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1999-03-16 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君                 岩瀬 良三君    国務大臣        自治大臣     野田  毅君    政府委員        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) 〇地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) 〇地方特例交付金等地方財政特別措置に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 おはようございます。社会民主党の照屋寛徳でございます。きょうは、地方税法の一部を改正する法律案等三法について、質問をいたします。  最初に、平成十一年度の実質経済成長率の見込みと地方財政への影響についてお伺いをいたします。  現下我が国経済は、深刻な金融不安あるいはまた雇用不安が重なって、極めて深刻かつ危機的な状況にあることはもう多くの国民認識を同じゅうしているだろうと私は考えております。二カ年連続のマイナス成長を経験したわけでありますが、小渕総理所信表明で、実質経済成長率の〇・五%達成を実現していくんだ、こういう決意を表明されました。この実質成長率〇・五%、もちろんこれはプラスでございますが、プラス成長という前提で平成十一年度の予算編成あるいは地方財政計画策定等がなされておるんだろうと思います。  自治大臣、十一年度の経済成長率をどのように見通しておられるのか、あるいはこれが達成できなかった場合に地方財政にどのような影響を及ぼすというふうに考えておられるのか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 経済再生内閣ということで小渕内閣がスタートして、いろんな角度からの対策を講じてこられたわけですけれども、まずその第一歩として、マイナス成長からはっきりとプラスに転ずるということを平成十一年度の目標に置く、そしてその次の年はそれをさらに持続させるというか安定的な形に移行させる、その上で次に民需主体にした形に重点を移しかえていこうと。いわばマイナス成長という姿からプラスに転じていくという過程の中で、そういうある種の手順を示しながら〇・五%という説明があったと思うんですが、私はその考え方というのは正しい考え方だ、実はそう認識いたしております。そういう意味で、〇・五という数字もさることながら、問題は中身の意味が非常に大きいんだというふうに実は考えております。  特に、経済論議の中で、その数字の話だけがやや先に行き過ぎていることに若干私は懸念を感じておりまして、問題は民需をどういうふうにエンカレッジしていくのか、そういう需要サイドからのアプローチと同時に、大事なのはサプライサイド、つまり担い手側体力をどういうふうに強化させていくかというここのところがもう一つです。あるいは消費者体力なり、特に経済を引っ張っていく企業、そのサプライサイド体力をどのように強化していくかということが伴わなければ意味がない。いろんな減税論議、今回のいろんな減税も、単に有効需要政策としての減税という発想だけじゃなくて、サプライサイドの強化という側面により大きな意味があるというふうに私は受けとめておるわけでございます。  長々申し上げて恐縮でありましたが、そういうことからするならば、〇・五%という平成十一年度の目標というのは、やや強気であろうとは思うんですが、現段階、まだ平成十一年度はスタートいたしておりません。まだ三月でございます。そういう意味で、今からそれがマルだとかバツだとかいうことをあらかじめ言ってしまうのはいかがなものかという思いはありますが、そこへ向けて動き始めたということは言えるんではないか。その点は、本日、月例経済報告関係閣僚会議の中でもいろんな表現が使われて、今まで胎動という言葉があったのが、どうやら底を探る動きという形にだんだん表現も変わってきておるんですが、私は、そういう意味で〇・五%の達成ということに今の段階では期待をし、それに向けて歩んでおるというふうに申し上げた方がいいと思います。  それから、地方財政への影響も、平成十一年度自身財政税収がすぐ直結するかどうか、これは過年度分をもととした税の組み立てということがあるものですから、直ちに平成十一年度の地方財政にそれがすぐ直結するかどうかということは一概に言い切れないところがございます。  いずれにせよ、経済が立ち直るということが安定した税収を確保できるかどうかの大きな分岐点でもあるわけでございます。そういう点で、想定されております経済回復への軌道あるいは路線がしっかりと定着していけるように努力して、もって国の財政と同時に地方財政収入を確保していく、このために全力を挙げて努力してまいりたいというふうに考えております。
  5. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 次に、財政構造改革の問題についてお伺いをさせていただきます。  財政構造改革推進に関する特別措置法施行がいわば停止をされました。それが地方自治体財政にどういうふうな影響を及ぼすのかということを懸念しているわけでありますが、大臣が先ほどもお述べになりましたように、平成十一年度の地方財政は巨額の財源不足状況にございます。地方財政借入金残高は、平成十一年度末には百七十六兆円に達するのではないかということが当委員会での審議でもたびたび触れられたところでございます。一方で、地方分権時代にふさわしい財政構造改革必要性を片時も忘れてはいけないだろうというふうに思うわけでありますが、いわゆる財革法施行停止の問題と地方分権にふさわしい財政構造改革必要性、あるいは自治体に与える影響等について、大臣所信をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、財政構造改革法停止等の問題とは別として、地方財政構造改革を推し進めていくということは極めて大事なことだと思います。特に、地方分権時代にふさわしい、そういう行政システムをつくっていく上で、簡素で効率的なシステムを構築していく、あるいはそれに伴って、これは国、地方を通じてでありますけれども、徹底した行革を進めていく、そういう中でさらに財政健全化に従来以上に努力をしていただく。この必要性重要性というものはいささかも変わらないことでありまして、そういう点で、これからも地方財政再建あるいは健全化ということに私も全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。地方のそれぞれの団体におかれてもさらなる御努力を要請いたしたいと存じます。
  7. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 さて、この地方財政対策における財源不足額の国、地方補てん方式についてでありますが、大蔵省にもおいでいただいておりますので質問は分けて、その補てん方式仕組み、それからルール、さらに一般会計加算措置の将来の取り扱い、そこなどを含めてまとめて御答弁いただけたらありがたいなと思います。
  8. 藤井秀人

    政府委員藤井秀人君) お答え申し上げます。  何点かの御質問かと思いますけれども、まず十一年度の地方財政対策についてお答えをいたしたいと思います。  御承知のとおり、国の財政も極めて厳しい状況でございます。普通国債残高で三百二十七兆円あるいは長期債務残高で四百四十六兆円、こういう厳しい状況であったわけでございますが、その中で地方財政対策といたしまして、まず恒久的な減税に伴う減収に対しましては、国と地方たばこ税税率変更による地方たばこ税増収措置あるいは法人税交付税率の引き上げ、さらには地方特例交付金創設等措置で対処を行ったところであります。  また、この恒久的減税以外の財源不足につきましては、平成十年度に定めました三カ年の制度改正地方交付税増額措置につきましては国と地方が折半してそれぞれ補てん措置を講じること、これを基本としたわけでございますが、そういう中で国としてはでき得る限りの加算措置を講じることとして、その多くは結果としては借り入れに対処せざるを得なかったわけでございますけれども、そのような努力を行ったところでございます。  そこで、二つ目の御質問かと思いますけれども、国の負担について一般会計からの加算措置、これとの関係をどう考えるかということかと思います。これは先生御承知のとおり、従前一般会計からの加算措置、これが国の負担部分にいわば含められていたということで、この委員会等におきましても種々御議論があったと承知しております。そうした議論も踏まえまして、十一年度予算案におきましては、一般会計からの加算措置につきましては地方財政全体の収支の改善に資するよう、従前と異なりまして一般会計から加算を行った上でその残余について国と地方が折半するということといたしたものでございます。  三番目といたしまして、これについて今後どのような取り扱いをするのかという御質問かと思いますけれども、この折半ルール、これは御承知のとおり十年度から十二年度までの三年間の制度改正でございます。最終年度平成十二年度においてどのような措置を講じるかということにつきましては、現段階ではなかなか確たることを申し上げる状況にはございませんが、いずれにしましても、この国と地方といいますものは公経済の車の両輪であるということを十分に頭に置きつつ適切に対処いたしたいというように考えております。
  9. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 それでは、外形標準課税の問題についてお伺いいたしますが、これももう幾度となく論議がなされてきたところでありますが、法人事業税外形標準課税及びその導入時期についての所信をお伺いいたします。
  10. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 法人事業税外形標準課税導入ということにつきましては、かねてからいろいろ申し上げております。大きく分けて三点いつも申し上げておるんですが、一つは、都道府県税収安定化を通じて地方分権推進に資するものであるということ。それから第二に、応益課税としての税の性格の明確化ということにつながるということ。それから第三に、薄く広く税を分担する、こういう意義を持つものでありまして、税制のあり方として望ましい方向であると。  できれば、ザ・スーナー・ザ・ベターであるということをいつも申し上げておったんですが、具体的には政府税調地方法人課税小委員会が六月ごろを目途に報告を取りまとめる方向審議を進めておられると聞いておりますので、もちろんそれらの報告をも踏まえながら、できるだけ早い機会にその実現ができるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  11. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 軽油引取税のことについてお伺いいたします。税の仕組みというよりも、昨年十月に大型の脱税事件が発生いたしました。大変驚いたわけでありますが、この軽油引取税にかかわる脱税事件背景というんでしょうか、あるいはその規模、それから今後の法改正を含む対策についてお教えください。
  12. 成瀬宣孝

