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1999-04-20 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十日(火曜日)    午後二時四分開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     笠井  亮君  四月十九日     辞任         補欠選任      笠井  亮君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君     委 員                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 片山虎之助君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 宮本 岳志君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        郵政大臣官房長        事務代理     鍋倉 真一君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出)     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十五日、吉川春子君が委員辞任され、その補欠として笠井亮君が選任されました。  また、昨十九日、笠井亮君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 石渡清元

    石渡清元君 提案になりました議題について、まず郵貯簡保の全般的な見地からお伺いをいたします。  郵貯資金自主運用につきましては、昭和六十二年の制度創設以来、運用対象多様化等々さまざまな改善が図られてきたところでございますけれども財投改革の一環として、二〇〇一年から郵貯資金運用部への預託義務が廃止されることになりまして、全額自主運用ということになったわけでございます。  この全額自主運用に向けた郵政大臣の御抱負、決意をまずお伺いいたします。
  7. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 平成十年六月十二日ですが、行政改革財投改革観点から、先生が今おっしゃったわけですけれども郵便貯金資金預託義務を廃止して全額自主運用とすること等を内容とする中央省庁等改革基本法が公布、施行されたところでございます。郵便貯金資金預託の廃止と全額自主運用については、その責任の重大さを感じているところでございます。  全額自主運用後の郵貯資金運用あり方につきましては、平成十年九月から有識者にお集まりいただきまして、郵貯簡保資金運用研究会開催し、検討しているところでございます。  郵政省としましては、この研究会議論を踏まえて、また預金者利益確保とか健全経営確保という観点に留意をしつつ、全額自主運用実施に向けて適切に対応してまいりたいと思います。
  8. 石渡清元

    石渡清元君 金融自由化対策資金運用方針とか運用計画、またこれには人材育成が非常に大事になってくると思うのでございますけれども、そうした人材育成について郵政省はどういう取り組みをされているか、お伺いをします。
  9. 松井浩

    政府委員松井浩君) ただいま郵政大臣からお答えいたしましたとおり、全額自主運用後の郵便貯金資金運用あり方につきましては、現在、郵貯簡保資金運用研究会において検討しているところでございます。  今のところまだこの研究会の意見がまとまっているわけではございませんが、郵政省といたしましては、基本的にはこれまでの郵貯簡保におきます長年の自主運用の実績と経験を踏まえまして、安全確実な資産中心とした長期安定的な資金運用を行うことを基本的に考えておるところでございます。  具体的に申しますと、引き続き社会資本整備など公的な分野への長期資金を供給するということと、それから日本版ビッグバン進展によりましてこれから一層拡大いたします証券金融市場国債だとか社債といった長期債中心有利運用を行うこととしております。  また、先生の言及されました人材育成でございますが、現在、金融ビッグバン進展など資金運用を取り巻く環境変化がございます。それから、将来の全額自主運用実施に向けて、やはり倫理観に裏打ちされた専門的な知識技能を持った職員を育成するよう取り組んでいるところでございます。  具体的に申しますと、証券アナリスト養成のための通信講座の受講、部外講師による勉強会講演会開催内外大学等への留学、あるいは部内の研修所における資金運用専門家のための訓練、こういったものを通じまして資金運用業務に必要な知識技能、ノウハウを持った人材育成を図っているところでございます。
  10. 石渡清元

    石渡清元君 郵政省の場合、中央省庁再編に伴いまして、郵政事業庁を経て二〇〇三年から郵政公社、こういうことに相なるわけでございます。今までは郵政省だから何となく信用してと言うとあれですけれども貯金あるいは保険をやっておりましたが、公社になるということでちょっと国民の抱くイメージというのがややあいまいになってくる、そんな感じがいたします。  そういう中でどういう責任体制を持って臨まれていくのか、その辺の公社化に伴う関係国民にわかりやすいような表現でお答えいただければと思います。
  11. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほど申し上げました中央省庁等改革基本法の中で、郵政事業につきましては、まず中央省庁再編時に総務省郵政事業企画立案及び管理を行う内部部局を置きます。そして、実施に関する機能を担う部門として、総務省外局である郵政事業庁を置くことになります。さらにその二年後、実施部門の方である郵政事業庁、これが今までどおり国営、三事業一体、国家公務員としての身分を維持しつつ、独立採算制のもとで自律的かつ弾力的な経営を可能とする国営の新たな公社に移行するということになっております。  一番大事なことは、この基本法の中には、これにより民営化等の見直しを行わないというふうにされているところであります。  これによりまして、国営事業たる郵政事業の最終的な責任というのは総務大臣責任を持つことになります。そして、今申し上げた実施部門の長である郵政事業庁長官というべきでしょうか、及び国営の新たな公社の長は郵政事業実施に関する責任を負うことになるわけです。そういう責任体制のもとで、郵政事業というのは、企画立案管理部門実施部門が一体的に経営されることとなるものと理解をしているところであります。  郵政事業に関する再編取り組みにつきましては、現在、総務省設置法案、これは仮の名前ですが、及び郵政事業庁設置法案、同じくこれも仮ですが、の検討を行っています。国営の新たな公社の具体的な制度設計というものについては、郵政事業庁になってからの具体的な経験を踏まえて、そして二年間移行準備期間において決定をするということになっています。  いずれにしましても、郵政事業というのは国民生活に不可欠なサービスを提供するものでありまして、これまでどおり全国あまねく公平にサービスを提供するという国営事業基本的な役割を維持発展させるという観点から検討をしてまいりたいと思います。
  12. 石渡清元

    石渡清元君 金融を取り巻く環境が随分変わってきておりますので、片や公社になる、そういう面でちょっと不安があろうかと思いますけれども、それでは金融ビッグバン進展により郵貯あるいは簡保あり方については何か変化があるのかどうか、基本的な考え方伺います。
  13. 松井浩

    政府委員松井浩君) 御指摘のように、金融ビッグバンが我が国の金融市場活性化を通じて利用者利便を向上させるものであると認識しております。今後ともそういった取り組みにつきましては積極的に推進されるべきものと考えておるところでございます。  しかしながら、金融ビッグバン進展の中で、影の面として、これまでイギリスやアメリカでは言われているわけでありますが、規制緩和に伴いまして民間金融機関効率性を最優先するという過程の中で、金融サービスの提供に当たりまして、地域間格差や、それからお金持ちとそうでない方といった顧客間の格差が拡大するという懸念が指摘されているところでございます。  こうした中で、小口個人を念頭に置いて基礎的な金融サービスあるいは生活保障サービスというものを全国あまねく公平に提供する郵貯簡保役割というものはこれからますます大きくなるものと考えているところでありまして、今後とも私どもといたしましては国民利用者利便が一層向上するよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  14. 石渡清元

    石渡清元君 それでは、郵貯簡保資金運用法改正についてお伺いをいたします。  郵政省郵貯簡保の新たな運用対象として追加される通貨オプション運用解禁平成六年度以来要求をしているようでございますけれども、この要求大蔵省がだめだと今まで言い続けてきたわけでございます。今回、郵貯簡保運用対象通貨オプションを加えることを認めた理由大蔵省にお伺いいたします。
  15. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) 現在、郵貯簡保資金運用対象といたしまして、為替リスク管理手段としては先物外国為替が認められているところでございます。  十一年度予算編成におきまして、郵政省からこれに加え通貨オプション取引を導入するよう要求がございまして、検討いたしました結果、為替変動リスク回避手段を多様化し、為替変動リスクを的確に管理していくことが可能になると考えられたことから、通貨オプションにつきましても運用対象とすることとしたところでございます。
  16. 石渡清元

    石渡清元君 外国債運用関係についてはまた後ほどお伺いいたしますけれども簡保資金運用方針やら運用計画はどうなっているんでしょうか。
  17. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 簡保積立金運用につきましては、これは昔から郵政大臣管理運用しておるということであります。簡易生命保険積立金運用に関する法律というのがございまして、そこで確実有利かつ公共利益になるように運用することによって簡易生命保険事業経営を健全ならしめ、加入者利益の向上を図ることが目的であるということが明記されておるところであります。  そこで、近年、資金運用を取り巻く環境は、先ほどお話もありましたように、金融ビッグバン進展、また超低金利継続等、非常に厳しいものがあるわけでありますが、今後の簡保資金運用に当たりましては、考え方といたしまして、一つポートフォリオ管理リスク管理を一層充実強化して、確実有利な運用に努めるということであります。二つ目といたしまして、社会資本整備等公的分野への長期資金供給によって加入者の身近な分野資金を活用するといったようなことが基本になろうかというふうに考えております。  この方針に基づきまして、平成十一年度におきましては約十五兆六千億円の原資を予定しております。このうち四兆六千億円をいわゆる財投運用といたしまして政府関係機関地方公共団体等運用いたしまして、残りの十一兆円を市場運用といたしまして国債社債外国債等債券運用簡易保険福祉事業団への寄託に充てることといたしておるところでございます。
  18. 石渡清元

    石渡清元君 今回の法改正は、郵貯簡保資金運用対象にいわゆるSPC法第二条第五項に規定する特定社債政令で定めるものを加えるとしておりますけれども特定社債を発行するSPC特定目的会社登録状況、あるいはSPC法に基づくABS市場を立ち上げるために郵貯簡保資金による運用を行うのか、その辺のところを御説明ください。
  19. 松井浩

    政府委員松井浩君) 特定社債については、特定資産流動化に関する法律通称SPC法と言われている法律に基づきまして特定目的会社が設立されるわけでございますが、その特定目的会社登録の際に証券発行裏づけとなる資産内容を記載した資産流動化計画というものが内閣総理大臣提出されることになっております。  資産流動化計画は公衆に縦覧されることになっておりますので、投資家は事前に特定社債安全性、つまり裏づけ資産状況というものを調査することができる。例えば不動産であれば、場所、面積、それから取得価格だとか、みんなわかることになっております。そういうことでありますが、実際の運用に当たりましては、より安全なものに限って運用を行うように、政府において政令運用基準を定めることとしております。  具体的に申しますと、この法律に基づいて発行される特定社債のうちで、例えば不動産でありますと、純資産が十五億以上の上場会社元本保証があり、かつ実際に社債発行額裏づけとなる不動産取得価格の五〇%以下である、そういった一般的な基準を考えております。  そういったもので運用していきたいというふうに思っているわけでございますが、この九月にSPC法が施行されて以来、既に相当数登録が出ておりまして、これから市場は豊かになっていくというふうに思っております。その中で慎重な運用をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  20. 石渡清元

    石渡清元君 慎重な運用はもちろんやっていただかなきゃいけないんですが、やはり資産安全性担保、これが一番関心事なんですね。したがって、特定社債政令に定めるもの、今御説明がありましたけれども、もう少し安全性担保観点から詳しく説明していただけますか。
  21. 松井浩

    政府委員松井浩君) この法律提出させていただくまでの間、いろいろ議論の中で指摘のありましたものについて御報告申し上げたいと思います。  まず、一般的な基準として政令で定めるものといいますのは、先ほど申しましたように、純資産十五億以上の上場企業、これは私ども郵貯簡保市場における運用対象としてそういった社債であれば購入することができるということに現在の法律でなっております。それと同じ、その社債を買える会社が保証しているものが一つの条件であります。  さらに加えてでありますが、不動産でありますとピークのときから随分価格が下がってきております。例えば六大都市で申しますと、既に過去五年間で四〇%ほど価格は低下しております。全国でいいますと二〇%ぐらいでありますが、六大都市では四〇%ぐらい下がっております。ここからさらに裏づけとなる不動産取得価格の半分以下で発行される、つまりここからさらに半分以下になっても大丈夫なようなものというのを一般的に定めておけばまあ大丈夫だろうというふうに考えておるところでございます。  このほかに、不動産裏づけとするものでなくて、住宅ローンだとかリース債権だとか、そういったいわゆる指名金銭債権裏づけとするものがございます。その中でも不特定多数の指名金銭債権裏づけとするものがこの特定社債に向いているかというふうに思っておるところでございますが、こちらにつきましても、先ほど申しましたように、私どもが本来社債としても買っていいということになっておりますそういった会社元本保証があるか、あるいは実際に発行される証券裏づけとなっている指名債権価額が五%ダウンしても大丈夫なようなもの、そういったものを今イメージしているところでございます。
  22. 石渡清元

    石渡清元君 それでは、外国債運用状況について具体的にお伺いをいたします。  通貨別に見ますと、簡保資金についてはアメリカドル構成比平成九年度では五一・三%と、かなり偏重していると言ってよろしいんじゃないか。  というのは、百四十回国会で参議院逓信委員会会議録を見ますと、当時の保険局長簡保運用通貨について十六通貨分散投資を行っているという答弁をしているんです。そういったような外国債運用について、当然カントリーリスクがあるわけでありますので、そういうリスクの点から問題があるような通貨運用は行っていないということが言えるのでしょうか。  ですから、郵貯簡保はそれぞれ今どういう通貨運用をされているのでしょうか。
  23. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 外国債運用状況でありますが、現在、郵便貯金の方では平成九年度末で三兆五千億円、簡易保険でありますと三兆九千億円の運用を行っているところであります。  これは当然御承知のことでありますが、外国債国内債に比べまして非常に高い利子収入が期待できるということ、また国際的にリスク分散できるといったようなことから、現在ポートフォリオ上は一定の役割を果たす運用資産だというふうに考えているところであります。  そこで、現在、通貨別にどういうふうになっておるかということでありますが、郵便貯金につきましては、米ドルが一番多くて全体の三二・四%、それから次が日本円で二四%、以下ドイツマルクカナダドル、英ポンド、豪ドルECU等々でございます。  それから、簡易保険につきましては、米ドルが五一・三%を占めております。これが一番多くて、日本円が一七・六%、以下、一けたでありますが、カナダドルドイツマルク、イタリア・リラ、豪ドル、フランス・フラン等々の構成になっておるところでございます。
  24. 松井浩

