に入れるということもこれもまた二十一世紀社会ニーズであろうと私は思うわけです。  それから、女性が入るべきだと私が考えるのは、ただ三割だから三割入れてという機械的な考え方によるのではなくて、やはり女性というのは非常に細やかな視点というものを持っております。それから、不合理さというものに対しましては非常に鋭敏な感覚を持っていると思います。男性だって持っているよと言われると困るんですけれども、私はやはり女性の持つ特質と考えますし、それがこういう審議会の中で非常に有効な貴重な意見として反映するだろうというふうに思うのです。  女性はどの程度入ると考えているのか、今の段階で聞いておきたいと思います。  以上、二点お答えいただきたい。
  119. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この司法制度改革審議会委員人数につきましては、委員指摘のとおり、委員十三人以内で組織するとされております。したがいまして、その範囲内において本審議会における調査審議にふさわしい有識者が広く国民各層から委員として選任される必要があるというぐあいに考えているところでございます。  なお、女性委員の登用でございますが、国に設置される審議会等における女性委員の登用につきましては、政府としてその登用に努めているところでございます。本審議会委員の選任においても、この方針を踏まえ、本審議会審議にふさわしい有識者である女性が委員として選ばれるものと考えているところでございます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕
  120. 大森礼子

    ○大森礼子君 女性の中にも人材はいっぱいいらっしゃると思いますので、女性がいなかったなんてことにならないように十分女性の数をふやしていただきたい。それがまさに今の二十一世紀社会ニーズじゃございませんか。  最後の質問になると思います。  情報公開につきましては、先ほど海野委員の方からも御質問がありました。審議会検討されている事項を外に公開するという問題と同時に、十三人という人数です。協議するにはこれぐらいの人数がいいということはもちろんわかるのですが、この十三人の方すべてがあらゆる分野のことについて専門的であるはずはありませんから、すべての分野をカバーできない。そうすると、いろんなあらゆる分野の情報をそこに集約するという作業が必要になろうと思います。そうでなければ十三人では足らないということになると思います。  そこで、国民意見とか、つまり公開とは逆の方向ですね、国民意見とかあるいは国会意見国会意見というのは民意を反映しているという意味においてですが、これが審議会に反映されるという仕組みがとられているのでしょうか。それは先ほど言った、審議会意見を求めることができるとあるのですが、例えて言いますと、先ほど海野委員法務委員会との関係はどうなるのかと御質問になりました。法務委員会でももちろんあらゆる問題についてこれまで検討しているわけでありまして、言ってみれば非常に有効な情報、民意の反映という意味では、この法務委員会の議事録等を精査していただければかなり集約できるのではないかと思います。  時間がないので簡単に言いますと、例えばある項目について、法律扶助の問題について、そこの部分を議事録からピックアップして、これが法務委員会レポートです、こういう形で審議会の方に資料としてお渡しする、こういう仕組みがあってもいいのではないのかと思うんです。そうすると、いや、それも審議会の方がお決めになることですとおっしゃるかもしれませんが、言ってもらわないとわからないということがありますので、最終的には審議会が決めることであっても、積極的にこちらがそういう準備をして、こういうことでできますよ、こういうことを提言することが必要なのではないかと思うのですが、これは大臣にお尋ねした方がいいでしょうか。法務省でも結構です。
  121. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいま委員指摘のとおり、この審議会はまさに国民的見地に立って御審議をいただくということでございますので、国民がどういうことを考えているか、国民の御意見を広く酌み取るということは必要なことだろうと思っております。ただ、具体的にどういう方法をとるかということについては当然委員会の方で適切な方策をお考えいただけると思っております。例えばこの法案審議経過につきましては、議事録等を事務局の方で当然委員会の資料として準備されると思いますし、また、今委員の御指摘になったような司法制度改革に関する議論が当委員会等で行われた場合に、その議事録を資料として審議会に提供するというようなことは当然事務局において配慮するのではないかというぐあいに考えております。
  122. 大森礼子

    ○大森礼子君 終わります。
  123. 橋本敦

    ○橋本敦君 今回の司法制度改革という問題については、日弁連は早くからこういった問題を提起いたしまして、一九九〇年から取り組んできた成果としていろんな意見も発表しております。こういう流れがあるとともに、一方で、最近はアメリカや経済界から規制緩和に対応する司法改革といったような論議も出される。こういうようなことも含めて、今日、国民課題となってきているわけです。  そこで、司法改革をやっていく基本的なスタンスといいますか立場といいますか、そこのところをはっきりしておく必要があると思うんです。そういう点でいいますと、まず何よりも憲法理念を尊重するということ、これは抜かしてはならない。国民主権の問題、基本人権の尊重、あるいは国民裁判を受ける権利、司法の独立、こういったことは当然であります。こういったことを踏まえた上で、広く国民立場から今日の司法に対するニーズは何かといったような現状分析をきちっとやるということが出発点として私は大事ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 本審議会における具体的審議事項につきましては、審議会において適切に選定されていくもの、このように考えておりますが、御指摘の点につき一般論として申し上げますと、司法人権擁護機能を果たすべきことは当然のことでありまして、審議会審議に当たり、司法現状についての深い分析などを行っていくということもこれまた重要なことであると考えております。
  125. 橋本敦

    ○橋本敦君 今の御答弁でおおむね話はわかりますが、私は憲法理念をしっかり踏まえるということは当然の前提ではないかということを申し上げたんです。それは異論がないと思いますが、いかがですか。
  126. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そのとおりでございます。
  127. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、こうした中で、衆議院の審議で第二条の「所掌事務」に関連をして修正が行われました。「審議会は、二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかに」するという大事な課題。それとともに修正の中で言われたことは、「国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民司法制度への関与、法曹の在り方とその機能充実強化」、こういった文言が入れられまして、ある程度そういった方向で具体的な意味づけも出てきたわけです。  しかし、これで十分かといいますと、決してそれだけで十分と私はまだ考えることができません。強いて言うなら、そこに何があるかといいますと、私は司法改革の理念としてこの二条の修正点をさらに敷衍する方向で、司法人権擁護機能を果たすということとともに、今日の国際社会を展望して、一つは国際人権法の適用にも積極的に適合する方向を探究する、二つ目には、大事な問題として違憲立法審査、この問題で違憲立法審査権の行使についても十分な考慮を払って司法のチェック機能を大事にしていく、こういった観点審議の方向づけとしては大いに議論をすべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  128. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今、委員お話にもございましたように、「司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民司法制度への関与、法曹の在り方とその機能充実強化その他の司法制度改革と基盤の整備に関し必要な基本施策について調査審議する。」というふうに衆議院の審議の段階で修正されたわけでございます。本審議会設置の理念や方向性はこれで十分明らかになってきたというふうに考えるわけでございます。  この審議会におきましては、各界からの提言はもとより、衆議院におけるこういった修正あるいは国会でのこれからの御審議の経過を踏まえますとともに、司法権の独立を侵すことがないような配慮、こういうことも十分配慮しつつ、二十一世紀を展望するのにふさわしい審議がなされていくものと考えております。
  129. 橋本敦

    ○橋本敦君 今、大臣がおっしゃった二十一世紀を展望するのにふさわしいという中には、今日の国際人権委員会を中心とする国際人権法の発展という経過も十分視野に入れる必要があるということを私は指摘しているんです。これは御異存がないと思いますが、いかがですか。
  130. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 御意見のような考え方を踏まえながら、ふさわしい審議がなされていくだろうと思っております。
  131. 橋本敦

