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1999-03-04 第145回国会 参議院 文教・科学委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月四日(木曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         南野知惠子君     理 事         狩野  安君     理 事         馳   浩君     理 事         江本 孟紀君     理 事         松 あきら君     理 事        日下部禧代子君                 井上 吉夫君                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 世耕 弘成君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 佐藤 泰介君                 本岡 昭次君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 菅野  壽君                 扇  千景君                 田名部匡省君     ─────────────    委員異動  一月十九日     辞任         補欠選任      井上 吉夫君     阿南 一成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         南野知惠子君     理 事                 狩野  安君                 馳   浩君                 江本 孟紀君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 世耕 弘成君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 佐藤 泰介君                 本岡 昭次君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 田名部匡省君    国務大臣        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君    政府委員        科学技術政務次        官        稲葉 大和君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        科学技術庁科学        技術政策局長   加藤 康宏君        科学技術庁科学        技術振興局長   田中 徳夫君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        科学技術庁原子        力局長      青江  茂君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        文部政務次官   森田 健作君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        文化庁次長    近藤 信司君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○教育文化学術及び科学技術に関する調査  (文教行政基本施策に関する件)  (平成十一年度文部省関係予算に関する件)  (科学技術振興のための基本施策に関する件)  (平成十一年度科学技術庁関係予算に関する件  )     ─────────────
  2. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月十四日、照屋寛徳君が委員を辞任され、その補欠として菅野壽君が選任されました。  また、去る一月十九日、井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として阿南一成君が選任されました。     ─────────────
  3. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、教育文化学術及び科学技術に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) この際、有馬科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。有馬科学技術庁長官
