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1999-04-15 第145回国会 参議院 財政・金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      岡  利定君     片山虎之助君      平野 貞夫君     星野 朋市君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 金田 勝年君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君     委 員                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 片山虎之助君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 吉川 春子君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        郵政大臣     野田 聖子君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君    政府委員        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      山田 昭雄君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        国税庁課税部長  森田 好則君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君    参考人        日本輸出入銀行        総裁       保田  博君        海外経済協力基        金総裁      篠沢 恭助君        海外経済協力基        金理事      篠塚  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○国際協力銀行法案内閣提出衆議院送付) ○郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出)     ─────────────
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十四日、平野貞夫君及び岡利定君が委員を辞任され、その補欠として星野朋市君及び片山虎之助君が選任されました。     ─────────────
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際協力銀行法案の審査のため、本日の委員会参考人として日本輸出入銀行総裁保田博君、海外経済協力基金総裁篠沢恭助君及び同理事篠塚徹君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 国際協力銀行法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 林芳正

    林芳正君 おはようございます。自民党林芳正でございます。  与えられた時間内でこの法案について質問をしていきたいと思います。  まずは長官にお聞きいたしますけれども、今回の輸銀基金統合ということでいろいろと議論がありまして、いろんな選択肢の中から今回の統合ということになったわけでございますけれども、随分準備もされましてこの法案提出になったということでございまして、今後、短期的に、また少し長い目で見た場合の統合効果というものについてどうお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  7. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 平成七年に行政改革が進められまして、関係機関統合が議論されたときにはいろんな組み合わせが研究されたようでございますが、結果といたしまして、この日本輸出入銀行海外経済協力基金との統合が最も至当であるという結論になりました。  短期的に申し上げますと、組織の面での整理合理化が図られるとともに、役員数といたしまして輸銀基金合わせて現在十七名おりますものを十二名へと大幅に削減いたしまして、重複している海外事務所、これが現在両方合わせますと三十五カ所あるのを二十八カ所に統合いたします。また、総務部門管理部門整理統合など組織スリム化が行われる、そういった短期的といいますか、統合に伴う効果が予定されております。  また、中期的あるいは長期的に申し上げますと、業務の面において従来から輸銀が行ってまいりました非ODA業務、いわゆる国際金融等業務でございますが、それと基金が行ってまいりましたODA業務海外経済協力事業でございますが、これはともに金融に深く関係しておりますので、これを同一の機関が担当することによりまして資金供与相手国経済状況プロジェクト特性等に応じた資金をさらに効果的に供給することができるようになるというようなことがございます。先年ございましたアジア経済危機のような場合、非常に機動的に対応できるのではないかと考えております。  さらに申しますと、これが統合されることによりまして人材の育成、海外情報集積等がかなり進むだろう。やはりお金がついていることは情報を集める上で非常に重要なことでございますから、こういったものが一元化されて、そこへ行けば日本との関係が行われるということになりますと、かなり地域ごとに専門的なノウハウが積み上げられてきて、やがて日本にとって非常に有益な機関に発展してくれるのではないかと期待している次第でございます。
  8. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  特に、長官、今御答弁いただきましたけれども、中期的に知的なノウハウといいましょうか、そういうものが両機関相まって大変に有為なものになっていくというのは重要な視点ではないか、こういうふうに思っております。今でもいろんな出先から入ってくる情報というのは大変貴重な情報もあるというふうに私も認識をしておりまして、ぜひその面でもこの合併の成果が出てきますように引き続き御努力をお願いしたい、こういうふうに思っております。  そこで、各論に入らせていただきます。  ここに輸銀ディスクロ誌を持ってまいりました。輸銀資金調達について、特にいろんな流動性リスクというのが最近言われるようになりましたけれども、ここにこういうふうに書いてございます。「本行は、」、本行というのは輸銀のことでございますが、「政府からの財投借入政府保証付外債発行という安定的な資金調達手段を確保していますが、これに加えて、将来キャッシュフローの把握を十分に行うことにより、流動性リスク回避に備えております。」と、こういうふうに書いてございます。  そこで、今財政投融資そのもの全体を改革しようという方向になっておりまして、その方向によりますと、二〇〇一年の四月をめどに預託を廃止していこう、こういうことでございますから、財投借り入れそのものかなり形を変えたものになっていくんではないかな、こういうふうに思っております。  そこで、財政投融資改革が進んでいく方向を踏まえて、また今度はOECFという余りプライベートというか民間企業としてではない部分一緒になったということになりますと、新しくできる国際協力銀行財政投融資改革後の資金調達のやり方というのは一体どういうふうになっていくのかということにつきまして、まず大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる財投改革につきまして、平成十三年の四月からいわゆる預託というものは行わないということは、自民党の中ではそういう決定をほぼいたしておるわけですけれども、政府としてはまだ正式にはそういうことを決めておりません。ただ、そういう流れであるであろうというふうに思いますので、御質問意味はそれいかんによって別に変わらないわけでございますが、預託が行われないことになりますと、今の財投から資金を受けております財投機関、かなり多くのものは独自で財投機関債を発行することになるのではないかと思います。  何も正式に決まっておりませんので、半ば推測を交えて申し上げることになりますが、その機関債政府保証があるとかないとかという問題がまたあると思います。それから、自分機関債を発行できるほど大きくない組織は、場合によっては資金運用部が一括して財投債とでも申しますか、国債を発行して資金供給源になるということもあるかと思います。  それから、輸出入銀行の場合には、現在、海外で起債をしております。それは政府保証でやっておりますが、そのことには恐らく変わりはないのではないかと思いますし、基金の方はこれは非常に低利であることを必要といたしますから、今現在、一般会計出資をし、かつ財投から受けております金がございますけれども、それは出資によっていわば利子補給をしているような形になっております。したがって、今後とも基金部分の活動は非常にコストの低い金でなければなりませんから、そういう方法で調達することを引き続き考えなければならないということは、恐らくは一般会計が何かの形で関係をしていかなければいけないことになるのではないかと思います。  いずれも一種の想像でございますが、そういうことが想定されます。
  10. 林芳正

    林芳正君 大臣、ありがとうございました。  まさにそういうことになってくるだろう、こういうふうに思います。今は、次にお聞きしようと思っておりました輸銀政府保証外債を発行しておりまして、これは資料をいただきましたけれども、スイス・フラン債とか、ユーロ・ドル債というような形で、為替のリスクがなるべく生じないようにドルで債券を発行して調達して、ドルで貸すということをやっておられるようでございまして、クーポンのレートもそんなに悪くないような感じがするわけでございます。  そこで、今想定でいろいろとお答えをいただいたのでございますが、まさに財投改革の方からいいますと、なるべく多くの機関機関債というものでやっていただきたい、そしてできれば政府保証をなるべくつけないのがふえてほしい、実は我々も改革のチームでやっておったときはそういうふうに思っておったわけでございます。  一方、こういう場合のように輸銀としては外債をずっと発行してこういう実績もあるわけですが、OECF一緒になりますと、今度は市場がどういうふうに新しい銀行を見るだろうか。中に業務勘定を分けるというふうに書いてございますけれども、一体として見るということになりますと、マーケットは輸銀の方が民間企業として見た場合によくても、余ったところはOECF部分にどうしてもこれはODAですから使われるのではないだろうかと。一体として見ますと、今まで輸銀の出していた条件で今度の新しい国際協力銀行資金を調達できるだろうかというのはちょっと難しくなるのかなという思いもあるわけでございまして、そういった意味でちょっとお聞きをしたわけでございます。  そういった中で、国際協力銀行資金調達というのは一般会計でどこまでやるのか、それから民間でどこまでやるのか。それは多分、合併して勘定を分けるということをどれぐらい市場に対してディスクローズといいますか、コンフィデンスを持ってもらうのかというところにかかわってくる問題でございまして、そこをうまくやれば、なるべく一般会計からお世話にならずに今までのいいところを生かしてやっていけるのではないかなという期待のようなものもございまして、かなりお答えいただいたんですが、この件に関しまして、もし御感想なりあれば大臣にお聞きしたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはこれからできます国際協力銀行理事者運営考え方にもよることになると思いますが、私自身が過去何十年、おのおのの機関運営すみ分けを見ておりまして、長いこと問題がございましたけれども、いいすみ分けになっておると。随分長く時間がかかりました。  そういう意味で、基金の方は非常に安い金でODA等々の仕事を行っているという機能は衰えさせることがあってはならないと思いますので、そういうことで事を欠くようなことを基金部分会計にさせてはならないんだろうと思います。他方で、それが輸銀の方の会計の足を引っ張るということもよろしくないので、輸銀大変世界に雄飛して立派な仕事をしていますから、片方の会計に足を引っ張られるというようなことにさせてはいけないなと思いますものですから、統合のメリットというのは大変あるのでございましょうけれども、デメリットが出ないようにということを私としては考えていくべきではないか。最終的には理事者の方々の判断によることですけれども、私はそういうふうに思っております。
  12. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  まさにそこをどうやるかによってかなり調達コスト、またそれによって一般会計からどれぐらい引っ張ってくるかということにつながっていくと思いますので、ぜひその趣旨で御指導をお願いしたい、こういうふうに思います。  そこで、ちょっと個別の案件になりますけれども、輸銀でいろいろなお仕事をやられている中で一つ私が大変重要な案件だなと思っておりますものの中にサハリン天然ガスパイプラインプロジェクトというものがございまして、いろんな委員会でも御質問をさせていただいたわけでございます。  ヨーロッパが今度通貨統合まで参りましたけれども、最初は石炭とか鉄鋼とか、こういうものをまず協力しながらやっていって、そして市場統合していって通貨まで来た長い道のりがあるわけでございまして、やはりそういった地道な積み重ねというのが今回の通貨統合までやってきたという、スタートになっておるわけでございます。  ヨーロッパを見ますと、その過程で、一つエネルギーのライフラインといいますか、天然ガスパイプラインが縦横無尽にヨーロッパネットワークしておりまして、一方通行といいますか、一本があるわけではなくてネットワークになっておる。まさにインターネットのような感じパイプラインがあるわけでございまして、一方、アジアを見ますと、今からだんだんと、二十年三十年おくれてだと思いますけれども、パイプラインができつつある。  そこで、我が国の地理的なものを見た場合に、ちょうど一番端っこにあるものですから、日本を入れなくてもネットワークは完結できるだろうと。ただ、我々が積極的に関与していけば日本を入れた形でネットワークができるわけでございまして、別に日本を入れなくても入れてもできるという状況であれば、日本が入っているからできるんだということを積極的に出していかないと日本なしのパイプラインネットワークというのができてしまうのではないかというふうに思っておりまして、そういった意味でこのプロジェクトは国際的に大変重要な意味を持っておる。国内的にはほかのエネルギーとの調整等いろいろなものがあるわけでございますが、そういった意味で大変重要な長期的課題だ、こういうふうに認識をしております。  このサハリン天然ガスプロジェクトに対して、輸銀さんとしてどういうお考えで、またどういう支援方針をお持ちになっておられるのか、総裁にお尋ねしたいと思います。
  13. 保田博

    参考人保田博君) お答えいたします。  先生指摘のように、現在、サハリンにおきましては石油天然ガス開発プロジェクトが進行中でございます。一つはまだ探鉱作業段階にございますが、一つは既に石油開発を行っておりまして、本行は我が国エネルギー資源確保という観点から、欧州復興開発銀行、さらには米国の海外民間投資公社とともにこれを融資という形で支援をいたしておるわけでございます。  いずれにしましても、この二つのプロジェクトにつきましては、二十一世紀の初頭には天然ガス開発して対日供給を行うということが計画されておるわけでございます。ただ、対日供給輸送方法につきましては、先生承知のように、LNGによるか天然ガスパイプラインによるかという点について現在関係者間で経済性等を含めて検討中ということでございます。  我々としましては、輸送のためのどちらをとるかといったような計画が固まりまして、資金調達についても要請が行われるといった段階になりますれば適切な支援策を積極的に検討したいと考えております。
  14. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  まさに、最初長官にお答えいただきましたけれども、中期的にはいろんな出先日本の先端として、いわば公的な商社みたいな感じで出ていっていろんなところの情報をとったり、また接触の一番の最先端になるということでございます。この話もまだまだいろんなところを検討して、LNGにして船に載せるのか、パイプラインで引っ張るのかとか、どれぐらい埋蔵の可能性があるのかとかいろんな問題があると思いますが、恩を売っておくと言うと非常に言葉があれでございますけれども、いろんなものを検討してFSをやっているような段階からそういう知的ノウハウをむしろ提供しているような形をとりつつ、この計画ができるということになった場合には、もう我が国が、また輸銀が今度は国際協力銀行になるわけですから、国際協力銀行がいないとなかなかうまく進まないなというようになっておくことが非常に大事なことだろう、こういうふうに私は思っております。パイプラインネットワークができないならできないで結構なのでございますが、できる場合には、もうその幹事みたいな中に必ず我が方が入っておるというような状況にぜひしておいていただきたい、こういうお願いをしておきたいと思うわけでございます。  そこで、もう一つ別のことでございますが、保田総裁にお聞きしたいのは、輸銀の、こういう仕組みがございます、ああいう仕組みがございます、輸出金融輸入金融、それから海外に対する投資の援助や、また御相談ということがいろいろ書いてありますが、一つないなと思っておりますのがありまして、それは対日の投資の促進です。  これはもう十年、二十年言われてきたことで、我が国のFDIというのは外に出ていくのと中に入ってくるのが一けた以上ぐらい違うのではないかとよく言われておりまして、これは輸銀さんや今度新しくできる機関がいろんな制度融資をつくったらすぐ入ってくるというだけのものではないと。いろんなほかのオブスタクルがありますから、そちらもいろいろやらなければいけないんですが、ここはここでいろんな制度があります。  大分前ですけれども、ジェトロアジ研法案をやったときも、ジェトロのEは、できたときはエクスポートだった、今はエクスターナルと言うそうでございまして、輸出だけじゃなくて輸入も含めて両方やるんだと。読み方は変わっても名前は変わっていないわけでございます。そういう意味では、外へ出ていく対外投資とともに、外から日本へ入ってくる直接投資についても何らかの制度をつくって、それを誘引するようなことをおやりになってもいいのではないか、こういうふうにも思うわけでございますが、その辺について総裁はいかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
  15. 保田博

    参考人保田博君) 先生指摘のように、我が国海外との直接投資は、一方的に我が国から海外向けのものが多くて、海外から日本向けのものが少ないということが指摘されておるわけであります。基本的にこの問題は関連する企業経営政策が根本にあるのだと思いますけれども、同時に、海外企業日本に進出してきた場合に日本企業がこれをどう受けとめるかといったような問題もないわけではございません。  いずれにいたしましても、我々の銀行政府金融機関でございますので、その業務法律の定めるところによってこれを行うことになっております。現在は、広く一般的に海外から日本への直接投資輸銀支援するということは許されていないわけでございます。  この点につきまして、我が国の国策、政府方針といたしまして、多様な手段を講じましてこれを促進するという方向が定まり、そしてその際に豊富な海外ネットワーク、あるいはまた海外への直接借款に関する本行が持っております経験を生かすというようなことでございましたならば、そういう方向国論が決まるということでございましたら、我々としましては政府ともよく相談をさせていただく。それでゴーということでございましたら、もちろんよく勉強させていただきたいと思っております。
  16. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今、総裁は、法律には書いてございませんということでありました。それは私も承知をしておりますが、例えば国内の企業がどう受け取るかと、これが一つあると思うんです。それで、余り外資が入ってくれば自分仕事は少なくなるのかな、これは当然のリアクションでありましょうけれども、国論という意味で申し上げますと、企業とそれから雇用というものもあると思うんです。ですから、外資が入ってきて日本仕事を始めれば、国から全部連れてくるということではなくて、雇用というものもある程度見込まれるのかな、また最終的には消費者というものがどれぐらいその便益を受けるのかというような、こんな立体的なことを考えながら、やっぱり国論という意味では考えていくべきなのかなと思っております。  我が国の利益ということを考えただけでもそういうことがありますし、これは相互関係もございますから、この部分はよく外へ行くといろんなことを言われるところでございまして、今度はボールをこっちに投げられたような感じがしたわけでございますが、国論といいますか、ぜひこういう方向で検討できないものかなと思うのでございます。これは通告を差し上げてないんですが、政府ということでございましたので、大蔵大臣、何か御感想があればお聞かせ願いたいと思います。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は私は、輸銀というのは大抵のことができると思っておりましたものですから、今のようなこともできないというのを存じませんでした。まことに申しわけないことですが、どうしてできないのかなと今思っておりまして、別段やって悪い、しかし世の中にはいろんな理屈がありますから、何かどこか悪いところがあるんでしょうかどうですか、政府部内あるいは輸銀当局でもいろいろ率直にもっと思っておられることがあるのかもしれません。少し聞いてみたり、また国会の御意向もあるかもしれませんから、大切な問題提起として承っておきます。
  18. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。我々も積極的に論議に参加していかなければいけないと思っております。  そこで、またばらばらといろんな別々のことをお聞きして恐縮なのでございますが、ディスクロ誌にいろんな決算の数字が出ておりまして、その中で一つ、数字としてちょっと気になったといいますか、外国為替差損というのが結構これは数字として大きく出ておりまして、例えば八年度でいいますと九億八千六百万と出ております。それから九年度は十六億三千九百万というふうにここに出ておりまして、一方でリスク管理はやっております。市場変動リスクは、為替変動リスクについては通貨スワップの利用でヘッジオペレーションを行っておられるということでありますので、パイが非常に大きいですから率としてはこの程度かなという感じもするんですが、もう少しこの為替損というのは縮められないものか、また構造的にやっぱりこれぐらいは出るのか、その辺はどうなっておるのか、総裁にお聞きしたいと思います。
  19. 保田博

    参考人保田博君) 輸銀の貸し付けには、御承知のように円建てによる貸し付け、それからドル等の外貨建てによるものとがございます。外貨建ての融資につきましては、御承知おきのように、本行が例えばドルならドル建ての外債を発行することによって直接ドルを取得します。あるいはまた運用部から借りました円を市場ドルにスワップする、交換をすることによって外貨を取得して、その外貨を融資に充てるということにしておりまして、基本的に本行が外国為替差益を得ることもないし、差損をこうむることもない、そういう運用をいたしておるわけでございます。  ただ、御指摘のような数字の差損、差益というものが若干出ておりますが、これは主としてIMFに対して本行が融資しております金額についての技術的な調整が不可能な部分によるものでございます。  それで、九年度につきましては差益が十五億円、差損が御指摘のとおり十六億円と、差し引きマイナス一億円の差損をこうむっておるわけでございますが、外貨建ての貸付残高三兆六千億円に対します一億円ということでございますので、この程度のことはやむを得ないのかな、御寛容をいただきたい、このように考えております。
  20. 林芳正

