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西山登紀子君 別に後の方でもいいんですけれども。
私は、
調査会の委員をやりましたのは初めてなんです。
調査会でこうしてまとめをする作業にも加わったのは初めてなんですけれども、結局この
報告というのは国会に出すわけですが、だれに対する
報告かといいますと、やはり国会を通じて国民の
皆さんに我が
調査会がこういうふうにやりましたということがよくわかるようなものにする必要があると思います。
どんな方法を使って
調査をしてきたか、政府の
意見聴取や参考人、視察などもいろいろやって、こういうふうにやってきたとかということも大事ですし、また、この
テーマをどんな角度で、立場の違いはいろいろあってもそれは当然でございますが、どんな角度で
調査を進めてきたのかということがわかるようにする。
それからまた、私自身は、この場にいろいろな国民の
皆さんの実態だとか、それから
少子化に対するいろんな
意見だとか、そういうこともむしろこの
調査会に積極的に出してきたつもりでございますが、そういうことがよくわかるような
報告書にまずするべきだ。何か結論をまとめて
報告するという形ではなくて、この
テーマをこれほどいろいろな角度から総合的にまた長期的に審議をし、
調査をしているんだということがわかるような
内容に。
私、この
報告書をいただきまして大変短い時間だったので詳細に見ている時間が余りなかったわけですけれども、ざっと見ますと、何か結論が無理にまとめられているという
感じがぬぐえないものですから、ほかの
調査会のまとめ方、案などもちょっと拝見させてもらったんですが、もっと客観的に
調査会の今までの
内容、経過などがよくわかるようにした方がいいんじゃないか。無理に結論を出そうというふうな形での
報告になりますと、どうしても無理が起こってくるというふうな気がいたします。
具体的に申し上げますと、例えば五ページの「
少子化の要因」のところですが、なぜ
少子化になっているんだろうというのは一番関心のあるところなんですけれども、五ページから七ページにずっと
少子化の要因、背景というのが書かれているんですが、全体として意識の問題に結論づけられているという嫌いがあるんじゃないかと思います。
私が問題意識として持っておりまして、資料の提供もしていただきましたのは、やはり戦後の女性の
社会への進出、女性労働が非常に
社会に大きな比重を占めてきた、このことと、それまでの家事、育児が両立しにくくなってきたという
経済的なあるいは客観的な
状況の変化というものがあって、そして意識の変化ももちろんあるという中でこういう形の
少子化が起こっているんじゃないかということでずっと
意見も申し上げ、また資料も提出していただきまして、やっぱり就業者の女性の出生率が非常に少ないというような客観的な資料も政府から出していただいたということもありますが、そういうこの
調査会の質疑、
調査の努力というものがこういうところにもう少し反映されないと、どんなに時間をかけて
調査していっても、結局結論は意識の問題に、従来から言われている、政府の言っている意識の問題になっちゃったということになると、何をしてきたんだろうかなというふうな思いも持つわけです。
特に七ページの例えば「若者の自立心の欠如」、こういう形でわざわざ項を立てて書かれていますが、私はこの
意見が出たときに、決して好きこのんで親と同居しているわけではない、やっぱり
経済的ないろいろな問題があるし、
仕事との両立ができないという今の
社会の問題があって若者がそういう同居というような形にせざるを得ないという問題じゃないかということも申し上げましたので、一方的にこういう
意見だけが出されるということではなくて、こういう
意見もあったけれどもこういう点からの
意見もあったというふうに事実に基づいてまとめる必要があるんじゃないかなというふうに思います。
それから、女性の立場からいいますと、七ページのウなんというところは、例えば専業主婦として多くの女性が専念することになったというこの四行ぐらいは、もう少し事実に基づいてきちっと書かないと女性の中では通用しないんじゃないかなというふうに、歴史的にも、私も長いこと婦人運動に携わっておりますけれども、書くならもう少し厳密に書く必要があるんじゃないかなというふうに思います。
しかし、当
調査会での審議というのは、
少子化というのは何も
社会の進歩に沿って不可欠なものあるいは解決不能なものではなくて、やっぱり解決の方向は見出し得るというようなこと、前向きな方向でのいろんな提案や
議論があったと思いますし、そういうこともまとめの方向としてはぜひ入れていくと。
それから、私もたくさん
意見を言いたいわけですけれども時間がありませんが、例えばどうしても両論併記にしてほしいところは、八ページなんですが、「
社会保障への影響」のところで、
年金などを「現在の
年金保険料に比べて倍近い水準まで引き上げることが必要となっている。」、
厚生省の試算によればというふうに提起がされておりますけれども、これについても大きな異論がありまして、将来、女性労働がもっともっと今よりもふえていく可能性、それから将来的に一人で支える人数は変わらないという我が党の
意見もありますので、こういう点を両論併記で、こういう
意見もあるけれどもこういう見解もあったというふうに
報告はしていただきたい。この点は両論併記をしていただきたい。
それから、もう
一つ大きく違っている
意見のところは、三十四ページの一番上の方のところでございますけれども、
男女雇用機会均等法などなどによって「
雇用環境の整備が進められており、その一層の充実が必要である。」というふうにまとめられておりますが、この点については我が党の代表の畑野さんの御
意見のところにもきちっと述べておりまして、この
雇用機会均等法ができて十年になりますけれども、むしろ非常に働きづらくなっている。しかも、この四月からは女性の深夜労働も解禁されたということについて私は強い懸念を表明しておりますので、こういう点もやっぱりきちっと両論併記していただかなければ困ります。
それからもう
一つ、生まれてきた命をどうするのかということで、私は乳幼児医療無料化の問題について何回もここで
意見を述べてまいりました。資料もいただきましたし、活用もさせていただいているんですが、乳幼児医療の無料化の
意見が出たということもこの
報告書には一言もないんです。こういうことはやっぱり
調査会の
報告としてはまずいんじゃないでしょうか。その
意見がここ全体の一致した、別に多数決を一々とってきたわけじゃないんですから、またそういうふうにまとめる
報告書は
意見が違う場合は両論併記するということになっているわけですから、一方的に触れないということになるとこの
報告をまとめられた側の姿勢というものが私は大変疑われるという、その点については強く
意見を申し上げておきたいというふうに思います。
それから、
経済とかいろいろな評価については、いろいろな評価があるわけですから、もし一方的、断定的な
報告をつくるということになるとやっぱり大きな問題になってくると思います。細かなことについてはまた文書で出すとかなんとか方法を考えていただきまして、全部が全部ここの
調査会で今述べることはできないにいたしましても、ちょっとその辺は
会長の方でお取り計らいいただきまして、文章上の問題とか大きく
意見が違う問題などなどについてどのような扱いをするのか。できれば私は、最初に申し上げましたように、国民の
皆さんに見ていただいて、この
調査会が一年間どういうことをやってきたか、どういう観点から
意見を出し合い、
議論をし、この問題を深めてきたのかということがよくわかるようなものにしていただきたい。結論を出す、まとめるということではなくて、そういう
報告にしていただきたいというふうに思います。