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1999-04-27 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十日     辞任         補欠選任         岸  宏一君     倉田 寛之君  四月二十一日     辞任         補欠選任         倉田 寛之君     岸  宏一君  四月二十七日     辞任         補欠選任         木庭健太郎君     浜四津敏子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 村沢  牧君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 大沢 辰美君                 谷本  巍君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    参考人        全国農業協同組        合連合会常務理        事        杉谷 信一君        大阪中央卸売        市場場長     杉山 征一君        全国水産物卸組        合連合会会長   増田 誠次君        農事組合法人米        沢郷牧場代表理        事        伊藤 幸吉君        産直運動全国協        議会事務局長   齋藤 敏之君        お茶の水女子大        学生活科学部教        授        本間 清一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○農林物資規格化及び品質表示適正化に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出) ○特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の委員会参考人として、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案審査のため、全国農業協同組合連合会常務理事杉谷信一君、大阪中央卸売市場場長杉山征一君及び全国水産物卸組合連合会会長増田誠次君の、また、農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、農事組合法人米沢郷牧場代表理事伊藤幸吉君、産直運動全国協議会事務局長齋藤敏之君及びお茶の水女子大学生活科学部教授本間清一君の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野間赳

    委員長野間赳君) 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、全国農業協同組合連合会常務理事杉谷信一君、大阪中央卸売市場場長杉山征一君及び全国水産物卸組合連合会会長増田誠次君に御出席をいただいておりますので、御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、これより順次御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上お一人十分以内とし、その順序は杉谷参考人杉山参考人増田参考人といたします。  すべての方の御意見の開陳が済みました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、杉谷参考人からお願いいたします。杉谷参考人
  5. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 全国農業協同組合連合会杉谷でございます。よろしくお願い申し上げます。  私の方から、出荷団体としての卸売市場法改正問題に関する御意見についてお述べ申し上げたいというふうに思います。  お手元に「卸売市場流通問題に関する系統農協要望」という資料をお配りしていると思いますが、それに基づいて、私ども意見について申し述べたいというふうに思います。  この件に関しましては、昨年の八月に生鮮食品等流通問題研究会中間論点を整理いたしまして、「卸売市場の新しい展開と活性化に向けて」という形で公表をしたものであります。JAグループとしては、この論点整理に対する意見を取りまとめるために、全国会員県連に対しアンケート実施いたしました。また、このアンケート結果を踏まえた上で、JAグループ内に設置してございます卸売市場流通検討会協議検討を重ね、お手元にお配りをしております要望という形で取りまとめたものでございます。表紙にございますように、平成十年の十月に農水省に対して要望を提出したものでございます。  別刷りの資料で中身について御説明を申し上げます。  一枚お開きいただきますと、今回の卸売市場法改正のねらいであります卸売業者体質強化方策、それから二つ目の、取引方法あり方について、それぞれ系統としての意見を取りまとめてございます。  まず、卸売業者体質強化方策についてでありますが、(1)に記載してございますように、青果物産地大型化をしている。一方、買い受け人である量販店等大口需要者もバイイングパワーが強くなってきている。そういう状況がございまして、それらに対応できる卸売業者経営体質強化、それから経営規模拡大卸売市場適正配置、こういうようなものが必要であるというふうに認識をしているところであります。  そのために、適正規模なり適正配置を念頭に置いた上で、同一市場内一卸売業者基本とした合併、それから広域流通圏におきます複数市場の統廃合、こういうようなものを早期に促進していただきたいというのが私ども意見であります。それにつきまして、特に整備のおくれております花卉市場についても、ぜひ行政指導によって積極的な整備促進をしていただきたいということであります。  また、仲卸業者についてでありますが、(1)の下から三行目に記載してございますように、積極的なマーケティング活動が可能となるような経営体質強化ということで、これも合併大型化行政指導で進めていただきたいというふうに考えているところであります。  それから、(2)のところにございます債権管理代金回収の面でありますが、特に最近は卸売業者経営が非常に悪化をしているという状況がございます。そういう観点で、産地債権管理なり代金回収の面で安心して出荷ができるよう、積極的なリストラ等を進めていただいて経営健全化経営基盤強化を図っていただきたいということであります。  また、卸売業者自体経営内容をみずから積極的に開示していただいて、出荷者が適正な判断ができるような資料の提供をお願いしたいという点であります。  それから、(3)でありますが、系統出荷団体では、さきに卸売市場経営が破綻をしているというような例もございました関係で、青果物花卉販売代金債務不履行による損害を担保するために、青果物花き市場取引信用補償制度というものを発足させてございます。これは一種の保険でありますが、これを発足させておりまして、みずから自分たち債権確保していく、保全をしていくという対応をしているところであります。しかし、これらのことについては、卸売業者なり開設者行政等によって保証されるべきというふうに考えてございますので、この点について、債務保証機構等の設立をぜひ要望したいというのが三点目であります。  次に、取引方法あり方についてでありますが、(1)にございますように、産地間に不公平が生じないように、特に青果物の場合、生産需給の特性がございまして、大量購入が必ずしも価格面でのスケールメリットを生じるということにはなかなかならない。例えば、量販店等が大量に買うというようなことがあるわけでありますが、例えば果実であれば、ちょうど秀のMみたいなものをそっくり持っていくというような形で、上と下が残ってしまうというような状況があるわけでございます。そういう意味で、大量購入が必ずしもメリットにつながることにはならないというようなこともございますので、少なくとも大口取引において他者を下回る価格水準をつくるというようなことがないよう、公平で透明度の高い運営をしていただきたいという点であります。  一枚開いていただきまして、(2)でありますが、競りまたは入札原則見直しについてであります。  この点に関しましては、量販店等大口需要者ニーズが高まっているということがございまして、相対的に相対取引増加をしているという事実がございます。この相対取引競りと同等の卸売方法とするという見直しについては、そういう観点で必要であるというふうに私ども判断をしております。  相対取引につきましては、特に価格決定の点で、産地の意思が反映されるような価格決定方式、すなわち産地側とすれば価格については、再生産価格一定のめどという形でもって希望価格を提示するというようなことがあるわけでありますが、そういうようなことも十分踏まえて決定をするというような方式導入をお願いしたいという点であります。  また、その相対取引実施に当たりましては、特に地域実態に即した見直しということが必要でありますし、取引内容の開示、これが当然義務づけられて初めて透明性確保ができるというふうに考えてございますので、その点についてぜひとも厳格な運営をお願いしたいということであります。  それから、商物一致原則の緩和についてでありますが、この点につきましては、特に物流コストの低減の問題、それから市場狭隘化の問題、こういうようなことから見直しが必要というふうに判断をしてございます。  しかしながら、それの運営に当たりましても、先ほど(2)の相対取引のところでも申し上げましたように、同様に透明度の高い運営をする必要があるというふうに考えているところであります。  また、産地から直送した取引につきましては、本来であれば、物流等の面で合理化をされているわけでございますので、取引実態に応じた手数料体系導入というふうなことが今後の検討課題として必要になってくるのではないかというふうに考えているところであります。  それから、(4)にございますように、卸売市場施設整備でありますが、特に産地におきましては保冷庫等整備が進んでおりまして、保冷出荷増加をしているという状況にございます。しかしながら、市場においてはコールドチェーン等対策がおくれているということがございますので、売場の低温化等施設整備、こういうようなものをぜひお願いしたいという点であります。  また、荷役の合理化という観点で、特にパレット輸送、こういうようなものが可能になるような施設整備、こういうこともぜひお願いをしたいというふうに考えているところであります。  最後になりますが、休市問題についてであります。  この休市問題につきましては、特に生産者の休みという観点から、四週六休をぜひとも基本としていただきたい。さらに、JA集出荷場効率活用という意味からも、平成八年度から継続実施をしております、全国統一した市場休市ということをぜひ厳守していただきたいということであります。  一方、買い手側からは、特に量販店等中心にしまして日曜、祭日等休市日販売ということを要望されるわけでございますが、これらについては、先ほど申し上げました施設整備、こういうようなもので営業体制強化するということで対応していただきたい、そういう内容でございます。  以上がJAグループのこの卸売市場法改正に対する意見であります。  今申し上げました以上の要望については、今回の卸売市場法改正の中にごく一部分を除きましてはほとんど取り入れていただいたというふうに考えているところであります。そういう意味で、生産者、それから出荷者団体といたしましては、生産者ニーズを踏まえた卸売市場活性化機能強化を強く要望するということでありまして、今回の法改正につきましてはぜひとも進めていただきたいという立場でございます。  そして、先ほど申し上げましたが、販売方法見直しという観点でありますが、特にその運営に当たっては、生産者にとって不利な価格形成とならないよう、透明性の高い市場運営ということをぜひともお願いしたいというふうに考えているところであります。  以上でございます。
  6. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  次に、杉山参考人にお願いいたします。杉山参考人
  7. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 御紹介をいただきました、大阪府が設置いたしております大阪中央卸売市場場長杉山でございます。  現在、全国には中央卸売市場が八十七ありますが、一概に中央卸売市場と申しましても、その規模等も異なりますし、取り扱われている取扱品目もそれぞれ異なります。また、地域差と申しますか、首都圏市場と、私どもが身近に見聞きしております関西あるいは西日本市場では、歴史的な背景も異なり、市場運営実態も必ずしも一律でございません。  したがいまして、私は、大阪中央卸売市場の現場を預かる場長としての立場から、今回御審議をお願いしている卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部改正法案について意見を述べさせていただきます。  まず初めに、大阪中央卸売市場ですが、数少ない都道府県設置市場でございまして、昭和五十三年の開場で、昨年やっと開場二十周年を迎えたばかりの比較的歴史の浅い中央卸売市場でありますが、時期的に見て、昭和四十六年制定現行卸売市場法のまさに申し子的存在でございまして、今日まで二十年間、現行卸売市場法をその後ろ盾として、心情的にもその優等生たらんと努力してきた経緯がございます。  その大阪中央卸売市場の概要は、大変恐縮でございますが、お手元資料として提出させていただいております。  それでは、早速、今回の一部改正法案につきまして意見を述べてみたいと存じます。  今回の一部改正法案ですが、法案を作成されるに当たりまして、卸売市場開設者学識経験者方々はもとより、実に幅広く流通関係者から意見聴取がなされ、これらを踏まえた上で法改正案が作成され、今通常国会に提出されております。  国民生活にとって不可欠な生鮮食料品を公正な価格で安定的に供給することを目的といたしております卸売市場法改正ですので、当然といえばそうかもしれませんが、市場関係者に対し実に丁寧に、丹念な意見調整が繰り返し慎重に進められてきた経過があります。また、国の生鮮食品等流通問題研究会が策定した昨年八月の中間論点整理を初め、同じく十一月に取りまとめられました卸売市場活性化に向けた検討基本的方向ども広く公開され、単に市場関係者にとどまらず、積極的に流通段階消費者出荷団体等各界意見の吸い上げ、集約がなされてきたのではないかと思っております。  この点については、改正法案に携わった関係者に深く敬意を表するとともに、お礼を申し上げたいと存じます。  私は、卸売市場生鮮食品流通をめぐる環境変化の中で今大きく変わろうとし、また変わっていかねばならないと思っております。今回御審議をいただいています法改正案は、現行法制定以来二十八年ぶりの大きな改正論議になりますが、これを一つの契機、糸口として、今後の卸売市場の発展を願っております。  次に、今回の法改正案内容でございますが、改正の柱は、市場関係者経営体質強化中央卸売市場における売買取引に関する規定整備中央卸売市場の再編の円滑化と、大きく三点ありますが、時間の関係もありますので、中央卸売市場における売買取引に関する規定整備、すなわち公正、効率的な売買取引確保について意見を述べさせていただきます。  卸売市場における売買取引は、現在、競り売りまたは入札原則差別的取り扱いの禁止を初め、幾つかの基本的な規制のもとで行われております。  今回の改正法案においては、卸売市場をめぐる環境変化に対応するため、卸売市場売買取引について公正かつ効率的でなければならない旨を明示するとともに、現行法のもとでの取引では、競り売りまたは入札原則例外規定として相対取引が認められていたわけですが、今回の改正法案では、取引方法については開設者市場及び品目ごと関係者意見を聞いて条例で定める方法によることとされ、その方法はまず生鮮食料品等を三分類し、一番目として、競り売りまたは入札による取引のみとするもの、二番目として、一部を競り売りまたは入札による取引とし、残りは競り売りまたは入札による取引でも相対取引でも可能とするもの、三番目として、競り売りまたは入札による取引でも相対取引でも可能とするものの三つの方法のうちから選択することとされております。  また、これに伴い、売買取引の公正、公開性確保するため、公表措置市場取引委員会設置、従来の基本原則に対する例外措置拡大等幾つかの特例措置を講ずることとしております。すなわち、今回の改正によって、競り売りまたは入札方法によるか、相対取引方法によるかは、各市場ごと開設者判断にゆだねられることになるわけでございます。  そこで、大変恐縮ですが、お手元資料として配付させていただいております「卸売市場における取引形態(最近四年度)」をごらんいただきたいと存じます。  競り入札割合は、大阪市の本場や大阪府の中央卸売市場は、全国市場平均と比較しますと比較にならないほど競り入札割合が高く、特に野菜、果物などの青果物に顕著にその傾向があらわれております。また、東京の築地市場全国平均とを比較しますと、築地市場競り入札割合全国平均を下回っております。そして、どこの市場とも、年を経るごとに競り入札割合低下傾向を示しております。ここには全国八十七市場ごと競り入札割合はありませんが、ごく一般的に申しますと、関西圏と申しますか、西日本中央卸売市場競り入札は、関東圏に比べますと非常に高い傾向を示しております。  この資料からもわかりますとおり、現行卸売市場法取引方法についていかに明文をもって競り売りまたは入札方法基本原則と定めましても、現状の流通実態とは大きな乖離が見られます。しかしながら、大阪市や大阪中央卸売市場競り取引を殊のほか大事にしてきた経過があり、したがいまして今回改正案につきましては、競り取引堅持を求める強い意見もあることは事実でございます。  私は、今回の改正が、今日の生鮮食品流通実態を追認する形での改正であるとの一部根強い指摘もあることは承知しておりますが、なぜこのような状況に立ち至ったか、その原因を詳細に分析し、その対策市場関係者が真剣に取り組む必要があると思っております。  今回の取引方法改正は、言うまでもなく、生産者のみならず小売業者などの卸売市場利用者の多様なニーズに機動的に対応することによる活発な売買取引の進展、及びその事務手続簡素化による流通コストの削減を図ることを目的とするもので、市場利便性の向上と活性化を図るための改正と理解しておりますが、そのために、私は、中央卸売市場生命線とも言われる評価機能、公正な価格形成機能がいささかも侵されてはならないと思っておりますので、そのための担保措置は厳格に運用すべきであり、また相対取引一定の範囲で導入する場合の目安については、市場関係者と一体となって十分に検討して対応してまいりたいと思っております。  以上をもちまして、私の発言は終わります。
  8. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  次に、増田参考人にお願いいたします。増田参考人
  9. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 私は、卸売市場は重要な社会システムであると常々大事に思っております。その中で価格形成機能というのは、特にそれが中心であるというふうに考えております。その機能をきちっと発揮するためには、取引ルールが大事であり、ルール関係業者がしっかり守るということは申すまでもなく大事なことでございます。  そういう意味で、その原則基本理念のところに明確に、公開、公平、公正ということが明示されることが大事だと常々思っております。この意味のことは、私たち全国組織の毎年行われる総会のときに声明を発表いたしておりますが、その声明の骨子にもなっております。  きょうここで私が意見として申し上げますのは、そのことに基づいて、今検討されております卸売市場法改正の中にその意味のことがしっかり明記されることが必要だと常々思っておることでございますし、そうした意味意見を発表させていただきたいと思います。  実は、月尾嘉男教授福川伸次さんのパネルディスカッションでこういうお話を聞きました。  かつて、日本自由主義経済の仲間入りをして、欧米に追いつけ追い越せという時代、日本人は、その効率を高めて、そして何としても追いつこうということで一生懸命努力をいたしました。その努力によって、今は先進国の中でも世界から注目されるところにあるわけでございますが、同時に、日本経済の特徴として非常に閉鎖性が強い、その中でも最たるものが談合であるという指摘を強く受けていると、こういうお話でございました。  そして、今日、国際経済の中にあっての日本経済にはその閉鎖性が問われ、透明性を強く求められているのが今の実態でございます。  そして、さらにこういう言葉が述べられました。価格市場需給によって決まる、利益はコストダウンと技術革新によって確保するものですと。  非常に強い印象を受けたそのパネルディスカッションでありました。  一般には、もともと取引はアングラでやりたいという習性があります。また、量販店差別化意識ということを非常に強くたたき込んで、その担当者に、また取引先にその意識を強く持つように指導しております。  ただいま、量販店のこの差別化意識そのものを批判するとかそういう意味ではなくて、それはそれで立派に、それぞれの会社の経営理念に基づいての、また販売戦略の中での大事なこととしてやっていらっしゃることでございますから、そのことそのものを私はどうのということではないんですが、しかし結果として、そういうことによって起こる現象というのは、やはりうちの取引、うちの会社にはほかで対応できない特別なことをということが当然要求されることは皆さん、日々の社会情勢の中でいろいろ耳にされていらっしゃることでございましょう。  そういう一般社会にありまして、公開原則というのは、公設市場と民営市場との違いなんだということを私、強く思っております。一般的にはそれでよろしいけれども、公設の場合はそこが違うんだということ、その透明度が高いということの必要性の意見はこのところ強くいろんなところで言われておりますが、特に公設の市場として、しかも国民生活の中で欠くことのできない生鮮食料品流通のかなめとしての、価格形成の役割としての卸売市場については、非常にこのことが大事なことだというふうに思っております。  生鮮食品等流通問題研究会検討を重ねまして、「卸売市場の新しい展開と活性化に向けて」との最終報告が示されました。その報告書の中にも、「中央卸売市場における取引方法の改善」、その「基本的考え方」として、「中央卸売市場が今後とも公設市場として各種機能を発揮していくためには、市場内の関係業者間で、公正、公開効率原則に立った売買取引が行われることを確保することが重要であり、そのために必要最低限のルールの設定、これを遵守するための担保措置が、基本的には必要である。」と。以下、いろいろここに記されているところでございますが、全くそのことが大事だというふうに私は思っております。  また、以前から言われていることでございますし、今もそうでございますが、価格と購買量というのは密接な関係があるということでございます。  水産物は、先生方に改めて私が申し上げるまでもなく、この地球の自然の海、川、湖等で生産される、育った魚を漁獲するわけでございます。まさに自然の恵みでございます。一方、需要はそれぞれ社会生活の中で天候一つにも左右されて、昨今の日本では、やはり好みの食べ物を必要量食べたいという需要が強くそのベースにあります。必ずしも自然の産物としての水産物の供給と必要とする需要とは一致いたしません。そこに中央卸売市場の役割が大事だし、中央卸売市場価格形成が大事だと思います。  そういう意味で、今回のところでは、結果の公表をすれば透明性確保できるという点でございますが、私は、そうではなく、公開のもとでの取引そのものこそが本当に一番大事なんだと。そのときに、広く国民層から市場へ集まってきた需要がそこに形成される、そして供給との出会いが形成される。双方の、需要と供給の出会いによって的確に価格形成がオープンの中できちっとされる。生産者消費者も納得、信頼される。そして、それをきちっと継続するためには、この求められておる透明性というのは、取引そのものがまず公開であるということが大事であると常々思っております。  原則公開、公正、効率、こういうふうに三原則になりましたが、今回、最後の閣議決定に行く段階で公開が消えてしまったことに、この法改正のときに大事なことが欠落していることに非常に危惧を抱いておりまして、ぜひとも取引公開性がきちっとこの法改正の中に位置づけられるように、私は本席に出席して、先生方にお聞きいただきたいということで出席をいたしました。  以上、私のまず基本的な原則に基づいての考え方について発表させていただきました。御清聴ありがとうございました。
  10. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 三浦一水

    ○三浦一水君 自民党の三浦でございます。  三人の参考人方々には、本当にお忙しい中、きょうはまことにありがとうございました。  今回のこの卸売市場法につきましては、昭和四十六年に制定をされて、二十八年間、今日まで改正なしに施行されてきているという状況の中で、いろいろお話もありましたように、非常に市場をめぐる諸情勢の変化が大きく生じてきているという状況の中で、まことに重要な法改正の意義があるのではないかと私も認識をしております。そういう状況の中でいろいろとお話を承ったわけでございます。  杉谷参考人にお伺いをしたいと思うんですが、全体のこの法改正のねらいについては肯定的な御発言がございました。その中で、生産者の視点ということ。杉谷参考人は、生産者が再生産可能な価格形成市場が図っていくべきだ、その機能を持つべきだといったような御趣旨の発言もあったかと思います。  まず第一点、卸売業者が統合されて大型化をしていくという状況の中で、これが生産者に何らか影響があるものか、そのことについてまず御意見を賜りたいと思います。
  12. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 経営体質強化、さらには合併による卸の大型化という点でございますが、前は、卸売市場流通が大半というような状況の中で、一市場複数荷受けという実態があったわけでありますが、最近は、交通手段が発達をしたということもございまして、同じ卸売市場内での競争ということだけではなくて、市場間の競争というのも相当激しくなってきているという点があります。  それから、卸売市場流通の比率がだんだん低下をしてきて市場流通も出てきているという中で、卸売市場市場流通との競合という面もございます。そういう意味で、私どもとしては、卸の大型化というものが、競争そのものをなくすというような考え方は今のところ持ってございません。  そういう意味で、先ほどからも申し上げておりますが、むしろ債権保全という観点で、どこに出しても、卸の経営が安定しているという方が生産者にとっては、出荷者にとってはメリットだというふうに考えてございますので、卸の大型化等については、私どもとしてもぜひお願いをしたいというふうに考えているところであります。
  13. 三浦一水

    ○三浦一水君 次に、取引方法の改善ということについてお尋ねをしたいわけであります。  現状、相対取引の比率は高まり、また今回の法改正で、これを一般化していく中でさらに高まるという予測が立つかと考えております。相対取引を行うことで、それが予約相対という形の中で、よいものが先取りをされて量販店経由で市場に出回っていく、比較的品質的に落ちるものが市場競りに残るといったようなことを懸念する向きがございます。こういうことが起きるならば、恐らく価格下落の一つの方程式が構造的にでき上がりかねないという懸念も持つわけでございますけれども杉谷参考人、その点どのようにお考えになっておりますか。また、同様の質問で杉山参考人にも御意見を賜りたいと思います。
  14. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) おっしゃるとおり、私ども生産者団体、出荷者としては、相対取引が公認されて競りと併用されるというような状況の中で、一番銘柄がそろっている部分が相対取引の方に回ってしまって、上下の、はっきり言ってなかなか売りにくいものが残って、それが競りにかけられるような状況になりますと価格水準が著しく下落するおそれがあるということが考えられます。その点については、そういうようなことのないような運営をぜひお願いしたいという点であります。  さらに、今度の卸売市場法改正の中では、少なくとも卸売業者品目ごと取引方法ごとの価格について公表公開をするという原則になってございますので、その辺は十分に踏まえて厳格に守っていただきたい。私どもは、その公開された指標をもとに、その形成された価格がどうであったのかということを判断していくことになるわけでございますので、その点についてはぜひ厳格に運営をしていただきたいというふうに思ってございます。
  15. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 今、杉谷参考人がお答えいたしたように、不利になる産地が出てくるのではないかということ、一部そのように考えておる産地もあるように聞いておるんですが、運営を厳格にすることによって、そのようなことはないように思っております。  大阪府の中央市場は、青果については特に競り取引で行われておりますので、現実に相対取引が非常にシェアの高い市場でございませんので的確に答えられないと思っておりまして、恐縮に存じます。よろしくお願いします。
  16. 三浦一水

    ○三浦一水君 杉谷参考人に重ねてお尋ねを申し上げたいんですが、指し値をし、そして相対取引に臨むといったようなことが今回の法改正に基づいて期待をされているところでございますが、指し値と申しますのが、いわゆるバイイングパワー、いわゆるプロダクションパワー、ここに大きな力の差がある中ではなかなか指し値が指し値として機能できない可能性もあるのではなかろうか、生産者の意図する価格が交渉の中で得られるのか、そのような心配を持つわけでございますが、実際に業務に深く関連なさっている杉谷参考人として、その点について御所見を賜れればと思います。
  17. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 指し値の件でございますが、生産者側としてはこの指し値というのは、やはりそのときの再生産価格を何とか確保したいというような観点から、この価格で売ってくれという意味でお示しをする値段であります。しかし、実際は値段そのものが、需給バランスの問題もありますので、なかなか指し値どおりにはいかないという状況がございますが、最近、実験的な取り組みとして、卸売市場でも予約相対という取引方法が一部導入をされてございます。これはあらかじめ、どのぐらいの量をいつ出荷するからということを連絡しておいて、量販店卸売業者、それから出荷者、この三者が一体になって価格協議して決めていくというような取引方法でありますが、こういうようなことも十分活用していって、指し値というのか、生産者の希望する価格、再生産価格、こういうようなものの実現を私どもとしてはぜひとも図っていきたいというふうに考えているところであります。
  18. 三浦一水

    ○三浦一水君 杉谷参考人にもう一点お尋ねをしたいんですが、資料の最後のページの(3)のところで、「産地から直送した取引については、取引実態に応じた手数料体系導入検討していく」べきという御要請がございます。この点をもう少し詳しくお聞かせいただければと思います。
  19. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 商物一致の原則の緩和ということでいきますと、今まではすべて卸売市場の中に荷物が入って、そこから分けられるという、分化をされるという形態になっていたわけでありますが、この商物一致原則を緩和いたしますと、産地から直接量販店等のセンター等に入っていって、代金決済等について卸売業者を活用するという取引になるわけであります。荷さばき等の機能卸売市場では必要がなくなるということでございますので、そういう意味でのコスト低減化は図れるはずだということでございます。  したがって、そういうような部分、すなわちそれぞれの果たしている機能に応じた手数料体系というものが検討されてもいいのではないかというのが発想の原点でございますが、今回は残念ながらここまでは踏み込んできてはいないという状況でございますが、これについては今後の検討課題ではないかというふうに私どもは認識をしているところであります。
  20. 三浦一水

    ○三浦一水君 増田参考人にお尋ねをいたします。  いわゆる鮮魚の仲卸におきまして経営状況が非常に赤字状態が多い、過半を超えるということでございますが、これについては全体的にどのような取り組みの姿勢をお持ちか。時間の関係がございますので、簡潔にお願いを申し上げます。
  21. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 現在の市場の仲卸の厳しさというのは先生から今お話があったとおりでありますが、その最大の要因は、市場の数が多いということが一つあります。御存じのとおり、需要、日本の胃袋はそう変わっていませんが、市場がそれと比較してたくさんつくられてきたということが一つあります。  もう一つは、今、先生の御質問の中にもありましたが、いわゆる取引の乱れの中にこうしたような原因も生じてきているということも大事な事実でございます。  いずれにしても、今回の法律改正に基づきまして改めてきちっと取引ルールがつくられまして、それをきちっとみんなが守ることによって今の問題は大きく改善されることになろうと。同時に、体質改善という意味での今回示されております統合等を含めての対応というものも、これも大事な具体的な、今の問題の解決のためには必要なことであろうと思います。  以上でございます。
  22. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。  杉山参考人にお尋ねしますが、相対取引がふえることによって、先ほどの三浦委員の御指摘ですと、売れ残りが競りに回って価格下落が起きないかというような御意見でしたが、私は逆に、売れ筋の商品が相対取引で大量に出てしまいますと、残った売れ筋の商品を競りの方で競って買うことになって、場合によっては一部商品について価格が高騰して、消費者が不利益をこうむることにならないかという考えを持っておるんですが、その点はいかがでございましょうか。
  23. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 今、大阪府におきましては、業務規程によりまして、予約相対取引と前日予約相対ということで運用をいたしております。予約相対というのは、あらかじめ締結した契約に基づき確保した生鮮食料品等の卸売をする場合でございまして、前日予約相対というのは、前日の午後二時ぐらいまでに、事前の契約でなくて前日までに申し出ていただいて、契約をせずに、前日予約相対ということでやっております。  大阪府の場合に、青果については先取りとかそういうようなことは一切ございません。時々問題になったという例は過去には聞いておりますが、非常に問題になって、的確に前日予約相対なり予約相対を適用してやっておるということです。  それで、競りにかけまして残品が生じましたらそれはもちろん相対になりますが、商品がだぶついたときに競り落とされない場合がある。そうすると、商品が余るということになります。全部落とされないというときに、それはやはり相対の方へ回ってしまうということになります。今までの卸売市場の大原則は、委託集荷、即日上場、即日販売ということでございますが、やはりそれがどうしてもかなわないときには相対に回っていくということになると思います。
  24. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、別のことを聞きますが、杉山征参考人にまたお尋ねしますが、相対取引の場合、現状のシステムでは、その相対取引がなされた場合の取引公開は具体的にどのようになされているんでしょうか。
  25. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 現行法のもとでは公開はいたしておりません。
  26. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これからの新しい法改正の問題では、やはり相対取引がふえる、あるいは大型取引相対取引がふえることになると思うんですが、これはやはり杉山参考人としては公開原則はもちろん必要であるというふうに考えておられることでしょうね。
  27. 杉山征一

    参考人杉山征一君) もちろん必要と考えております。これがやはり生命だと思っております。
  28. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 また杉山参考人にお尋ねしますが、具体的にどのように公開方法を徹底したらよろしいとお考えでございましょうか。
  29. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 改正法案によれば、取引委員会設置ということが規定してございます。したがいまして、この法案が通るならば、取引委員会設置して十分に意見を聞いて、どれを競りに回し、どれを相対取引に回し、そのシェアはどう考えるかということでやっていきたいと。しかしながら、今日まで場内業者の意見を聞く限りは、競りまたは入札のシェアが高いので、余り相対の方へ回っていくものはないのかなと思っております。  それと、御質問ですが、相対取引に回った場合は、今回の法改正案にもありますとおり、どれだけ商品が相対に回っていって、それがどれだけで売れているか、どれだけの価格で設定されているか、これは事後でございますが公開するようになっておりますので、それは毎日毎日繰り返していくわけですから、それをもって適正な価格の保持というのは可能かなと思っております。
  30. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 増田参考人にお尋ねしますが、相対取引について公開原則が絶対必要であるという御意見をいただきましたが、今度の法改正の程度の公開のシステムで十分だとお考えでしょうか。あるいはもっとこういうふうにしていただきたいというお考え、御希望がございますでしょうか。
  31. 増田誠次

