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1999-07-29 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成十一年七月二十九日(木曜日) 午前十時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
小山
峰男
君 理 事 釜本 邦茂君 松村 龍二君 輿石 東君 山下八
洲夫君
富樫 練三君 委 員 井上 吉夫君 岩瀬 良三君 鎌田 要人君
木村
仁君
久世
公堯君
谷川 秀善君 保坂 三蔵君 高嶋 良充君 藤井 俊男君
魚住裕一郎
君 白浜 一良君
八田ひろ子
君 照屋
寛徳
君 高橋
令則
君
松岡滿壽男
君
衆議院議員
修正案提出者
宮路
和明
君
修正案提出者
桝屋
敬悟
君
修正案提出者
鰐淵
俊之
君 国務大臣
自治大臣
野田 毅君
政府委員
内閣官房内閣
内
政審議室長
兼
内閣総理大臣
官房内政審議室
長 竹島 一彦君
総務庁行政管理
局長
瀧上 信光君
郵政大臣官房長
松井 浩君
自治大臣官房長
嶋津 昭君
自治大臣官房総
務審議官
香山 充弘君
自治省行政局長
兼
内閣審議官
鈴木
正明
君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君 ───────────── 本日の会議に付した案件 〇
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
(第百 四十二回
国会内閣提出
、第百四十五回
国会衆議
院送付
) ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ─────────────
小山峰男
1
○
委員長
(
小山峰男
君) ただいまから
地方行政
・
警察委員会
を開会いたします。
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、前回に引き続き
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
木村仁
2
○
木村仁
君 自由民主党の
木村仁
でございます。
住民基本台帳法
の
改正
につきまして、おさらいの
部分
も含めて
質問
させていただきたいと思います。 本日は、
衆議院修正案
の
発議者
でいらっしゃいます
先生方
にお見えをいただいております。
大変お忙しい
と思いますので、順序不同でございますけれ
ども
、まず
最初
に
質問
させていただきたいと思います。 それに先立って
一つ
確認いたしておきたいと思うのでございます。これは私の不
勉強
で確認させていただくのでありますけれ
ども
、本
改正法案
の
施行
の期日でございますが、それから考えますと、この
住民基本台帳ネットワークシステム
というものは、この
法律
が
制定
、公布されますとほぼ一年以内の
政令
で定める時期に
準備
が始まり、そして三年を超えない
範囲
内で
政令
で定める日までにはおおむね
システム
が完成する。そして、さらに二年後の五年を超えない
範囲
内で
政令
で定めるときまでに
住民基本台帳
の
カード
、
ICカード
の活用も始まる。こういう
タイミング
で
準備
、完成していくものだというふうに考えております。 この三年ないし五年というのは、恐らく
情報技術
の
分野
では物すごい発展がいたされるんだろうと思います。そして、そういう
意味
では非常に長い時間でもございますし、また考え方によっては短い時間でもある。いずれにしても、三年ないし五年でこの新しい
システム
が動き出していくことに大きな期待をかけたいと思うのでございます。
自治省
としては、大体ただいま私が申しましたように三年、五年という
タイミング
で
整備
されるということでよろしいのか、あるいはそれが大幅に早められるということがあるのかどうか、そこあたりを、
行政局長
さんで結構でございますから、ちょっとお教えいただきたいと思います。
鈴木正明
3
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
は、全
市町村
、全
都道府県
を結ぶいわば大規模なコンピューター・
ネットワークシステム
でございますので、その
導入
につきましてはかなりの
準備期間
を要するという性質のものでございます。 今回の
改正法案
におきましては、今
お話し
のように
制度
の
実施
の
準備
に必要な
事項
につきましては公布の日から一年以内に
政令
で定める日から
施行
していく。また、
住民基本台帳ネットワークシステム
の
基本的部分
につきましては三年以内で
政令
で定める日から
施行
するということといたしております。 少し具体的に
お話し
しますと、
制度実施準備
に必要な
事項
としては、例えば
指定情報処理機関
の
指定
の
関係
、それから
本人確認情報
の
管理規定
を
指定情報処理機関
は定める必要がありますのでその
関係
、また
住民票コード
というものを
都道府県
が用意いたしますので、それを
市町村長
が記載できるようにという
コード
の
指定
の
関係
の
事務
、それから
関係従事者
の
秘密保持義務
ということを定める予定にいたしております。
システム
の
基本的部分
というものは、例えば
住民票コード
の
台帳
への記載を始める。それから、それに伴ってこの
システム
で
市町村長
から
都道府県知事
へ
本人確認情報
を通知する、
都道府県
が国の
機関
と
指定情報処理機関
に通知していく、それから国の
機関等
へ提供していく、こういった
関係
のもの、それに伴います
審議会
それから
本人確認情報保護委員会
、
安全確保措置義務
、
あと秘密保持義務
、さらには
住民票コード
の
民間利用禁止関係
、こういう基本的な
部分
を三年以内で
政令
で定める日から
施行
ということで考えております。 また、さらに五年以内で
準備
を進めるということで、
住民票
の写しの
広域交付関係
あるいは
転入転出
の特例の
関係
、それと
住民基本台帳カード
の
交付
に必要な
事項
につきましては、五年以内で
政令
で定める日から
施行
する、こういうことでございます。
お話し
のように、その間の
技術
の進歩ということもありますが、全国にわたる大きな
システム
であるということ、それから
関係者
が非常に多数にわたっているということ、
プライバシー
の面で
正確性
、
安全性
というものが非常に重要であるということで、現在ではおおむねこの
法律
で定めている期限の
範囲
内で
最大限
の
努力
をしてまいりたいと考えております。
木村仁
4
○
木村仁
君 わかりました。 大体三年、五年という
タイムスパン
で
準備
が進められて完成されていく、このことを
前提
として
修正案
の
発議者
の
先生方
に
お尋ね
いたしたいのでございますが、この
修正
の
趣旨説明
を拝読いたしますと、
個人情報
の
保護
についてこの
制度
が
準備
しておる主要な
事項
を全部網羅してありまして、結論として
民間部門
を含めた
個人情報保護
に対する対応が講じられている、こういうふうな御
認識
に立っておられます。 しかしながら、
法案
の
審議
の中で
政府側
からは、
現時点
で可能な限りの
個人情報保護措置
を講ずるなどの
説明
が繰り返しなされましたが、なお
プライバシー保護
に関する漠然とした不安、漠然とした不安という
言葉
が使ってありますが、懸念が残っていることも事実である、こういう御
認識
であろうと思いますが、
現時点
で
立法措置
として考えられるかなり十分な
プライバシー保護
の配慮がなされているという御
認識
をいただいているということについては、それでよろしいのでございましょうか。
鰐淵俊之
5
○
衆議院議員
(
鰐淵俊之
君) ただいまの
先生
の御
質問
でございますが、今の
趣旨
で私
ども
の
認識
もまた同じでございます。御案内のとおり、
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律
の中では非常に
守秘義務
を重んじておりますし、さらにはまた
民間利用
の
禁止
もいたしておりますし、万が一違反した場合には相当大きな
罰則規定
を設けておるということで、かなりこの
住民基本台帳法
に基づくいわば
プライバシー
の
保護
というのは
最大限法律
でもって定めてあるわけであります。 しかし、今
先生
のおっしゃったように、それでもなおかつ
完全無欠
ということがないわけでありまして、
台帳
の一部が漏れるという事件が多々起きる、そういうことに関しまして一般の方も非常に漠然とした不安をお持ちであるということもまた事実であろう、その中で私
ども
三党といたしましては、この
法律
が
施行
される三年、
実施
される三年くらいまでにはほぼ
法整備
をして、
民間情報
もこれは莫大な
情報
があるわけでございますので、なかなかこれを総括的にやっていくということにすれば、どのようにやっていくかということについて、今、三党で
勉強
に入ったばかりでございますので、それらを十分検討させていただきまして、ぜひひとつこの
住民基本台帳法
が当初の法の
目的
にかなう実行ができますように、そしてまた
個人
の
プライバシー保護
が十分なされるような形で私
ども研究
をしてまいりたい、このように思っております。
木村仁
6
○
木村仁
君 大変よく
理解
いたしました。 そして、その結果、
附則
に「この
法律
の
施行
に当たっては、
政府
は、
個人情報
の
保護
に万全を期するため、速やかに、所要の
措置
を講ずるものとする。」という一条を加えていただいているわけでございまして、私もこの
附則
は
国民
にさらなる
安心感
を与えるという
意味
で非常に重要な
修正
であったというふうに評価いたしております。 実はこの
附則
につきまして世上では二つのとり方があるように思うのでございます。と申しますのは、一昨日の
参考人招致
におきまして、
参考人
のお一人であります
筑波大学社会科学系教授
であられます
内野正幸先生
、この方はこの
法律
全体には今ここで議決するよりももう少し時間を置いて
審議
してから議決をした方がいいというお立場ではございますけれ
ども
、非常に中正ないい御
意見
をいただいた方でございます。 その方が、この
修正
は、要するにこの
法律
の
施行
についてさらなる
安全弁
が必要ではないか、だからそれを考えて
措置
を講じなさいという
趣旨
であろう、こういうことを言われたのでございます。 これは、そういう
趣旨
は十分
理解
できるわけでございますけれ
ども
、私が
修正案
について
最初
に感じましたことは、この
修正
の
発議者
の
皆様
は、この
法律自体相当
ちゃんとした
安全弁
がつくってある、これをしっかり運用あるいは
システム構築
の中で考えていけば十分ではなかろうか、しかしなお、それにもかかわらず漠然とした不安なり、あるいは、少数かもしれませんけれ
ども
番号をつけられること
自身
に非常な
不快感
を持つ人なり、そういう方がいるから、この際、
日本国
における国、
地方
、そして
民間
も通じた総合的な
意味
での
プライバシー
の
保護
というものを考えてその
制度
を考えてみたらどうだろうか、こういう
趣旨
の
修正
であるというふうにもとられるわけでございます。 私は、むしろ後者の方を直感的には感じ取った者の一人でございますけれ
ども
、せっかく
発議者
の
皆様
いらっしゃるわけでございますから、この
附則
がこの
法律
限りの事象について
規定
したものであるか、あるいはもっと大きく、先ほどちょっと
言葉
が出ましたけれ
ども
、
民間
の
情報
も国の
情報
も
地方
の
情報
も首尾一貫した国としての
プライバシー保護
の体系を考えようではないか、そういう御提案なのか、そこのところについてはっきりした御
答弁
をいただきたいと思います。
桝屋敬悟
7
○
衆議院議員
(
桝屋敬悟
君)
お答え
をいたします。 まさに
お尋ね
になったとおりでありまして、
堀部参考人
もおっしゃっていたと思いますけれ
ども
、この
法律そのもの
が
本人確認情報
におけるまさに
個人情報保護法
の役割を持っている、こういうふうに
お話
をなさったわけでありまして、そういう
意味
では、今
お話
がありましたように、この
法律そのもの
は現状では可能な限りの
個人情報
の
保護
ということに留意をしているわけであります。 まさに我々三党で
修正案
を提出させていただいたというのは、
委員
御指摘のとおり、国、
地方
、あるいは
民間部門
をも通じた総合的な我が国における
個人情報保護
の体制をつくらなければいかぬ、
法整備
も含めた
システムづくり
をしなければいかぬというふうに思ったわけでありまして、もちろんそのあり方については今から
議論
しなきゃなりませんけれ
ども
、そのように我々三党は
理解
をして、今
取り組み
をいたしております。
木村仁
8
○
木村仁
君
認識
が一致したことで大変私は
安心
をいたしております。 そこで、問題は、この
住民基本台帳改正法案
を
審議
するに当たって、
附則
が提案されたことでもあるから、もっともっと
プライバシー保護
についてのこの
法律案自体
の
安全弁
のことを考え直して、それを
整備
することの方がこの
法律制定
よりも先ではないか、こういう
議論
があるわけでございます。恐らく、一昨日の
内野先生
の御
意見
もそうであろうと、だからもう少し
審議
を延ばした方がいいという御
意見
であろうと思うのでございます。 今、
発議者
の
皆様
との対話の中で、いやこの
法律そのもの
については慎重に運用すれば
十分プライバシー
が守られていくであろう、その上で、しかしなお
日本国
全体としては
プライバシー保護
に対する首尾一貫した
法体系
がないからそれを
整備
していこう、こういう御
趣旨
ではないかと。 そうしますと、私は、この三年及び五年という
期間
、これは相当な
期間
でございますから、じっくり御
審議
を、我々も含めて
国民
全体で
プライバシー
のことを考えて立派な総合的な
制度
をつくって、そして
住民基本台帳ネットワークシステム
とともに発展していく、こういう姿を理想として描くものでございますが、いかがでございましょうか。
桝屋敬悟
9
○
衆議院議員
(
桝屋敬悟
君) 重ねて
お答え
を申し上げます。
お尋ね
の
趣旨
はよく
理解
できるのでありますが、この点については、私、手を挙げて発言をさせていただくわけでありますが、大変悩みました、その
部分
は。この
委員会
でも
議論
がありますように、
最初
にやっぱりそういう
システムづくり
といいますか、
法整備
があった方がいいという
議論
も、我が党内にもありましたし、
衆議院段階
でも
議論
がずっとありました。 しかしながら、今回のこの
住民基本台帳
の
法改正
、これは国、
地方
を通じた
行政改革
といいますか、
高度情報化
を図るということでありますから、そのことはそのこととしてぜひとも必要なことであるというふうに我々
理解
をさせていただいているわけでありまして、この
ネットワーク
の
立ち上げ
というのは大変に時間のかかる作業だろうと。 今、
介護保険
が
準備
されておりますけれ
ども
、この
システムづくり
でも大変な
準備
の時間を要しているわけでありまして、特にこの
制度
が
市町村
、あるいは
都道府県
が専ら行うという事業でありますことから、大変に
準備
には時間がかかるだろう、その
準備
は進めなくてはならない、このように私は思っているわけでありまして、そういう
意味
では、私
たち
が今三党で取り組んでおりますこの
システムづくり
、これとこの
住民基本台帳
、私
ども
はできれば早い方がいいのでありますけれ
ども
、したがって
修正案
には「速やかに」ということも入ったわけでありますけれ
ども
、少なくとも
同時決着
ということで
取り組み
をしていきたい、こんなふうに思っております。
木村仁
10
○
木村仁
君 大変ありがとうございました。そのようなつもりで私
ども
も
審議
を進めてまいりたいと考えております。私に関する限りは
発議者
の
皆様
もう結構でございますので、お立ちいただきたいと思います。 次に、
最初
に戻りまして、
住民基本台帳ネットワークシステム
の
導入
の意義あるいはその効果について少しく
お尋ね
をしたいのでございますが、私が
お尋ね
をする
前提
として、
戸籍法
あるいは
寄留制度
、そして
住民登録法
、
住民基本台帳法
の
昭和
四十二年の
制定
、そういうことを通じての首尾一貫した
流れ
がございます。そのことについて実は一々御
質問
をしたいのでございますけれ
ども
、これは事実を聞くことになりますので
答弁者
に対して非常に失礼であろうと思いますから、私が勝手に
おしゃべり
をいたします。
質問者
が
おしゃべり
をするというのもこれは
委員
の
皆様
に対しても非常に失礼かとは思いますけれ
ども
、大した時間ではございませんのでどうか御勘弁をいただきたいと思います。
昭和
二十六年に
住民登録法
が
制定
されたわけでございますが、
住民
を
地域
において
記録
するという仕事はもちろん
戸籍法
から派生したものでありまして、大正十一年ですか、
寄留制度
というのができました。
戸籍
から外れてひとりどこかに転居した人の
住所
もきちっととらえておかなければいけないということでこの
制度
ができたわけでありますけれ
ども
、
戸籍制度
と
寄留制度
が一緒になってうまく機能するということがなかったようでございました。確かに私
ども
も
子供
のころ、
親たち
が、この
子供
はどこの小学校に入れるかといって
鳩首協議
をいたしまして、あの学校がいいだろう、それなら
寄留
をさせようとかいって、移りもしないのに
寄留
をしてそこに潜り込んだ。私も実はその
越境入学者
の一人であったわけでございますけれ
ども
、そういうことで、言うなれば
大変実態
とはそぐわない
制度
になっていたようでございます。 そこで、歴史的には、
市町村
が
自分
の
地域
内に住んでいる
人たち
を正確に把握しようといろんな形で
努力
を積み上げてきていたようでございまして、その
実態
を踏まえまして、
法務省
において
昭和
二十六年に
住民登録法
を
制定
された、こういうふうに
理解
をいたしております。 そして、この
流れ
において首尾一貫して、私
ども
は
法務省
という役所に
敬意
を表しなければいけないのでありますけれ
ども
、こういったもともと国の
戸籍
などというのは、恐らく
徴兵制度
と密接に結びついて
徴兵制度
の平等を守るために一生懸命やっていた
制度
だろうと思います。したがって、戦後、この国の
事務
を
都道府県
、
市町村
のどこでやらせるか、あるいは
機関委任事務
でやらせるか、
団体自身
の
事務
にするかという激しいやりとりがあった
時代
に、
法務省
は
昭和
二十六年にこの
住民登録法
を
市町村
の
固有
の
事務
という形で
法律
をつくられたのでございます。しかも、単なる
住所
を調べるという機能だけでなくて、
住民
のお役にも立つ、そして
行政
の
能率化
にもお役に立つ、それと
住民
の
居住関係
の
公証
、この三つの柱をきちっと
整備
しようじゃないかという形で
整備
をされたというふうに聞いております。 この
住民基本台帳
はもちろん
法務省
が
指導
をしておられた
分野
でございますけれ
ども
、
昭和
四十年代の初めまで機能してまいりました。
市町村
の
固有
の
事務
ということで
市町村
も一生懸命やりましたから、私は比較的立派な
制度
ではなかったかと思います。
昭和
四十二年にこの
住民基本台帳制度
ができていくわけでございますが、ここでさらにこの
基本台帳法
の
整備
とともに、
地方自治法
十三条の二という
規定
を設けて
住民
の
居住
に関する事実
関係
を
公証
する、あるいはそれに伴う関連の
事務
を処理するということは
市町村固有
の
事務
である、
固有
の責任であり
権利
であるということを明確にされたわけでございます。 それからもう
一つ
、同じく
住民登録法
の
流れ
を受けて、
住民基本台帳
が単なる
住民
の
居住関係
の
公証
という
意味
だけではなくて、
市町村
の総合的な
住民サービス
の基盤となるものである、こういうことが明確にされております。当時はまだ
プライバシー
というものの意識が
国民
全体にわたってそれほど先鋭ではなかったということもあったためでありましょうけれ
ども
、そういった
記録
は原則として公開の
記録
だ、こういう形で
制定
をされているわけでございまして、事実
関係
を把握しながら、できれば
住民
にもそれを使ってほしいという
気持ち
がこの
時点
ではまだあったのではないか、こういうふうに考えております。 そして、非常に特異な事情でございますけれ
ども
、
法務省
、
自治省
の間で
市町村
の
事務
、しかも総合的な
住民
の
情報管理
というものを構築していこうという中で、やはりこれは
市町村
の
行政
の全般的な問題として
法務省
が所管するよりは
自治省
が所管する方がいいのではないか、こういうことで
議論
が始まったと、私はわきで見ていただけでございますけれ
ども
、
理解
をしております。 そして、
昭和
四十年代の初めというのはどういう
時代
であったかといいますと、
河川法
の
改正
が行われまして
知事
の
権限
が
建設大臣
に奪われる、奪われると言うといけませんけれ
ども
持ち上げられる、あるいは強力な
地方農政局
が
整備
される、あるいは
都市計画法
の
全面改正
において
都市計画法
がやはり
地方
の
事務
でなくて国の
事務
であるという観念のもとに構成された。そういうことがあって、
久世先生
なんかがそうだと思いますけれ
ども
、当時の論文を見ますと、ネオセントラリズム、新
中央集権主義
の
時代
、こういうふうに呼ばれた
時代
でもあります。 もちろん、公害十二法の
制定過程
において、
地方自治体
は頑張って条例による
横出し
、上乗せの規制の
権利
を獲得する、あるいはその後福祉の先取りをするというようなイニシアチブを持っていくわけでございますけれ
ども
、
昭和
四十年代の一九六五年から七〇年ごろにかけての新
中央集権主義
の
時代
と言われた
時代
に
法務省
が明治以来持っていた
権限
を至極あっさりと
自治省
に譲ったということで、
地方分権
の今の
時点
で各省庁がそういうお
気持ち
になっていただければ、私は
地方分権
というのは非常に進展するのではないかと思っております。 そして、最近そのことを、滝口さんという方でいらっしゃいますが、元
札幌法務局長
とおっしゃいますから恐らく当時の
法務省
の
課長
ではなかったかと思いますけれ
ども
、その方がそのころの
記録
を発表しておられます。
当該制度
、
住民基本台帳
の
制度
の性格と
自治省
が
市町村等地方自治体
を総合的に
指導監督
、
監督
という
言葉
は気になりますけれ
ども
、
指導監督
の衝に当たることから当然の帰結として
自分たち
はこの
権限
を
自治省
に移したんだということを言っておられます。また、当時の
自治省
の
振興課長
であった
遠藤文夫
氏も、そのころの思い出を書いておられます。そしてその中で、
法務省
が
権限
を
自治省
に譲渡したということについて、「この
制度
のその後の進展をみながら、改めて当時の
法務省当局
の英断に
敬意
を表したい。」と、こういう雰囲気で行われた大変珍しい立派な
制度改正
ではなかったか。これは余談でございまして、余計なことを申しました。 それと同時に、
住民基本台帳制度
が
整備
されたもう
一つ
の非常に大きな要因でございますけれ
ども
、これは
昭和
三十年代まで
市町村
の
窓口
は非常に多岐にわたって、
一つ転居
でもすると五カ所も十カ所も
窓口
を歩き回り、そしてこの方が先だ、いや向こうから先に行ってくれ、その点が明らかでないから出直してくれ、いろんなことを言われて極めて不愉快な
窓口
であったわけでございます。それを
市町村
が
努力
して、
昭和
三十年代に
窓口
の
統合管理
ということを一生懸命やってきた。それをさらにやりやすくするためにこの
制度
が
導入
されたんだ、こういうふうに私
ども
は
理解
をしておりました。 そして、この
制度
ができてから東京都中野区で
電子計算機
を
導入
して
住民
の
情報
を管理するということが始められ、それから
市町村
の
経営管理
という
事務管理
、
能率化
あるいは
効率化
、できるだけ少ない
お金
で処理をするという
分野
が非常に発展してきたのではないかというふうに私は評価をしているわけでございます。 もちろん、当時は
台帳
をつくるのに膨大な
お金
がかかるのではないか、さらに
国民
総
登録制
、そしてそれは自衛隊の募集の名簿になりかねない、そういうことで強い反対があったこともございましたけれ
ども
、これが
導入
されたわけでございます。したがって、
住民
の
居住関係
に基づく
公証
をきちっとするという本来の
目的
とともに、
市町村
の
行政そのもの
を
近代化
、現代化していくという非常に大きなターニングポイントになったのではないかと思います。 このために、
自治省
の
振興課長
さんというのは大体一年ぐらいでかわるんですけれ
ども
、当時の
振興課長
さんというのは長い間
課長
をやられましたし、現
振興課長
さんももう何年かおやりになっていると思います。この仕事のためにやっておられるわけでございます。 以上が
住民登録法
から
住民基本台帳法
へ変わってきた過程の私の基本的な
認識
でございますが、
行政局長
さん、今の私の
おしゃべり
、申しわけなかったんですけれ
ども
、大体大枠で間違いはないのでございましょうか。現在の方々の
認識
をちょっと確認しておきたいと思います。
鈴木正明
11
○
政府委員
(
鈴木正明
君) ただいま、いわば
住民基本台帳制度
の生みの親というか育ての親というか、一緒に
制度
とともにずっと御苦労されてきました
委員
の
お話
でございます。 私
ども
も、本当に基本
台帳
制度
は
市町村
の
関係者
の
努力
によりまして非常に定着し、本来の
目的
でございます
居住関係
の
公証
の機能あるいは
住民
に対するサービス、さらには
行政
の効率的な処理、あらゆる
住民
に対する
市町村
の
行政
にとっての基盤となっている、そういう機能を果たしてきているものと考えておりまして、
制度
の沿革に照らしてもより充実をしてまいりたいと考えております。
木村仁
12
○
木村仁
君 そこで、今回の
住民基本台帳法
の
改正
について
一つ
確認をしておきたいと思うのでございます。これは言うまでもないことでございますけれ
ども
、
住民基本台帳
、新しい
システム
ができ、そしてナショナルな
ネットワーク
になっていく、
都道府県
もそこに介在してくるという状況の中でもこの
住民基本台帳制度
というものはあくまで
市町村
主体の、
市町村
の
固有
の自治
事務
である、こういうことを確認しておきたいと思うのでございます。 そして同時に、今度は
都道府県
がそこに仕事の極めて重要な一部として入ってまいります。恐らくこれは十年前の
制度
であったら、
自治省
といえ
ども
都道府県
の
事務
は
機関委任事務
であるというようなことを、
機関委任事務
とはどういう
意味
かというと、
市町村
から
都道府県知事
に委任する
事務
であるというようなことの
法律
構成にあるいはなったのかもしれませんけれ
ども
、私は
法律
を読んで、これは
都道府県
が行う
部分
も
都道府県
の
固有
の、広域団体としての
固有
の自治
事務
であるということではないかと。 これは当然のことであろうと思いますけれ
ども
、念のために自治
事務
としての性格が少しもゆがめられたものでないということをできれば御確認いただきたいな、こう思っております、ちょっと厚かましい
質問
でございますが。
鈴木正明
13
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 従来から
住民基本台帳
事務
は
市町村
の
固有
の団体
事務
とされてきたところでございます。この
システム
というものは、
市町村
が
住民基本台帳制度
を運営するという
制度
の基本的枠組みは変更することなく、その上に立って全国的に
市町村
の区域を越えた本人確認ができるような仕組みというものを付加する、こういうことで考えているわけでございます。したがいまして、今回の
法案
成立後におきましても、
市町村
が行います
住民基本台帳
に関する
事務
は
市町村
の自治
事務
であることに変わりはない、このように考えております。 さらにこの
システム
におきましては、広域的な
地方
公共団体であります
都道府県
というものの役割にも期待しているわけでございまして、
市町村
を越えた全国的な
ネットワークシステム
を組む上で広域的な機能、あるいは
市町村
間の連絡調整機能、あるいは統一的な処理、こういうことで
都道府県
が主体的に役割を果たされ、
市町村
と
都道府県
が連携して運営していく、こういうことで考えておりまして、この
都道府県
が行う
事務
も
都道府県
の自治
事務
であると考えて
法律
を構成いたしております。
木村仁
14
○
木村仁
君 表からは聞きませんでしたけれ
ども
、そういう御確認をいただいて、これは国が
国民
の
情報
を把握しよう、そういう意図のもとにつくる
制度
ではないということを実は確認しておきたかったのでございます。 次に、この全国的な
ネットワーク
を構築していくということについて、やっぱり批判をされる方々の視点というのは、恐らくそういうことによって
国民
の
情報
が一元化されて、そしてそれを国が支配することによって国家による
国民
の監視体制が
整備
されるおそれがあるのではないかと。これは、おそれがないとは言えないと私も思いますから、注意をしなければいけない
分野
であろうと思いますし、わざわざそこまで
お金
をかけてやっても大してメリットがないのではないか、そういうことを言う方がおられます。メリットがないのにやるということは、つまり
国民
監視体制を将来は
整備
してやろうというあしき意図があるのではないか、こういうことでございまして、今の提案者の面々を拝見いたしますと、決してそんなあしき意図がおありになるとは私は思いませんけれ
ども
、そういうことを言われるわけでございます。そして、後ほどまたメリットの幾つかを教えていただきたい、確認していただきたいと思います。 続いて申しますと、全国的に写しがとれ、
交付
ができるようになるということについては、それほど広域の需要というものはないのではないかということが指摘されます。 それから第二に、本籍地や続柄を省いたものをとらせるようでは、例えば運転免許
一つ
を取るにしても本籍の表示がなければできないではないか、そんな中途半端な
情報
提供では十分ではないのであって、
プライバシー
との
関係
でそれしかできないとすれば、大がかりに二百億か三百億もかけてつくるほどの
システム
ではないのではないか、こういうことを言われるわけでございますが、このメリットとその効用性について、少し宣伝をしていただく
意味
で
お答え
いただければありがたいと思います。
鈴木正明
15
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
を
導入
することによります効果でございますが、
住民
サイドと
行政
サイドというふうに考えられると思います。
住民
サイドにおきましては、全国どこの
市町村
においても
自分
の
住民票
の写しがとれるということで、例えば通勤、通学においては、
住所
地と勤務先、学校の
市町村