    政府委員松井浩君) ちょっと特定為替に偏重しているというふうな御指摘もあったと思っておりますが、外国債投資の場合は分散投資という、通貨を分散させるという発想とともに、その為替等を発行している債券市場、マーケットの大きさも留意した運用が必要になってまいりますので、やはり圧倒的に米ドル市場が大きいということを踏まえれば、逆に言うとその市場の実勢に対応した運用になっているというふうに考えておるところでございます。
  25. 石渡清元

    石渡清元君 それなら、平成五年度、円高が非常に進行したときでありますけれども郵貯は四千六百四十二億、簡保については九千百二十一億の為替差損をこうむっているんですね。ですから、そういったような失敗があるから、安全性についてはどうなのか、その運用スタンスについてはどうなのかということを聞いているんです。
  26. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 確かに外国債につきましては為替変動リスクというものがあるわけでありますが、特に現在のように国内金利が非常に低い場合には外国債というのは高い収益が期待できるものでありますので、いわゆるリスク管理と申しますか、そういったものの手法を充実することによりましてこの外国債運用には万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  27. 石渡清元

    石渡清元君 簡保法に簡単に触れさせていただきます。  今回の改正趣旨と、一病息災保険市場規模収支見通し、これを簡単に答えてください。
  28. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 今回御提案申し上げております一病息災保険でございますが、どのくらいの市場があるのかということでございます。  一つ調査といたしまして、平成八年度に厚生省が行っております患者調査というのがありまして、それによりますと、高血圧の方が七百四十九万人、また糖尿病の方が二百十八万人、悪性生物の方が百三十六万人となっております。これは現に入院中あるいは通院中の患者皆様方でありまして、近年これらの数字は年々増加しておるという状況であります。  なお、入院あるいは通院しておられる方以外の方であっても、いわゆる潜在的な罹病者の方というのは、これまた厚生省統計等によりますと、ただいま申し上げましたものの約三、四倍ぐらいはあるということが言われておるところであります。  そこで、では具体的に何人の方がお入りになるのかといったようなことになりますと、非常に予測することは難しいわけでありますが、もう一つの視点といたしまして、現在私ども簡易保険に加入したいとおっしゃっている方で病気を理由に私どもがお断りしておる方が年間十二万件ございます。その十二万件の中で、糖尿病高血圧、それから悪性生物のこの三つの理由を足し合わせますと約二〇%ぐらいに相当いたしますので、そういったことなどから仮に一つの推計をいたしますと、年間三万件程度の販売が見込まれるのではないか。そして、一件当たりの保険金額を三百万円といたしますと、年間五十億円程度の増収が見込まれるという一つの試算をしておるところでございます。
  29. 石渡清元

    石渡清元君 考え方はいいんですけれども、一病息災保険というのは民間生保会社でもやっているんですね。同じような名前をつけるのは、官は民の補完ですから、その辺でどうかなと思うんですが。
  30. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 具体的に商品名前をどうするかということにつきましては、これから私ども検討をしてまいりたいと思っております。  今、仮に一病息災保険と申し上げましたのは、郵政省でのいろんな調査研究会などで、一病息災時代と言われる時代にふさわしい商品を開発したらどうかということを提言いただきまして、それに基づきまして今回の商品をつくったということであります。現段階ではあくまで仮称でありますので、いずれ正式な名前等につきましても考えたいというふうに思っております。
  31. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。  提案されている法案に対する直接的な質問に入る前に、基本的な問題について郵政大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。後々のためにということもありますけれども、現下の財投郵貯簡保関係基本的な問題でございます。  きょうは逓信記念日でこういう開催になりましたけれども逓信記念日をまず御祝福申し上げます。  さて、民間金融機関においても、近年、金融資本市場自由化によって内外市場資金が自由に移動するとともに、大企業中心資金調達手段が多様化し、同時に都市銀行を中心とした普通銀行と協同組織金融機関、地域金融機関、専門金融機関などと言われるその他の金融機関との間で業態間の差異が縮小して同質化しているというふうに考えられております。  しかし、直接金融を担う資本市場については、発行主体が限られ、貸し出し形態に頼らざるを得ない中小企業のような経済主体も存在するわけでございます。また、間接金融で仲介者たる普通銀行、さらには協同組織金融機関があるとしても、市場が不完全で失敗があるような場合は公的金融システムが必要となるんじゃないかというふうに思います。一昨年以来の貸し渋りの状況に対して政府金融機関が一定の役割を果たしたというのはその一つの証左ではなかろうかというふうに私は思っています。  ですから、民間金融機関と公的金融機関が異なる行動基準を持つことによって経済全体は効率的になる可能性があるのではないかというふうに考えます。民間金融機関の場合は当然にして短期的かつプロジェクトごとの採算を重視するのに対して、財政投融資、公的金融システムは、長期、固定、低利の資金を供給し今後の高齢化、高度情報化社会に対して社会資本の整備を進める一方で、一般会計と比較して国民負担を増大させないで、コスト意識、採算意識を持たすことによってより効率的に行うことができると考えます。  一方で、財政投融資は、環境変化にもかかわらず、政策として不必要となった分野、有償資金にふさわしくない分野などに使われて、その結果、政府部門の拡大、非効率をもたらしているのではないか、それは将来の租税負担増加となるのではないかなどの現状に対する批判があります。  財投機関の中には、重複機能の機関、既に目的を達成し、使命を終えた機関が存在するとすれば整理統合する必要があるし、市場化可能機関については民営化が望ましいし、政府金融機関について直接融資を行うよりも民間金融機関に対する利子補給、信用補完といった他の代替的手段を利用することもできるという議論がかなり有力に展開されておるわけでありまして、私も現実に即しているんじゃないかと思います。  しかし、私は、財政投融資、公的金融システムは今後においても社会的に必要な役割を果たすというふうに考えています。しかし、それには財政投融資、金融システムの改革が前提でありまして、それがなければ公的金融システムは要請される社会システムの形成に役割を果たすことができなくなるというふうに考えます。今が正念場ではないかというふうに思っております。  そこで、郵政大臣にお聞きするわけですが、それとの関係において、郵貯簡保事業の大枠の展望についてまず伺いたい。さらには、今後における財政投融資、公的金融の社会的、経済的な位置と役割についてどのように考えられているか。郵政省の立場から、公的金融における国民へのサービス提供のあり方、個人金融資産を保護するための責任あり方、あるいは財投の健全性の確立に向けた経営基本姿勢について、自主運用の世界に入るわけでありますから、大臣の考え方をこの際お聞きしたいというふうに思います。
  32. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵便貯金簡易生命保険のこれからのあり方ということでございますけれども、私としますれば、これまでどおり引き続き国営事業としての役割、つまり小口の個人を対象にし、貯金とか送金決済など日常生活に不可欠である基礎的金融サービス、そして簡易に利用できる基礎的な生活保障サービス全国あまねく公平に国民利用者に提供するという役割を果たしてまいりたいと思います。  財投につきましては、郵貯簡保資金供給を行っています。財投につきましては、その基本役割というのは引き続き残ると言われているものの、先生が今御指摘になりました問題点を含めて、対象分野事業、機関の見直しなど、まさに改革が求められているところであります。特に資金の調達につきましては、必要な資金を能動的に調達する仕組みに改めるべきとされておりまして、市場において例えば財投債とか財投機関債を発行することとされているところです。  このように、財投につきましては、財投債、財投機関債などの導入によりましてその透明性が高まるとともに、これまで以上に市場メカニズムというものとの調和を図ることができるのではないかと思っています。  郵便貯金資金につきましては、先ほども申し上げたとおり、今後、資金運用部への預託義務が廃止され、そして全額自主運用することになっています。郵貯資金簡保資金ともに引き続き社会資本整備等公的分野長期資金を供給するとともに、今まで論じられている日本版ビッグバン進展によりまして拡大する証券とか金融市場国債とか社債長期債中心有利運用を行うことにしています。  いずれにしましても、このようにして健全経営を維持して、まさに国営事業としての役割を果たしてまいりたいと思います。
  33. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 後にもちょっと聞きますけれども、今の大臣答弁からすれば、財投債、財投機関債をこれからも全額預託と同じ思想で購入するとしたら、問題をさらに引きずっていくんじゃないかということを懸念しております。ですから、その点について問題は提起しておかなきゃならないというふうに私は思います。  さて、財投の出口である財投機関と政府金融機関の改革が進んでいけば、財投の規模は相対的に縮小するのではないかというふうに考えられます。この場合、その入り口になっている郵貯資金運用をどうするかということが課題になります。国会答弁等で言われているような状況で果たして乗り切れるかどうかという疑問がどうしても出てくるわけであります。  財政投融資は二〇〇一年を目途に郵便貯金及び年金積立金資金運用部への預託義務が廃止され、全額自主運用となる。特殊法人等の財投機関は、財政投融資特別会計、仮称でありますが、従来の資金運用部に当たるものが発行する財投債や各機関ごとに発行する財投機関債を通じて資金調達することになる。こういうことは、一つには、自主運用といっても、政府の政策として必要な場合には資金の一定の範囲内で財投への資金供給について協力できるようにしてあるということじゃないか。また、資金運用基本は、信用リスクを回避するために、運用範囲を原則として先ほど言った財投債など元本保証が確実なものを中心として運用するということで、そういう意味では非常に限定的ではなかろうかと私は思うわけです。  すなわち、入り口、出口双方を勘案した政策判断で全額預託義務廃止、自主運用というふうになっているんじゃないかというふうに思っています。  その場合、郵貯の支払い利子率は運用利回りに見合う範囲という条件のみで設定されるのか。運用利回りに見合う範囲であっても、預金者に可能な限り有利な利回りが提供できるようにする手段はどのように考えているのか。あるいは、市場との関連で、公的セクターとしての一定の限界はあると思うけれども、純粋な自主運用部門など他の運用領域への拡大展開、さらには先ほど石渡委員が質問しておりましたように、運用機能の確実性を高めるための人材育成、導入などのシステムの強化を目指そうとするのか。将来の展望についてお伺いしたい。  私もずっと郵政事業関係し、労働組合の委員長でしたから、ずっと横で見ていまして、さまざまな提起もしました。その郵政事業を改革した人たちがすべて今卒業してしまった。そこにいらっしゃる局長さん方は私より大変若くて、当時第一線で郵政事業改革をした人たちが育てた世代であります。さらにその若い世代がいる。その人たちがこれからの最大の難関に立ち向かうわけです。役人の発想でできるはずのものではないんです。先ほど人材育成について貯金局長から答弁がありましたけれども、そういうことだけでやり切れるのかどうかというふうにも思います。人材の導入ということも必要なんじゃないかというふうに思いますが、その点について郵政大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  34. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) まず、郵便貯金運用利回りに見合う範囲という条件のみで設定されるかどうか、支払い利子率のことについて答弁申し上げたいと思います。  郵便貯金金利というのは、先生御承知のとおり、郵便貯金法によりまして、市場金利を勘案し、預金者利益確保するとともに、民間貯金金利に配意して決定しているところであります。しかしながら、独立採算の事業であることから、健全経営観点にも配慮して金利設定は行われてきたところであります。これから財投改革、また金融ビッグバン進展の中で、郵便貯金金利の決定に当たりましては、事業経営の健全性を確保しつつ預金者利益の増進に努めていくことが一層重要になると考えております。  人材育成につきましては、先ほど松井局長の方から具体的なことを申し上げたところでございますけれども金融ビッグバン進展など資金運用を取り巻く環境変化とか将来の全額自主運用実施に向けて、やはり倫理観に裏打ちされた専門的な知識技能を持った職員を養成するように取り組んでいるところでございます。これから二〇〇一年に想定されている預託の廃止、全額自主運用に向けまして、運用体制の一層の整備充実を図るとともに、職員の育成を積極的に行ってまいりたいと思っています。  また、先ほど全額自主運用の話が出ましたけれども、今までも自主運用という形があるわけですが、やはり一番大切なことは預金者、加入者利益確保と、あわせて事業の健全な経営確保ということで運用させていただいておりますので、そのことを特に留意しつつ対応していきたいと思っております。
  35. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 次に、運用に対する責任の問題について確認をしておきたいと思います。  平成九年十一月に出されました資金運用審議会懇談会とりまとめで「財政投融資の抜本的改革について」という文書がございまして、その中で、自主運用あり方として、   郵便貯金及び年金積立金自主運用については、結果として納税者の負担となるような仕組みは是認できるものではなく、郵便貯金及び年金積立金が公的資金である限り、運用責任の所在を明確にすることに加え、安全・確実な運用基本とすべきである。   また、自主運用に際しては、民間金融市場に与える影響にも十分な配慮を行い、市場原理に則した運用とすることが不可欠である。   仮に郵便貯金等の公的資金が特殊法人等へ市場を通さない形での資金供給を行うこととなれば、それは第二、第三の財政投融資を新たに作り出すことにほかならないものであり、そういったことがあってはならない。   郵便貯金自主運用については、運用の失敗が結果としての国民負担につながることのないよう、独立採算の事業である郵便貯金事業責任において対応する仕組みが必要である。 と、いわば無理難題みたいな大変難しいことを注文されているわけです。こういうことになると思います。民間企業は全部こうでありまして、こういう状況下でやったんだけれどもみんな失敗したというか、ほとんどが失敗したという現実を今我々は目の前にしているわけです、私はこういう考え方は当然だというふうに思っていますが。  そこで、ここでは運用上の責任あり方についてお聞きします。  財投資金自主運用となった場合、民法六百四十四条の規定によって、受任者、すなわち郵政省大蔵省政府金融機関などに受任者としての委任事務を処理する義務、すなわち注意義務、忠実義務を負うことになると考えるが、どうでしょうか。  アメリカではERISA法の四百四条でプルーデントマン・ルールが定められております。そして、この条文に基づき、労働省ガイドラインが分散投資義務等詳細を定めております。すなわち、受託者は、同じ能力を持ち、そのような問題に精通している慎重な人間が同じ性格と同じ目的を持つ資産管理において、直面している状況下で用いるであろう注意、技術、慎重さ及び勤勉さを持って義務を果たすべきだと。これは全金融機関のトップにぜひ教えていただきたい、大蔵省には。  日本でも、厚生年金保険法百三十六条の三で、基金理事らに基金資産について安全かつ効率的な運用が求められております。「年金給付等積立金は、政令の定めるところにより、安全かつ効率的に運用しなければならない。」。また、厚生年金基金令三十九条の四では分散投資義務が定められております。さらに、厚生省からは受託者責任ガイドラインが九七年三月に出されて、厚生年金基金連合会からは受託者責任事例集が九八年三月に出されておりまして、プルーデントマン・ルールの定着に努めております。  このたび、郵便貯金自主運用が出発するわけです。運用責任について郵便貯金法あるいは別の法律によって明確に規定して、責任の所在をあらかじめ明らかしておく必要があると考えますが、どうですか。
  36. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) まず、郵貯資金につきましては、先生御承知のとおり、日常の払い戻し等に必要な資金を除きまして全額資金運用部預託することとされております。その一部については、昭和六十二年から資金運用部から再び借り入れるという形でこれを金融自由化対策資金として自主運用を行っています。  そもそも郵貯資金というのは預金者から負託された資金という性格を有しているので、預金者の皆様の信頼にこたえるべく、預金者の利益確保、そして事業健全経営確保という観点から、安全確実な運用を行うべきものと理解しています。こうした考え方というのはこれから郵貯全額自主運用となっても変わることはありません。引き続き、預金者利益確保事業健全経営確保観点から安全確実な運用を行い、預金者の信頼にこたえていきたいと考えています。  なお、資金運用を担当する個々の職員の責任については、国家公務員に課せられる「公共利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」という義務により担保されているものと私は考えています。  それで、今後の責任の所在ということでございますが、全額自主運用後の郵貯資金運用あり方については、先ほど申し上げましたように、平成十年九月から有識者にしていただいております郵貯簡保資金運用研究会開催し、検討していただいているところであります。  御指摘のその責任につきましても研究会においてまさに検討していただいているところでありまして、私どもとしても研究会議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
  37. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 責任の問題は、今まではいわば絶対大丈夫と言われるシステムの中で郵貯運用されてきた、だから大丈夫だったんだと。しかし、一部自主運用の中で大変危険な状況下で運用しなきゃならない場面を経験していますね、郵政省は。  例えば、日本道路公団が赤字を出してけしからぬと言うけれども、それは高速道路をつくる仕組みについて知らないからそういうことを言っているんで、道路公団がつくろうと思ってつくっているんじゃない。運輸審議会か運輸省か知らないけれども、そっちからつくれという命令があってつくっているわけです。つくれという命令を受けてやっている者に経営責任があると言ったって無理な話なんです。しかし、財投機関の改革が行われれば、自分で経営判断してどこへ通すかということをしなくちゃならない。  北東公庫が苫東に融資して失敗してけしからぬと言うけれども、北東公庫が苫東に融資するという判断をしたんじゃないんです。政治的判断によってさせられてきた。しかし、これが改革されてくれば今度は自分の経営判断でやるということです。  郵政省も、自主運用になれば自分の経営判断によって財投債を買うか財投機関債を買うかということなんです。社債を買うかという判断なんです。そのときにだれがどういう責任をとるかということを明らかにする必要があるし、その責任をとらないような者はやってはいけないというぐらいのことになってくると思うんです。しかし、それは全部無責任時代みたいな世の中ですから、どんどん高額な退職金なんかもらっていますけれども、あっちこっちで。しかし、そういうことを厳格にやるべきだと私は思うわけです。これはまた後々も郵政省に聞いていかなくちゃならないと思っています。  次に、郵政当局にお伺いします。  郵貯が今後取り扱う商品が簡易、確実、あまねく公平、ローリスク・ローリターンを旨とする商品の範囲に限定されて、郵貯利率も公的債券運用利回りの範囲内とする水準であるとすれば、民間金融機関に対する国民の信頼が回復することが前提ですけれども金融ビッグバン進展して民間金融機関の多様な金融商品が開発、発売されれば、郵貯の相対的な魅力は低下することになるだろうというふうに思っています。また、新たな投資信託などの開発によって、個人の金融資産の保有状況にも変化があらわれるだろうというふうに考えられております。  現在、日本の個人金融資産に占める預貯金の割合は五五・七%である、ちょっと古いかもしれませんが。これに対して、多様な商品が開発されているアメリカでは預貯金は一六・一%にすぎません。長期的に見れば、アメリカほどではないにしても、日本の場合も預貯金から投資信託など多様な金融商品へのシフトが進むだろうというふうに思われます。このような全体的な金融資産運用変化のトレンドを考えれば、預貯金に占める郵貯民間金融機関のシェアの比較といった論議は意味をなさなくなるというふうに思います。  郵貯の個人金融資産全体に占めるシェアは今後どのように推移するものと考えているのか、郵政省のお考えを聞かせていただきたいと思います。簡単にお願いします。
  38. 松井浩