    参考人増田誠次君) ただいまの御質問にお答えいたします。  現在、既に法改正内容が業界からも発表されて説明を受けております。その中で今起きている現象を一つ申し上げますと、今までは公正、公平、公開、これが三原則でありましたが、今度は公正と効率の二つになったよと。公平と公開はなくなったみたいだねと。特に、今までなかった効率というのがうたわれるというのは、これからは効率ということを国は強く指導されているのではないか、業界ではそういう受けとめ方が出ております。全国の各市場を回っておりますと、きょうは杉山市場長さんがいらっしゃいますけれども、そういう開設者のお立場の人の考え方も、そうした考え方で指導を、説明を受けているという業界の人からの言葉も聞きます。  大変なことだというふうに私は思います。いわゆる効率ということの中には、冒頭にパネルディスカッションを聞きましたというお話をいたしましたが、効率を高めるというと、どうしても取引がクローズドになっていく傾向が必ずあります。  実は、これは先生方のお手元にも資料として行っていると思いますが、生鮮魚の集荷方法、それから卸売方法卸売方法の相対の内訳、こう比較した表がありますが、競り取引の比率の高いところは、その中で残品が平均して非常に少のうございます。相対取引の高いところが、残品が割合に高いという傾向があります。果たしてこれで、相対取引がいいということの本当の意味なんでしょうか。ここのところはよく詰めていただきたい。都合のいい取引ということでそれが利用されているとすると大変な意味になります。特に、二〇%を超す、二七%であるとかという残品があるということは、統計上は出ておりますが、実態としては私は信じられません。これはどなたがお考えになっても、二七%もの残品が毎日、市場に存在しているとしたら、これはその市場そのものが成り立ちません。  それからもう一つは、先ほど言いました価格形成のもう一つ違った意味のことを申しますが、競り取引のところはいわゆる価格と購買量とは密接な関係があるということを申しましたが、そういう意味を含めて、競り取引中心のところは残品はほとんど少ないし、低いことになっています。ここのところは非常に大事な経済の働きであろうと思うんです。相対取引というのは、比較的単価を決めておりますから、高ければ要らないよということも生じるかもしれません。一方では、少ないときに値段は低く形成されていますから、そこから品物を先に、先ほど御質問の中にもありましたとおり、先に品物を持っていってしまうということも考えられることでございます。公設の卸売市場でそういうことが生じるようなことが果たしていいのかということが大事なことではないか、このように常に思っているところでございます。
  32. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 別のことをお尋ねしますが、増田参考人に。  卸売市場あるいは仲卸の経営基盤が弱い、信用力が乏しいからということで、経営改善を考えるのが今回のまた改正法の一つですが、そうしますと、ついていけないところは廃業するか、他に整理吸収されるかということにもなると思うんですが、そこら辺のことを含めてお考えいかがでございましょうか。
  33. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 今の件についてお話をいたします。  単純に大型化するとか、そういうようなことだけで本当の体質の強化ということと、それから市場全体の活性化ということにつながるのかというのは、それだけではなかなか尽くせないことがいろいろあるはずでございます。要は、一番大事なベースは、市場が、仲卸が、私は仲卸の立場でございますが、仲卸がきちっとその役割を果たせるような状況確保される、いわゆる取引ルールを含めてされることが大事であると。そういうことが、仲卸を飛び越して卸売業者がその先に営業展開をしていくというようなことも実は大きな問題になっております。これは、今回の改正でも卸と仲卸の垣根論のところで十分論じられたところでございますが、やはり市場というのは、卸と仲卸が役割分担をきちっとして、卸は特に生産者の人たちにしっかりこたえるようにやっていただく、仲卸は需要にしっかりこたえるようにやると。  しかも、市場での価格形成は、やっぱり公開のところで、先にどこかへ品物が行ってしまうんじゃなくて、出荷されたものはちゃんと上場されて、そしていろいろな需要を背景にしたその仲卸がそこに同時に競りに参加して取引をするというときに、取引が本当に活性化するのであろうと思います。需要と供給量の、質、量ともに多くの双方の出会いの形成というのが大事なことだし、それを、先に品物を外してしまうとか、そうしたいろいろな特別の行為というのは市場の本来の活性を阻害することにもなりますので、その点も含めて大事だなと。そういうことがきちっと確立されることとあわせて、体質強化の知恵を出して、それを図っていくことによって本当の活性が図られ、体質も強化すると思います。  今回の中で、そうした意味の体質強化のためのいろいろお考えも示されていることについては業界としても非常に心強く思っております。  以上でございます。
  34. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 終わります。
  35. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、まず杉谷参考人にお伺いいたしますが、今回は卸売業者を法人に限定することになっています。これで本当に業者の財務の健全化に役に立つのかどうかという懸念があるわけですけれども、これはどうでしょうか。
  36. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 卸売業者経営健全化という観点でいえば、実は一番問題なのは、ここ数年、卸売市場の取扱高が伸び悩んでいるという状況がある。これは一つは、市場流通増加をしていて、市場経由の流通が停滞ないしは減少しているというところにも一つの要因があるのではないかというふうに考えております。  そういう意味で、少なくとも卸売業者にあっては経営合理化効率化を進めると同時に、やはり一市場一荷受け程度の規模の拡大というものをやって、経営健全化を図っていくということがぜひとも必要なのではないかというふうに考えているところであります。  先ほども申し上げましたが、私ども先般の卸売市場経営破綻ということに直面をいたしまして、生産者に代金を確実に精算していくという観点でいえば、自衛として保険を創設したわけでありますが、本来であれば、卸の方が経営体質強化することによってその辺のところは補てんをしていくというのが本来の筋ではないかというふうに考えておりますので、そういうような進め方をお願いしたいというふうに思っているところであります。
  37. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、卸売業者経営健全化のための改善命令を出すとなりますと、具体的にかなりのところまで踏み込んでいかなければならない話にもなると思うんですが、つまり資本を増強する、一方では人員の整理というところまで踏み込んで指導できるかどうかという問題になりますが、お考えを。
  38. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 今度の卸売市場法改正の中には、少なくとも一定の財務比率を下回った場合には指導できるという項目が入っているというふうになってございますので、その辺は、私ども生産者団体としてそこまで踏み込んだ発言はできませんが、開設者ないしは行政の方でぜひともそこは十分機能を果たしていただきたいというふうに思っているところであります。
  39. 風間昶

    ○風間昶君 あと、卸売業者の収益性の確保のために、先ほども手数料のお話が出ておりました。  今の体系はまさに従価制ですね。それだけで本当にいいのか、そしてまた市場再編を準備していくためにもこの手数料の体系をどうしていったらいいのかということは、議論されていらっしゃるんでしょうけれども、さっきもちょっと出ましたように、価格が暴落することで、取扱量は増加しても、結果的には収益は逆に悪化する部分もある。  したがって、私は従量制も加味した手数料体系見直していくことも必要じゃないかと思っているんですが、その辺についてはどうでしょうか。もちろん種類によっても違うと思いますけれども
  40. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) おっしゃるとおり、手数料の体系についてはいろんな課題があるというふうに考えているところであります。  ただ、全体の野菜の需要量そのものがどういう状況になっているかといいますと、数量はそれほどふえていないというのが実態だろうというふうに見ています。また一方で、輸入青果物増加をしてきて、これが卸売市場を経由しないで流通をするという状況になりますので、必ずしも従量制にすれば手数料収益が上がるということにはならないのではないかという点もございます。  そういう意味で、私どもとしては、やはり機能に対応した手数料体系あり方というのを全体として今後の検討していく課題であるというふうに考えているところであります。
  41. 風間昶

    ○風間昶君 いつまでも検討しているレベルでない話だと思うんです。ですから、もうちょっと踏み込んで、確かに従量制は従量制のデメリットもあるわけでありますけれども、そうなりますとまた結局、文言上は地域実態に応じただとか、あるいは種類に応じたとかという話になってしまって、そこをだからJAとしてもどういうふうに取り組んでいくのかということをもう少し、大きなフレームでもいいですけれども、教えていただきたいと思います。
  42. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 卸売市場の手数料という点でいえば、単に野菜の八・五%、果実の七%という手数料体系あり方だけではなくて、出荷奨励金の位置づけをどうするかというような問題、それから完納奨励金みたいなものの位置づけをどうするかという問題もあわせて出てくるというふうに考えております。  そういう意味では、出荷団体だけが考えるということにはなかなかならないという部分がございまして、今回も機能に応じた手数料体系に改編をしていただきたいというふうに系統としては御要望を申し上げたわけでありますが、今申し上げたようないろんな絡みがございまして、今回のところは見送られたということでございます。確かにいつまでも検討している場合ではないというふうに、おっしゃるとおりでありますが、今後の検討課題として、できるだけ早期に取り組みを進めていただきたいというふうに私どもとしては望んでいるところであります。
  43. 風間昶

    ○風間昶君 増田参考人に、先ほどに追加して。  公開の大事な部分は私もそう思うわけでありますけれども、先ほど増田さんのお話ですと、今回の法改正では、とにかく情報の公開についてはこの法案に関して不十分だというふうに私は受けとめたわけでありますけれども、そうなりますと、実際に取引の公正は担保されるとしても、公開ということの担保をどうやったら改善していけるのかなということ、一つはやっぱり情報のインフラ整備が物すごく大事じゃないかと思っているんですが、市場の高度情報化のことも含めてこの公開ということを、消費者から見てもどういうふうに公開されればいいのかというふうにお考えなのか、教えていただきたいと思います。
  44. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 私が先ほどから申し上げている公開の大事なことは、結果の公表だけでは本当の公開意味が満たされない、そういう私の申し上げている意味のことでございます。  これまでの先生の御質問に基づいて、私ばかりでなくお二人の参考人からも説明がありましたが、そういうことにも触れることでございますが、いずれにしても取引相対取引等を通じて、しかも非常に取引がクローズド制度の中で、しかもきちっと価格形成を的確にされての価格ではなくて、前から決まっている値段でそれが幾ら取引をされても、そういう相対取引の結果が公表されても、本当の意味にはなりません。  生産者の人にも、大きなそういう意味ではいろんな不公平が結果としては生じるのではないでしょうか。ある産地から出荷された同じような品物が、片っ方は相対取引である、片っ方は競り取引されている、結果としていろいろ値段が違うはずでございます。生産者に大きな不公平なことも生じます。  だから、まず大事なのは、取引そのものをもっとオープンの中で、公開の中で取引をするということをベースにすることが大事だ。それから、そういう取引の前提の、いわゆる取引が始まる前のいろんな必要な情報がきちっと公開されることももちろん大事でありますが、一番望ましいのは、衆目の中で取引をするということが一番いいんだと。  そういう意味では、情報取引という方法がどんどん技術の進歩の中で展開されていますが、その情報の中には、私の長い経験の中で、情報取引の中で実は非常にクローズドの性格が強いものがどうしてもあるんだということを非常に強く感じました。そういう意味で、情報取引の展開についても市場公開性ということを踏まえた知恵が十分出されないといけない。  今、一般的に行われている情報システム、いわゆる消費者と、それからある大量販店のお店とメーカーと、そこをつなげる情報というのは、基本的にはそのチームの中でのクローズドで、それ以外には出さないという情報ですね。市場は、全部の生産者それから消費者、みんながわかりいい取引をして、わかりよくみんなに情報が公開されないといけないことでありますので、そこが本質的に非常に違った性格の技術革新が必要なことではないかな、情報についてはそう思います。  大もとについては、公開のもとで取引することが大事だ、こういう意味でございます。
  45. 風間昶

    ○風間昶君 最後に、今後も市場中心取引が主体になっていくのか、あるいは取引の形態が多様化してきて、市場は何を武器に生き残りを図っていくのかということが問われていく話だと思うのでありますが、今後の卸売市場の果たすべき役割というか地位をどのように考えるのか。一言でおっしゃるのはなかなか大変かと思いますが、お三方から御意見をいただきたいと思います。
  46. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 青果物に関して言えば、卸売市場流通の比率が低下をしてきているとはいっても、今後とも青果物流通の大宗を市場が占めるというふうに私どもは考えてございます。それは、腐りやすい、腐敗しやすいものを短期間のうちにたくさんの需要者に販売をしていくという機能、そういう機能はやはり卸売市場の持つ最大の武器だというふうに考えておりますので、そういう意味では、今後とも青果物流通に関しては市場流通が大宗を占めていくのであろうというふうに考えてございます。  その中でも特に、これから卸売市場としての機能強化という意味では、やはり価格形成機能と集分荷機能、それと情報機能だというふうに考えているところであります。
  47. 杉山征一

    参考人杉山征一君) もし改正になりましたら、改正後の卸売市場法を的確に、またあるときは弾力的に運用して、今後とも国民生活に欠くことのできない生鮮食料品を公正な価格で安定的に提供してまいりたい、こういうふうに思っております。
  48. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 私は、今後とも中央卸売市場社会システムとしても重要だし、その機能を果たせばきちっと発展するというふうに思います。  細かい点については、必要な機能は既に言われているとおりのことでございます。大事なのは、信頼される取引をきちっとすることだというふうに思っております。  もう一つは、決済機能ということもあわせて大事だと思います。
  49. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。
  50. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 参考人の皆さん、御苦労さまです。  今、増田参考人の方から、公正な価格形成機能が担保されることが重要だということをおっしゃいました。その点で現在も競りの果たす役割は重要と私は考えるんですが、この点についてもう一度お聞きしたいのと、競りの果たす役割について、杉山さんの方からも一点お伺いしたいと思います。
  51. 増田誠次

    参考人増田誠次君) それでは、競りの果たす役割でございます。  今、公開のもとでの取引が大事だというふうに申しましたが、その最も代表的なのは、具体的には競り入札だろうというふうに思います。  取引に参加するのは、それなりの経験者が買い手として参加いたします。その多くのそれぞれの経験者の競りに参加する買い手側の背景には、一般鮮魚店も、量販店の需要も、そのほかあらゆる、病院ももちろんあります、それから和食から洋食、いろいろな食の生鮮食料品の需要、水産物の需要をそれぞれがきちっと背景に持って競りに参加します。同じ品物でも、用途によって求める品質はもちろんそれぞれ違います。そうしたいろんな多種多様の需要、ニーズを背景にしたそれぞれの品質の価値観が、出荷された品物をみんなで見て、即そこで価格を定めるわけですから、一つの品物にとっても最大の価格がそういう意味で形成される仕組みにもなります。  同時に、競っている瞬間に、買っている同士でお互いに情報交換が行われます。例えば、早朝の競りでございますが、実際に消費者が買い求められる時間帯は早くても十時ごろから以降でございましょう。昼どき、午後の展開、それから夕方の時間、それぞれの状況の売れ筋を、天候一つでもそれぞれがプロとして敏感に感じながら、それをちゃんと値段の評価につなげていきます。競りをしながら、自分だけが持っている情報とは別な情報をお互いに感じ取りもします。人間なればこその能力の発揮で、瞬間の中で非常に豊富な情報が行き交いながら、結果として価格形成がされていく。そういう意味で、やはり値段の決め方のいい方法だ、すぐれた方法だと思っています。信頼も高い。  一つだけ、短目にお話しします。  何年か前でございますが、アメリカの漁業者が、これはシズという魚でございますが、直接その船を日本へ持ってきて、築地市場に上場して入札をいたしました。ワンダフルと言って非常に喜びました。こんなに衆目の中で、みんなが見ている目の前でお互いにプロが入札して値段を決め合う、すばらしいことだと。その後、何年かちゃんと続けてきておりました。また、築地市場でもどんどん競り売りの場に、先生方も御存じのとおり、いろんな外国から出荷された品物が上場されて、外国の人たちも非常に喜んで、信用してまた出荷してくれている。やはり、目に見えて、目の前で値段を決めるというのは、生産者にとっても出荷者にとっても非常に信頼が高い。競りの持っている意味というのは、古いと一般に言われますが、長いこと続いて、実はすばらしい方法であろうというふうに思います。
  52. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 競り取引の堅持は、大阪府の中央市場の大きな特色、持ち味になっております。したがって、条件の許す限り、関係者の意向を確かめながら、多少の手間暇は要りましても、当市場の持ち味を今後とも堅持して、丁寧な形で競り取引を今後とも継続しようとは考えております。もちろん、商品とこれからいろいろと相談して決めていくわけでございますが。  しかし、取引方法については、市場ごとあるいは品目ごとの特性に応じたものであるということで今回の法改正がなっておりますので、数ある中央市場の中では、いろいろ選択されること、これは自由でございますが、私は市場生命線というのはやはり競りだと思っております。  しかしながら、競りを続けることによっていろいろな問題点が現在生じておりますので、競り方法についてはいろいろ工夫を加えていくべきかなと思っております。  それから、今度、相対取引が商品ごと、市場ごとで認められたということになりましても、私は安易に見切りをつける姿勢には非常に抵抗を感じるわけでございます。  したがいまして、川上と言われる出荷団体、川下と言われる小売市場あるいは量販店ニーズを十分的確に把握して、場内業者とも相談しながら条例で定めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  53. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 次に、これもちょっと杉山さんにお聞きしたいんですけれども、今、卸売また仲買の業者なんかは経営悪化ということで深刻な状態になっていると思うんです。それは数字にも出ていますけれども、その原因をどのように見ておられるのか。  大型量販店との関係、また農業生産自体の縮小など、卸売、仲買の皆さんの自己責任もあるかもしれないけれども努力だけではどうにもならない問題が今多いと思うんですが、こういう法改正の中で国にどのような対応をお望みになられますか。
  54. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 卸売市場の取扱高、取扱金額、これを開設以来ずっと統計を見ておりますと、平成三年ぐらいをピークに落ちてきておる。しかしながら、その落ち方というのは、当市場の場合は一〇%、一五%程度でございます。やはり、生鮮食料品でございますので、落ちていっても、何ぼ景気が悪くても限度があると思うんです。したがいまして、それ以上に余り落ちないのではないかなと思っております。  それと、余り当市場競り重視ということでやっていきますと、川上である出荷団体、川下である小売商業者あるいは量販店から、あそこの中央市場は使いにくい市場やな、ああいうところとは取引はしないということになっては困りますので、その辺も十分考えていかなければならないと思っております。  それで、我々がどのように量販店対策とか、あるいは出荷団体対策をとっておるかと申しますと、昭和六十年ぐらいから重ねること十四年目ぐらいになりますが、大手のチェーンストア協会とか中小のスーパーとか、あるいは四十七都道府県の出荷団体と毎年、会議を重ねておりまして、いろいろ問題点を集約して、そこでニーズに合うような運営をしていっております。そういうこともありまして、幸いにして全国出荷団体の方から非常に喜ばれることもあるし、また取引先については、うちの市場の仲卸の方々は五〇%ぐらいを量販店並びに中小のスーパーのシェアが占めております。  そういうことで、工夫に工夫を重ね、ニーズをとってまいりたいと思っております。
  55. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 最後に、増田参考人にお尋ねしたいんですが、今同じように水産物についても仲卸業者経営悪化ということが例外ではないと思うんです。やはり、今の不況の問題だとか輸入水産物の問題だとかいろいろと原因はあろうかと思いますけれども、大規模量販店との対応で、加工や配送などのサービスが非常に厳しくなっているようです。販売代金の回収日数が大変長期化していると、九六年の平均しかないんですが、三十一日ということも聞いているんですが、これなどの影響がどう出てきているか。具体的に仲卸業者の皆さんの経営実態というんですか、あればちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  56. 増田誠次

    参考人増田誠次君) ただいまの御質問にお答えいたします。  今の先生の御質問の中にありましたとおり、仲卸の経営が厳しくなっている原因の中に、先生が御指摘をなされました、取引先から新たな機能としていろんな仕事を受けるようになってきていることがございます。これはいわゆるパッケージをするとかいろんなことを含めてのことでございます。  本来ならば、以前は小売業界がしていた仕事を納品側がするようになってきた。これは新たな機能として業界はみんな一生懸命やるわけでございますが、当然そこにはコストがかかるわけでございます、つきものでございます。そのコストと、それからそれによって納品をする金額といいますか、コストに対する対価といいますか、それがなかなか的確にいただけない。どうしても仕事をすればするほど赤字が多くなる。これは全国的にそういう統計が出てきております。  それからもう一つは、仕事をするのとは別に、例えば先方が配送をいたしますその配送について、配送コストの一部負担だとかセンター管理費の一部負担だということで、そういう協力金を先方から要請されて、それを払わないと今度は取引が続かないとか、こういうような一面もございます。御指摘のとおりでございまして、私の先ほどの仲卸の厳しさの中に抜けていた点でございまして、ありがとうございます。  さらに、売った代金の回収のことについてでございますが、これも御指摘いただきましたとおりでございます。  仲卸業者が仕入れた代金は、法律で決められた短期間の中で卸業者に支払わなくてはなりません。市場としては、生産者に対する早期決済の仕組みとしてはきちっといくわけでございますが、今度は、市場販売する側の仲卸としては、販売した先については御指摘のとおり非常に決済が長期化しております。場合によっては、このお金はこういう状態だから少し待っていてほしい、こういうこともいろいろ出てまいります。そういう中で、現在起きているいろんな資金繰りの問題点もあります。  同時に、売った代金の回収、いわゆる販売代金を回収するまでは、単にそこにかかる金融コストばかりでなく、リスクというのが必ず伴うわけでございます。だから、販売に対する回収までのリスクと、それから金融コストを含めて、市場から外へ販売する側の仲卸に過重な負担になっているということも御指摘のとおりでございます。何とかこの辺のことについては市場ルールの中でもう少し卸売業者とのバランスがとれないものかということを常に思っているところでございます。  それから、先生から私に御質問いただいたことではないんですが、先ほど市場長さんに御質問されたことの中で取扱量のことがありました。これも非常に大事なことでございますが、こういうことが一つあります。それは、全体的に卸売市場の取扱高が減っているということがありますが、これは食べる量が減っているということではないということが一つあると。  どういうことかといいますと、バブルさなかのときには、小売業界の販売の展開の中で非常に演出的な販売方法が御存じのとおりはやっておりまして、その演出的方法の中で非常にロスを伴う販売をしていた。ところが、ここのところだんだん景気も厳しくなってきた。当時は、果たして食べ物にこういうロスを平気で、ただ数字だけの計算が合うからと、それでいいのかなと、非常に困ったことではないかなと思ったんですが、幾らそういう話をしてもなかなか聞き入れてくれませんでした。外食産業も聞き入れてくれませんでした。話はわかってくれておりました。しかし、経営が厳しくなるとそうはいきませんで、非常にロスのない販売に変わりました。結果としては、社会傾向としては非常にいい状態になったというふうに僕は思います。ただ、ロスを出した部分は実際には必要オーバーになるわけでございますから、流通量としてはその結果、減るわけでございます。  ですから、不景気のためばかりでなく、バブルのときにロスを平気で出していたその分がなくなったことによって、流通の健全性がよみがえったことに伴う流通量の減少という部分もあります。これは非常に社会全体としてはいい状態でございますが、ただそういうことも含めて、厳しい経営を乗り切る上でこんな背景の中で努力もしなきゃならないというのが実態でもございます。
  57. 野間赳

    委員長野間赳君) ここでちょっと参考人に申し上げますが、質疑者の質疑時間が限られておりますので、御答弁をなるべく簡潔にひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  58. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、増田参考人に伺います。  先ほどの冒頭のお話の中で、取引というものはアングラでありたいという意識が働くという御指摘がございました。公設市場というのはその点で高い透明性確保されなきゃならぬ、それで初めて公開、公平、公正というのを貫くことができるだろうということでありました。  ところで、今回の法改正は、競り原則はもうやめましょう、そして市場ごと取引方法を決めていきましょうということでありますから、相対取引一本でいきますという市場が生まれる可能性だってあり得るという問題点を含んでおります。それだけに、増田さんがおっしゃいました公開、公平、公正、そして透明性確保するためにはどういう条件を整備しなきゃならぬか、ここのところが一番問題だろうと思うのです。  特に、本法案への注文点として、大変恐縮でございますが、箇条書きで結構ですから、御指摘いただけませんか。
  59. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 私ども農林水産省食品流通市場課の方から説明を受けている話の中では、競りはやめましょうというふうには聞いておりません。競りはやはり大事な取引だというふうに位置づけています。ただし、市場がたくさんある中で競り取引を形成することができない市場も出ております。そういうところは市場ごとにするんだ、こういうふうに説明を受けております。それだけに、やはり価格形成の上で指標になる市場はきちっと競り入札をして価格形成をすることが大事だと。こういうことが正しく各市場に徹底してきちっと指導をいただけるように、このことは大事だというふうに思います。  それから、どういう条件でということになりますが、競りはもうないんだよと、そういうことではなくて、やはり価格形成機能が大事だということをベースにきちっと御指導いただいて、各条例を定めるときに大事な柱になるところをきちっと踏まえた条例改正がされることが大事だと思います。  そういう上で、特に競り原則のところで、公開ということが明示されていることによって競り入札がきちっと担保されることになりますので、そういう点でも私は大事なことだというふうに思って意見を先ほど申したところでございます。
  60. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、杉山参考人に伺います。  大阪の場合は、競りの占める比重が非常に高いというお話がございました。八百屋さんや魚屋さんが公平な荷分けをしていく上でそういう状況というのは私は好ましいと思うのです。  ところで、八年前、食品流通構造改善促進法案を制定する場合は八百屋さんや魚屋さんをどう守っていくかということが法律制定中心的な柱でありました。ところが、今度はそれがすぽっと抜けているんですね。今、一番町場で問題なのは、商店街がつぶれる騒ぎが全国各地で起きているということです。商店街を再建するのにもまず八百屋、魚屋、これがなければ商店街は成り立たないんです。今そういう時代ですよ。  そういう状況から見ると、どうも今度の法案は八年前とまるでさま変わり、一体、八百屋、魚屋がどうなるのかという不安感が私には強烈にあるんです。その点について御意見がありましたらお聞かせいただけませんか。
  61. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 確かに、先生御指摘のように、そういう懸念はあります。私も実はそういうことを非常に心配しております。  したがいまして、当市場の取り組み等におきましては、小売市場とか中小のスーパーを初め、そういうところに対してリテールサポート機能と申しますか、冊子をつくったり、お魚教室というふうなことを継続して昔からやっております。  したがいまして、ちょっとしたアドバイス、経営指導というふうなこと、それと仲卸さんも個々のノウハウで小売市場を非常に大事にしてくれている。これはやはり二十年前に設立した新しい地方市場ですので、何とか市場がはやるようにということで仲卸さんが非常に頑張ってくれている。そういうこともございまして、昔からの古い大きな市場と比較しまして、非常に特色、個性化を発揮できている市場だと思っております。  したがいまして、今後とも当市場はそういう面に大いに力を入れてまいりたい、こういうふうに思っております。
  62. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、杉谷参考人に伺います。  私は、今回の法改正市場取引信用補償制度というのは制度化される可能性というのが出てくるんじゃないかと期待をしておりましたが、残念ながらそうした状況になりませんでした。  卸売業者青果物出荷者に対して販売代金の支払いを保証していくというのは当然のことなんです。そういう意味で、全農さんが生産者の掛金でもって債務不履行による損害を担保するための補償制度を発足させておるという話を伺っておりますが、本来こうしたものは卸売業者市場開設者そして国の三者によって債務保証機構をつくっていくのが筋だろうと思います。  この実現がどうして難しいのか、その点、問題点等々がありましたら、ひとつお聞かせいただけませんか。
  63. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 系統要望の中にも、私どもはぜひ開設者卸売業者、それから農水省等がこの債権保全措置を講じていただけるようにということを御要望申し上げたところでございますが、正直申し上げまして一定経営負担になるということがあるというふうに思います。  そういう意味で、卸売会社の経営が相当悪化をしているという状況の中で、そこまで負担を求めるということが難しかったのではないかというふうに判断をしておりまして、ぜひ今後は卸売会社の経営体質強化するという中でこういうことについても手がけていただきたいというふうに思っているところであります。
  64. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、もう一つ伺いたいのですけれども、今、大型産地化、それから量販店の進出というのが顕著になってきている、相対取引が増大をする、そして生鮮食料品の広域流通化というのが一層徹底するというような時代になりました。  その反面、これは朝市とか直売というのが年々二けた台で伸びてくるというような時代に入ってまいりました。全農家で見てみますというと、大体二戸に一戸ないしは三戸に一戸はこの種の問題にかかわるような状況になってきております。この辺をどういうふうに全農としてとらえておられるか、そしてこれからのそうしたものへの対応について何かお考えがありましたらお聞かせいただけませんか。
  65. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) おっしゃるとおり、流通は片方では産地大型化量販店のシェアの拡大ということで大量広域流通が一方では進んでおる。もう一方で、朝市というお話がありましたが、地域の農協なり生産者がやっておりますファーマーズマーケットもあるわけでありますが、こういうようなもので相当売り上げが伸びているという実態がございます。これは、地場の野菜、果物を直接消費者販売できるというところで人気が出てきているんだというふうに思っておりまして、最近は量販店も地場物コーナーみたいなものを持って販売に当たっておるというような実態があるわけであります。  そういう意味で、私ども生産者団体としては、ファーマーズマーケットの機能をそれぞれの単位農協で強化して、消費者の多様なニーズにこたえていくような販売方法というのをやっていこうじゃないかということで今進めておるところであります。これは農協合併が進んでおりますので、そこで生産資材店舗みたいなものの設置が進みますから、そういうところと併設をする形で農産物の直売所、それから花等の鉢物の販売、こういうようなものをあわせてやっていくという施策を今後とも進めていきたいというふうに考えておるところであります。
  66. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。終わります。
  67. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  三人の参考人方々、本当にお疲れさま、また大変勉強させていただきました。  いろいろお聞きする中で、私は、一部分に限る質問になろうかと思いますが、まず杉谷参考人に質問いたします。  今回、この相対取引を正式に認めるといいますか、そういう形でいくならば、関東は今まで七割が相対、関西が三割、全国押しなべればフィフティー・フィフティーという数字が出ております。この相対取引がさらに進んでいくということになりますと、いいものが先に相対で出てしまって、残ったすそ物で競られるということになると、正しい評価、適切なる価格というものになるのかどうか、むしろ価格を下げていく評価につながっていくということもありますし、逆に、もがくときには物すごく上がるということにつながってくるんじゃないかな、そういうふうに懸念するわけであります。いわゆるすそ物が正しい評価と適切なる価格というもので競りに出されるのかどうか、その点をまず私は特に注意しなければならないことだと思いますが、どんなお考えでございましょうか。
  68. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) 冒頭の意見陳述でも私の方から申し上げましたとおり、相対販売というものが公開という原則を外れてやられますと、今もおっしゃられたように、いいものが先に相対でとられて、はじかれたものが競りにかかって価格下落につながるおそれがあるというふうに考えております。  しかし、今回の場合は、少なくとも法の中で売買方法ごとに品目数量を明示する、公開するということが担保されてございますので、これらについて厳格に守っていただければ価格がおかしいかどうかのチェック機能は果たすのではないかというふうに考えているところであります。  それからもう一つ、販売方法については、開設者がそれぞれの関係者意見を聞く、ないしは市場取引委員会等の意見を聞いて設定をしていくわけであります。そういう意味では、価格指標となるような市場についてはやはり一定程度、一定割合のものを競りという形でもって確保して、それ以外のものは相対で売るというような運営の仕方が必要になってくるのではないかというふうに考えているところであります。
  69. 阿曽田清

