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1999-06-02 第145回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月二日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         久保  亘君     理 事                 長峯  基君                 成瀬 守重君                 前川 忠夫君                 山本  保君                 畑野 君枝君                日下部禧代子君                 阿曽田 清君                 松岡滿壽男君     委 員                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 斉藤 滋宣君                 田中 直紀君                 中原  爽君                 日出 英輔君                 松村 龍二君                 平田 健二君                 堀  利和君                 円 より子君                 沢 たまき君                 山下 栄一君                 西山登紀子君                 清水 澄子君    事務局側        第二特別調査室        長        村岡 輝三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○国民生活経済に関する調査  (次世代育成と生涯能力発揮社会形成に  関する件)     ─────────────
  2. 久保亘

    会長久保亘君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  理事辞任についてお諮りいたします。  平田健二君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事前川忠夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 久保亘

    会長久保亘君) 国民生活経済に関する調査を議題とし、次世代育成と生涯能力発揮社会形成に関する件について委員相互間の意見交換を行います。  本日は、お手元に配付の中間報告書案をもとにいたしまして、委員各位から御意見を伺いたいと存じます。  進め方といたしましては、まず各会派から大会派順にそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、一巡した後、委員相互間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。全体でおおむね二時間程度といたします。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。御意見のある方は、挙手の上、会長指名を待って発言されますようお願いいたします。  それでは、御意見のある方は挙手を願います。
  6. 日出英輔

    日出英輔君 あらかじめ御配付いただきました調査報告案につきまして、少し読ませていただきました。前回私が発言いたしましたのは、少子化対策について、これを何とかして変えていこう、今の少子化傾向を変えていこうということをしっかりと踏まえた調査書とすべきだということを意見として申し上げましたが、この調査報告書はところどころ非常にあいまいな点がございます。むしろ、この少子化を是認して、これを前提にしてどういうふうに物事を考えるかというふうにとれる部分がたくさんございます。  今、政府も含めいろんなところで、千年たちますと我が国人口がゼロに近いとか、こういうことを言われているときに、政治世界でこの傾向を是認して、その上で行き方を考えるというような結論を出すというのは、著しく今の世の中でいろんな各層各界議論されているそういうことに反するような気がいたします。  そういう意味でいいますと、私はこのままではなかなか容認できにくいという、ちょっと言葉が過ぎたらお許しいただきたいのでございますが、そういう気がいたします。  特に、十二ページの中ほどに「我が国の目指す少子化対策とは、」というのがございますが、これを読んだ限りにおいて、どういうふうに読むのかということはありますけれども、極めてあいまいな表現になっているというところが大変気になります。  それから、この全体の構成からいたしますと、十六ページの「次世代健全育成」以降と前段部分でどうも話が続かない。前と後ろが続いていないという感じがいたします。  先般、十月に調査項目についての一枚紙をいただいて読ませていただいたときには、少子化といったものに対応した云々というのがついた形で調査のポイントがあったように思いますが、この調査報告書を見た限りではどうも何か完全に前半と後段が切れたような感じがいたしまして、これはある意味では相当目標を絞らない表現になっているんではないかということを申し上げたいと思います。  それから、幾つか表現については時間がございませんので申し上げませんが、「良質の人的資源」、一ページ目にございますが、こういう言葉が少し、もう少し言い方があるものではないか、マンパワーであるとか言い方があるんではないかといったことが多々実はございます。そういう意味で、もう少し慎重な表現をとるべきだという箇所もございますので、これもあわせて意見として申し上げさせていただきます。  時間がございませんので個別具体的には申し上げませんが、これではこの調査会少子化ということで、今の少子化傾向を是認するという前提でのペーパーにとられることは間違いないと思いますので、これはちょっと私はこのままでは是認しかねます。
  7. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 今、全体的な話につきましては同僚の日出委員の方からお話がありましたので、ちょっと具体的なお話をさせていただきたいと思うんですけれども、私は、やはり少子高齢化がこれから進むそういう時代の中において、いわゆる少子化が進むことによって労働力人口が減っていく、そういう中で高齢化が進んでいく。そういった高齢者、言ってみれば経験豊かな良質な労働力をいかに労働人口の中に組み入れていくか、これが一つの大きな課題ではないかと思います。  この報告書の三十三ページにこういう文言があります。「高齢者社会に支えられる存在ではなく、支える側に回ってもらうことは重要である。」、そういう指摘がありますが、まさにそのとおりだと私は思うわけであります。であれば、高齢者を生かした、労働人口の中に組み入れていく施策的なものをもう少し具体的に書き込むことができないのかなという気がいたします。例えば、その後にベンチャー企業育成の話が出てきますけれども、言葉の使い方はちょっと語弊があるかもしれませんけれども、いわゆるシルバーと言われる皆さん方が、六十五歳まで定年を延ばしたとしても、まだまだ働きたい人、それから働ける人というのは大勢いると思うわけです。  しかし、残念なことに、それだけの年齢になってから新しく企業を起こすという、そういう意欲というものはやはり欠けてくるんではないか。であれば、継続的に行ってきた仕事をさらに積み重ねていけるようなそういう支援策、言ってみればシルバーベンチャー育成企業みたいな、そういう考え方が取り入れられることによって労働人口が減るところをサポートしていく、そういうような仕組みというものも一つ考えることができるのではないのかなと。  それともう一つは、本論からちょっと離れるかもしれませんが、私は秋田県なんですけれども、秋田県はあと十数年しますと日本でいわゆる最高齢県になります。そういう中で常々考えるのは、今も申し上げたとおり、高齢者経験ですとか技能ですとか、そういったものを生かすということを考えてきたときに、今みたいないわゆる福祉エリア的な発想の中に産業構造というものも組み入れたような、そういう考え方一つできないのかなと。  決して私ども身びいきで言うわけではありませんけれども、これから日本が迎えるであろう高齢化社会現実に今始まっている各町村があるわけですから、そういうところに例えば厚生省とかそういうところが一つモデル地域みたいなものを、決してマニュアル的なものではなくして各町村が独自に発想したものを、そういうことを考えていただいて、そういうモデルケースを一つの参考にしながら、これからの高齢化時代にどう日本という国を持っていくのか、そういうような展開も一つできるのではないのかな、そのように思っております。ですから、もう少し具体的な指摘があってもいいのではないのかなというのが一つあります。  それと、もう時間がありませんので簡単にお話しさせていただきますと、その前の三十二ページのところで雇用流動化の問題が取り上げられております。  きょうの新聞発表にあったとおり、失業率四・八%は変わりませんけれども、男性の失業率が五%にいよいよ到達した。そういう中で雇用流動化、いわゆるミスマッチによる失業率の高さというのがあるわけですから、そのミスマッチ解消のために、これから雇用流動化というのが一つの大きな課題になってくると思います。  そういう中で、昭和五十九年には一四・四%、平成十一年には二三・二%という非正規社員がおるわけでありますけれども、この非正規社員正社員との格差をどう埋めていくのか、そしてまた、いわゆるパートですとか派遣社員だとか、そういった労働力をいかに生かしながらいわゆる正社員との格差をなくしていくか、そういうところの具体的な指摘というものもひとつ踏み込んであっていいのではないのかな、そのような感じがいたしました。  終わります。
  8. 岸宏一

    岸宏一君 今、日出先生からお話しございましたように、少子化についてちょっと表現が言ってみればあいまいというか、どちらでもいいというふうにとれるように書かれているので、ここは少子化になっては困る、子供の数はある一定の水準まで回復させるべきだということをはっきりと打ち出してこの報告をすべきではないかということがまず第一点です。  それから、細かい点になりますが、十四ページの「総合的な取組の必要性」、これはもっともだというふうに思います。少子化を変えていくにはかなりこういった総合的な施策が必要でございますが、それを一生懸命実行しようといたしますと大変なお金もかかるわけです。  例えば、保育所の問題を一つとってみましても、公立の保育所夜間保育なり延長なり、それから乳児を扱う、そういう多様化をしますというと、これは国の補助でやっているわけですけれども、私の経験からいいますと、到底各市町村では間に合わないのが現状なんです。ですから、ここでやっぱり厚生省補助基準なんかの規制をもう少し緩和する必要があるんじゃないか。例えば、保育園の園長さんなんというのを選ぶ際に、町役場の職員であっても社会福祉仕事を何年かしなければだめだとか、そういった例が多いわけです。ですから、今雇用の問題があるときでもありますから、できるだけボランティアあるいは民間の資格のない人でも、夜間でありますとか乳児でありますとかの保育にかかわることができるような制度をつくることが私は非常にいいんじゃないかと。  保育は別に、私が思うには、資格もいいと思いますけれども、やっぱり経験というのが非常に大事だと思うんです。ですから、子供さんを三人も四人も育てた御婦人がやってあげましょうというならば、こんなにありがたいことはないと思うんです。ところが、そういう者を採用しても国の補助措置費の対象に絶対ならない。今はどうなっているかわかりませんが、私がやっていたころはならないんです。ですから、そういうことも含めて、国民的な参加というのはそういうところにあると思うので、そういうところをひとつ考える必要があるのではないかな、こういうふうに思っております。  それからもう一つ子供健全育成の問題で、ここにも出ていましたが、家庭教育力の欠如というんですか、これがだんだんなくなってきているという話なんですが、これは本当だと思います。本当だと思いますが、どうしてこうなったかということについて、やっぱりもう少し私たちはいろんな識者の意見を聞いてみる必要があるんじゃないか。こうしてこうしてこうなったから、そして対策としてはこうすべきだというふうなことになると思うんですが、この家庭教育力を強めるための施策としては、ここにいろいろ書いてありますが、ちょっと弱いんじゃないかというふうな気がいたします。  とりあえず以上です。
  9. 前川忠夫

