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1999-06-03 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三日(木曜日)    午前十時九分開会     ─────────────    委員の異動  六月三日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     阿南 一成君      片山虎之助君     大島 慶久君      西田 吉宏君     山内 俊夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君     委 員                 阿南 一成君                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 大島 慶久君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 山内 俊夫君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 益田 洋介君                 笠井  亮君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        北海道開発庁総        務監理官     斎藤 徹郎君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        大蔵政務次官   中島 眞人君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        郵政省通信政策        局長       金澤  薫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    説明員        科学技術庁長官        官房審議官    今村  努君        資源エネルギー        庁次長      日下 一正君    参考人        日本開発銀行総        裁        小粥 正巳君        北海道東北開発        公庫総裁     濱本 英輔君        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本政策投資銀行法案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本政策投資銀行法案の審査のため、本日の委員会参考人として日本開発銀行総裁小粥正巳君、北海道東北開発公庫総裁濱本英輔君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 日本政策投資銀行法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一昨日に続いてきょうも質疑させていただきたいと思います。  冒頭、実は一昨日ごろの新聞からでしょうか、事前質問通告しなかった問題なんですが、大蔵大臣にお伺いしたいと思っておるのは、山一証券が破綻をしたときに、たしか二年前ですから当時の大蔵大臣三塚大蔵大臣だったと思います。私もこの委員会質問をしたことを覚えているわけでありますが、そのときに、日銀特融が発動されて債務超過ではないんだ、こういうお話だったわけです。  最近続々と、長銀だとか日債銀だとか、ふたをあけてみたら債務超過でしたということが多く出ておりますが、山一証券の問題に関しては、たしか寄託証券でしたか、正確な名称はちょっと忘れましたが、基金がございましたね。そういったものでどうも処理できないようだということになってまいりますと、きょうは日銀総裁は呼んでおりませんからいらっしゃいませんが、私はこの処理については大蔵省財政責任を持たなきゃいけなくなってくるんじゃないかと思います。  この点、事前質問通告しておりませんので、今の段階で答えられる範囲で結構でございますが、国民は大変注目していると思いますので、大蔵大臣の御意見をまず最初にお聞きしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 山一証券東京地裁から破産宣告を受けまして、山一証券によりますと一千六百億円程度債務超過と推定をされておるわけでございます。確かに峰崎委員の言われますように、平成九年当時におきまして、一般的には債務超過ではないであろうというふうに考えられておったと思いますが、日本銀行がこれについて当時の意外な展開をできるだけ波乱を少なくしようということで特融をいたしました。大蔵大臣もまたそれについて特融の要請をされたというふうに承知をいたしております。  しかるところ、結果として債務超過になってきたということから、仮に債務超過が千六百億円程度である、これは未確定でございますけれども日銀に対する残高は四千何百億円かと思います。そういたしますと、この処理をどうするかという問題は破産手続進行いかんによりまして問題として残ってくる可能性が高いと考えておかなければならないと思います。ただ、この破産手続には一年余りは少なくとも必要であるというふうな様子でございますし、またその結果がどうなるかもわかりませんので、今どうするということをすぐに申し上げる状況にはないと思います。  御指摘のように、この問題は当時のそのようないきさつ、あるいは日本銀行総裁もこの特融残高についての所見を今回発表しておられるようでございますから、そういう状況をいろいろ考えながら、もう少し時間がございますので、処理について検討させていただきたいと思っております。
  7. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 きょうは政策投資銀行法案の問題ですが、この問題は本当に大変重要な問題だと思いますので、またしかるべく時間をとっていただき、そして集中的に議論していただければというふうにお願い申し上げておきたいと思います。  それでは、大蔵大臣は午前中は十時五十五分ぐらいまでということなので、前半、大蔵大臣中心にしてお話をお聞きしたいと思います。  新しい政策投資銀行というのは、資本金だけを見ると東京三菱銀行を上回る巨大な銀行だということで、一昨日北海道大学の濱田先生は、世界でも一、二を争う銀行じゃないか、日本で一番大きいんじゃないかという御指摘がありましたけれども、先日誕生した国際協力銀行ですか、これの方が大きいということがわかって、そうでもないんだと思ったのでありますが、何せ資本金の十数倍まで貸すことができるということですから大変大きい銀行です。  ある意味では、その設立使命、目的が重要になるわけでありまして、誕生の経過は行革という観点から出てきているわけでありますが、改めてその設立意義につきまして大臣からも明確にしていただければと思います。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日本開発銀行、今回、日本政策投資銀行になりますけれども日本開発銀行は戦後間もなく設立されまして、御記憶のように、我が国の戦後の復興につきまして、殊に産業の再建につきましてその中心的な役割を担いました。当時、我が国が基本的に産業国家となるための中央部分につきましては、日本開発銀行がその融資、育成等々に大変な役割を果たしました。  だんだん時代が変遷いたしてまいりますに従って日本開発銀行役割も少しずつ変わってまいってきておりましたが、比較的我が国経済が安定をいたしてまいりました一九八〇年から八五年あたりになりますと、民間経済活動金融機関活動が活発でございましたから、日本開発銀行は民業を圧迫しないでほしいといったような批判すらあった時代がございます。  しかし、その後、我が国経済情勢金融情勢が一変いたしまして、民間金融機関活動が極めて大きな影響を受けて不活発になるに従いまして、また日本開発銀行にいろいろな役割を期待する向きが多いということになってまいりました。  それがこのたびの改正をお願いいたしますまでの状況でございますが、このたびこのような改正をお願いいたしまして、経済社会の活力の向上及び持続的な発展、あるいは豊かな国民生活の実現、地域経済自立的発展、この最後部分一緒になります北東公庫のやっておりました役割について主として言っておるわけですが、しかし開発銀行そのもの設立の当初から地域開発という使命は持っておりましたので、その両方がダブって、この最後地域経済自立的発展ということになってまいったと思います。  そういう状況の中で、例えば我が国企業がこのようなリストラを必要とする時代に、民間金融機関が十分にそれに対して支援ができないということから、社債の処理等々、いろいろな意味日本開発銀行にまた一役買ってもらわなきゃならないという問題も出てまいりました。  一言で申しますと、二十一世紀を迎えるに当たって、民間経済活動中心である我が国ではありますけれども、それに加えて補完的な意味でと申しますか、民間のいわゆる採算に乗りにくい種類の需要については日本開発銀行にひとつその機能を発揮してもらわなければならないと。民間の手の届かないところについて仕事をしてもらうという意味では、これは戦後一貫してそうでございますけれども、それが何であるかについては時代の変遷とともに変わってまいりまして、今としては、二十一世紀における我が国経済社会で、民間企業活動金融活動の及ばないところについて役割を果たしてもらいたい、こういうことが日本政策投資銀行に期待されているところではないかと考えております。
  9. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこでお聞きしたいわけでありますが、今中央省庁統廃合の問題が議論されております。この中で金融財政の分離問題というのが大変大きな問題だったわけですけれども、この日本政策投資銀行のこれからの監督は、後ろを見ると大蔵大臣という形になっているわけですが、金融庁の発足後は財務省が管轄をするんでしょうか、それとも金融庁なんでしょうか。この点はどういう扱いなんでしょうか。
  10. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 現在、開発銀行大蔵省所管をしております。それから、北海道東北開発公庫大蔵省北海道開発庁国土庁所管をしておるわけでございます。新銀行ができますと、御指摘のように、大蔵省部分財務省にかわるわけでございますから、財務省に引き継がれるわけでございます。  考え方は、昨年監督庁ができたわけでございますけれども監督庁につきましては、民間金融機関検査監督大蔵省から監督庁に移すということで監督庁ができたわけでございます。それで、公的な政策金融につきましては、補助金あるいは税制による誘導措置と並びましていわば財政による資源配分への関与という観点が非常に強いものでございますから、引き続き大蔵省開銀関係政策金融関係も担当しているわけでございます。  そこで、今度の中央省庁再編の過程で、現在、行革法案として国会で御審議いただいておりますけれども金融庁は来年の七月ぐらいに設置されることになるわけでございますが、いわゆる財政金融の分離の問題につきまして、残されておった問題は企画立案部分をどうするかということでございました。これにつきましては、政党間の協議等を踏まえまして今回の法案の中に書き込まれておるわけでございますけれども企画立案部分について一定の変革が行われるわけでございまして、公的な政策金融部分につきましては変更がないわけでございます。したがいまして、大蔵省所管している開銀等につきましては財務省に引き継がれるということになったわけでございます。
  11. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 我が党は今の省庁統廃合に基本的には反対ということで、実はきょうの委員会も大変私も困っているわけです。  きょうは所管大臣として大蔵大臣がお見えですが、苫東・むつ問題となると国土庁長官あるいは北海道開発庁長官に出てもらいたいということで、きょうは後でお時間をいただくことになっているわけですけれども大臣がこんなに少なくなっていくのが本当にいいことなのかなと思います。結果として今いろんな省庁を束ねて一緒にやっておられますが、さらにまたこれが統合されていくということなので、これからの国会審議ということを考えたときに、副大臣制度の導入も含めて、ちょっと私自身は、本当にこれでは重要な審議がなかなかできないなと。と申しますのは、きちっと大臣責任を持って答弁をするという、その点が大変重要な審議のときには必要だと思っておりますので、きょうはその意見を開陳する場ではありませんけれども、その点をまず申し上げておきたいと思います。  それでは、開発銀行北東公庫確認させていただきたいと思うわけであります。  開発銀行はどちらかというと大企業北東公庫むつ小川原を除きますとどちらかというと中小企業関係に対して融資をされている。特に私のおります北海道をとってみると、絶えず何かあると北東公庫にお願いしようじゃないかということが出てきて、かなり高い評価を受けているわけであります。  北海道地元からすると、苫東の問題あるいはむつ小川原の問題はあるんですが、こういうでかい開発銀行のような、しかも大企業中心融資をしているところと、それから北東公庫のように中小企業中堅企業中心としたところに融資をしているところが一緒になる。しかも、今度の場合は実質上開銀北東公庫を吸収していくような形になるわけであります。  そうすると、北海道あるいは東北地方に設けられます融資枠、あるいはこれまで北東公庫が示したノウハウというのは果たしてしっかりと確保されるんだろうか。また、それはこれからもある程度長い期間にわたってそういった配慮がなされるのか。特に北海道の場合は民間が非常に力が弱い。御存じのように、北海道銀行金融監督庁の方から過少資本行という形で今独力で四百億の増資をしようということで頑張ってはいるんですが、今北海道金融機関の力が弱いものですから、その点、まず北東公庫総裁に、そのことについてどのように考えておられるのか、あるいは北東公庫総裁としてどのようにお考えになって新銀行へ継続していかれるのか、確認を求めたいと思います。
  12. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) ただいま峰崎先生から御指摘を賜りましたように、北海道東北地方には政府関係金融機関の課題というものが残されていると思います。  そういう状況の中で統合が行われるということになりまして、平成九年九月に行われました閣議決定におきましても、例えば北東公庫が対象としてまいりました分野に対する金融は今後も十全に確保されるための措置が講じられてしかるべきではないかといった言及がございました。こうした言及を受けまして、新しい銀行におきましても引き続き公庫が供給してまいりました資金量を確保しますための配慮が図られてまいりました。こういった措置につきましては地域人たちの耳目に達しておりまして、地域人たちもそういう目で新しい銀行を見守っておられるところだと思います。  今後のことでございますけれども北東地域のこれからの動向と申しますか、あるいはその地域の新しいニーズといったようなものを的確に見定めながら、この地域に必要な金融配慮につきましては引き続き検討されてしかるべきではないかというふうに私は考えております。
  13. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、濱本総裁から、北東公庫のそういう過去の機能、しかも融資枠も含めて引き続きこれは新銀行へと、こういうお話があったわけですが、今度は小粥総裁の方にお聞きしたいわけであります。  ある意味では巨大な開発銀行、そして大企業中心に進められてきたと。この両行を合併するというとき、後で申し上げますが、これについてはいろんな意味で問題があると思ってはいるんですが、しかし合併をすると両行作風の違いというのが私は出てくると思うんです。私の友人などに聞くと、東京銀行三菱銀行が合併したときに、やはりどうしても両行が合併した後の職員の気風というか作風の違いがあると。しかも、今度の場合は巨大なプロジェクト融資とかなり小規模なものとが一緒になるわけです。そうなったときに、規模の面からしても、そういう北東公庫で培ってきた職員ノウハウあるいはそういう融資におけるさまざまなやり方、これが巨大な開発銀行にのみ込まれて、結果的にそういうものが失われてしまうのではないか、そういう不安を持っている人たちが随分と地元には多いというふうに聞いているんです。  この点、小粥総裁、ただいま濱本総裁がおっしゃったような観点で新銀行にどのように継承されていくのか、ぜひその点の確認等もお願いしたいと思います。
  14. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) お答え申し上げます。  ただいま峰崎委員から、統合の一方であります日本開発銀行は大企業中心銀行である、こういうことをおっしゃったわけでございます。実は一番最近の数字、平成十年度末の融資残高で、私ども取引をしております企業の数は約三千二百社ございますが、そのうちで資本金が十億円以下、これは厳密に中堅企業の定義というのは法令上はないわけでございますけれども資本金十億円以下の中堅中小企業は三千二百のうち千九百九十、ほとんど二千社でありまして、構成比では六二%を占めております。したがいまして、私ども業務意識からいたしますと、先生はそういうふうにおっしゃいましたけれども、あえて申し上げますと、決して大企業だけをやっているというような実態でもございません。  それから、私ども業務の実務を担当しております行員意識から申しましても、北海道東北地域では確かに北東公庫業務展開しておられますから、直接の地場産業のお取引は当然第一義的には北東公庫がなさっておられることは事実でございますけれども全国各地では、先ほど大臣からもお答えがございましたように、開銀は実は設立当初から地域開発にはかなりそれなりの業務展開業務の相当重要な分野として意識をしてきたつもりでございます。  この辺は、恐縮でございますけれども、私ども今度この法案が成立をいたしまして北海道東北開発公庫一緒になりますと、ただいま先生の御指摘がありました行員意識の違い、片方は大企業片方中小企業で大変きめの細かい、そのギャップということは、私自身は実は今の業務展開内容からしますと決してそういう御心配はいただかなくていいんじゃないか、あるいはそうしなければいけないと思います。両方行員ができるだけ早く融合いたしまして、新しい世紀のために本当に役に立つ政策投資銀行として、零細企業にも中堅企業にも、そして必要であれば大企業プロジェクトにも、これまで以上に政策的意義のあるプロジェクトに出融資その他の形で対応していく、こういうことを考えていきたいと思っております。  先ほど来、峰崎先生から御指摘がありましたが、統合後、北海道東北地域でこれまで主として北海道東北開発公庫が大変きめ細かく展開をされてきた業務内容がスムーズに、そして金融として十全に確保されますよう、これは当然閣議決定もございますし、私どもその閣議決定趣旨を十分体しまして、具体的にもあるいは組織的にも対応していきたいと考えておるわけでございます。  なお、このような措置につきましては、ただいま北東公庫濱本総裁からも御答弁がございましたけれども、私ども北海道東北地域経済金融動向、これはまた今後いろいろと変動もございましょう。その動向をよく見きわめながら、そしてまた当然私ども日本各地地域金融に力を入れてまいりましたが、各地域との均衡ももちろん考慮しながら、今後より適切、効果的な対応につきまして不断に検討を深めていき、峰崎先生の御質問趣旨を十分体しまして御心配をおかけしないように、そして何よりも北海道東北地域でこれまで北海道東北開発公庫が主としてお取り引きをしておられました取引先企業関係者に決して御心配をおかけしない形で対応していきたい、またいけるものと確信をしております。
  15. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、両総裁からお話がございましたが、新銀行はどなたが総裁になられるか、もちろん人事でございますからまだ決まっていないのでありましょうけれども、念のために大蔵大臣の方からも、ただいま両総裁からの北海道東北地域に対する力強い言葉があったわけでありますが、確認をしていただきたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのことは当然私どもからも御答弁を申し上げるべきことでございました。  先ほどもちょっと触れましたが、本来、開発銀行地域開発という部門を持っておったわけでございます。したがいまして、今度は北海道東北地方が入ってくるわけでございますけれども、もともとそういう仕事開発銀行がしておられましたので、全く異質なものが入ってくるという感じではないように思います。  加えまして、ただいま峰崎委員のおっしゃいますような御心配は当然のことでありますので、今度の新しい政策投資銀行の中でも、従来北東公庫がやっておりましたそういう資金の計画については、投資銀行の中に金額として千四百九十七億円が別除されておりますし、またデパートメントも別に設けるようでございます。  それから、従来北東公庫の持っておりました支店、事務所は全部そのまま残すことといたしまして、札幌には両方ございますからそのかわりに釧路でございましたか、新たに店を設けるというようなことで、ただいまおっしゃいますようなことは十分に配慮をしてやってまいらなければならないと思っております。
  17. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 さて、そういうお願いをすると同時に、今こういうものができるためには、苫東にしろ、むつもそうなのでありましょうが、先に開発庁にちょっとお聞きしたいわけです。  苫東処理策スキーム、当然国は債権放棄をし、そして株式会社が債権放棄をして、その後国が出資しますよと。道を初め市町村、さらに民間企業はこの苫東スキーム全体についてはもう大体今日時点で債権放棄に応じて、さらに新会社に対する出資についても了解をしたという段階に至っているんでしょうか。その事実についてまずお聞きしたいと思います。
  18. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 新会社に対する出資の問題でございますけれども北東公庫からの出資二百二十二億円につきましては、さきに成立を見ました平成十一年度予算において措置されているところでございます。  次に、北海道分の百九十二億円でございますけれども、昨日までの段階で北海道につきましては百七十億円、それから北海道内の地元公共団体一市二町につきましては合計十一億円、それから金融機関を除きます地元経済界から十一億円という金額でもって出資をしていただけるということで意思統一ができているというふうに承知しております。もとより、北海道あるいは地元公共団体はこれから議会に予算をかけてという手続が必要になろうかと思います。  それから、債権者であります民間金融機関の出資でございますけれども、新会社設立のためには民間金融機関からも出資についての合意を得ることが必要不可欠でありまして、この点については最終的な合意に至っておりませんけれども、できるだけ早く民間金融機関の理解と協力を得つつ、その上で合意を得べく、現在、最終的な調整、協議を行っているところでございます。
  19. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、まだ民間はこのことについて合意をしていないと、最終的に。六月末に大体株主総会が一斉に集中する季節になるわけですが、そういう株主総会の手続を待っているだけなんだということなんでしょうか。それとも、まだそこまで至っていないという状況なんでしょうか。そのあたりは、本当に民間の方々が債権放棄に応じるという確約は十分とれるんだろうかという心配をしているんですが、もう少し詳しく事実関係を教えていただければと思うんです。
  20. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 苫東会社に対して債権を持っております金融機関は、北東公庫を除きますと、銀行、生命保険会社全体で三十九行社ございます。それぞれの立場で御検討いただいているところでございますので、それぞれの金融機関の立場について私どもの方からコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、具体的に各金融機関が機関決定をし一定の債権の償却を行い、そして出資に応じていくということに向けて現在鋭意御検討をいただいている、しかし全体として合意には至っていないということです。  新会社設立は七月末を予定しておりますので、私どもとしましては何とかしてそれまでに最終的な合意を得たいというふうに考えておりまして、目下最大限努力をしているところでございます。
  21. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 新会社はいつ発足でございますか。九月一日ですか。今ちょっと聞きそびれたんですが。
  22. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 今のところ、私どものもくろみといたしましては七月末を予定しているところでございます。
  23. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 七月末となるともうあと一カ月ちょっとですね。それでまだ十分合意を得ていないというのは、何だかこのスキーム全体が非常に不安定なままに進んでいるという気がしてならないわけであります。この点、特に私は、債権放棄の問題は、一つは株主代表訴訟の問題もあるのかなというふうに思ったりしますが、新しい会社に出資するとなると、これは将来に対して本当に大丈夫かなと思うんです。  今回の新苫東会社というのは、出資して利子がつかないお金ですということをしきりに強調されているわけですからそういった点の不安はないのかもしれませんが、私はそこは、今審議をしている最中だけれども、まだここは固まっていませんというのは、まあ道議会だとか市町村の方あるいは地元経済界は何とかいったと。しかし、民間債権放棄せざるを得ない金額はかなりの金額でしょう。幾らでしたか、債権放棄せざるを得ない金額は。
  24. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 民間協融団全体としての必要な債権償却額は五百五十八億円程度でございます。
  25. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 五百何十億円という大変巨大な金額を債権放棄せざるを得ないということですから、私は相当これは開発庁あるいは国全体が責任を持ってこの問題について了解をしてもらうための努力をしていかなければ難しいんではないかというふうに思うわけであります。この点、開発庁長官も後でお見えになると思いますので、その責任あるいは新会社に対するこの問題についてまたお聞きしたいと思っております。  むつ小川原の場合は現在はどんな進捗状況になっているのか、国土庁にお聞きしたいと思います。
  26. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 先生御承知のとおり、むつ小川原開発につきましては、平成九年九月に、新銀行設立までの間に関係省庁、地方公共団体、民間団体等関係者間においてその取り扱いについて協議の上結論を得るとされておりまして、現在、むつ小川原開発株式会社、青森県、北東公庫、経団連等関係者と協議を進めているところでございまして、その方向性を明確にお答えできる段階ではございません。
  27. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本当に何かさっぱりわからないというのが恐らく聞いておられる委員みんなの気持ちじゃないかと思うんです。  本当にそんな状態で、北東公庫を含めて新しい政策投資銀行になろうとしているときに、一番の不良債権と言われていたむつ小川原あるいは苫東、こういったものの処理策がまだ十分固まっていないというのは、大蔵大臣には衆議院の段階でもお答えをいただいていたわけでありますが、改めてこの法案は本当に多くのまだまだ未解決の問題を抱えている不十分な内容なのではないか。責任の問題はもちろん後で開発庁長官にはお話ししたいと思います。  私はきょうはできれば苫東をどうするか、むつ小川原をどうするかという積極論を少しお話ししたいなと思っているんですが、そこに移行する前に、まだ何か十分にきれいになっていないといいますか、身ぎれいになっていないところが残ったまま出発するとなると、なかなか将来像も描きにくいといいますか、そういう気持ちを持たざるを得ないと思っているわけです。  大臣、この点についての御見解はどうでしょうか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は率直に申し上げまして峰崎委員の言われますとおりだと心配をいたしております。  すなわち、苫東につきましては、ただいま政府委員お話がございましたように、地元の皆さん、おのおのの立場が別々でございますけれども、これはやはり何とかしていきたいという気持ちがかなりはっきりあって、そして債権放棄あるいは新会社への出資等々、基本的には北海道開発庁等々のいわば勧奨もあって進んできておるわけでございますが、ただいま峰崎委員のおっしゃいますように、最後のところがぴちっと決まっていない部分がございます。普通、考えますと、こういう部分はぎりぎりになりませんと決心をしてもらえないということがしばしばございますので、そうであろうかと期待をいたしております。  私の個人的な気持ちをちょっと交えて申しますと、やっぱりこれは何とかしてあげなきゃいけないじゃないか。地元の人も大いにやろうじゃないかということで進んできていると、これは個人的な表現で適当でないかもしれませんが、そういうことでございますので、地元でそれだけの受けて立つ気持ちが結局なかった、あるいは事実としては結実しなかったということにならないことを実は祈っておるわけでございます。  苫東につきましては、それでもこれまで事態が進んでおりますが、むつ小川原の方は、もう少し事態の進行は先ほど政府委員お話のように遅々としております。北海道の場合に比べて、北海道は拓殖銀行を初めいろんなことが最近ございましたけれども、それでもかなりやっていこうという気持ちがはっきりしておりましたが、むつ小川原の方はそこがもう一つ分明でありませんで、地方の経済団体は何とか支援したいということを私のところへ何度も言ってきておられるのですが、なかなか具体的に全部がまとまっていくという見通しが今のところ立っておりません。  こういうことは、やっぱり地元が将来に向かって希望を持ってやろうということで支援のしがいのあることでございますから、その部分が欠けますと、外からだけひとつおやりなさい、ぜひぜひと言ってやるような種類の仕事ではないと言わざるを得なくなります。まだ時間もございますので、むつ小川原についても何とか話が先へ進んでいって、そうしてその上で北東公庫もある意味で損失を覚悟しなければならないかと。むつ小川原の方は実は非常にまだまだ憂慮される現状だと考えております。
  29. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大蔵大臣は時間が来ましたらもう退席なさって結構でございます。  この問題は、先ほど開発庁の政府委員からお話があったように、道庁なり地元経済界、それから地元関係市町村は大変熱意を持っております。私のところにも本当に足しげくあるいは電話ででも、何とかこの苫東をきちっとさせていきたいという思いが地元経済界は非常に強いというふうに私自身も見ているんです。  問題は、それ以外の民間金融機関というのは、これは北海道ではなくて恐らく中央銀行とかあるいは生命保険会社、損害保険会社等の金融機関だと思いますが、会社の発足を七月末というふうにおっしゃっているんですが、この合意が得られない場合はその設立は先に延びるんでしょうか、それとも新しくまた何かそこで決まっていくんでしょうか。その点、地元では大変心配しています。何とか新しい会社を設立してもらいたいものだという気持ちが非常に強いわけです。この点は後で来られるので大臣にもお聞きしたいと思いますが、今の段階で全くそういうことは想定していないのだろう、努力途中なんだろうと思いますが、その点はどのようにお考えになっているのか、開発庁にお聞きしておきたいと思います。
  30. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 債権者であります民間金融機関各行に対しましては、この新会社を通じた債務処理スキームにつきまして、予算要求をいたします前の昨年の八月以来何回も何回も繰り返し処理の仕組み、考え方、利害得失等につきまして説明をしてまいってきております。各行各社一行も抜けることなく真剣にこの問題について御検討をいただいております。  今、各行各社とも最終的な詰めの段階に入っているというふうに私ども状況認識しておりまして、何とか七月末の新会社設立に向けて、その前にできるだけ速やかに各行各社との合意が得られますように引き続き努力をしてまいりたいと思います。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 政府委員の答えでは先に進まないということがわかりましたので、また大臣が来られたときに同じ趣旨お話ししたいと思います。  今現在、中央省庁統合問題が衆議院の特別委員会審議をされて、今度は開発庁と国土庁はともに国土交通省に統合されて、ある意味では巨大な官庁が成立をするわけであります。ただでさえ、我々、この国会審議という卑近な例を取り上げてみてもなかなか大臣をとってくるのが大変だということになるわけですが、今度財務省と共管となると言われているこの苫東むつ小川原という二つのプロジェクトに対する進行管理、一体これは一本のものになるのか、それとも国土交通省の中で二つに分かれていくのか、そこら辺の振興管理というのは一体どのように考えられているのか。  我々からすると、ナショナルプロジェクトですから、そのナショナルプロジェクトを進行管理するという以上は相当高い立場でその議論をしてもらい、しかも進行管理をする必要があるだろうと思いますが、その点、これは省庁の問題に対する専門の事務局がありますね、そこの方から少しお聞きしたいと思います。
  32. 松田隆利

