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1999-10-20 第145回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十月二十日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  九月二十八日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     本田 良一君  十月一日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     三浦 一水君      景山俊太郎君     木村  仁君  十月十九日     辞任         補欠選任      江本 孟紀君     佐藤 雄平君      鶴保 庸介君     阿曽田 清君  十月二十日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     笠井  亮君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         但馬 久美君     理 事                 鈴木 正孝君                 長谷川道郎君                 海野 義孝君     委 員                 市川 一朗君                 木村  仁君                 田村 公平君                 三浦 一水君                 森山  裕君                 佐藤 雄平君                 高嶋 良充君                 藤井 俊男君                 本田 良一君                 和田 洋子君                 大沢 辰美君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君                 阿曽田 清君                 岩本 荘太君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  中山 正暉君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    説明員        国土政務次官   増田 敏男君        国土庁防災局長  生田 長人君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        農林水産省経済        局長       石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        食糧庁長官    高木  賢君        水産庁長官    中須 勇雄君        気象庁長官    瀧川 雄壯君        建設省河川局長  竹村公太郎君        建設省住宅局長  那珂  正君        自治省財政局長  嶋津  昭君        消防庁長官    鈴木 正明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (平成十一年台風第十八号と前線にともなう大  雨による災害に関する件)     ─────────────
  2. 但馬久美

    委員長但馬久美君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月二十八日、本岡昭次さんが委員辞任され、その補欠として本田良一さんが選任されました。  また、去る十月一日、鹿熊安正さん及び景山俊太郎さんが委員辞任され、その補欠として三浦一水さん及び木村仁さんが選任されました。  また、昨日、江本孟紀さん及び鶴保庸介さんが委員辞任され、その補欠として佐藤雄平さん及び阿曽田清さんが選任されました。  また、本日、山下芳生さんが委員辞任され、その補欠として笠井亮さんが選任されました。     ─────────────
  3. 但馬久美

    委員長但馬久美君) この際、最近の一連の災害により亡くなられた方々に対して、御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立お願いいたします。黙祷。    〔総員起立黙祷
  4. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 黙祷を終わります。どうぞ御着席ください。     ─────────────
  5. 但馬久美

    委員長但馬久美君) この際、中山国土庁長官及び増田国土政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。中山国土庁長官
  6. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 第二次小渕内閣におきまして国土庁長官を拝命いたしました中山正暉でございます。一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  まず最初に、今も黙祷をささげていただきましたが、この夏以来、全国各地で相次ぎました豪雨災害によりまして、また台風によりましてお亡くなりになられた方々に、またその御遺族に対しまして深く哀悼の意をささげますとともに、被災者方々に心からのお見舞いを申し上げたいと存じます。  政府といたしましては、災害発生直後より総力を挙げて応急対策に取り組んでまいってきたところでありますが、今後とも、被災地の速やかな復旧被災者生活再建支援に努めてまいりたいと考えております。  また、先日、茨城県東海村において原子力事故災害発生いたしました。まずもって被災された方々に心からのお見舞いを申し上げますとともに、国土庁としても、政府が行う抜本的な原子力防災対策の見直し、検討協力してまいりたいと存じております。  私といたしましては、防災行政責任者として、関係省庁の御協力をいただきながら、常に緊張感を持ってこれらの災害対策全力で取り組むとともに、阪神・淡路地域復興にも引き続き取り組んでまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位皆様方、休会中でございますが、こうして御参集いただきまして御審議をいただきますことを政府側としても心からの敬意を表して、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  7. 但馬久美

  8. 増田敏男

    説明員増田敏男君) 国土総括政務次官増田敏男でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  この夏以来、全国各地で相次いだ豪雨台風による災害でお亡くなりになられた方々、その御遺族に対して深く哀悼の意を表しますとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  あわせまして、先般の原子力事故災害による被災者方々に対し心からお見舞いを申し上げます。  総括政務次官として、中山長官を補佐し、災害対策全力を尽くしてまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願いして、ごあいさつといたします。     ─────────────
  9. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 次に、災害対策樹立に関する調査のうち、平成十一年台風第十八号と前線にともなう大雨による災害に関する件を議題といたします。  まず、先般行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。鈴木正孝さん。
  10. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 派遣報告を申し上げます。  去る十月六日、但馬委員長海野理事木村委員三浦委員本田委員大沢委員大渕委員岩本委員、そして私、鈴木の九名は、熊本県における平成十一年台風第十八号と前線に伴う大雨による被害の実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。  なお、衆議院の災害対策特別委員会においても、同日同行程で委員派遣が実施されたことを申し添えます。  台風第十八号は、九月十九日九時、宮古島の南東約四百二十キロメートルの海上で発生し、二十四日六時ごろ熊本北部に中型で強い勢力で上陸した後、九州北部から中国地方西部を通って、同日十時ごろ島根県西部日本海へ抜けました。日本海を北東に進んだ台風は、二十五日二時ごろ北海道渡島半島に再上陸し、北海道日本海側を北上、十時ごろオホーツク海に抜けました。この間、台風影響により、各地暴風大雨高潮などになりました。  また、二十日から二十四日にかけては、日本付近を東西に伸びる前線影響もあって、東日本から西日本の広い範囲にわたって大雨となりました。  この台風第十八号と前線に伴う大雨による被害は、消防庁の十月十八日十一時現在の調べによりますと、人的被害死者三十名、負傷者千九十名、また、住家被害は床上・床下浸水を含め全体で十万七千九百七十七棟に上るなど極めて甚大なものとなっております。  私たち派遣委員は、台風第十八号の直撃を受け最も人的被害の大きかった熊本県について調査を行いました。  当日は、まず、熊本県庁において福島知事島津県議会議長など関係者から同県の台風被害状況及び要望を伺いました。その後、県内でも特に人的被害が集中した宇土郡不知火町に赴き、森町長など関係者から同町台風被害状況及び要望を伺うとともに、被災現場を視察いたしました。  なお、同町では高潮により十二名の住民の方が亡くなられ、その被災現場におきましては、献花と黙祷を行い、犠牲者の御冥福をお祈りいたしました。  以下、調査概要を申し述べます。  まず、熊本県全体の台風被害状況でありますが、九月二十三日深夜から二十四日午前中にかけて同県を襲った台風第十八号は、牛深市で観測史上最高の六十六・二メートルの最大瞬間風速を記録するなど猛烈な台風で、不知火海沿岸では高潮発生し、また、県内全域にわたって暴風猛威を振るい、甚大な被害をもたらしました。  県の十月一日十二時現在のまとめによりますと、人的被害死者十六名、負傷者二百六十八名、住家被害は全半壊千六百五十四棟、一部破損三万九千六百五十六棟に上り、また、被害額農業部門三百二億円、林業水産部門百一億円、土木部門九十九億円など総額六百十五億円に達しております。  こうした被害状況については、車中からではありましたが、各所において、水稲倒伏や塩害による稲の変色、ミカンの落果や倒伏ビニールハウスの倒壊、海岸に打ち寄せられた多数の栽培用ノリ竹などの状況を実際に確認することができました。  県からは台風被害への対策概要説明もありましたが、その中で県議会九月定例会に追加提案することになっていた台風被害に係る補正予算についての説明がありました。その予算規模は百三十一億円で、被災者支援災害復旧事業が大きな柱となっていました。  なお、同補正予算は、その後、会期最終日の十月七日に提出され、同日、本会議で可決されたと聞いております。  また、県からは、激甚災害指定災害復旧関係予算の確保、被災農業者中小企業者に対する融資等支援措置など多数にわたる事項についての要望がありました。  台風被害に関する県の説明及び要望に対し、派遣委員からは、農作物等被害の内訳、最も強く要望したい事項被災農家への支援策等についての質問が行われております。  次に、不知火町の台風被害状況についてであります。  同町熊本県のほぼ中央、宇土半島基幹部位に位置しておりますが、九月二十四日未明から朝方にかけて暴風高潮猛威を振るい、死者十二名を出すなど町全域にわたって甚大な被害を受けております。暴風猛威を振るったことは、調査当日も窓ガラスが割れたままになっていた町役場の庁舎を見てもうかがい知ることができました。  同町にとりわけ甚大な被害をもたらしたのは、九月二十四日の五時三十分から五十分ごろをピークとする高潮発生であります。特に松合地区においてその被害が集中し、その状況死者十一名、住家被害全壊三十棟、半壊二十棟といった極めて深刻なものとなっております。このため、同町からは、局地激甚災害指定災害復旧早期完成被災者生活再建等支援災害に係る財政支援についての要望が行われております。  今回、高潮被害が集中した松合地区は、宇土半島の南側、不知火海の湾奥部に位置する小さな漁港の集落であり、国道二百六十六号に囲まれた低地帯にあります。もともとは埋立地であり、町営住宅の建設も進められてきました。こうした同地区高潮被害発生した原因については、台風大潮満潮が重なったこと、気圧の低下により海面が上昇したこと、風向きが強い南風に変わったこと、地形的に湾奥部に位置していることなどの条件が重なったことによるものと考えられております。  同地区高潮対策堤防は、国道二百六十六号をかさ上げする方法で、高さ七メートルの堤防が昭和四十七年に完成しており、今回、ピーク時には七メートル近くになった高潮に対して、この国道堤防自体はその役割を果たしたものと考えられます。しかし、同地区には住宅地に入り込むように三つの船だまりがあり、その両わきの階段堤防は五・五メートルと国道堤防より一・五メートルも低かったため、船だまりに押し寄せた海水階段堤防を越えて低地帯集落に一気に流れ込んだものと見られております。  未明の集落に流れ込んだ大量の海水は多数の住家の一階天井部付近まで達し、このため亡くなられた住民のほとんどは一階建てに住まわれていた方々で、しかも高齢者が大半という結果になってしまいました。二階という避難場所がなく、素早く逃げることができない方々犠牲中心となってしまったのであります。  高潮から助かった住民方々に対する行政のヒアリングが行われていますが、その内容を伺いましても、一階部分の冠水はあっという間のことであり、中には一階の天井板を突き破り、屋根まで達してようやく助かった方もいたとのことでありました。  高潮被災現場では、既に全壊家屋解体撤去等復旧作業が進んでおりましたが、犠牲者が多く出た平屋の町営住宅はまだ何戸か形を残しており、その中に実際に入ることもできました。天井まで海水につかった室内にはヘドロが薄く堆積しているなど極めて悲惨な状況であり、高潮発生時のありさまはいかばかりであったかとの思いをいたした次第でございます。  今回の高潮被害については、悪条件が重なったことなどにより十分な防災体制をとる余裕がなかったことは極めて残念なことでありました。これに関しては、台風の進路や大潮等を考え合わせれば高潮発生は予想できたのではないかとの質問がありましたが、森町長は、松合地区では百年以上大きな高潮被害を経験しておらず、むしろ土砂災害等を警戒していた、当日の満潮時間は七時五十七分であり、これに備えての消防団出動要請は四時三十分に行っていたものの、満潮の二時間も前に高潮発生することは予想外のことであったとしております。  また、今回の高潮を船だまり階段堤防で防げなかった点については、県の担当者から、同堤防潮位偏差に関する確率を計算して設計されているが、今回の高潮想定外のものであったとの見解が示されました。その一方で、不知火海については、有明海に比べると潮位偏差に関する研究が進んでおらず、今後十分な研究が必要であるとの説明もなされております。  以上が調査概要であります。  最後に、復旧作業等でお忙しい中、調査に御協力いただきました方々に厚く御礼を申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げまして、報告を終わらせていただきます。  以上でございます。
  11. 但馬久美

    委員長但馬久美君) これをもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  これより本件について質疑に入ります。  質疑のある方は順次発言お願いいたします。
  12. 三浦一水