    政府委員成瀬宣孝君) 事実関係でございますので私から答弁をさせていただきます。  軽油引取税につきましては、御質問にございましたように、昨年十月、石油製品販売業者地方税法上の軽油に当たる石油製品を輸入し、国内で大規模かつ広範囲に流通をさせながら必要な申告を行わない悪質な事案が発生いたしましたことから、関係四都府県が警察の協力を得まして全国一斉の捜索、差し押さえを実施し、現在それらの資料を調査分析いたしているところでございます。  この事案背景といたしましては、平成八年三月をもって特石法、特定石油製品輸入暫定措置法が廃止をされまして、それまで大手石油企業等元売業者に事実上限定されておりました軽油等輸入行為原則自由化をされましたこと、関税定率法上の粗油に分類されますが地方税法上は軽油に当たります輸入された軽油について地方税法輸入報告がなされなかったことなどから、課税庁であります都道府県による早期の事実把握が困難であったことなどが背景、原因として考えられるところでございます。  このような現状にかんがみまして、このたびの税制改正におきまして、軽油輸入等に係ります課税適正化を図るため、まず知事が関税等に係ります輸入申告書などの閲覧、記録をすることができるようにすることといたします。そしてまた、軽油輸入等に係る申告につきまして、申告書提出しない場合、不申告の場合の罰則規定を設けることとするなどの措置を講じ、課税庁であります都道府県による早期の事実把握が容易になりますよう制度改正を行ってまいりたいというふうに考えております。
  13. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 ぜひ、しっかりした法改正を含む対策を講じていただきたいというふうに御要望申し上げておきたいと思います。  さて、大臣所信の中で、地方分権推進はもう実行段階を迎えたんだ、こういう力強い表明でございました。地方分権推進地方公共団体課税自主権拡充の問題についてお伺いいたしますが、私ども参議院の有志も相集いまして、参議院地方分権推進研究会というのをせんだって立ち上げまして、具体的な研究に取り組んでおるところでございます。  さて、地方財政基盤の確立なくして大臣所信表明された実行段階に入ったと言われる地方分権推進は困難であろうと私は思うわけであります。したがいまして、地方分権を強力に推進していく、より実行あらしめる際に地方公共団体課税自主権を一層拡充強化することが何よりも重要であると考えるわけでありますが、その点、より具体的な方策等について大臣所信を改めてお伺いいたします。
  14. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、地方分権、本当にその実を伴うというためには何といっても地方団体自身自主性自立性ということを最大限に裏づけるというか、バックアップするような対応がぜひとも必要なことでありまして、そういう中で地方団体課税自主権というものを拡充強化していくということは極めて大切な、重要な事柄であると認識をいたしております。  平成十年度税制改正では、個人の市町村民税における制限税率の撤廃などについて措置されておるところなんですが、さらに今国会に提出を予定しております地方分権一括法案、この中で所要の地方税法改正を行いまして、その中で法定外普通税について許可制度を廃止して国の同意を要する事前協議とすること、さらに法定外目的税を創設できることとする、こういうような法改正を予定いたしておるわけであります。今後とも、課税自主権拡充について努力をしてまいりたいと思います。
  15. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 次に、いわゆるPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブの導入についてお伺いをいたします。  私もこのPFIの問題が出たときに一体どういう制度仕組み、どういう背景でこれが出てきたんだろうということを考えました。そして、いろんな学者の話を聞いたり文献を読む中で従来、公共部門というか、国や自治体が行っておったサービスやプロジェクトの建設民間にゆだねる、民間の知恵や力やあるいは民間効率性というんでしょうか、そこへゆだねていく仕組みだろうなというふうに私なりに理解をいたしたわけであります。  日本国家財政地方財政ともに厳しくなりつつあるわけでありますが、一方でやっぱり国民の求める行政需要というのは高まっておるわけです。そういう中でのこのPFI導入でありますが、イギリスサッチャー政権のころにこの導入が試みられて、イギリスでは従来型の公共投資の一〇%ぐらいをもうPFIでやっているんだということも言われております。  一番私が驚いたのは、イギリスでは刑務所PFI建設運営をしているということを聞いて、明治以来の日本発想にはなかった、とても信じられない、刑務所をつくってひとつ一もうけしようかなんというのはなかなか考えられなかったことではないかと。私自身、二十七年間在野法曹の場に身を置いて、この刑務所PFIでやっているということを聞いたときには本当に腰を抜かさんばかりにびっくりいたしました。  こういうPFIでありますが、この導入について地方自治体取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) お尋ねがありましたPFI方式でございますけれども、これは従来国や地方団体がみずから施設設置しみずから運営するというのが標準的なパターンであるわけでございますけれども、特に新しいイギリス方式というのは、地方団体リース料を払うという形をとりまして民間の方に建設運営主体が移る、したがってリスクも移る、そういうところが特色であろうと思います。  そういった意味での厳密なPFI方式日本にこれから根づくかどうか、これはまだこれからの問題だと思っております。既に幾つかの地方団体におきましてPFI的な発想を使った事業取り組みというのが具体的に検討されておりまして、例えば廃棄物処理施設浄水場におきます発電事業を行うとか、あるいは美術館や庁舎の整備、そういったものにつきまして民間事業主体という形で事業を組み立てまして地方団体がこれに対してリース料を払う、こういう形で事業を具体化したいという構想でございまして、全国的に我々が把握いたしているところでは七つから八つの団体がそういう方法について具体的な検討をいたしておる、そういった状況でございます。
  17. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 沖縄県でもある市がこのPFI研究会を既に民間との間で合同でつくって、今御答弁がございました美術館建設運営だとか、特に廃棄物処理施設などは既に大手の商社や造船会社などもそういう準備をしているということがマスコミでも報じられておるわけで、やっぱり自治体取り組みというんでしょうか指導、それもそろそろ準備を怠りなくやっておく必要があるんではないかというふうに意見を申し上げておきたいと思います。  それでは次に、沖縄におけるバス企業合併問題、雇用の問題等について、運輸省においでいただいておりますので、何点か聞かせていただきたいと思います。  なお、沖縄におけるバス問題というのは、きょうは運輸省にお伺いいたしますが、ぜひ大臣にも、自治省の方にも決して無関係ではございませんので、関心を持っていただきたいということを要望申し上げたいと思います。  戦前は、沖縄にも鉄軌道がございました。軽便鉄道が、那覇から与那原町、那覇から今の嘉手納町、嘉手納基地のあるあたりまで走っておったようでございます、私は戦後生まれですので実際見たことはございませんけれども。  その後、沖縄は今日まで一切国鉄影響を受けていないわけでございます。沖縄は鉄道がないものですから、大衆の足というか公共的な輸送機関バスに頼らざるを得なかったわけであります。しかも、公営バスは全くございませんでした。戦争が終わって後、バス事業民間企業によってずっと営まれて今日に至っているわけでありますが、バス離れが進む、それから鉄軌道がないせいでどうしても車に頼るような交通体系交通システムになってしまいまして、どんどんバス企業経営が悪化をするばかりでございます。  今やもう主要バス四社、全部破産状態と言っては怒られるかもしれませんが、とにかく非常に厳しい経営実態であることは間違いないわけでございまして、もう十数年前からバス企業の統合、合併問題等が叫ばれ取り組まれてきたわけであります。一方で、バス企業に働く労働者の雇用不安も高まってまいりました。職場を失うんじゃないかということ、あるいはまた長年働いてもやめた後に第二の人生設計がうまくいかない、すなわち退職金がきちんと支給されないという状況にもあるわけであります。  今、都市モノレール建設がおかげさまで順調に進んでおりまして、間もなく都市モノレール那覇市内だけですけれども走り出すようになります。そうすると、この都市モノレール供用開始によって従来のバス路線の再編の問題だとか新しい総合的な交通体系整備というのがどうしても急がれるわけであります。  今、運輸省を初めとして沖縄総合事務局などもこのバス問題に真剣に取り組んでおられることに感謝を申し上げたいと思いますが、まず、沖縄バス企業バス事業現下状況についてどういうふうな認識を持っておられるのか、このことについてお伺いいたします。
  18. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) お答え申し上げます。  沖縄バス事業、主要四社の状況でございますが、まことに今、委員がお述べになったとおりでございます。運送収入輸送人員が大変減少してきておりますし、四社とも経営が厳しいわけでございます。とりわけその中の一社は支払い不能というような状態で、まことに事態は深刻だと思います。  一方、バス路線四社の競合率全国に比類のないほど高いわけでございまして、かねてから路線の再編成問題がございまして、長年の努力を重ねてきておりますが、なかなかうまくいかない実態でございます。加えて、モノレールの開業が十五年末ということでございますので、軌道との競争ということがございます。  しかし一方、沖縄交通状況から見ますと、バス事業乗り合いバス事業貸し切りバス事業は不可欠な事業だと思いますので、うまい合併、今後の再生案ができますれば必ず生き返るんじゃないかという期待を持ちつつ、憂慮しておるという実態でございます。
  19. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 今は主要四社、いわば私企業バス事業を営んできたわけですね。そして、公共交通公共輸送手段私企業が一身に担ってきた、こういう状況があります。私は、その経営が厳しいから、これは私企業だからということで突き放して、お前たちの責任じゃないのか、こういうことじゃなくして、戦後、国鉄の恩恵を一切受けられなかったという沖縄の事情、それから民間企業が担ってきたこれまでの役割というか功績、それを見た場合に、やっぱり運輸省がもっと積極的にリードをして当該企業に働きかけたり、あるいはその関係団体の利害や意見を調整して、早目にうまい形でバス事業健全化、そして公共輸送手段の確保、これを図っていただきたい。そして、財政的な支援措置も当然図らないとだめだろうと思うんですね。  例えば、今、沖縄のリゾート観光産業を戦略的な基幹産業に備えつけているのも、これは県だけじゃなくして政府を挙げてそういう位置づけをしているわけですから、バス事業の中における観光部門の問題もかかわりを持ってきますから、私は、一度沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、三百億ぐらい投じてきちんと財政支援をしていただきたいということもお願いをしたことがございますが、この財政支援の問題を含めて、再度運輸省考え方というか決意をお聞かせいただきたいなと思います。
  20. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 解決の手法としての財政支援も含めまして運輸省努力、御激励いただいたわけでございますが、経緯をちょっと簡単に申し上げつつ、姿勢について述べさせていただきたいと思います。  沖縄バス四社の統合がやはり望ましいということは、関係者の一致したところでございます。平成九年六月に四社におきまして基本合意ができておりまして、平成十年四月に四社統合委員会が設置されております。  統合の課題といたしまして、やはり四社の多額に上る負債処理問題、それと今後の雇用にかかわります余剰人員と申し上げてもいいかもしれませんが人員問題、それから設備と施設の今後の活用の仕方といったものが主要課題でございます。とりわけ負債処理問題は、各社の思惑が錯綜してなかなかまとまらないというふうに報告を受けております。  沖縄総合事務局は四社の話し合いを促しておるわけでございますが、昨年の十二月には四社統合にかかわる統合スキーム案を提示いたしまして、そのスキーム案に乗って四社でぜひ話し合いをしてくださいというふうに提示いたしました。基本的な考えを申しますと、一般の乗り合いバスとその他貸し切りバス、あるいは承継法人を分けた案でございますが、その中での話し合いが行われておられるというふうには聞いておりますが、なかなか難しい現実が控えておるというふうにも仄聞しております。  運輸省といたしましては、四社の話し合いの進展に期待しておるところでございますが、具体策がまとまれば地元自治体とも調整して運輸省としての可能な限りの協力をしていきたいというのが姿勢でございます。  財政支援につきましては、このような事態に対応するような国の財政措置というものは現在ないわけでございますが、一つありますのは生活路線の維持のための予算措置でございます。少々この合併問題には間に合わないといいますか適用がなかなか難しい面もございますが、運輸省といたしましては、この四社の話し合い、どのような今後の統合、合併の姿になるかということを期待しつつ、それに応じてできる限りの対応をしていきたいというふうに考えております。
  21. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 財政支援の問題は、私が一等最初に申し上げましたように、そもそも沖縄におけるバス事業が公営ではなくして民間が担ってきた、こういう長い歴史的な背景があるわけですね。それから、一九七二年、昭和四十七年以降は、日本に復帰したにもかかわらず沖縄だけが唯一国鉄の恩恵も受けられなかったというふうなことですね。それからしますと私は、ぜひ創意工夫を凝らして、知恵を絞って、いずれにしろこの四社は今厳しい財政状況にあるわけですから、バス企業だけで立ち上がれと言ってもなかなか難しいと思うんですね。  最近は労働組合の方も、組合みずからもう血を流してでも統合や再建を図らぬといけないんだ、こういう決意も述べられておるようでございますので、私は、運輸省財政支援やあるいは再建策について、ぜひ新しい交通体系をつくるんだという意気込みで県や那覇市やモノレール会社などを含めて関係機関としっかり、そして早い取り組みでもって沖縄バス事業の再生を図っていただきたいというふうに御要望申し上げたいと思います。  とにかく鉄軌道がありませんから、軌道がありませんから、社会的な弱者であるお年寄りやあるいは子供たちの通学の手段はもうバスしかないわけですから、そういう点での特段の御配慮をぜひお願い申し上げたいと思います。  そして、自治大臣におかれましても、今やりとりをした事情、経緯でございますので、地域おこし、地域振興のためにも欠かせない課題でございますので、自治省としても今後ぜひお取り組み方をお願い申し上げて、質問を終わります。
  22. 高橋令則