    ○橋本敦君 今、大臣指摘されましたが、第二条の「法曹の在り方」という問題も論議をされました。この法曹のあり方という点について言いますと、私は弁護士自治というのは極めて大事な問題だというように思うわけです。  日弁連が「司法改革ビジョン」の中でどう言っているかといいますと、  弁護士は、市民に身近な法曹として司法を担い、基本人権の擁護と社会正義の実現のために、弁護士自治によって、国家権力その他の社会勢力から独立して職務を遂行することが保障されています。戦前、司法省の監督のもとで、人権侵害に対し果敢に立ち向かった弁護士が懲戒され、あるいはその脅威にさらされ、弁護士活動が封じられたことに対する痛切な反省の上に立って、戦後の弁護士法改正により弁護士会に自治権が保障されたのです。 こう記述しておりますが、歴史的経過として私はそのとおりだと思うんです。  しかし、実際に現状の中でいろいろな問題がございますけれども、例えばそういった弁護士自治に対して、この司法制度改革一つの背景にありますアメリカ側の意向ですが、アメリカは昨年、「日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書」を提出しておりまして、司法分野においてもさまざまな処置を要求しておりますが、そういったことでアメリカ側は、アメリカのこの要求に対する一つのバリア、障害として考えているのが弁護士自治であるということが状況的に把握されているわけです。ですから、こうしたもとで弁護士自治の擁護というのは極めて大事な問題になってまいりました。  だから、ここの第二条で「法曹の在り方」ということが言われましたが、それはあり方として、国民のためにある法曹として大いに検討すべきでありますけれども、少なくともこういう歴史的経過を経て確立された弁護士自治の尊重というこの原則というものは、これは維持される必要がある大事な問題だと私は認識しておりますが、いかがでしょうか。
  132. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 弁護士司法制度の一翼を担い、基本人権を擁護し、社会正義を実現するという重大な使命を有しておられるということにかんがみまして、弁護士法におきましては、弁護士会及び日本弁護士連合会が十分な自治能力を有することを前提として、弁護士に対する指導監督をこれらにゆだねておることはもう御承知のとおりでございます。  弁護士会及び日本弁護士連合会においては、このような法律趣旨を十分に踏まえ、弁護士に対し適切に指導監督を加えていくものと期待しておるわけでございまして、司法制度のあり方の論議の中にもそういうようなことが認識されておるものと考えております。
  133. 橋本敦

    ○橋本敦君 大臣法曹のあり方、弁護士のあり方として弁護士自治という原則が大事であるということはおっしゃっていただいているわけであります。  国民の声を代表する一つ意見として、ある新聞の社説はこう言っております。「政財界の提言の背景には、市場経済活動の自由拡大を目指す規制緩和論がある。司法役割社会正義の実現であり、人権擁護である。市場経済活動とは異質だ。もし、改革審議が規制緩和論に振り回されるようならば、今以上にゆがんだ姿をさらすことになりかねない。」、こう言って警告をしているわけですね。これは私は大事な国民の声だと思うんです。  ですから、審議会についても広く国民の声を聞いてもらわなくちゃなりませんが、こういった規制緩和論との関係、こういったことが出てきているけれども、司法役割社会正義の実現であり人権擁護である、こういったことを守れという国民の声は私は大事な国民の声であると思うし、審議の中で十分生かされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  134. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二十一世紀我が国社会におきましては、社会複雑多様化国際化等に加え規制緩和等の推進により社会は事前規制型から事後チェック型に移行してまいります。  このような社会において、利用者にとって利用しやすい司法の実現を図ることは重要なことであると考えております。また、司法がルールの維持という役割を十分果たすことによりまして社会的弱者の保護、救済、人権の擁護が図られるものと考えるわけでございます。  司法制度改革審議会におきましては、このような観点に立って十分かつ適切な審議がなされるものと期待しております。
  135. 橋本敦

    ○橋本敦君 その適切な審議ということの中に私が指摘した問題も十分考慮される必要があるということを重ねて意見として強調しておきたいと思います。  その次の問題に移りますが、法曹一元の問題であります。  これは委員からもいろいろ議論をなされてまいりましたが、審議会審議事項として法曹一元問題は、前の臨司意見等から今日の状態を踏まえて、重要なテーマの一つになると思っております。  その点に関して、ここに京都弁護士会が著しました「法曹一元」という本があるんですが、この本は市民のための司法を目指し法曹一元の実現を探求するという課題を貫いておりまして、この中には、当委員会参考人としてお越しくださいました佐藤教授へのインタビュー、あるいは矢口洪一元最高裁長官の「私の法曹一元論」なども掲載されておりまして、幅広い観点から編集をされている本で、大いに参考になるかと思います。  この本の中で、京都新聞論説委員の河村さんという方が次のように述べておられるんですね。「国民裁判官に期待するのは、豊かな人間性と高い見識である。」、つまり官僚的判決ではありません、豊かな人間性と高い見識であると。「人権感覚にあふれた訴訟指揮であり、時代の流れや社会状況に敏感で市民常識にかなった判決である。「独立して職権を行う」という憲法の規定にふさわしく、権威に屈せず、上司に媚びず、気概と誇りを持ってほしいと願っている。」、こう述べて、「そのためには司法行政による過度の人事管理から裁判官を解放することが必要だ。」、こういう指摘もあるんです。私は、これは国民の声として大事にすべき卓越した意見だ、こう思っているわけであります。  そういうように、司法国民に身近に、しかも国民の感覚を踏まえたものとしてのありようを実現していく上で、最高裁を頂点とする司法官僚制度がしばしばこれまでも問題になってきたのですが、こういったことにもメスを入れると同時に、裁判官の独立の問題、それと同時に裁判官の市民的自由をどう保障するかという問題、これは参考人もいろいろと御意見がありまして、この点を強調された参考人もありますが、そういった問題も積極的に検討する。それとあわせて、従来からの法曹一元の議論というものを深めていく必要がある、こう思っておるんですが、いかがでしょうか。
  136. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今いろいろとお話を承りました。豊かな人間性、高い見識を持つ、人権意識の高い、また時代の流れを読み取る、市民感覚の豊かなというような、いろいろと法曹界に身を置く方々にとっては大事なお話であると思って承ってきたわけでございます。  そういう中で、もう一つの柱である法曹一元についての話でございますけれども、司法制度改革に関する各界の提言の中にもこの制度について言及するものが少なくなく、司法制度のあり方についての一つの考え方として、広く国民意見を踏まえてこの法曹一元化の問題については論議されていく必要がある、このように考えます。
  137. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がないのでこの点についてこれ以上議論をするわけにいかないんですが、大事な問題としてぜひ御検討審議会にお願いするということで、国会意見としてもひとつ聞いていただきたいと思っております。  国民司法参加という問題では、陪審制の問題、参審制の問題がかねてから言われてまいりました。この問題が今度の審議会の重要な課題一つとして審議をされるということは私は当然予想されることと思いますが、大臣としてもそういった問題は議論を大いにされてよい問題だとお考えでしょうか。
  138. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 御指摘の陪審・参審制度につきましては、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義のあることとの提言がなされておることはよく承知しております。  この問題につきましては、我が国司法基本にかかわる問題でありますので、種々の観点から慎重に議論される必要があるものと考えておりますが、国民司法制度への関与の一つのあり方として、審議会におきましても大事な検討事項として取り上げていただけるものと考えております。
  139. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  それから、審議会委員の選任、会議公開、いろいろ議論がございました。審議期間についても海野委員から二年では短いのではないかというお話もあり、私もその点を危惧しておるものであります。  そういう点からいいますと、二年の審議期間にこだわらずに、予算措置でスタートさせることができるような問題は、例えば法律扶助制度拡充司法予算の増大、こういった問題については法務委員会でもいろいろ議論されておりますから、そういったできることは積極的に法務省としてはどんどん進めていくという姿勢もあわせてとるべきだと思いますが、それはいいですね。
  140. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 民事法律扶助制度の点について申し述べさせていただきますけれども、この制度につきましては、平成十年三月に法律扶助制度研究会が同制度のあり方等につきまして報告書を取りまとめたところでございます。法務省では、本制度充実強化を図るため、この報告書を踏まえつつ関係機関とも協議しながら法制度化を含めて現在検討しているところでございます。
  141. 橋本敦

