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1999-03-25 第145回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 村沢  牧君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 大沢 辰美君                 谷本  巍君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        食糧庁長官    堤  英隆君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 国井正幸

    国井正幸君 国井正幸でございます。  ただいま議題となりました米の関税化に関する件について、若干の御質問をさせていただきたいというふうに思います。  今、我が国農政は大きな転換点というか岐路に立っているのではないかと私は理解しています。と申しますのは、二十一世紀を目前に控えて、国際情勢あるいは国内情勢をそれぞれ見据えて、これらに対応した新しい農政の確立が求められている。そういう中で、昭和三十六年に制定された農業基本法にかわって、新しい農業基本法を今まさに制定しようとしている、こういうことで極めて大きな転換点にあるだろうというふうに理解しています。  私は、二十一世紀国際政治の最大の課題というのは何だろうかとつくづく考えておるんですが、一つは何といっても人口問題があるのではないか、そこから食料問題もあるし、あるいは環境問題もあるし、さらにはエネルギー問題もあるだろうというふうに思っております。  それらの課題というものを考えてみたときに、いずれも農林水産業のかかわりというのは非常に重大なものがあるわけでございまして、この農林水産業抜きにはこれらの諸課題の解決というのはない、こういうふうに言ってもいいのじゃないかというふうに思っています。  したがって、これからの人類の平和と繁栄のためにも、それぞれの国あるいはそれぞれの地域において我々の食料である農業というものを振興しながら、食料を確保するあるいは環境保全していく、こういうことが極めて大切だというふうに思っております。それらについては、別途新しい農業基本法議論の中でまた御質問もさせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  きょうは米の関税化の問題なんですね。私もいろいろ地元の皆さんお話をしたり、いろんな方とお話をするんですが、確かにアクセス数量増大等で何ともならぬ、こういう状況についてはよくわかるんですが、なぜ今の時期に関税化なんだということが最後まで残るんですね。  細川政権のもとで、いわゆる米の一部輸入というのでしょうか、これが決められてきて、WTO協定そのものにはミニマムアクセス数量がうたわれ、毎年〇・八%ずつ輸入数量をふやす、こういうことはその時点から決まっておったわけですね。それがなぜやっぱり今なのかというのが率直なところ残る疑問なんです。その辺についていかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、先生の二十一世紀に向かっての御認識というのは私も全く同感でございます。  そういう中で、先生の御質問でございますが、なぜ今関税措置かということでございますが、一九八六年から始まったウルグアイ・ラウンド交渉が九三年の年末にやっとまとまった。特に、我が国の米については、絶対に例外なき関税化という大原則を受け入れることができないということで、最後にドゥーニーさんの調停案、つまり三から五というアクセス量を四から八という数字にするかわりに、それ以外のものについては関税化はしないというぎりぎりの選択をしたわけであります。当時、私ども、生産者皆さんを含めまして、それが決して満足のできる一〇〇%の答えではなかったわけでありますけれども、全体の交渉の中でのぎりぎりの最終的な判断として受け入れたわけでございます。  一方、先ほど申し上げたように関税化ということが大原則であり、六年の間にその措置を進めていくわけでありますけれども、協定上は途中から関税化をすることができるという条文もあるわけでございます。そういう中で、当時は国内需給に対して外国産米がどの程度入ってくるか、あるいはどういう影響を与えるか、どのような需要があって、そしてまたどのような需給に対する影響があるかということについての見通しが全く立たないという状況でございました、今までほとんど入ってきていなかったわけでございますから。  そういう中で三年以上経過した現時点におきまして、国内におけるミニマムアクセス米の販売の状況、特にMA米が、国産米あるいは需給影響を与えないという閣議決定があるわけでございます。低価格米に関しては一部需要がございますけれども、総体としては外国産米に対する需要というものがある程度見通せる、つまり大きな影響を与えることがない、また新たな米政策等々のいろいろな諸政策、また農政改革大綱を発表させていただきましたが、その実施等々で周辺環境もでき上がってきたという中で、このまま毎年〇・八%ずつ義務的に米が入ってくるということは、在庫あるいは先ほど申し上げた一部需要はございますけれども、影響が大きいということもございます。そのような総合的な状況考えまして、今回、九九年四月一日をもって関税化に踏み切ったわけでございます。  関税化をしたことによりまして、先ほど申し上げたように三百五十一円十七銭という協定に基づいたルールどおり関税相当量を設定したわけでございますが、それによりますならば、国産米に与える影響はないという判断を我々はいたしておるところでございますし、また〇・八から〇・四ずつにということで増加量が半分になるというような利点もあります。  さらには、来年以降始まります次期交渉に向かいまして、原則に戻ったわけでございますから、今後の次期交渉に当たりましてもより強いポジションに立って交渉に臨めるといったようなこと等を総合的に判断をして、いきなり去年やればよかった、あるいは九五年からやればよかった、いろいろ御議論がありましたけれども、当時の状況としてはなかなか難しかったということも一方ではございまして、過去の状況、それから来年以降の交渉に臨む状況等々を含めまして総合的に判断をいたしまして、四月一日から関税化にさせていただくという判断をしたところでございます。
  5. 国井正幸

    国井正幸君 今、大臣からいろいろ御説明あったんですが、それにしてもやはり方程式はあったわけであって、輸入数量が少ないにこしたことはないということなんで、なお疑念が残るわけでありますけれども、今、大臣もおっしゃいましたが、こうなっている以上これから一番大切なことは、次期WTO農業交渉我が国がどういうスタンスをきちっととっていくのか、そのために現在どうなのか、このことが最も重要なことになるだろうというふうに思うんです。その点については、これから質問の段取りもあるものですから、後でちょっとお聞きします。  その前に、この関税化に伴って、私も生活協同組合の皆さんやあるいは農業団体皆さんからいろいろ話を聞いてきました。生協皆さんと話した中では、関税化に踏み切っていって関税がどんどん下がっていくんではないかと。これは生産者も同じ見方なんですね。そういうことになっていったときに、国内の稲作というのが本当に守れるのかと。特に、生協皆さんからは、そういう意味で多面的な機能なんかもよく理解してくれている皆さんであったものですから、本当にこれで大丈夫かという強い疑念が示されたんです。  それからもう一つは、生産者皆さんからすると、これもやっぱり同じことなんですが、関税が年々切り下げられていったときに、果たして何年もつのかなと。毎年二・五%の計算でいけば、十年で二五%、二十年で五〇%、四十年たったら終わってしまう。まあ四十年先というのは予測ができないにしても、新しく農業につこうという後継者からすれば、二十何歳かで新たにその職業につくということになれば、少なくとも四十年や三十年先は見通したい、職業を選択するときにそのぐらいの展望は持ちたい、そういう中からすると、本当にこのままで大丈夫なのか、こういう強い疑念が示されているわけなんです。  したがって、関税化をとっていくということでありますから、国民皆さん不安感を与えない、きちっとやっていきますと、こういうことが裏打ちをされない限り、この問題は消費者に対しても生産者に対しても大変な問題を含んでいる、私はこのように思うんですが、国民生活への安心感、こういう面ではどのようにお考えでしょうか。
  6. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 結論的に申し上げますならば、まず国民が平時におきましても、また不測事態におきましても、米を初めとする食料品、農産物が安定的に確保される、しかも国民的な総意として国内生産されたものが基本になるということが一つあります。そのためには、生産サイドであります農業方々あるいは農村サイドが安定して将来にわたって生産ができる、さらには国民全般のニーズといたしまして、また暮らしの安全といたしまして、国土保全あるいはまたいろいろな機能を果たしていくということが必要になっていくわけであります。  そういう観点から、今回、この後基本法等々の創設や法律の改正等々を御審議いただくわけでございますが、それが結論でございます。その結論を何としても実現すべく、その方向性次期協定の中に盛り込むべく次期交渉に臨んでいくわけでございます。  したがいまして、先生指摘になりましたように、毎年二・五%ずつ四十年下げればもうゼロになっちゃうみたいな話になりかねませんが、これはあくまでも九五年から二〇〇〇年までの六年間のルールでありまして、次期交渉に当たりましては、先ほど申し上げた、まず我が国基本的な国益といいましょうか、日本スタンス、そしてまたそれが世界的に意味のある有益なものであること、さらには日本立場各国理解をされ得るような努力も必要であると考えております。  そして、現協定は、輸出国輸入国との間に、輸入義務がある、しかし輸出に関してはいつでも輸出規制やあるいはまた輸出のための補助金等々を設定することができるといったような極めてアンバランスがあるわけであります。先ほど先生指摘になったように、人口と食料との問題あるいは環境との問題、これは日本だけではない、各国そして地球的な問題でございますから、そういったいわゆる非貿易的関心事項も含めまして、我が国国益に合い、そしてまた各国国益にも合うようなものが我々の主張するところでございますので、各国の御理解をいただきながら我が国立場主張していくことが、我が国国民にとってプラスになるための次期交渉に臨む姿勢だと考えております。
  7. 国井正幸

    国井正幸君 確かにこれから次期交渉にどのような形で臨んでいくのか、そしてその交渉する土俵をどのようにつくっていくのか、これは政府だけではなくて我々も含めて大変な課題だ、このように私も考えております。  私なりに思うには、次期交渉の問題も含んでおるので、我が国WTO事務局に対して昨年の十二月二十一日関税化への通告をした。これに対して、現在のところ、オーストラリアウルグアイアルゼンチンあるいはEUということで三カ国・一地域ですか、これが異議を唱えている。これまでの新聞情報等によると、どうもやはり次期交渉をにらんでそれなりの交渉ポジションを確保する、こういうふうなねらいもあるかのように伝えられている部分もあるわけであります。  きょう外務省も来ていただいていると思うんですが、これらの三カ国・一地域異議申し立ての内容、それぞれ国によって違うかもしれません。時間もないので簡潔に、どんなことなのかお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  今、先生がおっしゃいました豪州ヨーロッパ委員会ウルグアイアルゼンチン異議申し立てについて簡単に御報告いたします。  まず、豪州でございますけれども、豪州我が国が提示いたしました譲許表修正案において使っております算定方法に対して異議を有していると。そして、その修正案農業協定附属書五との整合性に関して日本との協議に入りたいということを言っております。つまり、算定方法についての異議だということでございます。  EU欧州委員会でございますが、関税率算定に幾つかの要素につきさらなる明確化を必要としているということで、一般的な留保を表明しております。  ウルグアイは、譲許表修正案WTO協定関連規定との適合性に関して留保を提出し、日本との協議を要請するという形になっております。  最後アルゼンチンでございますが、日本譲許表修正案について、特に農業協定及び九四年のガットとの整合性に関して協議に入ることを希望しております。  したがいまして、四つともそれぞれちょっと違った表現にはなっておりましたけれども、基本的には異議申し立てということでございます。
  9. 国井正幸

    国井正幸君 農林省の熊澤審議官EUの方へ飛んだようでありますし、また詳しい事情は後でお聞かせをいただくにしても、我が国からすればWTO協定に書かれているとおりの算式に基づいてこれをやってきたことであって、異議を申し立てられるようないわれはない、このように私は考えておるわけであります。  こういうことでこの我が国のとった措置に対して異議を申し立てるということになれば、昨日我が党の貿対の中でも意見は出たわけでありますけれども、WTO協定そのものに対する否定なのではないかと。これらに対しては、国家貿易として我が国も、例えば小麦等オーストラリアから大量に買っている、こういう事実もあるわけでありますから、やはり毅然たる態度でこれらに対しては対処していく。さらに、外務省においても外交ルートを通じてこの事実というものをきちっと認識してもらう努力をしていっていただきたいというふうに思います。そして、次に待ち構えております二〇〇〇年の再交渉我が国主張というものをきちっと伝えていく必要があるだろうというふうに思うんです。  私、時間がありそうでなかなかなくなってきちゃったんですが、やはり一番の問題は、先ほどからずっと常に行き着くところというのは、WTO次期交渉我が国はどのような対応をしていくんだ、このことに尽きるというふうに思うんです。  一つは、関税率の引き下げの圧力も予測されるかもしれません。これらに対して我が国主張というものをきちっとしなくちゃならぬ。さらには、アクセス数量拡大なんかも言ってこられないとも限らない。それから、先ほど大臣もおっしゃいましたが、輸入国輸出国食料安全保障観点から見て、輸入国には輸入義務を課せられておるけれども、輸出国に対しては何ら強制的な措置というのがない、精神論だけだ、これではやはり平等な条約とは言えない。これらについても改善する必要があるというふうに思うんです。  さらには、今度の新しい農業基本法考え方にもなるわけでありますが、非貿易的関心事項農業あるいは林業の持っている多面的な機能というものをどのように位置づけをしていくのか。フランスなんかでは、やはりこれから生産主義から環境保全なりあるいは農村雇用機会拡大とか、そういうことを含めて農家と国がこういう農業をやるよということで契約をして、きちっと生産方法契約するという経営に関する何か国土契約のようなものがつくられる、ベースは我が国基本法とそう変わらないというふうに思うんです。  そういういろんな国の状況があるというふうに思うんですが、次期WTO交渉我が国がこれから、もう既に一年前ですから、ことしの暮れにはWTO閣僚会議が予定されているわけです。ことしの十一月から十二月にかけて予定されていると思うんですが、それらに向けてどのような考え方で臨もうとしているのか、これからの話というのはあると思いますが、基本的な話をお伺いしたい、このように思います。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これからどういうスタンス次期交渉に臨むかにつきましては、まず一番大事なことは国民的な合意の形成だという前提があると思います。前回交渉におきましては、国内に二つの大きな意見流れがございまして、それが私も非常に印象に残っておるところでございます。  しかし、現時点におきましては、消費者皆さん先ほど申し上げたように安定供給を確保される、あるいはまた国内生産基本である、そして不測事態に備えなければいけないということで、私は、基本的には消費者サイド生産者サイドあるいは都市、農村、あるいはまた経済界、いろんな方々を含めて、食料に対する、将来に対する不安、現在の食料の貴重さというものに対する基本認識はおおむね共通しているというふうに思いますが、いざ交渉に当たるにつきましても、そのことが一番大事なことだろうと思います。  それから、先ほどもちょっと申し上げましたように、今まではミニマムアクセスを採用している国は加盟国百三十数カ国の中で日本を含めて四カ国でございましたが、今回から原則に戻るわけでございまして、そういう中で、できるだけ日本主張というものを数多くの国々理解をいただき、ともに次期交渉に臨んでいくという姿勢も、前回反省も含めまして非常に大事なことだろうと思います。  具体的なことにつきましては、まさに国民合意が必要でございますから、これから御議論をいただかなければならないことだろうと思いますが、基本について述べよという御指摘でございましたので、基本につきましては先生おっしゃられたとおりだと、一言で言えばそういうことでございます。何といいましても、各国それぞれ自然条件あるいは歴史的、文化的条件が違う中で、食料というものはできるだけ安定的に確保する、つまり国内生産基本であるということが必要だと。安ければ輸入すればいいじゃないかということではならないということでございます。  さらには、御指摘のように非貿易的な関心事項、いわゆる環境あるいはまた国土保全、さらには食料の安全保障的な観点等々、今、日本農政が新たな展開をしようとしておるその目標そのものがまさに地球的な意味でも私は意味があると思っておりますので、先生指摘のことと同じというふうに言っていいと思います。  そういう今申し上げたようなことを基本とするというような形でこれから御議論をいただいて、次期交渉に臨んでいくべく議論を詰めていただきたいというふうに考えております。
  11. 国井正幸

    国井正幸君 ぜひこれは頑張っていかなくちゃならないというふうに思っていますが、今大臣がおっしゃられたように、これまでの交渉反省ということがあると思うんです。  きょうは外務省もおいでいただいていますけれども、答弁はしていただかなくて結構ですが、どうも我が国外交を見ていると、農林農林工業製品工業製品ということで分断されてやられてきたというような、そういう思いが強いんです。もちろん、我が国も強い部分もあるし弱い部分もある。これは国家として国家の利益を守っていくということを含めて、包括的にきちっとやる。そのために外務省が中心になって、ひとつ農林も通産も一体として我が国外交として進めていくんだ、このことを強く意識してやっていただきたい、このように思います。  それから、次期交渉に当たって、もう一つ要望しておきたいというふうに思うんですが、ミニマムアクセス米の処理の問題なんです。  我が国食料援助にも使っています。ところが、この援助あり方なんです。例えば、我が国MA米を買ってそれを援助しようということになれば、現在のWTO協定では、それは食料輸出国からすれば、買ってくれる人は、食料が足りない国がお客さんですよね。そこへ食料援助をしたら売れなくなるではないか、こういうことが言われると思います。しかし、いずれもそういう国はなかなかお金もなくて、経済力もなくて買えないんだと。金があって買えるのであればそんなことにならぬわけですから。そういうところに人道的に援助する部分については、これはやはり貿易とは別の次元の判断が必要なんだろうというふうに私は思っているんです。そういう位置づけをきちっと次期WTO交渉の中で確保していただきたい、私はこのように思っております。  その辺の援助あり方、これに対して大臣のお考えがあれば、私も時間でございますので、ぜひお伺いして質問を終わりたい、このように思います。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 援助そのもの政府全体といいましょうか、外務省を初めとする政府全体としてやっていく話だろうと思います。  先生の御質問流れの中で申し上げさせていただくならば、次期交渉に臨む、あるいは今度の基本法の中でも、やはり日本国民が、日本に住む人々が安定的に食料を供給されることはもとよりでございますけれども、世界に存在する多くの飢餓に直面している皆様方、あるいは食料をつくろうと思ってもいろいろな条件でつくれない国々、そして輸入をしようと思っても財政上その他の理由輸入が難しい国々、いっぱいあるわけでございますから、我が国としては、我が国のできるいろいろな面で、国際的にいろいろな食料の面でもできる範囲で貢献をしていくということが今回の基本法におきましてもまた次期交渉におきましても必要なことだろうというふうに考えております。
  13. 和田洋子

