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1999-05-21 第145回国会 参議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十一日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      魚住裕一郎君     荒木 清寛君      沢 たまき君     弘友 和夫君      山本  保君     加藤 修一君      照屋 寛徳君    日下部禧代子君      堂本 暁子君     田名部匡省君  五月二十一日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     谷林 正昭君      小池  晃君     畑野 君枝君      田名部匡省君     堂本 暁子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 鈴木 正孝君                 竹山  裕君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 齋藤  勁君                 柳田  稔君                 日笠 勝之君                 笠井  亮君                 山本 正和君     委 員                 市川 一朗君                 加納 時男君                 亀井 郁夫君                 木村  仁君                 世耕 弘成君                 常田 享詳君                 長谷川道郎君                 橋本 聖子君                 畑   恵君                 松村 龍二君                 森山  裕君                 矢野 哲朗君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 石田 美栄君                 木俣 佳丈君                 久保  亘君                 谷林 正昭君                 千葉 景子君                 寺崎 昭久君                 前川 忠夫君                 荒木 清寛君                 加藤 修一君                 弘友 和夫君                 小泉 親司君                 畑野 君枝君                 宮本 岳志君                日下部禧代子君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 月原 茂皓君                 堂本 暁子君                 山崎  力君                 島袋 宗康君    衆議院議員        修正案提出者   赤城 徳彦君        修正案提出者   大野 功統君        修正案提出者   遠藤 乙彦君        修正案提出者   佐藤 茂樹君        修正案提出者   山中あき子君        修正案提出者   東  祥三君        修正案提出者   西村 眞悟君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        運輸大臣     川崎 二郎君        自治大臣     野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        警察庁警備局長  金重 凱之君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁経理局長  首藤 新悟君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省条約局長  東郷 和彦君        海上保安庁長官  楠木 行雄君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間に  おける後方支援物品又は役務相互提供に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定を改正する協定締結について承認を求  めるの件(第百四十二回国会内閣提出、第百四  十五回国会衆議院送付) ○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保  するための措置に関する法律案(第百四十二回  国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二  回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付  )     ─────────────
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、照屋寛徳君、魚住裕一郎君、山本保君及び沢たまき君が委員辞任され、その補欠として日下部禧代子君、荒木清寛君、加藤修一君及び弘友和夫君が選任されました。  また、本日、櫻井充君及び小池晃君が委員辞任され、その補欠として谷林正昭君及び畑野君枝君が選任されました。     ─────────────
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の三案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 柳田稔

    柳田稔君 民主党新緑風会柳田でございます。  きょうは、主に船舶検査について御質問をさせていただきたいと思います。  衆議院段階で、民主党も今回のガイドライン関連法案に対して八項目修正を用意して、いろいろと理事会の場で協議に当たりました。最後の段階で、委員会から外れたところで、昔流に言いますと国対政治というものに当たるのかもしれませんが、急に三党合意で話がまとまって成立ということでありました。  そのことについてきょうは触れるつもりはありませんけれども、我々としては八項目修正をもって協議に当たった、結果としてその中の一部分は修正の中に入っている、このことについてはいいことだなと、そう思いました。  ただ、入らなかった修正幾つかありまして、結果として、我々はトータル判断したときに、この修正では本三法案のうちの一法案には賛成できないという姿勢衆議院段階では残念ながら反対をした次第であります。これは衆議院先生方は多分御存じだと思うのでございますけれども、その衆議院の結果を受けまして、参議院に三法案が回ってまいりました。  我々としても、本法案について参議院民主党新緑風会の中でもいろいろ検討いたしました。八項目のうち入らなかったほか残りすべてが入れられればという話もあったわけでありますけれども、やはり我々が賛成できるところはどこかと、どこまで入れてくれれば賛成できるかなと、我々党内がです、党が、そういったいろんな内部議論を経ながら、最終的には船舶検査に絞らせていただきました。  けさ理事会の席におきまして、我々民主党考えます修正案を提出させていただきました。その要綱は大変簡単でありまして、「国際連合安全保障理事会決議を要件とする船舶検査活動に係る条項を、政府原案のとおり加えること。」と、非常に単純明快で、このことを修正参議院のこの委員会で入れていただければ、政府原案並びに衆議院修正された内容、そしてこのことを入れていただければ、我が党としては賛成をしたい、賛成の上成立をさせていただきたいという姿勢まで固めつつ、今日まで議論をしてまいりました。そのことを十分御理解いただきたいと思うのであります。  そこで、具体的にまずお聞きしたいのでありますけれども、この政府原案船舶検査活動、残念ながら衆議院では削除になりましたけれども、まず外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、今の段階では船舶検査は入っていないと、こういう状況において、特にアメリカでありますけれども、それなりの弊害といいますか、いろんな議論が出ているのではないかと思うのでありますが、現段階外交上どういう状況にあるのか、お話し願えればと思います。
  5. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府とすれば、船舶検査もあった方がベターであるという考え法案提案させていただいたと。衆議院でいろいろ御審議していただいた結果、船舶検査は除くという形で衆議院では可決していただいたわけであります。  そういうことは当然のことながら大変関心の強いアメリカ側にも伝えてあります。伝えてある中で、具体的な言葉とかそういうことはともかくとして、アメリカ側感触とすれば、船舶検査が外れたことはそれは残念ではあるけれども、全体としてこれを衆議院が通過してくれたことはそれはよかったねと、こういうような感触でございます。そして、将来的には新たな立法ということが三会派合意であったということも当然伝えていますから、それではそれに基づいて早くつくってもらえればありがたいねと、こういうような感じだと思っております。
  6. 柳田稔

    柳田稔君 外務大臣、今はベターだとおっしゃいましたけれども、以前はベストだと思って出した、船舶検査も含めて本法案は我々としてはベストだと思って出したというふうにずっと答弁されたんですが、今はベターと言われたので、若干トーンダウンされたのかなという感じは持ちましたけれども。  今度、防衛庁長官にお尋ねしたいのでありますけれども周辺事態が起こった場合、政府船舶検査を入れておりました。今の段階、入っておりません。この周辺事態に際していろんな活動を行うわけでありますけれども、今ないという状況はこの活動を行うに当たっていろんな面でまた支障が出るのではないかと思うのでありますけれども、現段階、入っていないという状況を見て、活動する中心としてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
  7. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもとしては、三つ活動が円滑にできることが望ましいと考えてあの法案を出したわけでありますから、三つ活動がそろうことが一番希望しているところでございます。  先ほど民主党さんのお考え方も伺いましたが、三会派間でひとつ話を早急にまとめていただいて、この法律成立することを強く希望している次第でございます。
  8. 柳田稔

    柳田稔君 そこで、修正提案者の三党の皆様にお尋ねしたいのでありますけれども、私どもが提出した修正自民党さんの場合は政府・与党ですから、当然この原案ベストだと思って出されたと思うのであります。本委員会もいつの日か採決しなければならないときが来ると思うのでありますけれども、私はどう考えても、我々のこの修正案自民党皆様賛成をしていただけるはずだと思うのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  9. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) まず、自由民主党を代表してお答えさせていただきます。  もし仮に衆議院段階で今のようなお話があったらなと思うわけでございますが、現段階では、船舶検査政府原案から削除したときに、三党間で別途立法措置をする、今国会中にもその立法措置を行うと、こういう合意をいたしております。政党間の信頼をもとにした政治、こういう意味で、現段階では参議院での御審議様子を見ながら、基本的には三党間で合意したことを念頭に置いてやっております。
  10. 柳田稔

    柳田稔君 三党間でおやりになるのは自由でありますけれども、私が聞いておりますのは、政府原案を我々は提案しているんです、削除された部分を、としますとこの内容については自民党としては賛成せざるを得ないのではないかと、それがベストだといって国会に提出したわけでありますから。我々はそれと違うことを何も言っていません。  ということは、自民党が今日までずっと、何年前ですか、橋本総理アメリカに行かれていろんな話をされて、それからずっと積み上げてこられたと思うんですよ、何年間もかかって、いろんな協議をしながら。その経過考えると、我々の案に賛成できないという理屈がわからないのでありますけれども政策としての理屈が。どうでしょうか。
  11. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) 柳田先生、十分おわかりのことと思いますが、結果論だけを考えてイエスかノーかということでございますが、やはりプロセスが大変大事でございます。  今日に至るまで、政府原案からなぜ船舶検査削除したのか、その船舶検査について大事なことであるから今国会中にも成立させよう、ただし参議院で御審議中であるからそれを見守っていこう、こういう姿勢でございます。結果論だけでは論じられない問題である、このように思います。
  12. 柳田稔

    柳田稔君 ですから経過を話したんですよ。皆様修正協議に入ったのはここ一月にもならないかの間なんです。ところが、橋本総理アメリカに行かれていろんな話をしながら積み上げてこられて法案として出されて、そしてこれが修正になるまで自民党さんは関与されていた。その年月は一月ではない。何年もなんですね。としたときに、その積み上げがこれだったんです。ですから、経過はそうであるだろうし、またいろんな協議もされてきただろうと、たった数日で変えたような内容ではなかったはずですから。  としたときに、経過考えて、そして最終的に出してきたこの原案、この原案のどこが悪いから今賛成できないのか具体的に言ってもらいたいと思うんですけれども、どこが悪いからできないのか。
  13. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) 柳田先生も冒頭でお触れになりましたけれども、こういう国家の安全保障問題というのはなるべく幅広い国民支持が必要だと私ども思っております。  したがいまして、単独で自民党が採決するのか、もっともっと幅広い政党支持をちょうだいして、そして国民的基盤の上に立って自衛隊活動するのか、これは私は別問題であると思っております。したがいまして、そういう努力を重ねた上でのセカンドベストである、このように思っております。
  14. 柳田稔

    柳田稔君 そのとおり、大野先生がおっしゃるとおりなんですよ、幅広い政党賛成を得て成立させたいと。ですから私最初に申し上げましたでしょう、我々も内部でいろいろ協議したけれども衆議院修正についても我々は尊重している、ただし足りなかったと。それはどこかというと、削除してはいけないということを皆さん削除したからなんです。  だから、今日段階としてこの政府原案を入れてくれれば我々民主党賛成すると言っているんです。だから、大野先生がおっしゃったとおりですよ、幅広い賛成を得たいと。おっしゃるとおりです。我々も賛成します。ですから、我々の修正案に対して、自民党さんが長い年月をかけてつくってきたそのものを我々は言っているだけですから、どこも変わるところはないんですよ、だから自民党さんとしては賛成してもらってもおかしくないんじゃないですか。大野先生の言う筋どおりにやっているんですけれども、どうでしょうか。
  15. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) まことに冒頭申し上げたとおりでございますけれども柳田先生の今おっしゃったようなことが衆議院段階で出てくればまた世の中変わっていったのだろうかなと、これは個人的見解でございますけれども。しかし、過去には戻れません。  現在はそういうことで幅広い視野という観点から自由民主党自由党公明党改革クラブ修正を加えて、セカンドベストとして持ってきているわけでございます。これを完成品にするためには、参議院の御審議を見守りながら、今国会中にも別途立法措置をして万全を期す、こういう方向で頑張っておりますので、御理解をくださいますようよろしくお願いします。
  16. 柳田稔

    柳田稔君 大野先生、御答弁でありますけれども、我々は衆議院修正段階のときこれを出しているんですよ。公明党さんも出しておられた。我々も出していたんです。出していて協議していたんですから、さっき言った衆議院段階で出していなかったというお言葉は間違いでありますので。  さっきの答弁にもう一回質問いたしますけれども、どこの党とどうのこうのというそういう政局とか国対的な問題はいいです、政策的にこの我々の修正案のどこが悪いのか、具体的に言ってみてください。
  17. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) 三党間の協議の結果、削除ということになりましたので、それぞれの立場があろうかと思います。我々としては、幅広い視野からやっていくということで、三党間の削除という修正に応じた次第でございます。
  18. 柳田稔

    柳田稔君 今の答弁委員長もお聞きになったと思うんですけれども、私は、政局とか国対的な話は結構でございますと。政策的に、政策ですよ、言っておきますけれども、これのどこが悪いのか具体的に──いえ、自由党さんは後で聞きますから、僕は自民党に聞いているんです。自民党さんがどうお考えになって削除したのかわからないので聞いているわけなんですけれども、具体的に政策のどこが悪かったから我々としては削除したと、その政策的なものをちょっと説明してもらいたいと思うんです。
  19. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) 政府原案でございますから、特にどうということはございません。  ただし、先ほども申し上げましたように、幅広い視野で幅広い政党に御支持をいただく、こういう観点から、例えば国連安保理決議というのを入れるのか入れないのか、この御主張もよくわかります、それじゃもう少し検討してみましょうということでございます。したがいまして、そういう点を御理解いただきたいと思います。
  20. 柳田稔

    柳田稔君 大野先生、今御答弁していただきましたけれども政策的にはこれでいい、これが自民党立場です、政策的にはこれで結構でありますと。そして、もう一つおっしゃいましたね、幅広い賛成を得たいと。だから、我々申していることじゃないですか。これを入れてくれれば賛成しますよと、我々民主党も。参議院では、我々ここに、見ていただいてわかりますように、委員がたくさんいるんですよ。見てのとおりなんです。  我々、これを入れてくれれば賛成すると言っている。政策的には大野先生自民党は、間違いじゃない、いいと言っている。どうして賛成してくれないのかなと。わからないんですよ。何かわかるように説明してください、大野先生
  21. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) たびたび同じことを繰り返して恐縮でございますけれども覆水盆に返らずということでございまして、そのプロセスを大事にしなければ政党間の信頼関係は崩れてしまいます。そういう意味で、完成品に別途していこう、こういう立場でおることを御理解いただきたいと思います。  さらにもう一つ、駄弁でございますけれども、つけ加えさせていただきますならば、船舶検査のところをこれでのめばもうすべてあとはいいんだと、こういうお立場が、繰り返して恐縮でございますが衆議院段階でいろんな問題ありました。国会承認基本計画を含めるという御提案、あるいは国会承認を六十日ごとに繰り返すという御提案、いろいろございました。それが全部なくなって、そこだけに焦点を絞っていただければ世の中様子が変わったかなと、これが私の個人的見解であり、コメントでございます。
  22. 柳田稔

    柳田稔君 大野先生、私が先輩にいろいろ言うのは、ちょっと若造が失礼かもしれませんけれども、過去に幾つもありましたよね、衆議院法案ができてきた、参議院でそれを修正して、またそれを衆議院に戻して可決する、その方法も過去にもあるし、また当たり前の話なんです、これ。  だから、ここで覆水盆に返らずではなくて、参議院段階で、自民党さんが最大政党なんです、参議院は、御存じのように。自民党さんは政策的には間違っていないとおっしゃるし、いろんな幅広い支持を得たい。それも我々も言っている、賛成しますよと。そうすると、自民党さんがここでうんと言ってくれさえすれば参議院で答えが出る。それを衆議院に持っていってもう一回やってもらう。これは当たり前の理屈なんですよ。だれも覆水盆に返らず、できないとは言っていない。できる仕組みがあるんです、国会は。  私、しつこいようですけれども、なぜしつこいかというと、皆さん、聞いていて意味がわかりますか、わからないでしょう、答弁の。  では、次は公明党さんにお聞きします、大きな会派順に聞きますので。  公明党さんも同じ質問なんですけれども、このことについては衆議院段階では当然これを残すべきだといって主張されていましたよね、残すべきだと。ところが、なくなってしまったのでありますけれども、それはそれとして、残すべきだとおっしゃっていた公明党さんですから、我々のこの案には賛成していただけるものだと思うんですけれども、どんなでしょうか。
  23. 山中あき子

    衆議院議員山中あき子君) 衆議院修正段階でも現在でも、公明党改革クラブスタンスは全く変わっておりません。  ですから、基本的なところは、原案賛成という意味では、今、先生おっしゃったとおりの基本姿勢でございますけれども、ただ、衆議院段階で、望む望まないというのは別として、それが別途立法するという形になって決議をされた、そして今参議院に回ってきた。そうすると、参議院修正をなさるかなさらないかというのは、衆議院提案者というよりも参議院のこの委員会及び理事会皆様のお決めになることであって、もしそれがそういう形で戻ってくるとすれば、それは先生おっしゃったようになると思います。  そういう意味で、船舶検査は非常に大事なところであって、しかし日米の共同でやる作業ではないという意味では、これを別途の法律にしてもガイドラインそのものの全体の機能には及ぶ影響は少ないだろうという認識で、別途法律ということで今協議を始めるということになりましたけれども、私どもスタンスは、昨日確認したのは、参議院審議経過を見守った上で、もし今の形で別途立法するということになれば、先生方のおっしゃる民主党の意見も十分踏まえて、公明・改革としては同じスタンスで頑張りたいと思いますから、そういう別法ができたときにはぜひ御賛成いただきたいと思います。
  24. 柳田稔

    柳田稔君 この協議参議院でも大分やってもらっているんです。そうしたらば、各党のお話は、党としてとおっしゃるんですよ、党としてと。わかりますか。皆さん、いろんな政党に入られまして、その政党で縛られている面があるわけです。  そして、この修正案については間違いだとは思わない、正しいと思うと。ただ、衆議院の各政党に関係が皆さんありますから、それに縛られるとおっしゃるわけです。だから、我々としては、参議院段階でも少し協力ができないという声が大分あるわけですよ。だから、私が言った院と院というのは仕組みを言ったわけで、今これを具体的にやろうとすると、各政党の話が非常に大切になってきたわけなんです。  だから、今、先生に御答弁願ったのは、政策的にはこれで結構ですというのだったらば、私は公明党さんは参議院改革クラブ賛成していただいてもおかしくないんじゃないのかなと、政策的にはですよ、そう思うんですよ、してほしいなと。できませんか。
  25. 山中あき子

    衆議院議員山中あき子君) 先ほど申し上げましたとおり、内容については私どももそういう立場で頑張っていきたいと思います。  ただ、これを修正案とするか別途の立法とするかの御決議というのは参議院のことでございますので、その辺の中身についてはおっしゃるとおりでございますけれども、これからどういう運びになるかということについて、衆議院段階修正案提案者としては、参議院でそれを修正してくださいとか、そうではなくて別法にしてくださいということを申し上げるところにおりません。  そういうふうに理解しております。
  26. 柳田稔

    柳田稔君 この中身については賛成だとおっしゃるんだったらば、衆議院皆様が、同じ政党の仲間が参議院にいらっしゃるわけで、この中身については賛成なんだから賛成してくださいという御意見を参議院の同じ政党皆さんにしてください。まだ採決されていませんので、これから終盤を迎えて採決しますので、中身について賛成だとおっしゃるんだったら、賛成していただきたいと私は思うんです。  自由党さんの言うことはよくわかっていまして、我々のこの修正案についてはもうのめないというのはよくわかっています。ですから、それはそれとして、ちょっとこの問題についての質問はやめさせてもらいました。あしからずお願いしたいと思います。  それで、もう一つ皆さんにお伺いしたいのでありますけれども、今回の法案というのは日本国内だけの法案ではない。自衛隊や民間が日本の外に出ていってやる活動が含まれていますよね。とすると、これは日本単独ではなくて、対アメリカ、そして対周辺の諸国に関係する法案になります。としたときに、先ほどから賛成政党皆様は、三会派合意があるからできないできないとおっしゃるけれども、しかし、対外に関係する法案ということを考えれば、やはり日本の信用というのも考えなきゃならないのではないかと私は思うんです。  つまり、どういうことかといいますと、自自公三党が何をしようが私は結構だと思うんです。ところが、これは国内だけの問題であって、外国から見ますと、なぜ自自公三党なんだと。できれば民主党も含めて、ほかの会派も含めて、できるだけ多くの政党が参加してこの法案成立させた方が対外的には大変信用性が高くなるのではないか、私はそう思う。  繰り返します。三党が何をやっても結構です、それは国内の問題ですから。でも、この法案自体は対外的な信頼をかち得なきゃならない法案だと私は思う。特に、これは国防ですよ、国を守る。日本国が単独で守れるんだったら私は言わない。しかし、海外の協力を得なければ守れない。だからこそ出してきた法案ではないですか。その観点に立てば、三党合意は、いろいろあるかもしれないけれども、そのことは次からやってください。この法案については、できるだけ多くの政党が参加できるような状況にすることが日本の国益にとって最も大切だと私は思うんです。  繰り返しますけれども、またやじが飛びましたから言いますけれども、これを入れてください。我々も賛成しますと言っているんです。我々が賛成して成立させた、野党第一党も参加した、私はそのことが重大だと思う。  外務大臣、どうですか。長い外交上の経験があられますけれども、私の考えは間違っているでしょうか。
  27. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 外国が関連する法案であろうがなかろうが、法律というのはできるだけ多くの人の賛成を得て成立する方が政府としては望ましいと、こういうふうに思っております。  よくわかりませんが、報道等を聞きますと、もうすぐ採決だということでありますから、ぜひ民主党皆さんにも賛成をしていただきたい、こういうふうに思っております。
  28. 柳田稔

    柳田稔君 そうなんです。だから外務大臣、これをのめるように外務大臣が所属しております政党皆さんを説得してください。これは、政府原案と全然違わないんです、一緒なんです。政府の言うのと一緒。それを入れてくれれば我々は賛成すると言っているわけです。外務大臣と多分同じ意見ですから、政策的にも、だからこれを、済みませんが先生がいらっしゃる党の中を説得してもらいたい、私はそう思うんです、まだ土曜日、日曜日もありますので。  それから、ちょっと防衛庁長官にもお伺いしたいのであります。  やはり、今日までの防衛庁に対するいろんな国民の批判というのを考えたときに、五五年体制といっていろんな批判もあってつらい思いをしたと思うんです。それは、自民党が単独でほとんど決めてきた、反対がいた、それが大きな原因だと僕は思う。そのことを考えると、野党の第一党も賛成して、これをつくり上げて、自衛隊の隊員の皆様が自信を持ってこの活動に加わってくれることが私は大切ではないかと思うんですが、長官どうでしょうか。
  29. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもとしては、一つでも多くの党が加わって決まることが一番望ましい姿だと思っておりますが、立法権は国会にあるわけでありますから、その扱いはひとつこの委員会の方で十分論議していただいて、いい形で仕上がることを心から希望している次第でございます。
  30. 柳田稔

    柳田稔君 まだ採決までもう少し時間がありますから、各党努力をしていただいて賛成していただければありがたいなと思うのであります。  ただ、残念ながらこれがだめだということになれば、我々も衆議院と同じように反対せざるを得ないという状況になります。  先ほど来から話を聞いておりますと、──入れてくれれば賛成しますよ。ですから、今いろいろと修正の四政党お話を聞いておりますと、法案の中身よりも三党の合意を大切にしたい、それを重視してつくりたいと。  私が言っているのは、これも含めてこの法案全部をみんなで、みんなとは言いません、多くの人が一緒になって賛成した方が国益にかなうんじゃないですかと。その後で皆さん修正したければどうぞ修正協議をやってくださいと。その中身について我々はどうするか吟味しますけれども、私はそっちの方がベターじゃないですかというふうに言っているんですよ。私は、このままいって三党合意を重んじられて、このまま三党だけで強引に賛成して通したと。  私は、個人的な感想でありますけれども、三党を重んじて国を滅ぼすんではないか、私はそんな気がする。これは個人の基本ですからね。  私の持ち時間が切れるんですけれども、最後に公明党の先生にお聞きしたいのであります。PKOという法案があったのを御存じですよね、七年前です、国連平和維持活動。このPKOというのは、紛争国が停戦に合意して、そしてPKOの部隊を受け入れるという合意までするわけですね。だから、これはどちらかというと、事件はたくさん頻発するかもしれないけれども、一応皆さんが平和を希求しよう、その中に日本はPKOとして参加させようといってつくった法案であります。  今回のこの法案は、ある地域に紛争が起きているわけですね、周辺事態という紛争が起きている。それに対して日本は協力しようというわけですよ。後方地域支援であっても、それに協力しようと。その事態を二つ比べたときに、私は今回の法案はさらに危険度が増していると思う、いろんな意味で。  平和の党、公明党ですし、大衆とともに歩む公明党ですけれども、私は、PKOのときにあれほど厳しい条件を皆さんはつけられた、五原則という、最終盤で。何としてもこれを入れてくれなきゃだめだと言って、採決の当日に入れられたんです、あのときは。私はその公明党さんの姿勢を非常に尊重していました。そして今回のこの法案に対する姿勢、あのときと大分変わったのかなと個人的には思うんですよ。  なぜもっと厳しいチェック、要するに国会承認をすべてするとか、最初言っていましたよね、衆議院段階で、あれをなぜお通しにならなかったのかなと。そして、さらにプラスして何かのチェックをされなかったのかなという疑問があるんですけれども、どうでしょうか。
  31. 遠藤乙彦