    ○橋本敦君 司法予算の問題についても。
  142. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 法務省としては、この審議会での審議状況を見ながら、必要な施策については適時適切に措置を講じていきたい、こういうぐあいに考えております。
  143. 橋本敦

    ○橋本敦君 ということで、両々あわせ持って進んでいかなければなかなか目的は達せられないと思うんです。  その審議内容の公開ですが、実は法案四条六項で、「委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。」という規定があるんです。  私は、国民のための司法国民に開かれた司法を論ずるこの委員会としては、こういう規定は果たして必要だろうかという疑問があるんです。しかし、設けられました。だから、この規定が審議公開を制約したり否定したりするようなことに使われてはならぬということはきっちり認識しておく必要があると思うんですが、いかがお考えですか。
  144. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この規定は、例えば調査審議の過程で個人のプライバシーにかかわるような資料を扱う場合もあろうか、こういうようなことを想定して設けたものでございます。審議公開はまた別の話でございますので、当然政府の方針として、審議会審議等の公開についてはこれをできる限り行っていくということで考えておりますし、審議会においてもそのために適切に対応していただける、こういうぐあいに考えております。
  145. 橋本敦

    ○橋本敦君 個人のプライバシーという狭い限定された大事な限界ということに着目した規定だということの運用をおっしゃったと思うんですが、それはそういうことできちっとやってほしいと思います。  それから、もう時間の関係で最後の質問になるんですが、未成年被疑者も含めまして刑事被疑者に対する公費弁護制度というのが論じられてまいりました。この審議会でも論じられる課題になると思うんですが、そうなりますと、これと同時に少年事件の付添人についての公設扶助制度、こういった構想も論議されないと、子供たちの利益を守るということで欠けてしまってはならないと思うんですが、こういう問題も当然論議されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいま委員から御指摘のありましたような事柄が広くいろいろ議論されているということは私どもも承知しております。この審議会においては、先ほども申し上げましたような二条の「所掌事務」の規定された過程等を踏まえまして、具体的にいかなる事項を取り上げるかということは審議会において適切に判断していただけるもの、こういうぐあいに考えております。
  147. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に取り上げることは審議会が決めるというのは当たり前なんですが、私が指摘したような問題も少年事件について忘れずに論議されるような方向で皆さんも努力してもらわなきゃ困るので言っているんですが、どうなんですか。
  148. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、この審議会に対する各委員の御意見等は議事録の形で当然事務局から審議会に伝えられるということになろうかと思っております。
  149. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  終わります。
  150. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 司法制度改革審議会内閣に置かれるということには非常に危惧を感じます。三権分立を侵害するのではないか、違憲立法審査権を行使する裁判所が逆に内閣のコントロール下に置かれるという危惧を大変感じます。だからこそ、何が議論されるのか、そしてどういう体制なのかということを十分国会もチェックしなくちゃいけないというふうに思います。  それで、まず委員の選任ですが、これは衆議院の附帯決議の中で、「政府は、審議会委員の選任に当たって、司法制度実情を把握すると同時に国民各層からの声が十分に反映されるように努めること。」というのが入っております。私は、例えばNGO団体、できればシビアな事件を扱ってきたような団体、あるいはアムネスティ・インターナショナルのような団体、自由人権協会のような団体、そういう人たち委員に選任していただきたいと考えておりますが、いかがですか。
  151. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この司法制度審議会は、二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度改革と基盤の整備に関し必要な基本施策について国民的見地から調査審議することを目的とするものであります。そういうことから、この司法制度全般についてこのような視点のもとで調査審議するのにふさわしい有識者国民各層から委員として選任するということになろうかと思っております。  具体的にどのような方がその委員にふさわしいかということにつきましては、国会における御議論も踏まえて内閣において適切に判断していくことになろうかと思っております。
  152. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この審議会で何を議論するかはかなり白紙委任なんですが、法務省がまとめた司法制度改革のための検討事項の中に明らかに漏れているものがたくさんあります。例えば行政のチェック機能裁判官の独立の問題、刑事司法改革の問題、代用監獄の問題や自白強要の問題など、明らかにさまざま指摘されている司法の中の司法、あるいは捜査の問題の中で明らかに欠落しているものがたくさんあるというふうに思います。  ですから、委員の選任に当たっては、決して法務省のみ、内閣のみの意向ではなく、もっと市民、しかもかなりシビアな問題を抱えている市民の意見を体現してくださるように、委員の選任についてはよろしくお願いします。  次に、事務局体制です。  衆議院でも議論になっておりますが、事務局長一名、参事官三名、それには最高裁法務省、大蔵省という話が出ておりますが、これはこうなのでしょうか。
  153. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 事務局を置くということが本法案の第七条に定められておりまして、二項では「事務局長のほか、所要の職員を置く。」ということになっております。また、その所要の職員としては少なくとも参事官三名は置くことが予定されております。この事務局長あるいは参事官にどのような者が当たるかということにつきましては、いまだ決定されていることではございませんので、本法案が成立をいたしました場合には速やかにその事務局体制の整備に取りかかりたい、こういうぐあいに考えております。
  154. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今おっしゃった七条二項、事務局長は「関係のある他の職を占める者をもって充てられる」とありますが、これはどういう人を念頭に置いていますか。
  155. 房村精一

    政府委員(房村精一君) これは、この司法制度審議会関係のある省庁の何らかの職を占めている人が事務局長に充てられるということを定めたものでございます。
  156. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この事務局長がだれかということが非常に問題だと思います。衆議院でも議論になっておりますが、例えば房村さんはもともと裁判官で、法務省に出向されて、そして今調査部長なわけですね。事務局長になられるとか、そういうことではないんですよね。
  157. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 人事の問題、特に私がどうなるかということは私にもわかりかねますので、ちょっと御容赦願います。
  158. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この参事官の三人なんですが、最高裁法務省、大蔵省などと言われております。大蔵省がなぜ入るのかというのがわかりません。私は、先ほど言いましたように、事務局体制の中にもアムネスティ・インターナショナル、世界的にきちっと評価されているそういうNGOの、しかも刑事司法などについてかなりシャープな問題意識のあるような団体の人をきちっと事務局に入れるべきである。衆議院の附帯決議の中でも民間を登用するようにというのは強く言われておりますが、いかがでしょうか。
  159. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 先ほどから申し上げておりますように、事務局にどのような者が当たるかということはいまだ定まっているわけではございません。ただ、事務局役割というものは、要するに委員による審議を十分に充実させる、そういうことのために資料の調査、収集、整理、分析、あるいは審議結果の整理、こういうようなことを行うわけでございます。いわば縁の下の力持ち、審議充実のための黒子ということでございますので、そのために必要な知識を有している方々にこの事務局には集まっていただくということを考えているところでございます。
  160. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この司法制度改革審議会内閣のもとに置かれると、司法改革内閣のコントロール下に置き、三権分立あるいは違憲立法審査権の行使について大きな疑問があるというふうに思います。だからこそ、この事務局を各関係諸省庁の役人をかき集めることでやっていただきたくないと思いますが、いかがですか。
  161. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 内閣としては、常日ごろから司法権の独立というものはこれを尊重しなければならないと考えているところでございます。ただ、裁判所法案提出権を有しておりませんので、例えば裁判所の定員法であるとか裁判所法であるとか、裁判所あるいは司法制度に関する法律案については、内閣として閣法として国会に御審議をお願いするということが多うございますが、その際にも司法権の独立に抵触することのないよう細心の注意を払っているところでございます。  この審議会につきましても、同様に内閣として司法権の独立に干渉するようなことのないよう心がけてまいるつもりでおります。
  162. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 衆議院の附帯決議のトップにも、「司法権の独立を侵害しないように配慮すること。」というのが入っております。具体的にどう配慮されるんですか。
  163. 房村精一