が違っているケースがほとんどでございまして、そういう際にやはり勤務地などにおいて時間を利用してとることができる。あるいは学生の場合ですとかなり故郷から離れて都会で勉学に励む、あるいは仕事の
関係
の方でも仕事、公共事業などかなり全国的な移動で労働力が流通している、さらに一日においてかなりの距離を往復するような方もいらっしゃるということで、この需要はかなりあるのではないかと考えております。 また、資格申請とか受験などの
行政
手続の際に
住民票
を要求されることが現在多いわけですが、その
住民票
添付の省略が可能となってくる。 また、
住民基本台帳カード
というもの、任意でございますが、それを利用した場合には
市町村
の独自に行います多様なサービスというものが受けられる。また
住民基本台帳カード
というものを希望してその
交付
を受けた場合には、特にお年寄りとか家庭におられる方などは身分証明書としてそれを利用することができる。 それから、
住民基本台帳
事務
の
関係
では、
カード
を発行した場合には成り済まし転出などの不正行為をこれによってチェックできるというようなメリットがあると考えます。 また、
行政
サイドでは、
窓口
業務の簡素化というものが図られて、
窓口
事務
の一部を今後増大する福祉
分野
などの面で活用することが可能になってくる。また国の
行政
機関等
この
システム
から
本人確認情報
の提供を受けるという場合には
事務
の簡素
効率化
が図られるということで、国、
地方
を通じた
行政改革
につながるメリットがあるというふうに考えております。 さらに、将来的には、災害時における
本人確認情報
のバックアップが、例えば大災害等で
市町村
の
住民基本台帳
システム
が動かなくなった場合にこの四
情報
のデータによりましていろいろな対応というかバックアップが可能となってくる。また将来、電子申請、ワンストップサービスなどにおける本人確認に活用する基盤ができてくる、こういうメリットも想定できるところでございます。 二点目の広域
交付
される
住民票
の写しにつきましては、続き柄は記載することができるということといたしておりますが、
戸籍
の表示の記載については必ず省略するということといたしております。
お話し
のように、
住民
の利便の増進という観点からは、各種の
行政
手続において幅広く
住民票
の写しを用いることができるように、いわば広域
交付
の場合も
戸籍
の表示ということも記載するという方式ということも考えられますが、しかし広域
交付
ということとなりますと、
住民票
の
情報
が電気通信回線を通じまして
交付
地
市町村長
に送信されるということになります。したがいまして、
戸籍
の表示のような
住民
の
プライバシー
に密接にかかわる
情報
について
住所
地以外の
市町村
に送信されるということになりますので、これは慎重を期すべきもの、こういう考え方でございます。 むしろ各種の
行政
手続において
戸籍
の表示とか続き柄の記載された
住民票
の写しの添付義務の廃止、
住民票
の写しの添付の際にそういう表示の記載を不要とするという御指摘につきましては貴重な御
意見
だと拝聴いたしますが、別途、各
制度
を所管する省庁等におきまして検討していただく問題だと考えております。
木村仁
16
○
木村仁
君 その最後の
部分
でございますけれ
ども
、今いろんな資格を取るときに一体なぜ本籍地などが必要なのかということは私は大変疑問に思います。 今度の
住民基本台帳ネットワークシステム
が完成すれば、住居の確認とともに本人であることの確認も十分できるわけでありますから、これ以上恐らく正確な
記録
というのはほかにないというぐらいの
システム
になるのではないかと思います。したがって、むしろいろんな資格取得等において本籍地を書かせるとか親がだれでなきゃいけないとかどういう続き柄でなきゃいけないとか、そういうことはもう一切省略をして、むしろこの基本
台帳
の比較的大らかな、余り高度の
プライバシー
に当たらないような
情報
について確認するだけでいろんな免許あるいは証明等を行っていく、そういうことにすべきじゃないかと思います。 もちろん、今言われましたように、各省庁で
議論
することでございますけれ
ども
、
自治省
としてもそれを強く各省庁に要望すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでございますか。
野田毅
17
○国務大臣(野田毅君) 基本的に、この
住民基本台帳ネットワークシステム
というのは、私の
認識
では、本人確認
事務
ということについて全国的な
システム
をつくろう、そういう
意味
で本人確認ということの迅速性あるいは
正確性
、そういったことを主眼として構築しようとしているわけですから、そういう
意味
で、その
目的
に沿うような形で運用されるのが一番望ましいわけです。 ただ、これを活用していろいろ九十二のいろんな
事務
の中でおやりになる場合に、基本的には今おっしゃいました四
情報
ということで十分可能なのではないか。それと、あとは
住民票コード
ということなんですが、ただ、
行政
事務
によっては、場合によってそれ以外に、今
お話
のありましたような家族との
関係
なりということを連絡するようなことまで場合によっては必要な
行政
事務
があるような場合に、これとは別途独自の
行政
分野
において必要性を判断してその上で是非を決めていただくということになるのだろうと思っておりますが、できるだけ余分な
情報
を必要としないような、必要最小限の
情報
によって
事務
が遂行できるような体制を考えていっていただくということは大事なことだと考えております。
木村仁
18
○
木村仁
君 突然の
質問
で失礼をいたしましたが、御
趣旨
はよくわかりました。 もちろん、例えば児童手当等の諸証明については続き柄が必要なことは当然でございますので、何でもかんでも
住民基本台帳
で処理せよというのではございませんけれ
ども
、よく言われる本籍地や続き柄も載っていないものを広域的に発行しても何の役にも立たぬのではないか、メリットじゃないじゃないかということについては、私としてはむしろほかの方を改革することによってメリットを大きくするという面がありはしないかということを申し上げたかったのでございます。 それから、この
住民基本台帳法
、登録法から
台帳
法へ変わってきたその過程で、やはり
窓口
の統一、総合
窓口
というのをつくるのに非常に大きなきっかけになったということを申し上げましたけれ
ども
、それは恐らく
昭和
三十年代の
市町村
の
窓口
を知っておられる方は、今行かれるとそれはもう隔世の、もちろん隔世でございますけれ
ども
、大変な違いがあるということがわかるわけでございます。 今、この
ネットワークシステム
をつくるのに、もう私は数字は忘れましたけれ
ども
、何百億も
お金
がかかる、それに対して節約するのは何百億で、わずかばかりの効果しかないのだと、こういう
議論
が行われているわけでございますけれ
ども
、私は、
現時点
における費用効果の分析なんて無視してもいいくらい、
行政
でありますからそれを無視することはいけませんけれ
ども
、そういう短い
期間
における費用効果というのは考えるべきではない、これからは
市町村
の
行政
を進めていく上で十年、二十年、あるいはこういう
制度
ができますと二十年、三十年というのが
一つ
のパターンでございますから、そういう長い目で見れば、今ここで何百億、何千億かのむだがあっても私は十分長期的には採算のとれる仕事だと、こういうふうに考えるわけでございます。 特にこの
システム
を動かし出しますと、私は、いろいろ
議論
がありましたが、
市町村
の職員というのはかなり
勉強
をしなければいけない、同時に
市町村
が
行政
体としてきざな
言葉
で言えば
情報
リテラシーをずっと高めていく、そういうきっかけになっていくんだと思うんです。 私は最近の
地方行政
を見ておりまして、そういう
意味
で質が向上していく
分野
というのは二つありまして、
一つ
は
情報
処理の問題です。それからもう
一つ
はプランニングの仕事です。プランニングの仕事というのは、
地方
公共団体の総合計画の非常に多くは私は余り
意味
がないというふうな、どうしても秘密を隠さないで全部表に出します。表に出しますといろんな利害があって反対も多いから、そういうところは全部捨象してしまって差しさわりのない記述だけ書いてあるから、計画書そのものはそれほど大きな役割を果たすわけでもないということが往々にしてあるわけですけれ
ども
、しかしその計画をつくっていく過程で私は職員というのは非常によく
勉強
をする。現在の状況を把握し、そして分析し、そして
自分たち
の問題はどこにあるか、そしてそれをどういう形で計画という形で立て表現していくかという面で、
一つ
計画をつくるとそれに付随する膨大な職員資質の向上があると、そういうふうに考えております。
情報
についてもまさにそうであって、これから二十一世紀に入っていく
市町村
の
行政
というものは
情報
リテラシーというものをどんどん高めていかなければいけない、したがってここにまた新しい能力を持った職員が何千人か必要だということが指摘されましたけれ
ども
、私はそれは育っていく面がある。この
システム
を構築していく過程あるいはその中で
市町村長
、助役、そういった幹部の方々もひっくるめて
議論
していく過程で
情報
リテラシーはどんどん上がっていくのではないか。それが、言うなれば、
昭和
四十二年に
住民基本台帳法
ができて、それから
市町村
の
事務
処理がさま変わりしていくと同じようなことが二十一世紀に向かってこの
法律
とともに、大げさですけれ
ども
発展していくのではないか。そういう効果を非常に期待しているのでございますけれ
ども
、これまた一人勝手に言ってそうでしょうがというような
質問
で大変失礼でございますが、
行政局長
さん、その展望はいかがでございましょうか。
鈴木正明
19
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 今
お話
の出ました、私
ども
で当面計算、試算可能ということで見込んでおります費用効果についてまず申し上げますと、この
システム構築
にかかるコストといたしましては、基本的な
導入
経費としては約四百億円、それからコンピューターの維持費などの年間経費としては約二百億円を見込んでおります。 ベネフィットの面では数値化可能ということで、一定の仮定のもとで節減時間とか人件費とかというもので試算をいたしました場合、毎年
行政
側で約二百四十億円、
住民
負担の軽減という面で約二百七十億円を見込んでいるところでございまして、コストに見合うベネフィットがある、こういうふうに考えております。 さらに、数値化していない効果というものとして、例えば非常に実務的な話で恐縮でございますが、共済年金とか労災とか恩給などの過払いというものが防止できると。これは生存確認がこのセンターから、全国センターから得られますので、その
時点
で過払いが防止できる、こういうことでございます。 また、この
カード
というものを主婦の方や高齢者等が身分証明書として活用することができる、それからそれぞれの
市町村
でこの
カード
というものを独自の政策に活用することができてそれを高いレベルの
行政
サービスが可能となってくるということ、さらには電子申請、ワンストップサービスなど、幅広い
分野
における本人確認に活用が可能ということでございまして、御指摘のように、この
ネットワーク
を構築していく過程におきまして、
地方
公共団体
関係者
においても
個人情報保護
についての
認識
も高まり、また知識、ノウハウというものも高まっていくことによりまして、さらに
カード
の活用についても、また将来の電子申請あるいはワンストップサービス、さらには災害時の対応とか、いろいろな方面でのそれぞれの
地方
団体の
努力
というものが実って活用の幅が広がっていくものと考えておりますし、それが可能なような仕組みといたしまして、それぞれの
市町村
あるいは
都道府県
というものが条例を定めることにより、あるいは独自の、相互の協力により対応ができるような
制度
として今回
法案
を構成いたしているところでございます。
木村仁
20
○
木村仁
君 この新しい
制度
が持つ
市町村
の
行政
全体の二十一世紀化というものにも御配慮をいただきたいと思います。 次に、
個人情報
の
保護
についてでございますが、この問題はもう繰り返し
議論
されましたので私
自身
として余りお聞きすることもないのでございますけれ
ども
、幾つかのポイントの御
理解
をお願いいたしたいと思います。 第一に、従来の
住民基本台帳制度
のもとでの
個人情報
の
保護
ということについて、私はおおむねうまくいっていたのではないかという感じがするんです。ここに、いただきましたといいますか調査室の方から提供されました、四十二年の
制度
制定
後の事件が書かれておりまして、一番有名なのはもちろん
昭和
四十八年の山形県鶴岡市の事件。これも、新聞等をよく見てみましても、本当に売られたのか、売る前で阻止することができたのか余り明確ではございませんけれ
ども
、これは非常にあしき意図でもって本をつくって販売しようとした。それからあと、そういった
情報
を持ち得る資格を持った方、例えば
行政
書士であるとか社会保険労務士のうち、一、二、地位を利用するというような形で
情報
を流したものがある。あるいは磁気テープが持ち出されたりしたことがある。こういうのが七、八件ございます。
昭和
四十二年、一九六七年からでありましょうからほぼ三十年の間にこのくらいの事件が起こっておって、そしてそれぞれが非常に重大な結果を惹起していないということは言えるわけです。どんな
システム
をつくってもそれを悪く活用しようとする人は幾らかいるので、その幾らかいる者をすべて抹殺して、すべてゼロにしなければならないという
システム
をつくるためには、また膨大な費用がかかるわけでございます。 こういう例はいけないのかもしれませんが、本屋で万引きがあります。万引きをなくそうと思えば職員をたくさん雇って監視すれば済むことでございますけれ
ども
、今度は職員
自身
が万引きを雇っているようなもので、その給料で倒れてしまうわけですから、本屋さんというのはどれくらいの万引きまで許容すれば
自分
のもうけが一番大きくなるかということをいつも考えながら職員を雇っていかれるわけです。
システム
というのはみんなそういうもので、やっぱり一〇〇%全部それをなくさなければいけないから、したがって、この
システム
はできない、あるいはそのための膨大な
安全弁
をつくらなきゃいかぬという、そこまで考えるのは私は、そういうことでは
時代
は変わっていかないような気もします。さればとて
プライバシー
の侵害があっていいということを申し上げているのではございません。 そういう観点からすれば、
住民基本台帳
、比較的
プライバシー保護
の
安全弁
の少ない
制度
だったのでございますけれ
ども
、日本の社会においてはそれほどの重大な事故が起こらなかった、こういう
認識
についてはいかがでございましょうか。
鈴木正明
21
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民基本台帳制度
は、いわば
住民
の
居住関係
を
公証
するという
目的
を持っておりまして、
住民
に関するいわば
情報
というものを、公開原則ということで、それで
住民
の利便あるいは
地方
公共団体の
行政
のために活用するということを予定しているわけでございます。 しかし、当然ながら一方で、閲覧によりまして知り得た
事項
というものを不当に利用する、今
お話
のございましたように、
住民
名簿を作成して、これを不特定多数の者に頒布、販売するという、いわば
プライバシー
の侵害につながりかねない不当な
目的
に転用されるということも、幾つかの事例でございますが、見受けられたということでございまして、
住民基本台帳制度
の運営に当たりましても、
プライバシー
の
保護
ということについては、いろいろな機会に、いろいろな事象が起こるごとに真剣な
議論
が行われてきているところでございます。
昭和
六十一年の
法律
改正
では、
住民基本台帳
閲覧、それから
住民票
の写しの
交付
などにつきまして、不当な
目的
に使われないように合理的な改善を図るなどして
プライバシー保護
措置
を講じてきたということでございまして、
関係者
の
努力
により、今御指摘のような状況になってきていると私
ども
は見ております。
木村仁
22
○
木村仁
君
個人情報
の
保護
あるいは
プライバシー
に対する感覚は、これはもう過去と現在は格段の違いがあるわけでございますし、また、
情報技術
が高度化すればするだけそれが発揮された場合の影響が大きい。そういう
意味
で私は、十分な
安全弁
と申しますか、ガードをしなければいけないということにもちろん賛成でございまして、その
意味
でいろんな形で配慮がされていることを評価するわけでございますが、一、二、
技術
的なことをお聞きしておきたいと思います。 十六省庁九十二の
事務
について各省庁に
個人情報
が送られます。そうしますと、同時に、一挙に大量に送られるということもあるだろう、こう思います。データマッチング等は
禁止
されておりますからその面は大丈夫でございますが、送られた
情報
がどう守られていくかということについて、現行の国の
行政
機関
の保有する
電子計算機
処理に係る
個人情報
の
保護
に関する
法律
、これは当然その
情報
についてもちゃんと適用される、こういうことでよろしゅうございますか。
鈴木正明
23
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 御指摘の、
指定情報処理機関
から
法律
に定められた国の
機関等
に
情報
が提供された場合に、国の
機関
につきましては、
行政
機関
の保有する
電子計算機
処理に係る
個人情報
の
保護
に関する
法律
、この適用があるわけでございますが、
住民基本台帳
におきましては、
個人情報
の
保護
に関するかなり厳格な諸
規定
を置いておりまして、その
意味
では国の
個人情報保護法
の特別法という形になると思いますので、
住民基本台帳
に定める各種の
規定
がほとんど優先的に適用されてくる、このように考えております。
木村仁
24
○
木村仁
君 ちょっとその点確認しておきたいんですけれ
ども
、
行政
機関
の保有する
電子計算機
処理に係る
個人情報
の
保護
に関する
法律
によるセーフガードよりもさらに
住民基本台帳
の方が厳しいと
理解
してよろしいわけですか、国の
行政
機関
に対して。
鈴木正明
25
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
、今回の
法律
改正
は、いわば
住民基本台帳
をベースとした全国ネットの本人確認
システム
ということに対するいわばセグメント方式というのでしょうか、
個人情報保護措置
を
規定
いたしております。それに対しまして、国の
個人情報保護法
は
行政
機関
全体を対象とした
法律
でございますので、そういう
意味
では性格が違っておりますが、厳しいか厳しくないかということから申し上げれば、そういう
目的
を持っていますので厳格な
規定
が多いと御
理解
いただいて結構です。
木村仁
26
○
木村仁
君 わかりました。 それから、もちろん
指定情報処理機関
についての厳しいセーフガードもあるわけでございますが、
都道府県
及び
市町村
、この
分野
についてはやはり先ほど来何度も確認しておりますように自治
事務
でございますから、その
事務
に係る
個人情報
の防衛あるいは
プライバシー
の
保護
ということについては、やはり全国的な
制度
に加えて、それぞれの
市町村
、
都道府県
も工夫をしていろいろ
措置
を講じていくべきものだと思います。そういう
意味
で、現在かなりな数つくられております、
制定
されております
個人情報
の
保護
に関する条例、これは尊重していくべきものだと思います。 そして、これはちょっと
個人
的な興味で申しわけないのでありますが、今すべてのオンライン連結を
禁止
する条例というのが五百六十かなんかできているそうであります。これはいわゆる
行政
事務
条例ではなくて、
行政
の管理に関する条例だろうと思うんです。ですから、国の
法律
でそういう別途の
事務
処理をしろということが決まったためにその
部分
が抵触するというような
関係
になりますけれ
ども
、いわゆる
行政
事務
条例の規制が国と
地方
と食い違っているということ、少し感じが違うから、強制的に国の
法律
が
都道府県
を通じて
指定
処理
機関
に通報しろということになったんだからその
部分
は無効だと決めつけるのでなくて、それぞれの団体の
固有
の
事務
について
行政
上の
規定
をしているというものを変えさせるということでございますから、やっぱり丁寧に、そこのところを尊重しながら
指導
をなさるべきではないかと思いますけれ
ども
、まことに老婆心でございますけれ
ども
、その点についてはいかがでしょうか。
鈴木正明
27
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
地方
団体におきます
個人情報保護
条例の
制定
状況は年々増加をいたしてきておりますし、また条例だけでなくて規則とか要綱などで対応しているところもありまして、三分の二を超えているということでございます。
個人情報保護
の
認識
、必要性というものが定着、浸透してきているあらわれだと、こう見ております。 そこで、
個人情報
の利用提供の規制として、いわば外とのオンラインを一律に決めているという団体もあるわけでございます、近年減少傾向にございますが。この点につきましては、従来から、高度
情報
通信社会ということの中で通信回線を活用した
情報
処理を行っていく場合には、やはり提供の
目的
とか
権利
利益の侵害、そういったおそれを個別に検討した上で提供の可否を決定するのが望ましいということで、例外なく一律にオンライン接続を
禁止
するということについては見直しが必要であるということは、これまでも
地方
団体に対して
お話
をしてきているところでございます。 今回の
法案
に当たりましては、そこの面についての
法律
的な考え方は従来から申し上げているところでございますが、
地方
団体にこの
法案
、
システム
について十分御
理解
をいただきまして、それぞれの条例におきます
規定
については、改善というのでしょうか、それぞれ
地方
公共団体で検討していただきまして、全体の
ネットワーク
運営というものが可能になるように対応していただくということが一番望ましいということは変わりございませんので、私
ども
としても精力的にその辺は
努力
をしてまいりたいと考えております。
木村仁
28
○
木村仁
君 恐らくそういう条例を
制定
しておられる
市町村
、
都道府県
でも、もうこれからの
情報
処理というのは、クローズドサーキットをつくってそれを守れば完全だという発想では対処し切れない。オープンに全部つないで、しかし大切な
プライバシー
はきちっと
保護
できるような
システム
をつくる、そういうことが本命になっていくと思いますので、ここの
部分
について余り心配はしていないのでございますけれ
ども
、まことに失礼な御
質問
だったかもしれませんが御勘弁をいただきたいと思います。 これは
質問
というよりはまたひとり言でございますけれ
ども
、
住民票コード
を除く四つの
情報
というのはもともと伝統的に公開、オープンなものであると。
住所
、姓名、年齢、生年月日ですか、この四つはもともとオープンなものである。したがって、これが大量に一括して本になるというような出ていき方の態様でなければ、人々に知られてもいいんだと、そういう
情報
ではなかろうかと私は思うんです。 この点については、一昨日の
参考人
の
皆様
もやっぱり
プライバシー
という面からすれば比較的守る程度は低くていい
情報
ではないか、こういうことを言っておられますし、
昭和
六十年に一括閲覧についての制限の
規定
をつくりましたときにも、学界その他から、学術の
目的
のためにこれを使用するということが制約されるのは非常に困るとか、あるいは公平な、公正な世論調査をするためにはどうしても
住民基本台帳
からの閲覧が必要だ、こういうことで反対が強かったと私は聞いております。 そういう四
情報
が持つ社会的効用あるいは
住民
の利便、
行政
の
効率化
という面について、むしろ前向きの調和を考えるべきではないかと考えております。これはひとり言にさせていただきます。 それから、
国民
総背番号制との関連でございます。 この
制度
は
国民
総背番号制に連なっていくものだから反対であるという方が大変多うございます。私は、言うなれば今度のものは
国民
総背番号制である、しかしいわゆる
国民
総背番号制と呼ばれるものとはやっぱり
実態
が違うんだろう、こう思います。 これも一昨日知恵をつけていただきましたから、中山太郎
先生
の「一億総背番号」という本を恥ずかしながら初めて拝見させていただきました。
昭和
四十五年十二月に発行されておりまして、「一億総背番号」という本でございます。これは一億総背番号を非難する本ではなくて、そういうものをつくろうという
情報
化
時代
の御提案でございました。 端書きの一番
最初
に、K君の背番号と書いてあります。まだ背番号という
言葉
が嫌なイメージでなかったのじゃないかと思いますが、生年月日が一九七〇年一月十五日であるから、七〇〇、七〇が七〇年ですね。これもコンピューターの間違いと同じことを犯しておりますけれ
ども
、一九七〇でなくて七〇と書いてあります。七〇〇一一五、これが生年月日。そして三六四八と続きます。これはその日の出生者の受け付け順番だそうでございます。ですから、この番号は七〇〇一一五三六四八。わからない
部分
は三六四八の下四けたでございますが、もともとみんなに公表する、おれは七〇〇一一五三六四八という番号だということをみんなに公表するための背番号で、これはもう極めておおらかな、四十五年でありますから、さしもの中山太郎
先生
もそういう御
認識
だったのかなと思います。 そのときのそういったものについて産経新聞で調べたら、賛成三二%、反対三九%、どちらとも言えない二八・八%、そういうことでございました。もちろん感情的反対があるだろう、管理社会化のおそれがある、それはそのとおりだ、
プライバシー
の問題も出てくるだろうということは指摘されております。 しかし、そういう指摘されたようなことには絶対
住民基本台帳
はなっていってはいけないわけでありますし、絶対なっていかないだろうと思います。そして、私がもう何度も主張しておりますように、これは国家の
事務
でなくて
市町村
の
事務
である、
都道府県
の
事務
であるということから、この
国民
総背番号制とは違うというふうに私は思うんですけれ
ども
、今まで何度も
答弁
しておられると思いますけれ
ども
、いかがでございましょうか。
野田毅
29
○国務大臣(野田毅君) 番号によっていわゆる
国民
、
住民
を国なり
地方
団体が管理するという発想というものをいわゆるこの総背番号制という
言葉
の中に感じ取るという立場からすればアレルギー反応が起きる。そういうのではなくて、今でもそれぞれの
分野
で、運転免許証だってみんな番号があるでしょうし、年金だって番号があるでしょうし、そういう
意味
で
行政
事務
遂行の上で部内処理として
効率化
をしようというようなことで、単なるそういう
システム
の合理化の一環としてのナンバリングであるということで受けとめるならば何らアレルギーも感じないという、二通りの受けとめ方があると思います。 私
ども
は、率直に言って、何度も何度も申し上げておりますが、
住民
なり
国民
をこういう
住民票コード
によって管理する発想というのは全くないわけであって、むしろ全国的な本人確認
事務
というものが非常に膨大な作業になっておって、その迅速性あるいは
正確性
ということを考えた場合、やはりこれがあった方がはるかに逆に
住民サービス
はレベルアップできるんじゃないか。 先ほど
木村
先生
から御指摘がございましたが、ある
意味
では単純作業の世界だろうと思うんです、本人確認
事務
という。むしろ、
市町村
における
行政
事務
というものをより質的にレベルアップして
情報
リテラシーを向上させるなり、その
住民サービス
の内容を、そういう単純な仕事に精力を費やすよりも、より大事な質のアップに向けることができるのではないかということにむしろ目を転ずるべきではないか。 そして、そういう
意味
で、これがそういう
国民
監視の
システム
だと誤解されないような工夫として全国センターというものを
都道府県
の言うなら共同の作業としてやっていただくというような発想、あるいはいろんな
目的
外利用の
禁止
等々、いろんな
個人情報
に関する
保護
措置
を
システム
面、
制度
面、運用面等々において、現在考えられるだけのこともあわせて講じておるわけでありまして、そういう
意味
で、長くなって恐縮でしたが、国が
住民票コード
をもとにしてあらゆる
個人情報
を一元的に収集して管理していくということにはならない仕組みにつくり上げておりますので、この点は重ねて強調をさせていただきたいというふうに考えております。
木村仁
30
○
木村仁
君 今、大臣の御
答弁
のことで
安心
をいたすわけでございますけれ
ども
、さらにそれに力を得て図に乗るわけではございませんが、これだけの
システム
をつくっていく、そして
個人
の
プライバシー保護
のためのいろんなセーフティーネットもつくり上げた、そういうことを考えますならば、この
住民
情報
ネットワークシステム
を本当に
行政
のもっともっと幅広い
分野
に使っていくということは、
国民
総背番号
制度
というものにつながっていかない限りは、私はやるべきではないかと。それが、費用対効果の
関係
を有利に導くことでもありますし、
住民サービス
を向上させる面でもあるし、また
地方
自治自体の向上にもつながっていく、そういうふうに考えますが、広げていくということについて大臣のお考えをいただきたいと思います。
野田毅
31
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、
住民サービス
を向上させていく、そういう上で十分御検討をいただいて、その上で、例えば、幾つかきのうも先日も御
議論
がございましたが、幾つかの
分野
で
住民サービス
を向上させていく視点からこの
事務
の適用対象
範囲
を広げていくという検討がなされることは、私は結構なことだと思っております。 ただし、その点については改めて
法律
改正
という手続を経た上でいろんな面から逆のチェックということも必要なことでありますから、そういう点で十分検討をされた上で応用
範囲
を広げていかれるということは、私は十分考えなければならない視点であると思っております。
木村仁
32
○
木村仁
君 せっかく構築する
システム
でございますから、この四
情報
がもっと朗らかに
国民
に
理解
されて、そしてそれを
国民
の利益のためにどんどん使っていくという雰囲気が生まれ、そしてそれについて必要な
法律
改正
も進められていくということを期待いたしたいと思います。 ちょっと時間がせってまいりましたので、せっかく郵政省の官房長さんがお見えになっていらっしゃいますから、その
質問
をさせていただきます。 そういうふうにして
ネットワーク
ができて広がっていく、そして十分な
プライバシー保護
のための
措置
も講じられる、さらには
国民
総背番号制に移行しないようなしっかりした精神的、
行政
的な雰囲気がつくられていくということを考えていきますならば、そうしたらもっと便利にできないか。今、広域
交付
ということはできました。これはもう以前から、諏訪の広域