    ○高橋令則君 私は、最初に中小企業対策について御質問をさせていただきます。  経済状況は依然として厳しい状況にある、このように認識をしておりまして、今後の政府そしてまた地方、何事もその中でも最も重要なのが民間でございますけれども、まず先陣そして第二陣として公的な支援というふうなものが非常に重要であるというふうに考えております。その中で中小企業対策というのは極めて重要であると考えております。  私どもは、その中小企業金融対策の中で信用保証制度の問題、これがこの全体的な経済対策の一環として重要な一角であるというふうにかねてから考えておりまして、党の中でもそれを取り上げ、そして政府に対しても与党に対しても要求したわけでございます。自自連立の中で私どももそれを主張し、そしてそれがそれなりに一定の効果を上げたものというふうに考えているわけでありますが、昨日、本会議で総理が二十兆円のうち既に十三兆円、そしてまた対象の中小企業のあれが一〇%程度というふうに私は聞いたんですけれども、その効果を見ても出ているのかなというふうに考えております。  野田大臣は、この中小企業の信用企業対策について、そして信用保証対策について、かねてから入っておられまして、そして中心的な役割をなされたわけでございますので、その経過について、そしてまた今度は自治大臣として地方対策を担当されるわけでありますので、今後の対策を考えて、含んでお話をいただきたいというふうに思います。
  23. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 高橋先生御指摘のとおり、今日の日本経済はさまざまな課題を抱えておるわけですが、その中で特に、金融システム早期健全化しなければならないという大切な課題を達成していく上で、それに伴っていわば金融機関の自己資本比率というこの相異なった課題がまた一つあって、そういうための一つのステップとして金融機関自身が自助努力によって乗り越えようという動きの中で、残念ながら信用収縮といいますか、貸し出しに対する抑制あるいは融資の回収、こういった貸し渋り現象が非常に強く反映され、それが言うなら金融デフレという悪い循環を通じて経済の底割れにつながっていくんではないか、これは昨年の夏前後ぐらいから非常に強く際立ってきた一つの特徴でありました。  そういう中で、システム対策はそれはそれとしてやっていくものの、そういう意味での貸し渋りの悪影響をどうやって最小限に食いとめるか。特に中小企業が一番貸し渋りの対象になる。みずからの経営が悪いために融資を受けられないということであればまだしも、普通の中小企業に至るまでどんどん巻き添えを食っていくということを放置するわけにいかない。そういう中で、ただ単に銀行に金を貸せということだけ言ってもなかなかそうはいかない。  どういうやり方がいいかという中から、銀行もお金を貸せるような仕組みをやっぱりつくる必要があるということから信用保証、現在まで全国都道府県あるいは政令指定都市でやっておりますが、そういった中小企業に対する県の保証協会を通ずる信用保証、この仕組み拡充強化する。言うなら、けた違いに拡充強化をするということが結果として金を貸す側のリスクウエートが一割なんですね、一般の貸し出しに比べてこういう信用保証措置が裏づけられれば。つまり、分母が一割計上で済む。このことが非常に有効であるということで、昨年の夏ごろから自由党が主導し、それを受けて通産省の方でも政府として貸し渋り対策大綱というのを八月に決定されたわけです。  それだけでなくて、さらに中堅企業にまでこれを広げようじゃないかということまで話が進み、そして同時にまた、信用保険公庫あるいは信用保証協会というスキームだけでなくて、開銀などの政府関係金融機関、これらをも活用するということによってかなり大規模な形での信用保証制度というものが拡充強化をされたわけであります。  その結果、既に統計数字で明らかになっておりますが、昨年の特に十一月から十二月にかけて、一昨年と比べてあれだけ非常にマインドが悪い、厳しい経済状況の中であったんですが中小企業の倒産件数が対前年比で逆に減ったという、これは非常に大きな成果があったというふうに私は認識をいたしております。昨年中にこの制度を利用されたのが五十五万という件数になっているということでありまして、もしこの制度なかりせばということを思いますと、本当に今ごろ大変な中小企業の倒産旋風、それに伴う失業者ということを考えれば大変なことだったんじゃないか、そんな思いもするわけです。  経済を一層悪いスパイラルに落とし込んでいくという懸念があったのが、これによって阻止することができて、いろんな政策効果ということもあって、今や底を探り始めているという状況経済体制がなってまいりました。したがって、国も地方も、それに基づいて税収等いろんな面で当然のことながら影響が出てくると思います。今後確実な形で経済の回復軌道がはっきりと出てくるということであれば、財政再建に向けての取り組みもまたしっかりとした形で取り組んでいくような環境が整っていくのではないか。  いずれにせよ、先般の戦略会議で出されました経済それから財政再建の三つのステージに分けた戦略というものが現実の課題として出てくれば、私は、地方財政の再建への道筋もだんだん展望が開けてくるというふうに理解をいたしておるわけであります。
  24. 高橋令則

    ○高橋令則君 今、大臣からお話がございましたように、この信用企業対策、信用保証対策、これは非常に大きかったというふうに思っております。  しかし、これはある程度何といいますか避難的なことでありまして、それに問題も出ております。例えば、審査が甘くなったとか、それから運用資金の場合には借りかえの問題が出てくるわけですね。そして、今はいいんですけれども、継続的にやっぱりそれなりの手当てをしていかないと間もなくそれが同じように出てくる、その対策が必要ではないか。枠の問題であります。今申し上げた二点ぐらいの問題。  それからもう一つは、それによって出てくるのが信用保証協会の基盤の問題があるんです。国が特例にやった措置ではなくて、信用保証協会の基盤というのは、基本的には二分の一を国が措置し、二分の一を地方財政都道府県負担するということになっておりまして、それがやっぱりある程度充実していきませんとこれが起動しないわけですね、今後になってきますと。それらについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 野田毅

    国務大臣野田毅君) おっしゃるとおり、あらゆる政策は必ず光と影を伴うわけでございます。そういう点で、当初から審査についての甘さが出るのではないか、そういう意味でいわゆる事故の発生割合が高まるだろうということをあえてのみ込んだ上でこの措置を行ったという経緯があることは事実であります。  それまで大体平均して二%程度ぐらいが従来の実績だったと思うんですが、それが場合によっては一割近くまでいく。そこまでいくことをあえて目をつぶろうということでこの措置に踏み切った。したがって、財政手当てはそういうことを前提としてやっておるということは、まず申し上げておかなきゃならぬ、こう思っております。  それから、借りかえの問題は、当然のことながらある程度経済が回復軌道に乗っていく、そして信用保証というこの措置をやらなければ金融機関自身も貸せないというような状況じゃなくて、両面ありまして、一つは借りている側の中小企業体力を強化していくということが一つと、もう一つは金を融資する側の銀行自身体力が回復していくという、この両面が必ず伴わなければならないわけです。そういう意味で、それまでの間の借りかえのつなぎはぜひ必要であるというふうに私も認識いたしておりますし、この点は大蔵大臣も通産大臣も十分念頭に置いていろいろおやりいただいていることだというふうに認識をいたしております。  それから、御指摘のとおり、事故が発生した場合の最終的な負担というのは県の信用保証協会という位置づけでありますから、それに対する国の信用保険公庫からの補てん割合、てん補率ということと関係があるんですけれども、そういう点でこのてん補率を従来の枠よりも高めるという措置を同時に講ずる。  それからいま一つは、地方団体がこの信用保証協会に対して出捐、出資をする、それに対する財政措置をあわせて昨年の秋講ずるということを決定して、昨年の第三次補正の中でその対応をとったというふうに私は理解をいたしておるわけです。その辺は地方財政にしわが寄らないような方策を講じてきたと私は認識いたしておりますし、今後においてもそのことは念頭に置いて対応すべきであるというふうに考えております。
  26. 高橋令則

    ○高橋令則君 今後引き続き適切な対策をお願い申し上げたいと思います。  次に、税の問題でございます。不動産取得税の問題でございます。  さきの経済戦略会議、この答申を見てみますと、その中にこの税を撤廃したらいいんではないか、撤廃するというふうなことを言われているわけですね。ところが、この税については都道府県にとっては非常に重要な税でありまして、税制全体の中での問題でありますので、これが一つ一つ出てくるのは余り適切ではないかもしれませんけれども、具体的な話になりますとやっぱりいろんな問題がある。特に都道府県財政状況を考えますと、これを取り上げてそして推進するということになりますといろいろ問題が出てくるんではないかというふうに思っております。  撤廃の議論の中には、御承知のように土地税制全体の問題もあるわけでありますから、それは理解しておりますけれども、しかしながら問題もあるということを危惧しているわけでありますから、この辺についてのお話をお聞きしたいというふうに思います。
  27. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 経済戦略会議がさまざまな提言をしておられるわけであります。その中で地方の税財政に関してもいろいろ御提言をいただいておる中に、御指摘の不動産取得税の話もございます。  私は、それは一つ発想として、いずれにせよ地方財政地方自主性自立性をきちんと保障する、そして地方分権といいますか地方主権というものを支えていく、そういうような税財政の姿にすべきであるという意味で、大きな流れとして基本的にこの地方税、税源配分をも含めたそういう抜本的な見直しをやるべきだと、これがまず総論としてあって、それの上でさまざまな角度からの御提言があるというふうに受けとめております。  そういう点で、率直に言って現時点において不動産取得税というのは都道府県税の非常に大きな歳入を構成している税でございまして、これをなしにしろというだけを取り上げると暴論に聞こえると。しかし、地方税全体として充実強化をしようじゃないか、そういう中で既存の国税、地方税、この税源の配分なりということを見直すという過程の中でというのは、それはそれで一つ考え方かもしれません。  いずれにしても、地方税の中でも都道府県あるいは市町村それぞれの自治体にふさわしい税をどういうふうに構築するのかという中で、所得なりあるいは消費なりあるいは保有なりさまざまな、あるいは不動産に関して言えば保有、取得、譲渡、それぞれどういう形で組み立てていくかということは総合的な角度の中で検討しなければならぬことであって、一つの御提言として受けとめておるという、むきになっていいの悪いのと言うのもいかがかと、そんな思いをしております。
  28. 高橋令則

