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1999-03-15 第145回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十五日(月曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月十一日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     千葉 景子君      福島 瑞穂君     山本 正和君      扇  千景君     平野 貞夫君  三月十二日     辞任         補欠選任      海野  徹君     本田 良一君      山本 正和君     福島 瑞穂君  三月十五日     辞任         補欠選任      本田 良一君     海野  徹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 大野つや子君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 井上  裕君                 竹山  裕君                 吉川 芳男君                 海野  徹君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    国務大臣        法務大臣     陣内 孝雄君    政府委員        法務大臣官房長  但木 敬一君        法務大臣官房司        法法制調査部長        兼内閣審議官   房村 精一君        法務省民事局長  細川  清君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        法務省矯正局長  坂井 一郎君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君        公安調査庁長官  木藤 繁夫君        国税庁課税部長  森田 好則君        運輸政務次官   林  幹雄君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   浜野  惺君        最高裁判所事務        総局人事局長   金築 誠志君        最高裁判所事務        総局経理局長   竹崎 博允君        最高裁判所事務        総局刑事局長   白木  勇君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君    説明員        高等海難審判庁        長官       鈴木  孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十一年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (裁判所所管法務省所管及び運輸省所管(海  難審判庁))     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、扇千景君及び本岡昭次君が委員辞任され、その補欠として平野貞夫君及び千葉景子君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事平野貞夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 去る三月十日、予算委員会から、三月十二日から十六日正午までの間、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管法務省所管及び運輸省所管のうちの海難審判庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  裁判所法務省及び海難審判庁関係予算につきましては、去る三月十一日に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 服部三男雄

    服部三男雄君 成年後見制度改正問題について簡単に質問したいと思います。  高齢化社会が到来してまいりまして、また障害者福祉充実に対する社会的要請というのは本当に高くなってきております。ところが、痴呆性高齢者の存在、知的障害者精神障害者判断能力の不十分な方々保護という点について、今回改正しようとするわけでありますが、非常に国民関心が高いと思います。重要な法案であると思います。  ということで、今度、民法改正案について、法務大臣にまず成年後見制度改正に関する基本的なお考えはどういうものなのかということをお尋ねしたいと思います。
  7. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) ただいま御指摘のように、成年後見制度改正は、高齢社会への対応及び障害者福祉充実観点から、痴呆性高齢者知的障害者精神障害者等判断能力の不十分な方々保護を図るため、現行禁治産、準禁治産制度改正をいたしまして、柔軟かつ弾力的で利用しやすい成年後見制度とすることへの社会的な要求に基づくものでございます。  法務省といたしましては、このような社会的な要請に応じて、自己決定の尊重、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人保護理念との調和を旨として、利用しやすい成年後見制度の立案に努め、民法改正法案等の四法案国会に提出したものでございます。
  8. 服部三男雄

    服部三男雄君 このような改正をするに当たりまして、福祉関係者意見というのをどのように聞かれたのか。その手続等改正の経緯、検討について御報告願います。
  9. 細川清

    政府委員細川清君) 民法等改正につきましては、まず、法制審議会において、平成九年十月以降、福祉関係者等一般有識者の参加を得て審議を行い、昨年四月に成年後見制度改正に関する要綱試案を取りまとめて公表いたしました。  この試案につきまして関係各界に対する意見照会の結果、要綱試案内容を支持する意見が大多数を占めたため、この試案内容に従ってさらに審議を進め、本年二月に民法の一部を改正する法律案要綱案決定答申を得たところでございます。  今回の改正法案は、この答申に従ったものでございます。
  10. 服部三男雄

    服部三男雄君 現行禁治産、準禁治産制度というのは約百年間あったわけですね、民法制定以来ですから。それを後見保佐補助制度というふうに根本的に改める。言ってみれば、民事基本法の基礎となる制度についての抜本的な改正と評しても過言でないわけであります。  現行制度後見保佐補助制度を根本的に変えるというのは、理由があるだろうと思うんです。どういうところがよくなかったから、あるいはどういうところが現行に合わなくなってきているからこうだとか、そういう根本的な制度改正理由についてただしたいと思います。
  11. 細川清

    政府委員細川清君) ただいま委員指摘のとおり、現行制度は、百年前に制定された民法の当時のそのままの姿で、ほとんど改正がされていないわけでございます。したがいまして、従来の制度本人保護に偏っておりまして、今日では非常に柔軟性を欠いて利用しにくい制度となっているという指摘が多数あったわけでございます。  そこで、利用しやすい制度とするために名称を改めるとともに、例えば後見の場合でも日用品の購入その他日常生活に関する行為本人が単独ですることができることといたしておりますし、また保佐においても保佐人代理権取り消し権を付与するなど、各制度内容を弾力化して利用しやすいものとしようとする趣旨でございます。  また、現行制度のもとにおいては、軽度精神上の障害がある人については保護対象にならないわけでございますので、そのことが利用しにくいという指摘にもつながっているわけでございます。そこで、軽度精神上の障害がある者を保護対象とする補助制度を新設して、当事者申し立てにより選択した特定の法律行為について補助人代理権または同意権取り消し権を与えることとするなどの改正をしようとするものでございます。
  12. 服部三男雄

    服部三男雄君 それでは、今度の新制度の実践的な問題点についてお尋ねしたいと思います。  いずれにしても、こういう保護を要する人のために改正するような機能を十分に発揮するには、成年後見人保佐人補助人となる人の能力というんでしょうか資質が極めて重要なポイントになってくるだろうと思うわけです。  具体的にどのような人が後見人保佐人補助人になるのか、その点についての説明を求めます。
  13. 細川清

    政府委員細川清君) 成年後見人保佐人補助人につきましては、法律上特にその資格の限定を付していないものでございますが、家庭裁判所本人保護必要性本人成年後見人等との関係など諸般の事情を総合的に考慮した上で、個々の事案ごとに最も適任と認める者を選任することとなっておるわけでございます。  具体的には、従来の後見人の大多数を占めていた親族、知人に加えまして、弁護士、司法書士等法律専門家社会福祉士等福祉専門家等成年後見人候補者として考えられます。また、今回の改正では法人後見人等になれることになっておりますので、社会福祉協議会福祉関係公益法人等もその候補となるものと考えられております。  以上でございます。
  14. 服部三男雄

    服部三男雄君 今回の提出法案の中に、ただいま御説明のあった民法改正法案に加えまして任意後見契約に関する法律案という特別法がございます。この法案任意後見という新しい制度を創設するものとされていますが、このような制度をつくる理由について説明を求めます。
  15. 細川清

    政府委員細川清君) 民法で定めました後見保佐補助制度は、本人判断能力が低下した時点で親族等申し立てにより家庭裁判所成年後見人等選任する制度でございます。  これに対して、任意後見制度は、あらかじめ本人が将来の自分後見人になる者を選択しておくという制度でございまして、これにつきましてはやはり本人自己決定を尊重するという意味から、御本人の意思に従ってそういった後見人等を選ぶのが適当ではないかという観点。それからもう一つは、特に英米法の国でございますが、こういう制度がございまして、大変使われているというところがございます。  そういったことを検討、考慮した結果、この任意後見制度を創設するのが適当ではないかという結論に達したわけでございます。
  16. 服部三男雄

    服部三男雄君 民法改正案、その特例法としての任意後見制度法案に加えまして、後見登記等に関する法律案という手続面の新法案が含まれておりますが、このような新制度登記制度を創設する理由について説明を求めます。
  17. 細川清

    政府委員細川清君) 現行法のもとにおきましては、禁治産、準禁治産の宣告があった場合にはこれを本人戸籍記載することとされているわけでございますが、そのことについて心理的抵抗を感じる方が非常に多数おられます。これが制度利用の妨げになっているとの強い批判があるようでございまして、昨年四月、要綱試案を公表して関係各界意見を照会したところ、圧倒的多数が戸籍以外による公示方法によるべきであるとの意見でございました。  また、今回の改正時は補助類型の新設や任意後見制度の創設に伴う補助人任意後見人の多様な権限を公示するため、戸籍への記載では必ずしも十分に対処できないということも考慮いたしまして、現行戸籍記載にかえて登記による公示を行うことができるようにいたしたいというものでございます。
  18. 服部三男雄

    服部三男雄君 高齢化社会の出現という点ではヨーロッパの方が早いということも言えるわけでありますが、そういう意味で今回の改正が諸外国の立法との比較、大げさに言えば国際的な位置づけ、視点というのはどういうふうになっているのか、その点について尋ねます。
  19. 細川清

    政府委員細川清君) 近年、欧米諸国におきましても法改正が相次いでおりまして、我が国民法母法であるフランスにおきましては、一九六八年の改正により今回の改正案と同様な改正をしております。それから、フランス民法母法とするカナダのケベック州においても、一九九〇年に同様の改正が行われているところでございます。オーストリア、ドイツにおきましては、近年、民法改正により禁治産制度の大幅な見直しが行われておるわけでございます。  また、イギリス、アメリカ等英米法諸国におきましては、近年、本人判断能力が低下する前に契約によりみずから信頼できる後見人後見人事務の範囲を事前に定めることができる継続的代理権制度を法制化する特別法制定が相次いでおります。したがいまして、今回の改正案英米における立法の動向に沿うものであるというふうに考えておるところでございます。
  20. 服部三男雄

    服部三男雄君 二十一世紀に向かって重要なニーズもありますし課題でもあったわけでありまして、今回この関連法案国会に提出されたことはまことに時宜にかなったことであると評しておるところでございます。この四月には厚生関係介護保険法の施行もされることになりますので、より充実した審議のもとに早期にこの法案が成立することを期待しております。
  21. 大野つや子

    大野つや子君 このたび、少年法等の一部を改正する法律案国会に提出されました。次代を担う青少年を扱う少年法の問題については国民関心も非常に高いことから、極めて重要な法案であると思いますので、本日は改正法案の概要についてお尋ねしたいと思います。  まず、少年法は、第一条において少年健全育成目的とするということを規定しております。この少年健全育成という考え方は今後とも維持されなければならない少年法基本的立場であると考えます。今回の改正法案はこの少年法の基本的な立場を変更するものなのでしょうか。改正法案趣旨につきまして、法務大臣にお伺いしたいと思います。
  22. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 一九九三年でしたか、山形マット死事件に見られるように、近時、少年審判真相解明機能が問題とされる事件が相次いでおります。こういうことから、少年審判における事実認定手続のあり方が問われるようになってきたわけでございます。  今回の改正法案は、このような状況のもとにおいて、少年審判制度に対する国民信頼を確保するために、少年法目的である少年健全育成という立場を堅持しつつ、事実認定について一層の適正化のための所要法整備を図ろうとするものでありまして、少年法の基本的な立場、つまり保護教育や更生を大切に考える立場、こういうものはいささかも変えるものではございません。
  23. 大野つや子

    大野つや子君 ただいまの改正案少年審判における事実認定手続適正化を図るものとのお答えでございます。少年審判の事実認定が問題となるのは、捜査がずさんだからとの声も聞かれますが、いかがでしょうか。法務当局にお伺いしたいと思います。
  24. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 少年事件成人事件に比べますと幾つかの特徴がございます。一つには、共犯事件の割合が成人事件に比べますと比較的高いということ、あるいはグループでいろいろな犯行に及びますので事実関係が複雑になりがちであること、それから、やはり同世代といいますか同年齢のグループということになりますので、被害者などの事件関係人が同世代で顔見知りであるというようなことがしばしばあります。  このような少年事件捜査するということになるわけでございますが、やはりそういった特有困難性があります。一つには、共犯者事件関係者等で相互に口裏合わせを働きかける例が少なくないということがあります。また二番目には、周囲の暗示や影響を受けやすい。少年という一つの特色がここにも出るわけでございます。三番目には、時には共犯者をかばって不合理と思われる供述に固執することがあるというような少年事件特有困難性がございます。これらが真相解明を難しくしている一因であると考えております。  少年事件捜査では、少年情操保護あるいは早期処理あるいは教育的効果等配慮しながら、限られた時間の中で適正な事件処理に努めているところでございまして、一般的に少年事件捜査がずさんであるということはないと考えております。
  25. 大野つや子

    大野つや子君 少年審判において事実が正しく認定されることは、非行のない少年を過って処分することがないようにするという観点からはもちろんのことでございますが、非行のある少年に対して適切な保護処分を施し、その健全な育成を図るという観点からも最も基本的な事項であると思います。そもそも今回の改正法案は、少年厳罰化を目指すものなのでしょうか。法務大臣にお伺いしたいと思います。
  26. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 委員指摘のとおり、少年審判において非行事実が正しく認定されることは、少年健全育成観点からも最も基本的な事項一つであります。  今回の改正法案は、この少年審判における事実認定手続の一層の適正化のために所要法整備を図る、こういうことを目的としているわけで、少年に対する厳罰化を目指すものではございません。
  27. 大野つや子

    大野つや子君 刑事裁判において、検察官犯罪を犯した被告人を厳しく追及し、その処罰を求めるというイメージがございますが、少年審判に関与する検察官はこれと異なるものなのでしょうか。少年審判においては、当然その特質に応じた検察官の関与というものが必要であると思われます。今回の改正法案では、少年審判に関与する検察官立場はどのようなものなのでしょうか、法務当局にお伺いしたいと思います。
  28. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 現行少年法でございますが、これは少年に対する早期保護という観点から、家庭裁判所がまずすべての証拠を検討、吟味して事実を認定する、少年にとって最も適正な処遇を決定するという、職権主義的審問構造と言われておりますが、そのような制度を採用しているところであります。今回の改正によりまして検察官審判手続に関与するとしましても、あくまでもこの基本構造の枠内で関与するものであるということをまず御理解いただきたいと思います。  いわゆる当事者主義が採用されております刑事裁判における検察官は、訴追官あるいは原告官と言われておりますが、裁判所に対しまして被告人処罰を求めます。被告人及び弁護人との間で立証を尽くす立場にございます。少年審判に関与する検察官はこれとは異なりまして、家庭裁判所審判主宰権に服しながら、公益代表者立場から的確に事実認定が行われるよう審判の遂行に協力するという、いわば審判協力者としての立場で関与することになります。  したがいまして、少年審判に関与する検察官については、このような少年法趣旨及び少年審判特質を十分に理解した上で対応すべきものと考えております。
  29. 大野つや子

    大野つや子君 少年法は、少年審判非公開とするなど少年健全育成という観点から少年に対して手厚い保護を与えていますが、それと同時に、犯罪により被害を受けた方々への配慮ということも忘れてはならない重要な問題であると考えております。  例えば、被害に遭われて自分子供さんを亡くされた親御さんなどの立場を思うと、どのような事件が起きてどのようにして自分子供が殺されたのか、自分子供を殺害した少年に対してはどのような処分がなされるのか、そういったことを知りたいというのは、これは至極当然のお気持ちであろうと思います。また、少年審判では少年側の言い分ばかりが聞かれているのではないかといった不信感もあるのではないでしょうか。  そこで、今回の改正法案においてはこうした点についてどのような手当てをされているのでしょうか、法務当局にお伺いしたいと思います。
  30. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 先生御指摘のように、最近、犯罪被害を受けた者に対する配慮を求める声が高まっております。このような声に誠実にこたえることが関係当局に求められているところであります。特に少年事件におきましては、審判通常刑事裁判とは異なりまして非公開とされております。被害者審判の結果について必ずしも十分な情報を得ることができないという指摘もなされているところであります。  そこで、少年法目的である少年健全育成観点を踏まえながら、事件内容やその処分結果等を知りたいという被害者の正当な要求に対しましても一定配慮をする必要があると考えられているところでございます。今回の改正案におきましては、家庭裁判所による少年審判の結果等を通知する制度を導入してございます。また、少年審判公益代表者たる検察官を関与させ、その検察官に対して一定抗告権を付与することにより事実認定手続の一層の適正化を図るということも、適正な審判を求める被害者の声にこたえるものと考えているところでございます。
  31. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  今回の改正法案は、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図るものであるということであります。的確に事実認定が行われることは、少年改善更正にとっても最も重要な点の一つであろうと思います。  また、少年審判に対する被害者を含む国民信頼を確保するという面からも、早急に手当てが必要な問題であろうということもよくわかりましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  質問を終わります。
  32. 円より子

    円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。  きょうは予算委嘱質問でございますが、法務大臣が新しい法務大臣になられましたので、幾つ大臣の御見解を聞かせていただきたいと存じます。  まず、司法制度改革についてでございますけれども、司法制度改革ということが大変国際社会の中で、また規制緩和等が行われる社会の中で、司法を早くまた国民に身近で便利なものとするように改革必要性が随分長い間言われておりましたけれども、今度その司法改革のための審議会も設置されるということですが、まず、この司法改革の原点というのは国民の声が本当に十分に反映されることだと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  33. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二十一世紀我が国社会においては、社会複雑多様化国際化等が進み、その状況のもとで実施されている規制緩和等によって生ずる社会のさまざまな変化に伴い、国民権利利益に関する紛争を適正迅速に解決するなど、司法の果たすべき役割というのは一層重要なものになると考えられます。司法制度全般にわたる改革とその機能充実強化がこういう観点から不可欠であると考えております。このような見地から、政府内閣司法制度改革審議会を設置するための法案をこの通常国会に提出したところであります。  法務省といたしましても、この審議会審議に最大限協力してまいるとともに、国民が身近に利用することができて、社会法的ニーズに的確にこたえることのできる、より国民に身近な司法制度を構築するために、国民的な見地に立って積極的に適宜適切な方策を講じて、来るべき新しい時代にこたえてまいりたいと考えておる次第でございます。
  34. 円より子

    円より子君 この審議会は、二年間でおおよその枠組みを決めて司法改革の実を上げるということなんですが、二年では短過ぎると思われませんか。
  35. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二十一世紀を目前にしておりますし、今、二十一世紀我が国社会において司法制度がいかにあるべきか、このことについて早急に審議会としての調査審議をお願いする段階であろうかと思いますので、できるだけ早目に結論をいただくように期待しているところでございます。
  36. 円より子

    円より子君 そうしますと、私などは十カ年計画ぐらいで第一段階、第二段階というふうに手順を踏んでいくことが大事かと思うんですが、二年ですと何を優先してなさろうというおつもりなんでしょうか。
  37. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) これにつきましては、二十一世紀司法のあるべき姿、これについて審議をお願いするわけでございますけれども、その審議のありようについては審議会の方でこれから御議論いただくということを期待しておるわけでございます。
  38. 円より子

    円より子君 それでは、その審議会委員の人選はどのようにお考えでしょうか。
  39. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) これは国会の両院の同意ということでございまして、それを経て内閣が任命するということになっております。
  40. 円より子

    円より子君 ちょっとごめんなさい、よく聞こえなかったんですが。
  41. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 委員につきましては、これは国会の同意事項ということになると思いますし、その同意を得た上で内閣が任命をするということになろうかと思います。
  42. 円より子

    円より子君 同意事項ですが、同意する前に人選をなさると思うんです。そのときに、もちろん個別の人名をお挙げになる必要はないんですが、どういった形で審議会委員を編成なさるのか、大臣としてのお考えをお聞きしたいと思うんです。
  43. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 広く国民的な立場からの審議が必要であると思いますので、そういう趣旨に合うような形の人選になろうかと思います。
  44. 円より子

    円より子君 さまざまな審議会で官僚を排除した方がいいのではないかというような声も随分聞かれておりますが、その点についてはいかがですか。
  45. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この問題につきましては、中央省庁等改革推進本部の中央省庁等改革に係る大綱、あるいは行政改革会議の最終報告、こういうものを踏まえまして、関係省庁の職員は原則として委員としないこと、また、常置部会を設置しない等の方針のもとに現在検討を進めているところでございます。司法制度改革審議会の役割の重要性にかんがみ、その審議の一層の充実を図ることができるように配慮してまいりたいと考えております。
  46. 円より子

