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1999-07-01 第145回国会 参議院 国土・環境委員会、経済・産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    国土環境委員会     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    経済産業委員会     委員長         須藤良太郎君     理 事                 成瀬 守重君                 畑   恵君                 簗瀬  進君                 山下 芳生君     委 員                 加納 時男君                 小山 孝雄君                 末広まきこ君                 中曽根弘文君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 福山 哲郎君                 前川 忠夫君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 西山登紀子君                 梶原 敬義君                 渡辺 秀央君                 水野 誠一君    委員以外の議員        発議者      清水 澄子君    衆議院議員        修正案提出者   大口 善徳君        修正案提出者   福留 泰蔵君    国務大臣        通商産業大臣   与謝野 馨君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        防衛庁参事官   小林 誠一君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        外務省北米局長  竹内 行夫君        国税庁課税部長  森田 好則君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        岩田 満泰君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        建設省都市局長  山本 正堯君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        科学技術庁長官        官房審議官    今村  努君        農林水産大臣官        房審議官     大森 昭彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇特定化学物質環境への排出量把握等及び管  理の改善促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇化学物質に係る環境リスク対策促進に関する  法律案清水澄子君外六名発議)     ─────────────    〔国土環境委員長松谷蒼一郎委員長席に着く〕
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会経済産業委員会連合審査会を開会いたします。  連合理事会の協議によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。自由民主党の加納時男でございます。  まず、PRTRのコンセプトから入ってみたいと思います。  通産大臣にお伺いしたいと思います。  OECDガイダンスマニュアルによりますと、PRTRとは、潜在的に有害な化学物質排出量及び移動量事業者がみずから把握し、これを行政に報告し、行政がこれを公表するということになっておりますが、世界流れを見ていますと、二つ違った動きがあったように思います。  一つアメリカでございまして、ライト・ツー・ノウ、知る権利という言葉で呼ばれておりますように、バルディーズ号原油流出事故、あるいはインド・ボパールでのイソシアンエステルの漏出事故といったような痛ましい事故もあったということから、これをTRI、トキシックス・リリース・インベントリーという言葉だと思いますけれども、そういうものとして、これを知る権利として位置づけていこうという動き。  もう一つヨーロッパでありまして、オランダなんかでスタートしてきたものでございますけれども、環境についての自主管理を推進していくんだ、実際に生産工程改善をしていくんだと。ねらいは同じだとしても、アプローチに二つあったような気がします。  日本ではPRTRがおくれている。日本は何でもおくれていると言うのが好きなメディアの方もいらっしゃるようでありますが、私は決しておくれていないと思っていますけれども、日本はおくれていると言われている中でこのPRTRが出てまいりました。  通産大臣にお伺いしたいのは、それでは日本は本当におくれていたのか。アメリカとかヨーロッパという流れの中で、日本世界に誇れる今回のPRTR法案ポイントはあるのかないのか、その辺をまず伺いたいと思います。
