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1999-04-15 第145回国会 参議院 文教・科学委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         南野知惠子君     理 事                 狩野  安君                 馳   浩君                 江本 孟紀君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 世耕 弘成君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 佐藤 泰介君                 本岡 昭次君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 田名部匡省君    国務大臣        文部大臣     有馬 朗人君    政府委員        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文化庁次長    近藤 信司君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国立教育会館解散に関する法律案内閣提出  )     ─────────────
  2. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。  国立教育会館解散に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 馳浩

    馳浩君 自由民主党の馳です。よろしくお願いいたします。  国立教育会館解散されることになりますが、これによりましてどの程度の整理合理化の効果が上がるのか、会計職員数の両面から教えてください。あわせて、移動する職員勤務先は今後どうなるのか教えていただきたいと思います。
  4. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 御指摘のございました国立教育会館につきましては、本法律案に基づきまして、成立後二年以内に解散するということにしておるわけでございますが、解散に先立ちまして、今後、平成十二年四月一日以降は貸し館業務を行わないということで法案改正をお願いしているところでございます。  したがいまして、これに先立ちまして、具体的には平成十二年一月一日から施設維持管理にかかわる業務外部委託したいと考えておりまして、これに伴いまして、現在八十一名の職員を二十名削減したい、平成十二年一月一日から削減したいと考えているところでございます。  また、経費関係につきましては、研修事業等も、当面の経費の節約並びに定員二十名の削減に伴う三カ月分の人件費、合わせまして、平成十一年度の予算におきましては五千七百二十五万六千円の経費節減を予定しているところでございます。
  5. 馳浩

    馳浩君 これは質問事項に入っていなかったんですが、今現在負債がどのぐらいあって、その負債がどうなるのでしょうか。一応私の手元の資料では七億二千八百二十八万円の負債があるということなんですが、これは解散に当たりましてどうなるのでしょうか。
  6. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) まず、先ほど答弁が漏れましたことをおわびいたします。  十一年度中の定員削減に係ります職員並びに解散時に残ります職員雇用の確保につきましては、対象職員の意向を十分踏まえつつ、業務移管先機関、さらには施設等管理していただく機関等含めまして、雇用につきましては万全を期したいと考えているところでございます。
  7. 馳浩

    馳浩君 負債について。
  8. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 平成十年度末現在で二十三億一千二百三万四千円の欠損金があるわけでございますけれども、これらはいずれも建物等減価償却に伴う欠損ということでございまして、国が出資いたしましたその減価償却分を、一般企業と違いまして積み立てていくということにはなっておりませんので、その分が目減りをしているということでございまして、事業に伴う欠損金ではございません。
  9. 馳浩

    馳浩君 解散に伴いまして、それの会計処理は今後どうなるんですか。
  10. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) その解散の前に、十二年四月一日から貸し館業務を行わないことになりますので、その時点貸し館業務に係る建物等につきましてはこれを国の方に返していただく、国が出資したものでございますので返していただくという手続をとらせていただきたいと思っておりますが、なお残った部分につきましては、教育会館本部事務室あるいは情報いじめ対策センター等として使う部分がございますので、これにつきましては、引き続き解散するまでは教育会館が使わせていただきまして、解散時点では、これらにつきましては、その後に予定しております適切なこれらの業務移管機関に引き継ぎたいと考えているわけでございます。  資産額といたしましては、国の方に返していただく分につきましては、この減価償却した後の金額ということで帳簿上は返していただくということになろうかと思っております。
  11. 馳浩

    馳浩君 いや、今、負債が二十三億ほどあるということなんですが、それが、解散したことによって会計上の処理をどういうふうにされるんですかという質問なんです。私、今のお答えだとちょっとわかりづらかったのです。  一般会計に戻るわけですよね。戻った後、どういうふうな処理になるのかという質問でございますので、簡単に。
  12. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 失礼いたしました。  戻った後は、出資の残額につきましては一般会計帰属するという処理になろうかと存じます。
  13. 馳浩

    馳浩君 いや、だから、二十三億のそれが一般会計に戻ってどうなるかということです。減価償却の分も一般会計に戻るんでしょうけれども、戻ってどういうふうな処理を今後されるんですかという質問です。
  14. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) この負債及び資本の処理というのは、現在の特殊法人としての教育会館貸借対照表上の処理でございまして、土地あるいは建物は、そのまま出資した形で、時間が経過した古い形で一般会計に戻ってまいりますので、実質的な意味での負債を国が負うということにはならないわけでございます。
  15. 馳浩

    馳浩君 実質的にはその負債を国が負うことにはならないということなんですか。もう一度お願いします。
  16. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 一般会計に引き継ぎます際には、欠損金処理いたしまして、その時点での資産額という形で一般会計にその部分を引き継ぐということで処理することになっております。
  17. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) もう少しわかりやすくお願いできますでしょうか。
  18. 馳浩

    馳浩君 済みません、ちょっと私わかりませんので、もう一度お願いします。
  19. 小野元之

    政府委員小野元之君) この特殊法人が最終的に解散した場合の残余財産帰属の問題でございますが、実はこの法案におきましては、とりあえず貸し館業務をやめるということは明確にしておるわけでございますけれども、最終的な帰属がまだ現時点では決まっておりません。  したがいまして、いずれにいたしましても、特殊法人解散する時点清算をいたしまして、それが別途の法人移管するのであれば、清算をした上で、プラス財産それからマイナス財産それぞれを新しい法人に引き継ぐということになります。  それから、仮にこれが国の機関移管をするということでございますと、先ほど御手洗局長からお話しございましたように、一般会計の方に移管をいたしまして、それぞれ清算手続を行って国に移管をするということになるわけでございます。
  20. 馳浩

    馳浩君 私の頭が悪いのかもしれませんが、特殊法人を整理統合してということの一環で今回の解散が出てきて、にもかかわらず、また国にこの業務とかを移管するということも考えられるということで理解していいんですか。
  21. 小野元之

    政府委員小野元之君) 特殊法人としての業務自体は、もちろん研修業務等ございますが、これはいずれにしても引き継いでやっていかなきゃいけないわけでございまして、どういう形になりますかはまだ決まっておりませんが、これが仮に別の法人移管するのであれば、その時点で、その資産とともに、それにつきます負債等移管をすることになると思われます。  それから、国に引き継ぐということになりますると、それについては清算をいたしまして、国に対しては、残った財産一般会計帰属させるということになるわけでございます。その時点負債が、もちろん実質的な負債はないわけでございますけれども、資産がございまして、それについての減価償却負債がついているわけでございますので、清算をいたしますと最終的にはプラス財産にしかならないと思いますけれども、いずれにしても、そういった手続を行う必要があるというふうに考えております。
  22. 馳浩

    馳浩君 わかったようなわからないような、後で私も自分なりによく理解したいと思います。  大臣にお聞きしたいのは、特殊法人整理合理化という大きな行革の柱としての解散一つ、これは文部省関係では国立教育会館解散ということになりますが、先ほどからお聞きしているように、業務移管というのはこれはあると思います。ただし、それに伴いまして、いわゆる焼け太りということがないように、こんなのは当たり前のことだと思いますが、考え方一つの柱として私は大臣にもこの哲学をお聞きしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  23. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 国立教育会館というものは、今のところ、各地方公共団体において指導的な立場に立つ教育関係者研修事業、私もたびたびそこで講演をしたことがございますが、そういう研修事業や新しい教育課題に対する研修というふうなことを実施しておりますほかに、教育に関する情報資料収集・提供する事業を実施いたしております。こういう事業につきましては、国立教育会館解散後においても、ほかの適切な機関、例えば国立教育研究所などへ移管するというふうなことを今考えているわけであります。  今回の解散につきましては、既に平成十一年度予算の編成において、研修業務の見直しを行うとともに、施設維持管理業務外部委託に伴い二十名の定員削減等を行っているところでございます。なお、解散後の業務移管に伴ってさらに職員をふやすことは考えておりません。そういう意味では直接焼け太りというふうなことは考えておりません。ただ、文部省関連業務アウトソーシング等を進める場合には、業務量に応じた改正を検討していかなければならないと思っております。そういう意味で、いわゆる焼け太りというふうなことを考えてはいないということを申し上げておきます。
  24. 馳浩