  6. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 去る一月の小渕改造内閣発足に当たりまして、これまでの文部大臣の任に加え、新たに科学技術庁長官を拝命いたしました有馬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。大変非力ではございますけれども、先生方の御指導で一歩一歩進んでいきたいと思っております。  我が国が二十一世紀に向けて活力創造性にあふれた社会を築くためには、科学技術振興が不可欠でございます。しかも、健全な科学技術を進めなければならないと思っております。科学技術庁長官といたしまして、これに全力をもって取り組んでまいる所存でございます。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、科学技術庁長官就任のあいさつとさせていただきます。     ─────────────
  7. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 教育文化学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。  まず、文教行政基本施策について有馬文部大臣から所信を聴取いたします。有馬文部大臣
  8. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 第百四十五回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たりまして、私の所信を申し上げます。  未来の担い手である子供たちがたくましく心豊かに成長いたしますことは、二十一世紀を確固たるものとするための基本であり、我が国活力ある国家として発展し、科学技術創造立国文化立国を目指していくためには、あらゆる社会システム基盤となる教育について不断に改革を進めていくことが不可欠です。私は、人づくりは二十一世紀我が国の姿を形づくるものとの認識のもとに、教育改革推進最大限努力を払ってまいる決意であります。  文部省においては、教育改革プログラムを策定し、教育改革具体的課題やスケジュールを明らかにしつつ、教育改革推進に取り組んできたところでありますが、私は今日、特に次のような課題に重点を置いて取り組む必要があると考えております。  第一は、子供たちゆとりの中で生きる力をはぐくむこと、特に心の教育充実に取り組むことであります。  子供たちを取り巻く状況が著しく変容し、児童生徒暴力行為やいじめ、不登校などの問題が極めて憂慮すべき状況にあり、事態を深刻に受けとめております。私は、子供たち生命を尊重する心、他者への思いやりや社会性倫理観正義感、美しいものや自然に感動する心を持った人間として成長してくれることを強く願っています。そのため、幅広く社会の各方面への呼びかけを行い、家庭学校地域社会が一体となって力を結集しつつ、それぞれの分野で心の教育充実し、豊かな人間性を持ち、みずから考え、みずから行動できる人間育成に取り組んでまいります。  また、特に、平成十四年度から完全学校週五日制が実施されることを踏まえ、平成十一年度より平成十三年度までの三カ年に、地域子供を育てる環境整備し、親と子供たち活動振興する体制整備することを目指し、子どもセンター全国展開子ども放送局創設などを柱とする全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)を策定し、関係省庁協力も得つつ、緊急かつ計画的に施策推進することといたしております。  教育上の大きな課題となっています不登校問題について、わかりやすい授業の実施に努め、楽しい学校づくりを目指すとともに、適応指導教室等における指導あり方について研究する事業を新たに始めるなど、学校家庭地域連携して子供たちを育てていくとの観点に立った取り組みを進めてまいります。また、教育相談体制の一層の整備に努めてまいります。  さらに、最近、いわゆる学級崩壊と言われる状況が指摘されており、その実態等についての把握を行うなど必要な対応に努めてまいります。  また、幼児期教育人格形成基礎となることから、幼稚園におけるしつけなど、幼児期にふさわしい道徳性を培う活動自然体験社会体験活動などの充実を図ってまいります。  第二に、国際社会の中で競争力を維持し、活力あふれる社会実現するため、大学改革研究振興の一層の推進を図っていかなければなりません。そのため、人材養成研究の両面で国際的に通用する大学を目指し、大学審議会及び学術審議会における審議を踏まえつつ、大学改革を進めるとともに、学術研究振興の総合的な展開を図るため、研究費充実科学技術庁等との連携強化産学官連携推進などの諸施策充実に努めてまいります。  これらの課題中心に、国民の皆様の幅広い御理解と御協力を得ながら、教育改革の着実な推進に引き続き努力してまいる決意でありますが、以下、文教各般にわたる主要な課題について、私の基本的な考えを申し述べます。  生涯学習振興でございます。  今日、人々がいつでも自由に好きなことを学ぶことができ、学歴によらずに、生涯の各時期において行ったさまざまな学習の成果がきちんと評価されるような生涯学習社会を築いていくことは極めて重要です。このため、大学への社会人受け入れの促進や専修学校教育充実を図るとともに、昨年一月から全国放送を開始した放送大学教育情報通信ネットワークシステム活用した多様な学習機会充実に努めてまいります。  また、年々進みつつある少子化は、我が国社会経済に大きな影響を及ぼすものであり、子供を産み育てることに夢を持てる社会をつくっていくための積極的な取り組みが求められております。