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1999-02-03 第145回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月三日(水曜日)    午後一時四分開会     ─────────────    委員氏名     会 長         久保  亘君     理 事         長峯  基君     理 事         成瀬 守重君     理 事         山本  保君     理 事         畑野 君枝君     理 事        日下部禧代子君     理 事         阿曽田 清君     理 事         松岡滿壽男君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 斉藤 滋宣君                 田中 直紀君                 中原  爽君                 日出 英輔君                 松村 龍二君                 平田 健二君                 堀  利和君                 前川 忠夫君                 円 より子君                 藁科 滿治君                 沢 たまき君                 山下 栄一君                 西山登紀子君                 清水 澄子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         久保  亘君     理 事                 長峯  基君                 成瀬 守重君                 前川 忠夫君                 山本  保君                 畑野 君枝君                日下部禧代子君                 松岡滿壽男君     委 員                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 田中 直紀君                 中原  爽君                 日出 英輔君                 松村 龍二君                 平田 健二君                 堀  利和君                 円 より子君                 藁科 滿治君                 沢 たまき君                 山下 栄一君                 西山登紀子君                 清水 澄子君    政府委員        総務庁長官官房        審議官      大坪 正彦君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        第二特別調査室        長        村岡 輝三君    説明員        厚生省児童家庭        局企画課長    星野  順君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国民生活経済に関する調査  (「次世代育成と生涯能力発揮社会形成に  関する件」のうち、子ども心身健全育成、  社会変化対応した教育及び魅力ある学校づ  くりについて) ○参考人出席要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 久保亘

    会長久保亘君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月十八日、松あきら君及び輿石東君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君及び前川忠夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 久保亘

    会長久保亘君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事前川忠夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 久保亘

    会長久保亘君) 国民生活経済に関する調査を議題とし、次世代育成と生涯能力発揮社会形成に関する件のうち、子ども心身健全育成社会変化対応した教育及び魅力ある学校づくりについて調査を行います。  本日の議事の進め方でございますが、まず総務庁及び厚生省からそれぞれ十五分程度文部省から四十分程度順次説明を聴取した後、二時間程度委員から質疑を行っていただくことといたします。  質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談会形式で自由に御質疑いただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長指名を待って質疑を行うようお願いいたします。  また、時間に制約がございますので、質疑内容は各省庁からの説明に関連するものとし、簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。  なお、各省庁からの説明、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず総務庁から説明を聴取いたします。総務庁長官官房審議官大坪正彦君。
  6. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 総務庁官房審議官大坪でございます。座らせて説明させていただきます。  本日のテーマは「子ども心身健全育成」についてということでございますが、当庁では子供を直接対象といたしました個別具体的な事業は所管しておりませんで、お手元資料、「総務庁青少年対策本部業務」という資料があると思いますが、この一番の所掌事務のところに書いてありますように、青少年指導育成保護、矯正、こういうものにつきまして基本的かつ総合的な施策の樹立、総合調整といったところが中心でございますので、そのような観点に立って総括的な説明を申し上げます。  本日は、「子ども心身健全育成」の裏返しとも言えます青少年問題行動につきまして、この資料の「2主要業務」に掲げておりますような青少年問題審議会中間まとめ次代を担う青少年について考える有識者会議提言、先月公表いたしました青少年白書などをもとにいたしまして、現状背景対策方向性について御説明申し上げます。また、関連いたしまして、関係省庁連携体制国民運動などについても適宜御紹介させていただきます。  なお、ここの五番の青少年問題に関する調査研究につきましては特段の資料は用意しておりませんが、一例を申し上げますと、目先の変わったものといたしまして、各国青年日本外国青年意識比較調査を行っております。これはほぼ五年ごとに行っておりまして、昨年十二月に第六回目のものを公表しておりますが、これは調査対象が十八歳から二十四歳までということで子供ということではございませんけれども、本日のテーマに深いところで親子関係につきまして特徴的なことを一、二御説明申し上げます。  青年自身に対する親の理解度につきまして、自分の友人や勉強、仕事のことをどのぐらい親が知っているかという設問に対しまして、日本父母とも調査十一カ国中最も低い状況になっております。  それから、理想の父親像につきまして家庭重視仕事重視かということを聞きましたところ、日本ではほぼ四人に三人が家庭重視と答えております。この項目調査昭和五十二年に入れたわけでございますが、このときは四〇%でございました。それが調査開始以来一貫して増加しておりまして、第六回目の今般では七三・五%が家庭重視が理想的な父親であるというふうに言っておりますが、ただ、外国と比較しますと調査十一カ国中では最も低くなっております。  それでは、この資料に基づきまして順次説明させていただきます。  まず、下に通しページが打ってありますが、一ページ目、青少年問題審議会でございます。  これは内閣総理大臣諮問に応じてここに書いてありますような審議をするわけでございますが、各省の枠にとらわれることなく幅広い審議が行われることとなっております。現在は真ん中にございます最近の答申意見具申覧の一番下のところ、平成九年の諮問でございますが、「青少年問題行動への対策中心とした西暦二〇〇〇年に向けての青少年育成方策について」ということについて審議をいただいておりまして、昨年の六月に中間まとめを公表しております。  一ページめくっていただきまして、中間まとめ骨子を用意しております。ポイントをちょっと触れさせていただきます。  第一章、「全体的な考え方」としまして、「青少年非行等問題行動に関する現状認識」としまして、二番目の丸、重大な問題行動を起こした子供たち意識に見られる特徴であり、かつ現代青少年一般にも見られる傾向として、次の四点を指摘しております。時間がございませんので、この内容はちょっと省略させていただきます。  二番目としまして、「現代社会の一般的な風潮に関する問題点」。青少年の問題に反映されている、現代社会一般風潮に見られる傾向として、次の四点を指摘しております。  一ページめくっていただきまして、「問題の所在」でございます。2で述べましたような社会風潮青少年問題行動増加に結びついている背景として、次の二点を指摘しております。「①子どもに対する基本的なしつけがおろそかになっていること」、「②子どもたちが幼い頃から多様な人間関係を経験する機会が少なくなっていること」、「こうしたことから、青少年人間関係希薄化と、自らの考えを理解してもらおうと努力しない独善的な孤立主義に陥る傾向につながっている。」。  「対策への視点」でございます。二つ目の丸でございますが、先ほどの「問題の所在」の整理を受けまして、「青少年が多様な人々との交流意見交換相互理解のための努力、摩擦の経験等)を通し様々な価値観に触れ、社会性を培っていくことが重要であり、こうした「開かれた」人間関係社会関係を体験するための機会を創り出すこと」。そういう考え方もとで、四番目の丸でございますが、「特に重点を置くべき目標」として、「青少年が「開かれた」人間関係社会関係を体験するための環境を提供すること」。  第二章としまして、そのための具体的な考え方整理でございます。  一番としまして家庭の問題、二番に学校教育の問題、一ページめくっていただきまして、三番に地域社会、それから企業情報メディア、六番として関係機関連携、こういうようなことにつきまして提言が出されております。  以上が中間まとめ骨子でございまして、審議会では、現在、この中間まとめに寄せられました意見参考にいたしながらさらに掘り下げた審議を、特に第二章の各論を中心に進めております。答申はこの夏に取りまとめられる予定となっております。  一ページめくっていただきまして、五ページでございますが、次代を担う青少年について考える有識者会議でございます。  昨年の今ごろ、御記憶があると思いますが、いわゆるバタフライナイフ事件が頻発していた状況にあったわけでございますが、橋本総理青少年問題に非常に関心を深く持っておられまして、その強い御意向で開催することになったものでございます。  大きな特徴といたしまして、この資料の下のところに名簿がございますが、各省庁関係審議会会長の方を主体としてメンバー構成をしているところでございます。これは橋本総理の強い意向でございまして、関係審議会での取り組み連携を図り一体的に進めていくためのいわば触媒的な効果を考えたものでございます。  一ページめくっていただきまして、この有識者会議で、昨年三月から四月にかけまして四回開催いたしまして、四月に意見整理をいたしております。この意見整理構成がこの表でございます。三番、「今、何をなすべきか」の「(3)具体的対策基本的方向」としまして、「幼児期重要性=「親」の支援システム」から、ここに書いてありますように十番の「青少年を取り巻く社会環境の浄化」まで、出された意見を網羅的に整理しております。  これの扱いにつきましては、これを受けて、各関係審議会におきましてこの意見整理もとにそれぞれ審議を深めまして、この有識者会議で適宜その検討状況報告を受けて意見交換をする、こういうことで、今後もこの有識者会議を活用することとなっております。  それから、一ページめくっていただきまして、資料3でございます。青少年対策関係省庁連携体制でございます。青少年対策推進会議というものを政府全体として設けております。私ども総務事務次官を長といたしまして、下に書いてありますような関係省庁の職員をもって構成しております。右の方にその対策会議の要旨が書いてございますが、平成元年六月の青少年問題審議会意見具申におきまして、関係省庁の緊密な連携もと青少年健全育成及び非行等問題行動防止に関する青少年対策を総合的かつ効果的に推進する必要が指摘されて、申し合わせにより設置されたものでございまして、さらにもうちょっと個別の具体的な議論をするために課長レベル連絡会議をあわせて設置しております。  一ページめくっていただきまして、関係省庁事務分担表を入れてございます。総務庁以下、最高裁判所まで入れまして、二十省庁関係省庁ということになっております。  それから、一ページめくっていただきまして、資料4でございますが、青少年対策推進要綱でございます。これは先ほど御説明いたしました青少年対策推進会議におきまして関係省庁検討の上申し合わせたものでございまして、政府全体の青少年対策基本方針を定めたものでございます。青少年を取り巻く状況変化に応じまして見直して、随時改正を行っております。内容構成につきましてはここに書いてあるような項目整理しております。  次が資料5、青少年白書十年度版のポイントでございます。  第一部、「青少年をめぐる問題の現状対応基本的方向」、これを特集しておりますが、内容的には、先ほど申し上げました青少年問題審議会あるいは有識者会議での議論あるいは各種意識調査などをもとにして取りまとめております。  二番目の丸に「非行の件数が増加しており、」という今の非行状況に触れておりますが、二枚ちょっとめくっていただきまして、資料を入れております。十二ページでございますが、これは警察庁の調べでございまして、主要刑法犯で警察に補導されました十四歳以上二十歳未満の少年の数でございます。これによりますと、戦後の主要刑法犯の波、推移としましては、昭和二十六年の第一のピーク、三十九年の第二のピーク、五十八年の第三のピークという三つピークがございまして、最近また増加傾向があるという状況になってございます。  戻りまして恐縮でございますが、先ほどの十ページ白書の続きでございます。三つ目の丸でございますが、「今日の青少年一般にも、社会性規範意識が低下している、責任や努力を伴うことに回避的である、ゆとりがなく疲れやすい等の傾向」が見られる。次の丸でございますが、青少年を取り巻く環境にもさまざまな問題点がある。社会風潮家庭学校地域社会、こういうことを整理しておりまして、下の方に「対応基本的方向」といたしまして、青少年をめぐる問題につきましては、家庭学校地域社会企業などを含め、すべての人々がみずからの問題として考え、行動する必要、これらの関係者取り組み有機的連携を保ち、全体として有効に機能するような開かれた関係づくりを進める必要、子供が多様な人間関係生活体験を通じて社会性人間性などを習得していけるような機会や場を整備していく必要、こういうことの取りまとめをしております。  続きまして、十三ページでございます。資料6になりますが、資料6以下は国民運動に関するものでございます。青少年非行防止健全育成取り組みに当たりましては、行政のみならず、国民挙げての取り組みが欠かせないということから、政府全体の青少年行政総合調整する立場から広報啓発国民運動を推進しているところでございます。  資料6は、七月の青少年非行問題強調月間、それから次のページは十一月に全国青少年健全育成強調月間を定めるものでございまして、関係省庁団体連携を図りまして集中的に各種広報啓発活動を実施するなどの取り組みを行っているところでございます。  次の十五ページでございますが、これらの取り組みに呼応いたします国民側取り組みでございますが、関係省庁の所管を超えまして、さまざまな青少年団体などをメンバーといたしました青少年育成国民会議が結成されております。国民会議の下には、この表にありますように都道府県民会議市町村民会議が組織されておりまして、全国的なネットワークが形成されております。  また、次のページでございますが、資料7でございます。身体、健康面での健全育成観点から、体力つくりにおきましても同様に強調月間を設けまして、関係省庁団体連携して取り組んでおります。  それから、最後のページでございますが、青年対象とするものでございますけれども国際化が急速に進展する中で、国際性を備え世界に通用する人材育成観点から、このような青年国際交流事業も推進しております。  以上、御説明とさせていただきます。
  7. 久保亘

