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1999-03-09 第145回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小山 峰男君     理 事                 釜本 邦茂君                 松村 龍二君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 八田ひろ子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君                 岩瀬 良三君    国務大臣        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君    政府委員        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        警察庁警備局長  金重 凱之君        公安調査庁長官  木藤 繁夫君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君        海上保安庁長官  楠木 行雄君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       田中 法昌君        国土庁長官官房        審議官      齋藤  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方行財政選挙消防警察、交通安全及び  海上保安等に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)  (平成十一年度海上保安庁業務概況に関する件  )  (平成十一年度の地方財政計画に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) 〇地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) 〇地方特例交付金等地方財政特別措置に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題とし、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件及び平成十一年度海上保安庁業務概況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は、かねがね、地域に元気がみなぎり、夢のある地域とならなければ日本全体も元気が出ないというぐあいに考えておる男であります。  私、鹿児島の出身でありますが、私どもが一番強く念願しておりますのは、地域の均衡ある発展、これがなければやっぱり日本という国はよくならないということを言い暮らしてまいりました。  このたびの自治大臣所信表明ではまさに、「地方公共団体地域の総合的な行政主体として、自らの創意工夫による施策を積極的に展開していくことが何よりも必要」だとされております。全く同感であります。こうした考え方に立って自治省は、平成十一年度から地域活力創出プラン推進し、地方公共団体取り組み支援することとしておりますが、その内容について御説明をいただきたいのでございます。  また、昭和六十三年度、竹下内閣におきまして行われましたふるさと創生一億円事業以来、それ以来のふるさと創生によりまして地域が知恵を出す町づくり全国的に盛り上がってきたと考えておるのでありますが、今回の地域活力創出プランはこのふるさと創生とどのような関係にあるのか、あわせて御説明をいただきたいと思います。
  4. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 井上先生指摘のとおり、まさに各地域、その総合的な担い手である地方公共団体、特に市町村主体的に自分たち地域のことについて自分たちみずから活力をどう生み出していくのか、活性化していくかという、その主体的な取り組みをさらにバックアップしていくということが極めて大事なことであるという認識をいたしておるわけでございます。  そういう意味で、今度の地域活力創出プランは、地域自立促進の条件を整備するとともに、地域活力により我が国経済再生に資するという目的で推進しようとしているものでございます。  具体的には、ソフト事業としては、農産物の生産、加工、流通、販売を一貫して事業化する取り組み、俗に六次産業化という言い方もあるようでございます。あるいはベンチャー企業の創業、事業化支援などの地域経済再生のための取り組み、そしていわゆるIターン、Uターン、Jターンなどの地方への移住や定住の促進人材の活用、人材育成等人づくりに対する総合的な取り組みに必要な経費として、普通交付税措置を二千五百億円程度講ずるということをいたしておるわけであります。  そして第二に、ハード事業として、地域経済再生人づくり広域連携などを推進するための地域活力創出事業等に対して、地域総合整備事業債、七千五百億円程度でございますが、起債による支援を行うことといたしておるわけでございます。  御指摘の従来のふるさと創生というのは、昭和六十三年度にスタートさせたいわゆるふるさと創生一億円事業を契機として、地域創意工夫による地域づくり地域住民参加による地域づくり支援してきたものでございます。これによって、地域づくり機運全国的に盛り上がった、あるいは住民参加による地域活性化が図られた、さらに市町村企画能力が向上した、このような大きな成果が上がったという認識をいたしております。  他方で、事業のマンネリ化、画一化、あるいは財政措置小規模団体に手厚過ぎるのではないか、こういった批判も見られるようになったところでございます。このため、平成十一年度におきまして、地域創意工夫を大切にするというふるさと創生事業の理念を生かしつつ、地域を支える人づくり地域経済再生、こういった公共団体にとって基本的重要なテーマに絞り込んで重点的な財源措置を講ずることとしたわけでございます。
  5. 井上吉夫

    井上吉夫君 ありがとうございました。  今お述べいただきましたこうした地域創意に基づく施策推進するためには、何といいましてもやっぱりそれを実行に移す人材、中でも地方行政を担う公務員能力、そのための公務員育成が大変重要だと考えております。  現段階では、国家公務員に比べまして地方公務員行政処理能力は若干問題が残るんじゃないのか、あるんじゃないのかなという気がいたしますが、これは今の仕組みの中から、あらゆる補助事業が、国が仕組みを決めて国の示した基準に合格するという、そのことが市町村仕事の中心になっているということから起こっていることが非常に多いと思うんです。  したがって、最初から、みずから考えていろんなことを発案しながらやっていく、そういう課題を与えながら鍛えていけば、当然、地方公務員も決して国家公務員に負けないだけの、その地域の実態をよく知っているし、能力もあると私は思うんです。みずから考えみずから施策を実施する職員というのは、やっぱり地域を一番よく知っている人間の、その知識の中から、改めて今申し上げましたような課題として取り組むならば、必ず私はすぐれた人材ができ上がっていくというぐあいに思います。  ただ、そういうぐあいになるには、まだまだ国の仕組みも含めて、こういうぐあいに切りかわるときのいろんなかわり方を含めて、相当やっぱり人材養成という面にとりわけ自治省がしっかり取り組んでいただかなければならないというぐあいに考えておりますので、かなり幅広い話になりますが、地方行政を受け持つ県や市町村に対する自治省としての人材養成に向けてのお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 野田毅

    国務大臣野田毅君) まさにこれから、特に地方分権推進していこう、そして住民に身近な仕事はまさに住民に身近な自治体が、特に市町村が基本的に責任を担っていく、そういう形でやっていこうとするならばなおさらのこと、その担い手である地方自治体職員の、言うなら企画立案能力等々、行政執行能力のいわゆるレベルアップということが避けて通れない極めて大事なテーマでございます。  そういう点で、一つは、仕事流れそのものがいろんな縦型で、中央のそれぞれの役所が一つの政策を出して、言うならそれを勉強するという形の中で地方自治体が縦型で勉強していこうということだけで後追いをしておりますと、なかなかその実が上がっていかない。  そういう点で、包括的にいろんな仕事の流れ、責任分担といいますか、本当に地方のことは地方自身責任を持つんだという、そういう事務権限等の移譲ということを、本当の意味での、自己責任という言葉がいいかどうかは別として、まさにそういった自治体自身にみずから責任を持って企画立案なりやっていくんだというような仕組みをつくっていくということが、まず一つ客観的な姿としてはどうしても必要な部分だろうというふうに思っております。  同時に、しかしそれをまつまでもなく、そういう意味地方自治体人材育成していくということが極めて重要でありますし、そういう角度から平成九年十一月に自治省としては「地方自治・新時代における人材育成基本方針策定指針」、これは自治省公務員部長の通知でございますが、この指針を示して、その中で、人を育てる職場環境職員研修の充実、多様化取り組み都道府県市町村との連携など、地域の実情に即した具体的かつ実効性のある取り組みを積極的に行うよう要請をいたしておるところであります。また、本年度から新たに人材育成等アドバイザー制度というものを創設いたしたわけでございます。  さらに、平成十一年度から実施されます、先ほど御指摘のございました地域活力創出プラン事業におきまして、地域活力によって我が国経済再生に資するという観点からの人づくり事業について財政措置を行って積極的に支援をしてまいるということを取り入れたわけでございます。  そういう意味で、地域人づくり支援に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  7. 井上吉夫

    井上吉夫君 いろんな事業を行います場合に、個々の市町村で行うということも大事であります。それをこなす人材をどう養成するかということの大事さは大臣から今お答えをいただきました。  しかしながら、これからはむしろさまざまな行政課題に対応するためには複数の市町村が広域的に連携して事業を行うことがより重要になってきていると考えるわけであります。地域活力創出プランにおいてはこうした広域的な連携をどのように支援するお考えかをお聞きしたいと思います。  これと関連をいたしまして、きょうは国土庁からも見えておると思いますが、生活空間倍増戦略プラン、その中でも、わけてもその一環としての生活空間倍増地域戦略プラン国土庁総合窓口として展開する地方のいわば生活空間倍増事業であります。  私はこのことに非常に大きな期待を寄せておるわけであります。ちょうどしばらく国土庁長官を担当いたしまして、予算編成もこの仕事を受け持ちましただけに、国土庁最大テーマはここにある、そしてこのことはこの仕事を広域的に関係市町村一緒にやるというその構想を練り上げるという過程にこそ大きな意味があるというぐあいに考えております。  したがって、自治省のこの問題への取り組みは、関係省庁の中でもとりわけ国土庁地域戦略プランと大変密接なかかわりがあると考えておりますので、ひとつ両省が最大限協力をしながら、これを一つの大きな素材として、まさにこれこそが生きた勉強、このことを立派にやり上げることがいわば地方時代をもたらすための最大実験材料であり生きた教材だというぐあいに私は考えておりますので、国土庁には、四百地区、一地区百億、五年間に四兆円の規模で発足したわけでありますが、今概要でどのくらいの申請というか、全国から地区数あるいは金額がどのくらい出てきているか、そのことをお知らせいただきたいと思います。
  8. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 地域活力創出プラン広域連携関係についてお答えを申し上げます。  大臣からもお答え申し上げましたように、事業内容としては地域経済再生人づくりということを掲げますとともに、仕事進め方としては広域連携というのを大きな柱としてこのプランを位置づけておりまして、重点的な財政措置を講ずることにいたしております。  具体的には、その果実を使って広域的な仕事をするためのふるさと市町村圏基金の造成、あるいはただいま御指摘のありました生活空間倍増地域戦略プラン、これには公共事業のほかに地方単独事業も織り込むことといたしておりますが、これに要する経費、あるいは各種の資源を広域的に活用して相乗効果を目指したり、あるいは地方公共団体同士公共施設を共同設置する、こういった場合に地域総合整備事業債により支援をすることといたしておる次第でございます。
  9. 齋藤博

    説明員齋藤博君) 地域戦略プランでございますけれども、総理が提唱されました生活空間倍増戦略プラン一環として、地域がみずからテーマを選び、主体的に策定する活力とゆとり・潤い空間の創造のための地域戦略プランに対して、国が最大限支援を行い、生活の夢の実現と地域再生を図るというものでございまして、今、井上先生からもお話ありましたとおり、関係省庁多数に上りまして、二十二省庁でございますが、私ども総合的窓口を引き受けろという御指示でございまして、そういった形で進めております。もとより自治省もその重要なメンバーでございまして、常に連絡をとりながら進めているところでございます。  先般、十一月の緊急経済対策におきまして、その地域の数といたしまして全国で四百カ所程度、一地域当たり事業規模は平均して約百億円との想定のもとで、五年間の総事業費でございますけれども、総額四兆円程度ということを閣議決定したわけでございます。  それに沿いまして、当初のスケジュールですと、一月末までに骨子提出をしていただき、三月にプラン提出をしていただくということで進めてまいりまして、この一月に各県を通じましてプラン骨子というものが提出されております。  これはでき上がりましたプランのスケルトンという意味ではなくて、これから議論をしていくそのベースになる現段階市町村考えている骨子ということでございますが、提出されました骨子の総数は四百七十六ということでございまして、当初の想定の四百を多少上回るという数字になっております。また、骨子策定には全国で三千百八十市町村、これは全国市町村の約九八%に上るわけであります、が参加をしているところでございます。  事業規模につきましては、先ほど先生もお触れになりましたように、五年間の総事業費で約四兆円という想定でございましたが、この骨子段階ではまだ各地域とも内容を絞り込んでいないという現状でございまして、未確定な要素も多く、熟度もまちまちなものでございますけれども、仮に機械的に計算いたしますと六十兆円近くになっているという現状でございます。したがいまして、今後、相当規模調整が必要であるということでございます。
  10. 井上吉夫

    井上吉夫君 私の持ち時間が参りましたのでこれでやめますが、お聞きのとおり、自治省構想国土庁考えております地域戦略プラン、共通の部分がたくさんあります。むしろ同じ目標に向かってこの仕事をやっていくというぐあいに考えられます。構想にありましたよりもはるかに、四兆円と考えていたのに実は締めてみたら六十兆出てきた、四百と考えていたのに四百七十何ぼ出てきた、これをどういうぐあいに四兆におさめるか。必ずしも四兆におさめるが芸ではありませんが、むしろそのことよりも、このことをしっかり練り上げるためのいわばプロセスこそ大事だ、このことに一番大きな意味を私は考えております。  したがって、改めてこのことをどういうぐあいにまとめるかという作業を少し期間を延ばして進めていかれるということのようでありますが、むしろ期間を限定して考えるよりも、一応の目標はそういうことでありましょうけれども、そのまとめ上げるための地方勉強、練り上げプロセスということを特に大事にしていただきたい、このことを希望申し上げまして、私の質問を終わります。
  11. 鎌田要人

    鎌田要人君 私からは、画期的な地方分権推進計画の実施ということを目の前にいたしまして、一、二、まず最初にお伺いいたしたいと思うのでございます。  私ども古い人間は、地方自治法が制定されたときのことをきのうのことのように思い出すのでございますが、この地方自治法というのは、今の人たちは何のことはない、当たり前の法律のように思っておられるかもしれませんが、戦前は例えば東京都制というものがある、あるいは府県制というものがある、あるいは市制、町村制というものがある、北海道には北海道でまた官制がある、そういうことで地方自治制度がばらばらでございました。それが一つ地方自治法という体系になった。私ども、その当時、自治省の末輩でございましたが、この地方税財政のところの分担を命ぜられまして、ああえらいことを考えられるものだなという気持ちでおったわけでございます。  ただ、その地方自治法の中で委任事務、これだけが残った、これが大変残念でございまして、ここにおられる久世先生は、その名著「地方自治法」の中で、新しい中央集権体制が構築されたと批評をしておられるのであります。それが我が国都道府県市町村を対等、協力関係ということで割り切られた、これは非常に大きな意味があると思います。  それと、地方団体事務を今までのような固有事務委任事務あるいは政令事務、こういうことでやりませんで、ただ簡単に地方団体事務自治事務ということを主体にして、それに国政の委託事務というものが、これは全く便宜的なものでございますからそういうことで従とする、こういう割り切り方をやられまして、それに基づいて新しい地方分権制度をつくられる、非常に大きな意義がある。見方によりますと、戦後五十年のあかを取り除いて第二の地方自治制度の改革という大きな意味を有するということをまず最初に申し上げたい。  それで、この問題は大変な作業であると思うのでございます。伺いますと、五百本の法律を改正する必要があると言われております。また、大臣所信表明でもそれが書かれておるわけでございますが、これだけの大変な作業ということになりますと、これを国会提出する時期はいつごろになるのか、そのことをまず第一に事務当局の方からお伺いをいたしたいと思います。
  12. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 事務当局からの答弁ということであったのですが、まずは所信に対する御質疑でございますし、大前提として、今度の地方分権一括法に盛られている、言うなら国と地方の間の事務事業役割分担といいますか見直し、非常に歴史的に見て大きな意味があるという御指摘、全くそのとおりでございまして、本当に今までいろいろな角度から言われてきましたが、むしろいよいよこれから本当に実行段階に入ってきた、そういうふうな認識をいたしております。  この一括法案提出時期についてでありますが、約五百本の法律を改正するわけでございまして、大変な作業でありますが、現在調整中でありますけれども、三月中に国会提出をさせていただくということを目指して、現在鋭意作業中でございます。
  13. 鎌田要人

    鎌田要人君 三月中に国会提出ということでございますから、余り時間もございません。大変な作業だと思いますが、私ども大いに期待をいたしておりますので、そのことを申し上げまして、次に進ませていただきます。  市町村合併の問題でございます。  これは、基礎的な地方公共団体である市町村合併の必要なことは言うまでもございませんが、今日、三百余の市町村合併は、言うはやすく実行することはまことに困難なものがある。極端なことを言いますと、合併がこれまでできなくて、それで滑った転んだのあげくに残ったのがこの三千の市町村の中にあるわけでございますので、そのことからこの合併特例法でもいろいろと苦心をしておられるわけでございますが、当該市町村はもとより関係都道府県が一体となって取り組まなければいけないと思うわけでございますが、これは自治省事務当局の方にお伺いをいたします。事務当局のこれに取り組む決意をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 市町村合併推進についてでございますが、地方分権担い手であります特に市町村基礎的自治体として住民への行政サービスの水準というものを確保し、さらに充実していくという観点、あるいは行政効率化を図るということで積極的に推進していくことが必要であると考えております。そのための行財政措置につきましては、地方分権推進計画に基づきまして幅広く拡充を図ってまいる考えでございます。  地方審議会設置あるいは合併特例債の創設、過疎債並みの中身を持つものでございます。また、普通交付税算定特例合併算定がえの期間の延長、住民発議制度平成七年に創設しましたが、それをさらに拡充する、あるいは都道府県知事合併協議会設置に向けての勧告ということなどを盛り込みました合併特例法の改正を地方分権一括法案の中に盛り込んで、今通常国会提出する予定といたしているところでございます。  その上で、進め方でございますが、都道府県が積極的な役割を果たすことが重要と考えておりまして、都道府県に対しまして合併のパターンなどを作成して県下に周知するなど、積極的に取り組むように要請してまいりたいと考えております。そのために、自治省としてはその参考となります合併推進のガイドラインを本年度上半期に示したいと考えております。このようにしまして、行財政措置拡充あるいは地方公共団体に対します積極的な取り組み要請合併機運の醸成といったことで、自主的な市町村合併を総合的に支援してまいりたい、このように考えております。
  15. 鎌田要人

    鎌田要人君 それで、話は途端に私の選挙区の問題になるんですが、鹿児島県あるいは長崎県というような離島県、離島が圧倒的に多い県、しかもその離島は瀬戸内海の離島と違いまして、外海性の、外洋性離島ということになりますと、これの合併というのは非常に難しい。  一つの島で、例えば私の国で屋久島という島がありますが、上屋久下屋久と、一つの島に二つ町が残っているんですね。その上屋久下屋久一緒にするのは難しい。あるいは奄美群島の中でもそういうところがあるんですが、この離島町村合併で、島を超えて合併をさせようということを考えておられるのか、そこのところも含めまして、私ども離島に対する自治省の御方針、これを伺いたいと思います。
  16. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、同じ離島でも内海離島、外海離島それぞれ実態がかなり異なっておることは承知いたしております。  しかし、そういう中でも例えば交通通信手段の発達によって日常生活圏が拡大している地域とか、あるいは同一島内を中心にごみ処理、消防などの事務の共同処理の実績がある地域どもまたあるわけでもございますが、今後、今まで以上に高度かつ多様な行政サービスを提供できるような行財政の基盤を強化していかなければならぬというようなことを考えますと、やはりこうした地域でも合併について大いに議論していただいて、住民自身がやはりその方が自分たち生活なり利便を向上させる上でも、あるいは行政サービスのレベルを維持し、あるいは充実させていく上でも大事なんだという認識をまずつくってもらうということが非常に大事なことだというふうに実は考えております。  そういう点で、さっき局長からも御答弁申し上げたんですが、時折、自分たちが置いてきぼりになるんじゃないか、そういうやはり地域住民の大変な不安感が現にあるわけです。しかし、合併は必ずしもそういうことにはならないんだという意味で、今度、地域審議会というものを新たに設置して、やはりコミュニティーとしての大事なニーズについてはきちんとそれはそれでそのニーズをすくい上げることができるんです、大事にされるんですという仕組みは講じながら、一方で自治体としての、行政単位としての合併という問題ということと私は両立し得るんじゃないか、そのような認識をまた強制ということはなかなか難しいと思いますが、ぜひ住民レベルでも御議論いただいて理解が進んでいくならばいいんじゃないか、そのように思うんです。  特に、くどいようですが、今度、介護事務等々いろんなことが入ってまいります。そうするとそれなりの専門性を要求されるような仕事がどんどんこれから出てくるというときに、やはり小さな行政単位だけで果たしてそれをバックアップすることは本当にできるんだろうかどうだろうか、そんなことを思いますときに、いわゆるコミュニティーイコール行政単位ということではなくて、そこのところはいろいろ御議論していただければいいんじゃないか、そのようにも思います。
  17. 鎌田要人

    鎌田要人君 いや、私がお伺いしたかったのは、端的に言いまして、離島の中で二つないし三つ市町村があるところはその島の中で一つになるということをお考えになっておられるのか、その島を飛び越えて二つの島を一緒にするとかそういうことをお考えになっておるんじゃないでしょうねということを念を押したかったんです。それだけでありますから、コメントは要りません。  それから次に、地方公務員制度のあり方の問題でございますが、三年程度でポストをかえる、今はそういう状態ですね。私が実際経験をいたしました県でもそうでございますが、そういうことではなくて、同一の分野に長年勤続する、地方公務員法前の昔の府県制市町村制の時代公務員の任用の仕方あるいは使い方、そういうことも、幸い今度、地方公務員制度調査会も専門家の意見をお集めになるようでございますので、昔の制度のいいところを、縦割りのいいところをやはりこの際取り入れてほしい、これは希望意見でございます。  御回答がもし公務員部長なり行政局長なりでいただけるようでしたら、一言おっしゃっていただければ結構でございます。
  18. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 御指摘のように、地方公務員制度調査研究会を設けまして、今後の地方公務員制度のあり方全般について現在検討を進めております。  お話しのように、地方公共団体の人事管理におきましては、どちらかといえば幅広い能力を持った人材養成あるいは組織の士気の停滞を防ぐという意味で、通常、一定期間を単位にいわば人事ローテーションで異動するということが行われているということが事実でございます。しかし、お話しのように、地方公共団体行政サービスが高度化、複雑化してきている、また職員の職業意識もスペシャリスト志向が高まる、こういうことで多様な人事管理が求められるということで環境も大きく変わっております。  そういうことを踏まえまして、専門的な知識、技術を要する職場あるいは住民の方と連携をして仕事を行う職場、そういうものを中心に、いわば経験を蓄積して専門的な知識、経験を持った人材というものを養成していくことも必要だと考えておりますので、今後の研究会におきまして、いわゆるスタッフ制あるいは専門職制とか専門的職員というものの養成も含めまして検討してまいりたいと思います。
  19. 鎌田要人

    鎌田要人君 次に、この地方分権推進のために地方税財源の充実強化ということは、これは極めて重要なことは申すまでもないところでございますが、この文言は実は歴代自治大臣、毎回同じことをおっしゃってちっとも実が上がっておらないんですね。私は、この点につきまして、野田自治大臣には、熊本と鹿児島という関係もありますが、非常にあなたに親近感を持っておりますので、今度は何か一つ、二つ、まあ三つぐらいは具体的なこういうことをやりますということを、大変難しいお尋ねだと思いますが、お願いを申し上げたいと思います。
  20. 野田毅

    国務大臣野田毅君) おっしゃるとおり、地方税財源の充実強化という言葉が常套語みたいになっているというのは、残念ながら、客観的に見れば、その願望を持ち努力をしながらもなかなか具体的な実を上げられなかったということだったと思うんです。それは、いわゆる税財源の再配分ということと同時に、それと連動して行われる国と地方の間の役割分担の見直しという、ここのところがこれまた常套語でなかなか現実には動かなかった。ある種のそういった車の両輪みたいな関係の中でずるずると来たようにも感じております。  そういう点で、先ほど来先生指摘のとおり、いよいよこの三月中にも、今調整中ではありますが、いわゆる地方分権一括法という形の中で、ぜひ国と地方の間の事務配分の見直しをする、そして、国と地方関係も縦の関係ではなくていわば対等、協力関係に持っていくんだ、この基本原則をまずはっきりと打ち立てる。そして、それに伴って、財源問題についても当然のことながらその裏づけをつくっていくという、このことがいよいよ言葉だけでなくて実行段階に移ってきた、私はそのように認識をしておりまして、客観的に見てそういうきちんとした位置づけをしようというときにこの任務を仰せつかりまして、責任と同時に充実感なりその使命感を非常に感じておるわけでございます。  そういう点で、特に今経済状況そのものが非常に低迷をいたしておりまして、どういう税目なりそういったものからどれだけの税収がノーマルの姿であれば上がってくるのかということが必ずしも定かではない。そういった環境の中で、国、地方の間の税源の見直しということも今ここでやることが適切かどうか。もう少し経済の状況がノーマルな形の姿になったところで、いわゆる税財源の国、地方の間の配分問題をきちんと手当てをすべきであるという考えでおるわけでございます。  しかし、さはさりながら、それまで待つのにそんなに時間はかからないと思いますが、しかしそれよりもまだ手前で、地方税は独自の問題としてやれることがあるのではないか。その中の一つとして、事業税についてのいわゆる外形標準というものの考え方を導入していくという発想があっていいのではないかということも、私も真剣に取り組んでまいりたいし、その決意でおるわけでございます。  とりあえず、これ以上は、時間の関係もありますから、後ほどの御質疑の中でまたいろいろ敷衍して申し上げさせていただきたいと存じます。
  21. 鎌田要人

    鎌田要人君 今、大臣がおっしゃいました事業税の外形標準課税の問題、これは正直言いまして、終戦直後、地方税で付加価値税を導入しろというシャウプ勧告のときからの、これも一種の事業税の外形課税ですから、そのときからの問題という認識を持っておりますので、私の方は四十年戦争だと言っておりますが、またぞろ赤字が多いですから、赤字法人の方からそういうことはとんでもないことだという反対意見が既に私どものところにも届いておりますので、この問題につきましては不退転の覚悟でひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、時間の関係がありますので先に進ませていただきます。  地方の借入金の残高の累計は平成十一年度で百十六兆円となるということが見込まれておるのでございますが、今日のような不況の中で、大蔵当局と地方財政当局との間で、いわゆる貸し借り方式、これは実は私が自治省の財政局長のときに始めたわけですが、そのときの金額はせいぜい数千億あるいは数百億、当時の貨幣価値のまた変動とも関係しますが、であり、しかもそれは二、三年我慢をしますと景気がよくなるといういわば右肩上がりの時代でしたから、そういう時代のいわば惰性が今日何兆円規模になってまだ続いておるということについて、非常に一面においては私は自責の念も持っておるわけでございます。  この問題で、特に大臣は大蔵行政にもお詳しいし地方自治問題についてもお詳しい大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  22. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、今まで右肩上がりという経済状況、それを背景とする国の財政、地方の財政という中で、当面する、例えば税制改革であったり補助率の引き下げ等々の問題であったり国民健康保険制度の見直しであったり、そういった当面の課題に対応して、そういう貸し借り的な形の中でとりあえず単年度的には処理をして、そして何年かすると一遍は清算をしてやるという、そういう中でいろいろ地方財政を守るために自治省の先輩の皆様が一生懸命御努力をいただいてきたことに改めて敬意を表したいと思うんです。  しかし、そろそろそのやり方はもう限界に来ているんじゃないかという御認識は私も全く同感でございます。  そういう点で、特にことしは、そういう単なる貸し借りということだけじゃなくて、いわゆる恒久的減税を国税のみならず地方税の世界においても行うことになりました。そういう点で、特に地方税の世界における恒久的減税、それの財源措置をどうするかという中で、これだけはもう貸し借りという世界ではないという意味で、御案内のとおりいわゆるたばこについての国、地方の配分率を変える、あるいは法人税の交付税率を引き上げる、こういったいわゆる交付税率そのものに切り込んだ形での、内容においてそれで十分かと問われれば百点満点ということではもちろんございません。しかし、少なくとも今日の厳しい財政状況下にあって、そういうやり方に、当面の措置ではありますけれどもとりあえず踏み込んでいるという、この努力も私はなかなかの努力であったというふうに思います。  しかし、先ほど来申し上げましたが、ちょうど国、地方行政事務そのものの見直し、本当の意味地方分権というものをきちんと位置づけるんだ、そしてその仕事をバックアップする、支えるための財源措置というものを、単なる国から地方にお金を出せばいいというようなことではなくて、その地方の自主性、自立性を保障するようなそういう税財源の見直しというものを本気でやらなきゃだめだと、私はそういう時期に今来ているというふうに実は感じておりまして、ぜひ私自身、この問題に使命感を持って臨んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 鎌田要人