市町村
圏や、あるいはこの間視察させていただいた浜松でも今まで一生懸命
市町村
がやってきたこと、これが一挙に全国的に
ネットワーク
でつながっていくということはすばらしいことだと思います。 ところが、一方では、農山村に行きますと、もう役場に行くこと自体が非常に長距離だというところがたくさんあるわけです。ところが、そういうところにも特定郵便局というのが必ずあります。そこに
窓口
があったら非常に便利だろうな、こういうことを感じます。 ついては、今、郵便局においては、全国二万何千かある郵便局をワンストップ
行政
サービスの拠点にしようという
努力
をされております。これは、
自治省
も
最初
は反対したようでございますけれ
ども
、協力して、
昭和
六十年ぐらいからやっておられると思いますけれ
ども
、
現時点
でどの程度まで行っているか、そして
住民基本台帳
との関連におけるどの程度まで見込みがあるかということをちょっと教えていただきたいと思います。
松井浩
33
○
政府委員
(松井浩君) 今現在、郵便局は二万四千七百ほどございます。 これから
高度情報化
、高齢化など環境変化がございますが、二十一世紀を展望した場合に、この郵便局
ネットワーク
をどのように活用していくかということは重要な視点だというふうに私
ども
考えております。 郵便局でさまざまな手続やあるいはサービスの申し込みを行うことができるという発想で、郵便局におけるワンストップ
行政
サービスということを進めておりますが、これが実現いたしますと、
国民
は全国津々浦々に存在いたします身近な郵便局で
行政
サービスが受けられますし、その利便は大きく向上するというふうに思いますし、また
行政
機関
の
効率化
にも資するなど、意義は大きいというふうに考えております。 このような観点から、平成九年度から実際にこの実験を開始しておりまして、現在の状況を申しますと、全国の五
地域
十二
市町村
のモデル
地域
におきまして自治体が提供する公的サービスの申し込みなどを行う実験を
実施
しているところでございます。 さらに、平成十一年度予算におきましては、新たに
住民票
の写しあるいは印鑑登録証明、そういったことの自動
交付
を行う自治体端末の郵便局への設置の要求が認められたところでございます。 それから、今後のこの
住民基本台帳ネットワークシステム
の
導入
との関連でございますが、今回の
住民基本台帳ネットワークシステム
の
導入
につきましては、
国民
が
住民票
の写しを一々その
居住
される
市町村
の役所までとりに行かずに、一枚の
カード
で多様な
行政
サービスの利用を可能にするということで大きな意義があるものというふうに思っておりますが、郵政省が推進しております郵便局におけるワンストップ
行政
サービスの実現とこの点で軌を一にするものだというふうに考えます。 その
意味
で、郵便局におきますワンストップ
行政
サービスが
住民基本台帳ネットワークシステム
を活用するという観点でとらえるということは、
国民
の
行政
サービス利用における利便性の向上に相乗効果をもたらすものではないかというふうな期待をしております。 以上でございます。
木村仁
34
○
木村仁
君
市町村
のいろんな書類の
交付
事務
について、
自治省
は郵便局との
関係
では今どのようなことをお考えになっていらっしゃいますか。
鈴木正明
35
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 現在、
住民票
の写しなどの自動
交付
機というものがそれぞれの
市町村
で
導入
をされてきております。それにつきましては、その設置場所は
市町村
の施設内ということで、管理の安全ということで
市町村
の施設内に限って認められてきている、こういう状況でございますが、今年度、郵便局など一定の
都道府県
、または国の施設の中でもやってみようということで、試行事業、モデル事業というものの
実施
に向けまして現在
自治省
において検討をいたしております。
関係
府県、
市町村
、また郵政省を初めとする
関係
省庁との検討を進めている状況でございます。
木村仁
36
○
木村仁
君 この面につきましては、ぜひ、将来は同じ省になるんでございますね、郵便局はこの
行政改革
の過程で国家公務員としての地位が残りますので、非常に立派な方々が仕事をしていただくわけでありますから、できればこの
ネットワーク
の一部に入ってもいいくらいだと私は考えております。 そして、最後に、時間がございませんで
準備
しました幾つかの問題スキップして大変失礼をいたしますけれ
ども
、最後に、これは他の
委員
の
皆様
に聞こえるように発言をしておきたいのでございますが、
昭和
四十二年の
住民基本台帳法
が
制定
されましたときの国会
審議
でございますけれ
ども
、
地方行政
としては一時期を画する
法律
であったわけでございますけれ
ども
、衆議院は、
地方行政
委員会
で賛成多数で議決をいたしております。それに対して参議院では、「
地方
自治の本旨を尊重し、かつ、
住民基本台帳制度
の本来の
趣旨
にのっとり、この
制度
の適正な運用を期すること。」という附帯決議をつけて全会一致で議決をしております。良識の府としての参議院の面目を発揮しておるわけでございます。どうかひとつ最後の締めくくりとして、大臣、この参議院ではぜひ満場一致で可決するように提案者としても御
努力
をいただきたいと思いますが、いかがでいらっしゃいましょうか。
野田毅
37
○国務大臣(野田毅君) 大変今緊張して前回の国会
審議
における状況についての
お話
をお伺いいたしておりました。 御指摘のとおり、でき得べくんば全会一致はもとよりでありますが、一刻も早くこの
法案
を成立させていただいて、着々とこれからの
高度情報化
社会に対応した
市町村
の
行政
、
住民
行政
のレベルアップのために貢献できますようによろしく御
理解
と御支援をお願い申し上げる次第であります。よろしくお願いを申し上げます。
木村仁
38
○
木村仁
君 終わりますが、私も、今二十一世紀に向かって
市町村
の
行政
が
一つ
の飛躍を遂げるこの
法律
の
審議
に携わることを非常に名誉に思って
質問
を終わります。ありがとうございました。
藤井俊男
39
○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。 七月八日に
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
が提案されまして、これまで
質疑
等も行ってまいりましたけれ
ども
、我が党といたしましては、重要
法案
とこの
法案
を位置づけておりまして、部会等でもたび重なる
議論
をしてまいったところでございます。そういった中で、一昨日は
参考人
の
質疑
をいただきまして、また、
委員会
でこの
質疑
に入る前に、七月十五日でございますけれ
ども
、早速静岡県の豊田町や、あるいは浜松市等を視察させていただきまして、まさに
委員長
と理事さんや
関係
の
皆様
方に、これまでのお
取り組み
には感謝を申し上げたいと思っております。 私は、やっぱり百聞は一見にしかずという
言葉
がございますので、この辺も私の脳裏に刻み込んでおる一人でございます。私は、現場を見まして、聞く中で、これは問題がありはしないか、大変だなと実感いたした次第でございます。 今、前任者の
自治省
出身の
木村
先生
が
質問
されましたけれ
ども
、私は庶民の、まさにローカル出身者でございますので、ローカルの立場に立って
質問
をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
国民
の
理解
を得ていく、そしてまた自治体の各
行政
の
理解
を得ていく、これが大切でございます。自治体
行政
の中でもこの
委員会
を注目しているものと私は思っておる次第でございます。そういった中で、この
住民基本台帳法
改正
案
制定
までの
取り組み
について、まず伺いたいと思っております。
自治省
のコミュニティー
ネットワーク
構想における
地域
カード
システム
の
取り組み
の
実態
についてであります。本
法案
の提出に至るまで
自治省
はコミュニティー
ネットワーク
構想における
地域
カード
システム
に取り組んできておるということですけれ
ども
、どのくらいの自治体、そして都市を選び、
実施
に向けて取り組んできたのか、まずこれをお聞かせいただきたいと思っております。
香山充弘
40
○
政府委員
(香山充弘君) 御指摘がありました
地域
カード
システム
でございますけれ
ども
、
自治省
はコミュニティー
ネットワーク
構想の
一つ
として
地域
カード
システム
の
導入
を進めようという考え方で始めておる事業でございまして、全国で十七団体をモデル団体に
指定
いたしまして、
地域
の実情を踏まえた実証実験を行いまして、標準的な
システム
を開発しようとしたものであります。 一応、平成九年度に
システム
の開発を終えまして、その後はこのモデル団体以外の全国の
市町村
に対しまして、利用を希望する場合には公開をいたしたいということで呼びかけをいたしておりまして、モデル団体のほかにさらに十
市町村
が利用を希望しておられまして、
導入
の
準備
等を進めておられる、そういう状況でございます。
藤井俊男
41
○藤井俊男君 このコミュニティー
ネットワーク
地域
構想ですけれ
ども
、これについて確かに十七
市町村
に当たったといったことでありますけれ
ども
、
目的
といたしまして
行政
窓口
サービスではすべての
住民
に対するサービスの向上を目指し、以下、三点の達成を目標とするということで、
一つ
として
住民
が各種証明書の申請手続を正確かつ簡素に行うため、申請書の自動作成サービスを行う。 二つとして、
ICカード
内の
情報
を読み込むことにより、
窓口
でのキー入力操作を削減し、処理のスピードアップを図る。 三つ目といたしまして、端末を各支所に設置することにより、各支所でも町役場本所と同時のサービスが受けられるようにするという点でありますけれ
ども
、そういった中でこのコミュニティー
ネットワーク
構想における
指定
を受けた団体の事業の
実施
状況はどうなっておるのか、この辺についてもお聞かせを賜りたいと思います。
香山充弘
42
○
政府委員
(香山充弘君)
地域
カード
システム
につきましても
ICカード
を使いまして、そのセキュリティー機能の高い
部分
とそれから記憶容量が大きい
部分
を活用いたしまして、幅広い
行政
サービスの提供に活用しようというものであります。 御
質問
がございました具体的に
導入
している例といたしましては、例えば保健
分野
におきましては、健康診断結果というものを
カード
に登録するようにいたしまして、母子保健だとか予防接種あるいは乳幼児健診、学校健診等に活用しておられるという
市町村
がございます。 また、福祉
分野
では、高齢者の
情報
を
カード
に打ち込みまして、訪問
指導
あるいは高齢者福祉サービス受給
情報
、こういったものを提供する、そういうふうなことに広く活用しておられる事例がございます。 また、
窓口
業務といたしましては、
住民票
の写しあるいは印鑑証明、その他各種証明書の申請等が自動的にできるように、そのような形で活用が行われておるという状況でございます。
藤井俊男
43
○藤井俊男君 私は、活用状況はただいまの
答弁
でわかるわけですけれ
ども
、
実態
を聞いたわけであります。 しからば、その十七
市町村
の
実態
はどうなったのだろうか。活用はこういうふうな活用をしているということですけれ
ども
、
実態
をお示し願いたいと思います。
香山充弘
44
○
政府委員
(香山充弘君) それぞれの団体で事情が違いますので一概に申し上げることは難しいのでありますが、先導的に
導入
したということで全国的に有名なある都市の場合には、いわゆる
窓口
業務の申請書を取り寄せるとかそういったことについては相当活用されたけれ
ども
、福祉、医療、こういった面については余り十分な活用がなされていない。そういうことで業務についての見直しもする必要がある、このような検討がなされている、そういうふうな団体もあるというようなことは事実でございます。
藤井俊男
45
○藤井俊男君 私は先般、静岡県豊田町やそして浜松市等も見てまいりましたけれ
ども
、今活用されていない、あるいは見直し等もございましたけれ
ども
、しからば十七
市町村
の
実態
はどうなんだろうかと調べさせていただきました。そうしましたら、この十七
市町村
の
実態
はまさに大変な事態であります。 山形県米沢市は、設計開発はしたがいろいろあるので見直している、こういう状況であります。また、岡山県成羽町は、
実施
はしているが大したものはやっていない、更新の意思はまるきりない、こういうことであります。また、長崎県大瀬戸町は、基本設計は終わっている、高齢者がメーンであるが、先ほど
答弁
していましたけれ
ども
、中断するに至った、こういう状況であります。また、長野県茅野市は、
委員長
のところですけれ
ども
、調査を受けたがうまくいかなかったので中止した。理由は、本人
カード
を確認できない、中身を見せてもらえない、見せていない、広域的な対応が必要である、
情報
の流通には慎重だ、こういうことです、
委員長
のところは。熊本県山鹿市は、基本設計、詳細設計までやったが今は中止中だ、平成十三年に再検討だよと。これは財政が逼迫しているんだ、財政がどうにもならない、これが現実だと思うんです。長期的計画を策定中であるということであります。こういうことを私のところで
実態
としてお聞きいたした次第でございます。 今言ったところにつきましては、五県の五市町です。またさらには、島根県出雲市はやめたいと、こういうことであります。鳥取県米子市も中止だと。 この十七
市町村
で実際残っている
市町村
は幾つあるんですか。この
実態
をどう把握していますか。
香山充弘
46
○
政府委員
(香山充弘君) 私
ども
が聴取いたした状況で申し上げますと、開発を中止しようとしておる団体というのは茅野市と山鹿市の二つであります。出雲市の場合には児童
カード
と市民
カード
の二本立ての
制度
でやっておるわけでありますけれ
ども
、その扱う
事務
のうち
窓口
業務の方は基本的に残すけれ
ども
、福祉、医療の
分野
は再検討してみたいというようなことが論議されておるというような状況でありまして、全体をやめたいということではないというように思っております。 各団体の
お話
を聞きますと、率直に申し上げまして、どうも
先生
の聞き取りの仕方と我々の聞き取りの仕方で多少ニュアンスが違ってまいっております。私
ども
の受けとめ方は、全国的に非常に普及していない段階でありますので、この
分野
の
行政
的な
取り組み
が必要との考え方は持ちつつも、ある団体の場合は、一団体のみで先走ってやっても効果が限られるので、もっと全国的、さらには広域的な広がりを見てから再度
取り組み
たい、こういうふうな事情を考えておられるようなところがありますし、もう
一つ
のところは、必要性は認めるけれ
ども
、国体の開催だとかいろんな事情があって、他の財政事情との比較考量において優先度が現在の
時点
では低いということで、事業部局としてはつらいけれ
ども
先送りをするということをのまざるを得なかった、このようなおっしゃり方をしておられます。 いずれにしても、私
ども
、これはまだまだ普及段階でありますから、その過程で先導的に
取り組み
をされた団体の場合はいろんなことを考えられるし、いろんな悩みもあるということで、そういう
意味
では、大きな
流れ
としてできてくる、あるいは全体としてさらにこの
行政
に対する
理解
が深まってくる、こういうことによってこれらが円滑に進んでいくものであるというふうに考えておる状況でございます。
藤井俊男
47
○藤井俊男君 私
たち
一行が先ほ
ども
申しましたように視察をさせていただきまして、私は
実態
をつかんでまいったところであります。 大臣、この
実態
をどう把握、
認識
されておりますか、お願いします。
野田毅
48
○国務大臣(野田毅君) 今、総
務審議官
がいろいろ各団体ごとについての事情を簡略に御
説明
申し上げたと思います。 こういう
システム
について、もちろん、モデルケースとしてのいわば試行錯誤的なことが当然この種のものにはつきまといがちでございまして、そういう点でいろいろ先導的な事業をやっていこうという場合には御苦労が伴うだろうと思っております。しかし、総じて、基本的に、このことが
事務
処理の簡素
効率化
なり、あるいは
住民
の利便性の向上なりにより密接につながっていく。特に、それが
一つ
の
市町村
の域内だけでやる場合の利便性と、それを超えて広くやっていく場合の利便性とはおのずからまた異なってくることだと思います。 そういったことも含めて、もう少し息長くこの点はよく実情を把握しながら改善されていくようになっていくだろう、私はそう
理解
をいたしております。
藤井俊男
49
○藤井俊男君 大変失礼な言い方かもしれませんが、世界の中で何カ国かこの
住民基本台帳
たるものにいろいろ取り組まれているというところもあるやには聞いておりますけれ
ども
、世界あるいは国内において大臣は私
ども
と同じように現場を視察したことがあるかないか。現場を見てきておるかどうか、この辺ちょっとお聞かせください。
野田毅
50
○国務大臣(野田毅君) 直接その
市町村
に行って、使われている現場とかそういったことを私
自身
見ておりません。しかし、現場を見てこられた衆議院の
先生方
なりあるいは当然のことながら
事務
局の方から、それぞれについての問題点なり改善点なりということについていろいろ現況報告を聴取いたしております。
藤井俊男
51
○藤井俊男君 私は、
自治省
の内部ではビッグプロジェクトの
一つ
ではないかなという気がするんです。そういった中で、大変恐縮ですが、私
ども
に提案するからには、外国の状況やらあるいは国内の状況をやっぱり大臣が視察する必要があったんではないか、このような感じがするんですが、いかがですか。
野田毅
52
○国務大臣(野田毅君) 今御指摘のございますモデルとしてやっております
地域
カード
事業の問題と、それから今御提案申し上げております
住民基本台帳ネットワークシステム
の問題、これはいずれ
住民票
カード
というようなことになっていけばその辺はかなり連動性は出てくるかと思います。 しかし、少なくとも、四
情報
を核とした
住民票コード
、これに基づいて全国的な本人確認作業を
効率化
させていこうというこの問題は、必ずしもこれが
前提
ということではないと思っております。
地域
カード
の問題、これが
前提
となって
ネットワークシステム
の構築の話ということになるのではないと私は思っています。 したがって、できれば、時間があればそういうことの機会を得たい、私
自身
率直にそう思っておりますが、残念ながら、就任して半年間、実際問題かなり長
期間
、国会における
答弁
で相当身柄を拘束されておることも事実でございまして、いずれ時間がありましたら最優先でいろいろ現地の状況な
ども
つぶさに把握をしてまいりたいというふうに考えております。
藤井俊男
53
○藤井俊男君 日夜大変御苦労さまでございます。よろしくひとつお願いしたいと思うんです。 そこで、私は、この
窓口
のトップにおられる
行政局長
、この
実態
をどう見られておりますか、お聞かせ賜りたい。
鈴木正明
54
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お話
は
地域
カード
システム
についての
お尋ね
だと思いますが、総
務審議官
から御
説明
申し上げました状況でございまして、それぞれの
地方
団体、特に
市町村
においてこの事業はモデル的に実証事業として取り組んできている。そこにおいてかなりうまくいっているところもあれば、いろいろ障害、隘路にぶつかっているところもあるし、それなりに得るところも多いだろうと思います。 私
ども
は、今後、この
ネットワークシステム
というものを本
法案
ということで御提案、御提出いたしているわけでございまして、その中において
ICカード
を活用した
住民基本台帳カード
というものもかなりの
準備期間
を置きながら活用してまいりたいと考えておりますので、こういった各地の
地方
団体の
取り組み
から得られました教訓あるいはノウハウというものをその中に生かしてまいりたい、このように考えております。
藤井俊男
55
○藤井俊男君 そこで、私は、この新
ネットワークシステム
を財源、人間、
権限
から検証してみたいと思っております。
地方分権
の推進、
地方
自治の拡充を目指した
地方分権
推進関連
法案
の
議論
で重要なテーマでもございました財源、人間、
権限
についてであります。言いかえれば、ポイントは金、人、物であると思います。 そこで、財源でございますけれ
ども
、
一つ
といたしまして、
システム構築
にかかる費用はどのぐらいなのか、これをちょっとお知らせ賜りたいと思います。
鈴木正明
56
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
の構築にかかるコストということでございますが、基本的な
導入
経費とそれから年間の経費、こういうことで分けて申し上げますと、基本的な
導入
コストといたしましては、
システム
の基本設計費、コンピューターの設置工事費、また
ネットワークシステム
のテスト経費、さらには既存の住基データをこの
システム
に移行するための経費など、こういった経費がかかりまして、約四百億円と見込んでおります。 それから、年間経費でございますが、維持運営コストといたしまして、コンピューターのリース料、維持費でございます。それから、電気通信回線使用料などで、維持運営コストとしては年間約二百億円と見込んでいるところでございます。
藤井俊男
57
○藤井俊男君 ランニングコストは全国でどのぐらいなんですか。
鈴木正明
58
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
ネットワークシステム
のランニングコストは年間で約二百億円ということで、内容的にはコンピューターのリース料、維持費、それから電気通信の回線使用料などでございます。
藤井俊男
59
○藤井俊男君 これは平成十年の
住民基本台帳ネットワークシステム
の構築に要する経費(試算)ということで私
ども
の方にも手元にいただいておるところでありますけれ
ども
、さらに私はわからない点がございます。 今、ランニングコスト、年間二百億だということでございますけれ
ども
、さらにお聞きしますけれ
ども
、
地方自治体
のうち、
市町村
の
システム
にかかる費用はどのぐらいなのか。これが
一つ
。 あるいはもう
一つ
は、
都道府県
のセンターの
システム
にかかる費用はどのぐらいなのか。 もう
一つ
、
指定情報処理機関
についてはどのぐらいなのか。三つ目です。 四つとして、さらにお聞かせ賜りたいと思うんですが、国に関連してかかる費用はどのぐらいなのか。 この辺、ちょっと私
ども
のいただいているデータには載っていないわけでありますので、詳しくお示しをいただきたいと思います。
鈴木正明
60
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
の経常経費につきましては、今ほど申し上げました額を見込んでいるところでございます。 そこで
お尋ね
は、
市町村
あるいは
都道府県
、
指定情報処理機関
あるいは国ということで、どのくらいの経費がかかるか、こういうことでございます。 この
法律
が成立をお認めいただいて、全国のネットというものを具体的に具体化していくということになります。それは
関係
地方
団体の協議によって具体化の詰めをしていく、こういうことで考えておりまして、私
ども
自治省
としても当然それを支援してまいりたいと考えております。 そういうことで、具体的にそれぞれのところでどのぐらいの経費になるかということについては、現在の段階では試算を行っているわけではございません。ただ、平成八年十二月の
住民基本台帳ネットワークシステム
懇談会の
意見
の概要というものをお示ししたときに、その中で試算をした資料がございます。これは負担というよりもその運営主体別に、いわば場所別でどのぐらい経費が見込まれるかという試算でございまして、この資料におきましては、
システム
稼働後毎年要する年間経費百九十八億円のうち、
市町村
の
部分
で経費が発生するのが百九億円、
都道府県
のところで発生するのが七十九億円、全国センターが十億円、こういう試算が示されております。 この試算を行うに当たってのいわば
前提
ということで、全体経費及びその内訳は必ずしも精査されたものではないこと、また二点目としては、場所別経費の負担主体、負担をどうするかということについては現在のところ未定である、それから通信回線料のところでどういうふうに見るかという整理の仕方ですが、全国センターから
都道府県
までの間は全国センターに計上する、それから
都道府県
から
市町村
までの間の回線使用料、これは
都道府県
に便宜計上している、こういう注意書きが示されているところでございます。 それで、国の
機関等
に
本人確認情報
を提供した場合どうなのかということでございます。それにつきましては、国の
機関等
が、もちろん
法律
で認められた国の
機関等
でございますが、これは
システム
の構築主体ではありませんので、第三者という立場でございますので、
本人確認情報
を利用していただく場合には所要の額をお支払いいただくということで考えておりますが、その具体的な経費につきましては、
ネットワークシステム
の仕様とかそれから
本人確認情報
の提供に関する
政令
、省令
事項
などに関することが具体的に決まっておりませんので、この懇談会の
意見
の概要の
時点
においてもまた現在でも試算が困難であるという状況にございますので、ちょっと具体的な額はお示しできないところでございます。
藤井俊男
61
○藤井俊男君 具体的に試算していない、困難だということで、私
たち
がたび重なる
質疑
をこの
委員会
で行っておりますけれ
ども
、提案をするからには、
実施
に向けて確実にそろばんをやっぱりはじいておく必要があるんではないかと思うんです。今の
局長
さんの
答弁
では、平成八年の懇談会のあくまでも試算ですよ。これでは私はちょっといいかげんではないのかな、こんな気がいたしております。 そこで、
自治省
の
関係者
がそろばんをやるには大変なのかなという気がしますので、
自治省
の担当官は大体どのぐらいおるのかなと思ってちょっとお聞きいたしましたら、
行政
局の振興課が
住民基本台帳
をやっている係、これが補佐が二人、企画官一人、係員四人と。全国に三千二百三十二自治体がありますけれ
ども
、統括する振興課の中で、ましてや私
ども
に提案するビッグプロジェクトだと私は思っておりますが、
住民基本台帳
、この懇談会の試算をもとに、今の試算の額では到底及びもつきませんよ。計算しただけでもわかります。後ほど私は
質問
を順番にやっていきますけれ
ども
。 こういう
実態
ではちょっと余りにもどうかなという気がしますので、この辺について、大臣、率直な
気持ち
をお聞かせ賜りたいと思います。
野田毅
62
○国務大臣(野田毅君) 率直に申し上げてこの
システム
、まだかなり細目にまで、具体的にどういうような仕様になるのか、そういったことがかちっと固まっていかないと、実際問題、イニシアルコストなりランニングコストを確定するというのはなかなか難しい。したがって、あくまで試算という
範囲
の中で一応の目安という受けとめ方をするのが至当ではないか、これはそう思います。これはあらゆる設備投資をする場合、みんなそういうことだと私は思っています。 それから、コストの計算、ベネフィットの計算、それぞれの
前提
を置かないと、済んだことであれば過去をさかのぼってかなり正確な計算は成り立つと思いますが、これからやろうとするわけですから、ある
意味
では試算、これからのかかるであろう予想計算でありますから、そういう制約というのは当然ある。そういう中で、先ほど来、それぞれ考えられる項目、要素について
局長
からいろいろ申し上げ、そして具体的に要素としてはあるが、つまり定性的なコストなりベネフィットなりということは十分考えられるけれ
ども
、定量的にそれをきちんと把握するということはなかなか難しい性格の
事務
もたくさんある、こういうことであります。まずそのことをひとつ頭に置いておいていただきたいと思うんです。 それからいま
一つ
は、こういう長
期間
に対して効用を持つような性格のものについては、言うなら先行投資的要素も現にあるわけでして、単にイニシアルコストの大きさだけではなくて、つまり十年なり場合によっては二十年なりの長期を展望した中でトータルとしてのコストベネフィットというのを設備投資する場合には当然
議論
しておかなきゃならないということがございます。 それからいま
一つ
は、そもそもこれは通常の企業の設備投資とは質を異にいたしておりまして、先ほど来
木村
委員
の
お話
にもございましたとおり、
行政
事務
の内容そのものの充実、レベルアップということにどういうふうに活用していくか、それから
市町村
、
都道府県
、この
地方
公共団体の人材をどういう形でより
住民サービス
の内容のレベルアップの方に振り向けていくのか、あるいは発想なりこれからの
行政
事務
の内容をレベルアップしていく、
情報
リテラシーという表現もございましたが、いわば本人確認
事務
というのは率直に申し上げてそれほど複雑高度な質の内容の
事務
であるとは思いません。 そういう
意味
で、できるだけ人間でなくて他に代替できるような仕組み、そのことによって
行政
事務
が簡素
効率化
できるということが展望でき、その中で、より人間でなければならない、まさにそういう優秀な人材を振り向けなければならない
行政
の質の充実の方に振り向けていくということは、実はそういうコスト計算外の大事な要素でもあると思っております。 そういったことを総合的にぜひ御検討いただいて、コストベネフィットについての
議論
をしていただくと大変ありがたいというふうに考えております。
藤井俊男
63
○藤井俊男君 ありがとうございます。 先般の豊田町では、あそこの人口は二万八千人ですね。それで、この
システム
導入
に向けた費用が何と一億九千万かかったというわけです。端的に計算しましても、三千二百三十二の自治体、そして四十七
都道府県
を足しますと三千三百近くになるわけです。これに二億円掛けたら、もうこれだけだって六千億じゃきかない、こういうことを頭に置いていただければと思っております。 そこで、今、
局長
さんからもありましたけれ
ども
、人件費の問題、人間の問題であります。この費用はどのぐらいに見積もっておりますか。試算しておるかおらないか、ちょっとこの辺をお聞かせ賜りたいと思います。
鈴木正明
64
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 御
質問
は、
システム
のいわば経常的経費に人件費が入っておるかどうかという
お尋ね
だと
理解
をいたしますが、
現時点
において人的配置の基礎となりますこの
システム
の仕様あるいは業務体制のあり方ということについては、今後の
地方
団体間の協議により具体化していく、こういうことでございます。詳細が定められておりませんので、この
システム
に
関係
いたします
市町村
あるいは
都道府県
、全国センターの従事者がどのぐらいになるか、これにかかる人件費についてはどうかということについての試算というものは難しいということでございますので、御
理解
賜りたいと思います。
藤井俊男
65
○藤井俊男君 同じく、詳細については難しい、人件費ということでなかなか試算をしておらないようであります。 一昨日、