    政府委員松井浩君) 我が国の個人金融資産の保有状況を見ますと、先生指摘のように、主要先進国に比べまして預貯金の占める比率が非常に高いということでございます。  郵便貯金のシェアを見る場合には、やはり個人預貯金に占めるシェアではなくて、債券とか株式とか保険とかそういったものを含めた個人金融資産全体に占めるシェアを見ることが適当であろうかと思っておりますが、そういった観点で見ますと、近年ずっと二割程度で、郵貯のシェアというのは非常に安定的に推移しております。  今後、ビッグバン等の進展の中で、民間の投資信託等魅力ある商品がどんどん出てくるという中でどうかというお話だと思いますが、御指摘のようにどんどん金融商品の多様化が進展いたしますれば、郵貯のシェアが伸びるという可能性は低いのではないかというふうに考えております。
  39. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 適正規模というのはどの辺にあるか。能力との関係で、または公的セクターのやるべき役割との関係でおのずから決まるのではないかと思います。そういうのも市場が決めると言うのかもしれないけれども、それはまた研究課題になると思います。  さて、次に、郵貯資金運用能力についてお聞かせいただきたいと思います。  役人に何ができるかというような感じがずっと流れておるわけですが、私は必ずしもそう思っていないんです。  一九九七年十月七日の「エコノミスト」において、宮城大学事業構想学部助教授の糸瀬茂さんが次のように述べております。糸瀬さんは大学の先生になる前、第一勧銀、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社ドイツ証券会社に勤務した経歴を持っている方でございますが、このように言っています。  八七年の自主運用解禁以来一〇年近く、郵貯自主運用のありようを、外資系証券のセールスマンという立場からこの目で見てきた経験からいって、郵貯(および簡保)の自主運用能力は十分に高く、民間生保のほとんど、そして長信銀・信託の一部よりも確実に上のレベルにある。   自主運用に携わる要員の資質の高さにも理由はあるが、そのほかに自主運用のレベルを高めてきた構造的要因が二つある。   第一は、自主運用における調達コストが民間より高いという点である。郵貯自主運用(九六年度末残高四〇兆円)は、いったん資金運用部預託した資金を、預託金利と同レート(本来の調達コストよりも高い金利)で借り入れ、それを原資としている。この仕組み自体についての議論はともかく、「市場実勢よりも高い調達コスト」というハンディを背負って運用してきた結果、彼らの運用能力は民間を凌ぐものとなってきている。  第二に、郵貯の情報収集力はきわめて高い。ただし、これは郵貯自らが情報収集を行うための優れたハード、ソフトのシステムを有していると言っているのではない。外資系証券などのセールスマンが、重要な情報を得た場合、それが市場動向に関するものであれ、商品に関するものであれ、それを真っ先に提供するのは潤沢な運用資金を有する大口の機関投資家である。そしてこの大口の機関投資家の筆頭は郵貯であり、簡保である。これは民営化後も変わらない。  さらに郵貯には、運用において民間よりも決定的に有利な面がある。それは取引先企業との間で、株式持ち合いによるしがらみが一切ないという点である。民間金融機関が長年の株式持ち合いのしがらみゆえに、伝統的融資業務から脱却することができず、市場関連業務に十分な資源投入が果たせないのを尻目に、こうしたしがらみのない郵貯は、市場関連取引のノウハウを十分に積み重ねてきている。  郵貯が徹底的にたたかれたときに出た論文であります。初めてこういう民間からの評価というものを私は目にしまして、この論文を大事にとっておいたのです。  さて、郵貯簡保資金運用能力はどうなんだろうか。石渡先生の質問にもありましたけれども、この辺について具体的数字で特徴的な点を挙げていただきたいというふうに思います。
  40. 松井浩

    政府委員松井浩君) 先生指摘郵貯自主運用資金であります金融自由化対策資金平成九年度末で約四十六兆円でございます。  この運用の成果でございますが、先ほど来申しておりますように、これまで国債とか地方債といった債券中心に確実有利な運用を心がけてきたつもりでございますが、端的に申し上げますと、平成九年度の運用利回りは四・五八%でございます。  これはどういう観点で申し上げられるかということでございますが、昭和六十二年度の自主運用の開始以来、各年度ともずっと黒字を続けておりまして、六十二年度から平成九年度までの十一年間で、累計で資金運用部預託した場合に比べて三千三百六十七億円上回る運用収益を確保しております。財投に預けるよりも三千三百六十七億円大きな運用収益を得ております。  また、民間全国銀行との比較で申しますと、平成九年度では全国銀行の運用利回りは二・五一%でありますので、郵貯自主運用の方が運用利回りが二・〇七%高いという状況になっております。郵貯の方が民間の銀行よりも運用利回りが高いというのは、過去六年間連続してずっとそうなっております。  まず郵貯について申し上げた次第でございます。
  41. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 続きまして、簡易保険運用につきましてお話し申し上げたいと思います。  簡易保険につきましても、平成九年度の運用利回りは四・〇二%でございます。運用収入は四兆二千億ほどでございまして、前年度に引き続きまして四%台を維持することができたと思っております。  なお、民間生保との比較で言いますと、平成九年度は民間生保の運用利回りは二・四八%で、簡保の方が一・五四%上回っておる。過去七年間簡保の方が上回っておるところであります。
  42. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 次の質問に移ります。  金融監督庁長官に生保の状況についてお伺いします。  生命保険各社は九九年三月末決算において厳しい状況が予測されております。九八年九月末時点では、個人保険、個人年金の保有契約高、新規契約高はほとんどが前年同期比マイナスであります。株式含み損等を抱え厳しい決算を迫られているというふうに言われております。生保各社の今年度の逆ざやの合計は一兆五千億円と予想され、株式の評価法については九七年度決算で協栄、千代田、第百、東京の四社が低価法から原価法に切りかえました。今年度は大手でもその流れが顕在化しております。  生保業界の現状についての説明をお伺いしたいと思います。
  43. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  本年三月期の決算につきましては、現在、生命保険会社各社におきまして決算の取りまとめを行っているところでございますので、私どもといたしまして現在その決算内容についてお答えできるような状況には至っておりません。  しかし、一般論として申し上げさせていただきますと、生命保険会社経営状況につきましては、ただいま御指摘がございましたように、近年、低金利といった経済環境のもとで、各社におきましてさまざまな経営の効率化の促進あるいは自己資本の充実、資産構成の組みかえなどに鋭意努めているところというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、金融監督庁といたしましては、今後とも生命保険会社に対しまして一層の経営の効率化、自己資本の充実等を期待いたしますとともに、今後の金融・経済情勢を注視しながら適切に対応してまいりたいというふうに存じておるところでございます。
  44. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 引き続き、金融監督庁長官にお尋ねします。  本年四月一日から生保に対して早期是正措置制度が導入されます。その内容として、ソルベンシーマージン比率を基準にして三つの区分ごとの措置命令が規定されております。この方針に慌てた生保業界は一月二十二日の協会理事会で、金融監督庁幹部から、資産時価評価の結果、債務超過になってもそのことだけで直ちに業務命令を発することはないという確認をとったというふうに言われております。  これは実質債務超過の状況が業界全体にあると見なければならないのかどうか。その状況にあるのではないかという疑いを私は持っているわけで、その点についての説明をいただきたい。  また、これと関連して、大蔵省にお聞きしますが、万一破綻会社が出現した場合、保険契約者保護機構が機能することとなると思いますけれども、破綻の規模によっては機構の財源そのものが破綻する。金融システム改革法の附則百九十一条において、「政府は、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置を講ずるものとする。」と定めておりますけれども、これは公的資金の導入を意味するのか、あるいは他の方法が考えられているのか、お聞きしたいというふうに思います。
  45. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 昨年六月に成立いたしました金融システム改革法に基づきまして、この四月から保険会社につきましてもいわゆる早期是正措置が導入されたところでございます。その詳細につきましては、総理府令、大蔵省令が本年一月十三日に公布されております。  先ほど御指摘がございました一月二十二日の会合でございますけれども金融監督庁では、ほかの業態もそうでございますが、生保協会とも定期的に意見交換会を開催しておりまして、一月の会合におきましては、一月十三日にこの早期是正措置に関する総理府令、大蔵省令が公布されたばかりでございましたので、その詳細に関する府省令の内容について説明をいたしました。その際、先ほどお話がございました生保協会からの質問が出されたものでございます。  その質問は第三区分の命令に関するものでございまして、第三区分は保険業法施行規則の第八十八条の二に規定されておりますが、早期是正措置制度におきましては、第三区分の命令の発動に当たりましては、府省令上はソルベンシーマージン比率だけでなしに有価証券の含み損益等を反映した資産と負債の額の差をも考慮することとされております。  そこで、この発動に当たりましては、保険契約者等の保護の観点から、何ら問題がなく業務を営んでいる保険会社につきましては、通常の貸借対照表を前提として資産超過である場合には、仮に有価証券の含み損益等を反映した資産の額と負債の額の差がマイナスとなっても、そのことだけで直ちに業務停止命令を発出することはしない、個別事案に即して実態的に判断していくということとしているわけでございます。これは先ほど申し上げましたこの規則の八十八条の二の第三項に規定されているところでございまして、生保協会からの質問に対しまして、今申し上げました制度の仕組みや考え方について回答したところでございます。
  46. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  保険会社の破綻処理につきましては、保険業に対する信頼性の維持を図るために保険業界の負担により行われることが原則でございまして、保険契約者保護機構においては、生命保険につきましては四千億円、損害保険については五百億円を積み立てることとしております。  しかしながら、先生が言われましたような、仮に大規模な破綻とか連鎖的な破綻というような異例の事態が発生いたしまして、保険会社の負担能力あるいは機構の利用可能な資金状況が著しく悪化してしまったような場合には、制度の見直し等必要な措置が検討されることになるわけでございます。  具体的には、保険業法第三百十一条の二の金融再生委員会から大蔵大臣への協議規定とか、先ほど先生が御指摘になりました金融システム改革法附則第百九十一条の検討条項に基づきまして、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置が検討されることとなります。  そこで、必要な措置の内容についてでございますけれども、これは昨年の法案審議の際にも答弁させていただいているところでございますが、実際に措置を講ずる時点で内容を判断すべきものであると考えます。例えば借入金限度額とか負担金の見直し、それから補償限度とか補償対象契約の見直し、ひいては公的な支援など、制度自体の見直しを含みますあらゆる措置が検討の対象となると考えております。
  47. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 それでは、直接法案にかかわる質問に入りたいと思いますが、用意した質問、例えば自由化対策資金運用状況については石渡委員とのやりとり、また私の答弁の中でも答えられましたし、通貨オプションの概要とか外国債運用の実績、評価についても先ほどの質疑の中でございましたので、これはもうこれでいいというふうに思っています。  そこで、郵貯簡保運用対象とする資産担保証券等の具体的な実像といいましょうか、そういったものはどういうことをイメージして描かれるのか、また今回の運用対象の拡大に入れられた理由と意義について当局の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  48. 松井浩