    和田洋子君 民主党・新緑風会の和田洋子でございます。質問をさせていただきます。  本法案の提案理由説明の中で、大臣は、「米穀は、国民の主食としての役割を果たすとともに、我が国農業生産において基幹的地位を占める重要な作物」であるというふうにおっしゃっております。こんなすばらしい御見識をお持ちの大臣でありますけれども、そんな御見識であれば何で国民各界各層にもっとお時間をいただいての議論にならなかったか、これをまずお聞きします。
  14. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 米の関税化ということは非常に、少なくとも数年前までは絶対にやってはならないことだということは、それ以前からの長い日本の歴史の中で、私も含めてそう思っていたわけであります。  したがって、WTOの現行の日本のやり方もそういうぎりぎりのところでやってきたわけでございますが、今後、今後といいましょうか九五年以来の状況を見たときに、WTO協定上、ミニマムアクセス米が毎年入ってきておりまして、在庫もあれば、また海外援助用に回ったものもあれば、もちろん一部国民経済の中で使われていったものもあるわけでございますけれども、これ以上〇・八%ずつふえていくということは国民経済的な面で見ましても重荷になっていくという判断一つあるわけでございます。  また一方、国内生産あるいは国内の安定的な需給を守っていかなければいけないという観点からも、三年余を経過した状況を振り返ってみますと、ミニマムアクセス米が初年度約四十万トンから始まって入ってきておりますけれども、入ってくることによって生産サイドあるいはまた需給サイドで大きな混乱が見られないということ、それともう一つは、ルールにのっとって関税化をすることによっても、三百五十一円というルール上の計算結果は国内生産需給影響を与えないというような経験も我々は積んだわけでございます。  したがいまして、三年余の流れの中でいろいろな経験、データ、あるいはまたいろいろな状況の結果を判断いたしまして、我が国国内の米生産を守り発展をさせていく、あるいはまた国内の安定的な米の需給のために国民皆さんに対してその責任を果たす、さらには次期交渉に向かいまして我が国立場として有利なポジションをとるという観点から見ましても、関税化というのが、残されたあと二年余、交渉開始まではあと一年しかないこの時点ではありますけれども、現時点関税化をするということが総合的に見て一番いい判断であるというふうに考えたところでございます。
  15. 和田洋子

    和田洋子君 どうして急にというような質問をしたいと思います。  我が国関税化の特例措置を受け入れた時点で、ミニマムアクセス機会を実施期間の一年目に国内消費量の四%、六年目には八%になるように設定しなければいけなかったことはもう本当にあれなんですけれども、西暦二〇〇〇年には八十五・二万玄米トンである。そして特例措置を継続する場合には、交渉期間は一年間であって、何らかの追加的かつ受け入れ可能な譲許が必要なこともわかっていたはずであります。なぜ降ってわいたように今なのかという思いがします。  そして、本委員会で去年の十一月六日に石井議員が、もうそろそろ関税化をするのかということを決めなきゃならないんじゃないですかという質問に対して亀谷政務次官は、そんなことは全然考えていません、「二〇〇〇年までということでありまして、それ以後のことにつきましては来年の末あたりから実際の話し合いが進んでいくのかなと思います」というふうにお答えになっています。  実は、農協関係では去年、これは十一月のことでありますから去年ですが、おととしからそういう話はもうとっくに進んでいて、農林省の段階でも八月ぐらいからはそういう話をしていた。国民にはよらしむべし知らしむべからずということであったんでしょうか。その思いを聞かせてください。
  16. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 二点御指摘があったと思います。  もともと特例措置を受け入れたときにわかっていたじゃないかということにつきましては、これは先ほど大臣がお答え申し上げたとおりでございますけれども、やはり当時初めてミニマムアクセス米として外国の米が入ってくるということについてのいろいろな関係者の方々の御不安、これは大変大きかったんじゃないかと思うんです。そういうことの中で、三年間実際に米が入ってくるという現状をお互い共通のものとして認識するという中で、外国産米がどの程度売れるのか、あるいはどういう消費者の実態があるのかということがお互いやはりわかってきたということが一つ大きいと思うんです。  それからもう一つミニマムアクセス米につきまして、国内にできるだけ影響を与えないということでやってきたわけですけれども、先ほど指摘のような形でミニマムアクセス米がふえていく、このままずっと続いていくということになればやはりなかなか大変だなと。そういう中で、〇・八%の増加でなしに〇・四%の増加の道があるんだということもお互い検証の中で再確認していくということであれば、そういう選択肢をこの際とった方がいろんな意味国内農業との関係からいいのではないか、そういったお互い関係者の間の共通の理解といいますか、そういうものができ上がるのに三年程度の期間をやはり要したんじゃないか、こういうふうに思っております。  そういう状況の中で、第二番目におっしゃいましたような形で、農業者団体、政治の世界におきましても、それから私ども農林水産省の世界におきましても、夏といいますか九月ぐらいからそろそろそういったことについて真剣に検証を始めたということでございます。  そしてその中で、先ほど申し上げたような形で、現行の協定上どういう選択肢があるのかということについてお互い検証、勉強した中で、今回のような形でことしから、四月一日から施行できれば、今申し上げたようなミニマムアクセス増加量が半減できるとか、あるいは二次税率についても農業協定上明確に書いてございますので、次期交渉が始まる前であれば各国との協議を、そんなひどい協議にならなくて自動的な形で設定できるとか、そういったメリットをお互い共有した形で今回の措置に踏み切ったと、こういうことであろうというふうに理解いたしております。
  17. 和田洋子

    和田洋子君 もう本当に私たち、私たちというか農民の皆さんのために言っているのかなという思いがするんですけれども、関税化への切りかえが早ければ早いほどミニマムアクセス米輸入量は少なくて済むというわけですから、それを優先するのであれば一年前、どうして去年ではいけなかったのか。今やっとわかったというふうにおっしゃいましたけれども、この関税化が受け入れられる時点でもう学識経験者とか農林省の内部では、本当は関税化の方がいいのになという意見はいっぱいあったというふうな思いも聞いています。  でも、当時とすれば、外国米は一粒たりともというような話があったことは私も知っています。でも、農民のために、早ければ早いほど得するんだよということを皆さん御承知だったら、どうしてもっと早くに、だれが何と言おうともこうなんですよということを言わなかったんでしょうか。
  18. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどもお答え申し上げましたが、八六年から、あるいはまた別のところではRMAというのですか、全米精米業者協会が米を輸入しろ輸入しろという議論が十数年前からあったと記憶をしておりますが、そういう中で、我々国会の場におる多くの議員、あるいはまた生産者お一人お一人、それから農林水産省もそうだったと思いますけれども、米の関税化ということはあってはならないんだということでずっと来たわけであります。そして、その一つ結論ミニマムアクセスの特例措置の受け入れということでありました。  今、先生指摘のように、そんなにもっといい案があるんだったらその交渉過程で、あるいは九五年のスタート時点からという話でありますけれども、私は今だからそういう議論ができるんだろうと実は思うわけであります。  つまり、こういう大きな国民全体、あるいは全国何百万といらっしゃる生産者皆さんに関係する大きな問題を最終的に決めるのは政治でございます。政治が決めるわけでございまして、それに基づいて、農林省にしても外務省にしても政府にしても、議院内閣制のもとでその方針に基づいて決定するわけであります。そういう政治状況考えますならば、九三年の時点においても、あのたった四から八だけ特例で、もう世界の中でも特例としてこれだけで済むんだよ、あとはもうそれこそ一粒たりとも入らないんだよという説明ですら私ども自身もなかなか納得いかなかったわけでございますし、生産者皆さんももちろん怒りの気持ちでいっぱいだっただろうと思います。  したがいまして、あの時点で最初から関税化をしておけばこのぐらいの関税が張られて、当時七百何十%とかいう記憶をしておりますけれども、しかも三%からで済んだんだよとかいうことは、まさにこれは例外なき関税化の土俵にのるということになるわけでございますから、当時の政治状況からいってなかなか難しかった。今だから、三年経過していろいろなデータあるいはまたいろいろな国内情勢国際情勢等々を総合的に判断して、そしていろんな立場で御議論をいただき、国会の場でも御議論をいただいて、最終的にこういう判断をさせていただくということでございます。  今の時点でまさに政治判断として国会の場で法案等の御審議をいただいておるわけでございまして、九三年四月一日時点でやっておけばよかったと言えば、今からは言えるかもしれませんけれども、当時の状況にあえて自分の身を置いてみるとするならば、当時の政治状況としてはこれは極めて不可能な状況でなかったのではないかなという、これはお互い政治家同士の議論としてあえてお答えさせていただきたいと思います。
  19. 和田洋子

    和田洋子君 当時の状況は、畑大臣なんかはもうさんざんに皆さんから言われましたから、我々も本当によく知っているわけでありますが、去年おととしあたりからJAの皆さんがとっくにこの議論を開始している段階も皆さんは御存じ、よく三者協議とかいって仲よしこよしの皆さんが、どうしてそのころに判断をしなかったのかなという疑問はまず残りますから、そのことは言っておきます。  まず、農協系統組織における討議は尽くされたかということを質問します。  私たちがこの法案に反対している理由一つは、十分な議論が尽くされていない、国民的なコンセンサスが得られていない、大臣国民合意こそ必要だというふうに今おっしゃいましたけれども、絶対に国民合意は得られていないというふうに私は思っています。  検討の経過をたどってみても、与党、農協系統組織において現行協定の分析、検証作業が開始されたのは昨年の九月のことであって、全国農協中央会が各都道府県に四つの選択というふうに言っていたのは十一月の二十六日のことですから、都道府県レベルで検討ができたのは本当に十八日間なんです。  それで、私ちょっと地元の農協の人にどういう話があったのかということを聞いてみましたら、これをもらってきました。(資料を示す)これをちょっと隣の人に見てもらってもわかる。ただ四万トン得するからこれを承知してくれ、そういうことしか言わないで、本当に農協は何にも議論されないまま、ただ得だからやれ、得だからやれという、議論もないままのものだったというふうに聞いていますが、農協系統の皆さんも本当に何のことだか全然わからなかったななんというふうに言っています。  報道で知る限りは、この問題について検討の機会がなかったことに不満を訴える声がかなりあったように思われましたが、農林省はどのように理解しておられるか、お尋ねをします。
  20. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 農協系統組織における議論ということでございますが、系統組織では次期の農業交渉が二〇〇〇年から始まるといったことを踏まえまして、既に一昨年のJA全国大会議案におきまして、次期交渉の枠組みというものがどういうものになるであろうか、また現行協定の中で米についてはどういう規定内容になっているかといったことにつきまして、また米の特例措置の取り扱いについてどう考えるべきかといったようなことにつきまして問題提起がなされておったところでございます。  そうした経緯を経まして、今回、系統組織におきましては、次期交渉にどういう方針で臨んでいくのかという検討の一環といたしまして、米の特例措置の扱いにつきましても全国的な議論を展開してきたというふうに理解をいたしております。特に、昨年の十一月下旬以降は、各都道府県段階におきまして、単協の組合長会議等を通じまして、組合員農家の意見をできるだけ広範に集約するように精力的な組織討議が行われてきたものと理解いたしております。  大変時間的な制約があります中で、十分と言えるかどうかという面はあるにしましても、系統組織として可能な限り真剣かつ濃密な議論が行われてきたのではないかというふうに考えております。
  21. 和田洋子

    和田洋子君 真剣かつ濃密な討議がされたということが結果的にこんなものだったんだなということも御理解をいただきたいと思います。  理事で行けなかった人は、何かわからないファクスが来て、賛成するから文句言うなよと言われたから何も言わなかったというような人もいました。要するに、農林省の思いとまた地元に帰った思いは全然違いますから、そういうことをも知っておいていただきたいなと思います。  そして、まず私たちは国会軽視ではなかったかという思いがいたします。関税措置への切りかえを行うということは政府の権限だそうですから、この手続に間違いがあったとは言えないのかもしれません。しかし、国会は、四年前に関税化の特例措置政府が決断されるときは三度にわたって決議も行いましたし、これは与野党を問わずこの問題に重大な関心を持っていたはずであります。  このようなことを考えれば、国会での経過説明とともに十分な議論の機会を提供するべきだったというふうに思います。我が党の小平議員が質問したときには、小渕総理は、「本院の農林水産委員会におきましても御論議をいただいたところであります。」というふうにおっしゃいました。これはそうではなくて、私たち参議院の野党の人たちが提案をして、十八日に農林水産委員会を急遽開いていただいたんです。それで、参議院が異例にも先にやって、衆議院はその後でやった。それは、私たちが要求した委員会であったのですから、そういうことを考えて国会軽視とは思われませんか。そのことをお尋ねします。
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今までの経緯については経済局長から今答弁いたしましたが、国会軽視であったかどうかということについては、今まさに先生指摘のように、与野党関係なくこういうことを例えばこの農水委員会で審議をしよう、議論をしようということであれば、先生方がこの委員会の場で御意見を申し上げ、そして、当たり前のことを私から申し上げることは恐縮でございますけれども、理事会の場で御議論をいただき、そして最後委員長が御判断をされる話でございまして、委員長が御判断をされてこの委員会を開いていただいたということは大変ありがたいことであり、その場でもいろいろ御意見をいただき、また、我々としても一生懸命答弁をさせていただいたところでございます。
  23. 和田洋子

    和田洋子君 何回も申し上げて申しわけありませんが、大臣は、国民合意ということでありますけれども、三者協議というのがしばしば問題になって、いろんなところで言われています。三者協議は公式の場ではないというふうにおっしゃいますけれども、それに対して農林大臣も総理大臣もまた農協中央会の会長も三者協議の中で来年四月からの関税移行を決定したと合意しているという談話まで出されておられます。  国民理解を得ながら交渉基本的戦略を構築することとされたと言われた中川大臣は、国民合意を得るためにこれからどういうふうにしていこうとされますか。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、確かに数カ月という期間が長いか短いかというのは、それは先生のようなお考えもあるわけでございまして、期間については長い短いということは申し上げませんが、しかし限られた時間、限られた時間というのは今までの時間、それから四つの選択のうちでベストと我々が判断をした四月一日ということから逆算した時間という間での限られた時間の中では最大限のことをしたつもりでございます。  しかし、それによってやれるだけのことをやったかといえば、先生指摘のような例もよくこの場でも出てまいりますが、我々としてはできるだけのことをやったつもりであります。生産者団体はもとより、決定後も含めまして、私自身も消費者団体の皆さん方、あるいは先生方を含めそれぞれ私も地元がございますし、いろんな方々の御意見、マスコミの皆さんの御意見経済界皆さんの御意見も聞き、また、いろんな場でいろいろと御説明もし、全国に農林省の職員が飛んでできるだけの方々に御説明をし、御理解を得つつある、かなりいただきつつあるというふうに私は考えております。  引き続きこれからも、四月一日から少なくとも関税化という措置に入る、少なくとも実態的にがらっと変わるものではないという前提で関税化措置に踏み切るわけでございますけれども、いずれにしても制度が変わるという以上は、これからも私を初めといたしまして、政府あるいはまた国会の場で御理解をいただいておる先生方にもお力添えをいただきながら、あらゆる努力でさらに御理解をいただけるように努力を続けていきたいと考えております。
  25. 和田洋子

    和田洋子君 三カ月が長いか短いかといえば、私は短いというふうに思います。  我が国が昨年の十二月二十一日にWTO事務局に対して米の関税措置への切りかえを通告して、三月二十一日にガットの協定に基づく周知期間が終了したところ、この間にオーストラリアから異議申し立てがありました。EUとかアルゼンチンとかウルグアイ留保ということでありますが、これらの国々が一様に指摘しているのは算定方法異議ありということであります。  農林省は農業協定の定めるところによって算定したものであるから何も異論は出ないはずと言っているにもかかわらず、各国が全部算定方法異議ありということでありますから、これはどういうことなんだと思いますか。
  26. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 各国に対しましてはまたこれからきちっと説明をしていきたいと思いますが、先生御案内のように、この農業協定上明確にどういう期間をとって何と何を比較しろと、こういうふうに書いてあるわけです。その際に、国際価格については実際の輸入価格、CIF価格ですということを書いております。かつその中におきましても、砕米でありますとか精米でありますとか、そういう区分を全部ひっくるめましたHS四けた、これは砕米、精米、それからもみ、玄米、この四つが入るわけですけれども、それを単位としてやりなさいと、そういうことも書いてございます。  それから、卸売価格につきましてもその国におきます代表的な卸売価格、こういうふうに明確に農業協定に書いてあるわけでございます。当時食糧庁が卸売価格について調査をしていたのですけれども、その区分が上米、中米、並米とあります。上米は実に六四%のシェアを占めております。それらは単に自主流通米だけでなしに、政府米も含めた形の概念として六四%を占めております。中米は政府米だ、こういうふうに書いておりまして、実質のシェアは一七%程度でございます。並米は標準価格米でございまして、一九%でございました。これはいずれも公表された資料でございます。  そういうことを考えましたときに、上米という言葉が何か上だけのクラスのというふうにとられるのですけれども、実態は、名前は別にいたしまして国民の多くの方々が食べておられる代表的なまさに卸売価格ということで、農業協定にそのままの規定を忠実に私どもとしては計算したものだと、こういうことでございます。  こういうことについても従来からも関係各国に御説明して、ほとんどの国は御理解をいただいたわけでございますので、なおこれから四カ国に対しまして、今申し上げましたようなことにつきましてもるる御説明をして御理解を得べく努力をしたい、こういうふうに考えております。
  27. 和田洋子

    和田洋子君 私も上米ということにちょっと疑問を感じて調べてみましたら、六〇%から七〇%が国民がお上がりになっている米だということで、日本はそういうふうにしたということでありますけれども、これは外国の人にしてみれば輸入加工米とか、そういうものとの格差が大き過ぎるのじゃないかということなんだと思いますが、やっぱり日本の国の意見をわかっていただいていないという証拠だというふうに思っていました。  次の質問をします。  WTO農業協定附属書五は、加盟国は実施期間中のいずれかの年の開始時においても同附属書の規定に従い特例措置の適用を終了させることができる旨定めております。仮に、我が国努力にもかかわらず、他国からの異議申し立てにより四月一日までに譲許表修正手続が終了しない場合でも、農業協定に定めてあるんだから指針に従った関税水準を算定している限り国内法令によって関税化を実施できるというふうに何回も私はお聞きしておりましたが、そのままその方針でいいんですか。
  28. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  農業協定関税措置への切りかえの問題でございますけれども、繰り返しになるかもしれませんが、もう一度基本的なところを御説明させていただきたいと思います。  まず、農業協定の附属書では、加盟国は実施期間中のいずれの年でも開始時においても特例措置の適用を終了することができると定めております。そして、その算定方法関税率等も明確に規定しております。特例措置の適用を終了させる場合には、農業協定に従って国内法令の改正を行うとともに、WTO協定譲許表を修正するための手続をとる必要もございます。しかし、農業協定上、今回の例に即していえば、四月一日までに譲許表の修正手続を終了しなければならないという規定はございません。  したがいまして、譲許表の修正については、譲許表の修正が確定してWTO事務局から確認書が発出された後に速やかに国会に提出して御承認を得たいと考えておりますけれども、四月一日までに譲許表の修正手続が終了しない場合でも、この特例措置の終了ということは関税化という農業協定基本原則にかなうものでもありますので、国内法令によって関税措置への切りかえが行える、実施できるということでございます。
  29. 和田洋子