    鎌田要人君 そういう意味では、一面において地方分権の問題に目があきました。その反面の地方税財源の問題について野田自治大臣の御奮闘を心から希望いたします。  それで、時間がもうございませんが、もう一つ、今問題になっておりますダイオキシンの問題、これに関連しまして、環境税という問題がにわかに脚光を浴びてまいりましたね。  私は、実は自治省におりますときに、この環境税の問題についてはある程度批判的でございました。というのは、税金としてどういう税が環境税として適当かという問題から、環境税については批判的であったわけでございますが、今日のように、このダイオキシンの問題で端的にわかりますように、地方自治体がまず責められるわけですね。そのときに、やはり地方自治体として環境問題に取り組むための財源として環境税ということを改めて考えてみる必要があるんじゃないかと。  現に、地方税の面でも、今回の地方税制改正案でも自動車取得税、これで低燃費自動車等に対する軽減措置ということがありますし、また外国でも、スウェーデン、北欧諸国では環境対策の税制としてエネルギーに対する課税が行われている。ドイツでも環境への配慮としてガソリンや石油などの課税強化や新たに電気税を導入する、こういった動きがあり、それに対する批判等もあるようでございます。  それで、我が国でも地方税として環境税を検討すべき時期が来ていると思うのでございますが、この点につきまして大臣がどうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御案内のとおり、環境税、ヨーロッパなどでも行われておるところもございますが、日本でもいわゆる環境税という名前で想定します、言うなら対象というのはいわゆる炭素系統ということだろうと思うんです。そういう点で、今、石油関係、こういった燃料なりそういったものについては、御承知のとおり、いわば道路目的税的な形の中で、国税あるいは地方税の中で自動車関連あるいはガソリン等々の燃料関係ということになっておるわけですが、率直に申し上げて、炭素税という、そういう意味での環境税を考える場合には地球温暖化的な発想の中からの環境問題ということへの対応関係があったと思うんです。  いま一方でダイオキシンということになりますと、むしろ炭素税系統という、温暖化という問題よりもむしろ廃棄物処理等に関連する世界なのかなと。  そういう意味で、産廃なり一般廃棄物なり、そういったことについてどのように対応していくのか。特に、私も専門的なことはよくわかりませんけれども、そういう廃棄物の処理施設をだれが主体になってつくっていくのか、そしてその基準なりなんなりをどういうふうにしていくのかというような事柄がより大事だなと。そこで、所要の経費をどこから生み出していくかというそっちの世界なのかなと。  そういう意味考えますときに、今現在、地方自治体でいろんな家庭の、東京なんかもそのようですけれども、いわゆる分別収集をやったりその中で料金を取って対応したりというような形でやっております。もちろん環境税という世界ではないのかもしれません。しかし、自治体がそういった意味で環境問題で担う役割というものはどんどん負担がふえてくる、それを支えるための財政的な支援措置といいますか発想を必要とすることは御指摘のとおりでございます。そういう点で、多少この環境税ということだけにこだわるんではなくて、幅広く検討する必要があるというふうに私は考えております。
  25. 鎌田要人

    鎌田要人君 この問題につきましては、今おっしゃいましたように、ごみ処理施設、これは正直言いまして市町村仕事でございますし、あるいは産業廃棄物になりますと都道府県関係が非常に大きい関係でございますので、そういったごみ処理施設という面と、これをどういう形で税まで引っ張り込むかどうかという問題を幅広く事務当局の方で御検討を願いたい。また、必要があればそういうことを政府部内でもおっしゃっていただきたいという希望がございます。  それで、おおむねあと五分でございますので、消防関係で一点だけ。本当は二つあったのでございますが、一点だけ。消防団の現状とその充実強化のための具体的な構想についてお話をいただきたい。  といいますのは、私は「近代消防」という雑誌の編集委員長をしておりまして、それでこの消防団の必要性は本当に骨身にこたえて知っているんですね。山狩りなんというのは消防団がないとできないんですよね。ところが、消防団の団員が、私が消防庁長官をしておりましたときは約二百万、それがどんどん減っていきまして、百万を切り、今九十八万ですか、それぐらいに減って、まだ減りつつある。  それで、公共のために消防は隣保扶助という言葉が昔はありまして、その隣保扶助ということで頑張っておりましたその消防団の職員がだんだん減ってきておると。これをどういうふうにしてもとに戻すか、そういうことも含めてひとつ消防庁長官の確固たる御意見をお伺いいたしたいと思います。
  26. 谷合靖夫

    政府委員谷合靖夫君) 御指摘のように、消防団員、年々減っておりまして、昨年の四月一日現在では九十六万二千六百二十五人というふうになっております。そのほかに、消防団につきましては、その団員の年齢の高齢化の問題とか、あるいはいわゆるサラリーマン団員というのが相当ふえてきておるというようなことで、消防活動を円滑に進める上でいろんな課題を抱えていることは事実でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、やはり消防関係の施設とか設備というようなものについてはできる限り補助金を獲得いたしまして充実を図ってまいりましたし、また消防団員の報酬、出動手当等のいわゆる処遇についても年々改善措置を講じてきておるところでございます。  それからもう一つは、やはり地域住民とかそれから地元の企業の方々にどうしても消防団に入っていただく、あるいは消防団の活動の御理解と御協力をいただくということが非常に大事でございますので、そうした面でのPRということにも努めてきたつもりでございます。  最近では、消防団員の数は減ってきておりますけれども、女性消防団員ということに着目をしてみますと、ちょうど女性消防団員について統計をとり始めた平成二年のときが千九百二十三人でありましたものが、昨年の四月では八千四百八十五人というふうにふえてきておるというふうな新しい面も出てきておるわけでございます。  私どもといたしましては、やはり消防団というのが地域防災の中核ということで大変重要な役割を果たしておるわけでございますので、関係各方面の御意見も十分伺いながら、より一層の充実強化というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
  27. 鎌田要人

    鎌田要人君 終わります。
  28. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。  本日は、国家公安委員長であります野田自治大臣自治大臣という仕事も大変重要かと思いますけれども国家公安委員長というお仕事も大変に重要なお仕事ではないかと。ぜひ野田国家公安委員長の立派な御手腕に期待申し上げる次第でございます。  そういう意味におきまして、所信について御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、我が国において警視庁という言葉の響きはいろんな意味を持っておると思います。警視庁の巡査といいましょうか警察官が自分の身命の危険を顧みず都民のために身を張って頑張るというふうな響きもあります。しかし、一面、警視庁というのは、戦前において大変な疑獄事件、社会の悪、政治の悪に対して毅然と切り込みを行う、そういう意味の警視庁という言葉の響きがあると思うんです。  ところが、大変残念なことに、戦後はどちらかといいますと政治に対するスキャンダルといいましょうか、そういう疑獄事件は検察官が、特捜がやるというふうな響きがあるわけでございます。  しかし、昨今、住専のときの問題になりました知能犯、金融犯罪、これに対しましては警視庁も大変な名誉挽回をいたしまして、着々と力をつけて、東京都の警察である警視庁だけでなくて、全国警察の知能犯罪につきましても大変な力を発揮するようになったんではないかというふうに承知するわけです。  そういう中にありまして、私は一つ取り上げたいのは、今度は庶民がいろいろな知能犯罪に巻き込まれるわけですね。例えば、大学に入学したい、子供を大学に入学させるのにお金を何百万か渡したら合格するように世話をしてあげましょうとか、あるいは大会社、中小企業の社長が何億円の金を巻き上げられる、こんな事件もあるわけですが、そのような小犯罪、小知能犯罪といいましょうか、必ずしも小ではないんですけれども、こういうものに対して果たして警察が立派にこたえてくれているんだろうかといったことを私、問題意識を持つわけでございます。  国家公安委員長におかれましても、いろいろ今までの政治生活の中で選挙民からそういうような訴えを聞いて、御経験もおありかと思うんですが、そこで、まず自治大臣に決意をお伺いする前に、この種、町の告訴事件、こういうものを昨今どういう推移で警察として処理しておるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  29. 林則清

    政府委員(林則清君) 詐欺等の小知能犯罪といいますか、通常の告訴事案等の推移いかんということでございますけれども、各都道府県警察からの報告によりますと、平成十年中は、全国警察におきまして二千四百七十八件の告訴、告発を受理いたしております。それで、それに対して二千五百五十五件の告訴、告発事件を処理しております。これは年がまたがりますので処理数と受理数は変わってくるわけでございますけれども、過去十年間を見ましても、大体この受理件数、それから処理件数とも横ばいの状態で続いておるというのが現状でございます。
  30. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいま件数はそのような件数で伺うわけですが、実感としては、まず告訴事件として処理していただくということがなかなか大変で、受け入れてくれない、手続をしてくれないというようなことも聞くわけです。また、一たん手続はやってくれたけれども、その後さっぱり二回目の取り調べに入ってくれない、あるいは三回目の取り調べが半年、一年先に延びてしまう、ナシのつぶてであるというふうなことを実感的な苦情として聞くわけです。  そこで、従来なぜこのようなことが起きるかといいますと、この種事件が詐欺を、小知能犯事件の受理をした警察官一人の処理する案件として扱われる。やっぱり捜索をするということになりますと組織を挙げて処理しなければならない。そういうような点において、組織的に取り上げられない、あるいは警察官が警察署におりますと当直を一週間に一回ほどやる、当直明けには前日の夜のいろんな事案を処理しないといかぬとか、そんなこともありまして、事実上はばたばた処理される。それで、そのうちに選手交代になりますと前任者の事件については手がつかない。  あるいは、警察署の刑事課長とか警察署長あるいは県警の捜査二課長、本部長、このような人に対して、このような事件を処理することのメリットといいましょうか、これを処理しなければ自分の首が飛んでしまうぞ、あるいは監督を厳しく、ちゃんと処理しているかということの目が行き届いていないんではないかというふうに私は推察するわけですが、そのようなことについて刑事局長はどのようにお考えでしょうか。
  31. 林則清

    政府委員(林則清君) 告訴事案につきまして、松村先生の今御指摘なさったような嫌いというのは全然なかったかと言えば、そうではないという現実も若干あったかと思います。  しかし、警察におきましては、特に近年そういった告訴、告発事案、警察を最後のよりどころとして持ち込んでこられる告訴、告発事案につきましては、幹部がしっかり把握した上でできるだけ適切に早く処理するというようなことを力を入れて指導しておるところであります。  ただ、御案内のように、申すまでもないことでありますけれども、告訴事件の規模でありますとか内容によりましては相当の年月を要するものもこれは少なくないわけでありまして、そのような場合におきましても、できるだけ捜査力をその方面へ割くという指導を今後ともさらに強めてまいりたい、そのよう考えております。
  32. 松村龍二

    ○松村龍二君 そこで、大臣にこの件について一言御感想なり御決意をお伺いするわけでございますが、やはり警察が市民に期待される警察としまして、また国家公安委員長として十分の関心をお持ちいただいて、もしもこの点について不十分な点が従来あるとすれば大臣のお力をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  33. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、事件規模の大小にかかわらず被害者は最後のよりどころといいますか、そういった中で警察に話し、そういう被害を持ち込んでくるわけでありまして、そういう点で、刑罰に触れる行為については迅速かつ適正にこれは対処していくということが警察の大事な、重要な責務であるというふうに認識をいたしております。  そういう点で、先生今御指摘のとおり、そのことをそれぞれ各都道府県警においても、刑事局長から今御答弁申し上げましたように、努力をいたしておるとは存じますけれども、さらに一層督励をしてまいりたいと考えております。
  34. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。  次に、海上保安庁長官にお伺いするわけでありますが、日韓漁業協定がいよいよ一月二十二日に発効をされまして、新しい海洋秩序ができたというふうに存じます。  戦後、日本海は李承晩ライン等が設定されて、日本船が拿捕されるといったような歴史もあるわけでありますが、昭和四十年に日韓漁業協定が締結されまして、沿岸十二海里、これはその主権とする領域であると。その真ん中の地域においては日韓漁業協定によって自主操業が決められ、それぞれの国が自分の国の漁業、違法操業についても取り締まる、こういうことになったわけでありますが、時代はまさに二百海里の時代になったわけでありますけれども、竹島の問題もありますので日韓の問題についてはなかなかすっきりといかなかった。  そういう中にありまして、日本側の漁具が壊される、あるいは違法操業に泣くといった時代が続きまして、最近では漁業資源を全然無視して鳥取、島根の沖からだんだん京都、福井の沖の方まで、ズワイガニ漁についても禁漁区も無視して、しかも底刺し網というふうな根こそぎとってしまうような漁業が続いてきた。何とかこれを解決したいということで、昨年の一月二十三日に日韓漁業協定が破棄通告されまして、一年の後ようやく両国の努力によって発効を見た。そして、排他的経済水域がしっかり決められたということでございます。  排他的経済水域の中にあります漁業については、沿岸国の許可が必要であるというようなこと、あるいは二年間の暫定的な措置が行われるということでございまして、海上保安庁に対してしっかりやってほしいという期待が、今まで条約上そういうことでありましたので海上保安庁も毅然とした態度がとれなかったかと思うのですが、今後、海上保安庁はこの領海内におきます違法操業その他につきましてどのような姿勢で臨んでいかれるのか、またこられたのか、お伺いしたいと思います。
  35. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  海上保安庁におきましては、先生今御指摘がございましたように、一月二十二日の新しい日韓漁業協定の発効に当たりまして、韓国漁船が多数操業することが予想される日本海、九州周辺、東シナ海等の主要な漁場に重点を置いて、巡視船艇、航空機を配備して監視、取り締まりに当たってきております。  一月二十二日の新しい協定の発効時におきましては、日韓水産当局者間で許可条件についての合意に至りませんでしたので、まずは韓国漁船は我が国の排他的経済水域で操業することができなくなったわけでございます。このような状況のもとで、一月二十三日には四隻、それから二月に入りまして十五日と十七日に各一隻の韓国漁船を排他的経済水域における漁業等の主権的権利の行使等に関する法律等の違反で検挙いたしました。その結果、その後、当庁では我が国の排他的経済水域において韓国漁船の違法な操業は確認をしていないという状況でございます。  また、二月二十二日に入りましてからは操業条件の協議がまとまりまして、我が国の許可を得て暫定水域を除く排他的経済水域において韓国漁船の操業が行われることになったことでございまして、引き続き私どもといたしましては、水産庁など関係省庁等と連携をしながら、許可条件の遵守状況の確認、無許可漁船の検挙等、監視、取り締まりを実施しているところでございます。  なお、先生先ほどいろいろ経緯を申されましたが、日本海側では従来は韓国漁船によるカニの漁に対して、特に底刺し網につきまして我が国のEEZ内では主としてその操業が行われていたわけでございますけれども、新しい操業条件ではこれは許可されていない、中型機船底びき網ということになったわけでございます。  当庁といたしましては、このような操業条件の決定を見まして、取り締まりをさらに整えて、取り締まりについて励行しているところでございます。
  36. 松村龍二

    ○松村龍二君 海上保安庁にもう一つ伺いするわけですが、昨年当委員会の委員派遣で新潟県へ行きました際に、海上保安庁の舟艇に乗せていただきまして、日本海の荒海でいかにまじめに勤務しておられるかといったさまもうかがうことができたわけでございます。さらには、昨年東京から横浜へまた海上保安庁の舟艇に乗せていただきまして、その訓練状況も見せていただいたところでございます。  そこで、一つお願い、確認したいことは、非常にそういう点で日本人らしいと言いますか、まじめな姿勢で勤務しておられることは十分でありますけれども、武器の使用という点について日ごろしっかり訓練しておるのかといったことが気がかりであるわけです。我々日本人はもともと刀の民族の国ですから銃砲になじみがない。なるべく使わなければそれにこしたことはない、使いたくないなといった気持ちがあろうかと思います。しかし、やはりいろいろな職務権限を行使する際には実力の裏づけがあってこそ初めて、それにはやっぱり日ごろの訓練が行われているということが必要かと思うのです。  後ほどお伺いしますが、最近日本海等に大変な密入国あるいは密輸その他もあるといったような状況の中で、先般韓国においても二月二十二日に韓国の海上保安関係の方は射撃訓練をやっているようであります。別に張り合って日韓の間を緊張させようという意図は全くありませんけれども、訓練するのはどこでも結構ですけれども、武器の使用について訓練を日ごろやっておるかどうか、またそれらについての心構えをお伺いしたいと思います。
  37. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 現場を見ていただきましてありがとうございます。  巡視艇におきましては、海上における犯罪の予防及び鎮圧あるいは犯人の逮捕等の業務のためにけん銃、小銃、機銃及び砲を装備しております。これらにつきましては、海上保安官の武器の使用についての一層の適正を図る観点から、年二、三回を標準とした実弾射撃訓練を実施いたしております。また、実弾を発射しない操法訓練を実施もしておりまして、安全確実な武器の取り扱いの確保に努めているところでございます。  ただ、この海上保安官の武器の使用につきましては、海上保安庁法第二十条によりまして準用される警察官職務執行法第七条に基づき使用することになりますが、犯人の逮捕もしくは逃走の防止等のため必要であると認める相当な理由がある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において武器を使用する、このような心構えになっておるわけでございまして、まず通常の場合は停船に必要な措置をいろいろ尽くした後にこういう武器を使用するということにしております。  具体的には、最近では悪質な韓国漁船の抵抗を排除するとか、あるいは東シナ海で武装した不審船の拿捕のために使ったとか、あるいは船内暴動の鎮圧のために使った、こういうような実例がございます。
  38. 松村龍二

    ○松村龍二君 次に、最近よく発生します日本海におきます密入国についてひとつお伺いしたいと思います。  私の地元は北陸、日本海側の福井県でございますが、去る土曜日、三月六日に原子力発電所のすぐ近くの海岸に約六十人の密入国者が上陸いたしまして、幸いこれをいち早く発見して検挙することができたわけですが、一行は二月の中旬ごろ中国を貨物船で出港しまして、二月二十七日には済州島南方海上で韓国漁船チャンジン号に乗りかえて後、三月六日午前六時頃、先ほど申しました大島漁港岸壁から不法に上陸している六十五人が検挙されたわけであります。これに対しまして、福井県は約三百人の警察官を充てまして捜査に従事しているということのようであります。  このような事案はごく最近にも起きたと思います。また、これは密入国ではありませんが、北朝鮮兵士と見られる死体が本年の一月十四日と十二月の二十五日にその近辺に漂着した。北朝鮮の軍人の制服を身にまとった、あるいは手帳等を持っておるというような事案も発生しているわけであります。  そこで、この密入国の教訓は、通訳がいなくて六十五人の捜査に大わらわであると。また、留置、収容の施設がないとか入管に運ぶにしても護送要員や車両がたくさん必要で、この対応に大わらわであると。それから、捜査をいたしますと、さきに密入国して退去強制処分を受けた前科、前歴者で再渡航しておるという人が大分多いということのようでございます。あと、外国人特有の捜査で手こずっておる、こういうことのようでございます。  そこで、非常に人口が希薄、警察官も希薄な地域の事件でございますので、今後このような事案が続くということになりますと、やはり福井県警あるいは日本海の沿岸に警察力を増強することが必要なのではないかというようなことを感ずる次第でございます。  それから、人口が希薄で警察官の数が少ないということは、二十四時間監視している交番がないということなんです。したがって、幸い今回は原子力発電所の従業員を運ぶバスが通ったところ、迎えのバスと間違って手を挙げたというふうにも報道されておりますが、これはたまたま昼であったからいいんですが、夜このようなことでいつもするすると入国しているということになりますと、治安上もゆゆしき問題であろうかと思います。  そういう意味におきまして、この種事案に対する警戒はどうなっているのか、あるいは今後ぜひ体制を充実して市民の不安を軽んじるように御検討をいただきたい。まず、お役所の方から御説明いただきました後、大臣から御決意をお伺いしたいと思います。
  39. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) この日本海沿岸における密入国事案に対する警察の警戒体制等についての御質問でございますけれども警察としまして、警察庁に来日外国人犯罪対策室というのを設置しております。これは各県警察にも同様の組織を設けたりしておりまして、そういう組織を通じまして集団密航事件を初めとするところの来日外国人犯罪の摘発を強力に推進しておるという状況にあります。  特に、今、福井のお話もございましたけれども、この集団密航事件につきましては、当然警察としまして取り締まりを強化しておるわけでありますけれども、海上保安庁とかあるいは法務省の入管局等関係機関とも連携を強化しておりますし、それから沿岸住民の方々の御協力も得るというようなさまざまな方法で水際対策を含めた沿岸警戒の強化を図っておるということでございます。今、松村先生から御指摘ありました事案でありますけれども、三月六日の早朝に中国人六十五名、これは韓国漁船で参ったわけでありますが、それに韓国人の乗組員船長以下三名、六十八名を検挙するというような事案も発生しておりまして、沿岸警戒の万全を期しておるというような状況でございます。
  40. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 海上保安庁の取り組みにつきましてお答えをいたします。  不法入国事犯の約九割は中国人によるものでございます。これがどのような形で集団密航してくるかということでございますけれども、以前は外見上密航船と識別できる中国漁船等を仕立てていきなり本邦へ来るということが多かったわけでございますが、最近では日本船に乗りかえて密航するとか、あるいは韓国の沖合で中国船から韓国の漁船に乗りかえて密航するとか、あるいは貿易船、普通の貨物船などに巧妙に隠し部屋を設置して密航する、このような事案が大変増加をしておりまして、いわば悪質化、巧妙化しているという状態でございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、非常に日本海側で最近、特にことしに入りまして韓国漁船を使用するとかいうようなことで事件が続発をしておるわけでございますが、海上保安庁におきましては、中国等を出航して本邦に寄港いたします船舶への立入検査の徹底、あるいは情報入手時における巡視船艇、航空機の集中的な投入によります監視、取り締まりのほか、日本海沿岸を初めとした虞犯海域、犯罪の起こりそうな海域における警戒の強化等を行いまして不法入国事犯の防止に努めているところでございまして、警察などとも密接な連携をとって今後とも不法入国事犯の対策に万全を期してまいりたいと思います。  先生おっしゃいました三月六日の事件につきましては、私どもも密航の韓国漁船の航跡、これと当庁の巡視船艇、航空機の配備状況等の関係について現在調査中でございますし、また先生おっしゃいました人口が希薄で警察力が少ないとか、あるいは海岸に近くて高速道路に近いとか、そういう状況もありますので、そういう出迎え蛇頭の行動パターンの分析なども一層今後とも必要かなと思っているところでございます。
  41. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 特に、御指摘のとおり、平成八年から集団密航事件は激増しておるわけでございますけれども、その背後に国際的な密航の請負組織、蛇頭が介在をして、また不法滞在者の増大、それが外国人犯罪の増加につながる、こういうようなことで、我が国の治安を揺るがしかねない重大な問題であると承知をいたしておるわけでございます。  こうした状況に対応するために、警察は、国内外の関係機関との協力体制を強化するとともに、平成九年四月から警察庁及び各県警に来日外国人犯罪対策室というのを設置するなどいたしまして、密入国事犯及び来日外国人犯罪の摘発を推進しておるわけでございます。  今後とも、沿岸住民の方々の御協力などを得ながら、こうした対策を強力に推進し、国民の不安を解消して治安の万全を期するよう警察当局を督励してまいりたいと存じます。
  42. 松村龍二

    ○松村龍二君 あと十分あるわけでございますが、通告では各政府委員お答えいただくようにお願いしておりましたけれども自治大臣政府委員が答弁するのはふさわしくないというお考えの政党の幹部かと存じますので、残り、ひとつ大臣お答えいただきたいと思うわけです。  大臣所信で、組織犯罪についての大変意欲的な御発言があるわけでございます。ただいまお話がございましたように、蛇頭その他暴力団がいろいろな犯罪に、先ほどの密入国に関しても関係しておりますし、また麻薬の密輸、覚せい剤の密輸といったことにも台湾、香港あるいは韓国等の外国の組織犯罪も大変関係しているというふうに、昨今組織犯罪がいろんな面で日本において、銃器を含めまして、また経済犯罪に深くかかわってきているという点において大きな問題になっておるかと存じます。  そのような犯罪の現状についての御認識と、またこのような組織的な犯罪に対しまして、サミットを初め国際的な犯罪の取り締まりの仕組みというのが国際的にありまして、それは日本において若干おくれているのではないか。むしろ外国から日本は通信傍受あるいはマネーロンダリングといった点においておくれているので早く対応しろというふうなことをせかされているのではないかというふうに認識するわけですが、そのような現状はどのようになっているのでしょうか。  また、通信傍受法が現在法務省所管の問題といたしまして国会で審議していただきたいということになっているやに承知するわけですが、通信傍受について何か日本国内にアレルギーがある。それは過去に警察が、神奈川県でしょうか、共産党の緒方氏の邸宅の傍受、盗聴をしたというんでしょうか、そういうことで今もって国民の皆さんがすっきりとしていないといった点において、警察もそれをどう打開されるのか。多少の責任もおありなんじゃないかというふうにも思うわけです。  そういうような意味におきまして、組織的な犯罪に対決していく諸問題について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  43. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 細部についてはまた刑事局長の方から申し上げたいと思いますが、基本的に組織的犯罪に対する決意というようなことで申し上げたいと思います。  本当に我が国においてオウム真理教関連の事件やあるいは暴力団の犯罪、薬物や銃器の事犯、それから先ほど申し上げましたが、来日外国人による組織的犯罪などが少なからず発生をいたしておりまして、我が国の治安の上で重大な脅威となっておるわけでございます。こうした組織的犯罪に的確に対処していくということが治安上の最重要課題一つであるということを痛感いたしております。  それから、国際的な状況はどうかということの御指摘もございましたが、国際的な対応ということで申しましても、率直に言って我が国の法制度の整備はおくれておるのではないかという危機感を感じております。  特に、組織的犯罪に対して抜け道をつくらないというためにも国際的な協調が大変大事なことでございます。そういう点で、我が国においてはマネーロンダリング規制ということも十分ではないし、御指摘のありました通信傍受という制度がないということも捜査の上で率直に言って非常に厳しい部分であるというふうに感じておりまして、この法制度の整備につきましては、既に提案を申し上げておる法案もございますし、これからまた御提案申し上げようと思っておるいわゆる不正アクセスに関連する部分を含め、そういう法制度の整備をぜひ国会においても御理解を賜りたいというふうに考えております。  警察では、新たな法制度が成立しました場合には、従来から行ってまいりました徹底した取り締まりなどの総合的な対策の一層の推進に加えて、新制度の適正な運用に万全を期すこととして、もって組織的犯罪の撲滅を図るように努力してまいる所存であるということでございます。  私も、特に今の最重要課題一つであるという認識をいたしておりますことを重ねて申し上げる次第であります。
  44. 林則清

