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1999-07-27 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 藁科 滿治君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        林野庁長官    山本  徹君        建設省河川局長  竹村公太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農業振興地域整備に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 おはようございます。自由民主党の佐藤昭郎でございます。  きょうはいよいよ農振法の改正についての審議ということで、今国会食料農業農村基本法案を初めとして、十三本の法律のうち十二本の本審議が終わりまして、いよいよきょうこれから審議されます農振法が最後ということで、感無量のものがあるわけでございます。  新農業基本法に定められました理念、これをいろんな関連法律をつくって実施していくわけでございますが、私は前回の審議でも申し上げたんですけれども、今この理念を実行へ移していくには農家の方、消費者の方、そして行政また政治、これが連携しながら取り組んでいかなきゃいけない大事な時期だと思うんです。  冒頭大臣の方に、この連携というものに対し冷水を浴びせるような事柄につきまして農水省のお考えを少し伺っておきたいと思います。  去る七月十日に発売されました文芸春秋の八月号、ここに石井紘基国会議員の名前でこんな記事が出ております。「私が見た「族議員利権システム」という記事でございます。私もこれを読ませていただいたんですが、非常に読者をミスリードする事実誤認記述が多数あるんです。  たくさんあるんですけれども、一つ申し上げますと、土地改良事業をやるときに三分の一の同意を集めれば事業が実施できまして負担金を徴収できる、これは実際は御案内のように最低三分の二、圃場整備のような面的な工事を実施する場合は一〇〇%の同意がなきゃほとんど無理でございます。あるいは都道府県土連建設工事を請け負って建設業者に丸投げしているという、これも全然できないわけですね、やっていない。もう一つ申し上げますと、土地改良資金協会等補助金を自由裁量していると、こういう記述でございました。  私は、これを読んだときに、余りにも多く事実と違う記述があるので関係者は一読されてもう意に介さないだろうと思っておったんです。ただ、先々週、地方に参りまして農業基本法説明関係者の方に申し上げた、あるいは私のところにも全国から陳情者の方が来られますけれども、その方々の話を聞きまして少し考えが変わったんです。皆さんがおっしゃるには、天下の文芸春秋が取り上げた、我々はわかるんだけれども、知らない読者方々はこれは本当だと思ってしまう、ショックだと、こういうことでございます。  冒頭申し上げましたように、今、受益者の方、農家の方、消費者国民全体が一体となって取り組んでいかなきゃいかぬときに、非常に問題な記事だと僕は思うんです。農林水産省として、これは大臣に、この記事をどのように受けとめられたか、この点を伺いたいと思います。
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。よろしくお願いします。  今、佐藤先生の御質問文芸春秋でございますが、すぐ私の手元に参りましたが、まず先生指摘のように、同意が三分の一か三分の二かという基本的なことすら間違っておる記事でございますから、手元に置いたまま見るに値しないと私は思って、読んでおりません。  ただし、先生指摘のように、新しい基本法のもとでこれから農業農村そして食料政策を進めていく上で、農業農村整備事業について多大な事実誤認があるということ、しかも影響力のある雑誌でございますから、我が省といたしましては、出版社そして著者でございます石井議員に訂正を申し入れたところでございます。そういった基本的な事実誤認については一部御納得された、御了承されたというふうに思っておりますけれども、与える影響は非常に大きい、誤解を与えるわけでございますので、我々としては今後も必要な措置をとっていかなければならないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、新しい基本法のもとでの農政の着実な推進国民的な理解と信頼のもとでの推進に今後も一層邁進してまいりたいと考えております。
  5. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 中川大臣の御答弁を大変力強く伺いました。こういう誤った記事に対する厳正な対応をお願いするとともに、今、大臣おっしゃいましたけれども、こういった記事に惑わされることなく、今惑わされていないというお話でございましたけれども、基本法に則した新政策をひとつ展開していただきたいと思います。  さて、農振法に関する御質問でございます。  この農振法を非常に大事な法律だというふうに僕は考えております。新基本法関連最後法律ということもございまして、全国関係者方々、特に土地関係する方々は、新基本法記述された理念農地あるいは農村地域土地利用の上に一体どのように具体化していくんだろうかというところに本当に関心があるわけです。ただ、中身について、どういうふうなものが具体的に変わってくるだろうかという点について情報が不足していると思いますので、その点を少し伺っていきたいと思います。  まず、第三条の二、「基本指針の作成」というのがございます。この第二項の第一号、二号で、農林水産大臣は、農用地確保に関する基本的な方向、それから農業振興地域指定基準に関する事項、この二つを定めることになっております。  御案内のように、新農業基本法では、たしか第十五条でございますけれども、食料自給率目標を明示する、その関係自給率が決まってまいります。そして、国内の作付面積農地利用率が決まってまいりますと、自動的といいますか、ある意味では必要農地面積というのが出てくる。  この関係で、今回、農林水産省としては、確保に関する基本的な方向、ここを具体的にどのような形で定められようとしているのか、この点をわかりやすくひとつ御説明していただきたいと思います。
  6. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生から御指摘がございましたように、基本法の中で基本計画を定め、そして自給率目標を定めるわけでございます。その前提として、当然のことながら各種の農産物につきましてそれぞれ必要な作付面積、必要な農地面積というものを積み上げてくるわけでございます。その結果、基本計画の中では必要な農地総量というものが出てまいりますが、その必要な農地総量の中で、とりわけ優良農地として一体どれだけのものをどの地域確保していくのかということが問題になります。  今回の農振法の改正によりまして、農林水産大臣基本指針を策定することとなりました。その中で集団的な農地あるいは土地基盤整備が実施された農地、こういったものを優良農地として位置づけをいたしまして、この面積について、さらに農用地確保をどういうふうに図っていくかということについて基本指針で明らかにしたいと思っております。  農業振興すべき地域指定基準につきましても、これまで運用の中でいろいろと実績があるわけでございますけれども、これを法定化いたしましてきちんと位置づけをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  7. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 続いて、今の農地総量確保について重大な変更がここでなされるわけですが、第四条関係都道府県知事の定める基本方針がございます。第四条の二で、大臣が定めた基本指針に基づきまして、各都道府県知事基本方針を定めていかれるわけですが、第四条第二項第一号に「農用地等確保に関する事項」というのがございます。  そして、この点は総量確保していく担保の関係だと僕は思うんですが、第五条に、農林水産大臣は必要があると認めたときには今の第二項第一号にかかわる事項については変更をするための必要な措置をとるべきことを指示することができる、これはいろいろ経済情勢やそのほかの状況基本方針変更する状況が生じたときには、この点に関してだけは大臣指示をするという説明になっている。  これは先ほど局長の方から御説明ありましたけれども、平時の自給率あるいは不測の事態の食料安全保障の面から考えて、これだけの農地総量というのはやはり必要であると考えたときに、この連携都道府県の定める基本方針も国がやはり相当程度関与していこうとしているのかといった点、この都道府県知事が定める「農用地等確保に関する事項」の少し具体的な中身、そして国がどのようにここを担保していこうとしているのか、その点を伺いたいと思います。
  8. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今回の農振法の改正、もちろん一番重要なことは新しい基本法との関連において改正をさせていただきたいということでございますけれども、同時に地方分権ということも十分に頭に入れております。地方分権の議論を通じまして、食料安定供給というのは国の責務であるということを地方分権委員会にも御納得をいただきました。  そういう点から、国としては、農林水産大臣が策定をする基本指針の中で、農地とりわけ優良農地面積について示していきたいというふうに考えているわけでございます。各都道府県はこれまでもどの地域でどれだけ優良農地確保するかということを定めておられましたけれども、今回この国の指針を踏まえまして、各都道府県におかれましても必要に応じて農用地面積を明らかにしていくことが私どもは望ましいと思っておりますし、またそのような方向での対応を期待したいと考えておるわけでございます。  国の責務である食料安定供給とそれぞれ都道府県知事が定める優良農地面積との間にそごが生じますと国としての責任も果たせませんので、分権としての国と県の協議にはなっておりますけれども、それについて国が必要な指示をできるという規定を盛り込ませていただいたのはそういう趣旨からでございます。
  9. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今、この委員部からいただいた資料なんかも拝見いたしますと、農地面積が四百九十一万ヘクタールまで落ちて、農振農用地面積は四百三十五万まで落ちてきていると。これにひとつ歯どめをかけて、しかも各県が定められる基本方針農地確保に関する事項を定めていく、これはこれから非常に難しい作業が予測されると思います。また、国とのすり合わせというのも非常に大きな作業になってくると思います。いずれにしても、この基本法自給率と同様に来年の三月三十一日まで、今年度までにこれをお定めになるということになるわけでございますね。しかし、その大変な作業があるというふうに僕は思っております。  考えてみますと、農地として土地を利用する場合と、都市的に利用する場合というのは上がる収益が全然違うわけですね。したがいまして、農業サイドとして土地利用をある程度確保していこうとするときには、本当に地域農業者方々にとってインセンティブが必要だと僕は思うんです。そうしないと、ここに書かれた確保についても、指針についても絵にかいたもちになるおそれがある。ここら辺、農業サイド土地利用に対するインセンティブといいますか、確保していくインセンティブ、こういった面についてどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  10. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農振農用地区域内の優良農地というのは基本的に集団的農地、それから農業生産基盤整備事業圃場整備等をやった非常に生産力の高い農地ということになります。したがいまして、この地域内では農業を継続してやり、かつ高い生産性を持った農業をやるという意味で、この農用地区域内の農地に対しては集中的に農業投資をするということが一番だろうと思います。  それから、近年では、特に担い手後継者がいないという事柄も問題になってきておりますので、そういった後継者生活をしやすく、農業生産農業経営活動をしやすくするような、そういうふうな工夫も今回はさせていただいております。  具体的に申し上げますと、市町村農業振興地域整備計画の中で内容を拡充いたしまして、農用地等保全に関する事項とあわせて、新たに担い手のための技術習得であるとか情報提供等々、そういった関連施設整備をするための事項を盛り込むということも考えさせていただいております。面的な投資のほかに人的なインセンティブも与えていこうということでございます。
  11. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 さて次は、やはり今回の改正の僕はある点では目玉じゃないかと大変期待したところ、この第八条の市町村の定める地域整備計画、これについて少し伺っていきたいと思います。  先ほどの地方分権推進法関係で、県知事に対する協議、認可が協議になったというような改正もあったわけでございますが、基本法なり、それから木村尚三郎先生が座長になられました基本問題調査会、ここら辺でも美しく住みよい農村空間の創造のための総合的整備、こういったものをやっていくんだ、こう理念がうたわれたわけでございます。  これが今回、市町村の定める整備計画、この改正の中で、具体的にどんなところが変わったんだという点がちょっとわかりづらいと思うんです。その点、わかりやすくひとつ説明していただきたいと思います。
  12. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 考え方の問題と、それから具体的に何をやるかということと二つあるわけです。  考え方の問題としては、地方分権の中で上から下といいますか、中央地方というふうな上意下達型ではなくて、国と都道府県市町村が同等の関係にあるというふうに整備をさせていただきました。もちろん、先ほどのように、国の責務との関係で一部同意つき協議であるとか、指示とかいうことも含まれておりますけれども、基本的には我が町、我が村をどうするかということについては、一番現場に近い市町村都道府県が具体的な運用を行えるようにするという点でございます。  それからもう一つは、具体的な整備中身として、先ほどの説明と重複をいたしますけれども、農用地等保全に関する事項とあわせて、新たに担い手確保の一環として技術習得、例えば研修施設あるいは集会をするようなものとか、あるいはさらには情報を発信し受信するようなそういった基盤、そういうものを農業を担うべき者の育成及び確保のための施設という形で、市町村計画の中に位置づけをするということでございます。  こういった施設は、新しい基本法の五条の農村振興の観点から非常に重要なものの一つでございまして、今回の改正による計画事項の拡充というのは、こういう点で農村整備考え方の面でも具体的な項目の面でも寄与できるのではないかというふうに考えております。
  13. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今、局長さんの方から御説明があったんですが、私はそれは非常に有効である、有意義であるとは思うんですけれども、これは私の希望あるいは将来の姿でございますけれども、二十一世紀に向けて大きく中央省庁の組織も変わりますし、この農業基本法を初めとして四十年ぶりの大改革、この中でもう少し積極的な形が農村地域土地利用の中にできなかったのかなという感じがいたします。  もう御案内だと思いますけれども、例えば西ドイツでは、一九七六年ですからもう二十年以上も前でございますが、農地整備法改正いたしまして、集落整備住宅用地も含めまして集落の再整備についてこの農地整備法の中で計画を制定していって、それから集中効果といいますか、この農地整備法の中で、農村地域都市的な土地利用なり河川道路についての計画もその所管する省庁協議した後その計画の中に一緒に入れてしまって、その市町村整備計画が成立したと同時に、それら関連法案のいろんな規制も集中して同時に発効するというような非常に画期的な法律改正、これを二十年前になさったわけです。  やはり、日本の場合、どうしても各省庁の所管の所掌事務というのがございまして、この点非常に市町村にとっては使いづらい体系になっておるわけでございますが、将来の課題として農村地域土地利用計画、ここはひとつ農林水産省がある意味ではイニシアチブを持って取り組んでいっていただきたいと、こう思います。これは局長がうなずいておられますので、そのとおりだということだと思いますので、答弁は結構でございます。  さて次に、農水省がここをやるべきだ、農村地域土地利用についてもっと積極的にやるべきだということを申し上げるバックグラウンドについて少し御説明したいんですけれども、これは何といっても具体的な土地利用調整整序化を実現するツールである圃場整備事業を持っているということだと思うんです。この農振法なり国土利用計画法法律の上ではいろんなことが書いてありますけれども、実際に地面に、地べたに落としていったときにどれだけのことができるかということになりますと、具体的なハード事業が行われて、それを契機に土地利用整序化していくしか道がないと思うんですね。  都市計画法では都市区画整理事業というのを都市計画の母と言っておりますけれども、圃場整備事業というのはまさに農村地域土地利用の母だと僕は思うんです。圃場整備事業というものに対していろいろ公共事業批判というのもございまして、米が余っているときに水田整備するのは何事だというようないわれのない、実は米も食料も大事なんですけれども、批判があるんですけれども、本当に大きな圃場整備事業の効用というのは農村地域土地利用整序化だと思うんです。  そこで、これまでにも換地手法を活用されまして、例えば公共用地でありますとか、そのほかいろんな非農用地を創出してきた事例が僕は非常に圃場整備でもたくさんあると思うんです。ここでひとつ具体的な数値、どれぐらいのことを圃場整備事業でこういったことをなさってきていただいたのか、国民方々でわからない方も多いと思うんです。ちょっと御説明していただきたいと思います。
  14. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 御指摘のとおりでありまして、土地利用整序のためのツールをいわゆる圃場整備事業等が、土地改良事業が持っているということはそのとおりでございます。土地改良事業を実施する場合、換地という手法をとって非農用地を生み出すわけでございますけれども、その結果、土地改良施設用地あるいはライスセンター等農業経営合理化のための施設用地あるいは道路河川等公共施設用地宅地等が生まれてくるわけでございます。  昭和四十七年にこの制度が創設をされまして以来、平成十年度末で、これは都道府県営事業実施地区で見ますと、累計で約一万ヘクタールの非農用地創設をされております。このうち公共施設等用地が六割、宅地等が二割、土地改良施設用地が一割、そして農業経営合理化施設用地が一割ということで、いわゆる創設換地システムを使いまして、農地の虫食い的なスプロールを防止しながら必要な用地を生み出しているというのが現状でございます。
  15. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 我が国国土の特徴を考えますと、このツール重要性というのは今後もますます大事になってくるんじゃないかと思います。  御案内だと思うんですけれども、人口密度我が国は今三百三十人平方キロ、オランダは四百十人ということですけれども、日本の場合、国土の二割しか可住地域ではない。したがいまして、平野部、可住地域、ここの人口密度というのは千五百三十人という数値が出ていまして、これは先進諸国と比べますと飛び抜けて高い人口密度の中でいろんな土地利用が錯綜しているわけでございます。したがって、具体的にこういった土地利用整序化を生み出すツールという面での圃場整備事業というのは僕は非常に大事だと思うんです。  ただ、御案内のように、整備率が五割を上がってまいりますと、なかなか農業生産の場だけから見た圃場整備事業というのは仕組みにくい。やはり、都市近郷でも、再整備を行って都市近郷都市的土地需要に対して調整していこうという動きがいろいろあるわけでございますが、この再整備を中心とした圃場整備土地利用整序化を目的の一つにした圃場整備がやりやすくなるような仕組みというのは何かお考えでございましょうか。
  16. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 圃場整備事業をやった後、またさらに一定の時間がたち、一定の必要が生じ、あるいは農業生産性がより一層増すと、例えば三十アール区画のところをまた一ヘクタールにするというふうなことも含めまして、圃場整備事業再編整備を現在も行っております。例えば、土地利用秩序形成型事業であるとか、あるいは緑農住区というふうなものもございますし、再編地区においても、今申し上げましたような換地手法等を活用しながら地域のニーズに基づいた土地利用調整が円滑に図られるように今後も進めていきたいと思っております。
  17. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 最後でございますけれども、この農振法の改正、先ほど申し上げましたように、我が国土地利用調整計画という点から見て大変大事な法律だと思います。今回の法律改正は将来二十一世紀をにらんだ第一歩と、一歩と言うのはちょっと失礼かもしれません。これからもやはりこの延長線上には我が国土地利用全体の整序化をどうやってつくり上げていくかというビジョンがあるわけでございますので、それに向かってのステップだというふうに考えております。ひとつこれからもその点をお考えの上、またよろしく取り組んでいただきたい、このように思います。  終わります。
  18. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  先立ちまして、七月の大雨の被害に関して質問をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭、お亡くなりになりました方々に御冥福を申し上げ、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。  私の方で今回取り上げたいと思いますのは、昨年もこの委員会お話をさせていただきましたけれども、海岸の方に漂着をいたしました草木等の処理の関係についてでございます。  まず、厚生省の方にお尋ねをしたいと思いますが、昨年も同様の被害がございました。結果として、補助金が交付をされたのは自治体の数でいいますとどのぐらいの数、金額はどのぐらいになっておりますでしょうか。
  19. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 平成十年八月二十七日から三十日の大雨によります影響被害状況でございますが、全体といたしましては、水戸市から始まりまして関係市町村のすべての被害額の総額は二億七千万というふうになっているところでございます。
  20. 郡司彰