    衆議院議員(遠藤乙彦君) PKOのときは、確かにおっしゃるように私どもも憲法に整合性のある形でこれが成立するようにということで五原則を提唱し、それに基づき修正をして法案成立させました。その結果、UNTAC等カンボジアのPKOは大成功した経緯があるわけでございます。  今回につきましては、冷戦後の状況が、特に全面核戦争の危機は去った反面、地域紛争ということが非常に大きなテーマになって、地域紛争にどう対処するか。特に核兵器の拡散、ミサイル技術の拡散等非常に厄介な問題が絡んで、やはり紛争を起こさせないようにするということが大変重要なテーマになってきております。  そういったことから考えますと、私どもは、こういった状況に対してどういう原則で対処するかを考えますと、やはり抑止と対話のバランスをきちっと維持して賢明な政治的意思のもとにこれを運用する、それ以外に紛争を抑止し平和を維持する方法はないと考えております。そういった視点から、今回のガイドライン関連法案の整備は、特に抑止の側面を、信頼性を強化し高めるという重要な意味があるとの思いでこれを修正賛成したわけでございまして、当然対話の側面もさらに今後とも強化すべきと考えております。  他方、憲法上の視点につきましては、今回のガイドライン、特に周辺事態関連法案の整備、政府側の説明では、特に後方地域支援といった概念を立てることによって確かに憲法上集団的自衛権に踏み込まないということで概念的にはきちっと整理をされておりますし、それは一応理解できますが、ただ、私たちが修正をしたことは、国会の事前承認とそれから事後の報告ということを実は加えたわけでございます。これは当然民主国家として、自衛隊の出動ということについてやはり国民の代表である国会がきちっとダブルチェックをするという意味で事前承認を原則として導入し、さらに事後的な詳細な報告ということを義務づけました。  これは、実は大変重要なポイントであると私たちは思っております。といいますのは、政府考え方は確かに概念的にはこの集団的自衛権に当たらない、あるいは武力行使と一体化することはないというふうに言っておりますが、実際の現在の戦争というものは、前線、後方が目まぐるしく入れかわるわけであって、事前に憲法に適合しているかどうかをチェックすることは非常に難しい。むしろ事後的に詳細な情報公開・提供を求めて、その上で憲法に適合していたか否かを判断する体制をきちっとつくることが重要と考えております。  特に後方地域の設定につきましては、事前に詳細な情報を公表することは軍事機密の関係もあって難しいと思いますので、むしろ事後的に詳細な情報提供を求めて、その上で憲法に適合していたか否かをきちっとチェックし検証することによって憲法の精神をきちっと守らせるということが適切と思いまして、私たち独自の提案として、事後的な検証ということを提案したものでございます。  今回のガイドライン関連法案の整備によりまして、東アジアにおける平和の構造の強化により一層貢献するものと確信をいたしております。湾岸危機の際の百三十億ドル支援も、私たちは防衛費の大幅削減を通じて国民の理解を求めて賛成に回り、国際的な孤立を避けることができた。PKOもまたPKO五原則を提唱して憲法に整合する形で成立をさせ、カンボジアには非常に大きな平和の到来があったわけであります。今回の日米ガイドライン関連法案の整備も、そういった抑止と対話のバランスという考え方に立ってきちっと進めることによって、東アジアにおける平和の構造確立に大きな貢献をするものと確信をいたしておりまして、私たち平和の党公明党としての面目躍如たるものがあるのではないかと考えております。  以上です。
  32. 柳田稔

    柳田稔君 今回の修正の中に一つの例示として入りましたあの文章がありました。あの文章を考えたときに、よくこの委員会で言われたのですが、青信号と赤信号、その間に黄色信号があります。この黄色信号があの例示だったというお話をされました。西村先生の弁をかりると、黄かもしれないけれども赤かもしれない、赤じゃないけれども黄かもしれない、こういうふうな非常に赤に近いようなお話もされました。そういう修正内容でありました。  としたときに、青のときは、私は公明党さんがおっしゃる言い分はよくわかるんです。抑止という言葉がつながる。そして黄にしないように努力をする。しかし、黄という事態はちょっと怖いんじゃないですか、そのときの歯どめがもっとあってしかるべきじゃないのか、私はそう思ったから質問させてもらったんです。  これが最初の政府原案どおり、青の事態であればよかった、平時の。でも黄まで入った。この黄のときの抑える仕組みといいますか、そういったものももう少し提案してよかったのではないかなという気がいたしております。  感想を言って私の質問を終わります。ありがとうございました。
  33. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうも御苦労さまでございます。  最初に、昨日の本委員会で一昨日の沖縄での公聴会の報告が若林委員から総括的に述べられまして、同僚議員からもこの沖縄での公聴会の模様につきましてるる引用されまして質疑がございました。私も、本院として、この特別委員会で沖縄での公聴会を我が会派としましても強く主張させていただきまして、実現したことは大変喜ばしいことだというふうに思います。  ただ、やはり沖縄県民の方々も、このガイドラインだけではなく、この間の沖縄の持つ、今なおSACOが最終合意しても、そして十一施設が返還合意をしても残る在日米軍基地が七〇%という大変な面積を有する沖縄であればこそ、この現在私ども審議をしております法案に対するさまざまな強い反対そして不満のあることも事実でございます。  この間の質疑の中でも、防衛庁長官には、いわゆる舌足らずというんでしょうか、発言につきまして修正をされた経緯もございまして、ちょうど五月十五日が沖縄の復帰二十七周年ということであり、そんな中での復帰前二十七年とその後の二十七年、そういう節目に今あるんだなということをある意味でまた感慨深く思っています。少なくとも、私どもは仮想敵国をつくることなくこの周辺事態内容を厳密に議論をしていかなきゃならないということで、国会での審議が大切ではないかというふうに思います。  また、公述人の中で、対話と抑止、抑止と対話と逆に言われる方もありますが、大部分は対話と抑止、そして政府外交努力、何よりも経済の相互依存、自治体の相互交流、そして民間の友好、文化交流等がまず大切なんだということが先にあるわけであります。このことについて幾たびとなく繰り返し繰り返し外務大臣としての御見解も述べられておると思いますが、沖縄での公聴会を踏まえさせていただきまして、このことを強くそれぞれの公述人から述べられましたので、改めて政府外交姿勢について所見を述べていただきたいというふうに思います。
  34. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国を取り巻く国際情勢には依然として不安定性、不確実性が存在しており、政府といたしましては、日米安保体制の堅持や適切な防衛力の整備とともに、域内の信頼醸成のための安保対話や防衛交流の進展等を通じた我が国を取り巻く安保環境の安定化が重要である、こう考えているわけでございます。  周辺事態であるか否かにかかわらず、我が国として種々の外交努力を行うべきことは言うまでもないわけであります。そのような外交努力として、首脳、閣僚レベルを含む周辺諸国とのさまざまの対話、紛争の根源となり得る貧困その他の問題を解決するための開発協力、さらには相互理解を増進するための国際文化交流の促進等は重要な要素であると考えております。  同時に、周辺事態安全確保法案は、日米安保条約の効果的な運用に寄与し我が国の平和及び安全を確保することを目的としており、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものでございます。このような法整備を行っておくことも我が国の平和と安全のために極めて重要であると考えているわけでございます。
  35. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 官房長官、他の質問でお越しいただいているんですが、これは御答弁要りません。きのう照屋委員、そして島袋委員から沖縄にかかわる質問をされまして御答弁いただいていますので、ぜひその姿勢で頑張っていただきたいというふうに思います。  さて、三会派の方、どうも御苦労さまでございます。  私の前の柳田委員が、私ども会派修正に関して船舶検査のみをやりとりさせていただきました。  私はここで、いわゆる衆議院修正をされた、とりわけ国会承認についてのお考え方について幾つ質問させていただきまして、確認させていただきたいと思います。  今回の三会派修正案国会承認は、たしか質疑答弁されたのかなという記憶もあるんですけれども、原則事前承認、緊急の場合は事後承認となっている自衛隊の発動にかかわる問題でございますけれども、衆参どちらかの一院の承認で足りるということではない、両院の承認だというふうに受けとめていますが、それでよろしいでしょうか。
  36. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 先生御指摘のように、この場合の国会承認は、当然両院の承認の議決が必要になると考えております。
  37. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ほかの方は。
  38. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 委員長、いいんです、共通ですから。共通ですよね。
  39. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) それでいいんですか。
  40. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 こっちがいいですと言っているんだから、こっちがいいですというのも変なんですけれども、三会派御一緒だということで。まあ、不規則発言みたいになりましたけれども。ですから、これから御答弁いただくのが異なれば異なったで挙手していただければ結構でございますので。  そうしたら、両院の議決が異なったときがありますね。衆議院承認した、しかし参議院に来たらだめだったというときは、どういうプロセス考えられていますか。
  41. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 両院の結論が異なる場合についてでございますが、国会法の八十七条によりまして、先議の議院が承認を求める案件を可決し後議の議院が否決した場合において、案件の返付を受けた先議の議院が両院協議会を求めることができる、このようになってございますので、両院協議会で成案を得て、その成案を両院が可決した場合には両院の意思が一致したことになるということでございます。
  42. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、現行、時折行われている両院協議会というプロセスということですね。  それでは、両院で不承認ということで議決をされたというときに、自衛隊活動を終了させるということにたしか説明ではなっていますね、法案もそうだと思うんですが。不承認と議決されたときに自衛隊活動を終了させるということなんです。では、この終了をするというときにはいつまでに自衛隊を撤収させるかというここら辺の規定とか、法案には定めがないのではないかと思うんですが、これはどういうお考えでしょうか。
  43. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 国会の不承認の議決があった場合には、速やかに活動を終了するということでございます。
  44. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 後で速やかも出てくるんだけれども、速やかというのはどういうふうな議論をされているんですか、具体的に。
  45. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 速やかにとございますのは、時間的即時性が強く求められている場合を示す文言でございまして、同様の文言に、直ちに、あるいは遅滞なくということがございまして、直ちにが一番即時性が強く、その次が速やかに、そして遅滞なく、このようなことになっておりますが、実際の場面に応じて文字どおり速やかに行うと、こういうことでございます。
  46. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 政府とやっているとそういうのが時々出てくるんですけれども、議員提案でされていますので、そこら辺をもう少し、日数的に何か物差しがあるのかなということで指摘させていただいているんですよ。  例えば、事後速やかに承認を求めると。事後ですね、緊急のときに事後になるわけですが、事後速やかに承認を求めるということで、ではいつまでということを指しているんだろうか。具体的な明確な規定はここに書いてないわけですね。あわせて、もう少し何か納得できるような御答弁はいかがですか。
  47. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 法律的な用語の使い方としましては先ほど申し上げましたようなことでございまして、具体的にそれぞれの文言が何日以内とか何時間以内とか、そういうふうな具体的な規定があるというふうには承知しておりませんので、事柄の性質に応じて速やかにということだと存じております。
  48. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どこの役所でもいいんですけれども、速やかとかそういうことを言ったときには何日ぐらいですというのを、時間的な点、何時間ということはないと思うんだけれども、そういうのは事例があるんですか。
  49. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、赤城先生からお話がございましたように、この速やかにというのが一体何日だとか何時間だとか、そういったものがあると私は承知しておりません。  ただ、御参考までに申し上げますと、私どもの所掌しております自衛隊法等におきまして、「直ちに」という用語を用いているのは七十六条の防衛出動のみでございまして、七十八条の命令による治安出動のような場合には「すみやかに」と、こういうふうになってございます。また、PKO法のような場合には「遅滞なく」と、こんなふうな用例になっているところでございます。
  50. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長い国会の歴史の中では、直ちにというのはこのぐらいの日数だ、あるいは遅滞なくとかそういうのは、やりとりがあったかもわかりませんが、今自衛隊活動を終了させるときにいつまでに撤収させるんですかということで、速やかにという御答弁がございました。  もう一つは、緊急のときに速やかに承認を求めるという、事後のときですね、これが私ども国会の方の立場にもなってくるので、こちらの方がよりもう少し具体的な日数をお示しいただけるとありがたいなというふうに思うんですけれども、この方はいかがですか。
  51. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 先生御指摘の点は事後の国会承認を速やかにという点だと存じますが、これにつきましても、いずれにしても、速やかにというのが何日以内という規定はございませんので、本来事前承認にかからしめるべきものでございますけれども、緊急のためやむを得ず事後承認とする場合でございますので、国会の日程の中で優先的に審議を進めていく、そのような趣旨ではないかと理解しております。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の法案審議中でございますけれども、私どもは、衆参それぞれ修正協議とかそういうのに入っている会派ではございませんから、今からこの部分について修正しろとか修正しますとか言ってもなかなか入れないわけですけれども、ここは、例えば法の後、これは通過するか通過しないか、通過するということで御提案されているんでしょうが、今の部分はどうも私は速やかということについてもう少し明確にしておいた方がいいのではないかというふうに国会立場から思います。ここの立場、事後の場合ですね。  さっきの不承認の議決がされたときについてもこれは明確にしていただいた方がいいと思うんですけれども、とりわけ事後ということで国会に速やかに承認を求めるときというのは具体的な明示の規定をやはり設けるべきだということを強く訴えさせていただきたいと思います。  それから、緊急時に、これは原則事前承認ですけれども、事後になるということですが、国会閉会中にということと、それから、これは野呂田防衛庁長官、たしかこの間のやりとりで、緊急時というのは閉会中、それから解散のときと、こういうことをたしか具体的に御答弁されているというふうに思うんですが、そういう受けとめ方でよろしいでしょうか。
  53. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これは、御指摘の国会が閉会中または衆議院が解散された状態にある場合については、内閣は国会の召集を決定するかあるいは参議院の緊急集会を求めた上で事前の国会承認を得ることとなるわけであります。  ただし、これらの手続を経ていては我が国の平和と安全の確保を十分に図ることができないと判断されるような時間的余裕がない場合には緊急の必要がある場合に該当するわけでありまして、次の国会が召集された後、速やかに国会承認を求めることとなると考えております。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ちょっと確認なんですけれども、これは政府も、それから修正会派の方もなんですけれども国会の開会中というのはこれは事後はないと、国会の開会中は。よろしいですね。
  55. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 緊急の場合には事後承認ということになるわけですが、いかなる場合を緊急の場合と判断するかについては、その時点における諸般の状況を総合的に勘案した上で行われるべきものであり、具体的になかなか申し上げるのは困難でありますけれども、一般的には周辺事態への対応措置を実施する必要があると政府が判断したにもかかわらず、国会承認の手続を経ていては我が国の平和と安全の確保を十分に図ることができないと判断されるような時間的余裕がないような場合がこれに該当するものと考えられまして、その代表的な場面として衆議院の解散中あるいは国会の閉会中という事態が想定されると思います。  いずれにしましても、可能な限り国会の事前承認を得るよう努力をするということでございまして、事後となった場合でも速やかに国会承認を得る、こういうことになってございます。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 明確にしていただきたいんです。原則事前承認、そして緊急事後承認ですね。ですから、国会開会中はとにかく国会承認を求める、そういうプロセスを踏みますよということでよろしいんでしょう、国会開会中は。
  57. 赤城徳彦

    衆議院議員(赤城徳彦君) 先ほど申し上げましたように、その基準となるのは、国会承認の手続を経ていては我が国の平和と安全の確保を十分に図ることができないと判断されるような時間的余裕がないような場合ということでございますので、そのときの緊急性、事態の態様によって判断するべきものであろうと考えております。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、明確に私の質問にそうだというふうに言っていただけないので、そういうとき以外もあるということの含みは残されているんでしょうね。うなずいているからそうだということだと思うんですよ。  せっかく修正でこういうふうに入れられたわけですから、その必要性を認められてこそ、国会立場で私は明確にしたというふうに思いますので、少なくとも国会開会中というのは国会にかけるということが当然のルールで、それ以外の閉会中とか解散時とかが出てくるのは当然なんです。  それから、かけ方もいろいろあると思うんですね、問題は。かけ方の問題もあると思うので、やはり開会中に、最近、通年国会やっていますからむしろ召集するより早いわけですよ、現状でいえば。むしろ私は明確に、開会中のときは国会の方に承認、そういうふうにするような手続をとりますと言っていただいた方が当然だろうというふうに思います。  後ほどいろいろお話をしなきゃならないのですけれども、多くの場合、周辺事態が突然急にぽんと起きるわけではないわけですね。いろいろな歩みがあって起きるわけでありまして、だからこそ事前協議の問題とか事前承認あるいは事後承認の問題というのを、国権の最高機関である、最高の機能を持つこの国会が機能を果たすということは極めて私は大切だと思います。だからこそこういうことを入れられたと思うので、どうもこれがずっとかみ合わないと、あとの質問の時間がなくなりますので、私はそういうことを強く指摘させていただきたいというふうに思います。  我が会派としまして、いわゆる事後の承認問題で一定期間ごとの措置継続に対する国会承認というのを衆議院で出しまして、今なお私ども考え方を持っております。ただ、今回の修正案には盛り込んでおりませんけれども、一定期間ごとの措置継続に対する国会承認、このことに関しまして十三日の参議院での参考人の質疑をさせていただいた際に、浜谷参考人から大変貴重な、私ども大いに参考になります御指摘もいただきました。なおかつこのやりとりは、私どもの木俣委員からも過日の特別委員会質疑をさせていただいています。  このことは、国会承認効果というのを持続的に担保していくといういわゆる期限つき承認制の問題なんですけれども、議院内閣制は大統領制と比較しまして非常に内閣と国会との間の緊密性が高い、こういう制度でございます。だから憲法の六十条から六十九条に至る条文で明らかになっているわけでありまして、この緊密性というのは特に法案の制定とか内閣と国会の共同判断が行われる際の国会承認にあらわれてくることだというふうに思います。  いずれにしましても、事前か事後というふうになると思うんですが、現実的に国家緊急事態に際して何よりも優先するのは、確かに不法な主権侵害、人権侵害の一刻も早い排除であるということはやっぱり最優先をしなきゃならないというふうに思います。  今申しているこの期限つき承認制というのは、本来的には事前承認は当然なんですが、今申しましたこの事態の性質上、事後承認もある意味ではやむを得ないというときに、じゃ次のステップ、段階はどういうときなんだろうかというときに、これは事後の承認をいつの時点で行って、その後の経緯をいつ検討してチェックしていくかということになるんです。現行法制の中では、国会が一度承認を与えた案件についてその後国会が再チェックをする、少なくとも前の結論と異なる考え方を示すという法的手段というのはないわけなんです。  そこで、期限つき承認制ということで、初回の承認からそれには有効期限を設けて、そして継続して基本計画等を遂行する場合には、期限満了前の特定期日までに政府に対して計画継続のための手続を義務づけていく、そして計画継続の容認を国会の事前承認としていくということを私どもは実は考えております。  この辺につきまして、衆議院では我が党の代議士がこういったことについて特別委員会議論をされてきているのではないかと思いますが、一定期間ごとの措置継続に対する国会承認政府の方も御見解があれば、そして三会派の方に御見解があれば伺いたいというふうに思います。
  59. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 政府としましては、周辺事態安全確保法に基づく措置がいずれも武力の行使を含むものじゃないとか、あるいは国民の権利義務に直接関係するものではないとか、あるいは迅速な決定を行う必要があるものであるというこの活動の性格、あるいは他の法律との均衡、これは例えば治安出動の際等あるいは海上警備行動等は強制力を伴うんですが、国会承認を求めていないと。こっちはそういった強制力を伴わない。こういった点、他の法律との均衡といった点も総合的に勘案しまして、必ずしも国会承認を得る必要がない。これを遅滞なく国会に報告し、国会での議論を踏まえつつ、内閣の責任と判断のもと、対応措置を実施していくことが適切と考えてこの法案を出したところでございます。  また、法律には基本計画については変更の規定もございますし、私ども基本計画の実施に従って実施したことにつきましては適時適切に国会に報告をしてまいりたいと実態上考えておりますので、そういうことを勘案しますと、御党の御指摘の衆議院における民主党修正案に規定される基本計画の六十日ごとの国会承認のような枠組みが必要であるとは必ずしも考えていないところであります。  なお、余計なことかもしれませんが、この後方地域支援と後方地域捜索救助活動については、国民の十二分な理解を得ることが望ましいということで、衆議院修正により国会承認の枠組みを設けることになった次第でございます。
  60. 大野功統