    林芳正君 私もちょっと為替の益の方は見落としておりまして、差し引きするともっと小さくなるなと今思いましたけれども、IMF等の仕切りでそういうことになるのかなと。だれが為替のリスクをとるのかというのは、どこかが必ずとらなきゃいけないわけでございますから、これ以上小さくしようと思うと、むしろヘッジをしてそのプレミアムの方が高くなるということもございましょうから、そういうことなのかなと思いますけれども、いろんな技術がだんだん発展しておりますので、できることをやっていただいてなるべくミニマイズしていただくというふうにお願いをしておきたいと思います。  そこで、次に、この間の委員会でも話題になりましたけれども、もう一つの二〇〇〇年問題というのがございまして、最近は郵貯の戻りがありますので二〇〇〇年問題は三つあるんだということも聞くわけでございます。  特にキリスト教国の間でのミレニアムということで、特に貧しい国といいますか、ODAを出しているところをリスケではなくて、全部棒引きというお話が出ておりまして、この間も、たしか益田委員と日銀総裁の宗教論争があったわけでございますが、大変興味深く拝聴したわけでございます。これは、宗教的理由はあるにせよ、結局もしやることになったとすれば、いろんな対応を考えておかなきゃいかぬ、こういうふうに思いますし、我が国は大変にたくさんお金を貸しておるわけでございますから、大きな問題としてとらえていかなければならないと思うわけでございます。  改めて、きょう長官がお見えでございますから、長官にこの議論全般についてどういうふうにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
  21. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘のように、二〇〇〇年に向けまして債務の削減を行ったらどうか、特に最貧国、最も貧しい国々に対する有償資金につきまして債務削減を行ってはどうかということを、欧米を中心としてそういう議論が出ていることは承知しております。  最貧国の債務問題につきまして、日本といたしましても、これから開発と自立にも配慮した形でいろいろと対処していかなければならない問題だとは思いますけれども、具体的には、援助している国々でパリ・クラブというのをつくっております。そのパリ・クラブの枠組みにおいて、諸外国と協力して債務問題について議論していくことになろうかと思います。  日本といたしましては、実質的に債務削減と同等の効果をあらわします債務救済無償資金の提供というようなことも行っております。この場合は、日本の債務を返してもらうについて無償の方を差し上げることで、結果として効果があるんですが、返してもらう方が先で出す方が後になる、その間のつなぎの問題はあるようでございまして、そういう問題も検討の必要があるかと思います。  また、世界銀行やIMFに設けられております債務救済のための各基金へ拠出いたしまして、そういう点で振りかわりというようなことも考えられるし、行ってきております。さらに、当該諸国の債務管理能力を向上させるための技術援助あるいは人材支援というようなことも行っております。  一般的に、基金の円借款のような有償資金による援助ということになりますと、自助努力というのをやはり中心に考えてやってきたものでございますので、これを安易に棒引きするというような方法になりますとモラルハザードを引き起こすということもございます。また、Aという国についてやるとBという国にどうするかというような連鎖反応の問題もございます。  そういうようなことを考えまして、円借款の債権放棄につきましてはかなり慎重にいろんなことを考慮して考えていかなければならないと思っておりますが、先ほどのパリ・クラブ等諸外国の問題もございまして、ケルン・サミットに向けましてこの問題につきましては議論を深めていって、何らかの結論といいますか方法考えるものだろうというようなことを考えております。  我が国といたしましては、やはり債務国の自立と発展に留意しながらモラルハザードが起こらないように、本件については引き続き検討していかなければならない問題だと承知しております。
  22. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今、長官は大変に大事なことをおっしゃったと思うんです。お金を貸したものを棒引きにした場合に、モラルハザードというものが必ず出てまいりまして、返さなきゃいけないと思うから逆に大事に使って、そこから何かを生み出そうというようなインセンティブも出てくるわけでございまして、有償と無償というのはそこで大きな違いがあるというふうに思います。  もう一点、Aという国はでは棒引きしてあげよう、これもいろいろ程度がございましょうし、Bという国にはではどうするのかということで、いろいろ不都合が出てくるのではないか、まさにそのとおりだというふうに思います。これはキリスト教だということでございますが、我が国も、例えば恩赦みたいなのがありまして、これは罪を軽くしてやるとかなんとか、そういうことは私も記憶があるのでございますが、恩赦で借金を棒引きにしたというのは余り記憶がないのでございます。それはちょっとどうでもいいことでございます。  そういう意味で、モラルハザードと、それからいろんな人に対してどういうバランスをとるのかというのが大変に大きな問題になってくるのではないかなというふうに思いますけれども、大蔵大臣にはこの間別の委員からの御質問にも御答弁があったようでございますが、重ねてこの件につきまして、今度ケルンのサミットにどういうふうに対応していかれますか。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最貧国に対する債務の削減というのは、過去にございました何回かのサミットでも、殊にサブサハラについて話が出ておりまして、何がしかのことはいたしたことがございます。  今度の場合はミレニアムということでございますので、私は、ミレニアムなら紀元一〇〇〇年にやったことがあるのかねと。多分そういう記録はないと思いますが、しかしミレニアムということである。別に我々、宗教が違うから同調しないというような考えを持ってはおりません。そういうことはどっちみち機会があれば悪いことではないんですから、皆さんそういう気になられるということは悪くないと思います。  ただ、我が国は最大の援助国でありますことのほかに、先ほども堺屋長官が言われましたが、財政法から申しますと、債務免除ということはできないというのは基本でございます。政府の金、財投から出ております部分はやはり政府資金でございます。輸銀や何かの場合はそうではございませんけれども、今度は輸銀自身の御自分の経営の問題がございましょうから、殊に前の法律の問題は、それをくぐりますためにかわりに無償をお渡しして取りかえるというようなことを過去にいたしましたが、今度の場合、かなりスケールが大きいといたしますと、そういうことを大っぴらにやることが国内法との関係でどうかとかいうような問題がどうもあるように思います。  と申しまして、大勢は何となくそういう方に向かっておりますし、我が国がある意味で一番大株でございますので、動向というものは当然に注目されることになる。いろんなことからいって、そういう大きな流れに逆らうことはあれこれ考えて私はどうも得策ではないように思っております。ただ、我が国が持っているそういう問題はよく関係者にわかってもらわなきゃなりませんし、その上で国内的にどういうことができるのか、今の法律関係のことでございますが、ぼつぼつもう検討しておきませんと時間がだんだん迫っておるというのが現状だと思います。
  24. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  そこで、せっかくきょうは輸銀基金総裁がお見えでございますから、仮定としてお答えにくいかもしれませんが、そういうような方向になったとした場合に、輸銀の場合はそれほど大きな額じゃないかもしれませんけれども、現行の法体系の中でどういう会計上の処理、財務上の処理を行って、そういうことができるのかできないのかということについてお尋ねをしたいと思います。  それでは、篠沢総裁に先にお願いいたします。
  25. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 私どもでは、円借款の債権を免除したという実績は、ただいまのお話からもお察しのとおりないわけでございます。これまでは、先生承知のとおり、債務の長期繰り延べ、いわゆるリスケジュール、これによって対処をしておりますし、また大変債務返済が困難に直面をしておるという途上国の場合は、たびたびお話が出ておりますような債務救済無償が供与されているというふうに承知しているわけでございます。  そこで、ただいま御質問の、仮定の話ではございますが、債務削減が行われた場合ということでございますが、これはやはり私どもといたしましては、円借款につきましては一定の予算措置をいただきまして、当該相当額というものを基金の内部規定に定められた基準で貸倒引当金の取り崩しという形をとって償却をするほかはなかろう、このように思っております。  これまで私どもで持っております貸倒償却金は比較的わずかでございまして、この三月末の決算での見込みでございますが、五十八億九千九百万、約五十九億円という残高でございますから、いわゆるそのような措置が大幅に行われるということになりますと、一定の予算措置をお願いするというようなことになっていくと心得ております。
  26. 林芳正

    林芳正君 保田総裁、何かつけ加えることがあればお願いします。
  27. 保田博

    参考人保田博君) 輸出入銀行が持っております貸付債権のうち、現在議論されております元本削減の対象となり得るもののほとんどは輸銀がかつて行っておりました円借款業務にかかわるODAの債権でございます。これに対して、仮に元本削減が行われる場合の本行の対応ということにつきましては、篠沢総裁基金の場合としてお答えになったのと全く同様であります。  ただ、ごくわずかでございますけれども、輸銀の非ODA債権の中にもこれら重債務貧困国向けのものが若干ございます。これらにつきましては、輸銀が現在持っております一般の貸倒引当金のほかに、特定海外債権引当金も若干持っておりますので、万一の場合にはそれらを取り崩して対応する、こういうことになろうかと思います。
  28. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  輸銀の方は仕事の性格上余りないというのは理解できるのでございますが、篠沢総裁の方は、想定される額に対して五十九億円というのは非常に少ない額だなということはよくわかったわけでございまして、今後いろいろ御検討いただいて、余り大きな制度の変更をするということでなく対応できる方が望ましい、こういうふうに思っておりますので、御検討を早目にお願いしておきたい、こういうふうに思います。  そこで、先ほどAという人にこれをやって、Bという人にはしない、不公平だという話がありましたが、最貧国には棒引きをして、頑張っているけれども苦しいという国についてはなかなかこれはいかないという話になると思うんですが、その辺の垂直的な不公平みたいなものもこれをやると出てくるのではないか、こう思っています。  例えば、宮澤大蔵大臣の新しいプランで大分改善をしておりますインドネシアでございますが、最近聞いた話によりますと、ここの独立電力事業体というのがありまして、IPPと言うんですが、どうもドルの債務が毎月発生するものですから、ドルはどんどん出ていくと。その計画をつくったときは為替のレートは今と倍ぐらい違っていて、それでやっておったものですから非常にこれが重くのしかかって、どうも資金繰りが逼迫しているんじゃないかということを聞いたのでございます。こういうところは最貧国でミレニアムでということになかなかならないと思いますし、この事業体なんというのは全くそういうものとは違うわけでございますけれども、一方でむしろこういうところを少し助けてやるという方が実体経済上は非常に意味があるのではないかということも言えるわけでございまして、この点につきましてどういう現状になっておると認識されておられるか、輸銀総裁にお伺いしたいと思います。
  29. 保田博