参考人
の安田浩
先生
がおっしゃっておりましたけれ
ども
、中の人、自治体職員、この人を教育することではなく、適材適所で非常に柔軟に雇う必要があると私は思うということで、安田
先生
は、この
ネットワーク
構築に向けてはおおむね二人ぐらい必要ではないかと言っておりました。 三千二百三十二ですから
都道府県
を入れれば三千三百近く、新しく六千六百人が必要になるわけです。この六千六百人で単純に計算しただけだって、年間一千万にすれば六百六十億、半分にしても三百三十億、こういう状況がうかがえる。こういうことになってまいりますと、やはり人件費の
関係
等をかなり今からでも見積もっていかないと、私はこれは到底難しいのではないかと思っております。 豊田町のところで見ましたら、専門的な人が一人でやっていた。一人じゃどうかなということで私さらにお聞かせを賜ったんですけれ
ども
、そうしたら、いや、これについては五名ぐらい今充当しているよということをお聞きいたしたんですが、かえって行革どころかふえているのかなと。
システム
を構築するにおいて人をまたふやさなければならないという点もお聞きを賜ったわけですけれ
ども
、この辺についてどう感じますか。
鈴木正明
66
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
を円滑かつ効率的に運用していくには、やはり職員の問題というのが非常に重要だろうと思います。 今、
参考人
の御
意見
を引用しての
お話
でございますが、
プライバシー
の
保護
というかセキュリティーの確保という面では、チェック体制という
意味
で一人の職員ということはないだろう、いわば管理
情報
の担当責任者とその管理者という役割、重要な場合には一人で操作あるいは運用するのではなくて、必ず複数の職員によるチェックというような慎重な手続などが必要だろうという御指摘があったと
理解
をしているところでございます。 また、豊田町の
お話
につきましても、私も
先生
の鋭い御指摘を拝聴いたしておりましたが、開発期においては担当の職員を充当して開発に当たってきたが、ことしでしたか昨年でしたか、体制をいわば市民課というんでしょうか
住民
台帳
係というんでしょうか、そこの一般体制の中でそれぞれの職員がこの
事務
に当たっていく、こういういわば平時の体制に切りかえたというふうに
理解
をいたしたところでございまして、この
ネットワークシステム
を構築し運営していく場合にも同じようなことが言えるのではないかと思います。 いずれにいたしましても、職員の意識あるいは知識、
技術
のレベルアップというものを図って、効率的な運用というものをそれぞれの
市町村
全体の中でどう構築していくか、また管理なり運営体制というのをどう構築していくかということにかかわるわけでございますので、十分その点を念頭に置いてこれから取り組んでまいりたいと考えております。
藤井俊男
67
○藤井俊男君 これに時間ばかり費やしてもあれですから、次に入ります。
システム
のコストの
政府
の試算の算定根拠となっているのは、ハード、ソフトを含めリース契約を想定したものと考えられますが、先ほ
ども
言っておりました、契約が仮に五年リースであると考えますと、当然
導入
五年後にはまた新たな更新を迎えるわけであります。実は、五年ごとの更新時にランニングコストに近い経費が非常に大きな負担になることはコンピューターの関連世界では常識だと思っております。通常、今の世界の
流れ
で見た場合、一年、二年でもうすぐ変わってしまうという状況であります。 ところが、
政府
の試算ではこうした更新の費用については書かれておりません。一斉に更新することになれば、全国では巨額な費用が私は要求されるようなことになりかねないと思っておりますが、この辺についてはどうですか。
鈴木正明
68
○
政府委員
(
鈴木正明
君) 経常的経費の試算におきましては、今御指摘のございましたコンピューターのハードウエア、ソフトウエアにかかるリース料につきましては、単年度で全額を負担という考え方でなくて経費負担が平年度化されるということを想定して試算を行っております。
お尋ね
の更新時のリース料でございますが、同一の性能を
前提
とすると、
技術
の進展に伴いましてむしろ低減していくということもございます。
現時点
での
技術
水準というのを
前提
としてこの年間経費というものを試算しているところでございますが、そういうことを考えますと巨額の負担増というものは想定をいたしていない、こういうことでございます。
藤井俊男
69
○藤井俊男君 そうなってまいりますと、自治体が定期的に交換あるいはコンピューターをかえていくということになりますと、先ほどこのモデルケースの中で財政が厳しい市もございましたので、非常に財政の硬直化をもたらすようになるのではないか、また負担を
政府
の方へ、これから
自治省
も総務省へと変わってきますけれ
ども
、要求をされるようなことがありはしないか、こう思うんですけれ
ども
、この辺はどうですか。
鈴木正明
70
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
を運営していく場合、個別の
地方
団体のコンピューター機器等につきまして、セキュリティーレベルを高く維持しながら、かつ円滑、安全に稼働するということでございますから、
システム
更新ということもありましょうし、この基本的な考え方、方針というものにつきましては、やはり
地方
団体の間で協議して決定していく、一定の共通性というんでしょうか、そういう考え方のもとで取り組む必要があろうかと思います。それぞれの
地方
団体においては、個別の事情に応じた機器の更新ということになるわけでございますが、一定の共通性を踏まえながらもそういった事情に対応して更新をしていくということになろうかと思います。 その場合の経費についてでございますけれ
ども
、
地方
団体がこの
ネットワークシステム
というものを円滑に運営ができるように適切な財政
措置
を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
藤井俊男
71
○藤井俊男君 そこで、更新の
関係
をさらにお聞きさせていただきますけれ
ども
、十年間たつともう相当
ネットワークシステム
が大きな変化を遂げるであろうと私は思っております。こうした状況の中で、
システム
の基本的な仕様はだれがどこで決めるのか、
市町村
には
システム
構成と製品構成に関してどの程度の選択の自由度の幅が持たれているのか、確保されるのか、この辺はどうなんですか、お聞きします。
鈴木正明
72
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 御指摘のように、この
システム
は個々の、それぞれの
地方
公共団体に設置されたコンピューター機器が有機的に結合されて全体として高いセキュリティーレベルを維持しながら安全かつ円滑に稼働する、
本人確認情報
を提供していく、こういう必要があるわけでございますので、
システム
の根幹をなす
部分
につきましては、基本的な仕様というものに基づいて開発を行っていく必要があると考えております。こういった基本的な仕様につきましては、
システム
の構築、運営主体であります
地方
団体の間の協議によって決めていくということになるものと考えております。
藤井俊男
73
○藤井俊男君 一昨日の
参考人
の前川徹
先生
がおっしゃっておりましたけれ
ども
、セキュリティーの
関係
で確保するには暗号
技術
の進歩に合わせる必要がある、こういうことを述べているんです。ISOの会議において、ことしは決められた国際規格の15408というセキュリティー規格を入れてほしい、これはアメリカ、フランス、カナダ、ドイツがそういうことをすると言っていた、こういうことを聞きますと、何か
参考人
の前川徹
先生
があたかももうこういうふうな形でISOの規格に合致したそれを入れなくちゃだめなんだと
指定
しているような感じに私はとったわけでございますが、この辺についてはどうお考えになっているか、お聞かせ賜りたいと思います。
鈴木正明
74
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
を構築していく場合に
個人情報
の
保護
、
プライバシー
の
保護
というのが非常に重要ですので、
制度
的な面はともかく、それは
法律
で手当てをしておきますが、
技術
的な面でも必要な
措置
を講じなけりゃならないということで、専用回線で結ぶ、その中でも送信する
情報
については暗号化を図るということを初めといたしまして、各種のセキュリティー確保のための
技術
的な
措置
というものを講じていくということといたしております。 特に、暗号につきましては、暗号化
技術
につきましては
技術
革新が著しい
分野
ということでございますので、実際に採用する段階においては実用にたえ得る
技術
の方式の中から効果的という観点で採用を検討する、こういうことになりますが、いずれ、それを含めましてセキュリティー
措置
というものを、どのようなレベルのものをどのように組み合わせて具体的に決めていくかということにつきましては、これから
地方
公共団体間の協議で具体化をしていく、このように考えております。
藤井俊男
75
○藤井俊男君 私は、この種の
関係
で、決して業界の利益とかそういうことがあってはならないと思っておりますので、
国民
のためのこういう
システム
でなくてはならないと思っております。 そういう視点からとらえますと、
市町村
によって、新
システム
の
導入
後、財政的理由からあるいは
ICカード
の利用状況の違いから、コンピューターソフト、ハードの更新をする自治体、しない自治体、さまざまな状況が予想されます。コンピューター
システム
の更新の有無について、今、
局長
さんからもありましたけれ
ども
、それぞれ業界の
関係
もあるけれ
ども
、
地方自治体
に任せるというようなこともありましたけれ
ども
、その辺の選択の可能性はどの程度あるのか、財政的な
措置
についてはどうなのか、この辺もちゃんと聞かせていただかないと踏み込めないと思います。よろしくお願いします。
鈴木正明
76
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
お話し
のように、この
システム
を運営していく場合にそれぞれの
地方
公共団体のコンピューター機器等の更新ということがあるわけでございます。高いセキュリティーレベルを維持しながら全体として円滑かつ安全に運営していく、稼働していくということから申し上げますと、
システム
更新についても一定の共通性が必要だということでございます。それぞれの
地方
団体において個別の機器の事情に応じた更新というものも必要でございますが、その場合でも互換性などの問題が生じないようにするために一定の共通性に基づく適切な更新が必要であると考えております。 この
システム
運営に伴います必要な経費につきましては、全体として適切な
地方
財政
措置
を図ってまいりたいと考えております。
藤井俊男
77
○藤井俊男君 そこで、本拠地の視察地、静岡県豊田町の実例から私は伺いたいと思っております。
地方分権
推進法が
制定
をされまして
地方自治体
の各現場ではその受け皿づくりのために全力を挙げ、取り組んでおります。各自治体にとっていまだ経験をしなかったような大変な変化を迎えておると言っても過言ではないと思います。これに加えて
住民基本台帳法
の
改正
ということで、私は
地方自治体
によっては
準備
に取り組む方々に戸惑いもあるのではないかと懸念をいたしております。 そこで、
導入
される新
住民基本台帳
システム
を担う
地方自治体
サイドから見た本
法案
への
意見
などについて、私
ども
と一緒に同行されました
鈴木
局長
の豊田町に行ったときの率直な感想をまず承りたいと思います。
鈴木正明
78
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 先般、地行・
警察委員会
の
委員
の
先生方
にお供させていただいたわけでございます。 豊田町における
地域
カード
の
取り組み
につきましては、あれだけの規模の
市町村
においてかなり先導的な、いわば早い時期での
取り組み
の中でいろいろ
努力
されているというふうに感じました。
カード
の普及率というんでしょうか、利用率というものが低いという御指摘もあったわけでございますが、限られた
地域
、あれだけの規模ということでやはりそれなりの制約を受けているのではないか、このように考えたわけでございます。いずれにしても、役場のトップの方から職員の方まで、その
取り組み
の意欲というものを感じてきたところでございます。
藤井俊男
79
○藤井俊男君 ありがとうございました。 今回視察した静岡県豊田町を例に見ますと、町長はあいさつの中で、
住民基本台帳ネットワークシステム
は、
住民
の利便性が高まり、
行政
手続を簡素化するためにはよいことであり、
情報
化と
地方分権
にも役立つ、国と
地方
がスクラムを組んで実現し云々と述べられ、最後に、全国ベースで豊田町の
システム
をつくるものであると期待していると評価している。なるほど。豊田町の
ICカード
と
改正
案で
導入
される
住民基本台帳カード
とは非常に似ている。 〔
委員長
退席、理事山下八
洲夫君
着席〕 そこで、大臣、私はこの
カード
をやってきたわけ。実際私は入っているんですから。これ見てください、私だけやれた。こういうことです。大臣に一応見せます。(資料を手渡す) そこで、豊田町の
ICカード
と今回
導入
を図る
カード
と機能的に同様なものと
理解
していいのかどうか、この辺
局長
さん、お聞かせを賜りたい。
鈴木正明
80
○
政府委員
(
鈴木正明
君) 豊田町の
地域
カード
とこの
住民基本台帳カード
につきましてですが、いわゆる
ICカード
というもので、それを用いるという点では同様のものと考えております。
藤井俊男
81
○藤井俊男君 豊田町では、
ネットワークシステム
を運用しているわけではなく、大人と
子供
の
ICカード
事業を行っております。
住民票
の発行と、高齢者、児童の健康管理、先ほ
ども
局長
さんが言っていましたけれ
ども
。図書館の利用等に
カード
を使っている。年間のランニングコストは二千万円程度かかるということなんです。
システム
の保守に年間五百万円、パソコンのリース代に五百万円、
システム
の改良等があるということだ、こういうことなんです。
カード
は、
改正
案の
システム
でも使われる八千字を
記録
できる、今の
カード
、S—8型
カード
で、私はこれ幾らかかるんですと聞いたんです。そうしたら、一枚千四百十一円だということです。全国人口を掛けると、
国民
すべてに発行すると大変な額です、これ。一千七百億円かかるんです、一億二千三百万ですから。この
カード
だけで一千七百億円もかかるわけです。どうですか。十年に一回、誕生、死亡、転入、転出などによって新規をつくると仮定すると、今私が言いましたように、それだけだって十年間に百七十億もかかってしまう。年間に必要になるわけです。大変な額です。 〔理事山下八
洲夫君
退席、
委員長
着席〕 全国で
ICカード
事業を始めるとすると、全国人口を一億二千三百万人として、ランニングコストは、先ほ
ども
言っていましたけれ
ども
、私と若干違います、年間に約九百億円かかることになるわけです。これは
住民基本台帳ネットワークシステム
に付加されるという
ICカード
の利用だけに限った金額で、しかもまだ利用者も圧倒的に少ない状況の話でありまして、
ICカード
システム
だけでも試算の経常経費をはるかにオーバーしてしまう、こういうことであります。
ネットワークシステム
の全面運用をした場合に二百億円で済むはずがないでしょう。どうですか、この辺は。お聞かせ賜りたいと思います。
鈴木正明
82
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 豊田町の
カード
システム
につきまして、大変いわば先導的
施行
というんでしょうか、実証事業という側面もありますし、先駆的な
取り組み
でございますので、
お話し
のような実情というものがあると思います。 この
住民基本台帳ネットワークシステム
におきましても
住民基本台帳カード
システム
というものを考えているわけですが、御
理解
賜りたいところは二つございまして、この
カード
を全国共通のいわば本人確認のための
システム
として使うということで、四
情報
プラス
住民票コード
を万全のセキュリティー機能のもとでIC基本
台帳
カード
として使っていく、こういうものでございます。 それにあわせて、この
ICカード
の場合にはほかにもエリアというものがあり得ますので、そのエリアというものをそれぞれ専用にいわばポケットをつくり、ファイルをつくりまして、各
市町村
において独自の施策に利用していただけるような
カード
システム
というものを開発しようということでございます。そういう
意味
での基本的な
カード
システム
の
部分
はこの
ネットワークシステム
の中でいわば共同で開発していこう、その上でそれぞれの
市町村
で独自利用していただこう、こういうことでございますので、そういった
意味
ではレベルの面でも経費の面でも相当なメリットが出てくるものと考えております。 ただ、独自利用に要する経費の
部分
は
システム
の方で負担するものではありませんので、年間経費の試算からは除外をいたしております。また、
ICカード
自身
は一括で調達いたしますと一枚当たりの単価というものは大きく低下してくる、このように考えておりますので、全国の各
市町村
において単独あるいは共同で
カード
の独自利用というものが進んでくると
関係
経費は低減してくるものだ、こういうふうに考えております。
藤井俊男
83
○藤井俊男君 さらにお聞かせを賜りたいと思うんですが、豊田町では開発費に一億九千万円かかっております。
システム
開発に一億一千万、ハード等がその残りを占めるという状況であります。このうち、
自治省
関係
からの補助が特別
交付
税ということで六千万円程度来た、残りは他省庁の補助金で賄ったということであります。厚生省から高齢者の
情報
化に関するもので四千万、
子供
の予防接種に
関係
する
地域
保健事業に四千万程度、合計八千八百万。本当のところは、
システム
の主たる財源は補助金を寄せ集めたものである、こう言っても過言ではなかろうかと思います。 そこで、豊田町は、
自治省
が平成三年から十七団体を
指定
したモデル事業で、
地域
カード
、今のこの
カード
を最後に
指定
された町でありますけれ
ども
、その中での一応の成功例かとも考えられます。その原因は、財政負担が私は少なかったから大きな
取り組み
ができたのかな、こんなような感じがするんですけれ
ども
、補助や特別
交付
金がいろいろ来てそれでやれた、こういうことが言えるのではないかと思うんです。
システム
の構築だけで約一億前後自前で賄ったようですけれ
ども
、今回の
住民基本台帳ネットワークシステム
では自治体の財政負担をどういうふうに考えているのか、ちょっとその辺私はあそこで考えさせられたんです。この辺はどうですか。
鈴木正明
84
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
を構築していく場合の費用につきましては、先ほど申し上げました基本的な
導入
経費あるいは年間の経費としてそれぞれ四百億円、二百億円を見込んでおるということでございまして、この
システム
にかかわる
事務
は
都道府県
、
市町村
の
事務
ということでございまして、その費用はそれぞれ
都道府県
、
市町村
の負担という考え方でございます。
自治省
といたしましては、本
法案
を成立させていただいた段階におきましては、各
地方
団体がこの
システム
の構築に取り組むことができますように適切な財政
措置
というものを図ってまいりたいと考えております。
藤井俊男
85
○藤井俊男君 そこで大臣にお聞かせを賜りたいと思うんですが、この間ずっと私が
質問
をいたしてまいりましたけれ
ども
、自治体の現場を私はつぶさに視察してきまして、結論的に申し上げますと、この
住民基本台帳ネットワークシステム
が
政府
の試算をはるかに超えるような巨額の費用を要することは明らかかな、率直に言ってこんな感じを持っておるわけです。自治体の負担、ひいては
国民
の負担は無視できない額と予想される、その費用は積算されるべきだ、私はこのようにも思うんですけれ
ども
、大臣の
認識
と見解、お聞かせを賜れればと思います。
野田毅
86
○国務大臣(野田毅君) 先ほど来いろいろ具体的な豊田町の事例等々を引用しながら、自治体サイドにおける開発費用なり、これを
導入
するためのコストについてかなり巨額のものになるのではないかという御懸念をお伺いしておりました。これに対して
局長
の方から丁寧にいろいろ御
説明
も申し上げたところでございます。 私は想定外の超過するような巨額の負担というものが出てくるとは考えておりませんけれ
ども
、いずれにしても
地方自治体
が必要な作業を行っていく、その
導入
の経費なりあるいはこれを運営していくランニングコストなりということについて、当然のことながら
地方
財政全般について
自治省
としては見ていかなければならない立場にあることでありますから、必要な財政
措置
は当然責任を持って行っていくべきことであるというふうに
認識
をいたしております。
藤井俊男
87
○藤井俊男君 続きまして、今度は人間論に入りたいと思います。人の問題であります。 この
住民基本台帳ネットワークシステム
に必要な職員数をどのぐらいに見ているかということは先ほ
ども
私申し上げましたけれ
ども
、ちょうど今の
時点
では具体的な職員の数は発表できない、算定できないということであります。これに向けて相当なコンピューター
関係
の知識を
前提
とするものには間違いないわけですね。これは確認できると思うんです。 そこで、私は、
システム
管理は専門知識がなければ到底できない
関係
ととらえております。実際に豊田町では、従事する職員は二、三名おったけれ
ども
追加するという状況であったんです。専門的にやっていた人は一人しかいないんです。豊田町そのものは人口が三万ですよ、約二万八千からの人口ですが、二百三十名の職員がおります。その中で、この事業の概要を話せる人、私ずっと問いただしたら一人っきりしかいない、専門的に。あとの方は、失礼な話ですけれ
ども
、全然わからない。一人だけですよ、わかっている人は。このように、専門的な話になると担当の職員一人しかわからないということで、これでいいのかどうか。 また、同町では
戸籍
窓口
係に五名置いておりますけれ
ども
、
ICカード
の担当を最近合体したということで、つまり人は減らすどころかふえてしまったような状況です。これらについて、今の時勢をとらえた場合、いかがなものか、こういうことが考えられるわけであります。 私が問題を提起している点は、
住民基本台帳ネットワークシステム
には専門知識を有する職員が張りつく必要があるのではないかという点であります。
ネットワークシステム
自体が、契約業者だけではなく、役場側にも専門の人材を必要とする点であろうかと思います。職員数を見込めないというのは、しからば
法案
が、機械的に人を必要とするこのことだけでいいのか、こういう点をちょっと私は考えさせられるわけですけれ
ども
、
局長
としてこの辺についてはどう感じますか。
鈴木正明
88
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
を
導入
することと、特に
市町村
での職員との
関係
の
お尋ね
でございます。 現在、ほとんどの
地方
公共団体におきましてコンピューターが
導入
されております。端末機器の操作の
技術
面などに関しては、一定の知識を有する職員は既にかなり確保されているものと見ております。端末操作
自身
に関しましては、コンピューターの高度な知識というよりも、なれて実践による習得という面が多いものと思いますので、そういった高度な知識を有しなくても運用が可能となるような安全な
システム
としてやはり設計、構築していくことが重要であろうという点がまず第一でございます。 さらに、基本的な操作手順などを示す運用マニュアルを
整備
するとか、定期的な操作研修な
ども
行うことも必要でありますが、これから
ネットワークシステム
を構築していく間に、
お話し
のように
プライバシー
意識の向上あるいはコンピューター
ネットワーク
に対する知識、経験なり能力の向上というものをさらにさらに高めていくという
努力
は必要であろう、このように考えております。
藤井俊男
89
○藤井俊男君 時間が参りましたので、人間論の中間まで入りましたけれ
ども
、最後は人間から
権限
、そして全般的にとこの問題は入ろうと私は思っておりまして、まだたくさん
質問
点が残っておりますけれ
ども
、後の機会にさせていただきたいと思っております。 ありがとうございました。
小山峰男
90
○
委員長
(
小山峰男
君) 午前の
質疑
はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時四十四分休憩 ─────・───── 午後二時開会
小山峰男
91
○
委員長
(
小山峰男
君) ただいまから
地方行政
・
警察委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
魚住裕一郎
92
○
魚住裕一郎
君 公明党の
魚住裕一郎
でございます。
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
、昨年の三月に当時のいわゆる自社さ政権のもと国会に提出をされました。事前に各党に
説明
をされたというような御
説明
があったんですが、御案内のとおり、公明党は当時は公明という名前で参議院の政党でございまして、私
ども
事前の
説明
は受けたことはございません。そういうことも手伝って、きょうは若干の
質問
をさせていただきたい、このように思うところでございます。 この
改正
案に入る前に、最近この
改正
案に係るマスコミ報道もございますけれ
ども
、いろんな事件が起きておりましてマスコミをにぎわしているところでございます。一番頻繁に出てくるのはあのオウムの
関係
かなというふうに思っております。 茨城県の三和町、ここに転入届を出した方がおりますが、町が不受理を決定して、異議申し立てをし、これがおととい棄却決定をしたということが報道されております。また、栃木県の大田原市では、麻原彰晃の
子供
たち
の転入届を出したところ不受理という形で、今異議申し立てをされているというふうに報道されております。 ああいう事件を起こした団体に関連する方々でありますし、私、
個人
的に申し上げれば、平成七年の選挙直前でございますが、私の選挙の
事務
をやっている
事務
職員が地下鉄サリン事件に遭って、今でもまだフラッシュバックがある、そういうようなことがありまして、大変憎いという感情を持つわけでございます。 また、
地域
住民
の方々あるいは各
地域
社会の自治体の方々の思いというか、それは
理解
できるところではございますけれ
ども
、転入届を出す、それを受け付けないというそのこと自体が、何か今まで営々として、午前中
木村
委員
から一生懸命この
制度
をつくってきたんだという
お話
がございましたが、だけれ
ども
何かほころびが出てきたんではないか。
日本国
じゅうどこの公共団体も受け入れ拒否ということになったら、まさにたらい回しというか、海外に出ていけとしか言えないような状況になってしまう。村八分でも人権侵害だけれ
ども
、海外追放みたいな形になるとさらに大きな問題になるんではなかろうか。 私も、この点について
制度
のあり方も含めて種々どうやればうまく解決できるのか、またオウム関連の問題についてどうすれば地元の
地域
住民
の方々の不安を抑えながら解決できるのか悩んでいるところでございますが、いまだに私
自身
もいい解決策が思い浮かばないところでございます。 この不受理の案件につきまして、
自治省
としてどんな対応をされておられるのか、ちょっとそこのところを御
説明
いただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
野田毅
93
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、大変悩ましい事件であることは事実でございます。 今、具体的にそれぞれ三和町あるいは大田原市において転入届の不受理を決定し、それぞれ異議申し立てがなされ、それに対する棄却、その結果、三和町に関連しては茨城県に審査請求書を提出した、大田原市の方は、不受理の決定の結果、異議申し立てが行われているという今状況にあるわけです。 この異議申し立てに対する判断あるいは却下の判断というのが、
居住
の自由について憲法第二十二条においては「何人も、公共の福祉に反しない限り、
居住
、移転及び職業選択の自由を有する。」ということを述べ、同時に
地方自治法
第二条第三項第一号において
地方
公共団体の
事務
として「
地方
公共の秩序を維持し、
住民
及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」、こう書いてある。したがって、
地域
住民
の不安や
地域
秩序を理由に不受理としたのである。町では、これはかつて凶悪事件を起こした団体で、かつその後においても根本的脅威をなお維持している団体に所属する者の転入届である、こういうかなりそれなりの論拠を明らかにしながら述べておられるわけで、憲法で言う公共の福祉に反しない限りという
趣旨
をどういうふうに解釈するかということは別問題として、いろいろ自治体において本当に考えて、苦労しながらこの問題を取り扱い、そういう御判断をされたものだと考えております。 この点で
自治省
として、確かに
住民
登録という
制度
そのものからすると大変悩ましい問題でありますが、一方で
住民
あるいはその意向を受けた自治体がじゃ素直に転入届を受理していいのかということになると、なかなかそうはいかないというせっぱ詰まっている状況もわからぬではないんで、率直に言ってこのあたりは
自治省
としても悩ましいことであるというふうには思っております。 いずれにしても、これは本当は
政府
だけでできるのかどうか、今超党派で、国政全体の中で党派を超えていろいろオウムに関連する取り扱い、破防法の適用あるいは
改正
、いろんなことを含め、今御指摘の問題をも含めてどう対応するか。本当は国の方においてきちんとした方向性を出してあげなければ、地元自治体としては
自分たち
だけではどうにもならぬというせっぱ詰まった環境にあるというふうに私は
認識
しておりまして、そういう中でのやむにやまれぬ判断の結果であるというふうに考えておりますので、ここは私
ども
もいろいろ知恵を出していきたいと思いますが、ぜひ
先生方
におかれましても、この問題を単に
行政
サイドの問題だということだけではなくて、やっぱり立法府においてどう対応するかということもあわせて、一緒になって本当にきちんとした対応ができるようによろしくまた御
指導
もお願いを申し上げたいと思います。
魚住裕一郎
94
○
魚住裕一郎
君 先ほど申し上げましたように、私もその点本当に、これはオウムの問題というよりも、今の
質問
の
趣旨
は、
住民基本台帳
のあり方論としてずっとお聞きした次第でございますが、一緒になって悩んで何とか解決を図りたいと思うんですが、ただ、そうなりますと
住民基本台帳
に記載のない
住民
というか
国民
というか、公共の福祉の
関係
でその存在を
自治省
は許しているというふうに
理解
していいんですか。
野田毅
95