    三浦一水君 自民党の三浦一水でございます。  今回の台風災害につきましては、先ほど委員先生方黙祷もいただきましたとおりでありまして、全国で三十名というとうとい犠牲を出してしまったわけでございます。私は、今回最大被災地になっております熊本県の選出でございまして、そういう意味で、きょう質問の機会をいただきましたことにまずは感謝を申し上げたいと思いますし、同時に、九月二十五日には早速、政府視察団を派遣いただきました。さらに、本院の委員派遣ということで十月六日には早速、但馬委員長を初め速やかな調査を行っていただきました。私も県民の代表の一人として厚く御礼を申し上げたいと思っております。ありがとうございました。  今回、熊本県内被害を見ますと、まさしく全分野にわたっております。中心的なものは農林水産被害でありましょうし、また商工関係のダメージも大きゅうございます。加えて公共施設、さらに熊本県は国体の本年開催地ということになっております。荒天時の開閉会式の式場として予定をしておりましたパークドームも被害に遭うことに例えられますように、四十を超える国体施設被災をいたしております。まさしく甚大な被害を受けてしまったわけでございます。  私自身も小さな被災者でございまして、かわらが数百枚飛びました。あるいはまた、鉄のシャッターがちぎれるのを目の当たりにして、今さらながら風の強さということを思い知らされました。私が経営します果樹園樹体被害あるいは水田、小さな犠牲者ではありますが、この状況というものがまさしく県下全域に今広がっておりまして、台風からやがて一月たつに至ります現在におきましても、各住宅屋根にはたくさんの青いビニールシートがかかっております。青いビニールシートが間に合わず、農業用ビニールハウスビニールをかけて雨露をしのいでいるという住宅も多く見られるわけでございます。一方で、看板が飛ばされました商店には、その商店看板すらまだ掲げられていないといったような状況が続いております。人的に大きな十六名という犠牲を出しました。また、それと本当に匹敵するような大きな経済的な打撃も日々、日を追うごとに深まっているという状況でございます。  熊本県におきましては、県、市町村並びに各農業団体等におきましても、みずから見舞金を出される、あるいは地域的なボランティア活動復旧に当たるといったような自助努力も進んでおります。しかしながら、冒頭お願いを申し上げておきたいのは、何を申しましても国の大きな支援の中でこの大きな災害復旧ができていくのではなかろうかと、県民一同期待をするところでございます。冒頭にぜひともそういう意味での御理解と御支援お願い申し上げておきたいと思います。  今回、先ほども申しましたように、日を追うごとに経済的な側面打撃が現実的なものとなってきております。なかんずく、農林水産業被害というものはその中心をなすものではないかと考えております。熊本県の農業生産額が約四千億でございます。既にその額の一割を超えるものが被災額として計上されている状況でございまして、県の統計でも既に四百億を超えております。農業団体の集計によりますと、さらにそれを五割上回る六百億という額も、そこに開きがありますが、計上されているという状況でございます。  農産物そのものもまさしく収穫前でございました。大変な農家の手取りの減少につながっております。加えて、生産施設も長期的な復旧が必要となってまいります。そしてまた、農地そのものまで被害を受けているという状況でございまして、本当に熊本基幹産業の担い手としての農家の多くの方々が今真剣に離農を口々に語られるといったような状況まで現在迎えている状況でございます。  そういうことでお許しを得まして、きょうは農業問題を中心的に聞かせていただきたいと思うわけでございますが、まず農業共済につきましてお尋ねをしたいと思います。  収穫まであと一週間という時期に被災したメロン等がございました。また、水稲におきましては先ほど鈴木理事から詳しく報告をいただいたとおりでございます。全県下倒伏が見られておりますし、落果しておりますナシ、ミカン等果樹、あるいは収穫後にもかかわらず家屋破損等によりまして、雨漏りによりまして商品価値をなくしてしまった熊本特産品イグサ等がございます。  農産物被害を唯一救って農家収入の補償の埋め合わせができるのは共済制度であると認識いたしておりますが、速やかな損害評価と、そしてまた早期共済金支払いというものが今切に望まれております。  県独自で人件費補助等を行いまして損害評価調査を進めてもらうといった単県の取り組みも熊本県では進んでいるところでございますが、この点、国においてはどのような御対応をいただいているか、まず冒頭お尋ねをしたいと思います。
  13. 石原葵

    説明員石原葵君) 農業共済対応状況につきまして御説明させていただきます。  台風第十八号によります農作物等被害に対する農業共済対応につきましては、被災農家の経営の早期安定を図ることが重要でございます。このため、まず損害評価を迅速的確に行いまして共済金支払い早期に行うという趣旨で、九月二十八日付で局長通達を発出したところでございます。また、本省の担当官を十月上旬に熊本県ほか各県に派遣いたしまして、農業共済団体等に対する指導を行ったところでございます。  また、水稲につきましては、規格外米等の低品質米が広範囲に発生しております。これにかんがみまして、農業共済組合連合会の申請に基づきまして低品質米減収量にカウントする、いわゆる損害評価特例措置を実施する予定といたしております。  農林水産省といたしましては、これらの措置の適切な実施を通じまして、被災農家の経営安定のため今後とも努めていく所存でございます。
  14. 三浦一水

    三浦一水君 次に、被害が非常に広範囲であります米の問題についてお尋ねをしたいわけでございますが、熊本県で言います米の生産額は六百億程度あるわけでございます。実際、今収穫を進めております。そういう中で、平均で言いますと十俵ぐらいとれる米でありますけれども、それが四俵であるといったような話が既に報告されております。あるいは、平均で六俵とれるんだろうかというのが今率直な現状でございます。  共済、今御説明をいただきましたが、いわゆる損害として計上できるものが非常に制限が厳しいという現実的な側面もございます。となりますならば、自主流通米としてこの規格外米をどう扱っていただけるかということが非常に重要になってくると考えております。また、加工米としての扱いが進むものにつきましてなおできないのか、これも両面において私は検討の必要なことではなかろうかと考えております。食糧庁のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  15. 高木賢

    説明員高木賢君) 規格外米につきまして自主流通米としての取り扱いができないか、こういうお尋ねでございますが、自主流通米は御案内のように通常のものにつきましては農産物検査で一ないし三等とされたものを対象といたしております。しかしながら、災害被害地域におきましては自主流通法人全農などでございますが、これが地元の経済連あるいは需要者と協議をいたしまして仕分け基準を作成いたします。これによって、規格外の米であっても仕分けを行った上で自主流通米として流通させる、こういう方針であるということになっております。  したがいまして、今回の台風十八号の被害を受けた地域におきましては、現在、仕分け基準は既に作成済み熊本県におきましては台風被害につきましての仕分け基準作成済みでございます。これによりまして対処するということであります。国といたしましては、この仕分け基準に則して検査を行うということなどの協力を行っております。  それから、もう一つお尋ね加工用米仕分け基準についてしかとそうなるのか、こういうことでございます。  率直に言いまして、AランクBランクということで主食用の米につきましては二つのランクをつくっております。加工用米は従来といいますか、これまでAランクのみということでありましたが、それでは対応が難しい、加工用規格外米についても、Bランクに相当するものも加工用米として取り扱うことができないかということが熊本県の経済連から全農の方に要請がございました。これを受けまして、全農の方でもそのBランクに相当するものも加工用米として取り扱うことができるようにする、こういう方針にしているというふうに承知いたします。
  16. 三浦一水

    三浦一水君 次に、被災しております各地域農業振興についてお尋ねをしたいと思います。  被害の中身には、ガラス温室が全壊をしまして土壌の中にガラスが入り込んでしまっている、客土すら必要だといったようなものもございます。あるいは、花卉や野菜等の施設園芸におきましては、ビニールハウスが、ハウス施設でございますけれども、ビニールをはがしておいたにもかかわらず鉄パイプまで曲げられてしまっている、中の作物につきましてはもう言うに及びません、そのような状態でございます。さらに、イグサでございますが、さっき言ったように収穫後のものまで被害を受けておりますし、その苗も塩害によりまして非常に大きなダメージ、来年の作付まで影響が及ぶと、間違いないところになってきております。  平成三年、台風十九号が全国的に大きな被害をもたらしましたが、熊本におきましてもそのときのダメージが今まで残っております。農家の制度資金等の残債もそれにより残っているという状況の中であります。まさしく復旧から一歩踏み出した地域農業の振興策としての復興が私は必要であると考えております。被災した地域農業振興を図るためにどのような対応が考えられるのか、施設園芸なり果樹なりそしてイグサなりにつきましてお答えをいただければと思います。
  17. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) このたびの災害の実情を拝見いたしますと、かなり地域的にまとまった形で大きな被害を受けておりますので、地域ぐるみで対応策、つまり再建をする、あるいは新たな観点から農業振興を図るといった方策が必要になろうかと思っております。  もちろん、先生も御指摘ありましたように、災害復旧というのは原則として共済であるとかあるいは制度資金であるとかそういうものでやるわけでございますけれども、他方、地域農業振興という立場に立ちますと、不幸にして災害を受けられました地域におきましても、これを契機に農協あるいは市町村等が取りまとめ役となりまして農業振興を図る場合には、御質問の点につきましては、例えば補助事業の活用といったようなことも農業振興という立場に立ちますと十分にかつ真剣に検討すべき対象ではないかというふうに考えております。
  18. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 果樹の樹体の被害とイグサの点につきまして緊急に対応する部分がございますので、この部分につきまして御説明をしたいと思います。  まず、果樹でございますが、今回の被害でございますが、落果、傷果、いわゆるそういう被害発生をいたしておりますが、倒伏とか枝折れ、あるいは潮風を受けました枝枯れ、樹体被害がかなり出ているということを私どもも承知をいたしております。  これに対する対応としましては、現在、ややちょっと細かい名前で申しわけないんですが、果樹産地再編総合システム確立事業というような現行やっておる事業が二つほどございまして、これを活用して積極的に支援したいと思っておりますことに加えまして、特に今回の樹体被害の実態に対応するということで、復旧対策、いわゆる改植等に着目をしました採択要件を、端的に申しますとやや緩いといいますか、採択しやすい条件の新しい緊急の事業をつくれないかということで財政当局と現在調整中でございまして、そう遠くない時期にこれは仕上げたいと思っておるところでございます。  それから、イグサの関係でございますが、特にイグサの場合は間もなく来年産の作付の時期を控えております。これに影響を及ぼすわけでございますが、苗が塩害を受けておりまして、大体二十ヘクタールぐらいの苗が害を受けているということで緊急にこの増殖について支援をするということを私ども考えておりまして、その必要な二十ヘクタールは大体対応できるめどがついておりまして、県と十分に今調整を行っているところでございます。  引き続き地元からの要望を聞きながら、何ができるかいろいろ相談をしていきたいと思っております。
  19. 三浦一水

    三浦一水君 次に、農地の災害についてお尋ねをいたしたいと思います。  台風十八号によりまして人的被害を出してしまいました松合地区を初めとします不知火海の沿岸におきまして塩害が非常に発生をいたしております。まずは塩害の発生状況につきまして御報告をいただければと思います。
  20. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 被災面積は千八百九十五ヘクタール、そのうち海水とヘドロの厚いものが五百四十四ヘクタール、海水とヘドロの比較的薄いものが八百八十九ヘクタール、塩害として軽微ではないかなと思われるものが四百六十二ヘクタールという形で熊本県から報告をいただいております。これは、被害額にしますと約三十五億円に上るのではないかというふうに想定をいたしております。
  21. 三浦一水

    三浦一水君 農地でありますので、本当に作物をなくして、施設をなくして、さらに農地ということになりますと、なかなか農家が自力で立ち上がるということはまさしく難しい状況になっております。  そういうことで、国としては塩害に各地で取り組まれた例もあるかと思うんですが、これまでの過去による経過をも踏まえまして、今回のこの地域の塩害の対応につきまして御説明を賜ればと思います。
  22. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 私ども、やはり農地復旧の大原則は翌年の営農に間に合わせるということでございます。  塩害対策をこれまでやりましたのは過去四回事例がございますけれども、今回の熊本県の事例は非常に甚大な塩害であって、農地復旧をぜひともやらなければならないケースであるというふうに考えております。  この場合、検討方向としては二つございます。一つは、この暫定法に掲げられました一定の要件を満たすという形で、ヘドロの処理、石灰の散布、かん水、客土といったようなことを一連の除塩工事として、農地災害復旧事業として実施をする方向、それからもう一つは、この暫定法における要件を満たさない場合でありましても、被災農地が相当な面積で存在をしておるという実情を踏まえまして、これも翌年の営農が可能となりますように必要な除塩工事につきまして臨時特例的な措置、要綱におきましてそういったことができないかということを取り急ぎ検討しておりまして、ぜひともそういった方向で実現をしたいなというのが私どもの見解でございます。
  23. 三浦一水