    前川忠夫君 私は、会派の中で意見交換をして取りまとめた意見ではありませんので、私の意見ということでお聞きをいただきたいと思います。  まず、今度の調査会テーマ、いわゆる「次世代育成と生涯能力発揮社会形成」というテーマは、これまでの特に戦後ということで考えてみますと、五十数年間のそれぞれの価値観みたいなものをある場合には変えなければいけないような内容まで含んでいる。もちろん、政治経済も、あるいはさまざまな社会、特に政治の場合には財政も含めてという話になってくるだけに、基本の部分についての意見交換をしてある程度のコンセンサスが得られていないと、部分部分議論をしていますとどうしても迷路に入ってしまうような気がしてなりません。  今年度の議論はこれで締めくくるということについてはいいんですけれども、来年度以降の最終報告に向けての議論では、一度総論的な部分についての意見交換をする機会もできればつくっていただきますと、なかなか完全な認識の一致というのは難しいかもしれませんが、この点がないままに各論に入っていきますと、まさに木を見て森を見ずということになりかねないのではないかという気が実はいたしていまして、この点については今後の進め方として御配慮をぜひいただきたいという点が私のこの全体を通しての問題認識であります。  そこで、各項目単位で、細かい文章の表現についてはちょっと気になる点がないわけではありませんが、個々の字句の部分については一応抜きにしまして、考え方の問題で今何人かの方から発言がありました内容を含めて私の考え方を申し上げます。  例えば、高齢化社会ということがよく言われますが、今現在の高齢化社会の問題は一体何なのか、あるいは今の社会のさまざまな仕組みの中で高齢化と言われるものに対応し切れていないのは何なのか、どこをどう直すべきなのか、その辺の視点がきちっと整理をされないと、私は、お年寄りを邪魔者扱いする、あるいは金食い虫のように言われてしまうという、非常に厳しい目でしかお年寄りを見ないということになりかねないんじゃないか。つまり、マイナスイメージでしか見られないという感じがしてならないわけです。  例えば、具体的に申し上げますと、現在、労働省方針で、方針でというよりこれは法律で決めたわけですが、六十歳定年制義務化をされています。戦後は五十五歳定年というのが長く続きまして、それぞれ労働組合等の取り組みもありまして、最近ようやく六十歳が定着をしつつある。  ところが、年金制度が六十五歳支給開始ということになりますから、どうしても企業でいえば定年制の問題について改めて視点を当てなければいけないという議論と同時に、この六十歳とかあるいは五十五歳定年を、特に五十五歳定年制議論になった戦後の時代というのは人生五十とかあるいは六十年といった時代定年制でありまして、今のように男女平均寿命が八十歳を前後するという時代になったときに今のこういう仕組み本当に合致をしているんだろうかという点から考えていかないと、例えば私の友人もそうなんですが、六十歳から、これから先一体どうしたらいいのか途方に暮れるという話をしておりました。変な表現ですが、年金だけもらって生き続けるということはどうしても耐えられないという話をするんですが、では働く場所があるのかということになると適当な働き場所はない。もちろん、趣味や何かでいろいろとやっても、それはあくまでも趣味世界ですから、あるいはボランティアをやっても非常に限定的なことにしかならない。社会仕組みの中で役割分担をしたいというふうになりますと、どうしてもその辺に手をつけていかなければいけないということになるんじゃないか。  それから、少子化の問題についても、先ほど日出さんあるいは岸さんからも御指摘がございましたが、少子化というのは困るのか、困ったことなのか、あるいは困らないのかという議論をきちっと一回整理しておきませんと、子供が少なくなる社会というのはどんな社会なんだろうということを考えると、例えば社会保障やなんかの面では、保険料であってもあるいは税であっても、負担をしてくれる世代が少なくなる。そういうことからくる困ったなということから、子供をたくさん産んでほしい、あるいは産んでもらえる環境をつくろうというふうに物を考えるのか、例えば今の時代に合ったそれぞれの環境の中での夫婦の選択なんだというふうに割り切ってしまった場合に、ではさまざまな障害が出てくる問題をどうやってクリアするのかという議論を起こさないと、ただ単に社会保障経済やさまざまな仕組みの中で、子供が減る、子供が減るというのは人口が減るということですから、このことに対する政策的な視点をただ当てるというだけでは私は基本的な問題解決にはならないんじゃないかというような気がしています。  それからもう一つは、生涯学習の問題は、ある学者の方にお聞きいたしましたら、これは経営者の方にも同じようなことをかつて言われたことがあるんですが、例えば職業訓練校労働省で今一生懸命やっていただいていますが、例えばある企業をやめざるを得なくなって職業訓練校に入ってパソコンの勉強を一生懸命しましたと、しかし、五十に手の届くおじさんを使ってくれる企業というのはないんですねと。  若い人がほとんどいないというなら別ですが、若い人の失業率も高いという現状の中では、やはり企業論理からいきますとどうしても若い人を採用するというのが私は経営者としてはある意味では当然の選択のような気がします。もちろん、男女での雇用の選別はできないということになっていますが、年配の人よりも若い人を雇いたいというのは、これは経営者としてはある意味では当然なのかもしれません。  そういう意味で、生涯学習という視点も、本当年齢に合った形での仕事選択と、それからそれに見合った教育訓練制度というものを考えないといけないんじゃないか。そういうある程度流れとかシステムというものをきちっとした上での議論をしていかないと、やはり絵にかいたもちになってしまうのじゃないかという気がしてならないわけです。  この報告書の中にもいわゆる終身雇用制がなくなるとか年功序列制度がなくなるというふうに書いてありますが、確かに流れはそうなっていますが、少しくこれは経営的なあるいは経営者的な発想部分が強過ぎないかという気がしてなりません。  私も企業におりましたので承知をしていることなんですが、例えば仕事給あるいは能力給によって賃金を決めましょうという場合には、四十年間かけてやってください、そうしないと約束に反することになりますよということを経営者皆さんによく申し上げます。  つまり、ことし十八歳であるいは二十二歳で大学を卒業して入られた方は、今のシステム承知の上で入って、ある意味では、もちろん終身雇用制が崩れるとかあるいは年功序列制度が崩れるということは承知をしつつも、その企業における序列みたいなものあるいは賃金制度みたいなものに期待をしながら働くわけですから、これは景気の波もあるのでしょうけれども、ある年になって突然あしたから仕事給です、あなたの賃金はこれだけですと打ち切られたのではこれはたまりませんというのが特に年配人たちの言い分なんです。  かつての日経連のある幹部の方とお話をしたときに、今までの年功序列制度というのは、若いときにはいわゆる従業員から企業が借金をして、逆にある年齢を過ぎたら企業がその従業員に返済をする、これがいわゆる今の年功序列制度仕組みなんですということをおっしゃっていました。つまり、企業は使い勝手のいい若い人を使って、ある年齢になって給料が高くなったから、はいおさらばというのがもし年功序列制度否定論理だとしますと、いずれはそうなるにしましても、やはり軟着陸のための時間が必要だというような気がしてなりません。  特にこれは大企業に多い論理なものですから、私はもうこれからは大企業論理というのは働かなくなる時代が来るというのは十分承知をしていますので、そういう中で生涯学習とか教育システムあるいは雇用システムをどうつくっていくのかという点は真剣に考えなければならない課題であろう。来期の議論はそういった点にもひとつ視点を当ててやっていただけることを期待しておきたいと思います。  以上です。
  10. 山本保