    衆議院議員大野功統君) 確かに齋藤先生御指摘のとおり、衆議院段階では、民主党の方の修正案というのは基本計画国会承認とする、それを六十日の期限つきにする、こういうものでございました。  我々自民党立場は、まずこの法律というのは国会承認を基本的には必要としない。この理由はたびたび述べておりますので割愛いたしますけれども、しかしながら議論の過程で十分考えてみますと、これは力を持つ実力組織である自衛隊が出動していくものである、しかもこの新しい周辺事態法で自衛隊に付与される活動である、こういうことが一つの理由。それからもう一つは、国会で幅広い支持をすることが自衛隊皆様にも励みになるのではなかろうか、こういうことで国会承認に同意したわけでございます。  我々としましては、三会派修正国会承認を入れました。この国会承認だけで国会の関与は十分ではなかろうか。もし問題があれば、国会ではいつでも問題提起をしていただけるわけですから、問題提起をしていただければいい。周辺事態というのはまさにいろんな場面があるわけでございますので、時間的な要素となじむのかどうか、この辺は非常に疑問に思っているわけでございます。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  以上のような趣旨で、我々としては期限つき国会承認という考え方には賛成し得ない、こういう立場でございます。
  61. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 極めて残念ですけれども、私は、承認行為の目指す本来的なあり方というのは事前承認にあるというのはこれも本来的だと思うんです。  ただし、事態の性質上は事後承認もやむを得ないという立場の中での一つの国会でのあり方として、そして我が国国会の機能のあり方からして、私は期限つき承認制というのは極めて大切なことではないかと。しかも、我が国国民主権、シビリアンコントロール、これは国是でございますが、そういう立場からも強く私は引き続き訴えさせていただきたいというふうに思います。  そこで、官房長官、お待たせいたしました。官房長官に関連してお尋ねさせていただきます。三会派の方は、私自身は残り時間はございません。もし時間の関係がございましたら結構でございます。  過日の、三月のいわゆる不審船にかかわる事案の関係で、平時におきます国民への情報公開と同時に、私ども国会議員に対する、国会に対する情報公開のあり方ということで幾つかお尋ねさせていただきます。  いわゆる工作船、不審船問題が起きて、その後、各省庁間の連絡はどうあるべきかということについては今御検討に入っていると思うんですが、私は、きょうこの席で特にお尋ねしたいのは、私も外交・防衛委員会に所属しておりますが、委員会でも三月二十三日以降の各省庁、とりわけ現場の取り組みについて国会では報告を受けています。しかし、新聞報道を見る限り、「狙われた週末」ということで、三月十八日から十九日、二十日、二十一日と、そしてある新聞では米軍情報が一番早かったのではないかとか、なぜ不審船は発見されたのだとかいうことで、非常に三月二十三日以前の克明な報道がされているわけなんです。  このことを私は常任委員会でお尋ねをさせていただきまして、防衛庁長官にも一回か二回お尋ねさせていただきました。最初のときは、三月二十三日前に三月二十一日から断片的情報があったということのたしか答弁と私は記憶をしております。それ以降、半月か一月後に行われました委員会で同様に、国会では三月二十三日以降の資料であり、しかし新聞で見る限り非常に克明に三月二十二、二十一、二十とこういうふうに書いてあるけれども、その辺についての情報は国会に明らかにできないんでしょうかというふうに言いましたら、防衛庁長官としてはこれは断片的情報以外ございませんというのが公式的な御答弁だったというふうに思います。  防衛庁長官、そういうことですね。そのときの答弁、私は、正確な文言は議事録を見なきゃなりませんが、大筋そういうふうに答弁されていると思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 防衛庁としましては、結果的に本件不審船と関連があったと思われる断片的な情報は二十一日深夜の段階から入手していたところでございますが、これらの情報は不審船の存在を裏づけるようなものではなかったところでございます。  三月二十一日深夜の段階から入手していた情報については、今申し上げたとおり結果的に本件不審船と関係があったと思われる極めて断片的なものでございまして、このような情報を開示することによってむしろ混乱を引き起こすおそれもあるところでございます。  いずれにしましても、防衛庁としては、先般の不審船事案に際しても、得られた情報や事案の概要につきましてはできる限り国民皆さんに対して御説明を申し上げることを基本としてきたわけでございまして、ただ、この場合の断片的情報というものはむしろ発表することによって混乱を引き起こすおそれなしとしないものでございますから公表しなかった、こういう次第でございます。
  63. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 運輸省そして警察庁の方にお見えいただいていると思うんですけれども、運輸省のこの不審船を最初に察知したときからの情報、いつの時点からどういう経緯だったのか。そしてまた、警察庁についても、ある報道によりますと、警察庁としては二十一日、「同じころ、警察庁の無線施設でも不審な電波を確認していた。」、こういうところからずっと二十二日までの報道が出ているんですが、ここら辺の事実関係も含めまして警察庁としての情報把握。  それぞれ両省庁にお尋ねさせていただきたいと思います。
  64. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  海上保安庁に防衛庁といいますか海上自衛隊から連絡がございましたのは二回ございまして、一回目は三月二十三日の十一時ごろに、本日九時二十五分ごろ、能登半島東方約二十五海里の領海内において漁船二隻を海上自衛隊の航空機が発見し、以後、護衛艦が確認している旨の情報を入手いたしました。それから、同日の十三時ごろに同じく海上自衛隊から護衛艦がさらに一隻の不審な漁船を発見したという旨の第二報を入手した、これがそれぞれの端緒でございます。
  65. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) お答えいたします。  警察におきましては、三月二十三日の午後に内閣官房から警察庁に本件不審船に関する通報を受けたということでございます。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 警察庁は、この四月三日の読売新聞の報道で、「警察庁の無線施設でも不審な電波を確認していた。受信した電波は五つの数字を組み合わせて一文字とする暗号で、数字は北朝鮮工作員が使う乱数表と一致した。同庁外事課は二十一日深夜、新潟、富山、石川の各警察本部に「富山湾付近に北朝鮮の工作船が侵入している形跡がある。沿岸警備態勢を強化せよ」と指示。翌二十二日朝までに、指示は日本海側のすべての道府県警に徹底された。」と、された模様じゃなくて、「された」というふうに断定的に書いてあるんですが、この事実はいかがでしょうか。
  67. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) お答えいたします。  警察といたしましては、集団密航事件等の多発というような現下の情勢等を踏まえまして、累次、沿岸警備の強化を行ってきておるというようなことでございました。例えば、警戒強化をしておったこの三月でございますけれども、六日に福井県、十七日に福岡、兵庫、それから十八日に長崎、二十四日広島、二十五日福島、二十六日兵庫というようなことで、集団密航事件七件、二百三名検挙しておるというようなことがあったわけでございます。  したがいまして、今回の不審船事案に対しましても、先ほど申し上げましたように、内閣官房からの通報を受けて、そして所要の措置を講じておるというようなことでございました。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今私が新聞の報道を読み上げたことについては全く否定もされない。むしろ否定されているんでしょうか、内閣官房からのということですと否定をされているんでしょうね。明らかにしていただけないわけです。  防衛庁長官、断片的情報ということを繰り返されていますが、そうすると、一度報道が出たということについての検証をその後されているのではないかと思います。これは官房長官、安危室でも結構なんですけれども、それでは二十三日以前、この工作船、不審船がどういうふうに来たのかということについてのその後のいわゆる検証はどういうふうに私どもには報告をしていただけるんですか、三月二十三日以前の。
  69. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 私どもが不審船らしきものを確認したのは二十三日、P3Cにおいて確認をしたのが最初でございます。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  それ以前、断片的な情報があったということを大臣から御答弁させていただきましたけれども、その具体的な内容と申しましょうか、そういう事実につきまして私どもとしてそれをお答えするのは私どもとしての情報収集態勢あるいはその能力ということについて極めて大きな悪影響を与えますので、その点のお答えは差し控えさせていただきたい、かように思います。
  70. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大体そんなようなやりとりを外交・防衛委員会でもしたんですね、長官。  ここがやっぱりおかしいなと思いますのは、全国の国民の方々は、おとりになっている新聞でそれぞれ違いがあるかもわからないんですけれども、少なくともこの一紙、読売新聞をお読みの方は、四月三日付で「領海侵犯一報は「不審電波」」、「狙われた週末」からいって、私が今読み上げた十八日、十九日、そして二十日、二十一日、二十二日が警察庁の云々、さらには日本海に面する防衛庁の美保通信所で不審電波をキャッチしたということが書いてあるんです。読者の方はこうやって見ると、ああそうか、そうだったのかと。  ところが、国会の私たちの方は、公の委員会の席で三月二十三日から、今の答弁と同じで三月二十三日からと。このギャップなんです。これをどういうふうに私どもは理解したらいいんですか。国民はこういう報道でみんな読んでいるわけです。そうすると、私がこうやって国会質問をして、皆さん、不審船の問題では三月二十三日からこういうことだったんですと。いや齋藤さん、そうじゃないんだ、私が新聞を見たら、三月二十一日にこういうことを新聞で見ました、何でこういうものが国会で出てこないんですかと。  どういうふうに説明していただけますか。
  71. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 本件に関していろいろな情報がなされていることは私どももよく承知しておりますが、防衛庁として国会に御説明した以上にマスコミに対して情報を提供するといった事実は全くございません。  そういう情報がどういうところから得られて各社が書いたかということについては私どもとしては承知していないところでありますが、重ねて申し上げますけれども、私ども国会で御説明した以上のことをマスコミに報告したという事実はないのであります。
  72. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、報道したマスコミの方はいろいろ歩いて聞いてしたから、それはある意味では、防衛庁としてはかかわりのないということをあえて言っているように私どもは思います。問題はそこで済まないと思うんです。そのことの重要性を御認識されているというふうに思うんですが、これはどうするかということだと思うんです。  官房長官、「海上警備体制暴露に官房長官がイライラ 「さらけ出すな」運輸相らに警告」と。これは長官の似顔絵が書いてあるんです、三月三十日付の新聞でございます。官房長官は不審船の領海侵犯事件に関し、「わが国の沿岸警備のあり方について、関係のところが発言することで警備の実態が向こう側にさらけ出されてはいけない」ということで、「野中氏が問題視しているのは、野呂田防衛庁長官や川崎運輸相らが、不審船の発見前に怪電波を傍受していた事実や海上警備行動に至る経緯などをテレビ番組や記者会見などで詳細に説明している点。野中氏は周囲に「こっちの体制をさらけ出すなんて国益を損なう行為だ」と不快感を示しており、この日の発言も、関係者への警告の意味を込めたものと見られる。」と。  実はこういう報道がありまして、だから防衛庁長官、テレビで言っているんです、テレビでは。長官は電波とかということについて、怪電波とか傍受というのを、運輸大臣だったかどなたか、そういうことを言われている。  だから、私は少なくとも新聞に出ている美保通信所があるのは知っています。例えばどういう通話内容だったとか、どういうふうなことのやりとりであったかというのは、これは確かに秘密で出せないと思うんですが、例えば美保通信所にしても何にしても、私どもは国で予算を決め、決算をして、大切な国民の税金のそういう意味では施設ですよ、ということですから、どういう仕事をしているのかということについては大まかにわかっているわけです。私は事細かく明らかにする必要はないと思うんですが、まずそういうことを一つはすべきであるということ。  もう一つは、閣内で官房長官がいらいらというように、少なくともこのことは、海上警備行動に至っているときに、深夜にわたって大変な閣僚の方々が関係省庁と協議をされて事を運んだわけです。その後、この報道に関していらいらという官房長官の発言が出ていることについては、慎重の上にも慎重を期しているにもかかわらず、こういうことに情報もなってくると全然おかしくなってくるということ。私は、だから秘密にしろということじゃなくて、明らかにすべきことは明らかにしなければならない、国民のために情報公開と。しかし、政府間の足並みというのがこういうことでそろってはいないんじゃないんですかということを指摘をしたいんです。  ずっとお待たせしましたが、官房長官、今二つの点、お聞きいただいていると思いますが、所感を伺いたいと思います。
  73. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 例の不審船に関係する新聞報道についてただいま齋藤委員から御指摘があったわけでございますけれども、あの新聞報道につきましては、私が申し上げたことを必ずしも正確に伝えておるとは考えておりません。  このたびの不審船事犯につきましては、我が国にとりましてその対応は初めてのことでもございましたので、いろいろな報道があることも承知をしておりますけれども、いずれにいたしましても国の安全保障の根幹にかかわる重大な問題でございますので、この種事犯の概要について、今日まで可能な限り国会はもとより国民皆様に対して御説明を申し上げてきたところでございます。  他方、その結果として、我が国の情報収集あるいは警備の体制、能力の詳細が他国に知られることになりますれば、これはそれ自体が国の安全保障に重大な影響を与えかねないわけでございまして、私の発言の真意は、この点について留意することが必要であるということを申し上げたのでございます。  マスコミを通じていろんな情報と記事が出ておることは十分承知をいたしておりますけれども、先ほど防衛庁長官からも答弁がございましたが、政府といたしましては国会初め国民皆さんに正確に情報を提供していかなくてはならないと考えておるわけでございまして、国会に説明した以上のことでマスコミに私どもの方から情報を提供したという事実はないわけでございます。  今後とも政府といたしましては、このような事案に際しまして、今いろんな点検をいたしておりますけれども、可能な限り情報開示を行っていくことは申し上げるまでもないことでございます。
  74. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうもありがとうございます。  ぜひ可能な限り情報開示をしていただきたいと思うんです。少なくとも、私ども国会の中で、委員会で何回かやりとりをしている中で、先ほど聞いたようなことなんですね。新聞を見て知るわけですから、こんな変な話、こっけいなことはないわけであります。  これは、なぜ私が再度この委員会で取り上げたかと申しますと、その前段の周辺事態法案のいわゆる国会の事前事後の承認問題で、どれだけ内容について国会にそして国民の前に明らかにしていただいて我々は議論することができるんだろうかということ。過日の三月の不審船、いわゆる平時の漁業法違反ですよね、日本の国内法でいいますと。その漁業法違反の工作船、不審船が、こういうような国会での論議での情報提供国民に対する開示の仕方も含めて甚だこれから心配でしようがないということを指摘させていただいたつもりでございます。  ぜひそういう意味で、閣内での連携、各省庁間の連携もそうですが、まずは第一義的に、私は可能な限り国会国民に情報開示をしていくということの姿勢をとっていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。  時間も半分を切りました。続いて外務大臣、大変お待たせいたしました。  私は今、承認問題というのは、国民主権、そして不審船にかかわる情報公開ということでいろいろ話をさせていただきましたけれども、今度、国と国の関係なんですけれども、いわゆる事前協議制についてやりとりをさせていただきたいというふうに思います。  旧ガイドライン、新ガイドライン共通して、日米間でこの事前協議制度は今なお存在をしているということはよろしいでしょうか。
  75. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員がおっしゃるとおりでございます。
  76. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その上で、事前協議制度というのは、アメリカ側から事前協議の申し入れがあり日本側がイエス、ノーを言う、そういう意味では日本側からの提案権というのはないという私ども国会の理解でよろしいですか。
  77. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ちょっと事前協議制度について話させていただきますと、我が国日米安保条約に基づき、米軍による我が国における施設・区域の使用を認めておりますが、米軍の一定の行動に対しては、これが我が国の意思に反して行われることのないよう、我が国との事前協議を義務づけているわけでございます。  すなわち、安保条約第六条の実施に関する岸・ハーター交換公文により、米国は米国軍隊の我が国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更、我が国への核持ち込み等でありますが、並びに我が国から行われる戦闘作戦行動、日米安保条約第五条に基づいて行われるものを除く、のための基地としての我が国国内の施設及び区域の使用については我が国と事前に協議しなければならない、こういうことになっております。このように、事前協議の制度は米軍の行動に一定の制約を加え得ることを目的として設けられているものでございます。  でありますから、米軍には事前協議を申し入れる、提起する権利といいますか、義務と言った方が正確かもしれませんが、それがある、我が国にはない。この制度の性質からいって当然のことだと思います。
  78. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今御答弁をいただいた、対象となるものとして、その中にいわゆる核搭載船の日本への寄港、これは事前協議の対象でよろしいでしょうか。
  79. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 岸・ハーター交換公文の米国軍隊の装備における重要な変更の中に我が国への核持ち込みということが入っておりますから、これは寄港も含めてそういうことでありまして、入っているということでございます。
  80. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今週の月曜日にも、これからお尋ねする文書につきましては若干の時間やりとりをされております。  先週になるんでしょうか、九九年五月十五日付の朝日、毎日は十六日付ですけれども、「核搭載船日本寄港に大平外相「了解」」、「裏付ける米公文書 「事前協議適用されぬ」」、「七二年六月当時国防長官書簡」という、これが朝日新聞の報道であり、毎日の方は、「核兵器搭載の米艦船寄港 大平外相が了解 六三年四月米公文書」と。  私は、この見出しの新聞を見まして、克明に記事の内容を見させていただきました。これはライシャワー元駐日大使が八一年に、日米間に口頭了解があった、実際に核を積んだまま寄港しているという発言をして、衆参の国会でもこのことが非常に議論になった歴史、経緯がございます。  今度のこの報道は、改めてこれを裏づける米公文書があり、そして日本の我部さんという琉球大学の教授の方がアメリカの国立公文書館でこれを見つけ、取り寄せたということの内容がございました。  私も、我部さんの方に御連絡をさせていただきまして、今外務省の方にもお渡しをしましたけれども、この英文の米公文書、シークレット、シークレットとずっとありますけれども、いただきました。いわゆるアメリカの国立公文書館、公文書としてアメリカ政府が扱っていたのを我部さんが入手をして、このことが多分この二社の報道に至ったのではないかというふうに思います。  ちょっとずっとたっているのであれですが、外務大臣、月曜の時点で公明党加藤先生が同じたしかこの案件でやりとりをしているので、その時点では外務省はお持ちでなかった、私がお渡しをして初めてこの文書を手にしたということでしょうか。最初にちょっとそれだけお聞きしたい。
  81. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 今おっしゃいましたとおりでございます。
  82. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ここは、いわゆる七二年六月に、この文書というのは、当時のレアード国防長官が、攻撃型空母ミッドウェーの横須賀母港化や二隻の戦闘艦の佐世保への配備などを日本政府に認めさせるよう当時のロジャース国務長官に要請した書簡です、一九七二年六月に、当時の国防長官の書簡と。  これは、さかのぼる一九六三年四月に、当時の大平外務大臣が、核兵器を積んだ米艦船の日本への寄港、通過をアメリカ側に認めていたという当時の口頭を、それをいわゆる国防長官と国務長官が文書でやりとりをしているということについての事実関係が記されている文書が公文書館にあったということになるわけですね。  したがいまして、公文書で大平さんの口頭了解があったということが、このままアメリカ政府内のいわゆる基本認識として生き続けてきているということを私どもはこれは受けとめざるを得ないというわけであります。  いずれにしましても、今事前協議ということをお話しいただきました。事前協議というのは、旧ガイドライン、新ガイドラインそれぞれある。今度のことも場合によるとアメリカ側から言ってこないというふうに言われるかもわからないけれども。  事実上もうこれは事前協議は適用されぬということで、当時の大平さんがライシャワーさんに言っているということについて、その後の一九七二年の攻撃型空母ミッドウェーの横須賀母港化、二隻の戦闘艦の佐世保配置、これについてロジャースさんとやりとりしているときに、いや、それは当時ライシャワー大使が六三年四月に大平さんと話し合ったときに、核搭載船の場合は日本領海や港湾に入っても事前協議が適用されないということを大平外務大臣も確認をしましたと。言ってみれば、英語のいろいろ訳があるんですが、承認されたという訳もありますが。いずれにしても、確認をしたと、大平さんが。以降、日本政府はこの解釈に異議を唱えたことはないということがここに記されているわけでございます。  だから、二つ私は大きな問題があると思うんです。一つは、事前協議は適用しないという日本政府の当時の大平外相以下のこの見解、これを裏づける米公文書。もう一つは、適用されないんだからということで核搭載船が実際配備をされ、寄港しているという事実であると、日本の国是であります非核三原則がここでは完全にもうないがしろにされているという点。この二つの点です。  外務大臣、伺っていていかがでしょうか。
  83. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これまで政府が繰り返し申し上げているとおり、米軍による我が国への核兵器の持ち込みは、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、いわゆる岸・ハーター交換公文において、装備における重要な変更として事前協議の対象となっておりまして、核積載艦の寄港を日米間の事前協議としないという口頭了解は存在しておりませんし、また核持ち込みについての事前協議が行われた場合には、政府として常にこれを拒否する考えでございます。  政府といたしましては、米国政府は核持ち込みに関する我が国立場及び関心を最高首脳レベルを含め十二分に理解しており、また米国政府は、事前協議に係るものを含め、安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守する旨表明していることからも、今委員がおっしゃったような御心配はない、こういうふうに思っております。
  84. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この文書についての、外務省として、この米公文書館から入手したという文書の位置づけというのはどういうふうに受けとめられますか。
  85. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 先ほど齋藤先生から御紹介されました内容とされますものは私どもも読ませていただいたところのとおりだろうと思いますが、何分、先ほど先生もまさしく申されましたけれども、これはレアード国防長官から同僚の国務長官に対する、つまり同僚の閣僚に対して国防省の考え方を述べた、立場を述べた書簡であるという、いわば米国の内部のやりとりの文書というふうに認識をいたしております。  それから、核積載艦船の寄港等を事前協議の対象としないというようなことを大平外務大臣が当時確認したというようなことは我々として全く承知しないということは、先ほど来先生がおっしゃいました一九八一年の議論の際にも政府より明らかにしていたところでございます。
  86. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一九六三年とか古い話を引っ張り出してなんてとお思いの方もいらっしゃるかもわかりませんが、事の重要性ですね、アジア太平洋の平和と安全ということで日米関係はどうなっているんだということをひもときながら、事実を日本政府は明らかにしない、そしてこの我部さんという方は公文書館から取り寄せて入手をしたという事実をもって私は指摘をしているので、ぜひそういうことで聞いていただきたいと思うんですね。  でも、竹内さんね、レアードさんとロジャースさんのいわゆる私文書じゃないんです、これは。私文書じゃないですよ、これは公文書ですよ。外務省というのはそういうような受けとめ方なんですかね。日本の国是である非核三原則、事前協議制ということが、今まで政府国会答弁したことと、そうではないと公文書でこれは明らかになったということで、びっくりして大変だと。新聞に出た途端にやはりすぐ外務省はアメリカの大使館を通じて取り寄せて、そして私どもに説明をするという、そういう姿勢が大切じゃないんですか。私が渡して初めて入手しましたということじゃ、まず姿勢がおかしいし、受けとめ方も全く納得できないですよ。再答弁をお願いいたします。
  87. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 先ほど申し上げましたのは、これはあくまでも米国の部内の政府間のやりとりの文書である、それがアメリカの公文書としての位置づけを持っているということはそれは先生がおっしゃるとおりでございますけれども、いろんな検討過程の中におけるやりとりの文書である、そういう認識を申し上げたところでございます。  それから、一九六三年の四月というふうにこの会談の時期が書簡には書かれていると承知いたしますけれども、私どもちょっと調べましたところ、大平外務大臣自身、当時の国会におきまして、核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でおりますということを六三年の五月に答弁されているということも我々としては調査したところでございます。
  88. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 事の重大性を認識されていないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大平外相が六三年四月にライシャワーさんと話したときに、核搭載船の場合、日本領海や港湾に入っても事前協議が適用されないことを大平外相も確認したということですね。事前協議が適用されないということを大平さんがライシャワーさんと確認をしているわけですよ。  一番最初に事前協議の話をしたときに、私は、核搭載船が日本の港に入ってくるときについて事前協議の対象に入りますかと言ったら、入りますというふうに言っている。ところが、こういう文書がこういうふうにして明らかになって、そしてしかもその後に、このレアードさんとロジャースさんの書簡というのはその後のことを言っているわけで、そのときに過去こういうことだったから事前協議の対象はありませんからある意味では心配ないようにということだと思うんです。  そういう文書が明らかになっているのに、そういう何か衝撃的な受けとめ方もなく従来型の答弁をしているので、これはどうも甚だ、私の感覚がおかしいのか、外務大臣、どうなんですか。私はびっくりしているんですよ、こういう米公文書があったということについて。びっくりされませんか。
  89. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) もし、大平・ライシャワーメモみたいなものでも出てきたら、私もびっくりして腰を抜かすわけでありますが、これはアメリカの中の文書のやりとりでありまして、日本政府としては、あくまでそんな重要なことを口頭で了解するというのもおかしな話でありますし、そんなことはないというふうに思っております。  先ほど、大平外相自身が当時の国会において、核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でありますと、こういうことを言っているわけでありまして、それと、八一年ごろ、ライシャワー大使自身がこういうことを言ったことを受けて、当時、鈴木総理が、大平さんはそういうことを言っておらない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もないと、こういうふうに答弁をして、これは一応の決着を見たところでございます。  新たにまたそういう内部文書が出てきたと、こうおっしゃるかもしれませんが、それは当事者であるライシャワーさんが言って、それの伝聞がたまたま手紙の中に書いてあったというだけで、まさにライシャワーさんが言ったことをここで鈴木総理が当時、大平さんからだれもそんなことを国内で引き継いでいないよということで決着したわけであります。  それで、その後も日米間におきましても、安保条約の義務はこれは岸・ハーター交換公文も含めて確実に守るという、アメリカは常々言っているわけでございますから、私はむしろ、八一年のライシャワー大使が言ったときはそれは衝撃的だったかもしれませんけれども委員がおっしゃる、委員の受けとめ方とは少しニュアンスの違う受けとめ方をしております。
  90. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今まで繰り返し政府はそういうようなことを答弁されてきたからそういう延長線上でお答えになるんでしょうけれども、今ここで周辺事態法案審議しているから、日本とアメリカは対等でしょうか、情報はいろいろ国民に明らかにしてくれるんだろうか、国会に事後承認も、その内容も明らかにしてくれるんだろうか、過日も不審船のいろんな出来事があったけれども、新聞に書いてあることと国会に出ていることはどうも食い違うのじゃないかと。さまざまな幾つかを私は整理させていただきまして、なおかつこの事前協議制ということ、これは大変な問題ですよ。  ですから、私は少なくとも日本政府姿勢として、すぐけんかをしろなんということは言わないですよ。言わない。ひとつ私は今度のガイドラインの審議のあり方の中、日米共同宣言、いろいろな経過の中で、事前協議制度についてもアメリカ側から言ってきてイエスかノーかということではなく、日本側からも言うことができる、日本側からもというような、私はそういうこともやりとりがあってもよかったんではないかというのがまず一つあります。  そして、今度の大平外相・ライシャワー会談のこの国防長官の国務長官への書簡ですけれども、これは日本の非核三原則と事前協議制がまさに空洞化しているということが明らかになっているんですが、いや、ライシャワーさんはそうは言っていませんとかそういうことで済まされることではなくて、こういう過去いろいろあったかもわからない、では、今の時点でどうするんだということが日本の外務省、日本の政府姿勢じゃないですか。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  そういう外交ルートというのは、アメリカの中のことですから、アメリカ国内の文書なんですということではこれは日本国内で通用しないですよ、そういうやりとりをやっていたのだったら。何のための周辺事態法案審議なのかわからないじゃないですか。再答弁をお願いします。
  91. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 再三申し上げていますように、装備における重要な変更、それは核の持ち込みを含む、核を積んだ艦船の寄港も含む、こういうことにおきましては日本、米国、当然守られるべきものだ。これはもう岸・ハーター交換公文上明らかなことでありますから、それは守っていただきますし、そういう場合には必ず事前協議があるわけでありますし、あった場合には日本政府とすれば非核三原則に基づいて常にノーということを申し上げる、こういうことを申し上げているわけでございます。
  92. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 衆議院特別委員会で参考人質疑の際に、議事録を取り寄せまして読ませてもらったんですが、小川和久参考人が、湾岸危機、湾岸戦争、日本と中東を往復した軍艦以外のアメリカの艦船は小川さんのコンピューターに入っているものだけでも延べ百十三隻だと。大部分は燃料と弾薬を積んでいた。五十七万人近い米軍の兵力の使った燃料と弾薬の八割以上は日本から持っていっている。だから、日本列島というのはアメリカ本土と同じ位置づけだと。テポドンの後も、アメリカがはっきり北朝鮮に言ったのは、アメリカ本土に対する攻撃と同様とみなす、その場合は核で反撃をするということを言っているということです。  それから、燃料は、米軍が使う燃料貯蔵施設の中で二番目の規模のものと三番目の規模のものが日本にあるんです。東京湾の鶴見が二番目で五百七十万バレル、長崎県の佐世保が三番目で五百三十万バレル、あと八戸に七万バレル、一千百七万バレル。世界で最大最強の第七艦隊という部隊を十回満タンにして六カ月戦闘行動をさせられる。当時のフィリピンのスビックというのは長崎の佐世保の半分以下の二百四十万バレルの能力しかなかったということ。  それから、弾薬について、弾薬の貯蔵能力で一番象徴的なのは広島県内にあるアメリカ陸軍の、陸軍だけですけれども、三カ所の弾薬庫で、トータルの弾薬貯蔵能力十一万九千トン。陸海空の自衛隊国会への資料の提供の中で出てきた数字は十一万五千トン。広島県にあるアメリカ陸軍の三カ所の弾薬庫のトータルが十一万九千トン。陸海空の自衛隊が持っている弾薬、トータルで幾らかというと十一万五千トン。これを上回る貯蔵能力が陸軍だけであるんだと。小川参考人はたくさんのことを述べられていますが、日本の一つの基地の中での備蓄の数字を述べられておりました。  今回の核政策、そして事前協議でございますけれども、外務省、外務大臣、本音として、トランジットは認める、トランジットは認めるけれどもアメリカはこれまでも、こういうふうに書簡をしているわけですから、トランジットを事実上日本も認めているんだ、ただイントロダクションは認めないということで、そんなふうな現実であればそういう政策を変更するぐらいのことを御提案するのが今回の書簡なんかで明らかになって、どうもそちらの方向に今までの政府の流れでいうと、むしろ向いているのではないかというような気がいたします。  それから、在日米軍基地を維持していくということについて、もはやこの非核三原則とかいうのは、政府が幾ら非核三原則と言っても、それはもう国民の方は信用していないということで、とりわけロシアの核の照準外しなんということもございましたけれども、実際、確かにアメリカの核の傘ということになるわけでございまして、事前協議の明確化、核政策について従来の政策をずっととうとうと述べているのですが、実態と全くかけ離れているんではないかというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。
  93. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 何度も繰り返しになって恐縮でございますが、日本政府はトランジット、通過も含めて認めないという立場でございます。  直接的なことではありませんが、ちょっと触れさせていただきたいのですが、米国の核政策、九一年九月、ブッシュ大統領が核兵器削減イニシアチブの中で、地上発射及び艦船積載の戦術核を一方的かつ全面的に撤去することを表明。九二年七月、ブッシュ大統領は、戦術核兵器、海軍の全戦術核及び国外配備の全地上発射戦術核の米国内への撤去完了を発表。そしてさらに、九四年九月、クリントン政権が発表した核体制の見直しにおいて、さらに空母艦載両用航空機からの核搭載能力及び水上艦艇から戦術核兵器、核搭載能力が除去される旨を公表。  こういうことがありまして、仮に委員が持っているような疑問を前提としても、今そんなことがあるはずがないということはこれは事実で、今変えろというのはちょっとおかしな話で、さらに言えば、日本国政府はずっとトランジットも含めて認めてこなかった、こういうことでございます。
  94. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、さっきのロシアの照準外しというのがありますけれども、その後ロシアというのはいろいろ揺れ動くというわけで、その後またつけようじゃないかとか目指そうじゃないかとかいろいろ報道はありますよ。これからいろいろあると思うんです。  残り時間もなくなったので、いずれにしましても後ほど私は、この米公文書館から我部教授がいただいた資料を理事の皆さん方にもコピーをしてお渡しさせていただきたいと思います。  今のやりとりの中で、今の時点での外務大臣それから外務省の答弁は伺いましたけれども、基本的に納得できません。これは大変重要な問題でございまして、自主判断がこれは求められているわけですよ、今のこの法案審議の際に。対米支援をしていこうと決めるのは日本政府の独自判断ですよということを繰り返し答弁されていますが、こういうような過去の経緯を見てくると、日本政府の独自判断というのが発揮をされていないということで、どうもその場その場しのぎで答弁を繰り返しているということを言わざるを得ません。  例えば、この文書が出てきたときに、すぐさま大使館を通じて公文書館に聞いて事実を調べて、そしてアメリカ政府の高官の人たちとやりとりをしたということを切々と訴えてきたなら非常に臨場感が伝わってきますよ。そういうようなことも全く聞こえない。私がお渡しをしたら受け取ったということで、今週質問された公明党加藤先生のときにも多分お尋ねしていないんでしょう、どういう文書なんですかと。そういう国民に対する姿勢というのは非常に問題だろうというふうに私は思います。  きょうは週末でございますけれども、来週にも質問の機会を別途、これは外務大臣にもそれなりにお答えいただいていると思うんですが、私は、総理みずから、日本の国是でございます非核三原則の問題、そして事前協議の問題ですから、このことについては総理からもきちんと、この歴史的な経緯を含めまして、日本の政府姿勢をたださせていただきたいと思います。  資料の配付を理事会に行い、扱いを理事会にゆだねたいと思いますが、委員長、その点についてまずお取り扱いをお願いしたいと思います。
  95. 竹山裕