中央教育審議会においても、少子化教育について検討が行われているところであり、文部省としても、少子化対応した関係施策推進に努めてまいります。  初等中等教育充実についてでございます。  平成十四年度から実施される完全学校週五日制のもと、ゆとりの中で子供たち基礎基本をしっかりと身につけるとともに、みずから考え、問題を解決していく力を養うことが重要であります。昨年十二月、教育内容の厳選、選択学習の幅の拡大、総合的な学習の時間の創設などを盛り込んだ新しい小・中学校学習指導要領を告示し、高等学校及び特殊教育学校についても本年度内に告示することといたしておりますが、今後、その趣旨実現のため、広く周知に努めるとともに、円滑な実施に向けての諸条件整備に取り組んでまいります。  また、環境科学技術に関する学習推進するとともに、高度情報通信社会の進展に対応するため、学校における教育用コンピューター整備やインターネットへの接続などを計画的に進め、情報教育の積極的な推進を図ってまいります。  さらに、子供たち個性を伸ばし多様な教育実施するため、平成十一年度から選択的に導入されることとなった中高一貫教育について、今後、各地方公共団体等における取り組み支援し、その実施推進するとともに、総合学科など特色ある高等学校の設置や、選抜方法多様化選抜尺度多元化観点からの高等学校入学者選抜改善等を進めてまいります。  加えて、教育条件整備のため、個に応じたきめ細かな指導を行うチームティーチングの導入などの教職員配置改善耐震性向上環境を考慮したエコスクール整備など学校施設充実を図るとともに、義務教育教科書無償給与制度を堅持してまいります。  さらに、教員資質能力向上のため、教職重視得意分野づくりの方向で改善した新しい教員養成カリキュラム定着を図るとともに、特別非常勤講師制度等により、すぐれた社会人学校教育に積極的に活用してまいります。  地方教育行政あり方見直しについてでございます。  教育改革を真に実現するためには、教育条件整備などに関し、国がその役割を果たすとともに、各学校地域においてその特色を生かした創意工夫にあふれる取り組みを進めていくことが大切です。このため、地方分権を一層推進する観点から、新たな国、都道府県、市町村の連携協力体制をつくり上げ、教育委員会地域教育力向上地域振興に主体的かつ積極的に寄与していくとともに、各学校保護者地域住民の期待にこたえ、自主性自律性を確立し、特色を生かした多様な教育推進することが必要です。  このため、昨年九月の中央教育審議会答申を踏まえ、地方教育行政あり方見直し取り組み関係法律改正を今国会にお願いするとともに、学校運営組織見直しなど、必要な制度改正や運用の改善に取り組んでまいります。  高等教育充実についてでございます。  大学教育研究の質の飛躍的向上を図り、国際的に評価される大学をつくる観点から、昨年十月の大学審議会答申で示された、課題探求能力育成を目指した教育研究の質の向上教育研究システム柔構造化による大学自律性確保、責任ある意思決定と実行を目指した組織運営体制整備第三者評価を含む多元的な評価システムの確立による大学個性化教育研究の不断の改善、の四つの基本理念に沿った総合的かつ具体的な方策を実現するため、今国会関係法律改正をお願いするなど、抜本的で大胆な大学改革全力で取り組んでまいります。  また、高等学校大学それぞれの役割分担を明確にし、その上で初等中等教育高等教育を見通した教育あり方を考えることが重要であることから、昨年十一月、中央教育審議会に対して初等中等教育高等教育との接続改善について諮問したところであり、高等学校大学との教育連携あり方や両者の接続を重視した大学入学者選抜改善について御審議いただき、諮問時から一年程度を目途に意見を取りまとめていただきたいと考えております。  私立学校については、私立学校振興助成法趣旨にのっとり、教育研究条件維持向上修学上の経済的負担軽減などを図るため、教育改革推進学術研究基盤強化に配慮しつつ、私学助成充実に努めてまいります。  奨学金については、学生が自立して学べるよう、有利子奨学金について貸与人員の倍増及び貸与月額選択制導入など抜本的な拡充を図るとともに、無利子奨学金についても、貸与月額の増額など、さらに充実を図ることとしております。  また、雇用情勢が一段と厳しさを増している中、学生生徒就職指導充実について、引き続き最大限努力してまいります。  学術研究振興についてでございます。  学術研究振興は、人類の知的共有財産を生み出す未来への先行投資であり、特に研究費拡充若手研究者養成確保等に努めてまいりますが、中でも科学研究費補助金については、審査評価充実研究者へのよりきめ細かなサービスの向上を図るため、平成十一年度から審査配分事務の一部を日本学術振興会に移管するための関係法律改正をお願いすることとしております。  また、老朽・狭隘化が指摘されている研究施設・設備の改善充実学術情報基盤整備産学官連携協力による独創的な研究の一層の推進研究評価体制整備など、総合的な施策推進に努めてまいります。  さらに、情報研究地球環境科学の重点的な推進を図るとともに、生命科学宇宙科学などの基礎研究を着実に推進します。  