    馳浩君 貸し館業務平成十一年度限りということになるわけですが、私も虎ノ門ホールなどたびたび訪問させていただいたこともあるんですが、平成十一年度限りということになりますと、平成十二年度からは、その貸し館業務をしない施設利用計画は今後どうなるんですか。
  25. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 平成十二年四月一日から、教育会館本部事務室あるいは教育情報センターいじめ対策センター等として使用する部分を除きましては文部省管理とさせていただきまして、文部省の庁舎や事務室あるいは会議室という形でその部分利用させていただきたいと考えているところでございます。
  26. 馳浩

    馳浩君 さて、先ほどから話もありました、この国立教育会館がやっておりました業務研修事業とか教育情報提供といった業務、これは重要な業務だと思いますが、これがどこへ移管をするのかというのが一つの焦点であると思います。どこですか。
  27. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 国立教育会館を廃止するための平成九年六月六日の閣議決定におきましては、残ります教育研修情報収集等業務につきましては国立教育研究所等移管するということになっているわけでございます。  国立教育研究所文部省所轄機関でございますので、ここに業務移管いたしますと、特殊法人業務が国の業務に返ってくるということで、国の業務が膨れ、あるいは職員も抱え込んでくるというような難点がございますので、今後、解散の期限でありますこの解散法成立後二年以内に適切な業務移管機関を検討してまいりたいと考えているところでございますが、その際には、文部省がまだ直接行っております研修あるいは情報関係事業も、省庁再編に伴います全体の国の業務アウトソーシング化あるいはスリム化ということも含めて適切に検討してまいりたいと考えております。
  28. 馳浩

    馳浩君 平成九年六月六日の閣議決定によりますと、この研修情報収集等業務移管先国立教育研究所等になっているわけですね。独立行政法人、これも一つ視野に入っていると思うんですが、特殊法人整理合理化してその業務国立教育研究所、国の機関にまた返ってくる、これもおかしな話であります。  では、今現在ではどう考えても国立教育研究所が適当な、妥当な業務移管先だとは思うのですが、「等」とあるわけでありますから、それを考えますと、特殊法人整理合理化をしてその業務が国に戻ってくるというのはまさしく焼け太りですよ。そうならないようにするためには一つの何か形がある、それは独立行政法人化なのかなと私は思うのでありますが、それに二年間がかかると。大体どう考えても、だれが考えたってそうするしかないだろうというのに、二年間は余りにもかかり過ぎなんじゃないか。はっきりと明言をして独立行政法人化しますよと、そこにその業務移管しますよということをこの法律で明言すべきじゃなかったのかなと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 御指摘のとおり、解散後の業務移管機関ということをきちっと明示して法案をお願いするということが基本であろうかと私ども思っているわけでございますけれども、今御指摘ございましたように、文部省全体としての研修、あるいは情報関係業務スリム化してアウトソーシングするということとあわせまして、御指摘ございました独立行政法人化一つ視野に私ども検討させていただきたいと考えているところでございますけれども、現在、独立行政法人の具体的な制度がまだ確定をしていない段階でございますので、この確定を待って、その制度にきちっと乗るものであるか否か、あるいは乗るとすればどういう形に乗っていくのかという点を十分見きわめて検討する必要がございますので、二年間という解散猶予期間をいただくという形で法案をお願いしているところでございます。
  30. 馳浩

    馳浩君 今回の法律では引き継ぐ業務移管先を明示していないわけですね。法律明文化していないですね。  では、これは仮の話ですが、独立行政法人移管するとなったときには、そのための法律をつくって、それに明文化をしてちゃんとやるんですね。これは確認です。
  31. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 先ほども申し上げましたように、現在、独立行政法人制度というものがまだ実は見えていないわけでございます。一般的に私どもの今までの法律的な感覚で申し上げますと、独立行政法人設置のための新しい法律というようなものをお願いするということになろうかと考えてはおりますけれども、具体的にまだ独立行政法人をどういう形でどういう手続で設置するという基本的な形が見えておりませんので、独立行政法人移管するということに決定いたしました際には、新しい制度にのっとってきちっとした手続をとらしていただきたいと考えております。
  32. 馳浩

    馳浩君 だから、解散するときにこうやって法律をつくって解散しますと言っているんですから、新しく移管するときにも、これはたらればの話で申しわけないんですけれども、独立行政法人化をしてそこにまた移管するというときならば、まさしく我々国会のチェックが必要なわけでありますから、法律明文化をするんですねという確認だったんです。ですから、もちろんそうしてもらわないと我々もチェックをすることはできないわけですから、お願いしますということなんです。  と同時に、独立行政法人化をするということは、なぜするかということなんです。行革一つの大きな柱であるわけでありますから、それを考えると、これまでの業務いろいろありましたが、私も存じ上げておりますが、例えばあらゆる研修情報提供業務、これを精選し、民間への委託、さらには地方との役割分担、こういったものも行った上で独立行政法人化をしていただきたいということになるわけです。  決まったわけではありませんので、たらればの話を余り議会でするのはなにとは思いますが、でも、選択肢としては国立教育研究所かあるいは独立行政法人化かどっちかしかないんです。今どっちか確定していないから口ごもった言い方で、言えないとは思いますけれども、どっちかしかないわけであります。でも、これは行革一つの大きな柱なのでありますから、そうなった場合には法律にちゃんと明文化をして、そして事業の精選をして、民間委託できるものは民間委託する、地方でやってくださるのなら地方でどうぞやってください、その上でスリム化をして移管していただきたいというのが私の意見なんですけれども、いかがでしょうか。
  33. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 事業スリム化も含めまして、御指摘趣旨を十分踏まえて適切に対処してまいりたいと存じます。
  34. 馳浩

    馳浩君 それでは最後質問になります。  実は、特殊法人に対する文部省の方からの経費別補助金額という過去五年間の資料を読ませていただきまして、国立教育会館は今回解散されるんですが、過去四年間は着実に補助金の額が減っているんです。ところが、平成十年度から十一年度、つまり今年度予算では大幅にふえているんです。平成十年度が十三億一千八百万円、平成十一年度が二十億一千九百万円。職員設置費が八億一千九百万円から十一億一千八百万円、およそ三億ほどふえているんです。  なぜ、解散をする国立教育会館に対して補助金の額が、過去四年間着実に減っているにもかかわらず、この一年間で大幅にふえているのか。特に職員設置費というのは、これは職員設置費ですからお給料だとは思うんですけれども三億、三億あれば今どき民間だと何人ぐらい雇えるのでしょうか。退職金ですかね。  そういう意味でも、この資料だけでは私もちょっとわかりませんので、なぜ平成十年度から十一年度大幅にふえているのか。管理運営費も四億九千九百万円から九億百万円、五億もふえているんです。どういう意味があるのかというのをお伝えいただきたいと思います。
  35. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 平成十年度の当初予算補助金出資金が十五億二千三百八十三万二千円でございます。これに対して平成十一年度の当初予算が、補助金出資金合わせまして二十億四千八百六十二万六千円ということで、五億二千四百七十九万四千円ふえているということはそのとおりでございます。  これは一つには、職員の問題につきましては先ほど二十人定員を減らす、こう申し上げました。この職員退職金相当額平成十一年度予算として組ませていただいた分がふえたということが一番大きな要因でございます。  そのほかには、新たな研修事業といたしまして、昨年の補正予算におきまして、通信衛星利用して各都道府県の教育センター等とネットワークを結びまして教員研修事業をやっていきたいということで、一つ情報教育関係プログラム、それからもう一つカウンセリング関係プログラム、こういった新たな研修放送プログラムを実施するための回線経費あるいはプログラム製作経費、こういった新たな事業としてふえたものでございます。
  36. 馳浩