  8. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 厚生省児童家庭局長横田でございます。よろしくお願いいたします。  座ったままで御報告させていただきます。  お手元に「児童健全育成について」という題の資料が配付してございますが、これに基づきまして御報告を申し上げさせていただきたいと思います。  昨年十二月の本調査会におきまして、少子化への対応ということで保育中心子育て支援策について御説明をさせていただいたところでありますけれども、今回におきましては、「子ども心身健全育成」ということで、これに関する施策中心に若干の重複はございますが取りまとめてございます。  一ページをごらんいただきたいと存じます。  まず、児童健全育成に関する施策ということで年齢別整理してございますが、新生児期から乳幼児期ということでございます。  母子保健法というのがございまして、妊娠をした場合におきましては市町村長届け出をしなければならないということになっておりまして、届け出がされますと母子健康手帳というのを交付いたしております。保健指導なり健康診査記録あるいは成長の記録等を行う基本的な手帳ということでございます。これが全員に交付されることになっております。  これに基づきまして、(2)にありますように、乳幼児の健診あるいは乳児健診、それから一歳六カ月あるいは三歳の時点におきまして集団健診あるいは医療機関委託によりまして健康診査を実施いたしておりまして、疾病の予防なり心身の健全な発達を把握するというような仕掛けになっております。  それから、妊娠してその後出産ということになるわけでありますけれども出産時における未熟児あるいは低体重児等の場合もありますので、そういった医療対策が必要になるわけであります。これにつきましては、(1)にございますように、周産期・新生児医療対策といたしまして、NICUというような、ちょっと記号で恐縮でございますが、新生児集中治療室と言っておりますけれども、その治療施設整備、あるいはより高度専門的な周産期医療を行うための総合周期母子医療センター等の設置あるいは運営費等助成を行っております。  それから三番目に、母子保健相談ということで、新生児訪問あるいは未熟児訪問指導等を行いまして健全育成を図っているということでございます。  次の二ページをごらんいただきたいと存じます。  乳幼児期でございますけれども、基本的には家庭なり地域におきまして子供健全育成が図られているというのが一つの前提にあるわけでありますが、それをサポートするという見地から幾つかの施策を講じております。  一つは、日中就労している保護者にかわりまして保育を行うということで、保育所整備ということで、現在、ここにございますように二万二千三百カ所、約百七十万人の児童を受け入れて保育を行っているということでございます。これによりまして、乳幼児に対し、生活に必要な基本的習慣涵養あるいは心身の健康の基礎を培うということをねらっております。  それから、最近におきましては、就労していない方におきましても、地域あるいは家庭子育て機能が低下してきているということもございまして、育児不安等がかなり顕著に見られるようになってきているということで、そういった地域子育て支援につきましても施策を進めております。  (2)にございますように、保育所におきまして地域子育て支援センターというものを整備いたしまして、地域家庭の育児不安に対する相談指導あるいは子育てサークルへの支援等を行っております。また、九年の児童福祉法改正によりまして保育所子育て支援相談機能を追加いたしまして、現在、私ども主任保母配置というようなことで実際の保育に専念しなくてもよい保母配置をいたしまして、そういった地域子育て支援のニーズにもこたえてまいりたいというふうに考えております。  それから就学後でございますが、就学後におきましては当然学校教育中心人間形成が図られるわけでありまして、私どもといたしましては、それを補完するという観点から、学校の授業が終わった後の児童の遊び場の提供というようなことで、一つ児童館なり児童遊園整備というものを図っておりますし、また、特に低学年におきましては、働いている親が帰るまで心配だということもございますので、そういった需要に対応するために児童館学校余裕教室その他さまざまな場所を活用いたしまして放課後児童健全育成事業というのを実施いたしております。  三ページをごらんいただきたいと存じます。  特に年齢ということでなくて行っている施策でございますが、一つは、(1)にありますように、児童福祉文化の向上ということで、中央児童福祉審議会の中に文化財部会というのを設けまして、毎年、児童文化財の推薦というものを行っております。児童劇あるいは児童文学、絵本、児童映画等ですぐれたものを推薦するということでございます。こういったものにつきまして、優良児童劇巡回事業というようなものも行って、積極的に子供たち自発性なり情操の涵養を図ることにいたしております。  それから民間の活動といたしまして、全国母親クラブというのが七千三百八十ほどございまして、母親中心地域住民が積極的にボランティア活動といたしまして、親子交流なりいろんな人形劇サークル等文化活動等を行っております。これに対して国といたしましても助成を行っているということでございます。  次に、四ページをごらんいただきたいと存じます。保護を必要とする児童に対する施策でございます。  一つは、児童福祉施設というところに入所していただいて、保護自立支援を図るという施策であります。これにつきましては、父母の死亡なり虐待、養育放棄というような要因によりまして、家庭において養育が困難な児童について保護し、自立支援を図るというものでございまして、現在ここにありますように乳児院、児童養護施設、非行等の場合におきましては児童自立支援施設、それから心理的な治療等を必要とする者につきましての情緒障害児短期治療施設等を設けております。  次に、五ページをごらんいただきたいと存じます。  地域における相談、指導という面でございますが、児童全般について相談なり適切な指導、処遇を行う施設といたしまして、全国児童相談所が百七十四カ所ほど整備されております。児童問題に関する中心的な施設でございます。  これだけでは必ずしも全域をカバーするのは難しいという点もございまして、九年の児童福祉法改正によりまして、(2)にありますように児童家庭支援センターということで、より身近なところで気軽に相談、指導等が受けられる機関として新たに創設いたしております。現在、十年度にスタートして六カ所でございますが、逐次増加を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、養護施設等を退所した後、まだ十分自立できない児童等のケアが問題になるわけでありますが、これにつきまして(3)にありますように児童自立生活援助事業ということで、家庭的な雰囲気の中でいろいろな就職先の開拓なり、仕事上あるいは日常の相談等に応じる事業を十年度の改正におきまして法定化いたしております。  それから、(4)にございます主任児童委員でございますが、これは民生委員が兼務することになっておりますけれども、そのうち特に児童の方にウエートをかけていただく委員として主任児童委員というのを一万四千人ほど委嘱してございまして、こういった方たちにおきまして地域におけるいろんな児童関係機関との連絡調整、健全育成支援等に御尽力をいただく施策を講じてまいりたいというふうに考えております。  六ページをごらんいただきたいと存じます。  今後の重点施策ということでございますが、保育サービスにつきましては、その充実を図っていく必要があるということで、特に待機児がまだ全国で四万人弱ほどおられるということで、この解消が最大の課題であるというふうに考えております。  このために私どもは、ここにありますように、特に最近需要がふえております低年齢児、二歳児以下でございますが、そういった低年齢児の受け入れ枠の大幅な拡大を十一年度予算においても図ることといたしております。特に大都市等が待機児が多いということでございますので、既存の施設の入所定員の最大定員二〇%増までは入れていいというような弾力化あるいは分園の導入、それに加えまして、特に待機児童が多い市町村に対しましては個別に対策等をヒアリングして待機児の解消に努めてまいりたいと考えております。  それから、多様な保育サービスということで、これも最近需要がふえております延長保育、一時保育、あるいは休日保育につきましては来年度施行することにいたしておりますが、こういった多様な保育サービスの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、地域における子育て支援ということでは、先ほど申し上げましたような地域子育て支援センター整備促進を図ってまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つは、七ページでございますが、健全育成を図るための児童青少年の居場所づくりが重要であるということで、これは昨年七月に中央児童福祉審議会の方におきましても御意見をいただいておりまして、そういった居場所づくりについてその充実を図ってまいりたいということで考えております。  一つは、放課後児童健全育成事業の長時間開設の促進ということで、現在の放課後児童健全育成事業につきましては放課後から五時とか五時半とかいうことで終わるところも多いわけでありますけれども、現実には親が帰ってまいりますのは六時、七時ということでございますので、そういった六時を超えて開設するようなところにつきましては増額をいたしまして、そういった児童クラブの増加を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、中高校生向けの児童館整備促進ということでいろいろな児童館等を整備しているわけでありますが、中高校生向けの年長児にも対応した施設整備、ここにございますようにトレーニング機器ですとか音響用設備とか楽器、陶芸用窯などの設備整備につきまして補助を行ってまいりたいと考えております。それから、大型児童センター等につきましては、従来設置の基準が人口二十万以上の市というようなことでございましたが、そういった要件も緩和してつくりやすくいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、町ぐるみでそういった年長児の健全育成に取り組んでいただくようなモデル的な都市をお願いいたしまして、いろいろな実験をしていただく、それに対する助成をというようなことで、(3)の年長児童育成の街試行事業の実施というのを十一年度から始めたいと思っております。  それから、国なり公共団体施策だけでなくて、企業等の協力も重要であるということで、学校の休業日等におきます児童の居場所づくりとして、企業が所有しているいろんな福利厚生施設がございますが、そういったものを開放していただく。こういったことにつきましても、一カ所当たりわずかでございますが、助成を行って広げてまいりたいというふうに考えております。  八ページをごらんいただきたいと存じます。児童虐待への対応でございます。  児童相談所における虐待の相談件数等を見ますと、平成二年現在千百件から九年度五千三百件というようなことで、かなり大幅にふえてきているというような状況がございます。  これにはいろんな要因があると思いますけれども、私どもとして特に力を入れて取り組んでいかなくてはいけない問題であるというふうに考えておりまして、施策といたしましては(2)以下にございますように、これまでも「子ども虐待防止の手引き」でございますとか、児童福祉法改正による児童相談所の機能強化、児童家庭支援センターの創設、あるいは虐待児童がいるということがわかった場合には児童相談所なり福祉事務所に通告していただく通告義務というのが国民に課されているわけでありますけれども、そういった義務があることについての周知広報等、あるいはそういう通報があった場合の児童相談所の対応体制の整備等について指導の強化を図っております。それから、現在は「児童虐待対応の手引き」を今年度の事業として作成中でございます。  十一年度におきましては、虐待問題についてのビデオ等をつくりまして、これを各方面に広めてまいりたいというふうに考えております。また、先ほど申し上げましたような主任児童委員を活用いたしまして、地域におけるこういう虐待問題等に対応したネットワークを整備してまいりたいというふうに考えております。  以上、概略走りながら御説明申し上げたところでございまして、この後は参考資料ということで掲げてございますのでごらんいただきたいと存じます。
  9. 久保亘