    政府委員(松田隆利君) 峰崎先生の御質問に御答弁申し上げます。  国土交通省につきましては、今回の省庁再編におきまして中央省庁等改革基本法に基づきまして行政目的別にできるだけ大ぐくり再編成をするということで、その一環として国土の総合的、体系的な利用、開発、保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進等を任務とするということで設置することを予定いたしているものでございます。  同省は、北海道開発庁国土庁、運輸省及び建設省の四省庁を母体として設置されるわけでございますが、今問題とされております苫東むつ小川原の開発計画の進行管理責任も当然引き継いでいくことになるわけでございます。  具体的に国土交通省の内部におきましてどのような形でこの業務を担っていくかというのはまだ引き続き検討中でございますが、先ほどこの基本的な国土交通省の設置の理念で申し上げましたように、国土の総合的、体系的な利用等、総合的な観点からこれらの問題も取り扱われていくことになるものと考えております。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のお話を聞いていても、この先本当にこれは北海道の道民や東北地方人たちがこのナショナルプロジェクトについては新しい省庁できちんと責任を持ってやってもらえるんだなという力強い答弁は聞こえなかったわけであります。  一つだけお聞きしておきたいのですが、北海道開発庁というのは農水省も含めて公共事業の一括官庁です。そうすると、国土交通省ともう一つ農水省というのも、実は別の省庁と絡むんですが、この点は今の開発庁の中にある北海道開発局をそのまま機構上は残して、そこが苫東の進行管理に責任を持つ、こういう感じになるんでしょうか。そこら辺はどういうふうに考えておられるんでしょうか。
  34. 松田隆利

    政府委員(松田隆利君) 先ほども答弁申し上げましたように、国土交通省につきましては、北海道開発庁を引き継ぐということになっておりまして、既に内局に北海道局を設ける、それから現地の機構といたしまして北海道開発局を置くことを予定いたしているところでございます。  したがいまして、苫東の問題もこれらの組織でもって引き続き進行管理をしていくということになろうかと存じます。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これも大臣が来られたときにまたそのあたりはしっかりとした答弁をもらいたいなと思っているわけであります。  いよいよこれから審議をするに当たって、後からの質疑に際して重要だと思われる「苫小牧東部地域開発の今後の進め方(案)」と書いてある北海道開発庁の資料がございますが、これは「(案)」がもう取れているのか、それともそのまま「(案)」なのか。日付も入っておりませんが、いわゆる「苫小牧東部地域開発の今後の進め方(案)」というこのぺら二枚の文書はどういう性格のものなんですか、開発庁。
  36. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) いささか経緯を述べさせていただきたいと思いますけれども、一昨年十一月に拓銀が破綻をいたし、その結果として苫東会社が債務不履行に陥り、実質的には破綻状態に至りましたのを受けまして、引き続き未利用広大地であります苫東の土地の開発を進めていくために何らかの対応を講じなければいけないというのが喫緊の課題になったわけでございます。  そこで、昨年の七月末の段階で、北海道開発庁中心となりまして、関係者であります北海道あるいは北東公庫と十分に協議をいたした結果、現在の苫東会社を清算し、新会社の設立によって問題の抜本的解決を図るという結論に達したところでございます。  そこで、新会社の設立ということでありますので、出資者の理解と協力を仰ぐためには、新会社のやるべき事業内容についてもくろみを立てる必要がありましたことから、これも北海道開発庁中心になりまして、地元北海道あるいは北東公庫と十分な協議を行い、事業見通しとしてまとめましたのが「苫小牧東部地域開発の今後の進め方(案)」でございます。  この事業見通しは、行く行くは新会社が発足いたしますと正式に新会社の事業計画になるべきものあるいは事業計画の骨子としての性格を持っておるところでございます。そこで、「(案)」が取れました具体的な事業計画につきましては、現在進められております検討を踏まえまして新会社の設立準備会の中で固められ、出資者代表から成ります新会社の発起人会の中で確立されていくというふうに考えているところでございます。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、出資者の理解、協力を得るための目論見書であり、新会社ができたときの事業計画の骨子なんだという理解ですね。  時間をちょうど区切りますから、区切った後で一つ一つまたお伺いしたいんですが、どうもこの目論見書は衆議院で非常に大ざっぱなものですねということを大蔵大臣がちょっとおっしゃったことがあるんです。後でお話ししますが、一つ一つ実現性といいますか、そういうものを含めて本当に大丈夫かなというようなことが随分出てきているわけでありまして、これがしっかりしていないがゆえにまた出資者の方も新会社にお金を出すことについてはどうかなと、そういうふうに思っている面があるのじゃないかと思うわけであります。  この点はまた後ほど私の時間が来た段階で質疑させていただきたいというふうに思います。最初の質疑はこれで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  38. 平田耕一

    ○平田耕一君 多分、状況から推測しますと、峰崎委員の次の質問まで大臣が不在で、その間、私と金田理事が務めるということだと思いますが、大臣は大体どのぐらいでお戻りになられるか一遍御返答をお願いしたいと思うんです。それまで務めようと思っています。
  39. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  40. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記を起こしてください。
  41. 平田耕一

    ○平田耕一君 まだ開銀法の改正をやって早々でございまして、百四十四回の臨時国会開銀法の一部改正をいたしました。そのときに参議院で附帯決議が何条かございました。「償還確実性の原則の趣旨を踏まえ、これらの機関の健全性の保持に努める」、それから「特に融資の際、事業収益の回復が見込まれない企業に対する運転資金を対象除外とすること。」等、明確に記載がある附帯決議を、全会一致であったかと思いますけれども、やりました。  もちろん対象法案が違いますが、これらの文言がございますので、今回の法律改正につきましてこれらの附帯決議とのかかわりがあるのかないのか、それからどの程度勘案をしておられるか、一遍概況を御説明いただきたいと思います。
  42. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 御指摘のとおり、昨年末の参議院の附帯決議におきまして「償還確実性の原則の趣旨を踏まえ、これらの機関の健全性の保持に努める」というくだりがあるわけでございます。償還確実性の原則は、資金の貸し付け等につきまして、その償還等が確実と見込まれる場合に限り行うことができるとするものでございまして、業務運営の基本的な考え方を原則として記しているものでございます。  償還確実性に関する個別の金融判断につきましてはそれぞれの機関が行うものでございますが、プロジェクト融資の審査に当たりましては、可能な限り関係金融機関との協議等を十分行い、プロジェクトの収益性、償還確実性について十分なチェックを個々に行っていくべきものと考えております。  それから、融資をした後におきましては、引き続き当該貸付会社のモニターチェック等々をきちっと行っていく必要がございまして、私ども開発銀行北東公庫金融機関に対しましてそういう業務の健全性保持に邁進するよう指導をしているところでございます。
  43. 平田耕一

    ○平田耕一君 今一般的にお答えをいただきました。議論になっております苫東会社とむつ小川原の再編について、新会社の、これは苫東ですが、新会社の採算性等の御説明がありました。その辺をもう一度確認しますが、かかわりはございませんか。政策投資銀行が新たにそれを引き継ぐわけですな、出資の形で。その辺につきまして、確実性は訴えておみえになったと思うんですが、整理をしてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
  44. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 新会社につきましては、昨年十二月の閣議了解におきまして、政府といたしましては、我が国に残された貴重な未利用広大地である苫東地域の開発を推進するために、苫東開発会社を清算いたしまして、借入金に依存しない形で土地の一体的確保、造成、分譲を行う新会社を設立するという方針が立てられまして、それに基づいて出資を行うわけでございます。  新会社が御指摘のように十分採算がとれていくためには広大な土地を一体的に活用するということが大事でございまして、政府としても開発庁を中心にどういう形でこの未利用の土地を活用していくかということを検討しているわけでございますが、これを新会社設立後におきましてきちっと推進していくということが最も肝要でございます。  ただ、閣議了解にもございましたが、当面借入金に依存しないでやっていくということが可能でございますし、それから北海道開発庁からも説明がございましたけれども、一定の経常収入が新会社においてございますものですから、一般管理費等につきましてはその範囲で賄えるということでございまして、これ以上赤字が拡大をするということにはなっていないということでございます。
  45. 平田耕一

    ○平田耕一君 そこで、それが経常収支の場合は一般管理費の分は他の収入ということで説明がありましたが、一昨日、参考人質疑の中で土地鑑定価格についていろいろございましたが、スタート後に土地価格が下がった場合には新銀行の資産を欠損するんじゃないんでしょうか。
  46. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 御指摘のように、新会社の株式の価値は専ら新会社の唯一の保有資産であります土地の鑑定価格に大きくリンクしているわけでございます。  私どもとしては、専門家の見地から適正な鑑定結果を得て、その上できちっとした土地の評価を計上してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  47. 平田耕一

    ○平田耕一君 計上していただきました後に下がる場合のことも考えて、いろいろと方策を考えていただきたいというふうに思っております。  それから、私は産業振興、国を成り立たせていくためには絶対に臨海工業地というのは必要だと思っておりまして、これはいかなことがあってもやらなきゃいかぬと思っているんですが、結果的に見て、どうも苫東、むつというプロジェクト北東公庫には大き過ぎた、当初からもっと大きく構えてやる必要があったと。今ここに来て新銀行でそれを見ていくということについては、先ほど峰崎委員質問にもありましたが、北東公庫のカバーする融資先と新銀行融資方針というものは、どうもそこのスタートのときに整理しておかないと無理があるような気がするんです。  何が申し上げたいかといいますと、必要なことは必要なことでやらなきゃいかぬが、北東公庫ではちょっと無理があった、こういう感じがするんですが、どうでしょうか。
  48. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 苫東の開発に対します北東公庫融資につきましては、これが国家的なプロジェクトとして、事業の継続性等につきまして、国が開発を推進しておりますとかそういう関係北東公庫融資に関与することになっておると理解しておりますが、今後、北東公庫開発銀行はこの法案が成立いたしますと政策投資銀行という大きな政策金融機関になるわけでございまして、この新銀行開発銀行から準備金を引き継ぐわけでございます。  したがいまして、新銀行資本金、準備金とを合わせました自己資本というのは相当な額になるわけでございまして、そういう意味で一定のリスクにさらに対応し得る体制になろうかというふうに考えておるところでございます。
  49. 平田耕一

    ○平田耕一君 その準備金なんですが、ちょっと説明いただきたいのは、開銀法では準備金の取り崩しというものに一定の歯どめがかかっておるんだろうというふうに思うんですが、北東公庫の欠損金の償却についてはいろんな解釈をして細則をつくっておられるように思うんです。そこのいきさつというか、スムーズに新政策投資銀行開銀の準備金を取り崩して北東公庫の損金に充てて発足するんだと、そういうところの説明を簡単にお願いしたいと思います。
  50. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 苫東の債権償却等によりまして生じます北東公庫の損失金につきましては、昨年十二月の閣議了解を踏まえまして、新銀行設立の際に処理をするということになっておるわけでございます。それを受けまして、今御審議いただいております法案におきましてこのように規定をしているわけでございます。  つまり、開発銀行から新銀行に承継される準備金から北東公庫の貸借対照表上の損失金額を控除いたします。控除したものを新銀行の準備金とするという手続をとりたいということで、この法案の附則に盛り込んでおるところでございます。
  51. 平田耕一

    ○平田耕一君 わかりました。  それで、冒頭に質問をしました附帯決議、百四十四臨時国会改正しました法律は、要するに開銀が貸し渋り対策に対応してもらいたいという趣旨でやったんですが、これは合併して部分的に準備金を取り崩しますと新銀行の準備金の額が変わるわけであります。簡単に言えば、その分貸し渋っても当然のようなことになってしまうわけなんですが、どの程度の数字をもくろんで、融資方針に影響はないんだとか、あるいはこういう方針でもとの資金を調達したいんだとか、お考えがありましたら、大蔵省開銀サイドかわかりませんが、お考えを述べていただきたいと思うんです。
  52. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 苫東に対する北東公庫の債権の償却に伴います損失の見込額は六百五十五億でございます。したがいまして、この部分が新銀行の準備金から控除されるわけでございます。  その前提で新銀行の財務の状況がどのように見込まれているかということを申し上げますと、まず資本でございますが、資本金と準備金を足したものでございますけれども、これが大体一兆七千九百億円程度に見込まれます。これに対しまして、新銀行設立時におきます出融資残高でございますが、予算ベースの数字でございますけれども、二十二兆七千億強でございます。この資本と出融資残高関係を数字で見ますと、出融資残高は資本の十二・七倍でございます。  これに対しまして、政策投資銀行法案におきましては、現在の開銀法と同様に出融資等の残高資本金と準備金の合計額の十五倍以内にするという与信限度の仕組みが規定されているわけでございますが、簡単に申しますと、資本金と準備金の十五倍までは貸すことが可能であると。それが新銀行設立時点におきましては、損失の控除等を行いました後でも十二・七倍でございますから、まだ相当の余裕があるわけでございまして、そういう意味で新銀行の財務の健全性というのは確保できるというふうに考えておるわけでございます。
  53. 平田耕一

    ○平田耕一君 十四倍ではないんですか、十五倍ですか。
  54. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 十五倍でございます。
  55. 平田耕一

    ○平田耕一君 そうしますと大体一兆円ぐらいになるんですね。一兆円ぐらいの貸出枠ということになるんでしょうか。
  56. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 一兆円と申しますのは損失見込み額の十五倍ということでございます。数字の上でそういう計算をすればそういうことになろうかと思われます。
  57. 平田耕一

    ○平田耕一君 まだ枠があるということなんですが、できるだけ臨時的に、まだまだいろんな金融状況に対応しなければいかぬと思いますので、政府出資ということもぜひともひとつ前向きにお取り組みいただいて、前広に運用していっていただきたいというふうに希望いたします。  そこで、峰崎委員質問と重複しますけれども、先ほど北東公庫融資方針についてちょっと言及なさったんですが、新銀行融資方針というものが、近い将来の姿というものが見えにくくなってまいりました。いずれにしたって投融資計画をつくっていただかなきゃいかぬのですが、基本的な指針あるいはまたそのもとになるようなお考えでも述べていただければと思います。
  58. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 政策投資銀行は、この法案の中に規定をしておりますけれども経済社会の活力の向上及び持続的発展という目的、それから二番目には豊かな国民生活の実現、三番目には地域経済の自立的な発展に寄与するということでございまして、業務におきましても、こういう観点からこういう三つの目的を達成するように業務を行ってまいるわけでございます。そういう目的を民業の補完、それから民業との競争禁止という大きな枠組みの中で達成をしていくということでございまして、新銀行設立されますと、そういう業務の方針を中期的な指針といたしまして作成し、それに基づいて新銀行業務を行ってもらうというような形になろうかと思います。
  59. 平田耕一

    ○平田耕一君 それで結構です。  これはお答えをしていただく方が見えているかどうかわかりませんが、苫東は臨海工業地帯として非常にいい立地だなと思うんです。むつ小川原の場合はちょっと無理があるような、後背地の消費地も少ないし、町づくりなんかも多少無理をして地元と違和感があるんじゃないかなという気がするんですけれども、そのことについては御答弁していただく方は見えていますか。
  60. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) むつ小川原関係は、中心国土庁でございますけれども、開発面積が大体三千ヘクタール弱でございまして、未分譲の土地が千八百ヘクタールぐらいあるわけでございます。今のところ、日本原燃でありますとか、東北電力でありますとか、石油備蓄の関係等の企業が進出をしているわけでございまして、今後につきましても、国土庁中心といたしまして、関係の地方公共団体あるいは民間企業等々と有効な開発の計画を立ててまいりたい、その開発につきまして政府としても支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  61. 平田耕一

    ○平田耕一君 いずれにしても、北海道あるいは東北にとって大変重要な生産拠点になるだろう、あるいは物流拠点になるだろうというふうに思っています。その最初の目的を達成するために、多少のことがありましてもより具体的な目に見える形の政策というものをきちんと遂行していって、金融上のいろんな場面というのは時代時代にあると思いますけれども、どんな形ででも乗り切って、具体的なもので国づくりに資してほしいなというふうに希望を申し上げまして、若干早いんですが、あとは金田理事が引き受けてくれると思いますので、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  62. 金田勝年

    ○金田勝年君 限られた時間でありますので、私の方からは、今回の開発銀行北東公庫統合によりまして日本政策投資銀行ができるに当たりまして、この参議院で二日にわたる審議でございますけれども、先ほど北海道の代表として峰崎委員が御質問されたことと多少重複するところがあると思うんですが、私も東北の代表として重ねて互角に質問させていただきたいことがあるわけでありまして、それを中心に行わせていただきたいと思う次第であります。  まず初めに、開銀北東公庫でございますが、政府関係金融機関としまして、本来の融資というものに加えて、去年の十二月に当委員会におきまして法案を出して、このメンバーで審議させていただいて、そして法律の成立を見たわけでございます。  長期運転資金あるいは社債償還資金等の融資制度というものを導入いたしまして、現下の経済情勢、貸し渋りに対する対策を開銀北東公庫両方でできるようにしたという、つい半年前の経緯があるわけでございます。これについては、平成九年十一月には緊急経済対策をとって、既に金融環境変化対応融資制度というものを現行法内で創設した。それに加えて去年の十二月の措置をとったということで、政府系の金融機関もあらゆる手段を講じて貸し渋り対策を講じてきた、そういう経緯があるわけであります。  これは十二年度末までの臨時特例の措置ということにはなっているんですけれども、こうした貸し渋り対策というものを政府関係金融機関が一生懸命やっているんだということについてはやはり世間にしっかりとPRをして、そして気分を明るくしてあげるということも必要なんじゃないか、こういうふうに思うんです。  時間の関係もございますので、一言で結構でございますが、代表して小粥総裁にお聞きしたいと思います。その現状と評価を簡単にお願いします。
  63. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 本委員会において、昨年十二月に開銀及び北東公庫法を改正していただきまして、ただいまお示しの民間の貸し渋り対策にいわば異例の体制で取り組むことになったわけでございますが、その取り組み方と実績につきましてなるべく簡単に御報告をさせていただきます。  私どもは、法改正趣旨を十分に踏まえまして、健全な企業への資金供給の一層の円滑化を行うべく、制度の積極的な広報、窓口における適切、弾力的な対応、行内審査体制の整備等を行ってまいりました。  その結果でございますが、貸し渋り対策は、ただいま金田委員も御指摘のように、法改正の前から約一年取り組んでまいったわけでございますけれども、まず平成十年度の開銀融資等全体の実績で簡潔に申し上げますと、件数が千五百六十七件、これは前年度比三一%の伸びでございます。金額は二兆六千百八十四億円、前年度比三八%増でありまして、この数字だけを申し上げましても相当な実績であると私どもは考えております。  特に法改正をしていただきました昨年十二月から本年三月までの四カ月間、いわゆる貸し渋り現象が年末及び年度末にかけまして非常に厳しい状況にあったということは御高承のとおりでございますけれども、その四カ月間に限りまして開銀全体の融資等実績を申し上げますと、件数では八百八十四件、前年度比三二%増、金額は特に大きゅうございまして一兆七千三百七億円、前年度比七二%の増でございます。そのうち金融環境対応融資に限りましても、その実績だけでも三百十八件、約九千三百億円でございまして、年末、年度末の民間の貸し渋りによる厳しい切実な資金需要に私どもとしては何とか十分な対応が図られたものと考えている次第でございます。  改正項目である長期運転資金あるいは社債償還資金融資額の内容につきましてはさらにお尋ねがあればお答え申し上げますけれども、いずれにいたしましてもせっかく改正をしていただきまして、開銀としても従来はニーズがあっても取り組めなかった新しい分野にも十分に対応させていただいたつもりでございます。先ほど御指摘がございましたように、この特別措置平成十二年度末までと期間が限定をされておりますけれども、私どもは今後とも貸し渋り対策の趣旨を十分踏まえまして、健全な中堅企業等により円滑な資金供給を図るべく十分の対応を行ってまいる所存でございます。
  64. 金田勝年

    ○金田勝年君 今、開銀総裁からお話があったわけですが、北東公庫も同じ状況で伸びておるというふうに聞いておるわけでございます。いずれにしても、十二年度末までの臨時措置とはいえ、やはりこうした貸し渋り対策をしっかりと実施していくことも大事である、これを明るい材料として堂々とPRして頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  続いて、政策投資銀行として三本の柱を掲げておられる。これは目的規定にも出てくるわけでございますが、自立型地域創造、豊かな生活創造、経済活力創造の三分野であると。具体的な融資方針といいますか、あるいは業務方針といいますか、そういうものについては御検討をこれから重ねられることとは思いますけれども、具体的にどのような業務内容を描いておられるのか、それを簡単に御説明願いたいと思います。
  65. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 新銀行としての方針でございますが、便宜、私から申し上げますと、お尋ねの具体的な内容は、もちろん国がお決めになる中期政策方針、そしてさらに毎年度それをブレークダウンいたしまして投融資指針に書き込まれるわけでございます。  とりあえず私どもの考え方を申し上げますと、三つの分野を御指摘いただきましたが、初めの自立型地域創造につきましては、地域の社会基盤の充実、活力の創造を図る上で、特に具体的に申しますと、地域の拠点となる町づくりやそれぞれの地域地場産業の高度化、活性化が大変重要だと考えております。それから、諸条件が不利な地域を初めとします各地域におきまして、現在、特に重要な政策課題となっております雇用創出につながる新規事業を支援していく方針でございます。  それから、豊かな生活創造、この分野につきましては、持続可能な経済発展の実現を目指しますとともに、特に高齢化社会への対応を踏まえまして、具体的に申し上げますと、環境対策あるいは防災、福祉対策がこれから特に重要になってくるものと考えております。また、この関連では、交通・物流ネットワークの整備あるいは情報通信ネットワーク等のいわゆる生活インフラの整備に重点的に取り組むべきものと、このように考えております。  三つ目の経済活力創造でございますけれども我が国経済の構造改革を進めます上でも、新規事業の支援とともに既存産業の事業革新が大変重要と考えておりまして、そうした取り組みを金融手段によって支援していく方針でございます。  なお、つけ加えますと、これらの業務は当然のことながら民間金融機関等との協調体制、役割分担に留意をして、民間との競争ではなく提携を深めてまいりたいと考えております。また、単に金融手段による貢献だけではありませんで、プロジェクトの立ち上がり段階から積極的に関与いたしまして、アドバイス、コンサルティングにこれまで以上に力を注いでまいりたい。また、我々の培ってまいりました事業審査のノウハウを生かしまして、新しい金融手法である例えばプロジェクトファイナンス等の分野につきましてもより積極的に研究し、そして実務への展開を図ってまいりたいと考えております。
  66. 金田勝年

    ○金田勝年君 そういう業務内容の中でしっかりと私どももその方向を具体的にまたフォローしていきたい、こういうふうに思うんです。  さて、私は東北代表としてと先ほど申し上げた内容に時間の関係で移らせていただきますが、今お見えになりましたので大蔵大臣にお聞きしたいと思います。  大蔵大臣は四月二十一日の衆議院の大蔵委員会で、「北東公庫が達成しようとしていまだ達成していない使命について十分に重点を置いて考えてもらわなければならない」と、非常に心強い御発言をいただいておるわけであります。東北、北海道での地域開発役割あるいは機能というものを新銀行の中に確実に継承していくべきだということを私どもは考えておりまして、新銀行については北東公庫使命を重点に考えていかなければいけない、あるいは北東公庫が両地域でなじんできた姿は大事にしていくつもりだというふうな御配慮ある大蔵大臣のお言葉をいただいておるわけです。  これに関しまして、私どもは去年の暮れから、自由民主党の東北ブロック両院協議会というのがございまして、その中で東北の現状といいますか、経済あるいは金融情勢の厳しさ、おくれがちな地域発展北東公庫が大きな役割を果たしてきたこれまでの経緯というものを踏まえて、その役割が後退するようなことがあっては地域に与える不安と影響というものは大きいわけでございますから、しっかりと新銀行において、北東公庫が果たすべき役割あるいは期待というものが高まっている現状を踏まえてやっていただきたい、こういうふうに申し上げてきたわけであります。  それに対しまして、予算参考資料におきまして資金量の確保ということで出てまいりますが、先ほど大臣もおっしゃっておりました北東公庫の貸し付け千四百九十七億五千万、そして地域整備を重視した組織体制の整備ということで北東公庫の支店、事務所、店舗網の継承というものも決めていただき、そしてまた北海道東北地域担当部というものを設けていただいたわけでございます。行革の精神にはしっかりと対応しておられて、全体として見れば両方銀行開銀公庫合わせて合計で三十の部と六の室があったのが二十八の部と四の室ということでそれぞれ二つずつ減らしておる。本部の組織の合理化を図りつつ、そういう御努力をしていただいたという点については私どもも非常に多として、その努力には敬意を表しておるわけなのでございます。  そもそも平成九年九月の閣議決定「特殊法人等の整理合理化について」の中で、今回の新銀行につきましては、業務分野について、北東公庫融資が対象としてきた地域整備関連分野に重点を置くということをしっかりと明記されておりますし、また新銀行業務におきまして、従来、北東公庫の対象であった分野への金融が十全に確保されるための措置を講じるという閣議決定文があるわけであります。  そういう状況の中で、先ほど申し上げました四月二十一日の大蔵委員会大蔵大臣がおっしゃった、そしてきょうも峰崎委員の問いに対しておっしゃっていただいた、そういう北東公庫役割あるいは使命の達成が今後とも引き続き重要だという視点、こういうものを踏まえていただいて、新銀行のあり方の中で、先ほど三本柱の業務内容を今後方針をつくってしっかり決めていくということなんですけれども、それを位置づけていっていただきたい、こういう思いを持つわけでございますが、大蔵大臣の御決意、考えを教えていただければありがたいと存じます。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、北東公庫が誕生いたしましたとき、北海道が先にできまして、すぐ東北が後に加わったことをよく記憶いたしております。今日までの経過を顧みまして、北東公庫地元の人々からも大変に愛され、また地元のために非常にいい仕事をしてこられたと思っております。これをつくったことは十分に意味があったと思います。  今日になりまして、それがもう入り用でなくなったかということになりますと、遺憾ながら北海道はまたこういう新しいいろいろな問題に遭遇をして非常な苦しみをしておられますし、東北自身、昔とは随分違いましたけれども、やっぱり北東公庫といろいろ相談をしながら新しい企業をつくるとか、新しいことを考えていくという、北東公庫というのがある意味でその地域のカウンセラーになっているような感じがございますので、両地域についての使命は終わっていないというふうに考えております。  今回、国のスリム化のためにこういう両者を一緒にする新銀行をつくることになりましたが、ただいま金田委員の仰せられましたように、その中に北東公庫仕事が埋没しないような考慮は十分に加えております。かたがた、本来、開発銀行は地方融資のデパートメントを持っておりましたものですから、全く異質なものができ上がるわけではありませんで、その中で北海道、東北が重点を置いた対象になる、こういうことであると思います。また、そのように新銀行が運営されなければならないというふうに考えております。
  68. 金田勝年

