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1999-07-30 第145回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月三十日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月七日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     田村 公平君      江本 孟紀君     柳田  稔君      岩本 荘太君     菅川 健二君  七月十五日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     江本 孟紀君  七月二十九日     辞任         補欠選任      溝手 顕正君     鹿熊 安正君      江本 孟紀君     柳田  稔君  七月三十日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         海野 義孝君     理 事                 鈴木 正孝君                 長谷川道郎君                 但馬 久美君     委 員                 鹿熊 安正君                 亀井 郁夫君                 田村 公平君                 森山  裕君                 依田 智治君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 柳田  稔君                 和田 洋子君                 大沢 辰美君                 宮本 岳志君                 鶴保 庸介君                 菅川 健二君    国務大臣        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    政府委員        国土庁防災局長  生田 長人君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        林野庁長官    伴  次雄君        建設省建設経済        局長       風岡 典之君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  竹村公太郎君        自治省財政局長  二橋 正弘君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (平成十一年梅雨前線豪雨災害対策等に関する  件)  (土砂災害対策に関する件)  (激甚災害指定に関する件)  (災害危険地域での宅地開発規制等に関する件  )  (災害弱者関連施設防災対策に関する件)  (被災者支援対策に関する件)  (新湊川の洪水災害対策に関する件)  (都市部における地下空間洪水災害対策に関す  る件)  (防災体制整備に関する件)     ─────────────
  2. 海野義孝

    委員長海野義孝君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七日、鹿熊安正君及び岩本荘太君が委員辞任され、その補欠として田村公平君及び菅川健二君が選任されました。  また、昨日、溝手顕正君及び江本孟紀君が委員辞任され、その補欠として鹿熊安正君及び柳田稔君が選任されました。  また、本日、山下芳生君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る十四日に行いました平成十一年梅雨前線豪雨による被害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。長谷川道郎君。
  4. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 災害対策特別委員会派遣報告を申し上げます。  去る七月十四日、海野委員長但馬理事亀井委員田村委員溝手委員柳田委員大沢委員大渕委員鶴保委員菅川委員、そして私長谷川の十一名は、広島県における平成十一年梅雨前線豪雨による被害実情調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。  なお、衆議院の災害対策特別委員会においても、同日同行程で委員派遣実施されたことを申し添えます。  六月二十三日から七月三日にかけて各地で断続的な大雨が続きました。これは、南北の高気圧に挟まれたため、低気圧の動きが遅くなり、日本列島をゆっくりと横切ったことから、激しい雨が長時間にわたるなど、梅雨前線の活動が活発であったことによるものでありまして、西日本を中心に人的、物的被害が生じております。二十八日夜から三十日朝にかけて大雨となり、特に二十九日には九州北部や近畿、中国地方の各所で、一時間雨量が百ミリ前後の記録的な豪雨に襲われました。  この六月二十三日からの梅雨前線豪雨による被害は、消防庁の七月二十六日現在の調べによりますと、死者行方不明者四十名、住家被害として全壊百七十三棟、半壊百二十二棟、床上床下浸水一万八千五百八十五棟などとなっております。  特に六月末の集中豪雨では、広島県に土砂崩れが多発し被害が集中したほか、福岡市では博多駅周辺の地下街やビルの地下室が浸水し、飲食店女性従業員が逃げおくれ、水死しております。従来型の土石流災害の恐ろしさとともに、新たに都市型災害として地下施設の水害の恐怖がクローズアップされました。  私たち派遣委員は、最も人的被害の大きかった広島県について調査を行いました。  当日の日程を申しますと、広島空港内において藤田知事檜山県議会議長秋葉広島市長平野市議会議長などの関係者から県及び広島市の被害概況及び要望を伺った後、呉市に向かい、呉市内被災地の視察後、小笠原呉市長岩原市議会議長などの関係者から呉市の被害概況及び要望を伺いました。その後、広島市内に入り二カ所の被災地を視察いたしました。なお、住民の方が不幸にして命を落とされた被災現場におきましては、献花と黙祷を行い、犠牲者の御冥福をお祈りいたしました。  まず、広島県及び広島市の被害概況及び要望から御報告申し上げます。  広島県全体の被害状況でありますが、七月十三日現在で、県西部中心死者三十一名、行方不明者一名、負傷者五十名、家屋被害は四千三百四十三棟に上ったほか、河川が千九百七十一カ所、道路が千四百五カ所、農業用施設が二千六百六十カ所など、公共土木施設農林水産業関係等被害額は五百三十八億円に達しているとのことであり、過去三十年間で三番目に多い被害額であります。  次に、広島市の被害状況でありますが、同市の西部北部に位置する佐伯区、安佐北区、安佐南区を中心に、六月二十九日の夕方には一時間最大雨量として、安佐南沼田地区の五十七ミリを最高に、各地で四十ミリを上回る激しい雨となり、降り始めからの総雨量は二百ミリを超え、甚大な被害をもたらしました。七月十一日現在で、死者二十名、負傷者三十六名、家屋被害は千二十六棟に上りました。公共土木施設農地林地社会福祉施設等被害額は百十七億円に達しているとのことでありました。  広島県及び広島市から、それぞれ激甚災害指定復旧進度を高める災害復旧予算枠拡大被災農地公共土木施設等災害査定早期実施災害関連緊急事業大幅採択、急傾斜地等における宅地安全確保農作物被害等に対する共済金早期支払い被災中小企業者への融資枠確保災害復旧経費に対する交付税等財政援助などについて格段の配慮を願う旨の要望がありました。  派遣委員からも、政府激甚災害早期指定を求める旨の発言等がありました。  広島市内においては、佐伯区五日市町の下河内荒谷及び上小深川、二カ所の土石流による家屋倒壊等被災現場を視察いたしました。  荒谷川や古野川の土石流家屋が流失したり倒壊した現場では、シャベルカーによる残骸の除去作業等が行われており、また上流方向からは土砂流木等を運び出すダンプカーが頻繁に通行しておりました。派遣委員からは、根つき流木が目立つのは、杉の生育によいとされる谷沿いの植林が影響しているのではないかと指摘がありました。  次に、呉市の被害概況及び要望を御報告申し上げます。  呉市の被害状況でありますが、六月二十三日から七月三日の間の総降雨量は四百四十六・五ミリに達し、六月二十九日には一時間最大雨量として六十九・五ミリを記録、市役所庁舎周辺道路は三十分足らずのうちに車が水につかったそうであります。特に十五時から十七時までの二時間降雨量は百三十六ミリにも達し、昭和四十二年七月の豪雨による大災害時を上回る猛烈な雨となり、死者八名、負傷者五名、住家の全半壊など百二十六棟、床上床下浸水千五百三十棟に上ったほか、呉市の主要な道路である県道呉平谷線全面通行どめとなるなど、公共土木施設農地林地等被害額は五十四億円に達しているとのことでありました。  呉市からも、激甚災害指定災害復旧予算枠拡大災害査定早期実施災害未然防止のための各種公共事業予算増額農業共済金早期支払い被災中小企業者への融資枠確保災害復旧経費に対する交付税等財政援助などについて格段の配慮を願う旨の要望がありました。  なお、派遣委員からは、県の災害対策本部の設置が他県より一日遅い理由、砂防ダム状況災害への的確な対応等について質疑が行われました。  呉市におきましては、西畑町の土石流による道路損壊家屋倒壊等被災現場を視察いたしました。  呉市は軍港の町としての成り立ちから、平坦地は軍に優先利用され、民家は山の斜面の細い路地に階段状に建ち並んでまいりました。裏山の崩壊がけ崩れの危険といつも隣り合わせで生活していると申せます。  今回視察した被災地は、町内を流れ下っている川幅がせいぜい二メートルほどの二級河川堺川において、上流部石積み護岸ブロック濁流により次々と玉突き状に崩れて土石流と化したものにより被災したもので、当時の様子を撮影した写真やビデオを見ると、小川といえども集中豪雨があれば激しい自然の脅威に豹変することを実感いたしました。この被災地周辺では、二名の方が濁流にのみ込まれ、遺体が海で発見されています。  今回調査した広島県は、全国で一番目に急傾斜地崩壊危険箇所土石流危険渓流が多い県であります。国や地方自治体が死亡率の非常に高い土砂崩れ対策を進めるのは当然の責務でありますが、全国的に対策危険箇所の増加に追いつかないのが現状であります。危険な地域に家が建たないようにするために、宅地開発建築規制にかかわる行政のあり方を見直す必要性を感じました。  また、昨年、参議院の六会派共同提案で提出され成立した被災者生活再建支援法が初めて今回広島県に適用されました。大変感慨深いものを覚えます。被災者の一日も早い生活再建を願ってやみません。  以上が調査概要であります。  最後に、災害復旧作業等でお忙しい中、調査に御協力をいただきました方々に厚く御礼を申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げまして、御報告を終わらせていただきます。
  5. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 以上をもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。  質問に先立ちまして、先ほどお話がございましたように、過ぐる梅雨期の大豪雨によりまして大勢の方々犠牲になられたわけでございますけれども犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、また被災を受けられた方々に対し心からお見舞い申し上げたいと思うわけでございます。  全国的に被害がございましたが、私の地元でございます広島県では特に大きな災害がございまして、六月二十九日に予想を上回る大量の雨が降ったために、土石流がけ崩れ、浸水等大変な被害が出ました。先ほどが御報告がございましたように、死者は三十一名、行方不明一名、また負傷者五十名ということでございますし、被害総額は五百九十四億、約六百億でございました。  しかし、災害直後、中央におきましてもいろいろと御配慮いただきまして、すぐに災害救助法適用を受けましたし、また、翌日には関谷建設大臣みずから現地に来ていただきました。そしてまた、参議院災害対策特別委員会におきましても十四日にわざわざお見えいただきまして、いろいろとつぶさに調査していただいたわけでもございます。そしてまた、被災者生活再建支援法に基づく支援金支給制度もすぐに適用していただきましたし、緊急の災害対策事業としていろいろと復旧工事のために温かい御配慮中央からいただいておるわけでございまして、そういう意味では地元皆さん方が非常に感謝しておる状況でもございますので、このことを皆さん方にお伝え申し上げ、また敬意を表したいと思うわけでもございます。  まず、災害につきまして最初に聞きたいのは、災害原因調査と今後の対応の問題でございます。  広島県の場合には、昭和六十二年に山県郡加計町で大きな土石流災害がございましたが、それ以来のことでございます。特に広島県の場合には、地質的にも風化した花崗岩の山でございまして、そういう意味では土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険箇所全国で最も多くて、全国で十七万七千カ所あるそうでございますけれども、そのうち一万一千カ所が広島にあるということでございまして、この対応が急がれるわけでございます。  しかし、災害の再発を防止するためには、地形だとか地質あるいは降雨量、そうしたものとの因果関係や、あるいは土石流がけ崩れ等メカニズム解明等、いろいろな分析研究がなされなければならないと思います。そうしたことの上に立って対策実施する必要があろうと思いますけれども、これについてどのような検討をなされておるのか。  さらにまた、危険渓流や地すべりの危険箇所に対する対策でございますけれども、過去五年間の実績を見ますと、建設省関係が平均で五千七百五十億円、林野庁関係が二千四百八十億円、合わせまして八千二百三十億円というペースでやられているんですけれども、しかしそれでもまだ整備率を見ますと、建設省関係ではわずか二〇%、そして林野庁関係では四〇%にとどまっておるわけであります。  現在のぺースで行った場合にどの程度かということをお聞きしましたら、大体年一%程度整備率の向上だというお話でございましたけれども、これでは建設省関係でまだあと八十年かかるわけでございまして、まことにそういう意味では百年河清を待つといった感じではないかと思うわけであります。  そういう意味では、建設省林野庁のやっておられます第九次治水事業七カ年計画や第四次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画、また林野庁の第九次治山事業七カ年計画、こういうことにつきまして抜本的に見直してもらって、そして災害発生未然に防ぐために予算増額をぜひとも図っていただきたいと思うわけでありますし、あるいは重点配分だとか前倒し、そういうことを積極的にやっていく必要があろうかと思いますけれども建設省林野庁でどのようにお考えかお聞かせ願いたいと思います。
  7. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) お答えいたします。  今回の広島災害につきましては、災害発生直後から建設省土木研究所担当官延べ十一名を現地に派遣いたしまして、土砂災害状況について調査を行っているところでございます。  今回の災害につきましては、先生指摘のように、花崗岩の風化した真砂土地帯に局地的な集中豪雨があった、そして土石流とともに大量の流木が流下して被害を大きくしたと認識しております。  現在、広島県におきまして学識経験者による検討委員会を設置し、今回の災害を引き起こした土石流がけ崩れ発生メカニズムにつきまして、そしてその恒久対策につきまして検討を行っているところでございます。これらの検討を踏まえ、必要な対策実施に全力を挙げてまいりたいと考えております。  具体的に、先生からの御指摘長期計画に関するものでございますが、平成九年度を初年度とする第九次治水事業七カ年計画及び平成十年度を初年度とする第四次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画につきましては、自然災害への対応等、その他必要に応じその見直しにつき検討するものとされており、こうした自然災害頻発状況を勘案し、計画早期実施事業積極的推進を図ってまいる所存でございます。
  8. 伴次雄

