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1999-05-20 第145回国会 参議院 文教・科学委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      佐藤 泰介君     内藤 正光君      田名部匡省君     岩本 荘太君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         南野知惠子君     理 事                 狩野  安君                 馳   浩君                 江本 孟紀君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 世耕 弘成君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 内藤 正光君                 本岡 昭次君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 岩本 荘太君    国務大臣        文部大臣     有馬 朗人君    政府委員        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、田名部匡省君及び佐藤泰介君が委員を辞任され、その補欠として岩本荘太君及び内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  3. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 学校教育法等の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 石田美栄

    石田美栄君 民主党・新緑風会の石田美栄でございます。  今回の法改正ですが、学問の自由だとか大学自治を侵す、民主主義が失われるといったようなことで、いろんな組織あるいは大学等々から反対の要請がたくさん来ております。でも、審議してまいりますと、現実大学の中で積み重ねてきた、やってきていることを、今回法律できちっと交通整理というか規定していくのであって、大して変わらないのかなという気もいたします。そうすると、本当に改革が進むのかな、でも運営諮問会議といったことが義務づけられるということでは大きく変わる部分でもあるのかなという気もいたしまして、幾つ現実的な点で、きょうは最後ですので確認させていただこうかと思います。  幾つかの改正がございますが、学部長評議会教授会設置について今回規定されましたが、現実にはずっと学部長評議会教授会もあったわけです。  この七条の三に並べられている評議会評議員でございますが、学長学部長、それから教養部部長とか研究所所長とか、そのほかに評議会に加えられる者として、選出された教授だとか学長が指名する教員というふうに規定されておりますが、この構成は現状はどのようになっているのでしょうか。こういうふうに規定されることで実際構成メンバーが変わるのでしょうか、お伺いいたします。
  5. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 現在の国立大学評議会でございますが、この構成メンバーにつきましては、暫定省令によりまして、まず基本的な構成員として、学長学部長教養部長学部教養部ごと教授二名と定められているほか、評議会の議を経て、附置研究所長図書館長学生部長、その他重要な職にある職員評議員とすることができるとされているところでございます。  今回の改正案においては、基本的な構成員として、学部長に加え、独立研究科長附置研究所長を基本的な構成員としておりますが、これは、大学院の比重が増大したことにかんがみ、評議会構成において一定実態を有する研究科学部と同等に位置づけるとともに、独立研究科にほぼ相当する規模教員組織を持つ附置研究所所長も同様に位置づけたものでございます。  また、評議員に加えることができる者として、学部独立研究科教養部及び附置研究所のうち評議会が定めるものごとに選出される教授附属病院長図書館長など基本的構成員以外の部局長評議会の議に基づいて学長が指名する教員を定めております。これは、大規模大学では基本的な構成員で相当な規模に達するというようなことも踏まえまして、学部その他の部局から選出される教授については従来のように学部に限って二名とは固定せずに、選出する部局範囲や選出すべき数を各大学評議会判断にゆだねることとしたものでございます。  また、附属病院長などの部局長評議会の議に基づいて学長が指名する教員を加えることとしておりますのは、暫定省令において重要な職にある職員評議員とすることができると規定しているのと同趣旨でございます。  文部省といたしましては、各大学において法改正趣旨を踏まえた評議会構成について検討が行われ、適切な規模構成となることを期待するものでございます。また、その評議会規模構成につきましては、内外に示すことを通して、その大学における適時適切な責任ある意思決定を行う上で適切なものであることを示していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  6. 石田美栄

    石田美栄君 そうしますと、構成メンバーを明確にするということはわかりますが、実際には構成員がこの規定によってより広がると解釈してよろしいでしょうか。
  7. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 大学によりましては、評議員の数が非常に多く、機動的な意思決定が十二分になされないというような弊害を持つところもございます。したがいまして、一概に評議員の数がふえるというようなことではなく、それぞれの大学組織状況等に応じてどのような構成、どのような規模評議会とするかを、それぞれの大学が自主的に御判断いただくということになろうかと思います。
  8. 石田美栄

    石田美栄君 ある程度規定することで規制も加わるのかなというふうに聞こえます。  そして、こういう評議会メンバーなどは文部大臣が皆任命するというふうになるんですね。形式上そうなのかもしれませんが、学長任命でいいんじゃないかなという感想を持ちます。それはそれとして、現実には、申し出た者が拒否されるというふうなことはあり得るんでしょうか。
  9. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 非常勤の国家公務員ということに評議員がなるわけでございます。したがいまして、国家公務員である以上、任命権各省大臣に所属するということになるわけでございますが、文部大臣は、大学から申し出があった場合、原則として学長申し出に拘束をされるということでございます。これまでも評議員の発令を文部大臣として拒否したことはないわけでございます。
  10. 石田美栄

    石田美栄君 現実には拒否することはないというふうに解釈していいかと思います。  さて、教授会ですが、教授会構成も多分大学によってかなり違いがあるのだろうと思うんですが、現在どのような構成になっているのかお教えください。
  11. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立大学教授会でございますが、現在、教授助教授及び講師で構成されているのが一般的でございます。ただ、助手勤務実態大学学問分野の特性により極めて多岐にわたっていることなどから、一部の大学では、審議事項によっては助手教授会に加えている例もございます。  今回の改正におきましては、教授会設置単位審議事項規定したところでございますが、教授会構成につきましては法律上特段の変更を加えておらないところでございます。
  12. 石田美栄

    石田美栄君 ちょっとはっきりしませんが、現実には、議題によっては助手も加わって、実際には助手構成メンバーになっているところが多いのじゃないかなというふうに思います。  さて、今回の改正構成メンバーがある程度規定されるだろうと思うんですが、そのことによって今の状況変化が起こるのでしょうか。
  13. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 現在、学校教育法規定は、大学には教授会を置かなければならないとし、教授会組織には助教授その他の職員を加えることができるというふうに規定されておるわけでございます。この規定につきましては、今回改正を加えていないところでございます。したがいまして、今後の教授会構成につきましても、現行学校教育法五十九条の規定により運営がなされるわけでございます。したがいまして、教授のほか、助教授教授助教授に準ずる位置づけの職員が加わることができるわけでございます。  ただ、学校教育法職務規定に照らして、助手教授助教授を助ける職務を行う者でございますので、一般論として言えば、教授会構成員として必ずしもふさわしくはないと考えているところでございますが、教育研究活動活性化観点から、今後、大学審議会において助手制度あり方を含めた大学教員組織あり方について広く検討を行うことといたしているところでございます。
  14. 石田美栄

    石田美栄君 今の助手の扱いについては、ううんという気持ちで聞いている部分がございました。というのは、現実助手はいろいろあって、ポジションがないために、給与体系助手でも実際には三十代、四十代で助手をまだやっている方というのはありますから、そのあたりのことももう少しきちっと整理されて、実際の助手の地位、そういうところはこれから問題解決をしなきゃいけないのであろうと思われます。  現実にどの程度、規定されることでその辺に変化が起こるのかまだはっきりしませんが、教授会というのは、その学部の中の現実の運用、いろんなことを決めていくので、学生にとっては非常に重要な部分で、教員全般意思が反映されるように維持されていくことが非常に重要だろうと思います。  さて、次は学部長選考なんですが、これも、現在どのように行われていて、今回の改正によって選考方法変化があるんでしょうか。
  15. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立大学学部長選考は、その学部教授会の議に基づき学長が行うとされているところでございます。実際には、教授会の定めるところにより、教授会における学部長候補者選定に当たり教授会構成員による投票などが行われているところでございます。  今回、教育公務員特例法改正いたしたわけでございますが、これは、従来暫定措置として附則で定めていたものを本則に規定することといたすものでございまして、評議会設置等国立大学組織運営に関する基本的な事項法律上定めることに伴う規定の整備でございます。したがいまして、学部長選考に関する規定変更するものではございません。その意味で、教授会構成員による投票などが行えなくなるというようなことではございません。
  16. 石田美栄