    ○金田勝年君 非常に心強い大臣答弁であるということで、新銀行のあり方の中で、これまでの地域開発あるいは地域支援機能北東公庫使命というものを十分位置づけていっていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、申し上げるまでもないことではございますが、今の大臣お話に関連しまして、北東公庫機能を継承しました場合に、日本政策投資銀行地域のニーズにこれまでどおりこたえられるように、そしてまた北東公庫の対象でありました分野開銀とは総合政策金融機関という意味におきましては同じ機関であっても、やはり北海道東北地域地場産業中心融資するといったような、開銀とは異なった使命を持った機関であったということ、こういうことを踏まえたときに、決して北東公庫の対象であった分野が不利に扱われることのないようにしていただきたいと思うわけでございます。  開銀総裁、そして北東公庫総裁からもこれからのそういう考え方につきまして一言お聞かせいただきたいと思う次第であります。
  69. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) ただいまお尋ねの件につきましては、先ほど大臣からまことに適切、御懇切な御答弁がございました。  私ども大臣の御答弁趣旨を体し、そしてまた金田委員の大変適切な御示唆、御意見を踏まえまして、先ほど御引用になりました閣議決定趣旨が十分生かされますように、新銀行に移行いたしましても全力を挙げて対応させていただきたいと考えております。
  70. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) 北海道東北地方の面積は全国の四三%、経済規模は例えば圏内の総生産額で見まして一二・五%、金融の面で見ますと預金が九・九%、貸し出しが七・七%という数字でございます。この数字が物語っている一つの姿がございます。  ただ、こうした北東公庫が抱えておりました地域の事情というのは今や理解していただき、予算などにおきましても適切な措置が講ぜられた。北東地域の方々はそれを承知しておられます。北東地域の方々の声に対する答えとして受け取っておられるように思います。  この上は、北東公庫開銀を、先ほど小粥総裁からのお話にもございましたように、互いに融合して一つになりまして、それぞれの持っておりましたノウハウなり情報なりをあわせて活用することによりまして、今までよりも高いサービスのレベルというもので北東地域の人々の期待にこたえたいというのが正直なところでございます。  さらに、もう一言申させていただくことが許されるならば、私どもといたしましては、この北東地域で培ってまいりましたもの、あるいは北東地域の人々から教えられたものを他の地域にも全国的に展開していきたい、全国とのつながりあるいは国際的なつながりの中へ北東地域の方々を導いていくことの何かの助けができればという希望も感じております。
  71. 金田勝年

    ○金田勝年君 両総裁の決意をお聞きしたわけでございます。  時間も限られていますので、例えば資金量の確保ということでこの予算参考資料を拝見しますと、日本政策投資銀行十一年度後半期の事業計画、資金計画があるわけですが、北東公庫業務には千四百九十七億五千万とあり、そして自立型地域創造という形でまいりますと地域開発になるんでしょうけれども、これが二千五百五億とある。そしてそのほかに、豊かな生活創造、経済活力創造とあって、全部合わせると一兆四千五百七十七億とあるわけでございます。  要するに、どういう対応関係にあるのか、あるいはこれから十二年度以降はどうしていくのか、いろんな問題があるわけでございますから、そういうことも含めて、今限られた時間で申し上げた趣旨をぜひ体していただいて、今後とも両機関の使命というものを引き続き重要に位置づけて、そして新銀行のあり方の中でしっかりと対応していっていただきたいというふうに思うわけであります。  そう申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  よろしくお願いします。
  72. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 午前中の二回目の質問ということになるわけです。  先ほど開発庁の方から苫小牧東部地域における各種プロジェクトということで、これから出資者の理解、協力を得るための目論見書、あるいは新会社ができたときの事業計画、こういうふうにおっしゃっています。この中身については、二枚目のところに移っていきますと、防災危機管理施設をつくります、面積は三十ヘクタール要りますとか、あるいは公的試験研究等の施設をつくります、百四十ヘクタール、国際物流ゾーンが百五十ヘクタール、資源リサイクル施設、これは百三十ヘクタール、大型実証実験施設、ITERと書いてありますが、四百ヘクタール、あるいは都市開発で鉄道車両工場の移転と、こう書いてあります。こういうものについてはまだ「関係省庁の了解を得たものではない。」となっておるんですが、いつの時点でこの中身については関係省庁の了解を得る予定なんですか。
  73. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 御指摘の事業計画、特に掲げられております七つのプロジェクトはいずれも多かれ少なかれ公的プロジェクトの性格を帯びたものでございます。  御質問は、この計画についていつの時点で関係省庁の了解を得るかというお話でございますけれども、この公的プロジェクトの中には国が予算措置をしていかなければいけない性格のものもございますし、あるいは地元公共団体、北海道、苫小牧市等々で予算措置をしていかなければならないものもございます。具体的には、それぞれの予算を要求してまいる段階で関係省庁の了解を得てまいるべき性格のものだというふうに考えております。
  74. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、まだまだこれは実現性とかそういった点については全く展望のないものだということですね。それを目論見書にして、ある意味では新会社の骨子にしますというふうに言われたのでは、新会社にとってもこんなものでやるというのは本当に失礼な話だなというふうに思うわけです。中には、ITERのように苫東だけではなくてむつ小川原の方でも要求しているという競合関係なんかも入って、内容的にまだまだ問題があるなと思うんです。  この中には地元経済界の人たちが非常に熱心にやっている運動が取り上げられている項目が私はあるように思うんです。地元経済界の方々は、例えば資源リサイクルの問題だとか国際物流ゾーンの問題等については熱心です、ITERももちろん要求されていますけれども。  もう一つ、開発庁にお聞きするのがいいのかどうかわからないんですが、むつ小川原には二十一世紀プラン委員会というのができているそうです、京都大学の佐和隆光さんが中心になって。そこで、「むつ小川原・二十一世紀プラン市民提案懸賞論文作品集」、九八年十一月に日本全国の市民の皆さんにむつ小川原をどうしたらいいでしょうかという懸賞論文を募集された。率直に言って、苫東の方はいろんなところからいろんな案が出ていますよということなのかもしれませんが、私は、後で述べますけれども苫東というのはやっぱり日本国内の苫東と考えるべきではなくて、世界、とりわけ北東アジア、アジア全体でも構わないんですが、そこの中における位置づけをきちんとした方がいいという観点から申し上げます。  これはどこにお願いをしたらいいのか。計画管理、計画の責任という点ではまた開発庁になって、また余りいい答弁が出てこないので困っているんですが、国際的なコンペをやったらどうですか、そういう意味で。世界の人たちに、インターネットで、今さまざまな国際的な研究機関もあるでしょうし、この種のプロジェクトについてのさまざまなノウハウを持ったところもあるでしょうから、もう一回きちんとこの北海道苫東をどうするんだと、アジアの中でどう使ったらいいんだろうかと。  私は、むしろアジアの皆さん方にあるいは世界の皆さんに苫東をどうぞ使ってください、これぐらいの気持ちを、これから国策として五十年、百年先を見て進めていこうとしているわけでありますから、そういう観点を持っていただきたいなということを最初にお願いをしておきたいと思います。これはまた大臣が来られたら答弁いただきたいと思います。  そこで、通産省にちょっとお伺いするわけですが、北海道地元で今経済界の方々が各地域ごとに非常に熱心に産業クラスター運動というのに取り組まれているわけです。最初聞いたとき、産業クラスターって何だろうなと思ったんです。マイケル・ポーターさん、「競争優位の戦略」という本を出されているそうですが、このマイケル・ポーターさんが言い始めたらしいんです。産業クラスターといって、非常に核になる産業があってその周りにブドウの房状に何か関連する産業がついてくる、そういう中身なんだそうでありますが、この産業クラスターという運動について通産省の方ではどのように評価をされているのか、この点をまずお聞きしてみたいと思います。
  75. 太田信一郎

    政府委員太田信一郎君) 峰崎先生の御質問にお答えいたします。  今お話がありましたように、北海道経済界が中心となりまして、地域産業をプロデュース、生んでいくという新しい認識のもとで、地域の特性を生かした産業集積に着目して、食、住、遊に関連した産業分野中心とした産業クラスター、クラスターは集積とか群れとかいうことだと思いますが、の創造を推進していることを私ども承知しているところでございます。  私ども通産省といたしましても、かねてから地域が自発的な創意工夫のもと、産業集積、技術だとか情報だとか人材が本当に集まっておりますから、そういう有する機能に着目しつつ、地域に固有の産業資源を有効に活用した地域産業の自立的な発展が大事だと思って促進してきております。そのような意味で、北海道における産業クラスター構想、三、四年前から始まったと聞いておりますが、高く評価して支援を行ってきているところでございます。  具体的には、私ども北海道の通産局を中心として、産学の連携を促すためのコーディネート活動事業とか、あるいは産学官のコンソーシアムによる研究開発プロジェクトの推進等を通じてこの構想の実現に向けて支援を行ってきたところでございます。  もう一つつけ加えさせていただきますと、昨年の臨時国会で成立させていただきました新事業創出促進法という法律がございます。これは都道府県がイニシアチブを発揮して、基本構想をつくっていただきます。その中で地域の特性に応じた重点分野を設定していただきまして、さまざまな産業集積とか研究集積をいわば苗床として活用して、それだけではなくて、今度は支援する体制として研究開発から事業化に至るまで総合的に支援する、これは私どもの言葉で地域プラットホームと呼んでおりますが、そういうものを整備することで新しい産業を興していくという仕組みを用意させていただきました。まさに産業クラスター構想と軌を一にするものと考えております。  いずれにしても、私どもとしては、先ほど申しました支援事業に加えて、こういう新しい法律が成立いたしましたので、北海道庁あるいは関係の皆様方とよく相談しながらさらにこの構想の実現に向けて支援を行っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  76. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大変力強いお話を聞いていて、北海道開発庁さんも十三省庁を取りまとめていらっしゃるんでしょうが、そういう地元の努力、そしてそれを通産省も応援しようとしている、そういうものの中にこの苫東開発における未来のシーズはないのかと、こういう前向きな発想が出てこないものかなということをつくづく感ずるわけでございます。  今のお話を聞いていて、本当に通産省が十三省庁の取りまとめ役をやっていただいたら、もしかしたらもっと経済発展するんじゃないかなというふうに思ったぐらいなんですが、そのことは別にしても、その十三省庁が国策として進めていこうとしているわけですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  今、産業クラスターという問題について出ました。そこで、北東公庫総裁にお聞きしたいんですが、北東公庫はまさにこういう産業クラスター運動に着目をされて、特に今言われた食、遊、住、食べる、遊ぶ、それから住まいですね。特に北海道で一番私驚いたのは、最新のデータで北海道の最大の産業は何だといったら、人によっては公共事業だと言う人がいるんですが、これはちょっと別にいたしまして、一番大きいのはやはり農業だろうと思ったら、農業よりも観光業の方が大きいんですね。遊ぶというのはまさに観光業なんかも含まれて、これから二十一世紀大変注目をすべき問題だと思うんですが、そういう観光業に対して、これまでそういう新しい産業クラスター運動に対して北東公庫は非常に大きな役割を果たしているというふうに聞いているんです。  その点、濱本総裁、もしこの場で何か特徴的に報告をされるようなことがあったら報告していただきたいと思います。
  77. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) 観光のことについてお触れいただきました。私は、北海道の観光産業が今日の状態になりましたことにつきましては北東公庫の関与がある、かように考えております。  北海道には自然環境の比較優位がございますし、それから産業の変遷、特に特定の産業が衰退をいたしましたときに、そのかわりの産業が必要にされた時期がございまして、そういったときにこの観光の論議というのは自然に起こってきたというふうに思います。今、平成八年度のデータかと存じますけれども、旅館の客室数というのは都道府県別で見ますと全国一位だと思います。  北海道のそういう状況の背後には、ただいま申し上げましたように、北海道の苦悩がございまして、先日もちょっと申し上げましたが、例えば函館が大変窮地に陥りましたときに函館山にロープウエーをつくって函館を再生させる、あるいは釧路にフィッシャーマンズワーフを設ける。これらの事業というのはそれぞれそう簡単な事業ではなくて、大変な苦悩と多くの人たちの努力に支えられているわけでございますけれども、前進してまいっております。  これから後の観光事業というものを考えたときに我々が学ぶべきものは何だろうか。これにつきましてもいろいろな方々の意見を伺っておりますけれども、よその国のいろんな状況からしまして、やはり何か基軸になるものが一つそこに加わることによって観光政策の展開が全然変わってくる、こういうことをお示しくださる方が多うございます。それがどういう軸であるのか。さっき峰崎先生お話しになりました国際的な広がりを持った機関であるとか、あるいは非常に強力な研究施設の集積であるとか、何かそういうものと観光政策が結合してくるということが必要なんだというような意見も伺っております。  いずれにいたしましても、開発銀行統合される暁におきましては、北東公庫がこれまで培ってまいりました地元での旅館ホテル業の中にございますもてなしとか、しつらえ、そういう力量と開発銀行の大きな力量とを結合させまして、この観光事業というものも、これに代替する産業北海道にあらわれますまでは大きな意義を持つものとして育つことを期待したいというふうに思っております。
  78. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これからお話ししようかなと思っていたことを先に答弁されたようなところがあるんですが、私が今なぜ濱本総裁にそういうお話をしたかというと、函館山ロープウエーの搭乗実績がロープウエーでは日本で一番搭乗率が高い。そこにいろんな融資をしたり、アドバイスをしたり、あるいは釧路のフッシャーマンズワーフ、経営的には一時期ちょっと傾いていましたけれども北海道はそれほど完全にうまくいっているわけではないんですが、そういう中でもやはりそういう努力をしている。ですから、次の新銀行でそういう機能ノウハウをぜひ生かしていただきたいということで申し上げたわけであります。  今、観光ということを取り上げましたけれども、実はアジアの問題、アジアにおける苫東あるいは北海道というふうに私どもは考えなきゃいけないのじゃないかと思っているわけであります。  と申しますのは、これは実は宮澤大蔵大臣にお聞きしたかった点なんですが、先日たしかAPECで新宮澤構想という、アジアの金融危機の問題等についてアジアで解決できる新しい仕組みをつくろう、そういう提起をなさいました。私はきょうは余り長くそのこと自体を議論するわけじゃないんですが、これから日本がグローバル化している世界の中でアジアというリージョンを非常に重視していく必要があるのではないかなと思っているんです。  と申しますのは、アメリカはNAFTAという形での統一が進んでいる。EUはもう御存じのように将来は一つのヨーロッパ合衆国になるのかなと思うような勢いで進んでいる。そうすると、我が日本が、人口がこれからも減っていこうとするときに、これから経済なり社会なりを発展させようと考えるときに、アジアという領域を一つの大きな役割にしながらグローバル化した世界戦略というものを組み立てていく必要があるのかなと。そんな思いで実は先日の新宮澤構想というものを見ておったわけでありますが、その点について宮澤大蔵大臣に、その考え方の背景みたいなものがもしあれば先にお聞きしておきたいと思います。
  79. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 北海道の将来について私も随分長いこと地元の方々ともいろいろ議論をしてまいりましたが、やはりあれだけの土地を持っておるし、それから航空によるアクセスというのは非常に容易であるしといったようないろいろメリットがございます。  したがって、ただいま峰崎委員の言われましたように、それは観光のお話から出たことでしたが、国内だけを相手にするのでなく、アジアを相手にいたしますと、東京までの飛行距離プラス一時間でございますし、殊に熱帯あるいは亜熱帯の人々には北海道のクライメットというのは非常に魅力があるということもたくさんの人が申します。ですから、そういうことが将来いろいろ考えられないのか。それは観光ばかりでなく、あるいは医療なんということもあるかもしれませんけれども、そういうベースで考えるということは大事なことではないかと思います。  今、日本とアジアの国々で一番のそういう結びつきが実はディズニーランドでございますけれども、何かそういったような東南アジアの人々がやがて正常になってある程度の金を持っている、アメリカに行くのもいいんですが、北海道というのは一種の違うクライメットなところだということで、そういうふうなことも大事なこととして私は考えていくべきではないかというふうにかねて思っております。
  80. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大変また御助言をいただいたわけですが、実はその観光を考えたときに、東京には、千葉にはディズニーランドがあってアジアの人が来ます。  先日、台湾に行ったときに、北海道の魅力というのは雪祭りとか雪とか、やっぱり寒冷地、亜寒帯の問題について非常に関心があるということを聞いたんです。  実は観光ということを考えたときに、北海道を見たとき、よく新聞の広告などに、スキーで二泊三日、三万九千八百円、飛行機代、旅館代込みで、しかも朝食と何かがついている。よくこんな料金でやっていけるなと思うぐらい格安で済むわけですね。稚内市では一時期は東京から来たお客さんにはカニをただで五千円分出しますとか、大変なことをやっているんです。  私は安さとかそういうものでお客を誘致するというか、たくさん来てもらうというのも確かに一つの方法だと思うんですが、これから恐らく日本という国がそういう価格面での安さだけで勝負していけるんではなくて、ディズニーランドに行ったら、世界でもすぐれた遊び場がある、あるいは見るところがあるというアミューズメントセンターになっているんだと思うんですが、北海道で発信しなければいけないのは、苫東に誘致をされるということの関連で言えば、アジアにおけるこれから二十一世紀が抱えるさまざまな課題の研究施設といったようなものが考えられないかなというふうに思っております。  これは将来的には国連のアジア太平洋本部といいますか、そういうものになっていけばいいなというふうに思っているところがあるわけですが、そのことは将来の問題としても、戦略目標として、二十一世紀にはエネルギー、食糧、それから環境、私はアジアにおいてはこの三つの問題が、もちろんまだたくさんあると思うのでありますが、大変大きな問題になってくるのではないかというふうにいろんなものから感じているわけであります。  そこで、まずエネルギーのところから通産省にお聞きをしたいわけでありますが、これからのエネルギー需給、とりわけお隣の中国を初めとするアジアの経済発展が進むときに、これから二十一世紀の初頭にどのような問題が出てくるんだろうかということについて、お伺いしたいと思います。
  81. 日下一正

    説明員(日下一正君) アジアのエネルギーの状況でございます。  御承知のように、日本自身は一昨年末の地球温暖化防止京都会議、いわゆるCOP3の会議を踏まえまして、昨年六月に長期のエネルギー需給見通しの改定が行われたところでございます。  日本自身をとりましても、自然体でございますと年平均一%強の増加を二〇一〇年まで続けまして、かなりのエネルギー消費になるところでございますが、日本につきましては、エネルギーの安定供給の確保とか経済成長、環境保全、こういういわゆる三つのEの同時達成ということで対策を講じまして、最終的なエネルギー消費をほぼ横ばいに抑えようという見通し、政策目標がつくられているところでございます。  しかし、先生指摘になられましたように、アジア全体に目を転じますと、国際エネルギー機関、IEAという機関がございますが、これが昨年十一月に発表しました世界エネルギー展望という最新のものがございます。これは日本を除くアジアでございますが、これには、一九九五年から二〇一〇年にかけて八四%需要がふえる、つまり一・八倍になる、さらには二〇二〇年にかけては一五四%増加する、つまり二・五倍になると予測されております。特に近隣の中国におきましては、九五年から二〇一〇年までで八割増、二〇二〇年にかけて一四三%増、二・四倍というような見通しがなされているところでございます。
  82. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 数字を聞いただけで、一体どうなるのか、あるいは問題点はどこにあるのかなというのがまだよくわからない、想像できないわけでありますが、いずれにしてもこのエネルギーは将来的に見て非常に大きな問題だし、またこれは環境とも絡んで、原子力発電だとかさまざまな問題が出てくると思うんです。  そういう意味で、これからはもう質問というよりも私自身意見なんですが、そういうIEAだとかあるいは原子力の問題、これはむつ小川原関係するところかもしれませんが、IAEA、国際原子力機関、そういったところの問題は、アジアにおける問題をどこかで調査研究し、そしてアジアの国々の人たちがその問題で会議をするときはそこに集まってくる、そういう場を日本で積極的に用意して、日本を大いに使ってくださいと。これは食糧も同じだというふうに思っているんです。  先日、NHKテレビで特集しておりましたが、「一頭の牛が食卓を変えた」という、あれを見たときに、お隣の中国は日本と同じような食生活を営み始めた、牛肉を食べるようになった、そうすると純輸入国になってくる。こういう動きがどんどん出てくると、二十一世紀は、エネルギーもそうでありますが、食糧事情は大丈夫なのだろうかなと思うんです。  FAOというのがローマにございますが、アジアにおいては一体どういう問題があるのか、そういう調査をし研究をするような、そしてアジアの国々の人が一堂に会して、そういう問題点についてはそこに行けばわかるという、そういう二十一世紀に抱えるであろう困難、環境問題もそうだろうと思いますが、そういった施設というものはもう既にあるところがあるんだろうと思うんです。もうそれはできているよというところもあるんだろうと思うんですが、これはまさに国策ですから、そういうものをどこかに集積をすることによって、やはり苫小牧に行けば、あるいは北海道に行けばアジアにおける二十一世紀の抱えているエネルギーや食糧や環境問題というのをきちんと調査し研究し提言をできるようなところができているんだと、こういうようなことが求められているのではないだろうかという気がしてならないわけであります。  今、エネルギーの問題、環境の問題、それから食糧の問題をアジアにおいて調査研究するところはもう既にあるのかないのか、そこのところだけ先に各省から答えていただけますか。
  83. 日下一正

    説明員(日下一正君) まず、エネルギーの面でございます。  先生指摘のように、先ほどのような見通しが現にありますのも、IEA自身は先進国の集まりでございますが、エネルギーのマーケットは一体でございますから、自分たちのメンバー国以外のところでの需要の増加が世界全体に影響を与えるということで、まさに非加盟国の見通しをつくり、問題点を考えてきているわけであります。  またさらには、この地域がメンバーでありますAPECというのがございます。これは昨年の十月にもAPECのエネルギー大臣会合がございまして、ここでこの地域についての初めての将来的なエネルギー需給見通しを策定し、問題点を洗い出し、政策面のインプリケーションといいますか、どういうような影響が出てくるかをともに議論していこうということになっております。このエネルギー見通しをつくる土台になりましたのは、実は日本にございますAPEC地域のエネルギーの需給見通しについての研究機関であるエネルギー関係のリサーチセンターでございます。このような分析などはようやく緒についたところでございます。  また、APEC全体としましても、大阪のAPEC会合の際に村山総理の方から提案がございまして、食糧、エネルギー、環境、このような面を含めて、この地域の中期問題、今後の成長にとって重要な問題を議論していこうということで、日本の主導で国際的な場での議論は進んできているところでございます。
  84. 三輪睿太郎

    政府委員(三輪睿太郎君) 食糧問題の研究機関についてお答えいたします。  先生お話にございましたが、まずFAOのアジア拠点がタイにございます。それから、食糧の生産、流通関係の試験研究につきましてはフィリピン、インドネシア、インド等に国際研究機関がございます。  また、我が国におきましては、農林水産省の国際農林水産業研究センター、これが筑波と沖縄県の石垣島に本拠がありまして、ここではアジア諸国とともに食糧需給の改善等について共同研究を実施しているところであります。
  85. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 環境問題の調査研究機関でございます。  御指摘のとおり、アジアはこれからの人口増加や経済発展に伴いまして相当深刻な環境問題が発生すると考えられているわけでございますが、この解決に向けまして調査研究を行う組織といたしましては現在幾つかございます。  まず、国連環境計画、UNEPという組織がございますが、このもとで我が国のイニシアチブで国際環境技術センターというものが大阪及び滋賀に設置をされておりまして、途上国の持続可能な発展のために役立つ技術を、我が国中心となりまして、そうした技術に関する情報の集積、提供、それから途上国の対処能力の向上、研修などを通じましてそういう仕事を行っております。  それから、我が国が主導いたしまして、アジア太平洋地域の各国の研究活動を促進するための政府間機構としてのネットワークがございます。アジア太平洋地球変動研究ネットワークということで平成七年に設立をいたしまして、関係各国と連携し、気候システムの変化や陸上の生態系の変化がどういう影響を及ぼすか、こういったような調査研究に取り組んでおります。  またもう一つ、財団法人地球環境戦略研究機関というものがございます。これはアジア太平洋地域を主な研究対象地域といたしまして、持続可能な開発を実現する政策手法、あるいは戦略づくりのための政策的、実践的な研究を行うということを目的にいたしまして、アジア太平洋地域の各国あるいは関係機関の参加をいただいて、昨年、神奈川県に設立をされた研究機関でございます。  このほかに、環境庁の附属の国立環境研究所におきましても、アジア太平洋地域の環境に関する総合的な予測などの研究、あるいは中国等のアジア諸国と大気汚染、水質汚濁等の問題について共同研究を行っている、こういう実情でございます。
  86. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう既にできているところを聞いてみますと、やはりエネルギーのところは途上国だとかアジアの地域では少ないのかなと思いますが、APECというのはたしか事務局を大きくしないとかということで、余りそういうものをつくるような動きはないのかもしれません。  私どもとしては、いろいろ今のお話を聞いていても、今度は北海道という地域になると、対ロシアとの関係、極東との関係が非常に重要になってくるのかなというふうに思いますが、いずれにせよそういう世界の中における苫東といったような形でこの問題をとらえていかなきゃいけない課題かと思っております。  さてそこで、またエネルギーの中で、今ロシアのお話を申し上げましたが、サハリンの石油天然ガス開発というのが進展をしているわけでありまして、この天然ガスをパイプラインを使って日本に引くという動きがございます。この場合、むつ小川原あるいは苫東に備蓄基地をつくったらどうかというような構想もあるやに聞いているんですが、この点、通産省、パイプライン問題は現状どういうふうになっているんでしょうか。
  87. 日下一正

    説明員(日下一正君) お尋ねのサハリンの石油天然ガス開発及びそこから出てくることが期待されます天然ガスの話でございます。  現段階ではまだ石油の面が先行しておりますが、サハリンには二つ日本が関与したプロジェクトがあります。一つは我が国企業、米国企業、ロシアのサハリン1というプロジェクト、もう一つはサハリン2という我が国と欧米企業プロジェクトでございます。このサハリン1のプロジェクトの方につきまして本年試掘をすることになっておりまして、今後、開発計画が練られることになるわけでございます。  このサハリン1プロジェクトについては、今申し上げましたように、現在、探鉱の最終段階にありますが、同プロジェクトから出てくることが期待される天然ガスにつきましては、我が国に対してパイプラインで供給する構想がございます。まだ企画調査の会社でございますが、民間企業が本年設立されまして、フィージビリティースタディーを三年間かけてということで開始したところでございます。このフィージビリティースタディーの中におきまして、御指摘のような苫東むつ小川原の付近を通過するルートも調査対象として予定されていると承知しておりますが、仮にパイプライン事業が成立した場合にどのようなルートをとるかにつきましては、地域の需要でございましたり建設コストなどを踏まえて事業主体において決定されていくことになろうかと考えております。  また、そもそも我が国をマーケット、供給先として想定しています天然ガスプロジェクト自体が、御承知のようにインドネシアでございましたり豪州でございましたり、現在多数ある状況でございます。その中で、サハリン1と言われるプロジェクトの天然ガスのパイプラインによります供給事業が実現するためには、このプロジェクトが価格面あるいは安定供給、こういう面で十分すぐれていて、原料ガスの供給者、需要者などの関係事業者が民間ベースでこのプロジェクトを進めようという合意が必要になってこようかと思っております。  通産省、資源エネルギー庁におきましては、民間におけるこのようなFSでございましたり、サハリンの天然ガスの利用に向けた検討の進捗を見守っている段階でございます。
  88. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう何か自噴し始めて間違いないというふうに私たちは聞いているわけですが、ぜひとも有望なガスとして期待しております。  エネルギーの問題に関連して、むつ小川原関係で私どもが非常に注目している点がございます。それはいわゆる核燃料の処理施設の問題で、現在この建設が何か非常におくれているというふうに聞いておりますが、いつごろそれはできるのか、そのおくれている原因は何なのか。そして、その施設の処理能力は日本全体の原子力発電所が出してくる使用済み燃料の廃棄物全体を賄い切れないんじゃないかというようにも言われているんですが、科学技術庁、そのあたりはどのようになっているんでしょうか。  それと同時に、もう時間も余りありませんのでこの機会にお聞きしておきたいわけですが、高レベル廃棄物の貯蔵施設、これは一時預かりということになっていますが、一体この先どういう展望が開けているのか、どういうふうにこの高レベル問題を考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  89. 今村努