    政府委員(房村精一君) どう配慮するかということになりますが、基本的に内閣としてそういう認識でおるということを審議会方々にも御理解いただくということになりましょうし、また審議状況の透明性の確保に努めるということで、国民方々にこの審議会はどういうことをしているということを理解していただけるような状況をつくる、こういうようなことであろうかと思っております。
  164. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 配慮するということは、配慮だけではだめで、システムの問題でもあると思います。委員、そして事務局体制、特に事務局体制は各関係諸省庁からかき集めないように、特に参事官に大蔵省が入るとなぜ一般的に言われているのか、全く理解に苦しみます。きちっとしたNGOを入れてくださるように強く要望したいと思います。  会議公開なのですが、今まで流れとしては、会議公開あるいはできる限り公開というふうに聞いてちょっと不安なんです。会議公開するとぜひ明言してください。
  165. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ですから、政府基本的な方針といたしまして、審議会等につきましては会議または議事録の公開ということを基本方針に定めているわけでございます。内閣の補助機関として置かれる審議会において、当然その方針を踏まえて適切に対応していただける、こう考えております。
  166. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 橋本委員も聞かれたんですが、この法案には守秘義務が入っております。これはとても理解に苦しむ条項で、削除していただきたいというふうに私は強く思うんです。  というのは、これは国民参加ということを非常にうたっているわけですから、司法改革については議論沸騰、大騒ぎ状態になる方がずっといいわけです。国民の知らないところで決められるよりは議論が沸騰してたまらないという方が絶対にいいわけですから、守秘義務、職を退いた後もしゃべってはいけないというのは全く理解に苦しみますが、いかがですか。
  167. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ここで守秘義務の対象となっておりますのは、職務上知ることができた秘密ということでございまして、具体的にいかなる議論をしたかというようなことが秘密に該当するとは考えておりませんで、先ほどもちょっと申し上げましたが、調査審議の過程でプライバシーに触れることあるいは秘密に触れること、こういうような資料を取り扱うこともあり得ると思いますので、そういう場合に備えてこのような規定を設けたわけでございます。  委員の間になされる議論については、審議の過程として当然公開の対象になってくるというぐあいに考えております。
  168. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 参考人意見の中でも、行政のチェック機能の話が随分出ました。行政のチェックをどうしていくのか、判検交流の問題、それから例えば令状の却下率が〇・一%を切っているとか、いろんな問題があります。あと参考人から出た意見では、裁判官の市民的自由ということも非常に強調されました。  そういうことはこの審議会議論されるのでしょうか。
  169. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 具体的な個々の審議項目につきましては、国会での審議経過あるいは各種提言、あるいは国会でなされました所掌事務に関する修正の経過、こういうようなものを踏まえて審議会において決定していただけるというぐあいに考えているところでございます。  ただ、先ほどから御指摘のありますように、審議事項司法の独立にわたらないようにということは当然審議会においても意識して具体的な審議事項を選定することになろうかと思っております。
  170. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 裁判官の独立ということで、最高裁事務総局を頂点にした強烈なピラミッド機構ができているのではないか、それが裁判官を非常に萎縮させている、なかなか行政事件の勝訴率が上がらないなどということも言われておりますが、そういう点についてはどうお考えでしょうか。
  171. 房村精一

    政府委員(房村精一君) そのような参考人等の御意見が述べられたということは認識しておりますが、最高裁判所におかれては適切に司法行政権を行使されておるものと私どもは認識しておりますし、また裁判官はそれぞれ裁判官の独立を保って職務に精励しているというぐあいに考えております。
  172. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、裁判官の数をいかにふやしても、官僚的裁判官、そして判検交流のもとでの裁判官という立場であれば、あるいは市民的自由を持っていない裁判官ということであれば、結局数をふやしても裁判の内容は全く変わらないだろうというふうに思っております。  いつもこれは最高裁に申し上げているんですが、市民的自由などについてもっと拡大するというふうな、もっと裁判官が元気に自由になるとか、判検交流なんてやめて、今少しおやりになっていらっしゃいますが、もっと民間、NGOなどとの交流もやってもいいと思います。  そういう点についてはいかがでしょうか。
  173. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) 現在の法制度裁判所法で裁判官の義務なども定められておりますが、そういうものが不当に裁判官の市民的自由を制約するものなのかどうかということは、そういうふうには言えないのじゃないかと思います。現在の裁判所実情を見ましても、合議などにおきましては自由濶達に意見を述べていると思います。  ただ、御指摘がありましたように、裁判官はいろいろな経験を、いろいろなことを広く知る、いろいろな人の意見を謙虚に聞くということが大事でございますので、研修等を含めてあちこち見聞を広める機会をつくるということは大事だと思っております。
  174. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 司法制度改革の大きな柱はやはり裁判官の独立をどう保障していくかということだと私も思います。  それで、今自由濶達に意見を言っているとおっしゃいましたけれども、例えば令状の却下率が〇・一%を切っているなどという点については、何でこんなことになるのでしょうか。
  175. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 令状の却下率と全部ひっくるめて仰せになりましたが、これは少し分析してみますと、例えば逮捕状の請求についての却下率、これは年々率が下がっておりますことは委員仰せのとおりでございますが、実はそのほかに捜査機関の方から撤回という形でウイズドローしておるものがあります。この撤回と却下というものを合わせた数字で見てみますと、実は逮捕の場合には逆にその数字は上がってきているという状況でございます。  ただ、勾留について申しますと、却下と撤回を合わせましても数字的には下がってきているということは事実でございます。  なぜ下がっているのかということでございますが、これは事件はすべて個別でございますので、個別にそれぞれの裁判官が御判断なさっておられることでございまして、その数字だけを見てどうであるというようなことは申せないのではないかと思っております。
  176. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それでは教えてください。却下率のみ、それから撤回と却下を合わせた分はどれぐらいになっていますか。
  177. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 大変申しわけございませんが、突然のお尋ねでございますので、本日手元には資料は持ってきておりません。
  178. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それでは後ほど教えてください。  それでは次に、先ほど橋本委員質問されたんですが、法律扶助制度のことについてお尋ねいたします。  衆議院の附帯決議の最後が、「既に一定の方向性の示されている法律扶助制度等の諸制度充実を図ること。」というふうになっております。この「既に一定の方向性の示されている法律扶助制度等」の中に少年事件付添扶助制度は入っていないというふうに言われているんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  179. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 委員の突然のお尋ねでございますが、一定の方向が示されているというのは、法務省におきまして民事法律扶助について研究会を組織し、その結果を研究報告としてまとめたことを指しているのではないかと考えておりますが、そういう前提であるといたしますと、その研究会報告は今も申し上げましたように民事法律扶助についてのものでありますので、少年の付添人についてはその研究会報告の一定の方向には含まれていないということになろうかと思います。
  180. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ちょっと細かい論点になって申しわけないんですが、一定の方向が示されているのは民事扶助であると。あと刑事被疑者弁護のことも議論にはなっていると思います。ただ、すぽんと抜け落ちているのが、扶助協会が今多く扱っている少年付添人の扶助制度のことがさっきおっしゃったとおりこれには盛り込まれていないわけです。  ですから、法律扶助制度の中で少年付添人扶助制度もぜひその審議会議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  181. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 先ほど来申し上げておりますとおり、具体的な個々の審議項目につきましては、審議会においてこのような国会での審議とか各種提言というものを踏まえて御決定いただくことになろうかと思っておりますが、このような議論があったということは、多分事務局から国会の議事録を提出するという形で審議会に伝わるものと考えております。
  182. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 あと割と漏れているのが、家庭裁判所充実ということなども余り議論になっていないのではないかと思います。家庭裁判所調査官は非常にいい仕事をしながら、なかなか忙しいということもありますし、離婚事件が大変ふえておりますので、そういう意味で家庭裁判所充実、この委員会でも議論になったこともあるかと思いますが、ぜひお願いしたいと思います。  今回のこの司法制度改革かなり長い間の司法のあり方を決めてしまうだろうと思います。その方向づけによっては司法制度そのものも瓦解していくような、そんなことだって起こり得るだろうと。ですから、特に委員の選任、事務局体制、それから取り上げる項目が偏らないように、今法務省が出しているのは法務省サイドのことですから、刑事司法改革や行政のチェックなどについては明らかに触れられておりませんので、そういう意味では、今まで戦後重要な問題とされてきたそういう点について落ちることのないように取り上げていただきたいというふうに思います。ぜひNGO、人権団体から委員事務局に採用してくださることを強く要求して、質問を終わります。
  183. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 司法制度改革審議会という名前でございますので、現行の司法制度に何か問題がある、あるいは弊害があるからこういう審議会をつくるんだと思いますが、この審議会調査審議する対象となる司法制度というのはどんなものをお考えでございますか。
  184. 房村精一