    円より子君 人選についてはぜひ十分慎重に検討していただきたいと思いますけれども、まず、司法改革で大事なのは、確かに早く、便利にということは必要ですが、それはとりもなおさず、今、日本は規制緩和社会に向かっておりますが、それが弱肉強食社会にならないようにする、国民の基本的な権利を守るとりでとして司法が十分な職責を果たしていく。多数を時には退けて少数者を守るということも司法の使命ではないかと私は考えておりますが、そういう意味でいきますと、人権の擁護や社会的公正の実現といった価値は、経済原理やまた多数決原理になじまないときもございます。そういった価値観をすくい上げて、世の中に根づかせていくことが司法に求められているものだと思いますので、ぜひともそのあたりをしっかりお考えになって、二年では私は短過ぎると思いますが、もちろん二十一世紀を前にして二年間でしなければいけないことがございますので、優先順位として、そのときに国民の権利、国民の声が十分に反映されるには、陪審制や参審制なども考えていかなければいけないことだと思います。そういったもちろん提言がなされていることを知っております。  それから法律扶助制度の拡充も必要だと思うんですが、きょうは法律扶助制度についても大臣にお伺いしたいと思います。  今、国庫補助金が大変少ない。諸外国に比べても大変財政的な手当てがおくれているところだと思うんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  47. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法律扶助制度は、憲法三十二条に定める裁判を受ける権利を実質的に保障するという理念のもとに充実が図られてきた重要な制度であると承知しております。そして、同制度充実強化を図っていくことは、司法国民に近づけるという意味我が国司法制度にとって喫緊の重要課題である、こういうふうに認識しております。  本制度につきましては、法務省内に設けました法律扶助制度研究会が平成十年三月に取りまとめました研究成果がございますが、その中にも今先生の御指摘になったようなことが触れられておるわけでございます。  法務省といたしましても、関係機関と協議をしながら、法制度化を含めましてその一層の充実、発展に努めてまいりたいと考えております。
  48. 円より子

    円より子君 おっしゃるとおり、憲法三十二条で裁判を受ける権利というものが定められております。ぜひともこの法律扶助制度を拡充して、国庫補助金の増額をしていただきたいと考えております。  それから、ただ裁判を受ける権利と申しましても、法律扶助制度の方だけではなくて、裁判官の少ないことが問題になっておりまして、これは後で裁判所の方でもお聞きしますけれども、法曹一元については大臣はどのようにお考えでしょうか。大臣の御意見だけで結構でございます。
  49. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法曹一元の問題、強いそういう御意見があることも承知しております。これについては、これから十分検討をしてまいりたい、このように考えております。
  50. 円より子

    円より子君 それでは、法制審議会のあり方についてもお伺いしたいと存じますけれども、これは平成十年、昨年でございますけれども、九月二十九日に中央省庁等改革に係る立案方針が出されて、それによって一度法制審議会が廃止されようとしましたけれども、大臣はこの法制審議会というものの意義をどのようにお考えでしょうか。
  51. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法制審議会法務大臣の諮問に応じて国民生活に重大な影響を与えることとなる民事法、刑法、その他の法律に関する基本的な事項について審議を行うものでありまして、いわば立法準備に対して大事な役割を果たしてもらっているというふうに思っております。  先般決定されました中央省庁等改革推進本部の中央省庁等改革に係る大綱においては、この法制審議会は基本的な政策の企画立案に関する事項審議するものとして存置されることとなっておりますが、中央省庁等改革基本法、行政改革会議最終報告やこの大綱を踏まえ、そのあり方について改善を進めてまいりたい、このように考えております。
  52. 円より子

    円より子君 大臣のおっしゃるとおり、私もこの法制審議会というのは基本的な立法審議するところですから、大変大事な審議会だと思っております。他の審議会とは少し意義が異なるのではないかと思います。  ただ、廃止されようとした経緯なんですけれども、昨年、ストックオプションに関する議員立法が出されたときに商法学者が反対声明を出しました。これについて、ストックオプションの議員立法をなさった関係の議員方の感情を強く害したのではないかということを商法学者の方が書いていらっしゃるんですが、それによって、法制審議会でいろいろ長々とやっていると問題ではないかということでどうも廃止されようとした、そういう経緯があるように聞いております。  もちろん、このときに学者の方たちが反対なさったのは、これらの議員立法法案が直前まで公表されず各方面の意見も十分に調査されることもないというように、立法過程が極めて不透明だったからだというふうにおっしゃっているんです。今後、重要なそういった法案が、そんな改正が自民党と財界の一部関係者との一致で行われることに強い危惧の念を持つとその方は書いていらっしゃるんですけれども、そのようなことがあって、前大臣が、就任以来、立法府は国会であり、したがって立法は政治主導と繰り返されているんです。  これは、前法務大臣がその後の大臣の所信に対する質疑のときに立法府は国会だと一生懸命おっしゃっていて、そのとき、でもちょっと不思議だったのは、国会というよりも、立法府は国会だから自民党に検討をお願いした、少年法のことも法制審ではなくて自民党に検討をお願いすると、大変おかしなことを所信の次の質問のときにおっしゃって、私その質問のときに唖然としたんです。そういった答弁をなさるような大臣がいらして、そしてその大臣法制審議会を廃止しようというふうなことが出てきたというので、これは不思議なことがあるもので、自民党から出られた大臣だとそういうことが勝手に強権的にできるものなのかと思いまして、ちょっとそのあたり大臣どのようにお考えか、御意見をお聞かせください。大臣にお願いいたします。
  53. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法制審議会のあり方についてでございますけれども、この司法制度改革につきましては、先ほど申し上げましたように、中央省庁の改革推進本部等からのいろいろな提案がございますけれども、いずれにしましても、この法制審議会法務大臣の諮問に応じて国民生活に重大な影響を与えることとなる民事法、刑事法、その他法務に関する基本的な事項について審議を行うものでありますので、この法制審議会については私はそういう立場でこれからも臨んでまいりたいと思っております。
  54. 円より子

    円より子君 今、私が質問しました、立法府は国会である、だから自民党に少年法検討をお願いするとおっしゃった前大臣のお言葉、考え方に対して陣内法務大臣はどうお思いなのか、その件についてお伺いいたします。
  55. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 前大臣のことについては私からは差し控えさせていただきますけれども、この国会においてこういう重要な問題は広く各党各会派においても協議いただくということがこの法案の成立上大事である、このように私は考えます。
  56. 円より子

    円より子君 たびたび質問しますが、大臣は差し控えさせていただきますとおっしゃいました。大臣は、立法府は国会だというときに、じゃ自民党に検討しなさいということはおっしゃいませんね。
  57. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 国会法案を通していただくということでございますので、各党各会派の御理解と御協議を調えていただくということが大変大事である、このように考えております。
  58. 円より子

    円より子君 お答えが少しあいまいでわからないんですけれども、とにかく国会イコール自民党ではないということはもちろん大臣はきちんと認識していただいていると思います。それでよろしゅうございますか。
  59. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 委員のおっしゃるとおりでございます。
  60. 円より子

    円より子君 少年法のときに法制審が、これも昨年です、平成十年の七月九日に少年法改正を十一月までという期限をつけて法務大臣が諮問なさり、本当にわずかの間に答申がなされたのですけれども、もちろん急を要することもあると思いますけれども、このように期限をつけて大事な問題を法制審であっという間に出してしまうということに対して、現場の調査官の方々やまた少年に本当に実際に携わっている方々から懸念の声が随分上がっております。  こういった状況がありますと、私は先ほど法制審というのは大事だと申し上げましたけれども、現実にはどうも、法務大臣の諮問で法務大臣がその法制審の会長をしていらしてという、そのあたりのシステムがうまく機能しないのかもしれないということも感じまして、法制審を国会に移して国会のコントロールの下で立案作業をした方がいいのかもしれないと感じているんですが、それはいかがでございましょうか。
  61. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そういう御意見もあろうかと思いますけれども、法制度全般について、行政全般についての立場からの審議が必要でございますし、また予算等を伴う問題でもございますので、内閣においてこの取り扱いが必要である、こう思っております。その内閣の中の法制度を担当する法務省が具体的には所管するということだと思っております。
  62. 円より子

    円より子君 司法改革法制審議会のことも、きょうは委嘱審査でございますので、またそれぞれについてはもっと突っ込んだ質問をさせていただきたいと思いますので、それで終わります。  それで、少年法についてでございますけれども、少年法については先ほど同僚議員も質問なさっておりましたけれども、大臣の方では非行事実の正しい認定のために検察官の関与が必要だというふうにおっしゃいましたし、またしかしそれは厳罰化の方向では考えていないとおっしゃるんですが、実際にはこの少年法改正問題が起きてきた、そこのところから少し考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、凶悪犯罪がふえたということと、それから少年犯罪による被害者の側の救済が全くなされていないというようなこと、そこからマスコミがこれは大変だということで厳罰化も含めて少年法改正しようということになったのだと思うんです。  大臣にこういうことをお聞きして恐縮ですが、もちろん御存じだと思いますが、凶悪化というのはどのあたりが凶悪化したというふうに大臣は感じていらして事実認定も必要だしいろいろ改正が必要だと思っていらっしゃるんでしょうか。
  63. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) これは、一九九三年に起こった山形のマット死事件とか、あるいはその四年後に、一九九七年でしたか、起こった神戸児童連続殺傷事件、こういうものを見てまいりますと、今まで私どもがなかなか想像もしなかったような重大凶悪犯が発生している。これについてはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、いずれにしてもそういう少年犯罪非行社会的に大変な重要な問題としてとらえていく時代でございますので、それに対する適正な対応が必要であるというふうに考えております。
  64. 円より子

    円より子君 凶悪事件がふえている、また少年事件がふえているとよく言われますけれども、殺人事件は減っております。ふえているのは強姦事件であって、その強姦も一件の強姦に七人、八人という少年たちがかかわっているので件数が多くなっているということがございます。また強盗事件もふえておりますが、その強盗事件の大半は、路上でたまたま凶器を持っていた、バタフライナイフなどを持っていたということで、恐喝が強盗になっているというようなこともございます。その凶悪事件少年事件がふえていることが、これはマスコミの責任もあるかと思うんですけれども、もう一度原点に立って、本当に少年法改正が必要なのか。  家裁が五十周年になりますけれども、家裁の方々調査官をスタッフとして、本当に日夜少年事件に誠意を持ってかかわっていらっしゃいまして、その家裁の活動やまた少年院の活動等で随分子供たちが更生していっている事実がございますので、私は急な少年法改正というものは慎重にやっていただきたいというふうに考えております。  余談になりますけれども、私も随分新聞やテレビ等でさまざまな社会事件について今までコメントを求められてまいりました。例えば一つのことで、少年事件少年法改正するようなそんな大ごとの事件ではないので大したことはないんですが、例えば中高年離婚がふえているというようなことが出てきまして、新聞社が、A新聞が来まして次にB新聞が来てC新聞が来てというと、もうそれだけで物すごくふえているような印象を与えてしまうところがあるんです。それで、次にまた週刊誌が来てテレビが来る。  だから、もうそのときには、私は言葉が流動化していくことの怖さというものはわかりますので、取材はお断りするということがしょっちゅうございました。それでも、ふえていると言わなければ記者の方が帰らないし、言わなくても書いてしまうというようなことがございまして、言葉を操る方たち、またマスコミの方たちはそれぞれの責任の大きさをしっかり認識して仕事をしなきゃいけないということがあると思うんです。それは余談ですが、ぜひとも少年法改正は慎重にやっていただきたいと存じております。  それでは、次にお伺いしたいのは、民法改正の中の夫婦別姓と嫡出子、非嫡出子の差別問題でございますけれども、これについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
  65. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 御指摘の選択的夫婦別氏制度及び嫡出でない子の法定相続分などに関する民法改正につきましては、男女共同参画推進本部の策定した男女共同参画二〇〇〇年プランにおいて検討を進める、こういうことにされておりますが、世論調査の結果等を見ますと、国民意見は今のところ大きく分かれている、こういうふうに承知しております。  民法は基本法でございますので、特に御指摘の問題のように社会や家族のあり方など国民生活に重大な影響を及ぼす事柄でございますので、こういうことにつきましては、大方の国民の理解を得ることができるような状況法改正を行うのが適当であると考えますので、この問題につきましては国民各層や関係各方面で御論議が深まることを期待しておきたいと思います。
  66. 円より子

    円より子君 国連の人権規約でも、また子どもの権利条約を日本は批准しておりますけれども、そういうところでも子供が親の条件によって差別されてはならないということはもう明白なことでありまして、嫡出子と非嫡出子の相続差別等がある、また戸籍やさまざまな差別があること、こういったことを解消するのは本当に日本国としてまた国民としては急務のことだと思うんです、何度も勧告も受けておりますし。このあたりはぜひとも早く改正していただきたいと思います。  また、別姓についてはどうもまだ、確かに大臣がおっしゃるとおり、これが選択制で強制されるものではないということがわかっていらっしゃらない方々も多いのかなという気がするんです。  予算委員会で私は小渕総理に、この別姓問題についてどう思われますかという質問をさせていただいたんです。つい先日のことですが、時間がなかったので小渕総理がおっしゃった後で再質問ができなかったんですけれども、実は総理は、今の大臣と同じことをおっしゃった後で、私は私の妻から別姓を要求されておりませんとお答えになったんです。このことは、多分小渕総理が、こういうことを申し上げては失礼かもしれませんが、よくわかっていらっしゃらないなとちょっと思ったんです。  何十年と結婚なさっていて、もう夫の姓になじんでしまった方がわざわざ別姓を名乗りたい、旧姓に戻りたいと言うのは、よほど離婚でもしたいぐらいのケースしかないというふうに、ないと断言はできませんが。今、別姓でやっていきたいという方は、これから結婚したい方や、また、結婚したけれども籍を入れずに待っていらっしゃる方もいらっしゃるし、結婚して数年の方ではないかと思うんです。  このあたりについて、若い方々は、自分たちは同姓でもいいけれども、別姓にしたい人がいるんだったら、そういう選択肢のある社会であっていいのではないかと思っていらっしゃる。こういう多様な価値観、多様な生き方を許容する社会というものについては大臣はどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  67. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 平成八年の世論調査の結果を見ますと、なるほど今委員が御指摘になったような数字が出ております。しかし、先ほども申し上げましたように、この問題は国民生活に重要な影響を及ぼす事柄でございますから、立法府である国会におきまして十分に議論していただきたい、このように考えております。
  68. 円より子

    円より子君 それでは次に、更生保護施設等の老朽化対策、また東京入国管理局の第二庁舎でしょうか、大変老朽化しているように私などは視察に行って思うんですけれども、このあたりの予算についてはどうなっているか、お聞きしたいと思います。
  69. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 全国に約百存在しております更生保護施設、これについては、建築後相当年数を経過するものとか、あるいは居室が狭いというようなこともございまして、早急に施設の整備を図る必要がある、このように考えております。  そこで、平成六年度に更生緊急保護法を一部改正し、また財政御当局の御理解をいただきまして更生保護施設整備費補助金、こういう制度を新たに設け、同補助金を活用して同年から平成十年度までの五カ年間に、一部改修を含んで二十二施設の整備を果たすことができました。御審議いただいております平成十一年度予算では二つの施設の全面改築を予定しております。  法務省といたしましては、更生保護施設の社会的重要性及び施設整備の緊急性等にかんがみ、また平成七年の更生保護事業法の審議の際つけられました当法務委員会での附帯決議を尊重いたしまして、今後とも財政御当局の御理解を得ながら更生保護施設整備費補助金の充実を図りまして、順次、施設の整備を進めてまいる所存でございます。
  70. 円より子

    円より子君 それでは、出入国審査業務で二十四名の増員といいますか充実強化がありますが、この具体的内容や業務量が増加している背景等について、簡単で結構ですからお聞かせ願えますでしょうか。
  71. 竹中繁雄

    政府委員(竹中繁雄君) 議員御指摘のように、今度二十四名の増員を考えております。  それで、その背景でございますけれども、近隣諸国からの不法就労を目的とした不法入国が依然として後を絶っていないということ、それから不法残留者も依然としてまだ二十七万を超えている、こういうような状況でございます。したがいまして、この平成十一年度におきましては、厳格な不法就労対策を推進するための体制の整備に重点を置きたいということで、その一環として入国警備官の増員をお願いしてきたところでございます。  具体的にどういうところに配置するかということでございますけれども、現在、当局では入管法違反により摘発された外国人を収容する施設の拡充を図っているところでございまして、施設の警備体制を強化する必要から、その増員の大部分を入国者収容所に配置したい、このように考えております。
  72. 円より子

    円より子君 次に、公安調査庁についてお伺いいたします。  公安調査庁が十四名の減員になっているんですけれども、この背景。  それから、今東京拘置所に麻原被告が勾留をされておりますけれども、ここを聖地としてオウム真理教が参拝をしているということで、周りにはかなり居住のアパートやさまざまなものができているということなんです。また、パソコン販売事業等で去年一年間で七十億円を超える売り上げがあり、財政的にも大変潤沢だということなんですけれども、昨年のやはり委嘱審査で、これは委嘱審査のときではないかもしれませんけれども、政府委員の方がこういうふうに答えていらっしゃるんです。過去に破壊的活動を行い、かつ現在においてもその団体が継続して破壊的活動を行うおそれがあるということが十分認められるような団体につきまして、一般的にこの団体を継続して調査するようにということを長官調査官に指示しているということがあると。  現在、このオウム真理教はまたサリン等の事件を起こすような危険はないのか、住民の方々は大変不安に陥っているようでございますけれども、このあたりのことについてお聞かせ願えますでしょうか。  それから、減員ということが大丈夫なのかどうかということも重ねてお願いします。
  73. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) お答え申し上げます。  公安調査庁におきましては、組織の減量化を図るという中央省庁等改革基本法というものが定められておりますので、そこに示された方針を尊重いたしまして、その趣旨に沿いました改革を実施すべく検討しておるところでございまして、お尋ねの減員につきましてもそういった一環として行われているというふうに承知しておるところでございます。  公安調査庁といたしましては、職員配置の見直しとか事務処理の合理化等を行いまして、現有勢力を最大限に活用して所要調査を推進して公共の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。  それから、オウム真理教の現状につきましていろいろお尋ねがございましたけれども、オウム真理教は、平成九年一月の公安審査委員会による規制請求が棄却されたというその直後から着実に組織や施設の拡充強化を図っておるのでございまして、現在、中央部署といたしましては長老部など十五の部署を擁しているほかに、教団が確保している施設は十七都道府県三十六カ所に及んでおるわけでございます。  特に、麻原が勾留されております東京拘置所がある東京葛飾区と、隣接する足立区におきましては、全国に約百の居住施設があるわけでございますが、その四分の一の施設が集まっておりまして、そこに住んでいる信徒数が昨年の約百四十人から百七十人に増加しておる傾向にございます。  こうした教団の施設をめぐりましては、各地において周辺住民らとの間で紛争がますます活発化する様相を呈しておりまして、これら三十六施設のうち合計十九の施設におきまして訴訟の提起とかあるいは住民組織の結成などの紛争事案が発生しておるわけでございます。  そうした背景には、御指摘のように、教団がいろいろな資金活動をしているということがあるわけでございまして、中でも資金獲得の中心的役割を果たしておりますパソコン販売事業におきましては、昨年一年間における総売り上げが七十億円を超えると推定されておりまして、教団側は相当額の収益を得ているものと思われます。  活動面におきましては、五百人以上の出家信徒及び多数の在家信徒の活動が認められておりまして、これらの信徒が全国各地で布教宣伝活動ないしは資金調達活動に携わっておるわけでございます。  このようにオウム真理教は着々と組織再興を図って活発な活動をしておる現状にございますが、なおかつ危険な教義を捨てていないものと私どもは考えております。  したがいまして、再び不法事犯を起こすかどうか、またそういった場合には再度公安審査委員会に規制請求をするということをも念頭に置きまして、オウム真理教団の活動に対しまして厳重に調査及び監視活動を今後も続けてまいりたい、このように考えております。
  74. 円より子

