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1999-04-13 第145回国会 参議院 国民福祉委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     石田 美栄君  三月三十一日     辞任         補欠選任      石田 美栄君     直嶋 正行君  四月十二日     辞任         補欠選任      堀  利和君     今井  澄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 常田 享詳君                 朝日 俊弘君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君     委 員                 久野 恒一君                 塩崎 恭久君                 中原  爽君                 水島  裕君                 今井  澄君                 櫻井  充君                 直嶋 正行君                 松崎 俊久君                 沢 たまき君                 井上 美代君                 清水 澄子君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君                 西川きよし君    国務大臣        厚生大臣     宮下 創平君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        社会保険庁次長  宮島  彰君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        厚生大臣官房障        害保健福祉部長  今田 寛睦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○社会保障等に関する調査  (介護保険に関する件)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二日、堀利和君が委員辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮下厚生大臣
  4. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  精神保健福祉対策につきましては、昭和六十二年の精神衛生法改正並びに平成五年及び平成七年の精神保健法改正等によりこれまでもさまざまな改善が行われてきたところでありますが、最近においても精神障害者人権に配意した適正な精神医療確保精神障害者社会復帰の一層の推進を図ることが求められております。  こうした状況を踏まえ、今般、より適正な精神医療確保を図るための所要措置を講ずるとともに、精神障害者居宅における生活支援等福祉施策充実を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、精神障害者人権に配慮した適正な医療確保であります。  まず、精神医療審査会審査機能を強化するため、その委員数の規制を撤廃するとともに、関係者に対する報告徴収権限を付与することとしております。また、精神保健指定医については、その診療録記載義務拡充職務停止処分創設等所要見直しを行うこととしております。さらに、医療保護入院対象者については、この入院本人意思によらない強制入院であることにかんがみ、その対象者精神障害のため本人同意に基づいた入院を行う状態にない者であることを明確にすることとしております。  第二に、緊急に入院が必要となる精神障害者に係る移送の法定化であります。  緊急に入院が必要であるにもかかわらず、精神障害のため本人同意に基づいた入院を行う状態にないと精神保健指定医が判定した精神障害者都道府県知事応急入院指定病院に移送する制度を創設することとしております。  第三に、保護者に関する事項であります。  保護者について、その自傷他害防止監督義務規定を削除するとともに、任意入院者等みずからの意思医療を受けている精神障害者保護者については、本人に治療を受けさせる義務等を免除することとしております。  第四に、精神障害者保健福祉施策充実に関する事項であります。  精神保健福祉センターについては、通院医療費公費負担精神障害者保健福祉手帳の申請に係る判定及び精神医療審査会事務を一元的に行わせること等により、その機能拡充することとしております。また、在宅精神障害者相談助言等を行う精神障害者地域生活支援センター社会復帰施設として法定化するとともに、精神障害者居宅生活支援事業として精神障害者居宅介護等事業及び精神障害者短期入所事業を創設し、在宅精神障害者に対する福祉施策拡充を図ることとしております。さらに、より住民に身近な地域在宅福祉サービスが利用できるよう精神障害者居宅生活支援事業実施主体市町村とするとともに、福祉施策相談助言等についても保健所による技術的支援もと市町村において実施することとしております。  このほか、仮入院制度廃止等今般の見直しに伴う所要措置を講ずるとともに、関係法律についても所要規定整備を行うこととしております。  最後に、法律施行期日は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、在宅福祉事業追加等事項については平成十四年四月一日からとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  6. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 社会保障等に関する調査のうち、介護保険に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。きょうは介護保険について集中的に審議をしようということでございまして、トップバッターで幾つか質問させていただきたいと思います。  来年の四月からの導入ということでございますが、世上、ちょうど一年前ということで新聞でもいろいろ取り上げて、テレビなんかでも出ておりますけれども、いろいろ問題点指摘をされているわけでございます。まあいろいろ問題が起きたときには原点に返れというのが基本かなと、こう思うわけでございます。  振り返ってみますと、この介護保険につきましては、かつての自社さの三党連立のときに福祉プロジェクトチームで私も今井先生朝日先生などと御一緒に、堂本先生も御一緒だったと思いますが、懐かしい連立でありますけれども、あの当時に実はつくられたわけでございます。あのとき随分、八十回、九十回と議論を重ねて、結果こういう形に相なったわけでございまして、何としても我々としても来年の四月から導入をしたい、うまく成功させたいという気持ちでいるわけでございます。  やはりもう一回、何でこういうものをつくったんだろうかということを考えてみますと、ざっくり言ってしまえば二つあったのかなというふうに思っております。  一つは、介護地獄と呼ばれているいわば老老介護であるとか、あるいは女性が家庭介護に押し込められるとか、そういった家庭レベルでの、あるいは個人レベルでのいろいろな問題、不行き届き、こういうものに答えを出そうじゃないかということと、いわゆる社会的入院、つまり本来福祉であるべきものが医療の中に入り込んで、これが国民負担に結局結びついているんではないか、少子化が進むに従ってさらにこれが悪化をする、こういう二つの大きな問題に答えを出すために一つの案としてこの介護保険を考えたのではないかなというふうに思っているわけであります。  二〇〇〇年に大体百四十万人が要介護ではないかと、こういうふうに世上言われているわけでありますが、私も今回質問に立たせていただくに当たって改めて、ちょうど地方選挙地元に戻っていたということもあるものですから、合間を見ていろいろなところを回ってみました。自治体あるいは福祉施設、それから医師会先生方、そういったところを回ってみましていろいろ聞いてみますと、これを実施までの一年間に片づけなきゃいけない問題が大分あるなというふうに思ったわけでございます。  特に、例えば自治体の方では、私の住んでいるのは松山市というところでありますけれども松山市は比較的基盤整備も進んでいるわけでありますが、近隣の町村を回っていろいろ話を聞いてみますと、果たして制度の立ち上がりがうまくいくんだろうかという心配をするような感じでございまして、特に小さな町や村に行きますといろいろな不安、不満、理解度ばらつき、こういったものがあるように思うわけでございます。  片や個人レベルに行きますと、まだまだ十分にいってないというか、どうも聞いてもよくわからない、わかりづらいと思っている方がいるようでございます。随分パンフレットなどをつくっていただいておりますけれども、そういった面でもわかりづらい。  例えば、考えてみれば、個人レベルでいけば、今、健康保険証を持って、それから老人であれば老人であることを証明する老人保健のあかしであるとか、あるいは低所得者の場合の入院食事代についての証明するものを出しているとか、それにさらに介護保険証が後で加わるとかいいますと、何か紙だけでも五種類も出てくるということで、一体これは何の紙だかよくわからないというおじいちゃん、おばあちゃんが出てくるのではないかというようなことが言われているとともに、もっと深刻なのは、やっぱり一号被保険者が年金から天引きをされてなおかつ一割の自己負担があるという事実について、まだ十分に徹底をされていないし、聞いた人たちは戸惑っている。場合によっては、後でまた申し上げますけれども、中にはこんなのだったら入るものかというような人も、電話をかけてきたりするというような話もあるわけでございます。  そこでまず最初に大臣に、この四月に向けていろいろと、延期をした方がいいのじゃないだろうかとか、地元のお医者さんの中でも例えば五年間で段階的にできるところからやったらいいじゃないかみたいな御意見をおっしゃる方もいるわけであります。それから市町村も、もちろん広報活動をしますと言っていますが、むしろもうちょっと国にも頑張ってもらいたいし、国民に対して頑張って広報をやってもらいたいし、自治体の方にももう少し細かに具体的に指導してもらわないとなかなか理解度が深まらない、あるいはまた疑問がたくさん残っているというお話がございました。  例えば、これはある町に、どういうことについて早くやってほしいという要望がありますかと聞いてみましたら、後でまた出てまいりますけれども介護報酬決定を早くしてくれ、それから高額介護サービス費支給要件、あるいは食事負担の額であるとか、保険料試算のためのワークシートの提示とか、事務処理に係る各種様式類早期決定であるとか、いろいろございまして、えらい具体的にやっぱり実務家は非常に悩んでいるようでございます。  それから、最後にこういうのがありました。全国介護保険担当課長会議資料というのは、毎回部分的な内容資料が提供され、また過去に配付された資料内容に毎回若干の修正が加わり比較がしづらいので、最新の情報でもってある程度一貫した内容資料を作成し配付してもらいたい、それと同資料中の検討中の部分早期決定をお願いしたい、こういうお話がございました。  そこで、今いろいろ申し上げましたけれども大臣に四月へ向けての決意のほどと、それから今申し上げたような一般国民向け、実際に担っていく市町村皆様向け広報活動をどうやっていくのかということについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  11. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、委員の方から介護保険制度の明年の実施を控えまして包括的ないろいろ御意見がございました。一々非常に重要な視点だと存じますが、まず第一に、来年の四月からの実施につきましては、私どもとしては、この介護の深刻な状況、あるいは国民的な期待も大きいと思いますので、これはあとう限り準備を万端整えまして円滑に来年の四月から実施したいということで、いささかも変更はございません。  そうした中で、今いろいろの問題が指摘されまして、後で議論がなされると存じますけれども、私も実は選挙区へ参りますと、厚生大臣であるだけにいろいろ具体的な疑問も出されますが、今、塩崎委員のおっしゃられたような点もかなり含まれております。したがって、広報等でやはり多くの国民の皆さんに知っていただくということがとても重要なのです。  厚生省の方では課長会議を開いたりして非常に周知徹底を図っておりますが、さておっしゃられるように、都道府県が実際課長会議が終わってから各市町村あるいは関係者の間にどれだけ行き渡ったPRをしていただいておるか。私もそれは同感でございまして、この点はビデオをつくったり広報誌をつくって配付したり、いろいろいたしておりますが、なおさらに徹底を期すことが制度の発足について重要であると存じますので、その点はぜひ努力をしたいというように申し上げさせていただきます。
  12. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自治体人たちと話していて、例えば一つ、ああそうなのかなと思ったのは、しっかりしたところだったらいいのですけれども、必ずしも三千三百全部しっかりしているわけではないかもわからないので心配をしているのかなと思うのです。  コンピューターの関係でいろいろ処理をするわけでありますが、管理システムなんかで、クライアントサーバーシステムと呼んでいるようでありますけれども、十年度に既に補助金をつけて準備をやってもらっているようであります。しかし、既存の例えば住民台帳であるとか、あるいは国民健康保険とか、そういうものとの接続についても当然やれということになっているようでありますが、必ずしもどうも余りよく理解をされてなくて、準備不足のところがあるやの話も聞いております。この辺が何か、ハードはそろった、ソフトもそろったけれども結局それがつながらなくてうまくいかないというようなことでは困るのだろうなというふうに思っております。これは、そういうことを聞いたということで、ぜひそういう点でそごを来さないようにひとつ周知徹底をお願いしたい、こういうふうに思っております。  そこで次に、先ほど申し上げたような新聞でいろいろ取り上げられておるものを見ますと、保険料の問題であります。かつて二千五百円というのがひとり歩きしていて、あれはたしか平成七年の価格で換算しているお話だと思いますけれども、それがひとり歩きをしていつまでも月二千五百円でいけるんだというふうに皆さん思っている傾向が間々ありまして、これがどうも、新聞なんかを読みますと、地域によってかなりのばらつきが見られるということはもう既にいろいろなところで指摘をされているところであります。私どもの県内でも、施設が整っている市などでは例えば四千円ぐらいという話も聞いておりますから、二千五百円と思っている人はいきなり四千円近いものが決定されるとびっくりするというふうに思うわけであります。  まず第一に、いつこれが大体判明するのかというと、来年の三月とよく言われているわけでありますが、それはそういうことなのか。それから、二千五百円と比べてどうなのか。それから、全国的な地域間格差ばらつきというのが随分ある。これをどう考えていくのか。これについて厚生省としてのお考えをまず聞かせていただきたいと思います。
  13. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 保険料関係でございますけれども、先ほど先生からお話がありました二千五百円というのは、七年度の措置費とか診療報酬単価を用いまして算出したものでございますので、その後の単価アップによりましてその額が上がるというのは当然なことでございます。  それで、これはどうなるかということでございますが、まずこれのためには介護保険の総給付費見込みを立てなきゃいかぬわけでございます。総給付費のためには、まず地域におきます要介護者とかサービス供給量、こういったものにつきまして実態を把握する必要があるわけでございます。各市町村実施しておりまして、これは既に終了しております。これをもとにいたしまして必要なサービス量を見込む必要があるわけでございまして、各市町村で今その作業を行っているところでございます。  それで、各市町村の総給付費が出てまいりまして、それを都道府県に提出していただくことになっております。都道府県ではそのサービス量を広域的な視点から若干調整する、こういう形で、その上で厚生省の方に持ってきていただきまして、これをもとにいたしまして私ども作業をするわけでございます。  ことしの夏ごろにはおおむねの見込み額を出したい、こういうふうに考えているわけでございまして、総給付費が出ますと当然のことながら一人当たりの高齢者保険料が出てくるわけでございます。同時に、医療保険のいわゆる二号被保険者金額もその際、暫定額でございますけれども、出てくるわけでございます。  ただ、各市町村におきます最終的な、五月、六月の時点ではまだまだ暫定見込みでございますので、さらに修正するということも当然あろうかと思いまして、最終的には十一年の末ごろに各市町村の条例で決まる、こういう形になるわけでございます。  それで、巷間よく保険料の額が新聞等に出てくるわけでございますけれども、残念ながら私どももこれを完全な形で把握はいたしておりません。一部の市町村からいただいているものを見せていただきますと、在宅サービスを非常に大きく見込むとか、目いっぱいに見込むようなところも多いわけでございます。こういったところが非常に高く出ますし、療養型病床群等施設が非常に大きいところは当然高いということで、こういうところはどちらかといえばサービス水準が高いということであれば保険料もある程度高くならざるを得ない、こういうふうに今考えているわけでございます。  そういうことで、夏ぐらいには当然のことながら全国市町村、全市町村かどうかは別にいたしまして、大体の市町村からおおむねの金額が出てまいるということになると思いますので、かなり精度が高い形で比較できるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
  14. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 夏ごろとおっしゃったように、さっき六月という数字を聞いたような気がしますが、夏というのは何月ごろを言っているんですか。
  15. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 五月から六月にかけまして各市町村から県の方に出てまいります。私どもも同時ぐらいに暫定的なものはもらいたいと思っておりまして、そのもと作業いたしますので、やっぱり七月ぐらいになるのではないか、こういうふうに思っております。
  16. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 一般の国民にとっては一番大きなのが保険料、特に一号被保険者にとっては大きいわけでありますから、この問題に帰着するわけであります。  ちょっと話を先に進めさせていただきたいと思います。  もともと介護保険というのは、介護というものを社会化しようということで、みんなで助け合おうじゃないか、こういうことだろうと思うんですね。そうしますと、国民負担というのをどう考えるんだということが大変重要になってくるわけであります。  冒頭申し上げましたように、社会的入院という問題の解決のためにこれを一つ考えよう、こういうことでありますから、当然、今まで老人医療費に回っていた分が福祉に回るということで、この介護保険の枠組みの中に医療から移る部分が出てくるわけであります。その一方で、夏ごろ出てくるだろうと言われている保険料というもの、それから一割負担がまた乗っかるということでありまして、果たしてネット国民への負担というのはどうなるんだということが問題なんだろうと思います。  医療保険本人負担を一割から二割に上げ、そしてまた薬の別途負担を行って大変いろいろ議論になったわけであります。特に、今景気がこういう状況の中でどういうふうにこの国民負担というものを、マクロベースでどうなのか、それからミクロベースといいましょうか、個人にとってどういう負担になってくるのかということが一番大事であって、今までカバーされていないものを介護保険で拾い上げるという部分もありますから、今まで負担していなかったものを国民全体として見れば負担することになる部分はあるわけですけれども、先ほど言った医療から福祉に移転されるということで、むしろその部分負担減になる部分も当然出てくるはずなんです。  ですから、そうしますとネットでは一体どうなるのかということをマクロベース、それからできればミクロベースでの、数字はともかく考え方というものを少しこの辺できちっと聞いておきたいというふうに思います。
  17. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) これからの少子高齢化社会を迎えまして社会保障制度に係る費用が一体マクロベースでどのくらいになるかという視点は、これは極めて重要だと存じます。  厚生省の今までの統計上の措置からしますと、平成九年に社会保障給付負担に係る将来推計をやっております。これによりますと、これは国民所得伸び率をどのくらいで見込むかということで、三通りくらいの前提を置いて試算をいたしておりますけれども、例えば成長率を三・五から三%、あるいは二%程度、一・五%程度というように仮置きをいたしましていろいろ試算をしたものがございます。  それによりますと、NIに対しまして、平成十二年、二〇〇〇年で二〇%程度、それから二〇二五年で約三〇ないし三六%程度推計されております。一方、介護負担国民所得NIに対する割合は、これらの推計によっても、平成十二年、二〇〇〇年で約一%程度、それから平成三十七年、二〇二五年で約三%程度と、介護自体は将来とも医療保険と比べましてそんなに膨大な額になるものではないと見込まれております。  他方、委員指摘するように、医療から介護へという問題がございます。それからまた、従来補助金でやっておりました措置費から保険へという移行がございますから、それらの収支がどの程度になるかということは論議の過程でいろいろ議論されたやにお伺いしております。これは平成七年度のころの議論でございましょうが、総体として三千億強節約になるといいますか少なくて済むという試算もありますが、実はこれは一つ試算でございます。  我々としては、これから介護保険を本当に円滑にスタートするために必要な措置その他も賄ってまいりたいと思いますし、それからまた病気にならないあるいは介護状況にならない保健事業等もやらなくちゃいけないし、それから自立と認定された例えば特老に入所している方々の問題等もあります。そういった問題を含めて、そういった制度を、来年の四月から介護保険がスタートするわけでありますので、重点的に拡大はしていきたいなというようには思っております。
  18. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今の大臣のお答えの中にありました見通しというのが手元にございますが、マクロベース介護は二〇二五年でも今お話しございましたとおり国民所得比二%台という数字になって、ここに「介護負担の割合は、対国民所得比で二・五%程度と将来とも相対的に小さいものと予測される。」、こうあるわけであります。  確かに年金などに比べればはるかにインパクトは小さいわけでありますけれども、問題は個人レベルの話であって、今お話しございました保険であるという側面もこれあり、やはり個人レベルで、どういう個人には、つまり本当の要介護者、それから四十から六十五までの我々働いている現役世代の負担、それからその下は全然ないわけでありますが、そういった面でどういうインパクトがそれぞれあるかというのはやっぱりつぶさに見ておかないといけないんだろうと思うんです。  冒頭申し上げましたように、今国民の皆さんは、まだスタートしていないということもありますから、保険料を六十五歳以上の方が年金から天引きされて、なおかつ要介護になっちゃったらかかった費用の一割を負担するということになる事実は余り実感していないわけであります。  したがいまして、そういったミクロ面での介護負担というか介護保険に伴う追加負担というものは、先ほどトータルで見れば三千億の負担減になるという数字が仮にあるとしても、やっぱりそこはよく見た上で手当てをしていかなければならないし、年金の問題、たしか年間十八万以上の方はみんな天引きされる、こういうことになっているわけでありますからそういうことになっちゃうんですが、その辺についても総合的に見なきゃいけないと思うんです。  そこで大臣にお伺いしたいわけでありますが、実は年金から天引きをするという方向性はたしか福祉プロジェクトチームで決めたような気がいたします。今、具体的に十八万というバーもはっきりし、そしてだんだん全体像が計算しやすくなってきた中で、もう一回この問題についてどう思っておられるのかについてお伺いをしたいと思うんです。  これは、先ほど申し上げたように、例えば老人クラブなんかで説明をすると後から役場に電話がかかってきて、わしはそんなのじゃ入らない、こう言う人も中にはいるようであります。なけなしの年金から取られるというのは、今まで医療保険であれば、例えば息子が働いていて息子にぶら下がっていれば息子から取られるわけでありますから余り痛くもなかった、実感がなかったわけでありますが、今度は確実に取られるというふうに意識をされるわけであります。そういう点で、未納の問題との絡みもあってこういうことになったわけでありますが、大臣として改めてこの辺を国民にもわかりやすくひとつ御説明をいただければというふうに思います。
  19. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 国民個人個人にとりまして一番不安に思うのは、従来の措置的な福祉政策からの保険制度への切りかえということです。保険制度でございますと、民間保険と違いまして公的な資金をかなりつぎ込んでの社会保険ということでありますけれども、それはどうしても基本的に保険料負担をしていただく、そして給付を行うということが建前でございます。介護につきましては、そういった意味で医療保険と若干趣を異にしておりますが、これでも保険料を納めていただく。  それからまた、給付の方も一割を負担していただくというのは基本原則になっておるわけでございまして、今まで特老等に入って福祉施設としてみんな見てもらった、しかし資力によって応分の利用料もいただいておりますけれども、それがもうはっきり制度として定立をしたという点に、今まで負担してなかったのに負担させられるのではないかという、そういう意識があると思うんです。したがって、まずそういった制度理解を求めていくということが極めて重要だと思います。  それから、ささいな年金から天引きするのはいかにもかわいそうじゃないかという感情論みたいなものが背景に確かにございます。しかし、介護保険につきましては御案内のように五割は公費で、それから三三%は四十歳以上の二号被保険者、それによって総介護費用を割り当てして医療保険一緒にいただきますから残りは一七%、それが年金受給者等の六十五歳以上の人たちの問題です。したがって、年金受給者を対象にして上乗せをお願いする。しかもその水準は、十八万円ということは私も水準としてはちょっと酷かなという感じがしないではありません。しかし、これは審議会におきまして各市町村保険者である市町村長等から、これを確実に徴収するためには余りこれが緩和されては困るという要求等もありまして、十分審議をしていただいた上でこのようになっております。  したがって、制度制度として定立しておりますので、今度は負担関係でありますが、低所得者対策としてどういうことが可能なのかどうか。保険料も一本価格ではございません。住民税の非課税である、その点を基準点として上下に展開をして、所得の多い人からは応分の負担をしていただくし、所得の低い人には軽減措置を講ずるということはもう既に政令でその枠組みは決まっています。  一方、介護費用の一割負担につきましても、これは未定でございますので早く決定した方がいいと思いますけれども、高額医療制度というのが医療保険で設けられています。ある一定の限度以上は負担しなくていい、しかも低所得者に対しては一定の条件のもとにそれ以下でシーリングを設けているわけです。そういった考え方に準じて給付の方の一割負担も配慮すべき問題だと思っています。  したがって、制度としては、大枠がきちっと決まったわけでありますが、これからさらに政省令で決めることを早く詰めて、そして低所得者にはこうなるんだな、あるいは高額所得者は多少の負担をしなくてはならないのかなというようなことをもうちょっと早目に決めて、そして理解を求めていかなくちゃならないなというように思っております。  いずれにしても、年金生活者の分は全体の費用の一七%になります、五割が公費で三三%が四十歳以上の二号被保険者からの総トータルで賦課しますから。その場合に、十八万にいたしますと約八割くらいに収納率が高まるわけです。これを例えば十八万円をもうちょっと高いレベルにいたしますと収納率が落ちます。そういうことがさっき申し上げた保険者である市町村長方の意見でもあったわけだし、審議会の意見でもあったので、とりあえずこれでスタートさせていただくということで、低所得者対策はまたそれぞれきめ細かい対策を講じていかなければならない、このように考えております。
  20. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 先ほど十八万円は酷かなというふうに個人的には若干思わないでもないがというお話がありましたが、確かに市町村長さんたちが集まって決めたことでもありますが、彼らもそれを認めながら、ちょっとやっぱり酷かなという意見もまだあるものですから、今、大臣も低所得者対策等々にきめ細やかにというお話がありましたが、やっぱりよく国民の声に耳を傾けながらこれから進んでいかなきゃいけないのかなというふうに思っております。  次に参りますが、この保険料にもかかわってくる、すべての問題にかかわってくるわけでありますけれども、今回行っていろいろの要望で一番聞いたのは、介護報酬を何しろ早く決めてくれと。この間、三月十五日のこの委員会で近藤局長は年末から年始にかけてというふうにお答えになった。予算絡みだと、こういうお話であります。  これは、役人や我々の世界では通用する話でありますが、地方に行きますと何でやと。特に民間が、これから初めて入ろう、参入しようとするときに、一体どのくらいの介護報酬が得られるのかということがわからなければ、どのくらいの規模でスタートしたらいいのかということすらも、あるいは入ることすらもちゅうちょされてしまうというような話も間々あります。  七月ぐらいに骨格的なものが、何か概念が出てくると言っていますけれども、骸骨みたいなやつが出てきてもだめなので、何かやっぱり事業を起こすとか、今度は事業者と呼ぶようでありますが、やる方にとってきちっと計画が立てられるようなものを、十二月まで、予算編成までにできないという一辺倒じゃなくて、何か工夫をしないとみんなうまくいかないのじゃないか。保険料の積算にも実ははね返ってくるわけで、先ほど夏までにというお話がありましたが、この話が決まらなければ保険料も決まらないのだろうと思うんです。  したがって、市町村介護報酬についても早く決めてくれ、それでないと保険料が決められないぞという話も言っているわけなので、先ほどの話も含めて、介護報酬について何とかもうちょっと早くほわっとしたものが計算できる程度にはわかるようにならないものだろうか。これについていかがでございましょうか。
  21. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護報酬を私どもも早く決めたいのは山々なわけでございますけれども、これからまさに、施設介護報酬それから在宅サービスの報酬、こういったものを決めるための、これは法律で現在やっているところの平均額を参考にしてつくるということになっておりますので、これの実態調査を行おうとしているわけでございます。これがまとまりますのが秋口になろうかと思うわけでございまして、それを踏まえた上で決めなきゃいかぬということになりますと、幾ら早くしても物理的にもやはり年末近くになるのではないか、そんなような感じでおるわけでございます。  ただ、先生おっしゃられましたように、保険料の額にも関係いたしますし、それから参入されようとする民間事業者にも関係いたすわけでございますので、なるべく骨格の中である程度類推できるようなものができないか。いずれにいたしましても、審議会におかけいたしまして審議をしていただくということが必要でございますので独断ではできないわけでございますけれども、その点は急ぎたい、こういうふうに思っております。
  22. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 まさに今申し上げた民間の事業者が参入するであろうということが予想されるわけでありますけれども、特に我々が心配しているのは、先ほどお話があったように、なるべく在宅が多い方が全体的にコストは低くなるだろうと思うんです。  問題は過疎地あるいは離島の問題でありまして、過疎地、離島での介護サービスにつきましては、平成九年度から十年度、そして今年度もやっていると思いますが、過疎地域在宅保健福祉サービス推進試行的事業というのをおやりになっていると思うんです。これは、要は民間の人に試しにやってくれと、それでどんなことになるのかということで、民間の人が中山間などでこの在宅サービスをどれだけのコストでやれるのか、コストパフォーマンスを言ってみればはじいてみようと、こういう実験だろうと思うんですが、これについて九年度、十年度、やっていますけれども、さっぱり中身が出てこない。  今申し上げたように、介護報酬が出てこなければなかなか民間も入れないというのと同じように、農協もいろいろ考えているようであります。生協も考えているのかもわからない。いずれにしても、そういう事業者がやるかやらないか、どの程度やるか、どこまでやるか、こういうことを考えるに当たって、やっぱりせっかくやっている事業の結果を出さなければ意味がないのじゃないかと思うんです。この辺についての今後の扱いについての御方針を教えていただきたいと思います。
  23. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先生指摘のとおり過疎地域在宅保健福祉サービス推進試行的事業、こういう形で実際に民間業者によるサービスの提供をモデル的にやってみる、こういう事業をやっているわけでございますが、九年度は三地域だけでございまして、これについては関係の県で発表されております。それで、十年度におきましては十一カ所でやっておりまして、これは六月に私どもの方に上がってまいりますので、私どもで取りまとめをいたしまして発表いたしたいと思っております。  それで、九年度の三地域におきます成果と問題点というのを若干申し上げますと、効果としてはやはり呼び水的な効果、こういうことで、宮城県でございますけれども実施地域の隣接地域で民間会社が設立された、こういったようなこととか、あるいは農協が参入してくれた、こういう効果があったようでございます。  ただ、まだまだ需要が少ないものでございますから、掘り起こしが必要であるとか、あるいは移動のコストが高いとか、こういったようなことが問題として指摘されているわけでございます。
  24. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 結果を公表するということでありますが、できるだけこれも早目にお願いをしたいと思います。いつごろというのがもしわかればお答えをいただきたいと思います。
  25. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 六月中に報告書が参りますので、これも夏と言って恐縮でございますけれども、夏じゅうには出したいと思っております。
  26. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 夏を楽しみにしておきたいと思います。  次に参りますが、去る三月三十日に閣議で規制緩和推進三カ年計画というのがあって、その中に介護サービスの利用手続及び支払い方法の多様化ということについて十年度試行、十一年度結論と、こういうふうになっております。これはそもそも、我々福祉プロジェクトチームでも民間が参入するという話をやろうということを言ってまいりましたが、これは言ってみれば民間のサービスによって質の向上とコストダウンという両面のことをねらってのことだと思っているわけであります。  その一つである介護サービスについてのいわゆるバウチャーについてでありますが、このモデル事業を昨年度やっているわけですね。この結果について、進展状況はどうなっているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  27. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 現在、居宅介護サービスにバウチャー方式を導入することについて検討しているところでございますが、これにつきましては、試行的事業を十年度におきまして三カ所、東京都等三地域実施したところでございます。今の段階ではまだ中間報告を受けたところでございますが、それによりますと、バウチャーというのはまさに紙でございますので、市町村におきますバウチャーの発行事務とか回収事務負担が非常に重いようでございます。特に重度の要介護者にとってはバウチャーの管理そのものが大変負担になる、こういうふうなことが指摘されているわけでございます。  こういう問題点を踏まえまして、どんな条件を満たす場合にその利用ができるかどうか、こういうことを研究しているところでございますが、サービス利用の自由度を高める、こういうことにバウチャーの利点があるわけでございますけれども、もしこれをやるとすれば、バウチャーそのものよりはICカードみたいな使い方がないと実現性がないんじゃないかということでございます。  しかし、こういうICカードによるということになりますと、一つは法令上の手当てが必要になる可能性もございます。それから読み取り機械を設置しなきゃいかぬ、こういうことでございますとか、ICカードそのものにどれだけの情報を入れるかどうか、こういったものも検討する必要があるわけでございます。  今直ちに導入というのは非常に困難でございますけれども、今後ともこの問題点を踏まえながら検討してまいりたい、こういう状況でございます。
  28. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今、ICカードの話が出ましたけれども医療等についても考えるという話が巷間言われているわけでありますから、情報化社会でこの程度と言ってはあれですけれども、そんなに難しい問題ではないと思うんですね、確かにコストの問題はありますけれども。ですから、個人の情報という意味でもICカードというのは使い方としては意味があるわけでありますから、ぜひそういった面で考えていただきたい。  このバウチャーは、もともと利用の選択肢を広げようということ、個人の自由度を高めようというところも一つの眼目でありますから、この制度設計したときにバウチャーも組み込めるようにつくっているというふうに私も理解しておりますので、ぜひ進めてもらいたいと思います。  もう一点だけ、民間の問題でありますが、この間、自民党の中でも社会福祉基礎構造改革というのを検討して、我々としてのペーパーをまとめましたけれども、そのときに特別養護老人ホームについては民間参入、営利法人はまだ認めないということになりました。しかし、そうはいっても在宅は今度いいわけですから、中間施設である例えばグループホームとかケアハウスについて、それについてイコールフッティングを考えてあげないとなかなか民間が入ってこないんじゃないだろうか。民間がなかなか入りづらいと、結局コストも質も向上しない、こういうふうになろうかと思います。  施設補助費は社会福祉法人にしか出せないとかなんとかいう話があるのはそれはもう十分わかっている話でありますけれども、例えば介護保険の対象事業であれば、例えば介護報酬にそれの償却を上乗せしてあげるというようなことも考えることによって、民間の人たちの参入というものをイコールフッティングでできる可能性もあるんではないかなというふうに思うんですが、この点について最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 社会福祉法人に対しましては補助金という形で出しているわけでございますけれども、民間企業は営利を目的とするということでありますので、これについて直接の公費助成というのは難しいというふうに思っているわけでございますが、介護報酬の中で措置するのは当然あり得る方法だと、こういうふうに思っているわけでございます。  償却費をどういうふうに見込むかはこれから検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  30. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 最後大臣に、今議論いたしました民間の介護保険の世界への参入について基本的な御認識を、さっきも私の考えをちょっと申し上げましたけれども、お聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  31. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今御指摘になりました介護サービスの経営主体となる点については、やはり慎重でなければならないと私は思っております。ただ、民間を絶対排除できるかどうかという点になりますと、例えばケアハウスその他はもう現に社会福祉法人等で認めておりますし、特別養護老人ホームはその特殊性からして認められないという方向がほぼ方向づけられているわけであります。  しかし、経営主体の問題とは別に、これからは多様なサービスを民間事業者によって競争的にやっていただくことが、良質なしかもコストの低いサービスの提供につながるものと我々は考えますので、それは大いに歓迎をしていかなければならないと思っています。したがって、事業者については、そう役人的なコントロールというか、規制だけ加えるのでなしに、ある程度自由な活動に任せて、そして利用者の選択の幅を広げた方がいいと思います。  しかし一方、そういうことで介護の事業規模というのはこれからどんどん大きくなりますから注目していかなければなりませんが、同時に私の心配するのは、介護を食い物にするような事業者がまたあっても困るんですね。したがって、そこは厳重なきちっとしたルール、規制といいますか、当然でございますが、介護の目的に沿わないような事業者は排除していかなければなりません。そういう規制のもとに自由な参画をさせていくということが極めて重要ではないかというように考えております。
  32. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 ありがとうございました。今、大臣のおっしゃったとおりだと思いますが、悪質な業者が入ってこないということは大事な話でありまして、そういう点で、これも社会福祉基礎構造改革の中でありましたけれども、第三者の評価機関というものがその質を担保する役割をなし得るのであろうと思っております。その点よく御検討いただくようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。
  33. 水島裕