    政府委員伴次雄君) 今回の広島県の豪雨災害につきましては、今お話がありましたように、梅雨前線によりまして呉市では一時間に七十ミリも降るというような大雨であったわけでございまして、そういうことが一点。もう一つは、風化しております花崗岩の上に薄い真砂土というものがあって、そういう地質なり土壌条件ということから今回の災害が発生したものと想定をしておる次第でございます。  また、この発生源につきましては、建設省さんからも答弁があったところでございますが、県の方で委員会を設置して今その原因調査検討を行っているという状況でありまして、林野庁としても、その検討結果を十分踏まえまして積極的な治山対策実施してまいりたいというふうに思っております。  それからもう一点でございますが、現在、治山事業につきましては第九次治山事業七カ年計画というもので近年発生します山地災害対応するための治山事業というものを緊急かつ計画的に実施しているところであります。しかしながら、防災上緊急を要する箇所につきましては、その予算重点配分、それから前倒しを行うなど効果的な治山事業というものの推進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 どうもありがとうございました。広島だけではなくて全国的な問題としてぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  次に、大きな災害が起こった場合に早期復旧を図るためにあります制度激甚災害制度というのがあるわけでございますけれども地方公共団体としてはこれをぜひとも適用していただきたいという思いが強いわけでございますが、これの判断基準は、被害額被災団体負担能力、すなわち標準税収入との相対比較によって決められるということになっておるわけでございます。しかし、標準税収入が合併その他によってどんどんふえてきておるわけでありまして、財政力が強まっているのではないのに規模だけは大きくなっておりますので、そういう関係激甚災害制度適用が受けにくくなってきておるわけであります。  例えば、広島市の場合を例にとりますと、標準税収入額は千九百億円でございますから、これを上回らなければならないということになりますと到底適用されないということになってくるわけでありまして、そういう意味では、局地激甚災害についての指定を何とか考えていただきたいという声が強いわけであります。  お聞きしますと、国土庁の方でこれについての見直しを今検討されているということでございますけれども見直し方向はどういう方向なのか。そして、できるだけ早く見直しをしてもらって今回の災害にもぜひ適用していただきたいと思うのでございますけれども、その可能性についていかがなものかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  10. 生田長人

    政府委員生田長人君) 激甚災害指定基準につきましては、先生指摘のように、公共土木施設関係指定基準がその被害額標準税収入との割合といいましょうか、比率で決まっておるわけでございまして、近年指定が少なくなっているということについては私どもも認識してございます。  それで、私どもでは、関係省庁とともにこれまでの実態を調査いたしまして、その見直し検討に現在着手したところでございます。指定基準見直し自体はこれから関係省庁協力も得て鋭意進めてまいりたいというふうに考えてございますけれども、現在まだ具体的なお話ができる段階になっておりませんので御理解をいただきたいと思います。
  11. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今の問題ですけれども、これが早く見直しができた場合に遡及指定適用ということは可能性があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  12. 生田長人

    政府委員生田長人君) 先ほども申し上げましたように、現在の段階でまだその内容自体が定まっていないということもございますので、大変恐縮でございますけれども遡及の話まではまだ検討ができていないというのが現状でございます。
  13. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 よくわかりました。それじゃできるだけ急いでやっていただくようにお願いしたいと思います。  次に、被災地早期復旧に絡んでの災害査定の問題でございますけれども、今回の災害に限りませんで、被災地では一刻も早く復旧を願うわけでありますけれども、そのためにはどうしても災害地に対する査定が問題になるわけでありますが、おかげさまで今回は、建設省の方では緊急傾斜地崩壊対策事業やあるいは緊急砂防事業、あるいはまた林野庁緊急治山事業ということで、当面の問題については本当に早く決めていただきまして、地元は今喜んで復旧に取りかかっておるところでございますけれども、しかし本格的な復旧についての査定になりますとまだまだ時間がかかるわけでございまして、これを一刻も早く査定していただきたいという気持ちが強いわけでございます。  そういう意味では、机上査定だとか、あるいは総合単価制による積算簡素化等、いろいろな方法を使って査定業務簡素化というものを考えていただけないだろうか。そして、一刻も早く査定してもらって、復旧工事が着工するように願うわけでありますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  14. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) ただいま御指摘の点は、災害復旧におきまして極めて重要な課題でございます。  具体的にお話しさせていただきますと、広島県、広島市等における災害申請につきましては、申請書の作成時間の短縮を図るため、積算が極めて容易な総合単価方式適用範囲を、通常一千万円未満でございましたが今回二千万円未満拡大するとともに、現地での審査を省略いたしまして、書類のみで審査するという範囲通常三百万円未満を六百万円未満拡大するなど、早期査定のための措置を今回の査定で講じているところでございます。これら被害の甚大であった広島県においては、大幅に事務簡素化が図られ、第一次査定を八月九日から実施するところでございます。
  15. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今のお話を聞きましてほっとしたわけでございますけれども、本当にありがとうございました。どうぞよろしくまたお願いいたしたいと思います。  次の点は、危険地域に隣接する宅地開発だとか住宅建設の問題についてお尋ねしたいと思います。  広島市や呉市の場合には平地が少ないものですから、山のすそ野までどんどん宅地開発していき家を建てているという状況でございまして、土石流危険地域指定された危険な谷川の下流に立派な団地ができたりなんかしておるわけでございまして、観音台なんかはその例ではないかと思うのでございますけれども、我々素人めが事故が起こってみて、行ってこう眺めてみると、ああこれは危ないなと思うわけでございますけれども、そうしたところに団地が造成されたり住宅が建設されているということでございます。  そういう意味では、そうした団地開発計画段階でこれをチェックできないか、指導できないか、是正指導ができないかというような問題があろうかと思いますけれども、そういう意味ではこの問題についてできないのかできるのか、それについてまたひとつよろしくお願いしたいと思います。
  16. 風岡典之