    円より子君 ちょっと私はそのほかのところから探せなかったのですけれども、公安調査庁はこのオウム真理教がかなり危険な団体かもしれないという形でマークされ始めたのは一体いつなんですか。
  75. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) これは具体的にいつというよりも、いわゆるサリン事件などを起こすような時期に、そういう危険な活動をするということに私どもとしても注目いたしまして、いわゆるカルト集団の一つとして調査を推進し始めていたということでございます。
  76. 円より子

    円より子君 それはサリン事件が起きてからということでしょうか。
  77. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) 正確には、いつというよりも、起きる前後というふうに御理解いただきたいと思います。
  78. 円より子

    円より子君 それは地下鉄でのサリン事件ですか、それとも松本のサリン事件ですか。
  79. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) 松本サリンの方が先でございますが、そういった全体のサリン事件の活動を通じてそういう危険な団体があるということを認識し、それで調査を行っていたということでございます。
  80. 円より子

    円より子君 松本サリン事件では別の方が犯人扱いされたということで、あのころはどうも余りオウム真理教のことは出ていなかったように思うんです。  私はなぜこういったことをお聞きするかと申しますと、公安調査庁は、大変難しいかもしれませんけれども、そういったテロ事件を起こしそうな、国民の生活を脅かすようなところを本来は事前に防がなければいけないわけで、その辺の調査等はどういうふうになさっているのか。
  81. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) 今後ともこのような危険なカルト集団に対しましては厳重な調査を重ねていきたい、このように思っておりますが、このオウム真理教につきまして事前にその危険な動向を把握できなかったのかという御指摘でございますが、それは確かにそういった面がございますので、そういうことを重大な教訓として受けとめまして今後の組織運営に生かしていきたい、このように考えております。
  82. 円より子

    円より子君 逮捕・勾留中に脱会届を提出した、また服役中にも脱会表明をしていたために仮出獄が認められた、にもかかわらずまた教団に復帰しているとか働いていらっしゃる方たちもいて、ごく当たり前の宗教団体でしたらもちろんそれは信じるところで構わないんだと思いますけれども、周りの住民の方たちとのあつれきも物すごく大きくなってきている中で、どんどん孤立していき先鋭化していくということは大変危険で、こういうときに孤立させていくことがいいのかどうか。  皆さんいろいろ考えていらっしゃるかと思うんですけれども、できればこのオウム真理教のような団体がまたサリン事件を起こすことのないように、またほかのところで何があるかわかりませんので、ぜひとも、せっかく公安があるんでしたら国民が安心して暮らせるような形の意義のある存在としてあってほしいなと思うものですから、それでなければ必要がなくなるのではないかと思わないではないので、そのあたりも含めてお考えいただきたいと思います。  それでは次に、犯罪被害者対応の強化対策、一億七千六百万円の具体的内容についてお伺いできますでしょうか。
  83. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 検察当局は、被害者を初めとする国民の理解を得るために、刑事司法の適正かつ円滑な運営に資するということを目的としまして、被害者その他刑事事件関係者に対しまして、事件の処理結果あるいは公判期日、刑事裁判の結果等を通知する、被害者通知制度と呼んでおりますが、この制度平成十一年、今年の四月一日から実施する予定としております。  そのために、平成十一年度の現予算案においては、同制度被害者等に周知させまして、被害者に対する通知の充実を図るための広報用のパンフレットといいますか、そういったものの作成経費、あるいは被害者との連絡といいますか、あるいは被害者からの申告の受理といいますか、そういったことが必要でございますので、そのような必要性のために被害者対応用のファクス等のハード面でございますが、そういった電話の設置などを行うために経費を盛り込んでおります。総トータルで一億七千六百万円余りでございます。
  84. 円より子

    円より子君 神戸の連続児童殺傷事件で小学六年生の男児を殺害された両親が、関東医療少年院に送致された少年とその両親を相手取って損害補償を求めた訴訟の判決が十一日に出ました。結局その御両親がしたかったことは、損害賠償ではなくて、被害者側に全くわからないままの、なぜこういった事件が起きたのか、どういう少年でどういう両親なのか、どういう生育方法だったのかという、そのあたりのさまざまななぜということの究明がしたかったんだろうと思われます。それは当然のことだと思うんですが、結局裁判では究明が果たせなかったというようなことがありました。また、先ほどのサリンの事件などでも、被害者方々にとっては大変つらい日々を送っていらっしゃると思うんです。  それで、被害者の救済ということ、これは日本では本当におくれてきた面だと思いますので、このあたりに予算がついていくことは大変結構なことだと存じます。  例えば、諸外国でこういった被害者救済ということはかなりなされております。強姦されたり暴力を受けた人が自分が告訴しなくても病院側からすぐ通知が行くとか、カナダで総領事が妻を殴ったという事件も、あれは妻が告訴しなくても、カナダでは強姦でさえ、ハンカチを敷いていたのかどうか、和姦だの何だのということなしに強姦罪が成立するような国でございますから、そういった暴力を受けた、被害を受けた側の人権というものを重視している国にもう少し派遣でもしていただいて、研究をなさっていただくような予算がついてもいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  85. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 先生御指摘のとおりだと思います。  被害者問題は、一般的には三つの方向でといいますか、三つの分野でいろいろ問題になっておりますが、先生の御指摘の中にも一部ございましたけれども、まず第一の分野は、被害者に対して二次被害の防止ということがあります。先生の御指摘の強姦罪等におきまして、被害者捜査機関の詳細な事情聴取というものを受けるわけでございますが、その際に、非常に屈辱を感じることが多いというようなことも言われているところでございます。そうした被害者に対する対応をどうするかということについても真剣に検討しなければいけない問題だと思います。  それからもう一つは、被害者保護といいますか、暴力団犯罪等でございますとなかなか証言するには勇気が要ります。また、証言したことによってまれにはさらに報復を受けるというようなことがございまして、心理的に非常に圧迫されている現状がございます。そうした被害者保護を刑事手続においてどうやって図っていくかという問題であります。  それから三番目は、須磨の少年事件でも問題になりましたが、被害者側の被害回復の問題でございます。これは、財産的な問題と精神的な問題、両方あろうかと思います。こういった救済手続あるいは被害回復手続を民事上どういうふうに整備していくか。あるいは精神面での立ち直りといいますか回復をどういうふうにするか。社会全般が影響する問題だと思いますが、そういった問題も真剣に検討していくべきことであろうかと思います。  以上の三方向でいろいろな論議がされておりますので、我々としても一生懸命検討していきたいと思っているところでございます。
  86. 円より子

    円より子君 ぜひその方向で、日本でも被害者救済が本当にできるようになるといいと思います。  では、裁判所の方にお伺いいたします。  まず、裁判所も残念ながら二割司法などというようなことを言われたりしまして、なかなか貧弱な司法で、泣き寝入りや、暴力による解決や、不透明な行政指導による調整といった不健全な現象が起きていると言われてしまいますけれども、それは本当にそうなのか。  また、こういった社会の批判に対してどのようにこたえていくかという問題がありますので、このあたりの見解国民にわかりやすく利用しやすい裁判所にするための努力といった形でお伺いできればと思います。
  87. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員指摘の二割司法という表現はいささか感覚的でございまして、これが司法のどのような状況に対する批判なのかよくわからない点がございますが、その趣旨といたしますところは、国民方々が法的紛争に直面したときに身近に相談する弁護士がいないとか、裁判手続に関する知識やこれを補充していく方法が不足しているために裁判制度が利用しにくいということなど、現在の司法制度全般国民ニーズに十分に対応していないという点にあるのではないかというような理解をしているところでございます。  裁判所といたしましては、これまで我が国司法は公正な手続に基づきまして私的な紛争を解決し法的秩序の維持を図るという使命を果たしてきたところと考えております。しかしながら、社会経済情勢が大きく変化している中で新たな法的ニーズが生まれ多様化しておりますことから、法的ニーズの多様化や専門化に対応いたしまして、より広い観点から司法制度全般のあり方について検討し、より適正で迅速な紛争解決を実現するための工夫と改善に取り組んでいく必要があると考えておるわけでございます。  このような視点からいたしますと、裁判手続に限らず、広く司法全体について我が国の法的紛争解決のシステムが社会法的ニーズの変化にどのように対応しているのか、今後どのように対処していくべきかについて、実証的かつ多角的な検討が必要であろうというふうに思われます。  今後、司法制度改革審議会が設置されました場合には、審議の過程で今の点につきましても恐らく実証的かつ多角的な議論がされるということを裁判所としては望んでおるわけでございますが、裁判所といたしましても、その議論を踏まえまして、司法制度の整備、国民方々の期待にこたえる司法の構築に努めてまいりたいというふうに考えております。  ところで、委員の御指摘の、さらに国民方々にわかりやすく利用しやすい裁判の点でございますが、裁判所といたしましては、従前、そのような利用しやすくわかりやすい裁判の実現に向けまして、手続、事務の進め方、手続案内、庁舎設備等についてもさまざまな改善や工夫を行ってきております。  例えば、手続や事務の進め方について見ますと、新民事訴訟法におきまして新たな簡易裁判所の少額訴訟手続を設けまして、法律の専門家ではない一般の国民方々がこれを利用して簡易で迅速な解決を図ることができるようになったところでございます。  また、例えばラウンドテーブルのある法廷での手続や主張を整理する手続などで、単なる書面の交換ではなくて、口頭で実質的な討論を行うなどの工夫をしてきているところでございます。また、これまでとかくわかりにくいと言われておりました判決につきましても、事案の概要や争点につきまして簡潔でわかりやすい新しい判決のスタイルを取り入れるなどの改善の努力を進めてきております。  手続の案内について見ますと、受付窓口におきます手続をわかりやすく説明した各種リーフレットあるいは定型の手続書面の備えつけ、受付案内のビデオの放映あるいはファクシミリによる手続案内などの工夫をしているところでございます。庁舎整備の面でも、例えば受付にオープンカウンターを採用いたしましたり、身体障害者の方々裁判所利用の便のためにスロープを設けるなどいたしまして、国民方々の利用しやすい裁判所づくりに努めてまいったところでございます。  今後とも、今述べましたような説明を進めまして、より国民方々にわかりやすく利用しやすい裁判の実現に向けて努力してまいりたい、かように考えているところでございます。
  88. 円より子

    円より子君 私はもう毎回の質問で裁判官が少ないのではないかというお話をよくしておりますけれども、昭和六十二年の裁判官定員が二千十七人、十一年案は二千百四十三人、検察官は千百七十三人で十一年案は千三百四人。検察官平成八年からふえるようになり、裁判官の方は平成三年ごろから少しずつという感じなんですが、まずこの裁判官の定員のふやし方、これだけ司法の役割が大きくなるという中で少な過ぎるのではないか、随分遠慮深くしか定員をふやしていらっしゃらないなということ、そのあたりを感じます。  それから、これは確かめたいと思ったんですが、新聞では、なぜ裁判官がこんなに少ないのかという中に大量に法務省に出向しているからだというんですが、これは新聞の記事が間違っているのかもしれません。この辺も教えていただきたいことで、いずれにしても裁判官をもう少しふやした方がいいということ。  また国選弁護人、これは私選の弁護人よりも国選弁護人が大変ふえているということが統計で明らかなんです。この国選弁護人の報酬が低過ぎることも含めて、このあたりのことをどう考えていらっしゃるのか。それから、被疑者段階から国選弁護人をつけてもいいのではないか、そのあたりのことについてお伺いをいたします。
  89. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者(浜野惺君) お答えいたします。  まず、委員指摘の裁判官の増員についてでございますが、裁判所としては、これまでも適正迅速な裁判を実現するために訴訟手続の運営改善や裁判官の執務環境の整備に努めますとともに、毎年裁判官の状況を見ながら増員を図ってきております。現に、平成十年までの十年間を見ても、裁判官を合計百六人増員しておりまして、平成十一年度にも判事補三十人の増員をお願いしているところでございます。これが実現いたしますと、浦和地裁本庁、裁判官の数約三十余名でございますが、の規模の地裁を一庁新設したのに匹敵する人数でございまして、相当の規模の増員が図られることになるというふうに思っております。  裁判官の増員は、つまるところ適正迅速な裁判を実現するためのものでございますので、事件数の動向等を見ながら、訴訟関係人の協力や訴訟手続、審理運営方法の改善等のさまざまな方策を講じつつ増員のあり方について検討の必要があるというふうに思っております。  民事事件につきましては、近時の社会経済情勢の変化等を反映して著しく事件が増加しておりまして、裁判所といたしましてもこれに対して人的体制の整備を図ってきたところでございますが、このような事件の動向は少なくとも当面継続するものというふうに予想されるところでございますので、裁判所といたしましては、このような事件動向を踏まえて今後とも適正迅速な裁判の実現を図るために必要な増員を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  90. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選弁護の関係のお尋ねでございますのでお答え申し上げます。  刑事裁判を適正かつ円滑に運営するためには、弁護人の弁護活動に負うところが大変大きいわけでございます。その意味で、国選弁護人選任されました場合、その活動は大変重要なものであると考えております。  この国選弁護人の報酬の増額につきましては、毎年、日本弁護士連合会から強い御要望が寄せられているところでございまして、平成八年度以降は、地方裁判所事件で一件当たり二十万円以上の金額が支給できるような予算措置を講ずるようにという要望が出されております。ただ、刑事弁護という非定型的な法的サービスの対価として何が相当で何が十分であるかということは判断の難しいところでございまして、弁護士会の定めておられます報酬基準というのも一つの考え方でございます。ただ、それはサービスを提供される側がお定めになったものでございまして、絶対的なものとは言いがたいところがあるように思われます。  もとより、裁判所といたしましては、そういった御要望があることも十分考慮に入れまして、国選弁護人の活動にふさわしい額を確保するようにその増額に努力しているところでございまして、今後とも報酬額の引き上げにつきましては努力をしてまいりたいと考えております。  それから、被疑者段階での弁護の問題についてもお尋ねがございました。  被疑者段階で弁護人の援助が受けられるというようなことにつきましては、一般論としては、被疑者の弁護人選任権を実質的に保障することができ、さらには適正な裁判の実現につながるものというふうに考えております。  以上でございます。
  91. 円より子

    円より子君 では、海難審判庁に一言だけ御質問させていただきます。  今、海難事故は少しずつ減っているようでございますけれども、やはりこれだけ複雑な状況になってきますと海難審判庁の役割というものは大変重要ではないかと思いますが、定員減もあるようですし、今後の調査とそれから海難審判のことがちゃんと運輸省の方で生かされて海難事故がなくなる状況になっているのかどうか、そのあたりについてお聞かせ願えますでしょうか。
  92. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) 御指摘のとおり、海難審判開始申し立て件数に関しましては、平成六年八百六十二件、平成七年八百五十九件、平成八年八百二十四件、平成九年七百六十一件、平成十年七百三十一件と漸減しております。また、定員でありますけれども、やはり五年間でありますが、平成六年度から八年度までが二百四十九名、そして九年度は二百四十八名、十年度は二百四十七名でありまして、これまた漸減しております。  なお、平成十一年度は十年度より二名減の二百四十五名の予定でございます。  そこで、定員規模は少ないのでありますけれども、時代の変化に応じた業務の合理化、効率化を図る等々、部内において業務のあり方についても随時見直すなど、迅速かつ的確な原因究明を行い得る体制を確立しているところでございます。
  93. 円より子

    円より子君 終わります。
  94. 海野徹

    海野徹君 それでは、予算委員会委嘱ですので予算関係について中心的に質問させていただきたいと思います。  まず初めに、先ほどからいろいろ議論になっておりますが、少年法改正、あるいは成年後見制度を中身とした民法改正、そういうものがこれから議論されていこうとするわけなんですが、すべて家庭裁判所の所管でありまして、そういった意味では、家庭裁判所におけるこの改正に備えての人的な機構、こういうものがますます重要になってくる、その充実が重要になってくるのではないかなと思いますが、その辺について御質問させていただきます。
  95. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者(浜野惺君) お答えいたします。  家庭裁判所少年事件及び家庭事件の動向でございますが、まず少年事件の動向は、平成八年から一般の少年保護事件が増加傾向にございますが、ピークでありましたのが昭和五十八年でございまして、それと比較しますと、平成十年度の少年保護事件の新受件数は昭和五十八年度の新受件数の約七割程度にとどまっております。他方、家事事件の動向は、新受件数が平成三年から増加にございます。  それで、制度改正の点でございますが、まず成年後見制度改正については、まさにこれから国会で御審議いただくというところでございまして、法の成立を前提とした具体的な運用も今後固めていくという段階にございまして、新しい制度のために事件数の予測は今のところしがたいところでございますが、大まかに言いますと、社会の高齢化の進展等に伴いましてこのような法的ニーズが高まるということが予想されるところでございます。  以上のような近時におきます家庭裁判所事件数の全般的な増加傾向や最近の事件内容を見てみますと、少年事件におきましては、社会関心を集めます重大な事件あるいは非行の理解が非常に困難な事件が係属しておりますし、家事事件におきましても、両親による子の奪い合いなどの深刻な対立がある事件や、遺産分割などの複雑で解決の困難な事件も見られるところでございます。これまで以上に家庭裁判所の役割が重要になってきていると認識しているところでございます。  このような状況から、今後の法改正事件数の動向等を見ながら、的確な事件処理が図られるように家庭裁判所の人的体制のあり方について検討してまいりたい、かように考えております。
  96. 海野徹

    海野徹君 そういうようなお考えでいらっしゃるということは大変私としてはありがたいわけなんですが、今現実問題として家裁の定員に対してかなり欠員が生じています。判事で七人、判事補で十五人、これが平成十年度で欠員だというような資料があるわけなんですが、しかも判事の場合は比較的年齢が高いというようなことも聞いておるんです。  実際、その辺の対応、今体制をきちっとしていくんだというようなお話がありましたから、その辺への対応について御質問させていただきます。
  97. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員指摘のとおり、特に少年事件、家事事件は、先ほども申しましたように多様な事件がこれから家庭裁判所に係属することが予想されますし、それから審理の方法あるいは審理の内容について、これまで以上に工夫及び改善が必要とされるというところもございます。  そういうところでございますので、裁判官の配置あるいは審理手続の運営方法も含めて、総体的に審理の充実が行われるように一層の充実強化を図っていく必要があろう、かように考えているところでございます。
  98. 海野徹

    海野徹君 総体的にいろいろ検討してということなんですが、やはり人間、必要なものは必要だと思うんです。ぜひその辺は早急に検討を重ねていただきたいなと思います。  家裁の調査官、これも全くふえていない。十四年間ずっと据え置かれたままだ。今のお話からしたら、どうしても増員が必要になってくるのじゃないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
  99. 浜野惺

    最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員指摘家庭裁判所調査官につきましても、今後の家庭裁判所における事件の動向を十分踏まえさせていただきまして、それを踏まえた上で人的な整備について検討させていただきたいというふうに考えております。
  100. 海野徹

    海野徹君 今のお話をお伺いしまして、その点について大臣に御見解をお願いしたいと思います。
  101. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 二十一世紀我が国社会におきましては、社会がますます複雑多様化し、国際化が進む、しかもその状況のもとで規制緩和、改革が進んでまいりますので、そういう中で、さまざまな社会の変化に伴いまして、国民の権利や利益に関する紛争を適正迅速に解決していくということが必要になると思います。  したがいまして、裁判官につきましては、裁判所においてかねてから所要の増員措置を講じてこられたところでございますが、今後とも事件動向等を踏まえつつ、その増員に向けて引き続いて努力していかれるものと思っております。法務省といたしましても、これに協力し、司法機能充実強化に努めてまいりたいと考えております。
  102. 海野徹