  4. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先生が御質問の中に触れられましたように、PRTR制度については、欧米諸国においては先生お話しされたようなさまざまな事情を背景として各国の政策的ニーズにこたえる形でそれぞれ独自の発展をしてきたものでございます。  確かに、我が国におけるPRTR制度導入は、例えば米国、カナダ、英国、オランダ等に比べますと時期的にはおくれているということは事実でございますけれども、PRTR制度検討に当たっては、OECDの原則や、今申し上げましたような先進諸国におけるPRTR制度等を十分に参考にした上で、我が国に最も適したPRTR制度のあり方について、一つ化学品審議会、また一つ中央環境審議会で御審議をいただきまして、それに基づいて法案として取りまとめ、国会で御審議をいただいているわけでございます。  この法案では、一体どういう点が特徴なのかという御質問でございますが、まず第一には、事業者による化学物質自主管理促進環境保全対策とを表裏一体の目的として掲げ、一体的に推進することとしたことでございます。  第二には、化学物質管理状況に関して、国民の理解を深めるよう、いわゆるリスクコミュニケーションについての事業者の責務を明記したことでございます。  第三は、いわゆる非点源推計を国が行い、集計、公表することを法律上規定したことでございます。  第四点は、事業者による化学物質管理を円滑に進め、PRTR実施する上で不可欠な化学物質成分情報提供を確保するため、MSDS制度をあわせて規定したことでございます。  第五点は、PRTRの結果等を勘案して、国が環境モニタリング調査やその他の化学的調査実施することと規定したことでございます。  以上の五点、諸外国のPRTR制度にない内容を規定しておりまして、日本日本で最善の努力を尽くして法案を御審議願っていると私は考えております。
  5. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。非常にクリアな御説明だったと思いますので、今お話のあったことに私は以下焦点を絞って伺っていきたいと思います。  お話のあったことで特に印象に残ったのは、自主管理環境保全との一体的な担保といったことで、これは非常に重要なポイントだと思います。それからリスクコミュニケーション、それから非点源MSDS、こういったことに私はこれからの質問焦点を絞ります。  まず、自主管理環境保全ということでありますけれども、今お話を伺っていますと、規制的なものと自主的なものというのはやや違った取り組みがあったように思います。一昨日の国土環境委員会での審議を伺っておりましたが、その中でも出てまいりました。  参考人質疑のときに中西準子さんが言われましたように、規制というのは因果関係が明確になっているもの、そしてこれはよくエンドオブパイプテクノロジーという言葉を使っていますけれども、最終の排水する段階、廃棄する段階規制していくというエンドオブパイプテクノロジーがメーンになるもの。一方、自主管理PRTRというのはどちらかというと生産工程全体を改善していくこと、クリーナーテクノロジーという言葉OECDが使い、中西先生はたしか席上ではクリーナープロダクションという言葉を使っておられたと思います。経団連でもクリーナープロダクションということで取り組んできたかと思います。  さて、そういうことで考えてまいりますと、この規制自主管理との接点にあるものが幾つか出てくると思いますので、まずレスポンシブルケアPRTRというふうに質問を絞ってみたいと思います。  私は、自主管理の面では日本は進んでいたと思います。今、大臣は、欧米諸国に比べてPRTR法制化ではおくれていた。これはおっしゃるとおりだと思いますが、では自主管理をやっていなかったのかというと、私はレスポンシブルケアというのはかなりやってきたのではないかと思っています。化学物質というのは、御案内のとおり十万を超え、年間幾つ幾つも新しいものが出てくるということでありますから、これを全部規制していくということは到底不可能である。また、化学物質というのは、即悪ではなくて、もちろん役に立っていると同時に潜在的なリスクもある、こういったものでございます。  そこで、レスポンシブルケアというものについては、これはOECDでもいろいろ議論されたことでございますが、国連の地球サミットでアジェンダ21の第十九章に位置づけされております。それは、企業が自主的に環境、安全、健康面対策を行うこと、これをレスポンシブルケアとして重視しているわけであります。  日本でも、日本化学工業協会、いわゆる日化協でありますが、これが一九九二年、今から約七年前から百三の物質について排出移動量生産使用段階のさまざまなプロセスにおいて把握する。それからまた、経団連においても、まさにクリーナープロダクションを目指しまして、九六年から四十五の業界団体で百七十四の物質排出移動について把握するということをやってきたところでございます。  私の大臣に対する質問なんですが、このPRTRが今回法制化されますと、これまで化学業界を中心として自主的にやってきたレスポンシブルケアというのはどういう位置づけになるんでしょうか。この両者の関係について、一言触れていただけたらと思います。あるいは局長で結構でございます。
  6. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先生指摘のように、我が国レスポンシブルケア活動はかなりの歴史を持っております。  今般、御提案申し上げておりますPRTR制度は、事業者による化学物質管理改善促進すること、これを一つ目的としているものでございますので、化学物質開発から廃棄にわたる化学物質の全ライフサイクルにわたってその管理活動実施しようという、それを理念としておりますレスポンシブルケア活動は、PRTR制度実施によってさらに促進されるとともに、その内容の充実が図られる効果があるものというふうに期待をしているところでございます。