    郡司彰君 被害額ということで二億七千万ということは、交付された補助金についてはおおよそこの半額ということでよろしいんでしょうか。それとも二億七千万が交付された金額でしょうか。
  21. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 現行のいわゆる災害廃棄物の処理に関しましては、廃棄物処理法の第二十二条に規定がございまして、その処理の費用に要した額の二分の一以内の額を補助することができるという旨になっておりまして、今申し上げました費用の約二分の一というふうに御理解を賜ればと思うわけでございます。
  22. 郡司彰

    郡司彰君 昨年の質問の中で、海岸に砂が大変付着をしている、塩分等の問題もあるということで、そのまま焼却処分に今の処理施設でいくといけないということで、技術的にもちょっと検討をしようか、指導もしようかということがございました。  結果は、昨年、どのような形で処理をしたかということをお聞きしてまいりましたけれども、大きい流木については一本一本水洗いをして、その後焼却処分をしたと。以前は野焼きのような形もありましたけれども、今はダイオキシンの問題その他がありますので、一本一本洗ったうち、また裁断をして燃やしたというふうなことで、例えばひたちなか市でありますと、結果として三千七百万ぐらいのコストがかかって、約半額が国庫補助金として支払われたということで、大変地元の方はありがたいという思いをしているわけであります。  同様に、毎年このような形でもって漂着をしている流木の処理について、何か技術的な検討、研究というものはなされておりましたでしょうか。
  23. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) いわゆる混合した廃棄物を処理する際には、御指摘のように、ダイオキシンのみならずさまざまな有害物質が同時に漂着をいたしている可能性がございます。それらをあわせて焼却処理するという際には有害物質の問題等がございます。  そこで、これらを分別してどう処分するか。焼却する場合もございますし、そのまま埋め立て処分をする場合もございますが、技術的な個々のケースにつきまして、御相談があったケースは私どもとしても対応いたしておりますが、今御指摘のように、全体としてそれを取りまとめたというようなものはまだございませんで、今回のケースにつきましても、個別の御相談があればそれに対応して処理してまいりたいというふうに考えております。  一般的に申し上げますと、昨年も、本年もあったわけでございますが、通常の日常的なごみ処理の体系の中にはこういったケースというのは普通想定されがたいわけでございますので、やはり個別対応にならざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  24. 郡司彰

    郡司彰君 ことしの雨量は昨年よりも少なかったということもありまして、漂着をしたごみといいますか、廃棄物の総量も少なくなっているのでありますけれども、実際にはその数量は少なくなっているのでありますが、昨年よりも処理のコストはことしの方が相当かかるだろうというふうに言われております。  といいますのは、昨年は秋口でございましたので、若干時間をかけてボランティアの方にもお手伝いをいただきながら処理をするという時間がございましたけれども、ことしはたまたま海水浴のシーズンの直前ということでありまして、大洗町というところでは、ごみのために海開きを延期したりして、急遽、緊急に大量に運び出す。それとあわせて、海水浴客が来るということなものですから、昨年取り残したような大きさのごみもすべからく小さなものまで取り除く、そういうような作業が重なりまして、実質的には昨年よりもコストが相当かかるだろうというようなことを言われております。  昨年は全体に大きな被害ということで、激甚等の指定があった上でのこともあったのかもしれませんけれども、規模にかかわらず、このような関係につきましては申請によって交付金が出されるということに理解してよろしゅうございましょうか。
  25. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 昨年の廃棄物の量につきましては約一万五千トン弱ということでございまして、その被害額につきましては二億七千万というふうに申し上げました。  現在まで私どもが茨城県から聞いております数値によりますと、七月十五日現在でございますが、今回のケースでは漂着しました流木等は約六千五百トンというふうに見込まれております。全体の費用につきましては、今のところでは八千九百万円に上るというふうに見られておりまして、これらにつきましては、冒頭申し上げましたように、法の規定にのっとりましてその処理の費用につきましては適正な処理がされるように補助をしてまいりたい、現在そういった作業をいたしているところでございます。
  26. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  それで、問題は、昨年もそうでありましたけれども、ことしも茨城の海岸に非常に多く流れ着いている。これは全国的にそのような形がどこにでも見られるかというと、必ずしもそうではないのではないかなという感じがしまして、こうした被害の起こる地域というものが非常に偏っているんじゃないかなという感じがしております。  そこで、林野庁の方にもお尋ねをしたいと思いますけれども、草木といいますが、大きなものはやはり木でございますので、基本的には山の方から流れてくるというふうにだれもが思うわけであります。あの地域で例年のように起こってくる、これからもまた来年もあるのかというふうな心配をみんながしているわけでありますけれども、どうしてあの地域に起こるというふうにお考えでしょうか。
  27. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 今回のあの茨城県の豪雨災害の被害も非常に局地的に大量の雨量が発生したということによるものだと思っております。六月には広島に同じような災害、これは人命の被害を伴う災害がございましたけれども、いずれにしてもここ一両年の豪雨被害というのがこれまでになかったような非常に局地的かつ時間雨量として非常に大量なもの、これは過去の統計等から見ても余り例のないようなものであると言われておりますので、それが一つ大きな原因であると思っております。  本来、樹木はそもそも国土保全、災害の防止に役立つはずでございます。したがって、裸であったよりは相対的には被害は全体として少なかったと思いますけれども、今回の茨城のように、海水浴を控えて大変お困りでございます。私どもは、そういった被害を極力防止するために、森林において適切な間伐の実施とか下刈りとか、山が荒れている、放置されているというような事態を極力なくすようにすることが重要であると思いますので、全国的にこれから間伐や適切な森林の保育管理というのに特に重点を置いてまいりたいと思っております。  また、中長期的には、より災害に強い森林の整備を進める必要がございます。具体的には、適地適木といいますか、その土地に本当に合った木を植えるとか、あるいは複層林施業とか長伐期施業といったような災害防止も十分念頭に置いた山の管理を行ってまいりたいと考えております。
  28. 郡司彰

    郡司彰君 今、長官の方から間伐等についても言及をされまして、実は写真がありますけれども、(資料を示す)大体こういうような感じに海岸がなるというふうなことでございます。今、長官の方から言われました山の状態がどうなっているかということについても、私もちょっとこの間のところでさらっと山の方に行ってまいりました。  この写真そのものはちょっと古いのでありますけれども、いわゆるもやし状になっていて間伐がされていない。これはもちろん国有林でございまして、ほとんど日が当たらないような状態になっているところであります。当然、木そのものが流れ出るというふうな原因にもなりましょうけれども、保水力が相当弱っている、日が当たらないということによってその辺に生えるものが生えない、土壌がかなり劣化をしているということで、土壌そのものの流出も伴って、間伐をしたものだけじゃなくて立ち木そのものも流れ出ている、そういうふうなことも起こってくる可能性が非常に強いだろうと思うんです。  このような現状でありますので、今、長官の方からそういうことに意を用いてということでありますが、現状が非常に心もとないというような感じでありますので、そこのところを、昨年の特別委員会の方でも要員の問題その他がありましたが、もう一度多面的機能ということをWTOの方で日本が主張しようという、まさにその部分が今回の水害によっても大変な災害をもたらしたというふうに考えられますので、改めて今後きちんとした管理を行っていくということを明言いただけますでしょうか。
  29. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生の御指摘のとおり、間伐等の森林の適正な管理というのは災害防止の観点からも大変重要であると考えておりまして、私どもは、これからの予算編成等において特に間伐等の保育に重点を置いてまいりたいと思っております。また、これとあわせて、治山事業がございますが、こういったものにも力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。  また、先生指摘のように、こういった間伐のおくれ等の山の姿と災害がどういう因果関係にあるのか、これについても森林総合研究所、研究機関の専門家等とも十分に現地を見ながらその原因を検討、分析し、防災により役立つ森林の整備に努力してまいりたいと考えております。
  30. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  昨年の水害以降、建設省の方でも大変な努力をされておりまして、用地買収その他が非常に進んできております。そういう意味では努力に対して感謝を申し上げたいと思いますけれども、河川そのものが長い流域でございますので、それぞれ地域の住民の方に愛されて、ふだんから河川で遊ぶというようなことも含めて生活の中に川が入っていくということが、今回の流木の中でもアシ、ヨシの関係がやっぱり相当ございますので、そういうものをきれいにしていこうというふうなことにもつながってくるんだろうというふうに思っております。  そういう意味で、どうもこれまで、私どもの方の感じでいいますと、川は建設省が管理をするというようなイメージが強くて、川はみんなのもので、よく一緒にこれを生活の中で楽しんでください、愛してくださいというような、どうも思いがちょっと少ないのかなという思いがいたしますが、建設省の方で河川の管理に関してどのような考えをお持ちでしょうか。
  31. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) お答えいたします。  私ども、日本国の大変厳しい河川状況、外国の方から言わせると滝のような川だというような厳しい地形状況の中で、大きな雨が降ると一気に濁流が襲い、下流の方々被害を与えるという状況の中で、なおかつ平常時には川で人々に楽しんでもらいたいという思いを持っております。  そのような思いが、平成九年度の河川改正によりまして、河川法の目的の中に「環境」という言葉を入れまして、地域方々が川で楽しんでいただける、そしてなおかつ安全な川にしたいという基本的な考え方河川改修を、または河川管理を実施しております。
  32. 郡司彰

    郡司彰君 大分考え方が環境というものに意を用いたように変わってきているということがわかるわけであります。昨年の復旧事業に関しましてのパンフレットの中で、「自然豊かな川づくり」ということで、このような川があればいいなというようなイメージ図が出ているわけであります。  実際問題、例えばこれは具体的に「那珂川の災害復旧事業」というパンフレットになるわけでありますけれども、これは多自然工法そのものとはちょっと違うんだろうと思いますけれども、このような河川工事というものは現在行われているんでしょうか。これは、こういうものがあったらいいなというようなことなんでしょうか。
  33. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 昨年八月の豪雨によりまして、那珂川流域だけに限って言わせていただきますと、約一千戸の方々が床上、床下の被害に遭われております。そのために、まず那珂川流域の方々はともかく安全な川にしてくれという思いが大変強うございます。そのために、安全な川にするということで堤防の強化、そして河川敷、いわゆる高水敷の強化を実施しております。  その強化を、従来ですと強化したままで終わっていたわけでございます。具体的に言いますと、強化と申しますと水が非常に強く当たるところではコンクリートブロックを張りっ放しで終わっていたわけですが、今後は、コンクリートブロックは張りますが、その上を土などで覆って、その上に植生、木や、木といっても大きな木ではありませんが、小さな木や草が生えて、小動物や昆虫がそこで生息可能なような環境空間をつくっていきたい、安全であり、なおかつ都市部の中でよりすぐれた環境空間をつくっていきたいという考え方でやっております。  今の先生指摘の絵は、今後の那珂川の工事の終盤近くに当たっての姿、そして自然が回復された後の数年先の姿をそのイメージのパンフレットの中で私どもは提案させていただいております。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 強化をするという目的、その上に土壌を積み上げることがより強化というような面で大事だということと、環境がちょうど合うんだという話なんだろうと思いますけれども、厳密に言いますと、間にあるコンクリートというものが本当に生態系ということでどうなのかということの研究もあわせてお願いをしていきたいなということと、それからもう一つ、ちょっと細かい話になりますけれども、那珂川の流域にも蛇行をしている部分によくテトラポットが敷設をしてあります。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  このテトラポットは、見た目にはどうということはないのでありますけれども、実際に川を下るといいますか、流れに沿ってまいりますと、普通の護岸堤とか岩があります場合には水ははね返るわけです。ところが、テトラポットというのはその間に空間がありますから、どんどんそこに入っていくということで非常に危険な場所になっているんです。船なんかも、近くまで行って戻そうとしてももう水流で戻らない、押しつけられれば大体水圧で骨が折れるような、それほどのところになってしまって、テトラポットというのは一見そうは見えないけれども非常に危険な工事ではないか、そういうような感じがしております。  このテトラポットを使った、何というんですか、川の流れを弱めるということの目的なのかなという感じはしますけれども、これについては早急に見直しをしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  35. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 私ども、日本国の水害二千年の歴史の中で、さまざまな箇所、さまざまな地域河川が破堤しております。破堤した多くのケースが、洪水時、非常に強い力でもってその堤防に水が当たっていくと。いわゆる私ども、水が当たる場所が極めて危険な箇所であるという認識を持っております。過去、先人たちもさまざまな努力をされております。信玄堤とかさまざまな努力をされておりますが、現時点で一番危険な箇所、水が当たるところには、そしてすぐ堤防の足元の洗掘が起こってしまうというような箇所につきましては重量の重いブロックを置いて、水の力をそこでそいでいくという考え方で私どもは堤防を守っております。  全面的にテトラまたはそういう大きな重量のあるブロックを置くつもりはございませんが、どうしても守らなければならない危険な箇所にはそのような重量物のブロックを置いて堤防を守っているということを御理解願いたいと考えております。
  36. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  建設省、厚生省の方についてはこれで終わります。  次に、農振法の関係質問をしたいと思いますけれども、大臣の方からの提案説明をお聞きいたしまして、補足説明についても読ませていただきました。基本的には新農基法あるいは地方分権一括法、これらの関係が非常に大きいんだろうというふうに思っておりますけれども、その辺のところの関連について簡単に御説明いただけますでしょうか。
  37. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさに、先生指摘のとおり、基本法理念あるいは法全体の施策を推進していく上で今回の農振法の改正というのは大きな意味を持つものというふうに位置づけております。  具体的には、基本法十五条に基づく基本計画の中に、いわゆる自給率を明示するという中でできるだけ高い実現可能な数値を設定したいというふうに考えておりますが、その際に、作物ごとに主要な作物についてどのぐらいつくれるのかということを個別に明示してまいるわけでございますし、その場合には、やはりその裏づけとなります農地というものがどのくらい必要なのか、総量そしてまた作物別にどのぐらいの農地が必要なのかという意味で、農地確保、特に優良農地確保といった側面から、そういう自給率向上あるいは農地の必要面積確保という基本計画を裏づける意味で、この農振法というものが密接な関連があるというふうに理解をしております。
  38. 郡司彰