    海野徹君 そういう大臣からの御見解をお聞きしますと、少年法改正を急ぐよりもむしろそちらの方を急いだ方がいいのじゃないかと思いますが、その体制をつくってから迅速適切な対応をすべきだと思うんですが、その辺、いま一度大臣にお願いします。
  103. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 少年法改正につきましては、最近の少年非行犯罪の動向を見まして、これの解決が喫緊の課題である、このように考えておりますが、その願うところは、先ほど来既に御指摘いただきましたように事実認定手続についてでございますけれども、これをしっかりとやっていけるような法整備が必要だということでございます。今国会にこれを提出しておりますので、十分審議していただいて、できるだけ早急に成立していただくようにお願いしたいと思います。  他方、裁判官等の充実につきましては、これはそれと並行して行うべき問題、両方とも大事な問題である、このように考えております。
  104. 海野徹

    海野徹君 人的充実と並行してということなんですが、その辺は事実認定が適正になされなくちゃいけないということがありまして、子供たちの将来の健全育成というのが法の精神でありますから、私は並行というよりも先行していただきたいなということを思っております。  それでは、法制審議会のあり方について大臣にお伺いしたいんです。  民法とか刑法、基本法にかかわる問題については、法制審議会が非常にいろんな意味機能を果たしてきております。そういった意味で、そういう基本法の改正における法制審議会のあり方、何でもかんでもすべてパーフェクトなものを法制審議会でやってしまっていいものかなというような気もするわけなんです。基本的な方向というのはやはり国会で議論すべきだろう、法の精神その他についても国会が、要するに国民の代表である国会議員がそういう点については議論すべきだと思っておりますが、基本法の改正の問題と法制審議会、そのかかわりについて大臣に御見解をお伺いします。
  105. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法制審議会は、法務大臣の諮問に応じて国民生活に重大な影響を与えることとなる民事法、刑事法、その他の法務に関する基本的な事項について審議を行うことを職責といたしております。そして、基本法の立案作業を行う一種の立法準備機関としての性格もあわせて持っておる、こういうふうに理解しておるわけでございますが、同時に、内閣というのは国務を総理する立場にありまして、国民生活に直結する民事法、刑事法等の基本法の整備も内閣の責務に属するものである、このように考えるわけでございます。  内閣でこのような民事、刑事、その他の法務に関する事項を所掌しておりますのは法務省でございますので、法務省法制審議会を設置しておる次第でございますが、法制審議会は基本的な政策の企画立案に関する事項検討し、また内閣の一部でこれを行うということが適当ではないか、このように考えておる次第でございます。
  106. 海野徹

    海野徹君 重ねて申し上げますが、私はやはり基本的な方向性というのは国会で探るべきだろう、議論すべきだろうと思っています。やっぱり法制審議会というのは立法機能を補佐するものであるだろう、そういう機能を持っているんだろう。  以前、昭和二十年代に国会に両院法規委員会というのがありました。大変活発な議論をされた。戦後、要するに二十年代、極めて混乱した時代だったと思うんですが、いろんな意味で大変活躍した委員会であったというようなことを聞いております。  そういった意味では、法制審議会の本来の姿が立法機能の補佐ということであれば、法制審議会国会に置いてもいいんじゃないか、両院法規委員会のような形で再度やってみたらどうか。国会法の改正の中でそれが廃止されていったわけなんですが、いま一度、これだけ司法制度改革をやろうというような時期でありますから、国会に移したらどうか、両院議員のコントロール下に置いたらどうかと思うんですが、その辺の大臣見解をお願いします。
  107. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そういう先生の御意見一つの考え方であろうかと思います。  法制審議会については、国民生活に重大な影響を与えるということでございますので、内閣においてかつ法務省においてこれを所管していくのが適切ではないか、かように感ずる次第でございます。
  108. 海野徹

    海野徹君 では、また改めてお話をさせていただくとして、具体的な予算質問に入らせていただきます。  情報通信・科学技術・環境等二十一世紀発展基盤整備特別枠、これが千五百億、法務省関係でも六十三億三千五百万ということなんですが、どのような効果をねらって具体的にどういうふうに使われていくのか、その辺についてお教えください。
  109. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) 御指摘の基盤整備特別枠の予算関係でございますが、当省は六十三億三千五百万円を計上しております。  その内訳でございますが、大きく申しますれば、国民の法務行政に対するアクセスを容易にするとともに総合的な行政手続等の迅速化、高度化を図るということで、情報通信ネットワークの推進経費、あるいはコンピューターネットワークを利用した電子取引普及のための法制研究等でございます。  なお、六十五億のうちの四十五億につきましては、むしろ少年関係のネットワークづくりというところに四十五億ほどの予算を組んでおります。
  110. 海野徹

    海野徹君 今、六十五億じゃなくて六十三億ですね、六十三億五千万のうちの四十五億が少年関係のネットワークづくりということですね。  その四十五億の少年関係のネットワークについて、もう一度具体的に中身を教えていただけますか。
  111. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) これは少年矯正教育につきまして心の教育充実強化しようということで、岡山と大分にモデルの少年院を新築したいというふうに思っております。  岡山と大分の少年院はいずれも特別少年院でございまして、九州地域における特別少年院に収容しなければならない少年たちは大分少年院、中国・四国地方で収容しなければならない少年たちは岡山に収容されております。  この子たちの教育というのは極めて難しいわけでございます。教育内容幾つか申しますると、いわゆる自分、おのれを見る時間といいますか自省ということ。それから、ドラマをみずから演じるということによってそれぞれの人たちの心理を知るというような教育。例えば母親や父親や警察官や被害者や加害者、そういうものに子供たちになってもらいまして、ドラマを現実にやってもらうというようなことをやっております。これを岡山と大分の間で相互に通信ができるようにするということによりましてその効果を非常に大きくしたい。  この効果といたしましては、例えば岡山の教官で特殊な技能を持っている教官につきましては大分の特別少年院でもその技能の講習を受けられるようにしようというようなことも一つ内容です。それから、同じ少年院の中でドラマをやっておりますと、お互いになれ合うというようなことがあるわけですけれども、これを他の少年院の子供と一緒にドラマを行うということによって、より広い観点を学び、またいろいろな少年たちのこともお互いに知るというようなことが可能になる。それから、例えば母親が遠隔地におります場合にその遠隔地の母親と子供が面接できるようにするというような種々の観点から、こういうモデルの少年院をつくりたいということでこれだけの費用を計上しているわけでございます。
  112. 海野徹

    海野徹君 それでは、質問は午後にさせていただきます。
  113. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  114. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管法務省所管及び運輸省所管のうちの海難審判庁を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 海野徹

    海野徹君 午前中に引き続きまして、若干質問をさせていただきます。  公安調査庁の減員について再度お伺いするわけなんですが、中央省庁の再編等に含めて現有勢力で対応していきますというような御答弁をいただいたかと思うんですが、毎年毎年いろんな調査内容、あるいはそれをどうやって分析してどう治安あるいは法秩序を維持するか。事件そのものの内容も変わってきているんではないかと思うんですが、業務がどんなふうに、どういう部分で業務がふえていってどういう部分で業務が減っていって、だから要するに十四名減員なんだと。ただ単に再編で少なくしなくちゃいけないということじゃなくて、その辺をもう少しつまびらかにしていただきたいと思います。
  116. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) 委員指摘のように、公安調査庁が果たすべき役割というのは、国際情勢あるいは国内情勢の変化とともに変化しているというふうに考えております。いわゆる冷戦構造の崩壊に伴う国際的な情勢は大きく変化いたしました。また、国内的に見ましても、民主主義の発展というようなことを踏まえまして、情勢もいわゆる破防法ができました当時から考えますと大きな変貌を遂げております。  したがいまして、公安調査庁の従来の事務のあり方というのは相当変わらなければならない。これまでの事務のあり方は、各都道府県にそれぞれ事務所を置きまして、それぞれの県内の情勢を収集、分析するということに非常に重点が置かれてまいりました。それはそれなりに社会情勢を反映したものでございました。  しかしながら、現在の国際情勢、国内情勢のもとでは、例えば国際情勢について申しますと、日本で外国人の首脳の方々が集まる機会というのも非常に多くなりまして、これらの機会に国外のテロリストグループが日本に乗り込んで爆破事件を起こす等の可能性というのも否定できないような情勢下にございます。また、国内に目を投じますと、いわゆるオウム真理教の問題を契機に、我が国にもカルト集団があり、これらのカルト集団の中には武装しテロを行う危険性のあるものも今後も発生してくるおそれなしとしないわけであります。  そうしますと、公安庁の配置のあり方というのもこれまでのものとは異なりまして、まず国際情勢にかなりのウエートを置かざるを得ないという状況にあろうかと思います。また国内的にも、今までは必ずしも公安調査庁の調査対象とは言えなかったカルト集団のようなものにつきまして、かなり厳密な調査、情報収集、分析というようなものが必要になってきている、こういうふうに思っております。  したがいまして、公安調査庁の事務所のあり方あるいは人の配置というものも大きく変えなければならないというふうに思いまして、近年、専門官制をとるなど大きな合理化等を行っているところでございます。
  117. 海野徹

    海野徹君 いろいろ国内の情勢が変わってきた、県内の情勢の収集、分析というあり方から、内外のいろんな動きに対してということなんですが、じゃそれがそのまま減員として認められるのかというと、積極的にそれを議論とするというのはちょっといかがかなと思うんです。  最近はリストラが非常にあります。失業者の数がふえています。その方々が、ある意味では路上生活者というんですか、公園等に大変たくさんいらっしゃる。それが部分的に集中している。そこに何らかの形で余りよろしくない人たちが社会的な不安をあおるために火をつける、そういうことを扇動するということが起こり得ないとも限らない。テポドンが発射されてから非常にそういうおそれがまた、戦後すぐに起こったようなおそれがあるんではないかという観測もあるわけなんです。  となったら、そう簡単に減員していいものかなと思うわけなんですが、これは法務大臣にお伺いした方がよろしいんでしょうか。
  118. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今、官房長がお答えしたような、国内外の情勢に対応した適切な公安調査庁のあり方というものを考えながら、一方では行政改革の必要な時代でございますので、その公安調査庁の使命が全うされるよう、適正な人員の配置等についても真剣に考えてまいりたい、このように思います。
  119. 海野徹

    海野徹君 私も県議会にいた関係でいろいろ公安調査庁の方々と話をさせていただくことがありました。大変御苦労されているんです。私がいた静岡県というのは問題はそんなになかったんですが、部分的には大変な問題が集中して日夜大変な御苦労をされているということになると、やっぱりその配置計画そのものは変えなくちゃいけないと思うんですが、私はやっぱり質とともに量も確保していく必要があるんではないかと、これは要望しておきます。  その次に、これは予算に関連してお伺いしますが、少年事件のデータベース開発の中身について教えていただきたいわけなんですが、何か要求段階では二億円を超える要求をされたと。現実問題としては一億六千万ということだったんですね。それで果たして要求されたときの目的が達成できるのか、それでやれるとしたらどの程度までやれるのか、よろしくお願いします。
  120. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 御質問少年事件のデータベース化というものでございますが、今の少年事件の把握の方法でございますが、このコンピューター化の時代に若干おくれぎみでございますが、今カードで処理しております。これを全国的にデータベースを開発いたしまして、またパーソナルコンピューターのハードの面も導入して、これをコンピューターによって把握しようということでございまして、来年度予算一億五百九十七万円お願いしてございます。第一歩としては、これでぎりぎり何とか実現できるというふうに我々は考えております。
  121. 海野徹

    海野徹君 データベースができるのは、時期的にはいつごろですか。
  122. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 本予算案が成立しまして、可及的速やかにデーターベースの開発とハードの面の整備ということでございます。目的ははっきりしておりますし、量的にも明らかでございますので、それほど遠い将来にはならないというように我々は考えております。
  123. 海野徹

    海野徹君 それでは、ことしの極めて前段階でできるということでよろしいですね。
  124. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) こういったものは、データベースを作成する、その情報を入力する作業というふうなのがございます。これは比較的時間がかかると思いますが、いずれにしても来年度中にはそのデータ化に着手するということでございます。
  125. 海野徹

    海野徹君 今回、予算を一億六百万ぐらいでやっていこう、第一歩だということだったんですが、大臣、このような予算については、今後予算をまだまだ増額される予定がおありですか。
  126. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) ただいま御答弁があったように、必要な施策が平成十一年度中には十分できるということでございますので、その作業の進みぐあいを見守っていきたいと思っております。
  127. 海野徹

    海野徹君 昨年の臨時国会でも裁判官、検察官の増員について質問させていただいたわけなんですが、相当規模の増員を図っているんだというような答弁が先ほどあったかと思います。大臣、使い勝手のいい制度にするためには、まだまだ長期的な増員計画を立てる必要があるんではないかと思いますが、その辺の必要性について御見解をお伺いします。
  128. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 先ほど裁判官につきましては申し上げましたけれども、また検察官、検察体制の充実の問題についてちょっと触れさせていただきます。  最近における犯罪情勢を見ますと、毒物混入による無差別殺傷事件や金融機関経営者による背任事件などが継続しております。国民一人一人が安心して暮らせる安全で公正な社会の確保のためには、この検察体制の充実というものが必要でありまして、法務当局においても平成八年度以降、検察官の増員を継続してきておりますが、将来における検察官の増員につきましては、今後の犯罪動向や業務量の推移等を踏まえ、検討すべき問題であると考えております。  今般、設置法案が提出されました司法制度改革審議会等における論議を踏まえつつ、中長期的視野にも立ちながら、今後とも十分な検討を続けてまいりたいと考えております。
  129. 海野徹

    海野徹君 それでは、裁判官も検事も増員ということでよろしいですね。  その次に、オンライン登記情報提供システムの予算についてなんですが、一体どのぐらいの予算が必要なのか、まだ試算の段階だと思うんですが、その点、御説明いただければ、よろしくお願いします。
  130. 細川清

    政府委員細川清君) オンライン登記情報システムと申しますのは、コンピューター化された不動産あるいは商業の登記簿に記録されている情報、すなわち登記情報をインターネットを利用して利用者の自宅または事務所のパソコンの画面上で閲覧することができるようにしようという制度でございます。  この点については、今国会に電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案を提出させていただいたところでございますが、平成十一年度の予算におきましては、これのシステムを導入するための最終的な準備経費としまして八千五百十万円を計上しているところでございます。
  131. 海野徹

    海野徹君 この制度では、全部全国的に行き渡るまでどのぐらいかかりますか、その辺の試算は出ていますか。
  132. 細川清

    政府委員細川清君) ただいま申し上げましたのは、準備の最終段階の経費でございます。  それで、今後の運用経費でございますが、これは既存のコンピュータになっておるものを利用しまして、既存のインターネットの回線を利用するというものでございますから、運用経費だけを申し上げますと、詳細は現時点では申し上げられませんが、おおむね一、二億円毎年運用経費がかかるということであると思っています。
  133. 海野徹

    海野徹君 それでは、次の質問に入ります。  先ほども質問に出ていたかと思うんですが、犯罪被害者対策のための経費が一億七千六百万円ということなんですが、法務・検察における被害者対策はこれまでもやってきたかと思うんです。そこでいろんな問題が出てきた。それに対する対応で今回の制度を発足しようということになったと思うんですが、いろんな不備があったり問題点が出てきた。その辺の内容をお教え願いながら、それに対する対応として、今回の制度はどの程度の効果をもたらすのか、その辺についてお聞かせください。
  134. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) この被害者等通知制度を整備するに至った契機となりましたのは、東京で起こりましたいわゆる隼君事件という、自動車事故で少年が亡くなったケースでございました。  そこで、被害者の御遺族の方から、被害者立場というものについて捜査機関としての十分な配慮がなかったのではないか、捜査の過程あるいは処理について被害者が蚊帳の外に置かれるというようなことは問題ではないかという問題提起がございました。また、社会のいろんな各層の人からも同じような問題提起をいただいたわけでございます。  そうしたことが契機となりまして、検察としてもこれまでかなり多数の地方検察庁で被害者通知制度はございましたが、内容的に十分かどうかという検討も要しましたし、また各庁においてある程度の差異がございました。重大事件だけについて被害者に対して通知制度を持っていた庁もありますし、かなり広く通知を行っていた庁もございました。そうしたことをこの機会に、被害者に対する通知という問題の分野では整備しよう、全国それなりの最低基準といいますか、これだけは行う統一的なものを設けようということで、今回被害者等通知制度というものを四月一日から全国で整備した上で行うということになったわけでございます。  この改正そのものは被害者に対する通知を行うという分野の話でございますが、そのほかにも事件被害者全般についても捜査機関として十分な配慮が行えるかどうかについての捜査機関側の意識の改革といいますか、そういったものについては日常の業務執行の中で折に触れて注意を喚起し、またそれぞれがそれを心の隅に置いて捜査をすべきであるということで、各種会同、研修等でも徹底させていくということについては積極的に取り組んでいくということでございます。
  135. 海野徹

    海野徹君 それでは、次の質問に入らせていただきます。  海難審判庁に関して質問させていただきます。  先ほど答弁をお聞きしまして、ある意味では素朴な疑問を持ったんですが、今の調査審判体制の今日的な課題というのは具体的に何なんでしょうか。それについてお答え願いたいと思いますし、また、私はやっぱりそういうものの充実強化のためにどうしても調査船というのは自前で持つ必要があるんじゃないかということを感じているわけなんですが、その点についてもよろしくお願いします。
  136. 鈴木孝

    説明員(鈴木孝君) お答え申し上げます。  今日的な課題と申しますと、まず我々の目的であります迅速かつ的確な海難原因の究明であります。迅速にということでありまして、まず調査段階におきましては、調査官の共助だとか、そういうことで集中的に調査を行うということ、また、審判におきましては、集中審理、その前に事前打ち合わせなどをしまして、できるだけ迅速に審判が行えるように注意しているところでございます。  船舶につきましては、海難を起こした船舶は造船所だとか、あるいは海難を起こした後、岸壁に着岸しますから、そういうときに我々は調査をいたしております。  現場に行ってどうしても調査しなければならないというケースが非常に少のうございますから、例えば沈没した事件につきましては、現場に行って調査するということはなかなか困難でございます。あるいは転覆した事件もそうです。衝突事件につきましては、現場に長い間両船がとどまっていることは交通の障害になるとか、あるいは二次災害を起こすとかいう話がありまして、そこで長時間調査することは非常に困難でございます。  我々としましては、着岸したときにその機会をとらえて調査しているということでございまして、どうしても沖に行って調査しなきゃならない場合には、用船しまして対応しているところでございます。現状、用船で対応しておりまして、別に問題があるということはないようでございます。  以上でございます。
  137. 海野徹

    海野徹君 以上で終わります。
  138. 大森礼子

    ○大森礼子君 公明党の大森礼子です。早速質問させていただきます。  まず最初に、海難審判庁の方にお願いいたします。  海難審判庁予算、十一年度は二十五億九千四百万円、前年度当初予算額と比較すると九百万円の増加になっているということでございます。これが多いか少ないかということも知りたいので質問させていただきます。  平成九年九月の「海難審判の現況」という報告書がございますが、その中で、今後の課題として、海難事故の再発防止、原因究明体制の強化、効率化のために積極的に推進していくものとして五項目が挙げられております。  例えば、第一項目は、「重大な海難については、特に早急な原因究明を要請されるため、迅速かつ集中的な調査及び集中審理に努める。」、これは総論的な課題だろうと思います。  それから、例えば「広く情報を収集し蓄積・整理して、迅速に活用できる情報処理システム等の体制を整備し、また、最新の技術習得のための研修制度等の充実に努める。」という項目もございます。  それから、「海難防止上有効な提言を盛り込んだ報告書を作成し、公表するなど、海難及びその原因に係る情報提供業務を強化する。」とか、「行政情報ネットワークの活用により、業務の効率化と国民に対する海難及び審判に係る情報提供の方策を検討し、推進する。」とか、裁決書のA4判化とか、こういうことが五項目として挙げられているわけです。  なぜ平成九年九月の報告書を持ち出したかといいますと、九月の時点ですと去年の予算に盛り込むのはまだ早かろうということで一年前のものにさせていただきました。  この挙げられました今後の課題というものについて、ことしの予算の中でどのように取り組まれているか、これについてお尋ねいたします。
  139. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) まず、予算が多いか少ないかの問題でございますけれども、先生御案内のとおり、審判庁予算は大体九〇%が人件費でございまして、そういう意味では人件費の確保をいただいておるところでございますし、また、五項目に関しての質問でありますけれども、審判庁長官から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
  140. 鈴木孝