    政府委員(林則清君) 今、先生から大変組織暴力の現状というのが大きな問題であると。特に我々捜査する側からしますと、非常に世界じゅうで組織暴力、組織犯罪が問題になっている中で、現行の捜査方法によりますと、結局末端部を検挙することは最大限努力を払って検挙しておりますけれども、組織犯罪でありますので非常に通信手段等を利用して必然的に連絡をとり合うとかいうことで、どうしても新しい取り締まりのための武器というものの一つとしては、マネーロンダリングを罰すると同時に、通信傍受ということが組織の中枢なり本当の首謀者なりを検挙して組織犯罪そのものに打撃を与えるためにはぜひ必要であるということが世界の潮流であるというのは大臣から今お答えを申し上げたとおりであります。  先生の御質問の中に、どうも国民の中にはアレルギーがあるのではないか、通信傍受法案が成立をした場合に、警察はその執行といいますか使用を適正にやるのだろうかということについてアレルギーがあるのじゃないかというような御趣旨の質問がございました。これについてお答えをいたしたいと思います。  現在、上程されております通信傍受法案におきましては、傍受の要件を非常に厳格に定めております。世界の諸法制に比べてこれくらい厳格なものはないということは先般来日したアルラッキ国連次長も言っておりましたが、そういう要件が充足されておるかどうかということについて裁判官が事前に審査をいたしまして、そういう審査に服した結果、傍受の令状が出たというものを実施する手続に関しましても詳細な規定が設けられておる。また、運用状況そのものを国会へ報告するという仕組みにもなっておるところであります。  そして、法律自体がそういう厳格な要件を定めておる上、この法案が成立いたしました暁には、私どもとしましては、都道府県警察に対してその法律の趣旨というものを周知徹底させ、法に定められた極めて厳格な要件を絶対に遵守するということ、それから運用の基準でありますとか留意事項、例えば通信傍受令状の請求に当たっては警察本部長の承認を要することにするといったような事項を国家公安委員会規則等で規定して、そして都道府県に対しましてはこれらの運用基準等の厳格な履行につき指導教養を徹底してまいりたい。  そういうことでございますので、御質問のような懸念といいますか漠たるアレルギーといいますか、これはぜひひとつ払拭していただきたいというふうに思います。
  45. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。  よろしくお願いします。
  46. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ─────・─────    午後零時四十二分開会
  47. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ただいまから地方行政警察委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題とし、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件等について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 輿石東

    ○輿石東君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、四日の大臣所信を受けて、地方行政、財政の基本的な問題について何点か質問をさせていただきたいと思います。  御承知のように、自自連立内閣になって初めての質問でありますし、特に自由党を代表して入閣をされた野田自治大臣は改革派の論客として知られておりますし、党の幹事長もやられていたということでありますので、自由党の政策やこれまでの主張も含めて忌憚のない考えをお聞かせいただければありがたい、こう思うわけであります。  昨年の今ごろ私たちは一体この国会でどんな議論をしていただろうか、そんなことを思うときに、前政権であります橋本首相は火だるまになっても財政構造改革をやり遂げるんだという、そのことが今、小渕内閣の手によって凍結されましたし、さらに小渕総理は、この問題は経済が回復軌道に乗った段階でしっかり検討してまいりますという答弁の繰り返しだと思うわけであります。  一方、国や地方の財政状況を見ますと、大変な状況であります。長期債務残高はついに六百兆円を超えるという状況であります。国の借金がGDP、国内総生産の一二〇%にもなってしまった。十一年度の地財計画を見てみましても、国が三百兆、地方が二百兆の借り入れをして何とかつじつまを合わせている。大変な状況でありますけれども、この間政府は、総合経済対策あるいは緊急経済対策、さらにバブル以降七回の景気対策もやってこられた、こう思うわけであります。  それを見てみましても、政府の対応は常にタイミングを逸していると言わざるを得ないと思います。そして、そこには一貫した政府の政策の理念とか筋道とか方向性が全く見えてこないと言っても言い過ぎではないというふうに私は思うわけであります。そして、もうきのうきょうの財政の再建を急がなければという話であります。  今必要なのは、これからのこの日本の経済や財政のあり方をどのように方向づけていくかという明確なビジョンを示すことだと思うわけであります。それなくして国民の不安はなくならないし、個人消費の拡大もできない、そう思うわけでありますけれども、そんな中でこの二日には閣議報告という形で経済戦略会議の答申が出されました。それによりますと、日本経済再生への戦略として、再生への三段階のステップによって今後十年の間にこのバランスを失った財政収支の均衡を図ろうということが示されているわけであります。  我が国では戦後五十年にわたって池田内閣の国民所得倍増計画を初め十三本の経済対策が行われてきた、こう認識しておるわけですけれども、今一番必要なのは、この厳しい情勢の中で、先ほども申し上げましたけれども、明確なビジョンを示すべきだと思うわけであります。しかも、スピーディーにやらなければならない。日ごろ、大臣施策の実施についてスピードを強調しているわけですから、そういう点からもこの経済戦略会議の答申についてどのように受けとめられているのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。
  49. 野田毅

    国務大臣野田毅君) かなり広範囲な角度からの御質問でございましたが、率直に申し上げて、現在の経済の状況というのは極めて深刻な状況にあると思っております。しかし、深刻だ深刻だと言ってただ右往左往するだけではよくない、その中に再生へのはっきりした一つのビジョンなり戦略性というものが必要なんだと、こういうことの中で経済戦略会議の方では十年間にわたって大きく三つに分けての一つ再生へのシナリオを出しておられるわけで、私は結論においてこの考え方を高く評価しておる一人でございます。  それは、冒頭おっしゃいましたが、自治大臣という立場と同時に自由党の幹事長をやり、あるいはその前の新進党時代には政審会長ということをやっておりまして、そのときから実は私たちが考えておった物の流れ、考え方というものが軌を一にしているというふうに実は理解をいたしております。  少なくとも今日の経済の状況について、直面している課題というのは、これは堺屋経済企画庁長官が国会でたびたびお話しになっておられますが、短期的な波動という面における問題が一つある、それからいま一つ、中期的そして長期的、こういう物の言い方で言っておられたんですが、当面の金融システムの問題であったり、いわば需給ギャップという言葉を使っていいかどうかは別として、そういう循環論的、短期的なそういう供給過剰という側面、もう一つは構造変化、日本自体、システム全体がかなり構造改革をしなければならぬ、あらゆる分野において仕組みからやり直さなきゃならぬという側面がある、それからもう一つは、いわゆるバブル崩壊後のそういう資産調整、資産価格が下落をした、そういった側面があると、大きくそのような感じのことをおっしゃっておられると思います。  その中で私は評価をしておりますのは、昨年の今ごろはそういう分析を余りされていなかったように私は考えておるわけで、言うなら財政再建一本やりであったと。その点、小渕内閣になって、やはり経済再建が優先であるという戦略性をはっきりと位置づけをされたということは私は大きな転換であるというふうに思いますし、それは今度の経済戦略会議における一つの流れの中で位置づけられているということ、大変大事な私は柱であるというふうに思います。  ただ、その中で単に当面の需要喚起策といいますか、需給ギャップをどう埋めるかという発想だけではなくて、今大事なのは経済再建最優先ということであるんですが、同時並行的に構造的な課題についても先送りしていいということではない、それは今から並行してやっていかなければならないということがもう一つ大事な柱であるということだと思っております。そういう点で、この辺についての若干の誤解があって、何かまるで財政再建や構造改革は先延ばしでいいんだと言わんばかりの見方があってとかくの話があると。しかし本質はそうではないということだと私は理解をいたしております。  長くなって恐縮でありましたが、この経済戦略会議については、この提言は大変貴重な御提言であると私は高く評価をし、これを大事な答申と受けとめて、可能なものから実行に移していくべきであるというふうに考えております。
  50. 輿石東

    ○輿石東君 今、大臣は、この答申については高く評価している、自民党との政策とも通じているものがあると。特に構造改革に手をつけられたというお話もあったわけですが、そして堺屋企画庁長官のお話も出てまいりました。  そこで、この経済戦略会議というのが国家行政組織法の八条に基づいて総理の諮問機関として位置づけられているという、そういうふうに思うわけですけれども、しかしながら、この答申がなぜ閣議報告なのか、閣議決定や閣議了解にできなかったのか、その辺はいかがですか。
  51. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 確かにそういう見方もあるんですが、内容を見ますと、答申に盛り込まれた提言は大変広範でありまた多岐にわたっております。そういう点で、これを決定ということになりますと、かなり逐一チェックをして決定していかなければなりません。そういった意味で、今回は報告ということで処理されたと私は理解をしております。しかし、報告でありますが、総理も申しておられますように、これはできるものから実行に移していきたい、最大限尊重するということで対応していけば私は十分可能である、実行可能であるというふうに思っています。
  52. 輿石東

    ○輿石東君 もう一点だけ、今の点ですけれども。その経過について、先ほど出てまいりました堺屋経済企画庁長官が過日のNHKでのテレビ討論等でもこのように言っているわけです。閣議決定するためには各省の反対のないものに調整することが必要なため、実効性考えて、案が、答申がということですね、かえって萎縮してはならないということから報告という形式をとったと、こう言われているわけです。  これは裏を返せば、大臣も先ほどちょっと触れましたけれども、閣議決定となれば内閣の政策決定についての拘束性があるわけですから、そうなると各省庁が反対をして大変な状況になる、だから閣議報告という形をとらざるを得なかったと。ということは、各省庁や周辺の反対が、圧力が相当この問題にはある。とすれば、今後本当に実行できるのか。大臣は、これは総理もかたい決意だから必ずやり遂げなければいけないと言うわけですけれども、その点について不安に思うわけですけれども、その点もう一度。
  53. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 閣議決定というのは、もう御承知のとおり、言うならフィージビリティーを縦、横、斜め、裏、表、チェックをして、その上で各省庁が全員異議なしということになって初めて閣議決定から具体的な法案なり予算なりという形にまさに足を完全に踏み入れるわけです。つまり、そこへ行く直前が閣議決定だと私は思っています。だからそういう意味で、方向性としてもちろん賛成だけれども、フィージビリティーについてもう少し念のためにチェックをしてみたい、そのためには若干時間はまだ要しますよというような段階では、なかなか閣議決定ということでは責任ある役所としては言うなら判こは押せないという性格のものだろうと思います。  しかし、それを全部いろいろやっておりますとずるずる時間が延びて、結局何も決まらぬということでは困るわけで、少なくともこういう形で閣議報告がなされ、そしてその方向性として政治の世界できちんと、言うなら政府・与党としてそういう方向性で決まったということであれば、具体的な実践段階において多少の数字が若干の幅で変化があろうと、基本的なスタンスなり基本的な枠組みにおいていけるならば、私はその方がより大事であるというふうにも思うわけです。そういう点で、むしろ細かいところまでチェックを全部念入りにしなければならない閣議決定という形にこだわるよりも、大筋において、基本方向においてこういうことだということで決める方がはるかに物事を動かしていく力になり得るというふうに、私はそう思います。  したがって、閣議決定よりは報告の方が軽いから扱いはどうでもいいんだという代物ではないんであって、少なくともそこに盛られている方向性というものはやはり最大限尊重して、少なくとも小渕内閣として八条機関としてつくられた経済戦略会議の答申でございますから、それをぜひ早期に実現に向けてステップを踏んでいくということは大変大事なことであるというふうに考えております。
  54. 輿石東

    ○輿石東君 ぜひ、閣議決定以上に今度のこの戦略会議の閣議報告は重いんだ、そういう認識のもとに実効ある、我々の不安を払拭できるような形で御努力をいただきたい、こう思います。  この経済戦略会議でもうたっているところでありますけれども、真の地方自治の確立のためには何といっても抜本的な地方財政の確立が同時に伴わなければいけない、こう午前中の質疑の中にも出てまいりました。  そこで、まず現在の地方財政の状況、もうかなり言い尽くされているとは思いますけれども、改めて、大臣はどのように認識をされ、このような厳しい財政状況を今後どのように健全化していかれるおつもりか、その点についてお伺いしたいと思います。
  55. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 現在の地方財政の姿というのは、たびたび申し上げておりますが、我が国の経済の引き続く低迷といいますか、そういう環境の中で、地方税さらには交付税のもとになります国税収入、こういったものが大幅に落ち込んでおるということに一つ原因がございます。  いま一つは、今日まで景気対策、景気を何とかして立て直したいという中で数次にわたって景気対策をやってまいって、その中で地方公共団体においても、もちろん独自の地域の経済を活性化させたい、あるいはかねてから地域の社会資本の整備がおくれているということから、この機会に充実をし向上させたいという願望も相まって、景気対策としてかなり公共事業の追加に応じてもらっている、あるいは単独事業を上乗せして実施してもらっているというようなこともございました。  また、減税ということもあり、これによるまた歳入減ということもある。一方で、義務的な経費が増嵩してきているということもこれあり、そういうさまざまなこともございまして、御案内のとおり今日地方財政として百七十六兆円という借金残高に達してしまっている。このことを考えますと、危機的状況という言葉で十分表現できるのかどうか、とにかく言葉で幾ら言っても言い足りないぐらいの深刻な状況にあるという認識をいたしておるわけでございます。  特に、最近は大都市は比較的地方よりもまだ恵まれているという思いを多く持っておったのですが、このところの法人課税系統の税収の落ち込みということもあって大都市に至るまで大変な状況に立ち至っているという、このままでいつまでもずるずる続けるわけにいかないという認識をいたしております。  一方で、明治以来といいますか、午前中、鎌田先生からの御指摘もございましたが、本当の意味での地方自治をいよいよこれから、言葉ではなくて実行していくのだという時代に入ってきて、そういう中で地方分権一括法というものを今月中に政府として決めて国会にお願い申し上げようと思っておりますけれども、本格的に国と地方役割分担を位置づけて、そして本当に地方の自主性、自立性を裏づけることのできるような、そういう税財政の体系をつくり上げなきゃならない。そんなことを思いますときに、この財政状況をどう立て直すかということと同時に、地方分権を裏づけるそういう地方財政をどうやって確立するかという両面の要請があると思います。  そういう点で、私ども微力ではありますけれども、本当に言葉ではなくて全力を挙げてそのために努力をしてまいりたい、そのように決意をいたしておるわけでございます。
  56. 輿石東

    ○輿石東君 今、地方分権一括法の問題も触れていただきましたけれども、二月二十五日には超党派で財政赤字を憂える会、そんなものも発足をしている。それだけ深刻になってきているということを十分御認識いただいて、いずれにしても今、大臣からも言われましたけれども、本当の地方分権推進していくためには財源の裏打ちのない地方分権というのはあり得ない、そう思うわけであります。その点については、戦略会議の答申でもそのように強調をしています。地方の必要とする財源は地方で賄うという、そういう原則、理念に立って税制のあり方等も検討していく必要があるだろう、こう思います。  そういう改革がなければどうにもならないとすれば、今、国の財政の仕組みを見ると、税制面では国と地方が二対一と、これはよく言われる話ですけれども。歳出面で一対二となっているこの乖離をできるだけ小さくしていくんだというのは再三地方分権推進委員会等でも指摘をされているところですけれども地方財源の充実について大臣はどのような考えを持っておられるか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  57. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 確かに現状、税収という側面で見れば国税が二、地方税が一、実際に国、地方を通ずる歳出構造を純計ベースで見れば逆に国が一で地方が二であるという、大まかに言ってそういうことになっている。それならば、最初から税源配分をして、それに見合うようなやり方をすべきであるというのは至極当然の発想だと私も思います。  ただ、その際に一つ我々も念頭に置いておく必要があると思っておりますのは、地方税といった場合に、今日現在では自治体は約三千三百ほどございます。地域も随分とばらつきがございます。そういう意味で、税収のもとになる税源がどのような形であるのか。そういう意味で、税源の偏在ということと行政需要というものがうまくそこでマッチしているのかどうかということが一つでございます。そういう点で、それを補完する意味での各自治体間の財政調整的な意味での交付税の存在というものはやはり不可欠の存在ではないか。  いずれにせよ、この二つを含める一般財源、まさに地方が自主性、自立性を失わないようにそれを担保するためには、いわばそういう意味での一般財源をしっかりと確保するということが大変大事なことだ。  それとあわせて申し上げれば、その際、地方税として、少なくとも応益的なものであり、税源が偏在していないようなものであり、そして税収そのものが安定的なものであるというような形で地方税を考えていくということは大変大事なことであるというふうに考えております。  そういう意味で、所得、消費、資産といいますか、全体のバランスをしっかり頭に置いた上で地方税を仕組んでいくということが必要だというふうに思います。
  58. 輿石東

    ○輿石東君 今、地方交付税の性格についても触れていただいたわけですが、財政調整というのと財源を保障する、こういう二つの側面がある、だから地方交付税は大事な役割を果たしていると。それはわかるわけですけれども、もう一つ、応益税、それから税源の安定、こういうようなお話もあったわけですけれども、午前中もその問題とかかわって法人課税の外形標準課税、こういう問題も出てくると思いますが、きょうは時間がありませんのでその点については次に譲りたいと思います。  この点について、地方税源の充実という観点から我が党民主党では昨日も本会議で同僚議員がこの問題について提起をしているところですけれども、国税である所得税の税率一〇%部分地方税である住民税に移譲していく、そういう考えを持っているわけです。これについて、税源の偏在性も少なく、地方税収の安定も図れる、そういう面からもこういう提起についてどう評価されているか、自治大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  59. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 率直に言って、一つの発想法として成り立つ発想だろうと私はそう思います。  ただ、現実論として言えば、所得税と住民税で課税最低限のレベルが違います。現在の所得税はかなり課税最低限が高うございます。そういう点で、住民税というのはやはり地方税における特に市町村税における根幹をなす税の一つであるし、言うなら、負担分任という発想から考えれば非常に大事な税であるという意味で、住民税が今の所得税並みの課税最低限になるということになると、ちょっとこれは厄介だなということも現実論としてあるわけであります。  ただ、所得税と住民税とあわせてそういった幅広く検討せよという趣旨の中で、この住民税というのは納税者の幅の広さといいますか、そういったことをより大事にしていこう、そして景気変動の波を極力所得税よりも少なくしていこうという発想においては、私は十分発想法としては理解をいたしておるつもりでございます。
  60. 輿石東

    ○輿石東君 今お話がありましたように、所得税の課税最低限が日本の場合は高い。これも課税ベースを広げる、こういう観点から、今後全体の税制をどうするかということで検討していけばいいだろうと思いますし、私たちの案もそういう折にはかなり評価されてもいいのではないか、こう信じています。  次に、先ほど申し上げましたように、法人事業税の外形標準課税の導入については、午前中も鎌田先生ですか、お話がありましたし、これはシャウプ勧告以来四十年戦争だと、こういうお話もあったわけですから、もうぼつぼつここもきちんと検討をし、大臣もその発想は持っているよということですので、ぜひここは御検討いただきたいということで、質問を終わらせていただきたいというふうに思っています。  それから次に、地方自治制度についての基本的な考え方について何点かお伺いしたいというふうに思うわけであります。  地方分権が言われて久しいわけですけれども、何といってももう地方分権推進するというよりも実行段階に入ってきた、そう確認できると思います。そして、先ほど大臣の方からも言われましたけれども、一括法として四百七十本ぐらいになるかと、それがこの国会で議論をされるわけで、地方自治法が制定されて五十年という歴史もあるわけですから、五十年ぶりの大改革とも言える大事な事業だというふうに思います。  そこで、戦略会議の答申でも「地方主権の確立」という項目が立てられています。その中で、特に市町村合併推進と、もう一つは抜本的な地方税財政制度の改革をうたっているわけですけれども、自由党の提案においても地方自治基本法の制定が盛り込まれているというふうに記憶しているわけです。  大臣は、この自由党の地方自治基本法についての見解も含めて、今後、国と地方との関係を対等、協力関係にするんだと、こういうお話があったわけですけれども、具体的にどのようなものとしていこうとしているか、基本的なお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  61. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 地方自治法、約五十年ぶりの大改正ということが今度の地方分権一括法の中で行われようとしておるわけでございます。しかし、事柄としては、ある意味では百年、明治以来の国、地方を通ずる行政システムを根本から見直そうという、そのうちの一環であると私どもは受けとめた方がいい、そう思っております。  そういう意味で、この地方分権のみならず、明治維新以来、日本の国家の近代化を引っ張ってきたいろんなシステムというものを、この機会にもう一遍根本からあらゆる分野における構造改革をやり直そう、その一つ行政の分野におけるこの問題である。そういう点で、中央地方を引っ張ってくるというような形から、そろそろ国が主導で国づくりをしていくというのではなくて、むしろ地域に根差した事柄、住民にとってより身近な事柄はより身近な行政主体がそれを担っていく。そういう意味で、基礎的自治体がより責任を持って行政サービスを展開していくんだ、そのことが本来の地方自治そのものなのではないか。そういうことから、国の仕事は国でなければならないような、国がやらなければならないような仕事にむしろ限定したらどうなんだということが事柄の基本にあるというふうに考えております。  そういう意味で、国が地方公共団体との関係で昔のように地方を引っ張っていくんだという上下関係というのではなくて、むしろ対等、協力関係に持っていこう、これが一つの基本的なスタンスである、そのことが地方の自主性、自立性を高めて、個性豊かな地域をつくっていく大事な原動力になるんだ、このことを考えておるわけでありまして、このことは今御指摘のございました自由党の考え方の中で地方自治基本法を制定しようという発想と軌を一にするものであるというふうに考えております。
  62. 輿石東

    ○輿石東君 国の実力は地方に存すると、この言葉は徳冨蘆花が使った言葉だそうですけれども地方あっての国だという発想でこれからの取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。  いずれにしましても、今後地方分権推進していくために、地方行政の体制整備というのが重要な課題になってくる、こう思われるわけであります。特に、今後高齢化社会の進行を考えると、市町村合併という選択肢も考えられていくのではないか、こう思われます。その場合大事なことは、効率性だけで、大きくすればコストの問題や効率性、そういう面からだけで議論をすべきではないと考えています。今必要なのは、どういうビジョンを持ってこれに取り組むかということにかかっていると思いますが、自由党では、自由党の提案を見ますと、全国を三百の市にしたい、この戦略会議の答申では市町村の数を少なくとも千以下にしていきたい、そう言っているわけですけれども大臣は、この合併についてどのように認識され、目標とすべき市町村の数はどのように考えておられるか、お伺いをしたいというふうに思います。
  63. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 二つに分けて申し上げたいと思います。  前段で、いわば市町村合併というものを、ただ単に合併すれば人が減って経費が削減されるということの発想だけではだめだというお話がございました。それはまさにそのとおりだと思います。経費節減効果、人を減らす効果というのは当然あると思います。そのためにも大事だと思いますが、同時に、今のように、あるいは福祉の面であれいろんな面で行政サービスのレベルというものが高度化をしてくる。そういった意味で、やはり小さな自治体という能力では自前でそのレベルを維持するということはなかなか困難な状況になってきている。もちろん広域連合なりいろんな広域行政という形の中で対応するというやり方もございますけれども、それだけではやはり限界がある。  そういう意味で、もう少し大きな世帯になって、そしてちゃんとした専門家なりというものがその自治体としてちゃんと確保できるというか、そのことによってより高度な行政サービスを展開できるという、そういう意味で、住民のためにも、その行政サービスレベルを維持し充実するためにも必要なんだという、その両面からぜひこの合併問題というのは御検討いただきたいものだというふうに実は考えております。  それから、市町村の望ましい数という問題で、三百、千というお話がございました。将来展望として行く行くそういうふうなことがあってもいいのではないか。今すぐ幾つもの数になるということは、現実問題、旗を振っても踊らなければ何にもならぬわけでありますし、何よりもこれは住民自身が自主的といいますか主体的に、自分たち合併した方がよりメリットが大きいんだという認識を持ってもらうということが大変大事なことでもあるということも考えますと、強制的にしゃにむに幾らの数に合わせるんだという手法というのはなかなか難しい。  しかし、何にもないと、何にもしないで百年河清を待つというようなことであってはまた困るというようなこともありまして、三百という数字はかなり先のお話になっていくとは思うんですが、当面、千という数字は今度の経済戦略会議の答申の中にも言及しておられるようでありますし、正式に決まったわけではございませんが、自民、自由両党間の協議の中で決まったわけではありませんが話は出ておるというふうに報告を聞いております。  そんなことを頭に置きつつ、別に数字を先にセットして、しゃにむにその数字を実現していくためにというやり方では逆にうまくいかないと思いますが、しかし、そんなことも頭の片隅に置きつつ実践的な具体的な合併推進のための施策を講じてまいりたい。その内容は今度の分権一括法の中に合併特例法の改正という中に盛り込みたいと考えております。
  64. 輿石東

    ○輿石東君 要するに、どう見ても成功のかぎは住民の声をどう反映していくか、そういうことにかなり尽きると思いますので、その点についても御配慮をいただきたい。  時間がありませんので合併問題はこのくらいにして、次に、今都知事選がやられているわけですけれども、東京は損をしている、そんなマスコミ報道もあるわけであります。最近、そういうマスコミ論調もありまして、自治省では、よく地方税の偏在、偏りを示す資料として一人当たりの都道府県税額が示されるわけですけれども平成八年度の実績で最大値の東京が二十万一千円、最小値の沖縄が六万二千円ですから、約三倍。私の山梨は十万九千円ですから、東京の約半分。これを聞いていると何か引け目を感じるような気がするわけです。  こういう数字をとらえて、東京で納められている国税のうち、地方交付税、国庫支出金等により東京に還元される国税の割合は七%で、島根県は三・八倍になっている、こういうことで東京は損をしていると。東京は損をしている、いや本当にそうなのか。よく考えてみると、国税、所得税にしても法人税にしても、課税の税率が違うわけでもないのにこういう言われ方やこういう現象がとやかく議論されるということの不思議さを思うわけであります。  まず、この国税の還元率、東京都は七%といった指摘について、統計上の問題も含めて自治省はどのように認識をしているのか。ここは局長。
  65. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今、委員が御指摘になりましたように、そういう議論が聞かれまして、そのうち最も極端な議論が最後にお挙げになった国税でそれぞれの入ったところにどれだけ還元されているかという議論が時にあるわけでございます。  今、東京が七%で島根県が三・八倍という数字をお挙げになりましたけれども、こういうことにつきましては私どもは幾つかやっぱり問題点があるのではないかというふうに考えております。  まず一つは、この場合には国税が幾ら返ったかということだけ言っているわけでありますけれども、もう一つ地方税がどういう仕組みになっているか、地方税制がどう仕組まれているかという問題がまずございますので、国税だけの還元で物を考えるのはいかがなものかな、地方税まで含めて考えるべきではないかというふうに思っておりまして、地方税と地方交付税と国庫支出金という財源の一人当たりというふうに考えますと、東京都の場合にはこの三つで六十万三千円、全国が五十四万八千円でありますから、都民一人当たりの額でいきますとかえって東京の方が高いという数字が出てまいります。  それからもう一つ、国税の納め方の問題でありますが、法人関係でありましても、あるいは所得税の関係あるいは消費税の関係、それぞれ東京に本社があるために、東京で行われます生産活動なりあるいは所得の上がり方あるいは消費というものと、実際に納められます税金が本社に一括納付されるということから、そういうものに比較して相当東京に集中するという、そういう国税自体の問題がございます。  例えば、法人税で申しますと、四一%が東京に納められておりますが、都内の法人関係の総生産のシェア、これが全国に占める割合が一七%でありますから、それに比べて四一%の税金が入っているというのは、明らかに生産活動よりも本社が集中していることで税が余計に入っているという要素があるだろうと。  それから、源泉所得税も、これも企業の支払いに対して課税いたしますが、これも本社で一括して納付することができるということがございまして、これも例えば県民税のシェアで個人所得の分布という観点から東京都のシェアがどのくらいかと見ますと一五・一%でございまして、源泉所得税がそれに対して倍以上の三二%入っているといったようなこと等がございまして、そういう要素をまずやはり考慮しておく必要があるだろうということでございます。  それからもう一つは、国税は、言うまでもないことでありますけれども地方に交付税とか補助金で行きますもののほかに、基本的に国の非常に基幹的な仕事であります防衛とか外交とか塩とかいったような、国民全体に及ぶサービスに対して国税を充てる必要があるということもございまして、そういったような幾つかのことから考えますと、国税だけをとらえて、国税が幾らそれぞれのところに還元されているかといったような議論で、東京と例えば地方を比較するといった議論はいかがなものかなというふうに考えております。
  66. 輿石東