    三浦一水君 今、対応を御答弁いただきました塩害の被災農家被災状況、あるいはまた果樹の樹体等の被害と申しますのは、ことし復旧をして影響がなくなるという性質のものではないわけでございまして、今後数年にわたり、あるいは果樹等で本当に生産が復帰できるのは、私もミカンをやっておりますが、苗からやっていきますと十年ぐらいどうしてもかかってしまうんだという状況でございます。そういう意味でも、農家の所得の目減りに対しいかなる支援がとれるのか、これはもう非常に重大なこととなっております。  今回、被災農家に対します自作農維持資金の限度枠を二百万ということで聞いております。率直にこれではそのような状況の中で足りないんじゃないかというのが県下の声であります。この点につきまして、特例的にこの限度枠を引き上げるということについてお考えはないか、お尋ねをいたしたいと思います。
  24. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 御指摘の自作農維持資金の中の災害資金でありますけれども、これはいわゆる最小限の立ち上がり資金あるいはつなぎ資金という性格を持っております。今、先生から御指摘がありましたように、過去、天災融資法が発動されるような大きな災害の場合、例えば平成五年の豪雨、低温、あるいは平成六年の干ばつといったようなときには、被害の実情を勘案いたしまして、この枠あるいは必要に応じて貸付限度枠の引き上げの措置を講じております。  私ども、やはりこの十八号の災害につきましては、県の方から需要と必要額、これをきちんと聞いた上で、この結果を踏まえまして適切な対応をやりたいと考えております。
  25. 三浦一水

    三浦一水君 激甚の指定につきましては後ほど聞きたいと思いますが、それが指定になれば二百万という枠が二百五十万になるというふうには聞いております。しかし、私は、今は県民の声としては、そのまた倍ぐらいをぜひ用意いただければなというのが率直な声であります。ぜひ御検討を賜ればと思います。  次に、災害復旧事業に係ります地方財政措置についてお尋ねをしたいと思います。  今回、いろいろな国の支援を受けながら、先ほど申しましたように、県それから各市町村におきましてはいろいろな災害復旧事業に取り組んでまいっております。その際に国の補助事業というものは非常に大きな力を発揮していただいているところでございます。特に今回のような甚大な被害に対しましては、私は、市町村が持ちます負担分というものがまた大きなおもしになってくるんではなかろうかと危惧をいたしております。このような災害復旧に係ります地方自治体の負担について、私はぜひとも適切な財政的措置が必要であろうと考えております。  自治省において具体的な対応がありましたらお答えをいただきたいと思います。
  26. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) お答えいたします。  今回の台風十八号の災害によりまして、今、委員御指摘のように、被災した地方団体におきまして応急対策あるいは復旧対策などで相当の財政負担が生ずることが見込まれるわけでございます。  とりあえず、特に大きな被害を受けた地方団体に対しましては、普通交付税の繰り上げ交付、十一月末に交付すべき普通交付税の繰り上げ交付を考えておりまして、昨日決定し、二十二日付で六十三億七千八百万、これは熊本県だけではございませんが、特に被災が多かった四県の三十六市町村、熊本県では不知火町ほか九市町村が該当いたしますが、に対して交付することにしたところでございます。  なお、災害復旧事業、補助なりあるいは単独で災害復旧事業をこれからやっていかなくちゃいけないわけでございますが、その地方負担につきましては、原則として一〇〇%災害復旧事業債を充て、なおかつその元利償還金についても、後年度財政負担にならないようにその相当部分を普通交付税に算入するというような措置をしております。  なお、その他地方債等で充てられないような財政負担もございますので、特別交付税、これは十二月にも決定いたしますが、その特別交付税におきまして、ルールに基づきまして地方団体ごとの財政需要を勘案して特別交付税を決定したい、交付したいというふうに考えております。  以上でございます。
  27. 三浦一水

    三浦一水君 さらに、先ほどビニールシートがたくさんかかっていると申しましたが、住宅被害についてお尋ねを申し上げたいと思います。  今回の個人住宅被害額、これは熊本県だけの数字しか持ち合わせませんで恐縮ですが、五万五千棟ほどに及んでおります。全国ではまた相当な数ではないかと考えております。熊本県内においてその中で住宅金融公庫の融資がついておりますものだけでも一万九千棟という状況でございます。  被災を受けた方々、私もまたそうでありますけれども、できるだけ早くかわらも買いたい、雨漏りをしのぎたいという気持ちはありますが、損害保険金が支払われないとやはりなかなか安心ができないというところがございます。また一方で、工務店の方も、大工さんにしましても、代金の前払い等があってやっと回っていく中小零細なところが多いわけでございまして、そういう意味ではこの損害保険金の支払い早期に実施されることが非常に重要だなと考えております。  その点、住宅局においてはどのような指導をなさっているか、ちょっと事情を聞かせていただきたいと思います。
  28. 那珂正

    説明員(那珂正君) 先生おっしゃるとおり、被災した住宅の円滑な修理のためには保険金の支払いが迅速に行われることが重要だと思います。  ただ、このたびの台風十八号の被害によりますと、先生も今御指摘になりましたけれども、熊本県を中心として九州四県で約三万戸を超えるような住宅金融公庫融資住宅被災がございます。通常の事務手続ではとても時間がかかってしようがないということでございますので、このたび特例といたしまして、保険会社から直接その被災した個人、すなわち債務者に保険金が支払われるようにすること、あるいは査定事務を含む支払い事務全体について、通常の三十人程度の体制を十倍以上の三百数十人の体制にいたしまして、通常、申し込みから一カ月以上かかるようなものにつきまして二週間程度で支払いが行われるように住宅金融公庫を通じて保険会社とも体制を整えているところでございます。
  29. 三浦一水

    三浦一水君 今回、松合の災害の際に、先ほど御報告もありましたように、船だまり国道堤防の高さが違っていたというようなことがございます。ここでなくとも不知火の干拓等を見ておりますと農業用の干拓地の堤防の高さが随分違っている。その低いところから大量の海水が流入しているという実情がございました。  一方、建設省の部分と農林省の部分と同じ干拓等の堤防でも違いがあって、どういう部分かその辺わからないんですが、それはいいんです。ただ、私は、現状で低いところがあるというのは早急にやはり改善をしていくべきだろうと考えております。この点、お考えがありましたら最後にお聞きをしたいと思います。  最後になりますので、ぜひとも国土庁長官調査をいただきまして、大変な災害でございますが、激甚の指定をよろしくお願い申し上げたいと思いますし、局部的にまた指定をいただかなければ復旧が図れないという地域もありますので、よろしくお願い申し上げておきたいと思います。
  30. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私が就任いたしまして間もなく熊本県知事が国土庁にお訪ねいただきまして、先生が先ほどから御熱心に御質問なさっていらっしゃる同様の趣旨で、激甚災害指定をしてもらいたいという御趣旨の御陳情を受けたところでございます。  個人的なことで恐縮でございますが、私のおやじも熊本出身でございまして、私にとりましてもふるさとでございますので、大変心を痛めておるところでございます。  激甚災害指定につきましては、被害額、それから被害を受けた自治体の財政状況、先ほどから御答弁がございますが、それから被災地の農業所得の状況等に照らしまして判断することになっておりますために、地方公共団体の被害報告を受け、関係省庁において指定の前提となる被害額、すなわち復旧事業費等の査定作業を行う必要があるわけでございまして、現在その作業を鋭意各省急いでおられるところでございますが、その状況を踏まえて指定基準に該当するものについて速やかに処置をいたしたい、先生の御趣旨を肝に銘じまして対応いたしたいと思っております。
  31. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 先生の前段の御質問に簡潔に答えたいと思います。  海岸堤防の高さにつきましては、県が整備基本計画を立てますので、その整備基本計画に基づいて高さがそれぞれ違っているというのが現状でございます。  ただ、今回の実情を踏まえまして、やはり県自身もこの計画を改定したいというふうに伺っておりますので、その計画の改定に沿いましてできる限り早い段階で堤防のかさ上げをしたいと考えております。
  32. 本田良一

    本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一です。  きょうは、私も御礼を申し上げます。今回の台風の特にひどかった熊本地方を、但馬久美委員長を初め、先ほど鈴木委員から御報告のありましたメンバーで訪問をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。  ただいま自民党の三浦先生が質問されました。熊本県の議員は、ここには木村仁先生と私とこの後質問をされます阿曽田先生の四名でございます。そしてまた、心強くも但馬久美委員長熊本のお生まれでございまして、また中山国土庁長官がかてて加えて熊本ということで、大変心強く思っております。しかし、今回の台風は四県にまたがる大きな被害でございますので、熊本県の我々も含め、他の県の被害地の皆さんの要望書どおりに十分ひとつこたえていただきますことをお願いしまして、私の質問をさせていただきます。  今、三浦先生も申されましたが、この激甚災害指定法についての状況と見通しについてお伺いをいたします。  各被災県からこの指定要望書として出ていると思いますが、熊本県の分も含めまして、ひとつ見通しについて御報告、見解をお伺いしたいと思います。
  33. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほど三浦先生にもお答えをしたところでございますが、見通しということになりますと、全国的な激甚災害、いわゆる本激の指定時期については、被害の査定見込み額が段階で指定が可能なため、災害終息後おおむね二カ月で行われるのが通例でございます。このため、指定基準に該当すれば十一月下旬ごろになるのではないかと思っております。
  34. 本田良一

    本田良一君 とにかく、通常は十一月下旬、そういう予測を実は我々もやっているところですが、これをなるべく早くひとつお願いしたい。  この激甚災害指定法は、特に財政援助の内容といたしまして四点あるわけですが、主なものは、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助とか農林水産業に関する特別の助成、また中小企業に関する特別の助成、その他の特別の財政援助及び助成となっているわけですが、これを将来見直すという、この際でございますが、台風被害にあわせまして現行でやっていただく基準があるわけですが、これをもっと見直していただきたい。特に、激甚災害指定基準の改正で公共土木関係の財政援助、それから激甚法施行令の改正、この適用団体の基準を見直す、こういう点の見解をお伺いしておきたいと思います。
  35. 生田長人

    説明員(生田長人君) ただいまの御指摘の点でございますが、国土庁といたしましても、公共土木施設関連につきましては現在の基準が大変厳しゅうなってございまして、特に標準税収入との関係で被害額を見るものですから、昨今、標準税収入の額が大変上がってきたということもございまして、指定がしにくくなっているのが現状でございます。  それで、去年の年末あたりから私どもの方でも過去の災害状況をきちんととらえまして現在調査をしておりまして、それに少し時間をいただきたいというふうに思っておりますが、できるだけ早くこの点につきましては見直しをさせていただきたいというふうに考えております。
  36. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございました。今までの見解から見直しという言葉をいただきまして、ひとつぜひともその実現をお願いいたします。  次に、公営家屋全壊、農業破壊など被災に対する被災者生活再建支援法は、支援基金が三百億、国からの補助という二つから成り立っておりますが、この支援法は国が主になってやるという理念の確立、私有財産が被害に遭った場合は民法上どうしても天災の被害からは乗り越えることはできなく義援金で今日まで、普賢岳とか奥尻とか、そして阪神大震災になってやっとこの理念が今の法で風穴をあけたということになっております。よって、補助額については国が主軸となってスピーディーに支給をやっていただきたい。だから、その理念の確立とこのスピーディーな支給、これのひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 御承知のように、被災者生活再建支援法というのは先般国会を通していただきましたが、この法律の施行後五年目を目途としてこの法律の施行状況を勘案し、総合的な検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということになっております。この制度は本年の四月から運用がされたばかりでございまして、まずは現行制度を円滑そして適切に運用して実績を積み重ねることが重要であると思っておりますので、御趣旨を体しまして今後の検討の課題にいたしたいと思います。
  38. 本田良一

    本田良一君 何か次にこの三百億が六百億以上になるということでございます。この義援金が多い少ないによって大変、人口に比例してやるわけですから、阪神では三十万か四十万、奥尻では一千七百万ぐらいあったというような状況で、そういう点もひとつ十分な配慮をお願いしたい。  それから、これは全労済という共済関係の団体が取りまとめた自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議というのが、阪神大震災以降、全国から署名を集めまして国会に陳情いたしました。この審議会の設置についてはいかがな見解を持っておられますか。
  39. 生田長人