    参考人保田博君) 現在、インドネシアの電力部門では、御指摘のとおり、一昨年来の通貨危機によりまして国営電力公社の資金繰りが大変苦しくなっております。そのことによりまして、IPPとの間で結ばれました買電契約の義務履行がなかなか難しくなっているということは御指摘のとおりでございます。  我々は、現在、アジア開発銀行と協調融資をすることによりまして、インドネシアの電力開発部門の改革プログラムというものをつくらせまして、そのプログラムを履行することを条件としてお金を貸しますということを現在やっております。金額の規模はアジア開発銀行が四億ドル輸銀が四億ドル、合計八億ドルでございますけれども、そういうことを通じまして国営電力公社の財務の再建を支援するという方策を実行中でございます。
  30. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  まさにそういう頑張ろうとしていて、いろんな事情で大変苦しいところにも目配りをしておいていただかないと、一番貧しいところは大変な問題でありますけれども、そういう問題も出てくるということでございます。まさに今度は、一番貧しいところから自分で頑張っているところまで、輸銀基金一緒になればトータルで見られるようになるということだと思いますので、これも冒頭にお聞きしました中期的な統合効果ということが生かされるように、ぜひ積極的な対応をお願いいたしまして、用意した質問は終わりましたので、私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最初に、三月三十一日だったと思いますが、大蔵省の財務官が、現在、我々立法府のレベルで、議会のレベルで与党自民党、公明党、そして私たち民主党との間で財金分離問題を議論しているそのさなかに、今どき財金分離を議論している、ばかなことをしていると、こういう発言があったやに新聞報道を通じて聞いたわけであります。  事の真相はどうだったのかということをまず明らかにしていただきたい。
  32. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 三月三十一日に都内で読売新聞社主催の国際フォーラムがございまして、そこに榊原財務官が出られましてお話をしたわけでございます。  問題は欧州の通貨統合関係のお話でございまして、欧州で通貨統合されて、金融については欧州の中央銀行ができたというようなことになっていますが、財政の方は各国それぞれがやっておる、そういうようなことで金融財政の調整というのが欧州でも話題になっているといいますか問題になっているというような話がございまして、そういう議論の中で御指摘のような発言があったわけでございます。  この点につきましては、榊原財務官も非常に不用意かつ不適切な発言であったということで本人も深く反省をしております。本意ではなかった、申しわけないということで反省をしているわけでございます。  そこで、翌四月一日には、大臣、事務次官からも本人に厳重に注意をいたしたところでございます。さらに、官房長官のところにも榊原財務官が参りまして事情を説明し陳謝をいたしました際に官房長官からも注意をされたということでございます。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 宮澤大蔵大臣にお聞きしますが、どういう注意をなさったんですか。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本人から事情につきまして説明がありましたので、それはもう弁解の余地のない誤った発言である、今後よく注意をしてもらいたいと申しました。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 弁解の余地のないという中身は、どういう意味で弁解の余地がないということですか。  と申しますのは、この議論は、昨年の九月十八日、たしか金融問題を議論しているときに、総理官邸に私どもの代表や各党がそれぞれ行って、そして金融財政のあり方についての議論もやろうということで、総理大臣みずからそこにおられ、そういうことの議論をやろうということで実は開始をしたわけです。その約束事の延長線上にあるわけです。ということは、総理大臣みずから、つまり内閣の最高責任者みずからこれは議論しなきゃいけない課題だというふうに言ったことがばかなことだとなったら、これは一体内閣としてはどういう考え方で臨まれているのか。大変私は重大な問題だと思っているんですが、その意味で、どういう内容で、今おっしゃられた中身を判断されているのか、まずお聞きしたいと思うんです。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は、各党の合意でもあり、したがいましてまた政府方針でございますから、一財務官がそれについてどう言おうと政府方針が変わるものではありません。また、方針を真っ向から批判するというようなことは、これは弁解の余地のないことであると思います。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、そういう政府の最高責任者である総理大臣も、もちろん大蔵大臣も、そういう協議に入るということを認めてやったことに対して、ある意味では弁解の余地のない発言をなさったということについて、申しわけなかったと、そして厳重注意ということで済むんでしょうか。どうもそこのあたりは政治の側が毅然たる態度をとって、これは当然罷免に値する問題ではないかと私は思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本人が自分の誤りを認めておりますし、また私から厳重注意をいたしました。これが国家公務員法上の罷免に値するかどうかということは私はつまびらかでございませんけれども、少なくともこの発言に関する限り、本人は自分の誤りを認めておりますし、それによって政府方針が何ら変更するものでありませんので、そういう意味では、私としては注意をすることによって本人が自分の非を改めるということになってまいると考えております。
  39. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 こういう発言が出てくる背景というのは一体どこにあるんだろうかなと。  つまり、ある意味では国会というところで、国権の最高機関だと四十一条に規定されていますが、そこで議論され始めてきたことに対して、当然、行政の側におられる方々がそんなばかなことはないと、もちろん個人的に判断されることについてはいささかもそれを私は否定するものではないと思いますが、しかしそのことを公然とセミナーの席上で口にされるということは、これはある意味では官僚の側の、国会というものに対する明治以来ずっと続いているいわゆる官僚中心のシステムというものが何ら変わっていないということを私はやはりあらわしているのではないかという気がするんです。  昨今、三党のいわゆる財金分離問題についてはきょうあたり決着するとか新聞に出ていますけれども、これからいよいよ副大臣だとか政府委員の廃止問題が入ってきたときに、当然そういうものを変えていかなきゃいかぬというときにこういう問題が起きてきているということについて、これは私は、宮澤大蔵大臣、政治家として、いわゆる選挙で選ばれた側の責任者として、明治以来続いている官僚中心のシステムと言われてきた過去のそういうものについてどのように考えておられるのかということについて、大蔵省の責任者としてお聞きしたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 榊原君の発言は大変遺憾なことでございましたけれども、しかしそれが峰崎委員の今言われるような大きな流れから見ますと、もう明らかに国会と官僚との関係といったようなものは非常に変化をいたしてきておりまして、このような発言というのはいわばごく限られたケースであろうと、全体の流れがこういうことになっておるとは私は全く考えておりません。だからといってこれを認めるという気持ちは全くございませんが、それは全体がこういう一種の不服従の流れになっておるというふうには全く考えておりません。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は戦前の歴史をそれほど詳しく知っているわけではありませんが、ずっと物の本を読んでみたりしますと、各局長、あるいは内務省でいえば警保局長とかそういうポストが文官任用ではなくて政治任用になっている時期もありますね。原敬さんという岩手県選出の総理大臣が山県有朋との間で、熾烈な攻防で文官任用と政治任用というものの角逐をやっております。  そういう歴史をずっと見たとき、これから先は私見になるのでありますが、ある意味では財務官であるとかあるいはそういう局長以上のポストになってきたときには、そこに立っておられる方々の発言というのはどうもやはり通常言われている国家公務員の一般論の範疇ではもうおさまらないところまで来ているのかなと。そういう意味では、場合によってはそういう方々までこれは政治任用というところに広げていくというか、もちろん政と官との非常に難しい問題があるしこれからの議論になるんだろうと思うんですが、私はやはりそういう大きな問題を醸し出しているような気がしてならないわけであります。  これから副大臣問題だとか政務官の問題だとか、こういった議論の中でもこの種の構造問題というのはやはり立ち入っていかなきゃいかぬと思っておりますが、ぜひ私は、きょう願わくば参考人として榊原財務官に直接内容的な問題で、どうしてこのような発言をされているのかということについてお聞きしたいと思っておりました。  委員長、きょうは何か聞いておりますとアメリカの方に出張しておられるということなので、もし次回のときに参考人として出ていただければ、ある意味ではそういった問題、どうしてそういう発言をされたのか、どういうふうにばかな内容だったのかということについてぜひ次回お聞きしたいと思いますので、よろしくお取り扱い願いたいと思います。
  42. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 理事会にて協議させていただきます。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 きょうはもう一つ、めったにこの委員会には経済企画庁長官はお見えになりませんので、少し景気の話についてお聞きしたいと思っております。  最近、日銀短観の最新の発表がありまして、さらに昨日ですか、経済企画庁長官、景気の診断を出されましたですけれども、今後の景気見通しということについて一体どのようにとらえられているのか、まずお聞きしたいと思います。
  44. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 我が国の景気はバブル崩壊以来長期低迷でございまして、九五年、九六年ごろには少しよくなったのでございますが、九七年の初めからまた悪化してまいりまして、去年の十月ぐらいにはかなり厳しい状況がございました。  小渕内閣は、発足以来これに対しまして最大限の速度と規模で対策をとりまして、国会の皆様方の御協力を得まして、まず金融再生法案金融健全化法案を通させていただきましたし、また中小企業の信用保証制度の拡大等も行いました。  十一月十六日には緊急経済対策を立てまして、これを第三次補正予算として通していただきました。十一年度予算も早々と通していただきました。その中で、公共事業は前年度に比べて五%ぐらい上回る、これに公共事業の予備費を、五千億円ぐらい予備費を加えますと一〇%ぐらいふえるわけでございますが、そういうのを前倒しで大いにやってまいりました。その結果、去年の暮れあたりから公共事業の実行がかなりふえております。  また、ことしになりましてからは住宅減税措置等の効果があらわれまして、住宅金融公庫の金利を比較的低く抑えていただいておりますこともございまして、住宅の動きも活発になってまいりました。去年の暮れから消費でも、一部コンピューターとか白物家電でございますとか軽自動車なども動いてまいりました。  私は、そういう情勢をとらえまして、経済は極めて厳しい情勢ながら一部に変化の胎動が見られると去年の十二月に申し上げさせていただきました。それから三カ月ほどたって、かなり胎動が広がっているという感じを持っております。したがって、住宅建設などもことしに入りましてからはかなり活発な動きがあるようでございまして、胎動が鼓動ぐらいになったのかなというような感じを持っております。  もちろん、消費も全般的には低い水準でございまして、前年度をまだ下回っております。それに肝心といいますか非常に影響のございます設備投資が依然として低い水準にございます。従来、景気の回復のときに先導役を務めました輸出も、アジア諸国の低迷等でそれほど伸びないという状況でございまして、決して楽観を許すものではない、大変重要な時期を迎えているという感じでございまして、景気は依然として厳しいがそろそろ下げどまりの状況に来ているのではないか。これで、アメリカの景気等が続いてくれまして政府の政策上の効果が続きますれば、回復の方向に向かってくれるんじゃないかと祈るような気持ちで期待しているというのが正直な現状でございます。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今お言葉の中で下げどまりということですね。ということは、もうほぼ大体これで底を打ったぞという、そしてまたそのことを祈りたいというような、最後はしかし神頼みに近いようなところが出ていますが、今おっしゃられた中身をずっと聞いていると、私もそのとおりだろう、事実そうだろうと思うんです。最近出た日銀短観を見てみますと、回復の問題というのは当面の問題よりもことし下期に大体回復するだろうという全般的な見方、売り上げ高とか収益計画を見るとそんなふうに出てきているんです。  そこで、一つ一つ点検してみたいと思っているんですが、民間設備投資というのは従来最も景気を牽引する力があったと言われていますが、これは今おっしゃられたように極めて厳しい。そうすると、今設備投資は過剰設備だとよく言われる。どのぐらい過剰設備だろうかと経済企画庁は判断しておられるんですか。
  46. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 設備投資の過剰額がどれぐらいかというのは、計算の方法はいろいろございまして、明確に何兆円と申し上げることは非常に難しいのでございます。四十兆円、八十兆円、百二十兆円説、民間のシンクタンクを含めていろんなものがございます。  といいますのは、現にある設備を全部そのまま生きた設備としてみなして今の生産額との差をとるのか、あるいは現にある設備の中でも既に老朽化していて実働性がないものなのか、あるいはそれが借金を背負っているのかどうかというような見方がございましてさまざまでございますけれども、この過剰設備を一方で廃棄し整理していかなければいけないのは事実なのでございますが、それが完全に終わるまで設備投資が始まらないということではなくして、やはり古くなった、需要に合わなくなった設備は廃棄して、そして新しく需要の起こってきているところ、例えば今でいいますと液晶でございますとか、そういう分野ではかなり新しい動きがございますから、そういう設備投資が出てくると思います。  この下げどまりというのは、依然として下げ続けているものもありますが上がり続けているものもありまして、その総合として申し上げていることでございますので、設備投資が何兆円過剰で何ぼ廃棄したらいいのかという数字を挙げることはまことに難しい問題でございます。
  47. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 たしか新聞に、経企庁の予測だったか、八十七兆というような数字が出ていたのでその数字をおっしゃるのかなと思って期待していたんですけれども、そのことは別にして、どうもいろんな数え方があるようですが、いわゆる過剰設備を抱えているということは間違いないと思うんです。  ですから、いわゆるこの設備過剰をどうするかということで例のデット・エクイティー・スワップですか、そういった手法をとろうとかいろいろ出てきています。それがおよそ約八十七兆から九十兆というふうに言われていますが、それ以外に年金の企業積み立て不足というのがこの二年の間に解消しなきゃいけないのが約七十兆あるというふうに私ども聞いています。  そうすると、こういったある意味ではサプライサイドといいますか、供給側のところにはこの二つ合わせると百六十兆。そして、最近の土地価格もまた下げどまりしていないという意味でいくと、どうも一番新しいエコノミスト、三菱証券のチーフの方が分析しているところを見ると、過剰債務はまだ今約百五十兆ぐらいあるだろうと。ずっとそういうことをたどってくると、今一見よさそうにというか、株価はもちろん少しなっていますが、私は見ていると、どうもやはり住宅が少し、いわゆるあれだけの減税とかさまざまな措置をとりましたし、何でもありという形で減税の効果はきいています。それから公共事業も恐らくきいているんだと思います。そして、さっきおっしゃったように貿易収支が見る見る今黒字がずっと減ってきているし、数量的に言うとかなり輸入数量がふえて輸出数量が減っているというような動きが出ております。  こういったことを考えると、率直に、これは長官にまたお聞きしたいんですが、そういう公共事業がきいている、あるいはある意味ではいい条件が多少出てきているけれども、どうもそれは年の前半ぐらいじゃないか、あるいは年度の前半じゃないか。後半になってくると息切れするんじゃないんだろうかというふうに言われておりますが、この点、経企庁長官としてはその見通しについてはどのように考えておりますか。
  48. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今八十七兆と言われましたのは、従来の設備投資の伸び率と最近の不況で需要が減った分との差を機械的に出したものでございまして、それをそのまま経済企画庁の公式見解と申すわけにはまいりませんので、ちょっと新聞紙上でそういう数字が出ておりますけれども、あれは一定の式に当てはめただけのものでございますので、参考程度にはしていただいてもいいんですが、必ずしも公式見解と見ていただきたくはございません。  また、年金の問題につきましては、これは別途厚生省その他が計算しておりますので、ちょっと別の問題とさせていただきます。  いずれにしても、今企業が過剰債務を抱えている。全部の企業ではありませんが、そういう企業がかなり多いということは事実でございますし、この過剰債務にまた過剰雇用がついているという問題もございます。  そういうことから設備投資が今抑えられているという状況があるのは事実でございまして、先生の御指摘のとおり、公共事業とか住宅とか、政策的にてこ入れしているのはいいけれども、それが息切れをするという説は、説としてはございます。しかし、経済全体の六割以上を占めるのは消費でございまして、この消費が上向いてきてくれると、かなりそういう意味では経済全体が大規模なものになるんじゃないかと思います。  それからもう一つは、やはり設備投資にいたしましても、古いものは廃棄し、それによってもちろん企業の経営その他の問題がございますから、これに対してどういうような手当てをしていくかという問題はあるのでございますけれども、一方では、液晶であるとか、半導体であるとか、あるいは情報通信でございますとか、そういう点での設備投資が出てまいります。  今、設備投資計画を見ますと、二けたの減が出ておりますけれども、設備投資というのは最初計画の決まっていないところが出てこないものですから、時期がたつにつれて上方修正される傾向の癖のある数字でございますので、今の世界情勢それから国内の情勢がうまくいきますれば、これは後半に至っても他の民需、特に消費などにバトンタッチできるんじゃないか。ただ、先生指摘のように、息切れの心配は全くないと言い切れる状態でないことも事実でございまして、そういう点も注意深く見ながら経済運営をやっていきたいと考えております。
  49. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、いろいろ不安な要因があるが、確かなことというのがあると思うんです。企業倒産がこれだけ激減しているというのは三十兆円の信用保証協会の枠が効いている、この中身が問題だと私は思いますし、今後どうされるのかということについては大きい問題だと思うんですが、もう一つ確かなことがあると思うんです。  それは何かといいますと、これは大蔵大臣にまたお聞きしたいと思っているんですが、年度で見たとき、平成十年度と平成十一年度を比べたときに、昨年は十五カ月予算を組んで、年度予算からすると、恐らくことしの年度予算は補正予算を組まなければ絶対額からしたら下がります。つまり、平成十年度予算というのは補正を何度も組んでいますから、三月三十一日で区切った数字と、それから今年度予定しているものは補正予算を組まなかったら下がりますね、これは。それはどのようにお考えになっていますか。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど経企庁長官が言ってらっしゃいましたが、例えば公共事業等予備費五千億等々で見ますと、公共事業の支払いは一〇%プラスぐらいになっておりますから、全体として見て、私は補正予算を組む必要があるというふうに今考えておりません。恐らく御指摘意味は、経済の動向を見ながら十二年度の予算編成をどのようにしていくかということに関係があるのかもしれませんが、ただいまのところ、補正をするというようなことは私は考えておりません。
  51. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何だか大蔵大臣のトーンが、きょうもいろいろな新聞を読みますと、去年の年末のある意味では何でもありという感じ財政運営から、途端にこれはサプライサイドに随分変わられたのかなというふうに私どもは思っているんです、事の是非は別にして。  ただ、我々のこれからの見通しの問題に関して、企画庁長官も注意深く見なきゃいかぬということでおられるわけですが、確かなことというのは、そういう財政支出の波及効果が最近著しく落ちてきているというふうに言われていますし、地方に行ってみると、確かにこれは雇用を維持するために何か公共事業がずっと続いているようなニュアンスが非常に強くなっているわけであります。  そうすると、新しい経済というものが、先ほど液晶であるとか情報通信のことをおっしゃったんですが、どうも情報通信だけだと息切れし始めているんじゃないのか。というのは、さっきの短観の数字を見ても、この情報通信で大企業が最近はプラスだけれども、これからDIを見ると、先行きはゼロになってきているということで、マイナス一一という数字が一番新しい短観で出てきています。これは情報通信だけなんです、将来見通しで下がってきているというところは。  だから、そういう意味でいうと、期待していたいわゆる設備投資を引っ張ってきたと言われている部分のところが落ち込んできている。そうすると、新しいリーディング産業がなかなかすぐ出てくるものではないのかもしれないんですが、財政支出で支えたものが平成十年度で支出したものよりも今年度が少ないわけですから、当然その分のげたがどんと下がってまいります。  そうすると、これは当然補正予算を組まなかったら景気は落ちますよという圧力が来ますが、それでも宮澤大蔵大臣は、いやいやそれはもう景気が少々落ち込んできてもある意味では補正予算はもう組まない、補正予算を組んだら、また国債を出したら、長期金利が上がってかえって大変景気にはマイナスになる、そういう判断の上で出さない、こうおっしゃっているんですか。それとも、いやいや去年から十五カ月やってその様子をまず見てみようよと。碁でも、何かきょうおっしゃっていましたけれども、手を打ってすぐぱっと応じるのは下手なあれで、じっとよく見てその上で手を打つのがプロなんだよ、ある意味ではそういう見方で補正予算を組まないとおっしゃっているのか、どちらなのでございましょうか。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御存じのことでございますけれども、十年度の第三次補正、この公共事業は大部分支出は今年度、これからの支出でございますから、そういう意味で私は落ちていないということを申し上げているわけです。やはり累積効果というものがございますから、単純に一つの年度と次の年度を比べて息切れするというような議論は、私は経済というのはそういうものではないだろうと。やはり長いことやってくればその累積の効果というものは必ずあるというふうに思っていますし、殊に今申し上げましたように、公共事業の支出は補正分が大部分ことしになるということも大事なことだというふうに思っております。  それで、峰崎委員のおっしゃいますことは、私も実際そういうふうに考えてみることがあるわけでございますが、結局設備投資というものはいろいろあるけれども、こういう過剰投資がある間は全般的には設備投資が勢いよく引っ張っていくということは製造業も非製造業もどうも余り期待はできない。ですから、消費がどうなるかということになっていくわけでございます。  これだけの過去のいろいろなことの累積効果がこれから消費にどういう影響を及ぼすかということについて考えますと、雇用が悪くなればこれはどうしてもプラスだというふうには言えない。そこはどうしても考えておかないといけないと思います。その上で、消費にどれだけの期待ができるかということにどうも尽きていくわけでございますから、ある意味での資産効果というようなものが多少は出てくるかもしれない。それはしかし、まだ不動産についてはそういうことが見えませんけれども、そういったようなことが多少ずつ出てくるのであろうか。あるいは大分いわゆる節約が続いておりますから、消費性向が多少でも動いてくるだろうかといったようなことが結局これからの将来を分けるめどになるだろう。企画庁長官がおっしゃっていることは私は全面的にそうだと思って伺っておりますけれども、一つ一つ設備投資は大丈夫か消費は大丈夫かというふうにおっしゃっていきますと、なかなか太鼓判を押して大丈夫でございますとはそれは申しかねる状況であるということはわかっております。  しかし、そのことはそれならば補正予算を組めば変わっていくかといいますと、私はそういうことではないだろう、既に九兆円の減税を行い、あるいは金融機関に七兆円余りの公的資金を投入し等々、いろんな政策の累積的なあるいは相乗的な効果というものは決して無視できるものではないだろうというふうに考えていまして、その効果がこれから日本経済に出てくると私は考えているものでございますから、すぐに今石を打つ時期ではない、打った石の相乗効果あるいは乗数効果を見ているべきものであろうというふうに考えているわけでございます。
  53. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだまだ本当なら議論したいところですが、本来の法案の方の審議がございますのでこの点は広中委員の方に譲りまして、最後に、念押しになるわけでありますけれども、補正予算を組む、組まないのことについては今の段階では全く考えていないということで大蔵大臣の判断はよろしいということですね。  それについて経済企画庁長官は、十五カ月予算を組んで公共事業を実際施行するのは今年度だと、こうおっしゃっておられるんですが、平成十年度予算に比べて平成十一年度予算の方がマイナスになってしまうということ、これは景気ということを考えたときにはどのように考えておられるのか、景気のこれから先の見通しというか、その点は注意深く見られているんでしょうけれども、それだけをお聞きして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  54. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大蔵大臣が御指摘になりましたように、平成十年度の第三次補正予算というのは昨年の十二月に決定していただきまして、これが各地方自治体に回ってことしの初めに施行されております。これは十五カ月予算ということで、計算するとどれぐらいのものになるか、また十一年度から十二年度の方に繰り送りになるのもどれぐらいになるかというような点もございますので、小渕総理大臣の御指示もございまして、現状がどうなっているか、今フォローアップ調査を我々の方で丹念に行っております。  そういうことも見まして、これからの景気の判断、これは日本だけじゃなしに外国の問題もございますし、いろんな点があるのでございますけれども、そういうものを注意深く見守って、これからの財政運営、これも予算だけではなしに金融の問題もございますし、規制緩和の問題もございますが、そういったことを総合的に判断して考えていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、やはりことしはプラス成長にするということは非常に重要な政策と私は考えておりますので、総合的に判断しながらこの運営をプラス成長に持っていくようにしたいと思っております。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど公共事業の支出の話がございまして、十年度の支出は十一兆四千億円でございますが、十一年度は十三兆四千億円を見ております。ただ、この十三兆四千億円がある程度、多分五%ぐらいは次の十二年度に繰り越されるということがあると思いますので、そういたしますと、十三兆四千億円は十二兆七千億円ぐらいになります。したがって、十一兆四千億円に対して十二兆七千億円、これは支出ベースでございますが、多分これに大きな変化はないように思いますので、これでこの点はいいんだろうというふうに見ておりますが、重ねて補正予算を組むつもりはないのかとお尋ねでございますから、ただいまそういう考えは持っておりません。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。
  57. 広中和歌子

    広中和歌子君 堺屋長官は経済改革行政改革に大変熱心な方でいらっしゃいましたが、その方が経済企画庁長官になられた、そしてきょう審議されております国際協力銀行法の主務大臣である、そういう状況の中でまずお伺いいたします。  行政改革の一環として行われた特殊法人の改革統合でございますが、なぜ海外経済協力基金OECF輸出入銀行統合なんでしょうか。例えば、同じ金融機関統合であるならば開銀と輸銀という考え方もあったでしょうし、ODAという視点であればOECFとJICAという考え方もある。なぜこういう組み合わせ、OECF輸銀の組み合わせを選ばれたのかということについて御感想をお伺いいたします。
  58. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 行政改革を決める際にいろんな選択肢が検討されたと伺っております。広中委員指摘のとおり、金融機関ということで開発銀行輸銀という案も出たし、JICAと協力基金という案も出たようでございますが、いろいろと比較検討した結果、海外金融関係を取りまとめますこの二つの輸出入銀行と協力基金を合併させることが一番いいという結論になったと伺っております。  そういたしますと、当然ながら特殊法人の整理合理化ということも進むわけでございますけれども、それによりましてやはり海外における金融あるいは物流を通じました非常に大きなノウハウが蓄積される。これから日本が世界の国々に経済の面で貢献していくためには、単にお金というだけではなしに、それぞれの地域に対する専門的な知識、環境の問題でございますとか民族性の問題でございますとか、そういう情報と知識を蓄積するためにはこういう組み合わせが一番いいんじゃないか。  では、JICAはどうしてかということでありますが、これはどちらかというと技術専門でございますので、こういう金融系の情報ノウハウを収集する機関一つにまとめるのが最善だという結論になったと伺っております。
  59. 広中和歌子

    広中和歌子君 この二つの機関統合については国民の理解が得られないんじゃないかというような考え方もございます。  そもそも輸銀業務の一部であったODAを分離して、これは一九六一年と聞いておりますけれども、OECFに移管された。その理由というのが、融資業務ODA業務とを同一の機関があわせ持つことに対して国際的な批判があったからだということを聞いております。それなのに、また今度はもとのさやにおさまるというんでしょうか、そういうような感じになりますからやはりおかしいんじゃないか。だから、当初、大蔵省も経済企画庁もこの二つの統合、つまりOECF輸銀統合には反対なさっていたんじゃございませんか。  それに、米国では、我が国輸銀に当たる米国輸出入銀行が商業ベースで融資を行っている一方、我が国基金に当たる米国開発援助庁、USAIDは海外援助を行うというふうに役割分担をしている。これはアメリカの場合だけじゃなくて、先進国ほとんどがそうなのでございますけれども、なぜ日本は行革だということでこういうような、分離しておいた方がむしろ透明度が増すというんでしょうか、海外等の御理解も得られるという中でわざわざ統合なさったのか、お伺いいたします。
  60. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) かなり技術的な問題もございますので、詳しくは政府委員より説明していただきたいと思いますが、まず歴史的な問題がございます。輸出入銀行は昭和二十五年、一九五〇年に生まれておりまして、サンフランシスコ条約より先なんですね。当時、賠償その他いろんな今とちょっと違うような事情もございまして、そういうこととの関係もあって発足し、基金はそこから分離して六一年、六一年といいましても日本はまだOECDに加盟する前でございますから、そういう時期に極めて小規模な形で一つつくった。それがだんだん大きくなりまして、そういう経緯からも、これは一たんは分離したのでございますけれども、さらにアジア危機等最近の内外経済情勢から見ると、一つの窓口にして、そして総務とかそういう点では一カ所にした方が人材の蓄積も効率的にできるのではないか、そういういろんな検討を経てこの答えになったと考えております。
  61. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 委員が言われましたように、かつては輸出入銀行海外経済協力基金も円借款を行っていたわけでございますが、昭和五十年に分野調整をいたしまして、輸銀が非ODA基金ODAということにしたわけでございます。そういった観点から、四年前に特殊法人の統合の議論をする際にこういった点の問題もあったわけでございますけれども、そこのところはいろいろ議論をいたしましてしっかり区分経理をして、そういった海外諸国あるいは国際機関からの疑念を抱かれないようにするということを決めたわけでございまして、その後そういったことをいろんな機関に説明をして理解を得ているところでございます。  なお、海外でも、ドイツだけは同じような復興金融公庫がODA輸出信用をあわせてやっているところでございます。
  62. 広中和歌子

    広中和歌子君 OECF輸銀業務分担についてなんですけれども、ODA業務と非ODA業務勘定としては確かに区分するということですが、商業ベースの融資案件を獲得するためにODAを活用するのではないかという疑念が生じがちでございますね。そういう問題にはどういうふうに対応していかれるおつもりなんでしょうか。
  63. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) ただいま御指摘のような点もございまして、ODAと非ODA勘定を区分いたしまして、業務もそれぞれの部署でやるわけでございます。したがいまして、勘定をまず明確にするということ、そして業務遂行について透明性を確保するということが必要であるというふうに思っております。先ほど経済企画庁の方から答弁もありましたように、国際機関あるいは関係諸国にも説明しておりまして、十分理解が得られているというふうに考えております。  なお、そういう趣旨から申し上げまして、実は勘定間の資金の流用あるいは融通はできないということになっております。
  64. 広中和歌子

    広中和歌子君 つまり、統合ODA業務で赤字が生じた場合、非ODA業務の黒字で埋め合わせをすることはないということでございますか。
  65. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) そのとおりでございます。
  66. 広中和歌子

    広中和歌子君 では、現在のようにプライムレートが非常に低いような場合、OECFの役割というんでしょうか、低金利で貸し出しをするという業務ですけれども、円借款と輸銀ローンとの競合関係というのは起こらないのでしょうか。
  67. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 今回の法律の目的でもはっきり書いておりますけれども、旧輸銀業務を引き継ぎますところの国際金融等業務我が国輸出入もしくは海外における経済活動の促進または国際金融秩序の安定に寄与するということを決めております。一方、旧基金部門を引き継ぎますところの海外経済協力業務につきましては、開発途上地域の経済及び社会の開発または経済の安定に寄与する貸し付けを行うということで、両者の役割がはっきり違っております。  また、実際の貸し付けに当たりましても、国際金融業務につきましては、その収入が支出を償うに足りる、収支相償という原則で利率を決めることになっております。一方、海外経済協力業務におきましては、事業計画の内容が適切であり、その達成が見込まれる場合には貸し付けを行うということになっておりまして、その供与の条件が発展途上地域に重い負担にならないようなソフトな条件で決めるということになっておりますので、両者の目的あるいは実際の融資方針、これにつきましては重複はないというふうに思っております。
  68. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほど林委員から統合のメリットについて御質問があり、既に堺屋長官にも一部お答えいただいたわけですけれども、職員数はどういうふうに変わっていくか。少しは削減されるのかと思ったら余り変わっていませんね。業務の重複する部分では、恐らくそこのところは削減され、トータルとして削減されていないということは配分の仕方が変わってくるというふうに解釈していいのではないかと思うんですけれども、そうでございましょうか。
  69. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘のとおり、理事の方は両方合わせて十七名おりますのを十二名に大幅に減らすわけでございますが、職員の方は二名しか減りません。最初聞いたとき、私もちょっとがっかりしたのでございますけれども、日本海外協力関係は金額の割に大変少人数で行っておりまして、これは効率がいいといえばそのとおりなんですけれども、業務の上あるいは情報の上、さらには環境、人権、いろんな観点を調べますと、やはり人手不足が甚だしいものですから、できるだけ総務系統を統一いたしまして、そしてそういう専門家を養成する。きょう言って来年できるかどうかわかりませんけれども、そういう傾向に持っていって、これを非常に能率の高い、また知識、ノウハウの蓄積の高い組織にしていきたいと考えております。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうした方向性を期待しているわけでございますけれども、統合によりまして年間融資額が二兆六千億円を超えると。それは世銀並みの規模になるというふうに伺っております。  一つの国が世銀並みの海外融資機関ODAをあわせ持ったものを持つわけですけれども、このような規模になりながら、世銀と比べて働く人たちは約七分の一か八分の一なんですね。世銀の場合は七千五百人、プラス、コンサルタントというのが非常にフレキシブルに雇える形になっておりますけれども、新しくできます国際協力銀行ではトータルで千人を割りますね。そういうようなことで効果的な融資ができるのか。合理化という側面と矛盾するような質問になりますけれども、要するに効果的という点を考えた場合に果たしてこれでよろしいのでしょうかということでございます。
  71. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 両機関統合して発足します国際協力銀行の定員は八百八十九名ということで、委員がおっしゃったように、世銀あるいはアジア開発銀行等と比べて非常に少ない人員でございます。ただ、こういった少ない人員でございますけれども、先ほど大臣が申しましたように、共通しております総務・管理部門、あるいはまた海外の事務所、できるだけこういったものから業務量が増大しております業務部門への移換ということによりまして、一層効率的な運営に努めて対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  72. 広中和歌子