    ○輿石東君 わかりました。  私も、都内の国税はすべて都民が納めているんだという前提みたいなものでこういう議論がされやすい、そこに大きな誤りがあるなというふうに、マスコミの方もそういうところは報道に気をつけてほしいなと、こうも思うわけであります。これはもうちょっと突っ込みたいわけですけれども、時間がないのでこのくらいにしたいと思います。  最後の問題でありますが、オウム真理教の問題であります。  御案内のように、日本じゅうを震撼させたあの地下鉄サリン事件は、我が国の犯罪史上、例を見ないと言われているわけです。  とりわけ、私のところは山梨県上九一色村、世界にも名をとどろかせてしまった。そして昨年の十二月、やっと施設も完全撤去になったと思ったら、今度は長野県の県境の高根町清里というところで事件がまた起きている、こういう状況であります。小山委員長の長野でも、北御牧村でも同様のトラブルがあって、もう二十四時間体制に監視のために入っている、その苦痛や不安というものは日ごとに増しているわけです。  この問題については、三月一日の参議院予算委員会で同僚議員が指摘をしているわけですけれども、その折、大臣は、平成九年九月一日まではオウム真理教問題関連対策関係省庁連絡会議ですか、これもあった、必要があれば関係省庁と連絡体制をとれるように枠組みを考えていかなければならないだろう、こういう回答をされているわけであります。  なお、その折に野中官房長官は、特に長野、山梨の地元では二十四時間体制にも入っている、そんな実態も把握する中で内閣官房を中心に関係者の連絡会議を持って対応を協議しているところだと答弁しているわけです。官房長官はきょうは見えられていないわけですけれども、既に協議をしているにしろ、検討するにしろ、協議や検討の段階ではない、事態は急を告げている、こう思うわけであります。  私どもの山梨の県議会でも、議会最終日には決議をもって国へ要請したい、こういう話にもなっているわけであります。  そこで、大臣には国家公安委員長というお立場の中で、この問題についてかつて設置されておりましたオウム真理教問題関連対策関係省庁連絡会議のような対策の枠組みを積極的に他省庁にも向けて働きかけをしてもらう必要があるだろう、そういう段階に来ている、こう思うわけですけれども、この問題に対する御認識と、どう取り組んでいただけるかを聞かせていただきたいというふうに思います。
  67. 野田毅

    国務大臣野田毅君) オウム真理教の問題についてのお尋ねでありますけれども、オウム真理教は一連の組織的な違法事案に対していまだ何らの謝罪、反省も行っていない、その上、依然として従前の反社会的な教義を維持している、こういうことでございます。このため、教団施設の周辺地域の方々の不安ははかり知れないものがあると承知をいたしております。今御指摘のあったとおりでございます。  警察としては、住民の平穏な生活を守り、不測の事態の発生を防止するという立場から警戒体制を強化いたしております。とともに、教団信者による違法行為については厳正に対処するという基本方針のもとで所要の措置を講じ、地域の方々の不安感の除去に今努力をいたしておるわけでございます。  オウム真理教対策については、これまでも適宜関係省庁と情報交換を図るなどの連携を密にいたしておりまして、今後ともかような連携を積極的に進めることを考えてまいりたいと思うんです。  その中で、今御指摘がございましたが、平成七年から九年九月に至るまで設置されました関係省庁連絡会議でございますが、これは当時のオウム真理教の問題として、その中で、もちろんお互い政府部内の必要な連携対応の検討ということがあったわけですが、同時に、信者や元信者、そしてその子供たちの社会復帰、学校とかその種の問題、いろんなことがありまして、当時の会議は、そういう意味関係の中にそういった角度からの厚生省の児童家庭局だとか、そういうものも一緒に入っておりましたので、この関係省庁の連絡の中でどの程度までやるのかということもあります。  そういう点で、内政審議室とも相談して、今現在必要な関係省庁と十分警察庁は連絡をとって、的確な対応をとれるように今やっておる最中でございます。
  68. 輿石東

    ○輿石東君 ぜひそういう体制で臨んでいただきたいと思います。そして、一刻も早く地元住民に安心感を与えていただきたいと再度お願いをしておきたいというふうに思います。  なお、今お話がありました内政審議室の動きはいかがですか。
  69. 田中法昌

    説明員(田中法昌君) 今、公安委員長から御答弁いただきましたとおりでございますが、昨今のオウム真理教をめぐる住民の皆様の不安というものにかんがみまして、内閣官房を中心にいたしまして関係省庁において情報交換を密にいたしております。さらに情報収集の強化に努める等の検討を行いまして、状況の推移に応じた迅速的確な対応ができるように努めてまいりたいと考えております。
  70. 輿石東

    ○輿石東君 最後になりますけれども、この問題は、オウムが発生した時点から破防法をなぜ適用できなかったのか、私はそのことが残念でたまりません。しかし、その経過を憂えても仕方がないことで、破防法がもし適用できないならば、それにかわり得る新法を制定し、この問題に根本的に対処していくという姿勢も国として政府として必要ではないかと思います。  最後の質問になりますが、法務省、この辺について。
  71. 木藤繁夫

    政府委員(木藤繁夫君) お答えを申し上げます。  団体規制のための新規立法を検討すべきではないかという御質問でございますが、公安調査庁といたしましては、団体に対する規制につきましては現に破壊活動防止法という法律が定められておるわけでございますので、その法律の適用をまず考慮すべきであると考えておりまして、新規立法まで必要とは考えていないところでございます。  ただ、現行の破壊活動防止法の適用要件は非常に厳しいものがございますし、また、先般のオウム真理教団に対する規制請求手続が棄却されたといった経緯もございますので、現在の破壊活動防止法には改善すべき点が少なくない、このように考えております。  したがいまして、私ども公安調査庁といたしましては、法改正をも念頭に置きながら、同法の適正な内容がどうあるべきかにつきまして所要の検討を早急に進めておるところでございます。
  72. 輿石東

    ○輿石東君 この問題は繰り返しお願いをしているわけですけれども、地元住民の大変な眠れない夜が続いている、そんな深刻な状況を率直に受けとめていただいて、ぜひ一日も早い根本的な解決策を見出していただきますよう重ねて要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  73. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、民主党・新緑風会として関連質問をさせていただきたいと思うんですが、とりわけガイドライン関連法案、これから審議をされていく、こういうことになるわけですけれども、ただ、もう既に両院の予算委員会等でかなり質問等も出されておりまして、とりわけ第九条の自治体、民間協力部分で、自治体の皆さん方や、あるいは市民の関心が非常に強まってきている。とりわけ不安感や心配をかなり聞いております。  そういう観点でお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、ただ法案の所管庁ではございませんのでわかっている範囲で御答弁をいただければと、こういうふうに思っております。  まず一点目は、自治体協力に対して、当然これは市民生活にも大きな影響を与えるということになりますし、市民の最終的には権利の制限にもつながってくるんではないかな、そういう観点もあってか、百近い市町村議会が反対や懸念を表明する意見書を採択されているという、これは報道でそういうことが出されています。  このことを見ても、多くの自治体がこの問題について政府が一方的に決めてきているではないか、そういう不信感も出ているのではないかなというふうに思っているんですが、今後も含めて、自治体との協議について今までどうされてきたのか、そしてこういう不信感が広まっているということですから、今後どうされようとしているのか、自治大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  74. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 過去の経過等もございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  地方団体に対する説明等につきましては、内閣安全保障・危機管理室、防衛庁及び外務省等から適宜行われてきたところであります。  自治省におきましても、こういった説明を受けまして、地方団体からの照会等がございましたので、これに対して適宜対応してきたところでございますけれども、今後、地方団体が法案の趣旨を御理解いただき、適切な対応をしていただきますよう関係省庁地方団体との仲介、あるいは関係省庁と場合によっては協議をする必要がございますけれども、そういったことに対しまして自治省としても万全を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
  75. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ぜひ、今後とも関係自治体、基地のあるところの関係自治体という観点もあるんですが、この種の周辺有事ということになりますと、すべての自治体に影響するというふうになってくると思いますから、その点について十分な自治体との対話、意見聴取、協議というのをお願いいたしたいというふうに思っております。  それから、衆議院予算委員会の途中だったと思いますが、その審議の途中で、具体例を出せ、こういう質問に対して、協力項目例十項目、これは防衛庁ですかね、出してきました。そのうち六項目が自治体に対する協力項目になっているわけですけれども、これについては自治省としては事前に協議を受けられたのですか。
  76. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) お尋ねの協力の項目例につきましては、去る二月三日の日に内閣安全保障・危機管理室、防衛庁及び外務省から地方団体に示されたところでございますけれども、これに先立ちまして、それぞれの省庁から自治省を含む関係省庁に事前に協議がございました。
  77. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 協議があった、こういうことですから、じゃ具体的にお尋ねをいたしますが、九条一項の方では地方公共団体の長に協力を求めるところでは「協力を求める」ということになっていますね。それから、二項は「協力を依頼する」、こういうことになっているんですが、これは強制力に違いがあるんですか。
  78. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 九条一項の規定の方は、地方公共団体の長が有しております権限の行使、例えば、管理する施設の利用許可をするとか、あるいは所管いたしております法令の運用をするとか、そういったことでございますけれども、それについて協力の求めをする場合を定めたものでございます。  第二項の方は、人員とか物資の輸送、あるいは例示にございますように病院に患者を受け入れるとか、そういった意味で、地方団体がいわば民間の人と同じ立場で協力の依頼を受ける場合を規定したものでありますが、ともに国によって強制されることがないという点では同じでございます。  ただ、前者の場合は、長の方が要するに公共的性格の権限を有しておるわけでありますし、また他に代替手段を求めることが困難であるというような事情を考慮いたしまして国から協力の求めがあるわけでありますから、地方公共団体は公共的権限を正当に使う必要がある。そういう意味でいいますと、正当な理由がない限りこれに応ずる義務があるということになります。これを一般的な義務というふうに申しておりますが、そういうことが法的に期待される立場に置かれるという意味で二項の場合とは意味合いを少し異にする、こういうふうに御理解いただければと存じます。
  79. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ということは、正当な理由があれば拒否できるというのは一項目目の方に重点が置かれている、そういうふうに理解をしていいんですか。
  80. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) おっしゃるとおりでよろしいと存じますが、要するに協力の求めがありました場合に、正当な理由がある場合には協力を拒むことができる。どういう場合に拒むことができるか、どういう場合に正当な理由があるかというのは、あくまでも個々具体の事例に即して判断されるものでありまして、どのような項目の場合は正当な理由が問題になる、どのような項目の場合には正当な理由が問題にならない、そういう性格のものではございません。
  81. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ、正当な理由があれば拒むことができるという文言についてお尋ねをしたいというふうに思うんです。  この正当な理由というのは、人の判断によっても変わってくるというふうに思うんですが、これはだれが正当な判断だということを決めるんですか。政府なのか、首長、その当該の市町村長なり知事が決められるのか、それとも市議会の、そこに要請された議会が決められるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  82. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 先ほど申し上げましたように、正当な理由があるかどうかは、あくまで個別具体の事例に即して判断されるわけでありますけれども、その場合の判断はあくまで法令とか条例に照らしまして客観的に判断されるべきものということになります。  そういう意味で申し上げますと、すべての人がこの正当な理由についての判断を形成するということになるわけでありますけれども、まずは協力要請を受けた地方団体の長が判断をするということになるものでございます。
  83. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 協力要請を受けたところの長が判断をするということは、状況によれば議会も判断できる、そういうことで受け取っていいんですか。
  84. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) これは一般論としてしか申し上げることができないと存じますけれども、大体協力の求めがありますのは、通常執行権限に属することだと思いますので、そういう意味では長が判断するということが一般的であろうかというふうに考えられると思います。
  85. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 わかりました。  ということは、協力要請した側の政府は、正当な理由であるかどうかというのは判断しない、こういうことでいいわけですね。再度その辺、聞いておきます。
  86. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) これはお尋ねの趣旨に沿うかどうかわかりませんけれども地方公共団体協力を受けた場合には、地方公共団体の長がまず正当な理由かどうかを判断いたします。ところが、要請した側から見れば、これはその正当な理由があると思えないというふうなケースがその次の時点で起こってくるわけでありまして、そういう場合には地方団体協力を拒否するわけでありますけれども、今度は政府の方でこれは正当な理由がないと判断をいたしまして、各地方団体に助言とか勧告等を行うということはあり得ると存じます。  ただし、この法律はあくまで協力を求めるということにとどまっておりますから、そういうふうに判断が食い違ったといたしましても、第九条に基づいて制裁的な措置がとられることはないというふうに考えております。
  87. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 わかりました。  基本的な正当な理由を判断するのは、主体自治体ということで受けとめさせていただきます。  ただ、私が心配しましたのは、政府だということになると、自治体と意見が食い違った場合に不服申し立てができるのか、あるいは政府の協力要請を拒否した場合に制裁措置があるのかということを心配したんですが、今の御答弁で理解ができました。自治体で判断をする、こういうことで理解をしておきたいというふうに思っています。  それから、当然やっぱり自治体が判断をする場合に、市議会というのは市民の代表でもあるわけですから、この辺、事前事後を含めて、全体的な周辺事態の関係については国会の事前承認とか事後承認とかいろんな議論がありますけれども自治体議会でもこれらの自治体協力部分についてそういうことが必要になってくるんではないかなというふうに思いますが、これは自治省としてまだ議論されていなかったら別ですけれども、その辺の部分についてもし考え方がありましたらお示しをください。
  88. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) これは地方公共団体事務進め方の基本にかかわる問題でありまして、執行機関と議決機関がどういうふうに役割分担するかという問題にかかってくると思います。  この点につきましては、地方自治法九十六条で議会の議決事項というのがはっきり明定をされております。この法律に基づいて国から地方団体協力の求めがある場合は、これとの関係でいいますと、あくまで一般論でありますけれども、議会の議決を必要とするような事項に関して協力の求めがあるというようなことは通常は考えられませんで、一般的には執行権限に属する事項について協力の求めがあるというふうに考えられますので、その意味では、議会の承認の必要はないというか、議会にかからしめるようなわけにはまいらないというふうに考えておるところでございます。
  89. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 次に、協力を依頼するという部分の問題ですけれども、人員とか物資の輸送、それから給水ということで具体的に書かれておりますが、これをやる人材というのは自治体職員というか公務員がやる、こういう理解でいいわけですか。
  90. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 人員や物資の輸送あるいは給水というようなことにつきましては、民間事業者に対するのと同じような意味地方団体に対して協力の依頼があり得るということでございますが、この場合、協力の依頼を受けた地方団体がこれに応じる場合には、結局、その応じた地方団体の長の命令によってその地方団体職員が業務を行うことになるのが一般的だろうと考えております。
  91. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 公務員としてやっぱり憲法を守るんだということで、これはもし協力要請があった場合に、自治体の長が了解をして職員に、公務員にそれを指示した場合、これは憲法違反で戦争に協力することではないか、だから我々は憲法を守ると、こういう立場で職員が拒否する場合もこれは当然出てきますね。それらの場合についての、長としての罰則が科せられるのかどうかという問題と、もしそういうことが科せられるということになれば、憲法十八条に保障されている強制労働とか苦役を課せないという、そういう部分との関連でどうお考えなのか。もし罰を科せるということなら地公法ということになるのかどうなのかというのを、おわかりであれば。
  92. 香山充弘

    政府委員香山充弘君) 協力の求めはあくまで職員一人一人ということではなくて地方団体に対して行われるものでありますから、地方団体の長がこれに応ずるというふうに判断した場合は、みずからの職員に対しましてその職務として協力に係る業務を行うように命令を発するということになります。  この場合、当該職員はこの命令に従わないという新しい問題が生じてまいりますから、その場合には地方公務員法に違反するということになりまして、場合によっては地方公務員法上の処分の対象になるということもあり得るというふうにお答えせざるを得ないと思います。  ただ、この場合の関係というのは、当該職員地方公共団体に雇用された以上、知事とか市長の命令に当然従うべきだということになるわけでありまして、この関係に基づいて、その命令に従わないという理由で処分を受けるということでありまして、これはいわゆる罰則ではもちろんございませんし、またそういった意味でございますので、憲法十八条に違反するような問題ではないというふうに考えております。
  93. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大体考え方がわかりました。いずれにしても、これは特別委員会等設置されて具体の議論をされるというふうに思いますので、またそこでいろいろお教えをいただきたいというふうに思っています。  もう一点、非核港湾条例の関係が最近マスコミも含めてにぎわせていますし、政府の方からもいろいろな見解が出されておりますので、お尋ねをいたします。  高知県の港湾条例の関係について、自治大臣、記者会見をされて橋本知事の姿勢を批判されたという記事が載っておりましたけれども、あれ以降、高知県の方では、最近はまた要綱案も若干また緩めたという、きょうの新聞ですか、載っていましたけれども、あの記者会見のときは、あれは二月だったと思うんですが、そのときの自治大臣の批判された姿勢と今の高知県の要綱案等々含めて若干考え方がお変わりになったのかどうか、その認識をお伺いしたいと思います。これは大臣にお願いします。
  94. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 報道では何か若干高知県の要綱案が変わるような形になっておりますが、まだつまびらかにしておりませんので、その点については言及は避けたいと思います。どこがどのように変わるのかということを確認しないうちにいろいろ申し上げるのはいかがかという思いはございます。  ただ、既に出されております要綱案ということでありますれば、次のような考え方で私ども考え方は変わってはいないということを申し上げておきたいと思うんです。  それは、高知県は非核三原則を踏まえた港湾管理に努めるという内容の条例改正案を県議会に提出し、これとあわせて、政府に対して外国艦船が核兵器を積載していないことを証する文書の提出を求め、その結果に基づき港湾施設の使用に関し決定を行うという趣旨の要綱をあわせて発表した、こういうことでございます。  ということであれば、結局、この要綱に基づく運用と文書の提出を求め、その結果に基づき使用に関する決定を行うという運用になるのであれば、港湾の適正な管理運用を図るという観点からの港湾管理者としての権能を逸脱するものであって、地方公共団体の権限の行使としては許されないということを申し上げたわけであります。
  95. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 中身の問題がひとつあるんですが、港湾条例、当然国と地方自治体の立場というのは平等だ、こういうことですから、今回の条例制定についても地方自治体の条例制定権の範囲内というか枠内だというふうに私どもは思っているというのが一つ。  それから、中身の問題にしても、一つは、非核三原則というのは国是あるいは国の基本政策、こういうことでありますから、その基本政策を踏襲する、それを具現化する、あるいはそれを実質化するという条例をつくるのに何が悪いんだと、こういうことがあるわけですから、当然自治大臣としてはこれを尊重していただくべきではないかな、あるいは協力をしていただくべきではないかなというのがある。  それともう一つは、港湾条例、港湾法との関係でいくと、施設内の規制を自治体に任せたというのは、戦前、国が直轄管理した全国の港が第二次世界大戦で軍事優先に使用されたという反省から、自治体個々にそれを任せよう、こういうことになったわけですから、そういう観点からいっても、今回の非核条例というのは的を射ているのではないかなというふうに思っているわけです。  いずれにしても、この問題、これから地方分権という中で自治体主体性をどう発揮していくかという観点も含めて、自治大臣としての対応をお願いいたしたいということで、私の時間もう大方ございませんので、簡単にこの部分自治大臣のお考えだけを聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  96. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 基本は、国は国としての役割があり、地方地方役割があると思います。そういう点で、港湾管理についての権限を知事にゆだねている港湾法というのは、あくまでも港湾の施設・区域の管理責任、管理運営という角度からの権限の話であって、まさに軍艦の寄港ということは外交そのものの世界である、そういう意味で私は次元の異なる世界である、したがってそこはやはりお互いに尊重し合うべきものではないかというふうに考えております。
  97. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ありがとうございました。
  98. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  まず、質問に入る前に、先ほど松村理事から国家公安委員長に対しまして告訴事件の件につきまして御質問がございましたけれども、その受け答えを聞いていて、本当にそうだなと実は私も感じた次第でございます。刑事局長から十年ぐらい件数は余り変わっていないというようなお話でございましたけれども、どうも全く切った張ったの簡単なといったらおかしいんですが、そういう事件はすぐやりながらも、経済事犯であるとかあるいは知能犯というか、そういう事案に対してはなかなか取りかかってくれていないんではないかというような印象を私も持っておりまして、ぜひ国家公安委員長におきましてはその点について督励をしていただきたいというふうに思う次第でございます。  さて、野田自治大臣におかれましては、自治大臣になられて約二カ月でございます。新進党時代いろいろ御教示いただいて、また新進党の政策を引っ張っておられた方でございます。そういう点も含めて、ちょっと所感に関して御質問をさせていただきたいと思います。  一つは、まず選挙制度に関してでございますけれども、昨年、在外邦人の選挙権ということで改正がありました。その時点で、在外邦人、海の向こう側にお住まいの日本人の選挙権でございますけれども、海の上にいる日本人、船員の方々の選挙権どうするんや、各漁港に行ってもそういう要請が非常に多いわけであります。聞くところによると、アメリカでは宇宙飛行士の選挙権行使をどうするかとまじめに議論されているということもあります。その辺、船員の選挙権についてどのようにお考えなのか、御所見をいただきたいと思います。
  99. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 船員の洋上投票については、かねてから懸案事項でございました。この点、既に国会においてもいろいろ取り上げていただいて、御検討いただいておるわけでございます。  洋上投票実現の会という会がございますが、これが先般模擬投票をやったようですが、その実験も含めて、法制面、実態面等からいろいろ調査検討を重ねておるところでございます。率直に申し上げて、今現在結論を得ておる段階ではございませんが、真剣に検討を進めておる段階でございます。  その中で、いろいろな角度からの検討が必要だろう。そのうちの一つはファクスで船から送らせよう、こういうことなんですが、基本的にはコピーの性格を有するものであるというようなところから、投票用紙公給主義というか、これとの関係をどう考えるのか。それから、それが本当に本人がファクスしたものなのかどうかという確認をどういう形で行うんでしょうかとか、投票の秘密、これをどのように確保できるんだろうかという点で必ずしも十分問題点がクリアされ切ったというところまでは至っていないということもあるというふうな報告も聞いております。  いずれにせよ、大変大事な選挙権の行使、国民にとって非常に大事な権利の一つでもございます。義務の一つでもございます。真剣に検討してまいりたいと思います。
  100. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かに技術的な制約というのはいろいろあろうかと思いますけれども、ただ、やはり選挙権というのは本当に大事なというか、もう本質的な部分でございまして、技術的な視点で権利が制限される、何とかクリアできるように検討をしていただきたいというふうに思います。  その選挙制度について、今度日本におられる外国人、永住外国人の方、新進党時代もその点につきまして本当に検討したと思いますし要綱もつくったと記憶しておるんですが、昨年の十月に公明党、当時、新党平和でございますけれども、新党平和とそして民主党さんと一緒になりまして在日永住外国人に対して地方参政権付与、こういう法案を出させていただいたわけでございます。  金大中大統領が昨年お見えになりました。その点についてもやはり大きな期待があろうかと思いますけれども、もちろん議員立法で出させていただいたわけでございますけれども、この選挙制度自治省が預かるわけでございますので、この点について前向きに取り組んでいただきたいなと私は思っておりますが、この点につきまして御所見をお願いいたします。
  101. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 在日定住外国人の選挙権、特に地方選挙権の付与の問題について、今御指摘のとおりかねてから大変、平和・改革、今日、公明党という形になりましたが、熱心に取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。  この問題、御指摘のとおり既に議員提案がなされておるわけであります。そしてまた昨年、金大中大統領が訪日をされました折、小渕総理に対しても言及があり、今世紀の間に起きた事柄については今世紀の間に解決をしたいという中で、韓国においても大変な英断を持っていろんな文化面その他で御努力を今いただいておるということは高く評価をするところでございまして、そういう点で、真摯にこの問題を受けとめて検討していかなきゃならない課題であるというふうに率直に言って感じております。  この問題については、従来からいわゆる国民主権あるいは地方自治のあり方、それから国と地方公共団体との関係などのそういう基本的なテーマはございますけれども、もう今日こういう時期になりまして、いつまでも同じ問題で堂々めぐりというのもいかがかということもあって、しかし一方で、先ほど申し上げたとおり既にせっかく議員提案をなされておるという状況下にもございます。これは各党それぞれ今御検討をいただいておるところだろうと思います。そういう点で、ここはぜひ各党各会派で十分御議論をいただいて、できるだけ早期に結論を得られることを心から期待を申し上げておるということでございます。
  102. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ぜひ自治大臣、また自治省におかれましても積極的にお取り組みをいただきたいと私は思っております。  これは何も制度論ということよりも、本当に我が日本が開かれた国になっていくのかどうかとか、そういう問題にもかかわると思いますし、また永住外国人の方から見れば税金だけ払って住んでいる地域の問題について何も発言できないということを意味するわけでありまして、ぜひ前向きによろしくお願いをいたします。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  次に、自自連立に際して驚いたことは、いろいろ自自合意されました。行革の中で議員の数を減らさなきゃいけないということで、衆議院五十、参議院五十というような具体的な数字を挙げての合意文書が交わされたわけであります。参議院の予算委員会で民主党の角田先生から、参議院軽視も甚だしいというような議論がございました。本当に私もそうだなと思います。現行制度を維持したまま五十減らし得るのか。具体的な選挙区を考えた場合もう頭が痛くてほとんど判断が停止するような、こういう難しい問題だろうと私は思っております。  現行制度、本当にその立て方の思想なり考え方も変えていかなきゃいけないのかもしれないとももちろん思っているわけでございますが、選挙制度を預かる自治大臣といたしましても、やはりこの五十、参議院における定数五十減ということで今でもお考えなのか、その辺の御所見をいただきたいと思います。
  103. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは参議院の予算委員会でも大分議論になったところでございます。  私の理解は、その予算委員会において小渕総理が御答弁もされたわけで、大体合意の当事者ですからそれが一番正しい理解だろうとは思うんですが、若干これに関与した一員として受けとめております事柄、十一月十九日に交わされました小渕総理・総裁と小沢党首の間の合意の内容は、少なくとも衆議院も参議院も五十名ずつ減らすということを目標として国会議員の定数削減をやりましょうということがまずありまして、そのことについての基本的方向で合意したということであって、具体的には今後両党間で協議しましょうというのが十一月の合意であったわけであります。そういう意味で、五十名ずつ削減することで合意したということではない、減らそうという方向性で合意をしたということであります。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  その後、それに基づく協議を行った結果、本年一月に入りまして、参議院については既に参議院議長を中心に独自のそういう削減の各会派の協議が行われているということでありますから、その独自性を尊重するということで両党間で確認をしている、こういうことでありますので、そういう意味で参議院における五十名削減という話は今日はこだわらないというか、その事柄は横へ置いて、むしろその数字ということは一応なかったことにしてということで僕はいいと思うんです。  それよりも大事なことは、衆議院における削減ということと、参議院は今独自の削減の各会派の協議をしていただいているところですから、その実質的な協議を尊重するということの両党間の合意であったということで私は理解をいたしております。
  104. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっとその点の確認なんですが、要するにその合意は、五十、五十という中の参議院における五十は破棄されているというふうな認識でよろしいんですね。そしてまた、それは自治大臣もそういう認識でおるということでよろしいんでしょうか。
  105. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 私が破棄されるという言葉を使うのは、大変僣越なことだと思います。そういう点で、予算委員会でも総理が御答弁されましたとおり、実際、正確に読みますと、「十一月十九日の合意に達しましたもののうち参議院の五十名削減の部分につきましては、自由民主党、自由党両党間の協議で参議院の独自性を尊重することとされておりますので、事実上意味をなさないものであることを申し添えさせていただきたいと思います。」と、このように小渕総理自身も御答弁されております。そういう意味で事実上意味をなさないものであるということで申し上げたいと思います。
  106. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党も数は五十減らして二百でいいんではないかというふうに実は考えております。ただ、それは今のままじゃだめですよ。やはり民意の反映ということを考えたらもっとやり方を考えるべきではないか。そういう制度の立て方と数とセットでいかないといかぬのではないか。  ただ、自自合意というのは数だけが先行し、衆議院が一割で参議院が二割も減らすのかみたいな部分でひとり歩きしたと私は認識をしておりまして、またこの点についてはしっかり議論をさせていただきたいというふうに思います。  次に、地方行政改革ということについてお尋ねをいたしたいと思います。  今、地方の財政が大変な状況であるということであります。都道府県のレベルで言えば、十一年度の当初予算案では、大体対前年度比四・五%減という状況でございますし、また普通建設事業費に至っては前年度当初比で七・〇%減というような、大体こういうような趨勢になっているところでございます。  自治省においては平成九年十一月に、新時代に対応した地方公共団体行政改革推進のための指針というものを出されているようでございます。地方財政は厳しい、しかも経済がこういう状況である。そしてまた住民のニーズは多様化し、かつ大きな膨らみを持ってきている。そういう状況の中で、やはり私ども地方行政改革は大事である、そういう認識のもとで、ことしの一月から一カ月ぐらいかけまして都道府県また政令市に今の行政改革の進捗状況の実態調査をさせていただきました。各都道府県に我が党の議員がおりますので、すぐその辺はできたわけでございます。  その調査の項目は、例えば普通会計決算の人件費の割合、あるいは職員の定数、過去十年間の推移はどうだったか、あるいは外郭団体の数はどのように変化をしてきたのか、また外郭団体職員に対する派遣職員、県庁とか市役所からの派遣職員の割合はどんなものか、あるいは外郭団体の役員の報酬の最高額はどのぐらいなんだろうか、また行政評価制度の導入状況はどういうものであろうか、こういう諸点にわたって調査をさせていただきました。結果は、本当に行革は進捗していないというのが数字の上でも出てまいりました。  例えば、普通会計決算における人件費の割合、都道府県で言えば本当にこんなに開きがあるのかというような状況であります。例えば、神奈川県においては人件費の割合が四七・三%という数字が出てまいりました。一番低いところで島根が二二・九%という状況でございますけれども、五割近くも人件費で食われてしまうのか、そういうところもあるのかということが実感でございます。  また、この神奈川県に関して言えば、逆に今度は職員定数も一生懸命努力しているということを名誉のために申し上げておきたいと思います。  もっとも、例えば平成元年を一〇〇としますと、平成十二年においては九一・八%というふうに、一番定数削減に取り組んでおられることも付言をしておきたいというふうに思うわけであります。  この調査結果の中で、職員数について外郭団体数もほとんど減らない、あるいは逆にふえている、行政改革の隠れみのとして使われているんではないか、そういうような数をもとにした調査結果が今出てきておりますが、この点について大臣の御所見をいただきたいと思います。
  107. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 公明党独自で実態調査を本年一月に行われた数字をもとに御指摘がございました。なかなか独自の調査は大変だったと思いますが、そういう点でまず敬意を表したいと思います。  この地方行革の推進というのは、これはもう当然のことながら地方財政を立て直していく上でも大事なことでありますし、国、地方を通じて行革を推進していく、そして行政を簡素効率なものに持っていくという、これは非常に大事なテーマであると思います。その中で、今人件費についての御指摘がございましたが、時期のとり方によって若干数字が違ってくるのかなという感じもしないではございません。  そういう点で、例えば平成元年と平成十年、この十年で比べると、確かに三万人ほど地方公務員の数はふえております。しかし、平成十年と平成六年、つまり過去、平成七、八、九、十、いわばこの四年間をとってみますと、逆に約三万三千人近い減少ということに実はなっております。  そういう点で、特に定員管理の適正化というのは地方公共団体がみずからの行財政改革を進めていく上で極めて大事な問題でありまして、自治省としても、今日までもこのスクラップ・アンド・ビルドの徹底ということを基本とした地方公共団体の定員管理の適正化ということを指導してまいったわけでございます。その中で、特に平成九年、一昨年の秋に御指摘のとおり、地方行革の推進についての指示をして、特に数値目標を立ててしっかりやってもらいたいということで指示をしたところであります。  今、その中で、定員抑制に向けた努力について、平成元年から平成十年までの中で団体別に見ると、さっき総数の話、三万人ほど云々の話をしましたが、四十七の都道府県について見ると、この十年の間で三十の団体が実は減少しております、個別に見ますと。増加しているのが十七ということになっております。指定都市では逆に、増加の方が十二のうち八で、減少が四というような数字になっておるわけであります。かなりそういう点では、地方公共団体においても、今日、行革、行財政の徹底した改革、その中でも定員管理の適正化ということに努力をしていただいておるというふうに認識をいたしておりますが、さらに一層定員管理の適正化をしていただくように要請をしてまいりたいと思います。  一方で、地方自治体要請するだけでなくて、やっぱり国レベルの面においても、いわゆる各省が行います必置規制、この必置規制をもう少し見直してもらわなければならぬ部分が率直に言ってあると思います。そして、地方自治体が人員の増加を伴うようなそういう施策をどんどんと国の方で押しつけていくということは厳に慎まなければならぬことであるということもあわせて認識をすべきことでありまして、引き続き関係省庁にもそのことを要請してまいりたいというふうに考えております。
  108. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 細かい数を挙げての指摘をしたら切りがありませんから。ただ、全体を通して見ると本当に進んでいないなという思いがいたします。  そんな中で、例えば各自治体において行政改革推進計画、具体的な数値を決め、また年限を切ったそういう計画をとるように指導をしていくべきではないか。具体的に言えば、例えば職員数を一割以上削減するというようなことであるとか、あるいは各事業について民営化とか民間委託というようなものもガイドラインとして設けてもいいんではないか。さらには外郭団体、これも整理改善あるいは統廃合をすべきではないか、そんなふうに私ども考えておるわけであります。  大阪府においても、今般、種々精査してみたら、外郭団体の整理をしてみたらかなり財源が浮いたというようなこともお聞きをしておりますけれども、今の諸点について、大臣、いかがでしょうか。
  109. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 基本的に御指摘のような方向で、先ほど申しました平成九年十一月に策定しました地方行革の新たなガイドライン、これに基づいて定員適正化計画における数値目標の設定ということだけでなくて、さらに平成十年十二月末までに数値目標をきちんと入れて定員適正化計画のさらなる厳しい見直しを要請したところでございます。そういう点で、この行革大綱の見直しについては、大体都道府県、政令市ではほとんど年度内には徹底する、見直しが行われるというふうに承知をいたしております。市区町村全体でも、半数を超えて進むのではないかというふうに考えております。引き続き要請をしてまいりたいと思います。
  110. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 続きまして、運輸大臣はお見えですか。──実は、ことし一月二十日に漁船新生丸というのが海難に遭いました。きょうはその質問をしたいわけでございます。  これは、海上保安庁あるいは運輸省全体の技術であるとかあるいは執務体制とか、そういうようなところに係ってくるものでございまして、運輸大臣の出席をずっとお願いをしておきました。また、先般の理事会、理事懇でも、与党のサイドからそれは最大限努力しますというようなお話も伺っておるところでございます。  私、調べたところ、今ここは三十一委員会室ですが、真下の二十一委員会室で交通・通信委員会が開催されておりまして、運輸大臣が二時三十五分までそこにおられるということでございまして、運輸大臣がお見えになるまでしばし休憩をしたいと思います。
  111. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 魚住委員に申し上げます。  けさの理事会できょうの日程を御協議させていただいておりますので、質問を続行していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  112. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これは、運輸大臣にぜひお願いしたいということでずっと言い続けてきたことでございまして、私は当然の前提で理事会協議に臨んでおるわけでございまして、御処置をお願いしたいと思いますが。
  113. 小山峰男