    会長久保亘君) 次に、文部省初等中等教育局長辻村哲夫君。
  10. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 文部省の初等中等教育局長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、座って説明させていただきます。  お手元に「少子化に対応した教育施策の推進について」といった資料がございます。それに沿いましてお話をさせていただきたいと思います。  テーマを大きく三つに分けまして資料を整えました。一つは、「子ども心身健全育成について」ということで、心の問題、心と体の健康の問題でございます。それから二つ目社会変化対応した教育ということで、国際化、情報化、科学技術の進展、環境問題への対応教育が今どのように取り組んでいるかといったことをまとめさせていただきました。それから三つ目は、魅力ある学校づくりということで、カリキュラムの問題、中高一貫教育の問題、高校教育改革の問題、この三つをそこに載せさせていただきました。  説明に入ります前に御参考に御報告させていただきたいと思いますが、現在、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、それから盲・聾・養護学校、これらの学校に通っております生徒は、昨年の五月一日現在でございますけれども約千八百二十万人でございます。学校数は五万六千六百校。五万六千六百校のこうした初等中等教育学校に千八百二十万人余が学んでいる、こういう状況でございます。  それでは、資料に沿いまして、まず一ページをお開きいただきたいと思います。  子供心身健全育成関係でございますが、まず冒頭に載せましたのは、平成九年総理府において行われました全国一万名を対象といたしました、有識者が現在の教育をめぐる問題をどのように考えているかといったものでございます。  そこにございますように、一番左側が家庭のしつけが不十分だとする人、それから学歴を偏重する社会意識を問題とする人、子供を取り巻く社会環境の悪化が問題とする人、学校、教師の指導力の低下が問題であるとする人、大きく四分されたような状況で有識者は現在の教育問題を見ているということでございます。  それから次に、主として家庭の問題ということで、これは私ども、昨年の七月に全国の小学校二年生、四年生、六年生、中学校の二年生を対象にいたしまして、それぞれ二千五百人から三千人くらいの調査をしたものでございます。  そこにございますように、生活習慣の点で申しますと、食事をとるとか顔を洗うといったことはもうほとんどの子供は行っているわけでございますけれども、三段目、四段目、起こされないで起きるとかあるいは布団の上げおろしといったことになりますとややばらつきが出てくるといったこと。それから家でのあいさつあるいは知人へのあいさつといった点ではそこにございますようにおおむね行われておりますけれども、悪いことをしていたらやめさせる、あるいは席を譲るといったことになりますと、そこにございますようなばらつきを生じているといった結果が見られたところでございます。  それから二ページ目でございますが、同じ調査でございますが、子供たちに日常生活の注意あるいは倫理観、道徳観にかかわる指導をお父さんから言われますかお母さんから言われますかということで聞いたものでございます。そこにございますように、テーマによってばらつきがあるわけでございますけれども、右側がお母さんから、左側がお父さんからということで、お母さんからと答えた者が圧倒的に多いわけでございまして、家庭におきます父親の関与の問題がここにうかがわれるというふうに我々は分析をしているところでございます。  それからその下でございますが、子供たちがどのような生活体験、自然体験をしているかということで、左側が男子、右側が女子ということで見たものでございますが、そこにございますようなテーマ、男子、女子、余り性差はございません。  上にございますようなタオル、ぞうきんを絞ったことといったことはもちろんほとんどの子供が経験しているわけでございますけれども、上から三段目のナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切るということになりますとばらつきが出てまいりまして、さらに下の方の道路、公園などに捨てられているごみを拾うといったことになりますとかなり無関心といった様子がうかがわれるところでございます。同じように、自然体験でございますが、海や川で泳ぐ、あるいはチョウやトンボを捕らえるといったものは多くの子供が経験をいたしておりますけれども、下のようになりますと経験が非常に少ないといった状況がうかがわれます。  なお、表には載せてございませんけれども、親に対しましても同様の調査をいたしておりますが、親の世代と比べますと子供たちの体験の機会が減少しているといったことがこの調査によって知られたところでございます。  次に、三ページを見ていただきたいと思います。子供たち学校生活で問題とされるものでございます。  一番上はいじめの発生学校数でございます。一番右側が九年度の状況でございます。小中高合わせまして一万一千五百校の学校においていじめが発生しているということでございます。  それから、真ん中が暴力行為の発生件数でございます。暴力行為は対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力、生徒以外のよその人という意味ですけれども、それから器物損壊といった四つの形態がございますが、トータルいたしまして小中高合わせて七千三百七十一件が発生しているということでございます。  それからその下でございますけれども学校嫌いを理由として学校に来ない、その欠席日数が三十日以上の者の数でございますが、ずっとふえてまいりまして、十万人を超えたということでございます。小学校におきまして二万人余、中学校におきまして八万人余ということでございます。こうした現状になっております。  それから次のページでございますけれども、これは文部省平成十年の二月に行った調査でございます。  真ん中のところ、米印のところで、全国の小学校百校、中学校百校とございますが、中学校は七十校でございますので、申しわけございません、御訂正いただきたいと思います。そして高等学校五十校を対象に行ったものでございます。  子供たち学校生活で楽しいと感ずることは、友達との遊び、交流学校行事といったものが大きな数を占めているということでございます。それから、子供たち家庭地域社会でどんなことをしたいか、あるいはしてもらいたいかという問いでございますが、それに対しましては友人との交流といったものを挙げた子供が小中高を通しまして圧倒的に多いという数字が出てございます。そして保護者もそのことを望み、教師もそれを望んでいるという状況でございます。  次に五ページでございますけれども、幾つかのサンプルで子供たち状況の一端を御報告したわけでございますけれども、こうした状況を踏まえまして対応施策でございますが、まず昨年の六月、中央教育審議会から「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申をいただきまして、それに沿った施策を進めているということでございます。答申ポイントは十七ページにございますので、後ほど見ていただければと思います。  それから二つ目といたしましては、平成十四年度から完全学校週五日制が進んでまいります。そのためにはこれまで以上に地域あるいは家庭の学習環境教育環境といったものを整備していく必要があるわけでございます。そこで、全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)といったものを策定いたしまして、このプランに沿いまして施策を進めているところでございます。  具体的な内容は十九ページ以降参考2として載せてございますのでお目通しいただければと思いますが、ポイントだけ申しますと、重点施策のところにございますように、子ども放送局の創設、子どもセンターの全国展開、子供活動機会と場の拡大、それから子供や親の悩みにいつでもこたえ得る相談体制の整備家庭教育への支援といったことで、子どもホットラインあるいは家庭教育手帳の作成、配布等を行っているところでございます。それから、学校教育におきます道徳教育の充実、同じく学校教育におきますスクールカウンセラーあるいは心の教室相談員の配置等によります相談体制の充実等を進めているところでございます。  次を見ていただきたいと思います。六ページでございますが、六ページは心と体の健康の状況でございます。  上の表は、小学生、中学生、高校生の体力診断テストの推移でございます。体力診断テストと申しますと、反復横跳びですとか背筋力とか握力とかといったもので点数を出して見るものでございますけれども、横ばいないしやや低下ぎみといった状況がうかがえます。  それから、右側が運動能力テストでございますが、これは五十メートル走とか走り幅跳び、ボール投げ等によってはかるものでございますが、これも横ばいないし低下ぎみといった状況かと思われます。  それから、下は子供たちの肥満傾向でございますが、昭和六十二年度が左側、平成九年度が右側でございます。五歳から十七歳までいずれの年齢層におきましても肥満傾向が進んでいることがうかがえるところでございます。九歳、十歳、十一歳といったあたりはこの傾向が特に顕著だということがうかがえるわけでございます。  次、七ページへ参りまして、覚せい剤事犯検挙者の推移でございます。  上が全体でございまして、第一次、第二次、第三次とピークがございます。下が子供たち状況でございます。一番右側を見ていただきますと、平成九年度の状況でございますけれども、二百十九、これは高校生の検挙者数でございます。それから、下の四十三、これが中学生の検挙者数。以下、同様に昭和五十二年から載せてございますが、推移がございますけれども、この平成七年、八年、九年度、特にこの棒グラフの伸びが顕著だといったことがうかがえるところでございます。それから未成年者の比率も、一時低下をしておりましたが、この七年、八年、九年あたり上昇傾向に転じているという状況でございます。  八ページを見ていただきまして、こうした子供たちの心と体の健康に関しまして取り組んでおります施策の主なものでございます。  まずは、体育と保健といったものの関連を図った指導の充実ということ。それから学習指導要領におきましても、子供たちの心の健康に対する指導を充実させるということ。それから三つ目でございますが、薬物乱用防止五か年戦略といったものを踏まえまして、子供たちに薬物乱用の持つ問題点等についての理解、啓発の充実といったこと等に努めているところでございます。それから、あわせまして、望ましい食習慣の形成といったことにつきましても努力をしているところでございます。  次、九ページを見ていただきたいと思いますが、大きなテーマ二つ目でございます。社会変化対応した教育ということで、それぞれどのような取り組みをしているかということのポイントを載せたものでございます。  まず、国際化への対応でございますけれども、これは平成十四年から始まる新しい学習指導要領、完全学校週五日制とともに実施されます内容を主として書いてございます。  小学校におきましても、総合的な学習の時間といったものを設ける。これは一週間にならしまして三こま設けられる予定になっておりますが、そうした時間を使って、小学校の段階からも、各学校の実情に応じて、外国語に触れたり、外国生活、文化などになれ親しむといったことに取り組んでいこうということでございます。それから中学校におきましては、現在選択でございますけれども外国語を必修にするということ。それから高等学校も、同様に現在選択でございますけれども、これも必修にする方向で今学習指導要領を検討いたしております。  それから、コミュニケーション能力の育成ということで、ネーティブスピーカーを招聘して、各学校外国語の指導に当たっていただくJETプログラムといったものを推進しているところでございます。現在、全国で五千余校に配置をされております。  それから、二つ目の情報化への対応、これも新しい学習指導要領におきます状況中心に書いてございますけれども、小学校でも総合的な学習の時間等を使いましてコンピューターや情報ネットワークに触れるということ。中学校ではこれまで選択でございました情報とコンピューターを必修にする。それから高等学校につきましても、これまで各学校の選択でございましたが、新しい教科として情報というものを設けまして二単位、これを必修にするという方向で検討いたしております。それから指導に当たる教師に対しましてもこれを必修とするということでございます。  それから、ハードの整備につきましても、そこにございますように、全国学校にコンピューターを整備すべく地方交付税によって措置をしているということでございます。次の十ページ、同様にインターネットにつきましても十年度から十三年度までの間にすべての公立学校をインターネットで接続すべく交付税によって計画的に整備をいたしておるところでございます。  それから、三つ目の科学技術の進展ということでございますが、今回の学習指導要領の改訂におきましては、教える指導内容を思い切って厳選する、その生み出された時間を使って調べ学習とか体験的な学習、あるいは自然に触れる学習、こういったものをふやしていこうと。そうした形で子供たちの科学技術への知的好奇心を高める、あるいは科学的に調べる能力、問題解決能力といったものの育成を進めようということでございます。  それから、四番目の環境問題も同様でございまして、新しい学習指導要領におきましては、環境を調べる、あるいはよりよい環境を創造するための意欲、態度といったものを培うべく指導要領の改訂を行ったところでございます。  それから次の、大きなテーマ三つ目でございますが、魅力ある学校づくり関係でございます。  これも昨年の二月に行いました調査の結果でございますけれども、小学校の三年、五年、そして中学校の二年生、高校の二年生にアンケート調査をいたしました。その結果でございますけれども、小学校の段階では、学校を楽しい、あるいは少し楽しいとする者が圧倒的であるわけでございます。中学校におきましてもその傾向は維持されておりますけれども、高等学校にまいりますとその数が相当に減少してきているという状況が見てとれるところでございます。  それから、子供たちがどのくらい授業がわかるかということで聞いたものでございますが、これも小学校の段階では、よくわかる、大体わかるとする者が七割前後であるわけでございますけれども、中学生になりますとその数が減り、高校生になりますとさらに減るといった傾向がうかがわれるところでございます。  次のページでございますが、では子供たちはどんな学校であってほしいかということでございますけれども、そこにありますように、楽しく、伸び伸びと過ごせると回答した者が小中高を通しましてトップといった状況でございます。  それから、学校教育で身につけたいもの、身につけさせたいものということでございますが、学校種を超えて、友達をつくったり、自分の周りの人々などと仲よくつき合ったりする力と答えた者がトップでございます。このことは保護者や教師たちも同様に高い回答をしているという状況でございます。  次のページ、十三ページでございますが、これは学校週五日制に関連して問うた問いに対する回答でございます。御案内のとおり、現在月二回、隔週で小中高お休みになっているわけでございますけれども、それについての問いに対する回答でございますが、子供たちはみんな土曜日を大歓迎しているわけでございますけれども保護者、教師になりますと必ずしも積極的にばかり評価をしていないという状況がうかがえたところでございます。  こうした現状を踏まえましての現在の取り組み状況でございますが、十四ページを見ていただきたいと思いますが、まずカリキュラムの改訂ということでございます。  完全学校週五日制、土曜日が完全にすべてお休みになるわけでございます。私どもといたしましては、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、子供たちに覚える、覚え込ませるというよりも、みずから学びみずから考えるなどの生きる力を育成するといったことをねらいとして学習指導要領の策定に当たったところでございます。  新しい学習指導要領は、幼稚園につきましては平成十二年度から、小中学校につきましては平成十四年度から完全実施の予定でございます。  改訂に当たりましての基本的な視点といたしましては、四つを柱といたしました。豊かな人間性社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の育成一つ二つ目は、多くの知識を教え込む教育を転換し、子供たちがみずから学びみずから考える力の育成ということ。三つ目が、ゆとりのある教育を展開し、基礎、基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実。四つ目が、各学校が創意工夫を生かした特色ある教育、特色ある学校づくり。この四つを改善の柱といたしたところでございます。  あとは説明を省略させていただきますが、ポイントといたしましては、覚え込むあるいは学ぶ教育内容というものを厳選するということ、それから心の教育の充実、国際化への対応、情報化への対応、それから十五ページでございますけれども、体育・健康教育の充実、それから総合的な学習の時間の創設、それから⑦のところで一言、これまでの時間数、完全学校週五日制になるということにも関連いたすわけでございますけれども、現在よりも週に直しまして二こま、年間で七十単位時間を削減したということでございます。  一番最後、平成十四年度からすべての学校段階で一斉に完全学校週五日制が実施をされるということでございます。  それから、十六ページをお開きいただきたいと思いますが、魅力ある学校づくり二つ目といたしまして、中高一貫教育の推進ということでございます。  これは、昨年の国会におきまして学校教育法の一部改正が行われまして、この四月から施行される予定になっているわけでございますけれども三つの種類がございます。中学校と高等学校一つ学校種として、中等教育学校という新しい学校を設けるということ。それから、併設型と申しまして、中学校、高等学校、それぞれ独立して設置をいたしますが、同一の設置者、つまり県であれば県、市町村であれば市町村が設置をする、そしてこの中と高の間は無試験、無選抜でつなぐ、こういった併設型。それから連携型は、現在の学校制度を前提にいたしまして、市町村立の中学校、都道府県立の高等学校、設置者は違うわけでございますけれども、その間を簡便な選抜によってつなぐ形で中高一貫を実施するといったものでございまして、この四月、全国で三校ほどスタートをする予定になってございます。  それから、最後でございますけれども、高等学校教育の改革ということでございます。  中学校卒業生のほとんどの子供たちが今現在高等学校に進学をいたしております。進学率は九七%となってございます。そこで、それぞれの生徒の実態に対応した特色のある高等学校づくり、これをねらいといたしまして高等学校教育の改革に取り組んでいるところでございます。  二つ目の丸でございますけれども、その一つの例といたしまして総合学科、これは普通科と専門学科両方の内容をあわせ持った学校でございますけれども全国で今百七校ほどになっているところでございます。そのほかにも、学年制を取り払った単位制高校等、特色ある学校づくりに努めているところでございます。  それから、入学者選抜につきましては、学力検査、調査書、これによって行われるのが一般的でございますけれども学校の判断によってはその他の方法によって、学力検査、調査書以外の方法によってこれを行うことができるといった学校教育法施行規則の改正を行いまして、これもこの四月から施行するところでございます。  あと、十七ページのところは、先ほどちょっと紹介いたしました中教審の答申の概要、それから全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)の概要、それから新しい学習指導要領のポイント等を参考に載せてございますので、後ほどまた御参考にしていただければと思います。  以上でございます。
  11. 久保亘

    会長久保亘君) 以上で総務庁厚生省及び文部省からの説明は終わりました。  これより自由質疑に入ります。  先ほども申し上げましたように、質疑時間は全体で二時間程度とさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長指名を待って質疑を行うようお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  12. 金田勝年

    金田勝年君 それでは、一言だけ三省庁の方にお聞きしたいし、特に総務庁の方に聞きたいのです。  今資料を拝見していて、いつも思うのですが、こういう青少年とか子供たちの将来に対して非常に深く掘り下げて皆さんよくやっておられるのですが、今の時代というのは、自分がどう生きるべきかということを子供さん方が、あるいは青少年の成長の過程でそれぞれが悩みながら、親に聞いてもよくわからぬし学校の先生に聞いてもよくわからぬ、そういう状態の中で迷いながら、模索をしながら生きていっている。  そういう子供たちにどういうふうな対策をとっていくかということなのですが、今の情報化時代、国際化時代にありますと、海外ではどういう施策をとっているのかということが彼らに対しても一つの判断材料になるのではないか。我々こういう政治の立場にいても、皆さんのお仕事のこの資料を見ても、例えばヨーロッパでどうやっている、アメリカでどうやっている、先進国ではこういう形で子供たちを、青少年対策をとっているのだということが資料としてきょうも一つも出てきません。要するに、そういう視点が欠けているのではないかなという感じが私は非常に強いのです。  ですから、昔からの、おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、そして子供たちがいる、これは非常に大事な切り口であります。ですから、いろいろ教えてあげたい。しかし、今は情報化で、もう本当にテレビでも、マスコミでも田舎にいる子だって東京のことが全部その日のうちに伝わるわけです。そういう中で、子供たちは自分の将来を含めてみずからの生き方を探す、そういう日々を送っていくわけです。  非常に強い影響を受けるものというのは、いろんな形で、学校とか家庭の中を超えたものも非常に多いわけでありまして、そういう情報化、国際化の時代に対して外国の場合はどういう対応をしてきたのか、そういう点に照らして、果たして今の各役所の縦割りの中での対応ということで本当にいいのだろうか、やはりもうちょっとメスを入れる視点が、国際化時代、情報化時代にふさわしい切り口がもうちょっとあっていいのではないか。  そして、総務庁の八ページ資料にあるように、「青少年対策関係省庁の事務分担関係一覧」というと、関係省庁が総花的にこんなにお互いに同じ問題にいろんな角度から取り組んできたのかというように今さらのように思われると思うのですよ。こういうものの横の連携とか、今私が最初に述べたような切り口からの検証というものが果たして行われているのであろうか、私はそういうことが非常に欠けているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。お三方から聞きたいと思います。
  13. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 鋭い御指摘をいただいたと思います。  外国での考え方については、確かに私ども部分部分では調査いたしておりますけれども、そもそも論に戻ったようなところでの、そういう施策展開の根っこみたいな部分についての掘り下げは確かに今まで弱かったなという思いはしております。  先ほど外国青年との意識比較調査をちょっと御紹介しましたけれども、あそこに出てきております日本外国青年意識の差は一体どこにあるのかなというところも問題点一つ、関心の一つとしてあるわけでございますが、今までそういう例えば有害情報の取り扱いについて外国はどうなっているのかという部分部分の調査はやっておりますけれども、そういうしつけ論的な部分、基盤的な部分はこれからもちょっと努力しなきゃいかぬテーマだなというふうに思います。  それから、横の連携のお話につきましては、確かに不十分じゃないかというお話ありますけれども、ここはできる限りの部分で一生懸命やっている。例えば、昨年バタフライナイフの事件が起きましたときには緊急に、ここにおられます局長もそうでございますが、関係省庁局長に集まっていただきまして、情報交換連携をとっておりますし、それはテーマごとにやっております。先ほどの有害情報の話につきましては、郵政省も含んでいろいろ研究を進めてきている、こういう状況でございます。  なお努力したいと思っております。
  14. 金田勝年

    金田勝年君 分析はいいんですけれども、やっぱり対策をしっかりと、外国ではどういう対策を講じて、少なくともアメリカなんというのは今我が国が直面している問題で十年ぐらい先を行っていたわけですよ。ですから、国民性とか文化とか、そういういろんなものが違います。違いますが、しかしそういう手法なりをもっともっと取り入れた形で各省が、この総務庁の八ページにある、非常に縦割りの細かいこういう施策をもっと横で連携させ、かつ海外のそういう先進地域のいろんな対策を、やはり日本の若い人たちというのは国際性を非常に重視していると思いますので、そういうことを踏まえて対策を講じていく、分析じゃなくて、そういう視点からの対策議論していただきたい、そういう感じがするわけであります。  いろいろ中央省庁の改革論議もあるわけですから、そういうこともにらんでぜひひとつ強力にそういうところを施策として位置づけていっていただきたい、こういうふうに思うんですけれども、ついでに文部省の方からも一言お願いしたい。
  15. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 今の御指摘は、私ども努力しなきゃいけないなという気持ちで意見を聞いておりました。  例えば教育課程の改定、カリキュラムの基準をつくるときに、数学、小学校の一年生ではどういう勉強をするのか、中学へ入ったらどういう勉強をするのかとか、あるいは理科でアメリカではどんな勉強をそれぞれの学年ごとにやっているのかというような、そういったことを我々はしっかりと情報はとってチェックをしっかりやります。  ただ、では実際にどんなふうにそれぞれの学校で、アメリカならアメリカで展開されているかとか、あるいはトータルとして学校教育がどんなふうな課題を抱えて、どんなふうに運営されていて、そしてどれをどう変えようとしているかというような、その後のトータルとしての学校教育なら学校教育の評価分析ということになりますとなかなか難しい面もあるんですけれども、私たちはどうしても今までは不十分な対応であったかというふうに思います。  ですから、これはなかなか難しい面はあるわけですけれども、いろんな方が外国での生活を経験する、外国での学校生活を経験する方も随分いるわけでございますので、我々もいろんな形でそういう、運用面といいましょうか、実態のところまで入ってチェックをする、そういう努力はぜひしていきたい、こんなふうに思っております。
  16. 清水澄子

