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1999-05-13 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十三日(木曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任         木庭健太郎君     益田 洋介君  五月十三日     辞任         補欠選任         益田 洋介君     木庭健太郎君      村沢  牧君     三重野栄子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 三重野栄子君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        水産庁長官    中須 勇雄君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    説明員        運輸大臣官房技        術参事官     川島  毅君        建設省河川局次        長        吉井 一弥君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○漁船損害等補償法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○持続的養殖生産確保法案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁船損害等補償法の一部を改正する法律案及び持続的養殖生産確保法案、以上両案を一括して議題といたします。  両案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 三浦一水

    三浦一水君 自民党の三浦でございます。  私は、持続的養殖生産確保法案について若干お尋ねをしたいと思います。  まず、大臣のお考えをお伺いしたいと思うんですが、我が国漁業はいわゆる沿岸から遠洋へと広がって国民食料需要にこたえてまいりました。さらに、昨年は国連海洋法条約締結に基づきまして、新しいいわゆる漁業の秩序のもとで新しい対応も迫られている、なかんずくTAC制度が施行されまして、資源の適切な管理有効利用に配慮した漁業展開が求められているところであります。  そういう状況の中で、つくり育てる漁業というものの重要性がさらに強まってきたという認識でおります。現に、平成九年の養殖漁業沿岸漁業全体に占める割合は生産量で四二%と聞いておりますし、生産額では四七%まで来ているといったようなことを聞いておりまして、まさしく漁船によります漁業と肩を並べる状況になってきていると聞いております。  一方で、養殖漁業進展につれまして漁場汚染も進んできているようであります。必ずしも因果関係があるとは言えない点があるかと思いますが、赤潮あるいは魚病が頻発をするといった状況が見られておりますし、養殖生産にとりましては本当に深刻な事態が発生している例も幾つか見られているようでございます。このような意味で、持続的な生産養殖を確保するという趣旨の今回の法律案は、もっと早く提案されてもよかったのではないか。後でまた例を挙げたいと思いますが、私の郷里熊本でも九三年、平成五年当初、あるいは六年当初、エビ養殖で数十億円に上る大きな被害も出ておるわけでございます。  そういう状況の中で今回この法案を提案されるわけでございますが、大臣提出に当たっての基本的なお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三浦先生指摘のように、今、我が国養殖国民水産供給にとって不可欠な大きな役割を果たしております。そして、御指摘のようないろいろな問題、過密養殖を原因とする漁場悪化魚病発生あるいはまた景気低迷による魚価の低下、あるいはえさ、特にイワシ資源の減少によるえさ価格の高騰など大きな問題を抱えております。養殖漁場悪化魚病の拡大は、将来にわたって安定的な生産を確保する上で極めて大きな問題ということで本法案提出させていただいたところでございます。  漁協等による養殖漁場改善のための取り組みの促進、また我が国に未定着の魚病についての早期段階での発見によって蔓延を防止すること、あるいはまた魚病の予防を図るための魚類防疫員等による立入検査等措置を講ずることにより、水産資源有限資源であるという認識のもとで、このような対策をとりながら持続的な養殖体制を実現し、国民への水産物安定供給を確保してまいりたいと考えております。  なお、遅過ぎたのではないかという御指摘については、前々からこういう問題が近年特に指摘されておるところでございますが、特に二百海里体制の一層の進展に伴いまして現時点で法律提出させていただいたところでございまして、御審議のほどをよろしくお願いいたします。
  5. 三浦一水

    三浦一水君 国連条約締結ということでこのような取り組みを意思決定されたというのではやっぱり遅いという気がします。そういうことをぜひ今後の施策展開の中で取り返していただくようによろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、漁場環境の実態について、養殖魚健康維持をどう図っていくかということは非常に大きな問題だと考えております。この問題についてお尋ねをしたいと思います。  限られた水域の中で養殖用の生けすがひしめいているという状況がございます。このような状況の中で漁場汚染心配するのは私だけじゃない、そう思っております。伊勢志摩真珠養殖が盛んでございまして、しかしそれらの環境悪化の中で、それが九州に来たりあるいは四国に行ったり、行った先で今度は養殖の幼魚の関係でトラブルも起きている、そんなような状況もあるやに聞いております。余談になりますが、天草あたり真珠が移ってきたということの中で、天草の海のようにきれいな真珠がとれるので、その点はそれとして地元としては喜んでもいるわけでありますけれども、このような養殖漁場悪化現状でどのぐらい進行しているのか、これを的確に把握することが非常に大事ではなかろうかと考えております。  本法案によりまして、漁業協同組合などが漁場改善計画の認定を申請するに当たっても養殖漁場現状把握をすることがまず必要であり、そのための支援、指導を適切に実施していただきたいと考えております。その点についてお尋ねをしたいと思います。
  6. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま先生指摘のとおり、こういった制度を動かすことの大前提は現状把握ということでございまして、やはり漁業協同組合等組合員の力をかりながら自発的に把握をしてそれに基づいて改善計画をつくっていく、こういうプロセスを進めていかなければならない、こういうことだろうと思っております。  特に、法律の言葉で言えば、漁場改善計画を策定するためには、その前段として漁協等漁場環境状況なり魚病発生モニタリング等をやらなければなりませんし、また計画ができた後もそういったモニタリング調査を継続的に行わなければならない、こういうことだろうと思います。  そういう意味におきまして、私ども、各種の補助事業等を活用いたしまして、例えばそういうことを必要としております漁協に対してモニタリング機器の導入に対して助成をする。それから、もう少し幅広く関係漁協が集まって推進体制をつくっていく、話し合い等を行っていく、そういうものに対しても予算措置を講ずるということを通じまして、そういった漁協取り組みということを支援してまいりたいというふうに思っております。
  7. 三浦一水

    三浦一水君 次に、養殖漁場環境改善のための技術についてお尋ねをしたいと思います。  養殖漁場環境改善をするためには、餌料あるいは養殖密度改善、このようなことが大事かと思っております。このようなことは実施しようと思えば直ちにできるわけであります。しかし、長年にわたって魚類養殖を続けてきたために汚泥堆積をするというような状況等を見ますと、抜本的な浄化対策が求められる地域もまた多いと思います。  そこで、魚ふん残餌などの処理、そしてまた海底しゅんせつ、ひいては赤潮発生防止、このようなことに対応しましてどのぐらい技術開発できているのか、あるいはまた今後の技術開発への取り組みが非常に大事かと考えております。この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 技術開発現状についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、まず基礎的な研究といたしまして、養殖漁場におきまして、例えば底質堆積したさまざまな残渣等がどのような形で養殖をしている魚に影響を及ぼすか、こういうこと自体の具体的なメカニズム、あるいは各海域ごと汚染された底質というものがどの程度の期間で自然浄化が可能なのか、こういった海の構造そのものの解明ということが、これは長い話として引き続きやはり取り組んでいかなければならない第一の課題だというふうに考えております。  この点に関しましては、特にこれから以降、この法律が実現した場合にはこの法律に基づく漁場改善のための努力が行われるわけで、その努力の過程を通じましてモニタリング等の資料が集まることにより大変大きな発展が期待できるのではないか、こんなふうに思っておるという点が一つございます。  それからもう一つは、お話がございました赤潮等が特に大きな問題としてあるわけでございますが、その赤潮抑制技術、特に微生物を使って赤潮自体を極端に言えば食べてしまう微生物開発するとか、そういうことを含めた微生物類を利用した赤潮抑制技術開発というものが、大きな分野として私ども課題としてあろうかというふうに思っております。  それから三点目は、既に海底堆積した一定の有機物等改善する、そういう漁場改善する上で海藻類等を活用して、栄養塩海藻類に吸収させるということを通じて、やはりこれも自然の機能を通じて漁場改善ということが図れないだろうか。  幾つかの例示ということでございますが、こういった点について重点的にこれからさらに技術開発に努めていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、水産庁の研究所を含めましてこういった課題について取り組んでいきたいというふうに思っております。
  9. 三浦一水

    三浦一水君 冒頭、郷里被害のことをちょっと話しましたが、実は平成五年、今から六年程度前に熊本県の天草地域で大量のクルマエビが死にました。三千三百万尾という大きな数字であったわけであります。  大量死が始まりましたのは、夏出荷用夏エビに二百五十万匹の中国産のエビを初めて導入したんですが、四、五月ごろからエビの体が赤く変色していくといったような状況で、大変な困難を見ました。その後、一たんエビ養殖地域を乾燥させまして、日干しにして、そのウイルスを排除するなどの対応をとりました。それで四、五カ月営業をできなかったわけであります。これは大きな被害でございました。  その後、再開をしました。再開をしたところがまた翌年、そのときのウイルスの名前がバキュロウイルス、そのウイルス中国産のエビが感染していたということであったわけでありますけれども、そういう状況がございました。ところが、その翌年、また同じウイルスでもって今度は三十億円というふうな、さらに上回る被害平成六年に出してしまった。  まさしくこの辺の技術開発ということが非常に大事な、また養殖業者の生死を分けることにもなってくるわけでございます。今、お話をいただきましたが、ぜひこの点は十分留意をされながら今後努めていただきたいと思います。  それから、それに関連して、養殖漁場改善計画の実施に対します政府としての支援措置について、あるいはその姿勢について次にお尋ねをしたいと思います。  今回の法案は、改善計画制度の中において農林水産大臣基本方針をつくる、それから漁業協同組合員などが養殖漁場改善に関する計画をつくる、そして都道府県知事がそれを認可する、さらにその支援のために沿岸漁業改善資金の無利子資金を融資する制度を設ける、こういった内容になっておるわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、養殖漁場改善を図ってまいりますためには、給餌量あるいは養殖密度改善餌料改善といった容易に取り組める対策だけではなくして、海底堆積をした汚泥しゅんせつなり、このようなことには相当の経費と労力がかかるのではなかろうかと心配をしております。漁業協同組合あるいは各経営体が融資を受けて実施するには、それらのしゅんせつ等の作業は事業規模が大き過ぎはしないかという印象を持ち、また心配をしておるわけでございます。  そこで、事業の種類によっては私は補助事業として取り組むべき姿勢が必要ではないかと考えております。政府としては補助事業として実施するお考えがないかどうか、この際、お尋ねをしたいと思います。
  10. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) あくまでもまず一般論として申し上げますれば、公害等によりまして漁場効用低下をしている、そういう沿岸漁場において漁場効用を回復するために海底堆積物除去、具体的に今お話があったようなしゅんせつをする、あるいはその上を砂で覆う、こういうようなことを行う事業としては沿岸漁場整備開発事業、いわゆる沿整の事業がございます。したがいまして、これを適用するかどうかということが基本的な課題になるのではないかというふうに思っております。  言うまでもなく、この沿整事業公共事業でございまして、養殖漁場にこれを適用するということを考える場合には、一つ公共事業としての費用効果の面で十分な投資効果が得られるかどうか、これを十分検討する必要があるということが第一点であります。  それから第二点目は、何と申しましても海底堆積した堆積物除去しゅんせつするという場合には、それをどこに処理するかということがもう一つ大変大きな問題として出てくるわけでございます。そこについて安全な処理し得る場所ということを確保することがこういう事業を進める上での不可欠な点でございます。  こういった技術的なこと、あるいは費用効果という基本的な問題はございますが、そういうことを含めまして、私ども、個別のいろいろな状況に応じまして、この事業を適用することも視野に入れまして検討をしていきたいというふうに思っております。  なお、こういう海底堆積物除去につきましては、もちろんこういった事業のほかに、先ほどちょっと触れましたとおり、自然の浄化能力というかそういうものを活用した処理方法がないか、そういうことでの開発もあわせて進めていきたいというふうに考えております。
  11. 三浦一水

    三浦一水君 魚介類の健康を維持し、どう管理していくかということは、これは経済的な側面も非常に強いわけであります。この基礎体力が弱まっているならば、非常に重病な患者さんが院内感染に抵抗するいわゆる免疫を持たないことと同じことであります。そういう悪い条件を取り除いていくためには、こういう取り組みというものは欠くことができないという認識であります。  今、沿整事業を導入することも考えながらというお話がありましたが、処理場所も含めて、これは必ずやるというような決意で臨んでいただきたい。さもなければ、漁業協同組合なり各経営体だけでは処理ができないことであるということは十分御認識いただきながら今後進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、養殖漁場改善目標の設定についてお尋ねをしたいと思いますが、本法案三条の二項に書いてございます農林水産大臣が定める基本方針において定められる養殖漁場改善目標についてであります。  悪化した漁場改善するに当たって目標を設置することは、それ自体が非常に重要なことであるというふうに思っております。しかし、養殖漁場の置かれた条件によって漁場浄化能力等につきましてはおのずと格差があるのではないか、そこの地理的条件も異なるということであります。このような漁場特性を配慮したきめ細かい基準を設定していくのか、あるいは全国で一律的な基準を設定していくことになるのか、この際、政府のお考えを確認しておきたいと思います。
  12. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま御指摘ございましたように、三条の二項で、農林水産大臣基本方針を定める際、その定める内容といたしまして「養殖漁場改善目標に関する事項」ということがございます。  このような規定を置きましたのは、やはり養殖漁場改善目標ということであれば、多少の変化ということはもちろんあるにせよ、基本的には全国あらゆる水域において基本的に達成されなければならない目標、そういう概念があるのであろうということを念頭に置きまして、このような規定を置きまして基本方針において定めるということを考えているわけであります。  ただ、あくまでもこれは全国的な意味での基本的な方向、方針目標ということでありまして、やはり個々漁場ごと海域浄化能力なりそういうものには差がございます。したがいまして、この基本方針に定められた目標ということを十分念頭に置きながら、各水域での改善計画においてはその地域の実情を反映したものを定めていただくということが、基本的な物の考え方というか、私どもはそういうふうに運用してまいりたいと思っているわけであります。  ただ、その場合、抽象的に漁場改善目標といってもなかなか難しいわけでございまして、話をわかりやすくする意味では、私ども専門家の皆様にいろいろ御検討いただいた段階では、その改善目標というのを三つカテゴリーであらわそうと。  養殖漁場の、一つは水質という問題、それから二点目は底質の問題、三番目はそこの水域で飼育されている飼育生物状況がどうか、こういう三つカテゴリーについてそれぞれ基本的な目標農林水産大臣が示し、それを受けて各水域で具体的な目標を掲げる、こういうような形で取り組んでいくということを考えているわけでございます。
  13. 三浦一水

    三浦一水君 次に、この法案の第七条に書いてございます都道府県知事勧告と公表についてお尋ねをしたいと思います。  都道府県知事は、漁業協同組合等基本方針に即した養殖業を行わないため養殖漁場環境が著しく悪化していると認められる場合は、漁業協同組合に対して漁場改善計画の作成その他の養殖漁場改善のために必要な措置をとるよう勧告することができ、さらにその勧告に従わなかった場合には、その旨を公表することができるということになっております。それでも勧告に係る措置をとらなかった場合には、養殖漁場改善のために、海区漁業調整委員会の申請によることなく、漁業権に制限を付す等の措置をとることともされております。  このように見ますと、今回のこの内容につきましては、結果として、適切な漁場管理を行うというそのこと自体は、計画を持った持たないにかかわらず、養殖事業者義務となるといったような理解ができるわけでございますが、まずその点についてはいかがでしょうか、確認をしておきたいと思います。
  14. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁場悪化が大変進んでいる、著しい悪化が進み放置し得ないというふうな場合に、最後の手だてとしてどういうことが行政庁としてできるかという観点から、ただいま先生指摘のありました条項が置かれているわけであります。  私ども基本的に、持続的な養殖生産を目指すというこの法律の本来の趣旨というのはやはり漁業者が自主的にそういう取り組みを行うというところにあるわけで、自分たち漁業養殖というものが永続するためにはみずからそういう取り組みをしなければ永続しないんだと、やっぱりそこのところがこういう制度を円滑に進めていく一番基本だろうというふうに思っているわけであります。ただいま先生指摘がございましたような最後条項というものは置いておりますが、私ども、その法律考え方なり運用に当たりましては、漁業者が自発的にその意思を持って漁場改善に取り組む、それを促進していく、こういうふうな形で取り組むべき課題ではないかというふうに思っているわけであります。
  15. 三浦一水

    三浦一水君 私が言いたいのは、そういう状況の中で、勧告をして、さらにそれに従わない場合には公開もするということになれば、これはもう義務的なことだという解釈ができるんじゃないかということであります。そこまでの内容を含むのであれば、先ほど私が申しましたように、個々経営体対応できないようなことに対しては、より明確な施策が裏づけられてしかるべきではないかということであります。  この点、今お話を聞きましても、本当に義務なのか。精神はわかります、自発的に取り組むべきものという精神はよくわかります。私もそうあるべきと思いますが、そのような中身になっているということを十分御認識いただいて今後はお取り組みをいただきたいと思います。  以上申し上げまして、ちょっと積み残しがあるわけでございますが、我が党の森下委員関連質疑に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  16. 森下博之

    森下博之君 私は、まず持続的養殖生産確保法案についてお伺いをいたしたいと思います。  近年、我が国漁業をめぐる情勢というものは、周辺水域における水産資源の枯渇あるいは後継者不足等々難題を抱えておるわけであります。また、国連海洋法条約締結後、本格的な二百海里時代を迎えておるわけでもあります。我が国沿岸水域水産資源の適切な管理有効利用に取り組むことを急がれているわけであります。  こうした中にありまして、我が国沿岸漁業における比重が高まっておる養殖業をどのように位置づけるのか、また養殖業をめぐる課題、それに対して当該法案によってどういうふうに対応されようとしておるのか。三浦委員の質問に重複する点もあろうかと思いますが、水産庁に承りたいと思います。
  17. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 先ほど来のお話にございましたように、我が国養殖業は戦後、順調に発展を遂げておりまして、沿岸漁業生産の額にいたしまして四七%と申しますから約半分が養殖漁業になっているわけでありまして、沿岸漁業従事者は現在約二十四万人おりますけれども、こういった沿海地域における重要な産業になっているということが言えようかと思います。同時に、国民水産物を安定的に供給していくという意味でも中高級魚を中心にその供給の源としても重要な役割を果たしている、こういうような位置づけができるまでに育ってきたというふうに思っているわけであります。  しかし、同時に数多くの課題を抱えているということも言えるわけでありまして、いろいろ課題先ほど大臣からも申し上げました。特に、我々が現段階養殖業に関して憂慮をしておりますのが養殖漁場悪化、それと関連した魚病の拡大ということでございまして、この問題に適切に対処し得なければ、将来にわたって養殖業を安定的に成長させていくという入り口をくぐり抜けられないのではないか。  そういう意味におきまして、今回この法律案お願い申し上げまして、漁業者の自発的な取り組みを中心とした漁場改善、そして大変恐ろしい病気が万が一我が国に入ってきたときの措置、そういうものを定めまして、持続的な養殖業生産の基盤というか基礎をつくるよう努力していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  18. 森下博之

    森下博之君 以下、当該二法案に直接関係ない事柄でまことに恐縮でございますが、お許しをいただいて質問を続けたいと思います。  次に、海洋深層水についてお伺いをしたいわけであります。  最近、注目を浴びております海洋深層水ということでありますが、これは大陸棚の外縁部の水深二百ないし三百メートル以深の海水のことをそう言うということであるわけであります。  私の地元の高知県におきましても、平成元年から県の海洋深層水研究所が取水を開始いたしまして、漁業だけではなくいろいろな各方面の利用が期待をされておるところでございます。水産庁でも昨年から海洋深層水の取水施設についての補助制度を創設されておるところでありまして、私のお伺いしたいのは、こういった海洋深層水についてどのような分野で利用されようとしておるのか、あるいは将来の展望についても承りたいと思います。
  19. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま御指摘がございました海洋深層水でございますが、御指摘のありましたような形で取水をされるわけでありますが、幾つかの特徴がございます。  一つは、植物の成長に必要な無機栄養塩類を大変豊富に含んでいる、そういう水だという点が第一点でございます。それから二点目は、光の届かない海底に長くいるということで、栄養はありながら細菌等が少なく、大変清浄な水であるというふうなことが二点目。それから三点目は、そういう深いところで水温は低いわけでありますが、同時にその水域におきましては年間ほとんど温度が変わらない、低温で安定している、こういうような外形的に見てわかる特徴があるわけでございます。  したがいまして、こういう特性と申しましょうか特徴から、海洋深層水の水産分野での活用ということになりますと、一つは各種の栽培漁業のための種苗生産あるいは活魚の蓄養等の場においてその水として利用できるのではないか、こういう点が一つ大きな問題としてございます。  それから二点目は、やはり同じようなあれでございますが、活魚とか鮮魚の鮮度保持のためにこの水を活用できるのではないか。御承知のとおり、漁港の後ろの荷さばき場では魚の保存というか清浄を保つために常時水が利用されているわけであります。通常はこの水を目の前の漁港から引っ張ってくるというのが一般的でございますが、こういう深層水を使えばより清浄で、かつ製品を長もちさせるという意味でも有用なのではないか。そういうようなことが、例えばでございますが、考えられるわけでありまして、将来の課題としてこれはぜひ積極的に活用することを考えるべきではないかということで、地元からのいろいろお話も各地からございまして、昨年度から助成対象にするというような取り組みをしたわけでございます。  なお、この海洋深層水については、これは私ども必ずしも所管でございませんのでつまびらかに存じているわけではございませんが、漁業以外の分野でも、例えば食品あるいは医薬品とか化粧品とか、そういう分野においても活用の方途というのが随分あり得るのではないか、こういうことも言われているわけでありまして、そういったことも含めましてこの海洋深層水が有効に活用されるように我々としても漁業の分野で努力をしていきたい、こんなふうに思っております。
  20. 森下博之