○国務大臣(野田毅君) 許しているということではございませんので頭が痛いと実は申し上げたわけでございます。 やはり日本人である以上、少なくとも国内のどこかの
市町村
に
住所
を持ち、海外に行かない限りどこかで
住民
登録が行われるというのは当然の私は姿であると思っています。 そういう点で、転出届だけが受理されて転入届が受理されないということでは困るので、転出届も受理されないということであるならばまたこれはこれで
一つ
の考え方だと思うんですが、そういったところをどういうふうに整理するか、ちょっと
勉強
させていただきたいと思っております。
魚住裕一郎
96
○
魚住裕一郎
君 また一方で、ことしの四月ですか、新聞に載っていたんですけれ
ども
、これは東京の国分寺市の事案でございますが、男の赤ちゃんの出生届を出したところ、世帯主の生年月日が同じで氏が一字違う、そういう全然
関係
のないところの
住民票
に間違えて記載されたと。その後、数カ月したらいろんなダイレクトメールがいっぱい送られてきて、
子供
がいないのに何で長男あてに来るんだというような新聞記事でございます。そうすると、その載せられた人、大人からみれば、架空の
子供
が
住民票
に載っているという、これまた厄介な話になってくるわけですね。 それで、今この
改正
案でやろうとしているのは、全国センターを中心にして全国ネットでやっていこうという話でございまして、一方で、
住民票
がない方も
日本国
内にいるということが存在し得るわけですね。極端な例ですよ、これは。また一方で、架空の人間もぽこっと全国規模で登録されるということになるわけです。その辺、一市区町村だけの問題ではなくして、一気に全国的に波及する、そういう問題になるわけです、今回のこのネットが構築できますと。その点について、
自治省
としてはどのようにお考えになりますでしょうか。
鈴木正明
97
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
ネットワークシステム
は、
住民基本台帳
の
制度
を踏まえてというか、その上に乗って
ネットワークシステム
を組むというものでございますので、
住民票
に記載された
情報
、これを県あるいは全国センターに通知し、保有すると。
住民票
に
住民票コード
というものを記載することとして、
コード
も含めた五
情報
プラス付随
情報
を全国的に保有し、本人確認に役立てよう、こういう仕組みでございます。
お話し
のように、
住民基本台帳
の運営面においてそういう問題が、たくさんというわけではありませんけれ
ども
生じているということを報道されたり、事実があったということもあるわけでございますが、まず事実に基づいて職権で
修正
するということも可能ですし、御本人からの申請によりまして変更するということもございます。 いずれにしても、
住民基本台帳制度
の基本については
正確性
の確保ということが重要でございますので、これは
関係者
とも
ども
私
ども
も
最大限
の
努力
をしてまいらなければならない課題だと思っています。
魚住裕一郎
98
○
魚住裕一郎
君 ぜひその点への配慮をよろしくお願いしたいと思います。 内政審室長見えておられますけれ
ども
、高度
情報
通信社会推進本部のもとに
個人情報保護
検討部会ですか、これがつくられたようでございますが、先般、この
委員会
に
参考人
で堀部
先生
においでいただいたわけでございますが、また前回の
質疑
のときにも室長にお見えいただきましたけれ
ども
、この検討部会のその後の進捗状況といいますか、もう一度簡潔におっしゃっていただけますか。
竹島一彦
99
○
政府委員
(竹島一彦君) 御指摘のとおり、高度
情報
通信社会推進本部のもとに
個人情報保護
検討部会というものを設けさせていただきました。第一回会合を七月二十三日に行わさせていただいております。二回目を八月六日ということで予定させていただいています。 七月二十三日の第一回会合におきましては、初めてでございますので、堀部政男氏が座長に選任されまして、座長を含めて十四名の
委員
から成る検討部会が発足をいたしました。他の例に見られますように、一回目でございますから、検討部会の運営要領といったようなものにつきまして、また会議をどのように公開するかというようなことにつきまして御
議論
をいただいたと。その上、これから先検討部会としてどういうテーマ、どういう項目について検討すべきであるかということにつきまして一回目の
議論
がなされまして、それぞれの御
意見
が出たのでございますが、もう一回、第二回目にこれからの検討部会としての検討テーマの整理を一回目の
議論
を踏まえてやりましょうと、こういうことになってございます。
魚住裕一郎
100
○
魚住裕一郎
君 内政審としてはこの
個人情報保護
はどういう方向性でとりあえずお考えなのかという点と、それから
現時点
において、与党二党を含む三党で
個人情報保護
システム
検討会というのがございますけれ
ども
、この
システム
検討会との関連性を内政審としてはどのようにお考えなのか教えてください。
竹島一彦
101
○
政府委員
(竹島一彦君) 検討部会の方向性でございますが、これは建前というふうに聞こえるかもしれませんが、あくまでも検討部会で検討していただくということでございますけれ
ども
、検討部会を設置しました背景につきまして二点申し上げたいと思います。 第一点は、高度
情報
通信社会推進本部によりまして
政府
としての基本方針というのを持っておりまして、これからのいわゆる
ネットワーク
社会において
情報
の自由な流通というのを確保していく必要がある、
情報
通信
技術
も日進月歩である、そういうものを踏まえて自由な流通ということを確保していく必要があるけれ
ども
、同時に、いわゆる
個人情報保護
、
プライバシー
の
保護
ということもますます大事になってくるということで、高度
情報
通信社会推進本部のもとに検討部会を設けるということは
政府
としてもう既に決めておったことでございますが、それに加えまして、本
委員会
でも御
議論
をいただいています住基法の
改正
が、衆議院で
議論
されましたときに最終的には
附則
が入りまして、今、
委員
御指摘のとおり、三党における検討会も設けられたということでもございます。そういう国会における御
議論
、この二つのことを踏まえましてこの検討部会を
政府
として発足させていただいたということでございます。 したがいまして、内容につきましては、広く
民間部門
を含めた
個人情報保護
のあり方、
行政
機関
の持っております
情報
についての
保護
法は既にあるわけでございますが、
民間部門
を含めた
個人情報保護
のあり方はいかにあるべきかということについて御
議論
をいただくというのが検討部会の使命でございます。 それで、
政府
としては、これは世に言われるEU型のオムニバス方式、いわゆる統合方式というものと、言ってみるとアメリカ型の法規制と
民間
の自主規制というものを組み合わせていくという二つのタイプがあるわけでございますが、
政府
の基本方針においては後者の考え方が適当ではないかということで示されているわけでございますけれ
ども
、やはりこの住基法の御
議論
の中でいろいろな御
議論
も出てきておりますので、
政府
の検討部会においては、出口をあらかじめ決めることなく、有効な実効性の上がる
個人情報保護
システム
というものが日本の場合にどういうふうにすればできるかということを中心に
議論
が展開されていくであろうというふうに思います。 その辺が第二回目に
議論
されて、その点だけではございませんけれ
ども
、そもそも
個人情報
とはいかなるものかという定義の問題もあると思いますし、今既に行われておりますいわゆる自主規制というものについて、これが有効であるとした場合に、しかしながら本当に
プライバシー
を守る上で実効性が上がるのか、自主規制だけで本当に十分に
保護
されるのかという問題も、実効性の担保はいかなる
措置
が必要かというようなこともございます。そういったことをもろもろ整理いたしまして、総合的にきちんと答えが出るようにさせていただきたい。 その間、三党の検討会における御
議論
を当然踏まえさせていただきますし、
政府
の検討部会の
審議
の模様は適時適切に三党の検討会の方に御報告するという形で進めさせていただきたいと思っております。
魚住裕一郎
102
○
魚住裕一郎
君 きょうは衆議院の方から
発議者
三名の方がお見えいただいておりますが、ちょっと午前中の
質問
に関連して確認をしておきたいんですが、午前中、
木村
委員
の
質問
の中で、
改正
案自体は
プライバシー保護
について十分な配慮がある、だけれ
ども
漠然とした不安があるから
修正
をやったんですよという
認識
なのか、そういう
趣旨
の御
質問
がございました。
発議者
の中で
桝屋
代議士が立たれて御
答弁
されたわけでございますけれ
ども
、本当にこの
改正
案は十分なものがあるのかという、その辺の
認識
は私はちょっとほんまかいなというようなことがございます。 例えば、
ICカード
がある。
ICカード
には
本人確認情報
と付加
情報
がつけられる。
本人確認情報
については、きっちりとした
技術
上の
保護
とともに、
法律
上厳重な
保護
措置
がある。
民間
の利用も
禁止
されている。しかし、この付加
情報
についてはすべて
法律
上の
保護
がかかっていないわけです。それはある
意味
では各条例に任せているという
部分
がございますけれ
ども
、それも含めてこの
改正
案で十分なんだと。 僕はそうじゃないだろうと思うんですね。十分でないがゆえにこの
修正案
の案文になったんだろう。それに基づいてこの
改正
案もさらに
改正
しますよというのが
自治大臣
の
認識
の二点目だと私は考えておりますが、
桝屋
代議士、その点についての御
意見
がございましたらお願いしたいんですが。
桝屋敬悟
103
○
衆議院議員
(
桝屋敬悟
君) せっかくの
お尋ね
でありますから。 午前中の私の
答弁
が若干
言葉
足らずであったかなというふうに反省をしながら今御指摘を聞いておるわけでありますが、今、
委員
御指摘のありました特に
ICカード
の
部分
あたりは、まさに
ICカード
そのものが現在、当
委員会
でも現場に視察に行かれたようでありますけれ
ども
、全国すべての
市町村
で
実施
されているわけでもありませんし、また
実施
をしても、大変にその運営に当たっては苦慮されている点、あるいはその
システム
開発に相当苦労されているという
実態
も我々も聞いておりますから、今の
委員
の御指摘の
趣旨
もそのとおりだろうというふうに思っております。 そういう
意味
で、我々の所要の
措置
の中には、
自治大臣
も既に三点にわたって御
説明
をされておりますけれ
ども
、必要であれば今後ともこの
住民基本台帳
そのものの、なおこの三年、
実施
までに必要であれば
制度
改善等はしていかなければならぬ、そういうことも視野に入れながら我々も検討していく、こういうふうに我々も
理解
しております。
魚住裕一郎
104
○
魚住裕一郎
君 そこで、
発議者
お三方お見えでございますが、三党間で確認書というものがつくられたというふうにお伺いをしております。その中で、三年以内に法制化を図る、そういうふうにされておりますが、この
システム
検討会、三回ほどやられたようでございますが、どのような
議論
が行われているのか。また、当
委員会
でも
個人情報保護
に関する
法整備
のあり方、いろいろ
議論
があるようでございますけれ
ども
、我が国の現状を踏まえた実効性のある
法整備
が行われる必要があると思いますけれ
ども
、私、公明党でございますので、公明党の
桝屋
さんの御所見というか、党としてどういうような方向でこの
個人情報保護法
というものを、包括的な、
システム
という
言葉
にもなっておりますけれ
ども
、その辺についてのお考えを
お話し
いただきたいと思います。
桝屋敬悟
105
○
衆議院議員
(
桝屋敬悟
君) 重ねての
お尋ね
でありますから、
お答え
を申し上げます。 先ほど竹島室長の方からも
お話
がありましたが、今
政府
における検討状況は御
説明
のあったとおりでありまして、実は我々三党で
システム
検討会をやっている中でも、やはり大きな入り口
部分
の
議論
としては、先ほど御
説明
があった、この
委員会
でも
議論
されております、包括的な方法がいいのか、あるいはアメリカのようなやり方もあるではないかということは随分実は入り口
部分
で
議論
になっております。 三党で
システム
検討会をつくっておりますけれ
ども
、三党は同じ政党ではありませんで、別々の政党が
一つ
の
目的
に向かって今検討しているわけでありまして、そういう立場で我が党の入り口
部分
の決意といいますか思いを申し上げますと、我々はできれば、ここまで我が国はおくれてきている状況があるわけでありますし、それからそれぞれ各
政府
部内で、各省庁間でお
取り組み
されている、それは通産省や大蔵省や郵政省、いろいろ自主規制等検討されているけれ
ども
、若干区々としたところもあるのではないかという
認識
も持っておりまして、これは堀部
先生
もおっしゃっていますけれ
ども
、オムニバス方式といいますか、こうした方が結局我が国の現状においては
議論
を考えたときに早道ではないのか、そういうことも私
たち
は実は入り口
部分
では主張させていただいております。 ただ、これは三党間で
議論
をしなければならぬわけでありまして、
個人情報保護法
の法制ということについては、先ほど竹島さんの
お話
にありました
情報
の自由な流通ということと
個人情報保護
というこの二つの法益をいかにバランスをとるかということはまことに困難な作業であろうというふうに私
たち
も思っておりますが、いま
一つ
言いますと、やはりできるだけこの三年以内に我が党としては、ここで
議論
になりました
プライバシー
の
権利
、これは自己
情報
のコントロール権だと、こういう
議論
もありましたし、あるいはOECDの八原則、こうしたこと等を踏まえながら何とか国、
地方
、
民間
を通じた基本法というようなことが想定できないのか、つくれないのかという
議論
を私
ども
公明党としてはさせていただきながら三党間で鋭意
議論
をさせていただこう、こんなふうに思っておりまして、一年以内に、ことしじゅうに枠組みを決定する、こういう今決意をさせていただいております。 以上であります。
魚住裕一郎
106
○
魚住裕一郎
君 先般、当
委員会
に堀部政男さんに
参考人
としておいでいただきました。そういう状況の中で、堀部
先生
のお
言葉
をおかりいたしますと、日本独自の方式も考えられるのではないかと、中身がどういうものかちょっと明確になっておらないところでございますけれ
ども
。今、
桝屋
議員の本当に並々ならぬ決意をお聞きいたしました。三党、三方もしっかり頑張っていただきたいなというふうに思うところでございます。 その日本独自の方式はいいんですけれ
ども
、先ほど内政審にもお聞きいたしましたけれ
ども
、やはり三党は三党で検討会を持つ、一方、
政府
は
政府
で
保護
検討部会というのをつくっておられる。やはり私は、今政治と
行政
という立場からしてみると、やはり政治が大きくリーダーシップを発揮していくというのが世の中の
流れ
であろうというふうに思うところでございまして、その点を含めて、宮路
先生
、また
鰐淵
先生
に御決意というものをちょっとお聞きしたいと思います。
宮路和明
107
○
衆議院議員
(宮路
和明
君) 私
ども
も今検討に三党間で着手をしたという段階でございまして、先ほど
桝屋
先生
から、目下、オムニバスにするのか、そうじゃなくて
分野
別にするのか、その辺が大変
議論
にもなっているという
お話
がございましたが、まだまだ
勉強
会をスタートさせた
時点
でございまして、そういったものの本格的な論議もこれからであるというふうに私は
認識
をいたしておるところであります。 そこで、どういった方式がいいのか。先ほど竹島内
政審議室長
は、
政府
としては、これまで
分野
別のものが我が国にはなじむのではないかという方針が既にあるんだということですが、しかし、それはそれとして、これからまた新たな情勢の変化を踏まえて弾力的に考えていくんだ、こういうことでございました。 私
ども
の
修正案
は、
修正案
といいましょうか
附則
の二項は、
政府
は万全を期するための所要の
措置
を講ずるものとするというふうに、
政府
に責任を、責めを負わせておるわけでありまして、それに向けてしっかりと我々の期待に沿ってやっていっていただきたい、こういう思いやまやまであるわけであります。 いずれにしましても、
政府
の案がどういうものになっていくか、これは我々もよくそこは見守っていきたいと思っておりますし、また我々としても、三党間でせっかく検討会を
立ち上げ
てやっておるわけでありますから、政治としてのリーダーシップをしっかりと発揮できるように、これは鋭意頑張ってその検討を進めていかなきゃならぬ。そして、三年以内には法制化を図る、こういう並々ならぬ決意でやっていくわけでありますので、
政府
と党との間にこれは違いが出ないようにしっかりと連携を保って、そして我々としても、
修正案
を出させていただいたその我々の思いがしっかりと生かされていくようにこれはやっていかなきゃならない。 そういう
意味
で、御期待に沿うべく一生懸命やってまいりたいと思いますので、どうかまたよろしく御
指導
、御鞭撻を賜りたい、このように思う次第でございます。
鰐淵俊之
108
○
衆議院議員
(
鰐淵俊之
君) 今、私
ども
検討会のお二人からもう既に
答弁
しておりますので、重複は避けたいと思いますが、要すれば、最近、特に新しい世紀になりますと、
高度情報化
社会となりまして、やっぱりこういった便利な
システム
というものを大いに活用していくということは我々人類にとって当然だと思うわけであります。したがって、これらの便利な
システム
を活用すると同時に、
プライバシー
という問題については裏腹に問題が起きてくると。でありますから、何とか
プライバシー
の
保護
というものを、できる限り知恵を絞って可能な限り
プライバシー
の
保護
ができるということが大切ではないか、このように思います。 特に、この
住民基本台帳法
におきましては、四
情報
と
住民票コード
、これが全国共通したものであります。しかしながら、各自治体ではまたそれぞれの自治体で特有の、福祉の
情報
とかあるいは医療の
情報
とか、いろいろなこれから必要な
情報
を結構自治体では活用できるわけでありますから、そういう
意味
では、自治体が個々にまた
プライバシー保護
条例みたいなものをそれぞれの自治体でつくっているところもございますし、私も過去そういうものをつくったこともございます。しかし、それはまだ今のように進歩していない時期ですから、これはもう日進月歩変わっていくものに対しては条例もそれについていかなくちゃいけない。 それから今回は、やはり総括的に
プライバシー
の
保護
をどうするのかということで、私
ども
三党としましては、いろいろ話をする中で、今各省庁の御
意見
を伺っております。 例えば通産省ですと、通産省サイドではたくさんの
情報
を持っているわけでありますが、それは通産省ではガイドラインでやっておると。しかも、個別にそれなりの
システム
を持っておれば
プライバシー
マークというものを付与しまして、ここの
情報
はしっかりした
保護
の
システム
で守られている
情報
であると。言ってみれば消防のマル適マークみたいなものだと思うんです。 そんなようなことで、今、各省庁のそれぞれの問題について事情聴取をしながら、私
ども
も十分検討し、また内政
審議
室とも十分
意見
を交換しながら、できるだけとにかく
個人情報
をしっかり守っていける、そして大いにこういった
システム
を活用していけるように
努力
をしていきたい、こう思っております。
魚住裕一郎
109
○
魚住裕一郎
君 三人の
先生方
、しっかりよろしくお願いしたいと思います。お三方にはこれで終わりでございますので御退席いただいて結構でございます。内政審も結構でございます。 それで、午前中の
質問
に関連をいたしまして、
個人情報保護
条例の話がございました。私
ども
の同僚
委員
からも
質問
がございましたけれ
ども
、午前中、これは
行政
事務
条例だというとらえ方、そして、
法律
が上位だから無効になるというような大
前提
があるのかもしれませんけれ
ども
、しかしそこは丁寧にやってもらいたいというような
趣旨
の
お話
もございました。 ただ、データ接続
禁止
条項というのは、
プライバシー
の
保護
という観点からしてみるとまた違った面があるのではないか、あるいは上乗せ、
横出し
みたいな側面もあるのではないだろうかというふうに考えるものであります。 ですから、この
法律案
がもし成立したと仮定して、データの接続
禁止
条項について変えさせるというようなやり方は、ある
意味
では過剰な介入ではないかというふうに思う次第でございますが、
自治省
、その点どうですか。
鈴木正明
110
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 御指摘のように、
地方
団体において
個人情報保護
条例の
制定
がふえてきている、こういう状況でございますが、その中で接続
禁止
の
規定
、特にオンライン接続を例外なく
禁止
しているという条例も見られるところでございます。基本的には国の
機関
とか他の
行政
機関
とのオンライン接続を
禁止
するという
意味
ですから、いわば
住民
の
権利
義務に直接
関係
するというよりも、むしろ
行政
機関
同士の
関係
を整序する
規定
かな、こういう性格を持っているのかな、こう思っております。 当然、
地方
団体の
個人情報保護
条例の中にはその他の
規定
もあるわけでございます。そこで、今回お願いしております
改正
法におきましては、この
システム
に基づきます
情報
の送受信につきましては、
地方
団体間、全国センターの間で送受信ができるという
規定
を置くわけでございますので、当然、それとあわせて
個人情報保護措置
を講ずる
規定
も置くわけでございますので、その限りにおいて、
法律
が
制定
されれば
地方
団体間で送受信することは違法ではなくなるのではないかと考えておりますが、その他の
機関
との送受信、オンライン接続については、条例の
規定
は生きていくわけでございますから適用されていく。また、そのほかのオンライン接続以外の
プライバシー保護
の
規定
についても当然条例の
規定
は生きていく、このように考えていくべきものだろう、こう考えております。 そういう
意味
では、この
趣旨
を十分
地方
団体の方に御
理解
いただきまして、
ネットワーク
ができるのとあわせまして条例の
整備
ということも御検討いただければ、こう思う次第でございます。
魚住裕一郎
111
○
魚住裕一郎
君 だんだん持ち時間がなくなってきてしまったんですが、項目を大幅に飛ばして、
カード
に関連して、先ほど付加
情報
と言いましたけれ
ども
、条例でいろんな付加
情報
を入れられる、これは医療
情報
であるとか福祉
情報
とか、そういうことになるわけであります。図書館の貸し出しに使うと何を借りたかというのを蓄積もできるわけで、それは読書内容の把握になるわけで、ちょっとこれもいかがなものかなとは思うんですが、例えば付加
情報
として今
住民票
の記載
事項
になっております本籍を入れるという条例ができた場合、これは可能なのかどうか、そしてだめだというのであればどのようにしてそれをやめていただくのか、その辺を御
説明
できますか。その点についてちょっとお願いいたします。
鈴木正明
112
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
ネットワークシステム
において
住民基本台帳カード
を活用するという面では二つの面があると思います。
一つ
は、この
ICカード
の専用エリアを利用して、全国ベースで使える
本人確認情報
、四
情報
プラス
コード
、これにつきましては全国ベースで使うということを
前提
に
法律
を組み立てておりますので、その
部分
に本籍
情報
を加えるということ、これはできないと。ただ、
お話し
の第二のそのほかの
ICカード
のエリアを活用してそれぞれの
市町村
が独自の施策として
住民サービス
を行うということの場合の本籍
情報
の扱いと、こういうことではないかと思います。 どの
行政
分野
にどのような形の
行政
サービスを行っていくかと、そのためにどういう
情報
が必要かということと絡んでまいりますので、一概にできるできないという
議論
ではないと思いますが、いずれにしても、
一つ
は
ICカード
の機能として非常にセキュリティー機能が高いと。しかも、それが管理可能ということでございます。もちろん、操作するものあるいは人の問題もございますが、
技術
的にはセキュリティーが非常に高くて、かつそれぞれ別々に管理することも可能ということでございますので、そういう機能を持っているということで
プライバシー保護
の機能は高いという面がありますが、独自利用につきましてはそれぞれの
市町村
の条例で定めることになります。 したがいまして、
行政
サービスの内容等について条例で定めることは当然でございますが、あわせて
個人情報
の
保護
についても十分な御
議論
をいただいて、その中に必要な
措置
が講じられるということが必要である、このように考えております。
魚住裕一郎
113
○
魚住裕一郎
君 本籍を付加
情報
として入れることができるのかどうか、結論を聞いていない。
鈴木正明
114
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
市町村
の独自のサービスとの関連で必要な
情報
として本籍というものが全く、必要な場合には
カード
の中に盛り込めないというものではないと思います。
魚住裕一郎
115
○
魚住裕一郎
君 それはできるということなんですね。そういうふうに
理解
していいんですか。
鈴木正明
116
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
ICカード
の中に本籍
情報
というものを入れる場合もあり得るということでございます。
魚住裕一郎
117
○
魚住裕一郎
君 何でこれを聞いているかといえば、特に関西の方面ではよく同和問題とかあったときに、名簿屋というんでしょうか、何か私もよく
理解
してない
部分
がありますが、やみルートでいろんなものを集めてきて、それをいろんな会社が利用しているというような新聞記事も目にしたことがございました。 もしその付加
情報
で本籍等を入れた場合、結構大きな社会問題といいますか、になるんじゃないのかなと。
本人確認情報
としてこれだけなんだよと、四
情報
でいいんだよという状況の中で、付加
情報
についてはもう各自治体自由にお使いくださいはいいけれ
ども
、だめなものはあるよということはやっぱり言っておくべきではないのか。単に事実上言うんじゃなくして、この
法律
に書き込むというか、そういうこともあった方が私はいいのではないのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
鈴木正明
118
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
住民基本台帳カード
の中の全国で共用されるものとしては、四
情報
プラス
住民票コード
ということで、本籍地の
情報
は入れることはできないということでございます。 独自に
市町村
が政策として活用する場合にも当然
プライバシー保護
ということは十分配慮をしなくてはいけないし、必要な
措置
を講ずる必要があると。その際に、本籍
情報
は御指摘のようにセンシティブな
情報
でございますので、必要性においても、またその
保護
においても十分な配慮及び
措置
が必要である、このように考えておりますし、
制度
の構築、
実施
に当たりましても十分その点は
地方
公共団体に対して
理解
を求めてまいりたいと考えております。
魚住裕一郎
119
○
魚住裕一郎
君 だから聞きたいのは、何というか、
理解
を求めるのはいいんですよ、事実上
指導
するのも。ただ、例の分権法の
関係
で是正の要求とかありましたけれ
ども
、根を詰めればもう最後は紛争処理
委員会
になっていくという形で、最後、しかも担保はないよというような状況になっていて、これはよっぽどの状況じゃないと是正の要求もできないというのが
自治大臣
の特別
委員会
での御
答弁
でございました。 そうすると、みずから手足を縛りながらも人権に大きな影響を及ぼすものについて裏づけがとれないというような形でこのままこの
改正
案を
実施
していいんでしょうかというのが疑問点なんですね。もう一度その点についていかがでしょうか。
鈴木正明
120
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
につきましては、特に
市町村
による
カード
の独自利用
部分
につきましては、今
お話し
のございましたように
地方
自治の原則ということで
市町村
の条例で定める、いわば条例
制定
権を尊重しているということでございまして、御指摘の点も含めまして
カード
にどのような付加
情報
を書き込み、どのように利用していくかということについては、条例を定める際に、その
地域
の代表である
市町村
議会が十分な御論議をいただいて、
住民サービス
の向上の観点、また
個人情報保護
の観点を十分考慮した上でお決めいただくことが適切であると考えております。
魚住裕一郎
121
○
魚住裕一郎
君 ではあと一点だけ。この
カード
ですけれ
ども
、偽造された場合どうなるのかということでございます。 今、この
ICカード
発行では、
ICカード
発行者が不正に発行した場合に検知できないというような状況でございますが、EUの実験レベルの
システム
としては自動検知できるような
システム
の仕組みというのが実はできておるようでございます。 これは非常に
個人
の
プライバシー
の問題にもなりますが、不正発行あるいは偽造等についてどのようにお考えでしょうか。
鈴木正明
122
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民基本台帳カード
には、これまでも御
答弁
申し上げていますが、
ICカード
を使うとそれは高いセキュリティー機能を持つということでございます。 それで、この
ICカード
の特性というのは、ICチップのこじあけなどの物理的な攻撃または不正な電気信号による読み取りに対してメモリー内の
情報
を読み出せないようにする機能がある。それから二つ目は、第三者が不正に
カード
内の
情報
の読み取りあるいは書き込みを行おうとした場合には自動的に
カード
内
情報
が読み取れないようにする機能がある。それから、
カード
とコミュニケーションサーバー、リーダーとの間でお互いに相手の正当性を確認する機能がある。こういうことを生かしまして
住民基本台帳カード
の偽造が防止できるというふうに考えております。 当然、
技術
の進展というものはあるわけでございますので、
カード
を動かすまでに十分な
準備期間
ということで、五年の中で
政令
で定める日、こういうことでございますので、
技術
進歩にはキャッチアップしていく
努力
をしていきたいと思っております。
魚住裕一郎
123
○
魚住裕一郎
君 ひとまず終わります。
八田ひろ子
124
○
八田ひろ子
君 日本共産党の
八田ひろ子
でございます。 たくさんの
質問
をしたいと思いますので早速
質問
に入らせていただきたいと思います。先日、半日でございましたけれ
ども
、
参考人
の御
意見
も伺いまして、その中でコンピューターの専門家のお二人に私はこの番号
コード
の問題を伺いました。お二人とも、四