    委員長小山峰男君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  114. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 速記を起こしてください。  ただいまの魚住委員の発言につきましては、後刻理事会で協議をするということでよろしくお願いしたいと思います。
  115. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ぜひ、しっかり議論をしていきたいと思います。  議長の与党であります自民党さんが中心になってこの参議院の委員会の再編をやったわけであります。それがこの委員会の再編に伴って大臣はどこをどうするかという問題、極力野党側の質問に対してしっかり応ずるというのが私は大原則であるというふうに思います。人命にかかわる問題を質問したいということでお願いをしておりますけれども、またこの点につきまして後刻委員長を中心に議論をしたいというふうに思います。  一月二十日に漁船新生丸というのが海難事故に遭いました。EPIRBという遭難信号を発する機械が作動して一回発信した。本来であればずっと発信すべきところでありますけれども、浮上してくるべきこのEPIRB自体が船体と一緒に水中の中にずっといたということで発信がされていなかったようであります。  経緯を簡単に言うと、ただそのまま、その後の海上保安庁の確認作業もやむなくといいますか、そこに大問題が出るわけでございますけれども、船主からの連絡が、船からの連絡があったかのように誤信をしてその後の捜索救助活動というのを打ち切ってしまったようでございます。  まず第一点目は、このEPIRBというものについて、何でこんなことになったのか、これは技術的な問題もあろうかと思いますけれども、運輸省から御説明を簡潔にいただきたいと思います。
  116. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) お答えを申し上げます。  先生指摘のEPIRBはGMDSSという捜索救助システムで使われます中核の遭難信号を発する機械でございます。EPIRBは遭難者がどこにいるかということを基本的に特定することを目的としておりますので、遭難者の方がやむなく船舶を離れなければいけない状況の折には、これを救命艇等に持って避難をするということになっております。  この場合、大型の船舶につきましては、EPIRBが設置されている場所まで緊急時にアクセスできないケースがございます。したがいまして、そういう大型の船舶につきましては、一定の水圧がかかりますとその水圧で自然に離脱をする自動離脱器というものを義務づけております。この場合の水圧の要件が国際基準で四メーターということになってございます。  他方、アクセスが簡単にできる小型船の場合には特に自動離脱型の救命設備をつけておらないわけでございますが、この新生丸につきましては、小型船ではありましたがたまたま自動離脱型のものをつけておりました。しかしながら、今般の事故で新生丸が横転しましたときに十分な水圧がかからない状況になってしまいまして、結果として自動離脱しなかったという大変不幸なケースであったわけです。  こういう点にかんがみまして、仮にもう少し浅いところでも離脱するように直すということが先生の御指摘かと存じますが、小型船の場合には、航行時に青波をどんどんかぶって航行する状況でございます。そういったときに浅い水圧で外れるようになりますと、簡単に流出してしまうというケースもございまして、必ずしも浅い状態で外れること自体が全体の遭難設備としてのメリットにつながるかどうか疑問の点もございます。  ただ大変重要な問題だと私ども認識しておりますので、今回この事件をきっかけにして運輸省に関係者でつくりました検討委員会というのがございますが、この検討委員会の中で指摘されました幾つかの課題を、新たな仕組みで、関係者の方に集まっていただいて継続的に検討する場を設けてございます。その場で先生指摘のこの問題についても慎重に検討させていただきまして、技術的な面、あるいはハンドリングの面、両者について考えさせていただきたい、こう考えております。  ところで、ちょっと長くなって恐縮なんですが、大変……
  117. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 長い。
  118. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) 十分検討させていただきます。
  119. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ぜひしっかり検討してもらいたいなと思います。  四メーター以内であればということでございますけれども、きっちり反応してもらえるような、そういうEPIRBにしていただきたいなというふうに思います。  SOSのシステムをやめて、今おっしゃった新しいシステムに採用を切りかえて最初にこういうような大事故になって、それがうまく機能しなかったというふうな結果になっておりますが、これは単に機械とかそういう問題だけではなくして、海上保安庁の体質といったら語弊があるかもしれませんが、そういう問題も私はあろうかと思うんです。  船主さんから何回も何回もしっかり確認してくれ、捜索してくれと言っているにもかかわらず、誤解に基づく捜索救助活動の中断をした後、例えば当日の十時十一分には、釜石の海上保安部から船主さんに対して、これは誤発射だ、てんまつ書を書け、こういうような要請が来ている。  その後、ずっと船主さんは心配だから漁業無線局であるとか、室戸の方まで連絡をする。何回やってもなかなかその態度が改まらない。そういうようなことでさらに私はこの悲惨な結果を招いたんではないか。一人がまだ、行方不明になって一カ月半になるわけでございますけれども、そういう状況が出ているわけであります。  船長さんのインタビューの中でも、このEPIRBのスイッチを押して救命ボートの方に飛び込んだ。本当に全幅の信頼をしている。にもかかわらず、それが誤発射かどうか確認できないで、そして、こちらの思い込みだけでずっと事態が推移していた。  ある意味ではこれは人災だというふうに言わざるを得ないわけでございまして、その点、海上保安庁はどういうふうにお考えなのか、先般の概況説明の中でこのことは一言も触れていない、そういう体質で今回の事件が起きたのではないかと私は思っておるわけでございまして、長官、御答弁お願いします。
  120. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えをいたします。  今回のこの新生丸の海難につきましては、一月二十日の午前七時二十一分にこの船のEPIRB警報を海上保安庁のMCCが一回のみ受信をしたということから始まったものでございます。  この一回のみというところに一つまず大きな意味があるわけでございまして、実は、二回受信をいたしますと、はっきりした位置が定まります。一回のみでは二つの位置が出るわけでございまして、そこがなかなかしっかりしないところがあるわけでございます。そうこうしておりますうちに、私どもはすぐ船とか飛行機というのは出したのですけれども、先ほど先生からお話がございましたような、船主さんと高知の室戸の漁業無線局の間でこれは誤報だという話が入ったわけでございます。  私ども、そのときの状況というのはいろいろ聞いてみましたけれども、こちら新生丸ですがと船主さんがおっしゃったというのが一つございます。それから、聞いた感じが非常に遠い電話通報のような感じで、いかにも衛星か何かを通じてくるような遠い感じであった、船主さんがそのときに船の位置までおっしゃった、こういうことで、高知の漁業無線局、これは新生丸が遠洋に出た場合に定期的に連絡をする先でございますが、そこがそのように誤解をしてしまったということがございます。  これが非常に尾を引きまして、私ども立ち上げておった船や航空機を引き揚げて捜索を打ち切り、それから先ほど先生お話がございました船主さんが心配していろいろ言ってこられる、そういうことでもう一度いろいろ確認をした結果、さあと思ったときには十五時という定時連絡の時間が妨げになりまして、そこまでなかなかうまくいかなかったということがあるわけでございます。  それから、てんまつ書につきましては、誤報ということになりますと、従来から私どもの場合は、誤発射であることが判明した場合はその事実の確認とか今後の誤発射の防止の指導のためにてんまつ書を出していただくということで、参考にしていただくことにしておりますけれども、ただ、ちょっとそれを言うのが早かったかなという感じはしておるわけでございます。  このように、非常にいろいろ問題が重なってこのような事態になったわけでございます。おくれたことは率直に言って事実でございますし、遺憾に思っております。また、この海難発生の翌日に五名の方は救助いたしましたけれども、残念ながらまだお一人について現時点では行方不明になっておる、こういったことは重大に受けとめて、今後の業務の改善につなげていきたい、このように考えております。
  121. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 大事な事件でございますので、私どもはここでやはり運輸大臣の所見を承りたかった、そういう趣旨で要求をしたわけでございます。  とりあえず終わります。
  122. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  最初に、十八歳からの選挙権の問題について伺いたいと思います。  現在、百九十一カ国のうち百四十四カ国では既に十八歳からの選挙権が認められております。これは世界の流れでもあります。一部では十五歳から、あるいは十六歳から、十七歳から、こういうところもあります。欧米諸国では既に一九七〇年代に十八歳選挙権に移行しているわけでありますけれども、現在サミット参加国で実施していないのは日本だけであります。一九八九年に締結され、日本も批准しております子どもの権利条約、これでも子供の定義は十八歳未満ということでありますから、十八歳からの選挙権はもはや世界の常識になりました。この点で日本は後進国であります。  こういうおくれた状態を二十一世紀に残さない、そのためにも十八歳選挙権の実現に踏み出す時期に既に来ている、こういうふうに考えるわけですけれども大臣の所見をまず伺います。
  123. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 選挙権の年齢について諸外国で十八歳としているところが多いという御指摘はそのとおりであると承知いたしております。この問題はかねてから我が国でもよく議論になってきたことでもございます。その際、常に問題になっているのは、民法上の成人年齢あるいは刑事法での取り扱いなど法律体系全般との関連をどう考えるかというポイントでございました。  我が国では、民法では二十歳、少年法でも二十歳というのが成人ということになっておるわけであります。これは刑法との関連で、もし二十歳未満の者が何らかの選挙犯罪を犯したという場合にどういう適用関係になるのか、そういったことをどうするか等々の検討もあると。このようなこともあって、いずれにしても選挙権の年齢のあり方については国民の選挙にかかわる権利行使という点で基本的な問題でもあります。そういう点で、これは私どもも十分検討してまいりたいと思いますが、ぜひ各党各会派の中でもこの問題について御検討、御議論をいただきたいというふうに思います。
  124. 富樫練三

    ○富樫練三君 確かに現行法で、例えば民法の問題であるとか刑法の問題であるとか、あるいは少年法であるとかいろいろあるわけなんです。年齢はそれぞれまちまちということで、例えば労働基準法の場合には十八歳を過ぎれば特別の保護の対象からは外される、こういうことになるわけで、そういう点では法律というのはその法律の目的に沿った形で独自に検討されているわけなんです。ですから、民法が二十歳からだということで、民法がそうだから選挙権も二十歳からという単純な問題ではないだろうというふうに思うんです。それぞれ独自に判断をした結果として法律で定めればいい。これが今の法の体系になっていると思うんです。  そういう点から考えて、十八歳以上を有権者として直接政治に参加させる、そういう権限を保障する、これが妥当であるかどうかということを独自に検討すること、このことが今大事だというふうに思っているわけなんです。  そういう点で、大臣として今の日本の状況の中で十八歳から選挙権を認めた場合に、何かほかの法律との関係ではなくて、選挙権として認めた場合に特別支障があるというふうにお考えなのかどうか、あるいはないというふうにお考えなのか、そこのところはいかがでしょうか。
  125. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 一政治家としてどうかと問われたら、二十歳に至らないで十八歳以上の方々でも大変国政あるいはいろんな政治に関心を持ち、見識を持っている若い諸君も大勢おられることだと思います。そういう点で、一概に年齢だけでいくのはいかがかという発想については私も十分理解をしておるつもりでございますが、ただほかの法律との関係を無視してそれだけで論じていいかという話になると、今労基法の関係のお話があったんですが、刑法あるいは少年法との関係、何らかの選挙犯罪を犯した場合に、そういう刑法との関係を一体どう見るのか。じゃ、選挙違反を犯しても保護処分でいいんですかという話になってみたり、そういう意味での適用関係をどう考えるかということはやっぱりもう一つ大事な側面だというふうにも思いますので、そういう意味で十分検討させてもらいたい、そう思っています。
  126. 富樫練三

    ○富樫練三君 ほかの法律は全く無関係関係ないんだというふうに言っているわけではなくて、それぞれ相互関連がありますから調整やそういうことは必要だろうというふうに思いますけれども、ほかの法律がこうなっているから選挙権は二十歳からというふうに拘束される必要はないだろう、十八歳からにした上で、その後の調整というのは当然あり得ることだというふうに思っております。実は、各党ともそういう意味では、十八歳以上選挙権という点では、今国会で政党として活動しているほとんどの政党がこれは認めているわけなんです。  例えば、各政党に入党するときの条件を調べてみますと、自民党さんも民主党さんも公明党さんも社会民主党さんも自由党さんもそれぞれ十八歳以上、こういうふうに伺っております。それから、この間の参議院選挙のときに、それぞれの政党が公約を発表しました。これは、民主党さんや公明党さん、社会民主党さんも年齢引き下げとかあるいは十八歳とか、こういう形で公約を発表されたわけなんですね。  この間の国会の議事録をずっと調べてみますと、平成五年の十一月に、百二十八国会でありますけれども、これは政治改革の特別委員会で自民党は、有権者を十八歳まで下げたらどうであろうか、私もそういうふうに考えるわけでありますが、この問題については進めていくべきだというふうに考えているわけでありますというふうに自民党の議員さんが質問をしているわけなんです。さらに、野田大臣が所属しておりましたかつての新進党、これは平成七年の公選法の特別委員会で新進党の方が、私は日本でももう検討していい段階に来ているのではないかと思う、こういうふうに発言もされているわけなんです。  そういう意味では、各党ともこの問題については一致しているというふうに考えるわけです。一刻も早い実現に向けて担当の大臣を先頭に積極的な取り組みをするべきではないか、そういう時期に来たというふうに判断するわけでありますけれども、そういう状況の判断はいかがでしょうか。
  127. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 先ほど私の個人的な感覚でいろいろ申し上げましたが、また所管大臣という立場と両面申し上げたわけでありまして、十分検討する価値はある、またそういう時期にあると思いますが、それだけにぜひ各党間で、各党各会派でさらに議論を煮詰めていただければ大変ありがたい、そう思っています。
  128. 富樫練三

    ○富樫練三君 この問題については、かつて昭和四十八年、四十九年時点でかなり議論がされていまして、その当時世論調査などが行われているわけなんですけれども、その世論調査では、十八歳からの選挙権については賛成者が少ないというか、そういうのが出ているんですけれども、何しろそれは今から二十五年前の話なんです。最近の世論調査を見ますと、東京都の選管がこの間の選挙と前回の参議院選挙について一定の調査をしております。それを見ますと、二十代の投票率が飛躍的に前進をしているわけなんです。若い人たちの政治に対する関心は今非常に高まっている、こういうふうに言えると思うんです。  例えば九五年の参議院選挙のときに、二十代全体の投票率は二二・五四%、こういうふうになっているわけですけれども、これは東京都の選管です。同じ都の選管の調査で九八年、昨年の参議院選挙で同じ二十代は三六・一七%に投票率が上がっているんです。  ここで、一〇%以上も投票率が上がる、こういうふうに若い人たちの政治の関心は非常に高まっている、こういう状況でありますから、なおさらのこともう既に決断すべき時期に来ているのではないか。もちろん各政党がそれぞれの会派で協議をするということも大事であります。あわせて、担当の大臣がこれを機会に一歩踏み出すということをぜひ要請したいわけでありますけれども、改めて決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  129. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 十分承りました。引き続き検討いたしたいと思います。
  130. 富樫練三

    ○富樫練三君 時間が限られておりますので、次の問題に入りたいと思います。  地方財政の問題、特に財政的に大変危機的な状況というふうに言われているわけでありますけれども、この問題と、それとの関連で介護保険の問題についても、特に自治省と関連する部分について伺いたいと思います。  今、全国自治体は大変深刻な財政危機であります。全体の自治体の借金、これは来年度末になりますと百七十六兆円にもなろうというわけでありますから、そういう中で東京を初め大都市で相次いで財政非常事態宣言、こういうものを出しました。全国都道府県市町村合計三千二百七十九団体のうち、半数以上で公債費の負担比率が警戒ラインと言われている一五%を超える、こういう状況にもなりました。この原因が政府の経済対策の失敗による不況の深刻化、そして税収が停滞していること、さらにゼネコン型の開発を中心にした借金に次ぐ借金、これを重ねてきた結果であるということはもう明らかであります。  改めて、この地方財政の状況を詳しく見ますと、その原因の第一は、何といってもこの十年間で国の政策として六百三十兆円という公共投資基本計画、これを地方自治体がかなりの部分を支えなければならないという状況になっているということ、そして第二は、九二年度以来八回の経済対策が行われ、六十四兆円という大変なお金をつぎ込んだわけでありますけれども、その事業を引き受けるという地方自治体、これが押しつけられているという問題、さらに三つ目には、政府や自治省が巨大な公共事業自治体に消化させるために補助金なしの地方単独事業、これを奨励し、押しつけてきた。こういうことが大きな問題だ、原因だというふうに考えられます。これらの点については、既に代表質問や予算委員会の総括質疑の中でも取り上げられました。そして小渕総理は、それが一つの要因であったことは事実であるということ、また責任の側面は国の方にあるというふうに答弁しました。宮澤大蔵大臣地方に迷惑をかけたと答弁しております。  そこで改めて、このたび自治大臣に就任されました野田大臣に伺うわけでありますけれども、この地方財政危機についての政府の責任についてどのような基本認識を持っておられるのか、この点について端的にお願いします。
  131. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今日の地方財政が危機的な状況にあるという認識においては、私もたびたび申し上げておるとおりの認識をいたしております。  それから、ここに至る経緯、責任ということについての言及がございました。いろいろ六百三十兆にわたる公共投資の、言うならその実施主体のかなりの部分地方であり、また累次にわたる景気対策、しかも単独事業等というものを地方に押しつけてきた、これが大きな原因だという御趣旨のお話であります。  私は、率直に言って、押しつけという側面はちょっと強調され過ぎているのではないかというふうに実は感じています。それは、地方の立場からして、やはり社会資本の整備が生活の中でまだまだ必要だということを感じている。つまり、地域としてその必要性を思い、折あらば、また余裕があればぜひやりたいという、その地方自治体としての住民の強い気持ちというのはこれは認めなければならぬ部分でもあると思います。同時にまた、景気対策という中で国全体の景気をどう立ち上げるかということと同時に、いわば自分たちの住んでいる地域をぜひよくしたいという、その地域経済活性化という思いがあったことも事実であると思います。  そういう意味で、全部が全部押しつけということで処理するのはちょっといかがかという思いはございます。しかし、結果において、そのことが景気が落ち込んだことによる地方税収入の減少であったり、あるいはこのような公共投資系統の経費の負担が重なってきたり、あるいは義務的な経費が増嵩してきたり、そういうような要因がいろいろ重なって地方財政にしわが寄ってきたということもこれまた事実でございます。  そういう点で、宮澤大蔵大臣の発言も引用されたんですが、そのようなこともあって、平成十一年度における減税問題あるいは地方財政対策ということにおいて、減税の言うなら国と地方の配分といいますか、これについては従来の配分のやり方よりもより国の責任において行われる減税のシェアの方が大きかった、それなりの配慮はなされたんだろう。同時に、財源対策について、少なくとも単年度限りの処理ではなくて、いわば交付税率そのものに踏み込んだ対応がなされ、そしてまた一般財源の確保ということにおいても格段の配慮が行われたというふうに私は考えております。
  132. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣の答弁を聞いていますと、地方の方にも社会的な基盤の整備とかそういう要望もあって、押しつけというのはちょっと言い過ぎではないか、こういうふうにおっしゃられるわけなんですけれども、実は京都府が財政再建計画を立てる、その中で京都府での財政をどういうふうにみずから分析しているか。その中にこういうふうに言っているんです。バブル経済崩壊以降、政府の対応に呼応した数次にわたる景気対策に伴い、公共事業や単独事業が大きく増加したことが府債、要するに京都府の債券ですね、借金の急激な増発に拍車をかけることとなった、こういうふうに分析しているんです。  大阪の場合はどういうふうに見ているかといいますと、景気対策の観点から増額を続けてきた投資的経費も約二千五百億円増となっており、これが公債費の急激な増加をもたらしつつある、こういうふうに言っているんです。地方の方はそういうふうに見ているんです。  岩手県、自由党さんが大変力のあるというか、ここの岩手県の県知事さんはこういうふうに言っているんです。県庁の管理職約六百人近く集めて研修会をやった。その研修会のときに、予算消化のための事業押しつけは地域のため断固として断るべきだ、こういうふうに言っているんです。それで、こういうふうにも言っているんです。国の事業は参考に値しない、これは県知事さんが言っているんです。それで、さらにこう言っているんです。国の事業のやり方は参考にしない、参考にすると岩手を悪くする。ここまで言っているんです。  ですから、要するに地方自治体から見ると、今の国のやり方というのは、地方自治体が希望してやっているんじゃないんだ、国の方から、六百三十兆円という公共事業を消化する、そのためにこれをやってください、あれをやってください、そういうことでさまざまな通達も出したわけでありますから、そういう点でおあいこではないんだ、国の方がやっぱり積極的に借金をさせたというのが事実だし、地方自治体はそういうふうに認識しているわけなんです。  そこで、具体的に伺うわけなんですけれども、先日、私は埼玉県の大宮市に行ってまいりました。ここは人口約四十七万人、今全国に市はたくさんあるんですけれども、中堅のところの市だと思うんです。ここでは一千八百億円の借金を抱えて、公債費の負担比率が一九・八%に今なんなんとしているわけなんです。  どうしてそういうことになってしまったのか。  一つは、自治省のお勧めというか、そういうことによって公共用地先行取得をやった。一千億円つぎ込んで五十四万平方メートルの土地を買った。その中には、富士重工の跡地であるとか、富士重工の跡地は百十一億円で買っているんです。それから旧国鉄病院の跡地であるとか、そういうものをどんどん買い込んだわけなんです。これはみんな借金です。現在どうなっているかというと、更地になって未利用地になって借金だけが残っているというのが現状なんです。  二つ目には、政府の景気対策のための公共事業、これを拡大して、そのほとんどが単独事業で、さらに追加要請にもこたえた。結局、事業規模をバブル前の三倍に拡大して借金が急速にふえた、こういうわけなんです。  三つ目には、この景気対策による減税のために累計二百四十億円の影響を受けている。  四つ目に、国庫補助の負担率の引き下げによる影響が一年間に十四億円にもなる。ここは交付税の不交付団体ですから、もろに影響をかぶってしまう、こういうことなんです。超過負担が年間二十一億円、この結果が一千八百億の借金になったわけなんです。  こういう事実を見れば、借金の責任はまさに国に、もちろん市の責任もあるんだけれども、国にも大きな責任がある。国の政策に協力すればするほど借金がふえる。そして、政府に忠実であればあるほど地方の借金がふえて市当局も住民も犠牲を受ける、こういう構図がはっきりしているではありませんか。そこのところはどういうふうに大臣認識しているんですか。
  133. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 何か、国が笛吹けば必ず地方が踊ると義務づけられているような感じでお話があったような気がするんですけれども、私は、どこの県の知事さんかがおっしゃったんですか、国の言うとおりにやれば県を悪くするとおっしゃったという、大変立派な御見識だと思います。  国は国、我が県は我が県である。つまり、我が県の責任者は自分である。したがって、自分の責任と見識においてどういう事業をやるかは自分が決めるというのは大変結構な御見識であると思います。しかし、そうやったとしてもその県の財政は大変厳しくなっているという現実があるということでありまして、その県の知事さんは、御指摘のとおり、それだけの御見識をお持ちなんですから、必ずしも国の言うとおりには全然おやりになっていないんじゃないかと思うんです。
  134. 富樫練三