    和田洋子君 これは次の質問のときにまた言いますけれども、アメリカが異議申し立てを見送った背景は、日本がお利口さんに農業協定どおりにきちんとしていて、本来であれば特例措置ではないのにまたもとのあれに戻すから、アメリカは日本がよくやっているからこの異議申し立ては引っ込めたんだよというふうに言っておられるみたいですけれども、実は報道によれば、ミニマムアクセス米輸出実績を確保するためだというふうに言われています。そして、質の高い米をつくり続ければ今後も十分な参入を確保し続けることができることに満足したなんという報道もあります。日本側のとり方とアメリカの言い方は全然違うんですね。  そして、アメリカのバシェフスキー通商代表部代表という方は状況が変わればWTOも含めたあらゆる措置をとる用意があるという声明文まで出しているんですが、それを日本はどういうふうに受けとめておられますか。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一週間ほど前までは、いろいろな場でアメリカが、バシェフスキーというか、アメリカ政府がアメリカ議会に対して出した報告書の中で、米、鉄鋼を初めとしていろいろ書いてありまして、WTOへの提訴も含め、これからも圧力をかけ続けるという報告書が出まして、それに基づいてアメリカは異議申し立てをすることがもうほぼ間違いないんだというような前提での御指摘もいただきましたが、これはあくまでもアメリカの政府内部の問題であり、また、私が七月三十日にこの職を拝命して以来もバシェフスキーさんもいろいろな場でいろいろなことを言っておることを報道等で知っております。  しかし、これはあくまでもアメリカの立場で発言をされていることであり、また我々は我々の立場で我々の判断、あるいはいろいろな協定ルール等々をもとにして行動をし、また発言をしておるところでございますから、直接にバシェフスキーさんが、私なりあるいは外務大臣なり、政府間の正式のレベルで発言をされたことに関してであれば我々も我々の立場でお答えを申し上げますが、どの場で言われたことが新聞に載っているからそれに対してどう考えるかということについては、正確性の問題もございますし、またどういう意図かもわかりませんので、一々答弁をすることは御容赦を願いたいと思います。
  31. 和田洋子

    和田洋子君 一々ちょっと言ってみますけれども、十一年の三月二十四日の日経新聞の朝刊に、代表が言っておられます。また、これも日経新聞の三月二十四日の朝刊に出ております。  日本が、もちろん日本のいいところなのかもしれませんけれども、我が国関税措置への切りかえ手続がWTO農業協定の手続に忠実に従ったもので異議を申し立てる理由が見出せなかったためと、そんな甘いものじゃないんじゃないかなという思いで今の質問はいたしましたので、しっかり受けとめていただきたいというふうに思います。何かありますか。
  32. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我々としては、そのとおりの立場で今回の措置に踏み切らせていただきたいと考えております。
  33. 和田洋子

    和田洋子君 そのとおりというのは、忠実に従ったからということですか。甘いんですね、やっぱり。  次にお聞きしたいことは、オーストラリア我が国の米の関税措置への切りかえについて異議申し立てをしたというふうに報道があったとき、ちょうど与謝野大臣オーストラリアにおいででした。    〔委員長退席、理事三浦一水君着席〕  オーストラリアの広報部が出したところによりますと、日本の与謝野通商産業大臣が来週月曜日にキャンベラに訪問される際、この米の関税化の問題を話し合うつもりであるというふうに広報部で出しておりますが、そのときの経過を知っておられれば詳しく教えていただきたいと思います。
  34. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 与謝野通産大臣は、三月二十一日、二十二日に豪州のフィッシャー副首相兼貿易大臣と会合をされておるわけでございます。  その中で米につきましても話題になりまして、その際に与謝野大臣からは、我が国の米の関税化は完全にWTO協定に従ったものであり、何ら問題のないものであるということ、それから、これまで重ねて説明を行ってきているにもかかわらず豪州異議申し立てをしたということは、これは与謝野大臣のお言葉でございますが、私自身、大変驚きであるとともに大変遺憾であるということを伝えられたということでございます。それから、フィッシャー大臣からは、日本関税化自体は評価するけれども、関税率が余りに高くて、これを導いた算定方式が問題であるというようなことを述べられた。  両大臣の間で、最終的には、両国の農業担当の専門家同士で引き続き話し合いを継続していくのがよかろうというようなことで意見が一致されたというふうに伺っております。
  35. 和田洋子

    和田洋子君 去年の十二月二十一日のWTOへの関税措置への切りかえに伴う譲許表の改定を通報しましたけれども、当初の予定では、この確認書到着の後に譲許表の改定に関して国会の承認を求める手はずとなっていたと思いますが、それができなくなりました。なぜならば、それは異議申し立てがあったからだというふうに思います。  確認書が来ないということは、我が国の通報内容を認めていないということであるから、関税措置への切りかえは認めても具体的な内容、すなわち四カ国が申し立てている我が国譲許表を承認していないということだと思います。  譲許表の改正と関税措置への切りかえについては、衆議院の段階における我が党の委員の要求によって政府統一見解が出ています。そこでは、特例措置の適用を終了させる場合には、農業協定に従って国内法の改正を行うとともに、WTO協定譲許表を修正するための手続をとる必要があるというふうになっています。ただし、農業協定上四月一日までに譲許表の修正手続をしなければいけないということはないというふうにお聞きをしました。    〔理事三浦一水君退席、委員長着席〕  常識的に考えて、譲許表WTOで承認されていないのに関税措置へ移行できるんでしょうか。そのことを私はお聞きしたいんです。
  36. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  基本的には、先般来いろんな場で申し上げたとおり、私どもとしましては、譲許表上の修正手続というのは四月一日までにしなければならないという規定はございません。そういうことと、関税措置への切りかえそのものは農業協定という国際条約に従って、それによって行いますので可能である。したがいまして、二つ合わせますと、修正手続を終了しなくても、国内法令によって関税措置への切りかえはできるというふうに考えております。  今回、WTOを通じまして日本側の措置について通報し、三カ月間の期間を経て、各国からの了解を得るべく期間を経過したわけでございますけれども、私どもの説明等にもかかわらず、残念ながら四カ国からは異議の申し立てがございましたが、その他の各国日本側の措置について了解したというふうに理解できるかと思います。  したがいまして、今後残されている四カ国については説明を続け異議の撤回を図るべく努力いたしますし、その撤回ができたところで確認書というのはいただけるわけでございますので、そこで改めて国会にお諮りをする、こういう段取りだと考えております。繰り返しますけれども、譲許表の修正ということが確認書を得て終了しない以前であっても農業協定に従っております関税措置への切りかえというのはできるということでございます。
  37. 和田洋子

    和田洋子君 四月一日までに手続をしなければならないという規定がないから問題がないというのは我が国意見であって、WTOはそういうふうには認めていないかもしれない。これは違反になるんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  38. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) WTOとの関係につきましては、今お答え申し上げましたとおり、農業協定というWTOの一角をなします協定に特例措置の終了も書いてございますし、その際にどうやって関税率を定めるか等も書いてございます。私どもの今回の措置はこの協定に従ってのことでございます。  まず、譲許表との関係を申し上げますと、譲許表というのは、一般的にWTOの場では譲許表よりも厳しい措置はとらないということを約束するものでございまして、その譲許表の範囲内であれば、かつ今回は農業協定という条約のもとで定められたあれに従って行いますものですから、国内法令によって関税措置への切りかえというのは可能だということでございます。
  39. 和田洋子

    和田洋子君 では、確認書ということなんだと思いますが、確認書が来る前にこの法案を審議するのに不都合はないんですか。我が国では、条約が国内法に優先するという了解があるんですが、譲許表が来る前に国内法を成立させることに問題はないのか、WTO事務局より確認書が発出されてくるという確信はあるのか、もしそうであればその根拠は何なのかお尋ねをします。
  40. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答えを申し上げます。  繰り返しますけれども、譲許表は確かに国際的な約束をなすものでございます。ただ、一般的な国際的条約とちょっと違っておりますのは、WTOという枠内であって、その枠内で行われておりますいろいろな権利義務関係を譲許という形で譲許表というものに載せるということになっております。  その観点から申し上げますと、まず今回の関税措置への切りかえというのは、繰り返しになりますけれども、WTOの一角をなしております農業協定という規定に従って行われます。したがって、当然日本側が行っていることについてはWTO上の根拠のあることでございます。そして、それでまず措置としては国内法によって十分とれるということは先ほど来申し上げていることであります。  他方、WTOの仕組みとしましては、国内法でとった措置についていずれかの段階では譲許表の修正が必要となるわけでございまして、そのためには確認書が必要でございますから、各国の了解を得たところで確認書を得て国会にもお諮りするということでございますけれども、順番としましては譲許表の修正が行われないと国内法上の措置が有効にならないということはございません。それは、繰り返しますけれども農業協定に基づいた十分根拠のある措置国内法でとるからでございます。  したがいまして、譲許表が修正される以前であっても今ございます譲許表と矛盾しないものであれば当然できるわけでございまして、国内法上できるということでございます。
  41. 和田洋子

    和田洋子君 今の譲許表と矛盾がなければというのは、今申し立てがある段階でそれはないよということなのにそういうことを言われるのはちょっとおかしいのではないですか。(発言する者あり)
  42. 野間赳

    委員長野間赳君) 静粛に。
  43. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 加盟国による特例措置の終了というのは、繰り返しになりますけれども、農業協定上の基本原則にのっとって行っています。したがいまして、国内法令によって関税措置への切りかえは実施できるということでございまして、この我が国立場について今のところ各国より異論は出てきていないというふうに理解しております。  異議の申し立てを行っておる四カ国に対しては、現在外交ルートを通じ遺憾の意を述べる等しているとともに、先方の異議申し立ての内容と根拠の詳細を照会しておるところでございまして、私どもの立場も説明を行っております。そして、その説明を経て先方の理解を得て、早急に異議の撤回が行われるよう図っておるところでございます。  しかし、それとかかわりなく、国内法というものに従って関税措置の切りかえができるということは先ほど農業協定そのものとの関係で御説明しているところでございまして、それは可能だということでございます。
  44. 和田洋子

    和田洋子君 異議申し立てはないものとして私たちは聞いていたからそういうことなんだと思いますが、異議申し立てのある段階では何を言っているのかわからないなという思いがします。  まず、その確認書はいつ届くかということはわかるのだろうかということと、十二月二十一日に関税措置に切りかえますよというふうに外国に言った段階で、皆さんは関係各国に十分な説明をするというふうにおっしゃいました。その十分な説明はしたんですか。もうしたなら異議申し立てなんというのはないはずなんだけれども、それでも異議申し立てがあるということは、皆さんの説明は不十分であったということなのかなというふうに思います。  そして、まず異議申し立てというのと留保という言葉の違い、譲許表に対して留保異議申し立てはどのように違ってくるかちょっと教えてください。
  45. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 異議申し立て留保の違いについて御説明申し上げます。  先ほどのお答えの中で、各国の表現ぶりについては若干の表現の違いがあることは申し上げました。異議という言葉を使っているところもございますし、留保という言葉を使っているところもございます。しかし、いずれにせよ、表現ぶりは異なっておりますけれども、先方の申し立てがある限り確認書というのは出てこないわけでございますので、実質的にはその効力においていずれも異議申し立てと同じだと思います。つまり、留保という表現をとっているところもございますが、異議申し立てと同じだということでございます。
  46. 和田洋子

    和田洋子君 譲許表にはどういうふうにかかわってきますか。
  47. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 譲許表の修正というのが問題というか課題になっているわけでございますけれども、表現はともかく、それについて四カ国がいずれにしましても異議の申し立てを行っているということでございますので、それが撤回されないまでは確認書は届いてこないということで、効果は同じでございます。
  48. 和田洋子

    和田洋子君 大臣にお尋ねします。  異議申し立てもしくは留保について大変遺憾なことだというふうに思うと。遺憾なことというのが私ちょっとわからないんですけれども、早く話し合いを進め撤回を求めていくと記者会見でおっしゃっておられます。万一協議が調わないで物別れとなった場合は、紛争の処理手続に従ってWTOのパネル検討の場に移されるということであります。  パネル検討の場に移されるという場合はどういう対応をされるのか、そしてそれがなかなか、そのままパネル協議が進んでこれが泥沼のような状態になってきたら、政府はそういう事態をどういうふうに責任をお持ちになるのか。
  49. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もとより加盟国百三十四カ国は、異議申し立て留保協議要請か知りませんけれども、そういう権利、さらには紛争処理手続への移行の権利はあるわけであります。日本も持っておるわけでありますし、今回の四カ国も当然持っておるわけであります。  百三十四カ国のうち百三十カ国は異議申し立てをしなかったということであります。四カ国については、今、大島経済局長から話がありましたように、表現はいろいろありますけれども、広い意味での異議申し立てをしたわけであります。  泥沼になるかならないかということでございますが、それは各国それぞれ主権と国益等いろいろな判断で行動されるわけであります。ですから、異議申し立てをしたり、あるいはパネルの場に話を持ち込んだり、そうすればパネルの場でいろんな協議、審判等々が行われ、結論が出、またそれで納得がいかなければ上級審に行ってまた同じことをやるというルールがはっきりと決められておるわけであります。  したがいまして、我が国としては、我が国立場として、これはルール上、協定上、極めて協定に忠実に従って決定をした手続としてWTOに通知をし、関係各国に説明をし、ほとんど大部分国々、アメリカ、タイを含めて米に最も関心のある国々も含めて御理解をいただいた、協定どおりであるというふうに理解をしております。  ただ、米に関係のある国あるいは米に全く関係のない国も含めまして四カ国が異議申し立てのような形の意思表示をされたということは、今申し上げたようなことを一言で言うならば、大変残念というか、びっくりしたというか、遺憾というか、いろんな言い方がありますけれども、そういう率直な感想を持っておるわけであります。  いずれにしても、相手のあることでございますし、相手がどういう行動をルールの中においてされるかということについては相手が判断されることであります。なお、我が国としては、先ほどからもお話ありますように、熊澤審議官EUに昨晩派遣させ、また各国にも説明をし、その真意並びに我が国のこのルールにのっとった極めて正当な今回の措置について御理解をいただき、異議等を取り下げていただくように、今、各国に対して話し合いをしておるところでございます。
  50. 和田洋子

    和田洋子君 もちろん、我が国農業協定にのっとってということであります。そして、異議申し立ては遺憾であるということでございますけれども、WTOの、EUと二〇〇〇年以降はあらゆる貿易の中で仲よくやっていけるんじゃないかという報道もあったりして、そういうところからこんな問題が、米に関することでないのに、こういうことが出ること自体が日本は甘いんじゃないかということと、アメリカは、日本の国は協定上やっているから引っ込んだんじゃなくて、実は自分の国の思いだけで今回は引っ込めたんじゃないか、そういういろんな事情が、あらゆることが考えられるのに、日本はどうぞ日本の思いをしっかり述べて、世界にもっともっと強く出ていただきたいなという思いがします。  新ラウンドへ向けての方針変更の可能性はありませんか。パネルの審議となればこの問題が最終的に決着するのは新ラウンド交渉が始まる二〇〇〇年以降にずれ込むことが、もうこれは必至だと思います。関税措置へ切りかえてミニマムアクセス米のますます上がっているのを抑止して、今まで農業交渉でネックとなってきた米を交渉の項目から外して重荷をおろした上で、フリーハンドで新ラウンドに臨み、我が国がかねてから主張してきた食料の主権とか農業の多面的機能の評価をEUなどの利害が共通するところと本当に一緒にやっていける、そういう政府のもくろみというか政府の思いはこの異議申し立てで何かぐずっと崩れたんじゃないかなと私は思いますが、政府の新ラウンドに臨む方針をきちんと言っていただきたい。
  51. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、甘いか、辛いか、しょっぱいかわかりませんが、国益にのっとってそれぞれの立場判断をされた、その中の四カ国だと思います。先生日本も毅然としてやりなさいというお言葉はまことにありがたいお言葉でございました。ですから、今回、我が国国益考えて四月一日から関税化に踏み切るという態度をとったわけでございます。それは我が国国益に沿った態度であります。ほかの国にもほかの国の国益に沿った立場があるからいろいろなことをされるわけでございます。  我が国としてもそういう立場でこれからも臨んでいくわけでございますから、四カ国についても、EUを初めとして我が国立場を説明し、また協定上の解釈についても、何回もやっておりますけれども、附属書五並びに附属書五の付録等々を改めて読みながら今ごろ話し合いをやっているのではないかと思います。  これが紛争手続に入るかどうか、これはわかりません。相手のあることでございますからわかりませんが、今後WTOに向かいましては、我が国といたしましては我が国国益、つまり国民に対する食料の安定的な供給、そしてそれは国産を基本とするということで、国内生産者生産地帯の維持発展を図るということを大前提にし、そして農業農村が果たす全国民的に有益であるいろいろな機能を維持発展させていく。そしてまた、我が国だけではない地球的な意味での人口と食料との関係、さらには地球のいろいろな生態系、自然環境を守るというような大きな責務の推進に向かってほかの国とともどもやっていけますように、さらには先ほど申し上げたような今回のWTO協定全体のバランスの問題等々いろいろございますが、そういうような大きな基本的なところは既に当委員会を初め、いろいろ御議論をいただいております。  幾つかの大きな柱はもう話が出ておるというふうに思いますが、具体的な交渉に当たりまして、そういうものを前提にして国民的な合意をいただいて、それぞれこれからマルチの大きな交渉の場、場合によってはバイの交渉もあるかと思いますけれども、来年以降の交渉に向かって頑張っていきたいと思いますので、先生の御指導も引き続きよろしくお願いをいたします。
  52. 和田洋子