    郡司彰君 分権法との関係は。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 済みません。  分権法との絡みでは、御承知のとおり、今度、都道府県そしてまた市町村とそれぞれの法定事務にかかわる仕事になっていくわけでございますけれども、それと国の基本指針との関係が従来の承認といういわば上下関係という形から、国と都道府県との関係は水平といいましょうか対等の関係として協議というものになっていくということが一つでございます。  もう一つ、県と市町村との関係地方分権一括法の方で協議という関係になっていくわけでございますが、二点目といたしましては、今まで通達という形でいろいろと都道府県の方におろしていたわけでありますけれども、今回はきちっとした全国的な基準を明確な形で法制化をいたしまして、その法制化された形の中での自治事務の中でその地域地域に合った特性を持った形で農業振興のための農地確保という体制にしていくというのが今回の改正趣旨でございます。
  40. 郡司彰

    郡司彰君 承認、認可から協議、一部同意つき協議ということに変わったという趣旨については理解をいたしました。  それで、地方分権関係からいいますと、今回の形はあるべき姿に近づいたんだろうと思っておりますけれども、一方、農地確保していくという国の意思がこれまでもややもするといろんな錯綜した、重複をした計画の中で減少を来してきたということもあったわけでありますけれども、このような形の各自治体ごとの自治事務の中で国の意思としての農地確保していく、そのようなことについては十分守られていくというふうに考えてよろしゅうございますか。
  41. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) ただいま大臣から国と地方公共団体の関係を従来の上下関係的な要素から対等ということを御説明申し上げました。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  ただ、この中で、農用地等確保に関する事項につきましては、食料安定供給確保、これが国家的要請といいますか、地方分権委員会との議論でいえば国の責務でございますので、今、先生から御指摘がございましたように、同意を要する協議といたしております。それから、農林水産大臣は、必要があると認めるときには都道府県知事に対しましてその基本方針変更するための必要な措置をとるべきことを指示することができるというふうになっております。  私ども、そういうプロセスが制度上はつくられているわけでございますけれども、国の基本方針についてよくよく都道府県に御説明をいたしました上で臨みたいと思っておりますので、仕組みの上ではこういった同意を要する協議指示ということで担保をいたしておりますけれども、実際上はよくよくお話し合いをして、その間にそごが生じないようにしていきたいというふうに思っております。
  42. 郡司彰

    郡司彰君 地方分権推進委員会の中間報告では大きく三つほどの指摘がされておりまして、その一番目に総合的な土地利用計画が欠如しているのではないかというような指摘がございました。もちろん、このいろいろな関係の中で、先ほども述べましたように、錯綜し重複をしている中での関係でございますけれども、こういったことについて、特に市街化と言われるものに農地というものが押されてきたというようなことが一般的には多かったのではないかと思いますけれども、そのような意味からも総合的な土地の利用計画というものが今回の法案の中には生かされているということになりましょうか。
  43. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 食料安定供給確保というのが最も重要なことであるという認識に立ちまして、その基盤となります農地、これをしっかりと確保していくという前提で、これまではございませんでした国の基本方針というものを設けさせていただいたわけでございます。  一方、先生がおっしゃいますように、分権委員会の中間取りまとめの中で、総合的土地利用制度の欠如という点が指摘をされていたのは事実でございます。私どもも、その間、分権委員会といろいろとお話をいたしまして、国土の利用計画に関する法制は既にあるわけでございますし、昭和四十三年あるいは四十四年から都市計画法そしてこの農振法がスタートし、以来三十年以上現場で定着をしているわけでございます。この運用をきちんとすることによってそういった面は現実的に対応が可能ではないかというお話を申し上げて、最終的な分権計画には、この国の基本指針を明確にすること、そしてそのもとで地方分権を進めること、そういった点が盛り込まれたわけでございます。
  44. 郡司彰

    郡司彰君 基本計画の中で今後の自給率を定めていこう、伴って、主要作物の作付面積でありますとか、農地の数量が結果として出てくるだろう、単純にそれだけで出るということにはならないわけでありますけれども、そのほかに耕地の利用率の問題、この三つぐらいが重なり合ってそれぞれの関係を持ちながら基本計画の中で形ができてくるんだろうと思いますけれども、この自給率目標農地数量、利用率、相互にどのような関連といいますか、連携が出てくるというふうにお考えでしょうか。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 自給率、それから必要な農地、それから利用率、これは一体として、目的であります国民に対する食料安定供給あるいはまた国内生産の増大、そして自給率をできるだけ実現可能な高い水準にするという観点から、これはもう三つ一体のものであるというふうに理解をしております。
  46. 郡司彰

    郡司彰君 その中で、農地面積が、ピーク時六百九万ヘクタールから、現在四百九十一万ヘクタールに三十七年間で百十六万ヘクタールぐらい減ってきたというような数字が出されておりますけれども、これは必ずしも百十六万ヘクタールが消滅をしたということではなくて、その間、国の方でも努力をしながら造成し、一方で消滅をする、差し引きが百十六万ヘクタールだと思いますけれども、この間、造成については消滅が実質的にはいかほどというふうになりましょうか。
  47. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 私の今手元にある数字では、これは昭和三十五年以来の数字でお話し申し上げたいと思いますが、農地の拡張の累計面積は百七万ヘクタール、それから農地の壊廃の累計面積は二百二十七万ヘクタールになっております。
  48. 郡司彰

    郡司彰君 今この農振法の議論をする中で、先の話を予測するということは非常に難しいんだろうと思いますけれども、いろいろな資料等には、この先二十年、三十年先になるとかなり農地が減少をしているのではないかというようなことで、おおよそこのぐらいになると。例えば、二十年を経る中で四百万を切るのではないか、そういうような予測をしている資料というものが散見されるわけでありますけれども、こうした資料が出回っているについては、それなりの資料を作成する根拠がそれぞれのところであったんだと思いますが、農水省の方としてはこのような資料に対してどのようなお考えをお持ちですか。
  49. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農地面積の推計というのは、ごく最近のケースでいいますと、昨年の基本問題調査会の議論の素材として二つのケースを想定させていただきました。  ただ、これは自然体でいくとこういうふうになるということでございます。例えば、転用をこれまでのトレンドで見て、そして耕作放棄についてもこれまでのトレンドで見る。そして、現有農地からその両者を引いて、さらに年間の造成は三千ヘクタールぐらいあるんですが、これを足し上げるとこういう面積になるという推計をしたわけでございます。  ただ、私どもはこれから考えなければいけないことはまず自給率を高めるということで、農地をフルに使うという観点から、農地の絶対的な規模、そしてその耕地利用率を高めること、さらには耕作放棄が出るようなところについて耕作放棄が出ないような工夫をする、大きく言うとそのぐらいの三つが絶対的なベースとしてはございます。その上で、意欲ある担い手農地をできるだけ集約してこれがうまく使われるようにするという、そういうふうなことを考えますと、現時点でこれから十年後、二十年後に農地面積はこれぐらいになるであろうということは、御説明するのは必ずしも適当ではないかなというふうに思っております。  ただ、基本問題調査会では、平成二十二年の農地面積を今、私が申し上げましたような前提で計算をして、約四百万から四百四十万ぐらいというふうな試算をしたケースはございます。
  50. 郡司彰

    郡司彰君 これまでは長い期間に百万ヘクタールほどの造成をしてきた。しかし、国土のこれまでの利用状況その他を見ますと、そうそうこれから先、造成可能地というのは多くあるだろうということにはなりませんし、まとまった形での造成というものも非常に困難を来してくるんだろうと思います。そういう意味でいえば、局長がおっしゃいましたように、今ある農地をいかに維持し、なおかつ耕地利用率を高めていくかということになるんだろうと思いますが、そういう意味では、転用も含めまして消滅をしていくものについてはやっぱり厳しく対処をするということが必要になってくるんだろうと思っております。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、平成八年でしょうか、一年間で見ますと、公共用地として農地からの転用というのが三千ヘクタールぐらいというような数字をちょっとお聞きいたしましたけれども、ここ十年ないし二十年で公共用地として農地が転用された、いわゆる農地としては消滅をしたというのはどのぐらいの面積がおありでしょうか。
  51. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 転用の面積のこの数年の動きですが、大ざっぱに言って大体三万ヘクタール程度というふうに御認識いただけたらと思います。  平成九年が二万六千二百五十一ヘクタールになっております。それから、その中で公共転用、ちょっと言葉が正確ではありませんが、国に関する転用あるいは地方公共団体に関する転用、これが平成九年の数字で、国の分が八百五十一ヘクタール、地方公共団体分が四千九百四十ですので、五千ヘクタール弱というところだと思います。
  52. 郡司彰

    郡司彰君 全体で三万ヘクタール、うち国、地方で五千ヘクタール、この数字が多いのか少ないのかということの評価もそれぞれあると思いますけれども、私は必ずしも少ない数字ではないというふうに思っております。  あわせまして、公共用地として転用した以外の、それに関連した隣接したところの転用というのも、これは公共以外のところでかなり出てきているというのはそれぞれの市町村で目にするところでありますので、それらを加えると、公共用地に関する、あるいはそこに隣接する転用といいますか、消滅の面積というのもかなりの面積になってきているのかなという思いをしております。  単純にこれまで手を加えなかったところもありましょうけれども、例えば基盤整備を行ったとか圃場整備を行ったとか、そういう形でもっていわば国の税金を使って整備を行った。そこのところが、現在、農地として使われずに転用されているというようなところについては、面積でも額でも結構ですけれども、もしおわかりであれば教えていただけますか。わからなければ結構です。
  53. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) ちょっとそこまで具体的な数字になりますと手元にございませんので、後ほど調べました上で、先生に御説明させていただきたいと存じます。
  54. 郡司彰

    郡司彰君 実は、基本法の議論のときにもちょっとお話をさせていただきましたが、基盤整備事業その他を行ったところ、八年を経過してというようなことがあったろうかと思います。  私は、今のような国の農地の状態を考えるときに、八年というのは短過ぎるのではないかな、もう少し長い期間、国としての事業として行った末に農地として今活用されているその部分については、この期間をもっと延長すべき、十二年とか、そういうふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  55. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生から土地改良事業実施後八年間というお話が出ました。  それで、ちょっと誤解のないように申し上げておきたいんですけれども、八年たったら処分は自由だよということではないんです。八年間という規定は、国営土地改良が実施された土地におきまして、この土地を目的外に利用した場合には特別徴収料金ということで、かけた分を返してもらいますよというための規定でございます。  したがって、そういった手がかかった農地についてこれから具体的に転用をどうするかというのは、もう一度農地法と農振法の世界に立ち戻って、それぞれ個別に判断すべき問題でございます。  ちなみに申し上げますと、農用地区域内の農地であれば原則として不許可、それから甲種農地であれば、今の八年というものもございますけれども、これも原則不許可で、土地収用法等に係る場合は例外と。それから、一種、二種、三種と農地があって、それぞれ順々に状況を判断してやるということでございますので、八年たったから農用地区域から外していい、あるいは外しなさいということではございません。
  56. 郡司彰

    郡司彰君 私も、八年たてば全部そのような形になっているというようなつもりで言ったわけではなくて、規定として今、八年というような数字が出ているけれども、せっかく国として行った農地を転用するというのは、よほどのことがなければということで、今、局長の方からも同じような形がありましたけれども、ならばこそ八年というのは余りにも短いのではないか、そういうようなことでございますので、検討いただければなとも思っております。  それから、生産調整その他については、今後も見直しの議論がされているということだろうと思いますし、最終的にはまだどのような形になるかということについて確たる形にはなっていないのかもしれません。現在のところ、生産調整でもってかなり多くの面積が出ているわけであります。今後、生産調整のやり方を改めて、下からの積み上げでということになりまして、例えばそのような形の流れになっていく、畑というものが本作というふうな形になってくることが大変多くなってくるのではないかと予測もされますけれども、簡単にはいかないだろうという予測もございます。  その中で、先ほどの、五百万弱ぐらいの農地の中で、国としては、水田畑地に誘導することにはならないということもありますけれども、おおよそどのぐらいの割合、数量になった方が日本農業のためにはよいというふうに見込んでいるか、あるいはそれとは別に、今後十年間ぐらいでこのような推移をしていくんだろうというふうな推計等がございましたらお知らせください。
  57. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) この問題は農産園芸局長からも補足答弁をしてもらったらと思うんですけれども、私自身は、水田というのは水稲をつくるためだけにあるのではないと。水田の条件を相当きちんと整備すれば、田畑輪換、あるいは水田の裏、水田の表をさらに排水条件をよくしていかなる作物も植えられる。したがって、地目は水田であるけれども、畑作物をつくっている状況下においてはこれは畑であると、田畑輪換が一番典型的ですけれども。そういうふうに考えた方が我が国の気象条件や地形条件からいっていいのではないかなというふうに思っております。  したがって、現況を大ざっぱに申し上げますと、水田が二百八十万、畑が二百二十万でしょうか、そういう状況の中で、水田をつぶして畑にしていった方がいいという考え方は私は持っておりません。
  58. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 今の御答弁と重なるところは省略をしまして、今、新しい基本法の成立を踏まえまして、食料安定供給確保農業の持続的発展というテーマ、そういう理念のもとで、やはり最も性能がよい生産手段でございます水田をどうやって活性化するかということが大事だと思います。  その中で、一つは米を計画的に生産する。需要に応じた計画的な生産、その裏側でといいますか反対側で、自給率の向上が特に必要な麦、大豆を本格的に生産していく、こういうことが大事じゃなかろうかと思います。  そのときに、国としては、国民に必要な米の量をきちっと備蓄すると同時に、需要を踏まえた生産をするということでございますので、常に一定の生産量を初めから決めてしまうというよりも、基本的な考え方が、今お話をしましたようなものを確保して国民に提供する、根底にそういうものがありまして、幾らつくるかというふうな考え方対応していくということが大事じゃなかろうかと思っております。
  59. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 基本法の方から申し上げますと、やはり米は基本的に、現時点ではMA米というものが入っておりますけれども、完全自給というものが大前提であって、そして一方、国民にこれまた必要不可欠な基幹的作物であり自給率の極めて低い麦、大豆等について、積極的に消費者ニーズ、実需者ニーズにこたえながらいいものをつくっていけばそれなりの経営ができるというインセンティブを与えながら、そういうものにもまた誘導していくというような形で、自給率説明と同じようになりますけれども、作物別にどのぐらいのものをつくっていったらいいかということだろうと思います。  その場合に、では地面はどうなっているかというと、畑専門のところもございますけれども、今、両局長が申し上げたように、水田というものが非常に汎用性があるということで、水田というものも端的な言葉で言えばどちらにも対応できるというような位置づけになるのではないかと考えております。
  60. 郡司彰