    清水澄子君 この報告を受けましていろいろ考えるところ多いんですが、まずちょっと基本的なところを聞きたいんです。  私は、青少年も含めて子供の問題を考えるときに、はっきり子どもの権利条約が指摘している、そしてそれからその権利条約以後、権利委員会から日本現状に対して非常にいろんな角度から勧告が出されておるわけです。そういう問題で、日本では子供の権利問題、子供の立場に立った、いわゆる子どもの権利条約というのは、子供は権利の全面的主体だという考え方ですから、子供をただ保護してやるんだ、育ててやるんだという大人からだけの視点ではなくて、子供の権利主体をどう育てるかという、そういう発想での子どもの権利条約が採択され、そして日本でもようやく批准されたんですが、その後に日本子供にかかわる分野の行政がそれをもとに吟味されたというのか点検されたとか、改革されたというのは余りないんですね。  それで、今回もまた子どもの権利委員会では、まず今起きているいろんな差別の禁止とか子供に最善の利益を与えるという、こういう原則とか、それから子供意見を尊重するという、それを主体として扱うということですね。それから、子供にもっと参加させて自分たちでプランを立てさせていくとか、そういうようなことがまだ各国で立法なり政策に全面的に取り入れられていないということをまた今度勧告していますけれども、その中の一つに、特に最近のこの教育制度のストレスに子供がさらされていて、それで学校における暴力の問題とかいろいろ起きていますと。やっぱりいろいろなところであるわけですね、各国でも。それは日本にはとても当てはまる問題で、ですから、そういう立場から、私は今、総務庁にしても厚生省にしても文部省にしても、そういう子どもの権利条約が勧告し、または指摘している視点から吟味されたかどうかということを一つ聞きたいんです。  特に、私は続けて一つだけ、今ここで二人で、西山さんと話していたんですけれども文部省子供のアンケート、今説明されて、あら、子供は健全だわと言って話をしていたんです。子供家庭地域社会でどんなことをしたいかというとき、みんな友達と遊びたいとか、これはとてもいいことなんですよ。そういうことをもうみんな望んでいる。それをどうやってそういうことにしていくかということがあったらいいんだし、それから、子供の方がどんな学校であってほしいかといったら、楽しく伸び伸びと過ごしたいと、子供の方がもう答えを出している。  そうしたら、それを私たちがどうするかということが政策で必要なんでしょうけれども、そうすると最後に、今の四つの問題点ですか、「改善の基本的視点」、問題は出尽くしているという感じします。そうすると、例えば「改善の基本的視点」というので文部省、十四ページ、豊かな人間性社会性というのをどうやって育てるかというときに、それこそ縦割りではこれはできないんです。そして、ゆとりあるというときに、親のゆとりもないと、子供にだけゆとりというのはできないんです。社会全体が、大人が高度経済成長のときから物すごく忙しい、みんな口を広げると忙しい忙しいと、物すごい速いスピードで社会生活をしている。子供はそんな速く動けません。ゆったりした子供のスピードというのがある成長の過程、それには全然社会は合わないし、大人の生活は合わない。そういう中で、子供たちと人と人の、家庭でも親子の人と人の心の関係が切れちゃう。学校でも詰め込まれなきゃいけない。そういうことがこういう問題を起こしたと思うんです。  これらについて、ここにある「基本的視点」というところ、これは全部、ゆとりというのはこの三省のみんなのところへ出ていると思いました。これらをどういうふうに今後、具体的に何をまず優先させてやろうとしていらっしゃるのか、そういうことをどこで総合的に政策化していくのか、そういうことについて、さっきの子どもの権利条約との関係とあわせて御質問したいと思います。
  17. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) この問題、かねてから先生の方から御指摘を受けておるわけでございますが、ただ、実態問題としまして、この対応につきましては、今のところ外務省中心の動きの一環の中で、私どもとしてはこういう条約があるというような部分での一種の後方的なポジションとして対応しております。  ただ、出ております個々の問題につきましては、それぞれの省庁においての対応ということになります。それから今、部分として御指摘されたのは文部省の方から御説明いただきたいと思います。
  18. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 一つ、今私ども文部省関係でもいろんな施策があるわけなんですけれども、私どもこのカリキュラムの関係に関連しては、やはり小中学生の子供にとっては高等学校の入学者選抜のあり方といったものが大変な大きなストレスをためているんではないかと。これはいろんな要因がありますので、何かあるところの施策をやればそれで一挙に解決するということではありません。  冒頭の有識者のところにもありましたように、学歴を重視する社会意識が変わらなければというようなお答えがありました。そういうことになりますと、文部省限りではやれないことなんですけれども、では文部省としてやれることは何かということはあるわけです。私どもは、高校の入学者選抜につきましては、各高等学校の判断によっていろんな形の学校をつくる、それから入学者の選抜のあり方も各学校がさまざまに工夫をするといった形で取り組む。一律に何か、学力テストで云々とかそういうことではない、特色のある、個々の学校の判断を重視した入学者選抜を行い得るようなルールづくりをするということが一つです。  それからもう一つ、選抜のときに内容が余りにもレベルが高いとか、満遍なく教科書の隅々にわたってというようなことであれば、それはまたそれで小学生時代、中学生時代、大変毎日日常生活が過重になりますから、そういう意味では教育内容の思い切った厳選といったことをする。  ですから、カリキュラムの点を一つとりましても、内容の厳選をするということと同時に、内容を厳選しても受験競争ということで毎日精神的なゆとりが持てないということではいけないということで入試改革といったものをあわせて行う、一つの政策として私たちは大変にこれは重要な施策として理解をして取り組んでおります。
  19. 田中直紀

    田中直紀君 先ほど金田先生から国際的な比較の話があったのでちょっと思い出して御質問申し上げます。  ヨーロッパのフランスの方で、雇用創出ということも兼ねていわゆる生活学習の指導ということで、準教員というような形でしょうか、イギリスもそれを採用して雇用の創出も兼ねてこれからの青少年育成のために相当の数の募集を行って今実施に入る、こういう形になっているんですが、その制度の是非というものをちょっと教えていただきたい、これは文部省です。  それからもう一つ、中高一貫教育については、もう常識的に考えて、中学から高校は先ほどのお話で九七%の進学率である、こういうことでありますから、確かに受験をしてそれぞれの学校が生徒の教育方針に従ってやっていくわけでありますけれども全国で三校、これはどういう規定になっているか私も教えていただきたいんですが、実施のけたが少な過ぎるんじゃないか、具体的にどこを指定されておるのかということが一つ。  それからもう一つ、ゆとりある教育というようなことで、いつでしたか、高校教育の中に選択制の学校を、自分のとりたい、スポーツ選手になりたければ保健も含めてスポーツの科目を多くとるとか、あるいは歴史をとるとか理科をとるとか、そういう理科系、文科系というものの中から最低限とって学習すれば当然高校を卒業できる、こういうのが実験段階であったんだけれども、実際に全国でどれだけ育ったのかどうか。これからのいわゆるゆとりよりも個性ということを考えた場合には、早く選択制の中高の学校をやはり目指していく時代になっておるのではなかろうか。実験的にスタートしたようでありますが、どの程度全国で育ったのか。  この三点ぐらいちょっと教えていただきたいと思います。
  20. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 学校指導はもちろん教員の免許を持った先生が当たるというのが大原則でございますけれども、我が国の場合でも、それでは先生の負担が非常に過重になる、あるいは十分専門的な対応ができないという部面があります。  ですから、例えばここにありますスクールカウンセラーといったものを中学校中心配置しておりますが、いろんな分野の人たちを地域からお願いして非常勤的に心の教育相談員といったカウンセリングの担当をするという方とか、あるいはコンピューターを整備して指導に当たるわけですけれども、コンピューターのかなり難しい面になってきますと、いわゆる企業等でのコンピューターの専門家に協力を仰ぐといったことがどうしても必要になってまいります。ですから、これは企業連携をとりながら、教師が情報教育をやるときにそこに来ていただいてそして一緒にその情報教育をやるとか、そういった形のもの。  それから、学校によっては、学校図書館なんかには読み聞かせの指導は先生ではないボランタリーの人がそこに来て休みの時間なんかに子供たち指導してもらうとかといった、つまり教師以外のそれを取り巻く人たちに学校に来ていただいて教師を支援していただくと同時に、むしろ教師の専門性では追いつかない部分を補っていただく、こういったものは随分我が国の学校でも取り入れるようになってまいりました。これからもそういったものは広げていくべきではないかと思っております。  教員の免許制度なんかにつきましても従来よりも柔軟な形にして、免許状の授与も柔軟に交付できるような形にして、そういった対応をしていけるような努力を我が国でも進めているところでございます。  それから、中高一貫の関係でございますけれども、中高一貫の中高等学校をつくるかどうかというのはこれは自治体の判断でございます。三校と言いましたのは、具体的には宮崎と岡山と三重県で今度三校スタートしたわけなんですが、それはそれぞれの自治体の判断で中高一貫をやろうという学校がそれだけあったということでございます。どこどこの中学校と高等学校は中高一貫だという形で文部省が指定をしてやるというのではない、それぞれの市町村なり都道府県の判断において中高を一緒にして中等教育をやっていこう、そういう判断に基づいてこれは行われるということで、その判断に基づいて行われたこの四月からスタートします学校三つでございましたということでございます。  何でそんなに少ないのかという御指摘でございますけれども、私どもも、これは通学区域、全国に五百幾つ通学区域がございますが、そこには一校ぐらいはあってほしい。そうしないと、実質三、三でいくか中高一貫で進むか選択が可能なように整備をしてほしいなと思っておりますが、今後ふえていくことが予想されます。  それで、なぜ三校にとどまったのかということでございますけれども、これは都道府県立の中学校をつくるとかあるいは市立の中高の一貫校、何分にも新しい制度です、この制度を行うための学校教育法の改正が昨年の六月ぐらいでございました。その後、私どもそれの実施細則等を決めまして各県教委に通知をしたわけでございますけれども、各県においてはそこから本格的な検討が始まるというような時間的な問題も大きくあったんではないかと思います。ある中学校をどうするかというのはその地元の人々にとっては大変大きな関心事でございますので、軽々には立ち上がるというのは難しい面もあろうかと思います。  そういうことで、これでほぼ一年過ぎましたので、いろんな地域での研究が行われておりますから、これからはいろんな形で中高一貫がふえていくのではないかなと思います。三校か、それだけかというお尋ねかと思いますけれども、確かにそういった状況もあったというふうに思います。  それから、最後の選択でございますけれども、これはむしろ一般的に高等学校における選択はどこの学校でもこれを広げるという形で今取り組んでおります。前回ぐらいまでは学習指導要領において、高等学校卒業単位は八十何単位です、その中で、国語ではこれ、数学ではこれ、社会ではこれといって必修科目を定めておりましたが、七、八割の科目と単位を国が決めておりました。ですから、各学校で自分の学校はこういうコースをといいましても大変制約があったわけでございますけれども、現在は、この新しい学習指導要領では卒業単位が七十四単位、その中で国語であればこれ、数学であればこれと国が定めますのが三十一単位ぐらいに、今回非常に国の必修部分を少なくいたしました。  そういたしますと、それを含めてあと各学校が科目設定をし履修をさせればいいわけでございますけれども、おのずとこの七十四引く三十一の部分は各学校の判断になりますので、全国的に高等学校段階におきます選択履修というものは広がってくるだろうと、こんなふうに思っております。  お答えになったかどうかですが、以上でございます。
  21. 沢たまき

    ○沢たまき君 私は、私のところに御相談があったことでちょっと伺いたいと思っているんですが、お父さんとお母さんのいない二十未満の児童に対する修学資金の福祉資金について伺いたいと思っています。  私のところに両親のいない高校生の後見人になっている方からの相談がありました。その方のおいごさんに当たる高校生は、お父さんはその子が生まれてすぐ行方不明になってしまって、その後お母さんもそのお子さんが小学校五年生のときに病気で亡くなったのですが、後見人のおじさん、おばさんという方が御高齢なために面倒が見られないということで、お話し合いをした結果、その後見人の娘さんが、御自分のお子さんが二人いらっしゃるのですが、その方が見るということになりました。  その娘さんは、御自分のお子さんとそのお子さんと年がついているのでしつけも愛情も満遍なく差別しないで育ててきたようでございまして、おかげさまで、そのお子さんは今高校生なんですが、野球部に入ってチームの三番打者として大活躍をしていると。しかし、高校生の友達のほとんどが大学に進学するのでそのお子さんも大学に進学したいという夢をお持ちになって、当然だと思うんですが、そこで養父母といいましょうか相談をしたら、御自分のお子さんが二人いらっしゃるわけで経済的に大変だというので、大学の受験はそのお子さんに自力で挑戦しなさいと。今までずっと小学校五年生から面倒を見てきた娘さんにとってはつらい思いだったんだそうでございますが、そのお子さんは学校へ行って先生に相談したのだけれども先生はわからなかった。  そこで、私のところに電話がかかってきたので、福祉の方に電話をして聞いてみなさいと、こう言ったのですけれども、先生も市町村の方もわからなくて、県に聞いてみるからちょっと待ってろと言われたそうなんです。その結果、市の福祉課の担当者と連絡をとってもだめなので、その方が県に聞いていただいた。そうしたら、翌日朝一番で修学資金と就学の支度資金があるから大丈夫ですよって連絡があったので、すごく喜んで今受験に向けて頑張っておりますという、そういうお返事をいただいたのです。  そこで、伺いたいのですけれども、このような児童に対して福祉資金があるというのが県の段階でとまってしまっていてなぜ市町村に伝わっていないのか。また、学校の教師がなぜわかっていないのか。このような資金があるということがわかっていれば、中学は中学校一年のときに教えてあげればいいし、高校生であれば高校一年のときにわかっていれば本人が進学の希望を持って勉強に励むことができると思うんですけれども、いかがでしょうか。  第二点目は、そういうお母さんとお父さんのいない児童は、母子及び寡婦福祉法の経過規定として附則で規定しているのですけれども、そこに「当分の間、」と書いてあります。ということは、国としては将来は見放してしまうということなんでしょうか。あるいはお父さんとお母さんのいない子供は母子家庭とか寡婦と比較して厚生省の認識が低いのでしょうか。また、両親のいない子供たちというのは、私はなるべく施設よりも、このお子さんのように親類かあるいはどなたかが育てるという、家庭の中でその一員として暮らす方がベターだと思っているのですけれども厚生省としては基本的にはどういうお考えでいらっしゃるのでしょうか。  それから三点目は、児童扶養資金の貸し付けというのは児童扶養手当を補完する制度ですよね。母子家庭の場合は母親が借りるわけです。ですけれども、両親のいない子供子供が借りて子供が返すということになっていますけれども、果たしてその子供が判断できる判断力があるんだろうかという懸念があります。母子家庭対象全国で六十二万人と伺いました。その中で両親のいない児童はわずか六千人か七千人ぐらいだろうというのですが、母子家庭の場合は実の親子関係ですから理解できますけれども、両親のいない児童というのは親子関係ではないわけですから、児童扶養手当の所得制限を大幅に緩和していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。  この三点を伺いたい。一点目は厚生省文部省に伺いたいと思っております。
  22. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 両親がおられない孤児についての施策ということで御質問いただいたわけでありますけれども父母がいないという場合には、普通ですと児童相談所から養護施設に入所していただくか、あるいは里親制度というのがございまして、適当な里親になっていただける方がいる場合にはそこに委託するというような形でございまして、本来子供はやはり安定したそういう人間関係の中で育てられるのが一番いいと思いますので、里親なり養親の方がおられればそれが一番私としてはベターではないかというふうに思っております。  もう一つございました修学資金の問題でございますが、これは母子寡婦福祉法という法律の中で母子世帯に対する貸付金ということで修学ですとか就職、いろいろな貸付金制度がございます。それで、孤児の扱いというものは母子福祉法の中で、これは母子には当たらないわけですけれども、従来この旧法がございまして、これは母子福祉資金の貸付等に関する法律ということで、貸付金のことだけを定める法律が二十八年ごろですかできてあったわけです。それが三十七、八年に母子寡婦福祉法ということで、これは貸し付けだけじゃなくていろんなほかの母子に対する福祉施策も含めた基本法になったわけでして、その際に、孤児の扱いは附則で今御指摘がございましたように当分の間貸し付け等が行えるような形になっておりまして、当然その母子寡婦福祉資金のうち、母親でなくて子供対象に着目して貸し付けるようなものにつきましては、修学資金ですとか就職支度準備金とかそういうものを全部対象にいたしております。  それから広報、私ども、都道府県それから母子福祉団体等を通じていろいろ広報に努めているところでございますが、これが御指摘のございました学校とかそういったところにも十分伝わるように中央、地方レベルの連携を図ってまいりたいというふうに思います。  それから、今の孤児に対する貸し付けが当分の間ということかということでございますが、これは法律上は当分の間になっておりますけれども、期限を限って打ち切るというようなことは現在全く考えておりません。  それから、当然両親がいない方で養親がどなたかかわりに見てあげているような場合におきまして、これは児童扶養手当制度の対象にもなりまして、普通でございますと六百万円、これは自分の子供もいて両親のいない子も見ているというようなことで、このたび改正でかなり下げましたけれども、六百万以下であればその対象になるということでございます。  これを孤児についてだけ大幅に上げるべきではないかというような御指摘もございましたけれども、現在そういった母子寡婦福祉法の体系の中で孤児もできるだけ同様の扱いということでございますので、これだけ特に引き上げるというようなことは今の時点ではなかなか無理ではないかと思っております。
  23. 松村龍二