    和田洋子君 もう時間がなくて問題を残してしまったんですけれども、UR対策についてお尋ねをしたかったわけです。  六兆百億円というお金は、農家の皆さんが足腰の強い農業者になってもらいたいという国の大きなあれがあってなされたことでありますけれども、進捗状況とか事業の効果とか土地改良負担金の軽減とか、全部お聞きしたかったわけであります。  まず、このウルグアイ、UR対策に使ったお金で、日本の国の農民が、今回関税化の方向に向かっていくとすれば、ウルグアイ対策のお金がこれほどきいて外国の米とおれたちの米は競合できるよ、さあ来いと言える農家の皆さんはどれくらいいらっしゃるとお思いでしょうか。私たちの地元にはそんな人はいません。これは大変な問題だと思う人ばかりであります。  そして、例えば農道なんというのをつくっていただいて、これはみんな農家の負担金になっていますけれども、農道なんて、つくったその日からダンプがどんどん走って、それは大きな、もう本当に農道というよりは、そっちの方の町村道、県道にまで発展しているくらいの道路ばかりであります。そういう道路に対する軽減のお金、償還金も農家が負担しているわけですから、果たしてこのウルグアイ対策、さあ来いと言える農家がいるか、そして軽減策はどういうふうに考えているか、二つだけお答えをいただきたいと思います。
  53. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) ウルグアイ・ラウンド農業関連対策の成果といいますか効果のことだろうと思いますけれども、まだ途中でございますので全体を総括するまでには行っておりませんけれども、代表的な農業の整備事業につきまして、農業の体質の強化と農村地域の活性化ということを目指してやっているわけでございますけれども、八年度ないしは九年度に事業が終了いたしました担い手育成型の圃場整備事業について見ますと、三十七の地区で担い手の経営規模が約二倍になる、それから水稲作についていえば労働時間が七割減少する、さらにコスト全体についても六割減る、やはり顕著に成績が上がっているというふうに私は思います。  それから、認定農家でございますけれども、これは非公共の事業で構造改善事業がありますけれども、この構造改善事業を十年度までに行った地域でいいますと、これからの日本農業を担っていただく認定農家の数が約二・四倍にこれはふえておりますし、農地の利用集積率も五割以上上がっているというふうな状況が見られます。私は、これからも力を入れて計画的にこの事業を推進することによって力強い農業構造が実現できると考えております。  負担金の問題につきましては、これまでるる対策を重ねてまいりましたけれども、ここ十年度に至りましてとりわけ利子助成をする部分拡大いたしまして、二%以上の部分について利子軽減を図るというふうな対策もやっております。それから、負担金のファンドもあと二年間でほぼ目標といたしました二千六百億を実現したいと思っております。着実にこういった方向に向けてさらに努力を重ねたいと考えます。
  54. 和田洋子

    和田洋子君 終わります。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  先ほど関税化についてお聞きしたいと思いますけれども、三カ国・一地域部分について新聞報道をもとにして聞くのはいかがかと思いますが、オーストラリアが明確に異議を申し立てた、これは譲許表修正の算定方法に対して異議があるということで申し立てたということでありますが、新聞報道では、オーストラリアの選挙のためであるというふうな報道もあるようでありますけれども、このことについて政府に何らかの正式なコメントが入ったのかどうか。
  56. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 私どもとしましては、オーストラリアから私どものジュネーブにございます代表部にありました通報に従って先方の異議申し立て理由理解したわけでございますけれども、その理由先生がおっしゃいましたとおり、修正案において用いられた算定方法について農業協定附属書五との整合性について我が国との協議を行うことを希望する、こういう理由で今般の異議申し立てを行ったというふうに理解してございます。
  57. 風間昶

    ○風間昶君 では、そのことについて選挙のためだというふうに騒がれているような報道については正式にはないということですね。
  58. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 報道があったことは承知してございますけれども、オーストラリア政府からの通報ということでは今申し上げたとおりでございます。
  59. 風間昶

    ○風間昶君 それについて、実際に異議申し立て理由の中にあるかないかは調査していないわけですね。
  60. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  オーストラリアを初めまして、ほかの国との間でもそうでございますけれども、異議申し立てを行った国との間では早急に既に連絡をとっているところでございますけれども、先方が具体的にどういった根拠でどういった理由でそういった異議申し立てを行っているのか承知しながら、こちらからの考えを説明し、先方の理解をさらに図って、異議申し立ての撤回を図るべく努力しているところでございます。
  61. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、EUの場合でありますけれども、EU次期WTO交渉をにらんで、最初は日本と同じように連携を図っていくというふうに表明しておりましたのは事実だと思いますが、にもかかわらず譲許表の修正を留保しているというその背景を外務省ではどういうふうに分析しておるんですか。
  62. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、EU、それを代表します欧州委員会との間では、来るべきWTO交渉において日本側ともかなり近い立場でございますので連携していこうという立場でございましたし、基本的には今後ともそれは変わらないと私どもとしては理解しております。  ただ、今回につきましては、先方は一般的な留保だという形で、我が国において今回修正を出しておりますけれども、そこにおける関税率算定に当たっての幾つかの技術的な要素についてさらなる明確化が必要だと、こういった理屈で一応の留保をしておりますので、この技術的な要素という表現の中に彼らがどういったことを考えていて異議の申し立てを行っているのか、今その解明に努めているところでございます。先ほどお話ございましたように、農水省からは熊澤審議官が現地に行っておられますし、こういった対応を通じて明らかになってくるかと思います。  基本的に、さはさりながら、私どもとしては、次期交渉における日欧間の協調というのは重要でございますし、今後ともそれを基本として臨みたいと思っております。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 熊澤さんは農水省ですよね。外務省としては、だから分析調査を、EUが変わったということについて、一般的留保をするということについて分析中だということですか。農水省は農水省で熊澤審議官が行っていらっしゃると。外務省外務省でも、では同時並行でやっているということですか。
  64. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  今回の関税化あるいは関税措置への切りかえにつきまして、農水省、外務省一体となって行っております。したがいまして、一連の相手国との説明等に当たっても常に一体となって行っております。  現在、現地に熊澤審議官が行っていただいておりますのはまさに、もちろん農水省から行っていただいているわけでございますけれども、現地では、私どもというか代表部もございますし、一緒になってやっております。したがいまして、その分析についても農水省と協力しながら行っているというところでございます。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 過去にEU加盟国拡大の際に、この譲許表の修正について留保がなされたまま関税化に移行した前例があるというふうに聞いていますけれども、どんな例だったんですか。
  66. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 過去の例ということでお答え申し上げますけれども、今回の農業協定における例ではもちろんございません。農業協定でその特例措置を終了させるということを行っていますのは、私どもの日本側の例が最初でございますから、農業協定との関係ではございません。  したがって、背景やなんか違っているんですが、九五年のEU拡大に際して、EUに新規加盟した国々、具体的に言えばオーストリア、スウェーデン、フィンランド、この三カ国が九五年のEU拡大の新規加盟国だったわけでございますけれども、その際に域内法令に基づいて税率を、関税率ですけれども変更する、そしてこれに伴うその譲許表の修正手続が行われたわけですけれども、一部の国から異議申し立てが行われていて、その修正手続が終了していないという例はございます。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 その場合、それぞれ品質が違うお米ですね、今のオーストリアもスウェーデンもフィンランドも。その品質が違う米のことについて問題があるということで、関税率を算定することに問題があるということで留保したまま関税化に移行したということととらえていらっしゃるんですか。
  68. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  EUの過去の例というのは農業協定とは関係ございません。したがって、お米ではございませんし、農産物では必ずしもない一般的な話でございまして、EUに新しい国が入りますとEUと共通の関税になりますので、EUに入る前の関税率を調整する必要がございます。その際に、一部の国がそれまでの税率を例えば引き上げる必要がある、そういうときに譲許表の修正が必要になるわけでございます。その手続を各国に、今回日本が行っているのと同じような形で諮ったところで、一部の国から異議の申し立てがあって、それがまだ完全に終了していないという状況にあるということでございます。
  69. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、農水省に伺いますけれども、この関税算定方法で、特に品質が違うお米で関税率を算定するということについてはやっぱり疑念があると私は思いますし、そういう表明をされていますけれども、この懸念に対する農水省の考え方を伺いたいと思います。
  70. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) これはむしろ現行の農業協定をどういうふうに見るかということだと思うんです。附属書五の付録に明快に書いてございまして、国内価格と国際価格の実際の差を使いなさいということが一点と、それは一九八六年から八八年までですよと期間が書いてあって、かつ透明性のある方法でやりなさいと。それも、御指摘の国際価格については、一般的な場合には輸入国における実際の単位当たりのCIF価格ですというふうに書いてあります。  かつ、今申し上げましたように、原則として統一システムの四けた番号の水準で設定しますということも書いてございます。そうしますと、この統一システムの四けた番号というのは、精米、砕米、玄米、もみ、これが一括して米というふうに入っております。したがって、米ということで算定し、設定しなさいというふうに明確に農業協定上書いてございます。  したがいまして、それに忠実に対応しているわけでございまして、違った品質の米をどうこうということについては、むしろ農業協定上はそういうこともひっくるめて容認しているといいますか、その範囲の中のものだということで明快に、むしろこの規定に忠実に従えば、貿管統計という最も透明性のあるもので入ってきたお米の金額を総量で割って単位を出すというやり方でやっておりますし、それから国内価格も代表的な卸売価格と書いてございます。  これは先ほど申し上げましたように、上米というふうにとりましたけれども、六四%というシェアを占めております。かつ、自主流通米がもちろん基本でございますけれども、政府米も入っております。他方で、上米以外の中米、並米ということはございますけれども、中米は政府米というふうに書いてございます。それから、並米は標準価格米というふうに書いてございまして、それぞれ一七%と一九%の流通シェアしかございませんでした。  そういう意味では、この規定を忠実にどこから見ましても、国内市場における代表的な卸売価格ということでは、その上米という、言葉が上となっているものですからえらく誤解を招く面はあるかもしれませんけれども、定義としましては自主流通米と政府米、こういうふうになっております。  かつ六四%という形になっておりますので、代表的な卸売価格ということで、むしろこの規定にそのまま対応していけば私どもが計算したような形になるのではないかと、そういうことをるる御説明して、百三十カ国については御理解をいただいたと思いますが、残り四カ国につきましてはさらにそういったことにつきまして御説明をこれからしていきたい、こういうふうに考えております。
  71. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  もう一回、外務省さんに話を戻します。  この四カ国・地域への我が国の態度の説明、それから何をどう訴えていくのかということがまさに今問われているわけです。そういう意味では、先ほど大臣からも、三月二十四日、きのうの夜、熊澤審議官EUに派遣したということで、どこに行っているかわかりません、EUの本部なのかどうかわかりませんが。  要は、現時点で、日本政府として三カ国・一地域に対して、EU熊澤審議官が行かれているということでありますけれども、では、バイの二国間交渉はどういうふうに今現在進んでいるのか、その交渉の場で何を日本は訴えているのか、その方針と事実をちょっと伺いたいんです、それぞれについて。  つまり、EUは一般的に留保するということでありますけれども、オーストラリアウルグアイアルゼンチン異議申し立てについて日本協議したいと要望しているわけですね。このことを含めてお伺いしたいです、それぞれについて。
  72. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 異議申し立てを行った各国に対する説明でございますが、これは交渉とか協議といったようなものではございませんで、私どもとしては、今回の関税措置への切りかえは完璧に農業協定に従って行っているものである、その具体的な内容はこうであるということを再度きちんと説明して先方の理解を得るということでございます。  各国別に申し上げますと、既に豪州につきましては、先ほども申し上げましたが、与謝野通産大臣とフィッシャー貿易大臣との間で、今後は米の専門家同士で、農業担当の専門家同士で話し合いを続けてはどうかということにしていただいております。  EUにつきましては、実はきのう中川農林水産大臣EUのヨーゲンセン駐日大使をお呼びいたしまして、大臣の方から、EUが申し立てを行ったことは驚きであり、再考をいただきたいというふうに伝えていただいたところでもございます。その上で、熊澤農林水産審議官がEUに参っておるということでございます。  それから、ウルグアイアルゼンチンでございますが、これらにつきましては、外交ルート等を通じまして、外務省の御協力をいただきながら、申し立ての内容とか根拠等を確認する作業に入っているという状況でございます。
  73. 風間昶

    ○風間昶君 では、外務省から。
  74. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 本件につきましては農水省と一体になってとり行っておりまして、基本的に今農水省の方からも御答弁がございましたように、今既にブラッセルにおいては動きがございます。その他につきましても、通常の外交ルート等を通じながら、先方の申し立ての内容の根拠を照会しつつ、今後とも私どもの立場を説明していく、こういう方針で臨んでおります。
  75. 風間昶

    ○風間昶君 そうじゃなくて、だから、ウルグアイアルゼンチン外務省を通して外交ルートでやっているというふうに竹中さんの方から今お話があったから、外務省はどうなんですかと聞いているんです、具体的に。
  76. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 既にいろんな動きが事前にあったときから、あるいはその措置が行われたときから在京の大使を私が招致して説明をするなりしております。  異議申し立てが行われた後においても、今後引き続き、現地あるいはジュネーブの代表部を通じて接触をし、先方の考え方をさらに明らかにすることを求めつつ、我が方の説明を行っていくという方針で臨んでおります。
  77. 風間昶

    ○風間昶君 では、外交ルートではあるけれども、日本政府としてウルグアイアルゼンチンに行ってこの熊澤審議官と同じような形でやるということは具体的には考えていないわけですか。
  78. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  現時点で具体的にだれか東京から現地に飛ぶという形のことは考えてございませんが、今後、先方との話し合いの、例えば現地を使っての話し合いの進捗状況に応じては当然そういうことも考え得るということかと思います。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の両局長の答弁を補足させていただきますと、まず、オーストラリアとの間では、与謝野大臣が帰ってきた後直接私は会議の様子の話を伺いまして、フィッシャー副首相兼貿易大臣との間での会談で、与謝野大臣から発言をし、今後、農水省の、与謝野先生は大変英語が堪能なものですから英語で、ハイオフィシャルレベルの会議をやろうということで、我々もそれを準備しているところであります。  それから、EUは今申し上げたとおりでございます。  今、外交当局を通じて中南米の両国につきましてはやっておるところでございますが、農林水産省としても、必要があればというか、専門家でございますから、担当でございますから、必要があれば当省の担当を派遣して向こうの実務者と話し合いをして、異議申し立て等の撤回を求めたいと考えております。
  80. 風間昶

    ○風間昶君 最終的には会って我が国の態度をきちっとお伝えしないと、それはもちろん外交ルートは最初にある話ではあるけれども、会ってやっぱり話をしてこないと伝わらないわけでありますから、今の大臣の答弁でぜひその部分をやっていただくようお願いしたいと思います。  次に、アメリカは、この関税化決定に当たって当初、高関税率に懸念を表明するとともに、日米の次官級会談でも遺伝子組みかえ食品の表示を義務づけないよう改めて求めたようでありますけれども、このときにも今EUに行っていらっしゃる熊澤審議官が対応されたというふうに聞いております。  昨日の本会議でも質問がありました。これは同僚の郡司議員から厚生大臣にありましたが、農水省としてはこの遺伝子組みかえ食品の表示問題にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたい。
  81. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、アメリカは、安全性が確認され、従来の農産物と組成等が同等な遺伝子組みかえ食品につきましては表示の必要はないという考え方を持っておりまして、アメリカの関係者が来日の際にはその旨主張しているところでございます。  これに対しまして、我が国では、遺伝子組みかえ食品の表示につきましては、表示は消費者に対する適切な商品選択のために行うものであるということが一つ、次に安全性が確認されていることが前提であって、表示は安全性の有無に関するものではないということ、さらに表示を行うために検査なりあるいは区分流通が義務づけられ、その結果コスト増を招くということは避けること、したがいまして、貿易を歪曲させるものではないという観点から食品表示問題懇談会で検討していることをアメリカ側に伝えているところでございます。  これにつきましては、昨年八月に遺伝子組みかえ食品の表示のあり方につきましてたたき台を提示しまして、パブリックコメントを求めたところございます。一万件を超える多数の御意見をいただいたわけでございまして、これを通じまして消費者の表示に関する関心が非常に高いということを受けとめております。  また、この一月に開催されました食品表示問題懇談会におきまして、表示につきまして技術的、科学的観点から、信頼性なり実行可能性につきまして検討を行う必要があるということから、このための小委員会を設置するということが決定されたわけでございます。今後この小委員会におきまして、大体目途といたしましては六月ごろまでに技術的、科学的な検討を行いまして、この小委員会の結論を踏まえまして懇談会として遺伝子組みかえ食品の表示のあり方につきまして取りまとめを行っていただきたいというふうに考えております。  農林水産省といたしましては、この懇談会の取りまとめを踏まえまして、遺伝子組みかえ食品の表示ルールを確立し適正に実施してまいりたいというふうに考えております。
  82. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、厚生省のもとで今やっている食品衛生調査会の表示特別部会というのがございますね。ここも食品の表示制度全般について遺伝子組みかえ食品も含めて検討しているわけですけれども、そことの整合性はどうとるんですか。
  83. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 厚生省におきましては、食品衛生という観点からどういう表示が適当かという検討を行っているというふうに承っております。農林水産省といたしましては、消費者に対する情報提供としてどういう表示が適切であるかという観点から検討しておるということでございます。
  84. 風間昶

    ○風間昶君 それは省庁が縦割りだから相手もそうなっているんだけれども、最終的には同じ国民に戻ってくる話だから整合性をとっていかなきゃどうにもならないわけですよ。おれはおれ、厚生省は厚生省ではとんでもない話であって、だから国民が迷うわけであります。どうですか。
  85. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) ただいま申し上げましたのは観点を言ったわけでございますが、この表示問題懇談会におきましても、厚生省関係の研究機関なりあるいはOBといった方々の参画も得ておるわけでございまして、実際にこの懇談会の報告あるいはそれに基づきましての方針を決めるに際しましては、十分厚生省とも協議してまいりたいというふうに思っております。
  86. 風間昶