    政府委員風岡典之君) お答えいたします。  現在、宅地開発あるいは住宅建設に際しましては、開発許可とか、あるいは建築確認によりまして必要な審査というものを行っているところであります。この審査につきまして、まず開発許可については、法令に基づく災害危険区域とか、あるいは地すべり防止区域、こういったような危険な区域が含まれている場合には原則として開発許可というものを行っておりません。仮にそういうような区域がないようなところにつきましては、擁壁の安全性とか地盤の改良とか、そういうような指導をして許可をしているところであります。  また、建築基準法につきましては、確認の手続の中で、例えば建築基準法に定めます災害危険区域とか、あるいは条例に基づいて制限が付加されたような地域、そういうところでの建物の建築につきましては、建築物の構造とか、あるいは擁壁の設置、こういうことについて条例で定めますような内容になっているかどうかということを審査、指導しているところであります。その意味で、開発許可とか建築確認、そういうことを通じて必要な指導というものはできる体制になっております。  問題は、そういうような地域指定されないようなところ、こういうところにつきましては、結果的には開発許可とか建築確認を通じて十分な指導ができないという面もありますので、危険地域指定というものも含めまして、確認あるいは開発許可で十分な対応ができるように、現在建設省に設置しておりますプロジェクトチームの中でさらに検討していきたい、このように考えております。
  17. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今の問題は、なかなか申請する立場に立つと、いろいろやかましく言われると文句が出るかもしれませんけれども、結果的にはやはり申請者のためになることでございますから、その衝にある人は、嫌な顔をされても勇気を持ってしっかり厳しく指導してもらう必要があるのではないかと思います。特に危険地域のところについては、ぜひともよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  次に、災害弱者施設の問題についてお尋ねしたいのでございますけれども、特別養護老人ホーム等、福祉施設というのは土地が高いせいもございますけれども、山のすそ野やそういうところに立地しやすいわけでございまして、今回の場合も佐伯区の方にありました佐伯明星園という、これは障害児が通園する施設でございましたが、ここの裏山が崩れまして、そして職員が三人埋まりましたけれども、運よく二人が助かって、一人だけが亡くなったわけでございます。ただ、園児たちは早目に帰しておりましたので、園児の被害がなかったのが幸いであったわけでございます。  しかし、こうした関連の施設につきましては、やはりいつもよく問題になるわけでございますけれども、こういう施設に対する一つは防災情報の連絡体制の問題と、それからもう一つは、環境状況をよくチェックしてもらって、これは厚生省の仕事になるんでしょうか、危険区域にあるそうした施設についての安全面からの指導なりチェックというものをしていただく必要があるのではないかと思いますけれども、そういう意味では防災情報の連絡の問題は消防庁になるんでしょうか、それから後の方は厚生省になるのではないかと思いますけれども、お願いしたいと思います。
  18. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 災害弱者関連施設につきましては、昨年の福島県の救護施設のからまつ荘、これの土砂災害による被害を踏まえまして、本年一月には関係五省庁による共同通知を行って、危険地域に立地いたしております施設に対する情報提供というものについてきちんとやっていただくように指導いたしておるわけでございます。  消防庁といたしましても、昨年度、特にこれらの施設に対する情報伝達体制等を含めた今後の施策の方向ということについて調査研究を行って、その報告書を本年五月二十五日にお示しして、こうしたものを参考にしながら各地方公共団体地域防災計画の点検を行っていただくように、こういう通知もいたしております。  さらに、先ほど指摘がございました広島佐伯明星園の災害が生じた翌日の六月三十日には、災害弱者関連施設対策の再点検ということについてもお願いする通知をいたしておりますので、今後とも、関係省庁とも連絡を図りながら、市町村から災害弱者関連施設への気象情報等の伝達手段の強化とか、あるいは災害弱者関連施設みずからの積極的な情報収集の促進ということなどに努めてまいりたいというふうに考えております。
  19. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 土砂災害の危険区域などに所在いたします社会福祉施設の入所者の安全のためには、まずもって国土保全事業が講ぜられることが重要であろうというふうに認識しているわけでございますが、厚生省といたしましては、社会福祉施設の防災対策といたしまして、従来から都道府県に対しまして緊急時の避難連絡体制、また危険区域などに所在する場合の移転・改築を含めた検討、移転・改築される場合は国の方から財政措置、また融資の措置というものを講じております。  さらに、ただいま消防庁から御披露されましたけれども、昨年の福島県における豪雨災害等を踏まえまして、社会福祉施設などの災害弱者施設に対する防災対策の緊急点検を建設省林野庁などの関係省庁と連携して行いまして、災害弱者施設の危険区域等への立地の有無を確認したところでございます。これに基づきまして、今消防庁から御紹介されましたような通知を出しまして指導の強化を図っているところでございます。  今回、広島市におきまして障害児通園施設において職員の方が一名犠牲になられたということでございます。今後とも、災害未然防止について関係省庁と連携を図りながら最大限の努力を図ってまいりたいというふうに考えております。
  20. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 次に、災害の後処理の経費の問題について、細かいことなんですが、ちょっとお尋ねしたいのは、実は広島佐伯区の災害を含めてですが、今度は大変たくさんの木が流れてきまして、これが家の中に入ってきたり敷地の中に入って、それで雨がやんでしまったということでございます。  その後処理の問題で、川にあるのは撤去されたんですが、民家にあるたくさんの木をどうするのかということで、これについてテレビで広島市長がそれは持たないんだということを言われたものですから、みんなびっくりしまして、どうなるんだろうかということで心配しておったわけでございますけれども、こうしたものの負担についてどういう仕組みになっていて、どうすればいいのかというあたりがわかれば教えていただきたいと思います。これは建設省ですか。
  21. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) お答えさせていただきます。  市街地が堆積する土砂災害を受けた場合等におきましては、一定の場合には都市災害復旧事業ということで実施をいたしております。今、先生指摘のように、大きな木が流れてくる、あるいは住宅の倒壊がある、そういったときに土砂と一緒に流れてくる、こういうことでございますので、そういうようなときには一定の場合には対象になる、こういうことでございます。  都市災害復旧事業におきましては、暴風雨とか洪水等の災害によりまして、宅地も含めて市街地に発生した一定量以上の土砂や堆積した泥土あるいは岩石とか樹木等を市町村が事業として排除する場合に、堆積土砂排除事業ということで国の補助対象二分の一という補助対象になっております。  今回の災害におきましては、広島市等につきましては、一つの市町村で基準は総量が三万立米以上ということになっておりますが、広島市の場合には五万五千立米というような報告を今受けておるところでございまして、現在査定作業中でございます。査定にもよりますけれども、対象の可能性は大変高いというふうに思っておるところでございます。
  22. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  今の木の問題に絡むのでございますけれども、今度のは土石流と言うよりも土木流と言った方がいいぐらい、本当に材木がたくさん流れてきて、これが随分いたずらをしておったわけでありますけれども、この木は崩壊した山の谷合いに植わっておった杉の木がほとんどではないかと思うわけであります。そういう意味では、植林もよく考えてやらないとなかなか大変だなという感じがしたわけでございますが、特に地元方々が話しておられましたのは、谷筋はちょうど水分が多いからよく木が育つということで、谷側に沿ってぎりぎりまで全部植えてしまった、だからそれがまずかったのかなという話もございました。そういう意味では、危険地域指定されている地域に対する植林植栽というものはやはりよく考えていかなければならないのではないかと思うわけでございます。  もちろん、林野庁はその辺を十分考えておられるんだと思うんですけれども、その辺どのように考えておられるのか。特に広島の場合には、十二、三年前に沿岸部側は松くい虫で松が全部枯れてしまったわけでありまして、それがちょうど今枯れた状況になってしまっておって、枯木がたくさんある、これもやはり今度の災害原因の引き金になったんじゃないかというような説もあるのでございます。そういう意味では、こうした危険地域における山の管理というものを徹底してやっていく必要があると私は思うんですけれども、これについて林野庁はどのようにお考えでしょうか。
  23. 伴次雄

    政府委員伴次雄君) 今御指摘があったとおりでありますが、森林の整備につきましては、その地域土壌条件とかいわゆる自然の条件に合うものを植えていくということで従来から指導をしてまいった次第でございますが、今回の災害については異常な集中豪雨というようなこと、それから地質ということから発生したんじゃないかというふうに考えているところでございます。  林野庁としては、先ほども申し上げましたが、県に設置されております検討会の報告を受けて、一つは治山事業なり造林事業によりまして被害木それから流木の整理というものをきちっとしていきたいと思っております。  今後は、山地災害危険地域につきましては保安林の指定をきちっと行いまして、それの保全というものと、それから森林の状態をいい状態に持っていくということから、間伐それから長伐期それから複層林というような格好できちっと森林整備をしていくような方向で進めていきたいと思っております。
  24. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  時間もありませんので、最後に三点だけ要望して終わりたいと思います。  一つは、山が崩れて川に流れてくるということですから、そういう意味では、この事故の上流の方は林野庁所管であり、下の方は建設省所管ということでございまして、事故が起こってこれをどこへ頼んでいいのか、話していいのかわからないであちらこちらということがあったわけでございますが、それはそれといたしまして、建設省林野庁の間で連携を密にしながら対策を講じていただきたいと思います。特に砂防ダムなんかにつきましても、あちらこちらでなしに両方で相談しながら最も適当な格好でやっていただければありがたいと思います。  二点目は、危険区域の周知徹底と警戒避難体制の問題なんですが、意外と危険地域に住んでいるということを御存じない方が多い。今回初めてこんなに危なかったのかという方がおられるわけでございますけれども、そういう地域なんだよということを市の方ではかつて文書で通知したことがあるというんですけれども、何年かに一遍ですからよくわからないと思うわけであります。  そういう意味では、ここは急傾斜地で危ないんだとかそういうことを看板か何かで山のふもとに、人の通るところでなきゃもちろん困りますけれども、そういうところに掲示していただいて、ある程度危険を感じながら生活してもらいませんと、サイレンが鳴っても何があっても、うちじゃないだろうという感じでまくらを高くして寝ておったんじゃ、どんと来られるということでございますので、その辺をひとつよろしくお願いしたい。  もう一つは、危険状態が起こったときにそれの周知の仕方というのが、田舎の場合には消防団がかなり組織がしっかりしていますからいいですし、昔は半鐘ですが、今は半鐘はありませんけれども、サイレンを鳴らすことでああ何かあるんだなということがわかりますけれども、町の場合は、都市化している広島市の周辺では意外とその辺が周知徹底されないわけであります。そういう意味では、広報車なりあるいは消防署の消防車を走らせるのはどうかと思いますけれども、いずれにいたしましてもそういった周知徹底の体制というものをいま一度見直していただきたいということです。  それからもう一つは、被災者に対する情報提供でございますけれども、何度か被災地に参りまして皆さん方がおっしゃるのは、特に仮宿泊所に住んでいるような人たちは、どうなるんだろうかということについて正しい情報を求めておられるんですけれども、なかなかそういう情報は来ないんです。やはり役所の立場に立てば、言えば責任を持たなきゃいけなくなるということがあるからちゃんと言われないんじゃないかなというふうに思いたくなるわけでありますけれども、的確な情報を皆さん方に知らせていくということが非常に大事だと思います。異口同音にそういうことを皆さん方は求められましたので、お願いしておきたいと思います。  その三点を要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  25. 柳田稔