    ○水島裕君 来年の四月から実施されます介護保険、これは大変な変革でございますので、あちこちにいろいろな問題点があるというのはもう皆様一致した意見だと思います。それでも試行錯誤でやっていくのでいいかなと私も今でも思っているわけでございますけれども、今般の集中審議ということがあって、私ももう一度勉強し直しましたら、どうもやはりまだまだ問題点が多い、施行までに解決できる問題点があるんじゃないかと思います。  その一つが要介護認定でありまして、これは今度の介護保険一つの大きなキー、いろいろまた苦情が出たり問題が出てくるところでございますので、それを中心にきょう話して、そのほか在宅医療介護保険関係、あるいはこのごろ療養型病床群が多くなっているということも取り上げてみたいと思います。  それに入ります前にひとつ大臣に御意見をいただきたいのは、訪問介護に従事するいろんな人がいるわけでございます。私も幾つか見学してまいりましたが、結構今よくやっているわけでございます。ホームヘルパーのほかに今度できます介護福祉士、それからボランティア等いるわけでございますが、今度は試験ができたりいろいろ決まりができたりなんかして、せっかくやろうと思っている人が、特にボランティアなんか今までのようにうまくいかなくなるというようなことがありますので、申し上げたいことは、制度や試験とかそういうことに余り縛られる結果、せっかくやろうと思っている人がやれなくなることがあるんじゃないか。  私の意見では、医療介護というのは医師、看護婦、それから介護する人と。医師の方はちょっとぐらい愛想が悪くても、間違いない診断をして間違いない治療方針を決めなくちゃいけないですけれども、看護婦あるいは介護になりますと、余りいろんなことを知らなくても、本当に一生懸命明るくその人に応じてやってくれるという方が大切と思いますので、その辺の御意見厚生大臣からひとつお伺いしたいと思います。
  34. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御指摘のように、訪問介護業務の従事者の問題は、やはり基本には今おっしゃられた熱意、それから本当に介護の重要性を肌で感ずるヒューマニズムといいますか、そういうものが基調になければこれは成り立っていかないと思います。そういう意味で、委員のおっしゃる点はごもっともでございます。しかし一方、一つの社会のシステムとして構築する以上は、その担当者がある一定の知識なり経験なり資格要件を満たしているということも重要でございますので、私どもはその両者の調和を図っていかなければならないと思っております。  一方、介護支援専門員とかホームヘルパー等の採用をこれからどんどんやらなくちゃいけません。介護支援専門員等は、これは試験をやって二十万人以上の受験者がありましたが、九万人くらいは合格しております。ホームヘルパー等は三級に分けておりますけれども、ある程度の熱意のある方々を十分受け入れられるだけの、講習の時間等も短くしてホームヘルパーの資格を与えることも可能でございますから、地域のボランタリーな熱意ある人々の参加とかそういうことは必要であります。ただ、無制限にというわけにまいりませんので、そういった簡易な方法によって多くの人が参画できて、本当に温かみのある介護施策が実行できる基礎は人でございますから、非常に重視をしてまいりたいと思っております。
  35. 水島裕

    ○水島裕君 全く意見は同じだと思います。  この間、関東のある県に行きましたら、介護福祉士の試験をたしか五千人受けて二千人しか通らなかった、もう少し通ってもいいんじゃないかというふうな印象がありますのは、私もリハビリテーション病院なんかに勤めていまして、そのときにPT、OTがとてもよくやってくれるんですね。もう十分だと思うんだけれども、試験を受けに行くと落っこちちゃうんですね。ですから、そういうこともありますのでぜひよく検討していただきたいと思います。  それでは要介護認定に入りますけれども、これによってサービスの量と時間が決まりまして、それで結局保険から支払われる額も決まるので、これは非常に重要なわけでございます。私も、もう大分前までは月に一回神奈川県庁に行きまして、公費負担をするに満ちている難病かどうか審査するのを毎月やっておりまして、そのときは大体うまくいくわけですね。そういうこともありまして、みんなの意見も一致するものですから、これは大体うまくいくんじゃないかというふうに今までも申し上げていたんですけれども、今回、もう少し勉強してみたら、どうも問題点が結構あるんじゃないかということになりましたので、局長にお伺いいたします。  いろいろ文句を言うよりは、これからこれをスタートするまでにまだ時間がございますので、一部手直しできるところは手直しするし、またそうでなくても説得力を得るためにきちっと検討しておくところはしておいていただきたい。  それから、何を重視するかというので、最終的に結論は、コンピューターの一次判定の精度をうんとよくして、なるたけそれでおやりになったらどうか、そういうことを申し上げたいわけでございます。  とにかくこの判定法が正確でなくてはいけないので、このコンピューター一次判定というものをつくるには非常に多くの人の、介護が必要な人のそのときの介護サービスの量、時間、それと患者さんの状態をいろいろ調査して、これは我々も学問でしょっちゅうやっていることですけれども、どれだけ相関があるかということで項目を選んで重みづけをしているわけでございます。  質問は、そういうことをやったときに、本当に調査したときの患者さんのサービスの時間とか量が適切であったかどうかをまず判定してから検討を始められたかどうかということからお伺いしたいと思います。
  36. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) コンピューターによります一次判定の基礎になっている一分間スタディーの行われた施設の妥当性ということだろうと思っておりますが、この一分間スタディーの調査を行いますときには、やはり先生おっしゃるように立派な施設である必要があるわけでございます。正当な介護を行い、必要な分数がどれだけかというのを正確に出す必要がございますので、やっぱり質、量ともに適切なサービスの提供が受けられるような施設という形で各団体から御推薦をいただいたわけでございます。  介護力強化病院といたしまして十九病院、老人保健施設といたしまして十七施設、それから特別養護老人ホームといたしまして十五施設、こういう形で、合計五十一施設対象者の方々は約三千四百ということでございまして、私ども施設の選択は適切であったと、こういうふうに評価いたしております。
  37. 水島裕

    ○水島裕君 私の質問は多少細かいので、それで細かいことをお答えいただくと皆様方も退屈なさるといけませんので、今後は要所だけお答えいただきたいと思います。  私が厚生省の方に聞きましたら、施設はよく調べて選んだ、だけれども実際にその患者さんたちあるいは老人の方が受けているサービスが本当に合っているかどうかということは調べなかったということでございます。それではこの相関を出すのに余り意味がないので、きょうはお答えは結構ですけれども、そういうことも含めて、そんな大きなスタディーじゃなくてもいいけれども、もう一度やられるのがいいんじゃないかなと思います。  なぜ今こういうことを申しますかというと、どうもこの要介護認定が、後からいろいろ比べてみると、前と比べて合わないとかという結果がだんだん出ているそうでございますね。また、随分やっちゃいましたけれども、もちろんそれは参考になるけれども、抜けているところはぜひ補足的にでもおやりになったらということで申し上げているわけでございます。もう一回だれかが行って訪問調査に再現性があるかどうかというのをおやりになって、それは再現性があったというふうにお聞きしておりますので、それは問題ないんじゃないかと思います。結局何を申し上げたいかというと、この調査票をもう一度正確に調べることによって調査票の重みづけももう少し変わっていくんじゃないかなと思います。  私もよく拝見しましたら、例えば褥瘡、床ずれ以外に処置や手入れが必要な皮膚疾患がありますかという問いがある。私も水虫がちょっとありますので時々薬を塗ったりなんかしているので、こういうのも入れてしまえば入ってしまうわけですね。だけれども、ほとんどこんなものは介護関係がない。きちっと調査をしていただいて、今からこの項目を除くということはできないと思いますけれども、重みづけはいろいろ変えられるんじゃないかと思います。どうも見ますと結構問題があるんじゃないかと思いますので、もう一度検討をしていただけたらと思います。  その次は、これをコンピューターで判定しまして、今度はある程度専門の人が判定して、それとそれが合うかということを随分調査なさっていらっしゃるわけですね。それで、平成十年には実に十八万人の人を調べた。一致率が九割だった。ところが、その後やってみたら七割ぐらいに減ったとかということもあるので、何かおかしいんじゃないかと思いました。  質問は、一次判定とある程度専門の人との意見が合っているかどうかを調べるときに、コンピューターの結果を知らないで判定した、つまりブラインドでコンピューターの判定に引きずられないように判定したものとの一致率でごらんになったかどうか。これも簡単でいいですけれども、お答え願いたいと思います。
  38. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 一次と二次の関係でございますから、一次判定を知った上で二次判定をされているということでございます。
  39. 水島裕

    ○水島裕君 これは野党の方にも結構学者がいらっしゃるかもしれませんけれども、こういう相関を出すときに通常の方法というのは、例えば十九万人いるとしたら、そんなに必要はないと思いますけれども、それを半分にして、その人を材料にしてその人のデータでもってコンピューターを立ち上げて、そのときはいろいろやる。次に、残りの半分はコンピューターの結果が合っているかどうかをもう一度判定する。そのときはコンピューターの結果を知らないで判定をするというのが一般的な学問の常識のような気がします。  もちろん、これは介護ということでいろんな問題点が入り込んでいますので、そういうことを加味してそういうことをなさったんだと思いますけれども、私は少人数でもいいから今からでもそういう試験をやられるというのが説得力を持たす点で重要じゃないかと思います。  この間もこういうことを、だれが最終的にどういう学者とか専門家が入って決めたかをちょっとこちらに教えてくれというふうにお願いしたんですけれども、まだその結果はいただいておりませんので、見せていただきたいと思います。  ですから、今のは、平成十年は九割合っていた、もちろんある程度選択したりなんかしたんですけれども九割合っていた、一割は違っていたというのでコンピューターをいろいろ直したわけですね。それで、その次やったら今度は一致率は七割だったと。どうもそのときはブラインドでやっているみたいですね。ですから、最初の九割合っていたというのがおかしいというので私もいろいろ聞いてみましたら、そのときはどうもコンピューターの結果に惑わされて、引きずられてそういう結果になってしまったというお話もあるようです。  とにかく、今までのがだめになるということじゃなくて、それにできれば何かしらの研究を加えていただきたいというのが私の希望でございます。大臣もお聞きになっていて何か少し問題があるなというふうにお感じになりましたら、また後でよく検討をしていただければと思います。  それから次は、今度は実際にどうやるかと申しますと、すべての例について、介護認定審査会というので今のコンピューターによる一次判定と、それから主治医などの意見書、特記事項ということを加味して最終的な二次判定をなさるわけでございますね。もちろんそれも一つの方法ですけれども、コンピューターの値が正確だったらいろんなことをしなくてもいいわけで、コンピューターをできればその主治医の意見書、特記事項なんかも含まれるようなコンピューターにしておけばそれでいいわけでございます。  質問は、その二次判定とコンピューターによる一次判定とがどのくらい合っているものかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  40. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) まず、コンピューターで一次判定を行いますのは、全国統一的に客観的に把握したいということで統計的な処理の方法で行っております。先ほど申し上げました一分間スタディーの例というのは三千四百しかございませんので、数として十分かと言われればそうではないわけでございまして、それに似通っていない方も当然いらっしゃるわけでございます。そういう面では、コンピューターの統計処理にも限界があるわけでございまして、これからはそういう充実というのも当然していかなきゃいけませんし、先生がおっしゃるような検証の作業もいろいろ研究をする必要がある、こういうふうに思っているわけでございます。  そういうある程度のコンピューター処理の限界を踏まえた上で、もう一度人間の目で確認していただく。人間の目といっても医療、保健、福祉の専門家の審査会の先生方に見ていただいて、それで最終的な判定をしていただく、こういうシステムになっているわけでございます。  精度を高めていくというのは当然大事なことではございますけれども、どうしても統計処理でございますので、これはいつまでたってもやはり八割程度ぐらいまでの精度で、あと二割程度は人間の目で見て修正する、こういうことが必要ではないのかな、こういうふうな感じを持っております。
  41. 水島裕

    ○水島裕君 苦情が出ると申しますよりか、本当に大切なのは二次判定の結果なんです。それと一次判定、これはすごく公平に、すごい研究費も使ってやっている。これがどのくらい相関があるかどうかというのが今の時点でどうも出ていないみたいなんです。誰がやっていらっしゃるのか知りませんけれども、随分抜けているような気がするんです。ですから、やはり今、一次判定と二次判定は九割合っているとか、そういうデータがもうちょっとはっきり出ている方がよろしいかと思います。  今までのはどちらかというと学問的なことですけれども、これからは多少政治的なことになりますと、やはり二次判定でもめるというより、二次判定が最終判定ですから、それで不公平を患者さんが得ては困るわけでございますね。私の意見では、そのときに一生懸命つくった機械が判定したからというのだったらまだいいんじゃないかというふうに思いますけれども、それプラスいろんな要因が加わって判定して、その判定がおかしいということになりますと、もっとこれは不信感が出てくるわけでございます。ですから、主治医の意見書、特記事項なんかもできればコンピューターに入れてやる。今はそういういろいろな方法があると思いますので、そういうことを一度お考えいただければと思います。  なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、先ほど言っているように、県で難病のいろいろ審査をやって、大体合うんです。合わないときに、私どもは自分の診ている患者さんも審査してもらっているわけでございますけれども、そういう自分が診ている患者さんでどうしてもおかしいというときは申し出て直してもらう。直してもらうので、それで通常はこちらの言っていることが合っているので直してくれているんだと思いますけれども、やっぱりそういうふうに言った方が直してもらえるし、また頼むとかなんとか言っているうちに治るという例もないわけじゃないので、どうしてもこういうことが入ってくると不公平が生じてくる。  ですから、その不公平による誤る率と、それから今おっしゃったようにどうしても機械だけには任せていられないから人も入ってやるというために正確になったのと、どちらが大きいか、どちらが重要かということになりますので、私は、しつこいようですけれども、いろんなものもなるだけ加味して、それで原則としては機械的に判定するというふうにしないと、先ほどの難病の診断とかそういうことと違いまして、非常にたくさんの人がいて、しかも状態は連続しているわけです。  ですから、この人はこういう状態なのに要介護Ⅲになった、この人はⅣになったということが間違いなくあらわれるわけなんです。そのときに、主治医の意見書がこうであったからこうなったんだとか、それから特記事項がこうだったのでこうなった、片一方は特記事項が、そういうことが書いてなかったからそうなったんだということが起きますので、何も私が言っていることが本当にいいか、最終的にそれでいいかどうかは別といたしまして、何といっても公平に判定できるということで、もう一度このコンピューターの判定にどのくらい重きを置くかということを考えていただきたいと思います。  このごろ非常に研究費が多くなったので、私ども研究費のチェックをするわけです。それは今でもやっておりますけれども、前まではボスみたいな人がこれはいい研究だから入れましょうとか、そういう傾向がかなりあったんです。最近は非常に多くの人が細かい点数をつけて合計して順番に並べて、ちょっとおかしいなと思ってもよほどじゃない限りはそのまま上位から研究費を出すというふうにしておりまして、やはりその方がよほど公平感があるような気がいたしますので、いろいろ御検討いただけたらと思います。
  42. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 基本的には私も今、委員のおっしゃられたようなことではないかと思うんです。したがって、一次コンピューターの信頼度を高めて客観性を持たせるためには入力にやっぱりきめ細かな配慮が必要だと存じます。  私もちょっとチェックして説明を聞く中でいろいろ求めたのでありますが、例えば三段階に分けて入力するということは、三つの選択肢しかないわけですから、非常に粗っぽいといえば粗っぽいんですね。六段階の項目もあります。しかし、それらはやはり人間が感触で判定するわけですから、なるべくきめ細かくした方がいいのではないか、つまり入力の範囲をもうちょっと拡大、チェックポイントを多くした方がいいのではないかと個人的には思いました。  それから同時に、今、局長の方から三千四百のモデルという御説明がありましたが、モデルの数も、統計学的手法によりましょうけれども、それで本当にいいのかなという問題があります。それは、仮に一万以上のソフトウエアの設計ができればより確度が高くなる可能性の方が高いのではないかと私は素人的にも思うんですが、今直ちにこれを改変することはできませんので、私どもとしては、一次判定の三千四百を中心にしたものにさらに修正を加えて、二次判定との結果を照合しながら、現実にアダプトできるように設計も多少修正しなけりゃいかぬかなということで今作業をやらせていただいておりますが、できれば、一次判定のウエートがうんと高くてそれで決まればだれでも納得するということが一番望ましいとは存じます。  将来課題として、今直ちにケースをうんとふやすというようなわけにはまいりませんけれども、将来はそういった考え方が必要ではないかというように個人的には思っております。
  43. 水島裕

    ○水島裕君 厚生省をいじめるためではなくて、あくまで何とかいいものをつくっていただきたいということで申し上げているわけでございます。  大臣がおっしゃるようにコンピューターの精度と信頼度、これがいいということが本当に重要な前提でございますので、それにしてはということを幾つか申し上げたので、個々のことについてもし私の言うことが違っていたり何かあったらぜひまた厚生省の方から言っていただきたいと思います。また、私の言っていることが大部分合っているということでしたら、スモールスタディーでも結構ですけれども、ぜひやっていただいて、信頼度あるいは説得力を増すようにひとつ心がけていただきたいと思います。  それでは要介護認定はこのぐらいにしまして、介護なんかは慢性病あるいは神経の疾患、それから痴呆とかというのが多くなると思いますけれども、やはり第一の死亡原因であります悪性腫瘍も含めて、終末期医療というのにも介護は重要にかかわり合ってくるのではないかと思います。  個人的なことを申し上げて恐縮ですけれども、私の父も母も八十歳を過ぎておりましたけれども、両方ともがんで亡くなりました。でも、入院を全くしなくて、多少その病状にもよったかもしれませんけれども、全部家でやりましたので、医療費はほとんどかからなかったわけであります。私が行っても別に往診代を取らなかったとか、そういうせいもあるとは思いますけれども。もちろん病院に入れれば、正直申しましてあと一カ月か二カ月は長生きしたとは思いますけれども、それで本人たちも本当に幸せだったと思いますし、周りも幸せでありました。私も、もちろん病気にもよりますけれども、同じような病気だったら私もぜひ同じようにしてもらいたいというふうに思っております。  ところが、そういうことができる家庭というのはなかなか少ないんですけれども、これに介護というものを入れますとかなりできるようになるんじゃないか。不謹慎かもしれませんけれども最後医療費が、実際よりは二カ月ぐらい早く死ぬわけですからすごく助かりますし、また病院に入るのと自宅にいるのとでは、普通に計算しても一カ月五十万と十何万という差ですけれども、終末医療は人によっては一千万円かかったりなんかめちゃくちゃかけておりますので、そういうことができれば本人も幸せだし、医療費も下がるし、つまらないお医者さんのもうけが少し少なくなるぐらいで、いいことずくめだと思います。そういう終末期の在宅介護というものと介護保険ということで、これは大臣にお伺いしてよろしゅうございますか。
  44. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 医療の専門家でいらっしゃる先生から終末医療についての御意見をお伺いして、私もかねてからそういうことは考えてはおりますが、なかなか難しい問題だなと思っておりました。しかし、介護保険によって在宅介護が起こるようになりますと、在宅で本当に余生を全うしたい、家族の気持ちもそのようだという場合はそういうことも十分可能であるし、そういう気持ちは尊重した方が私もいいと思います。  ただ、医学の進歩によってどんどん改善される余地もありますから、それは一概には言えませんが、例えば今の医学の現状で申しますと、今、委員のおっしゃられたがん末期患者というようなことになりますと、やはり家族としてもいろいろ案ずるところもありましょう。そして本人も、意識がはっきりしている間はよろしゅうございますが、そうでない場合もありますし、なかなか複雑な問題をはらんでいるとは思います。終末医療のあり方と介護関係は、やはり今、委員のおっしゃられるようなことも十分頭に置きながら、家族の気持ちを中心にしてやった方が一般的にはよろしいかなというように思います。  しかし一方、家族によっては一刻でも少しでも長く体温の温かみを感じていきたいという家族もないわけではないと思いますので、微妙な問題ではありますが、委員の御意見は御意見として大変貴重な御意見だと思っております。  ただ、それには条件があります。例えば、家族が本当に温かく介護してお送りするという条件が整うためには、住宅条件その他も必要でございます。都会地で二DKあたりに住んでおる方が一室を占領して、本当に温かく送ることができるかどうかというような問題もございますので、このことはもうちょっといろいろの面で検討させていただかなければならないと思います。  ただ医療費が減るだけでということではもちろん委員の御指摘もなかったと思いますので、人間の本性に基づく気持ちを大切にして、医療との限界に挑戦していくという課題ではないかと思いまして、十分参考にさせていただくつもりでございます。
  45. 水島裕