  7. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  同じような観点で、環境庁長官に伺いたいと思います。  大防法との関係でございます。大防法改正のときに、私も当時中央環境審議会委員をやっておったわけでございますが、有害大気汚染物質対象としまして新しい枠組みをつくったわけです。これは規制法なんだけれども、一定期間、三年間ということでございましたが、自主管理を見守るといった領域も織り込むという、従来の規制法と今回のPRTRとのまさにかけ橋になるような画期的なことを審議会で答申し、法制化できたと思っているわけでございます。  今回は、その大防法を一歩進めて自主管理を幅広く進めるというふうに私は理解しているんですけれども、そういう理解でいいかどうか。例えば、トリクロロエチレンですとか、パークロと言っていますが、テトラクロロエチレンなどは平成九年度に環境庁でおやりになったPRTRパイロット事業対象化物質なんですね。ところが、同時にこれは大防法対象にもなっているということで、大防法PRTR法はどんな関係でございましょうか。
  8. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生指摘のように、PRTR実施によりまして、事業所は、大気への排出のみならず幅広い化学物質対象として環境中への排出量等をみずから把握いたし、そして化学物質管理改善を図ることとなっております。そして、PRTR対象物質は、今後政令で定めるところによりまして、その際の大気汚染防止法有害大気汚染物質である、先生から今御指摘をいただきましたテトラクロロエチレンまたはトリクロロエチレンなどについても検討対象考えていかなければならないと思っておるところであります。  環境庁としても、本法案によって得られる成果を他の法律に基づく対策基礎情報として活用し、そして環境保全行政を積極的に進めてまいるつもりでございます。
  9. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  第二のテーマに入りたいと思います。  先ほど冒頭に大臣がおっしゃったMSDSに触れてみたいと思っております。これは、マテリアル・セーフティー・データ・シートというものの略でございますが、今回の法律の中でも大きな柱の一つになっているかと思っております。化学物質安全性に関するデータシートであります。  まず、通産省に伺いたいと思いますが、これまでMSDSというのは実は自主的にやってきたところもあるわけであります。企業間で化学物質取引する際に渡すものなのでありますが、日化協では平成三年以来いち早く自主的に取り組んできております。今回、法律案になったということを私は非常に評価しているわけでありますが、今までやってきた日化協の自主的なMSDS取り組みをどう評価し、どういうところに課題があると、それを克服するために法律にするんだ、こういうことはきっとあったと思うんですが、いかがでしょうか。
  10. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のとおりでございまして、我が国におきますMSDS導入、普及のための活動は、通産省とも連携のもとで社団法人日本化学工業協会の自主的な取り組みとして平成三年から始まっております。この活動によって、MSDS化学物質を適切に管理するための重要な情報伝達手段としてある程度普及してきたというふうに承知いたしております。  しかしながら、平成九年に私どもが日本化学工業協会に対して行いました委託調査結果では、化学物質製造事業者によるMSDSの作成は相当程度進んでいるものの、その流通は必ずしも徹底しているとは言えない状況にあるということもわかってきたわけでございます。また、その原因といたしまして、化学物質取引の際にMSDS提供することが化学物質取引ルールとして必ずしも定着していないためであるということもわかってまいりましたので、今般、法律によりまして事業者によるMSDS提供を義務化するということを御提案申し上げているところでございます。
  11. 加納時男

    加納時男君 私もMSDSを自主的にやったもの、今局長が言われたように成果は非常にあったと思うんですけれども、若干私はやっぱり自主的でやってきたゆえに課題もあったかなと思っております。  例えば、いろいろ私も調べてみたんですけれども、様式が必ずしも統一されていなかった、まちまちであったとか、あるいはデータがふぞろいで記入漏れがあったとか、それから要求してももらえなかったケースがあったというようなことも聞いておりますが、今の御答弁で、これからはぜひその辺も頭に入れながら具体化を図っていっていただきたいと思うわけであります。  これについて、社民党さんから対案が出ておりますので、社民党さんに伺いたいと思います。  案を拝見したんですけれども、MSDSについて、取引先だけでなく一般消費者にも知らせるべきだというふうにどうも私は案を読んで読めるんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。また、それはどういうお考えでしょうか、伺えたらと思います。
  12. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) ただいまの御質問の件でございますけれども、政府案仕組みでは、MSDS、つまり化学物質安全性に関するデータシートによって事業者には情報が届くというこの点は非常に評価ができると思います。しかし、それが消費者に伝わらないわけです。それでは化学物質を含む製品が何の考慮もなしに使用され、また廃棄されてしまうことになります。また、日常使用する製品にどのような化学物資が含まれているのかが表示されなければ、消費者はみずからの健康と安全に関するリスクについて判断することができません。  ですから、このようなことではせっかくの制度の意義が損なわれてしまうと思います。そこで社民党案では、事業者が得た情報製品にも表示を義務づけることによって消費者の意識を高めることができる、そして事業者にもよりリスクの低い製品開発を促す効果が出てくるという考えに基づいております。
  13. 加納時男

