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1999-05-06 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月六日(木曜日)    午後一時四分開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任         浜四津敏子君     木庭健太郎君  四月三十日     辞任         補欠選任         村沢  牧君     田  英夫君      阿曽田 清君     入澤  肇君  五月六日     辞任         補欠選任         木庭健太郎君     益田 洋介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 益田 洋介君                 大沢 辰美君                 田  英夫君                 入澤  肇君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○農林物資規格化及び品質表示適正化に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十八日、浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。  また、同月三十日、村沢牧君及び阿曽田清君が委員辞任され、その補欠として田英夫君及び入澤肇君が選任されました。     ─────────────
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事谷本巍君を指名いたします。     ─────────────
  5. 野間赳

    委員長野間赳君) 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案及び農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 須藤美也子

    須藤美也子君 まず、卸売市場の件についてお尋ねをいたします。  私は、先日、山形県の庄内十四市町村が管理する公設市場調査に入りました。仲卸業者への予約相対取引先取りが七〇%と急増しております。地場野菜相対取引で行われ、仲卸の三分の二はスーパーに納入している。小売業者スーパーの余ったものを高い値段で買わなくちゃならない。しかも、品ぞろえも十分できずに、お客さんから注文があればスーパーから買ってお店に並べる。そういう状況の中で、小売業者は店を畳まざるを得ない。この間、全国で五千百七十軒の小売店が倒産をいたしております。この庄内地域でも五十軒が店を畳んでおります。田舎に行きますと、シャッター通り、こういう地域がたくさんふえております。  そういう状況の中で、小売業者は、少量であっても新鮮な地場産の青果物や有機野菜などを毎日仕入れ、多くの地元消費者に安定的に供給している。こうした社会的機能を維持していくことが卸売市場公共性であると思いますが、小売業者を切り捨てるような市場であってはならないと思いますが、この点はいかがお考えでしょうか。
  7. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) お答えいたします。  食品流通先ほど先生からお話ありましたけれども、基本的には、郊外あるいは駅前に立地する大型店と、それから商店街などの地域社会利便のいいところに所在しまして、大型店のまとめ買いに対応しまして多頻度購買にこたえていくという、そういう専門店中心とする流通、その二つ流通形態が共存して、かつ相互に補完し合うことが望ましいというふうに考えておりまして、卸売市場といいますのは、この両方流通に対しまして円滑かつ効率的に生鮮食料品等の提供を図るものであります。  今回の改正も、近年におきます卸売市場をめぐる状況の変化を踏まえまして、卸売市場機能役割が発揮されるように、一つ関係事業者経営体質の強化、二番目には公正、公開かつ効率的な売買取引推進等措置を講ずるものであります。  この改正によりまして、卸売市場が活性化し、また卸売関係事業者経営体質が強化されれば、小売店に対するリテールサポートなどの充実が図られるわけでございまして、そうした専門店利便の向上にもつながっていくものというふうに考えております。
  8. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、今回の改正で、このように小売業者が切り捨てられる、こういうような市場のゆがみ、これを正すことができるのですか。
  9. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) ただいま申し上げましたように、食品流通につきましては二つのトラックがあるわけでございます。そのツートラックに対しまして、大型店専門店両方流通に対しまして、この卸売市場法は公正かつ公開かつ効率的な売買取引を推進いたしまして、円滑、効率的に生鮮食料品を供給していくということで、両方流通路線に対しまして生鮮食料品等を提供するという重要な役割をこれからも果たしていかなければならない、今回の改正もそうしたねらいを持つものであります。
  10. 須藤美也子

    須藤美也子君 今度は、相対取引が今回の改正の中に入っておりますね。公正、公開効率的、そういう原則のもとに相対取引が入りますと、競り原則は一体どういうふうになっていくんでしょうか。
  11. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今回の市場法改正案におきましては、取引方法につきまして、市場ごと品目ごと実情に応じまして開設者が、一つ競り売りまたは入札方法、それから二番目には、一定の割合を競りまたは入札にしまして、その他の部分につきましては競り入札または相対という取引、つまり最低競り数量設定方式でございます。三番目は、競り入札または相対という方式でございます。このいずれかを品目ごと業務規程で定めるようになっております。  先生御案内のように、競りあるいは相対、それぞれ長所短所があるわけでございます。  例えば、競りにつきましては、個々の物品ごと商品評価なり検品等を厳密に行うという点、あるいはすべての参加者に公正な取引機会を提供するというような点、そういった利点はあるわけですが、他方、多数の小売買参人一つ市場に集まって、そうした要請でどうしても競り単位小口とする必要があるような場合には大量の入荷物をさばき切れないということ、さらには短期の価格変動が激しいという点が短所として指摘されるわけでございます。  他方相対につきましては、産地なりあるいは量販店業務用、そういった大口ユーザーが求める安定的な取引関係を構築することができるという点、また多数の小売買参人参加可能な取引時間の制約を受けずに大量の入荷物を随時取引することができるという点での長所があるわけでございますが、他方、透明な取引が行われていないという点につきまして短所指摘されているわけでございます。  今回、先ほど申しましたように、三つ取引方法品目ごとに定めるわけでございますが、そこで申し上げましたように、今回の改正競りがなくなるわけではございません。一番目の方法競り取引品目なり、あるいは二番目の方法最低競り数量を設定する、そういう品目につきましては競りが行われるわけでございます。こうした取引方法をどういうふうに決めるかにつきましては、卸、仲卸小売業者を含みます買参人などの利害関係者意見を聞いて定めるようにしております。  また、現在の卸売市場法にも三十六条で、市場利用者を不当に差別したり、あるいは出荷者からの委託を拒否することができないというような禁止規定があるわけでございます。そうした基本的な考え方は引き続き今回の市場法改正においても維持しているわけでございまして、中小零細な小売業者が悪影響を受けないよう、開設者に対しましてそうした中小零細な小売業者に配慮した適正な取引が行われますように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  12. 須藤美也子

    須藤美也子君 競りについては比重が低下していくというふうに思うんですけれども、業務規程でそれぞれ品目ごとに定めるとしてありますが、競り用の比率、残すとおっしゃっておりますけれども、どの程度競り用に残すようになるんですか。
  13. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、三つ取引方法市場ごと品目ごと実情に応じまして開設者が定めるわけでございます。どういう品目をどれだけ競り入札でやるかということにつきましては、各市場の置かれました状況なり品目の特性によって異なってくるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、市場取引委員会等におきまして、卸、仲卸買参人等利害関係者意見を聞いて開設者が適切に定めていくというふうに考えております。
  14. 須藤美也子

    須藤美也子君 今の答弁では、はっきりどのくらい競り用に残るのか、競りというのは最も透明度の高い取引になると思うんですけれども、非常に心配があるわけです。というのは、市場によっては七割、八割、現に私の方の地元公設市場でも相対取引が七割にもふえている。こういう状況の中で、先取り相対取引予約、そういったことを業務規程で定めても効力はないんじゃないですか、この分は競りだとかということを、委員会とかそういうところで決めても。実際は相対取引が今七割も八割もどんどん行われている中で、小売業者のために競り用の分を残しておくといっても、その業務規程そのもの効力があるのかどうか、それが非常に疑問なんですが、どうですか。
  15. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、取引方法につきましては、市場ごと品目ごと実情に応じまして開設者が、業務規程といいますのは条例でございます、したがいまして議会議決を経て定めるわけでございます。したがいまして、それに従っていない取引につきましては開設者が卸あるいは仲卸等を当然指導することになるわけでございまして、条例によって取引方法を定めるといいますのは、従来の要綱あるいは通達等で行っておりました取引方法の規制に比べまして、非常に厳格度の高いものというふうに考えております。
  16. 須藤美也子

    須藤美也子君 この前の参考人質疑の中で増田参考人は、相対取引が主流になってどんどん進んでいる、量販店の都合のいい先取りなどが優先され、顔がきく取引が横行するようになれば公設の資格が失われてしまう、こういう陳述をなさいました。  今回の改正で、市場取引方法は各市場ごと業務規程で定めるというふうになっておりますけれども、極端な例を挙げれば、市場によっては競りを全く行わなくてもいい、そういうことも可能なわけですね。先ほど来いろいろな答弁をなさっているようですけれども、どうですか。
  17. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど言いましたように、市場ごと品目ごとに決めていくということでございます。ですから、ある品目、例えば保存性がきく、あるいは規格性があるようなもの、それらにつきましてはまさに三番目の取引方法で、すべて相対で行われることもあり得るかというふうに思っておりますが、それ以外の品目につきましては、競り売り、入札方法という一番目なり、あるいは一定数量競り売りという二番目の方法が定められる場合が多いというふうに考えております。
  18. 須藤美也子

    須藤美也子君 私が今聞いたのは、競りが全くなくなる市場も出てくるのではないかということを聞いているんです。
  19. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) したがいまして、市場によって三つ方法を定めるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、一般的なことでいえば、どう決めるかといいますのは、もちろんこの改正法後、開設者議会議決を経て条例で定めるわけでございますけれども、今のところ考えられますのは、先ほど言いましたように、貯蔵性のあるものあるいは規格性のあるもの、そういうものは相対取引中心の三番目に行くであろう、しかしそれ以外のものにつきましては、競り入札、あるいは一定競り数量を設定するという売買取引中心になるのではないかというふうに考えております。したがいまして、その場合には当然のことながら競り取引が行われるということでございます。
  20. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、さっきからいろいろおっしゃっていますけれども、競りが全くなくなる市場もあるのかどうかということを聞いているんです。いろいろおっしゃっていますけれども、このことについては答えていません。なくなるということはあり得ないんですか、それともあるんですか。そこをきちんと具体的に、私のような頭でもわかるように答弁していただければ結構なんです。
  21. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 一般的な事柄でいえば、競り取引が行われる場合が多いというふうに考えております。ただこれは、先ほど申し上げましたように、この改正法後、開設者が決めるわけでございますので、必ずこれでなきゃならぬということを今ここで私が決めて申し上げるわけにはいかないことを御理解いただきたいと思います。
  22. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうすると、この入札のやり方は開設者にゆだねる、こういうことですね。それは重大な問題だと思いますよ。公設市場に、あと開設者考え方にゆだねる、そういうことになれば大変な問題だと思います。  そこで、中央卸売市場は自治体の開設によるもので、地元商店地元住民を重視した機能を果たすことが本来の姿ではないかと思うんです。例えば、輸入物市場に入っている中で、小売業者地元生鮮野菜が欲しい、大体多くの地元住民はそれを望んでいます。地域ごと地場流通が重視されていることも皆さん御承知のとおりだと思います。どこの市場でもさまざまな努力がされている中で、今回の改正は、大スーパー量販店やそういう相対取引、そういうものに対応した市場取引制度へ一面的に取り組むことになるのではないか、こういう心配があるわけなんです。  ですから、地方市場よりも効率の高い大きな市場に皆行くんです。例えば、農協さんも、そういうところは全部、大田市場とか大きな市場に物を持っていく。そうなると、地方市場はなくなっていくわけです。淘汰されていくわけです。つまり、大きな市場にどんどん流通していく、そして大きな市場が全体を支配するようになっていくのではないか、こういう心配がありますが、それはどうなんですか。
  23. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、今後の生鮮食料品等食品流通につきまして、大型店中心流通専門店中心流通、それが共存し補完し合うことが必要だというふうに考えております。  それを支える卸売市場につきましても、いわゆる大都市の建て値市場というものと、それから地方市場といいますか、地方市場卸売市場ネットワークをつくって円滑かつ効率的な流通システムをつくっていくことが重要だというふうに思っております。特に、産地サイドからは、どちらかといえば大都市におきます建て値市場向け出荷への要請が強いわけでございますけれども、それはそれとしてこたえながらも、例えば効率的な物流システムを考えていくとかいうようなことを取り入れていきまして、全国的、効率的な流通ネットワーク、それは大都市中央卸売市場、それを補完する地方地方市場、これらが相まって効率的な流通を行っていくという、そういうシステムをつくっていきたいというふうに思っております。     ─────────────
  24. 野間赳

    委員長野間赳君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、木庭健太郎君が委員辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。     ─────────────
  25. 須藤美也子

    須藤美也子君 大臣にお尋ねします。  私が今質問したんですけれども、相対取引というふうになりますと、地方市場よりも効率の高い大規模市場出荷するようになっている、現にそういうふうになっています。そうなると、市場全体が大規模市場に支配される、そういう危険性が生まれるのではないかということを私は先ほどから心配して質問しているんですけれども、この質問に対して的確な答弁がないんです。大臣答弁を求めます。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生の御質問は、市場内における競りあるいは入札とそれ以外の方法との御指摘、それから中央市場地方市場との御指摘二つ今やりとりがあったというふうに理解をしております。  中央市場に物が集中してということに関しましては、交通手段が発達したとか、いろいろそういう中央に集積しやすい状況になっていることは一方ではあるかと思いますけれども、地方における市場重要性というものも、特に小口の八百屋さん、魚屋さんを中心にしたニーズもあるわけでございますので、設備の合理化とか統合などは現にやられておりますけれども、中央市場に物を集積することを誘導したり、あるいはまたそれによって地方が損害をこうむることのないような指導をしていきたいというふうに考えております。
  27. 須藤美也子

    須藤美也子君 この問題については非常に重要な問題があると思いますが、この問題だけで質問できませんので。  次に、仲卸経営悪化の要因は一体どこにあるんでしょうか。簡潔にお願いします。
  28. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 基本的には、最近の卸売市場取扱高の伸び悩み、これは市場経由率の低下なり景気低迷に伴います単価安などでございます。また、固定経費が増加している、人件費なり配送費等でございます。また、経営規模拡大等企業努力によります経営改善がおくれているということ。さらには、量販店等決済サイト長期化傾向、そういうものを背景にいたしまして仲卸業者経営は悪化しておりまして、約半分の業者が赤字を計上している状況でございます。
  29. 須藤美也子