    森下博之君 今、長官のお答えにもございましたように、海洋深層水の利用というのは各方面にわたるということで将来性が非常に期待できるということであろうかと思います。  また、聞くところによりますと、科学技術庁あるいは資源エネルギー庁等でもこの海洋深層水の研究をしておるやに承るところであります。利用目的というのは当然違うわけでありますが、同じ深層水を扱うということでは同じことでありますので、やはり私は将来にわたってこの省庁間の連携ということも非常に大事になってくると思いますし、水産庁がイニシアチブをとっていただくことが一番いいんじゃないかという思いもいたすわけであります。  また、御案内のように、私の地元の高知県あるいは北海道にいたしましても沖縄にいたしましても富山にいたしましてもこの海洋深層水ということに非常に着目をいたしまして、それぞれ研究をしておるようでございます。  そういう状況の中で、やはり水産庁としてそれぞれの都道府県の間の調整、連携といいますか、そういったことをお考えいただくような必要が生まれてきた、またその時期ではないかとも思うところであります。その点あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  21. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 御指摘のとおり、私どもの研究所がこの海洋深層水について初めて研究に着手したというか、一九九〇年までの三年間のプロジェクトがあったわけでございますが、そもそもこれ自体が実は科学技術庁それから私ども水産庁、各省が協力して研究を始める、そういうような形で始まったものでございます。  これからいろいろまた取り組んでいく中でも、例えば今年度からは通産省とタイアップをしながら資源エネルギーの利用とか多目的な産業利用ということで、それぞれ分担しながら研究開発を進めていこうということも今相談をしておりまして、やはり各省庁連携した開発ということが重要だろうと思っております。  それからまた、今回、先生からは高知のお話が御紹介あったわけでございますけれども、現在、高知県、富山県、静岡県それから沖縄県においてこの深層水のくみ上げ施設の整備を図りたい、あるいは具体化しつつあるというふうな状況にあります。せっかくそういうところで開発されて各種の開発研究ということが行われるわけでしょうから、そういったものの横の連携をとっていくということも御指摘のとおり大変有効ではないかと思います。そういうような場の設定ということを含めて取り組んでまいりたいと思います。
  22. 森下博之

    森下博之君 もう私が申し上げるまでもないわけでありますが、最近の沿岸漁業というのはまさに瀕死の状態にあるわけであります。海洋深層水がもちろんすべてであるということを申し上げるわけではないわけでありますが、こうした沿岸漁業の苦境といいますか、そういうものを乗り切るあるいは打開する上で、やはりこの深層水の利活用ということをこれから考えていくべきではないかという思いがいたすところであります。  この水産分野への利用につきましては、今、長官からお答えをいただいた部分もあるわけでありますが、具体的な話といたしまして、栽培漁業技術開発を行っております日本栽培漁業協会、この中に海洋深層水の利用研究センターを設置いたしまして海洋深層水の技術開発を進める必要があるのではないかと、私は素人ながら思うわけであります。まだまだ解明をしなくてはならない、あるいは研究をしなくてはいけない部分が海洋深層水にはあるわけでありますので、やはり国の手でそういう技術開発をいち早く進めるということの必要性を感じるわけでありますが、長官の御見解を賜りたいと思います。
  23. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 先ほども若干触れたわけでありますが、種苗生産にこの海洋深層水を活用していくという観点では、特に年間を通じて安定的に水温が低いということがございますので、従来なかなか難しかった冷水性の魚介類の人工種苗の育成ということに大変活用できるのではないか、そういう意味での期待というものも我々は持っているわけであります。  御承知のとおり、こういった種苗をつくり育てる漁業といいましょうか、その技術開発を担っておるのが日本栽培漁業協会でございます。これから先、栽培漁業協会におきまして、現実に今回、補助事業、助成ということを通じまして四県で研究開発が始まるということもございます。そういった知見を集めていくということを含めまして、その集積の状況を見ながら、日本栽培漁業協会におきましてもこの海洋深層水を栽培漁業に活用していくということにつきましてどのような研究が可能なのか、そういう点をさらに検討していきたいというふうに思っております。
  24. 森下博之

    森下博之君 次に、鯨の問題についてお聞きしたいわけでありますが、国際的な漁業問題につきましてもまことに厳しい状況下にあるわけであります。私は、その代表的なものとして鯨の問題があるのではないかと思うわけであります。  商業捕鯨の再開ということは我が国にとって長年の悲願といいますか懸案、課題であったろうと思うわけであります。今月末に国際捕鯨委員会の年次総会が開催されるとお聞きするところでありますが、今年の捕鯨委員会の主要課題とこれへの水産庁対応について承りたいと思います。
  25. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいまお話ございましたように、今月の二十四日から二十九日までカリブ海の島国グレナダにおきまして五十一回目の国際捕鯨委員会の年次総会が開催されます。もちろん、これに先立ちまして一月ほど前から各種の準備会合というか作業部会等が続々と今進んでおりまして、二十四日から本会議で各種の決議等の採択が行われる、こういうような状況になっているわけであります。  私ども、従来からこの国際捕鯨委員会に対しましては、やはり鯨というものも海の資源一つでありまして、その適正な管理、科学的根拠に基づいて管理をするということは持続的に利用していくということである。それは鯨においても他の魚類においても基本的に変わらないわけでありまして、そういうものとして考えていくべきである。また、国際捕鯨取締条約自体がそういうことを目的に掲げているわけでありまして、捕鯨産業の健全な発展ということもこの条約の目的になっているわけであります。  したがいまして、私ども、今年度の年次会合におきましても、先ほど申しましたとおり、科学的根拠に基づいて鯨の資源管理していく、鯨の資源の持続的利用を図っていく、これを実現するということを基本的な態度として臨んでいくべきだというふうに思っております。  ただ、率直に申しまして、IWCの委員会、加盟国が三十九カ国で、投票権の停止等をされているものがございますので、実際には三十五カ国に投票権がございます。どれだけ今回、出席するかわかりませんが、それに近い数の国が出席されると思いますが、これは我が国のような捕鯨に対する立場、捕鯨の支持国と申しましょうか、残念ながら少しずつ地歩は拡大しているにせよ、なお少数派でございまして、劇的に事態を改善するということは難しいわけでありますが、やはり我が国として主張すべき正しい主張は主張をいたしまして、一歩でも前に進むということを目標にしてこの会議に臨みたいというふうに思っております。  特に、ことしの年次会議で重要な問題、争点になるということでいいますと、これも従来から言っておることでございますが、商業捕鯨モラトリアムはもう既に見直し期間に本来は入っているわけでございまして、これを廃止して鯨資源有効利用を図るということになりますと、新しい管理方式というのを今この委員会で検討しております。改訂管理制度と言っておりますが、これがもうでき上がる寸前になっております。  これができ上がりますと、資源評価をして、例えば南氷洋のミンククジラであれば六十七万頭でございましたか存在すると、二千頭とっても全く問題ないということが科学委員会で認められております。そういうことが認められれば自動的に商業捕鯨が再開できるということでございますので、この新しい管理方法の作成と、それに基づいてこの管理制度のもとで商業捕鯨を再開するというのが基本的なまず我が国の主張だろうと思います。  それから、従来から暫定的に我が国沿岸におきまして北太平洋、北西太平洋でミンククジラ五十頭の捕獲枠を認めよという要求をしておりまして、ことしもこれを要求してまいりたいと思います。  それから、一つの動きとしてはサンクチュアリーを設定する。南極海等において現在、決議で設定されているわけでありますが、これを拡大しようという動きがあります。科学的根拠なしに捕鯨をやめさせるという意味ではサンクチュアリーという方法しかないということで、他の捕鯨国はこういうやり方をしておるわけでございますが、これは全く科学的根拠がないわけでありまして、我が国としてはそもそもサンクチュアリーに、あるいはさらにそれを拡大するということには反対であるという立場で臨みたいということでございます。  なお、アイルランド提案というのが二年前に行われました。膠着状態に陥ったIWCの議論を多少なりとも前に進めるという意味で、反捕鯨国でございますがアイルランドから新しい提案があって、公海での捕鯨禁止と沿岸二百海里内におけるIWC管理下における捕鯨を一部認める、こういうようなことを内容にしているわけであります。もちろん、我が国として認めがたい部分もありますが、膠着した現状を何とか打開しようという意味ではそのアイルランドの気持ち自体はわかるわけでありまして、このアイルランド提案が今年度どのように取り扱われるかというのも我々としても大変注目しながらまた対処していかなければならない課題だろうと思っております。  なお、我が国はここのところ引き続き南氷洋及び北西太平洋において捕獲調査を実施しております。これについては科学委員会でも高い評価を得ているわけでございまして、引き続きこれは実施するという態度で臨みたいということで、大変長くなって恐縮でございますが、こういう態度で努力をしてまいりたいというふうに思っております。どうかよろしくお願いをしたいと思います。
  26. 森下博之

    森下博之君 鯨の商業捕鯨の再開というのは非常に厚い壁があるということが長官のお話でよくわかったわけでありますが、おいしい鯨が国民の食卓に豊富に上るように、ひとつ今回の総会におきましても我が国の主張を強力にしていただきたいということを要請させていただきたいと思います。  最後に、最近の漁業を取り巻く状況というのは、もう私が申し上げるまでもなく非常に厳しいわけであります。また、新海洋秩序のもとで資源管理の徹底やつくり育てる漁業の推進等を強力に実施し、食料として重要な水産物国民に安定的に供給する産業としなくてはならないと思うわけであります。そのためにはぜひにも漁業基本法が必要であると私も考えるところであります。  今、いろいろ準備段階であろうと思いますが、漁業基本法の制定に向けて大臣基本的な御認識を伺いたいと思っております。
  27. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我が国は歴史的にも魚を食文化としてきた国でございますし、現実に世界一の水産国であった時期もあったわけでございます。戦後の一時期は、日本の輸出を支えた中心が水産関係の缶詰であったという時代もあったわけであります。また、食生活におきましても、動物性たんぱく資源の約四割が海からという非常に重要な位置を占めておるわけでございますが、先生指摘のような近年のいろいろな水産をめぐる国際的また国内の生産環境悪化、あるいはまた販売面での不況を初めとする厳しい状況の中で、現在は沿岸漁業等振興法というものに基づいて水産資源の維持増大、生産性の向上、経営の近代化等いろいろ施策を講じてきたわけでございます。  しかし、先ほど申し上げたような状況の中で、新たな時代、特に海洋秩序を含めた内外の諸情勢に対応できるようにするべく、平成九年九月に水産基本政策検討会を設けてずっと議論を続けているところでございますが、先生指摘の新しい漁業基本法の制定につきましては、その制定の必要性というものがますます重要になってきているという認識を私自身持っておりまして、検討会自身もう二年近くになるわけでございますので、ことしの夏ごろをめどにそういう基本法制定の方向で検討会の取りまとめを行っていきたいというふうに考えております。
  28. 森下博之

    森下博之君 終わります。
  29. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。  今回、提案されました二法に関しましてそれぞれお尋ねをしたいと思いますけれども、まず初めに大臣の方にお尋ねをしたいと思います。  沿岸漁業全体の中の養殖の比重がそれぞれ非常に高いものがあるというような御指摘がございました。それで、現在の経営体数でいいますと、全体十四万経営体のうちの約四万余が養殖関係である、そして比率でいいますと、生産量で四二、それから額で四七%、そのような数字だということもお聞きをいたしました。  振り返ってみますと、十年前には沿岸漁業に従事している方は四十万弱ぐらいいらっしゃったのではないかなというふうに思っておりますし、今後十年後を見てみますと十万人ぐらいの減少ということもあり得るのではないか、そういう話がございましたから、十四、五万ぐらいの従事者数になってくるようなことも予測をされているわけであります。  そのような中で、全体沿岸漁業の中に占める養殖の割合というものは、四十万のときも現在もそれほど比率としては変わっていないんだと思いますけれども、今後十年を見越した中で沿岸漁業全体がどのような見通しに立っていらっしゃるとお考えか、お聞かせいただきたい。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいまも申し上げましたとおり、世界をまたにかけて魚をとっていた時代から随分とさま変わりをしてきたわけでございます。内外の諸情勢の変化、特に沿岸につきましては、高齢化あるいはまた就業者の減少、あるいはえさが少なくなったとか魚価の低迷等々で大変厳しい状況にあるわけでございます。しかし、国民の食生活等にとりまして極めて大事な水産資源を持続的につくり、国民に安定的に供給していくために生産体制の脆弱化を防ぎ、そして維持発展をしていかなければならないというふうに考えております。  今後の見通しは、経済状況、社会状況等で不確定な要素も多いわけでございますけれども、世界の状況につきましては、FAOによる見通しを見ましても、中長期的には水産物の需給は逼迫する、水産資源というのは有限な資源であるという認識で我々も見ておるわけでございます。  したがいまして、特に我が国周辺水域水産資源の保存と持続的利用を中核にした水産政策を今後ますます積極的に展開していきまして、沿岸漁業の体質の強化をしていかなければならないというふうに考えております。
  31. 郡司彰

    ○郡司彰君 その中で、先ほど来ちょっと話が出ておりましたけれども、栽培漁業、この辺に対しての取り組みというものがさらに充実をされてもよろしいのではないかなというふうな思いがございます。その辺の、国としての施策としてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  32. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) これからの漁業の中心的課題といたしまして、私ども資源管理漁業ということとつくり育てる漁業、こういうような二つのお話をずっとしてまいりました。二百海里という我が国の排他的経済水域内の海の生産力というものを最大限に活用していくという意味ではやはりつくり育てる漁業一つには養殖漁業というのがございますし、もう一つは、より自然の生産力というものを活用するという意味で種苗を放流して海の力で自然の力で大きくなったものを漁獲する、これがこれからの漁業一つの柱になっていくべきではないかというふうに思っているわけであります。  そのためには、かなり現在でも一定の、ヒラメなどにつきましては放流の効果が出て、漁業者も、なるほど、つくり育てる漁業というのはこういうことかというふうに実感する場面も多いわけでございますが、率直に言ってまだまだ技術開発が不十分でございまして、さらに魚種を拡大していく、しかも健康でよく育つ種苗をつくっていく、そういうふうなことを通じてつくり育てる漁業の振興というか漁業自体の基礎をそういうふうに変えていくというか、そういう意味での取り組みが必要だということで、そこはやはり施策の重点的な課題一つとして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  33. 郡司彰

    ○郡司彰君 今回の法律の名称でありますけれども、持続的養殖生産の確保を図るというふうなことでございますから、この養殖技術というのは、世界の中でも一部ノルウェー等を除いてはほとんどが日本の独自につくり上げてきた技術でありますし、その他の国で行われている養殖というのもほとんどが企業を媒体にしながらも日本の技術であったろう。さすれば、今回の法律の中身も多分、世界の中でも日本が一番最初のような形になってくるのかなという感じがしております。  このようなものが時代の流れの中で出されてきたと思うわけでありますけれども、この資料等を見ますと、五十七年をピークに、いろいろ停滞ないし減少で、魚の養殖にかかわる病気その他のものが減ってきたというような資料がございましたけれども、これが今再び増加の傾向にあるというようなことでとらえてよろしいのか。その原因については、過密養殖という言葉がよく使われておりますけれども、そこのところが原因だというふうに大枠考えてよろしいんでしょうか。
  34. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 魚病発生と申しますのは、率直に申しまして病原菌の存在ということと、魚自体がそれにどれだけの抵抗力を持っているかということとの関係で生じますので、例えば気温だとかそういうことの影響も多く受けます。したがいまして、年々、多少ふえたり減ったりということは不可避的に当然起きます。私どもとして現在の状況認識としては、数字的に申しますと、今でも魚病で、コンスタントにというか振れがございますけれども、年間、魚介類養殖の全生産量のうちの一割弱が病気で損耗している、こういうようなデータもあります。  それから、大変気になっておりますのは、最近急速に発生をして蔓延いたしまして大きな被害を出した真珠母貝の宇和海におきます赤変の病気、それから広島のカキについての赤潮に伴うへい死等、局部的ではありますけれども大変大きな被害を与える魚病発生というか、そういうことが出てきているわけであります。  私ども養殖漁場悪化あるいはそういうことを背景にした魚病発生というのは、顕在化しているものも、そしてまた潜在的な脅威ということを含めて見過ごすことはできないというか、やはりこれを克服していかないと我が国養殖生産の安定的、持続的な発展はない。そういうような意味で、どうしてもやっぱりここは取り組みを行わなければならない時期である、こういうような意味でとらえているわけでございます。
  35. 郡司彰

    ○郡司彰君 局長の答弁でわかりましたが、以前に比べて現在はふえているというような認識でよろしゅうございますか。
  36. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 具体的な数字でふえている、ふえていないというのは、トータルで統計を見てどういうことになるかということでは、横ばいというか特段大きな変化が今起きているということではございませんけれども、その数字であらわれた合計量以外に、先ほど申しましたようなアコヤガイの問題あるいはカキの問題等、突出した大きな被害ということが生じているという意味では、決して横ばいだから安心していられるという状況ではないと、こんなふうな認識でございます。
  37. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、局長の方からアコヤガイ等の話がございまして、二年ぐらい前だったと思いますけれども、テレビでもそういうことが報道されて、原因については、ホルマリンではないか、感染症であるらしいというふうな報道があったわけであります。  このホルマリンについては五十六年の通達で原則禁止ということになっているんだろうと思いますけれども、二年前の放映等があるということ、今現在もこのホルマリンが使われているというような実態については水産庁の方ではどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。
  38. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ホルマリンの使用の問題につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたとおり、具体的な日時で申しますと昭和五十六年の段階でもって、もちろんホルマリンも含めた一般的な医薬品使用についての通達でございますが、私ども、こういうものは漁業の現場で基本的に使うべきではない、こういうことを指導してまいったわけでございますし、それから、お話ございましたように、時々なおそういう使用の実態があるのではないかというふうな疑念もいろいろな方面から提起をされまして、そのたびに我々は注意を喚起し、あるいは指導に努めてきたところであります。  基本的に現段階では、毎年、私ども、フグの養殖の行われている主要海域におきましてモニタリング調査を行っておりまして、ホルマリンが検出されないかどうか調べております。平成九年の数字につきましては、そのモニタリング調査の結果、全く検出されていないというような結果になっておりますし、十年度も引き続き調査を行っておりますので、これはまとまった段階でまた公表したいというふうに思っているわけであります。それから各県にも、正直ベースと言うとおかしゅうございますが、使用の実態はどうかということも問い合わせているわけでありますが、使用の実態はないと、こういうふうに返事はいただいております。  ただ、ただいま先生お話しのとおり、時折やっぱりそういう問題が今なおあるのではないかというような情報が寄せられるという状況はありますので、私どもも、注意深く、しかも粘り強く、こういうホルマリンを養殖現場においては使わないということの指導を引き続き行っていきたいというふうに考えております。
  39. 郡司彰

    ○郡司彰君 そこで、全漁連の方と共同開発をした寄生虫駆除剤ということでマリンサワーSP30というのが今使われているといいますか、奨励をしておくべきだろうというふうに思うんです。しかしながら、このマリンサワーSP30にかわるホルマリンではないというような、そのようなものが一部出回っているのではないかというふうな話も聞くわけであります。申し上げれば過酸化水素、H2O2と言われるものがホルマリンではなくて使われているというふうなことも聞きますけれども、この問題については御存じでしょうか。
  40. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 率直に言って、そのような実態があるということ自体は私ども承知をしておりません。  ただ、マリンサワーSP30は正規の薬事審議会の議を経て医薬品の製造承認がとれている薬でございまして、これに基本的に、先ほどお話のございましたホルマリンということではなくて、このマリンサワーSP30を使うべきというふうに当然のことながら指導しているわけでありますが、この成分自体は過酸化水素でございます。それの一定の希釈したものがマリンサワーSP30でございますので、今お話しのような過酸化水素の原液というかそういうものを使う可能性はあり得ないことではないというふうにも思うわけでございます。
  41. 郡司彰

    ○郡司彰君 つまるところは、それぞれの経営体が厳しい環境の中で行っているわけでありますから、費用負担というところに一番の原因が出てくるんだろうと思うんです。  それで、このマリンサワーについてはそれぞれ需要との関係で値段も下がってきている。例えば、ホルマリンでありますと二千円ないし二千五百円ぐらいのまだ差があるわけでありますけれども、工業用過酸化水素ですと、これでもまだ幾らかマリンサワーよりは安いのではないか、四千円台ぐらいではないかというような話もされておりまして、この辺のところについてはこれまでのホルマリンと同様に、医薬品として認可をされたようなものを使っていただくということを厳しく指導していただきたい。  あわせまして、経営に対します安定対策というものがやっぱりないというところでそのような使用というものが一部、やりたい、やりたくないということではなくて、費用の問題で出ているんだと思いますけれども、この辺のところについて、それぞれの補助ということにはなかなかならないんだろうということには私も理解をできるわけでありますけれども、全体がそのような形になるように何がしかの対策というものをお考えになられているかどうか、お聞きしたいと思います。
  42. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) お話しのとおり、基本的に薬として承認を受けているマリンサワーSP30を使うということが基本でありまして、製造承認を得ていないものをそれぞれの養殖漁業者が自己の判断でと申しましてもそれはやはり避けるべきことだということで、先生指摘のとおり指導していきたいというふうに思います。  それから、マリンサワーSP30を推奨するという意味において何らかの助成ということがないのかというお尋ねでございますが、先生指摘のとおり、これは漁業養殖業を行う上で必要な資材の一つでございますので、それに対して金銭的な助成をしていくということは率直に言って私ども制度的には難しいというふうに考えております。  ただ、マリンサワーSP30というものの普及をできるだけ図っていく、しかも経営に影響がないようにできるだけ安価な形で手に入るように努力していくということは考えていかなければならない課題でございますので、当面、安価に購入できるように漁業協同組合等が共同購入によって大量発注するというふうな仕組みを通じて各養殖漁家が現在よりもさらに安く手に入る、そういうようなことを推奨していく、そういう意味漁業協同組合等にもそういったやり方を推奨していってはどうかというふうに考えているというのが、今具体的に持っている手段というか、そういう状況でございます。
  43. 郡司彰