    馳浩君 解散しようとしているのに、何で新たな事業が必要なんですか。
  37. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 教育会館解散の基本的な理由は、昭和三十九年につくったわけでございますけれども、一般的に教育関係者研修会議等利用に供するという貸し館業務、これが時代の変遷とともに他に代替施設がたくさんできてきている。そういった状況にかんがみまして、現時点では、そういった民間が十分行い得るような業務というものは廃止すべきであるということで、これを廃止するために解散をするということでございます。  閣議決定におきましても、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたように、教員の全国的なレベルで行います研修、あるいは近年非常に教育水準の向上のために重要となっております情報関係事業の全国的な水準のレベルアップ、このための事業で引き続き国として行うべきものにつきましては精選しながらやっていくということでございますので、文部省として新たな情報関係事業をぜひやってもらいたいという企画立案をいたしまして、その実施のための経費を、教育会館に従来の考え方に沿ってつけていただいたということでございます。
  38. 馳浩

    馳浩君 この法案は私は賛成なんですが、考え方が理解できないんです。  特殊法人整理合理化しよう、その一つのターゲットとして国立教育会館とある中で、行革行革と言って国民の皆さんに御理解を求めている中で、解散しようとしている前年に新たにこういう事業を追加するというのは、私の性格がゆがんでいるのかもしれませんが、解散する直前に新しく入れた業務移管先に持っていって、まさしく先ほど私が申し上げた、焼け太りさせようとしているのじゃないかというふうなうがった見方も私はできるわけです。  なぜならば、何で解散させる前にこの業務を追加しなきゃいけないのか。ほかでできるのじゃないか。何で特殊法人整理合理化をしようとしているときに、今、国立教育会館に新しい事業をさせなきゃいけないのかというのを私はどうしても理解できないんです。  もう時間がありませんから、最後に、このところの指摘に対してのお答え大臣哲学をお聞きして、私の質問を終わります。
  39. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 実は、二〇〇二年より完全学校週五日制に入っていきます。そして、今非常にいじめ問題とかさまざまな問題が一方で起こっていて、中央教育審議会課程審等々で情報関係のことを、いじめなどの情報を集めることとか、同時にまた情報教育とか、いろいろ調査をしていかなきゃならぬようなことがありまして、そういうことの仕事をまずは国立教育会館に、今そういう機能がありますので、そこへ強化しようということであります。  そういう意味で、決してやめる直前焼け太りをするという意味業務をふやしたわけではございませんので、その点、御了解賜りたいと思います。  それからもう一つ独立行政法人の問題を御指摘でございました。また後ほどいろいろその問題で御質問があるかもしれませんが、独立行政法人の中で、初めは公務員型にするか──これは大分さかのぼって恐縮ですが、行政改革会議で随分議論をいたしまして、現在国立で持っているものを独立行政法人にしようという話が起こりました。  そのときに、もともとは公務員でない非公務員型へという説が多かったのですけれども、現在国立のものは、公務員型並びに非公務員型、両方が使えるようにしようということに現在なってきているわけです。  特殊法人に関しましても、私の主張は、現に既に非公務員型でありますから、その中では、特殊法人でもこういう独立行政法人になじむものがあるだろうと。私の属しておりました理化学研究所なんかは特殊法人ですけれども、既に五年ごとに外部評価などをやっております。その評価に基づいて将来計画を立てているというようなことで、独立行政法人になじむものも特殊法人の中にあるだろうというふうなことの議論をしておりましたが、今のところ、今あります特殊法人をどういうふうに独立行政法人にするのか、この辺の議論がまだ煮詰まっておりません。今検討中だと思います。  そういうことで、国立教育会館の場合に「等」というのは、そこまで考えに入れてきょうすぱっとお話ができればよろしいんですけれども、そこまでまだ準備ができていないということが実態でございます。  しかし、戻りますが、焼け太りというのはないというふうにお考えいただければ幸いでございます。
  40. 馳浩