    阿曽田清君 そこで、相対取引が改めて認められていくというようなことになりますと、相対取引は、市場に荷が入ってきて、そこで一つ一つの商品を見て、それで一つ一つを競っていくという手間が省けるわけでありますから、ある意味では相対取引の場合の手数料、競りにかけたときの手数料、おのずとそこに差が出てきてもいいのではないかなというふうに私は思うんです。  今回の市場法改正によって産地はどういうメリットがあるのかなといった場合に、やっぱり相対取引が今後関東はさらに進んでいくよというふうに踏んだとして、相対取引を有利に進めていくという産地サイドとしては、手数料の七%を、ある意味では自由化すると言ってはおかしいですけれども、一%なり二%下げるというようなこと等も考えられるんじゃなかろうかなと。先ほど出荷奨励金や完納奨励金等々の問題もあるというお話がありましたが、それはそれとして私は別の問題として片づけなきゃならないことだと思いますが、先ほど申し上げましたことに対しての御見解をお聞かせいただければと思います。
  70. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) おっしゃるとおり、私どもの方としては、機能別の手数料体系の組み立てがあってしかるべきというふうに考えております。冒頭陳述のところでも申し上げましたように、物流直結のような取引であればそれに対応した手数料体系、それから相対取引が規格取引に変わって、言ってみればほとんど見本取引のような形で行われるというような体系になれば、取り扱いも合理化をされるというふうになってくるのだと思います。  そういう場合については、やはりそれに対応した手数料体系というのを検討していただきたいと私どもとしては要望しているところでありますが、先ほどから申し上げておりますとおり、今回のところではその点について見送られてございますので、今後の検討課題としてぜひ早急に御検討いただきたいというふうに思っているところであります。
  71. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、前から七%、八・五、一〇、これはある意味では規制緩和していいんじゃないか、委員会でこういう主張をしているところでございますので、今後その問題も詰めたいと思います。  次に、杉山参考人増田参考人にお尋ねいたします。  私が一番心配いたしておりますのは、ますます相対が進みますと、仲卸の経営が今もなお四四、五%は赤字という実態の中で、量販店がますます強くなってくる。強くなってまいりますと、その中で立場の一番苦しいのが仲卸じゃなかろうかな、そう思います。産地側からすれば仲卸さんにしっかりしておってもらわないと、量販店がますます影響力を強く持ってくることによって先取りされてしまって正しい評価というものが生かせないんじゃないかなと。  話は外れますけれども、実際やっておりまして、我々が出荷をした品物がその日に産地には幾らということが知らされて決済が行われます。ところが、仲買さんは、卸市場に対して、卸会社に対して少なくとも三日か一週間の間に支払いをされる。ところが、仲卸さんは、今度は量販店あたりは三十日とか六十日とか、ひどいのだったら九十日もあるというところで持ちかけるというような実態が今あって、なおさら経営を厳しくしている。先ほど増田参考人からもお話がありましたように、既に量販店でパッケージはせずに仲卸でやってくれと、こういうのが普通だと思います。そんな中で、仲卸対策として、私は特別に、量販店の言うことを一〇〇%聞かぬで済むように、仲卸には仲卸の一つの力をきちんと与えることが必要かなと思うんですが、その特別のところのお考えがございましたら杉山参考人増田参考人に教えていただきたいと思います。
  72. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 確かに先生御指摘のとおり、仲卸がしっかりしてもらわぬと困るということになります。  しかしながら、量販店との会合等で繰り返し過大な要求を当市場の仲卸の方にせんといてくれというような話もするわけなんですが、私が声を大にして申しましても、なかなか仲卸さんの方は個別にそういうことを強く言えないということでございますので、その点は開設者の方でやはり川下の小売業者量販店等に対してしっかりとお願いをしなきゃならぬのかなと思っております。  それから、経営体質なんですが、うちは五年に一度、公認会計士を入れて経営関係についてはいろいろと経営指導を行っております。それで、ちょっと危ないなとか経営が苦しいなというようなものについてはいろいろと指導、援助を公認会計士を通じて、あるいはみずからいたしております。  私からは以上で終わります。
  73. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 先生の御指摘のとおり、相対取引が主流になってどんどん進む、しかもその取引の時間帯が一定の時間に行われるのではなくて、いわゆるどんどん都合のいいことが優先される、先取りがどんどん行く、まさに公設の卸売市場で顔がきく取引が横行する、こういう話でありまして、そういうようなことが起こると大変なことになるわけです。公設の資格を失うことにもなりかねません。  そういう意味では、きょうは杉山市場長さんもいらっしゃいますが、開設者方々にも、ぜひともこれから条例をつくるときにはそういうことが起こらないように、ちゃんと競り開始時刻も明確にしながら、それから競り開始以前の荷物の動かし方についても不公正な、顔がきくような取引が生じないように、明確にきちっと位置づけていただきたい。基本的には、それにしても相対取引が余り進むということは、市場の公正な機能を失うことのおそれが多分にあります。やはり、競り入札がきちっと行われることがベースであるということが市場の健全性をしっかり維持する大事な要件であるというふうに私は思っております。
  74. 阿曽田清

    阿曽田清君 仲卸は。
  75. 増田誠次

    参考人増田誠次君) 仲卸の対応の上でも競りをきちっとすることが大事だと。特に、相対取引がどんどん進むということの中で、卸売会社と量販店との直接取引ども現実に誕生し、誕生すれば今度はそれがふえていくというおそれも多分にあります。そういうことについてはやはりちゃんと市場業者、卸は仲卸に販売すること、いわゆる仲卸を飛び越した直接販売ということは、これはもう垣根論でも十分議論が尽くされたことでございますし、それは一時は卸売業者もいいかもしれませんが、結果的には卸売業者市場そのものの地盤沈下につながっていくことでございますので、きちっと役割分担を明確にして対応することが大事だと。  特にスーパー、量販店というお話の中で、中小の量販店からの声としては、きちっと競りをしてほしいと。市場がきちっと競り入札をしないと、自分たちが大手の量販店と戦うのにやはりどうしても前提条件が変わってしまうので困るんだと。市場がちゃんと価格形成をしてくれることが大事なことなんだと。その役割を市場がきちっと果たすことによって我々も大手量販店ときちっと勝負ができるんだと。ここのところは市場はしっかりやってくれよというふうによく聞かされる、要望されることでございますし、私どもも本当にそれが大事なことだというふうに思っております。
  76. 石井一二

    ○石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。  ラストバッターですので、おなかの虫がぐうぐういっている方も若干おられるかもわかりませんが、しばしお許しをいただきたいと思います。  私は、お三方に二問ずつ計六問、最初の六分間で質問をいたしますので、後で固めて、その範囲内で一人二分ずつお答えをいただきたいと思います。そうすることが私の時間を確保する唯一の方法であるということを先ほど来決心をいたしたわけであります。  さて、まず最初に杉谷さんにお伺いいたします。  あなたは要望書を持ってきておられて、要望だからどんなことを要望されるのもあなたの勝手ですが、債務保証機構等の設立は卸業者及び開設者、ということはこの場合は府なり市ですが、行政によると、こう言っています。私は、これはわがままじゃないかと思うんです。  といいますのは、そんなことを各業界がすべて言ってきたら、銀行じゃあるまいが公的資金の出動みたいなことになってくる。中小企業庁によります、こういう緊急の倒産の場合の融資制度もありますし、また毎日顔を見ておって毎月支払いがあるんだから、そういった中で、自助努力でもってこういう問題は対応すべきであると考えます。それに対する御所見をお聞きしたいと思います。  その次に、もう一度杉谷さんですが、産地大型化と大ユーザーの出現、これは谷本さんも皆言っていることですが、このこと自体が今回の法改正につながってきたと。そして、市場流通にシフトさせていくという中で本来の卸売市場としての使命というものが薄らぎつつある。そういう中でのあなたの御見解を一応伺っておきたいと思います。  次に、杉山さんにお伺いいたします。  大阪中央卸売市場、それから大阪中央卸売市場と二つあると思うんですが、私はこれをつぶして合併すべきじゃないかと思うんです。これは法改正とは直接関係がありませんが、より低いコストで安定供給した品物を消費者に届けるという意味で私は若干論ずる必要があるんじゃないかと思うんです。特に、大阪府の場合は極めて財政的な数字も悪いですし、神戸の場合を見ても、兵庫県卸売市場というのはありません。神戸市が全県土を賄っておるという中で、なぜあの兵庫県よりもっと狭い大阪で二つが並立して存在する価値があるのか。ここらあたりを論議されているのかどうかということを聞きたいんです。  それと、私も職業柄よく中央卸売市場へ行きますけれども、職員数の多いのに身の毛のよだつ思いがするわけです。なぜこんなに多くの人が中央市場の事務に関連していなきゃならぬのかと。むしろ、各組合別にそういう事務局が強くなって、おのおの自分たちで頑張っている姿の方がより自由競争に近い、このように思いますので、こういったことに対する御所見を承りたいと思います。  それから最後に、増田さんにお伺いしたいんです。  いろいろとおっしゃった中で、公開、公正、効率というようなことを強調されました。あなたはきょう業界の代表として恐らくここへ来ておられると思うんですが、あなたの組合を見ていますとアウトサイダーが実に多いんですね。未加入の市場が十一、組合数にして十六、業者で七十。そういう意味で、これは正式な全国の会長としてのお立場という御意見が、必ずしもアウトサイダーの意見を酌んだものになっていないんじゃないかと老婆心で私は思うんですが、あなたはそういう問題についてどのような御意見をお持ちになっておるかということをお伺いしたいと思います。  それともう一つ、東京都が出しております市場業者の経営基盤強化に関する研究会答申というものがありますけれども、これによりますと、平成四年から八年にかけて青果類では赤字会社が全体の三三%から五六%にふえたと、こうなっておりますけれども、お魚の方はどうなっておるか、あなたの御見識の中でお答えをいただきたいと思います。  それと、今回の法改正市場外にある物品の販売禁止に関する例外措置を拡大しております。その結果、業務規程に一定の定めがある場合これを認めるとしている点についてあなたはどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。  以上、六点、よろしくお願いします。
  77. 野間赳

    委員長野間赳君) 逐次、簡潔にお願いをいたします。
  78. 杉谷信一

    参考人杉谷信一君) まず、一点目の債務保証関係でございます。確かに、自助努力というお話がありましたが、卸売市場は公共性が非常に高いということで、行政が認可をして設立するというような状況もございますし、少なくとも卸売市場整備方針なり計画も国が立てて、それに基づいて整備をしていくということになってございます。  そういう意味では、出荷者としては無条件で委託出荷をするという形になるわけでございますので、そこにおける代金清算、債務の保証というものについては、それぞれ開設者なり、そこに入って営業をなさっている卸売業者なり、それから開設の認可をしている行政なりというところでもって保証をしていいのではないかというふうに考えているのが私ども要望した要因であります。  それからもう一点、産地大型化が進展をするということで卸売市場機能を失いつつあるということであります。先ほども冒頭に申し上げましたが、卸売市場機能といいますか、青果物流通において卸売市場が今後も大宗を占めていく、主流を占めていくということについては、産地大型化をしてもこれは変わらないというふうに考えております。  ただ、その場合に、大量に入ってくるものを迅速にさばくという意味では、卸売会社そのものが大型化をして効率的に物をさばいていくという体制をつくっていくことがこれからさらに機能強化をしていく最大のポイントになってくるのではないかというふうに考えておりまして、そういう意味卸売市場活性化機能強化を今後とも図っていっていただきたいというふうに考えているところであります。
  79. 杉山征一

    参考人杉山征一君) 確かに、先生御指摘のとおり、大阪府下には福島に大阪市の中央市場、東部の中央市場、それから北部に私ども大阪府中央市場がございます。  それで、人口が三十年後半から四十年前半あるいは五十年にかけて爆発的に増加をいたしました。その過程で、供給対象人口というのか、府民に安定的に供給するということであれば今の福島だけでは足らないというようなことで、北部に対しては、例えば東大阪という市があるんですが、その以北、北の方に四百十九万の供給対象人口を抱えておりますが、やはりそこにつくる必要があるんだと。さりとて相当の財政負担を強いるわけですから、そこの地域はどこかの市がやってくれたらよろしいということだったんですが、なかなかそれが見当たらない。したがって、大阪府で設置せよ、こういうことに相なったわけです。  しかし、現実に運営実態を見ますと、福島の本支店関係大阪の場合はございます。一社、卸売業者が、北果という青果の卸売会社があるんですが、そこだけは本社機能で、あとは全部、本支店関係にあります。そういうことでございますので、府民に安定的な食料品を供給するという、その供給対象人口がふえたということに対して市場を三つ持っている、こういう現実があります。  したがいまして、それに対する再編をもう一度やるか否かにつきましては考えたことも、また議論もされておりませんが、貴重な提言ということで今後考えていく、あるいは検討していくということが必要かと思っております。  それから、職員数が多過ぎるということでございますが、大阪府も財政が非常に逼迫しておりまして、開設当初のときは五十名を超える人員であったんですが、現在は三十八名ということで非常に合理化を図っております。血の出るような合理化を財政当局から迫られて、職員は一生懸命頑張っております。他の市場に比べて多い少ないにつきましては、手元資料がございませんのでコメントは避けたいと思います。  以上です。
  80. 増田誠次

    参考人増田誠次君) まず、全国組織の関係でございますが、表に出ておりますとおりの実態でございます。  まず、九州地区については、九州地区の地区連の中に全国連に入っていない市場も一緒に組織されておりまして、そういう意味では九州地区連を通じてコンセンサスはしっかりとれている。そういう意味からいきますと、岡山、広島、四国であるとかというところは今組織から外れておりまして、それは何とか戻るように努力はしています。  ただし、四国は、これは私たちの組織には入っておったのでございますが、先ほどのお話等もありました、ちょうど機構をつくるときの展開の中で、いろいろな負担や何かについてどうしてもそれは難しいと。そういうこと等が原因で、四国は残念ながら機構がつくられる過程の中で負担等の関係で先方が去った、こういう経緯があります。  なお、九州の鹿児島は、新年度から全国連に再び戻って入るということになっております。  これが全国との関係でございます。  それから、経営の問題については、東京都も二年をかけて仲卸から卸、それぞれ分析をしながらその方針を決めたところでございますし、あわせて国の方も、今回の法改正経営改善のための今までになかった力を入れてくださった内容等も盛り込まれております。そういう体制が整う、それら等も踏まえながら、都とも十分話して、それが生きるような有効な方法を考える。同時に、この改善については、業界だけの話ではなくて、開設者ともよく話をして新たなそのためのルールもちゃんとつくる必要があろう。そんなことで取り組むべきだろうというふうに考えております。  なお、最後に、新たな今回の法律の中で、今までの指定保管場所のほかに卸売業者の申請に基づいて直接流通してもいい意味のことが盛られておりますが、このことについては、運用を間違えますと問題を起こすというふうに非常に強く思いまして、市場課の方とも十分話を詰めて政令でしっかり定めると。その中での範囲だ、予約相対の範囲だと、こういう説明を受けておりますが、それにしても運用の上できちっと的確にならないと大変な間違いを起こしますので、この点についてはこれからも市場、当局とも話をよく確認しながら、私も意見を述べていくつもりであります。  よろしくお願いします。
  81. 石井一二

    ○石井一二君 ありがとうございました。
  82. 野間赳

    委員長野間赳君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  83. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、農事組合法人米沢郷牧場代表理事伊藤幸吉君、産直運動全国協議会事務局長齋藤敏之君及びお茶の水女子大学生活科学部教授本間清一君に御出席をいただいておりますので、御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、これより順次御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上お一人十分以内とし、その順序は伊藤参考人齋藤参考人本間参考人といたします。  すべての方の御意見の開陳が済みました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、伊藤参考人からお願いいたします。伊藤参考人
  84. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 山形から来ました伊藤ですけれども、実は風邪を引いてしまいまして、お聞き苦しいと思いますが、よろしくお願いします。  私は、山形県高畠町で二十三年間にわたって有機農業、自然循環農業に取り組んできました。現在は、地域の約三百名の生産者仲間とともに農事組合法人米沢郷牧場を組織し、地域循環型の有畜複合経営に取り組み、生産額のほぼ半分ぐらいは有機無農薬栽培を実現しております。  きょうは、そういう取り組みをしてきた者として、JA法改正案についての率直な感想と意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、一つ目ですけれども、私たちの有機農業二十三年の経過を振り返ってみますと、私どもも未熟であったため、残念ながら行政からの支援はほとんど得られませんでした。それでも、首都圏コープ事業連合や大地を守る会といった消費者組織との産直提携で支えられ、長い年月を経て進化してきました。そんなマイナーな生消提携で育て上げられた有機農業が、一転して社会において積極的な位置づけをしていただけるようになった今日の状況変化を大変感慨深く、また喜ばしく感じております。  二つ目ですけれども、今回のJA法改正案に盛られている生鮮農産物の原産地表示の義務化については、農業生産に携わる立場から強く賛意を表したいと思います。ただし、これまでの九品目表示の実施状況を見ますと、大変不十分だったという現実があります。末端の小売現場において新制度の確実な実施のためには強い指導措置、現場におけるチェック、そして流通段階における適正実施のためのいろいろな措置が必要と思われます。また、年々消費が急増しております加工食品にも原料の原産地表示の義務化は重要だと考えます。  三つ目ですけれども、有機農産物の基準・認証・表示の問題については、日本における生産流通、消費の現実を踏まえた適切な実施、段階を踏んだ実施が必要だと考えられます。  四つ目は、しかし、この問題についての法改正は枠組みの改正だけしか示されておらず、現実的な実施方策についてはすべて政令あるいは省令事項とされており、しかも政令・省令案は提示されておりません。これでは法案に対して賛否を表明することはできません。政府当局としてはどのような政令、省令を考えておられるのかをまずお示しいただきたいと思います。  五つ目です。法案によれば、有機農産物の生産方法基準はJAS規格調査会の意見を聞いて政令で定めるとされておりますが、その他の事項については関係当事者を含む国民的検討の手段は示されておりません。政令の制定に当たっては、改めて関係当事者や学識経験者等からの意見聴取の場を設けられることを強く要望いたします。  なお、一昨年から昨年にかけて有機食品の検査・認証についての検討委員会が設けられ、私もその委員でしたが、この委員会では政府当局から有機食品の基準・認証をJA法改正という形で行うとの意向は十分には表明されておらず、したがって同委員会における一年以上にわたる検討は今回のJA法改正と十分に対応するものではありませんでした。  同委員会において、私も含めてこれまで有機農産物の生産流通に携わってきた多くの委員は、単に農産物の規格基準を定めるだけのJA法改正という形ではなく、日本における有機農業の健全な育成、発展、有機食品の流通・消費システムの構築をねらいとする有機農業振興法を独立法として制定することを主張してまいりました。今回の法案ではJA法改正という形になっておりますので、JAS法という枠組みではカバーし切れない技術開発を含む生産振興の側面について、別途十分な措置が講じられることを強く要望いたします。  七つ目ですが、予想されている具体的問題についても二、三述べさせていただきます。  第一は、生産基準の策定に関してです。有機農業には全国各地の生産者による生産実践を踏まえた明確な生産原則の確認が必要です。しかし、同時に現実の有機農業は零細な農業者が一般農業者と混在した形で実施されており、有機農業者の圃場と一般農業者の圃場の画然とした区別が困難だという現実もあります。また、高温多雨という日本の気象条件下で病害虫や雑草の多発という現実もあります。こうした中では、原則の確認だけでなく、運用における現実性のある対応が望まれます。省令制度とその運用に当たっては、この点への十分な配慮が望まれます。  第二は、コスト負担の問題です。例えば、九州のある生産グループの場合、生産者経営面積は一から二ヘクタールで、圃場枚数は五十から百五十枚に及びます。しかも、熱心な彼らは、その畑で年に三品目もの生産を行っています。このような形での有機農業の展開を圃場ごと、品目ごとに認証しようとすれば、最大百五十掛ける三ですから四百五十通りの書類整備が必要で、現地確認も年三回、百五十枚ずつの実施ということになります。こうした点では欧米は一圃場が日本の何十倍であり、欧米のシステムを日本に等しく適用するには極めて無理があります。  第三は、今回の法改正によって有機農業の生産原則はある程度明確にされようとしておりますが、有機農業は生産原則の確立だけで育成、発展するものではありません。  現在の大量流通、大量消費のシステムと、自然とともに生きようとする有機農業とはたくさんの点で矛盾があります。ところが、流通の現場においては、有機農産物を単に市場活性化の手段として考える傾向があり、有機農業の生産特質を尊重するという動きにはなっておりません。また、消費の場においても、欲しい食べ物はいつでも欲しいだけ入手できるという消費のあり方が依然として優勢であり、自然とともに生きようとする有機農業のあり方への消費者の理解は浸透しておりません。こうした状況を踏まえるならば、有機農業の生産原則の確立だけでなく、流通原則、消費原則の確立についても国として明確な政策方針がぜひ必要だと考えます。  新潟県南魚沼郡のコシヒカリは現在、生産量の五十倍以上販売されていると聞きます。こうしたことは、生産者の手を離れてから不当に利益を得ようとする流通業者等によって行われているわけで、有機食品の扱いについては、農業者の努力消費者の信頼を欺くことのない流通が保証される制度、システムの確立を求めます。  第四は、以上のことや、昨年十二月三日付朝日新聞「論壇」に有機農業研究者足立氏の「有機食品認証論議の忘れ物」、「農業と経済」での鯉淵学園教授中島氏の「オーガニックフーズの基準・認証・表示制度化をめぐる諸問題」でも指摘されているようにJAS法では不十分とも思いますが、JAS法反対とまでは思いません。しかし、特別栽培農産物の扱いについては、決してこの有機食品と同じJAS法での認証・表示はすべきでないと考えます。  最後に、改めて国の農政の全体的なあり方に関して、環境保全型農業への転換の必要性を強調したいと思います。  国は、一方で有機農産物の基準・認証を法制化しながらも、例えば地域の現場では公費の助成のもとで農薬の空中散布が推進されております。しかも、農薬の空中散布は有機農業の広がりの大きな障害となっております。私の住む有機農業者の比較的多い高畠町でも、町長が三年前、空中散布廃止を提案しましたが、地元の農業団体からの抵抗で撤回せざるを得なかったということは甚だ矛盾であります。  また、有機農業の根本思想は身土不二、すなわち人々の食は風土に根差した地域の農業によって支えられるべきだという点にあります。この根本思想からすれば、有機農産物の国際マーケットなどというものは本来あり得ないものです。にもかかわらず、今回のJA法改正の結果、海外のオーガニック食品の輸入増大が予測されております。貿易制限はできないとしても、国内有機農業の発展強化、端的に言えば競争力の強化のための短期、長期の総合的対策が絶対に必要だと考えます。  そのためにも、食料・農業・農村基本問題調査会の答申で強調された日本農業の持続型農業、環境保全型農業への転換という方針を国は明確に示すべきだと考えます。  以上でございます。
  85. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  次に、齋藤参考人にお願いいたします。齋藤参考人
  86. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 齋藤です。  私は、千葉県船橋市で農業をしながら、全国で生協や婦人団体、給食関係市場などとの多様な産直を進めている組織、三十九都道府県八十三団体でつくる産直運動全国協議会の事務局長を十年前から務めています。  そうした農業の生産と消費を結ぶ仕事をしている立場から、今回のJA法改正案のうち、原産国表示の拡大については、すべての輸入農産物に原産国表示をしてほしいという運動を進めてきた立場から賛成いたします。  しかし、就農以来、農薬問題は消費者の問題よりも農薬を使う農民の問題だという観点で、少しでも農薬を減らしたいとさまざまな試行錯誤をしてきた者として、有機認証制度の創設と有機表示をそのまま取り入れる提案については、以下の点で反対の立場から意見を述べさせていただきます。  まず第一に、国が決める生産基準が、国際整合性のもとに日本とは全く違う条件のアメリカやヨーロッパで論議されたコーデックス基準に基づいて、三年間、化学肥料と農薬を使わない圃場で生産されたもの以外は有機農産物と名乗ってはいけないとする栽培基準を上から押しつけるという問題です。  農業の生産は、工業と違い、多くの自然条件を相手に、その自然に働きかけ、自然の力を引き出し、守り育て、新しいエネルギーをつくり出す、地球上で唯一の産業だと私は思っています。でも、その自然条件は一日として同じではありません。一枚一枚の畑や田んぼはそれぞれみんな違います。その違いを観察し、最も必要なときに適切な対応をとることで農業生産は成り立ちます。  私は、この三十年間、野菜を育てる基本は土づくりと輪作という観点から土づくりに努力してきました。消費者と混住している船橋という利点を生かし、朝取りの食用トウモロコシを中心にした輪作をつくり上げてきました。  秋の白菜では、害虫の被害をできるだけ減らすために、モンシロチョウの産卵が気温が下がるに従って減るということを利用して、長期予報で予想し、白菜の結球期間を確保するぎりぎりまで種をまく時期をおくらせる工夫などをしています。  さらに、収穫後のトウモロコシの茎を高く刈り、その切り株にクモの巣を張らせ虫の産卵を防ぐ工夫など、年によってはすべての畑に農薬をまかなくても生産できるまでになりました。  しかし、自然は毎年違います。思うようにはいきません。収穫を確保するためにどうしても農薬をかけざるを得ないときもあります。待っている消費者の皆さんに届けなければならない義務があるからです。私は、生協の皆さんと契約して農業生産をしているからです。  こうした三十年間の産直運動とそれに支えられてきた私の農業実践から見て、今度の、農薬も化学肥料も一切使うなとするコーデックス基準を日本の農業生産に一律に当てはめるのはどうしても無理があると思います。  第二に、WTO協定に基づいて、コーデックス基準が決まるからそれに合わせるというやり方は、日本の有機農業の縮小につながるのではないかという点です。  なぜなら、高い認定料を払い、有機農産物生産圃場として認定された農民であっても、さまざまな条件の中で、ほんの少し農薬や化学肥料を使わなければ生産が維持できないということも起こります。こういうとき、再認定に三年の期間がかかることや高い認定料のことを考え適切な対応をとらないで減収になっても、そのリスクはすべて生産者の負担になります。  例えば、九三年の冷害のとき、東北のある地方で、生協と無農薬の契約をしていて、いもち病の発生を確認しながら農薬をまくことをためらい、農薬散布の時期を逃し、収量を大幅に減らした組織がありました。  基準が決まれば、こうした農民の苦悩は広がりと深まりを増し、せっかく広がり始めている有機農業運動が縮小していくでしょう。  第三に、有機認証制度の認定機関を民間にも認めたのは、本来、食品の安全性や公正な表示に責任を持つべき行政の公的役割の放棄につながると思います。食品の安全確保と検査体制の充実を企業ベースで進めるのでは、生産者にも消費者にも結果的に負担増になると思います。  今年一月十二日付の全国農業新聞は、静岡県藤枝市で十二ヘクタールのお茶をつくる無農薬生産グループが昨年三十万円かけて認証取得を行ったが、二年目のことし一月に再び認定のための三十万円の請求があり、それに対してメンバーは、この経費を払い続けてまで認証を取得するメリットはないと判断したと報道しています。  検査・認証制度は、認証団体の仕事をつくることにはなるが、そのことは一般的な生産よりもコスト高になる有機農産物のコストをさらに引き上げることになります。これで本当に生産者消費者メリットになるでしょうか。  第四に、法律案では、あいまいな有機表示を放置しては一般の消費者の選択に著しい障害を生じるおそれがあるためとしている点です。  私は、あいまいな表示をしているのは、報道機関が指摘しているように、農民の側ではなく加工や流通の側だと思います。  それを端的に示しているのが、インチキ表示の報道であります。例えば、米では新潟の魚沼産コシヒカリのにせものが横行したり、コシヒカリが一粒も入っていないコシヒカリ表示が後を絶ちません。九七年には、私たちがつくった農民連食品分析センターの独自の調査で、アメリカの有機認証団体であるOCIAが認証した有機無農薬大豆から有機燐系の農薬が検出されました。最近では、三月二十九日の朝日新聞に、アメリカの認証団体が認定した有機無農薬大豆でつくった二社の豆腐から遺伝子組みかえ大豆の使用が確認されたとの報道がありました。  今回の提案は、こうした海外のにせ有機農産物にお墨つきを与え輸入をふやす役割を担うと私は思います。また、国内の農産物に対しては、ほんのわずかな有機農産物と少しでも農薬や化学肥料を減らそうと努力している農産物を差別し、これは有機農産物ではないと買いたたきの手段に使われる懸念もあります。  第五に、有機表示は、大量に輸入されている農産物や加工食品の残留農薬問題から国民の関心をそらしてしまう役割を果たしていると思います。  今、多くの国民は、WTO協定、SPS協定によって大幅に緩和された輸入農産物の残留農薬基準への不安とあわせて、遺伝子組みかえ農産物に対して大きな不安を持っています。今、政府が最優先でやるべきことは、輸入食品に対する安全性への不安や表示に対する信頼を回復するために、まず九五年三月に緩和した残留農薬基準をもとに戻し、輸入農産物の検査体制を充実させ、遺伝子組みかえ農産物やその加工品に遺伝子組みかえ農産物使用の表示をすべきです。  以上のように、私は、消費者の皆さんが商品を選択するための情報提供のシステムを全く否定しているのではありません。今回の改正案のように、国が決めた基準を全国一律に適用するのではなく、それぞれの地域でそれぞれの組織がそれぞれの条件を生かし、地域生産力を落とさず、だれでもが努力すれば可能な生産基準をつくり、その基準に向かって生産を行える仕組みをつくるべきだと思います。  ある農業団体の人がヨーロッパでIFOAMのメンバーと検査・認証・基準についての意見交換をしたレポートには、ヨーロッパの人にとって基準は目標であり、その定めた目標に向かって行動することに評価を置いている、なぜ日本日本の気候風土に合った明確な基準を策定し、それについて世界の同意を得る行動をしないのか不思議に思っていると述べています。最後に、ヨーロッパでは流通地域内自給を基本に、環境運動を進めてきた市民団体と有機農業に取り組む生産者で認定団体を構成し、それを核に連携し、その運動を行政が支援していると結んでいます。  私は、この仕組みは日本では既にできていると思います。消費者組織が生産地を訪れ、生産を確認しています。海外では日本と違い、そのシステムに行政の支援があるかないかだと思います。  今、有機農業運動は、行政がきちんと支援すれば、海外の運動に比べて日本の運動はその蓄積の豊かさや自然の豊かさからさらに発展する条件は整っていると思います。最近の情報では、日本生産者消費者の共同で発展してきたこの提携運動が、アメリカで地域が支える農業運動として発展しているという報告もあります。  最後に、こうした有機農業が豊かに発展するための政府の支援策を要求して、私の発言を終わります。  以上です。
  87. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  次に、本間参考人にお願いいたします。本間参考人
  88. 本間清一