    石田美栄君 今回の法律案提案理由の第二に、「大学が一体的、機能的に運営され責任ある意思決定が行われるよう、あわせて社会に対して開かれた大学となるよう大学組織運営体制を整備するため、」とありますが、大学運営全体に対する学長リーダーシップ、権限を強める、そしてリーダーシップが期待されているわけであります。  そこで、学長選考の仕組みがどうなっているのかお尋ねしたいと思います。現行では一般的にどのような選考方法がとられているんでしょうか。
  17. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立大学学長選考は、評議会の議に基づき、学長の定める基準により、評議会責任を持って行うこととなっているわけでございます。実際には、評議会の議に基づき、学長の定めるところにより、学長候補者選定に当たって大学の主たる構成員である教員の意向を聞くという観点から、教員による投票が行われているところでございます。  今回、教育公務員特例法改正において、学長選考に関する規定に実質的な変更はございません。したがいまして、教員による投票が行えなくなるというようなことはないわけでございますが、教員による投票に当たっては、例えば事前に評議会責任において学内外から数名の候補者に絞った上で投票を行うとか、投票に参加する教員範囲について、大学運営責任者を選ぶ上で適切なものにするなどの工夫を行うことが必要であると考えておるところでございまして、各大学において学長役割重要性というものを踏まえた改善の取り組みがなされることを文部省としても期待しておるところでございます。
  18. 石田美栄

    石田美栄君 改正で、最初に申し上げましたように、大学自治が損なわれる云々という反対の陳情が多数寄せられているのですが、お聞きするところでは、学長選考にしましても、それぞれの大学で行われてきた今までの投票方法あるいは投票する人の範囲、そういったことにそんなに変化は起こらないというふうにお聞きしましたし、そうでありたいというふうに思います。  次に、前回もちょっと評価のことで触れましたが、約九割の大学自己点検評価実施しているということでありますが、学生による授業評価の導入はどの程度進んでおりますか。そしてまた、評価の仕方、内容についても把握しておられるところをお教え願いたいと思います。
  19. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 学生による授業評価でございますが、評価実施主体、これがだれかによりまして、大学学生に依頼して評価を行うものとか、教員自身学生に依頼して評価を行うものとか、学生みずからが自主的に行うもの、あるいは学外の第三者学生に依頼して評価をするものなど、いろいろな目的、方法により行われているところでございます。  近年、教育研究の質の向上を図る、そして大学教育機関として社会的使命を達成する観点から、大学の行う自己点検評価一環として学生による授業評価実施する大学が年々増加しておりまして、平成九年度の数字で申しますと、国立大学については七十六大学、七八%、公立大学につきましては十二大学、二一%、私立大学は百八十四大学、四三%、全体では二百七十二大学、四六%がこれを実施しているところでございます。  学生による授業評価の具体的な評価項目といたしましては、実施している項目の多い例を挙げますと、先生の話し方の聞き取りやすさ、あるいは授業のわかりやすさ、黒板、ビデオ、OHP等の使い方、それから学生自己評価なども多い項目となってございます。  文部省としては、学生による授業評価大学教員教育方法問題点の把握やその効果的な改善を図っていく上で意義があるというふうには考えているところでございます。今後、さまざまな実施主体による学生評価試みが一層活発に行われることを期待するとともに、各大学自己点検評価一環として学生による授業評価実施する、そしてそれを踏まえて教育活動改善を図っていくことを促してまいりたいと考えております。
  20. 石田美栄

    石田美栄君 ありがとうございました。  私は、もう三十年近く前ですが、最初にアメリカの大学院に留学しましたときに、州立大学でしたが、たまたまその年がちょうどその大学全体の評価の年に当たりまして、とった講座それぞれの終わりに教授自分評価ペーパーを配られて、それもかなり膨大なもので、たしか九十分か一時間全部使って書くくらいのものでした。今おっしゃったような項目ももちろんですけれども、学生創意工夫を引き出すのでどうだったかとか、かなり膨大なもの。私は留学生ですから言葉の上でも大変で、四苦八苦して、宿題で持って帰ってそのペーパーを埋めて、後で出させていただいたような記憶がございます。  こういった評価一つ方法ですけれども、そういったことも充実されていって、第三者評価も加えて、これからいろんな資料に使われそうな大学評価が充実していくことを本当に望んでおります。  最後に、大学審議会の答申にも、今後国立大学が特に社会的責任を果たすべきことが期待される機能として何点かが挙げられているわけでありますけれども、文部大臣として、これからエージェンシー化独立行政法人化といったことも検討されていく中で、高等教育、中でも大学院機能国立大学でなければできないこと、この点をどういうふうにお考えになっているのか。  私は、国立大学でどうしてもやらなきゃいけないことというのは、国の将来のあり方にかかわる教育者養成、あるいは私学ではとても採算のとれないような国家戦略的な、高度な、先端的な学術研究、あるいは長い将来を目指した、ひょっとしたらむだになるかもしれないような基礎研究的なもの。したがって、教育者養成と、もう一つ大学院レベル高等教育機関が中核となるような、そういう部分かなというふうに思っているんですけれども、文部大臣、これだけは国立大学でなければという部分をどのようにお考えか、最後にお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  21. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まず、国立大学役割というのは、今、先生御指摘のとおりのことでございます。  一つは、例えば二十一世紀にどういう方向に向かっていくべきかというふうなことを検討した際に、計画的な人材養成実施と、それを政策目標として実現していくというようなことが一つの大きな役割だと思います。  それからもう一つは、これも先生ちょっとおっしゃっておられましたけれども、少し敷衍いたしますと、社会的需要余り高くない、しかし重要な学問分野というのはあるわけです。私の近いところでありますと考古学なんというのはそういうものです。こういうものはやはり絶対に国立大学として大いに活躍していかなければならないと思っています。それから、社会変化学術研究が非常に急速に進展していくときに、大いに先導的、実験的な教育研究実施していくという点でも国立大学役割は大きいと思います。  それからもう一つは、学生経済状況に左右されることなく、自分の関心、適性に応じて高等教育を受ける機会を確保するということは、私はやっぱり大切だと思うんです。ドイツとかフランスのように、高等教育大学での教育に対して授業料などを払わないというのはまた一つの方針でございますけれども、それにしても、授業料というものがかなり適正なものであるということによって、私のごとき貧乏人でも高等教育を受けられたということはやはり国立大学のよさだと思います。  それから、私が常々言っておりますことは、国立大学はもっと積極的に地域社会と協力をした方がいいということを言っているわけです。国立大学でありますと、全国区という言葉がいいかどうかわかりませんが、自分全国を見回さなければいけないという義務感がありまして、なかなか地方に直接密着するというようなことが難しい面がございます。それでも、各地域特有の課題に応じた教育研究と、それを解決していくという努力をする、そういうことが必要だろうかと思っています。  一方、全国的に均衡のとれた大学配置によって教育機会均等を確保していく、こういう点でやはり国立大学は大いに努力しなければならない。特に大学院というふうなところでの教育研究は極めて重要でございまして、財政的にも大変な面がございますので、これはやはり国立でやっていくべきだと思っております。  文部省といたしましては、今回の法律案を含めまして国立大学改革を推進することによって、国立大学一つ組織体として教育研究の質を高め、そして期待されている機能をより適切に果たしていくことが必要であると考えております。
  22. 石田美栄

    石田美栄君 学資の問題だけは、民主党としてはまた別の意見を持っております。現実には東京大学に入学する学生の家庭の経済状況が一番いいというようなことも出てきておりますから、その点についてはまた奨学金というふうな形で別のことを考えておりまして、全般的には文部大臣意見が一致するところかなというふうに思います。  ありがとうございました。
  23. 山下栄一

    山下栄一君 まず、法改正中身部分で、国立学校設置法改正にかかわる運営諮問会議の問題でございます。  筑波大学参与会、昭和四十八年からですか、この役割がある程度評価されたという形で今回全国展開する。この運営諮問会議は、新しい試みというか実験的試みから国としての制度化ということでございますけれども、どんな人が選ばれるのかということ、これも非常に重要な問題である。経済界とか自治体の責任者とか例示がいろいろございますけれども、この人選基準を、例示じゃなくて、ある一定基準といいますか、ある程度考えておく必要がある。  私は、それは各大学に任せるあり方が正しいのではないか、このように思うわけでございますけれども、選考基準はどこがつくるのか。文部省省令考えるのか、大学に任せるのか、この辺がちょっと不明確であると思うんですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  24. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 運営諮問会議は、大学社会からの意見を聞き、社会的存在としてその責任を明らかにすることが求められていることから、外部有識者意見を聞くための組織として各国立大学に置かれるものでございます。委員につきましては、大学に関し広くかつ高い識見を有する者が学長申し出を受けて任命されることとなっているわけでございますが、具体的な人選等につきましては、各大学において運営諮問会議設置趣旨を踏まえて適切に対応していくことになるわけでございます。  具体的には、例えば地域社会や他の大学研究機関関係者、卒業生など、社会のさまざまな層から有識者の参加を求めるということを考えておるわけでございますが、各大学において人選基準を定めるかどうかは、それぞれの大学判断によるというふうに考えておるところでございます。
  25. 山下栄一