    柳田稔君 おはようございます。  民主党・新緑風会の柳田でございます。  質問に先立ちまして、このたびの集中豪雨でお亡くなりになりました方々、並びに遺族の方々に対しまして心から哀悼の意を表したいと思います。また、被災に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  まず、今回の水害が起きまして、関谷大臣、早急に広島に入って視察していただきまして適切な指導をしていただきましたこと、野党の立場ではありますけれども、心からお礼を申し上げたいと思います。そして、被災者生活再建支援法、一日に呉市、五日に広島県と、迅速に対応されたことについても評価をしたいと思います。  今回の災害に対する質疑でありますが、今、亀井先生がいろいろ質疑されまして大分ダブっている面があろうかと思うので、できるだけ重複を避けたいと思います。  それで、事前に通告をしましたけれども地元の皆さんと連絡をとり合いながら、あした質問するんだけれどもと言いましたら、夜になっていろいろとこういうことを聞いてほしいというのが参りましたので、通告はしていませんけれども、まず先にその方をちょっと聞かせてもらいたいと思うんです。私の知り合いの中にも今回の土石流で大分被害に遭った方々もおりまして、その人たちの率直な意見、要望というのをまず言いながらお考えをお聞きしたいと思うんです。  先ほどもちょっと亀井先生が触れられましたけれども土石流が個人の私有地に流れてきましたと、建屋もそうですけれども、その対応というのは個人の責任ですよというふうに言われていろいろなことをやったそうです。ただ、それにしても個人の対応は大変だなと。  今景気が悪くて、会社を三日も四日も休むと自分のいすがなくなるのではないか、机がなくなるのではないかという時代でもありまして、余り休みもとれない。とすると、自分のうちから離れてどこか、避難所に行くか親戚のうちに行って泊まって後片づけをする。そういった苦難の中で、後片づけをしながら会社のことも気にしなきゃならない。そうすると、個人の対応というのも限度があるのかなということなんです。  その辺について、できれば公的なものでもやってもらえればありがたいと。災害ですから一瞬にしてぼんと起きますね、いろんな地域で、そうすると公的な手も及ばないので業者に頼むしかないのかなと、そういうふうな声が出てまいりまして、何とかならないものかというふうな声が来たのであります。これについてお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  26. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 私は河川局長でございまして、都市局長ではございませんので正確なお答えはできませんが、先ほど都市局長の答弁を聞いておりまして私の理解の範囲でお答えさせていただきます。  ただいま御説明の都市部、各個人への災害につきましては、先ほどの都市局長お話では都市災害という形で助成、補助があるということを答弁しておりましたので、詳細につきましては控えさせていただきますが、きちんと規定に基づいた対応ができるのではないかと考えております。  詳細につきましては、また改めて先生の方に御報告をさせていただきたいと考えております。
  27. 柳田稔

    柳田稔君 事前通告から離れて質問していますので、担当の局長がいないのはしようがないかと思うんです。  その被災に遭った人に話を聞くと、これがまず大変なんだそうです。要するに、自分の住んでいるところから外に出ていって、体育館かどこかに寝泊まりする、いい場合でも親戚のうちでしょう。そこから通いながら後片づけをする。お父さんは仕事に行く、残ったお母さんと子供かおじいさん、おばあさん、それだけで後片づけをしろと言われてもこれは大変ですよという声をよく聞きましたので、このことについてはできれば何かしていただきたいなと、そういう気が非常に強かったもので、一番最初に言わせてもらいました。  大臣の愛媛県は余り水害に遭ったことはないかもしれませんが、そういう声がありますので、いろんな面でしていただきたいなと、そういう思いがあります。  これに関連して、今回の被災者生活再建支援法適用は大変よかったと思うんですが、所得制限があるんです、これは五百万でしたか。とすると、五百万というのがどうかという評価もあるのでありますが、企業によって所得も違うし、会社の中の役職によっても収入は違うのでありますけれども、五百万というのは少々どうかなと。もう被災に遭った人はみんな一緒ですし、大変さは一緒なので、何かこの辺の五百万というのを撤廃する、もうみんな一緒だという感じで動けないものかなと、そういう思いを強くしたんです。  というのは、私の知り合いも実はこれに引っかからなかった、五百万を超えていますからこれはだめなんですよ、でも被災は隣と同じなんですと言われると、それはそうだなという思いを強くしたのであります。  この収入によって適用が大分違うというのをちょっと考え直す必要があるのかなという思いを強くしたので、聞かせてもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  28. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) こういう問題は局長が答弁するような内容ではないわけでございまして、私が答弁をするんですから手を挙げないように。  久々に柳田先生の質問をお受けするわけでございますが、まず、本当に鋭い角度からいろいろ御指摘をなすっていらっしゃると思って、改めて敬意を表しておるわけでございます。先ほどの、いわゆる被害に遭った者が後の処理をすることも自己責任であるということは基本的なことでございます。  ですから、先ほど河川局長が答弁しましたのもちょっと答弁の方向が違っておるわけでございまして、その間、いわゆる休みをとって自分で処理をするということが社会的な通念として成り立たてばいいんですけれども、それがない場合には、そういう被災に遭った場合は休暇を安心してとれるというようなものがつくれるものであるならばやっぱりつくるべきだろうと私は思っておるわけでございまして、そういう角度からまた検討をさせてみたいと思っております。それが一つでございます。  後段の問題でございますが、あの法律は、先生御承知のように、そういう所得制限等々に関することなど、あるいは全壊、あるいはもう建て直さなければならないほどひどい半壊でなければ適用にならないというんですが、そういうようなことも含めて五年後に見直すということになっております。おっしゃるように、被害に遭った場合に所得制限をどうこうするというのもおかしいといえばおかしいと私は思うのでございます。ですから、五年後に見直すということになっておりますから、その時点で見直していきたいと思いますし、逆に申しますれば、その五年というのが長過ぎるということであるならば、また急ぎ皆さんがそういうような形で法改正というものをひとつ起こしていただくということであろうと思います。  いずれにいたしましても、私は、その二つの点は重要なことだと思います。早速、どのように対処していったらいいか前向きの検討をさせてみたいと思います。
  29. 柳田稔

    柳田稔君 さすが関谷大臣、いいお答えをいただきましてありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。  それともう一つ。先ほど、担当の省庁が違うので、要するに農水省とか省庁が違うので対応が大変難しかったというお話があったんですが、現地の人はどちらにしても県と市に言うしかないんですね。そうすると、県の所管と市の所管が違うんです、またこれが。山だからこれは所管が県かなとか、河川だから、でもこの河川は市だから、県だからと言って、対応が地方自治体によってもまちまちのところがある。だから、これは県に言えばどうにかなるなと思って県に言ったところが、広島の場合は特に政令指定都市なので、いやそれは市ですよと言って振り回されたと。これは中央の役所に言うのが適切なのかどうかわかりませんけれども、ただそういった声を強く聞きましたので、何か策がないものかなと。  要するに、広島の市民は、広島市に言うよりは県に言った方がいいかと思って県に言った人がいるわけです。だけれども、それは市の所管ですからと市に回された。ある人は、市に言ったら、いやそれは所管が県なんですよ、県に言ってくださいと言われた面があったので、ちょっと考えていただきたいなと。もうどこに言ってもいいじゃないか、災害なんだからというふうな声がありましたので、ちょっと調べてもらいながら、そういう面があれば地方自治体に対して言ってもらいたいなという気がいたしましたので、これを取り上げさせてもらいました。答弁はいいです。  そして、先ほど亀井先生も触れられましたけれども、通告していました三番目なんですが、激甚災害指定の基準の見直しということで、先ほど亀井先生から質問されまして、これについて私も事前通告していますからお答えしていただけるかと思うんですが、今、見直しの最中ですという先ほど答弁でありました。今ここで、うちの民主党の中の先生と話していましたら、大分前から見直しの話をしていますよと。見直しの議論というのはいつから始まっているんですか。
  30. 生田長人

    政府委員生田長人君) 具体的な基準の数値等の見直しは昨年の暮れぐらいからスタートしたところでございます。  ただ、御承知かと思いますけれども公共土木施設関係の本激の指定につきましては、最近では阪神・淡路のときに指定したのが最後でございまして、あの程度災害でないと指定ができていないというのが事実でございますので、我々としては、この基準についてはやはり見直しをすべきだという考えに立って具体的な数値の検討を現在やっているところでございます。
  31. 柳田稔

    柳田稔君 我々も検討はすべきだし、できるだけ早く答えを出していただきたいと思うんですが、いつぐらいまでに答えを出す予定なんでしょうか。
  32. 生田長人

    政府委員生田長人君) この場でちょっといつまでにということをなかなか申し上げにくい状態にございますけれども、私どもとしては、鋭意時間をかけないで頑張って検討させていただきたいというふうに思っております。
  33. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) そのことは、いわゆる激甚災害で最近指定になりましたのは阪神・淡路のときでございまして、それ以前は昭和何年でしたか、相当前なんです。公共土木の分野においてはそういう指定がなかなかされていない。農業分野においては、これは大体毎年、毎年と言うと失礼ですが、ずっと調べてみますと、年次で指定をされておるわけでございます。公共土木施設では、阪神・淡路以前ですと昭和五十八年でございます。  そういうようなことでございまして、先生指摘のように、じゃいつその結論を出すのかというのは、ただ国の考え方であって、こういうようなことでは激甚災害で公共土木関係指定にならない。それは財源的な力、先ほど亀井先生がおっしゃられましたように、財政的に地方公共団体の力は大きくなっておるものでございますから、それ以上の被害額などというのは出てこないわけです。ですから、その垣根を下げていくということになれば、早くこれは解決できると思います。  それと、私は当然それは下げていくべきだと思っておるわけでございまして、公共事業がどうであるこうであると今よく言われますけれども、こういう災害に対する復旧であるとか、あるいは防災に対する予算というものが、例えば建設省予算の上位にランキングされるような時代に今もう来ておると私は思うんです。また、いわゆる生活関連の公共事業というものに予算を大きくつけていく時代に来ておると思うわけでございます。そういう感覚からいきますと、去年の末からそういう方向で進んでおるということでございますので、ことしがこういうことですから、これは早く、とにかくあと半年以内ぐらいにはそういうことはきちっと決めることができると思います。  そのとき私はもう今の立場を去っておるものでございますから、大変指導力が弱っておりますけれども、ただ自分も政治家の一人として、一生懸命バックアップしていきたいと思っております。
  34. 柳田稔

