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1999-07-06 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月六日(火曜日)    午後四時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 藁科 滿治君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 村沢  牧君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        食糧庁長官    堤  英隆君        林野庁長官    山本  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○食料農業農村基本法案内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  食料農業農村基本法案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 三浦一水

    三浦一水君 自民党の三浦一水でございます。  食料農業農村基本法案につきましては本委員会で既に三日間質疑を行ってまいりましたが、本日はまことに御多忙な中に総理の御出席を賜りまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  本法律案基本的な問題に絞りまして御所見を賜りたいと思います。  まず一番目に、国内農業生産基本とする食料供給体制についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、新基本法案食料安定供給確保基本理念の第一に挙げております。食料は将来にわたり世界的需給が逼迫してくるだろうと懸念されております。一方でまた、我が国経常収支の黒字がいつまで続くものか、どこまで自由に外国の食品が買えるのかといった懸念も出てきておる昨今でございます。  食料農業農村基本問題調査会が、昨年秋の最終答申におきまして国内農業生産基本としたことは、そういう意味におきまして極めて私は重要な意味を持つことではなかろうかと存じております。私も、このことから自給率の問題、その他の問題、一つの大きな整理がつけられるのではなかろうか、興奮した記憶を持つものでございます。  そこで、私は、食料自給率国内農業生産基本とする中において五〇%を下回るという状況があるとするならば、国内農業生産基本とする精神に沿わないのではないかという考えをいたしております。  まず第一点、総理国内農業生産基本とした食料供給体制とはどのようなものと認識をいたされているか、まず御所見を賜りたいと思います。
  4. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいまお尋ねいただきましたが、御答弁の前に、今日、当委員会に招致を受けまして大変感謝申し上げます。  私も、昭和三十八年に国会に議席をいただきましたが、三十六年に農業基本法ということによりまして、その体制の中で議員活動もさせていただいてまいりました。今回、改めて食料農業農村基本法ということで、両院の御審議をちょうだいいたす立場になりました。ぜひこの法律案につきまして御審議をいただき、成立をいただくように、改めてお願いを申し上げる次第でございます。  今般、ただいまお尋ね自給率の問題につきましては、我が国食料自給率現下四一%まで低下をいたしておりまして、担い手の減少、高齢化耕作放棄地増加等によりまして、国内食料供給が脆弱化している現状を踏まえまして、国内農業生産増大を図ることを基本とした食料供給体制を構築していくことは極めて重要な課題であると考えております。  このため、生産消費両面における課題の解決、農地確保担い手育成等によって、実現可能な望ましい水準自給率を達成するとともに、不測事態におきましても対応可能な食料供給体制確保されることが必要でございまして、政府といたしましては、その実現に必要な施策を総合的かつ計画的に実施してまいる考えでございます。
  5. 三浦一水

    三浦一水君 今回の新農業基本法現行農業基本法と大きく異なるところは、第一に、食料安全保障を明確に位置づけ、さらに農業農村食料供給基地としてとらえるばかりではなく、従来、経済外効果として理解されてきた農業農村多面的機能というものをまた明確に位置づけたことであると、その意味において画期的なものであると存じております。  その中で、食料安全保障についてお尋ねしたいんですが、東西対立時代が終えんしたとは申しながら、四方を海に囲まれて、なおかつ、まさしく狭隘な国土と稠密な人口という条件から、食料自給率四一%という食料供給構造を余儀なくされている我が国であります。そういう我が国が、常に国民生命を守るための配慮を忘れてはならないということは当然のことであろうと考えております。  昭和五十五年七月、大平総理私的諮問機関として設置されました総合安全保障研究グループによる報告によりますと、食料安全保障総合安全保障理念の重要な柱の一つとして位置づけをされておるようでございます。そのことから、同年に総合安全保障関係閣僚会議も設置されておりますが、以来既に十九年を経ておるようでございます。もとより、この会議におきましては、政策決定権を持たない関係省庁調整協議機関として設置されたものだと聞き及んでおりますが、平成二年の九月二十六日以降はこの会議が開催されていない状態があるようでございます。このことからも、食料安全保障に関する実際の備えというものが、まだまだ私は机上の枠組みから出ていないと言わざるを得ない現状かと認識いたしております。  新たな基本法制定を契機に、総合安全保障一翼を担うべき食料安全保障体制の確立に向けて、これは単にひとり農林水産省の問題としてではなく、農政の問題としてではなく、まさしく国民として、国家として取り組むべき課題であると存じますが、この点につきまして総理の御所見を賜りたいと思います。
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 全く御指摘のとおりというふうに考えておりますが、言うまでもなく食料は人間の生命維持に欠くことのできない基本的物資であり、世界食料需給について中長期的に逼迫する可能性もあると見込まれる中で、国民に対する食料安定供給確保することは国の基本的な責務であると考えます。このため、国内農業生産増大を図ることを基本とした食料安定供給と、不測事態に対応し得る食料安全保障確保することは、国家の総合的な安全保障一翼を担うものでありまして、その基盤となる農業の持続的な発展農村振興内閣を挙げて全力で取り組んでいく考えでございます。  過去のお取り組みについてのことも御指摘いただきましたが、今般、この基本法を成立させていただきまして、内閣としては、申し上げましたように全力を挙げて一体のものとしてこれらの課題に取り組んでまいる、改めてその決意も申し上げさせていただきたいと思います。
  7. 三浦一水

    三浦一水君 同じ意味合いでありますが、農業多面的機能位置づけについてもお尋ねしたいと思います。  我が国は、空気と水と安全はただといったような価値観がこれまで存在してまいりました。その陰で、農林業が健全に機能することで確実に清浄な空気と豊富な水を提供してきたという歴史がございます。  しかし、今や中山間地域を中心に耕作放棄が進み、人がそこに住み農林業が営まれることによって初めて維持されてきた経済外効果、いわゆる多面的機能も、それを維持することができない状態が深刻化しているのが実情であるかと思います。国民環境と自然に対する意識が高まってきております。農業多面的機能に対する認識も近年、国民の間で次第に深まってきていると言うことができるのではなかろうかと思います。  しかしながら、先ほどの安全保障と同じでございますが、国家として、国土政策あるいは環境政策においての多面的機能位置づけが必ずしも現状においては十分でないと認識いたしております。農山村の多面的機能発揮されて初めて二十一世紀日本国土環境を守ることができるのではないかと考えております。  食料安全保障と同様に国を挙げて取り組むべき課題であると考えますが、御所見を賜りたいと思います。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国土保全、水源の涵養、自然環境保全、良好な景観の形成、文化の伝承等、こうした多面的な機能農村農業生産活動が行われることにより生ずる機能でありまして、その十分な発揮確保するためには農業の持続的な発展とその基盤となる農村振興が不可欠でございます。  一方、国土政策基本方向を定める全国総合開発計画におきましては、二十一世紀国土づくり考え方として、農村整備につきまして、生活環境整備を進めるとともに、農地森林等地域資源を再発見し、自然環境等保全と回復を含む農村環境を積極的に創造していくこととしており、農業の有する多面的機能重要性が考慮されたものとなっているところでありまして、このことは国の責務として本法律案の中に第七条として厳然と述べられておることから、今回の法律の意義におきまして、今お尋ねいただきました点につきましての方向性を定めるものと、こう認識をいたしておる次第でございます。
  9. 三浦一水