今後の学術研究推進あり方については、科学技術基本計画はもとより、行政改革大学改革など学術研究を取り巻く情勢変化を踏まえて学術審議会で御審議いただいており、本年夏ごろまでに答申をいただく予定です。それを踏まえ、学術研究振興の一層の推進に努めてまいります。  スポーツ振興及び健康教育推進でございます。  スポーツは、心と体の健全な発達を促すとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会形成に寄与するものです。また、心身ともに健康的な生活を送るためには、みずからの健康問題を認識し、健康の保持増進を図っていくことが不可欠であります。  このため、学校教育において、生涯にわたりスポーツに親しむための資質能力育成するとともに、総合型地域スポーツクラブ育成定着などの環境整備を図ります。  また、児童生徒薬物乱用生活習慣病の兆候などの新たな課題に適切に対応するため、健康教育推進を図るとともに、学校給食における衛生管理等についても充実してまいります。  我が国では、今後、二〇〇二年ワールドカップサッカー大会開催が予定されるとともに、大阪市が二〇〇八年夏季オリンピック国内候補都市として決定されており、こうした大会招致開催への可能な限りの支援を行うとともに、我が国国際競技力の一層の向上を図ります。  なお、スポーツ振興のための安定した財源の確保に資することを目的としたスポーツ振興投票制度が、明るく健全な制度として円滑に実施できるよう努力してまいります。  文化振興についてでございます。  今後、我が国が心豊かで活力ある社会形成していくためには、文化を重視した国づくりを行い、文化立国実現していくことが必要であります。  このため、文化立国実現基本的指針である文化振興マスタープランに基づき、文化行政機能をより充実させ、芸術創造活動活性化文化財保護を初めとする伝統文化の継承・発展地域における子供文化活動推進文化を支える人材養成確保文化発信のための基盤整備等に積極的に取り組み文化の一層の振興を図ります。  さらに、著作権制度については、急速なデジタル化ネットワーク化への対応が重要であり、国際的動向を踏まえつつ著作権制度権利処理体制整備を進めてまいります。また、昨年新たに創設された登録美術品制度の普及、活用に努めるとともに、宗教法人制度については、信教の自由に配慮し、今後とも円滑な宗務行政実施に努めてまいります。  国際化への対応でございます。  国際化対応し、教育学術文化スポーツの一層の発展国際貢献を図るため、留学生交流の積極的な推進を図るとともに、海外子女教育帰国子女教育外国人子女教育充実教職員研究者交流国際共同研究充実我が国のすぐれた文化の積極的な海外発信海外の貴重な文化財保存修復への国際協力などに努めてまいります。  さらに、ユネスコ、OECD等国際機関を通じた協力途上国への教育学術協力推進するとともに、語学指導を行う外国青年招致事業等による外国語教育の一層の充実を図ってまいります。  中央省庁等改革に向けての取り組みでございます。  昨年六月に成立した中央省庁等改革基本法を受けて、平成十三年一月を目途文部省科学技術庁が統合され、新たな省が創設されます。今後、中央省庁等改革に係る大綱に基づき所要の準備を進めることとされておりますが、このたび私が文部大臣科学技術庁長官を兼務することを機に、一層科学技術庁との密接な連携協力に努め、新省への移行が円滑に行われ、新しい世紀における教育学術科学技術スポーツ文化に関する行政時代要請に的確に対応し、ますます充実していくよう努力してまいりたいと考えております。  以上、文教行政を担当する者といたしまして、私の所信を申し述べました。  さきにも申し上げましたとおり、教育改革国政上の最重要課題の一つであり、最大限努力が要求されているものであります。私どもといたしましてもできる限り力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜ることをお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  9. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ありがとうございました。  次に、平成十一年度文部省関係予算につきまして、森田文部政務次官から説明を聴取いたします。森田文部政務次官
  10. 森田健作

    政府委員森田健作君) 平成十一年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  教育国家百年の大計であります。目前に迫った二十一世紀に向けて、我が国が創造的で活力に富む国家として発展していくためには、教育改革を積極的に推進するとともに、我が国発展基盤となる人材育成学術研究などを重点的に推進していくことが極めて重要であります。  このため、平成十一年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のもとではありますが、教育改革の着実な推進に配慮しつつ、子供たちゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した心の教育充実未来我が国を支える人材育成学術文化スポーツ振興など、大きな時代変化に柔軟かつ的確に対応する文教施策を積極的に推進することができる予算確保に努めたところであります。  