    馳浩君 終わります。
  41. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡です。  私は、国立教育会館解散に関する法律案に賛成という立場で質問いたします。  解散というのは、設立の目的が達成され、役割を果たし終えて、そして教育会館設置のいわゆる必要というんですか、存在理由がなくなったから、これでめでたしめでたしということで解散するというふうに私は理解するんですが、それでいいんですか。
  42. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 国立教育会館貸し館業務等につきましては、現在の状況から見て、一般の方々が他の施設等利用するということで、当時とは状況が変わっておりますので、支障はないものと思っておるわけでございます。  なお、解散に伴いまして、先ほどから議論がございますが、もともと国が行うべき研修の実施部門を教育会館にやっていただくという研修事業、それから、近年進みました情報関係のさまざまなデータベースの提供であるとか、いじめの相談であるとか、なかなか直轄的に文部省内だけでこなしていくことが難しいそういった情報関係の条件整備、サービス事業、こういったものにつきまして教育会館に国にかわってやっていただくということでまいりましたので、国が今後ともやる部分につきましては、先ほど来御答弁申し上げましたように、現在しかとした形でお見せいたしておりませんけれども、引き続きこの実施業務を行うべき部門というものを文部省の外に適切な形でつくらせていただくということによりまして、国として教育研修の役割を果たしてまいりたいと考えているところでございます。
  43. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、今おっしゃったことには納得できないんです。設立当初文部省がどう言ったか、ここに私は会議録を持っていますが、やはり必要な施設設備というものを持たなければ十分効果的な研修というものをやり得ないと。それで多くの人が質問したのは、何で教育会館というものを設けなければ研修ができないのかというやりとりをすごくやっているんですよね。そうした施設がなければと言っていた施設そのものをなくすということは、あなた方が目的を達成されたと思うので私はそれでいいと思うんです。  だから、研修というのは本来、設置者である、任命権者である地方教育委員会が責任を持ってよい教員を、そして資質の高い教職員を現場に配置する、そして研修の機会を与え、そしてそういう施設地方がつくってやるというのが本来であって、文部省施設ができたからそこへ集めて、そしてあなた方は中央集権の教育統制をおやりになったんだけれども、もうその時代ではない、分権の時代だということでやめられた、まことに結構なことだと私は思っておるんですよ。そうじゃないんですか。また引き続いて文部省が責任を持って施設がなくとも研修をおやりになろうとするんですか。あなた方は施設が要ると言ってつくったんでしょう。  それと同時に、もう文部省はそういうことは地方にお任せになるということなら、私はめでたしめでたしだと、これまでの長い間のトラブルがこれで解消するからと思っておるんです。文部大臣は盛んにうなずいておられるが、そうなさったらどうですか。移管だとかどうとか、そういう難しいことを考えずに。
  44. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 研修につきましては、御指摘のとおり、基本的には任命権者であります各都道府県や指定都市の教育委員会が責任を持ってこれを実施するということでそのための研修施設等も備えているわけでございますが、国は国として、教育の機会均等あるいは教育水準の向上を図るという観点から、各地方におきまして指導的役割を果たします校長、教頭あるいは教員、あるいはカウンセリングというような、その時々の大変重要な研修等につきましてこれを実施するということで役割分担をいたしているわけでございます。  御指摘がございましたように、教育会館も本来そういう形での利用ももちろん考えていたわけでございますけれども、そのための施設といたしましては、その後、昭和四十八年に筑波研究学園都市に筑波分館という形で、現在は学校教育研修所という名称に改めておりますけれども、ここに専用の長期宿泊型の施設をつくっていただいた。それから、社会教育関係の職員につきましては、昭和六十一年七月に、それまで文部省所轄機関でありました国立社会教育研修所、上野にございますけれども、これを教育会館の方に引き継ぐという形で、一般の利用に供する施設ではなくて、教育関係職員の専用の施設といたしましてこの二つの施設を現在持っているわけでございます。  これらの施設につきましては今後とも、国として最低限行う全国的なレベルでの基本的、専門的な研修を行う施設といたしまして、これは解散後におきましても引き続き適切な機関施設という形で運営をしていただきまして、文部省企画立案いたします各種の研修をそこで実施していただくという形で整理してまいりたいと考えておるところでございます。
  45. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部大臣のお考えをちょっと聞かせてください。
  46. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 一番今回のことで大切なことは、いわゆる貸し館業務についてはこれを行わないようにしようという点でございます。  ただ、国として民間にお貸しするというようなことまでやるのではなくて、逆に国として使える部分というのは使いたいという気持ちがもちろんあるわけでございます。ただ、一々どういうふうに貸すかというふうな業務は、これはもうやらないというふうな方針でございます。そういう点で、今の情報収集とか、教育研修の中でどうしてもやらなきゃならないものは今後もあると思っております。
  47. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その貸し館業務施設の提供、虎ノ門ホールを中心として内部に会議室とかいろんな施設がある、それが民間施設と競合するから国はやめた方がいいと、私はどうもそういう考え方は余り好きじゃないんですね。  だから、私は最初言ったでしょう、これは施設提供、いわゆる貸し室業務をやるために部屋をつくったんじゃないんですよね。最初からはっきりしているように、必要な施設設備というものを持たなければ教育研修というものは十分な効果を発揮しないと言ってつくったんですよ。貸し館・貸し室業務をするためにこれをつくったんじゃないんですよ。本来の目的は十分な研修ができないからと言ってつくったものを、これを廃止するというなら、当然その研修そのもののあり方についても文部省は触れていかなければいけないだろうと。  だから、この際、研修というものを本来あるべき姿にきちっと戻して、そして文部省は必要最小限度、これはどうしても国がかかわらなければならない全国的な研修であるというふうにきちっと仕分けをし厳選をして、そして情報の提供というものも、これは極めて大事だし、文部省しかできない研究とか調査、情報収集というものをやっていかなければ、そこの部分が変わっていかなければいけないんじゃないかと私は言うんですよ。それを変える意思があるのかないのかということを私はお尋ねしているんです。  貸し館業務だけはやめまして、あとはどこかへそのまま持っていきます、そういうことであっては、いわゆる教育改革とかあるいはまた分権の推進とかいうことについて文部省は余りにも消極的ではないかというふうに思われて仕方がないんですが、その点は、今言ったように、どこへ移管するかというより、移管する中身の問題ですよ。それをどうされようとしているのかということをはっきりさせていただきたい。
  48. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 先ほど答弁を申し上げましたけれども、現在、教育会館事業実施施設といたしましては、本館の部分と学校教育研修所の部分と社会教育研修所、施設といたしまして大きく三つを持っているわけでございます。  委員御指摘文部省として行うべき事業、例えば学校教育研修におきましては、従来から中央研修という形で、各都道府県のリーダーとなるべき中堅教員あるいは校長や教頭の研修、さらには専門的なカウンセリングや英語教員研修等、長期的に実施する事業をやっているわけでございまして、これは学校教育研修所の事業と。端的に申し上げますと、この事業と社会教育研修所の研修事業、これは国が今後とも行うべき内容だと考えておりますので、引き続き適切な機関移管させていただく。それから、本館で事業をやっておりますデータベース等の提供事業、あるいは高等学校の転入学情報等のこういった情報関係事業につきましても、これは移させていただくということで考えているところでございます。
  49. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 やがて分権推進法の法律を私らは審議するんですが、そのときに、長年地方自治体が要求しておった教育長の文部省の承認の問題について、やっと文部省はそれをやめるという画期的なことをやられるわけですよ。  地方のいわゆる小中高という公立学校の教育は、文字どおり文部大臣教育長を承認人事にして、私は今から二十年ほど前にその議論をしたら、あれはくさびであるとおっしゃったから、ああ、くさびですか、大変なことですね、それほどぐっと地方教育委員会を文部省は抱えておらないかぬのですかと議論をしたことがあるんですよ。それをあなた方はもうやめたとおっしゃるということは、やはり地方にそれぞれ教育のことを任せるとなれば、校長、教頭だって文部大臣が任命しているんじゃないんでしょう。これはやっぱり地方のそれぞれの教育委員会、任命権者が任命してそこの設置する学校でやっているわけで、それでそれぞれの地域住民との、評議員制度をつくれとかいろいろ開放型の教育をあなた方は目指しておられるわけですよ。  そういう新しいときに、依然として文部省は全国各地から校長、教頭を集めて一体何をやろうとされるんですか。この広い沖縄から北海道までいろんな地域の状況でさまざまな分権型社会をつくっていこうとする、その中で学校というものが、教育というものが新しい役割を担ってやろうとすることを、全体をフォローできるとでも一体お思いになっておられるんですか、東京へみんな集めて一斉にそれをフォローして。  だから、文部省がそういう研修のやり方についてもここで発想を変えて、やはり分権型の研修の発想に変えていくということと、この教育会館が一定の役割を終えて、そして衣がえするというんなら私はめでたしだと言っておるんです。それを、行革だとか、特殊法人一つ減らさないかぬ、どれかを減らさないかぬ、無難なのは教育会館であろうというようなことで、これから文部省がみずから持つ特殊法人一つ一つつぶすとか、あるいはまた統合するとかいうふうなことは、本質的な意味において私は正しくないと思っておるんですよ。  だから、今おっしゃったように、もう大体役割を果たしたのなら、やっておったのを移管とかいうふうなことを考えずに、ここに国立教育研究所の、私は文部省設置法施行規則をずっと見ておりますけれども、随分ここにはいろんなことがずっと書いてあって、すごいですよね、国立教育研究所の機能は。ここでやられる内容なんというのは、とても国立教育会館なんかそばにも寄れぬだけの仕事をしているわけです。そういう意味で、ここへ内容を移管するというその移管の問題について、あったものを持ってきて、そして国立教育研究所が新しく教育会館でやっておったものをプラスしてやるとか、そういう発想であってはいかぬだろうということなんですよ。あなた方は一たんやりかけたものは絶対放さない。  だから、最後まで自分たちでやるんではなくて、やはり切るべきものは切り、あなた方自身ももうちょっと身軽になられたらどうですか。そして、二十一世紀を見詰めて本当に日本の教育の根幹的な問題に対してぴしっとメスを入れて、そして都道府県に対しての指導助言をやっていく。教頭、校長がどうあったらいいかというようなことは下に任せなさいよ、文部大臣。  では、文部大臣答えてください。
  50. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 非常に重要なポイントを御指摘いただきまして、ありがとうございました。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、いよいよ新しい学校週五日制に入っていく、そういう際にどういうふうなことを今後工夫していったらいいかとか、さらにまた教育方針であるとか、全国的な問題がかなり残っておりますので、精選した上で移管をしていくことになろうと思います。  それからもう一つは、たびたび貸し館業務に入って申しわけありませんが、そういう民間移管できるようなものは、定員削減の問題とか経費削減が非常に迫られている時代においてはとるべきことだろうかというので、今回国立教育会館を廃止するというふうなことでお願いをしているわけでありますが、しかし戻って、地方教育行政に関しましては、中央教育審議会でも随分この議論をいたしました上で、どこまで国がやるべきかということに関してさまざまな議論を行い、その中で極めて精選をした部門だけを国としてやっていくということになろうと思います。  これは、私も議論に参画いたしました一人といたしまして、国がすべての教育を集中してやるというのではなく、地方にきちっとお願いをすべき面はお願いをしていく、こういうことで精選に精選を重ねたものを、別途、今後適切なものと考えられる機関移管をしていくということになろうと思います。  そういう意味では、決してこれでまた大きくしようとかいうことではなく、本当に必要なものは何か、この辺について精選をいたしたいと思っております。
  51. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ぜひともそういうふうにしていただきたいと思うんです。  それで、きのうのある新聞の夕刊に深刻な、ショッキングなことが出ておりました。大学生の六八%が大学に行っても理解ができないという、文部省委託でまとめたアンケートでこんな結果が出たということで私は驚きました。  七五三というのがありまして、何もお祝いじゃないんです。小学校では七割の子供が小学校で学ぶことを理解できる、中学校へ行ったら五割、高校へ行ったら三割、七五三、こういうふうな形で言われてきたんですよ。だからそういうことに対するいろんな教育的な配慮をしてきたんですが、大学に進学した子供たちがどのような学力を持っているのか、一体どうしているのかということに余りメスを入れてこられなかった。  ところが、それを文部省委託で調査された。そうすると、今言ったように六八%が理解できない授業があると言った。それはどういうことかというと、この調査された先生は、「暗記型の高校教育と、思考力を求める大学教育の間に断絶がある。受験用の教科だけに力を注ぎ、幅広く勉強していないのも原因だろう」、こう分析している。子供たちも、「高校のように先生のフォローはなく、自分のやる気にかかっている」、「高校での強制的勉強とは異なり、自由には責任が伴うことを実感する」というようなことを言っていると。  だから、やっぱり小中高と大学の断絶の問題をどうするかということこそが国がしっかりとやるべきことで、小中の校長を東京へ集めて、東京で飯を食わせて泊まらせてやることよりももっとある。  それともう一つ、四月十三日に、二年がかりで教育会館内の企画委員会と埼玉県の越谷市ですか、教諭などの協力を得ていわゆるカウンセリング技術に的を絞った先生向けの研修ビデオをつくって、四万六千本作成して全国に配ったと。こういうものはそれぞれの都道府県でやるよりも、やはりこういうところできちっとやって、あらゆる情報を提供する、提供された情報はそれぞれの教育委員会なり校長なりが選択すればいいわけです。  やはり僕は、何も教育会館がつまらぬことをやっておるんじゃなくて、立派な仕事だってやっているし、もし大学のこれをどうやったらと、こういうことについての研究もできるが、しかしそれは、この教育研究所があるんだから、そういうところでこういうことこそ文部省がしっかりやって、次の時代に対する教育のあり方にメスを入れていただきたい、このことの希望だけ申し上げて質問を終わりますが、どうぞ答えてください。
  52. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私も今の新聞に書かれたことを大変心配をしております。  そこには書いていないのですけれども、大学入試に数学を課しているところと課さないところの成績が、天地雲泥とは申しませんけれども、極めて違っている。同じ私学でも、入学試験に数学を課しているところの成績は非常にいい。課さないところはがたっと悪い。その内容が、二次方程式が解けるか解けないか、あるいは分数計算、割り算ができるかできないか、これは小学校ですよね。こういう問題がございますので、私は中央教育審議会に対して、高等学校以下の初中教育で勉強していることと、大学で勉強することの役割分担をはっきりしてくれ、そしてその上で大学としてどういう格好で初中教育と接続をしていくのかを検討してほしい、そういうことを諮問いたした次第でございます。  今の成績は、私も非常に心配をしていることでありまして、さらに精査をして方向を決めていきたいと思っております。
  53. 山下栄一