    ○高橋令則君 税の問題は極めて重要でございますので、今後私どもも勉強して適切に対応しなければならないとそれなりに考えております。  それで、次に消防の問題を質問させていただきます。  長官、いわゆる消防力の基準という告示がありますね。これの達成状況はいかがですか。
  29. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 消防施設整備状況につきましては、実態調査を三年ごとに行っておるわけでございます。  それで、直近の調査が実は平成八年四月一日現在ということになるわけでございますが、消防施設のそれぞれの種類によってはいわゆる消防力の基準に基づく算定数と実際の整備数との比率、一つの充足率というか水準といいいますか、これはかなりばらばらになっております。一例を申し上げますと、例えば救急自動車は九九・九%、あるいは消防ポンプ自動車は九〇・一%というふうになっておりますけれども、はしご消防自動車は六五・九%、あるいは救助工作車は七二%、それから消防水利の方が七八・七%と、そういうふうにばらつきがあることは事実でございます。
  30. 高橋令則

    ○高橋令則君 私もそれなりに承知はしておりますが、見ていると、はしご消防自動車とか、それから防火水槽なんというのは極端に低いやつがあるんですね。  この中で、ちょっとこれは細かい話になるかもしれませんが、化学対策の自動車があるんです。これは非常に難しい。項目には出ていないはずですけれども、これなんかは市町村にとっては大事なんだけれども、なかなか高くてできないということで整備できないんですね。例えば、県が持っているものをそれを払いおろししますと、競争になっちゃうんですね。事ほどそのぐらい面倒な設備もあります。  これは市町村が考えることではありますけれども、地方財政の中で、いわゆる補助金、起債、そしてまた交付税、こういったことの組みかえによって、そして必要なものを、やっぱりそれなりに低い率のところについては充実しなきゃならぬというふうに思いますが、長官のお考えはどうですか。
  31. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 御指摘のございました例えばはしごにつきましては、確かに整備水準は低いわけですけれども、三年ごとにやっておりますので、五年前の水準に比べると、台数としては六十三台、二・一%ふえているというような形で、それぞれの施設ごとに年ごとに着実にはふえておるということでございます。  ただ、御指摘のようなはしご自動車等はいわば単価も高いという面もございますので、実ははしご車あるいは化学消防車、これについては実勢価格をある程度考慮して、平成九年度からいわゆる補助基準額の引き上げを計画的に図ろうということで、今年度も含めて三カ年で相当水準まで引き上げるような状況にいたしております。  そうした全体的な予算、補助金等の予算措置と同時に、そうした内容面の充実もあわせ図りながらこうした水準の向上に今後とも努めていきたいというふうに考えております。
  32. 高橋令則

    ○高橋令則君 化学消防車なんというのは、最近は油火災とか危険がいろんな形で出てくるんですね。特に、都市化することによって郡部あたりでもやっぱり問題が出てくる場合があるわけでありまして、大体もう組合システムになっておりますので広域的に対応しておりますけれども、組合に対する手当てとかいうことを考えて自立できるように御配慮をいただきたいというふうに、これは要望を申し上げておきます。  次に、合併について御質問をさせていただきます。  市町村合併の重要さについてはもうるるお話があったわけでありますが、私は対策の一環として、私なりの経験からいうと、都道府県の役割が極めて重要だというふうに思っております。はっきり言えば、知事の姿勢が非常に影響があるんです。したがって、都道府県、市町村に対する知事の姿勢、これを自治大臣の方でよほどきちんとお話をいただき、そして協力をしていただかなければなかなか難しいというふうに思うんですね。  まず、この点についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  33. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 特に高橋委員は実際、県の幹部でおられたころ市町村の合併を直接いろいろおやりになってきた経験があるわけで、本当に実感がこもってのお話と思います。  率直に言って、文字どおり都道府県の協力がないと、実際市町村の合併というのは言うべくしてなかなかできないだろうということはよくわかっておるつもりであります。したがって、これから合併推進していく、促進していく上で、従来以上に都道府県の協力をお願いしていかなきゃならぬ。  そういうことで、今度の予定しております法改正の中で、知事が必要と認めたときに合併協議会の設置を関係市町村に勧告するというような法改正、あるいは本年上半期の間に都道府県合併推進のガイドラインをお示しする予定でありまして、都道府県合併に対するさらなる強い取り組みを要請してまいりたいというふうに考えております。  文字どおり都道府県が本気でそこに向けて取り組んでくれるかどうかということは、非常に大きなかぎになるという認識をいたしております。
  34. 高橋令則

    ○高橋令則君 大臣からお話がございましたが、私は実務的にやったのは二件だけでございまして余りそれほどあれではないんですけれども、えらく苦労した、そういう思いがあります。  そして、戦後の大きな合併は昭和二十八年あたりから大体三分の一になったとき、私はまだ入らなかったわけですけれども、大変苦労した先輩から直接話を聞いたわけでありまして、よくわかっておるんです、そのとき聞いておりますので。知事の姿勢が非常に影響があるというんです。私自身もそう思っております。  したがって、ぜひその点を、知事が傍観して──傍観というのは表現は悪いんですけれども、地方自治云々というようなことで憲法九十二条を読むような話だけでは推進できません。私は経験としてそう思います。したがって、これをぜひきちんと御理解いただくような努力をしていただきたいというふうに思います。  もう一つは、環境づくりが非常に大事なんです、合併の。それは、私の経験によりますと、県が直接商工会とか、それから地域の団体に入って、そして市町村経由も大事ですけれども、直接に住民とかあるいは団体に対してやるというぐらいのことをやらなければ実は来ないというふうに思うわけであります。  したがって、こういう一般の市町村あるいはそれを超えたところ、超えたといいますか、住民に対するアピールというんですか、こういうものが理解していただけるような、今申し上げたPRのような、こういうことも重要だと思いますので、県、市町村に対する配慮も重要ですけれども、直接住民に対して合併必要性に対するアピールというふうなものに努力をしていただきたいというふうに、これは要望を申し上げておきます。  次に、自治体の病院の話でございます。  これについては、実は御承知のように都道府県の中で、私ども岩手県の場合は二十八ありまして、一番断トツの病院でありまして、最大であります。もうこの手当ては県政にとっては非常に重いものでございます。しかし、先輩が無医地区をなくそうということで努力されたものを長年私どもは継承して、そしてやってきたわけであります。  当時の知事が亡くなられる直前に、当時の担当の方に、後でその方も知事になられたんですけれども、臨終のベッドで、おれが知事のときに一番心配したのは病院だった、病院を県立にしたけれども、県がひっくり返っちゃうんじゃないかとさえ考えた、もう死ぬまでそれは頭を離れなかったというふうなことを言ったわけであります。そのぐらい岩手県にとっては重要な問題であります。  それに関連するわけですけれども、一方、今の自治体病院の実態というのはきのうも話があったように非常に心配されるわけです。特に重要なのは、収益の中で、医業収益と医業費用、直接の経常的なものと、それからトータルのやつと三つあるわけですけれども、その中で医業収益と医業費用がひっくり返っているんです。費用の方が大体一〇%ぐらい多いんです。少なくとも、経常的なものはあっても、バランスはともかくとしても、医業収益が厳しいというのが構造的な問題だと思うんです。したがって、いろんな対策が必要だと私は思っております。  その中で要望があるのは、一つは診療報酬の問題、それからもう一つは消費税の転嫁の問題なんです。これが深刻な問題になっておりますが、これについての認識取り組みをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  35. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今いろいろ御指摘がございましたように、自治体病院の経営状況は非常に厳しくなっておりまして、平成九年度決算におきましても、経常損失を生じた自治体病院の事業の割合は五二・五%ということで、前年度に比べて八・六%増という厳しい状況になっております。  これは、自治体病院が地域医療のニーズに応じまして僻地医療などのような不採算地区での医療をやらなくてはいけないという面、それから救急医療とか高度医療のように民間の医療機関では果たし得ないような役割も持っているといったようなことが重なりまして、採算の面でより厳しい状況にあるわけでございます。  こういう状況に対応いたしますために、毎年度、一般会計と病院事業との負担区分に基づきまして、本来医業収入で賄うことが性質上難しいものについて一般会計から繰り入れを行うことにいたしておりまして、これは平成十一年度の地方財政計画におきましても建設改良費、運営費等を含めて六千六百億余りの繰り出しを計上いたしておるところでございまして、引き続き医業収益の増加に取り組んでいただきますとともに、費用の削減等に各病院の経営の方々に御努力いただきたいというふうに思っております。  診療報酬の話は、ああいう形で決まってくるものでございまして近年はかなり抑制的になってきておる、加えて薬価の問題もあるとかいったようなことで、病院経営にとってはそこのところは厳しい状況になっております。  今の消費税の転嫁のお話につきましては、私どもも立場上直ちにどうこう申し上げるというわけになかなかまいりませんので、少しその点についてはいろんな事情を聞きながら勉強させていただきたいというふうに思います。
  36. 高橋令則