    須藤美也子君 販売代金回収日数が長期化している問題が第一にあると思うんです。  今回の法改正で、中央卸売市場における売買取引を行う者の決済は、支払い期日支払い方法など、業務規程で設けられております。しかし、この規程卸業者仲卸との間を規制するものであって、仲卸量販店との間にそれを規制するものがあるんでしょうか。
  30. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 基本的に仲卸業者量販店等との決済につきましては私的な商行為によるものでございまして、この両者の決済につきまして行政が規制するというのは困難であるというふうに考えております。  しかしながら、仲卸業者量販店との決済につきまして、今、先生言われましたような早期支払いにつきましての訓示的な規定業務規程で定めるということを今回の改正法で定めております。したがいまして、必要な場合には、支払いのおくれております量販店等を含めまして、買い出し人開設者が指導できるというような根拠規定が設けられたというふうに考えております。
  31. 須藤美也子

    須藤美也子君 大規模量販店決済についても規制するルールが必要である、このように私は考えます。  また、二つ目は、量販店などの指し値、目玉商品あるいは安値、こういう点で仲卸の負担になっていると思います。これは仲卸皆さんからお聞きしたんですけれども、結局は安値とか目玉商品ということで身銭を切らなくちゃならない、そういう状況がある。このように適正な代価が払われていない、そういうことはいずれは消費者にかぶさっていくのではないかという心配をしている方もいらっしゃいます。そういう点で、大規模量販店決済、あるいはこのような大規模量販店優越的地位の乱用と申しましょうか、こういうものをきちんと規制する責任が政府にあるのではないか、ここは申し上げておきたいと思います。  今回のこの法改正は、現在の公平、公開、公正の原則から公正、効率に変わることです。そういう点では卸売市場基本的にゆがめるもの、つまり競り透明度が高かった、そういうものが相対取引では価格がわからない、後でないと報告されないわけですから、そういう点では非常に透明性公平性が失われていく。そういう点で今回の改正というのは、市場にとっても小売業者にとっても、生産者にとっても消費者にとっても大変な問題があるというふうに言わざるを得ません。そこで、卸売業についてはこのことを申し上げて、次に移りたいと思います。  次に、JAS改正法の問題について質問したいと思います。  東京都が都道府県の協力を得て行った全国的な調査によりますと、有機農業が行われているのは総耕地面積で〇・四%、全農家戸数では一%にすぎない。有機農業はこうした農家の犠牲と試行錯誤によって取り組まれているのが現状なわけです。  そういう中で農水省として、北海道から九州まで、つまり土壌も気候も違うところに一律にこういう規格を当てはめるということが可能なのかどうか、これがまず第一です。  それから、東京都がいろいろな道府県と協力して行った調査があるわけですけれども、このような全国的な調査農水省として行うべきではないか。そういう実態調査を踏まえて、表示あるいは有機農業のあり方について皆さんに合意を得る、こういう努力がされるべきだと思いますが、その点はどうですか。
  32. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 最初の問題にお答えしたいと思います。  先生が言われました有機農産物基準全国一本で決めるのは問題ではないかという御指摘でございますが、昨年十一月に有機食品の検査・認証制度検討委員会から報告書をいただいているわけでございます。その検討委員会で、生産者消費者あるいは学識経験者等利害関係者も含めまして多数参加を願って議論した結果、有機農産物といいますのは国際規格等を考慮しながら、かつ現在のガイドラインも考慮しながら、基本的には化学肥料、それから化学合成農薬を使用しない栽培方法基本とした農産物であるということ、特に転換期間としましては三年間の転換期間を設けるというようなことが基本的な方向として示されているわけでございます。  具体的に基準をどういうふうに決めていくかというのはこれからの問題になるわけでございますけれども、基本的には国際規格なりこれまでのガイドラインの実績、また検討委員会におきます議論を踏まえれば、有機農産物といいますのは化学肥料なり化学合成農薬を使用しない栽培方法基本として、三年間の転換期間を設けるというような基本的な方向はおおむねコンセンサスが得られているものというふうに考えております。
  33. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) いわゆる有機農業の実態についての御質問がございましたので、一つお答えをしておきたいと思います。  私どもで平成七年から八年にかけまして全国を対象に、いわゆる環境保全型農業を実施しておられる農家がおよそ六千五百戸ほどでございますが、この皆さんを対象としまして聞き取り調査を実施いたしております。その調査結果から、先生御承知のように、有機農業というのはいろんな使い方をされるわけでございますが、無農薬・無化学肥料栽培を実施しておられるという農家数を作目で推計いたしておりますが、水稲でおよそ七千五百戸、野菜で八千九百戸、果樹で一千六百戸という推計をいたしております。これを各作物の販売農家でシェアを見てみますと、それぞれ水稲で〇・四%、野菜で〇・四%、果樹で〇・七%という推計をいたしております。  以上です。
  34. 須藤美也子

    須藤美也子君 その答弁はこの前の委員会でお聞きいたしました。承知しております。  ただ、東京都のように、実際に有機農業をやって苦労して、例えば無農薬でキャベツをつくった、ところが虫が食って葉っぱに穴があいた、それから農薬を使わないで三年たった、そうしたらその葉っぱを食う虫が、葉っぱを食う虫というのは悪い虫と言いますが、今度はこの悪い虫をいい虫が食って今は立派なキャベツができるようになった、こういうふうに現場では苦労して無農薬の野菜をつくっているんです。  農水省はそういうような現場の実態をつかむ必要がある、そして奨励していくのであれば、そういう人たちのいろいろな苦労をやっぱり全国的に広げていく必要があるのではないかということを申し上げたのであって、同じ答弁を聞く必要はありません。  そこで、有機農産物表示適正化については特定JASで行う、こういうことを「新JAS制度の概要 Q&A」、農林水産省食品流通局消費経済課監修で出していますね。御存じないですか。ここにこうあります。「有機農産物についての特定JAS規格が制定されれば、特定JASマークを付けた有機農産物が公的な認証を受けた商品として消費者の信頼を得、広く普及することを通して、有機農産物についての表示適正化は確保されるものと考えられます。」と、こういう任意表示適正化が可能であると、一九九二年十一月にこういうことを監修として出しているんです。それなのに、なぜ今統一的な規格有機農業表示をやらなければならないのか、そこがわからないんです。なぜですか。
  35. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) ただいま先生の御質問にございましたように、平成五年のJAS法改正におきまして特定JAS制度を設けたわけでございます。特定JASといいますのは、生産の方法についての基準を内容とするJAS規格を定めることができるようにしたものでございます。  しかしながら、五年のJAS法改正の際に、有機農産物に関する特定JAS規格につきましては、ちょうどその際にガイドラインがこれと同じ平成五年四月から施行されたわけでございますが、このガイドラインの実施状況を見きわめた上でその検討に着手すべきだという附帯決議をいただいているわけでございまして、ガイドラインの実施状況を見る必要があったということが一つでございます。  また二番目には、これは制度的な問題でございますが、確かに平成五年のJAS法改正によりまして特定JASの格付を受けていないものにつきまして特定JASマークを付することは禁止されたわけでございますけれども、特定JASマーク以外の有機という表示の規制がなかったわけでございます。そうしたことから、それだけでは消費者の適切な商品選択に資する、いわゆる有機表示適正化を図ることが不十分ではないかという懸念が消費者等から示されたわけでございます。  またさらに、五年の時点では有機農産物につきましての国際ルールでありますコーデックスの有機食品ガイドラインがまだ検討段階であったということで、その動向が不透明であったという事情があったわけでございます。  そうしたことから、特定JAS制度ができたのですぐに有機農産物のJAS規格の制定という作業に入るということには行かずに、附帯決議等にもありましたように、当面は有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン、つまりガイドラインを適宜拡充しまして普及していくということによりまして表示適正化を図ってきたというのが実情でございます。
  36. 須藤美也子

    須藤美也子君 参考人の生産者の方々からもいろいろ意見を言われて、後で申し上げますけれども、今全国各地を回りますと、有機農業をやるには振興策がなければできない、その振興策も示さないで強制的にこれをやるということは非常に片手落ちではないか、こういう意見があります。この点についてはどうですか。
  37. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生おっしゃっておられますように、有機農業につきまして生産者はさまざまに工夫した取り組みをしているわけでございます。農林省といたしましても、消費者の健康なり安全志向、あるいは農業生産のあり方の一つとして的確な支援を行っていくことが重要だというふうに考えております。  こうした観点から、今回のJAS法改正では、有機農産物についての表示適正化を図って消費者への信頼性の確保、またそのことによります需要の増大、さらにはそれに応じました生産の拡大を図っていくということ、もう一つは生産対策といたしまして、有機農業への取り組みにつきまして技術情報なり無利子の農業改良資金の貸し付け、あるいは堆肥等の有機物の供給施設の整備、そういう助成を講じているところでございます。  また、今国会に提出いたしまして、先般、本委員会で可決をいただきました持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案におきましては、土づくりと化学肥料なり農薬の低減を一体的に行います農業生産方式として、いわゆるこの有機農業もそのあり方の一つとして該当するわけでございますので、この法律によります支援の対象となる農業生産方式に該当すれば支援をしてまいりたいということで、まさに表示の充実と生産対策の充実を車の両輪として進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  38. 須藤美也子

    須藤美也子君 大変一生懸命な答弁、ありがとうございます。でも、私の質問はそういうことではないんです。  有機農業の振興策について具体的にお尋ねいたします。  有機農業の振興策については、三年間、おっしゃいましたように無農薬、化学肥料を使わない、こういう農業を行うということでしょう。そうすると、先ほど言いましたように、北海道から九州まで土壌も気候も違う縦長の温暖多雨の日本で、一律にそういう有機農法で生産するということが可能であると考えておられますか。一言でいいです。いろいろな修飾語は要りません。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 有機農法、それから先ほど局長から答弁しました持続性の高い農業を御審議いただきましたが、これは趣旨としては大きな意味で一体性のある、関連性の深い法律案だというふうに考えております。  第一に、消費者ニーズが非常に強いということが一つ。それから、生産者にとっても中長期的に見ても極めてメリットがあるということが一方ではある。この二つの大きなメリット、さらには消費者に対しての表示の提供といいましょうか、情報公開という面からもプラスになろうということでございます。そういう形に、農法についてもいろいろと変えていかなければいけない、大変だ、あるいはコストも多少かかるということで、今申し上げたような技術提供、情報提供あるいは無利子融資等の促進支援策を講じているところであります。  一方、北海道から九州、沖縄までそれぞれ条件が違うというのはそのとおりであります。そこで、現によく御議論いただきますが、適地適産というような言葉もございますが、やっぱり現時点においても地域条件によって、例えば米であればほぼ全国的にあるわけでありますけれども、それぞれやり方が違うわけでございます。それを米に例えて申し上げますならば、先ほど申し上げたようなさまざまなニーズあるいはプラス要因を実行していくために、やはりその地域に合った形の有機農法、先生指摘のような例えば天敵農法、あるいはまたいろいろな有機肥料、あるいはまたフェロモン何とかという技術とか、そういうものを適宜使いながら、さらには新たな技術もこれから積極的に国を初めとして試験研究をし、それを農業者に提供していくということも含めてやっていくわけでございますから、それぞれの地域条件の異なるところも、そこに合うような形での有機農法というものを推進していきたいというふうに考えております。
  40. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、大臣地域に合った形の方法を考えていく、そうすると、コーデックス規格とか国際化に合わせるというのではなくて、日本独自の規格、そういう規格策定というものを考えておられるわけですね。
  41. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは、コーデックスはあくまでも食品の安全性に関することあるいはまた表示等のことでございますが、基本的にはコーデックス委員会ガイドラインなり決めに基づいたというのが原則であります。その上に立って、我が国のそれぞれの地域、自然条件に合ったやり方というものを推し進めていきたいというふうに考えております。
  42. 須藤美也子

    須藤美也子君 もう一度聞きますが、国の一律的な規格は当てはまらない、地域地域に合った栽培規格、そういうものを策定すると、こう理解してよろしいのでしょうか。
  43. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 現に今、先生の御質問にもありましたように、地方自治体で進めております。現在、十二都県でこの有機農産物の認証制度を実施しているわけでございますが、これは北は岩手県から南は高知県、熊本県まで非常に南北広い範囲で行われているわけでございます。それの基本的な考え方はまさにガイドラインに基づいているわけでございまして、先ほど申しましたように無化学肥料、それから化学合成農薬を三年間使用しないという基本的な考え方基準として、岩手県から高知、熊本までその基準に沿った認証制度が実施されているということでございます。  先ほど大臣の御答弁にありましたように、これから関係者を含めまして、この法改正後、JAS調査会でもって議論して決めていくわけでございますけれども、基本的にはコーデックス等を考慮しながら、かつ今までの検討会で議論されました方向、またガイドライン基準、そういったものはいずれもほぼ同じような考え方に基づいているものでございますので、そうした考え方でもって今後細部を詰めていくことになるというふうに考えております。
  44. 須藤美也子

    須藤美也子君 大臣地域に合った形で考えていきたいと、あなたの方はあくまでも三年間、無農薬、それから化学肥料を使わない、そういう一律のあれでやると。その辺がちょっとわからないんですけれども、どっちがあれなのか。  大臣がおっしゃったように、地域地域の特性があるわけです。そういうものに一律にそれを当てはめるということは可能なのかということを私は言っているわけです。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の有機農産物基準というのは、あくまでも、先ほど局長から申し上げましたように、三年間の転換期間とか、あるいは農薬や土砂が飛んでこないような措置を講ずることとか、あるいは病害虫、雑草の防除に当たっては効率的、生物的あるいは物理的防除を適切に組み合わせて実施する等というのが基準だということでございます。  それを実際どういうふうにやっていくかということについては、例えばですけれども、この地域のこの雑草、病害虫に対してはどういう天敵が有効なのかとか、そういうような面で地域の特性というものと大いに合った形で効率的なものをやっていくという意味でございまして、原則はあくまでも局長が答弁をし、そしてその実態面といいましょうか、実施面において地域地域の条件の違いを最も効率的にやっていけるような形で有機農産物を生産していくということでございます。
  46. 須藤美也子