    参考人本間清一君) 参考人本間清一でございます。  お茶の水女子大学におきましておよそ三十年、食品の加工、貯蔵あるいは流通という分野を勉強いたしております。本日の機会を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。  まず、この法律に関する基本的な立場といたしまして、この法律は食生活に資する法律と解釈いたしております。  そして、食生活というものを、私の三十年の大学の経験で考えますと、自己責任と自主性というふうなものが基本ではないかと考えております。すなわち、食べ物を選ぶ能力というものは人間の生存に基本的な要件だと思います。これは、やはりいろいろなことがありましても基本的には常に人間が身につけておくべき能力だと考えております。そして、こういうふうな能力を身につけるということが、例えば家庭におきまして食べ物をつくる、調理をするということは創意工夫の場でありましょうし、またそれが生活の充足感をもたらすものと考えております。そして、家庭の多様性あるいは地域の多様性というふうな生活の豊かさを生む根源でありましょうし、また豊かな食生活こそ活力のある社会の源泉と考えております。このような背景に立ちまして、この法律が食生活を充足させるに資するものと考えます。  しかしながら、このような基本的な認識に立ちましても、私たちの環境というものは大変変化しております。例えば、包装というふうな、これは技術とすれば私たちの食生活に欠かせないものでございまして、いろいろな産業技術がこれによって保持されるわけでございます。例えば、外側からは包装されているものは判断できない、あるいは今まで伝えられた経験あるいは知識の蓄積、そういうふうなものでは商品の内容判断しにくい、あるいは新しい技術が出現してきた、さらには資源、素材が多様性を帯びて、例えばその多様性の中には外国産の資源、素材も入ります。そして、産地も非常に広がっております。このような条件の変化、それからいろいろな生産の技術、あるいは家庭における知識の伝承というふうなものが大変希薄になってきているかもしれない。そういうふうな状況を考えますと、やはりこれを補うべき制度、仕組みというふうなものがあってしかるべきではないかというふうに考えます。  そして、そのような立場に立ちまして考えますと、食品に規格があるということはやはり必要なことではないかと考えます。  例えば、私どもの飲んでいる果汁飲料一つとりましても、そのまま搾ったものもあれば、海外から原材料として濃縮されたものも入ってくる、あるいは季節的にたくさんとれたものを濃縮して保存しておく、それをまた消費のときに飲みやすい形に加工する、そういうふうにさまざまな形態の果汁が出てまいります。例えば、濃縮されたものをそのまま使うのか、あるいはもとに戻して使うのか、あるいはもっと薄めて使うのか、あるいはおいしくするためにほかの果汁とまぜ合わせるか、そこにはいろいろな創意工夫あるいは嗜好への対応がございます。  そういうわけで、このようなものに対しましては経験的な判断だけではなかなか消費者判断しにくいのではないか。それを識別するためには、やはりそういうものに対する表示というものがあってその認識がなされるということでございます。  それから、外国の物資が先ほど申しましたようにたくさん入ってくる。そして、これは技術で恒常性を保つためにいろいろな段階で絶えず一定にするための技術的な工夫がありましょうし、あるいはその特徴を使って特性を反映させるつくり方をするということがございます。  また、先ほど話題にございましたように、コーデックス規格への対応ということが実際には迫られております。そうしましたときに、我が国におきまして規格というものは全くない、丸腰の状態でよろしいかというと、やはりこれは私たちの持っている基準というのを整備していくことが必要なのではないか。  さらに、取引というふうな場面を考えますと、やはりそれを単純化する、いろいろなものをグループ分けするということにおきましても、単純化、公正化のためには規格というのは必要でございます。  こういうふうな規格というのはいろいろ対象もございましょうが、やはりある対象を絞って、現実的に非常に重要度の高いものにそれを行っていくということが妥当かと考えます。  それを具現化するものが表示でありますが、従来は規格のないものが表示をなされる制度はございませんでした。しかし、この規格を広く食品全体に当てはめまして、食品の内容がわかる表示というのは消費者全般に非常に利する制度だと考えます。  したがいまして、内容判断できる程度の表示基準あるいは生鮮食品の原産地を評価できるための表示、これはいろいろ議論がございますが、産地というのがその食品の特性あるいはおいしさというものを反映している。これは、我々が長い経験の中で知り得ている一つの品質のよりどころになる場合もございます。そういう意味で、産地の表示ということも必要かと考えます。そういうわけで、規格がない場合におきましても全食品を対象にした表示制度の充実強化ということが大切かと考えます。  それから、つくり方に対する評価でございますが、従来のJAS制度におきましても、例えば地鶏とかハムという非常に丁寧なつくり方をした、あるいは特有のあるつくり方をしたということに対しては一定の評価を与えてそれを表示するということが考えられ、制度として持っております。  そこで、先ほど二人の参考人が述べましたように、有機食品というものは大変重要なものであることは私も認識いたしますが、このような食品は、位置づけにおきましては特定の、あるいは非常に丁寧な気配りのあるつくり方をしている、つくり方の特徴というふうに位置づけることが考えられます。  そういうわけで、そのようなものに対して一つの評価を与える、それが表示ではないかと考えます。また、このようなことが農業の一つの仕組みというものに大変影響するということで評価できるものと考えております。  そしてまた、諸外国におきましてこのような有機食品というのは現実的に登場しているわけでありますので、私たち消費者という立場におきましても何らかの対応ということを考えることは妥当かと考えております。  最後に、制度の見直しということでございますが、制度を定期的に見直していくということに関しましては迅速性が必要かと考えておりまして、つくりました基準なり表示というものを含めまして、消費者生産者あるいは第三者を含めまして一種の非常に緊張感のあるものでそれを維持していく、見直していくということが必要かと考えております。  以上、私の基本的な見解を申し上げました。
  89. 野間赳

    委員長野間赳君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 三浦一水

    ○三浦一水君 自民党の三浦でございます。  三人の参考人方々には、お忙しい中、本当にありがとうございました。  まず、本間先生にお尋ねしたいと思います。  先生は、JAS法の改正の方向性を検討してまいりました委員会でその座長をお務めになってきたと伺っておりますが、食品の表示なりあるいは原産地の表示ということにつきまして、検討委員会の内部ではどのような典型的な意見があったのか、その一部でも御披露いただければと思います。
  91. 本間清一

    参考人本間清一君) 私は、検討委員会八回におきまして座長を務めました。その際、産地の表示、これにつきまして多くの意見の幅があったと思います。  例えば、どこどこ産のミカンは甘いというのは、これは気候とか生産環境、土壌その他を含めた総合的なものであって、それを表示するということがその産地の農産物の特徴をうたうことだということで、表示ということは生産者なり消費者の期待を満たすものだという意見もございました。  しかし一方で、これを例えば外国産のものまで当てはめるということになると、それを差別するという要因にもなるという発言もございました。したがいまして、産地という表現につきましては大変解釈のあるところだったと思います。  それから、産地の対象でございますが、いろいろな加工食品の素材、例えばパンの小麦を見ましても、これは一つの小麦でできるものではございません。幾つもの産地の小麦をまぜ合わせることによって一定の品質が維持されているというのが技術のなすところでございます。そのようなときに、それまで示すのかどうなのかという議論もございました。  以上でございます。
  92. 三浦一水

    ○三浦一水君 引き続き、本間参考人にお尋ねを申し上げます。  民間工場の品質管理体制というのは非常に改善をされ、向上してきたという背景があるかと思います。そういう状況の中では、一部にはJAS規格そのものが不要ではないかといったような議論も国内にあるわけでございますが、今後、そのような状況を踏まえながらJAS規格そのものが果たしていくべき役割ということについてはどのようなお考えをお持ちか、お尋ね申し上げます。
  93. 本間清一

    参考人本間清一君) お答えいたします。  そのような議論、例えばJAS規格が不要かどうかということに関しましては、生産者それから消費者の代表の方におきましても意見がございました。  そして、これはやはり不要という意味ではなくて、多くのものに規格を細かく制定するということよりは、特定のあるいは非常に要求度の高いもの、例えば消費者の混乱を招きやすいとか、集中的なあるいは範囲を非常に絞った形でこのような規格制度があることは必要ではないか、その必要性というのは決して下がってはいないというふうな意見がございます。  また、生産者の方の意見におきましても、いわゆるブランドというものがかなり功を奏しているということで、規格というものがもう役目を果たしたという意見もあったことは事実でございますが、やはり規格というものが商品の呼称あるいは分類ということにおきまして大変消費者の便にかなうものであるということで、規格ということはある程度の範囲内で必要であるという認識があったと思います。
  94. 三浦一水

    ○三浦一水君 有機食品の表示適正化のために今回の法改正では検査・認証制度を導入するということになっているわけでありますけれども、これについて本間参考人のお考えを聞かせていただきたい。
  95. 本間清一

    参考人本間清一君) 有機食品の検査・認証ということにつきまして、これは非常に現実にいろんな表現があって混乱しているということは事実でございますし、食品の素性を物語るための体系、すなわちJAS法の中にそれを位置づけるということは検討会においても妥当であるというふうに認識されたと思います。  ただし、有機食品の裏づけにつきましては、これは現実問題とすればどのようにやっていくか、どのような基準を設けるかというふうなことは大変難しい問題ではないかと思います。やはり、これに関しましては、消費者を混乱させないというためにも丁寧な検討は必要かと思いますが、何らかの認証基準、それからそれを維持するための機関のあり方というふうなことはやはり必要ではないかと考えます。
  96. 三浦一水

    ○三浦一水君 同じ内容でございますけれども、有機食品の表示実態を見るに当たりまして、この問題、伊藤参考人にもちょっとお尋ね申し上げたいと思うんです。  検査・認証制度を導入して表示の適正化を図るということでありますけれども生産者においてもこの点はメリットが考えられるのではないかというふうにも思います。その点、伊藤参考人はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  97. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 先ほども述べさせてもらったんですが、コストがどのぐらいかかるかまだ明確には出ていないんです。ここにも書いてあるとおり、日本は圃場認証ですから、九州の方だと一区画が二アールとか五アールなんです。東北に来ても水田で十アールとか五十アールが多いんです、大きい方で五十アールぐらい。それを認証していくわけですから、随分コストはかかるだろうなと思うんです。アメリカですと一区画が、ヨーロッパもそうですが、十ヘクタールであったり二十ヘクタールであったりしますから、それが一区画ですから一筆でいいわけです。  それで、多分コストがかさんで認証を受けないでやっていこうという人が随分多いんじゃないかというふうな気がいたします。
  98. 三浦一水

    ○三浦一水君 伊藤参考人におかれましては有機農業に本当に長年お取り組みになってきている、また非常な成功もおさめられているということであります。  今後、我が国の農業の中で、先ほど御意見の中にもありましたように、持続的あるいは環境循環型農業ということはそれなりの位置づけをされながら発展を見るべきことだと私も考えております。しかし、相反するところは御自身のまた御苦労ではなかったかと推察をいたしますが、生産性を高めるという点においては非常に難しい面があろうかと思います。  私も農村に住んでおりますので、百姓というのは何でもできるのが百姓だ、何でもやるんだと。その中に、むだをなくす、自給自足という考え方が色濃くその基本にあるのではないかなと感じております。  そういうことで、ちょっと表示の問題から外れますが、伊藤参考人としての今後の農業のあるべき姿についてもう一言御所見を賜れればと思います。
  99. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 私は、基本的に無理をしない、むだを出さない農業をやることだというふうにずっと思っています。ですから、リサイクル、循環型の農業を営むということが個人でできなければ地域で集団でという、そういうシステムをつくっていかなければいけないというふうに思います。  いずれにしましても、ダイオキシン問題でも私たちは声明文を出させていただきましたが、環境問題がすべてでありまして、幾ら有機農業者が農薬を使わない、化学肥料を使わないといっても、水が汚れ、大気が汚れ、いろんなものが入ってくるとすれば、特に生ごみのリサイクルでの問題も出てこようかと思いますけれども、そうしますと幾ら努力してもどうしようもないという現実に突き当たる状況であります。突き当たっているところはいっぱいあります。  そういう点では、国全体としての環境を考えた農業と、それから生活のあり方について考えていかないと有機農業は何ぼのものかというふうになってしまうんじゃないかというふうに思っております。
  100. 三浦一水

    ○三浦一水君 ありがとうございました。
  101. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。  伊藤参考人にお尋ねしますが、有機農業を育成したいという立場で私も考えておるんですが、先ほどの参考人お話の中で、有機農業の発展のために必要な措置を講じてほしいという趣旨のお話がありました。具体的にどのような措置が必要な措置と考えておられるんでしょうか。
  102. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 今回の有機農産物の件についてもそうなんですが、日本は網をかぶせるというか、そういうことは極めて上手だと思うんです。アメリカとかヨーロッパというのは二十年も二十五年もかかって生産者組織が自分たちのやっていることを評価してもらう、価値を出していくために努力してきて現在の表示とかというものがあるんです。  ところが、日本は、齋藤さんからも言われましたように、何が何だかわからないような流通が成り立ってきて、それで生産者がかなり被害をこうむる、正しく消費者に理解をしてもらえないという状況と不利益をこうむるという状況があって、表示という問題が出てくるわけです。  出口だけを縛るわけですから、これは農業者にとってはたまらないわけで、それと両輪として、だから有機農業が本当に大切だという世論形成のための助成措置も含めた法案が私は必要だというふうに思っております。
  103. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 重ねて伊藤参考人にお尋ねしますが、多少重なる部分があるのですが、有機農業の生産、育成のための流通あり方というものについての御意見をお聞かせいただけませんでしょうか。
  104. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 多分、生産者側の有機食品の認証部分についてはかなり審議が進んでいるように思われますけれども、次の流通については政令、省令がまだ出ていませんから全然わからないということを先ほど申し上げました。この部分が常に農産物の流通に関しては問題になるところなんです。  特に、農産物の有機食品ということでなくてなんですが、私たち農民が今、末端消費者から受け取っている生産物の代金というのは多分一五%前後だと思うんです。ですから、八五%は生産をしていない人たちの手に入っているはずなんです。それで生きていくというんですから大変な話です。  したがいまして、その八五%の中でいろんなことが行われることによってゆがめられている実態があるわけですから、有機食品についてはこの辺についてきちっとした制度的整備をお願いしたい、罰則規定も含めてお願いしたいというふうに農業者としては思います。
  105. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 齋藤参考人にお尋ねします。  コーデックス基準ですと大変厳し過ぎて有機農業の衰退につながるのじゃないかという御意見を賜りました。そうしますと、例えば基準を緩和したり弾力化する、あるいはこういう厳しい有機というものはあるけれども、それに準ずるような低農薬とか、そういう一般の農薬を使った農法によるものじゃない中間的なものを設けるという方法もあると思うんですが、そこら辺、齋藤参考人の考えは。  要するに、基準を設けること自体に反対なのか、それとも基準の設け方によっては賛成できるのか、その点のお考えをお聞かせいただければと思います。
  106. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私も、先ほども言いましたけれども、農業の現場のいわゆる生産基準を全国一律に決めるというこの問題については、日本の気候風土の条件からいってこれは絶対無理だろうと思うんです。  それで、先ほども申しましたように、産直運動、有機農産物の運動というのは、やっぱりまだ我々自身がいろいろ考えてみても〇・数%だろうと思いますし、それから海外でもそうだというふうにも聞いています。そうだとすれば、本当に育てるのだとすれば、生産者消費者が提携する関係で、とりあえずは提携する関係のところにきっちり手厚い保護をして、それでそれぞれがそれぞれの地域で確認した環境保全型の農業や地域循環システム、そのシステムを補助していく、支援していくという、こういうシステムの中から本当の意味での有機農業というのが出てくるのだろうと。  僕は、生協ともう二十五年間つき合っていますけれども、三月に出された日生協の基準案でもそのような方向で書かれているというふうに理解しています。
  107. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 伊藤参考人にお尋ねします。  有機農業を今行っている農家の規模は、非常に小規模な農家が多いと。そうすると、認証のコストが相当な負担になってしまうのではないかという御意見でございました。大変答えにくい話かもしれないけれども、コスト的にどのぐらいなら耐え得るのか、答えられる範囲で結構でございますが、お聞かせいただければと思います。
  108. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 多分、今の状況ですと、農産物価格の五%以上にはなると思うんです。そうすると、五%以上というのは消費者価格にはほとんど転嫁できないと思うんですね。そうすると農家の負担になりますから、今までよりは収入が減ってしまうと。しかも厳しいというふうになるわけで、書類も膨大に必要になってきます。一点につき八枚から十枚の書類が必要です。そうすると、農家は書類を書くために仕事をしているわけではないので、代書業を必要とするという団体も今出てきているんです。そうしますと、五%というのが現実的にかかるとすれば大変だと。  我々としては、一%か二%程度だったら、生産者消費者のお互いの努力の中でできる数字ではないだろうかというふうには思っておるところです。
  109. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 また伊藤参考人にお尋ねしますが、有機農業を行っている農家の実態というものが、私たち消費者なり、直接農業に携わっていないとなかなかわかりにくいのですが、実際の有機農業をやっている農家の規模とかあるいは流通における割合とか、そういった有機農業の実態というものをわかる範囲で教えていただければと思います。
  110. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 私のうちで、仮に私の息子が認証をするといった場合、多分四・二ヘクタールぐらいは有機農産物として認証を受けられるのじゃないか。そういう点では日本の中でも最も大きい方かなというふうには思いますけれども、平均的に有機農業者と言われるところでも何アールか何十アールかだと思います。全体とすれば、私は〇・〇〇何%しか多分有機農産物はないのじゃなかろうかと。そのことでいろんなところが名乗りを上げて認証にかかわるというのはおかしな話だと思いますけれども、多分流通セクターがそれにかかわるしかないのだろうなと。  そうすると、かなり系列化された垂直統合的な関係になって、農家はいろんな点で不都合になるだろうと。守秘義務というのは準公務員というふうにかかっていますから、そういう点では何とかなるかもしれませんけれども、極めてそういう点では難しいところがいっぱいあるというふうに認識しております。
  111. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 終わります。
  112. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  今回、原産地表示を規格の内容に含むことが明示されるようでありますけれども、要は原産地表示で付加価値が高まるのは一部のものでしかないというふうに思うわけですが、その有効性についてどうお考えなのか、伊藤さんと齋藤さんにお聞きしたいと思います。
  113. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) JAS法での原産地表示のことですね。  私も、齋藤さんも同じでしたが、そのことには大賛成です。今、どんなつくり方で、どういうところでつくられたものかというのはわからないで消費者は買わされているわけです。それが国内とか国外とかではなくて、山形県とか群馬県でつくられたものというのがきちっと表示されることによって、その県としての生産物に対しての責任、それから安全性に対しての責任というのが必ず高まるものというふうに思っていますし、消費者はそのことを最も望んでいるのじゃないだろうかというふうに思います。
  114. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私も、原産国表示をちゃんと表示するということについては賛成です。  きのうもちょっと話があったんですが、ある地域でシジミを売っている大変有名な業者があったそうですけれども、わきをのぞいたら麻袋に入った韓国産のものが国産で売られていたという、こういう実態があるわけです。やっぱり、原産国表示をきちっとするということは農産物でも必要だというふうに思います。  特に、山菜などのお土産物で加工する場合なんというのは、最近では余り目立たなくはなりましたけれども、横浜だとか神戸だとか名古屋だとかというところからトラックでそれぞれ加工するところに行って、その加工地が産地に表示されているというのは、これは明らかに不当だろうというふうに私は思います。
  115. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、今度は格付の話ですけれども、格付を何種類かに分けてやるというものではなくて、一定の規格に合っているか合っていないかという表示では、今度は逆に消費者ニーズに十分こたえていけるのかどうかということがあると思うんです。この部分については、要するに消費者の関心というのは規格よりもむしろ安全性だとか味だとか、そういうことへの配慮というのを物すごく敏感に感じているわけでありますから、そういう意味で、一定の規格に適合するかどうかという観点だけでは消費者ニーズに対応していけないのではないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。  お二人に。
  116. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 確かに、最近は安全性とか味、とりわけ安全性については消費者の関心が高まってきています。そういう点からすると、やっぱりごまかしがなるべくできない原産地表示というものは有効だ、大切だと思うんです。  私も鶏を、ブロイラーを百万羽ほど飼っています。一切抗生物質を使わないで生産しております。ところが、この前、奈良県でアボマイシンという抗生物質を使っていたためにVREという耐性菌が検出されたわけです。それらはその後、厚生省が群馬で調べたら、タイとかフランスとかアメリカとか、いろんなところが出たわけです。ところが、日本のものから出るというのは不思議なはずなんですよ、農水省はアボマイシンは使っていないと言うんですから。だとすると、どこかのものが日本のものとして売られているわけです。そんなことが当たり前だということは、農業をやっている人をばかにしているというふうにしか思えないんですね。だから、そういう点ではきちんとした原産地表示は絶対にしていただきたい。今回、このことがJAS法に盛られたというのは最もよかったというふうに思っております。
  117. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私は、味や安全性の問題が規格に矮小化されてしまうというところに基本的には問題があるだろうというふうに思うんです。ですから、例えば、本間先生がおっしゃっていましたけれども、それぞれの産地のミカンが甘いとかおいしいとか酸っぱいとか、いろんな評価がありますが、それはそれぞれ食べる人たちが決めればいいことであって、味とか安全とかという規格におさまらないものを規格化しちゃうというところに今回の大きな問題があるのではないかというふうに思っています。
  118. 風間昶

    ○風間昶君 日本では相当農薬を使用していながらも有機農産物として出ているものも結構あるわけです。それで、厳密な意味では私は有機ではないと思っているんですけれども、その辺の部分は行政にゆだねるしかないわけであります。  そこで、今もお話がありましたが、本物の有機とそうでないのとを区別するシステムというのを行く行くはつくらなきゃならないのじゃないかと思っているんです。それが帰着するところは、農産物よりむしろ土の部分と水の部分での、いわば地球の健康をきちっと表示していく。表示していくというか、データを情報公開しながらそこのところが図られないと、幾ら農産物に有機表示、あるいはいろんな表示をやっても本末転倒ではないかと。根っこの部分でどうするかということが、本来の私は役割ではないかと思っているんです。  今も、ビンクリスチンやアボマイシンの話が出ましたけれども、どっちにしても、外国から入ってくるものに対して相当敏感に皆いるわけです。そこの部分で、都道府県だとかいろいろな団体で基準を設けていますが、そこが全国統一基準になっていない問題点もあります。そうすると、本当に消費者ニーズにこたえていくためには、生産者側が一方ではかなり努力しているということがあっても、そこの部分で整合性を図るためにはどうしたらいいかというのが問われてくる話じゃないかと思うんですが、そこに対するお考え方を、本間先生も含めてお三方に御意見をいただきたいと思います。
  119. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 先ほどからの続きですが、安全性とか味というのは適地適作というのを忘れてしまったというのが一番の原因だと思うんです。日本は、人間はすべて自然を科学で征服できるというふうに思って、農薬と化学肥料を使い出したことによって、どこでもつくれるんだということでつくり出した。それで、味が悪くなったり、よいところと完全に差が出たり、むだな行為をして汚染してきたというふうなことがあると思うんです。ですから、今、先生が言われたように、土と水の問題というものを基本に農業をもう一回考え直すべきだというふうに思います。  それから、全国一律に間違いなく基準を決めて表示をやるということは、こんな困難なことはないと思います。北海道は梅雨がないんです。九州はあんなに雨が多いですから病気が多いんです。しかも虫が多いんです。そういうところをすべて一緒にするというのは無理があります。しかも、どういうふうな基準でもってやるかというのは極めて困難だと思います、有機食品以外については。そういう点では、情報開示という方法をきちっと系統づけてさせるということ以外に方法はないかもしれないなという気はいたします。
  120. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私は、有機農業をやってきた立場で言わせていただきますと、なぜやったかといえば、こういうゆがんだ農業ではだめだというふうに思ったからです。なぜゆがんできたかといえば、やっぱり僕は、今、伊藤さんがおっしゃいましたけれども、適地適作ということを無視した、選択的拡大という農政を、大規模化を推し進めてきた、ここに基本的には大きな問題があるだろうと。それは、輸入農産物と競争をさせる、していくというか、させてきたという、そこに一番大きな問題があるだろうというふうに思います。  それから、全国統一基準の問題について、それから根本になっている土と水と、私は大気という問題もあると思いますが、この問題でも、やっぱりこれを一律にどこかで基準を決めるということになれば、当然、農業そのものができなくなる地域、有機農業としての生産がどんなに努力してもできなくなる地域が生まれてくるわけです。これは、今の日本の食料自給率という観点からいっても決してこういう政策をとってはならないというふうに私は思います。
  121. 本間清一

    参考人本間清一君) 有機という基準をどのように定めるかというのは、確かにこれはこれからの課題ではないかと私は考えていますし、委員会でもそのような意見が出ておったように覚えております。  それで、有機というのは、従来の農薬とか化学肥料を多用するということと比べればはるかに労が多い作業であることは事実でありますので、やはりなされたことがきちんと経済的に評価されるというふうなことが必要であり、それにはいろいろ工夫は必要かと思いますが、表示でしかそれがわかってもらえないのではないか。しかも、例えばそのようなつくる人と消費する人というグループをつくってやっていたものから、だんだん需要が拡大して一般の市場に出回るようになりつつある状態を考えますと、それにはやはり従来のそういうふうな一対一の関係だけでは対応し切れない場面が出てくるのではないか。それを補うのはやはり表示という制度ではないかと思います。ただし、この基準につきましては、丁寧に検討した方がよろしいかと私は考えます。
  122. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  123. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。参考人の皆さん、御苦労さまでございます。  最初に齋藤さんと伊藤さんにお伺いしたいと思うんです。  有機農産物の表示をどうするかというのが今回の改正の大きなテーマになっているわけですが、今回の表示義務の問題をどのように消費者が考えているかという、産直運動を通じての受けとめというんですか、消費者から聞いていらっしゃる内容など、声をお聞かせいただけたらと思います。
  124. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 消費者の方は、多分ほとんどの方は日本には有機農産物というのは存在しないかもしれないというふうに思っていると思います。そう思っていない人はいろんなお店屋さんから買ってきている人の中に何人かいるかもしれない。ただ、すべてないというわけじゃなくて少しはあるだろうと。有機農業というのは生産者にとって究極の目標でありますから、その前の段階について正しく評価していくという取り組みを今しているところも多く出ているようでございます。
  125. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 先ほども紹介いたしましたけれども日本生活協同組合連合会、日生協の産直県の中では、先ほど私が言いましたように、検査・認証というのは生協が今までそれぞれの提携関係に基づいてやってきたんだから、それをもっと充実させる仕組みをつくっていくべきだという提案だったというふうに私は理解しています。  そして、その上に立ってというか、私の今までの経験からしましても、消費者の皆さんが有機無農薬、いわゆるコーデックス基準が言う完全な無農薬というのを本当に欲しているのかといえば、それは消費者の皆さんからすればそれができるのであれば当然のことだと思いますけれども、今の日本の農業の現状から見たときに、それができるのかといえば、そうではないわけです。注文はしたけれども物が来なかった、市場にあっても非常に不安定な出荷しかできなかった、これではしようがないだろう。冒頭にも言いましたけれども、提携関係であれ市場流通であれどんな関係であれ、やっぱり安定的な生産と安定的な出荷というのが生産者消費者の双方の願いだと思うんです。そのときに、安全と安定をどういうふうに高めていくかということは、やはりさまざまなシステムを考えながら、それぞれが納得した提携の関係で高めていくということが最良の関係だろうというふうに思います。
  126. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 もう一度お二人にお聞きしたいんですが、今言われた提携関係にある取引ですけれども、これは信頼関係で提携契約をされているわけですから、この提携関係にある流通には私は有機農産物の表示は適用しなくてもいいんじゃないかと思うんですが、伊藤参考人齋藤参考人はどのようにお考えでしょうか。
  127. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 範囲が固定されている関係、それは表示をどうやろうと関係はないと。だから、及ばないというのは当たり前じゃないだろうかなというふうに思います。
  128. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私も、提携のところではそれぞれが納得した形でやるということでいいのではないかと思います。  それから、先ほどの答弁で落としましたけれども、私は、有機農産物は一般の消費者が買えなくてもいいというつもりで言ったわけじゃないんです。先ほども言いましたように、要は、安全な農産物をどうつくり育てていくのか、生産の量を拡大していくのかという観点に立ったときに、上から押しつけるのではなくて、それぞれの地域でそれぞれの条件に合わせて、それぞれの地域生産量を落とさない、そこの基準をみんなで高めていくという、このことが今一番求められているのではないかというふうに思います。  そういう面で、私たちは産直運動と、運動という名前をつけています。そして、私たちは、こういうふうにできたから消費者の皆さん買ってください、もっと食べてくださいという交流をして広めていきたいというふうに考えているわけですから、もっともっと生産を高めていくという努力を私たちは日本の農民として、食料を担う百姓として頑張って広めていきたいというふうに考えています。
  129. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 もう一度お二人にお聞きしたいんですけれども、有機表示だけでなくて、今までの慣行農業に対して有機農業をどう考えるのか、国の施策として本来的に有機農業をどう位置づけていくかも私は重要なテーマだと思うんです。  そこで、国の有機農業政策については、生産者が安心して意欲を持って取り組める有機農業にするためには、今生産者立場から国の施策としてどのようなことが必要だとお考えですか、お尋ねします。
  130. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 私は、有機農業というのは、先ほど言いましたように、農業をやっている人がひとしく目標にしなければいけないものだというふうに思っています。いろんな作物によって困難の度合いはありますけれども、私のところでは米についてはもう九年以上経過していまして、生産量は慣行栽培と一切変わらない収量を得ております。それは県の認証を受けて減反カウント、二〇%をカウントしてもらっていますから、二割は減反をカウントしてもらえるということで、有機栽培はそういう点では着実にふえております。そういう点で、具体的な振興策というのは必要だろうというふうに思います。  そういう点では、今回、持続性のある農業という法案が出そうですが、あれには随分期待しておりまして、そういう環境を守っていく農業をやっている個人ないし生産団体について助成措置を出していただけばいいんじゃないか、もっともっと発展するんじゃないかと思います。  もう一つは、有機農業技術について関係機関、農業試験場とかいろんなところがありますが、そこが慣行栽培から環境を守る栽培へという技術開発に取り組んでいただければいいんじゃないかというふうに思っております。
  131. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私は、有機農業というよりも日本の農業生産そのものをどう発展させるかという観点から考えたときに、今各地の自治体が取り組んでいますように、やっぱりそれぞれの地域の特産物をきちっと価格保証する、このことがまず大前提になければ、どんなに有機農業が頑張ったとしてもそれは大変だろうと思います。そういう面では、新農基法の論議を聞いていて、市場原理に任せるというのは大変不本意だというふうに私は思っています。  それから、有機農業を発展させる上でどうしても必要なのは、先ほども申しましたが、コストがどうしてもかかります。例えば、稲作でいえばカミマルチをつくってみたりとかさまざまありますから、そういう面では今各地の自治体がそういう点でもいろんな形で進めているいわゆる生産に対する補償制度、そういうものももっともっと充実していくことが必要ではないかと思います。  それからもう一点は、非常に残念だと思いますけれども、有機農業の資材に対する情報、これが非常に不十分だというふうに私は思います。もうかれこれ八年ぐらい前になりますけれども、筑波の研究者の方々とお会いしたときに、約百種類の微生物資材を購入して検査してみたけれども、ちゃんとしたのは五つしかなかった、こういう報告がありました。私は、これ一つ見ても、今、有機農業は安全性という問題から農民に大変高い生産資材を押しつけている、ここのところも国としてきちっと調べ、検査をし、本当に有効かどうかということもちゃんと我々に情報を開示してほしい、そういうふうに思います。
  132. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、伊藤参考人に伺います。  伊藤参考人お話の中で、本来、有機農業振興というのは振興法という単独立法を一つやる、それと表示立法を抱き合わせて出すべきものだという指摘がありました。その場合、先ほどのお話で、技術開発を含む生産振興ということをおっしゃっておるんですが、それ以外にいろいろの問題がありそうな気がするんです。その辺のところはどんなものを想定されておるか、これをひとつ教えていただきたい。これが第一点であります。  それから、第二点として伺いたいのは、伊藤さんのお話の中で有機認証、この作業をやるのにどれほどの手間がかかるかというお話がありました。これは認証マークだけじゃなくて、JASマークまで張らなきゃならぬという余計なものが出てきているんです。  そういうふうなことをやって、果たして市場がそれにきちっと報いる、つまりお金で報いてくれるというような状況になってくるかどうか。これまでのあなたの経験を通して、その辺はどう判断されておられるかについて教えていただきたいと存じます。
  133. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 今、先生が言われているそのとおりでありまして、両輪は必要です。今のところ片方の出口だけを縛るということで進んでいるわけですから、もう一方の振興の法案というものがきちっと出てくればいいというふうに思っています。  アメリカは有機農業振興法という法律の中で表示もしていくというふうになっています。日本だけが違うんです。それから、アメリカは九一年に検討に入ってからまだ成立していないんです。九年もかけてまだ成立しないという状況なんです。それを半年や一年で拙速にするというのはいかがなものかなというふうに思っていて、だから政令、省令を定める段階では関係機関、関係者意見を十分聞いて、時間をかけてやっていただきたいというのが一つでございます。  実は、私のところで減農薬・減化学肥料栽培というものについても今検討に入っているんです。そうすると、有機栽培しかできなくなっているんですよ。なぜかというと、農薬取締法というのがあります。それで、農薬メーカーはいろんなもので登録をとらなくなったんです、もうからないですから。アスパラとかいろんなものは使える農薬がもうないんです、登録をとっていないから。登録外の農薬を使えばこれはだめなわけです、消費者団体に怒られますから。そういうことがあって、総合的にやっていかなければいけない時代になったというふうな気はいたします。  あと、先生から指摘されたのは、コストが価格に反映されるのかということですけれども、私は多分そうはならないだろうと。海外からオーガニック農産物が入ってくるわけです。日本のものはどんなことをしたって高いわけです、手間が特にかかりますから。そうしたときには多分転嫁ができない。だとすると、認証を受けないか、認証を受けてかえって貧乏するかどっちかだろうというふうな思いもかなりあります。  ただ、いずれにしても、私たちは有機農産物の生産については前向きに進むような国民合意ができるような法案の成立を望みたいというふうなことです。
  134. 谷本巍