    ○高橋令則君 これは最後に要望だけになってしまうんですけれども、仕入れ控除ができない地方消費税の一%相当、これについてはやむを得ないので、県の場合は一般会計から、例えば十一年度当初予算では四億ぐらい県がやったんです。  したがって、全体的に見たら、これは岩手県の場合を申し上げて恐縮なんですけれども、例えば十年度の中で消費税の負担の分が二十六億ぐらいあるんです。それに対して診療報酬で入ったのが十三億ぐらいなんです。ちょうど十三億が実質的に病院会計の中で負担せざるを得ないというふうな状況にあるんです。これは一つの例でございますけれども、恐らく各病院とも同じような問題があると思うんですね。  したがって、これを何らかの形で、これは税の問題になってくるので大蔵になるのかどうかわかりませんが、直接的には県自体がやった分もあるわけでありますので、地方財政の中でも配慮できるものがあるとすれば御検討いただきたいというふうに申し上げて、終わります。
  37. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私ども政治家の責任は、やはり国家と国民の安全と豊かさをどうやって守り抜いていくか、各分野におけるセーフティーネットをどういうふうにつくり上げていくかということだと思うんです。  これをまた比喩的に、具体的に取り上げてみると、最近はやりのだんご三兄弟ではありませんけれども、まず国の安全保障、そして個人を疾病とかあるいは災害からどうやって安全に守るか、これが一つの柱だと思うんです、それは消防も一つでありますけれども。それからもう一つは、国、地方の公共の仕組みをどういうふうに再構築していくか、これは大きな課題だと思います。それからもう一つは、豊かさの中で産業界が、金融に対しては六十兆の公的資金を用意しているわけですけれども、例えばその他の産業も供給過剰に悩んでいるわけです。自動車だって鉄だって、恐らく二割、三割の供給力過剰でしょう。これをどうやってきちっと再整備していくか。  これは、この前出ました経済戦略会議の「日本経済再生への戦略」の中に、二年間で片づけなきゃいかぬよという提言をしているわけです。そうしないと、ますます産業界はひどい状況になっていくわけです。そういう三つが当面の大きな我々が乗り越えていかなければいけない問題だというように思うんです。  その二つ目指摘申し上げました問題でありますが、大臣所信表明の中で、地方分権推進、五百本前後の法律の改正が必要となる、実際は四百七十五本ですか、史上最大の改正ということになるわけですが、数次にわたる地方分権推進委員会の答申を踏まえて今回そういう対応をされる。  明治以来、国が上で地方が下という関係が実質的には続いてきた。知事とか市町村長は国民が選んでいるんですけれども、国の通達とかあるいは機関委任事務とかそういうものでずっと序列があったわけです、力関係が。それが対等になるということは画期的なことだと思います。  それともう一つは、今度は一府十二省庁に省庁の再編がある。そうなってくると、地方の方は一体どういうふうになっていくんだろうか。県もあるいは市町村も組織の再編、いろんなものに取り組んでいかなきゃいけない。それと同時に、新しい地方分権推進の中でどういうふうにそれぞれ対応していくんだろうか、人数は一体どうなんだろうか、仕事量は実際どういうふうになっていくんだろうかということで、先が見えない状況の中で当面景気回復が第一だから予算を何とか消化しなきゃいかぬと。しかし、それでは地方財政はもうやり切れぬ状態になっているわけです。  そこへもってきて画期的な変革が出てくる。この中で、大臣合併推進のために行財政措置を幅広く講じるということでありますが、一つ私がお伺いしたいことは、このような大きな流れの中で地方が非常に迷っておる、こういうときに、この前もちょっと御質問申し上げてかみ合わなかったんですけれども、例えば介護保険の法律の問題がありますね。これなんかもやっぱり広域的に対処しなければできないです。それから、ダイオキシンの問題、これも地方自治体にとって一番頭の痛い問題でして、これも広域的な対処をしなきゃいかぬ。  過去に広域市町村圏を進めてきたんだけれども、それから三十年近くたっている。消防とか皆それぞれなれてはきているんだけれども、合併についてはどうもというのが大分あるわけです。それから、民間企業も、この前も申し上げたように地方税法の七百条、そういうブレーキも片方かかっている。これは合併したら金を出さなきゃいかぬ、これは大変だと。だからそういうところについて──今農協も広域的に全部合併しました。私も森林組合長をまだやっていますけれども、これも全部経済活動するところはもう財政的にもち切れぬわけです。だけど、地方自治体の方はまだ何とかなるんじゃないかということでばらばらでいるわけです。  これに対して、いや道州制のこともあるんだよとか、あるいは三千三百、これじゃあなたたちはもたないのじゃないかということについて、これは言葉だけではなくて将来の青写真といいましょうか、こうあるべきものというのはある程度どこかでちらちら出していかないと、どうしたらいいんだろうかとみんな迷っちゃっているんです。こういうことについて、まず大臣のお考えを、こうするんだというお考えがあれば伺わせていただきたいというふうに思います。
  38. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 大変幅広い角度からの問題提起がなされましたので、それぞれについて全部的確にお答えできるかどうかよくわかりませんが、まず最初のいわゆる国と地方の役割分担といいますか、そういう側面でいえばまさに今までにないいわゆる地方分権といいますか、地方主権と言ってもいいというぐらいの思いで、少なくとも住民に身近なところの仕事は、行政は、基本的にそれに一番身近な基礎的な自治体が担っていくというそういう意味での役割分担を明確にしていこう、明治以来の国、地方通ずる行政のシステムを根本から見直してつくり変えていこう、これはこれで一つの大きな流れとしてまず明確にしておかなければならぬことであるというのが一つございます。  それに伴って、それだけの仕事を今まで以上に責任を持って自立性主体性を発揮しながらやっていこうということであれば、おのずからそれに伴ういろんな権限や財源についての移行措置といいますか再配分というか、その辺の見直し措置ということは当然伴うのでありますが、同時に、それを担っていくだけの体力といいますか、受け皿づくりと言っていいかもしれませんが、それにふさわしい組織体あるいは人、そういったものも考えておかなければならぬ。そういうところから、まさに市町村合併のお話ということも出てくるというわけであります。ただ単に財政健全化なりいわゆる行政経費を削減していこうという発想だけでなくて、そういった側面からも非常に大事なことである。  特に、言及がございましたが、介護等々これからの地域の福祉をどういうふうに支えていくかというような角度からいいましても、かなり専門的な知識なりそういった職員なりというものを必要とする、それを小さな自治体だけでとてもカバーはし切れない、これは大体みんな今わかってきて、介護の問題についてはかなり広域的な取り組みが今や不可避の状況になってきているということはそれを物語っておることだと思います。それは何も介護の世界だけでなくて、かなり広範な分野に広がっていくのではないか、そういうことを実は意識もいたしております。  その中で、何かわかりやすい目標、ターゲットみたいなものがないと方向性がわからぬぞ、こういう御指摘でございます。この点では、この委員会でもたびたび議論もございましたが、自治省として具体的な数字を、市町村合併について最終的な数値目標を設定はいたしていないわけでありますけれども、政党レベルでいえば、自由党あるいはその前の新進党のころは最終的な三百という数字というものはある、これは事実でありますし、あるいはまだ正式に決定したわけではないがいわゆる自民、自由両党の政策責任者同士で意見交換をしておる過程の中で千という数字が出てきたりというような話は私も承知をいたしております。  ただ、かつて戦後約一万ほどあった市町村の数が約三分の一になった。今回、約三千三百ほどある自治体、これをどの程度目指していくのか。確かに数字ということも大事なところではあるんですが、やっぱり数字だけを追いかけていくということもいかがなものか。やはり私はこの合併の問題については、コミュニティーの積み重ねで考えていくのか、あるいは必ずしも行政単位というものはコミュニティーというものに束縛されるのではなくてもう少し違った角度からあってもいいのではないか、しかしコミュニティーを破壊するようなことがあってはならぬな、そういったところから、地域審議会というような形でそういうコミュニティーの考え方なりというもの、あるいは取り残されたりしないようにするにはどうするかということをもあわせながらその支援措置を講じていくべきだ、このようにも考えております。  単に財政的な支援措置だけでなくて、そういうような住民の意識を啓発しながらその意思が反映されるような手法もあわせて取り組んでいかないと合併問題はうまく進まないのではないか、そんなふうに実は考えております。
  39. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 例えばローマ時代は、一目で見渡せる範囲とか声を出したら届く範囲とか顔見知りでおれる範囲というのが一つのコミュニティーとか市とかの概念の中にあったようです。そういう点からすると、例えば私の方の地元の岩国とか大竹、それから下関と北九州市、県は違うけれどもそういうものまで一緒に活動できるような対応をすることも次への一つのステップとして私は大事だと思うんですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  40. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 全く私もそのことは痛感をいたしておりまして、私の地元は荒尾市なんですが、すぐ隣が福岡県の大牟田市なんです。だから本当は、大牟田の皆さんには私はよく言うんですが、もう福岡県やめて熊本県へいらっしゃいと、そんなことを冗談で言ったりするぐらい本当に福岡は一体なんですね。あるいは久留米と鳥栖、そういう県を挟んで本当に地域経済としてもいろんな形で一体になっていることが結構あるんです。そういったことをどう取り扱うか。  私は今のところどちらかというと、一つの同一都道府県内における市町村の広域連合なりということはかなり進んできていると思うんですが、県を越えたものについて必ずしも隣県同士でうまくいっているとは言いがたい部分もあるわけで、そういう点で非常に苦労しているというのは、率直にそんな思いを持っております。その点でさらに具体的にどういうやり方があるか勉強したいと思います。
  41. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 積極的なお話をいただいて大変心強く思いますけれども、例えばかつて一県一飛行場主義とか一県で二だとかいって、全然隣の県のことを考えずに勝手にやっているわけでしょう。随分私は国民の税金のむだ遣いがやっぱりあっただろうと思うんですよね。だから、やっぱりそういう府県の壁を取り除いた広域的な対処というものも、何らかの具体的な対処の仕方をぜひお願いいたしておきたいと思うんです。  ただ、せっかく今度は地方にいろんな権限が来て、それでチェックが十分できるのか。その辺の受け皿づくりのためには、やっぱりある程度人口をまとめていかなきゃいかぬ、そうしないと安心して国も地方に任せられないという部分があるわけですね。  最近非常に気になりますのは、地方議会のチェックの問題ですね。二月二十二日の毎日新聞と日経新聞に、非常に地方のなれ合い政治が浮き彫りになってきているという記事が出ておるんですね。非常に形骸化してきていると。四十七都道府県のうち、一九九五年度以降、知事が提案した条例案、決算などをすべて原案どおり可決している。そして、そういう可決、認定したいわゆるフリーパス議会が全体の七割を超す三十四府県に達していることがわかったという報道があるわけですね。  それで、再質問や野党の討論を認めない例もある。そういう点では、国会は非常に民主的な、特に参議院は運営をしていただいておるので感謝をいたしておるわけでありますけれども。こういうことでは、地域でしっかりした議論を行うということがなければ、やはり地方自治体の発展はないわけですね。だから、こういう形で進んでいくときに非常に心配な部分が今やっぱり地方も出てきているんじゃないかなという感じがするんですが、こういうものの活性化について、これが分権を推進したらもうそれが活性化なのか、その点についての御見解があれば伺いたいと思います。
  42. 野田毅