情報
で引き出すことができてわざわざ番号
コード
をつけなくてもいい、番号でない方が間違えにくいという御
意見
もありましたし、番号の方が簡単で時間の短縮はできるというふうにおっしゃいましたけれ
ども
、番号がなくてもこれは
システム
としては大丈夫だ、こういうふうに言われたんですが、それではなぜ番号をつけることにこだわってみえるのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。
鈴木正明
125
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民票コード
は、氏名、
住所
などによるいわば文字による本人確認に比べまして、
一つ
は
コード
による照合は明確である、それから二点目としては迅速な検索が可能である、それから三点目としては重複しない
住民票コード
により確実な本人確認ができる、こういうことでこの
システム
においては全国共通の本人確認を行うに当たって必要不可欠なもの、こういうふうに考えております。今回の
改正法案
においても
住民票コード
を
住民票
の記載
事項
とすることといたしまして、
法律
において明確に
規定
して御
審議
をお願いしているところでございます。 この
住民票コード
の
導入
につきましては、これまでも専門家あるいは実務者を交えました研究会あるいは有識者の方々との懇談会においても御
議論
をいただいてきております。また、
地方
団体等からの御
意見
もお聞きしてきたところでございます。特に、市区町村の担当
課長
に御参加いただきました研究会、
住民
記録
システム
の
ネットワーク
の構築等に関する研究会におきましては、この基本的な構成要素として、また
ネットワーク
を通じて、
市町村
の区域を越えて
住民
が
住民サービス
を受け、
行政
機関等
が本人確認を行うために
住民
個人
を単位とする重複しない全国共通の
コード
を設定する必要があるということで、
コード
について適切な
法律
上の
保護
措置
を講じることができるようにするために
住民基本台帳法
に位置づける、こういう指摘がなされているわけでございます。 そこで、
コード
を利用しないで氏名、
住所
などの文字
情報
のみによって検索をする、本人確認を行うという場合には
事務
処理上の迅速性に欠けるという点がございますが、その結果、
住民サービス
の低下につながることになるわけです。 それに加えまして、例えば氏名の場合ですと、外字というものが多数存在しまして、その識別が極めて困難になる。また、
住所
については外字同様の問題があります。それに加えまして、番地の表記の仕方が違う、同じところでも表記の仕方が違う、それからマンション名などを記載したりしなかったりすることがあるということで、その照合が同じところでも困難である。 また、氏名、
住所
によるアクセスでは氏名、
住所
による検索処理を行う場合に
システム
に大きな負荷がかかる。それから、例えば結婚して姓が変わり、同居する親とか親族と同姓同名になるケースとか、生まれた
子供
が祖父母と同姓同名になるというケースが想定されますが、そういうときには同一人物かどうかが確認できない、こういうケースがあるという問題が生じる可能性があるわけでございます。 そういう
意味
では、コンピューター
ネットワーク
においては番号による
事務
処理というものが必須だというふうに考えられておりまして、各種の
行政
分野
において番号による
事務
処理が行われている、こういうふうに
理解
をしております。 なお、先日の
参考人
質疑
の際に、安田
参考人
からは
住民票コード
は必ずしも必要ないのではないかという
趣旨
の御
意見
がありましたが、前川
参考人
からは、コンピューター
システム
にかかわる者として
住民票コード
は必要と考える、こういう御
意見
があったものと考えております。
八田ひろ子
126
○
八田ひろ子
君 今御
説明
があったんですけれ
ども
、前川
参考人
も、番号の方が簡単だから
技術
者としては番号があった方がいいと思う、時間の短縮という面でも番号が必要だと。だけど、番号がなくてもこの
システム
はできるんだということでは同じ中身だった。これは、衆議院の
参考人
質疑
の中でも、
住所
、氏名、年齢、性別、こういう四つが同じことはあり得ないと。今おっしゃったみたいにお孫さんと祖父母が同じ生年月日ということはちょっと考えにくいんじゃないかなと思うんです。名前だけだったら同姓同名というのはあるかもしれませんけれ
ども
。後でごあいさつしたときでも、大体コンピューターに入れるときに全部数字化するんだから、その上になぜ数字が要るんでしょうねという
お話
もありました。 ですから、今の御
答弁
の
認識
とちょっと違うんですが、これはもっと
参考人
とかあるいは公聴会でも各界の御
意見
を一層確かめるのが必要ではないかなと私は思っております。 同じ
参考人
質疑
のときに、
堀部参考人
からは、共通番号、これを電話番号を変えるように簡単に変えられるんだという
認識
があるという
お答え
をいただきました。それから、内野
参考人
からは、共通番号をつけられたくないという人、番号化社会になじめない方、こういう方の人権というのですか、希望も大事にするのか
行政
の姿勢を問われるというふうに言われたんですが、この二つの御
意見
についてはいかがでしょうか。
鈴木正明
127
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 まず、
住民票コード
、いわゆる番号をつけるということについて
国民
の間に違和感、嫌悪感を持つ方もいらっしゃる、こういうことでいろいろ研究会での検討あるいは懇談会での御
意見
、その後、試案というものをお示しして各界の御
意見
を賜ってきたところでございます。 それで、今回の
法案
におきましては、
住民票コード
につきましては変更請求権を認めるということにいたしておりまして、
住民
の方が
住民票コード
を変えるという場合には請求によりまして変えることができるということにいたしております。その理由は問わないということにいたしております。 また、全国共通の
本人確認情報
というものを基本
台帳
制度
を踏まえてその上に立って構築するわけでございますので、その中において
住民票コード
の方と、
コード
はなくて四
情報
でという形では
ネットワークシステム
というものは非常に非効率ですし組めませんので、これにつきましては、
住民票コード
というものをこの四
情報
のいわば検索
コード
という
意味
で付して、それによって全国ベースで四
情報
に、
住所
、氏名、性別、生年月日にアプローチできるということで考えているところでございまして、つける人とつけない人という形ですとこの
ネットワーク
は組めないということでございます。
八田ひろ子
128
○
八田ひろ子
君 前半の
お答え
がないんですけれ
ども
、電話番号を変えるように変えることができるんだと
堀部参考人
がおっしゃった、先ほど来の御論議の中でいろんな座長もされているんですけれ
ども
、そのことを私は聞いているんです。
鈴木正明
129
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民票コード
を変えることは、
市町村
に申請すれば可能でございます。
八田ひろ子
130
○
八田ひろ子
君 番号をつけられたくないという方には全然配慮をしなくて強制して押しつけますよ、ただし、番号を変えるときには電話番号を変えるように御本人の申請で変えることはいいですよというふうに
お答え
をいただいたものと思います。 日本の国が始まってから初めて十けたの番号を生まれてからすぐにつけるということですから、こういう問題についていろいろな
意見
があるのは当然だと思うんです。
国民
の
理解
を広めるためには、
法律
をつくったからこれに従えというのは無論不十分で、重要なのは、こういう
法律
や
制度
について
国民
に問いかけて、
国民
的
議論
と合意、こういうものが必要だと思います。パブリックコメントの
制度
もありますけれ
ども
、今回の
改正
に当たってはどういう
取り組み
がされて、どういう
意見
の集約をされているのか。 また、先ほど来、
行政
の担当者も会議でいろいろ発言しているという
お話
がありました。ここに市議会の
意見
書を持ってきたんですが、ここでは、
自治省
の
説明
では
住民
は全員どこでも
住民票
がとれるメリットがあるとしているが、本来
住民基本台帳
にかかわる業務は
地方
の
固有
事務
である、その
地方
から求めたならともかく
地方
からこのような要望は一切上がっていない、それどころか今回の
改正
案提出に当たって当事者である
地方自治体
、
地方
に対し
説明
も事情聴取もない、こういう
意見
書もあるんですが、こういうものについて今までどういうふうにされてきたんでしょうか。
鈴木正明
131
○
政府委員
(
鈴木正明
君) この
システム
につきましては、
お話し
のように全
国民
の
個人情報
にかかわる重要な
制度
であるということで、四年間かけまして、平成六年から幅広くさまざまな検討を行い、各方面に対しまして十分に
自治省
の考え方をお示ししてきているところでございます。 具体的には、平成八年三月に研究会の報告書を公表し、また同年十二月にはそれらを踏まえまして
ネットワークシステム
懇談会、
自治大臣
主宰の懇談会で有識者の御
意見
を伺い、またその御
意見
の概要を公表する、特にこの報告書等につきましては新聞等でも大きく取り上げられているところでございます。あわせまして、懇談会
意見
の概要につきましてはインターネットのホームページへの掲載を行いまして、多くの方々に御
理解
いただけるように努めてきたところでございます。 また、これらの報告書などを基礎にいたしまして、国会での御論議、
関係
方面の
意見
というものを踏まえた検討を行いまして、すぐ
法律
ということでなくて、
法律
改正
の試案ということで
ネットワークシステム
の構築についてというものを平成九年六月に公表して
自治省
としての考え方をお示しし、幅広く御
意見
を聞かせていただいているところでございます。 その後につきましても、約一年後でございますが、十年二月に試案に寄せられました
意見
等をベースにさらに
個人情報保護措置
を加えました
法律案
の骨子というものを公表し、三月に
改正法案
を提出、こういうことでございまして、
住民基本台帳
の
システム
につきましてはパブリックコメントというものを実質的に重ねてきた、こういうふうに考えているところでございます。 また、
地方
団体からの要望あるいは
説明
、
意見
聴取ということでございますが、
地方
団体からの要望、
意見
につきましては、全国市長会からは平成九年十一月、この
ネットワークシステム
の
整備
を推進するため早期に
住民基本台帳法
を
改正
することという御要望をいただいております。また、全国町村会からも平成九年十二月にいただいております。また、
都道府県
の全国
知事
会からは平成九年三月に、この
システム
については
住民サービス
の向上、
行政
の
効率化
、高度化に資するものという御
意見
をいただいているところでございます。
地方
団体の
意見
聴取につきましては、研究会に
地方
団体の実務者、
課長
レベルの方ですけれ
ども
、御参加いただいて、また懇談会でも
地方
団体の
知事
さんあるいは
市町村長
さんに御参加いただいて
意見
をいただいているところでございます。その他、
地方
団体にはその都度必要な資料、
改正
試案あるいは
法律案
の骨子などについて県を通じて配付をいたして、
制度
の概要については各
市町村
において十分御
理解
いただけるようにいたしてきているところでございます。
八田ひろ子
132
○
八田ひろ子
君 この
法律
ほどすべての
国民
にかかわる
法律
はないんじゃないかというふうに思います。 実際に国会で、とりわけ参議院ではこれの
審議
が始まったばかりでありますけれ
ども
、国会での
審議
が進んでいく中で、この前同僚議員が挙げましたNHKの世論調査に見られるような反対の声が非常に強いとか、あるいは日弁連からは
意見
書が出されてくる、またいろいろな心配をする声が各界から上がっています。 これでは
法案
を出される前に
国民
的コンセンサスを得られて出されたというふうには思えませんけれ
ども
、大臣は、このようないろいろな声がある中で
国民
的コンセンサスというのが得られているのかどうか、今どんなふうにお考えなんでしょうか。
野田毅
133
○国務大臣(野田毅君) どういう状態をもって
国民
的コンセンサスが得られたかどうか判断をするというのは、見方によっていろいろあろうかと思います。 ただ、先ほど来
局長
からも御
答弁
申し上げましたとおり、もう既にかなり前から幅広くいろんな角度からの検討をそれぞれ必要な部会等々あるいは懇談会ということを重ねてきて、しかも国会に
法案
として提出をされてからもう一年半近くもたっておるわけでありまして、十分この点については御
議論
を本来国会において、提出後一年半近くたっているということを考えましたら、参議院における
審議
の云々ということを今御言及がございましたが、私はそのこととは別の問題だと思っています。十分な国会における
審議
時間というのはその気になればあったはずではないかという
国民
の声があることも事実でございます。 それから、NHKの
お話
がありましたが、本当にいろいろ御
議論
いただいている中で、
プライバシー
に非常にかかわりがあるということはもちろんあるんですけれ
ども
、何かいかにも
プライバシー
侵害のおそれがあるというような
前提
でこの
システム
を見られるというのは私は非常に不本意であります。それは重ねて幾度も申し上げておりますが、
技術
的なことは言いませんけれ
ども
、今まで
システム
面あるいは
制度
面、運用面、今日の考えられるいろんな
プライバシー保護
の上で必要な万全の対策を講じていると考えております。いわゆる専用回線を通じてやっていくわけですから。 では、そういう中でどうやって
プライバシー
が侵害されるような、具体的にどういう場面でそういうことが実際にあり得るのか。何となく漠然と侵害されるんじゃないかというようなことだけがひとり歩きして増幅されて、いかにも不安感をあおるようなことというのは私は心外だと率直に感じています。 しかし、これから先の
技術
進歩の中でそういう可能性があるのかないのかということについて一〇〇%これを否定するというものではありませんので、衆議院における御
議論
の中で、なお一層これから三年間なりの間にそういった
技術
進歩があるならば、その
技術
進歩を十分キャッチアップしてそれを超える対策を講じていくこと、その
努力
をすることは当然の必要性があるということも考えております。 それから、この
システム
の
導入
とは別の問題として、あるいは
民間
分野
における官対民ということじゃなくて、
行政
事務
の遂行上における
プライバシー
の
保護
ということだけではなくて、
民間
分野
自身
における中での
プライバシー
をどう
保護
していくかという問題も先ほど来いろいろ御
議論
がありましたが、単に自主規制的なことだけで本当にいいんでしょうかどうでしょうかと。そういったことを含めて、
個人情報
の
保護
という
プライバシー
の問題についてより包括的、トータルな形の中の検討があってもいいのではないか。特に、これから高度
情報
ネットワーク
社会があらゆる
分野
でどんどん進行していくわけですから、この機会にそういったことも含めたトータルな見直しの場があっていいというようなこともあって、いろんな
修正
論議が行われたりしてきたことも事実でございます。 そういったことを考えますと、私は十分この問題についてきちんと丁寧に御
説明
を申し上げてきたと思っておりますし、素直にお聞き取りいただければ十分御
理解
がいただけるし、
国民
的なコンセンサスも私は得られてきつつあるというふうに考えておるわけであります。
八田ひろ子
134
○
八田ひろ子
君 私は
個人情報保護法
とか
プライバシー
の問題についてはまだ具体的に伺っておりません。後で
質問
しようかと思ったんですが、今、大臣は
国民
的コンセンサスの問題については
プライバシー
権の問題がいろいろあるという御
認識
を大変持っておいでになって、胸を張ってコンセンサスがあるというふうに言えない感じだというのはよくわかりました、長い演説をしていただいて。共通番号、つまり
一つ
の
行政
番号の汎用、多
目的
利用は危険だということが専門家の中にもそして
国民
の中にも大変大きいというのが今の弁解の中でもあらわれているんじゃないかと思いますが、次に移ります。 今、
住民基本台帳
を電算化されていない自治体も全国で二百二、これは全国の自治体のうちの六・二%ということなんですけれ
ども
、その問題について過日、人口程度とか財政の問題とかという
お答え
がありました。こういった
地方自治体
の理由について、また
導入
されていないということについて、
自治省
の見解をまずお伺いしたいと思います。
鈴木正明
135
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民基本台帳
につきましては、今
お話し
のように、平成十年四月一日現在におきまして三千五十三団体で電算
システム
の
導入
が進んでいるということで、人口割合で約九九%まで電算
システム
の
導入
が進んでいるところでございます。 そういうことで、
委員
の御指摘のとおり、二百二の団体において未電算化という団体が存在しているということでございますが、その電算化を進めていない主な理由としましては、
導入
に関する庁内の体制が十分に整っていない、また件数が少ないため手作業による
事務
処理で十分に対応できる、また
システム
の
導入
及び維持管理に要する経費負担が困難である、こういう状況のようでございます。
八田ひろ子
136
○
八田ひろ子
君
自治省
の見解を聞いているんですが。
鈴木正明
137
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
高度情報化
社会あるいは電算機器の利用ということでは、
事務
の簡素化あるいは迅速化ということで非常に役に立つという面がございますので、多様な
住民
ニーズに対応した
行政
サービスを実現していくという観点から、今後とも
住民基本台帳
の電算化というものを積極的に推進していきたい、こういうふうに考えております。
八田ひろ子
138
○
八田ひろ子
君
質問
したことに一回で答えてほしいんですが。 今おっしゃいましたが、
自治省
は今までも電算化しなさいと各
地方自治体
に言っているんだけれ
ども
、さっき
お話
があったように、体制が整っていないとか経費負担にたえられないということで二百二の自治体、人口総数でいいますと百八万ですから平均すると五千三百という余り大きくないところです。こういうところで、
住民票
の
交付
の話を今やっているものですから、大体
交付
枚数というのは人口の半分ぐらいだというふうに聞いているんですが、そうすると年間に二、三千枚、一日十枚前後ですから、電算化するかどうか、
行政
効果などを検討して見送ったとしても妥当なんですね。そういう自治体の判断を尊重してこそ
地方分権
の精神だというふうに私は思うんです。 ところが、今度の
改正
で、第九条三項で、電気通信回線を通じて通知することになりますので、相当の機器が必要。いろんなコンピューターが今あるんですけれ
ども
、汎用コンピューターでないとカウントされないというふうにおっしゃっておりますけれ
ども
、こういう相当の機器を設置して運営、維持管理しなければいけない。
法律
によって義務づけされるんですよね。 そうしますと、さっき
お答え
になったように、いろいろ困難があるからできないのに一律にやるというのはどういうことなんですか。
鈴木正明
139
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 まず、この
システム
を組む上で、各
市町村
の
住民基本台帳
事務
が電算化されているかされていないかということにつきましては、電算化されていなければこの
システム
が組めないというものではないと考えております。 当然、電算化につきましては、先ほど述べた考え方で
市町村
においても
住民基本台帳
事務
を含めて積極的に推進していただくということで、
地方
団体の方には従来から
お話
をしているところでございます。 そこで、今度の
ネットワークシステム
を組む場合には各
市町村
にはコミュニケーションサーバーというものを設置していただきまして、全
市町村
からそれぞれの県のセンターに四
情報
プラス
住民票コード
及び付随
情報
の最新のものを通知していただいて、県から全国センターの方に通知していただいて保有して、それを全
地方
団体で使っていこう、場合によっては国の
機関
に提供しよう、こういう
システム
でございますから、その点につきましては各
市町村
にコミュニケーションサーバーというものを設置していただくということで考えております。
八田ひろ子
140
○
八田ひろ子
君 要するに、経費負担にたえられないとかそういう小さい自治体もあるんですけれ
ども
、午前中からの論議の中でも大変な自治体負担もあるのではないかという心配がされているので
質問
していますし、そういうコンピューター
システム
がなくてもサーバーへ直接打ち込むからいいという御
説明
があったんですけれ
ども
、そういうものの人件費も別に見込まれていないという午前中からのがあるんですよね。だから、そういうことを私は
お答え
いただきたいということですけれ
ども
、時間がないので次に移ります。 いろいろ
地方分権
を推進する姿勢を私はおかしいと思いますが、
地方自治体
と国は協力
関係
で、
住民基本台帳
の
事務
は自治
事務
です。全国一斉に
ネットワーク
でつなぐことを強制することというのは分権の
流れ
に沿わないと思うんですが、しかし
導入
するとおっしゃる。それは
住民
の利便性があるということですので、
住民
の利便性の問題をやっていきたいと思います。 厚生省の年金業務の現況確認
制度
にはこれは活用できませんし、資格取得や事業認可などは特定の方だということですので、
住民票
の広域発行や転入届、転出届の簡素化というふうに言われていますが、現行でも郵送
制度
とか出張所での発行受け付けが効果を上げているというふうに思います。 しかし、
住民票
の写しの広域
交付
なんですが、先日
委員会
調査で伺いました静岡県の例ですと、ファクスで広域
交付
、
ICカード
も町内では使っておりますが、広域ではファクスなんですが、現行法のもとでの広域
交付
というのは、こういうファクスというのも十分効果があるということですか。
鈴木正明
141
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 既に、
市町村
が取り組んでいます
住民票
の写しの広域
交付
と、先般浜松市なり周辺の
市町村
とのケースを御視察いただいたわけでございますが、そのほかにも幾つかの
地域
において
事務
の共同処理方式あるいは一部
事務
組合方式、委託方式という形で共同広域
交付
というものがありますが、いずれも限定された一部の近隣
地域
を対象とするというもので、県を越えてまたは全国的に人の移動とか交流が進んでおります現在の状況の中において、今回の
改正法案
では、それを全国的に
住民票
の写しの広域
交付
を行うということを予定しているわけで、そこにおいて性格が大きく違うということでございます。 全国を単位とする
住民票
の写しの広域
交付
ということになりますと、
法律
上の
措置
がないと約三千三百にも上りますすべての
市町村
が相互にやるということは難しい。例えば
事務
の委託方式ですと、全部の
市町村
が条例を定めてやるということになりますので、また一部
事務
組合方式でも非常に難しい。現実的には非常に困難ということで今回の
法律
をお願いしている次第でございます。
八田ひろ子
142
○
八田ひろ子
君 先日同僚議員の
質問
の中で、県までそういうのをつくれば全国的にはできるという御
答弁
をいただいているので、それにつけてもこの
ネットワーク
方式は不必要ではないかと思うわけですが、時間がありませんので次に移ります。
住民
の暮らし、今生活圏というふうにおっしゃったんですけれ
ども
、全国どこでも
住民票
の発行が必要だという根拠ですね。どれくらい広域利用があるのか。この平成十年のベネフィットで見せていただいて、この算定根拠になっている数字というのがちょっとよくわかりません。広域
交付
は三千七十万人というふうにごらんになっているのか、その二分の一というふうに考えているのかわからないんですが、どの程度こういう広域
交付
が必要になってくるというふうに試算されているんでしょうか。
鈴木正明
143
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 特に、
住民基本台帳カード
を活用した場合の
住民
サイドのメリットといたしまして、全国どこの
市町村
においても非常に簡易な手続で
自分
の
住民票
の写しがとれるということがあるわけでございます。試算のところの
お話
が出ましたけれ
ども
、国勢調査のデータなどから、域外通勤通学者の数をベースにしてその利用率という考え方で試算をしているわけでございます。 こういった
住民基本台帳カード
のメリットを考えますと、多様なサービスを受けることが可能になるわけでございますので、この
ネットワークシステム
のベネフィットを計算する上で
カード
の所有者を、御希望によってお渡しするわけですが、全体の二分の一という仮定を置いて計算をいたしているものでございます。
八田ひろ子
144
○
八田ひろ子
君 全体は幾つですか。
鈴木正明
145
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民票
の写しの広域
交付
の場合につきましては、域外通勤通学者として国調をベースにして三千七十万人というものを基礎にいたしまして、利用率を二分の一ということで試算をいたしております。
八田ひろ子
146
○
八田ひろ子
君 三千七十万人の域外通学通勤の方がいらっしゃって、その半分が広域で
住民票
の写しをとっているというふうに計算をされているわけですね。この
住民票
の広域
交付
というのは、今の
お話
ですとこの
ICカード
がないととれないんですね。
ICカード
のない人は前と同じになるわけですね、
自分
を証明する免許証とか何かがなければ。そうしますと、この
ICカード
というのは何枚ぐらい発行数を考えておられるんですか。
鈴木正明
147
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
住民基本台帳カード
は、まず
住民票
の写しの広域
交付
の場合においては、本人確認はIC、もちろん
住民基本台帳カード
でも結構ですが、自動車免許証等でも可能であります。転出転入の特例手続等を受ける場合にはこの
カード
というものが必要だということでございますし、また
市町村
が独自のサービスをするということが
ICカード
を利用してできるということでございます。
八田ひろ子
148
○
八田ひろ子
君 発行枚数を聞いているんです。
鈴木正明
149
○
政府委員
(
鈴木正明
君) 発行枚数の
お尋ね
でございますけれ
ども
、発行枚数というものを具体的に決めているわけではございませんで、ベネフィットの計算において、
住民票
の写しの広域
交付
による
住民
サイドのメリットを計算するときに、先ほど言いました域外通勤通学者は三千七十万人で、それで
カード
の利用者は二分の一ぐらいの利用者で、それの
住民基本台帳
人口との比率で、大体九千万件、
住民票
の
交付
件数がございますから、そういうことで効果が出てくるということで試算をいたしているものでございます。
八田ひろ子
150
○
八田ひろ子
君 なぜ私がこの数字を聞いているかといいますと、今
ICカード
を使っているところでどれぐらい発行され、どれぐらい使っているかという数字を後でお示ししたいから、そういうものを
自治省
のパイロット事業としていろいろおやりになっているものを基礎として
ICカード
はこれぐらい必要ではないかとか、そういうふうにお考えだと思ったんですよ。ところが、そういうことは考えておりませんということですので、一体何を試算されて全体の
システム
を考えてみるのかも大変わからないんです。 なぜ
ICカード
のことを私が言うかといいますと、今
住民票
の写しは
ICカード
か免許証がなければ広域
交付
なんかでは使えないわけですね。そういうものがなければこの
システム
ができたとしても従来と同じようにやらなくちゃいけませんね。そして、
転入転出
は免許証ではだめですから、
ICカード
がない人は前と同じようなことをやらなくちゃいけませんね。そんなに
ICカード
が役に立つというふうには思えないんですが、その論より証拠が出雲市ではないかというふうに思うんです。 出雲市は実際にこの
ICカード
の発行をしてきたわけなんですけれ
ども
、ちょっと朝の
局長
の
認識
は違うような気がするんです。なぜなら、児童
カード
は新規発行の打ち切りでもうこれはやめていく。市民
カード
は九・二%しか発行されていないけれ
ども
、これは九月にやめる。それで、その前の福祉
カード
は九七年に廃止をした。これはなぜかといえば、
カード
利用が低いからですよ。なぜ低いと思いますか。
鈴木正明
151
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 午前中は総
務審議官
が担当しておりまして、総
務審議官
からの
お答え
だったかと思います。 出雲の
カード
の利用につきましては、
一つ
はやはりエリアが狭いということでどうしても利用者が限定されるということで
カード
の利用者というものが制約されてくるということで、検討し直すというふうに私は承知をいたしております。
八田ひろ子
152
○
八田ひろ子
君 今の私の
質問
は、なぜやめるようになったのか、理由をどうお考えですかということなんです。
鈴木正明
153
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 出雲市として独自の施策として行っているわけでございますので、どうしてもエリアが狭い、対象人員が狭いということで制約がございますので、利用者が少ないということで市の方としては検討し直すということだと
理解
をいたしております。
八田ひろ子
154
○
八田ひろ子
君 これは六億の
お金
が投入されているようですけれ
ども
、国が補助金も出しているわけですよね。それだけの
お金
を出して援助をしたんだけれ
ども
やめざるを得ない。役に立たないからなんですよね。 先日、衆議院の
参考人
に兵庫県の五色町の町長さんがいらっしゃいまして、ここは大変いいということで、私もそんないいところを一度調査しようと思って調査したんですね。そうしましたら、ここは
カード
の自動
交付
機で
交付
されたのは一年間で二十九件だそうです。大変いいところが一年間に二十九件。ここも何億という
お金
が入っておりまして、
住民票
の発行全体は六千百二件です。しかし、
カード
では二十九件。おまけにここは
ICカード
という
カード
は使っているんですが、
住民票
を出すためには磁気テープでやっているわけですね。 こういうのは、今広域でないから使えないんじゃないかというふうにおっしゃったんですが、静岡の広域発行はファクス、五色町は磁気ストライプ。それでは、広域でやっているところはといいますと、これもやはり衆議院の
参考人
で岐阜の県
知事