    説明員(鈴木孝君) お答え申し上げます。  まず第一点に、社会的に影響の大きい重大事件につきましては、我々としましては、先ほども申し上げましたとおり、調査に関しましては特別な調査本部を設けまして理事官の共助などを行います。そしてまた、審判に関しましては、事前打ち合わせあるいは集中審理を行うなどして迅速な対応をとっております。  裁決の検索システム等につきましては引き続き構築中でありまして、また審判官、理事官の研修というのが上級から初級研修までありますが、こういった研修に当たりましては、航空やあるいは鉄道の事故、ほかのモードの事故でございますが、こうしたモードの中でヒューマンファクター、特に現在ヒューマンファクターが問題になっておりますが、こうしたことの専門家による講義を受けたり、あるいはまた船舶技術研究所などに参りまして、実証実験の見学等を実施している状況でございます。  そしてまた、同種海難の原因等を定量的に分析いたしまして、再発防止に資するために有効な提言を盛り込んだ報告書といたしまして、平成十年度は「外国船の海難の実態」というものを刊行しまして、海難防止団体あるいは海事関係者等に配付しております。これはシリーズ物でございまして、従来ずっと一年に一回ずつ昭和五十五年から、例えば昭和五十五年には「視界制限状態における船舶間衝突の実態」、こういうようなことをやっておりまして、年間大体一回ずつ実態シリーズを出して、関係各方面に配付して再発防止に資するように対策をとっております。  また次には、行政情報ネットワークシステムの活用によりまして、海難及び審判に係る情報等を国民に提供し得る体制を構築すること、これは検討中でございますが、例えばホームページを開設して審判期日を公表したり、そうしたことで有効に活用したい、こう考えております。  そしてまた、裁決書は平成十年からA4判の横書き化を実施いたしております。なお、この内容につきましては、例えば今まで午前午後なんという言い方をしていましたが、時間につきましては二十四時間制を採用したり、あるいは方位につきましては旧来の磁針方位を真方位に直したりして、読みやすくわかりやすい裁決に努力しているところでございます。  以上でございます。
  141. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  142. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 速記を起こして。
  143. 大森礼子

    ○大森礼子君 海難審判庁関係は以上でございます。  次に、法務省にお尋ねいたします。  予算の中で、少年事犯、検察体制の充実強化として一億六百万円計上されております。前年度ゼロということになるんでしょうか。それから、あわせてお尋ねしますが、少年矯正教育充実強化として七千七百万円、これも前年度ゼロということですが、この内容についてお尋ねいたします。
  144. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) まずお尋ねの、一億六百万円の方でございますが、先ほども御説明申し上げました少年事件関係のデータベース化ということに対する経費でございます。今、カード、手作業で行っております資料を電算処理して、より効率的に使用しようとする費目でございます。
  145. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) お答え申し上げます。  少年矯正教育充実強化経費として七千七百万計上されておりますが、これは四本の柱でできております。  一つは、心の教育ということが最近叫ばれておりまして、そのための教材を開発するということでございます。一つは、VTR教材の制作経費、もう一つは、先生御承知かと思いますけれども、ロールプレーイングという心理技法のやり方がございまして、そのためのソフトを開発する経費というのがございまして、これが心の教育の教材の開発の具体的中身でございます。  次は、自然体験学習コースというコースをつくりたいと思っておりまして、これは具体的に申し上げますと、ログハウスをつくりまして、そこで野外訓練をするというための経費でございます。  それから次に、矯正教育支援スタッフの配置というのがございますけれども、これもやはり同じ心の教育というものの一環でございまして、生命と直結した仕事に携わっておられる方々、具体的にはホスピスの関係者であるとか介護福祉の従事者であるとか、養護学校の関係者であるとか、あるいはさらに動物等を飼育したり、あるいは動物園等に勤務している方々においでいただいていろんな話をしていただくというための経費でございます。  四番目、最後の柱は、少年院と少年鑑別所の連携体制の強化ということでございまして、従来からもちろん十分な連携のもとにやっているわけでございますけれども、今後は少年が入った後も少年鑑別所の技官が携わって仮退院等の関係にも関与するし、それから途中の処遇内容がこれでいいかどうかということにつきましても鑑別所の心理技官である専門家が助言をするということを考えておりますし、また一方、少年院の教官が少年鑑別所の方に参りまして心理学の専門家である心理技官から処遇内容について勉強するというようなことも考えておりまして、以上申し上げました四本の柱で少年矯正教育充実したいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  146. 大森礼子

    ○大森礼子君 ありがとうございました。  次に、外国人事件に関する予算措置がどのようにとられているかということについてお尋ねしたいと思います。  最近、外国人事件とかそれから犯罪の国際化とか言われるわけです。今、組織犯罪対策関連法案衆議院でも継続審議になっておりますけれども、その法案の提案理由説明の中でも国際的にも協調した対応が求められているという点が指摘されております。  昨年の五月十九日の衆議院法務委員会の中で、ある委員から日本を舞台に国際的な犯罪が行われておる状況について説明を求められて、当時、原田政府委員が答弁をしておられます。内容をまとめますと、例えば集団密航事犯においてはいわゆるスネークヘッドと呼ばれる外国の犯罪組織の関与が明らかになっている。外国人グループによる大量の薬物の密輸あるいは密売事犯が明らかになっている。あるいは外国人の集団による連続的な窃盗事犯が相当数摘発されている。けん銃を使用した強盗事犯に外国人が関与をしているという状況も出てきている。その上で、これが前提となってということだと思いますが、これらの犯罪の中に国際的なグループ我が国において活発な活動を行っているのではないかと推測させる事犯が生じていると考えます、こういう答弁をされておられます。それから、近年、航空機等で大量の人が自由に出入りできるようになったので、これからだんだん深刻な事態を招くであろう、こういう御答弁です。  要するに、組織犯罪対策三法案、どうしてこれ三法案一括で審議しなきゃいけないのか私個人的に非常に疑問に思っておりますが、それはさておき、この背景には外国人の犯罪関与の増加というものがあるのだろうと思います。しかしながら、国際的な犯罪に対処する必要性、新しい捜査法、通信傍受とか加重処罰規定とかしながら、摘発後の体制については明確なビジョンが示されていないのではないかと私思うのです。  外国人が逮捕されれば取り調べを受けます。通訳が要ります。起訴されたら公判が開かれます。通訳が要ります。私は、何年も前から外国人事件の増加による捜査、公判の問題点、こういうことを指摘してまいりました。しかし、どうも私の感じるところでは、法務省も最高裁も司法通訳の問題等については、何かやっているのだけれどもなかなか積極的な取り組みや姿勢をいまだ示していないように思っております。特に法務省にあっては十年ぐらい前も同じ質問をした委員に対する答弁と変わりません。重要な問題だから検討するという程度に終わっております。それで、外国人関与の組織犯罪がふえているのだ、だから取り締まりとか処罰法律、それから盗聴も認めてくれ、そういう法律は成立させてくれと言いながら、その後の手当てのことについてきちっとビジョンが示されていない。そういう問題について先送りするというのは私は何かバランスを欠いているのではないかなと思います。  外国人犯罪がこれからもふえるという予測なのでしょう。そうしますと、捜査、公判、それから裁判で有罪、実刑になりますと、その外国人は刑務所に収容されるという流れになります。こういう外国人事件に対する対応について、法務省と最高裁にお尋ねします。どのように考えて予算措置をしているか質問いたします。  まず、最高裁の方にお尋ねいたします。  確認ですが、いただいた資料の中で「日当等単価調」という書面がございますが、通訳人、翻訳人の日当が七千六百五十円から七千七百五十円となったとございます。それで、日当と通訳謝金との関係について教えてください。多分日当のほかに通訳謝金というのが支給されると思うのですが、そのように理解してよろしいのでしょうか。
  147. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 仰せのとおりでございます。
  148. 大森礼子

    ○大森礼子君 それでは、通訳謝金、通訳の方に対するお礼となるのですが、謝金の基準はどういうふうになっているのでしょうか。時給計算なのか、あるいは半日、一日計算なのか、これについてお尋ねします。
  149. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 各裁判体が、その裁判が終わったところでこの事件の通訳人報酬は幾らが適当かということを裁判の形で決定いたしております。
  150. 大森礼子

    ○大森礼子君 その場合、各裁判所の裁判官の頭の中に基準があるということでございますか。
  151. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 裁判官の頭の中に基準があると申しますか、私どもの方からはお示しいたしておりませんが、各裁判体がそれまでの経験と申しますか、実績等を勘案して決定しておられるものと承知をいたしております。
  152. 大森礼子

    ○大森礼子君 そうしますと、最高裁というのは、大体これぐらいの基準でとぴっちり決めるのではなくても、大体の基準とか、こういう情報というのは渡していないのでしょうか。  というのは、やはり最終的には裁判という形で実際事件を扱った各裁判官が決めるとしましても、やはり専門的な技術を持った方ですから、あっちの裁判所とこっちの裁判所、こっちは時給千円でこっちは時給三千円で、これまた不平等な扱いになりますし、また、通訳という仕事を正当に評価するという意味からも何らかの大まかな基準が要るのではないかと思うのですけれども、こういう点はいかがでしょうか。
  153. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 事は裁判で具体的な金額を決めるわけでございますので、私どもの方から具体的な基準というものを示すのがいいかどうか若干問題のあるところであろうかと思われます。  ただ、各裁判所によってばらばらということは余りないのではないか、私ども実際に裁判しておられる人から聞いておりますところでは大体一致しているのではないかというふうに思っております。
  154. 大森礼子

    ○大森礼子君 基準を示すのがいいかどうか、やはりある程度の基準はお示しになった方がいいのじゃないでしょうか。私、ある検察庁のときに余りにその評価がすごかったものですから、私が十年前に通訳とかをあっせんするような場合には、そのころの時給は三千円ぐらいでしたよとか、こういうことを申し上げたことがございます。  それから、基準を示すのがいいかどうかということは十分お考えいただくとしても、だったらどういうふうにこれが運営されているか、そういう情報をやはり最高裁が持っておく必要はあるのではないでしょうか。各裁判所に任せておけばいいやという問題でもないと思うのです。  それから、通訳、そのステータスということをお考えになれば、やはり正当な謝金といいますか基準というのがあってしかるべきだと思うのです。こういうことについて最高裁というのは余り頭を悩ましていないのでしょうか。
  155. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 委員つとに御承知のとおり、国選弁護の関係では確かに支給基準というものを一応お示しいたしております。  ただ、これも具体的な金額は裁判という形で決定されるわけでございまして、私どもある意味では、通達でお示ししておるのですが、あくまで予算の適正な執行という観点から参考にしていただくということでお示ししているにすぎないというふうに申しているわけでございまして、それと同じようなことができるのかどうか、研究してみたいと考えております。
  156. 大森礼子

    ○大森礼子君 やっぱり通訳謝金につきましても予算措置をとるわけですよ。予算出しますわけでしょう。そのベースとなる数というのは何か、その中で外国人事件がどのくらい増加しているか、それから通訳をつける事件がどれだけふえているか。それから、今は二人通訳という制度もあるようですから、そうすると二人分になると思うんです。そういうものの通訳を要する事件、需要でしょうか、それがあって、それに大体の基準額を掛けてそれで数字というのが出るんじゃないかと私は思っておったんです。そういうことなくしてしているので、これはどんぶり勘定で予算を出しているのかなという気がして。  次の質問に移るんですけれども、以前、通訳謝金の全体の予算について私は最高裁の方にお尋ねしたことがございます。平成五年で一億六千七百万円、平成九年が五億八千百万円、五年間で三・五倍に増加いたしましたというお答えでした。  平成十一年度の通訳謝金の予算は幾らでしょうか。ちなみに、平成十年度は幾らだったでしょうか、教えてください。
  157. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 通訳謝金の予算をどのようにして要求するかということでございますが、どんぶり勘定ではございませんで、過去の支出実績とそれから事件数を勘案いたしまして要求をいたしております。  お尋ねの平成十年度の予算額は五億八千百万円でございます。平成十一年度も同額でございます。
  158. 大森礼子

    ○大森礼子君 そうしますと、平成九年、平成十年、平成十一年とこの三年間は五億八千百万円とぴったり数字が一緒なんですね。平成九年はその前五年間で三・五倍に増加したのに、なぜか平成九年からは三年間一緒なんですね。通訳を要する事件の実態というものは変わっていないということなのでしょうか。外国人事件は余り平成九年からふえていないということなんでしょうか。
  159. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 先ほども申し上げましたが、最近の支出実績や事件数の推移を考慮いたしますと、平成九年度と同額で不足は生じないというふうに考えた次第でございます。現に不足は生じておりませんで、ちなみに、平成十年度の要通訳事件数は、これはまだ概算でしか出ておりませんが、平成九年に比較いたしまして若干減少いたしているところでございます。
  160. 大森礼子

    ○大森礼子君 先ほど基準もないということだったので、それだったら要するに額を決めちゃってその中で合わせるのかなと。そうすると、通訳に対して何かこの前もっともらっていたのに今度は少ないとか。そんな気がしたのでちょっとお尋ねしました。  次に、法務省にお尋ねします。  同じく通訳謝金についてかつてお尋ねしたときに、平成五年八千二百十七万円、平成九年四億三千二百四十万円、こちらは五年間で五倍に増加したという御答弁でございました。  同じ質問ですが、平成十一年度の通訳謝金の予算はどうなっていますでしょうか。ちなみに、平成十年度についても教えてください。
  161. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 金額を申し上げますと、平成十年度の予算額は四億六千四百万円でございます。平成十一年度の予算計上額は五億四百万円でございまして、対前年度比四千万円の増額でございますので、一般経費の伸びの中ではかなり平均の率を上回った伸びを要求しております。
  162. 大森礼子

    ○大森礼子君 法務省の方については大体四千万増加しているということで、これはわかりました。  組織犯罪対策三法、これが成立するかどうかを問わず、ベースとなる外国人事件が増加する傾向は続くと思われます。それで、法務省、最高裁としてこういう外国人事件に備えた予算措置としまして通訳謝金の手当てのほかに何か特に考えておられるようなものがあるのでしょうか。例えば、通訳の研修制度充実とかセミナーの開催をもっと回数をふやすとか、こういう予算が拡充したようなものがございましたら教えてください。最初に法務省、それから最高裁に順次お尋ねします。
  163. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 今、個別に各項目についての資料はございませんが、例えば外国人の関与した事件ですと捜査官が外国の関係機関に証拠収集等のために出張することがございますが、平成十年度、本年度ですと外国犯罪捜査旅費は三千百万円余りでございますが、十一年度予算額では多少増額要求をしているということでございます。  そのほか、通訳人の質的な強化といいますか研修というものも組んでございますので、これは今具体的な金額等が手元にございませんが、それなりの計上をしていると思います。  また、通訳の対訳集というのがございます。これも英語、ドイツ語とか主要言語が終わりまして、現在少数言語まで資料化が移っておりまして、これについても力を入れているところでございます。
  164. 白木勇

    最高裁判所長官代理者(白木勇君) 裁判所の方では、法廷通訳人セミナーあるいは通訳事件協議会等の協議会の経費が十年度予算では二千二百万でございましたのが、十一年度では二千四百万となっております。それから執務資料の整備、これは前年度九百万でありましたのが、十一年度は八百万と若干減少いたしております。そのほか、ワイヤレス通訳システムでは、十年度六百万でございましたのが十一年度ではゼロとなっております。それから公判手続説明用のビデオ、これは十年度ゼロでございましたが、十一年度は五百万となっております。その他、起訴状の概要の翻訳料等は前年と同じでございます。
  165. 大森礼子

    ○大森礼子君 ありがとうございました。  法務大臣の所信に対する質疑は次回行わせていただくわけですが、その所信の中にこういう箇所がございます。「諸外国との間において逃亡犯罪人の引き渡し、捜査共助等を要する事件が増加するなど、犯罪の国際化の傾向が一層顕著となっております。」と。  犯罪の国際化、それから外国人事件の増加以外にも捜査共助とか逃亡犯罪人引き渡し、こういう活動がふえてきていることだと思うんです。いずれにしましても、犯罪の国際化に対応した体制が法務省にも要請されていると思います。  私がこう言うからといって、組織犯罪対策三法を成立させるべきだという議論ではございませんので、一応念のために申し上げた上でお尋ねするんですけれども、検察官につきましても、犯罪の国際化が進めばその時代の流れに合った検事の養成制度、養成システムというのも必要となるのではないかと思うのです。例えばいろんな研修の仕方があると思います。海外研修等もあるでしょうし、いろんな研究所での合同研究等いろんな形があると思うのですが、大臣は、例えば海外研修等の検事の国際化と言ったらいいんでしょうか、こういう必要性についてどのようにお考えでしょうか。
  166. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 法務・検察が国際化、複雑化する犯罪情勢に的確に対応していく必要があるわけでございますが、そのためには外国法制やその運用等に関する調査研究を行うとともに、検事の国際感覚を涵養する必要があると思います。したがいまして、今委員指摘のように検事を海外に派遣し、各種の研究調査を実施しているところでございますけれども、今後このような研究研修制度をさらに充実してまいりたい、このように考えております。
  167. 大森礼子

    ○大森礼子君 法務省にお尋ねします。  法務省の中で行われている海外研修制度とかそういうものについてどういうものがあるか、それから予算措置はどうなっているか、比較のためにこの十年間で大体どういうふうに変わったのかということも知りたいので、平成十一年の数字と、あわせて平成元年の数字について教えていただきたいと思います。
  168. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 国際化の情勢を受けまして、法務省でも検事の海外研修体制というものの充実強化を図っているところでございます。  この制度といたしましては、人事院の長期在外研究派遣というのがございます。大体二年ないし一年ということでございますが、これに対しまして、これまで相当長期間にわたりまして二年の研修に一名、それから一年の在外研究に一ないし二名ずっと派遣してきております。  そのほか、法務省に若手在外研究と呼んでいる制度がございます。これは毎年約五、六名ぐらいでございます。これも先生お尋ねの平成元年から人数的には変わっていないと思いますが、全部で大体五、六、七名ぐらいの派遣をしておりまして、これは具体的なその時々のテーマでございます。例えば今年度あるいは来年度ぐらいになりますと司法制度審議会でいろんなことが論議されると思いますが、我々としても、例えば参審制度の諸外国における実情とか、当面考えられるいろいろなことがございますが、そういったテーマを持たせまして、大体三カ月強から百四十日の間ぐらいの期間、その研究に外国へ派遣するということでございます。  そのほかに法務省制度として、アメリカの大学、例えばミシガン大学に一年置きに一年一名送っているという制度もございます。これも大分歴史が古うございましてもう二十年近く行っている制度でございます。数年前からもう一つ、ノートルダム大学とかワシントン大学とか少し拡充をいたしました。  そんなこともありますので、若手在外研究、あるいは人事院の一年、二年の研究、それから今言いました留学等を入れますと、大体十人前後をこれまでずっと毎年送って研修をさせているという実情でございます。
  169. 大森礼子