    ○理事(竹山裕君) 後刻理事会協議させていただきます。
  96. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 あと一分でございますが、外務大臣周辺事態の「周辺」ということをこの前の公聴会で猪口公述人が英文で言われました。エアリアス・サラウンディング・ジャパンと、日本語で周辺ということで、ずっと衆参で周辺というのはわからないということで何回も同僚議員から出ていましたけれども、猪口公述人は日本の周りなんですと。日本語では近隣という言葉があるかもわからない。しかし、このいわゆるエアリアス・サラウンディング・ジャパンというのが一番適切なのではないだろうかというふうに言っていました。だから、日本をぐるっと回る、取り囲む、そういうのは書けないにしても、このことを明確に言っていただくと、今まではずっと周辺周辺というやりとりをしましたけれども、別にすとんと落ちる説明をと言うつもりはないんですけれども、そういったような説明の仕方はされたんでしょうか。
  97. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 周辺地域とエアリアス・サラウンディング・ジャパンというのは、私は同じ意味だと思います。  ただ、エアリアス・サラウンディング・ジャパンという英語で直そうと直すまいと、あらかじめ地理的に特定できるという意味ではないと。そして、本質的にはそれじゃどうやって決まっていくのかといえば、我が国の平和と安全に重要な影響を与えることが起こるのはどのくらいなのかという実態上から定まっていくと、そういうことなんだろうと思います。  英語で言うとわかっていただけるのならもう少し早く英語でも言うべきだったかなと、こういうふうな感じを持っております。
  98. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  99. 加藤修一

    加藤修一君 公明党加藤修一でございます。  公明党は昨年十一月に新党平和と公明が合流いたしまして新しい公明党という形になったわけでありますけれども、その際に基本政策大綱というものを作成いたしまして、その第八章には「ソフトパワーを生かした平和外交をめざして」ということを提示しておりまして、とりわけ大きな柱の一つといたしまして、平和原則の厳守ということで、非核三原則、持たず、つくらず、持ち込ませず、国是としても将来とも堅持されるべきものであると、ごく当たり前の話でございますけれども。さらに新たな非核三原則、持たせず、つくらせず、使わせず、こういう姿勢というのを世界各国に向けて我々は現在主張しているわけでございます。  月曜日、十七日でございますけれども、非核三原則にかかわるものとして核を我が国の中に持ち込ませない、そういった面に関しての事前協議という観点について多少外務大臣にお聞きしたわけでございます。また今、同僚の齋藤委員の方からもこの点に関しまして質疑がございました。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  私は、非常に重要な問題である、極めて深刻な事態という見方も私はできるように思っているわけであります。たび重なっての同じような質問でございますけれども外務大臣はこの公文書についてはどのように認識をしていらっしゃるか、御見解を示していただきたいと思います。
  100. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米側の内部文書である、その文書の作成については日本政府は何ら関与していない、そういうことであります。  そして、その内容については、それが真実であれば日本政府にとって大変なこともありますが、その内容のよって来るところはライシャワーさんの話で、ライシャワーさんみずからが発言したときに日本の国会でもいろいろ問題になりまして、そういう中で鈴木総理等もきっちり御答弁されて日本政府立場は明らかになっている、こういう問題であると考えております。
  101. 加藤修一

    加藤修一君 そういう話ではなかなか私は理解がいかないんです。  この公文書を仮に私、訳してみましたけれども、例えば空母に関する国務省の懸念は、事前協議は回避されるべきであり、米国艦船に核兵器が搭載されている可能性について広く議論が沸き起こることは米日間の防衛協定を危険にさらすことになるとの点を強調しているようにも見えますと。中略いたしますけれども、合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更であるとはみなしていないので、正式な事前協議を申し入れないことが合衆国の利益にかなうということに同意しますと。こういうふうに書かれてございます。  それから、国務省のアレックス氏は、核兵器を搭載していない空母の日本への母港化の可能性があるかどうかについての評価を要請しています。我々は、これは国防省ですけれども、我々はこの代替案について慎重に検討したが、これは軍事面で実際的でないし、法的にもその必要がないと考えていますと。こういう内容です。さらに我が国が、つまりアメリカ合衆国でありますけれども我が国が長期間にわたって採用してきた、あるともないとも言わない政策を転換する用意がないとすれば、日本の港を母港としている空母が実際には核を積んでいないという話になる余地はないと思いますと。  それで、新聞の記事になるわけですけれども、法的な面から考えると、この問題に関する日本政府との交渉の記録は極めて明快であります。一九六三年四月、ライシャワー大使が大平外相とこの問題に関して話し合った際、大平氏は、事前協議条項は日本の領海や領水、そういったことを含めて港湾内にある艦船上の核兵器については適用しないという大使の理解を確認しました。その後、どの日本政府もこの解釈に異議を唱えたことがありません。こういうふうな内容が書かれているというふうに私は理解しております。  したがって、この非核三原則がつくられました一九六七年からこの公文書の一九七二年の間、少なくともこの五年間については事前協議は必要ないという判断に立たざるを得ないし、過去の話でございますけれども、実際に核が持ち込まれた可能性は十分あり得る、そういう判断に立たざるを得ない。どうですか。
  102. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) いささか繰り返しになって恐縮でございますが、その大平外務大臣とライシャワー大使の当時の会談ということに関しまして、我々といたしまして、先ほど来申し述べておりますとおり、その会談の内容等が日本の国内でも大いに議論になりまして、我々外務省においても当時調査が行われました一九八一年のころでございますけれども、そのときに、鈴木総理大臣より、大平さんはそういうことを言っておらない、記録もない、外務大臣も引き継いでいないということを明確に答弁されているところでございまして、そういうことで御理解をぜひ得たいと思うところでございます。  それから、この文書につきましては、これも繰り返しでございますけれども、確かに拝読しましたところ、国防長官から国務長官にあてられた書簡ということで、アメリカ政府部内におけるやりとりの文書である、こういう認識でございますが、日本側におきまして、そのような、引用されているような大平外務大臣とライシャワー大使との間での御指摘のような事実ということは承知もしていないし、記録もない、そういうことでございます。
  103. 加藤修一

    加藤修一君 理解はできないんです、なかなか。  私は、この内容に関して、先ほど、真実であるならばという話も答弁の中に出てまいりましたけれども、これはぜひその辺のことについて外交ルートを通して少なくとも確認をすべきではないか。どうですか。
  104. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) たびたびで恐縮でございますけれども、これは米国政府部内のやりとりの文書でございます。当方におきましては、一九八一年当時鈴木総理が述べられているところは、繰り返しませんが先ほど御紹介したところでございます。  さらに、米国におきましては何度も、たび重なる回数でございますが、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守するということ、さらに事前協議については日本政府の意向に反して行動することはないという旨を確認してきているところでございます。  したがいまして、本件につきまして我が方から米国政府に確認を求めるということは考えておらないところでございます。
  105. 加藤修一

    加藤修一君 私はぜひ確認すべきだと思います。  先ほどから申し上げておりますように、一九六七年から一九七二年の間については、少なくともこの五年間においては事前協議なしにかなりやられている可能性がある。事前協議が必要なのにもかかわらず、アメリカ政府国内の問題であるからコメントできないような言い方をしておりますけれども。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  それでは、私はお聞きいたしますけれども、昭和四十九年九月十日、これもアメリカ議会の話。これはアメリカ議会の話でありますけれども、米議会原子力合同委員会の軍事利用分科委員会委員長サイミントン上院議員。その委員会においてラロック退役海軍少将が、核装備の可能ないかなる軍艦もほとんどの場合核兵器を積載しており、日本やほかの国に寄港する場合も積みおろしたりはしない、こういうふうに言っているじゃないですか。これについては今までどういうふうにコメントしていましたか。
  106. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 御指摘のいわゆるラロック発言というものは、間違いなければ、議会の委員会において公開の席で行われた発言であると私は記憶いたしております。  その際に、米国政府から我が方に対する説明といたしまして、米国政府相互協力及び安全保障条約並びにこれに関連する諸取り決めに基づく日本に対するその約束を誠実に遵守してきている、米国政府は一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明第八項に述べられているとおり、核兵器に対する日本国民の特殊な感情を深く理解している、こういう説明を先方からしてきているという経緯がございます。
  107. 加藤修一

    加藤修一君 大部分はいいと思いますけれども、一部私は間違っているように思います。  それは、先方から来たということよりも前に、外務省が米国政府に公式ルートを通して照会した結果じゃないですか。つまり、アメリカ国内において、米国議会の中において議論がされたその内容が伝わってきた、その結果ということで外務省が、これは重要な問題であるから照会しなければいけない、公的な外交ルートを通して照会をしたというふうに私は調べてございますけれども、そうじゃないですか。
  108. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) その点は、確かに先生の御指摘のとおりだろうと思います。  ただ、申し上げたいと思いますのは、これはあくまでもラロック元提督でございますから、公の席で、委員会での発言ということであったということがやはりいろんな反響、論議を呼びまして、それから、公の席での発言だったということで、我々といたしましても当時アメリカに対して照会を、確認を行ったということであったろうと思います。
  109. 加藤修一

    加藤修一君 非常に矛盾した答弁だと私は思います。公文書であります、先ほどから私も紹介しておりますのは。同僚の齋藤委員も紹介しているのは公文書であります。私人が相互に交換した書簡ではありません。公人が、国務省あるいは国防省が相互に交換した公文書ということです。それは議会でやっていたこととほとんど同じと考えるのが当然じゃないでしょうか。ぜひ私は照会をすべきだと思います。
  110. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 重ねてでございますけれども、今回、公文書館から見つかりましたと申しますか出てまいりました公文書というのは、アメリカ政府の部内における一つのプロセスにおける内部のやりとりの文書であるというふうに理解しているところでございます。  それと、そのサイミントン委員会でございますか、そこでの公的な発言ということにつきましては、おのずとその扱いに違いがあるということも必ずしも間違いではないと申しますか、そう言うのが適切なことであろうと考えている次第でございます。
  111. 加藤修一

    加藤修一君 理解できないんです。公文書でしょう。公文書と認めていますよね、先ほどの外務省の答弁は。違いますか。
  112. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) これは、現役の国防長官が現役の国務長官に対して考え方を伝達した文書であるというふうに認識いたしております。
  113. 加藤修一

    加藤修一君 考え方を伝達したという単純なものじゃなくて、その考え方に基づいて一つの評価を下して、それに基づいて行動したということが書かれているんじゃないですか。
  114. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 国防省としての立場といいますか考え方というものを国務省に対して伝達したということがこの書簡の趣旨であると認識いたしております。
  115. 加藤修一

    加藤修一君 数年を経ずして、横須賀に航空母艦を、そして佐世保に戦闘給糧艦二隻を展開、配置するという話になっているわけです、これをもとにして。これをもとにしてですよ。
  116. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 私の認識いたしておりますところでは、その空母の問題もございましたことは確かだろうと思います。  その問題について検討するに際して、国防省と国務省の間でいろんな協議があった、相談があった、そのプロセスの中でやりとりされた文書の一つである、こういうことを先ほど来申し上げているところでございます。
  117. 加藤修一

    加藤修一君 いや、全く理解できないんです。  要するに、事前協議制度があるにもかかわらずそれが守られていない、少なくとも私が指摘している五年間については守られていない。これは重大なことじゃないですか。国益に関することです。極めて重大ですよ。外務大臣、どうお考えになりますか。何度も私は質問いたしますけれども、同じ答弁じゃだめですよ。外交ルートを通してきちっとこれは真意を確かめてください。
  118. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員がおっしゃるように、もし事前協議制度に違反しているということになればそれは重要なことでありますが、日本政府としてはそういう認識を持っていないということは先ほどから申し上げているとおりでございます。
  119. 加藤修一

    加藤修一君 いや、その認識の仕方が、私は非常に大きな誤解の中で評価を下していると思うんです。そうじゃないんじゃないですか。私は今の話をしているわけじゃないんです、過去の五年間について話をしていますから。政府がやったことについて時効はございませんよ。外務大臣、ぜひ答えてください。
  120. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ある過去の五年間の事実評価の話であれば、私よりも北米局長から答弁した方が正確だと思いますので、北米局長に答弁させます。
  121. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 繰り返しになって恐縮でございますが、日米間におきましては核の問題につきましては、先ほど来先生が御指摘のいわゆるラロック発言を含めまして、たびたびと申しますか数回にわたって確認を行っているところでございます。  最初から申し上げることはいたしませんですけれども、岸・ハーター交換公文、それから藤山・マッカーサー口頭了解から始まりまして、一九六〇年の日米安保条約締結の際に、岸総理とアイゼンハワー大統領の間の共同声明におきましても、事前協議に係る事項については、米国政府日本国政府の意思に反して行動する意図のないことを保証するということがうたわれたわけでございます。一九六九年のいわゆる佐藤・ニクソン共同声明におきましても核の問題について触れられておりますし、一九七二年沖縄返還の際には、当時のロジャース国務長官から福田外務大臣あてに書簡が出されまして、日米間の安保条約のもとにおける事前協議に係る事項については、アメリカ合衆国政府日本国政府の意思に反して行動する意図のないことを改めて確認いたしますということまで確認されているところでございます。  政府としては、これまで米国がこのように安保条約並びにその関連取り決めの義務を誠実に遵守するということを重ねて伝えてきているということから、米国政府信頼して安保条約、安保体制を守ってきているということでございます。
  122. 加藤修一

    加藤修一君 答弁になっていないんです。そんなふうにいろいろたくさん話をしても、私の質問に対する適切な答弁になっていないんです。なっていませんよ。
  123. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) それでは、いわゆる大平・ライシャワー会談ということが先生が御指摘された文書で言及されているわけでございますけれども、この点につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、日米間におきまして、いわゆる核積載艦船の寄港等につきまして、これを事前協議の対象としないというような了解があるということはございませんし、大平外務大臣がそのような確認を行ったというようなことを当方としては全く承知をいたしませんし、そのような記録もないということを、当時と申しますか一九八一年のいわゆるライシャワー発言問題のころから鈴木総理を初め日本政府が申し上げているところでございます。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
  124. 加藤修一

    加藤修一君 先ほどから言っていますように、私の質問に対して答えていません。要するに、この公文書の意義づけについてはどういうふうに考えているんですか。何回も同じ質問になるかもしれませんが、同じ回答なんでしょう、恐らく。
  125. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この文書の位置づけと申しますか、文書に対します我々の認識ということに関しましては、これは今回、公文書館にあったものでございますけれども、もともとは一九七二年当時の米国政府部内におきまして、国防省と国務省の間でいろんな問題について協議、相談をするに際しまして、核の問題について国防省の意見と立場考え方というものを国防長官から国務長官に対して伝達した、考え方を伝えた書簡であるというのが我々の認識でございます。
  126. 加藤修一

    加藤修一君 ですから、そういう認識そして評価に基づいて在日米軍基地のあり方について踏み込んだ形でやっているわけじゃないですか。先ほど申し上げたとおりです。空母の母港化の話といい、戦闘給糧艦二隻を展開、配置するということについては、先ほど私も申し上げましたように、数年を経ずして結果として出てきているわけですから。ここの公文書の中における議論というのが明確にアメリカ政府内の意思なんです、意思。そういう決定がされたというふうに理解せざるを得ないじゃないですか。  ですから、申し上げていますように、少なくとも日本政府立場としてはこれを公的ないわゆる外交ルートを通して真意を確かめてくださいと私は言っているわけです。
  127. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この文書は、その検討の過程で、国防長官がその問題に関しましての国防省の立場考え方というのを国務省に伝え、それでその後も米国政府部内での検討という作業が続いたというふうに私は考えております。そういうことを踏まえて、その上でこの文書の中に言及をされております日本の外務大臣と当時の米国大使との間の会談での話し合いの中身ということにつきましては、これは一九八一年にいわゆるライシャワー発言として大きな論議を呼び、それで日本政府部内でもいろんな調査を当時やったわけでございます。その調査結果として鈴木総理が国会で明らかにされておるところは先ほど申し上げたとおりでございます。  さらに、米国の方におきましては、安保条約関連取り決めにつきましては事前協議の問題を含め条約上の義務を誠実に遵守するということを重ねて確認、表明してきているところでございますので、我々として、我が方から米国政府に対して改めて確認するということは考えていないというのが現在の立場でございます。
  128. 加藤修一

    加藤修一君 今の答弁の中にございましたけれども、この公文書をもとにしてその後検討が続いたという話がありました。中身がありました。  では、この公文書をもとにしてその後検討が続いた、その結果について立証してください、向こうの公文書で。少なくともこれは意思決定した話なんですよ。
  129. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米国の中において検討がいろいろ行われたと思いますけれども、我々日本といたしますれば、それは安保条約上の事前協定というものの義務を誠実に遵守するということで結論が出ているということであろうとする立場であるわけでございます。
  130. 加藤修一

    加藤修一君 委員長、ちょっとこれは質問できないですね、これ以上は。本当に誠実に答弁していただきたい。
  131. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 加藤修一君、質疑を続行してください。
  132. 加藤修一

    加藤修一君 もう少し丁寧に説明してください。  委員長に要請いたします。
  133. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 委員の御質問が、今度公開されました文書に基づきまして、日本政府として改めて米国に対して検討結果を、その当時の検討結果と申しますか、米国の立場というものをもう一度確認するべきである、こういうことでございますといたしますと、先ほど来申しておりますとおり、そもそもこの文書というものが米国の政府部内のやりとりの文書であるということで、公開はされておりますけれども日本政府としてこれを取り上げて米国政府にとやかくコメントするというのはいかがなものであろうかというのが一点でございます。  それから、いずれにいたしましても、米国政府としましては、安保条約上の義務というのは誠実に遵守するということを何度も確認してきているところでございます。  それから三番目に、日本側におきましては、いわゆるライシャワー発言が論議を呼びました一九八一年当時、いろいろ調査もいたしまして、結果として鈴木総理から先ほど申し上げたような答弁をされておりまして、そのようなことが大平外務大臣によって行われたということは外務大臣も引き継いでいないし、記録もないし、承知していないということで答えられているところでございます。  以上を踏まえまして、現在、我が方から米国に対して、米国が安全保障条約上の義務を遵守していたかいなかったか、どうだったのかと。この点についてどうかということを改めて確認するということは考えておらないということを先ほど来るる申し上げている所存でございます。
  134. 加藤修一