さんが御紹介いただいた岐阜県益田郡というこの五カ町村を私は調べてみました。ここでは
ICカード
で
住民票
の写しの
交付
がされているわけですね。 そこで、ちょっと確認ですが、現行法のもとで、先ほど全国でやるときは法が要ると。
市町村
が
ICカード
でこういうふうに広域
交付
をするというのは現行法ではいいわけですね。
鈴木正明
155
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 今、各地において
住民票
の写しの広域
交付
の
取り組み
が見られます。その場合に、自治法の定めております一部
事務
組合という
法律
の
規定
を利用する場合あるいは
事務
の委託という
法律
の
規定
を利用してやる場合と、そういう形で自治法の各種
制度
を利用した形で行っているところでございます。
八田ひろ子
156
○
八田ひろ子
君 現行法でもいろいろできるということですね。 それで、この益田郡なんですけれ
ども
、ここは五つの自治体があります。これで合計が四万一千三百六十五人の人口です。国の事業費としては二億二百一万円、そのほかに県の補助金が一千百七十万円、そのほかに単独事業があります。これは補助金要綱というんですか、それが端末が三つしかないんです。ここは五つの自治体があるものですから、あとの二つの端末はこの自治体で買わなければいけないので、それぞれ共同事業の分担金として五百十五万円、そのほかに単独事業費として二、三百万円の
お金
があります。つまり、二億五千万円ぐらいでこれが立ち上がっています。 ここで、じゃ
ICカード
の発行、これを見ますと、平均では五%です。ここで
住民票
をどういうふうに発行されているのか。機械で発行をした場合ですね、
カード
利用。これは萩原町というところを例にとりますと、
住民票
は四月、五月、六月で、これは一万一千八百人の人口のところですので先ほどのところとよく似ていますね、これは三十五件です。広域で使ったのが四件。お隣の下呂町でいいますと二十八件で、広域が七件。
カード
の発行枚数も大変少ない。四%とか、下呂町は二%ですね。実際にその
カード
を使って
住民票
を広域発行したところも少ないですし、これは三カ月ですから、一カ月に一枚か二枚ですね。それから、その中での
住民票
の発行件数も少ない。これは非常に少ないんですけれ
ども
、こういう例をどういうふうにお考えなのか伺いたいんです。
鈴木正明
157
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 突然の
お尋ね
で具体的な事実
関係
はつまびらかにいたしておりませんが、益田郡で広域
交付
の
取り組み
を行っていると。たしかことしから始めたか十年度から始めたか。しかも、今
お話
のありました三町村ですが……
八田ひろ子
158
○
八田ひろ子
君 五。
鈴木正明
159
○
政府委員
(
鈴木正明
君) 五、今やっているのは三町村で自動
交付
機を置いている。順次段階的に拡大していくという……
八田ひろ子
160
○
八田ひろ子
君 五つ。
鈴木正明
161
○
政府委員
(
鈴木正明
君) 失礼しました。昨年の十月から発足ということで、それも順次段階的に全域に広げていくということで
取り組み
が始まったということでございまして、もうしばらく推移をごらんいただきたいと思うわけでございます。
八田ひろ子
162
○
八田ひろ子
君 もうじき私の時間が来ますので、残念ながら残余の
質問
ができなくて次の機会に回したいと思います。 午前中は全町挙げてあるいは全市挙げて失敗をしておやめになったという例が幾つか同僚議員から挙がりました。これは突然と言いますけれ
ども
、私は
お話し
しましたし、それから衆議院の
参考人
質疑
のときに、ここは大変うまくいっているということで具体的な名前も挙げられたこの益田郡であります。 ここから言えることは、
ICカード
の事業というのはまだ試行段階であり、うまくいっていないところは大変あるけれ
ども
、非常に
住民
に使われている、今度の
法律
に出てきました
住民
の利便ということで非常にいい、持ちたい、そういう例は一生懸命探したんですが、
一つ
もありませんでした。
カード
は、絶対に必要という日常の生活場面がない限り普及をしない。つまり、
住民
には
カード
も
コード
番号も役に立っていないという例が、大変な何億という
お金
をそれぞれの自治体やあるいは市につぎ込まれて今の現状、こういう
法律
の全国展開を図ることは時期尚早だということを申し上げて、私の
質問
時間ですので終わります。
照屋寛徳
163
○照屋
寛徳
君 社会民主党・護憲連合の照屋
寛徳
でございます。 私は国会へ参りまして満四年が経過いたしました。その間、予算
委員会
や法務
委員会
あるいは
地方行政
・
警察委員会
等を通して多くの大臣にお会いをし、大臣と各
委員
との
質疑
のやりとりを聞いてまいりましたけれ
ども
、野田
自治大臣
というのは大変すごい人だなと私は
個人
的に思っております。大変頭脳明晰でございますし、
答弁
が歯切れがいいというか、恐ろしいぐらいすごい人だなというふうに、これは正直本音でそう思っておりました。 ところで、魚住
委員
の先ほどのオウム真理教の信徒の転入届の問題あるいは信徒の家族の転入届の問題でかなり困ったような御
答弁
をきょう初めて私は伺ったわけでありますが、私は率直な大臣の
答弁
だと思いました。 私も、実は
住民基本台帳
の
ネットワークシステム
、いわゆるオンラインによる処理とそれから
戸籍制度
との
関係
も通告をしておりましたが、具体的な
答弁
は求めませんけれ
ども
、私はきょう改めて、弁護士になって二十七年になりましたけれ
ども
、
住民基本台帳法
というのを読み直してみました。恐らく魚住
委員
が指摘した問題というのは、私は現行の
住民基本台帳法
が予定をしていない問題ではなかろうかと思うわけです。転出届は受理されたけれ
ども
転入届は受理されないという、こういう事態というのは現行の
住民基本台帳法
は全く想定していないのではなかろうかというふうに私は思うわけです。 そうすると、その処理を誤ると、
住民基本台帳法
というその法の仕組み自体が揺らいでくる可能性もある、一方では人権の問題あるいはまた当該
地方
の秩序安寧という問題もありましょう。ともあれ大臣もおっしゃっていたように、これは立法府の課題かもしれませんけれ
ども
、私は、
地方
公共団体もそれから
政府
もこの問題は慎重な対応が求められておるのではないかなと、こういう
意見
を申し上げておきたいというふうに思っております。 それで、私は今度の
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
で、先日の
参考人
からも、特に堀部教授が強調されておりましたが、我が国で初めて番号
制度
というんでしょうか、
国民
に付される番号に法的根拠を与える、そして
住民票コード
という新しい十けたの一種のバー
コード
みたいなものに法的な根拠が与えられる。そのことと、何よりも大事にされ、そして十二分に
保護
されなければならない
国民
の
プライバシー
の
権利
との
関係
が今真剣に
議論
が尽くされるべきだな、こういうふうに思っております。
参考人
の内野教授から
住民票コード
の
導入
との関連で、みずからの存在証明を番号にしたくないという少数
意見
も尊重されるべきだ、番号を使わない自由も
権利
として担保されるべきだというふうな
趣旨
の御
意見
があったわけであります。 私も、恐らく多くの
国民
がこの新しい
住民基本台帳ネットワークシステム
によって、
個人
の尊厳との
関係
で
住民票コード
が
導入
されることによって
個人
の非人格化、このことに対して問題意識を持っておって、人間が
住民票コード
といういわゆる番号によって管理されることへの不安感、抵抗感というのがあるんだろうというふうに思うわけです。 そこで、
局長
でも大臣でも結構でございますが、内野
参考人
のようなみずからの存在証明を番号にしたくないというそういう少数
意見
の尊重と今度の
ネットワークシステム
との
関係
、それから番号を使わない自由も
権利
として担保されるべきだという
意見
等についてどういうふうに考えておられるか、お聞かせをいただければありがたいなと思います。
野田毅
164
○国務大臣(野田毅君)
一つ
の視点かと思うんです。物事をいろんな角度から、角度を変えて見ればいろんな物の見方ができるので、そういう今おっしゃいましたようなみずからの存在証明を番号にされるとかされないとかいう受けとめ方、そのことの是非は申しません。 ただ、現実問題、各広
範囲
な
行政
分野
において、特に給付
行政
なんかにおいては既に独自のナンバリングが付せられているということはもう御案内のとおりでございます。これだってある
意味
では、逆にその世界における番号管理を現にされているわけですね。年金であれ社会保険であれ、いろんな
分野
、運転免許証だって現にナンバリングがあるわけでございます。 したがって、今回やろうというのは、その本人確認、そういう変更があったりいろいろなことがあったりしたときに、それをできるだけ正確にスピーディーにどうやって処理するか。いわばそういう
事務
的な処理、まさに管理するというんじゃなくて、それによって人間的管理をするんじゃなくて、むしろそういう
事務
的な、まさに機械的な作業をそういうことによってやった方がより効率的ではないか、より正確ではないか。そのことによって、これまで費やしていた公務員のいろんな
事務
をむしろ節約して、より人間的な、より大事な
分野
に
行政
の重点を移していくという、むしろそのことによってより高度なニーズに対応することができるようになるのではないか。私はそういう仕組みであるというふうに本当に、私はそれ以上のものでもそれ以下のものでもないと。 だから、
住民票コード
によって何か管理をするというか、人間を管理するんじゃなくて、まさにその
事務
を管理するんだという受けとめ方をすれば、
個人
の人間の存在証明、つまり存在証明という
言葉
は人間性を
意味
するわけでありますが、それを管理するものではないと、私はそういうふうに受けとめればそれほど、
プライバシー
とかちょっと哲学的にとらえるのはどうなのかなと、率直にそういう感じがしております。 それだけに、そういう
範囲
においての活用ですよ、そういう利用
目的
ですよということをかなり厳格に、
目的
外の利用を
禁止
するとかいうようなことをかなり
制度
的にもあるいは
システム
的にも運用面においても縛っているということですから、私はそういうふうに御
理解
いただきたいし、そうしてもらわなきゃ困ると思っているんです。 それで、そういう形で番号をつけていくということになれば、まさか本人が拒否するとか同意するとかいうような世界の話とはちょっと次元の異なる世界なのではないかというふうに私は
認識
をいたしております。
照屋寛徳
165
○照屋
寛徳
君 私は、いわゆる
情報
化社会というのは、これは我が国も国際社会も今後もどんどん進展していくだろうと思います。同時に、コンピューター
ネットワーク
社会というのはこれはますます高度なものになってくるだろうと思います。 そういう中で、いわば近代というか現代の社会の中における、
行政
を含めて私
ども
が追求する
効率化
、その
効率化
の影の
部分
というんでしょうか、
効率化
と非常に密接な
関係
を持っている個としての人格を持った人間のあるべき姿というんでしょうか、そのことは今後も真剣にそれぞれが考えなくちゃいけないし、同時に社会全体、政治、
行政
全体の中でもそのことをしっかりとらまえておらないと、
効率化
を急ぐ余り大事な人間性というかあるいは
プライバシー
が侵されるような社会であってはならないというふうな考えを持っておるところであります。 それで
局長
、通告してございましたが、私もよく承知をしておりませんのでお教えいただきたいのは、韓国で
ICカード
の発行計画を最終的に破棄して、その
施行
法案
を廃案にしたようでございますが、そういう事実
関係
を含めて、その経緯、背景等について御承知であればお教えいただきたいと思います。
鈴木正明
166
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 韓国につきましては、まず
住民
登録制
度というものを持っておりまして、全
国民
に
住民
登録番号が付番されて、多数の
情報
がその番号をもとに
住民
登録ファイルとして管理されまして、その
情報
が
行政
だけでなくて
民間
のさまざまな
分野
で利用されているということでございますから、かなり日本と状況が違います。 それから、
住民
登録証というものも満十七歳以上の全
国民
は紙製の
住民
登録証を常時携帯することが義務づけられています。そういう
意味
で実情はかなり異にするわけでございますが、その紙製の
住民
登録証を
ICカード
化しようと、こういうことでございます。それで、現在の紙製の
住民
登録証では写真の張りかえによる偽造、変造が行われるという問題が生じまして、こうした偽造、変造を防止して
情報
化社会に対応した多
目的
な身分証とするために、紙製の
住民
登録証を電子
住民
カード
、
ICカード
とする事業が打ち出されてきたわけでございます。 この電子
住民
カード
事業は、一九九六年、平成八年に韓国の
情報
化促進基本計画において位置づけられまして、平成九年の十一月には電子
住民
カード
を発行するための
住民登録法
の
改正法案
が成立をいたしまして、法的な基礎が与えられたわけでございます。 しかし、その後、この電子
住民
カード
事業につきましては、韓国の厳しい国家財政、IMFの
関係
で非常に厳しくなってきておりますので、相当の費用が必要だということ、それからまた
国民
監視が強化されるのではという不安に基づく反対運動が強まったということ、これらによりまして、電子
住民
カード
の
関係
条文の削除を内容とする
改正法案
が議員立法で国会に提出されまして、ことしの四月に成立を見たということでございます。 そして、その結果、電子
住民
カード
事業にかえましてプラスチック製の
住民
登録証に切りかえるということで、二〇〇〇年の三月までに偽造、変造防止の観点からプラスチック製の
住民
登録証に切りかえる、こういうことになったと、このように承知をいたしております。
照屋寛徳
167
○照屋
寛徳
君 そうすると、韓国では、
住民基本台帳
にかかわる
ICカード
の
制度
が議員立法で、
一つ
は費用の問題、もう
一つ
は監視社会を招くのではないか、そういうふうな主な理由で廃止になったと、こういうことですか。
鈴木正明
168
○
政府委員
(
鈴木正明
君) そのように
理解
をいたしております。
照屋寛徳
169
○照屋
寛徳
君 私、今度
導入
される
住民基本台帳
ネットワーク
とそれから新しい
住民票コード
によってどのような利便があり、どれぐらい費用がかかるかということについても通告をしてありますが、これはまた来週具体的にやりたいと思います。 総務庁、おいででございますので、一問だけ。
昭和
六十三年の十二月八日に参議院内閣
委員会
の附帯決議、いわゆる
行政
機関
の保有する
情報
との
関係
で附帯決議がございまして、
個人情報保護
対策について
政府
は真剣な
取り組み
をするようにという
趣旨
のことがありますが、その後の、附帯決議以降の
政府
の検討作業の経緯と結果についてお教えください。
瀧上信光
170
○
政府委員
(瀧上信光君)
お答え
いたします。
行政
機関
の保有する
電子計算機
処理に係る
個人情報
の
保護
に関する
法律
の採決に際しまして、参議院内閣
委員会
から十二項目にわたります附帯決議が付されまして、その
一つ
として、「五年以内に本法の必要な見直しを行うこと。」とされているところでございます。 これを受けまして、総務庁では、
個人情報保護法
の適正かつ統一的な運用を図るということで、附帯決議に配慮した適正な
施行
を求める総務
事務
次官通知等の発出、
個人情報
の安全・
正確性
の確保についてのガイドラインの作成、所管特殊法人の
指導
指針の通知等の
措置
を講じてきたところでございます。そしてまた、毎年度、法
施行
状況の調査を行いましてこの
法律
の運用状況を把握するとともに、その結果を公表しているところでございます。 そして、
個人情報保護法
について必要な見直しを行うという点につきましては、総務庁及び
関係
省庁におきまして、平成七年五月までに
個人情報保護法
の
保護
対象の
範囲
、それから
民間部門
の
保護
対策等につきましての
実態
調査を行いました。 その結果、
コード
入力による光ディスクという形態を新たに
個人情報保護法
の規制の対象に加えるという改善を加えるとともに、それ以外の点につきましては
個人情報保護法
の
規定
について特に
改正
を要する状況にはないという結論に達しまして、以上の点につきまして、平成七年六月に参議院内閣
委員会
の
委員長
及び各
委員
に御
説明
を申し上げたということでございます。
照屋寛徳
171
○照屋
寛徳
君 私は、今
審議
しております
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
、それに先行して
民間
を含む包括的な
個人情報保護法
の
制定
こそ急がれるべきだというふうに思います。 と申し上げますのは、我が国においては、
個人情報
あるいは
個人
の信用
情報
などが漏えいをしたりあるいは流出をしたり、そのことが商いの対象になるというふうなことがたくさん起こっているわけです。そうであるからこそ、先ほど申し上げましたように
個人情報保護法
を早期に
制定
する必要性がある。そして、そのことが、衆議院における
修正案
の提案者からも、この
法案
について
プライバシー保護
の面で漠然たる不安や懸念があって今出されているような
修正
を施したというふうなことが言われておりましたので、ぜひそのことを踏まえて、総務庁でもしかるべき効果的な
個人情報保護
対策について真剣なお
取り組み
をお願い申し上げたいと思います。 それでは、次に
局長
にお伺いいたします。今度の
改正法案
では、提供を受けた
行政
機関
が
住民票コード
を含む
本人確認情報
を使用し終わった後、これを消去することを
規定
しておるんでしょうか。もし
規定
していないというのであれば、なぜそれを
規定
しないのか、そこら辺をお伺いいたします。
鈴木正明
172
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
本人確認情報
の使用し終わった後の消去についてでございますが、国の
機関等
この
本人確認情報
を受領した
機関
で不要となった場合についての消去につきましては、
本人確認情報
の
安全確保措置義務
というものを
法律
で
規定
いたしておりますので、その中に消去も含むということで考えております。したがいまして、消去も含めた
安全確保措置義務
が課せられている、このように
理解
しているところでございまして、適切な
措置
が講ぜられるべきものだと考えております。
照屋寛徳
173
○照屋
寛徳
君
安全確保措置義務
というのは、いかにも抽象的ですね、
局長
。私は、提供を受けた
行政
機関
が、
目的
に沿った使用が終わった後にはそのような
情報
を集積しない、しちゃいかぬという、そういう具体的な仕組みづくりを法制化しないと、
安全確保措置義務
というのは、極めて
法律
的な概念としては、あるいは義務の内容としては非常に不明瞭じゃないかというふうに思うわけです。私は、
修正案
提案者の漠然とした不安、懸念というのも恐らくこういう点からも出てきておるんじゃないかと思うんです。なぜ具体的に法文上に明記をしないんですか。
鈴木正明
174
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
本人確認情報
を
ネットワークシステム
から提供する
機関
は国の
機関
及びそれに準ずる公的
機関
ということで、
目的
及び
機関
が
法律
で明記されるその
範囲
で提供されるわけで、いずれも公的な
機関
であるということが
一つ
。それから、それに従事する者につきましては、委託事業者も含めまして
守秘義務
が課せられているということでございます。 さらに、
本人確認情報
を利用する国の
機関等
におきましては、それぞれの
実態
に応じた安全確保
措置
を講ずるわけですが、具体的には、この
関係
で申し上げますと
管理規定
、
個人情報
、
本人確認情報
の
情報
の
管理規定
というものを置く、
制定
するということを予定しているわけでございまして、そこにおいて
情報
の消去に関する
事項
も含めて定めるという考え方でございます。 そのほかにも、安全確保
措置
としては、管理体制の問題あるいはオペレーションの管理に関する
措置
といったことで適切な
措置
を講じていただく必要があると考えております。 各
機関
の状況に応じてそのような
措置
が講じられるということが適当である、こういうふうに考えております。
照屋寛徳
175
○照屋
寛徳
君 そうすると、私がただした、提供を受けた
行政
機関
が
住民票コード
を含む
本人確認情報
を消去するかどうかは
管理規定
でやる、こういうことなんでしょうか。 それと関連して、例えば
行政
文書でもあるいは司法の文書でも、それぞれ
守秘義務
がありあるいは保存
期間
というのがありますね。一定の保存
期間
が過ぎると廃棄されるわけです。私は、このこととの関連で言うと、そもそも今度つくろうとしている
住民票コード
あるいは
住民基本台帳
の
ネットワークシステム
の中で、コンピューターにおけるいわばデータの廃棄というのは
技術
的にどのように行われるのかなとも思うわけです。 私は、消去
規定
を置かないと、
国民
は非常に不安を覚えるんじゃないかというふうに思います。
技術
的な問題は具体的に通告をしておりませんでしたのでまた来週にでもお聞かせいただきたいと思いますが、この
管理規定
の中に消去
規定
を考えるという
趣旨
なのか、あるいは今私が申し上げました
行政
文書の保存
期間
と廃棄との
関係
で今度の
ネットワークシステム
はどのような対応を考えておられるのか、もしきょうの段階でおわかりならお教えいただいて、また積み残したら来週でも結構でございますので、お教え願いたいと思います。
鈴木正明
176
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。
技術
的な側面については、後ほどということにさせていただきたいと思いますが、
本人確認情報
は四
情報
プラス
住民票コード
と付随
情報
ということでございます。
お話し
のように、保存
期間
という
議論
に結局なってくるわけでございまして、そこにつきましては
政令
ではっきりさせたいという考え方でございます。 それで、具体的にどうなのかということでございますが、これは
本人確認情報
を
法律
で認めていただいた国の
機関等
及びその
行政
目的
ということで提供するわけでございますので、それは
法律
を成立させていただいた後、具体的に検討いたしまして、それに応じまして保存
期間
というものを定めたい、このように考えております。
照屋寛徳
177
○照屋
寛徳
君
情報
の保存
期間
の問題、それから保存
期間
が徒過した後の廃棄の問題、その
技術
的な仕組みを含めて次回またお伺いさせていただきたいと思います。 時間ですので、私の
質問
を終わります。
高橋令則
178
○高橋
令則
君 自由党の高橋でございます。
質問
をさせていただきたいと思いますが、まず先に、私は、各
委員
の
質疑
、そしてまた
参考人
の方々の
意見
をお聞かせいただきまして、それなりに蒙を開いたというんですか、
自分
なりにやった分のほかにいろいろな
意味
で
勉強
させていただいたと思っております。 また一方、極めて大事な
プライバシー
の問題については、
政府
もそうですけれ
ども
、三党プロジェクトの中で検討していくということで、今私も入っておりまして三回
勉強
させていただいたわけですけれ
ども
、極めてこの問題は重要である、責任を持ってやらなければならないということを改めて
認識
しているわけでございます。 そういう観点から、私は、重複するかもしれませんけれ
ども
、基本的な問題だけ
質問
させていただきたい。基本的なことですので、重ねてということでお許しをいただきますけれ
ども
、
質問
させていただきたいと思います。 第一点は、これはもう既に八田
委員
もおっしゃったものですから、経過を詳細にお聞かせいただきたいと思いましたが、それは避けます。 その中で極めて重要な問題は、平成六年以降検討したわけですが、その過程でいろいろな案があり、そしてまた報告がありましたが、その中で、原案がこうだったと、この案ができた経過の中で具体的に、極めて重要な点について、どういうふうに変わってきて、そしてどういう理由でそうしたのか、
修正案
というんですか、いわゆる経過について反省をし、そしてあるべき姿としての今の案に到達したという、この点について
説明
をしていただきたいと思います。
鈴木正明
179
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
法案
を御提案するまでの経過あるいはその過程での
議論
、またその骨格においての変更点、こういう
お尋ね
だと思います。 平成六年八月に研究会でこの
ネットワークシステム
の検討が開始されたわけでございまして、平成七年三月に中間報告を発表したところでございますが、各方面からさまざまな反響をいただいたところでございます。 そこで、論点、大きな
議論
となりましたのは三点ほどございました。
一つ
は、
住民基本台帳
番号を生涯不変ということで考えたという点でございます。それから二点目は、
カード
の発行というものを、番号を通知するという性格を持たせた、その手段として位置づけたという点。それから三点目は、
民間利用
の可能性を提起したということでございます。中間報告をめぐってそういった
議論
が出たわけでございます。 また、中間報告においては、
個人情報保護措置
の課題、また
ネットワークシステム
の利用
分野
などの課題、これについてはさらに検討を行っていくこととされていたわけでございます。こういったことを行いまして、その後の検討を重ねまして平成八年三月に最終報告ということになったわけでございます。 その後、さらに幅広い御
意見
を聴取し、大臣主宰の懇談会で御
意見
を聞き、それを公表し、また平成九年六月には
法案
の一部
改正
試案という形で公表し、今回の
法律
改正
ということでございます。 この間、国会あるいは政党レベルでの御論議もあり、また
国民
の間での御
議論
もちょうだいいたしまして、より厳格な
個人情報保護措置
を講ずるということで、まず
民間
関係
につきましては、業として他に提供するデータベースの構成
禁止
、それに係る中止命令に従わなかった者については罰則をもって担保するという
規定
を盛り込んだこと。 また、
守秘義務
の
関係
では、電算業務の受託者に対しても
秘密保持義務
規定
をかけたということ。 したがいまして、この
ネットワーク
に携わる
市町村
、県、
指定情報処理機関
、受託者の従事者、それは電算受託者も含めまして
秘密保持義務
がかかり、それに対しては通常の
守秘義務
違反よりも重い
罰則規定
を置くことにした、こういう点が第三点でございます。 第四点は、
住民票コード
につきましては、請求によって変更できることといたしまして、それは生涯不変、あるいは背番号というか、そういう嫌悪感ということを配慮して、また
住民票コード
が万々が一にも漏れた場合には変更可能ということもありまして、請求により変更は可能、理由は問わないということに踏み切るなどの
改正
措置
を追加したところでございます。 大きなポイントとしては、以上申し上げたとおりでございます。
高橋令則
180
○高橋
令則
君 私も大体そのように
認識
しております。例えば
堀部参考人
も、いろいろな資料の中で拝見しますと、そういうふうなことも提起して、それに対して
修正
をしてもらったとか、あるいは
意見
を出されて、それが採用されたというふうな形で、おおむねこの
システム
については了とするというふうな
趣旨
に私は伺っているわけであります。したがって、その検討経過及びそれに対する手当てについて私はおおむね了として
理解
をしております。 次に、これも基本的な問題でありますけれ
ども
、この
システム
が
地方
公共団体の連携
システム
であるという点であります。あるいは効率性だけの観点からの
システム
とすれば、初めから一括集中的な
システム
でやった方がいいのではないかという
議論
も当然あるわけです。それが、国ではなくとも、あらかじめ全国センターというふうな形、
民間
的な第三セクターですか、いろいろな形はありますけれ
ども
、そういうふうな方法で、全国一括という形でセンターで全部やっちゃうということもできるわけです。しかし、そうじゃない形の分散
システム
、それを
ネットワーク
を構成してやっていくというやり方、これは効率性というだけでは言えない、
住民基本台帳
の本来のあり方として当然だというふうな主張もあったわけですけれ
ども
、改めてこの集中そしてまた分散というような基本的な問題についての考え方を明確に言っていただきたいと思います。
鈴木正明
181
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
は、
市町村
の区域を越えた全国共通のいわば本人確認の
システム
というものをつくり上げようというものでございます。
住民基本台帳
という
制度
を踏まえて、それをベースにして組み立てようということでございまして、本
委員会
でも御
審議
いただいておりますが、
住民基本台帳制度
というものは、
市町村
の
関係者
の
努力
によりまして、
住民
の
居住関係
の
公証
あるいは
住民
に関する
事務
処理の基礎ということで定着をし、問題も指摘される面もありますが、かなり実効あるものとして国の
行政
の
効率化
、
市町村
の
行政
の
効率化
に役立ってきているということでございます。 〔
委員長
退席、理事松村龍二君着席〕 そういった
市町村
が担っております
住民基本台帳
事務
というものをベースにいたしまして、新たな
ネットワーク
というものを構築しようということでございます。そのために、
市町村
と広域的な
地方
公共団体であります
都道府県
が協力、連携をして
システム
の運営を行う、こういう考え方でございまして、国の
機関
が一元的に
本人確認情報
を管理するというものではなく、分散、分権型の
システム
ということで構築したわけでございます。 またさらに、全国センターということで、
都道府県
が行う
事務
のうち
住民票コード
とかあるいは
情報
の提供といったいわば機械的なものにつきましては、
正確性
の観点からも効率性の観点からも専門的
技術
を集積する者に集中させて処理することが望ましいということで、
地方
公共団体のいわば分身として
指定情報処理機関
というものを設置する。その
指定情報処理機関
というものがそういった全国レベルでの
本人確認情報
に関する
事務
を処理していく、こういうことでございます。
指定情報処理機関
は、
地方
団体がその基本財産の全部または一部を出資する公益法人ということで位置づけているところでございまして、そういう
意味
でも
地方
公共団体が主体的に構築、運営する
システム
ということで今回の
法案
を構築させていただいているところでございます。
高橋令則
182
○高橋
令則
君 わかりました。 もう
一つ
は、国会のコントロールという問題になります。当然、
法律
という形になるわけですけれ
ども
、この
システム