    説明員(今村努君) お答え申し上げます。  ただいま御質問になりました六ケ所再処理工場のおくれの件でございますが、この再処理工場と申しますのは株式会社日本原燃が六ケ所におきまして現在建設中のものでございまして、四月末現在におきまして総合進捗率が二三%、特に再処理工程の主要部分については一六%というものでございます。  日本原燃は、今後の工事工程の進捗状況につきまして再評価をいたしました結果、去る四月二十六日に再処理工場の竣工時期を二〇〇三年一月から二〇〇五年七月まで約三十カ月おくれるという変更を発表したところでございます。  この竣工時期の変更の理由は大きく三点ございまして、第一点は、安全性の観点から技術的評価作業に幾つか追加すべき作業があったということでございます。例えば、阪神・淡路大震災を例といたしまして、耐震性について念のため再チェックしてみるといったような作業が幾つかございまして、それが全工程の三十カ月のおくれのうち約十二カ月と聞いております。また、工事期間の想定が十分でなかった、いささか甘かったという部分もありまして、これによるおくれが十二カ月と聞いております。また、今後、竣工までの間に試運転をするという予定にしておりまして、この試運転には二カ年を予定しておりましたけれども、安全性の観点から念を入れて試運転をする試運転計画の充実のために六カ月、合計三十カ月の建設のおくれということでございます。  そこで、再処理工場のおくれについてでございますが、御承知のとおり我が国はエネルギー資源がございませんので、確保できましたウラン資源をできるだけ有効に使うという観点から、原子力発電所で使いました使用済み燃料からプルトニウム及び残されたウランを回収して大切に使っていくという方針、すなわち核燃料サイクルを推進するという政策の中で、この六ケ所再処理工場はプルトニウム、ウランを回収する中心的な役割を持つ重要な施設でございます。したがいまして、国の立場からいたしましても、この着実な建設、運転が極めて重要であると認識しております。  今回の変更は我が国の核燃料サイクルの変更につながるものではないというふうに考えておりますけれども、やはり事業が着実に進められるということがひいては我が国の核燃料サイクル政策に対する国民あるいは関係立地地域からの信頼を損なわないという面から極めて重要な課題だと考えております。  私どもといたしましては、この事業で再度の変更がないように進めることが重要であると考えておりまして、そのために関係者が努力する必要があると思っておりますし、その点を関係者間で確認し合ったところでございます。すなわち、日本原燃は既に現時点におきましては工事の具体的な業者への発注の契約が約八割に達しておりますから、工程の見積もりは確度が高まっているという状況でございます。これを踏まえて、今後の工程管理の強化をするとともに、想定される工事進捗率をあらかじめ公表いたしまして、実際の進捗率とあわせて明らかにして透明性を確保していくという観点で取り組みたいと言っております。  また、この日本原燃は電力会社が共同してつくりました会社でございますが、電力会社におきましても日本原燃を最大限バックアップするというふうに申しているところでございます。  国といたしましても、事業の取り組みにつきましてスケジュールに従って確実に実施できるよう適切に指導監督をするとともに、こうしたことが核燃料サイクルの信頼を損なうことのないよう関係者に説明をしてまいりたい、このように考えております。  さらに、御質問の第二点は再処理能力でございますが、これは年間八百トンでございます。我が国は現在年間九百トンの使用済み燃料が発生いたしますので、現時点におきましてもその再処理能力を上回って発生いたしております。  これにつきましては、再処理するまでの間、適切に貯蔵管理するという考え方でございまして、現在、発電所内に貯蔵することに加えまして、発電所外で貯蔵するための必要な法的措置につきまして、この国会で原子炉等規制法の改正案を提出し、現在御審議をいただいているところでございます。  それから、第三点目は高レベル廃棄物の問題でございますが、これにつきましては、今後の手順といたしまして、二〇〇〇年、来年を目途に高レベル放射性廃棄物の最終処分を実施する実施主体をまずつくり、その法的枠組みをつくった上でその実施主体が今後最終処分の予定地を選定していくという予定にしております。  現在の見積もりでは、技術研究開発の進捗も踏まえますと、二〇三〇年あるいは二〇四〇年ごろに処分を開始するという計画で取り組んでいるところでございます。  以上でございます。
  90. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 丁寧に答えていただきましてありがとうございました。  高レベルの問題については二〇三〇年ごろからという本当に気の遠くなるような話なんですが、やはりこの問題がウイークポイントになっているのかなと。それと同時に、原子力というもののウエートが非常に高くなってきています。  これからの企業立地を考えたとき、またさっきのサハリンの天然ガスのパイプラインに戻るんですが、天然ガスによる火力発電といいますか、これは液化天然ガスにしてしまうと、これをまた気体に戻して燃焼するのに莫大な規模が必要でコストが非常に高くなると言われていますが、気体のままパイプラインで送ってきたときは非常に安いというふうに言われています。その意味で、これからいわゆる天然ガスを中心とした火力発電所と一体のものも地球温暖化との関係でぜひ考慮していく必要があるし、また苫東やむつの役割もそういったところにあるのかなというふうに思うわけであります。  もう時間もなくなりました。この法案の中の一番大きな、苫東あるいはむつ小川原もそうでありますが、二十一世紀あるいはこれから先の百年間、国策として決まったこの開発計画に何が求められているか。先ほど私は、アジアの抱えているさまざまな問題をこういう地域でしっかり研究する、それが情報発信なり、またそこに多くの人たちが訪れながら一つの観光というところに大きな中核ができてくる、種ができてくると申し上げました。もちろんこれだけではありませんが、そこにこれからの一つの大きなかぎがあるのかなというふうに思っているわけでございます。  新銀行設立されたときには、そういったことへのさまざまな支援活動といいますか、非常にリスクが大きいところもございますので、そういった点についての支援もぜひお願いをしながら、午前の質問はとりあえずこれで終わらせていただいて、あと十五分間、開発庁長官が来られたときにまたいろいろ質問させていただきたいと思います。  なお、最後になりますが、この法案はもう衆議院段階で何度も議論されていますので、大蔵大臣を初めとする関係者の方は御存じでありますが、民主党としては、北東公庫が抱えている不良債権の処理の仕方について、やはりこれは一回一般会計で補てんをさせて、そしてきれいにした形で日本政策投資銀行へというふうにしていくべきではないかという考えを持っておりまして、この処理スキームにはこれからの計画とか民間団体の人たちの了解とか、そういうさまざまな了解がまだとれていないという弱点があるわけですが、そういった点については民主党としてはなかなか納得できないということで、基本的に私たちは反対という立場をとっております。そのことを最後に申し上げまして、統合される新銀行が私どもの今申し上げたような、また北海道民の希望にこたえられるようにぜひ頑張っていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  91. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十五分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十五分開会
  92. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  日本政策投資銀行法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 新政策投資銀行についてけさからずっと長時間の審議が続いているわけでありまして、大蔵大臣初め両総裁、そして関係者の皆様の御苦労に感謝を申し上げたいと思います。  私の方は時間が三十分ございますが、最初にむつ小川原開発に関連して二問御質問を申し上げ、その後、新政策投資銀行政策金融のあり方についてお伺いをしたいと思います。  いろいろ同僚の委員の皆さんの御議論を拝聴いたしておりまして、この両プロジェクトについては大変長い時間がかかっているということを改めて認識いたしました。  まず新全総でしたか、そういうところにこの両プロジェクトが採用される、登場する。その後に港湾投資とかいろいろ公共事業の投資が関連いたしますし、主として港湾の投資が国の事業としては主体でありましたから、港湾整備五カ年計画にこのむつ小川原港と苫小牧東港の建設が取り入れられる。そして、昭和四十六年、四十七年に第三セクターとして会社の設立が行われて用地買収が始まる。その後、五十二年度から港湾事業の投資が始まるわけでございます。  ですから、五カ年計画の策定あたりから、この公共事業については、関係者はこれで本格的になるぞというふうに思うわけでありまして、それからは一日も早くこの事業を実現せよという要請が高まっていくわけであります。  しかし同時に、この間、経済状況も大きく変化をしていくわけでありまして、港湾の投資開始が決定された昭和五十二年度予算の編成のころ、これは五十一年暮れでありますけれども、既に第一次、第二次オイルショックも終わりまして、円高の気配が忍び寄りつつありました。その後、急激な円高になっていくわけですが、果たして重厚長大産業というのがこのまま隆盛を続けていくのであろうか、そしてあのむつ小川原の港湾の背後に展開される工業団地に予定どおりの工場が立地するのであろうか、これが五十一年暮れの予算編成のときには大きな議論になっておったわけであります。  と申しますのは、私はそのころ港湾の事業も担当する公共事業の主査でございまして、事業開始決定については私なりに随分迷った記憶があるわけでございます。しかし、第三セクターにおける用地買収は完了しており、かつ既にこの金利負担に耐えられない、早く事業開始決定をせよという経済界あるいは地元を挙げての声が強かったわけでありまして、それを背景にして、運輸省の港湾局、当時の局長さんは覚えておりませんけれども、港湾局が熱心に主計局に通い、政府全体を動かして事業開始決定に至ったという記憶を私は持っております。  そういう意味では、この委員会あるいは衆議院の委員会責任者はだれかという追及がいろいろあったわけで、私もその責任者の一番最先端といいますか、第一線の立場におったわけでありまして、この査定というのは私にとってはずっと記憶を引きずることになりました。  その後、宮澤元総理の資産倍増計画も出ました。私どもはその中で、この資産倍増計画こそこれからの日本の政策として必要だという認識のもとに、私自身は私の政策集団を持っておりまして、そこでグリーンシャイン構想、緑陽日本構想というのを出し、そしてリゾート法の制定を行ったわけです。  そのころにずっと頭にありましたのは、このむつ小川原港、そして苫小牧東港、これはもう巨額の港湾投資が行われているわけであります。立派な大型船が悠々と着けられるだけの深い水深を確保しております。港湾事業というのは海の中につくる作業でありますから大変お金もかかるわけでありまして、財政融資のむだ遣いというか、投資の処理について盛んに問題になっておりますけれども、同時に公共事業費も膨大に使われてきたわけであります。  ですから、私はリゾート法の制定をグリーンシャイン構想のもとに努力をいたしまして、あれは政府提案でありますけれども、ほとんど議員立法でリゾート法をつくったという経緯がございます。しかし、時期が悪くて、おまえらがバブルを大きくした張本人であるとリゾート法制定の後は大分しかられた記憶もございます。しかし、リゾート法の適用をこの苫小牧東港あるいはむつ小川原港に行って、海浜リゾート、そして同時に冬の雪も生かした全天候型のリゾートとして再開発できないか、そういう個別の提案もしてきたような経過がございます。  私の個人的な記憶を申し上げたわけでありますが、こういう経験から申し上げて、この投資をどこかで食いとめることが可能だったかどうかといつも考えるわけであります。しかし、新全総に入り、港湾整備五カ年計画に入り、土地の先行買収も済み、既に関係者もたくさんつくられてある種の既得権も生じていることでありますから、経済動向の大きな変化をみんな頭の中に入れながらも、なかなか計画の変更あるいは中止ということには踏み切れない、それが私の記憶でございます。  これはそこに携わった一人一人の責任とか決断とかいう問題ももちろんあると思いますけれども、こういう話というのは起こりやすいし、また今後も起こる可能性はたくさんあると思うんです。特に役所がかかわりますと判断がどうしても甘くなるわけです、自分のお金じゃありませんから。税金であり、かつ預かっているお金の活用でありますから、民間が本当に自分の浮沈をかけて投資の必要性というものを判断する、そういう厳しさがどうしても失われがちであります。  けさの産経新聞に、多くの第三セクターが破綻に瀕しているという報道がありました。これは全国ベースの話でありますけれども、地方自治体で多くの第三セクターがつくられて投資が行われる、その多くが失敗をしているというのが実情だろうと思うのです。  ですから、まずこういう大型の公共事業について本当に事業開始決定をするのか。つまり、新全総に入り、五カ年計画に入り、その後状況が変化してくる。それを本当に港湾の建設に着手するのか、そしてまた用地の造成に着手するのか。主として公共事業について申し上げるわけでありますけれども、一たん走り出したものも含めて、公共事業の開始とか変更とか中止とかを国民的なレベルで議論する仕組みというのがあってもいいのではないか、そういうふうに実はずっと思っているわけでありまして、私は一昨年出した本の中でもそういう仕組みの提案をしております。  これはどなたにお伺いすればよろしいのか。これからも大型の公共事業の投資というのは続いていくわけでしょうから、そういうシステム、仕組みをつくるべきではないかというふうに考えておりますが、それに対する政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。  大規模公共事業につきましては、先生今御指摘のとおり、整備に時間がかかるという面が多々ございます。そういうことから言いまして、社会経済状況の変化を踏まえた不断の見直しが必要であるということを私どもも十分に認識いたしております。  そういう観点から、平成十年度中におきまして、全事業で費用対効果分析のためのマニュアルを策定することといたしております。そして、現に建設省を初め、そのようなマニュアルができ、具体的な公共事業のプロジェクトにつきまして評価がなされているということは既に御案内のところだと思います。そして、例えば事業採択後一定期間経過後で未着工の事業とか、あるいは長期にわたる事業、こういうものを対象といたしまして具体的に再評価を行いました結果、十一年度におきましては事業の中止あるいは休止といった点も含めた見直しというものが行われているわけでございます。  そこで、先生から今いろいろな御提案があったわけでございますが、私どもは、建設省を中心といたしまして、一方ではこれらの再評価というものの透明性をいかに確保するかということ、この点も極めて重要な問題であるというように考えております。このため、具体的には学識経験者等から成りますところの事業評価監視委員会、これを例えば地方建設局とか都道府県とか、そういうところに原則として設置いたしまして、いろいろな意見を聞き尊重するというような仕組みを導入いたしております。  さらに、それに加えまして、その再評価の結果なり、それに基づきます対応方針、あるいは結論に至りました経緯等々につきまして積極的に公表するというような状況でございます。  さらに、大規模公共事業のあり方を審査する仕組みにつきまして具体的な御提案があったわけでございますが、どのような方策があり得るのか、なお大蔵省といたしましても検討をさせていただきたいというように考えております。
  95. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 これは大変難しいことなんですが、しかし国民の税金を使うということにおいては、これはすさまじい額ですから、必要なチェックがきちんと行われる、しかも国民的な見地から議論が行われると。それに携わっている人たちというのは、ある意味では全部利害関係者なわけですね。だから、その人たちだけで再吟味をするといっても、なかなか客観的な判断ができないと思うんです。  実は私は空港行政にも携わった経験がございまして、あのころ既に成田はでき上がっていて、もう取り返しがつかなかったわけですけれども、なぜ羽田の沖合展開というものを、本当に比較をして議論をしてその結果だったのかというのは、私は空港の建設のことを考えるたびに思うんですよ。そのかなり前から羽田の沖合展開がいかに効率的かという議論は行われていたわけであります。  私は成田空港は完全な失敗だと思っております。国家の巨大プロジェクトについてはよほど合理性とか妥当性というものを議論する仕組みを持っていかないと、例えば主計局の査定権の侵害とか、今までの役割分担からすればいろいろ異議がある向きもあると思いますけれども、やはり多くの失敗の経験を持っているわけですから、そういう客観的な投資の決定、変更、そういうものについての仕組みを改めてしっかりつくっていくべきであると重ねて申し上げておきたいと思います。  それともう一つは、今回の場合には公共事業の進行とそれより少し先取りをして財政融資が動き出しているわけであります。第三セクターをつくってそこに北東公庫からお金を出し始める、それで用地の先行買収が始まるわけですね。ですから、公共事業と関連して行われる財政融資の中で、その財政融資を具体的に行う、この場合には北東公庫でありますが、そういう実施機関が、これは金融機関ですから、金融機関独自の投資の妥当性、融資の妥当性についての判断というのが果たしてあり得るのかどうか。  しかし、私はこれはなきゃならぬと思うんですね。金融機関としての将来性の判断、これは最後は自分にかかってくるわけですから、その仕組みが今までの仕組みの中では働いたのか働かなかったのか。  そして、次の質問になりますけれども、新政策投資銀行においてこれからそういうケースも間々あり得ると思います。ナショナルプロジェクトじゃなくても、地方の第三セクターに対する問題でも出てくるだろうと思います。だから、そういう場合について新政策投資銀行において独自の融資判断というものがなし得る仕組みがあるか。あるいは、さっき申し上げました公共事業の開始決定と密接にかかわるわけでありますから、そういう場面に政策投資銀行としてきちんと判断を入れていく余地をつくっていけるのかどうか。この二つについて御見解をお聞かせください。
  96. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) 二つの御指摘がございました。  そのうちの前者につきまして、当時の事実関係ということで申し上げてみますと、政府の昭和三十七年の全総計画を見ますと、「この計画は、政府が策定するものであるから、政府が有する実現手段を有効に活用しまたは改善して実効を期すもの」云々とありまして、「民間部門については予測的な性格をもつものであるが、政府は必要な限りにおいて望ましい誘導策をとるものとする。」というふうに記されてございます。こういった考え方で、先ほど浜田先生から御指摘がございましたように、公共事業と財投資金を活用した事業というものがいわば車の両輪のような形で計画の推進が図られたように考えております。  今お話にありました時期に近い、例えば昭和五十二年の三全総に呼応してつくられました東北開発促進計画の中で次のような記述がございます。当時の事情をどういうふうに公庫として受けとめるかという論議をしておりましたころに、途中ちょっと省略いたしますけれども、「従前にも増して、北海道東北開発公庫の果たすべき役割は重要なものとなるので、この計画の基本方向に即しつつ、公庫機能の拡充強化と資金源の確保を図り、」云々というような記述がございまして、国の姿勢が折々に明示されました。  北東公庫といたしましては、この国家プロジェクトとしての事業の継続性につきましての国の方向性というものをそのような形で受けとめ、さらにその分譲予定用地の資産価値というものが要償還額を上回っていると評価されておりましたこと、そういったことから、この用地分譲事業というのは当初考えておりましたよりも随分長くなる、長期化するということは避けられないと思っておったかと思いますけれども、用地需要はやはり発生し続ける、したがって分譲予定地の売却はまだ続けられるというふうに金融判断を行ったものと考えます。  結局、北東公庫としまして、法令等に基づく政策遂行の責務を果たすということに持てる力を振り絞ったわけでございますけれども、いろいろ予想されなかった事態にぶつかりますたびに、何とかその問題を乗り越えて進むべく、そちらの方向へそちらの方向へと知恵を絞ってきたというのが実情ではなかったかというふうに振り返っております。
  97. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 政策投資銀行におきましても地域整備関連の分野というのは三本の融資の柱の一つでございまして、社会的に意義は高いけれども収益性が低くてリスクの評価が非常に難しいということで、民間金融機関だけで対応できない分野については引き続き新銀行が十分資金を供与する役割があるわけでございます。  そういう資金の供給を的確に行うためには、まさにプロジェクトの評価、融資対象の評価をきちっとやるということが大切でございまして、そういう意味プロジェクトの評価を新銀行におきまして強化する考えでおるわけでございます。  今、開発銀行におきましては、プロジェクトの評価をする審議役というのが昨年から置かれておるわけですが、新銀行になりましたら、これを部に昇格いたしまして人数も拡充するというようなことを考えておるわけでございます。  それから、大規模プロジェクト、巨大プロジェクトのようなものについては本当に政策金融機関が評価できるのかという御指摘でございますが、それは普通の小規模の融資と比べれば大変難しい面があろうかと思います。政策投資銀行におきましては、この法案でも御提案申し上げておるわけでございますけれども、自主性を尊重いたしまして、政府の監督権限というのは小幅なものにとどめているわけでございまして、やはり政策投資銀行におきましてそういう能力を拡充し、強化して、きちっとやっていくようにしていかなければならぬというふうに考えているところでございます。  また、巨大プロジェクトの場合は、国のみならず、地方公共団体、民間等々いろんな方が関与するわけでございますから、そういう関係者の間の連携をよくするということも心がけていくべきだというふうに考えております。
  98. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 時間がないので次に移りますが、私は新政策投資銀行政策金融の本当のあり方というのはどこにあるのかなといろいろ考えるわけです。  開銀がスタートしたころは、傾斜生産方式という言葉に代表されるように、基幹産業を育成して日本経済発展の基礎をしっかりつくろうと。その政策目的というのは私は立派に果たされてきたと思うんです。ただ、時代はこれだけ大きく変わってきているわけでありまして、今、開銀政策金融として本当に何を目的にすべきなのか。私は、政策金融というのはできるだけ目的をはっきりさせて、ただやたらに資金があるから量的補完だけでやっていけばいいという話ではないと思っております。  ですから、開銀が新政策投資銀行に引き継がれていくわけですけれども、今の時代における政策金融が本当に果たすべき役割というのは何かと私なりに考えると、今最大の問題というのは産業構造を望ましい方向に変化させていくことだろうと思うんです。それによって失業率をこれ以上高くしない。このまま行きますと失業率はもっとふえますね。そのためには産業構造がちゃんと変化していかなきゃいけない。産業構造が変化するということは、別の言葉で言えば、だめになる産業にかわって新しい企業が育ち新しい産業が育つということですから、私は政策金融の特に産業部門における最大の課題は新企業の育成、ベンチャー企業の育成というところにあるんじゃないか、そう考えておりますが、その点については、新銀行総裁はおられないわけですので、開銀の延長線上で考えて小粥総裁に伺いますけれども、どのように取り組んでいかれるのか。  それとあわせて、現在、開銀は新規企業育成というのをうたわれておりますが、その実績を時間がありませんので簡単に教えていただきたいと思います。
  99. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 私がお答えするのが果たして適当かどうかはわかりませんが、お尋ねでございますから申し上げます。  新銀行の取り組むべき分野は三つあると先ほども申し上げましたが、その一つが経済活力創造でございます。その中に、ただいま浜田委員指摘のベンチャー企業の育成あるいは新技術の開発、さらに既存の事業の事業革新、こういうものに、開銀もこれまでもやってまいりましたが、今後一層力を注いでいかなければならないと考えております。  そこで、具体的なお尋ねでございますが、開銀のこれまでのベンチャー融資の実績を簡単に申し上げますと、最近でございますが、四年前の平成七年度から融資制度の新しいものといたしまして新規事業育成融資制度をつくっております。平成十年度までちょうど四年間の実績がございますが、現在の残高で合計六十六社、融資金額は五十四億円でございます。  これは見方によりますとまだ大変少ないではないかという御批判ももちろんあろうかと思います。ただ、私どもは、相手がベンチャー企業でございますから、一件当たりにそんなに大きな金額を融資することはかえって適当ではない、まさに育成をしていくという最初の端緒を提供する、そういうことでは、これは四年間の実績としまして、見方によっては必ずしも小さなものではない、ささやかな試みではありますけれどもどもは非常に重要であろうと考えております。  その中では、傾向として、特に情報関連、電子技術関連の分野において、一つ一つを見てみますと大変高度で独自の技術を有しているものが多い。つまり、これから花開く、膨らむ、大変楽しみのある分野ではないかという実感を持っております。  とりあえず簡単に申し上げました。
  100. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 時間がありませんので、最後大蔵大臣にお考えを伺います。  今、小粥総裁から御説明のあったとおり、開銀が取り組んでいるとおっしゃっても六十億、中身は濃いとおっしゃってもたかだか六十億なんです。ですから、新政策投資銀行の一つの大きな柱として、新規企業の育成、ベンチャー企業の育成ということを出してもらいたいですね。  担保も、知的所有権といいますか特許、出願中の特許も含めて、物的担保だけじゃなくてそういう新しい試みをしておられるのは事実です。でも、本当にこのベンチャー企業が育つ可能性があるか、そして本当に育てる必要があるか、これを判断するにはたくさんの人が必要なはずなんです。つまり、事業の将来性というものを考えれば、今本店でこれに従事しておられる人は二十五人ぐらいというふうにきのう御説明をいただきましたけれども、そんなものでなくて、この可能性を掘り出して育てていく。そういう金融は今市中金融には全くないわけです。担保がなかったら手も足も出ない。  かつて私は開銀を、こういう銀行になる前ですけれども、ベンチャー育成専門銀行に改組したらいいというぐらいの提案も行ってきた一人なんですが、どうですか、大蔵大臣、せっかく新政策投資銀行という大きな看板を掲げてスタートするんですから、日本の今の経済状況あるいはこれからの産業にとって非常に重要な役割を担うとすればこの分野が確実に一つであると思うわけでありまして、この分野にかなりの力を注いでいくように大蔵大臣としてそういう方向を打ち出すというお考えがないかどうか、それをひとつお聞かせください。
  101. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お考えには私は大変賛成でございます。  先ほど浜田委員も言われましたし、午前中私も申し上げましたが、戦後、開銀ができまして何をしたかといえば、それは結局民間銀行のできないことをやったわけでございます。そのときは民間銀行は弱うございましたからそうでもあったでしょうが、その後、日本経済がよくなりまして、そんなに最近でもありませんがそんなに昔でもないときに、開銀というのは民業を圧迫するとかなんとか言われた。それは考えてみると大変結構な時代であったわけでございますが、今こういうことになって、いろんなことがもうすっかり変わりそうで、二十一世紀は一体どういうことになるのかわからないという中で、残念ながら民間銀行は全く力がないわけであります。  したがいまして、やっぱり開銀にやってもらいたいことは、民間銀行ができないとか、やれないことだと。これだけ市場経済を盛んにしようとして、また盛んになっている我が国でありますけれども、それでも市場経済ではどうにもならぬ、しかしやらなきゃならない問題というものが常にある。残念ながら、今は前よりももっと多くあるような時代でございます。  その中の一つは、ただいま浜田委員の言われたように、ベンチャーということはなかなか市場経済のファイナンスには乗りにくい。おっしゃるように、そういうものでございますから、そういう端緒というものはやっぱり開銀につけてもらわなければならぬ。それが育っていけばやがてまた民間の方がとってくれることになるんでしょうが、そうしたらもうやめて新しいことをやればいい、私はそういうふうに思いますから、おっしゃることは全く賛成でございます。
  102. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 終わります。
  103. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、この委員会のたびにお越しいただきましてありがとうございます。政策決定会合と重なりますとおいでいただけないものですから、おいでいただける限りにおいては足を運んでいただきたいと思っております。  日銀の三月期の決算の結果は過去最高益の一兆五千百十五億円でございました。営利企業の収益トップのトヨタの経常利益の約三倍ということでございまして、大変な額でございます。  一つには、外国債券の為替差益が大きかったんではないかと思うわけでございます。平成九年度末の為替相場は百十九円でございましたが、十年度の相場は百三十四円ということで、その分だけでも五千三百三十四億円という収益が上がったわけでございます。この収益は当然のことながら国庫に納付されるわけでございますので、このことだけに関していえば大変に慶賀なことであるという見方もできるかと思いますが、私はこれはもう一方の見方から見ると日本の今の大不況の一つのあらわれではないかという気がするわけでございます。  貿易黒字が継続している状態ですので本来ならば円高になってもおかしくないわけでございますが、やはり低金利政策、これは銀行を救うための政策でございますが、長い間続けていたために、そしてさらに一方的な円売りドル買いを続けているためにこうした円安が継続しているわけでございます。非営利法人の日銀がこれだけの為替差益を生じるということは、言ってみればやはり我が国経済政策そのもののゆがみのあらわれではないか、そんな見方もできるんではないかと思いますが、総裁、いかがでございましょうか。
  104. 速水優