    ○郡司彰君 いずれにしましても、違法的なものについては厳しくやっていくのが当たり前でありますけれども、また反面、劇物医薬品でございますので、例えば漁協等で予約をして共同で購入し、一たん保管をして区分けをするというようなものについては一定程度理解ができるんだろうと思いますけれども、まとめて買い置きますよというような形で、個別の注文があったときにはお分けいたしますよということになると、これはなかなか難しいところが出てくるのかな、そのような気もしております。そういう意味では、予約購買といいますか、そのような形をきちんと徹底していただく中で、このものに関して違法行為が出ることのないような指導もお願いをしたいというふうに思っております。  続きまして、本文の方で、これまでの魚の病気のうちで既にあったもの、定着という言葉もおかしいのかもしれませんけれども、これまでなかったもの、あるいはあったけれどもほかから入ってきてなかったもの、そういうものが発生したときには、集めて処分をする、焼却をするというふうな蔓延防止を速やかに行う、そういうふうな趣旨だろうと思います。  この蔓延防止を行うという事例が出たときに、後ほど県の方からその分については費用を負担して、その後で国に対して県の方が請求を行うという形になるというふうに理解をしておりますけれども、この評価といいますか算定といいますか、そういう基準は決まっていらっしゃいますでしょうか。
  44. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 決して望ましいことではなく、そういうことが起きないことを望んでいるわけでありますが、特定疾病が万が一発生して、その場合に焼却あるいは埋却等の命令あるいは消毒等の命令が行われると、御提案申し上げております法律では第九条でその損失について「損失を受けた者に対し、その命令により通常生ずべき損失を補償しなければならない。」という規定を置いて補償するということにしているわけでございます。  その場合、ではどういうものが対象になるかということに関しましては、焼却とか埋却処分を命ぜられた水産動植物についてその処分時に既に商品価値が失われていれば、これは無価物でございますので対象にはなりませんが、商品価値を有していながら焼却・埋却処分を命ぜられたというときには、その商品価値の分については当然、損失補償の対象になる。そのほか焼却、埋却を行うのに必要な経費あるいは消毒を行うのに要する経費、これらが損失補償の対象になるというふうに私ども考えております。  具体的には、ただ個別の魚あるいは具体的にどういう経費がかかったかということでございますので、基本的には損失を受けた方からの申請に基づいて、別に法律上書いてあるわけではございませんが、でき得れば県段階で公正な評価人というふうなものに委嘱していただいて、その方の評価に基づいて損失を補償する、こういうような形で制度を運用していってはどうだろうかというふうに今考えております。
  45. 郡司彰

    ○郡司彰君 そのような形で評価をしていただいて費用負担について考えていただくと。  これは昨年の九月でしたか、水害がございましたときに、大臣の方も速やかにそのようなものに対する補償も含めて支払いをやっていきたいというふうな答弁があって、それぞれ関係者については大分喜んでいただいたと思っておりますけれども、今の方法でやりますと、実際にそういう事例が発生してから支払いまでの期間というのはどのぐらいを見込んでいらっしゃいますでしょうか。
  46. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 率直に申しまして、まだ何カ月というふうに申し上げるまでの具体的なものを持っておりません。と申しますのは、現在この法案自体法律案ということで御提案申し上げている段階でございまして、国自体は一定の予算措置をしておりますけれども、これは具体的には各都道府県が支払いをするということでございますので、都道府県において予算措置をするということが支払いのための必要な条件になります。  もちろん、これは各都道府県のやり方ということになりますので、もしない場合には予備費を使うとかいろいろございますので、そこは必ずしもまた一律にいかないというふうな側面があろうかと思いますが、本来こういうような話というのは受けた損失でございますので、できるだけ早く補てんされることが望ましいわけでありまして、先生の御趣旨のとおり、私どもとしては、都道府県がその所有者等に補償をできる限り迅速に対応するように法案成立の暁におきまして十分指導していきたい、こういうふうに思っております。
  47. 郡司彰

    ○郡司彰君 この法案については初めてですからまだそういう事例としてはないわけでありますけれども、同じような費用負担といいますか補償の関係でいきますと、おおよそ一年ぐらいかかっているのではないかなというふうな気がしておりまして、蔓延の方は迅速に抑える、費用負担についても迅速にできるようにさらに努力をしていただきたいと思っております。  そして、それぞれ直接には各都道府県が支払いをするということでございまして、国の方の予算はどのぐらいかということでお聞きをしましたところ、今年度の予算は五百万ぐらいというようなことでございます。各都道府県でどのぐらいの事例が、ない方がいいわけでありますけれども、よしんば起きたときに国の予算五百万ということについてはどうなんでしょうか。  例えば、先ほど局長の方から言われましたけれども、全体今まで蔓延している、定着しているものの中で一割弱ぐらいあります、平成七年度でいきますと、一番多かったんだと思いますけれども、三百億円をちょっと超えるぐらいの被害額になっている。一件当たり幾らというふうな予測を立てることももちろんできないでしょうし、いつ幾日発生するということの予測も立たないというよりも、立てないで済めば一番いいわけでありますけれども、五百万ということでそれぞれ各都道府県の方も納得をするというふうにお考えでしょうか。
  48. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 本来、今回の特定疾病というものは、水際において防疫措置によって侵入を防止するということを我々は基本的な考え方にしているわけでございまして、どういう形かは別にして、その水際の防疫ということをかいくぐって万が一我が国に入った場合にこういう強制的な措置を直ちに講じていこう、こういうことであります。そういう意味において、発生する蓋然性は決して高いものではありませんし、また逆に高かったら困るというか、そういう性格のものだろうと思います。  ただ、私どもは、そういう意味におきまして、率直に言って万が一そういうことが起きたときにどの程度の規模になるか、こういうことを予測するだけの能力もございません。そういう意味において、全く計上しておりませんと、いわゆる予算書における款項目節とか、そういうものでなければそもそも払えないということになりますので一応頭出しをしておいて、あとは御承知のとおり、もちろん本来、計上した金の範囲で賄えればそれでいいわけでありますが、万が一足りないということであれば、それはさまざまな方法が、他の費目から流用するとか予備費を使うとかあるわけでございまして、その辺は臨機応変に動けるように私ども対応していきたいというふうに思います。
  49. 郡司彰

    ○郡司彰君 長官の方で臨機応変にできるということなので、額の問題についてはこれで終わりたいと思いますけれども、いずれにしましてもそのようなことが起こらないということが一番の眼目だろうと思いますから、それにかかわる研究その他については十分に行っていただきたいと思います。  あわせまして、今回の法律につきましては防疫員、それから防疫協力員ということでの記述がございます。防疫員については今のところ任意ということですけれども、一定程度、資格認証のような形でもってそれぞれ資格といいますか、持っておられる方がいらっしゃる。  聞くところによりますと、これまでに約五百名ぐらい、現役の方でいうと二百余名というようなことだそうでありますけれども、協力員についてはそれぞれ漁協の方でそういう方を育成するという形になるんだろうと思いますが、これは大体五十名ぐらいというふうに今のところ聞いているわけであります。  それで、二百名というような数でございますから、沿岸というか琵琶湖を含めてもちょうど四十県。四十県で二百名ですから、単純にいいますと一県当たり五名ぐらいの方がいるのかなという数字になってまいりますし、協力員でいきますと四十で割れば一・二五ですから一・三、四人、一・五人ぐらいの数になってくるんだろうと思います。とりあえず、この四十都道府県の中で濃淡があるだろうと思うんです。すべからく、この四十県のところには防疫員というのは現在いらっしゃるんですか。
  50. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま先生お話の基礎になっておりますのは魚類防疫士という資格制度、これは国が団体に委託してやっておるわけでございますが、この研修を受け、試験に合格したというか、正規に受けた方が約五百名いる。そのうち二百名強の人が現に都道府県の水産試験場等に勤務をしておりまして、御承知のとおり、今、各養殖業者が病気等が発生した場合に最初に相談に行く場所、それが各都道府県の水産試験場でございまして、そこにいる魚類防疫士のような資格を持っておられるような方々が基本的に各都道府県知事によって魚類防疫員に任命されるんだろうなということを期待して二百名程度全国で任命されるのではないか、そういう見通しをお示ししたということではないかというふうに思います。あくまでも任命自体都道府県知事の判断でございますので、そこはそういうような前提でお聞きをいただきたいと思います。  それから、魚類防疫協力員の五十名というのは、私も必ずしもつまびらかにしないわけでございますが、魚類防疫協力員というのは、いわば魚類防疫員にいろいろ情報を伝えてくれる、養殖業者と魚類防疫員の間をつないでいただくというふうな役割基本的に期待したいなというふうに思っているわけでありまして、漁協でそういう魚類防疫の相談を含めてやっておられるような方になっていただきたい。そういう形が基本的に多いだろうというふうに思っているわけでありますが、実際に各漁協でどの程度こういう方の候補者がいらっしゃるのか、まだ率直に言ってデータ的につかんでおりません。そういう意味で、具体的な数字は申し上げるに至らないわけであります。  ただ、全国養殖が盛んな地区の漁協というか地区、養殖生産生産量の大体五〇%以上を占めるという地区が全国で実は五百地区ぐらいございますので、そういうところには一人ぐらいいていただかないとまずいのではないか、こういうような気持ちは持っているということでありますが、この魚類防疫協力員につきましては、どの程度の方々に御協力をいただくというふうに都道府県ができるかどうか、数字的なものを含めて具体的に言うだけの準備は率直に言ってまだございません。
  51. 郡司彰

    ○郡司彰君 二百名強。先ほど言いましたように、この該当する四十県で全然いらっしゃらないところというのはつかんでいらっしゃるんですか。それとも、数の濃淡はあってもすべからくいらっしゃるんですか。
  52. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 御指摘のとおり、県別に全部どういう仕事を今しておられるかということを含めて把握しておりますが、ただ、今ちょっとここにデータを持っておりませんが、全都道府県に現在いることはいます。ただ、まさに御指摘のとおり養殖の盛んなところに当然のことながら多いわけでございまして、かなりの濃淡はあるというのが実情でございます。
  53. 郡司彰

    ○郡司彰君 私の方は沿岸漁業に関する四十県で言いましたけれども、この二百名強というのは多分、全都道府県の試験場の数なんでしょうね。ですから、実際にはもう少し少なくなってくるのかなというような感じがしております。  先ほど言いましたように、沿岸漁業経営体数は約四万戸強でありますから、そこの関係でいきますと、一人でどのぐらい見るのかなという数字が大体出てくるわけでありまして、そこの経営体ごとに、年に何回でありますとか何カ月に一遍ぐらい入るというふうなことになるのかというと、これはほかの仕事も抱えているわけでありますから、なかなかそうはならないんだろうと思うんです。  そういう意味では、協力員という方の連絡等があって初めてこの防疫士という方が入っていくという形の方が多くなるんだろうと思いますけれども先ほど言いましたように、この協力員というものについてはまだこれからでございますので、専門的な知識をきちんと植えつけていく、それらについても非常に努力を必要とすると思いますので、先ほど言いましたように、蔓延を防止するという前段のそこのところの知識の付与については十分に考えていただきたいなというふうに思っております。  次に、漁場改善計画の策定でありますけれども、現在、おおよそ全国漁協の数は千八百ぐらいというふうに理解をしておりますけれども、その中で連合会の方が三千二百名ぐらいいらっしゃる。単協の方でいいますと一万七千名ちょっとぐらいだろうと、そういうふうな数を把握しているわけであります。そうしますと、一単協当たり、これももちろん濃淡がありますから、単純な数字で平均を出しますと十名弱ぐらいの数になってしまうのかなというふうに理解をしております。  その中で、先ほど三浦委員の方からも御指摘がございましたけれども、本当にここに網羅されているような内容でもって漁場改善計画の策定というようなものが十分になし得るのかどうかというような危惧をするわけでありまして、ここのところにつきましては、もちろん精神的に自主的な取り組み基本だということはわかるわけでありますけれども、やはり行政の側からの指導でありますとか支援でありますとか、そういうものが相当程度必要になってくるかと思いますけれども、その点についてはいかがでありましょうか。
  54. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 養殖漁業に従事しておられる方々というのは、御承知のとおり、漁業の中では比較的若い方が多うございますし、経営者として一生懸命漁業に取り組んでおられる方が多いわけであります。時々いろんな会合等で私もそういう方々とお話をするわけでありますが、やっぱり一種の中小企業の経営者と同じような意欲を持っておられますし、特に最近におきます漁場悪化の問題、そして魚病発生の問題、大変皆さん心配をし、何とか取り組まなければいけないということを、たまたまそういう場で会う人ですからそういうことになるのかもしれませんが、そういうお話もよくするわけです。  そういう方々の熱気というか、こういうことに取り組まなきゃいかぬというようなお話を聞いておりますと、例えば上から言われてやる、あるいは漁協の職員がそういうことに手助けをするという以上に、やっぱり養殖漁業の経営者自体がこういうことに本当に取り組まないといかぬという事態になってきている、そういう認識が強まっているなという、もちろんこれがすべてではございませんが、そういう面では大変意を強くしておりまして、そういった形での取り組みということが本物になってくるんじゃないかということだろうと、それを期待しているわけでございます。  ただ、同時に、さまざまな意味で呼び水とかそういうことを含めて行政機関あるいは団体というものの果たす役割も大きいわけでございまして、先ほどちょっとお答え申し上げましたように、こういった形で養殖漁場改善取り組みをなされる漁協なり漁業者、そういう方々を例えば推進協議会というようなことでまとめていただいて具体的にいろいろ活動していただく、そういうことについても一定の助成を行うというふうなことも用意しておりまして、そういうことも活用しながら自発的な取り組みというものを促進してまいりたいというふうに考えております。
  55. 郡司彰

    ○郡司彰君 今の長官の答弁の中にもありましたように、それぞれの意欲はお持ちの方は多いだろうと思いますし、自主的にという精神が生かされるような形にもなってくるだろうと思います。しかし、その思いと実際に物事を紙の上に活字にしていくという作業というのは、これはまたちょっと別なところもございまして、そういう意味ではやはり行政的な指導や支援というものも十分に考えていただければなというふうにも思っております。  それから、漁場改善計画の策定について、別な観点から大臣の方にちょっとお尋ねをしたいと思います。  これは養殖にかかわる、沿岸漁業にかかわるということで、漁場改善計画についてはそのような団体がつくってくださいよということになっているわけであります。しかしながら、当然のことでありますけれども、海といいますか、資源そのものも含めまして国民のものだというふうな認識もまた強まっているわけでありまして、このマリンエコトピア21等の中の文章にも、生態系を維持し、あるいは自然と人間の共生を確保する重要性認識される中で等々、いろいろなことが書かれておりまして、海の問題ということだからそこに関係をする方々だけの改善計画というものでよろしいのかというような意見もあろうかと思います。  そこで、例えばいろいろなNPOの方でありますとか、あるいは海に非常に関心が深い団体の方でありますとか、そういう方々の意見というものがあわせてこの計画の中に盛り込まれるような、そんなことが考えられてもよろしいのではないかと思いますけれども大臣のお考えはいかがでしょうか。
  56. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、漁場改善計画をつくるに当たっては農林水産大臣が定める基本方針というものがあるわけでございます。この基本方針を作成するに当たりましては沿岸漁業等振興審議会の意見を聞くことになっておりまして、ここのメンバーは水産関係者だけではなくて学識経験者あるいは自治体の長、さらには消費者団体等々、さまざまな方々がメンバーになっていただいております。  これに基づきまして、関係者が漁協体といいましょうか漁区体に漁場改善計画というものをつくるわけでございますが、先生指摘のように、自主的という原則ではありますけれども都道府県知事の認可が必要であるわけでございます。  そういった中で、先生のただいまの御質問でございますが、この漁場改善計画を定める上でも養殖漁場改善目標といった漁場環境に関する基本的な事項については、やはり養殖漁業者のみならず漁業関係者以外の、今、先生が御指摘になったような方々を例示といたしまして、海というのは漁業者だけのものではありませんし、また漁業活動をする上でもいろいろな方々、例えば学識経験者を含めた関係者の意見を聞くべきものである、自主的という原則はありますけれども、私はそういうふうに考えております。
  57. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣の方から心強い考えを聞きましたので、できるだけそのような形での改善計画になるように御指導もいただければというふうに思っております。  さらに、先ほど来の質疑の中でもございましたけれども、この改善計画はおおよそは統一的な基準、しかしながらそれぞれの地域でもってそれぞれの地域ごとの特性を考えた形でのものということになるわけでありますけれども、逆な面から申し上げますと、勧告、公表というようなものが続いて出てくるわけでありますから、そこのところでもって、場所によって同じような形のものが罰則に該当する、一方ではしないというような、そういった懸念が出てくるのではないかと思います。  そこのところについて、勧告、公表とあわせましてその辺の幅といいますか、長官の方からお聞きをしたいと思います。
  58. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 確かに、この法案において記されておりますとおり、漁場改善計画に取り組まないという場合に都道府県知事による勧告、公表という制度があるわけであります。特に、公表というところまで至ればかなりの実質的な意味でのペナルティーというと大げさでございますが、そういった側面も持っているわけであります。  そういう意味では、こういうところまで進むということに関しましては、やっぱりある程度、もちろんその個々の置かれている地域での違いということは踏まえつつも、横並びで余り不均衡にならないようにということを心がけるべきことは言うまでもない、そういうふうに私ども認識をしております。  そのために、これからのあれでございますが、具体的にこの法案施行という段階に至りましたら、そういう問題については一定のガイドラインのようなものを国の方でお示しをして、そういうものに沿って余り大きなでこぼこが全国で起きないように措置をしていきたい、そんなふうに考えております。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 いずれにしましても、これからの時代でありますからこの問題を避けて通ることができない。そして、沿岸漁業そのもの、栽培漁業も含めて振興を図っていかなければならないわけでありますけれども、いかんせん経営安定ということが大事になってくるわけでありまして、この関係につきましてはいろいろな支援の方法というものがあろうかと思います。  例えば、漁業共済制度関係につきましては、新法に基づく改善計画参加者そのものに対する優遇措置あるいは掛金の問題等で政策的なあるいは誘導的な、そういうような考えがありましたら長官の方からお聞きをしたいと思います。
  60. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 確かに、ただいま先生からお話のありましたとおりなんですが、漁業者の中から、こういう新しい制度に基づいて共同で漁場改善に取り組む、そういう努力をしている人については養殖共済の実施に当たって何らかの優遇措置ということを考えてはどうかと、そういう声が私どもの方に寄せられております。そういう事実がございます。  率直に言って、まだ私どもその辺についてはどの程度の、要するに、確かに漁場改善に取り組むということ自体は共済事故の発生の防止ということにもつながっているわけでありまして一定の因果関係ということは考えられるわけでありますが、どの程度措置を実際に考え得るのか、また余りささやかなものであれば皆さんの御期待に背くことになりましょうし、この辺は若干時間をいただいて検討させていただきたいというふうに思っているのが現状でございます。
  61. 郡司彰

    ○郡司彰君 そういう意味では一定の時間はかかるとしても、今後の長い目で見ての経営安定という観点から十分に検討をいただきたいというふうにも思います。  ちょっと個別の細かいことの話になりますけれども、例えば掛金の問題でいいますと、ある一定の事例に対してのみ掛金が掛けられるか。例えば台風のような場合に、これはリスクその他のことを考えると必ずしも、だから安くなるということよりも、これが係数といいますか掛金との問題からいうと高くなる可能性もあるのかなというふうにも考えておりますけれども、そのようなことが検討の材料としてあるのかということ。  それから、共済制度の対象になっている養殖の種類、これらについては限定をされているわけでありまして、この限定を取り払って対象としてすべてがなるということには、その辺について検討されていればお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 養殖共済の中でいわゆる物損方式で契約をする場合に、今のお尋ねは特定の災害というか特定の事故のみ共済金が出る、そういうような仕組みが可能かどうかというお尋ねかと思いますが、そのこと自体は論理的には可能でございます。  それぞれの事故ごとにある保険計算ができて、事故率が出てきて、そういう要望が相当程度あって、保険でございますから、ある程度加入者が広くないと不可能なわけでございますが、そういう実態があるということであれば、そういうこと自体は決して検討し得ない課題ではないと思います。ただ、具体的にどういう話があるのか、私も現段階ではよくわかりませんので、今の段階ではその程度のお答えでお許しをいただきたいと思います。  それから、現在の養殖共済は、ただいまお話のありましたとおり、例えばブリだとかタイだとか真珠貝だとか真珠母貝だとか、そういうことで、それぞれその業種の方が加入をするということになっております。したがいまして、そういうふうに魚種が示されていない養殖をやっておられる方は加入できない、こういう仕組みになっているわけでございます。  これは実際に経験的に見ましても、さまざまな魚種というか養殖の方法というか、それによりまして固有の事故率、どういうときに事故がたくさん発生するか、また事故の発生比率がどのくらい高いのか、コンスタントに高いのか低いのか、かなり差があるのが実情でございます。  したがいまして、全魚種込みで何でもいい、どんなものでもいいから養殖をやっている人は入れる共済ですよといって一定の事故率で計算した保険金を均等に払っていただくということになりますと、結局、事故率の高い魚種をやっておられる方が入ると一番得をして、事故率の少ない魚種をやっておられる方は損をしてしまう。こういうことになるわけで、なかなかそこは保険設計上、率直に申しまして、魚種を全部一まとめにして養殖共済を実施するというのは技術的に難しいということで、やはり事故の態様それぞれにかなりの差があるという前提に立って魚種別に設定せざるを得ないというのが今の段階での運用の現状でございます。
  63. 郡司彰

    ○郡司彰君 長官も御存じのように、現在一つ経営体でもって、数は少ないかもしれないけれども品種を多くしてというところがふえてきているかと思いますので、そのような経営体として加入できるような、そんなことについても検討をいただきたいということでございます。  それから、この共済に関しましては事務的な問題がほとんどだろうと思いますけれども、淡水といいますか内水面の関係については今のところ省かれているような形になっているわけでありますが、これは事務的にそういうような何らかのルートがもし開かれれば、これについてはお考えいただけることになりましょうか。
  64. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 内水面養殖業を共済の対象にするということについては、制度的には決して門戸は閉ざされておりません。したがいまして、事務的なことを含めて元受けになる組合を設立し得るということが基本的に第一点。それからもう一つは、保険設計が可能な過去のデータ、そして実際に加入するある程度の数量、事故を全国的規模でカバーし得る、そういうものがあるかどうか、そういう実態的判断の問題になろうかと思います。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  そういう意味におきましては、内水面養殖に関しまして共済を実施してほしいという具体的な要望がございますれば、私どもの方にお寄せいただければ、どういうような実態にあって、可能か可能でないかということは十分御相談、御議論をさせていただきたいというふうに思っております。
  65. 郡司彰