    ○谷本巍君 伊藤さん、そこのところをもう一つ伺っておきたいんだが、例えばアメリカの場合、一定の収入の金額で線を引いて、これ以下についてはマークなしでよろしいというような扱いをしていますね。今度の場合にもその種の問題は考えた方がいいのかどうか、そこはどうですか。
  135. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) ちょっとその辺まではまだ踏み込んでいないんです。  日本の場合は、いつも問題になるんですが、圃場単位の認証ですから、一圃場での売り上げが五万円とか三十万円とかなんです。片方は百万とか五百万とかという世界なんです。それでも認証は一回ずつなんです、作業というのは。しかも、書類も一回ずつなんです。そうすると、これを日本の中できちっと運用させていくには、よほどの公的資金がいろんな機関、関係のところに行かないとままならないのかなというふうな気はいたします。
  136. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、齋藤参考人に伺います。  先ほど齋藤参考人から、有機農業を振興していくのには産消提携を支援していくということが一番大事であり、基本なのではないかというお話がございました。私もそのとおりだろうと思うんです。  そこで、参考人価格問題、価格保証ということを言っておられましたが、価格以外の問題というのもいろいろあると思うんですね、支援策については。その辺の支援策の具体的な問題についてお示しいただきたいのです。
  137. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私は、先ほども言いましたように、例えば提携関係にある生協や消費者団体の人たちができること、それから自治体ができること、国ができることというのをきちっと分けてやっていく必要があるだろうというふうに思います。  私はもちろんそこまでの専門家ではありませんけれども、先ほど言いましたように、まず一つは、生産資材が有機農産物をつくっていくのに本当に適しているものなのかどうかというような情報をきちっとしてほしい。  それから、その前提には、先ほども言いましたように、やっぱり価格保証ということが必要だろうと思います。  もう一つは、例えば北海道の人たちがいい国産の小麦粉をつくって国産のパンを焼いた、東京に行って何かイベントをやりたい、そういうときに、自治体や国が、私は船橋ですから交通費が全く違うわけですから、そういう面での公平さを保つという点からも、イベントに出てくるときの交通費を支給するとか、それから生産資材でも当然高くなりますから、そういう面での支給なんかも大事な観点ではないかなというふうに思います。  もう一点は、地域でできることという点でいえば、やっぱりもっともっと地域全体の生産力を上げるという点から地域の自給率を上げる。その地域の自給率を上げる最も大事な点は、学校給食に地元産の農産物をどういうふうに入れていくか。できるだけ地元の農産物で学校給食ができるという観点が非常に大事ではないかなと思います。  それとあわせて、今大変盛んになっていますけれども、きょうの朝日新聞だったか、女性たちが農家民宿をやったりとか直売所で頑張っているとか、そういうところがたくさん出てきていますから、そういうところへの積極的な支援策というのも非常に重要じゃないだろうかというふうに思います。
  138. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に、本間参考人に伺います。  先生は座長をお務めになっておられたようでありますので、報告書をまとめる作業の過程の中でどんな議論があったかということについて伺いたいんです。  といいますのは、今度の法改正は、一つは国際基準の問題が非常に強調されたということでありました。それで、コーデックスのものを取り上げるということになったわけです。それからもう一つの問題は、民間能力というのをひとつ活用していきましょうというような話が多かったようであります。  ところで、そういう立場で見てみますと、認証マークを表示させるということと同時に、何で国定統一JASマークの表示まで義務づけるようにしたのか、私にはそれがわからないんです。先生も御存じのように、有機といいましてもいろいろあります。そして、無農薬、無化学肥料というのは有機農法の一つの側面でしかない。ですから、民間能力を活用するというのであれば、それぞれの有機団体のマーク、それぞれのブランドで競い合いをやってもらって、あとは消費者の選択に任せた方がよりいいものができると思います。  ところが、にもかかわらず面倒にも国定統一マークというのをばさっとかける。これが逆に、今申し上げたようないい意味での競い合いというのをなくしていくということになりはせぬか。そこの問題があるんですが、いかがでしょうか。
  139. 本間清一

    参考人本間清一君) JASマークとして全国一律につけるということにつきまして、これは有機農産物をまず表示するというふうな位置づけにしたということで、それをどのように認証していくかという方策につきましては、まだこれからの位置づけだと私は思います。  それで、民間能力の活用と申しますのは、まさにそのようなものを認証するというその機関、その仕組み、どういう団体がするのかというふうなことに、それぞれの民間の持っている見識なり技術水準なり信用能力なり、そういうふうなものを活用していくということにあるというふうに思います。  したがいまして、いろいろなレベルのものがあるということと、それからもう一方で余りにもいろいろなものがあって一体どれが本物というか、どれが適切なものであるのかというふうなことは、余りにも多様な表現手段があればやはり混乱を招くのではないかというふうに私は考えました。  したがいまして、今一律に表示をするというその負担に関しましては、やはりこれは丁寧に検討すべきだというふうに私は思いますが、表示というものは場所によって違ったり、あるいは個別性が余りにも多いということになれば、これは表示の仕組みとすれば機能しにくいのではないか。どなたが見ても、これはそれを満たしているとか、あるいはその範囲内にあるとか、やはりそこにはある範囲内での統一性があった方がその仕組みは生きるのではないかというふうに考えます。  したがいまして、今これがそういうふうな認証ということで価格にどうしてもはね返ってくるということに関しましては、確かに大切な要因だと思いますが、やはりそのレベルといいましょうか有機の内容というのは、もう少し実情に即したものでいろいろ水準を考えていくというふうなことがこれからの運用においてあるべきことではないかと思います。  したがいまして、委員会の方では、そのような有機というものを表示の対象品目に位置づけるということは非常に皆さんの賛同を得ているものでございますが、それぞれのレベル、それから実際に一般の消費者に手渡るときにどのような仕組みでいくのか。すなわち、最初の箱に書いてあるものが実際に店頭に並んだときにはもう取っ払われてなくなってしまっている、じゃそれをどうやって位置づけてくるんだと。あるいはバンドをつけるんだ、あるいはラベルを手渡していくんだという、いろいろな実際の作業というところまで考えないと、それから全国に誤解のない、皆さんどなたが見ても理解できる、認識できるというそこまでの仕組みを考えた上での話でないと、実施するには大変準備が要るのではないかと考えます。
  140. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  有機の質問がほとんど出尽くしたという感じを持っておりますが、全体の農産物を一〇〇といたしますと、伊藤さんの文書にも出ておりますように、特別栽培農産物が一%、そして有機農産物は〇・一以下、ということは今九九%は慣行農業といいますか、通常の肥料、農薬を使って栽培していると。これが今回、有機というものへの取り組みが果たしてどれくらい日本で実現するのか、あるいはむしろ特別栽培の農産物というものにウエートを置いて取り組んでいった方が現実的ではないかと。極端に言うと、私は有機農業は日本では育たないのじゃないかというような危惧さえ持っておるんですが、その点の御見解を伊藤さん、齋藤さんにお聞かせ願いたいと思います。
  141. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 確かに、有機農産物の生産物は極めて少ないというふうに思います。これからもそんなにはふえないかもしれないという気がいたします。日本はこういうふうに雨がほかの国より三倍とか四倍多いわけですし、しかも病害虫がほかよりも多いわけですから、そういう点では極めて困難であろうと思います。その次と言われるガイドラインについては多分確実にふえていくだろうというふうに思います。  さっきの話の中でちょっと言い忘れたんですが、有機を認証するというと、私は二つぐらい大変になるだろうと思っていることがあるんです。  それは、ドールの日本の副社長の話を二、三日前に聞きましたけれども、ドールもアメリカで訴えられてもう認証には手をつけないというふうになって、ブランドで勝負すると言っていますね。JAS法でやると公聴会を設けなければいけないわけですから、これは年じゅう公聴会を開かなければいけない事態に多分なるかもしれないというのが一つです。  もう一つは、空中散布の問題がありますから、その地域、かかる範囲何メートルかは自分が化学肥料と農薬を使わなくても有機栽培として認められないということになる可能性があります。そうしたときには、完全にそれをやっている市町村、それから農業者団体に対しての損害賠償事件というものが全国各地で出る可能性があるということを私は今から考えておいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
  142. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 私は、この有機農産物表示のガイドラインが出たときに一人の百姓として大変腹立たしく思いました。それは、有機農業というのはこういうものだということを勝手に決めて、それに当てはまらなければ有機農業ではない、こういうことを国が勝手に決めるということについては本当に怒りました。  なぜならば、農業そのものというのは有機的な生産なわけです。ところが、先ほども申しましたように、この農業をつぶして壊してきたのは我々百姓ではなくて政策だったというふうに私は思うんです。そこのことを全く抜きにして、今の現実で有機農業はこういうものだから有機という言葉を使ってはいけないというのは、まさに私は国による有機という言葉狩りだと思います。  そういう面では、この問題については基本的な問題として有機農産物というのを私は堂々と使っていく、私たちがつくったものは有機農産物だということを堂々と使っていこうと思います。  そういう点から考えて、先ほども言ったような方策をぜひ国としても地方自治体としても、それから我々生産者消費者団体でお互いに提携関係があるところ、それぞれできるところで大いに努力して発展させていきたいな、そのための国の支援もよろしくお願いしたい、こういうふうに思います。
  143. 阿曽田清

    阿曽田清君 いわゆる国際基準を適用していくということになってまいりますと、日本の場合には非常に国土が狭いし、かつ全国に、先ほどから話があっておりますように、水と土の環境問題、さらにはダイオキシン等々の問題があります。  私の友人がこう言っていました、日本で有機農産物は育たないよと。仮に育っても、アメリカやカナダが本当の有機農産物ですかという問いかけをしてきたときに、日本はひとたまりもないよ、近くにそういうダイオキシンが飛んでいるんじゃないかと。アメリカは百キロ以上離れたところに何ぼでも有機農業をやれるところがあるんだという話を聞きまして、ちょっと唖然としたんですが、そういうようなことを考えたときに、先ほどから申し上げますように、特別栽培農産物というものをしていくのも容易ではないんですね、労働力が相当要りますから。だけれども、今後そちらに重点を置いた進め方の方が現実的ではなかろうか、日本において。ですから、国際基準もどんどん厳しくなっていくことさえ心配をするんですが、伊藤さん、実際に実験されている上においての将来の見通しも踏まえて、教えていただきたいと思います。
  144. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 私たちが知らず知らずに農業をやってきたことが間違いなく環境を壊してきた、環境の破壊者だったという認識は強くあります。ただ、その農薬を私たちに使えというふうに出してきた人たちは確信犯ですから、私たちよりも悪いはずだというふうに思います。  いずれにしても、そういうふうな状況ですから、今の大地を守っていくには農薬、化学肥料を減らすという努力を一人でも多くの人にやっていただかなければいけないという点では特別栽培農産物への挑戦というのは重要なことであろうというふうに思います。ただ、私も含めてですけれども、できればすべてを使わない有機栽培を目指したいというのが本音でございます。  ただ、先ほど来言いましたダイオキシンの問題もそうですし、それから実際に手を下している空中散布の問題も、今後、損害賠償事件として有機農業者から請求があるというのは確実なことだというふうに思います。
  145. 阿曽田清

    阿曽田清君 最後に、本間先生にお尋ねします。  原産国表示あるいは生産地表示、そのときに、国内の生産地表示は我々大いに結構だと思うんですけれども、原産国表示の中に、例えば冷凍食品あたりがタイや中国でもう九〇%、一〇〇%でき上がってきている、それを国内に入れた時点で味をつけてパックして、そしてそれで原産国表示がなくなって製造元の表示になっていく、国内生産になっていく。あるいは韓国や中国から入れたアサリ貝、あるいはウナギでもそうだと思いますが、一たん日本に輸入しておいて、そして日本の海で二、三カ月飼って、そしてそれを出すと。  これは原産国表示としてどの割合までだったら原産国、その国と表示しなければならないのか、それはどういうふうに御議論されたのでしょうか。どういう御見解をお持ちでしょうか。
  146. 本間清一

    参考人本間清一君) 御質問の件に関しましては確かに議論がございました。要するに、最終加工がなされた場所をその生産地なり生産国とするという取り決め、それに基づいてなされるわけでありまして、まさに御質問の趣旨の議論は大変活発にございました。  ですから、生産行程からいきまして九五%、九〇%以上がなされているのに最後の一〇%をもってそれとするかということに関しましては、これはやはり商品によっては議論されてしかるべきだと私は考えております。個人として考えますが、確かにその議論はございます。
  147. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 先ほど来質問されている中で、このことも耳に入れていただきたいことがあるんです。  先ほど言いましたように、アメリカですと、ヨーロッパもそうですが、五ヘクタールとか十ヘクタールが一区画なんです。そうすると、緩衝地帯というのが設けられます。日本の場合は隣の人と二十センチとか三十センチぐらいの畦畔というくろがあって、それがほかの人との境なんです。そうすると、片方の人が慣行栽培をした場合、こっちは、では五メートル、六メートル、八メートルの緩衝地帯といったら中しんだけになって、もう有機農業の産物というのはないわけです。そこの区別がこれから極めて大変になると思うんです。  そういうことを考えると、これからの政令、省令という中できちっとしたお答えを出していただきたいというふうに御要望したいと思います。
  148. 石井一二

    ○石井一二君 最後の質問者でございます。ひとつよろしくお願いをいたします。  まず最初に、伊藤幸吉参考人にお伺いをいたします。  あなたの牧場における三つの柱として、家族経営を守る、こういう一つの旗印がございます。島の名前は言いませんが、先般、西郷隆盛が流されておったあたりの島へ行くと、農家の方から、外国人でもいいから何とか嫁さんを探してくれぬかなというような陳情を受けまして、はっと心を打たれたものがございます。  そういった意味で、山形県も必ずしも大都会じゃないんですが、あなたの提唱しておられる農業、これと若者の興味の度合い、集まりぐあいというのは、いつか皆老いていくわけですから後継者が要る、そういう面でどのような分析と自信をお持ちか、端的にお伺いしたいと思います。
  149. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) 幸いにして、今のところ米沢郷牧場ではお嫁さんをちゃんともらって生活しておる、若い人はほとんどそうなっております。私の子供も二人、大学を卒業させてもらって、二人とも有機農業で実際頑張っております。だから、何か世の中でいいことをしているとか、自分がやりたいことが信頼されるとかというふうなことがあれば、多分やっていく人が多くなるんじゃないだろうかと思います。  無茶々園のところでも、東京やいろんなところから愛媛まで行って農業をやるという若い人がふえていますから、そういう点では環境保全型についてはかなり根強く考えておられる人が出てきたというふうに思います。
  150. 石井一二

    ○石井一二君 あなたの提唱されておりますBMWシステムとか技術ですが、専門書等を読んでおりましても、正直申し上げてよくわからないんです。ひょっとして自動車の名前かなんて最初思ったりしました。一口で、一分以内ぐらいでそこのポイントを言っていただけますか。長くならないようにお願いします。
  151. 伊藤幸吉

    参考人伊藤幸吉君) Bはバクテリア、Mはミネラル、Wはウオーターの略でして、ミネラルとバクテリアを有効に使っているということです。  私のところには農水の本省からも三回ぐらい来られました。東北農政局長さんも来られました。月に二十から二十五団体が全国から来られています。  私の牛舎から出た段階では飲んだり食ったりできませんけれども、農場から外に出す段階では、小便は飲めます、ふんは食べられます、そういう状態で循環をさせます。その循環はみそ蔵と同じで、農薬を使わない、抗生物質を使わない、薬品を使わないという農業の中でしかその連鎖、輪は保てない、鎖は保てないと思います。
  152. 石井一二

    ○石井一二君 次に、齋藤参考人にお伺いいたします。  先ほど御公述なさった中で、コーデックスの基準で三年間ということに非常に憤りを感じておられたと思いますが、私はあなたのおっしゃることは必ずしも正しくないと思いますのは、今までいい土地だったけれども、そこで農薬等を使ったから、ひょっとしたら五年の場合もあるだろうし、使った量とかによりますし地形にもよりますけれども、いろんな観点から三年ということを決めたわけですが、三年がいかぬというならば何年だったらいいんですか。全くそれは必要ないとおっしゃるんですか。端的にお願いします。
  153. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) 先ほども言いましたように、私は有機農産物の基準そのものの定義がおかしいと思いますから、三年ということとか、では何年だということについてはないと思います。  そういう面では、まさにそれぞれの地域で農薬や化学肥料をどう減らして環境保全型の農業を頑張るかという、そこのところの目標をはっきりさせることだというふうに思っています。
  154. 石井一二

    ○石井一二君 あなたはコーデックスの基準が気に入らぬと、こういう意見だと思いますが、ISOの基準についてはどう考えておられるか。  特に、FAOとWHOの合同食品規格委員会で我が国は極めてお粗末な対応をしている。例えば、執行委員会にも全然入っていない、部会長もとっていない。私はISOの研究をしている者ですが、ISOでも同じようなおくれがある。今日、日本経済が二流国家に成り下がるようなJIS自体をあきらめてISOに切りかえなきゃいかぬ、そのために多大なコストがかかるというような状態を招いておりますが、コーデックスに対して日本政府はいかに取り組むべきか、抽象論じゃなしに具体的にお答えをいただきたい。  例えば、九八年九月十八日付の総理の諮問機関である食料・農業・農村基本問題調査会の答申に対する五つの条項にもあなたは強い反対の意向を示しておられる。何でも反対やとは言いませんけれども、それにはそれなりの科学的な根拠をもって物を申していただきたいと思いますが、端的にいかがですか。
  155. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) ISOに関しては、私は農民ですので全く研究もしていませんし、わかりません。  コーデックスの基準について私が大変危惧をしましたのは、日本とヨーロッパという、公述でも言いましたけれども、自然の違いを全く同一視したということとあわせて、今度の問題でどうも気になりますのは、JAS法というのは生産した商品、品質を保証するものだと思うんです。そういう論議をしているんだと思うんです。ところが、私が手に入れたステップ六の資料では、生産過程の中で農薬や化学肥料を使わないことを保証しているのであって……
  156. 石井一二

    ○石井一二君 私の質問から外れていますよ。JAS法については聞いていない。コーデックス。
  157. 齋藤敏之

    参考人齋藤敏之君) いや、コーデックスです。  コーデックスのステップ六の文章に、生産過程の中で農薬や化学肥料を使わないことを保証しているのであって、消費者が食べるときに化学物質の残留がゼロだということを証明しているのではない、要はシステム認証なんだと、こういうことを言っているわけですね。私は、これについてはどうもちょっと論議が違うのではないだろうかということから、いろいろ調べていくうちにそういうふうになりました。
  158. 石井一二

    ○石井一二君 本間先生にお伺いいたします。  今、改正案審議いたしておりますJAS法を一歩先取りする格好になるかと思いますが、先生は遺伝子組みかえ食品の表示に関していろいろ御意見をお持ちだと思います。この問題について、将来的にかくあるべきだというようなビジョンがあればひとつ端的にお教えをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  159. 本間清一

    参考人本間清一君) これにつきましては、特別委員会が設けられまして鋭意検討のさなかでございます。この問題は、サイエンスの技術の理解のされ方というふうなことに特質があるように考えます。いわゆる専門家としては、安全である、どこがその生物の仕組みにおいて問題があるんだという意見と、もう一つは、なぜ不安に思うのかという、そこの技術の解釈の仕方で、これは明治から始まって文明の利器が入ってきたときにいつでもあった問題だと私は思います。  私個人といたしましては、これはなぜ不安に思うかということに対して丁寧に対応していくということの方がその技術が社会に迎え入れられやすい、定着されやすい、そして多くの支援を受けた技術発展がなされるのではないかというふうに考えます。  したがいまして、もし私個人の見解ということで申し上げてよろしいのであるならば、やはりこの表示というふうな対象の中に一度考えてみるのはいかがなものかというふうに個人として考えます。
  160. 石井一二

    ○石井一二君 先生が日本栄養・食糧学会誌の九八年のボリューム五十一の三に論文を書かれているんですが、その中には微生物の利用ということを非常に大きくうたわれておる。微生物でも恐らく非常に小さいものだと思うんですが、将来、この利用についてどのような食料革命が起こるとお考えになっておるか。また、微生物というのはどのぐらいの大きさなんですか。例えば、ナノとかピコという一兆分の一とか十億分の一という表示がありますね。こういったものを使ってそれを表現することができるのかどうか。その辺、御意見はいかがですか。
  161. 本間清一

    参考人本間清一君) まず、一番最後の件でございますが、これは通常の小学校に置いてある顕微鏡のいいものであるならば、のぞいて見ることができるというふうに考えます。  先ほどたくさん議論がありました有機農業ということにつきまして、これはいわゆる地力の生産、すなわち工業でいえば工場に相当する生産の場だと思いますが、そこには多くの微生物あるいは虫、ミミズといったたぐいの生物がたくさんすんでおります。そういうふうなものの関与があって初めていい地力ができる、そして農産物の生産の安定性がいいということだと私は大学時代に学んでおります。  そのようなときに、やはり微生物の関与というのは大変大きいものと考えますし、また土の中ばかりだけではなくて、その持っている潜在的な生物としての利用というのは、例えば資源をそこからつくり出すというふうなものにも利用できるわけでございます。  したがいまして、このような生物を活用したいろいろな技術、例えば遺伝子組みかえというふうなものもきちんとした科学的な冷静な評価をもって国として検討していくべきものではないかと考えます。
  162. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  163. 野間赳

    委員長野間赳君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人方々は御退席くださって結構でございます。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  164. 野間赳

    委員長野間赳君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  165. 野間赳

    委員長野間赳君) 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案及び農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  166. 三浦一水

    ○三浦一水君 自民党の三浦一水でございます。  最初に、卸売市場法について幾つか御質問させていただきたいと思います。この市場法は昭和四十六年に制定をされて、今日まで制度面での変更がないという立派な法律であります。その間、生鮮食料品流通中心的な役割を担ってきたわけでありますし、また価格形成の面におきましても重要な役割を同時に担ってきたと言えるのではないかと考えております。ところが、近年の生鮮食料品流通をめぐっては、いわゆる川上、川下両面におきまして非常に大型化が進んできているというような変化がございます。その中で、卸売市場もこうした変化に対応することが求められての改正かと考えております。  まず、大臣にお聞きしたいところでありますが、今回の改正について、何をねらいとしてこのような措置を講じてこられたのか、お尋ねをしたいと思います。
  167. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先生御指摘のように、卸売市場国民生活に不可欠な生鮮食料品等流通拠点として重要な役割を果たしてきております。  しかし、近年、産地大型化の進展、大型小売店等の発言力の高まり、流通の多元化に伴う市場流通の拡大、市場の取扱高、取扱金額の減少等による市場関係者経営悪化等が見られ、卸売市場機能低下とそれに伴う生鮮食料品等の安定的な流通確保に対する懸念が高まってきておりまして、卸売市場の健全な発展とその活性化が急務となっております。このため、関係事業者の経営体質強化、公正、公開効率的な売買取引の推進、卸売市場の再編の円滑化等のための措置を講ずることとし、本法律案を提出したものでございます。  卸売市場の役割といたしましては、生鮮食料品等は腐りやすく、豊凶変動が激しい等の商品特性があること等から、消費者への迅速かつ効率的な生鮮食料品の提供、生産者に対する確実かつ迅速な販路の提供、流通小売業者等に対する取引の場の提供という役割を適切に果たしていくことが必要であります。  卸売市場においては、多様な品目、品質の品ぞろえを確保する品ぞろえ機能全国産地から大量単品目の生鮮食料品等を集荷し、これらを組み合わせて少量多品目へ、いわゆる消費者ニーズにこたえるために迅速、確実、効率的に分荷し、配送する集分荷・物流機能、蓄積された需給情報をもとに迅速かつ公正な評価による透明性の高い価格形成を行う機能販売代金の迅速、確実な決済を確保する機能等が十分に発揮されていくことが今後必要だと考えております。
  168. 三浦一水

    ○三浦一水君 たくさん言っていただいたわけでございますけれども、その中に私はどうも感じ切れないのは、生産者の視点がどのぐらい盛り込まれながらこの法改正に取り組みをなさってきたかなというのが、ちょっと聞いていてもぱしっと受けとめができないような感じがいたしております。  そこで、その点についてもうちょっと御説明をいただけませんか。生産者の視点ということではどのように取り組みをされていくのか。
  169. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) もとより、生産から流通、消費に至る一連の流れでございますから、卸売市場における生産者の役割というものあるいは生産者の期待、これは非常に大事なものでございまして、生産者に対し、腐りやすい生鮮食料品等を無条件で委託を引き受け、確実かつ迅速な販路を提供するという重要な役割を果たしており、また販売後、速やかに代金を支払う決済機能生産者にとって大きなメリットがございます。  今回の改正は、このような生産者にとって卸売市場が果たしている役割、機能を今後とも卸売市場が十全に果たしていけるようにするため、その新たな展開と活性化を図ることを基本としております。  具体的には、生産者の要請を踏まえつつ、受託拒否の禁止等の基本的な規定は維持するとともに、新たに生産者に対する販売・決済機能を支えている卸売業者仲卸業者経営体質強化と、卸売市場における確実かつ迅速な決済確保のための規定の新設を図ることとしており、これらは生産者団体要望に即したものであります。  また、取引方法につきましては、これまで一律に法律で決めていたものを、市場ごと品目ごとの実情に応じて決めることとし、相対取引等についても一定担保措置を講じつつ弾力的に対応できるようにしたところであり、これらにより生産者から要望のある指し値などへの弾力的対応や販路の拡大が可能になると考えております。  さらに、卸売業者に対し取引方法ごとに価格及び数量の公表を義務づけることにより、生産者に対する取引結果の公開を一層進めることとしております。
  170. 三浦一水

