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1999-03-15 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君                 岩瀬 良三君    国務大臣        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁生活安全        局長       小林 奉文君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        運輸政務次官   林  幹雄君        運輸省航空局長  岩村  敬君        海上保安庁長官  楠木 行雄君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        内閣総理大臣官        房男女共同参画        室長       名取はにわ君        文部省体育局主        任体育官     早田 憲治君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  浜田 康敬君        厚生省社会・援        護局地域福祉課        長        樋口 正昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十一年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、運輸省所管海上保  安庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  去る三月十日、予算委員会から、三月十二日から十六日正午までの間、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁運輸省所管のうち海上保安庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 自由民主党の釜本でございます。  野田自治大臣に、自治省関連として幾つかの基本的な問題についてお聞きしたいと思います。  まず、地方財政についてお聞かせください。  これまで本会議、当委員会でのやりとりをお聞きしていると、地方財政は危機的な状況にあり、もはやこれまでの借入金中心とした対策では対応し切れない状況に来ているものであり、ここは抜本的な改革を講じるべきであるという指摘がございます。しかし、そうはいってもこの非常時とも言える不況時において、国、地方とも財源確保に四苦八苦しているときに直ちに将来を見据えた抜本的な対策をとることは困難であり、ここはまず思い切った景気対策を講じて、経済が回復した時点で抜本的な対策を講じるしかないという大臣答弁が何度も交わされていたように思います。  ただ、抜本的な対策をとられる方も、こういう手順で関係方面の理解を求めれば直ちに対策を講じることは可能であるという具体的な主張がそれほどあったわけではなく、大臣も、直ちにはできないというものの、できる限り早く講じるような状況にしたいと答えられており、実は双方の主張はそれほど変わらないように思います。  そこで、もう一度大臣に、地方財政現状についての認識とその対策についてどのように考えられているのか、お聞きしたいと思います。
  4. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 改めて今日の地方財政現状についてどう認識するか、そしてそれについてどう対策を講ずるかということについての御質問であったと思います。そういう点で、改めてこの機会に少し整理をして申し述べさせていただきたいと思います。  現在の地方財政は、我が国経済の引き続く低迷などによりまして、地方税地方交付税の原資となります国税収入が落ち込むその一方で、数次の景気対策によります地域活性化のための公共事業の追加あるいは減税の実施、これらによりまして借入金残高平成十一年度末には百七十六兆円に達すると見込まれるわけでございます。さらに、個別の地方団体財政状況につきましても、公債費割合が高まっております。このように大変厳しい状態にあると認識をいたしております。  特に大都市部都府県におきましては法人関係税中心といたしました税収の大きな落ち込みや、義務的経費が増嵩しておる、こういうことによりまして財政は一段と厳しい状況にあるというのが今日の姿であると認識をいたしております。  そこで、このような極めて厳しい地方財政状況に今日あること、さらにまた地方分権推進に伴う地方税充実確保要請、これらを踏まえまして、平成十一年度におきましては大きくこの二つの視点から対策を講じたわけでございます。  一つは、恒久的な減税に伴う減収に対しては、将来税制の抜本的な見直しが行われるまでの当分の間の措置として、地方税減収総額の四分の三についてはたばこ税一定割合地方への移譲法人税地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設により対処する、こういうこれまでにない手厚い措置を講ずることといたしましたこと。  第二に、地方交付税を前年度に比べて一九・一%の増とし、地方税の大幅な減収の中にあって対前年度比で一・四%増の一般財源確保すること。これらによりまして平成十一年度の地方団体財政運営支障が生じないように対処したということでございます。  そこで、地方財政の立て直しのためにも、地方財政運営支障が生じないように十分配慮しつつ、緊急経済対策を初めとするもろもろの施策を実施することによりまして、まずは景気回復軌道に乗せることが必要である。あわせて、個々の地方団体における徹底した行財政改革推進することなどによりまして、地方財政健全化を図ってまいりたいと考えております。  大体今まで申し上げたことを総括して、もう一遍改めてまとめて申し上げますと以上のような認識でございます。
  5. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 今、大臣からお聞きしましたが、ダブるかもわかりませんが、地方財政健全化についてどのように考えているのか、もう一度お聞かせ願いたいと思うわけでございます。  いよいよ統一地方選挙が始まるわけでございますけれども、最近、新聞や週刊誌でも大きく取り上げられていますが、東京都の知事選挙関連して候補者が、東京住民地方に搾取されているという趣旨の主張をし、それに対して例えば地方知事からは、東京はもっとリーダーとして大人になれとか、また東京の繁栄は地方が支えていることを何と考えているのかというような反論がなされているわけでございます。  しかし、この厳しい経済状況の中で、地方団体同士都市地方に分かれて、どちらが得をしているという議論をすることは感情的なしこりばかり残って前向きな結果にならないというぐあいに思います。これも、これまで豊かであると言われてきた東京都や大阪府のような大都市部都府県財政が一段と厳しくなっていることを反映したものではないかと思われます。  そこで、このような不毛な議論を招かないためにも、大都市部都府県財政健全化自治省としても積極的に進めていくべきと考えますが、大臣は、今御答弁ございましたけれども、このような団体財政健全化についてどのように考えておられるのか、もう一度お聞かせ願いたいというぐあいに思います。
  6. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御質問ございましたように、もともと大都市部都府県は、他の県から比べますと比較的財政的には恵まれているんじゃないかと考えられておったわけでございます。近年、非常に大都市財政状況が厳しいということがクローズアップをしてまいったわけですが、これは、これまた御承知のとおり、明らかに法人関係税中心とする税収落ち込みということが非常に大きな原因になっておるということもございます。  そういう点で、大都市とそうでないところで、よく納税者が、大都市の方がたくさん納めているのに、言うなら行政サービスの還元が少ないじゃないかという議論が特に昨今行われておるわけでございますが、その点については本委員会におきましてもたびたび私も申し上げさせていただいたんですが、必ずしも例えば東京で納められておる国税がすべて東京都民経済活動等々によって生まれてきているものとは限らないわけであって、特に全国的な規模での企業活動の中で本社が東京にあるということにおいて、税収としては東京都内の税務署に納めれば東京都と、地域的に見ればそういう話になるわけで、あるいはいろんな事業活動をしていく上においても、例えば電力の電源などにおいてもあるいは水においても、それはやはり一地域だけで自己完結的に経済活動ができ上がっておるものではない、さまざまな自治体という一つ行政単位を越えた形の中で経済活動は行われているということをもろもろ考えますと、今大都市部における法人関係税落ち込みを反映して大都市財政が大変厳しくなっているということから、直ちに大都市とそれ以外の間の不公平論議を余り強調するのはいかがなものかということは率直に感じております。  いずれにせよ、これは大都市部であれ地方においても、今、釜本先生指摘ございましたように、地方財政再建をしていく上で、その歳入面といいますか、財政収入をどのように一般財源中心として安定的な形で確保していくかという視点は極めて大事な問題であると思いますが、あわせて歳出面における健全化努力合理化努力ということをそれぞれ自治体においても一生懸命今御努力をいただいておるところでございます。  細かく申し上げることはいたしませんが、既に定員管理そのほかいろんな行革努力をどのように評価してそれをさらにバックアップしていくかという意味で、財政健全化債の考え方なりいろんなことを連動させながら、自治省としても各個別の自治体財政再建に向けて、健全化に向けて努力をしておられるところをさらに積極的に支援をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  7. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございます。  後ほど地方団体による地域振興についてお聞きするための前提として、地方分権の必要について確認させていただきます。  地域振興は、地域経済のみならず町づくり地域文化といったものを総合的に引き上げていくことであり、そのためには地域に密着した行政を行っている地方団体、中でも市町村ができるだけみずからの負担、責任と判断でいろいろな施策を実施する仕組みがぜひとも必要であると考えられます。その意味から地方分権推進は非常に重要であると思いますが、今後、地方分権推進について大臣はどのような覚悟で臨まれるのか、お聞かせください。
  8. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 地域振興推進観点から地方分権推進は非常に重要だ、こういう点での御質問でございました。  この点については、まさに地方分権推進は明治以来形成されてきた中央集権型の行政システム、国、地方を通ずるこの行政システムでございますが、これを国そして地方公共団体との関係を対等、協力の関係に持っていこうということであるということはかねてから申し上げておるとおりでございます。新たな時代の状況課題に的確に対応して、国民が豊かさとゆとりを実感できる社会を実現していくにはまず取り組むべき課題であるというふうに考えております。  御指摘地域振興観点からも、地方公共団体自主性自立性を高めて、個性豊かな、そして活力に満ちた地域社会をつくっていくために、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体責任を持てる体制をつくるという方向で地方分権推進していくということがぜひとも必要であると考えておるわけでございます。  このため、政府におきましては、昨年五月に決定をいたしました地方分権推進計画内容を踏まえた関連法案、これを今国会に提出をさせていただきたい、こう考えております。そして、今後ともさらに地方分権の一層の推進に向けて、国から地方公共団体への事務、権限の移譲地方税財源充実確保に強い決意で取り組んでまいりたいと考えております。
  9. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 地方分権推進は非常に絶対に必要であるというぐあいに思います。地方団体も強い期待を持っていますが、しかし一方では、例えば介護保険の導入に際しては、現在の町村規模では対処が非常に難しいとして広域的に連携して対処する動きも見られるわけです。今後、市町村の仕事はますます増加し、また困難な課題もふえていくものと考えられますが、そのために地方団体行政改革合併推進による地方団体側対応能力のアップがますます必要であると言われています。大臣は、こうした地方行革町村合併の問題についてどのように考えられているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 野田毅

    国務大臣野田毅君) まことに御指摘のとおりでございまして、地方公共団体においては地方分権推進によりまして自主的、主体的に決定あるいは処理をするような分野が拡大をしていくわけでございます。  そこで、地方行革やあるいは市町村合併推進して、地方行政体制整備確立をする、そして地方公共団体がみずからの問題として積極的に主体的にやっていけるような、俗に言う受け皿づくりといいますか、行政主体としてのその処理能力を高めていくということが必要なわけでございます。  そういう点で、行政改革は最大の政治課題一つでもございます。国、地方を通じた行政改革を進める上で地方行革というのもまた不可欠な課題でもございます。平成九年十一月に、自治省としては御案内のとおり地方行革指針を策定して、地方団体に対して、この指針に沿って定員管理数値目標の設定など取り組み内容充実を図るとともに、これらの内容を広く住民にわかりやすい形で公表しながら積極的な取り組みを進めるよう要請をいたしておるところであります。地方団体ではこの指針に沿った取り組みが現在進められておるところであります。  今後とも、地方行革のさらなる推進について強く要請をして、地方団体の自主的な行政改革を促すための行財政支援を行うなどのことに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  今、その中で御指摘のございました市町村合併という問題につきましては、かねてからたびたび申し上げておりますが、特に今後の行政サービスの水準を維持あるいは向上、充実させるという観点からも必要であるということだけでなくて、行政を効率化させるという観点からも避けることのできない課題であると考えております。  そういう点で、今度のいわゆる地方分権一括法の中に合併特例法改正案を盛り込みまして、合併のさらなる推進のインセンティブを与えていきたいというふうに考えておるわけであります。そういうことによって、二十一世紀にふさわしい地方自治を確立してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  11. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 そこで、地方財政地方分権についての大臣の御答弁を踏まえ、地域振興の問題についてお聞きしたいと思います。  先ほども指摘したとおり、今後市町村は総合的な行政の担い手としてますますその役割が増大するものと見込まれます。この場合、関西国際空港の例を挙げるまでもなく、地域振興のためのプロジェクトは工場誘致一つとっても関連交通体系整備から始まり、町づくり全体の中で位置づけていく必要があるというように思われます。これがもしばらばらに動かされると、せっかくの地域振興策も期待された効果を発揮できないことになってしまいます。  そこでまず、町づくり総合主体としての地域団体役割重要性について、大臣はどのように認識されているかお聞かせください。
  12. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 町づくり総合主体としての地方団体役割についてでございます。  これは、それぞれの地域が自主的かつ主体的にその地域独自性を生かして魅力ある町づくりを進めていただくということがまず基本的に重要な課題だと思います。そういう点で、自治省としては、これまでのいろいろ施策を講じて地方団体の主体的な町づくり支援してきたわけでございます。  ふるさとづくり事業を契機として、地域創意工夫を生かした住民参加による町づくりが全国的な盛り上がりを見せて、現在、各地方団体において積極的な取り組みが図られておるところでございます。  平成十一年度の地方財政計画におきましては、地域自立を促すとともに、我が国経済再生にも資するという観点から一兆円規模地域活力創出プラン推進することとして、地域経済再生あるいは地域を支える人づくりに対して重点的に財政措置を講ずることとしたわけであります。今後とも、地方分権推進動きとあわせて地方団体創意工夫による町づくりが積極的に進められるように努力をしてまいりたいと存じます。  基本は、メニューはやっぱり自分たちでつくる、中央でつくったメニューを云々ということではなくて、主体的に自分たち地域個性を生かすような形の中でぜひつくっていくという発想が大事ではないかというふうに考えております。
  13. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございます。  地域振興の方法として直接的なものの代表例工場誘致であり、今後もそういう対策有効性は変わらないと思いますが、もう一つの手法として考えられるのが、今、大臣が述べられたように、ある意味では文化スポーツといったソフト基盤とした地域振興策があると思われます。  もっと言えば、ヨーロッパにおいてはサッカーというスポーツは、もちろん国技であるということもありますが、単なるスポーツという枠組みの中で整備されるべきものではなく、サッカーというものを取り巻く体系全体を文化としてとらえるべきであるとされております。そういう意味で、スポーツ文化といった人間のより高い次元に対するあこがれと、それに対する営みを広い意味文化として位置づけ、これを起爆剤とした地域振興策が有効な場合もあるのではないでしょうか。  例えば、まず伝統文化や新たに発掘される文化財です。伝統文化をその地域に伝わる心として位置づけ、それによって地域のアイデンティティーや住民郷土意識を養い、地域振興につなげる試みは各地で行われております。また、先日発掘された富本銭など、これまでの歴史の教科書が書きかえられるようなものが発見された場合、それを中心とした地域づくり推進されることも多いでしょう。二十一世紀を目の前にしているからこそ自分の住む地域に脈々と伝承される文化を振り返り、また新たに発掘される地域文化財に着目した文化財等を活用した町づくりをしていくことも重要ではないでしょうか。  これからはますます地域の心や人づくりを重視することが必要となってくることを私も日ごろから感じておりますが、大臣はこのような地域文化に着目した地域おこし推進についてどのように積極的に対処されるか、お考えをお聞かせください。
  14. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 非常に大事な視点だと思います。  私も先ほどちょっと申し上げたんですが、メニューをそれぞれの地域で自主的、独自にぜひつくるべきだということを申し上げたんですが、そういう意味でよく今まで国土の均衡ある発展ということが常套句になってまいったわけです。しかし、どうも国土の均衡ある発展というと、何か金太郎あめみたいなことを全国あっちこっちにつくっていこうということになりかねないんじゃないか。  むしろ、それよりも今御指摘のような社会資本整備ということだけじゃない、そういう文化を含めてそれぞれの地域個性をどう生かしていくのか、そういった意味でまさに個性ある発展というか、それぞれの地域歴史的な背景も違うわけですから、そういう歴史的な文化遺産等々も生かしていくような町づくり地域おこしということがあっていい、非常に大事な視点だと考えておりまして、ただいまのお話もそのとおり受けとめて拝聴をいたしておりました。  そこで、住民がそういう意味自分たちふるさとを愛し、ふるさとに誇りと親しみを持って地域活性化に取り組んでいこうということは大変大事なことでありますし、それについての自治体としての積極的な取り組みをぜひ支援していこう、そういうことで平成十一年度からは従来の取り組みにさらに加えて、地域文化財歴史的遺産活用による地域おこし事業というのを推進することにして、新たな財政措置を講ずることとしたわけであります。  具体的には、ハードの事業として地域文化財の保全及び地域文化財歴史的遺産を活用するための集客施設住民の触れ合いの場などの整備に対して地域総合整備事業債により支援をする、これは五百億円程度であります。同時に、地域伝統文化保存のための行動計画づくり地域文化財歴史的遺産の収集、記録、保存のための人材確保、発表の場づくりなどのソフト事業に対して普通交付税措置を百億円程度講ずることとしたわけでございます。  今後とも、地方公共団体において地域文化に着目した積極的な取り組みが図られるように支援をしてまいりたいと存じます。
  15. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 地域振興の問題の最後として、スポーツを活用した町づくりについてお聞きしたいと思います。  一九九三年、アマチュアのスポーツ団体であったサッカーJリーグというプロの組織に変わったわけでございます。当初、各地域で非常に華々しくスタートしたわけでございますけれども、六年たって、いろいろ経済状況等を踏まえてだんだんと右肩下がりになってきて、ある意味では抱えているチームを企業は外へ出すとかいうようなことで、今やっと落ちつき、これからJリーグは百年構想という計画を打ち出して、百年先に地域と密着したスポーツ体系をつくっていこうというような構想が出されているところであるわけでございます。  そういった中で、財政基盤が非常に弱いクラブに対して地方自治体から多額の融資をしていただいているということも聞いておるわけでございますけれども、Jリーグによる今申し上げました地域おこしを例に挙げるまでもなく、各種のスポーツを活用した町づくりも、今言いました地域の顔を明確にして地域のアイデンティティーや住民郷土意識を養うことが非常に重要となってきているわけでございます。単にソフト面にとどまらず、交通体系整備を含む地域の総合的な整備にも結びつき得るものであるというぐあいに考えるわけでございます。  一つの例といたしまして、福島県に東京電力が主体として設立いたしましたJビレッジというところがあるわけですが、これを少し紹介したいと思います。大臣、このJビレッジは御存じでしょうか。  これは、我々が今までスポーツのトレーニングをするナショナルトレーニングセンターというものをどこかにつくっていただきたい、訓練する、ある意味では競技力をアップする、またある意味ではオリンピック選手だとかワールドカップの選手が使用するようなそういうトレーニングをする場所を何とか早くつくっていただきたいというようなことを日本体育協会等に申し上げていたわけでございます。今、福島県の楢葉町という、いわきから三十分ほどでしょうか、北に上がっていったところにサッカーグラウンドが十面、これはほとんどが天然芝でございます。五千人観客が動員できるグラウンドがあり、もちろん室内体育館もプールも宿泊所もあるというようなものが平成七年にでき上がりまして、今非常に好評を得て、地元の若者たちがそこに行ってトレーニングに励んでいる。  ここは、また一般の利用客や企業研修にも活用され、平成九年七月オープンから平成十一年一月まで四万人の人がそこに来て、またグラウンド等施設を利用している人たちが八十八万人いるというようなことで、当地へ相当の経済効果を及ぼしているというように聞いております。  また、今申し上げましたJビレッジ、いわきからそのところまで行くにはかなりまだ時間がかかるということもございまして、平成十三年三月には隣接する国道は二・二キロにわたって片側二車線に拡張される。そしてまた、二〇〇二年ワールドカップサッカー大会の公式練習場にもなるということで、常磐自動車道の広野インターチェンジは平成十四年三月をめどにして供用を開始されるということになっていると聞いております。  このように、Jビレッジは交通体系整備を含めた総合的な町づくり起爆剤としても機能しているものであります。このようなナショナルセンター的なものは例外的な事例かもしれませんが、いずれにしても二〇〇二年のワールドカップの会場あるいはその練習場となる。  今、全国市町村がワールドカップの練習場にしていただきたいというようなことで、熊本県しかり、いろいろな地域からそういう声が出ているわけでございます。ワールドカップを単に試合だけのお祭り騒ぎに終わらせないためにも、これからいろいろと知恵を求められているというぐあいに思います。要するに、競技大会の後どういうように活用していくかというようなことではないかというぐあいに思います。  大臣は、地方団体スポーツを活用した町づくりにより地域活力アップをさせていく取り組みをどのように考えられているか、お伺いしたいというぐあいに思います。
  16. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今、いろんな幅広い角度からスポーツを活用した町づくりについてのお話を伺いました。  御指摘のとおり、近年、自由時間の増大やあるいは健康に対する意識の高まりなどをも背景として、スポーツや健康づくりに対する関心がますます高くなってきておるわけであります。地方団体におけるスポーツ活動への参加促進あるいは指導者の養成、あるいは今御指摘のようなスポーツ施設の利用あるいは活用の推進、こういうようなニーズが大変高まってきておるわけであります。  こういうような事情で、地方団体においてもこれを逆に地域おこしといいますか地域づくりをしていく上で大事な柱として位置づけていこう、こういうような動きも、今いろいろ具体例をお教えいただいたわけですが、ほかの地域でもそのような発想がかなり広がってきているということもそのとおりでございまして、そういう点で自治省としてもハード、ソフト両面からこれを支援していこうという対応をしておるところであります。  平成七年度には、公共スポーツ施設についてその有効活用を図る観点から既存の施設の改良や改修などいわゆるリニューアルを行う、地域スポーツリフレッシュ事業というそうですが、これを創設するなどの財政措置の拡充にもう既に努めておるということでありますけれども、さらに一層支援体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
  17. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 そういう意味で、今、大臣のお話のように、スポーツ振興のみならず健康づくりというようなことも踏まえまして、地域におきましてはいろいろスポーツ施設が充実してきているというぐあいに思うわけです。その維持をしていくためにはかなりの費用がかかるということもありますので、ぜひその辺のところは大臣、今申し上げましたとおり、ひとつよろしくお願いいたしたい、かように思います。  次に、先般も我が党の松村理事からの御質問にもございました薬物、銃器の密輸事犯や外国人の密入国事犯の対策についてお伺いいたします。  薬物については青少年にまで広がりを見せ、第三次覚せい剤乱用期が到来したとされます。また、銃器事犯についても凶悪な事件が絶えないなど、非常に憂慮すべき状況にあります。これらの薬物、銃器は外国から持ち込まれており、国内に入ってこないように水際で阻止することが極めて重要だと思われます。  一方、外国人の密入国事犯についても、貨物船の船内に隠し部屋を設けて潜伏してくる集団密航等、悪質、巧妙化が進んでいると聞いております。  水際対策というものを考えた場合、海上保安庁の果たすべき役割は非常に重要であると考えますが、これら犯罪に対する海上保安庁の取り締まり対策を再度お聞かせ願いたいと思います。
  18. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、我が国で不正に用いられております薬物、銃器のほとんどは、船舶等を使用して海外から密輸入されていると見られておりまして、巧妙かつ組織的な手口が用いられておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、こうした状況に対処するために、まず第一に、密輸入に関与しております疑いのある船舶や人物に対する情報収集活動推進及び情報に基づく警戒監視の強化、これをやっております。  また、第二に、薬物、銃器の流出するおそれのある中国、東南アジア等から入港いたします船舶に対する徹底した立入検査の実施を行っております。  また、第三に、離島、地方港湾等における海事、漁業関係者等に対する不審情報の通報の協力要請も行っております。  第四に、海外関係機関との情報交換の促進を図りまして、警察、税関等の国内取り締まり機関との連携を強化して、薬物、銃器の水際阻止に全力を挙げているところでございます。  次に、先生御指摘ございました不法入国事犯でございますが、前にも別の委員にお答えいたしましたように、海上保安庁が取り扱いました事犯の約九割が中国人によるものでございまして、これら中国人によります集団密航は、最近では韓国の沖合で中国船から韓国漁船に乗りかえて密航する者や、あるいは先生御指摘がございましたような貿易船に巧妙に隠し部屋を設置して密航する者等が増加をしておりまして、ますます悪質化、巧妙化している現状でございます。  そこで、海上保安庁といたしましては、まず第一に、中国、韓国の取り締まり機関との緊密な連携を図っております。  また、第二に、情報収集体制の強化及び情報入手時における巡視船艇、航空機の集中的な投入による監視、取り締まりを行っております。  また、第三に、中国等を出港して本邦に寄港いたします船舶への立入検査の徹底。  第四に、密航が行われる可能性の高い海域における警戒の強化等を行っておりまして、警察等国内取り締まり機関と密接に連携しながら不法入国事犯の防止に努めているところでございます。  海上保安庁におきましては、密輸、密航事件が発生した場合は、徹底した捜査によりまして密輸、密航組織の全容解明に努めているところでありまして、今後とも薬物、銃器の密輸入事犯及び不法入国事犯対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  19. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 次に、外国人の犯罪対策についてお聞きしたいと思います。  私は、学生時代、新宿かいわいでよく遊んだわけでございますけれども、深夜いい気分で下宿の方に帰っても、別段どうこう変な人に襲われたりというようなこともございませんでした。もう今から三十年前になるわけでございますけれども。しかし、最近、新宿に行くということはほとんどないわけなんですけれども、ある地域では非常に外人たちの町といいましょうか、また横浜の方でもその町一帯が何といいましょうか外国に行ったような、そういう風俗関係の仕事をやっておられる場所が非常に多いというようなことをお聞きするわけでございます。そういった意味で、正規の労働ビザを持っている方と、言ってみますと密入国で入ってきたそういう方とのある意味では仕事上のトラブルだとかというようなことで、凶悪な犯罪が非常に多くなってきているというふうにテレビのそういうドキュメンタリーだとか、そういうものを見ましても、本当にこういうような状況なのかなというようなことを思うわけでございますけれども、非常にそういう意味で一般の人々が多大な不安感を持っているのではないかというぐあいに思います。  そういう意味で、外国人による犯罪の状況というのはどういうようなものになっているのか、お聞きしたいというぐあいに思います。
  20. 林則清