    ○富樫練三君 やっているからそういう結果になった。
  135. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ですから、私は本当にそこは大事なことだと思うんです。何でもかんでも国のせいにして、自分たちが犠牲者だというような発想だけで物事を処理すると決して本当の解決はできない、私はそう思います。したがって、そういうような国の言うことだけやっちゃだめなんだよという自己意識が出てきたということは、ある意味では結構なことだ、私はそれは大事にしたいと思うんです。  同時に、かといって国が何をやってもいいということじゃございませんで、先ほども申し上げましたけれども、どんなに立派な御見識でやろうとしても、今日の地方財政が極めて厳しい環境にあるということは、先ほど来るる申し上げておるとおりでございまして、そういう点で、国、地方を通ずる税財源の配分の見直しであったり、特に地方自治体の自主性、自立性をしっかりと裏づけ、保障できるような体制をぜひ築き上げたい、このことを申し上げておる次第でございます。
  136. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣は、岩手の知事さんは大変見識が高いというふうにおっしゃられました。私もそうだというふうに思うんです。地方地方、国は国なんだ、お互いにそれはもちろん協力し合ったり、そういう部分はあるわけですけれども。ただ、大臣はそういうふうに言いますけれども、そういう自治体に対して自治省が今までどういうことをやってきたかというのが問題なんです。  私、先ほど大宮の例を出しましたけれども、例えば平成四年八月二十八日に、これは自治事務次官名で「総合経済対策について」という通知、いわゆる通達を出しています。この中でどういうふうに言っているか。「政府は、本日、経済対策閣僚会議において、最近の我が国の経済情勢を踏まえ、公共投資等の拡大、公共用地の先行取得、」云々、こういうことを決めたので、ついては格段の協力を願いたい、こういうふうに言って、その中で、「公共投資等については、公共用地の先行取得を含め次のとおり、総額八兆六千億円の事業規模を確保する。」、こういうふうに言っておき、さらに公共用地の先行取得を含めて、公団の事業それから地方の単独事業、こういうことについて事細かにこういうふうにやりなさいというふうに指示したのは自治省じゃありませんか。  これはこの年だけじゃないんです。ここには平成五年、九三年の自治省財政局地方債課長名のこういう通達もありますよ。この中で、「総合経済対策に係る地方債の取扱いについて」、こういうことで、「地方単独事業を含む公共事業等の施行促進及び公共用地の先行取得について積極的に対応されるようお願いする。」というふうに書いてあって、そういうことをやった場合は起債の充当率は一〇〇%だと、ここに一覧表が書いてあります。全部借金をしてもいいですよと、こういうふうに指示文書を出したでしょう、地方地方だと言いながら。  今度はことしの一月二十日に内簡でこういうことまで言っているんです。国立の高等学校などと同様、公立の高等学校の入学料及び幼稚園の入園料を引き上げる予定であるのでこれに協力しなさいということで、こういう新旧対照表まで含めた文書を自治体に配って、このとおり予算を編成しなさい、こうやったのが自治省じゃないですか。  地方地方だ、国は国だと口ではそう言いながら、実際にはこういう文書で自治体に対して借金を押しつけ、公共事業を押しつけ、公共用地を買い取りなさい、こういうことをやってきたじゃないですか。口じゃ何でも言えますよ。実際にこういうことをやっていることを改める、このことが今地方財政の問題を解決する上で本当に大事だというふうに思うんです。  そういう点から見て、今度地方財政が非常に大変な中で、来年の四月から介護保険制度がスタートする、こういう事態を迎えるわけなんです。  時間がありませんのでちょっと先を急ぎますけれども、ことしの十月から認定作業が開始されますね。ですから、そういう意味では、事実上あと半年後には介護保険が、これは実務も含めて今準備をしていますけれども、スタートする、そういう状況になっております。  先日、読売新聞が、県知事を初め市町村長、全部で三千三百二名に対するアンケート調査をやりました。今一番大変だと思うのは何か、こういうことに対して、介護保険や医療、少子高齢化対策などの福祉対策が一番の課題だ、こういうふうに答えた知事や市町村長が九二%で第一位という報告がありました。もちろん、目を通していると思います。  そういう中で、介護保険に対しては、自治体単独で十分対応できるというのは三・七%、不安があるが何とか対応できるというのは三〇%でありますから、何とかできるというのが約三分の一、こういうわけなんです。さらに、何が大変かという質問に対して、財政負担の増大、こういうふうに答えたところが八六%に上っているわけなんです。ですから、介護保険を実行することによって自治体の財政負担がさらにふえるということを心配しているわけなんです。  これに対して、前の内閣の官房副長官でありました地方自治研究機構の理事長であります石原信雄さんがこういうふうに言っています。「待ったなしの懸案だけに、円滑なスタートを切れるかどうかへの不安がうかがえる。」、「政府や都道府県は全面的なバックアップを行うべきだ。」、こういう見解を読売新聞に寄せております。  今、自治省もこういう立場に立って介護保険をスムーズにやるためには財政的なバックアップを緊急的に行うべきだというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
  137. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、この介護保険の導入ということによって、実際にその実務を担っていく市町村、単なる事務的な負担だけではなくて財政的にもいろいろ負担があるのではないかを初め、いろんな角度からの、初めての仕組み制度をやるわけですから、関係市町村の方々は大変頭を痛めておられ、心配もしておられるということは本当に肌で感じております。  そういう点で、少なくとも市町村がこれによって過重な財政負担を結果として招くようなことのないようにやっぱり国の方できちんとした必要な手当てをするというのは私は当然のことであると、まずこれは基本的に申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的にいろいろ御指摘があったんですが、介護サービス基盤の整備につきましては、新ゴールドプランに基づき地方団体において円滑に体制整備が進むよう、また地方団体地域の実情に応じて地方単独事業によって基盤整備が進められるように、地方交付税あるいは地方債などによりまして必要な地方財政措置を講じておるところでございます。  また、要介護認定の事務処理体制の整備につきましては、平成十一年度におきまして地方財政計画上約八千人必要な職員の増員を行っておりますほか、市町村における介護保険事業計画の策定、電算処理方式の開発などに必要な経費について必要な地財措置を講ずることとしておるわけであります。  いずれにしても、自治省としては、今後とも適切な地方財政措置を講じて地方団体において介護制度が円滑に導入されるように対処してまいりたいと思っております。
  138. 富樫練三

    ○富樫練三君 ぜひこれは緊急にやらなければならない課題だと。今、新年度の予算を審議している最中ではありますけれども、この予算を組み替えてでもやらなきゃならないし、それで不十分ならば補正予算を組んででもやらなきゃならない、そういう緊急の課題だというふうに思います。  私、先日、埼玉県の春日部市というところに行ってまいりました。市の当局者にこの介護保険の問題の実情について率直な意見を伺ってまいりました。大臣は先ほど交付税で見るとかいろんなことを言っているわけですけれども、しかし、それでは間に合わないということが大変よくわかったわけなんですよ。  例えば、ここは人口が約二十万ということなんですね。大臣は、衆議院の地行の委員会でしたでしょうか、この介護保険の問題で地方自治体は苦労している、頭を抱えているんだ、こういうふうにおっしゃっていますけれども、確かに頭を抱えておりました。  どこで頭を抱えているのかという問題なんですけれども、例えば、準備段階で受け皿をつくろうじゃないかということで二つのデイサービスセンターをつくったんです、これに十五億円かかった、これは補助金が全然ゼロだと、こういうわけなんです。それから、先ほども出ました、準備作業も含めて電算システムの開発、これに一億円かかったというんです。  さらに、制度がスタートしてからの財政負担の問題、これはかかった経費の全体の八分の一は市町村の負担になっていますよね。全体の半分は保険から出るわけですけれども、あとは国と県と市町村で負担する。八分の一は市町村が負担します。ここの市で試算をしましたところ、この分が約六億円になる、こういうわけなんです。ですから、この分は完全に持ち出しということですね。  それから、財源の中心になります保険料なんですけれども、厚生省は二千五百円だというふうに去年からずっと言われているわけなんですけれども、二千五百円ではとてもできません、最低でも三千円以上はかかりますというんですね。  しかも、この徴収は国民健康保険の徴収に上乗せして徴収する。その土台になっているところの国民健康保険の収納率はどのぐらいかというと、約八〇%だというんです。そうすると、この八〇%のところに上乗せするわけですから、残る二〇%の分は最初から徴収は不可能かもしれないという心配があるわけなんですよ。そうすると、その分を仮に納められる八〇%の人たちのところに上乗せをして保険料として徴収する、そうすれば保険料が高過ぎると。その場合どうするかというと、市町村が持ち出しをしなければならない、一般会計から出さなきゃならない、こういうふうになるだろうと。現在でも国民健康保険にここの市では毎年五億円の一般会計からの繰り入れをやっている。あわせて介護保険でも繰り入れをするということになったら、これは大変なことになる、こういうわけなんですね。  そういう状態でありますし、さらに人件費の問題、今までは二人体制で準備を進めてきたけれども、ことしからは七人体制にするというんです。スタートをしたら七人ではとても間に合わないからパートの人を入れるというんです。こういう人件費も大変な負担になる、こういうわけなんですね。  しかも、これは制度の方の問題ですけれども、申請をして判定をした結果、自立というふうにされれば保険のサービスは受けられませんよね。しかしながら、実際には介護が必要だという方々に対しては一体だれが面倒を見るのか、こういう心配も出てきていると。大体苦情の窓口は、国や県に行く人は少ないだろう、すべて市役所が窓口になるだろう、こういうふうに言われているわけなんですね。  こういうことを考えれば、例えばドイツの場合には申請者の三割以上が介護対象から外されたということで不服審査の請求を含めて大変な問題になっている。日本の場合はもっと大変になるだろう、こういうふうにも言われているわけなんです。  ですから、そういう点で自治省として、厚生省、大蔵省とも大いに折衝も深めて、そのための緊急の財政措置を直ちに行う、このことが今求められているんだろうと思うんです。  私は、これは春日部市だけの問題ではない、全国どこに行ってもこの問題は聞かされるわけなんです。私よりも大臣の方がよっぽどよく現状は知っているだろうというふうに思うんですけれども、そういう立場で自治大臣がかかわりを持たなければならないと思うんです。  そこで、これが最後になってしまうんですけれども大臣はこういうふうに言っているんです。これは衆議院の地方行政委員会なんですけれども、二月九日です。自治体は頭を抱えていると言いながら、今の段階ではそこまでだろう、そこから先は具体的にああしろこうしろということを言うにはもう少し厚生省の主体的な努力を見る必要があるだろう、こう思っておるわけでございますというふうに大臣はおっしゃっているんですよ、衆議院では。  ここではこの認識をひとつ改めていただいて、緊急の事態なんだから、今見守るということではなくて、緊急の対策を講じるために努力をする、こういう認識まで一歩前進をさせていただきたい。このことをぜひお願いしたいと思うんです。いかがでしょうか。
  139. 野田毅

    国務大臣野田毅君) いろんな角度から御指摘がございました。率直に言って、いわゆる公的介護体制というものの必要性ということは極めて大事なテーマでありますし、私は衆議院でも申し上げたんですけれども、この問題はいわば老後の尊厳にまでかかわる問題じゃないか、そういう意味で私的に解決するということではもうその時期は過ぎた。公的な介護保障というものをシステムとして考えなければならぬという意味で、実際にどこがどういう形でその仕事を担っていくかということを考えれば、ある程度地方自治体というものが、市町村が核になった形でやらざるを得ないだろうけれども、しかし、その市町村そのものによっても実は老齢化割合だって異なっておるわけでありますし、いろんな介護サービスの提供体制そのものもかなりの格差もあるだろうし、いろんなそういった意味での認定業務においても市町村単独だけでできるかどうか。  むしろ、ある程度共通した認識の中で認定をしていかなければならないのはこれは当然のことだと思いますし、そういった認定業務をどのようにまた公正に客観性を持ちながら確保していくのか実はさまざまな角度からやっていかなければならぬ。そういった中で、それぞれの市町村自己責任体制という形の中で本当にうまくいけるんだろうかということで各自治体の首長さん方が非常に頭を痛めておられるということを、私ども政治家として肌でいろいろ日々その種のことを聞いておるわけであります。  そういった点で、自治省としてそういったことを受けとめながら、できるだけ財政的な支援ということもこれはこれで国として厚生省を中心にその財政的な裏づけをつくっていくと先ほど申し上げました。自治省としても必要な地方財政措置を講じておるということでもございます。  ただ、これは単に地方財政措置という側面からだけでなくて、もう少し幅広い角度から対応していくことも必要なのではないか、率直にそんな感じもございまして、実はこの点は、恐縮でありますが、自民党、自由党の政策協議の中でこの公的介護体制を本当にきちんとした体制でやっていくためにその財源措置のあり方について基盤整備を進めながら検討していきましょうということになっておることは申し上げておきたいと思うんです。これは保険というやり方だけで本当に大丈夫なんだろうか、ここのところも含めた協議が行われなければならないということに実はなっておるわけであります。
  140. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  141. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。小会派で一人委員でございます。しかも予算委員会とちょうど午後はかち合っておりまして、午後のほかの先生方の質問を全部聞いておりませんので、重複をするかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  野田大臣には御就任本当におめでとうございます。ぜひ御奮闘いただきたいと心から期待を申し上げるものであります。  さて、私は沖縄の出身でありますが、沖縄県は、大臣御承知のように、戦後のある時期、要するに一九四五年から七二年の復帰までの間、他の都道府県とは違う特異な地方自治の体験をしておるのでございます。二十七年に及ぶ復帰運動は平和憲法の理念を求めた憲法のもとへの復帰ということでもありましたが、同時に、私は沖縄の人たちにとって自治権の確立を求める闘いであったのではないか、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。  なぜかと申し上げますと、今で言うと県知事ですね、当時は行政主席というふうに呼んでおりましたが、私たち県民には行政主席を直接選ぶ、公選をする、こういう権利も与えられていなかったわけであります。特に、当時ある高等弁務官などは、沖縄県民にとって自治は神話なんだという自治神話論を述べる高等弁務官もおりました。  私は、地方分権推進というんでしょうか、地方自治あるいは地方主権、これは徹底してこれから推進をしていくことが我が国の成熟した民主主義社会をつくっていく上で大変大事だな、こういうふうに思っているわけでありますが、改めて地方分権というか、あるいは憲法が保障する地方自治の本旨についての大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  142. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今地方自治の本旨についてのお尋ねでありました。その中で、沖縄のいろんな今日までの歴史の中で御苦労されてきたことのお話がございました。率直に、本当に大変な時代を経験してこられ、その思いは痛いほどよくわかるつもりでございます。  やはり地方自治というのは少なくとも自主性、自律ということが一番の基本になるわけで、言うなら民主主義の本旨というか、それは地方自治からスタートするということはかねてからよく言われておるとおりであります。これは地方自治ということだけではなくて、本当に自立と自律という、私はこの二つが一番大事なことだと。みずから立つということ、それから自己規律、みずからを律するということ、この二つがもう一番大事な根本であるし、地域のことについて言えば地方自治の本旨とはまさにそこにあるというふうに思います。
  143. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄問題というか、沖縄に膨大な米軍基地が存在をしておるということについては大臣も承知をしておられると思います。よく言われますが、〇・六%の国土面積の小さな島に在日米軍の七五%が集中をしている、こういう実態であるわけですが、実はこの在沖米軍基地の存在と地方自治というのは大変深いかかわりがございます。  例えば、大臣は先日の所信の中で、行政効率化を図ることがこれから必要である、そのために市町村合併を進めていくんだ、こういう所信表明がございました。沖縄では戦後、例えば嘉手納町というのが今ございます。ここは嘉手納基地がある町でございますが、戦後やがて五十余年になんなんとするのに、今でも町面積の八三%が基地にとられているわけであります。この嘉手納町はもともとはお隣の北谷村だったんです。今は北谷も町になりましたけれども、それが戦後いわゆる嘉手納基地がつくられて、町村合併どころか分村をしたんです。基地ができたために、先祖伝来というか明治時代からずっと続いてきた村が分村をせざるを得なくなった、こういう実態があるんです。それから中城村と北中城村というのがあるんですけれども、ここももともとは明治時代から中城村だったんです。ところが、ここも戦後米軍基地ができて結局分村せざるを得なくなった、こういう実態があります。  さらに、道路をつくったり、それから港湾や空港を建設したり管理をしたりする、あるいは消防行政その他でも、やっぱり余りにも過密な米軍基地の存在というのは非常に支障を来しているというふうに私は強く指摘をせざるを得ないわけであります。  今お話し申し上げましたが、在沖米軍基地の存在と地方自治について、そのかかわりについての大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  144. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御指摘のとおり、復帰後二十六年経過した今日においても、なおかつ沖縄の米軍施設の面積が現在県土の約一割を占めておりますし、また米軍の専用施設や区域の約七五%が沖縄に所在をしておるということを大変重い事実として受けとめております。  ただ、これが直ちに地方自治の問題となるかどうかは別として、本当に土地利用上の制約やあるいは基地対策のための人員や経費など、そのための制約あるいは負担が大変大きいということは認識をいたしております。  このため、沖縄振興開発特別措置法による国庫補助率のかさ上げ、あるいは基地交付金、調整交付金の交付などの財政措置を講じてきたところでございますが、さらに平成九年度から新たに基地が所在することによる財政需要に着目した普通交付税措置を講ずるとともに、基地所在市町村振興のための特別プロジェクト、いわゆる島田懇事業の実施に対して特別の財政措置、これは補助率十分の九、地元負担に対しては地方債及び地方交付税措置を伴うわけでありますが、この財政措置を講ずることとしたところでございます。  今後とも、基地に関連してさまざまな課題を抱える沖縄の振興に向けて、最大限支援をしてまいりたいと存じております。
  145. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 野田大臣、政治家としては何度か沖縄に来られたのかもしれませんが、自治大臣としてぜひ早い時期に沖縄を視察していただくということを御提案申し上げたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  146. 野田毅

    国務大臣野田毅君) できるだけ早い機会を見て沖縄にも足を運ばせていただきたいと存じます。
  147. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは次に、外国艦船の寄港に際して非核証明書の提出を求めるとした高知県の港湾管理条例の改正をめぐるさまざまな議論が今沸き起こっております。  同時にまた、同じ趣旨の非核神戸方式というのもかねてから行われておるということを承知いたしておるわけでありますが、野田大臣は、いわゆる非核条例、これについてはどういうお考えを持っておられるんでしょうか。
  148. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 非核条例というのが実際にただ非核を宣言するというだけの条例であるということで、いわゆる法的拘束力なり法的効果を持たないような内容のものであるということであるならば、それは何ら権限云々という問題はないと思います。だから、そういう意味で、非核条例というその内容によってはやはり問題になることがあるということだと理解をいたしております。  ですから、そういう点で、御指摘の非核条例があるいは高知県におけることを具体的に念頭に置いてのお話なのかどうかによって、また多少物の言い方は異なってくるというふうに思います。
  149. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 アメリカの艦船などを含むいわゆる外国艦船の寄港に際して非核証明書の提出を求めることを条例化する、そういう非核条例についてはどういうお考えなんでしょうか。
  150. 野田毅

    国務大臣野田毅君) いわゆる高知県が報道されておるとおり提案をされたという非核条例、これは私どもの承知いたしておりますのは、条例だけでなくて、それと一体のものとして県において要綱案を一緒におつくりになって、これを一体のものとして港湾管理の上で適用するという内容のものであるというふうに承知をしておるわけでございます。  そういう点で申しますと、言うなら、政府に対して外国艦船が核兵器を積載していないということを証明する文書の提出を求める、その結果に基づいて港湾施設の使用に関して決定を行う、こういう要綱でございますから、もしそうであれば、まさに港湾の適正な管理運営を図るという港湾管理者としての権限、権能を逸脱するものであるということになるのであって、地方公共団体の権限の行使としては許されないというか、その権能を逸脱しておるものであるというふうに考えるわけであります。
  151. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 東京新聞の報道でございますが、二月十三日でしょうか、自治大臣の熊本市内での記者会見を報じておりまして、この非核条例の件で大臣が「港の物理的な機能の面でイエス、ノーの判断をすることは想定されているが、政治的な側面から海外の事柄について判断を持ち込むことは正当化されるか疑義がある、という指摘は十分理解できる」、こういう批判的な発言をされたと、これは報道ですけれども。  そこで、大臣がおっしゃっている「港の物理的な機能」、その面からの港湾管理者の判断がございますね。私は、非核三原則というのは国是である。同時に、核兵器を搭載するような艦船が寄港すると、これは港湾管理者としてまさに大臣がおっしゃっている物理的な機能の面で対応ができない。単に国是だからという精神的な面だけじゃなくして、機能の面でも私はそれぞれの港湾管理者の自治体が独自の判断をして条例を制定することは何ら問題ないのではないか、こういうふうに思うんですが、この大臣考えておられる物理的な機能の面からの判断というのはどういう御趣旨なのか、御説明いただきたいと思います。
  152. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 専門的に言うと、港湾法で言うまさに港湾の適正な管理運営というものだろうと思うんです。それを記者会見で、わかりやすく日常用語で言うなら機能ということでしょうと。それはやっぱり水深がどうだとかいろいろあるんでしょう。あるいは実際に港のいろんな施設が物理的にそれに耐え得るのかどうか。当然のことながら、港のほかの船がどうなっておるのか、いろんな施設関係が対応できるのかどうかというのは、当然の管理運用に関するチェックポイントはいろいろあるんじゃないんでしょうか。  そういった意味での港湾の管理責任者としてのチェックということであれば結構なんだけれども、いわば政治的と言ったのはあれなんですけれども、むしろ国の役割地方自治体役割というのはおのずから異なるんだと。外交権、軍艦の寄港ということは明らかに外交権そのものであって、そういう点で国の役割ということと自治体役割仕事は違う、こういうことだと思っています。
  153. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この問題は、また後日、予算委員会その他で議論をさせていただきたいと思います。  さて、ダイオキシン対策と自治体財政措置の件についてお伺いをいたしますが、ダイオキシン問題、大変深刻でございます。私は、ダイオキシン対策のために、WHOの新たな基準に基づいた法的規制措置を改めることと、それから自治体への財政措置を講ずることが緊急な課題ではないかなというふうに思っております。  焼却施設の建設あるいは最終処分場の建設等、自治体にとってもさまざまな課題がございましょう。また、国民一人一人も従来の生き方を根本的に見直すことが求められておるのではないかというふうに思うのであります。ダイオキシンに関する限り、国民は被害者であり、同時に加害者でもあるという立場から逃げられないのではないかなというふうに思うわけであります。  ダイオキシン削減対策については、施設の改善、改築及び発生施設内で働く者の健康安全対策なども十分にして必要な予算措置を講ずることが大事であるというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお願い申し上げます。
  154. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、ダイオキシン対策は、ごみ処理施設を設置、運営する地方団体にとっては待ったなしの対応を迫られておる切実な課題でございます。そこで、地方団体によってごみ処理施設の改良や排出実態の調査など、さまざまな取り組みがなされておるところでございます。  こうした現状を踏まえて、自治省としては、ごみ処理施設の新設や改良事業について地方債及び地方交付税によって手厚い地方財政措置を講じておるわけでございますが、そのほか、排ガス中のダイオキシンの濃度の測定経費、あるいは地方団体が自主的に行います土壌や住民への健康影響などの各種の調査事業などに要する経費について、平成九年度から地方交付税において措置しておるところであります。  ダイオキシンについては、その汚染の実態や人体への影響など不明な点が多く、国民の不安を解消するためには、国において科学的知見を集積し、それに基づいた体系的かつ効果的な施策推進する必要があることは御指摘のとおりでございます。  自治省としては、地方団体のダイオキシン対策が円滑に実施されるよう、関係省庁に対し、ごみ処理などに関する技術面や財政面の支援の強化を求めるとともに、適切な地方財政措置を講じてまいりたいと考えております。
  155. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、警察庁にお伺いいたしますが、青森県警の信号機の発注、保守をめぐる贈収賄事件のてんまつと処分についてお伺いいたします。
  156. 野田健

    政府委員野田健君) 青森県警察は、本年二月十二日、信号機の保守管理等をめぐる贈収賄事件で、同県警の元警察官らを通常逮捕いたしました。  事案の内容は、平成八年の三月ごろ、元青森県警の交通規制課の調査官棟方進が東北交通管制サービス株式会社取締役佐藤力あるいは同じく田村晃から十万円を、また平成九年二月ごろ、青森県警の交通規制課長岡田信逸と共謀して、これらの佐藤力あるいは田村晃から五十万円を収受したという事実であります。その後、取り調べをしまして、平成九年六月ごろ、さらに四十万の収賄事実があるということが判明いたしまして、総額百万円になったという事案で、三月四日に追送致したという事件でございます。  関係者の行政処分につきましては、逮捕当日に棟方進を懲戒免職処分としておりますが、その後、三月五日付で監督責任として当時の本部長を減給、警務部長を警察庁長官訓戒処分、交通規制課長以下四名をそれぞれ減給処分としたところであります。また、当時の交通部長二名関係しておりますが、責任を痛感し引責辞職したという状況にございます。
  157. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ぜひこれ、全国警察でさまざまな契約をめぐって疑惑が取りざたされておりますので、契約業務のあり方を含めてきちんと見直していただきたいと思います。  それから、昨今、現職警察官の不祥事がさまざま報道されております。けん銃の不法所持、あるいは窃盗容疑で逮捕した少年を居眠りをして逃がしてしまう、しかも同行していた三人とも居眠りしておった、とても信じられないような事件ですね。それから、留置場の女性に強制わいせつを働くとか、もうとてもとても信じられないのであります。  こういう多発する警察の不祥事、さらにはそういう再発防止というんでしょうか、それについてお聞かせをいただきたいと思います。
  158. 野田健