    国務大臣野田毅君) なかなか難しいところと率直に言って思います。地方の議会と執行部側が本来なら車の両輪で、それぞれの地域のためによりよい政策が実践されるということが一番大事なこと、その中でお互いいろんな意見が出されて切磋琢磨していくということは非常に大事なことだとは思うんです。そういう点で、トラブルというか余り対立していることが活力があるのかどうかというのはなかなか難しいとは思うんですけれども、今お話にありましたように、発言権まで封ずるという話になると、そこはやっぱりちょっと問題なんだろうと。しかし、そこのところは基本的には、それこそ議会における運営のやり方についてお互いが良識というかそういったこと、相手を尊重するということも議会の大事な民主主義の原点でもあるわけですから、言論を封殺するようなことはできるだけ避けた方がいいと思います。  今回、国会に予定しております地方分権一括法の中で議会の活性化を推進しようということもございまして、議案の提出要件とかあるいは修正動議の発議要件を、今まで八分の一という要件であったものを十二分の一というふうに要件を緩和するということも考えておりまして、そういうことであれば、より少数の会派にとってもそれだけ議会における発言の場は法的に確保されていくということにつながるのではないかと考えております。
  43. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣の御答弁のとおりだと思います。私も別にけんけんがくがくやれということを言っているわけじゃなくて、問題があるときにやっぱりきちっとそれをただしていくということをやらないと、中央から見ても、これは地方に任せておって本当に大丈夫なのか、十分なチェック機能があるのかという部分があると思うんです。  ただ、やはり国と違って地方の場合は、それぞれの地域の中で選ばれた人たちが直接住民の監視のもとでやりますから、その辺の自浄作用はきちっとあるだろうと私は思っておりますし、それが地方自治の原点だろうというふうに思っております。  地元の方から、平成十二年以降は地方道改築事業などの補助金を原則廃止して交付金化され、用地費などが補助対象外となるということは非常に困るというような陳情が来ておるわけでありますが、これは事実でありましょうか。
  44. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 分権委員会の方が五次勧告を出しておりまして、その中に各個別の補助金で整理したりあるいは一般財源化したりというふうにした方がいいというものが列挙されているものがありますが、これから分権の計画が今国会に出て、それ以降予算編成過程でそれを受けて具体的に検討されていくということになると思いますので、十二年度以降のことで、今の段階ではっきり決まっているというようなところまではまだ行っていないと思います。
  45. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 結局、地方が恐れていますのは、地方分権の名のもとにいろんなもののツケ回しが全部来るんじゃないかという点を恐れておりますし、今度の地方財政計画を見ましても、確かに地方税収入が三十五兆の見込み額で、あと給与関係費で二十三兆、それと公債費が十一兆ですからこれで全部消えてしまう。非常に厳しい状況にあることはわかるんですが、やっぱりきちっとした地方分権を進めていく上での財政的な裏づけを、これはもう自治省ももちろん考えておられるわけでありますから、地方のこれから新しい芽を育てていくという姿勢で全力を挙げて頑張っていただきたいとお願いいたしたいと思います。
  46. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、いわばそういう仕事やあるいは補助金がなくなっていく、そういう中で負担だけが地方に残されるということではこれはたまらぬというその御指摘、そのとおりなんで、そのことは昨年閣議決定されました分権推進計画の中でも、「国庫補助負担金の廃止・縮減を行っても引き続き当該事務・事業の実施が必要な場合には、地方財政計画策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税・地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することとする。」という、こういうことももちろん入っておりますし、基本的に当然のことながら、財源措置も含めてきちんと手当てをするということが前提でなければならぬというのはそのとおりでございます。
  47. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ぜひそのようにお願いをいたしたいというふうに思います。  次に、情報インフラ整備について伺いたいと思います。  光ファイバーなどの情報インフラ整備は無論必要ですけれども、情報の一元化、共有化が非常におくれているのが気になるわけであります。情報公開問題とは異なる次元でこれは急を要することだというふうに思うんですけれども、御所見を賜りたいというふうに思います。
  48. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) お答えをさせていただきます。  地方団体が庁内LANの整備などを進めまして情報の一元化等を図りますことは、事務処理の高度化あるいは効率化、さらに住民サービスの向上を図っていくために非常に大切であるというふうに認識をいたしておりまして、私どもは平成七年五月に地方団体の行政情報化の推進に関する指針というものを地方団体にお示しいたしまして、積極的な取り組みを促した次第であります。現在、さらにその内容を見直し検討いたしておりまして、さらなる取り組みを要請してまいりたいと考えております。  財政的な面で申しますと、地方団体が庁内LANの端末機器などを整備する経費につきましては地方交付税によって措置をいたしておりますし、また庁内LANのインフラ部分の整備等につきましては地方債による財政措置を講じておるところでございまして、今後とも積極的な支援に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  49. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 これからの行政の課題というのは、やっぱり効率化とそれから行政品質といいましょうか、それの向上を目指していくということが大切な方向性だろうと思うんです。この情報の一元化、共有化は、地方自治体の方が大きな組織より進めやすいという面があるわけです。庁内にイントラネット、クライアント・サーバー・システムを利用するとコストも非常に安くつく。そして、情報の一元化、共有化だけでなくて、政策立案能力もそこから引き出していけるという利点があるというふうに聞いているんです。  これを実施している地方自治体があれば効果のほどを伺いたいと思いますし、またこのシステムの今後の普及についてどのようにお考えか伺いたいと思います。
  50. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 地方団体が現在導入しつつありますいわゆる庁内LANというのは、端末機器、クライアントと、それからデータベースだとか高速演算処理を行うサーバーとの役割を分化するという、そういう形で全体をシステム的に組み合わせたものでございまして、したがって先生御指摘のクライアント・サーバー・システムというふうになっておるというふうに私どもも理解をいたしておるわけでございます。  そのようなシステムとして庁内LANを導入している団体の数は、都道府県の場合、平成十年四月現在で四十三団体、残り四団体でございますけれども、この四団体も現在工事中でございまして、平成十一年中には稼働できる見通しとなっております。  それから、市町村の場合は、大体三分の一強の千二百二十団体ぐらいが庁内LANの整備を終えておりまして、近年大変ふえておるようなところでございます。  中でも頑張っておる県といいますと、例えば岐阜県の場合はこのシステムを拡大いたしまして、県庁の中だけではなくて県下の全市町村、出先機関ともネットワークで結んでおるというふうな事例がございます。また、市町村では、これは自治大臣として表彰をさせていただいた団体でございますけれども、兵庫県の加古川市の場合は、このLANシステムを大変高度化いたしまして、市役所内の各課に設置している端末機器で住民情報、財務会計等、いわゆる地方団体の事務処理を行うことができるような仕組みにすると同時に、インターネットへの接続、あるいはワープロなどのいわゆるOA機能なども付加いたしまして多角的な機能を備えたものとなっております。  私どもは、こういった取り組みが先進的でモデルになるようなところは自治大臣として表彰するなりして各地方団体にもよくお知らせをするようにいたしておりますし、先ほど申し上げましたように、ハード経費については地方債、ソフト経費については交付税措置によって導入が促進されるよう努めておる状況でございます。
  51. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ありがとうございました。  そういう政策をサポートして推進するということがこれから地方自治体が一番必要な部分だろうというふうに思いますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。  平成十一年度の地方財政対策でありますけれども、先ほど申し上げたような国、地方とも厳しい状況の中で、たばこ税の一定割合の移譲、法人税地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設などの措置が講じられておるわけです。  自治体財政運営に配慮したものでありますけれども、最近の地方財政対策が非常に複雑で入り組んでおるものですから、正直言って説明を受けても理解できないという部分が随分あるわけであります。自治体の職員もわからないのじゃないかというような状況でありますから、例えば交付税率の変更を行うなどわかりやすいものにできないのかという疑問もございますので、この点についての御所見をお伺いしたいと思うんです。
  52. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 毎年度の財源不足に対してどういうふうに対応するかということにつきましては、いろんな要素がどうしても入り込んでまいりますので、税制改革の関係でございますとか、それからかつてございましたような国庫補助負担率を下げるという話でございますとか、あるいは国民健康保険関係制度改正を行うとかといったような、地方財政の世界にはいろんなことが持ち込まれてまいりますので、どうしても最後にはそういう全体を国と地方とでどうやって役割分担してどういうふうに財源手当てするかということになってまいります。しかも、その年度だけの話でなかなか片づけにくくて、どうしても後年度にわたって一定の約束事といいますかそういうものをつくっていかざるを得ないという面がございまして、結果的に毎年度の対策が複雑になっているということは御指摘のとおりだと思います。  しかし、基本的に私どもは、それらすべては最終的に、今回御審議をお願いしております交付税法なり、それから今度の特例交付金の特別措置法なりといったような形で、法律の形で毎年度国会の御審議をいただいて内容を確定しているということでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。  また、地方団体関係者に対しましては、いろんな機会に、もちろん対策の事前事後、それから予算編成段階、それぞれを通じてその内容を私どもはいろんな形で工夫しながら説明いたしておりまして、少なくとも県、市町村の財政担当者はその内容は理解してくれていると思いますが、市町村長さんがどれだけのところまでわかっていただいているかということになりますと、やや我々としてまだ工夫を要するところがあろうかと思います。  そういう中で、十一年度の場合に恒久的減税という問題が出てまいりましたので、これは毎年度、単年度の措置ではございませんので、これは何とかして恒久的な財源手当てをする必要があるということから、今、委員がお挙げになりましたような幾つかの財政手段をもってそれを補てんするということにいたしたところでございます。これは地方の首長さん方も非常に関心の強い話でございましたし、比較的わかりやすい内容で、私どもは知事会、市長会あるいは町村会、いろんな機会を通じてお話をして、そこのところは十分御理解をいただいているというふうに思っております。  引き続きいろんな形でそのわかりやすさについては努力してまいりたいと思います。
  53. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 いろいろ知恵を絞ってあの手この手でやっていただいているわけでして、それについては感謝申し上げるわけですけれども、いささかわかりにくくなっているという部分は否めないことだと思います。できるだけ地方が理解できるような御指導をひとつ賜りたいというふうに思います。  今度の所信表明にも書いてあるわけですけれども、地方借入金残高が百七十六兆に達しておるわけですね。それで、ことしの交付税総額が約二十一兆円でありますから、単純計算で八年間交付税をゼロにしてようやく返済できるというような状況で、まさに借金地獄に落ちておるというような感じであるんです。  これからの展望です。やはり景気回復、税収を何とか急がなければいかぬ、これは基本だというふうに思うんですけれども、今後どういう展望をお持ちなんだろうか。さっきの話じゃございませんが、展望がないといろいろな面で地方自治体が将来に対して不安を持っておるんです。  だから、例えばさっき申し上げた森林組合の合併一つとっても、財政状況がさまざまな形ですから、町村丸抱えの森林組合もあれば自立できるのもある。町村丸抱えの方は、町長と話したら話がつくのだろうと思って話しておったら、いや、もうとてもじゃないです、嫁入り支度金の三百万なんていうのはとても払えませんというような、皆先を見て、貸し渋りじゃなくて出し渋りといいましょうか、せっかくいい政策があってももう足が出ないという状況があるわけであります。  公共事業などの普通建設事業費は前年度当初比七%減、それから地方単独事業は一三・七%減になっているわけです。もう地方がのみ込めなくなってきている。これはまさに将来への不安というもの、先が見えない、財政の見通しが立たないというところに問題があるわけでありまして、自治体はそういう将来に対する不安から財政出動を手控えているという現実があるわけなんです。  だから、こういう展望と今自治体が置かれている不安に対してどのようにお考えを持っておられるか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  54. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、非常に地方財政は厳しい状況に立ち至っておるわけで、それが将来に向けて一体どういうことになるんだろうか、そういう不安感をもたらしているということはそのとおりだと思います。しかし、これを具体的にどういう形で乗り越えていくか。それには少なくとも、これは国も同じだと思うんですけれども、財政を立て直していくということであれば、当然のことながらどうすれば収入を安定した形に持っていけるのか、それから支出、どうやって冗費を削減し効率化していけるのか。言うならばこの二つが基本的な柱になるべきであって、それは国であれ地方であれ基本は同じだというふうにも思います。  問題は、収入の確保、その安定をどうやってもたらしていくかということにおいて、特に地方の場合においては、国と地方の間の税源配分等を含めた税財政運営の見直しということまで目を向けていかなければならない。それは、おのずから仕事の役割分担ということに応じた形での税財源の手当てということが一つございます。  それからもう一つは、そういう制度面の取り組みだけでなくて、当面まずは景気が回復軌道に乗って、日本経済全体が実質で二%程度という安定した、しかも民需主導の経済にどうやってスイッチできるかということとのかかわりというのは当然あるわけであります。  そういうようなことが一つ歳入面で言えるし、一方で歳出面ということで言えば、当然のことながら財政健全化のためのさらなる、何も公務員の数云々ということだけではないが、それにしても数値目標をそれなりに立ててできるだけ努力を今していただいている最中でもあるわけです。さらにまた、市町村の合併も含めて行政の簡素効率化を図っていく、それが結果として経費節減にもつながっていくという、これもまた大事な取り組み一つだというふうにも考えておるわけでありまして、両々相まってそこへ持っていかなきゃならぬ、財政健全化のために本気で取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っております。  ただ私は、確かに国も地方も大変今大きな規模の借金を抱えておりまして、そのこと自体非常にゆゆしき問題ではあるんですが、では借金がゼロであればいいかというと、またそういうものでもないんだと。私はそういう意味で、最近のいろいろな議論の中で、この財政健全化ということと絡んで、何かいかにも借金がゼロであればいいみたいな、家計と同じような論理で議論をするということは、そこはおのずから違うんだということはお互いが注意しなければならないことだというふうに思っております。
  55. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 終わります。
  56. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それでは、私からは、地方交付税の方から少ししゃべらせていただきたいと存じます。  今も財源対策、なかなかわかりにくいというふうなお話がありましたけれども、今年度の場合はかなりの額の財源対策をやっていただいたわけでもございまして、地方団体としてもこれで今年度乗り切れるかというふうに思うわけでございます。  ただ、こういう形がずっと続けられるわけでもないというようなことからでございますが、減税の補てんということであれば地方団体全部が対象になるわけでございますけれども、交付税の財政調整機能という観点から見た場合、どうも不交付団体の数が少ないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  これは、平成十年度の場合でいきますと、全国三千二百八十団体あるうちの百二十団体が不交付団体で、三・七%というようなことでございます。古いときは六%、八%くらいまで行ったときもあるわけですが、いずれにしてもちょっと調整機能という交付税の機能から考えれば少ないんじゃないか。その分財源が行かなくなるわけで、どうするんだという問題が出るわけですけれども、それは財源移譲というようなことで考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますが、調整機能という面から見てこの点はいかがでございましょうか。
  57. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは釈迦に説法で恐縮ですけれども、現在の地方交付税の交付団体になるかどうかということについては、毎年度策定されます地方財政計画との整合性をもって算定をされております地方団体ごとの基準財政需要額と基準財政収入額、この関係によって交付、不交付が決まってくるという仕組みになっておることは、もう御案内のとおりであります。  そういう点で、確かに最近不交付団体の数が減ってほとんどが交付団体になっていくという現状の中で、本当に財源調整機能ということからどうなんだろうという、これは率直に言ってそういう角度からの御質問というのは気持ちの上ではよく理解ができるところでございます。  しかし、さりとて一方で、じゃ税源配分、税源の偏在を考えた場合にその課題を、税源の偏在を乗り越えることができるような仕組みということが今現に可能なのかどうかというと、なかなかまだそこまで一気に行きかねるというようなこともありまして、全体として地方税の拡充をもっと考えなきゃならぬということはそのとおりだと思います、その点は。  しかし、今言いましたように地方税を拡充すれば、じゃ全部それが解決されるかというと、税源偏在という問題がある。そんなことも考えますと、基本的に問題意識は持ちながらも、これはすぐにということはなかなかうまくいっていない。そういう意味で、いつも申し上げておりますが、国、地方の間の仕事の役割の配分を行う、それに合わせて税財源についてももう一遍きちんと見直しを行うという、そこから手をつけていかないと、この問題は率直に言ってなかなか乗り越えにくい部分かなというふうには考えております。
  58. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 ありがとうございます。よく大臣のお気持ちもわかります。  これはお答えなくていいんですけれども、もう一つ別の見方なんですけれども、都道府県地方税より交付税の方が多い団体、こういう形を見ますと、四十七のうち平成八年は二十五、平成九年は二十四ということで約半分、または半分よりちょっと上くらいが交付税の方が多い団体なわけです。これは、こういういろいろなサービスと負担関係というようなことが今後大事になっていくわけなので、そういう中でいくと、交付税をたくさんもらった方がありがたいというふうな感じで、なかなか税意識という、自分たちも負担するんだよという意識の面からもちょっとこれは問題があるんじゃないか、そんなふうに思うわけでございます。これはもう、今、大臣の御答弁の中にも入っていた話ですので結構でございます。  それからもう一つ、次に進めさせていただきますと、皆さん、これは私からでなくてほかの委員の方もおっしゃっていたわけでございますけれども、交付税算定に当たって、どうも都市部のところが不利になっているんじゃないか。これについてはいろいろ見ているよということもあるわけですけれども、平均値をとる関係もあるんだろうと思うわけでございますけれども、交付税の算定で、どうも過疎地的なところ、これはこれなりにまた充足していかなきゃならないこともあるんでしょうけれども、それが過ぎてきて、都市部の方が希薄になっているんじゃないかというふうにも思うわけです。  こういう中で、人口とか生徒数とかいろいろなことを基準にしていただいておるわけですけれども、なかなか数値の基準がとれない。例えば湖沼の汚濁度だとか、河川もそうですけれども、汚濁度だとか混雑度だとか、何かそういうのが、都市部の解決しなければならない問題があるんだろうと思うんですが、こういうちょっと数値化しにくい問題が入ってこないんではないかというふうに思うんですけれども、そういう点でいかがでございましょうか。
  59. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 交付税の算定に当たりましては、基本的には需要は各項目ごとにいろいろ計算をいたしますが、代表的な福祉でありますとか教育でありますとかといったようなほとんどの行政については、これは団体の大小を問わず法令で一定の水準で行うということが決められておるわけでありまして、そういう標準的に法律で決められている行政水準というのは、やはり交付税の需要の算定上それは大小を問わず算定しなくてはいけないという要素が一つございます。  それから、収入の面では、先ほどもいろいろ大臣とのやりとりもございましたような偏在の問題が片方でございます。  そこで、その需要を計算いたします場合には、市町村の場合には人口十万のところを標準団体にして計算をいたしまして、それを標準にして、同じ行政分野でありましても、大きなところはどうしてもスケールメリットが働いて標準団体に比べれば行政経費は割安で済む面がある、小規模団体は逆にスケールデメリットが働いて割高になる面があるといったようなことを標準団体をもとにして補正して計算をしているところがございまして、小規模団体の方はそういうことの結果、人口なんかに比較して多いんではないかというような御指摘を時々いただきます。  実際どういう補正をするかということにつきましては、これまでもその実態をよく踏まえながら改善をいたしてきておりますけれども、これからもそのあたりのところにつきましては過小、過大にならないような計算は心がけてまいりたいというふうに思っております。  都市につきまして、これは都市特有のいろんな行政需要が当然あるわけでございまして、そういうことに対します生活関連の資本、地下鉄なんかのようなものは都市にしかございませんからそういったものの需要を算定するとか、あるいは昼間流入人口の多いところとか地価の高いところ、そういう要素を算入するとかといったような、これも都市特有の財政需要をとらえるという工夫もいたしてきております。それは両面あるわけでございますけれども、比較をいたしますとそれぞれよそがよく見えるという点はどうしてもあるというところは言えるんじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、これからお出しする法律の中でも、地方交付税の一部改正地方団体の意見を出していただく、これまでもいろいろ出していただいておりますけれども、それを制度化して地方財政審議会にもその結果を報告するような形でシステム化したいというふうに考えております。そういう中で、先ほど委員がお挙げになりましたようなこともどうやったら計数化、指数化できるのかといったことを含めて、どういう意見が出てくるかということも考え合わせながら、私どもはこれからも的確な計算に努めていきたいというふうに考えております。
  60. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 ありがとうございました。  次は、国庫補助負担関係についてお聞きしたいと思っておるわけでございますが、これは大蔵省に御出席いただいておるので、そちらの方でお願いしたいと思います。  地方分権推進委員会の第二次勧告で国庫補助負担金のことを十分述べられておるし、また、これを受けて地方分権推進計画で政府の施策というようなことになっておるわけでございますけれども、国家予算の中でも国庫補助金等につきましては非常に大事な要素を含めておるわけでございます。  ただ、この国庫補助金については、もう皆さん御理解のとおり、問題になっておるところもあるわけでございます。これらの国庫補助金をできるだけ改善していかなきゃならないということで、これはもう長い間のそういう改善がなされてきておるわけでございますけれども、改善されてはまたふえ、改善されてはまたふえというふうな形できておるわけでございます。  そういう中で、今度の十一年度予算の中では一般財源化というようなことで若干の改善がなされたということでございますけれども、財政構造改革法の凍結があったりというようなことで、このところに比べて非常に簡単なと申しましょうか、改善しかなされておらないわけでございます。  国庫補助金等につきましては大蔵の方でどういうふうに今後お考えになっておられるのか。財投の、財政構造改革法が凍結されたというようなこともあるんだろうと思うんですけれども、その一面では推進計画も実施されておるわけでございますので、そういう中でどうお考えになっているのかお答えをお願いしたいと思います。
  61. 藤井秀人