    須藤美也子君 両方意見はわかりました。その地域地域に合ったものを実施していく場合はそういうことを考慮して、一律に強制するという形のものはやめていただきたいというふうに思います。  さらに、基準づくりは地方自治体が行っている検査・認証制度の自主性を尊重する、こういう点が非常に重要だと思うんです。つまり、有機農業で有名になっております宮崎県綾町では有機認証にかかわる費用、気象災害による減収分は町が負担している、農家だけにリスクを負わせない、こういう体制が整っているということで報道されております。そういう対策が必要だと思うんです。  そこで、有機農業の振興策として、つまり自治体に任せるのでなくて、あるいはその地域に任せるのでなくて、例えばいろいろ参考人の質疑の中でもありました。山形県は全国で二番目に有機農業の比率が高い県と、東京都の新聞報道によればそうなっておりますが、米沢郷牧場の伊藤参考人は、残念ながら行政からの支援はほとんど得られなかった、有機農業振興法を独立法として制定することを主張してきたと、このように言われております。また、産直運動の齋藤参考人は、行政がきちんと支援する仕組みができれば、海外の運動に比べても日本の運動はその蓄積の豊富さ、自然の豊かさからいって日本がさらに発展する条件は整っていると、こういうふうに言われております。  そういう点でも、私はまず一つは、持続的農業導入促進法をいろいろ提出していると言われておりますが、それとは別に、例えば今問題になっております認証費用をどうするのか、あるいはコスト負担など有機農業の振興のための総合的な支援策をつくる必要があると思うんですが、これはどう考えているでしょうか。
  47. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 自治体が、地方自治あるいは地域住民の福祉あるいは地域におきます産業の振興とかの点からいろんな施策を講じているわけでございます。その一環としまして、先ほど申しましたように、十二都県でもって有機の認証制度が行われているわけでございます。  その中で、国としてどういうことをやっているかという御質問でございます。  先ほど申し上げましたように、有機農業の振興には表示適正化と生産対策、これは車の両輪であるということを申し上げているわけでございます。そのために、生産対策といたしまして、先ほど申し上げましたように、技術提供なり無利子の農業改良資金の貸し付けなり有機農産物に対する集出荷施設あるいは堆肥製造施設等に対する補助事業などをやっておるわけでございますし、また今回の持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案に基づきます各種助成も、当然、有機農業は対象になるというふうに考えているわけでございまして、そうしたものを拡充しながら生産対策を充実してまいりたい、まさに車の両輪として行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  48. 須藤美也子

    須藤美也子君 といいますと、必要な支援策は講ずると理解していいんですか。
  49. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、表示適正化と相まった生産対策の充実につきまして、今回の持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案なども、大きく広い意味で言えば環境保全型農業としてその一環だというふうに考えているわけでございます。
  50. 須藤美也子

    須藤美也子君 どうもいま一つはっきりしないんですけれども、つくる必要があると私の方では考えているんです。全国でもそういうふうに思っている。そういう支援策を考えて検討するのかどうかということをお聞きしたいんです。これまでどうのこうのというのはいいです。
  51. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生の御質問が、一つ法律でもってやるべきではないかという御質問であれば、必ずしもその方法だけではなくて、今申し上げましたように、それぞれ法律は違うけれども、別々な法律ではあるけれども、そのねらいは両者相まって有機農業の振興に資するものであるというふうに考えておるわけでございます。  そういう意味では、これからそういう形でもって有機農業の振興対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
  52. 須藤美也子

    須藤美也子君 わかりました。  次に、いろいろな自治体で試行錯誤でやっているわけですけれども、認証制度の自主性を、先ほど申し上げましたように、尊重する点でも非常に重要だと思うんですが、一九九三年の改正時に参議院農水委員会での附帯決議、有機農産物表示を行う産地においては自主的な管理体制の確立など、その条件整備について検討を行う、こういう附帯決議を行いました。今回の改正は、国の統一基準をつくるもので、地方の自主性を奪うことのないように、これはきちんとここで確認したいと思うんですが、どうですか。
  53. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、十二都県におきまして実施されております認証制度につきましては、有機農産物のみを認証の対象とするものと、それから有機農産物のほかに減農薬栽培等の農産物等も認証の対象とするものと、大きく分けて二つあるわけでございますが、いずれも基本的にはいわゆるガイドラインに基づいて行っているわけでございます。  今回の法改正によりまして、有機農産物に関するものにつきましてはJAS法に基づく制度へ移行するというふうに考えております。  認定機関によります認定を受けて、農産物にJAS法に基づきます認証マークを付して有機の表示を行うことになります。また、その場合に、都道府県がみずから登録認定機関になるかどうか、これはそれぞれの判断であるわけでございますが、そのようなケースもあるというふうに考えております。
  54. 須藤美也子

    須藤美也子君 委員長にお願いしたいんです。  有機農産物基準はすべて省令、政令に任せて、よくわからない。これからいろいろ出てくるわけですから、この委員会でいろいろな委員からも問題が出ております。日本の有機農業を発展させる点では各会派とも一致できると思いますので、検討されている国際規格や国内基準を本委員会に提出していただいて本委員会で審議をする、こういうことを要請したいのですが、委員長、どうですか。
  55. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまの御提言につきましては、後日の理事会において協議をさせていただきたいと思います。
  56. 須藤美也子

    須藤美也子君 最後に、産消提携とか産直運動でいろいろこういう人たちが心配している問題ですが、産消提携、産直で行われている有機表示の扱いについて、農水省は、表示規制に入らない、こういうふうに言われました。それはどの法文上の規定に載っているのか、それだけ教えていただきたいんです。
  57. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今回のJAS法改正法案の第十九条の十におきまして、格付の表示がなされていない農林物資については有機農産物等の表示あるいはこれと紛らわしい表示を付してはならないという規定がございます。  今申し上げましたように、格付の表示がなされていない農林物資でございますので、規制の対象は当該農産物に付されている表示でございます。したがいまして、先生御案内の産消提携等によりまして、産地での看板なり定期的なニュースレターなりパンフレット等で、生産に関します幅広い情報の提供につきましては今回の規制の対象外ということになるわけでございます。
  58. 須藤美也子

    須藤美也子君 わかりました。  終わります。
  59. 谷本巍

    谷本巍君 初めに、市場法食品流通構造改善促進法の関係について伺いたいと存じます。  現行の食品流通構造改善促進法が制定されたのは八年前でありました。私がここへ来たばかりのころでありました。その当時、ここで行われました議論というのは、相対取引が生まれてきている、それから前の晩の市場買い、いわゆる先物取引というのが激増してきている。そういう中で、競りというのをどう維持しようかということについての議論が多かったのであります。八百屋さんにしましても魚屋さんにしましても、公平な荷分けに参入することができるよう保証していくのには競りの制度を維持しなければならないからであります。  そうした論議とともに、もう一つの問題は、八百屋さん、魚屋さんをどういうふうにして商売が維持できるようにしていくか。そのために共同仕入れについて奨励していきましょうとか、あるいは食品商業集積施設の整備事業等々を行うようにすることといったような論議等々が行われたのであります。  ところが、今回の法改正は、量販店の進出、相対取引は増加した、したがって競り入札原則は撤廃する、市場ごと取引方法を決定する。これは明らかに制度の骨組みががらりと変わっていくということであります。八年前のここでの論議からしますと、これは制度的には大転換ということです。その大転換の象徴的なものは、先ほど質問にもありましたけれども、相対取引一本でもよろしい、競り部分を残さぬでもよろしいと。法的には確かにそういうふうな仕組みになっていくのじゃないでしょうか。  これまで量販店というのは、大量に仕入れるから安くしろということでやってきた。そういう市場というのは競り市場には通用しなかった。競り市場というのは公正な価格決定と公正な荷分けを保障する市場であるから、したがって公的にこれを支えなきゃならぬということでやってきたわけです。  ところが、骨組みがここまで変わりますと、これは大逆転ですよ。同時に、相対取引一本ということになってきますというと、資本が行っておる物流センター等々と基本的にはそう変わりはなくなってしまうのではないか。ということになると、何で公的にこれを支えていかなきゃならぬのだという問題が出てまいります。局長、その辺はどう考えておりますか。
  60. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、卸売市場といいますのは単なる物流センターではないわけでございます。要するに、生産者なり流通業者などに開かれた取引の場としまして、公正、公開考え方に基づきまして取引が行われること、そういうことを確保することが重要であるわけでございまして、そのために中央卸売市場につきましては公的な主体が開設者となり、かつルール設定なり指導監督を行うという形態をとっているわけでございます。今回の改正では、そうした生産者なり流通業者などに開かれた市場であるという点での基本的な部分であります不当差別なり受託拒否の禁止という、そうした考え方は今回も変わっておりません。  今回の改正案で提出しておりますのは、取引方法につきまして、市場ごと品目ごと三つ取引方法が採用できる、それを条例でもって業務規程で定めるということを主としているわけでございます。その中で、基本的な考え方は、公正、公開効率考え方でございます。また、取引結果の公開ということもやっておりますし、利害関係者、卸、仲卸買参人等の参加を得た市場取引委員会の設置等も決めているわけでございます。  そうしたことでもって卸売市場が公正、公開効率取引が行えるように今回の改正案を提出しているわけでございまして、決して今回の改正卸売市場を物流センターにするものではないというふうに考えております。
  61. 谷本巍

    谷本巍君 局長、相対取引一本も可能になるんですよ。競り部分を残さぬでいいんですよ、法的には。大転換でしょう。違いますか。そこの点はどう考えますか。
  62. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほどお答えしましたように、制度的にはそうでございます。しかし、相対であっても、価格あるいは数量を公表するという義務がこの卸売市場法取引される取引につきましてはあるわけでございます。また、先ほど申しましたように、相対のみという三番目の取引方法は、保存性なりあるいは規格のある、今で言います特定物品が中心になるというふうに考えているわけでございます。
  63. 谷本巍

    谷本巍君 開かれた開かれたと申しますけれども、相対取引の場合には結果を発表するというだけのことなんじゃないですか。  それにもう一つこの際申し上げたいのは、改正案の中には、公正な取引を確保することから関係者で市場取引委員会を設置できると、こう言っているんですね。これは大変結構なことです。これまでさんざん指摘がありました大型量販店市場進出、これに大胆に今度は道を開くわけでありますから、市場取引委員会は必ず設けなきゃならないというふうにして初めてバランスがとれるんですよ。  なぜこれを必ず置きなさいというふうにしなかったんですか。
  64. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 市場取引委員会におきましての機能役割は、先ほど先生が御発言になったとおりでございます。日々の公正かつ効率的な取引を確保していくためには、関係者の意見を聞く、あるいは関係者が改善意見等を述べる、そういうための市場取引委員会が必要だということでございます。  こうした委員会の設置につきましては、地方分権の観点から任意設置としているわけでございます。これは今の内閣の方針あるいは地方自治法の建前からそうせざるを得ないわけでございますが、法律上この取引方法等の業務規程の変更につきましては利害関係者意見を聞くことを義務づけておるわけでございまして、その場合に市場取引委員会でもって聞けばそれに該当するという規定を設けております。したがいまして、実際にはすべての卸売市場におきまして市場取引委員会の設置がなされるものというふうに考えております。  現に、現行の十三条で卸売市場開設運営協議会というのがあるわけでございます。これも任意設置でございますが、実際はすべての卸売市場におきまして設置されておるわけでございまして、取引委員会も同様のものになるというふうに考えております。
  65. 谷本巍

    谷本巍君 何ですか、最後の方。
  66. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 同様の、つまりすべての卸売市場で設置されることになる、そういうふうに指導してまいりたいと考えております。
  67. 谷本巍

    谷本巍君 指導をしていくのであれば、これは新しいシステムの中にきちんと位置づけていかなきゃうそなんじゃないんですか。
  68. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) それで、地方自治法との関係あるいは内閣の地方分権の方針等の関連もありまして強制設置というわけにはいかないわけでございますけれども、いわば工夫をいたしまして、先ほど申し上げましたように、法律上は任意設置でございますが、業務規程の変更等につきましては利害関係者意見を聞く、その際に取引委員会意見を聞くということでもってかえることができるように、いわばそれを指導の根拠としてすべての卸売市場で設置されていくように指導してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  69. 谷本巍

    谷本巍君 私が申し上げているのは、新しい制度をつくる上でのシステムとしてそれをきちんと位置づけなきゃしようがないんじゃないですか、それがあって初めてバランスがとれるということにもなるんですよというふうに申し上げているんです。  大体あなたも御存じだろう。相対取引というのは公開性を非常に嫌う習性があるんです。それだけにこれだけの大胆な、私に言わせりゃ逆転だが、大逆転をやるときに、それの歯どめになる装置をきちっとシステムの中に位置づけなきゃうそですよ。それは分権がどうのこうのという問題じゃないですよ。そう思いませんか。
  70. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) したがいまして、市場取引委員会がすべての中央卸売市場でもって設置されるように、改正法の十一条二項におきまして、まず原則としましては、この業務規程の変更につきましては卸、仲卸、それから買参人その他の利害関係者意見を聞かなければならないという規定を設けております。ただし、第十三条の二第一項、つまり市場取引委員会意見を聞いたときはこの限りでないということで、ここでもって市場取引委員会業務規程の変更等においては必ず設けて意見を聞くという指導根拠にしているわけでございまして、いわば地方自治法との関係ではぎりぎりのところだということを御理解いただきたいというように思います。
  71. 谷本巍