    説明員(生田長人君) ただいまの御指摘の点でございますが、私どもも全労済の方からそういうお話を伺っております。その中身につきましても、その審議会で検討する内容項目についても十分承知しているところでございます。  先ほどお話しになりました被災者生活再建支援法の附則の中にも、住宅再建についての総合的かつ多角的な角度からの検討をしろと、こういう規定がございますので、ことしの一月になりますけれども、国土庁の中にこういう検討会を含めまして、大変専門的な知識が必要でございますので十人の専門家の方々にお集まりいただきまして、これまで六回の検討を進めてきたところでございます。できればこの検討会、来年の夏を目途に結論を出すよう努力したいというように考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  40. 本田良一

    本田良一君 この要望事項の内容というのは、「地震、津波、風水害、噴火など自然災害被災者住宅復興を促進するための国家的制度を創設すること。」、二つ目が「給付の対象は住宅と家財とし、基本的な生活再建を促進する内容にすること。」、「給付財源を確保するため、国、地方公共団体及び国民によって公平で納得のできるシステム設計を計ること。」と、ほかにも一つありますが、そういう内容です。ちょうどこの機会に全国的なそういう動きがあることをひとつ国土庁長官も知っていただきたい、こう思います。  次に、防災体制についてでございますが、これは既に関谷長官が視察をされまして、長官も、電柱の倒壊、そういう物理的な要素によって停電をする、そのためには地下にケーブルを移すべきだとか、そういう地元見解を言っておられます。  私がここで申し上げたいのは、今の防災システムは、いろんな有線放送とか衛星を使った防災システムとか、そういうのが日本ではおおむね都道府県を中心に整備されていると思います。ところが、今申し上げました物理的な要素で電柱が倒れ、電話も電柱が倒れたことによってストップしてしまう、これが今の日本の現状の防災システムです。近代的なものにすべきだということで非常に多くの予算を使って、特に一つで八十億とかそういう整備をやりましたけれども、いざ電気がとまればすべてが終わる、こういう状況でございます。  だから、被害が起こって、情報伝達ということもありますが、私が今回の台風被害で重視をしましたのは、今回の台風は百年に一度だと、こう言われます。百年に一度だから、例えば港湾施設の整備も防災体制は整っていなかった、あるいは他のいろんな家屋もそういう備えをしていなかった。しかし、そういう状況であっても、最後に一人の人の命を救えるのは、十分なる被害発生前の情報収集を市町村長がやって、市町村長が避難命令をいかに出すか、これによって人命が一人でも確保される、このことが重要なことです。今回この台風被害でより我々は認識をしました。  よって、そういう場合の体制のために、高度な近代的な防災システムの稼働も重要だけれども、今回はたまたま電池で動くトランシーバーが非常な威力を発揮しております。だから、そういう旧来のトランシーバー的な、そういう面をハードとしましょうか、それともう一つは、特に消防団とか五人組とかそういう地域の自治体を中心にした旧来の人的な組織網、そういうことを別にちゃんと確立して、二重構造の体制をとった上で避難命令を首長がぴしゃりと判断を持って出せる、そういうことが重要と思いますが、その点についてひとつ御意見を。  今回は県民のインフラはほとんど寸断をされまして、県内の全世帯の二七%、二十四万戸が停電、断水、そういうことです。だから、その翌日は、多くの電力会社の社員の皆さんは、我々が映画で見た日本の戦争時代に兵士が毎日毎日行軍で疲れ果てて路上に寝ていたと、そういう状況でした、もう毎日毎日復旧作業で。そして、朝の寒気のある寒い中で、朝の八時ぐらいに我々が車で道路を通りますと、その道路でもう本当に寝ておりました。そういう厳しい作業を実はみんなやったわけです。  そういう点をひとつ考えて、防災体制の近代的なもの等も含めて旧来的なもの、そういうものを全国的にどのようにお考えか、長官にお伺いいたします。
  41. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) まだ就任して間がありませんが、昨日も国土庁の庁内にあります三階の防災対策の部屋を見せてもらったところでございまして、阪神・淡路大震災はもう五年近くなりますが、来年の一月十七日で六年目になるわけでございますが、その後いろいろ工夫をいたしまして、全国六百カ所ぐらいのところに拠点を置いて情報がすぐに収集できるようにとか、いろいろな施策を過去の苦い経験を踏まえてやっておるようでございます。  先生の御指摘のように、いかに早期に警戒態勢に入るかということが一人でも多くの人命を救うもとになると思いますので、今後、私も就任いたしました限り、昨日もいろんな考え方をその現場の司令室でいろんな話をしておりましたのでございますが、先生の御指摘を受けながら、またいろいろ充実をさせてまいりたいと思います。
  42. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) 防災無線とのかかわりでちょっと御答弁させていただきますが、御指摘のように、台風災害時などにおきましては、気象情報あるいは避難勧告などの情報をいち早く伝達するということは防災の基本であるというふうに考えておりまして、人命の保護や被害の軽減に最も重要なことと認識しております。  そういうことで、住民方々に避難勧告などの情報を伝達するシステムとしては、防災行政無線という制度、仕組みを用意いたしておりまして、屋外スピーカーあるいは屋内スピーカー、戸別受信機になりますが、それを用いまして音声によりまして一斉に情報を伝達する、こういう同報系の防災行政無線ということで、これは無線でございますので台風などにも対応できます。それにつきまして、各種の補助制度あるいは起債と交付税制度を組み合わせました災害に強い町づくりを進めるための制度を設けておりまして、それで積極的に整備を進めてきているところでございます。  なお、この防災行政無線につきましては、非常電源等予備電源も備えておりまして、一定時間内においては停電時においても対応可能、こういう仕組みになっているわけでございます。そういった面から、またその他一般の行政情報を住民の方に提供するという面から有用なものとして整備を積極的に進めているところでございまして、今後とも、それぞれの市町村の御相談に応じながら整備の推進に努めてまいりたいと考えております。
  43. 本田良一

    本田良一君 お答えをせっかくいただきまして、別な電力をちゃんと備えていると、自家発電ということでしょうけれども。  それはそれでいいんだけれども、今、スピーカーでということですね。これはどこかでの災害のときに機能しなかったんです。特に台風は窓を閉めますから、スピーカーでは聞こえません。だから、そういうことがあるからいろんな他のことを十分考えないとだめですよということですから。旧来のやり方ではそれではだめですよと、そういうことを申し上げておきます。  それから次に、一つだけ忘れておりましたが、これは鈴木先生が現場で聞いておられたことですが、その後、私もこのことを重視しまして、ずっと災害地の町村長に聞いて回りました。阪神・淡路大震災以降、今まで自衛隊の要請は都道府県がやることになっていたけれども、現場の首長が県を通して自衛隊の要請ができるという法に変わったということです。これを御存じない方が案外おりました、どこということは言いませんが。だから、全国的にこの法を、要請の方法が変わったことを全国の市町村には知らない人が多いと思いますから、この点国土庁長官に、現状と、これからいかが指導をされるか、お伺いします。
  44. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 阪神・淡路大震災のとき、これは災害救助法で十市十町、大阪府下も五市が指定を受けました。私の旧中選挙区時代の選挙区でも、朝ジョギングをしている人たちや堤防で夜釣りをしていて帰り支度をしていた人たちが巻き込まれて、大阪市内、此花区のことでございますが、十七名ばかり犠牲になられました。そのとき残念だったのは、知事が自衛隊に要請をするのが大変おくれた。係長が、もうぼつぼつ知事、連絡をした方がいいんじゃないですかということで、連絡をとって自衛隊が出たけれども、自衛隊の自動車は緊急自動車に指定されていないので大変その活動に困ったということを聞いております。  それからまた、伺うところでは、これから東京都が防災訓練をするのに今度は石原知事が事前に自衛隊の参加を要請しておられるというような話も聞きますから、そのためにいろいろな訓練をしている自衛隊という防災に大いに活動してもらえる可能性のある集団に対して、災害を防御するという意味から、先生の御指摘、これは貴重なことでございますので、その方式についても確立した方式を指示したいと思っております。
  45. 本田良一

    本田良一君 どうも前向きにありがとうございました。  それでは次に、台風情報のリアルな進行方向の気象報道の整備についてお伺いをいたします。  これはどういう質問かといえば、気象庁がテレビで報道いたします。大体、台風発生からこれは何ヘクトとかと言いますね。そして、どれくらいの規模だ、そして気象衛星でとらえた渦状の状況が映し出されます。しかし、台風は一気に海上から陸上に向かって上陸をします。そうしたときに、大体二時間ぐらいの余裕が今までのケースでありますが、進行方向の住民が窓を閉めたりそういう対応は、やるところもあるけれども、ほとんど今まで、特に十九号はなかったわけです。  これは、昔から二百十日ということを、我々は台風銀座は小さいときから教わっております。二百十日の台風は怖いと。それ以前の八月の終わりから、まあ十五号ぐらいまでは怖くない。それは、台風の風が上空高く飛ぶから中心が上陸をしても大丈夫だと言われております。しかし、二百十日の台風は地をはうように来るから昔から農民が恐れた。稲がやられ、農作物がやられると。だから、元寇がやっつけられたあの神風も、実を言うとこの辺のときの台風ですね。しかし、「天災は忘れた頃にやって来る」という寺田寅彦の世界にも類のないすばらしい言葉が日本にはあります。  ところが、現実に台風というものは何回も来るけれども、台風に備える体制は非常にお粗末。それは何かといえば、気象庁がNHKで報道する。その報道は、ただ現状だけではもうできないと思う。だから、科学立国の日本であれば、例えば海上にそういう台風状況をリアルにとらえるいわゆる機器の発明を、アメリカのハリケーンもあります、バングラデシュのモンスーンもあります。そういうものに先駆けて、そういう機器の開発をやって、海上に備えてそれを報道するとか、そういう時代がもうこれからあっていいんではないか。  それからもう一つは、気象報道をやる中に、NHKとか各報道機関の人が風が吹く海岸端に立って、こんなに強いですよという報道だけがリアルに映るだけです。だから、過去の十九号がこういう台風でこういう被害をもたらした、あるいは十八号は高潮でこういうところにこういう被害をもたらしたと。気象庁が日ごろから、今はデジタル時代だしインターネット時代だから、そういう情報をちゃんと保管しておいて、台風状況とあわせて報道する。  そうすると、今回の不知火町で起こった高潮の場合は、山の方から雨がもたらされて、土石流が来るかもしれないなという予想はしていたけれども、高潮が来るとは予想していなかったというんですが、そういうために高潮被害があった、そういうのを報道すれば、山ばかりじゃない、川ばかりじゃないぞ、海も警戒しておかにゃいかぬという情報収集ができると思います。だから、そういう報道をやれるような体制をいかに考えられるか、お伺いします。
  46. 瀧川雄壯