    ○風間昶君 先ほどアメリカとの話がありましたけれども、WTO交渉の取引にこれが使われないように、アメリカとの協議の中で日本側の検討を十分しておかないと、これは取引材料にされる可能性があるということを私は懸念しております。そこについてもう少しきちっとした方針を求めたいのですが、どうですか。
  87. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、遺伝子組みかえ食品の表示の問題につきましては既に一年半前に始まっているわけでございまして、現在これにつきましては技術的あるいは科学的な観点からの検討を行っているわけでございます。客観的に見まして信頼性なり実行可能性を確保するために、どういう食品につきましてどういう表示が適当であるかということを現在小委員会におきまして検討願うことになっているわけでございます。大体六月ごろまでにはこの小委員会の結論をいただきたいということでお願いしているわけでございます。これを踏まえまして、懇談会として結論を出していただきたいということをお願いしているわけでございます。
  88. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。そういう意味でぜひこちらの腹はきちっと決めて、取引材料にされないようにアメリカとの協議を強く要望したいと思います。  次に、先ほど国井委員の方からも若干お話がありましたが、農業の多面的機能を認めてそこに財政資金を投入するということは貿易とは全く別の観点から許容されてしかるべきであり、その反射的な結果として農産物が補助されるということになってもそれを容認すべきだというふうに私は思うんです。  そこで、次回のWTO交渉で、我が国と同じような立場にあるEUとの連携が私は必要になってくると思うんです。これは異議申し立てとはまた別の観点ではありますけれども、要は輸出国中心のWTOですから、EU日本とどこの部分で仲間としてやっていけるかという部分は大変大事な問題だと思うんですが、経済局としてEUとの連携をどうやって図っていきますか。
  89. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 次期WTO交渉に向けまして、EU各国同様に現在恐らくいろいろな準備作業中ということであろうかと思います。  そういう意味で、我が国EUと具体的にどういう形でどんな分野でどういうふうに連携できるかということにつきましては、現段階では必ずしも明確ではございませんが、これまでの各種の会議等におきますEU主張等を踏まえますと、先生ただいま御指摘ございましたような農業の多面的機能の評価とか、あるいは交渉方式につきましても包括的交渉方式でいくべきであるとか、そういった点でかなり我が国と共通する面が多いのではないかというふうに考えております。  これから各種の国際会議の場あるいは二国間の場等を活用いたしまして、EUを含めた各国とも積極的に意見交換を行いながら相互理解を深めまして、次期交渉で十分な連携が図れるように努めていきたいと考えております。
  90. 風間昶

    ○風間昶君 自信はありますか。
  91. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 我が国としまして、常に申し上げておりますように、農業の多面的機能あるいは食料の安全保障といったことは次期交渉におきまして大変重要な論点であろうと考えております。EUをとって考えますと、食料の安全保障という面では余り関心がないといいますか、割合薄いような感じを受けるわけでございますが、農業の多面的な機能ということを評価するという点においてはEUもかなり熱心であろうと思います。  そういった意味で、十分連携していける可能性はあろうと考えております。
  92. 風間昶

    ○風間昶君 ああとかううとかという言葉を聞くと若干の不安を覚えるわけでありますけれども、言いたいことはきちっと言っていくということをぜひやっていただきたいと思います。  それでは次に、もし関税化されることが決まった場合の国内対策でありますけれども、先ほど大臣国民に対する米の安定的供給という観点お話がありました。国内農業の競争力をつけるためにということで最大の課題はやっぱり米でありますけれども、それに限らず規模拡大が大事だということで今までやってきた、実りある部分もあるけれどもその分またデメリットもあるというところも今認識されているところであります。  そうすると、農地法そのものの部分について抜本的見直しが必要であるというふうに私は思うんです。その点について、規模拡大に伴う大規模経営生産者方々に対する支援を含めて農地法をやっぱり見直していかなければならないんじゃないかという部分がたくさんあると思いますが、基本方針だけまず伺いたいと思います。
  93. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 二十一世紀に向けて望ましい農業構造を実現するという観点から、担い手の育成と農地の流動化を通じた規模の拡大というのは不可欠でございます。  私たちは、今、日本の農地の過半を担い手に集積するという目標を立てました。平成十年の三月末で約二百万ヘクタールが集積をいたしておりますけれども、まだ五十万ヘクタールぐらい足りません。  それから、担い手を育成するということで、認定農業者が十三万経営体まで育っておりますが、この方々の経営改善計画を見ますと、稲作でおおむね十二ヘクタールの規模を目指すというふうに平均的には書かれております。こういう方たちの現在の経営規模が平均六ないし七ヘクタール程度だろうと思いますので、倍増しなければならない。  そうなりますと、全体としての流動化の促進と、それぞれの経営体の方々の規模拡大ということに向けて、より具体的な目標を市町村ごとに設けて、しかもこれまでの利用権にとどまらず、農地の住宅まで広げた形での流動化、農地の集積というのをやっていかなきゃならないというふうに思っております。  農地制度については、農用地利用増進法、それから基盤強化法、そういうものを通じてかなりの改善を図ってまいりましたけれども、このたび農業生産法人制度の要件の見直しといったことも手がけることになっております。当然この点は農地法なり基盤強化法、あるいはその他もろもろの農地制度の改善にかかわってまいりますので、その際、今先生がおっしゃられましたようなことにつきましても見直しをしていきたいというふうに考えております。
  94. 風間昶

    ○風間昶君 見直しは本当に大事なんです。現実に公社で売りに、あるいは貸すにしても、農地を流動化できない状態になって、つまり保証人がばたばた連鎖的になっているものだから、にっちもさっちもいかない状況でいるというのは、もう御承知のとおりだろうと思う、現場の声として。  そうすると、例えば公的機関、自治体でもあるいはどこでもいいけれども、そこが一たん預かって、そしてやる気のある方々に貸すなり、あるいは売ることはちょっと難しいかもしれないけれども、そういうところまで含めて具体的に見直しをしなきゃならないと思うんですが、どうですか。これは質問通告外ですけれども。
  95. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 今、私どもが農業生産法人制度の検討と並行して考えております事柄の一つに、公的な関与あるいは公的な支援を強めていくという方向が一つ考えられます。  例えば、農業生産法人に対する市町村の出資というふうなものも認めていくとか、あるいは農地保有合理化法人の活動についてもう少し思い切った強化改善ができないかといったことも検討項目の一つでございますので、翌通常国会に出す法律であれば夏ごろまでに成果を得なければなりませんので、現在検討をこれで既に三度か四度重ねておりますから、もうしばらく検討を続けまして、その中で結論を見出していきたいというふうに思っております。
  96. 風間昶

    ○風間昶君 この規模拡大で大規模経営に対する支援は今進められておると。一方では、北海道のように専業で、家族経営でいる、いわば小規模、中規模農家、ここの部分についての所得補償に関して伺いたいんです。  新農業基本法におきましては専ら中山間地に対する支援が目いっぱい取り込まれている形でありますけれども、これも昨日、谷本委員の方から平場における直接所得補償についてのお考えを伺いました。  端的に言うと、私のとり方からすると、農水大臣は、いろいろな問題があるから難しい、平場における直接支払いについては環境に着目した制度とするとしても汚染者負担原則との関係をどうするか、あるいは環境に対する負荷軽減義務の取り扱いをどうするか、あるいは直接支払いを広範囲に適用することには農業構造の改善をおくらせる面があるのではないかとの懸念があるというふうに、ある意味ではマイナス部分だけ述べられております。  特に、あなたも北海道出身でよくわかっていると思いますが、平場における大変な状況をまた認識されていると思いますけれども、平場における条件不利地域への支援をどういうふうにするのかということのお考えを伺います。懸念材料はわかった、それは聞いたから。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 実は六兆百億円を決めた平成四年ですか、あのときに中山間地域対策というのが随分議論になりまして、そのときに中山間地域条件不利地域ということで、これは谷本先生や村沢先生も御存じだと思いますが、「等」という言葉をあえて入れさせていただきました。つまり、条件不利地域に対する何らかの対策というのは、もちろん中山間地域条件不利地域でありますけれども、中山間地域だけではない。その頭の中には実は先生と私の共通のところがあるわけでございます。したがって「等」という言葉をあえて当時の与党三党で入れた記憶がございます。平場でも条件不利地域はあるというふうに私は考えております。  きのう谷本先生の御質問に対してお答えを申し上げましたのは、そういう問題点がありますが、検討を要する事項ですということで、それを否定的にというふうに風間先生にとられると、これは実は私としてはまだ中立的な立場というふうに、今の立場を、いろいろなことが頭の中に浮かびながらでありますけれども、あえて否定的というふうにとっていただかないようにお願いを申し上げたいと思うところでございます。  いずれにいたしましても、平場においても条件不利地域がある、その条件不利地域とは何なんだろうということは、いろいろとまたあると思いますので、きのう申し上げた結論と同じということにあえてこの場ではさせていただきますが、十分検討をしなければいけない問題だろうというふうに考えております。
  98. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひそこをきちっと、同じアクセントなんです、「等」であったとしてもですよ、いいですね。そこのところを中山間地と同等に考えていかなきゃならない問題ですので、よろしくお願いします。  関連して、農村対策について伺います。  農協について農村対策で果たす役割は極めて大きいわけであります。農協合併を促進するために不良債権の処理の枠組みを整備していくというのは当然。それだからこそ、農林中金と信連の合併法律ができ上がって動いている。しかし、農林中金と都道府県信連の合併はその後一件もないんです。法律はできたんだけれども、動いていない。どう認識されるのかというのがまず一点。  これは要するに、個々の都道府県信連の経営基盤が盤石になったからではなくて、むしろ不良債権を抱えている信連との合併を農林中金の方が拒否しているのではないかと思っているんですが、銀行に対してあれだけすったもんだして公的資金を導入して不良債権の圧縮を図ったことになっちゃった。それに大義名分があるなら、信連の抱える不良債権の処理に公的資金を導入することにも大義名分があるはずだと私は思うんです。  現実に北海道の全中の役員の方からも、ここのところが今まさにぐしゃぐしゃになっているという話をいただきました。片や、銀行に何兆円もの公的資金を導入して、系統の金融機関には一銭も導入しないというのは筋がやっぱり通らないわけであります。系統の金融機関の破綻は、ある意味では都市銀行の経営の破綻につながる問題であります。というか匹敵する経済的混乱を招くのは、当然これは北海道だけの問題ではないと思うわけであります。  そうすると、農村社会のある意味では経済的基盤を揺り動かす打撃になりかねないわけでありますから、今回、農林中金は銀行の不良債権圧縮のための低利融資にも協力的だというふうに聞いています。我が国の金融の一翼を担う都道府県信連の不良債権の圧縮に公的資金を導入するように私は提唱したいんですけれども、ここの部分について、これは大変大胆な答弁が必要になると思うけれども、政府の対応をどういうふうに考えているのか。
  99. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) まず、信連と農林中金の統合についての御質問がございました。金融ビッグバンの実施等系統金融事業を取り巻く環境考えますと、信連と農林中金の統合も積極的に推進していく必要があるというふうに認識しておりますが、現段階で既に九つの信連が農林中金との個別協議を行う段階に至っております。  私どもとしましては、現在の金融情勢を考えますと、各信連が農林中金とあわせてこういった組織整備の取り組みを一層急ぐ必要があると考えておりまして、農林水産省としても適切な指導、支援をしていきたいと考えております。  それから、信連の不良債権についてのお話がございました。都道府県信連の不良債権でございますが、これは相対として見ますと、例えば十年の三月期で約三千億円でございまして、総貸出額に占める比率を見ますと四・五%ということで、他の金融機関と似たような水準ではございますが、総資産五十兆二千億円、これに占める比率で見ますと〇・六%ということで、他の金融機関に比べますと格段に低い状況になっております。また、この信連の総資産のうち、大宗は農林中金に預けますとともに、国債等の有価証券で堅実な運用に努めているという状況でございます。信連の不良債権の処理につきましては、法的な処理も含めた回収努力等を行います一方で、不良債権額に応じて適正な償却、引き当てを行うように指導しているところでございます。  また、御承知のところでございますが、系統金融機関はこれまで三段階の相互扶助、補完による協同組織としまして、内部からの出資とかあるいは系統団体全体としての支援の中で自己資本の充実なり経営の改善に取り組んできております。現時点判断いたしますと、もうこういった対応をしてきておるわけでございまして、公的資金により信連の不良債権の処理を図る必要性ということにつきましては、なお想定しにくい状況ではないかなというふうに考えております。
  100. 風間昶