    広中和歌子君 それで、主務官庁についてお伺いいたしますけれども、この銀行がなぜ企画庁と大蔵省の共管になっているのか。それぞれがどういう部分を担当なさるのでしょうか。
  73. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 新銀行は、本法律の目的規定におきまして、旧輸銀部門を引き継ぐ国際金融業務等は引き続き大蔵省が、そして海外経済協力基金に当たります部門は経済企画庁が所管することになりました。双方にまたがります総務分野については共管ということでございますが、一次的な窓口は経済企画庁が担当させていただくことになっております。将来ともこういう形態でやっていければうまくいけるのじゃないかと思っております。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 何だか数合わせのような気がしてしようがないのですけれども、ODAの調整ということを先ほど目的としておっしゃいましたね。そういう意味では、どこか一つの省庁で最終的な責任を負う構造にするべきではないでしょうか。私は経済企画庁でも結構だと思いますけれども、どうしてそのような御主張をなさらなかったのか、お伺いいたします。
  75. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 新銀行の所管でございますけれども、業務に応じまして、先ほども申しましたように、旧輸銀に当たります国際金融部門は大蔵省が、そして経済協力業務部門は経済企画庁が担当することになりまして、旧二機関の所管大臣が分担するということになっております。総務は両方にまたがることになっておるんですけれども、これは一本にまとめると申しましても、やはり業務内容が違いますし、峻別しておいた方がいいという部門もございますので、こういった形になっております。  なお、新銀行につきましては、予算が国会で承認される政府関係機関となり、これまで経済企画庁が旧基金に対して行っておりました予算に係る認可承認事項がなくなりまして、主務大臣の行政行為自体が大幅に縮小すること、さらに総務上の業務につきましては経済企画庁が本機関の一元的な窓口となりまして、大蔵省と連絡協議しながら新銀行の監督を行うということになっておりますので、事務上支障はないものと考えております。
  76. 広中和歌子

    広中和歌子君 だれかが比喩的に使っていましたけれども、ホッチキスでとめたような統合だとか、あるいは男女共学の学校をつくろうとして女子校と男子校とを一緒にした、校門は一つになったけれども授業は全然別でやっていると、一時そういうことがありましたね。そういう比喩を使う人がいるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、では人材面の登用について伺います。総裁はお一人になるわけですね。
  77. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 総裁はもちろん一人になります。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、きのうお伺いしたのですが、たまたまかどうか知りませんが、総裁はお二人とも大蔵省出身でいらっしゃるわけですけれども、総裁ポストというのは、経済企画庁から大蔵省からと、今までの日銀のようにやっていくのか、それとも堺屋長官みたいにぽんと一般から登用するというようなことになるのでしょうか。例えば世銀の場合ですと、たしかオーストラリアですね、民間銀行の方が選ばれて総裁になられたということになるのですが、我が国の場合はどういうふうになりますのでしょうか。
  79. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 総裁その他理事の人事につきましては適材適所でその都度決めることになると思いますが、日本機関でございますから、国際機関のように外国人を起用するということはまずないと思います。総理大臣の任命でございますから、広い視野で、最適の人材、経験、人格、学識のある者をその都度選んでいただけるものと存じております。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 今までのやり方ですと大蔵からの出向者が非常に多い、またはほかの省庁からの出向者も多くて、トップポストというのはかなりそういう省庁出身者の方に占められているということを伺うわけですけれども、それは士気にまず影響しますね、働いている人の。非常に重要な仕事をしている機関だと思いますが、そういうところに出向者がいらして二年とか三年とか、しかも上のポストにつかれるということは、人事交流という面では意味があるんですが、やはりそういう意味ではもうちょっと開かれなければいけないんじゃないかと思うんです。  それから、ここに働く方も新しいニーズに応じて、時代のニーズに応じて、中途採用とか、それからまたさまざまな人事交流を他の機関、例えばJICAであるとかあるいは他の国際機関、そういうように自由に渡り歩けるような新しい人材登用の仕組みみたいなものをつくっていただかないと、せっかくのODAを含んだ、あるいは先ほどおっしゃいましたように例えばアジア経済危機、そういうものに対応するなんというようなときに、やはり人材の育成という意味ではもっと流動的にしなければいけないんじゃないかと思うわけでございますが、御所見をお伺いいたします。
  81. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) どのような人材が必要か。いろんなノウハウが必要になってくると思いますので、その点、具体的にどこがどうということは申し上げられませんけれども、委員指摘のように官民あるいは学界などを含めて人材の交流を図り、より適切な人を部長とか支店長とか、そういうところにも入れていくことが大事だと考えております。場合によっては作家がなってもいいんじゃないかと考えるところもあると思います。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 恐れ入りました。  先ほども林委員から御質問が出ましたし、それから前回の委員会で私も触れたわけでございますけれども、ケルン・サミットでの債務帳消し問題についてですが、サミットで必ず議題に上がって、我が国は対応しなければならない、そういうところに来ていると思うんです。  今までのやり方はそれとして、実際にすぐ目前に迫っているんですから、どういう対応をなさるのか、まずお伺いいたします。するのか、しないのかです。
  83. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今月末にワシントンでIMFの会議がありましたりG7があったりいたしますので、そのころになりますとかなり事の度合いの深さがわかってくると思っておりまして、そのあたりで我が国としてどう対応するかを考えておかないといけないと思っております。  これは各国の対応が一様でございませんから、みんなで話し合ったところでどの辺が公約数になるかということを見きわめまして、その度合いによりまして我が国の対応を考えなきゃいけない。やや受け身のような申し上げ方をいたしますけれども、我が国は一番大きな債権者であるし、また国内に先ほど御説明申し上げましたような問題を現実に持っておりますので、全体を見ながら最終的な対応を考えなきゃならない、こういう立場でございますので、今月いっぱいぐらいには大体事態の推移を見きわめて対策を考えなければならないと思っております。  おっしゃいますように、この問題がケルンのサミットの議題になりますことは恐らく私も必至と見ておりますので、それまでの間の推移を十分注意しながら見まして対応を考えてまいりたいと思っております。
  84. 広中和歌子

    広中和歌子君 その対象となる債権でございますけれども、もう既にそれを分けて分類を始めていらっしゃるでしょうか、さもなければ急に対応はできないわけでございますので。それは大体幾らぐらいになる予定でございましょうか。
  85. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 現在、債務削減として議論されておりますのは、いわゆる重債務貧困国、HIPCSと申しますが、そういう国の持っておりますODA債権と非ODA、商業債権、そういう国に対して先進各国が持っております非ODA債権とODA債権の両方でございます。  そこで、議論になっておりますのはODA債権の部分と非ODA、商業債権の部分とあるわけですが、特に我が国の場合に大きいのはODA債権でございまして、単純にこのHIPCSと言われております四十二カ国を合計いたしますと、そういうところに対する基金の円借款が一兆円程度ございます。  ただ、これはHIPCSと言われている国のものを機械的に単に足したわけでございまして、具体的にこういうHIPCSと言われる国に対してどのような債務削減をどういう基準に従ってやるかということはまだ議論が煮詰まっておりません。したがいまして、具体的にどのぐらいになるということは現段階では申し上げられない。つまり、先ほど申し上げたのは、単にHIPCSとしてカウントされている国に対する我が国ODA債権の金額の合計額ということだけでございます。
  86. 広中和歌子

    広中和歌子君 時間が押してまいりましたので急ぎます。  この新しい銀行には協調融資を行う民間銀行の債権を譲り受ける業務が盛り込まれているわけでございますが、海外業務を行う銀行の不良債権を公的資金で賄うことに結果としてならないんでしょうか、それをお伺いいたします。  それからまた、民間銀行に逃げ道をつくって競争力をなくすことにはならないんでしょうか。不良債権の掃きだめにならなければいいと思うわけでございますけれども、お伺いいたします。特に、最近はアジア投資している銀行などが撤退するケースがふえてきているようでございますが、いかがでしょうか。短くお願いします。
  87. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、輸銀民間銀行と協調融資をしている場合に、そういう協調融資の中で融資をしていた民間銀行がその持っている債権を輸銀に売るということができるようになっているわけでございます  ただ、これは今申し上げたようなケースでございますので、輸出入銀行というかこの新しい銀行の国際金融部門がそういうことができるわけですが、それは今申し上げたように協調融資をしているものにまず限られますし、それからこれは債務者の状況が悪くなってそれを新しい銀行が引き取るということではなくて、債権者のグループの中のある銀行民間銀行がその債権を新しい銀行に売るということでございます。さらに、この新しい銀行の国際金融業務としてそういうものを買い取る場合にその債権の健全性というのは当然のことながら見るわけでございまして、問題のある債権を引き取るということにはならないというふうに考えております。
  88. 広中和歌子

    広中和歌子君 では次のテーマですが、新銀行はその国際的に果たす役割の大きさからいってもどんな国際援助を行っていくかということが注目されるのではないかと思います。また、対外戦略としても、国際協力銀行の理念として、ODA大綱に盛り込まれておりますところの人道的配慮とか環境保全とか人権の尊重であるとか平和主義であるとかといったものを掲げていくべきだと思うわけでございますけれども、特に輸出入銀行の今までの業務の中にそういうものが盛り込まれていたかどうかわかりませんが、どのような方針で臨まれるか、輸銀総裁にお伺いできればと思います。
  89. 保田博

    参考人保田博君) 現在、輸出入銀行及び海外経済協力基金におきましては、それぞれ環境への配慮に関する基準、輸銀の場合はチェックリストと言っておりますし基金の場合はガイドラインと言っておりますけれども、そういう基準を設けまして、プロジェクトに対する融資決定の際の判断基準に盛り込むということをやっておるわけでございます。  両機関業務を継承いたします国際協力銀行におきましても、このような環境に対する配慮に関しまして、輸銀あるいは基金が現在持っておりますノウハウあるいは業務の有機的な活用を図るべく、輸銀のチェックリストを改定いたしましてガイドラインとした上でこれを公表する、引き続き現在の輸銀業務、それから現在の基金業務に関しましての包括的なガイドラインとすべく整備をいたします。  御承知のように、OECDにおきましても、公的信用機関の環境配慮につきまして共通の基準をつくるべくいろいろ作業も行われておるわけでございます。国際的に、地球環境問題を含めましていろいろな環境問題あるいはプロジェクト開発に伴います非自発的な移動、そのような広い意味での環境問題に対する注目が大きくなっておりますことをよく念頭に置きまして、新機関におきましても、環境に対する配慮は前進することがあっても後退することのないように配慮してまいりたいと考えております。
  90. 広中和歌子

    広中和歌子君 環境問題に関しましては、宮澤大蔵大臣が総理でいらしたときにリオで環境会議が開かれ、そのときに環境ODAというコンセプトを出され、それ以来随分前進していることを大きく評価させていただきたいと思います。  最近、ここ十年ぐらいですか、それ以前かもしれませんけれども、グッドガバナンス、よい統治ということが言われておりまして、それはそれぞれの国における統治だけではなくて、例えばODAにおけるグッドガバナンスなんというようなことも言われているわけでございます。  グッドガバナンスの内容でございますけれども、効率的であること、効果が高いこと、透明性があること、それから市民参加というんでしょうか、なるべく多くの人が参加するということがその要素になるんじゃないかと思います。世銀や多くの海外投資公社、またアメリカの輸銀などは、供与を最終決定する六十日前までに環境アセスメント情報をホームページで公開し、かつ公開するといっても広く意見を求める、つまり一般の人に参加を求める、そういうような形をとっているわけでございます。  時間がないかもしれませんけれども、こうしたインターネットを使ったパーティシペーションというか参加というものをこれからも新銀行でやっていただければ、日本ODAあるいは融資という形での海外協力なども国際的にも国内的にもより多くの御理解も得られ、そして評価もされるんではないかと思うわけでございますが、最後に大蔵大臣のコメントをお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、九二年にリオで環境の会議がございまして、私は国会の関係で総理として出席はできませんでしたが、そのとき一つ約束をいたしました。それは九二年度から五年間にわたってODAあるいは援助のうち一兆円を環境問題に充てたいと思う、こういう約束をいたしました。  それは九二年でございますが、今検証いたしますと、九二年から九六年度までの五年間の実績は一兆四千四百十六億円でございますので、この約束はそのとおり果たせたと思っておりますし、またただいま輸銀総裁からお話がありましたように、その後もこういう心構えで政府としては環境問題への援助を続けておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、プロジェクトがある国でアセスメントが十分にいかないために停とんした、とん挫したというようなことは現実にもう何度も遭っておりますので、それは十分我々としては大切な経験として考えなければならないことで、今後の施行につきましても、そういう今お話しのような現地とのアセスメント等々については十分周到に準備をして入っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  92. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  93. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから、財政金融委員会を再開いたします。  国際協力銀行法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 午前中の質疑で多くの内容が語られましたから、この合併自体について私は何を聞いていいのかちょっと迷っているんですけれども、午前中の議論で明らかになったというか、そうだろうなと思った点は、この合併が一体何のために行われるのかということであります。  そもそも輸銀は、発祥的にといいますか、本来輸出入の振興というようなことがあり、それが時代とともに少しずつこの目的、内容は拡大はしてきておりますけれども、基本はやはりそういうコマーシャルベースで輸出入にかかわるもろもろの政策的な必要性を含めて振興したり助長したりということでやってこられているわけで、それに対して基金は、円借款が主体ですから、それは海外経済協力ということで多分に外交的あるいは政治的といいますか、そういう目的が入ってきているわけで、それゆえに途中で分離をし、お互いの役割分担というのを徐々に明確にしてきたという経過があると思うんです。ですから、これを一つにしなければならないという積極的な理由というのはその面ではなかなか説明しづらいんだろうなというふうに私は午前中の議論を拝聴しても感じております。  質問のための質問みたいになってしまうわけですけれども、どうでしょうか、せっかく両総裁がお見えでありますから、合併したら不都合だというような御意見はありませんか、ちょっと総裁から。
  95. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 政府方針としてこの合併、統合の問題が決定されましてからもう四年になるわけでございますが、その間、輸銀基金双方の職員レベルまで次第にその問題についての理解と、それからそれが政府方針として決定している以上、それをどのようにプラスのメリットをつくっていくかという観点で種々の意見交換が行われ、そうした雰囲気の中から、恐らく今日お願いをしております法案の原案と申しましょうかポイントと申しましょうか、そういうものを形成して政府の方にもそれをお使いいただいた、そしてこの法案になっている、こういう推移をたどっていると思うのでございます。  したがいまして、そういった雰囲気の中で、両機関の間にそれぞれのわだかまりのようなものもございませんし、今現在で何かが不都合であるというようなものを私どもは耳にすることはないと考えております。
  96. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 輸銀総裁に伺いますけれども、今の輸出入銀行の政策金融としてやらなければならない本当の理由というのは何なんでしょうか。私ども昔の議論では、輸出入の振興というのが日本の経済にとっては大目的でありましたし、そういう役割は立派に果たしてこられたというふうに思うわけですが、今日的な意味、役割というのはいろいろ議論される面もあります。総裁はどういうふうにお考えでしょうか。
  97. 保田博

    参考人保田博君) 御承知のように、日本輸出入銀行は昭和二十五年に日本の産業の輸出金融面から支援するということからスタートをし、翌年、日本企業輸出製品をつくるために必要な資源等の開発輸入も行うということで業務を広げていきました。その後、日本経済がますます発展をして、世界の経済大国になるに及びまして、国際金融界、経済界における日本の地位の向上に伴いまして、役割を広げるに至っておるわけです。  やや具体的に言いますと、日本企業海外で活躍をする場面が非常にふえてくる、それに伴って海外投資金融という新しいツールをもちまして日本企業海外展開を支援することになりました。そのうちに、日本の国民経済全体として大きく持っております資金あるいは経常収支の黒字を世界経済の発展、安定のために何とか役立てることができないかということで、アンタイドローンという新しいツールができてこれを活用しておる。これは世界経済の安定、発展のためにということではありますけれども、日本の産業、日本の経済が世界で活躍、発展をするという状態になっております現在では、むしろこれはまた日本の経済のためにも役立っておるというふうに私は理解しております。  したがいまして、平たく言いますと、最初日本経済のための輸出入銀行であったけれども、現在は日本のための輸出入銀行であると同時に世界のための輸出入銀行でもあるというふうに発展をしたと、いささか自慢めいた話に最後はなりまして申しわけありませんが、そういう自負心を持って働いておるつもりでございます。
  98. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 開銀というのは、昔あった傾斜生産方式みたいな、いわゆる産業をどういうふうに基礎産業を中心にして発展させていくか、そういう日本の産業発展のために大きな役割を果たした。輸銀輸出入、特に輸出振興ということから始まって大きな役割を果たした。それはそのとおりだと思うんですが、その政策金融というのは今までは郵便貯金を使っていました。これからどうするか、後で質問しますけれども、郵便貯金を使って、それでも金利が高いということで、安くしようということで、出資金、補給金という、現在、年間約三兆円ぐらい使っていると思うんですけれども、多額の税金を使いながらやっている。  だから、政府がこの政策目的のために民間金融を押しのけてでもやらざるを得ないという判断があって政策金融というのが存在理由を持つんだろうと私は思うんです。ですから、それは時代とともに変わってくる。しかし、それだけのコストをかけてやるわけですから、時代の変遷とともに要らなくなるものはやっぱりやめていくべきなんだろうと思うんです。だから輸銀をやめろということで言っているわけじゃありませんで、そういう政策目的が希薄になってきているというか、本当にこれは政策金融民間には絶対できないから政府がやらなきゃいけないというところが輸銀の中でどの程度になっているのか、これは私は検証を要するときになっていると思うんです。他方では、この基金というのは借款、経済協力ということが日本の対外戦略という面においてもやっぱり必要なんだろうと思うんです。  だから、若干違ったというか、大いに違った政策目的のものを今度一緒にしてしまって、ではこの新しい国際協力銀行が本当の政策金融としてやるべき政策目的というのは一体何かというのがわかりにくくなる、あいまいになる、結局得しているのは輸銀ではないかという気が若干するわけです。  つまり、国際協力銀行というような話になりますと、何となく日本の対外戦略というようなことで落ちつきがよくなる。どちらが得かというのは別に大した議論ではありませんから、私の感想だけですけれども、内心そんな気がしています。ですから、一緒にするという理由、政策金融の必要性という面から一緒にならなきゃならないという理由が私はよくわからないということなんです。  それからもう一つは、この合併によって幾らコストが、いわゆる合理化といいますか、税金を使う量が少なくて済むかという点からいえば、これはほとんど変わらないわけであります。  それからもう一つは、日本の援助体制という問題が私はあると思うんですね。私も外務省の政策を一時期ですが担当したことがありましたけれども、援助の部門では大蔵省、経企庁、それから通産省がしょっちゅう垣根争いや権限争いをやっているわけでありまして、それに対応する援助機関というのもOECF、JICA、それから輸銀もそれに数えるんでしょうか、多元化しているし、所管も分かれていて、大変やりづらいということが絶えず言われてきました。だから、援助体制を一元化する、効率化するという観点からいったら、もっと徹底したやり方があるんではないかというふうに思うわけであります。  結論として言えば、どうも橋本行革ということで数合わせが盛んにやられている、その一つで、余り必然性がないものを無理やりくっつけて、これで一つその数を減らしたというようなことになってしまっているんではないかという気がいたします。だから反対というところまではいきませんけれども、そういう感想を午前中の議論を通じて持たざるを得ないということであります。  それで、この国際協力銀行の目的に「国際金融秩序の安定に寄与する」という文言が入っておりますが、日本の一政策金融機関がこういうことをやれるんでしょうか。あるいは、国際金融秩序の安定のためにどういうような役割を考えておられるのか、それから世銀とかIMFとの関係についてはどういうふうに位置づけて理解したらいいのか、これは大蔵省に伺います。
  99. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、「国際金融秩序の安定に寄与する」ということが新機関の目的の中に入っておるわけでございます。御案内のように、輸出入銀行は現在でも先ほど話が出ましたアンタイドローンを活用いたしまして、IMFあるいは世界銀行等と協調いたしまして経済的な困難に陥った途上国に対して国際収支の均衡あるいは経済構造改革支援を目的とする融資を行ってきております。これらは基本的に国際金融秩序の安定ということのために協力しておるという側面がかなり大きいわけでございます。特にIMFと協調している部分において非常に大きいというふうに思っております。  それからもう一つ、午前中の審議の中でも出ておりましたが、IMFの方に直接輸銀が貸しているという部分もございます。これはIMFが国際金融秩序の安定のためにいろいろなことをする場合にその資金をいわば補充してあげているという、協調融資よりも一層進んで、まさにIMFに協力しているという部分もございます。  こういったものを踏まえまして、新機関の目的の中に御指摘のような「国際金融秩序の安定に寄与する」ということを明示的に入れたわけでございます。
  100. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 わかりました。  今度は基金についてちょっと伺います。  基金の借款の中で取り立て不能に陥っているもがかなりあるんではないかと思いますが、現在いわば不良債権みたいな分類をせざるを得ない借款というのはどの程度あるのか、それから今後についてはそれはどういうふうに見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
  101. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 現在、基金で弁済期限を六カ月以上経過しておりまして延滞となっておる円借款の元金残高額、いわゆる延滞債権額につきましては、平成十年三月末で三千八百六十三億円ということでございまして、全基金の貸付残高の四・二%ということになっております。
  102. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 それは今後拡大すると思っていらっしゃいますか。
  103. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 将来の見通しを的確に行うことは非常に困難でございますけれども、最近の途上国の状態から見れば、減少していくということはなかなか見づらいかとも思います。
  104. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 午前中に議論が出ておりました、ミレニアム、要するにただにしてやるというのは不良債権以上になってしまうわけですけれども、このミレニアムというようなことが借款では話題になり得る。つまり、これは極めて外交的、政治的配慮の強いものだということの証左でもあるわけですね。  これを財投でやってきた、郵便貯金でやってきたということについては、つまり円借款の財源を財投に求めてきた、郵便貯金に求めてきたということは適当だったんでしょうか。
  105. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 先ほど申しました延滞債権があることは事実でございますけれども、これはいわゆる民間企業に対する貸し倒れではございませんで、返済につきましては問題がない債権と考えております。これまでもパリ・クラブ等におきまして債務の繰り延べなどの措置をとっているところでございますけれども、この場合でも元利の償還というのは確保されているところでございます。  なお、財投への依存の問題でございますけれども、財投の返済問題につきましては、海外経済協力基金の場合、その財務基盤の安定のために出資金を非常に高く積んでおりまして、資本金は平成十年度末で約五兆三千八百億あるわけでございまして、いわゆる自己資本比率という観点では五四%に達しているところでございます。  なお、財投につきましては、開発途上国に非常に低利の資金を供給するということから、そういった面で基金の財源としては必要なものというふうに考えているところでございます。
  106. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 財投改革をしていくということで郵貯は預託されなくなる、そうするとこの新銀行資金調達方法というのはどういうふうになりますか。
  107. 中川雅治