    柳田稔君 関谷先生にそう言われるともう一回やってほしいなという気になるんですが、私は総理ではありませんので、指名権がございませんから残念でありますけれども、できるだけ早くやっていただきたいという気持ちなんです。  去年は鹿児島県の出水でしたか、多くの人が亡くなられたり、毎年水害、天災というのが起きています。となると、今、大臣にお答えいただいたので安心したんですけれども、その方針にのっとって役所の方も動いていただきたいなと、そう思います。  次に、呉市について特にちょっと質問させてもらいたいのでありますけれども先ほど長谷川先生報告でありましたように、呉市は海軍工廠ができるまでは一漁村だったんです。それが、明治時代の話になってしまいますけれども、あそこに海軍工廠をつくるということでどんどんよそから人がたくさん入ってきまして、戦時中に最大で人口四十万人になった。範囲は今の呉市じゃないんですよ。呉市の中心街に立ちまして、ぱあっと見ると山が全部見えるんです。その見える範囲内に四十万の人が住んでいたということなんです。それ以降合併が進みまして、相当呉市も範囲が広くなったのでありますけれども、相当狭い範囲の中に四十万の人が住んでいた。そして、平地、海岸線はすべて軍が占有していた。となると、その四十万人のほとんどは生活するためにどんどん山の上の方に住居を求めていった。  さらに複雑なのが、数が多いですから一軒一軒のうちの面積が小さいんです。だから、現状のような、ああいう車も行けないような、歩いてしか上れないような急勾配のところに、坂の町尾道というのがありますけれども、あれ以上に急勾配で、あれ以上に狭い道で皆さん居住されている。  これは私の聞きかじりではありますけれども、海軍工廠をつくる、そのときに爆撃を受けないためには急な山が近くにあるところ、そうすると飛行機が急降下して爆撃できないですから。だから、そういう意味合いを持ってああいう地域指定したんだそうですが、となると、なおさら急傾斜地に行くしかない、住むしかないという状況でああいう呉市ができ上がったという歴史があるんです。  そういう面から言うと、国の責任という面もなきにしもあらずかなと。そういう戦争時代の、戦前からの、明治時代からの国の方針に従って人は働きに来る、住むところは急傾斜地という面もあったのかなと。僕はあるとは言っていませんよ、ないとは言えないなと。地元にはそういう声が少しありますから。  とすると、今回の水害もそうでしたけれども、あと二十年前でしたか、四十年前、呉の水害というのがあったかと思うんです。伊勢湾台風のときだったか、ちょっと忘れましたけれども、戦後二回ほどあったので、そのたびに呉の事情を考慮されまして、国は相当予算をつけて急傾斜地の対応をやっていただいたというふうには思っているんです。  ただ、それにつけてもまだまだたくさんあるなと。呉に聞きましたら、呉市だけで災害危険区域が千三百五十ぐらいある。あと内訳は、がけ地危険区域とか河川危険区域とか、いろんなものがありますね。トータルして呉市だけで約千三百五十ぐらいあります。うち急傾斜地崩壊危険箇所が七百二十二カ所あって、うち五百カ所は指定をして、四百二十五カ所は施行が済んだ、一部着工が七十二カ所、残ったのがあと二百カ所ぐらいあるということなんだそうです。また再度今回のような大雨が起きると同じような災害が起きるだろうとあの地形を見たらみんな想像するんです。  だから、特にをつけて御要望申し上げたいんですが、この呉市の公共事業予算をどうにかして大幅にふやしていただきたいなという思いが強いんです。  もう一つ、別な角度での要望を申し上げますと、瀬戸内海は案外のんびりした地域なんです。天変がない、天災がない、水害もないし地震もない、どちらかというと住みやすい地域だと言われていたんです。そうすると、余り水害に対する備えも九州みたいに十分ではないんです。住民の意識がのんびりしている。そうすると、ぱっと降ったら、日ごろ訓練されていないものですから逃げ切れない。そして亡くなる人が出てくるということもあったりしまして、できれば呉に対する予算をつけてほしいなと。  もう一つ理由を言いますと、そういう住民の気持ちがありますから、今やってほしいんです。ことしこういう水害でたくさん亡くなった、被害も出た、そうすると、今やってほしいという住民の感情というか気持ちが膨らんでいますから、できればすぐやるといろんなことに住民が協力してくれるのではないかなという思いがありますので、この呉市に対する予算増額を図ってもらえないかなと、どうでしょうか。
  35. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 御指摘のありました呉に関してでございますが、歴史的な経過ではっきりしていることは、昭和二十年九月に呉は枕崎台風を受けまして、連続雨量、時間雨量ともに今回の災害より小さかったわけですが、一千百人を超える死者を出した大災害がございます。そして、昭和四十二年七月災害梅雨前線で呉で八十八人の死者が発生しております。実はこの四十二年の災害を契機に、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律が策定されまして、実は、私どもが現在行っている急傾斜地崩壊対策事業はこの呉から始まったと言っても過言ではございません。  現在、私どもは呉に関しましての問題意識は強く持っておりまして、なおかつこの災害を早急に復旧しなければいけないという認識も持っております。呉を含む広島県でございますが、現在、内訳を手元に持っておりませんが、災害関連緊急砂防事業採択状況として、広島県分二十七カ所百一億、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業広島県分五十八カ所三十一億という、私ども箇所について早急に対策を講じ、さらに総合的な安全に関しましては、建設大臣の指示によりまして、七月六日に、建設省に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームを設置しまして、土砂災害のおそれのある地域における住宅等の立地抑制方策などの検討を行っているところでございます。  このようなことで、私どもは、ソフト、ハードあわせて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 柳田稔

    柳田稔君 よろしくお願いしたいと思います。  それで、その小さい町にたくさん住んでいて、灰ケ峰と僕らは言っていますけれども、灰ケ峰の裏の団地に皆さん住居をかえられていったんです。灰ケ峰の裏の高台にある団地を焼山と僕らは呼んでいるんですけれども、そこに今三万何千人か住んでいるんです、住民が。大体ほとんどの人は呉市から上がっていった人なんです。  ところが、そのベッドタウンと呉市の幹線道路、平谷線、先ほど長谷川先生報告されましたけれども、ここがつぶれまして非常に生活苦をされているそうで、従来ですと約二十分から三十分あると町の中におりられたんですが、今、天応という地域を迂回して呉市まで入ると二時間かかるんだそうです。それで、高校も早目に終業式をしまして、夏休みを長くとって対応しているという状況もありますので、先ほど長谷川先生報告にありました平谷線の復旧といいますか、これもできるだけ早くやっていただきたい、力を入れていただきたいなと、そういうことも要望させていただきたいと思います。  あと時間が三分しかなくなりましたけれども、今回の水害で、集中豪雨死者が三十一名出たということなんですね。先ほど亀井先生の方からも、住民の皆様が自分が住んでいるところが危険かどうかというのを知らないということは問題があると、この周知徹底もしていただきたいと思うんです。地方自治体も一生懸命やっていますとおっしゃっているんですが、それにしても、僕も聞いたら知らない人が多いですね。うちのそばがそうだということを知らない人が多いんですが、それも徹底してほしいんです。  もう一つは、原因がなくして土石流とかがけ崩れは起きないはずですね。何かの理由があるかと思うんです。とすると、その土石流とかがけ崩れメカニズムというのを国で解明していただいて、ある程度の基準をつくっていただいて、こういった豪雨が降った場合は危険ですよとか、何日か前にこれだけ集中的に降った、それで今度降ったら崩れる可能性がありますよとか、そういったことを住民にお知らせするためにもそういうメカニズムの解明を国がするべきではないのかなと。そうしますと、家はしようがありませんけれども、人命だけは助かる可能性が出てくると思うんです、早目に避難すればいいわけですから。そういうことを何か考えていただけないものかなということを最後に質問して、終わらせていただきたいと思います。
  37. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) ただいま御質問の土石流またはがけ崩れメカニズム、そしてその対応策でございますが、私ども建設省土木研究所と学会が総力を挙げて研究に向かっておるわけでございます。  土石流というのは、申すまでもなく水と土石がまじって一体となって渓流を流下するものでございまして、大変速度が速く、その先端部には大きな石と流木が大量に含まれて非常に衝撃力が大きい流れでございます。特徴としては非常に突発的に発生するということで、現時点ではいまだ確実な発生予測手法は開発されておりません。ということは、逆に言いますと、その発生メカニズムが、技術的な要件で申しわけありませんが、客観的な条件またはパラメーターの設定等が十分解明できていないというのが現状でございます。  さらに、がけ崩れにおきましては、これも大量の雨が降り、土の中にある間隙水圧と申しますか、土の中に大きな風船があって、その風船の中に水がたまっているような形で、その風船がふっと膨らむ、そして土を持ち上げてしまうという間隙水圧でございますが、この間隙水圧等のいたずらという作用によりまして一気にがけが崩壊してくるということだけはわかっておりますが、どういう条件でどういう時期にということが非常に難しい条件になっております。  私どもは差し当たりさまざまな指定基準、危険区域の指定要件というのは設定しておりますが、今後も土木研究所そして各大学の先生方のお知恵を拝借しながら、よりわかりやすい、正確な土石流がけ崩れ発生メカニズムの解明と対策に邁進してまいりたいと考えております。
  38. 但馬久美

    但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。  まず初めに、今回の七月二十五日からの九州、四国地方の台風五号によります大雨状況につきまして対応等をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
  39. 生田長人

    政府委員生田長人君) お答え申し上げます。  七月二十五日から二十九日にかけまして台風五号が九州の西海上を通りまして、これに伴って南海上から暖かく湿った空気が流入したことによりまして、九州、四国地方を中心に大変な大雨が続いたわけでございまして、高知では千ミリ近い降雨が記録されたわけでございます。  これによりまして被害がかなり出ておりますが、消防庁の調べによりますと、九州、四国地方の被害に限定いたしますと、七月二十九日十八時現在、人的被害といたしましては軽傷者三名、住家被害といたしましては全壊一棟、半壊一棟、一部損壊二十一棟、床上浸水が九棟、床下浸水が七十九棟というぐあいになっております。それから、七月二十七日でございますが、高知県の安芸郡東洋町甲浦というところで高知シーラインのフェリー「むろと」が座礁をいたしましたけれども、乗員乗客百五十八名は全員無事救出されたというぐあいに聞いております。  これらの被害状況を受けまして、高知県あるいは愛媛県に災害対策本部が設置されましたほか、延べ八十四の市町村で災害対策本部が設置されて、各地で避難勧告が出されたところでございます。  国土庁といたしましては、今後とも関係省庁と緊密に連絡をいたしまして、対応に万全を期してまいりたいというように考えております。
  40. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  フェリーはその後どうなったのかわかりますでしょうか。
  41. 生田長人

    政府委員生田長人君) フェリー「むろと」の現在の状況でございますが、現地はまだ大変波が高うございまして、船体撤去の作業に着手できない状態が続いておりまして、座礁したままというぐあいに聞いております。
  42. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  私も今回の広島の視察に行ってまいりまして、感じたことを少し述べさせていただきます。  広島県は風化した花崗岩崩壊しやすいという地形でありまして、また急傾斜地の崩壊危険箇所といいますか、これが五千九百六十カ所、また土石流危険渓流は四千九百三十カ所もあり、いずれも全国一であるということを伺ってまいりました。  しかし、その中で砂防ダム整備が一八・五%しか進んでいないというこの現状、逆に宅地開発がどんどん進んで危険地域がふえつつあるというのを目の当たりに見てまいりまして、行政の手が追いついていないのではないか、そういうふうにも感じました。  先ほどお話もありましたけれども、三十二年前にも大水害で八十八名の方がお亡くなりになっている、この史実を踏まえまして、しっかり万全な対策が必要だと思います。  先ほどからいろいろお話を伺っておりますけれども建設省にお尋ねいたしますけれども、急傾斜地の対策、それと住宅規制、これについて今後どのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  43. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) お答えいたします。  今回の広島災害を踏まえまして、土石流がけ崩れなど土砂災害に対しまして、従来のハードな対応に加えまして、新たな視点での施策をするために、七月六日に建設大臣の指示によりまして建設省内に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームを設置いたしました。そこでは、土砂災害のおそれのある地域における住宅等の立地抑制策などソフトな対策も含めまして、総合的な検討を行っているところでございます。  今後、有効な方策を集中的に検討いたしまして、当面の対策を三カ月程度を目途に、そして総合的な中長期的な目標、土砂災害対策の基本的な方針を年末までに取りまとめる予定でございます。
  44. 但馬久美