    ○水島裕君 あくまでも患者と家族の幸せが第一で、そういうふうにすれば医療費も安くなるというふうに私ももうちょっとはっきり申し上げた方がきっと無難だったかもしれませんが、やはり医療費が安くなるというのも大変大切なことでございます。  今の大臣お話の中にも、一刻でも長く生きたいという人がこれからもいることも間違いないので、やはり私は、二十一世紀の医療というのはチョイスの医療というふうに考えておりますので、ちゃんと本人たちが自分たちがどうするかを決めてそれぞれの医療を受ける。それからもう一つ、条件が整う、まさにそのとおりで、私のところなんかはそれで済んだわけでございますけれども、その条件の一つ介護保険というのが利用できるんじゃないかということで、きょう申し上げたわけでございます。  それでは、きょうは十二時半ごろまでかかるというので、少しでも早くやめた方がきっと評判がよくなるかもしれませんので、あと一問だけで終わりにさせていただきたいと思います。  これは後でもきっとこういう話題が出てくると思いますが、療養型病床群と一般病床では医師数とか看護婦数とか、いろんなことで差があるので、一般病院で一般病棟から療養型病床群に変えてそこをしのごうという動きが結構あるわけでございますね。そうなりますと、そういう規則のためだけに病室を変えて、もちろん大部分はそうじゃないんでしょうけれども、そういうものもあるし、また介護をそこでみんなするということになるとトータルの介護費も高くなるので、療養型病床群が今の制度とかそういうためにふえていくということが結構あるかどうか、あるとすればそういうことについてどうお考えかということを最後にお尋ねしたいと思います。
  46. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 施設介護一つとして療養型病床群を位置づけしておりますけれども、療養型病床群というのは、言うまでもなく長期にわたって療養を必要とする患者のためでありますし、また長期療養にふさわしい環境、看護体制とか療養環境というものが備えられているということが必要でございます。それだけに、療養型病床群を介護施設の一環として位置づけをいたしますが、これは医療行為を色濃くしておる分野でありますので、どうしてもコストが高くなるという現実の問題があります。試算によっても一カ月四十六万円とかいう数字も出されておりますけれども、このことがかえって保険料の高騰を招くとか、そういうことになりやすい。市町村によって、保険者によって差が出るのもそこに大きな原因があり得る一つの要素であると思うんです。  そういう意味では、これから療養型病床群をふやしていくということは私は余り考えなくていいのではないかと思いますけれども、今ある病床群の中で療養型病床群にした場合に、医療施設と全く同等でいいかどうかという問題は検討していかなければいけないと思います。  つまり、医者の配置、看護婦の配置その他、医療機関でありますから全く同等に今位置づけをしておりますけれども、やはり介護ということであればそれはある程度合理化を図っていく。しかし一方、医療給付は行われなければなりませんから、要介護の方が医療給付を万全に受けられる体制だけはやはり裏づけしていかなければなりませんが、療養型病床群それ自体はもうちょっと介護施設としてのバランスのとれたものであっていいのではないかと私は個人的には思っています。  なお、特老とか療養型病床群等々の施設介護在宅介護のバランスという問題、これは考えていきませんと、保険料地域差の大きな要因はここにも求められると思うんです。そんな意味で、平等な負担と平等な給付ということになりますと、これは施設介護施設水準をどう考えていくかということにも帰着いたしますが、今後新しいゴールドプランその他をつくる際には、そういった点も含めて、総合的にやっぱりバランスのとれた施設整備水準をつくっていくということは極めて重要ではないか、このように思っております。
  47. 水島裕

    ○水島裕君 一番最初にも申し上げましたように、法律とか規則、これをつくらないとやはり運営できないからしようがないわけでございますけれども、そういうものをつくりますと、意外とそれで逆にうまくいかなくなったりとか論理的じゃなくなったりとか、あるいは合理的じゃなくなったりということが出てくるわけでございますので、それはひとつ柔軟に、そのときそのときでまた後で対応して、一度決めたから変えないとかというのじゃなくてやっていただきたいというふうに思います。  もう重要なことは全部申し上げましたので、よろしければこれで終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  48. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。  私は、この介護保険が成功するかどうかという問題は、制度の問題もございますでしょうが、主としてマンパワーの質と量の問題にかなり大きなウエートがあるだろうというふうに思います。  ホームヘルパーの問題をまずお伺いしますが、ホームヘルパー一級から三級まで、これは現状で厚生省が把握しておられます現在の数並びに二〇〇〇年の目標、来年の目標を聞かせていただきたいと思います。  と申しますのは、介護保険の一応モデルとなるものが、よく世間で言われるのはドイツ型とデンマーク型というふうに言われるわけでありますが、デンマークの場合、一九九〇年の時点でホームヘルパーの老人に対する比率を見てまいりますと、日本とデンマークの間には十四倍の開きがございます。デンマークが十四倍の濃密さを持ってホームヘルパーを準備している。それ以後の統計は年度によって若干の差がありますが、同じ介護保険を行うにしても、第一線の要介護者と触れ合う接点にあるホームヘルパーの問題というものは今後の介護保険の成功を左右すると思いますので、ホームヘルパーの現状並びに二〇〇〇年の充実目標というものを聞かせていただきたいと思います。
  49. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 平成九年度末時点で統計が出ておりますが、ホームヘルパーの数は十三万六千六百六十一人でございます。  二〇〇〇年度の目標は、新ゴールドプランでは十七万人という目標を掲げたわけでございますが、十一年度予算ではこれを上回りまして十七万八千五百人分を計上いたしているわけでございます。
  50. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 一応わかりやすくするために、お年寄りの数に対しての比率という点ではいかがでございましょうか。例えば老人千人当たり、あるいは一万人当たりどのぐらいの数になるというようにお示しいただければありがたいと思います。  それから同時にもう一つ、かなりこれは地域差があるだろうと思うんですね、北海道から沖縄まで。このホームヘルパーの充実度あるいは数というものが老人人口当たりどのぐらいの開きを持っているものか、これを聞かせていただきたいと思います。
  51. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 六十五歳以上の人口に対しまして〇・六九%でございますので、千人に対して六・九人ということでございます。  それから、実際、平均は〇・六九%でございますが、六十五歳以上人口で最大は東京都でございまして一・九五%、それから最小は茨城県で〇・二%ということで、約十倍ぐらいの差がございます。
  52. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今、厚生省のお答えによりますと、老人人口千人当たり日本は現在六・九人と。一九九〇年の時点でデンマークは既に三十五人になっております。大変な開きであります。しかも、国内で見ても今お答えのように一九・五から二・〇という開きがあるわけです。  これは、弱っているお年寄りがその地域にどのぐらいの割合でいるかということにももちろんかかわりますが、基本的にはやはり準備をする側としては、老人人口に対してやはり準備しておくのが当たり前だと思うんです。極端な開きがあるわけですが、これを埋めていかないと、介護保険を受ける側にとっては不公平感というものが前面に出てくるかと思います。この極端なまで、十倍の開きを持っているこの差をどのように今後埋められるお考えなのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 都道府県におきまして介護保険事業支援計画をつくられるわけでございますが、その中ではホームヘルパーを初めといたしましてサービス従事者の人員の確保、こういった面もその計画の中に盛り込むことになっているわけでございまして、おくれているところについては当然のことながらこれを高めるような形でホームヘルパーの養成研修、こういったものを地域の実情を踏まえまして拡充させていく必要がある、こういうふうに思っております。  ただ、まさにこれは需要と裏腹の関係があるわけでございますので、現在ではまだホームヘルパーに対する需要というのは必ずしも高くないわけでございまして、介護保険が施行されますとこういったものが顕在化してきて実際に利用されるようになる、こういうふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、余りにも格差があるのはよくないことでございますので、それを埋めるべく各県の事業、介護保険事業支援計画においておくれているところは特段に努力してもらう必要がある、こういうふうに思っているわけでございます。
  54. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今の答えによりますと余り需要が高くない、あるいは高くないところもあるというようなお答えでしたが、私はここにやはり問題があるんだろうと思うんです。  介護保険というものがつくられる理由は、弱ったお年寄りのお世話をするというような半分後ろ向きの問題ではなくて、積極的に自立性を高めていく、ちょっとでも弱った方あるいはちょっとでも体に不自由のある方に介護の手、援助を差し伸べて自立化の方向へ向かっていくという基本的なそういう積極面というものがより重要なのだろうと思うのです。デンマークはそう考えるがゆえに千人当たり三十五人も準備をしている。その結果が医療費に見事に反映するわけですね。医療費は非常にデンマークは安い。世界で一番介護福祉準備をしたところが医療費が一番安いというような現象が起こってきている。これをもう少し積極的に考えていただきたい。  そういう意味で、ホームヘルパーは第一線にいる、単に家事をお手伝いするというような意味ではなく、もっと積極的にお世話をし、同時に患者、家族に対して積極的な指導をも行い、その家庭を挙げて前向きにしていくという意味を持っているのだろうと思うのです。そういう働きがまだ日本のホームヘルパーに積極的に与えられていないからこそ、私はホームヘルパーの需要がまだ低いというような印象が厚生省の側に出るのだろう。現実に低いのでしょうが、それをもっと高めていく、そういうような努力が必要ではないかというふうに考えております。  次に、ケアマネジャーの件でありますが、前回の委員会においてもこの問題に多少触れました。その折に触れたことは、ケアマネジャーのこの間の試験の合格者が一番低い秋田、全国都道府県四十七番目というところと、一番多い京都との間に四・五倍の開きを持っているということ。そして、概観すると西高東低、西日本にケアマネジャーの合格者が圧倒的に多く東日本に圧倒的に少ない。極端なのは京都と秋田の間に四・五倍の開きありと。  これは単に偶然ではないと思うのです、こうなっている理由は。要するに、ケアマネジャーはだれでも受ける資格はあるわけですからどんな人が受けたって構わないと思うのですが、問題はこのケアマネジャーの資格を取るという考えの裏に潜んでいるものをちょっと確認していかなければならないだろうと思います。  大体、どなたもおわかりのように、要介護老人で本質的に一番多いのは脳卒中後遺症者であり、二番目には骨粗鬆症で骨折などをしたお年寄りです。そのほかたくさんいろんな病気がありますが、圧倒的にこの二つが多い。この二つを見ましても、これは何といっても東日本、東北、北関東、北陸に多い病気であります。ということになりますと、結局東日本の住民たち、お年寄りは西日本に比べてケアマネジャーが少ないわけでありますから、介護の最前線のホームヘルパーを指導し指揮していくような立場にある、あるいは保険計画に加わっていくそのケアマネジャーが少ないということですから、これはやはり東日本と西日本の間に大きな不公平が存在しているということになります。  デンマークなどでは、このケアマネジャーに該当するのは訪問看護婦だと私は思っています。訪問看護婦がホームヘルパーを指揮していく、しかも二十四時間体制で準備されている。この訪問看護婦並びにホームヘルパーに対しては三カ月間の研修が義務づけられています。このような研修を含めて、今後この西高東低型、しかも病気の多い地域に必要な人間が少なく、病気の少ない地域介護の手が厚い。しかも、その裏にはどうも医療費との関連が非常に強い。ということは、療養型病床群を持つ病院の職員が多数ケアマネジャーの資格を取っているという可能性をこの中に見るわけであります。この点に関して厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
  55. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 介護保険実施に当たりましてケアマネジャーの果たす役割は極めて大きいわけでございまして、そのために第一回の実務研修受講試験等も行いまして、九万人を超える合格者がございました。本年七月には第二回の試験実施を予定しておりまして、制度施行時点におきましては多くの実務研修修了者を全体としては養成することができるものと思っております。  しかしながら、今、西高東低というようなことも御指摘がございましたが、ケアマネジャーは介護保険上は居宅介護支援事業者と介護保険施設に配置されますので、地域別の介護支援専門員の必要数はこれらの事業者とか施設の数に左右されることはこれは申し上げるまでもございません。  したがって、私どもは現状でいいという判断を下しているわけではございませんが、制度施行までには事業者や施設の必要数に応じて所要介護支援専門員、ケアマネジャーが配置されるようにしなければなりませんので、その方法をどうしたらいいかということですが、なるべく地域のアンバランスを解消するというような、今、委員の御指摘でもありますし、地域の有資格者に受験を勧奨したり、それから介護保険事業支援計画を県につくっていただくわけですが、この施設等の適正配置についても都道府県を指導して適正配置ができるようにやってまいりたい、このように考えております。
  56. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 ケアマネジャーの職業、職種、これを厚生省資料で見てまいりますと、非常にいろんな職種から出ておられることがわかりますが、問題はこのケアマネジャーの性格がどんな職種でもいいやというものではないのだろうと思うのです。やはり厚生省が頭に描いておられる一つのイメージや政策的な構想がおありだろうと思うのです。  看護婦が准看護婦を含めて三三・五%、保健婦一〇%、介護福祉士一一%、ドクターが九・七%となって、現状ではやむを得ないかという気もするのですが、私はこのケアマネジャーというものは、職種的に言うならば看護婦を中心に介護福祉士と保健婦がそれを補いつつ、それでこれがほぼ九割を占めるような体制に持っていくべきだろうと思うのです。  ここにドクターが九・七%という形で出ておりますが、ケアマネジャーの職種構成、出身母体、こういうものに対して厚生省は将来こうありたいというふうなお考えをお持ちなのか、そして同時に現状に対してこれでいい、別に差し支えないというふうに思っていらっしゃるのか、これを大臣にお伺いしたいと思います。
  57. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 試験を実施いたしました結果によりますと、今、委員の御指摘のように保健婦が一〇・三%、それから看護婦、准看護婦が三三・五%、あるいは介護福祉士と称せられる方々が一一・二%、これだけで五四%を占めておりまして、結果的には、保健婦、看護婦の受験、合格者が多いということからもわかりますように、介護とこれらの職種との関係は極めて密接だと思います。  しかし一方、ケアマネジャーはそれだけの職種でいいかということになりますと問題がございますので、あらゆる医療関係職種の方から選定しておるわけであります。  このケアマネジャーの業務等々は、利用者の立場から見て本当に公正中立に行う必要がありますと同時に、内容介護ということであるだけにそういった視点をやっぱり色濃くして、結果においてはそうなっておりますけれども、志向としてはそういう委員指摘するような方向ではないのかなと。ただし、医師を排除したりそういうことをしますと非常に偏ったものになる可能性もございますから、あらゆる職種を満遍なく採りながら、なおかつ看護婦、保健婦の方々のウエートも高めていくということも現実的ではないのかなというような感じを持っております。
  58. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 私は、この医師というものがどういうところの医師なのかということが問題だと思っておるんです。はっきり言って、療養型病床群を多数抱えている病院の医師であるならば、余り考えたくはありませんが、利益誘導が行われる可能性が十分ある、どうしてもそのことが発生するだろうというふうに思いますので、できることならば医師はそういうものに直接関連を持たない分野から出てほしいなという気がいたします。  何よりも患者、お年寄りと日常接触し、それを知り抜き、そしてそれを体験し抜いている職種こそ、これが要するにホームヘルパーを指揮し、介護保険を実あるものにすることのできるケアマネジャーだというふうに思います。どの職種は受けてはいけないとかという問題ではないでしょうが、こういう試験を多くの方が通られることはいいことでしょうけれども、やはりこのケアマネジャーの存在というものは介護保険に重大な影響を与える可能性、私の今述べた危惧は必ずどこかで問題となって出てくるだろうというふうに思いますので、ぜひここら辺に注意しておいていただきたいと思います。  それから、その次の判定という問題です。  要介護の判定の問題でありますが、介護の判定というものは、ドイツ型と日本型は全く同じタイプであります。専門家から成る、もちろん現場の方も入るんでしょうが、専門家集団の幾つかの職種の委員会が判定をすると。これは一見非常に公正に見える。しかし、この方式は既に国際的には大変問題があるというふうに言われております。それに対して、全く正反対の立場がデンマーク型であり、デンマークは現場の訪問保健婦が対象者一緒になって判断をし、それを地域自治体に上げていくという立場をとっています。これは、もちろん介護保険ではなくて税金をバックにしているからということもありますでしょう。  どちらが本当にすぐれているかは今後実証されていくと思いますが、私はもう勝負が目に見えている、デンマーク型の方が優位であるというふうに思っていますけれども、当面ドイツ型で出発する日本は、現在の内容をより実のあるものにしていかなければなりません。その場合、いわゆる判定に対して不服な者の審理というのは、窓口をどこに置かれて、その不服はどこで取り上げられるのか、これを厚生省にお伺いします。
  59. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護保険法では保険者の行いました行政処分に対します不服の申し立ての審理、裁決を行う第三者機関といたしまして介護保険審査会というものを都道府県に設置いたすことになっておりまして、要介護認定の審査請求に関しましては広域代表から構成される合議体において審査を行う、こういう形をとっているわけでございます。
  60. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今、広域の問題がちらりと出ましたので。  介護保険というのは、私は、現状は確かに急激に問題が提起され、西ヨーロッパのように、かなりの時間をかけて老人人口がふえ、それを背景にして多くの激論が交わされる中で、医療の問題との関連において介護の問題が論じられたあげくの果てに成立してきた介護保険という長い歴史と、日本のように、これは私ははっきり言って厚生省の怠慢以外の何物でもないとは思いますが、日本人がまた余りにも急激に寿命を延ばしたがゆえの問題であり、若干不可抗力の問題もあるかと思っております。  とにかく、介護保険が一応もう来年からスタートする以上、これは完全に成功させなきゃなりません。多少の問題はあろうとも成功させなければならない。その場合には、やはり私はその力というものを各自治体にきちっとつけさせないといけないと思います。  そういう意味で、便宜的には広域で発足するものの、将来とも広域の方向を貫くということはちょっとまずいのではないか。これは、自治体の責任を回避させ、私は介護保険というのは地方分権を推進する一つの有力な促進材料になると思って、そういう面からも歓迎しているわけでありますが、とにかく多くの自治体が連合体で地域で広域の処理をする。これは力がないからやむを得ないとはいうものの、これは私ははっきり言って市町村側の怠慢がはっきり隠れている。それは余り許してはならない。力のなさ、ああそうかというような調子で広域をいつまでも認めていくということは、自治体のこれに取り組む姿勢というものを弱くする可能性があるというふうに考えております。  そういう意味で、いわゆる広域かあるいは単独かというのを、単独をはっきり将来志向するという明確な指導方針をお持ちなのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  61. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 広域でやろうとしているところ、それから単独でやろうとしているところ、おのおのあるわけでございますが、広域にする場合には、介護認定審査会の委員確保でございますとか、効率的な事務処理が可能になるわけでございますし、それと周辺の市町村との間で公平な要介護認定ができる、こういった望ましい点があるわけでございます。さらには、財政面も広域化することになりますと安定化する、こういったメリットがあるわけでございまして、私ども、基本的には広域化というのが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、十分な人材の確保でございますとか、あるいは保険財政の安定的な運営が可能な市町村におきましては、これは当然単独で介護保険事業を行うことが可能であるわけでございます。  いずれにしましても、こういう中でどちらがメリットがあるかというのは各市町村で御判断と、こういうふうなことでございまして、小さな市町村で単独でできないというものにつきましてはやはり広域化というのは避けて通れないんではないか、こんなような感じを持っております。
  62. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 広域の問題を考える場合に、私は日本の中では沖縄県、長崎県、鹿児島県、この三県が大変困難な条件を背負っているというふうに思っております。と申しますのは離島であります。僻地なら陸続きでありますから大抵はどうでもなる。多少の不便さはあってもどうでもなる。しかし、離島ということになりますと、瀬戸内海のように小さなところに島が散在しているのとは違って、広い海に何百キロと離れた離島を持っておるこの三県に対しましては、この基盤整備を含めてマンパワーの養成、そういう側面で十分な援助というものがなければ他県と同じ条件にはなり得ない、そういう困難さを抱えているということを認識すべきだろうというふうに思います。  そういう意味で、例えば沖縄の五十一の自治体を調べてみますと、ケアマネジャーを整えられるところは、合格した中でケアマネジャーの仕事につくということをはっきり明示している自治体は五十一自治体のうち十一自治体にとどまっております。  こういうような離島が散在しているようなところに対しては、幾ら力がないから広域でこれを処理しようといったって、広域になりようがないくらい離れておるわけであります。こうなりました場合に、こういうところには特別の強力な指導体制、援助がなければ、こういう離島の弱小自治体介護保険をほかの自治体と同レベルで施行するということは不可能になるだろうと思います。これに対する援助というようなものをどのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
  63. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 確かに、離島等でホームヘルパーとかケアマネジャーを確保するというのは大変難しい問題だと思っております。基本的にはこういうケアマネジャーとかホームヘルパーの確保というのは都道府県にお願いせざるを得ないというふうに私どもは思っておりますけれども、私ども都道府県に協力いたしまして離島とか過疎、こういったものの人材育成については私どもも力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
  64. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 介護保険というのは、在宅老人の自立化を促進していくところに最大のねらいがあるわけであります。だからといって、家族構成の問題あるいは弱り方の問題などを総合的に考えてまいりますと、やはり老人ホーム、老人保健施設、そのようなもののいわゆる準備というものが必要になるかと思います。  在宅介護が世界で最もすぐれている、積極的であると言われているデンマークでさえも、日本の人口当たり五倍の老人ホームを持っております。そうなりますと、日本はホームヘルパーの数から見ても老人ホームの数から見ても、在宅であろうが施設介護であろうが大変弱い、先進国とはとても思えないような弱体な状況にあるというふうに外国から見られても仕方がないだろうと思うんです。  この中で、老人ホームの今後のいわゆる地域の配置の問題などについてお伺いしますが、この間も申し上げましたが、一番広い家屋面積を持っている富山、長野というようなところと東京の家屋面積は、一人当たり倍も違っているわけでありますから、在宅介護といってもそういう長野県や富山県と東京、大阪というような大都市とを同じレベルに置いて判断するわけにはとてもいかないという要素があることはもう明白であります。そうなりますと、やはり老人ホームの配置というものは傾斜をもって論じなければならない。農村部よりも都会により厚く、それもしかも積極的にというふうに考えなければいけないと思いますが、この点に関していかがでございましょうか。厚生省のお考えを伺います。
  65. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 基本的には高齢者が今まで住みなれたところで暮らすというのが理想であるわけでございますけれども、一方で二十四時間の専門的な介護を必要とする高齢者に対しましては特別養護老人ホーム、こういったものが大事であるわけでございまして、どちらを重視するということではなくて、やはり両輪ではないかというふうに思うわけでございます。  それで、在宅サービスの供給体制の整備に当たりましては、自宅に限らないで特別養護老人ホームに併設するようなケアハウス、これは非常に小規模でも可能になるわけでございます。十五床以上であればできるというふうなものもございますし、高齢者生活福祉センターなどの生活拠点の施設、こういったものが必要でございます。それからグループホーム、こういったものの整備ということで、こういったものは比較的小規模な生活の場ということになるわけでございまして、都市部でもこういった利用は可能ではないか。こういうことで、都市部と農村部でどういうふうなものがいいかというのは、やはりこれは地域地域の実態によって異なってくるので一概に決めつけるというのは難しいのではないのかな、こういうふうに思っております。
  66. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 介護保険の体制が整っていく過程に現在あるわけでありますが、私は積極的に多くの自治体を見て回っています。ほとんど全国自治体を見ながら、そこがどのように準備されているか、介護保険でどんなような困難な条件に当面しているかというのを見ながらいろんな分析を続けております。  私が一番危惧いたしますのは非常に弱い自治体、こう言っては失礼なんですが、こういう介護保険準備に対して戦力が弱いといいましょうか、財政力やマンパワー、その他すべてを含めての話でありますが、そういうものが弱い自治体ほどこの介護保険準備に忙殺され、あっぷあっぷしているというような状況にあります。こういう自治体はえてしてマンパワーももちろん少ないわけでありまして、保健婦も少なければ栄養士などはいないというような状況であります。  私は、この介護保険に多くの人が目を向けている、大変結構なことだと思うんですが、その反面に危険な傾向は、今まで予防活動に従事していたマンパワーの大部分介護保険の方にとられてしまう、このことが私は介護保険の持つ一番危険な側面だというふうに考えています。もう既にその傾向は明白に出ております。保健婦の業務が介護保険準備、そしてその推進にほとんどとられている自治体がたくさんあります。そうなりますと、いわゆる予防は手抜きです、はっきり言って。こういう状況が出現してきている。これを私は大変心配しております。  私は、これをどうにかして解決したい、こうならないようにと思って今まで一つのショーウインドー的なモデルを福島県につくってきたわけでありますが、これは皆さんにぜひ見ていただきたいと思ってつくってきております。これは二月九日の朝日新聞に二分の一ページを割いて紹介されておりますし、三月二十九日の朝日新聞第一面にこのところの記事が載っておりますし、国保中央会が出しております機関誌「国民健康保険」四月号にも七ページ割いてこの問題が詳細に載っておりますので、これを厚生省はぜひ見て参考にしていただければと思うのです。  この町は介護保険はもういつでも、あしたでもよろしいというような、極端に言えばそういう体制にあるわけでありますが、これをできたのは何も介護保険を考えたからじゃないんです。徹底した予防活動があったからこそできたわけであります。  例えば、人口九千七百しかないわけでありますが、管理栄養士三名、それから保健婦十名というマンパワーを計画遂行に際してそろえ、そして百名を超える食生活改善推進員を育成するという私の提案に対し、この自治体は一〇〇%言うことを聞きましたし、それに対するいろいろな準備もすべて完了しております。このことで食生活もがらりと変わり、お互いの助け合いということを五年間に大きく町の中に育て上げられたわけです。ホームヘルパーも七十五人と、もうでき上がっています、九千七百人の人口でありますが。さらにホームヘルパーを二倍ぐらいにふやす予定でいるわけであります。  結局予防活動で培われた健康な町づくり、同時にそのためのマンパワーの準備というものが、介護保険などいつでもいらっしゃいと言えるくらい、そしてほかの町から広域を申し入れられても全部拒否、低いところと一緒にやりたくないということを回答しているわけで、某国会議員の説得によって判定にだけはちょっと参加してあげようかというくらいで、広域にちょっとは参加をする、あとは絶対にしないということで進めているわけであります。  とにかくこのマンパワーの準備が私は介護保険の将来を決定するだろうというふうに思っています。しかも、それは予防を決しておろそかにしないこと、なぜならば予防をおろそかにするということは介護保険のお世話になる老人をふやすことなんです。まず、これをふやさない努力の方が介護保険の何倍ものエネルギーを使わなきゃならぬ。これが最も安上がりの問題でありまして、それが住民の幸せにもつながるわけであります。  そういう介護保険にかなり人間がとられるかもしれないということを想定しながら、今厚生省は保健婦を人口どのぐらいにつき何人ぐらい準備すべきなのか、栄養士は必要なのか、絶対にそろえるべきだと考えているのか。私の場合は、人口一万に対して保健婦十名、栄養士三名というのが絶対必要な人数だと考えて提案し、これを実行してもらっているわけでありますが、厚生省の、今後の介護保険も頭に入れつつ予防の問題を推進するための保健婦、栄養士の人数配置基準というようなものを大ざっぱにどのようにお考えになっているのか、最後厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  67. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が参っております。端的にお答えください。
  68. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 細かな基準につきましては局長の方から答弁させていただきますが、委員の経験を交えての、また医師としての立場からの御提言で、私どもも保健事業というのは大変重要なことであると考えておりますから、決して介護によってそうした事業が阻害されることのないよう、今後とも保健婦その他を中心にして保健事業を充実してまいるということは絶対必要なことだと考えておりますから、そういった点はこれからも、保健事業はことし百億円くらい計上して着手をしておりますけれども、来年以降はもっと画期的にこれに取り組まなくてはならぬというように私は考えております。  基準につきましては局長の方から答弁させます。
  69. 伊藤雅治