    政府委員(中川雅治君) 財政融資改革につきましては、現在、中央省庁等改革基本法や資金運用審議会懇談会とりまとめを踏まえて、その実施に向けた検討が行われているところでございます。  郵便貯金、年金の資金運用部への預託が廃止され、その後は市場原理にのっとった資金調達をするということが中央省庁等改革基本法に規定されておりまして、今後は財投機関債あるいは財投債という市場原理にのっとった資金調達考えるわけでございます。  まず、財投機関債につきましては、「各機関資金調達に当たっては、各機関及び所管官庁において、当該事業を実施するために必要な額の範囲で財投機関債を発行することができるかどうかについて検討することが必要である。」ということが資金運用審議会懇談会とりまとめにおきましても述べられておりますが、一方、財投機関債の問題点といたしまして、「特殊法人は、民間では実施できない収益性の低い事業を行っているため、一般的には市場での財務上の評価は低くなると考えられることから、政策として不可欠な事業が、市場の評価が低いために資金調達コストが上昇するか、十分な資金調達ができずに不可能となるおそれがある。」ということが指摘されております。また、財投機関債だけで発行しよう、資金調達しようということになりますと、「市場の評価を上げるために収益性志向が強くなり、現在よりも民業圧迫のおそれが大きくなる。」といったような問題も指摘されているわけでございます。  そこで、国際協力銀行でございますが、ODA輸出入等に係る政策金融業務としているわけでございますが、いずれも途上国等に対して民間金融市場では提供できない長期かつ低利の資金供給を行うものでございまして、このような政策実施機関が果たして市場の評価を得て財投機関債という形で市場で安定的に資金を調達することが可能かどうかということが一つ問題でございます。  国際協力銀行業務につきましては、今後とも不断の見直しが必要であることは言うまでもないわけでございますが、ODA輸出入等に係る政策金融業務が国の政策として必要であると判断される以上、国の信用で市場原理に基づいて一括調達する債券である財投債を基本に資金調達を行い、国民負担を最小にすることが望ましいんではないかという議論もございまして、国際協力銀行資金調達のあり方につきましては今後関係者間で協議を進めながら検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  108. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 輸銀業務部分については財投機関債というか輸銀債みたいなものでかなりやっていけるんだろうと思うんですけれども、さっき逆のことを申し上げましたが、基金部分については、ただいま局長の答弁のように、一体マーケットで資金調達ができるたぐいのものかというのは若干気になりますね。  それと、財投の今後の方向についてこれをきっかけにちょっと聞いてみたいと思うんですけれども、私はよくイメージがわかないんですが、財投改革という名のもとに郵貯は切り離したということですね。郵貯を資金運用部預託させないとすれば、これは郵政省が運用するということになるんですかね。  それが財投改革なのかと聞いて、ちょっと私は空白期間がありましたから、賢明な皆さんが何を議論していたんだという気になってしまうわけですけれども、財投の問題というのは郵便貯金として皆さんから集めたお金を国策に使うわけで、国策に使えば当然焦げつきや貸し倒れも含めてそういうリスクというのはかなり高くなるわけです。それを善良な預金者から集めた郵便貯金でやっていいのかねという、そこは最後は税金に全部ツケが来るよというような、そういう問題が一つあります。  それから、郵貯が集まっただけ使ってしまうから切り離した方がいいと。それはそれでいいと思うんですけれども、しかし財投というのはまた別にやっていこうと。しかも、政府保証債になるんでしょう、どうせ財投債というのは。政府保証がつかなくて財投債を全部出せるというふうに私はちょっと思えないんだけれども、多分また巨額な額を発行していくと。郵便貯金は郵便貯金でまた郵政省が持っていって郵政省が独自の運用をすると。そうしたら、もう一つの問題で、つまりこれだけ巨大化した郵便貯金というのがマーケットの原則に従わずに別途マーケットの外にあるということになりますね。  それがいいのかというのはもう一つ実質的な議論であったと思うんですが、どうも今出されている材料だけで私なりに考えてみると、政府はまた国債を多額に発行して赤字の塊になっていると。郵便貯金として吸い上げられたものはどう使うか、これは後で聞きますけれども、郵政省が別途の使い方をすると。それから、今度は財投の原資を財投債でまたマーケットから調達すると。まあ政府保証がくっつくかもしれません。そうしたら、事態は余計に全体として悪化するんじゃないかという気にもなってしまうんですね。  その辺、順番に聞いていきますけれども、郵政省は将来どのくらいの額になると思っていますか、郵便貯金を郵政省で引き受けられて。郵便貯金は年々まだふえていくでしょう。それを郵政省はどうやって運用するわけですか、それをちょっと教えてもらいたいと思います。
  109. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 今般の制度改革そのものは、行政改革会議の決定を踏まえて既に中央省庁等改革基本法が施行されることになったところでございます。それで決まっているわけでございます。  さて、先生最初のお示しの金額でございますが、国民、預金者の信頼がどれだけ集まるかということに一つはなろうかと思います。なりますが、現時点で約二百五十二兆ほどございます。恐らく今年度、十一年度はもうちょっと今までの利息分がふえると思いますが、それから後はこの委員会でも再三お取り上げになった集中満期の問題がございますので、恐らく資金量的にはうんと変わった事態が生じるのではないかと思います。今直ちに明確な予測はちょっと申し上げかねますが、今までとは随分違ったものになるんじゃないかというふうには考えております。  さて、その後の資金運用をどうするかということでございます。郵貯だけで申し上げますと、既に約五十五兆円を、全体の二百五十兆ほどの約二割弱のお金を市場運用しております。ただ、私どもの経験で申しますと、簡易保険では既に約百兆のお金を自主運用という形でやっております。もっとも、半分くらいは財投という形でやっておりますが、あとはマーケットで運用しております。  さて、郵貯のお金はより大きなお金でございます。今は全額預託ということになっておりますので、大蔵省の資金運用部の方に預託しているということでございますが、順次、過去に預託したものが償還されてまいります。償還されてきたものから自主運用というふうに変わっていくというふうには考えております。それは資金量的な問題でございます。  実際の運用の姿でございますが、どうあるべきかにつきまして、現在、郵貯・簡保資金運用研究会というもので郵政大臣が学識経験者の方々、その分野に詳しい方々にお集まりいただきまして今論議をいただいているところでございますが、それを踏まえて運用という形になろうかと思います。当然、その前段としては国会に法律をお諮りするということになろうかと思います。  今結論が出ているわけではございませんが、これまでの経過の中で私どもとしてもいろんな聞かれたりする場面で申し上げてきたことをちょっと申し上げますと、私どもとしては今までの経験を踏まえた運用をしていくということでありますが、中身的に申しますと、やっぱり性格から見れば、引き続き社会資本整備など公的分野への長期資金の供給という役割があるのではないかというふうには思っております。  それから、基本的に証券・金融市場でということでございますので、国債、社債等の長期債を中心に有利運用を図っていく、こうした安全確実な資産を中心として長期安定的な資金運用を行っていくことが基本ではないかというふうに思っております。そういう中で、新しい、財投改革後の資金調達市場を介してかかわっていくということになろうかと思います。
  110. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 幾つか問題を感じますけれども、財投債は買うんですか。
  111. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 新しい財投債がどのようなフレームワークの中で、またどういった条件で発行されるのか、そういうことがまだ明確でありませんので確たることはちょっと申し上げかねますが、いずれにしろ私どもにとって運用対象として有力なものかというふうには思っております。
  112. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は変な話だなと思いますよ、一体幾らになるのかわからないけれども。  かつて私も自民党時代は厚生族でしたから、厚生省が自主運用資金が欲しい欲しいといって大騒ぎして、私も少しお手伝いしたりしました。あれは大失敗でした。赤字を出しましたよ。私は、役人さんがそんな巨額の資金運用なんかできっこないと。審議会をつくろうが何委員会をつくろうが、国民にとってはもう迷惑至極だというふうに思いますね。  それで、財投債を買うと言うんでしょう。では、全額財投債を買っちゃえばいいじゃないですか。そうしたら財政融資制度は変わらないですよ。何を買うんですか。株式を買うんですか。また失敗しますよ。私は、もうちょっと秩序立って、何を改革するかというのを議論すべきだと思うんですよ。  大体、郵貯の問題というのは、別にこれは大蔵省と郵政省の縄張り争いなんてどうだっていいんですよ。そうじゃなくて、日本金融マーケットが分かれてしまっていて、それで巨額の資金が政策金融という名のもとに使われている、マーケット外に行ってしまっている、そういう問題があったわけでしょう。  さっき国債の話もしましたけれども、これだけ公的部門が資金が足らないというのなら、それはちゃんと税金で取るべきなんです。あるいは保険料で取るべきなんですよ。それをマーケットから国債をいっぱい買い込んで、クラウディングアウトがまだ起きていないとおっしゃっているけれども、いろんな現象が起き始めていると思う。こっちでも問題が起きている。しかも、郵便貯金で吸い上げた巨額なものを、それをどう使うかわからないけれども、また政府が使うという。どこが使ったっていいけれども、そんなうまい使い方なんてできっこないんですから。それから、財政融資財政融資で、財投債政府保証で発行して、そしてまた巨額の金を吸い上げてそれを政策金融で使おうとする。日本金融マーケットはそんな形でいいのか、これは本当にまじめに考えてもらいたいというふうに思うんです。  だから、財投改革というのは、もっとシンプルに考えて、税金も使うんですよ、今三兆円近く使っているんですから、出資金、補給金も。郵便局で、簡保も入っていますけれども、主として郵貯を金利を薄めて特定政策分野に使う、税金も使う、そういう制度が本当にこのままでいいのかというのが財投改革なんであって、その財投運用先の機関を、何だか必然性もないのに二つを一つにくっつけたから一つ特殊法人は減らしました、行政改革でございますなんというのはほとんど意味がないんですよ。しかも、その上に、資金調達のあり方なんかもめちゃくちゃじゃないですか。それはもう政府がもっとまじめに考えていると、財投の将来も郵便貯金も含めて。そうしてもらわないと困るので、だから少ししっかりした議論をしましょうよ。  私は、郵便貯金を財投から切り離す、それなら賛成ですよ。そして、財投ももうちょっと自己膨張しないような安全弁をつけながら、政策金融の目的というものをもっとはっきりさせて、やめるものはやめる、必要なものはやってもいいわけですから。しかし、その財源の調達の仕方を、金融マーケットのあり方も含めてもうちょっと整理して考える。郵便貯金のあり方というのはそんなに簡単じゃないですよ。郵政省が審議会をつくって、それをまた別のところで運用するなんといったら、ますます日本は混乱しますよ。  私は金融マーケットをもっと一元化すべきだと思うので、例えば郵便貯金を切り離すのなら、民営化まではいかないんです、私の説は。郵便局と金融機関を結びつけてやれと。オンラインでいろんなものが結びついているわけでしょう。だから、郵便局が集めた金を民間金融機関運用すればいいんですよ、例えば。そうすれば、それを通じてもっと合理的な形になりますよ、市場原理というのが入ってきますよ。そういう何らかの工夫をする余地はあると思う。ただ郵便貯金を切り離しておいて、それを別の政府部門が審議会ぐらいをつくって運用するというのはそう簡単な話じゃないというふうに思います。  いろいろ御意見はあると思いますが、いかがですか、大蔵大臣
  113. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 浜田委員がお休みの時期もありましたけれども、ここ何年間かどうも日本がいろいろうまくいっていない、経済が主としてですが、うまくいっていない。それに、いろいろスキャンダルがあったりなんかして、全体でこれはいろんなことを変えなきゃならないだろうと、制度疲労とか申しまして。そういうことの中に今我々はあるんだろうと思うんです。  それで、浜田委員は今までの制度のことをよく御存じですから、そのメリットも知っていらっしゃるし、中には捨てがたいところもあるんですね。そして、新しい制度になったら、今おっしゃったように、郵貯というのは一体だれがどういうふうに運用するのかねというようなこともこれからの問題である、そういうことがいろいろ確かにございます。ございますが、やっぱりここは今までの制度をひとつ思い切って改めて、そうして新しいものを発見していこうというところに今我々はきっとおりますので、それをやってみて、先々またどこか不都合なところがあったらそれは直せばよろしいと思うんですが、今としてはやっぱりいろいろ改革をしてみよう、合理化をしてみようと。政府機構もそうでございますけれども、そういうところにいるんだというふうに私は考えております。
  114. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 それはそうだと思うんですが、しかし現実にいろいろ法律案も出てくるわけだし、二千何年からですか、郵便貯金を離すのは。もう一、二年でしょう、いずれにせよ。一、二年ですか。
  115. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 二〇〇一年四月を目途に準備をしております。
  116. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 そうすると、二〇〇一年四月までにこの制度は整理しなきゃいけない。これは大問題なんですね。だから、まだこれから議論の余地が大いに残されているのであれば、もっと根っこからもう一遍議論したらどうでしょうか。  ちょうど政治も変わり目、その間にいろいろ従来の制度が破綻を来して、袋だたきにあったりして、役人さんも物を言わなくなっているわけです。午前中、榊原氏の発言が出て、私は役人は大いに物を言ったらいいなというふうに逆に思っている一人ですから、それはもうけしからぬならけしからぬで、もちろんこういうときは話題に出していいわけですよ。そのかわり反論も許さなきゃだめです。だから、役人も物を言わなくなっている、こういうときにばたばた決めちゃだめですよ。しっかりした制度をしっかりした展望で議論しなきゃだめですよ。  この間、予算委員会大蔵大臣を前にしていろいろ失礼なことを申し上げましたけれども、橋本行革という名のもとにいろんなものをくっつけたり離したりして、一体何をどう変えようとしているのかわからないんです。財政融資なんというのはもうこの最たるものだと私は思っています。  日本はこれだけたくさん歴史を持っていて、いいところもたくさんある、悪いところもたくさんある。だから、それを変えるんだったら本格的に変えましょうよ。それが二〇〇一年であるとすれば、理財局長も見えているし郵政省も見えていらっしゃるわけだから、これは今出ている結論だけで何かあいまいな形でやってしまうのには私は反対しなきゃならぬと思っております。  きょうの法案には辛うじて賛成しますけれども、この委員会はひとつそういう議論の場に大いにしていただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わります。
  117. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  午前中、広中委員のホッチキス統合という言葉が出てきてなかなかおもしろいなと思ったんですけれども、単にホッチキスでくっつけるだけならいいんですが、今度の統合に際してどさくさ紛れにといいますか、幾つかの余計なものがくっついてきている、私はその辺をちょっと問題にしたいと思います。  輸銀OECF統合によって新たに追加された業務があるわけですが、まず基金の方について伺いたいと思います。  第二十六条で、海外経済協力業務実施方針というものが決められるということになっております。これは、従来、海外経済協力基金については基金法で産業の開発または経済の安定に寄与することに基金の目的が限られておったわけです。今度の国際協力銀行法案では我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的としております、投融資によって。そうすると、こういった目的が設けられたことによって、先ほど言った業務実施方針を策定するということが出てきたのだろうと思うんですけれども、その点確認していただきたいと思います。
  118. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今回の法案の二十六条に定めております業務実施方針でございますが、海外経済協力業務実施方針は、国際協力銀行が行う円借款業務に関して総理府令で定めることとしております。その業務効果的かつ効率的に実施するために重点を置くべき分野及び地域その他の事項について実施方針国際協力銀行が策定し、経済企画庁長官が承認することになっております。  考えられる総理府令の具体的内容でございますが、今後検討する点でございますけれども、現時点で想定されることを申し上げますと、円借款業務の実施における基本的な目標、業務実施方針の期間、ODA大綱と政府全体の政府開発援助政策のあり方を踏まえ、円借款業務において重点を置くべき地域、分野など、そして四番目に円借款業務運営上の重要事項、財務の健全化でございますとか情報の公開でございますとか事後評価、供与の手続等、そういった項目が挙げられると考えております。
  119. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今言われた総理府令で書く内容は、地域とか分野、これをもう少し細分化したものになるのだろうと思うんです。どの地域に何%、どの分野に何%というふうな割り振りが入るのかなと思うんですが、そのことをひとつ確認していただきたいのですが、もしそうだとすると、今政府がとっております援助の要請主義、これとの関係はどうなってまいりますか。要請が出る前に一定の方向はもう決めておこうということなんですか。
  120. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 我が国政府がとっておりますいわゆる要請主義というのは、日本の援助を押しつけるのではなくて、まさに相手国からの要請に基づいて判断をするという形でとっているものでございます。  これはむしろ、今申しました業務実施方針というのは、二年前に閣議におきまして、我が国援助について国民の理解を一層得るために、対象分野の重点化ですとか供与国を明らかにすることによって我が国の存在がより明らかになるようにというような決定がなされているわけでございます。そういったものも受けまして、国民に広く我が国政府のとっております援助の重点分野あるいは重点国、こういったものを明らかにするためのものでございます。ですから、要請主義を直接変更するものではございません。
  121. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 というけれども、今の現状だと要請を受けてから四省庁協議でやるというスタイルをとっていますね。今度は、業務実施方針で一定の方向を決めますと、上がってきた要請を受けるか受けないかの検討を何と一政府金融機関である国際協力銀行業務実施方針に照らしてこれはいいのかどうかというふうなことを検討するということになってしまうんですか。もしそうだとしたら大変おかしなことです。  政府業務実施方針にかかわりなく決定するとする場合、実施方針でこの地域には何%と考えておったのがもうオーバーしておる、もうこれは貸せないということになると、国際協力銀行の方で四省庁協議で決定された政府の決定を覆して、いやこれは借款供与できませんというふうなことができるのか。もしそれができないとすれば、ではこの業務実施方針というのは何のために決めるんだということになるんですが、どういうことでしょうか。
  122. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 二十六条に基づきます業務実施方針は、新銀行総裁が各方面の御意見をお聞きになってつくられるわけでございますが、それを企画庁長官が承認するということになっております。ですから、その承認の際に政府考え方は十分反映できる、そういう仕組み考えております。
  123. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 さっき言われたことと違いますね。  各国から聞いてつくるんですか。そうじゃないでしょう。いわゆる政府方針に基づいて、二年前に決めたというそれに基づいて決めるんでしょう。それで総理府令を出されてやるんでしょう。もし、各国の意見を聞いてやるんだったら、総理府令は各国からそれぞれの意見を聞いてつくりなさい、こうなるわけですか。さっきそうは言わなかったけれども。
  124. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 業務方針委員のおっしゃっております要請主義というのとはちょっとディメンジョンが違うものじゃないかと思うんです。  業務方針は、政府の方がこういう点を重点に置いておくという大きな線を決めております。その線をごらんになって、周知しておりまして、そこで各国が要請してくるということになりますから、これは要請してくるものは業務方針に沿ったものが要請されてくるということになろうかと思います。
  125. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どうもその業務方針の内容が少しはっきりしないんです。  今、長官がおっしゃるようなことだとすれば、先ほど答弁のあった二年前、ODA大綱のことを言っているのかな、ODA大綱があるわけだから、各国は十分、援助を受ける側、途上国は十分知っているわけです、日本ODA大綱は。それとどう違ってくるのですか、業務実施方針というのは。もし、長官がおっしゃったようなことだったら、要らぬじゃないですか、それ。ODA大綱があれば。
  126. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 先ほど私が申したのは、各方面の意見を聞いてと申しておりまして、各国の意見を聞いてということではございません。  ですから、この後御議論があろうかと思いますが、海外経済協力業務運営協議会ですか、いろいろそういった意見を聞いて総裁がお定めになるというふうに考えております。  それで、どういうものがここで定められるかということでございますけれども、先ほど大臣が申しましたように、円借款業務実施における基本的な目標ですとか、この実施方針の期間は何年ぐらいを想定しているかとか、あるいはODA大綱などの政府の政策のあり方とか、そういったものをこの基本方針に定めていただこうということで考えているところでございます。
  127. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どうもはっきりせぬのであれなんですけれども、こればかりやっていたら時間がたつから次に進みますが、結局、ODA大綱という今話が出ました。それに沿って大体決めていくということのようですね、考えてみますと。  そうしますと、ODA大綱、私も賛成できる面は多々あるんですけれども、しかしいい面もあれば悪い面もある。  特に、今度の法律という点で考えますと随分問題が起こるなというものは、ODA大綱の「政府開発援助の効果的実施のための方策」というのがあります。その第九番目に、「政府開発援助と直接投資、貿易が有機的連関を保ちつつ実施され、総体として開発途上国の発展を促進するよう努める。このため、貿易保険、日本輸出入銀行等を通じた民間経済協力との連携強化を図るとともに、民間経済協力の促進を図る。」、こうなっているんです。  これは何かいいように見えるんだけれども、しかし途上国からしたら大きなお世話だということだと思うんです。確かに、日本からの援助を受ける、ODAが供与される。それと自国の経済発展のために、日本民間経済協力、これは貿易とか投融資ですね、名前は経済協力だけれども。日本企業との貿易関係を保つのか、ほかの国から投融資を受けるのか、これはその国の主権に属する問題ですよ。それを日本の側からODA一緒民間経済協力という形で乗り込んでいく。そういうことを総体的に発展させるなんというのは、これは私はおこがましいというか、途上国にとったらさっき言ったように大きなお世話というものだと考えるんです。こういったことについてはもうやめようということになっておったと私は記憶しておるんです。  というのは、七〇年代から八〇年代にかけてインドネシアのアサハン・アルミというのをやりました、大変な国家プロジェクト。これはODAを供与してインフラ整備をした。発電所をつくるし、それから工場地の造成をやった。それと同時に、日本企業団、これはもう銀行からゼネコンから電機メーカー等々、一緒になって投融資したわけです。これのときに、日本企業団の投資については輸銀がほぼ全額融資したわけです。ですから、日本企業銀行はほぼノーリスクで進出した、アサハン・アルミに参加したんです。しかし、これが日本ODA日本企業の利益のためだけにある、途上国のためになっていないという大きな批判を招いた一つの典型的な例だったわけです。そういうことで、こういうやり方はやめましょうということになったはずです。  そうじゃありませんか、長官
  128. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 経済協力というのは、ODAだけではなくて広い意味でのOOF、あるいは民間資金の供与というものは非常に発展途上国のテークオフのためには重要でございますので、委員が今おっしゃったような形にはなっていないというふうに認識をしております。
  129. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どうも私の聞き方が悪いのか聞かれ方が悪いのかわかりませんが、要するに国家プロジェクト方式のような形でODA民間の投融資統合した形で進める、これは途上国から見れば結局は日本企業をもうけさせることになるじゃないかという批判を招いて、たしかああいった国家プロジェクト方式は今はもうとっていないでしょう。  やっていないはずですが、これは現実にやっておられるOECFあるいは経企庁は全部御承知のことと思いますけれども、これは事実問題だからおかしな顔をされても困るんですが、実際にそういう形でやっていないでしょう。
  130. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 今、委員のおっしゃいましたような形のアサハンですとか、中東あるいはほかの国でもございますが、そういったいわゆるナショナルプロジェクト型の援助が最近実績が出ていないというのは事実でございます。
  131. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなっておるんですが、今度の基金輸銀統合ということになりますと、形の上で商業ベースの投融資、それからODAをやる基金、これが一緒にくっついちゃうという形になるわけですから、結局別勘定でやるといっても従来の日本型のODA、批判されておるODA、それの復活だというふうに受け取られても仕方がないんじゃないか。しかも、今度の法律で、さっき言いましたように、その目的、基本に、日本の利益を勘案するということになっているわけですから。  そうなりますと、この二つを統合すると結果はおのずから明らかじゃないかと私は思うんです。つまり、経済援助、経済協力、ODA、これを伸ばしていくために輸銀資金も活用するという方向ではなしに、商業ベースの輸銀のあり方、つまり日本企業の促進、こういったことにODAを利用するという従来のやり方、我々は大企業海外進出への露払いになっているというふうにこれを表現してまいりましたけれども、そういった方向をより強くするということになっていかざるを得ないんじゃないかと思います。  そういった点でこれについては我々は反対なんですけれども、そういう懸念について長官はどうお答えになりますか。
  132. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 過去にそういう例があったことは否定できないかもしれませんけれども、この二つの機構を統一することでそれが必然的になるとは全く考えておりません。  輸銀ベースで行います国際金融の問題と協力開発の問題とは峻別して考えておりまして、これが一緒になって大企業の露払いになるような形にならないように区分は峻別しておりますし、分けるところはきちんと分けて運営させていきたいと考えておりますので、委員が懸念されるようなことは起こらないと思っております。
  133. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 こればかりやっておられませんから次に移ります。  私が懸念しているのは、先ほど言いました業務実施方針、これだって、結局今ずっとやられて現在も続いておる日本ODAの問題というのは、総合商社とかコンサルタント会社、そういったところが途上国の政府、これは残念ながら独裁的なところが多いです。そういったところと癒着した形で、仕組むという言葉が言われておりますけれども、仕組んだものが要請案件としてどんどん上げられてきたということがあるわけです。今度、業務実施方針ということになって、そういう方向がより細分化された形で日本の実態をよりつかんでおる商社やらコンサルタントがまた出かけていって仕組むとなると、ますます途上国をそういった方向でリードすることになるんじゃないのかという懸念があるわけです。  それは、事実今度の法律ではこの目的に、基金法で相手国のためというふうに定めておったものを日本の経済発展のためというものもわざわざ入れたわけですから、それは諸外国から見れば変わったなというふうに思われるのが普通じゃないかと私は思いますよ。その点を指摘しておきたいと思います。  それから、もう一つの新たに加わった業務について伺いたいんですが、これは輸銀関係です。二十三条関連なんですが、そこでは、民間金融機関からの貸付債権の譲り受けができるというふうになっております。何で今このようなことが必要なんでしょうか。  輸銀総裁に伺いますけれども、そういった要請が具体的に輸銀に対して、恐らく日本企業からでしょうけれども、出ているんでしょうか。
  134. 保田博