    ○郡司彰君 続きまして、先ほど大臣から御答弁をいただきました逆な立場での観点でありますけれども、例えば今回のように沿岸漁場の中の養殖の部分でもって漁場改善して今後とも適正な数量をやっていこう、結果として海も汚れないような形でもって持続的にやっていこう、海の段階でのところをきちんとやっていこうということで今この法案の審議をされていると思います。  しかし、実は海は海だけで存在しているわけではなくして、例えば今問題になっておりますダイオキシンというようなものが魚に影響を与えたということが出てくるかもしれない。あるいは森の問題が海に影響しているというふうな問題も出てくるかもしれない。家庭雑排水も含めてでありますけれども、そのような陸上に起因する原因というものも必ず海の中に出てくるわけであります。  今回のことはこれとしてきちんとやっていくという姿勢水産庁も含めて持っているわけでありますけれども、それ以外の省庁の関係でいいますと、環境庁とか運輸省とか建設省とか、あるいは厚生省にかかわるようなところ、この辺との連携の中で海の問題を考えていかなければ、海のところだけではかなりかわいそうだというふうな部分も出てくるはずであります。  その辺のところについて、きょうはそれぞれの省庁を呼んでいるということではございませんので、大臣の方でそのような省庁の枠を取り払ってもこういう考え方できちんとやっていこう、漁業者をそういう意味での負担から守っていこう、その辺のところのお考えがあればお聞きをしたいと思います。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、先生指摘のように、最終的に水あるいは土砂が海まで行くわけでございまして、そういう意味で陸上起因のいわゆる環境負荷を与えるものについても重要な問題だと考えております。特に、養殖漁場悪化の一因としまして、工場排水、家庭雑排水等の環境負荷が考えられます。  しかし、現在、御審議いただいているこの法律案は、持続的な養殖生産を将来にわたり確保するという水産行政上の観点から、養殖に伴う残餌等による負荷も漁場悪化の一因として否定できないというふうに着目をして、養殖業者漁協等による漁場改善のための取り組みを促進しようとするものでございます。  また、養殖漁場を含めた広範囲の水域全般の水質汚濁問題につきましては、環境基本法や水質汚濁防止法等により工場からの排出規制、総量規制等が行われるとともに、下水道やいわゆる農村部の集落排水等の整備を進めているところでございます。  これら陸上からの負荷と養殖漁場改善の両方が相まって、養殖漁場環境改善が一層図られるようにこれからも努めてまいらなければならないというふうに考えております。
  67. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣のお考えについては私どももよく理解のできるような形でお考えをいただいていると思うんですけれども、どうも一般的に見ますと、海の問題は海の問題、陸の問題は起こったときにそこで考えようというような形でもって、一般的に国民の間には縦割りというような感じでもってとられやすいということがございますので、そこのところは大臣のいろんなところでの活躍の中で十分に生かしていただければと思っております。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  先ほど森下委員の方から鯨についてお話がございまして、私の方はその二番手で、マグロの関係でお聞きをしたいと思います。  私はきのうもマグロを食べまして、今、食べる機会が多くなって、非常に流通量がふえております。その中で、報道によりますと、依然として便宜置籍船とか便宜船籍の問題が取りざたをされておりますけれども、現在、便宜置籍船の関係についてはどのようになっておりまして、どのようなお考えをお持ちになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  68. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 便宜置籍船の問題につきましては、特に今マグロについての御指摘でございますけれども、国際漁業管理機関の非加盟国に船籍を移して操業する、それによって資源保存管理措置効果を阻害している国々があるということが国際的に懸念をされております。しかも、その隻数が相当数に達しておるという現状でございます。  我が国は、関係国と協力をいたしましてその抑止に努めておりまして、大西洋クロマグロにつきましてはICCAT、大西洋まぐろ類保存委員会の勧告に従いまして、いわゆる非加盟国のベリーズ、ホンジュラス、それからつい最近まで入っていなかったパナマからのマグロの輸入を、まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法に基づきまして禁止をしております。  また、便宜置籍船の実質的なオーナーの大多数を占めております台湾とは昨年来数度にわたりまして協議を重ね、台湾もこの問題については理解というか認識をしておるところでございまして、日台のマグロ業界が協力して便宜置籍船対策をとっていくよう努力をしているところでございます。  我が国は世界最大のマグロ生産国、消費国であり、またそれがゆえの責任も重いわけでございますので、今後とも便宜置籍船の操業実態の調査を強化し、ICCATそれからFAO等の関係国際機関に対し情報提供を行って、この便宜置籍船対策を積極的に推し進めるように働きかけていきたいと考えております。
  69. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、大臣の方からありましたように、国内の漁業者はICCATの勧告等に基づいて大変な努力をして数量を制限してきているわけです。しかしながら、ほかのところが、台湾という名前が出ましたけれども、船籍を移しながらそういうところでとってくる。結果としては、台湾のマグロの需要というものはほとんどないわけでありますから、ほとんどが日本のところに入ってきているわけです。  これについては、そういう勧告の問題とは別に、経済行為として輸入をすることに関して国がどうこう言えないというのは農産物の関係でも大臣の方からも答弁がありました。しかし、大臣の答弁の中で、しかしながら国内の農業やあるいはそういうものが衰退をする原因を日本の企業がつくっていいのかというふうなことで懸念を持っている、そのようなお話があったわけであります。  この問題については、やはり農産物と同様に契約栽培のようなもの、開発輸入のようなもの、このようなものがそれぞれ母国日本の、農業も含めてでありますけれども漁業についても衰退の道をたどるような道をつくっているということは私どもは常に言っていかなければならない。そういうような意味で、この置籍船の対策についてはより以上に厳しく当たっていただきたいという思いでございます。  それから、先ほど大臣の話の中で沿振法の話が出されまして、その中で、今いろんな手当てをしていますと。三十八年にできたものでありますから相当程度年月がたっているわけでありまして、関係者の中からは漁業基本法といったものが望まれているという声も聞かれておりますし、現実に昨年十二月にも総決起大会の中で決議をされた。そういうことでありますから、大臣も御存じでありましょうし、水産基本政策検討会の中でも十分に検討がされているかと思っております。  現段階でその検討の内容がどのようになっておられるか、そしてまた大臣のお考えがどのようなところにあるかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、検討会では、先ほどお話をしたので先生もお聞きになっていらっしゃると思いますので、重複を避けながらお話をしたいと思います。  検討会では平成九年九月からやっておるわけでございまして、その中で、水産業の将来のビジョンと水産政策のあり方というものの中間取りまとめが昨年十月に出ております。  この中で、いわゆる基本法の制定を念頭に置きつつ、新たな海洋秩序のもとでの水産制度のあり方を個別具体的に検討していくこととしたいということを踏まえて基本法というものをつくっていく方向で、これからまたこの検討会の結論をお待ちしたいというふうに私自身は考えております。  それから、沿岸漁業振興法の見直しが二年目に入っておるわけでございまして、率直に申し上げて農業の方の基本問題調査会、あれはたしか一年半ぐらい、集中的にではありますけれども、それで去年の九月十七日に取りまとめが出たわけでございます。中間報告がたしか去年の四月だったと思いますから、そういう意味でこの水産基本政策検討会は随分長く熱心に御議論いただいているなというふうに私は思っておるわけでございます。  そういう意味で、この夏ごろをめどに最終的な取りまとめをしていただいて、それを踏まえて基本法の制定も含んだ形で、また水産の個別制度の見直しもこの議論と並行した形で一定の方向を出していきたいというふうに思っております。時間的にかなり長い間御議論をいただいて、そろそろ大詰めの時期に来ているのではないかというふうに考えております。
  71. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、漁船損害等補償法関係についてお尋ねをします。  プレジャーボートの管理関係についてのみお尋ねをしたいと思いますが、国の係留保管についての現行対策、運輸省、建設省、水産庁というそれぞれのところで連絡会議をつくっていらっしゃる。しかしながら、その取り組みの方法については差異があるはずでございますので、時間の関係上、恐縮でございますが、簡潔にそれぞれお述べいただきたいと思います。
  72. 川島毅

    説明員(川島毅君) 運輸省としましては、プレジャーボートの隻数の増大に対応し、かつ港湾の適正な利用を図るということで、公共マリーナ、第三セクターのマリーナ、また民間マリーナ、これらの整備を支援することによりましてプレジャーボートの係留保管場所の確保に努めてきたところでございます。  さらに、近年、放置艇が社会的な問題となっております。こういうことを受けまして、放置艇の大部分を占めております小型プレジャーボートの保管場所を早急に整備しようということで、運河や水路など既存の静穏な水域を活用した簡易な係留施設を整備するボートパーク整備事業、これを平成九年度に創設いたしまして放置艇対策を進めているところでございます。
  73. 吉井一弥

    説明員(吉井一弥君) プレジャーボートに関しましては河川区域内にも多数の不法係留船がございまして、洪水の際の流下の阻害でございますとか河川管理施設の損傷あるいは近隣への騒音の発生等、さまざまな面で河川管理上も大きな支障となっているところでございます。  このような状況に対処するため、建設省におきましては、河川におけるマリーナを整備いたしますとともに、不法係留船の撤去を推進するために平成七年度及び九年度に河川法を改正いたしまして簡易代執行制度の創設、充実を図っているところでございます。  また、昨年二月には計画的な不法係留船対策を促進するため通達を発しまして、各地域ごとに河川管理者、地方公共団体等から成ります協議会を設けまして、各河川ごとに重点的に撤去する区域、それと暫定的に係留を認める区域というものを設定し、不法係留船対策計画的、段階的に推進するように通知したところでございまして、これに基づきまして各河川で順次区域の設定等が行われ始めているところでございます。
  74. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁港におきましても漁港を利用するプレジャーボートの隻数が年々増加をしておりまして、プレジャーボート利用者と漁業者の間で無断係留の問題、ごみの投棄等、そういう問題に起因したトラブルがいろいろ発生しているという状況がございます。  こういったトラブルをできる限り防止して漁港における円滑な漁業生産活動を維持していく、また同時にプレジャーボートの漁港利用の適正化を図っていくということで、平成九年にプレジャーボートの漁港利用に関しまして通達を漁港管理者へ発しまして、原則として漁港においても区域を分けて、漁船と区分してプレジャーボートの利用を認める、ただ、もちろん秩序正しくという意味で漁港管理者の許可に係らしめる形でその利用調整を図っていくというような形の指導を行ったところでございます。  こういった指導と同時に、既存漁港施設等の有効利用あるいは漁港利用調整事業などによりまして漁港における漁船とプレジャーボートの利用調整に今後も努めていきたいというふうに思っております。
  75. 郡司彰

    ○郡司彰君 そのようなそれぞれの対策を立てていただいているわけでありますけれども、現場のそれぞれの方の話をお聞きしますと、保管場所の確保という関係で、例えば建設省の方で車の車庫証明と同じような形でもって所有者の判明がきちんとできるようなことについて提案をいただいておりますけれども水産庁の方は積極的な支持というふうに聞いております。運輸省については、いろいろと問題があるのではないかというようなことだそうでありますけれども、運輸省の方の考え方で何が問題なのかということ。  それから、実際には所有者が不明だということに伴いまして、ここで想定をされます漁船との衝突、あるいはそういう事故ではなくて、例えば風の関係あるいは波の関係その他の関係でもって船が沈んでしまう、そういうような事例も出てきているというふうに聞いております。  そのようなときに、今のところだれの責任だということになっても所有者がわからない、そういうような中で漁協の方々がみずから費用も出しながら引き揚げを結果としてはしている、そういうような事例がふえてきているようでありますので、この辺のことも考え合わせて所有者がきちんとはっきりわかるような形にする。そのためには、先ほど言ったような車庫証明的なものでもって自己責任をきちんとさせる。  しかしながら、現実問題として、私の友達でも相当持っている者がおりますけれども、実際には一人で買うというよりは五、六人のグループで買ってやる。しかし、そういうことになると代表者だけに責任が行くような形というふうな議論も使っている者同士ではいろいろあるようでありますけれども、これはまた別な問題でありまして、そういうような形でもって結果として漁協の方々に迷惑をかけているという実態があるわけでありますけれども最後に運輸省の方の考え方をお聞きして、終わりにしたいと思います。
  76. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) お答えを申し上げます。  先生指摘の放置艇あるいは沈廃船の問題というのは、社会的に今大変大きな問題になっております。そして、これを解決する一つの方法論として、所有者を明確にするということもまた大きな課題になっております。しかるに、御承知のとおり、総トン数五トン未満のプレジャーボートについてはその所有者を公証する制度がございません。  したがいまして、現在のところどうやって対応しているかということでございますが、まず一つは、運輸省において平成五年の二月からでございますが、日本小型船舶検査機構、これはプレジャーボートの安全検査を国にかわって行っております民営化された法人でありますが、この検査の際に得られました所有者に関する情報を自治体等の問い合わせに応じて提供をいたしております。統計的に見ますと、年間約二万隻程度の船舶について情報開示をいたしておりまして、相応の成果が上がっているものと認識しております。  それからもう一つは、本年の七月から新たに実施することにいたしておりますが、舟艇製造事業者の団体を通じまして、舟艇事業者が製造しますすべてのプレジャーボートにつきまして船体に識別用の番号を表示することにいたしております。これは御説明をはしょらせていただきますが、国際的なISOの規定をそのまま国内に準用してJISの規定として実施するものでございます。この制度を活用することにより、プレジャーボートの管理円滑化にも有効にこれが活用できるのではないかと考えているところでございます。  最後に、先生指摘の、所有者を把握する制度全国画一的な導入の問題についてでございますが、放置艇の問題等に関しましては統計的に見ましてもその深刻度にかなり地域格差がございます。現在、条例等で既に届け出制度を実施している都府県も五つばかりございます。したがいまして、こうした自治体固有の取り組みをにらみながら全国画一的な制度の必要性について引き続き検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  77. 郡司彰

    ○郡司彰君 終わります。
  78. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  まず、漁船損害等補償法案について伺います。  漁船保険組合の経営状況について、この数年、構造的な赤字体質になっているというふうに思われますが、まず考えなければならないのは、保険の加入隻数をふやすことがやっぱり大事ではないかと思っているわけであります。漁業従事者数がそのまま減ってきているというか減少傾向にある中で加入隻数をふやすというのは大変なことではありますけれども、衝突事故の増加を考えますと、無保険で事故に遭った場合には大変甚大な損害になるわけであります。  だから、保険組合そのものの経営安定のためにも加入隻数を増加させていく、お聞きしましたら九十数%も加入しているということでありますけれども、残された数%でもさらに増加させていくという対策が必要ではないかと思っているわけでありますが、その方策について伺いたいんです。
  79. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 現状はただいま先生指摘のとおりでございます。漁船保険制度が将来にわたって安定的に運営されていくというためには、大きな母数というか一定以上の加入の確保ということを実現していくことが必要不可欠である、御指摘のとおりであります。  ただ、これもまた先生指摘のとおりでありますが、現在、漁船保険に入っております漁船の数というのは、その母数になる、実際に稼働しております漁船の数、これは実は登録だけはあるけれども動いていないという船が実際には随分ございますのでなかなかつかみにくいわけでございますが、九五%から一〇〇%の間という極めて高い加入率をこの種の保険として誇っているわけでございまして、そういう意味では残された余地は大変少ないというのが実態でございます。  ただ、先生指摘のとおり、たとえ少しでも残されていれば努力をするというのは必要なことでございまして、現在におきましても漁業者の意識啓発なり未加入船の保険加入の拡大に向けまして、漁業者、保険団体への指導、制度の普及定着ということに向けての努力は引き続き続けていきたいというふうに思います。
  80. 風間昶

    ○風間昶君 その際、現在の漁船保険というのは任意加入になっていますが、漁業者は、強制的という言葉がいいかどうかわからぬけれども、自発的にほとんど入っているということでありますから、ある程度、強制加入を取り入れてもいいのではないかというふうに思ったんですけれども、それは漁業者みずからがやっていらっしゃるということでお聞きしました。  そこで、今話題になりましたプレジャーボート、これは運輸省にも聞けばよかったのかもしれませんが、とりあえず私は保険のことに関して、プレジャーボートについても漁船と衝突したときのための責任保険、つまり自賠責保険みたいなものですが、そういう保険をプレジャーボートを買う人たちに強制的に付与するという考え方水産庁としてはお持ちですか。
  81. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 被害を受けている漁船の立場に立ちますと、先生からのただいまのような御指摘というか御提起は大変ありがたいというか力強い気持ちは持つわけでありますが、率直に申しまして、全船に対して加入を強制すると大変強い負担感を相手に与えるというふうに思います。今、自己責任の時代というふうなこともありますし、強制保険を実施することが無理なく皆さんに納得していただける必要性、そういう社会的要請というのは今なかなか機がそこまでは熟していないのではないか、内部の者がそういうふうに言ってしまっては、せっかくそういう御提案を受けながら何だとおしかりを受けそうでありますが、私ども内部で議論した限りではやはりいま一つそこまでの熟度はないのではないかというのが率直な私どもの感じでございます。  それから、これはちょっと技術的な話というかあれなんでございますけれども先ほど先生がおっしゃいましたように、漁船保険自体は決して現在、強制保険ではなくて、加入するか否かは自主的判断にゆだねられている。ただ、実際にはいろいろ制度的な加入区の制度等を活用しまして一〇〇%に近い加入が実現しているわけでございますが、基本はやはり任意加入であります。そういうことをやっている保険事業主体が外の人間に対して加入を強制するということも制度のバランス上なかなかこれは説明が難しいのではないか。  こういうふうなことから実は、気持ちは大変ありがたいわけでございますし、私どももそういう気持ちは潜在的に持っているわけでありますが、現実に今そういうことをやるのかということになると大変困難だというのが率直な答えになるわけでございます。
  82. 風間昶

    ○風間昶君 一方で、今度は保険料の未払いというか未納もあるわけで、これは国民健康保険と同じ部分があるんですけれども、保険契約の成立が要物契約から諾成契約に変更された原因は、要するに未納による不払いが何例かあったのではないかと私は思うんですが、そこのところを教えてください。  それからもう一点は、保険料未払いでも事故の保険金を受け取ることができると思われますけれども、根本的には保険料の滞納についてはどう対応していくのかということが大事な問題だと思いますので、この二点について伺います。
  83. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 私はただいまの御質問をちょっと意外な感じで受けたわけでございますが、私の知る限りにおきまして、現行の漁船保険制度について保険料の未納による不払い、滞納というふうなことはほとんどないか、あるいは問題になるような数字には達していないか、いずれにしても制度の運営を揺るがすような事態にはこの未納の問題は全くなっていないというのが現状であります。  それは、先生お話しのとおり、現在の法律では保険契約の成立を要物契約ということにしておりますので、保険料を払わなければ保険契約が成立していないということでございますので、もし、いいよ、入るよと言って、しかしお金を払わなければいつまでたっても口約束は口約束のままということでございますので、決して不払い、未納ということは起きないわけでございます。  ただ、問題は、もし起きるとすれば分割払いというのが一部認められるということがございますので、第一回目だけは払ったけれども二回目以降は払わなかった、そういうことが可能性としてはございますが、これについても若干聞いてみましたけれども、そのような例はほとんど発生していないということでございました。  そこは、今回、要物契約から諾成契約に変更することも、決して組合が困ったということではなくて、後ほど御質問があるのであれば先取るようで恐縮でございますが、阪神・淡路大震災の際に、あの大変な混乱の中でちょうど保険料を払わなきゃいかぬ期間が来た人が保険料を払えませんので、そうすると同時に自動的に契約できなかった。契約できないのはまた後で契約すればいいということなのかもしれませんが、一年ごとの契約でやっているわけですけれども、例えば五年間無事故だと保険料が安くなる、そういうような制度があるわけですが、それが途中で切れたことでいかんともしがたいということで、その法律では無理だということで切れてしまったわけです。そういうことが起きた不合理を何とか是正するために、契約でもって効力発生という道をつくっておいた方がいいのではないかということで今回、改正をするということでございまして、保険料の未納、不払いということは基本的には本制度に関しては大きな問題になっていないというのが私ども認識でございます。
  84. 風間昶