    山本保君 私も公明党としてでございますけれども、きょうは大体のことについてお話しして、また細かいことについてはこれからいろいろこの場であったりまた理事会理事懇等でいろいろな意見を言わせていただきたいと思っております。  細かな話についてはまた後のフリーのときにもお話しするかと思いますが、最初に大きな考え方についてでございます。  先ほど、日出先生また岸先生の方から少子化についてございました。私もおっしゃることはよくわかるんですけれども、二つの見方が必要だと思うんです。もちろん、少子化がいいか悪いかということについての議論は両論あるにせよ、これからそれが解決するにしても、子供がふえるにしても、あと二十年、三十年の間はしかしこれが続くわけでして、その間はじゃこの状況が悪いのだから何とか直そう直そうという努力だけしていていいのかという問題が出てきます。  斉藤先生からもまた前川先生からも今お話があったのは、まさに今少子化というものが、ただ子供の数が減ったということではなくて、その社会的な効果というのがあるわけであって、それは家庭にも出てくるし学校教育あり方にも出てくるし雇用の形態にも出てくるし社会保障あり方にも出てくる。つまり、この辺が少子ということが単に自分の子供を三人産むか二人産むかではない意味がある。このことをもっとこの報告書でははっきり書いた方がいいだろう。  もちろん、子供を産みたい人がもっと産んでいただけるような対応、これも一つ重要なことですから、それはもっときちんと書くとしても、もう一つそれと当然同じように、今の社会状況が、これまで日本は言うならこの五十年間というか、明治以降、人口はふえるということで全部セットされていたこの社会、先ほど申し上げたような個々の細かな事象について大きな変化をしなければならないとなっているわけですから、そのことがこの少子化意味だと、一つ社会的な効果であると。  我々は政治家として、単にこれはあるべきではないということを言うだけでは仕事になりませんので、その辺についても考えようではないかというのが今回の一つ出発点かなという気がいたしますので、おっしゃるように、確かに今回のまとめがそういうところの論理性がはっきり書かれていないというふうに思うわけでございます。  それから、先ほどからいろいろお話がございましたように、社会保障にしましても、今までは元気のいい若い者が五十、六十になって働く意欲がなくまたは働かなくてもいいお年寄り、働けない方を全部しょっていくんだという制度であったわけですが、しかし現実にはもうそうではなくて、定年制なんということ自体もう一度見直す、数字があること自体、定年制というもの自体が意味があるのかということにも行くかもしれない。  学校制度についても、今回この報告書を見ますと、しつけだとかカウンセリングということだけありますが、今の学校のあり方から見て、ある授業だけふやすなんということはできないわけでして、実はもう一度授業の中身の全体的な見直しをしなければ学校教育はとてもできませんので、今回のものを見ますと、道徳だとかそういうところだけ重視すればいいと言うけれども、では一般のそのほかのいわゆる科学だとか技術はどうするのか。これは当然もう一度減らさなくちゃいけないだろうということまで議論をすべきかなという気もいたします。それがまず第一点でございます。  もう一点、全体のスタイルで、これは今まで私も役所におるときから経験していまして、これは仕方がないのかなと思うんですが、いわば各省庁がやっている仕事を全部肯定的に羅列しまして、いかにもそれが世の中が今求めていることのとおりやっているんですというふうに読めるんです、これ。  でも、決してそんなことはないので、もしそうであれば毎年毎年予算編成したり法律改正なんかする必要ないわけで、どんどん世の中よくなっていくはずです。ところが、毎年毎年社会制度を変え、予算を組み直すということは、役所の人はもちろん今これがいいことだと思ってやっているんだけれども、実際には大半は見直さなくちゃいけない。毎年もしくは何年ごとには見直さなくちゃいけない。ということは、はっきり言えば大した効果がなかったことであったということがあるわけです。  であるならば、この調査会は、白書を書いているわけじゃないので、ある程度その見通しからいったときに、これについてはいかがかということも書いて、もちろんこれには反論があっていいわけですから、さっき出たように両論併記という形になると思いますけれども、この書き方は一章に方針、二番目に現状ということで、ここで全部肯定的に出てきて、三番目にいろいろ見通しが出てきますが、これと二番目とがほとんどかみ合っていないというような全体の印象がございます。  これはなかなか書くのが大変なので、ことしは第一回ということですから問題提起だけでいいのかなという気もしますけれども、できれば最終方針までにはある程度そういう一つ一つについて検証もしくは新たなものを提案できるようなものが要るのかなという気がします。  それから、私なりに読んで、まだ読み落としたことがたくさんありますけれども、具体的にもう少し議論されたんじゃなかったかなとか、また言い忘れたかもしれないのでということを申し上げますと、例えば、私もいろんな委員会や本会議で言いましたが、NPOについて与党も最近ようやくいろいろ雇用対策とか出てきましたが、今回見ましたら言葉一つも出ていないんですね、たしか。ボランティアというのは出てきますけれども。これはもう今や与党も含めて雇用対策でやったり、または福祉という新しいサービスに対する提供体としての意味が言われているわけでして、ぜひもう一度ここはしっかり書いていただきたいなという気がします。  それから、ちょっと気になったのは、未婚という言葉が出てきまして、これは女性の方から言っていただかないと。私は、余り最近未婚と言わない、非婚と言うんじゃないかなという気がしてしようがないんですね。未亡人なんという、まさにまだだんなに連れ添って亡くなっていない人だという、未亡人なんという言葉が使われないように、未婚というのは何か女性は必ず結婚するべきだというようなことを前提にした言葉じゃないかなという気がしておりまして、この言葉も余り最近ちょっと社会科学的には見ない言葉だなという気がしました。少し考えていただければと思います。  それから、あといろいろありますが、ちょっと一つ大きいことで、障害者のことが三十三ページですか、少し出てきますけれども、もう少し障害者のことについてはきっちり書かないと、この項で出てきますのは障害者の能力と適性に応じた職業とありますけれども、能力と適性に応じた職業と言う前に、職業というのはあくまで自己実現とそして社会のための、社会の分子としての仕事というものを自分が担うことにより自分自身の生きがいということ、これが一番基本なので、その上に立って普通の人間だと能力とか適性ということが客観的な指標として出てくるわけですから、障害者のことを書くときにその原則を抜きにして適性とか能力だけが出てくるというのはいかがかという気がしますので、障害者のあり方についての施策あり方とかいうものについてはもう少し詳し目に書かれた方がいいのではないかと思っております。  以上です。
  11. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党を代表して、意見を申し上げます。  今回の調査会として、まず中間報告をまとめるに当たって、委員の間でのこういう意見交換の場が設けられたというのは大変ありがたい、重要なことだというふうに思います。  私も会議録を一生懸命読み直させていただいたんですけれども、本当に各委員による質疑や調査会に対する意見表明というのが積極的で率直に行われているというのが記されておりまして、それをごらんくださいというふうに終わらせないで、こういう毎回の調査会の積み重ねに基づいて英知を結集した本当にすばらしい中間報告をまとめていくことが大切じゃないかというふうに思いまして、個別の問題をお話しする前に、そもそも根本的な問題について少し申し上げたいと思います。  一つは、調査会報告書の作成の進め方についてなんですが、一九八六年、昭和六十一年から調査会が始まりまして、五月二十二日の議院運営委員会理事会合意では、「調査会における報告書の作成に当たっては、各会派の合意によるものとする。各会派意見が一致しないときは、併記するものとする。」と明確に述べられておりますので、この立場を貫くのは当然のことだというふうに思うんです。  二つ目に、各会派の合意を得る上では時間がやはりある程度必要だというふうに思います。今回こういう場を設けていただいたわけですが、先週金曜日の午後に案をいただきまして、土日が挟まってということですので、私も十分検討する時間がないまま本日を迎えたというところが率直なところなんです。ですから、本日限りでなく、今後の検討のための時間ということで、会長からも先ほどお話がありましたけれども、ぜひとっていただきたいというふうに思います。  三つ目に、中間報告の案の取り扱いについてなんですが、これは委員の依頼によってたたき台がつくられているということですから、委員の同意を得なければもちろん報告にならないわけでございまして、委員や各会派意見に基づいて書き直されるあるいは削除される部分があるというのは当然だというふうに思うんです。この問題をやはり確認させていただきたいと思います。  次に、そういう前提に立ちまして案について意見を申し上げたいんですが、私は率直に申し上げまして、きょうの皆さんの御論議を踏まえてですが、かなり抜本的に書き直しが必要ではないかというふうに思うんです。  理由の一つとしては、山本委員からも今お話がありましたが、政府の説明がかなり網羅的に書かれているんですけれども、参考人や委員の意見、それから調査会としての審議の内容、経過がよく見えないんではないか。以前のやり方にこだわらずに、今回新しい調査会ですから、こうした審議の努力、経過が見える報告書にぜひしていただきたいというふうに思います。そのときに、意見のまとまらないものにつきましては両論併記というふうになるわけですから、こういうのが次回の審議の発展につながっていくと思います。  次に、政府説明や参考人意見についてですが、これも政策の羅列ではなくて、いろいろ統計や調査結果などが紹介されました。客観的事実に基づく新しい解明点を調査会として取り上げていくことが今後の政策提言ですとか法律案の提出に結びつけていく上でも大切だと思うんです。  例えば少子化対策という点ですけれども、私は、経済企画庁が、女性の労働力率が高いと出生率が高いという国際比較の結果を示されて、この両立を可能にすることが経済成長率にもプラスに働くのではないかというふうに提起したとか、経済研究所の保育所の定員数が多ければ出生率が高いという分析も、これは委員からいろいろ意見がございましたけれども、一つの分析結果としては紹介しておく必要がある。それから、厚生省の三歳児神話の払拭ということも新しい提起ではないかというふうに思うんです。  こういうふうに一つ一つ述べていく時間がないんですが、ぜひこういう立場で調査の結果をまとめる必要があると思います。  その上で個別の問題なんですが、まず少子化の要因と対策についてです。  前回、意見表明で述べましたけれども、私たちは、少子化の克服と女性の労働とは密接な関係にあって、この二つの問題を同時に解決していくことこそ必要だという立場です。こういう点では、長時間過密労働の現状を根本から切りかえて人間らしい当たり前の生活を取り戻す、男女とも労働時間の短縮、安心して子供を産み育てるための条件としての、先ほどもお話にありましたが、安定した雇用ですとか産休・育休などの制度の拡充は欠かせないものでして、雇用流動化に対しては私は少子化対策には逆行するものだということを強調しておきたいと思います。  関連して保育所の問題ですけれども、やはりこうした長時間過密労働の根本的な解決なしに、いろいろ保育サービスの多様化と言われておりますけれども、こういうことは注意が必要だと思うんです。厚生省が最近発表した子育てマップがあるわけですが、全国で四万人の待機児童と。私が住んでいる横浜は一番多いというふうに言われているんですが、この横浜は書かなくていいんですが、特にゼロ歳から二歳までの入所待ちの解決というのも直ちに行う必要がある。  それから、社会保障部分につきましても、八ページの部分につきましては意見が異なるところでございます。これは意見表明の時点ではっきり述べた両論併記をしていただく必要があるのではないか。  それから、九ページからエンゼルプラン、これも政府の説明ですのでもっと短く中心点をまとめられたらいいのではないかというふうに思います。  それから、青少年の健全育成の問題ですけれども、子供の健全な成長の条件をつくる、こういうことを中心にした学校教育の抜本的な改革が今求められているということで前回も意見表明させていただきました。  個々いろいろと書きかえていただきたい点がございますし、それから削除をしていただきたいという点も二十カ所ほどございます。時間があれば後でまたその点は申し上げたいと思います。詳細は、そういう点を含めて後ほどこの案に対しての書き込みをお示ししておきたいというふうに思います。  調査会の中間報告といたしましては、この一年間、私たち委員がどういうふうに審議を進めてきたのかわかることが重要だというふうに思いますので、ぜひきょう出されました委員の方々からのさまざまな御意見意見交換、そういう時間もとっていただきたいというふうに思います。  会長、細かいことについては後でよろしいですか。
  12. 久保亘