    政府委員藤井秀人君) お答え申し上げます。  補助金等は、先生御承知のとおり、例えば生活保護費負担金あるいは義務教育費国庫負担金といったいわば国が一定の行政水準、これを維持することを目的とするもの、あるいは特定の政策を推進するための手段として政策遂行の上で重要な機能を担っているということであろうかと思います。  他方、地方行政自主性の尊重あるいは財政資金の効率的使用の観点からは、一方では不断の見直しが必要であるということは言をまたないところだと思います。  そこで、平成十一年度予算におきます補助金等につきましては、社会経済情勢の変化とか、あるいは官と民、及び国と地方の役割分担のあり方といった観点から、御指摘地方分権推進計画あるいは中央省庁等改革基本法等を踏まえまして、すべての行政分野において見直しを行い、その整理合理化を積極的に推進いたしたところでございます。  ちなみに、十一年度予算案におきます整理合理化額、これはいろいろなとりようがあろうかと思いますけれども、整理あるいは減額、さらには補助率の引き下げ等々を含めまして、件数で千三百九十一件、金額にいたしまして三千百三十三億円の合理化を行ったと思っております。  そこで、財政構造改革法との関係のお尋ねがあったわけでございますが、財政構造改革法は先般いわば凍結をされたわけでございますが、一方、その段階におきまして、閣議におきましてもこの財政構造改革の基本的精神、これはなお引き続き堅持する必要があるということでございました。  そういう観点からいいましても、補助金等の整理合理化の重要性につきましては、財政構造改革法の凍結という状況はあるわけでございますが、なお引き続きその重要性はあるというように私どもは考えております。
  62. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 今、三千百億余のこういう改善がなされたということでありますけれども、財政構造改革法というのは一つの明確な指針を出しておったわけでございます。それがなくなったということなので、そこまで努力しなきゃいけないということのようでありますけれども、それにかわって、各省庁に対しての補助金等の改善、こういうものについての何か指針的なものが出ておったわけでございましょうか。
  63. 藤井秀人