    ○風間昶君 この保険料は三年ごとに料率を改定することになっていますね。お聞きしますと、ちょうどことしの秋にまた改定するということになるわけでありますけれども、これは事故があったデータで上げる、上げないというふうに決めると思いますが、ことしの秋の保険料率について、平成八年から一年半ぐらいしかまだたっていませんから、その出たデータでどういうふうにしていくのか、そのことについて、若干見通し的なことになるかもしれませんけれども、伺いたいと思います。
  85. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 端的な話として申し上げますと、今回の漁船保険の普通保険の料率の見直しにおきましては、これはまだ最終的に決定しているということではございませんが、現在の状況では約六%の料率引き上げになるというふうに私ども考えております。  これは実は経緯がございまして、この漁船保険の普通保険の料率につきましては、昭和五十年代以降、平成七年まで一貫して据え置きか引き下げということを実施してまいりました。これは、実際に保険事故が少なくて保険金の支払いをしてもなお剰余金が出てくる、そういうことで保険の設計どおりに計算をして引き下げを実現してきたわけでございます。  平成五年においても計算いたしまして、また据え置きにしたわけでありますが、平成七年まで三年間やってみまして、実はこれまでにたまっていた相当の剰余金というか、それが支払われることになった。たくさんたまっていたので、要するに利用者に還元をするという観点で料率を引き下げて、単年度でいえば、事故の発生率からいえば当然赤字になってしまう、しかしかなりたくさんの剰余金を持っておりますのでそれを皆さんに返すという意味で、無理してと言うとおかしいですが、実際に起きる事故よりも低い料率を設定して、言葉では赤字設計と言っておりますが、それをして剰余金を吐き出してきたわけであります。そういうことを続けてきて、平成八年からはこれ以上そういうことを続けていると本当の赤字になってしまうということで、若干の引き上げを平成八年にいたしました。  その後も実は剰余金は流出が続いております。まだ結果として赤字設計であったと。そういうことで、かなり減ってきておるということでございまして、今回の見直しにおきましては、制度が改正されるということを含めまして、従来の赤字設計はやめて、単年度ベースで通常の設計というか収支とんとんベースになる、そういうことで計算をいたしまして六%の引き上げになるということでございまして、確かにこの年でいえば六%の引き上げでありますが、過去からの経過でいけば長い引き下げの後に調整的な引き上げが二回ある、そんなふうな経過をたどったということでございます。
  86. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、そのことによって漁業者に与える影響というのはないと考えていいんですか。
  87. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) それは必ずしもそういうことではございません。現実には保険料が引き上げになるということは、それまでの前三年間に比べれば同じ保険価額であれば負担額がふえるということになるわけであります。  そこで、今回の料率改定に当たりましては、一つは、今申しましたのは普通保険、船体保険の料率の話でございますが、ほとんどの方が入っておられます漁船船主責任保険、これについては料率を引き下げる。全部が入っているというわけではございませんが、漁船乗組員船主保険の料率についても、これはたまたま自然体で計算して下がるということでございますので、それはそのとおり下げたいということがまず一点。  それから、今言った六%上げるとかというのは基本保険料でございまして、保険料というのは、過去の保険事故の発生実態に応じまして割り増しとか割引制度というものを導入して優良な方にはできるだけ少ない負担でやっていただく、そういうふうな制度があるわけでございますが、今回の制度改正を機に、この保険料の割り増し、割引制度を大幅に改善いたしましてきめ細かい対応をするということで、多分、優良漁業者に関しましてはかなり保険料が引き下げられるということも出てくるのではないかというふうに思っております。  こういうことを組み合わせ、いろいろ細部にわたって手を尽くすというか、そういうことによりまして漁民の負担ということについてもできる限りその負担感の軽減を図りながら理解を得ていきたい、そういうふうに思っております。
  88. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。再保険料についても同じことだと思いますので。  それで、再保険そのものについてですけれども、今回、国から中央会に移管された部分が多いわけでありますが、いずれにしても五十一ある保険組合、実際には中央会の経営財政基盤を確固たるものにしなければどうにもならないわけでありますから、そういう意味で中央会の財政運営安定のために農水省としてどういう指導監督をするのかということが極めて大事だと思うんですけれども、眠たそうな大臣にぜひ聞いてみたいと思います。
  89. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 失礼しました。  今回は、先生指摘のとおり、国から中央会へ再保険主体を移して、そしてその中央会が再保険主体になるわけですけれども、国が再々保険を中央会に対して行います。中央会ももちろん一定の範囲内での保険責任に限定をいたします。  したがいまして、中央会が再保険主体としてスタートするに当たりましては、再保険準備金として約十三億円を国から交付して、中央会の再保険の収支の安定を図るということにいたしております。
  90. 風間昶

    ○風間昶君 再保険の準備金というか、そんな形で持っていくということなんですけれども、そもそもスケールメリットを考えれば五十一もの保険組合というのは僕は多過ぎると思っているんです。したがって、統合一元化を図っていくということは一挙には無理にしても、これはぜひやっていかねばならない問題だと思います。  このことについて、大臣としての決意が伺えればありがたいと思います。
  91. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 結論的に申し上げれば、そういう方向でやっていきたいというふうに考えております。  漁業者の経営の安定にも資することになりますし、漁船保険事業そのものが、一元化することによりまして規模の拡大それから手元の資金の拡大によりまして、より大きな、そしてまた柔軟な保険主体になるということでございます。ただ、現状では五十一のそれぞれの主体にいろいろなばらつきがございますので、それらを段階的に条件を同じようにして、最終的には統合した形にして国が再保険をするという方向にしていくスタートにしていきたいというふうに考えております。
  92. 風間昶

    ○風間昶君 先ほど郡司委員からもお話が出ましたが、もう一回、プレジャーボートのことも含めてなんですが、車の自賠責保険では再保険制度は潤沢といいましょうか、良好に機能しているわけでありますけれども、そういう意味では保険料を引き下げるべきだという声も強くなってきているわけです。  運輸省では、自動車事故によって植物状態になったりした場合には、交通安全啓発事業だけじゃなくて、運輸省で病院を持っているんですよ、全国に四カ所ぐらい。これは何といいましょうか、交通事故によって本当に植物状態になった患者さんの医療とケアをやっているんです。  漁船保険についても、数は少ないにしても恐らく漁船の事故によっていわゆる植物状態になっている方もいらっしゃるはずなんですね、僕はデータを持っていませんけれども。そうしますと、将来的に万一そういう事故が起こった場合に、社会還元も含めて漁船保険での資金の利用、資産の利用を考えていくべきだと私は思うんです。  検討されてもいないと思うんです、初めての話でしょうから。海にまでそんなことをやるのかというふうに思うかもしれませんけれども、提案として受けとめていただいても結構ですが、その辺について検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  93. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁船事故に関して、確かにそういう重いハンディキャップを負うという方々の治療ということについていろいろの手を尽くさなければならないということ自体はよく理解できるわけであります。  ただ、自動車事故と漁船事故は、御承知のとおりでございますが、基本的に規模が違います。それと、自動車の場合には物に衝突する、自動車同士がぶつかる、人をはねる、そういうふうなことが事故の原因でありますが、漁船の場合には海難と申しましょうか、相手がいないというか、天災地変によって船が転覆、あるいはそういうことが事故につながるということが基本的に多いわけでありまして、そういう差もございます。  それと、何よりも、率直に申しまして、そういう事故発生の際の、例えば保険制度の原資になるような準備金の規模に天と地ほどの開きがあるわけでございまして、先生からの貴重な御提言ということで私ども受けとめさせていただきます。  率直に言って、自動車対策の場合の自賠責の特別会計からの出資金なりそういうものを活用してやっていくというような形で財源を考えるということは私どもの場合は不可能でございますので、どういうふうなことが考え得るのか、少し勉強させていただきたいと思います。
  94. 風間昶

    ○風間昶君 プレジャーボートの話に移らせていただきますが、要するにプレジャーボートによる漁業被害というのは、沿岸だけじゃなくて内水面でも当然起こってくる話だと私は思うんです。  内水面の漁業に関していえば、保険制度のようなものが私は完備されているとは思われないわけでありまして、もし内水面の漁業者が民間の設備保険に加入するような場合に、漁組を通して何らかの補助を講じる必要が私はあると思うんですけれども、そこについてお考えを伺いたいと思います。
  95. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) これも先生御承知のとおりでございますが、漁船保険制度は、漁船であれば総トン数が千トン未満であれば無制限に基本的に加入できる、こういうことでございまして、内水面漁業に従事する漁船基本的な制度の枠組みとしては当然対象になり得るということでございます。  先生からお話がございましたので、早速、北海道の例を調べてみましたら、北海道では阿寒湖とサロマ湖では内水面、大臣からはサロマ湖は内水面かというふうに御指摘を受けましたが、そこでは内水面漁業に従事する漁船も加入をしているというふうな状況が現にあるということでございます。
  96. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、持続的養殖生産確保法案に移りますが、その前に、先ほども水産政策として大臣の方からは、ことしの夏までに水産基本法をつくるべく今、検討会でやられている、その答申を待っているということでありました。  私は、今回の法案とは別に、今、衆議院で審議されている食料・農業・農村基本法、いわゆる新たな基本法の中に、日本の食生活の中で大事なエネルギー源となっている魚の視点が本当に抜けているんじゃないかという気がしてならないんです。だから、水産基本法なるものを制定することにならざるを得ないのではないかというふうに私は思うわけです。最初に「食料」というふうに来ている新たな基本法ですから、そこに魚に対する視点をもっと私は入れるべきだと思うんです。それは水産基本法いいですよ、つくってください、また議論をしなきゃならないけれども。  だから、新たな基本法の方にもっと、農業者だけじゃなくて、農業は途中の段階ですから、川上には林業の問題があり、そして一番最後に海の問題、水産の問題が入ってくるわけですから。  一次産業として、日本の食をどう守るか、日本の国民の生命、生存をどう守るかという観点からいくと、新たな基本法の中にもっと魚という視点を取り入れるべきだと私は思いますが、ここについて大臣のお考えがあれば。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 実は、本日から衆議院の農水委員会で新しい基本法の議論が始まっておりまして、法律案の名前も食料・農業・農村基本法ということでございます。  確かに、ともすればといいましょうか、圧倒的に農業関係の議論が多いわけでございますけれども、食料といえば、先生指摘のように、林産物、特用林産もあれば海産もあり、しかも特に海産の方は動物性たんぱくの四割を占めるわけでございますから、食料という視点の中には当然、海産物も入ってくるわけであります。自給率四一%の中には当然、水産も入ってきておるわけでございますから、それを踏まえた議論が本日も既に多くやられておるわけでございます。  さらには、先生も今御指摘になられましたように、これは農、林、水もはや一体の議論として、していかなければならないわけでございまして、例えば国土の多面的な機能といえば、海だけでもできませんし、もちろん平地だけでもできませんし、山とも一体となってやらなければいけませんし、それからWTO等で我が国が主張しようとしておる中には、農業だけではなくて林業についても、あるいは水産の面についても、持続可能な水産業あるいは農業あるいは林産というものを我が国はこれから主張しようとしておるわけでございます。  そして、その多面的な機能の中には、例えば子供に対する教育的な側面といえば、自然に親しむといえば山もあれば海もあれば畑や田んぼもあるという意味で、まさに今新しい基本法で議論しようとしている柱は、多面的機能にしても持続性にしても、あるいは日本型食生活といえばやはり御飯とみそ汁とお魚とあと何々、こういう感じになるわけでございますから、そういう意味で、まさに基本法の議論はまだスタートしたばかり、二時間半ほどの議論でございますけれども、そこでのポイントもそこに集中しているわけでございまして、まさしくそこには水の部分も林の部分も当然のこととして入ってきておるわけでございます。  もちろん、水を取り上げてとか林を取り上げてというところまで本日のところは行っておりませんけれども、当然、私自身も、また委員会での御議論も、今後、農、林、水一体としての食料のあり方あるいは多面的機能あるいは今後のWTO交渉に向かっての御議論というものも本格的になってくるわけでございますけれども、一体のものとして私も認識しておりますし、委員の皆さんもそういうお考えではないかというふうに考えております。
  98. 風間昶

    ○風間昶君 これから衆議院の議論、そしてまたこちらに移ってからの議論にもなると思いますので、そのぐらいにとどめておきます。  今回の持続的養殖生産確保法案で、大臣基本方針を策定するということになっています。本当に大臣一人でやれるかどうかわからぬけれども、要するに魚種、海域養殖の密度などいろんな因子があって、それを適度に、適切に勘案していくことが必要でありますけれども、では具体的に大臣が定める基本方針、どういう手順で策定されていくのかということが、そのさわりでもわかればありがたいなと思いますが、大臣、どうですか。
  99. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) この法律によって大臣が定める基本方針ということにつきましては、私ども水産庁大臣を補佐する機関として、原案の作成を含めて大臣の御指示を受けながら作成作業に取り組むということでございますので、ちょっと私の方から今の作業手順ということについてお話を申し上げたいと思います。  特に、今回、基本方針の中では漁場改善目標ということが一つ大きな問題というかポイントでございます。この改善目標等につきましては、既に学識経験者とか関係業界が参加して全漁連主催による養殖漁場改善推進委員会というものが一定の報告を出しております。また、私どもが主催した魚類防疫制度に関する有識者の検討会の報告にもある程度のことが触れられております。  こういったことを参考といたしまして、私どもの方でまず基本的な原案を作成した上で、都道府県それから関係団体、業界、こういうところにそういうものを投げかけて議論をしながら具体案を煮詰めていく、こういうことが今後の作業になるのではないかというふうに考えております。  大きな節目としては、先ほどもございましたが、沿岸漁業等振興審議会の意見を適切な段階でお聞きいたしまして、関係各方面の意向を反映した形で大臣の定める基本方針という形で策定をしたいというふうに考えております。
  100. 風間昶

    ○風間昶君 補佐、大臣を補佐する立場、本当にそうあってほしいなと思います。  それで、漁場改善計画の策定に当たりまして、改善度合いをはかる指標としてはどういうものが想定されるのか。例えば、海水の水質検査を実施した場合に含まれる物質の総体的な分量などを検査していくといった技術的な問題もあると思いますが、またその数値目標も定めるのか、これが一つ。  それから、都道府県知事漁場改善計画の作成の勧告についてやるということになりますが、勧告そのものは府県によって最低のルールがないと府県間の格差が出てくるおそれがある。これが二点目。  それから、養殖養殖と言って養殖業で、皮肉な言い方をすれば、養殖に余り力を入れ過ぎていると本来の水産資源としてある魚の方の漁獲を制限することになりはしないのか。言っている意味はわかりますか。  養殖法案だから一生懸命養殖にずっと目を向けているけれども、本当はもっと多いのは天然物を含めた沿岸漁業生産量でしょう。その水産資源を守らなきゃならないという観点で養殖法案があるけれども水産資源を守らなきゃならないという観点でいうと、今ある自然の魚種について漁獲制限をかけていくということも一方では含まれてくる話だから、そこのところのバランスをどうとるかという、この三点について聞きたいと思います。時間がないから、大臣が来る前に早くしゃべってよ。
  101. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 第一点目でございますが、具体的な改善目標というのは、例えば水質という項目でございますと、当該漁場における溶存酸素量というものを指標にしたいというふうに思っております。  これは、具体的に海水一リットル当たり何ミリリットルの溶存酸素量があるかということが具体的な基準になるわけでありまして、その基準に向けて毎年モニタリングしてどういう水準に改善されてきているかということを調べていく、そういう形で改善が進んだかどうかを確認していく、こういうことになろうかと思います。  そのほか、底質飼育生物について、それぞれ性格は違いますが、そういう数字を掲げ、実際の漁場においてどういう実態にあるかということでモニタリングをしていくというふうに考えるわけであります。  それから二番目の、勧告あるいは公表ということに県間の格差が生じてはおかしいのではないか。これについては、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、私どももそのとおりだと思っております。特に、公表ということまで進めば大変大きなダメージを養殖漁業者あるいは漁協に与える話でございます。もちろん、各地域での実情ということはあるにせよ、余り大きなぶれが各県間で生じないように、どういう場合にこういうことを発動するのかということについてのガイドラインのようなものを私どもが策定して、各都道府県にお示しをしたい。それによって余り大きな格差が生じないようにしたいというふうに考えます。  それから三点目は、くしくもというか、私どもも実際にはそういうことが起き得るのではないかというふうに思います。もちろん、養殖自体についても大変こういう状況でございますから、このとおり漁場改善に取り組むということは、一時的には生産量を若干低めることになる、養殖の分野でもそういうことがあろうかと思います。  一方、養殖以外の漁船漁業の分野におきましては、我が国沿岸水域での資源状況は、もちろん物によって差はございますけれども、総じて低位水準にございます。ある程度漁獲を制限して資源の回復を図らなければいけないのではないか、こういう議論を真剣に行わなければならない時期に来ております。  ただ、いずれにしても、養殖にしてもあるいは漁船漁業にいたしましても、先ほど大臣お話し申し上げましたように、資源の持続的利用をいかに実現するかということが何よりもキーポイントでありまして、もし漁獲制限が必要ならばそういうこともしなければならない、そういうふうな気持ちで対処していきたいというふうに思っております。
  102. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  103. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子です。  私は、まず漁船保険についてお尋ねをします。  今回の改正は、再保険主体を国から漁船保険中央会へ変更すると。そこで、まず保険金の支払いについてお伺いしたいと思うんですが、国は中央会の責任保険金額を超える部分については支払うということになるわけですが、責任保険金額は中央会の保有する純保険料にどの程度係数を掛けるのか、つまり何倍にするのか。それは政府が決めることですから、その係数を教えていただきたい。
  104. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 今回、再保険自体を中央会に移管するに当たりまして中央会の持つ責任範囲ということ、ただいまのお話でいいますと、保有純再保険料の何倍かということにつきましては、普通保険につきましては一・〇五倍、そこまでを責任とする、それからもう一つの積み荷保険に関しましては一・二〇倍、ここまでを中央会の責任範囲とし、それを超える部分は国の再々保険に回す、こういう考え方で対処していきたいと思っております。
  105. 須藤美也子

    須藤美也子君 これまで国が直接、漁船保険組合の再保険をやってきたわけですけれども平成十年度の単年度の決算を見ますと、再保険料、入ってくる保険料は百三十五億四千九百三十七万四千円、そして支払う保険金が二百四十九億二千三百五十九万四千円と、保険料と保険金に相当な差があるわけです。  そういう中で、今度、中央会が再保険主体になるわけです。仮に、保有保険料が二百億円あって一・〇五倍を掛けると二百十億円になるわけですね。あるいは一・二五倍というふうになるともっとふえるかもしれませんけれども、支払いが上回れば十億、二十億の赤字はふえてくる。そういう点で予算措置で、この間お尋ねしたんですが、今回十三億円を十一年度で交付しているわけですけれども、十三億円の交付では単純に見れば間に合わない。こういう点で、一年もすればこの中央会の保険事業というのはもたなくなってしまうのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。  そこで、中央会の経営、運営、それが先ほど漁業者の保険料につながるのではないかというお話もありましたが、保険料に上乗せにならないように漁船保険中央会の経営、運営、これについてどのように考えておられるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  106. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 中央会が行います再保険、御指摘のとおり、中央会は例えば保有純再保険料を二百億持っているとすれば、保険事故がふえて二百十億になるまでは支払いをしなければならない、しかし二百十億を超えてさらに支払いが起きるということがあれば、あとは全部、国が責任を持つということで、単年度収支でいえば一番最悪の事態が来たときでも十億の負担ということで済むわけであります。  ただ、保険設計は、御承知のとおり、十年間程度の期間を見て、その間に起こり得る災害というものの、もちろん年によって変動があるわけでございますが、過去の変動例を見て、そもそもその一・〇五というのは、十年間のうちの六年間はそこまでは行かない、四年間はそこを超える可能性がある、そういう数字として一・〇五というものを設定しているわけでございまして、十年なら十年というものをとったときに中央会の収支は過去の事故率に基づいて適正な保険料率が設定されている限り収支は均衡する、こういうことで処理をされるわけであります。そういう過去の例を超える異常な災害が起きたときの負担は基本的に国が一時的に特別会計において行うということでございますので、そもそも基本的な仕組みとして中央会の財政の健全・安定性というのは損なわれないというふうに思っているわけであります。  ただ、実施初年度に、先生がおっしゃるように、大きな災害が起きて一〇〇を超えて一〇五にまで行ってしまう可能性はある、そういうことの万が一の備えという意味でさらに十三億円というものを当初の準備金として交付するということで万全を期していきたい、こういうような考え方でございます。
  107. 須藤美也子

    須藤美也子君 漁船保険というのは国営保険になるわけですね。国が責任を持つ保険でありますから、保険団体の財政運営が非常に困難になった、そういう場合はあくまでも国が責任を持つ、そういうふうになると思いますが、その点はただいまの答弁で万全を期してやるということですからそれを信頼して、そういう事態が起きないように、またそういう事態が起きた場合に漁業者組合員に保険料値上げ、こういうような負担がかからないような指導をきちんとしていただきたい、こういうふうに思います。  この場合、保険料も値上げしないでほしいし、また支払う保険金も下げるようなことのないように、そういう指導をしていただきたいのですが、この点はどうでしょうか。
  108. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁船保険は確かに政策保険でございます。そういう意味で、国からの助成を含めていろいろな措置があるわけでございますが、主要な部分について国が再々保険という形で最後の責任をとるということが制度上担保されているということが一つございます。ただ、あくまでもこれは保険でございますから、実際に起きた事故ということを基礎として保険料というのは通常段階で収支が均衡するように設定をする。これはやはり保険の原則として、この点は三年ごとの料率改定の際に適切な保険料を設定するということで見直していかなければならないというふうに考えるわけであります。  ただ、先ほど申しましたように、こういう保険の持っている基本的な重要性と零細漁民に対する配慮という観点から、そういって適正に算定された保険料率のもとにおける漁船側の保険料掛金について漁船の規模に応じて国が助成をするということによってさらに支えをしている、こういうことでございます。
  109. 須藤美也子

    須藤美也子君 では、そういうことできちんと対処をしていただきたいということを申し上げて、次に保険事業の推進についてお尋ねをしたいと思います。  漁船保険振興事業費についてお尋ねいたしますが、私の手元にある資料を見ますと、平成元年度、漁船保険振興事業費は十一億一千二百九十六万九千円ですか、それから十一年には六億一千二十一万円、半減しております。この理由は何でしょうか。
  110. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま御指摘のありました事業の補助金というか、これは実は国の特別会計に準備金として積み立てられた金額の運用益をもって、先ほどちょっと先生の御質問にお答えしましたように、準備金が相当量たまった時期がございます。そのとき以降、その運用益を活用して組合員に還元をする、そういった観点からこういう事業を実施してきたわけでございます。  ところが、御承知のように、その後、単年度赤字設計を行うことによりまして積立金というか準備金が減ってまいりましたし、昨今のような金利の大変厳しい状況でそういう財源自体が非常に減少してきたということでございまして、そのために、ただいま先生が御指摘になったように、事業費が補助金というベースでは縮小してきているという状況でございます。
  111. 須藤美也子