    会長久保亘君) はい。
  13. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、皆さんがおっしゃっていますように、この報告書は全体の整合性がない、ところどころいいことも書いてあるんですが、そういう意味ではもう少し整理する必要があると思います。  そういう中でも、やはり問題意識がちょっと違うなと思うのは、第一ページから三ページまでは「二十一世紀に向けた我が国社会課題」とあって、そして「我が国社会の構造的変化」とかあるわけです。ところが、この中の冒頭から「今日のわが国社会は、閉塞感に覆われている」と。それはそうだけれども、その理由が、バブル経済の崩壊以降とか、それからもう一つの理由は、経済社会の急速な、大幅な変動にこれまでのシステムが対応できないのではないかという懸念や不安があるという二つの理由になっているんです。  私は、バブルのような時代でも日本は豊かさというものについては、本当に豊かさというものを、充足できないという問題をずっと抱えていたと思うんです。そして、将来に対する不安というのもずっと抱えていた。だから、これは今になって始まった問題ではないと思います。ですから、何が今日こういう閉塞感というんですか、そういう問題は単なる経済、景気の問題だけではなくて、むしろ今日の状況をつくっている社会全体が何か希望が持てないと。  これはつい最近の日経新聞でしたけれども、驚きました。日本の中高生は二十一世紀の夢というのは持っていないんです。今後二十一世紀に希望があるかというときに、ないんです。二九%が生活はより豊かになるかもしれないと。若い人ですから、よその国はみんな八〇%ぐらい希望を持っている。こんな中高生ですら希望を持たないという、これは閉塞感の一つ社会的な病根だと思いますけれども、それは何だったのかということがまず明確にされるべきだと私は思います。  それは今までに皆さんが言い尽くしているんですが、これまでの戦後五十年近くの高度経済成長政策というものが効率主義それから経済至上主義で走ってきた、この中で大きな欠点が今日の状況を招いているということ、それは特に人間生活よりも企業を中心にした論理とか男性を中心にした価値観考え方というもので、社会保障学校教育あり方それから雇用あり方等、そういうすべての形をつくってきた、こういう中で今日問題が発生していると思うわけです。  ですから、これをもっと具体的に掘り下げていく論議が必要なんじゃないだろうか。それがどういう問題を起こしているかというのは、例えば企業論理一本で、経済成長主義であればやはり働くことだけですから、家庭生活とか子育てとかそういう問題については全部わきに置いた生活だったと思うんです。ですから、男性は働くばかり、会社人間と言われてきたくらいで。そうすると、家庭には子供と一緒に暮らす時間もないという中で、子供は家族的な人間関係が切れていく。これがずっと長い間当たり前になってきた。  しかも、子育てというのは社会全体でやるべきことだったのが、女性の仕事というふうな価値観でずっと縛られてきたために女性は非常にそれが負担になってきた。そこに女性は働く状況があるわけですから、そのために女性は産むか産まないかの二者択一を迫られてしまう。そして、子供を産むことを制限されてきたことも事実ですし、そういう状況の中で社会保障制度が仕組まれていますから、多様な働き方、多様な生き方をする人たちを認めないような社会システムがずっと存在してきたと思うんです。これらは特にそういう反省点、問題点を明確にする必要があるんじゃないか。  特に、一九八〇年ぐらいだったと思うんですが、日本日本型福祉社会というのが提起されました。このときには、あえて育児や介護は女の仕事だと、家族の役割が大きな方針になったことがあります。もうその時分に世界各国では、そうじゃないんだ、これはもっと社会全体で考えていこう、男女がどういう役割を担えるのか、もっと役割を見直してみようという問題提起の大きな運動が起きているときに、日本は逆の政策に入っていった。  それらのことについて何にも触れていないわけですが、そういう中で問題が起きてきた。教育もそれに合わせて偏差値教育、受験教育、詰め込みという形で行ったことが今日の子供の問題を起こしている。地域社会は人間関係が切れてしまっていますから、もう地域社会子供が育つ社会になっていない。子供が育つ社会というのは、年をとった人から普通に働いている人から、絶えず地域が人と人との寄り添う社会だったんですが、そこは空洞化してしまっている。こういう問題が今日のお互いがすべて孤立しているという状況を生み出していると私は思うわけです。ですから、何が問題だったかということをもうちょっと整理すべきではないだろうかと思います。  そして、最初に少子高齢化という、何かいきなりこれが大変だという問題設定で来るわけですけれども、これは本当に悪をもたらす原因なのかどうかというのじゃなくて、だからこれは対策ではなくて、こういう状況の中でいい面は生かし不足しているものは補充できる政策をどうつくっていくかというふうなことで議論をしないと、何でもさまざまな問題がすべて少子高齢化に帰されていると思うんです。  ですから、将来大変だ大変だという、これもお金、数字、経済の面だけで言っているんですけれども、そういう意味では、少子高齢化社会という議論を矮小化しないで、現代日本社会あり方にメスを入れて、そして日本社会を人間を中心とした経済社会にどうすればつくれるかという形で議論をすべきではないかと私は思います。  特に、二十一世紀の社会を展望する上では、発想の最初の意識として、世界的には人間開発という考えがあるわけです。UNDPの人間開発報告というのがずっと出るんですけれども、それはまず、人々にとっての安全というのは飢えとか病気とか犯罪とか抑圧とは無縁の安全性である、そして家庭内、職場、地域社会環境面などでの安心して暮らせる日常生活であるという当たり前のことが記されていて、そして人間開発とは、すべての人が能力を十分に伸ばして経済社会、文化、政治などあらゆる分野でその能力を最大限に発揮することであるとしているわけです。私たちは、そういうのを一つの理想として、そういうものにどう近づけられるかという思いでずっといるわけです。  しかし、日本はこれまで経済成長至上主義で突き進んでいますから、開発という言葉自体、人間性をどう開発するかとか、お互いの人間関係をどう豊かな関係に開発していくかという意味での開発という使い方は日本ではほとんどありません。これは土木的な開発にしか使われないんです。  ですから、経済成長至上主義の開発というのは人間を置き去りにしてきたわけですから、それが同じ友達同士、世代間も、それからお互いの異性、男女の間も、それから違った世代の間も、みんな人と人との関係が切れてしまっている。私たちは、それがみんな子供も若者も親も家庭にもストレスになって、それで人間関係が崩壊されているというこの辺を、今後どういうふうにこの問題の所在を明らかにしていくのか。それに対して、いわゆる地域社会あり方とか学校のあり方とか、そしてまた社会保障政策の何にギャップが生まれているのか、どこを補わなきゃいけないのかというふうな点で議論を深めていくことを私は強く求めたいと思います。
  14. 阿曽田清