    政府委員(伊藤雅治君) 市町村におきます保健婦、栄養士の配置につきましては、現状におきましては必要な地方財政措置につきまして関係省庁と協議をいたしまして対応を講じているところでございますが、平成十年度の地方交付税交付金の算定基礎といたしましては、標準団体、これは人口十万人当たりでございますが、事務職員分も含めまして、衛生諸費で六名分、高齢者保健費で二十九名分、合計三十五名分が計上されておりますが、このうち保健婦分といたしましては十四名分というふうに理解しているわけでございます。  平成六年の地域保健法の制度改正に当たりまして、保健婦の必要数につきまして、新ゴールドプランの推進、それから老人保健事業、母子保健事業の円滑な実施を図るために、平成十一年度までに市町村におきまして総数約二万六千人を確保することとしておりまして、市町村において必要な保健婦が確保されるよう都道府県を通じて指導をしているところでございます。また、栄養士につきましても、これは保健婦と別枠で数字があるわけでございませんが、標準団体の衛生諸費六名分のうち、自治体の判断により栄養士に置きかえていいという形になっております。  いずれにいたしましても、平成十二年度以降の保健婦、栄養士の確保充実につきまして、疾病予防や要介護者の増加防止の観点から重要な課題と認識しているわけでございまして、こうした点を考慮の上、今後検討させていただきたいと考えております。
  70. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 終わります。
  71. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  72. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査のうち介護保険に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  まことに残念ながら、今国会では国民福祉委員会に所属をできませんで、きょうは同僚議員の御理解を得て、また朝日理事の御好意により質疑をさせていただきます。  きょう冒頭に塩崎委員の方からお話がありました。私もこの介護保険法案、あるいはその制度をつくってくる過程から現在、一年後に控えて準備しているところを本当に感慨深く見守っているところであります。  先ほど塩崎委員お話にもありましたが、現委員長尾辻委員長も与党の福祉プロジェクトで御一緒に、新ゴールドプラン作成まで含めますと本当に数十回以上にわたって真剣な議論をしてやってきたことを懐かしく思い出すと同時に、また大変移り変わったと思います。最後の段階で、法案の細かい詰めなどを厚生省を含めて当時の与党三党でやってきたわけですが、そのメンバーの中でも、厚生省では当時の某局長、某審議官はもうおられないわけですし、残っておられるのは羽毛田局長だけ、国会議員の方でも既に国会の議席を失った議員も二人おられるような中で、最後の詰めをやったことを思い出します。  それにいたしましても、この介護保険制度というのはある意味ではやはり大変な制度でありまして、先ほども地方分権の話も出ましたし、単なる保健福祉の話だけではない、日本の政治システムにかかわることですし、また住民参加にかかわる新しい制度だと思います。それから、要介護認定などという、これも先輩のドイツに比べれば極めて精緻なシステムを今開発しているわけで、しかしそれでもなかなか実情に一致しないという大変な状況だろうと思います。また、先ほどから御指摘がありましたように、大変急速に高齢化が進んだ中で高齢者対策がおくれている、したがって介護基盤整備を追いつかせながらやらなきゃならないという非常に大変なところだと思います。  にもかかわらず、我々はこれを一日もおくらせることはできない。おくらせるということは事態の先送りということで、銀行の不良債権の先送りと同じことで、先送りすればするほど大変なことになると思いますので、私も来年四月一日からの実施はぜひともやらなければいけない、そのために全力を挙げるべきだろうと思います。  そういう観点から考えますと、率直に申し上げまして、当初はかなり混乱があるのではないだろうかと思います。確かにどのぐらいのニーズが出てくるのか、それに対してサービスが追いつくのかという問題とか、要介護認定が一〇〇%正確に行われるということはこれはあり得ないわけで、いろいろな混乱が起こると思います。  私もこの制度をつくってくる過程で、三年半前ですか、ドイツで導入されたばかりの年の秋、ドイツを見に行ってきましたが、大変な混乱でした。昨年の十一月、三年目にドイツを見に行ってきましたら、ようやく落ちついてきているんです。現場でも余り不満がなくなって、お金のことは当然事業者は不満を言います。それともう一つは、今までは必要なかった書類をたくさん書かなきゃならない、こういう不満を言っておられまして、新しい制度導入に伴って出てくる市町村及び事業者の負担、これは出てくるのだろうと思いますが、やはり私は当初の混乱を恐れず、全力を挙げてやって、二年、三年、みんなで力を合わせてこれをしっかりした制度としてやっていくべきだろうというふうに思っております。  そういう意味でも、先ほどからの質疑をお聞きしていまして、私は同僚の松崎委員が言われたことを再度強調しておきたいと思うんですけれども、予防はすべてにまさるんです。治療や介護にまさる。これは、私など国保地域医療に従事してきた者としては、予防は治療にまさる、この言葉を掲げて頑張ってきたわけです。  実は、ゴールドプランの中にも寝たきり老人ゼロ作戦というのがあるんですけれども、これが一向にうまく進まないで、後始末の介護の方ばかりに行く。問題はやはり、寝たきりにならない、させない、ぼけにならない、させない、このことがいかに大事かということ。後で私は三点目の質疑でもちょっと申し上げたいと思いますが、これは同僚の委員質疑を引き継いで私も強調させていただきたいと思います。  さて、そういう形で、これはいろいろなことはあると思いますが、みんなで協力してやっていかなければならないと思うんですが、そうはいいましても、今の時点でどうしてもはっきりさせておかなければならない点が幾つかある。あるいは、私自身、内心じくじたるものがあるんですが、この制度をつくってきた、法案をつくってきた過程でやはり大きな欠陥を含んでしまった点があるんではないかというふうに思いますので、三点に絞ってきょうは質疑をさせていただきたいと思います。  まず第一は、保険制度でやるべきか、税方式でやるべきか、いろんな議論がありましたし、いまだにそれはそれぞれのメリット、デメリットがありますから、保険方式が百点とは言えないと思いますが、やはり保険方式で進めることになった。ということは、保険料をいただくということなんですね、高齢者からも。そしてまた、一割の自己負担もしていただく。これは大きな日本の社会保障制度の転換なわけで、それに御批判もあるかもしれませんけれども、私は断固やはりその線でやっていくことで民間事業者の参入も含めて急速に介護体制を整備すべきだと思っているわけであります。  しかし、保険制度で六十五歳以上からも保険料をいただく、それから一割自己負担していただくということをやる以上、低所得者対策だけはしっかりやらなければならない。これも皆さんの御賛同をいただけることだと思うんですが、この低所得者対策というのが、実は大変古い、戦後五十年間日本でずっと行われてきた低所得者の考え方に基づく対策であって、戦後五十年たった新しい今の時代の高齢者のありよう、家族のありように基づいた低所得者の考え方や対策というものになっていないんではないか。これが非常に問題だと思うんです。  これは、介護基盤の整備などと違って、頑張っても頑張ってもなかなか追いつかないという問題じゃなくて、低所得者がどこにいて、何で困っていて、この人にはどういう対策をするかというのは、集中的に研究すればすぐ出てくることなんです。これは絶対やらなきゃならないことだと思います。  そこで厚生省にお尋ねいたしますが、今度保険料は低所得者のことも考えて五段階にするということになったわけです。第一段階が平均保険料の半額、第二段階が七五%ということで減額をして徴収することになったわけですが、第一段階というのは住民税非課税世帯であって老齢福祉年金受給者ということなんです。老齢福祉年金受給者、これは率直に言って八十五歳以上の人でしかないということなんです。厚生省試算では、第一号被保険者の二%が第一段階に当たる、四十万人ちょっとでしょうか。老齢福祉年金受給者で八十五歳未満の人は今〇・二%しかいないんです。そうすると、六十五歳から八十四歳までのこの二十歳の年齢、これが非常にこの介護保険で大事なところです。八十五歳以上は大事じゃないとは言いませんけれども、そのところが一番微妙なところなんです。その人たちが一切第一段階にならないというこの形だけの第一段階の減額というのは、非常にこれは詐欺的ではないかと私は実は思っているんです。  六十五歳から八十四歳までの層で老齢福祉年金の受給額、ことしだと月額三万四千三百三十三円ぐらいでしょうか、それ並みかそれ以下の年金しかもらっていない人数はどのぐらいあるんでしょうか。また、その人たちの実際の生活実態、収入がどのぐらいか、あるいは家族からの経済的支援があるのかないのか、消費生活の実態、その中で保健医療費などにはどのぐらい使っているのか、あるいは資産はどうなのか。これについてお尋ねします。
  74. 宮島彰

    政府委員(宮島彰君) 今お尋ねのございましたいわゆる老齢福祉年金相当額以下の年金をもらっている方の人数の点でございますけれども国民年金の老齢年金受給権者の年金額の分布につきましては、年齢を区切った集計は残念ながらしておりませんが、一応一万円単位で年金額の分布のデータをとっております。これをベースに、国民年金の老齢年金受給権者で厚生年金の受給権を有していない者のうち、いわゆる老齢福祉年金相当額を下回っている者の数は、平成九年度末現在でございますが、約二百六十万人と推計されます。
  75. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 申しわけございませんが、老齢福祉年金の受給者と金額が同じぐらいの年金受給者に関します生活実態につきましては、私ども特別には把握いたしておりません。高齢者全体の全般的な状況はいろいろな統計資料からある程度は把握いたしておりますけれども、特定の年金受給者についての生活実態につきましては、申しわけございませんが把握いたしておりません。
  76. 今井澄

    今井澄君 それでは、住民税非課税世帯というのがそもそもどのぐらいあるか。その中で第二段階に当たる六十五歳以上の数はどのぐらいいるのか。また、その人たち生活実態、先ほど申し上げました収入とか消費生活とか家族の支援とか、単身の場合、そういうものがどうなっているのか。それから、第三段階が住民税非課税本人ということですが、その人たちについて、平均二千五百円あるいは三千円とか二千七百円とかいろいろ言われていますが、その保険料を支払うと苦しくなるのかならないのか、生活実態についてはどうなのかをお答えいただきたいと思います。
  77. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 第二段階は全体の二八%でございまして、約五百四十万人でございます。それから第三段階でございますが、四六%で約八百七十万人でございます。それから第四段階は一四%で二百七十四万人ということでございまして、残りが一段階と五段階でございます。  それで、先ほど申し上げましたように、特定の所得層に関します生活実態というのは残念ながら把握いたしておりません。全般的な資料という形で国民生活基礎調査とか消費実態調査とか、こういったような資料である程度はもちろん把握いたしておりますけれども、個々のものについては把握いたしていないわけでございます。  これは、当然そういうことも調査した上で決めるべきかと存じますけれども、こういう形で私どもが決めさせていただきましたのは、やはり市町村として把握できて、それがチェックできるような、事務に乗るようなシステムでないといけないわけでございまして、市町村で把握できますのは、生活保護の受給者でございますとか、あるいは市町村民税の課税、非課税、こういったものが中心になるわけでございます。そういう意味で、そういうものを中心に段階別に設定した、こういうことでございまして、御理解を賜りたいと思います。
  78. 今井澄

    今井澄君 そういうことで、低所得者というのが本当のところ一体どこにどのぐらいおられるのか、その人たちがどういう生活をしているのかということが把握できていないということなんだろうと思いますね。  このことは何もきょう私は取り上げたわけじゃないんです。これまでも随分取り上げました。これは医療保険のときにも低所得者の問題を取り上げたことがありますし、羽毛田局長とは前に、老人は平均値で把握できない、むしろ非常に貧富の格差が大きいということも議論した覚えがあります。  ところで、この介護保険法がいよいよ成立するという直前、一昨年の十一月十八日のこの委員会、前は厚生委員会でしたけれども、私はその議論の中でこういうことを取り上げたんです。そのときに当時の政府委員が「低年金所得者について詳しく調べた調査はやっておりません。」と、こういうことをお答えになったんで、私はぜひきちっと調べてもらいたいというふうに要望をしたわけです。これは単なる意見を言ったんじゃなくて、この委員会で要望したわけです、厚生省に。  その後、厚生大臣との質疑の中で当時の厚生大臣は「低所得者の定義ですけれども、」「今後やっぱり年金との関係で考える必要があるんじゃないか、そう思います。」と。それから「どの程度負担能力があるかという点については今後やっぱりさらに検討を加える必要があるんではないかと、そう考えております。」と、これは議事録に載っておりますから、そうお答えになっているわけであります。  ところが、それから一年有余たつわけですけれども厚生省は何もやっていないわけですよ、こういうことを。これは非常にけしからぬことだと思うんですね。国会の審議の場で、国会議員から要請があった、調査をすべきだと。しかも、厚生大臣は検討する必要があると思うと答えているのに、全然やっていないじゃないですか、その後。相変わらず老齢福祉年金と。もうこれはカビが生えたと言ったら申しわけないですけれども、一時は六十歳代、七十歳代、老齢福祉年金をいただいて生活していた人がいて、それが低所得の人という意味では大事だったんですよね。でも、今はもうずっと上の方に行っちゃっているわけですよ。  相変わらずそんなことをやっているというのはおかしいんじゃないかと思うんですが、厚生大臣、こういうことについてどうお考えでしょうか。早急にこれは研究会でもつくって何か研究を、実態調査をサンプルでやってみるとか、低所得者というのがどこにいるのか、どういう層なのか、それをやる研究でも早急にやるべきじゃないでしょうか。
  79. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 所得分布等階層別の問題は総理府でも一応はやっておりますけれども、今、介護保険の問題でこの五段階のそれぞれについて生活水準はどうかというようなお尋ねだと思います。  これは今、局長がお答え申し上げたように、恐らくそういう個別の調査をやっていなかったと思う。しかし、その指摘を、必要性があるということでございましたので、今後検討させていただきます。  ただ、今の介護保険をスタートするに当たっては、市町村民税の非課税というような所得把握が可能でありますし、便宜そういう一番わかりやすい基準でやっておるということは御理解をいただきたいと思います。なお検討させていただきます。
  80. 今井澄

    今井澄君 例えば総務庁統計局で全国消費実態調査というのをやっているわけですね。これは六巻八分冊のうちの一つなんですよ。これは特定世帯別という版なんですね。ところが、総務庁ですから、単身世帯といっても本当の単身赴任とかそういうのを調べているものですから、老人世帯というのがどうしても出ていないんです。原資料があるからクロス集計をすれば、六十五歳以上について単身ではどう、二人ではどうとわかるんじゃないかと聞いてみたところが、サンプル数が少ないからクロス集計すると正確に出ないとか、まあ要するになかなかやってくれないわけです。厚生省にもたしか生活実態調査というのがあると思うんですね。  ですから、そういうことを問題意識を持ってやれば、今はもうコンピューターを使ってどういうふうにでも計算できる時代ですから、どのぐらいの母数を調査すれば統計的に意味があるか、そして資産についてどういうふうな調査をしたらいいか、これは非常に難しいと思いますが、やっぱりそういう研究を早急に始めて、それが来年四月に間に合わなくても、本当の手を差し伸べるべき低所得者がどこにいてどうかということは、ぜひやることを約束していただきたいんですけれどもね。これはお願いしますよ。もう私は一年半も、それ以上もほっぽり出されているんですから、この質問。
  81. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) こういう調査はそれぞれの政策目的に応じた分類で調査する省独自の統計になりますので、なかなか困難性はあると存じますけれども、これは今後の介護保険の水準をいろいろ検討する際に、所得水準が五段階でどうなっているかというのは大変必要な指標でもございますから、そういう調査が可能であるかどうかを含めて検討させていただきまして、結論を得たいと思っております。
  82. 今井澄

    今井澄君 ぜひお願いしたいと思います。  それからもう一つ、一割の自己負担についてですけれども、これはこれから政令で定めるということで、医療における高額療養費制度を参考にされていくので、ここでも住民税非課税ということぐらいしか低所得のあれがないわけですが、この辺もまた今のと関連してやっていただきたいんです。  ところで、私も現場を歩いていて一番心配になるのは、保険あってサービスなしにならないかということで、よく現場の人に聞くんです。今度、保険料を取られたから権利があるというので、今までホームヘルパーはいいよと言っていた人が今度はお願いしますと言ってくるんじゃないか。ところが、そうですねと答える人もいるんですけれども、逆に、今まではただか、ただ同然の安い値段だったけれども、今度一割負担になる、だからむしろサービスは要らないと言ってくる人がいるんじゃないかという意見が少なからずあるんですが、厚生省としてはその辺はどういうふうに把握しておられるのか、厚生大臣はその点どうお考えでしょうか。
  83. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 一割の自己負担については、委員も先ほど申されたように制度の定立のときに参画された議論の結果であるということでございまして、私から考えますと、これは全額やる方法もあったかもしれないし、あるいはもうちょっと負担をふやしてもよかったという考え方もあったのではないかと思われます。  しかし、全体的に見て、保険制度を維持しながら、やっぱり自己責任ということは、保険制度もとでも社会保障制度もとにおいても自立とか自己責任ということは重要であると考えますので、そうした視点で恐らく各種の負担、一割負担ということも多いわけで、そのようなものがつくられたと思います。ただ、現実的には療養型病床群なんかに入っている人は四十五、六万円かかると言われますと、月四万六千円から五万円近くかかるということになりますとかなりの負担になることもまた事実でございます。  したがって、保険制度である以上、保険料負担給付を受ける人のバランスを考えなくちゃいけませんので無条件というわけにはまいりませんが、社会保障の保険システムでありますから、その辺のシーリングその他を設けて、低所得に対する緩和措置というものはやっぱり必要だと思うんです。制度としてはこれでスタートさせていただくしかないと思います。
  84. 今井澄

    今井澄君 私も一割の自己負担というのが一般的に言ってそう高いというふうには思いませんし、いいと思うんです。ただ問題は、先ほどお話ししたことなんですが、自己負担してまで受けなくてもいいよということでやっていける人はどうぞ御遠慮いただいていいと思うんです。だけれども、本当は介護サービスを受けなければならないのに自己負担が重過ぎるためにサービスを辞退せざるを得ない、その結果悪くなる、悲惨な状態になる、これだけは避けなければならないわけです。そういう意味から自己負担の低所得者に対する軽減、これはぜひ高額療養費制度並み、あるいはそれ以上に手厚くきちっとやって、早急に政令をつくって出していただきたいと思います。  時間の関係もあるので次に移ります。  ところで、実はこの介護保険制度の一番の問題は、医療介護の区分がはっきりしていないことが今後大きな弊害を生んでくるのではないか、もう現に問題になっているのではないかと思うんです。  保健と医療福祉は連携しなければならない、これは常識でありまして、私なども現場にいたときには、病院で病気の治療をやるだけではなくて、予防あるいは訪問看護やデイケアなども随分やってきました。現にそういうことが連携をとって行われることは必要なんです。ところが、制度としての今度の介護保険制度は、率直に言いますと医療を持ち込み過ぎたというふうに私は思っております。  例えば、ドイツの介護保険制度医療介護をはっきり分けております。非常にすっきりしております。オランダの介護保険は、これも去年ドイツに行ったときに一緒に見てきたんですけれども医療一緒なんです。長期療養保険、一年以上と一年未満であっても要介護についてのサービスは長期療養保険でやる、これが介護保険、簡単に言えばそうなります。なお、オランダ型でいけば長期のものを介護保険的に扱っている。だから医療介護も同じなんです。ただ、オランダの場合は住宅政策がついているというところが、先ほど厚生大臣も住宅政策が大事だということを言われましたが、非常にすぐれた制度だと思うんです。それで、ドイツの場合にははっきり分けている。  日本の場合には、医療介護とがどうもごっちゃになっていて、なかなかその区分が難しい。一応は区分はしているようですけれども、緊急やむを得ない場合は云々というふうなことでごちゃごちゃになっている。この典型が療養型病床群だと思うんです。  そもそも思い出してみますと、私どもがずっとこの介護保険制度を検討してくる中で、一つの非常に有意義な研究会が厚生省で開かれました。高齢者介護・自立支援システム研究会という研究会です。それが一九九四年一月から十二月まで研究をやって報告を出しました。  その中で三つの施設、つまり特別養護老人ホーム、老人保健施設、そしてもう一つはいわゆる老人病院と言われている病院。これは確かに全部施設は違うけれども、そこに入っているお年寄りを見ると、選んで入ったんじゃなくて、特養に入れたから入った、特養がいっぱいだったから老人病院に入っちゃったという、たまたまのきっかけでその三つのどこかに入っているのであって、お年寄りの側に着目すると、この三つの施設は一元化すべきである、こういうことがその研究会報告にもありましたし、介護保険制度もそもそもそういう目的で始まったと思うんです。といっても、すぐにはできないことはわかるんですけれども。  しかし、それにしても、今度、特養の場合には月一人平均三十一万五千円、老健の場合には月一人三十三万九千円、療養型病床群の場合には四十六万一千円と、これは厚生省が今のところ仮置きで一人当たり平均するとそのぐらい払うというお金になっています。これは私は非常におかしいと思うんです。療養型病床群というのは私はやっぱり三十万円台でいいと思うんです。だって、一人当たりの広さを見たら、特養が十・何平米、老健が八・何平米、療養型病床群が六・四平米ですか、生活空間という意味で見たら、あるいは設備で見たら特養や老健の方がいいのに、何で療養型病床群が介護施設であるのに高いお金がかかるのか。  この理由は二つです。一つは、療養型病床群、老人病院には建設費に補助金が出ていない、だからそのための減価償却費がかかっているということです。これは見てあげなきゃいけないだろうということと、もう一つ大事なのが、先ほど大臣も言われましたけれども医療機関という建前から医師の配置も看護婦の配置も特養や老健に比べるとずっと多くなっているということです。百人当たり三人ですか、医師が、ということになっている。  これが私はおかしいと思うんです。介護施設なんでしょう。医療をやる施設じゃないんですよ。医療をやる施設だったら医者や看護婦がちゃんといなきゃならないんです。だけれども介護をやる施設だったら医者は百人当たり一人で私は十分だと思うんです。看護婦だってもっと少なくても、介護要員をふやせばそれで十分だと思うんです。はっきりそういうふうにすべきだと思うんです。そして、人件費、コストを抑えて介護専用にしなければならない、これが筋だと思うんです。それを療養型病床群に、こっちへ移ってきてもらうためには、今の収入を保障しないと介護の方に移ってきてくれないということで、人員基準も何もそのままで、こうなっているわけです。  私は、これは介護保険が抱えてしまった大変に大きな問題だというふうに思っております。それだけ医者がいたら、では医療がそれだけ十分できるかというと、そうじゃないんですよ。お年寄りは医療程度が何%なんというんじゃなくて介護が主体ですからね。  そこで、どうしてそういうことになるかというと、療養型病床群は医療法で開設が許可される施設だから医療施設として許可されるんですね。そこにも法的な制約があると思うんです。だから私は、療養型病床群の介護保険適用はもう医療法適用から外して、そして特養は認定が社会福祉事業法ですか、その辺を介護保険施設の新しい認定・許可基準の法体系をつくって一本化すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  85. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 現実は、今、委員の御指摘のとおりでございまして、医療法に基づく施設として位置づけられておるものを療養型病床群として取り入れておるわけでございますが、人員配置その他でも一般の病院と療養型のところとは同じなんです。  私も率直に申しまして、介護施設であれば、医療介護の境界線であるにしても、やはりそこはある程度将来的には検討して区別した方がいいというのは先ほども申し上げたとおりでございまして、医療法の改正に及ぶ問題でもあるかもわかりません。したがって、今直ちにというわけにはまいらぬかもしれませんが、問題意識としては持って、そして医療行為は医療行為として熟達した医者が必要でしょう。療養型病床群の場合には、医療というよりもむしろ介護施設でありますから、それは人数その他の点でやはりある程度段階を設けていいのではないかと思われますので、これは将来の検討課題にさせていただきたい。  来年のスタートまでに医療法を改正して云々というようなことはなかなか困難でございますから、問題意識としては個人的に持っておるということを申し上げさせていただきます。
  86. 今井澄

    今井澄君 ぜひそういう方向で何とか改善していくべきだと思うんです。その点で、実はこの介護保険法の大変な問題点は、一条に「医療」という二文字が入ったということだと私は思うんです。もともと厚生省原案には「医療」がなかったんですね。それが途中から「医療」が入ってきたというところに実は問題があって、やはり介護保険法第一条から、保健及び福祉介護ということにして「医療」を削除すべきだ、私は将来そういう改正をすべきだということを提案したいと思うんです。  逆に言えば、今、老人医療が非常に厄介者視されて、お年寄りが正当な医療を受ける権利を奪われているんです。例えばインフルエンザになった、病院に入院させようとしても、病院の方はお年寄りに入院されてきても手がないから困るんです。それで断る。そして置いておいて、それが重症化したりするということもあるんです。  ところが、逆にこういうふうなことがあるんです。医療現場には確かにお年寄りを見る手がないんです。だから、介護保険でお年寄りが病院に入院したときには付き添いを介護保険から給付しちゃうんです。そうしますと、骨折したお年寄りは介護保険給付した付き添いつきで病院に入院する、それで手術をしたらさっさと連れて帰る。そうすると老人の長期入院がなくなるんです。そして老人医療費も安くなるんです。むしろそのぐらいにした方がいいんです。  今、介護の方に医療を取り込んじゃったから介護保険社会的入院を引き継いでめちゃめちゃになりそうになる。むしろ医療法を改正し、介護保険法を改正して、医療を切って、そして医療の方に介護の方が乗り込んでいってやる。お年寄りは早く退院したがっていますからね。そういうことをひとつ提案して、介護保険法第一条から「医療」ということを削除する方向での検討もぜひお願いしたいと思うんです。  ちょっと時間の関係で急がせていただきますが、もう一点だけ申し上げたいと思うんです。  先ほど厚生大臣塩崎委員の質問に対して、措置制度から切りかえたのが介護保険だというお話だったんですが、実はその辺をちょっとはっきりさせておかなきゃいけないと思うんです。切りかえたものもあります。例えば、特養は措置制度ではなくて今度介護保険で見るんです。だけれども、養護老人ホームは相変わらず介護保険で見るわけじゃないですよね。だから、今まで措置制度でやってきた老人福祉サービス介護を要するものを介護保険で全部まとめて見るわけです。だから、介護を要しない者が残るわけです。このことがあいまいになっているのが非常に今介護保険を混乱に陥れているわけです。  特養にいる要支援あるいは自立は即刻でも退所すべきだと私は思うんです。それは退所してもらわなきゃ、待っている人がいるんですから。自立している人が特養にいてもらったんじゃ大変な迷惑です、あそこは要介護者の入るところなんですから。だけれども、即刻退所してもらって、その人がどこかで面倒を見てもらわなきゃだめなんです。家もない、家族もない、お金もない、一人で暮らしていけない人がたまたま特養に入ったけれども、その人は介護は要しないんです。そういう人たちは養護老人ホームとかケアハウスとかで面倒を見なきゃならないわけです。そこのところをはっきりさせなければいけない。  例えば、最近の新聞を見ますと、介護保険料の格差が五倍だとかいろんな記事があるんですけれども、その中で上乗せ・横出しサービス食事の提供や移送サービスをやるかやらないか、市町村によって、やるというところが何%、やらないというところや考えているというところがあるんです。自立に判定された人に対して福祉サービスを提供するかどうかを尋ねた質問では、一般会計として実施すると回答した自治体が二五%を数えとあるんです。  これはおかしくないですか、厚生省市町村は自立と判定された人に今までどおり福祉サービスを提供する義務があるんじゃないですか。また、それを国は支援する義務があるんじゃないですか。どうですか。お答えください。
  87. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 自立度とか何とかによると思いますけれども福祉を要する方については市町村それから国等の支援というのは当然必要になる、こういうふうに思っております。
  88. 今井澄

    今井澄君 それは何か老人福祉法に市町村の責務規定があるんじゃないですか。ちょっと読んでもらえませんか。
  89. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 老人福祉法の第四条でございますが、「老人福祉増進の責務」ということで「国及び地方公共団体は、老人福祉を増進する責務を有する。」、こういうふうに書かれております。
  90. 今井澄