    松村龍二君 一つお聞きしたいんですが、先ほど児童家庭局のお話の中で、乳幼児期についての教育という項目の中で、保育所における保育の実施について御説明があったんですが、百六十九万人の方が入所していると。最近、ゼロ歳児保育の数が伸びてきていると思うんですが、どのようにゼロ歳児保育が数の面で伸びてきているのかということを一つ教えていただきたい。  確かに、母親仕事があってゼロ歳児から保育していただけるということはいいことだとは思いますが、一面、教育という観点からしますと大いに問題もあるのではないかというふうに思います。  私の身内、近くで知っている保母さん等にお話を聞きますと、ゼロ歳児、一歳児、二歳児、三歳児というような保育をしておりますと、ゼロ歳児から入った子供保母さんの気を引いて自分に関心を引きつけてあれするのが大変上手だと、それだけ愛情に飢えて育ってきたということかと思うんですけれども。それからまた片面では、親が保育園に入れておけばおしめがとれたという程度の楽な気持ちでゼロ歳児保育を利用しているといった面も聞くわけです。それから昨今、小学校におきます学級崩壊、廊下を徘回したり勝手に騒いだり、ああいうのも小さいときの親といいましょうか、愛情が不足しておって、学校の中で先生の気を引きたいといったことも一面指摘されるわけです。  そういう面におきまして、ゼロ歳児をただただふやしていけばいいというものでもないと思うんですが、このような問題について、今まで厚生省審議会等でどのような議論が行われたのか、また厚生省自身がどのように認識しているのか、お聞きしたいと思うんです。  話がちょっと飛躍しますけれども、私の地元、北陸のある県なんですが、日本一住みやすいところであるということがよく取り上げられるわけですけれども、共稼ぎも一番多いわけです。それで、先般、ある宗教団体の方と話をしておりましたら、東北のある県から自分はここの地へ来たんだけれども、どうも家庭内のごたごたが非常に多い感じがするということを言っておりました。それを保育の問題と結びつけるのはちょっと乱暴かとも思うんですけれども、ゼロ歳児保育が伸びるということは、絶対に必要な女性にとっていいこととは言えるかと思うんですけれども、一面、そういうデメリットも十分に認識してゼロ歳児保育に取り組むことが必要ではないかと思いまして、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  24. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在、ゼロ歳児保育につきましては、一つは育児休業の制度というのがございまして、一年間は休めるという休暇制度もございます、有給の休暇制度が労働基準法上もできているという中で、そちらを選択される方もかなりおられるわけでありますけれども、どうしても休むわけにはいかないというような方で、産休明けから子供を預けるというような方もおられます。そういったニーズに対してもある程度子育てと就労の両立という観点からこたえていかなくてはいけないというようなこともございまして、九年度の児童福祉法改正におきまして大幅な入所方式の改善を行ったわけであります。  乳児保育については、今まで一定の指定保育所ということで指定したところだけやってきたのを、どの保育所でも受けられるように普遍化いたしまして、保母の基準も乳児については三対一というふうなことで、大幅なそれに見合った改善を図ったところであります。現在、十年度、十年四月現在でゼロ歳児の入所している人が五万九千人ということで、前年度に比べますと三千人ぐらいふえているというようなことでございます。  これをどのように考えるかというのは、先生今お述べになられましたように、さまざまな意見がございます。私ども、その点についてこれを一概に、一律になかなか判定するというのは難しいのではないか。基本的には、子供を育てている両親がどういうような選択をとるのか、育児休業をとるのか、それともゼロ歳児の方でいくのかというようなことがあるかと思いますし、そうした中でやはり子どもの最善の利益をまずは親御さんに考えていただく。私どもとしては子育て支援として不十分な部分はできる限りこれを支援していくような施策を講じてまいりたいということで、現在緊急保育五カ年事業をやっておりますが、その中におきましても来年、特にニーズが高い二歳児以下の低年齢児の保育の枠を四万九千人ほど拡大するような予算を計上しているところでございます。
  25. 松村龍二

    松村龍二君 大切な問題だと思いますので、ただただ前年より数をふやしていくということでなくて、ひとつしっかりした哲学を持って臨んでいただきたいという要望をいたします。
  26. 中原爽

    中原爽君 総務庁に最終的にはお尋ねしようと思いますが、提出をしていただきました厚生省資料の七ページ、「児童青少年の居場所づくり」というページがございまして、この十一年度の予算について居場所づくり、四点ほどに予算組みをしていただいているということが出ております。  それから、文部省の方の資料の十九ページ、「全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)」がございまして、そこにも学校の完全週五日制の実施に伴いまして、残りの二日の時点で、子供たち活動機会とその場所の設定をどうするかということが述べておられるわけであります。  いずれにしても、今子供たちがきょうどこにいるのか、放課後あるいは休祭日の時点で、それは非常に具体的に大事なことだと思います。  それで、総務庁の方に同じことをお尋ねしようと思うんですが、総務庁資料の中には、青少年問題審議会であるとか有識者の会議であるとか、あるいは体力つくり強調月間をおつくりになる、そういう資料でございますけれども、ただいま申し上げたような、子供たちが今どこにいるかという居場所の問題について、総務庁の方の各種審議会あるいは有識者会議、こういったところでこの居場所の問題が審議されたのかどうか、総務庁の方にお尋ねしたいと思います。
  27. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 居場所の問題、今それぞれの省庁施策展開を始めておりまして、私どもとして大変いいことだというふうに思っておりますが、先生今言われました指摘ということにつきまして言いますと、例えば資料の中でいいますと、青少年問題審議会で開かれたいろいろな場面をつくるというものは、いろんな意味におきましてある意味で場所づくりの概念が入っております。それから、有識者会議の中におきましてもいろんな先生の意見の中には当然のこととして居場所というのは大事だということで、それはメニューの中に入っております。  こういうような考え方を受けて関係省庁、それぞれのつかさつかさに応じていろいろ考えてほしいというのが今の青少審なり有識者会議での提言内容になっております。
  28. 円より子

    ○円より子君 私は、児童虐待の相談件数が大変ふえていることに心を痛めております。また、相談の現場でたくさんの虐待された子供たちからの話も聞いているところからちょっと質問をさせていただきます。  文部省の中教審の答申で、もう一度家庭を見直そうということで、確かに父親母親家庭内での問題というのがこれからの子供たち心身健全育成に大変大事だということはわかるのですが、どうもきょうの三省庁のお話を聞いてもちょっと抜けているんじゃないかと思えるところがあって、ぜひ御検討いただきたいと思うんです。  最近、胎児学が大変発達しておりまして、妊娠をしたときの母親の反応というものが胎児の発達に大きな影響を及ぼすということが明らかになっているそうです。  それで、一九六〇年当時のチェコスロバキアの話なんですが、望まない妊娠をした夫婦が中絶をしたいというときに政府の許可が必要だったんですね。その当時、中絶を申請したのに却下されて生まれた子供たちと、中絶などの申請をしないで親が望んで生まれた子供たちの追跡調査がずっとあるんですけれども、当然に、望まれずに生まれた子供たちは知能の発達、精神の発達、それから体、肉体の発達に劣るという有意差が出たということが出ているんです。  日本ではそういった調査がないんですが、残念ながら諸外国調査との比較では望まない妊娠で子供が生まれたケースが日本は大変多い国なんです。それともう一つ、子育てが楽しくないというお母さんが多いことでも有名な国で、これは本当に私も残念に思っております。  そこで、きょうは厚生省もいらっしゃいますし、これは厚生省マターだけではないと思うんですが、今後、子供を本当に望んで産んで、そしてその子を本当に愛しているということがいろいろな問題が起きたときに子供教育に重要になってきます。しつけのことも、ゆとりを持って育てることも、一番そこが根元的な問題だと思うんですけれども、それに当たっては避妊ということがやはり大事になってくると思うんです。  ところが、日本ではなかなか避妊の選択肢が少なくて、ピルはもう九年以上認可の申請がありますのに厚生省は結論を先送りして認可しておりません。ところが、バイアグラは申請後たった六カ月で認可されることが決まったわけです。ぜひともきょうは、この調査会の先生方もよく御存じだと思うんですが、少しバイアグラとピルの違い、なぜこんなに違うのか知っていただきたいんです。  まず目的は、バイアグラの方は不能の男性の性的能力の改善、ピルは女性の妊娠の時期をコントロールすることです。バイアグラの使用者は性不能の男性の一部であり、ピルの方は生殖年齢の女性がほぼ三十年にわたり必要なものなんです。臨床試験はバイアグラはしていません。第三相試験なしということです。一九八九年にピルの方は第三相臨床試験を終了しています。それで、副作用もピルの方は少なくて副効用の方は大変多いというようなことなのに、厚生省は、バイアグラは副作用があるので医師の監督のもとで服用する必要があるため、国際基準を採用して迅速に認可と言っているんです。ピルの方は副作用の可能性があるので慎重に討議と言うだけで、全然対応が違うんですね。  ほかにもたくさん、例えばバイアグラの方は、海外の臨床データがあるので国内の第三相臨床試験は必要なしと言い、ピルの方は、世界じゅうで使われているのに認可しない理由として、日本の女性は世界の女性と違う可能性があるので世界のデータでは不十分だと言う。ピルが最善とは思いませんし、これだけで避妊ができるとは思いません、人々によってさまざまな避妊方法があります、ピルだけがいいわけではないんです。  しかし、多様な選択肢があって初めて望まない妊娠を少なくでき、そして子供を本当に欲しいと思うときに産んでその子に対する愛情をはぐくんでいく、そこから児童虐待も少なくなるということは当然私どもは、私など二十年間何万人の女性たちから相談を受けてきましたから、そういった臨床件数をたくさん持っておりますので、その一つとしてピルの認可を文部省からもぜひともこういう答申をお出しになるんでしたらプッシュしていただきたいと思うんですが、文部省はいかがなものかということが一つです。  それから、厚生省も、厚生省の中で多分縦割りでピルの方をやっていらっしゃる方は違うんだと思いますけれども児童家庭局としては、胎児期の問題、避妊の問題、夫婦の関係の問題についてどう対応しようとしていらっしゃるか、これは子育てに大変関係がございますのでお聞きしたいと思います。  また、もう一つ総務庁の方にお聞きしたいのは、少子化と子供たち健全育成ということであれば、例えば労働基準法の中から女子保護規定が撤廃されました。深夜業などがかなり広まるおそれもありますし、短時間労働や、それから男女が育児休業をとれるような社会からだんだん雇用の状況が逆行しているように思えます。  こういった問題や、また、今自然環境が失われている中で、生活道路ですとか、そういった子供が自由に遊べる場がどんどん少なくなっています。児童館だとか学童館だとか枠組みを大人がつくってそこで遊べというよりも、子供はおもちゃにしてもおもちゃじゃないものをおもちゃにしていく、自然の環境が失われている中で少なくとも車の心配をしないでいいような場をどんどんふやす、そういったことや、また運輸省関係で言えば長時間通勤をなくしていく、そういうことがなければ、幾ら文部省がもう一度家庭を見直そうと言ったって、これは抽象論で無理な話なんです。  ですから、省庁全体で取り組むときに、ただ環境庁の自然公園だけの問題だとか運輸省のどこどこだけというのではなくて、本当に子供の問題、教育の問題は例えば全省庁の一番大きな予算のあるところと組んでやらなきゃいけないんじゃないかと思いますが、その辺の今後の取り組みについては総務庁にお聞きします。
  29. 星野順