    ○風間昶君 時間がなくて納得できないから、次回の質問でまたもう一遍やります。  終わります。
  101. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  関税化の関連法案の中で、まず関係国との問題についてお伺いしたいと思います。  政府は、昨年十二月に関税化実施を決めた際も、またその後も、農業関係者そして国民関税化が有利なんだという説明を行ってきています。だけれども、このたった三カ月間で、関税化実施前からその実態が余りにも政府説明とかけ離れているような感じが私はいたします。  今、全国の農民の皆さんは大変大きな不安を覚えています。その一つは、関係国との交渉なしに三百五十一円という関税相当量が設定できるという説明が政府の空文句にすぎなかったのではないかというものです。  御存じのように、今質問もありましたが、現在オーストラリアウルグアイアルゼンチンEUが、我が国が四月一日から実施を予定している米の関税化に対してWTO異議留保の申し立てを行われました。これは関税率の算定に疑問を呈していますし、そして引き下げを求めている内容になっています。  農水省は、このパンフの中、「米の特例措置関税措置への切換えについて」という内容の中で、関税措置への切りかえ及びそれに伴う関税相当量の設定は、農業協定の規定に基づき、関係国との交渉なしに行うことができると、あたかも一方的通告で事が済むように説明していますが、今回、異議申し立て一つとっても、私は事態がやっぱり違う方向に進んでいるんじゃないかと思いますが、この点についてどうですか。
  102. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 四カ国・地域から、異議あるいは留保等の意思表示がありましたが、これにつきましては先ほどから御議論いただいておりますように、それぞれの国の立場でそういう意思表示をされたというふうに理解をしております。  我が国としては、WTO農業協定に基づいたものであり、アメリカ、タイ、またWTOには入っておりませんから権利はございませんけれども、中国も米を日本輸出する国でありますが、そういう国々を含めて、中国は別にしまして、百三十カ国からは留保はしないということでございますので、我が国としては圧倒的多くの国々から理解をいただいたものという前提に立ち、この四カ国・地域につきまして、我が国主張の正当性といいましょうか、いろいろな背景も含めまして引き続き説明をし御理解をしていただいて、申し立ての撤回をお願いしていく努力をしていきたいと考えております。
  103. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 それは、一カ国であってもやはり実際には協議をしないといけないわけですから、一方的にはできないということだと私は思うんです。ここに書いてあります。  だから、農水省のこのパンフには、我が国WTOへの通告に対して加盟国異議申し立ての権利があるということなど一言も書いていないわけなんです。だから、農業団体合意した大前提は、私は何度も言いますけれども、高関税の維持であったわけですから、その関税率算定方法に対して加盟国には異議申し立ての権利があって、異議申し立てがあれば譲許表の修正手続は終了しないということになるわけですから、高関税確保という前提を脅かされる重大な事態になっていると思うんです。  それから農業者は、昨年十二月、たった十八日間という本当に短期間で、それも事実こういう内容しか伝えられていないという中で意見集約が求められたのが今日までの経過です。これで私は農業者の合意を得たということは言えないと思うんですが、その点いかがですか。
  104. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどお話がありましたように、我が国がとり得る立場というのは四つあったわけであります。四つともWTO協定上のルールに基づいたものでございますから問題のないところでございますが、その中でも最善として決定をさせていただき、今御審議をいただいております四月一日からの関税化につきましては、我が国の一方的な権利として、通知のみでいいんだという協定上のルールに従ってやることができるわけでございます。  したがいまして、十八日間という今御指摘がございましたが、数カ月間の御議論を通じまして、確かに数カ月、三カ月か四カ月の期間というのが長いのか短いのかということについてはそれぞれ御判断があろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、そこに至るまでの時間的な意味も含めたいろいろ必要な条件、それから最善の選択として決定する場合の、その要件が成立するための時間的な逆算した要件、そのぎりぎりの時間の中で最大限の努力をしたわけであります。  もちろん、全く初めて聞く方々も多かったと思いますから、その方々に御理解をいただくには時間がかかる場合もありましょうし、また御疑問のある方もいらっしゃったと思いますけれども、我々、そしてまたこのことに御理解をいただいております国会の先生方を初め、全国的に、農業団体に限らずいろんな立場方々に御説明をさせていただくことによって、これが最善の選択である、先ほども申し上げた四つの中でもベストの選択であるということについて御理解をいただく輪がどんどん広がっているという認識を持ちながら作業を進めてきておるところでございますが、さらにこの努力を進めていくということをこれからもしていかなければならない、国民的な合意の形成というものができつつあるけれども、それを確固としたものにしていかなければならないと考えております。
  105. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 実際に異議が出たわけですし、やっぱり認識の不一致だと思いますけれども、この問題を三十一日までに結論を出すということは本当にもうとんでもないことだということをまず指摘しておきたいと思います。  その一つに、オーストラリア異議の内容です。これは譲許表修正の算定方式に関して異議を唱えるものであると。フィッシャー副首相兼貿易相ですけれども、約三九〇%にもなる二次関税は到底納得できないと記者会見で述べているわけですし、日本への米輸出拡大をこれは目的としていると考えられますけれども、我が国食料の主権を脅かすもう何物でもないと思うんです。  同時に、二国間での協議になったときに、やはり関税については日本が何らかの譲歩をせずに異議の取り下げがあるとは考えられない、私はこのように思ったわけです。この新たな事態のもとで、農業団体が求める稲作の将来を展望する関税水準に見合う高関税率が確保できる保証があると明言できますか。
  106. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) あくまでも農業協定附属書五並びにその付録に基づいて忠実にやったものでございますから、このとおり四月一日からスタートをすることができるというふうに明言をさせていただきます。
  107. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 やはり譲許表指摘をしないといけないと思うんです。そういうふうに一方的におっしゃるけれども、譲許表の改正なしで四月一日から関税化を強行できるというのは、日本政府の本当に一方的な解釈であって協定上も根拠はないということを今日まで指摘してきましたけれども、やはり国際ルールにも反しているということをもう一度指摘しておきたいと思います。関税化すれば税率引き下げ要求に直面せざるを得ないということはもう既に何回もの質問の中で明らかになっていると思うんです。だから、高関税の維持という宣伝が本当に根拠のない空文句のように私は聞こえます。  本当にこのことの責任がとれるのか。今明言しますと言いましたけれども、私は、政府の責任がとれなかった場合重大だということを指摘して、もう一つについてお聞きしたいと思います。  もう一点は、政府はこれまでWTO次期交渉に向けて各国との連携の強化を強調してきたと思うんです。その点でもやはり矛盾が今生まれているんじゃないかと思うんです。大臣は、昨年十二月十八日の衆議院の農水委員会で、  今回は関税化ということになりまして、ほとんどの国々と同じ土俵に立って交渉を始めるわけでありますが、我が国国益を守り、そしてまた相手国に対して、理不尽なことに対しては修正を求めていくという交渉を行うに当たっては、日本立場理解を示していく国々が当然必要であるわけであります。その一つ日本の近隣諸国であろうというふうに思いますし、もう一つが非常に大きな勢力でありますEU諸国だろうと思っております。 と、こういうふうに答弁されているわけですね。  しかし、今回、関税化通告をしたことによってEUからも異議申し立てを受けたわけですから、連携相手どころか交渉相手となってしまったわけですね。だから、これで本当に国際的な理解を得るために各国との連携を広げるという立場になれるのかどうか。私は、逆に困難をつくってしまったのではないかと思いますが、その点について大臣いかがですか。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本EUも非常に大きな国であります。御承知のとおりですが、日本が一億二千五、六百万人。EUは、今度三カ国加盟しますけれども、三億二千万人の国であり、十二カ国が参加をしておる非常に大きな組織でありますから、その中で話し合いが行われたり、時には紛争が起きたり、これだけの大きな経済あるいは人口そしていろいろな産業分野を抱えておるわけでありますから、いろんなことがあるわけであります。  先ほど風間先生にお答え申し上げたように、昨日私はヨーゲンセンEU駐日大使をお呼びして、急遽お呼びをいたしましたが、じっくりとお話をさせていただきました。このことについては、私からるる申し上げEU本部によく伝える、と同時に、熊澤審議官がブリュッセルにおきまして今ごろやっているのではないかと思います。これは、今回の米の関税化については異議申し立てという意思表示をしたわけでございますが、これ以外にもEU間においては農業分野に限らずいろんなことが既にあったし現在もあるわけでございます。  しかし、そういう中で、EU日本との今度のWTO交渉における、特に農業分野における協力をしていこうという、先ほど具体的な項目を経済局長から幾つか申し上げましたけれども、全体としてEUと協力できるところは協力をしていこうということは、昨日の大使との会談においてもいささかも影響を及ぼしていないということを私と大使の間で確認をしましたし、また実感としても確認をしたところであります。  したがいまして、EUとの次期交渉に向かいましての共同歩調をとっていこうという、とれるかどうかはこれからの話でありまして、とっていこうという意思が現にある、次期交渉に向かってやっていきましょうということについてのその方向性というものは、今回のことでいささかも変わっていない。これは、先生指摘のように、EUに限らず、アジア近隣諸国を含め世界じゅうの国々とも同じように、共同歩調のとれる国々とこれからも頑張っていきたいというふうに考えております。
  109. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 政府は、関税化のメリットとして、WTO次期交渉に強い姿勢で臨むに当たっての交渉ポジションを確立するんだ、関税化することで次期交渉への対応がより有利になるんだと言ってきたと思うんです。だから、この点でも私は現実はやはり大変だなと思うんです。  今回異議申し立てに踏み切らなかったアメリカも、WTO協定整合性に疑問と指摘し、圧力をかけ続けると宣言していると思うんです。新聞でしか見ていませんけれども、宣言してますね。通商代表部のシーア農水担当大使は、ミニマムアクセス分野での輸入拡大のための二国間協議を定期的に開いていく考えを示して、異議申し立てに見送りの理由は特別な配慮と、こういう期待だったことを示しています。同時に、次期交渉では米の関税引き下げ圧力を強めるとも強調したと報道されています。  次期交渉を農産物輸出国に有利に展開するための布石とも見られているように、関税化はやっぱり各国日本への圧力をかける材料を与えたと思うんです。これでどこが次期交渉に有利と言えますか。
  110. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は、ミニマムアクセス制度をとっておる世界の中の四カ国、しかもその中の二カ国は発展途上国扱いということでありますから、次期交渉におきまして我が国が米に関しては世界じゅうでただ一カ国特例措置をとっておるということの方がはるかに不利な交渉ポジションにあるというふうに考えておりますので、例外なき関税化という大前提に戻ったということは、私は交渉ポジション上非常に有利な立場に移っていったというふうに理解をしております。
  111. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 やはり私は、この事態は今後の関税化が最良の策でないということは明確だということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。  私は、関税化による国内影響について次に質問したいと思うんですけれども、政府関税化を最善の策だとしてきて、生産者国民が最も危機感を抱いていた我が国農業食料の将来に対する関税化の長期的影響についてやっぱりこれまで明確に答弁されなかったと思うんです。  大臣は、食料自給率は上げていくということは言っているけれども、やはり米は国民の摂取カロリーの約二五%を占めていることは御存じのとおりですが、米の自給率が下がった場合は食料自給率全体に影響を及ぼすわけですから、二〇〇〇年以後の関税率について政府は高関税の維持を今明言できるとは言っていましたけれども、私はできない。関税化すれば本当に米の輸入は増加して、さらに自給率の引き下げに働くのではないか、このことを心配しているんですが、そのことに対して大丈夫だという明言ができますか。
  112. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) WTO協定から農業だけ外せとか米だけ外せという御議論であれば別でありますけれども、WTOの中で農業分野においても世界の百三十四カ国の一員としてやっていく以上は共通のルールが必要であります。  その共通ルールづくりに来年から着手するわけでありますけれども、その場合に、先ほどから申し上げておりますので時間が長くなりますから省略いたしますが、我が国国民生活あるいは農業生産にとってよりよいと思ういろいろな対策といいましょうか、交渉に臨んでのいろいろな方針をこれから御議論いただき、そして国民合意のもとでそれが我が国交渉に臨む対処方針だという作業をこれからしていくわけでございます。それに基づきまして、先ほど申し上げましたように、各国の御理解もいただきながらその実現に向けて最大限努力をしていきたいと考えております。
  113. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私たちは、本当に米を外せと、そうでない限りこの問題は解決しないということをもう一度指摘しておきたいと思います。  関税化の本質は、何回も申し上げましたけれども、税率の引き下げです。関税が引き下げられればやはり輸入量の増加は必至である。これは私たち日本共産党だけが言っているわけじゃないわけです。  一例ですけれども、先日、朝日新聞それから山陰中央新報ですか、地方新聞ですが、報道していました。これは鳥取大学の伊東正一助教授の試算なんですけれども、三百五十一円の関税を毎年二・五%相当引き下げるとすると、七年後にはアメリカ、中国の上質米が国産米と並び採算ラインに上る、日本国内での競争力を持ってくるという試算を報道していました。  伊東助教授はこの試算の中で、キロ当たり三百五十一円の関税をかけて流通マージンなども国産米と同様に計算した場合の国内小売価格は、アメリカのアーカンソー州のコシヒカリ十キロ五千二百六十円、中国黒竜江省の上質米が四千七百五十七円ですから、それに対して消費者の評価価格は、それぞれ四千五百六十四円また四千百二十二円となっておりますが、その差額はもうわずか六百九十四円、六百三十五円になるわけです。といたしますと、毎年キロ十円、十キロ百円ですけれども、関税引き下げでやはり七年で評価価格と並び、競争力が出てくるでしょうと、こういう指摘をしているわけです。  ですから、本当に今アメリカが年二・五%というような要求を出しているわけですが、比べれば、やはり本当に十年待たずして私は影響が出てくると思うので、これは大変なことだと思うんです。だから、関税化によって国内需給影響がないということは言えないと思うんですが、この点はどうですか、一つの例ですが。
  114. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生は今幾つかの前提を置いて御試算されましたので、一つの仮定として結論だけ申し上げますならば、交渉の結果、価格面においてもあるいはいろんな品質面においてももう外国の方がはるかに有利だ、したがって国内生産には打撃を受けるということはあってはならないという大前提で我々は交渉に臨むわけでございまして、そのためにどういう対処方針で臨んでいったらいいのか。日本はこういうところを守っていかなければならない、あるいは輸出国に対してはこういうところを主張していかなければならない、その他総合的なことを考えてこれから次期交渉に向かって国会の場を初め国民的な合意をいただいて交渉に臨んでいくわけであります。  なお、米についてはWTO農業協定から外せという今お考えでございますが、我が国は包括交渉で臨むという大前提があるわけでございますし、包括交渉で臨むということについては日本EUとは同じ考えであるわけでございます。したがって、米を外せということは、先生先ほどの御指摘の、大事な仲間であるEUと全く基本的な部分考え方が違ってしまうことになるということを私としては今ふと気がついて、そういうことはやはりしてはならないのではないのかというふうに思った次第であります。
  115. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、もう一点国内の例を挙げたいと思うんですけれども、ことしの一月の小売価格は北海道のきららが四千二百五円だと思うんです。それで、宮城のササニシキは四千九百七十八円です。この中で、伊東助教授の試算をもとにして計算しましたら、中国の黒竜江省の米は一五%関税が下がればきららの価格と並ぶんです。アメリカのアーカンソー州のコシヒカリは八%下がれば宮城のササニシキと同程度の価格になるわけなんです。食糧庁のモニター調査を見ますと、調査対象の五〇%が十キロ四千五百円未満の米をふだん購入しているという現状が出ています。だから、日本の米が関税化によって侵されることはこれで確実だと思うんです。輸出国関税化し、本格的な輸出が見込まれるとなれば、さらなるコスト削減もやるでしょう、品質の改良も進むでしょう。オーストラリアでも日本向けの主食米の開発がやられている、日本市場でのシェア拡大を目指す、そういう準備が着々とやられているということによって、今回の異議申し立ての背景もここにあると思うんです。  だから、本当に関税化の本質というのは関税化の引き下げであるし、輸入量の増加につながるし、米の自給率、食料の自給率の低下をもたらすものですから、関税化は、この関連法案は本当にもう撤回しかないと思うんです。そのことについて。
  116. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) アメリカあるいは中国の米との比較をおっしゃったわけでございます。これはどういう前提を置くかということによっていろんなとり方ができると思うんですが、当面、現在三百五十一円あるいは三百四十一円という今我が国輸入されております米を前提にする限り、国内価格と比べましても輸入増があるということはほとんどないんじゃないかというふうに思っております。  二〇〇一年以降のことにつきましては、その後の農業交渉によるわけでございますけれども、私どもとしては、先ほど大臣も申し上げましたように、やはり日本の稲作、日本のお米、そういうことをどういうふうに守っていくかという基本的な視点に立ちまして、こういったミニマムアクセス数量の問題、それから二次税率の問題、いろいろな問題につきましてそういう基本姿勢をもって対応していくということに尽きるんではないかと思います。  確かに、中国等につきましては日本の商社等がかなり入っておりまして、そういう意味我が国に対する関心を示しているということは、これは紛れもない事実でございます。そういう中にありましても、やはり私どもとしては日本のお米というものが消費者の多くの方々に支えられている、このことを大事にしながら、また、農家の方々もそのことを大事にされていると思うんですけれども、そういうことの中でやっぱり規模拡大もコストダウンも入るでしょうけれども、いい米をつくって日本消費者にやはり支持していただける、そういうような形になっていくべきだし、農政上もそういう形での支援をしていきたい、こういうふうに考えております。
  117. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 牛肉の場合も同じことを言われた記憶が私はあるのですが、いい肉をつくっていれば大丈夫だといって、ここ十年近くたって非常に悲惨な状態になっているわけですから、私たちは、今七年という数字を出しましたけれども、非常にそういうシミュレーションというのですか、状態をつくり出してしまうのじゃないかということを本当に危惧いたします。やはり米については関税化撤廃以外にないということを再度指摘して、最後に、WTO問題の次期交渉についてお聞きしたいと思います。  昨日の参議院本会議で、我が党の須藤議員がWTO農業協定改正に関する総理の見解を質問したのに対して、小渕総理は、重要なことはまず初めに協定の改定ありきということではないんだと答弁しました。  大臣は、関税化問題の論議の中で、輸出国に偏った現在のWTO協定を見直し、公正な貿易ルールを確立する、食料安保の確立などを繰り返し強調しているが、これこそ私は協定自体の問題ではないかと思うんです。協定の改定なしでそれができると考えておられるのか、改めてお聞きします。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 来年から始まります次期交渉は、先ほどから申し上げておりますように、幾つかの我が国から見て大きな問題点あるいは新たに取り入れていかなければいけない事項、そして一言で言えば我が国国益に合う協定にしていかなければならないという大前提があります。  具体的にどこをどういうふうにするかについては、これから国民的に、生産者あるいはまた消費者国民全体の皆さん方、もちろんもとより国権の最高機関であるこの場の先生方の御意見も御指導いただきながらこれからの交渉に臨む方針をつくっていくわけでございますが、それが交渉の場でどういうふうになっていくかについては、交渉事でありまして、米だけ外せとか、あるいはまた協定そのものをゼロからつくり直せということは、我が国だけではなく、世界じゅうどの国もそういうふうに考えている国は全くないと私は承知をしておりまして、最初から協定を改正しろとか、なくしてゼロからつくり直せという議論ではないというふうに考えております。
  119. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そんな頼りないことを言ってもらったら困ります。しっかり対応して頑張るという姿勢で貫いていただきたいと思うんです。  その内容については、私たちはきのうも申し上げましたし、私も十一日の質問の中で、最後大臣に三点について申し上げました。この点については、今、関税化問題が論議されていますけれども、本当に求められているのは、関税化に移行することでなくて、やはり農業食料を守るための、輸出国に偏重したWTO農業協定の改正を求める姿勢を明確にするべきだと私は思うんです。だから、積極的提案を私たちは何回も行ってきましたけれども、WTO農業協定の改定を求める国際世論の高揚と連携して、最大限の努力をするべきだということを私はもう一度指摘したいと思うんです。  内容については、この前も申し上げましたけれども、やはり三点あると思うんです。その一つ食料自給率の根幹をなす米の自由化。先ほども申し上げましたけれども、やっぱり対象から外すべきだと。そういう実効ある輸入規制を行うようにすることが第一点。第二点は、各国生産拡大への助成措置を一律に削減、禁止する条項を削除すること。第三には、環境保全のための施策に、アジア・モンスーン地帯などの手間をかけてつくった水田を維持する農業生産を加えることを提案して、対応していただきたいということを述べまして、私の質問を終わりたいと思います。
  120. 須藤美也子

    須藤美也子君 若干の時間、関連質問させていただきます。  今回の改正法案の中の第六十五条に「米穀等の輸入を行おうとする者は、国際約束に従って農林水産大臣が定めて」云々とあります。  この「国際約束」の中身であります。「国際約束」とは、農業協定では、外務省経済局の解説によっても、各国の約束を収録するのは各国譲許表であると先ほどもおっしゃいました。そうなりますと、「約束に従って」とありますが、異議申し立てによって約束たる譲許表は確定したものになっていません。しかも、この法律が施行される四月一日までこれができる保証もありません。これは先ほど外務省の方がおっしゃられたとおりであります。  だとすれば、今度の改正法案は、「国際約束に従って」という文言が残るだけで、約束の内容は定かにならない、まさに欠陥法案だと思います。そういう点で、この良識の府と言われる参議院で、こういう欠陥法案を賛成なさる方も反対する方も、私は、もう一度この法案の内容について、欠陥だらけのこの法案をしっかりと踏まえて徹底した審議を行うべきだと思います。  そういう点で、この欠陥法案、つまり「国際約束」です、改正法案にはこう書いてあるんです。この約束はどうなるんですか、内容的に。
  121. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 欠陥法案であるかどうかについてお答え申し上げます。  今度の食糧法改正法案第六十五条は、先生指摘のとおりでございますから繰り返しませんが、この「国際約束」というのはWTO農業協定を指すことであります。  譲許表ではないかという御指摘がありましたが、先ほど外務省大島経済局長から何遍も答弁しているとおり、今回の関税化に移行する措置というのはあくまでもWTO協定に基づく当然の我が国としての措置でございまして、この「国際約束」というのはWTO協定農業協定であります。WTO協定に基づいて我が国関税相当量を設定し、その中で農林大臣が定める告示額を決定するというのがこの条文の意味でございます。したがって、これは欠陥法案ではございません。
  122. 須藤美也子

    須藤美也子君 農業協定の中には、関税率をこうするああするという他国に対しての約束事はないんです。これはあくまでも譲許表で決められるんです。それはもう皆さん御存じのとおりで、やっていると思うんですけれども、農業協定のことでないんです。  今、ここの法案の中にある「国際約束」について言っているんです。「国際約束」というのは譲許表なんです。これが国会を通りもしないで、確認もされていないのに、この確認がきちんとできるまで施行はやめるんですか、実施はしないんですか。
  123. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生が一番最初におっしゃられた、他国にどうこうする必要はない、おっしゃるとおりです。なぜならば、これはWTO協定附属書五、並びにその実施については付録で、我が国が調整をしない限りは、つまり調整するときは他国と協議をしなければならないという協定条文がございます。したがって、調整をしない場合には他国にどうするこうするという必要はないわけでございますから、我が国はその協定に基づいて調整しないでやっておるわけでございますから、協定上、この問題というのは先生の御指摘とは違うと思います。したがいまして、WTO農業協定に基づいたこの措置がまさに六十五条に言う「国際約束」であるわけであります。
  124. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、この次また外務省の方からの見解を聞かなくちゃならないと思うんですけれども、譲許表で定めるわけでしょう、国際約束は。農業協定とは別なんですよ。  WTO協定のもとでの農業協定日本がいろいろ関税率をこうするああするというのはルールに基づいてやったと、これはわかります。しかし、各国の約束を収録するのは各国譲許表であると。譲許表がない限りはこれは確認できないんです。約束できないんです。これがWTO協定の問題なんですよ。これはおかしいでしょう。譲許表だから国際条約で、国会で承認を受けるということなんでしょう。どうなんですか。
  125. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 食糧法のことにつきましては、農林水産省としまして責任を持って法制局と御相談してこの条文を定めて御審議をいただいております。  この六十五条の「国際約束」という言葉は、先ほど大臣申し上げましたように、農業協定がこれだということでございます。その趣旨は、農業協定で二次税率につきまして、先ほどからるる御議論ございますように、明快に算定方法が書いてございます。その中で、納付金と狭い意味での関税、これをもって二次税率という形になります。その二次税率を定めておりますのは農業協定でございますから、納付金の根拠を農林水産大臣が定めると言って告示する場合には、当然ながらその一番の大もとであります農業協定に従って農林水産大臣がその一部としての告示を行いますというのがこの解釈でございます。
  126. 須藤美也子

    須藤美也子君 わからないです。わからないというよりもこれは欠陥法案だと思います。  というのは、「農林水産大臣が定めて告示する額に、当該輸入に係る米穀等の数量を乗じて得た額を、」というふうにその後なっているでしょう。そうすると、二次関税が三百五十一円、それから今マークアップで二百九十一円。これは二次関税の分については大蔵省に入るのかどうかわかりませんけれども、そういった問題が譲許表によってWTOでこれは承認されなければ、確認書が来なければこれは認められないわけでしょう。どうなんですか、それでも認められるんですか。
  127. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 譲許表国内法との関係は、先ほど外務省からお答えを申し上げているとおりでございまして、今おっしゃいましたこの三百五十一円十七銭が一九九九年から二次税率になるわけでございますが、うち今おっしゃいました六十五条の規定に従いまして農林水産大臣が定めて告示する額、これは二百九十二円を予定いたしています。その三百五十一円十七銭と二百九十二円との差、五十九円十七銭、これが狭義の意味での関税でございまして、この五十九円十七銭につきましては関税暫定措置法で明確に書いて御審議をいただいております。  なお、二〇〇〇年につきましても同様に三百四十一円から二百九十二円の納付金を引いた四十九円が関税ということで、これは関税暫定措置法で手当てしているところでございます。
  128. 須藤美也子