    山下栄一君 選考基準をつくるかどうかの判断大学に任せるということですね。わかりました。  運営諮問会議委員任命は「学長申出を受けて文部大臣任命する」と、評議会メンバーと若干違うニュアンスで書いてあるわけですね。これは筑波大学の場合もそうだったと。評議会の場合は基本的には大学側申し出どおりにいくような雰囲気なんです、「申出に基づいて」と。諮問会議の方は「受けて」と。これはだから、大学側、まあ学長が代表なんでしょうけれども、こういう人にしたいと言っても、文部省の方でそれはちょっとだめだ、もう一回考え直せとか、そんなことが大いにあり得ることがこういう規定の違いにあらわれているのではないかというふうに思うわけです。  この「受けて」の中身ですけれども、大学側意見を基本的には尊重するということなのか、そうじゃないというのか、どっちなのかということをお聞きしたい。
  26. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 運営諮問会議委員国家公務員でございますので、国家公務員法制文部大臣任命をするという形となるわけでございますが、その際、「学長申出を受けて文部大臣任命する」といたしておるところでございます。したがいまして、基本的には、文部大臣学長申し出を尊重し、その申し出があった者について委員として任命を行うこととなるわけでございます。学長申し出を拒否したり再検討を求めるというようなことは通常考えられないところでございます。
  27. 山下栄一

    山下栄一君 別の話に移ります。  高等教育機関、特に大学大学院教育使命です。これは、大臣も前から余り強くなかったということをおっしゃっているわけです。僕は、今のこの時代状況を踏まえまして、初等教育、中等教育高等教育という言葉があるわけで、高等教育機関として大学が位置づけられている割には、大学教員にどういう人がふさわしいかということを選ぶ場合にも、研究的な能力ということは非常に問われるけれども、教育的な力がどれだけあるのかということは余り問われないままに今日まで来たというふうなことを感じるわけでございます。  やはり二十一世紀、ますますこの教育機能が、これはもう社会、家庭も地域もすべて、人間という動物は教育によって人間になるということでございますので、その一番のモデルが、教育の最高学府がまさに大学でなきゃならない。それが余りにも研究ということが重視され続けて、教育機関であるということが軽視されてきたということは、これは意識を抜本的に変えにゃいかぬのじゃないかということを思うわけです。  私は、研究と教育というのは場合によっては非常に両立しにくい面も、研究で追求すればするほど人とのかかわりが苦手になったり疎ましくなったりとか、それは学部とか学問内容によっても違いますけれども、そういう傾向を感じるわけです。私は、大学は人格陶冶の最高学府なんだという位置づけをもっともっと明確にしていかにゃいかぬのではないかなというふうに感じておるわけです。  まず、その点の大臣のお考えをお聞きしたい。
  28. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私もたびたび申し上げますように、特に学部では教育ということを極めて大切だというふうな意識を持っていただきたいと思っているわけです。現在の大学でもさまざまな考慮を払ってはおりますけれども、特に学部では教育というものを非常に重要なものとして考えていっていただきたいと思っています。  そういう点で、一つは、研究者としての仕事に対する評価はもちろんいたしますけれども、同時に、教育者として十分教育をしていけるかどうか、こういうふうなことも、教授助教授助手選考に当たっては十分考慮していかなければならないと思っています。  ですから、候補者を二人ぐらい選んでおいてセミナーをさせるというふうなことを私どもは試みてまいりました。こういうことをやりますと、研究能力もわかるし、同時に教え方がわかるんですね。そういう努力を今後大学がするべきだと思っております。
  29. 山下栄一

    山下栄一君 就学前教育から始まりまして、大学入試に全力を挙げて大学へ入っていくわけです。エネルギーを使い果たすぐらい頑張って大学へ入っていく。大学というのは、私は非常に幅広い人材の集まった組織だというふうに感じております。僕も大学へ行きましたけれども、そんなことをわからぬままに卒業してしまったような感じがしまして、もったいなかったなと。もっといろんな人に、もちろん授業とかゼミもそうですけれども、人格的触れ合いをもっとしておったらもっともっとよかったのではないかなというふうに思うわけです。大学には、大学院生もいらっしゃる、研究所もある、そして、学部にもちろん入学するわけですけれどもいろんな学部がある。これほど広い学問というのはあるのかと。大学先生も非常に個性あふれる方々が物すごくたくさんいらっしゃるわけで、場合によっては海外からもいらっしゃる場合もある。そういうものを思い切り活用したら非常に人格も磨かれていくというふうに思うわけですけれども、それには大学教員の側がもっと触れ合いの方を重視しないと、来る人は来いというふうなことではだめであると思います。  だから、僕は、大学に物すごいお金もかけ、少ないと言われる人もいらっしゃるわけですけれども、何万人という組織の総合大学もあるわけですので、クラブ活動とかももちろん含めてですけれども、一定のところだけ経験して卒業してしまうみたいなことは、大学院に行かない場合は特にそうですけれども、本当にもったいないなということを感じているわけでございます。その辺の、学問をする喜び、人格、新しい個性に触れ合う喜びみたいなものがあるんだよ、そういう世界なんだというふうなことをもっともっと高校段階から知っていくことが進路指導も含めて大事だなということを非常に感じておるわけです。勝手なことを言っておりますけれども。  教員の採用のあり方なんですが、その専門分野の力量、論文をどれだけ、そういう特定の専門分野といっても非常に限られた専門分野、それの力によって選ばれるということがやっぱり基本にある。と同時に、そういう意味で、今、大臣がおっしゃったように、教育能力とか、もっと幅広い研究の素養も採用基準にしていかないといかぬと思います。  と同時に、日本の大学というのは、私の勝手な印象ですけれども、採用の過程、基準が物すごく不透明だなということを感じております。例えば数学ができる非常に優秀な方がいらっしゃる。大学先生になりたいが、今、全国のどこの大学でそういう人を求めているのか全然わからないというのが実情ではないか。各大学では公募もしたり、キャンパスの掲示板に張ったりしてあるかもわかりませんけれども、非常に限られた形でしか情報が伝わらぬような仕組みになっているんじゃないかということを感じておりまして、もっともっと採用過程、採用基準を希望する人にわかりやすくなるような仕組みができないのか。  この答申にも望ましいとかいうふうに書いてあるんですけれども、例えば大学教員採用選考委員会も単に学内だけじゃなくて外部の人にも入ってもらう、それはすばらしい意見だと思うんですけれども、そんなことも含めて、この日本の大学教員の採用のあり方が極めて不透明であるという私は認識なんです。もうちょっと全面公開、希望する人がどこで今採用を求めているのかということ、国立、公立、私立も全部含めてそういう情報公開するような、例えばパソコンでぱっとわかるとか、そういうふうなことにしていただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  30. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私は、もう何十年前から教員は公募で採用すべしという説でございました。幸い、現在、文部省の調査によりますと、平成三年度において五〇%の大学実施していたものが、八年度には六一%というふうに随分ふえてきておりまして、こういう公募制というのは今後さらに進んでいくだろうと思っております。  文部省といたしましても、こういう努力に対しまして、学術情報センターにいろいろな努力をまとめて研究者公募情報提供事業という格好でやってもらっております。今後、さらに各大学教員の採用においてさまざまな工夫をしてほしいと思っております。私がおりました理化学研究所では、主任研究員はすべて公募制にして現在やっております。
  31. 山下栄一