    阿曽田清君 特にありません。大体自分が言っていたのが入っていたところでございますので、特に申し上げることはありません。
  15. 久保亘

    会長久保亘君) 松岡滿壽男君から意見を述べられる予定でありますが、今、議運の理事会に出席のため、こちらへ来られない事情がございますので、出席された段階で時間をとっていただくことにいたしたいと思います。  各会派からの御意見が一応一巡いたしましたので、これより御自由に御発言願いたいと存じます。  御意見のある方は挙手をお願いいたします。
  16. 西山登紀子

    西山登紀子君 別に後の方でもいいんですけれども。  私は、調査会の委員をやりましたのは初めてなんです。調査会でこうしてまとめをする作業にも加わったのは初めてなんですけれども、結局この報告というのは国会に出すわけですが、だれに対する報告かといいますと、やはり国会を通じて国民の皆さんに我が調査会がこういうふうにやりましたということがよくわかるようなものにする必要があると思います。  どんな方法を使って調査をしてきたか、政府の意見聴取や参考人、視察などもいろいろやって、こういうふうにやってきたとかということも大事ですし、また、このテーマをどんな角度で、立場の違いはいろいろあってもそれは当然でございますが、どんな角度で調査を進めてきたのかということがわかるようにする。  それからまた、私自身は、この場にいろいろな国民の皆さんの実態だとか、それから少子化に対するいろんな意見だとか、そういうこともむしろこの調査会に積極的に出してきたつもりでございますが、そういうことがよくわかるような報告書にまずするべきだ。何か結論をまとめて報告するという形ではなくて、このテーマをこれほどいろいろな角度から総合的にまた長期的に審議をし、調査をしているんだということがわかるような内容に。  私、この報告書をいただきまして大変短い時間だったので詳細に見ている時間が余りなかったわけですけれども、ざっと見ますと、何か結論が無理にまとめられているという感じがぬぐえないものですから、ほかの調査会のまとめ方、案などもちょっと拝見させてもらったんですが、もっと客観的に調査会の今までの内容、経過などがよくわかるようにした方がいいんじゃないか。無理に結論を出そうというふうな形での報告になりますと、どうしても無理が起こってくるというふうな気がいたします。  具体的に申し上げますと、例えば五ページの「少子化の要因」のところですが、なぜ少子化になっているんだろうというのは一番関心のあるところなんですけれども、五ページから七ページにずっと少子化の要因、背景というのが書かれているんですが、全体として意識の問題に結論づけられているという嫌いがあるんじゃないかと思います。  私が問題意識として持っておりまして、資料の提供もしていただきましたのは、やはり戦後の女性の社会への進出、女性労働が非常に社会に大きな比重を占めてきた、このことと、それまでの家事、育児が両立しにくくなってきたという経済的なあるいは客観的な状況の変化というものがあって、そして意識の変化ももちろんあるという中でこういう形の少子化が起こっているんじゃないかということでずっと意見も申し上げ、また資料も提出していただきまして、やっぱり就業者の女性の出生率が非常に少ないというような客観的な資料も政府から出していただいたということもありますが、そういうこの調査会の質疑、調査の努力というものがこういうところにもう少し反映されないと、どんなに時間をかけて調査していっても、結局結論は意識の問題に、従来から言われている、政府の言っている意識の問題になっちゃったということになると、何をしてきたんだろうかなというふうな思いも持つわけです。  特に七ページの例えば「若者の自立心の欠如」、こういう形でわざわざ項を立てて書かれていますが、私はこの意見が出たときに、決して好きこのんで親と同居しているわけではない、やっぱり経済的ないろいろな問題があるし、仕事との両立ができないという今の社会の問題があって若者がそういう同居というような形にせざるを得ないという問題じゃないかということも申し上げましたので、一方的にこういう意見だけが出されるということではなくて、こういう意見もあったけれどもこういう点からの意見もあったというふうに事実に基づいてまとめる必要があるんじゃないかなというふうに思います。  それから、女性の立場からいいますと、七ページのウなんというところは、例えば専業主婦として多くの女性が専念することになったというこの四行ぐらいは、もう少し事実に基づいてきちっと書かないと女性の中では通用しないんじゃないかなというふうに、歴史的にも、私も長いこと婦人運動に携わっておりますけれども、書くならもう少し厳密に書く必要があるんじゃないかなというふうに思います。  しかし、当調査会での審議というのは、少子化というのは何も社会の進歩に沿って不可欠なものあるいは解決不能なものではなくて、やっぱり解決の方向は見出し得るというようなこと、前向きな方向でのいろんな提案や議論があったと思いますし、そういうこともまとめの方向としてはぜひ入れていくと。  それから、私もたくさん意見を言いたいわけですけれども時間がありませんが、例えばどうしても両論併記にしてほしいところは、八ページなんですが、「社会保障への影響」のところで、年金などを「現在の年金保険料に比べて倍近い水準まで引き上げることが必要となっている。」、厚生省の試算によればというふうに提起がされておりますけれども、これについても大きな異論がありまして、将来、女性労働がもっともっと今よりもふえていく可能性、それから将来的に一人で支える人数は変わらないという我が党の意見もありますので、こういう点を両論併記で、こういう意見もあるけれどもこういう見解もあったというふうに報告はしていただきたい。この点は両論併記をしていただきたい。  それから、もう一つ大きく違っている意見のところは、三十四ページの一番上の方のところでございますけれども、男女雇用機会均等法などなどによって「雇用環境の整備が進められており、その一層の充実が必要である。」というふうにまとめられておりますが、この点については我が党の代表の畑野さんの御意見のところにもきちっと述べておりまして、この雇用機会均等法ができて十年になりますけれども、むしろ非常に働きづらくなっている。しかも、この四月からは女性の深夜労働も解禁されたということについて私は強い懸念を表明しておりますので、こういう点もやっぱりきちっと両論併記していただかなければ困ります。  それからもう一つ、生まれてきた命をどうするのかということで、私は乳幼児医療無料化の問題について何回もここで意見を述べてまいりました。資料もいただきましたし、活用もさせていただいているんですが、乳幼児医療の無料化の意見が出たということもこの報告書には一言もないんです。こういうことはやっぱり調査会報告としてはまずいんじゃないでしょうか。その意見がここ全体の一致した、別に多数決を一々とってきたわけじゃないんですから、またそういうふうにまとめる報告書意見が違う場合は両論併記するということになっているわけですから、一方的に触れないということになるとこの報告をまとめられた側の姿勢というものが私は大変疑われるという、その点については強く意見を申し上げておきたいというふうに思います。  それから、経済とかいろいろな評価については、いろいろな評価があるわけですから、もし一方的、断定的な報告をつくるということになるとやっぱり大きな問題になってくると思います。細かなことについてはまた文書で出すとかなんとか方法を考えていただきまして、全部が全部ここの調査会で今述べることはできないにいたしましても、ちょっとその辺は会長の方でお取り計らいいただきまして、文章上の問題とか大きく意見が違う問題などなどについてどのような扱いをするのか。できれば私は、最初に申し上げましたように、国民の皆さんに見ていただいて、この調査会が一年間どういうことをやってきたか、どういう観点から意見を出し合い、議論をし、この問題を深めてきたのかということがよくわかるようなものにしていただきたい。結論を出す、まとめるということではなくて、そういう報告にしていただきたいというふうに思います。
  17. 久保亘