    加藤修一君 私は非常に今の答弁を聞いていて不思議に思うんです。公開された公文書の中に、いわゆる日米間で表で言っていることと違うことが書かれているわけですから。  違うことが書かれていることについて、少なくとも私が指摘している五年間については確認する必要があるのじゃないかと。確認してくださいとお願いしているわけです。言っている答弁はどうもわからない。何でそういうことになるんですか。
  135. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 日米安保条約のもとでの事前協議制度というのがございまして、それに基づいて米国として一定の義務を負っているわけでございます。これに従いまして米国が必要な場合には行動をとるということを何度も確認しているわけでございます。  日米安保条約という一種の強い信頼関係が基礎となっている関係におきまして、米国がそのような確認を何度もやっているということからいたしまして、改めて公開された部内のやりとりの文書をもとに確認を求めるということは我が方としては考えておらない、そういうことでございます。
  136. 加藤修一

    加藤修一君 強い信頼関係がある、それを期待するとか、部分的にはそういうことをおっしゃっているんですけれども、であるならば、こういう公文書が出たということについては非常に不思議であり、かつまた信頼をそぐような中身になっているわけですから、信頼を増大させるようにするために、その辺について公的に照会すべきだと思います。どうですか。
  137. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この公文書を読みますといろいろなことが浮かび上がるということは当然あるかと思いますが、日米間におきまして、国と国との関係で、安全保障条約というもので結ばれ、それが信頼関係を基礎としているということでございますので、米国が義務の誠実な遵守を何度も確認しているにもかかわらず、こちらの方から確認を求めるということは考えておらないということでございます。
  138. 加藤修一

    加藤修一君 私は本当に理解できないです。全く理解できない。  外務大臣は、日本の外務大臣であります、当然ながら。日本の国益を守らなければいけない立場にあるわけです。  小渕政権は、国民と歩む外交というふうにモットーを言われておりますけれども、先ほど来の議論の中にも、この非核三原則を堅持していく、きっちり守っていく、それは国民の大半の方が思っていることですよ、そうあるべきだと。それじゃ、国民と歩む外交というのはどういうことですか。もう少しこの辺のことをわかりやすく。表で出ている話と違う形で進んでいる話が紹介した公文書にあるように思います。ほかにもこういう公文書があるわけですよね。外務大臣、どう思いますか。
  139. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 非核三原則については、極めて重要な原則であると思いますし、このことについては今後とも守り抜いていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。  今、委員が御指摘になっている問題、確かにこの文書自体は新しいけれども、この問題というのは本当にもう長い経緯があって、いろいろ国会でも問題になってきて、大平外相とライシャワー氏が話した、こういうことを言われているわけでありますが、こんな重要なことを文書にもしないで話だけでしておくだろうかというのは、私自身としても疑問でありますし、少なくとも日本政府の中でそれが全く引き継がれてきていないと。  そういうような状況の中で、ライシャワーさん自身がこういう発言をされた後で、国会の中で大変な議論があって、そしてそういう中で、鈴木総理の答弁等もあって一応の決着を見ている。日本政府立場というのははっきり国民に示されている問題で、当時もやっぱり野党の一部の方は御納得されなかったと思いますが、日本政府立場はこうだということははっきり申し上げているわけですから、その内容について委員がいろいろ、それぞれが受け取り方あるかもしれませんが、日本政府立場はこういうことなんだということはぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
  140. 加藤修一

    加藤修一君 別の機会にこれについてはまたやりたいと思います。  大変長くお待たせいたしましたが、野中官房長官にお尋ねいたしたいわけです。我が国の平和外交のビジョンと基本政策ということで、これは四月二十六日の衆議院委員会におきまして、我が党の質問に対して小渕総理大臣が、我が国の平和外交、平和戦略について五点ほど述べられているわけでありますけれども、全体として、平和外交に対していかに決意しようか、そういった努力、そういった面はわかるように思いますが、例えば多様化する脅威について、あるいは新しい脅威についていかに対応するかという視点を含んでいるように思います。ただ、率直に申し上げて残念なことは、かなり抽象的な内容じゃないかなと思うんです。もう少し私は具体的な内容を示すべきじゃないかと。  例えば、法律の形にするとか、国際条約について拡充する努力を行うとか、あるいは批准がされていない条約について批准をするとか、そういった明確な目に見える形に私はすべきだと思うんです。  例えば、ジュネーブ条約追加議定書のⅠ、Ⅱというのがございます。Ⅰの方については、国際的武力紛争の犠牲者の保護、そういった内容でございますし、また加えて、自然環境の保護、そういった内容を含むものであります。武器取引規制の骨組みをどうつくっていくか、あるいは軍事衛星の不拡散条約のようなものをどう国際社会に向けて日本がイニシアチブを発揮してつくり上げていくか、あるいは軍事衛星を監視する衛星等、そういったものも非常に私は重要であるように思うわけです。  そういった国際的な条約を、例えば宇宙条約というのがございますけれども、その宇宙条約についても非常に不備な点が目立っているわけでありまして、その不備な点を充実した内容にしていくということも非常に大事だと思うんです。そういった意味での、いわゆるわかりやすい目に見える基本政策、平和外交のビジョンというのを出していくべきだと思います。  いつの時期に出すかということもいろいろあると思いますけれども、首脳会議、G8、あるいは明年は沖縄でやるというふうに聞いておりますけれども、そういった機会をとらえて、きちっとした日本の平和外交等のビジョン、その基本政策というのを打ち出していく必要が当然ながらあるわけです。  まず、私が申し上げました視点の観点から、その辺について御見解をいただきたいと思います。
  141. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員お尋ねの件につきましては、私からお答えすることが適切かどうかわからないのでございますが、私への御指名でございますので、先般、四月二十六日の衆議院のガイドライン特別委員会におきます審議の中で、小渕総理から貴党の遠藤委員に対しまして、一つには予防外交信頼醸成の推進、二つ目には人間の安全保障への取り組み、三番目には国民的な議論を踏まえた外交、安全保障政策の実施といった諸点を中心にいたしました積極的なリーダーシップを発揮しながら現実を直視した具体的施策を推進していく旨の答弁を申し上げたと存じておるところでございます。  その具体策につきまして、一、二例示的に申し上げますと、信頼醸成の措置といたしましては、一つには、ASEAN地域フォーラムにおきまして、地域の安全保障問題についての率直な意見交換や国防政策ペーパーの自主的提出等の措置を通じた信頼醸成の促進、もう一つは、日中、日韓を初めとする二国間の安全保障の対話、防衛交流の実施、さらに三つ目には、北東アジア協力、対話等を実施してきており、今後もそのような努力を継続していくことであろうと思うわけであります。  また、予防外交につきましても、去る七月末のARF閣僚会議におきまして、いわゆるASEAN地域フォーラムにおきまして、予防外交への取り組みにつきまして具体的な進展を図るべく、我が国として積極的にリーダーシップを発揮し、努力しておるところでございます。  さらに、総理が申し上げました人間の安全保障につきましては、昨年十二月、小渕総理よりハノイの演説で人間の安全保障基金の設立をみずから提唱いたしまして、我が国からの約五億円の拠出をもって国連事務局に設立をした次第でありまして、我が国といたしましては、このような基金を通じて、例えばアジア・太平洋経済社会委員会のアジア地域の貧困等の実態に対応する事業への支援を実施していくという意思を申し上げて努力をしておるところでございます。
  142. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 時間が参りました。
  143. 加藤修一

    加藤修一君 以上で終わります。(拍手)
  144. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  まず初めに、一昨日、渉外関係主要都道県知事連絡協議会が、小渕総理大臣、高村外務大臣、野田自治大臣それから野呂田防衛庁長官、四名の方々に緊急の要請を行っております。  この主要都道県知事連絡協議会は、岡崎神奈川県知事、木村青森県知事、金子長崎県知事、稲嶺沖縄県知事、堀北海道知事、石原慎太郎東京都知事を初め、基地を抱える都道県の知事の方が緊急の要請をされておるわけです。  この中で述べられておりますのは、これまで政府と数回にわたって、地方自治体に今度の法案でどのような協力依頼がなされるのか、この点の意見交換を行ってきた。「しかし、この五月十八日に実施された意見交換会においても、協力項目が特定されないことや、協力にあたっての手続き、期間、程度など、具体的な協力の内容が、依然として明らかにされませんでした。 これらの点については、参議院審議における活発な論議の中で、明らかにされることを期待するとともに、」「地方公共団体の懸念を解消し、その意向が尊重されるよう要請する」という文書が届いておるかと思いますが、この点、こうした地方自治体の都道県知事の声をどのように受けとめておられるのか、自治大臣防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
  145. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 五月二十日付で渉外関係主要都道県知事連絡協議会の名において、「「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」等の制定にあたっての地方公共団体の意向の尊重等について」という緊急要請が私あてに出されております。  これは、御指摘のとおり、五月十八日に渉外関係知事会の意見交換会を行いまして、大体担当課長さんレベルでの会議であったと報告を受けておりますが、その中で想定し得る協力内容等についてできるだけ具体的な形で説明させていただいたという報告を受けておりますが、知事会の方では、まだこれでは十分ではない、さらに積極的な情報提供を求めておるというふうになったと思います。それを受けて五月二十日に緊急要請があった、こういうことでございます。  今後、関係省庁と密接な連携のもとで、地方団体への協力の内容、手順等について、さらに要請にこたえられるようにできるだけ具体的な形でまた示せるようにも努力をしてまいりたいと考えております。
  146. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 要請の趣旨は、「今後、国においては、さらに地方公共団体への積極的な情報提供を行い、地方公共団体の協力にあたってのマニュアルを示すなど、同法第九条に基づく協力にあたって、地方公共団体の懸念を解消し、その意向が尊重されるよう要請」するというものであります。  政府としては、これまでも積極的に法案第九条に基づく協力の内容等についてできる限り具体的に説明を行ってきたところであります。例えば、全国基地協議会、防衛施設周辺整備全国協議会、渉外関係主要都道県知事連絡協議会といった会合の場において説明を行ってきたわけでございますが、この要請を踏まえて、今後とも一層の理解を得るため引き続きさまざまな機会をとらえて説明していくとともに、よりわかりやすく理解いただけるような方策を具体的に講じてまいりたいと考えております。
  147. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんな一般的なことじゃなくて、これ自体が何と言っているかといいますと、二月三日に政府が十項目の自治体、民間の協力例を出した、さらに四月二十三日に十一項目の協力例を出した、しかしそれでも具体的な内容が全く明らかになっていないじゃないかということを言っておられるわけです。この点、こういう要求になぜ答えられないのか。  この前の当委員会でも、我が党の笠井議員が、米軍の自治体や民間に対するニーズがどういうものなのか、このリストについて要求した。しかし、そういうものを出さなかったじゃないですか。そこが今の政府の最大の問題で、こうした自治体の懸念が当然の声だというふうに私は思います。  防衛庁長官、どうですか。
  148. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私の見解は先ほど述べたとおりでありますが、このくだりにつきましては内閣の方で所管しておりますので、そちらから答弁をしていただきます。
  149. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先ほど御指摘の「緊急要請」という文書は私どもの方にもいただいております。ここで、しかし云々のところを委員が今御引用なされたわけでございますが、協力項目が特定されていないということを一つ御指摘いただいております。  これはこれまでの御審議でもたびたび申し上げてきたところでございますが、実際に協力項目が特定されますのは基本計画という段階でございますので、その点につきまして再々御説明をしてまいったところでございます。  また、その手続、期間、程度ということでございますが、これもまさに具体的な個々の事案によって決まってくる、事態によって決まってくるものでございますので、そういう点につきまして引き続き私どもとしては、今両大臣からもお話しございましたように、関係地方公共団体の御理解を得てまいりたいと存じております。
  150. 小泉親司

    ○小泉親司君 これは、これまで全く出されていないというところが重大な問題なんですよ。その点では、やはり私どもはこういう点を徹底して解明しなきゃいかぬ。  特に、この知事会でも「参議院審議における活発な論議の中で、明らかにされることを期待する」と言っておられるわけですから、特に当委員会でやはりこの点は徹底的に明らかにしたいというふうに考えております。  そこで、次の質問に移ります。  まず初めにお聞きしたいのは、後方地域支援の問題でございます。政府はこれまで、後方地域支援というのは米軍の武力行使と一体とならないから憲法上の問題は起きないんだということを言って、後方地域と戦闘地域の区分けというのは日本の憲法上の観点から出てきたんだというふうに答弁されておられます。  私も当委員会でこの後方地域支援の問題を取り上げてまいりましたけれども政府は後方地域支援について、戦闘地域と一線を画される地域だから憲法上の問題はないんだ、こう言って言い逃れをしてきたわけです。私は、このことは現実的には全く問題にならない議論でありまして、後方地域支援が武力行使の一部だということはこの間の審議を見ても明らかだというふうに思います。  今行われておりますNATO軍によるユーゴの空爆を見ましても、鉄道を初めテレビ局、それから補給施設、やはり一たん戦争になったら前方も後方もないということは、この間の審議でも当委員会での参考人質疑や公聴会の論議でも専門家の皆さんが異口同音に話していた点でありますが、これはやはり国際社会での常識であるばかりじゃなくて、私は国民の常識だというふうに思います。  そこで、質問をいたしますが、防衛庁長官は繰り返し、後方地域支援なら安全だ、憲法上の問題は生じない、大変法理的な問題として法律上区分けしているから大丈夫なんだと言っておられますが、実態的にこの後方地域支援が安全だ、憲法上の問題は生じない、こういう根拠は一体どこにあるのか、この点をまず明確にされたいと思います。
  151. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 後方地域支援とは、我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲であるということは、法律上、明文をもって明らかであります。  後方地域支援は、後方地域においてそれぞれ指定される区域において実施されることになりますが、この活動の実施区域が後方地域の中にあるかどうかにつきましては、防衛庁長官は、自衛隊が収集した情報、外務省から得た情報、米軍から得た情報等を総合的に分析することによって、戦闘の全般的状況あるいは装備品の能力あるいは米軍及び相手国の軍隊の展開状況といった要素を踏まえ、総合的に判断することになります。  このように、後方地域について防衛庁長官が合理的に判断を行うことは実際の活動の中で十分可能であると考えているところであります。
  152. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は実態的には、防衛庁長官が今机上の空論みたいな形で、机の上で書いた話を繰り返しておるいうふうに思います。  そこで、幾つかお聞きをしますが、政府の依頼する民間協力例の中に、人員、物資に関する民間輸送業者の協力というのが書き込まれております。ここには、現に戦闘が行われている地域またはそのおそれのある地域への輸送を依頼することは想定していないとか言っておりますが、日米ガイドラインは後方地域支援が日本周辺の公海及びその上空において行われることもあると。つまり、後方支援を行うに当たって、日本は中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用するというふうに明記されておりますが、この点は民間の船舶も公海上に設定される後方地域支援として米軍の弾薬の輸送、武器の輸送、こういう点に従事する、こういうことを想定されておられると思いますが、防衛庁長官、いかがですか。
  153. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 後方地域支援でございますけれども、後方地域支援におきまして民間の事業者の方に御協力いただくというときには、万が一にも不測の事態が起きないようなそういう地域、こういったものを考えてお願いすることにしていると。また、それを確保するためのいろいろな手だても講じていくということは、これまでも何度も政府側から答弁させていただいているわけでございます。  また、これも何度も申し上げていることでございますが、周辺事態におきましてどういう措置を日本として講ずるかというのは、これはまさに日本がその時点で自主的に、主体的に判断していく問題でございます。
  154. 小泉親司

    ○小泉親司君 当委員会の中央公聴会で、特に民間船舶による米軍の弾薬や武器の輸送があるという先ほどのお話でありましたけれども、この輸送を担当される全日本海員組合の平山誠一教宣部長が公述をいたしました。この中で平山さんは、イラン・イラク戦争の例を挙げて大変生々しい体験を話されておられました。  例えば、一九八〇年から八年間、イラン・イラク戦争が続きましたが、この間、四百七隻の船舶が攻撃を受け被弾して、三百三十名が亡くなって、三百二十名の負傷者を出すという、世界じゅうの船乗りにとって悪夢のような八年間だったと。例えば、日本船舶は、甲板上に百畳もあるような大きな日の丸をかいて就航した。しかし、これも攻撃されて、日本人の乗り組む船舶も相次いで攻撃され、十二隻が被弾、二名のとうとい犠牲者を出した。こういうふうに語っておられます。  平山公述人が出した資料、これは当委員会には配られておりますので委員の方は御存じでありますから、裏面は使わないで、外務大臣防衛庁長官にお示しをいたします。(図表掲示)これはイラン・イラク戦争で、この黄色の水域、これはイラクが設定した戦争水域であります。いわば戦闘地域と言っても過言ではない地域。そして、この赤い点がいわゆる攻撃を受けた船舶の数でございます。そして、緑色が日本の船舶。つまり戦争水域以外、戦闘地域以外でもこのような攻撃を受ける。  こういうことで、平山さんが何とおっしゃっているかというと、幾ら後方地域支援などと言ってもそれは机上の空論で、皮肉な言い方をさせていただくなら、全くの机上の空論であり、平和ぼけと言わざるを得ない、こう平山さんが言っておられます。  この体験を防衛庁長官はどのように受けとめますか。
  155. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 我々は、今お示しになった絵と違いまして、あくまでも戦闘区域と一線を画した後方地域を設定しまして、そこにしか行かないわけでありますから、同列に議論することは私は間違いだと思っております。また、かりそめにもそういう法律上の後方地域の要件を満たさなくなったら、実施区域を変更したり行為の中断をやるという安全の担保も法律上きちっとしているわけでありますから、私は今、委員がお示しになった事態とはおのずから違う問題だと考えております。
  156. 小泉親司

    ○小泉親司君 そういうのは机上の空論だというふうに思います。  さらに、平山公述人は何と言っておられるかというと、NATO軍によるユーゴ空爆が四月に入ってからはコソボ地区のユーゴ軍の補給路を遮断する作戦、すなわち後方支援活動を主たる攻撃目標として補給路である橋や鉄道や道路などが次々と破壊されています。空爆の正当性に対する疑問はさておくとしても、経験的に申し上げれば、戦争は一たん戦端が開かれますと確実にエスカレートし、やがては民間も巻き込んで、後方地域に対する攻撃はもとより、誤爆、誤射、味方同士の相互攻撃、いわば何でもあり、何が起きても不思議はないというのが戦場を支配する論理だ、こう言っておられます。  私は、これは船員の方々の体験として大変事実に近い、こういうふうに思います。政府が戦闘地域やおそれのある地域に輸送は想定していないと言っても、私は何の保証もないというふうに思います。  一体、戦闘地域やおそれのない地域だから大丈夫だと言う政府は、どこに保証があるんですか。防衛庁長官、明確に答えてください。
  157. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今申し上げたとおり、今、委員がおっしゃっているのは戦闘地域での話でありまして、私どもは戦闘地域とは全く一体化しない後方地域を設けて、そこにしか行かないわけで、もしそのことが危険であれば行為を中止するわけでありますから、そういうことは法律上きちっと書いてあるわけですから明確だと思います。
  158. 小泉親司

    ○小泉親司君 この地図を見れば、私が何遍も示していますように、この黄色の水域が戦争水域なんですよ、イラン・イラク戦争においては。つまり戦闘地域が黄色の地域なんです。いいですか。黄色の地域以外のところでもたくさん攻撃されているじゃないですか。このことを私は言っているんです。  それでは、一つお聞きしますが、防衛庁長官は先ほど休止されるとおっしゃいました。ところが、法案の第五条では何と書いてあるかといいますと、「当該輸送を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、」自衛隊の部隊の長は「当該輸送の実施を一時休止する」と、こういうことは確かに書いてあります。  それでは、お尋ねしますが、民間の船舶がそのような活動を休止すると法律のどこに書いてあるんですか。
  159. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 民間に協力依頼をする場合はもちろん安全性を確かめた上で依頼するのでありまして、安全じゃないところに依頼することはないのでありますから、私どもはそういう心配は起こらない、こういうふうに考えております。
  160. 小泉親司

    ○小泉親司君 よろしいですか。それではもう一回お尋ねしますが、民間は休止するということが法案に書かれておりますかということをお尋ねしているんです。それだけ答えてください、防衛庁長官
  161. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 法律上の規定は置いておりません。置かない理由は安全なところにしかやらないからであります。
  162. 小泉親司

    ○小泉親司君 いいですか。私が防衛庁長官質問しているのは、平山公述人の生の体験をお話しして、実際に当初の、初めの契約、つまり民間が依頼をされてやっているときには安全かもしれないけれども、戦争などというのは一たん戦端が開いたらもうどこも安全だというようなところはないんだと、実際に補給路が攻撃されて前方も後方もなくて、戦闘に巻き込まれるんだということを言っているんですよ。その点、そういう保証は法案にはないわけですから。長官、一体どこにあるんですか。
  163. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 法案には規定がないということは先ほどから申し上げているわけであります。  民間の協力につきましては、一般には我が国の領域で実施される場合が通常想定されているわけであります。公海上の輸送についても排除するものではありませんけれども、安全性については慎重に判断し、およそ不測の事態が起こり得ないところ、そのような危険がないと考えられる状況における協力を求め、また依頼するものであります。現に戦闘行為が行われている地域またはそのおそれのある地域への輸送を依頼することは全く想定しておりません。
  164. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は大変おかしいと思うんです。  自衛隊は戦闘に巻き込まれることになったら休止するということが法案で決められている。ところが、民間が後方地域支援、自衛隊と同じような米軍の物資、武器弾薬の輸送、武装米兵の輸送、こういうものをやる。後方地域支援をやる民間の船舶には休止するという規定が法案には盛り込まれていない。自衛隊は大丈夫だけれども、民間は戦闘に巻き込まれても構わないと言うんですか。
  165. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 民間船舶についてのいろいろの御議論でございますが、もとよりこれは法案の九条第二項の、政府からの「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。」という規定に基づくものと思われます。  そのような場合につきまして、確かに委員御指摘のとおり休止云々の法文上の規定はございませんが、まず第一に、再々防衛庁長官からも御答弁しておりますように、後方地域で行われるもの、そしてその後方地域の定義といたしましては、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空をいう。」ということでございます。したがいまして、我が国周辺の公海及びその上空ということで、全くすべてが危険であるというようなことは考えられないわけでございまして、当然安全なところというのは私どもはあるのだろうと思います。  今、防衛庁長官からも御答弁申し上げましたように、輸送を民間に依頼するというのは、それは協力をお願いするということがあるわけでございますが、基本は私は領域の中だと思っております。ただ、公海に出る場合も排除されないということではございますが、それが大宗を占めるものではないだろうということは一つございます。  それから、しからば安全はどう確保するのかということでございますが、これにつきましては、先ほど防衛庁長官からも御答弁がございましたように、基本計画の中で安全の確保についての準則を定めるとともに、またこれはかつて衆議院委員会におきまして運輸大臣から御答弁があったところでございますが、必要なマニュアル等を定めまして十分な安全の確保を図るということでございます。ある意味では自衛隊の行います輸送以上の手厚い安全措置を講じなければならないであろうというふうに思っている次第でございます。
  166. 小泉親司

    ○小泉親司君 安全だ安全だと言っているだけで、その具体的な根拠を何ら示せないじゃないですか。  よろしいですか。平山公述人がもう一つ言っておられるのは、何と言っておられるかというと、この地図のイラクの領土のところからホルムズ海峡の出口まで、これがちょうど日本海の最も広い幅の区域だそうであります。朝鮮の有事ですとか台湾の有事で、平山さんは何と言っておられるかというと、日本海や対馬海峡、東シナ海などの海域、航路帯は極めて狭い限定されたものだ、一体どこに武力行使と一線を画す安全な後方地域が存在するのか、御存じの方は具体的に海図に線引きをしていただきたい、こう言っております。  例えば日本海。先ほどこのパネルの横幅の話をいたしましたが、周辺事態というのは日本の周辺地域で起こる事態だということですから、例えば、じゃ、朝鮮の有事で実際にこういう後方地域が引けるのかどうなのか。特定なところ、どこを引けとは言いませんけれども、それでは実際にこの海図の中で、日本海で後方地域などが設定されるという根拠は一体どこにあるんですか。
  167. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) これは、大臣から累次御説明しているところでございますが、まさに後方地域というのは先ほど申し上げたようなそういう定義の地域でございまして、それを満たしているかどうかというのは、その時点時点の状況を、まず戦闘の全般的状況であるとか、あるいは装備品の能力であるとか、あるいは米軍、相手国の軍隊の展開状況だとか、こういったものをいろいろな情報を集めましてそれで判断をする。これは合理的に判断できるということでございます。
  168. 小泉親司