    政府委員藤井秀人君) お答えいたします。  財政構造改革法でも規定をされていたわけでございますし、また昨年五月二十九日の閣議決定におきます地方分権推進計画におきまして、いわばその他補助金等につきましては、この財政構造改革の集中改革期間の各年度においては各省庁の所管ごとの合算額がその前年度当初予算額の十分の九を上回らないこととするという、いわば数値設定がなされていたわけでございます。  先ほど申し上げましたように、財政構造改革法は凍結をされたわけでございますけれども、なお引き続きその精神を生かすということでございますし、十一年度予算におきましてもその他補助金等の一割削減というものを私どもとしては推進したところでございます。  ちなみに、十一年度予算におきます地方公共団体向けのその他補助金等、これを計数で申し上げますと、対前年比一九・八%の減というような削減を行うなど、その整理合理化を積極的に推進したということでございます。
  64. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それからもう一つですけれども、分権委員会第五次勧告で統合補助金の構想が勧告されたわけでございますけれども、この基本は、箇所づけをしないというようなことが一つの基本にあるわけです。これについては今後どういう取り扱いを考えておられるのか、その点についてはいかがでございましょうか。
  65. 藤井秀人

    政府委員藤井秀人君) 御指摘地方分権推進委員会第五次勧告におきましては、二つのカテゴリーが示されております。一つは、具体的な事業の箇所、内容について地方公共団体主体的に定めることができる統合補助金、それから二つ目といたしましては、一定の政策目的を実現するために複数の事業を一体的かつ主体的に実施することができる統合補助金、これらを創設することとされております。政府といたしましては、この第五次勧告を最大限尊重いたしまして、今月末を目途にこれに対応する地方分権推進計画を策定する予定となっております。  この統合補助金につきましては、その対象となる事業を所管する各省庁におきまして、まずもって具体的な内容が当然検討なされていると思いますけれども、私ども財政当局といたしましても、平成十二年度に導入できるようその創設に向けまして積極的に取り組んでまいりたいというように考えております。
  66. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 大蔵省の方からそういうようなお話がありましたけれども、自治大臣におきましては、この統合補助金については前から統合補助金という名称でなかったかと思いますが、新たな交付金というようなことでのお話であったように新聞紙上で承っておりますけれども、そういう中で並々ならぬお気持ちを持っておられるかと思います。そういう点について、最後に自治大臣のお話、御決心と申しますか、地方団体の方としましてはこの第五次勧告にかなり期待をしておるところでございますので、お話をいただければと思います。
  67. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今回、この地方分権推進委員会の第五次勧告の中で統合補助金の創設について勧告が出されましたことは、それはそれで高く評価する一つであります。しかし、それでもって全部終わりということであっては困るなと。これは一つのステップとしてさらに本当の意味での、真の意味での地方自治をきちっとやっていくためには少なくとももう一歩進むべきであると私はそう思っております。  少なくとも個別の事業についての箇所づけというのは、やはりこれはもうやらないようにしていこうじゃないか、それが本当の地方自治そのものなのであって、そういう意味で政党レベル、自由党においては今御指摘ございましたが、公共事業に関しての包括交付金という言い方をしたわけです。  つまり、統合補助金というのじゃなくて、中央の役所が所管事業ごとに個別に箇所づけをしていくということが、結果的に地方自治体をコントロールすることにつながっているんではないか、そういったことからそういうことをやめて、大体毎年似たような規模公共投資がそれぞれ都道府県にずっと行われていくわけで、かなりまとまったところは毎年あるんですから、それだったらそれでプールして包括した形で具体的な地域における事業についてはむしろ地方に一括してお任せするという形をとることを目標としたい、こういうことが頭にあってそういう話になったわけであります。  今回、中央における各省庁それぞれいろいろな立場で精力的に取り組んでいただいて勧告ということにつながってきたわけで、そういう意味方向性としてはそっちの方向を向いて今動き始めて、現に動いていることでありますから、そのところは具体的により実施に移せるようにしていくということがまず第一である。そういう意味で、この地方自主性自立性を高めていくという言葉だけでなくて、それを実践に移していくという意味では大事なステップであるというふうに考えております。  これからも全力を挙げて、地方の分権というよりも主権という言い方の方がふさわしいという個人的な思いを申し上げたことがありますが、それに向けて大事なこれは一つの要素であるというふうに認識いたしております。さらに努力を重ねてまいりたいと思います。
  68. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それでは次に、財政調整基金の方にちょっと入らせていただきますが、先般来、各都県でもって予算を組むについて非常な難航が伝えられたわけでございますけれども、財政調整基金の取り崩し状況というのをちょっとお知らせいただければと。  なお、時間の関係で、その中へ東京とか神奈川の状況はどうだというようなものをちょっと入れていただければと思うんですけれども。
  69. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 一番直近の決算ベースで、平成九年度末でありますが、まず全体の財政調整基金の九年度末の現在高は三兆三千億余りでございまして、ピーク時の平成三年度末に三兆九千二百億余りございましたので、全体として約一六%減になっております。  そのうちの県の分は、九年度末が四千四百八十三億でございまして、平成元年度末のピーク時八千三百九十億余りに対しますと四六・六%の減と半分近くになっておるということでございます。  それから一方、市町村は、現在高が二兆八千五百五十億でございまして、これはピーク時が平成三年度末でありますが、三兆一千六百億余りに対しまして九・八%、約一割の減という状況でございます。  東京と神奈川でございますが、東京都の財調基金は九年度末で十億、ピーク時が元年度末で三千五百億余りございましたからほとんどなくなっているという状況でございます。それから神奈川県の基金も、平成九年度末で七千四百万でございまして、ピーク時が二百八十九億、平成四年でございましたが、それから見ますとこれもほとんどなくなっているという状況でございます。
  70. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 私の所属しております千葉県の方もほとんどなくなっておるわけでございますけれども、どうも、今まで地方団体は景気対策ということで、いろいろこれまた大事なことでやらなきゃいけないわけですけれども、景気対策などに非常に気を使ってやって、本来財政調整をすべきときになくなってきちゃっているというような形で、本来の機能が働かなかったんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。
  71. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今の財調の取り崩し、それから本来の機能はどうなのかということでございますが、財政調整基金は年度間の財源調整をするための積み立てでございまして、これは地方財政法の規定に基づいて積み立て及び処分がされるわけでございまして、経済事情の著しい変動等によりまして財源が著しく不足する場合において、その不足額を埋めるための財源に充てるといったような、いわば予期しない収入減や不時の支出増に備えるための基金というものでございまして、今の地方団体の基金の扱いは、この地財法の基金設置の目的に沿って適切な運用がされているものというふうに私どもなりに承知いたしております。  と申しますのは、景気対策、これは年度の途中で行うことが比較的多いわけでございますが、その場合には、減税でございますとか公共事業の追加とか、あるいは中小企業対策といったような景気対策が講じられるわけでございますが、その際には地方団体財政運営に支障が出ないように、減税補てん債でありますとか補正予算債でありますとか、あるいは地方交付税の増額といったようなことで、いわゆる景気対策に対してはそれに独立した財政措置を講じてきておりまして、経済対策によって直ちに財調を崩さなくちゃやっていけないということにはなっていないのではないかというふうに考えております。
  72. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 それじゃ、これで終わりにしたいと思いますけれども、自治省の方でお示ししていただいておるいろんな指標があるわけでございますが、経常収支比率だとか公債費負担比率だとかいろいろあるわけです。これは過去の数字をやった指標であるわけであります。今後は将来に向かって、弾力度を示すとかそういう指標が何か必要なんじゃないかなというふうに思うわけでございまして、自治省もそういう指標の検討に着手されておるやに聞いております。  そういう点について、我々もぜひこれは将来を見越した指標というのが必要なんじゃないかと思うわけでございますので、そういう点がありましたら、ちょっとお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  73. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 非常に厳しい地方財政状況のもとでございまして、これまでいろんな形の財政分析指標を用いてやってまいりましたけれども、今の事態に対応してもう少しいろんな工夫が必要ではないかという問題意識を私ども持っております。例えば、今、委員も御指摘になりましたけれども、地方債の現在高ということだけではなくて、将来の自主的な財政負担をあらわします債務負担行為による支出予定額を何か加味できるような指標はないかといったようなことも検討の対象かと思っております。  こういった点も含めまして平成十一年度予算でお願いいたしておりまして、研究会を設置して、現在の財政分析指標を再評価いたしまして新しい指標の工夫ということを検討して、研究会運営をしていきたいというふうに考えております。
  74. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 終わります。
  75. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会