    ○大森礼子君 確かに検事のもともとの数が少ないと現場を余りたくさん離れさせるわけにはいかないということもあるかもしれませんが、最近増員にもなっておりますし、それから、もし研修の中に語学研修の要素も多少含むのであれば、年をとった方が行っても余り覚えませんので、若い方を派遣した方がいいのかなというふうな気もいたします。やっぱり犯罪の国際化といいますと、いろんな研究でこういう機会もふえるのかもしれませんし、またそれは検事の資質向上という意味から見ても必要なことであろうと私は考えております。  それからもう一つ、海外の司法関係者との人事交流というんでしょうか、いわゆるアジ研というものがございます。アジ研というのはこれはほとんど知られておりませんで、普通アジ研と言うと、みんなアジア経済研究所と。先ほど平野委員にお尋ねしたら、ああ、アジア経済研究所でしょうと。いや、法務省にもあるんですがと。実は意外と知られていないんです。極東アジア犯罪防止研修所だったでしょうか、これはかつて私は視察でも見たことがありまして、いろんな外国の研究員の方が来られて、仮釈放とかそういう制度でしたか議論されていた場面を見たことがございます。  これから海外との人事交流という点ではアジ研の果たす役割も大きくなるのではないかと思うんですが、ここで少なくとも法務委員会委員の方には知っていただく必要があると思いますので、まず、アジ研の活動、それから予算措置についてお尋ねします。ちなみに平成元年度についても数字を教えてください。
  170. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) 御指摘のアジ研でございますが、まず名称でございますけれども、国連アジア極東犯罪防止研修所と申します。既に三十七カ年にわたりまして、アジア太平洋地域の諸国を初めといたしまして世界の諸国の刑事関係実務家、これは捜査機関であります警察から始まりまして検察、裁判、それから矯正・保護、このような各分野から実務家を集めまして、これと日本のそれと同じ分野の人々も一緒に集いまして研修を実施しているところであります。既に海外の方々、卒業生は千数百名に上っていると聞いております。  このような研修を通じまして我が国に対する理解を深めていただきまして、また、それぞれのお国に帰ってそれぞれ御活躍をいただいているところであります。これらの方々は現在では各国で非常に枢要な地位を占めて御活躍中と聞いております。  なお、予算の点でございますが、平成元年度の予算は二億四千九百万円でございました。平成十一年度の予算に計上しております額は三億三千八百万円でございまして、率からだけ申しますと一・五倍弱という伸び方をしているということでございます。
  171. 大森礼子

    ○大森礼子君 わかりました。どうも法務省というと何か検察なんか暗いイメージもあるんですけれども、法務省にこういう機関があるということをもっとPRしてもいいのではないかと思います。  それから、広い意味での捜査共助になると思うのですけれども、今度は何か大阪の方に新しいセンターができて、それでいろいろ海外からの研修者に捜査実務とかそういうことを教えるようなセンターができるということを何か報道で見たのですが、それは事実かどうかと、つくるのであればその設立目的というこういうことについて教えてください。
  172. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) いわゆる引き渡し等、実務的なことを行うということではありません。やはり研修、研究が目的であります。ただ、大阪の場合の特徴といたしましては、民・商事の分野におきましても相互の研修を行おうというところに特徴があろうかと思います。  平成六年から法務省では、アジアの諸国、例えばインドシナ三国、中国等の国々が新しい市場経済に対応するため民事、商事の法律を今物すごい勢いでつくっておるわけですけれども、これの法整備を支援するということで研修を行ってまいりました。これを今後拡大強化いたしまして大阪において行おうということを考えております。
  173. 大森礼子

    ○大森礼子君 日本の法務省ができる一つの国際貢献だと思いますので、これから具体化しましたらまた質問させていただきたいと思います。  ちょっと時間の関係でもう質問を終えなければいけませんので、通告していたものすべて聞けないこと、申しわけございません。  先ほど公安調査庁に対する質問でオウム事件に対して円委員がされました。それで、いつからオウムをマークし始めたのか、サリン事件の前後ということで、それで公安調査庁のお答えの中で、事前に動向を把握できなかったのかという指摘があろうが、今後教訓として生かしていきたいという部分がございました。事前に動向が把握できなかったのかどうかというここのところをまさに私たちは知りたいわけであります。  そして、坂本弁護士が、私にしても、福島さんが同期だったということもありますので、一体あのオウム事件とは何だったのか。もちろん刑事事件となっておりますけれども、それは要するに構成要件該当事実についての審理でございまして、その背景というのは一体どこにあったのか。あれだけサティアンとかサリンプラントをつくって、その資金は一体どうだったのかとか、いろんな疑問があるわけでございます。  一方で、犯罪の国際化ということで、こういう組織犯罪対策法とか、盗聴法と言うなと言うんですが通信傍受法とか、いろんな取り組みをしながら、その中にもやっぱりオウム事件のようなことも一つ理由として説かれておりますけれども、そのオウム事件についての総括というものがまだなされていないのではないか。国民に対する説明、あのオウム事件というのは一体何であったのかという説明がきちんとなされていないのではないかという気がいたします。  そういった意味で、私は、税金を使って捜査もやっているわけですし、それでこれからのやっぱり警告という意味でもああいう大きな事件についてはきちっと少なくとも国会に報告するようなシステムをつくるべきであると思います。  これはもう時間がまいりましたので、法務大臣、きょうは答弁を求めませんけれども、次回この点についてお尋ねしたいと思います。  以上でございます。
  174. 橋本敦

    ○橋本敦君 きょうは予算案の委嘱審査でございますから、裁判官、検察官の増員問題、あるいは司法制度のインフラ整備、多くの課題が質問としてはあるんですが、限られた時間ですから、私は法律扶助制度の問題に絞って質問をさせていただきます。  二月十日に新聞が報道いたしまして、法務省は来年法案を提出して、現行制度法律扶助制度、財団法人が扶助事業を行っているのを指定法人を主体とする方向に改めて、国庫補助金も大幅に増額するという方向で検討されているという報道がございました。  これは、来年の法案提出を目指して、そういう方向での検討をされていることは事実でございますか。
  175. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 検討状況についてお答えいたします。  民事に関する……
  176. 橋本敦

    ○橋本敦君 簡単に、そういう方向でやるかどうかだけでいいです。
  177. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 法律扶助制度につきましては、法務省に置かれました法律扶助制度研究会が平成十年三月に報告書として取りまとめた研究成果などを踏まえつつ、できる限り早期に法制度化することを含め検討しているところでありまして、今後関係機関とも協議しながら同制度の一層の充実、発展に努めてまいりたい、そういう状況でございます。
  178. 橋本敦

    ○橋本敦君 できるだけ早期にというのは、新聞が書いていることですが、できれば二〇〇一年度からの実施を目指すという方向、これはそういう方向を目指してということは間違いないですね。
  179. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) できる限り早期にという意味としましては、平成十二年の次期通常国会での法案提出も念頭に置いてと、そういうことも含まれております。
  180. 橋本敦

    ○橋本敦君 今お話がありました法務省とそれから日弁連、それに法律扶助協会、この三者によります法律扶助制度研究会の報告書を私も手元に持っているわけですが、ここで原則的な問題として、この法律扶助制度の憲法上の根拠として明確に次のように書かれています。  法律扶助制度は憲法三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度である。この制度の整備と充実は、憲法二十五条の生存権、十三条の個人の尊重、幸福追求権、さらには第十四条の法のもとの平等、この趣旨に適合するものである、こう書いています。  そういう意味で、法律扶助制度はまさに憲法上の要請にかかわる重大な問題だということは明らかですが、大臣の御認識も変わらないでしょうか。
  181. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 同様の認識を持っております。
  182. 橋本敦

    ○橋本敦君 この報告書によりますと、さらに国の責務ということにつきましてこう書いてございます。  法律制定して国が主体的、主導的に関与し得る体制を確立するとともに、統一的な運営体制を整備して全国的に均質かつ効率的なサービスを確保し得るようにして、その国の責務にふさわしい財政的負担をする。それとともに、運営主体に国民見地に立った事業として充実、発展を図るようにするという趣旨もあります。  私はここで重視するのは、国がその責務にふさわしい財政的負担をする、こういうことが研究会の合意としてなされている、これは間違いありませんね、局長
  183. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 委員がただいま御指摘のとおりの記載が報告書の中にはございます。
  184. 橋本敦

    ○橋本敦君 これまで当委員会でもあるいは衆議院法務委員会でも、法律扶助制度に対する国の補助の増大は多くの議論が同僚委員からも、各層からも出されてまいりました。それがなかなか実現しないということで、この研究会が発足したことは私は一つは画期的なことだと思うんですが、具体的にはそれをどう実現していくかということが大事な問題になっていくわけであります。  そこで、実情を調べてみますと、日本の法律扶助制度は、現在、日弁連が主導する法律扶助協会、ここがやっているわけですけれども、国からの補助が少ないためになかなか思うように事業が十分国民的に広がりません。基盤が成立しません。そこに苦労があります。  日弁連と法律扶助協会が九六年十一月から九七年一月の期間でまとめたアンケート結果が手元にあるんですが、それによりますと、弁護士に依頼するに当たっての心配で一番多いのが、大臣、費用が幾らかかるかわからない、この心配なんです。これが五二%。それから二番目は、自分が費用を払えるかどうか心配だ、これが二八・八ですから約三割ですね。こういう実情があるわけです。  ですから、これは、訴訟を起こしたい、そう思った、そして弁護士に依頼をする、その以前の段階から費用の点が最も心配だというのが実情として反映されているわけです。だから、そういう意味で、その費用がないというのが実は裁判を受ける権利が事実上侵害されるという実態になってしまっているわけです。  そこで、これまでの国の補助金というのが私は大変少なかったと思うんですけれども、今研究会の報告にありました国の補助、これを大幅に拡大する必要があるという点について大臣はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  185. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 先ほど来指摘されております法律扶助制度研究会、これが平成十年三月に報告書を出しました。この報告書を踏まえながら、同制度の一層の充実、発展に努めてまいりたいと考えております。
  186. 橋本敦

    ○橋本敦君 その問題は、今大臣が御指摘になりました報告書、研究会もこう言っております。  管理運営費は、すべて日弁連、弁護士会、地方自治体及び民間からの資金に依存している状況である。法律扶助事業に必要な資金のうち、国庫補助金は諸外国に比して小規模なものにとどまっており、民間等からの種々の財政的援助もその額において不十分であり財政基盤として不安定であって、財政規模に大きな制約が生じている。  つまり、諸外国に比べても大変少ない、民間からの寄附といっても不安定だと。そういう状況が、国からの補助金が少ないという現状とのかかわりで、この事業が財政的に大変大きな制約が生じているということを言っているわけです。  諸外国に比べてどれくらい少ないか、大臣は、大臣になって早々ですからお調べになっていないかもしれませんが、大変な違いがあるんですが、大変な違いがあるということの御認識はお持ちでしょうか。
  187. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この問題は、その国々の民事訴訟制度や訴訟の受件数、こういった制度を取り巻くいろいろな事情を考慮しなければ一概に比較できないということではなかろうかと思いますが、絶対的な金額としては今委員指摘のような問題があろうかと思います。
  188. 橋本敦

    ○橋本敦君 すべて同一に論ずるわけにいかない、諸制度の違いがあることは私も認めますが、それにしても大臣、違いが大き過ぎるんです。  私の手元に資料がございますが、例えばイギリスの場合、九四年度で事業費千六百十億円のうち国庫補助は一千百四十六億円、八割を超えているわけですね。フランスを見ますと、これは九三年度で事業費百八十二億円ですが、フランスでは全額が国庫負担になっています。ドイツを見てみますと、九〇年度の資料で、事業費が三百六十三億円ですが、これも全額国の負担になっています。スウェーデンを見てみますと、これは九三年度の資料ですが、事業費四十七億円のうち国庫負担が四十五億円ですから、これはもう一〇〇%近いですね。アメリカを見てみますと、九四年度で事業費が六百五十六億円、そのうち国庫負担が四百六十二億円ですから七割が負担されている。韓国を見てみますと、九六年度は事業費十七億三千二百万円ですが、国庫負担が十四億四千四百万円、これは八割負担、こうなっているわけです。  ですから、諸外国に比べて、単純比較はできないにしても、イギリスが日本に比べて四百倍も出しているということでは、国民の裁判を受ける権利を保障するという近代民主主義における大事な人権保障という観点から見ますと、日本は余りにもおくれているのではないかということがこういう現状から明らかになっているわけであります。  したがって、先ほど指摘をしました、これから検討なさるという法律扶助制度のこれからの課題としては、国庫負担、国庫補助を思い切って増額するということが大事な柱にならなければこれは成功しないと私は思いますし、そのことが大事だと思うんですが、大臣はそのために積極的に御尽力していただかなきゃならない大事な立場だと思いますが、御意見はいかがでしょうか。
  189. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この問題、外国の事情は今委員指摘のとおりでございまして、そういうものを踏まえながらこれから検討をしていかなきゃならぬと思うわけでございますが、いずれにしましても、関係機関と十分協議しながら法律扶助制度のより一層の充実、発展を図ってまいる所存でございます。
  190. 橋本敦

    ○橋本敦君 法律扶助制度充実、発展に努力していくという御答弁は結構でございますが、それをやっていく上で何より重要な問題は、今私が指摘した、国からの補助金の支出が余りにも少ないという、ここのところを思い切ってやっていかないと近代国家に追いつかないですよ、そこのところに大臣に力を入れてもらわないとうまくいきませんよ、こう言っているわけですから、その点もひとつ腹に据えて御尽力いただくということをはっきり私は答弁してほしいんですが、どうなんですか。
  191. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 今御指摘の点でございますが、我が国の事情、外国の状況等を踏まえながら努力を続けていきたいと思います。
  192. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、具体的な扶助要件の問題ですが、この扶助要件についても私は問題があると思います。  法律扶助制度国民に有効な制度として利用していただけるようにするためには、扶助要件を余り厳格にするとこれは利用できなくなる。したがって、勝訴の見込みがないとは言えないことということで要件を絞り込みますと、勝訴するかどうかは裁判所が最終的に判断するのであって、裁判を受ける権利そのものを大事にするという観点からいいますと、日弁連も九六年に法律扶助要綱案を出しているんですけれども、基本はそのケースをめぐっての援助の相当性、本人の家族環境、経済事情及び事件状況、そういうことから見て援助の相当性があるかどうか、これが扶助の趣旨に適するかどうかの判断材料であって、勝訴の見込みがあるかないか、ここを重点的に絞るというのは、私は扶助要件として少し問題があるのではないか。  こういう要件を合理的に緩和する方向で研究すべきだと思いますが、局長いかがですか。
  193. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 法律扶助の要件につきましては、勝訴の見込みといいますか、勝訴の可能性といいますか、これがやはり性質上求められるのではないか。ただ、その程度につきましては、いろんな考え方があろうかと思います。今、委員がいろいろと御指摘されました諸外国の例等でも、程度の差はあれ、多かれ少なかれ、このあたりは要件として求められております。  また、私どもこれからいろいろ制度検討していく中でも、この勝訴の可能性あるいは勝訴の見込みについてどの程度のものを求めるのか、今後さらに検討してまいりたい、このように思っておるところであります。
  194. 橋本敦

    ○橋本敦君 ちょっと聞こえにくかったんですが、厳格にこれを適用すると、裁判を受ける権利が十分に援助されないという可能性が出てきますよ。私は勝訴を受ける見込みがゼロでもやれと言っているんじゃないんです。ここだけに重点を絞ると本当に裁判を受ける権利を十分守るということにならないから、援助の相当性ということの範囲の中で今指摘された問題もその考慮の一つとして入ることは理解できますから、そこだけ厳格に絞らないで合理的に裁判を受ける国民の権利を保障するということをしっかり踏まえた要件ということで考えていく必要があるということは間違いないんじゃないですか。
  195. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 勝訴の見込みの点につきましては、法律扶助制度研究会の報告書の中でも勝訴の見込みがなくはない程度、その程度が相当ではないかというような指摘もされているところであります。ですから、そういう指摘もあるということを踏まえまして、国民司法にアクセスする手段を理由なく妨げることなく、経済的理由で妨げられることのないように十分検討してまいりたい、そのように思っております。
  196. 橋本敦

    ○橋本敦君 十分研究してください。  それからもう一つ、私が法務省に考えてほしいのは、法律扶助事業費補助金交付要領というのを法務省は出していらっしゃいます。これによりますと、この要領で、資力に乏しい国民のために法律扶助事業をやるんだが、資力に乏しい国民とはみずから弁護士を依頼する資力を有しない者をいうということで、次の各号に該当する者だとして三つ挙げています。一つは生活保護法で定める要保護者、二つ目は訴訟のための出費によって生活を脅かされるおそれのある生活困窮者、そして前号に準ずる者、こうなっています。これはこれで一つの基準でしょう。  私がここで指摘したいのは、ここにない少年事件あるいは難民の事件精神障害者など、こういう皆さんに対して国は一体どうしているのかということであります。  先ほどの研究会の中でもこの点が指摘されまして、法律扶助協会では現在、国庫補助対象とならない事業として、今私が指摘した少年保護事件付添扶助事業、難民法律援助事業、それから中国残留孤児国籍取得支援活動事業、こういったものに、国庫補助対象とならないけれども扶助協会は援助をしている、こういうふうにはっきり書いてあるわけです。そのとおりですね。  なぜ、政府の方としてはこういう皆さんに扶助事業の援助の手を差し伸べないんですか。
  197. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) 一般的に申し上げまして、法律扶助、やはり経済的な理由によりまして、専門家である弁護士に依頼して自己の正当な権利を実現する、あるいは自己権利利益を擁護する、そういうことが妨げられないようにということで法律扶助をするというところが基本かと思います。そういうことで、やはり基本は経済的理由という考え方が中心にありまして現行制度が運用されている、そのように理解しております。
  198. 橋本敦

    ○橋本敦君 局長、今の答弁は答弁にならないんですよ。  私は、少年保護事件で付添弁護士を裕福な家庭の少年にまでつけるような補助事業をやれなんて言っているんじゃないんですよ。現に扶助協会がやっているのは、弁護士の付添費用を貧しいために援助する、そういうための事業をやっているんです。だから、経済的に貧しいんです。難民の事業もそうなんです。いいですか。中国残留孤児国籍取得支援活動事業、これも貧しい苦しい暮らしをしていらっしゃる皆さんに対して経済的な援助が必要だというので法律扶助事業をやっているんです。  押しなべて言うならば、経済的事情から裁判を十分受けることができないというおそれをなくするために、少年であっても在日の外国人の皆さんであっても扶助事業をしてあげるというのがまさに大事じゃありませんか。ところが、法務省の、先ほどお話をした法律扶助事業費補助金交付要領ではそこのところが抜けている、だから国庫補助対象にならぬというわけで、法律扶助協会が苦労してこういう事業をやっているんです。  だから、こういうことも含めて今後検討する必要がある、私はこういう指摘をしているんですが、検討する気はないんですか。検討したらいいじゃないですか。
  199. 横山匡輝

    政府委員(横山匡輝君) ただいま委員がいろいろおっしゃられました中で、まず一つは、少年事件の付き添いに対します法律扶助、これは現在私ども、民事に関する法律扶助ということで、民事裁判に関する法律扶助について事業を実施しています法律扶助協会に補助金を交付している、こういう形になっておりまして、少年事件の付添人に関します法律扶助、これはまた少年審判手続等全体の中で公的資金の投入のあり方、いろいろ考えるべき問題が多いのではないか。そういう中で検討されるべき問題と考えておりまして、現行の民事の法律扶助の中には当然入ってこない。  そういう意味で、難民に関するもの等が出ておりますけれども、現在まず民事裁判に関する法律扶助ということで充実強化を図ってまいる、このように考えているところでございます。
  200. 橋本敦