    会長久保亘君) 先ほど御了解を得ておりました松岡滿壽男君が出席されましたので、意見を述べていただきます。
  18. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 遅くなりまして申しわけありません。  この調査会でまとめられました「次世代育成と生涯能力発揮社会形成」、これを読ませていただきました。今までの議論を踏まえてよくまとめておられるというふうに思うんですが、私どもの意見というもの、あるいは実際に参考人の方々がいろいろと述べられた意見が全部入っているかというとそうでもないという感じがするんです。これはどうしてそういうことになっているのかなという疑問がございます。  それと、この中の九ページに「少子化のメリット」という分析がありまして、これは確かに我々は余り考えていなかったことで、大いに議論する価値のある部分もあるなと。少子化のデメリットばかりを我々は議論しておったんですが、メリットについてのそういう記述については評価をいたしたいと思います。  それから、十二ページの「国民的コンセンサス形成に向けて」、これは確かに非常に重要なことだというふうに思います。こういうコンセンサスを求めていく提言をやはりこの調査会ですることが非常に重要な責務だなという感じがいたしております。  それから、十二ページの「子どもを生みたいと希望する家庭への支援」の中で、不妊治療を受けていると推計される人数は二十八万五千人ということでありますが、これについてもせんだっていろいろセクハラ発言だといって閣議でも議論されているようですけれども、これもやはり緊急に対応を要する部分だという思いがいたします。  それから、十三ページの「多様な保育施設の活用や公的支援の在り方」の中で、特に認可外保育施設についての公的助成のあり方については早急に再検討を要するというふうに思います。非常に困っている方々が私どもの身近にもおられるわけでありまして、こういうことが大切だというふうに思います。  それから、十四ページの「総合的な取組の必要性」の中で、少子化社会に関する基本法制度の整備が求められていることでありますが、全くこれは同感でございます。財源の負担のあり方については、これは国民的な議論を深めていくことが不可欠でありますけれども、これも全く同感でありまして、早急な対応を要するというふうに考えております。  それから、ちょっと途中で、七ページの「親と同居してシングルライフを楽しむ「独身貴族」の若者が、増加している」という指摘でありますが、この前、参考人の先生はパラサイト・シングルという言葉を使われたんですが、なぜそういう新語、造語をあえて無視しておられるのか、その辺ちょっとよくわからないなという感じがいたしております。  それから、二十三ページの(3)の「地域・社会をめぐる現状課題」の中で地域内ホームステイの実施に触れているけれども、これも今までの参考人との議論の中で、中高一貫教育や全員寄宿舎に入れたらどうだという議論もあったわけですが、そういうものについては触れていなくてこの地域内ホームステイに急に触れておられるんですけれども、これもおもしろい試みだなという思いがいたしております。  それから、二十六ページの「少子高齢化への対応」の中で異世代間の意識のギャップの解消に触れているわけですけれども、これも積極的に展開していく課題だというふうに思います。  それから、三十三ページの「高齢者、障害者の雇用、能力活用」の中で「六十五歳までの継続雇用が努力義務とされている。」とありますけれども、現在の経済情勢の中で、これから国家公務員それから地方公務員、それぞれ総務委員会、地行で審議をされるわけですけれども、こういう六十五歳定年制への移行についてこれからも官と民とのバランスをとって、実施の時期その他についてもきちっとした対応をしていかなきゃいかぬなという思いがいたしております。  シルバー人材センター事業等々、現存する施策の促進もあわせて図っていかなきゃいかぬなという思いがいたします。  三十四ページの「ベンチャー・ビジネス等新たな活躍の場の形成」の中で支援策が利用者側から見るとわかりにくく、利用しにくいものになっているという指摘がありますが、まさしくそのとおりでありまして、現場においてほとんど意味をなしていない部分が今出てきておりますので、このベンチャーキャピタルの育成がやはり必要だというふうに思います。  それから、いろいろ提言や分析をしながら、三十五ページで終わっているんですけれども、まだ中間報告という意味でしょう、何かしり切れトンボみたいな感じで終わっちゃっているなと。しかし、全体的にいろいろ努力をしてまとめておられるというふうに思います。この報告書を実効あるものにするためには、それぞれ短期の施策と中期の施策、長期の施策というふうに分けて、プライオリティーを決めて早急に対応する必要があるというふうに思います。  以上、雑駁でありますけれども、見させていただいた感想、所感をちょっと述べさせていただきました。ありがとうございました。
  19. 日出英輔

    日出英輔君 先ほど冒頭に意見を述べさせていただきましたが、ちょっと都合がございまして各党、各委員の先生方のお話を聞かずに二度目の発言をいたしますこと、まことに申しわけないのでありますが、この調査会報告書の性格にもよると思いますが、ざっとした印象は、役所側からいろんな話を聞いた、あるいは参考人からお話を聞いたという話をただ羅列している感じがいたすわけです。一つ一つ施策について議論をしたわけでもありませんし、あるいは一年目において施策の細かいところまで合意をとるというのもまた難しい話だろうと思っております。  そういう意味で、この調査報告の性格にもよると思うんですが、私はこういうことの慣例がわかりませんので後で教えていただきたいのでございますが、何かやっぱり三年のうちの一年目のしかも中間的な話であるとしますと、議論をしないのに余り具体的な対策まで及んでしまうというのはどうもいかがなものかという感じがしますことが第一点。  それから第二点は、先ほどの話にちょっと戻りますが、少子化対応という言葉を、少子化克服対応と考えるのか、あるいは少子化前提とした、認容した上での対応と考えるのか、ここをあいまいにしたままでこの調査会議論を二年目、三年目以降続けるというのはちょっと問題が出てくるのじゃないかというふうに思います。これはもちろん議論の分かれ目でございますし、また価値観の分かれ目だと思いますが、なぜ少子化が進んでいるか、なぜ若い夫婦が安心して子供を産み育てられないのか、こういったことについての問題点の摘出なりなんなりが十分でありませんとこういう話になってきがちなような気がします。ちょっと勝手なことを言わせていただきます。  そういう意味でいいますと、事柄が非常に多様な問題にかかわるということは今回の勉強で私は自分としても大変勉強になりましたけれども、材料を十分にそしゃくしないままに細かい具体的な対策まで及ぶというのは、少し私は一年目の議論では、私も皆勤賞ではございませんので申し上げられませんが、ちょっと無理なのではないかという感じがいたします。  それから、個別具体的な話について先ほど余り私申し上げませんでしたけれども、例えば先ほど松岡先生のお触れになった少子化のメリット一つとりましても、これはメリットと上げるかどうかというのは実はかなりの議論をしなきゃいけないと思っております。  その前のページの方に、例えば出生率について地域別に違っているという記述が四ページにございます。これは都会あるいは東京中心の、大都市中心の少子化の対応とか何かに焦点が及び過ぎているような感じがいたします。やはりそういうことじゃなくて、もう少し一年目の議論として、及ばなければ及ばないという前提でいいんじゃないかと思いますが、地域によって明らかにこの出生率は差があります。あるいは、これは多分職業別とかに分けていきますとさらに差が出てくると思います。これは何なのか、確かに語り尽くせない問題があると思います。そのほかにもいろんな要因があると思いますが、これはもう少し議論をしないと、対策というまでに行くのはちょっと私は無理があるんではないかという気がします。  さらに、ちょっと繰り返しますが、この調査会少子化対応というのを、少子化を認容した対応策というか、そういうことを議論するというのは、やっぱりこれは大議論してみないと、そういうことを調査会としておまとめになっていいのかどうかということについては、これは社会的な影響もあるような感じがいたしますので、私はそれについては反対でございます。  もしそういうことであれば、私は少子化克服のためのあるいは問題点の摘示、社会的な問題も含めて議論なさるのは大いに結構だと思いますが、繰り返しでございますけれどもそういう気がいたしますので、各委員なり各政党の先生方のお話を承らないで申し上げるのはなんでございますけれども、この調査報告の性格について若干、取りまとめに当たった方々の御意見、あるいはそれをお聞きになった御意見も含めて、何か御示唆がいただければ大変ありがたいというふうに思います。
  20. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 日出先生がおっしゃいましたように、私どもがいろいろ参考人との質疑をし、この前も意見を一応陳述したわけですが、そういうものが意外に何かこの中に出ていないわけです。それはどういう考え方なのか。せっかく新しい言葉のパラサイト・シングルというのを聞いて、盛んに私は地元でいろいろ言っているんだけれども、それすらも抹殺されている。  だから、今おっしゃったように、どういう角度でこれを整理されたのか、その辺をまず伺った方がいいんじゃないかと思うんですが。
  21. 長峯基