    山下栄一君 今おっしゃった公募の事業、これはもう本当に思い切り拡大する、すべての高等教育機関がそこへ参加しているというふうな形にする方向が正しいのではないかと思っております。  ティーチングアシスタントの制度ですが、これは平成四年から実験的に始まって、七年度から本格的になった。三十六億のお金が今ここに。大学院生が教育補助業務を行うということでございます。これは先ほどの採用のあり方も含めて、大学院の方が大学先生になっていくわけだから、こういう教育補助業務にトレーニング的な役割として国がお金を出してやってあげるティーチングアシスタント制度というのは私は非常にいい制度だと思うんですけれども、何でこれは国立大学でしかやらないのか。  大学院生が教育的な力を身につけたり、また、その世代も大学生と近いわけですから、非常にこれは望ましい制度だと思うんですけれども、これが何か大学先生の下請、下請と言うと怒られるかもわからぬけれども、授業まで任せきりになってしまって、自分は別の仕事があるからやっていてくれというような、そんな人は少ないかもわからぬけれども、そんなこともあるというふうに聞いております。  大学教育機能はますます拡大せないかぬのに、本業の方々がそれをこういうアシスタントに任せっ放しになってしまうと、これは本末転倒になってしまうというように思うんです。私は、少なくともこの制度は非常に前向きにとらえなきゃいかぬとは思いますけれども、国立大学だけじゃなくて公立、私立、とにかくすべての大学院生、後期博士課程の方が多い、修士課程も入っているようですけれども、これは拡大せないかぬと思いますけれども、いかがでしょうか。
  32. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) ティーチングアシスタントにつきましては、優秀な大学院学生が実験、実習あるいは演習等の教育補助業務を行うことにより、学部教育におけるきめ細かい指導が可能となるものでございまして、国公私立大学においてその活用が図られているところでございます。国立大学につきましては、平成八年度で申しますと九十三大学公立大学については十八大学私立大学については百六十九大学でティーチングアシスタントが使われているところでございます。  この制度の実施に当たりましては、御指摘にもございましたように、事前にその業務に関する適切なオリエンテーションを実施するとか、担当教員による継続的、適切な指導、助言であるとか、それからティーチングアシスタントに従事する者から意見をうまく聞き取る仕組みや、教育効果を高める工夫などが必要でございます。そういったことを踏まえつつ、制度の趣旨が生かされてその活用が図られるよう、引き続き拡充を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 山下栄一

    山下栄一君 私が聞いたのは、国費が投入されるのは国立大学だけなんです。制度があるのは知っているんですよ。公立、私立も国立大学と僕は同じでいいと思うんです。そちらの方にも適用せないかぬというふうに思うんです。何で国立大学だけに税金を投入しているのかということを言っているわけです。もう時間がなくなってしまうから、簡潔にお願いします。
  34. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 設置者経費負担主義という原則もございます。したがいまして、国公私立大学それぞれの設置者において当該経費が充実されることを期待するものでございます。
  35. 山下栄一

    山下栄一君 だから、その大学院生の研究の、科研費の問題とかそんなもの、全部大学院生なんだから、これは国立大学に限るべきじゃないと思うんです。大臣、どうですか。
  36. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 予算の許される限りそういうことは考えた方がいいと思っていますけれども、やはりどういうふうに国費を使っていくかというときのいろいろな条件がございますので、今後もさらに検討いたしたいと思っております。
  37. 山下栄一

    山下栄一君 あと二つ聞きたいことがありますので、簡潔にお願いします。  一つは、労働省がやっている教育訓練給付制度というものがあります。これは、能力開発のために労働大臣指定の講座で資格を取るためにかかるお金を支援しているわけですけれども、この労働大臣が指定する二百八十教育施設、四千講座というのがあるんだけれども、それは非常に限られたところが教育訓練機関として指定されているという認識なんです。  僕は、文部省の所管する高等教育機関全般に、特定の専門学校とか専修学校だけじゃなくて、別に大学でも短大でも構わないという形に広げるということを労働省と話し合っていただいて、指定する教育訓練機関というのはもっと高等教育全般に広げて考えたらどうかということをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  38. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 文部省といたしましては、大学への社会人の受け入れを拡大するため、社会人特別選抜制度の導入とか科目等履修制度の活用、夜間大学院設置などの措置を講じているところでございます。  特に、雇用問題が緊急の課題となっている今日、社会人受講生の負担軽減の観点から教育訓練給付金の対象機関に大学院等を含めるということは、社会教育推進の観点から先生の御指摘のとおり大変重要な大きな意義を有していると考えておりまして、現在、労働省と協議をしているところでございます。
  39. 山下栄一

    山下栄一君 これはもう当然のことだと思います。大臣のお考えを実現させていただきたいと思います。  最後に、奨学金の話でございますけれども、経済的条件に左右されることなく学問ができるようにという先ほど大臣のお話がございました。  ことしから大学、短大の奨学金対象者が大幅に、特に有利子奨学金の方は抜本的に拡充されると、もちろん党の主張もございましてそうなっているわけでございますが、希望される大半の方は支給対象になるというふうに考えられたけれども、現実は希望者が物すごく多かった。二十五万人を予定したけれども、もっと多いのではないかというようなことを聞いておりまして、問い合わせが殺到しておるわけでございます。これは物すごく反響がございまして、今、特にこんな不景気ですから、この奨学金が基本的にいただけることは大変ありがたいと。  適格者にもかかわらず、今まで、いろんな成績条件とか経済的条件をクリアしていても、もらっている人が七割とかいうふうな現実があった。今回は大体希望者が当たるということになっていたにもかかわらず、これはちょっと希望者の読みが甘かったのか、こういうふうになるよということで非常に反響があって、当初の読みが外れた面も私はあるんではないかと思うんです。  景気の低迷が続く中、この奨学金の問題というのは非常に重要な問題であると思うんですけれども、これは多分希望者はオーバーすると思います。春と秋と二回募集の時期があるそうですけれども、今回外れた人は、無利子で落ちる人も回ってくるわけでございますので、秋はもっと希望者がふえるというふうに思います。  今、希望者割り当て分、各大学割り当て分のオーバーしているところを前倒しで枠を広げる話も出ておりますけれども、前倒しすればするほど秋の分が不足してくるというようなことも含めまして、これは予算措置を伴うものですけれども、対応を何とか考えていただきたいというふうに思っておりますので、調査もしっかりやっていただきたいと思いますし、来年度予算を算定するときにもかかわる話だから……
  40. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 質問を簡潔にお願いします。もう時間が来ております。
  41. 山下栄一

    山下栄一君 済みません。その御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 平成十一年度の予算におきましては極めて大幅に拡充いたしました。全体的にいたしましたが、特に有利子奨学金については大変大幅に拡充させていただいた次第であります。  現在、各大学等において学生からの申し込みを集計しつつあるところでありまして、その報告をそのうち受けたいと思っております。現在、一生懸命集めておりますので、情報がそのうちに入ってくると思います。現状がどうなっているかということがわかると思います。  今後、全体の応募者数や貸与月額の選択の状況等を踏まえまして、学生の希望にこたえられるよう努力をさせていただきたいと思っております。
  43. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。
  44. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  私は、まず三年卒業制についてお聞きしたいと思うんですが、その前に就職協定についてお聞きしたいと思います。  就職協定が廃止されて以来、学生たちはなるべく三年間で単位を取って、四年になりましたら就職活動をする。そのために実質的にはもう三年の後半から就職活動に走り出して、授業やゼミに大変支障が出ている。四年になっても卒論や卒業研究ができない。つまり、実質的には現在大学は三年という状況になっているんじゃないかと思うわけです。これは大学教育にとって大変な事態だと思うわけです。私は、三年卒業制を導入する前に文部省大学教育のこうした現状に手だてをとらなければいけないのではないかと思うわけです。  日経連主導で就職協定が廃止されましたが、この事態を変えるために、政府主導で就職協定を復活させて大学四年間の教育学生に保障する、ぜひこのことを実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 新規学卒の人々の就職・採用につきましては、今お話がありましたように従来から大学側と企業側の連絡協議が行われております。平成九年度までは就職協定というのがありまして、私が国立大学協会の会長をしているときからこの就職協定をやめようという話がありましたけれども、当時は残してもらいました。しかしながら、平成九年度からはそれまでの就職協定にかわって、大学側で就職についての申し合わせを、企業側で採用・選考に関する倫理憲章を作成して、双方がそれぞれ尊重していくという方法がとられているところでございます。  この就職協定が廃止されました影響につきましては、採用情報の公平公正な公開や通年採用の拡大が進み、学生の就職機会が拡大したことが指摘される一方、就職・採用活動が早期化し、先生御指摘のように、学生が最終学年の当初から授業に出席しないために大学教育に大きな影響が生じているという指摘が行われております。  私といたしましても、この点を大変心配いたしまして、機会あるごとに経済関係団体に対しまして採用活動の早期化の自粛をお願いしているところでございます。今後とも、学生の就職・採用活動が過度に早期化することなく秩序ある形で行われるように求めてまいりたいと思っております。  文部省といたしましては、大学側と企業側との協議の結果を尊重しつつ、双方の良識と努力によって就職協定が果たしてきた役割が実質的に確保されまして、学生の就職・採用活動が円滑に行われるよう引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  46. 林紀子