    三浦一水君 これらのことを踏まえてまいりますと、私は、今回の新基本法制定によりまして新たな理念に基づき二十一世紀を展望した施策を推進するに当たりさらに重要なことは、政策実施のための予算的な裏づけではないかと考えております。財政当局から、ややもすると、従来の農林水産予算の枠内で対処していただけるものといったような声が聞こえてまいります。しかしながら、新農業基本法案が中山間地域等振興を図るために念頭に置いている直接支払いにいたしましても、けさの公聴会における公述人意見の中にも伺えましたが、現在の農林予算における価格支持経費をその財源に振り向けるならば事足りるといったようなことではないであろうと私は思っております。  農業農村多面的機能は従来、経済外効果として確保されてまいりましたが、農業農村衰退傾向のためにその機能がもはや発揮できないおそれが強くなっております。農林関係予算一般会計予算額に占める割合は昭和三十五年の七・九%から減り続けており、平成九年度には三・七%にまで低下をしている状況でございます。  これらを前提として、食料農業農村全体のすべての問題に当たるということは私はいささか無理があるのではないかと思いますし、農政の枠を超えた視点が予算の上でも重要であると考えます。  最後に、この点について総理の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  10. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般の新たな基本法におきまして、食料安定供給確保農業農村多面的機能の十分な発揮を図るという基本的な考え方に立ちまして、食料農業農村政策を総合的に推進していくことといたしております。  このような施策の展開に当たりましては、従来の農業関係予算全体につきまして、地域のニーズ、施策推進緊要性、事業の効果等の諸要素を勘案しつつ必要な見直しを行い、新たな基本法のもとでの政策に沿った予算編成をしていくことが極めて重要である、このように私も考えます。
  11. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。
  12. 久保亘

    久保亘君 総理、御苦労さまです。  私は、最初に、現行農業基本法にかわる新しい食料農業農村基本法制定しようとするその背景となっている時代認識について、総理と私とが同じ認識を共有できるかどうかについてお尋ねしたいと思います。  二十一世紀食料不足時代、飢餓の時代と呼ぶ人もあります。そういうときに、国際的に食料安全保障をどう確立していくかという問題、それから今もお話がございました多面的機能、つまり環境国土保全水資源等確保など、その多面的な機能をどのように生かしていくかという問題が新たな時代の要請となっております。もう一つは、時あたかもWTO次期農業交渉が始まろうといたしております。  そういうときに、この新しい基本法我が国立場内外に向かって明らかにする意味を持つものだと考えておりますが、この新法制定背景となる時代認識はそのようなことで共有できますでしょうか。
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 基本的な考え方としては、全く久保委員のおっしゃられるとおりと認識しております。
  14. 久保亘

    久保亘君 それでありますと、この新たな基本法というものの持ちます性格は、一つは旧法にかわる新たな農政理念を明らかにする理念法であります。それからもう一つは、国際的に内外に向けて日本のこれからの食料農業農村に関する立場や方針を宣言する宣言法性格を持つものだと考えております。  理念法宣言法という立場から考えますと、この新たな基本法の全体をあらわす前文がこの法律にとっては最も重要な意味を持つものであったと考えておりますが、前文が省略された理由を総理はどのようにお考えになっておりますか。
  15. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 基本法における前文必要性についてお尋ねがございました。  前文には、法案基本理念法案提出に至った事情が記述されているのが通例でございます。  本法案におきましては、基本理念条文の形で明確化しており、また法案提出に至った事情につきましては趣旨説明に盛り込むことから前文を置かなかったものでありますが、必要な事項は盛り込まれておると考えております。  前の農業基本法の中には前文という形で理念が述べられておるわけでございまして、これは私の感じでありますが、当時、日本国憲法制定され、そして基本法というものにつきましてはやはり憲法のごとく前文が述べられるという法律形式がある意味では当時としては通常だったのではないかというような気がいたしておりますが、これは法律専門家ではございませんのであるいは誤解があるかもしれません。  今回は、今答弁を申し上げましたような趣旨理念としてはっきり条文の中に盛り込まれるという形でございまして、その趣旨は今回の基本法に盛り込まれておる、このように認識をいたしており、御理解を賜りたい、こう思っておる次第でございます。
  16. 久保亘

    久保亘君 前文に書くべき内容条文に書かれているという答弁は前に農水大臣からもお聞きしたことがございます。  しかし、それは少し意味が違うのじゃないでしょうか。それでは、前文に書いたものは条文に出てこないのか。そんなことはないのでありまして、前文があるからこそ条文に入ってくるのであります。その前文に強調される内容こそが理念法であり、内外に向かって宣言する、特にWTO交渉に当たって我が国立場というものを相手国にもはっきり理解してもらうためには前文が極めて重要であったと私は考えております。  しかし、そのことについて今ここで議論しても始まらないのかもしれませんが、公聴会公述人の中からも、ぜひこの際新たな基本法制定に当たって国会決議を、農業者消費者である国民も元気の出るような決議をしてもらいたい、こういう声がありますが、前文に匹敵するような、これにかわるべき役割を負う院の決議が行われるということになれば、それは国会がお決めになることというお答えではなくて、ぜひ政府としてもそれを歓迎し、尊重するというお立場をおとりいただけませんでしょうか。
  17. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げさせていただきましたが、WTO次期農業交渉等において主張すべき考え方は、本法案基本理念の形で十分明確に示されておると考えております。また、WTO次期農業交渉に向けての政府考え方につきましては、先般、次期交渉に向けて日本の提案として取りまとめ、公表したところでございます。  なお、国会におきましての決議のことが先生から申されましたけれども、これは各党間の合意の上、次期農業交渉に関する決議等がなされるとすれば、当然、政府としては尊重されるべきものであると考えておる次第でございまして、久保先生から御指摘ではございますけれども、やはりこうした法案に対する対応につきましては、国会におきまして十分御相談いただければありがたいと思っておる次第でございます。
  18. 久保亘