    ○三浦一水君 大体もう先で聞きたいことも全部言っていただいたような気もするんですけれども。  私は、党の農林の場でも大臣のいろんな所見を伺ってきましたし、全国の農家はもちろんでありますけれども、なかんずく御地元の北海道の農家を考えられますときに一番考えるのは、そこの農家が十分な所得が確保できて再生産ができるか、そして後継者も、先ほどあった嫁さんの問題もまたこれありということだろうなと考えております。しかし、今の大臣のお話の中にも、そういう生産者の所得という面でこの法案改正がどういう影響があるのかというのが全然触れられていないというのが、私、与党でありながら若干不満であります。  もう一回その辺、大臣御自身の考えも含めてお聞かせいただければと思います。
  171. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、大臣から御答弁ありましたように、今回の改正といいますのは、消費者の視点、また生産者の視点も重視した改正になっているわけでございます。  御案内のように、生産者は自分が努力してつくったものをできるだけ高く市場で評価してもらって流通するようにする必要があるわけで、それを望んでいるわけでございます。そのためにどうしても生産者としては、コストを積み上げてこれぐらいの値段で売ってもらいたいという気持ちがあるわけでございます。それを今回、相対取引というものを導入することによりまして、生産者サイドから最低これぐらいで売ってほしいということを卸売業者に依頼することが円滑にできるようにしたということが一つでございます。  また、生産者にとっては、販売を委託しました卸売業者が、こういう経済事情でございますので、例えば仮に倒産ということになりますと代金が回収できないわけでございます。そのために、卸売業者あるいは仲卸業者経営体質強化を図って、そういう倒産等による取りはぐれがないようにするということが二番目でございます。  さらに、卸売市場を通じました取引の決済が確実に行えるための規定整備したものでございまして、これらはいずれも生産者にとってのプラスとなる面だろうというふうに考えているところでございます。
  172. 三浦一水

    ○三浦一水君 一番最初に言われました、生産者側が希望の価格を提示していく、指し値ということで言われたかと思うんですが、これにつきましては、米でもほとんど機能していない指し値というものが今後、市場取引の中で機能していくのかな、大きな疑問が私もあります。  それは基本的に、川下、川上と申しておりますけれども、いわゆる川下の規模の大きくなり方、いわゆる量販店の形態に見られますような小売形態の変化と、いわゆる生産者側の規模の拡大のもともと次元の違いというものがあり過ぎる。いかに市場関係者が仲介に立ったとしても、そこでのいわゆるビジネス上の力関係というのは明々白々なものがあるのではないかと考えております。  その点をもう一回、どのようにお考えか。私は、指し値を通していくというのはその力関係の差からなかなか難しいと見ておりますけれども
  173. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生御指摘の点でございますが、基本的には卸売市場におきます価格といいますのは、全体の需給あるいはユーザー等のニーズに応じた品質のものを提供できるかというようなことにかかっているわけでございまして、それを全く無視した指し値というのは難しいと思います。  しかし、全体の需給の中で消費者ニーズの高いもの、産地が苦労してつくったものをコストに見合った価格で売ってくれということは通常あるわけでございまして、できるだけそれにこたえるのがいわば卸売業者の腕といいますかビジネスだというふうに考えられるわけでございます。  なぜならば、通常、卸売業者の利益といいますか収入といいますのは、委託販売ですので、卸売価格が高いほど手数料が多くなる仕組みでございます。したがいまして、卸売業者も意図して販売価格が高くなるようなことを通常考えるわけでございまして、それは双方の利益が合致するわけでございます。  また、市場には、今、先生の言われました大型店のみならず、いわゆる八百屋さん、魚屋さんといったような専門店も入って買い出し人として来ているわけでございますし、また買参人として加わってもいるわけでございます。そういう人たちは需給それから品質を的確に評価して価格をつけるわけでございますので、そういう面からも必ずしも大型店の意向が一方的に市場においてまかり通るという状況ではないということを御理解いただきたいと思います。
  174. 三浦一水

    ○三浦一水君 おっしゃることはわかります。現状で生産の委託販売ということについて、卸、仲卸の機能というのはよくわかるんです。しかし、これはビジネスでありまして、要は、仲介する者としてはこの商売がまとまればいい、相対においては余計そういう性格が強くなってくると私は見ております。  それであるならば、価格が多少下がろうがスケールが確保できてハンドリングチャージが確保できるという判断に立つならば、何も今の卸、仲卸の業者の方々がそうだとは言いませんけれども、これは可能性としてそれが下がっても商売をまとめるということに走ってもおかしくないという懸念が持たれるわけです。  それはその程度にしておきますけれども、もう既に相対取引の問題に入っております。  相対取引の比率が高まってくる、今後これが法律の中で一般化されれば余計高まってくるだろうと。そのときに、いいものが先取りをされていく、先取りですからいいものがとられるのは当たり前なんです。その状況の中で、建て値を形成すべき競りにいわゆるいい等級のもの、いい階級のものが回らなかったとするならば、生産者は大変不幸な目に遭うと言わざるを得ないんですが、その点はどのようにこれに歯どめをかけていくのか、まず認識を伺いたいと思いますし、歯どめに対する考えがあるならばそれも含めてお答えいただきたい。
  175. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 卸売市場におきます売買取引方法でございますが、今回の改正案開設者が卸、仲卸あるいは買参人等の利害関係者意見を聞いて、品目ごとに三つの方法を定めております。  一つは、競りまたは入札方法でございます。二番目は、一定割合競りまたは入札方法といたしまして、その他の部分につきましては競り入札または相対というものでございます。三番目は、競りまたは相対という方式でございます。これらを品目ごとに業務規程、つまり条例で定めることになるわけでございます。  このうち、一定割合競り売りまたは入札とするもの、つまり最低競り数量というふうに呼んでおりますけれども、これにつきましては、当該品目につきまして競りを行いまして、相対取引の指標となります価格をいわば建て値として形成するという機能、あるいは特に小規模な小売業者等にとりましては競りによりまして必要な物品を確保する、そういう機会を確保するということをねらいとするものでございまして、先ほど申し上げましたように業務規程、これは条例で定めますが、業務規程で品目を指定して設定されるようになるわけでございます。  この場合、最低競り数量についてでございますが、まずそれを設定すべき品目につきまして開設者が利害関係者意見を聞くということ、また先ほど申し上げましたように、議会の議決を経た条例である業務規程で設定するものでございますし、さらにこの業務規程につきましては農林水産大臣が認可するということになっているわけでございまして、これらの手続を通じまして適正な品目設定が行われるというふうに考えているわけでございます。  また、具体的な運用に当たりましても、競りを行う割合を定めるに当たりましても関係者意見を聞くと同時に、品目なり等級ごとの需給なり取引実態を十分踏まえまして、特定の産地、品目が不当に差別されたりあるいは不公正な価格形成が行われることがないように、開設者等を十分指導してまいりたいというふうに考えております。  また、個別に問題事案が生じた場合には、開設者あるいは卸売業者に対しましてその是正を図るように十分に指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  176. 三浦一水

    ○三浦一水君 答えはできるだけ簡潔にお願いいたします。たくさん質問があります。  今の話の中で、数字を言ってくださいよ、最低競り数量というのはどういう目安でやっていくのか。  それからもう一つ、答えが長いのでもう一つ追加してください。数量割合に対して品質的な割合をいわゆる最低数量の中に込んでいくかどうか。僕は込んでもらいたいと思っております。例えば、等級でいうなら秀、優、良、あるいは階級でいうならL、M、S、こういう一定の品質割合というものを最低競り数量の中に求めるかどうか。端的にお願いいたします。
  177. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 競り割合を何%にするかということは品目によりまして、また市場によりましても違いますので、これは一概に言えないと思います。  ただ、その際に、全体の需給がその競りに反映されるようにする必要があるわけでございますので、特定の等級のみを出して競りにかける、そういうことはないように十分指導したいというふうに思っております。
  178. 三浦一水

    ○三浦一水君 信頼すべき農林省ですから、指導はしっかりやっていただき、我々も信頼したいと思うんですけれども、これはきちっとやってもらいたいと思います。そうでないと、ほかに歯どめがないということを十分御認識いただきながら進めていただきたいと思います。  次に、同じ意味合いではございますけれども市場取引委員会を、意見を広く聞くという意味合いで任意設置ということで法案は織り込んでいるようでございますが、これについては義務づける考えはないんですか。
  179. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 市場取引委員会についてでございますけれども、これにつきましては地方分権を推進するという観点から任意設置としているわけでございます。法律上、先ほどの取引方法等の業務規程の変更につきましては利害関係者意見を聞くことを義務づけておるわけでございまして、実際には、それにかわるものとしてすべての市場におきましてこの取引委員会設置されるものというふうに想定しているわけでございます。  任意設置でございますが、卸売市場法に基づきます卸売市場開設運営協議会も実際にはすべての卸売市場設置されているところでございます。
  180. 三浦一水

    ○三浦一水君 加えて、その市場取引委員会の構成の中に生産者の代表的な方を入れていくことについてはどういうお考えですか。
  181. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 生産者卸売市場売買取引に関する利害関係者としまして、これは開設者が選任するわけでございますが、開設者判断によりまして市場取引委員会委員になることはもちろんできるわけでございます。  他方、市場取引委員会委員生産者を任命することにつきましては、卸売市場全国各地の生産者取引先としているわけでございまして、だれを代表として選定するかという実務上の問題、あるいは生産者の意向は受託契約約款等を通じて卸売業者との日々の取引関係を通じて反映されているようなこと、さらにはこの委員会を随時開催されるに当たって支障がないかどうか、そういった事情も留意する必要があるわけでございます。  いずれにしましても、開設者に対しまして、それぞれの市場ごとの実情を踏まえて、生産者の意向が卸売市場取引に適切に反映されるよう十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  182. 三浦一水

    ○三浦一水君 ということは、入っても構わないと。ただ、選びにくいんじゃないかということも含めてですね。  しかし、さっき私が相対取引の部分で話しましたように、仮にすそ物が競りに比較的多く回るとそれが建て値になっていく、そして相対取引価格を引き下げる要素になる、またそれを繰り返すということが起きていくならば、これは最悪です。そういう状況の中では、生産者は、品目は違ったとしても共通の課題として、市場の一つの構造的な問題としてそれを監視できる要素は十分にあるというふうに考えております。  私は、選び方は検討するにしても、ぜひ生産者の代表を入れるべきだと御要請を申し上げておきたいと思います。  それから、表示の問題についてお尋ねをしたいと思います。原産地表示の問題であります。  我々も、基本法の論議を通じまして、あるいは表示のあり方ということでは本当に各党熱心な議論をし、その表示をすべきといったようなことで議論をしてきたかと思っております。そういう中で、今回、原産地表示が義務づけをされるということはこれ以上の歓迎はないわけでございます。  しかしながら、加工品に対して、その表示を明確にするというような内容になっていないようでございますが、その点はどのようにお考えでありますか。
  183. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御質問のいわゆる加工原材料の原産地表示の問題でございますが、これにつきましては、現在、食品流通局におきまして検討会を設けまして検討を開始しております。  まず、特に消費者からの要望の強い梅干しそれからラッキョウにつきまして、どういう形での原料原産地表示をすべきか、あるいはする必要があるのか、そういった点を生産者あるいは消費者、あるいは都道府県なり、さらにはメーカー等も入れた検討会によりまして現在検討を行っているところでございます。
  184. 三浦一水

    ○三浦一水君 ちょっとジグザグして恐縮なんですが、一つ項目を漏らしてしまいましたので。  さっきの市場法の話に戻させていただくんですが、きょうの参考人お話を伺っておりまして、その中に、取引形態によって取扱手数料というもののやり方を今後見直していくべきじゃなかろうかといったような話がございました。  当然、相対取引ということになってその諸掛かりが軽減をされてくるならば、そこで発生すべき手数料というものも引き下げられてという意味を込めてでありますが、それについてはどのようなお考えをお持ちですか。それを最後にお聞きしまして、私の質問を終わります。
  185. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 御案内のように、卸売業者にとりまして委託手数料といいますのは主な収入源でございますし、手数料率が高いほど卸売業者の収益は増すわけでございますが、他方、出荷者にとりましてはその分だけ手取りが減るということになるわけでございます。  それで、この手数料の水準につきましては、卸売業者の財務の健全性の維持、それから出荷者の手取りの確保、さらには出荷奨励金なり完納奨励金という形で各種の奨励金が出ているわけでございます。それとの関係等を考慮して慎重に検討していく必要があるだろうというように思っております。  この市場法改正のもとになりました生鮮食品等流通問題研究会におきましても、この手数料問題につきましては、今後、卸売市場関係者経営体質強化の進展状況を見つつ中長期的課題として検討していくことが適切と考えられるという指摘がなされているわけでございます。  今後、この第七次の卸売市場整備基本方針等につきまして食品流通審議会の卸売市場部会で検討するようにしているわけでございますが、そうした場などにおきまして、以上のような点に留意しながら議論、検討してまいりたいというふうに思っております。
  186. 三浦一水

    ○三浦一水君 ぜひ検討すべきということの私の意見も申し添えまして、質問を終わらせていただきます。
  187. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まず、JAS法の関係についてお尋ねしますが、原産地表示がなされる、これは消費者から見ても大変に好ましいことだと思いますが、具体的にどういう内容で表示がされるのか。青果物、肉、魚について違う取り扱いのようですが、そこの具体的な表示方法について説明していただければと思います。
  188. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 現在、品質表示基準に基づきまして青果物九品目につきまして原産地の表示を義務づけているわけでございますが、これは都道府県名、輸入品につきましては輸入国名で表示しているところでございます。  今回の改正によりまして、畜産物、水産物も含めまして、すべての生鮮食料品を原産地表示することになるわけでございますが、その表示方法につきまして、一律に都道府県名で表示するということは必ずしも流通実態なり消費者ニーズに即したものにはならないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  具体的に言えば、今後検討するわけでございますが、今考えております案としましては、青果物につきましては、国産品は都道府県名の表示、輸入品につきましては輸入国名を表示する。また、食肉につきましては、国産品は国産品である旨、輸入品は輸入国名を表示する。また、水産物には、国産品につきましては、これは魚種によって違ってくるんだろうと思うわけでございますが、都道府県名なり水揚げ港名なりあるいは漁獲した海域名など、また輸入品につきましては輸入国名なり海域名などが考えられるわけでございます。今後、生産流通実態を考慮いたしまして、関係者意見も聞きながら、告示等の段階で適切に定めてまいりたいというふうに考えております。
  189. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 肉について、国内産のものについては国内産と表示すればいいということですが、少しといいますか余りに大ざっぱ過ぎるんじゃないか。  例えば、牛肉ですと松阪牛とか但馬牛とかいろいろあるわけですが、場合によっては松阪地方でない松阪牛とか、但馬地方でないところの但馬牛とかいろんな問題があるわけです。やはり、肉について、都道府県あるいはそれに準ずるような原産地表示を命じた方がより消費者に対しては親切だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  190. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、食肉といいますか、その前の家畜といいますか、が移動するわけでございます。子牛の段階で、例えば九州で生産された子牛が北海道に行ったりあるいは東北に行ったり、そういう形で移動するわけでございます。そういったときに、どこで表示をするのが適当なのかというような問題もありますし、また品種につきましても、一体その品種をどう確定していくのかというような問題もあるわけでございます。  今申しましたように、食肉の表示のガイドラインで、食肉につきましては国産か、あるいは輸入の場合には輸入国名を表示するというのがガイドラインで行われているわけでございます。食肉につきましては、このガイドラインの考え方で告示を定めてはどうだろうかというふうに考えておりますが、もちろん生産流通関係者等の意見も聞きながら今後検討してまいりたいというように思っているわけでございます。
  191. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 魚についてお尋ねしますが、魚ですと水揚げした港を表示しても余り意味がないんで、どこの海域の魚なのか、近海なのかあるいはどこかはるか遠い海域なのか、その海域に意味があると思うんです。  ですから、その表示は海域を中心にして表示することにできる限り統一していただきたいというふうに考えるんですが、その点はどうでしょうか。
  192. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 魚につきましても、種類によって違ってくるんだろうというふうに思っております。例えば、養殖物であれば都道府県を消費者の方は望んでいるんじゃないかというふうに考えられますし、また沖合物であれば水揚げ港、さらに遠洋物であればそのとれた海域というのが基本的な考え方になるんじゃないかというふうに思いますけれども、これもまた生産流通関係者等の意見も聞きながら告示を定める段階で検討してまいりたいというふうに思っております。
  193. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ちょうど今話に出たんですが、養殖の魚、要するに自然の魚ではなくて養殖の魚については、養殖魚類であるという表示を義務づけるという考えはどうでしょうか。
  194. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) どの範囲の養殖を対象にするかというような議論もあるかと思いますので、それらも含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
  195. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それから、表示を義務化するということで、それは基本的には大変賛成なんですが、ただその表示の方法が余り流通コストに加算されるような過度な義務を課しますと流通コストがかさんで、それが価格転嫁となって消費者に不利益になるというようなケースも考えられないわけではないと思うんですが、そこら辺の表示方法流通コスト関係について説明していただければと思います。
  196. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 原産地表示制度の実施に当たりましては消費者ニーズにこたえるという点が基本でございますけれども、他方、販売店等にできるだけ負担をかけないようにする方法が望ましいわけでございます。  したがいまして、原産地の表示の仕方を弾力的なもの、例えば先ほど議論がございました食肉等の表示の仕方、あるいは弾力的に行うというようなこと、また表示の際に販売店でシールなりカードなり、場合によりましては立て札等、そういった簡易な表示方法を工夫するなどによりまして配慮していきたいというふうに思っております。  また、これは予算措置でございますけれども、小売店等がこうした表示を行うための条件整備といたしまして表示機器、ラベルプリンターというものの設置等の予算措置も講じているわけでございます。  こうした措置を講じながら、産地側から表示シールなりカードなりを出荷物へ同封するなどの川上の協力体制も得ながら小売店の負担を軽減するように十分配慮していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  197. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 肉の点でございますが、先ほど、肉は移動するから原産地の表示は余り意味がないんじゃないかということでございました。  それで思うことですが、例えば和牛ですとA1からA5のように小売より以前の段階ではランクづけされて流通しておるわけです。であれば、今度は消費者販売する際にもそのままランクづけということを課していただければ、これは原産地表示と違いますが、消費者から見れば買い物の際に大変にわかりやすいということになると思うんですが、その点の検討をするというか導入するようなお考えはございますでしょうか。
  198. 本田浩次