    ○橋本敦君 さっぱり要領を得ない。  大臣、最後になりましたけれども、最初に指摘しましたように、これから法務省法律扶助制度を抜本的に改正して、そして事業主体を指定法人として国の補助金も大幅にふやして、これをいいものにしようという方向で検討しよう、こういうわけです。  だから、今私が指摘したような問題も含めて、この事業を現に苦労してやってきた日弁連や法律扶助協会、ここと法務省とはさらに重ねていろいろと協議をなさっていいものをつくっていただくように、こういった研究会の報告が出ましたが、法案づくりについても意見交換をぜひやっていただいていいものをつくっていただきたい。  このことでそうやっていただけるかどうか、最後にお伺いして、質問を終わります。
  201. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 民事法律扶助、この対象者の範囲の問題について今御指摘がございました。これについて政府委員から答弁をしたところでございます。  現在、私どもとしては、民事法律扶助の対象の範囲をどうするか、これを現に検討中でございますが、今委員の御指摘のようなことも私もこれから頭に置いて勉強していきたいと思います。
  202. 橋本敦

    ○橋本敦君 意見交換もやっていただけるということですか。
  203. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) この研究会の中には既にいろいろな立場の方が入っておられまして、関係機関とも十分協議しながらそれに取り組んでまいりたいと思っております。
  204. 橋本敦

    ○橋本敦君 終わります。
  205. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  きょうは、国連規約人権委員会最終勧告の実施状況について主にお聞きしたいというふうに思います。あと、たる酒問題についても聞きたいと思います。  規約人権委員会は最終見解で、裁判官への人権教育必要性について勧告をしております。そして、パラグラフ三十二は次のように言明をしております。委員会の一般的意見及び第一選択議定書による個人通報に対して委員会が表明した見解が裁判官に配付されるべきである、ここまではっきり言っているんです。  裁判所にお聞きします。この配付は既になされているのでしょうか。
  206. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) お尋ねの件につきましては、司法研修所の方に言ってあるわけでございます。  と申しますのは、裁判官の研修といたしまして、外国人事件の問題研究とか令状事務に関する共同研究、あるいは少年事件に関する手続の運用をめぐる諸問題についての共同研究……
  207. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。配付しているか配付していないかだけ答えてください。
  208. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) まだ配付しておりませんが、今後配付するつもりでございますので、そのことをちょっと申し上げておきます。  そういう共同研究などがございまして、その中で必要に応じて国際人権規約についても言及などをしておりますが、昨年十一月に出されました規約人権委員会の最終勧告書につきましても、こういう具体的なプログラムの中で最終勧告について研究する際に配付するのが効果的だというふうに考えておりますので、司法研修所に対してそうした形での配付をしてはどうかということを伝えているわけでございます。  今後、具体的に研修計画を立案する際に配付を考えるものと思っております。
  209. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 研修所ではなくて、現職の裁判官に対して配付せよという趣旨だと思いますが、いかがですか。
  210. 金築誠志

    最高裁判所長官代理者金築誠志君) 御指摘ございましたので、そういう点を含めて今後配付の方法については十分考えたいと思います。
  211. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 配付せよというふうにされているわけですから、この勧告を実現するようにお願いいたします。今後も実施状況についてお聞きしたいと思います。  規約人権委員会の中で法務省の藤田さんが次のように述べておられます。受刑者の日常の起居動作について行き過ぎた規制がないように全国的な指針を発表しました、こういうふうに国連の場で述べておられます。  これは法務省矯保第二七六八号の被収容者の動作要領についてのことだと思いますが、それでよろしいですか。
  212. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先生お尋ねの件は、平成九年九月に行われた被収容者処遇対策協議会での協議結果をまとめて、保安課長名で全国の施設に流したという文書であると承知しております。
  213. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 これは職員全員に配付されたのですね。
  214. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 当面は、各管区に配付しまして、各管区から各施設に配付いたしまして、各職員のところに文書が行ったということではございませんが、この文書の趣旨に沿った研修なり職務研究会を行っているというのが現状でございます。
  215. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。通達は全員に配付されるものではないんですか。
  216. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) ちょっと先ほど申し上げようかと思ったんですが、これは通達ではございませんで、先ほど申し上げました協議会の結果に基づきまして、保安課長が各施設に参考送付をしたという種類の文書でございまして、いわゆる通達あるいは命令をしたというような文書ではございません。
  217. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 受刑者にはどのようにして知らせたのでしょうか。
  218. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 受刑者に知らせるというような性質の文書ではございませんので、個々の処遇場面でこういうような指針に従って処遇の仕方を改めるというふうな文書でございます。
  219. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 国連の場では、全国的な指針を発しましたというふうに述べておられます。  受刑者は、学校でもそうですが、自分たちにいかなる拘束が適用されるのか、自分たちにどのような行動規制がされるのか、当事者自身が知るべき必要があると考えます。なぜ受刑者に対して知らせないのですか。
  220. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先ほど申し上げましたとおり、これはあくまでも内部の、要するに処遇をする場合の一つの指針として参考に送付したものでございまして、いわゆる先生御指摘のように収容者の権利義務を定めたというような文書ではないので、収容者には渡していないということでございます。
  221. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ただし、拝見いたしますと、例えばどういう場合に用便、トイレに行けるのか、どういう場合に無断離席できるのか、道徳的訓辞は唱和する必要があるのかどうか、かなり細部にわたっております。  権利義務と言うとかたいですが、これは受刑者の行動のルールを決めるものですから、当事者趣旨徹底すべきだと思いますが、いかがですか。
  222. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先ほど来何度も申し上げておりますとおり、これはまず最初に申し上げておかなきゃいかぬと思いますけれども、各施設におきましてはやり方が必ずしも全部同一ではございません。これよりもっと緩やかな規制をしているところもございます。開放的施設もございますし、それから女子の刑務所等につきましてはこの基準よりもっと緩やかな処遇をいたしております。  当該施設においてどういう処遇をすべきかということは、本来的には当該行刑施設の長が判断することでございますが、ただ、さはさりながら、各施設ばらばらになりますと問題が多いものですから、これはいろんな具体的な事例を取り上げて、物の考え方はこういうふうな物の考え方でやりなさいよということを整理した文書ということでございますので、先生御指摘のようにこれを収容者に配って、例えばある施設ではこのとおりよりはもっと緩やかなところがございますし、ある施設ではもっとこれより厳しいところもございます。これが一つの基準ではありますけれども、これにたがったから全部その処遇が間違いということではございませんものですから、そういう意味で各収容者に配付するのはいかがかということを申し上げているわけでございます。
  223. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 国連の場では、全国的な指針を発しました、規制は緩和をいたしましたという旨発言されていらっしゃるわけです。  それで、国連向けではそう言いながら当事者に伝わらないのは、配付はしないまでも何らかの形で徹底する。指針ですから、それより少し厳しいところと少し緩やかなところはそれはあるでしょう。それが徹底しないのはいかがか。これを一般公開すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  224. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先ほど来申し上げているようなことでございまして、かなり現場には浸透してきているとは思います。現実の問題としてはかなり浸透してきているとは思いますし、いろんな職務研究会等の場を通じて一般職員あるいは間接的には収容者の方にもわかってきているとは思いますけれども、先ほども申し上げたような性質の文書でございますので、これを公表しかつ被収容者に配付するということは差し控えたいというふうに考えております。
  225. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私は、せめて収容者には配付していただきたいというふうには思います。  今、この指針に沿ってされているというふうにお答えなさいました。作業中、許可なく会話をしてはいけないのでしょうか。
  226. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) ここで申し上げているのは、あくまでも作業中に、いわゆるよそ見であるとかそれから私語であるとか、そういうことをしないようにということを言っているわけでございまして、あらゆる会話が禁止されているという趣旨ではございません。  したがいまして、ここにも書いてございますけれども、必要があれば会話することは当然可能でございます。
  227. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 許可なく会話をしてはいけないという刑務所があるやに聞いておりますが、その刑務所はこの指針よりも厳しいということですか。
  228. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) どこでもそれは同じでございまして、要するにわき見であるとかむだ話ですとか、そういうものはしてはいけないというのはどこの刑務所でも同じだろうと思います。
  229. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ここではむだ話を言っているのではありません。  国際人権規約B規約の委員は、会話について次のように言っております。  政府の報告書で、受刑者は作業時間中おしゃべりを禁止される、この措置は作業の安全を確保するためであるとあります。そして次に言葉が変わります。しかしながら、作業に必要な会話は許可される、休憩中の話は禁止されていない、委員はこう言っています。私たちが今問題にしているのは、おしゃべりではなく話すこと自体です。この人々は話すことを許されていないのです。どう考えても、世界じゅうの大部分の仕事場で人々は話をしているものと思われます。人が他の人と言葉を交えるのは労働環境の自然な一部であり、これが安全を損なうようには思いませんというのがあります。  それでもまだ会話をするのに許可が必要ですか。
  230. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先生御承知だと思いますけれども、刑務所の作業場におきましては、一人ないしは二人のわずかな職員が多数の収容者を相手にして作業の監督をしているわけでございます。そうしますと、そういうときにそういう場において私語といいますかよそ見あるいはむだ話、作業と関係ない話をしますと、まず監督者の話が、指示なりなんなりがよく伝わらないということがございます。要するに、全体がざわざわした感じになります。それから、機械等を使って仕事をしている場合もございます。そういう場合は非常に危険でございます。  それから、これは収容者を扱えばすぐわかることでございますけれども、そういう収容者同士の言葉のやりとりの行き違いみたいなことで口論、争論、もめごとが起こることもしばしば経験するところでございますし、いろんな不正連絡のようなことが行われることもしばしば経験するところでございます。  したがいまして、そういう趣旨で、指示を受けない、要するに許可を受けない私語ないしわき見は禁止するというのが一般的な取り扱いだと思います。
  231. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ちょっとわき見をしただけで懲戒処分になった、懲戒を受けたケースもあるというふうに思います。  先ほどおっしゃった指針なのですが、イエスかノーかだけで結構です。わき見、怠業の防止及び作業安全確保の必要性から、作業中わき見をしないよう指導することは理由があると思料されること、しかしながら、独居就業者を初めとする紙細工などの危険性の低い軽作業に従事する者に対し、作業安全を理由としてわき見をしないよう指導することは適切でないこと、これはこれでよろしいんですね。
  232. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) そのとおりでよろしいと思います。  それは危険性もございませんし、他の人間と口論、争論になるような危険性のない場面にまで、要するに私語を禁止するあるいは横を見たら懲罰をするというようなことはありませんし、現によそ見をした、わき見をしたあるいは私語をしただけで直ちに懲罰をするということは、絶無とはもちろん申しませんけれども、非常にまれなケースであろうと思います。
  233. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 次に、皮手錠のことについてお聞きいたします。  皮手錠は両腕全体を腰に固定するもので、それに金属手錠も加味しておりますから、国際被拘禁者処遇最低基準規則三十三条が禁止するかせに当たるのではないかと私は考えます。まず、全国で幾つ皮手錠はあるのでしょうか。
  234. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 全国でございますのは一千百四十二本でございます。
  235. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 つけられたままの状態で一番長期の人はどれぐらいでしょうか。
  236. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 今、一番長いのは、統計等は手元に持ち合わせておりませんけれども、暴れる人、あるいは言い方がいいかどうかわかりませんけれども、精神に異常を来しているような人の場合は五日、一週間使うこともあり得るかとは思います。
  237. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 両手後ろ、片手前、片手後ろというつけ方も現在しておられますか。
  238. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) その状況によりまして左手が前、右手が前、それから両方後ろ、それから両方前というのはありますけれども、多くは両手が前のつけ方が多いだろうと思います。
  239. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 両手後ろ、特に片手前、片手後ろ、こういうつけ方ですと夜寝られないというふうに思います。  ところで、食事やトイレの場合は、皮手錠をしている状態では一切動けないわけですが、どうしているんでしょうか。
  240. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 皮手錠をしたからトイレができないということではございませんで、もちろんそれで必要があれば当然その場その場で緩めるわけでございますし、それから必要性がなくなればとるわけでございますから、一概に皮手錠をつければ食事もできない、用便も足せないということではないというふうに思っております。
  241. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私は、緩めたケースは寡聞にして聞いておりません。介添えで食べさせるという話は聞きましたが、これは本人にとっては大変屈辱的な場合があると思います。  皮手錠をした場合はまた割れズボンを着せて、要するに本人はふけない、垂れ流し状態というふうに聞いておりますが、こういうズボンは使用されておりますか。
  242. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 皮手錠を使う場合に、相手の状況によってはそういうズボンを使うこともございます。
  243. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 緩めているケースは確かにあるんですね。
  244. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) はい。
  245. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 規約の十条は、自由を奪われた者は人格的尊厳までも奪われてはならないということを規定しております。そういう意味ではこれはかせ、保護房にも入っているわけですから、それ以上にこういうかせを長期間やりますと、寝られない、食事が自分でできない、トイレの始末も自分でできないという状態になりますので、今度使用頻度については文書でいただけるやに聞いておりますが、なくしていただきたいというふうに思っております。それについては検討されたことはありますか。
  246. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 今、矯正で使っておりますいわゆる戒具としましては、一般的に使われております金属手錠のほかはこれだけでございまして、金属手錠だけではなかなか、相手によってはむしろ縄で縛りつけるとかいうようなことにせざるを得ないような状況もございまして、私どもといたしましてはこの皮手錠がかせだとは考えておりませんし、今これを全廃してしまうというのはいささか無理があるのではないかというふうに考えております。
  247. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 規約人権委員会の勧告、最終見解のパラグラフ二十七に、残酷で非人間的な取り扱いと考えられる皮手錠のような保護手段の多用はやめるように、懸念というのが出ておりますので、検討してください。  次に、府中刑務所の小倉係長の件についてお聞きします。  一九九九年一月十二日の朝日新聞「窓」、これは夕刊なんですが、四人の人が裁判をそれぞれ全然別個に提起をしたと。一九九四年の事件で、ジョンクルテンダンさん、アメリカ人。Kさん、日本人。バフマン・ダネシアン・ファルさん、イラン人。もう一人は日本人の明光さんです。この四人は全く別個に裁判を提起しました。一人は小倉係長の名前を知っていたのですが、刑務官は名前を名乗りませんから、残りの三人は一切だれだかわからなかったんですが、裁判を提起する中で小倉係長という名前がわかりました。  結局、全く偶然起きた四件、四人が何の連絡もなく起こした裁判の過程で、加害を訴えられた刑務官が全く同一人物であった。皮手錠で締め上げたなどのケースで訴えられている、全く同じような態様なんですが、このケースについて、調査をやったのか、だれが調査をしたのか、処分はされたのかについて教えてください。
  248. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 先生御指摘事件はいずれも現在国賠、いわゆる国家賠償事件になっておりまして、その審理中でございます。一件の日本人の分につきましては、一審では国側が勝訴しておりまして……
  249. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ちょっと済みません、時間がないのでそれぞれについての個別ケースに入ろうとは全く思っておりません。質問に答えてください。
  250. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) したがいまして、具体的な内容は私も差し控えさせていただきたいとは思いますが、もちろん訴訟にもなっておりますし、そういうことでございますので、十分調査はいたしておりますが、現在のところ矯正局といたしましては、訴えた相手方から職員に対する暴行ないしは暴行の気配があったので制圧したということでございますので、職務上特にこれといった問題はないということで処分等はいたしておりません。
  251. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 常識的に見て、四つのケースについて全く同一人物が訴えられている。やっていると思われても仕方ないんではないかとも思いますが、いかがですか。
  252. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) これは本人のために申し上げておきたいのですけれども、先生御指摘の人はいわゆる単独処遇、要するに独居舎房を担当している係長であります。あるいは御承知かと思いますけれども、単独処遇をされている受刑者というのは非常に問題の多い人たちが多いこともこれまた事実でございます。そこの係長でございますから、何かそこで問題が発生しますと真っ先に飛んでいくのはこの係長だということで、どうしてもそういうことになるわけでございますけれども、何もこの係長が特に問題のある職員であり問題のある行動をしたというふうには我々としては理解しておりません。
  253. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 日本にはたくさん刑務所があって単独で担当している人もいると思うのですが、この人だけなわけです。この人だけというか、四人からこういうふうに偶然訴えられて裁判の過程で同一人物であることが明らかになる。私は、刑務所の処遇に関して人権侵害が起きた場合のために第三者機関が必要だと考えますが、規約人権委員会も第三者機関の必要性を言っておりますが、いかがですか。
  254. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) これは非常に幅広い問題になりまして、矯正だけでとやかく言えるのかどうかとは思いますけれども、我々としましては、今のところ、所長に対する面接であるとか、情願であるとか、あるいは弁護士会に対する申し立てであるとか、もちろん最終的には訴訟もございますし、第三者機関をつくらなければ問題が根絶できないというふうには考えておりません。
  255. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 このケースについていずれ報告をしていただくことは可能ですか。
  256. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) もちろんその概要を報告するのは差し支えありませんけれども、現に訴訟中でございますから、訴訟中の事件について細かい事実関係をこの場で言うのが果たしていかがかという感じはいたしております。概要は、もちろんこういうことでこういう訴えがあったということを申し上げるのは差し支えないと思います。
  257. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません、これで最後にします。  裁判の問題ではなくて、機構の問題を言っているわけです。規約人権委員会はこの点について、例えば受刑者による申し立てについて調査するための信頼できるシステムの欠如などを挙げておりますので、ぜひだれが調査をしどういう結論に達したのか、事実経過だけで結構ですので教えてください。
  258. 坂井一郎

    政府委員(坂井一郎君) 概略的なことを申し上げるのがいいかとは思いますけれども、先ほど申し上げたようなことでございまして、訴訟中の事件について余り細かいことを言うのはいかがかなというふうな感じは持っております。
  259. 平野貞夫

    平野貞夫君 自由党の平野でございます。  新しく就任されました陣内法務大臣に法務行政に臨む決意をお聞きするのが筋でございますが、本日は委嘱審査でもございますし、後日に譲りたいと思います。  午前中からでございますが、多くの委員の方から議論が出ております少年犯罪問題について、具体的事件を取り上げまして、制度的あるいは法改正にわたる問題の提起をしてみたいと思います。  御承知のように、三月十一日、神戸の児童殺害事件について神戸地裁は判決を下しました。損害賠償訴訟では被害者の両親の主張は通りましたが、少年法非公開とされている少年審判内容を明らかにしてほしいという両親の思いは実現しませんでした。被害者のお父さんは提訴するときに、少年犯罪では被害者法律の上でも虐待されている、こういうふうにコメントしております。  この神戸の事件と形が異なりますが、昨年十月、茨城県牛久市で中学生岡崎哲君が同級生から殴打され死亡した事件が起こっております。新聞報道等によれば、捜査段階での事実究明の問題あるいは捜査当局の問題の取り扱い等についていろいろ疑問があり、被害者や遺族の方々の名誉あるいは人権が傷つけられ侵されているという報道がなされておりますが、法務省として現時点までの事件取り扱いの経過や状況をどのように把握されているか、御説明をいただきたいと思います。
  260. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) お尋ねの事件でございますが、水戸地方検察庁土浦支部の検察官は、昨年十月十日、警察から今お尋ねの事件の送致を受けまして、所要捜査を遂げた上、十月二十九日にこれを水戸家庭裁判所土浦支部に送致しております。  その家庭裁判所への送致事実の要旨でございますが、少年は、平成十年十月八日午後四時ごろ、牛久市柏田町所在の林道上において、当時十四歳の被害者に対し、被害者の腹部、頭部等を手拳で数回殴打、転倒させるなどの暴行を加えて被害者に頭部外傷等の傷害を負わせ、被害者を上記傷害に基づき死亡させたというものでございます。  なお、本件については、現在、家庭裁判所において審判中であると承知しております。
  261. 平野貞夫