    ○林紀子君 通年採用というようなこともおっしゃいましたけれども、大学の四年生にはこれは何のメリットもないんじゃないかと思うわけです。企業に幾らお願いしても、それから倫理憲章というものを決めても、今、大臣もおっしゃったように、今の大学の実情というのは三年制だということになってしまっているんじゃないかと思うわけです。  私は、この三月に本委員会で国立学校設置法の一部改正案の審議をしましたときに、大臣が同僚委員に対してお答えになったその答弁というのは、ああ、そうだなと思って伺ったわけです。たしかそのときに大臣は、医療技術短期大学部が三年制から四年制になるというそのメリットはどこなのかという質問に対して、一年延びるということは大学にとってすばらしいことなのです、単に技術を覚えるだけではなく、人間教育ということが極めて重要だと思っている、幅広く教養と豊かな人間性の涵養に努めていかなければなりませんし、現在でも十分努めているとは思いますけれども、なお時間数がかなり短いという限界があったんだというふうにお答えになっていらしたわけです。三年と四年は全然違うんだということで、私も確かにそうだなというふうに伺ったわけです。これは、医療技術系の学生だけではなくて、学生全体にとって幅広い教養と人間性の涵養というのは本当に不可欠だというふうに思うわけです。  今、大臣も努力するというふうにはおっしゃっておりますけれども、やはり歯どめがないとだめだというふうに思うわけです。就職協定というのが本当に歯どめになり得るかどうかということはあるわけですが、今のこの申し合わせとか倫理憲章などというものよりは歯どめがあったわけですから、まず、この就職協定をもう一度復活する、そのことをぜひお考えいただきたいと思いますが、再度お答えをお願いいたします。
  47. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) これは、国公私立全体を通じた大学と企業、マスコミも含めて企業との間の関係でございます。  もちろん私は、四年間なら四年間の授業をしっかりやってほしい、教育をやってほしい、三年で卒業することができるというのはまた特殊な例でありますが、一般論といたしましては十分四年間を有効に使ってほしいと思っています。したがいまして、四年の授業が完全に成り立つように努力をさせていただきたいと思っておりますが、しかし、就職協定というふうなものを国が決めるということに関しては、私は余り賛成ではない。  なぜかというと、国公私立全部の大学と企業との関係でございますので、やはりそこで良識のある検討を行って、良識のある考え方を確立してほしいと思っています。
  48. 林紀子

    ○林紀子君 大臣国立大学協会にいらしたときには就職協定をやめるのはだめだとおっしゃったということは、やっぱりそれが歯どめになるとお考えになっていたんじゃないかというふうに思うわけですので、企業側の立場に立つんじゃなくて、国は、文部省は、本当に学生のために、大学教育のためにという立場に立っていただきたいというのをお願いしておきたいと思います。  三年卒業制について次にお聞きしたいわけですが、前回の参考人質疑でも、複数の参考人が三年卒業制度の導入に危惧を表明されておりました。これは、ごくまれな例として三年制を導入するということにつきましてはお伺いしておりますけれども、しかし、これが一度導入されてしまいますと、三年生で卒業できるんだということをうたい文句にした大学がはびこっていくのではないか、こういうことにつきまして私もやはり危惧を持たざるを得ないわけです。  文部省省令で、厳格な成績評価、それから履修科目登録単位数の上限制を導入する、こういうふうに今までこの委員会でも御答弁をなさっていますけれども、実施してみて、この大学でこういう単位の取り方をしたら三年で卒業できるんだという評判がひとり歩きしていってしまいますと、結局は三年コースというのが常態化していってしまうのではないか。  どのような歯どめをかけるのかというのが今までの文部省の説明でははっきりしないわけですけれども、これを具体的に説明してほしいと思います。
  49. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘いただきましたように、文部省令において、国公私立大学を通ずる基準といたしまして、大学については、責任ある授業運営を前提とした厳格な成績評価を行うこと、履修科目登録単位数の上限制を導入していること、学生については、卒業に必要な単位数を取得し、かつ成績が優秀であると大学が認めたこと、本人が卒業を希望することなどを定めることといたしております。これによりまして、厳格な成績評価を行った上で、各学期または学年ごとに設定した履修科目登録の上限単位数を優秀な成績で修得した者について、その学期または学年に上限を超えた履修登録をしていくことが可能となるわけでございます。  これを通して安易に適用されることのないようにしていかなければならないと考えておるわけでございますが、同時に、この早期卒業の措置につきましては、学生に対して適切な学習指導や学習相談等を行うなど十分な教育的配慮も必要でございます。そのような措置というのを大学としてどのように講じていくかということについて、すなわち各大学がこの措置をとる場合の具体的な運用基準や実際の運用状況については大学として広く社会に公表していくことが必要でございます。それを通して社会評価というものがそれぞれの大学に加えられるわけでございます。  そういう社会的な批判、判断、それらもあわせてこの制度が適切に運用されるよう、文部省としても各種会議なども通じて努力してまいりたいと考えているところでございます。
  50. 林紀子

    ○林紀子君 今いろいろお話がありまして、最終的には社会的な評価ということなんだと、そういう話があるわけです。事前にもいろいろお話を聞かせていただいたんですけれども、最初から三年コースをつくるというのはだめだというふうにおっしゃっているし、そういうことを目玉にして宣伝するのはだめだということもあるというお話も聞いているわけですが、先ほども申しましたけれども、いざ動き出してしまうと事実上三年コースというのができてしまうんじゃないかという危惧はどうしてもぬぐえないんです。  参考人からもいろいろお話を伺った中で、十八歳人口というのはこれから減少していく、大学間でますます競争が激しくなっていくんだというお話もあったわけです。それではその競争に打ちかつ一つの手段として、ここでこういう科目をとっていったら三年コースというのでできるんだよというようなことを目玉にして受験生を集めていく、そういう手段にも使われてしまうんじゃないかという心配が本当にあるわけです。そういうことになりますと、大学審答申が言っている課題探求能力、本当にこれは必要なことだと思うわけですけれども、こういうものを育てるどころか、相反する事態になってしまうというふうに思うわけです。  これだけ大学人が、歯どめがあるんだ、それから最終的には社会的な評価なんだというふうにおっしゃっていても、危惧を表明しているわけですから、省令案も示して、そして実施するときにも慎重に各方面の意見を聞くべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  51. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 文部省令案につきましては、具体的にどのようなことを規定するかにつきましては、論議の趣旨も十分踏まえまして技術的な検討を加えてまいりたいと考えておるところでございますが、ただ、今後各大学に求められることは、多様な学生が入学することを踏まえ、その学生に高い付加価値をつけて卒業させることでございます。  大学としてそれぞれの教育機能を高めつつ、学生が求めるさまざまな課題に直面をしたときに、その問題をさまざまな試行を通じて解決していく能力をつけていくことが大学としての存在を確かならしめていくものでございます。そういうことであって初めて大学社会的責任を果たし得るわけでございます。そういうことを踏まえて、各大学において適切な対応がなされるというふうに文部省としては考えているところでございます。
  52. 林紀子

    ○林紀子君 多様化というふうにおっしゃられると、ですから逆に、やはり三年制でもいいんだよというところも生まれてしまうのではないかという心配もできるわけですけれども、そういう意味では、この課題探求能力というところを本当に実現していけるような立場に立って、ぜひ慎重な対応をお願いしたいと思います。  次に、私は、本法案について文部省が行いました各大学への説明ということについてお聞きしたいと思います。  文部省は、本法案を提出した直後の三月十九日に、全国国立大学事務局長関係者に対して、この法案の趣旨を佐々木局長が御出席なさって説明したと思いますけれども、そこで配付した資料というのを私も見せていただきました。  これを見ますと、例えば評議会権限については、部局の代表者により大学全体の重要事項を審議するという基本は変えておらず、評議会の権限を制約するということには当たらないというふうにメモにして書いていらっしゃいます。それから、教授会権限についても、学部教授会の権限が存在したとする場合においても、教授会の権限を制約するようなものではないというふうに書かれておりまして、佐々木局長から御説明があったということですけれども、これは間違いありませんね。
  53. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 今おっしゃられたものは、文部省の資料として配付したものではなかろうかというふうに思うわけでございますが、今回、評議会につきましては、暫定省令で書かれていた事柄を法律において明確に規定するとともに、教授会につきましては、学校教育法五十九条の規定というものの趣旨を明確にするという趣旨のことを説明いたした記憶はございます。
  54. 林紀子