    但馬久美君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  先ほど柳田議員からのお話をずっと伺っておりまして、急傾斜地の対策というのは非常にこれから大事な部分であると思います。私も神戸に住んでおるものですから、やはり坂道に、そしてまた急な斜面に家が本当に張りついてある状況、それを、今回の状況をしっかりと踏まえて、これから宅地規制を検討していただきたいと思っております。  それではもう一点、災害弱者関連施設、いわゆる社会福祉施設の被災ですね。昨年の福島県西郷村の土石流による五人の死亡事故に続きまして、ことしも広島市の障害児施設で一名の方が土石流で亡くなっておられます。こうした社会福祉施設の危険地での建設が非常に多く、例えば土石流災害危険箇所や山地の被災危険地区、これは合わせまして数千カ所あると。もちろん、重なっているところもあると思うんですけれども、いずれにしてもこれは大変なことであると思います。  これは、厚生省がこのことに気づきまして、ことしの一月、自治体に通達を出しておりますけれども、各施設の防災対策はどう講じられているのかお聞かせください。
  45. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) まず、社会福祉施設の防災対策につきましては、従来から都道府県に対しまして緊急時の避難や連絡体制の整備、また危険区域に所在いたします場合は、場合によっては移転・改築ということの検討を指導してきたところでございます。  また、先生が今御指摘されましたように、昨年の福島県の豪雨災害等を踏まえまして、社会福祉施設などの災害弱者施設に対する防災対策の緊急点検を、建設省などの関係省庁と連携をとりまして、災害弱者施設の危険区域等への立地の有無などを確認したところでございます。  この結果を受けまして、先生指摘されましたように、一月二十九日付で関係五省庁、文部省、厚生省、林野庁建設省、自治省の連名で指導をしているところでございます。  その指導の中で、社会福祉施設関係について申し述べますと、特に市町村及び施設管理者に危険地域にあるかどうかというようなことを通知いたしまして、施設管理者向けに説明会を開催し、防災対策に万全を期すということの指導を図るとか、また市町村の協力を得た避難体制などの防災体制の確立に努めるなどの指導の強化を図ってきたところでございます。しかし、残念なことに、今回、障害児通園施設において広島で職員の方が一名犠牲になられたということでございます。  私ども、さらに関係省庁と連携をとりながら、最大限の災害未然防止対策に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  46. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  この豪雨災害広島県ばかりではありません。私の地元の神戸でも昨年の河川はんらん箇所と同じ箇所がまたことしもはんらんいたしました。これは新湊川水害ですけれども、この災害は、床上浸水二百十七棟そして床下浸水が百二十二棟、六千八百世帯、一万五千人の避難勧告が出されました。自衛隊も派遣されましたけれども、二級河川なので県管理であります。  昨年、ことしとこの災害ですので、あえて関連所管庁にお尋ねしたいと思うんですけれども、この河川は、明治時代に市街化が進むに従って市街や神戸港に迷惑がかからないようにということで河川をつけかえられたわけなんです、西側の方にカーブをしまして。現在の市街地の地図の上からでももとの河川の道筋がはっきり見える、こういうふうになっているわけなんですけれども、これは迷惑をかけないという当初の思いと裏腹に、つけかえたこの川筋が結局は数回、大洪水を起こしております。  そこで、三点お聞きしたいと思うんですけれども、阪神・淡路大震災によりましてこの新湊川の河川も大被害をこうむりました。その復旧工事が今も進められているんですけれども、一部完成しているものの、御存じのように、会下山トンネル、この河川のトンネルは建設途上であります。特にこの会下山トンネルは平成七年から今年度まで五カ年計画で完了する予定だったんですけれども、いまだに四分の一強工事が残っているわけなんです。果たして今年度中に完成するのかどうか危ぶまれているんですけれども現状はどうなのかお聞かせください。
  47. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) お答えいたします。  兵庫県の新湊川における河川改修におきましては、平成七年一月、阪神・淡路の大震災によりまして河川護岸や会下山トンネル等に大きな被害が生じましたので、それを契機として河川災害復旧助成事業で現在実施しております。トンネルは単なる補修のみならず、断面を拡幅して機能の拡大をも図っております。全体事業費二百三十億円で、平成七年度から五カ年の予定で事業実施しているところでございまして、現在の進捗率は九〇%でございます。  個別に会下山トンネルだけに焦点を絞ってお答えさせていただきますと、このトンネルの工事は川を通水しながら工事をしているという大変難しい工事でございまして、なおかつそのトンネルの上には民家や私鉄が多くあることから、振動や沈下に対して慎重な施工が必要となっております。なおかつ、去年とことし二回の洪水を受けたということで、工期がおくれているというのが実情でございます。今後早期完成に向けて、このトンネルができますと、トンネルの流す能力が百三十トンから二百六十トンと倍増になりますので、県ともども全力を挙げてこの完成に向けて当たっていきたいと考えております。
  48. 但馬久美

    但馬久美君 急を要するものですから、ぜひ早く工事を進めていただきたいと思います。これから台風の季節にも入りますし、また来年の梅雨までにずれ込むことのないようにぜひよろしくお願いしたいと思います。  最後に、今回のこの豪雨災害で、新型災害とでもいいますか、地下鉄、そしてまた地下街、地下室の水害ですけれども、今回も福岡市と東京で二名の方が亡くなられております。高齢社会において市街のバリアフリーが進めば進むほど、水害からの被害拡大するという矛盾した現象が起きていると思うんですけれども、最近こうしたことに気づいた政府が、建設、国土、運輸、消防庁など四省庁が地下空間洪水対策研究会というのを昨年つくられました。地下水害対策を講じていこうということなんですけれども、どのように進められているのか、お聞かせください。
  49. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 我が国の災害におきましては、都市部における地下空間の災害というのが顕在化してきております。これからの重要な問題と各省庁認識しておりまして、建設省では、国土庁、運輸省、自治省と構成する地下空間洪水対策研究会を昨年十一月より設置し、地下街や地下鉄の管理者からヒアリングを行う等、地下施設防災体制について調査を行ってきたところでございます。  本年六月の災害におきましても、関係四省庁の調査団を福岡市に派遣しまして、地下空間における被災状況現地調査等を実施したところでございます。今後、関係省庁と連携して、洪水時の地下施設管理者への早期の情報伝達や避難誘導対策のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
  50. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  最後に、私はもう一つ提案をしたいと思うんです。先ほど柳田委員の方からも話がありましたけれども、これから地域災害をこうむらない万全の措置をとるように対策を講じてほしいと思うんです。地域的な雨量被害の相関図の作成というんですか、地域方々にそれを知らせていく、この地域はこういう地形をしているからこれぐらいの雨だったらこういうような状況になるよという、そういう相関図みたいなものが必要ではないかと思うんですけれども、その点どういうふうにお考えなのか、最後にお聞かせください。
  51. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 今、先生の御質問に関しまして、建設省ではハードな対策以外にもソフトな対策としまして、いわゆる洪水ハザードマップ、わかりやすく日本語で言いますと、洪水の際に危険を回避するための地図、この地図の作成に努めております。この地図は水害に強い町づくりをしていく上で重要な情報となるものでございまして、具体的に申しますと、昨年八月、阿武隈川の出水におきまして、藤森郡山市長は、このハザードマップを利用しまして、住民の迅速な避難に有効だっただけではなく、行政が避難勧告や指示を発出する際、避難、救助等を行う際にも非常に有効であったと発言されておりまして、高く評価しているところでございます。  私ども平成六年度以降この作業をしておりますが、現在公表されているハザードマップは五十市町村、作業中で本年度末まで完成を目指しているものが約四十市町村、さらに約百二十の市町村が本年度中に作業に着手する予定になってございます。
  52. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  そういうハザードマップというんですか、これをぜひ全国的に展開していただきたいと思います。  時間が参りました。ありがとうございました。
  53. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  多くの皆さんの質問を受けて、少しダブる点もありますが、まず最初に、六月末の豪雨災害犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、本当に被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。  私は、今回の災害地広島、呉、神戸市の現地調査委員派遣でも回らせていただいたわけですけれども広島、呉、神戸市とも、山があって町があって海と、急斜面の地形的にはとてもよく似た都市でございます。特に広島は、今指摘されていますように、全国の中でも土石流危険箇所が多い、急傾斜地域崩壊危険箇所も一番多いところだと。兵庫県も計算しましたら大体四番目ぐらいにやはり多いところなんです。ですから、今回のような雨量が発生すれば予測できる災害ではなかったか、このように思いました。  今回の質問に当たって、特に開発と災害について質問をさせていただきたいと思います。  先日の広島市議会で日本共産党の議員が、災害関連で開発問題について質問をいたしました。担当者は、開発宅地の許可申請に対する審査、指導に当たっては、都市計画法とか宅地造成等規制法などの関連法令の規制や本市の技術基準に照らして開発宅地、そういう許可を安全性を確認した上で出している、開発の区域外については、もちろん許可申請の審査の対象外だ、こういうふうに述べているわけです。私は、開発区域内の安全性が基準を満たせば許可されているというのがこれまでの実態であったということをまず指摘したいと思うんです。  でも、これ以上の開発はしないでほしいという住民の意見があって、いろんな開発に対する意見だとか議会に陳情なども出されていたわけです。そういう声も無視して開発されたところ。特に今、亀井先生も質問されていましたちょうど観音台の下に瀬戸内墓苑というのがあるわけですけれども、これは山肌を切り開いてつくられた墓苑なんですが、そのとき建設反対の請願が市議会で採択されながら建設されたところだと言われています。まさに私は危険箇所に隣接する開発がチェックできていなかったというところに大きな問題があったんではないか。  大臣も現地を見られたわけですが、まずそういう開発指導に対する認識をお伺いしたいと思います。
  54. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) いわゆる御指摘の面は、開発されました隣接地における防災対策ということでございますが、今後はがけ崩れ土砂災害のような災害に対しましては危険箇所への対応を行うとともに、抜本的には危険な地域防災対策が十分施されないまま家が建つことを事前に防止する措置などはとる必要があると思うわけでございます。  今回の場合がどうであるということは、ちょっと私は経過を存じませんが、広島災害を視察して思いましたのは、先生指摘の観点を感じたことでございまして、本当に宅地造成をいたしました場所自体も一番端っこはもう山すそにひっついておるようなところでございまして、そこは当然宅地造成の端がすぐ山すそ、谷合いでございますから、そこに鉄砲水でも出てくればその下にある住家は当然災害に遭うわけでございます。  そういうようなことも今後どのように規制をしていくかということで、急遽七月六日でございますが、建設省の中に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームというのを設置いたしまして、先生指摘のような問題にどう対処するか、防ぐかというようなこともその問題点の一項目としてきちっと挙げておりますので、これは三カ月以内に大体まとめたいと思っておりますので、しっかりとした対策を講じていきたいと思っております。
  55. 大沢辰美