    ○山下栄一君 馳委員、また本岡委員に続きまして、同じような視点だと思いますけれども、質問させていただきたいと思います。  お聞きすればするほど賛成しにくくなるような内容になっていくのですけれども、まず、貸し館業務をやめるという本館の建物、これを何で文部省のものにするのか、これは全然わかりません。これは本来民間に売却すべきだと。部屋がたくさんある、その部屋は文部省が使うということだそうですけれども、特殊法人財産文部省のものにするなんというようなことはまさに行革の精神に反する。特殊法人財産を国の財産にした例なんてほかにあるのかなというようなことも含めてよくわからないので説明してください。
  54. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 国立教育会館は、昭和三十九年に設立いたした際には、民間からの寄附金も受けましたけれども、すべて国が基本的にはこれに出資をして、土地も提供し、それから建物もつくってそれを出資するという形にしてあるわけでございます。したがいまして、特殊法人国立教育会館解散いたしましたら、これは原則として、出資をいたしました国にその出資に見合う財産が返ってくるということは基本的な考え方でございます。  ただ、文部省としてこの建物を使いたいというのは、たまたま文部省の隣に建物がございますし、そして、この建物は昭和三十九年に建てた建物でございまして、その後維持管理の補修はしてございますけれども、まだ十分使える期間があるということでございますので、これを国全体の立場から有効活用させていただきたいということでございます。
  55. 山下栄一

    ○山下栄一君 今申し上げましたように、特殊法人財産を国の財産にするというのは行革の精神に反するのではないかということについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  56. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 御指摘の点はよく理解をいたしておりますけれども、まず最初に、貸し借り業務などに人を相当配置しておりますので、その辺のスリム化。ただし、その人たちの職を失わさせるというふうなことはいけませんので、民間に回すというふうなことを工夫しながら、貸し借り業務というものは今後やらない、この点はたびたび繰り返して申し上げたとおりでございます。  ただ、今あります建物そのものというのは、もちろんいろんな資金があったと思いますが、国がつくったものでございまして、そういう意味では、国の財産として継承することは矛盾はしていないと考えております。  それからもう一つ、私はこの辺に住んでいてつくづく思うのですけれども、非常に会議をする場所がないんですね。霞山会館とかいろんなところを使っておりますけれども、文部省といたしましても、さまざまな会議をやったり会合をしたりするときのものとして、すぐ隣にありましたり建物は非常に有効でございますので、貴重な財産として平成十二年四月一日をもって国が承継しようかと考えております。  そういうことでございますので、御理解賜れれば幸いでございます。
  57. 山下栄一

    ○山下栄一君 途中から特殊法人財産になりましたつくばの建物、それから国立社会教育研修所であったものを特殊法人に移した社会教育研修所、これは残して、将来、移管先にその財産を移すということだと思いますけれども、私はこの建物も必要ないというふうに思うんです。  その理由の一つに、先ほども御質問ございましたが、業務を残す教育研修業務も本来もう必要なくなってきているのではないかというふうに、これはちょっと本岡委員と重なるかもわかりませんけれども、建物を持って、そこに全国から集めて、そして研修するという時代性はもうなくなりつつある。研修そのものも地方でできるし、そして、どうしても幅広い研修内容を国として地方にも配慮したいということであるならば、それこそ先ほどの高度な情報の仕組みがあるわけですから、建物なんか必要ないというふうに思うわけでございます。と同時に、どうしても必要ならば、研修施設というのはほかにも既存のものが、特殊法人ではない国のものとして、文部省のものとしてあるじゃないか、そこを使えばいいんじゃないかというふうに思います。  研修のあり方そのものも、先ほど縮小するという話があったけれども、中央に集めてやる時代じゃない。研修業務移管と言うけれども、研修業務はやめるべきだというふうな考え方もあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  58. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、基本的には御指摘のとおり、任命権者であります各都道府県教育委員会等がこれを実施するということでございまして、初任者の研修、あるいは新任の校長、教頭等の研修、こういったものにつきまして、全国で見ますと百万人規模で各都道府県教育委員会等任命権者が実施する研修に毎年参加しているということでございますが、国といたしましては、例えば学校教育研修所で行っております研修は、先ほど申し上げましたように、中央研修講座ということで校長先生あたりを全国で年間七、八百人、あるいは中堅の教員で一千人程度集めていく、さらには英語教育研修ということで百人あるいは二百人程度集めていく。  さらに社会教育研修所におきましては、社会教育主事の講習会ということで、全国的なレベルでこれも二百人ないし三百人、あるいは博物館の職員の専門研修で数十人ということで、限られた人数につきまして、全国的に現在抱えております学校教育、社会教育、そういったものの課題につきまして十分御理解いただき、それをもって各都道府県や市町村におきましてリーダーとなって学校経営や社会教育の指導に当たっていただく、そういった方々を限定的に対象にしてやらせていただいているということでございます。  御指摘のとおり、私ども、基本的には各都道府県がやるものと、それから文部省として、今申し上げましたような事業につきましては今後、内容、規模等につきましても見直すという観点は必要であろうと思いますけれども、国として行うべき役割というものは、研修事業については今後ともまだあるものと、こういう考え方に立っているところでございます。
  59. 山下栄一

    ○山下栄一君 内容そのものを見直す必要はあるということをおっしゃっております。それはそうしてもらいたいと思います。ただ、先ほど申し上げたように、中央に集めて交通費も宿泊費も全部自治体が金を出すわけですから、経費節減も含めて、そういう時代じゃないのじゃないかということを私は申し上げているわけです。  と同時に、特殊法人予算をふやした中に、国立教育会館予算をふやした中に先ほどネットワークの話がありましたよね。これは、研修内容のネットワーク化をやって、通信による研修網というようなことを考えておられるのじゃないでしょうか。そうじゃないんですか。
  60. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 御指摘のとおりでございまして、時代の変化に合わせまして、双方向の衛星通信のネットワークを利用して良質のプログラムを提供していき、それを各都道府県が必要なときに随時それに参加していただく、あるいは都道府県同士、あるいは大学のプログラム等も配信できるというような形で、全国の主として都道府県や指定都市の教育センター等と全国的なネットワーク網を結びたいということが基本でございますけれども、同時に、せっかくのものでございますので、文部省の各種の会議等につきましても、費用の効率化あるいは時間の効率的な利用という観点から積極的に運用していきたい、こう考えているところでございます。
  61. 山下栄一