    政府委員(林則清君) 来日外国人による犯罪の状況いかんというお尋ねでございますけれども、御指摘のように、これだけ国際化が進展しますと、不法滞在の外国人等が非常に増大をしておるという現状の中で、そういった中で今御指摘もありましたように、来日外国人による犯罪というものが急増という言葉で言いあらわしてもいいくらい大変ふえておるのが現状であります。  ちょっと数字で恐縮でございますが、平成十年中の来日外国人による犯罪の検挙状況、これは検挙件数が三万一千七百七十九件、検挙人員が一万三千四百十八人でありまして、これを平成元年の五千七百六十五件、四千六百十八人、この数字を比較いたしますと、平成元年に比べて件数で五・五倍、人員で二・九倍というふうにふえておるわけでございます。  とりわけ、近年では香港の三合会、トライアドという中国の黒社会一つ、大きな有力なものでありますが、こういったものの構成員とつながった貴金属店対象強盗事件でありますとか、来日外国人のグループによる組織的連続窃盗事件、あるいはイラン人の密売組織による薬物の売買事件、そういったものの発生に見られますように、単に量的に来日外国人の犯罪が多いというよりも、国際犯罪組織でありますとか、既に不法に入国しておる外国人がグループをなして行うというような組織性の高い犯罪が目立ってきておるという状況であります。  さらに厄介なのは、こういった来日外国人による犯罪の中には日本の暴力団が関与しておる、一緒にやっておるというような状況も見られるところでございます。  こういった状況に対処するために、警察では総力を挙げまして外国人犯罪組織の実態解明と、そして何よりも検挙ということに努めますとともに、関係機関でありますとか外国の捜査機関とも協力をいたしまして、来日外国人犯罪に対する諸対策を全力を挙げて推進しておるところでございます。
  21. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 本当に二〇〇二年のワールドカップでは海外からそういった犯罪のグループがたくさん来るんじゃなかろうかというように思うわけですが、ぜひ取り締まりの強化をきちっとしていただきたい、かようにお願いする次第でございます。  今、外国人の密入国事犯の対策として水際対策が非常に重要な状況に加えて、平成八年の国連海洋法条約の締結、さらには今般の新たな日韓漁業協定の発効に起因して、我が国の管轄権を行使すべき海域は非常に大幅に広がったということでございます。  私は、何年か前に日本海側のある町で聞いた話ではございますけれども、海上保安庁の船が遅い、見つけても相手が振り切って逃げてしまうというようなことを聞いたわけでございます。  そういう意味で、そういった状況の中で、海上保安庁が的確に対応するためには、巡視船艇の高速化といったものを含め、海上保安庁体制を強化する必要があるのではないかと考えますが、巡視艇の高速化ということについて今どのように対策をとられているのか、お聞きしたいと思います。
  22. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  私どもの巡視船や巡視艇は、船が沖合に出ていきまして、これは警備もやれば救難もやるというような形でいろんな多様な目的に使うわけでございますが、先生おっしゃるように、高速化というのは非常にその中で機能として持つべき大きな重要なポイントであると私どもも考えております。  先生御指摘のような平成八年の国連海洋法条約の締結に伴いまして管轄水域も大幅に増加をしておりますし、また先ほど御答弁申し上げました薬物、銃器等の密輸入事犯の深刻化、あるいは不法入国事犯の多発化等への対応も非常に重要な課題になってきております。また、御指摘のような日韓の新しい漁業協定が一月の下旬に発効したということで、無許可船の検挙等、新しい監視、取り締まり業務も発生してきている状況でございます。  そこで、船を新しく建造するとか、あるいは古い船をリプレースいたしまして新しい船に代替する、こういったところにできる限り、おっしゃるような点を踏まえまして整備を進めていこうと考えております。この海洋法条約の締結後におきましては、巡視船艇を十二隻既に就役させております。また、現在は巡視船艇二十一隻の建造も行っておるところでございまして、業務執行体制の強化に努めているところでございます。  例えて申し上げますと、整備する前の、例えば中型の三百五十トン型の巡視船の速力が約十七ノットといたしますと、これが整備後は二十五ノットになる。それから十五メーター型の巡視艇、これは小型の巡視艇でございますが、これが約十五ノットでございますのが、二十メーター型のやはり小型の巡視艇にリプレースいたしましたときには約二十九ノットになる、このようなことで着実に進めておるところでございます。
  23. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 先ほど刑事局長から、外国人の犯罪が非常に増加しているという一方で、昨年来相次いだ毒物混入事件や金融機関に対する強盗事件の増加等、犯罪状況というのは非常に深刻化していると聞いておりますが、最近の犯罪の状況及びその特徴はどうなっているのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  24. 林則清

    政府委員(林則清君) 最近の犯罪情勢の現状と特徴いかんということでありますけれども、平成十年中の刑法犯の認知件数というのは二百万件を超えまして、戦後最高の記録ということになりました。また、今御指摘ありました毒物混入事件、そういった凶悪事件が相次いで発生する、あるいは金融機関であるとか深夜スーパーを対象にした強盗事件が増加するというように、犯罪が悪質化、凶悪化しておりますし、また三年連続で刑法犯少年が増加する中で、凶悪、粗暴な非行というのが大変深刻化するなど、少年非行が憂慮すべき状況にございます。  簡潔にその特徴をということでありますが、一つは、暴力団情勢について、これは依然対立抗争を初めとする大変凶悪な事件が発生しておりますし、市民生活の脅威になるとともに、資金獲得活動も、金融不良債権関連事犯を多数引き起こすなど、社会経済情勢の変化に対応して大変多様化、巧妙化し、経済社会への浸透というのが進んでおるというふうに見られるわけであります。それが一点と、先ほども御指摘ありました薬物情勢でありますけれども、覚せい剤の押収量が史上三番目を記録するなど、第三次覚せい剤乱用期という大変深刻な状況にございます。銃器情勢についても同じような状況でございます。  さらに、高度情報通信社会を迎え、ハイテク犯罪の検挙件数が平成十年には四百十五件と、平成五年に比べて約十三倍に急増するというふうに、新たな形態の犯罪も発生しておるところであります。  また、一番大きい特徴点は、先ほどお尋ねありました来日外国人の犯罪が非常にふえておる、このように犯罪の発生件数が増加する一方、新しい形態の犯罪というものも大変いろんな形で出現しております。そして、今申し上げましたように、来日外国人犯罪や暴力団犯罪が質的に非常に深刻なものになってきておるということで、全体として見れば一見穏やかなようでありますけれども、犯罪情勢としては大変深刻な状況にあるというのが現状でございます。
  25. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございます。  最後に、最近の景気の低迷ということが国民に対して不安感を与えている。また、その一方で最近の犯罪は、今お聞きしましたように、凶悪化かつ悪質化してきている。こうした社会状況の中にあって、本当に国民が安心して社会生活を営める未来を確保するため、犯罪の発生状況に応じた迅速かつ的確な対応を行っていかなければならないのではないでしょうか。我々日本国民は本当に豊かで安心して安全な日本を構築していくためにはどのようにすべきか、国家公安委員長の決意をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 良好な治安を維持するということは、まさに国家社会発展基盤でありまして、国民一人一人が安心できる生活を送るという安心、安全な社会を形成していく上で欠くことのできない前提条件であると存じております。  その点で、今、刑事局長から申し上げました最近の犯罪情勢を見てみますと、毒物混入事件や強盗事件など国民を不安に陥れるような犯罪が発生する一方で、暴力団や来日外国人による組織的な犯罪の深刻化やハイテク犯罪などの出現、こういったことによりましてまことに厳しいものがあると認識をいたしております。  そこで、私といたしましては、この複雑化する犯罪情勢に対して的確に対応するためには、捜査体制整備、それから科学捜査力の強化、職員の能力向上などの諸施策推進いたしますほか、さらに捜査力の充実強化に努めて良好な治安の維持に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  27. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 それでは、交通事故対策についてお聞きします。  平成八年から始まっている第六次交通安全基本計画を見ますと、その目標として、「交通事故による死傷者数を限りなくゼロに近づけ、国民を交通事故の脅威から守ることが目標であるが、当面、年間の交通事故死者数を平成九年までに一万人以下とし、さらに、平成十二年までに九千人以下とすることを目指す」となっております。  警察を初め関係の皆さんが交通事故防止に努力されているわけでございますが、テレビ、ラジオのニュースや、また新聞紙上で交通事故について報道されない日はありません。たしか、この第六次交通安全基本計画の中間目標である平成九年までに一万人以下ということについては平成八年中に達成することができ、今年中にも九千人以下という目標を達成しようとして警察では努力されていると聞いております。しかしながら、先日の新聞報道では、昨年の交通事故による死者数は減少しているが負傷者数は史上最悪の状態であったということです。  そこで、まず昨年の交通事故の発生状況とその特徴について、交通局長からお願いしたいと思います。
  28. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) お答えいたします。  平成十年中の交通事故発生状況でございますが、発生件数が八十万三千八百七十八件、死者数が九千二百十一人、負傷者数が九十九万六百七十五人となっております。交通事故の発生件数、負傷者数とも過去最悪を更新しております。一方で、死者数は三年連続で減少をしているところでございます。交通事故の発生件数について見ますと、八年連続で増加をしているわけでございますけれども、このうち死亡及び重傷事故は三年連続で減少をしております。反面で、全治一カ月未満の軽傷事故、これが一貫して増加を続けております。  発生件数の増加につきましては、自動車の保有台数及び運転免許保有者数が増加をしており、また交通量も一貫して増加を続けておることに伴いまして、追突事故あるいは出会い頭衝突事故がふえていることによることが大きいというふうに見ております。  他方、交通事故発生件数が増加する中で死者数が減少しております理由としましては、死亡事故になりやすい人対車の事故が減少しておること、事故を起こす際のスピードが低下する傾向がございまして、その結果として被害が軽減されていること、さらにシートベルト着用率の上昇によりまして事故時の被害が軽減されていること、このようなものによると思っております。  なお、特徴点を挙げますと、一つは著しい速度違反等極めて悪質な違反を原因としますところの死亡事故が減少しております。また、六十五歳以上の高齢者の事故が増加しておりまして、死者、負傷者数とも増加を続けております。高齢者の事故の場合に歩行中の事故が多くて、高齢者死者の約五割が歩行中でございますけれども、最近は自動車乗車中の事故の死者の増加が目立つようになっております。
  29. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 交通マナーの向上と交通教育の現状ということについてお聞きしたいというぐあいに思います。  今お聞きしますと、非常に著しい速度違反などの悪質な交通違反による交通事故死者数は減少しているということでございます。しかし、私も自分で車を運転している身でございますけれども、いかんせん高速道路なんかを走りますと、追い越しのパッシングをしてもなかなかよけてくれない、こっちの反対の方から、走行車線の方から抜いていくというようなことはよくあるわけでございます。そういうことをやっちゃいけないわけなんですけれども、年間百万人以上の方が交通事故で死傷をしているということ、これは大変な問題というぐあいに思うわけでございますけれども、ドライバーの運転中のマナーの低下、また歩行者が急に飛び出したりあるいはまた高校生が自転車に乗りながら携帯電話をかけている、本当に一般国民の交通マナーが低下しているように思うわけでございます。  そこで、警察庁ではこのような対策をどのように講じられているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) まことに御指摘のとおり、交通事故防止を進める上では国民一人一人の交通安全意識、そして交通マナーの向上を図るということが極めて重要なことというふうに認識しております。このため、昨年九月に国家公安委員会告示といたしまして交通安全教育の指針を策定しまして、これに基づいて年代あるいは対象に応じた参加体験実践型の交通安全教育をきめ細かく行うこととしておるところでございます。  また、自動車運転者に対しましては、更新時講習において高齢者学級を設けるなど、これまた対象に応じましてきめ細かな講習を実施するよう努めておるところでございます。特に、昨年十月から導入しました違反者講習につきましては、運転者の資質向上に資する活動、いわゆる社会参加活動を実施いたしまして、違った視点、要するに歩行者の視点から交通マナーの重要性を自覚してもらうというようなことを行っておるところでございます。  このほか、歩行者あるいは自転車利用者に対しましても、例えば歩道を歩行者に危険を感じさせるような方法で走行している自転車、これに対するイエローカード等による警告の実施など積極的に行って、交通ルールの遵守、そして正しい交通マナーの向上に努めておるところでございます。
  31. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 もう時間がございませんので、最後にいたしたいと思います。  先般、この委員会での大臣所信の際に、今国会中にチャイルドシートの義務化についての法案を提出する旨の発言がございました。今本当に日本の二十五歳から四十歳までの女性の約八五%の方が運転免許を持っていられる。幼稚園の送り迎え、あるいはスーパーでの買い物というようなところで非常にお母さん方が子供さんを乗せて運転されていかれるという中で、子供たちが助手席の中でぬいぐるみを持って跳びはねたり遊んだりというようなことで、見ていましても本当にこれ大丈夫かなというような、そういう思いがいたします。  そういう意味で、このチャイルドシートの義務化についての検討状況についてお聞かせ願いたい点が一つ、それから最後に、時間がございませんのではしょって国家公安委員長に決意をお聞かせ願いたいと思います。  交通事故防止に向けてこれは非常に国政上についても重要な課題であるというぐあいに思います。その中で大臣はどのように決意をなされるか、この二点お聞きして終わりたいと思います。
  32. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) チャイルドシートの義務化についての検討状況について申し上げます。  平成十年中の自動車乗車中の交通事故による六歳未満の幼児の死傷者数が九千五百四十八人に及んでおります。これは平成六年と比較しまして実に五二%の増加というふうになっております。この間の自動車乗車中の交通事故による死傷者数の増加率は一九%でございますので、これに比しまして極めて急激に増加しておるということが言えようかと思います。自動車に乗車する幼児を交通事故による被害から守ることが喫緊の課題というふうに考えております。  また、最近五年間の交通事故によります幼児の被害状況、これをチャイルドシートの着用、非着用で分けますと、着用していた場合の致死率は着用していなかった場合の四分の一ということで、チャイルドシート自体の高い効果ということがこれからもうかがえるわけでございます。  警察庁といたしましては、チャイルドシートの着用の促進を図るために今まで広報啓発活動等を積極的に展開してまいりました。その中で、チャイルドシートの使用義務の法制化につきましても所要の調査研究等を行ってまいりました。その結果、最近の自動車乗車中の交通事故による幼児の死傷者数の急増、そしてこの問題をめぐります世論の盛り上がり等も踏まえまして、六歳未満の幼児を同乗させる運転者に対するチャイルドシートの使用の義務づけ等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律案を今回国会に提出いたしたところでございます。
  33. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 交通事故防止に向けての決意いかんと、こういうことでございました。  先ほど来御議論ございましたとおり、交通事故の死者数は減少はいたしておりますものの、負傷者を含めまして死傷者ということで見ますと約百万人という現状でございまして、まさに御指摘のとおり、交通事故の防止ということは国政上の最重要課題一つであると認識をいたしております。  そこで、従来からこの交通安全対策というのは政府全体として取り組んできたところでございます。第六次交通安全基本計画における交通事故死者数を平成十二年までに九千人以下とするというこの政府目標がございますが、その早期達成を目指して、全国警察が一丸となって国民一人一人に交通安全意識を浸透させるようなきめ細かな交通安全教育や広報啓発活動推進してまいりたいと存じますが、同時に、交通安全施設などの整備、そして交通の指導取り締まりということを強化していくなどという施策を正面からさらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  引き続き、関係団体とも連携の上で交通事故防止に全力を傾注してまいりたいと考えております。
  34. 釜本邦茂