    ○長峯基君 事務局の方でこういう案を出していただいたわけで、先生方が精読していただいて、私からもお礼を申し上げたいと思いますけれども、この調査会報告というのは、一応たたき台といいますか案が出たわけでございますから、それぞれ皆様方の御意見を聞いて、再度それをこの中に入れていくということだと思います。  こういう調査会、特に少子化に対する問題については、結論を出すということは非常に難しいと思うんです。それぞれ先ほどからこの案に対する先生方のお話を聞いておりましても、やっぱり党によっても考え方にいろいろと違いがあると思います。先ほどから話が出ておりますように、それは両論併記、それぞれこういう意見がある、こういう意見があるということを報告するにとどまるのであって、それを超えて同じ意見少子化にはこういう対策がある、こういう対策がある、これはもう到底不可能なことでございますから、現状をどうとらえるか。このとらえ方にもいろいろ意見がある。私はそれでいいと思うんです。全部その意見を出していただく。  それでは、将来に対してはどういう意見があるか。それは少子化のメリットがあるよという意見もあるでしょうし、どうしても少子化を解消しないと社会の活力は出てこないという意見もあるでしょうし、少子化がずっと続くのであれば、そして社会の活力が減るのであれば、移民法を検討して、積極的に海外から移民を認めていく。いや、これはあるんですよね、ちゃんとグローバルな社会になっていくわけですから。もちろん、そのときには日本人としてぴしっと国家として認めていくという法的なものも必要だろうと思うのでありますが、そういう議論まで行くのかどうかということもございます。  ですから私は、今回、事務局が大変努力をしてここまで出していただきましたので、これに対してはぜひ先生方の意見をどんどん入れていただいて、もっとこれを報告書らしいものにしていく、今後そういう努力をすればいいのではないかなというふうに思っております。
  22. 沢たまき

    ○沢たまき君 だとしますと、もうちょっと突っ込んで書いていただきたいなと思うところが、十二ページなんですけれども、少子化に対する課題の中なんですけれども、今ちょっと松岡先生おっしゃってくださった不妊のことなんですが、もう少し突っ込んで書いていただきたいなと思っております。「適正な治療環境の整備」となっていますけれども、この点をもう少し法整備も含めて、若い御夫婦に子供をつくりたくて大変悩んでいる方がいらっしゃいますので、そこら辺をもう少し突っ込んで表現していただけるとありがたいなと思っています。  厚生省なんかにもちょっと聞いたんですけれども、人工授精に関してなんでございますが、厚生省は人工授精とか体外受精に保険が適用しにくい理由として、成功率が低い、安全性にも課題がある、医学的に確立されていない、受精そのものを人工的な手術で行うことの妥当性について社会的合意が得られていない、この四点を挙げているんです。これは配偶者同士のことでは三一%、非配偶者間でも五〇%以上という成功率も出ておりますので、少子化といいながら、つくりたいという、不妊だという若い御夫婦の悩みはもう少し突っ込んで法整備も含めて取り組むんだというふうに入れていただければと思っております。  それと、私、調査会というのが初めてだったのでどういう性格のものかよくわかっていなかったんですが、今皆さんの御意見を伺って、ああそうなんだ、結論を出すことではないのだというのがわかりました。しかし、私たちはこの円卓を囲んでやっている、党派を超えて仲間として、子供がいて年寄りもいて思春期の人たちもいてというこの日本社会のありようをもう少し突っ込んで、二十一世紀といったって来年ですけれども、この場ではこういう日本社会というのを念頭に置いて取り組んでいく方がもう少しわかりやすいのではないかなというふうに思っております。  少子化がメリットだとかデメリットだとか、高齢社会が大変なことなのだという一般論とは違った視点でも、何と言ったらいいのかな、日本社会のありようもどうしたらいいのかという、もっといっぱいありますから、確かに少子化高齢化あるいは次世代育成と生涯能力発揮社会形成というだけでもすごい総合的な議論が必要なわけですから、その上に立ってもう一つ大きな目指すものを決めていただいてから議論していただくとわかるかなと。最初ずっとこれを調査してどうするんだろうというのがよくわからなかったものですので、そうしていただけると私はよくわかると思っております。  以上です。
  23. 久保亘

    会長久保亘君) 私の方で申し上げるのは少しいかがかと思っておりましたが、先ほど長峯理事さんの方からお話がございましたので、私からも少し御報告をかねて申し上げておきたいと思いますが、当調査会の任務といたしましては、調査会の論議を取りまとめた上で必要な提言を行い、また調査会として必要と思う場合には立法の措置をとり、あるいは常任委員会等に対して立法を勧告することができることとなっております。  それで、そういう任務に基づいて、今日までいろいろと皆様方に御論議をいただき、また参考人の意見の陳述等をいただきましたことを取りまとめて、大体、初年度でありますから調査会の会議の経過を報告するということでもよかったのでありますが、取りまとめ、執筆に当たりました者といろいろと議論をいたしまして、今日の段階で調査会としてお認めいただくことになるならば、中間報告書として少し内容を取りまとめて議長に報告をしたい、こういうことにいたしたのであります。  なお、西山委員からお話がございました会議の経過等については、この報告書の末尾に資料として出席された参考人や会議の経過等については報告をいたすことにしてございます。  それから、いろいろと取りまとめ、執筆に当たります方々との間でまだ議論も継続中でございまして、本日、皆様方から、この一次草案といいますか草案といいますか、これに対して御意見がございましたことをどういう形で中間報告の中に取りまとめることができるのか、あるいは皆様方の御意見は会議録に全文そのまま掲載されるわけでございますから、そのこととあわせて中間報告をごらんいただくことで報告を取りまとめるのか、その辺のところも今後いろいろと検討をしなければならないことだと考えております。  まだ中間報告を取りまとめるに当たって一応の草案に対して皆様方の御意見を伺ったという段階でございますので、これから会期末に向けてまた調査会を開く機会がございますれば、改めて草案をさらに修正いたしましたものをごらんいただく機会もあろうかと思っておりますが、そういうことでこの報告書草案が提出されているということを御理解の上、御意見のおありの方は続けて御意見を賜りたいと思います。
  24. 円より子