を拝見しておりますと、再々申し上げるように四
情報
を国が使う場合は、今九十二
事務
ですか、そういう形でもう
法律
の中に明確にしてしまう。そして、これを他にさらにやっていくとすれば、
一つ
一つ
それを国会に出して、そして
法律
を
改正
してやらなければできないというふうな厳格なやり方をしているわけであります。 〔理事松村龍二君退席、
委員長
着席〕 私もそれは了としますけれ
ども
、考え方によっては、
行政
事務
あるいは
行政改革
という観点からしますと、もう少し拡大性というか、そこまでやらなくてもいいじゃないかという、それによって
プライバシー
を侵害するということが心配だという
議論
はありますけれ
ども
、一方ではやっぱりもう少し利用性とか融通性とかそういうことの観点からすると、他のやり方、例えば
政令
とかそういう方法もあるのではないかという
議論
もあり得るわけです。 したがって、厳格に
法律
で決めた、そしてまた
都道府県
あるいは
市町村
については、仮にやるとすればそれはすべて議会にかけて、そしてこれまた条例でやるというふうになっているわけでありまして、厳格な法定主義でやっているわけですが、これについての基本的な考え方をもう一遍お聞かせいただきたいと思います。
鈴木正明
183
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
においては、
個人情報保護
ということで、
本人確認情報
は四
情報
プラス
住民票コード
と付随
情報
でございますが、全国にこの
情報
を提供するという
ネットワーク
でございますので、
個人情報
を
保護
するということを重要視いたしまして、
一つ
はやっぱり
個人情報
の収集
目的
は収集以前の段階において明確化されることが必要である、その明確化された
目的
以外に利用されてはならない、こういう国際的な考え方、原則が例えばOECD理事会勧告の八原則の中にも含まれているところでございます。 そういったことで、この
ネットワークシステム
においては、利用者及び利用
目的
について
行政
内部で決定するのではなくて、国会でその正当性を御判断していただく、また
国民
に対しても明確に示していくということが
個人情報
を
保護
する面から最適と判断をいたして、このようないわば厳格な法定主義ということを採用させていただいているところでございます。
高橋令則
184
○高橋
令則
君 私は、厳格な法定主義については基本的には賛成なんですけれ
ども
、そう言いながらも利用度とかそういう面でどうかなという
気持ち
もないわけではありません。しかしながら、
プライバシー
に対する
国民
の
安心感
というふうなものを考えますと、適切ではないかというふうに思っております。 次に、これまた原則的な問題ですけれ
ども
、OECDの八原則があるわけですね。これは、今のいわゆる
プライバシー
の問題については国際的な、憲法とは言いませんけれ
ども
、極めて大事な原則だと思うんです。これにのっとってこの
システム
は果たしてきちっとやったのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
鈴木正明
185
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
ネットワークシステム
の構築に当たりまして、特に
システム
全般の
個人情報保護措置
につきましては、基本的にOECD理事会勧告八原則を
前提
とするほか、今日的な課題にも対応できるように法令上及び
技術
上十分な
措置
を講ずることといたしております。 具体的に申し上げますと、国の
機関等
が
本人確認情報
の提供を受けることができる場合及びその利用
目的
等について
法律
上限定する、今申し上げましたところでございます。また、
本人確認情報
として
都道府県
指定情報処理機関
が保有するデータは、四
情報
及び
住民票コード
及び付随
情報
というものに限定する。それから三点目としては、
本人確認情報
の
電子計算機
処理等に関する業務に従事する者、これにつきましては受託者も含みまして、それに対しまして
秘密保持義務
を課する。また、
本人確認情報
の適切な管理のために必要な
措置
を講ずる義務を課する。それから五点目は、
都道府県
指定情報処理機関
が保有する
本人確認情報
については、最新性、
正確性
を確保する。それから六点目としては、
都道府県
指定情報処理機関
に対する
自分
の
本人確認情報
についての開示請求を認める。それからさらに、
民間
へ
本人確認情報
の提供をしない。それから、
民間
機関
での利用を規制するということの
措置
を講ずるということで、法令上及び
技術
上の
措置
を講ずることといたしておりまして、国際標準から見ましても十分な
保護
措置
を講じていると考えております。
高橋令則
186
○高橋
令則
君 私も、おおむねそのように
理解
をしておりますが、その八原則の中に派生したというか、そういう表現ではないかもしれませんが、EU指令の中に第三者
機関
が必要ではないかというふうな、そういう勧告というか指令があるわけです。 それを、この
法案
を見ると、
都道府県
審議会
というふうな形で、これはどうも見た限りでは、厳格な第三者
機関
としてはちょっとウイークではないかな、弱いんではないかというふうに私は思うんです。そして、識者の方々の話を聞くと、これは全員というわけじゃありませんけれ
ども
、それを指摘される方もいらっしゃいます。しかしながら、我が国の今の法制の中ではこれでやむを得ないという方もいらっしゃる。この問題については
局長
の
認識
はどうですか。
鈴木正明
187
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
におきましては、
お話し
のように国の
機関
として第三者的な
監督
機関
の設置というものはないわけでございまして、御指摘がありました
都道府県
には
本人確認情報
の
保護
のための
審議会
というものを設置する、また
指定情報処理機関
には
本人確認情報保護委員会
というものを設置するということで、実質的に独立性の高い
機関
がこれらの
事務
処理を客観的にチェックして必要な
意見
を述べる、こういう体制をとっているわけでございます。これらの
機関
が十分に機能することによって
本人確認情報
の
保護
は図られるものと考えております。 なお、
お話し
のような御
意見
もございますが、堀部
先生
の御
意見
を御紹介いたしますと、これらの
審議会
あるいは
情報
保護
委員会
の
権限
などは限定的であるが、監視
機関
を重視する欧州連合の指令の
趣旨
にのっとっていると言うことができると思う、日本の現行
制度
でどのようなことが可能なのか
個人
的にも考えてみたが、日本の場合には独立した
行政
機関
を設けるというのはなかなか難しいところがあり、現行法
制度
の枠内で対応するとなるとこれでもやむを得ないのではないかというふうに思っているとの御
意見
をいただいております。なお、実質的にこれらの
機関
がその役割を果たせるということが重要であると考えておりますので、そういうことで私
ども
も
努力
してまいりたいと考えております。
高橋令則
188
○高橋
令則
君 私もそういう
認識
をしておりますが、やはりこの問題、いわゆる第三者
機関
あるいはコミッショナーというふうな形での専門者あるいは専門
機関
をやるためには、
個人情報保護
システム
をEU方式にするかアメリカ方式にするかによっても変わってくるだろうというふうに私は
認識
をしております。それをどうするかということは、
政府
自体の検討も
一つ
ですし、もう
一つ
は、申し上げたように、私
ども
も入っておりますけれ
ども
、三党のプロジェクトの中で含めて検討しなければならないと私
自身
も思っております。 最後でございますけれ
ども
、大臣に改めてちょっとお聞かせをいただきたいわけですが、大臣もそうですし私もそうなんですけれ
ども
、実は
法律
を
制定
する過程のときは私は与党ではなかったわけでありまして、後で聞いた方でありまして、若干わからない点もないわけではありません。しかしながら、いわゆるフリー、フェア、オープンという我が党の主張等から考えまして、この
システム
はやっぱり必要ではないかと。しかしながら、やっぱり一方ではこの
プライバシー
の問題を酌んできちんとしなければならない。きちっとした形で、オープンな中で、どっちにしてもやらなきゃならぬというふうに思っているわけです。推進する立場からそれをやりたいというふうに考えておりますが、そういうふうなことを含めて、大臣の決意を改めてお聞かせいただきたい。
野田毅
189
○国務大臣(野田毅君) この
住民基本台帳ネットワークシステム
というのは、もうたびたび申し上げておりますが、二十一世紀におけるデジタル
ネットワーク
社会の到来に対応して、ある
意味
では重要なインフラ
整備
ということだと思います。今でも既に随分おくれているんではないかという多少焦りもあるわけです。しかし同時に、一方で
個人情報
の
保護
ということについてなお一層神経を注がなきゃいけないと。そういう点で、欲を言えば、九十二という
行政
事務
の
分野
のみならず、もっともっといろいろ利用
範囲
を広く検討していいではないかという御
議論
もあったわけですが、やっぱり一方でそういう慎重な配慮ということも非常に大事だと。光と影という言い方がありますけれ
ども
、光と影というのはちょっとどうかと思うので、私はあえて車で言うなら、安全運転していくためにはアクセルとブレーキ両方必要だと。 そういう
意味
で、この
個人情報保護
ということに対して、
技術
的なこれからの日進月歩の
分野
でもありますし、それにどう対応していくかということも含めいろいろ
議論
をいただいて、
修正
ということもあったわけで、そういったことを伴いながら大胆に前進していかなければならない大事な課題であるというふうに思います。 このことは、
市町村
、
地方
公共団体の
行政
サービスというものの質を向上させる非常に大きなきっかけになっていくだろうと。このことは、先ほど来いろいろ申し上げておりますが、本人確認
事務
というのは機械的ではあるんだけれ
ども
非常に膨大な
事務
量を要していると。正確さ、迅速性ということは非常に大事であるということが、このことによってよりその
分野
のニーズが満たされて、そこで浮いた
部分
をより人間的な、より大事な
行政
分野
に投入できるということのメリット、そのことにやっぱり思いをいたすべきではないか、特にそんなことも考えます。そして、結果として国、
地方
を通ずる
行政
の
効率化
ということにも資し、また一方でそのことによって
行政
コストそのものを低減するということができるならば、タックスペイヤーという角度から見ても非常に大事な視点ではないか。 もろもろの思いを込めて、ぜひ早期にこの
法案
を通していただいてスタートを切ることができますように、心からお願いを申し上げるところでございます。
高橋令則
190
○高橋
令則
君 終わります。
松岡滿壽男
191
○
松岡滿壽男
君 参議院の会の
松岡滿壽男
でございます。 長時間の
質疑
で大変
皆様
方も御苦労さまでございます。 自由党の高橋
先生
が予定どおり三十分なさいましたので、私の方もやはり参議院の会として三十分
質疑
をさせていただきたいというふうに思います。 このところ、憲法調査会の設置も決まり、当然そこで二院制の問題についても
議論
があろうと思います。この前から自自連立の中で衆議院の比例を五十人減少するという
議論
もございますし、また経済構造の大きな転換の中で、来週は産業活性化
法案
が本会議に出てくるわけでありますけれ
ども
、そういう厳しい経済情勢の中で
民間
の皆さん方は大変な苦しみの中にあるわけです。失業率もふえてきておるし、大変なリストラであります。 そういう中で、やはり参議院はいかにあるべきかという
部分
が
国民
の側から大変な注目もあるわけであります。だから、衆議院と異なった
審議
をやはり私は参議院においてはしていかなければならないという角度から、衆議院におきましては
参考人
を八人呼ばれた、既にこちらでは四人の
参考人
にも出ていただいている。だから、むしろ現場に出ていって
地方
公聴会と。既に
住民基本台帳
については
市町村
が実際に実務をずっとやってきているわけです、
住民基本台帳法
に基づいて。しかも、心配して反対しておられる
民間
の方々もおられる。そういう方々の声を、こちらから出ていって、国会に来なさいという形じゃなくてやるべきだという主張を続けてまいっておるわけであります。 せんだっても、豊田それから浜松と視察もさせていただいておるわけでありますが、非常に
国民
の方の関心も強いわけでありますし、特に
市町村
から見ると、今度は県も巻き込んでという形になるわけですが、二重にいろんな仕事をしていかなきゃいかぬという
部分
が出てくるわけです。それは、野田
自治大臣
が今御
答弁
なさったようにいろんな面でおくれている
部分
もあるし、やはりきちっと質的な面での向上、こういうものも当然期待できるわけでありますが、いろんな角度での疑問がやっぱりあるんです、こういう財政的に苦しいときに新たに六百億円投じなきゃいかぬと。 しかし、前回、私の
質問
の中で、
戸籍
、
住民基本台帳
事務
にかかわる年間の経費が既に
市町村
段階で三千億かかっているというふうに実は御
答弁
されておられるんです。しかし、どうもこの数字は、確かに
市町村
においてほとんどの自治体が電算化を終えているわけですけれ
ども
、この数字は私の調査では推定で六百四十億から八百十億円程度じゃないかというふうに思われるんです。 例えば、人口十万の市で
導入
の一時経費が大体七千三百万ぐらい、年間の運用経費が八百万くらいだろうと思うんです。私の地元の光市のデジタル化の予算でも、人口五万ぐらいで大体初期の投資が二千万円、ランニングコストが千二百万円で、三千二百万円。これを二千倍するとちょうど六百四十億円ぐらいになるんです。この辺の数字の食い違いがあるわけでありまして、これは一体どっちがどうなっているんだろうかなという点が
一つ
気になっておるんです。 しかし、いずれにしましてもこれは二重投資になることも事実でありまして、
システム
の互換性やデータの互換性等いろんな
努力
をして最小限のコストに、既に
市町村
が
国民
の税金を使ってやっているわけですから、これに対して六百億円かかっていくわけです。これについてまず再度お伺いをしておきたいと思います。
鈴木正明
192
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
ネットワークシステム
での経費と、その前に三千億の
お話
が出ましたが、これは直接これと見合う経費というよりも、
窓口
事務
で基本
台帳
事務
とか
戸籍
を一緒にやっていますので、そういった
窓口
事務
にかかっている経費というものが決算ベースで三千億ですから、
お話し
のように電算処理の業務もありますし、職員費な
ども
含めた全体の経費でございます。 それで、この経費でございますが、基本的な
導入
経費は約四百億円ということで、
システム
の基本設計費、コンピューターの設置工事費、
ネットワークシステム
のテスト経費、また既存の住基データを移行するための経費、これがかなりのボリュームになるわけでございます。これがいわば
導入
経費ということです。また、年間のランニングコストは、コンピューターのリース料、維持費、それから電気通信回線使用料などでございまして、約二百億円を見込んでいるということでございます。
法律
をお認めいただいた後には、
関係者
の協議によりまして具体的に検討をさらに詰めていくわけでございまして、最新のノウハウ、
技術
というものとコストというもので
最大限
の
努力
をしていかなけりゃならないと考えております。
松岡滿壽男
193
○
松岡滿壽男
君 どのぐらいのコストがそれぞれ
市町村
にかかっているかということは、時期のずれもあったり、なかなか難しいんでしょうけれ
ども
、私が申し上げたような数字で大体よろしいというふうに考えていいんでしょうか。
鈴木正明
194
○
政府委員
(
鈴木正明
君) まことに申しわけないんですが、
先生
の数字の
前提
というんですか、試算のベースをちょっと承知いたしませんので、私
ども
の数字のベースは決算ベースで申し上げていますので違うかと思いますが、場合によっては後ほどまた
先生
からお聞きいたしまして、その辺の確認をさせていただきたいと思います。
松岡滿壽男
195
○
松岡滿壽男
君 この前、内野
参考人
ですか、この
住民基本台帳
の問題について、莫大な費用を使って
制度
をつくる割にはメリットが非常に大きいとは言えない、こういうことを言っています。それは、
一つ
には本籍地や続き柄などの欄がこれは空欄ですよね、四つだけですから。今度は
住所
と氏名と生年月日と性別だけです。普通それぞれの
市町村
では、このほかに続柄、それと
住民
となった日、本籍、筆頭者、それから国保、年金、児童、こういうものがずっとつながっているわけです。 そうするとこの四つだけだと、非常に私
ども
不思議に思いますのは、内野さんが指摘されておられるように、本籍地や続き柄などの欄が省略されて空白になっている種類の
住民票
にほかならない、このような種類の
住民票
で足りる場合は省略のない
住民票
が必要な場合と比べてどれほど多くあるのであろうか、こういう疑問を呈しておられますけれ
ども
、こういう問題についてどのように
お答え
になりますか。
野田毅
196
○国務大臣(野田毅君) 一元管理する
情報
というんですか、いわば四
情報
プラス
住民票コード
、これ以外に続き柄なり
戸籍
なりいろんな
情報
を付加してそれをいろんなところにやったらどうだと、その方がはるかに効果があるぞという御指摘は御指摘として
理解
はできるんですけれ
ども
、逆に、むしろそのことによって、例えば
戸籍
等について必要でない
行政
分野
においてこれを基本的な本人の
情報
として余分な
情報
を出すことが果たして
プライバシー
という側面からいっていいのかどうか。要は、全国的な本人確認
事務
というか、そこに主眼を置いた、それに最小限必要な
情報
ということで、この四つの基本的な
情報
、あと
コード
等多少それに付随する程度の
情報
ということに限定をしておるわけで、その方がはるかに
プライバシー
の
保護
ということからいえば望ましいということは申し上げるまでもないことだと思っております。 そういう点で、欲を言えばいろいろあれもこれもということはあるんですけれ
ども
、やっぱり先ほど来いろいろ言っておりますが、そういう利用
範囲
の拡大という問題と
プライバシー
の
保護
という問題をどういうふうに担保しながらやっていくかということが非常に大事なことでありまして、やはりそれぞれの
行政
分野
における必要最小限の
個人情報
ということに絞るべきだろうというふうに考えております。
松岡滿壽男
197
○
松岡滿壽男
君 これだけの投資をされれば、当然次の段階でやはり投資に見合うメリットというものを追求していかなければ投資した額というものは生きてこないわけですよね。 内野さんが言っておられるのは、やはり基本四
情報
は原則的に秘密性の高いものとは言えない、だからこれは
プライバシー
の問題じゃないということをはっきり
参考人
は指摘しているわけです。そのとおりだと私も思うんです。こんなもの秘密でもなんでもないですよ。それに伴う被害はダイレクトメールが郵送されてくるなどの比較的軽いものになるということなんです。だから、こういう状況の中で
住民票コード
を使いたくない人がいても構わないのではないか、そしてこのような人が
行政
サービスを適切に受けられるようにすることが必要だと内野
参考人
は主張をしておられるわけです。 この点について、私の方の地元でも、特別な反対意識がない人も、
住民票コード
、十けたぐらいになるんですか、
自分
で覚えておかなきゃならぬのかいな、ややこしいな、こんな面倒なことせぬでもいいんじゃないかと言う人も結構いるんですよ。 だから、実際に運用の場でこういうものが可能なのかどうか、そういう
人たち
に対して。この
法案
の
趣旨
としての考え方そして
システム
においての可能性、
コード
は覚えないよというような
人たち
に対してはどういうふうに対処されるように考えておられるんでしょうか。
鈴木正明
198
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 まず、
住民票コード
は十けたの番号、しかも全く
意味
を有しないランダムに決められる数字ということでございます。その数字から例えば
住所
地とか生年月日とかを読み取れない無
意味
な数字の組み合わせということでございますので、
お話し
のような御
意見
を持つ方もいらっしゃると思います。 この
コード
につきましては、
市町村
から御本人に文書で通知するということでございますので、それによって
住民
の方は番号を承知するということ、それから希望した場合には
住民票
カード
をお渡しいたしますので、その
住民票
カード
の中には全国共通の本人四
情報
プラス
住民票コード
が内部に
記録
されるということでございますから、その
カード
をお持ちの方は番号を覚えてなくても諸手続のときに
カード
により対応可能、こういうことでございます。当面そういうことで、また同一
市町村
の中では
住民票コード
を使わなくても
住民票
の写しの
交付
は可能ということで現行どおり、それは
カード
を持つ人と持たない人がいらっしゃいますから、それは可能ということで考えております。 それで、そのもとであります
住民票コード
というものを、抵抗を覚える方に対して
コード
を付番しないということにつきましては、この
システム
は全国的なベースで重複しない
コード
を
住民票
につけることによって本人確認をする
システム
でございます。それをコンピューター
ネットワークシステム
でやるということでございますので、番号のつく人とつかない人が混在するということになりますと、この
システム
が非常に非効率、現実的には可能でないという
システム
になると思いますので、そういう
意味
におきまして、今回の
法律
の中にこの
住民票コード
の
規定
を
法律
上明定して、国会で御
審議
いただいて
法律
上
規定
をする、こういうことといたしているところでございます。
松岡滿壽男
199
○
松岡滿壽男
君 そうすると、その
コード
についてはこれは三年後に、五年後の
カード
のときじゃなくて、
コード
のときにもう既にきちっと
コード
数については割り当てるわけでしょう。そうすると、本人が覚えたくない、僕は嫌だよと言っても、それは通らぬ話になるわけですか。
鈴木正明
200
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
ネットワーク
の基本的な
システム
は三年後をめどに
施行
していくということでございまして、五年後までかかるのは、
カード
の
関係
と
住民票
の写しの広域
交付
の
関係
と転出転入の特例の手続の
関係
というものが五年、その後にちょっとずれるということで考えております。
松岡滿壽男
201
○
松岡滿壽男
君 この
システム
はやっぱり
プライバシー
の
保護
というのをきちっと
前提
として衆議院においても附帯決議とそれから
修正
がなされておるわけでありますから、それがセットであわされた場合にはやっぱりデータの一元的な収集管理、これは先ほ
ども
申し上げましたように私は必要だろうと思うんですよ。 ただ、今漠然とした不安は、実際に四項目だけで何も先はないよなんて言っているけれ
ども
、実際はやっぱり何かあるんじゃないのという
部分
があるわけで、この場での
議論
は非常に難しいのかもわかりませんけれ
ども
、そういう
法整備
とセキュリティー
システム
の完備が優先するということが
前提
でありますけれ
ども
、一元化すべきデータはどういうものを想定しておられるのか伺いたいというふうに思います。
鈴木正明
202
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
を構築する場合において、
個人情報保護
との関連で四
情報
は確かに公開
情報
でございます。それに
コード
を今回
法律
により振るということでございます。したがいまして、この
住民票コード
というのがかなりの秘密性を持つ。しかも、
コード
と氏名との組み合わせ、
コード
と
住所
との組み合わせ、このことによりましてそういった組み合わせ自体もかなりの秘密性というんですか、
プライバシー
性を持ってくるということになってくるわけでございまして、そこのところで
守秘義務
の
議論
あるいは
個人情報保護
の
議論
ということと関連してくるわけでございます。 しかも、この
本人確認情報
を
法律
でお認めいただく国の
機関等
に提供する、国の
機関等
は持っているデータベースにおいてその
コード
及び四
情報
を最新の
情報
として使う、こういうことでございますので、そこの面でこの
コード
というもの、
コード
及び氏名などとの組み合わせにおいて
本人確認情報
の
保護
ということが重要な課題となってきておりまして、この
法案
におきまして所要の
措置
を講じてきている、こういうことでございます。
松岡滿壽男
203
○
松岡滿壽男
君 内野
参考人
が、現在の日本では刑法上は
プライバシー
の
保護
が不十分であり、例えば医者が患者の秘密を漏らすと犯罪になるが、
民間
の病院に勤務する
事務
職員などが患者の秘密を漏らしても犯罪にはならない、こういう指摘をしておるわけですが、今回罰則を厳しくしておられますね。これはもう当然私はグローバル化が進んできた段階で、諸外国との対比において、今まで性善説に立っておった刑罰というものをやっぱりかなり厳しく見直していかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っておるんです。他の罰則との関連でこれ以上厳しくできないという基準があってこういう罰則になったのか、初めて適用されたという
お話
でありますけれ
ども
、その辺の状況判断についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
鈴木正明
204
○
政府委員
(
鈴木正明
君)
お答え
いたします。 この
システム
を構築するに当たりまして
プライバシー保護
ということで今御指摘のように秘密遵守、
秘密保持義務
というものを強化いたしております。 対象と罰則の重さという両面からでございますが、今回の
改正法案
においては、
市町村
、
都道府県
の職員だけではなくて、公益法人であります
指定情報処理機関
、これも対象としております。また、
本人確認情報
を受け取る国の
機関
または法人の職員、さらにはこれらの
機関
から
電子計算機
の処理等の委託を受けた
民間
の職員等すべての職員を対象に
秘密保持義務
を設けているということでございます。例えば、先ほど
お話
に出ましたデータ暗号化のかぎだとかセキュリティー
関係
のプログラムとか、
システム
の設計書とかパスワード、こういうものが
秘密保持義務
の対象となるわけでございますが、そういうことで対象を広げて
措置
をしていると。 しかも、その
秘密保持義務
につきましては、通常の公務員の
守秘義務
違反よりも重い罰則をかけておりまして、通常の場合は一年以下の懲役または三万円以下の罰金ということでございますが、今回の
改正
法ではそれよりも重い二年以下の懲役または百万円以下の罰金ということで担保をいたしているところでございます。 罰則につきましては、やはり秘密の重さということとのバランス、それはすなわちほかの
法体系
、
法律
等におけるバランスということが重要なポイントになると思いますが、例えば税法上の
守秘義務
違反につきましては二年以下の懲役または三十万円以下の罰金ということでございますので、かなりこの
プライバシー保護
の観点を重視して重い罰則ということが
措置
をされている、このように考えております。
松岡滿壽男
205
○
松岡滿壽男
君 今までは、我が国の場合はどちらかというと島国でありましたし、いわゆる農耕型民族といいましょうか、閉鎖的な
地域
の中で性善説といいましょうか、そういう
部分
に立った刑罰であったと思うんですけれ
ども
、グローバル化が進む中で、ある面で性悪説に立った刑罰というものに考え直さぬといかぬところにやはり来ておるというふうに思うんです。そういう点で、今回刑罰をかなり厳しく対処されたということはこれからの
一つ
の方向を示しておるというふうに思うんです。 今回の問題でいろんな
議論
が
国民
各層に出てきているということは、
一つ
には、やっぱりかつてはお上を信頼しておった、しかし今やお上もすべて信頼すべきものではなくなってきているという風潮の中に私はあると思うんですね。だから、やはり悪いことをした者に対しては、ルールを守らなかった者に対してはきちっと刑罰を科するんだという毅然たる姿勢と同時に、
前提
として、我々
国民
の秘密が全部侵されてしまうんじゃないか、やっぱり立ちおくれているわけですからこういう
個人情報保護法
等の
法整備
をきちっとやる、そして
国民
の
政府
や政党や政治に対する信頼をあらゆる面においてきちっと取り戻す
努力
をやはりしていかなきゃいかぬ、そういうことが私は大切だというふうに思うんです。 そういう点につきまして、今回の
法案
につきましての大臣の決意を伺って、私の
質問
を終わりたいというふうに思います。
野田毅
206
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、これからの、特に二十一世紀に向けての
高度情報化
ネットワーク
社会において、特に
地方
公共団体の
行政
の面においても、そういった言うならインフラとも言うべき基盤
整備
が必要になってきておるわけでありまして、その中で今回御提案申し上げております
住民基本台帳ネットワークシステム
の早期構築ということを私
ども
こうして御
審議
を願っておるわけでございます。 これはこれで本当に着実に前進させていかなければならない重要な課題でございますが、同時に、先ほど来いろいろ御疑念がございましたが、
個人情報
の
保護
ということに対して、この
システム
と直接
関係
しないところにおいてでも、今御指摘ありましたような
個人情報
の
保護
ということが
民間部門
におけるいろんな発展の過程において大きな課題にもなってきておるわけですから、この機会にあわせてそういった
分野
のことについての検討も積み重ねて、できるだけ早期に両々万全の体制で進むことができるように鋭意検討せよ、こういうことでもございましたので、その思いを込めて誠心誠意
努力
をさせていただきたいと考えております。 よろしくお願いを申し上げます。
小山峰男
207
○
委員長
(
小山峰男
君) 本日の
質疑
はこの程度にとどめます。 ─────────────
小山峰男
208
○
委員長
(
小山峰男
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
住民基本台帳法
の一部を
改正
する
法律案
の審査のため、来る八月三日、
参考人
の出席を求め、その
意見
を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小山峰男
209
○
委員長
(
小山峰男
君) 御異議ないと認めます。 なお、その数及び人選等につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小山峰男
210
○
委員長
(
小山峰男
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会