    説明員(星野順君) 虐待の問題は御指摘のとおり大変数がふえてきておりまして、私どもとしても深刻な問題というふうに受けとめております。ただ、虐待をしている親、母親の場合もありますし父親の場合もいろいろあるかと思いますけれども、おっしゃるような母親の虐待と妊娠時の因果関係等につきましてはまだよくつかんでいないところがございます。  ただ、よく言われているのは、みずからが親から虐待を受けた方が親になってまたそれを繰り返すことがよくあるというようなことも言われておりまして、そういう意味から、十一年度の予算におきまして、虐待によって心の傷を受けた子供に対してのケアをやるための養護施設において心理関係の専門の職員を新しく配置いたしまして、そういった心のケアの体制を少し強化していきたい、こういうような取り組みを始めようしているところでございます。  ピルの関係につきましては、御指摘がありましたように、別の部局での、審議会マターでの検討、審査ということになっているかと思いますが、御指摘のようなことはお伝えしておきたいと思います。
  30. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) 文部省でもピルの解禁をプッシュしたらというお話でございますが、ちょっと観点が違いますけれども、性教育学校教育の面で申し上げますと、文部省では、エイズ関係のことが一時大きな問題となって、その後指導いたしておりますが、今度新しい教育課程からは中学校段階から具体的なコンドーム等の使用についても指導していくという、そういった面が一つあります。それから、高校段階におきましては生命の誕生についても触れておりまして、こういった学校教育の発達段階に応じてそれぞれに応じた性教育をしていくという役割を担っておりますので、ピルの解禁についてどうするかということは、やはり専門の方々の御議論というものを待って様子を見たいというふうに考えております。
  31. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 先生言われましたテーマが実は先ほど御説明しました青少年問題審議会での大きいテーマになっております。先生の言われました子供が少なくなるこれからの社会の中で、子供のそういういろいろな意味での交流の場あるいは生活体験をやるためには、日本のいろんな環境というものが子供に開かれているような状況づくりを考えるべきじゃないかという問題意識もとで、先ほど言いました中間まとめの後の各論のテーマとしてそれを今実は掘り下げている段階でございます。
  32. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  まず厚生省にお伺いをしたいわけですけれども、これは厚生省の御報告の中にいつも抜けているというか、ないというか、意識的に抜かしていらっしゃるのではないと思いますけれども乳幼児医療の無料化の問題なんです。  これは私も厚生委員として何回も質問してきているところなんですけれども、九八年三月十二日に私も国民福祉委員会で小泉大臣に質問をいたしましたが、大臣はそのとき、今までの政府答弁より少し進んだというふうに私は思いましたけれども、答弁をされております。  乳幼児医療の無料化というのが今各地方の自治体で進められているわけですが、国はやっていないわけです。それまでの国の説明というのは、むしろ乳幼児医療の無料化というのは子供の間に差別をつくるものだからよくない制度だからやっていないというような感じの答弁だったんですけれども、小泉大臣は、そういう施策を、各地方自治体が支援策を進めているというのは非常にいいことだ、むしろ住民の要望を一番身近に感じているからそういう対策がなされていると思うと、予算が許せばこういう点というのは私はいいと思うのだけれども、現在厳しい中ではなかなかそうもいかないけれども、今後そういう子育ての環境整備するという中で、そういう問題も出てくると思いますというふうな形で私の質問に対して答弁をされているわけです。  そこで、もちろん今国が制度をとっていないわけですけれども、お聞きしたいのは、全国の市町村の乳幼児医療の無料化の施策を実施している実態をつかんでいる民間の団体があるんです。厚生省にお聞きしても、府県段階の実態調査はやっていらっしゃって私たちのところに資料が来るんですけれども、三千三百ほどある全部の市町村の乳幼児医療の無料化、つまり子育ての支援策、医療費の面から経済的な援助をしましょうという地方自治体の施策が、一体どのような自治体がどこまで進んでいるのかということについて手に入らないんです、要求しても、調べていないと言うんです。  でも、今こういう少子化の時代にあって、社会的に、生まれてきた命を援助して育てよう、医療面で見ようということは、やっぱりこれは国としても進めていかなきゃならない施策であるというふうに私は思いますので、ひとつ厚生省におきましても努力をしていただきたい。  私が入手いたしました、民間の婦人団体が一生懸命こうやって一つ一つ訪ねて集めたデータは、実に全国の八割の市町村が三歳未満の外来の乳幼児医療の無料化をやっているんです。非常に厳しい財政の中でそういうことをやっていらっしゃるということですので、これはぜひ努力をして当委員会にも出せるように、今すぐとは言いませんけれども、やはり努力をしていただきたいなという要望が一点です。  それから、次の問題は、一つ児童の居場所づくりということで厚生省から御報告がありました。  延長保育、休日保育、長時間の学童保育所放課後児童健全育成事業の長時間開設の促進ということですが、これは学童保育所の長時間の運営ということだと思うんです。  私自身も産休明けから三人の子供を育ててまいりましたし、学童保育所がなかったものですから、自宅を共同学童に開放しながら子育てをしてきた。これはこの前の委員会でもお話をしたところです。  そういうところから、確かに、延長保育、休日保育、長時間の学童保育所、これはもう親の要望としてはぜひそういう施策を拡充してほしいというのはあるんですけれども、しかし一面、私は、そういう形で父母の労働時間がぐんぐん長くなっていくということについて無批判であってはいけないだろうなというふうに一方で思っております。家族の団らんというのが近年非常に奪われてきているというふうに私ども思っておりまして、十年ぐらい前には、夕食を家族がそろって食べるという、そういう世帯が一割ぐらいしかないというデータを、これはある労働組合のデータですけれどももらったことがあります。  ですから、家族の団らん、朝食の団らん、夕食の団らん、その団らんというのは、やっぱり家庭が人間としての育ちの機能というものを発揮する場であると私は思うんですけれども、そういう団らんそのものが欠如されていっている中で子供たち家庭の中での育ちに障害が起こっているんじゃないか。また、親子関係についても、人間らしい親子関係がそこで断ち切られるというふうになっているんじゃないかと私は思っております。  そういう意味の、朝食の団らん、あるいは夕食の団らん、家族の団らんが近年どういうふうになってきているかということについて、厚生省がデータを持っておられたらそれをぜひ御紹介していただきたい。なければそういう形でのアプローチというのも必要じゃないかなというふうに思っています。  それから、先ほど松村先生の方から、ゼロ歳児保育、産休明けの保育をただふやせばいいというものじゃないという問題提起がありました。  私は産休明けから子供を育てておりまして、確かにゼロ歳児の保育というのは細心の注意が必要です。これは、産休明けから親子が離れて保育をされるわけですから、特別の体制が必要であるということなんです。ですから、従来私たちは、保育者と子供を一対一の配置にしてほしいということを長年要望してきたところでございます。  それから、ゼロ歳児保育の場合には、例えば小さな集団の方がこれは子供の育ちとしてはいい、四、五人なり十人。私は、京都市で昼間里親制度というのがありまして、小さな家庭の中の十人、十五人の乳児保育室で子供を育てましたけれども、とてもいい環境だなというふうに思っているわけです。ですから、この間、ずっと日本の働いている女性の子育てというのは、最初は産休明けから集団の保育に入れても大丈夫だろうかという不安が確かにありました。保育者の側にもあったし、預ける父母の側にもありましたが、ここ三十年間のずっと実践の中から大丈夫だと。  自分の子供のことを言うのはあれですけれども子供は非常に努力して保育された場合はいい子が育つ、劣悪な条件で育てられた場合は別ですけれども、非常に細心の手厚いいい環境の中でいい保育者に育てられた場合にはマイナス面はないし、仕事を保障されるという点では。  そういう細心の注意をしながらゼロ歳児保育、産休明け保育をもっとふやしていただかないと、仕事が切れてしまって働けなくなっちゃいますから、ぜひその点では、そういう松村先生の御心配も含めて、私は制度の拡充ということをやはり考えていっていただきたいなというふうに思います。  最後に、文部省ですけれども、「少子化に対応した教育施策の推進」という、この問題の立て方自体がちょっとこれでいいのかな、そして、御説明いただいた内容が少子化に対応した特別の教育施策になっているのかなというような感じがいたします。  問題の立て方というのは、少子化というのは何も固定したものでありませんし、これから未来社会に向けて必ず少子化になるんだということじゃなくて、これは政治なりのかかわりで、将来、若い人たちが子供を育てて産んでいけるという、そういう希望が持てるような社会になれば子供を慈しみ育てようというふうになるわけですから、こういう問題の立て方自身が一つはおかしいし、中身もそれに対応したものになっていないんじゃないかなというふうに思う。  問題は、今一番大事な子供健全育成の問題で私たちが一番大事にしなきゃいけないのは、先ほど清水先生からも御指摘がありましたけれども子どもの権利条約の、国連の児童の権利委員会の日本に対する勧告だと思います。  この勧告はかなり厳しい内容が指摘をされているんです。褒めていただいているのは三つぐらいありまして、子ども国会をやったこと、これは褒めていただいているんですが、あと二十二項目は懸念する事項ということがありまして、例えばそのうちの一つは、「視聴覚メディアの有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童保護するため導入された措置が不十分である」ということが十六項目めです。それから十九項目めが、これは児童の虐待についての懸念、それから二十二項目めが、これが教育にかかわるところなんですけれども、この指摘は、委員会は、日本児童が、高度に競争的な教育制度のストレスにさらされていること及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされていることについて懸念をすると指摘をされています。  私も児童相談所で心理判定員をやっていましたので、こういう発達障害に子供がさらされているというような指摘というのは私は本当にどきっとしたんです。日本が、こういう教育制度のもと児童が発達の障害にさらされている、健全育成とは全然逆のことなんですが、こういう指摘をどう受けとめて、そして国連は懸念を表明するだけじゃなくて、「提案及び勧告」というのを行っているんですけれども、この辺もやっぱりどういうふうに受けとめて分析をされたのかなというのがございます。  これは、私一つ入手した資料なんですが、郵政省がその国連の指摘を受けて調査研究会というのを発足させて、去年の十二月七日に報告書を出しています。国際的な比較とかいろいろやって、よその国はいわゆるポルノグラフィーなんかを見る映画の時間、テレビの時間を制限している法令を持っているとか、そういうことをいろいろ研究して提言を出していらっしゃる。こういう郵政省の取り組みなど私は大変積極的で参考になるんじゃないかなというふうに思っているわけです。  ですから、ここで最後に文部省にお聞きしたいのは、この児童の権利条約の批准国に対する国連の日本の国に対する勧告、特に教育の分野について、どのように受けとめられて、勧告に沿ってどういう対応を進められているのかということなどをお聞きしたいというふうに思います。
  33. 星野順