    ○山下栄一君 すぐれたメニューを用意して、それを各地域で選択していただくとかということは、メニューを考えることはやっていただきたいと僕は思うんですけれども、だから、やり方そのものを、建物があって、つくばとか社会教育研修所とかで三カ月間も宿泊を伴ってやるというような時代じゃないと。そのためにネットワーク化を図っているのだったら、建物も必要ないし、そしてそういう中央に集めてやるというあり方そのものも、全部やめろとは言わぬけれども、極めて厳しく厳選すべき時代じゃないのかということを申し上げておるわけですけれども、どうですか、大臣
  62. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 具体的な例を申し上げて恐縮ですけれども、今、理科教育をどうするかというようなことが非常に問題になっております。  その際に、理科教育を単に観念的に伝えてもだめなので、そういうふうなものを具体的に実験を見せながらやるというふうなこととか、あるいは今おっしゃられましたインターネット等々で伝える、そのインターネットのもとになりますさまざまなソフトをどういうふうに理解し、どういうふうに使っていくか、いろんな意味での教員研修というのは今後も、費用だけではなく、全体を通じてやらなくちゃならないことがあると考えております。  また、いじめ問題ということについて考えますと、いろいろないじめの仕方があるとか、一県、一都というふうなところでは完全には把握し得ないようなものについては、情報をきちっと集めておく、そして各都道府県の先生方にお流しする、こういうふうなことで、先ほど申し上げましたように業務を精選して、本当に中央でやるべきことが何かということをよく考えた上でやらせていただきたいと思っております。  そういう意味で、先ほどから御疑問が出ております隣の建物のことでございますが、そういうことに非常に有効に使えますので、文部省管理したいと考えている次第でございます。
  63. 山下栄一

    ○山下栄一君 もうあと三分しかございません。  次に、教育情報提供業務、これは私は大事な業務だと思うんです。ただ、僕は何でこんなものを特殊法人にさせたのかなというふうなことを思うわけですけれども、これは本来本省がやるべきことだったと。そのセンターとして、例えばこの本館を使うとかというとよくわかるんですけれども、この教育情報提供業務の必要性は私は認めたいんです。  いずれにしても、研修教育情報を新たな移管先に移す、移管先は決まっていないけれども、少なくとも本省の業務でない方向でということだと思いますけれども、移管する前に極めて厳しく縮小して、そして移管すべきだというのが私の考え方でございます。先ほどの本岡委員の話にも重なる話でございます。  そういうことをしないと、何のための国立教育会館解散なのかと。とにかく本省では人数も増やせないから特殊法人にという今までの流れがあった。特殊法人解散するときには、今度は特殊法人をもとの本省に戻すわけにいかぬから、別の独立行政法人か何かに移すということでしょうけれども、全体の分量は変わらないままに補助金を投入し、またOBが仕事をするような特殊法人や財団や、また独立行政法人等に移すだけだったら、全体的には何の行革にもなっていない、このように私は思うわけです。したがいまして、業務そのものを縮小しないと意味がない、建物そのものについてもできるだけ民間に移すというふうに考えていかないと本来の行革じゃない、私はこういうことを訴えたいと思うわけでございます。  したがいまして、今回の国立教育会館解散に関する法律は余り前進だと私は思わない。本当は反対したいぐらいですけれども、もう党の方針は決まっておりますのでそんなことはできませんけれども、何か、やっていることが国民の求めているものになっていないというふうに極めて疑問を感じるわけでございまして、そのことを表明して、もうお答えを聞いても似たようなことしか返ってこないだろうから、非常にすっきりしないままに質問を終わりたいと思います。
  64. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  私はまず、国立教育会館で働く人たちの今後の雇用の問題ということについてお聞きしたいと思いましたが、先ほど質問がありまして、この雇用は確保されるということでしたので、それはそういうことでお聞きしたいと思います。  あわせて、こういう人たちの労働条件、今後悪化するとか、それから年金の取り扱いで不利になるとか、そういうことがないかどうか、そのことについても確かめておきたいと思いますので、お聞かせいただきたいと思います。
  65. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 当面二十名定員削減される方々につきましては、本人の希望をお伺いいたしまして、貸し館業務管理委託していただく機関職員として引き続き雇用していただくというような方も出てまいりますし、また、文部省の他の機関等へ希望を持って赴任していただく、引き継ぐということもございますので、それぞれの受け入れ先の給与や勤務条件に従って取り扱われるということになるわけでございます。具体的に個々の職員がどういう形になるかということについては、個々の職員それぞれに状況が違ってこようかと思いますけれども、与えられた制度の中で最大限私ども配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。
  66. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、年金とか労働条件でも悪化をするということはないということでよろしいわけですね。
  67. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 年金につきましても、厚生年金から例えば国家公務員の方に移りますと、国庫公務員共済年金の適用を受けるというようなことになろうかと存じます。そういたしますと、そこの年金のつなぎ方というのは一定の定められたルールに従ってつながれるということでございますので、そういった意味では特別に不利益をこうむるということはなかろうかと思いますけれども、仮に具体的な年金の受給額というようなことになりますと、それぞれの職員に応じまして異なってくることもあろうかと思っております。
  68. 林紀子

    ○林紀子君 九五年二月二十四日の閣議決定で、そのことも含めてきちんと担保をするということを伺っておりますので、その線できちんとしていただきたいというふうに思います。  次に、私は昨年十一月の本委員会で、同和地区の中学、高校生の進学状況調査、これは旧身分の洗い出しの人権侵害ではないか、やめるべきだということを質問いたしましたとき、大臣から今後検討するというお答えをいただきました。そして、昨年度はこれを実施しなかった。ですから、これは検討の結果だというふうに承っておきたいと思うわけです。今後もこうした進学調査というのをやめるという態度でぜひ臨んでいただきたいということを要望したいと思います。  そして、この問題に関連して、岡山県に私伺いましたときに、この進学状況調査というのは、同和加配の教員をどういうふうに配置するか、そのために必要だというふうに言っていたんですが、この調査と同和加配教員の配置というのが関連があるのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
  69. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 同和加配教員につきましては、昭和四十四年度以降、同和地区の子供たちの学力や進路の状況等を何とか改善するための一つの方法ということで定数政策により始めたものでございまして、これにつきましては、総務庁の昭和五十年の実態調査、つまり、地区の子供たちがどれぐらいいる、どの学校に何人ぐらいいるというような、そういった客観的な実態調査をもとに配置の基準を決めまして、その基準でもって各都道府県に配置しているところでございますので、御指摘の実態調査とこの配置の考え方は直接全く関係ございません。
  70. 林紀子

    ○林紀子君 今お話のありました昭和四十四年から計画的にふやされていって、第六次計画の終了のときには、平成十二年度で三千七百二十六人と当初より大分ふえているわけですけれども、この数というのは、県への積算の根拠にはなっているけれども、運用というのは各県に任されている、自主性に任されている。例えば、教育困難校への加配ということが必要だと思えば、県ではそういう対処ができるということを聞いておりますが、これでよろしいでしょうか。
  71. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) あくまでも同和加配ということでございますので、各都道府県に全体の数を差し上げますが、この同和加配というものの趣旨に従って、その上でどこの学校にどういう配置をするか、これは各都道府県の基本的な判断にゆだねられると思っておりますけれども、それぞれこの加配を行います趣旨というものもあるわけでございますので、できるだけそれを尊重しながら、その中で各都道府県が適切な裁量を加えていただければと思っているところでございます。
  72. 林紀子