    郡司彰君 時間がないので次の方に入らせていただきます。  七月十四日に経営構造対策研究会が行われ、三十日ごろまでには答申なんでしょうか、が出るというようなことが新聞の報道にございました。これによりますと、これまでの構造改善事業を廃止して経営構造対策事業の方に切りかえるというようなことだそうでありますけれども、これはこの時期にどのような話し合いの中から出されてきたのでありましょうか。これまでの構造改善事業の評価なり反省なりというものを含めて、あるいはまたメニューが相当変わるというような話もちょっと出ておりましたけれども、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
  61. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 新聞報道に出ておりました廃止というのはちょっと穏やかでないわけでありまして、新しい基本法もできましたし、過去三十七年間にわたって展開してきた構造改善事業について、抜本的な見直しを行って新たな対策としてスタートするというのが私どもの趣旨でございます。  今御指摘がありましたように、長い歴史を持った農業構造改善事業ですけれども、主産地の形成であるとか農業農村の活性化等に相当大きく貢献をしてきたと思っております。ただ、総合助成事業ということで、メニュー方式で非常に便利だということがございまして、どうも事業目的や課題設定についての意識が薄かったんじゃないかという指摘もいろいろなところからございます。さらに、整備をした施設の利用状況等について、見込みが相当悪かったということもあり、利用率が低いといった問題点も指摘をされてきたところでございます。  こういったこれまで三十七年間の総括の上に立ちまして、今お話がございました研究会をスタートさせて、概算要求に間に合わせるべく、近々御報告をいただきたいと思っております。  対策の方向としては大きく二つございまして、一つは、基本法が新しく制定されたわけでございますので、その際、農政上の重要課題である経営体の育成というのを大きな目的に掲げてはどうかということでございます。それから二つ目は、事業のプロセスといたしまして、先ほども反省をいたしましたけれども、目標の設定、それから事業実施中における点検、そして評価といったこの三段階のプロセスを適正に踏んで、投入された資金あるいは対策がきちんと所期の目的を達成できるような体制を整えるということではないかというふうに思っております。  メニュー等につきましても、一部新聞報道に数が載っておりましたけれども、私どもはあくまでも、わかりにくいメニューということではなくて、農業者方々がこれはというふうに見てすぐわかるようなメニューに仕組み直しをしていきたいと考えております。
  62. 郡司彰

    郡司彰君 終わります。ありがとうございました。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  まず、現行の農業振興地域法に関して、現行法において農地の壊廃や耕作放棄地が食いとめられなかった最大の原因は何だろうかなと単純に考えたときに、農水省としては、農地利用を規制する法律がなかったとかいろいろあると思うんだけれども、要するに最大の原因は何だったのかということをどうとらえているのか。そのとらえがあるからこそ新たに改正するという法律になったんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  64. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 戦後一貫して、先ほど御質問答弁がありましたように、約二百万ヘクタールが壊廃され、百万ヘクタールを造成して、四十年近くの間に差し引き約百万ヘクタール減ってきたということでございますが、その原因というのは、昭和四十四年に農振法ということできちっと農地を守っていこうという法律としてスタートしたわけでありますが、高度経済成長の中で農地転用のニーズというものが非常に高かったということで、限定的とはいいながらもそういう転用があった。あるいはまた、高齢化等々によりましていわゆる耕作ができない、あるいは放棄せざるを得ないというような状況がございまして、農地が減少せざるを得なくなっていったというのが主な原因ではないかと考えております。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、今度の農業振興地域整備法でそれが食いとめられるという確たる保証というか見通し、これがあるからこそ出してきたんだと思うんですけれども、そこについての御自信のほどはどうですか。
  66. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) もとより、農地確保と有効利用という点につきましてはこの法制度だけでやり得るわけではないわけでございます。一筆ごとに転用をチェックしている農地法、それから今回強化をさせていただこうと思っております農振法、そして圃場整備を通じて農地の面的な集まりや生産力を高めるという優良農地をつくり出す事業、そしてさらには担い手への利用集積、こういったものがうまく連携し合って初めて効果が出るわけでございますので、その重要な一翼を農用地区域の設定、農振地域の設定ということでゾーニングのための農振法が強化される方向にあるというふうに御理解いただけたらと思います。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、今出ましたこの農振法だけじゃなくて優良農地確保という観点でありますけれども、先ほども議論になっておりましたが、食料自給率目標設定を当然明確にしなければならない。その時点で、じゃどの程度の農地が必要であるかという推計も出てくるんだと思います。  したがって、先ほどは必要農地総量優良農地、すなわち優良農地の優良というのが二つお話がありました。一つ集団的農地で、もう一つ土地基盤整備の済んだ農地というふうに、それを積み上げて確保するという答弁がございました。  では、その積み上げ状況、すなわちどの程度の優良農地確保して農用地を増加させていくのかということでありますけれども、今どのぐらいのところまで行っているのか、伺いたいと思います。
  68. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 積み上げるというよりは、優良農地としての定義の第一が集団的農地、例えば二十町歩以上あるということになります。それから、土地基盤整備が実施された農地ということでございます。  一方、自給率目標の設定のためには、どういう時期にどういう農地を使ってどういう作物をどれだけ生育させるか、これから個別の作物の必要耕地面積作業としてなされなければなりません。その結果として、日本の必要農地総量が幾らというふうに出てくるわけでございます。その中で、今申し上げた集団的あるいは土地基盤整備が実施された農地を何ヘクタール確保していくか、こういう段取りにこれからなろうかと思っております。  現況、農地総量が四百九十一万ヘクタール、そして優良農地と言われる農用地区域農地が四百三十五万ヘクタールでございますので、この四百三十五万ヘクタールで果たしていいのかどうか、ふやすのか減らすのか、そういったことをこれから作物別のデータの中から作業をしたいと思っております。
  69. 風間昶

    ○風間昶君 国土の利用については、国土利用計画法に基づいて策定される土地利用基本計画を上に置いて土地利用規制の基準としていますね。それで、その中で都市計画法や農振法などの個別法で具体的規制を行っているところでありますけれども、その際に、土地利用基本計画そのものを見直す視点が私は出てくるんじゃないかということが問題になろうかと思っております。  すなわち、先ほども議論になっておりました地方分権推進委員会平成八年の三月に出した中間報告以降、ずっと土地利用計画への国の過度の関与が指摘されていますし、今回の改正案でも市町村農業振興地域整備計画を定めるとなっていますが、土地利用関係法律というのは物すごく多岐にわたっておりますし、農業分野だけを取り上げて利用計画を策定するということになると、結局、現在、農地であるところだけを取り出して計画を立てることになって、結果的には農用地がふえないし、何か新しい目標に向かって積極的に行動していくというより、むしろ限りなく現状を追認して、そしてその計画だけに終わってしまう可能性があるのではないかという懸念があるんです。  だから、農水省として、農用地確保に当たって、今の土地利用基本計画を見直していく考えがあるのかないのか。また、ないとするならば、結果的に、私が話しさせていただきましたように、現在の農地確保だけに終わってしまうことになるんじゃないかと思うんですけれども、その辺いかがですか。
  70. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) これは、具体的なデータはちょっと持っておりませんけれども、農用地区域からの除外と同時に、農用地区域内への編入というのもしばしばあるわけでございます。したがって、農用地区域内の優良農地が絶対的に減る一方かというと、そうではないというふうに私は思っております。  それから、国土利用計画と各土地利用計画法制、それから総合的な法制をつくったらどうかという御議論については、そういう御議論がかなり出てきたといういきさつはございますけれども、昭和四十三年の都市計画法、四十四年の農振法から始まりまして、重複はしつつも調整をしながらこれまで現場でそれぞれ運用の実績と定着というのが見られるわけでございますので、ここで改めて統一的な法制が必要かどうかという点については慎重にならざるを得ないところでございます。  また、各県の土地利用計画の策定と変更につきましては、都道府県の中におきまして農林部局と都市部局、関係の部局間において調整が十分行われる。さらに、内閣総理大臣土地利用基本計画を承認することになりますけれども、その際には農林水産省としても十分協議にあずかるというシステムになっておりますので、それをむしろ有効に活用すべきかというふうに考えております。
  71. 風間昶

    ○風間昶君 本当に減る一方ではないのか。減る一方ではないというふうに今おっしゃったけれども、本当にそうなるのかね。
  72. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 私が申し上げましたのは、要するに優良農地でございまして、農地総量は減っておりますし、それから農地総量の減りと農用地区域農地の減りとを比べますと農用地区域農地の減り方の方が少ない、パーセンテージが小さいという事実があります。  それから、区域設定については編入もありますし除外もあるわけでございますので、それはこれから先動き得るということを申し上げたかったわけでございます。
  73. 風間昶

    ○風間昶君 いずれにしても、現場においてはほかの土地利用計画状況を踏まえて関連性を持った農業振興地域整備計画をつくることが必要になりますね。これはもう異論がないところだと思います。  特に、市街化調整区域内の優良農地をどう確保していくかというのが僕は一つの大きな問題点だと思うんです。その点、これは七月二十三日の日本農業新聞に載っていますけれども、JAグループ福岡が主体になって福岡の土地区画整理協議会と業務提携をするという報道がありました。  今回はこれはまさにJAが主体でありますけれども、市町村がこの法律で言っている農業振興地域整備計画をつくるに当たっては、そういう業務提携によって高いコンサルタント費用を払う場合に、その経費、相当全国に広がっていった場合に大きな経費の支出になるんじゃないかと予測されるわけですけれども、その経費については私は補助金を出していかなければならないんじゃないかと思っているんですが、農水省としてはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  74. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 市町村計画の総合見直しをおおむね五年ごとにこれまでも行っております。その際に、アウトソーシングということもございまして、民間の会社等を活用しているケースも多々あるわけでございます。  今、先生がおっしゃいましたような、もっと積極的にいろいろなことをやることに対してどうかということにつきまして、私はそういう動きはやはりエンカレッジすべきだろうと思っております。  これまでは、こういった整備計画の策定に対する費用は、地方交付税の中におきまして単位費用の農業行政費の農業費の中の農業振興計画基礎調査等ということで地方交付税の措置がとられているわけでございます。これは、額からいいますと五年分で七、八百万というところでございますので、今、先生がおっしゃいましたような趣旨での費用に足りるかどうかという点は必ずしも自信がないわけでございますけれども、そうした動きが現場で出てまいりました場合には、またその費用をどうするかということについて私どもも真剣に取り組みたいと思っております。
  75. 風間昶

    ○風間昶君 五年間で七、八百万といったら年に百二十万ぐらいでしょうから、何もエンカレッジになっていないじゃないですか。エンカレッジというのは勇気、激励を与えるということですよ。
  76. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) これまでの話を申し上げたわけでございまして、要するにこれまでは五年ごとの見直しというものについて七、八百万のお金を交付税の中で見ている。これから、もし先生がおっしゃったような動きがあちこちに出てくる、そしてそれには相当な金がかかるということになれば、その点については前向きという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、その状況を見ながら私たちも取り組ませていただきたいということでございます。
  77. 風間昶

    ○風間昶君 まさに前向きな答弁だと思いますので、次に移ります。  今後も、米の生産調整については需給動向を見ながら適切に行っていく必要があろうと思いますが、しかしこれがある意味では農家の生産意欲を減退させて耕作放棄を生む原因になっていたとも一面では診断できるわけであります。  それで、では転作へのインセンティブをどういうふうに与えるのかということが今まで以上に私は重要だと思うんですけれども、政府としてどういうふうに取り組んでいくのか、基本的な考えを伺いたいと思います。
  78. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) お答え申し上げます。  まず最初に、当然、本年のそういう生産調整、来年以降は秋に決定をするということで今検討中でございますので、そこのところは前提としてお聞きをいただきたいと思います。  先生から今、インセンティブというお話がございましたが、生産調整といいます言葉からの受け取り方で、その年その年の米の作付をしないということが、やはり関係者の皆さんどうしても先に頭に入ってくるということも事実でございました。  そういうこともありましたけれども、新しい基本法の成立を受けまして、先ほどもお話し申し上げましたが、水田を中心とした土地利用農業の活性化という過程の中で、片方では米の作付を行わない水田を有効活用するということ、それから自給率が低く現状では定着をしておりません麦とか大豆の生産を定着、拡大する。そういう考え方に立って、つまり作付をしないという、そういう言い方をしては私の立場としては怒られるかもしれませんが、どうしてもマイナスのイメージでとられるという御批判があったのは事実でございます。  そういうマイナスの評価というものではなくて、必要なものをどのような形でつくっていくかという前提となる考え方から変更する、見方を変えていくというようなことでございまして、そういう観点に立って所得の向上と安定した水田農業経営を確立するという方角へ誘導していくという観点から見直しをするという基本的な考え方で、これから詰めていかないといけないと思っております。  くどいようでございますが、転作というよりは大変生産力の高い水田をどう利用していくかという考え方で今後検討していくというふうに考えております。
  79. 風間昶

    ○風間昶君 次に、国税庁が一九九八年分の所得税の確定申告状況をまとめた結果が出ていますが、納税者が六百二十二万四千人で、前年に比べて二四・八%減少し、所得金額が四十兆六千四百十一億円で、納税額も二兆九千四百三十億円ということで、前年比で相当減っているわけでありますが、納税者、税額ともずっと減少しているわけです。  いろんな原因があると思いますけれども、国税庁の試算では、減税効果を超える落ち込みとなっていることは特別減税の影響が大きいというふうに判断されているようですけれども、そのうち所得者別では農業従事者の納税額だけが八%強増加しているというデータが出ているようであります。農家所得が伸びているということにほかならないと思うんですけれども、農水省としてはこの原因をどうとらえていますか。
  80. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今御指摘がございましたように、国税庁の資料によりますと、農業所得納税者として平成十年分の確定申告を行った方は十二万二千人、所得金額五千五百六十四億円、申告納税額二百九十五億円で、この申告納税額は対前年比八%の増ということになっております。  ただ、これは数字を見ていただいておわかりのとおり、確定申告を行った者は十二万二千人、全国の販売農家の数は二百六十五万戸でございますので、極めて少数でございます。  直接、国税の数字からはこの原因といいますか背景は出ないわけでございますけれども、農林水産省統計情報部の農業経営動向統計によりまして農業主業農家、これの経営収支状況を見ますと、農業経営費は微増、その中で農業粗収益が野菜、果樹、花卉、稲作等の収入増によって増加をして、農業所得は対前年比七・一%増というふうになっておりますので、野菜、果樹、花卉、稲作等の部門でこの主業農家の収益増がこういった納税額の増につながったのではないかというふうに想定をいたしております。
  81. 風間昶

    ○風間昶君 それと連動する話ですが、二百六十五万のうち十二万二千人ということでありますけれども、要は、この農業振興地域整備法で農地確保できても、結果的に、さっきおっしゃった三本柱の農振とそれから担い手の方、担い手をどうきちっと確保するかということが食料需給を円滑にしていくことになるわけで、今回の農家所得の上昇で農業に新たに参入していく人がどのぐらい出てくるかということは恐らく来年以降の統計を出さないと明らかにならないわけです。だから、農業で十分生活できるんだという保証があればまだ参入者はふえてくると私は思うんです。  直接所得補償についても早急な導入が待たれておりますし、前回の新農業基本法答弁あるいはその前の参議院本会議でも、条件不利性の基準づくりを大体ことし夏ぐらいまでにと大臣も御答弁されたような記憶があるんですが、現在もう夏なんですよ。その進捗状況を伺いたいと思います。
  82. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、めどといたしましては、今検討会でやっておりますけれども、夏といいますよりも概算要求、つまり来年度予算に間に合うようにということで、概算要求をする時点までにきちっとした基準づくりをしていかなければならないということでございます。  生産条件が不利ないわゆる中山間地域等の直接支払いの検討状況でございますけれども、対象となる地域、範囲につきましてはいわゆる五法、過疎、山村、離島、半島、特定農山村等の五法でございます。それから、さらに沖縄、奄美、小笠原等の振興のための特別法も含めるべきだという意見が出されており、検討中でございます。対象農地につきましては、生産条件の不利性というものの基準といたしまして、傾斜度については合意が得られたというふうに理解をしております。自然条件により小区画、不整形、いわゆる棚田的な水田、あるいは極端に気温が低いため草地にしかならないといった地域についても対象とすることを検討しているという状況でございます。  この中で、検討をして入るか入らないかということだけではなくて、それ以外にも検討はいろいろされているというふうに聞いておりますが、おおむね方向性の出ているものについてはこういうものが検討されているということでございます。
  83. 風間昶