文部省所管一般会計予算額は五兆八千七百六億七千九百万円、国立学校特別会計予算額は二兆七千二百六十億七千二百万円となっております。  以下、平成十一年度予算における主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、生涯学習振興として、平成十四年度の完全学校週五日制の実施に向けて、子供地域活動振興や子育てに夢を持てる家庭教育支援を図る全国子どもプラン推進及び全国どこでも学べる放送大学充実等を図ることとしております。  第二は、豊かな人間性創造性をはぐくむための初等中等教育充実についてであります。  教職員配置改善計画平成十二年度完成に向けて着実に実施するとともに、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した新しい教育課程の円滑な実施に向けての諸条件整備を初め、中等教育多様化を促進するための中高一貫教育推進事業拡充に努めます。  また、子供たち問題行動に適切に対処するためのスクールカウンセラー拡充や心の教室相談員配置などの調査研究充実、特に不登校問題対応として、不登校児童生徒適応指導のための調査研究実施することとしております。  さらに、教員資質向上社会人活用や小学校専科指導充実のための非常勤講師配置公立学校施設耐震防災機能充実強化、心の教室整備学校給食における衛生管理の徹底及び薬物乱用防止五か年戦略推進等に積極的に取り組むこととしております。  第三は、私学助成について、教育研究条件維持向上修学上の経済的負担軽減などを図るため、学術研究基盤強化教育改革推進に配慮しつつ、経常費補助中心に、引き続き社会的要請の強い特色ある教育研究プロジェクトに対する助成重視観点に立って充実を図ることとしております。  第四は、大学改革推進高等教育高度化等要請にこたえるため、国立大学における組織運営体制整備大学院の教育研究高度化多様化を図ることとしております。  また、育英奨学事業については、学生が自立して学べるよう有利子奨学金を抜本的に拡充する等の充実を図ることとしております。  第五は、人類の知的共有財産を生み出すとともに、社会発展基盤形成する学術振興として、科学研究費補助金拡充やポストドクター等一万人支援計画の推進及び地球環境や情報などの今日的な重要課題に関する研究推進等に努めることとしております。  第六は、ゆとりある質の高いスポーツ振興として、広域スポーツセンター育成モデル事業など地域における生涯スポーツ推進を図るとともに、我が国の選手がオリンピック競技大会など国際競技大会において優秀な成績をおさめるための競技力向上事業充実等を図ることとしております。  第七は、文化振興について、文化立国実現を目指し、アーツプラン21や地域こども文化プランなど芸術の創造、子供文化活動推進文化財の次世代への継承・発展、新たな文化拠点の整備など、文化発信のための基盤整備等を図ることとしております。  第八は、教育学術文化スポーツの国際交流・協力推進についてであります。  留学生交流、ユネスコ等国際機関を通じた教育協力事業、諸外国との研究者交流や共同研究文化文化財の国際交流、日中スポーツ交流事業など、各般の施策推進を図ることとしております。  第九は、情報化への対応として、学校におけるインターネットや衛星通信等を活用した情報教育の一層の推進文教行政分野における情報通信ネットワーク環境整備推進等に努めることとしております。  以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、その具体の内容については、お手元に資料を配付してありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  11. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ありがとうございました。  次に、科学技術振興のための基本施策につきまして、有馬科技庁長官から所信を聴取いたします。有馬科学技術庁長官
  12. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 第百四十五回国会に当たり、私の所信を申し上げます。  二十一世紀を目前に控えた今、我が国は、極めて厳しい経済状況や少子高齢化の急速な進展などを踏まえ、これまでに整えられた社会システムを新しい時代にふさわしいものに変革していかなければならない状況にあります。このような中、豊かで潤いのある社会発展基盤を構築し、私たちや私たちの子孫にとって明るく希望に満ちた次代を迎えることができるよう努力していくことが、我々に課せられた使命であります。尽きることのない知的資源である科学技術は、経済構造の改革実現し、活力創造性にあふれた社会をつくっていく原動力であり、この使命を果たすために必要不可欠のものであります。  また、科学技術は、地球温暖化や環境破壊のような、人類が直面している地球規模の諸問題の解決に資するものであり、人類の未来に展望を開くものであります。