    政府委員(房村精一君) これは広く司法にかかわる事柄一般、特に狭く裁判所だけに限定するというようなことではなくて、例えば民間における仲裁制度であるとか、あるいは準司法機関の活動もございましょうし、そういったような広く司法にかかわるものを全般に審議の対象とするということが考えられております。
  185. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、司法制度の中身はもちろんのこと、司法制度を支える周辺の問題、もうちょっと広く言いますと、司法文化といいますかリーガルカルチャーといいますか、そういうものも視野に入れていろいろ議論する、そういう審議会だというふうに考えてよろしいですか。
  186. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 具体的にそういう司法を支える文化といいますかあるいは意識といいますか、そういったものをこの審議会が取り上げるかどうかというのは、これは審議会が、何を審議したらいいか、あるいはどういうことが必要かということを判断して決められるということになろうかと思います。  ただ、確かに司法というのは、そういうこれを支える国民の意識とか、これに携わる者の意識というものと離れてはうまく機能しないということは御指摘のとおりだろうと思っております。
  187. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そういう意味で、私は諸先生方意見と若干違いまして、内閣審議会を置くことについては特に異論はありません。適切だと思います。むしろ、司法の中に置くことが幅広い司法制度改革議論にはなりにくいと。内閣に置くことの意味が一つあると思います。  さて、審議会内閣意見を言うということになっていますが、調査審議したものを内閣に対して意見を言って、内閣はその意見をどうするつもりですか。
  188. 房村精一

    政府委員(房村精一君) これはやはり司法改革のために審議をしていただいた上での意見でございますので、でき得る限りこれを尊重していくということになろうかと思います。
  189. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 尊重するということは、具体的にどういうことですか。
  190. 房村精一

    政府委員(房村精一君) その意見の内容にもよるわけですが、具体的に例えば立法措置を講ずる必要があるということになれば、担当部署におきまして法案をつくって国会での御審議をお願いするというようなことになるのではないかと思っております。
  191. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 立法措置、立法による制度改革ということが主題だし本論だと思うのですが、となると、やっぱり改革する権限を持っているのは国会だということでございますね、当然のことでございましょうけれども。
  192. 房村精一