    ○林紀子君 私が今まで文部省の方からお話を聞きましたところ、例えば、この同和加配というのは効果的な教育指導の実施というところの一つの大枠に入っておりまして、通級指導の導入とか、外国人子女、帰国子女対応、そして同和加配というふうに予算が組まれておりまして、そういう中であればどこに加配をしてもいい、どういう状況で使ってもいいというふうに伺っておりますが、今の局長のお話はちょっとそれとはニュアンスが違うと思いますけれども、どうでしょうか。  ですから、名前は同和加配であっても、例えば、今非常に外国人子女、帰国子女がふえている、そういうところに今差し迫って必要だからということでそちらに回す、これはあくまで積算の根拠であって、お金は出すけれども、この加配についての取り扱いは、口は出さないという趣旨なのだということを伺いましたが、いかがでしょうか。
  73. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 教職員の国庫負担の定数につきましては、トータルとして申し上げますれば、今のようなすべてが、各都道府県の積算根拠に基づいて積算した総数を国は配置する、その具体的な配置は都道府県に任されていると。これは法的な意味でのことでございますので、今の点につきましても、それを他に配置したからといって法律的にどういう問題が生じるかということはないわけでございまして、文部省としては総数の枠内で国庫負担をするということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、定数全体が、各学校ごとにどういう数を基準として配置するかというようなことを考えながら政策的に行っているわけでございますので、一応こういった示しました基準というものは、私どもとしてはそれなりに配慮をしながら配置していただくことが適切ではないかと考えているところでございます。
  74. 林紀子

    ○林紀子君 私が岡山県に伺ったとき、同和加配を受けている中学校なんですけれども、そこの校長先生がおっしゃるのには、新しく赴任した中学校というのは大変荒れていたと言うんです。それじゃ同和地区の子供たちがその荒れの原因になっているのかと言ったら、全然そんなことはありませんと。それでは、同和加配ということではなくて、荒れた学校に対処するような加配というのがあったらその方が役に立つんじゃないでしょうかというのを伺ったら、その校長先生は、まさにそれはよだれの出るような話ですと、こういうふうにおっしゃったんです。  だから、同和加配だと言われましたら、たとえ大変荒れた学校でも、そこのためにその先生が力を尽くすというよりも、やっぱり同和同和というふうになっているわけです。ですから、そういうことを考えましたら、もうこの同和加配というのをそもそも考え直すべきではないか、同和加配を続ける根拠というのはもうなくなっているんじゃないかというふうに思うわけです。  同和加配がいろいろな弊害を引き起こしているというのは、文部省は広島県の福山市に実際に調査に入って是正指導したところですから一番よく御存じのことだと思いますけれども、この文部省の是正指導は教員の勤務管理という項目で、福山市において、学校の教諭として発令されている者が毎日在勤校を離れて、その勤務時間の大半について市内出張していることについて、適切な勤務管理が行われるよう是正することというふうに指導なさっているわけです。これは当然のことだと思うわけです。  じゃ市内出張先はどこかということですけれども、これは週刊朝日が取り上げておりますが、福山市同和研究協議会の事務所に出張している、事務局長としてここで常勤をしているというんです。福山市同和研究協議会というのは、福同協と言っておりますけれども、民間教育研究団体で、部落解放同盟と密接な関係を持っております。同和加配というのは、こういう使われ方をして、部落解放同盟の教育介入に手をかしていると。広島県の大変不正常な教育というのが行われている。  これは一例ですけれども、こうした役割をしているような同和加配、これはもうやめるべき時期だというふうに思いますけれども、局長はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
  75. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 同和加配教員は、あくまでも同和教育の各学校におきます推進のために、児童生徒の学力の向上や適切な進路指導の充実を図っていただくために、その学校の職員として全体として働いていただくという形で加配をしているものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在の同和地区の児童生徒の実態にかんがみますれば、今後とも同和教員が本来の趣旨に即した適切な役割を各学校で果たしていただきたいと、これは強く期待するわけでございます。  御指摘のございました福山市におきます同和教育研究協議会への事務局長としての勤務、これは言ってみれば同和加配教員の役割とは全く関係のないものでございます。そういった意味で、文部省といたしましては、広島県を通じまして、その実態を是正するようにということで指導いたしまして、現在そういった実態はなくなっているものと承知いたしているということでございます。
  76. 林紀子

    ○林紀子君 是正指導を受けて、それは解消の方向に向かっているというのは私も聞いております。  大臣にお伺いしたいんですけれども、今の同和加配の役割は、これは今例に挙げた分は逸脱しているというお話でしたけれども、それでは、その本来の同和加配ということについてどうなのかということなんです。今、人権擁護推進審議会というのが行われておりますが、そこのヒアリングにおいて全国部落解放運動連合会の代表がこういう発言をしているんですね。  同和教育では、差別や貧困による不就学や長欠の問題、低学力を克服する問題に大きな力を注いできました。   これらの問題は、今日、部落問題解決の到達段階を反映して、特に集中して部落に見られる固有の問題ではなくなっております。したがって、同和の子どもだけを特別扱いしたり、分け隔てする教育は終結すべき時期を迎えていると考えます。このようなやり方は、児童・生徒の間に新たな溝と矛盾を引き起こすもとであります。そのために、部落内外の父母を中心に反対や廃止の声と運動がかつてなく高まってきております。 ということなんですね。  それにあわせまして、地域改善対策財政特別措置法というのがありましたけれども、昨年の三月に終了して、残っている事業というのはもう十五のみになったわけですね。これも平成十三年で終わる。こういうことを考えますと、同和に焦点を当てた特別な対策はもう必要なくなった、これが政府としての大きな方針だというふうに思うわけですね。そして、この十五の残事業のうち、文部省関係というのは奨学金の補助のみで、あとは何にもないわけですよね。同和加配ということもここではうたわれてはいないわけです。だから、こうしたことから考えても、どんな名目でも同和のための教師の加配というのはもう必要ない、やめるべきだと、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  77. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) この同和加配教員につきましては、先ほども申し上げましたが、昭和四十四年から一般の教員の加配措置と、先ほどから御指摘ございました教育困難校等への加配措置の一類型という形で措置してきたわけでございまして、文部省は、例えば現行計画におきましても、不登校の児童生徒への対応、あるいは外国人の子女を受け入れている学校、あるいは通級指導というような形で、その時々の教育上の課題に定数政策上適切に対応できるような観点から支援をしていくという形でやっているわけでございまして、直接地域改善対策特定事業として行っているものではございませんので、今後ともその実態に応じまして適切な対応をしてまいりたいと思っているところでございます。
  78. 林紀子