さらに、長年の夢であった国際宇宙ステーションの建設開始や、向井千秋宇宙飛行士の日本人としては初の二度目の宇宙活動の例のように、科学技術は、次代を担う若者たちが大きな夢と希望、そして高い志を持つことをも可能とするものであります。  私は、このような科学技術について、その振興に積極的に取り組む所存であり、このため、科学技術創造立国実現を目指して、科学技術基本法及び科学技術基本計画を着実に実行し、政府の研究開発投資の拡充を図ってまいります。その上で、喫緊の課題である経済活性化に取り組むとともに、未踏の科学技術分野への挑戦、柔軟かつ競争的で開かれた研究社会実現、安全で豊かな生活実現のため、諸施策の積極的展開を図ってまいります。特に、現下の困難な経済状況においては、新産業創出を促すような先端科学技術分野研究開発やその成果の活用推進が、経済再生を進めていく上で重要であり、それらに関連した施策に力を入れてまいります。  一方、より一層の研究開発活動の効率化、活性化を図りつつ、研究資金等の研究開発資源の適切な配分、研究開発の厳正な評価、省庁の枠を超えた連携強化を図ります。さらに、国際的な科学技術活動を積極的に展開してまいります。  なお、これらの取り組みの多くは、昨年末に成立した第三次補正予算施策と切れ目なく実施することによって、景気回復に資することとしております。  また、行政改革においては、創造的な科学技術行政体制整備を図ることが重要であります。とりわけ、現内閣において、私が文部大臣科学技術庁長官を兼務していることにかんがみ、文部省及び科学技術庁の統合に向けてこれまで以上の取り組みができるものと思いますし、また、一層の努力もしてまいる所存であります。  以上のような認識のもと、平成十一年度には、以下に申し上げますような柱を中心として、科学技術振興施策を総合的に展開してまいります。  第一に、経済フロンティアの拡大等、経済活性化に資する施策の積極的展開であります。  現下の最重要課題である経済の再生を達成し、国民の期待にこたえていくためには、我が国の得意とする技術集約型の戦略分野を開拓、強化していくとともに、新技術、新規事業の創出等を促進するための施策を強力に推進していくことにより、我が国経済構造の改革を促進し、経済活性化していくことが極めて重要であります。このため、産業全般の発展等の源となる情報科学技術を初めとする重要戦略分野の開拓と、新規事業の種を多く包含する研究開発成果の活用を促進するための科学技術環境整備中心として、科学技術の側面から経済活性化に資する諸施策の積極的な展開を図ってまいります。  情報科学技術推進につきましては、社会の重要で高度なニーズに対応し、明確で高い目標を掲げた研究開発を行うことが効果的であります。このため、複雑な生命の諸現象の理解を深めるための先端的な研究開発や、地球規模の気候変動等の解明に資する地球シミュレーターの開発等を進めてまいります。  また、新たな戦略分野として、地球深部を探査し、地殻の変動、地球温暖化現象等の解明、有用な地殻内生命の探索等を目的とした深海地球ドリリング計画を推進してまいります。  さらに、二十一世紀はライフサイエンスの時代とも言われておりますが、生命機能の根源であるゲノムの構造及び機能に関する研究や、二十一世紀に残された大きなフロンティアである脳科学研究等を積極的に進めてまいります。  そのほか、現在の鉄鋼の二倍の強度と二倍の寿命を有する超鉄鋼材料の研究などを展開してまいります。  一方、研究開発成果の活用促進のための施策として、プレ・ベンチャー推進事業研究成果活用促進事業などを推進し、大学や国立試験研究機関等の先端的な研究成果の特許化や、研究開発型ベンチャーを通じた成果の展開を図ってまいります。  また、地域における新産業創出等に資する基礎的・先導的研究開発を推進することなどにより、地域科学技術振興策を強化してまいります。  第二に、地球規模の諸問題の解決など、社会的・経済的ニーズに対応した未踏の科学技術分野への挑戦であります。  我が国においては、みずから率先して未踏の科学技術分野へ挑戦し、知的資産としての革新的な科学技術の成果を創出し、我が国発展のみならず人類に対し貢献することが強く求められています。このため、地球規模の諸問題の解決等に資する科学技術分野へ積極的に挑戦することとし、地球科学技術、宇宙開発、海洋科学技術等の先端的科学技術に取り組んでまいります。  地球温暖化等の地球変動現象の解明や予測の実現は、経済社会の持続的発展や地球環境の保全、改善のための基礎となるものであり、特に地球温暖化対策については、地球温暖化対策推進大綱が平成十年六月に決定される等、取り組み強化が求められております。このため、革新的温暖化防止技術探索プログラムや地球観測フロンティア研究等の地球変動予測に関する研究開発を推進してまいります。  宇宙開発につきましては、コスト削減など開発の一層の効率化を図りつつ、確実かつ着実な推進を図ってまいります。とりわけ、輸送需要に柔軟に対応するとともに大幅な輸送コストの低減を目指したHⅡAロケットなどの宇宙輸送システムの開発、組み立てが順調に開始された国際宇宙ステーション計画の推進、情報収集衛星を含め、地球観測などの分野の人工衛星の研究開発に力を入れてまいります。  