    今井澄君 そこのところをしっかり厚生省も国も都道府県市町村に対しても言ってもらいたいと思うんです。二五%の市町村しかやれると今言っていないんですよ。これまでホームヘルパーを派遣してきたところももう派遣しない。派遣するというのは今のところ二五%しかないんです。法的にけしからぬ話なんです。ですから、そこをはっきりさせてもらわないと、介護保険に対する要らぬ批判というか、介護保険は要介護者のための制度ですから、要介護者でない人に対しては別の制度でやるということをはっきり言ってほしいと思うんです。  しかし、そうはいっても、これを全部税金でやるかどうかは問題だと思うんです。寂しいからホームヘルパーさんに来てほしいという人のところまで全部税金を使って毎日毎日ホームヘルパーを派遣しなきゃならないのかどうかとかいうふうなこと、これまで措置制度で何でもかんでも低所得者だとか寂しいとかでやってきたことも、実は共助、自助、公助を含めて見直す必要があるんだろうと思うんですけれども厚生大臣、その辺についていかがでしょうか。  以上で質問を終わります。
  91. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、老人福祉法のお話がございましたが、これはその法律の条文が生きている以上、やはり一種の国あるいは地方公共団体の責務が残されておることは間違いないと思います。一方、こういう保険システムでシステム化したわけでございますから、要介護者はやっぱりその中で手当てをしていくということも当然でございます。  なお、従来は特老等にお入りになっている方々、自立と認定される方も七、八%あると言われておりますが、これは例えば独居老人等で、家庭事情その他地理的な条件等を勘案して市町村長が入れたというようなこともございますので、今後はやはりそういう人たちの引き受け先をきちっとしていく。つまり、ケアハウスでありますとかあるいはショートステイ施設に簡易な宿泊センター等を附置することも今後考えておりますから、そういったことで引き受けていってやることが必要であると思います。  なお、高齢者対策としての保健事業は、先ほど治療よりも予防をということなので、私どもとしては、やはり健康保持のために高齢者対策は全般としては税で考えていく、あるいは交付税措置で考えていく。公的なサポートが必要な部面でありますし、それをやっていくことが要介護者を減少させることにもつながるわけですから、そんな方向で考えていきたいと思っています。
  92. 今井澄

    今井澄君 ありがとうございました。
  93. 沢たまき

    ○沢たまき君 公明の沢たまきでございます。どうぞよろしくお願いします。  来年の四月一日からの実施に向けて、厚生省においては懸命に努力をされております。私は、これからが大変重要な時期を迎えると思っております。これまでは制度導入の枠づくりのための期間であったと思っておりますし、これからが介護認定審査基準の決定とか介護の報酬、保険料の額の決定など、まさに介護保険の魂とも言うべき事項を決めていかなければならないという重要な時期に差しかかってきたのではないかと思っております。  一方、推進主体である地方自治体準備状況は、いまだ多くの不安が存在しているのが実情だと思っております。全国市長会のアンケート調査朝日とか日経新聞などで各自治体の進捗状況調査を見ますと、とても順調に進んでいるとは言えないと思います。準備状況自治体によってかなりの差があるというのが私の率直な感想でございますが、厚生大臣はどんな御所見をお持ちでございましょうか。
  94. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 実施が明年の四月でございますので、厚生省としてはこの法律が成立いたしましてから鋭意努力をしてきたと思います。しかしながら、現実にスタートするまでは、いろいろ未確定の要素が非常に多いものですから、その関係でしかとした見通し、例えば保険料を幾らにするとか単価を幾らにするとか、あるいは介護サービスがこの市町村はどうで他の市町村はどうかというような具体的なものがなかなか煮詰まってこない状況にあると思います。  しかし、私どもは、そうした枠組みのもと都道府県を通じましてこのシステムの周知徹底には行政的な側面ではかなり努力をしてきておりますが、現実に市町村が設計する段階になりますと、まだ介護報酬一つとっても幾らになるのかわからない、介護全体のサービス費がどのくらいになるかわかりません。そうなると、やっぱり保険料も正確には算定できないというようないろいろ不安な要素があると存じます。  したがって、私どもとしては、ばらつきは率直に言って多少意識の問題を含めてあると存じますけれども、これはことしの十月からもう既に本格的な認定作業が始まるわけでございますので、一刻も猶予できないと思うんですね、この問題は。したがって、精力的にいろいろPRをしながら、そしてまた決定すべきものはどんどん決定していくということでなければならないと思っていますが、そうしたことを早期にやっていきたいというのが率直な気持ちでございます。  そうした方向でひとつ不安感、あるいは新聞論調等もその不安感を象徴していると思いますけれども、解消して、円滑なスタートを切りたい、このように決意をしております。
  95. 沢たまき

    ○沢たまき君 介護保険が四月一日からスムーズに実施されるためには、国側の準備状況と地方自治体の体制の準備が車の両輪のようになっていかなければならないと思っているんですが、準備がおくれるような地方自治体一つでもあってはいけないと私は思っているんです。  今、そのために全国市長会あるいはマスコミが実施している調査がありますね。先ほど今井先生などがおっしゃったように、その新聞調査を見て質問なさっている方も大分多いわけですが、本来こういう調査厚生省がやるべきものではないかなと私は思っているんです。各自治体の進捗状況調査を、厚生省はいろいろPRしていると大臣はおっしゃってくださいましたけれども実施すべきではないのかなという気がしておりますが、いかがでございましょうか。
  96. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先生指摘のようにばらつきがあってはならぬわけでございますが、現実にははっきり言ってばらつきがあろうかと思うわけでございます。  全般的な準備の進捗状況につきましては、都道府県に対しましてヒアリング等を行いましてその把握に努めているわけでございまして、都道府県に対しまして必要な助言とか情報提供を行っているわけでございます。都道府県から市町村の支援の円滑化を図るというのが現在のやり方でございますけれども、いろいろな手段を通じまして、直接的に市町村にも働きかけるという形もとりたいというふうに考えているわけでございます。  現在、先ほどもお話し申し上げましたけれども、各市町村におきまして、保険料見込みでございますとかあるいは介護サービス基盤の見込みにつきまして作業いたしているわけでございまして、その結果は都道府県を通じまして国にも、五月から六月にかけてだろうと思いますけれども、提出いただくことになっておるわけでございます。  また、要介護認定の事務の順位につきましても、平成十年度のモデル事業を全市町村で行っていただいたわけでございまして、モデルそのものも今見直してはおりますけれども、早く決めまして、これも市町村の方に早く伝わるようにして、なれてもらいたい、こういうふうに思っているわけでございます。  都道府県を通じての把握でございますけれども市町村におきます関係事務準備が円滑に進捗するように私どもといたしまして全力を傾けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  97. 沢たまき

    ○沢たまき君 私は、どちらかといえば、マスコミに任せないで厚生省も独自におやりいただきたいなと思っておりました。  では、次の質問でございますが、各自治体が今一番苦慮しておりますのが介護サービス確保と保険の財政運営です。全国市長会の調査においても、円滑な財政運営ができるかという問いに対して、現時点ではわからないと答え自治体が六九・七%も占めています。ということは、いかに現場が混乱しているかということを如実に示しているんだろうと思います。七割もの自治体が不安に思っていることを厚生省、国はわかっておられるんでしょうか。  また、厚生省全国の総額で算定していらっしゃいますけれども、現場の自治体は個別に事情が全く違うわけでございますので、もっと個々の自治体状況に合った、もう少しきめ細かな対応が大事だと私は感じているんですが、いかがでございましょうか。
  98. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 全く新しい制度が、しかも大きな制度ができるわけでございまして、これまでとやり方が違うということで不安感もございますし、今まで公費で全額をやっていたものが保険制度という形になるわけでございますので、その徴収とか保険料そのものの額の設定、こういったもので大変心配だというのは私どももよくわかりますし、理解をいたしているわけでございます。  介護保険制度におきましては、定率の公費負担のほかに医療保険制度からも負担をお願いいたしているわけでございまして、そのほかに五%の財政調整交付金があるわけでございます。こういった面で調整の余地はあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、市町村に対します助言でございますとか情報提供を適切に行う必要が当然あるわけでございます。先ほど大臣からもお話がございましたけれども、早目に中身を決めて適切に情報伝達ができるようにこれからも努めるつもりでございます。  しかし、そうはいいましても、大量の情報でございますので、なかなか消化し切れない面もあるわけでございます。いろいろ心配な面もあると思いますし、財政面でも大変だろうということでございますので、必要な配慮というものにつきまして私どもきめ細かな対処をすることが大事だな、こういうふうなことで、肝に銘じまして頑張りたい、こういうふうに思っております。
  99. 沢たまき

    ○沢たまき君 次は、マスコミの調査による保険料は、国が示している平成七年度の平均の保険料一人月額二千五百円より相当上回っているんですけれども厚生省の見通しはいかがでしょうか。
  100. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 二千五百円という保険料の額でございますけれども、これは平成七年度の単価もと暫定的に算出したわけでございまして、その後の単価は当然上がっておりますので全国の平均額は上がると。どの程度上がるかというのはちょっとわかりませんけれども、多少上がるのではないかと思います。  そのほかに、施設サービスとかホームヘルパー等の在宅サービス、これが充実している、あるいは充実しているかのように算定する、こういうことになりますと金額が非常に高くなるわけでございます。我々も聞いてみますと在宅サービスというのを一〇〇%見込む、こういうふうなところが非常に高い。さらに、療養型病床群というのが多い、ほとんどの方が施設を活用されている、こういうところについてはやっぱり高く出ざるを得ない、こういうふうなことでございます。  いずれにいたしましても、市町村におきます保険料推計でございますとか介護サービス基盤の見込み都道府県を通じまして私どもの方に提出していただくということになっておりますので、それをもとに私どもとしても全国的な見通しというものをそろえた上で全国的な市町村保険料の分布状況をお示しすることができるのではないか、こういうふうに思っております。これは、先ほど申し上げましたように、七月ごろを目途に作業をしよう、こういうふうに今考えているところでございます。
  101. 沢たまき

    ○沢たまき君 先生方もいろんな方とお会いになると言われているのだろうと思いますが、介護保険導入といったときに大体どのくらい払わせられるのかと国民はみんな心配で、その中で一人大体二千五百円だろうといいますので、それをもとにして時局講演会でも何でも説明をしてきましたから、どうしても二千五百円という額だけがひとり歩きをしております。  おっしゃったように一〇〇%サービスしようと思ったら高くなる、それは当たり前のことなんですが、先に二千五百円ありきなものですから、住民の方は二千五百円がどうしても頭から離れませんから、一〇〇%のサービス云々よりもどのくらいになるんだろうというのがあるので、局長はそうおっしゃいましたけれども住民に誤解を与えていると私は思いますので、撤回をしていただいて、二千五百円というのを見直していくべきじゃないかなと私は思っておりますが、いかがでございますか。
  102. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 二千五百円につきましては、この制度を定めるときに御議論になった基礎数字であろうと思うんです。制度をつくるときには一定の基準値というものを想定しませんと制度の構築ができませんのでそういうことだったかと思いますが、そのとき厚生省としてさらにこれが五段階に展開するということは頭にあったと思うのですが、それを当時は明確にしていなかったと思うのです。それで二千五百円というようなことが固定値として、今、委員のおっしゃられるようにひとり歩きしておると存じます。  これは、撤回するとかしないとかということではなしに、これからの新しい保険料がこういう仕組みで、しかも所得の多寡に応じて五段階に展開するんだということをもうちょっとPRしませんと、なかなか理解が進んでいない点は私も率直に選挙区やなんかで感じます。それは私どもの責任でもあると存じますので、なるべくPRをしてやっていきたいということ。  それから、数字というものは一たん出ますとそれが一つの合理的な根拠を持つように思われまして、なかなかそれを打ち消すことは困難になりますから、逆に言えば、今、市町村でいろいろ試算をしていると思いますが、これは試算値だから変わり得るよという前提条件を仮によしんばつけたとしても、地区の住民はそんなに高いんならやめたとか、そんなに低いならそれでやってくれと言われると、責任者としてはいろいろな前提条件のもと試算をしていると思いますので、なかなか数字は憶病で出せないという問題もありますので、とにかく数字については前提条件をきちっと理解した上で、その数字の意味を国民に御理解していただくPRが絶対必要だと思っております。
  103. 沢たまき

    ○沢たまき君 本当に保険料の設定については各自治体で神経質になっていらっしゃいます。各市町村において国が示した試算の方法の第一号被保険料推計のためのワークシート保険料試算をしておりますけれども、このワークシート試算というのはどういう目的なんでございましょうか。
  104. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 各市町村保険料を算定するためにこのワークシートをお示ししているわけでございまして、市町村でお使いになるときにはどの程度見込みを立てればいいのかな、あるいは施設が多過ぎるのか、在宅サービスが少な過ぎるのかとか、サービスをどういうふうにコントロールしていくか、こういうのにお使いになるわけでございます。  私ども一つの目的は、その結果を国で集計する、国で集計したものを用いまして全国の一人当たりの平均の保険料額の見込み値を出したい、こういうことで、一義的には市町村でお使いになるわけでございますけれども、私ども国といたしましてもこれを使いまして一人頭二千五百円というのを修正いたしたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  105. 沢たまき

    ○沢たまき君 それは六月ごろ出てくるのでしょうか。
  106. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 市町村から県の方に五月から六月にかけまして出てこようと思いますので、私どもも並行していただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、市町村が出しましたものはある程度県の段階では修正するわけでございますけれども暫定版という形でも早くいただくように努力したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  107. 沢たまき

    ○沢たまき君 出てきた段階でせめて全国の平均とか地域別平均というのを公表していただきたいと思うんです。そうしないと、住民の方々への説明会を各自治体実施するときに混乱する。とにかく自治体は隣はどのぐらいになるかとか、やっぱりすごく気にしていらっしゃいますので公表していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  108. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 市町村ごとのものをそのまま出すかどうかというのは、これは暫定値でございますので市町村の判断にゆだねることになろうかと思いますけれども、分布状況みたいなものについては私どもとして公表できたらなと思っておりますし、もちろん全国平均的なものは私どもとして計算をいたしたい、こういうふうに思っております。
  109. 沢たまき

    ○沢たまき君 各自治体が来年の三月に突然保険料の額を公表すると混乱が起きることは必至だと思いますので、一刻も早く現実的な数値を示した方がいいと思っております。  また、試算でも、試算ではいけないかもしれないけれども、とにかく住民の方の理解を得て成功しなければならないというのがありますので、より正確な情報を伝えるのだということに重点を置いていただかないとこの介護保険という大きな事業が成功しないと思いますので、その点よろしくお願いをしたいと思います。  余り時間がなくなりましたので、次に行かせていただきます。  保険料地域格差の問題ですが、朝日新聞とか日経新聞調査によりますと、高い保険料と低い保険料に大きな格差があります。アンケートに対して自治体が回答しているものですから信憑性が高いだろうと私は思っております。朝日新聞の報道ですと、最低千二百五十円、最高が七千三百二十七円となっておりまして、格差が五・八六倍となっております。この格差は、先ほど一〇〇%のサービスなんとおっしゃいましたけれども、そのほかにもどういう理由でこのような格差ができたとお考えでいらっしゃいますか。
  110. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 全国市長会で調査をいたしたわけでございまして、そのときに一部公表をされたわけでございます。その数が非常に高いところにつきましては、私ども幾つか資料をいただきまして見させていただいたわけでございます。  それによりますと、高いところは施設入所者、特に療養型病床群の入院の比率が高い、それから在宅サービスについてはもう一〇〇%見込む、こういうことになりますと何千円の単位で違ってまいりますので、そういうことが高い原因だと思います。療養型病床群なんかがありますとある程度高くなるというのは経験的にもわかるわけでございますが、在宅サービス一〇〇%のところというのは恐らく全国でもないと思いますし、私どもの目標とした数値そのものが四〇%でございますので、そういう意味で非常に高い数値を見込まれているのが新聞に一部出ている、こういうふうに理解をいたしております。
  111. 沢たまき

    ○沢たまき君 理解していただくのは結構なのですが、被保険者にとっては強制の加入ですから選択権がないわけです。需要と供給の関係もあると思いますけれども、こんな五倍もの激しい格差があるというのは好ましくないと思うのですけれども大臣いかがでございましょうか。
  112. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 私も委員の先ほど公開した方がいいという意見はおおむね同感です。これからこういう制度をつくっていくには、やはりある程度知っていただかないといけないと思うのです。  私どもが幾ら療養型病床群のあるところは保険料が高くなるよと説明しても、なかなかそれが現実に理解できないのです。ところが、小さな村で二千人とか三千人の単位で保険集団を組むわけですが、そこが例えば二十人くらいそういう状況にある人が十人そちらへ入っていれば保険料ががっと上がるわけです。したがって、各自治体もそういうことで、もしくは下げるためにはそういう人を退所させるとかいうようなことが予想されるというようなことで数字の発表も憶病になったりいろいろすると思いますけれども、やっぱり住民の皆さんの理解を得るためには委員のおっしゃられるとおりだと思います。ある程度のところは示していかないと本当のスタートのときに戸惑うと思うのです。それが一つ。  それから、五・何倍という格差は私自身としては余り好ましいとは思っておりません。保険システムである以上、本来でいいますと全国一つの保険集団であれば保険料一つ給付も同じということなのですが、市町村単位に保険者をお願いしておる手前上、それはそれぞれの保険集団があるわけですからその差が出ることはある程度やむを得ないにしても、国民的に介護というものの共通の意識のもとにつくられた制度であれば、五倍も六倍も開いているというのは異常ではないかと思います。  なお、今申された七千三百円とか八千円とか、新聞によっては九千円にもなるというような報道がございますけれども、これはよほど念査をしてみませんと、報道だけで客観的な根拠は明確でございませんが、私どもとしてはそんなになることは、恐らく相当な、例えば療養型病床群にほとんど介護人たちが入っているとか、それでそれが賦課されてくるとか、いろいろ条件がないとなかなかそういう数字にならないと思うのですが、これはまたよく検証していかなければいけない。  それにはやっぱり各市町村の実態を集めて、最終的な、ファイナルな、一銭一厘違わない数字は無理だと存じますけれども、あらあらの方向できちっと把握することがぜひ必要だと思っておりますので、今、局長の言ったように夏ごろまでにはそういっためどをつけ、最終的には市町村が条例等によってきちっと決めるわけですから、それはそれとして、おおよその方向性というものは出して御論議をいただかないと真の理解は得られないというように思っております。
  113. 沢たまき

    ○沢たまき君 ちょっと時間がなくなったのですが、各自治体状況は私も調査いたしました。自治体の場所は伏せさせていただきますが、東京都のある離島の村です。一号被保険者が六十五名、二号被保険者が百八十一名、介護認定審査会のみほかの島と広域で実施をする。サービス内容が、特別養護老人ホームベッドが四床、それから在宅サービス対象が九名、ホームヘルパーが一名、そのほかデイサービス、ショートステイ、日常生活改善事業の実施、この総額は介護費用が四千万かかるそうです。調整交付金が二百万ぐらいだそうです。保険料の引き下げには機能しないとこの離島の方はおっしゃっていました。  保険料については、東京都の指導に基づいて試算しましたところ、一人当たり月額一万二千円から一万三千円、その後、単価を下げて再計算した結果、一号被保険者保険料の基準額が七千三百円になったそうです。  この数字もとにして住民に説明会を行ったところ、住民側からは、国は一人当たり二千五百円と言っているのに話が違うではないか等々で納得しなかった。そこで、村としてはその六〇%の四千二百円に抑えることにしたのだそうです。その差額はどうするんですかと私は伺ったのですが、村が負担するしかないと説明をいただきました。いずれにしましても、東京都の方にも調整交付金があってもスタートから不足しますと伝えてあるんだそうです。  厚生省の見通しと自治体の現場サイドにはこのように大きな乖離があるわけでございまして、離島などは一般財源から繰り入れるのですね。まだ四国とかいっぱい調べたのですが、これはいかがでございましょうか。最初から、スタートからもうマイナスだとわかっているというのはどうしたらよろしいのでしょうか。
  114. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 市町村負担するのは一二・五%ということが法定されているわけでございまして、それを上回る負担というのは決して好ましいことではないわけでございますが、法律上禁止されているというわけではございませんので違法ということではございませんけれども、望ましくないというふうに思っております。  ただ、先ほど調整交付金でかなり調整できるということと違うということでございますけれども、調整交付金で現在考えておりますのは、後期高齢者という七十五歳以上の人口が全国平均に対しまして高いとか、あるいは所得について低所得者が多いところにはたくさん出す、こういうふうな形になってきているわけでございまして、このものについての調整機能というのは十分できると思いますけれども、実際に療養型病床群に入っている方がかなり多い、こういうものについての調整機能というのは確かに持っていないわけでございまして、やはり適正な処遇ができるように村として努力していただく必要があると、こういうふうに思うわけでございます。
  115. 沢たまき

    ○沢たまき君 もう時間がございませんので、最後に私のお願いでございますが、保険者の責によらない事由による格差の要因は厚生省が考えている以外に、今申し上げたように、離島だとか寒冷地とか特別な事情があるのではないかと思っておりますので、このような地域には特別な救済の措置をおとりになっていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  116. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党を代表して質問をいたします。  私は、きょうは介護保険在宅サービスの問題、そしてこれに関連いたしまして要介護認定の問題について質問をしたいと思っております。  今月の五日でしたけれども、要介護認定の基準案が医療保険福祉審議会に諮問をされました。要介護認定は、サービスが受けられるのかどうか、受けられるとしてもどれぐらいのサービスになるのかということを判定するもので、国民の中でも大変ここに関心を寄せております。この要介護認定で自立というふうに認定をされますと、介護保険在宅サービスが一切受けられないということになります。  徳島県では、昨年の要介護認定のモデル事業で在宅サービスを受けている高齢者の二割が自立と認定され、そして八つの町村ですけれども在宅施設を合わせた自立が三割から五割というふうに出ているんです。自立ということになれば一切のサービスが受けられないだけに、自治体も非常に大きな衝撃を受けているということがあります。  そこで、現在在宅サービスを受けている人のうちどれぐらいの人がサービスを受けられなくなるのかということを一つお聞きしたいんです。特にホームヘルプサービスの場合どのぐらいなのかということ、これは概算でも結構でございますので、ぜひお答えいただきたいと思います。
  117. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 十年度に行いました要介護認定の試行的事業では、各地域在宅高齢者各五十名ずつを対象にしまして調査を行ったわけでございますが、現時点では、現にホームヘルプサービスを受けられている方で、要介護認定の結果、自立と判定される高齢者の数をこのデータから直接に出すというのは難しいわけでございます。  在宅サービス全体でございますと約一〇%ということでございまして、九年度末で訪問介護員のホームヘルパーの派遣の世帯数というのが四十一万世帯余りでございますので、これでいきますと四万世帯、四万人程度かなと、こういうふうに、これは本当にざっとした計算でございまして、正確な数字というのはちょっとわかりかねるわけでございます。
  118. 井上美代

    ○井上美代君 このホームヘルプサービスを受けている人の中で自立と認定される人には、今、家事援助を受けている人が実際には非常に多いんです。家事援助は、地域高齢者が自立して生活をしていくときにはもう不可欠のものだというふうに私は思っております。介護保険サービスの中にも、ホームヘルプサービスの一環として一応この家事援助が入っておりますね。買い物や調理といった生活支援的なものを含めて家事援助について厚生省がどのように考えておられるのかということを伺いたいのです。
  119. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 基本的にはホームヘルプサービスというのはかつては、かつてというか現在でもそうでございますけれども、家事援助が中心で来たわけでございますけれども、今後は身体介護業務、これをホームヘルプサービスの中心にしていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございまして、調理とか洗濯、掃除などの家事援助も引き続き介護保険の対象のサービスには入れていく、こういうことでございます。
  120. 井上美代

    ○井上美代君 東京都内の十八の自治体の協力を得まして昨年秋に調査をしたんですけれども、要介護認定のモデル事業で在宅サービスを受けた人の中で自立と判定された方たちがどういうサービスを受けているかということを調べてみたんです。そうしますと、自立になった四十八人のうちホームヘルプサービスを受けているのは十八人なんです。その中で月八回以上という人が五人、また月に十二回受けている人というのも一人いるんです。こういう人たち介護保険が始まった途端に今までのサービスが打ち切られてしまうということになるわけで、そういう点でも非常に心配されるわけなんです。それで、要介護の認定の仕組みというものをもう少し検討してもらう、発展させていく、その辺が大事なのではないかなというふうに思っているんです。  それで、自治体の担当者たちがこの問題を指摘しております。これは兵庫県のある一つの市ですけれども自治体介護保険事業の計画策定委員会に報告が来ているんです。その報告によりますと、調査項目の中に居室の掃除に関する質問というのが、これは確かに二十五項目めにあるんです。しかしながら、調理ができるかとか買い物ができるかとか重い物を持てるかとか、そういうことについては調査項目の中には欠落をしているわけなんです。それで要介護と認定される人が極端に少なくなってしまうわけなんですけれども、そういうところを困るということで指摘しております。  言ってみれば、現在の要介護認定では限定された心身の状況について判定をするというだけで、在宅で日常生活をする上で必要な能力については考慮されていないというふうに見ていいのではないかと思っているんです。買い物に行くには重い荷物を持って長時間歩くということ、これはもうお年寄りにとっては非常に大変なことなんですね。ひとり暮らしでは調理や洗濯といった、そういう経験もないお年寄りももちろんおいでになりますし、特に男性の方がひとり暮らしではとても大変なんですね。そういう家事能力が問われているわけですけれども、そこが考慮されなければ、そしてサービスから切られてしまうということになりますと非常に大変なわけです。  だから、認定というのは住宅だとか環境、家族、経済状態などお年寄りが置かれている生活実態、それを総合的に判断できるやり方というのが要るのではないかというふうに思っております。いろいろお聞きしてみても、自治体でもやはりその声は強いんです。そういう意味で認定の仕組みに問題があるのではないかなというふうに思っているんですけれども、その点、大臣いかがでございましょうか。
  121. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) これは今までの福祉事業からの転換でございますから、保険制度として割り切りようがまた必要かと思われます。そういう点から見まして、例えば認定の場合に親族が何人おるかとかあるいはどうだというような、そういう家庭的な背景を原則として重視してまいりますと、これは保険システムというよりもまた違った角度の観点が非常に重視されてまいりますので、保険制度としてはあるポイントを定めて、それによって一応枠組みを決めていくということが制度の公平公正な運営上必要だと思います。  ただ、委員指摘されるように、今までいろいろ介護的なサービスを受けていたのにもかかわらず、自立と認定されたためにいろいろの移送サービスその他不便をこうむっておるという方もおありになろうかと存じますが、こうした問題はことし百億円くらい計上して在宅高齢者保健福祉推進支援事業としてスタートさせてありますけれども、本格的にその問題が顕在化するのは来年の四月以降でございますから、そうしたことも頭に置きながら充実を図っていくということではなかろうかと思っておるところでございます。
  122. 井上美代

    ○井上美代君 この点につきましてはぜひ検討をして、やはり現場で、特に男性のお年寄りが非常に困るわけです。だから検討をぜひしてほしいというふうに思います。  今、大臣が言われました在宅高齢者保健福祉推進事業についても注目をしております。それで、この事業につきまして予算は百億円ということになっているわけなんですけれども、この事業の主な目的それから内容について短目にお願いをいたします。
  123. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 在宅高齢者保健福祉推進支援事業でございますが、独居老人等の生活支援事業を中心にいたしまして、生きがい対策と保健予防対策など介護保険制度の周辺施策、こういうものにつきまして市町村が取り組めるように十一年度から実施するものでございます。具体的な内容といたしましては、配食サービスあるいは移送サービス等の生活支援事業、それから高齢者の健康づくり、スポーツ活動の育成、生きがい対策、こういったものを内容とするもので百億円の事業でございます。
  124. 井上美代