    説明員(瀧川雄壯君) 先生、今二つのことをおっしゃいましたけれども、まず最初の点に関しましては、台風が非常に大きな災害をもたらす、したがってなるべく早くそれをキャッチして国民に知らせることということでございまして、現在、気象庁におきましては、台風が海上にございますときには、気象衛星「ひまわり」あるいは船舶等の観測によりまして、台風の強さ、大きさを十分に把握しております。  気象衛星「ひまわり」の話が先ほどございましたけれども、私どもは「ひまわり」から非常に多くの情報を得ております。例えば雲の広がり、あるいはどういうふうに集中しているか、目があるのかないのか、さらに雲の形、それから雲の高さ、雲の温度、そういうものから私どもはかなりきちんと台風の強さ、大きさというものを把握してございます。それに基づいて予報するわけでございます。  それから、先ほどその予報につきまして、もう少し詳しく、過去どうであったかという御指摘がございました。それにつきましては、先日の台風十八号に関しましては私どもが出しました台風情報の中で、ことし日本に接近する台風の中で最も大きいものであるという指摘をしてございます。  それからもう一つは、暴風雨や大雨による災害をもたらした平成三年台風十九号と類似しているということで、先生御指摘のように、十九号は非常に大きな災害をもたらしてございます。全国で六十二名亡くなってございますし、九州においても二十四名亡くなっております。九州においては風倒木の被害がたくさん出ておりますし、瀬戸内では厳島神社の国宝が流されてございます。さらに、青森ではリンゴがかなり落ちたということで、私ども、できるだけそういう情報を取り入れるように努めたいと思っておりますし、先生御指摘のように、今後ともよりわかりやすい台風情報にしていきたい、そういうふうに考えてございます。
  47. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。  それでは次に、これは私の一個人的なことではなく熊本県として、熊本県は要望書を既に今回の台風で出しております。先ほどの報告の中に約六百億という被害状況説明がありました。現実には十月十五日付をもって熊本県の被害は八百五十四億となっております。  この中で、先ほど三浦先生に質問していただきましたが、農業共済資金を百十億円、既に熊本市などでは立てかえ、緊急貸し付けをやったり、あるいは農漁業者に対しても三億五千万円を支出したり、そういうことをやっております。よって、今回の激甚指定をぜひお願いするとともに、きょうここに来るときに、不知火地区からさっき来られたばかりです、三浦先生もちょっとおっしゃいましたが、不知火町には局地激甚災害指定お願いしたいという陳情がきょう来ておりますから申し上げておきます。  そういうことで、特に雇用について日々の生活維持のためどのような手だてが講じられるか。もう生活設計ができないと、イグサの農家はそういう打撃を受けたところがあります。そういう人たちの日々の生活設計のために、農業土木などをされるときにはそういう雇用をお願いしたい。また、再建計画の指導について、今後壊滅的な打撃を受けたイグサ農家に対しての再建計画を県、市町村へどのように働きかけるか、お伺いをいたします。  それからもう一つは塩害対策ですが、塩害対策は先ほど三浦先生の質問で、今までのことを含めて枠を超えてというお答えがありました。そのことはこのことを意味するんでしょうか。例えば、五センチ以下の場合には国の方で支援がありませんね。だから、室戸、第二室戸台風と伊勢湾台風、チリ沖地震、このときには五センチ以下でもヘドロ対策に国は枠を超えてやっておりますが、そのことを言ったんでしょうか。我々はそのことを期待しております。  以上です。
  48. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 幾つか御指摘がございましたので、まず雇用の問題とそれから塩害の問題についてお答え申し上げます。  災害復旧事業、多くが地元で、しかも農業関係の公共事業の場合には地元発注率が非常に高いわけでございますので、当然のことながら、被災された方々も含めてその地域における雇用の改善に寄与するような方向で運用がなされると考えております。  それから、除塩事業の問題につきましては先生御指摘のとおりでございまして、ちょっと国庫補助というお話があったんですけれども、暫定法に基づく国庫補助事業という点では法律上明らかに厚さによって区別がございますので、それに該当するものは暫定法にのっとった復旧事業をやりたいし、それからそれ以外のものにつきましても、農地がかなりの大きさで固まっているような場合には、いわゆる通称要綱事業といいますか、予算事業といいましょうか、そういうふうな形で過去にも経験がございますので、検討いたしたいということでございます。
  49. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) イグサの農家の再建計画といいますか、そういうお話がございましたので、私の方からお話を申し上げます。  お話がございましたように、イグサは県の主要な地域特産物でございますし、農家経営上も、また地域経済の上でも大変重要でございます。しかし、このところ景気低迷等の影響で需要が減少するということで大変厳しい状況にあるわけでございます。このような状況を踏まえて、熊本県におかれましてイグサについて将来ビジョンを設定してみようという話がございまして、これに対して私どもも国庫補助を行うということは既に決定をいたしておりまして、策定作業が順調に進んでいたということがございます。  その中で今回の災害ということでございまして、当面の対応が先決ということでそのビジョンの策定作業がとまっているわけでございまして、今回その具体的取り扱いをどうするかということはまだ聞いていないわけでございますが、落ちついたといいますか、ある段階でまた再開をされるんではなかろうかと思っております。仮に当初の計画どおりに再開されるということになりますと、当然今回の災害を織り込んだといいますか、念頭に置いた形での策定になろうかということだと思っております。  そういう場合には私どももともと国庫助成をすることにしておりましたし、県のそういう対応に対しまして、いろんな助言でございますとかあるいは情報の提供をさらにしていくということを考えておりますし、その施策の実現等々具体的な対策についても、何ができるかよく相談をしていきながら、できるだけの支援をしたいと考えておるところでございます。
  50. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございました。
  51. 海野義孝

    海野義孝君 公明党の海野でございます。  これまで各委員の方から大分詳細にわたって御質問がありましたから、時間の関係もありますので直ちに質問に入りたいと思います。  まず第一点は、こういった災害発生した場合の情報伝達とそれに対する対応の問題でありますけれども、私は今回の問題、特に自治体の対応という点に問題があるんではないか、このように思うわけでございます。  これまで建設省とか国土庁とか消防庁とか、いろいろな災害台風とかあるいは豪雨であるとかが発生した場合にはできるだけ早く詳細にわたって伝達される努力をしているということは十分に私は理解しているわけでありますけれども、問題は、例えばそういった省庁から県、自治体に行く、そこから市町村に伝達された場合に、市町村から今度は具体的にそういったいわゆる災害に遭われるような地域に対する伝達というか、そういった面に問題があるんではないかというような感じがするわけであります。  しかし、今回の場合は、いわゆる防災対策本部について立ち上げた時間を見ますと、熊本県は九月二十三日、高潮発生の前日の夜二十二時に情報連絡会議というのを設置された。そして、翌二十四日の午前十時五十分、既に災害発生し、高潮が引き、そして大変な災害の実情が生々しくあらわれてきた後において県としては災害対策本部を設置した。ところが、この不知火町においては九月二十三日、つまり県が情報連絡会議を設置したよりも早く、午後九時に災害対策本部を設置した、こういうことになっているわけです。  物の順序から考えると、県から市町村におり、そこから住民に伝達をする、こういうことでありますけれども、この辺どうしてこういうような、これが一番今回の災害が予測しないようなことであったということを物語っているかわかりませんけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
  52. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) お答えいたします。  不知火町では、お話のように前日の二十時三十分の大雨暴風高潮等の警報を受けて、二十一時に災害対策本部を設置したということでございます。それで、高潮を含む水防関係の警戒監視は同町地域防災計画では原則として消防団が行うという体制になっておりまして、そこで、翌朝の満潮時刻である午前七時五十六分に向けて十分な時間的余裕を持って警戒態勢をとるということで、午前四時三十分ごろに命令を出しております。それは、地域防災計画の定めに従いまして、消防団に対し夜明けとともに出動し配置につくよう、こういうことを命じております。  なお、その四時三十分ごろの時点では風雨が極めて強く、屋外での活動が危険な状態にあったということでございます。町としては、消防団からの潮位などに関する報告がなされ、それに基づいて必要な場合には避難勧告等の措置をとることも考えておりましたが、高潮災害満潮より二時間以上前に発生し、事前に避難勧告等を行うことができなかったということでございまして、気象情報等については直接町が情報を受けて対応してきているところでございます。  県下各地においてそれぞれいろんな状況がございましたので、不知火町ではそのような対応をとったと承知いたしております。
  53. 海野義孝

    海野義孝君 時間がありませんから、質問に対するお答えがちょっと違うと思いますけれども、その点はもう結構でございます。  つまり、県より町の方が早くそういった防災対策本部を設置したという問題、これはやはり県として今回の台風十八号に対する取り組み方、これはもう台風が進路から見ましてもだんだん来ると。ただ、高潮になるかどうかはともかくとして、そういった危険が九州一帯にあったわけですから、そういった面からしての対策本部の設置等についての取り組み方に私は問題ありということを指摘申し上げたいということです。  次に、今回はいろいろな悪条件が重なったということで、大体想像もつかない災害が起こる場合は、人災、天災等もろもろミックスされて、しかも予想されないような災害となるということは、私がこの災害関係の委員会にお世話になってから一年余の間にいろいろな災害がありまして三回ほど現地調査しましたけれども、いずれもその災害のパターンが違うということでございます。結果的には、そういったことが起こった後に急いで省庁におかれましてもいろいろな対策のための委員会等を設置される、大体後手後手に回るということは、災害大国日本としてはまことに私は不思議なことではないかと思います。今回のことを契機にして、またひとつもっと積極果敢に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、今回のこの高潮災害、津波なども含めてでもいいかと思いますけれども、高潮災害が起こった場合に、今回のようなそういう被害に遭われる可能性があるというのを全国的な総点検をされて調査されているかどうかといった点について、高潮のそういった災害があった場合に具体的に何カ所ぐらい大きな災害が起こるというような可能性があるかという点について教えていただきたい。
  54. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 十一年度予算にあらわれておりますけれども、高潮対策事業を実施しております箇所は四省庁合わせまして五百三十七カ所でございます。台風の接近などによって高潮が起こるわけでございますが、一般的には湾口が南を向いていて瀬戸内も含めた太平洋側に高潮の可能性があるということで、四省庁合わせまして五百三十七カ所に高潮対策事業を実施いたしております。
  55. 海野義孝

    海野義孝君 次に、今回も、松合地区から五百メーターぐらい離れたところに松寿園という町営の老人ホームがあって、そこで高齢の御婦人が逃げおくれて水死されたということがありました。昨年も、福島に行きましたときに、太陽の国のからまつ荘という、あそこもその後ろの山を見ると極めて緩やかなスロープのところですけれども、あそこでもそういった土石流というか、そういったことによって災害に遭われた。そういった公営でいわゆる災害弱者と言われます方々災害を受けていらっしゃる。  また、私は、人生の晩年においてそういう不幸があるということは、やはり我が国が今後安全と活力のある生活大国を目指していく場合に、いわゆる高齢時代というのはどんどん進展しているわけでありますし、そうした中でこういうような災害弱者の方の施設災害に遭うということは大変遺憾に思うわけでございます。  そこで、その具体的な実態についてお聞きしたいと思うんですが、現在、全国にそういった施設がどのぐらいあるかということと、そういった中で土砂災害、あるいはその危険箇所とか注意箇所、あるいは山地の災害危険地区、あるいは準用地区、あるいはまた今回のようなこういう水害とか高波等によっての危険地区、こういったところが、全国施設約十四万ぐらいあるというふうに私は承知していますけれども、そういった中で何カ所ぐらいあるか。それについて、昨年来でいってもいろいろな災害が起こっている中で、早急にこれに対する善後策というか対策を講じつつあるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  56. 炭谷茂

    説明員(炭谷茂君) 災害弱者の施設はいろいろございますけれども、社会福祉施設についてお話しさせていただきますと、全国約五万カ所社会福祉施設がございます。これにつきまして建設省、林野庁と各省が連携をとりまして調査いたしましたところ、危険地域にあるというものは、建設省の調査では四千八百、林野庁の危険区域等には二千五百というような数字になっております。ただ、この中には一部重複があるんじゃないのかなというふうに思っております。  この調査を受けまして、私ども、一月二十九日付で関係五省庁、これは私ども厚生省、文部省、林野庁、建設省、自治省の連名で災害弱者関連施設に関する総合的な土砂災害に対する実施というような通知を発しまして、都道府県に対して指導を行っております。  具体的に申しますと、危険区域等の国土保全事業を推進すること、また緊急点検の結果を市町村及び施設管理者に通知して施設管理者向けに説明会を開催する、また市町村の協力を得た避難体制など防災体制の確立に努めるというようなことを行っております。  いろいろな省庁が関係しておりますので、それとの連携を図りながら今後とも私ども最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  57. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 災害弱者関連の施設対応でございますが、関係省庁の共同調査に基づきまして約一万九千カ所の災害弱者の施設のうち特に自力で避難が困難な方々施設、約千六百カ所がございます。その施設に関しましては平成十一年から五カ年で、特に急傾斜、がけ対策でございますが、整備をしていきたいというようなことで事業実施を進めている次第でございます。
  58. 海野義孝