    政府委員野田健君) 二十六万余の警察職員のうちに、一部とはいいますがこのような不心得者が出たということで、まことに申しわけなく思っております。大部分警察職員は、国民のための警察ということを合い言葉に職務に精励しているというように考えております。  ただ、今御指摘のように、最近この種の事案が幾つか発生し、あるいは発覚したという状況にございます。それぞれの事案については、厳正に対処していくということをまず考えておりますけれども、あわせまして、この種不祥事案が発生しないようにしていかなければならないということで、それぞれ事案の内容あるいは発生の原因、背景、これはいろいろでありますけれども、やはり個人としての職責の自覚に欠けているというのがそれぞれに通じて見られるところと考えております。  そこで、警察庁といたしましては、昨年中も、全国警察本部長会議あるいは警務部長会議、監察担当課長会議等を通じまして、また臨時の全国総務・警務部長会議を開催するなどして綱紀の粛正について指示したところであります。また、本年二月十六日には、業務管理の徹底、信条把握の徹底、そして職業倫理教養の徹底ということを柱とした不祥事案の未然防止について通達を発したところでございます。  ただ、通達を発しましても、それが現実に行動にあらわれてこないといけないというように考えておりまして、本年度はさらに全国警察規模別に数回に分けて警務部長会議を開催する、そしてそれぞれ事例を検討して再発防止策を協議する、そしてその内容を全職員に徹底してこの種事案の絶滅を期していきたい、そして国民の信頼を回復していきたいというように考えております。  どうぞよろしくお願いいたします。
  159. 高橋令則

    ○高橋令則君 自治大臣と同じ、たった一人の委員であります自由党の高橋でございます。  大臣には、我が党の言うなれば代表として日夜御苦労され、そしてまた御健闘されておられることに対して心から敬意を表します。どうぞ御自愛の上、国民のため、国政のために御尽瘁をどうぞよろしくお願いいたします。  まず、地方分権推進についてお伺いをいたします。  所信におきまして、「明治以来形成されてきた中央集権型行政システムを変革し、」という言葉がありました。私も同感とするものでございます。そのために一連の措置も出てきております。  しかしながら、これを見ておりますと、明治以来の変革云々という大改革にしては、もっと国、地方を通じまして抜本的でなければならない、このように思っております。国、地方分担地方では都道府県市町村の二層制の問題、そして地方団体の中身の枠組みの問題、そしてこれを実効あらしめる税財源など、まさに基本的でかつ歴史的な改革でなければできないことではないか、このように思っております。    〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕  かつて新進党の時代に、私どもは部会の中で地方自治基本法の策定に取り組んだ経験を持っております。それは、地方自治法などの現行法制の枠組みを基本的に変えようとするものでありまして、そのためには地方分権推進法をはるかに前進させるねらいがありました。残念ながら新進党の解党によって実を結ぶ段階には至りませんでしたが、自由党はそれを引き継いで努力をするつもりでありますし、私はその必要性、さらにまた重要性は変わっていない、このように思っております。  当面推進されております地方分権の一連の措置につきましては先ほど申し上げたように評価するものでありますけれども、さらにもっと真に抜本的な地方自治の改革の取り組みについて、国、地方のあり方、都道府県そして市町村のあり方、そして自立のできる税財政等について、基本的な認識と方向性について歴史的な評価にたえ得るような骨太な考え方とビジョンといったものを大臣からお聞きしたいと思います。
  160. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御激励をいただきまして、まずはありがとうございます。  歴史的な角度から地方分権地方自治、本当の意味での地方自治を達成するために腹を据えて取り組め、こういうことでございます。  この点は、御指摘のとおり新進党時代あるいは自由党においても地方自治基本法、そういうものを構想して、本気でこの問題をやるんだ、こういうことでやってきた経緯がございます。この点は、率直に申し上げて、小渕総理もたびたびおっしゃっておられますことは、言うなら第三の改革というか、明治以来の国、地方を通ずる行政システムを変えていくのだ、そういう意味で今までの中央集権というか中央地方を引っ張っていく、そういう国づくりを目指すのではなくて、対等、協力関係に持っていくのだということをたびたびいろいろ表現をしておられるわけでありまして、私はそういう点ではまさにこの内閣においてぜひこれを具体的なところに歩を進めなければいけない、そんな思いを持っておるわけであります。  そういう点で、この三月中には地方分権一括法ということで法案を作成して国会に御提案を申し上げたい、そう思っておるわけでございますが、これはそういう点では新進党時代から提唱してきた考え方と軌を一にする事柄であるというふうに考えております。  いずれにしても、今の日本は経済であれ、あらゆる面で本当に今まで日本の国を世界第二位の規模の経済大国に持ってきたさまざまなメリットはあったと思いますが、そろそろ構造的な面でいろんな壁にぶつかって、根本から仕組みを立て直していくという段階に今立ち至っておるわけでありまして、これは地方分権一括法を御提案申し上げるにしても、これで終着駅ということではないのであって、引き続いてさらなる前進をしていかなければならないと思っております。それは市町村合併の問題であったり、あるいは特に今言及がございましたが、本当の意味での地方分権地方主権を支えるにふさわしい税財政をどういう形で確立するかということを抜きには考えられないわけでもありまして、そこまで含めてぜひ全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  161. 高橋令則

    ○高橋令則君 積極的な、しかもリーダーシップのある大臣の御決意をよろしくお願い申し上げたい。御努力をお願いしたいと思います。  私はもう一つ、税の問題を取り上げたいと思いましたのですが、各委員から既に同じようなお話がありました。私は一つだけ、国、地方を通ずる税制、そして税と社会保障負担の問題を含んで全体的に思い切った改革なくしてこの地方税の改革も恐らくできないのではないかと思っている一人であることを申し上げておきたいと思います。  次に、警察行政についてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。  私は、警備情勢の対策の現状に懸念を持っている一人でございます。麻生幾という方の「宣戦布告」という小説があります。これを読んでみて非常に同感とするものがございました。  私たちは実務の中でかつて山火事とか、それからアメリカで内地では初めて一緒に共同作戦をやると言われまして、地元でその処理に大変苦労したのです。三日間寝ないでやったんです。そういうふうなことからしまして私しみじみ思ったのは、そういう非常のときの対応がないということがわかったのです。それで、別にこれは警備だけの問題、警察だけの問題ではありません。ですから、全体的に本当は言わなきゃならぬのですけれども、局長にお願いしたいのは、特に所信の中にあるような治安、テロ、ゲリラに対する警察としての対応、そしてもう一つは、関係省庁との連携が非常に重要なのです。ところが、なかなかこれは難しい。  その中で私が心配しているのは、自衛隊との関係です。この連携を密にしていただきたいと思うのです。いわゆるかつての大阪のゴーストップ事件のようなことでは困るのです。したがって、それに対する考え方、対応を局長からきちんとお聞かせをいただきたいと思います。
  162. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 先生の方から国内外におけるテロ、ゲリラ対策ということのお尋ねでありますが、警察におきまして国内外の各種テロ、ゲリラ対策を今推進しているところでございますけれども、いろんなテロ行為等に対応できる体制を一層充実する必要があるだろうというふうに私ども考えております。    〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕  それでまず一つ、例えば国際テロ対策としましては、現在各国の治安機関と情報交換を行ったりいたしまして国際テロに関する情報収集、分析等を強化しておるというようなことがございますし、あるいは各種のテロに関する国際会議に出席するなどして国際協力推進するというようなことも行っております。さらには、我が国に潜入する可能性のある国際テロリスト、これの防止を図るというような意味合いでの水際対策というのも推進しておるわけでありまして、沿岸等における警戒警備措置を徹底するというようなことも行っておるわけであります。  それから、右翼によるテロという問題がございます。これにつきましても、平成十年は四件発生しまして、そのうち一件はけん銃使用事件でございましたけれども、四件とも検挙はしておるわけでありますが、引き続き各種の法令を適用いたしまして右翼の取り締まりあるいは銃器の摘発というようなこと、それから警護措置、これの万全を尽くしたいというふうに思っております。  それから、極左のテロ、ゲリラでございます。これは昨年八件ほど発生しておるというような状況がございます。それで、私どもとしましては、テロ、ゲリラをやる極左というのは非公然活動家であり、非公然のアジトを持っておるというようなことでございますので、これの摘発、検挙というのに重点を置いておるわけでございまして、そういう意味では昨年非公然活動家十五人を含む六十六人を検挙しておるというようなことでございますので、今後ともこうした諸対策を推進する、また警戒警備の万全を期していきたいというふうに思っておるところでございます。  それからもう一つ先生御質問ございました、連携はどうだということのお話がございました。国内外のテロ、ゲリラに関連してということでございますが、平素からもちろん関係省庁、防衛庁、自衛隊含めてでございますけれども、いろんな会議を通じての情報交換等々行っておるところでございます。例えば、施設の利用ということもさせていただいておりますし、技術的な事項にかかわる助言等もいただいておるというようなことでもあります。  それからさらに、これは一般論でございますけれども、もし重大なテロ事件等が発生したというようなときには、必要に応じて装備資機材等の貸与を受けたり、あるいは警察部隊の輸送等の支援を受けたりというようなことで、例えば防衛庁、自衛隊とも十分な連携を図っておるというようなことでございます。例を申し上げますと、平成七年の地下鉄サリン事件の際にも防衛庁の方から防護服とか防護マスク等の資機材の貸与を受けたりといったようなこともいたしたところでございます。  今後とも、関係省庁との連携を図って各種事態に対応できるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  163. 高橋令則

    ○高橋令則君 私は、各省庁との連携、これを迅速かつ有機的に日常的にできるようにあらかじめシステムとしてきちんとやっていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。努力していただきたい。  もう一つは、これは魚住先生から話があったんですが、私の地元の問題ですから少し詳しく話をしようと思ったんですけれども割愛いたしまして、基本だけお聞きしたいんですけれども、私の地元の岩手県山田町の漁船の問題であります。  経過を聞いておりましても不満があるんです。不満は、これはお話がありましたので重複しません。基本的には、それが新生丸の問題だけではなくて全体的なシステムにどうも疑問を感ずるんです。  一つは、EPIRBの機能が本当にそれでいいのかなということをずっと見たんですけれども、三メートルより云々の話もありました。私も、今でも間違いが九〇%以上だという話ですから、これを聞くと、余りにもセンシティブにやるとすぐやり過ぎて誤報ということが出てくるわけですので、それとの兼ね合いだと思うんですけれども、それがもう少しうまくいくように機器の問題としてもう一遍やっていただきたい。  それからもう一つは、何といっても八時間ほうっておかれたわけですね。したがって、この連携が、人災になるのかどうかわかりませんけれども、ちゃんと聞いたんですけれども、やはり何とかならないか。人的なあれを含んだ連絡のシステムをもう一遍検証して、そしてやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  164. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 別の委員の方になぜそういうことがあったのかということをかなりお答えいたしましたので、もう先生の御質問に簡潔に答弁をさせていただきますけれども、私ども今、運輸省の官房長を座長として、郵政省とか水産庁といった他省庁あるいは外部の有識者を含めた方々をメンバーとする事故調査検討委員会を開催しておりまして、今御指摘がございました遭難信号はどうすれば確実に発射できるのかとか、あるいは誤発射の検知をし、そしてその減少のための方策は何かといったことをかなり細かく検討しております。  それからまた、二点目にございました当庁の情報の集約とか分析体制等の改善の問題とか、あるいはもう一つ裏腹の関係にあるんですが、漁船の操業時等における通信が確保できなかった、こういう方策の問題もありますので、こういった点について今の事故調査検討委員会を開催してかなり急ピッチで検討しておりまして、非常に幅広い検討になるんですけれども、これは今月中を目途に行うということで、私どもは、検討が得られ次第、関係省庁とも連携をしながら海上保安庁として非常に真剣に推進していきたいと考えておる次第でございます。  それで、この事件全体のことで先ほどちょっと言い忘れた点を一つ申し上げますと、結局この衝突事件の捜査というのも大変関連して大きなことでございますので、太平洋の真ん中で起こったことではございますけれども、一生懸命やりまして、相手船をパナマ船籍のケミカルタンカー、カエデ号だと特定をいたしまして、先週三月五日に所定の手続をとったところでございます。  こういった点は一生懸命やっておりますけれども先生おっしゃいますような点から若干考えてみますと、我が方の海上保安庁自身としてもやはり反省すべき点がいろいろあるなと。特に、当初の段階におきましてこの新生丸の定期連絡先であります室戸漁業無線局からの情報を信じたという点、これはいろいろ事情があってやむを得ないものとは考えておりますけれども責任ある捜索救難機関としては、みずからが通信または航空機等によりまして当該船舶の安全を直接確認することが原則であると認識しておりますので、これはこれからの業務の改善につなげていきたい。  そして、全体といたしまして、海難救助につきましては、最近の海難のこういった発生状況とか、あるいは本年二月一日から始まっております捜索救難についてのGMDSS体制への完全移行を踏まえまして、万全を期して対応していきたいと考えております。
  165. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。
  166. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 参議院の会の松岡滿壽男です。  野田自治大臣とは新進党結成以来ずっと同志で改革を志し、また二大政党を目指して頑張ってきた一人として、今回の御就任を心からお喜び申し上げたいというふうに思います。  今回の自自連立を考えてみますると、中央集権のもとでの小選挙制度、これがやはり一つきつかったのかなという感じがするわけです。結局、三百の選挙区でその地域を代表するのが一人ということになると三百人のミニ知事をつくってしまった。そうすると、地域を代表して一人で頑張らなきゃいかぬということになると、どうしても知事や市町村長と同じように時の政権と話し合っていかなきゃいかぬという状況の中から自自連立が一つは生まれてきているのかなという思いがいたします。  したがって、やはりこれから二大政党とかそういうものを目指すためには、どうしても地方分権というものは避けては通れないことだろうと。私自身も市長から国政を目指しましたのは、やはり地方が元気が出る仕組みは、地方分権とそれから民間が活力を持てる仕組み、この二つの仕組みをつくらぬと人口はどんどん減っていくし、経済の活力も落ちていく。そういう中ではやはり日本の二十一世紀はないだろうという思いがあったからであります。  そういう意味におきまして、先ほど自治大臣の方から先行議員に対しましていろいろ地方行政改革をやっている、この行政改革とやはり地方分権をうまく組み合わせてやっていかなきゃいかぬのだろうと思うのですが、地方公務員が減っているということは当然地域人間がどんどん減っているわけです。私もいろんな選挙をやりましたが、選挙のたびに五万、十万という規模で山口県も減少しておるわけでありますから、当然それに見合った仕組みをつくっていかなきゃいけない。  例えば民間は、私がおりました新日鉄は昭和四十五年に富士、八幡が合併しまして、当時八万二千人ですよ、それが今は二万一千人しかいません。四分の一になっている。だが、生産性は四倍になっている。そういう苦労をしておるわけでありますから、それに見合ったスリムで効率的な仕組みづくりがやはり今一番大切なことであろうというふうに思うわけであります。  今現在、国家公務員が百十四万、都道府県が百七十一万、そして市町村が百五十九万、四百四十万人いるわけです。しかし、全体を見てこれがそれぞれの仕事に応じてこの定員が正しいかどうかというコントロールをするところが実はないわけです。  今回一府十二省庁、これも大変な英断です。これはやはり内務省解体に比すべき大きな出来事だと思います。時代に合ったものをやっていこうという血を流す努力、それはうかがえるわけでありますが、それをやると、今度は府県もそれに合わせた対応をしていく、市町村もそれに合わせた対応をしていくわけです。そしてさらに、五百本近い法案が今回出てくるということになると、機関委任事務を中心としていろんな仕事をやはり地方主体性を持ってやれるようになっていく。そうなると、今までの人数配分でいいのかどうなのかという議論が当然あってしかるべきです。その場合の人員についてのシミュレーションというものが行われておるのかどうなのか、ただし、今の状況で大変な急激なスリム化をやるというのは非常に危険です、これは。  事実、今回の自自連立によりまして、私は大きく評価するのは政府委員制度を廃して副大臣制度を導入して政治家同士の議論をする、これはもうかつてないことです。それをひとつやられた。それから、先ほど来議論がありましたが、衆議院の定数も減らしていく、これは自民党だけで議論されるとなかなかできなかったことだと思います。そういう点では非常に効果的なことでありますし、画期的なことだというふうに思うんですが、そういう変化をしていくときにどういうふうに地方がなっていくのかという、適数ですね、いわゆる定員のそれぞれのバランス、それをどのように考えておられるかということを一点伺いたいわけであります。  二点目は、いわゆる先行議員の議論にございました介護保険の導入があります。それから、ダイオキシン対策があります。そうなってくると、昭和四十六年からそれぞれ広域市町村圏ということで、全国が大体三百四十ぐらいの広域市町村圏でやってきている。恐らく終戦後に一万ぐらいあったのが、中学校をどうするかという問題で皆合併して、昭和二十九年ごろの町村合併法で三千三百できている。それで、昭和四十六年から広域市町村圏で三百四十ぐらい、こうなってきている。これで広域消防とかごみ処理とか福祉・医療関係をやることは大分なれてきているんです、地域は。  しかし、その中で、そういう問題を乗り切っていくためには三十万規模ぐらいのものを予想しておられるんじゃないかと思うんですが、この際、介護保険、ダイオキシン、この処理について地方が非常に困惑しているのは、また国保をしょい込んだような問題が出てきはせぬかとか、今度は大変な高い焼却炉をつくらなきゃいかぬ、これをどうやるんだ、一部事務組合でやるのか、あるいは広域市町村圏でやるのか、広域連合でやるのか、こういうことで右往左往実はしているわけです。それに対する自治省としてのお考え、こういう指導方針を持っているんだということがございましたら、二点目、お聞かせをいただきたいと思います。
  167. 野田毅

    国務大臣野田毅君) まず冒頭、御激励いただいて大変感謝申し上げます。  大きく二つのポイントであったかと思うんです。  一つは、国家公務員の定数削減という自自合意、二五%削減ということは大変結構だと。同時に、地方公務員の定数についてもそれに準じてどのようにやるか、またやるべきであるか、この趣旨であったかと、こう思うんです。  率直に申し上げて、地方公務員の場合、国家公務員とちょっと違った側面を抱えておるということがありまして、いきなり同じような数値目標、全体として、トータルとしての数値目標を立てられるかどうかというのに若干頭を痛めておるところであります。これはもう御案内のとおり、地方公務員の場合はどうしても地方の団体の事務が国とは異なって直接住民関係するような行政分野が中心でありまして、しかもその中で教育とか警察とか消防とか、こういうものは国が配置基準を決めてしまっておる。こういうことで、この三分野で地方公務員のうちのおおよそ半分、ざっと三百二十五万という地方公務員の中で約半分がその三つの分野で占められております。  さらに、病院、下水道、こういうような独立採算制原則のもとで経営を行っております公営企業部門、これも地方公務員という中でカウントされておるわけで、これが約四十三万人、福祉関係が約四十八万人、こういうようなことになっておりまして、三百二十五万とはいうんだけれども、実際にそういう点で、具体的に数値目標的な削減目標を立てるということについて、率直に言ってどういうやり方がいいか、勉強しなければならぬ課題だとは思います。  しかし一方で、今日まで地方自治体もいろいろ努力をしていただいておりまして、平成九年度以降の定員管理についてということで、平成八年に地方に対しても国に準じて措置するように要請するということで、いわゆる公務員の定数、定員管理について通達を出しております。  そこで、定数管理について先ほど来いろいろ御答弁申し上げてきたんですが、かなり精力的にやってくれておりまして、平成七年から七、八、九、十と四年連続して減少いたしておりまして、四年間で約三万三千人が減少しておるということも事実でございます。  しかし、国、地方を通ずる行政改革の推進ということは現下の喫緊の課題でもありまして、さらに一層定員の適正化に向けて努力をしてもらいたいということで、地方に対して数値目標の公表だとかさらなる措置をお願いしておるところでございます。  同時に、先ほど必置規制のお話をしましたが、国がそれぞれ縦割りの仕事の中で配置基準、必置規制をかけております。これについてもやはり関係省庁に御協力をいただかなければならない問題でありますし、そういう意味地方公務員の増加をもたらすような施策については厳に慎んでもらいたいということもぜひ要請をしてまいらなければならぬと考えております。  それからもう一つ、介護保険の実施に向けて地方団体が大変御苦労いただいておるということについての言及がございました。この点についても、いろんな介護体制を実施していく場合、いろんな角度からの認定業務であったりあるいはサービスの提供体制であったり、さまざまな形での人員の措置が必要でございまして、そういう点で平成十一年度で八千人程度の人員の財政的な措置をしたところであります。  問題は、そのほかいろんな所要の財政措置を講ずるということは、自治省としては地方財政運営を円滑ならしめるためにも必要な措置は講じていくというのは当然のことでございますが、それさえやればそれでいいかというとそういうわけではありません。少なくとも、財政面だけでなくて、実際に地方自治体行政運営そのものが責任を持って行えるような実施体制をとれるように、特に介護の世界において、先ほど来いろいろ御議論がありましたが、本当に基盤整備がどこまでちゃんとできるかということについて、私ども地方の実際に直面しておる課題、御苦労について注意深く直接いろいろ状況をヒアリングしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  168. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私が質問いたしましたこととちょっとずれているんじゃないかと思うんですけれども、私が申し上げたのは、地方公務員を減らせということを言っているんじゃなくて、国、地方を通じて全体をスリム、効率化しなきゃいかぬと。むしろ、いろんな面でこれから地方はふやさなきゃいかぬかもわからぬ。この四百四十万の配分が適正かどうかということをちょっと申し上げたわけです。  ですから、例えば今度ダイオキシンとか介護保険とか広域的に対応しなきゃいかぬ。そうなると、三千三百の市町村を三百ぐらいの圏域に持っていく一つのきっかけには今回なっているんです。だから、その中でどういう主導権を国としてとるのか。  それからもう一つは、やはり今の四十七都道府県というものがいいのか。過去において道州制の議論がずっとありましたね。やはり国の業務は、例えば外交・防衛に限定して、全部地方に持っていったらどうだという議論すら過去において何回も繰り返されているわけです。どういう組み合わせになっていくのか我々は先が見えないわけだ。  そういう中で、地方の首長から見ると合併はまず人事の問題が一つありますね、議員さんにしても。そういう問題、あるいは利害関係とか住民感情とかさまざまな問題がありますから、その辺をうまくリードしてやらないと先にみんな進まないわけです。  自治省とか各省庁がつくっている今までのいろんな法律、そういうものは、例えば地方税法の七百一条で指定都市の事業に対して事業税を課しているわけです。片方で中核都市づくりを進めている、しかし事業所から見ると、中核都市になっちゃうと事業所税を払わなきゃならない。何億円というものを払わなきゃならぬ。そうなってくると、それは今から二十五年前に、むしろ集中を排除しよう、三十万都市をつくってはいかぬという考えのときにつくった法律がそのまま生きておる。そうすると、地域の首長とかそういう立場だけじゃなくて、民間の事業所もやっぱりこれはかなわぬ、こんな不景気なときに事業所税まで何億円も払わされるということじゃ反対だという動きになっているわけです。  だから、これからスリム化していかなきゃいかぬという方向性がはっきりしているなら、いろんな政策それから法律の適正化をその方向に向けて振り返ってみなきゃいかぬと思うんですね。  この問題についてどういうふうに考えておられるのか、例えば今の例として七百一条の問題、御見解を賜りたいと思うんです。
  169. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 七百一条というのは事業所税のお話ですね。  事業所税は、御承知のとおり都市整備のための目的税として設置をされておるわけであります。そういう点で、三十万以上の都市について、言うなら外形基準をもって現在課税が行われておる。それが合併の妨げになると言われれば、確かにそういう要素は、それだけとらえれば否定はできないのかもしれません。ただ、問題は、市町村合併というのは必ずしも私はそれだけですべてが決まるのではないんじゃないかと思っています。  基本的に、さっき介護について申し上げたのとちょっと違うんじゃないかという御指摘、それは申しわけありません、質問の趣旨を取り違えておりまして、むしろ介護だとか公害問題だとか、いろんな最近の大きな行政上のテーマが、今日、現在、三千二百五十ぐらいの市町村で全部受けてできるような、自己完結的にできるようなテーマではなくて、もっと幅広いそういう市町村合併を逆にこれを契機にしてやっていくというようなことに主眼を置けと、こういう御趣旨なんだろうというふうに思いますときに、私はまさに御指摘のとおりであると思います。  それは市町村としても随分ばらつきがございまして、そういう点でどうしても規模の小さい、そういう意味で本当に基礎自治体としてどこまで自己完結的に行政サービスの提供主体として充実したニーズにこたえることができるのかということを考えれば、いろんな専門的な職員を自分で採用するなりなんなりということを考えれば、これからさらに広域連合を超えて市町村合併というようなことを推進していくということは非常に大事なことだと、そのように認識をいたしております。それが事業所税ということになるとちょっと話は難しいのかなというお話がありました。ただ、それだけで地方財政をとらえるべきものではないんではないかと私は考えております。  それからもう一つ、財政的にも合併をすることによって従来よりもさらなるメリットがあるような、そういう財政的なバックアップ、合併促進のための支援措置を今回地方分権一括法の中で合併特例法としてぜひ位置づけをしたいというのは、いわゆる合併特例債であったり、そのほか所要の法改正だけでなく財政的ないろんな支援体制を講じてまいりたいというふうに考えております。
  170. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 国、地方を通ずる大きな変革のチャンスですから、そのときをとらえてやっぱりきちっとした対応をすべきだろうというふうに意見だけ申し上げておきます。  この問題はまた後に譲るとしまして、参議院の会としては参議院のあるべき姿を徹底的に追求していこうということで結集をいたしまして、去年の暮れ、西田自治大臣のときに地域おこしの対策、今回の所信表明大臣が述べておられる、これにつきまして申し入れをさせていただき、大きな柱として御採用いただいたということに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  私どもが参議院クラブをつくりましたときに、去年の暮れですけれども、政治資金制度の欠陥露呈と、それから制度の問題点浮き彫り、いろいろ書かれたわけであります、政党助成の問題でありますが。こういう問題についてやっぱりいろんな欠陥が出てきているんです。  参議院の独自性を追求すると、やはり政治家助成であるべきだ、参議院の場合は。これは、衆議院に小選挙区制を導入したときに、政党助成というものを過去のいろんな腐敗の状況の中からとらえて出してきている。これについての検討をされるお気持ちがあるのかどうかということが一点と、もう一つは、去年の暮れ、十二月十五日の東京新聞に「共産党拒否分 他党「山分け」」、「血税三十三億円 民意なき配分」、「自民党には十五億円 見直しの声高まるのは必至」ということで、こういう受け取り方が一般にあるわけです。  どうして配分がこういうことになってしまったのか。白鳥さんあたりは、「制度が悪い。受け取らない党の分を他党で山分けするのは、政党が骨の髄まで税金に頼ろうとするこの制度の性格をよく表している。」というようなコメントまで出ておるわけでありまして、こういう政治資金制度について再検討されるお考えがあるのかどうか。また、特に今指摘しました問題につきましての御返事をいただきたいというふうに思います。
  171. 野田毅