    説明員(星野順君) 乳幼児医療関係の市町村レベルでの減免なり完全な無料化なりの状況でございますが、ちょっと手元にあるデータで恐縮ですが、必ずしも明確でないところがあるんですが、三歳未満のところを対象にしている市町村が多うございます。入院に関してやっているところで言いますと、三歳未満で千六百七十四の市町村、通院をやっているというところが千九百六十一市町村ということで、これは恐らく重複もあるんだと思いますが、中身的には、所得制限があるものないもの、あるいは若干の一部負担があるものないものと、こういうような区分けがあるかと思います。  おっしゃるように、市町村レベルにおいて何らかの形で国の制度による医療費の自己負担を軽減する施策がとられているわけでありますが、国の制度としての考え方は、国会の質疑でもあったかと思いますけれども、基本的には医療保険制度の中で一定の自己負担があるという趣旨というのは、やはり受益を受ける者と受けない者との均衡論というのがベースにあるわけであります。ただ、受益を受けたからといっても、一部負担ではあっても大変大きな負担になるというケース、特に難病の子供の治療費だとか特別の病気など、そういう特定の負担の大きい医療につきましてはその部分の公費負担、助成を国の制度としてもやっておるわけでございますが、それを普遍的に拡大することにつきましては、先ほどの原則的な考え方からして、なかなか直ちにというのも困難ではないかと思っておるところでございます。  それから、夕食の団らん関係調査、調べればいろいろあるのかと思いますが、私、今この時点で手元に持ってございませんが、子供たちの夕食時の過ごし方というのは興味のあるというか、大事なテーマでもありますので、何か調査したものがないか調べてみたいと思っております。
  34. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 私ども子供たちがゆとりを持って充実した学校生活を送ることができる、学校教育について言えばですね、大変私どもの最重要課題だという認識を持っております。  今の状況をどう改革していくかということなんですけれども、先ほども清水先生の御質問にもお答えしたことと若干繰り返しになりますが、学校で学ぶべき内容が今妥当かどうか、それから学校指導のあり方が今のままでいいかということ、それから中学校から高等学校に行く段階で過度の受験競争という問題が中学校、小学校に大変大きな影響を与えているのではないか、こういう我々は認識を持っています。  それで、中央教育審議会それから教育課程審議会を通しまして、今、その答申を踏まえて新しい学習指導要領、完全学校週五日制下での新しい学習指導要領をこれから実施していこうとしているわけですが、それにあわせて高等学校の入学者選抜のあり方についても各自治体それぞれに、あるいは各学校それぞれに実情を踏まえた改革に取り組んでほしいという形で今私どもは取り組んでいるところです。  ですから、入試について言えば、今現在いわゆる点数によって一点刻みで子供たちが点数獲得競争になっているという状況をどう打破するかということです。  ただ、入学者選抜は、それぞれの学校が中学校卒業生の中からどういう評価観を持って入れるかというのはそれぞれの学校の判断にゆだねられる部分がございますので、文部省はその中央教育審議会での御議論等を踏まえて、こんな方向でさまざまな改革の方向があるぞということをお示しし、それを踏まえて各学校、各自治体が入試改革に取り組んでいただく、そういう施策に今取り組んでいます。  それから、教育内容につきましては、これは受験の問題がどうしても絡んでくるんですけれども、ややもすると教え込ませる、覚え込ませる、そのことが余りにも多くあり過ぎたんではないか。それだけに、ゆとりを持って考えたり調べたり、試行錯誤しながら子供たちが発見したり、学ぶ喜びというものに至らないで、慌ただしさの中で学校生活を送っているんではないかということで、今回の教育課程の改定におきましては二割ないし三割を削減するということを目標にして教育内容の改革、改善に取り組んだところです。  それから、教育のあり方につきましても、これは教師の指導観その他がいろいろ絡まってくるわけですけれども、基礎的、基本的なことは繰り返し繰り返しある意味では教えて、子供たちに覚えていただかなきゃいけない。それは、例えば九九であり分数の計算の仕方とかというようなことは覚えなければいけないわけですけれども、それを覚えた後の学習の仕方については、テストの仕方とかその他さまざまなものを変えて、ゆとりを持ってその中でみずから学びみずから考える、生きる力を培う、こういう方向に学校を変えていこうと、こんなような努力をしています。  ちょっと時間の制約もありまして細かくは申し上げられませんが、私どもとしてはそういう柱をベースにして、三年後に迫った新しい完全学校週五日制下での新しい学校教育を展望する、こういうことで今努力しているつもりでございます。
  35. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっと最後、答弁があれなんで、国連の発達障害にさらされているということについての受けとめはあるんですか。
  36. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) もちろん、国連から指摘をされていることでございますから、今のような具体の施策を申し上げたわけですけれども子供たちの今の状況下で子供たちの健やかな発達という点においていろんな課題があるという、もちろんそういう認識の上に、だから我々としてはこういう改革をしていこう、こういう努力をしているということです。
  37. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 まず第一点、総務庁にお伺いいたします。  子供たちにとってよりよい環境づくりのためには、これは全く総合的にさまざまに大人たちが知恵を絞らなきゃならないわけでございますから、各省庁連携するというのはこれ当然のことでございます。その当然のこととして青少年対策推進会議というのを平成元年からお持ちになっていらっしゃいますね。これ当たり前なんですけれども、組織ができるということは、結果がどのような効果的な結果になるのか、その推進会議によって議論されたものが、討論されたものがどのように具体的に政策化されるかというそこに意味があるわけでございますが、御説明では一応こういう組織があるというふうな御説明だけであったような気がいたします。  これは、大体どのような形でといいますか、具体的に月何回だとかあるいは一年に何回、これずっと平成元年から追っていただくと時間がなくなってしまいますので、少なくとも昨年はどのような形で開催され、そしてそれがどのような政策となって出されたのかということを具体的にお聞きしたいと思います。  それで、この中には文部省の初等中等教育局長、それから厚生省児童家庭局長構成員でいらっしゃいますね。厚生省横田さん御退席になってしまわれたので、文部省としては何回ぐらい、辻村さんがなられてから御出席なさってどういうことを文部省にお持ち帰りになって政策化なさったのかということ、これは総務庁、そして文部省厚生省にまたがってお聞きしたいのがまず第一点であります。  それから、第二点ですけれども、法改正によりましていわゆる教護院というのが児童自立支援施設というふうに名称を変えました。そしてまた、その内容も変わったはずでございます。特に、児童自立支援施設という名称になってからの問題の中には、教育機会というものをきちんと提供するということが大きな法改正の目的の一つでもあったと思いますが、これはやはり文部省厚生省にお伺いいたしますが、今現状、この法改正後どのようになっているのかということでございます。これは厚生省観点からと、それから文部省観点からそれぞれお答えをいただきたいというふうに思います。  次に第三点でございますが、児童虐待の問題についての御説明ございましたけれども、これは保護者によるということも含めまして、子供たちの死、子殺しといいましょうか、これ非常に嫌な言葉でございますけれども、例えばことしになって早々、茨城県の山の中で自分の母親に遺棄された子供が亡くなったということもありましたし、昨日、自治医大の玄関の前に生まれたての赤ちゃんが捨てられていて、そのお子さんは亡くなったという報道もされておりました。  虐待に関しての資料は今こちらで出していただきましたけれども、そういう幼児の大人あるいはまた親による虐待死といいましょうか、その事実、実態調査はしていらっしゃるのかどうか、その結果どうなっているのかということが一つ。  それからもう一つ、これ実態調査が行われているかどうかということと、事実を聞かせていただきたい点は、今いわゆる国籍とか生年月日さえわからない子供たちというのがかなりふえています。新たないわゆる国際児、混血とは言わなくて今国際児という言葉が使われておりますけれども、そういう子供たちがかなりふえているんですね。  私、今かなりという言葉を使いましたのは、やはりきちっとした実態調査がないわけです。例えば乳児院という数字が今出ておりますけれども、ここにやっぱりそういった子供たちがどのくらいいるのか。例えば、国籍がなければ非常にこれは我が国においてさまざまな国あるいは自治体のサービスは受ける権利を持たないわけであります。そういった子供たちというのがふえているのは確実なわけです。  例えば、東南アジアの女性と日本の男性との間に生まれた子供らしいということはわかっても、その生年月日さえもわからない、国籍もわからないという子供たちがいるわけです。そういうのは、やはりこれはきちっとした実態調査に基づいて何らかの対応をすべきではないかというふうに私は思いますが、その辺の実態調査があるのか、なかったらこれからするつもりがあるのかという点です。これは厚生省にお聞きしたいというふうに思います。  それから、次に第四点ですが、これは文部省にお伺いいたしますけれども、先ほどの御説明の中で、ちょっとおもしろい資料、「学校教育に関する意識調査」の中で、これ十三ページですけれども、現在の土曜日の休みが楽しいか有意義であるかを問うということに関して、子供たちはみんな楽しくて有意義だと言っているのに、保護者と教員はまあ余り有意義とか楽しいと思っていらっしゃらない。こういう現状の中で週五日制というものを進めていく場合に、肝心の子供たちは楽しくても、親たちとか教員がその意義を余り認めていないという数字が出ておりますけれども、この辺の対応をどうなさっていこうとするのかということでございます。それ一つ。  それから、学校家庭地域社会というものの連携重要性ということはもうずっと今うたわれていることなんですけれども、特に教育の地方分権ということ、これは非常に重要なことで文部省も今意欲的に取り組んでいらっしゃると思いますが、その点につきましてお尋ねをしたいと思います。  以上です。
  38. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 途中中座をさせていただきましたので不十分かと思いますが、御説明させていただきます。  一つ児童自立支援施設における学校教育の実施状況でございますけれども、今回の児童福祉法改正によりまして正規の学校教育を行うということになったわけでありますが、当分の間は経過措置として従来のままでよいということでございまして、現在、文部省とも協議しながらこの推進を進めております。  現行では十六につきまして既に学校教育が実施されているわけでありますけれども、その他のものにつきましては、学校教育実施検討会というようなのを設置いたしているところが二十七都道府県、それから、まだ設置していないところが十三都道府県、ほぼ実施の方向が固まっているというのが一県ということでございまして、十一年度中には九県、十二年度中には十六県等、今予定で進んでいるところでございます。  それから、第二点の虐待による死亡例を把握しているかという点でございますが、児童虐待につきまして児童相談所の方に相談として上がっている件数は直近で五千件ということで、急増しているわけでございますが、このうちどのくらいが死亡に結びついているのかといった点については、現在詳細には把握していないということでございまして、調査中でございます。  ただ、九年の人口動態統計というのがございますが、これはあらゆる年齢の死亡につきまして統計がとられているわけでありますけれども、これを見ますと、加害に基づく傷害及び死亡数ということで、このうち十五歳未満の死亡数を見ますと、九年は百十四件というふうになっております。これは加害ということでございますので、親等の虐待による結果か、あるいは友達同士のけんかによる結果かという原因までが書いてないわけでありますけれども、私ども、このうち児童相談所にどのくらい相談があったのかなかったのか、これはなかなか把握がされていないということでございます。  現在、児相は百七十四ございますけれども、こういった虐待のケースを減少させていくためには、児相だけでは不十分でございまして、やはり地域ごとに、家庭地域、それから各種行政機関、これは児相はもとより各種児童福祉施設、警察、学校、保健所、医療機関等の連携を強化いたしまして、地域ごとに一つのネットワークというものをつくっていく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、こうした点につきましては、私ども全国の都道府県児童福祉課長会議等の席を通じて指導してまいりたいというふうに考えております。  また、主任児童委員というのが一万四千人ほどボランティアとしているわけでありまして、こういった方をこういう面にも活用したいということで、虐待防止に関する研修等を十一年度において行いまして、児相等との連携を図って、通告等があった場合にはできるだけ速やかにその現場に行けるような体制をつくってまいりたいというふうに考えております。  それから、三番目の生年月日等が不明な乳児等の増大ということでございますが、国籍が仮に不明でございましても、現在の乳児院等においては、こういった両親がわからない、不明な乳児等については受け入れるということで対応を図っているというふうに考えております。ただ、これが現在の入所者数でどのくらいあるか、ちょっと手元資料がございませんので、後ほど調べまして、判明いたしましたら御報告をさせていただきたいというふうに存じます。
  39. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 先生から、青少年対策推進会議の実態的な活動状況の御質問でございます。  実はこの推進会議そのものは、政府全体として青少年対策をどういうふうに今後方向性整理するかという一つのスキームでございまして、実際問題からしますと、先ほど申し上げました下のレベルの課長クラス、テーマ別の課長クラスが実行上実動しております。  ですから、いろんな事件が起きましたときに、例えば兵庫の中学校のあの悲惨な事件が起きましたようなときには、ここの課長クラスが動きまして、それについて各省庁のいろんな対策の方針とか何かの取りまとめをやったりしまして、それについて今後どうするのか、あのときの例えば有害情報の扱いについてどうするのかというようなことにつきまして、関係省庁意見交換を実はしております。  そういうような課長クラスのテーマ別のいろんな検討を受けた格好で、物によりまして上の方へ上げて意思決定をきちっとした方がいいというものについて推進会議を開くというのが実際の開きでございまして、推進会議そのものの開催実績としましては、そういう意味で年一、二回でございます。ただ、言いましたように、課長クラスが実は動いておりますので、内容的なものは課長クラスあるいはその下の補佐クラスの会議でずっと詰めてきております。先ほど先生が、文部省あるいは厚生省局長はどのぐらい出席されているのかというお話につきましては、そういう意味で年一、二回というのが実態でございます。
  40. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 今の青少年対策推進会議でございますけれども、私ども局長が出るのはそのぐらいでございますけれども、担当課長とか補佐段階ですと、私の記憶では結構情報連絡をやっている、連絡会議なんかでも出ているようでございます。  私どもの問題で言いますと、例えばPTAが有害情報にどう取り組むかというようなときに、実際上のその取り扱いなどは県のいろんな条例なんかで取り扱い方が違っておりますものですから、ではこの県でどういうふうに取り組んだらいいかというようなことを全国情報との関係対応を考えようとするときには、すぐこの会議でいただいておりますような情報をいただきまして、すぐそれで対応をいろいろ比較考量したりするというようなことはしょっちゅうやっていることでございまして、私どもとしては非常に各省庁と、つまり私ども文部省としては大変参考になっているというのが実情でございます。  そのほか、例えば有害情報ということで民放、テレビ等の対応を考えるときなどに、私ども文部省でできることはこういうことだけれども、他省庁ではどういうことができるかというような情報交流とか意見交換などをするというようなことも当然考えたりする会議でございまして、やっぱりこういう連絡会議の存在は必要でございますし、実際上も情報交流という意味では非常に大きな役割を負っているというふうに思っております。
  41. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 私の方から三点ほど。  一つ児童自立支援施設の関係でございますが、これは先ほど厚生省の方からお答えしましたので重複を避けますが、児童自立支援施設は、本則では学校教育学校にゆだねるということであるわけでございますけれども、当分の間はみずから学校教育に準ずる教育を行うことができるという経過措置がございました。したがいまして、法改正前と後とでは実態はそんなに変わっておりません。  現在、みずから児童自立支援施設で学校教育に準ずる教育を行うというものが相当数ございまして、十施設ほど、その施設の中に学校の分教室あるいは分校を設けまして、そこで学校教育を行っているという状況でございまして、これは法施行の前後で大きな変化はございません。ただ、先ほど厚生省の方からも御説明がありましたように、地元の教育委員会とこの児童自立支援施設関係者との間でその子供たち学校教育をどうするかということは随時相談が行われておりますので、これから徐々に本則に移行していくであろう、こんなふうに思っております。  それから、二つ目でございますが、子供たちは土曜日を楽しみにしている、しかし保護者や教師たちはこれに懐疑的だ、これから三年後に完全学校週五日制が始まるこの時期においてこういう状況では心配ではないかということでございました。  休みが有意義であるという理由、これは保護者も教師も子供も、子供生活にゆとりができ自由な時間が持てる、それから友人との交流の時間がふえるというのが共通の積極的な評価の理由でございます。保護者がこれを有意義でないとする理由は、いずれも子供たち生活が不規則になったからという理由でございます。それから、それに続きましてありますのが、教師の側においては、休みといいましても必ずしもすべての親が土日にいるわけではない、そこで家族との触れ合いが必ずしもできないおそれもあるといった点、あるいは塾に通う時間がふえるのではないかといった点。そういう点で保護者と教師を見ていただきますと、どちらとも言えないという、積極面と今言った問題点との両方を考えあぐねているというような状況だろうと思うんです。そして、保護者たちが有意義でないと認める点も、子供生活が不規則になるということと、それから遊ぶ時間がふえる、これに対して非常に消極的な親があるということなんです。  したがいまして、私ども完全学校週五日制を実施していくに当たって、当然これは予想される懸念事項だろうと思います。土曜日、日曜日がお休みになった、しかし塾や予備校に通ってしまうということでは、子供たちのゆとりは変わらないではないかといった点、あるいは自由な時間がふえる、しかしそれがルーズな生活態度を助長するということであってはマイナスではないかといった点等々あるわけでございます。  これは、完全学校週五日制の趣旨というものについてなおいろんな考えがあり、コンセンサスがまだ十分に持たれていないという一面をある面でそのままあらわしているのではないかと思います。これから新しい学習指導要領の趣旨の説明を、私たち、学校の教師はもちろんでございますけれども、PTAの人たちとも相談しながら親御さんたちにも、新しい完全学校週五日制の趣旨、それからそこでの学校教育のねらいや内容を十分に御理解いただくような啓発活動を充実していきたいと思っておりますが、そうした活動を通しましてこうした問題をクリアしていきたいなと思っております。  それから、最後の点でございますけれども学校の自主性、自律性ということでございますが、これは私ども、大いにこうした立場に立って、学校の自主性、自律性、特色ある学校づくりというものに取り組んでいきたいと思っています。  カリキュラムの点では、先ほどもちょっと触れましたが、総合的な学習の時間というような、どういう教育内容を行うかを各学校の判断にゆだねるような時間も今回の指導要領では設定をされます。それから、いろいろな時間の組み方等につきましても学校の創意工夫が生かせるようなそういった弾力的な仕組みを入れたところでございますので、そういったものを十分に生かして各学校地域の実態を踏まえながら自主性、自律性を持って特色のある学校づくりに進んでいっていただくような、そういうことを我々としても支援をしていきたい、こんなふうに思います。
  42. 堀利和

    ○堀利和君 三省庁の共通したキーワード、またある意味で重要なことだろうと思いますけれども健全育成ということが言われております。  特に文部省にお伺いしたいんですが、教育における健全育成あるいは学校教育の目標というものがどういう姿のものか、そこにおいて育っていく児童生徒、青少年がどんなものか、少しイメージとしてもお聞かせ願いたいと思います。  といいますのは、よく言われるように、悪いことをするときにはかげんをする、適度なところでやめたりもする、でも、いいことだとなると、もうとことんまでやってしまうというふうにも言われるわけです。もちろん、ほとんどの方々は健全育成というものを望み、健全育成がいいものだというふうに思っていらっしゃると思うんですね。私ももちろんある意味でそう思いますが、どうもへそ曲がりと言われかねないんですけれども、その健全育成だとか学校教育目標が本当に子供たちにとってどんなふうに今認識されているんだろうかというふうに思うんです。  久しく言われてもおりますけれども学校教育における受験問題なんです。以前はとにかく大学を出ていい会社に、学歴をと言われて、だんだんそれがどういう大学なのかということになり、そしてさらにはどこの大学のどういう学部を出るのが一番いいのかということで、だんだんその辺の学歴という幅が狭まりながら、子供たちも、また同時に親たちも、そこの目標に向かって走らされている。そのことがやはり非常に子供たちにストレスなり、あるいはそこの流れからもう無理だと、外れたときには自分はだめな子供だというようなことがあると思うんです。  もちろん、勉強は勉強として学力をつけることを私も否定しないんですが、しかし、どうもそこからの呪縛というのが解き放たれない、どうしてもそこが重くのしかかっているというふうに思うんです。  私ごとで申しわけないんですけれども、私に中学校一年生の娘がおりまして、この前も置き勉、置き勉と言うんですね。私たちの昔は早弁と言ってお昼の前にお弁当を食べてしまうということを言うんですが、置き勉というのは何だろうと思ったら、勉強道具を学校にこっそり置いてくるということの意味なんです。  私もそれまで知らなかったんですが、うちの中学一年生の娘のかばんといいますか、リュックサックなんですね。リュックサック自体は布でできた軽いものなんですが、以前私たちは片手で持つかばんなり肩にかける布のかばんぐらいで学校に通うということが当たり前だったんですが、うちの中学一年生の娘はリュックサックを担いで行くんですね。冗談抜きでこれはもう山かハイキングに行くのかと。本当にそうなんです。持ったら重たいんです。重たいからどの程度重いかなと思ってはかりではかったら六キロちょっと超えるとかですね。それを一キロ、二キロの道のりを担いで行くんです。そこまで勉強しないともう今の中学一年生はだめなのかなと。  そういう意味では、ゆとりを持って、勉強だけがすべてじゃないよと言いながら、何かどこかそこの呪縛がある。勉強ができなくたって思いやりがあればいいよという言い方も時々大人がする。そういう意味で、やはり子供たちがどうしても、親も同じように子供と走ってしまうんですが、受験というところ一点に絞って走る、ストレスがたまる、おびえる、そういうところに追い込まれてきていると思うんです。  もう一つ、そういう子供たちの状態を見たときに、集団と、クラスの子供たちと言ってもいいんですが、違うことがまた一つのいじめにつながっていると思うんです。  かつては弱い者に向かって、弱者といいますか、いじめるという姿はかつての姿であったと思うんですが、今はそれは決して弱者だけじゃなくて、例えば勉強できる子なり、優秀なり、先生に褒められる子であっても、自分たち集団と違う子に対してある意味でいじめ、攻撃をする。子供たちがシカトと言うんでしょうか無視をする。そういう意味では、決して弱い者に向けるんじゃなくて、強いといいますか、自分よりも上といいますか、そういう方向に向かってもやる。  これは集団と違う、異形異類といいますか、自分たちと違う、そのことを見ていますから、自分がやはり集団から落ちまいとする、集団から違う子供には児童生徒は見られたくないというところでまたしがみつく。そういう意味で、私は子供たちが置かれている状況というのは非常に厳しいと思っています。  これはもう文部省と見解も違うし、すれ違ってしまうんですけれども、私はここの根幹は、障害を持った子供がなぜ特殊学校というところに行かなきゃならないのか。これは、文部省は障害を持った子の障害の種類と程度に応じたその子に適した教育をするんだというふうには言われているんですけれども、やはりどうもそこら辺のところが、飛躍かもしれないけれども、今まで申し上げてきたようなところにつながるんじゃないかと思うんです。  保育園と幼稚園というのは、これは文部省厚生省ということで設置目的も違うわけで、障害を持った子が地域子供と一緒に遊び、育つということで保育園に通うんですね。保育園を卒園するころになって、学校に入る途端に学校から何と言われるか。学校は勉強の場であるということで拒否されるわけです、入学を。結局、いろいろそこではトラブルがありますけれども学校なり教育の側からすれば、近所の子供と障害を持っていても持たなくても一緒に遊んできた子が、あるいは家族の中で兄弟一緒に過ごしてきた障害を持った子が、近所の子や、あるいはお兄さん、お姉さんと引き離されて特殊学校と言われるところに通う、通うことができない場合には寄宿舎に入れられてしまう。  そういうように、勉強という、学力というものを中心にしながら、かつ、やはり違ったもの、建前は健全育成だったりその子に合った教育かもしれないけれども、そこの本当のところがどうなんだろうかという疑問のもとに、私は障害を持った子がそういう形で別々に引き離されていくそういった教育、制度化されたものということが、繰り返しじゃないですけれども、飛躍かもしれません、先ほど申し上げたようなところにどうもつながって、異形異類への攻撃、排除、そして勉強、学力第一の受験競争の中からの呪縛が解き放たれない、こんなふうに思うわけですけれども、そういう意味で、改めて文部省の見解をお聞きしたいと思います。
  43. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 学校教育でございますけれども、一言で言うことはなかなか難しいかもわかりませんが、私たちは学校教育の任務、これは社会が人間の知恵として学校という仕組みをつくってそして教育をする、そういう専門機関を設けているわけでございますが、それは一人一人の子供たちの将来自立して生きていく力を培う、そういうことだろうと思うんです。その要素としては、知的な面もございましょうし、体力の面もございましょうし、精神的な面もあるだろう、こんなふうに思います。  しかし、トータルとして、知徳体と言われますけれども、そういったもののベースを身につけながら、一人一人が学校を巣立つに当たっては自分に誇りを持って社会にあるいはさらに上級の学校に進んでいける、そういう学校教育を私たちは目指しているつもりでございます。  そこでは、一人一人に誇りを持って卒業していってもらうということですから、他人との優劣、上下、指導の過程ではいろんな競争というものがあろうかと思いますけれども、基本的には一人一人がどう生きるかということでございますから、他人とどちらが上、下ということではない、一人一人を見てその子供のいいところを伸ばすということが学校教育の基本でなければならない、こんなふうに思っています。  ただ、実際の学校教育現状を見ますと、中学から高校に行く段階で、ほとんどの子供は高等学校に進み得るわけでございますが、そしてまた収容定員等はそういう状況がもうでき上がっているわけでございますけれども、どこの高等学校に進むかということで子供たちに大変大きな心理的なストレスがある、親も大変な関心を持つということがありまして、本来の学校教育の目指すところをなかなか貫徹できない、そういう現状があるのではないかと思っています。  しかし、これは大きく国民の意識社会意識やあるいは企業の採用のあり方等々いろいろな要素が絡んでくるわけでございますけれども、高等学校は高等学校としてそれぞれの高等学校が特色を持った高等学校になる、中学校が特色を持った中学校になる、そして選抜においても一つの尺度ではないさまざまな尺度で評価をして選抜をする、そういった地道な取り組みによって一歩一歩これを克服していくべきことなのではないか、こんなふうに思っております。  そして、今、先生から障害を持った子供についての問題があったわけでございますけれども、私どもは障害を持った子供たちの将来の社会参加と自立を促す、そのためには大変厳しいことかもわかりませんけれども、小学校、中学校においては心身が発達しているときでございますから、そういうときにはその子供の障害を克服すべくそういう教育が徹底して行われるという必要があるだろうと思うんです。そういうふうになりますと、それに見合った専門的な教育、トレーニングというものが必要になるわけでございまして、そうなりますと障害の程度、種類に応じて学校を用意するという、それが私どもとしては将来を展望したときにその子の将来にとっても適切妥当な方策なのではないか、こんなふうに考えまして、今、盲・聾・養護学校やあるいは特殊学級といったもの、あるいは通級とか、さまざまな仕組みを整えてこれに取り組んでいるわけでございます。  いろんな課題があろうかと思いますけれども、基本的にはそういう考え方に基づきまして一人一人に生きる力をということでこれからも進めていきたい、こんなふうに思っております。
  44. 山本保