    須藤美也子君 もう時間ですから次回に回しますけれども、このように矛盾だらけの不備なままの法案を通すわけにはまいりません。そのことだけを申し上げておきます。あとは次回に回します。
  129. 村沢牧

    ○村沢牧君 米は国民の主食であり、食料安全保障基本であり、また稲作は農業農村の根幹であります。したがって、この貿易ルールを改めようとする場合には何よりもまず国民的な論議が必要なんです。しかし、この法案は、関係者の論議をする時間的余裕もなかった、また国会論議も不十分だった、米の将来展望についても本当にはっきりしたことは示さない、こういう形で提案をされたということです。  私は、十二月のこの審議のときにも言ったんだけれども、これは全く拙速ではないかと。そうしたら大臣は、この方針決定後国民的な立場で、消費者を初め各方面に十分理解を求めていくというお話があったけれども、またきのうは本会議で総理も各方面の意見も聞きましたと言っている。大臣はいろいろと濃密な審議もしてもらったと言うんですが、しかし十二月から今日まで本当にコンセンサスというようなことをやったとは私は見ておらないんです。大臣、こんな態度でもって、法律は私が判断させてもらいましたという態度で次期交渉が本当にできるのか。もっとやっぱり理解をしてもらう気持ちを持たなきゃだめだと思うんです。  いろいろくどくど言わぬから、本当にどういうふうにして国民理解を得るのか、関係者の理解を得るのか。答弁してください。
  130. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大先輩から簡潔にという御指摘でございますから。  今までも、限られた時間的な範囲ではございましたけれども、生産者消費者はもとより、いろんな立場方々にできるだけの御理解をいただくべく努力をし、またその御理解を受けとめていただいておると思いますが、引き続きその努力を続けさせていただきたいと思います。
  131. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣は、関税化切りかえの今回の決定を最善の選択だ、このように述べていますが、WTOが締結されてから四年になるわけです。農業協定の選択肢も十分農水省は知っている。しかも、次期交渉我が国主張を少しでも有利にしておくために関税化を選択した方がいいんだと、そんなことを私は公的にも私的にも一回も農水省から聞いたこともない。また、農業団体からもそういうことは言われたこともないわけです。  関税化切りかえが最善の方法だとするならば、来年次期交渉が始まるときに、なぜこの関税化を今しなきゃならないのか。もっと早くやるべきじゃないか。なぜ今かということは今までの質問でもあったわけですが、明確な答弁が出されていない。  官房長、これは重要な問題ですから農林省の省内もよく徹底して話をしたと思うんですが、なぜ今の時期にやらなきゃいけないのか。それでまた、やろうとする本当の理由は何か。官房長、答弁してください。
  132. 高木賢

    政府委員(高木賢君) これまでるる関係政府委員からも御答弁申し上げたところでございますが、今回関税措置への切りかえを行いますのは、特例措置の継続に比べましてミニマムアクセス数量増加量が半減できるということ。それから、この特例措置を継続しようとする場合には二〇〇一年以降もミニマムアクセス数量の増大ということが今の協定上避けがたいのではないかということ。それから、関税措置への切りかえというのは、御案内のように農業協定基本原則である関税化というものにかなうということから、関心国と協議を行うことなく二次税率が設定できると。それから、今特例措置は四カ国、日本、韓国、フィリピン、イスラエルという少数の国しか適用されていない。そういったものの特例措置にこだわると次期交渉においての連携ということについていろいろ問題が生ずる。こういうことがあります。  こういう事情を踏まえまして、我が国国益を守るという観点から最善の選択ということが行われたというふうに承知いたしております。
  133. 村沢牧

    ○村沢牧君 次期の交渉は明年から始まりますが、その交渉期間は数年はかかるであろう。今回設定する二次関税率の水準は、あるいはミニマムアクセスはその交渉期間中は継続される。したがって、次期のラウンド、そこで関税率の引き下げをされるかもしれないが、今設定する率なり、ミニマムアクセスは九九年、二〇〇〇年は大丈夫だと、こういう楽観的な気持ちを持っている人もあるのですが、どうですか。経済局長、答弁してください。
  134. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 過去の例からいたしましても、交渉が継続されている間はいわゆるスタンドスティルといいまして関税率等はそのまま維持されるというのがこれまでの慣例と理解いたしております。
  135. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、どういうふうに思われますか。  経済局長、あなたは先回のこの委員会で答弁しているんですよ。読みましょうか。  次の交渉期間は恐らく数年間は続くと思う。その間は今設定した二次関税率の水準は維持されるということを言っているんですね。  何年続くと思うんですか、次期交渉期間は。こういう気楽なこと言っているから農協だって信頼するんですよ、あなたを。
  136. 竹中美晴

    政府委員(竹中美晴君) 次期交渉期間が何年ぐらいになるか、今アメリカとかEUとかいろいろ意見が出ておりますが、EUあたりでは、前回のように長々とやるのはやめよう、三年ぐらいがいいんではないかというような意見も出ておりますし、実際にやってみたらどうなるかということもございます。まだ始まってもいない段階でございまして、どれぐらいかかるだろうかと、なかなかこれは見通しは難しいんじゃないかと思っております。
  137. 村沢牧

    ○村沢牧君 あなたは農協関係とかを指導、監督する立場でしょう。そんな気楽なことを言っているから、何年も続くから大丈夫やと、この関税率、そういうふうに受けとめてしまうんですよ。  どうですか、大臣、そんなことをみんな考えているんだよ。  官房長、この重大な問題を決定するのに省議でもって統一したんですか。また、大事なことは、つまり関税化しますとかあるいは自由化しますというのは大体農水省の幹部の省議で話をしてしかるべきだと思う。やったんですか、一回ぐらいは。
  138. 高木賢

    政府委員(高木賢君) 省議という形であったかどうかちょっと私記憶がありませんが、大臣以下幹部が集まりまして合意をした、省として決定したということでございます。
  139. 村沢牧

    ○村沢牧君 その決定は、今経済局長が言ったような気持ちで決定したんですか。  次に、この今回の方針は、農産物の輸出国輸入国のこれは共通のルールにしよう、したがって関税化で統一するんだと。今回の関税化への切りかえはそのための準備である、前倒しであると。四年前のガット・ウルグアイ・ラウンドでは、お話がありましたように大変苦労したと。ともかく関税化ということで統一しよう、そしてこれからの交渉はこれ一本で行くんだと。つまり、いろいろ二〇〇一年以降のことはわからないと言っているんだけれども、例外なき関税化にするんだと、次期の交渉も、ラウンドも、関税化にすると。そのことを内外ともに明らかにした、そのことでしょう。どうですか、大臣
  140. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回交渉の大前提は例外なき関税化ということでありまして、それに対して、先生ですからもう繰り返しませんけれども、ああいう結果になったわけであります。  次期交渉につきましては、少なくともさっき包括がどうだとかいろいろ御議論がありましたけれども、原則となっていることは、改革過程の継続だという位置づけにあることは、これは次期交渉一つの大前提であろうというふうに考えます。その中で我が国が、米を初めとする、国民にとってまたその供給者であります国内農業者、農業地帯にとって何がベストかということについてこれから国民的な御議論をいただいて、一つ方向性を出していただいて、交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
  141. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、そんなばかなことを言っているからいろいろなるんですよ。次期は関税化ですと。それは大臣が言ったように関税化だめだったらまたもとに戻すんですか。やめるんですか。あるいは特例措置にするんですか。次期は関税化でしょう。そのことははっきりしなきゃ論議にならないんですよ。
  142. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、そういうことなんです。例外なき関税化という大前提の現協定をさらに自由貿易というその改革を前進させようということですから、関税化ということが大前提の議論になるんだろうというふうに考えております。
  143. 村沢牧

    ○村沢牧君 議論になるであろうなんてそんな他人事みたいなことを言わなくて、農業団体だって関税化にしますということを統一したんでしょう、後から申し上げますが。  そこで、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉で、当時の細川内閣は、三回の国会決議、私もその提案者の一人でありますけれども、これを踏みにじって、また国民の要求を無視して、国民合意が得られないままに農水省、外務省あるいは官邸の一部の判断で米の部分開放を認める。そしてWTO農業協定関税化の特例措置を承認した。当時、このウルグアイ・ラウンドの最終的農業交渉が行われた現地ジュネーブで内外のマスコミは、一斉に米の関税化六年間猶予、ミニマムアクセス四%から八%、日米合意と報道しておったんですよ。私はこれを農水省や外務省にただしたが、絶対そんなことはありませんということだった。しかし、結果から見ればこういうことだったと思うんです。  したがって、これに基づいてWTO協定ができた。日本も承認した。この協定に基づいて次期は関税化だということが既に四年前に決められておったんですね。しかし、このままでほうっておくと、二〇〇〇年まで放任しておくと大変だから、こういう措置をとった。  大臣は、そのときは自民党は野党であったというふうに思いますから、交渉の経過は知らないと思いますよ。しかし、大臣は先日、そうであるけれどもというか、せめてオール関税化でなくて例外措置が認められたことは結構なことだというふうに言っている。農水省幹部おるけれども、あなたたちはそのときの話は知っていますか、その経過は。外務省も返事できないですね。そうだと思うんですよ。否定することはできないと思うんだ、これ。それに基づいて今回こういうことになったというふうに私は思います。答弁は要りません。  そこで、今回の方針は、政府、与党、農協系統組織の三者合意で決めたといいますけれども、農協組織で、全中が県の組織に特例措置の選択肢に関する意見集約を示したのは昨年の十一月二十六日ですね、全中理事会で組織討議の意見集約。対応を協議したのは十二月十六日、翌十七日には三者合意がされた。今まで米の関税化反対、農産物の新たな貿易ルールをつくれという要求をしてきた農協組織がこんな短い期間の中で下部組織や生産者段階で検討され、関税化意見が集約できたと考えるのはまさに農水省の官僚的な判断である。  大臣は、生産者団体の真剣な論議をしていただいた、それから関税化判断をしてもらったと。農水省は資料の説明などしたが、これは主導したことはない。しかし、この四つの選択肢を示したのは農水省だと。農水省の誘導によってこういうことになったんですよ。そんなことは農水省の組織の実態やあるいは農協との関係を知っている者はだれだってわかることなんだ。どこがやったんだと、これは。だから、団体から要求があったからやったんだと。しかしそうではないんですよ。農協に対してやったのは関税化の意思を統一するためにやった。意思を統一してください、ウルグアイ・ラウンドになっちゃ困ると、そういうことでやったんでしょう、これ。  ですから、この決定権だとかあるいは今後の方針についてはまさに政府の権限で行ったものである、したがって農業団体に責任を転嫁するわけにいかない。農水省、そのぐらいの責任を持たなきゃこんな大きなことはできないですよ。どうですか、本当に意思統一のためにやったんでしょう。団体の責任じゃないんです。農水省の責任だ。責任問題を言っているわけじゃない。今後もそうした責任を持って交渉に当たるべきだと強く要請しましたが、大臣、どうですか。
  144. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 言うまでもなく、議院内閣制でございますから、政府は与党とよく協議をし、与党の意向と反することはできないわけでございますから、与党と限られた時間でありますけれどもじっくりと協議をし、そしてまた、一方、団体は一昨年の全中大会での検討事項を始めて以来組織内でやっていたというふうに伺っております。そして、結果的に三者がとり得るべき選択肢四つのうちで今回の措置が最善であるということで合意したことは事実でございます。  しかし、その決定について、これはあくまでも外交に関する問題であり、国内農政に関する問題でございますから、与党の了承をいただいて法律を提出し、またWTO等のいろいろな作業をするのは政府でございますから、政府が責任を持つ。最終的には内閣総理大臣でございますが、この法律につきましては、あるいは農政につきましては、私が責任者であるというふうに認識しております。
  145. 村沢牧

    ○村沢牧君 政府と一方的に言いましたが、もちろん政府・与党の責任だと。  しかし、やっぱり三者合意を持っていたということは、関税化で国論を統一すると。だから、農協関係だけで統一したってだめだと思うんですよ。一番抵抗するということじゃなくて、関心の高い、関係の高い農協組織と関税化にしていく意思を統一するための三者合意だ、そういうふうに受けとめていいですね。どうですか。
  146. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 数カ月間、与党と本当にぎりぎりの協議をしました。そしてまた、全国の生産者団体の代表としての組織とも、直接の第一義的な利害関係者である生産者の代表の方々とも当然農林省も協議いたしましたし、与党も多分いろいろな協議をしたと思います。その結果が三者合意でございまして、最初に結論があってそれを確認し合ったということではなくて、それぞれが党の場で、あるいは団体の場で、そして我々の農林水産省の内部で検討し、協議をし、そして最終的に合意に至ったということであります。
  147. 村沢牧

    ○村沢牧君 次は、譲許表のことについて、先ほどもありましたが、外務省に聞きたいと思うんです。  特例措置を終了させて関税措置に切りかえるためには、国内法の改正を行うとともにWTO協定譲許表修正の手続をとる必要があると。しかし、譲許表の修正は国会の承認が必要だが、農業協定上、四月一日までに譲許表の修正手続を終わらせなければならないという規定はないので、国内法令によって関税措置への切りかえは実施できるし有効だ、こういうことなんですね、これが統一見解。この見解についてはまた後ほど私も意見を申し上げます。  そこで、この我が国の統一見解に対して、WTOはそのような解釈を認めておるんですか。
  148. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  今先生がおっしゃったような理解でおる、統一見解ということでございます。  それについてのWTOの対応でございますけれども、私どもの考えは申し上げたとおりでございまして、このような我が国立場について今のところ各国より異論は出ておりません。つまり、基本的には私どもの見解が理解されているという認識でございます。
  149. 村沢牧

    ○村沢牧君 各国から批判がないからいいだろうと。譲許表の修正はWTOの事務局がやるんですか。だれが認めるんですか、これは。
  150. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) WTOの中における譲許表の修正について簡単に御説明申し上げますと、通常の場合は交渉等が行われまして、その結果それぞれの国の新たな譲許が確定するわけでございますけれども、その譲許について各国がその譲許の内容をWTOの事務局に通報する。事務局がそれを加盟国全員に、例えば日本の場合には、今度日本がこういう形で譲許表を修正すると言ってきたということを通報します。それに対して三カ月間反応を待っておりまして、特に異議申し立てがなければそこで確定しまして確認書が出てくるということでございますので、WTOにおける譲許表の修正というのは加盟国の間でそれが最終的に確定し確認されるということだと思います。
  151. 村沢牧

    ○村沢牧君 この修正は、WTO事務局だったらそんな権限はないでしょう。だから、事務局が加盟国に対して、修正をしてよろしいかどうかと。加盟国は百三十幾つもあるんでしょう。それが一々よろしいとか何とか言うんですか。黙っていればもう修正されてよろしいということになるんですか、どっちなんですか。
  152. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  事務局の方から、例えば日本なら日本が通告しました譲許表の修正につきまして加盟国に通知します。三カ月間、それに対する反応がなければ加盟国が受け入れたというふうになります。したがいまして、異議申し立てがなければその段階で確定し、事務局がそれを確認する形で確認書というものを、この場合でしたら日本によこします。今回は御承知のとおり四カ国が異議申し立てをしておりますけれども、最終的にはほかの国については異議はなかったというふうに理解しております。
  153. 村沢牧

    ○村沢牧君 ほかの国について異議がなかったということじゃなくて、今異議の申し立てがあるということですね。そうすると、この譲許表の修正というのはすぐ国会に提出することができない。だからその修正はどのような日程で国会に提出されるんですか。承認を求めるんですか。
  154. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 今後の段取りについてはこういうことだと理解しています。  つまり、現在、各国に対して日本が出しております修正について、三月二十一日までということでその反応を待っていたわけでございますけれども、四カ国が異議の申し立てを行っております。これに対して、私どもとしては日本側の立場を説明し異議申し立ての撤回を求めていくわけでございます。そして、最終的に異議の撤回が行われまして修正が確定すれば、そのような段階で修正は確定したということでWTO事務局長から我が方に対して確認書というものが発出されます。そして、確認書が発出されれば、今度は政府といたしまして確認書の締結について国会の承認を求め、国会の承認を得た上でその確認書に附属する譲許表の修正の効力を発するため通告をWTOに行って、最終的に確定するということでございます。
  155. 村沢牧

    ○村沢牧君 この問題は長々やっておると時間ばかり食ってしまいますから、また後日に譲りましょう。しかし、外務省局長の答弁は納得のいかない点がたくさんありますから、また後日、改めてやります。  さてそこで、関税外交国家貿易の関係ですが、関税化に移行しても国家貿易は今後とも維持していきたいと食糧庁長官が答弁しています。私もぜひ維持すべきだと思いますが、改めて伺いたいと思います。
  156. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 米につきましては非常に食生活上、農業上、重要なものでございますので、これまでも国貿という形の中でその安定を図ってきたわけですけれども、その基本姿勢をこれからもきちんと維持したいと思っております。特に国貿とそれから民貿とを比較した場合にどういうことがあるか……
  157. 村沢牧

    ○村沢牧君 そんなことを聞いていないよ。維持するかどうかということだ。
  158. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) そういうことで維持したいと思っております。
  159. 村沢牧

    ○村沢牧君 そこで、今度の法律関税化をする法律だと。この国貿と法律との関係はどういうふうになりますか。
  160. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今回はといいますか、現状におきましてもミニマムアクセス米につきましては国貿で対応いたしております。今後も、関税化になりますが、ミニマムアクセス部分につきましては従来どおり、今申し上げましたように食糧庁によります国貿ということを維持してまいります。したがって、その点については全く同じでございます。
  161. 村沢牧

    ○村沢牧君 同じだけれども、法律上はどうなっておるのか。
  162. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 現行と同じでございますので、二次税率のところにつきましては、国貿を外れてだれでも輸入できますからそのところについては手当てをしておりますけれども、国貿につきましては全く変わっておりませんのでいじっておりません。
  163. 村沢牧