    ○林紀子君 大臣先ほどお伺いしたんですけれども、一番必要なのは、各地で起こっている不登校やいじめ、学級崩壊、こういう深刻な事態に今対応していくことだと思うわけですね。ですから、教職員の配置についていえば、三十人学級を初め、教職員をふやす、一人一人の子供たちに目が行き届く教育条件を保障する、こういうことが今一番求められていて、同和加配ということじゃないと思うわけですね。その辺について最後に伺って、終わります。
  79. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 現在いろいろな問題が山積しておりますので、それに適切に対応していきたいと思っています。  ただ私は、外国人であろうと何であろうと、差別は絶対しないような教育はしていきたい、このために必要なことは手を打っていきたいと思っております。
  80. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 行政改革の重要な柱の一つといたしましてこの特殊法人の統廃合というものが現在進められているわけでございますが、その実態は、数の削減だけで、これまでの業務を見直すことなく、単なる看板のかけかえにすぎないんじゃないかという批判の声もかなり高いというふうに私は思うわけでございますが、今回の国立教育会館の場合は、一体どのようなことがいわゆる改革されるのか、この国立教育会館解散の意義はどこにあるというふうにお考えでいらっしゃいますか。大臣にまずお伺いいたしたいと思います。
  81. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) どういうふうにお答えしてよろしいかわかりませんけれども、私が行政改革会議に参画しておりましたときに、こういう独立行政法人というふうなものとか議論がありましたが、そのときに、総定員法から外れるとか、それから予算の使い方がかなり自由になるとか、そういう一般論といたしまして、独立行政法人になったときに国立と違う自由度があるんですね。そういう面で、そういう面はうまく使えばさらに発展できるというふうなことを考えた次第であります。
  82. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私の今の質問に対するお答えと、ちょっと大臣、違うのではないでしょうか。
  83. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 済みません。もう一度ちょっと御質問を。
  84. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 特殊法人の統廃合が単なる数合わせではないか、看板のかけかえじゃないかということの批判がある。今回の国立教育会館の場合には一体どのようなことが改革されるのかということです。
  85. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ですから、申し上げたとおりでございまして、すべて国立としてのさまざまな制限の中、例えば総定員法などの枠の中であるとか、予算の立て方、使い方等々において、例えば博物館とか美術館にはもっと自由度があった方がよろしいというふうな考えがあって、今回のことになったんだと思います。  今までの国立博物館、美術館というものでは……
  86. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そんなこと今御質問してないんです。国立教育会館のことだけを今お聞きしておりますが。
  87. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 同じだと思います。すなわち、さっきから出ておりました部屋を貸すというふうなこと、こういう事業はむしろ外に一般事業として出して、国でやるんではなくて民間に任せた方がさらに能率がいいのではないかというふうな考えでございます。
  88. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 詳しく少し補足させていただきますけれども、今回の国立教育会館の整理、特殊法人としての整理合理化の基本的な眼目は、大臣申し上げましたとおり、一般民間でも十分やれるような貸し館業務というものを、国の出資をもってする特殊法人というような形でやるような時代ではなくなったのではないか、これが国立教育会館特殊法人整理合理化の対象とされた基本的な理由でございます。  したがいまして、その部分につきまして、適切な民間等にその建物がある間、有効活用するという形でこれを委託していきますと同時に、特殊法人といたしましてはこれを解散していく。解散をするにつきましては、先ほど来申し上げましたように、教育研修教育情報として引き続き文部省と一体となって国の実施機関として効率的にやっていただく必要がある部分につきましては、今後適切な業務移管機関を検討していくということでございます。
  89. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 この解散後、会館の名称というのに、国立という名称はついたままでございますか。
  90. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 業務移管先の体制がどうなるかということをここでお示ししないまま解散法案をお願いしてございます。大変心苦しいわけでございますけれども、そういう状況でございますので、具体的な業務移管先の体制につきましても私どもいろいろ考えてはおりますけれども、どういう体制になるかということによりましてその名称も考えざるを得ないと思っておりますので、現在のところ全く白紙でございます。
  91. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 国立という名称がつく場合にはどういう条件があるんですか。
  92. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 現在の国立教育会館で申し上げますと、国が基本的には土地建物等を全額出資して、なおかつ、そこにおきます研修情報業務の中心的な部分につきましては必要な経費を、国が行うべきものとしてそこに補助金を出しているということで、基本的には国のお金で運営されているという実態がございます。同時に、象徴的には、国全体の立場で教育研修情報関係事業をやっていくという意味では、都道府県立とは違うという意味合いも込めて国立教育会館という名称を使わせていただいている、このように考えているところでございます。
  93. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 とにかく、国立という名前がつくのか、その名称はどうなるかということは全く今白紙であるというふうにとらえてよろしいわけですね。  では次の質問でございますが、教育会館利用者というのは、これは全く今までと変わらないんでしょうか。それとももっと拡大された形で利用が可能になるんでしょうか。
  94. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 国立教育会館は、本館の貸し館業務につきましては、これを教育会館業務としては行わないということになりますので、従来、教育関係者のみならず、一般の方々にも一定の施設利用料を取ってこれをお貸しするという形をとっておりますけれども、こういった形はなくなるものと思っております。文部省管理をする庁舎として事務室会議室等に利用した残余の部分がありますれば、主として教育関係の方々につきましては、国有財産の使用許可というふうな形でこれまでどおり使っていただける部分もあるものと考えておりますけれども、全く一般の方々、あるいは特に営利を目的とするような事業にお貸しするということは今後はなくなるものと思っております。
  95. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 では、今までよりは、一般の方から見れば利用の範囲が狭まるということでよろしいですね。かなり便利なところにあるのでもっと利用された方がいいのではないかというふうに私自身は思うわけでございますが、利用者は少なくなるということなんですね。わかりました。  その次に、業務の中の教育研修情報収集等業務というのは「国立教育研究所等移管する。」というふうになっておりますが、これまでも御議論はございましたけれども、「国立教育研究所等」の中には、国立研究所と、そして何らかの形の機関というふうに解釈していいのかというのが一点であります。  それから、移管ということの意味は、そのまま業務を持っていくのか、つまり単なる継承なのか。あるいは、これは行政改革なんですから、どのような改革が行えた形で移管されるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  96. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 教育研修業務につきましては、例えば本館を主体にして行っております全国の新任の校長の特別研修といったようなものについては、これは本年度限りで見直しをしたいと考えておりますし、また、引き続き本館を利用して行っておりますこういった研修につきましては、さらに解散時までに十分見直しを行ってまいりたいと考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、つくばの学校教育研修所並びに上野の社会教育研修所の事業につきましては、いずれもこれは今後とも見直す必要はございますけれども、私ども基本的にはこういった形で実施し引き継いでいくべき内容が多分にあろうかと思っておりますので、その際には、文部省全体が省庁再編の中で事業スリム化しアウトソーシングしていくという課題がございますので、それを含めまして文部省全体としてスリム化していくという観点から移管先業務を効率的に考えてまいりたいと考えているところでございます。  なお、答弁が前後いたしましたけれども、「国立教育研究所等」の「等」は、こういう研究所並びにそれ以外の適当なものに分けてという考え方ではなくて、当時閣議決定をいたしました際には、必ずしも国立教育研究所に限るという趣旨ではない、今現在初等中等教育にかかわる分野を主な対象としております国の施設機関ということで示されたわけでございますけれども、解散までの間に適切に検討する余地を私どもにいただいたものということで考えているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、文部省管理を引き継ぐ部分を除きまして、その余の事業につきましては再編をしながら、一体として新しい業務移管先機関に整理をしてまいりたいと考えているところでございます。
  97. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その際に、先ほど馳議員の御質問に対して独立行政法人のようなものをというふうにおっしゃいましたが、ようなものというのか、あるいは独立行政法人というものをこれから二年の間に考えるということですか。もう少し具体的にお願いいたします。
  98. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 独立行政法人につきましては、現在まだその制度はでき上がっておりません。ただ、政府といたしましては独立行政法人制度をぜひつくりたいということで準備を進めているわけでございますので、文部省といたしましては、業務移管機関といたしましては、新しい形で独立行政法人制度ができ上がりましたら、その制度を十分検討した上で、私どもの気持ちといたしましては、できればその制度に乗るような形で業務を引き継げれば一番いいのではないかと現時点では考えているところでございます。
  99. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その場合には、やはり業務の内容というものを、単なる継承ではなく改革をする。そしてその際には、やはり国の責任でやるべきもの、そして先ほども御議論ございました地方でやるべきもの、そして民間でやるべきものというふうな、そういうきちんとした役割分担というものもまだ今整理されていないんでしょうか。これから整理する、あるいはもうされているのでしょうか。
  100. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) その点につきましては、昨年の中央教育審議会の答申におきましても、今先生御指摘のような考え方から、国としてやるべき研修事業等の精選を図るべしという答申がございますので、これも踏まえまして、国立教育会館で現在行っております研修とあわせまして、文部省の私ども教育助成局あるいは初中局等、内部機関で実施しております研修全体を含めてスリム化を図っていくという観点から、今後十分検討してまいりたいと考えております。
  101. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 やはり、今後というのじゃなくて、もう既に何らかの形でもう少しきちんとされてから解散ということに対応すべきだというふうに私は思うのです。余りにもお答えがあいまいであるので、私がこれで質問最後になると思いますけれども、なかなか一つのイメージというものがはっきりとしてこない。それで、みんな賛成法案なんですけれども、なかなかすっきりしないものが残っているように、私も含めて、お顔の色を見ますとそう思うのでございますが、ここで最後に我々がすっきりわかるイメージをぱっと出していただきたい。
  102. 小野元之

    政府委員小野元之君) 文部省といたしましては、現在、行政改革に省庁再編を含めまして取り組んでいるところでございまして、先ほど来御指摘をいただいておりますスリム化、あるいは国と地方役割分担、そういったものを十分踏まえながら、行政改革の課題を十分踏まえつつ今後のことを検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  103. 御手洗康

    政府委員御手洗康君) 繰り返しになろうかと思いますけれども、現在、私どもが一番いい形になれないかと内々思っております独立行政法人の形が見えていないということによりまして、具体的にどういう形にするということをお示しできないということをおわび申し上げる次第でございますけれども、先ほどの御指摘を踏まえまして、文部省全体としての研修の整理というものに着手した上で、新しい形でまた御審議をいただく機会を持たせていただきたいと考えております。
  104. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国立教育会館解散に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会