また、海洋科学技術につきましては、国内外の関係機関との協力のもとに、海洋地球研究船「みらい」や深海調査研究船「かいれい」等を活用して、総合的に海洋観測研究開発、深海調査研究開発などを推進してまいります。  このほか、あらゆる科学技術基盤技術として重要な物質・材料系科学技術研究開発、次世代超音速機技術等の航空技術の研究開発などの先端的科学技術推進してまいります。  第三に、開かれた研究社会を目指した柔軟な研究開発システムの構築と、科学技術に対する国民の理解の増進、並びに独創的な基礎研究推進等であります。  科学技術創造立国を目指していくためには、研究者創造性最大限に発揮できる活力と魅力のある研究環境を具現化し、我が国全体の研究開発の抜本的な活性化を図っていくことが不可欠であります。このため、国研独立行政法人化先導プログラム等に取り組み、人、資金、制度に関して組織の枠を超えた柔軟な研究開発システムの構築を目指してまいります。  また、近年の青少年の科学技術離れを勘案すれば、科学技術に対する国民の関心と理解を深めていくことが極めて重要な課題となっております。このため、科学技術に関する話題や科学実験の番組等を家庭に提供するサイエンス・チャンネルの試験的放送、創造性をはぐくむとともに物づくりの体験機会を提供し得るいわゆるロボリンピックの準備等を推進し、次代を担う青少年の創造性の涵養、国民の科学技術に対する関心の高揚等を図ってまいります。  さらに、科学技術創造立国を目指す上で必要不可欠である知的資産の形成を図るため、科学技術振興調整費や戦略基礎研究推進事業などの競争的資金の拡充中心として、基礎研究の強力な推進を図ってまいります。  加えて、研究開発の基盤整備観点から、研究情報等のデータベースの整備など研究開発に関する情報化の促進、大型放射光施設の整備及び共用の促進などを図ってまいります。  第四に、安全で豊かな生活実現するために必要な、国民生活に密着した科学技術推進であります。  特に、地震国の我が国にとって、地震防災対策は極めて重要な課題であります。このため、地震調査研究推進本部の方針のもと、基盤的地震調査観測施設の整備及びそのデータの流通、活断層の調査など、地震に関する調査・観測の充実強化や、国民一般に対する正確かつわかりやすい広報の実施などを総合的に推進してまいります。また、実大三次元震動破壊実験施設の整備を推し進める等、地震に強い社会実現に努めてまいります。  また、内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンに関連する研究や、がんやエイズの研究など、生活者に身近な課題対応する研究開発を推進してまいります。さらに、クローン技術の人への応用の問題等、ライフサイエンスの進展に伴い生ずる生命倫理の問題につきましても、規制のあり方の検討を含め鋭意取り組んでまいります。  このほか、核融合の研究開発等、次世紀の長期的な課題として取り組むべき未来エネルギーの確保に向けた研究開発を推進してまいります。  第五に、安全確保と国民の理解を大前提とした原子力科学技術推進してまいります。  エネルギー資源の約八割を海外からの輸入に依存し、今後ともエネルギー需要の着実な伸びが予想される中、供給安定性にすぐれ、発電過程において二酸化炭素や健康に有害な窒素や硫黄の化合物等を排出しない原子力の重要性は、地球温暖化防止京都会議での合意も踏まえると、ますます高まるものと考えられます。  原子力を推進するに当たっては、安全確保と国民の理解が不可欠であります。しかるに、昨年十月、使用済み燃料輸送容器のデータ改ざん問題が判明し、国民の皆様の原子力に対する信頼を損なうことになったことは極めて遺憾に思っております。  今後は、このような問題が二度と起こらぬよう、事業者に対し再発防止の取り組みを強く促すとともに、国としての安全審査、検査の充実強化や原子力安全委員会の機能強化など、原子力安全対策のより一層の充実強化を図ってまいります。さらに、国民各界各層との一層の対話の促進、情報公開等を積極的に推進してまいります。このような努力とともに、高速増殖炉や高レベル放射性廃棄物処分を初めとする核燃料サイクルの確立に向けた研究開発の着実な展開を図ってまいります。  一方、昨今の国際的な核不拡散に関する諸問題に対応するための体制整備と、使用済み燃料の中間貯蔵のための法的整備を進めるとともに、原子力損害の賠償についての諸規定の整備を行うことが必要であり、今国会において関係法律改正をお願いすることとしております。  以上、私の所信を申し上げてまいりました。  小渕首相は、二十一世紀社会に向け、未来へのかけ橋を築いていかなければならないという目標を掲げられました。私は、科学技術振興こそ、新しい世紀を希望と活力のあるものにするための基盤を築くものであり、未来へのかけ橋を築く原動力となるものであると信じております。  私は、科学技術に課せられた重大な使命を全うすべく、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。  委員長を初め委員各位の御支援、御協力を心よりお願いいたします。  ありがとうございました。
  13. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ありがとうございました。  次に、平成十一年度科学技術庁関係予算につきまして、稲葉科学技術政務次官から説明を聴取いたします。稲葉科学技術政務次官。