    ○風間昶君 今回の法案、さっきも構造改善局長集団的農地、つまり農用地の定義を二十町歩、二十ヘクタール以上のまとまった農地というふうに定義づけておっしゃいました。なぜ二十ヘクタールなのかということ、じゃ二十ヘクタール以上というふうに至った基準があるはずですから、どういう判断をされたのか、伺いたいと思います。
  84. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農区という言葉がございます。集団的農地面積二十ヘクタール以上というふうにしているわけですけれども、同一条件のもとで水管理であるとか作業管理を行って、経営や栽培管理の単位になり、しかも農道で囲まれた区画、これを農区と言うわけですけれども、この農区の効率性から考えた規模は、現在の作業効率性だとか水路の配置を考慮すると、おおむね二十ヘクタールというのが標準になっているわけでございます。二十ヘクタール一農区というのが私どもの集団的農地のメルクマールとしての一番大きな理由でございます。  それ以外に、農地法上、一定の規模の場合には転用が不許可となるという規模が二十ヘクタールになっておりますし、それから都市計画法運用におきましても、農林漁業との調整において、二十ヘクタール以上の集団農地は市街化区画に含めないというふうな運用がなされておりますので、そういったものを勘案いたしまして、二十ヘクタールというふうに置いているところでございます。
  85. 風間昶

    ○風間昶君 規模拡大が生産性を向上させるといっても、家族経営では限度があって、適正規模があるはずだという議論はこの委員会でも何回か議論されました。この法案を見ても、個々の農家がどんな経営状態になるのかという具体的なイメージがちょっと浮かんでこないんです。農村の基本になる集落の青写真、一つ農村地域の中でどのぐらいのまとまった土地を何軒の農家で耕作させるのかという観点での規模拡大の目標についてどう考えているのか、伺いたいと思うんです。
  86. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 大変恐縮なんですけれども、規模拡大の目標を画一的に定めるということは必ずしも適切ではないと私は思います。  確かに、稲作単一経営で地域の他産業従事者と生涯所得が遜色のないものになり、労働時間が遜色のないものになるということを目指して、一つの経営展望として十ないし二十ヘクタールというのを数年前に示したことはございますけれども、これは稲作単一経営でということが前提でありまして、現況十四万人の認定農業者方々もその半分ぐらいは何らかの形で複合経営をやっております。したがって、農業経営の規模拡大だけではなくて、複合あるいは生産方式や経営管理の合理化等々の観点から、経営のありようなり規模というのは考えられるべきではないかなというふうに思っております。  また、土地利用農業に限って見ても、規模拡大というのは所有あるいは賃貸借という形での利用権でリジッドな形で規模を確定するのではなくて、例えば麦作の期間借地で冬場を代替的にやってみるとか、さらには受託、委託という形で実質的な作業規模を広げることによって効率をよくするというふうな工夫もございますので、繰り返しになりますけれども、地域により営農なり経営の態様によって異なりますし、異なってしかるべきであるというふうに私は考えます。
  87. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、稲作単一経営で七、八年前でしたか、十ないし二十ヘクタールが望ましいといった形態、あれはどうなるのかということの質問になりますが、これはまた後のあれにします。  やっぱり中山間地域における耕作放棄地は、推計によって異なっているわけですけれども、一説には十八万ヘクタールとも言われているし、あるいは四十一万ヘクタールとも言われていますが、いずれにしても耕作放棄地を食いとめることが中山間地域の生き残りと密接にかかわってくると思いますが、そういう地域にさらに耕作放棄地を防ぐためにどういうふうに取り組んでいくのか伺って、終わりたいと思います。
  88. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 中山間地域等は、生産条件が不利なために耕作放棄が他の地域よりも高い率で生じている。その結果、公益的機能の低下が懸念されているというのは御指摘のとおりであります。  こういった状況を打開するためには、やはり中山間地域に対する各種の対策をもう一度再編整備して、そして総合的振興といいましょうか産業の振興による所得機会の増大、そして定住条件の整備といったことをまずはやらなければいけない時期に来ていると思います。  あわせまして、冒頭申し上げましたように、やはり生産条件が不利だというのが大前提にございますので、先ほど大臣からもお話し申し上げました直接支払いという新たな農政手法を使いましてその不利を補正する、基本法三十五条二項ですか、そういった施策をスタートさせる、これまでの伝統的な手法に加えてこの二つの手法でこれ以上耕作放棄が生じないようにする時期に来たというふうに思っております。
  89. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  90. 野間赳

    委員長野間赳君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  91. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  92. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  先月、新農基法の審議がやられて、そしてその中では自給率の向上の問題が非常に大きな論点になったと思います。その自給率の向上のためには、やはり現在ある農地農地として維持確保することが重要な課題であるということはもう今までの質疑でも明らかですけれども、私はその点を強調しながら質問したいと思います。  今、農地の転用による減少は、毎年ほぼ三万ヘクタール近く減少し続けているというのが数字で出ております。数字的に見ますと、農用地区域内の農地面積は、九五年からの数字で推測いたしますと、九五年で前年比二万六千ヘクタール減っています。九六年は、先ほども言っていましたが、二万九千ヘクタール減っている。九七年も二万八千ヘクタール減っている。九八年は二万二千ヘクタール減少し続けてきたという数字であらわされています。ですから、九〇年以降をトータルいたしますと十七万三千ヘクタール減少しているわけですが、これは数字で見ますと四国全体の耕地、これは十六万五千ヘクタールあるんですか、それ以上の農地がなくなったことになるわけですね。  ですから、本当に食料農業農村基本問題調査会の答申が言われていますように、農地は一たん失われると回復することは困難であり、現在の減少傾向がそのまま続けば食料供給力がさらに低下すると、農地確保の方針を明示することを指摘しています。  農水省は、答申を受けて農用地区域内の優良農地の維持確保を図ることをうたわれて、今進められようとしているわけですけれども、本当に農用地区域は本来相当長期にわたって農業の利用のために確保すべき土地として指定されて、転用も禁止されてきています。また、農振法の改正に当たり今求められているのは、最低限の農用地区域内の農地の減少に歯どめをかける措置が必要だと考えますが、まず最初に大臣の認識をお聞きしたいと思います。
  93. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 基本法理念を実現するためにも、食料を増産、増大、国内生産を基本としながら自給率の設定、それもできるだけ実現可能な高い水準を設定していかなければならない。そのためには裏腹、裏腹というかセットで必要な農地確保ということが重要であり、そしてその有効利用を図ることがその前提になるわけでございます。  このため、今回の農振法の改正では、農地確保のための基本的な方向性を内容とする農林大臣が定めます基本方針というものをつくりまして、そして都道府県あるいは市町村のそれぞれの方針、計画に適切に反映させることにしております。また、農用地区域の設定、除外の基準を法制化し、制度の公正性、透明性の向上を図り、国民の信頼確保、事務処理の円滑化、迅速化によりまして優良農地の一層の確保を図っていきたいと考えております。
  94. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そうすれば、この農振法の改正によって農用地区域内の農地の減少に歯どめをかけることができるということになるわけですか、大臣の見解は。
  95. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 既に、農振法というのは、国民にとって必要な食料供給のために農用地、農振地域という指定を受けた地域保全されなければならないということになっておるわけでございますけれども、今回、より優良な農地を中心にいたしまして、きちっとした基準のもとで都道府県そして市町村が主体となった形の農地確保していく。その場合には、いろいろな集積でありますとか施策も講じながらやることによって、はっきり申し上げれば自給率向上のためには必要な農地確保あるいはまた利用率の向上等によりまして国内で食料の生産を増大していかなければならないわけでありますから、その観点から農地は十分確保されなければならないという趣旨でこの改正を行ったところでございます。
  96. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 衆議院の審議の中でも、構造改善局長答弁なんですが、「優良農地確保という点では、かなり各市町村とも頑張って確保をしてきた」と、こういうふうに答弁されていますけれども、私は現場とかなり認識が違うんじゃないかなという思いがいたします。  これも食料農業農村基本問題調査会農業部会の第二回部会で農地問題が議論されている内容なんですが、農振制度の問題が多くの委員から指摘をされています。皆さん共通しているのは、農用地区域が無節操に除外され転用されているということ、ざる法とまで言われています。  ある委員は、これだけ農地が減っているということは、つまり今のままでは農地は守れないということだと思う、実態は農振法の中のいわゆる農用地であっても農業振興地域から外すというような形で実際は転用が行われているということがある、農振法の特別扱いみたいなことは本当に厳しく制限していくとか、また、ある委員は、農用地区域からの除外がすべてであって、そこをクリアすれば自動的に農地法についてもクリアされると、こういうふうに言っています。また、ある委員は、農用地区域は基本的に転用禁止であるが、これが線引きの変更によって、よく言えば弾力的に、悪く言えば無節操にある部分は運用されているという実態、これは無視できない問題があると指摘しています。毎日、開発行政をやっている立場の委員もこう言っています。私も全く同じような印象を持っております。農振地域をいろんな形で除外して、それから農地転用という段取りで、それほど大きな防波堤になっているとは思えませんと現場の声が寄せられています。  ですから、農地減少は待ったなしの今の事態の中で、農地としての用途規制、ゾーニングを強化して、転用規制を強化しなければならないということは共通した認識があると私は思うんです。本法案は、農業生産にとって基礎的な資源である農用地を良好な状態で確保するために農用地確保のための基本指針を作成するなど制度見直しをするとしているが、この改正によって農用地区域の除外規制が厳格化されるのか、そして農用地の減少に、今もちょっと聞きましたが、歯どめがかかるのか、新たに農用地区域となる見込みのものはどの程度設定できるのか、お尋ねしたいと思います。
  97. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 各種の議論があることは承知をいたしております。  それから、午前中の質疑の中でも、この農地確保という問題は農振法だけではなくて農地法による一筆ごとの転用の規制の問題、あるいは農地のレベルを上げるための圃場整備事業の実施、さらには担い手確保といったこととあわせてこの農振制度が効果を上げるわけでございますので、これから先はそこにとりわけ意を用いていきたいと思っております。  今回の制度改正の中で、実はこの農用地区域の設定ないしは除外の基準を法令によって透明性を持って定めるということにさせていただきたいと思っております。これは言ってみれば、国民どなたから見てもこの基準に合っているとか合っていないとかいうことが判断できるわけでございますので、そういう意味では、先生、厳格になるのかという言葉をお使いになられましたけれども、私は適正は厳正なものになるというふうにとらえております。
  98. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 これまでは通達によって農用地区域の除外規定がうたわれていたわけですが、この法改正によって法律の中に明文化されるから厳正になるという答弁ですけれども、しかしこれまでの通達によって行われてきた農工法だとかリゾート法など地域整備法による施設建設、またほぼ無条件に農用地区域から除外できる措置農村活性化土地利用構想、それから農業集落地域土地利用構想による除外規定など、例えば先ほどもありましたが、土地基盤整備事業完了後八年を経過していなくても除外できるという、そういう特例的な除外規定も政令として継続するのではないか、その点お尋ねしたいと思います。
  99. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今幾つかの適用除外についての御指摘がございました。  それぞれが、例えば農地を虫食い的にならないように非農用に出していくのであるならば、農業の営農に支障がないようにどこかに集中をして計画的に使っていこうじゃないか、またそのことが農村地域にとって活性化を生むもとになり、そしてそれが農業者たちの営農活動につながるということで地域全体の農業が盛んになるとか、こういうことでやっているわけでございますけれども、それらにつきましては、基本的に今回の制度改正の中で継続するようなこともございますので、政令等で手当てをしたいと思っております。  ただ、一点申し上げたいのは、例えば市町村の活性化構想、土地利用構想がございますけれども、これがあったからといって、市町村がこれを策定すれば直ちに農用地区域から除外が無原則に認められるわけではないわけでありまして、例えば施設予定地について農用地区域以外に代替すべき土地があるのかないのか、それから除外によって農用地区域に及ぼす利用上の支障が軽微でなくてはいけないというふうなこと、さらには除外後も農地等の集団性が保たれる、農地利用の混在が生じないといった、こういった要件のバーをクリアしなければ認められないわけでございますので、私どもはその一つ一つをきちんと政令、省令あるいは告示等に書き込みまして、整然とした運用がなされるように努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  100. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 結局、市町村計画、構想さえすれば、工場やリゾート施設、また大規模店舗、住宅開発などの農用地区域から除外できる公共性という名前、活性化の名のもとに農地の転用ができるということじゃないですか。これはやっぱり野放しにした、拡大した例外措置、これを温存して優良農地減少に歯どめをかける保証が今の説明ではどこにあるのかと私は言いたいんですが、いかがですか。
  101. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 繰り返しになりますけれども、例えば今ショッピングセンターの例を挙げられましたけれども、例えばこのショッピングセンターを活性化構想なりの中に生かしていこうとした場合、この構想ができたから、あるいは逆に言うと構想を使うことによって農用地区域から除外をするという考えではございませんで、構想ができた上で、さらに先ほど申し上げました代替の土地がない、あるいは農用地区域に及ぼす利用上の支障が軽微である、除外後も農地の集団性が保たれる、除外によって土地利用の混在が生じないといった点を一つ一つきちんとチェックをした上で、この構想を実施に移すことが農業土地利用上の計画性にそぐうものであるか、あるいは農村地域の真の活性化につながるものであるかということを厳密に点検いたしまして認めるということになりますので、そういう点では、先ほど冒頭先生のお言葉ですと、無節操なということにはならないというふうに思っております。
  102. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 では、具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、農村活性化土地利用構想そのものについてお聞きしたいと思います。  農村活性化土地利用構想による除外基準は八九年の農水省自身が農村活性化の名のもとに通達で実施されたものでありますが、農村活性化土地利用構想の構想数はどうなっていますか。その構想によってどのような施設建設が行われているのか、その事業の中での農用地区域面積はどの規模になっているか、把握しているかをお尋ねしたいと思います。
  103. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 昨年九月末の数字を申し上げたいと存じますが、農村活性化土地利用構想、三百八十三策定をされておりまして、その内容としては工場、住宅、店舗等への利用となっております。この活性化構想で除外をいたしました面積は六千八百ヘクタール余というふうになっております。
  104. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 六千八百ヘクタールは農用地区域面積ですか。
  105. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) そのとおりでございます。
  106. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 農村活性化土地利用構想によって農用地区域から除外できる施設は、今も申しましたように、住宅、店舗、工場、流通業務施設、ほとんど何でも入るということになるわけです。ですから、構想を立てれば農用地区域からの除外、農地転用ができるわけだというのは今の数字でも明らかになったわけです。  私は、一つの県の例を挙げてみたいと思うんです。これは福島県の資料なんですけれども、制度が開始された八九年から、十五市町村、十六構想が認定されています。ゴルフ場が七カ所、農用地は百九十一・六ヘクタール。工場・倉庫用地八カ所、百四十五・九ヘクタール。住宅団地が七カ所、これも農用地が七十五・三ヘクタールに及んでいるわけです。ですから、リゾート施設、ショッピングセンター、別荘地何でもありという事態がここにあらわれているわけですが、その結果、この福島県での農用地区域は四百十二・八ヘクタールなくなっているというんですか、転用されているということになるわけです。  ですから、本当にこれらの施設の建設のために基盤整備事業終了後八年以上経過していない農地農用地区域から除外できるというような除外基準は適用されずに転用がされているということになっているわけですけれども、優良農地をこれだけつぶしてゴルフ場や工場、住宅団地をつくることが、農業の健全な発展を図るという農振法の趣旨に私は見合わないと思うんです。  農村活性化土地利用構想は農地の農外転用、優良農地の減少を助長することになっているのではないかということをもう一度指摘したいと思うんですが、いかがですか。
  107. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 冒頭申し上げましたけれども、農用地の利用について、やはりできるだけ農用地は固めて使っていく、そしてそれ以外の非農用地についてはできるだけ端の方に出して、農用地農用地として効率的に使われるということ。それから、もう一つ大事なことは、やはり農村地域が活性化して、農業者農業関係者方々がその地域内において安んじて定住をし農業活動に従事できるという、そういうふうな構図でなければ、農地だけがあっても農業生産は保たれないわけでございます。  そういう意味で、農村活性化土地利用構想というのは、農村地域の活性化のためにぜひとも必要な施設農地優良農地保全農地の有効利用を図りながら調整をして進めるというものでございますし、したがいましてその構想の対象となる施設等につきましても、その立地はできるだけ外縁部というか周辺部に限るということ。そして、先ほど私、四つ申し上げましたけれども、それぞれ農業ないしは集団的な農用地影響を与えないような形でこの区域外へ出すことを認めていこうということでございますので、目的も相当絞り込んでありますし、それからクリアすべきバーもたくさんあるわけでございます。  繰り返しになって恐縮ですが、構想を立てたからといって直ちに自動的に農用地区域から除外がなされるというものではございませんので、今後ともこういった活性化のための施策というのは引き続き維持をしていくべきものと私は考えております。
  108. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 もう一度お聞きしたいと思います。  福島県の例を挙げましたけれども、各県によってもちろん違います。兵庫県も調査しましたら、兵庫県の場合は百八十・四ヘクタールという農用地になっております。  そういう中で、各県各自治体が農地確保に確かに頑張っている。だけれども、その方針と、土地開発というんですか土地利用といいますか、さまざまな開発の申請が出る、これは自治体としては本当に農地確保という点からしたら正反対のことを一緒にやらないといけない、この矛盾を抱えているわけです。  そういう中で、本当に農地を守るためにはどうしたらいいか。それは、私は、農水省だけではもちろんやれないと思うんです。土地利用都市計画を総合的にやらないといけませんけれども、やはりショッピングセンターなんかは優良農地になるわけです。そうしたら、やっぱりつぶすことになっていくわけですから、そこを本当に厳しく規制しなかったら大変なことになるということを私は言っているわけですが、もう一度お尋ねします。
  109. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農地を一坪たりとも減らさないということでは、やはり我が国の経済社会あるいは自然的な条件の中からそういう状況にはまいらないと私は思うわけです。優良な農地をどれだけまとめた形でいい状態で確保していき、しかもその農地日本食料生産、食料安定供給にきちんと寄与できるようにしていくということが大事なわけであります。  そのためには、繰り返しになりますけれども、その地域に住んでおられる方、とりわけ農業関係者方々がそこで十分に定住ができて、そして農業生産活動にきちんといそしめるというふうな村でなければ、町でなければ農用地確保もできませんし、農業生産の維持もできないわけでございます。  したがって、この構想というのは農用地としての利用にできるだけ支障を与えない形で農村地域内における活性化を図ろうというものでございますので、ある点でいえばその調整の産物であることは間違いないわけでございますけれども、そうすることによってかえってその地域内における農業生産活動が盛んになるということを目指しているわけでございますし、これが悪影響を及ぼすようなことがないように二重三重のチェックをしているというのが実情でございます。
  110. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私も、やはり農村というのは町づくりでもありますから、本当に総合的な町づくり、村づくりをしないといけないと思います。農村活性化土地利用構想という言葉、この法のもとにそれを利用した土地の用途規制を変更して開発が進められているという点について、あなたはいろいろとチェックが厳しくなっているからそんなことはあり得ないと言っていますけれども、もう一点、具体的に問題を指摘したいと思うんです。  これは去年の十二月十五日付の日経流通新聞ですか、に書かれていました。去年の八月一カ月間に申請された第一種大規模店舗、三条申請ですね、十九件が掲載されていました。そのうち三カ所は農振地域、一カ所は開発に間に合わせるかのように最近用途規制の変更が行われています。店舗面積一つの店で一万四千二百五十平米、それからまた一つは一万四千二百九十六平米、それから三万五千二百平米、そして二万六千五百十八平米、大きいわけですね。こういう大規模なショッピングセンターが計画されている。これらの建設には農用地区域からの除外が必要になるわけですが、その際使われているのがこの農村活性化土地利用構想なわけです。  その一つの、これも福島県の安達町の状況を聞いたんですけれども、三万五千七百四十二平米の農振農用地をつぶして郊外型の大規模店を誘致する計画で、現在、農村活性化土地利用構想を作成し、県東北農政局と事前協議中だと。地元の方の話では、農村活性化土地利用構想は議会の議決もない。町長が農協や商工会、学識経験者など十五人を集めて意見聴取しただけで決定された。しかも、農協、商工会は反対している。農地をつぶし、地元の商店街も生き残れない計画がこのショッピングセンターなんです。  都市農村の交流の円滑化、活性化の名のもとに、農村活性化土地利用構想は農振外しの伝家の宝刀とまで言われている。農水省自身が農地つぶしの援護射撃をしている、そう言っても同じではないか、こういうふうに私は指摘をしたいと思うんですが、いかがですか。
  111. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 福島県の事例を御指摘がございましたけれども、結論から申し上げますと、どういうふうにするかということについては地元の町あるいは福島県において対処方針を検討しているところでございまして、私ども、まだこれは結論が出た話ではないというふうに思っております。  それから、大前提として申し上げたいんですけれども、やはり安易に地価が安いから、非常に使いやすい集団的なところだからということで農地をねらうということにつきましては、私どもは全くそういうふうなことで対応するのは問題があるというふうには思っております。  ただ、個別の事例につきましては、先ほど来申し上げておりますように、この活性化構想自身は市町村が決めますけれども、都道府県知事の認定がございます。さらに、その大規模店舗なりの用地につきましては、本当にそこだけでしかできないんだろうか。それをつくることによって農用地区域に及ぼす利用上の支障があるのかないのか。それから、もし仮に万が一除いたとして残った農地の集団性が保たれるのか、土地利用が混在することにならないかということにつきまして、慎重にこの点をチェックしながら運ぶべき問題であるというふうに考えております。
  112. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。  今指摘しましたように、農村活性化土地利用構想によってなし崩し的に開発のための農地転用が進んでいることは明らかだと思うんです。だから、農地確保のためには特例措置は見直すべきであり、除外基準の強化、厳格化こそが今必要であると思います。  自給率の向上を目指す大きな方針になった新農基法の論議、国会決議を踏まえて、農業を本当に立て直して農地農地とし、維持保全する確固たる規制強化、そして制度が不可欠であると考えますが、最後にお尋ねいたします。
  113. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) あくまでも食料を安定的に供給するために自給率の向上、そしてそのためには必要な生産すべき農産物をつくっていくことによりまして、品目ごとの増産、自給率の向上によりまして全体的な自給率を向上させていく。そのためには、必要な農地確保し有効利用し、そして生産の向上に資するようにしていくということでございます。  したがいまして、原則はあくまでも必要な農地確保するということで、さらに透明性あるいは公平性を一層強めた農振法の改正ということになるわけでございます。また、そのためにも総合的な意味で、農村空間あるいは農用地を含めた全体がいかに有効的に活用されるかという広い意味を込めまして今回の改正をお願いしておるところでございまして、これが総合的に日本食料安定供給に資するという前提でこの法案を御理解いただきたいと思います。
  114. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 終わります。
  115. 谷本巍