    大沢辰美君 今、大臣おっしゃったように、開発しなければならないところは防災対策をやっていくというのも、これは大原則だと思いますので、ぜひ今後の開発については重大な決意で取り組んでいただけるということを期待いたします。  次に、私は広島、呉、神戸市の宅地開発指導要綱というのを現地からいただいたんですけれども、各都市とも内容は多少異なりますけれども宅地の開発に当たっては公共施設の開発者負担、防災対策も確かにうたわれています。しかし、広島市の災害地の一部を今紹介いたしました、そして亀井先生もおっしゃった観音台団地や屋代地域ですね、今回崩れたところ、特に観音台団地周辺土石流危険箇所として県が指定しているところなんです。だから、これからそういうところについてはきちっと押さえていくということなんですけれども、やはり県、市の宅地開発行政のあり方、開発許可が、危険箇所対策を放置したまま宅地開発をしたところに問題があるということを何度も指摘させていただいているわけですが、建設省の民間宅地開発指導はどうだったのかと。今後の開発指導は、危険箇所防災対策、特に防災アセスメントを位置づけて安全性の確保を開発の前提にすべきじゃないかなと私は思うんです。  今、大臣がおっしゃった七月六日に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームを立ち上げたということをお聞きしまして、これから三カ月本当に重要な審議をしていただけるんだと思いますが、その内容の中にぜひ防災のアセスメントを検討課題に、このチームの中に入れていただいて、本当にこれからこういう形で開発されるんだったら大丈夫だなと言えるような対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  56. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 御指摘のように、きちっとやっていきたいと思っております。  今までは、何といいましても終戦後から今日まで、私たちの願望で残っておりますのは、衣食住で衣食は一応のものが達成することができた、あとは住宅ということでございまして、そのことに対します我々国民の願望、要望というものは非常に強いものがあったものですから、その強さに押されてそういう防災のチェックがいささか薄れておったということは事実でございます。  今、反省をし、鋭意そういう対策を講じていきたいと思っております。
  57. 大沢辰美

    大沢辰美君 今、大臣に本当に決意を言っていただきましたけれども、このプロジェクトチームでの討議の中に防災対策のアセスメントを位置づけるような対応をしていただきたい、それが災害未然に防ぐものだと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。  次に、今、但馬議員の方からも質問がございましたけれども、兵庫県神戸市の二級河川の新湊川のはんらんについてお尋ねをいたします。  これは昨年九月二十二日に同じところが台風七号によってはんらん、住宅、商店街が大被害を受けています。ことしの六月二十九日に同じ場所で同じように住宅、商店街が大被害を受けている。ですから、一時間六十ミリ以上の雨量が九カ月間に二回神戸市を襲ったことになるわけです。  当地域は、御存じのように四年半前に阪神・淡路大震災の激震地として、今営業と住宅と生活の再建のさなかなんです。そういう人たちはこの秋の台風がとても心配だ、店の商品も流された、この災害は人災だというように怒りを述べておられます。  私は、この水害の原因は二点あると思うんですけれども、一点は二級河川の新湊川そのものが今回の雨量に耐えられない河川であったということ、今改修中で九〇%できていると言っていますけれども、それでも私は耐えられないんじゃないかなと現地を見て思ったんです。  もう一点は、そういう耐えられない新湊川の状況であるにもかかわらず、その上流に約三百五十ヘクタールの宅地開発が、これは本当に数十年前ですけれども、やられているわけです。もちろん防災アセス、対策がないままにやられているわけですけれども、こういう開発が進められてきていると。京大の防災研究所の専門家の方は、治水のことを後にして宅地開発が行われている、山林からの住宅開発は保水力はもちろん減少して、山林であったときより二倍、三倍の水量となって増水すると指摘しています。そのとおりだと思うんです。まさに防災対策が後になった開発が被害拡大したと思います。  現在も新湊川の改修工事がやられている。この新湊川上流には防災ダムが一カ所やっと完成されています。防災ダムをもう一カ所つくらないとだめだということで、石井ダムの本体工事がいよいよ来年から着工される。完成まで約五年かかると言われていますが、被災者の皆さんからはもう五年は待てないという声が上がっています。緊急の対策とともに、ぜひこの石井ダムの国費の補助を増額して早い完成を指導して、抜本的な災害対策を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) ただいま御指摘の新湊川は、都市部におきまして六甲から一気に海に落ちてくる川でして、都市を守る大変重要な川だと認識しております。そのため、兵庫県では、この川の安全性を、百年に一回の洪水でも対応できるようにということで河道、いわゆる川と上流のダムとあわせてその百年に一回起きるであろう洪水に対応しようと考えております。  具体的に申しますと、基準点の菊水橋というところにおきまして、百年に一回の洪水五百二十トンを、川で二百三十トン、上流のダムで二百九十トンを受け持とうと。つまり、六がダム、四が川という計画で現在進めております。  先ほど川の改修の話は御説明しましたが、ただいま御質問の石井ダムにつきましては、現在補償工事中でございます。補償工事、つまり、神戸電鉄、公共下水道のつけかえ等、補償工事は十二年度にすべて完了する予定でございます。十二年度中にこれらの補償工事を完成した後、直ちにダム本体工事に着手したいと兵庫県から要望を受けております。建設省としても、新湊川の二年連続の洪水を踏まえ、石井ダムの早期完成に向けて支援してまいりたいと考えております。
  59. 大沢辰美