  14. 稲葉大和

    政府委員(稲葉大和君) 平成十一年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。  平成十一年度の科学技術庁予算額は、一般会計が六千百五十三億百万円、産業投資特別会計が三十七億円、電源開発促進対策特別会計が一千五百四十八億三千六百万円となっております。以上の各会計を合わせた予算額は七千七百三十八億三千七百万円となっております。  また、国庫債務負担行為限度額は、一般会計が一千四百七十一億三千四百万円、電源開発促進対策特別会計が五十九億五千九百万円となっております。  さらに、一般会計予算予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆八千四百七十億円とするとともに、核燃料サイクル開発機構法第三十五条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を二百八十億七千九百万円といたしております。  次に、主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、経済フロンティアの拡大等経済活性化に資する施策の積極的展開であります。  経済活性化するための新しい重要戦略分野の開拓として、情報科学技術推進に三百億八千九百万円、深海地球ドリリング計画の推進に三十三億五千百万円を計上するほか、ゲノム科学研究、脳科学研究等を推進することとしております。  また、新技術と新規事業の創出を促進するため、プレ・ベンチャー推進事業創設を初めとする研究開発成果の活用の促進に百八億九千四百万円、さらには、地域における科学技術振興に百七十一億五千七百万円を計上いたしました。  第二に、社会的・経済的ニーズに対応した未踏の科学技術分野への挑戦であります。  地球環境科学技術を推進するため、革新的温暖化防止技術探索プログラムを開始するとともに、地球変動予測に関する研究開発の推進等に合わせて六百九十一億五千百万円を計上いたしました。  また、月周回衛星プロジェクトや国際宇宙ステーション計画の推進等、宇宙開発利用の着実な推進に一千八百七十二億一千九百万円、海洋観測研究開発を初めとする海洋科学技術研究開発の推進に二百九十三億五千九百万円を計上したほか、物質・材料系科学技術や航空技術等の研究開発を推進することとしております。  第三に、新たな研究開発システムの構築、整備と独創的な基礎研究推進であります。  柔軟な研究開発システムの構築を目指して国研独立行政法人化先導プログラムに着手するとともに、開放的融合研究推進制度拡充、ポストドクター等一万人支援計画の推進等に合わせて四百三十二億二千百万円を計上いたしました。  また、サイエンス・チャンネルの試験的放送を初めとする科学技術に関する国民の理解の増進に四十一億五千九百万円を計上するとともに、科学技術振興調整費や戦略基礎研究推進事業等の競争的資金の拡充による基礎研究推進のため七百四十億四百万円を計上いたしました。  このほか、研究開発基盤整備充実のため、研究開発に関する情報化の促進、大型放射光施設の整備等を推進することとしております。  第四に、安全で豊かな生活実現するために必要な、国民生活に密着した科学技術推進であります。  全国的な地震調査観測網の整備、実大三次元震動破壊実験施設の整備等の防災・安全対策の充実に百五十五億一千四百万円を計上したほか、環境ホルモンに関連する研究等の身近な生活者ニーズへ対応した研究開発や核融合等の未来エネルギーの研究開発を推進することとしております。  第五に、安全確保と国民の理解を大前提とした原子力科学技術推進であります。  核燃料サイクル開発機構に関しましては、安全確保、情報公開等の一層の徹底により、改革理念を定着させ、業務運営を軌道に乗せることとしております。  また、原子力安全対策の推進を図るため、原子力安全規制行政充実強化、原子力安全に関する研究等に合わせて五百三十三億三百万円、保障措置の強化・効率化を含む核不拡散対策の充実強化に百五億一千三百万円を計上したほか、原子力に対する国民の理解の促進、バックエンド対策の推進、核燃料サイクルの研究開発の着実な展開、先導的原子力研究開発の推進を図ることとしております。  第六に、国際的な科学技術活動の積極的な展開であります。  研究者海外派遣や外国人研究者の受け入れ等の国際交流活動推進するとともに、国際宇宙ステーション計画等の国際協力プロジェクトを推進することとしております。  以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、その具体の内容につきましては、お手元に資料を配付してありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  15. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ありがとうございました。  以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会