    須藤美也子君 とりわけ、この中で検診技術員設置費が非常に減っているんです。これは平成元年の二億八千七百八十七万六千円から十一年度には三千四百四十五万九千円、これはゼロに等しい、なきに等しい状況に減少しているんです。これはなぜですか。
  112. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) そのように原資自体が非常に減ってくる中で、相対としての事業はそれなりの役割を果たしているわけでございまして、団体ともお話をして、どういう部分に補助金を重点的に交付するかということで、重点的に交付する分野をどれにするかということを議論した結果、ただいまお話しのような形で配分が行われた、こういうことでございます。
  113. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、漁船保険組合等々にいろいろお尋ねをしたんですけれども漁船組合の方々からはやはり事故防止のためにどうしても検診技術員の設置が最低一人でも必要だ、そのためには従来どおりやってほしい、こういう要望が非常に強いんです。検診技術員というのは事故防止のために配置されているわけです。このいろいろ出されているパンフを見ますと、船外機つき漁船、これも非常に事故件数が多くなっている、しかもこれは収支面では赤字になっているという、詳しく申しませんが、こういうパンフ。それから、大型漁船の事故防止、これは稼働漁船の老朽化が進行していることから事故の多発化が心配されますと、こういうパンフがたくさん出ております。そういう点で、検診技術員が非常に重要な任務を果たしていると思います。ですから、再保険主体が国から中央会に変更しても制度や国庫負担は従来どおり残してほしい、これが現場の人たちの切実な願いなわけです。  そういう点で、検診技術員の配置というのは国の責任で今後とも行うべきだと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  114. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 先ほど申しましたように、そもそもこの事業自体の発足の歴史が、そういう組合員の皆さんからの保険金が原資になった積立金が多額に上った、その運用益を還元しようではないかというところから始まった事業でございまして、それ自体が縮小する、あるいは利息の発生が減るということになれば、補助事業としての事業が縮小していくのは残念ながらやむを得ないところだというふうに思っております。  ただ、確かに御指摘のとおり、検診技術員を含めて、ほかの事業もそうなんでございますが、それぞれ重要な役割を果たしております。そういう意味におきまして、ここまで減ってきたからといって私どもは直ちに検診技術員を全廃しようと言っているわけではなくて、特別会計からのそういう剰余金の運用益を原資とした助成金は出ませんけれども、とりあえずの間、漁船保険中央会の積立金等を使いまして、それの運用益等を原資としてこの検診技術員に対する助成については、単協、組合に対する助成については引き続き実施をする、とりあえずはそういう形で事業の継続を図りたいというふうに思っております。
  115. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、中央会の方にかわるわけですか、助成が。国でなくて中央会になるわけですか。
  116. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) この設置費助成についてはそのような形で処置をしたいというふうに今話し合っております。
  117. 須藤美也子

    須藤美也子君 これは八一年ですか、農水委員会で、漁業問題でこの漁船保険の問題について当時の亀岡農水大臣は、漁船の事故防止を図るように今後も積極的に検診技術員を設置していく、そういう答弁をしています。さらに、当時の山内政府委員は、検診技術員の重要性にかんがみましてあらゆる面で我が方として万全の処置をとってまいりたいと考えておりますと、このように答弁しております。  ですから、大臣お尋ねしますが、検診技術員は漁船の安全性を高め事故を未然に防ぐために重要な役割を果たしていると思いますが、検診技術員の設置についての認識について私はお尋ねしたいと思うんです。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この検診技術員の設置費等に関する補助金でございますけれども、これは今、長官からも答弁がありましたように、漁船保険対象船の事故防止あるいはまた漁船保険事業の振興を図るために極めて重要なものだというふうに考えております。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、特別会計の運用益を原資とした補助金として交付をしておるわけでございます。この重要性というものは今後もますます、ますますというか、いささかも低減することのないものだというふうに認識をしております。  運用益を利用した形でございますから、先ほども申し上げましたように、赤字設計あるいはまた運用利回りの低下等によりまして運用益が少なくなってきていることは事実でございますけれども、この補助金を漁船保険中央会に交付し、中央会に検診技術員を設置し、これを各漁船保険組合に常駐させて常にいろいろな機関検診を行うようなことを今後とも続けていくということについて、必要な支援を、効率化を図りつつ継続していく考えでございます。
  119. 須藤美也子

    須藤美也子君 ちょっとわからないんですけれども先ほど長官は中央会にそれを委託するということだったでしょう、検診技術員を。違うんですか。政府は検診技術員のそういう設置については財政等々のあれから中央会にお任せ、そういう御答弁をいただいたと思うんですが、大臣はそれは必要な検診技術員の設置として検討してこのまま制度として続けていくというお考えなんですけれども、国としてどうなんですか。
  120. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) この問題は、単協、漁船保険組合がそういうことを要請していて、それに対して国から中央会に金が行き、中央会が助成をするという形でやっていくということなのか、中央会から助成金が出て単協がそういう職員を設置できるという、いずれにしても保険組合からすればその技術員が設置できるというところは変わらないわけであります。  それは、先ほど背景としては申し上げましたとおり、国自体の剰余金が減ってきて、かつ運用益が減っているという事情と、それから今度の法改正によりまして国の会計が再保険ということではなくなったわけでございますから、再保険に伴う剰余金が今後もし出ればそれは中央会にたまるというとおかしいですが、中央会に累積をしていくということでございますので、引き続き運用益をもってやっていくということであれば中央会の助成金で行っていく、こういう形になるわけであります。  ただ、いずれにしても、中央会に移管したとしても剰余金自体の全体の総額が減ってきている、あるいは運用利回りが減ってきているという状況がございますから、職員の設置費を含めたこの事業全体、ほかにも三種類の事業があるわけでございますが、全体の効率化を図りながら、よく団体と相談をしながら必要な事業については続けていきたい、こういうことでありまして、形としては中央会が助成をするというふうに切りかわりをする、こういうことでございます。
  121. 須藤美也子

    須藤美也子君 現在の法律百四十三条、ここでは、政府は業務の経費に相当する額を特別会計に繰り入れるものとしております。ところが、今回の改正では特殊保険事業に限られているわけですね。  そうしますと、わずか二億円なんです、検診技術員の人件補助金は。この二億円を削るのではなくて、必要なものとして国がこれをきちんと支出していく、そうでなければ国が責任を持つ保険制度から後退してしまうのではないか、このように懸念されるわけですが、大臣、どうでしょうか。
  122. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) もちろんこういう事業、私ども効果があるし必要な事業ということでこれまで取り組んできたわけでございますが、やはりこの制度の根幹というのは保険事業そのものでございまして、一定の掛金を払い、それに対して国も助成し、そしてまた国が最後の保険上の責任を持つというところがこういう制度の根幹にあるというふうに思っているわけでありまして、どういう段階にせよ一時剰余金がたまったときにそれを有効に活用して還元をするという観点からいろいろな事業に取り組むということは、それはそれなりにまた必要なことでありますし、それがもし減ってくれば必要な見直しをして、一定の重点化、事業の重点化を図っていく。その際には、そういう事業を実施する方々と十分話しながら、どういうような形で効率化を図っていくか、そういうことを相談しながらやっていくというのは、この制度の根幹を揺るがすようなことではなくて、適切な運営の仕方ではないかというふうに思っております。
  123. 須藤美也子

    須藤美也子君 検診技術員の設置は重要な制度である、だからこれは残していく、これは変わりないわけですね。そうしますと、あとは予算の裏づけになると思いますが、この予算は十一年度はほとんどゼロになっていますね。ということは、この裏づけになる予算を、来年度の予算で私どもは要求していかなくちゃならないというふうになると思います。そういう点では、どうでしょうか、後退しないように、そういう事故防止のために必要な人員を配置する、そういう点から予算をきちんと確保していくという方向で検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ちょっと申しわけございません。私、適切な御返事をしていなくて誤解を招いているのかもしれませんが、国からの補助金としてはおっしゃるような形になっておりますが、中央会から金が出て漁船検診技術員が設置されるという状況は十一年度も引き続くということでございます。
  125. 須藤美也子

    須藤美也子君 国が責任を持ってその制度を残して、むしろ拡充していただく、そういうことを申し上げたいと思います。  これは非常に要求として強いんです。各漁船保険組合としては、とにかく従来どおり国が責任を持ってやってほしい、こういう要求が強いので、重ねて申し上げたわけです。  同時に、振興策として非常に予算が減っているわけですが、中央会が全面的に再保険事業を行う、先ほど来いろいろ質問ありましたが、任意保険の創設が今度できました。プレジャーボートの保険制度ができたわけですから、漁船保険組合としては委託された漁協としての事務がふえるわけです。つまり、プレジャーボートを持っている人たちの勧誘もしなくちゃならない、事務的な費用がどんどんふえていくわけです。  そうすると、新たな経費がこういう漁船保険組合で拡大していく、そういう点はどのように考えているんでしょうか。
  126. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁船保険組合はそもそも相互組織として漁民がみんなで設立したもの、こういうことでございますので、漁業者の利益のためにその職員を含めて働いていただく、こういうことだろうと思います。  もちろん、任意保険を開始するということになれば、その分の事務はふえるわけでございますが、それはその任意保険の付加保険料でもって賄う、こういうことが基本的な対応になるわけで、そのように対応していただきたいというふうに思っております。
  127. 須藤美也子

    須藤美也子君 漁船保険組合事務費等も八億二千五百九万円から五億七千五百七十五万円、こう減っているんです。  ですから、制度の抜本的な改正でしょう、今回。であるとすれば、国の助成が減少するのではなくて、これを拡充していく、それが大事なんじゃないですか。どうですか。
  128. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 先ほど申しましたように、今、補助金、そういう部分が減っておりますのは、国の特別会計に蓄えられておりました準備金自体が減っていく、そしてまた運用益が減っていく、そういう事情を踏まえたものでございまして、それはそこにもともとたまっていたということから、それをせっかくだから活用しようじゃないかということで行われたことでありまして、それ自体有効な役割を果たしてきましたし、今後ももちろん可能な範囲で有効な役割を果たしていただきたいというふうに思うわけでありますが、それは客観情勢としてその分が減ってきた、それは残念ながらいたし方のないことでありまして、そこはそれとして、ほかの方法で対処するということでこの問題については考えざるを得ないというふうに私どもは思っております。  制度の根幹というのは、やはりこの保険制度というのが的確に運営される、掛金に対して国の助成が行われる、一定のルールに従って行われる、国が保険金について最後の歯どめになっている、そこに制度の根幹があるわけでありまして、そこは今回の改正で、もちろんのことでありますが、基本的に揺るがすような考えはない、こういうふうに考えているわけであります。
  129. 須藤美也子

    須藤美也子君 それじゃ、国は今度、再保険をやめて再々保険になるわけですね。そうすると、事務の体制が軽減されるんじゃないですか。国の方の人員はどのくらい削減されるんですか。
  130. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 国が再保険自体の主体から退いて再々保険の主体になるということに伴いまして、事務量としてかなりの減少がございます。このため、実は若干のプラス・マイナスがございます。実人員にいたしまして、これを担当しております漁業保険課では五名の人員が削減される、こういうことに相なっております。
  131. 須藤美也子

    須藤美也子君 国の方は軽減され、保険団体への経費削減は私は矛盾していると思うんです。もちろん、私は国の人員がリストラで削減されるということに賛成はしません。しかし、そういう点で必要でない事務が中央会の方に回って、再々保険をやればいいと、国の方は。  そういう点で、今度、重点を置かれるのは再保険をやる保険中央会になるわけですね。ですから、そういうところの事務費、経費、そういうものは国は減るわけですから、その分そっちに回せというふうにはいかないと思いますけれども、そういうところの万全な経営、運営をきちんと責任を持ってやるべきではないか、こう思うんですけれども、その点はどうですか。
  132. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどから先生の御質問を伺っておりまして、数字上の金額が確かに減っていることは事実でございますし、それが運用益が少なくなってきているということも一つの原因であることも事実であります。  しかし一方、先ほど別の先生からの御発言にもありましたように、今、日本の漁業全体が非常に高齢化し、あるいはまた減少している、そもそも二十五万という数字が推測される保険対象漁船になるわけでありますけれども、その数字自体が減ってきておるという状況でございますから、先生が挙げている数字だけを見て数字が減っている、特に国からの数字が減っている、したがって保険事業あるいはまた保険金を受け取る漁業者が損害をこうむるということは、これとは別の話だというふうにお考えをいただきたいと思います。  先ほどから長官も私も何度も申し上げておりますように、保険自体制度の根幹を守り、そして新しい時代に対応するような、ニーズにこたえられるような制度を新たに設計するわけでございますから、その中ではきちんとした保険計算に基づく計算方式でやっておりますし、それでもって中央会なり各単協が困る場合には再保険団体、そして最終的には国が再々保険として政策的な観点から財政支援をする。現に、今回も十三億円を中央保険の方に移すわけでございますから、そういう意味内容面、実態面において質が低下する、あるいは重要性が低減するような政策は我々としてはとるはずもございませんし、とるべきではない。  数字上の金額が減っているということだけでもって保険が何か軽視されているとか、あるいはまたしわ寄せが保険者なり被保険者の方に行くというような観点だけの御指摘は、私は当たらないものだというふうに思っております。
  133. 須藤美也子

    須藤美也子君 私はそんなことを言っているんじゃないんです。つまり、元受けの漁船保険組合の実態が今一番大変なんですよ。検診技術員は置かなくちゃならない、さらに漁業者は高齢化している、そういう状況の中で実務、事務費は非常に多くなる。だから、この漁船保険組合の方々は、自助努力ではもうやっていけないから国の制度を今までどおり維持してほしいと、こういう要求なんです。数字がこれだけ減っていれば、それだけの事務費とかそういうものが、仕事が減っていくわけですよ。人も置けない。しかも、これからプレジャーボートとか任意保険もふえていく、そういう点では人もふやさなくちゃならない。そういう負担がかかるから、今回の抜本的な改正のもとでその分も今までの制度が後退することのないように国の責任でこれを充実させていく、きちんとしていただく、こういうことを私は要求しているんです。  ですから、最後になりますけれども、今、漁船が古くなり事故がふえている、これは漁業が困難になる、それだけ事故もふえ、保険財政も厳しくなる、これはこれまでいろいろ言われたとおりです。抜本的には漁業の再建が必要なんです。漁業をよくするために、全漁連のアンケートでは価格の安定維持、資源の増大、これを望んでいます。先ほどお話も出ましたけれども、今検討されている水産基本法ですか、政策検討の論議の中でぜひ抜本的な価格安定対策を取り上げていただきたい、しかもそういう体制を維持しながらも充実させていただきたい。この裏づけになるのは予算なんですよ。そういう点で私は申し上げているんです。  最後に、この抜本的な価格安定対策、全漁連のアンケートに基づいたこういう要望も踏まえてどういうふうに考えているのか、その点、大臣からお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  134. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 価格安定対策につきましては先ほどから基本法などの御質問のときにもお答えしておりますが、魚価の低迷、原因はいろいろあると思います。輸入の問題あるいは不況の問題等々いろいろあると思いますけれども、大変厳しい現状にあるということは我々も認識をしておるところでございます。  一方、日本の水産というものを守っていかなければいけないわけでございますから、日本の水産、特に今御審議をいただいております沿岸養殖漁業を初めとする漁業につきましても、経営を安定するためにさまざまな政策をこれからも推し進めていかなければならないということで、その中の一つとして基本法の御議論が先ほどから何回かあるわけでございます。魚価の安定、資源の維持、そしてまた持続的な漁業の継続というようなさまざまな時代のニーズあるいは問題点につきまして、国会での御審議あるいはまた検討会での御議論を踏まえまして早急に、つまりことしの夏ごろまでに基本的な方向性を打ち出していきたいというふうに考えております。  現時点では、この養殖事業に関する法案についての御審議で先生方の御指導をいただきながら政策を推し進めてまいりたいというふうに考えております。
  135. 須藤美也子

    須藤美也子君 終わります。
  136. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、持続的養殖生産確保法案について伺いたいと存じます。  本法案は、大臣が決めた基本方針に基づいて漁協等が持続的養殖生産の確保に向けた漁場改善計画を立て、これを遂行するということに中心が置かれております。  この場合、漁家の自主性を土台とした漁場改善計画をつくるということでなければならぬと私は思います。なぜそうかといいますというと、それぞれの漁場にはそれぞれの特性があります。浄化力一つとってもそれぞれの海でもって大きな違いもある。  それから、もう一つの問題は、どんな計画をつくっても漁家の納得の得られないものは実効性が上がらないという点がございます。そういう意味では、漁家の皆さんの自主性ということが大前提にあって、そしてもう一つの問題は、行政がどうこれを支援していくかということで、大方この問題の実現の度合いが決まるだろうと思います。  初めに、大臣に伺いたいのは、自主性の尊重問題についての所見を承りたいのです。
  137. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、今回のこの持続性を担保するような養殖事業の推進に当たりましては農林水産大臣基本方針を決定するわけでございますが、これは中長期的であり、ある意味では全国的な基本方針、あくまでも基本方針でございます。  しかし、先生が強調されておりますように、これに該当する漁業者そしてまた所属する漁協が、それぞれの地域の特性もございますでしょうし、またそれぞれの考え方もいろいろあるわけでございますから、基本方針を踏まえた上で、自主性というものを土台としたという先生のお言葉をおかりいたしますが、自主的に作成をした漁場改善計画というものを策定することになっております。  この漁場改善計画というものはそれぞれの都道府県知事が認定をするということになっておるわけでございまして、これは地方分権の観点から申し上げますならば、むしろ国から押しつけるのではなくて、自主性を都道府県がそれぞれ担保するというような認識で我々は今度の計画を位置づけておるところでございます。
  138. 谷本巍

    ○谷本巍君 漁家や漁業組合の自主性というのを尊重していこうというお話はよくわかるんですけれども、ところが一方では、大臣決定の基本方針に従わず漁場が著しく悪化されたというような場合については、漁協等に対して必要な措置をとるということにしております。  一つ措置は、初めに公表をする。それでも従わなかった場合には漁業権の制限を行うということが明確にされております。ということになりますというと、改善計画を立て実行することは、漁家にとっては事実上の義務といいましょうか、事実上の強制的性格を帯びるようなことになっていきはしないかと思うのだが、その点、長官はどうお考えになっておりますか。
  139. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) このような制度を仕組むときの、ある意味でのジレンマというか、そういう側面があるわけでございますが、いい話も、やはり最終的には公益というか公の利益ということに即して各漁場改善計画というものの策定自体お願いをしなければならない。そうだとすれば、最後のぎりぎりの担保としてどういうような措置を行政側として、あるいは制度として用意するか、そういうことがある意味では不可欠でございましてこのような規定になっているわけであります。  ただ、やはり先生がおっしゃったとおり、こういったたぐいの事柄は漁業者自体の納得ずくでないと実際には実行されないのではないか、それはそのとおりだろうと思います。そういう意味におきまして、制度においてそういう最後のぎりぎりの措置ということは書いておりますけれども制度の本来の考え方も、またその運用に当たりましても、自主的なところを最大限引き出してそういうものを促進していく、そういうふうに事柄としては受けとめて我々もこの運用に当たりたいというふうに思っております。
  140. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、漁業制限については、今の長官の答弁ですと、ぎりぎりの担保としてというふうに言われましたから、その意味はどうなのか。つまり、一般的措置ということではなくて、言うなれば例外的な一つ措置だと、こんなふうに理解しておけばよいのでしょうか。
  141. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 私もどういう言葉が適切かということは余り自信がないわけでございますが、まさに先生がおっしゃったように、一種の例外的措置というふうな感じで、私自身はかなり個人的な感じでございますが、受けとめております。
  142. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうだとしますと、仮に漁業権の制限を行わなければならないという事態が起こった場合、これは慎重に慎重を重ねてやっていただかなきゃなりませんけれども、行政がいきなりそれを判断するのか、それともまた第三者的機関、そういうところに諮った上でやるようにするのか、その点はどんなふうにお考えになっておりますか。ここで私が言った第三者的機関というのは、例えば漁業調整委員会といいましたか、これがありますね。
  143. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁業自体も大変強い物権的権利ということでございますが、漁業法の法律をひもとけば、一定の場合には漁業権の消滅ということ自体、免許の取り消しということも書いてあるわけでありまして、やっぱり最終的なぎりぎりの局面においてそういうこともあり得る、こういうことは制度論としてはあり得るということだろうと思います。  ただ、実際にそこまで、もちろんここでは漁業権を消滅させようということではありませんが、強い制限または条件というものを付するということであれば、そういうことを我々が指導するかどうかというのはあれでございますけれども、やはり慎重に各方面の意見を聞いて対応していくというのが常識的な対応ではないかというふうに私は思います。
  144. 谷本巍

    ○谷本巍君 政府が衆議院で答弁された議事録によりますというと、自然の浄化力の範囲と判断される基準を超える漁場は約四割に上っておるというお話であります。半数近くの漁場が言うなれば好ましからざる現状にあるということであります。これはこの法律を実施していく上での助成政策との絡みの問題にもなってくるのでありますけれども、私は漁家が意図的にもたらしたものではないと思うんです。  国際地域での漁業規制の問題や沿岸漁業の不振の中で最後に見出された活路が言うなれば養殖漁業であったというふうに言ってもよかろうと思いますし、そしてまた養殖漁業についても、これまでとられてきた方針は、政府も含めて生産量の増大に着目した生産体制づくりでありました。でありますから、生産者団体も今言っておりますように、百八十度の転換を強いられるというか、しなきゃならぬ時代に来ましたというお話をしばしば伺います。  ところが、これは政府の方から言いますというと、長い目で見ればそれは漁家のためなんだというふうにおっしゃっておりますけれども、確かにそれはそうでしょう。しかし、同時に消費者のためであり、そして同時にきれいな海を求める国民のためだと私は言ってよかろうと思うんです。そういう見地に立てば、漁協と漁家がこれから取り組んでいく、それについてやはり政府自身が積極的にこれを支援していくということが大事ではないか。  その一つは、これまでもちょびりちょびりと出ておりますけれども計画策定から実施に向けての積極的な支援、これが一つの柱になるでしょう。それから、もう一つの柱になるのは養殖魚の削減問題、これが必ず出てまいります。これについても一定の損失補てん的なものを考えていくべきではないのかというふうに思うのですが、長官、いかがでしょうか。
  145. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) こういった漁場改善への取り組み、特にその中でも今、先生の御指摘になったような養殖魚の数を間引いていく、そういうことに最終的には取り組まなければならない。現実に養殖業をやっておられる方にはかなりの勇気の要ることというか、ためらいもあるのではないかなということは想像にかたくないわけであります。  ただ、明らかに現在の状況漁場の自浄能力というか、それを超えているということであるならば、それはやはり是正していかなければならないということはそれ自体、自明の理でありまして、それがもし、変な言い方をして恐縮でございますが、何か国から助成をすることによってしかそういうことができないということであれば、本来、養殖業を自立して営んでいく、そういうもの自体がなぜそういうことなのかということが問われるような気が私はするわけであります。  先生からただいまお話ございましたように、いろんな漁協の方々あるいは漁民の方々、家族の方が集まって取り組みを開始しなければならない、そういうときに起爆剤になるというか、そういう意味での支援ということを我々も積極的にやっていかなければなりませんし、こういう改善計画に基づいて設備投資をしていくという方々に低利の資金であるとか一定の機械等への助成を行う、そういうことも考えられるわけでありますが、やはり魚の数を減らすということにじかに補助金が出ていくということには非常に大きなためらいがあるし、そういうことでは実際に、まさに先生がおっしゃった自発的にやっていくということもなかなか難しいんじゃないかと。そういう意味で、難しいという意味と、果たしてそういうことが本当にいいのかという両方の疑問を含めまして、私どもは、そこは漁業者努力をしていただきたい、そのことは決して経営的にも将来にわたってマイナスになることではないんだというふうにお話をしたいと思っているわけであります。
  146. 谷本巍