    海野義孝君 時間が参りましたので、最後に長官に一つ御質問させていただきます。  きょうのこの今回の一連の十八号台風に関連する質問とはちょっと外れますけれども、災害関係ということで申し上げたいと思いますが、先般、台湾でたしかマグニチュード七・七というような地震がありまして、多くの方々被災に遭われたし犠牲になられたと、大変痛ましいことがありました。その前にはトルコでもございました。  そこで、お聞きしたいんですけれども、我が国、関東大震災、その後、四年半前の阪神・淡路がございました。あの関東大震災が一九二三年に発生いたしまして、記録に残っている中では大変な大震災であったわけですけれども、ちょうどその一年前に台湾で三回にわたってマグニチュード六・二ないし六・八というような地震が起こっている。今回は大きくて七・何ぼということであります。たしか阪神・淡路は七・二だと思うんです。私はこういったことについては専門家ではございませんから、ここでこういった質問をすることはいかがかと思いますけれども、今回の問題を含めまして、関東におきましても南関東に大地震が将来あるのではないかというようなことが言われ、いろいろ調査もされ、いろいろとそういったことの本等も出ているわけでございます。プレート型地震とかあるいは活断層とかいろいろあるわけです。  いずれにしましても、今後の災害の一つとしましては地震の問題ということをやはり私は重視しているわけでございまして、特にあの四年半前の阪神・淡路の問題ということは本当に痛ましい問題でありまして、これによって生涯立ち直れないという方々も相当いらっしゃるというように思うわけです。台風にしましても地震にしても、そういったものが終わった後は関係者以外は全く関心を持たないという感じがしますけれども、そういった当事者の方々は生涯にわたってこの問題を引きずっていかれるという大変痛ましい問題であります。  そういう意味から見ますと、私は、我が国は地震大国でもありますし、あるいはまた台風等の災害の大国でもありまからす、万全な体制はどれだけやってもこれで十分ということはあり得ないということだと思うわけでございまして、そういう意味で、大震災等の、言われていることも含めて、今後、長官としてさらにここで危機管理につきましてどのように前向きに取り組もうとされていらっしゃるのか、その点をお聞きして私の質問を終わります。
  59. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 大問題を御質問いただいたわけでございますが、日本は、日本はというよりも地球は時速約千七百キロで宇宙を走っているわけでございまして、その上に、日本列島というのは北米プレート、それから太平洋プレート、フィリピンプレートという三つのプレートの上に乗って、それが直接ユーラシア大陸の岩盤の下へ食い込んでいきます場所が房総半島から伊豆半島の間だと言われております。  今も先生からいろいろな歴史的な地震のお話がありました。ちょうど黒船がやってきたころにも伊豆の新島と式根島が分断されるという安政の大地震がありましたし、それから今お話のありました大正十二年九月一日の関東大震災。私は戦争が終わったときに中学一年生でありましたものですから、昭和七年生まれでございます。私が小学校を卒業する寸前に南海大地震というのがありまして、私は枚岡、大阪の生駒の山の方へ疎開しておりましたが、学校の先生が外へ出ろと言って出てみましたら、和歌山の方に地表から七本ぐらい稲光の逆、逆さまに火柱が立っているのを見たことを覚えております、そのときのいわゆる南海大地震は憲兵隊によって情報を伏せられたようでございますが。今回の阪神・淡路大震災、このときも大阪におりました娘から電話がかかってきて、私ども夫婦が死んだ、東京はもっとひどいことになっているんだろうと思ったということをよく言っておりました。  そんな意味で、日本列島は四回ぶつかっているそうでございます。最後に来たのが伊豆半島で、その伊豆半島が本州を直撃したのがいわゆる富士山で、盛り上がったという。おっしゃるとおり、火山列島でもありますし、震災に対する我々の、必ず来るという意識をもっと国民に徹底させ、そしてこの日本列島、わずか二%のところに五六%の人口が住んでおる国でございます。五〇%の過疎地、千三百二十の市町村が過疎市町村になっておりますから、それに、国土の適正な配分をしながら、先ほどから御指摘のありました情報を早くに伝達するような組織を築き上げて、そしていかに国土を分散させながら、地方分権といいますが、三千三百二十五の地方自治体ということで、もう少し広域的な災害に対する備えをするための地域の再編成みたいなものを進めていかなければならないのではないか、国土庁長官としてまだ就任早々でございますが、ふだんから政治家として考えておりますことの一端として私はそういうものを実現してまいりたい。  どこで起こるかわかりません。それに対して常に備えるという、この地震列島の将来に対する備えをいかにするかという御指摘をまたいろいろと、この災害特の皆様方からもお知恵を拝借いたしたいと思っております。よろしくお願いをいたします。
  60. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  まず最初に、この間の災害犠牲になられました方々に心から哀悼を表したいと思います。そして、被災された多くの皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。  先ほどからの台風十八号による質問が続いているわけですが、私も委員派遣及び日本共産党国会議員団としても災害直後に調査団を派遣いたしまして、不知火町を初め松橋町、それから竜北町、鏡町、八代市を調査いたしました。不知火町の松合地区で十二人の方が亡くなられたわけですけれども、遺族の方からこういうことを聞きました。避難勧告さえ出ていたら命は助かったという悲痛な言葉をお聞きいたしました。  この点について私は一言お聞きしたいんです。熊本県一帯の台風情報があったわけですが、その中で水防法二十二条によって県の避難の指示が出されたのかどうか。そしてもう一つは、大きな被害があった不知火町に避難勧告が出されなかったのはなぜなのか。消防庁はどう把握していますか。まずお聞きしたいと思います。
  61. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) お答えいたします。  県からの避難の指示はなかったと承知をいたしております。  不知火町では、前日の二十時三十分に大雨暴風高潮などの警報を受けまして、二十一時に災害対策本部を設置しているわけでございます。  高潮を含みます水防関係の警戒監視は、地域防災計画では原則として消防団が行うという体制をとっておりまして、同計画におきましては、町長は次の場合は直ちに消防団をあらかじめ定めた計画に従い出動させ、警戒配置につかせるものとするとしております。その場合の一つとして、沿岸部にあっては風速十五メートル以上の南西寄りの風が吹き、同時に満潮時になるときというふうに定められております。  これに基づきまして、翌朝の満潮時刻であります午前七時五十六分に向けまして、十分な時間的余裕を持って警戒態勢をとるということで、消防団に対しまして四時三十分ごろに命令を出しておりまして、夜明けとともに出動し配置につくように命じております。なお、午前四時三十分ごろの時点では、風雨が極めて強く、屋外での活動が危険な状態にあったわけでございますが、そのような命令を出しております。  町としては、消防団からの潮位などに関する報告を受け、それに基づきまして必要な場合には避難勧告などの措置をとることも考えておりましたが、高潮災害満潮より二時間以上前に発生し、事前に避難勧告等を行うことができなかった、このように承知をいたしております。
  62. 大沢辰美

    大沢辰美君 まさに南西の風があったと思うんですが、この台風通過の際に唯一全世帯の避難勧告を出して被害を最小限に食いとめた龍ヶ岳町と被害を受けた四つの町の違いといえば、地域防災計画に避難勧告の基準を設けていたかどうかにあらわれているわけです。私はこれらの町の防災計画の冊子をいただいたわけですけれども、龍ヶ岳町には避難勧告の基準があって、この町はこの基準に基づいて高潮警報などを受けて水位などを警戒していた。そして全世帯に避難勧告を出したのです。ですから、この教訓は本当に学ぶべきだと思うんです。  そこで、質問の第二点なんですが、国は十月一日に風水害に係る警戒避難態勢の緊急点検についての通知を出していますが、国の通知を受けてどうしているのか熊本県に問い合わせてみました。通知などは伝えるが、それ以上はなかなか難しい、市町村が計画の見直しを行う際には協議しているが、見直さないところはそのままになってしまう、地形などが違うので県からは指導できない、市町村任せにならざるを得ないということでした。とても無責任な態度じゃないかなと思うんです。熊本地方の気象台の本を見てみますと、台風中心が有明海、八代海に近いと非常に大きな高潮を起こして大災害が起こるとちゃんと警告をしてあります。  ですから、消防庁が言われるように、通知だけでは今後の防災にはならないと思うんです。だから、本当に人の命にかかわることを真剣に受けとめて、情報提供や技術的支援を含めて点検を急ぐべきだと思いますが、消防庁、いかがでございますか。
  63. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) お答えいたします。  消防庁といたしましては、まず計画に関しましては、各市町村に対しまして、降雨量などに応じて避難勧告などの基準を具体的にするようにとこれまでも指導をしてきております。この点についての市町村の対応には御指摘のように差がございまして、地域防災計画で具体的な基準を定めている市町村もございますが、抽象的な基準にとどまっている市町村もございます。  今回の高潮災害にかんがみまして、全国の自治体に対しまして災害危険箇所の再点検あるいは地域の特性に対応した警戒態勢の構築を行っていただく、また避難勧告基準の具体化を図るということを改めまして連絡しております。  そこで、各地方公共団体における高潮に対する取り組みというものを支援する観点から、気象庁あるいは建設省等関係省庁と共同いたしまして、高潮災害対策の充実強化のための連絡会議を設置いたしまして、より詳細な高潮情報を提供するための方策などにつきまして検討を開始いたしておりまして、その結果につきましては地方公共団体の方に提供してまいりたいと考えております。  また、消防庁といたしまして、今後とも避難勧告等の基準の具体化など御指摘の点については十分徹底が図られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  64. 大沢辰美

    大沢辰美君 ぜひ強化をしていただきたいと思います。  最後に一つ具体的に、不知火町長は、前日に役場に災害対策本部を置いた、こういうふうに今も指摘されているわけですが、高潮に襲われる三十分ぐらい前の午前五時ごろ、役場が停電しガラスが割れ、けが人が出るなど混乱した、電話も問い合わせが多くて松合地区との連絡がとれなくなってしまった、防災無線などがあれば何かできたかもしれない、町の財政が厳しく、防災無線の必要はわかっていたが設置できなかったと言われていました。  本当にこういった自治体を指導して非常時の防災無線設置を急がれることが私は国の責任だと思うんです、先ほどからも質問がございましたけれども。一自治体当たりの事業費は幾らぐらいかかるのかとお尋ねいたしましたら、約一億から一億五千万円という数字をお聞きしました。補助単価を上げて、国の補助率を上げて、本当にこれは整備を急がなければいけない問題だと思うんです。  現に東海地震を想定して、静岡県は一〇〇%の設置率だとお聞きしております。設置していない自治体が今約千二百十六と聞きました。事業費は約二千億円ぐらいになりますでしょうか。本当に測量機器や防災無線等の設置に対する補助事業に国はもっと努力すべきと思いますが、いかがでしょうか。
  65. 鈴木正明

    説明員鈴木正明君) 御指摘のように、災害発生時に住民方々災害情報というものをいち早く伝達するということは防災の基本でございまして、人命の保護あるいは被害の軽減に最も重要である、このように考えております。  御指摘の防災無線でございますが、屋外スピーカーによる方式あるいは屋内、家の中に受信機を置くスピーカーを用いて音声によって一斉に情報を伝達することができるいわゆる同報系の防災無線というものはこういった点で有効なものだというふうに考えておりまして、防災無線の整備促進に積極的に努めているところでございます。  これまでもこの補助金あるいは起債事業でかつ交付税措置を伴うものとして緊急防災基盤整備事業、あるいは防災まちづくり事業ということで災害に強い安全な町づくり、この中に防災無線の整備も対象となっておりまして、そういう財政支援措置を講じて促進に努めております。御指摘のように多額の経費を要するものでございますので、ぜひとも計画的に取り組んでいただきたいということを考えておりまして、整備がおくれている地方公共団体に対しましては、各種会議などを通じまして整備促進を図るように指導してきております。  これからも特に災害危険性の高い地域については個別に御相談に応じまして、十分な財政支援をできるように努力してまいりたいと考えております。
  66. 大沢辰美

    大沢辰美君 強くそのことをお願いいたしまして、水害の問題についてはこれで終わらせていただきます。  私は、先ほど長官から阪神・淡路大震災の復興についても全力を挙げて取り組みますというごあいさつがございましたが、どうしてもこの問題について、阪神・淡路大震災、五年を目前にして復興対策について一言お尋ねをしたいと思います。  御存じのように、阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律が五年間の時限立法のため、来年二月二十四日でその効力を失う問題です。すなわち、総理大臣を本部長とする阪神・淡路復興対策本部がなくなるということなんです。  この目的については、時間の関係上全部述べられませんが、「阪神・淡路地域復興を迅速に推進することを目的とする。」とうたっています。そして、基本理念は、これもすべて申し上げることはできませんが、「阪神・淡路地域における生活の再建及び経済の復興を緊急に図るとともに、地震等の災害に対して将来にわたって安全な地域づくりを緊急に推進」するということがうたわれています。  私は、この法の目的や基本理念は達成されていないと思うんです。被災地は、生活の再建も経済の復興もまだまだこれからという状況なんです。復興対策本部を五年たったからといってなくすことは、やはり国の基本方針を揺るがすことになります。被災地の現状を見まして、復興対策本部の任務はまだ終わるわけにはいかないと考えます。  基本理念に基づいて復興対策について、まずお尋ねしたいと思います。
  67. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先般、十七日でございましたが、神戸に行きまして、兵庫県知事さん、それから神戸市長さんその他の関係市町村の皆さんからも先生と御同様の御趣旨のお話を伺いました。  国費四兆九千五百億円というものを投入しまして、お亡くなりになりました方が六千四百三十名という、特に震災以後に九百十人の方が亡くなっておられる。その方を含めてでございますが、大変痛ましい犠牲者が出た。この間、閣議でも私は「復興だより」というのを御報告申し上げたのでございますが、この五年で四万八千世帯の仮設住宅入居者、ピーク時は四万八千でございましたが、それが今百四十世帯に減りまして、あと四軒ばかり残っておりますが、これも年内には解決をするということで、来年の二月二十三日で御承知のように御指摘の復興対策本部が任務を終わることになっております。  それに対してどういうふうに対応をしていくかという問題を私ども鋭意検討いたしておりますので、いずれにしても地元の方々、神戸の方々に、また大阪府下にも五市が災害救助法で指定されておりますが、直接は神戸の方々が一番被害を受けておられるわけでございますから、その問題が鋭意軟着陸ができますように、以後後遺症に対しましてどういうふうに対応していくかということを心がけて尽力いたしたいと思っております。
  68. 大沢辰美