    ○林紀子君 そこで大臣にお聞きしたいんですけれども、今、各大学評議会教授会内規というのをそれぞれ持っていると思うわけです。今の説明からいたしますと、各大学が定めている評議会教授会の内規、これについては権限を制約するものではないというのですから、法改正されましても、これは変わらない、大学判断に任される、こういうふうに理解していいと思うんですが、いかがでしょうか。
  55. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 今回の改正案では、大学教育研究に関する自主性を尊重しつつ、大学としての合理的で責任ある意思決定を可能とする体制をつくるという観点に立って、評議会学部教授会等の機関が本来果たすべき役割、すなわち評議会教授会については、学長学部長との関係において審議機関であることを法律上明確にいたしたわけでございます。  したがって、評議会教授会は、大学学部意思形成において重要な役割を果たす機関ではございますが、大学における意思決定機関とすることは今回の改正法の規定に抵触するものでございます。したがいまして、そのような学内規則は適切ではなく、仮にそのような趣旨の学内規則が存在する場合には改正の必要があるというふうに考えているところでございます。
  56. 林紀子

    ○林紀子君 私も今ここに幾つかの大学の内規を持っているわけですけれども、それには、評議会は全学的事項に関する最高意思決定機関、教授会学部の最高意思決定機関というふうに書かれておりまして、ある大学では、次の各号に掲げる事項評議会の審議、決定を経なければならないということで、学則その他重要な規定の制定、改廃に関する事項、予算に関する事項等々、また、内規の制定及び改廃に関する事項とか教官の研究に関する事項など十一項目にわたって教授会の審議、決定を経なければならない、こういうふうに規定で書いてある学部もあるわけです。  そうしますと、今の局長のお答えでは、こういう規定というのは変えなければいけない、こういうことになるわけですか。
  57. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 評議会教授会の性格、すなわち最高意思決定機関ではなく審議機関であるということ、また評議会教授会審議事項については法律に具体の規定があるわけでございます。  したがいまして、法令の規定に照らして、それに抵触する内規につきましては改正の必要があると考えているところでございまして、文部省といたしましては、各大学において法改正趣旨に即した適切な対応を求めてまいりたいと考えております。
  58. 林紀子

    ○林紀子君 大学の事務局長さんを集めて佐々木局長が御説明をなさった、評議会の権限を制約するものではない、教授会の権限を制約するものではない、そういう大学側に対する説明と今お答えになったことというのは矛盾するんじゃないんですか。おかしいじゃないですか。こういう内規をどうするかというのは大学側に任せるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  59. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 例えば教授会で申しますと、学部教授会の本来の役割ということを今回法律上明確にしたわけでございます。その明確化した法律趣旨に沿った適切な対応が各大学においてなされるべきである、その意味で、法の規定に抵触するものについては所要の改正が必要になると考えているところでございます。
  60. 林紀子

    ○林紀子君 私も、前回質疑をいたしましたときに、現状ではまさに評議会教授会というのは意思決定機関にほかならないということを現状を出して申し上げました。そして、大臣局長からもるる答弁をいただきましたけれども、特に大臣の御答弁というのは聞けば聞くほど、評議会教授会意思決定機関で、その決定を受けて学長が執行する、責任をとる、そういう実情だということが明らかになったと思うわけです。評議会教授会が審議機関というこの文部省の現状認識というのは全く事実を無視したものだというふうに思ったわけです。そしてさらに今、こういう内規まで変えろということは、まさに文部省大学に対して口出しをする、大学自治への重大な介入じゃないかというふうに思うわけです。  大学関係者への先ほど申しましたメモ、法案説明資料では、この法律案においては制度の基本的な枠組みを決めたものであり、その枠組みの中で大学全体のもの、学部固有のものを区別して大学運営の効率化を図るものであるため、これが大学運営の画一化を招くものとは考えていないというふうに局長みずからの言葉でお話しなさっているわけです。内規まで変えさせるというのは、議事手続まで規定するというのは、まさに画一化以外の何物でもないと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 私が会議教授会について申し上げたことは、大学の自主性というものを尊重するという観点に立って教授会が本来の役割を離れ肥大化しているそういう状況というものを踏まえ、教授会運営が適正化されることを期待し、学部教授会の本来の役割法律上明確にするという趣旨を述べたわけでございます。  そういった点を踏まえつつ、大学運営については、評議会法律で明定し、評議会教授会との関係の整理を図ったわけでございます。そういったことを通して大学運営の基本的な枠組みというのを確立し、大学一つ組織体として社会的責任を十分に果たし得るような組織運営体制というものを整えることを企図しておるわけでございます。  それぞれの大学においては、このような意思決定システムというものが整うことを通して大学の自律性が高まるというふうには考えておるわけでございます。各大学においては、このような基本的枠組みのもとで、例えば新たな学問分野や学際領域への対応ということも積極的に進むわけでございますし、あるいは学外との連携協力などについてもより適切な対応が可能になると考えるわけでございます。そういった取り組みは、それぞれの大学が置かれた社会的条件等を見ながら自主的に決めていくべき事柄でございます。  したがいまして、基本的な組織運営のシステムを整えたからといって、具体に行われる大学運営が画一化するというようなことは決してないと考えているところでございます。
  62. 林紀子