    ○村沢牧君 国貿は現在の食糧法にもある、それは改正していないから続いていけるという解釈なんですね。それはわかりましたが、そうすると麦と同じ形になるわけですね。麦と米とは全く同じですか、麦は日本が足らないから輸入する、米は余っているからと、その辺の考え方はどうなんですか。
  164. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 足りるか足りないかということではございませんで、制度上は基本的には全く同じでございます。ただ、麦の場合はカレントアクセスと言っております、米につきましてはミニマムアクセスという形の中でそれぞれ国貿という形で対応いたしております。
  165. 村沢牧

    ○村沢牧君 国貿で対応するならば、一九九三年の閣議了解、米のミニマムアクセス導入に伴って転作の強化などをやらない、その他幾つかの閣議了解をされていますね。これはそのとおり実施していきますか。
  166. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) そのとおり実施をしていきたいと思っております。
  167. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、この閣議了解にはいろいろなことが農業全般について書いてありますけれども、それは九三年に決めたことですね。そのとおり実施するか、確認をしたいと思います。
  168. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 平成五年のミニマムアクセス米の導入によって国内生産あるいはまた需給について影響を与えないという閣議了解は、今後とも同じように遵守してまいります。
  169. 村沢牧

    ○村沢牧君 それから、我が党はウルグアイ・ラウンド交渉のとき、何ら例外なき関税化は反対だ、米は国内生産で自給するんだという方針を掲げていろいろ今日まで運動をやってきた。その中で新たな農産物貿易をつくりなさいということでずっと主張して、今日もそうなんですね。  そこで、関税化をすることによって新たな農産物貿易ルール、これについて大臣は何か見解を持っていますか。もちろん、くどくどいろいろ述べたいこともあるんですが、新たな農産物貿易ルールWTO協定の中に乗っかるんじゃなくて日本から提案をしていくんだと、そういう気持ちを持っておりませんか。
  170. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回は、WTO協定上の米の関税化の特例措置から原則への移行でありますから、これ自体はある意味では特例から通常に戻ったということ以上のものでも以下のものでもないわけでございますが、次期交渉に向かいまして、ただ言われたことに対して防ぐだけではなくて、輸出国あるいはまた加盟国の多くは食料輸入国でございますからその立場、さらには非常にお金のない国に対しての食料あり方等についても新たに我が国としてこれからやっていくべきではないかというふうに考えておりますが、御議論を待ちたいと思っております。
  171. 村沢牧

    ○村沢牧君 私ども新たな貿易ルールをいろいろ持っています。今日は時間がありませんから、大臣、申しわけありません、省略しますが、後ほどまた私の見解も申し上げたいと思います。  そこで、やっぱり一番関係者が注目されるのは二次関税率ですね。平成十一年度三百五十一・一七円、平成十二年三百四十一円、これが確認され維持されなければ有効な国境措置とは言えないし、またこの法律を制定することにも問題があるんです。  ところが、平成十二年度以降も三百四十一円という二次関税率を設定したので国内の稲作を守っていけるんだという農水省の考え方でありますが、しかしこれは最短距離で見るならば、交渉過程せいぜい二〇〇二年までは守れる、そこから先はわからないということになるんです。ただわからないでは済まされない。さっきも質問ありましたが、いろいろなシミュレーションも見解も出ているわけです。何としてもこの関税率は今後ともずっと絶対下げてはいけないということ、難しいことであろうけれども守っていくんだ、このとおりやっていくんだという決意を示してもらいたい。
  172. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 私どもは、ことしから三百五十一円十七銭、来年は三百四十一円、これは明確に言っております。  それから、その後のことにつきましては、基本的には交渉事項であるということをまず申し上げております。それから、その交渉を継続している期間は、先ほども御説明を申し上げましたようにスタンドスティルということで、今の三百四十一円が交渉期間中は継続するということも申し上げております。  それから、二番目に申し上げました二〇〇一年以降のことにつきましては、交渉事ではございますけれども、先ほどから大臣が御説明申し上げておりますように、農業の重要性それから米の重要性ということにかんがみまして、その存立を守るという観点から精いっぱい努力をするということで対応していきたいということを申し上げておるところでございます。
  173. 村沢牧

    ○村沢牧君 交渉事項ということは知っているんです。交渉中は守ってくる、交渉後はわかりませんよと、これだから不安なんですよ。  だから、交渉後も、先ほど言ったように国家貿易は守っていきましょう、それから関税率についても精いっぱい努力してやっていくんだと。何年後には幾らになりますなどということを言われて、皆さん答弁も何もできないでしょう。これらを農民が不安に思うのは当然のこと。交渉後の新しいラウンドにおいても今の設定された関税率をそのまま維持することはできないとしても、余り下げないようにしていくんだ、ミニマムアクセス拡大していかないんだと、そういう信念を持っておらなければこの法律は、もちろん私どももいろいろ経過の中から、よろしゅうございますとは必ずしも言えないけれども、そのぐらいの信念は示してくださいよ。
  174. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回交渉のときには、仮に関税化した場合でも七百何十%とかいう議論がたしかあったような記憶がありますけれども、先ほど長官から申し上げましたが、次期交渉我が国基本方針の確固たるものをつくって臨むわけでありますけれども、あくまでも交渉事でございますのでどうなるかということは、それは終わってみなければわかりません。  先ほど三年という話もありましたが、本当に何年かかるか、三年が何か時間延ばしのためにいいような話もちょっとニュアンス的にありましたけれども、三年で終わらないかもしれないぐらいに厳しい交渉になるかもしれない。現に前のウルグアイ・ラウンド、あるいはそのもっと前の東京ラウンド、ケネディ・ラウンド等を考えますと、大変厳しい交渉になることも予想されるわけであります。  いずれにしても、国民に対する国内生産基本とした安定供給という基本ラインに影響を及ぼすことのないような交渉結果を得るべき態度で臨んでいきたいというふうに考えております。
  175. 村沢牧

    ○村沢牧君 最後に、要望を申し上げておきます。  大臣も真剣に取り組んでおるようですが、先ほどの国会の答弁なんかを見ておると、同僚議員に対して、甘いじゃないかと言ったら、甘い、しょっぱい、辛いなんて、そんな答弁をしたらだめですよ。もっとまじめに答弁しなさい。  それから、次期にどのような関税になってくるのか、そのことをやっぱり意識しなきゃ国内対策だって立たないでしょう。これだけ厳しくなるから国内対策をこういうふうにしましょうということになってきますから。わからないですよ、交渉の結果を見なくちゃ。しかし、国内対策は立てるということなんですから、そのことも踏まえて国内対策をしっかりやってもらいたい。  自後の質問は後日に譲ります。以上です。
  176. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。私は確認する意味でお伺いをいたしたいと思います。  十二月十八日の委員会におきまして、国際約束が国内法よりも優先するというようなこと等で、今回論議になっております譲許表の修正が確定して、WTOよりその確認書が出るまでの効力が発せられないのではないかと思うんですけれども、その点いかがですか、外務省
  177. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  繰り返しになるかもしれませんけれども、私どもの考えを御説明させていただきます。  まず、農業協定、これはもちろんWTOの中の一環の協定として国際約束でございますけれども、その協定の附属書において、加盟国はその実施期間中のいずれの年の開始時においても特例措置の適用を終了できることを定めております。その際に、御説明してきておりますように、二次税率の算定方法とかいろんなことが明確に規定されているわけでございます。そして、特例措置の適用を終了させる場合にはこの農業協定に従って国内法令の改正を行いますとともに、WTO協定譲許表を修正するための手続をとる必要があります。  ただし、WTO農業協定には四月一日までに譲許表の修正手続を終了しなければならないとの規定はございません。したがいまして、譲許表の修正については、譲許表の修正が確定してWTOの事務局より日本政府に対して確認書が発出された後、速やかに国会に提出して御承認を得たいと考えておりますけれども、四月一日までにこの譲許表の修正手続が終了しない場合でも特例措置の適用の終了はできる。  なぜかと申しますと、繰り返しになりますけれども、WTO農業協定という国際約束で関税化ということが基本原則とされている。したがって、これにかなうものであり、国内法令によって関税措置への切りかえができるということでございます。
  178. 阿曽田清

    阿曽田清君 確認書が発せられなくてもそれはいいということですね。  では、国会の承認がもし得られなかった場合はどうなりますか。
  179. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 私どもとしましては、確認書の発出をできるだけ速やかに受けて、その上で国会に提出し、御承認を得たいと思っております。そして、その間でありましても四月一日までに譲許表を修正しなければいけないという規定はございませんということと、そもそも関税化あるいは関税措置への切りかえというのは、日本が加盟しております農業協定に基づいておりますのでこれによって可能である、できるというふうに理解しております。
  180. 阿曽田清

    阿曽田清君 私が聞いているのは、確認書が発せられなくともいいということであるならば、発出された後、国会の承認を得ることになっておりますという話をされました。だから、国会の承認が得られなかったときはどうするんですかということを聞いているんです。
  181. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 繰り返しになりますけれども、国内法によって行われます関税措置への切りかえというのは国際的にも認められている協定によって行われておりますので、それはまず可能である、そして譲許表の修正についての国会の承認についてはこれをお認めいただくということで私どもとしてお諮りするということでございます。
  182. 阿曽田清

    阿曽田清君 何かよくわからないんですけれども、その話によると、私はずっと聞いておったからそういう国会の承認が要るんだなと思いまして、国会の承認が得られなかったらどうするんですかという質問をあえてしたんです。国会の承認も要らないということならばあなたの言われるのは確認書の効力の発する云々も必要ないわけでありますね。  国会の承認がその後では要るんだということであるならば、国会の承認を得られなかったらどうするんですかということを聞いているんです。
  183. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日、提案理由説明をここでさせていただいたときに、食糧法それから関税定率法、関税暫定措置法を一括して御審議をいただきたいというお願いを申し上げました。  先生指摘譲許表の改正にかかわる条約の国会での承認案件も、その一括法の中に入っておりませんけれども趣旨としては一体でございますので、この法律を含めた三法の一括法の賛否とそれから後ほど出てくる譲許表の賛否が異なるということは、我々としては想定をしておりません。
  184. 阿曽田清

    阿曽田清君 今までの議論をずっと聞いておりまして、その答えが、確認書が出てきた時点で国会で承認をいただくというような答弁、議論がありましたので、それじゃそういう国会承認を得るということを提案されることになりますれば、もし国会で承認が得られなかったらどうするんですかということをあえて確認のために聞いているわけでありまして、きのう趣旨説明されたとおりにいくものだと思っておりますが、事の事態がまたこれから先どれくらい変わるかわからないわけですから、そのときどのような政変が起こるかわからないわけですから、あくまでも確認の意味で私は聞いているということです。  一貫して申し上げますならば、何も国会承認を得なくてもいいということであるならば今までの答弁も了としたいんですけれども、逆に確認書が出てきた後に国会の承認を得なければならないということであるならば、それが得られなかったらどうするのかということになることを聞いたわけで、そのときは改めて採決いただくということになりますというのがそのお答えじゃないんですか。
  185. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  農業協定との関連では、その協定上、関税特例措置の適用を終了させて関税措置に切りかえる場合には、その旨を譲許表において譲許するということが定められておりますので、譲許表の修正をお認めいただくことは必要だと思いますし、その際には、今、大臣から御答弁いただきましたように、実質的には国内措置を反映した形での譲許表の修正でございますので、内容的には同じでございますので、同じような御判断をいただけるということを期待し、お願いしているところでございます。
  186. 阿曽田清

    阿曽田清君 では、この件については国会承認を得なきゃならないということだったら、また次回に議論するということにもなりますね、結果としては。
  187. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 譲許表というか、WTOから確認書が来ることをもって形式的にもこの問題が完結をするわけでございますから、そういう意味で実態上は、今外務省の経済局長が答弁したとおり、WTO協定上の我が国の一方的な通知でもって四月一日以降国内的にもまた対外的にも効力を発するわけでございます。  譲許表との関連においては、これはやはり確認書をいただく、そして確認書に基づいて国会でもって譲許表の変更について御審議をいただく場合には、今回の関税化の最終的な完結した手続として国会での御承認が必要でございますので、今回は一括法の御承認を御議論をいただきながらお願いをしておる最中でございますが、それと同様の気持ちで条約の承認についてもぜひとも御可決をいただけるようにお願いを申し上げたい、同じ気持ちでおります。よろしくお願いいたします。
  188. 阿曽田清

    阿曽田清君 趣旨は、大臣の気持ちはわかりましたので、またその確認書が届いたときにどう取り扱うかは当委員会の問題だろうと思います。  時間がないので次に入りますが、それぞれ意見が出てきておる中の一番心配事は、まさに二〇〇一年以降の関税、いわゆる関税率、今回は定量率になるわけでありますが、この問題についてどれくらい将来減っていくんだろうかという心配が一方であります。  我々生産者の段階で今一番安心しているのは、ミニマムアクセス米が七・二%で二〇〇〇年を終わって、その後も七・二%のままコンクリートされた状態で行き、かつまた三百五十一円、二〇〇〇年は三百四十一円、これをより削減されないように努力していっていただくことによって米の輸入量が抑制されるという期待感といいますか、そういう方向にみんな思っている、生産者は。  二〇〇〇年までの七・二%、このミニマムアクセス米がよもやふえていくというようなことはだれも思っていない。ところが、これは七・二%プラスアルファもあるんだよというようなことは生産者方々には全く知らされていないという状況があります。そこはプラスアルファがあり得るんだよということもはっきり周知しておかなきゃいけないことだと思うんですが、長官どうですか。
  189. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) いずれにしましても、二〇〇〇年までのことについては決まっているわけですけれども、二〇〇〇年以降のことについてはその後の交渉事項ということで、関税相当量、それから今おっしゃいましたミニマムアクセス量も、すべて交渉事ということでございます。その点について、今御指摘のような形でそれがそのままコンクリートされるんじゃないかというような誤解があるとすれば大変なことでございますので、私どもとしては、その点はきちんと正確に理解していただきますよう、これから啓蒙等説明に努めたいと思います。  同時にまた、例えば七・二%から上がるんだよということも逆にもっと言った方がいいのではないかということでございますけれども、これは交渉事でございますので、可能性としてはあり得るわけでございます。それはしかし、我々としましては、やはりミニマムアクセス米国内農業に占めます重さ、それから国内産米との需給の調整が非常に難しくなってきている実態、そういうことを踏まえますれば、先ほどから大臣が申し上げておりますように、ミニマムアクセス数量も、それから二次税率の水準につきましても、国内農業の存立基盤がきちんと維持できる結果が得られるような形で努力するということを大臣がもう何度も決意表明しているわけでございますし、私どもとしてはその姿勢でこれからもきちんと対応していきたいと思います。  なお、やはり正確な御理解という意味では、これからまたいろんな意味で誤解がないように十分努めていきたいと思います。
  190. 阿曽田清

    阿曽田清君 交渉事でありますからということで、確かに七・二%にコンクリートされた状態でいいとは限らぬという思いは我々にあるんです。場合によっては七・二%プラスアルファがミニマムアクセスとしてプラスされてくる、そして関税率も引き下げられる。どの程度まで引き下げられるか、そこが一番不安な材料でありますけれども、この両面から攻められていく可能性があるということを我々は感じているんですが、米作農家はそこまで感じていませんよ。七・二で抑えることができたということで、ミニマムアクセス米を下げることができた。したがって、関税化の方向でこれから高関税率を保っていただくようにひとつ頑張ってもらいたいという思いが生産者の中にあるのが実態で、こっちはコンクリートされているものというふうに思っているのが現状なんです。  それは交渉事だということでもう一歩組合の方々に話すとすれば、交渉事だからプラスアルファがミニマムアクセスも出てくるんですよということを示唆したという形に聞こえてきます。だけれども、その聞こえることさえも僕はむしろ言っておいた方がいいと思う。それは全く七・二%になって、その後のミニマムアクセス米数量はコンクリートされるという理解を今生産者はしておりますので、そこのところを正しく理解させなければいけないというふうに思っております。  例えば、ミニマムアクセス米そのものが、いわゆる関税化拒否に対する懲罰的な措置という設定でミニマムアクセス米が行われたというふうに私は理解しているんです。ですから、まさにミニマムアクセス米の見直しをむしろ交渉に向けてはやるべきじゃないか。ミニマムアクセス米は、とにかくもう懲罰という行為から我々は関税化に移行したんだから、四から八%のミニマムアクセス米というものについての措置は撤回しろというようなことを交渉することが私は大事じゃなかろうかと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
  191. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、先ほどのことでございますが、関連して二つまとめてちょっとお話しさせていただきます。 御承知のとおり、原則は三から五でございます。米については韓国、フィリピンもそうですけれども、あそこは十年で一から四ということでございますが、先生指摘のように、我が国は例外なき関税化は絶対受け入れられないということで四から八という若干ペナルティーを払って、そのかわりに関税化しなくてもいいよということだったわけであります。そのことも含め七・二は維持される、あるいはまた三百四十一円がどのぐらい維持されるか、あるいは上がるか下がるかということについてはもちろん交渉事であります。  それから、先生が御指摘になったように、七・二よりふえることもあり得るということを教えておいた方がいいのではないかという御議論もよくわかりますが、農家の皆さんにこれ以上の悪いことはないよというようなことを、あるいはこれ以上のことはあり得ないよということを言っておくということも、ある意味では一つの方法かもしれません。  もう一方、外国が虎視たんたんとこの議論を含めて我が国を注意深く見ておるわけでございますから、逆に先生指摘のように、いや、懲罰的なんだから四から八じゃなくて三から五ということを日本が言うと、七・二よりも上のことから議論日本は始めそうだということになれば、ほかの米を輸出したい国々は、じゃ七・二よりもさらに高いところから交渉を始めようじゃないかという議論にもなりかねませんので、具体的な数字なりなんなりについてはこの場ではむしろ言わない方が、生産者皆さんはもとよりでございますけれども、相手国である交渉方に対して必要以上の情報を与えるということも交渉としてはプラスではないと思いますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  192. 阿曽田清

    阿曽田清君 七・二%はコンクリートされたものだという理解の方に今全部走ってしまっている。だから、七・二%はコンクリートされたものではない、これは交渉事のプラスアルファということがあるならば、そのアルファというものがあり得るということも生産者の方が知った上で、なおかつミニマムアクセス米はいわゆる懲罰的な措置だという理解の中で四から八になっていたんだ、だから関税化で三から五まで伸ばされる輸入量の枠、このミニマムアクセス米そのものを撤回させる、見直しをさせる、そういうことで国は臨んでいきますよということをはっきり申し上げた方が、むしろ農業団体方々を初め、みんな理解をさらに深めていくだろうというふうに思っておりましたので、そういう方向で進んでいただきたいということを御要望したわけでございます。  終わります。
  193. 野間赳

    委員長野間赳君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会