    ○小泉親司君 全く合理的ではないと思います。頭の中の組み立てだけにすぎないというふうに思います。平山公述人のこの体験にあなた方は何にも答えていないじゃないですか。  もう一つ、私は平山公述人が話された中身で大変重要な中身を指摘したいと思います。  平山公述人は、後方地域支援といっても、日本の船は輸送した米軍の車両や武器弾薬を洋上で積みかえる装備を持っていないと。つまり、あなた方が言うように後方地域というのは公海上に設定されるわけですから、そこまで民間の船舶が運ぶ。ところが、この前防衛庁長官が言っておられましたけれども、後方地域を設定したら米軍がとりに来ると。とりに来るのに、日本船は洋上で積みかえる装備を持っていないというんですから、じゃ、一体どこでやるんですか。  防衛庁長官が言われた答弁ですからね、この前のガイドラインの特別委員会で。あなたは、後方地域を設定してそこに輸送したら米軍がとりに参りますから心配ないんですと言ったんです。民間の船舶が輸送した米軍の弾薬、武器、車両、そういうものをどうやって積みかえるんですか、防衛庁長官
  169. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 極めて具体的な話でありますから、担当局長から答弁させます。
  170. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、先生の御発言の中で、後方地域というのを公海上だけというふうにちょっと受け取れる御発言がございましたが、正確に申しますと、後方地域というのは、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲」というのが後方地域でございます。  それから、実際のその活動が可能かどうかと。それは物理的な意味で、機能として可能かどうかというのは、そういう業務が可能な範囲で行うというのは、これは当然のことだろう、こう思います。
  171. 小泉親司

    ○小泉親司君 前段の、主として日本の領域、それから公海及びその上空、こういうことをあなた方はテープレコーダーのようにずっと衆議院からやってきたんだから、そんなこと答弁する必要ないんですよ。  私が言っているのは、平山公述人という全日本海員組合の教宣部長が、日本の船舶というのはそういう状況なんだ、つまり洋上で積みかえるような大きなクレーンだとかそういうものを持っていないんだと。そうなったら、日本の船舶というのは、公海上じゃなくて、例えば米軍との契約で他国の領域にまで行って運ぶことが可能、これは法案上可能になっているんじゃないですか。どうですか。
  172. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) せんだって大臣が御答弁いたしましたのは、要するに、後方地域へ輸送してその後どうするんだというようなお話の中で、それは、我が方としてはその後方地域までの範囲の活動である、そこから先は米軍の部内の問題である、こういう御趣旨を答弁されたものと私は理解しております。  それから、仮に依頼をして、これは依頼でございますからまさに何らの義務を生ずるわけでございませんが、依頼をして何らかの業務を行っていただくとしても、それは当然できる範囲のものしかできないわけでございまして、そのできないものをやれということをこういうことで決めているわけでも何でもございませんので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  173. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、全く誤解をしておりません。あなた方が提出した協力例の中に何て書いてあるかというと、民間のいわゆる輸送業者、つまり、先ほども答弁されているように、船舶が実際に運ぶと言っておられるわけでしょう。その大半が実際には洋上で積みかえることはできない。先ほどそちらから何か領域の話だと言っておられたけれども、公海上に行くということは明白なんですよ、これ。そんなのは当たり前なんです。そんなことをごまかしちゃいけませんですよ。  それでは、聞きますが、実際に民間の船舶、つまり米軍の弾薬や武器を輸送する民間の船舶というのは、後方地域ばかりじゃなくて他国の周辺の領域にも米軍の要請があれば行ける、法案はそういう点では制限はない、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  174. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先ほども答弁申し上げましたが、輸送というのは本来的に我が国の領域内というのが大宗であると私は思っております。  それで、洋上で積みかえることができるのかというお話でございますが、確かに大量のものということでそういう装置がない船もあるかと存じますけれども、決してそこはすべてのものができないということでもなかろうかというふうに存じておる次第でございます。ただ、あくまでそのようなことを中心に想定した規定ではございませんで、基本的には領域内であるというふうにお考えいただいてよろしいと思います。  それから、その九条第二項で関係の行政機関から国以外の方に依頼をいたしますのは、あくまで法案の定める後方地域の範囲内ということでございまして、今、委員御指摘のような第三国の領域に入るようなことをお願いするということは考えておりません。
  175. 小泉親司

    ○小泉親司君 あなた、領域内、領域内と言われますけれども、この民間協力例では公海上の輸送も排除されるものじゃないと言っておられるでしょう。公海上のものも排除されるわけじゃないんだから、公海上に設定される後方地域に行くということです。しかし、行っても積みかえられない。どうするんですか、あなた。  だから、私が言っているのは、あなたは想定されない想定されないと言いますけれども、米軍と民間船舶が契約したときには、民間船舶は例えば紛争当事国の周辺国、こういうところの港にも入れるという可能性だってあるんじゃないですか。そういうことを否定されるんですか。
  176. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 私が領域内が主であろうというふうに申し上げたのは、まさに主であろうということを申し上げたわけでございまして、これも政府が何遍も御答弁申し上げておりますように、排除されないということだけを申し上げておるわけでございます。  それから、米軍が契約している範囲ということでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、この法案の第九条第二項で政府が関与いたします限りにおきましてそれは後方地域に限られるということでございます。
  177. 小泉親司

    ○小泉親司君 政府が関与しない以外はできるということですか。
  178. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 米軍は地位協定上自分で自由に契約をすることはできるわけでございます。そういう意味で、この周辺事態安全確保法案とは全く関係なしに契約をするということまで禁じる規定はございません。それを民間の業者の方が受けるのかどうかということは、全く契約自由の原則のもとであろうと思います。
  179. 小泉親司

    ○小泉親司君 つまり、政府が関与しなければ行けるということを言っておられるわけで、私はやはりこれは大変重大だというふうに思います。  例えば、「一九九一年日本の敗北」という本の中で、湾岸戦争のときに日本政府がどのような協力をさせられたか、特に民間の協力がどういう状況だったか、大変克明にNHKの記者がレポートをされておられます。  この本によりますと、湾岸戦争のときに三つの船会社、日本郵船、大阪商船三井船舶、川崎汽船に、ブッシュ大統領から海部首相に電話が来て、運輸省からその三つの会社にアメリカの物資を中東に輸送してくれという要請があった。しかし、日本郵船や大阪商船、川崎汽船は、社名が出ると会社の名前に大変傷がつく、だからどういうふうにやったかというと、新会社をつくって、この新会社で貨物船を出した。それがイラクの隣国サウジアラビアのアルジュバイル港、ここに米軍の大型テントと建設資材などを輸送した。これは運輸省が絡んでやっていることなんですよ。  そして同時に、アメリカが要求しているのはロールオン・ロールオフ船、つまりローロー船といいまして、自動車を輸出したり車両を輸出したりするときに、自動車を船積みするときに自動的にできる、それから陸揚げのときにも自動的にできる、こういうものを強く要求してきたということがこの中にも書かれております。  こうなりますと、私が先ほども指摘をいたしましたように、実際に民間の業者は戦闘地域と後方地域の区別もつかないところに行かされる、しかもその活動の休止については自衛隊はあるけれども民間の船舶にはない、さらに行き先は無限定だと。こんなひどい法律はないんじゃないでしょうか。これはまさに国民を戦争に駆り立てるという以外の何物でもないじゃないですか。この点では歯どめが全くこの法律にはない。実際にこういう要求がされてくるということが当然のこととして想定される。  今、伊藤さんが言われたけれども、あなたが言っているのはすべて机上の空論なんですよ。ああだこうだと言っても、排除されない、主として領域だ、そんなことを言ったって、米軍から要求されたら公海上に行くんでしょう。違うんですか。
  180. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほどもお話がありましたが、地方公共団体や民間の協力に伴い危険が発生することは私どもは想定しておりません。そういうところに出す気もないわけであります。  そして……(発言する者多し)ちょっと聞いてくださいよ。  そこで、協力の種類とか内容とかあるいは安全確保の配慮事項は基本計画にちゃんと書くわけでありまして、それが国会に報告されて、国会議員の皆さんも御審議いただくわけでありますから、そういう方向でぐあいが悪いということであれば、これは民間に依頼しないということになるわけであります。また、仮に民間が依頼を受けても、これは強制でも何でもないので、危険であると思えばいつでも断れるし、断ったからといって何の罰則規定もないわけですから、これはもう駆り立てるとか戦争法だなんということとは全く次元が違うということをひとつわかっていただきたいと思います。
  181. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、平山公述人の生の体験を中心にして、実際に先ほど私が言ったのは、長官、全然私、わかっていないと思うのは、そのときに戦闘地域でなくても戦闘地域になる場合だってあるということをあなたは認めているわけでしょう。ところが、自衛隊には休止する規定があるけれども、民間船舶がそこに行ったら休止できるなんという規定は法案の中には全くない。  あなたは強制がないと言っておられたけれども、先ほど私、この文書を示しましてお話ししましたが、湾岸戦争のときだって、初めこの三つの船会社は船員組合の抵抗に遭ってできなかったんです。社名が傷がつくというので実際にこの会社がやったのは、別の会社をつくるという苦肉の策でやったんです。しかも、この中には、運輸省の局長級がどんどんと船会社に行って徹底して圧力をかけてやらせたということが明白に書いてあるんです。明確な強制になるじゃないですか。  私はこの点、実際に、防衛庁長官が言っておられるのは、後方地域という、戦闘地域と一線を画すから憲法上は全く問題が生じないというのは、平山さんの言葉ではありませんが、私、全くの机上の空論であるというふうに思います。  この点では、これは全く後方地域支援という兵たん活動が民間の船舶、特に国民をこういう戦争に引きずり込むものだということを強く指摘して、次の質問に入ります。  次に、NATO軍によるユーゴ空爆問題についてお尋ねをいたします。  空爆の開始から既に二カ月近くが経過いたしました。NATO軍によるユーゴの空爆が、中国大使館への攻撃、鉄道やテレビ局への攻撃など、多数の民間人を殺傷しているという事実が大変明らかになるにつれて、中国の国内初め世界で空爆反対、空爆を即時中止せよという多くの世界の国民の声が上がっているというふうに思います。  最近でも、NATOの加盟国でありますイタリアの下院が空爆停止をNATOに働きかけて、事態解決を国連にゆだねるという決議を採択されました。  私、この前外交・防衛委員会高村大臣に質問いたしましたら、NATOは結束していると大分強気で言っておられましたけれども、実際にこういうイタリアの例を見ても、NATOの加盟国の中でも空爆を停止せよという声が起きているというのは大変重要だと。  私、この点で、日本政府が空爆を停止するということを世界に働きかけるべきだという点をまず初めに要求したいというふうに思います。
  182. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、コソボの問題を解決するために一番大切なことは、ミロシェビッチ大統領が国際社会の声に耳を傾けて、民族浄化というようなことをやめて、軍、治安部隊をコソボから撤退させて、そしてそのことをきっちり検証させて、難民が何らかの国際的安全保障措置のもとにコソボに戻れるようにする、そういうことになれば空爆は当然に停止されるわけであります。何の政治的解決の見通しも持たないまま一方的に空爆を停止したからといって、この本質的な問題が解決されるとは思えないし、場合によってはかえってミロシェビッチ大統領にフリーハンドを与えてさらに民族浄化というようなことが激しくなるおそれすらある。  こういう状況の中で、私たちは国際社会の統一ポジションをつくろうと思って、NATOの国それから日本、ロシアを含むG8の中で統一ポジションをつくるために努力をいたしました。そして、G8の統一ポジション、これはもちろん完全に細部まで詰まっているわけではないんですが、一般原則としては幸いなことに統一ポジションが詰まったわけでありますが、そういう中で、最近ミロシェビッチ大統領、ユーゴ側もこのG8の統一ポジションをある程度評価する、こういうことになってきているわけでありますから、こういう中で私は政治的解決が図られるべきである、こういうことを思っているわけでございます。
  183. 小泉親司

    ○小泉親司君 惨劇が広がるかもしれないというふうに外務大臣は言われましたけれども、私は空爆でまず人道的な惨劇が深まっているというふうに思いますよ。  実際にこの問題というのは、最後に大臣も言われましたように政治的解決が、平和的解決が大変大事なわけで、その点で空爆を即時中止して平和解決をやるべきだということを日本政府が声高に叫ぶ必要があるんじゃないですか。その点いかがですか。
  184. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 既に申し上げましたように、日本政府がそういうことを声高に叫ぶことによってかえってミロシェビッチ大統領に希望と勇気を、彼なりの希望と勇気でありますが、与えることになって、かえって政治解決に向かわない、フリーハンドを与えられる、こういうようなおそれすらあるという状況の中で、日本政府がそういうことを打ち出すというつもりはございません。  ただ、G8の中でも日本政府は、これは最終的には国連安保理で解決されるべきだ、そういうことは主張してきましたし、G8の共通ポジションにもそれはなっているわけでありまして、またそういう中で、政治解決の中で難民が安全に帰還するために軍事的なプレゼンスというのをどの程度のものにするかというのは各国の間でいろんな考えの差があるわけでありますが、そういうことについても日本政府としていろいろ一つの結束したところにロシアも含めて行けるように努力をしているわけであります。  また、空爆停止にしてもいろんな時期があり得るんだろうと思うんです。私は、何の政治的解決の見込みもなくただ一方的にNATO側が空爆を停止することはかえって悪い影響を及ぼす可能性が非常に大である、こういう判断を申し上げているので、何も国際社会の要求すべてを完了し終えたときしか空爆停止はあり得ないということを申し上げているわけではなくて、その中には政治解決の中でいろいろなことが考えられるとは思っております。
  185. 小泉親司

    ○小泉親司君 大分以前よりは空爆停止のことを考えておられるやに思われますが、このユーゴ空爆というのはそもそも国連で授権された武力行使ではない、このことは大臣も繰り返し当委員会でも認めておられることであります。  問題は、大臣はこれは人道上の介入、日本政府としてはそういうふうに見ておるが、それがどのような条件で許されるのか、どのような物差しが形成過程で許されるのか、それがはっきりしないんだと。だから日本政府としては、適法かどうかわからないけれども、NATOが、国際社会が民族浄化を座視していいのかという判断でやっていることなんだから、やむを得ざる処置として、行為として理解したんだという説明を当委員会でも繰り返し説明されております。  そこで、私お尋ねをしたいと思いますが、今度の人道上の問題というのは、いわゆる内戦の介入でもあるわけですね、性格的には。政府は人道上の介入とかいろいろ言っておりますが、人道上の問題を理由とした武力介入が許されるのかどうか。特に日本政府は、たとえ人道上の理由であっても武力行使はできないという立場なんですか、それともできるという立場なんですか。どちらですか。
  186. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 誤解のないように最初に申し上げておきますが、空爆停止に関しては、何の政治的解決の見込みもなくて一方的に空爆を停止しろということは言わないというのが日本政府立場であるということは申し上げたとおりでございますので、何かその点について柔軟になってきたということではありません。ただし、いろいろな時期というのは考えられるでしょうと申し上げているだけのことであります。  それから、周辺事態に係る政府統一見解におきまして、「「内乱」、「内戦」等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」を周辺事態の一例として記述したのは、国会の場においてこのようなケースの位置づけについて累次にわたり質問がなされたため、政府として考え方を改めて明らかにすることが適切であると判断したからであります。  その上で……
  187. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんなことは全然聞いていないですよ。
  188. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ちょっと私が発言中ですから黙っていてください。  その上で、ある国における政治体制の混乱等により、その国において内乱、内戦等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大していくかどうかについては、その事態の規模、状況、紛争の性格、国外への影響、諸外国の対応等の要素を総合的に勘案して判断する必要がある、こういうことを内戦云々の問題については申し上げてきたわけであります。  内戦に介入することが許されるか許されないかということは、基本的には内政不介入ということがあるわけでありますが……
  189. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんなことは聞いていないですよ。私の質問に答えてないんですよ。だって大臣、私の質問全然わかってないですよ。私が質問しているのは周辺事態の話じゃないんですよ。あなた、官僚の答弁を読まれるからそういうことになってしまうんですよ。  私が聞いたのは、日本政府は人道上の理由という問題で武力行使はできないという立場なのか、それともできるという立場なのか、どちらですかとお聞きしたんです。
  190. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 周辺事態に内戦、内乱が含まれると答えているがということを前置きして言いましたから、日本の政府が言っていることはこういうことですよとまず申し上げて答えようとしたわけでありますが、それについて途中で遮られるから遮らないでくださいと、こう申し上げたわけであります。  人道上の介入については、現時点でまだ形成上のことでありますから、そういう具体的な問題を離れてそういうことができるかとかできないとか日本政府として言う状況にはない、こういうことでございます。
  191. 小泉親司

    ○小泉親司君 形成上の問題というのはどういう意味なんですか、大臣。
  192. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 例えば、主権国家の中だと、法律の形成というのは国会を通ってこの時点で決まったということがきっちりするわけでございます。ただし、一般国際法上というのは、必ずしも一般国際慣習法というのは、非常に大きな範囲を占めておりますから、それがいつできて何月何日にそういう慣習ができたとか、そういう話ではないわけです。それは国内でも慣習法というのは全然ないわけじゃないけれども、ごく微々たるものですが、国際法においてはそういう一般国際慣習法というのは非常に多いわけで、そういう中で人道上の介入というのが許されるのではないかという意見が台頭してきている。台頭してきているけれども、それではどの程度ひどい場合に許されるのかとか、介入するにしてもどういう条件で許されるのか、そういうことがまだ定かにこうだと日本政府がきっちり言えるところまで固まっていない、こういうことを申し上げているわけです。
  193. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 小泉親司君、時間が参りましたので。
  194. 小泉親司

    ○小泉親司君 実際、人道上の介入というのは国際政治の中でも形成過程の見解で言っているけれども、これは十九世紀に大国が他国に介入するときの論理なんです。だから国連ができて、国連の場でやろうということになったわけでしょう。こんな形成過程の見解などというものはごまかしの議論なんです。  だから、私はこの点、人道上の理由であっても武力行使はできないと。よって、NATOが人道上の理由で空爆をやる、これは全く国際法上道理が合わない。このことを強く申し上げて、空爆の即時停止を強く要求して、時間が参りましたので、私の質問を終わります。(拍手)
  195. 田英夫

    ○田英夫君 きのうドイツテレビ、ドイツテレビというのはドイツのNHKのような放送局でありますが、そのドイツテレビがこのガイドライン問題について私のところにインタビューに来ました。  取材をしにきた支局長は、日本とドイツは大変似ていると思う、敗戦、占領、米軍基地問題、そして現在は日本はガイドライン問題、ドイツは初の海外、つまりNATO域外へのユーゴ攻撃ということを体験し、国論を二分していると。ドイツの場合は爆撃が始まったころよりも反対する声が次第に多くなってきているということであります。  そのインタビューの中で私は、確かに日本とドイツは似ている、おっしゃるとおり共通点はたくさんあるけれども、二つの点で非常に大きく違うと思うと。  一つは、同じ戦争の体験の中から日本はいわゆる平和憲法を持っている。戦争を放棄し、武力行使はしないという憲法を持っている。一方でドイツはそうしたことはない。したがって、日本は絶対に今回ドイツがユーゴ攻撃に参加をしたような、あのような戦争行為をすることはないんだ、これが大きな違いだ。  もう一つは、逆にドイツは戦後、いわゆる過去の歴史認識の中で、ナチがやったユダヤ人に対する虐殺などの行為に対する反省から、実に徹底した謝罪と補償をやった。これに対して、日本では残念ながら歴史認識に対してまだ意見が一致していなくて、政府としても長い間、中国や韓国、朝鮮、そしてアジアの人たちに対する謝罪、補償ということをしてこなかった。一九九五年の村山内閣の八月十五日の総理談話で初めて明快に謝罪をしたという、この歴史認識の点でドイツと日本とは違う。  この二つのことを実は答えたのであります。  確かに今、この日本のガイドラインということに対して、ドイツ国民を含めてヨーロッパでは非常に関心が高まってきている。それは、特にドイツでは自分たちのユーゴ攻撃ということと重ね合わせて考えているということをそのドイツテレビの人は言っていたのであります。  そこで本論に入りますが、きょう、私の気持ちでは、ようやく総論から各論に入る段階に来て、私は質問に立つのはこれで二度目でありますが、ようやくきょうから各論に入れる。  一昨年の六月八日にガイドラインの中間発表があって以来、私は、与党のガイドライン問題協議会のメンバーとして、四十項目にわたる協力の項目について六、七、八、九と四カ月、自民党皆さんの中にもそのときのメンバーおられますけれども政府の外務省、防衛庁の皆さん議論を闘わせてきた。四カ月やりました。ですから、これから各論に入って、私は四カ月皆さん議論をしたい。議論をしなければ本当の結論は出ないと思う。にもかかわらず、報道によると、もう来週早々にも採決というような声があるやに聞きますけれども、とんでもない話であります。これからが議論ですよ。  そこで、きょう民主党委員が先ほど修正案を改めて出すということを表明されました船舶検査活動について、私も取り上げたいと思います。  衆議院では、実はその船舶検査活動をそっくり削除するという修正をされた。これは、政府にとっては当初の案が大きく一つ穴があく結果になったわけですが、このことは一体アメリカとの関係ではどういうことになっているのか。きょうの午後の御答弁で、外務大臣は、すぐにアメリカには話したとおっしゃいましたが、これはそっくりアメリカとのいわゆる新ガイドライン本体からも削除をされることになるわけですか。
  196. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ガイドラインはガイドラインでもうできているものでございますから、それからもう成立しているわけですから、削除とかそういう話はないわけで、船舶検査活動については、衆議院でぎりぎりの調整の中でこれは削るということになりましたが、三会派の中で新たな立法措置をとるというふうなことになった、こう聞いておりますが、できるだけ早く新規立法ができることを政府としては期待をしているわけでございます。
  197. 田英夫

    ○田英夫君 外務大臣言われたように、日米両国政府間では、ガイドラインそのものは一昨年の九月二十三日にもう発動しているということで、もうこれはでき上がっているものですから、そこでお聞きしたんです。削除も何も、もうできているものですからね。  ただ、要するにその部分はやれない、実行できないという、これはこの前も示しましたけれども、 防衛庁からいただいた、ここに実際にガイドライン本体の文書がある。その中の船舶検査活動の部分は、書いてはあるけれども、実際にもしそういう事態が来たときに、いわゆる周辺事態がもし起こっても日本の国内法上やれない、こういう事態になったというふうに考えればいいんですか。外務大臣でも防衛庁長官でも。
  198. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 周辺事態安全確保法案が仮にこのまま成立したとして、新たな新規立法がなければ、自衛隊活動でそういう授権がされていないわけでありますからそれはできない、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、新規立法の中でそれができるようになることを政府としては期待をしている、こういうことでございます。
  199. 田英夫

    ○田英夫君 国連の決議が前提だということが、これはもう周辺事態法にもはっきり書いてあります。  実は、この国連の決議ということも、当初、六月八日に発表された中間発表では入っていなかった。それを与党協議会の中で実は私どもがこれはおかしいぞ、国連で、安保理事会になるだろうけれども、安保理事会決議をしてそれを受けてやるという形にならなければおかしいんじゃないかということを申し上げてこれが入ったといういきさつがある。これは私、当事者でありますから記憶しております。  そうなると、この国連決議というものを今度は現在の与党の間で削るとかなくすとかいうお話がありますけれども外務大臣は、これはもしなくなってしまうということになると影響があると思いますか。現在は政府が出された案はあるわけですが、この国連決議ということはどう思っておられますか。
  200. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いずれにいたしましても、旗国主義という、旗を立てた国以外の国が勝手にその船に対して主権を行使することは一般的にできない。できる場合はどういうことかといえば、それは旗国の同意がある場合、あるいは同意があると同様にみなされる場合ということであります。  政府といたしましては、国連決議があれば国連加盟国はその受諾義務があるわけですから同意したと同様にみなされると、こういう判断のもとに国連決議があるということは大変一般的にやりやすいな、有意義だなと、こう考えたわけでありますが、いずれにしても私たちが旗国の同意がなければできないんだということを前提にこの法律をつくってもらわなければいけないと。そういう中で、今三会派で新規立法を検討していると聞いておりますので、できるだけ早くまとめていただきたいなと、こういうことを考えているわけでございます。
  201. 田英夫