    ○谷本巍君 これまでの質問とかなり重複する部分がございます。既に、他の委員にお答えになった部分については省略をしながら、簡潔な答弁をちょうだいしたいと存じます。  初めに伺いたいと存じますのは、これまでは農業生産政策の基本そのものでありましたが、新しい基本法ができたことによって食料農村政策というのが加わってきたという新しい特徴が出てまいりました。また、農業政策にしても、これまでとは違って国土や環境や景観の維持等、農業の持つ多面的役割を重視しなければならないという時代に入ったということであります。  こうした農政のあり方の基本が変わったということに伴って、今回の農振法改正ではこれをどう反映させていくのか、その辺についてお考えがございましたら、簡潔にお答えいただきたい。
  116. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 四つの理念、繰り返し申し上げませんが、その中に必要な農地等の確保ということがございます。これは四条でございますが、一方、三条の方で自然環境の保全、良好な景観といったようないわゆる新たな多面的機能というものが盛り込まれておるわけでございまして、これらは決して別々のものではないというふうに認識をしております。  つまり、優良な農地というものが十分確保されることによって、そこで生産される活動というものはやはり農村景観としての一つの典型的な事例でございます。それが都会の人あるいはめったに見たことのない人から見て、ああすばらしい光景だなというふうに見られ、またやっている方々御自身が自分たちが文字どおりそのすばらしい景観や条件の中でやることによって一層意欲がわいてくるものではないかというふうに思っておりますので、これはまさしく混然一体の意味があるというふうに理解しております。
  117. 谷本巍

    ○谷本巍君 今の大臣の御答弁は、農業生産を通じての多面的役割という、そうした認識からするというと、農地確保、有効利用というのが一層重大になったという意味お話でございました。  これまで、例えば中山間地の棚田なんというのはもうどうでもいいと、農政はそういうふうな対処をしてまいりました。それから、都市農業については建設省の方へ市街化区域はもうすっかり渡してしまって、都市農業についてもどうでもいいと、そう言わんばかりの農政をやってまいりました。  ところが、今お話しになっております国土や環境、景観等々からしますというと、中山間地域などの棚田というのはがっちり守っていかなきゃならない。そして、今度の基本法では都市農業についても言うべきことをきちんと言っておる、これは重視していかなきゃならぬ。多面的役割からすれば中山間地域よりも都市農業の方が貢献度がはるかに高いですよ。  ですから、そういうふうな認識が変わったということからしますと、転用基準等についても当然変化が出てきてしかるべきだと考えるんだが、その辺いかがでしょうか。
  118. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 確かに新しい基本法の中で、中山間地域の果たしている機能、それから都市農業の持っているいろいろな役割についてきちんとした位置づけが行われているところであります。そういう観点から、改めてもう一度都市農業に対してどういう政策を打ち得るかということも再構築すべきではないかと思っております。評価についてはもう先生の御指摘のとおりであります。  中山間地域の棚田等の農地の扱いにつきましても、現状でも例えば平場ですと二十町歩を集団的農地という扱いにしておりますけれども、中山間ではそれより特例的に規模を下げるというふうなこともございますので、いずれにしても中山間にとって優良農地とは何かということを検討すべき時期に来ていると思っております。  そういう中で、やはり大臣からもお話し申し上げましたけれども、そこで営農がなされる、生産活動が行われるということが先生の御指摘にも沿うものだと思っておりますので、農地農地だけ、景観が景観だけで形成をされるものではないというふうに思っております。
  119. 谷本巍

    ○谷本巍君 さて、そこで伺いたいのは、今回の改正で新たに農用地区域となる見込みのものはどの程度のことを見込んでおられるか。そして、もう一つの問題は、自給率向上との見合いで農地総量確保、数量的にきちっと出すというのは困難だろうと思いますが、どの程度のものを目標としておられるか、その辺のところはいかがでしょうか。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現在の数字については、先ほどからもう既に何回も出ておりますので省略いたします。  今回は基本法の方から、私は先ほどからお話をしておりますけれども、やはり自給率というものを設定する上で必要なのは何といっても農地確保でございます。そういう意味で、必要な農地をいかに確保していくか、さらには利用率をいかに上げていくかということが今後の最大の、これは生産者だけではない、国と自治体を含めた最大の努力目標になってくるわけでございます。  今度、新しい農振法に基づき定めることになります国の基本方針におきましては、集団的な農地あるいは土地基盤整備が実施された農地等の農用地区域内の農地面積についても明示する考えでございます。農用地区域外の農地につきましても、一定の生産が行われておるものにつきましては、自給率の観点から必要な農地、望ましい農業構造を確立する観点から、これに対しましてもいろいろな施策を講じてまいりたいと考えております。
  121. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、今の農地総量確保問題とあわせて、私、質問通告もしておりませんが、これまでの論議に全くなかったのでこの席で申し上げておきたいと思うんですけれども、市場開放が進んで農産物価格が下がってきますというと耕作放棄地は紛れもなくふえていきますよ。これは御存じですね。既にもう耕作放棄地がふえているという状況がそれなんです。  かつて、日本の米価は限界生産地の生産費で決まるという時代がありました。そういう時代は農地総量確保というのは簡単にいくんです。ところが、最近のように、輸入価格が農産物価格決定に大きな影響を持つという時代に入ってきますというと、条件不利地から順次耕作放棄がふえてくる、こういうふうな状況が見られます。既にもうそれは始まっております。  でありますから、こういう問題にどう対処するのかということも含めて、そうした点を計算に入れながら農用地確保というのをやっていかなきゃならぬと思うんです。その辺の認識は局長、ありますね。
  122. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) もちろん、国際化した時代の農業をどうするかということと大いに関係はあると思います。  といいますのは、農地農地だけで存在するわけではなくて、そこの上で営まれている農業と大いに関係があるわけでございます。とりわけ、土地利用農業についてこれからどう持っていくかということにつきましては、経営対策の強化充実ということで受け皿を今つくりつつございますので、国際化が進む、すなわち耕作放棄がふえるだけの路線ではなくて、それをいろいろな形でせきとめるための対策もございますし、また講じなければいけないと思っております。
  123. 谷本巍