    久保亘君 これは院の問題でありますから、私どもの方で委員長の御判断のもとにいろいろと進められる問題だと考えておりますが、前文がなくなったという立場からも決議はそれにかわって大きな意味を持つものだと私は考えております。  次に、自給率の問題についてでありますが、本来ならば、この新たな基本法自給率生産目標等に関してある程度数値を持って、これを読む人が理解できるようなものとならなければなかなか元気の出るものとならないという意見公述人からも述べられたところであります。  これらの問題について、この基本法が成立いたしますと基本計画が速やかに策定されるものと考えておりますが、この基本計画はいつごろおつくりになりますか。  最初基本計画は、五年見直しが書かれておりますから当然五年間の目標がここに数値として出てくるものだと思いますが、この基本計画全体を決めてまいりますものは自給率の定め方が非常に大きな要素となるものと考えております。そういう意味では、この新法を提案されております内閣責任者として大体どの辺を目標にして自給率策定をおやりになるおつもりでしょうか。ぜひ総理の率直な御意見を承りたいのであります。
  19. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 食料自給率の向上につきましては、国内生産されるものが消費者実需者に選択され、その需要が増加することを通じて初めて実現されるものであります。このため、食料自給率目標は、何の前提もなく単に目標数値だけを掲げるのでなく、生産消費両面における課題を明らかにしながら数字を積み上げていくことが適当であると考えております。  その具体的な数値につきましては、今後、検討作業を進め、基本計画において定めることといたしておりまして、実現可能な望ましい水準としていく考えでございます。
  20. 久保亘

    久保亘君 これは総理大臣の御答弁としてはなかなか受け取りがたい。農水省の担当の方がそのような答弁を用意されたんだと思うのでありますが、これは非常に私はおかしいと思う。  今、なぜこの新しい農業基本法農業者にも元気の出るようなものにしてほしいという声がたくさん上がっているかといいますと、アメリカもイギリスドイツもフランスもどこの自給率を見ても一〇〇%をはるかに超えているでしょう。かつて、八〇年のころでしょうか、もう少し前になりますか、そのころ日本ドイツイギリスなどと比べて自給率は決して下回ってはいなかったはずであります。それが今では、穀物ベースでいきますと我が国は三〇%もないでしょう。これらの国々はみんな一〇〇%をはるかに超えております。イギリスも一三〇%です。そういう中で、日本自給率はもう想像を絶するところへ落ちているんですから、食料安保を語る資格もない。  それならば、基本計画策定するに当たって少なくとも八五年の数値ぐらいまでは五年間で戻すというぐらいの考え方に立って基本計画策定を命じなければ、この基本法は絵にかいたもちにすぎないし、何ら日本農業の展望を開くことにはならないと私は思うのですが、いかがですか。
  21. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 自給率我が国におきまして大変低くなっておる現状につきましては私とて十分認識をいたしているつもりでありまして、過般、新聞にも、米国一三八、インド一〇〇、中国九四、ブラジル八五、日本二八穀物自給率の点について記されておりました。しかるがゆえに、我々としてもその自給率というものにつきまして、国民が安心のできる数値というものを持たなければならぬということの御指摘もまた大きな御指摘一つだろうと私は思います。  ただ、従来の基本法もそうでありますが、世界のどの国のこうした類似の法律をとりましても、一定数値というものをあらかじめ固定的に示すということについては大変困難性が伴っておるのではないかという気がいたしております。したがって、現下こうした形で数値が低減しつつある状況がまことに大きいという現況にかんがみましていかに対応するかという考え方において、今回のこの基本法制定をしようということであろうと思っております。  ずばりとした答弁になりませんけれども、私としては気持ちとしてはそういう方向性についての危機感というものを強く持っておるつもりでございますが、これを改めて数字として明確に国民にお約束するというのは、いろんな状況の中で甚だ困難な点もあろうかと思っております。  しかし、いずれにしても自給率一定確保し、国民の皆さんが安心して食料に対する不安感を除いていけるように我が国自身の努力について考えていかなければならないということについては、まことにそのとおりだというふうに考えております。
  22. 久保亘

    久保亘君 この基本法の中には、基本計画で定めるべきことということで食料自給率というのはちゃんと項目を起こしてございます。それで、いつ基本計画をおつくりになるのかは知りませんが、来年度から予算上も新法でスタートを切るということならば、当然この基本計画は早い時期につくられなければならない。この基本計画の中で非常に重要な基本となるものが自給率をどこへ定めるかということであります。期間と率を定めることなしに基本計画はつくられない。  さらに、この新法の中では、この法律に従って新たな農業施策を進めていくに当たって法制上、財政上、金融上必要な措置を講ずることと書いてあります。そうすると、この法律を今国会で成立させた場合に、来年度からこの新法に沿ってやっていくということになれば、法律に書いてあるんですから、そのことをやらないかぬのです。  自給率をアップさせるためには相当なコストがかかります。担い手の問題にしても土地を初めとする基盤整備にしても相当なコストがかかるのでありますが、これは国が責任を持つとこの法律の中に書いてあるんです。  だから、そういう必要な措置をとっていくためにはいつまでもほっておくことはできぬのでありますが、一体基本計画はいつできるんでしょうか。
  23. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今年度中にこれを策定する考えでございます。
  24. 久保亘

    久保亘君 今年度中ということは来年の三月三十一日までということですか。そうすると、平成十二年度にはその基本計画はどうなるんですか。
  25. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、総理から御答弁ございましたように、基本計画、そしてその中に含まれる自給率を初めとするいろいろな必要事項は今年度中に決めるわけでございます。決めるに当たっては、今、先生からも御指摘ありましたように、品目ごとに、また消費者実需者が受け入れ可能な、そしてできるだけ高い数字を設定したいと考えております。  基本計画の全体像ができましたならば、国会に報告するとともに公表させていただくという法律の規定に沿ってお示しをし、また五年をめどに見直し作業ということも今後必要になってくるわけでございます。
  26. 久保亘

    久保亘君 新法によって、財政的にもこの法律を具体化していく場合には責任を持つことになっているんですから、これらの問題は国会に報告するのではなくて、当然、国会審議の対象となるべきものと私は考えております。  それらのことも含めてお聞きしたいことがたくさんありますが、時間がありませんので最後に一つ。  今度のWTO次期交渉において今までの輸出国、輸入国の間の権利義務等におけるアンバランスな面を是正するということを日本政府の方針とされているようでありますが、このバランスを回復しなければならない最も大きな問題は何でしょうか。
  27. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ウルグアイ・ラウンドの農業合意に対しての規律は、輸入関税については削減約束等が課せられている一方、輸出税について何らの約束がされていないこと、そして第二に輸入国に輸入機会の設定義務等が課せられている一方、輸出国には一定の条件のもとでの輸出規制・禁止が認められていること、第三に輸出補助金について削減義務が課せられるにとどまっており、削減に当たりまして柔軟性が認められていること等であります。輸出国と輸入国との権利義務のバランスの確保が不十分であると認識をいたしております。  こうした点につきまして、次期交渉に向けての日本の提案におきましてもそのような主張を行ってきたところでございますけれども、こうした問題の解決のために最善を尽くしていくということだろうと思います。
  28. 久保亘