    ○円より子君 私は、この中間報告を読ませていただいて、今までのいろいろな議論を大変うまくまとめていただいたと思っておりますけれども、一つ気になりましたのは、一・五七ショックという言葉が列島を駆け回ったとき、今一人の女性が一生の間に産む子供の数、これは一・三九まで下がっておりますが、一・五七になったときに、ひのえうまのときよりも合計特殊出生率が下がったということで、あのとき初めて男の人たちが、経済界も政治世界の方々も、これは大変だ、日本はどんどんこれから労働人口、若年人口が少なくなって活力のない国になってしまうということで、初めて子供の数の減ることを大きく取り上げられたときであったんです。  あのとき私ども女性たちは、それこそアリストファネスの「女の平和」という喜劇を思い出しまして、逆に少子化が進んだ方が男の人たちが少しは男性優位社会を見直す契機になるんじゃないか。これは一つのメリットであるというような感じに受けとめて、もっと子供の数が少なくなった方が日本が住みやすい社会になるかもしれないというふうに思ったくらいだったんです。でも、これはこういうふうに議事録に残ってしまうとまたとんでもないというふうに思われるかもしれませんが、逆説だと思っていただければいいんですけれども。  私はその当時、既に家族の問題をさまざまやっておりましたから、家族機能の低下、先ほども家族の教育機能が低下していることが問題じゃないかと日出先生からでしたか御指摘もありましたけれども、そういったものが今少子化を生んでいるんだとそのころとても懸念しておりましたから、何とかそうじゃない社会をつくっていかなきゃいけない、そう思っていたものですから、そういう「女の平和」みたいな逆説的なことを考えたんですけれども。  この中間報告は、その当時から比べますと、女性が高学歴化をして社会進出をしたからこうなったんだというような、いわばそのころは離婚がふえたことも少子化になったことも、ありとあらゆることが何か女性が社会進出することが原因だというふうに女性に責任転嫁するような、新聞であれ雑誌であれ、そういう論調が多かったんです。それに比べますと、もうそれから何年もたっておりますから、随分そういったのは薄れてきたと思うんですが、まだこの中間報告を見ても、男性社会を改革しなきゃいけないとか男性の意識改革が必要だということはほとんど出ていないような気がするんです。  保育園のことにしても何にしても、確かに理想の子供数を産みたい人たちのために何とかしなきゃいけない、働きながら女性が子供を産みやすい社会をつくらなきゃいけない、その受け皿を政治家はつくる必要があると幾ら言われても、それは常に女性が対象のような形で、そこで、男性も女性も長時間労働を少なくして、例えば、「オランダの奇跡」という本が今出ておりまして、失業率が二けたで、低成長率で、もうヨーロッパの中でも最低の国と言われていたオランダが今奇跡的に回復をして、失業率が物すごく少なくなっているし成長率も上がったというので、クリントンさんも一生懸命その本を愛読しているらしいのですけれども、それはジョブシェアリングがきちんとでき始めたからなんです。それもパートタイマーと正社員、フルタイムの労働者が均等待遇原則でやり始めたというようなこともあって、そういう労働のあり方も含めて考えていかなければ私は少子化の問題は克服できないんだと思うんです。  そういうときに、おととい元朝日ジャーナルの編集長の下村さんと会ってそんな少子化の話をしておりましたら、彼女は経済同友会の中の少子化対策の委員会で、ほかはすべて男性の経営者の中で彼女一人女性らしいんですが、いや、とにかく少子化を克服するには女性に子供を産む喜びを知ってもらわなきゃいけないと全員男性の委員さんがおっしゃったらしくて、彼女はすごく腹を立てて、隣の方に、あなたは産む喜びを御存じなのと聞いたとおっしゃったのです。そうしたら、みんな男の人が沈黙したと言うんですけれども、私たち女性もいますけれども、確かにどうも常に他人事のように言っているところがあると思うんです。  それで、前に私お話ししたかもしれませんけれども、江戸時代に奉行所に勤めている人に四人目の子供ができたときに、それまでは江戸に住んでいて自分の父親と母親と一緒に暮らしていて、子供ができてもおじいちゃんおばあちゃんが子供の面倒を見るという状況があったんですが、新潟に赴任して核家族になってしまったときに、子供が三人目、四人目とできたときに、どうしても妻が何人もの子供を見ることができないので、奉行所に行くときに上の男の子、五歳ぐらいの子を連れていって、夜勤のときはその子を寝かせてから奉行所の中を見回る。それから朝、白州で裁判があるときは、その横の部屋に、子供にお父さんはこれから裁判をするから、お裁きをするから見ていなさいと、障子にぷすっと穴をあけてそれでそこから見させているという形で、今で言ったら裁判所とか法務省にお勤めの官僚が子供を連れて仕事をしているということがあって、当時は本当に父親も地域もみんな子育てにかかわっていたということがあるんです。  今は明治の時代から、孤立化した母親が地域の支援も夫の支援もなく子育てをしているという現状、そういうものがあることをやはりもう一度きちんととらえ直さないと、少子化の問題は私たちはどうしても机上のことだけになって、血の通った政策は立てられないんじゃないかなという気がしておりまして、ぜひその辺の男の方の意識改革と、まだまだ政策決定の場にほとんど女性がいないというその男性社会を変えていくということも含めて、今後の調査会皆さんの御議論をしていただければと思っております。
  25. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど会長の方からわざわざ私の意見についてのお返事がございましたんですが、ちょっと誤解があるといけないので申し上げたいと思うんです。  私はこの後にいついつ参考人質疑があってどうのこうのというそういう経過をつけてくれというふうに言ったわけじゃありません。こういう報告書の全体のまとめ方にかかわるんですけれども、例えばほかの調査会の名前を出して恐縮ですが、共生社会調査会報告の案というのをちょっと見てみますと、全体のまとめ方が、参考人の意見が要約されていて、それについて各委員の意見がこういう角度からいろんな意見が出たということで、まとめないでずっと述べられているんです。  だから、せっかく事務局の方が努力してこうして長文のものをまとめてくださったんですけれども、何となく今まで時間をかけて私たちがやってきたことが、例えば入っていない意見があるという御意見、私も先ほど乳幼児医療の無料化があれだけ言ったのに何も触れられていないのはどうしてだろうと言いましたら、ほかの委員からも御意見が出ました。そういうことがほかにもあるんじゃないかと思いますので、それを防ぐためには、こういうまとめ方ではなくて、客観的にこういう角度からさまざまな意見が出ましたよというふうな報告のまとめ方の方がいいんじゃないかということを申し上げているんです。  こういうふうに非常に全部べたっと網羅的に、何かこう卒業論文みたいにまとめちゃうと、何でこんなまとめ方をしたんだと言っていろんな意見が出てくるから、第一年目はむしろ客観的に、こういう意見もありましたよというふうな、私たちはどういう角度から調査をし、深めてきたのかということ、あるいは事実として明らかになったことはこういうことが明らかになりましたというふうなまとめ方の方がいいんじゃないでしょうかというのが一つ。  それから、どうしても審議をしていないことを書くというのはやっぱりまずいです。ということで、ちょっと一ページの書き方なんかは、例えば「資源に恵まれない我が国において、良質の人的資源がこれまでの繁栄をもたらしてきた。」という結論はちょっとここの調査会でも審議していなかったんじゃないかなというようなことがありますので、ちょっとそこら辺をもう少し丁寧にしていただけたらという意味なんで、何も経過だけ裏につけてくれたらいいという意味で私申し上げたわけじゃありませんので。
  26. 久保亘

    会長久保亘君) 御意見のありましたことにどの程度おこたえできるかわかりませんが、今御意見のありましたことは十分に受けとめまして、そしてこの中間報告の最終的な取りまとめをいたします際に、十分な配慮を行って書くように伝えておきます。
  27. 西山登紀子

    西山登紀子君 無理に御答弁を、無理に、政府答弁みたいですね、何だか。
  28. 久保亘

    会長久保亘君) いや、私が今ここで、ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  29. 久保亘

    会長久保亘君) 速記を起こしてください。
  30. 清水澄子

    ○清水澄子君 この中間報告は、いろいろ意見は言いましたけれども、初めの方の一ページから三ページのところに、二番目のところに「二十一世紀を豊かでゆとりあるものにするための課題」として三つあるんですね。課題として、「少子化の要因と対応」というのと「次世代健全育成」と「生涯能力発揮社会形成」の三つをここに課題として提起してしまうわけですから、中間報告で。だから、それらについてちょっとさっきからこれでいいんだろうかという意見を持っていたんです。  いろいろ女性の立場からはみんな共通した問題提起があったんですけれども、それとあわせて、たしかこの議論の中で次世代健全育成というときに、何か大人の私たちの側から健全に育成してやるという、こういう発想ばかりがやっぱり問題じゃないかと思うんです。ですから、今までの議論の中で子供を中心にした、子供の人権を主体にした、そういう見方をしなきゃいけないんじゃないかというのはずっと参考人の方もおっしゃっていたと思うんです。それが子どもの権利条約にある、子供の利益が最大配慮される政策というのが、これが国際的にも日本の中でも求めていくものだと思うんですが、今までは大人の価値観子供をいろんな状況に置いてきた。  だから、その視点がここに全然入らないと、何か次世代の道徳をどうするとか心の教育をどうする、そういうふうにこちらから無理やりそういう道徳観を言っているのでは私は違うんじゃないか。やっぱり、私たち自身が子供を対等な人間として本当に見ていなかったんじゃないか。だから、子供をある意味では放置した働き方とか、それからそういうことが当たり前の暮らしをしてきてしまったという意味で、ここでそういう意味の地域とか家庭教育力というのはもっとこういうところに出なきゃいけないし、それから子供の育つ社会というのはどこに入るのか。その前の方の少子化の要因というところは相変わらず晩婚化、晩産化とか生涯未婚率とかと書いてあるわけですが、それだけじゃなくて、子供が育たない、人が手をかさない社会というそういう問題が議論されたと思うんですよ、それから参考人からも。そういうところが入っていないと、これが課題として提起されるときにやはりちょっと気にかかりますので、その点はぜひお計らいください。
  31. 久保亘

    会長久保亘君) 御意見はよくわかりましたが、執筆に当たります者たちをここでいろいろ説明に当たらせるわけにまいりませんので、私の責任でございますから。  ただ、もう一つ申し上げておきますことは、この調査会が昨年スタートいたしますときに、次世代育成といったようなテーマを決めます際に、このテーマをどういう意味で我々は設定するかということについても皆様方に御協議をいただいて決められたことでございます。そのことに沿って今日まで進めてまいりました。  また、少子化に対する対応の問題につきましても、その際、テーマの設定に当たって、少子化対応のあり方についても一応この調査会以前の全体の会議において御了解をいただいてスタートしているということもぜひ御了解をいただきたいと思うのであります。
  32. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 本当会長には感謝申し上げるようないい場をつくっていただいたんじゃないかというふうに私は思いますので、会長がぜひそういう方向で頑張られるというお話もございましたので言うことないんですが、清水先生が今おっしゃったことで、私も子供健全育成の問題では、子供の立場からどうなのかということが、文部省の二月三日の会議録の中でも、例えば全国の小学生、中学生の立場でどうかということで、子供たちの要望が楽しい学校づくりの問題ですとか書かれていまして、こういうものというのは本当に大事な視点じゃないかなというふうに思いましたので、私は、過度の塾通いの是正とかというふうなのはあるんですが、こういう言葉よりは、やっぱり今の子供たちが悩んでいる受験競争の問題があるだろうし、画一的教育というよりはもっと別の角度があるかなというふうに思いますので、その点もまた書いて出させていただきますが、よろしくお願いします。
  33. 久保亘

    会長久保亘君) 用語につきましてはたくさんの委員の皆様から御指摘もございました。これらの点については十分に検討をするように伝えたいと思っています。  本日の委員相互間におきます意見交換は以上で終了いたします。  皆様方から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日の調査会を踏まえて、理事の皆様方とも十分御協議の上、一年目の中間報告案を作成してまいりたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会