    政府委員(本田浩次君) 食肉につきましては、小売段階での販売形態が部分肉や正肉という形でなっておりまして、幾つかの表示につきましての規定がなされております。  まず一つは、公正競争規約によりまして、ロースやヒレなどの部位でありますとか、量目、百グラム当たりの単価などを決める、こういうようなものがございます。それから、食品衛生法に基づきまして消費期限または品質保持期限、保存方法などを定める、こういったものもございます。それから、私ども農林水産省のガイドラインによりまして部位でありますとか輸入食肉の原産国を表示することが規定されている、こういう形になっております。  先生御指摘の食肉の格付でございますけれども、この格付につきましては、御案内のとおり、枝肉での食肉の品質規格でございまして、全国の食肉卸売市場などにおきまして出荷者、これは牛、豚の生産者でございますけれども、と買い受け者、食肉卸売業者であるとか買参人でございますが、の取引に当たって、品質に基づいた適正な価格設定などを行う目安として機能しております。  枝肉の格付は、具体的には脂肪交雑、それから肉の締まり、きめなどの肉質評価でありますとか、枝肉重量や皮下脂肪の厚さなど枝肉からどの程度部分肉が生産されるかを示す歩どまり水準などを卸売段階において総合的に評価するものでございます。したがいまして、消費者が購入する際の品質評価の基準となるものではない、こういう状況でございます。したがいまして、食肉の格付を直接小売段階の表示に使うことは私どもとしては適当でないと考えております。  しかしながら、食肉につきましては、先ほど御説明いたしましたように、小売段階におきまして種々の表示がなされており、それぞれの政策目的があるわけでございましてやむを得ない点もあるわけでございますが、流通関係者の負担になっていることも事実と思われます。したがいまして、できるだけ消費者の選択の利便に供するために、今回のJA法改正を契機といたしまして、食肉の小売段階における表示のあり方について私どもとしても検討してまいりたいと考えております。
  199. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 食肉の等級表示の点は直接原産地の表示と関係ないわけですが、どうも先ほどの御答弁ですと、原産地表示の具体的内容についてこれから検討するという説明でございましたが、法案を提案してその賛否を求める以上、追って定める省令についての具体的な内容、方針がないまま、まるで包括委任のようなそういう法案審議を求めることは立法府に対する大変な冒涜行為ではないかと私は思っております。そういう私の考えを申し述べて、次の点に参ります。  次に、有機農法の点に関してですが、まず有機農法のあり方あるいは今後の行政の取り組み方について、大臣の基本的な所感を教えていただきたいと思います。
  200. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 有機農法につきましては、先日、持続的農業の法律の御審議でもいろいろと御意見をいただきましたが、まず消費者ニーズが非常に高いのではないかということが一つ。それから、やはり生産する側もスタート段階でいろいろな障害があるかもしれませんけれども、中長期的にはこれは地球環境等々から見ても、また地力維持の観点から見ても、将来的には望ましい方向の農法ではないかという両面から、我々としては積極的に推し進めていかなければならないと考えております。  しかし、先ほど申し上げたように、有機農法を採用するに当たっては、例えば技術情報の提供の問題でありますとか、この場合には農薬にかわる天敵、いわゆる生物系の害虫を退治するようなもの、あるいはフェロモンといった技術情報の提供、また無利子の農業改良資金の貸し付け、あるいは堆肥等の有機物の供給施設整備に対する助成など、いろいろな施策を講じていかなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、消費者ニーズ、またこの問題に取り組んでいる意欲ある生産者に対してさまざまな支援措置をこれからも積極的に講じていきたいというふうに考えております。
  201. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今回のJAS法というのは流通の面からの有機農業に関する法律だと思うんですが、有機農業の生産そのものを育成する、そうした法律制定というものは考えていらっしゃるでしょうか。
  202. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 昨年の十一月に有機食品の検査・認証制度検討委員会の報告書をいただきまして、その中で、化学肥料及び化学合成農薬を使用しない、それから今までの栽培方法から有機栽培圃場への転換後、原則収穫前三年間、その土地をそういう形で維持し続けること、さらには農薬が飛んできたり、あるいは砂等が飛んでくることによる影響が生じないこと、さらには、先ほども申し上げました耕種系、生物系の防除あるいは物理的防除を適切に組み合わせていくことが基準となるわけでございます。  具体的には、JAS調査会で議決を経て、今後JAS規格として制定していこうという考えでおりますが、おおむね有機農業関係者あるいは流通関係者消費者の合意をいただいたものであり、またコーデックス委員会検討されておる国際規格にも合致したものであるというふうに考えております。
  203. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、特別な生産方法というのは直接には有機農業のことを言っていると思うんですが、これから農水省が省令で定める有機農業の基準の具体的内容は決まっているのか、あるいはまたこれから検討するのかもしれませんけれども、その方向づけ等を説明していただければと思います。
  204. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、大臣から御答弁ありましたように、基本的には化学肥料、それから化学合成農薬を使用しない栽培方法ということでございまして、原則としまして収穫前三年間、そういうものを使用しないということでございますし、またこの慣行栽培圃場からの適切な隔離対策等の基準でございます。これは、先ほど大臣から御答弁ありました昨年十一月の有機食品の検査・認証制度検討委員会の報告書の中にこの基準の項目があるわけでございまして、それにつきましては、この調査会に参画をお願いしました生産者あるいは消費者あるいは流通関係者も大体これでいいんじゃないかというふうな意見を伺っております。  また、それはコーデックスにも合致しておりますし、また現在の有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン、いわゆるガイドラインにも基本的には合致しているわけでございまして、ほぼこうした考え方でもって基準を定めてまいりたいというふうに思っております。
  205. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 コーデックスのガイドラインと合致しているということでございますが、コーデックスのガイドラインは、例えば有機について遺伝子組みかえの農産物については有機とは決して言わないということになっておりますが、それはそういうことでよろしいんでしょうか。
  206. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 昨年十一月のこの有機制度検討会の報告書におきましても、遺伝子組みかえによります種子等はこの有機農産物等には該当しないということが述べられているわけでございまして、その考え方を尊重していきたいというふうに思っております。
  207. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これは有機農産物について考えている法律ですが、有機という表示を今特別に予定している考えなんでしょうか。
  208. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 制度的には政令でもって指定をするような仕組みになっておりまして、当面考えておりますのは、有機農産物及びその有機加工食品であるということでございます。
  209. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、「有機」という言葉の定義といいますか、限定をすれば、それに紛らわしい表示をしてはいけないということになるわけですが、例えば自然農法とか無農薬とか低農薬とか、「有機」とは違う言葉はこれからは「有機」と紛らわしいということで禁止される言葉になるんでしょうか。それとも多少違うからいいということになるんでしょうか。
  210. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 要するに、政令でもって有機農産物及び有機加工食品を指定した段階におきましては、それと紛らわしい表示をすることができなくなるということでございます。  どういうものが紛らわしいのかということは、これは社会通念によって決まってくるわけでございますが、減農薬なり減化学肥料といったようなものの扱いをどうするかにつきましてはこの有機制度検討会でも議論になったわけでございまして、早急にその内容検討して、そうした表示の仕方あるいは認証の必要性などについて検討するようにと報告書で指摘されているわけでございまして、そういうふうに取り組んでいきたいと思っております。
  211. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まず、有機農業を行う農家の実際の我が国における経営実態、これは私の感じているところでは非常に小規模な農家が多いのではないかと思うんですが、この辺は政府の認識ではいかがでしょうか。
  212. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) お答え申し上げます。  有機に取り組む農家の経営実態という御質問でございますが、なかなかストレートにこれにそぐう調査が実はないのでございます。それと、有機とか有機農業というのはきちっと厳密に使われていないケースもございます。ただ、そうはいいながらも、平成八年に私どもの方で調査をいたしましたものがございますので、それを御紹介申し上げたいと思います。  この場合は、全国から抽出をしましたいわゆる狭い意味の有機といいますか、肥料も農薬も全く使わないという方のほかに、農薬を減らしている、あるいは化学肥料を減らしているというような農家千九百戸ほどを対象にしまして調査をしたわけでございますが、八百戸ほどから回答があったわけでございまして、三点ほど御紹介をしたいと思います。  一つは、経営面積でございます。この場合の経営面積は、無農薬、無化学ということで御自身が申告といいますか、言っておられる方の経営の平均面積が大体二から三ヘクタールでございまして、有機栽培と御自身がおっしゃっている、つまり狭い意味の使っていないよとおっしゃっている分はそのうちの大体一から一・五ヘクタール、私どもの計算ではほぼ六割、つまり逆に言いますと、自分の経営全部をそういうふうにしているということではなくて、大体六割程度を肥料を減らしたり農薬を減らしたりという対象にしておられるということが一つでございます。  それから、作目でございますが、これはただ単に減らしているとかいうことで、無農薬というふうに狭い意味ではなくて、いわば広い意味の方八百戸全部でございます。一番多いのが水稲でございまして、大体そのうちの五割ぐらいの方、野菜が四割、果樹、お茶等が一割ということでございます。ちょっと数字がおくれて申しわけございませんが、八百戸といいますのは個人が四百六十九、それからグループが二百八十四、法人が四十八というふうになっております。  それから、経営状況でございますが、その中で無農薬、無化学でやっておられる中の経営状況を聞いておりますと、十分成り立っているとおっしゃっていますのは大体二割弱でございまして、何とか成り立っているという方を入れて大体七割程度ということでございます。これらの方々の四割程度が面積を拡大したいという意向を持っておられると承知をいたしております。  ただ、いかんせん、ちょっと質問事項等々制約がございますのと、先ほども大臣からお話がございましたが、新しい法律審議をお願いしている、あるいはそれが成立しました場合に必要な作業でございますので、本年度は内容を充実しまして改めてそういう調査を行うことにいたしているところでございます。
  213. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今、農地の面積等の規模は聞きましたが、その農業の従事者の数という面での規模はいかがでしょうか。
  214. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) どちらかというと、先ほどお話ししましたように、面積あるいは作目に着目しました資料だったものですから、今お話がございましたように、具体的な収支でございますとか、例えば経営の形態とか、そういうものにつきましていろいろ検討を加えた結果、もう少し充実した調査を今年度実施しようというふうに考えております。
  215. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 恐らく有機農業を行う農家は、農地も少ないと同時に、家族的な農業従事者という意味で小規模農家が多いと思うんですが、特に小規模農家にとって今回の有機の認定を受けること、そういったことが大きな負担にならないかというふうに不安を持っている方が多い。実際に、認定料がどういうふうになるのか、もしかしたら品目ごとに、それから圃場ごとにといって、多品種、少量生産の小規模農家にとって思いもかけない高い認定料の負担となってしまうような不安を持っている向きもあるわけです。  実際に、登録認定機関から認定を受けるに当たっての認定料の負担というものはどの程度のことを考えていらっしゃるんでしょうか。
  216. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) お答えします。  現在、民間団体によって行われております有機認証におきまして、その場合の認証手数料でございますけれども方式はいろいろあるわけでございまして、作目数に応じて料金設定をする方式なり、あるいは圃場の数に応じまして料金設定する方式、あるいは有機農産物の出荷額に応じまして料金設定する方式、それらを組み合わせた方式というさまざまな例があるわけでございまして、これに検査のための出張料などの実費を加えたものが手数料水準だというふうに聞いております。  今回、JA法改正によりまして、具体的に手数料につきましては政令でもって手数料の認可基準を定めるわけでございますが、それに従いましてそれぞれの登録認定機関が手数料を定めて農林水産大臣の認可を受けるということになるわけでございまして、その際には適正な手数料水準が確保されるように努めてまいりたいというふうに思っております。  したがいまして、具体的な手数料水準につきまして、現在幾らと申し上げるわけにはいかないわけでございますが、いずれにしましても登録認定機関がいわば競争をすることにもなるわけでございますので、余りにも高い手数料であれば農家の方が敬遠するということにもなるわけでございまして、そこはおのずから実費を勘案した妥当な範囲に収れんしてくるものではないかというふうに考えております。
  217. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 認定料について、認可基準というお話が今出ましたが、その認可基準はもう既に具体的に定まっているんでしょうか。それともこれから検討することなんでしょうか。
  218. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今考えておりますのは、手数料の額が当該認定業務の適正な実施に要する費用の額を超えないということが一つと、それから特定の者に対しまして不当な差別的取り扱いをするものではないというようなことを中心に考えております。
  219. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それから、認定料の金銭的負担以外に認定取得手続という事務作業が伴うわけですが、例えば家族的な農業を専門としてやってきた人たちにとって余り事務が得意とは思われないように思うんですが、そうすると手続が余りに複雑とか負担を与えるような方法になりますと、代書屋に頼まなきゃいけないとかそういうことになって、それがまた大きな負担になるようにも思うんですが、この認定取得手続のあり方についてはどのようなお考えでしょうか。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕
  220. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) この改正法案に基づきます格付の表示を行う場合に、生産行程管理者が登録認定機関によります認定を受ける必要があるわけでございますが、その際に、生産行程管理者が所定の事項を記載した申請書を作成しまして認定を申請することになるわけでございます。この場合に、個々の生産者が行う方式ももちろんあるわけでございますが、また生産者が組織する生産組合なりあるいは農協等がこの生産行程管理者になることも可能なわけでございます。  したがいまして、関係農家で組織する生産組合が生産行程管理者として申請やそのための資料作成を行うことによりまして個々の農家の負担の軽減を図ることができるわけでございますので、そうした取り組み、特に地域での有機農業生産の集団化への取り組みの推進などに対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  221. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 認定取得後も定期的な監査を受けなければならないと。その定期的な監査の内容と監査に伴う費用の負担、恐らく農家が負担することになると思うんですが、この辺の実際の負担がどの程度になりそうなのか、見込みを教えていただきたいのです。
  222. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 御案内のように、有機の検査・認証制度の運営に当たりまして一番重要な点は、表示された有機農産物の信頼性を確保する点があるわけでございまして、その点からの必要最小限の負担というのはやむを得ないものというふうに考えているわけでございますが、認定を受けた生産者に対する最低限の事後チェックとして、生産のため購入あるいは使用した肥料なり資材の記録がされているかどうか、また基準に定められた以外の資材が使われていないかどうか、また認定後、圃場の区分なり施設等の変更はないかどうか等につきまして認証機関からの監査が必要になるわけでございます。  実際の監査方法あるいは手数料等につきましては、先ほど申し上げました登録認定機関の業務規程の認可になるわけでございまして、その認可を通じまして透明性なり効率性を確保するようにしておりますけれども、要は、先ほど申しました実費等が基本になるというふうに考えているわけでございます。
  223. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これは大臣に質問ではなくて要望になるんですが、そうした認定取得の負担が余りに過大でありますと、農家のやる気がなくなる、あるいはコストに反映されてそれが消費者価格に転嫁されるというと消費者に不利益になるというような面がございます。  ですから、できる限りそうした農家の負担にならないような方向で考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  224. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先生御指摘のとおりでありまして、特にこういう有機農業の認定ということは、先ほど申し上げましたように、生産者消費者にとっても、また地球環境全体にとっても非常にプラスになることだと思います。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  しかし、手続の問題あるいはコストの問題等でなかなか、そういうことをやっても、ほかのコスト面、経営面で影響が起きるということのないように最大限我々も努力をしていかなければなりませんし、先生の先ほどの御質問の中で、これから決めることが随分多いじゃないかという御指摘がありましたが、率直に言って、私自身も、これから法案審議あるいはまたこれ以外にもいろんな検討会で現在御議論いただいている部分もいっぱいございますので、そういうものも含めて本来の目的にできるだけ合致したような法律、そして政令、省令等々を決めていき、またこの場を初めとする国会の場で、いろいろと御指導いただきたいというふうに考えております。
  225. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 次に、有機農産品について認定マークの表示が義務づけられておりますが、有機農産品についてだけ、つまり認定を受けた有機農産品だけ「有機」という表示をしていいということになっております。「有機」という表示をする農産品は必ず認定を受けておるわけです。ですから、「有機」という表示があれば、それは認定を受けているんだからそれで足りるわけでして、さらに同じ意味の認定を受けている「有機」ということを表示する認定マークの表示を義務づけるということは屋上屋を重ねるのじゃないか。むしろ、むだな負担を生産者なり流通過程で与えるのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  226. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、有機食品につきまして、先ほども御答弁いたしましたけれども、その表示の信頼性が確保されるためにはこれが一番重要なわけでございますけれども、その食品の生産が有機食品等の基準に合致して行われているということにつきまして公正中立な第三者によります検査・認証を受けたものであることが流通段階を通って最終消費者まで確実に伝えられることが不可欠なわけでございます。  この点につきまして、有機食品につきましての国際規格でありますコーデックス有機食品ガイドラインにおきましても、食品にオーガニック、つまり有機等の表示をするときには当該食品につきまして検査・認証を行った機関の名称が表示されていなければならないことというふうになっておりまして、確かに第三者機関によります検査・認証を得た食品であるということが消費者に伝えられる、そのために認証マークの表示を義務づけているわけでございまして、それは有機食品の信頼性を確保するための仕組みとして不可欠なものであるというふうに考えているわけでございます。  こうしたことから、改正案におきましては、有機表示を付すためには公正中立な第三者が検査・認証を行ったことを示します格付の表示が付されていることを要件としているわけでございます。
  227. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 コーデックスの場合には検査・認証機関のマークが表示されるわけですが、この法案改正案ではそうではなくて、統一マークが、つまり検査登録機関の認証マークでもない統一マークが義務づけられるわけですから、これは全然話の筋が違います。  私が聞いているのは、ですから「有機」という表示をする農産品は、必ず認定を受けた農産品でなきゃ「有機」という表示はできないわけです。そうでないものが有機と勝手に名乗れば、これは禁止されているわけですから、処罰されるわけですから、有機と名乗る以上、それはもう既に認定を受けた生産品であるわけです。一方、この認定マークは、認定を受けたことを証することを証明するものとしてシールを張ると。  そうすると同じ意味じゃないですか。有機と言って売る以上、それは認定を受けた有機なんです。それを、認定を受けたということを証するためにまたシールを張るというのは、全く同じ意味のことについてシールを張らせる、むだな義務を課しているんじゃないかと私は思うんです。そのことについて端的に答えていただきたいんです。
  228. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 小川先生に御説明の仕方として、例えば有機という構成要件として重要なものは、「有機」と表示されている農産物が果たして本当に有機かどうかということを第三者が認証しているというのが重要なわけでございます。認証したということを示すものとして「有機」という認証マークを付するということでございます。  それが統一でなくてもいいじゃないかという御指摘でございますが、個々の認証機関が独自に定めた場合には、実際にはこれは青果店等で表示をされた食品を販売することになるわけでございまして、それが果たして適正な格付の表示であるかどうか判断することが難しくなるわけで、また混乱を招くおそれがあるわけでございまして、統一的な表示のマーク、格付の表示を定めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、具体的な格付の表示のデザインにつきましては、従来の加工食品等において行われておりますJASマークとは別なもの、有機農産物にふさわしい格付の表示のデザインを決めていきたいというふうに思っております。
  229. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 またしつこいようですが、要するに「有機」と表示することは格付認定機関から認定を受けた農産品でなきゃ「有機」と表示できない。一方、格付認定機関から有機の表示を受けたことを証するために認定マークを張れということですから、「有機」と表示する農産品のその有機の意味と、認定マークを表示するそこに何か違いがあるんですか、その農産品について。
  230. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 逆に言えば、有機と認証のされたもの以外のものには、たとえそれが真正な有機なものであったとしてもそれはわからないわけでございます、第三者が認証をしていないわけでございますので。それは、そういう「有機」という名称表示ができないということでございます。
  231. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 くどいようですが、この認定を受けた農産品以外は有機と名乗ってはいけないんでしょう。この点はどうですか。
  232. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) かつ、認証の表示がなされている必要があるわけでございます。それでもって、第三者の検査・認証を経たものであるかどうかという区別をしているということでございます。それは、流通関係者等を経て消費者に行くわけでございますので、それが各段階で明らかになるためには認証マークが必要だという考え方に基づくものでございます。
  233. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 考え方を聞いているんじゃなくて、だから表示される農産品の有機という意味と、それからあなたが答えられている認定マークをつけなきゃいけないというその認定マークをつけるということの何か違いが農産品においてあるんですかと聞いているわけです。あるいは、認定の受け方において違いがあるんですかと聞いているんです、私は。
  234. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 有機表示の規制といいますのは、真正な有機食品が各流通段階を通して確実に消費者までその情報が伝わるということが必要になるわけでございます。それで、仮にその農産物がまさに真正な、真に有機の基準に合致してつくられたものであったとしても、認証シールがなければ、第三者がちゃんと確実にそれが有機だということを認めたというものがなければ、それが果たして真正なのかどうか一般消費者にわからないわけでございます。  したがいまして、この仕組みにおきましては、第三者機関が認証したものに格付の表示を付して、その付されたもののみに「有機」という表示ができるというふうにしているわけでございます。
  235. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 何回も議論をしてもしようがありませんから、私の方で結論的に言わせていただきますと、「有機」と農産品に表示されていれば、消費者は当然それはもう認定機関で認定を受けた有機農産品なんだという流通経路が確定するわけです。であれば、私は、認定マークの表示を義務づけることは、全く意味がないことをただ単に不必要な義務づけをさせて流通に余計な手間をかける、あるいはコストの転嫁の問題を起こさせるということになるのではないかと。ですから、この点は本来要らないことを義務づけているんだという私の考えを述べまして、今の押し問答的議論は終わります。  次に、認定の問題なんですが、例えば今の有機農産品の流通において、いわゆる流通過程に乗せて一般の消費者に売るというのではなくて、消費者グループとある有機生産者との間で信頼関係ができ上がっていて、認定とかそういったことは別に必要ない、この生産者生産品なら有機と言わなくても中身が有機なんだからそれでいいんだといって購入する、そういう今の有機農産品の流通といいますか、取引形態があるわけです。  このような場合、一般の流通過程においては消費者を紛らわす紛らわさないという問題が起きないんだから、既に買う消費者がそれでいいと言っているんだから、そういうケースにまで特に認定とかシールとかそういうことを義務づけることはないのではないかと。  ですから、そういう本来、消費者の保護という観点から見ても必要がないような例外的なケースの場合は、認定の必要とかシールの問題とかいうものは除外規定を設けてもいいのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  236. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、有機農産物につきまして、従来から産消提携によりまして生産者消費者の間の特別な信頼関係に基づきまして継続的に行われている、そういう形があるわけでございます。  その際に、具体的に、例えば消費者を現地に案内するその看板に、有機農業生産方式による実施農地というような表現であるとか、あるいは定期的なニュースレター等で有機という表現、あるいはパンフレットを配布する際にそのパンフレットに有機等の表現があったとしてもこれは今回の仕組みには何ら抵触しないわけでございまして、抵触するのは認証を受けていないのにそうした商品に「有機」という表示をすることなんです。  したがって、そうした産消の関係にある場合に何も表示をする必要がないわけでございまして、その農産物に「有機」という表示をする必要がないわけでございまして、ニュースレターなりパンフレット等によってそういう情報を消費者にといいますか、相手方に伝えることによって、引き続きそうした産消の、産直の円滑な関係は維持できるし、また発展させることも可能だというふうに考えているわけでございます。
  237. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今度、この法案によって認定機関が多数登場することが予想されるわけですが、ただ認定機関によって認定基準などの取り扱いに差が出る、基準そのものが違ったり、あるいは基準の運用の仕方などに差が出てばらばらになってしまうということが出ては困るんですが、そういうことが出ないような方策はどのように考えておられるのでしょうか。
  238. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 登録認定機関が生産者あるいは製造業者等につきまして圃場等の認定を行う場合には、生産のために購入した、あるいは使用した肥料なり資材の記録が整えられているかどうか、また慣行栽培農産物と混同が生じないような作業体系なり設備が整えられているかどうかといったような点につきまして的確な審査を行う必要があるわけでございます。  したがいまして、こうした審査に当たりまして、先生が言われました登録認定機関によってばらつきが生じないように、農林水産省におきましてマニュアルを作成いたしまして検査項目なり検査内容の統一化、標準化を図っていくということが一つ。また、それに基づきます適正な検査水準が確保されているかどうかにつきまして、業務規程の認可の段階あるいは登録認定機関を実地調査する段階等を通じまして適切にチェックしていくということによりまして、ばらつきが生じないようにしていきたいというふうに思っております。
  239. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 農水省の方でマニュアルをつくるということですが、そのマニュアルの具体的内容はどうなっているんでしょうか。
  240. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 具体的には、まず一つは認証の流れをどういうふうに把握するかということでございます。要するに、圃場での実地検査に当たりまして、例えば提出書類の記載内容の真偽、記載内容が正しいかどうかということ、また栽培計画なり生産行程管理計画が妥当であるかどうか、それから記録の作成なり保管状況が適正に行われているかどうか、またこの生産行程管理計画に基づきまして生産行程の管理を行っているということの聞き取りなりあるいは現地検分等によってそれを確認していくといったようなことなどでございまして、そうした統一的なマニュアルをこれからつくっていきたいというふうに思っております。
  241. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 要するに、これからマニュアルをつくっていきたいということですね。  次に、認定機関の中には、例えばこれも一つの営利会社ですから競争関係に入るわけです。そうすると、客寄せ行為のために甘い審査基準を設けたり、あるいは運用において必要以上に甘い判定をするというようなことがあってはいけないと思うんですが、そういうことがないような防止策はどうなっていますでしょうか。
  242. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今回のJAS法の改正によりまして、民間の営利法人にも検査・認証機関となれるようにしているわけでございます。この場合、そうした民間の営利法人におきましても認証業務が適切に実施されなきゃならないことは当然なわけでございます。  このため、検査・認証機関を登録するに際しまして、一つは、有機農業等についての専門的知識あるいは検査技術を有する検査員がいるかどうかなど業務遂行能力の審査。それから二番目に、認証業務におきまして特定の利害関係者、例えば特定の会社なりに強く影響を受けることがないような組織の中立性、独立性が保たれているかどうか。さらに、判定部門と検査部門とが独立していることなど、恣意的な業務運営がなされないような業務体制となっているかどうかなどにつきまして厳正な審査を行うようにしております。  また、登録後におきましても、定期的に農林水産省に対しまして認定業務の実施状況の報告を求める。また、原則として年一回、農林水産省によります認証機関の実地調査を行うことなどを通じまして認証機関の業務の信頼性の確保を図っていきたいというふうに考えております。
  243. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 有機農産品で、輸入の有機農産品についてはどのように取り扱うんでしょうか。
  244. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 輸入品の有機表示についてでございます。  有機表示の適正化を図るためには、輸入品につきましても国内で生産されたものと同様に、格付を受け認証マークの貼付されたもののみに有機表示がされて流通するように措置する必要があるわけでございます。このため、輸入業者は輸入品に認証マークが付されていない場合には、有機表示の付されたものを販売あるいは販売の委託をし、あるいは陳列するということはできないことと規定しているわけでございます。  具体的にどうするかということでございますが、輸入業者が輸入した物資に有機表示を付して流通させようとするときには、まず一つの方法としましては、外国におきましてJAS法に基づく外国登録認定機関の認証を受けまして認証マークが付されたもの、これを輸入しまして有機表示を付して流通させるという方式が一つ。  二番目は、JAS制度と同等の水準にあると認められます外国の制度に基づきまして有機の認証を受けた旨の証明書が添付されているものであって、認定を受けた輸入業者が認証マークを自分で張るというもの、つまり外国の機関の証明書があって輸入業者が認証マークを貼付する、いずれかの方法でなければ「有機」という表示を付して流通させることはできないようにしているわけでございます。
  245. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 次に、JAS認定についてお尋ねします。  自己格付を認めることになるわけですが、そうすると企業が自分の商品に自己格付をつけることになるわけです。そうした中で自分の商品に関して不正なといいますか、正しくない格付をしたり、あるいは表示をしたりという不正が絶対なされないわけではないと思うんですが、そうした不正とかあるいは甘い取り扱いがなされてはいけないと思うんですが、そのなされることの防止策について説明していただきたいんです。
  246. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 登録認定機関が自己格付を行う事業者を認定するに当たりましては、技術的な基準に合致しているかどうかを審査するわけでございます。そうした審査を通じまして自己格付業務が基準に合致して適正に行われる体制となっていることを確認するようにしております。  また、自己格付を行う製造業者等に対しまして格付の結果と合わない、要するに格付の結果、不合格なものに合格の表示をするということを罰則でもって禁止しているわけでございまして、この違反の場合には一年以下の懲役または百万円以下の罰金をもって禁止しているわけでございます。  さらに、登録認定機関が農林水産大臣の認可を受けまして定めます業務規程におきまして、自己格付を行う製造業者に対しまして報告の徴取あるいは監査等を行うことによりまして、製造業者の自己格付の実施状況あるいは品質管理体制あるいは検査体制等につきましてチェックを行うようにしております。また、必要があれば農林水産大臣JAS法に基づきまして立入検査を行いまして、その結果、不都合が発見されたような場合には認定を取り消す等の厳正な措置をすることとしているわけでございます。  こうしたことによりまして、民間業者、民間企業の行います自己格付に対します事業者なり消費者の信頼性を確保していきたいというふうに思っております。
  247. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 次に、卸売市場法関係について質問いたします。  まず、大臣に、卸売市場あり方、特にこれからのあり方についてどうあるべきかという所感をお聞かせいただきたいんですが、よろしくお願いします。
  248. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 卸売市場は、生産者と最終消費者との間を取り持つ歴史的にも、また今後も非常に重要な役割を果たす機能だと考えております。  先ほども申し上げましたが、近年いろいろな問題点があるわけでございますけれども、また特に取り扱いの大半を占めます生鮮食料品等は、腐りやすいとか、豊凶変動が激しいという食品特性があるわけでございます。消費者への迅速かつ効率的な生鮮食料品の提供、生産者に対する確実かつ迅速な販路の提供、流通小売業者に対する取引の場の提供という役割を適切に果たしていくことが必要であります。  このため、特に近年、消費者ニーズあるいはまた生産者ニーズ両面から、多様な品目、品質の品ぞろえを確保する機能、あるいはまた全国各地から大量単品目の生鮮食料品を集荷し、これらを組み合わせて少量多品目へ分荷し、配送する集分荷・物流機能、あるいは蓄積された需給情報をもとに迅速かつ公正な評価による透明性の高い価格形成を行う機能、あるいは代金の迅速、確実な決済機能等が十分発生することが必要だと考えております。  市場関係者経営が、産地大型化あるいは大型小売店等の発言力が高まることにより、経営が悪化している企業が多いわけでございまして、そういう中で、市場流通との競争力を高めつつ、今後も市場の役割、機能を十分に果たしていかなければならないというふうに考えております。
  249. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今回の改正法では、相対取引を認めたり商物一致の原則の例外を認めたりというような点で、大口取引という面を向いた改正だと思うんです。しかし、例えば大手スーパー等の非常に大きな購入者ばかりではなくて、やはり町の八百屋さん、魚屋さんとかあるいは小さな料理屋さんの方に小口の取引を求める需要も間違いなくあるわけでございます。ですから、大口取引だけに余り寄らないで、そういう小さい小売業者等の面にも配慮した方向での取り扱いをさらにお願いしたいのですが、そこら辺、大臣の考えはいかがでしょうか。
  250. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 私が去年の夏以降この仕事につきましてから、災害等で特に生鮮野菜が暴騰したり、あるいはまたその後、品目によっては下がったりというようなことがございまして、そういう中で大型の小売店の動向、それからやはり小売、いわゆる魚屋さん、八百屋さんといったもの、あるいはまた生産者立場というものも含めまして、この市場機能というのは大事だなということを私自身痛感しておるところでございます。  そういう意味で、経営体質強化を進めるために、最低取引数量をきちっと確保するとか、あるいはまた決済機能をOA化するとか、あるいはいろんな情報を生産者消費者に提供するとか、そういう形で、私自身の短い間の経験も含めまして、何としても卸売市場機能というものをさらにレベルアップしていくことが、生産者消費者ニーズにとって私は大事なことだということを痛感して、この法案の御審議をお願いしているところでございます。
  251. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今回、相対取引を認めることになるわけですが、ただ相対取引が余り過度に占めるようになりますと、例えば主要な産品がほとんど相対取引でいってしまう。そうすると、場合によっては競りの部門で売れ残り品が非常に安くなってしまうという場合もあるし、あるいは売れ筋の商品だけが相対取引でいってしまったがために売れ筋の商品が競りの方には少ししか回ってこない。このために、それを欲しがる競りのとり合いで必要以上に高くなってしまうという、本来あるべき適正価格よりも過度に安いとか過度に高いというようなぶれが出てくる危険性も考えられないわけではないと思うんですが、そうした意味で、相対取引導入することについての基本的な考え方について説明していただきたいと思います。
  252. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今回の卸売市場法改正におきまして、売買取引方法につきまして、公正かつ効率的でなければならないという原則を明示しております。また、相対取引につきましては、特に情報の公開性、透明化が求められております。したがいまして、今回の法改正におきまして、卸売業者は売買方法取引方法別の、つまり競り取引相対取引別の価格、数量を公表するようにしているところでございます。  また、実際にどういう売買取引方法をとるかにつきましては、卸売市場開設者市場ごと品目ごとに卸、仲卸あるいは買参人等の利害関係者意見を聞いて業務規程を条例で定めるわけでございます。その際、特に先生から御指摘のあった点に十分留意するために、先ほど申しました相対取引につきましての価格、数量の公表に加えまして、最低競り数量を適正に設定することによって小規模な専門店等の買参人にもその取引に参加できるようにするというようなこと、また市場取引委員会におきまして、市場取引につきまして不正等がないように改善意見等を述べることができるようにするなど、公正、効率かつ公開原則のもとに卸売市場取引を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  253. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 相対取引に関して、先ほど市場側で取引を成立させたいがために値段を少し適正価格よりも安くしてしまう可能性もあって、生産者側に不利益ではないかという御指摘もありました。  そのとおりだと思うんですが、また見方を変えれば、市場の手数料が売買代金の歩合によっていれば、高く売った方が市場側は手数料が入るわけですから、歩合手数料を高くするために高く売った方がいいということで適正価格よりも高く取引が成立してしまうというようなことがあれば、結局、価格転嫁を受ける消費者に不利益になるわけですが、そこら辺の相対取引価格適正化を維持することについてどのような考えをお持ちでしょうか。
  254. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、その点につきましては、市場取引委員会といいますか、利害関係者がいわば取引ルールを決めていくという仕組みを設けることが一つでございます。  それから二番目は、情報の公開でございます。特に、相対の場合にはなかなかわかりづらいわけでございますので、卸売業者によります競り、相対別の価格、数量を公表し、情報の公開をしていくということでございます。  さらに、問題が生じた場合に、市場取引委員会でもって改善勧告を開設者に行うなど、事後的な是正措置も手当てしているところでございます。  そうした入り口といいますか、ルールを決めるとき、それから実際の売買におきます情報の公開、またさらには事後的に問題が起きたときの処理ということを通じまして、先ほどから申し上げております公正、効率公開売買取引を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  255. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 公開原則は非常に重要だと思うんですが、この三十四条の売買取引原則においては、公開原則のその公開という表現が入っておらないんです。これは法律の形式の問題ですが、公開原則というものは十分生かされておるんでしょうか。
  256. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) この三十四条におきましては、公正、効率規定されておりますが、公開という文言はないわけでございます。これは、卸売市場におきます取引は、公正、効率という点につきましては個別の規定がすべて網羅されるというわけにはまいらないわけでございまして、卸売市場全体の管理運営なりあるいは日々の業者間の取引の場面等におきましてもこの原則を遵守していく必要があるということから、こうした日々の管理運営あるいは業者取引を律する規定としまして、「卸売市場における売買取引は、公正かつ効率的でなければならない。」という三十四条の規定を設けたわけでございます。  他方、取引結果の公開につきましては、これは卸売業者と仲卸あるいは買参人との間、あるいは仲卸と買い出し人の間の個々の取引結果まで公表することを意味するものではないわけでございますので、個別の規定により対処することといたしまして、開設者によります公表規定、これは現行の四十六条でございますが、これに加えまして、四十六条の二で卸売業者によります売買取引方法ごとの数量、価格公表規定を新設したわけでございます。  以上、これらによりまして、卸売市場におきます売買取引の通則であります公正、公開効率原則を本改正案で措置したというふうに考えているわけでございます。
  257. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 市場取引委員会が設けられるということでございます。これに生産者の声が反映されなければならないというのは私も当然そう思うんですが、一方、消費者の声はどのようにしてこの中に反映されるんでしょうか。
  258. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) この市場取引委員会は、どちらかといえば売買取引方法を定める際のいわば利害調整機関になるわけでございます。それに消費者を加えるかどうかということでございますけれども法律上、開設者判断によりまして市場取引委員会委員にすることはできるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、どちらかといえば消費者代表は市場取引委員会委員というよりも、先ほど三浦先生の御質問にお答えしたときにありました中央卸売市場開設運営協議会、つまり全体の運営をどうするかという協議機関にむしろ消費者代表が出ていただいた方がいいのではないかというふうに考えられるわけでございまして、これにつきましては、先ほど申しましたように、全市場について設置されているわけでございますが、消費者代表も参加している例が多いというふうに聞いておるところでございます。
  259. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 最後に、特定農産加工業経営改善臨時措置法改正案についてお尋ねします。  助成の必要が今なお継続しているのならそれはそれで認めてもよろしいと思うんですが、助成の継続の必要性がないのならこれはここで終わりにした方がいいと思うんですが、実際の助成の必要性は具体的に今現在、継続しているのでしょうか。具体的な事情について説明していただきたいんです。
  260. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、この特定農産加工法は平成元年の制定でございまして、輸入自由化等に対処しまして、農産加工業者の経営の改善を促進するための金融・税制上の支援措置を講じているところでございます。  現在の状況でございますが、これまでの輸入自由化の結果、製品の輸入が増加し、工場数は減少しているということでございます。また、UR合意によります関税率の引き下げは平成十二年まで段階的に行われているということに加えまして、その影響はタイムラグを伴いながら、国境措置変更完了後も、つまり平成十二年後もあらわれてくることが予想されるわけでございます。  今の輸入状況でございます。例えば、かんきつ果汁を見ますと、平成元年の輸入は一万九千トンだったわけでございますが、平成五年には六万五千トン、また平成九年には九万六千トンという形でもって製品輸入が引き続きふえているわけでございます。以下、非かんきつ果汁等も同様な事情にあるわけでございまして、引き続き製品輸入はふえているわけでございます。  そうした状況の中で、特定農産加工業を存続し、国内生産を維持していくためには、なお一定期間、こうした支援措置を継続する必要があるというふうに考えられるわけでございまして、今回、五年間の延長をお願いしている次第でございます。
  261. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 輸入品がふえているから国内品が押されているはずだという考え方も、それはそれで一つの理屈でしょうけれども、例えば実際にそういう加工業者がその経営状態において利益を上げているのか、あるいは株主配当をしている、そのような余裕があればあえて助成する必要がないと思うんですが、そちらの面からの見方ではどうでしょうか。
  262. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 本法によります支援措置を受けました事業者の経営状況を見ますと、全体として見れば、製品輸入の増加や厳しい経営環境の中で融資等を受けまして新たな投資を行い、融資前よりも経営改善を図っているものもあるわけでございます。この中には利益を上げ、配当を行っている企業もあるわけでございます。  全体的にどうかということを申し上げますと、農林漁業金融公庫の調査によれば、貸付企業の配当状況は、無配当が六割でございます。配当を行ったものは約四割となっておりますが、近年、この配当企業の割合低下傾向にあります。
  263. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これも設備投資と営業基盤といいますか、そうした構造改善のための助成だと思うんですが、法律制定してもう十年たっているわけですから、やるべき企業はもう既にやっているのではないか。ですから、役割は終えているのではないかという見方もできると思うんです。  そういう意味で、近年、二、三年でもいいですけれども、承認を求める件数はどのように推移しているでしょうか。
  264. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内の特定農産加工業を営む本法対象事業所でございますが、約六千六百あるわけでございます。そのうち、平成九年度末までに経営改善計画の策定を行ったものは四百七十件でございます。  最近の認定状況でございますが、平成七年度三十八件、平成八年度六十六件、平成九年度九十三件と年々ふえているわけでございまして、本法による支援措置は引き続き必要だというふうに考えている次第でございます。
  265. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これで終わります。     ─────────────
  266. 野間赳

    委員長野間赳君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、木庭健太郎君が委員辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。     ─────────────
  267. 野間赳

    委員長野間赳君) 速記をとめてください。    〔午後四時三十八分速記中止〕    〔午後四時五十七分速記開始〕
  268. 野間赳

    委員長野間赳君) 速記を起こしてください。
  269. 風間昶

    ○風間昶君 おくれまして申しわけございません。公明党の風間です。  まず、卸売市場法について、参考人方々にも伺ったこととラップしますけれども、お伺いしたいと思います。  今回、卸売業者を法人に限定するというふうになっていますけれども、一つは現状では個人と法人との割合がどうなっているのか、もう一点は法人の資本規模別の分類ではどのようになっているのかということを、これは事務的にというかそのままお答えいただきたいと思います。
  270. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 現時点で中央卸売市場卸売業者の許可を受けている個人はありません。したがいまして、すべて法人でございます。ただ、二百六十五社、卸売業者がいるわけでございますが、そのうち二百六十二社は株式会社、三社は農協等でございます。  それで、資本階層別の卸売業者数でございますが、青果をとりますと、一億円から五億円未満が三四%、五千万円から一億円が四九%、三千万から五千万が一四%、一千万から三千万が三%、それから一千万未満が一%ということでございます。  また、水産につきましては、五億円を超える割合は一一%、一億円から五億円が四一%、五千万から一億円が三七%、以下三千万から五千万が七%、それから一千万から三千万が四%という状況でございます。
  271. 風間昶

    ○風間昶君 今お話しいただいたように、要は、だから法人といっても合名会社あるいは合資会社、有限会社、株式会社、資本力とかあるいは信用に現実に差があるわけです。そうすると、今回の卸売市場法の一つの目的であります財務内容強化ということが目的であるならば、株式会社に限定して資本規模も一定以上というふうに規制すべきではなかったのかというふうに思いますが、どうですか。
  272. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほども申し上げましたように、現在二百六十五社、中央卸売市場卸売業者があるわけでございますが、そのうち二百六十二社は株式会社でございます。三社は農協あるいは漁協、漁業協同組合連合会でございます。
  273. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、だから株式会社以外の三社の部分についてはどうなんですか。
  274. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 三社につきましては、農業協同組合あるいは連合会が二社、それから漁業協同組合連合会が一社でございます。
  275. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、株式会社に限定しないでいく方法ですね、これは。だけれども、実際には何社であろうと、二社であろうと三社であろうと、株式会社以外の部分もありますから、そこも網をかけていくということですね。そこで問題は生じないんですか。
  276. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) ですから、今回、法人に限定したわけでございますが、株式会社に限定をしなかった理由は、先ほど申し上げておりますように、生産者団体が卸売業者となっているケースがございますので、それができなくなるということは適当でないという判断に立ったものでございます。
  277. 風間昶