    平野貞夫君 審判中のことでございますので、この場で詳細なことはお聞きしません。  実はきょうは被害者の遺族の方々が傍聴にも見えておりますが、被害者の遺族の方々は、捜査の結論が一対一の素手によるけんかということになっておりまして、これは真実ではないということなどを理由に三点の要望を捜査関係機関にしております。  第一点は、解剖鑑定書の作成を要請しております。土浦の家裁支部の担当裁判官の話ですと、この事件では解剖所見は出ていますが、解剖の鑑定書は出ていない、だからそれが必要ではないかと家裁の方でもおっしゃっているようでございます。解剖鑑定書の作成をしていただきたいということが一点。それから二番目に、被害者の両親に対する調書を作成してほしいということでございます。それから三番目に、学校関係者、先生や生徒に対しての調書を作成してほしい。こういった三点の要望書が関係機関に出されております。  関係機関の中には既にこの要望に実質的にこたえる動きが出ていると聞いておりますが、この際、ここには法務当局と最高裁の方の出席があるわけでございますが、ぜひひとつそれぞれ所管の立場から、遺族の要望をかなえて真相の解明に努力していただくようお願いをしておきます。この件に関しては答弁は要りません。よろしくお願いしておきます。  さて、これは一般論ということになると思いますが、こういった特殊事件に対する捜査の姿勢というものが非常に問題になると思います。けさほどの大野先生の質問に対して、刑事局長は、少年事件捜査特有困難性があるという答弁をされておりました。それは複雑なことといろいろな問題があることは理解しますが、しかし特有困難性があるとはいえ、やはり被害者が死亡したり、特にこういう社会のさまざまな不安定さを受けた、大人自身にも責任がある問題でございますし、こういった特別、特殊な事件であればあるほど、困難性があればあるほど被害者たる遺族の心情、人権に十分配慮して、遺族の方々の納得が得られるような徹底した捜査をなすべきではないか、このように思うんですが、いかような御所見でございましょうか。
  262. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 先生御指摘の点、まことにそのとおりだろうと思います。  少年事件といいますと、警察等の第一捜査機関が事件捜査しまして、それが検察庁に送致をされてきます。それで全件家庭裁判所へ送致になるわけでございますが、検察庁としても、やはり先生御指摘のように事案の真相の徹底的な解明と、それからその過程で被害者側の心情等も十分に家庭裁判所への送付記録に反映されるように特段の配慮を図る必要があるというふうに考えております。
  263. 平野貞夫

    平野貞夫君 刑事局長の真摯な姿勢、お答えには敬意を表しますが、ぜひひとつ徹底した捜査を行っていただきたいと思います。  さて、この問題は一つ事件ではございますが、非常に制度あるいは法改正、そういったもの、現在法務委員会なりあるいは法務省が抱えております重大な問題に直結した基本的な問題を含んでおる問題でございます。  そこで、実は二月二十二日でございますのでやや状況は変わっておりますが、被害者のお父さんが私にこの事件当事者になっての気持ちといいますか心境というものを実は手紙で送ってきております。少し長くなりますが、非常に我々立法あるいは行政当局にとっても参考になることでございますので、私が要約して御紹介したいと思います。  第一に、被害に遭った際、相談窓口が整備されていなくて、どこにどう相談していいかわからないという問題があったということでございます。  事件被害者となったとき、特に少年犯罪の場合、相談窓口がほとんどありません。普通の弁護士さんはほとんど相手にしてくれなかったそうでございます。たまたま御縁がありまして非常に熱心な弁護士先生に会うことができて、こういう問題の提起ができているようでございます。被害者がどうすればよいか、こういったときの相談窓口を警察や弁護士会、こういったものに整備していただきたいということが第一点でございます。  それから第二点でございますが、捜査状況家庭裁判所審判状況が全く知らされていないということでございます。  死因や犯罪内容捜査の進捗状況等の情報は遺族に教えられないままで、被害者の気持ちなど全く無視したことが行われました。さらに、家裁では遺族、弁護士の傍聴は一切許されず、死因、被害状況審判の進捗も知らされません。審判が裁判官、調査官、加害者の弁護士、加害者の保護者、加害者だけで、被害者側は一切参加させてもらえないような密室状態での裁判で本当によいのでしょうか。被害者側が提出した資料は加害者側にすべて見せているようですが、被害者側に何も見せない、教えないという裁判は不公平だと思いますと、こういう気持ちを書かれております。  第三に、少年事件における検察官の権限に問題があるということを指摘しております。  少年法の場合、検察官の権限は低く、警察官が捜査した書類を家裁へ送付するときの通過点のような話だと聞いております。しかしながら、今回の事件の茨城県警発表では、検察が捜査状況を確認して認めたから家裁へ書類を送ったんだ、だから捜査は間違いないと言っているそうです。  こういったことについて、私はきょうはコメントいたしませんが、検察にどの程度の権限が与えられているのかわかりませんが、私たち両親が警察での事情聴取に対して余りにも一方的な結論を押しつけようとしたので署名をしませんでした。再度警察か検察より事情聴取があると思っていましたが、現実にはありませんでした。警察が手抜きをする事件として暴力団関係事件少年事件と言われておりますが、警察が手抜きをしたかどうかをよくチェックするのが検察と思い、今回の事件でも私ども遺族の唯一の味方は検察だと思っておりましたが、見事に裏切られた格好です。  少年法改正案では、検察官が裁判に立ち会えるというようになりそうですが、警察、検察、裁判所がよく連携して捜査審判をすることが基本中の基本ではないでしょうか。加害者の罪を重くするというのではありません。犯罪の真相を解明することは、加害者の責任の自覚と反省、更生にとって最も大切なことではないでしょうか。  第四に、被害者の人権が全く無視されたままです。  今回の事件で息子哲がけんかを挑発したなどとマスコミで報道され、息子は実像とは全く違った不良少年にさせられ、事件の背景や加害者との関係が切り捨てられてしまいました。加害者側の嘆願署名運動や息子哲に対するひどいうわさ話が出され、地域でのバッシングは耐えがたい状況であり、被害者の人権は全く無視されてしまっています。加害者保護という名目のもと、被害者の人権がこれほどまでに無視されてしまう状況は許されないと思います。  息子を亡くしただけではなく、地域での誹謗、中傷など、遺族は二次被害、三次被害を受ける状況であり、精神的ダメージは非常に大きいものがあります。被害者、遺族の救済として、今後は精神的なケアのことも必要だと思います。日本の法制度では、加害者に対する権利については憲法等で定められているようですが、被害者や遺族に対する救済や支援などに関する制度が整備されていない状況であり、泣き寝入りになっている被害者や遺族がたくさんいるのが実情だと思います。  このほかに学校側の対応、例えば真実の情報を学校側が出してくれないこととか、あるいは卒業証書を出してくれないとか、あるいは記念写真や遺留品などをゆうパックで遺族の自宅に学校側が送りつけるというような学校側についての問題、あるいはマスコミ報道のあり方についてもこの手紙にはありましたが、これは省略させていただきます。  以上、被害者岡崎君の御両親の事件に対する率直な気持ちですが、この中には少年法制度的不備、被害者救済制度の整備、現在社会問題となっておりますさまざまな問題が含まれております。我々としても、ぜひ早く実現をしなきゃいけない問題だと思いますが、法務大臣、簡単で結構ですが、この遺族の気持ちに対して、一般論としてで結構でございますが、御感想をいただければありがたいんです。
  264. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) ただいまの遺族からのお手紙を重く受けとめたところでございます。  検察においては、少年事件に対しても御指摘被害者の遺族の方々のお気持ちにも十分配慮して、事案の真相の解明に努めるなど適正に対処すべきである、このように考えます。  それで、少年審判においては、委員も御指摘になったように、的確に非行事実が認定され、事案が解明されることが少年審判に対する国民信頼を確保するために極めて重要であります。これを実現するため、今回、少年審判検察官が関与することを可能とするなどの少年法等の一部を改正する法律案国会に提出したところでございます。  さらに、犯罪被害者の救済についてもお触れになりましたが、重要な課題であると考えており、被害者犯罪により受けた損害の回復に資するための制度や刑事手続における被害者保護のあり方等に関する法整備について調査検討を進めているところでございます。
  265. 平野貞夫

    平野貞夫君 この事件につきましては、三月に入って茨城県警、それから水戸地検、土浦家裁支部等で遺族への説明あるいは要望への対応が検討されていると聞いております。したがいまして、現時点では私はこれ以上申し上げませんが、状況を見て、また当委員会で取り上げてみたいと思います。  最後になりますが、法務委員会委員長さん、先生方にお願いを申したいんですが、少年犯罪というのは、確かに困難性のあるいろいろ難しい問題ではございます。少年法改正問題がこの国会で議論されるわけでございますが、各党各会派でそれぞれの政策方針、思いがあると思いますが、やはり少年犯罪の現実はこういうものであるということをちょっと御認識されて、遺族あるいは新しい遺族が出ないように、万が一出た場合には悲しみを少しでも少なくするように先生方の御配慮をお願いして、私の質問を終わります。
  266. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 地方公務員の汚職事件に対する不起訴処分について質問します。  空出張、空接待などでにせ領収書をつくり、裏金をプールして、飲み食いに充てたり政治家のパーティー券購入に充てたりする公務員による組織的な犯罪、つまり公金不正支出に対して、全国的に多くの告発が起きております。こうした告発に対し、昨年十二月、三カ所の地検で横並びで不起訴の結論が出ました。  一つは、北海道庁。七十八億円の公金不正支出、詐欺、業務上横領で告発された対象となる職員が二十二名、これに対し一人が起訴猶予、二十一人が不起訴。それから、虚偽公文書作成、この対象となる職員が十七名、これは全員起訴猶予になりました。  二つ目は、秋田県です。これは四十四億円の公金不正支出です。業務上横領対象となる職員は六名です。これは全員不起訴になりました。  三つ目は、東京都監査事務局による裏金づくりの件です。これも業務上横領で対象となる職員四名、全員不起訴です。このケースは当事者が公に罪を認めている、それなのに嫌疑不十分で不起訴ということは大変疑問なんです。  そこで質問なんですけれども、この三つの事件で、一部起訴猶予があるというものの、一様に実質全員不起訴になっているわけです。これは、こうした事件に対して検察総体が基本的な方針として取り決めたことがあったんでしょうか、なかったんでしょうか。イエスかノーかだけお答えください。
  267. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 全体としてどうするというような基本方針というのはございません。
  268. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これらの事件は、刑法第百五十八条、第百五十九条、第百六十一条、地方公務員法第三十五条などに簡単に当てはまるものなんです。犯罪そのものが非常に明確で、そして犯罪者の存在がわかっているのになぜ起訴しないんですか。
  269. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 今、総体としての統一方針に基づいて処理したということはありませんということを申し上げました。したがって、不起訴になった理由そのものもそれぞれ理由が違っております。  北海道庁、秋田県庁、それから東京都庁、この三件の事件、いずれも先生御指摘のとおり、昨年の十二月に不起訴となっております。内容的には起訴猶予と、嫌疑は認められるが起訴猶予するという処分と嫌疑不十分、その構成要件的な事実を認定するに至る証拠がなかったという二通りになりますが、その理由でそれぞれ不起訴になっているところでございます。  簡単にその理由でございますが、道庁の事件は、告発の要旨は、いわゆる虚偽の出張関係書類を作成して合計約百十万円を道から騙取して横領したということが中心になっております。札幌地方検察庁は、このうち、詐欺及び業務上横領の事実でございますが、いわゆる空出張の事実は認めております。こうした方法による経費等の捻出については、人を欺いて金銭の交付を受けたという詐欺罪の構成要件の一つでございますが、その成立要件が認められなかったということ、あるいはこのようにして捻出された金銭が私的に使われたということを認めるに足る証拠がなかったということで、被告発人の多くについて嫌疑不十分と判断しております。  なお、被告発人のうち一名につきましては、空出張で捻出された約三万七千円を私的な飲食代金に充てたという事実は認めております。証拠上、認められると。ただ、被害金額が少額であるとか本人が反省して全額を弁償したこと、あるいは既に懲戒処分を受けて社会的な制裁を受けているというようなことから、この一名について起訴猶予ということでございます。
  270. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 全部細かく回答は要りません。
  271. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 秋田の事案も嫌疑不十分を理由としておりますが、内容的には飲食に費消したということなんですが、本件飲食を個人的なものと認めがたいことなどを理由としております。  それから、東京都庁のものでございますが、これは被告発人六名のうち一名が亡くなっておりますので、五名について処理をしたということですが、これは会議費の水増し請求ということでございます。あるいは海外出張に際してファーストクラスとして算出したがビジネスクラスで実際には行った、その差額の横領だということでございますが、東京地検は、業務上横領の要件である不法領得の意思を認めがたい。いずれにしても、被告発人らは、有効かつ円滑な業務遂行に資する意図で資金捻出がなされておって、今申し上げたみずから領得する不法領得の意思は認めがたい。  それから、航空運賃の差額を着服した事案でございますが、これは都の条例によりましていわゆる定額主義がとられておりまして、実際の支出額との差額の精算の必要がないというふうに明確に定められているということから、被告発人らの行為は罪とならない。これは不起訴の理由が罪とならないという形になっております。  三件をおおよそ申し上げると、そういうことでございます。
  272. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 細かい一つ一つのことを御質問しているわけじゃなくて、日本全国の役所で多かれ少なかれ構造的にこういうことがやられているということが問題なんです。ですから、これは捜査が難しいとか証拠がないとかということが必ず出てくるわけですが、公務員のこういう虚偽公文書作成とか業務上横領なんというのは民間の詐欺師たちに比べたら非常に簡単なものですし、そのやり口というのは、皆さんも公務員ですからすぐにわかるわけですから、できないということはないと思うんです。  要するに、全部これが不起訴になってしまうということに対して非常に国民は今怒り狂っているわけです。結局のところ、これはやはり同じ公務員同士だからかばい合っているんじゃないかというのが世間の一般的な見方になっています。  こんなことで検察の権威なり信頼度というのは非常に薄れるわけですから、こういう批判に対して当局はどういうふうに受け取っておられるか、感想を聞かせていただきたいと思います。
  273. 松尾邦弘

    政府委員松尾邦弘君) 先生御指摘のようないろんな批判があることは承知しておりますが、検察としては、今御指摘の個々の事件につきまして、それぞれ、例えば被告発人が氏名不詳となっているものにつきましても、かなり詳細な捜査をしてこれを特定して立件したということで、かなり時間をかけまして捜査し、先ほど申し上げましたような理由でそれぞれ処理をしたということでございますので、これらの事件を真摯に受けとめているということについてはどうか御理解いただきたいと思っております。
  274. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ちょっと国税庁の方にお伺いしたいんですけれども、不正な経理操作で捻出した金を飲食や残業代に充てている、こういうケースでは明らかに給与外収入となっているわけです。大変膨大な金額が問題になっているんですが、これを課税対象として調査しているのか、それとも放置しているのか、どちらかだけをお答えください。
  275. 森田好則

    政府委員(森田好則君) お答え申し上げます。  まず一般論で申し上げれば、いろんなケースがあると思われますが、不正な経理操作で捻出した資金から支出される金銭につきましては、例えばその金銭を使用者の業務のための接待費あるいは会費等として使用し、その職員が私的な利益を得ていない場合には課税関係は生じないこととなります。  それからまた、それが使用者から職員の私的な飲食や残業代に充てるために支出されている場合、あるいは横領等の不法な原因により職員が金銭を得ている場合には、一般的にはその職員の給与所得や雑所得として課税の対象となりますが、ただ、それが返還されている場合には課税関係は生じないことになるということであります。
  276. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 原則じゃなくて、やっているかやっていないかです。
  277. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 国税当局としては、あらゆる機会を通じて課税上の有効な資料、情報の収集に努めまして、課税上問題があると認められる場合には適正な課税の実現に努めているところでありまして、今後ともこのような考え方に基づき、適時適切に対処してまいりたいと考えております。
  278. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それでは次の質問に移ります。  いわゆる今話題になっている酒だる事件でございますけれども、次官がいらっしゃらないなら、わかる方は答えてください。  原田次官が法務大臣の正式な認証式以前、内定の段階でお祝いの酒だるをプライベートに贈ったということを聞いておりますけれども、前の法務大臣のやめ方がやめ方だったこともありますが、内定の段階で公務員がそういうことをするのはちょっと普通ではないと思うんですが、どうでしょうか。
  279. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) この件につきましては、今月八日、新法務大臣の就任に当たりまして、就任をお祝いするということで事務次官が私費をもって日本酒を贈った、こういうことでございます。  御趣旨は、内定の段階で公務員が贈ったという御指摘でございますけれども、まず、それは全く私的なものであるということでございます。また、認証式前ではないかというお尋ねでございますが、大臣の就任が確定的になった後のことでございまして、これはそうした状況下においてお花とかさまざまなお祝いが届くというのは決して異例のことではないと承知しております。
  280. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 法務大臣にちょっとお伺いしたいんです。  この酒だるは、事務次官に着払いの宅急便で返されたそうですけれども、なぜお返しになったんでしょうか。
  281. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) 御指摘のお酒は、原田法務事務次官が私の法務大臣の就任に私費をもって本当に純粋なお気持ちでお祝いいただいた、こういうことで贈っていただいたというふうに理解しておるわけでございます。  私も以前から原田法務事務次官は存じ上げております。
  282. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 返した理由を言ってください。
  283. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) そういう御好意でありますけれども、そういうことは存じておりますけれども、やはり行政や政治のシステムを改革しようというこの時代でございますので、誤解を招くようなことがあってはよくないというふうな気持ちで、事務次官に、お気持ちだけをいただかせていただきたい、こういうふうにお話し申し上げてお酒は返させていただいた、こういうことでございます。
  284. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 つまり好ましくないと思ったことで返したわけですね。  好ましくないと言われることの中には、やはりプライベートの行為であるということは、公用車を使って勤務中の複数の公務員を使ってそれを運んで法務大臣に届けたということは、厳密に言うと国家公務員法第百一条第一項の職務に専念する義務というものに違反しているわけですけれども、法務大臣はどうお考えですか。
  285. 陣内孝雄

    国務大臣陣内孝雄君) これは、私が就任内定したというようなことで、こういう大事な時期に交代ということもありますので十分な事務的な連絡をしっかりととっておこうということでお見えになった。その際のついでと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう中でお酒を届けていただいた、こういうふうに私は理解しております。
  286. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ほかの省庁ではこういうことはやっていないそうなのですけれども、なぜ法務省の事務次官だけがプライベートでこれを続けてきたのかということをお聞きしたいのです。
  287. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) この件につきましては、先ほど申し上げましたとおり原田事務次官が自分で判断して私費を投じて行ったことでございます。  法務省はということでございましたが、歴代事務次官がそのようにやっていたかどうかにつきましては、歴代事務次官がそれぞれプライベートにそういう判断をなされたかどうかということでございまして、そこまでは承知しておりません。  ただ、原田事務次官の時代になりましてからは、昨年七月、中村前大臣が御就任なさいました折も原田事務次官が私費でやはりお祝いを差し上げているというふうに承知しております。
  288. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これは原田事務次官だけが始めたことなのか、あるいは歴代の事務次官がやってきたことなのか、いわゆる申し送りというようなものはあるのでしょうか。
  289. 但木敬一

    政府委員(但木敬一君) 厳密な意味で仕事上の申し送りではございませんので、そのようなものがあったということではないと思いますが、それは歴代事務次官それぞれ引き継ぎのとき、あるいはその前後にいろいろなお話をなさいますので、その間でそういう話が出ているかどうか、また、それが歴代引き継がれているかどうか、これらについてはそれぞれの事務次官がそれぞれのお立場で私的になされたことでございますので、私どもは承知しておりません。
  290. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 質問を終わります。
  291. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 以上をもちまして、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管法務省所管及び運輸省所管のうちの海難審判庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会