    谷本巍君 ここまで来ますというと平行線になりますから、その話はその話でまた別途、機会を新たに議論をしたいと思います。  続きまして、大臣に伺いたいんです。  大型量販店が大分進出をしてきました。そして、相対取引もふえてきました。言うなれば、現状追認的な法改正という話もしばしば私どもも耳にしてまいりました。現状は現状で、これは一定程度の追認が必要であることは言うまでもないんですが、その先一体どうしていくんだということについて、この法案を読んでみてもさっぱり見当がつかないんです。  今、局長と私とのやりとりを大臣は聞いておられまして、何か私の側が弱者救済的な立場でもって論陣を張っているのかというふうに誤解されても困ると思いますので、ここではっきり申し上げておきたいのであります。  それは、八百屋さんや魚屋さんと量販店は全く性格が違う。八百屋さんや魚屋さんというのは地域社会の一員です。量販店は売れ筋のものしか売りません。試しに大臣量販店へ行って二百字詰めの原稿用紙を売ってくれと言ってみてください。売ってくれませんよ。四百字しか置いていないんです。二百字は売れ筋じゃないからだめだと、こう言うんです。ちなみに、例えばリンゴジャムをつくる、それに見合ったリンゴを売ってくれと言っても、そんなものは売れ筋じゃないから売りませんと、こうくる。ここのところが違うんです。八百屋さんや魚屋さんというのは、地域の生活者の寸法に合わせた物を売っている。ここのところが違うということ。  そして今、町場では、地域社会を支えているのは商店街皆さんなんですね。これは、ひとり暮らしの老人についても、最近、農林水産省の助成措置等々もあって、受注配達といいましたか、そういうことをやってみるという八百屋さんも出てきておる。若い人がいなけりゃ商店街は人を雇ってでもお祭りのおみこしを担ぐ、そういうふうにして町場の地域社会というのが維持されております。  それにもう一つ申し上げておきたいのは、量販店が進出しますと地域経済への大打撃が出てきます。商店街に今まで納めていた地場食品加工業、これがまずお手上げになる。それから、商店街に投下されていた日常の買い物が量販店に集中されるようになってくると、これが今度は地場に循環してこない。だから、信用組合がお手上げになります。地方銀行が困った困ったという状況になってきます。  それだけに、今、商店街の再建というのはどこの自治体も問題視するようになってきておりますが、そこで一番大変なのは八百屋と魚屋、これがないんです。やってくれる人が少ないんです。しようがないところは、商店街が株式会社をつくって、そこでもって八百屋、魚屋をやるというようなことまでしながら商店街の再建をやっているというような状況等々が見られます。  こういう立場で見てみますというと、どうも今回の法改正というのはそういうところを全く無視した法改正なのではないのかと私には思われてしようがないのです。これから先をどうするか、そこのところをひとつ大臣、おっしゃっていただけませんか。
  72. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘の趣旨は私もよく理解できるわけであります。消費者から見れば、大型店と小型の専門店、いわゆる八百屋さん、魚屋さん、これは両方それぞれ多少のニーズの違いがあるのではないか。ともに現在の消費者は、特に大都市においてはそれを必要としているのではないかというふうに考えております。したがいまして、本法律案につきましても、その両方について相対もやることができるけれども、一方では八百屋さん、魚屋さんといった小規模な小売業者利便の向上にもつながるような体制をつくっていかなければならないというふうに考えております。  個人的な例で恐縮ですが、私は目黒に住んでおりますが、大変大きな、量販店というよりもデパートぐらいの七階建て、八階建ての大スーパーがあります。その歩いて二十メートルぐらいのところに八百屋さんがございまして、いつも不思議に思うんですが、いつも通ると必ずいいものが置いてある。十五メートルも歩けばもうばかでかいスーパースーパーマーケットみたいなのがあるわけですけれども、よく頑張っているなというふうに思いながらいつもその横を通るわけであります。  やはり、専門家、プロフェッショナルとしての知識なりサービスというものは、何か細切れになったマツタケをぽんと積んであって、これを幾らだというのをただレジのところに行って金を払うというのとは違う。格好いい言葉で言えば触れ合い、あるいはまた情報提供・交換がありますし、また先生指摘のように、商店街の空洞化というものも避けていかなければならないわけでありますから、私も個人的には、弱者というよりもやっぱり町の必要なお店としての八百屋さん、魚屋さんの存在というのはこれからもいろんな意味で、多面的機能を持っておりますので、必要だろうというふうに考えております。  したがって、本法律案につきましても、ただその効率性のみを追求するものではなくて、子供に対する教育的な観点、八百屋さん、魚屋さんへ行ってそういうところでの知識を得るとか、そういったいろんな機能がこれからますます期待されていくというふうに考えておりますので、その辺にも十分配慮しながらこれからの行政を遂行させていただきたいと考えております。
  73. 谷本巍

    谷本巍君 現状追認から、この先どういう展望を開いていくかということについて御見解を伺えなかったのが残念です。  今、大臣がおっしゃったこととの関連でもう一つ私から申し上げておきますというと、とにかく家族は崩壊状況ですね。そして、今は地域社会が崩壊状況になってきているんですよ。人間制度の基礎が揺さぶられてしまっているという状況なんですね。それだけにこの競り市場問題というのは重視していただきたいということをお願いしながら、次に大臣への質問に入らせていただきます。  自給率の維持向上に向けて日本型食生活を伸ばしていかなきゃなりませんということは、基本法論議の中でもこれまで再三言われてきたことであります。それとの関連でお尋ねをしたいと思いますのは、八百屋さんや魚屋さんを生かすことを考えてはどうなのですかということであります。  といいますのは、八百屋さん、魚屋さんにしましても、これは古くからそうでありますけれども、料理の仕方を伝授しながら売っていくというのが対面販売上の特徴なんですね。ですから、今の法律が八年前につくられるときにも私は申し上げたんですけれども、八百屋さん、魚屋さん全部とは言えませんけれども、やっぱり食に関する情報センター的な機能を持ってもらうことができるような、何か工夫をする必要があるのではないかということを当時の馬場局長にも何度か私は申し上げたことがあります。これは上手にやれば、大きな魚屋・八百屋さんで人手があるところなどはそういうことがやれる可能性があるんです。ですから、日本型食生活を伸ばしていく上での八百屋・魚屋さんの活用についてお考えがあればひとつお聞かせいただきたいのです。
  74. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど大臣から御答弁ありましたように、これからの流通としまして大型店流通専門店流通、それが片一方どちらか一つ、つまり量販店が残って専門店がなくなるということは避けなければならないわけでございまして、共存、補完する関係が将来の望ましい姿であるというように考えておるわけでございます。  それで、今、先生の御質問でございますが、そうした観点から、八百屋さん、魚屋さんが地域の食べ物情報センター的な役割を果たしていけないかということでございます。そうした機能が対面販売という特徴があるわけでございまして、買い物に来られた奥さん方に料理方法を伝授するなどしながら、国内の農産物等の特色あるいは調理のポイント等を教えていくということは重要だというふうに思っております。  そうしたことから、先ほど先生の御発言にもありました食品流通構造改善促進法に基づきます構造改善事業等によりまして施設整備等を行うとともに、専門小売業者中心となりました料理教室の開催等の支援をしております。  これは例示でございますけれども、東京都青果物商業協同組合の青年会が、例えば江上トミ先生に講師になっていただいて、野菜を使った料理教室をやるとか、あるいは熊本県の八代鮮魚商業協同組合がマグロの解体、あるいはマグロ料理を紹介する等をやっております。そうしたものを平成十年度で六十三件ばかり支援をしております。そのほかビデオなり専門家の相談員等を配置するなどしております。  また、いわゆる電子御用聞きというような形でケーブルテレビやインターネット等の最新の情報機器を活用しながら御用聞きを行う、そういうシステムの完成に向けての支援事業も現在行っているわけでございまして、そうした専門店地域の食べ物の情報センターという役割を果たしていけるように積極的に取り組むよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 谷本巍

    谷本巍君 それから、この八年間の変化というのは、市場では量販店の進出ということがありましたけれども、もう一つは、そうした量販店の進出とともに産地の大型化というのも一定程度進んできたという状況がありました。そうした中で相対取引が増大して流通の広域化というのはずっと進んできておりますけれども、それが進めば進むほど、自給の社会化と言われるような朝市それから直売、これは大不況の中で年々二割ぐらいずつの伸びになってきております。また、産直運動などを見てみますというと、広域流通の中で淘汰されてしまった地方品種というのがよみがえるような状況が随所で見られるようになってまいりました。  こうした地域的な動きを農林水産省はどうとらえておりましょうか。
  76. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 御案内のように、保冷技術が高度化したり、高速道路網の発達あるいは量販店の進出、そういうことを背景にしまして広域流通というのが進んでおるわけでございます。他方、より鮮度の高いもの、有機農産物等のこだわり商品、あるいは生産者の顔の見える商品等を求める消費者の意向を反映しまして、今、先生の言われました朝市なり産直の販売所等の取り組みも広がっているところでございます。  そうした流通経路の多元化といいますのは、多様化します消費者ニーズに的確にこたえていくものにもなるし、また農業者の所得なり国内農産物の需要の確保にも資するわけでございまして、ひいては農村の活性化なり国民の農業・農村への理解、関心を深めるという効果も期待できるわけでございます。そういうことから、市場流通と朝市、産直販売等の取り組みが相互に補完し合いながら行われて国民への食料の安定供給が行われているということは望ましいというふうに考えております。  また、現に行われているものとしましては、例えばJA花園などは相当の販売額を持っております。また、女性グループだけで運営しております静岡県のくんまかあさんの店というようなものもございます。そうした創意工夫をしながらいろんな流通経路の多様化が進むことは望ましいことだというふうに考えております。
  77. 谷本巍

    谷本巍君 市場流通と産直型の相互補完といいましょうか、そうしたことを考えていかなきゃならぬという意味のお話もございました。  そこで申し上げたいんですけれども、規格や容器も統一された大型商材は情報取引の時代に恐らく入っていくでしょう。しかし、現物を見ないと評価ができないといういわゆる地場野菜等については競りじゃないと価格を決めることができません。それだけに、私は地方市場をどう生かすかということを考えるべき時期に来たのではないのかと。いや、むしろ地方市場を生かすという工夫を土台にしながらこれからの流通のあり方を考えていくべきなのではないかとさえ思います。なぜならば、大産地化というと、量販店の進出ということによる広域流通というのは、一面的には確かに合理性がありますけれども、やっぱりかなり大きなマイナス点があります。  産直それから地産地消などの運動で見てみますというと、先ほども淘汰されてしまった地方品種がよみがえってきたということを申し上げましたけれども、日本の野菜というのは、私が農民運動に入ってしょっぱなに、亡くなられました朝日新聞の団野信夫さんに教えられたのは、百四十種類を超えているぞ、日本は世界一だ、そういうものをどう守っていくかということをおまえらは考えなきゃしようがないぞということを言われました。こっちは合理化合理化というようなことを考えるような時代でありましたから。  流通合理化が徹底された国で物を食べてみますと、確かに野菜がべらぼうに不足しているというか品種が少ないんですね。日本型食生活を伸ばしていく上で、変化に富んだ日本列島、それだけに多くの品種の野菜ができるということは、これこそ私は大事にしていかなきゃならぬことだろうと思うのです。  ですから、先ほど大臣有機農業問題で地域地域ということを言われました。ここを大事にしていくのには、広域流通ということだけじゃなくて、やっぱり地方市場を活用した地方流通をどうよみがえらせるか、これを考えなきゃいけないと私は思います。  もう一つの問題をこの際言わせていただきますというと、新農政の命題になってきたのは中山間地域問題なんです。これは農林水産省の再編成による新しい課題の一つにも中山間地域問題が出ているんです。これは同時に環境問題ですよ。  よく私どもが地方へ行きますと、谷本さん、あそこのところの集落は間もなくつぶれるぞ、あそこはもうつぶれましたよ、一家で集落ごと村をおりましたという話を聞かされます。私がそのときいつも思うことは、その人たちが山をおりることによって何十ヘクタールか何百ヘクタールかの山を一体だれが守ってくれるんだろう、これで川は一層だめになるな、水がだめになるなという思いをしたことが随分あります。  そういう地域地域で生きていくことができるような状況にしていくのには、私は競り中心とした地方市場の活用を考えていかなきゃならぬと思うのだが、いかがでしょうか。
  78. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生から御指摘がありましたように、中山間等で特色のある農産物を生産していく、そのことによって所得の確保を図っていくということは非常に重要なことだというように思っております。そうしたものに販路をどうやって提供するかとなりますと、どうしてもロットが小さいということもありますので、先生が今言われましたように、地方市場といいますか地方卸売市場が販路を提供し、それを売っていくということが重要だというふうに考えております。  そうした中で、この卸売市場、特に地方卸売市場は、今、大都市中央卸売市場、特に建て値市場等からの転送物に依存する割合が高くなりつつあるわけでございまして、そういうことの中で地方市場らしい特色を出していかないと生き残り策が難しくなるわけでございます。そうした点からも、統合等の施設整備によります、施設の刷新によります近代化と並んで、集荷力を強化するために地場野菜等の地場物の集荷力を高めていくことも重要だというように思っております。  現に、京都等の京野菜といいますのは、生産振興と相まって、それをいかに付加価値をつけて売っていくかという意味での市場役割も大きいものがあるわけでございまして、そうした地場流通システムといいますか、農業と流通業を含めた食品産業の連携などを含めました地場流通システム、そういうものも今後検討、対応していかなきゃいけないだろうというふうに考えております。
  79. 谷本巍

    谷本巍君 では、続きまして、JAS法の関係について伺いたいと存じます。  初めに、認証と表示問題にかかわる若干の点について伺いたいと思います。  せんだって、参考人をお呼びしてお話を伺った中で、例えば伊藤参考人は、九州のある生産者グループの例を引き合いに出しまして、農地面積二ヘクタールで圃場の枚数が五十から百五十枚、年三回の収穫、圃場ごと品目の認証とすると書類の準備は最大四百五十通となるというようなお話等々がありました。  これは大変だなという気がしましたけれども、伊藤さんが触れていないもっと難しい問題は、やっぱり証拠書類の整備が大変なのではないかと思われることです。作業日誌をつけなきゃならぬ、それも栽培から保管から輸送にわたってということになるわけであります。しかも、種苗から諸資材などを購入していく場合に、これは有機に反するものじゃないということが立証できるような領収書だって恐らく整備しておかなきゃならないんじゃないでしょうか。  伊藤さんは圃場の枚数の問題に触れましたけれども、肝心なことを落としました。一圃場一品とは限らないということであります。特に、優秀な農家ほど品目は多いです。これは局長も御存じのとおりだと思います。欧米のように気象条件が日本と違って有機がやりやすいところはそれなりにやれるでしょうし、そしてまた圃場も大きいわけでありますから、そうしたところと比べると日本の農家の場合の認証と表示、これは大変な手間を伴うと思うんです。  簡便化を図るという話は前もって伺っておりましたが、ともかくも損害賠償要求が起きた場合にもたえ得ることができるようなものにしなきゃならぬというわけでありますから、簡素化といっても限界はあると思うのだが、その辺はどんなふうにお考えになっておりますか。
  80. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 有機農産物表示の信頼性を確保するためには、検査・認証制度のための、先生御発言になりました最低限の負担といいますか、認証機関に認証手数料等を払うこと、あるいは記帳することなどの負担を伴うわけでございます。そのコストは、表示によりまして付加価値を乗せて販売できる、その利益を享受できます生産者等が基本的には負担するものだというふうに考えるわけでございます。  現実に、消費者モニター等の調査によれば、八割以上の消費者が通常の野菜と比較しまして価格が割高であっても有機農産物を購入したいというふうに考えておりますし、また六割以上の消費者が検査・認証制度が導入された場合には認証されたものを積極的に購入したいと言っているわけでございまして、そうしたことから負担する手数料等の市場価格への転嫁というのは基本的には可能ではないかというふうに考えられるわけでございます。  ただし、その負担を少なくすることはもちろん必要なことでございまして、前回の御質問にもお答えしましたように、例えば生産組合なり農協等が生産行程管理者となりまして一括して認証を受ける、あるいはその手続等をある程度、記帳等を代行するなども含めまして、そうした負担をできるだけ軽減するための指導等をしてまいりたいというふうに考えております。
  81. 谷本巍