    政府委員松井浩君) このたびお諮りしております法案でございますが、不動産あるいは指名金銭債権等を裏づけとして、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律に基づいて、多数の投資家向けに発行される特定社債運用対象に追加させていただくべくお願い申し上げているところでございます。  今回の運用対象の拡大に資産担保証券を入れることといたしましたのは、資産担保証券郵貯簡保資金運用の範囲に追加いたしまして、運用対象を多様化するということによりまして一層安全、確実かつ有利な運用を可能としようとするものでございます。  先ほどもちょっと申し上げましたように、最近の動向の中で、特にSPC法が施行されました九月以降、こうした分野での証券の発行の動きが大変大きな動きになってきておるというふうに考えております。また、アメリカにおいてはそのマーケットが四十数兆と、住宅ローンだとか自動車ローンだとか不動産、そういったものを裏づけとした大きな市場が発達しております。日本もこれからでございますが、その中で預金者、加入者のための資金運用の対象として加えていきたいということでございます。
  49. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私も特定社債運用基準とか、例えば担保資産安全性について聞く予定でありましたが、これも先ほどの質疑に出ておりますので省きまして、大蔵省にこの問題に関してお伺いします。  平成十年四月二十四日に出された総合経済対策において、「資産担保証券(ABS)の流通市場整備のため、不動産インデックスを始めとする不動産の情報化及び不動産情報のディスクロージャーの拡充を推進する。また、郵貯簡保資金による資産担保証券(ABS)への運用について、平成十一年度に向けて検討する。」とあるように、郵貯簡保資金運用対象資産担保証券を加えることを検討する旨が盛り込まれております。  今回の法改正による郵貯簡保運用対象としての追加は、郵貯簡保自主運用という郵政省側からの必要もあると思いますが、それ以上にABS市場の立ち上げのために郵貯簡保の導入が必要とされているという見方がないわけでもありません。  そこで、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律ABS市場の立ち上げ、それらと郵貯簡保運用との関係について、またABS市場を今後どのように育てようというのか、この点、大蔵省の見解を聞きたいというふうに思います。
  50. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) ただいま先生指摘になりましたように、平成十年四月二十四日の経済対策閣僚会議で決まりました総合経済対策におきまして、不動産投資情報の整備拡充等による資産担保証券市場整備ということが挙げられているわけでございます。  一方、ただいま郵政省の方からお答えがありましたように、郵貯簡保資金運用対象といたしまして十一年度予算編成において郵政省から資産担保証券を加えるように要求があったわけでございます。この郵政省要求趣旨は、今お答えがありましたように、郵貯簡保の安全、確実、有利な資産運用という見地からの御要求だというふうに考えておるわけでございまして、そうした見地を踏まえて、今般こうしたABS、資産担保証券運用対象とすることとしたところでございます。  この資産担保証券運用につきまして、郵貯簡保資金にその対象として加えたことにつきましては、あくまで郵貯簡保資金運用観点から行われるものでございますけれども、結果的に市場活性化に一定の効果があるのではないかということを期待しているところでございます。
  51. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 先生の御質問の後段の資産担保証券、いわゆるABS市場育成についてお答えさせていただきます。  債権や不動産といった資産証券化が進展していくためには、資産担保証券、いわゆるABS市場の発展が重要であると考えております。このため、昨年四月の総合経済対策とか六月の金融再生トータルプランでは、この市場環境整備を図る観点から、一つ不動産に係るディスクロージャーの充実、いま一つは店頭市場における基準気配銘柄の追加とオンライン決済の実現などの措置が盛り込まれている一方、九月には債権等の資産証券化促進を目的といたします御指摘特定目的会社による特定資産流動化に関する法律、いわゆるSPC法も施行されたところでございます。  今後これらの措置が着実に効果を発揮することによりまして、資産担保証券市場、いわゆるABS市場がさらに発展していくことを期待しているところでございます。
  52. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 次に、簡保に対する質問に入りますが、時間がありませんのでまとめてお聞かせいただきたいと思います。  このたびの一病息災保険というのは久しぶりのヒット商品になるんじゃないかというふうに私は思っています。質は違いますけれども郵貯における国際ボランティア貯金に匹敵するものではないかというふうに評価をしております。これらがどのように検討され準備されてきたか、簡潔にお話しいただきたい。  さらに、一病息災保険の問題点であります。一病息災の一病とは糖尿病とか高血圧症などのいわゆる慢性疾患であるというふうに思いますが、これらを原因とする合併症によって死亡原因が発生する、そのとき、保険金支払いの条件として、二年経過前、三年経過前、三年経過後とそれぞれ措置されて規定されるわけですが、一病である慢性疾患と直接関係のない原因で死亡した場合、あらかじめこのような制限規定を定めておけば個別契約上の問題点は起こらないであろう。しかし、保険者と被保険者の信頼関係という面から見たときに、死亡原因と告知された慢性疾患との関連をあらかじめ分類したり明確化することの難しさは私もわかりますけれども、明らかに関係のない原因で三年以内に死亡するケースも想定されるので、社会的な立場というか公的立場というか、それは民間生保も同じだと思うんですが、そういうことが想定されるにもかかわらず、何でもかんでも五〇%、八〇%というふうに規定しているのは少し問題があるのではないか。この点についての議論検討、また将来の改革とか、そういう問題についてはどのように考えているか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 今回お願いをしております簡易生命保険法改正でございますが、この一病息災保険、仮の名前でありますけれども、これは平成七年に設置されました郵政大臣の諮問機関でありますKampo二十一世紀ビジョン懇談会から最初に提言があったものであります。この懇談会の中で、一病息災時代に対応する商品として軽度の疾病に罹患している人を対象とした商品を提供すべきではないかということでございました。  これを受けまして、平成八年、九年の二年間にわたりまして、大学の先生方を中心といたします専門の調査研究会を設置いたしまして検討を重ね、成案を得たところでございます。  またこの間、平成九年度及び十年度には全国四千世帯を対象にニーズ調査をいたしました。その結果、約九割の方がこのような新タイプの保険の必要性というものを認識しておるということが明らかになったところであります。また、このニーズ調査ですと、約四割の方がすぐにでも入りたいといったような意向を表明されておったわけであります。  以上のとおり、三年間にわたりまして検討を行いまして、今回法案提出することといたしたところでございます。  なお、伊藤先生から御指摘のありました加入後二年以内あるいは三年以内に死亡した者に対しまして保険金を減額しておることと病気との関係でありますが、疾病による死亡保険金額につきまして原因にかかわらず同額といたしましたのは、現在考えております慢性疾患といいますのは、それを原因として他のさまざまな疾病を招来、発症することが多いわけでございます。したがいまして、被保険者が直接の死亡原因となった疾病と最初の慢性疾患との因果関係の有無の立証が難しいということであります。また、仮に因果関係の有無を明らかにしようといたしますと、判定に相当の日数を要しまして保険金の支払いがおくれたりコストが増大するなど、ひいては加入者に御迷惑をかけることにつながるんではないかということから、今回一律に取り扱うことが適当と考えたものであります。  しかしながら、先生の御指摘のように、慢性疾患で死亡した場合と慢性疾患とは明らかに関係のない疾病によって死亡した場合とでは死亡保険金額を異なる額としてはどうかということにつきましては、商品設計として理論上可能でありますが、広く国民に対しまして簡易な手続により保障サービスを提供するという簡易保険あり方を考えますと、今後の検討課題というふうにさせていただきたいというふうに考えております。
  54. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 終わります。
  55. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、御苦労さまでございます。  昨日、春の全国支店長会議が持たれたわけでございます。その中で、焦眉の的となっております個人消費及び民間設備投資に関してどのような議論がなされたか。また、総裁としての今後の見通しについてまずお聞かせ願いたいと思います。
  56. 速水優

    参考人速水優君) 各地の支店長方からは、景気は全般に下げどまりの情勢にあるという報告が多かったと思います。これには公共投資の発注が増加していることとか住宅投資が持ち直しているといったことが寄与しており、そういった地方でかなりよくなっているということが目立ちました。その一方で、個人消費は全体に盛り上がりにまだ欠けているということで、また企業の方での設備投資も大企業中心に減少しているようでございます。さらに、雇用・所得環境、これらもまだ悪化が続いているということでございます。  このように、会議では明るい材料、暗い材料の双方が報告されておりましたけれども、現状の日本経済は依然として、金融市場関係は小康状態でございますが、実体経済面では、民間主導の自律的な回復に対する展望ということに関して申しますれば、まだその面でははっきりした上昇ということが明確には出ていないというふうな感じを受けました。  私の判断といたしましては、国内景気は今申し上げたように企業、消費者のマインドがやはり明るくなってきて、企業の方は今問題になっておりますもう競争力を失ったものを切り捨てて、これから新しい需要をつくり出すような設備投資を続けてやっていく、思い切ってここで切りかえていく、競争力のある産業を育てていく、これは製造業の場合にも非製造業の場合にも、新しい需要に対してミートするような産業を起こしていくということを決断する時期ではないかというふうに思っております。  その間、私どもとしましてはできるだけ潤沢な資金を供給していくということで、金融資本市場の方は比較的落ちついておりますし、ジャパン・プレミアムもほぼ解消したということでございます。それから、三カ月ぐらいのターム物の金利も大幅に低下しておりますし、長期金利もひところに比べて下がっております。株価は三月以降上昇しており、また出来高もふえております。企業金融の逼迫感が和らいでおります。  こういう状況が続いている間に、実体経済、民間企業民間需要と民間家計という方でサプライサイドの前進に向けて踏み出していただきたい。それから、家計の方では、貯蓄がかなりふえてきておるわけでございますから、思い切った消費、住宅とか耐久消費財への買いがふえていってもいい時期ではないか、そういうふうに考えております。
  57. 益田洋介

    ○益田洋介君 景気対策につきましては、総裁がずっと提唱し続けてこられました無担保コール翌日物の金利の低目誘導がほとんどの支持を得られている。海外からも得られているということはわかりますが、一方、財政面では過剰設備の解消、それから過剰雇用の問題等がございます。過剰設備の解消の問題では、税制面での優遇策というものを政府にぜひ考えてもらいたい、国会で審議をしてもらいたいという声が上がっているところでございますし、さらには不良資産流動化についても政府として新たな対策を打つべきではないか、そのような声も上がっているように伺っておりますが、これはどういうことでございましょうか。
  58. 速水優

    参考人速水優君) やはりバブルの負の遺産といいますか、不良債権、過剰設備、過剰負債、過剰雇用といったようなものが企業にまだ残っておるわけでございまして、それが一層競争力を失わせておると思います。そういう状況の中で、競争力のないものを切り落として一方で新しい設備投資をしていくという創造的な破壊が行われていかないと景気を上向けていくわけにいかない、今の大きな需給ギャップというものを埋めていくことにならないと思います。  その面では、政府が今度おつくりになられました産業競争力会議ですか、既に人員も日にちも決まっておると思いますが、私どもとしては、これがなるたけ早く動き始めて、一つ一つ産業をチェックしながら、規制を撤廃し、かつ税制等によって奨励、刺激すべきものはしていくというようなことを始めていただきたいということを切に願っております。そうしませんと、今の大きな需給ギャップというものはなかなか縮まっていかないんじゃないか、それがある限り自律的な景気の回復にはならないというふうに思っております。
  59. 益田洋介