    釜本邦茂君 ありがとうございました。
  35. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 林運輸政務次官には、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。民主党・新緑の山下八洲夫です。よろしくお願いします。  実は私は、海上保安庁は運輸省の重要な所管官庁であり、最高責任者はもちろん川崎運輸大臣というふうに理解をいたしておりますが、それで間違いございませんですね。
  36. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) そうでございます。
  37. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 実は、この委員会で同僚議員が漁船新生丸の海難事故、この問題につきましてかなり真剣に議論をなされたわけでございます。当然、海上保安庁長官も真剣に一生懸命答弁はなさっていらっしゃいました。私自身がこの審議をお聞きしていまして率直に感じましたのは、一つは、どうもまだまだそういう意味では言いわけのような答弁にしか聞こえないなというのが率直な気持ちです。その同僚議員は、このような重大な海難事件でございますので、できれば川崎運輸大臣に出席を求めて質問したい、こういうような考えを持ち、委員会でもそのような発言がされたわけでございます。私自身も、当然質問者の立場から見れば、所管大臣でございますし、そういうときには積極的にこの委員会に出席をして答弁すべきだと思いますが、政治家でもあります林政務次官は、このことにつきましてどのようにお考えなのでしょうか。
  38. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) 山下先生の御意見については、運輸大臣によくお伝えをしたい、報告をしたいと思っておりますけれども、参議院の委員会に対する政府側からの出席すべきメンバーそのもののことだと思っておりますし、それに関しましては私が政務次官としてとやかく答えるべき立場じゃないんではないかと思っておりますし、基本的には委員会でお決めくださることだと思っておるところでございます。
  39. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ぜひ政治家としてのお考えも伺いたいわけでございますが、本来なら行政の最高責任者が自分の所管をする委員会には所信のあいさつもなさって、これで逆に党の方がノーと言えば、おかしいじゃないか、おれは行政の立場だということで当然所信のあいさつもなさり、所信のあいさつというのは自分の考え方を申し述べるわけでございますから、そして大いに審議に参加していくということが大切だと思いますので、この辺につきましては川崎運輸大臣にもそう申していたということはぜひ伝えていただきたいと思うわけでございます。  また、後ほど政務次官には一、二質問させていただきたいと思うんです。  そして、実は漁船新生丸の海難事件に関する海上保安庁のホームページを見ますと、事件の概要が出されているわけです。これを見ますと、この委員会で報告されたのと大筋同じでございますので繰り返しませんが、その中で私が関心を持ちましたのは、「国民からの意見・提案について」というのがございまして、この中に、運輸省において外部の学識経験者及び関係省庁をメンバーに加えた調査検討会を一月二十二日に発足させた、そしてその後、本件海難事故の事実関係、遭難通信に関する問題点、捜索、救難のあり方、その他改善すべき点等について検討を開始していますが、要するに国民の皆さんの幅広い意見をインターネットでぜひ言ってくれないかという募集がなされているわけです。  一つは、まず前段の調査検討会が、一月二十二日からセットをされまして今日まで約二カ月来ておりますので、その間どのような状況であるのか。それから後段の、国民からどのような声が寄せられているのか、その辺について御報告をいただきたいと思います。
  40. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 一月二十日にその事故が起こりまして、週末の一月二十二日に先生御指摘のような調査検討会を発足させようという意思決定をしたわけでございますが、実際に第一回目を行いましたのは翌週の一月二十五日でございます。そして、実は本日、第四回目の検討会を予定しております。一回目が先ほど言いましたように一月二十五日、二回目が二月五日、三回目が二月二十五日、そして四回目がきょう三月十五日ということでございます。  この二月五日の第二回の検討会におきまして、海難発生時の海上保安庁あるいはその他の方々の対応につきまして、いろいろ疑義等がございましたので、そういった調査結果を詳しく検討いたしまして、問題点等に関する中間的な取りまとめが行われた。要するに当日何があったかということをここではっきりさせたということでございます。それが終わりまして、現時点、三回目以降につきましては今後の幅広い改善策につきまして検討を行っているところでございまして、今月下旬にもう一回行って調査結果を取りまとめたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、先生の後段の御指摘でございますが、なるべくいろいろ御意見をいただこうということで海上保安庁のホームページに御意見をいただきたいということをやったわけでございます。これは一月二十五日にホームページを開設いたしました。今現在の段階で二十七件の意見をいただいております。主な意見といたしましては、そのような形で確認がとれない場合はやはり遭難として対処すべきではないか。あるいは、安否の確認は直接その本船ととるべきだという御意見。または、通信の記録はきちんととっておくべきだという御意見。さらには、誤発射については指導の徹底を検討すべしというような御意見もいただいておるところでございます。
  41. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 前段の取りまとめは、何か今月末ぐらいにある程度まとまるという御答弁でございますので、それはまた委員会の方へ、中間であるのか最終であるのか、ぜひ提出を願いたいというふうに思います。  特に、私は、今回のこのホームページにこのようなことを掲載されたということは、私は海上保安庁は思い切ったことをやられたなと高く評価しておるんです。それだけある意味では国民の皆さんに謙虚に耳をかす、あるいは国民の皆さんの目線で一遍真剣に取り組んでみようというふうなあらわれではないかなと思っておりますので、このようなことについてはより積極的に今後も取り組んでいただきたい。私は、そのことが海上保安庁の国民からの信頼をますます増していく、そういう大きなステップになるというふうに思いますので、ぜひ今後も取り組んでいただきたいと思います。  運輸大臣、私は、海上保安庁というのは正直言って一生懸命職務を遂行していると思うんです。この間見ておりますと、海上保安庁は海難事故で本当にたたかれっ放しなんですよ。私は、そういうところで政務次官やら運輸大臣が生の声を聞いていらっしゃるとより理解が深まると思ったんですが、それが残念だったものですから。  きょうは私、海上保安庁をたたいたりしようと一つも思っていないんです。今言いましたように一生懸命取り組んでいる。それはなぜかと言いますと、日本というのは、どちらかというと周りはすべて海に囲まれていまして、それも物すごい広さがありますね。こういう島国日本と言った方がいいのか、あるいは海洋国日本と言った方がいいのか、そういうところで、同僚議員からもたびたび出ておりますけれども、密航事件やあるいは不正薬物、銃器の密輸事件など、水際で必死になって検挙したり、あるいは追い返したり、そういう活動を今一生懸命なさっている。昨今の新聞を見ましても物すごいんですね、これ。巧妙化する密航、先月から再び急増、年間五百九十七、過去最多とか。あるいは海保追い返し作戦、海から空から。中国人摘発倍増、昨年千二百人、洋上撃退四百人とか。もうとにかく一生懸命、次々たくさんあるんですが、その一方では、やはり海上保安庁としても平成十年の密航の取り締まりの状況をまとめて報告なされておりますし、手口なんかを見ますとますます巧妙化している。こういう状況を見ていきますと、私は本当にそういう意味では大変活躍なさっているなというふうに思うんです。  そこで、海上保安庁の予算を見てみますと、二十年前、昭和五十三年が総額で九百九十八億円、平成十年で申し上げますと一千六百五十九億。二十年前の九百九十八億円から平成十年でいいますと一千六百五十九億、こういうふうになっているんです。この予算を二十年間ざっと見まして、大変伸びたと思いますか、それとも大したことないなと思いますか、どうでしょうか。
  42. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) 正直言いまして、海上保安庁の予算は今ニーズに適切に対応しているんじゃないかと思っているところでございます。  もちろん欲を言えば切りがないわけでありますけれども、例えば平成十年度の第三次予算におきましてもヘリ一機搭載型巡視船など新日韓漁業協定対応のための巡視船艇整備等に約百億円いただいておりますし、また高度情報通信網の整備に二十一億円を計上していただいたところでございます。現在審議いただいております平成十一年度予算案におきましても船艇、航空機整備やあるいは業務運営等のための経費として一千六百八十一億円を計上しておるところでございまして、業務体制の強化に努めているところでありまして、それなりに重点的に配分をしていただいているんではないかというふうに認識をしているところでございます。
  43. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そうやって箇所づけで見ていきますと、あっ、ふえたふえたということになるんですけれども。先ほど私は総額で申し上げたんですけれども、昭和五十三年度の海上保安庁の人件費は四百八十六億円なんです。これには、基本給はもちろんのこと職員諸手当、公務災害とかあるいは共済組合負担金とか、残業すれば超勤手当とか、あらゆるものが入っているんですけれども、これが四百八十六億円です。十年後で、やっぱり物価は右肩上がりでございましたから人件費も当然上がっていくわけですけれども、六百九十億円。そして、あと十年後の平成十年で申し上げますと九百七十五億円。このように、人件費ですからやむを得ないと思うんです。  物件費は、五十三年度が五百十二億円、六十三年度が五百十五億円、そして平成十年度が六百八十四億円、簡単に言うと、若干のでこぼこはありますけれども、この二十年間というのはほとんど伸びていないんです。人件費が伸びて、一千六百八十一億になりましたけれども、二十年間で五百十二億が六百八十四億、ちょっとしか伸びていないんです。人件費だけが上がったんじゃなくて物件費も上がっているんです。  それから、近代装備にしていくということであれば、本当なら物件費もなおふえていくと思うんです。先ほど同僚議員から密航船や密漁船の足が速くなったけれどもどうだという質問がされていましたけれども、そのときも、十五ノットだったのを二十九ノットに改造しますとか、それこそ二十年とか二十五年とか、もう現役を引退してもいいようなものを今でもごろごろ抱えているんです。それで、先ほど言いましたように、あんなに巧妙化する密航やらあるいはあんなに巧妙化する薬物なんかを事前に取り締まったりあるいは事前に追っ払ったり、身の危険を感じながら大変な任務についておられるんです。そのことを考えましたら、私は、今箇所づけであれがこうなった、これがこうなったと申しますけれども、この海洋国日本で寂しい思いがするんですけれども、感想はいかがでしょうか。
  44. 林幹雄

    政府委員(林幹雄君) 御指摘もあるわけでございまして、私も就任以来、国境でそういう任務をしておる例えば対馬の保安部だとかあるいはまた南鳥島だとかいろいろ行ってまいりまして肌でその厳しさを感じているところでございまして、今後とも海上保安庁の業務が的確に推進できまするよう最大限努力したいと思っております。  そこで、今、山下先生の御指摘なんでありますけれども、やはり船も二十年あるいは飛行機も二十年というように結構もつものですから、我慢をしながらという部面もございますけれども、今度は四十ノットだとか五十ノットの取り締まり艇を新たに配備していただくやら、鋭意いろいろやらせてもらっておりますので、逐次そういった形で進めていただければありがたいと思っているところでございます。
  45. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 決意のほどを聞きましたので、来年のことを言いますと鬼が笑いますが、多分また平成十一年度も補正予算なんかが出るんではないかなと思ったりしますので、とにかく海洋国にふさわしいような状況を一刻も早くつくっていただくよう努力していただきたいと思います。もうお帰りになっていただいても結構でございます。ありがとうございました。  地方税制の改正で、政策減税でございますけれども、どちらかといいますと環境に優しいこのような政策減税が今回打ち出されました。  低燃費車、低公害車に係る自動車取得税の特例ということで、一定の燃費基準を満たした低燃費車には価格から三十万円控除する、あるいは電気自動車、天然ガス車、メタノール車、ハイブリッド自動車なんかについては現行の二・四から二・七%、軽減するとか、あるいはハイブリッド自動車の乗用車につきましては二・〇が二・二%、軽減される。私は大変すばらしいいいことだというふうに思っているわけでございます。特に、昨今、環境対策というのは大変やかましいわけでございますし、その環境対策がある意味では盛り込まれているというふうにも私は理解しております。  地球環境の保全の点からもこれからますます低公害車は重要になってくるわけでございますし、自動車関係税はある意味ではこれとは矛盾するんですけれども、地方団体にとっては貴重な財源でもあるわけです。抜本的な税の軽減策が地方税ではなかなかとりにくいと思いますが、まず今回の改正によりまして減収をどれぐらい見込んでいらっしゃるのか、ぜひ当局の方から御答弁をいただきたいと思います。
  46. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 御質問にございましたように、低公害車等の取得に係ります自動車取得税につきましては、平成十一年度の税制改正におきまして軽減措置の拡充でありますとかあるいは価格から一定額を控除するといった特例措置を創設することにいたしたわけでございますけれども、この特例措置によります減収額は約百億円と見込んでいるところでございます。
  47. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 この減収額は、具体的には交付税で裏打ちされるんでしょうか。
  48. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) この減分につきましては、交付税によって補てんされることに相なります。
  49. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 百億ですから、そんな大きな額でもないわけですが。  これは大臣の御答弁の方がいいのかもわかりませんが、今回、環境庁でも検討するため研究会の設置を決めました。これは何かといいますと、東京都でも、低排気ガス自動車の税金を軽減しまして、減収分を、登録後十年以上たった自動車に一〇%ですけれども増税をする、そういう内容の条例が提案されたようでございます。これについて、今申し上げましたように、環境庁も研究会の設置を決めたようなんです。これは大変ある意味では思い切ったことでいいと思うんです。ただ、東京都だけが個別の自治体として対応しても、よそからどんどん都内にも車は流入してくるわけでございますから、私はそんなに大きな効果はないと思うんです。そういうことを考えますと、ある意味では環境対策もございますし、今の時代に大変合っているのではないかなというような気もいたしているんです。  東京都では九九年度から二〇〇一年度、一応この三年間については、指定された低公害車に三〇%から五〇%の税の減額をする、そして新車登録から十年を超える車については現行の税に一〇%を上乗せするということです。ですから私は、環境庁もそういう研究会を発足させたというようなことを考えますと、自治省としても真剣に考えてもいいのではないかと思いますが、このような取り組みについていかが感じるでしょうか。
  50. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、東京都が導入を予定しております条例の内容は二つから成り立っておるようでありまして、一つは、平成十二年度から十六年度までにおける電気自動車などの一定の低公害車に対する不均一課税による軽減。それからいま一つは、平成十三年度から平成十六年度までにおける今度は超過課税、つまり車齢十年超の車は現行よりも一〇%重くしよう、この二つから組み立てられておるようでございます。  それで、現在地方税法では、不均一課税ということについては、一般の税率と異なる税率で課税することが必要のある場合にはできるんだと。その必要がある場合というのは、公益上その他の事由、こういうことになっているわけであります。一方で超過課税の方は、財政上の特別の必要がある場合、こういうことで、そういう場合には標準税率を超える税率で課税することができる、こうなっております。いずれにしても、不均一課税も超過課税も、地方税法上、地方団体の課税権の行使として認められておるわけであります。具体的に、どのやり方、どういうものを対象にということについては、これはまさに自治体自身の判断にゆだねられておるというのが実態でございます。  今御指摘のような、このやり方をより一般に広げるということはどうかということなんですが、このことについて、この前の参議院の予算委員会で民主党の広中議員から逆の問題提起がございまして、ともかくアメリカでは長く使うということが大事だから、長く使っておる自動車については逆に自動車税を軽減するという方向で考えたらどうなんだと。これはこれで、同じ環境問題でもどっちの環境問題に力点を置くか、省資源なりなんなりというところに力点を置くのかあるいはそういう排気ガス等々ということに力点を置くのかなどによって異なった物の考え方が出てこようかと思います。  そういう点で、まだこの点について画一的に云々と言うことはなかなか難しいのかなというふうに考えておりますが、いずれにせよ、これは先ほども申し上げましたとおり、それぞれの自治体において御検討いただいて、いずれもその判断で実施可能な制度に今はなっておるということは申し上げておきたいと思います。
  51. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに、長く使って資源を大切にする、このことも一方では大変重要なことは事実だと思います。  アメリカが今例に出たんですけれども、日本の軽油引取税とアメリカの税は全く逆でございまして、日本は、ガソリンについては高くて軽油が思い切って安くなっていると。アメリカは、少しでも排気ガスその他、環境のことを考えて、軽油は高くてガソリンが思い切って安くなっている、こういうこともあろうかと思うんです。  ただ、これを今日本で一気に変えろと言っても、それこそ運送業者、バス事業者初め、そう簡単に転換はできないということも私は理解できるわけでございます。やはり環境に優しい自動車については税制面から思い切って軽減していく、そういう中から今度は軽油引取税なんかもまた変えていくという環境ができてくると思うんです。  そういうことで、ぜひお願いしたいなと思うんですが、私がこれで一番心配しますのは、東京都だけが行っても、あるいは日本で数県このような条例をつくって施行いたしましても、あくまでも条例なものですから、何で超過課税一〇%を私は納めないといかぬのだといってまた住民訴訟のようなものなんかも起きてくる危険性はかなり高いのではないか、日本国民は大勢いらっしゃいますので。この条例に対して訴訟をやってはいけないということにはなりませんので、そういうややこしいことが起きてくるのならうちの県はやめたとか、そういうことにもなってきますので、私は逆にこういうのは法制化の検討をした方がいいのではないか、そのために環境庁とは違った立場から研究会を発足させてもいいのではないかというような気がいたしているわけです。そういうお考えはございませんでしょうか。
  52. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 制度として今回、先ほどもちょっとお触れになりましたが、環境という側面から、自動車取得税ということについては東京都とか云々ということじゃなくて、国全体としてまさに地方税法を改正するということにおいて対応するということが行われたわけであります。  それで、自動車税ということについては、今申し上げましたとおり、制度としては不均一課税あるいは超過課税、それぞれ独自に御判断をいただいて可能であるということで、今のところ対応可能ということになっておるんです。  問題は、どういう税の制度というよりも、その対策をどういう具体的なやり方でやるかということの方が、さっき申し上げましたとおり、環境対策というのはどこに力点を置くということによって中身が変わってくるので、私は、今まで毎年毎年税制改正の中で必要な政策税制については、主として国税の世界ではありますけれども、極力そういう政策税制は地方税の世界ではなくて国税の世界でやるべきだという基本線はありますものの、それでも、実効を上げるために地方税においても毎年度税制改正の中で必要な政策税制については手当てをしてきているというふうにも考えております。  そういう点で、政策問題として、手法としてどういうやり方をするのが適当なのかということがまず決まってくれないと、税制としてそれを受けるか受けないかというにはなかなか難しい問題があるんじゃないか。特に、今の保有の長さに応じて課税を強化せよというのか、あるいは軽減せよというのかということで全く逆方向の話になっているものですから、まずそのあたりが、きちんと対応の方が決まってこないとやりにくいんではないかなというふうには考えております。
  53. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 時間がございませんので、次に移らせていただきたいと思います。  大臣は、就任時におきますインタビューの中で、市町村合併の問題で、地方自治体の規模につきまして小選挙区三百が一つのイメージ、人口三十万人を軸に少なくとも十五万人以上にすべきであるというような発言をなさったわけでございます。大臣が所属いたしております自由党の小沢党首も、自治体数は三百が理想、このような発言があったと私自身は理解をいたしているわけです。  現在、特に二〇〇〇年四月から介護が始まるとか、あるいは消防とかごみとか、確かにいろいろな意味で広域市町村行政が多く行われていますことは私自身も十分理解はしているわけでございますが、三百ぐらいの自治体一つのイメージというのは、どのようなところからそういう発想をなさっていらっしゃるんでしょうか。
  54. 野田毅