    政府委員(房村精一君) もちろん、法律を制定するのは国会でございますので、立法措置が必要なことについては国会で御審議、御決定願うわけでございますし、予算措置についても予算を編成して国会での審議をお願いする、こういうことになろうかと思います。
  193. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 何かこの審議会ですべて物が決まるような御意見が大分あったのですが、私は、そういう意味で、国会が立法、予算について改革の権限を持っているんだという自覚をもっとやっぱり国会方々が持つべきだという意見を持っております。国会の中に司法制度改革委員会のような、特別委員会でもいいし常任委員会でもいいんですが、そういうものを設けてやるのが本当は一番いいわけですが、こういうやり方も一つのやり方だと思っております。  さて、この審議会機能といいますか用向きにつきまして衆議院で修正があった中で私が注目をしていますのが「法曹の在り方」という言葉であります。法務省の人が修正案を出したわけじゃないから法務省の人に聞くのはちょっとなにですが、法曹という言葉が法律の用語にあるということは非常に珍しいんじゃないかと思うのです。私も専門家じゃないからよくわかりませんが、「法曹の在り方」という言葉を入れたことについて、法務省としてはどう理解なさっていますか。
  194. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ただいま委員のお述べになられたとおり、この部分は衆議院で議員の先生方が修正を加えた部分でございますのであれですが、確かに法曹という言葉は法律用語としては余り使われた例はないのではないかなと思っております。  ただ、この修正に関与された御意見を承っておりますと、この「法曹の在り方とその機能充実強化」というようなことで、やはり法曹一元とか日本の法律家のあり方を広く考える、あるいは業務のあり方とか、そういったようなことを念頭に置かれているように承りました。
  195. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 私は法律の勉強を二年しかやっていませんでまことに素人でございますので、基礎的なことをお聞きして恐縮ですけれども、そもそも法曹という意味はどういう意味なんですか。
  196. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 私もちょっとあれですが、一般に我が国法曹と言う場合には、具体的には裁判官検察官弁護士という法律実務家を指して法曹と用いられているのが通例ではないかと思っております。
  197. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、「法曹の在り方」という意味には法務省機能のあり方という意味も入りますね、この中には。
  198. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 広い意味では、もちろん法務省にいる者すべてが法曹というわけではございませんが、法務省のあり方にも関係してくるところがあろうかとは思います。
  199. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、この審議会機能としまして、司法制度と一言で言っておるわけですけれども、衆議院の修正というのが、司法制度及びその周辺、法務省にかかわる問題についても改革せにゃいかぬ、そういう意思の修正でしょうね。
  200. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 法務省にかかわることがこの修正で入ったのかどうかということになると私どももよくわかりかねますが、もともとこの審議会設置法案国会に提出する段階で、私どもとしては、先ほど申し上げたように、狭義の司法制度裁判所制度に限らず、広く司法にかかわること全般を審議の対象として二十一世紀司法のあり方を御検討いただく、こういうつもりでおりましたので、そういう意味では、法務省の所掌している事柄につきましても当然その審議会審議される事項関連を持っているというぐあいには考えております。したがいまして、修正後においてもその点は変わりがないのではないかというぐあいに考えております。
  201. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 わかりました。修正案を出された人たちに一回聞いてみたいと思います。  あと一点、大臣の提案理由説明の中に「司法機能社会ニーズにこたえ得るように改革する」、こういう言葉がありましたのですが、現在のシステムが社会ニーズにこたえることに障害があるという御認識でしょうか。
  202. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 司法の現在の役割というのは、十分社会ニーズにこたえるべく努力されておる、このように認識しておるわけでございますけれども、一方では、国民方々により利用しやすい司法制度であってほしいという声もあるわけでございまして、そういう観点から申し上げたところでございます。
  203. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 司法権の一番大事なポイントは、国家の法正義といいますか法価値を決定することだと思います。ですから、司法制度国民あるいは社会ニーズといいますか、かかわりというのが入ることは結構なことですが、国家の法正義を決定するということは別に多数決で決めるべきことではないと思いますし、ちょっとこの提案理由の言葉ではそこら辺が誤解されるんじゃないかという思いを持っておりますが、その点はいかかでございましょうか。
  204. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 社会ニーズというときに、もちろん個々の紛争について司法に適正、迅速な解決を求める、こういうような司法国民が直接利用するという意味のニーズもあると思います。しかし同時に、社会法秩序司法が適切に守っていく、そういう役割を果たすということを国民が期待するというのも社会司法に対するニーズだろうと思います。  今、委員の御指摘の法の正義を実現していくというようなことも、これは当然司法に課せられた役目だと思っておりますし、社会もそういうことを司法に期待している。そういう意味で、それは司法に対する社会ニーズだということではないか。具体的に何をしてくれということではなくて、国民司法の果たすべき役割として何を求めているか、それを司法に対するニーズと呼んだわけでございます。
  205. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 わかりました。  最後に、これは質問ではございません、いずれ改めてお尋ねしたいと思いますが、一昨日、参考人審議の中で、飯室参考人が現在の司法制度制度疲労に三つポイントを挙げまして、最後に現在の司法制度に立法、行政へのチェック機能が十分でない、そういう問題の指摘をしております。そして、その説明として、違憲立法判断が少ない、裁判官が憲法判断を避けている傾向があるのではないかという指摘がありました。  ことしの大臣の所信表明で、このことについて私が大臣にお聞きしましたところ、大臣は、現在の司法制度の違憲立法機能は果たされているという御見解の答弁があったと記憶しております。いずれまた改めてこの法案での審議があると思いますので、そのときにまたゆっくり大臣との議論をしてみたいと思いますので、ちょっと質問の予告をしておきまして、終わります。     ─────────────
  206. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。     ─────────────
  207. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これは審議会設置法案に関する質疑ということでございますけれども、こういう質疑というのは、卵か鶏かというような部分がありましてなかなかややこしい。ともすれば参考人質疑みたいになってしまうということなんですが、卵か鶏かのところをもうちょっと明確にしていただきたいので、まず最初に委員の人選過程についてお聞きしたいと思うんです。  審議会委員のリストを作成するということになりますと、これを作成するための事務局みたいなものが必要なわけですけれども、これは内閣内政審議室になるのか、法務省になるのか、審議会事務局、例えばこれができてしまえばそこになるのか。どれなんでしょうか。
  208. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 本審議会委員は、両議院の同意を得た上で内閣が任命するということになりますので、委員の候補者の選定に関する事務は内閣官房において扱うということになります。
  209. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 委員の数は十三人ということを想定されていますけれども、その前に何人ぐらいを候補者リストとして挙げるのか。そういう基準はあるんですか。
  210. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 候補者リストという言葉ですが、両議院に同意をいただくに当たってお示しする委員候補者の数ということでありますと、これは審議会委員として適当と考える十三人以内の候補者をお示しするということになろうかと思います。
  211. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 もう最初から十三人しか挙げないということですか。
  212. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 十三人以内の候補者をお示しするということになります。
  213. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そうすると、選ぶということになるのかどうかという疑問があると思うんですけれども、委員は十三人以内になってしまうということなんでしょうか。
  214. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 委員の任命につきましては、両議院の同意を得て内閣が任命するということになりますので、当然、委員として任命したいと内閣が考えている方を両議院にお示しして、その方についての同意を求める、こういう形になります。
  215. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 何人かの中からチョイスすることではないというお答えだと思うんですけれども、そうしますと、委員をまず選んで出していくということなんですが、その場合に、例えば職業別とか団体別などという、どういうところから選ぶというような基準というのはあるんでしょうか。
  216. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 委員選任の基準ということでございますが、これは、この司法制度改革審議会が二十一世紀我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにして、司法制度改革と基盤の整備に関して必要な基本施策について国民的見地から調査審議することを目的とするということでございますので、司法制度全般について、このような視点のもとで調査審議するのにふさわしい有識者国民各層から委員として選任する必要があるというぐあいに考えているところでございます。
  217. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そうすると、例えば法曹界とか人権団体とかあるいは労働組合とか、いろいろバランスのとれた職種、団体別ということを最初に想定しないということなんですね。
  218. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 委員の選任につきましては、法律が成立すれば直ちに取りかかるということになろうかと思いますが、当然、審議事項司法にかかわる事柄だということから、法律関係の深い方々をお願いする必要があろうかと思っておりますし、また司法を利用する側の立場方々にも委員として入っていただきたいというぐあいには考えております。
  219. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 法務大臣委員の人選や任命に当たってどういう役割を果たされるんですか。
  220. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 委員の任命に当たりましては、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、両議院の同意を得た上で内閣が任命するということでございますが、任命権者である構成員の一人といたしまして、適切な委員の人選がなされるよう必要に応じて意見を述べてまいりたい、このように考えております。
  221. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 次に、事務局のあり方についてお聞きします。事務局長及び事務局員の任命権限というのは法案では定めていないんですけれども、これはだれなんでしょうか。
  222. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この事務局内閣直属の機関として設置されるということでございますので、事務局長以下、事務局職員の任命権については、国家公務員法第五十五条第一項の規定により、内閣に属するということになります。ただ、この内閣の任命権につきましては、同法で「委任することができる。」ということになっておりますので、この法案成立後、具体的にどういう委任をするかというようなことは決められることになるのではないかと思っています。
  223. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 衆議院での政府答弁を見ますと、事務局長、それから三人の参事官を含め十名程度で構成すると答えているわけですけれども、予算措置上、正確には何人を想定されているんですか。
  224. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 実は、この事務局長あるいは参事官などの事務局に勤務する者につきましては、それぞれの関係省庁から出向していただくということを想定しておりまして、予算措置上、事務局職員の定員措置というのは講ぜられておらないものですから、予算定員として何人ということは決まっておりません。  ただ、審議を円滑にするための事務局機能を果たすために十名程度は必要であろうということを今考えているところでございます。
  225. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これも同じように衆議院での答弁がありまして、原則として各省庁と最高裁からの出向者で事務局を構成するとなっていますけれども、省庁別及び最高裁の出向予定割合というものはもうできているんでしょうか。
  226. 房村精一

    政府委員(房村精一君) この事務局職員の人事の詳細につきましてはいまだ固まっているわけではございません。この法案成立後、審議会審議を補佐するのにふさわしい知識を有する者を早急に任命していきたい、こういうぐあいに考えております。
  227. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 次に、国会論議との兼ね合いについてお尋ねしますけれども、先ほども海野委員からも質問がありました。衆参の法務委員会あるいは本会議審議会の方向性や議論、テーマに関してさまざまな意見が出されました。しかし、私たち国会議員の意見というのは審議会でどう反映されるのかということで、例えばここの法務委員会の一般質疑などで、この審議会委員参考人として、あるいはこれは政府委員となるんですかね、そうした形で呼べるのかどうかということはいかがですか。
  228. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 審議会審議状況につきましては、議事あるいは議事録の公開というような形で透明性を保つ努力をするということは当然でございます。  また同時に、この審議会がどのような審議状況であるかということを国会に知っていただくということも当然考えられるところでございまして、そういうことから衆議院の法務委員会附帯決議がなされまして、その附帯決議では、透明性の確保に努めるとともに、審議事項等について事務局を介して委員会が報告を求めることができる、こういう附帯決議がされております。例えば衆議院の法務委員会の場合、そのようなことで事務局が現在の審議状況等についてお求めがあれば説明に応じる、あるいは審議の議事録をお届けするというようなことになろうかと思っております。
  229. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 具体的に出席できるんですね、法務委員会に。
  230. 房村精一