    ○井上美代君 今御説明がありましたけれども、この事業は介護保険が始まって自立と判定される方が地域で暮らすときには、本当にさまざまな生活支援というのが要ると思うんです。だから、そういうときのものとして非常に重要であるというふうに思います。  私は、少し東京のいろんなところで聞いた声も入れながら、そこのところを強調したいわけなんです。これは東京都の二十三区のある自治体の担当者なんですけれども介護保険では家事能力のないひとり暮らしの高齢者が自立と認定されたらホームヘルプが受けられなくなってしまう。そうしたら御飯がつくれなくなる、掃除もできない、放置されるのではないか、こういう不安が出ているわけなんです。地域とのつながりもなかなか持ち切れないというお年寄りも多くて、家から出なくなったらやはり体も弱っていくのではないか、こういう心配がされているわけなんです。  今、ひとり暮らしのお年寄りというのが大変ふえてきて、ずっとけさからの質問の中にも幾つも出てまいりましたけれども、このひとり暮らしというのは全国的に言えば全世帯の一二・九%、五百六十三万世帯、東京ではもっと多くて一三・六%、六十五万世帯というふうになります。そして、二〇二〇年になりましたらこれが倍増して、特に七十五歳以上のひとり暮らしというのが三・三倍に急増するわけです。だから、そういう意味でもこの在宅介護の問題というのが重要だというふうに思っております。  先ほど厚生省は答弁もされましたけれども、地方自治体に出されている老人家庭奉仕員派遣事業運営要綱というのがあります。その中に書いてあることなんですけれども、「老衰、心身の障害及び傷病等の理由により臥床しているなど日常生活を営むのに支障がある」高齢者、こういうふうにしているんです。だから、ここの厚生省の文書でも「日常生活を営むのに支障がある」高齢者というふうにしておられるわけで、私は介護保険の施行後もこの考え方をやはりきちんと引き継いで残していくべきだというふうに思っているんです。  それで、今、自治体は相当苦労しながら介護保険事業計画や老人保健福祉計画の策定作業を進めているんですけれども、特に自立というふうに認定された人たちがどうするかということが非常に大きなテーマの一つになっているんです。それで、いろんな工夫が出てきているんです。  これは朝日新聞ですけれども全国自治体にアンケートをとって、自立と認定された方へのサービスをどうするかと質問しておりますけれども、二千五百自治体の二五%が自治体負担する形でサービスを続けていきたい、こういうふうに回答しているんです。また、別に東京都の多摩地区のある自治体のことを聞いたんですけれども、ここでも自立の高齢者には家事援助的なホームヘルプを続けることを検討しています、こういうふうに言っておられるんです。また、これも東京の別の自治体ですけれども、エレベーターのない団地に住んでいる高齢者が多く、荷物を持っての階段の上りおりが非常に大変だというわけです。こういった高齢者のために買い物援助ができないかということを検討しているというふうに言っているんです。  こうした例からもわかるように、介護保険の施行で出てくる在宅サービスの欠陥を埋めるために、今、自治体が必死の努力をしているということが見えるというふうに思います。  大臣にお聞きしたいんですけれども、こういった自治体の工夫と努力に対してやはり国が支援していくことが私は必要であるというふうに思っているんです。それで、在宅高齢者保健福祉推進支援事業のあることは先ほど紹介されたわけですけれども、これらを活用するなどして自治体が行う生活支援的なホームヘルプに国として何らかの形で、これはずっとというわけでもないと思いますけれども、今非常に混乱もしておりますし、在宅が非常に薄いですので、国としても財政的な支援を含めてバックアップをしていく必要があるのではないかというふうに思っているわけなんです。だから、そういうことでぜひ大臣に御答弁をお願いしたいんです。
  125. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 本年度はその支援事業について百億というお話を申し上げましたが、来年は四月から本格的に実施されますので、十分検討させていただくつもりです。
  126. 井上美代

    ○井上美代君 金額は出せないのかもしれませんけれども、ぜひ私は大きな財源でやってほしいというふうに思っております。  次に、この支援事業の中に配食サービスが入っているんです。それから移送サービスが入っております。このことについてお聞きしたいんですけれども、私はこの間の質問のときに大臣にお聞きした質問があります。そうした中で、大臣在宅高齢者への保健福祉サービスの支援を今後増強していくというふうに答弁されているんですけれども、この補助事業の中でも特に配食サービス、移送サービスというのがやはり今後重要ではないかというふうに思っているわけなんです。このサービスについては大変需要が伸びているということがまず言えるというふうに思います。厚生省資料でも、これは全県の集計にはなっておりませんけれども、配食サービスでは利用延べ人員で一九九三年の約五十一万人から一九九七年には四百五万人というように、四年間で八倍弱ですけれども伸びているんですね。国の補助の出ていないものも含めればもっと大きな人数が出てくるんじゃないかというふうに思っているわけです。  この配食サービスそしてまた移送サービスは、介護保険がやられるようになった後こそ重要になるのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ今後ずっと続けて発展させてほしいというふうに思っているんですけれども厚生省としてはどのように考えておられるのかお聞きしたいんですが、局長よろしくお願いします。
  127. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) まさに、先ほど申し上げました在宅高齢者保健福祉推進支援事業の中で重要な地位を占めているわけでございますので、全体の充実という中で各市町村がそれを採用される、こういうことは非常にいいことだというふうに思っております。
  128. 井上美代

    ○井上美代君 この配食サービスや移送サービスというのはこれからだと思うんですね。先ほどデンマークの話も出ておりましたけれども、まだまだこれからだというふうに思います。  そういうふうに考えまして現在見ましたときに、この在宅高齢者保健福祉推進支援事業におけるサービスはやはり希望も高いということがあるんですけれども、民医連、全日本民主医療機関連合会というところがあって、御存じのように三万近い調査がやられておりまして、それにも出てくるんですけれども、昨年十月に出されました実態調査の中から見てみますと、二万四千二百十人の高齢者のうちで配食サービスを現在利用しているという人は六・五%なんです。これはまだそれほど高いというふうには言えないかもしれませんけれども、それに対して利用希望者というのは一三・六%あるんです。だから、希望がもう倍以上になっているということがこの調査でもはっきりしているというふうに思います。  そして、その細かい調査の中でどういう人たちがこれを求めているかというのがあるんですけれども、利用希望率をずっと介護度で分けてあるんです。そうしますと、自立度の高い高齢者のところで一五・五%求めています。それから、寝たきりの高齢者はどうかというふうに見ましたときに、これもまた一一・三%という二けたが求めているんですね。だから、そういう意味でも、これは介護度が軽くても重くても求めているということが言えるんじゃないかなというふうに思うんです。  今日どうかというのを見ますと、要支援の人も、要介護を含め生活支援の必要な人というのはこれを求めているわけで、そういう意味で求めている人たちのすべてにこれが行き渡るようにしていかなければいけないんじゃないだろうかというふうに思っております。  そこでお聞きしたいんですけれども介護保険の施行後も国の補助制度として介護保険対象者、言ってみれば要支援の人もそれから要介護と認定された人も含めて国の補助制度として続けていくべきではないかというふうに思っております。これはぜひ大臣の答弁を求めたいと思います。
  129. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先ほど来お話のございます支援事業につきましては、生活支援と生きがい対策というようなことで二本の柱を立てておりますが、生活支援の中で今御指摘の配食サービスの事業、それから移送サービスの事業、これは介護サービスには入れておりません。そのほか訪問入浴サービス等もこの支援事業ではできることになっておりますが、この訪問入浴サービスはもう介護サービスの一種として位置づけられております。したがって、介護者も配食サービスあるいは移送サービスは受けられないということは理論上そういう仕分けになっております。  したがって、介護保険としての仕切りとそれからそういった支援事業としての仕切りがございますから、支援事業としては介護保険介護者でも、また福祉事業としての自立あるいは支援者でもこの対象者になり得るということでございまして、ことしも百億円計上してあることはしばしば申し上げたとおりでございますが、明年度以降もそういった拡充については検討していきたいということもたびたび申し上げているとおりでございます。
  130. 井上美代

    ○井上美代君 私は、やはりこれは今後の重要なサービスだと思いますので重視していきたいというふうに思っております。  特に自治体の側の態度なんですけれども、やはり自治体もここに関心を寄せているんですね。だから、要支援、要介護認定された人も含むのか含まないのかと分けて厚生省はやっておられるものですから、そういう迷いもありながら、自治体ではしかしながらこれを求めているわけです。だから、そういうことも含めましてぜひ両方にお願いをしたいというふうに思います。  次に質問をしたいのは、介護保険基盤整備について、その中でも在宅介護のかなめにあるホームヘルパーの基盤整備に関連して質問をしたいと思います。  介護基盤の整備のおくれというのは、もう大変皆さんからも指摘があっておりますけれども、ことしの二月に出されました全国町村会の調査があります。この調査では、昨年の十一月の時点で、約二千百町村のうち、介護基盤の整備ができると答えた町村はわずかに二・一%、そしてできないというふうに答えているのが二〇・七%。だから非常にできないと言っているわけです。そして、介護サービス問題点としては一九・二%の町村がホームヘルパーの不足というのを挙げているんです。  私は、ホームヘルパーが不足している問題について取り上げていきたいわけなんですけれども平成九年度で、予算上はホームヘルパーの人数は十五万一千九百八人というふうになっておりますが、決算ベースでは十三万六千六百六十一人というふうになっています。実績では予算上よりも一万五千人ぐらい少ないわけですね。予算上では、今年度は十七万八千五百人となっておりますけれども、実績がこれよりも一万以上少なくなったら当初の十七万人の目標にも満たないということになるわけです。ホームヘルパーの基盤整備を国が強力にバックアップしていかなければいけないというふうに思うわけなんです。  そこで質問なんですけれども、昨年十月にホームヘルパーのチーム運営方式推進事業費というのがついておりましたが、この補助金がなくなりました。これは一チーム当たり幾らだったのでしょうか、そしてなぜなくしたのかということを御答弁ください。
  131. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 一チーム約二百万でございます。  なぜ廃止したのかということでございますが、ホームヘルプサービスにおきますチームの運営方式は、基幹的なホームヘルパーと他のホームヘルパーとがチームを編成いたしまして業務運営を行うものでございまして、これを採用する市町村補助金の加算という形で出したわけでございますが、十一年度の予算編成におきましてホームヘルプサービスの質の向上を図りたい、こういうことで、チーム運営方式によりますサービスの提供というのは、これは加算というのではなくて必須にしたわけでございまして、必須にした金額を取り込みましてさらにプラスをいたしまして、身体介護単価、十年度は二千八百九十円でございましたが、これを大幅にアップいたしまして三千七百九十円、こういう中でチーム方式のプラスアルファというものをこの中に全部取り込んだ、さらにそれにプラスをいたしまして十一年度の単価を設定した、こういうことでございます。
  132. 井上美代

    ○井上美代君 この問題については、自治体の担当者は今年度は続くものだと考えていたようなんです。それはいろいろ電話をしてわかるんですけれども、十二月に突然なくなって大変困ったというふうに言っているんですね。八月の概算要求のときに事業費補助方式の単価が示されましたけれども、本来だったらそのときにやはり説明をすべきであったというふうに思うんです。十二月になってから実は単価の中に入っていたんですと、こういうふうに言われても納得できないということです。  逆に、単価の決め方に対しても疑問を持たざるを得ない。明確じゃないんです。これについて東京都だけでも十年度予算で一億七千八百万円、国の補助金がありました。言ってみればこれがなくなってしまったということです。これは自治体にとっても国民にとっても大きな負担となりますので、政府自治体が一丸となって基盤整備を進めていかなければいけないときに、政府がこのような足を引っ張るということではいけないんじゃないかなというふうに思っております。  それで、埼玉の川口市議会が先月に政府に提出した意見書があります。私も手元に持っております。全政党が一致したものですけれども、その中には新制度導入にふさわしい基盤整備を進めるため国庫負担の補助率や補助単価の引き上げを政府に求めますというふうに書いているんです。  私は、老人にとってホームヘルパーというのは命綱だというふうに思うんです。だから、このホームヘルパーの充実と増員というのは、単に介護基盤の整備が進むという問題だけではなしに、やはり社会保障に対する国民の将来不安をなくしていくということでも大事だし、また、今大変不況でありますけれども、雇用問題の解決のためにも大いに資するものがあるというふうに確信しております。緊急の経済対策、また将来にわたる経済成長の見地からもこのホームヘルパーの充実、増員ということを進めるべきだというふうに思います。  時間も参りましたから、ホームヘルパーの予算を抜本的にふやすことを私は求めます。そして、事業費補助方式の単価を引き上げるということとともに、国の補助率の二分の一も引き上げ、そしてまた、自治体が大いに基盤整備を進めやすくするように国がバックアップをすることが大事だというふうに思っております。  それで、もう今年度の予算は決まってしまいましたので、例えば去年の補正予算で特養老人ホームをふやされたように、補正予算だとか来年度の予算でぜひこれを実現させてほしいというふうに思っております。  御答弁を大臣に求めて、これで質問を終わります。
  133. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ホームヘルパーの充実というものは重要な視点だと存じます。ただ、先ほど来議論をお伺いしておりまして、チーム運営方式のサービス提供について言及がありましたが、これは局長の言ったように身体的介護単価としては増額を図っておりまして、解消しているわけですね。したがって、切り捨てだけではないということだけ申し添えておきます。  なお、それ以外の諸措置につきましては、御意見として承らせていただきます。
  134. 井上美代

    ○井上美代君 では、これで終わります。
  135. 清水澄子

    ○清水澄子君 社民党の清水澄子です。  介護保険の指定施設における看護・介護職員の人員配置は、特養ホームと老人保健施設、療養型医療施設とも四対一から三対一と定められたわけですが、このことは介護施設の一元化を念頭に置いたものと理解してよろしいでしょうか。もしそうであるならば、これら三つの類型の介護施設を一元化していくための移行促進の方策を国レベルで財政支援を含めて強力に推進していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。
  136. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 介護保険実施に当たりまして、各施設は今、介護老人福祉施設介護老人保健施設あるいは療養型病床群の三つとも施設介護の対象として取り組んでおりますが、私どもとしては、介護とか介護職員の体制とか介護報酬等は共通の仕組みであることが望ましいと一応考えておりまして、制度実施後におきまして各施設の役割、運営状況等を、経過的な問題もございますが、実態把握をした上で施設の一元化について検討していきたいというように考えております。
  137. 清水澄子

    ○清水澄子君 そこで、特養ホームと老人保健施設、療養型医療施設とも三対一と定めてあるわけですが、特養ホームと老人保健施設については、平成十六年度末までの五年間は特養ホームでは四対一以上、老人保健施設では三・六対一と、こういう点で経過措置が認められております。しかし、これらの施設においても、現在入所している方のサービスの質というものをやはり公平に提供することが大切だと思うわけです。  ですから、やはりその三対一の水準を一日も早く実現するように、これも財政支援を含めた取り組みが必要と思いますが、この点についても早い実現をお願いしたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
  138. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 現在の特別養護老人ホームの職員配置は、先生指摘のように四・一対一ということになっているわけでございます。事実上これより手厚くなっているところもあるわけでございますので、実際円滑に三対一に移行できるように五年間の経過措置ということにしたわけでございまして、職員が確保できればすぐにでも財政的には対応できる、こういう形になっているわけでございますが、入所者の職員比で例えばその間の数値を三・五対一というのを間に設けるようなことも含めて検討してまいりたいというふうに考えております。  ただ、老人保健施設関係はもう現に三・六対一になっております。人を置けばそれだけの診療報酬が出るという形になっておりましたので、既に六割程度のものが三対一になっておりまして、急激にふえておりますので、これはもうほっておいても三対一に近々なるんではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
  139. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、今度、介護保険指定の療養型医療施設のうち、転換型病床群や介護力強化病院については、当分の間、食堂や浴室がなくてもよいとなっているわけですけれども、ここに現在入所している人たちのことを考えれば、やはり療養環境の質を確保する必要があると思います。  それで、経過措置というのは、当分の間という言葉がいつも気になることなんですが、これは最も都合のよい言葉であって、いつからどうするのかわからない。やはり明確に時限を設定されて、原則として三年以内に食堂や浴室の整備を図るという強力な指導をお願いしたいと思いますが、その点いかがですか。
  140. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 一般病棟から転換して療養型病床群になったという中には、食堂とか浴室がないものもあるわけでございます。これは、都市部等におきまして必要な用地の確保がしにくい、こういうような事情もございまして一定の経過措置が置かれたわけでございます。  しかし、先生指摘のように長期療養の施設でございますので、できるだけ早い時期に完全型というのに変えていただく必要があるわけでございます。したがいまして、介護保険施設への指定の際には、食事とか入浴等の介護サービスを提供するための施設整備等につきまして具体的な改善計画をつくってもらう、こういうことを考えているわけでございまして、当面はこの計画等によりまして介護施設としてふさわしい療養環境を備えることが見込まれるものから指定をしたいというふうに考えているわけでございます。  具体的に期限を切るかどうかはその後の改善状況等を見ながら検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  141. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、介護保険法の施行規則における「居宅サービス計画等の内容」というところをちょっと確認させていただきたいんです。いわゆるケアプランのところですね。この中に何か六つぐらいのことが書いてあるんですが、非常にわかりにくいと思います。  居宅サービス計画の内容を、法に定める利用する指定居宅サービス等の種類及び内容並びにこれを担当する者のほか、居宅介護者等の健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスが提供される日時、サービスを提供する上での留意事項並びにサービスの提供を受けるために居宅介護者等が負担しなければならない費用の額とすること。 ここをもう少しわかるように説明してください。
  142. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 法令上の関係で非常に難しく書いてあるわけでございますが、介護を要します高齢者の自立した生活を支援するためには、個々の高齢者の心身の状況、それから置かれている環境などに即しました適切なサービスを受けることが非常に大事であるわけでございまして、これがケアプランの目的であるわけでございます。  このために、介護保険制度では、介護を要します高齢者の健康上、生活上の問題点や解決すべき課題を調査分析いたしまして、その方の状況にふさわしい保険給付サービスを組み合わせて提供する、そのための計画を作成するということで、その計画に従いまして給付は行われるべきであるということでございます。  また、このサービスの計画には、介護保険給付だけではなくて、市町村独自のサービスでございますとかボランティアのサービスなどを含みますいろいろな種類や内容を含んだサービスの目標でございますとか、その目標が達成される時期なども盛り込むことになっているわけでございます。このサービス計画、ケアプランの作成の理念は利用者本位、こういうことでございまして、被保険者理解と主体的な参加を得まして、その方に最も適切なサービス計画が作成されることが重要であるわけでございます。  そういう中身のことを書いたわけでございまして、ケアプランというのはこの介護保険制度にとりまして、特に利用者にとりまして大変重要なものである、こういうふうに理解をいたしているわけでございます。
  143. 清水澄子

    ○清水澄子君 確認すれば、ここでは法に定める指定居宅サービスに限らないということがはっきりしていると思うんですね。そして、もちろん法に定める指定居宅サービスは含むけれども、やはりこの「居宅介護者等の健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題」に対応するための市町村の特別給付、保健福祉事業、また一般福祉サービス、NPOや株式会社から任意に購入するサービスとかボランティアのサービスなど必要なあらゆるサービスを指すと、こういうふうにここに書いてあるわけですね、食事とか移動とか。そういうことが非常にはっきりしない。難しい言葉の漢字ばかり並んでいるものですから同じ疑問が繰り返し言われるわけなんですが、この点をやはりもっとはっきり皆さんに徹底すべきだと思います。  そして、法に定まっている指定居宅サービスだけの種類や内容では、それぞれの人の能力に応じ自立した日常生活を営むことは不可能なわけです。ですから、やはりそういうさまざまなものを組み合わせた計画が立てられなければならないし、それを組み合わせる計画にしていかなければならないんだということが利用者の方にも、それからこれからやる保険者自治体にも一般の市民にもわかるようにきちんと説明をされることを求めたいと思うんですが、ぜひ徹底していただきたいと思います。
  144. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 大変貴重な御指摘でございますので、それを踏まえましてこの趣旨が徹底するように努めてまいりたいと思います。
  145. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、低所得者の利用料負担の軽減措置についてですけれども、やはり介護医療費ほどの高額な費用ではないにしても、介護保険給付サービスの費用の一割を利用者が負担するわけですから、さっきの今井議員の指摘どおり、やはり低所得者の実態をまず把握していただきたいと思います。  そして、やはり従来の低所得者の概念といいますか定義から、個人の尊厳を踏まえた低所得者の位置づけに応じて、そういう考え方を変えた上で低所得者対象者の範囲というものをもっと本当に吟味すべきだと思います。  また、一割の自己負担が一律にあるわけですから公平であるとは言えるかもしれませんが、非常に逆進性があります。ですから、介護保険介護の普遍化を旗印としながら、貧富の差がここで作用する仕組みになっている。この点については十分注意しなきゃいけないし、そういう問題が起きないように配慮をしていただきたいと思います。  そして、高額介護サービス費についての上限設定というのはどういうふうになっているのか。とりわけ、重度で長期化する利用者というのはやはり非常に負担が大きくなりますから、そういう負担の大幅な軽減を図る必要が私はあると思いますが、この点について低所得者の対策というのを本当に十分にしないと非常に問題が起きると思います。大臣、この点についての御見解をお願いいたします。
  146. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 高額介護サービスの利用者負担の上限額の問題でございますけれども、これは医療保険の高額療養費が既にございますが、そういったものとの考え方の整合性、あるいは介護保険は今御指摘のように特に長期にわたって継続してサービスが行われることが一般的に想定されております。そういうのが介護の特殊性でございますが、そういうことを踏まえまして今検討中でございます。  具体的に申しますと、一般の場合のほかに、所得が一定水準以下の方につきましては通常の負担上限額よりも低い額を適用したいということで今検討中でございますし、負担上限額の設定に当たりましては医療保険の高額療養費における多数該当の特例等との均衡も配慮しながらやっていきたいと。それで、具体的な負担上限額の設定を含めまして、今後さらに検討を行って決定してまいりたいというように思っております。  介護サービスの一割負担は、もうこれは定率負担でございまして、それを受けて納めなければならない低所得階層の対策というのは極めて重要なことでございますので、御指摘の趣旨が十分生かされるような方向で今後検討を続けてまいりたいと思います。
  147. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひお願いいたします。  次に、介護保険の利用の際の苦情ですけれども、これは都道府県国民健康保険団体連合会が受け付けることになっております。しかし、介護というのは日常生活の中の問題ですから、それはやはり住民の最も身近な市区町村において苦情処理体制を整備していくべきではないかと考えます。  そういう状況で、この市区町村の取り組みというのは一体どうなっているでしょうか。そして、介護保険保険者機能をもっと強化していくためにも、やはり市区町村が苦情処理人権侵害がないかという監視も含めた積極的な対応といいますか機関をつくっていくことが必要だと思いますし、また住民の参加といいますか、住民本位の苦情相談窓口とか、そういう対応の機関をつくっていく必要があると思いますが、それらについて厚生省はどういう考えと指導をなさっていらっしゃるでしょうか。
  148. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護保険法上は、国民健康保険団体連合会、いわゆる国保連が県に一カ所あるわけでございますが、ここに苦情が受け付けられまして、これを受けまして必要な改善措置を行う、こういうものでございます。身近な市町村、これは保険者でもあるわけでございますので、保険者としての市町村が窓口になって苦情処理に当たるというのも当然あるわけでございます。  御指摘のような一般市民の窓口というのも当然あろうかと思うわけでございます。ただ、実質的にやれる点においては、例えば悪い業者がいたときの摘発の端緒になる可能性は当然あるわけでございますけれども、指定の取り消しにつながるような苦情処理、こういったものはやはり市町村とか国民健康保険団体連合会、これによります制度的な苦情処理を使う。ここから県の方に行って、県の方で処分をする、こういうふうなことでございますので、市民団体の窓口が市町村等の制度的な代替になるのはちょっと難しいんではないのか、こんなような感じを持っております。
  149. 清水澄子

    ○清水澄子君 県でやる代替をというんじゃなくて、やはりもっと身近に相談窓口がまず必要だと思います。そしてその中には苦情もあるんですね。ですから、それはできるだけ市町村にやるように指導されることを要望しておきます。  次に、ホームヘルパーの質の向上と雇用の確保についてですけれども、ホームヘルパーの質の向上を図るためには、十分な研修のほかに、やはり安定した雇用が図られるような介護報酬等についての十分な配慮が必要だと思います。その点もまだ決まりませんという御答弁に決まっちゃっているんですけれども、その点は本当に十分に考えていただきたいと思います。  ところで、政府は七十七万人の雇用計画を打ち出しておられるわけですが、保健とか福祉分野での新規雇用というのは十万人にすぎないわけですね。このような消極的な対策では、この超高齢社会における介護需要を満たせるだけのヘルパーとか福祉関連の人材を確保できないのではないかと心配します。  そしてまた、中央省庁の再編で厚生省と労働省が今後統合されることになっておりますけれども、保健福祉分野での雇用確保を含めたポスト新ゴールドプランを早急に策定される必要があると思います。それを一度労働省とお話しになっているのかどうか。そして、そういうことをやられることが今日の雇用の不安と介護の不安の両方を解消していくための施策になると思いますので、これは大臣、この辺はもっと声を大きくして、福祉版ニューディール政策と銘打って実行されるということを私は強く要望いたしますけれども、ひとつ大臣の御所見をお聞かせください。
  150. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) ホームヘルパーの待遇につきましては、私どもも十分配慮しないといけないと思っております。報酬につきましては、全体の平均的な費用を勘案しながら最終的に決定することになる。なるべく早期に見通しをつけた方がいいと思いますが、それ以外にもやっぱりホームヘルパーの方々の身分的な問題とか、これは常勤であるのか非常勤であるのか、アルバイトであるのかNGOであるのかどうか、いろいろの対応が考えられますので、そういった人的な整備を図らないと介護も血の通った生きたものになりません。そういう点を配慮していきたいと思っています。  それから、雇用面におきましては、今七十七万人の雇用について言及がございましたが、これは閣議におきまして雇用対策本部を設けまして、その中で数値目標を示したものでございます。この七十七万人というのは両年にわたる、つまり十一、十二年度にわたるものとして一応予定をさせていただいておりますが、注意深くあの計画を見ていただけばわかるように、私ども関係では十一年限りということで十万人ということにしてございますので、その点は誤解のないようにお願いしたい。  私どもとしては、確実に見込まれ得るものだけを計上する。これはなぜかといいますと、一般的にマクロ的に推計のできない性格のものでございまして、施設とセットになっておりますから、確実なものという意味で、私どもとしては十万人のうち八万五千人くらいは介護関係、あと一万五千人くらいを障害者その他の福祉関係というように見込んでおりますが、極めて現実的な数字でございます。  なお、これからどの程度ふえるかということでありますが、毎年十万人ずつふえるかどうかは定かでございませんが、総じて言えば、今四十五万人くらいでしょうか、それが大体年間八万人くらいずつはふえていきますので、雇用創出の意味でも十分検討しなければならぬというふうに思っております。  なお、このゴールドプランにつきましては、ホームヘルパーだけの計画ではございませんので、各市町村の実態調査の結果を踏まえまして、十一年が一応の終期になっておりますから、当然それらを見ながら今後基盤整備を、ホームヘルパーを含めてどのような姿に、量的なものにするか、年次計画をどうするかということは、改めてまた検討すべき課題だと思っております。
  151. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひそれを強力に進めていただきたいと思います。  次に保険料なんですけれども、これはさっき二千五百円を変えたらどうかという意見がありましたが、私は逆に二千五百円の基準額はこのまま三年間は変えないで続けていただきたい。そうしないと、基準が変わっていくことは、さらにこの算定の基礎がいろいろ変わっていくと思いますので、私の方は逆に基準額は変えないということにしていただきたいと思います。  次に、介護保険保険料が高くなる一つの要因としては、やはり高コスト型の療養型医療施設の乱立している地域といいますか、そういうところだと思うわけです。特養ホームや在宅居宅介護などの要介護者が本当に必要としているサービスを適切に提供できて、しかもコストの安いサービスの普及を促進していくという観点からも、療養型病床群が余りにも地域に偏在しているところ、適正病床数について他の介護サービスの参入を抑制しないような、そういう配慮、施策が必要だと思うわけです。ですから、その点で厚生省は毅然とした御指導をお願いしたいと思いますが、大臣、その点いかがでしょうか。
  152. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) せっかくの委員の御指摘でございますけれども、二千五百円というのはこの制度創立の際に平成七年度価格で一応のめどとして提示したものでございまして、保険制度である以上、公費負担はかなり投入はいたしますけれども保険料給付のバランスはどうしてもとらざるを得ないので、これは残念ながら二千五百円で据え置いて、あとは補てんをすべきであるという考え方をとるわけにはまいりません。  なお、療養型病床群等が多いということによって保険料も上がるということは先ほど来議論のあるところでございます。私どもとしては、療養型病床群の施設状況等をよく勘案しながら、特別養護老人ホーム、老健施設あるいは療養型病床群等施設介護の中のバランスがよくとれていくことが必要でございます。  単価的にも全く医療施設と同等でいいのかどうかという点は、先ほど来今井委員からも御指摘がありましたが、私としてはある程度将来的には介護施設としてのスタンドポイントをより強調して見直す必要があるのではないかというように考えております。
  153. 清水澄子