    国務大臣野田毅君) かつて三百諸侯ということが明治前はあったわけですね。別に三百ということが具体的に何らかの根拠があってということじゃないんですが、少なくとも現在の三千三百という数は多いのではないかということ。  それからいま一つは、基礎的自治体というものをどうとらえるか。特に、住民に身近なことをより住民に身近な基礎的自治体責任を持って行政サービスを展開するという、それの担い手としてのいわば規模などを考えた場合に、やはり余りにも数が少ない自治体ではその任が重過ぎるという要素も実はある。そういったところから、おおよそそういう基礎的な自治体としての行政の受け皿としての数がやれ約三十万だ、何十万だとかいうような議論が実際問題いろいろなところで行われているわけであります。  そういう点で、コミュニティーとしての自治体という存在と行政単位としての組織、その辺をどういうふうにとらえるかということもあわせて検討していかなければならぬのじゃないか。  したがって、地域的なコミュニティーを最優先して、それを基礎的自治体としてとらえるということであればもっとたくさんの自治体が必要になるのかもしれないが、少なくとも行政サービスを担っていく、しかも財政的な背景も担っていくんだ、そして、必要な行政について単に地域格差を独自性自主性だということでは済まされないような基礎的なサービス、高度なサービスというのはやっぱりどんどん広がってきているということを考えた場合に、その受け皿としてそれくらいなのかねというのが漠然とした話でありました。  それから、自由党ということもお話があったんですが、実はそれに先立つ新進党時代にも同じような三百ということでありまして、新進党時代に参加しておられた方々は、今日公明党におられる先生方、民主党におられる先生方、いずれも一緒に議論をして、これをみんなで決めた経緯があるということはあわせて蛇足ながら申し上げておきたいとは思います。  別に、それを押しつけようとかいうことじゃなくて、ただ大事なのは、数が先にあるのではなくて、あくまで、なぜこういうことを言うかというと、何もしないで今のままで自治体の能力を強化しろといったって、なかなか実際問題百年河清を待つことになるんじゃないんでしょうか。そういった中からおおよその方向性なりという一つの形であると思っています。今すぐそれをターゲットにしてというわけには、なかなかそれはいかないだろうとは考えております。
  55. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今の御答弁をお聞きしまして、多少は安心したわけでございますが、仮に三百といいますと、今の衆議院小選挙区の広さかな。そうしますと、岐阜県は五つの選挙区でございますから、五つの行政区かなというふうにイメージができるんです。五つの行政区を持って、それに岐阜県という県が要るだろうかということになっては、五つぐらいの行政区は、県知事さんには申しわけないけれども、もう県は要らないのではないかというような感じもいたします。そういたしますと、道州制かなと。道州制にしたらどうした方がいいんだなというようなことも、どんどんイメージが変わってくるわけです。  それで私は、たしか三千三百というこの自治体も大変多過ぎます。岐阜県も九十九の自治体がありますから、九十九の市町村長さんが陳情に来られるというのと、五つの首長さんが陳情に来られるのと仕事量も随分違いますよ、正直言いまして。そういう点では多いなということはありますけれども、やはり一番大切なことは地域住民が本当に今の行政区ではだめなんだ、もっと合併した方がいいんだと、こういうようなものが起きてきて初めてこれは成功することだろうというふうに思います。  時間が余りありませんし、また地方分権推進法で議論できると思いますので多くを申し上げませんが、昨年の秋の臨時国会で、一つは、今、五万以上は市になれる、五万以上は。町並みとか、いろいろ条件がございますよ。それは時限立法で一応四年に今してあるんですが、私は、市になる条件はあっても、一たん市になってしまいますと、人口が三万になろうと、極端な言い方をすれば一万になろうと、今度は町にはならなくて済むんですね。そちらの方を少し変えて、例えば三万以上なら三万以上は市にいたしますよと。ただし、三万の人口を割ったら、三年か五年かは別にしまして、かなり三年か五年ぐらいの猶予期間を置いて、もしその間に人口が三万にならなかった場合は町になりますよ、こんなようなことをしますと、市から町になるのは何となく田舎臭くて、地域住民自身も燃えまして、また合併しようかというようなことになってきますと、三千三百も、ある意味では二千ぐらいには比較的早く住民からの盛り上がりでなるんではないかなというような気もいたします。  もう時間になりましたから、きょうはやめてしまいますけれども、ぜひこの問題については地方分権推進法で大いに議論したいと思いますので、そのときにはどうぞよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  56. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。  私は、限られた時間におきまして順次質問をいたしてまいりますので、よろしくお願いいたします。  まず、警察官の増員につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。  日ごろ、警察官におきましては、国民の生命そしてまた財産を守るために御尽力をいただきまして感謝を申し上げる次第でございます。先ほど釜本委員からも警察関係の点につきまして犯罪等々含めまして質問がなされておりますけれども、非常に昨今、人口の増加そして都市化の進展、社会情勢の変化を反映して警察事象は量的に増加しているのではないでしょうか。質的にも凶悪化あるいは広域化しているものと思われます。警察に対する要望も昨今複雑多様化し、大変になってきているものとお聞きをいたしております。私の家の隣は待機宿舎なものですから、よく警察関係については知り尽くしております。  そこで、人口の増加、犯罪の増加で警察官の負担が重くなっているのが現状だろうと思いますが、これをどう分析しておるのか、まずお聞きをしてまいりたいと思います。
  57. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 近年の治安情勢を見てまいりますと、いわゆる地下鉄サリン事件のような過去に例を見ない凶悪事件の発生、あるいはまた来日外国人犯罪、銃器使用凶悪事件等の増加に象徴されますように、世界一安全と言われてきた我が国の治安基盤が揺らぎつつあるような状況にあります。警察庁といたしましては、こうした厳しさを増す犯罪情勢に対応するために、平成八年度及び九年度におきまして合わせて約五千人の増員を行いまして、交番における市民安全サービス、あるいはまたけん銃犯罪捜査、科学捜査、金融不良債権関連事案捜査及び来日外国人犯罪捜査等を行う体制の強化を図ってきているところでございます。  特に、こうした犯罪の予防、取り締まり等に当たる警察官の負担という点では、御指摘の埼玉県のように人口や犯罪が急増している地域におきましては非常に高くなっているところでありまして、こうした観点からも警察力の充実強化は現下の喫緊の課題である、かように認識をしているところでございます。
  58. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 そこで、警察官の増員についてであります。現在、社会情勢が行革あるいはリストラ、人員削減が叫ばれている中で、反面、増員を申し上げるのは心苦しいものがありますけれども、ただいま御答弁ありましたように、これまで私は、埼玉県の警察官の負担人口割合が全国一の中で、増員すべきと主張してきた一人であります。おかげさまで平成八年に四百五十人増員させていただきました。また平成九年には百二十六名増員させていただきました。これまた厚く御礼を申し上げたいと思います。平成七年では警察官一人当たりの負担人口は八百三十人と非常に強烈でございました。現在は全国平均五百五十三人でございます。埼玉は七百八十九人でございます。  警察官の定員については、御案内のとおり政令で定めているものが基準でございますけれども、従わなければならない。勝手に地方で決めるわけにはまいりませんので、内部で努力をしているのが現状だろうと思います。  埼玉におきましてもいろいろ内部では、交番相談員とかあるいは退職者の活用とか、交通、人身の関係とか、大分努力をさせていただいておりますけれども、交番へ行ってもまた駐在所へ行ってもお巡りさんがいないという現状等をとらえた中で、私はやっぱり警察官についてはどうしても増員をすべきという考え方に立ちましてお聞きをしたいと思います。
  59. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) ただいま委員から埼玉県の現状につきましてるる御説明がございましたけれども、まことにそのとおりでございまして、埼玉県警の方からもなお増員ということでの強い要望も受けているところでございます。  しかし一方におきまして、現在政府を挙げて国政上の最重要課題である行政改革推進に取り組んでいるところでありまして、また厳しい財政状況等諸般の事情にかんがみ、平成十一年度における地方警察官の増員というものにつきましては見送ることといたしたところであります。なお、都市部の拠点交番等におけるいわゆる空き交番の解消を図るために退職警察官等の活用による交番相談員を大幅に増員することといたしまして、平成十一年度地方財政計画におきましても五百七十人の増員に係る経費が計上されたところであります。  警察といたしましては、今後とも必要な警察体制整備につきまして引き続き十分に検討してまいるとともに、徹底した組織の合理化と質的向上を通じて警察力の充実強化を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。
  60. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ありがとうございました。  警察官、お巡りさんも余りにも忙しくて結婚もできないようでは困りますので、仕事の量も過労で倒れるようでは、病院へ行くようでは困りますので、ぜひこれらについての増員方を要望させていただきたいと思っております。お願いいたします。  次に、消防団員の確保につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  この件につきましては、先日も鎌田先生の方からも御質問いただいておりますけれども、これまた生命、財産を守るための団員の皆様方でございますので、団員の皆様方の立場に立ちまして何点かお聞かせを賜りたいと思います。  団員数も年々減少してきております。先日、NHKテレビで栃木県の消防団員のことが放映されておりました。市町村でPR費用ということで五百万円を拠出するという点が報道されておりました。私もこれまで、地元の消防団の点検等が春、秋と行われますけれども、しばしばお邪魔をいたしましてごあいさつ等も行っている一人でございますけれども、団員数が平成元年には百万二千三百七十一人おったわけですが、年々減少しておりまして、平成十年には九十六万二千六百二十五人ということでございまして、非常に減ってきております。平均年齢も昭和六十一年のときは三十四・六歳でしたけれども、平成十年には三十六・四歳ということで、平均年齢も上がってきているということでございます。就業形態もサラリーマンがふえてきている状況でございますので、非常にこの関係等については自営業者が逆に減ってきてサラリーマンがふえてきたと。  こういう状況下をとらえた中で非常に憂えるものは、私は消防団員の現状をもっとしっかりととらえてやっていく必要があるのではないか、もう一つは消防団員確保の具体的な方策についてはどうとらえておるのか、この辺についてお聞かせを賜りたいと思います。
  61. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 消防団の現状につきましては、今、先生からるるお話があったとおりと私ども認識をいたしております。  消防団は、地域におきます消防、防災の中核ということで、通常の火災時における消火活動はもとよりでございますが、やはり地震、風水害等の大規模災害時の諸活動、さらには日常の火災予防といった啓発活動にも大変大きな役割を果たしてきていただいた。ただ、先生からお話がございましたようないろんな、団員の減少あるいは高齢化、サラリーマン団員の増加というようなことで消防団活動が円滑に行えないようなそうした一面も現実に出てきていることは事実でございます。  やはり団員の確保という観点から申し上げれば、消防団自体を魅力あるものにする、消防団活動を魅力あるものにしていくということが必要でございますので、私どもの立場といたしましては、消防団関係の施設整備、そうしたものについての充実を図ることとか、あるいは消防団員の報酬あるいは出動手当、そうしたいわゆる処遇改善ということも進めていかなければいけないというふうに感じておりますけれども、それと同時に、先生から今御指摘もございましたような消防団のPRといいますか、そういう広報活動にも重点を置いていかなければいけないということで、これまでも地域住民あるいは地域企業等に対して消防団への参加あるいは消防団活動への理解と協力というようなものを求めるための呼びかけをいろいろな広報手段を使ってやってきております。  これは、先ほど栃木の例がございましたけれども、各都道府県、市町村、それから消防関係団体においてもそうしたいわゆる広報活動はやってきておりますので、私ども、今後ともそうした施設整備あるいは処遇改善と並んで、そうした広報事業につきましても、いろんな内容について工夫を凝らしながら、できる限り消防団への御理解を深めるように努めていかなければならない、かように考えております。
  62. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 私は、やっぱり消防署だけでは大災害の場合について対応できないと思います。団員の協力が必要だろうと思いますので、ただいま答弁にもございましたように、魅力を持たせる、あるいは施設整備とか処遇改善等はもう欠かせないと思うんです。やっぱり報酬等も考えていかないといけないと思うんです。あと福利厚生の関係もやはり考えていかないと団員が集まらないですから、この辺を私は強調しておきたいと思っております。  また、地域においては、操作訓練、点検競技等も大変な重荷だということもお聞きをいたしておりますので、この辺についてもぜひ考えていく必要があるんではないかと思います。  ひとつよろしくお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕
  63. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 消防操法といいますか、そうしたものは、都道府県レベルの大会とかあるいは全国レベルの大会に向けて訓練が行われておるわけですけれども、一部の団員にはやっぱりそうした大会に向けての訓練ということで過剰な負担になるとか、あるいは若い団員の中では余りにも形式的過ぎてやはり問題があるんではないか、こんな御意見が出ていることも事実でございます。  私どもとしては、その消防操法というのはやっぱり消防団員として基本的な技術を習得するために欠かせない訓練である、そういう必要な訓練であるというふうには考えておりますけれども、そうしたいろんな方面の消防操法に対する御意見等も十分踏まえまして、全国大会を主催している日本消防協会というような関係団体とも十分意見交換をしながら、その操法のあり方というものについてはこれから検討していきたいというふうに考えております。
  64. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ありがとうございました。  次に、ホームレス問題について伺います。  今国会でも予算委員会等でこの問題が取り上げられたようですが、ホームレスという定義は国として特段ないようでありますけれども、各自治体の呼称が非常にまちまちでございます。東京都におきましては路上生活者、横浜市においては屋外生活者、川崎市においては野宿生活者、名古屋市においては住所不定者、大阪市は野宿生活者、こういうことで非常に呼称がまちまちなようでございます。  二月十二日、三月九日、連絡会議等が持たれ、いよいよ取り組みが開始されたということをお聞きいたしておりますけれども、その中でこの夏までには結論を一定程度出したいということを承っておるところであります。  そこで、このホームレスの問題対策会議では各自治体から具体的な要望が出されたと思いますけれども、その具体的内容と、それに対する取り組みについてお聞かせを賜りたいと思います。
  65. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 具体的な内容でございますので私の方からお答えをさせていただきます。  昨今の雇用状況等を反映いたしましてホームレス数が増加しているという現状のもとで、関係地方団体は大変な御苦労をされておりまして、一時的な宿泊施設の確保、提供、健康診断、それから自立支援のための相談業務、道路清掃事業等就労機会の提供、あるいは越年対策、場合によっては毛布の提供といったこともあるわけでございますが、そのようなさまざまな取り組みを実施しておられる状況をお聞かせいただきました。そうした自治体取り組みを踏まえまして政府としての抜本的、総合的な対策をお願いしたい、そういう形で私どもは地方団体からの要望を承った次第でございます。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕
  66. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 この問題につきましては小渕総理も重視をいたしておりまして、既にホームレス問題等についてなお一層の推進方も指示をしたということを承っております。  そういう中で、閣僚会議等でも二月五日に出されておるということの中で、この対策会議中央省庁の関係では、内閣官房内閣内政審議室長、そして厚生省社会・援護局長、労働省職業安定局長警察庁生活安全局長、建設省大臣官房総務審議官自治省大臣官房総務審議官、お偉い方々がずっと並んでおりますけれども、対策会議の座長はどなたがやられているんですか。
  67. 樋口正昇

    説明員(樋口正昇君) ホームレス問題連絡会議につきましては、内閣内政審議室の協力のもと、厚生省、労働省が中心となって事務局を務めております。連絡会議という性格上、特に座長を決めているわけではございませんけれども、強いて申し上げれば、事務局として厚生省の社会・援護局長会議の進行役を務めさせていただいております。
  68. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 厚生省の方が仕切り役ということでありますが、私があえてこの座長ということをここで御質問させていただいたのは、先般このホームレス問題を取り上げるというときに、座長はどなたがやっているのか、立派な方々がここに並んでいる中でだれもわからなかった。そういう状況の中で、この問題について本当に真剣に取り組んでいるのかということで私の胸を打つものがありましたので、あえて仕切り役、座長はどなたかということを質問させていただいたところでございますので、ぜひひとつその点御了解をいただきたいと思います。  対策会議では大都市のホームレス数について報告がなされておりますが、これを見ますと大都市で一万四千九百三人に五都市の合計でなっておりますが、このホームレスの問題は五都市ばかりではないと思います。埼玉県の中でも大宮市を中心といたしまして三十数名おります。私の越谷市にもいます。やっぱり全国的にこのホームレス問題はふえているものと思っておりますので、ホームレスの実態につきましては都道府県ごとに調査をすべきであると私は思いますが、いかがですか。
  69. 樋口正昇

    説明員(樋口正昇君) 昨今のホームレスの増加傾向はとりわけ大都市におきまして顕著でございますので、その中でも特に増加を見ております東京都、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市に連絡会議に御参加いただいているわけでございます。ただ、先生御指摘のように、その他の指定都市、中核市など大都市におきましてもそのような問題が多発しているわけでございまして、現在私どもの方でホームレスのそれぞれの都市におきます人数把握、それからそういったホームレスの方々に対します施策現状に対します調査を実施させていただいているところでございます。  私どもといたしましては、これらの調査で得られました結果も踏まえまして、今後の具体的な施策の検討に反映させていきたいというぐあいに考えております。
  70. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ぜひ私は全国的に調査をしてほしいということでございますので、要望させていただきます。  ホームレス問題は、それぞれ今日に至ったさまざまな事情があると私は思います。せんじ詰めればバブル崩壊の犠牲者でもあるのかな、こんな気も私は持つものであります。また反面、さまざまな形で日々を過ごされておりますので、多くの問題を抱えていると思われます。雇用の問題あるいは就労意欲がない人も私はあろうかと思うんです。この辺についてどう把握をするかということは非常に難しいものがあろうかと思いますけれども、ホームレスの問題はやっぱり国の責任で解決すべきだと私は思うんです。地方自治体は今困っています。この辺についてどうですか、自治大臣、よろしくお願いします。
  71. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 実際なかなか難しい問題でして、この問題解決の責任をどちらが負うかという押しつけ合いをしてみても始まらぬと率直に言って思います。  究極的には、今お話しありましたように、実は御本人自身の部分が相当程度あるわけで、やはり言うならば社会生活から逃避したいとか、経済関係で我が家にいない方がいいとか、勤労意欲そのものがないとか、あるいは勤労意欲はあるが職がないとか、ともかくさまざまな、お一人お一人によって人生行路が異なってきてそういう状況になっているということを思うと、これを根本的に解決するというのは率直に言ってなかなか大変だと。  そこで、いろんな工夫を自治体がおやりいただいて、ある種のパンを配ったりいろんなことをおやりいただいたこともあるようですが、そうすると逆にほかの地域からもどんどん集まってくるというようなこともあって、根本解決にはなかなかならない。率直に言って自治体でも頭を痛めているというのが実情だと思っています。そういう点で、自治体が独自にそれなりに頭を痛めながらやっておられることによって財政的な面で負担が増嵩してくるというような場合には、それらの財政的な支援自治省としてバックアップしていくという措置は個別に対応しておるようでございます。  率直に言って、抜本解決策があれば一番いいんだけれども、しかし、そうかといって全くあきらめてしまうわけにはいかないというので、今御指摘のとおりの連絡会議関係省庁でやっておるわけでございまして、相談をしながら、またよき知恵があればぜひおかしいただきたい、そういう中で対応してまいりたいと思います。
  72. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ひとつよろしく大臣にもお願いを申し上げます。  最後の質問になると思うんですが、第三セクターの問題であります。  この第三セクターが現在非常に経済危機に陥っておりまして、官民が共同で事業を行う第三セクターが経営危機に直面している状況であります。多くの事業で累積債務が膨らんでいる上、国や地方自治体の財政悪化、さまざまなプロジェクトに資金を投じている金融機関の経営の悪化など、事業を取り巻く環境が激変をきわめております。財政悪化の中で多くの自治体事業の継続、処理に苦闘しているのが現状でございます。  そこで、第三セクターの経営面での深刻な状況に直面している実情について御説明をお願いしたいと思います。
  73. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 第三セクターの経営状況についてのお尋ねでございます。  現在、第三セクターは九千三百ほどございますが、それぞれ経営状況というか事業内容が異なりまして事情は全然違うわけでありますけれども、全般的に申し上げますと、経営環境が変化いたしまして厳しい状況に直面いたしておりまして、一部の第三セクターでは赤字の累積等によりまして経営そのもの、セクターの存続そのものが深刻化しているようなケースもあるというふうに考えております。  私ども、こういった中で、第三セクターの運営そのものが地方財政へ影響を及ぼすようなことがあってはいけないということで、地方団体に対しましてその経営指導というのを指導いたしておりますけれども、特に昨今の状況を踏まえまして、新しい経営指導のための指針をお示しして、地方団体による第三セクターへの指導監督を徹底していただきたい、このように考えて準備をいたしておるところでございます。
  74. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 時間の関係ですが、非常に地方公共団体の一部事務組合で出しているセクターが経済危機そのものでございますので、ぜひこれらについてはよく把握をしていただきたいと私は思っています。将来の財政への悪影響を十分考慮して早急に対応すべきところはしないと私は大変な事態になると思いますので、大臣から一言お願いします。
  75. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、第三セクターに対して、やはりその経営の内容を把握して的確な対応をしていかなければならぬというのは御指摘のとおりでございます。特に経営内容についての全般的な見直し、あるいは積極的に運営改善に努めていく、あるいは給与改善、経営改善の可能性のないものについて事業の存続そのものの検討を行う。先ほど御指摘もございましたが、給与面における問題だとかさまざまな問題も抱えておると思います。  そういう意味で、ともかく九千三百ほどあるようでありまして、また中身そのものが、第三セクターの形が地方団体のかかわり方が内容によって異なっているというところもあってなかなか画一的なやり方は困難かとは思うんですけれども、それぞれに適合した対応策を考えていかなければならぬ、そのように各自治体地方団体においても指導監督を強化してもらいたい、そのように考えております。御趣旨のとおりで、努力をしてまいりたいと思います。
  76. 藤井俊男

    ○藤井俊男君 ありがとうございました。
  77. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。若干質問をさせていただきます。  まず第一に、地方債に関連してでございますけれども、国債もたくさん発行されるということもございまして、いろんな要因が絡みますが、長期金利が上昇してきているということがあります。そういう状況の中で、地方債の消化というものもかなり厳しくなってきているのではないか。先般、同僚の白浜委員から、市場公募債について格付に関連しての質問がございましたけれども、縁故の地方債においても大変難しい状況があるのではないか。  そういうことを含めまして、どのような発行の努力をしているか、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  78. 野田毅