    久保亘君 終わります。
  29. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  衆議院に引き続いて総理にこの当委員会においでいただきまして、大変にありがとうございます。  まず初めに、先ごろの集中豪雨による被害を受けられた皆様方には心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、一日も早い復旧を祈らずにはいられませんが、現時点で、今回の集中豪雨によって、浸水を含めた耕地面積はどのぐらいあるのかということと、作物や耕作物の被害総額、そして米の作況への影響をどう認識しているのか伺いたいと思います。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 天気が回復してまいりましたので、七月五日六時現在の数字で申し上げますが、まず亡くなられた方、被災を受けた方に私からもお見舞いを申し上げます。  まず、冠水面積が千二百三十ヘクタール、ただしこれは天気の回復とともに徐々に減りつつございます。農作物等の被害が約五億円、ハウス等が三千万円、農地農業用施設が二百九十八億九千万円、あと林地関係が三百四十三億円、水産物関係が一・五億円ということでございます。  なお、水稲の作況への影響につきましては、まだ生育初期であることから現時点ではほとんど影響がないものというふうに考えております。
  31. 風間昶

    ○風間昶君 今ざっとお伺いしただけでも、いずれにしても七百億を超えて八百億近くあるわけであります。  そこで、総理は今度の第一次補正予算をお考えになっていらっしゃるわけですけれども、この補正予算への計上も含めた今回の集中豪雨に対する復旧についての基本方針というものをお持ちだと思いますが、いかがでございましょうか。
  32. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私からも改めて今般の集中豪雨によりまして被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げますと同時に、家屋その他の喪失とともに人命が失われたわけでありまして、そうした方々に哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。  今お尋ねの点につきましては、農水大臣が御答弁申し上げましたように、現在の時点における被害状況がすべて把握をされておりません。したがいまして、今御指摘のように、現在編成が進められております補正予算におきましては、正直なところ申し上げて、まだそのことを予算の中に盛り込むというような形には相なっておらないところでございます。  いずれにいたしましても、早くその被害状況を見た上で、どのような方策をとり得るかということにつきましては政府を挙げて検討させていただきたいと思っております。
  33. 風間昶

    ○風間昶君 次いで、今、久保委員からも質問がありましたが、この現行農業基本法は、ある意味では前文をつけて理念や宣言をより明確にしていますが、個別の政策法案に対しては余り拘束力を持っていないということがあります。今度の新基本法におきましてもより抽象的で、ある意味では理念や方針というのがあるにしても政策体系が余り明瞭になっていないという部分があると思います。  そういう意味で、今回の新農業基本法宣言法あるいは理念法的な性格がより強いわけでありますが、関連する個別の政策あるいは法案に対してどういうように規範力を持つのかということが大きな実効ある政策運営をしていく上で大事なことではないかと私は思いますが、この点について総理のお考えを伺いたいと思います。
  34. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 新基本法に示されている理念基本施策の方向は、政策理念等を宣言いたしますとともに、個別の法律制定施策の展開に当たりましての指針としての役割を担うものであろうと思います。このため、新基本法に示された理念基本施策を具体化する計画として食料農業農村基本計画を定め、これに基づく具体的施策や法制度を総合的かつ計画的に推進することといたしております。  また、情勢の変化や施策効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに見直すことといたしておりまして、このことにより、社会情勢の変化がありましても、基本法と個別の法律施策のつながりを確保していくことといたしておるわけでございます。  この基本法成立後におきまして、この理念、指針をもとといたしまして、それにふさわしい法律というものも改めて制定されてくるでありましょうし、またそのことにつきまして、今後とも恐らくいろんな御提案等がなされてくると思っておりまして、政府としてはそうしたものを受けて具体的な考え方を取りまとめ、時において法律化していく必要がある、こう考えておるところでございます。
  35. 風間昶

    ○風間昶君 せっかく総理にお越しいただいておりますので、農業にとどまらず、広い意味でのバイオアグリ産業が二十一世紀にどうあるべきかという観点で質問をさせていただきたいと思います。  先日の新聞にも出ておりましたように、政府と自民党の間で「バイオ産業育成へ二兆円」、バイオテクノロジーなどの先端科学分野での開発体制を大幅に強化するとの合意に達したようでございます。その中で、基本戦略の骨子の一つに、「イネ遺伝子を二〇〇八年までに全解読」というふうに書かれております戦略が盛り込まれております。  特に、イネのゲノムを解析することについては稲の増産に有効であるばかりでなくて、ほかの農作物の応用などについても大変重要な状況で、限りない資産が眠っているとも言われておるわけですから、資源のない我が国がこれから科学技術立国として立っていく上でも大変重要な問題だと私は思うわけであります。  今後、百年という長いスパンで見たときに、世界的な食料不足を解決していく上でも大変大事な問題で、そういう意味で、日本がパイオニア的な役割を果たしていく使命をもまた持っているというふうに思いますし、また国内においても、バイオ研究施設などを農村に持ってくれば、ある意味では雇用の受け皿にもなるというふうに私は認識しているわけでありますが、特許が絡んでいるだけに、幾ら頑張ってみたところで外国に一日でもおくれをとれば、結局それまでに積み上げた、投資した額がむだになってしまうということがあるわけであります。  そういう意味で、私は、二〇〇八年までにイネ遺伝子を全解読するということをもう少し前倒しすべきではないかというふうに思うわけでありますが、この点についての総理のお考えを伺いたいと思います。
  36. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) イネ遺伝子の解析研究につきましては、我が国世界に先駆けて一九九一年度から研究に着手したところでありますが、その後、研究の進捗を踏まえ、一九九八年度に計画を抜本的に強化し、世界でも第一級の体制で取り組んでいるところでございます。  現在、二〇〇八年を目標にすべての遺伝子の構造解析を行うことといたしておりますが、それに至るまでの間におきましても、民間企業との連携、獲得できた重要な遺伝子の活用等により新産業の創出に十分配慮して研究を推進してまいりたいと思います。  全く違うことかもしれませんが、昨日、政府といたしましても産業競争力会議という会議を開いておりまして、その中の一つの主題は実はバイオテクノロジーについてでございました。  我が国といたしましても、このバイオテクノロジーについて相当のある意味での投資も行われなきゃならぬ、世界に負けてはならないということだろうと思います。それぞれ単一の研究課題につきましては今、稲の問題なども相当進んでおるとは思っておりますが、いずれにいたしましても全体的にもっともっと加速させていかなきゃならぬ、これが日本の二十一世紀を決定する一つの大きなポイントではないかというお話が多くなされておるところでございます。  お答えになるかどうかわかりませんが、稲につきましては、どのようにいたしましたら二〇〇八年の計画を早めることができるのか、よく政府部内で検討させまして、単に予算面のことだけでこれが実行できるかどうかについては実は私も十分理解し得ませんけれども、いずれにしても、委員御指摘のように、少しでも早くこうした問題について解析をして結論を得る努力をしていかなければ世界におくれをとる、私は一般的にはそんな認識をして対処したい、こう思っておる次第でございます。
  37. 風間昶