    参考人保田博君) 新しく国際協力銀行業務といたしまして貸付債権の譲り受けができるという規定が設けられており、そしてそれはどういう目的であるかということにつきましてはけさ方大蔵省の方から御答弁がありましたのでそれに譲りたいと思いますが、そういう要請が本行に対してあったかということについてお答えをいたします。  海外業務から撤退する本邦の金融機関が相次いでおる、あるいはまた海外資産の圧縮を銀行経営上の観点から求められている、そういうことは御承知おきのことだと思います。  その際に、本行と協調融資をいたしました市中金融機関の貸付債権をやはり整理したいという場合が当然あるわけでございますが、銀行の経営譲渡であるとかあるいは債権を他の金融機関に譲渡しようということがなかなか思うようにいかないので、輸銀に対してこれを買い取ってもらえないかというような内々の打診がそのプロジェクトの非常に早い段階においてあったことは事実でございます。しかしながら、御承知のように現在の輸銀法におきましてはそういうことは本行の業務として許されておりませんので、正式の要請が行われるということはございませんでした。
  135. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 よくわかりました。全く今度の法案のねらいがやっぱりそこにあるんだなというふうに私は納得したんです。結局、海外資産の圧縮、あるいは撤退していこう、その際リスクを負って出ていったんだけれども損のないようにしよう、ひとつ輸銀に買ってもらおうと思ったけれども法律上できない、ではひとつ法律を変えてくれよということになったのかなというふうに思うんです。  そこで、今言ったような状況から輸銀の投融資が急増しているというふうに聞いておるんですが、その実態をちょっとお教え願いたいんです。その際、相手国政府への投融資、それから日本の中小企業向け、大企業向け、そういった内訳も一緒にあわせてちょっとお教え願えませんか。承諾状況でいいです。
  136. 保田博

    参考人保田博君) 現在、輸銀全体の業務実績の数字を持ち合わせておりませんが、先生指摘のように本行の融資平成十年度におきまして承諾ベースで大変大きな伸びを示しました。それは一つには一昨年来のアジア通貨危機に直面しましたアジア諸国のマクロ経済の安定のために、そしてそこで事業をしております本邦企業資金繰りが非常に悪化していることを救うためにということでございます。  ただいま数字が参りました。  承諾ベースでいいますと、平成十年度三兆五千三百四十八億円でございまして、前年度に比べまして七七%の増加ということでございます。そのうち、特にお尋ねがございました投資金融でございますが、投資金融は一兆五千七百六十八億円でございまして、これも七六%の増加ということになっております。ただ、この投資金融の中には本邦の資源開発のための投資というやや特殊なものがございますので、そういうものを除きまして一般的な投資金融ということでございますと一兆三千八百六十三億円で、前年度に対して一一四%増、約二・一倍の金額になっております。そのうち、中小企業向けの投資金融でございますが、件数で二百二十七件、金額にして五百二十九億円ということになっております。
  137. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと昨日いただいた数字と変わっているので、また訂正されたのかなと思うんですが、投融資全体で平成九年度が六千四百七十五億円、十年度が今言われた一兆五千七百六十八億円ということで、三倍ぐらい、二・何倍になっているんですか、それから中堅中小企業向け投融資が九年度が十五億円で平成十年度五百二十九億円というふうに伺ったんだけれども、これは間違いですか。
  138. 保田博

    参考人保田博君) 中小企業向けの投資金融の数字は、先ほど申し上げましたように平成十年度は件数で二百二十七件、金額で五百二十九億円であります。その前年度は九件で十五億円でございますから、これは非常に大きな伸びであります。  ただこれは、平成九年度はアジアにおける通貨危機というようなことで本邦からの企業投資が非常に停滞した特殊な年であります。それと比べまして、通常でもそれよりもはるかに大きいのが当たり前なのでありますが、それに加えまして平成十年度はアジアに展開する企業の貸し渋りに伴う資金繰り難を救済するための投資金融が中小企業向けにも非常に大きくなった、このように御理解をいただきたいと思います。
  139. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 中小企業にはほとんど融資していないんです。中小企業の投融資というのは非常に少ないんです。その点でははっきりしています。一兆五千七百六十八億のうち五百二十九億なんですから、平成十年度で。九年度では六千四百七十五億のうちの十五億円、これはほとんどもう九九%が大企業向けの投融資なんです、輸銀の場合。  これが実態だということを押さえた上で考えるんですが、結局今度の法案で、先ほど打診があったという話があったけれども、進出先で経営が思わしくない、あるいは銀行の貸し渋りに遭ってなかなか資金が調達できないということがあるので撤退する、それの肩がわりをしてやろうということになるわけです、輸銀が。午前中でしたか、モラルハザードの話がありました。最貧途上国に対する借金の棒引き、これは結局モラルハザードにつながるというふうなあれもあったんですけれども、それはそれ、今度の銀行支援についてはモラルハザードも何も考えない、ともかく助けてやろうという感じになっているし、進出企業融資にしたところで、少なくともこれは民間企業自分がもうけようと思って進出したわけで、当然自分リスクを負って仕事をしなきゃいかぬ、銀行についてもしかりです。それがぐあいが悪くなったらもう協調融資しておった輸銀に助けてくれということでは、これは全くおかしいんじゃないか。しかも、今度、国際協力銀行はいろいろ資金調達方法もある云々と言っておりますけれども、結局これがぐあいが悪くなったら、焦げついてくると最終的には公的資金での支援ということにもなりかねないわけです。こういったことになるおそれが多分にあるんじゃないか、結局そういうしりぬぐいのための今度の法律ということになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  140. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 委員指摘の点は二つあったと思いますが、一つは、最近非常に投資金融がふえているわけでございますが、これが現地に進出し、あるいは進出していた企業金融資金繰りが日本金融機関の貸し渋りの影響で難しくなった部分に対して相当な融資の増加になっている、それがどうかという点と、もう一つは、新しくこの法律国際協力銀行が協調融資に参加した金融機関の債権を譲り受けるということはどうかということだと思いますが、この両者は御承知のように別の問題、別の観点のことかと思います。  前者は、あくまでもそういった海外に進出している企業資金繰りが日本銀行のいわば貸し渋りによって非常に難しくなっているというときに、政策金融機関としての輸出入銀行投資金融を増加させたということで、これ自体は民業の補完としての輸出入銀行の適正な業務の拡大であったと思います。  後者のもう一つの、今度新しく法律で協力銀行民間銀行から債権の譲り受けを受けるということを認めることはいかがか、こういうことだと思いますが、この点につきましては、前から申し上げていますとおり幾つかの歯どめがあるわけでございます。  まず第一に、民間金融機関が協調融資をしている場合、あるいはしていない場合でもありますけれども、既存の債権をセカンダリーマーケットで売るということはよくあることでございますが、この新しい協力銀行がそういうものを自在に買うということはできないわけでございます。あくまでも経済協力的な意味があって、輸出入銀行民間銀行と協調融資をしている、そういうものについて今申し上げたような民間銀行の債権の譲り受けが受けられるということでございます。  それから二番目には、当然でございますけれども、法律第二十五条三項の償還確実性の原則というのは新しい融資と同様にかぶってくるわけでございますので、当然のことながら譲り受けを行うに当たっては、貸し付けの場合と同様に借り受け人の信用力や対象事業について十分な審査を行っていくということになるわけでございます。  何度も申し上げますが、債権の譲り受けという話は、借り受け人についての何かというよりも、むしろ協調融資をしている銀行海外業務からの撤退等がある場合に債権の譲り受けができるということで、あくまでも償還確実性の原則にのっとった範囲内での譲り受けであるということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
  141. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 債権回収に関しては償還確実性の原則云々と言いますが、これはこれでまた後で私は問題にしたいと思っておったんですが、結局先ほど話があったように、ぐあいが悪くなった、それで撤収するんだということで、それで貸付債権を引き取ってください、こういう話でしょう。これをどんどん引き受けていったら輸銀はどうなるんですか。本来、みずからのリスクで進出しているんだから、撤退するときには協調融資をしているほかの民間銀行に引き取ってもらう。それができなければ自分が損切りするしかないでしょう。それぐらいのものであっていいはずなんだけれども、自分は全く損をしないで、政府金融機関、つまり国際協力銀行に買ってもらいましょうと。これは虫がよ過ぎるのじゃないですか。  これでは結局、先ほどのモラルハザード、大蔵大臣に伺いたいんだけれども、これこそモラルハザードと言うのじゃないですか。
  142. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 一般的に、何でも債権の譲り受けを受けるということになった場合には、運用のあり方いかんによっては御指摘のような懸念もないわけではございません。したがいまして、何回も申し上げますとおり、この件については幾つかの歯どめがあるわけでございます。しかも、借りている人、借入人の信用力とかあるいは対象事業が問題だから、つまり債権の内容が悪化したから譲り受けるということではございませんで、そういうものは譲り受けられないわけでございます。  債権者側の銀行がいろいろな事情、例えば自己資本比率規制の観点とか何かから海外業務からの撤退を余儀なくされるといった事情等、そういう場合に輸銀と申しますか、新しい銀行民間金融機関が協調融資している部分について債権の譲り受けを受けられるということでございますので、あくまでも劣化した債権を引き取るというものではございません。
  143. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 同じことを余り繰り返さないようにしてください。一回聞いたらわかるんだから。  要するに、劣化した債権を引き受けるものではないと言うんだけれども、それでは撤退するときに、A、B、C、Dと協調銀行があったと。Aが撤退すると、B、C、Dは引き受けない。何で引き受けないのか。これを引き受けたのでは危ないからです。そうでしょう。引き受けてくれない、だから国際協力銀行に買い取ってもらう、こういうことになるわけです。  だから、何か知らぬけれども、償還確実性の原則があるから大丈夫ですと言うけれども、では今まで輸銀がどの程度貸出先について情報があったのか、これは輸銀のやり方を見たら全部あれですよ。幹事銀行が協調融資をお願いしますと持ってくるのだけれども、そのときに、銀行が一応全部相手先の個人情報等々も調べて、信用度等も調べて、それで持ってきて、それでもってそれをオーケーしてやるというのが今までのやり方です。  実際、先ほどの話もあったけれども、そんなに人手がないんです、輸銀にしても基金にしても。それだけの情報量を持っていない。その中でこういうことをやっているわけですから、原則はあるにしたって、それが原則として償還確実性とはなり得ていないわけです。今さっき言ったように、もし本当に確実に返ってくるのだったら、みんなそれでは肩がわりしましょうということになります。そうならないのが現実だからこういう問題が起こっているのでしょう。  それで、時間がなくなってきたのでもう一つあれしますけれども、協調融資、協調融資と言うから幾つもの銀行がいっぱいあるように聞こえるけれども、例えば一つしかない、Aという銀行輸銀が協調融資している例というのは従来いっぱいあります、たくさんあります。この場合、この銀行が撤退するようになったらどうなるんですか。今度は全部国際協力銀行が引き受けるということになるんですか。
  144. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、償還確実性の原則その他必要な要件がございますが、その要件に従って譲り受けを行うことができるということで、必ずそういう場合には譲り受けなければならないというものではございません。
  145. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、例えば一社の場合だったら、それでもってつぶれたら引き揚げちゃう、引き揚げますよということになると、肩がわりもできない。その銀行は、相手さんではなしにまさに銀行そのものが、例の大和銀行のように海外業務展開をやめましたということで引き揚げるということになればどうなるんですか。にっちもさっちもいかなくなるんじゃないですか。結果的には、何だかんだ言いながら国際協力銀行が引き受けざるを得ないということになるんでしょう。一〇〇%しょっちゃうということになるじゃないですか。
  146. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 繰り返しになって恐縮でございますが、この法律二十五条第三項に償還確実性の原則というのがございますし、それから先ほど申し上げたような幾つかの歯どめがあるわけでございます。そのもとで御懸念のようなことのないように適正な運営を図らなければならないというふうに思っております。
  147. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 償還確実性の原則というのは、今度の法律で初めて生まれたものじゃないでしょう。従来の輸銀にもあったでしょう。輸銀では全部返ってきているんですか。焦げつきはないですか、あるでしょう。
  148. 保田博