    ○田英夫君 船舶検査活動という言葉は実は今回初めて出てきたわけでありますが、一般的に国際的には日本語にすれば臨検と。臨検というのは、臨場して検査するということの略ですから、これは昔の日本の軍隊も、海軍も使っていた言葉でありますから、普通は臨検と言うべきところをソフトに船舶検査活動としたんでしょうが、いずれにしても、これは国際的に戦時、戦争状態になったときに非常に重要な軍隊の行為、一般的には海軍ですが、であるということになっています。  したがって、今回NATOのユーゴ攻撃に際しても、ユーゴに対して石油を供給するそのルートを断とうじゃないかという考えが出てきて臨検をやろう、タンカーの臨検をやろうということがNATO軍の中で提起されたけれども、これに対してフランスのシラク大統領が、実はユーゴに石油を供給しているのはロシアである、そのロシアとの関係を悪化させるということがあってはマイナスだと反対をしてこのNATOによる臨検は取りやめになったと報道をされておりますが、これは外務省、事実でしょうか。
  202. 東郷和彦

    政府委員(東郷和彦君) 委員が御指摘になられました中で、臨検それから船舶検査、これは同じものではないかという御趣旨の御意見がございました。  私どもがこの国会でずっと御説明申し上げてまいりましたのは、今、大臣が申し上げましたように船舶検査、これは旗国の同意がある場合に行われる検査ということで、その大要をなすものの一つとして国連決議がある場合、それから旗国の明示的な同意もしくは黙示的な同意がある場合ということでございます。  他方、臨検につきましては、一般には、これはむしろ旗国主義の例外といたしまして、海洋法条約の百十条に、各国が一種の警察活動として行う、例えば海賊行為があった場合にそれを臨検し得るということで御説明してまいりまして、旗国の同意がある場合と旗国主義の例外として行われるものと、これははっきり別のものとして御説明してまいった所存でございます。  そこで最後に、臨検の中にはもう一つ、いわゆる戦時臨検というふうに呼ばれているものがございます。ただ、これは戦時国際法が、戦争が政策遂行の一つの手段として認められた時代に発達してきたものございまして、現下の国連憲章のもとで自衛権行使、安保理の決定に基づくものを別にした場合に、累次申し上げておりますように、武力の行使は原則として禁止されておるわけでございますので、そういうものを別とすれば、したがって、もはや伝統的な意味での戦時臨検がそのまま適用されるということではなくなったろうというふうに考えております。  そういう背景のもとで、今般ユーゴにおける一種の臨検というものが出てまいったわけでございますけれども、これについての法的な評価はどういうふうに考えるかということは、コソボ問題に関して累次申し上げておりますように、我が国として法的な判断をする立場にないということでございますので、判断は控えたいというふうに考えるわけでございます。
  203. 田英夫

    ○田英夫君 東郷さん、若いからそういう答弁をされるのもお立場上無理もないかもしらぬけれども、戦争を体験した人にはそんな論理は通じないんですよ。戦争になったら、今きれいごとで言われたけれども船舶検査活動と臨検の違いなんて、そういう理屈は通りません。それだけ申し上げておく。  次に移りますが、日本は、武力行使、武力による威嚇はもちろん憲法で禁じている。しかし、にもかかわらず武力行使をすることが許される、そういう場合というのが過去、政府答弁によってありました。これはお聞きするより、私の方から時間の節約上申し上げるけれども、つまり、安保条約第五条の事態、日本が攻撃をされたと。この場合に、いわゆる急迫不正の事態、それから二番目に、他に方法がない、三番目に必要最小限度ということで、その原則に従って武力行使ができる、こういう答弁政府は一貫して続けてこられた。これは防衛庁長官、変わりはありませんね。
  204. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 同じ認識でございます。
  205. 田英夫

    ○田英夫君 今回の周辺事態法で、七条に船舶検査活動の手順がずっと細かく書いてあります。これは国際的に当たり前のことなんですけれども、日本としては初めてやることですから、手順が法律にも細かく書いてある。停止を命ずる、あるいは進路変更だとか、接近し、追尾する、伴走する、さらに最終的には進路前方において待機するというようないろんな段階を書いてあります。  しかし、これは実際にそういうことをやってみると、特に最後の進路前方における待機というのは進路妨害をすることになるわけですから、相手がとまるつもりがなければ、そこでいわゆる実力行使、武力行使というところにつながる可能性があるのではないでしょうか。これは防衛庁、どう思われますか。
  206. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 私どもが実施しようとするものは、まさに憲法の範囲内ということでございます。したがいまして、武力の行使あるいは武力の威嚇にわたるものは行わないという考え方で整理をしてございます。  なお、今具体的に御質問のございました進路前方における待機でございますが、これはまさに「説得を行うため必要な限度において」ということで、説得のための行為でございます。
  207. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ次に申し上げたいのは、今回の法案でも、また本体の方もそれを前提にしていると思いますが、「日米両国政府が各々主体的に行う活動」という中にこの船舶検査活動は入っている。おのおの主体的に行うんですね。ということは、アメリカと一緒になってやるということではない、あるいは、もし国連の決議があってやっても、その他の国とやることもない、日本は独自に主体的にやるんだと。わざわざこれを規定したのはどういう意味ですか。外務大臣ですか、防衛庁長官ですか、どちらでも。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
  208. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ガイドラインにおきまして、主体的活動における協力と申しますのは、活動そのものはおのおのの判断のもと主体的に行うものでございますけれども、この活動に際しては、この活動の実効性を高めるとの観点から、日米が適切に協力を行うという趣旨のものであります。したがって、船舶検査活動そのものを対米協力として行うことを意味するものではございません。このため、船舶検査活動を主体的活動として位置づけたところであり、このことに問題はないものと考えております。  このような観点から、政府提案法案に規定されていた船舶検査活動は、後方地域支援とは異なり、米軍の活動を要件とはしていなかったところでございます。
  209. 田英夫

    ○田英夫君 私は、むしろもっと突っ込んだ事情がある、事情といいますか、日本側の考慮しなければならない条件があると。さっきあえて武力行使のことをまず前提に触れておいたのは、先ほどから申し上げているように、船舶検査活動というのは武力行使につながる可能性が極めて強い。今度の四十項目の協力の項目の中でも、私は、過去の経験から、一番憲法に違反するような武力行使につながるおそれがある、こういうことできょうも取り上げているわけであります。  そこで、あえて「主体的に」としたのは、この法案の中にもありますけれども、外国の活動と混交しないように、まぜこぜにならないようにという言葉も入っている。つまり、日本は主体的にやっているんだ、外国と一緒になると外国は武力行使をやるわけですから。船舶検査活動、さっき東郷さんとやったように、臨検の方がわかりやすいんですけれども、外国が臨検をやるときは武力行使、つまり武力による威嚇はすぐやるわけです、これは大前提のようなものですから。ということがまぜこぜになっちゃいけないから、日本は憲法の建前上独自にやるんだ、こういう配慮があった、むしろ私は配慮だと思っているんですよ。そういう配慮をしたことを私は攻撃しようと思わない。このガイドライン全体について私は賛成できないけれども、そういう配慮があることは私は肯定をしながらお話をしているんです。  そこで、次に移りますが、先日、不審船なるものがあったときに、一部のマスコミは、これは領海侵犯によるんだ、こういうことを書いていましたが、領海侵犯の罪というのは、私の認識ではないと思うんです。領海を侵したから、領海の中を外国の船が入ってきたからこれは罪になるということ、だから捕まえちゃうんだという、そういう理由にはならないと思います。  つまり、無害航行権というものが国際法上認められているんだから、無害航行なら捕まえる理由にはならない、こういうことだと思いますが、これはまさに条約局長の範囲ですね。
  210. 東郷和彦

    政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。  国際法上、すべての国の船舶は、沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り無害通航権を有するというふうにされております。海洋法条約にもその旨の明確な規定がございます。  したがいまして、外国船舶が他国の領海にてそのような意味での無害通航を行っている、そういうことであれば、その限りにおいて国際法上問題となることはないということでございます。
  211. 田英夫

    ○田英夫君 次に、国連海洋法条約の百十一条にいわゆる追跡の権利というのが認められている。領海に入ってきた外国船を、自国の、つまり日本なら日本の法律に違反する行為があったときにこれを追跡する権利が認められている。だから、無害航行なら、これは罪になるわけでもないしそのまま通る権利があるけれども、日本の法律を侵しているというそういう状態があったときにはこれを追跡する権利がある、これが国連海洋法条約の百十一条だと思いますが、これは間違いありませんか。
  212. 東郷和彦

    政府委員(東郷和彦君) 間違いないと思います。
  213. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ確かめたいのは、今言ったんですが、外国船舶ということが前提になりますね。日本の船ということはないですね。
  214. 東郷和彦

    政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。  海洋法条約、国際法で問題になっておりますのは、先生御指摘のように、外国の船が他国の領海の中に入ってその領海国の法に触れた可能性のある場合に、領海から出ていったときに何が起きるかということでございます。  他方、累次申し上げておりますように、公海における大原則は旗国主義でございますので、もし自国の船が自国の領海で自国の法を侵す可能性があるようなことをして公海に出ていった場合には、当然その領海国はその船に対する管轄権を有する、取り締まりを引き続き行うことができるということでございます。
  215. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ確認をしておきたいんですけれども周辺事態法の七条の三項、そこに、さっき申し上げたように、ずっと手順が書いてある。その中で、停船を命ずるときに信号弾及び照明弾を使用する、実弾を除くとわざわざ括弧して書いてあります。  これは、佐藤防衛局長にあえて指名して聞きますけれども、といいますのは、与党ガイドライン問題協議会のときに、最初出てきた案にはこういうことはなかった。そこで、威嚇射撃をしたら日本の場合は憲法違反になるのじゃないかということを私が発言した記憶があります。佐藤さんは、検討しますと言って、次の会ですか、次の次の会ですか、この信号弾と照明弾ということを答えられたと記憶しておりますが、これは要するに、実弾の威嚇射撃というのは憲法違反のおそれがあるからということですか。それでいいですか。
  216. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 先ほど先生御発言ございましたように、二年前のガイドラインをまとめる段階で非常に長期にわたりましていろいろ御指導をいただきました。そういう中で、各項目にわたりましていろいろ御質疑があったわけでございます。  この船舶検査活動につきましてもいろいろな観点からの御質疑があったと思いますが、その中で国連決議を、安保理決議を前提にするかどうかというのが一つ大きな議論だったと思います。それから、あと、船舶検査については、これを憲法との関係でどう考えるんだ、こういう御質疑もございました。  その段階ではまだ具体的な対応というのが詰め切れておりませんでした。そういう中で、私どもとしては、憲法の範囲内でこういった活動に協力してまいりたい、こういうことを申し上げたところでございます。その段階で、警告射撃についての憲法判断といいましょうか、そういったことを確定的に申し上げたということではなかったと、私はそう考えております。
  217. 田英夫

    ○田英夫君 いろいろ確認をしてきたのは、実はこれからお聞きしたいことに関連をする問題だったのであります。それは、去る三月二十三日から二十四日にかけて日本海能登半島沖で起きたあの不審船の事件であります。  この不審船の容疑というのは一体何なのか。これも私の方から申し上げてしまいますけれども、先ほど申し上げたように領海侵犯という罪はないわけでありますから、これは当時正しい報道でも言われましたし、外交・防衛委員会でもお答えがありましたけれども、漁業法七十四条違反ということで海上保安庁は追跡をされたというふうに理解をしておりますが、これは海上保安庁からお答えいただけますか。
  218. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 先生おっしゃいますように、包括的な意味での領海侵犯罪というのはございませんので、個別のものであります。しかも、それは外国船に対してである。  今度の場合は、日本漁船を標榜していたということから、漁業法第七十四条に基づきます立入検査等を行うために、海上保安庁の航空機及び巡視船艇によりまして停船命令を発しましたところ、これを忌避して逃走いたしましたために、漁業法の第百四十一条というところで検査忌避というのがございます。これで認定したものでございます。もし立入検査ができれば、また次の犯罪が見つかったかもしれない、こういうことで我々の方は対処したわけでございます。
  219. 田英夫

    ○田英夫君 ところが、そのときの御報告にもありましたが、海上保安庁の巡視船の速力では追いつかないというような事態の中で、深夜になって自衛隊法八十二条を発動した。海上警備行動を我が国としては初めて発動した、こういうことでありますが、ところがこの海上警備行動というのは今回がもちろん初めてなんですけれども、過去の国会でのやりとり、審議状況を調べてみると、実は審議の上では何回も取り上げられております。  一九七〇年四月十四日、参議院予算委員会の分科会で、当時の中曽根防衛庁長官が、海上警備行動は海上保安庁の船舶が攻撃を受けて危殆に瀕して、それを、相手を排除するということで正当防衛の範囲内で必要な行為として許される、そういうものでありますという答弁をしておられる。  さらに、一九七七年四月三十日、参議院の農水と内閣の連合審査の中で、三原防衛庁長官が、自衛隊は平時の場合に、もっと簡単に申し上げると、この海上警備行動というのは戦争につながるおそれがあるので、徹底的に適用を慎まなければならないものだと自分は思っている、海賊その他不法な船舶が横行するというような非常に危険な事態のときに初めて適用すべきものだと。こういう戦争につながるようなということを言っておられる。  こういう過去の答弁に比べると、この間の不審船なるものの事態というのはそんなに危険なものだったと言えるんでしょうか。防衛庁長官、これはいかがですか。
  220. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 海上警備行動は、自衛隊法の八十二条に規定され、九十三条で警察行動の権限が与えられ、警職法七条の準用があるということであります。警察官職務執行法の七条には、「公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」、こういうことが書かれております。  先般の不審船に対しての際には、海上警備行動発令後、不審船を停船させ立入検査を行うために停船命令を何十回も出したにもかかわらず、不審船舶がこれを無視したため護衛艦とかが警告射撃を行ったわけであります。それでもこの不審船舶が警告射撃を無視して逃走を続けたため、さらなる警告のために海上自衛隊の哨戒機がそれぞれ爆弾を不審船の周辺に投下したわけであります。これらの措置は、自衛隊法九十三条を根拠にした行為である、こういうふうに私ども考えております。
  221. 田英夫

    ○田英夫君 今、もう防衛庁長官の方から言ってくださいましたが、あのときに威嚇射撃をやった、海上保安庁の方も実はその段階から威嚇射撃をされましたけれども、八十二条が発動されてから自衛艦がやる、それから今言われたようにP3Cが爆弾を投下する、こういうことをやったわけです。私は、これは憲法違反だと思います。  さっき布石として聞いたというのはちょっとあれですが、今度の船舶検査活動では威嚇射撃をやったら憲法違反になるということを配慮して、信号弾または照明弾、実弾を除く、こうはっきり法案の中に書いてある。そういう配慮をしているじゃないですか。  それを、周辺事態でもない、いわゆる黄色信号でもない全くの青信号の平時である現在、不審船、しかもこれは逃げる一方ですよ。反撃してきたわけじゃない、向こうから撃ってきたわけでもない、ひたすら高速で逃げているだけの船に対して実弾で威嚇射撃をやり、爆弾まで落とす、これが憲法違反でなくて何が憲法違反になりますか。武力による威嚇そのものじゃありませんか。私は明らかに憲法違反だと思う。防衛庁長官、いかがですか。
  222. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 船舶検査等における警告射撃等は、法制局長官が累次お答えしておりますとおり、憲法上まだ結論は出ておりませんが、さらなる検討をしなければいかぬと言っておられるわけであります。  この不審船に対して私どもがなしたのは、あくまでこれは日本の警察権の行使でありまして、船舶検査における警告射撃とは全く性格が違う、警察権の行使として当然出てくる警告射撃であった、こういうふうに考えている次第です。
  223. 田英夫

    ○田英夫君 この問題はまさに憲法違反という重大な問題でありますから、この委員会もまだまだ続くと私は思っておりますから、何回も議論をしなければいけない重大な問題だと思います。  今まさに警察行動だとおっしゃった。運輸大臣に早くからおいでいただいて申しわけありませんでしたけれども、私はこの沿岸の警備という問題は本来一にかかって海上保安庁が担当すべきもの、海上保安庁が主役であって、海上自衛隊はよっぽどのことがない限り出てきちゃいけないんだ、特に憲法九条を持っている日本の場合はこのことを厳格に守るべきだと思っています。  海上保安庁の責任者である運輸大臣はこの点はどういうふうにお考えですか。
  224. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、領海警備という一つの定義でございますけれども我が国の平和秩序、安全を害する外国からの諸活動、これに対して我が国の領海内における主権を確保するために行われるものである。領海内において商船、漁船、先ほど御指摘ございましたように無害通行ということ、それから台風等のときに緊急入域をいたしております。昨年の例で申し上げますと、四千七百回入ってまいります。領海警備は、このような状況の中で、無害でない通行、それから不法行為を判別して監視し、取り締まりを行う警察活動でございます。  昨年の例でいきますと、実は平成六年で不審な行為をする船、不審な行動をする船舶は二百五十八件でございましたけれども、昨年は千九百九十二件でございます。その中から不法行為かどうか判別をする。無害通行で通っているもの、しかしその中でどうもおかしいということで判別をして取り締まりを行う警察活動、このような性格でございますので、御指摘のとおり、活動は警察機関たる海上保安庁がまず第一に対処することが適当であると考えております。  なお、海上保安庁で対処することは不可能、または著しく困難と認められる事態に至る場合もあることから、防衛庁との関係というものを十分していかなきゃならないということで、今回はそういう適用をいたしたところでございます。
  225. 田英夫

    ○田英夫君 時間がなくなってしまいましたけれども、ひとつ運輸省、海上保安庁は自信を持ってこれをやっていただきたい。  それから、ともすれば、防衛庁長官の前で失礼ですけれども、防衛庁は膨大な予算を持っている。やっぱり船をつくるのに防衛庁でつくった方がつくりやすいという事実は、私は実は第一次南極観測隊の隊員でしたから、途中で「宗谷」がもう老朽船でだめになって観測が途絶えてしまったときに、それを再起するためには新しい砕氷船をつくりたいと。そのときに実は中曽根さんが協力してくださったんですが、防衛庁の方が予算が取りやすいよと。当時六十億円です。それで、「ふじ」ができました。さらにそれが今「しらせ」になっている。  そういう事情があったということを申し上げて、しかしそういう安易な形ではなくて、本来これは警察活動として海上保安庁は責任を持つべきものだということを申し上げて、時間が来ました。終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  226. 山崎力

    ○山崎力君 自治省の方来られていますか。大臣がおいでにならないのであれなんですが、時間的にいったらしようがないんですが、今回の一連の審議の中から一つ浮かび上がってきたことは、先ほども同僚議員から幾たびか出ておりますが、自治体の協力、自治体の不安が大分ある、こういうことでございます。何をするのかわからぬ、決まっておらぬということが言われているわけですけれども、その中で今まで私が寡聞にして知らないといいますか、表面に出てきていない問題があります。  それは何かといいますと、お金の面の補償といいますか、自治体が協力する、協力することによってお金がかかる、そのことをどうしてくれるのかと。金の話だから余り言いたくないということもあるのかもしれませんが、そのことが自治体の当事者からしてみればかなりの不安になっているのではないだろうかというふうに思っておるんですけれども、その辺について、まず自治省の見解を伺いたいと思います。
  227. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 経費負担問題について自治省の方からお答えをさせていただきます。  地方団体が協力を行いました場合、通常、国等からは所定の対価が支われるということに相なります。例えば給水を行いますと水道料金、あるいは施設を借り上げた場合には使用料といったことが考えられますので、通常の場合、地方団体に実質的な財政負担が生ずることは一般的には考えにくいというふうに思っておりますけれども、そのような対価をもってもカバーされないような特別の負担が生じた場合につきましては、協力との間に相当因果関係がある限り、その協力による損失ということで、国により財源措置が講ぜられるということが九条の三項に定められております。  地方団体の協力の種類、内容、これは具体的な事態において明らかになるものでありますし、またそういう意味でございますので、何に関して損失が生ずるかというようなこともあらかじめ申し上げることは困難でございますけれども、仮に損害が生じました場合には、具体的な損失の性格とか内容に応じまして、適切な手続を通じて国による補てん措置が講ぜられるものと、そのように考えておる次第でございます。
  228. 山崎力

    ○山崎力君 その適正な手続というのがくせ者でございまして、例えば地方道が予定された以上の重量の運搬物により破損されるおそれがあると、適切な処理を施せばいい、あるいは多少壊れてもそれを国の方で、あるいはどこか別のところで結構ですから直してもらえるという保証があるならばそういうふうな車両を通してもいい、こういうふうな場合、道路管理者たる地方自治体、そういったものはどういう適正な手続で回復するんでしょうか。
  229. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 道路法についてのお尋ねでございますと、私から個々具体的に御答弁するのが適当かどうか若干問題がございますが、一般論として申し上げますと、九条の一項、二項でお願いしますのは、現行の法令並びにその基本計画に基づきということでございます。したがいまして、その法令に反するようなことをお願いすることはない、これは当然のことでございます。  今の道路の、先生挙げられました設例で申し上げますならば、そもそもその道路を破損するようなおそれがある輸送の依頼というようなこと自体があり得ないことであるというふうに思っております。したがいまして、損害の補償があるかないかということで地方公共団体の長の判断が変わるという問題ではないというふうに思っております。
  230. 山崎力

    ○山崎力君 そうなんですかね。  それではなぜあのときに、といいますのは、今を去るもう二十数年前になりますが、ベトナム戦争真っ最中に、相模の補給廠というのですかね、工廠から米軍ノースピアにベトナム向けのM48戦車を運ぶときに、当時の飛鳥田横浜市長が、道路法のいろいろな規則があって、道路管理者はそういったいろいろなことに関しての基準を超える車両を通行させる者に対して当該車両の通行を禁止あるいは危険防止のための必要な措置を命ずることができるというところから盾にとって、現実にストップさせたわけです。それで、何をやったかというと、その重量に耐えられる補修工事を橋に施して後ノースピアに、米軍専用桟橋に運び込んだ、こういう例があるわけです。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  今回の場合でもそういったことは十分に場所によっては考えられる。その補償があれば国に対して我が自治体は協力する、だけれども手続は面倒だし本当にお金を出してくれるかどうかもわからぬのに、我が県道ないし市町村道を通すわけにいかない、これは拒否する正当な理由になりませんかね。
  231. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 米軍とか自衛隊の車両や民間車両が道路を通行する場合に、道路を破損することのないよう十分配慮することは当然のことでありまして、例えばキャタピラの車両であればゴムパッドを装着するなどの配慮をすることは当然のことであります。周辺事態であっても通常時と何ら異なるものではございません。  ただ、先ほど委員が言われましたとおり、むしろ重量の方が問題になろうかと思います。そういうことで道路の破損が生じることは基本的に想定されないところでありますが、そういう重量等の問題で、事故その他の事情等も加わって道路の破損が生じた場合は、例えば米軍や自衛隊の違法行為による場合には地位協定や国内法に基づく賠償の対象になると考えます。それは、それぞれ防衛施設庁や防衛庁が行うことになります。  また、道路法の五十八条には原因者負担金の負担の原則が定められているところでありまして、周辺事態に対してもこうした規定を踏まえて対応がなされるものと考えております。
  232. 山崎力