    ○風間昶君 関連して、今、総理がおっしゃってくださった、バイオ産業育成に五年間で二兆円を投資するとなれば年間四千億でありますけれども、今厳しい財政事情の折からではあるものの、そういう意味では困難性を伴うわけですが、それでも米国の半分程度ですから、より一層の、予算面だけじゃなくて技術面での開発が望まれていると思いますので、ぜひ総理にこの部分でのいわばリーダーシップをとっていただきたいというふうに思います。  次に、特にバイオ産業の中で脚光を浴びているというのはやっぱり遺伝子組みかえ食品でありますが、最近、バイオコーンの中に、葉っぱを食べたチョウの幼虫が死亡したという報告が相次いであったことから、ヨーロッパでは栽培禁止にしたという措置をとった国もあるわけであります。  そういう意味で、遺伝子組みかえ食品のいわば消費者レベルでの不安感というか、そういう部分と、あるいは科学者レベルで持っている安全性の証明の妥当性というか、いろいろ交錯しているわけで、遺伝子組みかえ食品の安全性については表示を含めて徹底して審査をしてほしいという要望があるんです。  そのことについて、安全性を確かめるシステムを構築する上でまだまだ研究途上の部分はあるにしても、この分野で世界のトップランナーを目指し、またなれるように総理の指導力を期待するところでありますけれども、総理の御決意を伺って、質問を終わります。
  38. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 我が国におきます遺伝子組みかえの農作物や食品の安全性の評価につきましては、これまで国際的な議論を踏まえながら厚生省や農林水産省の定めた指針に基づき、安全性を確認するシステムを既に設けておるところでございます。  なお、経済協力開発機構や国連食糧農業機関と世界保健機関との合同委員会、いわゆるコーデックスにおきまして、遺伝子組みかえの農作物や食品の安全性の議論が新たに進められていることとなったところであり、このような国際的な動向も踏まえながら我が国のシステムの適切な運用を図ってまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても最近こうした問題が大変世界的にも取り上げられまして、先般のG8におきましても各国いろんなお考えがあるようであります。  しかし、国民がそうした食料を得る場合に、この遺伝子組みかえというような問題に関しましていささかも不安を持たれるということは国民の健康保持の点からも憂慮すべきことでございますので、この点につきましても十分配慮し、検討してまいらなきゃならぬ課題だと認識しております。
  39. 須藤美也子

    須藤美也子君 共産党の須藤美也子でございます。  まず、世界の栄養不足人口が現在八億四千万人と言われております。その上、二十一世紀には人口増加、それに食料生産が及ばない、つまり食料不足時代を迎える、こう警告がされております。そういう中で、最大の食料輸入国である日本がこのまま輸入依存を続けていくことは国際的に食料安全保障に有害な影響を与えているのではないか、このように思います。  日本食料自給率向上を掲げていくということが国際的な責務であると思いますが、まず総理認識をお聞きしたいと思います。
  40. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 須藤委員御指摘のように、世界の人口は極めて増加率が高まっておるわけでございまして、一方、食料における生産につきましては、地域によって大変異なりますけれども、事情は必ずしも楽観を許さない状況であります。そうした中で、我が国民の生活の基盤になります食料をいかに確保していくかということは最大の関心事でなければならぬかと思っております。  そうした意味で、政府といたしましては、今般こうした法律案を提案させていただきまして、その理念に基づき、その指針に基づいて方向性を定め、まずもって我が国国民が安心のできるような体制つくり上げていく、このことに専念をいたしていかなきゃならぬ、こう考えておる次第でございます。
  41. 須藤美也子