    参考人速水優君) 日本銀行は通貨発行の独占権を持っております。通貨を発行し資金の供給をやっておるわけですが、資産の中に今おっしゃいました外貨を二百億ドルぐらい持っております。たまたま円安になりましたので利益が出たということと、今回の場合は特融で引当金を積んでおりましたのが特融が返りまして引当金が浮いたというようなことがありまして収益は去年よりふえたわけですが、その分、一兆四千五百億円近い納付金を納めております。  こういう情勢が今後続くかどうかということになりますと、私どもはそうではないのではないかというふうに思っております。
  105. 益田洋介

    ○益田洋介君 一日、山一証券が東京地方裁判所に自己破産の申請をしたことによりまして、今後は九七年十一月二十四日に日銀が発動しました四千九百億に上る日銀特融の返済に焦点が当たってくることになると思います。  これについては、既に日銀総裁談話を発表されており、考え方を公表されておるわけでございますが、言われるところによると、一千億から二千億程度の焦げつきが生じるのではないか。日銀がもしこの支払いといいますか返済の分をかぶるという結果になりますと、これは当然ながら国庫に納付する分が減るわけでございますから国民の負担がふえるという結果になると思うわけでございます。この点について総裁はどのようにお考えでしょうか。
  106. 速水優

    参考人速水優君) 昨日、山一証券から破産宣告がありました。金額的にもこれは確定したものでございませんので、私どももまだこれをどうしようかというところまで決めておりませんけれども、直ちに政策委員会で政策委員の方々とお諮りして総裁談話を発表し、その最後の方にこういうふうに表現をしたわけでございます。  山一證券に対し破産宣告がなされたことを受け、日本銀行としては、今後、破産手続の中で適切に権利を行使することにより、山一證券に供給した資金の回収に努めていく所存である。   本件資金供給については、平成九年十一月二十四日付大蔵大臣談話において、「本件の最終処理も含め、証券会社の破綻処理のあり方に関しては、寄託証券補償基金制度の法制化、同基金の財務基盤の充実、機能の強化等を図り、十全の処理体制を整備すべく適切に対処いたしたい」とされており、日本銀行資金の最終的な回収には懸念はないものと考えている。政府におかれては、大蔵大臣談話の趣旨に沿って、本件の最終処理を適切に実現されるよう、日本銀行として強く期待するものである。 というふうな談話を出しました。  今おっしゃった数字につきましては、この点はまだこれから、千六百二億の債務超過とか、あるいは千五百億近い回収不能が起こるかもしれないといったようなことは今の仮定の試算でございまして、政府におかれても、先ほどの大蔵大臣談話にありましたように、昨年施行されました金融システムの改革法におきまして本件の投資者保護基金を活用できる仕組みが既に整備されております。こういうことも新しい状況変化として起こってきておりますし、私どもとしましては特融の具体的な返済方法について現時点で予断を持っているわけではございません。  いずれにしましても、破産手続の進展を踏まえつつ、最終的には大蔵大臣談話の趣旨に沿って適切な対応が図られていくよう関係者と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  107. 益田洋介

    ○益田洋介君 一方で、大蔵大臣は本件につきまして、実際は投資者保護基金の残高が三百三十億円しかないということで、山一の損失というのは証券界だけで負担できるものではないとおっしゃったというふうに伝えられていますし、また一日の記者会見におきましては、三塚大蔵大臣談話について、大蔵大臣としての言葉の重みはあると言って、暗に基金に対する公的資金の投入を思わせるような発言をなさっていらっしゃいますが、この点、真意はいかがでございましょうか。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、日銀総裁もおっしゃいましたように、ここで破産手続が始まりまして、恐らくこれが終了いたしますまでにはかなりの日にちがかかると思います。場合によっては一年を超えるかと思いますが、その間にもう少しいろいろなことが具体的に明らかになってまいると思いますから、多少それまでに時間があると考えております。  ただ、そうでございますが、日本銀行総裁が今御紹介になりました六月二日の総裁談話の最後のところで政府におかれては大蔵大臣談話の趣旨に沿って適切に処理することを日本銀行は強く期待すると言っておられる部分は、私はそのとおりだと思います。大蔵大臣としては、当時こういうことを申し上げたことに対して責任があると私は思っております。  そうでございますから、ただいま益田委員の言われましたようなこともさることながら、決定をしなければならないその時間の中でこれは大蔵大臣責任において、もちろんいろいろ御協力をあちこちからお願いすることはあるかもしれませんけれども、基本的には大蔵大臣責任において解決しなければならない、こう思っております。
  109. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、公的資金の投入もあり得るということで確認させていただいてよろしゅうございますか。
  110. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうふうには実は申し上げなかったわけでございますが、もちろんそうでないとも申し上げたわけではありません。ただ、これからかなり時間がございますからその中でいろいろ考えてみなければなりませんが、いずれにしてもこれはあちこちの御理解、御協力等はどうしても入り用だと思いますけれども、最終的な解決の責任はやっぱり大蔵大臣が持っておると申し上げなければならないと思います。
  111. 益田洋介

    ○益田洋介君 我が国の税収が十一年ぶりに五十兆円を割りました。二年連続で税収不足という状況に陥ったわけでございますが、これは企業の業績が悪いために所得税収入あるいは法人税収が減っているのが主な原因であるのに加えて、やはり景気のてこ入れをねらった減税を続けているからだということも考えられます。  アメリカの場合にも思い切った恒久減税を打って、まず景気を回復させて、そして税収をふやしたという一つのケースがございますが、やはりこの線に沿って当面税収は不足しても減税を続けていかれる、そして財政再建の前に景気の立て直しをするんだ、それが大蔵大臣のお考えだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まだ平成十年度の国庫を最終的に閉鎖したわけではございません。殊に法人税は年度を過ぎましてから四割ぐらいの税収が入ってくるわけでございますから、今ここらあたりで何ともきちんと申し上げるときに至っていませんが、まずはっきりしましたことは、申告納税の個人所得税、これは昨年定額減税をいたしまして数百万人の納税者が納税者であることをやめたと申し上げました。これがかなり大きく減収に関係していると思います。  それから、法人税でございますが、これはただいま益田委員の言われましたように、不況に加えまして、ここに来て徹底的なリストラ、不良資産の処理、決算をきちんとしてしまおうという空気がかなり広くございますから、税収といたしましては予想した以上に落ち込みがあるかもしれない、そう思っております。  それはそれといたしまして、税外収入もありましょうし、また最終的には国債整理基金から繰り入れるということがございますから、補正とかいうようなことになるとは思っておりませんけれども、税収は見込みに達しない可能性が高いと思っております。  その理由は、おっしゃいますようにやはり経済状況が悪いということが基本的にあります。平成十一年度の税収見積もりは四十七兆円でございますが、かつて税収は、国税は六十兆円を超えたことがございますから、十年余り逆戻りしたということで、これはとりもなおさず経済状況がよくない、これを正常に返さなければ正常に返らないと思っております。  そこで、減税との関係でございますが、このことはある意味で承知の上で平成十、十一年度に減税をいたしております。それは、どうしてもしなければならないという気持ち、また景気回復もございますけれども、いたしておりまして、ある意味で国庫収入が減るということは覚悟の上でございました。  ただ、今度の場合はそれよりも少し減り方がさらに多いということはございますけれども、だからといってしなければならない減税をしないで済むというふうには思っておりません。むしろ、適切な減税があれば、それによって国民消費なり、やがては設備投資なりが回復をして経済が成長に戻る、そういう役に立つかとすら思っておるところでございます。
  113. 益田洋介

    ○益田洋介君 両総裁、衆議院、参議院と大変御苦労さまでございました。そろそろこれで打ちどめを迎えようかというところで、いろいろな御感想はおありでしょうけれども、先ほど浜田委員指摘をされておりましたが、全国における第三セクターの経営状態が非常によくない。現在約三百の第三セクターが実質的に倒産状態である、これは東京商工リサーチという民間シンクタンクの調べでございます。  こうした破綻が急増した原因、これはむつ小川原、それから苫小牧東にも該当するのかもしれませんが、そうした背景には、不況の進行はもちろんありましたが、第三セクター自体の甘い経営実態があった。加えて、官の信用力低下によって金融機関の貸し渋りが追い打ちをかけたといったような構図であるかと思います。  新しい銀行に私が期待したいのは、こうした状況にかんがみて、やはり第三セクターに対する情報の提供とか、あるいはテクニカルな面での、あるいはファイナンス面でのアドバイスを含めたプロジェクトの支援をしていただきたい、そうした機能も果たしていただきたいというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
  114. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 新銀行のこういう問題に対する取り組みの問題でございます。  私がお答えをするのが適当かどうかは別にいたしまして、ただいま益田委員からの、銀行金融手段だけではなくて情報の提供あるいはコンサルタント機能、これをもっと重視せよというところは、私どももこれまでの開銀業務展開から考えましてもまことにそのとおりであると思っております。  時間の関係もございましょうから簡単に申し上げたいと思いますが、三セクの失敗例というものも私どもはそれなりに経験をしておりますけれども、やはり大事なことは、事業計画の策定の当初からアドバイザー機能を持った第三者が十分に参画をして事業性の見きわめを行っていく、そういうことが非常に大事であろう。また、そのことは事前だけではなくて、例えば融資、出資が行われてから事後のモニタリング、あるいは債権管理、これがまた極めて重要であろうということはもう全くそのとおりでございます。  新銀行におきましては、単にお金を貸すという金融手段だけではなくて、ナレッジバンクという表現がありますけれども、むしろノウハウであるとかアドバイス機能の発揮とか、そういう点で新しい時代にふさわしいプロジェクト支援機能を発揮していくべきである、こんなふうに考えております。
  115. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) ただいま小粥総裁から御答弁がありましたとおりでございますけれども北東公庫の実情に関しまして一言お聞きをいただきたいと存じます。  北東公庫が実際やっておりますことを見ますと、いろいろ御相談を受けまして、全くの星雲状態というような状態から企業にある一つの構想を持っていただく、構想から計画に導く、計画を具体化する段階で初めて融資に及ぶ、融資をしました後の管理、そして最終的には回収、こういう幾つかの段階がございます中で、星雲状態から一つの構想に導くプロセスに極めて多くの時間を費やしております。  実際どんなことをやっておるかと申しますと、御相談がありましたときに、これはやめましょう、これは変えましょう、あるいはこれはやりましょうと、いろいろな対応があるわけでございますけれども、今はやめましょうという対応が結構多うございます。これもやめてよかったと、私はそういうことを後で聞かされた例もたくさんございます。それから、先ほど苫東お話も出ましたけれども、途中で変えましょうという例も極めて多うございます。こういうことをやってまいりまして、ただいま益田先生指摘のように、危機に陥った場合にいろいろな企業から御相談がある場合もございますけれども、同じような対応をさせていただいておるつもりでございます。  したがいまして、目に見えない融資以前のこういった作業に約半分ぐらいの労力を割いてまいったと我々の職員は申しておりますけれども、私どももここのところが大事だという気持ちを忘れないでやらせていただきたい、かように存じております。
  116. 益田洋介

    ○益田洋介君 終わります。
  117. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は再び金融再生委員会に御質問をいたします。  この九九年三月期に、前回も申し上げましたとおり、大手十五行について約十兆円の償却をしたにもかかわらず、新基準によると問題債権、あえて不良債権とは言いませんけれども、問題債権が六兆円もふえてしまったという結果になっておるわけです。これは、資本注入を行うに際して、金融再生委員会が資本注入を希望する銀行に対して一種のガイドラインを示して各行がそれに応じた。その中で、不良債権、いわゆる問題債権というものを新基準によって明示しろということで各行が出された数字でありますから、あながち各行自身の不良債権というのがそのままふえたわけではないことを全く私は承知の上で申し上げておるわけでございますけれども、その新基準というのはそもそも何なのか、そこからお話しいただきたいと思います。
  118. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  先生指摘の新基準とは金融再生法第六条及び第七条に基づく開示基準のことをお指しされているものと思いますが、同条に規定いたします開示は、債務者の財政状態及び経営成績等を基礎といたしまして、第一として破産更生債権及びこれらに準じる債権、第二として危険債権、第三として要管理債権、第四として正常債権、この四つの区分に分けまして、おのおのの金額を金融再生法に基づいて公表することとなっているものでございます。
  119. 星野朋市

    ○星野朋市君 私はガイドラインと言っているんですけれども、この中の資本増強額というところに、「少なくとも国際基準行については、「資本増強に当たっての償却・引当についての考え方」に則り、不良債権問題について、十分な償却・引当を行うことにより、十一年三月期にその処理を基本的に終了する。」、こうありますね。それから、これが最終的に審査結果が出たところで、やはり資本増強額に関しては、不良債権について、「十分な償却・引当を行うことにより、十一年三月期にその処理を基本的に終了」、こういうふうに審査結果が出ているわけでございます。  そうすると、要するにこの数字がもう最終的な数字である、こういうふうに理解してよろしいのかどうか、その点はいかがですか。
  120. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 先生指摘のとおり、先般三月三十一日に資本増強いたしました対象十五行につきましては、いわば国際基準行としての目安といたしまして、要管理債権については一五%、さらに破綻懸念先については七〇%という引き当てを行っていただきたいということで、それに基づいた要処理額というものを計算いたしまして、さらに有価証券含み損なども勘案いたしまして、十分な資本金額に達するようなものとして資本注入いたしたわけでございます。  その際、我々は、これをもちまして当面この三月期におきましては不良債権というものにつきましてその処理が基本的に終了するということを言わせていただいたわけでございますが、ここで基本的と申しますのは、もちろんすべてをオフ・ザ・バランスにしたわけではございません。すなわち、直接償却あるいはその他の方法によってバランスシートから切り離したというわけではございませんで、引き当てをしたということでございますので、そういうこともありまして基本的という言葉を使わせていただいたわけでございます。ただ、今後の経済の趨勢が右肩下がりというような状況ではなくなるということを前提にいたしますならば、これをもちまして大手行につきましては不良債権というものの処理は終えたという認識を持っています。  ただ、貸出金でございますから、絶えずある程度の確率におきまして不良債権というものは今後も発生するわけでございますけれども、それはそれぞれの銀行が引き当てを積むのに賄い得るだけの収益を生み出すということにおきまして今後についても不良債権の処理というものは進められるという認識を持っております。
  121. 星野朋市

    ○星野朋市君 先ほど申し上げた数字と今お答えになっている考え方の中に、これは資本注入を要請した銀行十五行ということなので、いわゆる大手十五行というのとはちょっと意味が違うと思うんですね。  というのは、東京三菱銀行は資本注入を要請しなかった。それから、今お答えになっている中には横浜銀行が入っているということで、そこら辺を調整してみると、東京三菱は優良とは言われるけれども不良債権はやっぱり相当持っている。横浜銀行は全部で六千億ぐらいですか、そんな数字だと思うんですけれども、そこら辺を差し引きしてみると、東京三菱は資本注入を要請しなかったから再生委員会はデータを持っていないというようなことは私はないと思うんですけれども東京三菱銀行はこの意味で言う問題債権をどのくらい抱えているか、お答えいただきたい。
  122. 乾文男

    政府委員(乾文男君) 東京三菱銀行の公表しております資料によりますと、平成十一年三月期の東京三菱銀行のリスク管理債権というのは二兆七百七十六億円というふうに発表されているところでございます。
  123. 星野朋市

    ○星野朋市君 それは大体二兆五百億から二兆七百億と私も前から知っておったんですけれども、どうしてこういうことを申し上げるかといいますと、銀行の問題債権というのが大蔵省から発表されたのはそんなに遠くないことなんですね。たしか昨年の一月十二日に第二地銀までの合計額が出された。私はそれから何回かこれを申し上げたんですけれども、このくくりのまま次はどうなったかというのが出てこない。次に出てきたのは何かというと、信金も含めて、農林中金が入った農協系統の不良債権まで含めた数字が出てきた。その次に同じものがどう変わったかというのが出てこないんです。いつも発表されるときのデータのもとになるものが違う形なんですね。  それで、最初は銀行の自己査定。だから、一月十二日に発表された数字というのは、これは今の基準からいったら全く甘い、ほとんど根拠のないような数字だった。それから出てきたのはSEC基準。SEC基準は相当きつい基準であった。それより今度の新基準の方がさらに厳しいですね。  その過程で、先ほどから問題になっているように、これは銀行じゃありませんけれども山一証券が自己破産して、あれは債務超過でないから日銀特融というのが行われたわけです。そして、いよいよふたをあけてみたら債務超過だった。では長銀はどうだ。日野金融監督庁長官債務超過じゃないと聞いていますと言っていたが、今、連日のごとく司直の手で裁かれているいろいろなケースから見ると、粉飾決算をやって、もう明らかに債務超過である。日債銀も同じです。これから恐らくいろいろな形で調べられる第二地銀の問題、ここら辺も相当な債務超過に陥っていると思う。こういうような連続なんですね。  そうすると、私は多少わかっている。ここにおられる方もわかっている。それから、専門家の方はわかっておられるんだけれども、大体、一般庶民は問題債権と不良債権の区別がつきませんから。それで、十兆円もの償却をして、そしてほとんど赤字になって、しかも三月に締めてみたらさらに数字がふえていた。いつまでたったらけりがつくんだ、これが一般の人の実感だろうと思います。ここのところ株式が一万七千円から一万六千円に落ちて、またちょっと上がっているけれども、都市銀行の株価というのがこの間相当上げて、今ピークからまた二割ぐらいダウンしていますけれども、これはそういうものが反映しているんじゃないかと私は思うんです。  今度は非常にはっきりしましたから、これからは同じベースの上に立ってどういう推移になるかという形で発表されると思うんですけれども、今までの経緯を見ると、何回も申し上げるようにスタンダードがない。そのときそのときによっていろんな形の基準でもって問題債権というのを発表されておった。ここら辺についてはどうお考えになりますか。
  124. 乾文男

    政府委員(乾文男君) まず、平成十年一月十二日に公表いたしましたいわゆる自己査定の額でございますけれども、もう先生御案内のように、これは不良債権と申しましても、銀行がみずから適切な償却・引き当てを行うための前提として自分の持っている資産について評価を行う、そういうものでございます。そうした観点から、自分の償却・引き当てのためのものですから、いわば各銀行間の比較可能性が欠けるか乏しいということでございまして、より不良債権の実態を的確に把握するためには、今御指摘になりましたSEC基準のリスク管理債権がより適当であるということでもって、昨年の三月期から公表し、ことしの三月期から法令で義務づけをしているというところでございます。  そうした中で、昨年の臨時国会金融再生法による新基準というものが出てまいったわけでございまして、その新基準の性格は先ほど金融再生委員会事務局長から答弁を申し上げたとおりでございますけれども、この新基準は、自己査定が持っている債務者区分というものを前提として、それにいわば自己査定と同様いわゆる総与信ベースでかつSEC基準をも取り入れたような形になっております。現在のSEC基準、それから金融再生法の基準、ただし金融再生法の新基準は開示が義務づけられているのはこの三月期では主要行だけでございますので、オールジャパンということになりますと去年三月からのSEC基準でしかないわけでございます。  いずれにいたしましても、こうしたSEC基準、それからよりその内容が踏み込まれました金融再生法の新基準の開示によりまして、制度的にはもう国際的にも全く遜色のない水準に達したものというふうに考えているところでございます。
  125. 星野朋市

    ○星野朋市君 もう一つ銀行について申し上げたいことがあるんですけれども、これは大和銀行がニューヨークで大失敗をやって退去命令が出たということを契機にしまして、要するに銀行の海外拠点とは一体何なのかということが問題になったわけです。  私は昨年の予算委員会で、日本銀行はもう地銀まで含めて右へ倣えでみんな海外へ出ていったけれども、本当に海外で業務をやっている銀行が何行あるか、そんなものは自分のところの頭取とか常務が視察に来たときの御案内役、お得意先の御案内役みたいな形の店がたくさんあるじゃないかと。だから、もともとBIS基準というのは、日本銀行が海外へ出ていって安いユーロダラーを取り入れてダンピングして貸しているような状態から問題が起こって、そのときは銀行は海外の銀行が持っていない含み益、特に株式の含み益というのがあるから、これを計算すればいわゆるBIS基準八%というものを超えられるというような形で、もともと日本が原因だったわけです。それで、実際には大した仕事をしているわけじゃないんだから引き揚げてくれば四%で済むんだといって、それだけじゃないですけれども、続々と引き揚げてきたわけです。  そして、ここにある資料だと、横浜銀行は十一年三月までに全面撤退、大和銀行は十二年三月までに全面撤退、三井信託はやはり十二年三月までに全面撤退、中央信託も十二年三月までに全面撤退、東洋信託銀行は十三年三月までに全面撤退、そして興銀、第一勧銀、さくら、富士、住友、三和、東海、あさひ、三菱信託、住友信託、このほかに、これには出ていないけれども、要するに東京三菱があります。この十一行の海外拠点の撤退の予定というのがこのガイドライン上これは加点項目に入っているんです。どれだけ撤退したかということによって評価の点数を上げましょうということなんですけれども、これでも私に言わせればまだ多過ぎる。海外でいえばせいぜい多くても五行ぐらいです、実際にそういう形で業務をやっているのは。この中で名前を挙げるとあれだけれども、名前を挙げるのはやめましょう、問題だから。海外で実際に仕事ができる銀行でないものがまだ残っている。こんなところは評価の上でどうされたか。
  126. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 先生指摘のとおり、先般の公的資金注入に際しましては、経営健全化計画というのを出していただきまして、その査定の過程におきまして、先生まさに御指摘のとおり、海外店を持っていることがどれほど収益に寄与しているのかあるいは寄与していないのか、今後どう考えるのかということを厳正に査定し、その過程において幾つかの銀行は海外撤退を表明いたしました。  先生最後におっしゃった、先生からすれば海外に拠点を持つ意味はいかがなものかというような限界的なところもあったことは事実でございます。当方もその点は指摘いたしましたが、ただいろいろ日本銀行が海外展開していく中で、そういう顧客基盤との密接な関係の中で、もちろん海外店を相当縮小した中で数限られたところはやはり持って維持し続ける意味がある、それがまた収益にもつながるということをおっしゃっておられた銀行もございましたし、またそういう面に合理性がないとは言えないというふうに我々判断したことも事実でございます。
  127. 星野朋市

    ○星野朋市君 先ほどから何回も言っていますガイドラインという言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、これに基づいた役員、一般従業員、それからその報酬、こういうようなものの各行が提示されたデータが残っていますから、これは六カ月に一回ぐらいですか、いずれ報告があると思いますので、これはずっと注視をして見続けていきたい、こう思っております。  まだ大蔵大臣が帰ってこないから、ちょっと別な質問をいたします。  政策投資銀行に対してちょっとお聞きをしたい。これの業務分野は大きく言うと三つございます。自立型地域創造、豊かな生活創造、それから経済活力創造。先ほど浜田先生もちょっと触れられておりましたけれども、私は、この中で一番難しいのは一番最後に書いてある経済活力創造の中の知的基盤整備、いわゆる新技術開発、新規事業育成、ベンチャー企業、これに対する融資が一番難しい問題だと思っておりますけれども総裁はどうお考えでしょうか。
  128. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 新銀行業務展開に関することでございますが、これまでの私ども開銀業務経験を踏まえながらとりあえずお答えをさせていただきます。  さっき浜田委員の御質問にお答えしたときも申し上げたことでございますが、重要な三つの分野、その最後に申し上げました経済活力創造というのは星野委員が今御指摘のような幾つかの具体的な項目があり得ると思います。私が先ほどお答えしましたベンチャー企業の育成を含めて、新技術開発あるいは既存産業の事業革新というのは、定性的にこういうふうに申し上げましても、実は恐らく例えば融資判断も大変難しい。ベンチャーの担保のとり方で私どもはそれなりの工夫を、知的所有権担保というようなことで若干の試みもやっておりますけれども、とても十分と言えるような段階ではございません。  詳しく申し上げるには時間がございませんけれども、これはまさにささやかな私どもなりの経験も生かしながら、新銀行、新しい時代に本当に効率的に我が国経済発展に貢献し得る政策投資銀行といたしましては多分この分野が最も可能性は大きい。しかし、御指摘のように極めて難しい。融資判断も、あるいはアドバイス・コンサルティング機能の発揮につきましても、あるいは担保の評価につきましても、さらにせっかく金融手段で支援をいたしましてもなかなか事業性の見きわめがつけにくい、そういう意味では大変難しいことは御指摘のとおりだと思いますが、しかし、恐らく新時代に向けてこれから新銀行が一番力を注いでいかなければいけない分野であろう、とりあえずそんな心構えを持っておることを申し上げておきます。
  129. 星野朋市