    ○山崎力君 そういうことになっているんですが、私がむしろ問題にしたいのは、それを理由に地方自治体が、先ほどからいろいろな議論がありましたけれども、正当な理由があれば協力を拒否することができる、そのときに、重量オーバーだからこの橋は道路管理者として渡らせない、そのおそれがあるから協力を拒否する、こういう自治体が出てきた場合、正当な理由になるんじゃないか、そうすると非常に厄介なことにはなりませんか、こういうことを私はお聞きしているわけでございます。
  233. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) ただいまの設例でございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、道路のいろいろな制限はございます。ただ、それは常に一〇〇%適用されるわけではございませんで、例外を認められる場合もあるということでございます。  また、自衛隊あるいは米軍の車両等につきましては、道路の構造の保全のための必要な措置を適切に講じて通行するというようなものについては、例えば車両制限令の適用を除外するとかそういったような法令の規定はございます。ただ、この辺につきまして有権的に申し上げられるのは建設省でございますので、そういう規定があるということだけを御紹介申し上げます。  一般論として申し上げますと、九条でお願いいたしますのは、それぞれその関係の行政機関からお願いをすることになります。この場合ですと、恐らく建設大臣からそういう地方公共団体への依頼をするということになろうかと存じます。したがいまして、建設大臣は十分その辺のところは把握した上での依頼ということになりますので、先生御心配のようなことはなかなか起きにくいのではないかと私は思っております。
  234. 山崎力

    ○山崎力君 この問題は、実際の運用の場合、現実にありまして、そのときに道路法の改正まで行かなかった。いろいろな事情があったのは聞いていますけれども、ただこの四十七条の三は「道路管理者は」と、こういうふうな表現になっているわけです。  国道の場合、これは国、建設大臣ということもあり得るわけですが、県道の場合は知事でありますし、市町村道の場合は一応市町村長になっているはずです。ですから、そういった点で、自治体に対して幾ら後で補修するよという約束をしたとしてもこれは拒否する材料になる、その辺のところも考えなければいけない。まして日本有事のことを考えたら、ここのところは大変な問題になりかねない。それこそ法律を守るために自衛隊が行けなくて侵入されたなんといったら、これはとんでもない話になるわけで、まさに緊急事態のときと平時の法体系を変えるべきだということを、そういったところもあるんではないだろうかということを私は御指摘申し上げたいわけでございます。  もう一点、非常に基礎的なことで法制局長官にお伺いしたいんですが、集団的自衛権の問題がいろいろな立場でも出てまいりまして、今度のガイドライン関連法のことが非常に国民にわかりづらいというふうに言われております。  ただ、私もそういうふうな声を聞くのですが、それではわかる前提として集団的自衛権とは何ぞやとか、あるいは武力行使の一体化とは何ぞやと、このことを国民のどれだけがわかっているか。これをわからずして今回の問題はわからないわけですから、まずここのところをわかってもらわなければ困るというところがあるわけです。その意味でも非常に難しい問題だろうと思うんです。  それで、この問題で、我が国の憲法が集団的自衛権を有しつつ、その行使は禁じているという、内閣法制局長官が何回も答弁されたことなんですが、前にも似たような質問をしたんですが、いわゆるこの異例な解釈、国際的にも異例な解釈ですが、これはいかなる条文上、憲法のあれから来たものなのか。もし仮にそういった法理論解釈が可能であるならば、個別的自衛権に関しても、有してはいるが行使はできないという解釈も可能ではなかろうかと思うわけです。  意味を御理解願えたと思うんですが、その辺のところについて、憲法の立法趣旨というのもおかしいかもしれませんが、その辺をどうやればいいのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  235. 大森政輔

    政府委員大森政輔君) お尋ねの件に関しまして、どういう切り口からお答えするのが一番御理解いただけるかと頭を悩ませておるところでございますけれども、今まで御説明申し上げていない観点から申しますと、要するに国家と申しますのは、憲法を頂点とする国内法と、そして国際法と、二つの法体系の規律を受けるということでございます。そして、我が国におきましては、憲法と国際法の内容が抵触するという場合には、憲法が優越するというふうに解されているところでございます。  したがいまして、日本国が主権国家として国際法上は個別的自衛権も集団的自衛権も保有している、これは通説的見解でございますけれども、憲法との関係に着目しますと、憲法九条、すなわち武力行使等を禁止している憲法九条のもとにおきましては、我が国に対する武力攻撃に際して我が国を防衛するための個別的自衛権の行使というものは憲法九条でも禁止していないだろう、憲法九条のもとでももちろん認められる、これは最高裁判所の判例においても認めているところでございます。  ところが、集団的自衛権の行使ということになりますと、我が国が武力攻撃を受けてもいないのに他国に対する武力攻撃を実力で阻止するということを本質的内容とする集団的自衛権の行使は、憲法九条のもとにおいては認められないのではないか。それが個別的自衛権の行使は認められ、集団的自衛権の行使は認められない、そういう泣き別れになるといいますか、結論が分かれる原因であるということでございます。  したがいまして、委員が若干御指摘になりました個別的自衛権の行使と集団的自衛権の行使との間で結論を異にするということは、やはり憲法九条のもとでは何らおかしくない、必然的な結論であるというふうにお答えいたすことが御理解いただける説明じゃなかろうかと考える次第でございます。
  236. 山崎力

    ○山崎力君 今の説明で法制局の考え方の基礎はわかったんですが、国民に対して、こういうふうなことで我々の法体系は成っておりますという理解を求める、納得していただくという説明には若干疑義があると私は思っております。  これ以上この問題を言うのも神学論争になりがちなので控えさせていただきますが、少なくともある政党は、長い間、日本国憲法は個別的自衛権は有するが、その行使を禁じているというふうな形で憲法を解釈してこられた。考え方としては非常に現実的ではないと私は思いますが、そういうことも考えられるという、その辺について、どこから我々はこういう法体系の中で、どういう法の考え方からこういうことでやるんだという決まりをつくったんだという視点からの説明をこれからはもっとしていただきたいと思います。その辺が全然、解釈でこうとれるからこうやりますというのでは、私は一般の方にはなかなか説明がつかない。今すぐというわけにもなかなかいかないんでしょうけれども、少なくとも我々日本国民は、憲法を通じてこういう価値観のもとにこういう考え方を実行するんだということで、こういう解釈でやっているんだ、こういう決まりをつくっているんだという立場からの御回答を次の機会に期待して、私の質問を終わりたいと思います。
  237. 堂本暁子

    堂本暁子君 きのうに続いて、再度予防外交の視点から質問させていただきます。  国会というところは継続審議というのがあるんですけれども、継続質問というのは余りありませんが、もう少しだけ外務大臣に継続答弁をお願いしたいということです。  きのう、私の質問の終わったところは、無原則に北朝鮮と交渉しようとは全く思っていませんというところで終わっております。そして、国の安全保障というのは抑止と対話、それがやはり車の両輪である。今までこのガイドラインの議論の中で、抑止のあり方について主体的活動を重視するのだという御答弁政府の側からもずっと続いているように思います。同じように対話の方でもやはり主体的活動が必要なんではないか、少なくとも主体性を持つということが非常に重要です。  きょうも、偶然ですけれども、ペリー政策調整官がアメリカからいよいよ日本に見えて、そして訪朝するというのが出ています。こういった日米韓の多角的な交渉、この大事さを十分に認識した上で、やはりあっと思ったのは、アメリカの場合は国防長官をやったような方がこういった任に当たっている。本当に集中的にその任をこなしておられますね、仕事を。中国へいらしたり、ちょうど私が中国に行ったときに入れ違いぐらいで中国まで来ておられました。  そういうようなものを見ても、日本はいささか外国に頼り過ぎているのではないかという気がいたします。確かに、冷戦構造が崩壊してからは地域紛争の時代になった。しかし、私たち日本を取り巻く周辺地域でも私は例外ではないというふうに認識しております。  その中で、もっと多重、多層、あるいは多角的、多様な外交のあり方をダイナミックに展開をしないと、やはり抑止の方ばかりが大きく、そして対話の方はいささか主体性が少ないというような局面があるのではないかということをきのう伺いかけていたところで終わったように思っておりますが、その点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  238. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 対話と抑止、これは両方とも大変大切なことだと思っております。今ガイドラインの論議ばかりされていますから、抑止の議論がされていますねというのはそれは事実でありましょうが、見方によっては、日本はまだ有事法制もされていないではないかというところから、対話はよくやっているけれども抑止の方が全然できていないという方もおられるわけで、両方とももっともっときっちりやっていかなければいけない、こういうふうな感じを持っているわけですが、今の御質問は北朝鮮についての話ですか。
  239. 堂本暁子

    堂本暁子君 はい。
  240. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮についての話は、やはり日本政府立場は一貫をしているわけでございまして、ミサイルが我が日本列島の上をまさに無警告で飛び越えていった、このことについて一定の措置をとったということがあるわけであります。その措置は依然として、残念ながらその措置をもうやめだと何も変わらない中では言えないということが一つあるわけであります。  そういう中において、もし北朝鮮の方で国際社会の懸念やあるいは日朝間の非常に重要な問題について建設的な対応をとるのであれば、私たちもそれにこたえていく用意がある、交渉を通じて関係正常化、関係をよくしていく、そういう意思を持っていますよと、それはいろんなところを通じて呼びかけているわけであります。  ただ、そういう呼びかけもなかなかきっちりわかりませんので、こういう状況の中でも、またいろんなルートを通じて日本政府はどういうことを考えているよというのができるだけわかっていただけるような、そういった水面下の交渉を政府自身も持っているわけであります。  委員からまだ十分でないとおしかりをいただけば、それは現実にまだ日朝間は冷え切ったままだとおっしゃるそのとおりの状況でありますので十分ではないかもしれませんが、そういう中で、原則を崩さない範囲内で日本政府としてはこれからも、これからもというよりも今まで以上に精いっぱいやっていきたい、こういうふうに考えております。
  241. 堂本暁子

    堂本暁子君 大臣のおっしゃることはよくわかるし、その上で私自身も行動しているつもりでございますけれども、問題は、難しければ難しいほど、そして相手がまたこれは大変難しいわけですね。ですけれども、隣が気に入らなければ、例えばミサイルを飛ばすというようなことは日本人はだれも気に入りません。私も申しました。今あれが飛んでからというものは、一億二千万すべての日本人の目が北朝鮮に向かっていると言っても過言ではない、そのぐらい新聞を見たってテレビを見たって北朝鮮のことは出ているんです。ですけれども、相手にとってそのことがわかっていないというのも現実です。日本の報道は見ています。しかし、日本の状況も知らないし、日本は逆に相手のことも知らない。  そういった中で、やはり今水面下の交渉もしている。しかし、交渉が細いだけでは余り意味がないと思うんです。どうやってその難しさをかいくぐっていくのか。例えば、本当に気に入らないからといって、家ならばほかへ引っ越すということもできましょう、しかし国は引っ越すわけにいかない。私たちは一番近い国として、アメリカとは大変違った状況の中に北朝鮮とつき合っていかなければならない、そういった歴史的な経緯があると私は思っております。  そういった中で、水面下の交渉というのは私どももはっきりわからないわけですけれども、もっともっと多角的、そして強い、いろんなチャンネルを使った、経済であろうが環境だろうが健康だろうが何でもいいと思うんですけれども、いろんな言葉を使った形で私は信頼醸成をぜひやっていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  242. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 昨日に引き続き、沖縄の公聴会を踏まえて官房長官にお伺いいたします。  新聞報道にもありますように、沖縄はこの問題に相当な高い関心があります。恐らく、基地を抱える自治体としては全国で一番関心があるのではないかというふうに思っております。各首長の意見で特徴的なことは、いわゆる第九条一項の協力要請には抵抗するというのが大方の意見でありました。その反面、法案そのものには賛成するという首長もおられます。しかし、これは国防のリスクは全国で負ってほしいというのがその理由であります。この意見は非常に説得力があると私は思っております。  それは、極東最大の米軍基地を抱える宮城篤実嘉手納町長の意見であるわけであります。  そこでお伺いいたしますけれども、沖縄の基地の重圧はこれらの事情を総合的に勘案しても限界であるというような客観的な事実が私はあると思います。そこで、私は、沖縄の基地負担を解消するためには新たな手法で臨まなければならないのではないか、そういうふうに考えておりますけれども、唐突のように思われるかもしれませんが、沖縄の二十一世紀を展望する上で、この際、基地の削減目標を定めた立法措置、例えば沖縄米軍基地削減基本法のような立法措置、これは私どもは絶対必要ではないか。そうしないと、沖縄の基地そのものがいつ返されるかわからない、米軍がいつ撤退するかわからないといったような状況では非常に沖縄県民は不安であります。  ですから、そういう立場を理解していただきまして、ぜひ私が申し上げている米軍基地削減基本法といったような、これは例えばの話ですけれども、そういうふうな構想を持っていただければ県民もある意味では一定の不安が解消されるのではないかというふうに思いますけれども、官房長官、いかがな御見解でいらっしゃいますか。
  243. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 総理初め私どもたびたび発言をさせていただいておりますように、また委員からも御指摘がございますように、過ぐる大戦において沖縄県民が受けられました犠牲と、そして今日まで沖縄県民が耐えてこられました苦しみと負担の大きさは十分認識をしておるところでございます。  現在の我が国の平和と繁栄は、沖縄の方々の重い御負担の上に築かれてきたことを片時も忘れてはならないと考えておるところでございます。我が国の平和と繁栄は、我が国の安全保障政策の重要な柱の一つであります日米安保体制に対する沖縄の方々の御理解と御協力、そして忍耐なしに語ることも実現することもできないわけでございます。  政府は、そのような認識のもとに、委員御承知のように、米軍の施設・区域の整理、統合、縮小に向けまして、SACOの最終報告の内容を着実に実施することが沖縄県民の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えまして、これまでこの報告に盛られました措置を実施してきておるところでございます。  御承知のように、平成十年の十二月には安波の訓練場の返還を実施することができましたし、ことしの四月には北部訓練場の返還を日米間で合意いたしましたし、楚辺通信所の返還を日米でまた合意いたしましたし、住宅統合の第一段階の実施について日米間で合意をいたしました。沖縄全土の基地面積は二万三千五百ヘクタールであると思いますが、その二一%に当たる五千ヘクタールがこれで返ってくるわけでございます。もちろん、これで十分ではありませんけれども、熱心に取り組んでおるところでございます。  訓練の面でも、県道一〇四号線越えの実弾砲兵射撃訓練場を一昨年、平成九年以来北海道から九州までの本土の五つの演習場で実施しておるところもまた御理解をいただきたいと思いますし、騒音軽減措置として、嘉手納飛行場におきます新たな遮音壁の建設等、本土関係の自治体におきましてもKC130の移駐につきましてもその意向を示されておるところでございます。  その他、事件事故通報手続や米軍施設・区域の立入手続の整備など、さまざまな分野において地位協定の運用の改善を行ってきておるところでございまして、お互いに米軍あるいは米国とよき同盟国として、よき隣人として、これからも沖縄の基地の整理、統合、縮小に向けてSACOの合意を十分着実に実現していくように、稲嶺知事のお考えをも十分に拝聴し、沖縄県の理解と協力のもとに最大限の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  244. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私の質問に直接お答えになっていないんですけれども、要するに二十一世紀に向けて沖縄の基地は何とか削減をしていかなくちゃいけない。官房長官がおっしゃるように、なるほど安波訓練場とかいろんなSACOの合意があって、それでもなおかつ米軍基地は全国の七〇%、今七五%ですけれども、今おっしゃるようなSACOの合意に基づいて削減してもなお七〇%残るわけです。  ですから、こういうふうなものではまだ沖縄の県民は納得しないという面で、私はあえて特別立法が必要じゃないですかと。その辺をぜひ単刀直入にお聞きしておきたいと思います。
  245. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) あえて先ほど申し上げましたのは、私は、日米安保体制で我が国はもちろん極東の安全を図っていくために沖縄県が果たしておられる基地の重圧は十分わかるわけでございます。けれども、これを少しでも縮小し整理していきますために、法があったからといってできるのではなく、今日まで同盟国としてSACOの合意をいたして、これを着実にやっていくということを両国間で合意しておるわけでございます。何にも増してこの合意を着実に実施していくこと、そして政府はもちろん沖縄県の御協力もいただきながらやってまいること。  一方におきまして、先ほども照屋議員に申し上げましたように、二〇〇〇年サミットを沖縄に決定いたしましたのも、基地のありようについて世界の首脳に見ていただきたい、もう一つは基地の重圧に耐えていらっしゃる沖縄の実情について、なぜ沖縄でサミットかということを日本全土の皆さん考えていただく機会を与えたい、こういう意味で小渕総理も決断をしたわけでございますので、法が先にあるのでなく、私どもは沖縄県民の痛みをぜひこのSACOの合意を実現することによって解消を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  246. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の件はかみ合っておりませんけれども、私としては、政府として何らかの削減方策にこれから真剣に取り組んでいただかないと、もう戦後五十四年、また二十一世紀がまさにやってくる、そういう状況の中で、非常にこれは沖縄県民としては耐えがたい問題であります。  この問題について外務大臣はどういうようなお考えですか。
  247. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 沖縄県民並びに沖縄県選出の貴委員がそのようにおっしゃるお気持ちはよくわかるわけでありますが、一方で日米安保体制という大変重要なこともあるわけで、そういう中で今最も現実的なやり方としてSACOの最終合意というのがあるので、それを一つ一つ確実に実施していくということが今政府に課せられた最大の課題である、こういうふうに思っておりますし、現時点でそれを着実に実施することが大切だということは、それは稲嶺知事のお考えもそういうことであるのではないか、こういうふうに考えて、私たちとしては精いっぱいの努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  248. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 角度を変えて、いわゆる第二次世界大戦が終結してもう既に五十有余年になっているわけですけれども、御承知のように、我が国に今米軍が駐留し続けているのは私は非常に矛盾だと、いわゆる独立国である日本の国に米軍が駐留するということは矛盾しているんじゃないかというふうな考えを持っております。また、国民皆さん方も、この矛盾に対しての解消を何とかできないかというふうな意見は非常に強いと思います。  今のに関連して、戦後この方、米軍がこのまま駐留し続けている矛盾というものは、政府として、解消するとか削減をするとかいったような、その矛盾についてどういうふうな見解を持っておられるのか。
  249. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いろんな意見がある中で、日本は日本の安全保障のためにもちろん外交努力をやる、節度あるみずからの防衛力を保持する、それとともに日米安保体制というのを選択したわけで、その日米安保体制の中で日本が施設・区域を提供する、そのこと自体は私は合理的な選択であった、こういうふうに思っているわけであります。  ただ、基地が沖縄に集中しているということについては、それは沖縄県民の痛みというのはよくわかるわけで、日本全体の負担がそこに集中しているわけでありますから、そのことについてどう対応していくのかということでありますが、これは繰り返して申しておりますが、現実的には、今SACOの最終合意をきっちり実施する、そのことに最大限の努力をするということに尽きる、私としてはそう思って努力をさせていただいているわけでございます。
  250. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題は非常にテーマが大き過ぎますので、また後ほど議論していきたいと思います。  私は昨日お伺いいたしましたけれども、この法案成立によって自治体へどのような協力を求められるのか、いわゆるマニュアルは現在準備中ということでありますけれども。  そこで、再度お伺いいたしますけれども、全国でこの法案成立によって協力を依頼される可能性のある自治体、この数は幾らぐらいになるでしょうか。これは具体的には、空港、港湾、公立病院に関連する自治体、数がもしわかりましたら、防衛庁長官、お答え願います。
  251. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 周辺事態安全確保法案の九条で、いろいろと地方公共団体の長あるいはまたその他のいろいろな方に協力を求めたりあるいは協力を依頼するということの趣旨につきましてはもう既に何度も申し上げておりますので繰り返しませんが、この中身と申しますものは、これまでも申し上げておりますように、事態ごとに異なるものでございます。  したがいまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではございませんし、今、先生御指摘のような、どのくらいの数だというようなことはあらかじめ申し上げられるものではないということでございます。事態ごとに定まっていくものでございます。
  252. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この法案が通ることは、沖縄では米軍基地や自衛隊の現状を追認するものであり、基地の永久固定化につながるというふうなことを意味している、私はそのことを危惧するものであります。  地元の自民党県連が言うように、今後積極的にSACO2やSACO3があり得るのか。自民党県連はそういうSACO2、SACO3の問題を提起しようとしておりますけれども、その辺について御見解を承りたいと思います。
  253. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 繰り返しになって大変恐縮でございますが、まず今やるべきことはSACOの最終報告を確実に実施することだと。SACOの最終報告が完全にできたらそれでおしまいだというつもりは毛頭ございません。ただ、今必要なのはSACOの最終報告を確実に実施することだということで御理解をいただきたいと思います。
  254. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは自民党沖縄県連の、新聞によりますと、さっき申し上げましたようなSACO2、SACO3まで考えていけというような報道がありましたけれども、そのことは政府には伝わっていないわけですね。要するに否定しているわけですね。
  255. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) お説のように、自民党沖縄県連でSACO2なるものについて検討したという報道を私も承知いたしております。ただ、どのような考え方でそのようなことが報道に結びついたのか、県連からも何の申し入れもありませんし、承知をいたしておりません。  今、外務大臣から御答弁がありましたように、現在のSACO合意を着実に実施に移していくというのが私ども政府に与えられた責任であると考えております。
  256. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 一昨日の地方公聴会で明らかになりましたけれども、韓国のたくさんの市民団体からこの法案に対する強い懸念が表明されているようであります。これは小渕総理にもその多くの市民団体からの要請が行っているというふうに聞いております。また、中国、ロシアもこのガイドライン法案には当然反対ということであります。また、この法案とセットの、日米協力で進めておりますTMD、戦域ミサイル防衛構想にも神経をとがらせているというふうなことを懸念しております。  私は、TMD構想は既に我が国の専守防衛の立場を超えているのではないかというふうに思っておりますけれども、と同時に、こういったアジアの隣国の不安あるいはアジア諸国のこの新ガイドライン、あるいはまたTMDの取り組み等について非常に懸念しておる事態に対して外務大臣はどういうふうな外交姿勢で臨むおつもりか、お聞かせください。
  257. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 例えば、韓国国内においていろんな意見があるというのは委員御指摘のとおりだろうと思います。韓国を含む関心を有する諸国に対して、総理、私、防衛庁長官等から累次の機会にいろいろ御説明を行っているところでございます。  韓国政府は、先般の本法案衆議院通過の際に、本法案はこの地域の安定に寄与するものとの論評を発表しているわけでございます。  さらに、政府関係者以外の一般の方々への説明としては、三月に小渕総理が訪韓した際に、高麗大学において行った外交演説の中で、指針関連の法整備が我が国の専守防衛等の基本方針に何ら変更を加えるものではなく、日米安保体制の実効性を確保し、我が国の平和と安全、さらにはこの地域の平和と安定を図るためのものである旨の説明を行ったところでございます。  政府としては、今後とも関心を有する諸国に対して透明性を確保することが重要であると考えておりまして、必要に応じしかるべき説明を行ってまいります。
  258. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 実は、韓国の民衆もガイドラインに非常に恐怖感を持っている。従来それほど関心は強くなかったけれども、さっきおっしゃったように、三月に小渕総理が韓国においでになったその後にむしろ韓国はこのガイドラインに対して非常に反対し、そして民衆が相当な反対行動をしているというような状況になっているものですから、あえて私は、じゃ外交努力はどのような形でそういった隣国についてやっていくのかというふうなことをお伺いしているわけです。これは小渕総理が行った後からこういった問題が非常に大きく広がっているというふうな状況なんです。ですから、その問題についてどういった外交努力をされるのか。
  259. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 時間が参っておりますので。
  260. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 非常に残念なことでありますが、今のこの審議の際でも向こうで反対と言っている声が聞かれるわけで、日本も民主主義国でありますからいろんな意見があるのと同じように、韓国も民主主義国でありますから中にはいろんな意見があると思います。  ただ、韓国政府が、先ほど申し上げたように、衆議院通過のときに、この地域の安定に資するものだという論評を行ったのは、これは客観的な事実でありますし、おっしゃるように、中国等、懸念を持っているところにはさらに丁寧に透明性を確保していきたいと思いますし、ASEAN諸国はそれぞれ民主主義国でありますからそこにもいろんな意見はあるでしょうが、ASEAN諸国の政府としては大体肯定的に評価している、こういうふうに承知をしております。
  261. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですから、終わります。
  262. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時十分散会