    大沢辰美君 すべての被災者が救済されるまで国が万全の対策をもって対応していただきたいということを一言申し上げて、質問を終わります。
  69. 大渕絹子

    大渕絹子君 社民党の大渕絹子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、気象庁にお伺いをいたしたいと思います。  台風による高潮とか高波に対する警報というものが大変テレビを通じて事前に報道されて、台風が通過する地域等には注意が喚起されて、人的被害が食いとめられるようにということで行われているというふうに思うわけでございます。今回は現地視察をしてまいりましたけれども、県も自治体も避難勧告を出すタイミングを失っていたというか出さなかったというわけですけれども、出す時間がなかったのかどうかということをちょっと検証したいと思います。  気象庁が台風十八号で熊本県地方に高潮警報を出したのは一体いつの何時、そしてそれはテレビだけを通じて出されるのか、県や自治体にどういう形で伝達されるのかをお答えいただきたいと思います。
  70. 瀧川雄壯

    説明員(瀧川雄壯君) お答えいたします。  台風十八号に関しまして、九月二十三日十七時十分に熊本地方気象台が熊本県地方に高潮警報を発表しております。これは御指摘のように報道機関にも伝えられますけれども、同時に県の方にはファクスでもって通知いたしております。
  71. 大渕絹子

    大渕絹子君 そこを確認させていただいて、次に移ります。  公営住宅の設置に関する安全基準についてお伺いをしたいと思います。  現地をお訪ねいたしまして、町の公営住宅被害の一番中心のところになっていて、死者四名、公営住宅の中で起こっているということでございます。公営住宅を設置する基準については法律で定められ、そしてその法律に基づいて公営住宅等整備基準という省令の中で明快に安全性についてうたわれていると思うのですけれども、不知火町の公営住宅についてこの安全基準が満たされているという審査は通っているのかどうかということをお聞かせください。
  72. 那珂正

    説明員(那珂正君) 公営住宅の整備、設置につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、法律と法律に基づきます省令におきまして、具体的に公営住宅等の敷地の位置は災害発生のおそれが多い土地をできるだけ避けて選定しなさいということが決められてございます。  今回被災いたしました不知火町松合住宅につきましては、昭和五十六年に建設されたものでございますが、熊本県からは、住宅の敷地がありますこの地区には既に堅牢な堤防の設置がなされており、知り得る範囲内ではこれまで大きな水害等の被災もなかったことから、基準に適合していたと判断しているという報告を受けております。  またさらに、今回の高潮災害が想定された規模を上回るというものであったこと等をかんがみれば、私どもとしては、敷地の位置の選定につきまして公営住宅法に基づく基準上の問題があったとは考えておりません。
  73. 大渕絹子

    大渕絹子君 不知火町の防災計画がございますけれども、ここの中に重要な水防地区として松合海岸の松合地区指定をされています。それでは、指定をされていることと建設省がチェックをしたということは、この指定があるにもかかわらずそこに建設許可をおろしたということですか。ちょっと時間がないので、ごめんなさい。
  74. 那珂正

    説明員(那珂正君) 先生御指摘の不知火町の地域防災計画が定められましたのは昭和六十一年と聞いておりますが、当該松合住宅の建設はそれ以前、昭和五十六年に建設されたものでございまして、その当時の建設基準は先ほど読み上げたものと同じでございますけれども、その観点からは敷地の選定ということに関して言えば基準上問題なかったと申し上げております。
  75. 大渕絹子

    大渕絹子君 あなたがそう答弁せざるを得ないのは十分承知をいたしています。  県の防災計画、ここに不知火海岸それから有明海岸に対する海岸法に基づく災害対策について書かれています。ここにも高潮の警戒地域として不知火海岸地域ということでちゃんと載っているわけです。こういうところに最も弱い立場の人が入る公営住宅が建設をされて、しかも五メートルの防波堤、船だまりのところは五・五しかないわけですけれども、そこがもし溢水をした場合は確実に二階までつくらなければ逃げる場所はないんです、一階建ての住宅では逃げる場所がない。そういう地域に平家建てで公営住宅が建設をされたということは、公営住宅法の中の安全性が確保されなければならないというこの基本的なところが私は犯されているというふうに思います。全国一律にもう一度公営住宅の立地がされているところを総点検する必要があるということを指摘させていただきたいというふうに思うところでございます。  水産庁にお伺いをいたします。  不知火町の災害は、水産庁が設置をいたしました船だまりが三カ所につくられたことによって引き起こされてきた災害だというふうに認識をいたしております。前面が七メーターの堤防で全部仕切られていて守られていれば恐らくこれほどの被害はなかったろうと思います。越えたわけではないわけですからね。ところが、船だまりがつくられていたことによって水があふれてきて起こった災害というふうに思うわけでございますが、水産庁は今後この教訓をどう生かされていくのか、お伺いいたします。
  76. 中須勇雄

    説明員(中須勇雄君) ただいま御指摘がありましたように、松合地区災害満潮時に近いため潮位が異常に高かったということに加えて、気圧低下と風の吹き寄せということが重なりまして海水が浸入して大変悲惨な災害が起きた、こういうことでございます。  私ども、こういった事態を踏まえまして、高潮による災害防止というために、海岸事業を担当しております四省庁、いわゆる私どもと農林水産省と建設省、運輸省でございますが、共同でもって松合地区と自然条件が類似した地域について全国的に一斉の点検を行う、この点検等を、整備状況等の緊急点検を実施することによって今後の海岸整備にその成果を反映させていきたいという点が一点ございます。  それからまた、この高潮問題に関連いたします、今の四省庁に加えて、国土庁、気象庁、消防庁の七省庁でもって、いわゆる情報伝達とか警戒だとか避難だとか、そういうソフト面を含めた高潮災害対策の強化に関する連絡会議というものを設けまして、今後の高潮災害対策の充実強化に向けた検討を進めていきたい、こういうふうな取り組みをしているところでございます。
  77. 大渕絹子

    大渕絹子君 国土庁長官に最後にお聞きをいたします。  気象庁のお答えを聞きました。被害まで十二時間の時間がありました。避難勧告がなぜなされなかったのか。そして、公営住宅の設置について、こうした危険な箇所につくられたことに対して、許可を与えた省庁としての責任問題、これらについて。  そしてもう一つは、指摘をしましたように、防災計画は、風速十五メートルになったらもう避難しなさいというふうに不知火町のものにも書かれているぐらい詳細に書かれている。避難の手順から防災に対する計画というのは、県も町も多分指導に従って非常にいいものがつくられているんですよ。ところが、その防災計画が全く今度の場合は生かされておらない。夜が明けなかったからなんというのは言いわけにならないわけでございまして、そういうことを踏まえて、災害を防止する、そのトップにおられる大臣の今後の対応と、それから今回のこの災害に対する責任問題というのはやっぱり私はトップに来るんだろうというふうに思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  78. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 大渕議員から大変重要な御指摘をいただいたと思います。  確かに、高潮の可能性がある場所に一階建ての公営住宅というのを建てておったということは、これはまさかそういうことは起こらないだろう、そういうはかない期待感みたいなものでついついつくってしまったという大変問題があること、私は先ほどからお伺いをいたしておりまして、これは再点検をする必要があるなということを先生の御指摘で今痛感しておるわけでございます。  ですから、私が就任をいたしました限り、これからもう一遍そういう通報のあり方、皆さんは災難というのは自分には来ないという妙な人間としての思い込みみたいなものがあるわけでございますので、そういうものは全く論拠にならないという前提で、先ほどから何度も申しましたように、自治体のあり方、それから通報の仕方、それからまた今カーナビなんという自動車の中ではアメリカの軍事衛星二十四個を使って道路上の障害物から何からいろんなものを指摘するような情報通信の時代でございますから、私はもっと何か高度な、その地域を局限して人工衛星を使えば地上で飲んでいるビール、何ビールを飲んでいるかまでわかるという、三百キロぐらいのところを軍事衛星が飛んでおりますが、二千四百ミリの望遠レンズなんて乗っていて何でもわかるという時代に、私は、日本列島をもっと詳細に危険地域に対する、雲とかそんなものがあって透視ができない場合もあるかもわかりませんが、最大限の日本の技術を利用すべきではないかというふうに痛感をしておりますので、瞬時に警戒態勢に入れるような体制をいかに築き上げていくか。これは総理大臣がおっしゃっておられるミレニアム計画、千年期計画、二十一世紀を迎える日本の私は国民に対する使命ではないか、責務ではないかというふうに考えて先生の御質問を伺っておりました。貴重と承っております。
  79. 大渕絹子

    大渕絹子君 十分の質問だとこんなになっちゃうんですね。もう少しきちっと詰めて重要な問題が審議できる委員会の設定をぜひ委員長に御努力いただきたいと思います。
  80. 但馬久美

    委員長但馬久美君) はい、承りました。
  81. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  このたびの台風十八号、災害対策特別委員会委員の諸先生の御視察をいただき、かつまた国土庁を初めとし関係省庁の御努力、前向きの取り組みに心からまず感謝を申し上げます。  それも不知火町は私のまさに足元の足元でございますし、また農業被害が一番大きかった、塩害被害を受けました宇城地域、ここも私のまさに地盤というか足元でございまして、そういう意味で、帰りましたらおしかりを受けるばかりで、もう帰りたくないような思いの中でここ一カ月間過ごしておるところであります。  今までそれぞれ先生方から質問がありましてもうすべて言い尽くされておりますが、一番被害者の中でこれだけは早くやっていただきたいと言っておりますのをあえてもう一度質問いたします。激甚災指定、これであります。これを二カ月か三カ月後ということじゃなくて、少なくともこの激甚災指定ができそうだというようなことの一つの方向を出していただきさえすれば、私は、その関係者はそれと同時にその体制づくりといいますか、意気込みの中で復旧に入ると思います。  ですから、閣議決定まで待って指定になるという以前に精いっぱい積み上げていただいてなるようにしていただき、そして速やかに方針を打ち出していただければというふうに思います。せんだって天災融資法ではその指定方針だということが出ておりました。そのような対応ができないかどうか、お尋ねいたします。
  82. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 再三お答え申し上げておりますが、指定基準に該当するものについては、もう先生のおっしゃるとおり速やかに対処をいたしたい、かように考えております。
  83. 阿曽田清

    阿曽田清君 速やかに指定の前に方針ぐらい打ち出していただくとありがたいと思いますので、大臣よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、除塩対策については先ほど三浦委員からの質問がありましたのでもうあえて質問はいたしません。あくまでも除去あるいは客土の問題、断崖、暗渠の問題、あるいは石灰等をまいて中和するというような問題等はこの災害復旧事業をやっていただくと。  しかし、五センチ以下についての、いわゆる局長は予算事業という申し上げ方をされました。三十八年前に行われた、もうやがて四十年たつこの除塩事業を、五〇%の補助とかというような問題やら、あるいは水田だけに影響を受けた三十八年前の室戸の除塩対策じゃなくて、今度は施設園芸の畑地帯という畑利用のところがたくさんあるということからして、三十八年前に実行した除塩事業の見直しを行っていく。その復旧事業と同じような助成といいますか、それを復興する方々に対しては同じような助成の受け方ができるように見直しをやっていただきたい。この点について。
  84. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) おっしゃるとおりだと思います。御指摘を踏まえまして、予算事業という形でやります除塩事業につきましても、極力地元あるいは農業者の実質的な負担が軽減されるような方向で検討、工夫をいたしたいと思っております。
  85. 阿曽田清