    大沢辰美君 百年に一回の洪水の計算が九カ月に二回起こったという異常な都市水害といいますか都市開発といいますか、そういう現状に来ているということも踏まえて、今後の対応を改めていただくというか、検討の大きな課題ではないかと私は思います。一九七七年の河川審議会の、こういう急激な人口の増加に伴った都市化に対応するための河川の治水対策河川事業というのから出発して今やられているわけですが、私はこれが遅々として進んでいないという実態を指摘し、これから、二級河川も含めてですけれども防災ダムや調整池や河川改修の防災体制を本当に完成しない限り開発は認めるべきではないということを指摘して、時間の関係上、最後の一点を質問させていただきたいと思います。  今、柳田さんからも質問がありましたけれども災害を受けた方への支援の問題です。  昨年できました被災者生活再建支援法広島県に、御存じのように昨年の水害には前倒し適用されました。しかし、昨年の水害で被害を受けた方は、全壊、半壊の方の約一一%しか適用されなかったわけですね。その金額も平均六十八万円という内容でした。これでは住宅、生活の再建は全くできません。広島、呉の災害地調査された議員の皆さんも、住宅が流された現状を見られて、住宅を再建するのにせめて一千万円ぐらいは補償してあげたいなと思われたのではないでしょうか。  防災対策とともに、被災者の救援、復興のために、すべての被災者に生活、住宅再建で救済する国の補償制度を早急につくり上げるべきと考えますが、最後に質問して、終わります。
  60. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これは先ほど柳田委員のときにも御答弁させていただいたわけでございますが、まず結論といたしますと、「この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況を勘案し、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」旨の附帯決議がなされておるわけでございます。五年を目途でございますから、前倒しだっていいわけでございますから、ぜひ先生方の御指導をいただいて、この被災者生活再建支援法の問題につきましては、先生指摘のような観点、その他いろいろなことを私も耳にいたしております。ですから、そういうようなことも含めて、また改正をしていくということを急ぎやるべきではないかなと思っております。  そういうようなことで、前向きで対処していきたいと思っております。
  61. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保でございます。  持ち時間が十分と短いものですから、早速質問をさせていただきたいと思います。  広島県で多くの方が亡くなってしまいまして、事前の予防、それから災害が起こったときの行政の対応について、我々がしなければいけないことに絞って質問させていただきたいと思うわけであります。  衆議院の方でも何度か質問がありました。そして、各委員先生方からもありましたが、避難勧告であります。  まず、避難勧告が今回の災害においては大幅におくれた、出しおくれた。事実上、災害が起こったときには勧告がなかったというような話でありましたが、その基準雨量等についてのメルクマール、これは何度も何度も聞いている方もいらっしゃいますから、簡単に基準雨量などのメルクマールについてお話ししていただきたいんです。  どうやら気象庁等においては土壌雨量指数などという新しいシステムをつくったりとか、あるいは衛星ですか、アメダスですか、こういうものもつくったりとかというような話も聞いておりますので、その辺のことも含めて簡単にお話しいただきたいと思います。
  62. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 避難勧告の基準のことでございますが、消防庁といたしましては、かねてから、地域の特性を考慮した避難勧告基準というものをあらかじめ設定しておいていただきたいという指導をしてきております。市町村によりますと、それぞれの地域ごとにきめ細かく区分けをして、時間雨量基準とか累積雨量基準というような数字的なものを示して避難勧告の発動基準というものをつくっているところが現にございます。ただ、市町村によっては、勧告基準というのが非常に抽象的、一般的にとどまっているところもあることは事実でございます。  私どもは、できる限りその地域の特性に応じた具体的な勧告基準というようなものを設定していただくということが必要だろうと思いますので、御指摘のございましたような、気象庁で現在取り組みが進められております土壌雨量指数等というようなものも今後の参考にしながら、関係省庁協力を得てそうした具体的な避難勧告の発動基準が設定されますように指導してまいりたいというふうに考えております。
  63. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 関係省庁協力を得ながらというお話でありました。そうすると、その基準の策定については消防庁もしくは国土庁がイニシアチブをとって策定していくと理解していいんでしょうか。
  64. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) いろんな技術的な問題等がやっぱり土台にございますので、そうした関係省庁の御協力を得ながら、私ども地域防災計画の策定を指導するという立場で、そうした具体的な設定というものについて指導してまいりたいというふうに思っております。
  65. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 勧告のメルクマールでございますので、これはイニシアチブをとる省庁あるいは担当部署みたいなものをぜひ決めるべきであろうと私は思うんです。危機管理については、危機管理関係は内閣の方にもありますし、一体これをどの部署でやるかということになってくるとまたいろいろと進まないと。でも現実にはそれを早くしないといけない事情があると思うんですね。  災害状況を見ますと、避難勧告なんかを出すのに、最も災害が多いのは過疎の地域なんであります。人口五千人かそこらの村あるいは町というような山がちのところで、災害についての専門の職員がいるなんということはまずもって考えられません。  そんなところで、やっぱり行政の指導というのは必要だと思うんですが、大臣、このイニシアチブをとっていただくというあたりについてどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  66. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 確かに、こういうような情報の伝達、また防災に対する専門の方がいるかどうかというのはもう本当に基本的な問題だろうと思うわけでございまして、そういうことにまた対策を講じていきたいと思います。  そして、ましてや今、世を挙げて地方分権の時代です。それで、今の先生の御質問とは関連はないといえばないかもしれませんが、私は予算委員会等々でも答弁させていただいたんですけれども、地方分権ということ自体はもう時代の要求でもあるしいいことだと思うのでございますが、果たして地方にそれだけの考え方、努力をする方、またそれだけの専門家というかそういう方が今十分にいるかどうか、それが心配であるというようなことも言ったわけでございます。確かに、そういう観点からも防災に対する専門家をきちっと育てていくということもなおやっていかなければならないと思っております。
  67. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 以前、大臣は、一般的にメルクマール、基準として決めてしまった方が簡単になるんではないか、町村長の責任問題にならなくていいんじゃないかというふうなお話をされておったように聞いております。ぜひその辺も含めて前向きに検討していただきたいと思います。  時間がありませんので、次に避難勧告のやり方といいますか、仕方であります。  あっという間に大雨が襲ってきたという話であったんですが、避難の仕方としては大体一般的に巡回車であるとか広報車であるとか、こういったことをしておるというふうに聞いておりますが、電話連絡のようなものを戸別にする、あるいはそのために災害の担当員みたいなものを各地地域で置いていくというようなことについていかがお考えでいらっしゃいましょうか。
  68. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 先生指摘の住民からの情報、特に裏山の情報というのは大変重要なことだと認識しております。  建設省としましても、災害時のみならず平時におきましても住民と行政が一体となって情報を交換して共有することが国土管理上重要なことだと考えておりまして、平成九年度から土砂災害一一〇番というものを都道府県や市町村に設置しまして、住民からの情報を受ける受け皿の制度を進めております。二年間で千二百四十三カ所が設置されておりまして、二年間の実績でいきますと千三百五十回の通報がございました。  今後とも、土砂災害一一〇番の整備を進めるほか、住民と行政の双方向の情報交換の強化に努めてまいりたいと考えております。
  69. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  次の質問に先に答えていただいたんですが、実は結局それを言いたかったわけであります。電話でのやりとり、住民からの情報のフィードバックをまずしてほしい、最終的にはそれが必要なんではないかということをまず言いたいわけであります。裏山が崩れているとかいう地域の個別の情報が余り対策本部の方に出てこないということを言いたいわけであります。  その上で、先ほどちょっとわき道にそれたかのように申し上げたこのことについてもう一度聞きたいんですが、情報のフィードバックといいましても、各地地域で担当者を決める必要性があるんではないか。このことは質問通告の中には入れなかったんですが、田舎の方へ行きますと部落なんというのもかなり離れておる、しかもその部落の中には五戸十戸しかない、五世帯十世帯しかないというようなところがあるわけであります。そんなところで、地域地域災害の担当官というか担当者というか、消防団みたいなものをつくってはどうかというふうに思うわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
  70. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) いい御指摘だろうと思います。検討をさせます。
  71. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 大変に突然の話でありましたので混乱をさせてしまいました。申しわけございませんでした。ただ、その後で住民からのフィードバックの話をさせていただきたかった、こういう段取りになっておったわけであります。  もう時間が来てしまいました。十分の間でお話をさせていただくのは非常に難しいんですが、最終的には住民が行政の中で能動的に活動していただく部分と、それから行政の側が手だてを講じていく部分とを本当に分けて考えていかなければいけない、行政ができる限りのことを今我々はしなければいけないということだろうと思います。  最後に、住民の啓発です。各地域の住民の方々が、この自分たちの地域は危険なんだ、ここは果たして危険であるかどうかということ、さっきの危険箇所の公表ということも含めて、その用意があるかどうか、住民が知らない状況が多いと思うんです。このことについての現状を聞いて、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  72. 竹村公太郎

    政府委員竹村公太郎君) 私どもは、都道府県や市町村を指導しまして土砂災害の危険区域図というのをつくっております。その危険箇所のうち、三一%が作成済みでございます。これは、作成し公表するわけでございますが、それだけでは住民に十分周知されないということで、住んでいるところが土砂災害のおそれがあることだとか避難場所だとか、異常を発見した際の連絡先などを記載したはがきを市町村が直接送付するダイレクトメールの実施を進めております。平成十一年度は、四百七十市町村の約六万七千世帯にダイレクトメールが送付されたところでございます。  今後、国、県、市町村が協力して、これらの方法によって土砂災害危険箇所についての情報提供を一層進めていく所存でございます。
  73. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございました。
  74. 菅川健二

    菅川健二君 参議院の会の菅川健二です。  まず、建設大臣には、さきの広島県を中心といたしました集中豪雨災害に対しまして早速現地に飛んでいただきまして、また的確な御指示をいただきまして、ありがとうございました。  またさらに、今後の対策としまして、七月六日に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームをつくられたわけでございまして、このプロジェクトチームの成果について大いに期待いたしておるわけでございます。  この中で三項目を主として挙げておられるわけでございますが、その中の一項目め、これは先ほど来しばしば御指摘がございますけれども土砂災害のおそれのある地域における住宅等の立地抑制方策の検討につきまして、若干現地の実態等につきまして気づいたことを申し上げまして、前向きの検討をぜひお願いいたしたいと思います。  これも先ほどありましたけれども広島県の、特に広島市域だけをとりましても、五ヘクタール以上の新興住宅地が約百五十カ所あるわけでございまして、これはほとんど山の中腹といいますか山の斜面に造成されておるわけでございます。そこで、山からの土石流、上流からの土石流によりまして幾つかの団地災害に遭ったという状況にあるわけでございます。  現行の宅地造成等規制法というのをひもといてみますと、造成工事によりまして下流にいろいろな影響を及ぼす、それを防止するために擁壁等の工事を行うと。そこで、開発区域内の安全性さえ確保できれば許可せざるを得ないと言われておるわけでございます。  先ほど大沢委員からも御指摘がございましたように、今回のように開発区域外から、上流から土砂が参った場合には、この法律の想定外だと言われておるわけでございます。したがいまして、こういったことからも宅地造成等規制法についても周辺地域を含めた新たな法の見直しが必要ではないかと思うわけでございますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  75. 風岡典之

    政府委員風岡典之君) 宅地開発の安全性という観点では、宅地造成等規制法もありますけれども開発許可につきましては、現在開発許可の基準というものが法律で定められております。それによりまして、宅地の立地というものについて指導しているところでありまして、その面につきましてはより具体的な基準等をつくって、開発許可段階で開発区域外の状況というものも加味して開発許可を与える、あるいは配置計画を考える、そういうような取り組みをしていきたいというふうに思っております。  それから、宅地造成等規制法につきましては、今御指摘のような点は、これからの検討の中で議論させていただきたいというふうに思っております。
  76. 菅川健二

    菅川健二君 それから、これも先ほど来いろいろ御指摘がございましたけれども、特に具体の観音台団地につきまして、私もたくさん知り合いがおるものでございますから早速観音台団地に行きまして、上部の方の砂防ダムから現地を視察させてもらったわけでございますが、上流の方で谷筋に砂防ダムが幾つかありまして、その下に調整池があるわけでございまして、そういった面ではかなり防災工事には気を使った宅地造成が行われておるということでございます。  いずれにいたしましても、今回のような大変な集中豪雨によりまして、そういった砂防ダム、調整池を越えてその直下にある住宅土砂がどっと流れてきたという状況があるわけでございます。  私は、一団地の造成工事においても、そこの直下の部分というのを公園なり道路なりにしておけばその被害もかなり軽微で済んだのではないかと思うわけでございます。そういった面では、宅地造成の土地利用計画といいますか、どこに住宅を配置し、どこに公園をつくり、どこに道路を配置するか、そういった個々の施設配置計画を含めた開発許可というものをきちっとやるべきじゃないかと思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  77. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生指摘のとおりだと私も思って、今回のプロジェクトチームで検討してほしいと言っておるんです。  先ほど先生から御指摘いただきましたように、造成地に隣接しているところの防災ということももちろんやらなければなりませんが、おっしゃいますように山すそまで宅地造成して、その端まで家を建てさせるというのは今後はやるべきではないと私は思うわけでございます。例えば、山すそから何十メートルの間は宅地の中の公園にしていただく、そこには家を建てることはできないというような規制もやっていくべきではないか、そういう時代に来ておるのじゃないかなと私は認識をいたしております。
  78. 菅川健二

    菅川健二君 ありがとうございました。  最後に、このたびのプロジェクトチームにつきましては、先ほど大臣も約三カ月を目途と申されたわけでございますが、いずれにいたしましても、法改正にわたることも幾つかあるのではないかと私は思うわけでございまして、ぜひ次の通常国会にはこういった面で、現在の宅地造成等の反省を踏まえた上での新しい法改正、あるいは新しい法の制定等を図っていただきたいと思うわけでございますが、大臣のひとつ御決意のほどをお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  79. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私もそういうようなことで三カ月というようなことも考えておるわけでございまして、やはり先生おっしゃいますように、これはいわゆる不動産、土地に対します私的な権利もいささか制限するようなことの内容にもなってまいりましょう。あるいはまた宅地造成の都市開発法自体もまたいろいろ変えていくわけですから、少なくとも幾つかは法律改正をしなければなりませんので、次の通常国会には間に合うようにつくっていきたいと思っております。
  80. 菅川健二

    菅川健二君 どうもありがとうございました。
  81. 海野義孝

    委員長海野義孝君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時六分散会