    須藤美也子君 二十一世紀食料難の時代に、幾ら日本がお金があっても食料世界から買いあさることなどできない時代を迎えると思います。  そういう中で、現在、国際的な食料問題に直結する世界の農産物貿易はWTO協定のもとに行われているわけです。本会議でたびたび総理質問を行いましたが、総理はその中でWTO協定の改定ありきではないと、一貫してこういう答弁をしておられました。そういうような姿勢はもはや通じない事態を迎えているのではないかと思います。  例えば、国際稲研究所の資料を見ますと、アジアの米消費国の人口はふえ続け、二〇二五年には九〇年度に比べて七〇%増大する、こういう資料で明示されております。  しかし、そのような事態でありながら、日本では十分生産できるのに需要の少ない米を無理やりミニマムアクセス米として輸入しています。これについて総理は不合理だとは思いませんか。そのような協定を変えなければならない、こういう意思はありませんか。
  42. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) WTO次期農業交渉におきまして、いずれの国にとりましても公平で公正な貿易ルールの確立を図り、各国の農業が共存のできるような国際規律の確立を図ることが重要であると考えております。  このためには、今年が次期交渉の枠組みを議論する時期に当たっておることを踏まえれば、次の交渉農業多面的機能重要性食料安全保障への配慮、輸出入国間の権利義務のバランスの回復の三点を確保することを目的とすべきであるとの提案を行っており、次期交渉における我が国基本スタンスを明確に表明することが現在の交渉基準過程では最も重要であり、このような認識のもとで今回の次期交渉に向けての日本の提案を取りまとめたところでございます。  具体的な提案につきましては、交渉が開始された後、交渉の進展状況等を見つつ、十分な戦略を練って提案すべきものと考えており、その内容を予断して交渉に臨むことは適当でないとの判断のもとに、初めに協定の改定ありきではないとの立場で申し述べさせていただいておるところでございます。
  43. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういう総理の、初めに協定の改定ありきではないと、そういう姿勢はもう通用しないのではないかと今質問したわけです。  というのは、今回、次期WTO交渉に臨む日本の骨子が提案されました。この中には、例えば輸出国の規制を強化することや、協定の枠組みを基本的に維持しながらも、国内支持政策の範囲の見直しや、国内助成の削減についての各国の政策運営の柔軟性などを主張しています。これだけではもちろん不十分きわまりありません。それでもこれを実現しようとすれば、WTO農業協定の第五部、第六部、第四部、関連附属書の改正が必要になるのではないですか。  さらに、見直しだけで改定を否定するのはおかしいと思うんです。協定を変えなければ日本政府が今示しているこの提案すら実現できない、こういうふうに思います。  ですから、そういう点で総理がこれまで協定の改定ありきではないと、こういうことをおっしゃってきたわけですけれども、今日ここに日本政府次期交渉に向けた骨子が提案されているわけですから、これを実現するためにはWTO農業協定を改正しなければ実現しないものだと思うんです。その点どうですか、総理
  44. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我が国基本的な考え方、それから提案をお示ししたところでございます。  次期交渉に当たりましては、国民的合意、そしてまた諸外国の理解というものが大前提になるわけでございまして、そういう意味で現在、当委員会を初め国会の場、そしてまた生産者はもとより消費者国民皆様方に御理解をより得ながら、と同時に、各国いろいろな場で御理解をいただいておるわけでございますし、またその場でのいろんな議論もあるわけでございますから、先ほど総理から答弁ございましたように、この提案をもって何条とどう整合するから、いやこれは改正するんだとか改正しないんだではなくて、相手の国とのいろいろな議論あるいは相談等々もあるわけでございますから、今の時点において提案を出したと同時に、この協定の何条を改定するとかしないとかいう作業ではないわけでございまして、今後の次期交渉に向かってのこの提案を基礎とした議論の進捗状況の中で、我が国立場を御理解いただいた上でどういうふうにしていくかということでありまして、総理からもお話がありましたように、最初に改定ありきという作業順序ではないということを御理解いただきたいと思います。
  45. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は総理にお聞きをしたんです。農水大臣に質問するのであれば委員会で幾らでもできます。総理が本会議でそういうことをおっしゃったから、そして今、具体的に政府次期交渉に向けて具体的な骨子、内容についてこういう提起をしているわけですから、今そう言ったんです。  時間がありませんので、総理、私はこれまでのように輸入依存の農政を転換すべきだと思います。午前中の公述人もこれ以上輸入拡大すればマイナスになる、また全中の方からもこれは国内生産を脅かすものになる、こういうことを言われました。そういう立場をぜひ考えていただいて、輸入依存の農政の転換を私は強く求めたいと思います。  さらに、最後に総理お尋ねをいたします。  そもそもこの基本法は、総理が調査会に諮問をし、答申を受け、それに基づいてつくられ、総理大臣が直接最高責任立場にあるわけです。  答申の初めにこうあります。市場経済を中心とした自由で活力のある経済社会システムをつくるとして、その一環として農業の構造改革を行うと、こういうふうに初めに書いてあります。  総理は、最近の選挙公報で、「農は国の大本」、こういうふうに書いております。私もこれは一致します。国の大本です、農は。それが今どうでしょうか。この国の大本が崩れかかっている。農産物の価格が安く、所得は極めて低い。一日の農業所得が五千六百四十六円、製造業で働く労働者の賃金は一万八千七百八十一円、三分の一にも満たない。これで総理がおっしゃる農は国の大本と元気を出して農に励むことができるでしょうか。  私は、総理のいろいろな本会議での答弁を読みました。先ほど来のお話もお聞きしました。群馬県といえば農業県ですから、農民の苦しみ、苦労というのは身にしみて感じておられると思います。そういう中で、今この基本法が価格の保証をなくする、市場原理にゆだねる、こういうことで二十一世紀に向けて農家の皆さんが元気を出して生産意欲を持って励まれるような農業基本法内容になっているのかどうか、これが保障されているのかどうか、これを総理にお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 選挙公報を取り上げていただきましたが、私も三十数年、出身が中山間の農業地帯に基盤を置いておりますので、長らくこの問題にも取り組ませていただいてまいりました。そういう意味で、今も農は国の大本であるという考え方にいささかの揺るぎもありません。  そこで、国内生産された農産物が消費者実需者に選択されることによりましてその需要を確保することが肝要でありまして、農産物の価格が需給事情や品質評価を適切に反映して形成されるよう価格政策見直していくとともに、これに伴う価格の著しい低落が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するための経営安定対策を講じていきたいと考えております。  こうした取り組みに加えまして、経営全般にわたる支援策につきましても総合的かつ計画的に講じていく考えであり、これらにより、我が国農業の持続的な発展とこれを担う農業者の安定的な経営の維持継続を確保していく考えでございまして、この考え方に基づきまして、農は国の大本であるという考え方の上に立脚をしながら諸施策を講じてまいりたい、このように考えております。
  47. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間ですので、終わります。
  48. 谷本巍

    ○谷本巍君 新しい基本法は、農業だけじゃなくて食料農村という新たな課題も加えてスタートをしようとしております。  総理、それだけに省庁間にまたがる行政努力を必要とするものが多く出てまいります。例えば、自給率引き上げの問題一つとってもそうであります。  この法案では、国内生産増大ということと、もう一つの柱として食生活の改善向上という課題を掲げております。この食生活問題は、指標をつくってそれでやれば国民の食生活が変わるという単純なものではありません。それは学校給食に始まって、いろいろ検討しなきゃならぬ課題もあるでしょう。  そして、何といっても食と農との乖離の関係が決定的になってしまった、そこをどう回復するかといったような問題についての食農教育の問題。特に、今度は教育改革の中で総合学習活動というのが取り上げられることになった。こうした問題は押しなべて文部省管轄であります。これとのドッキング関係というのがきちっとされていかなきゃなりません。  さらには農村政策、これまたしかりであります。きょうの中央公聴会では、地域崩壊の話というのがかなり出てまいりました。そういうものをどう立て直していくか。そして、それとともに、活力ある農村社会を築いていくのには、農業だけじゃなしに今度は加工や流通問題、そしてまた関連した多様なる産業構造を持った地域社会を建設していくことが大きな課題になってくるでありましょう。  これらの課題というのは、自治省、環境庁、厚生省、建設省、通産省等々が絡んでまいります。こうして見てみますと、農林水産省のみならず他省庁挙げて実行活動に入っていく必要がある。そういう点で、総理はこれらの点をどう受けとめて、それからまたこの課題にこたえようとしておられるか、いかがでしょうか。
  49. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先生指摘のとおり、この新農業基本法につきましてはもろもろの問題を提起させていただいておると思っております。そのことは、農業政策のみならず食料政策農村政策をその対象とするものでもあり、その政策効果を上げるために、食品の安全性や食生活の改善、交通・情報通信、御指摘の教育文化、各方面にわたる施策を推進していくことが極めて重要でございまして、このために、農林水産省が中心的な役割を果たしつつ、関係する省庁と密接な連携と協力を図りながら諸施策を推進していかなければならない、こう考えておるところでございます。
  50. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、次期WTO交渉に関連して若干伺いたいと存じます。  総理、現在のウルグアイ・ラウンドでつくられましたルール、これができ上がってまいりました背景にあったものは過剰だと言われてまいりました。  当時のことを見てみますというと、腹いっぱい食っていた人口が八億、栄養水準がぎりぎり、または飢餓が五十億でありました。買う力がなかったんですよ、途上国を中心にして。だから、生産過剰だということになって、それでアメリカとEU主導型で輸出拡大というのが強要されたという経過でありました。  その後の状況を見てみましても、国連関係機関で申し上げますというと、例えば三年前、FAOが主催して世界食料サミットが開かれております。ここでいろいろなことが決められてきた。今、日本政府が主張しているのと大体同じようなことが決められてまいりました。  それからまた、最近では七月三日、国連人口・開発特別総会、これが採択をした文書を見てみますというと、人口問題解決に向けて食料安全保障というのを明確に位置づけております。  ガットは今、WTO、国連の一機関になりました。国連の機関でめいめいそれぞれ別々なことを言っているんですよ。これはもう直していかなきゃなりません。  そのためには、次期交渉に当たっては、地球環境、それから資源の有限性問題等に配慮した自然的条件、歴史的経緯の違いを尊重した各国の農業が共存できる新しいルールづくりに取り組んでいかなければなりません。その点が一つ。  それから、もう一つ総理に伺いたいのは、この立場はEUとも共通する点がある。同時に、途上国とも食料安全保障問題等々多くの点で共通するものがある。しかも、途上国の場合は、発言の機会が持てない国が多い。それだけに、こうした国々と連携をしながらWTO交渉に臨んでいく必要があると思うが、いかがでしょうか。
  51. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘の点につきましては、十分心得て対処しなければならないかと存じます。  ただ、再三申し上げておりますように、今回の次期農業交渉におきまして各国が取り組んでおる農業改革の円滑な実施を促進する見地から、またこれまでの各国の実施の経験等も踏まえまして、特に農業多面的機能重要性、その一つとして位置づけられた食料安全保障への配慮、輸出入国間の権利義務のバランスの回復の三点を確保することを交渉の目的としておるところでございます。そうした基本的三点をベースにいたしまして、今、委員が御指摘の点、あるいはEU、またあるいは途上国等の考え方もそれぞれお聞きをしながら、同時に我が国立場を主張し、これを達成できる努力をWTOにおきまして実現してまいりたい、このように考えております。
  52. 谷本巍