    山本保君 それでは、余り時間もありませんので、私はこの場で質疑とか討論という形ではなくして、ちょっと問題提起といいますか感想だけ述べさせていただいて、また今後各省庁、次もあるようでございますので、要望ということで申し上げたいと思います。  一つ文部省でございますが、先ほど西山委員もちらっと触れられかけて、また違う方へ行かれたことについてなんです。  少子化というのがまさに今一番大きな問題でありまして、この調査会もそのことを基本的に大きな問題としてとらえて、しかも言うならば少子化を避けたいとかこうあるべしということは置いて、もう現実にこれを与件と考えた上で一体これからの社会の子育て、そしていわゆる社会的人材形成というのはどういう形があり得るのか、これが今回の調査会一つの、全部じゃありませんが重要な視点なんです。  そうして見まして、きょう御報告いただいた限り、ここに載っております項目というのはもう既に二十年以上前から文部省審議会が言っておられることであって、この少子化ということは当然親子関係変化、そして社会における幼稚園から始まる学校機能の変化、そして人材形成における学校の果たす役割、もっと具体的には例えば学校経営でいえば先生の数はどんどん減るだろうがこのままでいくと若い先生は一人もいなくなるんじゃないか、一体この辺の教員養成はどうなるのかというような問題。文部省というのはそういうところのプロパーなわけでございますから、少子化ということを前面に置いたこれからの展望というものをお聞かせいただきたいなという気がいたしました。  また、次回は高等教育関係また職業教育関係を御報告いただくようでございますので、それだけではなく幼稚園また学校経営の中の意味というようなものも含めてまた今後議論していきたいというふうに思っております。  具体的にそれとは別に二つだけ。これも難しい問題ですが、きょうお聞きした中で教育内容に関して、一つは宗教的情操ということで「心の教育」と、こうありますが、宗教的な情操教育というものを導入するのかどうか。これは特に宗教系の幼稚園などが非常に気にしているところでありまして、心のあり方と言ったときに宗教的な情操というふうなものが基本になくてはならぬだろうという一つのそういう考え方も宗教者としては当然あるであろうと思うわけですが、一体公教育の中でどうされるのかなというようなこともちらっと思ったわけでございます。  それからもう一つ、今度は総務庁の方でございます。実は、私も厚生省におりましたときに総務庁青少年対策本部というのは一体何をやるところかなと思っておりましたら、きょうもわかりましたように非行青少年問題というふうにとらえる役所でありまして、まさに問題であり対策であり、非行をどうするかということが大きい。この辺はもう少し各省庁との連絡または企画ということをぜひ中心にやっていただきたいと思うんですが、どうも問題対応中心のような気がしております。  細かいことではありますが、その中の一つに、今の非行問題の基本には基本的なルールとかそういうものを教育し切れてないんだというような指摘がきょうのこの中にもあったと思うんですね。これは、私は私の日ごろの経験からいきましてもどうも違うんで、これを言えば、よって学校よりは家庭が問題であるとか、こういうふうにいくわけです。  小学校低学年において道徳教育などでこういうルールを教えることが重要ではありますが、私もたくさんの非行を犯した子供たちとつき合ってきまして、彼らはそんないわゆる徳目的な道徳なんて知っているんです。問題は、思春期のときにいろんな社会状況の中であれ立たせればこれ立たずというか、これ立てればあれ立たずというか、仁義でもいいし義理と人情とか、こういう中での判断に非常に苦労しミスを犯すわけでして、決して小学校、小さいときに徳目を教え込めばいい人間になるわけではないわけなんです。この辺はもう教育学の方では明快になってきていると思うんですが、相変わらず取り締まり方の発想というのはそこにあるような気がして仕方がありませんので、この辺もまた議論したいなと思っております。  厚生省については、保育と遊びと虐待という、問題だけは非常に明確に出されたと思いますが、二十一世紀を展望してどういうものを見ていくのかというのがちょっとまだ明確に私自身頭に入ってきませんでした。また次のときにでもその辺はみんなで議論したいなという気がしております。  ありがとうございます。
  45. 久保亘

    会長久保亘君) いいですか。
  46. 山本保

    山本保君 はい。時間もございませんので、私はお答えは結構でございます。
  47. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  もう時間があれですので、質問を幾つかさせていただきます。  まず文部省なんですが、暴力行為の調査が出ました。神奈川県が一番多くて三千百六十二件ということで、特に生徒間暴力が千五百四十三件、それから器物損壊が一千十四件ということなんですが、なぜ神奈川が多いのか、何かお感じになっている点等あれば伺いたいと思います。  私はずっと学校を見ているんですけれども、先ほど受験の問題で、高校に行くと今の時期げた箱が壊れているわけです。校長先生になぜかと言うと、三人の推薦がある、そこに十人来た、七人は落ちると。何であいつが受かって自分がだめなんだということで、そういうふうに当たると言うんです。だから、今の時期はしようがないと、置いておくというふうに言っていますけれども、それは高校の場合です。  ですから、今回の文部省調査でも中三の受験生をピークに多いというその問題を、私は高校は希望する生徒は全員入れるような今条件にあるので、そういう方向にぜひ進めていく必要があると思いますが、学校の施設の問題、それからクラスの中に子供が多過ぎてやれぶつかったという問題等々あると思いますが、見ていまして感じることがあれば伺いたいと思います。  それから二つ目に、食との関係が強調されていましたが、全国の自治体では中学校給食八二%行われているんですが、神奈川は本当におくれている県なんです。最大の政令市横浜市で中学校給食が行われておりません。自動販売機があるんですが、このパンを見てください、いつのパンだと思いますか。カビも生えてないんですが、一九九六年七月、自動販売機でいまだに残っているという、中学校に自動販売機が置かれて、そこでぽんとお金を入れると出てくるというそういうものです。  ですから、環境ホルモンの問題では食器の問題とかいろいろあるんですが、子供たちの健康という点ではそういう点で今大事じゃないか、そんな点でのお考えがあれば伺いたいと思います。  それで、あと教育条件の関係で受験の話はありましたが、日本の場合は学費が高いんですね。元を取らなくちゃいけないということで、私学の場合は二千百四十万円大学を出るまでにかかるということなどもあるので、この問題も考えていく必要が経済問題であるんじゃないかということを、これは加えておきたいと思います。  次に、厚生省に伺いたいんですが、虐待の対策のビデオ、パンフをつくられるということで、具体的な規模とかそういうものを教えていただきたいと思います。  最後に、三つ目総務庁ですが、青少年白書を見せていただきました。最後に子どもの権利条約の条文と、それから勧告までしっかり出ているということなんですが、資料の中で青少年問題審議会、ここではこういうのは論議されているんでしょうか。今、先生からもお話がありましたが、ちょっと子供に対する認識が「青少年の自由や権利を守るという観点ばかりが強調され、」と書かれているんですが、そこがきちっと入っていない。つまり、子供は大人のパートナーとして主体的な権利を持つ人間なんだということがやっぱり世界の流れなので、ここは私は解くかぎがあるんじゃないかなというふうに思います。  それとの関係で郵政省の話がありましたが、暴力のテレビのシーンの問題をずっと調査されていると。これは郵政省だけじゃなくて、子供に関する各省庁も大変関係がある分野ですので、ぜひそういう横の連帯をとっていただけたらと思うんです。私は委員をされている岩男壽美子先生の資料を見せていただいたんですが、番組の八割に暴力シーンがある。幼児番組はもっと多くて八八%というような調査も出されていまして、アメリカではもう本当に四十年近く論議をされてそういう影響なども調査されているということですので、それは要望です、進めていただきたいと思います。  以上です。
  48. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 二つほど御質問がございました。  一つ、暴力行為についてなぜ神奈川が多いのか、理由はいかにということでございますが、私ども、県の方からそこは承知しておりません。ただ、これは各県ごとに件数とか出ますから、各県においてこの背景とか事情といったものはいろいろと検討といいましょうか分析はされているだろうと思いますが、私は現時点では承知をいたしておりません。  それから二つ目でございますが、私ども、高等学校にキャパシティーからすればみんなが行ける状態になっている、そういう状況下において高等学校の入学者選抜いかにあるべきかという観点で改革に取り組むということは大変重要だというのは共通だろうと思います。  問題は、要するに特定の学校に集中する、集中しているその状況をどういう資料もとにしてあなたは受け入れましょう、あなたは別の学校に行ってくださいというふうに選抜するかというそこのやり方の問題でいろんな意見があって、いろんな試みが行われているだろうということだろうと思うんです。  しかし、いずれにしろ高校入試というものが中学校や小学校に大変大きな影響を与えているという点では認識は一致していると思いますので、私どももさらに高校入試改革には真剣に取り組んでいきたい、各県、学校とともに取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。
  49. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) 中学校での学校給食の実施状況のお話でございますが、中学校の場合に全国レベルで言いますと、完全給食を実施している学校は六五・六%になっております。  ちなみに、神奈川県の場合には完全給食が一二・七%という状況で、かなり低くなっておるという状況でございます。  学校給食法でも、義務教育学校の設置者は学校給食が実施されるように努めなければならないということがございまして、私どもとしてもこれに沿ってできるだけ実施をしていただきたいというふうに思っております。  ただ、最終的には当該市町村あるいは設置者の、中学校ですから設置者の市町村の判断によるところになりますので、市町村は市町村でまたいろんな御事情があって対応しておるという面も一方にあるということも頭に入れながら、繰り返しになりますが、私どもとしては少しでも実施をしていただきたい、そういうふうに考えております。
  50. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童虐待に関する啓発ビデオでございますが、十一年度において一千四百万の予算をお願いしておりまして、これが決まった後私どもどういったものにするかということで、まだ現在具体的な中身まで決まっているわけではございません。  ただ、一つのここで虐待、今まで防止の手引きとかいろいろつくった蓄積もございますので、こういったものをもと地域住民にもわかりやすいビデオを作成いたしまして、学校等とも協力いたしまして保護者会で見てもらうとか、広くごらんいただくような方策を講じてまいりたいと考えております。
  51. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 先ほど、先生の方から権利条約に基づく児童の権利というものについて青少年問題審議会でも議論になっているのかという御質問がございましたが、実は青少年問題審議会自身は非行問題についてどう考えるかというのが諮問事項に今なっておりますので、先生方にはそういう条約あるいは白書を全部お送りして情報だけは出しておりますが、やはり先生方の意向意見というのは非行問題にどうしても目が行っているというのが今の実態でございます。  それからもう一つ、有害情報についていろんな情報交換の話がありましたけれども、これも先ほどちょっと私が言いましたが、兵庫県で例の悲惨な事故が起きた後関係省庁連絡会議、これは課長クラスでございますが、頻繁に開く中でその辺の問題意識は常にずっとございます。そういうことで、この間の郵政省の調査結果も当然のこととして関係省庁連絡会議では報告を受けて意見交換をしております。
  52. 久保亘

    会長久保亘君) まだほかにも御発言がおありと思いますが、予定の時間が来ておりますので、本日は以上で総務庁厚生省及び文部省に対する質疑を終了いたしたいと思います。  本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  53. 久保亘

    会長久保亘君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民生活経済に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  56. 久保亘

    会長久保亘君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  教育、雇用及び福祉等国民生活経済の諸問題に関する実情調査のため、来る二月十七日から十九日までの三日間、鹿児島県及び宮崎県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選等の決定は、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 久保亘

    会長久保亘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会