    参考人保田博君) 輸銀は五十年の歴史を持っておりますけれども、現在までに返済の繰り延べ等の措置をとったものはございますけれども、貸し倒れによってこれを償却せざるを得なかったということはございませんでした。
  149. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いわゆるリスク管理債権を含む不良債権を私が伺ったところ、大体三千億という答えを一昨日いただいたんだけれども、これはうそですか。
  150. 保田博

    参考人保田博君) ちょっと聞き取りにくかったのですが、三千億というのは輸銀のことでございますか。
  151. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうです。リスク管理債権一千二百四十三億円を含んで。
  152. 保田博

    参考人保田博君) 私は、残念ながら三千億円という不良債権の数字は今初めて耳にいたします。
  153. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 リスク管理債権は。千二百四十三億円というのは。  もういいです、時間がありませんから。  ともかく、ちょっといいかげんだと思います。あなた、こんな数字はおととい聞いているのだから、ちゃんと下からも上がっていっているはずだから、質問通告もしているんだから。そういう点でちょっと、もし教えていただいた数字が違うとすれば別ですよ、違うとすれば。これは本当だろうと思います。  そこで、時間が来ましたのでこれで終わりにしますけれども、今までの協調融資輸銀が引き受けている融資の割合が大体六割から七割というふうに伺っているんです。そうすると、今度の国際協力銀行で上限をどの程度に設定されるか知らぬけれども、先ほど言ったような形で進んでいけば、結局は銀行海外での不始末を、あるいはもうけようと思って行ったんだけれどもうまくいかぬから撤退するというものについて、政府金融機関がしりぬぐいする、国際協力銀行がしりぬぐいする、そういうことになるんですよ。  それで、そのツケがますますたまってきたときにどうなるのか。結局、国民にそのツケが回ってくる要素があるじゃないかという点で、こういった国際協力銀行の新たにつけ加えられた二点の業務というものについては非常に問題があるということを指摘して終わりますが、最後に大蔵大臣、もし何らかの御感想があれば聞かせていただきたいと思います。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっと最後の数字のことがよく私にわかりかねましたし、なおよく私からも聞いておくことにいたします。
  155. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  情報公開の視点から数点お伺いを申し上げます。  まず、法案第二十二条が規定する海外経済協力業務運営協議会についてお伺いいたします。  現在の基金においても、法案に定められているのと同様な関係行政機関が協議する会議が開催されていますが、現在の運営協議会や運営協議会幹事会の設置目的及び開催実績はどのようになっていたのか、その点をお伺いいたします。  また、OECFに関する政策決定を行う会議は、これら運営協議会、運営協議会幹事会のほかにどのような会議が関係省庁等において開催されているのでしょうか。  そして、これらODAに関する政策決定にかかわる会議について、議事録あるいは議事要旨の作成、そしてこの会議の内容についてどのような情報公開が行われているか、経済企画庁長官にお伺いいたします。
  156. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 現在の海外経済協力基金法におきますところの運営協議会でございますが、この役割でございますけれども、基金総裁の諮問に応じまして基金業務運営に関する重要事項で関係行政機関の所掌事務と密接な関係があるものについて審議することとなっております。  このメンバーでございますが、関係十省庁の事務次官をメンバーといたしまして、議題につきましては概算要求時ですとかあるいは年次活動報告、こういったものにつきまして年に一回ないし二回開催をしているところでございます。  なお、この運営協議会を補佐する機関として幹事会というのが下部組織でございまして、それににつきましても年に二回程度開催をしているところでございます。  この運営協議会の議事録の公開の問題でございますが、現在は非公開とされているところでございます。  なお、新銀行におきましては、近年の情報公開の推進の趣旨にもかんがみまして、情報公開をどうやって行っていくかということにつきまして検討していきたいというふうに考えております。
  157. 三重野栄子

    三重野栄子君 そういたしますと、今まで議事録が非公開であったということで、今後検討していきたいということでございますが、それだけのことしかないでしょうか。もう少し細かい内容はございませんか、検討したいという中身につきまして。
  158. 河出英治

    政府委員(河出英治君) これは、まさに新銀行ができましてから新総裁のもとでどういうメンバーにするかということもまた議論しながら決めていくものでございますので、ただいま委員がおっしゃいましたような視点を入れながら情報公開につきましても考えていきたいということでございます。
  159. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、現在審議中の情報公開法案は、行政文書の管理に関する基準を定めて開示する義務を行政機関の長に課しております。ただし、対外関係に関する文書については、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあると行政機関の長が認めることについて相当の理由があれば除外されることとなっております。ですから、今まで非公開だったのかもわかりませんけれども、それとは関係ないかもわかりません。  相当の理由があるかどうかについては最終的には司法の場で判断されることになりますが、相手国政府に対する外交的配慮を行いながら、我が国及び相手国の国民的な理解を得るためにはNGOとも連携し、当該援助の必要性について情報公開を行っていくことが必要であると私は考えています。  また、ODAにまつわる不祥事件というものがしばしば話題になります。特にことしはもう何回も出ておりますけれども、最近では、インドネシア向けの円借款事業を受注した日本企業相手国公務員へのリベートを支払い、それが国税当局から受注工作費と認定されて追徴課税される事態が相次いでおります。  今回の事件を受けて、建設省では既に外国公務員への利益供与を禁止している不正競争防止法を守るようゼネコン各社に注意したということでございます。また、国税当局もこの十数年来税務調査の中で受注企業がリベートを経費として不正処理していることを繰り返し指摘していたことも報道されています。このたび、インドネシアからも外交ルートを通じて日本側に資料提供を求めるという方針も伝えられているところでございます。  まず、国税当局及び大蔵大臣はこの実態をどのように認識しておられるか伺うとともに、このような我が国ODA資金の使途について会計検査院は調査を行うべきであると考えますけれども、大変長くなりましたが、この点につきましてお伺いをいたします。
  160. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 国税当局のサイドからお答えさせていただきます。  そういう報道があったことは我々ももちろん承知しておりますが、ただ、今お尋ねの件は個別にわたる事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、法人が取引の円滑化を図ることを目的といたしまして、その事業関係者等に対する接待、供応、慰安、贈答等の行為のために支出する費用につきましては、税務上交際費として取り扱われることになります。したがいまして、原則として損金の額に算入されないことになるというわけであります。  いずれにしましても、国税当局としましては、あらゆる機会を通じまして資料、情報の収集に努めまして、課税上問題があると認められる場合には調査を行うなどにより適正な課税の実現に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  161. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘の件につきましては、新聞報道を通じて私も承知しております。本件につきましては、現在、外交ルート等を通じまして事実関係の確認を急いでいるところでございます。  なお、報道のあった円借款案件に関する入札、調達契約については、海外経済協力基金の調達ガイドラインにのっとり適切な手続の上で行われていることはそのようでございます。  いずれにいたしましても、円借款の適切かつ効果的な実施は極めて重要な課題と認識しておりますので、手続の透明性の確保等、今後一層の努力をしていきたいと考えております。
  162. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  この件につきましては、現在、OECF関係機関が事実関係につきまして調査中でございます。  会計検査院といたしましては、その結果を待ちまして検討してまいりたいと思っております。
  163. 三重野栄子

    三重野栄子君 それぞれの担当のところで常時御努力をしておりましたでしょうけれども、こういうことが起こるということは大変残念でございまして、特に外国とのかかわりにつきましては国民も大変関心を持っておりますので、この結果につきましてもできるだけ早くお調べいただきまして、何らかの善良な政策がとられるように御要望をいたします。  次に、世界銀行は、このような被援助国の腐敗に対しまして、汚職など腐敗が蔓延した国に対する開発援助費は通常の三倍以上かかる、あるいは国際金融秩序の再構築の青写真が最良であったとしても汚職など構造的腐敗に満ちた経済を救済することはできないと、その解消に全力を尽くす考えを明らかにし、インドネシア向け融資を延期する措置をとっています。さらに世銀は、融資の使い道を監視する新しい仕組みをつくることで政府と合意しない限り融資を実行しない考えと、これも伝えられています。  ODAにまつわる不祥事件を受けて、円借款事業の量ではなく質を問うべきであるという批判も高まっておりますので、基金総裁及び基金を監督しておられる両大臣は、今回のリベート事件に対処してどのように制度を改善していけばいいかということにつきまして、今起こっていることをどうするかというのではなくて、これを契機にいたしましてどのように改善すべきであるかということでのお考えを伺いたいと思います。
  164. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 一般的な御説明になると思いますが、円借款におきまして調達の責任は相手国政府にまずあるということでございますが、私どもの基金といたしましても、資金の効率的な利用を図る、その適正を期する、そういった観点から、事業費積算、調達あるいは貸し付け、各段階で必要なチェックに既に努めてきておるところでございますが、今後ともこの厳しい方針は緩めないわけでございます。そして、現実の資機材、役務の調達段階では、私ども、先ほどお話がございましたOECF調達ガイドラインに沿って調達が適正に実施されているかチェックを繰り返しておるところでございます。  円借款の調達は、国際一般競争入札、これを原則としておりますから、競争の結果として実際の調達においては必ずや合理的な価格が形成されるものというふうに考えてまいりましたし、今後ともその方針を続けてまいりたいと思います。そして、実際に私どもからお金を出すという貸し付けの実行に当たりましても、借款契約上義務づけられました必要な証憑書類の徴求、具体的に証憑書類を私どもに送らせまして、それをチェックいたしまして資金使途の確認を行った上で貸し付けを行う、この方針も今後とも維持してまいるつもりでございます。  それから、今の腐敗防止の観点から、仮に不適正な調達あるいは貸付実行請求書類の虚偽記載、こういったことが明らかになりました場合には、現在の借款契約におきましては借款の該当部分の取り消しとか一部分ないし全体の繰り上げ償還といったような必要な措置がとれることとなっておりまして、いわゆるリベート等不正行為を防止する仕組みとなっているわけでございます。  今申し上げましたように、チェックシステムは開発途上国側がなかなかそれに習熟するのが大変だというぐらいかなり厳しくしておるのでございますが、現実問題としていろいろな報道がなされるといったようなことにつきましては、それぞれのケースを具体的に調べるほかはないと思います。仮に不正行為が明らかになりました場合の当該企業に対する制裁措置については、これは調達契約の当事者たる借入国の方で当然判断、決定すべきことでございまして、私どもが直接制裁措置的なことに乗り出すということは現在の借款契約上の明確な根拠はないのでございます。  しかし、今後は、もしそういうことで具体的に明らかになりました場合は、借入国とも十分協議の上、円借款受注企業の不正行為が客観的に立証される場合には、私どもOECFも直接必要な制裁措置がとり得るように、またとり得るかどうかということでございますが、この点、改めて検討させていただきたいと思っております。
  165. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今回のような報道がなされましたことについてまことに遺憾に思っておりますが、国民の貴重な税金を用いて援助を行う以上、援助が適正かつ効率的に実施されねばならない、そして被援助国に真に役立つ効果的な支援が行われねばならないと思っております。  こうした観点から、九八年度から円借款に係る交換公文に反汚職条項を導入するなど、不正防止チェック手続をとっているところでございます。さらに、本年二月からは不正競争防止法が実施され、外国公務員等に対する贈収賄も禁止するというようなことをやっております。  本件につきましては、事実関係を確認する必要がございまして、政府といたしまして円借款が適切かつ効果的に実施されるように一層の努力をしていく所存でございますけれども、まず、この報道された件につきましては、事実関係をしっかりしてからまた御報告申し上げたいと思っております。
  166. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  私もアジアのある国の、小さな国ですけれども、皆さんからお金をいただいてカンパをいただいて、小学校とか中学校、ボランティアでやっているんですけれども、そういうことを伺っておりますから、確実に計画書そして契約書をもらって、それからお金を持っていって、できたらば翌年必ず、その翌年もまた行くというようなことをやっているんです。政府は大変だろうと思いますけれども、今大変細かく伺いまして、ありがとうございました。  このような不明朗な資金の流れを断つにはいろいろ方法はあると思いますけれども、ODA業務に関する会計検査院による検査の充実とともに、情報公開の促進がやっぱり必要であると考えます。特殊法人の情報公開については、衆議院における情報公開法案の修正によりまして、二年をめどに法制化することが規定されております。  今般の国際協力銀行法第十九条には、新たに役員及び職員に対して罰則つきの守秘義務が課されております。もちろん金融機関としての守秘義務の必要性も一定の範囲において理解できるところです。しかし、財政融資の対象機関として、新銀行には各案件の出融資決定過程、その使途及び機関としての財務の状況について、さらなる情報公開の必要があると考えます。  今も幾らかお話しいただきましたけれども、経済協力基金あるいは日本輸出入銀行総裁もそれぞれおいででございますから、今までの経験も伺いながら、これからの問題についてお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
  167. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 国際協力銀行業務情報公開については、政府機関の一員でございますので、情報公開に関する全体的な方針を踏まえまして積極的に取り組んでいきたいと考えております。  財務状況については、決算報告書、財務諸表等の公開を義務づけるとともに、役員の給与等の支給の基準につきましても、昨今の特殊法人の運営の透明性に関する関心の高まりにこたえて、広く公開することにしております。  また、出資融資状況につきましては、現在、両機関において年次報告書をまとめ、インターネット上のホームページを開設する等積極的に情報の公開を行っておりまして、国際協力銀行においてもこのような積極的な情報提供を継続し、業務に関する国民全体の一層の理解が得られるように努めたいと考えております。  特に円借款の供与につきましては、より一層国民の理解と支持が得られますように、供与国たる我が国の存在をより明らかにすべく、国際協力銀行海外経済協力業務実施方針を作成させましてこれを公表することとし、それによってより一層業務内容の明確化をしていきたいと考えております。  インターネットなど、いろいろと新しい機器を利用することも考えておりますので、ごらんいただければと思います。
  168. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変ありがとうございました。  質問は以上でございますが、要望を一つしたいと思います。  先ほど、広中議員からもございましたけれども、もう一つの問題として職員の積極的な人材育成という点につきまして、小説家でもいいと。どなたでもいいかもわかりませんけれども、初め採用されてずっとそこの場で働いてこられた方を、一生懸命に勉強し努力してこられた方もたくさんいると思いますから、そういう方々の能力も生かしたような人材育成それから登用、登用というか採用していく、そういう点の御努力を新銀行におきましてはぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  169. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 国際協力銀行法案の目的を達成するために、経済協力に関する専門的な知見とノウハウ組織及び業務運営に十分反映されるよう積極的に人材を養成していかなければいけないと考えております。特に、現地語、現地習慣等もございますので、そういう点を含めて人材を育成するということが必要だと思っております。  総裁につきましては総理大臣が任命することになっておりますけれども、プロパーの職員の登用につきましては、有能な人材の育成、活用の観点から配慮がなされるものと考えております。  特に、この二つの機関一緒になりました場合、ノウハウあるいはそれぞれの知識の蓄積、そういった科学技術の面というよりもプロジェクトをつくる文系の知識というのが非常に重要になっておりまして、これは日本の弱点の一つにもなっております。そういった意味で、大いにプロパー職員といいますか地域の専門家を育てていきたいと思っております。  幹部職員につきましては、これまで特殊法人において国家公務員出身者の役員の数を抑制するなどいろいろなことをやってまいりました。そういうことも踏まえてこれから適切な人選をやらせていただきたいと考えている次第であります。
  170. 三重野栄子

    三重野栄子君 ありがとうございました。  終わります。
  171. 星野朋市

    星野朋市君 私は、本題に入ります前に、このたびの国民銀行の問題について若干質問をさせていただきます。  金融再生委員会が、先日、十一日に国民銀行をブリッジバンク形態に移すという御決定をなされたのでありますが、日銀の某理事が、既に国民銀行の日銀考査において、昨年の六月から八月にかけて、これは資産内容が相当悪化しておって、資金繰りの問題ともあわせ現在の状況を示唆するような発言をしていると報道されておりますけれども、再生委員会はそのことについては御存じだったのでしょうか。
  172. 森昭治

    政府委員(森昭治君) 再生委員会としてはそのようなことは報告を受けておりません。
  173. 星野朋市

    星野朋市君 私は、昨年の秋の臨時国会の予算委員会で、長銀は債務超過かという質問を一言やって、日野長官から債務超過とは聞いておりませんという返事をもらって、何だ、実際あけてみたら債務超過だったではないかと。そういう食言的なことを聞いているんですね。  今度の問題も、第二地銀の一部に相当問題ありということが前から言われておった。特に、バブル期に第二地銀は、都市型の第二地銀というのは貸し先がなく不動産にかなりのめり込んだという事実があるわけですから、そこら辺は実際に調べてみなけりゃわからない式だけでなくて、想定される中でどうだったかということは専門家なら当然わかるわけですよ。  だから、聞いていないとかそういうことではなくて、そういうことが想定されていて検査に入ったのかどうか、そこはもう一回お聞きしますけれども、どうですか。
  174. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) まず、昨年の長銀に関します日野長官の答弁でございますが、これは、その当時明らかになっておりました三月期の決算あるいは日銀考査の結果などに基づきますと債務超過というような情報にはなっていないということをお答え申し上げたというふうに私は理解をしております。  国民銀行につきましては、昨年の九月期あるいは三月期、これらの決算につきまして国民銀行が自己査定、そして償却引き当てを監査人と相談して行い、同時に外部監査を受けるということで出してまいりました決算が資産超過という形で出てきておりまして、当局といたしましては、その時点で国民銀行が債務超過であるというような認識は持っておりませんでした。  一月十九日に至りまして、ここへ立入検査をするということで、これは自己査定の初めての年度でありますから、主要行、地銀、第二地銀、すべてについて一度検査をしてみようということで集中検査に入りました。その一環として検査に入ってみましたところ、十年九月期におきましては追加償却引き当てが大量に必要であって債務超過の状態にあるということが明らかになったわけでございまして、検査に入る前の段階で資産超過であるという決算の情報以外の情報を持っておったわけではございません。
  175. 星野朋市

    星野朋市君 国民銀行をブリッジバンク形態にした理由、それをちょっとお聞かせください。
  176. 森昭治

    政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。  金融再生法上の破綻処理の制度といたしましては、金融整理管財人による管理処分というほかに、すなわちこれがブリッジバンク方式でございますけれども、そのほかに特別公的管理という方式もございます。  国民銀行の破綻処理に当たりましては、当委員会におきまして法律の規定に照らして検討をしました結果、国民銀行の規模等を踏まえれば特別公的管理で対応すべき事案とは考えられず、金融整理管財人による管理を命ずる処分による対応が適当であるという結論に達しまして、そのように議決した次第でございます。
  177. 星野朋市

    星野朋市君 この問題、いつかもう一回詳しくやりたいと思うんですが、先ほども私が申し上げましたとおり、第二地銀、しかも都市型の第二地銀というのはバブル期に貸出先がなかった、それで当然不動産その他にのめり込んだという事実がございます。金融監督庁のこれはカテゴリーだと思いますけれども、これからそこら辺の問題というのが続々と出てくる可能性もある。また、いわゆるペイオフの問題とも絡んで、体力の弱くなった第二地銀の問題というのがこれからやっぱり一つの大きな問題になると思います。  金融監督庁は、この問題についてやはりしっかりとした検査、それから問題が起こったら素早く措置をする、先延ばしにしておくと資産劣化というのがますます起こる、こういうことを身をもって示していただきたいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。
  178. 乾文男