    谷本巍君 局長、ひとつお願いがあるのですが、簡便にするというのであれば例えば簡便なひな形をつくるといったことが大事じゃないかと思いますし、それからもう一つは、スタートしてみて簡素化ということについていいアイデアがあればどんどん取り上げていく、そういう改良を加えていく、そういうふうなこともお願いしておきたいのだが、いかがでしょうか。時間がありませんので、簡単に答えてください。
  82. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 御指摘のように、様式等の統一なりアイデア等の採用等をこれからやっていきたいというように思っております。
  83. 谷本巍

    谷本巍君 それから伺いたいのは、今、局長が答弁の中で言われました手間と費用がかかる、これは市場がそこのところは償ってくれるだろうというお話がありました。それからまた、あなたの局の方に伺いますというと減収問題、有機は収穫が三、四年安定しませんから、それについても市場が償ってくれるであろうという話をこの間、私は伺いました。  何かすべて市場原理に任せれば何とかなるんだというようなお話のようでありますけれども、そうであったら、今まで有機農業を産消提携でやってこられた皆さんは、さんざん苦労しながら産消提携というものでやらなければならなかったのは一体何のためかという気がするんです。市場が本当に報いてくれるんでしょうか。
  84. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほどお答えしましたように、消費者モニターの調査によれば、八割以上の消費者有機農産物価格が割高であっても購入したい、また六割の消費者が認証されたものを積極的に購入したいというふうに考えておる、そういう調査が出ております。また他方、今度は生産者の方のアンケートによりますと、有機農業を営む農家経営状況につきまして、十分成り立っている、あるいは何とか成り立っているというのを加えますと全体の七割にも達しておりますし、またこれら農家の四割は有機の栽培面積を拡大したいという意向が出ておるわけでございます。こうしたことから見まして、基本的には有機農産物の生産あるいは販売コストを価格に転嫁、吸収することは可能だというふうに考えております。しかし、そうしたものをできるだけ少なくする、コスト等を低減していくことは必要であります。  こうしたJAS法改正等によります有機農産物表示適正化が行われることによって、消費者有機農産物に対します需要増が見込まれマーケットが拡大すれば、生産の方も拡大できるわけでございます。そうしますと、当然のことながらコストの低下も期待できるわけでございまして、また先ほど来申し上げておりますように、堆厩肥あるいは集出荷施設等の補助事業なり、農業改良資金等の貸し付けあるいは試験研究等、国としてもそういう有機農業の生産面からのバックアップ、支援策を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  85. 谷本巍

    谷本巍君 日本の場合は、安い輸入農産物がはんらんしておりますし、それからまた環境保全に逆行するような農法で低コスト生産が行われている、そういう農産物も出回っております。それだけに、これまでの例で見てみますというと、有機に切りかえましたがもちませんでしたという話が非常に多いんです。何といっても有機農業生産を振興しようというのであれば、市場原理を言う前に、生産リスクをどう補うかというそのための条件整備、これがなけりゃうそですよ。  そこで、まず幾つかの点を伺いたいんですが、その第一点として伺いたいと思いますのは今の種苗問題です。これは局長も御存じでしょう。有機農業ということになってくるとまず種からの心配になってきます。今の種苗は、農薬や化学肥料の使用を前提にしたものばかりであります。有機農業への第一の関門はそれですよ。私の友人なんか、中山間地域を回って歩いて古い種を探して、これでやってみるんだということをおっしゃっていた方もありました。みんな苦労していますよ、種の問題では。ですから、病害虫に強くて高温多湿に合う種苗開発、これをやらないとうまくいきませんよ。  生産リスクを補ううちの第一の点としてこの種苗問題があるのだが、その点はどんなふうに対策を講じられておりますか。
  86. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生御案内のように、種苗開発を含めまして有機農業の生産方式、これを地域地域実情に応じて開発、確立していくということが重要だというふうに思っております。そのために、普及所等の協力も得ながら、新しい生産方式一つとしての有機、これの具体的な御案内の種苗の問題であるとか、あるいは堆厩肥のつくり方であるとか防除のやり方であるとか、そういったものをその地域の実態に合わせてよりきめ細かく確立していく必要があるだろうというふうに思っております。  そういう意味では、有機農産物につきまして単に表示の充実を図るのみならず、生産対策につきましてもきめ細かな支援あるいは助成策を講じていくべくこれから、先ほどの持続的な農業の生産方式の導入方もそうでございますし、また試験研究の充実もそうでございます、そうしたものの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  87. 谷本巍

    谷本巍君 二つ目の問題は技術問題です。  市町村長さんなどでも有機をやりたいと思うがということで、はたと迫ってくるのは種苗の次は技術問題です。それは何といったって今の技術体系は農薬と化学肥料を使うということを前提にしてでき上がっておる技術でありますから、有機農業というのは技術体系がその意味ではまるで違ってくるわけであります。その点についての対策はどうなっておるのでしょうか。
  88. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 基本的に、技術開発、革新的な技術につきましては国との試験研究機関におきます研究開発でございますし、また地域実証的な技術につきましては普及所、普及組織等を通じてその技術を開発、普及していくということが重要であるわけでございます。特に、有機農業の場合、いわば慣行的な農業と違って新しい試みになるわけでございますので、特に防除の面それから堆厩肥等の供給の面、そういった面につきまして普及組織等の協力を得ながら地域に合った技術を開発、普及していくことが重要だと思っておりますし、またそうした支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 谷本巍

    谷本巍君 三つ目の問題は、言わずと知れた話になってまいりますけれども、農法転換中の減収問題であります。  先ほども申し上げましたように、収量の安定が得られるのは三年から、物によっては五年かかります。その間の減収をどうするかということであります。産消提携をやっている私の知り合いの団体なんかは、消費者団体や生産者、それからまた農協、そして市町村などで基金をつくりながらやっているといったような例等々も見受けられますけれども、全国どこでもそれをやれというのは非常に難しかろうという気もいたします。  そこで思い浮かびますのは、農業共済制度の対象にできないかということであります。ともかくも気温が上がりますというと病虫害の発生というのはまるで違ってまいります。有機農業をやる中で進学中の子供を抱えていて、とてもこのままやり続けることはできませんといっておやめになった方がありましたが、それはそうした事情に基づいたものでありました。  ですから、農業共済の対象にするといったようなことを検討できませんか。
  90. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今の農業共済制度といいますのは、農業者が通常の保険でいえば善管義務でございますし、農業共済であれば通常の農業者の行う、例えば防除等を行うことが条件といいますか前提となっているわけでございます。したがいまして、即そうしたものの中に有機農業に取り組むことにはいろいろ問題もあるかと思っております。  先生の御質問に対しましては、むしろ私は、生産組合なり農協等の単位でもって有機農業に対応していくということが一つの取り組み方ではないかというふうに思うわけでございます。そうした集団的な取り組みによりまして、手数料等のコストの低減を図ると同時に市場開拓を行う、また代金回収等も行えるようになりますし、またそうした中で危険分散といいますか、作目の分散を図る、あるいはその中での減収等があった場合の積立金等もいろいろ工夫すれば可能な方法ではないかというふうに思っておりまして、そうした方が考えられる望ましい方策ではないかというふうに思っております。
  91. 谷本巍

    谷本巍君 生産リスク問題で三つの点について伺いましたけれども、そこでまとめ的な意味で大臣にひとつお答えをできればちょうだいしたいんです。  大臣も御存じのように、日本の有機農業生産というのは、〇・四%という数字を聞いたことがありますが、どうやらそこには減農薬も入ってのことだという話も聞いたことがありまして、ともかくも異常に低い。例えば、ヨーロッパで見てみますというと、オーストリアやスウェーデンなんかは八%台になっています。そして、日本以下というのがEUの場合は非常に少ないというふうに見受けられます。  結局、国際社会ということで見てみますというと、EUの有機農業を青年としますと、日本は幼児、子供ですね。これが今の開放体制のもとでまともに勝負をしなきゃならぬということになってきますというと、私は非常に大変だなというふうに思われてならぬのであります。先ほども申し上げましたが、有機基準それ自体がヨーロッパ向きです。日本向きとは言えませんよ。農薬登場以前の日本の老人を見れば、みんな腰が曲がっていました。何で老人は腰が曲がっていたか、草との闘いですよ。それがそういう状況を生んできているわけです。  そういう意味では、ヨーロッパの農業やアメリカの農業と日本の農業は非常に違っている。つまり、ハンディがあるわけです。それだけに、今申し上げた三つの点を初めとして、有機農業が育ち得るような条件整備に力を入れていただきたいのであります。ヨーロッパの場合も調べてみましたら、そういう所得補償も含めた助成制度がある順序に有機が盛んになっているなというのが大体の共通したものであります。それだけに、この際ひとつ大臣にその点をお願いしたいのですが、いかがでありましょうか。
  92. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、先ほど申し上げた〇・四とか〇・一ということですから、まだ非常に比率が少ない。しかし、有機農産物のニーズは、消費者においてももとよりでありますけれども、持続性の高い農業という観点からも求められていくものだろうと思います。しかし、先生指摘のように、種あるいは技術あるいは収入の関係の問題点、それぞれ直面している現実的な問題だろうというふうに思います。したがいまして、我々といたしましては、その大きな有機農産物の推進という方策の中で、いろいろな問題が発生する場合には、できるだけそれに対して農業者あるいはまた地方自治体、そして我々とが一体となって適切な本格的な有機農法がスタートできる、離陸できるようにしていかなければならないというふうに考えております。  先ほどの御質問の逆になりますけれども、それぞれの地域でそれぞれの特別な問題の発生も予想されるわけでございますから、よく的確に情報を収集し、またきちっとしたアドバイスなり技術指導もとれる体制をしきながら、この新しい体制に向けて生産者皆さんが、収入的には高いというアンケートも出ておりますので、そういう方向で大きな流れが前進できるように注意深く我々も見守っていきたいというふうに考えております。
  93. 谷本巍

    谷本巍君 最後に、行政裁量の問題について伺います。  今度の法律を読んでみますというと、どうも行政一任的な性格が非常に強い。認証機関というのは登録で済みますが、ところが認証機関の業務規程は認可事項だというふうにされております。なぜ業務規程は認可なのか、肝心の認可の要件さえ示されておりません。認証の基準の制定にしましても、これはたしか第十五条でしたかで定められており、認証機関の認証した場合の報告の義務づけ、これもたしか第十七条だったかで決められております。十分なるチェック権限を持った上で業務規程を認可事項とするのは、どうもがんじがらめの官庁統制ということになりはしないかという危惧を私は感ずるのであります。  ともかくも、日本の農家というのは自由にやれるからもうからなくともやるという人が多いのであります。支配されず、管理されず、創意工夫で頑張ることができるから百姓をやっているんだと、特に有機農業生産の農家にはそういう人たちが多いわけであります。それだけに、有機農業生産を伸ばそうとするならがんじがらめ的なあり方というのは避けなければならないのではないかというふうに思いますし、また省政令の制定等々に当たってはやっぱりよく関係者等々の意見なども聞きながらやっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  94. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 業務規程につきましては農林水産大臣の認可にしているわけでございますが、これは先日、小川先生の御質問にもありましたように、各登録認定機関によってばらつきが生じないようにする、そのために行っているものでございまして、必要最小限の検査・認証を行えることを担保するためのものでございます。  そうしたことから、今後の政令なり省令なりでもって具体的な内容を固めるわけでございますけれども、もちろん基本的にはJAS調査会等でもって関係者、生産者消費者等の御意見を聞いていくことになるというふうに考えております。  したがいまして、今、先生の御心配の、余り行政の介入にならないように、必要最小限度のものにとどめるように念頭に置いて対応してまいりたいというふうに思っております。
  95. 谷本巍

    谷本巍君 終わります。
  96. 入澤肇

    入澤肇君 きょうは阿曽田先生がフィリピンにえさ米の勉強に行っておりますので、ピンチヒッターとして代理質問させていただきます。  最初に、卸売市場法関係につきまして幾つかの事実認識につきまして、当局の見解をお伺いしたいと思います。  今回の卸売市場法改正は、流通の実態がかなりここ数年大きく変わっている。例えば、生鮮食料品市場経由率が非常に低下している、それから市場流通が拡大している、それから卸売経営者を初めとして市場関係者の経営が悪化している、さらには産地の大型化、それから大型ユーザーの発言力の高まり、さらに生鮮食料品等の輸入増加、こういうように生鮮食料品をめぐる流通の形態、内容が非常に変わってきている。  こういう中で、卸売市場制度が持っている三つ機能、要するに価格形成機能、それから集荷分散機能、それから代金決済機能、この三つ機能を堅持しながら流通の実態に制度を合わせようとして改正されたものかどうか、まずその点を確認しておきたいと思います。
  97. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生から御発言がありましたように、近年の生鮮食料品等の生産、流通、消費の変化に対応して引き続き卸売市場がその持っております機能を低下させることなく安定的な生鮮食料品等流通の拠点になるということ、そういうことを念頭に置いているわけでございます。  具体的に言えば、卸売市場役割であります消費者への迅速かつ効率的な生鮮食料品の提供、あるいは生産者に対します確実な販路の提供、あるいは流通業者に対する取引の場の提供、そういった役割を引き続き果たせることができるように、この卸売市場法改正を行いまして、市場関係者の経営体質の強化、また公正、公開効率的な売買取引の確保等の措置を講じようというものでございます。
  98. 入澤肇