    国務大臣野田毅君) つい先ごろまでの国債の金利が上がりぎみである、あるいは長期債の金利が上がりぎみであるということで御心配を各方面でいただいてきたんですが、このほどどうやら本質的な形の、悪い形での動きではなくて、少し鎮静化しておるということでほっとしておるのはそのとおりです。  いずれにせよ、これから経営危機が本格的に立ち直っていくというようなことがはっきりいたしますということになれば、全体的に長期金利が上がりぎみになっていくであろうということは、これはやっぱり避けがたいことだろうというふうには思います。そういった場合に、将来地方債についてもそういうことも頭に置かなきゃならぬのじゃないかということは、大体御指摘のようなことは当然考えておかなきゃならぬとは思います。  それから、地方債の安定的な消化をどうやっていくのかということについての今お話でありますが、特に地方債は御承知のとおりいろんな形のものがあって、その中で、市場から資金調達を直接やりますいわゆる市場公募の地方債、これは現時点において各自治体や市場関係者からその消化に特段の支障が生ずる見込みとは伺ってはおらない状況であります。  いずれにしても、地方債の発行に当たりましては、安定的な消化を図るということと、それから発行条件の向上を図るために従来より流通性の向上についてさまざまな努力をしてきたところでございます。具体的に申しますと、一回当たりの発行額の引き上げや、満期一括償還方式の導入などを図るとともに、平成五年度には銀行などの自己資本比率規制、いわゆるBIS規制にかかわる地方債のリスクウエートを国債と同様にゼロ%に引き下げたということでございます。  今後、金融制度改革の進展に伴いまして地方債の発行をめぐる環境も大きく変化することも考えられるわけでございます。そういう点で、このような市場の動向やニーズにも十分留意しながら、地方債の流通性の向上に向けて、償還年限の多様化を含めさらに幅広く検討してまいりたいと考えております。
  79. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 発行期間の多様化でありますとかあるいは発行時期の平準化とか、いろいろ努力をしておられると思いますけれども、先般、埼玉県ですか、十五年物の縁故債発行断念というのが、百五十億でございますけれども、報道されております。今月の九日に断念したという報道でございますけれども、一たん昨年の十二月に発行を延期した、その後いろいろシンジケート団と折衝をしているけれども折り合わずに断念せざるを得なかった、もう低金利を活用する意味合いが薄れてしまったと、こういうような報道がなされております。  いろいろ努力をされていることは今御答弁ございましたけれども、この発行断念というものを自治大臣はどのように見ておられるのでしょうか。
  80. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今、委員がお挙げになりました埼玉のお話も私どもも伺っております。基本的にシ団との話し合いの中で今の期間の問題について折り合いがつかなかったようでございまして、その結果、その発行の仕方は断念したけれども、もともとの十年物で考えていくということになったようでございます。別のところで、今度は福岡県で五年物で出したいという話で、これはまとまったというふうなこともあったりいたしまして、いずれも各団体でそれぞれ今の状況をにらみながらいろいろな形の多様化を検討しておるようでございます。  私ども、そういう話をできるだけ実情を把握しながら、私どもなりに検討して、また支援できるところは支援していきたいというふうに思っております。
  81. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、この地方債発行に関して、地方団体状況がよくわからないとかいろいろ言われております。情報公開とかいうようなこともあるわけでございますけれども、民間の会社が社債を発行する場合は、当然有価証券報告書とかいろいろあるわけでございまして、いろんな今後の地方分権地方行政改革等を考えていくと、やはりもう地方団体においても損益計算書あるいは貸借対照表というものをきっちりやって、それをしっかり投資家みんなに見ていただくということが大事ではないか。  民間会社が銀行からお金を借りるんでも、五期分、三期分計算書を持っていらっしゃいというのが普通であるわけであって、例えば銀行でもそうなんですから、シンジケート団からしてみても同じではないか。ましていわんや、今危機宣言を自治体がやっているという状況になれば、本当にリスクゼロというようなことを言ってもなかなか民間は信用できないのではないかというふうに思うわけで、これは大きな改革に私はなると思いますけれども、その方向性についての大臣の見通しというか、御所見を賜りたいと思います。
  82. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、それぞれ市場から特に資金調達をしようというようなことになりますと市場におけるチェックを受けるのは当然のことでありますし、そのチェックの受け方が、言うなら情報公開といいますか、財政に関する一つのそういう意味でのチェックを受けていくわけであります。  現段階では、御案内のとおり地方債については許可制度ということがあり、そういう意味で償還財源について交付税なり地方税なり、ある種の担保措置というかそういったことが背景にある。そういう中で、完全に、全く国とは独立して一〇〇%自己責任の世界ではないということが一つの背景になっている。そういったことがリスクウエートゼロであるということの背景でもあったりというのが今日の姿だと思います。  しかし、これから先の展望を考えますと、まさに地方分権に向けて役割の分担とともに財政面においても自主性自立性を高めていくという方向にどんどんなっていく。自己責任がより強くなっていくということになれば、おのずから各自治体個体間の努力の格差ということがある意味で反映されていくというような形になっていくのは必然だし、それはある意味ではいいことだと。それが言うならみずからに対する自己規律をより強化していくということに作用していくと。方向性としてはそっちへ向かっていくんではないか。そうであれば、それにたえ得る形のものをしっかりとつくっていくということも大事なことだ、そのように考えます。
  83. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の御答弁で、要するに貸借対照表あるいは損益計算書というような形でかえていく、そういう方向で答弁いただいたというふうに認識してよろしいんでしょうか。
  84. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 流れとして市場におけるチェックを受けていくだろう。そのチェックの受け方として、より透明度の高い形での、また説得力のあるそういった財政力なり財政規律なりというものをあらわしていくような指標というものを要請されるだろうということはそのとおりだと申し上げたんですが、具体的な手法として、民間企業がやっているような形におけるPLなりBSなり、そういうようなやり方が果たして可能なのかどうかということはもう少し、やはりそこは財政と通常の企業会計とはおのずから質的に異なる部分もあるわけで、そういった点では多少まだこれから技術的に、そういう貸借対照表なり複式簿記なり、できるだけそういった発想法をも取り入れながら、実際の行政にふさわしい財務諸表の作成ということは十分検討していかなければならないというふうに思います。
  85. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先進国ではBSあるいはPLの方式を採用していないのは我が国だけだというような状況だと私は認識をしておりまして、ぜひそういう方向性で真剣に検討をしていただきたいというふうに思います。また、そういうふうにすべきだという運動も起きつつあると私は認識をしておりますので、よろしくお願いをいたします。  さて、昨年の質問のときに高利の地方債の繰り上げ償還ということを、大合唱とまではいかないと思いますが、取り上げさせていただきました。  今般、若干それが実現をするようでございますけれども、繰り上げ償還をしますと何か一定のものを除いて政府資金の新規の貸し付けというものは三年間停止だよ、そういう形のようでございますけれども、除外されているのはわかるんですが、普通の事業債といいますか、そういうものも一切だめになるということなんでしょうか。
  86. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今回、十一年度の臨時特例の措置として繰り上げ償還ということを私どもと大蔵省とか郵政省と合意したわけでありますけれども、その際に、現在の資金運用部資金法の考え方と最小限ぎりぎりの調整を図る必要があるということで、新規の貸し付けを一定期間停止するというふうなことをあわせて合意したわけであります。この場合におきましても、地方がみずからの責任じゃなくて出さなくちゃいけないようなもの、減税補てん債のようなものとか財源対策債といったようなもの、あるいは災害復旧債といったようなものがございますので、そういったようなものはもちろん例外にしないと地方団体事業支障が出るということで、具体的に七つほどの地方債をこの停止の例外ということにいたしております。  それでどのぐらいの資金量がカバーされるかということも、これも私どもなりに個別に該当団体のチェックをしておりまして、県の場合でも市の場合でも五割以上、六割近くまでそれでカバーできるものですから、今の金利の状況とかあるいは同じ公的資金で、公営企業金融公庫の資金で手当てできるものがあるといったようなことも考え合わせた場合に、そのことで関係団体事業執行に大きな支障が出るということはないだろうという見きわめをつけた上でそういう措置をとっておりまして、そういう点では関係団体の方は余り現実に大きな心配をされる必要はないんじゃないかというふうに考えております。
  87. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 一般の公共事業とかあるいは下水道事業とか、そういうようなものには余り使えないというふうに考えておるわけでございますけれども、政府は、一方で景気対策を一生懸命やってもらいたいというようなことを言っていながら、そういう部分については貸し付けはしませんよと。ちょっと何か矛盾があるように感じることと、それからこれは平成十一年度だけという形になるようでございますけれども、十二年度以降は一体どういうふうになるのかということ、二点について御答弁をいただきたいと思います。
  88. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この繰り上げ償還の措置自体は地方団体の方から非常に強い要望があって交渉して十一年度の措置としてまとめたものでございますが、この委員会でも何回か御説明いたしておりますように、他方で政府資金の場合には郵便貯金とか年金とかの原資を使った貸し付けで、貸し付けに当たって利ざやを取っていないということ。そういう性格なものですから、一般的に繰り上げ償還を認めるということになりますと財投そのものが成り立っていかないということになります。  そういう意味で、極めて例外的なものとして、特に公債費の負担の重い団体について弾力的な措置がとれないかという角度から合意したものでございまして、この合意につきましてはあくまでも私どもと関係当局の間では十一年度限りの臨時の措置ということで合意いたしておりまして、基本的には単年度のものということで御理解いただきたいというふうに思います。
  89. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それでは次に、先ほども大臣の方から財政健全化債というのが釜本理事の質問に答えて若干出ましたけれども、何か十四年ぶりに健全化債が発行されるんじゃないかというようなことが新聞に出ておりました。十二自治体が予定をしているということでございますけれども、自治省としてはどのように対応する予定でございましょうか。
  90. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 健全化債と申しますのは、団体によって特に税収落ち込みが大きいところで、いわばその年度の財政運営の区切りといいますか決算をしていく段階で、通常の地方債の充当する割合だけでなかなかいわば決算の締めをするのは苦しいというふうなケースが団体によってはございます。  そういうところについては、一定の将来の公債費の償還財源確保できる目鼻を行財政の効率化、合理化といった観点確保していただくということを前提にして、通常の充当率以上の比率で地方債の発行をしてその年度を乗り切っていこうというのが健全化債でございまして、今御案内のように大都市部中心にして税収落ち込みが大きくて財政がきつくなっているところがあるものですから、団体によってそういう希望の向きがあるところについて健全化債の発行によって対応していただこうという、いわばそういう方法を用意しておるわけでございます。今のところ、私どもの方に個別に相談があって、今の見込みでは十二団体ぐらいがこの健全化債を出したいというふうな希望を持っておられますので、そういうことで対応していきたいというふうに思っております。
  91. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 許可の基準といいますか、それはどういうものになるんでしょうか。特に各自治体行政計画などを精査して月末に発行額などを決めるというような形で報道されておりますけれども、行革推進ということで指針を出し、その辺の進捗状況も当然よく把握した上で、これだけ余りが出るなとか、そんなことをいろいろ考えながらやるわけでしょうけれども、その辺の許可基準というのはどのように理解しておけばいいんでしょうか。
  92. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 基本的には行財政上のいわば効率化を図って将来にわたって生み出される金額、それを基本にして許可をするわけでございまして、事業の適正化でありますとか、あるいは補助金のずっと継続的なカットでありますとかといったようなことが行われて、何年かにわたってこれだけの金額が生み出されてくると。片方で、その団体の行っている事業の通常の充当率を上回って出すというものですから、そのときの上回っている金額というのが片方にございますので、その金額の範囲内で生み出されてきたいわば合理化による財源の捻出額、それをベースにして許可するということでございます。
  93. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に参りたいと思います。  地方行革の件ですが、今、都知事選挙もこれからでございますけれどもいろいろ盛り上がってきているんではないかなと思っておりますが、先般、東京商工会議所がアンケート調査をしました。知事候補者に何を要望するかということで、企業の経営者二百十五人から回答を得たと。三つまで回答はいいよということでございまして、一番が行革、六七・〇%の人がまず最大にそれを取り上げたいと。その次は財政再建、その次が景気・中小企業対策。これで大体六割ぐらいが、みんな三つを選んでといった場合には取り上げられているということでございます。知事選に絡んで、本当に経営者の皆さんも、自分がリストラしながら地方自治体の行革をよく見ているというふうに私も判断するわけであります。  先般、自治省では、市区町村事務事業の外部委託というようなことについてその進捗ぐあいをお調べになったようでございますが、その結果はどんなことだったでしょうか。簡潔に御報告いただけますか。
  94. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方団体事務事業の民間委託につきましては、積極的かつ計画的に推進するように要請をしてきております。これまでの平成九年の地方行革指針においてもその旨お示ししています。  お話しの十年四月現在での民間委託の状況でございますが、一般事務の委託と公の施設の委託と二つに分けて整理をしていますが、一般事務の委託につきましては全体的に進捗を見ております。例えば本庁舎の清掃などは、都道府県では一〇〇%、市区町村でも八二%が実施している。また、一般ごみ収集など身近なものにつきましては市町村で七七%、水道メーターの検針業務などでも七五%でございますが、公立学校の給食は三七%ということでございます。  他方、公の施設の委託についてでございますが、一部委託を含めた委託率では、例えば市区町村の市民会館などでは八〇%、コミュニティーセンターでも八〇%ございますが、全部委託で見てみますと、市町村の保育所で四%、図書館三%、児童館二四%といった状況でございます。  このような民間委託の状況の背景に、特に市町村においてはばらつきが見られるわけでございますが、町村部においては地理的な条件などから適切な委託先が見出しがたいという個別の事情もございますが、そのほかに国が法令などで公務員の必置を義務づけていたり、また委託先を制限したりしている事務事業については、民間委託についてこれらの法令との調整とか適合性の問題がございます。また、そういうことでは保育所の調理員、給食などについては、今回の地方分権計画で規制が廃止ということで、昨年の四月に廃止されておりますので、今後その面での委託は進みつつあると見ております。  いずれにいたしましても、こういう事情がありますが、民間委託については行政運営の効率化、住民サービスの向上などのために積極的に取り組むように要請しているところでございます。
  95. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今御報告ございましたけれども、特に市区町村における外部委託が行革の意欲に乏しいというような新聞論評もございますけれども、平成六年における全部委託よりも平成十年に調べた方がパーセンテージが下がっているというのが若干あるんですね。ごみ処理施設でありますとか下水道終末処理施設でありますとか、あるいは都市公園、診療所、コミュニティーセンター等について委託率が下がるというのはどういうことなんでしょうか。今若干お話がありましたけれども、進まないという理由はわかったけれども、下がるという理由がよくわからぬのですが。
  96. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 今お話しの平成六年と平成十年での特に全部委託についての委託率の問題でございます。実は都市公園につきましては、前回では小さな児童公園が対象となっておりませんでしたが、今回対象にいたしておる関係で数字が下がってきております。また、コミュニティーセンターなどは設置数自身が非常にふえておりまして、そういう面で直営部分の方が全体の伸びよりも大きかったということで、五七が五六に下がっているということでございます。ごみ処理、下水道処理につきましても同じような事情があろうかと思います。
  97. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 要するに分母が大きくなったということなんだろうと思いますけれども、引き続きぜひ推進方をお願いしたいと思います。  では、次に移らせていただきまして、先ほど第三セクターの問題が先行議員の質問で取り上げられました。私も若干お聞きをしたいというふうに思っております。  景気が非常に悪い。いろんな原因を言われました。昔は住専問題が大変だと。今は金融機関、貸し渋り等がある。そしてようやく公的資金の注入というようなことが行われている。また、巷間、ゴルフ場に関連してゴルフ会員権が下がり、ここでもう大変な不良債権というか、出てくるのではないかということで騒がれました。  今は第三セクターの破綻が日本経済の足を引っ張るのではないかというような議論も出てきているようでございまして、八〇年代に民活法でありますとかリゾート法とか、いろんな形で各地方自治体が事業者のようにどんどん設立をした。しかしながら、たくさん解散とか破産とか、そういう状況に追い込まれてきているようでございまして、中には末端ユーザーに御迷惑をかけているというところもあるようであります。また地方自治体としても、この処理に当たって自分の年間予算に匹敵する、あるいはそれを上回るような負債を抱え込むという自治体もあるようでございます。このような状況につきまして、自治大臣はどのようにお考えでしょうか。
  98. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 第三セクターの経営についてのお尋ねでございますけれども、御指摘もありましたように、景気環境の変化もございまして全般的に厳しさを増しておりまして、一部には累積赤字によって経営そのものが危ないというような第三セクターもございます。  第三セクターの経営状況についてでございますけれども、御質問にもありましたように、大変その数がたくさんございますし、事業内容地方団体のかかわり方、これは民間と並んでわずかな出資を受け持っているだけというようなケースもありますれば、あるいは支配株主となっているとか実質的に地方団体だけで設立をされておるというような第三セクターもあります。  そもそも、そのような場合には地方団体責任において指導監督が行われるべきものであること、そういったことを考えておりまして、自治省が直接経営状況を把握するという形では難しゅうございますので、この点につきましては御理解いただきたいと存じますけれども、地方団体財政運営にかかわり合いを及ぼす可能性がある損失補償あるいは債務保証といった額につきましては、決算統計において地方団体ごとに総額を把握いたしておりますし、また新聞報道等を通じまして、問題が生じておる第三セクターにつきましては個別に事情を聴取するなどいたしまして、地方団体財政運営の面から必要な助言、指導をさせていただいておるという状況でございます。
  99. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この間、ある雑誌を読んでおりましたら、特集記事「自治体倒産の嵐が来る」ということで、「地に満つ憂国の情」、そういう論説がありました。鳩山由紀夫さんという方で、我が党の方ではございませんけれども、そういう論説が出ていました。  その中で、この第三セクターについても本当に憂いを持っていろいろ論文としてお書きになっておられますけれども、何でこんな危機ができたのかと。一つ地方交付税制度ではないかとかいろんな分析をなさっております。自治体がやった事業が破綻して、今度は自治体自体の財政が破綻してくるんではないか、そういうような状況の中でいろんな御提案もされております。  今まで解散とかあるいは破産とかいろんな形で事態が進行をしているようでございますけれども、株式会社もあるわけでありまして、会社更生というような形も後処理としてあろうかと思うんですが、鳩山さんの御提案では、例えば破綻処理システムというものも新たにつくってもいいんではないか、もちろん裁判所に任せるのもいいけれども、そういう破綻処理システムというのもあってもいいんではないかというような御提案もなされております。  先ほど九千三百という数字が大臣の方からございましたけれども、本当にうまくいっている第三セクターというのは少ないと思いますが、やはり備えあれば憂いなしでございます。今申し上げたような処理システムといいますか、そういうものにつきまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  100. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは国も地方もある意味では、国においては認可法人、特殊法人、いろいろあるわけです、地方においてはいわゆる第三セクター、こういう形で、今までそれなりの必要があって直接の行政主体である自治体の仕事のお手伝いを側面からサポートする。あるいは逆に、スリム化をしていく過程の中で、本体事業から外に仕事を出していくといいますか、いわばアウトソーシングをしていくといういろんな経緯があって、結果として九千三百ということになった。  今御指摘のように、経済情勢もうんと変わってきておりますし、それからニーズそのものも変わってきておると思いますから、そもそもこの種の第三セクターについて、その設置の必要性、それから時の経過、いろんな事務事業内容をしっかりと見直す、あるいは経営内容についても徹底してチェックをし直す。人件費等の問題もあるだろうし、さまざまな角度から各自治体がこれについて見直しをしてもらわなければならないことは当然のことだと思いますし、今本当に大事なテーマの一つだと認識をいたしております。  そういう点で、全部が全部だめになっているとは思いません。それなりにきちんとした責任を果たしてやっておられるところもあるようですし、あるいは役割が終わったところもあるのではないかという話もあります。  そういう点で、必要ならば統廃合を進めるなり、そういったことを各自治体においてさらに徹底してもらうように、今までも自治体に指導はしてまいっておるとは思いますが、さらにこの点はしっかりと御趣旨を体して、趣旨を徹底してまいりたいと思います。
  101. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ある新聞に、秋田県の出資法人で県の畜産開発公社というのが第三セクターの経営として紹介をされておりました。破綻したようでございます。  国と県が補助金を負担する家畜導入事業をめぐっての公社でございますけれども、空の導入、要するに買ってもいない牛を買ったことにするような空導入であるとか、あるいは二重に預託するとか、さらにはきちっと計算すべきところが減価償却を少なく見積もって資産を膨らませて見せているとか、あるいは裏金もつくっていたことが判明したとか、そういうような事態が出されてきているわけであります。  この畜産公社が破綻いたしまして、結局県が債務処理をしなきゃいけないということで、総額三十五億円負担するようでございます。昨年の十二月の県議会で約十五億の投入が決まり、またこの二月にその残余が処理されるというように記事が載っておりました。もうめちゃくちゃだなというのが私の実感でございまして、何でここまでほっておかれたのだろうかなというふうに思うわけであります。  結局そういう点は、もう県でもよく見られないということであれば、やはり情報公開というか、これが大事ではないだろうか。情報公開条例とか、今法案が審議されておりますけれども、やはり特殊法人なりいわゆる第三セクターまでしっかりいろんな部分の、特に財務諸表まで含めた、あるいはもっと細かい伝票類まで含めた情報公開が必要かというふうに思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  102. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 情報公開をやればこの第三セクター問題について、今御指摘の具体案件についてのお話が回避できたかどうかというと、私はちょっとそこのところは事実関係がよくわかりません。  ただ、一般論として言えば、特に第三セクターについての情報公開が今まで十分それぞれ地域においてなされておったかどうかについて、これは何もこの問題だけではなかったかとは思うんですが、十分やってきたと言うには遠い状況にあったのではないか。今各自治体で、それらの過去の反省に基づいて条例なりでかなり従来以上に情報公開という問題について積極的に取り組んでいるように私は認識をいたしております。  そういう点で、今、国会で審議中の情報公開法案がかなり大詰めにまで来ているということは、そういう意味では自治体を含めて情報公開問題について大変前進することではないかと認識いたしております。  それと、特殊法人あるいは第三セクターの経営の健全化という問題については、これはこれとして情報公開はもちろんやっていかなければなりませんが、かなり大胆に、先ほど来御指摘のあった財政の足を引っ張ることになるのではないかというかなり深刻な懸念があることも事実だと私は思いますので、さらに徹底してメスを入れていく必要はあると思います。
  103. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  104. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 八田ひろ子でございます。  私は、まず最初に、選挙制度にかかわって選挙の政見放送に手話通訳とか字幕スーパーを入れるという問題についてお伺いをしたいと思います。  大臣は手話がお得意でいらっしゃるでしょうか。私は、自己紹介をするときに、私は日本共産党の国会議員ですというのがたどたどしく言える程度なんですけれども、手話というのは、日本共産党の日本というのは日本列島です、共産党というのは平等な党ということなそうなんですけれども、そういうものなんです。  せんだって、私は愛知県の聴覚障害者と県民の集いというのに参加をしてまいりました。健常者もいるんですが、聴覚障害のある方が多いものですから、舞台で参加させていただくんですけれどもほとんど音が聞こえない。拍手はこうですから聞こえなくて、進行を健常者の人が一応言ってくださるんですが、それがないと全くと言っていいほどわかりません。聴覚障害の方が、こういう健常者がしゃべっているところへ来ると、それと全く反対にわからない、疎外感を持つというのを私は味わってきたのです。  とりわけそこで、今聴覚障害者を排除し、参加を制限する法律の改正を求める百万人運動というのをやっておるというお話がありました。公職選挙法に基づく自治省告示は政見放送に手話通訳をつけることを規定していますが、範囲が限られ、公的保障もしていない。候補者の政見放送に手話通訳や字幕がないと、聴覚障害者の有権者にはわからないまま、その参政権が制限されている。だから、聴覚障害者を排除する法律を変えるという中にこれが入っているということで、熱心な話し合いがされたんです。  今一部では手話通訳が実現をしておりますが、なぜ進んでいないのか、また字幕放送について研究をしているというふうに伺っておるんですけれども、どのようにお進めいただけるのか、まずお伺いしたいと思います。
  105. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御指摘の選挙について、障害者であれ、きちんとした候補者の政見放送なり、そういった情報が的確に伝わって、その上で御本人が公正な判断をして権利を行使されるということは、当然のことながら選挙の一番基本であろうと思います。  ただ、そのことがわかっておりながら現実にそれがなぜ適用できないかということについては、やはり技術的な制約なり、何らかのそういったことがあるということが背景にあってそういうことになっていると思います。  そういう技術的、専門的部分について政府委員の方から補足をさせていただきたいと思います。
  106. 片木淳

    政府委員(片木淳君) お尋ねのありました政見放送の手話通訳でございます。  お話にもありましたとおり、平成七年の参議院議員の比例代表選挙から導入されまして、昨年の通常選挙では名簿を届け出ました十四政党のうち十三政党がこれをつけたというところでございます。  また、御案内のとおり、衆議院議員選挙におきましても、小選挙区選挙の政見放送にいわゆる持ち込みビデオ方式が採用されまして、手話通訳を付することができるとされたところでございます。  それで、参議院選挙区の選挙などその他の選挙の政見放送についてでございますが、収録期間が選挙の公示日または告示日に近接する極めて短い中で、手話通訳の資格を持った方々が地域的に偏在をいたしておる関係上、大変確保が難しいということから、直ちに制度化することは困難であるということで、手話通訳士や候補者等の数の推移を見ることが必要ではないかと考えておるところでございます。  政見放送への字幕放送の導入につきましても、これも御案内のとおり、政見放送の時間内に字幕で伝えることといたす場合には、文字数にかなり制限をすることが必要になるということもございまして、技術的、時間的制約が大変大きいということで、現時点で導入することはなかなか難しいかなと思っております。  しかしながら、いずれにいたしましても、聴覚障害者の方々の貴重な参政権の行使にかかわる課題でございますので、今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
  107. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 実際にはなかなかできないと最初のころはおっしゃっていても、徐々に導入はされているということは可能性としてはあるというのが今の御答弁の中でも思えるんです。  さっき御紹介をしたこの運動では、全国手話通訳問題研究会、実際に手話通訳をなさっている方とかいろいろな団体が一緒になってやっていらっしゃるわけです。地域偏在というふうにおっしゃいましたけれども、やはり国がこういうものをやろうという意思があれば、これはこういう方たちも一緒になって運動を進めていることですからできるのではないかというふうに思います。大臣の所信でも、民主主義の充実ということで選挙制度については全力を挙げるというふうにおっしゃったので、ぜひ実現していただきたいというふうに思います。  次の問題ですが、地方バス路線のことをお伺いしたいと思います。  住民の足を守るための公共輸送機関の充実という問題で、とりわけ乗り合いバスや地域の路線バスの問題として、私は昨年もその休廃止問題が深刻であるということと、国の施策質問させていただきました。ことしの一月ですか、運輸省から乗り合いバスの活性化発展を目指してという、題は非常にいいんですけれども、中身が需給調整規制廃止に向けた骨子素案ということで、需給調整制度の廃止を大きな柱としてこれを具体化するということで、これでは赤字路線からの撤退や廃止が一気に進むのではないか、地方はますます大変だと。  そういうときに、この中にもありますけれども、自治省とも相談してということで、大臣もこれにかかわっていらっしゃると思いますけれども、規制緩和とか市場原理だけでは地方の乗り合いバス路線は実際には守れませんし、そういう立場に立って、地方自治体に負担だけはかぶってくることがないような、そういう面でぜひ大臣にもお伺いしたいし、運輸省との協議が今どうなっているのか、お伺いします。
  108. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 御指摘のように、運政審から平成十一年の一月に骨子というのが公表されておるわけでございます。この中で、かねてから委員からも地方の生活路線の維持という観点から十分な注意が必要であるというふうな御指摘をいただいておるところでございまして、私どもも、乗り合いバス路線というのは通勤、通学などの足としてその維持確保は重要な政策課題であるというふうに考えております。  この問題に対します国の役割ということにつきましては、この運政審の答申案の骨子におきましても、ナショナルミニマムの確保とかあるいはそのための地方財源充実といったような観点から触れられております。  これからの具体的な確保方策につきましては、今回のこれは運政審の答申の骨子でございまして、これを受けて具体的には政府の中におきましていろいろな検討がされていくことになるわけでございまして、私どもは運輸省の方とその過程で十分協議していかなくてはいけないと思っておるわけでございます。そのときには、特に行政と民間それから国と地方役割分担ということを明確にすることが必要であると考えておりまして、そのような観点から関係省庁と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  109. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 きょうこのバスの問題で余り長い時間議論ができないんですけれども、去年も地方バス路線の補助金の問題で二種とか三種の問題を取り上げて言いましたけれども、国の補助制度そのものが実際は改悪になっている。三種の三年間に限りという補助も今度は二年間になるとか、また実際に今度の場合でも、今地方自治体は配慮というふうに言っていますけれども、路線バスの問題ではもう来年実行されるんじゃないかと言われていて、生活路線をどう守るか。各地にバス協議会というのもつくられて実際にやっているんですけれども、結局は地方自治体がどれだけお金を出すかによってその足が守れるかどうか、お金を出す体力がないとそれは消えていくというのが今までもあって、これが出たときにはもっと大変になるんじゃないか。そういうときにまず地方財源充実というのがなかったら守れないというのがあるわけなんですけれども、そういう面ではどうなんでしょうか。
  110. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 現在のいわゆる路線バスの維持のための財源措置でありますけれども、今、委員からお挙げになりましたような国庫補助と、それから地方の方は国庫補助の地方負担、それから補助を伴わない単独のものについて地方団体が路線維持のための負担をしておるものに対して私どもは特別交付税の算定を通じて財政措置をいたしております。九年度で申しますと補助金は約九十五億でございます。特別交付税で算定いたしております額は県分と市町村分と合わせて二百三十億という算定をいたしております。  これから路線バスをどう維持していくかということについて、それが専ら地方団体財政負担にかかってくるということは、私どもとしてはやっぱりそういうことがあってはいけないというふうに思っておりまして、やはりそこのところは国と地方との適切な役割分担がなくてはいけないと思っておりますし、運政審の答申の骨子でもそのためにわざわざ財源確保ということも触れられておりまして、そういうことにつきましても、私どもはこれから具体化をしていく段階で関係省庁と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  111. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 運輸大臣は、生活路線を守るためにはどのくらいのコストがかかるのか自治省を通じながら地方自治体と話し合いをして問題の解決を目指すというふうに言われていて、自治省の立場というのが非常に重要なわけなんです。  今各地で百円バスとかそういう安いバスをやって、非常にそれが人気が高いというのがマスコミにも明るい話題として大きく取り上げられていますけれども、バスの需要というのは潜在的には非常に大きいですし、地球環境に優しいという視点からも乗り合いバスの役割は大きいと思うものですから、自治大臣、規制緩和一辺倒というんじゃなくて、過疎でも都市部でもバスは住民の足の最後のとりでと首長の皆さんも本当に真剣に取り組んでいらっしゃる中身ですので、そういう立場でぜひこれに臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御指摘いろいろございましたが、地域住民の生活の足を確保していくというのは、まさに地域町づくりという上からいっても地方公共団体としての判断が極めて大事なポイントだと思います。それを具体的にどのように支えていくか、それから財政面においてどう支えていくかということの裏づけがなければできないわけです。  この点については、今、財政局長からも御答弁申し上げましたが、ただ単に地方の仕事だといって押しつけていくということだけでなくて、その際には財政的な手当てという面においても裏づけをしていくということと連動してやっていくということで現在対応しておると承知をいたしております。さらにその点は努力をしてまいりたいと思います。
  113. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。  次は、ドメスティック・バイオレンスの問題についてお伺いをいたします。  夫や恋人など親しい男性あるいは親しかった男性からの女性に対する暴力をいわゆるドメスティック・バイオレンスとかリレーションシップ・バイオレンスというふうに言うこともあるんですが、DV、予算委員会でも取り上げられたんですけれども、そういう耳なれない言葉がマスコミでも報道されております。被害を受けた女性が駆け込むところや緊急に避難する場所をどうするかという問題で、地方自治体の大きな問題ともなっています。  このドメスティック・バイオレンスについて、国際社会では女性に対する暴力の問題が女性の人権の中心課題として取り組まれてきた経過があって、国連でも八〇年代の後半から本格的にこのDVに取り組み始めています。日本でも、女性に対する暴力行為そのものがエスカレートしないようにする対応が必要だと専門家の間で指摘されて、女性団体地方自治体レベルの調査と解決のための動きが今始まっています。  九五年に北京で開かれました国連の第四回世界女性会議以後、国内各地では、まだ少数ですけれども、こういった暴力被害から助けを求める女性を受け入れるシェルターと言われる民間ボランティアによる緊急避難所ができているということであります、公的施設はないんですけれども。  これは週刊誌などにあります政府の広報なんですが、ここにも、夫による妻への暴力、我慢しちゃいけない、家庭内でも女性には人権がありますと。当たり前といえば当たり前なんですけれども、耐えることを妻の美徳とするような社会の風潮にも女性は縛られています。夫による妻への暴力は許されないものであることを私たち一人一人が自覚することが必要です。これは政府広報ですが、そこでまず緊急に駆け込みなさいと書いてあるのが各都道府県の県警本部の相談室とかその他各都道府県の婦人相談所、こういうのがいろいろついておりまして、民間のシェルターとして札幌と東京のシェルターの電話番号が書いてあります。  公的施設はないんですけれども、実際には婦人保護事業の中でも受け入れられているというふうになりますけれども、実態はどうでしょうか。
  114. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 現在、先生がおっしゃいましたように、婦人保護事業の中で家庭内の破綻やまた家庭内暴力によって被害を受けた女性の駆け込み寺的な意味で婦人保護施設が使われているわけでございます。これの状況でございますけれども、平成四年度以前におきましては通知を出しておらなかったわけでございますけれども、現在、平成四年度から私ども厚生省から通知を出しまして、このような家庭内暴力等の問題があった場合、一時保護等を実施いたしているところでございます。
  115. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 実際には各自治体で対応しなければいけないということで、婦人保護施設とかあるいは婦人相談所一時保護という形で行われているということでありますが、今度の国会では男女共同参画社会基本法案というのが提案をされて、女性の人権もうたわれていますし、そこには地方自治体の責務というのもいろいろと書いてあります。この基本法をつくるための審議をいろいろな形でされてきたんですけれども、男女共同参画審議会でも女性に対する暴力部会というのがあって、そこでいろいろな議論もされたというふうに聞いておりますけれども、この中間取りまとめが出た段階での議論の過程あるいはDVについてどのような意見や実態が出されたのか、お示しください。
  116. 名取はにわ