    ○谷本巍君 それからもう一つは、新しいルールが確立されるまでは、ミニマムアクセス米の国家貿易体制の維持、それから特別セーフガードの適切なる発効、そして米、林産物、水産物関税率引き下げには応じないことを国際社会の場で明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 関税水準を初め、ウルグアイ・ラウンドの合意の取り扱いにつきましては次期交渉におきまして議論されることとなりますが、新たな合意がなされるまでの間は現行の合意内容が維持されるべきものと考えております。  我が国といたしましては、このような考え方のもと、今後のWTOの場等におきまして適切に対応してまいりたいと思います。
  54. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に、ガイドライン関連での食料確保について伺いたいと存じます。  ガイドライン関連法の論議をめぐって衆参両院を通じ軍事面での論議はありましたが、戦争に巻き込まれた際の国民への食料の供給確保政府の説明も論議もありませんでした。  後方支援といいましても、巻き込まれますというと、これは例えば輸送でいいますというと、武器弾薬、兵員、この輸送が最優先されていくようになってまいります。輸入に支障が生じてくるだろう、国内の輸送にも支障が生じてくるだろう。そして、そういうもとで、少量の備蓄米を食いつぶしたときの具体策、後のことは何もないんです。これは太平洋戦争の際、前線とそれから銃後とあった。今で言う後方です。後方がどういう食料危機的状況にあったかは総理も御記憶でありましょう。  そういう状況を見てみると、ガイドライン関連法を論議した際には、このことは政府もきちっと明確にすべきだったろうと私は思うんです。  ともかくも、ガイドライン関連法をつくったのは政府でありますから、その責任からすれば、そうした場合の食料確保についてきちっとしたものを示していく必要がある、その点いかがでしょうか。
  55. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 直接的にガイドライン関連法と関連するわけではありませんが、不測時における食料安全保障ということは極めて重要なことであるという観点から、本法案におきましても第十九条を設けて、そうした不測事態において対処すべきことを法律化しよう、こういうことでございます。  食料農業農村基本法案におきまして、こうした不測事態、すなわち凶作、輸入の途絶等により国内における食料の需給が逼迫するような事態におきましても国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されるよう、必要な施策を講じていくことといたしておるところでございます。  そのような事態におきましても国民に対する食料の供給が確保されるよう、石油を初めとする農業生産資材の確保、熱量効率の高い穀類等への生産転換、国民生活二法、食糧法等による食料の価格及び流通の安定対策や国内における円滑な輸送手段の確保など多方面にわたる対応策について、農林水産省を中心に関係省庁の十分な連携を図りながら検討を進め、万全の対策を講じ、いささかも国民に不安なからしむるように努力いたすべきものと考えております。
  56. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間が参りましたので、終わります。
  57. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  短い時間でございますので、早速、質問に入らせていただきます。  今回の新農業基本法、この中に、従来と違って、食料農村を入れた基本法になりましたことを高く評価いたします。  その法案の中でまた一つ現行基本法よりも一歩踏み出した内容になっておりますのが、従来は国がすべて基本方針を立てて実行していく、それに地方公共団体は準じてということになったのを、地方公共団体と国が一体となって相協力し合っていくというところが私は大変興味を持つところであり、期待をするところでありますが、反面、相協力してということであるならば、ともに責任逃れになってしまう可能性すらあるんじゃないかという心配も一面するわけであります。  先ほど、公述人意見の中にも、地方公共団体、いわゆる地域がそれぞれの思いを込めて生産をしていく、その計画をきちんと地方が打ち立ててやれることができるならば、我々はもっと元気が出てくるというお話がありました。いわば、国は内外の需給調整あるいは再生産可能な条件整備、そういうものを国の役割としてきちんとやり、地方公共団体はみずからの地域生産の拡大のために努力をしていく、それを国が支援あるいは誘導していくというようなことの取り組みをここで明確に地方と国との役割分担もきちんと決めておくことが責任逃れにならないというふうに私は思うんですが、いかがなものでありましょうか。
  58. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 新基本法案におきましては、地方公共団体は国との適切な役割分担を踏まえ、地方の自然的・経済的・社会的諸条件に応じた施策策定、実施することといたしております。国と地方公共団体は食料農業農村政策を講ずることにつき相協力することを規定するなど、国と地方公共団体の適切な役割分担や地域の特性に応じた施策の展開など、地域の実情を重視した考え方が盛り込まれておるところでございます。  今後、このような基本的な考え方に基づき、国と地方公共団体とが適切に役割を分担しつつ、地域の特性に応じまして具体的な施策が推進されるように努めてまいりたいと思いますが、今、阿曽田委員御指摘のように、本法律案一つの大きな柱でもございます。相協力してその実効が上がるように、今御指摘のような諸点につきましても十分配慮して、いささかもこの条項が盛られた趣旨が達成できないことのないように考慮していくべきだと考えております。
  59. 阿曽田清