    入澤肇君 今のような御答弁でありますと、例えばこれから流通の実態はさらに変わってくる、このような特別の法律をもとにして卸売市場制度を維持するという場合に、最後に骨格として残る法律事項、法律規定しなけりゃいけない事項は何と何でしょうか。
  99. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 卸売市場基本的な役割につきましては先ほど答弁申し上げたわけでございますが、その役割を達成する上での卸売市場機能でございます、先ほど先生から御説明のございました品ぞろえ、集分荷・物流機能、それから価格形成機能決済確保機能、そういったものをこの卸売市場でもって果たしていくためには、卸売市場法の中で、一つ売買取引方法につきましての公正、公開、それから効率的な売買取引の確保、それから公的な施設を独占的に使用する卸売業者、仲卸業者買参人等の指導監督規定、またそこでの施設整備に当たっての各種の支援措置、そういったものが中心になる、引き続き卸売市場法の中で維持しなければならない規定ではないかというふうに思っております。
  100. 入澤肇

    入澤肇君 圧倒的多数の不特定の生産者、この生産者も、生産、流通の安全性あるいは経営の健全性を確保するという意味で無条件委託制度というのがございますね。これはこの法律制度の一番根幹に据えられているものだと思うんですけれども、この無条件委託制度は今後とも堅持される予定であるのかどうか、またそういう見通しであるのかどうかについてお伺いしたい。
  101. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほどの御質問にもございましたけれども、卸売市場制度の中で、先ほどの公的な市場としての機能役割の中で申し上げましたように、そうしたものを確保するために、卸売業者の受託拒否の禁止あるいは不公正な取り扱いの禁止、そういったものが根幹となる規定だというふうに考えておりまして、引き続き維持する必要があるというふうに思っております。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕
  102. 入澤肇

    入澤肇君 そのような実態にあるとすると、まずどうしても、先ほど冒頭に申しましたように価格形成機能、それから集荷分散機能、代金決済機能、これを維持しなくちゃいけない。  先ほど須藤委員谷本委員からもお話がございましたけれども、今回の流通の実態に制度を合わせるということで競り原則というのを並列的な書き方にしましたね。しかし、価格形成機能をどうしても市場として維持するんだということであれば、競り原則入札原則というのは、仮にこれが二割が原則で八割が例外であったとしても、指導としては、運用としては、私は堅持するような指導をなされていいんじゃないか。  要するに、市場機能として、機能を確保するために必要不可欠な要素であるというふうに考えれば、実態に応じて取引の形態あるいは値決めの形態は変わったとしても、公開的な、あるいは透明性のある価格形成の仕組みはやはり原則として外せないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  103. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 卸売市場におきます売買取引方法につきましては、今回の改正法案におきまして三つ方式を示し、それを品目ごと市場ごと実情に応じて開設者条例で決めていくというシステムをとっておるわけでございます。  その中で、競りがなくなるわけではなくて、競り入札方法が一番、それから二番は一定数量競りにかける、残りは相対でもいいよという方式、三番目は相対でもいいという方式でございます。その三つの中から品目の特性に応じて決めていくということになるわけでございます。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  それで、今は競り原則ということでございます。実態は、御案内のように、青果であれば約半数、水産物であれば約七割が既に相対になっているわけでございます。そういう実態を踏まえて、相対取引につきましても一定の位置づけをしながら、その結果につきまして卸売業者に公表義務をかける、価格、数量の公表をしていく。そのことによって透明性を確保し、競り取引相対取引の収れんを図っていきたいということから今回の改正案を提出しているわけでございまして、それによって、競りがなくなるわけではもちろんございませんし、また品目の特性によって、利害関係者の話し合いによって決まってくるのじゃないかというふうに思っております。
  104. 入澤肇

    入澤肇君 そこは極めて重要なポイントでありますので、その運用に当たっては十分に配慮した方がいいのじゃないかと私は思っています。  それからもう一つ、今回の改正基本的な背景に研究会の報告書がございまして、公設市場であっても、その管理運営は従来の官主導から民間主導を原則として民間活力を生かしていくんだということ、それから民間の自己責任を徹底させることを指針とする方針に移行していくんだというふうなことが言われています。  今回の卸売市場法改正で幾つかの試みがなされておりますけれども、まず開設者の関与についてはどのように規制緩和あるいは後退させたのか、そこら辺についてちょっと御説明願いたいと思います。
  105. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 従来、卸売市場法によります仕組みといいますのは、開設者法律に基づきまして業務規程原則を定めまして、例外的な行為につきまして開設者の事前承認などによって監督するという仕組みが基本的なあり方でございます。  それをできる限り行政コストと事業者負担の低い監視手法へ移行していくということから、具体的に言えば、従前、開設者の事前承認が必要でありました、例えば例外的な相対取引をする場合であるとか、あるいは例外的な買い付け集荷をする場合などに事前の承認が必要であったわけでございますが、それを一定のルールに基づくものであれば事前承認を不要とするなどの改正を行っているところでございます。
  106. 入澤肇

    入澤肇君 条文を読んでみますと、開設者の関与につきまして、このぐらいのことはもういいのじゃないかと思うようなこともまだ開設者がいろいろと業務規程を定めて指導するようになっていますけれども、可能な限り生産者それから卸売業者それぞれが創意工夫をして集散活動ができるように運用の面で配慮していただきたいと思います。  それからさらに、制度面につきまして幾つかの御質問をしたいんですけれども、卸売人の許可に当たりまして需給調整規定というのを削除しました。これは一九九八年四月の規制緩和推進三カ年計画の中にも事項として挙げられていまして外されたんですけれども、従来から独占禁止法との関係におきまして少数、複数という一つ原則がありました。  それがだんだん流通の実態に合わせまして、一つ卸売市場について一人の卸売人でもいいというふうな運用がなされておりますけれども、この需給調整規定を削除して、それで今度は新しく卸売人になろうとする場合の許可基準、これについてはどのように考えていますか。
  107. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生から御質問ございましたように、従来、市場法の十七条二項二号でもっていわゆる需給調整機能、つまり当該中央卸売市場卸売業者間において過度な競争が行われ、その結果、当該中央卸売市場における卸売の業務の適正かつ健全な運営が阻害されるおそれがあると認められるときには許可をしないことができるという規定があったわけでございますが、今回、規制緩和推進三カ年計画の決定に合わせましてそれを削除することとしているわけでございます。  先生から御質問ございましたいわゆる複数か単数かという議論でございますが、従来は複数原則ということだったわけでございますけれども、今回の法改正のねらいでも申し上げましたように、卸売業者の経営体質が非常に弱体化しております。経営基盤の強化を図るために合併等を推進する必要があるわけでございまして、その際に公正取引委員会の方からも一定ガイドラインといいますか運営指針が示されたわけでございますので、そうしたものを考慮しながら卸売業者の経営体質の強化のための合併等を推進してまいりたいというふうに思っております。  新しい許可というものは、どちらかといえば、今後、中央卸売市場の新設ではなくて従来の市場の統合なり移転等が中心になるかと思いますので、卸売業者も統合していく、そういう合併なり出資等を通じた統合等の時代に入っているというふうに考えております。
  108. 入澤肇

    入澤肇君 もう一つ制度的に非常に目新しいのは、自己の計算による取引と委託者の計算による取引と区分経理をしろという規定がございます。これをちょっと掘り下げて考えてみますと、先ほどから議論になっている相対取引というのは自己の計算による取引に入るのでしょうか。もし自己の計算による取引に入るとすると、手数料の制度は相対取引には適用されない、さらにもっと深刻なことは、荷主交付金一%、千分の十ですね、これも交付されないということになります。  形式が相対であって、そして手数料あるいは荷主交付金を取ったりやったりするという制度が果たして運用上可能なのかどうか、これについてはいかが考えていますか。
  109. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 卸売業者の自己の計算と委託者の方の計算による勘定区分の問題でございますが、いわばこれは買い付けの手法が二つあるということでございまして、現在の市場法はいわゆる委託集荷を原則にしているわけでございます。それに特定の場合に買い付け集荷ができるようにする、その際に、買い付け集荷の場合にはそのリスクは卸売業者のものになりますので、そうしたリスクがあるものとリスクがないものを区分して経理をする、そのことによって卸売業者の経営の健全性を確保しようというものでございます。  それで、相対取引と直につながるものではございません。集荷の方式が委託なのか買い付けなのかということでございまして、集荷したものを売る場合に、それが相対なのかあるいは競りなのかとは直に結びつかないわけでございまして、それは卸売業者と委託者の関係あるいは産地側の関係と卸売業者から仲卸なり買参人との関係と、そういう次元の違う話でございます。
  110. 入澤肇

    入澤肇君 この点は、私は、生産者側にとっても卸売業者側にとっても大変問題があるところじゃないかと思うんです。  要するに、相対取引というのはどちらかというと買い付け取引であります。そして、これは自己の計算による取引が一般であります。したがいまして、もし形式上相対であっても、価格決済方法は手数料制に基づくようにするんだということであれば、この点は両者に誤解のないようにきちんとした指導をすべきじゃないかと思います。これが非常にこれから混乱を招くのじゃないか。  特に、検査官がこの区分経理の規定を盾にして詳しく内容を詰めていくと、いろんな卸売市場法に基づく改善命令をかけるようなことも考えられるわけです。ここら辺は国税当局に任せればいいのであって、余り検査官が神経質になって検査することのないように、むしろ生産者と卸売人それぞれが創意工夫をしながら円滑に物の売買ができるように工夫していくことが必要じゃないかと私は考えております。  それから三つ目に、卸売業者の経営改善につきましても、早期是正措置を講ずる一つ基準が新しく規定されました。卸売業者の経営改善のことを考えてみますと、従来は参入規制があったわけです。今度は需給調整規定が外れて参入規制が一応法律上はなくなる、それからさらに早期是正措置のほかに地域間の合併もあります。こういうふうな制度がこの法律上、位置づけられているんですけれども、私は、基本的に大事なことは需給圏域の改定なり検討、これをやはり行政当局が時間をかけてもいいからやるべきじゃないかと思うんです。  例えば、東京と川崎、横浜の卸売市場東京と横浜の需給圏域に引っ張られて間にある川崎市場はいつも四苦八苦しています。二社あった卸売業者も一社になりました。それでもまだ経営改善がうまくいかないという声も聞かれている。これはそもそも、冒頭申しました市場経由率の低下だとか市場流通の拡大だとか、それから量販店先取り取引、こういうふうなことから需給圏域の中で過剰な卸売人が存在するということになってくるんじゃないか。  やはり、卸売業者が経営を安定させるためには相当な量を集めなくちゃいけない、その意味では大消費地域における需給圏域の定め方、どの程度が卸売人の経営改善に寄与するのかどうかということを、難しい問題であるけれども、当局としてひとつ検討しておくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  111. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、入澤先生から御指摘がありました生鮮食料品等流通の広域化が進んでおりますので、それに合わせまして市場のあり方、市場の統廃合も考えていかなきゃいけないわけでございます。卸売業者の経営体質の悪化は、特にそうした流通の変化に伴うものが多いわけでございます。  そうしたことから、今回、合併なり連携等を推進する、そのための金融的な支援措置も講じているわけでございます。さらに、この法律に基づきます卸売市場の整備の基本方針というのがあるわけでございますが、これは五年ごとに定めているわけでございます。その中でより具体的な卸売業者あるいは仲卸業者経営近代化の指標なども作成し、指導していきたいというふうに思っております。
  112. 入澤肇

    入澤肇君 この卸売市場制度についての最後の質問でちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、今は物価が安定していますからそんなに問題になっていませんけれども、日米の価格比較というのが必ず出されます。農林省にいたときもそうですが、我々農政関係者は一生懸命生産地の構造改善をやって、庭先価格出荷価格を下げるようにしている。ところが、為替レートは別にいたしましても、流通機構が著しく違っているためになかなか末端消費者価格は安くならないんだということが一般的に言われております。  特に、数字で比較してみますと、日本はアメリカと比較した場合に国土面積は二十五分の一、カリフォルニア一州に相当するような面積、人口は二分の一。ところが、食料品の卸売人の数は日米で一対一、それから小売人の数に至っては日本が二でアメリカが一、こういうふうな流通機構が今でもあるわけです。量販店がどんどんできて生鮮食料品小売店はどんどん減っているといっても、まだ一対二とか一対一とかいうふうに数字はそんなに大きな変化はない、マクロで見ますと。  こういうふうな実態の中で、地域サービスを徹底的に追求する日本人の買い物行動、これも例えば一回当たりの買い物は生鮮食料品三品につきまして調べてみると、一回当たり五百円から千円、あるいは千円から千五百円、しかも一たん買いに行って帰ってくる片道十五分ぐらいの間だと。毎日買い、あるいは一日買いが大部分を占めている。こういうふうな日本人の購買行動にもこの流通機構というのは規制されているのかもしれませんけれども、流通コストを削減する、より消費者に便利なようにサービスをするという視点から見ますと、今後の生鮮食料品流通改善のあり方について、抽象的でも結構ですが、基本的な考え方についてどんなお考えを持っているか、大臣にお聞きしたいと思います。
  113. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も数字の記憶を申し上げますと、農業の粗生産が約十兆円、末端での食料品の単純な売り上げは約百兆円だというふうに私は理解をしております。その間がいろんな形で流通ということになるのでしょうが、やはり流通効率性というものはこれからもますます推し進めていかなければならないというのがポイントであろうというふうに思います。  しかし、流通合理化を徹底的に推し進めていったのがいわゆる大型量販店だとするならば、量販店だけが、あるいはスーパーだけが、あるいはコンビニだけが存在すればいいのかというと、必ずしもそうではないということも、先ほど谷本先生とのお話でもあったわけであります。  しかし、末端の小売のメリット、あるいはまた大型量販店のメリット、双方を消費者は使い分けというか、両方必要だろうというふうに考えておりまして、そういう意味ではそういう形の末端の小売というものをこれからも両方とも整備し、また合理化していかなければいけないと考えております。  流通に関しましては、情報化、あるいはまた輸送手段の発展等により合理化されてきているのでありましょうけれども、今の先生の挙げられた数字等を見ますと、やはり流通コストが特にほかの国、先進国と比べてまだまだ高いという状況は、これはやはり消費者にとりましても、また消費者が高いということになれば生産者は困るわけでありますから、これは生産者の責任ではないにもかかわらず、そういうことになるということは何としても避けていかなければならないと思いますので、情報化あるいは高度な技術あるいはいわゆるPOSシステムとか、いろんな知恵や技術を応用して流通の時間的あるいはコスト的な合理化を推し進めていくことも、農林水産省としても非常に大事な仕事だろうというふうに認識をしております。
  114. 入澤肇