    阿曽田清君 よろしくお願いいたします。いち早くそれに取り組んでいただくことが、来年の春からの作付に間に合うようにどうぞひとつ思い切った除塩対策を講じていただきたいと思います。  あわせて樹体被害、これはかんきつだけじゃなくて落葉果樹等にまで影響を受けておるわけですが、私の地元の旧農協管内ではことし一万三千トン出荷予定が六千トン台に下がりました。約四割出荷しかできない。いいところだけやられているという状態であります。やられているということは、収量も落ちているけれども品質も落ちているということですから、これは予想だにつかない被害になるんじゃないかと思っておりますが、単なることし一年の被害だけじゃなくて、永年作目については御承知のとおりに改植しても七、八年かかる。さらには高接ぎしても四、五年はかかる。  ですから、もうこの災害を受けたことに対して嘆いてばかりおられぬと。だから、ここでひとつ根っこからすべて園地をつくりかえていく。農道も引く、排水路もつくる、そしてスプリンクラー等もできるようなそういうかん水施設もつける、樹園地そのものを基盤整備していくという取り組み方に災害時においては特にウエートを置いてひとつ取り組んでいただくと打ち沈んでいる心を一つの明るい方向に持っていけると思うんですが、そういう思い切ったやり方はできませんか。
  86. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) お話がございましたように、今回大変大きな面積で樹体の被害発生をいたしておりまして、これに今復旧対策を講じるということになるわけでございまして、既存の事業が対象になるのが二つほどございますが、これに加えて改植を中心としました新たな事業を実施する方向で財政当局と調整中ではございます。  しかしながら、やはり新しい事業ができましたならば、使い勝手は改植ということでいいんですけれども、どちらかというとそれに傾斜をいたしておりまして、お話がございましたように、果樹にありましては品質をよくする、あるいは量を確保する、ブランドをつくる、産地をつくっていくという観点からはむしろ既存の事業を使っていただいた方がいいんではなかろうかということでございまして、その場合には改植や高接ぎ、それから防風施設等々は当然既存の事業でできるわけでございますけれども、そのほかに園地の改良でございますとか作業道等の整備、総合的な産地整備を……
  87. 阿曽田清

    阿曽田清君 時間が十分しかないんだよ。
  88. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) これは重点的に行えるようになっておりますので、ぜひこれを十分活用していただいて、ある意味では、ちょっとこういう言葉を言っていいかどうかわかりませんが、災いを転じていただけると、そういうふうにつないでいただければと、そういう感じは持っております。
  89. 阿曽田清

    阿曽田清君 そういう既存の施設事業であろうが、今度補正なり新年度事業に対して、そういう地域に、災害地には特に意を用いてそれに合った事業というものを起こしていただく、それが私は必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  自治省にお尋ねいたしますが、いろいろ質問の中で、いろいろと各自治体は被災者方々に対する対応をやっております。非常に弱い財政の中で精いっぱいのことを努力されております。我々、陳情が来ると、役場に言ってくれ、役場がそれなりの対応をしたことに対しては特別交付金で面倒を見るからどんどん町にやらせろなんて言っているんですよ。そうしないと、みんな受けた方々はどこにも持っていきようがないわけですから。  ですから、町村は、体質の弱い市町村の財政ですから国は特別交付金を目に見える形で出してやる、そういうような私は取り組みを求めたいんですが、御答弁をいただきたいと思います。
  90. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 交付税、特に特別交付税によるいわば財政措置は、地方団体がいろいろな形で補助事業では採択されない、あるいはいろいろな形でそれぞれの措置をやらなくちゃいけない、過去そういうような災害の積み重ねでつくってきたルールがございますので、そういうルールに基づきましてそれを、一般の特別交付税は三月に決定されますが、この十月までに起きた災害につきましては十二月分で算定いたしまして交付いたしますので、委員が御指摘のように、目に見える形での措置ができることになると考えております。
  91. 阿曽田清

    阿曽田清君 交付金もさることながら、特別交付金のサイドでも見える形で御配慮いただきたいと思います。  最後になりますが、高潮対策の中で、今回いろいろ質問が出てきました。農林海岸、建設海岸、それぞれあって、それぞれの基準に基づいてなされておる。一番低いところから塩水が入り込んだ、そして被害をもたらした。低いところの堤防の裏側、ここが崩れたということでありますが、この崩れたところを単に改良、いわゆる災害復旧をするということでもとに戻すというやり方だったら何ら解決策につながらない。ですから、いわゆる改良復旧という形でこの際取り組んでいただくことはできないかどうか、それをお願い申し上げたいところであります。
  92. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 高潮被災しました公共土木施設につきましては、災害復旧は原形復旧が原則でございますが、今回の災害等を見まして、同じような高潮災害が再度起きてはいけないということで、現在、熊本県におきましては堤防のかさ上げや堤防の強化を含めまして、いわゆる改良復旧を含んだ検討に入っております。建設省も、熊本県の計画の策定後現地の査定に入り、これらに対応してまいりたいと考えております。
  93. 阿曽田清

    阿曽田清君 時間がありません。終わりました。どうぞこれからも引き続き国土庁長官初め皆さん方、熊本、こういう被害を受けた皆さん方に精いっぱいのひとつ御指導と愛情をささげていただきますようにお願いいたしまして、御礼といたします。ありがとうございます。
  94. 岩本荘太

    岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  いろんな面から今回の災害に対する質疑質問が出ました。私も与えられた時間が十分ですので、いろいろ出ましたけれども、一点だけ、これは大渕先生も御指摘されておりましたが、堤防あるいは船だまりあるいは町営住宅、こういうものの関連といいますか、そういうものについてちょっと質問をさせていただきたいと思います。  それぞれ、あの堤防がよかったとか、船だまり階段堤防の高さがどうだったとか、町営住宅が本当に安全にできていたかとか、そういう質問がいろいろ出て、これは恐らく皆さん方それぞれの担当部署が、担当の方々が答弁されればみんな安全だったと言うに決まっていると思いますし、そうであったかもしれません。しかし、現実としては十二名の方が亡くなっているわけです。これを切実に受けとめなきゃいけないと私は思っておるわけです。こういうことは二度とあってはいけない。  そういう点で、私も技術をやった人間でございますが、私なりに考えてみますと、それぞれの事業が連携がとれて本当にやられていたかというところがどうも疑問に思えまして、その点についてちょっと質問をさせていただきたいと思うのです。  まず、国道がございます。あの堤防、私は、あれは建設省の管轄かと思いましたら、道路そのものは建設省だけれども堤防は水産庁の所管だということで、船だまりも水産庁だと思うんですが、あれができた時期、国道は四十五年から四十七年と聞いておるんですが、船だまりもそのときに一緒にできたと考えてよろしいんですか。まずその点から。
  95. 中須勇雄

    説明員(中須勇雄君) 若干経緯を申し上げますと、不知火松合地区の外側の海岸堤防につきましては、もともと江戸時代からあった施設について、昭和三十一年に災害復旧事業が行われ、その後、今御指摘のとおり、昭和四十五年から四十七年にかけてかさ上げ工事を行って上が国道になる、こういうような形をとってきております。船だまりについては、昭和三十八年から昭和五十七年にかけて、主として漁港事業等により増築したものでございます。
  96. 岩本荘太

    岩本荘太君 時間がありませんので簡潔にお願いいたしたいと思うんです。  その堤防をつくったときに、船だまりにしろ、その堤内地に住宅ができる、要するに現実にできたわけですけれども、言うなれば堤内地の低地です。あれは、私は現地に行ってお聞きしましたけれども、住宅が一戸や二戸建ったことはあるんだそうですが、いつも高潮でやられていると。したがって、ちょっとした高潮が来れば、あそこの住宅地というのは海の底なんです。今までそういうところに余り住宅が建っていなかったと。そういうところに住宅が将来建つだろうということを想定されておられたかどうか、ちょっとお答えをお願いいたしたいと思います。
  97. 中須勇雄

    説明員(中須勇雄君) 基本的に後背地に住宅があるという前提で堤防あるいは護岸の整備を行ったということでございます。
  98. 岩本荘太

    岩本荘太君 あるという前提かもしれませんが、あそこは水が入ると抜けないわけです。普通のところに住宅を建てるのとわけが違うわけでございます。  それで、先ほど鈴木委員が御報告されました報告書の中でも、いわゆる船だまり階段堤防は「潮位偏差に関する確率を計算して設計されているが、今回の高潮想定外のものであったとの見解が示されました。」と。想定外、確かにもうこれだからしようがないとは言えるかもしれませんけれども、この堤防というのは普通の堤防じゃない、本当にもうそれを越えちゃったら、今回は人的被害がございましたけれども、そうでなくとも甚大な被害を受けるところなわけです。私は、これは答弁要りませんけれども、どうもその辺の配慮があったのかなというふうな感じがしてならないわけでございます。  と同時に、結局家があったから大変だったわけでございますけれども、その家について、これは御存じのとおり公営住宅が建っているわけですけれども、公営住宅であれば、先ほどの大渕議員の御指摘のとおり安全性を十分考えなきゃいけない。先ほどこの高潮ということを考えておられたかという質問に対して、庁なり過去に余りなかったからというようなことで御答弁がございましたけれども、少なくとも建設省といえば、これは監督官庁かもしれませんが、いわゆる建築技術の中枢なわけです。とすれば、あそこの潮位がどのぐらい上がるか、本当に大丈夫かどうか、その辺の数値的なチェックを本当は僕はすべきじゃないかなというような気がするんですが、高潮についてどのような配慮をされたか、ちょっと御答弁をお願いいたしたいと思います。
  99. 那珂正

    説明員(那珂正君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、公営住宅法に基づく一般的な基準によりますと、公営住宅等の敷地の位置は災害発生のおそれが多い土地をできるだけ避けなければならない、こういう基準があるわけでございまして、具体の立地の選定、また具体の事業計画、設計については、当該事業主体がそれぞれの土地の状況地域状況を勘案しながら設定するわけでございます。したがいまして、建設省とおっしゃっていただきましたけれども、全国一律にそういう具体的な細かい基準というものは、それ自体は持っておりません。  あとは先ほどの答弁の繰り返しになりますので避けますけれども、基本的には先ほど申し上げましたような一般的な基準に基づいて個々に事業主体が判断するという体系になっております。
  100. 岩本荘太

    岩本荘太君 言われるとおり、幾ら責任追及しても始まりませんが、要は先ほども言いましたように十二名のとうとい命が失われているわけです。私がいろいろ考えましても、やはり自分の守備範囲としてはちゃんとやったということは確かだと思うんです。しかし、そのすき間がどうもあったんじゃないかなということを考えますと、本当に水が入ってきたら抜けないわけです。こういうところをお互いに、危ないなと、お互いの仕事に少しはダブってもいいんだろうと思うんです。ダブルチェックをするぐらいの気持ちでいいんだろうと思うんですけれども、そういうことをしなくちゃいけないんじゃないか。その辺が足りないから、最近、災害がいろんな面で起きてきているんじゃないかなと。私は研究しているわけじゃないですけれども、そんな感覚が持たれてしようがないんです。  個々の事業はそれぞれ各省の担当で国土庁長官のお仕事外かもしれませんが、そういうようなことがあっては、これから予想もできないような災害がいろいろ起こってくると思いますので、先ほど水産庁はいろいろ全国調査しておると言われておりましたけれども、国土庁長官とされまして、この辺についてのお考えをぜひお伺いしたいと思います。
  101. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 全く御指摘、これから本当に意を注がなければいけないことだと思います。  日本列島というのはたくさんの島がありますし、聞くところによると、日本列島の海岸線はアフリカの海岸線より長いそうでございます。ですから、入り江のいっぱいあるこの国土に関しましてよほどの気配りをして私どもは対応していく必要を、今の先生の御指摘に私は本当に同感でございますので、以後、省庁の再編成も二〇〇一年にあるわけでございますが、その胎動を今感じる時期で、これからゼロ歳に、あと数カ月で二十一世紀が生まれるわけでございます。そのときにこそ私はそういうことに留意する、国民の安全に対応するための努力を傾注したいと思っております。
  102. 岩本荘太

    岩本荘太君 よろしくその辺のお取り組みをお願いいたします。  一分三十秒ほど余しましたが、質問いたしましたので、ありがとうございました。
  103. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会