    ○谷本巍君 そのことはこの後の質問の中で伺いたいと思います。  次に伺いたいと思いますのは、宅地化対策であります。  宅地化の需要にも計画的に対応するというふうに言っておるわけでありますが、大型量販店の進出にどう対応するか、これは先ほど大沢先生の方からも質問があったところであります。これは量販店の進出で起こっている調整区域での虫食い的状況、これがまず一つありますね。それともう一つ見逃してならないのは、中心街の商店街が崩壊をする、それが地域社会の崩壊につながってくるというような状況が今、全国的に起こっているということであります。  問題はここだけじゃありません。大型量販店が来ますというと、在来の商店街が近隣の食品加工業に頼んで集めていたものが全部アウトになっていくというような状況が起こってまいりますし、金の流れにしましても、これまで商店街に集まった金が地場の銀行や地場の信用組合に集中して、これが地域循環していたものが、今度は量販店に行った金を全部が全部、都市銀行が吸い上げていく、資金の流れが大きく変わってくるといったような状況等々が生まれてまいります。でありますから、この問題は農地の利用上の問題ではない。地域経済、農村社会を維持していく上での極めて重大な性格を持った問題だというふうに言わなければならぬと思います。  その辺についての果たして認識というのが農政当局にあるのかどうなのか。ここのところの認識をきちっとしていただきたい。そして、それに伴う厳密な対応をしていただきたい。そこのところが欠落しますというと、例えば茨城県の守谷町ですか、あそこでのAMIの出店計画などがあったわけでありますけれども、ああいう状況が今度はどさっとやってくるという時代が来る可能性がなしとしません。その辺の考え方についてもう一度ここで改めて伺っておきたいのです。
  124. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先ほどもお話し申し上げたんですけれども、日本のような狭い国土の中でありますと、農地について、やはり住宅地、さらには商工業用地都市的な土地需要との競合が不可避的に発生するというのは御指摘のとおりでありますけれども、安易な形で、地価が安いあるいは非常に整備が進んでいるというふうなことで、農地に出店等を依存するというか逃げ込んでくる、こういうあり方は私は疑問であり、厳密なチェックをすべきであろうというふうに考えております。そういうこともございまして、先ほど来の答弁で、幾つものバーをクリアしてもらわなければならないというふうに申し上げました。  そういう点から考えますと、最後に事例として挙げられました茨城県守谷町におけるAMIの出店計画のように、優良農地農業上の利用に重大な支障が生じる場所に立地をしようとするものにつきましては、当然のことながら農業振興地域制度の趣旨から、今回の改正後も引き続きその立地は認められないというふうに考えております。
  125. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこのところはしかとお願いしておきたいと存じます。  続きまして、線引きの見直し問題をめぐって伺いたいと存じます。  都市計画中央審議会が線引き見直し論を打ち上げております。それから、経済戦略会議にしましても、市街化区域の制限緩和とあわせて調整区域への開発許可制の導入といいましょうか、そういったような考え方を出しております。どうやら農振地域の中の調整区域、未線引き都市計画区域等々の転用緩和をねらいながらこうした構想が出されているのかなというような感じが強くいたします。  都市計画法の対象の調整区域などで見てみますというと、農振法の農用地区域が相当存在しております。多面的役割という面ではこうした農業というのは、先ほども申し上げましたように、中山間地域農業ないし中山間地域農業以上の大きな役割を果たしておるわけであります。  政府はこの線引きの見直し論に対してどう対処していくのか、その考え方について伺いたいと存じます。
  126. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) ことしの三月、都市計画中央審議会におきまして都市計画法の抜本改正を視野に入れた検討に着手するということがスタートしたということは承知をいたしております。ただ、その具体的内容につきましては、あるいは方向性につきましては私どもまだ何も承知をしていないところでございます。  現況、先生がおっしゃいますように、調整区域あるいは未線引き地域の中には立派な農用地区域と重複するところが相当面積あるわけでございます。私どもは、あくまでも農林漁業関係施策の展開という中で重大な関心を持ってこの審議、検討の模様を注視いたしたいと考えております。  我々のスタンスは、やはり集団的な農地あるいは都市基盤整備事業が実施をされたような農用地につきましてはこれをしっかりと守っていくという立場で臨みたいと思っております。
  127. 谷本巍

    ○谷本巍君 建設サイドでそういう動きがあるということは今申し上げたとおりでありますけれども、そういう動きがあるときに、新基本法では都市とその周辺農業振興政策、この考え方をびしっと示しておるわけであります。この作業をする際に、建設省とは全く無関連であの条項は出てきたのかどうなのか。やっぱり一定の相談があったのではないのかと私は判断するんです。その辺のことについて、何らかの経過があったとすればその事実について示していただきたいと思います。  それからまた、もう一つこの際申し上げておきたいのは、とにかくこれは農業基本法じゃないんですから、食料農業農村基本法なんですから、だから農村政策上からこれらの問題についてどう対処するか、ここのところをもう一つ明白にしてほしいと思うのです。農振白地にしましても未線引き地域にしましても、無秩序な開発というのは防いでいかなければなりません。防ぐ方法は何なのか。これはやっぱり地域的な土地総合利用計画、この種のものを立てていくという工夫があって私はしかるべきだろうと思うんです。農村政策をこっちはやるんですから、やる方の立場からすればその程度のことを考えて当然だと私は思うんです。それらの点いかがでしょうか。
  128. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 幾つかの御指摘があったわけでございますけれども、基本法の中に、三十六条二項になりますが、「都市及びその周辺における農業」というくだりで都市農業位置づけられたわけでございます。「都市及びその周辺」ということで都市自身を含んでいるというところに意味がございます。当然、内閣からの提案でございますので、その点につきましては建設省とも十分調整をさせていただきました。  それから、現実問題として市街化区域内等で生産緑地、これは都市サイドから見ましても緑の資源として営農を通じて比較的ローコストで緑が維持できるわけでございますし、いろいろな効用もあるわけでございますので、建設省御自身も私どもとこの制度を維持していくことについて意見は一致しております。  それから、今回の基本法農林水産省設置法の中で農村地域振興に関する基本的な施策の立案というのが農林水産省に課せられましたので、これから先はどれだけ私たちがこの内閣の中でイニシアチブを発揮できるかという責任をしょわされていると思っておりますから、都市都市周辺の農業、それから市街化区域等の中における農村振興都市といっても農村ともダブるわけでございますので、そういう点につきましては精いっぱい努力をしたいと思っております。
  129. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますというと、農用地確保については、二十ヘクタール以上の集団農地土地改良の実施地域など農用地区域が四百三、四十万ヘクタールありましたよね。それは当然維持するけれども、農振白地でいいますというと六十三万ヘクタールありましたか、そうしたものをきちんと念頭に置きながら農用地確保を行っていくというお考えと承っておいてよろしいですね。
  130. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) そのとおりでございます。何度も申し上げて恐縮なんですが、農振法だけで農地のすべてをカバーするということではございませんで、農地法におきましても、例えば農用地区域外であっても甲種農地として優良な条件を備えた農地は転用原則不許可ということになっておりますから、そういうことも通じまして必要な農用地確保に努めてまいりたいと思います。
  131. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、都市農業振興問題について伺いたいと存じます。  何度も申し上げておりますように、新しい基本法都市とその周辺の農業振興をうたったというのはまさしく時代の要請と合致をしております。都市の住民からしますと、コンクリートジャングル、効率一辺倒ではなくて、自然との共生のある潤いのある町づくり、最近では農業のある町づくりという話が方々に出てくるような時代になっておるわけであります。だが、農政上で言っていることは何なのかというと、それらの地域都市農業というのは、消費地に近い特性を生かして、直売活動であるとか、あるいは学校と一体となった食農教育問題だとか、市民農園としてやっていきなさいという考え方なんですね。これだけで果たして都市農業を守れるとお考えになっておるんでしょうか。
  132. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農政上からどういった支援を都市農業に対してやるかということにもつながると思うんですけれども、確かに、例えば市街化調整区域であれば面的な事業はなかなかできないわけでございますけれども、農政の手法というのは、そういったハードなものから始まって、税制や融資、そういったものにまでかなり幅広く持っております。ですから、そういった特性を持って多様にいろいろなことができる地域のものについては、補助金ハード事業よりは、むしろそういった税制、金融、あるいは小回りのきく小さな補助事業といったようなものが適しているというふうに思っております。  直販という話も出ましたけれども、直販にとどまらず、農業生産それ自体としても大変なウエートを持っております。東京中央卸売市場の実績で見ましても、例えば立川のウドのようなものは、これは全国ナンバーワンでありますし、それぞれの地域で相当盛んな、葉物であるとか土物であるとか、そういうものが行われておりますので、食料安定供給という第一原則からしても軽視できないポジションにあると私は思います。
  133. 谷本巍

    ○谷本巍君 確かに、局長がおっしゃられるようなところもあります。ところが、都市農業の持つ多面的機能のビジネス化というだけでは維持できないところも多いのもこれまた事実です。ですから、局長も御存じの、例えば千葉県の市川市とか埼玉県の草加市といったようなところでは、水害防止策としての水田の活用をやる、そのために水田農業の維持を可能とする助成政策を自治体がやってきているといったような例等々がそれであります。そういう自治体の支えがあってその地域都市農業が維持されていると申し上げてよろしいと思うんです。  なぜそれが合理的かといえば、例えば私どもは大阪などで随分見てまいりました。古くからの市街地に農地が残っていたのは東京よりも大阪の方が多いですよ。そういうところで市街地農業がつぶれていって、その後にでき上がってきたものは何なのかというと、洪水防止として地下コンクリートます、あれは聞いてみるというと何のことはない、トン当たり二十万円もかかっているというんです。都市農業をつぶしたために防災上の問題として自治体が膨大なる負担をしなきゃならない、そういったような問題等々が起こっているわけであります。  それからまた、これからの子供たちの教育問題にとって、あるいはまた食べ方を変えていくという問題を具体化していく上で都市農業が持つ役割というのははかり知れないものがあります。でありますから、そういう点等々を持ちますと、都市にとっての農業が持つ役割というのは一体何なのか、そして農業が受け持っている管理コストというのは一体どの程度のものなのかといったような問題等々をやっぱりこちらから大胆に提起をしていくということが私は大事だろうと思うんです。そういう問題を我が方が提起しませんというと、知らない人たちは、どんどん農業をつぶしていけばいいんだという考え方の人があるわけでありますから、その辺は一体どうお考えですか。
  134. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 基本法の三十六条一項でいわゆる多面的な機能、二項で都市農業振興というふうに書いてあることは先生御承知のとおりだと思います。  一つは、多面的機能と我々よく使いますけれども、文字どおり多面的でございまして、全国共通の多面的機能というのはほとんどない、あるものもありますけれども、そういう意味で、都市近郊における多面的機能というのは、例えば先生今御指摘になりましたような子供たちの教育的な側面、あるいはまたレクリエーション、それから防災、そして遊水機能等々いろいろあると思います。  それから、同じ都市といいましても、東京と今御指摘のありました幾つかの町、都市、あるいは私の地元であります札幌とか、それぞれ少しずつ違うと思います。いずれにいたしましても、都市における農業生産そのものの意義、それから農業あるいは農地を通じて都市住民に対して果たしている役割というものは極めて大きいものがあるわけでございまして、その意義というものは今後ますます大きくなっていくと思っております。したがいまして、そういう意味で、総合的に国として何ができるかということを我々も十分これから検討し、またいろいろと施策を講じていかなければならないと思います。  しかし、一方では、上からの押しつけということよりも、下からのそれぞれの都市の特性なりニーズというものを十分聞いた上で、我々がそれを前提にして積極的なバックアップといいましょうか、施策をやるという面ではやるのでありますけれども、現実問題としては、個々の都市のそれぞれのニーズに十分対応した形での施策を講じていく必要が極めて大事だというふうに認識をしております。
  135. 谷本巍

    ○谷本巍君 水田を中心とした土地利用農業活性化問題、このことについても質問通告しておりましたけれども、時間が参りましたので、後日に譲りたいと存じます。  ありがとうございました。
  136. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  通告いたしておりますのがほとんどもう質問に出ておりますので、述べるようなところが少なくなっておりますが、今回の改正は、今までの通達行政を改めて、法律化をして明らかにした上で事をなしていくという点と、それと国が基本指針を今回きちんと出して事に当たるというようなこと、さらには農用地の中に担い手育成の研修のための除外地を設けて、そこに担い手育成研修施設等を設けるようなこと等が新たに加わったというようなことであります。  一番心配しますのは、こういうことに改めたにいたしましても、農地の減少というものにはなかなか歯どめがきかないのではなかろうか。どうやって減少を食いとめて、そして将来に優良農地を引き継いでやっていくかという、そこがやっぱりポイントだろうと思うんですが、大臣としてその決意をまずお聞かせいただきたいと思います。  十年たって、やっぱり同じように毎年三万ずつ減っていったということでは、当時の為政者はみんな何やっていたんだと、こう言われるようになるんじゃなかろうかと思いますので、こういう改善になったことによってその減少率に歯どめがかかったというくらいの思い切った国からのいろんな支援が必要だろうと思いますが、その決意をまず大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  137. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の法律改正趣旨は、今、阿曽田先生がおっしゃったとおりでございますから繰り返しませんが、その根底にあるのは、新しい基本法における四つの理念を中心とするこれからやっていかなければいけない数々の施策の一つという位置づけでございます。  そこで、優良農地確保して自給率あるいは国内生産を増大させていくというための施策と相反する農地の減少というものの歯どめをどうしたらいいのかということでございますが、先ほど谷本先生お話にもありましたが、一つは国際化ということも原因としてあるわけでございますが、もう一つほかの要因といたしましては、やはり担い手がいなくなった。高齢化してきたとか、あるいは意欲を失ったとかいうことによる耕作放棄という問題が大きいわけでございますので、少なくとも、この農地をきちっと守り発展させていくためには、利用を集積するという手法と同時に、やはり農家に新規に入ってきてもらいたいという施策を講じることも重要なのではないか。  そのためには、魅力のある農業経営、あるいはまた農業のいい意味の実態を国民あるいは特に将来の子供たちに対しても十分御理解をいただくことによりまして、自分も農業を意欲を持って効率的にやっていこうというような人たちを育成していくということも極めて大事なことじゃないか、人と優良農地というものとがセットになってこれからの安定的な食料供給のスタートになるのではないかというふうに考えております。
  138. 阿曽田清

    阿曽田清君 大臣の模範解答みたいな御答弁でございまして、要は、自給率を向上させていくにしても、農地がきちんと確保されておって初めてそれは成り立つ話であります。また、耕地の利用率というのも高まってこそ自給率を高めることができる。ところが、ともに右下がりという状況をどこかで食いとめて転身を図らなきゃならない、それがまず第一発目の農振法の改正だというとらえ方からするならば、私は、違った手法というのは、極端に言うと今度、国が指針を出す、あるいは市町村でそれぞれの振興計画を立てる、これはとっぴな話でありますけれども、例えばその町村なりその県で農地転用されて減った部分については新しく農地の開発を義務づけるというぐらいの、代替用地を用意するぐらいの、それくらいの計画のときに市町村なり県が取り組むというようなことが、私は思い切った農用地確保する、保全するという意味につながっていくんじゃなかろうかと思うんですが、それだけ踏み込んだことの指針考えておられますか、どうですか。
  139. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 優良農地が外にあればそういうことも一つのお考え方であろうと思います。ただ、私は、この問題は代替地があれば、あるいは代替地を求めるということについてはむしろ慎重に対応した方がいいのではないかと思っております。  といいますのは、代替農地確保さえすれば農用地区域から外せます。したがって、形式的に農用地区域に余り質のよくない開発予定地とか農地を入れてしまうというふうなやり方が考えられます。それから、優良性が乏しい農地農用地区域に設定をされてしまいますと、今度は私権の制限がかかってくるわけでございますので、その土地の所有者に対して果たして公平性の点からどうかなということ。さらには、代替地の義務づけをしますと、代替地がないためにむしろ公共的な、公的なものが推進できないというふうなことも起こってまいりますので、優良農地が常に存在するような状況であれば一つのお考えと思うんですけれども、十分慎重にこの点は検討しないと、かえって悪用されるおそれもあるのではないかなという、ちょっと感想めいた答弁で申しわけないんですが、そう思います。
  140. 阿曽田清