    ○清水澄子君 最後に。現在福祉サービスを受けていて介護保険適用年齢に達していない六十五歳未満の若年障害者に対する介護のあり方なんですが、これらについては介護保険サービスと遜色のないサービスの質をやはり確保していく必要があると思います。これを早い時期に実施すべきだと思いますが、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  154. 今田寛睦

    説明員(今田寛睦君) 若年の障害者に対します介護サービスにつきましては、委員指摘のように、介護保険法案をお決めいただきましたときの附帯決議におきまして「高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、」という御指摘を受けているところでございます。その中に、高齢者に対する給付に加えまして障害者プランを十分充実していくということが指摘されておりますが、これにつきましては障害者の皆さん方は大変大きな期待を持っていらっしゃるということもありまして、このプランの着実な推進ということが一つの大きな柱になろうかと思います。  さらに、介護保険で提供される介護サービス以外にも、例えばガイドヘルパーでありますとか手話通訳、このように障害者の皆さんの多様なニーズに応じまして各種の施策についての充実に取り組んでいるところでございます。  さらに、先般、身体障害者福祉審議会の方から御意見をいただきまして、地域生活する障害者を支援するための相談支援体制の強化でありますとか、それから在宅福祉サービス充実あるいは社会参加の促進といった御指摘がございました。この意見具申を踏まえまして、私どもはこれらに沿って一層の充実に努めていきたい、このように考えております。
  155. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  156. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、最初に制度について若干の御質問をし、その後、時間がありましたら運営の実態につきまして質問したいと思います。  最初に、保険料の算定方式についてでございますが、これは非常にわかりにくい。一般的に我々が解説を受けていますのは、介護保険の財源のうち保険料が占める割合が五〇%である、人口比に応じて一七%分を六十五歳以上の高齢者負担する、これが一号保険料だと、それから三三%分を四十歳から六十四歳の人たち保険料で賄う、これが二号保険料だというふうに言われたわけです。  これは一体どこに書いてあるか。政令案は手元にありますので、これは参考資料として厚生省からもらったわけですけれども、百分の三十三というのは、介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令案要綱の2の(2)に「平成十二年度から平成十四年度までにおける第二号被保険者負担率は、百分の三十三とする」と書いてある。ところが、百分の十七の方は一向に書いていないんです。書いていないけれども、よくよく見ますと、最初の方の介護保険法施行令案要綱の七ページに「(2)基準額の算定方法」というのがありまして、「基準額は、事業運営期間ごとに、各市町村において、①に掲げる額を②で掲げる率で除して得た額を、③に掲げる数で除して得た額として算定する」と、こういうふうなことが書いてあるわけですね。これからどうして百分の十七というのが出てくるのか、さっぱりわからない。  それから、さらにここで問題になるのは、aからbを引いて、それが第一号保険料だというのは読み取れないわけじゃないんですけれども、「国の負担金、国の調整交付金、都道府県負担金、市町村負担金、介護給付費交付金」、これはそれぞれ法律規定されていますが、「等の介護保険事業に要する費用のための収入の合計額。」と。この「等」というのは一体何なんですか。これが入りますと百分の十七というのは出てこないんじゃないかと私は思うんです。  そこで、これは今突然のあれですから、私はもう何度も読み返してよくわからないものだから、おたくの方でつくってくれた図式の資料を見ました。  一般的に、国が二五、都道府県が一二・五、市町村が一二・五、そして保険料の方は一号と二号で一七と三三というふうに図式化されておりますけれども、まず第一に一七と三三の仕分けを明確にしていない。  それから、国の負担というのも、法律では保険料に占める国の負担割合は二〇%と書いてあるわけです。調整交付金が五%と書いてあります。これは負担と言っていないんですよ、法律では。ですから、いつの日かこれは事務経費に対する補助金と同じように除かれた場合には、保険料の方の負担割合が五〇%と言っているのがあるいは五五になるかもしれない、そういうふうな読み方もできないわけじゃない。  さらに、一七%と三三%というのは人口構成の割合で振り分けたというんです。人口構成の割合が変わりますと、一応三年間このとおりだと言っているんだけれども、三年過ぎたら一号と二号は変わってくるかもしれない。そういうことですね。その実態についてまずお聞きしたい。
  157. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護保険の費用の負担関係でございますけれども、国が二〇%プラス五%の調整交付金ということでございます。それから、市町村都道府県が各一二・五%の負担になるわけでございます。残りの五〇%につきまして、これは四十歳から六十四歳までの人口と六十五歳以上の被保険者の数で比例配分をする、こういうことでございます。  十二年度から三年間は一号が一七、それから二号が三三ということになっているわけでございまして、これから高齢化が進んでまいりますので、そのときには当然のことながら一七の方がふえていくということで、一号の方がふえて二号の割合が減る、こういう見通しがあるわけでございます。
  158. 入澤肇

    ○入澤肇君 それが今まで要するに物の本に書いてあったり、あるいは皆さん方が新聞記者にレクチャーしたりした説明だと思うんです。ただ、これが法律や政令あるいは施行規則等に明確に書いてあるかというと、必ずしもそうじゃないんじゃないかと思いまして、今御指摘申し上げているんです。  まず、調整交付金というのは国の負担割合とは言っていないわけですね。これはただそのようにカウントしているだけなんです。法律上は負担割合と言っていない。それからさらに、一号の保険料の、きょうはいいですから後で教えてください、「介護給付費交付金等」というのは一体何を意味するのか。これが意味する場合が広いと百分の十七とかにならないのじゃないかと私は思うんです。  要するに、保険料というのはこれはやっぱり権利義務でしょう。租税法定主義の原則に基づけばきちんと法律に明確に書かなくちゃいけない。政令や条例に委任して書かれるのはいいですけれども、少なくとも法律を見れば、だれがどれだけの分を負担するという明確な基準は政令だとかあるいはさらにその下の省令に落とさないで私は書くべきだと思うんです。この点をまず一つ指摘しておきたい。  それからもう一つ、六十五歳以上の高齢者保険料、これは市町村ごとに必要な費用の一七%をその地域に住んでいるお年寄り全員で負担するという考え方ですね。そうすると、過疎地域なんかでお年寄りがうんと多いところは大変な負担になります。そこで広域連合というふうな話になっています。先ほどそれはちょっとおかしいんじゃないかという御指摘もございました。  私は、むしろ各地方の実態を見ますと、市町村保険者になっているけれども、むしろ都道府県単位でやった方が後々保険料サービスの水準についてのいろんなトラブルを防止するためには適切じゃないかと思うんです。市町村ごとの保険料の算定を広域連合まで認めるのであれば、都道府県単位で認めるような考え方は一体考えられないかどうかということを、もう法律ができてどんどん進んでいますから今さらということかもしれませんけれども、しかし問題が起きたときのためにもう一回そういうふうなことも検討しておくべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  159. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 市町村保険者をお願いするということにつきましては、これは福祉サイドが中心であったわけでございますけれども市町村の方に在宅サービスを移す、それから施設措置費市町村にお願いするというふうなことで、市町村という一つの広がりの中で福祉の施策を展開する。  それから、もともと医療それから保健があるわけでございますけれども、これは極めて地域性があるわけでございまして、そういう意味では受け皿としては市町村が一番いいのではないか、こういうふうになっているわけでございますけれども市町村の中には非常に小さなところもあるわけでございます。そういう意味で、周辺の地域一緒になって、特に老人保健福祉関係では医療圏と同じような老人保健福祉圏というものをつくっていただいて、いろいろな計画をつくってもらっているわけでございます。  そういう意味では、そういう単位でできれば恐らく理想的だったと思うのでございますけれども、県となればちょっと大き過ぎる、今の小さな町村ではなかなか難しいということで、市町村の合意のもとで広域市町村というのができて、その中で介護認定をやる、場合によっては保険財政も一本化する、こういうことでございます。  先生指摘のようなケースで福岡県の例があるわけでございます。政令市は別にいたしまして、そのほかの大部分の市が一緒になって保険者になる、そういうケースもあるわけでございます。これは私どもが想定するよりは非常に大きいわけでございますけれども、これも一つの方法かなと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  160. 入澤肇

    ○入澤肇君 そうしますと、今まで報道されている中で、あるいは皆さん方が各都道府県から集めている資料の中で、保険料ばらつきについての現時点での実態はいかがでしょうか。しかも、どういう理由でそういうばらつきができるのか。例えば六千円というところもあれば千五百円というところもある、四千五百円というところもある。在宅施設の割合とか、それから高齢者の数の割合とか、いろいろと言われておりますけれども、何が原因でどのようなばらつきになっているのか、それからどこら辺に落ちつく見通しかということについて、現時点で把握している資料がございましたら、御説明願いたいと思います。
  161. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 私ども、本当に少ししか漏れ聞いていないわけでございまして、先ほども申し上げましたけれども全国市長会が調査をされまして、一部発表されたわけでございますが、その中で非常に高いものがあったわけでございます。そのほかにもぽろぽろマスコミに出ているというのは承知いたしておりますけれども、私どもが直接中身をいただきましたのは市長会を通じていただいたケースが幾つかあるわけでございます。  高いところだけ見せていただいたわけでございますけれども、それを見ますと、やはり療養型病床群が非常に多い、特にシェアが多いというところが一つ。それから、在宅サービス、平均的に見ると四〇%行っていないんではないかというような感じがするんですが、それを一〇〇%で見込むとか、そうなりますとすぐ千円、二千円は狂ってくるわけでございまして、そういうところが非常に高いということです。  それから、恐らく低いところはまさに過疎地のようなところで、余りサービスがない、こうなりますと保険料もない。そういうところでもたまたま病院に入る人が多い、施設に入る人が多いということになりますと急にはね上がる、こんなようなことでばらつきがあると思っております。  それから、調整交付金の関係では後期高齢者、七十五歳以上の方々が多いところ、これについては調整はいたしますし、それから所得が低いところには多目に行く、所得が高いところには低目に行く、こういうふうな調整はできることになっておりますが、サービス水準そのものについては今の条項ではできかねるわけでございまして、一部できるかどうかについて検討していると、こういうところでございます。
  162. 入澤肇

    ○入澤肇君 そこでもう一つ、解説的にわかりやすく説明していただきたいんですけれども、特養ホームに入っている入居者が今度は介護認定を受けてこの保険制度の対象になりましたと。その場合に、モデル的なケースでいいですから、本人施設の経営者、この費用負担関係がどうなっているか。今までは措置費本人生活費、今度は介護報酬本人の利用料になりますね。これが全体としてどうなるかということを教えていただきたい。  さらに、この措置制度から保険制度に変わることによって、国の措置制度がずっと続いた場合とそれから保険制度になった場合の国の財政負担は将来を見通してどのように変わっていくのか、この二点についてちょっとお話し願いたいと思います。
  163. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 現在の措置制度もとにおきましては、市町村施設に対しまして運営費、これは措置費と称しているんですが、運営費をお支払いしまして、それから利用者とその扶養義務者から所得に応じまして費用徴収をする、利用者負担を徴収する仕組みになっているわけでございます。  これに対しまして、介護保険制度になりますと利用者が、要介護度に応じまして異なりますけれども、その介護費の費用の一割と食費の一部、それから日常生活費を施設に対して支払うわけでございます。その残りの費用につきましては市町村から介護報酬施設に支払われる。これはいわゆる代理受領というふうな形で利用者にかわって施設がいただく、こういう形になるわけでございます。  それで、介護保険制度措置制度の変更によりまして、それと老人保健施設等の医療費の負担関係も変わってまいりますので現行制度と比較してどうなるのかと。国庫負担関係でございますが、これも七年のころの推計でございまして、これがそのまま現在でも生きているというわけではございませんけれども、そのときの一定の前提を置いて計算いたしますと、国庫負担額は差し引き三千七百億円ほど減るということでございますが、その後におきまして当然のことながら単価アップをいたしているわけでございます。  先ほどのホームヘルパーの単価なんかもかなり当時よりは引き上げているわけでございまして、それからその後においても整備も進んでおりますので、恐らくこの額より大分下回るような額になろうかと思いますけれども、ある程度の減額が見込まれるということでございます。しかし、その後、給付費の水準が上がってまいりますと、今の措置費制度で行くよりは国庫負担は当然のことながらふえてくると、こういうことでございます。
  164. 入澤肇

    ○入澤肇君 前者の言葉で説明したところをモデル的なケースで数字で説明して、比較表みたいなものをできれば皆さん方にも配っていただいた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、よろしくお願いします。  そこで、さらに介護保険関係の省令、この分厚いやつをみんな読ませてもらいました。特に別紙五というのがございましたね。覚えていますか。官報にも載せられているんだけれども、療養型の介護サービスのところの省令、要するに余りにもたくさん書類があり過ぎてわかりにくいんですけれども、余計なことまで書き込んでいるんじゃないかというのが私の印象なんです。  例えば、皆さんからいただいた別紙の五は療養型医療制度についての省令です。この中に診療の方針などとか何か書いてあるでしょう、お医者さんはこうしなくちゃいけないと。私はこれを読んでいて噴き出しちゃったんですけれども、そんなにお医者さんを信用できないんですかねという感じでございまして、そんなことは省令に書く話じゃなくて、むしろ注意事項として念のために局長通達か何かで出せばいいんであって、省令で仰々しく官報に掲載するような話じゃないのじゃないかというのが一つ。  それから、省令で書くべきことと一般的に法律で書くべきことが混在していると。それはこの別紙五の十一ページの⑨とか⑩ですね。要するに、特別にサービスを強要して特別な金を取っちゃいけないとか、そういうふうなことはむしろこんな省令で書くべき話じゃなくて、極めて重要な話ですから法律に書くべきだと私は思うんです。  というのは、現に私は自分の親戚が特養ホームを経営していますので聞いてみますと、個室の数が少ないという場合、競争が激しいでしょう。何とかして入れてもらいたいためにやっぱり特別なお金が動くと。それは拒否する、もらったらいかぬから。特に私がこういう立場にいるものだから、何か事件を起こしちゃいけないと思って非常に注意深くやってくれている、そんなことも聞くんです。  そういうふうな話は省令とか何かに書くのじゃなくて、私は法律に書いておくべきじゃないかなと思うんです。特にこの療養型の施行規則については、法律に書くべきこと、それから通達でよいこと、いろいろと混在しているので、この辺について私は見直すことが必要じゃないかと思います。指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準の七ページから八ページ、それから十一ページは、これは特にもう一回精査し直すことが必要じゃないかなと思うんですが、いかがですか。
  165. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) これをどの程度のところに書くべきかどうかについて確たることは言えないわけでございますが、診療の方針につきましては、現在でも医療保険関係で療養担当規則というのがあるわけでございまして、これは省令で書いておりまして、それと並びで書いてあるということでございます。  確かに、秘密の保持でございますとか利益供与の禁止は法律で書くことも当然あり得るかと思いますけれども、省令の具体的な指定基準という形で、これに違反をしたときには当然のことながら処分といいますか、場合によっては取り消しの対象になる基準、こういう形でこの中に書かせていただいた、こういうことでございます。
  166. 入澤肇

    ○入澤肇君 膨大な関係資料ですから、適宜直せる機会があったら私は直していただきたいと思うんです。  そこで、特養ホームを経営している人からの現場の声として幾つかあるんですけれども、特養ホームの入居者が入院する場合、現行制度は特養と医療保険の適用があって、いわゆる二重の籍だというふうに彼らは言っていますけれども、適用されます。これが特養ホームの入所者にとっては非常に安心感になっている。  ところが、今度は介護制度で一たん入院してしまうと、その後戻ってこられないんじゃないかというふうなことが大変心配で、恐らく病気でも入院しないで特養ホームの中で手当てしてくれというケースが出てくるんじゃないかというふうに言っていますけれども厚生省ではこの点について、入院を外泊扱いするからというふうなことを口頭で指導しているように聞いているんですけれども制度の運用として具体的にどのような方針で臨むのか、お聞きしたいと思います。
  167. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先般制定いたしました指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準というものを設けまして、この十九条で入所者の入院中の取り扱いというのを定めているわけでございます。  そのときに、これは特別養護老人ホームでございますけれども、入所者につきまして入院の必要が生じた場合には、おおむね三カ月以内の退院が明らかに見込まれるときには、その入所者の希望を踏まえて、その者に対し必要に応じ日常生活上の必要な便宜を図るとともに、やむを得ない事情がある場合を除き、退院後再び施設に円滑に入所できるようにしなければならない、こういうふうに定めたわけでございます。  ただ、空床になりますので、こういった扱いをどうするか。今まで三カ月そのまま空床という形で運用してきたわけでございますけれども介護保険上はそこまで甘くというわけにはいかぬだろうということも含めまして、その取り扱いでございますとか介護報酬上の評価につきまして工夫をしなきゃいかぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
  168. 入澤肇

    ○入澤肇君 そのほか、例えば五年の経過措置期間がございますね。自立と判断された場合、この期間利用できる。しかし、そのときに施設の運営者にとっては現在よりも安い介護報酬が支払われることになって、その分だけ経営が不安定になるといいますか、その分だけ赤字がふえるというふうなことも心配しております。  それから、特養ホームの入居者が自立と判断された場合でも自宅介護ができない場合が非常に多い。だから、どうしても家庭のインフラの整備が必要だ、家庭に戻れない人が多いということを経営者は指摘しております。  それから、在宅介護の場合、家族への介護報酬給付というのは私はある程度必要じゃないかと思うんですけれども、これについては賛否両論で、主婦を縛りつけることになるのじゃないかという声もあるというようなことが言われております。  最後大臣に、痴呆のお年寄りが二〇〇〇年には百五十六万人にもふえる、二〇一〇年には二百五十万人、それぞれ六十五歳人口の約一割と想定されるということが言われているんですけれども、この点についてはむしろ保険制度ではなく保険制度措置制度を組み合わせた、介護保険制度全体はいいんですけれども、こういう部分について特に重度の高齢者介護につきましては措置制度を継続する、税方式でやるというふうなことも検討しておくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  169. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 高齢化社会を迎えまして、その特徴的なことは痴呆性老人の出現です。そしてまた、いろいろ生活習慣病と言われるような老人病等が介護の原因になるわけでございまして、まさにそういったものを今度の保険システムでやろうということでございますので、痴呆性老人を除いてそれは措置でやる、あとは保険はそれを除いたところでというような考え方は、立法過程でいろいろ御議論があったかもしれませんけれども、私としてはそういうことは今考えておりません。
  170. 入澤肇

    ○入澤肇君 終わります。
  171. 堂本暁子

    堂本暁子君 私は、まず家族ヘルパーの雇用条件について伺いたいと存じます。  現在、いわゆる家族ヘルパーを認めるかどうか、審議会で議論が行われているようですけれども、家族ヘルパー、つまり介護報酬として家族への現金給付を認めるかどうかという考え方、これはまさに塩崎委員今井委員、私など介護保険法律を考えているときに一番議論のポイントに、問題になったことですが、私ども政治家の手を離れて、今、審議会の中で御議論が展開されている、そういったことのようです。  ドイツの場合には現金給付というのも行われていますけれども、その場合には、看護婦さんの介助者として、労働者として相当厳密にやっている。例えば、家族であったとしてもきちんと労災とか医療保険とか雇用保険に入ることを義務づけているそうです。  私ども女性の側からは、現金給付については反対の声がやはり大変多うございました。それは、嫁しゅうと、お嫁さんがおしゅうとめさんやそれから奥さんがいろんな人を、自分の実家の両親とかいろいろお世話をすることで大変な労働を強いられる、介護が社会化しないという現状が一番危惧されていたわけですが、日本の場合にはなかなかドイツのように個人主義が徹底していない。特に地方へ行けば行くほどまだ長男が見るべきだというような考え方のあるようなところで家族ヘルパーが導入されるというとき、一体どういうふうにして実質的に家族の、それが女性とは限りませんけれども介護労働が担保されるのかというあたりが私は大変問題だろうというふうに思っています。  介護報酬は、今のところのお話だと直接行政から支払われるようなやり方をとるということを伺っておりますけれども、その中で、ちゃんと労働を雇用条件として担保するのか、あるいはそれこそ労災とかそういうことまで考えるのか、そういったあたりのところをきちんと整備しないと、樋口惠子さんの言う介護地獄というのがまた女性に続いてしまうということですので、厚生省の見解を伺いたいと思います。
  172. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) いわゆる家族ヘルパーを認めるかどうか、これについては審議会で今御審議をいただいている最中でございまして、甲論乙駁がございましてなかなかまだ決着がついていないということで先送りになったわけでございますが、近いうちにこれも決着をつけなければならぬと思っているわけでございます。  確かに、反対の方の御心配のように、先生の御指摘のように介護地獄にまた舞い戻ると、こういうふうな可能性も、まさに家庭の中で行われるわけでございますので、それを透明な形に持っていかない限りにおいてはなかなか心配である、こういうことであるわけでございます。  これはまだ決着がついていないわけでございますが、仮に認めるという形になりますと、やはり家族ヘルパーの方は有資格のヘルパーであることが当然必要であるわけでございますし、それからどこかの訪問介護の事業者の職員になってそのケアプランに基づいてサービスを提供する、こういうのがどうしても必要なのではないか。そうすればかなりの憂慮すべき点もなくなる可能性もあるわけでございます。  ただ、一般的にこういうものを認めるかどうかというのも大変問題であるわけでございまして、他のヘルパーが得られないような過疎、離島であるとか、こういったようなところで場合によっては考えられるのかな、こんなような感じでございますが、いずれにいたしましても現在審議会でまだ御論議をいただいている最中でございまして、その結論を得て対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  173. 堂本暁子

    堂本暁子君 ぜひともお願いしておきたいことは、どうしても日本の場合は女性の側に負担がかかってしまうということなんですね。  これは、今の場での質問が適当かどうか迷いますけれども、例えば医師とか薬剤師という言葉に使う師という字と、それから看護婦というのは雇用機会均等法が通っても相変わらずおんなへんの婦が使われている。しかし、こういった高齢化した社会の中では大変重労働で、看護婦ではなくて男性がどんどんこの領域に参入していくことが大変大事だろうと思うんですね。ところが、相変わらず看護婦という言葉自体が変えられていない。理学療法士にしても薬剤師にしても全部男女が使える言葉ですが、看護だけはなぜかナイチンゲール的な言い方に終始しています。  しかし、時代の変化の中でもっと男性が参与していいのではないか。看護学校なんかでも一クラスに三人ぐらいしか男性がいないそうです。やはり婦という字がついているがゆえにそれは女性がやるべきことだという、逆に性別の役割というか、これは女性向きの仕事であるというようなやり方でなされてしまう危惧があるのではないかと、介護保険のことを考えれば考えるほどそう思うわけなんです。  そこのところを、今、保健婦さん、看護婦さんが大活躍していますけれども、やはり男性がもっと参入しやすくすることも家族ヘルパーと一緒に大事なことじゃないかと思います。これは、これに直接関係のあることではなくてちょっと間接的な問題ですが、何か御見解がおありになりますでしょうか。
  174. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 男女共同参画型社会基本法というのが出されておりまして、委員が大変御熱心に取り組まれておることも承知しております。そういった視点から見ますと、子育てにおいてもあるいは看護の領域においても、男性が女性と平等の立場で参画していくということは、これから将来像として私はそうあるべきだとも思います。  しかし、今、看護婦さんのお話が出ましたけれども、看護士といったところで、現実には百数十万人の看護婦さんがいらっしゃいますし、それがすべて看護士となってあと男性の余地があるのかどうかということになると、なかなかそうも一遍にはいかないという問題がありますが、意識の問題としてはやっぱり、男女雇用平等法という法律ももう改正されておりますし、男性であろうと女性であろうとその性別の特性に応じたものはもちろん残ります。残りますが、しかし基本的には平等な資格で参画して何ら差し支えない、私はそう思います。
  175. 堂本暁子

    堂本暁子君 逆に、介護の領域は若い男性の参入が非常に求められるところだと思います。これだけ雇用の問題が言われている時代ですから、大いにそこに市場があると思うんですね。ですから、積極的に介護の領域に男性が参入していいのではないか。保育と同じで随分背中、腰が痛くなる、重い患者さんというか高齢者の方を抱えるために痛くなるという話は聞いています。ですから、それはもう少し積極的に男性がやる仕事が多いんじゃないかというふうに私は思っておりますので、これは今思いつきでちょっと意見として言わせていただきました。  次に伺いたいのは、介護保険事業計画の作成委員会に公募の制度を入れるかどうかということです。これも審議会で今御審議中のことと伺っておりますけれども、やはり被保険者意見を反映させるということ、これは大変大事なんじゃないかと思います。そのことは介護保険法の第百十七条にも衆議院で修正が加えられているというところなので、ぜひともここのところは担保していただきたい。参議院でも附帯決議がついています。  こういった公募を入れることがやはり介護保険を未来型のものにする。一番いいのはやはり透明性を担保することですし、それから住民が主体である、住民が参加するといった形で介護保険が運営されるということの重要性を考えますし、それからNPOの人などが今度これからやるとき、やはりそういったところに自分で積極的に参加していきたいという人が入るシステムができた方がいいと思います。この点については明確に示していただくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先生指摘のように、介護保険法の第百十七条第五項で被保険者意見を反映させるというふうな条項があるわけでございまして、介護保険事業計画をつくるに当たりましては、地域住民意見を反映させるために必要な措置を講ずることになっているわけでございます。  計画作成委員会の委員の公募制につきましては被保険者意見を反映させる適切なものと、こういうふうに考えているわけでございまして、公募制を含めまして積極的な被保険者の参加を指導したいということで、現在、私ども審議会に基本指針ということで諮問をいたしておりまして、公募その他の適切な方法による被保険者を代表する地域住民の参加に配慮する、こういうふうな文言を入れさせていただいているところでございます。
  177. 堂本暁子

    堂本暁子君 明確に伺いたいんですが、大臣がお出しになる予定の基本指針にきちっと公募という言葉を入れていただけるということでしょうか。
  178. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 基本指針に公募という言葉を入れたいということで今諮問をいたしております。
  179. 堂本暁子