    政府委員(房村精一君) ですから、その場合は事務局の適当な者が法務委員会の求めに応じて御説明をするということになるのではないかと考えております。
  231. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 では、できないということなんですね。要するに、審議会委員法務委員会質疑に出席できないと。
  232. 房村精一

    政府委員(房村精一君) どのような方を参考人にするかというのは、それぞれ委員会の御判断でございます。私が申し上げたのは、附帯決議でそういう形での報告が衆議院の法務委員会では考えられているということを御説明したわけでございまして、それ以上にわたりまして審議会委員がこの委員会参考人として出てくることについて、できるできないということをここで申し述べたわけではございません。
  233. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そのお答えだと本当に我々法務委員会委員審議会委員とが交流する場所が確保されているのかどうかということは不明のままなんです。  では、衆議院で附帯決議がつけられました。この附帯決議というものが実際にその審議会の中でどのように扱われるのかということなんですけれども、例えば附帯決議審議会の規範的な条件というようなことになるんでしょうか。
  234. 房村精一

    政府委員(房村精一君) 附帯決議にもいろいろな項目が含まれておりますが、これは国会の意思の表明としてなされた決議でございますので、審議会審議に当たる委員もそのような国会の意思であるということを十分踏まえてこの附帯決議趣旨を考慮するということになろうかと思っております。
  235. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 陪審制についてちょっとお聞きしようと思いましたが、時間の関係もありまして、これは理念的な問題になりますので、省略いたします。  質問を終わります。
  236. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  237. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  238. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 外国人登録法の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  両案の原案に対する質疑は去る五月十三日に終局いたしておりますが、外国人登録法の一部を改正する法律案の修正について服部三男雄君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。服部三男雄君。
  239. 服部三男雄

    服部三男雄君 私は、ただいま議題となっております外国人登録法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び自由党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  第一は、入管特例法に定める特別永住者につきまして、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を「二十万円以下の罰金」から「十万円以下の過料」に改めることでございます。  第二は、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を過料に改めることに伴いまして、特別永住者が旅券等の携帯義務に違反した場合の罰則につきましても、「十万円以下の罰金」から「十万円以下の過料」に改めることでございます。  第三は、廃止前の日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づく永住の許可を受けて在留していた者で、再入国の許可を受けることなく出国し、外国人登録法の一部を改正する法律の施行の日において入管法別表第二の上欄の在留資格をもって在留している者が、同日以降、入管法別表第二の上欄の永住者の在留資格をもって在留するに至ったときは、入管特例法に定める特別永住者とみなすことでございます。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  240. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  241. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  三点お聞きしたいと思います。  外国人にのみ義務づけられている常時携帯義務につきましては、国際人権規約B規約などから大変批判されているところであります。なぜ外国人にのみ常時携帯義務を課しているのか私はわかりませんでした。この法務委員会においても明確な御答弁はなかったというふうに考えておりますが、なぜ今回この外登法の改正におきまして、非常に重要なかつ要望の強い外国人にのみ常時携帯義務を課していることを撤廃してほしいということを盛り込まれなかったのでしょうか。
  242. 服部三男雄

    服部三男雄君 外国人登録証明書の常時携帯制度につきましては、当委員会においてさまざまな議論がなされたところはよく承知しておりますが、一般的に申し上げれば、いわゆる即時性とお答えしておりますけれども、この制度には必要性、合理性があるものと信じております。  しかしながら、歴史的経緯等を有する特別永住者に対しましては、この義務違反につき刑事罰をもって臨むことは委員指摘のとおりまことに酷に過ぎるものと考えまして、このたびその罰則を内国と同じ扱いということで十万円以下の過料という行政罰に軽減する修正案を出させていただいたということを御考慮いただいて、御理解を賜りたいと思います。
  243. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 第二番目に、再入国許可制度の問題について御質問をしたいと思います。  外国人に義務づけられております再入国許可制度につきましても、なぜこれが必要なのか。この点につきましても、永住者、特別永住者については特に撤廃すべきであると国際人権規約B規約からも勧告を受けております。今回なぜ修正案にこれが盛り込まれなかったのでしょうか。
  244. 服部三男雄

    服部三男雄君 再入国許可制度につきまして各委員から法務当局に対していろいろ御質問があり、答弁させていただいたところでございます。その際申し上げたとおりでございまして、その必要性、合理性につきましては十分あると考えております。  ただ、今後も世界の動向の変更がございましょうから、それに合わせて検討を続けていく必要があることは認めるにやぶさかでございませんけれども、現在のところは十分必要性、合理性があると考えております。そういうことでこのたびの修正案には盛り込まなかったのでございます。御理解を賜りたいと思います。
  245. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 第三番目に、外国人登録法の登録事項なども問題ですが、今回特に盛り込んでいただきたかったのは、満十六歳から本人登録、外国人登録証明書の常時携帯義務などを課している。これは十六歳からで、やはり非常に低過ぎるのではないか。十八歳に引き上げてほしいと思っておりましたけれども、なぜこの十六歳、外国人登録法上の義務年齢の引き上げということは盛り込まれなかったのでしょうか。
  246. 服部三男雄

    服部三男雄君 この点についても、当委員会で御議論があったことは十分承知しておりますが、諸外国との比較とか年齢を引き上げる必要性の理由とかいろいろ勘案いたしまして、今後十分検討はいたしますが、今国会においては盛り込まないように決めたわけでございます。
  247. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 以上です。
  248. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) これより両案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  249. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 まず、外国人登録法の改正法案に関しまして、一部にわずかな改良が見られるものの、外登証の常時携帯義務の廃止という指紋押捺制度廃止に匹敵する重大テーマが今回見送られました。これでは不完全法案となりましたので、反対を表明いたします。  次に、入管法改正法案に関しましては、さらに拡大する二十一世紀の国際交流状況に対応するにはむしろ逆行的な改悪となるものであり、到底国際的批判にもたえられぬものでありますので、強く反対いたします。  いずれにせよ、この二法案は、過去の国会附帯決議、国連規約人権委員会の勧告、そして今国会法務委員会質疑内容、圧倒的世論の主張を著しく軽視したものであり、人権の尊重よりも役所の利便性を優先する時代錯誤的内容となりました。  なお、附帯決議に関しましても、これまでの決議無視の経過を見る限り、その有効性、実効性に関し大きな疑問と不信を抱かざるを得ません。  したがって、この両法律案に対し、ごく近い将来、再び根本的な改正案が審議されることを強く希望し、討論を終わります。(発言する者あり)
  250. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 傍聴席、御静粛に願います。
  251. 橋本敦