    ○林紀子君 最後に、今るるお答え聞きましたけれども、やはりこの法案というのは大学自治への侵害であるということを思わざるを得ませんので、そのことを厳しく指摘しまして、質問を終わります。
  63. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 まず最初に、運営諮問会議についてお伺いいたします。  運営諮問会議学長に対して助言、勧告を行うことになっておりますが、助言、勧告の対象を学長とした理由は何なのか。そしてまたそれは、大学の主体性はその場合確保されるというのか。確認質問でございます。大臣、いかがでございましょうか。
  64. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 運営諮問会議大学運営に関する重要事項について広く社会から意見を聞くための機関でございます。したがいまして、その助言、勧告については、学長大学運営の最終的な意思決定及び執行の責任者であることから、学長に対してなされることとしたものでございます。また、運営諮問会議の審議や助言、勧告を踏まえ大学としてどのように対応するかにつきましては、各大学の自主的、主体的な判断にゆだねられておるところでございまして、個々の大学教育研究の主体性を侵害するというようなことはないと考えております。
  65. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 次に、第三者評価制度についてお伺いいたします。  昨年九月の本委員会で私はこの件に関して質問を申し上げましたが、今回の大学審議会の答申にも盛り込まれております。第三者評価というのは、普通考えられるのは三つぐらいあろうかというふうに思います。  例えば、実質的な資格を問う基準評価、これは一般的にアクレディテーションというふうに言われているものでございます。それから次には、教育研究の内容を評価するエバリュエーションと言われるもの、また三番目には、評価項目についての順位づけ、いわゆるランキングと言われているもの、一般的にはこういう評価基準というものがございます。  例えば、イギリスでは各科ごとに専門家委員会というものを設けまして、教育面で四段階、研究面では七段階に分けた評価をしております。そういうシステムを持っております。そして、それが予算配分にもかかわってくるわけでございますが、今回文部省としてお考えになっていらっしゃいます第三者機関による評価というのは、どのような内容を考えていらっしゃるのでしょうか。今検討されているということでございますが、まず、検討状況についてお伺いいたします。  そして、大臣大臣の基本的なお考えをお伺いしたいと存じます。
  66. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 第三者評価機関の検討状況でございますが、平成十一年度予算において創設準備を行うこととされております。したがいまして、現在、その評価内容、方法をどうするのか、実施体制、機関の組織体制をどのようにするか等について調査、準備を行っている段階でございまして、大学関係者等にお集まりいただいて議論を進めている状況でございます。
  67. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 日本の大学教育研究の質の向上を図るためには、やはり私は自己点検というもの、自己評価というものの充実を図らなきゃいけないと思っております。第三者評価の導入ということは、私もかねがね主張している人間でございますが、やはり第三者評価を導入して公平公正に、大学教育研究の内容、方法改善につながる多元的な評価システムを確立することが必要であると思っております。  例えば、先ほど先生御指摘のアクレディテーションという、教育研究環境がどうかという、こういうことに関してもぴしっと評価をし、劣悪であればそれに対してすぐに対処するということを忠告していただくことが必要であると思っております。それからまた、エバリュエーションとおっしゃっておられましたけれども、研究教育の質ということがやはり問題になります。こういう点でも、第三者評価によって、しかるべき意見大学に対してしていただくということが必要であると思っております。  こういうふうな観点から、昨年十月の大学審議会答申でも提言されておりますように、第三者評価機関を設置し、教育活動、研究活動など大学の行う諸活動について多面的な評価を行い、評価結果を各大学にフィードバックして各大学教育研究活動改善に役立てていくことが必要であるというふうに考えております。  特に、国立大学は何といっても大きな公費で運営される国の機関でございますので、社会的責任を果たしていくことが求められております。そういうことから、評価の主たる対象は国立大学とし、国公私立のうちで国立評価の主な対象になりますが、公立、私立大学につきましては、設置者である地方公共団体や学校法人の希望により評価の対象とすることが適当であるかと考えております。  国立大学の予算配分に際しましては、先生、ランキングというふうなことで順番をイギリスなどはつけている、そしてそこでは予算配分にまで影響しているというふうな御指摘がございましたけれども、国立大学の予算配分に際しましては、大学審議会答申において、「第三者機関による評価が参考資料の一部として活用されることが考えられる」としているところでございます。各大学教育研究活動の個性を尊重しつつ国際的な水準を確保するためには、基盤的な経費の充実とともに、教育研究上のすぐれた取り組みや教育研究活動の水準向上の努力を正当に評価し、きめ細やかな評価情報に基づいて、より客観的で透明な方法として、適切かつ効果的な資源配分を行う必要があると考えております。  こういうふうなことを考えまして、文部省といたしましても、第三者評価機関の創立に向けて調査、準備を進めてまいりたいと考えております。
  68. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 いつごろまでに具体的な姿があらわれてまいりますか。
  69. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) でき得れば、平成十二年度概算要求に向けて整理をしてまいりたいと考えております。
  70. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それまでには何らかの形で途中経過を私たちが知ることはできますか。
  71. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) できるだけそのように努めたいと考えております。
  72. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その次に質問をさせていただきたい問題は、大学の国際化ということでございます。  日本の大学教育改革におきまして、国際化ということは非常に重要な課題であろうというふうに思います。また、大学審議会の答申にもそのようなことが触れられておりました。  ところで、まず最初大臣にお聞きしたいのでございますが、私たちはいわゆる大学の国際化という言葉を普通使っておりますけれども、大臣大学の国際化というのはどういうことなのだというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。また、その指標というものはどういうところに考えられるというふうにお考えでしょうか。  英語で言ってしまいますと、グローバライゼーションという言葉もございます。インターナショナリゼーションというのもございます。しかし、インターナショナリゼーションというのは余り外国では使っていない。ですから、国際化の言葉は何かという限定をいたしますとかなりそれだけでも一時間以上かかってしまうかもわかりませんので、いわゆる日本で使っている大学の国際化ということでお話をいただければと存じます。
  73. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 国際化という意味がどういうことか、英語で言ったらどうかというお考えをお聞きしましたけれども、日本で普通に言っている国際化という点からお答え申し上げます。  私は、率直に言って、随分日本の大学は国際化したと思っております。キャンパスのどこに行っても留学生が相当いるようになった。このことは一つの国際化の具体的な例であります。今から二十年前ぐらいには考えられなかったくらい留学生が多く来ておりますし、研究者も随分来ていると思います。こういう点で日本の大学は随分国際的に開かれたと考えております。  その際に重要なことは、それでは国際的に通用する教育研究システムが確立されているかということでありますが、まだまだ残念ながら十分ではない。そしてまた、国際的に活躍できる人材を育成し、国際的水準で評価されるすぐれた研究成果をつくり、それを発信していく、こういう点で今後さらにまた日本の大学は努力しなきゃならぬと思っています。  しかし、大学の名誉のために申し上げておきますが、今や幾つかの大学は、MITやハーバードのような一流の大学、オックスフォード、ケンブリッジより論文数ではむしろ上です。こういう点では日本の大学は随分頑張っているということを大学の名誉のために申し上げておきたいと思っております。  そういう点で国際的にかなりよくなってきた。しかし、例えば外国人留学生を受け入れる際に、どういう条件を満たしているかというふうな点でまだまだ弱いところがあると思います。もっと外国人留学生が喜んで来るように魅力のある大学をつくっていかなければならないと思っています。人材養成面での国際貢献ということを、外国人留学生、外国人研究生の面で大いに努力していかなければならないと思っています。これが一つの国際化の条件でございます。  それからまた、随分海外の研究者が日本の大学に来るようになりました。これは驚くべく多くなってまいりました。そういう面で、教員・研究者交流や海外との共同研究など教育研究面でより積極的に国際交流をしていかなければならないと思っております。  こういう点で、日本の大学がさらに大きく努力をして、本当の意味で国際的に魅力のある大学をつくっていくことを私は望んでいる次第でございます。
  74. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、大臣は国際化したとおっしゃいました。これは確かに過去と比べればという条件つきだと思います。  その指標と思われるものの一つとして留学生のことを今お触れになりましたので、その件についてまずお伺いしたいと思うんですが、例えばアメリカの大学で学ぶ日本人の留学生、アメリカだけに限定します、日本人の留学生というのは四万五、六千人でございましょうか。ところが一方、日本で高等教育を受けているアメリカ人は大体二千人程度なんです。これは大変な違いでございます。  文部省は留学生十万人計画というのを立てていらっしゃいましたけれども、これは残念ながらなかなか進捗状況はよくないのでございますが、この伸び悩みというのはどのようなところに原因があるとお考えですか。
  75. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 昭和五十八年に留学生十万人受け入れ計画を標榜して以来、おかげさまで着々と留学生の数がふえまして、平成五年には五万人を突破して右肩上がりでふえてきたのでございます。ただ、残念なことに、平成八年、九年と若干の減少を初めて見ました。  その原因をいろいろ考えてみますと、専門家の方々にも分析していただいたのでございますが、もう御承知のように、近年のアジア諸国の経済不況、日本においでになる留学生の九割ぐらいがアジア地域からの留学生でございますので、母国の経済事情にかなり左右される面がございます。  それから二番目には、宿舎を初めとする日本での生活コストがなかなか高くて大変であるということでございますとか、さらに申し上げますと、アジア近隣諸国でもそれぞれ国内に高等教育機関が整備されるようになってまいりましたので、留学するよりは国内の進学が多くなったという事情もあるやに伺ってございます。  いずれにしましても、日本が国際貢献をしながら、かつ近隣諸国を含めて外国の人材育成に貢献するというのは大きな役割でございます。私どもは、学識経験者から成ります懇談会でこれからの留学生政策を御検討いただいて、先般御報告いただいたのでございますが、そこの御指摘では、十万人というのはなかなかちょっと道が遠い部分がございますけれども、その量的な目標は維持しながらも、単に量だけを追いかけて留学生を粗末にするのではなくて、せっかくおいでになった留学生の方々が気持ちよくお帰りになるような、そういう一人一人を大切にするような質的な充実での留学生政策を進めていこうではないかという御提言でございます。  その質的な充実のためには、今し方大臣からも御答弁申し上げましたように、一つには、世界じゅうでいいますとアメリカが圧倒的に留学生を引きつけているわけでございます。それは何かといいますと、教育研究の水準、環境等で外国の方々を引きつける要素があるわけでございます。日本としましても、留学においでになるような入国の手続あるいは宿舎事情等々の問題も引き続き改善しなきゃいけない要素がございますけれども、日本の大学が外国の方々からも、留学生のみならず研究者の方々からもいわば魅力を感じていただけるようなレベルアップ等、教育研究環境の整備が必要であろうと認識しているわけでございます。  ちなみに、留学生関係につきましては十一年度予算で、総理のサポートもございまして、他の事項に比べましてかなり大きな拡充をしながら充実姿勢を見せているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  76. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、いわゆる十万人計画というような到達年次がございました。それまでに十万人になる可能性はちょっと今のところ希望がないのでしょうか。