    堂本暁子君 きちっと書き込んでいただかないと、市町村によってはやらないというようなところが出てくると困ると思いますので、きちっと書いていただきたいと思います。  それと同時に、介護保険事業計画の作成委員会にはぜひとも女性を大勢登用していただきたい。実際には、どんなに私が男性も参加すべきだと申し上げても、女性が介護を担う場合が多いわけですし、そういった意味で男女の構成を、ジェンダーのバランスをぜひともとっていただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。  きょう、松崎委員とか今井委員それから井上委員、皆さん御指摘になっているのが、実際に要介護の認定を受けたら特養から出なければならないとか、それから今までデイケアのサービスを受けていた方たちが介護の認定をされないというところがいろいろな形で問題になっていました。  特に松崎委員がおっしゃった、デンマークではできるだけ患者さんなりお年寄りなりが元気になるようにヘルパーさんが前向きに指導するという姿勢で臨んでいると言われたのは、大変私はよかったと思っているんです。それから今井委員は、予防にまさるものはない、治療よりも予防が大事だということもおっしゃいました。ところが、今の認定の制度でいうと、むしろ歩けてしまったり何かができてしまうと下手をすると認定されないということで、積極的によくなろうという意思が薄れてしまうのではないかということを恐れます。そこが最大の問題ではないか。  私もきょうの質問があるのでいろいろな自治体にも聞いてみたんですけれども、地方へ行けば行くほど、そして自治体が小さくなればなるほど、例えば一万人以下とか五千人ぐらいの人口のところですと、今の老人保健法の中で受けているサービス、例えばヘルパーさんが来ます、そういった方のうちの六割ぐらいが認定されないというんですね。  それはなぜかというと、独居であって歩ける。だけれども、先ほど井上さんもおっしゃいましたけれども、男の方で自分で食事をつくることが下手だとか、それから虚弱な御老人であるとか、そういった介護の認定は受けないけれども今ヘルパーさんが行っていることで元気に生きていられる、そういった人たちがみんな認定されない可能性がある。そうすると介護保険の対象にならないわけですから、地方自治体は一体これをどうするのか。  先ほどどなたかの御答弁で、それは今までどおり福祉でやるんだというふうにおっしゃったんですけれども、それはちゃんと財政的な裏打ちがその場合なされるのかどうか、高齢者の場合に。財政的に裏打ちがないんじゃないかと思うんです。先ほどの百億円だけで全国市町村のそういった認定されないお年寄りに対してのサービスがとても賄えるとは思えないんですが、そこのギャップについてはどのようにお考えでしょうか。これは大臣に伺えたらと思います。
  180. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先ほど来、支援事業について言及され、また私もお答え申し上げておりますが、これは制度としては法律的な義務づけにはなっておりません。あくまで予算上の措置として考えておりますので、今後、来年四月から本格的に実施されますと、当然今御議論になったようなことが予想されるわけでありますので、それは十分配慮して予算的な対応はしていくつもりでございます。
  181. 堂本暁子

    堂本暁子君 ここに認定の調査票があるんですけれども、これを見ますと、その内容は厳密に身体的な要素を見ているということです。身体的には認定されないけれども精神的あるいは社会的な環境の人が一番問題です。それから、やっぱりボーダーラインのところが問題だと思うんです。  私も先般来ずっと医療の協議会に出ていて思っていることは、やはり予防だと。いかにして寝たきりあるいは痴呆の老人をつくらないか、ならないかということですね。個人にとって一番幸福なことは、寝たきりにならない、痴呆にならないということであって、まさに治療なり介護なりが必要になってからは保険の対象になるけれども、その前にいかにして寝たきりにならないための政策が、個人の人間であるにもかかわらず、制度的には大変遊離している。  ですから、介護保険の対象の方が使える施設と、それからその対象にならなかった途端にデイケアセンターが使えるのか使えないのかとか、介護保険センターはもう使えないそうです、介護保険センターは介護保険対象者以外は使えないというふうに現場へ行ったらはっきり言っていました。そうすると、そこにいろいろな福祉のためのサービスがあったとしても使えなくなってしまう。  一番大事なことは、まさに介護保険の対象になる前に、そうならないためにより元気になっていただくかということなんですが、やはり保健のプラン、それから高齢者介護老人保健の方と行政が余りにも二分していて、そこのところで、個人介護の対象になるかならないかでサービスが受けられるか受けられないかということになってしまう。やはり厚生省の中でもう少しそこのところの、介護保険の対象になる前の段階に対してどういうふうにこれから政策を具体的に展開していらっしゃるのか、そこのところが一番問題じゃないかというふうに思うんですね。  実際に来年の四月一日までにそういった相互乗り入れのようなことが可能なのかどうかを伺いたいんです。
  182. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 医学の分野でも予防医学と治療という問題がございます。私どもはやっぱり医学の分野でも病気にならぬようにすることが一番肝要でございまして、介護につきましても、今井先生のおっしゃったように、介護状況にならない手だてをいかに講ずるかということが極めて重要なことでございます。  ただ、これをいろいろお金をかけて奨励していくわけでございますけれども、これを保険の中でというわけには私はまいらぬと思いますから、これは別個に、生き生き高齢者、健康高齢者をつくるために国の施策としてかなり力点を置いていいのではないかと思います。  そして、今、委員のおっしゃられた中で非常に私も興味を覚えるのは、よくなれば介護の対象から外されるかもしれないということを恐れながらそのままいるという状況はやはりよくないと思いますね。だから、介護施設に入っても、あるいは介護の対象になっても、自立の精神で、どうしてももと状況に戻るんだという強い意思がないと、やはり本当の意味で介護というものは血の通ったものにならないと思います。  それがやはり基本だと思いますので、今のインセンティブをどうやって与えるかというようなことを制度的に仕組むことはなかなか困難ではございますが、あるべき姿としてはやはり高齢者あるいは要介護者に対しても自立の精神でとにかくきちっと、いろいろ訓練をしたりして力強く生き抜いてほしいということは、これは別個の問題として十分要請していくべきだと思います。  そんなことで、保健事業というのは非常に重要でございまして、私どもとしては、これは領域はちょっと違うかもしれませんが、非常に関係のあるのは、健康日本21というようなものを今策定中でございまして、少子高齢化社会を迎えますとそのことの重要性というのはますます高まってくると存じますから、大いに委員意見を参考にさせていただきます。
  183. 堂本暁子

    堂本暁子君 私も健康日本21も研究させていただきましたけれども、健康日本21の中には個々の、例えば七十代、それから八十代でもいいんですが、そういった個人個人に対してヘルパーさんが介護するというような、そういったものは組み込まれていないというふうに思います。もっと一般的な、運動のメニューとか栄養の指導とか、そういったことはあるんですが、そこと介護保険の間にギャップがあるわけですね。  ですから、はっきり伺いたいのは、例えば六千人ぐらいの人口の少ない中山間地区の過疎地なんかの市町村、やっぱり市だと二十万人ぐらいの人口のあるところはかえって多様なプランが立てられるかと思いますけれども、そういった本当に人口の少ない市町村、主に村や町ですけれども、そういったところで介護保険の対象にならない方が、それが民間であれ社協のようなところであれ、そういったところからヘルパーさんが行って、自宅で生活しているのを助けるための財政的な、本人が一割負担することは介護保険と同じにしたとしても、それ以外の九割のものを国、県、あるいは地方自治体、町なり村なりが出すというような、そういった仕組みはあるんでしょうか。
  184. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) ボーダーラインにある方をどうするかという問題だと思います。完全に自立した方にそういうことをやるということは必要ないわけでございますけれども、そのボーダーラインをどうやって、しかもはっきり言えば介護予備軍みたいな方をどうするかということだろうと思います。そこは基本的には地元市町村でお考えになるんだと思いますけれども、そこを国がどこまで支援できるか、こういう問題だろうと思います。そういうホームヘルプが、生きがい対策的なホームヘルプ、あるいは介護予防的なホームヘルプというのが認められるかどうか。これは新しい制度ができないと恐らく適用は難しいと思います。  したがいまして、先ほどの高齢者保健福祉推進支援事業、こういったものの中にもし入ればそういう中で市町村がメニューとして選べるということになるわけでございますけれども、現段階ではそこは入っていないわけでございますので、どういう形でこういう問題に対応できるか、これからの課題というふうに考えております。
  185. 堂本暁子

    堂本暁子君 私に来るまでに大勢の委員の方がそこを指摘されたと思うんですね。それで、そこはこれからの問題とおっしゃいますけれども、私は介護保険の一番の問題だと思います。  というのは、具体的に物すごく困っていますよ、地方自治体は。ですから、今の段階でいえば、別に介護予備軍じゃなくて、虚弱老人の方だとか一人だけで住んでいる八十、九十の方は、そこにヘルパーさんが行くことで別に特養なんか行かなくても生きていられるわけですね。それがそういった財政的な理由で行かれなくなるわけです、制度が変わると。これはやはり大変おかしいと思います。  ですから、私もここに参画していたので自分でも大変責任を感じるんですけれども、ここのところのおっこちる部分、これが聞いてみると必ずしも一人とか二人が欠落するんじゃなくて、何とか認定される方が半分ぐらい、あと半分がそういうヘルパーさんが行かれなくなると。それから、デイケアサービスをもう既にやめてしまった市町村もあるそうです、財政的なことで。  そうすると、今までそういうところへ通っていたお年寄りは一体どうなるんでしょうか。今までの質問の中にいっぱい私はそれが出ていたと思うんですが、そこに対しての明確な御答弁はいただいていないと思うんですね。今は、最終的に局長がおっしゃったのはこれからの課題と。だけれども、それが最大の課題なんではないかというふうに思います。  ですから、市町村がそれだけ財政的に負担することはできません、小さい町や村が。しかも、もうヘルパーさんの給料は出ないわけです。今は出ているけれども介護保険だけになるわけですから、認定されなかった人たちに対してヘルパーさんはただ働きするわけにいかないわけです。  ですから、ここのところをどうするのかというのが最大の課題だと思いますので、私は来年の四月一日までにはそこのところをきちっと何らかの形で担保できるような制度にしていただかないと、日本はもうとんでもない不満の渦、それから混乱の渦に巻き込まれてしまうという危惧を抱いております。  ありがとうございました。これで質問を終わります。
  186. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  私の方からは、まず老人保健福祉計画の見直しについての考えからお伺いしたいと思います。  この見直しの目的、それから介護保険事業計画、介護保険事業支援計画、こちらの関係の方からまず御説明をお伺いしたいと思います。
  187. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) まず老人保健福祉計画でございますが、この計画はそれぞれの地方自治体におきます高齢者に関します保健福祉施策全般にわたります計画でございまして、老人福祉法、老人保健法に基づきまして全国市町村都道府県が作成するものでございます。  一方、介護保険法に基づきまして市町村介護保険事業計画をつくるわけでございまして、都道府県介護保険事業支援計画を策定することになっているわけでございまして、この計画の中で介護保険給付対象サービス整備目標等を定めることになるわけでございます。  老人保健福祉計画は、介護保険給付対象のサービスだけではございませんで、そのほかにも老人保健福祉サービスを初めといたしましてその他の関連施策も対象にしているわけでございまして、基本的には市町村がつくられます介護保険事業計画、都道府県がつくられます介護保険事業支援計画、この二つを包含するものと、こういうふうに理解をいたしているわけでございます。  したがいまして、介護保険が施行されますと新たな高齢者保健福祉施策の再構成をする必要が求められるわけでございまして、介護保険事業計画等の策定とあわせまして平成十一年度末で終期を迎えます現行の老人保健福祉計画を見直すことにいたしたものでございます。  なお、介護保険事業計画、それから介護保険事業支援計画と老人保健福祉計画は整合性を持って作成される必要があるわけでございますので、この計画期間を同じものにするということで、通常は両計画が一つの計画になって一体的に作成されるものと、こういうふうに理解をいたしております。
  188. 西川きよし

    西川きよし君 そこでお伺いしたいんですけれども介護サービス基盤整備地域の需要に応じまして介護サービス整備目標を定め、計画的な整備のための方策を明確にする必要がある。その場合には、高齢者介護を要する状態になってもできる限り住みなれた地域家庭で自立した生活が継続できるように在宅サービス整備に重点を置くべきであると、こういうふうに記されているわけです。  改めてお伺いしたいのは、この在宅サービス整備に重点を置くべきであるというところを御説明いただきたいと思います。
  189. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護を要する状態になりましても、できる限り住みなれた家庭地域で暮らし続けると、こういうことが多くの高齢者の願いになっているわけでございまして、これにこたえられるように必要な在宅サービスを利用しながら家庭地域において生活を維持できるようにすることが重要だ、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、状態が悪化いたしまして家庭地域での生活が難しくなった方に対しましては、特別養護老人ホームなどの施設整備もあわせて進める必要がある、これは言うまでもないことでございます。
  190. 西川きよし

    西川きよし君 年をとりまして介護が必要となった場合、住みなれた地域で、家庭でというのは、これは私自身もそう思うわけですけれども、一方、地域の実情で施設サービスに重点を目指す自治体もあるわけです。  例えば、大臣地元であります大変福祉に情熱を持っていらっしゃるOBの方で佐久市の市長さんですけれども、実は私も読ませていただいたんですが、少し御紹介をさせていただきたいと思います。   私の少年時代は「親孝行したいときには親はなし」、だから親の生存中は一生懸命に親孝行しなさいと教えられたものです。しかし、今の世相は「親孝行したくないのに親がいて」と、こんな社会風潮です。国の福祉対策は在宅福祉を目指しています。しかし、こういう世相をみると、これから在宅福祉でやっていけるのでしょうか。「そんなに親を捨てたいのなら、私がお預かりしましょう」とばかり、私のまちは、これからの福祉施策の軸足を施設福祉に変えていきます。「倫理」「倫理」と叫んでみても、こんな世相で在宅福祉を目指すことは、とても無理ではないかと思うからです。   今の世の中で、福祉の諸施策の目標は、五十年前の社会福祉事業法制定時の「弱者救済」ではなくなっています。福祉に対する市民のニーズは、むしろ生活の安定を求める方向に変わっています。となると福祉施策へのニーズは際限がなくなります。一方、福祉の財源にも限界があります。費用対効果から考えれば、国の目指す在宅福祉では、あれもこれもで、結局は非効率なコストの高いものについてしまうような気がしてなりません。本当に在宅福祉でやっていけるのでしょうか。 こういうふうに書いておられるわけです。  今紹介させていただきましたこの記事ですけれども大臣はどういうふうにお感じになりますでしょうか。
  191. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 私どもは、三浦市長の今の引用なさった点、共鳴する点もありますけれども、同時に介護というのは、私どもの気持ちとしては、やはり家庭介護を温かく受けるということがどうも基本ではないかと思うんです。ただ、そういう条件がかなえられない場合もございますので、また身体上のいろいろの障害によって施設にどうしても入らざるを得ないという場合は、私はこれは当然施設整備すべきだと思いますが、親を見る若者の意識が廃れていくとか、そういうような状況の中で施設介護の重点をほとんど絞り込んでいくという考え方については、施設介護は否定するものではございませんけれども、いささかいかがかなと。同郷の市長でありますけれども、私はそういう感じは率直に持たせていただいております。
  192. 西川きよし

    西川きよし君 きょうは朝から大変すばらしい議論をいろいろとお伺いさせていただきまして、本当にいい委員会だなというふうに、僕自身も素朴に疑問にお答えいただきたいと思いましていろいろとみんなで考えたわけです。  以前のように在宅サービスあるいは施設サービスというものがはっきりしていた時代、施設サービスも基本的には在宅生活を支えるための一つサービスであったと僕自身はずっと思ってまいりました。その整備施設整備もあわせて充実をさせていかなければいけないのではないかなというふうに私自身は思うわけです。  もう一度お伺いしたいのですけれども、今後施設サービスのあり方について大臣はどういうお考えでしょうか。
  193. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、在宅サービスを基本とするというような大体方向を申し上げたわけですが、今申しましたように施設サービスの重要性を決して否定するものではございません。どなたかの質問の中で車の両輪と言われましたが、まさに言い当てているんじゃないかなと思うんです。  そういう意味で、在宅サービスという供給体制の整備も自宅だけではなしに、やはり自宅を根拠としてケアハウスとかあるいは高齢者生活福祉センターなどを拠点として必要な在宅サービス、これは施設サービスではございません、そういった自宅の延長といいますか、そういう範疇の中で在宅サービスのジャンルを広げていくことも私は重要だと思いますし、それから痴呆の場合のグループホームの整備とか、そういうことも必要だと思います。  高齢者の身体の状況とか、そういうものに応じまして、置かれている環境等も十分配慮しながら、適切な介護サービスができるということが重要なので、それに応じて在宅サービスないしは施設サービスの選択が可能なような状況をつくり出しておくということが国の責務としては重要だと思います。
  194. 西川きよし

    西川きよし君 次に、痴呆症の皆さん方の高齢者対策についてお伺いしたいと思います。  朝からお話が出ておりますけれども、二〇二〇年には二百七十万人ぐらいと。私もそのころには七十四歳になっておりまして、自分自身も大変心配であります。  以前にも何回となくこの委員会で痴呆症のお話、そして自分の父親の話もさせていただきましたが、我が家は年寄りが三人おるわけですけれども、父親一人がぐあいが悪くなると、僕の妻、息子の嫁、娘、僕たちも週末は帰りますので、みんなでお世話をするわけです。それだけおりましても、それぞれにまた生活があり、仕事もあるわけですから、それだけでも大変でございます。時として夫婦の間に、親子の間に溝が入ったりもするわけですけれども、そういう中で本人の残存能力といいますか、そういうものを維持しながら適切に介護を行う。毎日試行錯誤というんですか、よく選挙のときに使うんですが、本当に手探りで、どぶ板でという、それぐらいのことをみんなで力を合わせてやらないと、本当に家族、在宅でというのは難しいことがたくさんございます。  家族が痴呆という現実をどのように認識すればいいのか。時間によって、秒単位で分刻みで全然違うことを言うわけですからそれは大変ですけれども、ひょっとすると痴呆が始まったのかな、いや、そんなことはない、親だからそういうふうに思いたい、そういう気持ちも多々あるわけですけれども、そうした初期の段階に対応した専門機関、そういう整備、必要性を物すごく感じるわけです。  痴呆介護のあり方で例えば十数年前にいろいろ施設を回らせていただいたときに、回廊式の廊下が設置されているところを見せていただきました。当時としては、いつでも御本人が徘回できるように整備されて、その説明を受けたときになるほどと感心をいたしました。しかし、現在はむしろそういった対応について否定的な意見が大勢を占めているわけです。厚生省でもそうした痴呆介護の研究に早急な取り組みを行っていただきたい。進めていくお考えもあるというふうにお伺いしております。  初期の相談体制の整備、そして今後の痴呆性の高齢者対策について御答弁をいただきたいと思います。
  195. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 先生お話しのように、これから痴呆性の老人の方はふえてくるだろうと予測いたしておりまして、痴呆性の老人対策の実施というのは非常に大切なわけでございます。  今までも痴呆性のデイサービスの事業でございますとか保健婦の訪問指導でございますとか、あるいは痴呆専用の特別養護老人ホーム、こういったものの整備、あるいは痴呆疾患の原因とか病態についての研究、残念ながらまだ痴呆の機序というのはわかっていないことが多いわけで、特に処遇面の難しさというのもあるわけでございます。  今、一つの取り組みといたしましては、痴呆性老人向けのグループホームを充実したい、こういうふうな形で、平成十年度の三次補正で施設整備の補助制度もできたわけでございますし、その同じ補正予算で痴呆性の介護技術の臨床的な研究、それからそういった研究した成果の情報を流す、それから地方の指導者の方もそこに来ていただく、こういうふうなことで、痴呆性の介護技術の進展普及に役立てたいということで高齢者痴呆介護研究センターというものを東京都を初め全国三カ所に整備いたしたい。こういうところで臨床研修をやって、痴呆に対する介護技術の普及といいますか研究、こういったものに努めてまいりたい、こんなようなことでやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  196. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひ力を入れてお進めいただきたいと思います。随分助かる方が全国にはたくさんいらっしゃいますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。そして、施設との連携をうまくしていただければ本当に助かります。  次に、介護支援専門員についてお伺いしたいと思います。  昨年の九月、十月に実務研修受講試験が行われたわけです。朝からも出ておりますけれども、その経緯を、簡単で結構でございますので、御説明をいただきたいと思います。
  197. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 介護支援専門員の試験でございますけれども、一定の実務経験を有した方について実務研修受講試験を実施いたしまして研修を行うものでございますが、第一回の受験生は二十万を超えまして、九万一千人が合格いたしました。現在、大体終わったところも多いようでございますけれども、実務研修が実施されるか終わったところと、こういう状況でございます。
  198. 西川きよし

    西川きよし君 実は、私がこういうお仕事をさせていただいているということで周囲の方々もたくさん受験をされたわけですけれども、たくさんの方に感想をお伺いしてみると、試験の内容はどうだったと言うと、大変簡単だった、簡単過ぎたというような方もいらっしゃるわけです。試験を受ける側の人たちにとりましたら簡単でよかった、自分がその立場であれば一見よかったなというふうに思うかもわからないわけですけれども、一方ではこういうものを目にしたわけです。  僕も信じたくはないんですが、厚生省が恣意的にそのような試験内容を選択したのではないかといった声もあることは事実ですし、何か後味が悪いというんですか、大変注目を集めているわけですから、受験者にそういうような印象を与えたのは少し残念な気もいたします。ことしも二回目の試験が行われるわけですから、ぜひともそういった疑念に対する説明もぜひ行っていただきたいと僕は思います。  そこで、先ほど受験資格のあり方、今、局長さんの方から説明いただいたんですけれども、この介護支援専門員には職種別の役割というものがあるのかどうか、それから職種区分ごとに問題数が免除されるという要件がございましたが、その要件を設定した理由をお聞かせいただきたいと思います。
  199. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 非常に簡単過ぎたという御意見もあったようでございますけれども、この試験は高齢者の保健、医療福祉の基本的な知識とか介護保険制度に関します基礎的な知識の有無を確認するということでございますから、必要以上に難しくしたということではないということで御理解を願いたいということでございます。  また、批判の一つといたしまして、既に国家資格を取得されている方につきまして一部解答免除というのを設けているわけでございますけれども、こういう方は国家資格取得試験の際にこの保健、医療福祉についての識見というものがある程度もう既に確認された方でございますので、それを再度確認するという重複を避けたものでございます。  また、職種によって介護支援専門員の仕事が変わるのかということでございますけれども、いろいろな専門職の方がこの介護支援専門員に合格されたということでございますけれども、この介護支援専門員として求められている知識、識見、これは保健、医療福祉にわたります総合的な知識、識見であるわけでございまして、そのような観点から見ますと職種によって役割が異なるということではないというふうに私どもは考えております。
  200. 西川きよし

    西川きよし君 かしこまりました。  受験をされた一部の方から今疑念があるというお話もさせてもらったんですけれども、職種別の合格率をぜひきよしさんに国会で伺ってもらいたいということを周囲の人たちから聞くわけですけれども、なぜ職種別の合格率が公表されないのか。そもそも厚生省としては職種別の採用目標数が存在したのではないのかとか、あるいは医師を優遇しているのではないかというふうに皆さんはやっぱり思われるわけですね。  そういう声をたくさん聞くわけですけれども、受験者の方々はこの結果によっては本当に死活問題であるわけですから、受験者の方々からの不公平感、不透明感というものを持たれないようにぜひ厚生省としては情報の提供に努めていただく必要があるというふうに思うんですけれども、御答弁いただきたいと思います。
  201. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 職種別の合格率は計算もしておりませんし、もちろん公表していないわけでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、職種別によって役割が異なるものではないので不必要だ、こういうことで公表していないわけでございまして、ほかに意図はございません。まさに必要がないから公表していないというだけでございます。  特に、よく言われるんですが、試験の関係の合格基準なんかも出したらどうかということでございますけれども、この種の試験で合格基準を出した例というのはほかにもないわけでございまして、そういう意味で他の国家試験と同様に非公表にいたしているわけでございます。
  202. 西川きよし

    西川きよし君 新聞等々にも投稿されているのをちょっと読み上げたい部分もあるんですけれども、時間の関係で次に進ませていただきます。かしこまりました。  次に、介護支援専門員の公正中立に関する規定についてお伺いしたいと思うわけですけれども介護支援専門員の方々にとっては公平中立性を確保することは基本理念であります。そうした中で、例えば地域の実情によってはサービスの種類あるいは事業者の数が限定される場合も想定されるわけですけれども、また利用者の希望によりまして特定の事業者に偏らざるを得ないケースももちろん考えられるわけです。  この点については、昨年末の素案の段階では、特定の事業者に著しく偏することのないよう公正中立に行わなければならない、こうされております。省令では、利用者の立場に立って、利用者に提供されるサービスが特定の種類、特定の事業者に不当に偏することのないよう公正中立に行わなければならないと。「著しく偏する」が「不当に偏する」というふうになりました。  この辺も含めて、公正中立の確保について、大変大事な部分ですので、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
  203. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 居宅介護支援の事業は、先生おっしゃられますように利用者の立場に立たぬといかぬということでございますので、公正中立に行う必要が非常に高いわけでございます。ただ、この中には業者に雇われている方が多いわけでございますので、その疑いが当然持たれるわけでございまして、特にそういう面での自覚というのが必要だと、こういうふうに思っているわけでございます。  それで、指定の運営基準の中で、昨年末では特定の事業者に著しく偏することがないようにということを素案で出したわけでございますけれども審議会の先生方の中で、高齢者が選択して非常に優良なサービスを行う事業者にサービスが集中するというのは決して悪いことではないのではないかということで、著しく集中すること自体が決して悪いことではなくて、不当に偏してはだめだと、こういうふうなことで、この辺の解釈は非常に難しいところがあるわけでございますけれども、考え方といたしましては今のような考え方で、集中すること自体は悪くないけれども不当に集中させることはよくない、こういう趣旨で変えさせていただいた、こういうことでございます。
  204. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。お世話になる人は弱い立場でありますから、もうこの業者にしなさいみたいなことが現場で起こるようなことも懸念いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、時間的なことがございますので十番目は割愛させていただきまして、十一番目に参ります。  全国で九万人の方々が試験に合格されたわけですけれども、現在、各都道府県におかれまして研修が行われているわけです。そうした中で、実際に研修を受けている方々の中で、現段階では制度の運用が細かく規定されていない、審議中あるいは審議未定、そういう不明な部分がかなりあるというふうなお話もお伺いをしております。  不安を持ちながら受講している、そういった声も聞かれますので、四万人の専門員を必要としている中で、当面制度のスタートまでどのようなスケジュールで養成を図っていかれるのか、また必要な人員の確保にはめどが立っているのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
  205. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 九万人の方が合格されましたので、こういう人たち全員が介護支援専門員として働いてくれればかなり満たした、地域的なアンバランスはございますけれども、全員が働いてくれればいいわけでございますが、仕事を持っている方も多いわけでございますので、やはりこれからも試験を行いまして蓄積をしていく必要がある、こういうふうに思っているわけでございます。  それで、実務研修を行っているわけでございまして、その中でまだ政省令が決まってない段階での研修であったわけでございますし、まだ今の段階でももちろん全部決まっていないわけでございます。ただ、考え方についてはかなり前広にお示ししているわけでございまして、そういう意味では制度の中身についてはこういう人たちはかなり理解をしていただいているのじゃないかと思います。  ただ、研修の中でケアプランをつくるための作成手法というのが、これは幾つかの手法がございまして統一されていないわけでございまして、福祉的な手法、それから医療的な手法、こういう幾つか、五つぐらいあるのでしょうか、そういうものがございまして、全部統一というわけにはいかないわけでございますけれども、基本的なものは、共通項みたいなものは厚生省でも統一するような形でやっていきたい。こういうふうなことで、手法についての不安というのもまだまだ残っておりまして、それが実習されている方々の不満の大きなものだと、こういうふうに私どもは聞いております。
  206. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  それでは、最後の質問は大臣にお伺いして終わりたいと思います。  ことしも七月十五日に全国統一で試験が実施されるわけですけれども、質の高い専門員の養成、確保をぜひお願いしたいと思います。今後どのような基本方針で取り組んでいかれるか、最後厚生大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  207. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、御議論をいただきましたように、ケアマネジャーの重要性というのは介護保険の運用上極めて重要でございます。そういった点を踏まえましてことしもまた試験をやることになります。一方、養成については実務研修を初めいろいろの継続研修も実施いたしまして、質の高いケアマネジャーを養成することがぜひとも必要だと思います。  それから、ある程度数もありませんと高齢者の身近な相談や支援がなかなか行き届かないという点がございますが、しかし余り数が多過ぎますとまた弊害も出てまいりますから、適切な人員配置を想定しながら、そしてそれにはやっぱりそれにふさわしい介護ケアマネジャーの報酬なり保障措置をきちっとやって、立派な仕事をやっていただくというのが今後の筋ではないかと存じますので、そのような方向で努力をさせていただきます。
  208. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会