    ○益田洋介君 斎藤精一郎さんという立教大学の教授がいらっしゃいますが、最近論文を発表されて、日銀ハムレット論というのをお述べになっています、お読みになったかどうかわかりませんが。  昨今の総裁がおとりになっている金融政策は、一方でデフレスパイラルに陥らせるよりはましだろうという意見がある、他方でゼロ金利誘導により預金者の利子所得がさらに一層減少していくという批判が避けられない、どちらを向いてもやはり批判されるようなお立場だと。しかし、斎藤教授は総裁の政策には基本的には賛成のようでございまして、MITのポール・クルーグマン教授などが日本経済の長期的な低迷というのはウルトラ政策を中央銀行が出さないからだという批判をしているけれども、斎藤先生は、今私が申し上げた過剰設備、過剰雇用、それから過剰債務が収益構造に長いことマイナスの圧力をかけているんだ、だから日銀は批判されるけれども、日銀が悪いと思っていない、悪いのはむしろ政府なんだ、政府の失政が続いているからだ、こういうふうな御意見です。  総裁、どのようにお考えですか。そのとおりだと思われますか。
  60. 速水優

    参考人速水優君) 斎藤精一郎先生は私も親しくさせていただいておりますのでよくお話をするんですが、彼は私どもが二月から始めておりますいわゆるゼロ金利というものには賛同してくれておるように思いました。  ただ、クルーグマン先生になりますと、要約しますと、日本の金融政策につきまして、インフレ率やベースマネーに目標値を設定しなさいというようなこと、あるいは人々のインフレの期待感を高めるためにインフレ目標をそれによってつくっていきなさいとか、実質的な金利水準をそれによって下げていってはどうですかといったような、かなり極端な御議論をされているように思います。  私ども日本銀行としましても、この先生の御主張に限らず、外からの意見に対しましては謙虚に耳を傾けてまいる必要があると考えております。ただ、インフレ率とかベースマネーに目標値を置くというようなことは、そもそもそれだけで本当に人々のインフレ期待が高まるのかという問題があります。また、仮にインフレ期待が高まると名目の長期金利がかえって上昇してしまうんじゃないかというふうにも思われます。  日本銀行はこうした点を含めまして政策委員会で十分に討議を尽くして、結論としては、オーバーナイトの金利をできるだけゼロに近い水準で推移するように第一線に指示を出して、それを維持するように潤沢な資金を毎日市場を見ながら出していきなさいということを指示して、それが二カ月ほど続いておるわけでございます。  こういう方針のもとで、現在、市場に対しましてはかなり潤沢な資金供給が続けられておりますので、幸い各種金融資本市場はいい反応を示してくれているように思います。私どもとしましては、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になりますまではこのような思い切った金融緩和スタンスを維持していくことが必要だというふうに思っております。  財政面のことは私どもあれこれ言う立場にはございませんが、先ほど申し上げましたように、クリエーティブディストラクション、新しい、伸びていく需要に見合ったサプライをなるたけしていけるように、そういう産業を刺激するため税を免除していくとか、もう競争力を失った設備をなくしていくことについて特別な計らいをするとか、規制を撤廃して非製造業などで民間の需要にミートした新産業を起こしていくとか新しい企業を起こしていく、あるいはいわゆるアントレプレナーという新しい形の経営者がどんどん企業をつくっていく、そういうことで雇用がふえていくんだろうと思いますし、所得もふえていくんではないかというふうに見ております。
  61. 益田洋介

    ○益田洋介君 総裁、最後の質問でございますが、月末からのG7を前にしまして、少し明るいニュースです。アジアや中南米、特に韓国の株価が危機の前のレベルまで戻してきているし、ブラジルの例のレアルも対ドル比で三〇%ぐらい上昇してきております。  大方の見方というのは、これはひとえに背景にアメリカのダウ平均が一万ドルを突破したという現実があるということですが、一方で、この回復は果たして長期的なものとして期待できるのかどうか、アメリカドルの動向ですとか金利の動向に左右されているという現状では危うさが残るんではないかという見方もありますが、総裁はどのようにお考えですか。
  62. 速水優

    参考人速水優君) アメリカの株価が非常に上がっておりますことは私どもにとっても明るいニュースですけれどもアメリカの経済は物価が落ちついておりますから今のところ景気の堅調な拡大が続いていると言えると思いますが、八年間景気拡大が続いているということなどを考えますと、伸び切った状態にあるということが言えるかもしれません。特に労働資源が限界まで来ているということとか、先ほどの株価が過大評価されていやしないかとか、対外収支の赤字とか企業や家計の負債がふえているということも聞きます。そういったことを考えますと、いずれ行き詰まるときが来るかもしれません。  そこへもってきて、今おっしゃったラテンアメリカとかアジアの危機は少し静かになっておるように思いますけれども、ユーゴの動きがどういうふうになっていくのか、そういうものの波及がどういうふうになっていくのかということもございます。  アジアにつきましては、私も先日韓国へ行ってまいりましたけれども、韓国などは非常に元気に立ち上がっているような感じがいたしました。その他の国々におきましても、実体経済自体は少しずつ生産が上がってきており、輸出が伸び始めているようですけれども、まだ金融の問題などではかなり脆弱といいますか、先般のクライシスの後遺症が残っておるわけでございます。中国においてもそのようなことがあるかと思います。  そういうことを考えますと、世界経済全体、ヨーロッパも今金利を下げるほど景気がよくないわけでございますので、全体としてはそう楽観はできない。こういう中で、日本が早く景気をよくしていくということは世界的にも明るい経済をつくっていく意味で大事なことではないかというふうに責任を感ずる次第でございます。
  63. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  それでは、郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、経済戦略会議の最終報告が二月二十六日に提出されました。非常に興味深かったのは、この報告を受けて閣議決定がなされるかと思いましたらば、閣議決定はなされないで閣議報告に終わってしまいました。だから、そのバインディングフォースというのがない格好だったんですが、中身は非常に興味のあるものが多かった。例えば行革の推進のためにアメリカではナショナル・パフォーマンス・レビューという監視機関を設けられて、これはフォローアップ機関と日本では一般に言われておりますが、三年間で三十八万人の公務員が削減できた。このフォローアップ機関の提唱もあったんですが、これも見送りになった。これはお答えにならなくて結構です。  お答えいただきたいのは、そのリポートの中で財政投融資の制度について議論がなされて、傘下に多くの特殊法人を擁していて、特に郵政省関係なんですが、利権の温床になっているんじゃないか、外国から非効率的な政府の象徴と見られていると。それで、将来の財政投融資制度自体の廃止も視野に入れて抜本的な見直しをしたらどうかという提言がなされていますが、これについてどういうふうにお考えですか。
  64. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 財投につきましては、まさに財投改革ということで、今までの事業とか機関とかさまざまな見直しをしていくということで、先ほど答弁申し上げたとおり、今の制度を変えまして、透明性が高い市場という形の中で財投債とか財投機関債なんかを通じてやっていこうという動きがございます。私としますれば、財投が必要とされてきた経緯というものを踏まえて、今後はもっと効率的に、そして透明性の高い制度にして社会資本整備のために引き続き取り組んでいきたい、いかなければならないというふうに考えております。
  65. 益田洋介

    ○益田洋介君 ぜひその方向で推進をお願いしたいと思います。  次に、不幸なニュースなんですが、今NTTで四本部に移行するという手続を進めているそうですけれども、自殺者が非常に多い。二月にも三十歳代の主査、普通の会社では係長クラスの男性が原因不明で亡くなった。自殺だろうと言われています。この現象というのは、九七年にNTTの分割法案が国会を通過して再編に向けて一斉に動き出してから出てきて、一部の役職員の人が過剰なほどの労働を強いられているそうです。  昨年九月、通信産業労働組合、通称通信労組と言われていますが、そこが調べたところでは、九七年度は自殺者が実に十七人、そのうち二人は単身赴任だった。これは昨年十月の衆議院逓信委員会でも取り上げられまして、そのときにはNTT側はこの事実を認めています。  原因として考えられることは、小田晋先生という国際医療福祉大学の教授が分析しているのは、NTT独自の病原があるんじゃないかと。三つのうつ病で、一つ目は配転うつ病、二つ目はリストラうつ病、三つ目はテクノストレス。要するに、人気企業で非常に優秀な社員ばかり集まっているから、自分がいつ追い抜かれるかわからないという不安感。私はそういう経験をしたことがないのでよくわからないんですけれども、その三つのうつ病なんだということであります。  これはNTTだけの問題じゃないかもしれませんね。リストラを直前にしている日本の大手の企業というのはこういう問題を抱えていると思いますが、一つの組織で自殺者が一年間で十七人というのは何かよほど問題があるんじゃないか。  率直な御意見で結構ですが、あるいは調査をしていただくとか、そういう方策をお考えいただけませんでしょうか。
  66. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 自殺者が多いということでございましたけれども、亡くなられた方については御冥福をお祈り申し上げます。  衆議院の委員会でもこのことについて御質問がございました。そのときにも申し上げたことなんですけれども、やはりNTTの中でしっかりカウンセリングをしていただくと。今おっしゃったようなさまざまな仕事をしている上で、必ずしもNTTだけではなく、国会議員の先生もそうでしょうし、いろいろなストレスがあると思います。そういうことに適切に対応できるようなカウンセリングシステムというものをどんどん推進していただきたいということで、当時の委員会もたしかそういう話になったと思います。  NTTの再編との因果関係は私は直接ないと思います。これまでも再編についてはかなり長い時間をかけまして労使協調のもとで取り組んでいただいたことでございますので、今後とも私たちも注視はしてまいるものの、やはり社内でのそういう心のケアについて取り組んでいただきたいと願っているところでございます。
  67. 益田洋介

    ○益田洋介君 この小田先生の分析についてもし興味がおありでしたらば、後ほどコピーをお届けさせていただきます。  次に、郵政省の職員官舎の件でございます。  場所は港区赤坂六丁目十九の五十四。大臣は御存じですか、これ。日銀の氷川分館の隣、氷川神社の裏で、一等地です。ここに、土地面積が約四百六十四坪、千五百三十平方メートル、宿舎名は赤坂一号宿舎、延べ床面積が三百三十一坪、千九十一平方メートル。こんなに広いところに十六戸しか入っていない。建物は鉄筋コンクリートづくりの四階建て。使用料は幾らだか大臣は御存じないと思いますから念のために申し上げますと、一万八千四百円です。この近くのホテルニュージャパンという火災になった跡地が売却されて、ある生命保険会社が今貸しビルを建てておりますけれども、あそこの取引価格が坪千四百万から千五百万と言われている。そうすると、この土地だけで七十億ですよ。こういう資産をむだ遣いしているのは、一万八千円の家賃で十六世帯しか入っていないのは私は処分していただきたいと思うんですが、よろしいですか、郵政大臣。  これは財産としては、昭和三十三年十二月二十三日施行の国家公務員宿舎法第四条第二項第一号にある郵政事業特別会計でお買いになっているものだと思いますが、御検討いただけますか、資産の処分。郵政省がお持ちのこうした高価なところにある資産、今申し上げたように時価でいえば七十億ですが、国庫が今非常に逼迫している状態ですから、郵政省の職員の方がこんなところに住んでいる必要はないと思いますよ。どうお考えですか。
  68. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今御指摘の赤坂を含めて、郵政省は都心部に宿舎を持っております。それぞれ郵便局におきます特殊な事情、早朝とか深夜の業務及び緊急時とか非常災害時に的確かつ迅速に対応するために、業務運営上どうしても職住を近づけておかなきゃいけないという必要性がございます。ですから、今後も必要な宿舎の戸数は確保していきたいという考えを持っています。  しかし、必要な宿舎戸数を確保するに当たっては、平成十年十二月十七日の国有財産の情報公開・売却等促進についての事務次官等会議の申し合わせというのがございまして、そこにおいて、業務上の必要性等からやむを得ない場合を除き、敷地面積が原則として三千平方メートル以上となるよう集約化を進めるという考えがございますので、それに基づいて転用とか売却も検討をしながら、宿舎の合同化とか集約化に努めてまいりたいと考えているところです。
  69. 益田洋介