    ○星野朋市君 実はなぜそんなことをお聞きしたかというと、学者の先生は簡単にベンチャー企業を育成しろと言うんですけれども総裁が今おっしゃったように、金銭的な面でかなり苦しい。苦しいというよりもなかなか難しい。成功したベンチャー企業の陰には死骸累々たるものがあるんです。日本のシステムがまだそういうふうになっていないんです。アメリカあたりはそういうのを専門に探す銀行があって、さらにその資金をファンドをつくって海外からまで募集して、そういうところにつぎ込んでいるんです。  日本の技術の実態を示すいい例で、こういう席でそんな話をしていいのかどうかわかりませんけれども、筑波研究学園都市の中に工業技術院のエリアがあるわけです。この中に、片方は電子工学研究所、片方は科学技術研究所という二つが入っていまして、電子工学研究所の方は千客万来。そうすると、定員法によってこっちは研究者と助手がたくさんつく。科学研究所の方は研究者はいるんだけれども物づくりをする助手がいないんです。そうすると、実験機械はいっぱいあるんだけれども、みんなビニールをかぶってほこりまみれになっている。一定のノルマを与えられるから研究者は一生懸命いわゆる特許を書く。ところが、物づくりができないんです。  どうしてそういうことがわかったかというと、私がうちの会社の研究者に、あそこに隠れた埋もれている研究があるから、その中から探してこいといってやらせまして、その中からいいのが見つかったから私が出ていって、いかにこれを生かそうかといって工業技術院まで巻き込んで、それから今は名称を変えた新技術開発事業団、ここの融資を取りつけようとしたんです。その前に、ある独自な技術を持っていまして、新技術開発事業団から金を出してもらったことがあるから、これをやらせようと思ったんです。工業技術院もオーケーし、当の技術者もオーケーし、それじゃ数億の単位でこれは金を出してもらおうと。  皆さん余り御存じないかもしれないけれども、抗がん剤で有名な東レがつくったインターフェロンというのは新技術開発事業団が六億出して成功させたものなんです。私が今言ったのもいわゆる医学の分野のものだったものですから、これを立ち上げようと思ったんだけれども、これは成功するか成功しないかわからないから研究費が出るわけです。だけれども、役所の先輩は、今この段階でそのものを申請してしまうとあるいはアウトになってしまうので、だからもうやめたらどうかというんです。技術というのはそういう形でなかなか出てこないものなんです。  まして、それに相当なお金をつけて一本立ちにして、せいぜい投資育成会社の投資範囲に入れば、これは何とかいくと思うんですけれども、それまでの間が非常に難しいんじゃないかと思っておりますので、開発銀行が新しい分野としてこういうことに乗り出すのでしたら、ぜひ新技術、ベンチャーに対して温かい目で見ていただきたい、こう思います。  ちょうど時間ですから終わります。
  130. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  131. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  132. 勝木健司

    委員長勝木健司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、岩井國臣君が委員を辞任され、その補欠として阿南一成君が選任されました。     ─────────────
  133. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。法案に関連しまして質問をしたいと思います。  きょうの新聞の中でも、ある新聞では一面トップで「第三セクター破たん急増」ということで大きく記事を載せておりました。そこで、きょうは日本開発銀行から第三セクターへの出融資の問題、特に融資にかかわる問題について伺っていき、法案との関連でただしたいと思います。  小粥総裁は一昨日の委員会で、開銀としては五百五社の第三セクターに対して融資をしていると答弁されましたけれども、この五百五社に対する融資の総額というのは幾らになるでしょうか。
  134. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 第三セクターに対する私ども日本開発銀行の貸付総額でございますが、平成十年三月末時点で、有利子、無利子合わせまして、今御指摘のように五百五社に対しまして総額一兆七千四百十四億円の貸し付けを行っておるところでございます。
  135. 笠井亮

    ○笠井亮君 開銀資金を供給した第三セクターのうち主なものだけでも、東京の臨海部の副都心関連、それから幕張新都心計画の日本コンベンションセンター、関西文化学術研究都市けいはんななど、いずれにも巨額の出融資をされていると思うんです、融資だけのところもありますけれども。そして、そういうところの経営についてはさまざま指摘をされておりますが、大変な状況に陥っていることが大きな問題になっております。  特に開銀がかかわっていらっしゃる東京の臨海部の第三セクターの問題について伺いたいんですけれども、幾つかあると思うんです。  東京テレポートセンター、竹芝地域開発、タイム二十四、それから四つ目に東京ファッションタウン、これら四社に対する開銀融資残高というのはそれぞれ幾らになっているか。また、これら四社には、東京都、開銀、それから民間金融機関という形で融資をしていると思うんですが、開銀融資のシェアというのはそれぞれ何%になっているか、お答えをお願いしたいと思います。
  136. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) ただいま東京臨海副都心の中で具体的な企業名をお示しいただきまして、開銀融資がどれくらいであるかというお尋ねがございました。  念のために申し上げますが、私ども金融機関でございますので、個別の取引先企業との取引状況につきましては、これは金融機関の守るべき取引先とのいわば私的契約の内容でございますので、原則としてはお答えを申し上げることを通常控えさせていただいております。ただし、本件につきましてはあらかじめ事前の御通告もいただいておりますので、私どもも会社から了解をとりましてお答えを申し上げたいと思います。  まず、東京テレポートセンターでございますが、有利子融資が四百一億円、無利子融資が百六十二億円でございます。それから、竹芝地域開発に対します融資残高は、同じく有利子融資が百七十四億円、無利子融資が五十四億円であります。次に、東京ファッションタウンでございますが、有利子融資二百四十五億円、無利子融資百二十九億円でありますし、最後のタイム二十四に対しましては、有利子融資百七十三億円、無利子融資七十一億円、そういう現状でございます。
  137. 笠井亮

    ○笠井亮君 シェアは。
  138. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 他の金融機関との間で開銀のシェアがどのくらいであろうかというのは、申しわけないんですが、現在手元に資料を持っておりません。開銀がそれぞれの企業に対して今申し上げましたように相当額の融資を行っていることは事実でございますけれども、シェアにつきましてはただいまお答えできるような資料は持ち合わせておりません。
  139. 笠井亮

    ○笠井亮君 シェアについても事前に数字をお願いしますということを言っていたので、用意がないということはちょっと話が違うと思うんですけれども。  小粥総裁は一昨日、当初の見込みどおりになっていない第三セクターがあるという形で述べられました。それどころか、見込みどおりというどころか、これら今四社ありましたけれども、東京ファッションタウンを除く三社については累積損失が自己資本を上回る債務超過状態だと。例えば東京テレポートセンター自身が、ここに有価証券報告書がありますけれども、この中で、「厳しい経営環境のもと、当期末において」、これは昨年三月末ですが、「債務超過の状態となり今後も損失が累増していくことは避けがたい状況にある。」とはっきり書いてあるわけでありまして、極めて深刻な状態だと思うんです。  しかも、開銀プロジェクト所要資金の四割程度を上限とする協調融資原則等により民間金融機関の補完、奨励を行っているということで、これは情報公開誌にも書いてあるわけですけれども、今相当額というふうに言われましたが、実際に出ている数字を見ましても、タイム二十四に至っては、補完的役割どころか、五三・四%というシェアを占めている。これはもうはっきり事実がある。債務超過状態とみずからも言っていてなかなか展望が見えないところに、いずれにしても、総裁のお言葉をかりても相当額、巨額の融資をしていると。この事態と責任は私は極めて重大だと思います。  そこで伺っていきたいんですけれども開銀法に基づく日本開発銀行業務方法書というのがございます。私もいただきましたけれども、この六条を見ますと、「開発資金の貸付けは、次の各号に定めるところにより行う。」ということが書いてありまして、その四で「担保」というのがございます。「担保は、徴求するものとし、財団、不動産、動産その他の資産をもってこれに充てる。」というふうにありますけれども融資に対しては担保をとることに開銀自身がきちっと決めているわけであります。  これは間違いないですね、担保をとるということについて。端的にお願いします。
  140. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 開銀融資に当たり担保を徴求することが原則でございます。したがいまして、ただいまお尋ねの東京都関連の第三セクターにつきましても、担保徴求を原則とし、担保管理も十分に気をつけて行っております。
  141. 笠井亮

    ○笠井亮君 その先のことも聞こうと思ったら具体的に言われましたので、次に行きますけれども、今言われた臨海関係についても担保をとっているということを言われました。この有価証券報告書の中でもはっきり担保欄に「抵当権」と書いてあります。  東京テレポートセンターで結構ですけれども、具体的には何を担保にしているのか、お答えを願いたいと思います。
  142. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) ただいま担保を徴求しているということを申し上げました。  ただ、担保の具体的な内容、どのような担保をとっているかということのお尋ねでございますが、この点はあえて申し上げさせていただければ、当該三セク企業と私どもとの取引関係のいわば詳細に関するものでございます。先ほど申し上げましたように、開発銀行は公的な機関でございますけれども金融機関でございますから、金融機関といたしまして、取引先企業の信用にかかわる資料につきましては私ども守るべきルールがございますので、これは大変恐縮でございますけれども、具体的な担保の内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  143. 笠井亮

    ○笠井亮君 民間金融機関とも違うし、相手は第三セクターであります。しかも、今透明性の問題が非常に問題になっていると。臨海開発をめぐっていろいろ問題があるわけですから、これはきちっと答えていただく必要があると思うんです。  どこなのかと。土地はテレポートセンターについては東京都の土地だと思います。有価証券報告書を見ますと、「建物」と書いてあります、担保。具体的には、貸借対照表関係の注記事項の中に、「このうち、建物一千三十九億二千九百四十六万六千円は、設備資金一千二百十六億八百十万円の担保に供している。」というふうに書いてあります、有証に。この会社には直接私も確認しましたけれども、テレコムセンタービル以外に建物は所有していないんですね。ないんですよ、この会社、テレポートセンターというのは。そうすると、この建物、テレコムセンタービル以外に、建物と書いてあるんだから担保がないと思うんですけれども、この建物と言う以外に言いようがないと思うんですが、それも言えないんですか。
  144. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 繰り返して恐縮でございますけれども、私どもから、つまり当該企業と直接融資という取引関係がございます金融機関として、私どもから担保の詳細について申し上げることは先ほど申し上げました理由で控えさせていただきたいと存じます。
  145. 笠井亮

    ○笠井亮君 では、ちょっと伺いますが、東京テレポートセンターという会社ですけれども、建物はテレコムセンタービル以外に持っていますか。
  146. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) その点は、申しわけございませんが、具体的な当該企業の不動産所有関係についての詳細は存じておりません。
  147. 笠井亮

    ○笠井亮君 事務方の方もいるんでしょう。そのぐらいきちっと答えてくださいよ。事実関係なんだから、建物ほかにあるのかと聞いているんだから、あるかないかだけ言ってください。大株主じゃないですか。
  148. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 大変申しわけないのでございますけれども、私どもが担保を徴求しているということは事実として申し上げたところでございますが、その担保がどのようなものかについては、先ほど申し上げましたような理由で私どもから申し上げることは御勘弁をいただきたい、御理解をいただきたいと申し上げておるわけでございまして、この東京テレポートセンターという三セク企業がお示しの建物以外にどのような不動産を所有しているかということにつきましては、申しわけございませんが、現在お答えするだけの資料を持ち合わせておりません。
  149. 笠井亮

    ○笠井亮君 質問はこういう問題に関連してやるということを言っているわけですし、しかも開銀は別に部外者じゃないでしょう。大株主ですよ。それぐらいの事実を言ってください。私が聞いているのは、建物でこの会社にはこのセンタービル以外にありますかと聞いているんですから、あるかないか言ってください。
  150. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 私が手元に持っておりませんのは申しわけなかったわけでございますが、ただいま後ろから資料の差し入れがございましたので。これによりますと、有価証券報告書の「設備の状況」の中で、東京テレポートセンターの所有建物というのは、お示しのテレコムセンタービル以外にはもう一つ「アンテナサイト」と書いてございます。ただし、それぞれの評価金額を見ますと、二番目のサイトと申しますのは小規模のもののようでありますから、とすれば主たる所有建物はお示しのセンタービルということであろうと思います。
  151. 笠井亮

    ○笠井亮君 私どもからは言えないと言われましたけれども、客観的に見ればもう担保はこれしかないわけですよ。今はそういう形で、客観的には主たるものはこれしかないと。あとはアンテナサイトで、建物じゃないわけですから。  では、ここで伺いますけれども、ここに東京テレポートセンターの登記簿謄本があります。ことし五月三十一日、ついこの間とってきたんですけれども、これを見ますと、この会社の登記簿のところでずっとこうありまして、最後のところに「ただし、登記簿の乙区に記録されている事項はない。」と書いてあります。  つまり、抵当権、担保はあるけれども登記されていないということだと思うんですが、これおかしいと思うんですね。どの建物か特定できないと片一方で言われましたけれども、客観的にはこれしかない。いずれにしても、この会社については乙区に登記がないんですよ。担保がある、とっていると言われたけれども登記していない。こんなずさんなことがあっていいんですか。登記しない理由というのは何ですか。これは抵当権ですよ。
  152. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) あえて一般論として申し上げますが、私ども開銀融資に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、原則として担保を徴求いたします。そこで、担保を徴求いたしました場合に、取引先企業の信用力あるいは親企業との関係その他諸条件を総合的に勘案いたしまして、債権保全上現状において特に問題がないと考えられます場合には、担保をとる、つまり抵当権を設定する、しかしその登記の留保を行っている、つまり登記を行わない、こういう場合が一般論としてあることは事実でございます。  ですから、担保の設定が登記を伴わないことは、これは実は開銀だけではございませんで、現在の金融取引慣行上、民間を含めて、間々と申しますか、そういう例はたくさんあると承知をしております。  そこで、登記のない、いわば担保留保をしていると申しますか、登記の留保をしている担保の設定、抵当権の設定というものについてのお尋ねということになりますが、これは笠井委員に申し上げるのはもう大変恐縮でございますけれども、当事者間、つまり金融機関とその融資を受けた相手先企業との関係においては、この担保の設定はもちろん契約上有効でございます。ただし、第三者対抗要件が登記によってたまたま行われていない、そういう状況というふうに御理解をいただきたいと思います。  これも一般論でございますけれども、もし仮に先ほど申し上げました担保を留保して、しかし担保権を設定して融資を行う、しかしその後状況が変わりましてさらにこの担保保全に十分な措置をとる必要があるという場合には、これもくどくて恐縮ですけれども、担保条件の見直しを行う、必要に応じて第三者対抗要件を備える措置をとる、こういうこともあり得るわけでございます。  したがいまして、繰り返しになりますが、担保はきちんと設定してある、しかし第三者対抗要件の登記を留保するということは金融慣行上あり得るということだけは申し上げたいと存じます。
  153. 笠井亮

    ○笠井亮君 一般論の話をしているんじゃないんです。具体的にこんなに大きな問題になって、しかも融資額自体だって巨額な額をやっているという問題を私は聞いているわけで、信用力とか親企業とかいろいろ言われました。私はそれもやっぱりもたれ合いの問題があると思います、後で時間があったらやりますけれども。  しかし、問題ないと考えるからしていないなんて主観的なことを言ってもだめですよ。今、最後に言われましたけれども、抵当権というのは登記を対抗要件とするわけです。民法百七十七条ではっきり書いてあるわけで、不動産物権の変動は登記をしなければ第三者に対抗し得ないわけであります。優先弁済もないと。五百六十三億円も融資残高があるのに、なぜ抵当権の設定、登記をしていないのかということです。担保留保と言われましたけれども開銀だけじゃなくて他の金融機関も持っています。そして、どこかが先に抵当権を設定する、それで登記するというふうにしたらどうするのか。回収保全できないわけです、回収の問題、債権を保全できないでしょう。  総裁はこの間も繰り返し償還確実性を担保すべく必要な措置を講じているというふうにこの法案審議をめぐっても答弁されましたけれども、当該の融資先は一般論じゃありません。冒頭申し上げたように、債務超過とか今後の損失が累増していくとみずからが言っている、有証の中ではっきり書いてある、そういう企業、第三セクターであります。  しかも、ここの「担保」と書いてある中には、先ほども読み上げましたけれども、一千二百十六億八百十万円の融資に対して、建物評価というのは一千三十九億二千九百四十六万円ですから、この有証を見たって明らかにもう既に担保割れしているわけです。建物というのはとりわけ陳腐化するというか、価値はどんどん下がっていくわけですから、そういう点では、いざというときになって、今問題ないと考えると言われますけれども、協調して融資している、そういう中で抜け駆けみたいなことがないのかどうか。あるいは、今後、協調している以外に他の債権者ができる場合だって理論的にはあるわけです。そういう場合に償還確実性というのははっきりないじゃないですか。  間々あると言われましたけれども、なぜ抵当権の登記をやらないのか。私はこれは法律の常識だと思いますよ、手続上の責任としては。間々あることですからやりませんでした、そして今後必要があればそのとき考えますなどと、そんな悠長な話じゃないでしょう、問題は深刻だし。  なぜ登記をしないのか、しなくていいと判断するのはなぜか、お答えいただきたいと思います。
  154. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) この東京テレポートセンターに対する私ども融資につきまして、担保の内容についてのお尋ねでございますが、再三繰り返しになって恐縮でございますけれども、直接私どもからその部分にまで申し上げるのは、これは金融機関としてはどうしても差し控えさせていただかなければいけないと思っております。  ただ、私どもは、担保を徴求するに際しまして、お示しのように第三者対抗要件を直ちに備えるような形で担保を徴求するか、それとも金融慣行にも広く見られますような相手先の状況によって登記を留保しておく、しかし当事者間ではもちろん契約上、明確に有効な担保の設定を行うにとどめておいて、その後モニタリングを行っていくかということは、これは債権管理上の判断の問題でございますし、またその融資企業の信用の機微に属する事柄でございますから、大変繰り返して恐縮ですが、その点についての直接の説明は控えさせていただきたいと存じます。  ただ、私どもはこの東京テレポートセンターを含めて第三セクターについていろいろと出資ないし融資ということで取引がございますが、これらの三セクは申すまでもなく公益性、公共性の非常に高い事業でございまして、その公共性、公益性が前面に当然出るわけでございますけれども、その事業に一方では民間の効率的な企業経営という要素をできるだけ生かしていこう、それがいわゆる三セクのメリットと考えられるものであると思っております。  したがいまして、私どものこれまでの三セクに対する出融資状況で申し上げますと、事業を立ち上げる前の企画段階から計画、立ち上げに至るプロセスにおいて、ディスカッションを含めて私どももいわゆるアドバイザー、コンサルタントとしての機能をできるだけ生かしながら関与していく。そしてまた、三セク事業の通常の姿でございますけれども、一般の民間企業が行っております事業に比べまして収益性が低いのが三セクの実際の姿でございますから、せんだっても三セク関係の説明でも申し上げましたように、なかなか収益面で直ちに黒字が出てくるような状況ではないのがむしろ通常の状態でございます。  ですから、この三セク事業に関しましては、私どもかなりの数をこなしておりますけれども、その経験から申し上げましても、相当に期間をかけて、それから当初見込みました事業の展開が必ずしもその後の経済社会情勢の変化によって予想どおりではないというようなケースも当然ございます。その場合には、私どもといたしましては、このテレポートセンターのケースも含めまして、大口出資先であります地方公共団体、あるいは融資を担当しております民間の協調融資行、当該企業と密接な連携をとりながら、その事業が予想どおりに推移していない、これを何とか早く事業再建の軌道に乗せるようにアドバイザリー機能をできるだけ生かしながら見直しを行っていく、あるいは事業のリストラを含めた見直しにできるだけの力をかしていく、そういうことでかなり息の長い対応をしていかなければならないのが現実でございます。  したがいまして、東京テレポートセンターの具体的な担保の内容については恐縮ですがお答えはしかねますけれども、私どもはそういう息の長い第三セクター企業とのお取引の中で、今の担保の管理につきましても御指摘のような懸念のないように不断の債権管理を厳密に行っていきたい、そういうスタンスで対応しているわけでございます。
  155. 笠井亮

    ○笠井亮君 息の長いと言われますけれども、そんな悠長な話じゃないと思うんです。先ほどから繰り返し言っておりますけれども、既にこの会社自身債務超過状態だと言っているんです。今後の損失についても累増していくと。つまり、うまくいっていないなんという話じゃなくて、もう本当にこれは破綻している状態だとみずから言っているようなところです。長い目で見て、収益性はなかなかないけれども、そのうちに、アドバイザリー何とかという話をされましたけれども、そんなことでやっていても、もういつどうなるかと本人が言っているんですよ。  信用力が背景にあると言われましたけれども、東京都の話があるのかもしれません、もしや念頭に。第三セクターというのは商法に基づく株式会社であります。東京都は確かに大株主ですけれども、法的に言えば資本金以上の責任を負うわけじゃありません。道義的責任とか信義上の責任がいろんな形で出てくるというのはあり得るかもしれませんけれども、法的に資金回収が担保されているわけじゃありません。東京都がこれ以上の都民負担は容認できないからこれ以上支援できないと言ったら、それでおしまいになってしまう。昨年の山口の地裁判決がありましたけれども、むしろそういうことが合法的な判断であります。  回収確実で、そのうち事態があれだったらそういう委員の懸念がないように何とかしましょうなんという話じゃないと思うのです。今、繰り返し償還確実性ということを言われたんだから、せめて登記ぐらいしたらいいじゃないですか、抵当権。他の金融機関と同列順位で登記をして、共同担保にすることだってできる。それさえやらないというのは、現状認識自体が私は非常に甘過ぎると思うんです。  金融機関では間々あると言われましたけれども、ほかの金融機関に聞いてみました、この法案にもかかわるようなところでありますけれども。その話によりますと、担保留保というのは相手企業が上場企業で株価が安定しており信用力のあるときの例外的なことだと。金の問題や事務節約から、十分な信用力で審査することがあり得る場合のことだと。ただし、その場合も一切拘束力がなくて、抜け駆けして登記しても制裁は一切ないと説明をしてくれました。  実際に長銀関係で、日本リースに対しても開銀だけがやっていたという経過もありますね。やっぱり危ないと思ってそういうところをやっておくということだってあるわけでありまして、先ほど挙げた臨海開発をめぐっての該当の第三セクターはまさにそういうところだと思うんです。そういう意味では、とにかく十分な手を打っておくのは当たり前で、それをいずれそのときになったらなんという話は私は通らないと思います。  同様に、タイム二十四あるいは東京ファッションタウンについても私は登記簿謄本を手にしましたけれども、同じように乙のところの担保については「記録されている事項はない。」というふうに書いてあります。  私はこれは本当にでたらめだと思うんです。事業の展望もないし、しかもこういう形で登記もきちっとやっていない。先ほど信用力とか親企業関係とか言われましたけれども、結局どこかが最後は面倒を見てくれるだろうというふうな発想でもたれ合いながらこういう開発に対して融資をしていくということになれば、最後国民や都民のところにツケが回ってくるということになると思うんです。  午前中の審議の中で溝口官房長が、業務の健全性保持に邁進するように指導している、償還確実性の原則ということでチェックが必要だということも含めて強調されました。私はこの点でぜひ大蔵大臣に伺いたいんです。  私はこの開発はむしろ問題があるからこういう方向でやるべきじゃないと思っていますけれども、それは別にして、開銀がこれだけ融資しているんだからせめて登記ぐらいしたらいいじゃないかと思うんですが、それもやらないで、判断で結構ですと言っている。大臣、こういうことでいいんでしょうかということを私は率直に伺いたいんですが、いかがですか。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的な事情を存じませんので判断いたしかねますけれども開銀総裁は間違いなく事務を処理しておられると信じております。
  157. 笠井亮

    ○笠井亮君 間違いなく事務を処理していると信じるとおっしゃいますけれども、私が申し上げたように、実際に何の保証もないということになると思うんです。そうでしょう。先ほど百七十七条の問題は総裁自身がおっしゃった。私はこれは本当に重大な問題だと思います。こんなままで開銀が今度新銀行にこういうことも含めて引き継ぐということになったら、私はこれはまた国民にとって大変な事態になると厳しく指摘せざるを得ないと思います。  もう一つ、ちょっと関連して伺っておきたいと思うんですけれども、東京都の労働経済局長の小久保さんという人が、当時、九三年、平成五年八月二十五日に東京テレポートセンターへの出融資に関する文書というのを開銀を含む借入先に送付しております。私はここに持ってきておりますけれども、その中で、「東京都といたしましては、同社の」、つまり東京テレポートセンターの「借入金債務に関して貴行に対しご迷惑をおかけしないよう、同社の経営に関し十分な指導監督を行う所存ですので、貴行のご出資並びにご融資に関し、何卒ご高配を賜りますようお願い申し上げます。」と。この小久保氏というのは現在東京テレポートセンターの社長をされております。そして、タイム二十四などに対しても同様の文書が東京都の担当者から出ています。  私は、東京都の当局者名の文書が差し出された背景には、当時、東京テレポートセンターの九三年度増資分四億五千万円が失権したことがあるのじゃないかと思うんです。民間会社九社が増資を渋った、しかしこういう形で念書を差し出されて、そしてそれをさせたかされたかわかりませんが、開銀の方は出資に応じたと。  先ほど信用力とかさまざま言われましたけれども、結局、東京都がそういう形でやってくれる、しかもそれは都としてのあれじゃない、局長の名前の文書ですから。そして、そういうもたれ合いの体制の中心開銀もかかわっている、私はこういうことだと思うんです。  先ほど大臣はきちっと処理をやられていると信用しているとおっしゃったんですけれども、この問題を含めて、率直に言って、そういう姿勢で融資の問題に当たるということについて新銀行にも引き継ぐのかということが問題だと思うんです。  これを機会にもう一度お調べになっていただくのも結構です。私もきょうこうやって質問させていただきましたので、事実は事実でどうなっているのかということも含めて、それは企業との関係でいろいろあるかもしれませんが、指導する立場の大蔵省としては、先ほど官房長もああいう形で大蔵省の立場を言われたので、きちっと調べて、少なくとも不透明なことがないかどうか、そしてそういう不透明なことがあるとすればそれは引き継がないようにする、もしこの法案が通った場合ですが。  大臣、そこについては少なくともお調べいただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これだけの御質問がありましたから、何かあれば開銀の方から大蔵省の方にもきっと事情のお話があるであろうと思います。
  159. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は短時間の中でやってまいりましたが、この問題は極めて重大な問題を含んでいると思うんですね、事実関係からしても。先ほどから個別企業との関係だというようなことでなかなか言われない。しかし、建物としても特定すれば一つしかないわけです。しかも、それをめぐって、今の段階では登記しなくてもいいと思っているというようなことで甘い考えを持たれて、そしてでたらめなことをやられています。  自治省が最近指針も出されましたけれども、今私が最後に申し上げた問題でも、東京都の一局長が何か文書を出して、よろしくお願いします、後はこちらが何かあったらやりますというようなことが書いてあったとしても、それじゃだめだと今度言っているわけですね。東京都としての意思、つまり議会できちっとそういう意思を表明するということがなければだめだと、そういう意味のガイドラインも出ているという状態だと思うんです。  だから、開銀総裁大臣も今そう言われましたので、そういう問題について、事実がどうだったのか大蔵大臣に説明をされて、そしてこの問題についてはきちっと正す、みずからも振り返って、これはまずいという問題についてはきちっとやるというぐらいやらなかったら、これは国民の金を、税金という狭い意味で言いませんけれども、そういう形で運用して使っている、そして今後新銀行になっていく開銀としては本当に国民に対して責任を果たすことにならないじゃないですか。どうですか。
  160. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) 事実関係をもう一度明確に申し上げます。さっきは一般論で申し上げましたが、本件について重ねてお尋ねでございますので。  私どもは抵当権は設定済みでございます。ただし、登記は留保しておりますが、つけ加えますと、協調融資銀行間、開銀及び他の民間金融機関との間で協定書を締結済みでありまして、いずれも抵当権設定済み、しかし登記留保ということは協調融資団の了解事項になっております。  したがいまして、先生から再三御指摘がございましたけれども、私どもは、仮にこの留保しております登記を行う必要ができました場合には、協調民間金融機関との間の了解事項にのっとって適切な対応をするつもりであるということはつけ加えさせていただきたいと思います。
  161. 笠井亮