    入澤肇君 次に、JAS法につきまして若干質問したいと思います。  私はよくわからないんですけれども、賞味期限、これがJASの中にも表示基準一つとして入っていると思うんですけれども、一体この賞味期限というのはだれがどのようなテストを経てどのように設定しているのか、これについてまずお聞かせ願いたいと思います。
  115. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 賞味期限といいますのは、容器包装がされておりますその製品が、容器包装が開かれない状態で表示された保存方法に従って保存された場合に、その製品として期待されるすべての品質特性を十分保持し得ると認められる期限を年月日によって表示しているものでございます。  では、具体的にだれが決めるのかということでございます。  それは、基本的にはメーカーがその商品の品質保持に関する情報を把握する立場にあるわけでございます。かつ、その当該食品の製造の責任もあるわけでございますので、その製造業者が科学的・合理的根拠を持って適正に設定しているというものでございます。
  116. 入澤肇

    入澤肇君 これはなかなか企業にとってもリスキーだし、お金がかかる分野であります。  この賞味期限の設定については誤解がかなりあるんですね。賞味期限を経過するともう食べられないんじゃないかというふうな誤解をしている人もいますし、それからまた賞味期限が切れますと売り手にとっては商品価値が半減するような感覚を持っている。  ところが、この間、厚生省の薬務官ですか、薬剤師の資格を持っている人と話していまして、薬について有効期限の表示はございますけれども、有効期限が切れた薬は効果がないかというと、そうではない、十分に検証したわけじゃないけれども、密封されているものについて化学構造式は変わらないというふうなことを言っています。食品についても十分な包装がされているものについては賞味期限が切れても内容にそんなに変化がないんじゃないか。  昔、例えば肉であれば最適保存温度と期間の関係で、何度になって何日経たら細胞が変化するかというのを電子顕微鏡で調査をして映画にしたことがあります。各企業とも特に組み合わせ食品、加工食品について、具体的な最適保存温度と保存期間についての検証を経た上でこの賞味期限を設定しているのかどうか、そういうことについて企業が恐らく科学的にやっているのだろうと言うのかもしれませんが、私は、例えば賞味期限が切れたもののサンプルを買ってきて、農林省の食品研究所等で追試をしてみて、有効性あるいは味の変化、こういうものについても検証してみることが必要じゃないかと思うんです。  食品産業の場合に、こういうことについて一斉に右へ倣えという傾向もございます。こういう一見、食品産業にとってはコストバリューだけれども、しかし消費者にとっては極めて重要な課題については、私はもっと行政当局は力を入れていいんじゃないかと思うんですが、こういうことについてきちんと予算をとって研究する意思があるかどうか、これは局長と大臣にお願いします。
  117. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) まず最初に、製造年月日と賞味期限の表示の問題でございますけれども、これはむしろ食品産業サイドの方から、従来の製造年月日から、国際的にも消費または賞味期限表示となっていることから、むしろ賞味期限表示への切りかえを要望していたという経緯もあるわけでございます。そのことが日付管理によるやや厳しい早朝操業あるいは返品等の要因になっている、それを避けたいという要因もあったわけでございます。  では、それが適正に行われているかということでございます。先生がおっしゃったように、賞味期限を経過したからといって必ずしも飲食ができなくなるものではありません。五日以内の短い日もちの場合にはこれは消費期限と呼んでおりますが、この場合は飲食が可能な期限でございますが、賞味期限の場合には五日以上でございまして、それを経過したからといって飲食ができなくなるわけではございません。  ただし、その設定が適正に行われているかどうかにつきましては、農林水産省の機関であります農林水産消費技術センターにおきまして検査、調査をしております。過去三カ年の結果によりますと、九八%は適正に賞味期限が設定されている、残りの二%につきましては味の変化等、実際の期限よりも長く表示されておって問題があるという状況でございます。その場合には、製造業者等に対しまして通知、改善を指導しているところでございます。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も、製造年月日と賞味期限とのあの議論のときに、製造年月日を明示すればあとは消費者の自己判断、自己責任でいいのではないかと考えた時期も正直言ってございました。しかし、今、局長から答弁いたしましたように、国際的に一般的に賞味期限を使用しておるということである、あるいはまた、食べ物ですから、おなかさえ壊さなければいいというよりもベストの状態がどのくらいもつかという意味で賞味期限ということにしたわけでございます。  今、局長が申し上げた、九八%は適正に期限が設定されておる、残りの十品目ほどについては賞味期限の実際よりも長く表示しているという問題もあるということでございますので、そういうことについてさらに改善をしながら、賞味期限というものでの消費者に対する情報提供という形にさせていただいたということでございます。
  119. 入澤肇

    入澤肇君 終わります。
  120. 石井一二

    ○石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井でございます。  農水省に約三十年近くおられた入澤先生が極めて格調の高い御質問をされました。国民一般の方は入澤先生ほど格調は高くないと思いますので、私は初歩的なことからまず聞かせていただきたいと思います。  大臣卸売市場は卸売イチバと読むんですか、卸売シジョウと読むんですか。
  121. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) シジョウでございます。
  122. 石井一二

    ○石井一二君 今、局長が答えを教えているのが聞こえましたが、大臣、間違いなくシジョウなんですか。もう一度確認したいと思います。
  123. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 法律的には卸売シジョウ法という言い方をしております。イチバという言葉も一般的には使われておりますけれども、いわゆる行政的あるいは法律的にはシジョウでございます。
  124. 石井一二

    ○石井一二君 この前、農水省市場課長が来られまして、農水省イチバカと聞こえるからシジョウと呼んでもらいたいと、こう言われましたので、私もシジョウと呼びたいと思いますが、我々、日常、地元活動をしておりますと、中央イチバとかイチバと言いますので、両方ともオーケーだということで質疑をさせていただきたい、まずそのように思うものであります。  さて、先般、生鮮食品流通問題研究会がことしの二月にまとめた新しい最終報告書というものが出ておりますが、簡単に言って今後のあり方についてどのような方向が示唆されておるのか、まず所見を伺いたいと思います。
  125. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今後の卸売市場の対応の方向としまして、産地の方々の生産の状況、また流通であれば、先ほど来議論になりましたように、大型量販店の発言力が高まっているということ、また消費につきましても消費者のニーズが多様化している。そういう中で、公正、公開、それから効率的な原則のもとでの卸売市場の持っている機能役割をどういう形で将来とも果たしていくかということから、今回この生鮮食品流通問題研究会が取りまとめたものでございます。  特に、卸売市場市場流通との競争力を高めて、今後とも生鮮食料品等流通の大宗を占めていくための機能であります品ぞろえ、集分荷、価格形成、決済機能等を十分発揮していくように、そのための取引方法の改善なり関係業者経営体質の強化等を提言しているわけでございまして、今回の法律改正はこの提言に沿ったものとなっております。
  126. 石井一二

    ○石井一二君 さきに須藤委員が、いろいろ卸売市場のあり方について、特に小さな商店等がどういう格好で生き残っていけるかといったような観点からの御質問も聞いておったわけであります。特に、コンピューター化が進んで、Eメールその他、現場へ行かなくてもいいというような将来の到来が予想されておりますが、こういった中で今後、川上、川下あるいは市場流通とか卸売市場流通とかいろいろございますけれども、もう少し時代を先取りした二十一世紀の卸売市場という観点から、大臣のビジョンをお聞きしたいと思います。
  127. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大事な流通拠点、特に生鮮物に関しては大分、輸送方法あるいはまた輸送時間も短縮されてきましたけれども、やはり消費者の多様なニーズにいい状態で提供できるように、さらにまだ努力する余地があるのではないかと思っております。  例えば、情報化の進展を利用した有効活用、あるいはまたバーチャルショッピング的なものも一部それを求める人もこれから出てくるのであろうというふうに考えております。そういうことも含めまして、今後、市場の果たす役割というものをさらに生産、消費両サイドからそのニーズにこたえていけるような流通拠点にしていきたい。具体的には、いろいろな現場からの要望もございますので、それらをしっかり受けとめながら検討してまいりたいと考えております。
  128. 石井一二

    ○石井一二君 中央卸売市場会計の収支状況という書類を見ておりますと、五十六都市八十七卸売市場のいろんな数字が出ております。一口に言って、お金の足らぬところは一般会計からの繰入金で賄っておる、こういうような状況があるわけでございます。  また、民間施設とのコスト比較等を見て、それに基づいた使用料比較を見てみますと、民間の方が非常に高くなっており、あたかも公設市場の方がかなり世の中の物価の引き下げという面で貢献しておるように見えるわけでありますが、よくよく見ておりますと、民間使用料の方には人件費とか金利が入っておる、しかし公設の方にはそういったものが入っていないというような、いろいろ資料の不正確さというものを私は感ずるわけでございます。  一口に言って、今ある公営企業による運営、また官庁会計による運営、いろいろあるようでございます。あるいは一部事務組合もございますが、この公営企業による運営、官庁会計による運営というのはどこが違うんですか、局長。
  129. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) いわゆる企業会計といいますのは、要するに企業に沿った損益計算書あるいは会計準則に沿った経理がなされているということでございます。  具体的に官庁会計との比較でいえば、当該年度に入った収入と当該年度に出した支出を記載したものが官庁会計でございます。それに対しまして、企業会計といいますのは、その年度なら年度内に幾ら支出して、例えば減価償却の支出は幾らかというようなことを企業で行っております会計準則に準じて経理をしているものというふうに理解しております。
  130. 石井一二

    ○石井一二君 これは法律に基づいて地方公共団体が開設できるわけですが、では農水省考え方として公営企業形態と官庁会計形態とどちらが望ましいと思っておられるのか、どちらへ行政上の指導として持っていこうと思っておられるのか、その辺の御意見をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  131. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 私どもといたしましては、市場会計の透明性等を確保する観点からいえば、企業会計の方が望ましいというふうに考えております。  しかし、それは地方自治体によっていろいろ事情もあるわけでございますので強制するわけにはまいらないわけでございますが、例えば使用料等の値上げの際の根拠等としては、企業会計によります経理の方が透明性が高いというふうに考えております。
  132. 石井一二

    ○石井一二君 現場を見てみますと、官庁会計の方が約三分の二ということで優勢な状態であります。  そこで、私は思うんですが、こういった優良な卸売業者に対する天下りという、これが一つのネタになっておるのではないかと思うんですが、その辺の実態調査をされたことがありますか。あれば、その流れについて御教示いただきたいと思います。
  133. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生質問の、中央卸売市場開設者の職員が退職後、営利企業であります卸売業者等に再就職することにつきましては、これは地方公務員個人の能力の活用の観点も含めまして職業選択の自由のもとに認められるべきものというふうに考えております。もちろん、そのことによって癒着状態が生ずることは望ましくないわけでございます。  そういうことで、基本的には職業選択の自由のもとに認められるべきものというふうに考えておりまして、農林水産省として中央卸売市場の職員が卸売業者等に再就職している実態につきまして承知はしておりません。
  134. 石井一二

    ○石井一二君 今、天下りとか役所のための外郭団体とか、そういう取引関係に天下ることが大蔵省の事件以来非常に厳しく論議されております。そういった中で、局長はあたかもそういう世の中の風潮に関係なしに調査すらしていないということを胸を張って堂々と答えられる、その姿勢自体があなた自身の考え方として私は問題があると思うんです。  それで、あなた自身もいずれどこかへ天下ろうと思っておられると思うんですが、大臣、あなたの御所見はいかがですか。調査すらしていないんだと、またあたかもそういう必要はないんだ、職業の自由だと、そんなことを言っておれば、今、行政改革のあらしの中で国を挙げて天下り等に対して規制をしていこうという声がある、そういった民意、国民の総意というものを無視した答えだと思うんですが、大臣の御所見はいかがですか。
  135. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはあくまでも地方公務員の話でございますから、直接的に我々が調べるということはお願いベースの話になるかと思いますが、過去のことは過去のことといたしまして、先生指摘のような風潮というか世の中でございますから、私自身はこれについての調査を悪いとかいいとかということは別にして、データの一つとして確保する必要があるというふうに考えております。
  136. 石井一二

    ○石井一二君 お願いいたします。  次に、JAS法関係について、この第三者認証機関が認定した生産者が生産したもののみに「有機」と表示できるということになっておりますが、認証機関というのはどんなメンバーで構成されており、どのような基準でもってこういったことを決めていくのか、例を挙げてちょっと御教示願いたいと思います。
  137. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) いわゆるこの法律で言います登録認定機関の登録でございます。その要件は、例えば有機農業等についての専門的知識なり、検査技術を有する検査員がいるといったような業務遂行能力の問題、それから認証業務におきまして特定の利害関係者からの影響を受けることがないよう、組織の中立性、独立性が保たれているというようなこと、また判定部門と検査部門が独立していることなどの基準を設け、それに従いまして審査するということでございます。  現在、民間ベースで認証業務を行っております団体が六団体ございます。そうしたものが今後この法律案に基づきます登録認定機関となるものというふうに、関心を持って進めているというふうに聞いております。
  138. 石井一二

    ○石井一二君 その聞いておりますというのは他人事のような言い方ですが、あなたの今のお考えなんでしょう。聞いておりますというのは、だれかが言っていることをあなたが聞いておって、自分の考えじゃないということですか。
  139. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) その六団体の関係者から聞いておるということでございます。自分たちは法改正後はこの登録認定団体になりたいということで準備を進めておるということを聞いておるということでございます。
  140. 石井一二