    ○谷本巍君 長官、漁業組合や漁家の皆さんが自力でやれるんでしたらここはとっくにやっていたと思いますよ。  長官自身も御承知のように、大体五、六年しかもちませんとこれまで言われてきたじゃないですか。そして、漁場についても、三重でやっておりました。そうだと思ったら、今度は愛媛でありますとか、最近は鹿児島でしょう。海まで使い捨ての時代なのかと言われるような状況でしょう。そういう状況が生まれてきたのは、それはそれなりの事情があるんですよ。漁家の皆さんの責任じゃないですよ。  それは魚価の問題もあります。そしてまた、輸入物がどっと入ってきているといったような問題もあります。漁家の収支がうまくいっているならこれは自分でやったですよ。やれなかったのは、やれなかったなりの事情があって、そういう悲劇的なものが繰り返されてきているわけですよ。だから、そこのところはもう金輪際きちっとさよならしましょうというのであれば、それは必要によって魚を減らしていかなきゃならぬところについては減らしてほしい。そして、それについて、これは永久に面倒を見ろなんということは私は言ってませんよ。一定のものをそこでもって考えていくとかいうようなことがあってしかるべきなんじゃないんですか。
  147. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 過去数十年の間に国際状況の変化等で、私も、これからはつくり育てる漁業だということをいろいろなところで言ってきたわけでございます。したがいまして、自分の前浜で増養殖をどんどんやっていきましょうというようなことを私自身も言ったわけでございます。  しかし、これが一つの方向であることは今も変わっておりませんけれども、それだけでは、先生がおっしゃるように、海も使い捨てかと。どんどんつくるけれども、結局、海が密殖によって条件悪化をして、そしてその結果として最終的に困るのはその地域漁業者になっていってしまう。そういう悪循環を何とか断ち切って新しい持続性というもの、あるいはまた新しい要素を加えた増養殖体制をつくっていこうというのがまさに今回の法律趣旨でございます。  したがいまして、先ほど基本方針も、一々読みませんけれども、あくまでも持続的な増養殖の確保を図るために基本方針を定めなければならないということで、魚病の蔓延防止策でありますとか漁場改善目標とか、そういうことを基本方針としてそれに基づいてやっていきましょうということでございますから、最終的には今、先生そして長官が話したように、間引きという問題が一時的には必要になる漁場が出てくるわけでございます。  先ほど先生がちらっとおっしゃいましたように、前浜というのは単に生産の場だけでもないわけでございまして、いろいろな多面的な機能もありますし、また農、林、水一体でございますから、極端に言えば山の方の事情によって海が荒れてくる、あるいは都市部の事情によってまた海の条件が悪くなるというようなことも含めまして、また同じようなことを繰り返しますけれども、農、林、水一体でいい環境の海をつくることによって、漁場としてもよくなっていきますし、またそれによって多面的な機能の発揮という面でも役に立つ海になっていきますし、また漁場としても多面的な機能の面でも持続性の高い海になっていくという意味で、先日、御審議をいただいた農業における持続的農法の議論とまさに今、先生が同じようなことを海の場でおっしゃられているなと思いながら拝聴をしていたわけでございます。  一時的には漁業者の皆さんにはつらい心境になることもあるかもしれませんけれども、これも自分たちの、例えて言えば畑に当たる海の地力を増進するための、つまり最終的にはみずからの経営にとってプラスになるという意味でこの法律を御審議いただいているということを、ぜひとも全国漁業者の皆さんにも御理解をいただきたいというのが私のお願いでございます。
  148. 谷本巍

    ○谷本巍君 大臣、私はこの法案に反対だなんということは全然言っていないですよ。実効を確実に上げていくためにはどうすればいいかという意味で申し上げていることなんです。  さらに、もう一つ申し上げたいのは、例えばマグロ漁業、これを持続可能なものにするために行われたのは遠洋マグロ漁船の二割減船でした。このときには一そう当たりについて二億円以上の交付金が出されていますね。このときの減船は、海を守るというのではなくて遠洋マグロ漁業を守るそのものなんですよ。今問題になっているのは、漁家を守るということは直接の話でありますけれども、同時に国民のための海を守っていきましょうというのを含めて、実効を上げるために何とかその辺の措置考えられないのかということを言ったわけですが、長官、どうなんですか、マグロの場合と比べたら冷ややかもいいところですよ。
  149. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 確かに、養殖漁業と申しましても全国各地でいろいろな形で取り組まれております。一律にここで私がすべてはこうだというふうに言ってそのとおりでもないというふうなことは十分自戒しているつもりでございますが、ただ私どもは、こういう法案にたどり着く議論の過程の中では、こういう形で環境に配慮をする、そういう漁業をやることによってそれはコスト的にも非常に有利なことになるんだと。例えば、魚病発生が抑えられて、薬を買う量が、投入する量が減るということがある。あるいは、えさにしても、例えば生えから配合飼料に変える。そのかわり飼料効率が物すごくよくなって、そういうふうな取り組みでもって改善を図れる部分もある。あるいは、とにかく病気になって死ぬ魚の量が減って、そういう損耗度が減る。  これは過去にもいろいろデータ的にもやった例がありまして、やはり一つの大きなことに取り組むときの基本的な考え方として、それによって経営がまずくなってしまうのではなくてよくなるんだと。そこはそういう確信というか、それがなければ漁業者取り組みにくいでしょうし……
  150. 谷本巍

    ○谷本巍君 聞いていることに答えてくださいよ。マグロについてはきちっとやっているのに、こっちにはやらないというのはどういうことなんですか。
  151. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ですから、そういう意味で私は、直接的に助成をするということは難しいけれども先ほど申しましたように、一定のこういう事業を開始するときの取り組みに対して助成をしていくとか、あるいは無利子の資金の融資枠をこういう事業をやる方は拡大をするとか、あるいは機具、機械、機材に対する助成を行うとか、そういうことをとりあえずの策として取り組んでいきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  152. 谷本巍

    ○谷本巍君 これは、マグロの方はきちんとやるけれども、零細な漁業者の方は切り捨てるという考え方にとられますよ。そういう考え方は長官にはないということを僕はわかっています。わかっていますけれども最後に長官が言われたのは、とりあえずの措置として今まで述べられたことはやっていく、やりながら考えていこうという、暗にそういった意味が含まれていますから、ここのところでこの質問はやめますけれども、ともかくもそれは誤解を受けますよ。これだけはっきり申し上げて、次の質問に移ります。  次の質問でお尋ねしたいのは本法の目的であります。遠洋漁業、大型まき網漁業の時代はもう終わっちゃっているわけです。これからは沿岸漁業中心の時代です。そこで、この新しい法案なるものができ上がってきたということなんですが、「目的」のところを読んでみますというと、漁場改善それから伝染性疾病蔓延防止といったものが出てくるんです。要するに、対症療法的な対策が中心なんです。私、思いましたのは、発生源を絶つという意味での予防対策、それから環境負荷の少ない漁法へ変えていくということ、この辺のところをもっと「目的」の中に盛り込んで積極的に打ち出すべきではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。
  153. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 確かに「目的」の規定、ただいま先生の御指摘のとおりであります。ただ、ここで「養殖漁場改善を促進する」というふうに書いてございますのは、第二条の「定義」で養殖漁場改善というのはどういうことなのかということが事細かに書いてございますが、ここに書いてあることをまさに実現するという意味におきまして、先生のおっしゃる環境保全型養殖というか、そこはさらにまたもう一歩進んだ先のことではないかということではございますが、私ども、この法律の第一条に書いてある「目的」は、現在の養殖業をより環境保全型、そういうものに近づけていく、その第一歩としてこういう取り組みをするのである、そういうふうな位置づけだというふうに考えているわけでございます。
  154. 谷本巍

    ○谷本巍君 食物連鎖とか生態系を活用した内水面養殖、いわゆる環境複合型養殖といいましょうか、私はこれにもっと積極的に取り組むべきではないのかと思うんです。  例えば、アワビと昆布と合わせた漁場なんかにしましても、昆布がアワビのえさになって、そしてアワビのふんが今度は昆布を成長させていくというような相関関係のもとでこうしたものをなしていくということは大変結構なことじゃないかなと。  それに、最近では世界一の漁獲高を上げておる中国で見ましても四割は内水面養殖です。これは日本と中国は自然の状況、それからまた消費者の嗜好の関係が大分違います。ですから、中国のものをまねしろなんということをいささかも言うつもりはありませんけれども、やっぱり日本には日本に見合ったそうしたものについてはもっと積極的に研究し取り組んでいくというその姿勢をひとつ求めたいのですが、いかがでしょうか。
  155. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 私、率直に申し上げまして、中国において特に内水面で行われております粗放型の養殖ということについて必ずしも十分な知識がございません。先生が現地でもごらんになったというふうなお話を聞いて、私どもも大きな課題としてこれから研究し取り組んでいかなければならない課題なのかなというふうに受けとめておりますが、ただやはり基本的に、中国の場合には広大な内水面という形で漁場利用ができるというか、そういうのがあるのに対して、やっぱり我が国は海が中心というふうなことがございまして、その辺がどういうふうな形で応用できるのかということの難しさはあるのかなと思いながら、本当に物すごい勢いでデータ的には養殖業が増大しておりまして、どういうようなやり方をし、環境に与える影響を含めてどういうことになっているのか、さらに私自身としても勉強していきたいというふうに思っております。
  156. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこのところを強くお願いしておきたいと思います。  次に伺いたいのは、魚類防疫員などの配置の問題であります。これは、私は大変結構なことじゃないかと思います。できるならば、長官、選択的じゃなくて、各県ともそれを置くというようなぐあいにいかぬのかどうなのか、その辺はどんなふうにお考えになっていますか。
  157. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 確かに、こういう制度が設けられて、従来でございますと、やはり我々の頭も必置義務というか各都道府県は置くというふうに書いていただくことがむしろ必要なんじゃないかというふうに思っておったのでございますけれども、率直に申しまして、行政改革の関連の中で国の関与の減少ということで、必置規制のものは任意設置にどんどん改めていくというふうな改正作業が片方で進んでいるというふうな状況があった、こういうことが一つ。  それから、各都道府県ともいろいろお話をしたのでございますが、こういう形で書いた場合でも当然やるべき仕事はあるわけでございますので、各都道府県で設置をしていただける、そこはうちはないからいいやということではなくて設置していただける、こういうような感触を得ておりますので、そういう意味では、従来の私ども考えからいくとどうかなというのが率直に言って内心は多少あるわけでございますが、現実の運用としてはそういうことでこの制度が動き得るということでこのような規定ぶりにさせていただいたということでございます。
  158. 谷本巍

    ○谷本巍君 もう時間がなくなってきているので、もう一つ簡潔に伺っておきたいんですが、長官、人間にはお医者さんがある、家畜には獣医さんがある、魚には何もないんです。これまでも獣医さんが一部、薬剤なんかの使用についていろいろ携わってはきておりますけれども、こういう制度を設けるのであれば、それはきちっと固めていって、魚のお医者さんというのか、そういうふうな制度というのを将来的に目指していいんじゃないかというぐあいに私は思うんです。その点、いかがお考えでしょうか。
  159. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) おっしゃるとおり、生き物でありながらお医者さんの制度がないということで、これはかねてから私ども水産庁の中でも、じゃどういうことを具体的に考えていけばいいのか、魚病発生予防なり蔓延防止は大変大きな部分を占めているわけでございますから、そういったものである程度専門家がいていただけるということが必要なわけで、そういうことは我々の意識の中でもずっと一つ課題として考えてきたということでございます。  ただ、率直に申しまして、今、魚の病気に関して得られている知識なり治療方法、あるいは魚の中でもこういうお医者さんというのが現実に必要なのはほとんどが養殖業の場面でございまして、一般の魚ではそういうことはない。そういうことを考えますと、徐々にこういう制度の充実を図っていくということで、とりあえずの、何といいましょうか、制度的な仕組みとしては今回この魚類防疫員ということを都道府県に設置していただく、その裏づけとしては他方、魚類防疫士という、いわゆる国家資格ではございませんけれども、それに準じた資格制度があって、それをドッキングさせて一歩前進を図りたい、こういうようなことで、とりあえずこの制度お願いをしているわけでありまして、これから先どういうことが実際に必要になってくるのか、その辺はまた状況を見定めながら考えていきたいというふうに思っております。
  160. 谷本巍

    ○谷本巍君 割り当ての時間がもうなくなっちゃいまして、保険の関係については質問をすることができなくなってしまいました。  最後に、大臣、WTO次期交渉へ臨む基本的な水産問題についての姿勢について伺いたいと存じます。  昨年、APEC閣僚会議に向けてアメリカが次期WTO交渉を前倒し交渉の場にしようとした。あなたは大臣就任早々であった。そういう理不尽なやり方をびしっとあなたがおとめになった。これは私ども高く評価をしております。そういうふうな、何といいましょうか、筋を通すという点、これからもひとつ御期待を申し上げたいのです。  次期交渉については包括的な交渉でなければならぬということで日本政府はこれまで努力をしておるようであります。また、通産省などに聞いてみますというと、通産省の場合には、産業構造審議会のWTO部会ですか、あそこには多くの産業界の代表者の皆さんが参加をして、官民一体で議論していますよという話を伺ったことがございます。  やはり、今度は水産問題が非常に大きな問題になってくるわけでありますから、それだけに水産は水産で、全体の問題は一つありますよ。ありますけれども、水産は水産でやはりきちっとした官民一体の論議といいましょうか、それをなされていく必要があるのではないか、こう考えることが一つ。  それからもう一つは、四極通商会議ですか、これが行われておって、四極は次期交渉への市民社会の理解を重視する姿勢を示したといったようなことが新聞等で報じられております。  こうしたことと関連して、NGOなどの意見を次期交渉に反映させる場の設定といいましょうか、これをひとつ日本政府として積極的に主張していくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 水産物に関しての国際的な交渉につきましては、昨年、先生からお話のありました林、水についても関税、いわゆるEVSL、早期是正をAPECの場でしろという提案がありました。これはAPECの場での議論にはそもそもなじまないものであるし、我が国はそういう問題は二〇〇〇年以降の交渉でやるということで、これは先生を初め議会の先生方の大変なお力添えをいただいて政府としても決定をし、日本の主張がAPECの場でも通ったわけでございます。  しかし、今後、昨日までの四極通商会議、あるいはまたこれからのいろいろな閣僚会議、そして来年の次期交渉の中で、水産につきましてそれぞれ主な国の基本的な考え方がおぼろげながらわかりつつありますけれども我が国といたしましては、何といたしましても世界の貿易量の四割を日本が輸入している輸入最大国という立場であり、しかも水産とともに歩んできた我が国としては、この有限資源としての水産をきちっとした輸入国の立場として持続可能なということは、とって日本に買えという輸出国の立場だけでいきますならば、これはまさしく農業と一緒で、輸出輸入のアンバランスを招くことになりますし、また乱獲によって資源の枯渇ということにもなるわけでございますので、次期交渉の基本的なところもまだ固まってはおりませんけれども我が国の主張をきちっと主張していきたいというふうに考えております。  アメリカ等では、昨日も出たようでありますけれども、水産の補助金が何か乱獲を招くのではないかというような主張があるようでありますけれども、日本はむしろ水産に対する適切な補助金の交付が、広い意味での補助が秩序ある水産につながっていくんだということで、これも真っ向から対立しているところであります。  我が国の立場というのは、あくまでもそれぞれの国の水産というか海の果たす多面的な役割、あるいは持続可能な漁業というものを基本に据えて、そして輸出国と輸入国との、特に輸入国が今アンバランスの被害をこうむっておるわけでございますので、そういうバランスをとりながら国民的合意を形成した上で、日本と同じ立場をとる国々と共同歩調をとりながら、次期交渉あるいはまたそれまでのいろいろな立場での交渉に臨んでいきたいと考えております。  ただ一つ農業と違うところは、林、水グループが一体どこの場でどういう形で交渉をされるかということが、前回のときもちょっと混乱いたしましたけれども、今回もまだはっきりしていないということでございますけれども、とにかく我が国は包括的な一括交渉を全体としてやるということを強く主張しておるところでございますし、何といいましてもこの国会の場を通じ、あるいはまた国民的な総意のもとで農、林、水一体で我が国の立場を主張していきたいと思いますので、引き続き先生を初め各委員先生方の御指導をお願い申し上げたいと思います。
  162. 谷本巍

    ○谷本巍君 答弁漏れがありますが、これはまた後日に。     ─────────────
  163. 野間赳

    委員長野間赳君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。     ─────────────
  164. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  私は、生まれたところが三方を海に囲まれておるところでございまして、そういう観点でたまには船釣りに出かけることもあります。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  ある釣りを愛好する方とついせんだってたまたま食事をすることがあったわけでありますが、その方が大変驚いたように私に話されたことでありますが、天草のある島に新聞配達船と一緒に渡って釣りに行ったと。釣るけれども、二十年のベテランの自分であるけれども、なかなか釣れなかったと。そうしたら、近くの老人の方々が集まってきて、釣れたかいとお聞きになったので、全然釣れませんと。それは釣れぬはずたい。昔はここには藻が大概生えておったばってん、もう藻がなくなってしもうとる。この堤防にカキ殻がついておったばってん、カキ殻もつかぬようになってしもうた。そして、二百メーター先の大型のフグの養殖場を指して、あれがまさに原因じゃなかろうかなと。これは外に向かっては言えぬばってんとおっしゃった。海に入って、ここで海水浴も昔はできたけれども、海水浴をすれば体がかゆくなってしまう。アサリ貝もとれなくなった。ついせんだって、県の方からおいでになって、ホルマリンという薬ば使うておらっせんどかということで調査に来らしたばってん、記名方式だったけん、だれもこんなことは書かぬかったということで、大変彼が驚いて私に話をしてくれました。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  まさに海は死んでしまっているな、そういう印象を強く受けたということでありまして、今回のこの持続的養殖生産確保法案、まさに私は本当に大事な問題に国が真っ正面から取り組んでいただいたということに対し高く評価をすると同時に、ただこの法案を通すだけじゃなくて、本当に腰を据えてこの問題に真っ正面から水産庁は取り組んでいただきたい。そのためには、精いっぱいの御支援もいたしたいというふうに思いますが、そんな中で、この法案について一、二質問をさせていただきます。  過密養殖生産体制から適正養殖生産体制へ方向転換をする、そして漁場浄化能力を超えない養殖生産体制を築いていくんだということで「目的」なるものが記されておるわけでありますが、基本方針の中に、先ほど谷本先生からもお話がありましたが、漁場改善と伝染性疾病の防止ということが基本方針になっております。  私は、もう一歩踏み込んで、養殖漁場の収容力に応じた管理というのが一つ。それともう一つは、伝染性疾病の発生予防という、防止よりももう一歩踏み込んだ発生予防という事項が入っておって初めて、今まで幾つか問題が起こってきておる諸疾病に対しての対応ができるのじゃなかろうかなというふうに私は思いますが、いかがでありましょうか。
  165. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいまの先生の御質問に十分なお答えになるかどうか自信はございませんが、先ほどもちょっと申しましたように、この法律で使っております「養殖漁場改善」という言葉は特別の言葉でございまして、確保法案の「定義」の二条に、養殖漁場改善というのはどういうことを含んでいるんだということが事細かに書いてございます。  第二条第一項にいろいろ書いてございますが、一番最後に、いろいろこういうことをやって、「養殖漁場養殖水産動植物の生育に適する状態に回復し、又は維持することをいう。」と、こういうことが養殖漁場改善だということであります。私ども、その前段にもいろいろ書いてあるわけでございますが、まさに先生がおっしゃったように、一定の海域において、そこの海域における自浄能力というか、その範囲内において適切な管理をして養殖をやっていく、そういうことを実現するための具体的な計画づくりというのが、まさにここで考えている養殖漁場改善計画なり改善基本方針内容を構成しているというふうに考えているわけであります。  伝染性疾病の話に関しましても、この「養殖漁場改善」ということの定義の中に、「養殖水産動植物の伝染性疾病の発生及びまん延を助長する要因の除去又はその影響の緩和を図ることにより、」云々と、こういうふうになっているわけでありまして、こういう発生の防止を図るために必要な事柄も当然この養殖漁場改善基本方針なり計画の中に書き込まれるべきである、そういうふうに考えております。
  166. 阿曽田清