    ○橋本敦君 外国人登録法改正案は、外国人登録証の常時携帯義務が存続する点で私も問題と考えております。しかし、長年の課題であった指紋押捺制度が全廃される、こういう点で私は賛成をいたします。  また、修正案については、その第一と第二について、永住者と特別永住者を区別せず、永住者全体について刑事罰をなくすのが適当と考えるのでありますが、修正案は現状の改善にもなっておりますので賛成したいと思っております。  以上の点を指摘した上で、日本共産党を代表して、出入国管理及び難民認定法改正案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、不法在留罪の新設であります。  第一に、政府は、不法在留罪の新設について、不法在留している在日外国人に対して治安対策上の必要があるということを述べました。しかし、不法に入国、上陸している不法在留と言われる人たちが起こす犯罪件数は、二十七万と推定される人たちのうち毎年ごくわずかで、著しく増加しているという事実がないことは審議の中で明らかになりました。現行法の不法入国罪あるいは不法上陸罪と退去強制制度の上に新たに不法在留罪を新設することに具体的合理性がないことはこの点でも明白であります。  第二に、不法在留罪は、どの時点から果たしてその罪が既遂となるのか、また不法入国罪等との関係で罪数がどうなるのか、こういった点も含めて構成要件が不明確なままであります。  第三に、不法在留罪によって不法入国者はいつまでも刑事訴追の対象となり、不法入国罪の公訴時効制度を事実上否定する結果になります。公訴時効制度は近代刑法が確立してきた基本原則一つでありまして、これを事実上無効にしてしまう点で重大な人権上の問題があると言わざるを得ません。  このような不法在留罪の新設は、参考人も述べたように、不法入国などに事実上抑止効果がないばかりか、在日外国人に対する人権侵害を起こしかねない、そういった問題を持っておるものであります。  反対理由の第二は、被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長であります。  現行法において、退去強制された者に対する再入国拒否期間は一年でありますが、法務大臣の裁量により実際には二年あるいは三年かかるということもあるわけであります。ですから、仮に悪質なケースがある、こういった場合においては現行法のもとであっても入国を認めなければよいわけであり、このような運用が裁量的に実際上できているのでありますから、拒否期間を法律上五年に延長しなければならないという合理的根拠はないと考えます。  問題となるのは、この期間の伸長によって関係者の家族の長期にわたる離散、あるいは離れ離れになって生活の侵害を受けるなど、人権侵害を助長するケースがふえるということであります。これは重大な問題であります。  この間の審議法務大臣は、私の質問に対しても、家族的関係を結んだ在日外国人に対しては人道上から従来どおりの扱いをするという旨の答弁をされていますが、しかし、法務大臣に広範な裁量権がゆだねられたままでその扱いを担保する法的根拠がないという本改正案では、関係者の不安を到底取り除くことはできません。  根本問題は、在日外国人の皆さんをいつまでも管理、取り締まりの対象と見る日本政府の政策の問題でありまして、政府に、国際人権規約を尊重し、内外人平等の考え方、そしてまた在日外国人に対する一層の人権保障など、外国人とともに生きる国際社会に開かれた我が国の入管行政の転換を強く求めて、反対討論を終わります。
  252. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党を代表して発言をしたいと思います。  今回の入管法改悪案、そして外登法の改正が極めて不十分に終わったことは本当に残念であり、かつ激しい怒りを持っております。  去年、一九九八年十一月、規約人権委員会から、入管法、外登法に関してさまざまな点について改正をするように、四回目の審議の中で勧告が出ました。そして、前回の附帯決議もちゃんとあります。しかし、本当に残念ながら、今回、この法務委員会でそれを生かすことが全くできないばかりか、改悪案が成立しようとしているということに強い憤りを感じております。  社民党は、まず、入管法について、この改正については反対です。  この入管法改正について、立法理由、立法目的は何ら明らかにされておりません。犯罪がふえているということを立法理由として挙げられておりますけれども、それは十分立証されてはおりません。むしろ、そうではないのではないかというふうにも言われております。  それから、先ほども同僚の委員からも発言がありましたけれども、不法在留罪は、まず第一に構成要件が不明確です。第二番目に、いつまでも時効が成立しないという大変厳しい犯罪です。日本はアムネスティ、合法的釈放の制度を持っておりませんから、外国人はこの不法在留罪に常におびえながら生きていかなければならない。より悪くなる重罰の傾向だと思います。第三番目に、日本で恋愛をしたり結婚をしたり子供が生まれたり、そういう人たちにとって不法在留罪が本当に厳しくのしかかるということについて問題をやはり主張したいというふうに考えます。  そして、再入国拒否期間の延長も、日本の中で家族を持とうとしている、持った人たちについてすさまじい圧迫になるということを申し上げたいというふうに思います。  今回の入管法改正案は重罰化ということのみを盛っております。入管法は、御存じのように出入国管理及び難民認定法という法律です。外国人の出入りの管理のための法律である。外国人は常に管理の対象と考えられ、人権の保障の対象とは全く考えられていない。残念ながら日本には外国人を人権の保障の対象と考える包括的な立法は今のところないというふうに思います。外国人を管理の対象と見るこの法律をより強化していく、より犯罪者と見ていくこの入管法改正には絶対に賛成することはできません。  そして、外登法の改正について申し上げたいと思います。  もちろん、指紋押捺の撤廃、そして行政罰に変わったという点などは大変評価できるところだと思います。住民基本台帳法に比べて刑罰が非常に不均衡であるということはこの法務委員会でも大変問題になりましたから、もちろんこの改正案には評価すべき点はあるというふうに思います。  ただ、規約人権委員会あるいは前回の附帯決議、そして外国人、国民の強い要望であった外国人の常時携帯義務の撤廃、再入国許可制度の撤廃、あるいは登録事項の見直し、そして子供にこういう義務を課すことの深刻さ、せめて登録の義務年齢を引き上げてほしい、そういうことは全く盛り込まれておりません。  何度も何度も勧告を受けながら、せめて永住者、特別永住者についてだけでも常時携帯義務を撤廃していただきたかったと思います。  自国民には常時携帯義務を課さず血統主義を採用し、かつ植民地出身者の二世、三世の人まで常時携帯義務を課している国はあるのかという質問に対して明確な答弁はいただけなかったと思います。日本が非常にそういう意味では特殊な国で、人権を大事にしないということは残念ながら今回の改正でも明らかになったと思います。  ただし、外登法は評価すべき、つまり改悪の部分はなく、こちらが主張したことは大部分盛り込まれなかったけれども、盛り込んでいただいた点もありますので、これには反対ではなく賛成ということで社民党は考えております。
  253. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両案について順次採決を行います。  外国人登録法の一部を改正する法律案について採決を行います。  まず、服部君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  254. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 多数と認めます。よって、服部君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  255. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  256. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、円より子君から発言を求められておりますので、これを許します。円より子君。
  257. 円より子

    円より子君 私は、ただいま可決されました外国人登録法の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外国人登録法の一部を改正する法律案並びに出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。  一 今回の改正により指紋押なつ制度が全廃されるに至った経緯にかんがみ、指紋押なつ拒否を理由に在留資格において著しい不利益を受けている外国人に対し、その不利益を除去するための措置を速やかに検討すること。  二 永住者に外国人登録証の常時携帯を義務づける必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること。とりわけ特別永住者に対しては、その歴史的経緯等が十分考慮されなければならない。  三 特別永住者の外国人登録証常時携帯義務違反に対する罰則の適用に当たっては、改正により刑事罰の対象から除外された趣旨を踏まえ、違反者に対する行政罰についても、その運用は抑制的であらねばならず、いやしくも濫用にわたることのないよう努めること。  四 本邦在留の外国人に対する行政の在り方にかかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登録事項、登録証の更新切替期間、登録原票等の公開をはじめとする外国人登録制度の在り方について、制度の見直しを検討すること。  五 特別永住者に対しては、その在留資格が法定されるに至った歴史的経緯等を十分考慮し、再入国許可制度の在り方について検討するとともに、運用については、人権上適切な配慮をすること。  六 退去強制者の上陸拒否期間の延長、不法在留罪の新設等に伴い、退去強制手続、上陸特別許可、在留資格認定証明書の交付、在留特別許可等の各制度運用に当たっては、当該外国人の在留中に生じた家族的結合等の実情を十分考慮すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  258. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいま円君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 多数と認めます。よって、円君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、陣内法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。陣内法務大臣
  260. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 外国人登録法の一部を改正する法律案並びに出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、ただいま可決されたことに対し、心からお礼を申し上げます。  なお、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。
  261. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  263. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  司法制度改革審議会設置法案の審査のため、来る二十五日の委員会参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会