    ○石井一二君 民間団体と言われますけれども、そういったものはごく一部で、認証機関というものはむしろ民間団体ではないところが大部分を占めておると思うんです。そういった中で、役所の審議会と同じで、反対的な意見を言う人は次にメンバーから外すと。やや隠れみのみたいにそういった機関の認証というものを利用していくというような風潮があってはならないと思いますので、今後、こういった問題についてはひとつ非常に前向きに、民意をよく酌み取りつつ、メンバーの選定とか会議の持っていき方ということを決めていっていただきたい、そのように思います。  この問題の最後に、大臣卸売市場の完全民営化についてお考えになったことがあるかないか。あれば、それについての御所見をお伺いしたいと思います。
  141. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 完全民営化ということになると、まず第一に営利ありきということになるんだろうと思います。したがいまして、やはりもうからないものを扱わないとか、あるいは管理等にコストのかかるものはやめておこうとか、そういう志向がより高くなるのではないかというふうに考えますので、やはりできるだけ不公平に扱っちゃいけないとか、先ほど局長が申し上げたような極めて公共性の高い施設としての公設市場あるいは中央市場というものは、完全民営化ということに対していささか懸念があるのではないかというふうに考えております。
  142. 石井一二

    ○石井一二君 この問題について私は大臣と見解を異にしますが、今、民営化推進論というものが一般にたくさんございますので、またの機会に論議をしたいと思います。  続いて、今の問題に直接は関係ございませんが、JAS法の改正に関連して、遺伝子組みかえ食品表示について一、二お伺いをしておきたいと思います。  ことしの農業白書にもこの問題は遺伝子組みかえ農産物として出ております。また、昨年の白書にも項目としては書いておられますが、表示に関しては多くの課題があるということで、時期尚早というような感じの指摘に終わっておるわけでございますが、近畿二府七県議会の議長が本院の議長にあてた要望書も出ております。特に、全国一千を超える自治体が議会議決をもって表示を求めているという実態もあります。こういった中で、この問題に対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  143. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現在、食品表示問題懇談会、そしてその下にあります小委員会で検討をしていただいているところでございますが、先生指摘のように、自治体からのいろいろな御意見、さらには昨年八月にたたき台を提示させていただきましたが、いわゆるパブリックコメントが一万件を超えるということでありまして、これを通じて消費者表示を求める声が強いというふうに理解をしております。  この議論につきましては、関係者といいましょうかすべての方々、生産者流通食品関係あるいは消費者と、関係者の皆さんの議論を尽くしていただきまして、小委員会で六月ごろまでに、そして懇談会の方は八月を一応のめどとして取りまとめを行っていきたいというふうに考えております。
  144. 石井一二

    ○石井一二君 前の委員会で私はちょっと触れましたけれども、FAOとWHOの合同食品規格委員会でございますコーデックスの基準について、コーデックス委員会における国際規格策定に関して我が国の戦略はどのようなものであるか、大臣、一言で御表現願えればありがたい。あるいは局長でも結構です。
  145. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、安全性がこれはもう当然大前提でございます。  表示につきましては、これは検討会での結論を前に私の考えはこうであるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、例えばアメリカの関係者の方が来るとこの問題を必ず言ってくる、またヨーロッパの方が来るとまたこの問題について強い関心を持っているということでございますから、これは率直に申し上げますならば、アメリカにはアメリカのGMO食品に対する戦略があると私は考えております。ヨーロッパもこれに関しての戦略を持っているんだろうと考えております。  したがって、これは表示だけではない、遺伝子組みかえ食品、GMO一般についてでありますけれども、この問題については我が国の国益というものを十分考えた対応をしていかなければならないのではないかということを私個人は考えております。
  146. 石井一二

    ○石井一二君 今、私個人はと言って、わざと個人ということを力説されたように思うんですが、では大臣として考えていないのかといえばそういうことでもないと思うんですね。  ただ、私は、コーデックス戦略というものが非常に大きくおくれていると思っております。例えば、農水省が出しておられるいろんな文献等を見ておりますと、国際規格策定への積極的参加という項目があって、その中で、アジア食文化に根差した国際規格を能動的に提案していく必要があるなんという表現もあるわけです。だから、やる気は十分なんです。しかし、コーデックス委員会の執行委員会を見てみますと、アジアを代表してタイ、それからほかはオランダ、米国、コスタリカ、マレーシア、カナダ、ジンバブエ、スペイン、ウルグアイなんですね。そういう中で、日本のニの字も出てこない。ましてや、四つの部会がありまして、世界規模全般問題規格部会、ここにも日本の姿はない。世界規模食品規格部会、ここにも日本の姿はない。地域調整部会、ここにもタイは入っているが日本はない。それから合同専門家会議、ここへも日本は入っていないというような状態で、一体何をしておるのかというように私は感じられてならないんです。  もちろん、それは外務省との協力も大事だとかいろいろ御意見があろうかと思います。非常に多くの国が関与される中で、私はISOの基準とともに今後、日本が大いに戦略を考えなきゃならない分野であろうと思いますので、今、大臣が個人としてはということを強調されましたが、個人としてではなしに、省として、また内閣に対しても農林水産大臣としてその必要性を御発言いただいて、我が国民に対して有利な基準が設定されるように御努力をいただきたい、そのように要望しておきたいと思います。  それから、三つあるうちの特定農産加工業経営改善臨時措置法に関連してですが、自治省、どなたか来ておられますか。  この法律で、地方税の特別土地保有税の非課税とか不動産取得税の減額とかいうようなことを言われておりますが、これで、今、地方財源がいろいろ問題を抱えておる中で、どの程度の減収というものを結果としてもたらすと見ておられるのか。その辺について御所見を。これは一言一句通告していますよ、あなたの方へ。
  147. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 特定農産加工法関係の地方税の特例措置によります減収額の見込みでございます。  まず、特別土地保有税でございますけれども、本年度で現在見込んでおりますのは対象案件一件、約二百万円程度になるのではないかというふうに見込んでおります。  また、不動産取得税の減額でございますけれども、御案内のように、価格の十分の一に税率を乗じて得た額を減額する特例措置を講じておるところでございますけれども、これにつきましても本年度は一件、金額的にはわずかな減収額になるのではないかと思いますけれども、件数的には一件を見込んでおります。
  148. 石井一二

    ○石井一二君 これは、大海に目薬一滴なんという言葉がありますが、そういう地方税の優遇措置を大きく講じておるという割には、むしろ今程度の金額では効果が薄いのではないかというような気もいたします。もちろんメンタルな面もございますので、いろいろお考えあってのことと思いますが、今後効果のあるように、それから金融上の措置もいろいろお考えになっていただいておりますが、これも含めてひとつ頑張っていただきたいと思います。  若干、時間が残りましたが、質問の重複の度合いもございますので、以上をもって終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  149. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  暫時休憩いたします。    午後三時四十五分休憩      ─────・─────    午後四時五十二分開会
  150. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  これより特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。──別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  152. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、競り原則を廃止することによって相対取引の増大を招き、ひいては公正、公平、公開原則からの後退につながるからであります。最も透明性のある取引である競り原則を守るべきであります。また、今でさえ、かなりの数量が相対で持っていかれ、実際の競りの時間には低級品しか残っていないなどの声が絶えません。この現状を追認し、大手量販店競りの前にごっそり品物を持っていってしまう相対取引法律で保障することは、公設市場として行うべきではありません。  第二の理由は、商物一致の原則及び買い付けの禁止の原則を緩和する問題であります。実際に品物を見て値段を決めることが少なくなることは、生産者消費者にとって納得のいく取引を後退させることになります。また、卸売業者が大量の品物を商社まがいに買い付けに走り右から左に流すようになることは、小規模な生産者仲卸小売業者にとって不利になることは明らかです。  第三の理由は、市場関係者の経営体質の強化とは業者の淘汰、リストラを促進する危険性があり、また中央卸売市場の再編も市場の大型化による中小市場の切り捨てにつながるからであります。これらの施策にも賛成することはできません。  以上、三点を申し述べ、私の反対討論といたします。
  153. 谷本巍

    谷本巍君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。  卸売市場法流通構造改善促進法の一部改正案は、量販店の進出と相対取引の増大と相まって競り市場原則を撤廃するというものであります。ということは、相対取引一本も可能となり、競り部分を残さないこともあり得るということにほかなりません。  そういう事態も予測されるこの改正案は、公正な価格決定と公平な荷分けを八百屋さん等に保障してきたこれまでのあり方が変わっていくことを意味します。また、そのことは、卸売市場が民間資本による物流センターなどと変わりのないものに変質していく可能性さえ含むものと言わなければなりません。  こうした問題点を持つ改正案だけに、市場取引委員会の設置は義務化されるべきでありました。しかし、それすらも法的には選択事項とされております。  今回の改正に際し、私たちが期待したのは、量販店の進出によってもたらされた町場の地域社会の崩壊ともいうべき商店街の不振と崩壊の危機への対処であります。この危機の克服に向け、商店街の維持や再建に不可欠とされる八百屋・魚屋さんがやっていける競り市場の維持と多面的な支援策の強化に向けた施策の拡充が求められており、それにこたえることであります。  第二は、量販店等による広域流通が進展するにつれ、環境保全型生産による直売市を初めとした多様な産直運動等が広がる状態が生まれております。扱われる数量は決して多くはありませんが、これらの動きは大量生産・大量消費路線に対置される地域市場形成への動きとして重視されるべきであります。ということは、今重視しなければならないことは、中央卸売市場集中型でいくのではなく、地方市場の活性化を土台に据えた地域からの生産、流通の整備を図ることにその力点が置かれなければならないということであります。それがまた、環境保全にかなう農業生産と自給力を伸ばしていく道でもあります。  改正案の目指す方向は、量販店主導の広域流通進展の追認であって、目指す方向は必ずしも明らかでないとはいえ、紛れもなく旧態依然とした大量生産・大量消費型の中央卸売市場集中型の広域化を基本に据えたものであります。そして、その合理性も一面的でしかないこともこれまた明白であります。  例えば、野菜等の生産でいうなら、農家が求められるのは、低コスト化に向けた薬剤まみれの大型生産が中心であり、選ばれる品種にしても広域流通にかなうものに限定されるという例等々に見るとおりであります。人の命を支えるべき食料が人の命もむしばみかねぬものに変質したり、変化に富む日本列島にあって、地域地域に合ったさまざまな野菜を生み出した日本農業が、広域流通のもとでほとんど地方品種が淘汰されつつある例を見ても、それがどんなに重大な損失であるかは明らかであります。また、さらには大型生産に不向きな中山間地域など条件不利地の農業が大型生産、広域流通のもとでこれまで以上に追い詰められていくことになりはしないでしょうか。  次期WTO交渉に向け政府が強調してきたことは、国内生産を基本とした食料安全保障と、環境問題を中心とする農業の果たす多面的役割を重視したルールの確立でありました。省庁再編成による新農林水産省が果たすべき新たな役割もまた同じようなことであります。  この改正案がそうした内外に宣明された新たなる課題にこたえようとしているかどうかは、もはや申し上げるまでもなかろうと存じます。  以上の理由から、本法案に反対である旨を申し上げ、討論といたします。
  154. 野間赳

    委員長野間赳君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 野間赳

    委員長野間赳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田洋子君。
  156. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は、ただいま可決されました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   生鮮食料品は、国民生活に不可欠な基礎的物資であり、その生産・流通の円滑化と価格の安定を図ることは極めて重要な課題である。   よって政府は、今後とも卸売市場流通の中核としての役割を十分果たしていくよう、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 需給の会合による生鮮食料品の公正な価格形成機能を維持するため、卸売市場公共性公開性を十分確保すること。  二 生鮮食料品の継続的な安定供給を確保するため、価格競争力の弱い出荷者に対しても、常に安定した取引が確保されるよう十分配慮すること。  三 相対取引を行う卸売市場については、生産及び消費の実態を適正に反映した合理的な価格が形成されるよう指導するとともに、零細な仲卸業者や売買参加者が不当な差別的取扱いを受けることのないよう監督すること。  四 長期化の傾向にある量販店等の買受代金支払いが、仲卸業者経営に影響を与えることのないよう十分配慮すること。  五 卸売市場における情報処理の機械化を積極的に推進するとともに、流通情報のシステム化に対応できない産地や零細業者に十分配慮すること。  六 近年におけるコールドチェーンの進展に対処するため、卸売市場における保冷施設等の整備に努めること。  七 地域農業の振興を図る観点から、地域農産物流通システムの在り方について検討すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  157. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  159. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま可決していただき、ありがとうございました。  御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をしてまいります。
  160. 野間赳

    委員長野間赳君) 次に、農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。──別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  161. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田洋子君。
  162. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は、ただいま可決されました農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年、輸入食品有機食品等の生産・流通が増大する中で、食品に関するより多くの情報提供が求められており、的確かつ包括的で分かりやすい表示規格制度の構築が重要な課題となっている。   よって政府は、今後とも日本農林規格制度の充実に努めるとともに、安全な食品を供給するため、本法の運用に当たっては、次の事項の実現について万全を期すべきである。  一 有機農業の健全な発展を図るため、地域実情を踏まえた振興施策等を早期に確立すること。  二 有機食品の検査・認証のための具体的基準については、関係者の意見を踏まえて設定するとともに、検査・認証業務の確立及び円滑化を図るための支援措置を講じること。  三 有機食品の検査・認証制度の導入に当たっては、有機農家の負担に十分配慮するとともに、その意見の反映に努めること。  四 有機食品表示については、有機農家消費者の間において信頼関係が保持されている有機農産物流通実態に特に配慮すること。  五 国民の要請に応えるため、遺伝子組換え食品表示制度を早急に整備すること。  六 事業者自身による格付の表示のための仕組みの導入に当たっては、公正な格付を確保するため、登録認定機関による認定の基準を明確に定めること。  七 登録格付機関及び登録認定機関として民間能力を活用するに当たっては、適正な検査・認証業務の確立が図られるよう指導・監督すること。  八 日本農林規格の改廃等については、農林物資の生産、流通、消費等の現状を考慮して措置すること。  九 関係省庁との密接な連携の下で、安全な食品を供給するための体制づくりを一層進めるとともに、食品の安全性確保に資する情報の積極的な提供に努めること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  163. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  164. 野間赳

    委員長野間赳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  165. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま可決していただき、ありがとうございました。  御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をしてまいります。
  166. 野間赳

    委員長野間赳君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会