    ○益田洋介君 今お帰りいただいた日銀総裁にも昨年五月以来ずっとお願いをしていまして、全国の支店長宅をすべて処分していただけるとお約束いただきましたし、松永大蔵大臣の時代に理財局がお持ちの全国にある所有財産の調査をしていただいて、必要とあらばやはり処分していただこう、そういう方針でおりますので、ぜひ郵政省としてもお考えいただきたいとお願いしておきます。  昨日発表されましたが、郵便事業の低迷がこれで二期連続しているわけでございます。不況の長期化、日本の経済全体がやはり影響しているんだろうというふうに私も思いますが、一方で民間の配送サービスが非常に低価でしかもサービス内容のいいものが実績を伸ばしているというふうな背景もございます。ですから、郵便事業についてもサービスの向上だとか値段の改善、こういうことを検討しなきゃいけない段階に立ち至っているんじゃないか。今に民間に抜かれますよ。ですから、この点についてもぜひ省内で御検討いただければと思いますが、いかがですか。
  70. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御指摘のとおり、郵便事業経営が大変厳しいということもありまして、平成九年度において業務収入が戦後初めて前年の収入を下回る状況になっています。十年度も前年度同様マイナスの厳しい状況となっているわけであります。九年度に消費税の引き上げ分約四百億円をのみ込んだことがございましたけれども、そのことを思うと、まさに経済状況が一変してしまってさま変わりの状況であることは事実だと思います。  そういう中で、私たちは、先生今御指摘のとおり、景気が悪いからということではなく、とにかく全力を挙げて取り組んでいこうということでおります。少し御紹介申し上げるならば、まず増収に向けての取り組みでございますけれども、積極的に営業活動をしておりますし、全省、全郵便局挙げてトータルパワーを結集してやれるだけやっていこうということで取り組んでおります。  そんな中の明るいニュースとしましては、例えば新しいサービス、翌朝十時郵便とかチルドゆうパック、また冊子小包、そういうサービスにつきましては、おかげさまで前年度を大幅に上回る御利用をいただきました。そしてまた、ゆうパックにつきましても、午前、午後、夜間といった配達時間帯指定サービスというのを導入させていただきまして、そういういろいろな利用者にとって便利なサービス、喜ばれるサービスをすることによって増収に向けて取り組んでいきたいと思います。あわせて、経費の削減とか定員の削減についてもできる限りの努力を払ってまいりたいと思います。  しかし、一番大切なことはやはり全体的な経済成長を上げていくということで、政府が一丸となって十一年度には目標として実質経済成長率を〇・五%程度上げるということで取り組んでおりますので、そういう意味でも国務大臣の一人として頑張ってやってまいりたいと思います。
  71. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。
  72. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  質問いたします。  今回の改正郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金簡易生命保険積立金運用対象特定目的会社SPCが発行する特定社債及び通貨オプションを追加する、こういうものでございます。  現在の運用でも、国債、地方債、社債外国債、金銭信託、金融債、債券オプション、先物外国為替などほとんどの金融商品運用できることになっております。今回の改正でABSと通貨オプションを追加すれば、あとは直接の株式取引とスワップ取引、この二つを残すだけになります。  このように、郵政省資金運用の範囲を無制限に拡大していくならば、事実上、銀行や証券、生保などと同じ機関投資家ということになってしまうと思うんですが、まず大臣のこの問題についての御見解をお伺いいたします。
  73. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今回の通貨オプション、また特定社債の追加でございますけれども、これまでの価格変動リスクのヘッジ方法としては債券先物とかオプション取引が導入されています。今回の法案先生方に認めていただけることになれば、保有債券為替変動リスクのヘッジ方法について、先物外国為替に加えて通貨オプションが導入されるということになるわけです。これらのヘッジ方法というのは、保有債券為替変動リスク及び価格変動リスクを軽減し、そしてより確実有利な外貨債の運用を行うことを目的としているものであります。  今おっしゃった銀行や生保は一般企業への貸し付けとか不動産、株式への運用など、郵貯簡保にない運用対象を有しておりまして、またデリバティブにおきましても郵貯簡保には認められていないものへの運用が可能であることから、より多様な手段を持っていらっしゃると私は認識しております。
  74. 宮本岳志

    宮本岳志君 それでは、まずこのABSについてお伺いをしたい。  今回の改正運用対象とするSPCが発行する特定社債はどのような基準運用するのか、また運用額はどれぐらいを予定しているか、お答えください。
  75. 松井浩

    政府委員松井浩君) 郵貯簡保資金運用につきましては、預金者、加入者利益、健全な事業運営の確保基本として行っているものでありますので、今回追加しようと考えております資産担保証券につきましても、その運用に際しまして安全確実なものを対象としていくことが肝要と考えているところでございます。  具体的に申しますと、特定目的会社によります特定資産流動化に関する法律SPC法でありますが、この法律に基づいて発行される特定社債のうち、元本保証等が付されており、かつ特定社債発行額裏づけとなります不動産取得価格の五〇%以下であるもの、そういったものにつきまして別途政令でその基準を定めるべく検討を行っているところでございます。  なお、先生の御質問の運用予定額でございますが、この市場は今生々発展の途上にございます。その動向を見ながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  76. 宮本岳志

    宮本岳志君 市場がまだ生々発展の過程だとお答えになりましたけれども、私はそもそもこのSPC法というものがつくられた経過そのものが不良債権の証券化だったというふうに思うんです。  それで、つくっていただいた参考資料を見ますと、昨年十二月の構造改革推進研究会の土地ワーキンググループ報告書が十四ページに載っておりますけれども、この中を見せていただいても、「金融システム改革の一環として、また、不良債権処理や土地有効利用の促進策として、今般、「特定目的会社による特定資産流動化に関する法律SPC法)」の制定により、特定目的会社が業として特定資産流動化を行う制度が確立され、証券化の条件整備が大きく前進した。」、こう述べております。  つまり、流動化しない資産流動化させると。流動化しない資産というのは、つまりこういう特別な仕組みをつくらなければ流動化させることができない資産というのはつまりは不良資産のことではないんですか。不良でなければこんな手の込んだことをしなくても売れるじゃないですか。そういう不良資産証券化して郵貯簡保資金で買い取る、そういうことをやれば、まさに郵貯簡保資金をとんでもないところへ注ぎ込むという結果になりませんか。
  77. 松井浩

    政府委員松井浩君) 原則的な話で恐縮でございますが、郵貯簡保資金運用は確実で有利な方法で行うことによって事業経営を健全ならしめ、預金者、加入者利益の向上を図ることを目的として運用しております。  特定社債につきましても、確実有利という運用原則に基づいて運用を行うものでございまして、不良債権の償却化だとか、そういったことを目的として特定社債を購入することはないと考えております。したがいまして、特定社債郵貯簡保運用によりまして、そういった面からのモラルハザードを助長することもないというふうに考えております。  先生指摘のように、例えばよくある虫食いの土地、どうしようもないような土地を裏づけにしてどうさばいたらというふうな議論もございますが、そういったものが売れるはずがございません。その点につきましては先生の御指摘のとおりだと思っております。
  78. 宮本岳志

    宮本岳志君 昨年の四月二十四日の経済対策閣僚会議、ここでABS債というのが出てまいります。しかし、ここで出てくる出てき方を見ても、これは「土地・債権の流動化と土地の有効利用」という項目の第六項目めに、まず「資産担保証券(ABS)の流通市場整備のため、」と述べた後、「郵貯簡保資金によるABSへの運用について、平成十一年度に向けて検討する。」、こうなっております。  先ほど申し上げたワーキンググループ報告書、これを見ましてもこう述べているわけです。「わが国ではなじみの少ない証券化を普及させるために、不良資産ではなく、むしろ優良な不動産住宅ローン債権の証券化によるリーディングケースを市場で立ち上げる」、そして「市場育成のために、リーディングケースとして、専門的知識経験を有する適格機関投資家を対象とした私募市場からはじめ、徐々に公募市場へと拡大していくことが適切である。」と。  つまり、文脈は明確に不良債権処理や土地有効利用、こう書かれているわけです。つまり、不良債権の処理も含んでいる。もちろん不良債権ばかりじゃないでしょう。あなた方がおっしゃるように、少しは優良なものもあるんでしょう。しかし、そういう優良なものから始めてリーディングケースにするんだ、そして郵貯簡保資金ABS市場をつくろう、そういう話じゃないんですか。
  79. 松井浩

    政府委員松井浩君) 先生指摘の総合経済対策でございますが、私ども運用について触れているところがございます。「債権債務関係の迅速・円滑な処理」というふうな見出しがついておりますが、私どものことについてもう一つ具体的に表現を読ませていただきますと、「郵貯簡保資金運用対象を多様化し、預金者・加入者利益に資するため、安全・確実な資産担保証券(ABS)に対する運用について平成十一年度に向けて検討する。」ということでございます。  私どもは、先ほど来申し上げておりますように、預金者の利益加入者利益になるための運用でなければ運用する気はございません。それだけは申し上げたいと思います。
  80. 宮本岳志

    宮本岳志君 安全確実ということを繰り返されるわけですけれども、そもそもあなた方が先ほどお述べになったような条件、十五億円以上の上場企業による元本保証であるとか、あるいはABSの発行額不動産価格の五〇%を超えないとか、実に厳しい条件をつけなければならないところにABSというものが非常に危険を持った、リスクをはらんだ証券である、債券であるということが示されていると思うんです。  今回のABS導入というのは、つまり買い手のないABS、なかなか人気が上がってこないABSに対して郵貯簡保という公的資金で買ってやってABS市場を立ち上げてやろうというものだと思います。銀行への六十兆円の公的な資金支援、これに続いて今度は金融ビッグバンを控えて不良債権を抱える大銀行やゼネコンを救済、支援する、こう国民から見られても仕方のない代物だと私は思います。  アメリカでは、クリントン大統領が公的年金の資金七千億ドルを株式運用に使うんだと述べて、これに対してFRBのグリーンスパン議長が公的年金の株式運用は政治的な市場操作の温床となりかねないと述べて明確に反対しております。アメリカではそういう議論をやられているときに、日本ではバブルの後始末に出されたようなABSに公的資金をつぎ込んでいくと。  これは郵政大臣に聞きたいんですけれども、こういう運用、こういうところに郵貯簡保資金を投入するということはまさにモラルハザードを助長することになるんじゃないですか。
  81. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほどから繰り返し申し上げておるのは、郵貯とか簡保運用というのは預金者、加入者利益、さらには事業健全経営のために運用させていただいておりまして、一貫してその姿勢は変わっていないわけでございます。  今度新しい市場ができる、そこで多種多様な運用がある一つとして今度ABSがある。しかし、私たちはこれはお金をたたき出すために運用しているんではなくて、前段のそういう志のもとでやっていますから、確実有利なものしかやれないんだということで、私たちとしてはそういう形でこの市場運用に取り組んでいきたい、そういうふうな毅然とした態度で取り組んでいるところでございます。
  82. 宮本岳志

    宮本岳志君 次に、通貨オプションについてお伺いをしたいと思います。  通貨オプションとはいわゆる金融派生商品、つまりデリバティブの一種であります。  郵貯簡保資金の現在の運用で既に導入されているもの、債券先物・オプション、先物外国為替運用状況はどうなっておりますか。
  83. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) まず最初に、郵便貯金資金でありますが、平成九年度末におきまして債券先物・オプション取引、それから先物外国為替取引はいずれも保有しておりません。  簡易保険でありますが、平成九年度末におきまして債券先物は保有しておりません。債券オプションは八百九十六億円、先物外国為替は二百五十九億円となっております。
  84. 宮本岳志

    宮本岳志君 もう一つ重ねて聞きますけれども、今回の通貨オプションへの拡大というのは為替リスクを避けるためのリスクヘッジである、こういう御説明であります。しかし、外国債運用額は郵貯簡保合わせて七兆五千億に達するということですから、為替相場にも影響を与える懸念があるという指摘も出ております。  報道では、大蔵省は保有外債を対象とするリスクヘッジに限定して、投機はしないという条件で認めたとされております。現在保有している外国債のヘッジの運用範囲で、絶対に投機取引はやらないとはっきり明言できますか。そして、その担保はどこにございますか。
  85. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 今回、私どもが認めていただきたいと申し上げております通貨オプションでありますが、あくまで保有しておる債券リスクヘッジのためでございます。ですから、投機取引というものは行わないということでありますが、このことをはっきりさせるために省令でいわゆる取引基準を定めたいというふうに考えております。  さらに、実際の運用に当たりましてどうするのかということでありますが、現在、簡保資金運用に当たります担当者が約七十名ほどおりますけれども、この七十名が大体三班に分かれまして、いわゆる計画管理部門、ディーリングを行います売買担当部門、それから投資分析部門というふうにおりまして、お互いにチェック体制を確立しております。こうした基準に反して投機的取引が行われれば、すぐにそういったものがチェックできるような体制になっておるということでございます。
  86. 宮本岳志

    宮本岳志君 投機しないということを今明言されたわけですけれども、幾ら投機しない、省令で定める、こう言っていただいても、国民は確かめるすべはないわけであります。貸借対照表に記載されないオフバランス取引ですから、これは三月末というのを聞きますと、先ほどお答えにあったように、保有しておりませんと、こういう答えになって出てくるでしょう。つまり、途中がわからなければ何のディスクロージャーにもならないわけですよ、この取引について。取引の総体をストックではなくてフローで公開しなければ国民にはわかり得ないんじゃないですか。
  87. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 確かに私が先ほど申し上げましたのは年度末における残高でありまして、先生の御質問は期間中の実績、フローといいますか、それをすべて明らかにすべきではないかという御指摘だと思います。  ただ、このことにつきましては、郵貯簡保とも非常に市場に対しまして影響力のある立場でもありますので、どのような取引をどういう場面で行ったのかといったことをコメントすることは従来から差し控えさせていただいておるところであります。  現在、私どもがディスクロージャー誌に載せておりますのはいわゆる年度末の残高でございますが、これは民間金融機関等におきますディスクロージャーにつきましても、期間中の取引を明らかにしないで、先ほど申し上げました市場等への影響とかあるいは簡保郵貯がどういうスタンスで運用行動を行っているかといったようなことが伝わりますために、いわゆる残高でもってディスクロージャーをするということでございます。  今後のことにつきましては、民間金融機関等の動向も見ましてこの辺のディスクロージャーについては考えていきたいというふうに思っているところであります。
  88. 宮本岳志