    阿曽田清君 局長の話はどちらかというと逃げ腰なんです。農用地優良農地があればなんというと、優良農地というものはそれはもう既に現存しているわけで、新たに畑地の用途を求めていくとかということでもできるし、私は、市町村でできなかったら県の全体の中でどこかを確保していくという、それが市町村と県と国とが今回それぞれ協議するということで一つ連携がとれるんじゃないかなと思うんです。  ですから、優良農地をきちんと確保するというのは、見つけていってそこで県全体としてキープしていくというくらいのはまりがなからぬと、恐らく十年たって振り返ってみたときに、案の定四百万ヘクタール割っていたね、そうなったときに、本当にあのときの局長はうそを言うたなと、こういうことになりますので、きょうの質疑の内容からして十年後どうだったかなと僕は見ているから、局長の時代、やっぱりできなかったじゃないかと、こういうことを言うかもしれませんよ。  これは冗談といたしまして、まさに今回そういう指針を出して進むについては、思い切った国の農地確保保全というものに対しては並々ならぬ姿勢があるんだというところをひとつ示していただきたいと思います。  それともう一つは、農地流動化が最近進んできているようでありますけれども、まだまだうまく使われていない。それが放棄地につながっている向きもありますし、あるいは管理不良園になっているところも出てきております。ですから、今回、農地流動化を今までのような農業公社なり農地保有合理化法人等々のそういうとらえ方でこのままいくのかどうか、もっと抜本的に流動化が進むような施策はないかどうか、あるいは耕作放棄地あるいは不在地主対策、そういうものはどのように行おうとされておるのか、有効に農地を使うという観点からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  141. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 私どもは日本農地の過半を担い手に集積するということでこれまで進めてきたわけですけれども、現在五百万の農地のうち約二百万という状況でございます。残り半分に達するまでが本当に苦労が多いわけでございまして、そういう点でこれまでのようなかけ声と抽象的なやり方での流動化を少し脱却いたしまして、具体的にその市町村で一体幾らだれに動かすかということで現実の目標を立ててそれに向かって進み、なぜ達成できなかったのか、達成できた原因は何なのかということをチェックしながら進むということにしたいと思っております。  それから、流動化の手法が初めは所有権の移転から始まって、今は利用権ということで賃貸借まで来ていますけれども、それだけではなくて、受け手の農業者の経営作業効率が上がればいいわけでありますので、期間借地の問題であるとかあるいは農作業の受託、委託という点にまで少しウイングを広げて流動化の対策を幅広くしたいと思っております。  それから最後に、農地法上、若干なりとも流動化を阻害するような規制もございますので、これは次の農地法の改正の機会がありましたら速やかに変えていくというふうなことで臨みたいと思っております。  もちろん、これまでやってまいりました農地流動化推進、八万人を通じた掘り起こし活動等は継続をいたしますし、農地保有合理化事業についても若干の改善を加えながら進めたいと思っておりますけれども、何はともあれ具体的な目標を持って検証しながら進むということだと思います。
  142. 阿曽田清

    阿曽田清君 そういう現実をもうちょっと直視されて、問題点を解決しながら、そしてより流動化が進む手だてを講じてやる、これは大事なことだと思いますので、積極的にお取り組み願いたいと思います。  最後に、今回除外地として後継者担い手研修施設等は農用地から別に外してやる、こういうようなことでありますが、具体的にどういう施設、どういうものを予定されておられますか、まずお聞かせ願いたい。
  143. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今回、追加的な計画事項として位置づけることといたしましたのは、農業を担うべき者の育成及び確保のための施設ということでございます。具体的には、就農準備校あるいは研修施設あるいは農作業の体験施設、そして気象あるいは就農等のための情報通信施設、こういった農業を担うべき者の育成と確保のための施設を、これまで以上に重要になってまいりましたので追加いたしたいと考えております。
  144. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、せんだって長野県の四賀村に行ってまいりました。その四賀村では、都市農村との交流を図るという観点でクラインガルテンという施設が五十数棟建っておりました。聞きますところ、十数倍の応募者があったということで、今もなお入居したいという方々が相次いでおるというようなことでありました。  私は、そのとき、ドイツの人から農村地域の活性化に必要なことは農業の垣根を越えて総合的に取り組む、それが農業開発だと、こういうお話を聞いて大変感動したわけでありますが、クラインガルテンの発祥地はドイツであるということで、その提案をしたのは何とヒトラーだったというお話もお聞きいたしました。へえと思いながら驚いたわけでありますが、ああいうクラインガルテンという一つの自家菜園をして都市方々がそこに自給を求める、こういうことで、そして一年通じて農業に親しむ、あるいは周囲の農村方々と交流を図る。  まさに、こういう農地の荒れ果てたところにそういう施設を持っていかれるわけですね。私は、これはもっともっと伸びるというふうに思いますし、都市方々のそういう農業への理解を高めることができると思うんです。私は、むしろそういう施設、そういうものを、荒れ果てたと言ったらおかしいけれども、農地生産性の低いところにそういうクラインガルテン等の誘致と言ったらおかしいけれども、設置を全国で進めていくことによって村おこしも生まれてくるんじゃなかろうかなと思うんですが、大臣に決意を述べていただいて、質問を終わります。
  145. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) クラインガルテンとかワンダーフォーゲルというのはヒトラーが始めたということは私も何かの本で読んだことがありますが、それは別にいたしまして、五月にフランスの条件不利地域を見たときに農家民宿を見まして、すばらしいものだなと思いました。それから、市民農園的なクラインガルテンなんというのも、ドイツが発祥でありますけれども、ヨーロッパでは非常に盛んだということでございます。  先生のおっしゃっていることは私も十分見てまいりまして理解のできるところでございますが、そのためにも、ドイツ型、フランス型のクラインガルテンなり農家民宿というのが発展するためにもやはり意識とインフラの改革、向上というのが農家サイドあるいは都市住民サイド両方から必要なのではないかということがあるのではないかと思っております。  具体的に申し上げますならば、受け入れる側の、都市住民の行動様式と言ったら変ですけれども、考え方に対する理解、あるいは生活基盤整備といった問題、あるいは景観の問題、自分の家の周りをいかにきれいにするかとか、そんなようなソフト、ハードを含めたいろいろなやるべきことがまだまだたくさんあるのではないか。それから、都市側から見ても、いわゆるいい意味の田舎ですから、田園ですから、そこに行くのでありますから、やはり都市生活のようにすべてボタンを押せば済むという生活ではないんだと。自然に親しむということは、不便とか不便じゃないとかいう次元を超えた、また歴史的にも人間の原点でもあるわけでございますし、そうして自然に触れ合うことによるメリットというものを十分享受するという理解なくしては、お互いの理解とインフラ整備がなくしてはだめだということを前提にしてぜひ進めていかなければならないことであろうと思っております。  なお、フランスにしてもイギリスにしても、非常に精密なそういうものに対する情報のマップのようなものがきちっとでき上がっておるわけでございまして、その辺も含めてまだまだ日本はそういう方向にしていかなければいけないと思いますが、やるべきことがたくさんあるなというふうに思っております。  なお、一方、耕作放棄地イコールクラインガルテンということではなくて、やはり中山間あるいは耕作放棄地を何とか減少させる、あるいはもとのきちっとした農地に戻すということも一方では大事なことではないか、両方意義があるのではないかというふうに考えております。
  146. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  147. 石井一二

    石井一二君 WTO交渉の基本的な戦略について、大臣のお考えをお伺いいたします。
  148. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) WTOの次期交渉に、来年からということでございますが、十一月の閣僚会議が実質的なスタートになるわけでございます。  つい最近、数カ月間の空白の後のWTO事務局長も決まったというふうに聞いておりまして、そういう時期、あるいは我が国内におきましては、基本法を初めとする新たな法体制のもとで未来に向かって日本農業、そして食料の安定的な供給発展という制度の大改革と軌を一にしておるところでございますので、そういう方針と合致した形で我が国の立場というものを諸外国に訴えていきたいというふうに考えております。  現時点におきましては、七月末までに各国とも基本的な考え方を出せということで、既に日本といたしましては、次期交渉に向けての日本の提案というものを内外に明らかにしておるところでございます。昨日も消費者団体の皆さん方と懇談をさせていただきまして、WTOに向かうことについて御議論を、意見交換をさせていただきました。  ポイントは三つでございます。  農業交渉に関しましては、農業の果たす多面的な役割というものの重要性、特にこれから地球がいろいろと環境面あるいはまた社会生活面、経済面、あるいは農業そのものについても非常に不透明な世界の状況の中で農業の果たす多面的役割というのは非常に重要である。  そして二点目が、そのうちの一つでございます食料の安全保障というものは、これは貿易というもの、つまりお金がなければ買わなくて済むという性格のものではないわけでございますから、そういう意味で、発展途上国の飢餓問題等々も視野に入れまして食料の果たす安全保障的な役割、どの国にもこれは受け入れられる考えではないかと思っております。  そして三点目が、現WTO協定におきましてはどうしても輸出国の権利義務と輸入国の権利義務の間にはアンバランスがあって、輸入国たる我が国としては、その次期交渉において輸出国、輸入国の間のアンバランスを解消し、公平、対等なものにしていかなければならない。  以上三点がポイントでございます。
  149. 石井一二

    石井一二君 私は、今手元に「次期農業交渉」という七月五日付の毎日新聞の社説を持っておるわけでございます。実に正確に大臣がこの内容を御答弁になったということで、大臣の記憶力に対しまして改めて心から敬意を表したい、このように考えておるものでございます。  私はもっと大臣が実は雑駁な答弁をされるだろうなと思って、もちろん通告はしておりますので、そのようなこともなかろうかと半ば半信半疑で今の答弁を聞いておったわけでございますが、今、我々は農振法の審議をいたしておりますが、同僚各位がいろいろいい質問をして、まだ聞かなきゃならない問題も二、三通告はいたしておりますが、私は、この一年間の農水委員会を振り返って、やや所見を申し述べさせていただきたいと考えておるものでございます。  一口に申しますと、例えば野球に例えるならば、きょうオールスターがあって、また後半戦が始まって、やがて胴上げが起こって、消化試合をせにゃいかぬというチームが出てまいりますが、法案が衆議院を通って参議院へやってきてだんだん時間がたつと、農水省答弁というものが消化試合のような誠意のないものになりつつあるのではないかというような気がしてしようがないわけであります。  例えば、私は五月六日に、福島食品流通局長に対して農水省の外郭団体、あるいはそこから注文を受けておる下請受注企業、こういった実態に対して天下りということについてどう感じておるかということを質問いたしましたが、これは職業選択の自由だという答弁が出たわけです。  今御承知のように、省庁再編というものが行われ、また民間活力と規制緩和ということが時の大きな流れになっておる。こういった中で、こういった問題をぬけぬけと、これは職業選択の自由だという憲法論理で看過するということにいろいろ大きな問題があるのではないかというように、私はここ数週間考えてきたわけであります。  例えば、ここに「テーミス」八月号に、「税金を貪る官僚の天下り用子会社を許すな」ということでいろんな記事も出ております。  ここに私は一冊の別の本を持っておりますが、その題名は「人間を幸福にしない日本というシステム」という、これは割とベストセラーに近いカレル・ヴァン・ウォルフレンという方の書いた訳本で、毎日新聞社から出ておりますが、その第四章には官僚独裁主義として、約四十ページにわたって日本が今、世界の笑い物になっておるというような一面を紹介いたしておるわけであります。  そういう中で、来年、私はこの委員会に置いていただけるかどうか、それはまだわかりませんが、今後、極めて重要な農政の遂行に当たっては、ひとつ各議員の質問に対して誠意を持って答えていただきたい、そのような気持ちを持っておるものであります。  こう申しますと、大臣は、そんなことはないと、我々は誠意を持って答えておるとおっしゃると思いますので、もう一つ事例を述べますと、私は七月八日に、二十四時間前の通告を出して、大臣、十年後の農地面積と専業農家の数と食料自給率についてどのようにお考えですかと、こう申したわけであります。  きょうも同僚各位がいろんな数字を挙げて論じておりますし、我々は新農業基本法のときにこの問題についてもいろいろ論議をした。少なくとも今これぐらいだけれども、これぐらいであってほしいと思います程度の答えを期待しておったわけでありますが、その答えはふろの中で何とかというような、そういう下品な言葉を私はよう言いませんが、そういう表現に値するような答えであったように感じてならないわけであります。  それで、七月二十三日、数日前の朝日新聞を見ておりますと、食料自給率全国都道府県別に御丁寧に出しているわけです。それが発表になっていますが、これは農水省が発表しておるんですよ、局長。私はこんなものは恐らく不正確だと思うんです。物がいろいろ国内で動いておりますし、輸出入であればちゃんと通関統計があるものですから。  だから、こういうことまでできる農水省が、十年後の食料自給率についてビジョンもなきゃ数もないと。私はこういったこと自体が非常におかしいし、果たしてやる気がどのぐらいあるのかということを逆に聞かせてもらいたい、そのような気がしてならないわけであります。  大臣も極めて御多用だと思います。何かカナダでの五カ国農水大臣会議というものが延長になったのじゃないかと思いますが、いろいろ含めてこの一年間を振り返って、私が今申したことも含めて、大臣の御所見を一言賜りたいと思います。
  150. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一年間、国会でいろいろな御議論をいただきましたことにまず厚く御礼を申し上げます。  特に、今国会では当委員会にかかわらない公庫法のような法律も含めまして当農林水産省が提出した法案が十五本あるわけでございまして、大変な量でございます。そして、基本法という大変大きな法律も御審議をいただいたわけでございます。  参議院先議のものを、では逆に衆議院に行ってということもあるわけでございますが、決して衆議院から回ってきたから手を抜いた答弁をしているとは、私を初め農林水産省は全然そうは思っていないということをぜひとも御理解いただきたいと思います。  なぜならば、参議院農水委員会先生方は全員が極めて熱心な農政についての御理解と御見識を持ち、全員の先生方から御質問をいただいており、それぞれに大変に有意義、かつ、ある意味では厳しい御質問もいただいておるわけでございますので、そういう意味で、失礼な言い方かもしれませんけれども、衆議院と参議院とでは何となく雰囲気も含めてやはり違うなというふうに思います。  どっちがいい、参議院がいいなんてここで言うと、衆議院の方で怒られますから申し上げられませんけれども、やはり参議院には参議院のすばらしさというか、立派さというのがあるということは、率直にこの場で申し上げさせていただく機会を与えていただいたと理解しております。  今後、これからますます農政が大事な時期にかかってまいりますので、国権の最高機関たる参議院においての御指導、御鞭撻をいただきながら、これからも農政に全力を挙げて、この仕事に立ち向かっていきたいと思いますので、引き続きの御指導と御叱正あるいはまたいろいろな委員会の御議論をいただきますことをお願い申し上げまして、先生の御叱正に対しての私の、突然でございましたので自分でも何を言っているかわからなくなりましたけれども、ありがとうございます。
  151. 石井一二

    石井一二君 大臣から非常にフレッシュな決意の表明がありましたので、以上をもって私の質問を終えたいと思います。
  152. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  153. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対理由の第一は、農用地区域の設定基準の法定化が中小農地に対する選別的規定を固定化することであります。  農地の転用や耕作放棄地の拡大など、農地の減少に歯どめがかからない中で今必要なことは、農地を規模によって線引きし選別するのではなく、中小零細農地も含め、農地農地として維持、保全するあらゆる手だてをとることです。しかし、現在、農用地区域の設定基準は、通達により十ヘクタールから二十ヘクタール以上の規模の集団的農用地に限定されています。これでは都市近郊や山間地の点在、零細農地は対象とはなりません。本法案は、この通達をそのまま政令として格上げし、中小零細農地に対する選別的規定を固定化するものです。  第二は、農用地区域の除外基準を法定化するとしていますが、それによって転用規制が強化され、農地減少に歯どめがかかる保障がないことです。  除外基準には、この間の規制緩和でリゾート法や農村活性化土地利用構想による例外的な取り扱いなど、多数の特例措置がつくられてきました。その結果、宅地やリゾート開発、大型商業施設等のための農地転用がなし崩し的に進んでいます。除外基準の法定化は、これらの開発行為のための農地転用を助長する特例措置をも政令として定めるものですが、これにより農用地区域の除外が厳格化されるものではありません。むしろ、転用規制の形骸化を固定化させ、農用地の転用、壊廃に拍車をかけるおそれを強くするものです。  今、四一%と世界最低水準にまで低下した食料自給率を引き上げ、農業を再建することは国民的課題です。そのために、市場原理の導入でなく、採算のとれる生産活動を推進し、生産基盤としての農地を守る確固たる規制強化が不可欠です。しかし、本法案はその緊急な課題に反するものであると言わざるを得ません。  以上申し上げまして、反対討論を終わります。
  154. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 野間赳

    委員長野間赳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十一分散会