    ○笠井亮君 私、本当にわからないんですよ。登記するぐらいやったらいいじゃないですか。協調融資団だっていいですよ。みんなで並んでやったらいいんだから。私もこんなことは言いたくないですけれども、仮登記なんて一件千円あればできるわけでしょう。そんなこともやるのがまずい理由が何かあるのかと思わざるを得ませんよ、これは。  協調融資団といったって、今相手先がどうなるかわからないというときにずっと協調してやっていけるか。しかも、それ以外に債権者が出てくる可能性だってあるといった場合に、絶対大丈夫ですなんということはないわけだから、少なくともあなた方がこの問題について確実性を確保すると言われるんだったら、それぐらいの労はいとわずに、事務量やお金にしたって大したことないんだから、きちっとやればいいと思うんですよ。民間企業ならばとっくに倒産しているようなところ、そういう第三セクターの経営実態について、私は率直に言って開銀のかかわり方を大変憂慮したいと思います。  一つは、開銀資金はもとをただせば国民の金であります。万一のことがあったならば国民の金で掃除をすればみずからの懐は痛まずに済むという発想がないかどうか。これは北東公庫苫東においても大いに問題になってきたところであります。しかも、もう一つは、開銀の貸出先が経営危機の際に、東京都が財政出動して面倒を見てくれるから安心じゃないかという気持ちがないかどうか。  そういうことで、法律の常識からいって当然やってしかるべき登記さえやらずに、もたれ合い、ずさん、そして不透明という形で新たな政策投資銀行に引き継いでそういうものをつくっていくということになったらこれは大変なことだと、絶対に許されないし、将来大変なことになりますよということを私は厳しく申し上げて、質問を終わります。
  162. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 開発庁長官、ありがとうございます。  この政策投資銀行の議論をしているときに、どうしても苫東問題について、実は一昨日も、つくり上げたときの計画責任というのは国にある、その場合の国の十三省庁の主管省庁は開発庁だということを私たちは確認したわけでありますが、再度またその点も確認したいと思うんです。  その中で、私はこのスキームでまだ解決のついていないところがあるのではないかというふうに思うわけであります。それは、一つは新しく苫東会社をつくる前にいわゆる処理スキームというのがございました。きょうも午前中に開発庁の事務方にお尋ねしたところ、民間融資団の債権放棄あるいは新会社への出資というのはまだ解決がついておらないんだと。長官、ぜひこれは責任を持って新会社発足までに処理をする、この点についての決意をまず確認したいと思います。
  163. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 苫東の問題でございますけれども、いろいろな御批判をいただいてまいりました。私なりに検証しながら、北海道開発庁責任というものも重い、このように受けとめさせていただいております。  その中におきまして、特に御指摘をいただきましたのは、経営責任の問題、それから借入金に依存する体質の問題、この二つであろうと。したがって、新会社はこの二つをはっきりさせていかなければならない。そのためには、委員今御指摘のとおり、まず民間金融機関に理解と協力を求めていかなければならない。そこに経営責任の問題もかんでまいります。  したがって、役所として私どもは一生懸命やりますけれども、最終的には新しい会社の社長がみずから金融機関を訪ねて歩いて了解をもらっていく形にしていかなければならないだろうと。私ども現場の人間が、事務次官なり課長なりが十回以上各銀行を訪ねて理解を求めながらいい感触を得つつあることは事実でございますけれども最後はどなたがこの会社を経営されるんですかというところが私は一番問題だろうと思います。  そういった意味では、少し早目に経営の責任体制というのを明確にさせていただいた。北海道北東公庫はまさに出資の一番大きなところでございますので、お二つから社長と専務を出していただいた。それも、OBという御批判をいただいてまいりましたので、現役の人を出してほしいと大変御無理を私自身がお願いして体制をつくらせていただいた。そこで、最終段階は、もちろん私どももお手伝いいたしますけれども、新しく経営責任を持たれる方が、こういう形で出資を求めたい、金融機関の協力で最終的には出資を求めなきゃならないわけですから、出資を求める了解を得たい、このように思っております。
  164. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のお話を聞いていると、このスキーム閣議決定までされて苫東開発をつくった、そのいわゆる計画責任及び進行管理の責任があって、旧会社は破産してそれを民間銀行も含めて処理をしていこうということなんですね。そして、それがきれいになった段階で、新会社は今度は利払いをしなくてもいい形で運営しますよと。そういう利払いをしないでもいいという会社の運営とそこに至るまでのプロセスの中で、新会社の社長さんに旧会社の方の責任も含めて全部お願いに歩いていただきますよと。私はそこのところは、国のこの間における情勢に対する適応能力が欠けていた問題やそういったことについての責任はやはり主管官庁である開発庁にあるのではないかというふうに思うんです。その点は少し私は認識を異にしているんですが、長官、どう思われますか。
  165. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私ども責任を回避するつもりはございません。私も行けと言われたら行きます。しかしながら、当然、民間会社は出資するわけですから、どのような経営体制でおやりになるんですか、どのような経営者がこの後新しい会社を引っ張っていくんですか、ここは明確にしなきゃならないと思います。  したがって、我々の努力と新しい会社の社長の努力というものが合わさっていきませんと、新しい会社というものはみんなの歓迎の中でスタートするわけにはいかない。我々がつくりました、どうぞおみこしの上に乗って社長をやってくださいよという話ではこういう経営というものはうまくいかない、私はこういうふうに思っております。
  166. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、今の問題について、ここに「苫小牧東部地域開発の今後の進め方(案)」という二枚物がございます。これは衆議院の段階においても目論見書程度だなというふうに評価をされたもので、午前中、開発庁の役人の方からも、これは出資者の理解、協力を得るための目論見書だと、そして新会社ができたときには事業計画の骨子に当たるものだと、こうなっております。そうすると、この目論見書は新しい会社の人がつくったわけではないんですね。北海道開発庁がつくったわけです。  そうすると、北海道開発庁は、この「(案)」と書いてあるのを取って、そしてこの中身に書かれていることについて各省庁とまだ十分了解をとっていないと言うけれども、この点をしっかりとった上で、わかりました、これはナショナルプロジェクトとしてこれからはこういう課題についてやりますよと、この点の責任が伴っているんではないでしょうか。この点について、長官、どうお考えでしょうか。
  167. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) このプロジェクトの基本は、これだけの大きな土地を北海道の将来、日本の将来のためにしっかり支えていくべきだろうというのが基本であります。しかしながら、同時に北東公庫を初めいろんな金融機関に出資をいただいていることは事実でありますし、また出資を求めていかなきゃならないことは事実でありますから、そういった意味では短期的に配当もしていかなければならないだろうと思います。  したがって、売れるものは売ろうと。しかし同時に、長期的な戦略というものはもう一度考え直さなければならない時期に来ているんだろう。経営諮問委員会委員長になっていただく予定の児島さん、また不動産協会理事長の田中さん、こういう方々からも、我々はこうした仕事をお引き受けする以上は北海道開発庁のお仕着せでは受けませんよ、新しい会社がスタートした中できちっとした事業計画を自分たちも納得ずくでつくっていきたい、また社長もそうした意気込みでおられるということは事実でございます。したがって、過去のいろんな歴史の中から、新しい経営者というものがまず責任を持つという体制をつくらなきゃならないと思います。  ただ、峰崎委員心配しているのは、我々は逃げるんじゃないかと。こういう御心配をいただくとしたら、それは私が最終責任は持ちます。北海道開発庁、そして将来的には北海道局が最終的な責任は持ちますけれども民間会社としてスタートする以上は経営者の意気込みというのが一番大事であります。我々は事業計画自体もたたき台をつくってお示しをいたし、また民間金融機関にもお話をいたしておりますけれども、最終的にはやっぱり社長さんが自分の考え方で決めてほしい、そして経営諮問委員会の方々の御助言をいただく中でスタートする、こういうふうに考えております。
  168. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、経営諮問委員会の方々に経営の面についてはお任せしますと。しかし、国策としての苫東計画についての最終責任は開発庁がきちっととります、そういうところの十分な連携はこれからもとっていくという理解でよろしいんでしょうか。
  169. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まさにそのとおりでございます。そういう意味では、過去の歩みの中でそこがはっきりしていなかったなというまず第一の反省をいたしておるところでございます。
  170. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、独任の大臣をいただいた北海道開発庁時代はまだその点は非常に見えやすかったと思うんです。そして、当然責任者というのはおられたわけですが、今度は国土交通省というところに、私どもは反対ですが、統合されようとしている。そうすると、きょうこういう形で確認をさせていただきましたが、巨大な官庁ができ上がって、その上に大臣が一人おられる、そういうもとで果たしてここでの確認あるいは責任というものが最後まで本当にきちんと守られていくんだろうか、そういう不安感を持っておられる方はたくさんおるわけです。  大臣省庁統廃合を経てもこの点については新しい大臣がきちんと最後責任を持つ、このことを明確にしていただけないでしょうか。
  171. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私は今運輸大臣と兼任をいたしておりますけれども、運輸大臣だからといって逃げることはございませんし、今度はまさに国土交通省という一つの役所の中で大臣が所掌の仕事については責任を持つわけでありますから、幾ら副大臣がいます、政務官がいますといっても、最後はやっぱりたった一人の大臣責任を持たれるものと、このように理解しております。  私が直接引き継ぐわけにいきませんけれども、次また次ぐらいで引き継ぎになるかもしれませんが、はっきり申し上げておきたいと思います。
  172. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のお言葉をしっかりと、恐らく議事録にもきちっと明記をされると思いますので、そのことは確認したいと思います。  もう一つ、もう北海道開発庁がなくなろうとしているわけですから今さらそのことを言っても仕方ないだろうと思うんですが、開発庁という役所がこういう企業誘致の問題だとか総合的な計画を進めていくときには、農水、建設、運輸の三省庁の公共事業を一括して受発注する、どうもそういう仕組みそのものに、十三省庁の主管官庁としてやっていくことに少し問題があったんじゃないかなという気がしてならなかったんですが、今度、国土交通省の中で今おっしゃったような新しい会社との十分な連携だとかそういった点を経る中で進めると同時に、もう一つは、将来何省庁になるかわかりませんが、国の責任というか、国の中で一つ一つの、例えば苫東の今後の開発の進め方一つとっても、他省庁ノウハウだとかそういったことを十分把握していただきたいと思います。  もう一つは、午前中もちょっとお話ししたんですが、苫東開発だけではありませんで、北海道地域産業クラスターといったような運動も起きております。そういった地域における内発的な運動と、それからアジアにおける動きだとかそういうことをしっかりと見ながら、この苫東開発を国が最終的に責任を持ち、しかも現場の新しい会社にしっかり頑張ってもらいたい。そこのところの体制をひとつしっかりと確立していただくよう私の方からお願いを申し上げまして、もし感想があればいただきますが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  173. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 北海道開発庁は基本的には開発法というものに裏づけられた官庁だと思っております。そして、その実行過程の中で開発計画というものを組んで歩んできた。その中に苫東というものを位置づけたわけでありますから、私は北海道開発庁責任を持ってやってきたということは不思議ではないと思っております。  今後の開発法なり開発計画なり、また、まだ開発庁はあるわけですから、その行き方として、ただいま峰崎委員が言われましたように、運輸省、農林省、建設省三省の公共事業のみをやっていくことによって北海道の将来展望を切り開いていく、また活性化していくということにつながるだろうか、これのみに依存するということであってはならないのではなかろうかという意味で、先ほど委員から御指摘がございました産業クラスターの問題等を考えていったときに、今少し勉強させているところでありますけれども、ソフト関係の予算というものを何とか持つということも考えていかなきゃならないんじゃなかろうかと思っております。  まだ大蔵大臣に全く御相談しないまま勝手なお話をいたしておりますけれども、実はそういうことも私どもの頭の中にあることだけは申し上げておきたいと思います。
  174. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。
  175. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  私も開発庁長官中心に伺うわけですが、その前に、その前提となりますことについて一つ確認しておきたいんです。  一昨日、宮澤大蔵大臣に今度の北東公庫の投資について伺ったときに、いわゆる代物弁済という形でやったために結果的に北東公庫が新会社に対して五四%の出資という形になった、これは代物弁済ということでやったにしろ正常じゃないんだと。将来これについてはきちんと民間に株を譲っていくというふうな形で処理していくんだというふうなお答えがありました。私は当然のお答えだと思ったわけです。  ただ、これは将来、新会社の経営がうまくいったということが前提になっているわけなんですね。そういうときにはそういう形で返していくだろうということなんですが、その新会社なるものは借入金に依存しない形でこれから経営をやっていくということになっております。  そうしますと、うまくいかなかったらどうするんだという問題が当然起こってきます。そのときには、事業を続けていく上で借入金、有利子負債はしないわけですから、これは増資という形になるだろう。そういう状況の中で、では民間が増資に応じるのか。応じないことが当然考えられるわけで、そのときにはまた結局、北東公庫を引き継いだ政策投資銀行が増資に応じるということになりますと、そのパーセンテージ、シェアが減るどころか逆にふえていくということにならざるを得なくなるわけです。  しかし、それはやらないんだ、それは絶対に政策投資銀行はやらないというふうに私はまず理解したいんですが、一昨日のお答えについてはそこまで確認していいものかどうか、まずその点について大蔵大臣に御確認いただきたいと思うんです。というのは、これはこれからの新会社に対する投融資の問題に絡まってくる問題なので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  176. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 私ども北海道開発庁苫東計画につきまして計画責任を負っている立場からお答えさせていただきたいと思います。  一昨日もお答え申し上げましたとおり、現在の苫東会社に対する官民の出資割合は折半になっております。それに対しまして、予定しております新会社では、もともとの基本的考え方が国ないし北東公庫三分の一、北海道三分の一、民間三分の一ということでありまして、現在の苫東会社に比べますと、官の責任度合いといいますか、役割分担が重い仕組みになっているところでございます。  一昨日もお答え申し上げましたように、結果として代物弁済が入ります結果、北東公庫の出資割合というものは五四%になりますけれども、私どもといたしましては、こうした将来における処理の問題はあろうかと思いますけれども、国の関与、地元北海道の関与、そういった観点から考えますときに、この北東公庫の出資割合については当面は何とか維持をすべきものというふうに考えているところでございます。  それから……
  177. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要らないよ、もう。何を言っているんですか。  私は大蔵大臣答弁確認を求めているんで、あなた自身に何にも答えてもらう必要はないんです。しかも、あなたの今言ったことは私がおととい言ったことを繰り返しただけじゃないですか。そんな答弁は全然必要ないんです。  増資をしなければならないということになったときにも、それはそういう形で民間が増資に応じないときに政策投資銀行が増資に応じるというようなことは今後はやらないんだということをまず確認させていただきたいということを申し上げているんです。そういうふうに大蔵大臣の御答弁を私は受けとめたいということでお伺いしたんです。
  178. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは一昨日お尋ねがありまして、代物弁済の一八%、それを入れますと五四%になってしまうんですね。それは余り正常なことでないと私は申し上げましたし、将来どういうことになりますか、民間が増資に応じないといったようなときに、一体そういう会社というものは本当にその後やっていけるものだろうかどうだろうかというふうに一般的には一遍考えてみないといけないんじゃないかと思いますね、普通の常識としては。  したがいまして、今は仮定のお話ですからきちんとお答えできませんが、そのような状況というものはやっぱり一遍立ちどまってそれから後を考えなければならない状況ではないかと私は思います。
  179. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうだと思うんです。ですから、この新会社の出発に当たってはそういったことにならないように、しっかりやっていけるんだという確信が持てるような新会社の発足にしなければならぬし、開発庁はその責任があるはずなんです。  そこで、開発庁長官に伺います。  今、峰崎委員の言われたような新事業計画については私も後で伺いますが、これなどから考えても、到底新会社は、今の時点で判断する限り、民間が喜んで出資していくというふうな状況にはないんだろうと私は思います。  さらに、今私がわざわざ申し上げたのは、借金に依存しない形でやっていくということが大前提になっていますから、新事業をこれからやっていくというときに、当然造成もやります、お金がかかります、その金をどうするんだということが起こってきます。  さらにまた、もっと金が要る問題もあります。  まず第一の問題として伺いたいのは、開発庁は今まで北海道にお願いして土地の先行取得をしてもらいました。旧会社との間でその買い入れ契約をして、それで約束してきた。ところが、その第二次買収用地についてはいまだに買い入れていない、その大部分を買い入れていないわけです。  これについてなんですけれども、大体北海道は百七十八億、二百四十八ヘクタール分を今第二次買収用地として所有しているわけですが、この代金なんです。北海道は、新会社にも参加するという意思を道庁の方は表明している、道議会ではきのうの段階でまだもめていまして、道議会の承認は得ていないですが。そういったところで、この費用の分ですけれども北海道が持つ百九十二億円の大部分になるんですが、この費用の分を出資金から差し引いてくれといったような意見も出ているわけです。それが実際にそういう形で要請が出てきた場合、開発庁はそれを認める立場に立ちますか、新会社への出資。
  180. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 苫東会社と北海道の間で、昭和四十八年三月、約束があったことは事実であります。しかしながら苫東会社が現実に破綻をする状況になった、これも事実でございます。したがって、新会社というものがつくられる。その新会社が苫東会社のすべての約束を引き継ぐということではないわけです。  したがって、私と北海道知事との話し合いの結果というものは、北海道は新たに出資をしていただく、この土地の問題とは今回は切り離した話だ、こういうふうに理解をいたしております。
  181. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 非常に重大な発言だと思うんです。北海道の方が聞いたらこれは怒るんじゃないかと思うんですが、もう一度確認します。  新会社にはすべて引き継がないだろう、旧会社との約束は。そうすると、今問題にしている土地の第二次買収部分ですが、苫小牧東部大規模工業用地の開発および売買に関する基本協定というのが北海道と旧苫東会社との間で結ばれております。この協定はどうなりますか。もう旧会社はつぶれるんだからこの協定については新会社には受け継がないということになりますか。大臣、答えてください。
  182. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど申し上げたとおりでございます。したがって、北海道開発庁北海道庁の間では、関係者の協力を得て協議の上、平成十二年度末までに、来年度末までにお互いで処理方策を検討していく、こういうことがお互いの覚書として交わされております。したがって、先ほど申し上げたように、今回の出資の問題と北海道が先行取得された土地の処理の問題とはイコールな話ではない、こう申し上げているわけです。
  183. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 出資の問題は、それはそれでいいです。  そうしますと、要するに北海道が今保有しておる第二次買収部分を新会社で将来買い上げるかどうかという問題はまた別問題として残りますね。それは旧会社との協定は生かしたままで交渉によって買い上げていくということになりますか。
  184. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど申し上げましたように、旧苫東会社は破綻でございます。したがって、私ども北海道開発庁北海道の中でお互いの文書が交わされた。それを読みますと、「二次買収用地については、国家的プロジェクトである苫東計画区域内の土地であり、新会社を軌道に乗せ、しっかりした事業計画を的確に推進していく中で措置」をしていくと。したがって、まずこの会社がしっかりとした経営の歩みを示すという、お互いそこをまず努力しましょうと、そういう話し合いになっております。
  185. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 では、将来しっかりしてきた時点で買い上げよう、こういうことですね。そこまでは言わない、しっかりしてきたところでもう一回話し合おうということですか。それでは全然約束しないということに等しいですね。  そうしますと、この会社がまずしっかりするということが大前提になるわけです。しっかりする前にまず立ち上がりはどうかということなんですが、今、峰崎委員もいろいろと言われました。私もいただいたものを持っておるのですけれども、いわゆるもくろみといいますか、プロジェクトの計画書の中でいろいろプロジェクトとして挙げられておりますが、途中で入っておった空港建設というのが抜けております。いわゆる五全総といいますか、新しい全総の中で苫小牧東部開発地域に空港をつくろうという案がちょっと一時入りました。入りましたが、川崎開発庁長官就任時のころでしたか直後ぐらいですか、この空港についてはもうやめるということを言明されたと思うんですが、そのことをまず確認したいんです。
  186. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 新たな空港をあそこにおつくりになるというお話でしたら、運輸大臣としては無理ですなとお話し申し上げました。
  187. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 運輸大臣としても開発庁長官としても同じだろうと思うんですけれども、無理だということです。これについては抜けておる。これはいいことなんですが、その後いろいろ挙がっておるんです。その中で最も広い土地を使用すると書いてあるITER、一体これはできるのか。開発庁が勝手に考えただけのことじゃないのか。それからまた、鉄道車両工場の移転は本当にできるのか。こういうことが計画書として上がっておって、そしてそれぞれこういうものを見て出資しようかということも判断していくことになるわけですね。  それで、先ほどは各省庁との交渉がまだ成り立っていないということであったんですが、各省庁との交渉どころか、開発庁以外には関係者はだれもいないんじゃないですか。例えばITERはどうなんですか。これを交渉しているところはありますか。ないでしょう。  もう時間があと二分しかないから申し上げますが、開発庁長官、鉄道車両工場の移転はJRとの間で話したことはあるんですか。ないでしょう。こういった計画の最初の立ち上がりでしっかりしてきたらなんて、どうやってこんなことができるんですか。最初の段階がこれではどうしようもないでしょう。まず、そのITERと鉄道についてちょっと事実を教えてください。
  188. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 詳細は政府委員の方からお話しさせていただきますけれども、先ほどお話し申し上げましたように、借入金に依存しない体質にする。それからもう一つは、一番人数が多かったときで昭和六十年、百二十名ぐらい職員がいたと思います。東京事務所もございました。今度の会社は二十人以下の会社になります。そして、収入としては埠頭収入で固定的な収入が入ってまいります。そこで、もう一つの努力というのは、やはり地方自治体にも努力してほしい、固定資産税問題というのが出てくるだろうというふうに考えております。この三点がきちっとそろいますと、基本的には赤字が出ない体質になるだろうと思います。  しかしながら、先ほど峰崎委員にもお答え申し上げたんですけれども民間会社に出資をしていただく、したがって配当していかなきゃならない。要するに、黒字にして返していかなければならないだろう。したがって、土地というものをなるべく売れるように私ども仕組みとして考えさせていただいております。そして、それが今全部完璧にできるとは申し上げませんが、これから努力をしていきますという目標を入れさせていただいたところであります。  そういった意味では、経営自体どうだといえば、我々は長期的にもつ体質というものはつくり上げた。しかしながら、民間にきちっと早く配当ができますかということになると、もう少し我々は汗をかかなければならないという御指摘は事実だろうと思います。
  189. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 時間が来てしまったので終わるんですが、本当に現実の問題を私は問題にしているんです。  例えばITERなんというのは架空の夢みたいな話だから、こんなのはだれだって信用しないだろう。それはいいけれども、JRの整備工場が来るよと言ったら、しかも開発庁が言っているとしたら信じますよ、そういうのはいいなと。ところが、私はJR北海道に聞いてみたんです。そうしたら、当方では全くそんな意思はありません、まず意思がないと。その後何にも話はありませんと言っているんです。JRに何にも話がないんですよ。それがこうやって堂々と計画に載る、こういう体質がまず問題になりますよ。  この問題は今度の政策投資銀行設立と余り関係ないというふうな話もあるんですけれども、決してそうじゃない。まさに政策投資という方向を考えていくときの本当にいい例だと私は思うんです。一番最初の例がこれでは先が思いやられる。これは苫東の新会社の先が思いやられるのもそうだし、政策投資銀行としての政策金融のあり方についても先が思いやられるというふうに私は思います。  時間が来たので終わります。答弁は結構です。
  190. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。  日本政策投資銀行法案並びに関連につきましてお尋ねいたします。  まず、北海道開発庁苫東新会社の件でお伺いいたします。  六月一日、火曜日の参考人質疑の際に、苫東問題を検証する会のメンバーでございました北大の濱田教授に、北海道開発庁から提示されている苫東新会社の収支見通しによれば、売り上げも堅調に推移し、今後二十年間の配当金と内部留保の合計は五百六十四億七千三百万円になっているということですけれども先生はこの点に対して達成可能だとお考えでしょうかという質問を私がいたしました。そうした数字は存じていないので何とも答えようがないという御答弁でございました。  そこで、北海道開発庁はこうした試算をされる際に苫東問題を検証する会のメンバーに意見をお求めになるのか、こういう手続はどのようになっているのか、検討する会の位置づけはどうなっているんだろうか、そのあたりの事情につきましてお尋ねをいたします。
  191. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 私どもは新会社に対する関係者の出資を仰ぐべく、苫東地域に誘致すべき公的プロジェクト中心に事業計画を検討してまいりました。  午前中申し上げましたように、最終的にはそれは新会社の事業計画になるべきものでございます。そういった誘致すべきプロジェクトを基本に置きながら、昨年来、具体的な金額面も含めました分譲の計画あるいはそのことによる新会社の収益見込みといったものについても検討してきております。  今、先生の方から二十年間で合計五百六十億円といった数字をお示しいただきましたところから見ますと、かなり古い段階での内部検討の資料をもとにおっしゃったんではないかと思います。引き続き、新会社、すなわち発起人会で確定すべき事業計画の詳細な中身については、関係金融機関の要請等も承りながら、現在最終的な詰めを行っている事情にあることを御理解いただきたいと思います。
  192. 三重野栄子

    三重野栄子君 理事会で御承認いただきました私の資料につきまして、委員の皆様にお渡し願いたいと思います。    〔資料配付〕
  193. 三重野栄子

    三重野栄子君 今御答弁をいただきましたが、北海道開発庁の試算どおりになりますと非常に結構なことだと思いますけれども、いささか見通しが甘いのではないかとも思っています。  この試算の前提条件として、埠頭の使用料で人件費、物件費等を賄うということを苫東会社の中田社長もかつておっしゃったのでありますけれども、どのようなお考えで運用されるのでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。見通しも含めて御説明をお願いいたします。  なお、資料につきましては、いろいろとまだ途中だとか最終決定ではないという御意見等々もあろうかと思いますけれども、できましたら御説明をお願いしたいと思います。
  194. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 配付されました資料自身は、先ほど申し上げましたように内部検討の段階であり、かつかなり古い段階の資料でございます。したがいまして、まことに恐縮でございますけれども、これに基づいて何がしかのコメントをすることは御容赦いただきたいと思います。  その上で、苫東会社の経営上の見込みの点でございますけれども、新しい苫東会社は現在の苫東会社が持っております埠頭資産、それから貸付資産を引き継ぐことになります。この結果といたしまして、年間で五億円程度の固定収入を持つことになるわけでございます。会社の人件費、事務費等は、スリムな会社の運営形態を構築することによりまして、基本的にはこの固定的収入によって賄っていくということにしておりますので、会社がゴーイングコンサーンとして事業を行うことによって損失を出すということにはならないわけでございます。  加えて、北海道関係者と緊密な連携のもとに公的プロジェクトを織り込みながら事業展開を図っていくということにしておりますので、適正な配当が確保し得るような収益性が期待できるということを確信しているわけでございます。  北海道開発庁といたしましても、この苫東開発計画については計画責任を負っておりますし、かつ既に苫東会社の破綻という事実を踏まえての話でありますので、二度と失敗をしてはいけないという重い責任のもとで最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。
  195. 三重野栄子

    三重野栄子君 よりよい方向で御検討されているということでございまして、大変喜ばしいことでございます。  その項目に売り上げの数字がございますが、これは用地分譲によるものと理解してよろしいのでしょうか、お答えをお願いします。
  196. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 御指摘のとおりでございます。
  197. 三重野栄子