    宮本岳志君 国民が納得するということが大事ですから。通貨オプションというのは投機であるかそうでないのかということが非常にわかりにくいというか、境界が紙一重の取引だと思うんです。リスク限定的投機という表現も物の本ではされております。つまり、リスクは最大失敗してオプション料に確定するけれども、性格は投機的性格を持っておるということです。  ヘッジだと言うんだけれども、ヘッジのためにやったのか投機のためにやったのかというのは、これはきちっとディスクロージャーされないとわからないということですから、どう国民に納得していただくかということはぜひとも御努力いただきたいというふうに思うんです。  それで、郵政大臣にお伺いしたいんですが、そもそも世界の外国為替取引と実体経済との乖離というのはすさまじいものです。WTOの発表によりますと、一九九五年の世界の貿易額は年間五兆ドル弱、そしてそれにサービスを約一兆ドル加えて六兆ドルの実体、実物のものが動いているわけです。ところが、IMFが主要二十五カ国の協力を得た資料によると、世界の外国為替取引は一日に約一兆六千億ドル、つまり外国為替年間にすると世界の貿易の約八十倍から百倍の額に達するわけです。つまり、今日、為替レートを決めているのは貿易収支でも何でもなくて貨幣の売買、投機が決めているわけです。  郵政大臣リスクヘッジのためと言うけれども、こういうものに手を出すということは確実、有利、公共利益という運用の三原則に完全に反するんじゃないですか。
  89. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 為替市場の大きさ、規模につきましては、それぞれのプレーヤーがいてそういう形になっていると思います。ただ、郵政省が取り組んでいる郵貯簡保運用一つである外国債の購入というのは、国内債券に比べて高い利子収入が期待できたり、国際的にリスクを分散できるとか、さまざまな資産構成上の一定の役割を持つ必要不可欠な運用対象一つととらえているところでございます。  しかし、そうはいってもやはり運用にはさまざまな問題があるわけで、今は通貨オプションにせよ、先物外国為替取引にせよ、とにかくそういうことで運用するんだけれども、そこで生じるリスクをヘッジするために、リスクの低減のためにやっていくべきことだということで私たち今取り組んで、先生方にもお認めいただきたいということで審議をしていただいているところでございます。
  90. 宮本岳志

    宮本岳志君 次に、指定単などの資金運用についてお伺いしたいと思います。  昨年四月の経済対策では指定単についても郵政省自身の運用を希望していたと思うんですけれども、なぜ今回の改正とあわせて実施しなかったんですか。その理由についてお聞かせいただきたい。
  91. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 現在は簡保事業団を通じて行っています指定単を郵貯簡保本体で行うということでありますが、確かに経済対策の中でそのような表現があったわけであります。しかし、いわゆる財投改革が行われますので、この財投改革に伴う郵貯簡保資金全額自主運用あり方とも密接に関連いたしますことから、現在、郵貯簡保自主運用に関する研究会開催して検討を進めておるところでありますので、その全体像の中でこれらの問題についても処理することがいいのではないかというふうに考えまして、今回は国会に法案提出しなかったものでございます。
  92. 宮本岳志

    宮本岳志君 そういう理由なのかと私は疑わざるを得ないんです。大蔵省の方からは、簡保事業団での運用と直接運用とを同時にやるというのはだめだ、一本化せよという話があって、しかし一方で簡易保険福祉事業団の実態が非常によくないということから見送られたというふうにも伝わるわけであります。  簡易保険福祉事業団運用の実態、また簡保の指定単のうち運用寄託の簡保事業団への貸付利率は現在幾らになっておりますか。
  93. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 簡保の指定単の運用状況でありますが、平成九年度末におきまして残高は十二兆二千億円でございます。貸し付けの利率でございますが、三・一六%となっております。そして、事業団におきます利回りといたしまして三・六一%ということでございます。
  94. 宮本岳志

    宮本岳志君 運用寄託の簡保事業団への貸付利率は幾らですか。
  95. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 現在は、平成十年度以降〇・九八%でございます。
  96. 宮本岳志

    宮本岳志君 簡保事業団で運用しているこの指定単は、郵貯は辛うじて黒字だと聞いております。しかし、簡保の累積欠損が三千二百三十七億円。これはバランスシートでの数字であります。  少し変わるんですが、四月八日の朝日新聞で、年金福祉事業団が二十五兆円の運用で累積赤字が三月末で一兆円を超えたと報道しております。九九年三月末の簡保事業団の指定単の運用額は、郵貯分が九兆三千四百億、簡保分が十四兆二千億、まさに二十三兆五千億、年金福祉事業団とほぼ同じ規模になっております。  九二年八月二十八日の総合経済対策で、大銀行、大企業の決算対策にPKOを実施したと言われております。一万六千円から九千円の株価購入をしたと。最近の株価の状況からしても含み損を抱えておる。将来、国民リスクを負わせることになることは明らかだと思うんです。だから、簡保の指定単の赤字を救済するために運用寄託制度を新設して、財投金利よりずっと安い金利、〇・九八%で事業団に貸し付けています。  そこで、聞きたいんですけれども簡保の利用者貸し付け、地方自治体への貸付金利は幾らになっていますか。
  97. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 簡保加入者への貸し付けの利率でありますが、平成十一年四月以降は年二・二五%でございます。自治体に対しましては、平成十年度は一・七二%でございます。これは平均の金利でございます。
  98. 宮本岳志

    宮本岳志君 つまり、簡保の地方への還元ということで、九七年度の決算で、地方債の購入が七兆五千九百億、地方公共団体への貸し付けは十五兆三千七百億程度、合計二十三兆程度を地方公共団体に貸し付けている。財政状況の悪化で、五%から七%の利率の借入資金について金利の安い資金への借りかえ、また高い金利資金の繰り上げ償還ということが要求されております。  政府は、今年度のみの対策として、政府資金の繰り上げ償還を六百八十団体に約六千百億円認める、簡保についても五百億円程度繰り上げ償還を認めると。その条件は、赤字団体、起債制限一五%以上の団体に限られております。また、繰り上げ償還を受けた団体は三年間は新規貸し付けをしないと。実に厳しい条件だと思うんです。  簡保の指定単への運用寄託は、累積赤字であるにもかかわらず株価維持のためなら貸付利率を一%以下にしてやると。一方で、地方自治体の五%、七%、こういう高金利の貸し付けについては、地方が繰り上げ償還を求めてもとんでもなく高いハードルを置く。これでは、「積立金を確実で有利な方法により、かつ、公共利益になるように運用すること」という本法律目的に反する運用だと言われても仕方がないと思います。  これは郵政大臣にお伺いしたいんですが、地方自治体の借りかえ要求、繰り上げ償還についてもっと拡大する方法を検討すべきではありませんか。
  99. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 簡保事業団に対しまして低い利率で貸し付けておるということにつきまして若干御理解を得たいと思います。  簡保事業団を通じまして指定単を行っておりますのは、本体で運用することができない株式等に運用するということも想定しておるわけであります。株式とかあるいはそういった債券等を長期運用いたします場合は、毎年毎年の利払いというものが負担になりますと運用先が限られてまいります。したがいまして、なるべく低い金利で貸し付けまして長期運用を行ってもらう、そして利益が生じた場合には簡保本体に上納金として返してもらう、こういう仕組みになっておるため、通常の貸し付けの利率とは違う低い利率が設定されておるということでございます。
  100. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今御指摘の繰り上げ償還、借りかえのことですけれども、もともと簡保が得るはずであった利息収入を失うということになります。これは加入者利益確保観点から、原則としては認められません。  しかし、最近の地方財政の状況先生指摘ですけれども、それを踏まえて、このたび特に財政の悪化が著しい地方公共団体から早期に元本の回収を図るとともに、当該団体の財政健全化の促進が図られることを期待して、平成十一年度の臨時特例措置として一部の地方公共団体を対象に繰り上げ償還を認めることとしました。しかし、これは臨時特例的ということで、加入者利益確保と繰り上げ償還の実施目的とのバランスを考慮しましてぎりぎりの判断をした結果であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  101. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 宮本君、時間が来ておりますので、手短に。
  102. 宮本岳志

    宮本岳志君 あなた方は二言目にはポートフォリオというふうにおっしゃいます。国民からお預かりした郵貯簡保資金というとうとい財産を指定単という株式投資にも使う、金銭信託や金融債にも使う、さらには先物外国為替に加えて今回通貨オプションと外国為替投機にも使う、そしてABSという形で不動産にも乗り出す。まさにありとあらゆる金融商品、投機に乗り出そうとしています。  先ほど年金資金を株式投資に使うなというグリーンスパン氏の立場を紹介しましたけれどもアメリカでは、現在、公的年金資金は全額非市場性の国債の購入という形の運用法律で義務づけられているんです。  我が党はこのような国民の大切な財産を危険にさらす資金運用法の改悪は断じて容認できない、このことを指摘して、質問を終わります。
  103. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  四点ほどお尋ねをいたします。  まず、最近の景気の低迷、市場金利の低下など、簡保事業を取り巻く厳しい環境の中での簡保事業経営についてお伺いをいたします。  今回販売の新タイプ保険の販売に当たりましてリスク管理はどのように行うのでしょうか。事業管理上の問題はないのでしょうか。今までもいささか議論がございましたけれども、お伺いいたします。
  104. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) お答え申し上げます。  長引く景気の低迷、また低金利長期化など、簡易保険事業を取り巻く環境は大変厳しいものでございます。このため、家計のリストラが進行する中で、新契約は連年減少を続けております。その結果、ストック全体の保有契約も前年を下回るというような状態が続いておるところであります。また、資金運用の利回りの低下によりまして、加入者に配当いたします剰余金は平成九年度が三千百億円、そして平成十年度は約二千億円程度に減少する見込みでございます。  このような状況下におきまして、今後、経営をどのようにやっていくのかということでありますが、新契約の増加あるいは保有契約の維持にまず努めることが大切であると思います。その上で、金融環境変化に対応いたしまして、一層確実有利な運用に務めることであると思います。そして、健全な事業運営を維持するとともに、時代の要請に応じた商品サービスを提供していくことが肝要だと思います。  そこで、今般、制度改正といたしまして考えております商品でございますが、我が国の人口構造の高齢化が急速に進展する中、高血圧とか糖尿病などの慢性疾患等の治療を受けている方々が増加しておりまして、このような方々の保険に対するニーズにこたえるために新しいタイプのものを創設したわけでありますが、先生指摘のとおり、リスク管理が重要であると思います。  具体的には、第一に対象とする疾病を限定いたしました上で加入対象者を一定の症状の範囲内にある者に限定すること、それから第二に加入時に被保険者本人から自己の健康状態について告知をいただくことによりましてリスクの高い者の加入を防止すること、それから第三に慢性疾患にかかっている人に見合った保険料を設定することでございます。一般の保険料よりも高く保険料を設定するということであります。  こうした仕組みにより新タイプの保険につきまして行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  105. 三重野栄子

    三重野栄子君 いわゆる一病息災保険ですか、その点について大変期待をいたしておりますので、この事業が前進するように期待しております。  次に、貯金のことで伺いたいと思います。  今回の法改正によりまして郵貯簡保資金SPCが発行する資産担保証券、ABSを購入できるようになるわけですが、ABS市場はまだ未成熟でありまして、そこに公的資金である郵貯簡保資金が投入されることに私はいささか不安があります。  しかし、一方ではABS市場育成役割郵貯簡保が担う意図もあるのかとも思われますので、運用対象の多様化を図るために追加される特定社債につきまして、そしてまたその安全性について貯金局長の方から伺いたいと思います。
  106. 松井浩

    政府委員松井浩君) 特定社債SPC法に基づいて発行される資産担保証券でございますので、具体的に証券の元利を支払うための資産がきちっと確定しているものでございます。  その安全性でございますが、事前にSPC特定目的会社登録する際にその裏づけとなる資産内容資産流動化計画という形で内閣総理大臣提出することになっております。これは公衆に縦覧されますので、投資家は事前にきちっとその裏づけ資産状況、すなわち安全性調査することができるものでございます。実態として申し上げれば、いい不動産等が裏づけとなってさばかれるという動きになっております。それから、不動産以外のクレジット債権だとかリース債権だとか、そういったものが裏づけになっております。かなり急速にこの市場の発展というものが報道されております。アメリカで言えば四十数兆の市場規模が既にできておりますし、日本でも早晩そうなると思っております。  そういう中で、先ほど来申し上げていますように、親会社以上の格付、保証している会社以上の格付を持っているところが多いわけでありますが、安全、確実かつ有利なものを慎重に選んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、貯金事業に対する展望について伺いたいのでございますが、経済の先行きを反映する株価操作をすることは株式市場を不透明にすることとなるほか、元本保証もなくリスクが高い株式市場国民の貴重な財産である郵貯簡保資金を投入することは安全確実という本来の運用原則からしていささか心配をしているところでございます。  郵政大臣は、就任以来、郵貯簡保資金による株価維持政策に否定的な見解を貫かれておりまして、大変頼りにしている面もございますけれども、昨年十一月、貸し渋り対策の一環として郵貯資金企業社債を購入する構想が浮上した際にも毅然とした態度で反対されたとも伺っているところでございます。  そこで、平成十年三月末、郵貯簡保資金合わせて九千七百十二億円の株価維持政策に対しまして、本年三月末にはどのような対応をされたのでしょうか。この点につきましては事前に御連絡しておりませんでしたので、これは大臣でなくてどなたでも結構ですからお答えいただければ幸いです。
  108. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) たびたび株価対策で資金運用をしているのではないかということでありますけれども、あくまでも株価の状況を見ましていわゆる信託銀行の判断で指定単というものが運用されておりまして、私どもは殊さら株価対策というようなことは意図したことはないわけでございます。前年度末どのようであったかということでありますが、全くそのようなことはございませんので、御理解を賜りたいというふうに思います。
  109. 三重野栄子