    説明員名取はにわ君) 男女共同参画審議会は、平成九年六月十六日、内閣総理大臣から女性に対する暴力に関する基本的方策について諮問を受け、同審議会に設置されました女性に対する暴力部会におきまして調査、審議を続けているところでございます。  同部会は、平成十年十月三十日にそれまでの議論を整理した中間取りまとめを公表しました。中間取りまとめの公表までに、この部会は女性に対する暴力についての有識者や専門家、関係省庁からヒアリングを行いました。女性に対する暴力部会では、夫、パートナーからの暴力だけに限らず、包括的に女性に対する暴力について審議しておるわけでございますが、夫、パートナーからの暴力についての問題意識はヒアリングや議論の中で取り上げられました。  この部会におきましては、女性に対する暴力は女性に対する人権の侵害であり許されるものではない深刻な問題であるとしております。ヒアリングの中でも、夫あるいはパートナーからの暴力で骨折したり、気を失ったりするほどの暴力が振るわれているという事例もまた報告されておりました。  中間取りまとめは、さらに夫、パートナーからの暴力を含む女性に対する暴力は被害が潜在化しやすいことを指摘しておりまして、被害が潜在化する理由としまして、被害について相談する窓口等がわからないこと、加害者からの報復を受けるおそれがあること、世間体を気にすることなどを挙げています。また、夫に暴力を受けながらも精神的、経済的に夫から離れられないなど、夫婦間の暴力には難しい問題がございます。  この部会は、中間取りまとめ公表後も審議を続けておりまして、この春には答申に係る部会報告をまとめる予定でございます。
  117. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そういう国あるいは国会での動きもあるんですが、ここに東京都が調査いたしました女性に対する暴力調査報告書というのを持ってまいりました。  これを見ますと、精神的な虐待を夫あるいはパートナーから受けている人は二人に一人、五五・九%ということです。それから、身体的暴力を受けたことがある、あるいは受けている、これが三人に一人、三三・〇%という結果が出ているわけで、大変衝撃的な数字だと報道されたときには言われておりました。例えば、妻を平手で打つことは許されないとするのは、女性では八二%いますが、男性では六八%しかいないとか、男女の意識の差もこの調査の中から見られるわけなんですけれども、こういう例というのは、東京都だけに見られるようなドメスティック・バイオレンスの実態があるんでしょうか。
  118. 名取はにわ

    説明員名取はにわ君) 今おっしゃいました東京都では女性に対する暴力の実態に関する調査は行われておりますが、ほかは一部の自治体では行われているようです。ただ、全国的な調査につきましては承知してございません。
  119. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 全国的な調査が実際には行われていないということですが、諸外国の例を見ても本格的な実態調査の実施によって世論が喚起され対策動き出しているわけで、大変うれしいことに今年度予算では女性に対する暴力に関する全国実態調査の経費というのも提案をされているので、こういうことも前進しているんだなというふうに思います。  ドメスティック・バイオレンスと言うと皆さんびっくりされることもあるのかもしれませんが、最近の問題では、ここに英字新聞、これはカナダの新聞ですが、幾つかあるんですけれども、それとか、これはカナダで発行されている日本語の新聞でありますけれども、カナダの日本総領事の妻への暴行事件が報道され、これは日本の新聞でも報道されたわけなんですが、現地ではテレビでも報道されたそうです。  日本を代表する外交官の言動としてのニュースなんですが、問題は、この事件では妻は告発しませんでした。けがを治療した病院からの通報で警察に逮捕されたということでありますが、日本の国内でこういうことが起こったときどうなるんでしょうか。
  120. 林則清

    政府委員(林則清君) 日本におきましては、原則として警察は夫婦間の事案でありましてもそれが暴行なり傷害なりそういうものを構成するということでありますれば、被害者の心情等を配意しつつ事件化を含め厳正に対応することになります。  もうちょっと具体的に言いますと、やはり日本で刑事事件として立件するためには被害者の協力というものが要ります。したがいまして、今、先生の挙げられた例でありますと、被害者の方からは何の意思表示もなかったけれどもということでございますが、そういう場合には我が国では刑事事件として立件するのはいささか難しいかなという感じがいたします。
  121. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大阪府下の救急病院に対するアンケート調査では、回答した七八%が夫からの暴力を受けた女性の治療をしたことがある、こういう報道もあるんですが、人権を守るという立場で、大臣国家公安委員長でもいらっしゃるんですが、ドメスティック・バイオレンスについてどんな御見解をお持ちでしょうか。
  122. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 報道で私も知ったんですけれども、先ほどのカナダにおける総領事ですか、事もあろうに日本の文化だとか言ったらしくて、私の思っている日本の文化にはそんな恥ずかしい文化はないので、昔から女性を殴ったら男として恥ずかしいと思えというのが本来日本の文化であったので、全く日本の文化を間違って外国に伝えるというのは言語道断、私はまず第一にそういう印象を持っております。  それから、もともと我が家でも大体女房の方が強いし、今言いましたように我々は子供のころから、本当に小さいときからそうですが、男の子が弱い者いじめをしたり、あるいは女性に手を出したりというのは恥ずかしいことだというか、むしろそういう土壌の中で大きくなって今日になった者から見ると、何か世の中は悲しい状況になっているというか、率直に言って私はそんなふうに受けとめております。  そこで、個人的な見解は別として、今御指摘ございましたが、いわゆるドメスティック・バイオレンスというんですか、私も最近初めてこの言葉を承知したんですけれども、先ほど刑事局長からも御答弁申し上げたんですが、それは夫婦間の事柄であっても法に触れる行為というものは許されるべきものではないというのが当然の警察の立場であるし、ただし事件としてきちんと適正な厳正な処理をしていこうということであれば、それにはおのずからいわゆる被害者の協力ということは当然もらわなければならない。そういう点で、その被害者の意思を十分尊重しつつ厳正な対処をしていかなければならぬというふうに考えておるわけです。  いずれにしても、女性の人権が推進、擁護される社会の形成に向けて、この種の事案への適切な対応について引き続き警察を督励してまいりたいと考えております。
  123. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日弁連の九八年の調査では、夫からの暴力を受けたときに通報した際の警察の対応について、駆けつけたが何もしてくれなかったが三五・七一%、取り合ってくれなかったが三二・一四%、合わせると七割です。  日弁連の第四十一回人権擁護大会シンポジウム、家族と暴力、妻への暴力、子供への虐待の根絶に向けてというシンポジウムでは、妻への暴力には往々にして子供に対する暴力、虐待も一緒にあるということであったそうなんです。ここでは、国及び地方公共団体にという形で、こういう暴力が現実にあるものですから、広く国民にこれは人権侵害であることを、意識の喚起を図ってほしいとか、それから民間各種シェルターの公的援助をやってほしいとか、あるいは被害者たる妻や子供の救出を容易にしてほしい、こういうことが正式に要望されておりますけれども、どうですか。
  124. 林則清

    政府委員(林則清君) 警察といたしましては、先ほどお答えをいたしました方針によって対処をしておるところでありますけれども、なかなか第一線までそういう方針が行き渡っていないという現実が若干あるとするならば、それでまた被害者の方に十分理解を得られていないケースがあるとするならば、先ほど大臣がお答えをいたしましたような大きな方針をさらに一線まで徹底してまいりたいというふうに思います。  ただ、つけ加えまして申し上げるんですけれども、往々にして、先ほど申し上げました夫婦間の場合、警察へ駆け込んでこられる、あるいは警察に来てくれというお話があって、そのときは大変興奮しておられて被害も出すということでありましたのですが、次第に落ちついてくる、あるいは一たん平静に戻ると被害を取り下げられる。その上、御近所に恥ずかしい、警察がどかどか来てというようなことで、今度は逆に警察が御夫婦から余計なことをしてくれたと言われるケースも全然ないかというと、ないわけではないわけであります。  そういうことで、夫婦間の問題というのはやはり一般の事件とはちょっと違った状況もありますので、その辺のところをよく配意しながら、先ほど大臣がお示ししましたような方針を一線へさらに徹底してまいりたい、かように思っております。
  125. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 夫婦間の問題はというふうにおっしゃいますが、国連総会でも女性に対する暴力撤廃宣言というのが九三年に行われました。また、さっき御紹介をしたカナダやあるいはアメリカ各州で、じゃなぜそういう夫とか恋人とかそういう人からの、あるいはそうだった人からの暴力行為に対して即逮捕というようなことが行われるのかというのも私はもう少し認識をしていただきたいというふうに思うわけです、無論これは警察の問題だけではないということでお話をしているんですけれども。  例えば、私は共生社会調査会に属しておりまして、そこで調査をしました。そのときに、テレビの報道番組も見せていただいて、それをゆっくりとまた見ました。これは普通の報道番組をビデオにとったものですが、長年にわたる夫からの暴力の結果自宅で亡くなった女性、いろんなものが出てきますが、実家のお母さんによりますと、たびたび警察を呼んだが、こんなことでパトカーを使わないでくださいというふうに言われた。これは助けてというヘルプがあって電話をしたわけなんですけれども。死亡の二日前にも警察は来てはくれたんです。しかし結果としてこの方は亡くなりました。  そこで、夫から妻への殺人と暴力事件の検挙数をお示しください。
  126. 林則清

    政府委員(林則清君) 夫から妻、パートナーに対する犯罪の現状ということのお尋ねでございますが、平成十年中を見ますと、殺人、傷害等で五百十三件検挙いたしております。近年の傾向は、年によって若干の高低はございますものの、平成七年以前は年間四百件台でありましたものが、平成八年以降は五百件台で推移しておる状況であります。  たびたび申し上げておりますが、警察としましては、この種事案の対応に当たっては、夫婦間であるという特性も考慮しつつ、被害者の意向を十分尊重して、立件すべきものはきちっと立件しておるということでございます。
  127. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変な数字だと思います。一年間に女性で殺人の被害に遭う方が平成十年ですと三百五十六人ということだそうなんですけれども、今の夫から妻への殺人と暴力事件の検挙件数でいいますと、殺人で検挙された夫は百二十九件ということであるわけですから、三分の一近くというふうな数字ですごいなと思うんです。  日本で初めて夫や恋人から殺された女性の検視報告を調査して学会に発表されました杏林大学医学部の外科医の荘司輝昭先生によりますと、一年間に百二十人前後の被害者のうち、ですからきっとさっきお示しになったこういう統計に載っているものをずっとお調べになったんだと思いますが、三十人から四十人は過去に暴力を受けていたとのことです。これは検視報告からの数字なんです。つまり、死に至った前に、過去に何度も何度も暴力を受けていた。これは頭蓋骨骨折とかあばらの骨折とか跡が残ったものだけの検視だというふうに思います。先ほどテレビ番組の御紹介をしましたのも、ドメスティック・バイオレンスというのは、繰り返され、しかもそれが大変ひどい状態にエスカレートするというのが深刻な問題だと言われています。それがこの荘司先生の学会報告の中でも明らかになっている。大変恐ろしい。  また、先ほど数字を示していただいた夫から妻への検挙数なんですけれども、これは恋人とかあるいは夫だった人、恋人だった人というのは含まれないんじゃないですか。
  128. 林則清

    政府委員(林則清君) 先ほどのは内縁の関係までを含んでおります。
  129. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 別れちゃった人は入っていないんですよね。  だから、そういう意味からしますと、この数字というのは、私がお尋ねしているドメスティック・バイオレンスでは氷山のある部分で、全部ではないという数字です。荘司先生がお調べになったのも、統計に出てくる数字しかきちんとしたものがないからそれでお調べになっているというふうに思うわけです。それにしても、暴力被害のすそ野が命にもかかわる被害へとエスカレートしていくという大変な事態が今の数字でもわかるんじゃないかなと私は思うわけなんです。  ですから、きょう皆さんに、時間がなくてはしょって申しわけないんですが、こういうパンフレット、これは札幌市へ調査に行ったときに私がいただいてきたんですけれども、ここには「女性への暴力は人権の侵害です。」と一番最初に書いてあります。そして、次のところを見ていただきますとわかるんですが、「あなたは何も悪くない。 暴力では何も解決しない、悪いのは加害者です。」、これが非常にドメスティック・バイオレンスの被害者にとっては大切なことなんですね。「被害者には暴力を受ける責任も落ち度もありません。」と励まして、「一人で悩まず相談してください。」。一一〇番もありますし、婦人相談所や民間の駆け込みシェルターもあります。  こういうふうにやっている自治体はまだまだ少数ですが、こういう地方自治体の努力を応援して、暴力をなくして人権を守る施策の一層の前進を切に望んで、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  130. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。  ただいまはドメスティック・バイオレンスをめぐって八田委員と大臣の比較文化論を私も聞かせていただきまして、大変参考になりました。思うに、ヨーロッパの罪の文化と日本の恥の文化の違いかなということを今感じた次第でございます。  そういう比較文化論の後にいきなり産業廃棄物の話で申しわけないのでございますが、きょうは予算の委嘱でございますので細かい話になりますが、私に与えられた時間は二十分という非常に少ない時間でございます。また、地方税法等の改正にかかわる三法についてはあしたやらせていただくことになっておりますので、お許しをいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  一般廃棄物処理の規制緩和や民営化問題、あるいはごみ処理の有料化問題についてお伺いをいたしますが、政府の規制緩和検討委員会は、一般廃棄物の収集あるいは処理、処分事業の民営化について検討を進めているやに聞いております。私は、一般廃棄物は公衆衛生あるいは環境保全という視点、理念から自治体責任を持って実施するのが原則であるべきだというふうに考えるものであります。住民生活に密着した市町村責任で実施されるべきだ、こういうふうに思うわけでありますが、この規制緩和の問題、民営化あるいはその有料化の問題についてはどういう対応が進められておるのでしょうか。
  131. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 厚生省でございます。  今、先生の方から一般廃棄物処理についての規制緩和あるいは有料化につきまして実情なり考え方というお尋ねがございました。  まず、一般廃棄物処理の規制緩和あるいは民営化という問題についてでございますけれども、先生今お話しになりましたように、家庭から排出される生ごみなどの一般廃棄物の処理につきましては、住民に身近なサービスを提供する市町村の固有事務として実施されてきたところでございまして、厚生省といたしましてもこれからもその基本体制は維持されるべきではないかというふうに考えております。  一方、いろいろ御意見もありますように、民間の活力を利用しながらより効率的な一般廃棄物の処理を行っていくということもこれから考えていかなければならないというふうに思っておりますが、民間のみにゆだねるということにつきましては、やはり適正な衛生水準の確保がおざなりになって利益の追求に重点が置かれることになりはしないかという問題でありますとか、ごみ処理を必要としておられます住民の方々すべてのごみがきちんと処理されるかどうかといったような問題などにつきまして、慎重に検討すべきというふうに考えているところでございます。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  それから、一般廃棄物処理の有料化についてでございます。  まず、実情を数字で御紹介いたしますと、厚生省が平成七年度時点で調査いたしました結果によりますれば、全国三千二百三十三の市町村があるわけでございますけれども、このうち粗大ごみなどを特別に収集しているということはちょっと除きまして、家庭ごみの収集に関してすべての場合に料金を徴収しているという市町村の数は、千四十五団体ございました。また、多量に排出される場合に限って料金を徴収しているという市町村は、それに加えまして百九十二団体というような現状でございます。  こうした有料化は、恐らくいろんな事情があろうかと思いますけれども、一つにはごみの排出につきましての減量効果があるのではないかということで導入されているところも多いわけでございますけれども、こうしたことによる減量効果があるかどうかというのはいろいろな見方がございます。  したがって、ごみの減量化を図るという観点のみで有料化というのを考えるのではなくて、こうした問題も含めまして市町村がさまざまな実情に応じて取り組んでいただくことが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。
  132. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 せんだって、地域の市民講座でダイオキシン問題やごみ問題の勉強会に行ってわかったことでありますが、先進諸国に比べて我が日本は焼却炉というか焼却施設がやたら多いということを知って私はびっくりいたしました。この問題については、きょうは時間がありませんので、後日また質問させていただきたいと思います。  いわゆる容器リサイクル法の二〇〇〇年四月の完全施行に向けた国の取り組み財政支援措置などについてお教え願いたいと思います。
  133. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 容器包装リサイクル法につきましては、現在既に一部の容器包装廃棄物につきまして、具体的に申し上げれば瓶、缶、ペット、紙パックにつきまして既に市町村取り組み事業者の再生事業というものがスタートしておりますが、先生お話しのように、平成十二年四月からはこの法律が完全施行という段階を迎えます。つまり、今申し上げました廃棄物以外のすべての紙あるいはプラスチック容器包装物がこの制度の対象になってくるという状況でございます。  厚生省といたしましては、これはやはり市町村取り組みが基本になるものですから、従来からさまざまな分別収集に関連する施設に対します財政支援、あるいは先進的な市町村におきますこれらへの取り組みの情報提供などにつきまして支援策を講じてきたところでございます。また、今後、完全施行に向けまして、平成十年度から二カ年の予定で完全施行のためのモデル的な事業ということをおやりになります市町村に対しましての補助も特別に考えて実施してきているところでございます。  今後とも、こうした補助あるいは情報提供を通じまして完全施行に向けまして分別収集に取り組まれます市町村支援し、できるだけ負担が軽減されるよう努力してまいりたいと考えております。
  134. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 次に、学校給食の安全対策に向けた予算措置についてお伺いをいたします。  学校給食の際に使われているポリカーボネート食器の使用問題でありますが、昨今このポリカーボネート食器からビスフェノールAなどの環境ホルモン物質が溶出をするのではないか、こういうことが言われておりますが、その科学的な解明や安全対策はどうなっておるんでしょうか。私は、人体へ影響を及ぼすような可能性のある、おそれのある食器、これはやっぱり使用しないということが大事だし、同時に、そのような食器ではなくしていろいろ日本の伝統的な陶器などを食器として使うことが大事ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  135. 早田憲治