    ○風間昶君 参考人の方にもお伺いしたんですけれども卸売業者に対する財政の健全化、ここの部分についての改善措置命令、とにかく早くやるということが大事ですね、しかも的確に。だけれども、食品流通局においてはそれをきちっとやれる方がいるのかどうか。私は十分わかっていませんけれども全国卸売業者の業務内容をきちっと把握し、点検し得る人が一体どのぐらいいるのかな、そこは疑わしい部分がある。なぜそういうふうに言うかというと、経済局においてあの住専のときの判断を誤ったわけです。そういうことを教訓化していくことが絶対必要なわけでありまして、そうなりますと、財務内容の点検というのは一体どういう体制でやられるのかというのが一点です。  そして、点検した財務内容に基づいて改善命令を出すわけですけれども、具体的にどういう命令を出すのかというのが二点目でございます。要するに、今般の銀行の処理のような金融再生委員会のように、きちっと積極的に再編などが、あるいは財務基盤の強化を強制するような、そういう強い指導性を発揮できるのかという危惧があるわけです。そうでないと、また住専の二の舞を起こすことになるというふうに私は危惧するものですから、この二点についてお伺いしたい。
  278. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御指摘の点につきまして、まず第一点といたしまして、従来、卸売業者に対して改善措置命令を発するに際しましての具体的な財務面での発動基準が明確でなかったわけでございます。それで、今回その発動基準を明確にしたという点が第一点でございます。  具体的な内容でございますが、一つは流動比率でございまして、流動比率を一とする見込みでございまして、具体的には農林水産省令で定めるわけでございますが、流動比率を定めたということでございます。それから二番目に、自己資本比率でございます。自己資本比率につきましては一〇%というふうに定める見込みでございます。また、三番目の基準といたしましては、卸売業者が一年間の営業活動の結果として得られます損益、経常損益につきまして三期連続して損失を計上した場合。この三つの場合を発動基準としております。つまり、流動比率が一未満の場合、また自己資本比率が〇・一未満の場合、また三期連続して経常損失を生じた場合、これを改善措置命令の発動基準としているわけでございます。  具体的な改善措置命令の内容でございますけれども、流動比率あるいは自己資本比率あるいは経常損失を回復するための具体的な経営改善計画書を提出していただくということでございまして、具体的には増資なり経営合理化というものをこの経営改善計画の中へ盛り込んでいただくということでございまして、かつ、その後定期的に、四半期ごとに経営改善計画の達成状況につきまして報告を求めるということでございます。  また、必要に応じて、本省あるいは地方農政局におります検査官によります検査、事情聴取等を適切に行ってまいりたいというふうに考えております。
  279. 風間昶

    ○風間昶君 万一、適切でなかった場合に、あなたは責任とれるんですか。
  280. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) そういう事態にならないように事前の……
  281. 風間昶

    ○風間昶君 責任がとれるんですか、ならなかった場合に。
  282. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 責任という内容が必ずしも明確でないわけでございますが、そういうことがないように基準を明確にして経営改善計画の達成を督促してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  283. 風間昶

    ○風間昶君 督促して、だからそれが成就できなかった場合に、あなたは責任とれるんですか。
  284. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 具体的に、この経営改善計画が達成されない場合には許可の取り消し等になるわけでございまして、もちろんその過程を通じまして判断の誤りがあればしかるべき責任をとるということになるかと思います。
  285. 風間昶

    ○風間昶君 それぐらいの強い決意でいらっしゃるということでございますね。
  286. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) そのつもりでございます。
  287. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、卸売業者の営業利益率というのは平成八年度でわずか〇・二四%、しかも中小の業者ほどその利益率が低いわけですけれども、先ほど参考人の方にも伺ったんですが、卸売業者の委託手数料の体系化の問題ですけれども、現在、従価制ですね。野菜で八・五%、果実で七%。当然、青果物価格が下落した場合には、取扱量は増加しても実際に業者に入ってくる収益は逆に悪化していくというふうになるわけです。  そこで、本当に従価制だけでいいのかという議論が当然あると思うんですけれども、先ほど参考人に従量制を加味してはどうかとお伺いしましたら、かなり困難だという答弁がありましたけれども、農水省としては手数料体系見直しについて、そこの従量制加味の部分はどうでしょうか。
  288. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど杉谷参考人からの御答弁もあったようでございますが、現在、重量野菜の消費はどちらかといえば低下傾向にあるわけでございまして、そういう意味からいえば、必ずしも手数料を定める基準として従量制を採用することは問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  これにつきましては、先ほど三浦委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、委託手数料につきまして両面があるわけでございます。つまり、卸売業者にとりましてはそれは主要な収入源であると同時に、逆に出荷者から見ればそれが余り大きくなれば手取りが減るということにもなるわけでございます。  したがいまして、これにつきましては卸売業者の財務の健全性の維持という観点、また出荷者の手取りの確保という観点、さらには出荷奨励金なり完納奨励金といった各種奨励金が出ているわけでございまして、それとの関連をどういうふうに整理するかということもあるわけでございます。  したがいまして、卸売市場法改正のもとになりました生鮮食品等流通問題研究会におきましても、今後、手数料の問題につきましては、  市場関係者の一部から、卸売業者の手数料率等のあり方についても検討する必要があるとの指摘があったが、この問題は、卸売業者経営に直結する問題であり、また、出荷奨励金、完納奨励金等のあり方にも関連するものであることから、今後、卸売市場関係者経営体質強化の進展状況をみつつ、中長期的課題として検討していくことが適切と考えられる。 という報告をいただいているわけでございまして、今後、第七次の卸売市場整備基本方針等を検討する機会があるわけでございまして、そうした場合に、この食品流通審議卸売市場部会の場などにおきまして、以上のような観点に留意しながら議論、検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  289. 風間昶

    ○風間昶君 見直しが必要であるというふうな認識でこちらはとらえていいんですね。
  290. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 中長期的課題として見直し検討していく必要があるということでございます。
  291. 風間昶

    ○風間昶君 そのときには、でも、あなたはもういないかもしれないんだよ。
  292. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 私がいなくても、農林水産省として中長期的課題として検討していくということでございます。
  293. 風間昶

    ○風間昶君 次に、市場の情報化について伺いますが、本来、市場に多くの情報が集まって、そしてその情報がどこに伝わるかというと、消費者に伝わっていかなければならない話だと思っているわけでありまして、そういう部分では市場をつくる大きな意義がそこにもあると思うんです。  市場外にあってはインターネットなどの普及によって瞬時に世界の情報にアクセスされているんだけれども市場の中では今でも電話とファクスを使った注文取引が結構多いわけで、少しはネットでの買い、売りは行われているようでありますけれども、そういう流れから考えると、むしろ市場の中の方が取り残された感じがしないでもないわけであります。  そういう意味で、市場の中の高度情報化をいかに進めていくかというのがいわば市場が生き残っていく大きな一つの手段というか、そういう部分でも観点として大事な問題ではないかと思うんですけれども、今回のこの法案についてはその部分について、例えば市場LANなどの情報インフラの整備については特に触れられていないんですが、もちろん視野には入っているんだと思うんですけれども、そこについて対策を立てるべきだと思いますが、いかがですか。
  294. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御案内のように、生鮮食料品等が対象でございます。生産が自然条件に左右されまして計画的な出荷が難しいという問題、腐りやすく貯蔵が困難であるという問題、また個体差が大きい物品もあるわけで、規格化が困難であるという特性があるわけでございまして、工業製品等と比較してコンピューターを導入した即時の情報交換につきましては技術的に難しい面があるわけでございます。  しかし、この問題は避けて通れないわけでございまして、生鮮食料品の電子化、情報化を進める上で、取引電子化の前提となりますコードあるいはメッセージ等の標準化及び利用システムの開発を行います生鮮食品取引電子化基盤開発事業を平成九年度から十三年度にかけまして行うようにしております。また、平成十年度より情報システムを活用しまして、卸売市場を軸とします流通、物流の効率化を図る取り組みを支援する生鮮流通ロジスティクス構築モデル事業を行っております。こうしたものを使いながら、場内LANも含めまして卸売市場の情報化を進めてまいりたい。  特に、場内LANにつきましては、先生御指摘のように、おくれている面があるわけでございます。このために平成十年に補助体系を見直しまして、卸売市場の有します場内LAN、卸売市場に場内LANを設置したり、あるいは情報管理センターを設置するなどの整備を重点的に進める観点から、平成十年度に二百七億円、平成十一年度に八十六億円を確保いたしまして情報化関連施設整備を推進しているところでございます。
  295. 風間昶

    ○風間昶君 これはすごく大事だと思うんです。そうやって売買の注文をオンラインさせていくことで消費者にいち早くまた情報が伝わるというのが、情報公開立場からいっても大事なことだと思う。  問題は、今度は産地から商品が円滑に発送されなければならないわけですから、新鮮な食料品をきちっと適正な価格で届けるというには、もう一つは今の市場の場内LANを含めた高度情報化と同時に農協の高度情報化を進めないと、平成十年度に場内LANの設置あるいは十三年から取引電子化という今、局長お話でありますけれども、同時進行でないとだめじゃないかと僕は思うんです。  そういう意味では、現在、市場と経済連の情報交換についてはベジフルシステムとかいろいろありますね。県連のベースでは五四%ぐらい、卸売業者としては九九%、ほぼ一〇〇%仕組みを使っているというふうに聞いていますが、今度そこで形成された情報が産地である地域の農協に伝わらないというところが問題だと思うんです。  そうなりますと、オンラインを運用していくJAの方の専門的知識を持った職員の配置、産地が生き残っていくためにも、もう一方では場内LANと同時に農協の方のインフラ整備が必要じゃないかと思うんですけれども、そこについてはどういうふうに予定を組んでいますか。
  296. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生御指摘のベジフルシステムでございます。平成五年に開設されまして、生産者団体と卸売会社との間で青果物流通に関する情報の迅速な伝達手段として活用されているわけでございます。  特に利用されておりますのは当日の取引情報を伝達します売買仕切り情報システムでございまして、これにつきましては売買当事者であります約五十の経済連、果実連と約三百の卸売会社が参画しておりまして、精算事務等に活用されているわけでございます。また、もう一つの産地からの青果物出荷情報を伝達する青果物出荷情報システムでございますが、これにつきましては十二県連が参画しまして卸売会社に出荷情報を伝達しているわけでございます。  御指摘のように、このベジフルシステムを経済連から単位農協まで拡大することにつきましては、現状におきましては、システムの効率性等の観点から県段階におきまして単位農協段階の出荷情報を集約して伝達する方が適切である、コスト面なりあるいは情報管理面から見まして、そちらの方が今のところは適切だということで、今のような経済連、果実連と卸売会社の間を結ぶものになっているわけでございます。  今後、卸売市場及び卸売業者の一層の情報化の推進の観点から、さらにネットの拡大につきましても検討されるべき課題ではないかというふうに思っております。
  297. 風間昶

    ○風間昶君 いえ、検討される課題でなくて、場内LANの方は十年から設置をやっているわけでしょう。だから、同時並行でやっていくことではないんですかと言っているんです。検討の段階はもう過ぎているんです。
  298. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 特に、生鮮食料品中心にして、消費者から、川下から川上までリアルタイムで情報、ニーズ、あるいはまた売りたいもの、これを高度情報システムを使ってやっていくということは極めて大事なことだと思っております。  ちょっと古い話ですけれども、ある県の野菜を中心とした経済連がいわゆるパソコンネットワークみたいなものを使って、まあ長野の話でございますけれども、きょうは東京に出した方がいいのか、あるいは名古屋に出した方がいいのかというようなことをやったという、これは初期の話でありますけれども、画期的なことでありました。  今の先生のお話を伺って、極端に言えば、農協端末あるいは農家一戸一戸の端末から農協あるいは県経済連、そしてまた市場、今、中央市場の地図を見ておりましたけれども、例えば東京と築地と大田、あるいは川崎、横浜、船橋、千葉といったところも含めて全国的なネットワークをつくってやっていく。そこには、最近はCALSシステムだとかPOSシステムとかいろいろありますから、そういうものを複合的にやっていくことが生産者消費者ニーズにこたえられる生鮮食料品の安定供給だと思います。  食品流通局長としてはこういう答弁しかできないのかもしれませんけれども、先生の御指摘は大事だと思いますので、今後大いにそういう面でも農林水産省は頑張っていきたいと思いますので、御支援をよろしくお願いいたします。
  299. 風間昶

    ○風間昶君 まさに今、インターネットの普及で、産地消費者、それから産地と大規模あるいは小規模であっても小売業者、この直接取引がますますふえてくる。そういう中にあって、市場は何を武器にして生き残りを図っていくかというのが問われているわけであります。  そういう意味で、今、大臣がおっしゃってくださったところを、要するに、省全体としていくという方向であるというふうに私は受けとめさせていただきましたが、大いに応援しようと思っています。  一方では、卸売市場法が強固な財務体質をつくるということ。確かに生き残りは必要なんですけれども、これはやっぱり守りなんです。攻めのもう一つは、今の高度情報化社会に農水省が指揮をとってきちっと消費者に届けるまでの責任を持つということが、今後の卸売市場の果たすべき役割の中にもこれは入ってくると思いますので、応援したいと思いますから、どんどんやっていただきたいと思います。  続いて、JAS法ですけれども、まず総括的に、農林物資の付加価値の観点からJAS法が果たしてきた役割というのは極めて大きいものがあったのではないかと私は思っています。  先ほど参考人の方にも伺ったんですが、原産地表示が安全性とかなんとかというメルクマールというかバロメーターにならないというような本間教授の話もありましたけれども、どっちにしても原産地表示をやることについては生産者の方も賛成なんですが、要するに、そういう意味では原産地表示で付加価値が高まるのは一部のものしかないのではないかというふうに思うんです。それも一歩かもしれないけれども、本当にその一部のものだけに限られてしまった原産地表示となるとどうなのかなというふうに一つは危惧するんです。  もう一つは表示コストの問題で、いずれにしても流通業者が負担することになるのかどうかわかりませんが、表示することによる費用対効果についての認識を伺いたいんです。  特に、有機農業をやっていらっしゃる方々にとってみればそれが物すごく負担になっていく、先ほども委員からも質問がありましたけれども。そういう意味では、結局、コストが価格に転嫁されるのではないかということが、物すごくつくる側、また消費者にもはね返ってくるのではないかということがありますから、そこで政府がどういうふうにしていくのかということが基本的にこの法案から見えてこないんですけれども、どうでしょうか。
  300. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) まず最初に、消費者がこの生鮮食料品の原産地表示等をどういうふうに考えているかということでございます。  平成九年の消費者アンケート調査結果を見ますと、原産地表示の対象をふやしてほしいとする者が八割を超えているわけでございますし、また逆に、青果物を選ぶときに必要と思う表示に原産地表示を挙げた者が八割を占めておるわけでございまして、そういうことから見ましても、消費者生鮮食品の購入時の判断基準として原産地表示が重要となっているわけでございます。  また、現実の取引におきましても、原産地によって生鮮食品の価値が相当左右されるケースも数多く見られるわけでございます。そうした背景のもとに、今回、生鮮食料品につきまして原産地表示を義務づけることとしたわけでございます。  しかし他方、そのコストが過大になってはならないわけでございまして、できるだけ必要最小限のものとなるようにしたいというふうに考えているわけでございます。  具体的には、表示の仕方を生産なりあるいは取引、消費の実態を考慮しましてできるだけ弾力的なものにする。先ほどもお答えしましたけれども、例えば食肉につきましては輸入品と国産品の表示、また小売店での表示の場合につきましても、シールなりカードなりあるいは立て札等の簡易な表示方法を工夫するといったような配慮をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。  最後に、そのコストをだれが負担するかという問題でございますが、これは同一事業者にいわば均等にかかる負担でございますので、最終的には価格に転嫁されることになるわけでございまして、消費者メリットを受けるそれとの見合いでそのコストは最終的には消費者が負担することになるもの、経済的にはそうなるものというふうに考えております。  また、有機の表示でございますが、これも先ほど申し上げましたように、これはJAS法でございますので有機の表示の問題が中心でございますけれども、先ほどの有機問題検討会の報告書にもありますように、有機農業の生産面での振興にも十分意を払って進めるようにという指摘もあるわけでございます。  さきのこの委員会でも御可決をいただきました持続的農業の促進法など、こうした形でもって有機農業を生産面でも支援することで、生産面での支援と表示面での適正化、両方相まってこの有機農業の推進を図っていきたいというふうに考えるわけでございます。
  301. 風間昶

    ○風間昶君 生産者に対して税制の優遇を含めたことは考えていますか、その今の中に。
  302. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 表示関係につきましては特に税制上の特例というものはありませんけれども、先ほど申しました持続的農業促進法の中で税制措置を講じているところでございます。
  303. 風間昶

    ○風間昶君 有機農業をやっていらっしゃる方々意見が結構そういう部分では大きいんです、支援という観点で。たかだか一%以下の方々、全体の中で、農業生産者の中で。ロット的には非常に小さいんだけれども、しかし小規模多品目をやっていらっしゃる関係で、先ほども参考人からお話を伺って、相当な負担が強いられる、一々それを書類も含めてやっていくとなると大変しんどいと。  環境を守っていく日本型農業をやっていくのに本当に忍びないという意見が出されていましたので、そこについてのもう一歩の農水省としての考えをお聞きしたいと思うんです。
  304. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 持続性の高い農業生産方式導入の促進に関する法律、これは先日この委員会におきまして御可決いただいたわけでございますが、それは地力を増進しながら、土づくりをしながら、化学肥料なりあるいは化学農薬の使用を減らしながら持続性の高い農業生産方式を進めていこうというわけでございます。有機農業もこの持続性の高い農業生産方式の一形態でございます。  したがいまして、この法律によります金融・税制上の措置、特に農業改良資金によります貸し付けの特例、償還期間の延長、あるいは導入計画の認定を受けた農業者が取得しました農業機械についての特別償却等の金融・税制上の支援を有機農業の推進という観点からも活用してまいりたいというように考えているわけでございます。
  305. 風間昶

    ○風間昶君 あと、品物の格付という部分でいきますと、一定の規格に適合するか否かという表示では消費者ニーズを反映しないのではないかという、一方では消費者からの声も聞かれます。原産地表示は消費者ニーズ一定程度反映すると、そういう意味では評価が高いんですが、消費者の関心というのは、むしろ表示そのものよりも安全なのか、おいしいのかということの方が極めて大きいわけです。  そういう意味で、今回の改正消費者の関心を持っているニーズを的確に受けとめる表示というのは一体どういうことが考えられるのか。つまり、今回のJAS法の改正が終わりじゃないわけで、当然、ですから消費者ニーズに応じて今度また違った意味での表示をせざるを得ない状況が生まれてくるかもしれないわけですから、そこの部分を視野に入れた今後の対策消費者ニーズを受けとめられるような表示のあり方というのはどう考えていらっしゃるのか、教えてください。
  306. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 二つの方向があると思います。  一つは、JAS規格の中で、今もJASの特級であるとかJASの上級といった格付の示を行うことによりまして消費者に対しましてわかりやすく商品の付加価値をアピールする。例えば、特級しょうゆと標準品、あるいは特級ロースハムと標準品といったような、そういった上級品の規格を設けるというようなこと。  また、もう一つは、生産方法に特色を見出しまして、一般のものよりも価値が高いことを認証する仕組みでございまして、これは特定JASと呼んでおりますが、現在、熟成ハム、ソーセージ等が設けられておりまして、そういったJASの規格面で消費者ニーズなりあるいは品質面での差別化を図っていくというものがあるかと思います。もう一つは、有機のように表示の規制をいわば行うことによって消費者に対しましてその表示の持っております信頼性を確保するという方式でございます。  このJAS法によります有機の表示の規制につきましては、いわば制度、仕組みになっておるわけでございまして、政令で指定をすれば有機以外、当面は先ほど来御答弁しておりますように有機農産物及び有機加工食品でございますけれども、さらにそれが生産方法に特色等があれば外延的に拡大することも制度的には可能となっておるわけでございます。それも、技術的な基準と同時に、消費者ニーズがどこにあるか、あるいはどういうふうに向かっているかということと密接に関連する問題ではないかというふうに考えております。
  307. 風間昶

    ○風間昶君 それはわかりました。  要は、今回のJAS法は今まさにおっしゃったように表示の規制ですね、ある意味では。そうすると、本当にこの有機農業を有効的に日本国民が利用して、そしてその有機農業に対する支援というか位置づけを農水省はこのJAS法の中にただ単に押し込めているのではないかという危惧を持っている人もいるわけですから、一方で有機農業のいわば振興のためのバックグラウンドというのがないとならないのではないかと思うんですけれども、そこはどうですか。考えていらっしゃるんですか。
  308. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) これは、先ほど御答弁申し上げましたように、持続性の高い農業生産方式導入の促進に関する法律案、先般、本委員会で御可決いただいたわけでございますが、ここで言う持続性の高い農業生産方式、それのいわば典型がこの有機農業であるわけでございまして、こうした有機農業の推進は、持続性の高い農業生産方式導入の促進に関する法律案で盛り込まれております各種支援措置、また県、普及員等の支援も取り入れながら、この生産面での対策も車の両輪として、表示の問題と農業生産に対する支援体制、車の両輪として進めていきたいというふうに考えております。
  309. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  格付の問題で地方団体、地方自治体やあるいは民間の格付機関の工夫によって一定の格付や認定が行われていますけれども、府県によって同じ規格であっても認定が得られる場合とそうでない場合とがあるわけで、若干の不便はあるものの消費者ニーズにはこたえているというのもあるわけでありますが、そういった先発した都道府県あるいは民間の認定したものを、今回のJAS法との関連でいくと、先発認定制度とは整合性をどういうふうにとっていかれるのか、教えてください。
  310. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先生今御指摘ありましたように、現在、一部の都道府県におきまして有機農産物等の認証制度が実施されております。この中には、有機農産物のみを認証の対象とするものと、それから有機農産物のほかに減農薬栽培農産物等も認証の対象とするもの、二つがあるわけでございます。それから、いずれも基本的には有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン、いわゆるガイドラインに基づいているわけでございます。  今回のJA法改正によりまして、有機食品の検査・認証制度が設けられた場合には、これらの都道府県が行っております認証制度のうち有機農産物に係るものはJAS法へ移行するということになるわけでございまして、県によってはみずからその登録認定機関になる、これはそれぞれの判断でございますが、そうしたケースも出てくるものというふうに想定しているわけでございます。  したがいまして、JAS法に移行すれば、県を含めまして登録認定機関によります認定を受けて、農産物にJAS法に基づきます認証マークを付しまして有機の表示を行うということになるわけでございます。そうした移行が円滑に行えるように、現行のこの農水省のガイドラインに基づく検査記録なり、あるいは民間の認証機関がやっておりますところにおきます検査記録など、先ほどの収穫前三年間の無化学肥料、無農薬といった点につきましても、そうした記録などを活用して認定を行うなど柔軟な対応を行っていきたいというふうに考えております。  もう一つの分野であります減農薬栽培農産物等でございますが、これにつきましては、きょうの参考人意見陳述にもいろいろ意見がありましたように、まずその生産方法の基準について検討することが必要だというふうに考えております。その生産方法内容なり価値を消費者に適切に伝える必要があるわけでございまして、そうした観点から、まずは基準について内容検討すると同時に、認証の必要性あるいは仕組み等について検討する必要があるというふうに考えておるわけでございまして、この有機制度の検討会報告書にもその旨指摘されているところでございます。
  311. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、最近オーガニック食品というのがはやっているんですね。見たことがありますか。
  312. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) いわゆる遺伝子組みかえ食品と理解しておりますが、実物は見たことがありますが、食したことはまだございません。
  313. 風間昶

    ○風間昶君 それはないですよ。遺伝子組みかえ食品とオーガニック食品というのは全然違うんです。それはとんでもない話です。
  314. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 失礼しました。訂正いたします。GMO食品とオーガニック食品とを間違いました。  有機栽培による農作物というものは、その表示を前提として食したことがあるというか、それを家族などは意識的に買っておるようでございまして、私もそういうものを食べる機会が多いというふうに考えております。
  315. 風間昶

    ○風間昶君 アメリカでは野菜や果物だけじゃなくて、パンにもオーガニック・イースト・ブレッドというふうに売られているのもあるわけで、日本にももちろん入ってきているんですけれども、要するにオーガニックという言葉の定義が、語感からいうと安全でおいしくて自然に近いという食べ物のイメージであるわけです。  オーガニックというのは厳密な意味では全く化学薬品を使わない、有毒な化学物質を使わない、環境にできるだけ負荷を与えないというやり方で栽培されたもの、そういう作物を指すんですけれども、そういう意味ではなかなかオーガニック食品ということのオーガニックの、これを日本語で訳すと有機のというふうに端的に出ているけれども、それもまたちょっと僕は当たらないと思うんです。  どっちにしても、オーガニック食品を今度表示するかしないかということもJAS法の中でこれから入ってくるわけでありますけれども、その定義があいまいになったまましっかりしない状態でオーガニック農産物の表示のあり方検討してもしようがないんじゃないかと僕は思うんです。  ですから、そこは生産者側にも消費者側にもある程度ミニマム的な理解し得る表示というか基準というか、それを僕は農水省がきちっとやるべきだと思うんですが、どうですか、大臣。
  316. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 昨年十一月の有機食品の検査・認証制度検討委員会報告書でその基本的な方向が示されたところであります。  定義につきましてはいろいろありますが、とにかく先生御指摘のように、要するに無機物を生物の育成あるいは防除等に使わずに、ふん尿等も含めました有機物で農作物をつくる。それから、土壌自体も三年間にわたって無機物を投入していないという前提で、化学農薬の飛散等も防ぐというかなり厳しいやり方でやっていくということでございまして、これはコーデックス委員会の方向性にも合致したやり方であり、先生御指摘のように、本来、自然とともに共生している作物、あるいはまたそれを利用した栽培方法でできた農産物というふうに理解しております。
  317. 風間昶

    ○風間昶君 格付の問題と絡んでくるんですけれども、要するに公平公正をどのように担保するのかというのが大事なので、生産者にも消費者にも最低限わかるような基準を絶対つくるべきだと僕は思うんです。そうすると、今は労働コストがかかっているんだけれども、通常食品よりも値段が高いんです。統一基準をつくれば消費量や生産量も、それから研究開発費も増大を促して、ひいては価格の引き下げにつながっていくのではないかというふうに思うんですけれども、そこはどうですか。
  318. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今も大臣から御答弁ありましたように、有機農産物の定義といいますか基準、具体的にはこのJAS法でいえば規格になるわけでございますが、これが規格を定めることになるわけでございます。  その中でポイントとなりますのは、先ほど大臣から御答弁ありましたように、例えば収穫前三年間の化学肥料なり化学合成農薬の不使用、慣行栽培圃場からの隔離、病害虫あるいは雑草の防除に当たっての耕種的あるいは生物的防除等でございます。そうしたものを規格として定め、かつ周知徹底を図るということが必要になるわけでございますし、それに合っているか合っていないかということを第三者機関が認証するということになるわけでございまして、その認証を受けた認証シールがあるものに「有機」という表示ができるということでございます。  それで、規格を周知することによって、例えば使える資材などもそこで明らかになるわけでございますので、そうしたものが明らかになれば逆に供給面でもふえてくるということにもなるわけでございまして、そうすれば、先生御指摘のように、コストも下がってくるわけでございまして、そういう面、つまり表示の問題と生産の問題を車の両輪として進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  319. 風間昶

    ○風間昶君 次に、特定農産加工法について一、二点伺います。  要は、金融・税制上の支援措置による経営改善を促進するということでこの法案が製造メーカーに殊にかかっていくわけですけれども、低利とはいっても、ばんばん貸してはくれるものの、結局、借金がふえると負債が増大するということになって、結論的には経営が苦しくなるんじゃないかという気が私は一面ではするわけです。要するに、業界の再編と競争力の強化という市場の要請から切り離されたというか、かけ離れていく政策になるのではないかというふうに思うんです。  貸し出しによってどの程度経営が安定していくのか、経営が安定していくであろう企業はどの程度あるのかが問題だと思うんですけれども、どのぐらい見込んでいますか。
  320. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) この法律によりまして支援措置を受けました事業者の経営状況を見ますと、製品輸入が増加するという厳しい経営環境の中で融資等によります新たな投資を行った結果、融資前よりも全体として見れば改善してきているということでございます。  具体的に言えば、特定農産加工資金の融資を受けている企業につきましては、輸入量の増大にもかかわらず操業を継続しているということ、また年によって多少の振れはありますけれども、全体の経営状況が、こういう経営環境の悪化する中で、融資前に比べて経常利益率が増加あるいは横ばい傾向を示す企業の割合が高いというようなことから見まして、一定経営改善の効果を上げているものというふうに考えております。
  321. 風間昶

    ○風間昶君 特定農産加工業者の指定基準がありますけれども、十二種でしたか、WTOの次期交渉前に日本の農業全体が厳しい状況になっているというのは当然あるわけでありますけれども、その認識のもとに指定の基準を大幅に緩めて、農産物加工業者の底上げ、競争力をつけて底上げを図るということは必要ではないかと思うんですが、お考えがあれば。
  322. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) これは五年間の延長になるわけでございまして、五年後にどうするかということはそのときの状況にもよるわけでございます。当然考えられることは、その時点での国境措置のあり方等も関連してくるかと思います。  いずれにしましても、当面はこの特定農産加工法の五年間の延長を図ると同時に、先生御指摘の食品製造業の競争力の底上げのためには、これは一つは食品産業と国内農業との連携を強化していくということ。また、特に中小企業の多い食品産業におきまして技術力の向上なり、あるいは金融・税制上の支援によって食品産業の経営体質強化していくということ。また、特に環境問題も重要になっております。食品産業の環境問題への積極的対応などの対策を講じていく必要があるだろうというふうに考えております。
  323. 風間昶

    ○風間昶君 最後ですけれども。  ですから、農産加工業者の競争力をつけて底上げするための改正が今後必要になってくるのではないかと思うが、どうですかと聞いているんです。
  324. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) これは先生も御承知のとおり、いわゆる牛肉・オレンジ十二品目で、個人的な話で恐縮ですが、先生、私の地元を初めとして全国地域の基幹作物と言っていいでしょう、北海道でいえば乳製品、牛肉あるいは加工用でん粉、あるいはまたコンニャクが群馬県の特産であるとか、そういうものに対してどうやって体質強化をしていくかということで、工場の統廃合とかあるいは高度化ということでやってきたわけでございます。  ここに来てまた融資状況増加傾向にあるわけでありますが、一方では食品全体を含めた現在の不況の状況というものも影響しているのではないのかなというふうに私自身は思っているわけでございますが、何としてもこの制度の延長によりましてこの厳しい状況、しかし成果は着実に上がっているというふうに考えておりますので、これを延長していただくと同時に、今後に関しましては、つまり具体的に申し上げますと、来年の交渉以降に関しましては、これはまさしくこれから国会の御議論等を通じて交渉に臨み、そして交渉の結果、どういうことになるかということが今後の底上げの原点であろうというふうに思いますので、現時点ではこの法案のいわゆる基本的には単純延長ということで、今後のことについては情勢を見て判断をしていきたいというふうに考えております。
  325. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  326. 野間赳

    委員長野間赳君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会