    三重野栄子君 今度は大臣に伺いたいと思うんです。  郵貯簡保資金の政治的な中立性をいかに確保し自主的な運用ができるかは今後の重要な課題であると考えております。加えて、来年からの状況を見ますと、定額貯金の集中満期、二〇〇一年四月に予定されている全額自主運用化、二〇〇三年の郵政公社への移行など、今後の郵貯には大きな変革の波が待ち受けているところでございます。  行革会議最終報告により、民営化を行わないとの方針を確立したにもかかわらず、小渕総理の諮問機関であります経済戦略会議では、将来的には経営形態のあり方を見直すと、民営化を示唆するような提言を行っておられます。しかし、この点につきましては、三月十二日の当委員会において宮澤大蔵大臣から政府として決めたことを変えるつもりはないとの答弁をいただき、一安心をしているところでありますが、金融分野における官民分担のあり方並びに今後の郵便貯金事業に対する展望、そして意気込みについて郵政大臣の御見解を伺いたいと存じます。
  110. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生指摘のとおり、郵政三事業につきましては、さきの行政改革会議におきまして、本当に国民が望んでいる真の行政改革とは何かという、そういうもとで民営化等の見直しを行わない、そしてそれが中央省庁等改革基本法にもきちっと盛り込まれているところでございます。これがまさに政府方針でありまして、それ以外は何物もないというふうに私は申し上げたいと思います。  あわせて、郵便貯金は今後どういうふうにというお話ですけれども、やはり国営事業として全国あまねく公平な基礎的金融サービスをどなたにも提供していくという役割を果たしていきたいと思いますし、今後は二万四千七百ある郵便局のネットワーク、これは国民共有のインフラということで皆様方に広く開放いたしまして、既に御承知とは思いますけれども民間金融機関との提携もしておりますし、そういう形で利用者、国民本位の立場に立った郵便貯金事業の運営に努めてまいりたいと思っています。
  111. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変期待しておりますので、よろしくお願いします。  最後に、国際ボランティア貯金の問題につきましてお尋ねをいたします。  この国際ボランティア貯金の活用は大変期待されているところでございますが、当初から考えますと、加入件数が今までは毎年増加していたんですけれども、現在はどのようになっているでしょうか。と同時に、超低金利を反映してどのような状況になっていましょうか。また、今後の援助計画がどのようになるのか、展望につきまして伺います。
  112. 松井浩

    政府委員松井浩君) 平成三年一月にこの国際ボランティア貯金の取り扱いが開始されたところでございますが、おかげさまで多くの国民の皆様から御賛同いただきまして着実に伸展しております。十一年一月末現在での加入数を申し上げますが、二千五百三十四万口座となっております。  平成十年度の国際ボランティア貯金の寄附金でございますが、平成十年六月二十二日の郵政審議会の答申を経まして、二百四団体が五十二の国で実施する二百三十四の事業に十二億四千二百二十八万円を配分決定し、事業実施されているところでございます。  一時、二十数億という金額があったわけでありますが、それから見ますとうんと金額が減っておりまして、先生指摘のように、主として昨今の低金利が反映しております。そういう中でありますが、国民皆様方の国際貢献に対する理解と関心の高さのあらわれでもあるというふうに受けとめているところでございます。  今後とも、私どもとしては一層の定着に向けて、開発途上地域での活動の成果等を的確に国民の皆様にお知らせしまして、さらに一層の理解を深めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  113. 三重野栄子

    三重野栄子君 低金利が響いて国際援助活動が中断されるのではないかという新聞報道がございましたので大変心配をいたしましたけれども、期待をしておりますので、よろしくお願いします。  一分ほど時間があるかと思いますから、ちょっと大臣にお願いしたいと思います。  九日にいわゆる第三ラジオ体操制定のための検討会の初会合が開かれたそうでございまして、美しく年をとるために高齢者向けの新しい体操をつくりたいという御発言が大臣からあったというふうに新聞で見たところでございます。私もずっとこのラジオ体操をやっておるんですけれども、今まではNHKの第一で朝五時二十分からでしたけれども、今は教育テレビで六時半から放送されております。  そういう時間とか内容の問題もこれから検討されると思いますが、期待をいたしておりますので、いい第三ラジオ体操ができますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  114. 星野朋市

    ○星野朋市君 最後でございますので、私は簡易保険一点に絞ってお尋ねをいたします。  簡易保険の現在の資金量はどのぐらいございますか。
  115. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 平成九年度末で百五兆七千億円でございます。
  116. 星野朋市

    ○星野朋市君 平成十年は大体どのぐらいになっていますか。
  117. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 見込みでありますけれども、百十一兆七千億円の予定でございます。
  118. 星野朋市

    ○星野朋市君 毎年大体七兆ぐらいずつふえていたんですね。それで、十年度で若干落ちているという事実がございます。  それでは、民間資金量というのは全体でどのぐらいになっていますか。
  119. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 民間につきましては資金量という形では公表されておりませんので、生命保険協会が発表しておりますいわゆる総資産というものがこれに近いのではないかということで考えております。そういたしますと、平成九年度末で百九十兆一千億円でございます。平成十年度につきましては民間はまだ発表されておりません。
  120. 星野朋市

    ○星野朋市君 そのうち外資系の金額はどのぐらいかおわかりになりますか。外資系は掛け捨てが多いからちょっと他の日本の保険会社と違うんですが、それはどのぐらいになるんでしょうか。
  121. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 外資系のいわゆる片仮名生保と言われますところの総資産でございますが、平成九年度末では五兆六千億円となっております。
  122. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は、本来、官業は民業の補佐だと思っているんです。それで、ここのところの低金利、象徴的なのは短資コール市場では手数料を差し引くとほとんどゼロ%だと。この間もその切り口から、民間生保の経営の問題というのは相当厳しいだろうと申し上げました。資料によりますと、簡保運用利回りは大体四%台、それから民保の運用利回りが大体二%台で、逆ざやになっていると思います。  それで、日産生命が破綻をして、さらに幾つかうわさされた生保が辛うじて外国資本との提携で救われたという事実があるんですけれども、これから今の状態が続くとやはり問題になるところが出てくるんじゃないかと思います。  生保は残念ながら銀行と違って公的資金の注入というのはないわけですね。何かあったときに、各生保が四千六百億、十年で積み立てたいわゆる総合安全保障みたいな形で救われると。それから、日産生命の分二千三百億を加えて六千九百億の積立金を十年間でやって、それで救うというような状態であります。そうすると、現に近々起こりそうなケースで、もしそういう破綻状態というのが起こった場合、銀行は救われたけれども生保の方はどうなるか、こういう問題になると思うんです。  さらに、今ここで簡易保険がいわゆる一病息災という形の新しいものを出した。これは結構な話なんですが、民間よりも簡易保険の方が条件的には厳しくないと思うんです。  それで、一病というのは、先ほどからも御説明がありましたけれども、すべてのものではないので、何と何と何なのか。それから、こういうものをつくった理由、提案説明の中で若干大臣が触れられておりますけれども、その辺をやや詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  123. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) いろいろな理由がございます。  まず、この国自体が長寿の国になった、人生八十年時代になったということで、国民一人一人が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができるということは国としても非常に重要な政策課題の一つであるということであります。また、高齢化が急速に進展するわけですから、国民の平均年齢というのも当然上がってきます。そうなりますと、十年前、二十年前に比べていわゆる成人病と言われるものに罹患されている人口の割合が当然ふえてきている。高血圧とかそういう慢性疾患ですが、そういうことであります。  それとあわせて、先ほども足立局長からありましたけれども厚生省調査によると、健康ということはどういうことかというお尋ねをしたところ、以前は全く体に病気がないことと言う人が多かったと思いますが、今では多少病気を持っていても仕事ができる状態とか生活できる状態も含めて健康と呼びたい、呼ぶというふうな国民がいらっしゃるということ、そういう意識を持っている方がいらっしゃるということであります。  そしてさらには、医学が大変発達しまして、かつては大変重い病だったけれども、今は医学、医療によってその病気をコントロールし、そしてその病気とともに生きていくことができるような、それがいわゆる一病息災ということなんですけれども、そういう概念が生まれるようになった、そういう時代であると思います。  そこで、その時代に対応するために、従来は簡易保険をお断りしていた慢性疾患に罹患している方にもそういう道を開いていくべきではないかということで進めているところでございます。  あと、先ほども御質問がありましたけれども民間生保からも一病息災に対するような保険が出ているけれども、まだまだマーケットとしては非常に小さくて、国民一般にもそういう一病息災保険に加入ができるというような考え方が浸透しておりません。できれば郵便局のネットワークを使うことによって、まずは国民の多くの人たちに、そういう時代になって一病息災という保険が官の中にもあり民の中にもあるというような啓蒙、PRができればという気持ちも込めて今回お願いしているところでございます。
  124. 星野朋市

    ○星野朋市君 だから、一病というのは大体何と何と何か、これを改めておっしゃってください。
  125. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 現在のところ、高血圧、それから糖尿病といったいわゆる慢性疾患、生活習慣病と言われるようなものでございます。それに悪性生物を予定しております。
  126. 星野朋市

    ○星野朋市君 問題は糖尿病なんですよ。一番多いのは高血圧ということで、糖尿病は二番目になっているんですけれども、この二百何万人という数字は糖尿病と判定された人の数字でしょう。糖尿の気があるという、実際にはこれが非常に多いんですね。私も糖尿の気があるというので、十年ぐらい前にこれがだめになっちゃったんです。これが非常に多いんですよ。  それで、問題は、簡易保険は無診査なんですね。告知義務はあるんだけれども無診査なんです。民間ではそうじゃなくて、ちょっとした検査をして、気があるものはアウト。そこの違いでこれが悪用されるおそれはないのかという心配があるんですけれども、どうですか。
  127. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) 悪用されるおそれはないのかというふうに聞かれますと、そういうことはないというふうに言い切ることはできないわけでありますが、この保険の仕組みといいますのは善意な人たちのいわゆる相互扶助組織であるということでございます。したがいまして、現在無診査ということでありますけれども、私どもといたしましては、まず外務員が面接観査をするというようなこと、それから告知書を提出していただいて告知をしていただくということでございます。今回、一病息災保険を始める場合には、従来の告知書以上に病気のことにつきまして一定の告知をしていただくように考えておるところであります。  それで、そういう善意な相互扶助組織ではありますけれども、仮に悪意とか重大な過失によりまして自己の健康状態につきまして事実を告げなかったりあるいは真実でないことを告げて加入してきた場合には簡易生命保険法の三十九条によりまして契約を解除することができるという規定がございまして、現在の簡易保険の仕組みを運用しているところでございます。
  128. 星野朋市

    ○星野朋市君 最後にお聞きしますけれども、この中に一定の症状というのが書かれているんですね。この一定の症状というのは何を基準にしてそう言われているのか、この一定のというのはどのくらいか、まだ決まっていないのかどうか、それをお尋ねいたします。
  129. 足立盛二郎

    政府委員足立盛二郎君) この一定の症状とはどういう場合なのかということですが、実は簡易保険が無診査であるということからいたしまして、非常に容易に判断できるような症状でなければならないということであるわけです。そこで、現在、慢性疾患に関する専門家の方々にお集まりいただきまして細かいところを詰めておるところでございますが、私どもの現段階におきます考え方といたしましては、この一定の症状といいますのは、現に入院していないということがあります。そしてその上で、高血圧症の場合には心電図による異常の指摘がなくて血圧値も一定の範囲内にコントロールされておるということ、それから糖尿病の場合でありますとインシュリンの投与を受けることなく血糖値が一定値以下にコントロールされていること、また悪性生物の場合につきましては根治術を受けた後一定の年数を経過した場合などを考えておるところでございます。
  130. 星野朋市

    ○星野朋市君 終わります。
  131. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  132. 宮本岳志

    宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部改正案に反対の討論を行います。  本法案に反対する理由は、特定社債への運用拡大は郵政省の積年の願いであった不動産への運用特定社債を介する形で事実上解禁するからであります。  公的性格が強い郵貯簡保資金不動産投機を行うことには、国民はもとより、大蔵省、歴代の政府でも踏み切れずにきたものです。郵貯簡保が銀行などと違ってバブルの傷を受けなかった大きな要因は不動産投機が禁止されていたからであります。株式市場については、指定単という抜け道をつくり参入し、経済対策の名で株価PKOに動員され、大きな痛手をこうむっていることは質疑で明らかにしたところであります。  特定社債は、本来、不動産などの資産を小口に分けて早期回収を図る性格を持っていますが、政府実施しようとしているのは、不動産会社金融機関の抱えるバブルの後始末を国民資産である郵貯簡保資金で肩がわりしようとするものにほかなりません。金融ビッグバンを控える金融機関の救済策そのもので、不動産投機に道を開くことにつながることは明白であり、断じて容認できるものではありません。  本法案に反対する第二の理由は、昨年の先物外国為替取引への拡大に続き通貨オプションを追加し、リスクも大きく元本割れもある投機的取引を拡大するものであり、国民資金を危険にさらすからであります。  郵貯簡保資金積立金を確実で有利な方法によりかつ公共利益になるように運用するという郵貯法、簡保運用法の目的に反するこのような運用の拡大は容認できません。  本法案郵貯簡保資金の完全自主運用を先取りするものであり、二〇〇一年の金融ビッグバンのために個人資産一千二百兆円のうち三百五十兆円を占める郵貯簡保資金不動産投機、為替相場介入の手だてとして動員する以外の何物でもありません。  しかも、郵貯簡保資金のこういった運用国民の信頼を大きく傷つけ、結局は民営化に道を開くことにもつながりかねない重大問題である、このことを指摘して、私の反対討論を終わります。
  133. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより順次両案の採決に入ります。  まず、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会