    説明員(早田憲治君) お答えいたします。  まず、現状でございますが、学校給食におきましてポリカーボネート製食器を使用しております学校数は、昨年五月現在の調査でございますが、公立の小中学校合わせまして三万九百九校中一万二千四百九校ということで、四〇・一%でございます。これを市町村レベルで見てみますと、三千二百七市町村中、ポリカーボネート製食器を使用している市町村は千六百八十六市町村で、五二・六%になっておりますが、このうち他の材質に切りかえる予定であるという回答がありましたのが約一割の百六十八市町村になっております。なお、三十九市町村におきましては既に他の材質に切りかえたという回答がございました。  そこで、食器の安全性についてでございますけれども、食品衛生法におきまして基準が定められておりまして、どういう食器を使用するかということにつきましては、その食品衛生法におきます基準を満たしているものにつきまして、学校給食の実施者である市町村地域の実情に応じて判断すべきものというふうに考えております。  なお、ポリカーボネート製食器につきましては、厚生省におかれまして専門家の意見も徴した結果、現段階における知見においては使用禁止等の措置を講ずる必要はないという見解をお示ししておられまして、文部省といたしましては、こうした厚生省等関係省庁と密接な連携をとりながら、今後も関係情報の収集に努め、都道府県教育委員会関係方面に対しまして必要な情報を適宜提供していく考えでございます。
  136. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 大臣の所信表明の中で、自治体消防の充実強化ということをお触れになっておられました。  私も、地元の方で自治体消防の人たちからいろんな法律相談などをよく受けるわけでありますが、最近、厳しい職務環境の中で過労死というんでしょうか、そういう労災事件なども起こっているわけであります。  そこで、消防行政充実を図るための財政支援措置あるいは予算措置は一体どうなっているのか。執務環境の整備や安全装備品の充実などに関して御説明をいただきたいと思います。
  137. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 御承知のように、消防職員の場合は火災出動とか災害出動等、常に即応態勢がとれるような、そういうことで二十四時間の交代制勤務ということをとっているわけでございますので、このような勤務の特殊性であるとかあるいは火災出動時等における職務の危険性というようなものの配慮から、十分にその執務環境の整備とかあるいは安全に職務が遂行できるような装備の充実ということが必要であろうというふうに考えております。  このようないわゆる執務環境の整備でありますとか、それから防火衣というような安全装備品あるいは感染防止用の機材というようなものの購入に係ります経費につきましては、今までも普通交付税で対応してきたところでございます。平成十一年度の普通交付税におきましては、いろいろな御要望の中で特に要望の高かった仮眠室の改善というようなものが図り得るように、そうした経費の充実を図るということをしております。今後とも、そうした執務環境の整備なり安全管理の面については充実が図れるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  138. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは次に警察庁、例の少年サポートセンターの新設、この意義、目的あるいは予算措置についてお教えください。
  139. 小林奉文

    政府委員(小林奉文君) 少年サポートセンターについて御説明申し上げたいと思います。  まず、最近の少年非行情勢を見てみますと、大変厳しいものがございます。そういった中におきまして、いきなり強盗などの重大な非行に走るケースが目立っておる状況にございます。  このような少年につきましては、ほぼ例外なく重大な非行の前兆となり得る不良行為が見られます。その段階で、少年やその家庭に対して適切な助言、指導を行うことが重大な非行を防止する上で極めて重要ではないかと考えております。  そういった観点から、少年問題に関する警察の専門職員である少年補導職員を中心として、少年サポートセンターを全国の都道府県警察に設置いたしまして、この少年サポートセンターを核として、学校、児童相談所、民間ボランティア等との連携を強化いたしまして、共同街頭補導活動、少年や家庭に対する専門的見地からの助言、指導、事案に応じた医師等相談先の紹介、こういった活動充実していきたい、このような観点からこのセンターについて考えたわけでございます。  平成十一年度予算案におきましては、全国にサポートセンターを百七十四カ所設置するため、移動補導センター用車両、それから連絡用携帯電話の整備、少年警察ボランティアに対する謝金の増額等に必要な経費として、十一億一千八百万円が計上されているところでございます。
  140. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、野田大臣にお伺いをいたします。  この間、当委員会質問の中でも出てまいりました例の地域活力創出プランの件でございますが、私は、やっぱり北海道から沖縄までそれぞれの地域には地理的な特性、あるいは歴史的、文化的な特性の違いがあるだろうと思うんです。そういう地理的な特性や歴史的、文化的特性を大事にしながら、それを生かしながら地域活力をつくり出していく。要するに、画一的な地域づくりではなくして、個性のある、顔の見えるような豊かな構想力に裏打ちされた地域づくりがこれから大事になってくるのではないか。  それは、もちろん国の努力あるいは財政措置、予算措置だけじゃなくして、当該自治体住民創意工夫というのも大変大事だと思いますが、最後に大臣、この地域活力創出プラン内容あるいはその事業規模、さらには地域おこし対策地方財政措置などについてお教えをいただきたいと思います。
  141. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 地域活力創出プランの趣旨、ねらいというのは、今御指摘ございましたとおり、従来とかくすれば国土の均衡ある発展という言葉によって、何となく金太郎あめ的に画一的なやり方がかなり支配的であった時代もあったわけで、むしろこれからはそれぞれの地域個性なり特性、そういったものを生かしていく。  そういう意味で、いろんなプランそのものの構想力をみずから持って地域が主体的に企画をしていく、そのことが非常に大事なことでありまして、そういう意味地域自立促進の条件を整備するという上で非常に大事だ、そういう位置づけをいたしております。それがまた地域活力を生み出していく源泉になっていくんだ、そういう位置づけをいたしておるわけでございます。  そこで、事業内容でございますが、具体的にはソフト事業としては、農産物の生産、加工、流通、販売、これらを一貫して事業化するような取り組み、あるいはベンチャー企業の創業あるいは事業支援などの地域経済再生のための取り組み、最近Iターン、Uターン、Jターン、こういう言い方があるんですけれども、そういう地方への移住あるいは定住の促進、それから人材の活用、育成などの人づくりに対する総合的な取り組みに必要な経費として、普通交付税措置を二千五百億円程度講ずるというのが第一であります。  そして、ハード事業として、地域経済再生人づくりあるいは広域連携などを推進するための地域活力創出事業、さらにすべての人が自由に活動できるためのユニバーサルデザインによる町づくり地域の保健福祉関連施設の整備などを推進するための、すべての人にやさしいまちづくり事業、これらに対して地域総合整備事業債による支援、これが七千五百億円程度の起債措置でありますが、これを行うこととしておるわけであります。  内容において、従来のハードの単なる積み重ねだけではないんだよといういろいろ新しいイメージを出すために、ちょっと長い難しい名前がついたりしておりますけれども、いずれにしても、本当に地域そのものが主体的に構想力を持って打ち出してもらう、それを自治省の方としても積極的な財政支援をしてまいろう、総額一兆円規模でこれを推進してまいろうということであります。
  142. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  143. 高橋令則

    ○高橋令則君 まず私は、コンピューターの西暦二〇〇〇年問題について御質問を申し上げます。  この問題は、国民生活と産業全般に影響を及ぼす極めて重要な問題であると認識をしておりまして、官民挙げて積極的な対策を講じなければならない、このように考えております。我が自由党におきましても、必要な関係の議員が一緒にチームを設けまして、そして取り組んでいこうというふうになっております。  それはそれとして、全般の問題でございますので、当然ながら各省庁に関連をしております。昨年の九月ですか、総理もおっしゃったようでございますけれども、内閣が挙げて行動計画を策定されたというふうに承知をしております。当然自治省も入っているわけでございますし、十年度予算ではこういう措置もされたというふうに承知をしておりますが、十一年度予算の明細を見ていると全く出ていない。恐らくこれは中身が違うだろうというふうに思っております。いずれにしても、この問題は極めて重要な問題でございますし、十一年度中、見方によってはこの二〇〇〇年に入る前の七月あるいは十月、その時期によってもう障害が発生してくる場合もあり得るというふうなことを言われておりますが、この問題についての基本的な認識自治省としての取り組みをお聞きしたいというふうに思います。
  144. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) いわゆる二〇〇〇年問題についてのお尋ねでございますけれども、この件は国民生活全般にわたりまして大きな影響を及ぼすおそれがあるということで、自治省からも地方団体に対しまして迅速な対応を要請したところでございます。昨年の十二月現在の調査で、都道府県の場合六割ぐらいの団体でおおむね修正作業が終了するといったような状況にございまして、着実な対応が進んでおるとは考えておりますけれども、さらなる取り組みを求めて万全を期する必要があると考えております。  このため、今御質問にございましたように、十年度の第三次補正予算に対策調査費といたしまして約六億円を計上いたしましたが、これはその対応のおくれている地方団体等につきまして現地調査を行いますとともに、地方団体が行動計画あるいは危機管理計画を策定する際の手引書、そういったものを提供するために組んだ予算でございます。二〇〇〇年問題への対応というのは極めて緊急を要する問題でありますので、国として必要な経費は平成十年度の予算にすべて計上する、そういう考え方で平成十年度補正予算にのみ計上いたしておりまして、その意味で十一年度予算にはこのような経費は計上されていないところでございまして、御理解を賜りたいと存じます。  なお、この問題に対応する地方団体の経費につきましては、従来から特別交付税措置を講ずることにいたしておりまして、平成十一年度におきましても当然特別交付税で措置をいたしまして、地方団体取り組み支援してまいる所存でございます。
  145. 高橋令則

    ○高橋令則君 適切な対応をお願い申し上げたいと思うんです。  私は、その中で事前対策というんですか、問題が出る前に必要なシステムあるいは機器の修正、これが基本だろうと思います。いろんな資料を見ておりますと、チップのミクロ、もうとても手が及ばないような問題まで、何億というふうな量が対象になるようでございます。これをしかも、今見ているとロシアとかあるいは中東、そういうところがどうかなというふうな話があったりしまして、それから中小企業がおくれているという話があります。いずれ、これを全部カバーするというのは恐らく難しいのではないか。やっぱりそれに対して危機管理というんですか、不幸にして発生したときに、それに対して適切な復旧とかそういう危機対策が非常に重要ではないかと思っているわけです。その中では、特に阪神・淡路の問題とか、それから小さい話ですけれども、私も山火事を担当した経験があるんですけれども、そのときの地方団体の危機管理についての重要性というのは非常に身にしみてわかっているわけです。したがって、これについてのもう少し具体的な話をお聞きしたいと思うんですが。
  146. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 御指摘ありましたように、この問題は大変重要な問題になります。率直に申し上げまして、どこでどういう影響が生ずるか、全体を把握するというのは極めて難しいというふうに専門家も言っております。  そういう意味で、単なるコンピューターのプログラムを見直すということだけではなくて、万一の場合に備えての危機管理の体制をしいておくということが、御指摘がありましたように極めて重要なことだと思っております。そういう意味で、私ども、地方団体に示します手引書の中では危機管理マニュアルといったようなものも示したいと思っております。地方団体に対しましては、庁内の自分たちが取り扱っておるシステムに関するものだけではなくて、地域において電気、ガス、水道、交通、その他いわゆるライフラインに関連するような民間の企業等とも十分な連携をとりまして、各自治体が問題発生時にそれぞれ連携をいたしまして、どのように対応するかについてもあらかじめ十分情報交換をし、万一の場合の対応をとるように、そういう形で私ども地方団体要請をしてまいりたいと考えております。
  147. 高橋令則

    ○高橋令則君 これは要請ですけれども、私は、そういうマニュアルとかそういうことと同時に、それを実際に指揮するというんですか、そういう人に対する訓練とか研修とか、そういうものをやっていただきたいと思うんです。これは間もなくですか、まだやったのかどうかわかりませんが、ちょっと聞いた限りでは、今月末あたりに自治省が市区町村の幹部とそういうふうな機会を持つというふうなことを聞いておりますが、例ですけれども、ぜひ具体的に、そういうふうなマンパワー対策をきちんとしていただきたい、これは要請であります。  関連して、警察庁にお聞きしたいと思うんですけれども、危機管理の問題です。  特に、もっとも警察庁自身もコンピューターをたくさん持っておるわけです。それに対する手当ても必要であります。特に、問題が出てきますと、秩序、治安の問題もあるわけです。したがって、そういう二点から警察庁取り組みをお聞きしたいと思います。
  148. 野田健

    政府委員野田健君) 警察庁におきましては、七千万人を超える運転免許保有者等を管理するシステムや指紋自動識別システム等、国民生活あるいは警察活動に直結するコンピューターシステムを運用しておるところでありまして、これまでも保有するプログラムの修正など対策を進めてきたところであります。  警察庁においては、特に昨年の高度情報通信社会推進本部で決定された行動計画に基づきまして、それに沿った対策を実施しております。また、都道府県警察に対しましても、行動計画に準じた措置をとるよう指示し、交通管制システムなどのプログラムの修正あるいは各種点検等の措置推進しております。  また、コンピューターの誤動作等によりまして発生し得る事故あるいは事件というものにつきましてはいろいろな想像がされる、こういうような状況にありますけれども、現在それぞれそういった想定を立てながらその対応を行っていくということで検討しているところであります。  いずれにいたしましても、大規模事故、災害、突発的にいかなる事態が発生しようとも迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
  149. 高橋令則

    ○高橋令則君 警察庁関係について私が特にお願いしたいことは、治安の問題に絡んであれですけれども、警察の中で実際に問題が出てくると、警察庁自体もそれなりの自己完結のようなシステムというんですか、これは実は軍隊でなきゃできないんです。だけれども、ロジスティックが違うんですね。これは軍隊と警察とは違うわけですから、私はそれは認識しておりますけれども。最小限のそういうロジのようなものをやってもらいたいと思うんです。これは要請しておきます。  関連して、同じような仕事をやっている海上保安庁も同じような問題があると思っておりますので、長官からお聞きしたいというふうに思います。
  150. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  私ども海上保安庁の業務は、先生御指摘のように、直接人命なり船舶の航行安全、こういったものにかかわるものでございますので、二〇〇〇年問題についても積極的に取り組んでおるところでございます。  海上保安庁におきますシステムでどんなものがあるかということでございますけれども、ふくそう海域で航行管制等を行うための海上交通情報機構とか、あるいは船舶が高精度で位置測定できるディファレンシャルGPSシステム、これは航路標識の一種でございます。こういうものとか、あるいは海難の際の救難に向かいます船舶を抽出するための海洋情報システム、こういったものなど船舶の安全運航のためのコンピューターシステムを保有しておるところでございます。  これらにつきましては、従来から事前チェックということで、まずシステム更新の機会を利用して直すということもやっておりますし、それから先ほどお話がございましたような十一年度予算におきましてもなるべく早い機会にそれをやれるようにプログラムの改修や模擬テストの実施というようなことも盛り込んでおりまして、できる限り早期に完了するように今努力をしているところでございます。  そして、危機管理ということでございますけれども、政府のコンピュータ西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画に基づきまして、そういった万一のシステムの停止とか誤動作など不測の事態が生じた場合を想定いたしました計画を策定し万全の体制を整えることとしております。特に、海上保安庁以外のほかの方にかかわる部分を優先的に改修するというようなことで、これを回避するようなことを考えております。
  151. 高橋令則

    ○高橋令則君 今後の問題ですからぜひ適切に処理をしていただきたいというふうに、よろしくお願い申し上げたいと思います。  財政関係にちょっと飛んでお話をしたいんです。昨年のこの場でも質問したんですけれども、いわゆる国庫補助事業に対する超過負担の問題、これは実は配られた資料を見ておりますけれども、自治省中心になって各省庁に要請して、そして是正されている。仕事をしているわけです。それなりに毎年努力をしておられるわけですね。ところが一方では、依然として予算の中でそういうものがどんどんふえてくるということも事実であります。私もその経過をそれなりに評価しながらも、果たして十一年度はどうかなという心配をしているわけですが、いかがですか。
  152. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) いわゆる国庫補助負担金の超過負担の解消につきましては、国と地方財政秩序の維持という観点から毎年度各省庁に申し入れを行いますとともに、地方団体から特に改善要望の多い事業につきまして、私どもと大蔵省と関係省庁で共同で調査を行って改善するというやり方をいたしております。  平成十一年度予算におきましては、十年度に実施いたしました保健衛生施設等設備整備費負担金、いわゆる保健所の設備でございますけれども、それと、それから環境監視調査等の補助金、これにつきまして実情に即した補助単価等の改定を行うということにいたしたところでございます。  それからまた、現在、平成十一年一月一日を基準日として保育所運営費の国庫負担金についての補助金等の実態調査を実施しているところでございまして、今後この調査結果を踏まえて、これは平成十二年度の概算要求に向けて適正化について協議してまいりたいというふうに考えておりまして、今後とも社会情勢の変化あるいは施設水準の推移等を勘案して適正化について引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
  153. 高橋令則

    ○高橋令則君 そういう御努力をぜひお願いしたいと思うんですが、私の経験ですと、超過負担の中で人件費問題が大きいんですね。だけれども、人件費問題というのはなかなか難しい問題がありまして、見方も違うものですから、かなり面倒な問題があるなという認識はしておりますが、その中で比較的やりやすいと言うのは変ですけれども、見える形になるのは施設単価の問題です。これは人件費よりもやりやすいのではないかと実は私は面倒な中でも思っているんです。  各省庁のリストを見ているんですけれども、例えばこれも去年、警察庁にお話をしたんですけれども、例えば警察署の施設の中でも当然必要な部分、スペースがあるんですよ、これは絶対にやってみるとわかりますけれども。そういうふうなものがなかなか是正されない。私は、単価の問題はある程度やむを得ない場合があるんですけれども、面積差があるというのはやっぱりちょっと問題があると思うんです。ですから、これは官房長は去年も同じようなことを言ったんですけれども、本当に取り組んでくださいよ。
  154. 野田健

    政府委員野田健君) 国が補助する都道府県警察に要する経費につきましては、警察法の定めるところに従い国が算定した所要額の十分の五を補助しているものであります。したがって、各都道府県において将来の需要であるとか、あるいは地域の実態等を加味して算定している所要額とは必ずしも算定基準を同じにしているものではないということから、多少の差が出てくるという実情にあります。このために平成九年度予算においては、大蔵省、自治省及び警察庁の共同による警察庁庁舎の実態調査の経過を踏まえまして、仕様の改善、一平方メーター当たりの単価の改善というようなことを図りました。  また本年、御審議いただいております平成十一年度予算案におきましては、今御指摘がございましたが、留置場の面積の拡大ということで、昨年まさにこの委員会で御指摘を受けました看守員の仮眠室を面積基準に入れるという改善をいたしたところでございます。  警察庁といたしましては、現下の厳しい治安情勢に的確に対処していくため、今後とも補助金を含め必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  155. 高橋令則