  77. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 昭和五十八年に十万人計画を標榜しましたときは、目標年次ははっきり明示しているわけではございませんが、二十一世紀の初頭には十万人を目指そうじゃないかということでございまして、間もなく二十一世紀を迎えようとしている中で、今五万人台でございますので現実的にはちょっと難しいかなと思いますけれども、引き続き努力してまいりたいと思っております。
  78. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 事実、二十一世紀が目の前にあって、そして、その十万人の半分というのは、これはかなり厳しい数字だろうというふうに私は思います。  ですから、量的拡大よりは質的にというふうにおっしゃいましたが、方向転換をなさったわけでございますね。もちろん質的にというのは当たり前の話であります。その質的な方でございますが、今のお言葉の、魅力ある、引きつけるという、どういうところで一体外国人の留学生が魅力ある日本の大学と思うのかということにはいろいろと条件があろうかというふうに思います。住宅問題も先ほどおっしゃいましたし、また奨学金の問題もありましょう。言葉の問題もありましょう。それからまた、カリキュラムの問題、教育方法、そういった問題もあると思います。  また、先ほど大臣もおっしゃいましたが、国際的に通用するかどうかということもこれは非常に大きいんです。その中の一つに、学位とか単位のそういった価値の等価性といいましょうか、あるいはまた互換性、そのことが保障されるということはやっぱり非常に重要なことだろうというふうに思います。  そういった具体的な例といたしまして、日本の大学は特に人文・社会関係ですと博士号が非常に少ないというふうに言われておりますけれども、これは今後どのような対応を考えていらっしゃるのでしょうか。
  79. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 人文・社会系の分野における学位の授与でございますが、近年徐々に改善されつつあるとはいえ、御指摘のように依然低調なものがございます。  これにつきましては、基本的には大学関係者の意識改革が必要なわけでございますが、文部省といたしましても、例えば新たに大学院設置するに際して、学位授与について強く指導することもいたしておりますが、一般的に学位授与の円滑化に向けて教育指導体制のあり方改善を要請しているところでございます。大学によっては、博士課程における論文執筆のプロセスを明確にして学生に示すこと、あるいは論文申請体制を改善すること等の取り組みをしているところもございます。これにより、授与状況改善が見られる例もございまして、引き続き文部省としてもそれぞれの大学の努力を促してまいりたいと考えております。
  80. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 他の国とどのくらいの違いがありますか。これはたしか数値があると思います。それは通告しておりませんでしたけれども。
  81. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 例えば東京大学の人文社会研究科の学位授与状況で申しますと、平成元年度が二人でございます。それから、二、三年度がゼロでございましたが、それが八年度、九年度には三十人となってございます。
  82. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 国際比較は。
  83. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 平成七年度で申しますと、日本は……
  84. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それでは結構です。  少ないということだけはお認めの上でのお答えですね。わかりました。  国際比較をいたしますと、数値で出していただくのが一番よかったのかもわかりませんが、少ないことが当たり前だと私は思っておりましたけれども、やっぱり皆様に数値をお示しするのがより賢明であったというふうに、今御質問しながら突然反省いたしましたので、そういうふうに聞きました。  それでは、時間がございませんから次の質問にいたします。  国際化のもう一つの重要な課題というのは、留学生と同時に外国人教員の任用でございます。日本におきましては、外国人教員と呼ばれている人々と、それから外国人教師と呼ばれている人々というふうに分かれているというのもまたこれは不思議なんですけれども、いわゆる外国人教員、これは外国人教員任用特別措置法に基づくもので、これは一九八二年からでございます。その方たちは教授とか助教授、講師になれる道がそのときから開かれたというわけです。国立大学で今そういう方々が六百六十二人いらっしゃいます。平成元年の百二十名ということから比べますと、たしか大臣がおっしゃいましたように、非常にといいましょうか、六倍近くふえているということは確かでございます。  しかしながら、国立大学の日本人の教官も入れて全教官を含めると一%弱でしかないわけです。だから、これを多いと思うのか、あるいは多くないと思うのか、それは認識の問題だと思いますけれども、やはり私はこれは少ないというふうに思います。他の先進国の大学と比べると非常に少ないというふうに思います。  今回の法改正によりまして女性の教員がふえる可能性があるというふうなお言葉がございました。外国人のいわゆる教員の方もふえるということが約束されるものでございましょうか。今回の法改正に基づいてということでございます。
  85. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 今回の法改正で一番重要なことの一つでありますが、教授会に参ります際に、学部長大学教員人事に関する方針を述べることができるようになります。このことは極めて重要だと思っています。  各大学が定める教員人事の方針において、例えば他大学の卒業生をもっと多く採れとか、女性の教員をもっと多く採れとか、社会教員の採用を促進せよ、あるいは教育能力を重視せよ、そしてその中で外国人教員の採用を促進せよ、こういうふうなことについて大学の方針を学部長から教授会に伝える、そこで教授会として判断をして、そういう目的にふさわしい人材を選んでいくことができるようになるということが私は大変期待をしていることであります。  もちろん、大学における教育上大切な人事でございますので、教員人事ということは各大学がそれぞれの責任に基づいて適任者を選考するように努めるべきでございますが、昔から外国人教員の積極的な採用が重要であるということは指摘されておりますので、各大学においてより積極的な対応を期待いたしているところでございます。
  86. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 時間がなくなってしまいましたので、これはもうお答えなしでも結構だと思います。  今、大臣がおっしゃっていただきましたけれども、現実には国立大学のいわゆる外国人教員といいましてもほとんど八割近くが任期つきでいらっしゃいます。そして九七年に、日本の大学教員全体、日本人の方たちでございますが、大学教員の任期制が法制化されましたけれども、この大学教員任期制と外国人教員の任期制とは別枠になっております。それからまた、教授会で議決権を持つ教員、これは教員の場合には議決権はあると思います、教授会に出られるわけですから。しかしながら外国人教師の場合、これは単にオブザーバーでございます。それからまた、管理職への登用というのは全く日本では考えられておりません。こういうことは非常に国際的には通用しないことであります。  これからの日本が国際的に活躍をしていく、そしてまた日本がグローバルスタンダードというものを求められている、そういうときには、残念ながら日本のグローバルスタンダードというのはアメリカ、ヨーロッパでございます。先ほど大臣がおっしゃいましたように、日本から発信できるグローバルスタンダードをつくっていくには、まず日本の国立大学が国際化するということが非常に重要な課題であるということを申し述べさせていただきまして、質問を終わります。
  87. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  89. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、本法案が大学自治を侵害し、学長中心の新たな管理運営の枠組みを大学に押しつけるものだからです。  国立大学では、長年の慣行として、全学的な意思決定機関として評議会を、学部意思決定機関として教授会機能させてきました。ところが、今回の審議を通じて文部省は、評議会教授会は審議機関にすぎず、大学意思決定と実行に責任を負うのは学長学部長との見解を押し通し、各大学に押しつけようとしています。これでは、大学の慣行を無視した学長学部長らのトップダウン押しつけ法案と言わなければなりません。  そして、学長の権限強化のために現行評議会教授会を大きく変質させようとしています。  国立大学は、学問・研究の自由を保障する立場から、評議会教授会構成はもとより、審議事項、議事手続も各大学が独自の慣行として定めています。ところが、本法案は、評議会構成並びに審議事項まで定め、役割分担の名のもとに、教授会審議事項学部にかかわる三項目に絞ってしまいました。教授会の弱体化、形骸化をねらったものであることは明らかです。  また、運営諮問会議については、既にさまざまな形でアドバイザーを置いている大学もあり、法律省令設置を義務づけるべきではありません。勧告権まで付与することは、外部からの教育研究に対する介入につながるおそれがあります。  第二に、例外的措置とはいえ大学三年で学部卒業を可能とすることは、参考人も危惧の念を表明していたように、学生の学力と質の低下を招くものとして認めることができないからです。  今必要なのは、こうした改革の押しつけでなく、参考人陳述にあったようにボトムアップによる民主主義の徹底です。大学人みずからによる自主的、創造的改革を励ますことです。そして、定員削減でなくスタッフの充実、高等教育予算の増額を図り、施設設備の抜本的改善を進めることです。  このことを強く主張して、反対討論といたします。
  90. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  学校教育法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、江本孟紀君から発言を求められておりますので、これを許します。江本孟紀君。
  93. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、新たな時代の要請のもとでの学問の自由や大学自治に留意しつつ、大学改革を積極的に推進するため、この法律実施に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、三年以上の在学で大学の卒業が認められる在学期間の特例については、例外的措置である本制度の趣旨を踏まえ、導入の前提となる厳格な成績評価等、実施に当たっての要件を明確にするなど制度の適正な運用が確保されるよう努めること。  二、大学運営に当たって、学長評議会の審議を尊重し、また、学部運営に当たって、学部長教授会の審議を尊重するなど、適正な運用が確保されるよう努めること。  三、運営諮問会議については、その制度の運用に当たって、大学教育研究の自主性を尊重しつつ、大局的な見地からの意見が広く各界から取り入れられるよう配慮すること。  四、大学教育研究等の状況の公表に当たっては、公共的機関としての大学に関する情報公開への社会的要請に幅広く応えるとともに、積極的な情報発信に努めること。  五、先進諸国に比べ高等教育に対する公費負担の少ない我が国の実情に鑑み、大学高等教育機関活性化と各大学の個性的かつ創造的な発展を図るため、財政措置の拡充を含む必要な諸条件の整備に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  94. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいま江本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 多数と認めます。よって、江本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、有馬文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。有馬文部大臣
  96. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  97. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会