    阿曽田清君 総理から心強いお約束をいただいて、ありがたく存じます。  次に参りますが、「多面的機能発揮」ということで掲げてあるわけでありますが、その発揮に努めなければならないということで、どのような発揮の仕方をされるのか、その見解を求めたいと思います。
  60. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お尋ね趣旨は、どのような施策を講ずるかということと理解をいたしますが、農業の有する国土保全、水源の涵養、自然環境保全、良好な景観の形成、文化の伝承等の多面的な機能発揮していく上で農業の持続的発展農村振興が不可欠でございます。  そこで、農業の持続的な発展を図るために農地担い手確保するとともに、地域の特性に応じてこれらが効率的に組み合わされた望ましい農業構造の確立に向けた施策農業に内在する自然循環機能の維持増進を図るための施策を推進する考えでございます。  また、農村振興を図るため、生産、生活基盤が一体となった総合的な農村整備の推進により、景観にすぐれ、豊かで住みよい農村づくり、中山間地域等の条件不利地域における多面的機能確保を特に図るための施策等を推進してまいりたいと考えております。
  61. 阿曽田清

    阿曽田清君 多面的機能の中に今、総理がおっしゃいました水田、いわゆる地下水の涵養ですとか自然環境の維持とか、さらには国土保全、そういうような機能を金に換算すると三十九兆円あると承っておりますが、それ以外の、例えば農村や農用地のアメニティーの創造、さらには伝統文化、農村社会の維持等を金に換算しますと百兆円以上だというような評価が出されております。  ということは、私はそういうソフトの方の取り組みというのがこれから本当に大事だろうと思います。特に、農村の伝統文化というものが今非常に失われてきております。担い手がいなくなってきている、農村が崩壊しているということで、その文化が継承されなくなってきて失われてきている。町や村、集落に残されている数々の文化そのものは私は日本民族のまさに苗代であり、日本人の心だと思います。  そういう意味で、農村の伝統文化あるいは景観、そういうものに対して百兆円の価値があるソフトの部分をもっと私は重く受けとめていただき、お取り組みを願いたいと要望いたします。  最後に、みずからの食と物を持たない隣人ほど危険なものはないという言葉がありますが、食料自給率の問題が非常に論議されております。食料安保という観点からして、これを実現することは容易ではない、一%上げるのにも容易ではない。この食料自給率をどうやって上げていくかというその国としての進める体制づくりとその戦略はどのように考えておられるかお尋ねいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 全く御指摘のとおりと理解しておりますが、世界食料需給について中長期的に逼迫する可能性もあると見込まれる中で、国民の必要とする食料安定供給確保することは国の基本責務考えております。今後、国内農業生産増大を図ることを基本とした食料安定供給を実現するためには、特に自給率の低い麦、大豆等の生産拡大が不可欠であり、品質の向上や均一化、ロットの確保等により実需者のニーズに応じた生産を推進していくことが必要であると考えます。  このため、消費者の需要に即した農業生産を図るための価格政策見直しや、これに伴う影響を緩和するための経営安定対策の実施、品質の向上、安定のための技術開発・普及、経営意欲のある農業者の育成確保を図るための経営施策の体系的整備等の施策の総合的・計画的推進に全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。
  63. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  64. 石井一二

    ○石井一二君 自由連合の石井でございます。  予定が三分ほどおくれておりまして、総理の御予定は極めてタイトであろうと思いますので、私は三分カットして質問をいたしたいと思います。  同僚各位がWTO関係について質問いたしましたが、私は二つの懸念を持っております。一つは、遺伝子組みかえ食品の表示の問題についてどのような方策でこれから取り組んでいくのか。これは農水大臣答弁を求めます。  もう一つは、米についていろいろございます。例えば、七月の初めにはニュージーランドにおけるAPEC貿易相会議において、バシェフスキーさんが来なかったということで中川さんが大いに怒ったということと、これはAPECの問題はWTOと関係ないということでけられたということも私は正しいと思いますが、いよいよ九日から一般理事会の特別会合があったり、またカナダにおいて五カ国農相会合ということで、どんどん日本が答えを求められる。それは広く門戸をあけろというような問題、関税化の問題であろうと思います。  総理、あなたの御所見を承りたいポイントは、日本基本的にアメリカの言うことを聞き過ぎるんじゃないかという私は心配をしております。  例えば、KEDOに金を出せと言われればすぐに出す。TMDに金を出せと言われればすぐに出す。空中給油機を買えと言われればすぐに前向きに返事をする。古くは、オリンピックに参加するのをやめろと言われればすぐにやめる。あるいは湾岸戦争に金を出せと言われればすぐに出す。コソボの戦後処理についても今そういった方向で進んでおります。  もっとひどいのは、プラザ合意以降、低金利政策をやり過ぎたために非常に大きな損失を、金が向こうに流れてアメリカは大きな株高を呼んでおりますが、日本はその反対になってきたとか、あるいは米国債を強引に買わされた結果、二百円、二百五十円、百八十円で買った国債が九十円ぐらいに下がったときに非常に大きなお金を日本として損をしたということは、即日本の長い長い不景気につながっておると。  こういう余り人が指摘しない面で私は憂慮しているわけですが、米国に対してノーと言えるような総理になって、このWTO問題も解決していただきたいと思っております。  総理農水大臣から一言ずつ私の今申したことに対してコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  65. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 最も知米派と私、評価いたしております石井議員でございます。その議員から、アメリカ追随の政策のみをとってきたという御指摘でございますけれども、その時点、時点における政府基本的な考え方に基づいて、究極は我が国の安全そして安定のために必要な対応をとってきたものというふうに理解いたしております。  しかし、個々の点についての御指摘につきましては、私自身はいろいろな反省も込めまして検討いたしていくことは至極当然だろうと考えております。しかし、米国と日本との関係におきましては、単にその時点における利害損得だけではかり知れない大きな同盟国としての立場があるわけでございまして、ともどもにそれぞれの自国の繁栄と同時に国際社会における責任を果たしていく、こういう立場で適時適切に対応してきたと確信をいたしておりますが、委員の御指摘も十分承らせていただいたところでございます。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いわゆる遺伝子組みかえ食品の表示の問題でございますが、まず検討会でいろいろ検討をやっております。大前提としては、安全性ということが大前提になるわけでございますが、表示につきまして、遺伝子組換え食品部会というもので約二年間、各界の方々に御議論をいただき、昨年からいわゆるパブリックコメントということで国民一般の皆様方の御議論を承り、それを参考にしながら、今度は技術的検討のための小委員会というものをやっていただきまして、近々、方向性が小委員会の方で出てまいるように伺っております。それを受けまして、懇談会としての表示のあり方につきましては八月中をめどに何らかの結論をいただき、最終的に農林省としての方向性国民にお示ししたいというふうに考えております。
  67. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  68. 野間赳

    委員長野間赳君) これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会