    ○高橋令則君 早速やられて非常に結構でございますので、ひとつぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  156. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 二〇〇〇年問題を質疑しようと思ったんですけれども、高橋さんの方からあったものですから今慌てて質問の中身をやりかえようと思って、二〇〇〇年問題もせっかく用意しておりますのでちょっと御質疑を申し上げ、引き続いて政治資金の問題と、そしてきょうお配りいただきましたこの予算委員会要求資料の中で、自治体病院関係はちょっと時間があれば聞かせていただこうと思います。  二〇〇〇年問題につきまして今自治省の方から御答弁がありました。これはもう地方自治体も関係ありますし、陸海空乗り物、あらゆる分野に、地方自治体の場合も病院もあります、それから水道、下水道、また乗り物があるし、コンピューターもみんな持っているわけですから、どこにチップスが入っているかわからないという状況の中で、これはかなりきちっと身構えていかないと大変なことになりはせぬかなという思いがいたします。  どうか先ほどの高橋議員に対します御答弁のように、きちっとした対応をお願いいたしたい。特に、危機に対して身構えるというのがどうも我々日本人というのは不得意になってきている。この前の阪神大震災のときには野田さんとも一緒に神戸に行きましたけれども、そういう状況にならないようにぜひお願いをしたいというふうに思います。やっぱり国家と国民の安全と豊かさを守るということが政治、行政の究極の目的でありますから、力を合わせてひとつ乗り切っていただきたいと思います。  私がこの問題に関心を持ちましたのは、ある人たちの会合の中で、松岡さん、年末年始は飛行機に乗らぬ方がいいよという話が実はありまして、いろいろ伺ってみますとそういう事態なものですから、きょうは特に航空局長にもお越しいただきましたが、そういう問題についてどのような指導をされ、認識をしておられるのか、そういうことについてまずお伺いしたいと思います。
  157. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) コンピューターの二〇〇〇年問題につきましては、現在、政府全体も当然でございますが、運輸省の中も全局挙げて各交通分野についての調査とそれから対策を講じているところでございます。特に航空につきましては、運航に重大な影響があるんじゃないかという一部報道もございますので、我々としては徹底的な対策を今とろうとしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、航空関係の二〇〇〇年問題に係るシステムといたしましては、一つは航空管制に関連するシステム、そして航空会社が持っております地上システム、それと航空機に関係するシステムがございます。  このうち、航空管制に関連するシステムにつきましては、機器の更新、整備にあわせて対策を進めてまいったところでございまして、模擬テストを含めまして本年三月までに対応を完了することといたしておるところでございます。また、昨年の十月には、日米当局間におきまして国際的な共同模擬テストを実施したところでございまして、問題がないことを確認したところでございます。  次に、航空会社の持っております地上のシステムの対応でございますが、昨年の六月に関係団体等に対応を指示いたしまして、現在、各航空会社におきまして対応に着手しておるところでございます。本年の六月までに完了するよう作業中ということでございます。  それから、我が国の航空会社が所有しております航空機についてでございますが、メーカーとも連絡の上調査をしておりますが、現在のところ安全運航に直接影響を与えるような重大な問題を有する装備品は確認されておりません。これはマイクロチップも含めて確認をしておりますが、確認されておりません。それから、ふぐあいを生じ得る装備品につきましても、ソフトウエアの変更等の対策をとっておるところでございます。  また、この問題は国内だけ対策をしても終わらないわけでございまして、海外の関係でございますが、海外の航空管制及び航空会社の対応につきましては、現在、航空管制につきましては国際民間航空機関、ICAOと呼んでおりますが、それから航空会社の対応につきましては国際航空運送協会、IATAと呼んでいる協会でございますが、ここが調査そして対策を協議いたしております。我が国といたしましても、我が国の対策をこの場で説明をするとともに、積極的に協議に参加をし、対策に遺漏がないようにということで今努力をいたしておるところでございます。  今後は、危機管理計画の策定、こういう準備をいたしましてもいざという場合に危機管理をいたさなければいけないので、その危機管理計画の策定を含めまして、二〇〇〇年への飛行が安全かつ支障なく行えるよう万全の体制を整えるとともに、航空会社等に対しまして必要な指導を適時適切に講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  158. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 過去、国会議員が乗っていて事故が起きたためしがないというジンクスがあるらしいですが、自信のある先生方が安心して年末年始に飛行機に乗れるようにひとつお願いをいたしたいというふうに思います。  民間企業のアンケート調査では、エレベーターがストップする場合の対応について考えたことがあるかという質問に対して、八〇%が考えたことがない、もしくは考えているけれどもコストをかけてまで対応するつもりはないという回答が出ているんです。将来のリスクより明日の資金繰りというのが実情でありますから、地方公共団体においても同様だと思うんです。こういう問題についてやはり財政的な支援というのが必要なところにはきちっとやる、さっき言いましたように病院とかいろいろあるわけですから、そういうことをひとつ考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  159. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) 地方団体のかかわり方といたしましては、例えばいろんな手当その他の給付なんかにつきまして日付情報を伴うものとか、上下水道、工水等の制御あるいは料金システム、こういったところが直接関連を持つわけでありまして、こういったものについてはシステムの手直しとあわせて模擬テストをするというふうな形で地方団体を指導いたしております。  さらにもう一つ問題になるのは、地域において横断的にチェックをするシステムということでありまして、各省庁それぞれ所管分野につきまして縦割りでいろいろ末端まで指導していただいておるわけでありますけれども、万一問題が発生した場合の危機管理計画の策定あるいはそれへの対応ということになりますと、地域レベルで押さえていく必要があります。これにつきまして、場合によっては必要な技術を持っておるボランティアを募るとかいったような対応も必要だといったような意見もいただいておりまして、私どもこの辺を踏まえて、地域レベルでの危機管理計画の策定等につきましても強く要請をいたしております。  こういったそれぞれ地方団体自分のシステムを見直す経費、あるいは地域レベルで危機管理に対する対応をする経費、そのいずれにつきましても特別交付税によりまして万全の財政措置を講じていくというふうに地方団体にも徹底を図っておりまして、これによりまして地方団体の万全の対応を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  160. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 アメリカのコンピューターの二〇〇〇年問題に関する上院特別委員会が三月二日ですか、米国が全国規模経済社会的に麻痺することはないという見通しを出しております。その中で、最も対応がおくれているのは医療機関で、機器が故障して手術室が使えなくなる危険がある、二番目に、米国が石油を輸入しているサウジアラビア、ベネズエラ、ナイジェリアは対応が米国より一年から一年半おくれているため、石油供給に支障が出るおそれがある、三番目に、食糧を買いだめする必要はないが、一時の混乱に備えて、多少の水や缶詰、銀行の預金記録などは手元に置いた方がいいという指摘をいたしております。また、諸外国では深刻な打撃が起こり得ると述べて、一部の国同士の航空や貿易に混乱が生じる可能性があるという懸念を示しているわけです。特に、日本には、金融機関の過小評価ぶりを見ると、他の分野ではもっとおくれているのではないかということをこのベネット委員長、ドッド副委員長指摘しております。  さらに、ニューヨークのウォール街が総額一億ドル、約百二十億円をかけて大がかりな演習をするわけです。この六日から来月二十四日にかけて、土曜日に証券、銀行、年金基金、投資信託などから五千人が参加する、こういうことをやっておるようです。それから、英国の有力紙フィナンシャル・タイムズが、日本の二〇〇〇年問題対応を危惧という見出しで、日本企業が十分な対応をしていないとの懸念から欧米の銀行は日本の大企業との金融取引を抑えることを検討しているという趣旨の記事を掲載しておるわけです。  こういうふうに外国から見られているわけですし、先ほど申し上げたように、国家と国民の安全と豊かさを確保するために自治大臣、公安委員長としてこの問題についての御見解を最後に伺いたいというふうに思います。
  161. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 総論的には、先ほど答弁の中でありましたように、既に総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部というところで行動計画決定しておって、それに基づいてそれぞれ関係省庁においては民間に至るまでその趣旨の徹底方を図っておるところだと私は認識をいたしております。  その中で、地方公共団体なりそういう公のかかわる行政の守備範囲、特に危機管理体制であったりいろんなそういった側面、交通管制も含め、先ほどは航空管制のお話がありました。その種の行政部門に関してはかなりそれぞれ念を入れて、今御指摘のようなことが起きないようなことをやっておると思います。  ただ、民間がどこまでその辺の広がりがあるのかということについて、私もここで確たる答弁を申し上げるには至らないところもありますので、この点はなお関係のところとも協議をしながら必要な対応をしてまいりたいと思います。  特に、安全管理、そういった側面でいろんなケーススタディーをやった上で今やっているところだと私もそう信じておりますが、なお念には念を入れてこの問題について対応すべきであるという御趣旨は、大変大事な御指摘であると受けとめたいと思います。
  162. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今はとにかく地方自治体も民間も元気がないんですよ、いろんな面で。だから、何とかこの問題は危機意識を駆り立てて、ある面ではお金を使ってでもきちっとした対応をして安全を確保していくということが大切だというふうに思いますので、要望を申し上げておきたいと思います。  平成七年の一月一日から施行されました政治資金規正法、これは施行五年後に寄附のあり方について見直しを行うものというふうにされておるわけです。ことしの十二月三十一日で五年目を迎えるわけでありますが、この問題についてどのように対応されるのか。禁止する措置を講ずるものとされていますという言葉と、最後に政党、政治資金団体に対する寄附のあり方について見直しを行うものとされていますということでありますが、これについてどのように対応されるのか、伺いたいと思います。
  163. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、平成六年の政治改革における政治資金規正法の改正の際に、企業団体献金についてより規制が強化をされたわけであります。そこで、その改正法の附則の中で、施行後五年を経過した場合の取り扱いがいろいろ書いてあるわけでございます。それから、政党交付金の総額につきましても、政党助成法の附則で、施行後五年を経過した場合にその見直しを行うこととされておるわけであります。  どういう方向でこれをやるかということなんですが、率直に言って、これは大変政治的判断ということがまずいろいろあった上で、平成六年の政治改革で選挙制度の問題とも連動しながらこの問題が論議をされてきたというふうに認識をいたしております。  そういう点で、まずこれは各党各会派においてそれぞれ御論議をいただいて、その上でお互いの論議の結果を持ち寄るなり、そういった中で煮詰めていただかなければならないテーマではないかというふうに考えておりまして、自治省の方から先にかくあるべしということで突っ込んでいくのもちょっといかがかなという思いをいたしております。
  164. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣の御答弁はそのようなことであろうというふうに思うんですけれども、法律できちっと五年後に見直しということをうたっているわけですから、これからきちっとした場で議論をしていかなきゃいかぬことだと思う。そして、国民の期待にやはりきちっとこたえるという基本がなきゃならぬと思っているんです。  自社さ合意というのがありましたね、企業献金を来年見直すということでしたかな、あれは。それはその後どうなっているのか。大臣の方では情報として、あるいは自治省の方でどういうふうにこの問題をとらえておられるのか、情報があればお聞かせいただきたいと思います。
  165. 片木淳

    政府委員(片木淳君) 先ほど御指摘ありましたとおり、政治資金規正法の九条には、企業団体献金の資金管理団体に対する寄附につきまして、五年を経過した場合において禁止する措置を講ずるものとするという規定があることは承知しておりますが、自社さ合意が最終的にそこまで合意したということについては、私どもちょっと今認識をいたしておりません。
  166. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 こういうところで議論をできない話だと思うので、まあこの程度にしておきましょう。  きょういただきましたこの資料ですね、予算委員会にも早く出しておられるんですが、これは委員会で委嘱審査しなきゃいかぬというので、きょうお配りいただいたんですが、そういう習慣になっているんですか。それもちょっと後でどなたかおわかりなら教えていただきたいんですが。  この中で四十八ページに「最近五カ年間の自治体病院の収支状況」というのが出ておりまして、参議院予算委員会要求資料、平成十一年二月十日、これを見ますと、けたがわからなくなっているんだけれども、累積欠損金は一兆ですか、これ。一兆になっちゃったんですか。これは大変なことだと思うんですね。どうして自治体病院でこれだけの累積が、私が市長時代には一千億とか、そんなけただったと思うんだけれども、一兆を超してしまっている。これは大変な状況ですし、特に医業収益がこれで見ると三兆四千五百九十億円ですか、それから医業費用の方が三兆八千億円。だから、毎年四千億円ぐらいこれだけでも差がついてきているわけです。  実際、地域の中で自治体病院がそれぞれ地域住民のために果たしている役割は大きいんですが、これだけのものになってくると、これはもう大変なことですよね。この実態について、どうしてこういうふうに膨れ上がってきているのか、分析はしておられると思いますけれども、それに対してどう対応できるのか、お答えできればひとつどなたかお願いします。
  167. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) お手元に行っております資料は、予算委員会から私どもの方に提出するようにというたくさんの資料要求がございまして、それぞれの御指示に基づいて提出いたしておるものでございまして、各議員のお手元にいつ行くかというところまでは私どもとしてはちょっと承知しておらないところでございます。  その中で、今の病院事業の経営状況でございますが、地方団体がいろいろ行っている事業の中でも病院事業というのは非常に経営が厳しいというのは御指摘のとおりでございまして、平成九年度決算で累積欠損金が一兆円を超したということでございます。ちなみに、八年度決算で九千七百五十八億でございましたものが六百五十二億ふえて一兆円を超えたということでございます。  これは、病院の経営が厳しいのは公立病院に限った話ではございませんが、公立病院の場合には、特にやっぱり一般の民間の病院にないような高度医療あるいは救急医療、それから不採算地区を抱えておるといったような要因がございます。  他方、やっぱり一番中心になります診療報酬がああいうふうにして決まってくるものですから、最近はなかなか伸びが大きくならない。片方で、費用の方は今の週休二日制その他でどうしてもふえてくるというところがございまして、その結果次第に状況が厳しくなってきて、今累積欠損金で見てそういう状況になっているわけでございます。  私どもは、そういう状況にかんがみまして、毎年度、事柄の性質上、病院の診療報酬だけで賄うのは無理だというふうな経費もいろいろ、衛生行政との分担あるいは救急高度医療というようなところがございますので、それぞれについて一般会計が負担区分に基づいて応分の分担をするというふうなものも当然あるわけでございまして、十一年度で申しますと、六千五百億ぐらいの建設改良分それから経常的な収益分に対して六千五百億ほど一般会計から繰り出しをするということで地財計画を組んでおります。  そういうことでありますが、しかし基本的には、やはりそういう厳しい状況の中でも収益の増加にそれぞれ取り組んでいただく一方で、費用の削減をしながら経営の努力、効率化の努力をしていただかなくちゃいけないということでございまして、そういうものに対して私どもとしては今申しましたような財政的な支援をいたしておりまして、その充実につきましてはこれからも相努めてまいりたいと思っておりますが、公立病院だけでつくっております自治体病院協議会なんかでも非常にいろんな形の分析を行っておりましたり、個別の病院のいろんな経営健全化計画、あるいは特に建てかえをする場合の建てかえの計画についての相談に乗ったりといったようなことをいたしておりまして、全般的にそういう支援を私どもとしては引き続きやっていきたいというふうに思っております。
  168. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 終わります。
  169. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 各委員からいろんな方面からの議論がなされておりますので、私はひとつ公営企業金融公庫の問題に絞って、時間があればまた別の問題に入りますけれども、お伺いしたいと思います。  公庫の補助金と申しましょうか補給金は、来年度の予算では二十億ということになっておるわけですが、今年度は二十九億ということで九億減になっておるわけですけれども、この補給金の目的及び今後どういうことになるのか、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  170. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 公営企業金融公庫が各種の公営企業に対します貸し付けを行います場合に、特に国民生活に密接な関連のある事業についての利率の引き下げを行おうというねらいで国庫補給金が設けられてきておるわけでございます。  ただ、これにつきましては、平成九年九月に閣議決定をされました「特殊法人等の整理合理化について」という決定の中で公庫の経営の自立性を高めるといいますか、そういう観点から、この国庫からの補給金は三年間で段階的に廃止をしていくというふうなことになっておる次第でございます。
  171. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 そうしますと、この公庫につきましては、地方団体は大分利用させていただいてありがたいわけですけれども、この公庫の原資、これは財投からではないということで、一般市場からの原資で賄っているわけでございますけれども、その原資の今の利率、特定の月でもいつでもいいんですが、比較になるところでいいんですけれども、原資の利率、また貸付利率はどのくらいで今運用しておるのか、その辺はどうでございましょうか。
  172. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今最新の状況でいきますと、公庫の基準利率は二・二〇%でございますが、特に臨時特別利率ということで金利の引き下げをしておるものがございまして、そういう事業につきましては二・一五と〇・〇五の差がついている、こういう状況でございます。
  173. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 調達資金はどのくらいで調達されておられるのか。どうでしょうか。
  174. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 公庫は市中から債券で調達いたしておりますが、その調達しております基準利率は二・二〇%でございます。
  175. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 そうすると、今、調達金利と貸付金利が大体近づいてきているというようなことのようでございます。  それと一緒に、公庫については公営競技事業から納付金がなされておるわけでございまして、いただいた資料によりますと七千億くらいの基金になっておるわけでございます。こういう基金の運用によります利率、はっきりした点はわからないと思いますけれども、先ほどの自治省からの補給金二十億というのがあるわけですが、それとこういう貸付運用基金、これの利子によってどのくらいの軽減がなされているのか、わかりましょうか。
  176. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) ちょっと一定の前提を置いて申し上げることになると思いますが、既に実績が出ております平成九年度の決算におきます貸付金の残高、その年のいわゆる国庫補給金と納付金の運用益、これは実際に九年度の場合には国庫補給金が四十二億、納付金の運用益が三百九十四億でございましたので、その両方でもって、今の貸付残高に対しましては〇・二%程度の引き下げ効果があるといいますか、そういう効果になるわけでございます。
  177. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 〇・二%、これはもう貴重な引き下げ効果だろうというふうに思うわけですけれども、今低金利時代ですから思っているほど引き下げ効果というのがないわけでございます。  それと、今、松岡委員の方からもお話がありましたように、公営企業は大分赤字のところも、自治体病院もありますし上水道もあるわけでございます。  公営企業がどれだけ高利のものを持っているかというのは、ちょっと資料がなくてわからないんですけれども、地方公共団体全体ではかなり、五%以上のものがあるというふうな資料は、これは自治省から出している決算資料で出ておるわけでございます。そういう中で、こういうことについてはできるだけ、少なくとも軽減処置と申しましょうか、経営の改善に役立てるようなことにしていかなけりゃいけないんじゃないかと思うんです。  そういう中で、これは各委員がいろいろ前からも言われておるわけですけれども、公債費の高利率のものの繰り上げ償還、これがなかなか難しい。ただ、来年度からこれが顔を出してきたという点で、その点は非常に御努力は認めるわけでございます。  これは、いただいた資料によると、繰り上げ償還の対象団体はということで、起債制限比率が何%以上のものとかというふうな非常にきつい形のものになっておるわけです。これは自治省の方としても努力して、いろいろ大蔵と相談した結果で、なかなか大蔵の承認が得られなかったということがあるんだろうと思います。それはまた大蔵のときにお話しいたしたいと思いますけれども、そういう点があるにしても、公庫資金の繰り上げ償還の団体、これもこれと同じような形で見ておるわけですね。  公庫資金につきましては、公営企業金融公庫で、これは公営競技の事業資金、納付金などでその基金をつくってできるだけ低利率でということでもありますし、財投の資金を使っているわけでもないので、公庫資金につきましては、この一般の繰り上げ償還、こういう条件というのは私も大分不満なんですけれども、それにしても一般とは違った形で、先ほどの公営企業、病院事業など多額になるので繰り上げ償還を認めて経営改善させなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに思うわけでございますけれども、この点いかがでございましょうか。
  178. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 公営企業金融公庫の場合には、今、委員から御指摘がございましたように財投の資金を使っているわけではございませんで、債券を発行して市中から調達しておるわけでございます。それを、十年で調達したものを二十年とか、平均的には二十五年ぐらいの期間で貸しているというのが公庫の機能でございます。  そういうことでもありまして、公営企業金融公庫は従来から一定の枠で借換債という枠を持っておりまして、平成十年度の場合にはそれが三百四十億、九年度が二百六十億、八年度が百六十億でございましたから、私どもでこれは大蔵省の方と交渉しながらこういう枠を設定するわけでありますけれども、ふやしてきて、公庫は公庫なりにそういう借りかえの対応枠をふやしてきたという経緯がございます。  そこで、十一年度、今回公的資金の繰り上げ償還ということを考える際に、公営企業金融公庫につきましては、そういう借換債の枠を六百億に広げる、それからそのほかに繰り上げ償還で四百億という枠を設ける、合わせて千億ということにいたしたわけでございまして、これで、繰り上げ償還で九十団体、それから借換債で五百団体ぐらいが該当するんではないかというふうに考えておりまして、公債費、起債制限率が高い団体で、また、公営企業という面からいきますと資本費負担が著しく高い一定の公営企業ということで要件を決めたところでございます。  そういうことで、公営企業金融公庫につきましては従来から政府資金とやや違った対応をしてきております。しかし、基本的にはやはり長期で安定した資金を公営企業に提供するというのが本来のねらいでございまして、公庫は公庫自体として資金調達と貸し付けとのやり方から来るいわば経営の問題があるわけでございまして、公庫の経営基盤ということも一方で考えておかなくちゃいけないという問題がございまして、今、十一年度の臨時異例の措置として、委員申しましたような、借りかえの枠を思い切ってふやすとともに繰り上げ償還という新たに四百億を設けて合わせて千億ということにいたしたところでございまして、そういう公庫の果たしております資金の機能、それから公庫の経営の問題、それから片方で非常に高い公債費の負担を抱えている地方団体状況といったようなことを考え合わせて十一年度の特例措置として行うことにいたしたものでございまして、その点は何とぞ御理解いただきたいと思います。
  179. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 繰り上げ償還はこれくらいにいたしますけれども、公営競技の納付金ということも考えると地方団体でもできるだけ繰り上げ償還を望んだときはお願いしたい、こんな気持ちだろうと思うので、できるだけ御努力いただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、この公営企業の公庫の資金なんですけれども、今、地方計画の中で一二、三%を占めているわけです。あとは大きな政府資金からのものです。今、財投関係がいろいろ議論されておりまして、また、いろんな制度改正に伴って財投の資金というのがどういうふうになっていくか私もよくわかりませんけれども、いずれにしても今までと違った形の資金調達になっていくんだろうと思うわけでございます。また、郵政関係のそういう資金が今度自治省と一緒になるわけで、使いやすくなる点もあるのかなというふうに思うわけでございますが、この地方債資金の原資の確保につきましてはどのように考えておられるのでしょうか。
  180. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 現在、公庫は先ほど申しましたように財投の資金というのは使っていないわけでありまして、政府保証債の発行で市場から資金を調達しているというやり方でございます。  財投が大幅に改革された後どういうことになるかというのは、まだ完全に見きわめがついているわけじゃありません。郵貯の自主運用といったような問題もございまして、その自主運用が具体的にどんなやり方になるのかということもまだきちっと決まったわけではございませんので、公庫の資金調達に財投の改革がどういう影響を及ぼしてくるかということにつきましても、私どもとしてもまだきっちり見きわめがついたような状況ではございません。  それから、今、委員御指摘のように、確かに省庁再編で私どもの方と郵政省の方が一つの役所になるということも、それがどういう形でこの問題にかかわってくるのか、これももう少しよく見きわめる必要があろうかと思います。  いずれにいたしましても、やはり公庫は長期安定した資金を供給してきたということと、それから地方団体地方債のいわば共同発行機関というふうな性格を持っておりますので、そういう役割を引き続き果たしていけるように、いろんな角度から私どもとしても検討してまいりたいというふうに考えております。
  181. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 起債の問題につきまして、地方団体独自性とか自立性とかということを言われておるわけなので、それも大事なことなんですけれども、銀行さんとの交渉というのは、私もやったことありますけれども、なかなかこれ難しい。向こうは専門家でございますし、利率でいろいろな経理をやっておるところでございまして、非常に難しいわけなので、こういう地方団体、大きな団体はいいでしょうけれども、小さな団体と言っては失礼かもしれませんけれども、団体の力関係も非常に出てくるわけなので、何らかの形でこういう形の政府資金、こういう形のものを利用すると申しましょうか、プールした形でのものをつくっていっていただいた方がいいんじゃないかと思うわけでございます。  公営企業金融公庫につきましては、長い歴史の過程で地方団体の公庫となるようというような、これは先輩方が努力されたと思うんですけれども、そういう過程もあったと思うんです。今、そういうときとはまたちょっと違った形で、地方公共団体自立性ということの中でもそういう資金を確保していただいて、低利のものをいつも確保していく、利率は変わりますけれども、そういう中でも確保していくということが必要なんじゃないかと思うわけです。  そういうふうに見ますと、公営企業金融公庫の公営企業という意味じゃなくて、地方団体の公庫的な、今までとはちょっと違った意味での取り扱いが必要になってくるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  182. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、これからそれぞれ自治体自主性なり自己責任がより強められていくという方向性の中ではあるんですけれども、基本的に住民への不可欠な行政サービスを担っていかなければならないという側面があるわけです。  現在においても、全部の都道府県がみんなみずから市場でボンドで調達できる状況にあるかというとそうではないというようなことを考えますと、お話のとおり、今後においても地方公共団体に対して長期かつ低利の安定した資金供給が行われるような枠組みというのは当然のことながら必要なことでありますし、そういう中で地方債の共同発行機関という現在の公営公庫の果たしておる役割というのはいささかも低下するものではないというふうに認識をいたしております。  具体的にこれから、その発行の多様化なり、いろんなこと、状況、財投の見直しなどとも関連をして対応していかなければならぬと思いますが、御趣旨のとおり、基本的にその融資対象等についても十分検討を、余り最初から限定するのではなくて、幅広い角度からいろいろ検討してまいりたいというふうに思います。
  183. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 終わります。
  184. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 以上をもちまして、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁運輸省所管のうち海上保安庁自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会