    阿曽田清君 そこで、過密養殖というようなことに対して改善策の一つの方法として、今まで議論があっておりましたが、農林水産省としては薄飼い方式ということでそれを考えておられるようであります。  先ほどの谷本先生からも関連するわけですが、薄飼い方式ということでその対応考えておられるということであるならば、当然のことながら、今まで一つの枠の中に千匹入れていたものを五百匹入れるというような形の栽培状況になってまいります。もちろん、海の状況によって、五百にしたからといって生産が伸びるとも限らないわけでありますが、基本的に薄飼い方式をやっていくということをするならば、いわゆる生産量、販売量というのはおのずから減るわけです。それが減ることは、すなわち漁家の方々の収入減につながってくるということとイコールになってくるわけでありますが、そこのところが現実的な問題として、そういう薄飼い方式を導入するにしろ、漁業者の方々の収入が落ち込まないような形をとっていかなきゃならない。  それには、いわゆる養殖場を新たに移動するなり、また新しい場所に拡大するなりというようなときに、先ほど長官がおっしゃったけれども、助成とかあるいは低利資金融資をやるとかというようなこと等もありますけれども、一方、そこにはそれなりに資金投資をしなければならないわけでありますから、現実的に生活していく上においての漁家の方々のいわゆる価格安定対策といいますか経営安定対策、これがなからぬといかぬのではなかろうかなと。薄飼い方式導入、結構、結構だけれども、薄飼い方式を導入するについては漁業者の方々の収入減に対してどうそれを支えてやるかということは一考しておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  167. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 今、先生から薄飼いというお言葉がございました。確かに、現在、一部の養殖関係者の中で薄飼いというやり方がいろいろ注目を浴びているということがございますが、これは今行われているような養殖の密度をかなり大幅に間引く、半分あるいはまた半分以下にしていく、そういうふうなやり方というふうに私ども承知をしております。  この持続的養殖生産確保法案において行われる県知事の認定を受けて設定されます養殖漁場改善計画で、養殖漁場改善するために必要なものとして必ずしもそこまでの薄飼いというのに一挙に行くのかどうかということを、私ども、当然、一律にそうなんだというふうに思っているわけではございません。より現実の状況に合わせて、仮に間引きが行われるという場合であっても、ある程度時間をかけて間引いていくことによって適正な水準になっていくのか。そこ自体をよく皆さんで話し合って、議論をして答えを出していただく。国の基本方針で定めた目標がそれで果たしてクリアできるかどうかチェックを受けた上で認定を受ける。こういうふうに思っているわけでありまして、必ずしも一挙に大幅な間引きが各水域において必要であるというふうに一律に思い込んでいるわけではないというのが第一点であります。  それから二点目は、いずれにしても、例えば養殖魚の数を減らす、密度を減らすということになれば、それが漁業経営にもたらす影響というのは当然あるわけでありまして、そのことをとにかく一切無視しようというふうにまで申しているつもりはございません。計画策定の段階でどういうことが起きるか。その辺はよく皆さんで話し合いをして、それに対してどういう手を打つことによって改善が図れるのか。そういうことまで含めて議論をした上で改善計画を立てていただく。それが必要だろうというふうに思っております。  先ほど谷本先生からもいろいろ御指摘がございました。私どもとしては、現段階ではいろんな漁業者間、漁協での広範な話し合い、そういうものを促進するための助成というふうなジャンルの部分と、それからそういう話し合い、計画を策定する過程で出てきた、経営自体をどうしていくのかということに関連して必要となる事業等については一定の助成の道を開く、あるいは低利資金の道を開く、それをとりあえず先ほど申しましたように現在の援助手法として考えている、こういうことでございます。
  168. 阿曽田清

    阿曽田清君 漁業権等の問題もありますから簡単にはいかないと思いますが、薄飼い方式等を導入して進めていくという場合においては、養殖組合あたりが中心となってやっていくときには思い切った事業等の導入をしながら、なるたけ漁業者の方々に負担が伴わないように、転身しやすいように、そういう厚い手だてを講じていくべきだろうということを強く要望いたしておきます。  そして、先ほど申し上げました、防止というよりもいわゆる予防という観点をなぜ私は主張するかといいますと、先ほど三浦委員からも話がありましたように、平成五年に中国から稚エビを輸入した折にウイルス感染をして一時は生産高が七〇%落ち込んだんです。それで、私の町にも倒産したエビ養殖業者がおります。平成九年にはクルマエビは日本一でした。そして、もう一つ日本一になったのがトラフグの養殖でありました。それが平成九年に、今度はトラフグの稚魚に口白症ができましてかなりへい死をしたというようなことで、これは八〇%の稚魚がやられたわけであります。これもウイルスです。  ですから、そういうものを予防するという観点の研究開発が極めておくれているというふうに思います。したがって、水産関係におきまして、いわゆる未然にそういうものが起こらないようにするためのワクチン等の研究開発についての取り組みをどのように国は考えておられるか、まずお尋ねします。
  169. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 現在、日本国内では水産用のワクチンとしてアユやサケ科魚類のビブリオ病、それからブリの腸球菌症のワクチン、それからマダイのイリドウイルス病ワクチンと、この四種類のワクチンが医薬品としての製造承認をいただいた正規の形での開発が行われていると。聞くところによりますと、世界では魚のワクチンは九種類しかまだ開発されていないということで、九種類のうちの四種類を我が国開発しているということで、そういう面では努力はしているわけであります。  実は、こういった四種類のワクチンの開発の際も、水産庁養殖研究所が当初の段階から共同研究なりに一緒に入りまして、さまざまな努力を重ねてこういうふうな実用化にこぎつけている。特に、マダイのイリドウイルス病ワクチン、最近開発されたものでございますが、これについては十年、養殖研究所が独自に取り組んできてこういう成果を上げた、こういうことでございます。  結局、率直に言って、こういうウイルス病あるいは細菌に基づく病気についてはワクチンが大変有効なわけでありまして、私ども、引き続きワクチンの開発に全力を挙げて取り組まなきゃいかぬというふうに思います。率直に言いまして、今お話が出ましたようなフグの口白病でございますか、その辺についてはまだ実はウイルスが完全に同定されていないというふうな問題がありまして、ワクチンの開発までは行っておりません。  そういうさまざまな問題をまだいろんな分野で抱えているわけでございますが、御指摘のように、魚病予防にとってはワクチン開発が極めて重要でありますので、引き続き役所の研究組織も挙げまして努力をしていきたいというふうに思います。
  170. 阿曽田清

    阿曽田清君 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。一回かかってしまいますと四、五年は立ち上がれませんので、そういう意味でワクチンの開発をよろしくお願いいたしたいと思います。  時間があと三分しかありませんので、一問答えていただき、一問要望をいたしておきます。  この法案で、県が主体となりまして疾病の検査や指導をすることになっておりますが、検査技術の向上や検査指導体制の構築のためには国の支援がやっぱり必要だと思いますから、県がそれだけ責任を持って今後進めていく上において国の全面的なバックアップ、これをどのようにとられようとしておるか、これが第一点であります。  もう一点は養殖共済制度先ほど話がありましたけれども、これはまだまだ内容の充実と、そして適用範囲、いわゆる共済制度に乗っていない魚種、これの問題も、同じ養殖業者で魚種が違うだけで適用にならないというのはおかしいので、特に熊本県のクルマエビはその対象になっておりません。そういう魚種の適用範囲の拡大もあわせて検討していただきたい。これは要望にいたします。最初のだけお答えください。  これで終わります。
  171. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 魚病対策を実施していく上では、御指摘のとおり、いわゆる検査能力なり検査機器の整備ということが欠かせません。そういう意味におきましては、私ども一つは各県に各種の機具、機材であるとかあるいは診断液であるとか、そういうものを常備するのに必要な経費については助成の道を開きたいというふうに思っております。  それからもう一つは、その技術を各水産試験場、あるいはこの法律でいえば魚類防疫員の皆さんに十分伝達することが必要でございますので、魚類防疫員に任命された方々を含めまして、中央で例えば研修会を行うとか、あるいはデータベースを中央につくりまして、各国の新しいいろいろな知見等をそういうところに集約して、インターネット回線を通じてそういうものを各県で自由に利用できるようにするというふうな措置をとる、そういうことを含めまして資質の向上というか技術改善、普及ということにつきまして努力をしていきたいというふうに考えております。
  172. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  173. 石井一二

    ○石井一二君 自由連合の石井でございます。  ラストバッターでございまして、大臣、長官初め皆さんさぞお疲れと思います。持ち時間が二十分でございますので、よろしくお願いいたします。  ここでじっと今までの同僚の質疑を聞いておりますと、時折あれっと思うような、事実と違っていないかとか、なるほどと思うようなことも多いわけであります。  実は、先ほど風間委員より、大臣が眠たそうなのでちょっと意見を聞きたいという指摘がありましたが、その直後に、私の耳が間違っていなければ、国が中央会に再々保険を出すという御発言をされたんですが、そういう発言をされましたか、またそのとおりですか。
  174. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) あれは、その後、水産庁長官とちょっとここでお話をしたんですけれども、正確を期すために長官の方から答えさせていただきたいと思います。  国が漁船保険中央会に対して検診委任等の事業に対するお金を交付するというような発言をしたことは事実でございますが、正確を期すために、その事実と内容について長官の方から。
  175. 石井一二

    ○石井一二君 長官の答弁は要りません。今おっしゃった交付とか何かだったらそれで正しいんですが、再々保険を出すと言われたんです、あなたは。それだったらそれで訂正しておいてください。また後で、あなたの名誉のために議事録をチェックして、間違っておればおわびに上がります。  それから、いろんなパンフレットをいただいておりますが、その中で、漁船中央会の業務が拡大して、政府に対して中央会から再々保険が出ると、ここまではいいんですが、漁船船主責任保険についてもあたかも漁船保険中央会が再々保険を出すというような図になっているんですが、これは私はロイズの間違いだと思うんです、この分野に関しては。だから、農水省が違った資料を出してこれだけの委員に審議をせいと言っておるのか、私の発言が違っておるのか、ちょっとそこのところをチェックしておきたいと思います。
  176. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ちょっと私もその資料を見ておりませんので正確にはあれでございますが、事実は、特殊保険と漁船乗組員給与保険については引き続き国が再保険主体となって運営をしていく、こういうことでございます。事実はそういうことでございます。
  177. 石井一二

    ○石井一二君 だから、今言った漁船船主責任保険は再々保険の先はロイズじゃないかという私の指摘に対してどうなんですか。政府の資料はそれが政府になっていますよ。あなた方の資料では。
  178. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) これは国でございます。政府でございます。
  179. 石井一二

    ○石井一二君 ここに漁船保険中央会の出しているパンフレットがありますが、そこにははっきりと「ロイズ」と書いてある。あなたに渡しておきます。  それで、今回、漁船保険中央会の業務範囲がふえたと、それについては須藤委員初めいろいろ論議がございました。では、なぜ漁船乗組員の給与保険も一緒に再保険を受けさせないのか。それだけ残した理由についてちょっと御指摘をいただきたいと思います。
  180. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 済みません。  先ほどちょっと私が触れました特殊保険と漁船乗組員給与保険、この二つについては国の再保険を継続するわけでございます。  それはなぜかということにつきましては、特殊保険というのは戦乱等による漁船の損害をてん補する、それから漁船乗組員給与保険というのは漁船乗組員が拿捕、勾留された場合の給与の支払いを保障する保険、こういうある種の特別な保険でございます。いずれもこれらは自然災害ではなくて、人為的というか、他国というか、そういうことを含めた損害、損失をてん補する、こういう特別な保険でございます。  率直に申しまして、国際情勢の変化によりまして保険事故が多発する、あるいは支払い額が大幅にふえる、こういう可能性を持っておりますので、今回の制度改正に際しても、そういう特別な保険ですから、やはり国が再保険という形でやっておいた方が安心感があるのではないかという声がありましてこれについては変えなかった、こういうことでございます。
  181. 石井一二

    ○石井一二君 私は、理由としては非常に不十分だと思います。  再保険が安心、安心でないということはお金があるかないかということで決まることでありまして、あなたの説明がそうであるというふうに受けとめておきたいと思います。  ところで、漁船保険中央会ですが、これは会長が山中さんで、その他役員の方が大勢いらっしゃいますが、ここへ天下っておる農水省のOBはどなたですか。わからなかったら僕が教えてあげます。
  182. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 副会長一名、常務理事一名が水産庁出身者としてこの協会に現在、勤務しております。
  183. 石井一二

    ○石井一二君 私は、こういう公の非常に有意義な団体というものは私的な要素が余りあるとよくないと思うんです。会長が就任されて既に十八年、副会長を連れてこられて既に十七年です。お二人の御年齢は七十八歳と七十二歳。私はこの二人に対して失礼なことを言うつもりはさらさらありませんが、一般論として世の中には老害という言葉がある。この老害ということを一般論として大臣はどのような見識で受け取っておられるか、御所見を賜りたい。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 老害というのは、お年を召されて、それでお年を召された方がある立場に立たれたときに、仕事あるいはその立場でやるべき言動に対して不適切であるということの原因が、その年齢がお年であることによって、お年を召されていることが原因であるということによって総合的に老害であるというふうに一般的に理解されているのではないかというふうに思います。
  185. 石井一二

    ○石井一二君 一般論として拝聴をいたしました。  それで、ちなみに、これはちゃんと通告していますから恐らくお答えいただけると思いますが、会長、副会長の給与は幾らぐらいなんですか、この団体からいただいておられるのは。
  186. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 私ども、中央会から聞いている範囲でございますが、会長はもちろん非常勤でありますし、給与等の報酬は一切支払われていないということでございます。副会長は、三人やっぱり非常勤の方がおられますが、この方につきましては年間百四十万円の報酬が支払われているというふうに聞いております。各一名ずつです。
  187. 石井一二

    ○石井一二君 今、特に会長は収入等は一切得ていないというところに力が入っておったようにも受け取れるわけですが、収入も源泉があって直接給与をもらう場合と、そのポストを持っていることによって入ってくるお金というものがあると思うんですね。例えば、会長の政治団体を見てみますと、年間収入が二億五千万、そのうち玉龍会、御自身の後援会、鹿児島県農民政治連盟等々含めて、私はこういったあたりに関連性があるのかないのかということに実は興味を持ち始めたんです。ここに膨大な資料がありまして、今ここで限られた時間でこれの内容については触れませんが、私は、農水省として数多い関連の特殊法人や団体に対して、いろんな人事的な刷新も含めて適切な指導をしていく義務があろうと思いますので、私の申したようなことを含めて、この団体じゃなしに全体に、農水省のそういった団体について一度何らかのレビューというか御研究を賜ればありがたい、そのように思います。要望をいたして、次のテーマに移りたいと思います。  さて、よくこのごろ皆が遊びに行くために海で漁船とのトラブルが多いと思います。プレジャーボート保険というものがこのたび誕生しつつあるということは喜ばしいことだと思いますが、陸上の自賠責のようなものに一挙になぜできないのかということを私は思うんですが、そこのところについて、長官でも大臣でもどちらでも結構ですが、将来的な予定も含めて、そういうことは無理なのか、またする気がないのか、しても意味がないのか、その辺についての御発言を願いたいと思います。
  188. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) プレジャーボートについて自賠責のように加入の義務づけ等、そういうことがもし実現いたしますれば、漁船を含めてプレジャーボートから被害を受けた場合に迅速にそのてん補がなされるわけでございますから、そういう意味においては大変なメリットがある、これはそういうふうに評価されるべきものだというふうに私も思います。  ただ、そういう意味で、そういう御提言をいただくということは漁業関係している者としては大変ありがたいというか、うれしい気持ちはするわけでありますが、同時にやっぱり自賠責のように一定の分野でのある行為をしている方々に強制的に保険に加入させるというのはかなりの強い強制感というのを相手は感じると思うわけでございます。したがいまして、強制的にお金を払って保険に入らなければならないということが相手方がどのくらい納得するだろうかという点において、まだ現段階において、そのプレジャーボートが漁船とぶつかると、その損害をてん補するためだよということだけをもってして、なかなか率直に言って十全な御理解は得られないんじゃないかということで、先ほどちょっと熟していないというような言い方をしたわけでございますが、そういう状況にあるのではないか。ただ、そういう御提言としては、漁船関係する者としては大変ありがたい御提案だというふうに思っております。
  189. 石井一二

    ○石井一二君 あなたの答弁を裏返して聞いていますと、現在の自動車の自賠責にも問題があるので、あれをやめて任意保険に変える運動をすべきだというようにもとれるんですよ。その辺の御所見はいかがですか。
  190. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 申しわけございません。  そういうふうにとられたとしたら言い方が悪かったので、私は全くそういうふうに考えてはおりません。
  191. 石井一二

    ○石井一二君 プレジャーボートと同じように、遊漁船、恐らく釣り船じゃないかと思いますが、ございます。それで、こういったものに対する保険の問題もありますが、まず漁船と遊漁船との区別の境目ですが、これは運輸省、もし来ておられたらどのように御理解したらいいんでしょうか。
  192. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 簡単に申しますれば、漁船損害補償制度には漁船しか入れない。漁船というのは、漁船法上の登録を行った船を漁船というふうに言っております。  一方、遊漁船というのはその形態でございまして、遊漁というのに使われているかどうかという実態でございますので、漁船であり遊漁船であるものもあれば、遊漁船だけれども漁船じゃないというものもあると、こういうことが実情でございます。
  193. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 私ども漁船、遊漁船、所管しておりませんが、ただいま水産庁長官から御説明があったとおりだろうと考えております。
  194. 石井一二

    ○石井一二君 水産庁、もっともらしく漁船法がと言われたが、あなたは恐らく第二条の第一項を引用しておられると思うんですが、漁船損害等補償法の第三条規定というものがあるわけですね。それにはちょっと違ったことで、今あなたがおっしゃった範囲よりももっと広い範囲をカバーするように言っていますが、あなたの御所見はいかがですか。
  195. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 漁船損害等補償法三条では、この法律において漁船とはということで、漁船の定義に規定する漁船とその他の漁船のうち漁業活動に必要な日本船舶で政令で定めるものということで、いろいろございますけれども基本的には漁獲物の運搬船がこの規定でもって漁船の対象になるということで、申しわけございません、私の説明が不十分でございました。
  196. 石井一二

    ○石井一二君 いやしくも農水省の局長たる者、そう簡単に謝ってもらわぬでいいですよ。あなたのおっしゃっていることは正しいんですよ。私のむしろ聞き方がいかぬのかもわかりませんが、私、これはちゃんと通告していますから、この両者の関係についてどうかという。それで、運輸省も呼んでおいてくれということまで、運輸省は来るのは嫌だと言っておるというのを押し切ってお呼び申し上げたので、その点は、私も私の立場を守るためにはっきりと申し上げておきたいと思います。  ぼつぼつ時間がなくなりつつあるようですが、もう一、二点お伺いしたいと思いますが、今、魚の病気についていろいろと質疑を我々はしてまいりました。それで、ごく素人的な質問で失礼ですが、病気の魚を食べた人類というのはどういう影響を受けるんですか。病気によって違うと思うんですが、やや私の聞いている範囲では、家畜伝染予防法に入っていない病気というのは全く人類に影響をもたらさないから心配ないというような定説もあるようですが、ちょっと御指導いただければありがたいと思います。
  197. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) 私どもが世界的なデータを含めて受けている知見では、魚の病気にかかった魚を食べて異常が出たとか、そういう人間に伝染をするということ自体全くないというふうに聞いております。  その根拠は、基本的に魚の病原体というのは、生息温度が魚の体温というか大体三十度が最高限度ということでございまして、人間の体内において増殖活動をし得るというふうな細菌は基本的にはない、常識的にない、生理の基本が違うのではないか、こういうことだというふうに専門家から伺っております。
  198. 石井一二

    ○石井一二君 我々は、先ほど来、遊漁船あるいは漁船のいろいろ保険について論じているわけですが、この遊漁船の適正化に関する法律に基づくと、保険の加入状況を知事に報告するというような規定があると思うんですが、今こういった保険加入率が低いからいろいろ問題があり、今回の法改正にもつながっていると思うんですが、こういったことはもう死文化して、法律の条文にはあるけれども、実際はそういう状況把握して知事に報告なんかしていないんですから、やはり動いていると思っていいんですか。いかがですか。
  199. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) その規定自体は動いております。今回、実はプレジャーボートに関しまして任意保険の制度を設けるといったときも、実は遊漁船業をやっている遊漁船というのはかなりの程度、保険に入っておりますので、ここが主たる目的、目的と言うとおかしゅうございますが、その他の小型のモーターボートとかヨットとか、基本的にそういう方に入ってほしいというところが主たる目的でございまして、この遊漁船も、もちろん入っていただければそれは結構なのでございますが、そこが主たる目的ではございません。
  200. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  201. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案に対する討論に入ります。──別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、漁船損害等補償法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、持続的養殖生産確保法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  203. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田洋子君。
  204. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は、ただいま可決されました持続的養殖生産確保法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     持続的養殖生産確保法案に対する附帯決議(案)   我が国養殖業は、沿岸漁業の重要な一部門を構成しており、沿岸漁業の振興と漁村の活性化を図る上で極めて重要な位置を占めている。   また、養殖生産の拡大は、国民の豊かな食生活の実現に大きな役割を果たしている。   しかるに、近年養殖漁場環境悪化や新たな魚病被害等が深刻化しており、その対応が喫緊の課題となっている。   よって、政府は、持続的な養殖生産を確保するため、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 養殖経営の安定を確保するため、生産基盤・体制の整備、流通・加工及び価格安定対策養殖共済制度の充実に努めること。  二 漁場改善計画の作成が全国的に進められるよう、国及び都道府県の試験研究機関、水産業改良普及組織等の連携を図るとともに、漁業協同組合等による推進体制の整備に努めること。    また、漁場環境現状把握に必要な支援・指導を積極的に行うこと。  三 養殖漁場環境改善を図るため、魚類のふんや残餌等の処理海底の浚渫、赤潮発生防止に係る技術開発等の積極的な推進に努めること。  四 低廉かつ安定した餌飼料の確保を図るため、未利用魚種の利用や安価で飼料効率の高い配合飼料の開発を推進すること。  五 特定疾病等のまん延を防止し、被害を最小限に抑えるため、魚病発生の早期把握及び情報の迅速な伝達体制の確立を図るとともに、国、都道府県の関係機関、種苗生産業者、養殖業者等の連携による魚類防疫体制の強化を図ること。  六 国内防疫措置の実効性を確保するため、魚類防疫員及び魚類防疫協力員の養成・能力の向上のための研修制度の整備等を図ること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  205. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  206. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  207. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま法案を御可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
  208. 野間赳

    委員長野間赳君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会