    政府委員(乾文男君) 地銀、第二地銀を含めました地域の金融機関を取り巻く環境も、バブル経済の後のいろいろな資産価値の低下等を反映いたしまして、また長期にわたる景気の低迷等を反映いたしまして、いろいろな面で苦戦をしているという状況は一般的に見られるわけでございますけれども、そうした中で不良債権の早期処理ということが喫緊の課題という意識は私どもも強くしておりますし、銀行自体もそういう問題意識を持って現時点で積極的に取り組んでいるところというふうに認識しております。  また、金融システム改革が進んでまいります中で、収益性を高めて金融機関経営の健全性を確保していくということは、これは我が国金融システムの安定のために非常に重要なことでございまして、そうした観点から今後とも一層の経営合理化、効率化というものを求めていきたいと思います。  ただいま先生指摘になりました適正な措置を講ずるようにということは全く私ども同感でございまして、検査あるいは銀行側からの決算に基づきまして一定の状況を把握しました場合には、例えば昨年の四月から導入されました早期是正措置等によりまして的確な措置というものを講じて、早期に金融機関の健全性が回復されるようなことを念頭に置きまして十分努力してまいりたいというふうに考えます。
  179. 星野朋市

    星野朋市君 国際協力銀行法案について若干の質問をさせていただきます。  今度、輸出入銀行海外経済協力基金一緒になりますと、貸出規模で輸出入銀行が約十兆、それから協力基金が九兆数千億ですか、両方合わせて約二十兆近い貸し出しを持つ巨大銀行が誕生するわけです。これは、政府系の金融機関でも特別な住宅金融公庫を除くと、開発銀行の十六兆を上回って最大になるわけですね。そうすると、約二十兆の貸し出しを持った都市銀行というのはどこら辺が想定されるのか、またはどことどこを合併したぐらいの規模のものが想定されるのか、ちょっとお答えいただきたいと思うんです。
  180. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 本二行が統合いたしますと、平成九年末で十九兆円を上回るほどになります。もっとも、これと同じときに開発銀行の方も合併いたしますので十八兆弱、大体似たような、少し大きいぐらいになります。これを民間銀行と比べますと、大体、東海銀行が二十兆、あさひ銀行が二十一兆、富士銀行になりますと三十一兆というような数字でございますから、いわゆる都銀の下位ぐらいに当たるほどの金額、額だけで言いますとそのぐらいになります。
  181. 星野朋市

    星野朋市君 もちろんカテゴリーが違いますので、単に貸出規模だけでどのぐらいかというおおよそのあれをお尋ねしたわけでございます。  それで、海外協力基金の方は円借款でございますけれども、輸出入銀行でも円ベースでの貸し出しというのがあると思います。これはどのぐらいになりますか。
  182. 保田博

    参考人保田博君) むしろ円建ての融資が本行の建前でございまして、平成十年度で申しますと、融資額の五六%が円建て、残りの四四%がドルを中心とする外貨建て、こういうことになっております。
  183. 星野朋市

    星野朋市君 これは、宮澤大蔵大臣なんかはしばしば東南アジアへお出かけになって、多少は各国から苦情的なことをお聞きになっていると思うんですけれども、要するに円建ての借款をしたことによって、円が高くなったときに、その国がどれだけ多くの負担をして返済をしなくちゃならないかということの問題が起こると思うんです。  そうすると、大体輸銀もそれから協力基金も今までどのくらい、いろいろありますけれども、円は結局今は百二十円ぐらいのボックスで落ちついていますけれども、ずっと高くなってきたわけですよ。ですから、恐らく貸し出しをしたときのレートはもう少し安くて現在は高い、こういう状態だと思うんですが、それはどのぐらいだとお考えになりますか。
  184. 保田博

    参考人保田博君) 具体的な数字を今持ち合わせておりませんけれども、本行の平均貸付期間が七、八年でございますから、七、八年前と現在とを比べますと確かに円高になっておると思います。その分だけ実質的な借入人の負担は高くなっているかとは思いますけれども、一方で金利が低いとかいろいろございますので、ひとつその辺は総合して御勘案をいただきたいなというふうに考えています。
  185. 星野朋市

    星野朋市君 これは東南アジアそれから中南米なんかもしかりなんですが、円高になるだけではなくて、現地通貨ドルに対してみんな安くなっちゃうんですよ。大体今までの傾向はそういう形ですね。だから、ドルは円に対してドル安になるといっても、彼らはバスケット方式でやればちっともドルの価値は変わらないということになりますけれども、特に東南アジアそれから中南米、ドルにリンクしている国の通貨は安くなっている。そこで二重の負担が起こるというのが通例なんですね。ここら辺までお考えですか。
  186. 保田博

    参考人保田博君) いずれにいたしましても、為替の変動が避けられないものといたしますと、そのリスクは借入人か貸付人か、どちらかが結果としては負わなければならないんだと思います。ただ、本行としましては、やはり財務の健全性を要求される銀行でもございますから、為替リスクを借入人のために負担するというわけにはまいりませんので、貸付原資はできるだけ外貨建てにするとかスワップとか、リスク回避の手だてをいろいろ講じているわけでございます。
  187. 星野朋市

    星野朋市君 資料によりますと、輸銀の滞り債権、私はあえて滞り債権と言うんですけれども、これは約一千億、それから海外協力基金の方は当然もう少し多くて三千八百億円ぐらいありますが、一九九七年の秋以降に起こった東南アジア通貨危機でこの滞り債権というのはふえたでしょうか。それとも、彼ら現地は要するに必死になってこれを返済履行したか、そこら辺の状況はどうでございますか。
  188. 保田博

    参考人保田博君) 一昨年来、アジアの諸国が通貨危機に苦しんでおるわけでございますけれども、本行に対する返済の延滞というものはございません。まじめに返していただいております。
  189. 星野朋市

    星野朋市君 協力基金の方はいかがですか。
  190. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) アジア通貨危機国、すなわちタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、韓国と、こう規定してみますと、それらの国からの返済がおくれているという事実は特にございません。
  191. 星野朋市

    星野朋市君 これとは直接は関係ないのですが、先日も宮澤大蔵大臣に私は貿易の問題とそれから円建て貿易の比率の問題、数字を示して、これはフローの面で円の国際化促進という問題についてお聞きしましたけれども、ストックもしくは金融の面においてやはりこれからの問題として円の国際化というものをどうやって進めていくか、または今がそういう一つの促進の時期ではないかと。日本のマーケットもかなり国際水準並みになってフリーになったわけですから、やはりフロー、ストックの面両方から円の国際化というのを今強力に進めるべきだという私は持論を持っているのですが、堺屋長官、どんなお考えをお持ちかお聞かせ願いたいと思います。
  192. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 円の国際化問題につきましては、国際市場においては一般の市場とは逆に良貨が悪貨を駆逐するというような状況がございまして、やはり使いやすい通貨でないと使われないということがございます。その意味で、日本通貨もかなり規制緩和その他で使いやすくしてまいりまして、日本通貨をなるべく多くの国々に外貨保有あるいは決済に使っていただくように努めているところでございまして、重要な課題だと考えております。  円の国際化については、政府といたしましてもこれを推進するようにしておりまして、我が国の短期市場の厚みを増すというようなマーケット政策の方でも考えていく必要があろうかと思います。海外投資家が我が国の国債などにも投資をしていただくような仕組みを具体的に取りまとめていきたいというのが基本的な方針でございます。
  193. 星野朋市

    星野朋市君 時間ですから、終わります。
  194. 菅川健二

    ○菅川健二君 輸銀海外経済協力基金統合につきまして、これまでいろいろ議論があったわけでございますが、総じて言いますと、この両行の縁組というのは当事者にとってもあるいは両親にとっても仲人にとっても嫌々ながらの縁組ではないかという感じが率直にいたしたわけでございます。  私は、三月二日の参議院の予算委員会におきまして、宮澤大蔵大臣にこの両行の統合について御質問をいたしたわけでございますが、その記録を見ますと、「これが一緒になる問題は対外的に見ますと、両行とも非常にいい仕事をしていて、片方はいろいろ投資やなにかしていますし、片方は援助でございますから、日本のイメージとしてはなかなかよかったと私は実は思っておりました。」と。おりましたと申しますとこれは過去でして、今ここにおりますからという答弁になっておられるわけでございます。これを解釈しますと、前の内閣がつまらぬことをやってくれたものだから、自分としては嫌だけれども大蔵大臣としての立場として一応こういう法案を出したのですよというふうにとらえられるわけでございます。  いずれにしても、統合ということが既定事実になりつつあるわけでございますので、ひとつこの際、記録に残す意味で本音を語っていただきたいと思います。
  195. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) たまたま私は輸出入銀行が発足いたしましたときに関係いたしましたし、その後、輸出入銀行基金との間で各省庁いろいろございました。私は、たまたま外務、大蔵、通産、経済企画庁、全部務めましたものですから、この問題についてほぼ公平な見方をできる立場にあると思っておるのですが、とにかくすみ分けがようやくできてうまく動くようになったということは思っておりました。  ただ、すみ分けをするということは違いを分けるということでございますから、それだけ共通部分もあるということなんでございます。ですから、その共通部分を生かそうというのがこのたびの統合であろうと思いますので、今までうまくいっていただけに多少のリスクはあるけれども、しかし共通部分を生かしてやってもらったら、それも一つ考え方だろうと、こう思っております。
  196. 菅川健二

    ○菅川健二君 私の記憶に間違いなければ、たしか平成七年二月の村山内閣の決定においてこの整理統合が決まったわけでございますが、その際、輸銀総裁である保田総裁が、これはおかしいよということを何か新聞記事に書かれておるのを読んだ記憶があるわけでございまして、さすが大物の総裁というのははっきり物を言われるものだなという気がいたしたわけでございます。保田総裁も率直な感じをお伝えいただければと思います。
  197. 保田博

    参考人保田博君) ただいま御指摘平成七年二月は、まだ与党並びに政府方針が決まっていない時期のものでございます。でありますから、当時私は現場を担当する者として、御判断をいただく与党の幹部あるいは権限を持っております政府の皆様方に我々の考えておりますメリット、デメリットを御説明しておりました。その記事の一部が統合反対というような受け取られ方になったのかというふうに思いますけれども、私は、もともと政府関係機関組織、機構をどうするかということは政府がお決めになることである、現場の者はそれに対してとやかく言うべきものではないというふうに考えておりますし、決まった以上その方針に従って統合後の法人がいい法人として活躍できるように土台をつくることが我々の仕事だと考えております。
  198. 菅川健二

    ○菅川健二君 いずれにいたしましても、過去をほじくっても仕方がないわけでございまして、事の成り行き上一緒にならざるを得ないという状況が生まれつつあるということではないかと思うわけでございます。  一緒になる以上法案におきまして業務の区分、勘定をきちっと分けるということははっきりいたしておるわけでございますが、それぞれの事業ごとに、これがどちらの業務に属するかということは対外的にやはりその時点時点ではっきりアナウンスする必要があるのではないかと思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  199. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 先ほども御答弁申し上げましたように、まさに御指摘のようにODA部分と非ODA部分とは勘定会計が完全に区分されておりますので、御指摘のように特定の融資の決定に当たりましては、当然それがODA部分で行われるのか非ODA部分なのかということは明確に決められますし、当然対外的にも明らかにされる、非常にクリアにされるということであるというふうに考えております。
  200. 菅川健二

    ○菅川健二君 次に、新宮澤構想につきまして、昨年十月に三百億ドル規模の資金支援スキームが用意されたわけでございますが、このかなりの部分輸銀、協力基金ないしこれからの新しい協力銀行に引き継がれるのではないかと思うわけでございますが、現時点における具体的な進捗状況はいかになっておりましょうか。
  201. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、昨年十月に発表いたしましてから半年程度でございますが、全体として三百億ドルと言っておりましたうちの半分ぐらいのコミットあるいはインディケーションを行いまして、着々とディスバースを進めております。  その中でいいますと、中長期のものが百十六億ドル程度でございまして、そのうち七十八億ドル輸銀、三十八億ドル基金でございます。なお、あと五十億ドル、これは短期のものでございまして、短期のファシリティーという形で韓国に供与しようとしているものでございますが、それが五十億ドルございまして、全体で百六十六億ドルというのがインドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイに対して現時点でコミットした金額でございます。  半年程度としては非常にスムーズにいっておりますけれども、これは相手国が非常にニーズがはっきりあったということと、これらの諸国に外務省、大蔵省、通産省、さらに輸銀基金関係者が一種のジョイントでミッションに参りまして、先方の要望を踏まえて融資のコミットメントをしたということによるというふうに考えております。
  202. 菅川健二

    ○菅川健二君 大変順調な進捗状況だとお聞きいたしたわけでございます。とかく言われておりますのは、各国に厳しい構造改革を迫るIMFの支援に対しまして、こちらの新宮澤構想というのはある意味ではこれまでのいろいろなしがらみの中の、例えば選挙目当ての施策とか、地元企業政府との不透明な関係を温存したままそれに対する支援をするとか、どちらかというと甘やかしにつながるような施策もあるではないかという批判もあるわけでございますが、IMF等他の機関との連携というのは十分とられておるのでございましょうか。
  203. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のIMF等の国際金融機関との連携は、この新宮澤構想の実施に当たっては非常に重要なポイントでございまして、私どもから申し上げるのもなんでございますけれども、非常によく連絡がとれておると。彼らの融資計画とすり合わせができた中で行われているわけでございます。  なお、御指摘の御懸念につきましては、それぞれの国に対する融資状況を見てまいりますと、例えば通貨危機によって経済並びに社会的にも非常に大きなダメージを受けておりますインドネシアの場合などをとりますと、なかなかその立て直し、構造改革というのは難しいものがございます。こういうところに対しましては、IMF、アジア開発銀行あるいは世界銀行がさまざまな形で構造改革を進めるための融資を行っておりますけれども、そういうところと協調融資をするという形で、インドネシアのニーズにも合わせ、かつ国際機関がやろうとしていることとも協調しながら融資を行っておりまして、いわゆるイージーマネーにならないように、あくまでも彼らの国の経済の立て直しに役立つような形で融資を行っていきたいというふうに考えております。  もちろん、これはバイラテラルな融資でございますので、我が国の自主性というのはあくまでも必要でございますし、ほかの国ですべて協調融資でやっているというわけではございませんが、協調融資でない場合でも当然IMFや世界銀行アジア開発銀行とは連絡、調整をしながら進めております。
  204. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ今後とも他の国際機関等とも連携をとりながら適正な執行に努めていただきたいと思います。  それから、このたびの法案におきまして、アジア諸国が発行する公債を協力銀行が保証する道が開かれようとしておるわけでございますが、いかなる事態においてこういったものを行い、しかもどの程度の効果を期待しておるのか、お答えいただきたいと思います。
  205. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、新しい国際協力銀行のもとにおきまして、アジア諸国等が債券を発行する場合に保証ができるというふうになっているわけでございます。現在でも輸出入銀行融資については保証ができるわけですけれども、債券について保証できるという規定がなかったわけでございます。したがって、これを行うことによってこれらアジア諸国が例えば経済の立て直しのために必要な資金をマーケットで調達するというときに、この保証を供与することによって資金調達を容易にするということが開かれるわけでございます。  ただ、御存じのように国際金融資本市場状況はまだ十分落ちついておりません。したがって、これらの国が債券を発行するといたしましても、まだ相当のプレミアムを払わなければならないということで、にわかに進むとは考えておりません。保証することによってプレミアムも若干少なくなるということで、資金調達がやりやすくなるとは思いますけれども、まだ今すぐ大規模に進むというふうには考えておりません。  マーケットが落ちついてくるに従い、他方これらの国々が金融機関の強化その他経済構造改革にさらに中長期の資金が要るという場合にマーケットで調達しようということになれば、少し先にはかなりの効果を呼ぶというふうに思っておりますが、今直ちに大きな活用が行われるかどうかはマーケット次第、あるいはこれらの国の判断次第ということかと思います。
  206. 菅川健二

    ○菅川健二君 大変判断は難しいかと思うわけでございますが、下手をしますと損失をこうむるということもあり得るわけでございますので、慎重に運用していただきたいと思います。  最後に、海外経済協力、ODA資金についてとかく言われておるわけでございますが、その効率的な運用が行われておるのかどうかということにつきまして、実施後の状況把握、その評価というもの、内部的にはかなりやっておられるようでございますが、特に第三者を含めた監視体制といいますか、評価体制というのを確立する必要があるかと思うわけでございます。この点について、いかがお考えでしょうか。
  207. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 私ども基金におきまして、この評価の問題については重点業務一つとして実施をしているつもりでございます。一つ業務につきまして事後評価を行いますことは、このプロジェクトサイクルの終点とまた次の始点をつなぐ重要な業務であるというふうに考えておりまして、一九七五年度に事後評価活動を開始して以来、非常に大きな数の事後評価業務をやってきております。  おっしゃいますように、第三者評価につきましても、これは非常に意味のあることでございます。もちろん、技術的な理由によりまして第三者評価の数を非常に多くふやすということはできないのでございますが、これを行いますことは事後評価制度全体に対しまして非常に大きな教訓的な効果ももたらすというようなことで、これを着実にやっていこうと思っております。  平成九年度は第三者評価は一件にとどまったのでございますが、十年度におきましては六件にふやしてこれを実施しておるところでございます。それぞれの詳しい内容は省略をさせていただきます。
  208. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  209. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、国際協力銀行法案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、発展途上国の経済発展を支援することを目的としていた海外経済協力基金を商業ベースの海外融資中心の輸銀統合し、我が国の経済発展に役立つ方向での業務実施方針を定めるとしたことは、途上国の利益より日本企業の利益を図るものとして批判されている日本ODAのゆがみを一層大きくするものだからであります。このことは、途上国の自立的発展と生活の向上という経済協力本来の立場に反するものであります。  反対する第二の理由は、本法案が貸付債権の譲り受け業務を新たに加えることによって、これまで大企業海外進出支援を中心としてきた輸銀業務に新たな助成の道を開くからであります。この債権の譲り受けによって、貸し渋り対策の特別融資自分の不良債権のつけかえに利用したように、銀行から国際協力銀行が、アジアに進出した企業向けの不良債権を押しつけられ、結局、その肩がわりを公的資金ですることにすらなりかねません。  以上を申し上げて、私の反対討論といたします。
  210. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国際協力銀行法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、広中君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。
  212. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま可決されました国際協力銀行法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国際協力銀行法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 日本輸出入銀行及び海外経済協力基金統合に当たっては、特殊法人の整理合理化を推進する趣旨にかんがみ、その効率的な運営に努めること。  一 国際協力銀行組織及び業務については、統合効果を発揮させるため、積極的な人材育成と内部登用の促進を図り、併せて民間からの有能な人材の登用を通じて、経済協力に関する役職員の専門的な知見とノウハウ組織及び業務運営に十分反映される人員配置とし、もって業務の一層の活性化を図ること。  一 国際協力銀行が行うODA業務及び国際金融等業務に関する情報公開については、国民の理解を得るため、今後の特殊法人の情報公開に関する法制上の措置を踏まえ、その内容の充実に努めること。  一 海外経済協力案件については、国民の理解を得るため、その決定の透明性を確保するとともに、相手国の国民的な理解を一層深め、NGOとも連携した情報分析等を行うこと。  一 海外経済協力については、効率的・効果的な事業運営を担保するため、実施後の状況を的確に把握し、その効果に対する第三者による客観的な評価体制を拡充すること。  一 海外経済協力案件の決定において、環境アセスメントの導入を徹底し、相手国の自然環境等に与える影響を十分調査した上で行うこと。  一 国際金融等業務については、民業補完の原則を遵守して業務スリム化を図り、貿易保険制度及び他の投融資業務との役割分担を明確化するとともに、資金調達の在り方について検討すること。  一 国際協力銀行の設立後三年を経過した時期に、運営状況を勘案し、その業務について検討を加え、その結果に基づいて適切な措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  213. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  214. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堺屋経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堺屋経済企画庁長官。
  215. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  216. 勝木健司

    委員長勝木健司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  218. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  219. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案簡易生命保険法の一部を改正する法律案、以上二件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の健全な経営の確保に資するため、郵便貯金特別会計金融自由化対策資金及び簡易生命保険特別会計積立金運用範囲の拡大を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の健全な経営の確保に資するため、郵便貯金特別会計金融自由化対策資金及び簡易生命保険特別会計積立金運用の範囲に、特定社債及び通貨オプションを加えることとしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしております。  次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、近年、慢性疾患の治療を受けているものの、仕事や日常生活を支障なく送っている者が増加していることにかんがみ、このような一病息災の時代に対応し、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、被保険者が死亡したことにより支払う保険金額を死亡の原因に応じて異なる額とする簡易生命保険制度を設けること等であります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  以上がこれら二法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  220. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会