    国務大臣野田毅君) この政党交付金という制度は、一定の要件を満たした政党に対して交付されるものでありまして、個々の政治家に交付するものではない、そういう意味で、政治家助成金ということではないということは制度の趣旨としてはっきりしておることだというふうに思っております。  それから、各政党へ交付する政党交付金の額は、国会議員数と得票数により算定するということになっておるわけですが、届け出のない政党について交付額を算定するということは困難なことでございまして、結果として、届け出のあった政党間で政党交付金の総額を交付するということになっても、これはやむを得ないことではないかと思われます。  政党交付金の交付を受ける政党の届け出を行ったにもかかわらず、政党交付金の交付を請求しないという政党があった場合には、その当該政党が受けるべき金額は決算上不用額とされるということになるわけであります。  それから、政党助成法の附則第六条では、施行後五年を経過した場合に政党交付金の総額について見直しを行うということとなっておるわけですが、政党助成制度というのはまさに政党財政のあり方にかかわる問題ということでもございますし、同時に、この制度が導入された経緯は、少なくとも選挙制度の改革と並行して、いわば政党本位の政治にしようというようなことが連動して議論をされた経緯があったということもあるわけであります。  そういう点で、まず各党各会派において十分御議論をいただかなければならない大事な課題であるというふうに私は思っております。
  172. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 終わります。
  173. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 無所属の岩瀬でございます。  地方団体が非常な危機と申しましょうか、曲がり角にありますときに、いろんな面で明るい、また御指導をいただいた野田大臣大臣に御就任されて、本当に期待申し上げる次第でございます。今後とも御活躍をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。  最後でございますので、各委員の先生方よりいろいろの話がありましたが、ダブらないような形で話を進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。  この十一年度予算を迎えるに当たりまして、地方団体がいろんな要望書等を出してきておられるわけでございます。全部見まして、大体共通しているのは景気対策であり、地方分権推進ということでありますし、地方税財源の充実強化、こういうようなところが共通しておる。介護保険とか中小企業対策とかいろいろありますけれども、それは別にしまして、こういうのが今年度の共通しているところだろうというわけでございます。  こういう点で、この観点から御質問させていただきたいというふうに思うわけでございます。その前に一つだけ、今度の地方税法の改正なんですけれども、昨年一月、私が地方行政委員会で御質問申し上げました中で、還付加算金の問題がございました。延滞金も同率なんですけれども七・三%というような利率で、この低金利の時代に非常に高いんじゃないかというようなことで、延滞金的に罰金的なところもあるわけですけれども、また逆に還付加算金となりますと余計返さなきゃならないというような公共団体の悲鳴もあったわけでございます。それが今度の改正で、公定歩合プラス四%というようなことで改正がなされておるわけでございまして、本当に御努力の点、感謝申し上げる次第でございます。  それでは、質問に入らせていただきたいと存じます。  一つは、地方財源対策でございまして、これは非常な御努力によりまして財源対策がなされたということは感謝申し上げる次第でございますけれども、そういう中で、地方交付税法に書かれてあります六条の三の二項の規定、これは私が言うまでもなくて、著しく異なることとなった場合には率の変更とか制度の改正を行うというのは、法律上の規定になっておるわけでございます。  今回も著しく異なっておるからこういうことになってきておるというふうに思うわけでございますが、いつもこれは質問が出ているわけですけれども、これに対しましても今年度の場合、どういうクリアをされておられるのか、お願いしたいと思います。
  174. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 時間の関係もございますから、端的にお答えをさせていただきたいと思います。  平成十一年度の地方財政対策におきましては、恒久的な減税に伴う減収に対しては、たばこ税の一定割合の地方への移譲、それから法人税の地方交付税率の引き上げ、さらに地方特例交付金の創設、こういった制度改正で対処したところでございますが、それ以外の単年度の財源不足につきましては、平成十年度に定めた平成十二年度までの三カ年の制度改正、すなわち地方交付税対応分については国と地方が折半してそれぞれ補てん措置を講ずることを基本として対策を講じたところでございます。  これらの措置によりまして、地方交付税法の御指摘の第六条の三第二項、この趣旨を踏まえつつ地方財政の運営に支障が生じないように対処できたものだと考えております。
  175. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 また、こういう形での地方財源対策なんですけれども、私が思うには、さっき鎌田先生からもお話がありましたけれども、以前は少額の額でのやりとりだというようなことがあったわけでございますが、ここのところを見ていきますと、ことしの場合、十兆というような非常な額ですけれども、ここのところ四、五兆が例年続いておるわけでございます。当然借金もふえてくるだろうし、また交付税会計での借り入れもかなりになっておるということであるわけでございます。こういう形で、これは法律問題とはまた別ですけれども、今後とも地方財源対策という形でいっていいのかなというような気持ちを持っておるわけでございます。  もちろん、地方団体としましては、ことしの場合でも予算が組めないよという悲鳴にも似た声が相当あったし、この財源対策、非常に歓迎しているわけでございますけれども、ただ、ことしの場合はそうであっても、これが続いた場合にこれで地方団体はやっていけるのかなというふうに思うわけでございます。  あるところは地方団体を突き放す点も必要だろうと思うわけでございますし、また地方団体の財源不足というのも、公共事業地方負担分を算定して、これは景気対策もあっての話だし、また景気対策に協力するということで単独事業にのせたその結果ということもあるわけでございます。  地方団体行政需要というのは、これははかり知れないものがありまして、いつになっても社会資本の整備というのは足らないわけでございまして、地方団体も歓迎してこれをやった点はあろうかと思うわけでございます。  しかし、ここへ来てこれだけのものになってくるとこれだけのものは続けられないんじゃないか、何か一つの方策を見出していかなきゃならない、そんな思いなんでございますけれども、この点について、大臣、いかがでございましょうか。
  176. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 本当に御指摘のとおり、この財源不足について、その都度その都度穴埋めをしていくというやり方というのはもう限界に来ているという認識をいたしております。  今年度の場合は先ほど申し上げましたような交付税率そのものにも踏み込んだ対応と言うことができ、そして結果において、いわゆる地方税、そして交付税を含めた一般財源を十年度に比べて一・四%増という形で、個々の自治体についての自主財源の確保ということについては何とか対応できたというふうには考えておりますけれども、しかしこのやり方はもう限界に来ているという認識をいたしております。  したがって、できるだけ早期にきちんとした地方自治そのものの一番基盤になります税財源の自主性、自立性ということをどういう形で満たしていくか、そこへ行かなければならぬと思っております。  これは、時間が長くなると恐縮でありますが、当然のことながら、国、地方役割分担の見直しそのものを、言うなら地方分権、これを言葉ではなくて実際に具体的に実行していく段階に入ってきている、そういう角度。それと同時に、経済の立て直しということが伴わなければ税収の展望が開けないということがありますので、若干の時間は要すると思います。それにしても、既に経済戦略会議でも提起されておりますが、この経済再建へのシナリオができ、それに基づく財政再建の具体的な姿をつくっていく、それと連動する過程の中で国と地方の税源配分という問題に当然のことながら立ち至らなければならない課題であるというふうに考えております。  そういう点で、抜本的なそういう意味での税源配分を含む国、地方役割分担ということを、きちんとそこに直接足を踏み出さなければならないところに来ておるというふうに認識をいたしております。
  177. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 もう今の大臣の答弁でよろしいですけれども地方に行っていろいろ話しますと、お金がなければ仕事もできないよ、これが端的な話だろうというふうに思うわけでございまして、お金も来なければ仕事もそんなに欲しくないよというのが、そこまでは言わないけれども、言葉の外にあるんだろうと思うわけでございます。そういう点もお考えいただきまして、財源の移譲という点も含めましてこれはぜひお考えいただきたいというふうに思うわけでございます。  それから次が、外形課税のことについてお尋ねしたいと思うわけでございます。  これも前に委員の皆さんからお話が出ておりますので、それに当たらないような形にしたいと思いますけれども、今年度の大臣所信表明を読みまして、非常に積極的な検討が進められるという印象を私は持ったわけでございます。  これはいろいろな情勢がそういうことになっておるわけでございますけれども、それにしても長年の懸案でありました外形課税、これは私が地方公務員で若いときからも検討しろよと勉強させられたことでございまして、鎌田先生も四十年来の宿題というふうなお話で、まさにそのとおりだろうというふうに思うわけでございます。  それで思いますのは、それだけの歴史があるということは、これはなかなか導入が難しいということが一つあるんだろうと思うんです。また一面では、税の安定性から見てこれが非常にいいんだろうというふうに思うわけでございます。導入した場合に、せっかく税の確保ができましても税源が枯渇しちゃってはこれまた意味がない話でございまして、そこら辺との兼ね合いもあろうかと思いますが、この点、野田自治大臣の基本的スタンスと申しましょうか、お考え伺いたいというふうに思うわけでございます。
  178. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 事業税について、これを外形標準課税として行うということ、午前に鎌田先生からも御指摘ございました。  あの当時、たしかシャウプ勧告では所得型付加価値税、そういう形を想定しておったように思います。一遍はそういう形で決定はしたんですけれども、残念ながら実施をする段になって結果としてできなかったということで、こういうことになってきたと承知をいたしております。  基本的に地方財政あるいは地方税を考える場合に大事なことは、やはり地方行政サービス内容というものが、いわゆる景気変動とかかわりなく住民により身近な行政サービスをコンスタントに提供していかなければならないというようなことを考えますときに、おのずから税収の安定性ということを頭に置かなければいけない。  それから、行政サービスとの兼ね合いもありまして、応益性ということもやはり念頭に置く必要もあるだろうし、それから地方税として仕組んでいくということであれば、税源がある程度普遍性があるというか偏りが少ないということがまた大事な柱にもなるだろうし、さまざまなそういった角度からの要請があろうかと思います。  それから、事業税ということとは直接ではないと思いますが、しかし、負担をお互い分任していくという、そういうような発想ということも地方税を考える場合に必要じゃないか。  そういった中で、この課税対象といいますか、どこにその担税力なりを見出していくかということで、所得あるいは消費、資産、それぞれいろんな組み合わせをしながらバランスのいい税体系を地方税の世界においても考えていかなければならないのは、これはもとよりのことだと思います。そういう中で、この法人事業税というのは非常に大事な基幹的な税であるという位置づけを私もいたしております。  そういう点で、これが現在の所得を課税標準とするやり方よりかむしろ外形標準によってより応益性あるいは税収の安定性ということを求めていくというのは、私は率直に言って本来あるべき方向に向かっておる議論であるという認識をいたしておるわけでございます。  ただ、その際に、いわば納税者という角度から見れば、所得を中心とする現在の事業税からそういう形に切りかわっていくということになれば、多少現実の課税ということを考えた場合にでこぼこが生じるというようなことが厄介なある意味では政治課題であるということもこれは事実であります。それが、長年のいろんなテーマであるということを言われながらなかなかそこに行き切れない一つの大きな壁があったことも事実でございます。しかし、それはオール・オア・ナッシングだけで考えるというんじゃなくて、いろんなやり方を工夫していくということがあってもいいのではないか、現実には。  私は、そんなことをも含めて、ぜひ事業税の外形基準の要素を導入していくというこの方向性を、言うなら国税を含めた抜本的な税の再配分ということをまたないまでも、この部分についてはスピードアップして検討を進めていかなければならない課題であるというふうに認識をいたしております。
  179. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 地方団体は早期実現を要望しているというふうに思っておるところでございます。よろしく御審議のほどをお願いします。  それから、消費税ですけれども、これは自自合意で目的税化するというようなことが報ぜられているんですが、この点はいかがでございましょうか。
  180. 野田毅

    国務大臣野田毅君) まだ完全に目的税化で両党が合意し切ったということではございませんで、平成十一年度の予算編成、税制改正に当たって、まず予算総則において使途を三つの分野に限定するということを表現することにおいて合意いたしました。  ただ、自由党における考え方というのは、消費税はその使途目的を高齢者医療、介護、それから基礎年金、この三つの分野に限定するということと、じゃその三つの分野に関する所要経費の財源を消費税にしか依存しないということの体制にいつ行くかということについてはまだ完全な形をつくってはおりませんが、少なくとも、これは現在ある社会保険料負担との兼ね合いをどういうふうに調整していくのか、これは一気にことし来年ころっと完全に切りかえるということはどだい現実的ではないわけで、そこへ向けて時間をかけながらどう持っていくかというテーマの世界だろうと考えて提案をなされておることであるというふうに思っております。  そういう点で、その際には、特に社会保険料という場合に、個人負担の部分と、サラリーマンの場合は特に雇用主負担、企業負担が半分現にあるわけで、その部分をどうするかということもあわせて考えなければならない。そういう点で、企業負担半分の部分については、この部分はまさに従業員の雇用に伴って支出をされる経費でありますけれども、この部分は社会保障の方に向けるんじゃなくて、むしろ言うなら地方自治体にその部分を振り向けてもらうという形で地方財政基盤を強化させる方向に振り向けることはできないのかという発想を自由党はいたしておるということは、せっかくの機会でありますから申し上げておきたいと思っております。  そうなった場合に、じゃ地方消費税というのがどういう形になるか。そういう点で、地方消費税は、企業負担じゃありませんで、あくまで個人、消費者が負担するものであるということです。それと同時に、いわゆる国税たる消費税の部分だけでなくて、地方自治体がいろいろ固有の福祉増進のための施策を現に行っているということでもありますから、そういう意味で、私は地方消費税というのは地方自治体の固有の税として当然存続し、あるいは充実をされるべき分野の税であるというふうな理解をいたしております。
  181. 岩瀬良三

    ○岩瀬良三君 私も、地方消費税は福祉サービスとの関係から、これは今後外形課税の導入とも絡んでですけれども、そういう中で市町村税の方へ行った方がいいんじゃないか、そんな考えを持っておったんですけれども、今、大臣のお考えの中にもそういう形が入っておりますので、これはまたそういう検討のときに申し上げたいというふうに思います。  あとまだあるんですけれども、ちょっと中途半端になりますから、これで終わりにします。
  182. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 他に御発言もなければ、両件の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  183. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 次に、平成十一年度の地方財政計画について、政府の説明を聴取いたします。野田自治大臣
  184. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 平成十一年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  平成十一年度においては、現下の厳しい経済情勢等を踏まえ、景気に最大限配慮して実施される恒久的な減税に伴う影響を補てんするほか、歳出面においては、徹底した行政経費の抑制を基本とするとともに、経済再生への対応、地域福祉施策等の充実を図り、歳入面においては地方税負担の公平適正化の推進地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。  以下、平成十一年度の地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、個人住民税の最高税率の引き下げ及び定率減税の実施並びに法人事業税の税率の引き下げ等の恒久的な減税を実施するとともに、住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税の課税標準等の特例措置に係る要件の緩和、低燃費自動車等に係る自動車取得税の特例措置の創設等の措置を講じるほか、非課税等特別措置の整理合理化等のための所要の措置を講じることとしております。  第二に、地方財政の運営に支障が生じることのないようにするため、恒久的な減税に伴う影響額について、国と地方のたばこ税の税率変更、法人税の地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設及び減税補てん債の発行等により補てんするとともに、それ以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税の増額及び建設地方債の発行等により補てんすることとしております。  第三に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域活性化等を図るため、地方単独事業費の確保等所要の措置を講じることとしております。  第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに、平成十一年度の地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十八兆五千三百十六億円、前年度に比べ一兆四千三百五十二億円、一・六%の増となっております。  以上が平成十一年度の地方財政計画の概要であります。
  185. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 次に、補足説明を聴取いたします。二橋財政局長。
  186. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 平成十一年度の地方財政計画につきましてはただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお若干の点につきまして補足して御説明いたします。  地方財政計画規模は、八十八兆五千三百十六億円、前年度に比べ一兆四千三百五十二億円、一・六%の増となっております。  まず、歳入について御説明いたします。  地方税の収入見込み額は、三十五兆二千九百五十七億円で、前年度に対し三兆一千七百九十五億円、八・三%の減少となっております。  地方譲与税の収入見込み額は、総額六千百三十一億円で、前年度に対し百二十一億円、二・〇%の増加となっております。  次に、地方特例交付金六千三百九十九億円でありますが、これは、恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするため、地方税の代替的性格を有する財源として創設するものであります。  その総額は、恒久的な減税に伴う各年度の減収見込み額の総額の四分の三から、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収額及び法人税の地方交付税率の引き上げによる補てん額を控除した額としており、すべての都道府県市町村及び特別区に減収見込み額を基礎として交付するものであります。  地方交付税につきましては、平成十一年度の所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額の合計額十二兆三千二百七十一億円に国の一般会計からの加算額五千五百六十億円、交付税特別会計における資金運用部からの借入金八兆四千百九十三億円等を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額五千八百八十三億円を控除した額二十兆八千六百四十二億円を計上いたしました結果、前年度に対し三兆三千四百五十四億円、一九・一%の増加となっております。  なお、恒久的な減税による減収額の一部を補てんするため、当分の間、法人税に係る地方交付税率を引き上げることとし、平成十一年度において百分の三十二・五、平成十二年度以降において百分の三十五・八とすることとしております。  国庫支出金は、総額十三兆二千三百五十九億円で、前年度に対し二千五百三十六億円、二・〇%の増加となっております。  次に、地方債につきましては、普通会計分の地方債発行予定額は十一兆二千八百四億円で、前年度に対し二千五百四億円、二・三%の増加となっております。  また、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。  以上の結果、地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税を合わせた一般財源の合計額は五十七兆四千百二十九億円、前年度に対し八千百七十八億円、一・四%増を確保しているところであります。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、総額は二十三兆六千九百二十二億円で、前年度に対し二千七百五十三億円、一・二%の増加となっております。職員数につきましては、義務教育諸学校及び高等学校の教職員について教職員配置改善計画、児童生徒数の減少等による増減員を見込んでいるほか、一般職員について国家公務員の定員削減の方針に準じて定員削減を行うとともに、介護保険制度の準備に必要な職員や福祉、保健等の関係職員について所要の増員を見込み、全体で二千五百八十九人の減員を見込んでおります。  次に、一般行政経費につきましては、総額十九兆二千七百四十五億円、前年度に対し七千六百八十三億円、四・二%の増加となっております。このうち国庫補助負担金等を伴うものは、八兆六千五百二十三億円で、前年度に対し三千八百四億円、四・六%の増加となっております。  国庫補助負担金を伴わないものは、十兆六千二百二十二億円で、前年度に対し三千八百七十九億円、三・八%の増加となっております。この中では、地域活力創出プランに要する経費地域文化財・歴史的遺産活用による地域おこしに要する経費及び被災者生活再建支援基金に要する経費を新たに計上いたしております。  また、少子高齢化の進展等に対応した地域福祉施策の一層の充実を図るため社会福祉系統経費を充実するほか、私学の経常費助成に要する経費、国土保全対策に要する経費、中心市街地再活性化対策に要する経費地域情報基盤整備対策に要する経費、国際化推進対策に要する経費、環境保全対策に要する経費、防災対策強化に要する経費、災害等年度途中における追加財政需要に対する財源等を計上いたしております。  公債費は、総額十一兆三千八百八十二億円で、前年度に対し九千四十二億円、八・六%の増加となっております。  維持補修費は、総額九千八百七十億円で、前年度に対し百四十二億円、一・五%の増加となっております。  投資的経費は、総額二十九兆四千七百八十八億円で、前年度に対し二千六百五億円、〇・九%の増加となっております。このうち、直轄・補助事業につきましては、十兆一千七百八十八億円で、前年度に対し二千六百五億円、二・六%の増加となっております。  地方単独事業につきましては、地域活性化住民に身近な社会資本整備の必要性、国の公共事業関係費の総額、経済対策の実施の必要性等を勘案して、景気対策分を含めて前年度と同規模の十九兆三千億円を確保し、地域活力創出事業、すべての人にやさしいまちづくり事業及び地域文化財・歴史的遺産活用による地域おこし事業を創設するとともに、国土保全対策事業、中心市街地再活性化対策事業等を重点的、計画的に推進することとしております。  公営企業繰り出し金につきましては、地方公営企業の経営基盤の強化、上下水道、交通、病院等生活関連社会資本の整備の推進等に配意し、総額三兆二千七百九億円を計上いたしております。  このうち、企業債償還費普通会計負担分は、二兆百四十六億円で、前年度に対し千四十七億円、五・五%の増加となっております。  最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入の状況等を勘案して所要額を計上いたしております。  以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。
  187. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  188. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。野田自治大臣
  189. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ただいま議題となりました三案につきまして御説明申し上げます。  まず、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の最高税率の引き下げ及び定率減税の実施、法人事業税の税率の引き下げ、住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税の特例措置に係る要件の緩和、低燃費自動車に係る自動車取得税の特例措置の創設等の措置を講ずるほか、固定資産税の価格等に係る審査申し出制度の見直し等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等を行う必要があります。  以上がこの法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、個人の道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税に係る負担の軽減に関する改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税につきましては、個人及び法人の所得課税のあり方についての抜本的な見直しを行うまでの間、個人の市町村民税の最高税率を一〇%に引き下げるほか、個人の道府県民税及び市町村民税について所得割額の一五%相当額を四万円を限度として税額から控除する措置を講じるとともに、特定扶養親族に係る扶養控除額に二万円を加算する措置を講ずることといたしております。また、法人の事業税について、普通法人に係る年八百万円を超える所得に適用される税率を九・六%に引き下げる等の措置を講ずることといたしております。  その二は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、個人の土地等の譲渡に係る長期譲渡所得について特別控除後の譲渡益が六千万円を超える部分に係る税率を引き下げるとともに、一定の居住用財産を譲渡して買いかえ資産を取得した場合において譲渡損失があるときは前年前三年内に生じた譲渡損失の繰越控除制度を創設するほか、低所得者層の税負担に配慮するため所得割の非課税限度額を引き上げることといたしております。  その三は、事業税についての改正であります。  個人の事業税につきましては、事業主控除の額を二十万円引き上げることといたしております。  その四は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、住宅及び住宅用土地に係る特例措置について、土地取得後住宅取得までの経過年数要件の緩和等の措置を講ずることといたしております。  その五は、道府県たばこ税及び市町村たばこ税についての改正であります。  道府県たばこ税及び市町村たばこ税につきましては、地方財政の円滑な運営に配慮する観点から、当分の間の措置として、その税率を道府県たばこ税にあっては千本につき百七十六円、市町村たばこ税にあっては千本につき二百三十四円それぞれ引き上げることといたしております。  その六は、固定資産税についての改正であります。  固定資産税につきましては、固定資産評価審査委員会に対する審査申し出の期間の延長等を行うことといたしております。  その七は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、既に徴収猶予を受けている土地が住宅宅地供給のために譲渡された場合に徴収猶予の継続を認める特例措置の創設等を行うことといたしております。  その八は、自動車取得税についての改正であります。  自動車取得税につきましては、一定の低燃費自動車に係る自動車取得税の特例措置の創設等を行うことといたしております。  その九は、軽油引取税についての改正であります。  軽油引取税につきましては、輸入した軽油等に係る課税の適正化を図るため、道府県知事等が関税等に関する書類等を閲覧しまたは記録することができることとする制度の創設等を行うことといたしております。  以上が地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること、法人事業税の税率の引き下げに伴い収入が減少すること等にかんがみ、当分の間、法人税に係る地方交付税の率を引き上げる措置を講ずるとともに、地方交付税の総額の確保に資するため、平成十一年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるほか、平成十三年度から平成二十四年度までの間における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例等を改正する必要があります。また、平成十三年度から平成二十二年度までの間における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ及び同特別会計における借入金等に係る利子の繰り入れに関する特例を設けることとし、あわせて各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費及び地方団体行政水準の向上のため必要となる経費の財源を措置するため地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず、法人税の収入額に対する地方交付税の率につきましては、当分の間、三・八%引き上げ、三五・八%とすることとしております。ただし、平成十一年度にあっては〇・五%引き上げ、三二・五%とすることとしております。  また、平成十一年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成十一年度における加算額五千五百六十億円、交付税特別会計借入金八兆四千百九十三億四千万円及び同特別会計における剰余金千五百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額五千八百八十二億六千万円を控除した額とすることとしております。  さらに、平成十三年度から平成二十四年度までの間における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例等を改正するとともに、平成十三年度から平成二十二年度までの間における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ及び同特別会計における借入金等に係る利子の繰り入れに関する特例を設けることとしております。  次に、平成十一年度分の普通交付税の算定につきましては、地域創意工夫に基づく地域経済再生人づくり地域活力創出に要する経費、総合的な地域福祉施策の充実に要する経費、教職員定数の改善、私学助成の充実等教育施策に要する経費、道路、下水道等住民生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、国土保全対策、農山漁村地域活性化等に要する経費、中心市街地再活性化対策に要する経費消防救急業務の充実、震災対策の推進等に要する経費、自然環境の保全、廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費地域社会における国際化、情報化への対応、文化、スポーツの振興に要する経費及び地方団体行政改革、人材育成推進に要する経費の財源等を措置することとしております。  また、算定方法の簡明化を図るため、その他の教育費における公立大学の運営、私学助成、公立幼稚園の運営に係る経費、高齢者保健福祉費における老人医療費、林野行政費における公有林維持管理費、戸籍住民基本台帳費における戸籍事務に係る経費について、新たに測定単位を設けることとしております。  さらに、被災者生活再建支援基金に対する拠出の財源に充てた地方債に係る元利償還金を基準財政需要額に算入するため、新たに測定単位を設けることとしております。  あわせて、基準財政収入額の算定方法について、平成十年度における道府県民税及び市町村民税の特別減税による平成十一年度の減収額として自治省令で定める額を加算することとする特例を設けることとしております。  以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  次に、地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方税法の一部を改正する法律及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律の施行により道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税の収入が減少することに伴う地方公共団体の財政状況にかんがみ、その財政の健全な運営に資するため、当分の間の措置として、毎年度、地方公共団体に対して地方特例交付金を交付するとともに、地方債の特例措置を講ずることとし、あわせて普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額の算定方法の特例を設ける等の必要があります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、地方特例交付金に関することであります。  地方税法の一部を改正する法律等の施行による地方税に係る各年度の減収額を埋めるため、毎年度、地方公共団体に対して地方特例交付金を交付することとしております。  毎年度分として交付すべき地方特例交付金の総額は、当該年度における地方税の減収見込み額の総額の四分の三に相当する額から、国と地方のたばこ税の税率の改正に伴う道府県及び市町村たばこ税の増収見込み額の総額並びに当該年度の法人税の収入見込み額の百分の三・八、ただし平成十一年度にあっては、百分の〇・五に相当する額を控除した額として予算で定める額とすることとしております。  毎年度分として各地方公共団体に対して交付すべき地方特例交付金の額につきましては、都道府県にあっては、当該都道府県の減収見込み額に四分の三を基準として定める率を乗じて得た額から、道府県たばこ税の増収見込み額及び法人の事業税の減収見込み額を控除して得た額としております。  また、市町村及び特別区にあっては、当該市町村または特別区の当該年度における減収見込み額に四分の三を乗じて得た額から、市町村たばこ税の増収見込み額を控除して得た額としております。  このほか、地方特例交付金の交付の時期等所要の規定を設けるとともに、地方特例交付金を交付税及び譲与税配付金特別会計において経理するために必要な改正等を行うこととしております。  第二は、地方債の特例であります。  地方税法の一部を改正する法律等の施行による各年度の地方税の減収額を埋めるため、地方債の特例措置を講ずることとしております。  その限度額は、都道府県にあっては、当該団体の減収見込み額に四分の一を基準として定める率を乗じて得た額とし、市町村及び特別区にあっては、当該団体の減収見込み額に四分の一を乗じて得た額としております。  第三は、地方交付税の特例等であります。  普通交付税の額の算定方法の特例として、地方特例交付金及び特例的な地方債の発行限度額に相当する額の一定割合を基準財政収入額に算入または加算することとするほか、地方特例交付金創設に伴い必要となる地方財政特例を設けることとしております。  以上が地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  190. 小山峰男

    委員長小山峰男君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  なお、地方税法の一部を改正する法律案に対する政府委員からの補足説明につきましては、理事会で協議いたしました結果、説明の聴取は行わず、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会