    三重野栄子君 それによりますと、今後よりよい方向ということでございますけれども、一応それに関連してお伺いさせていただきます。  新会社設立後二十年で千二百四十七億三千万円の売り上げを見込んでおります。「苫東開発をふりかえって」の四十ページにございますが、現苫東会社による用地分譲は昭和五十三年から平成九年までの二十年間で九百七十二億三千八百万円にとどまっているということを勘案しますと、この目標というのはどうも希望的な観測と思えるのでございますけれども、今伺いましたように、よりよい方向でということでございますので、御見解を伺いたいと思います。
  198. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) 具体的な売り上げの規模についてのコメントは、先ほどお願い申し上げましたとおり、お許しをいただきたいと思いますけれども、新会社にありましては、破綻いたしました苫東会社と異なりまして、借入金に依存しない形で運営をしてまいります。したがいまして、土地の分譲に当たりまして、相当程度金利コストを考えない分だけ土地の販売価格の低減を予定することはできるように思います。  したがいまして、現在の苫東会社でもなお一定の競争力は持っておりますものの、今後、借金に依存しない形で不動産造成、分譲をやっていくことにより、相当競争力を回復した形での土地の分譲が可能になろうかと思います。
  199. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、少し違うことですが、今回の統合法案によりますと、地域振興整備公団が実施してきた工業再配置事業及び産炭地域振興事業というのがございますけれども、この融資日本政策投資銀行に引き継がれることになっております。しかし、地域振興整備公団の貸付金残高に占める延滞債権額の割合は平成九年度末で九・一%、特に産炭地域振興事業については一三・五%と高い比率となっておるのでございます。  私は福岡県出身で産炭地域振興について大変関心もあるし、注意を払うわけでございますけれども、そうした融資に対するノウハウというのは政策投資銀行においてはどのように引き継がれていくのか、もしよかったらもう少し細かくお伺いできないでしょうか。
  200. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 御指摘のように、地域振興整備公団の融資は新銀行におきまして地域整備関連分野の一環として位置づけまして、当該分野への金融を引き続き十全に確保することとなっておるわけでございます。  そのノウハウ等との関連での御質問がございました。一つは残高、既に行っているものは引き継がないわけでございまして、その中には不良債権のようなものがあるかもしれませんが、それは新銀行には引き継ぎませんので影響はないわけでございます。  それから、新銀行になりましてそういうノウハウをどうやって蓄積していくかということにつきましては、一般に融資でございますからプロジェクトの評価をするノウハウ開銀北東公庫が持っているわけでございますから、そういうものが十分活用できますし、それから地域振興整備公団の方からいろいろお聞きしたり指導を仰いだり助言をいただくということも新銀行ができる前にも可能でございますから、そういうことを十分やってまいりたいというふうに考えます。
  201. 三重野栄子

    三重野栄子君 まだ問題は残っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、北東公庫につきまして、苫東むつ小川原開発ばかりがクローズアップされておりますけれども、石狩開発に対する貸し付けも焦げつきが危惧されているところでございます。  先ほどからいろいろと言われておりますけれども、石狩開発に対する貸付残高がどれぐらいか、個別的に伺うということはできないかもわかりませんが、追い貸しになるようなことになるのではないかと大変心配しております。これらの問題につきましてお話しできるだけの分をお伺いしたいと思います。
  202. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) 守秘義務の問題がございますけれども、ただ本件はあらかじめ先生からお尋ねをいただきまして、出融資残高につきましては相手方の了解が得られましたので、お答えを申し上げたいと存じます。  石狩開発株式会社に対します出融資の現在高でございますが、出資が四億円、融資が三百二億円でございます。
  203. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、追い貸しになるような云々ということを申しましたけれども、これらにつきましては私の方も後ほどいろいろとお話を聞かせていただきたいと思います。  続きまして、先ほどから第三セクターの問題が出ておりましたけれども開銀北東公庫融資対象の一つとなっておりますテレトピアにつきましてお尋ねしたいと思います。  郵政省主導のテレトピアは通産省主導のニューメディア等と地域的な重複が指摘されているほか、事業自体がうまくいかないで撤退するケースも発生し始めていると伺っております。  まず、郵政省にお伺いしたいのですけれども、テレトピア構想について何か改善に向けた対処はございましょうか。テレトピア構想に関する今後の問題につきましてもあわせてお伺いします。
  204. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) お答え申し上げます。  テレトピア構想でございますけれども、これは地方公共団体がみずから計画を策定して、当該計画がテレトピア構想に合致していると認められる場合、モデル都市に指定するという仕組みでございます。昭和五十八年に提唱いたしまして、現在までに百八十地域、四百六十九市区町村をモデル地域に指定いたしております。住民サービスの向上等、多方面にわたって地域情報化の進展に大きな成果を上げているというふうに理解しております。  郵政省初め政府全体として高度情報通信社会の実現を目指してさまざまな施策を実施しているわけでございまして、私どもとしても、地方自治体の指定の希望も多数ございますので、今後とも積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。  それから、法人の解散、撤退と申しますか、それについてお話がございましたが、最近ございましたのはキャプテン、ビデオテックスを事業の中心にしている会社でございまして、これはインターネット等ビデオテックスにかわるさまざまなメディアが発達してきたということが前提になっております。テレトピアの大宗はCATVでございまして、それにつきましてはほぼ順調に推移しているというふうに理解しております。
  205. 三重野栄子

    三重野栄子君 余り大きな問題はないように伺いましたけれども、高度情報化社会におきまして郵政省の事業に対してはますます大きな期待があると思いますので、さらに御検討いただきたいと思います。  次に、第三セクターのことを伺いたいと思いましたけれども、これはもうやめにいたしまして、人材の登用についてお伺いいたします。  内部登用の必要性についてでございます。  開銀北東公庫ともに歴代の総裁大蔵省からの天下りがほとんどだったと思うわけでございます。しかし、新銀行につきましては、職員の士気を高め、また新会社の出発でございますから、プロパー職員からの総裁への登用あるいは役職員の登用がございますれば、それぞれそこで働いておられる方もさらに勇気を出して、希望に燃えて働かれるのではないかというふうに思うわけでございます。  この点につきまして、先ほど開発庁長官のこともございましたけれども大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  206. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 開発銀行及び北東公庫両方とも設立以来かなり時間がたっております。したがいまして、いわゆるプロパーの人々、内部に入りまして育った人が役職員になるということはもうほとんど常識になっております。そのことはまた推進していくべきことだと思っております。  なおまた、総裁等々そういう場合もございましょうし、あるいは適材適所ということで広く人を求めることもある。おっしゃいますように、指定席のような天下りということは、これはもう世の中通らないようになるのではないかと思っております。
  207. 三重野栄子

    三重野栄子君 天下りの方がみんな悪いというわけじゃございませんけれども、やっぱりそこで働いておられる方が登用されていくことで希望が持てるのではないかという意味でございまして、それぞれお働きになった方々のことはちゃんと私も評価をしておりますので、御了承をお願いしたいと思います。  今伺いましたようなことが具体的に前進いたしますように、よろしくお願い申し上げます。  最後に、ペイオフについてお伺いいたします。  二〇〇一年四月のペイオフ解禁につきましては延期論も出ているようでございます。しかし、仮にペイオフを解禁しても、郵便貯金は一人一千万円を限度に元本及び利子が保証されておりまして、四人家族であれば四千万円まで保証されるわけでございます。さらに、他の民間金融機関に貯蓄を分散することも可能でございますから、ハイリスク・ハイリターンを選好するのか、あるいはローリスク・ローリターンを選好するのか、これはまさしく個人に帰せられる問題であろうと思うわけでございます。  二〇〇一年三月末で日本版ビッグバンは完成する予定でございまして、自己責任原則を徹底させる意味でもペイオフは延期すべきではないと私は考えます。  大蔵大臣もペイオフ延期につきましては反対の意見を表明されてきたように思うのでございますけれども、現段階においてもそのようなお考えでございますか。大蔵大臣のお考えをお伺いいたしまして質問を終わります。
  208. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 従来申し上げておりましたことに変わりはございません。  なお、この二〇〇一年四月あるいは三月というのは一つの区切りになりますが、そのことに関連いたしましていろんな問題があろうと思います。今の基本を変えるつもりはございませんが、そういうことにつきましてはまた金融審議会などであれこれ検討してもらっておるところでございます。
  209. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。     ─────────────
  210. 勝木健司

    委員長勝木健司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、西田吉宏君が委員を辞任され、その補欠として山内俊夫君が選任されました。     ─────────────
  211. 菅川健二

    ○菅川健二君 政策投資銀行につきまして、一昨日、三つの柱のうちの一つとして、地域経済自立的発展地域振興についていろいろと御見解をお聞きしてまいったわけでございます。これからの地域振興を進めるに当たりましては、従来のように経済が高度成長するという時代は来ないわけでございまして、経済がよくて低成長で、停滞をする状況、しかも少子高齢化の状況を迎えるということになりますと、新しい地域の拠点を求めて開発していったり、あるいは都市の外延的拡大を図るような従来型の政策というのはかなりリスクが高くなるわけでございます。  むしろ現在の状況を見てみますと、既存の地域におきまして工場がどんどんリストラによって跡地になっていくとか、あるいは縮小されるという状況もありますし、また都心部におきましても空洞化が進んでおるわけでございます。空きビルがあったり空き地がどんどんふえたりしておる状況もあるわけでございます。そういった面で、この際思い切って都心部の都市改造をやりまして人口を都心に戻していくという政策も要るのではないかと思うわけでございます。  こういった面で、地域振興のいわゆる重点投資分野というのは、従来型の地域開発から、むしろ地域を整備していく、あるいは都市の再開発をやっていく、こういった面に重点を移すべきではないかというふうに思うわけでございますが、実際に携わっておられた開銀総裁北東公庫総裁にこの点についての御見解をお聞きいたしたいと思います。
  212. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) ただいま御質問がございましたように、地域振興の重点投資分野を転換する必要があるのではないかという御指摘に対しましては、私どもも実務の経験からも大変大事な問題だと認識をしております。  特に都市基盤整備、そしていわゆる地域開発一般、この仕事を進めてまいりますと、特に最近では各地方の中枢中核都市、これが例えば車社会の進展による郊外化ということもございますでしょうし、従来、中心市街地であったそれぞれの都市のセンターエリアがいわば空洞化をしている、これは各地で大変深刻な問題になっているようでございます。  また別に、産業構造の変化が急激でございますが、臨海部を含めました多くの都市における市街地の周辺で新たに工場等の跡地が発生をいたしまして、これをどういうふうに有効に活用するかということは、工場が移転をして損なわれた地域経済基盤を新しくつくり直す、あるいはそこへ新しい産業を誘致する、そういう意味からも現在急を要する政策課題になっているように思います。  私どもの若干の経験を申し上げますと、多年にわたりまして、市街地再開発、工場跡地の活用を含めまして全国にわたり各都市の都市整備に取り組んできておりますが、特に昨年度からは御案内のように中心市街地活性化法、これが施行されまして、それに基づくプロジェクトの支援にも鋭意取り組んでいるところでございます。  いろいろございますが、例えば一つ二つ参考までに申し上げますと、九州の門司港のレトロ推進事業、これは港湾地区の再開発プロジェクトでございます。それから、横浜のみなとみらい21開発、これは工場跡地を活用した再開発でございますが、例えばこういうプロジェクトに私どもいろいろと計画の段階から参加をさせていただき、それなりの取り組みの成果が上がっているように思います。  これらの経験を生かしながら、今お示しのように、これまでと同じような発想ではない新しい地域開発、特に市街地の空洞化、工場の跡地活用というような、現在特に変化が目立ってきた、新しく発生したそういう問題に新銀行としてはさらに新たなる発想で取り組んでいくべきであろうかと思っております。
  213. 濱本英輔

    参考人濱本英輔君) 御指摘がございましたように、格差是正をする、そのための地域開発が重要であるといった考え方から最近変化が生じておると存じます。  例えば、先般お取りまとめございました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」の中にも、この点に関しましては、「地域の特性を生かした自立的な地域づくり」という言葉が出てまいりました。地域の内発的な発展といいますか、そういうものを大事にしていけという考え方が重視されてまいっております。  今、先生からまさに御指摘がございましたように、いろんな工場などの跡地の有効利用とか、空洞化した都市部をどうやって生き返らせるかというふうな、お触れいただきましたテーマというのはまさに我々が今手を出さなければいけない目の前の課題だというふうに感じております。  例えば跡地利用で申し上げますと、盛岡の駅に立たれますとすぐ目につくだろうと思いますけれども、高いビルが建ちましたが、盛岡地域交流センター、あるいは小樽にいらっしゃいまして眺められると必ず目につくと思います大きな建物、小樽ベイシティー開発、こういったことはいずれも旧国鉄の跡地の利用でございます。それから、柏崎の方にお聞きになればどなたも御存じだと存じますけれども、空洞化が懸念されました商店街の再生、これは小粥総裁から今御紹介がございました中心市街地活性化法のたしか第一号の取り組みだったと存じます。  そういったことを手がけ始めておるわけでございますけれども、御指摘がありました地域振興の重点というのはやはり時とともに動いていくものだと思いまして、さまざまな形の重点というものを追い続けたいというふうに思っております。
  214. 菅川健二

    ○菅川健二君 両総裁が言われましたように、これからの地域開発というのは、人間の快適性のある住みやすい都市づくりのためにぜひひとつ重点的に投資をお願いいたしたいと思います。  次に、若干所管の問題はあるわけでございますが、現下の急務でございます雇用対策につきまして、特に大蔵大臣はかねてから現下の最大の問題の一つとして雇用対策というのを挙げておられるわけでございます。  そこで、雇用対策について今いろいろ政府で考えておられるのをマスコミ等でお聞きいたしておるわけでございますが、その際一番問題になりますのは、公的部門で雇用を直接拡大する役割を果たすかどうかということがあるのではないかと思うわけでございます。  戦後、御案内のように失業対策事業というのをやった経験があって、私もその失対事業の撤退の役割の一端を担った経験があるわけでございますが、これからの雇用対策を考えますためには、公的部門が直接雇用するというのはできれば避けたいなというのが恐らく本心じゃないかと思うわけでございます。  しかしながら、考えてみますと、例えば教育分野とか福祉分野につきまして、教員の増員計画について前倒しするとか、あるいはホームヘルパーの増員についても前倒しするとか、将来にわたって教育の充実あるいは福祉の充実に役立つのであれば、それを現下の失業情勢にかんがみて前倒しでやっていくというぐらいな姿勢は必要ではないかと思うわけでございますが、大蔵大臣に、そういった雇用面における公的分野役割といいますか、そういったことの御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。
  215. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実はそこいらの問題は今関係省庁で議論をいたしておりまして、来週の金曜には関係閣僚の結論を出したいと思っているところでございます。  したがいまして、最終的な姿を今申し上げるわけにまいらないわけでございますけれども、菅川委員が御経験に基づかれて、なるべく直接雇用というものは避けたいとおっしゃいますのは、正直申しまして私もそのように考えておりまして、そういう問題であれば、人材派遣業であるとかあるいはNPOであるとか、そういうところをいろいろ煩わせまして、そして間接的にそういうことをやってまいりたい。もちろん、例外的には学校あるいは介護の関連の前倒しというようなことはあり得ることだと思っておりますけれども、基本的には政府による直接雇用というようなことは過去におけることからいろいろ考えましてもなるべく避けてまいりたいというふうに考えております。  なお、その点はもうちょっと、一週間ございますので、部内でいろいろ議論をいたしまして結論を出したいと思っております。
  216. 菅川健二

    ○菅川健二君 所管外のことを御質問して申しわけないわけでございますが、いずれにしても金のかかることでございますので、私が申し上げたいのは、慎重でありつつもなお一歩公的部門もやはり役割を分担するという面から、前向きにひとつ取り組んでいただきたいと思います。  また、雇用に直接関係する事業誘致といいますか企業誘致という中で、いわゆる対外投資というのは日本はどんどん進んでおるわけでございますが、対日投資につきましては非常にりょうりょうたるものがあるわけでございます。資料で見ますと、対外投資が対内投資に対して日本の場合は十五・八倍になっておる。アメリカが一・六倍、イギリスが一・六倍というような状況でございまして、日本の場合は非常にアンバランスが目立っておるわけでございます。  地価も下がってまいっておりますので、この機会に対日投資をどんどん呼び込んでくる、それによって雇用も拡大をしていくという政策も思い切って講ずる必要があるんじゃないかと思うわけでございます。この点について、やはり税財政的な優遇措置等も絡んでくるかと思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  217. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はそれでよろしいと思っております。  お気づきでございましょうが、ここに来まして金融機関がいっとき国有化されて、そしてそれについて海外から全部あるいは部分買い取りたいという話がいろいろにございます。これは私は積極的に考えていいものだろう、それは我が国の雇用にも資することになります。  それから、そういうことでありませんでも、かなり土地が安くなったということで、香港あたりから買いに来たなんという例もぼつぼつございます。私は、余りそのことは神経質になる必要はない、むしろそういうことであれば適正な条件で買ってもらうということは別段辞すべきことではないというふうに考えておりまして、現にそういう例はかなりふえつつあるように見ております。
  218. 菅川健二

    ○菅川健二君 雇用に関連いたしまして、新銀行につきましても新規雇用の創出というのは大きな柱になっていただかなければならないものではないかと思うわけでございます。その中には、先ほど来質問がございましたような、起業家を育てていく、業を起こしていくという政策も重要だと思うわけでございますが、もう一つ、ただいま申し上げました対日投資を積極的に呼び込むということも重要ではないかと思うわけでございます。  幸い開銀は五カ所ほど駐在員事務所を海外に持っておられるわけでございます。私自身かつて企業誘致をやりましたときに、地方団体におりますとなかなか外国の事情というのに疎いわけでございまして、そういった中で開銀が既に外国にアンテナを持っておられるという状況もありますし、また若干これまでそういった対日投資に成功された事例もあるやに聞いておるわけでございまして、過去の事例にかんがみまして、今後大いに対日投資を呼び込むための政策を進めていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  219. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) ただいまの菅川委員の御質問は、対日投資についてこれまで開銀がどういうふうに関与してきたのか、新銀行でこれをどう進めていくのか、こういうお尋ねかと存じます。  対日投資につきまして開銀融資制度を設けましたのは実は一九八三年からでございますから、もう十数年の歴史がございます。ごく簡単な数字で申し上げますと、これは累積の数字でございますが、外資系の企業の対日投資につきまして開銀取引として関与いたしました件数は累積で六百四十九件、金額で五千九百億円、これは現在の残高ではございませんけれども、意外にと申しますか、かなり大きなものになっております。  それから、先ほど大臣も仰せられましたように、最近は例えば日本の土地が安くなった、あるいは情報がかなり豊富になってきたとか、先ほど委員が御指摘のように、対日投資あるいは対内投資と申しますか、これがかなりふえてアンバランスがある程度是正される、そういう傾向もかなり見えております。  それから、開銀の海外事務所のことに御言及いただきました。アメリカに三カ所、ヨーロッパに二カ所持っておりまして、一番最初は外債発行事務に資するということが主たる目的でありましたそうですが、このごろは、まさに御指摘のように、事務所のあります地域あるいはその国の企業から、日本に投資をしたいがなかなか日本のことがわからないということで非常にインクワイアリーがふえている。それをこちらにつなぎまして、今おっしゃっていただきましたように、現実にそれが対日投資に結びつきまして、開銀も例えば融資という形で支援をさせていただく、こういうケースもございます。  ですから、これは開銀のささやかな経験ではありますけれども、新銀行におきましては雇用拡大の見地からもこういう面にもぜひ力を入れていくべきであろう、そんなふうに考えております。
  220. 菅川健二

    ○菅川健二君 これまでもかなりの実績をお持ちであるということをお聞きして思ったわけでございますが、ちょうど時期的に大変タイミングがいい時期でございますので、ぜひ新銀行ではこの対日投資に対する政策をより強化していただければありがたいと思うわけでございます。  今までこの法案につきましていろいろ御質問を、いつも私は一番最後でございますので、できるだけ席に座っておってほかの委員の皆様方の意見を聞かせていただいておるわけでございますが、一つ気になりますのは、これは大蔵大臣も気になっておるということでございますが、北東公庫絡みのむつ小川原苫東について必ずしもまだ整理がはっきりしていない、清算がはっきりしていない。そういう段階で新銀行ができて、新銀行にどっとそういったツケが入ってくるということについては何か割り切れないものがあるわけでございます。しかし、それをいつまで待っておってもこれはなかなか解決がつかないといいますか、一応のけじめをつけつつ、新銀行に移行したときもその問題については引き続き懸案としてきちっと処理していただくという条件のもとに、ひとつ所期の効果を上げていただくように期待いたしたいと思います。  以上でございます。
  221. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について広中和歌子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。広中和歌子君。
  222. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、日本政策投資銀行法案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨及び概要について御説明申し上げます。  本法律案は、特殊法人の整理合理化及び経済社会情勢の変化に応じた業務の効率化の観点から、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫を廃止して日本政策投資銀行設立し、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、または奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行わせるため、日本政策投資銀行法を制定することとするものです。  開銀北東公庫とも、産業の開発及び経済社会発展を促進するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、または奨励することを目的として、長期資金の供給を行うための特殊法人として設立されました。その目的と業務内容から、開銀北東公庫統合することには十分な合理性があり、かつ新銀行業務を引き継ぐことに対する社会的ニーズも十分存在すると考えます。  しかしながら、北東公庫の解散に当たり、苫小牧東部開発に係る損失は開銀の準備金で穴埋めすることになっており、国民に見えないところでうやむやに処理されるという懸念をぬぐい去ることができません。むつ小川原開発に至っては幾らの損失が発生するかも不透明であり、不良債権等のディスクロージャーが進められている今日の流れに逆行していると言わざるを得ません。  そこで、民主党・新緑風会としては、損失処理の透明化を確保するため、北東公庫の損失について一般会計で補てんするという内容の修正案を提出するものです。  修正により、北東公庫の損失処理国会による一般会計予算の審議を経ることになり、原案と比較してはるかに透明性が高くなります。また、その結果、国や関係機関の責任も明確にすることができるものと考えます。苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の両プロジェクトの将来を考える上でも、過去の清算を透明な形で行うことが不可欠であり、このような姿勢が原案には欠けていると言わざるを得ません。  以上が修正案についての趣旨及び概要であります。  各会派の御賛同をお願い申し上げます。
  223. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまの広中君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  224. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの日本政策投資銀行法案に対する修正案につきましては、政府としては遺憾ながら反対でございます。     ─────────────
  225. 勝木健司

    委員長勝木健司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として大島慶久君が選任されました。     ─────────────
  226. 勝木健司

    委員長勝木健司君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  227. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、日本政策投資銀行法案に反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、本法案が、北東公庫開銀の合併によって、責任をあいまいにしたまま、公的資金である開銀の準備金によって北東公庫の不良債権となった事業を肩がわりし、その継続をしようというものだからであります。  北東公庫は破綻したむつ小川原開発、苫小牧東部開発の両国家プロジェクトに対する計千九百億円もの融資を行い、その大部分が焦げつき、不良債権と化しています。最近では、両プロジェクトに対する北東公庫融資の八割以上が利払いのために行われ、会計検査院も正常とは言いがたいと言わざるを得ないものであります。まさに借金が借金を呼ぶ状況です。  両プロジェクト日本政策投資銀行によって引き継がれますが、先行きに全く展望はなく、破綻の繰り返しは必至で、地方自治体、国民の新たな負担増は避けられません。  しかも、苫東開発処理策では、北東公庫が出資金の五四%、三百三十四億円に上る巨額の出資を行います。政府系金融機関は出資金の五〇%を超えて出資しないとしてきたこれまでの政府の原則さえをも踏みにじるものであり、これが第三セクター救済の先例となることは重大であります。  反対の第二は、開銀が各地で財界とともに大型公共事業の推進役を務め、国や地方自治体の財政を破綻の危機に追い込んでいるにもかかわらず、原因と責任を明らかにせず、名前を変えただけで開銀の開発優先の体質や機能を温存しようというものだからであります。  東京臨海部開発の主要な三つの第三セクターに対して開銀は出資と巨額の融資を行ってきました。これらの第三セクターは既に債務超過状態で、その救済のために東京都は二百七十億円もの支出をし、開銀も元利棚上げなどの支援を行います。今後の見通しは不透明で、このままでは国、東京都によるさらなる巨額の公的資金投入は避けられません。この東京臨海開発を初め、大阪りんくう開発など各地で開銀が推進した開発プロジェクトは自治体や住民へ負担を押しつけています。これらの事業に対して無反省のまま開銀と同じ事業を新銀行に継続させれば、今後も同じことが繰り返されるのは必至であります。  本来、政府金融機関に求められる役割は、国民生活に密着した分野に対して低利で十分な資金供給を行うことであります。大型開発推進、失敗は公的資金で穴埋めという北東公庫開銀のゆがみを引き継ぎ、大蔵省などからの天下りポストを温存したまま数合わせのためだけの統合を行う本法案国民の願いと相入れません。  なお、民主党提出の修正案についても、資金開銀の準備金から一般会計に変えるだけで、北東公庫の不良債権額が最終的にどのくらいに達するかも明らかにならないうちに穴埋めの仕組みをつくっておくという本質は何ら変わらず、原案同様反対します。
  228. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより日本政策投資銀行法案について採決に入ります。  まず、広中君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  229. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 少数と認めます。よって、広中君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、浜田君から発言を求められておりますので、これを許します。浜田卓二郎君。
  231. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は、ただいま可決されました日本政策投資銀行法案に対し、自由民主党、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本政策投資銀行法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 日本政策投資銀行業務については、経済社会情勢の変化に応じて適切に改善するよう随時検討するとともに、特殊法人の整理合理化の趣旨を踏まえ、民業補完の原則を徹底し、併せて効率的な運営に努めること。  一 日本開発銀行及び北海道東北開発公庫統合に当たっては、両機関等が融資の対象としてきた地域整備関連分野を新銀行が円滑に引き継ぐとともに、新銀行業務において両機関等の対象であった分野への金融が十全に確保されるよう努めること。  一 日本政策投資銀行業務の運営については、償還確実性の原則の趣旨等を踏まえ、財務の健全性の保持に配慮すること。特に、苫小牧東部開発株式会社等への北海道東北開発公庫融資が、多額の償却を行わざるを得ない状況に至ったことを厳しく反省し、今後、リスクの一層厳格な管理に努めること。  一 日本政策投資銀行においては、財務内容の透明性の一層の向上を図るため、ディスクロージャーの充実に取組むとともに、外部監査法人の活用に努めること。  一 日本政策投資銀行設立後三年を経過した時期に、運営及びその業務の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  一 苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の両プロジェクトについては、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済自立的発展に資するものとなるよう、抜本的な見直しを行うこと。  一 むつ小川原開発プロジェクトにおける北海道東北開発公庫の出資・貸付債権の再点検を行い、統合前に不良債権額を確定し、ディスクローズするとともに、現在関係者間で行われている協議を精力的に進め、日本政策投資銀行設立までのできるだけ早期に成案を得ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  232. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいま浜田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  233. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、浜田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣
  234. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配意してまいりたいと存じます。
  235. 勝木健司

    委員長勝木健司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会