    加納時男君 どうもありがとうございました。議員同士の討議というのは私はすごく大事だと思いますので、もうちょっと続けさせていただきます。  今おっしゃった中で、事業者が得た情報製品にも表示するというのは私は大事な着想だと思うんです。と同時に、これは二つの面があるのかと。つまり、消費者が直接その製品を使う場合は私はおっしゃるとおりだと思うんですが、そうじゃないケースが結構多いと思うんです。  例えば、私もMSDS表示の例をちょっと調べてきたんですけれども、エチルアセテートというのは御存じだと思うんです、酢酸エチルですね。この場合にどんなことがMSDSに書いてあるかというと、蒸気は、目、鼻、のどを刺激する、吸入すると麻酔作用があり危険、吸入して呼吸停止の場合は人工呼吸しろ、呼吸困難なときは酸素吸入しろと書いてあるんです。消費者がこれを見たら飛び上がって驚くと思うんです。  私は、取扱者にとっては重要な情報で、これはもう書かなきゃいけないと思っているんですが、消費者にこれが生の形でどんと行って、消費者がではエチルアセテートというのは、これを消費者に知っていますかと聞いてみても、だれも知らないと思うんです、特定の方以外は。事実、直接は使わないわけですね。加工されていくわけです。だとすると、これが成分として含まれているからといって、消費者にびっくりするような表示をするのはどうかなとも思うわけであります。  例えば、これらの化学物質は直接一般消費者は扱わないことが多い、扱う場合は別として。消費者向け表示することが適切な場合、これは扱う場合に限定するということですけれども、家庭用品品質表示法というのがありますが、これなどに基づいた消費者にとってわかりやすい表示を行ったらいいんじゃないかというような意見も私はあると思うんですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  14. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) やはり、今おっしゃいましたようにMSDS表示はその内容に違いがあると思います。ですから、それは条文を分けて、表示消費者が必要でわかりやすいものを知らせるというふうに工夫といいますか、それは非常に必要だと思っております。
  15. 加納時男

    加納時男君 わかりました。これからも折に触れて議論していけたらと思っております。ありがとうございました。  次に、技術秘密について一言伺ってみたいと思っております。  生産活動における技術秘密、ノウハウということは企業の死活を制するような大事なものかと思っています。私は、これは保護すべきだと思っています。一方、今回の法案にもありますように、潜在的に有害な化学物質排出量を把握したり、自主管理促進して改善していくということも非常に重要だと。その二つの要請を同時に実現していくことが大事だろうと思っています。そのために今回、政府案でもいろいろ工夫をし、社民党さんもいろいろ案を出してこられたということで理解しております。  まず、通産省に伺いますけれども、この営業秘密について、生産方法等の公然と知られていないものは化学物質名にかえて化学物質の属する分類名で行えるよう所管大臣請求できるということに政府案はなっていますけれども、なぜ所管大臣なんでしょうか。
  16. 河野博文

    政府委員河野博文君) お答え申し上げます。  このPRTR制度におきます営業秘密判断は、個々の産業におきます技術事情にかかわる知識、あるいは各業界における競争環境などの専門的知見を踏まえた上で法律上も要件が明記されておりますけれども、秘密として管理されていること、さらに生産方法その他事業活動に有用な技術上の情報であること、公然と知られていないこと、この三要件に照らしまして毎年度厳格に行う必要があるというふうに考えているものでございます。  事業所管大臣が責任を持つということでございますけれども、これは企業を取り巻く競争環境あるいは技術状況を熟知しているということでございまして、事業者営業秘密として非開示の請求をしております情報秘密性有用性、非公知性の三要件判断を中立かつ厳格に行う能力があるということから、事業所管大臣にこの営業秘密の扱いの請求を行う、そういう仕組みにすることが適当であると考えた次第でございます。
  17. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  同じようにして社民党さんにも伺いたいと思いますけれども、社民党さんの案では十二条だったと思いますが、届け出事項の不公表知事請求知事が決定するというふうに知事にゆだねているわけでございますが、なぜ知事なのでございましょうか。
  18. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 地域で起こった問題に対処するのは都道府県知事でございまして、化学物質対策では地域の特性に配慮していくことが大切だと考えております。  社民党案では、届け出事項の不公表判断においては、営業秘密に当たるか否かに加えて、人の健康や生態系の保全に対する影響も判断基準として、そして地域的な要素を勘案することとしております。したがって、届け出事項の不公表請求の受理とその決定も都道府県知事が行うこととしました。そして、この知事の決定に不服がある事業者は、環境庁長官に不服審査請求ができる仕組みとしております。  政府案のように、事業所管大臣営業秘密判断を行うことはチェック・アンド・バランスの観点から大いに問題があり、制度に対する信頼を損なうことになると考えております。
  19. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。自治体の強みというのは地域事情に一番詳しい、これは私は清水委員のおっしゃることと同感でございます。  ところで、技術情報というのはかなり専門的なものでございます。営業秘密として公表しないことが妥当かどうかの判断というのは、技術事情でありますとかあるいは業界における競争環境、こういったことに関する高度な専門知識が要るのかと思っています。  こういった技術秘密情報は、清水委員が今おっしゃった地域特性になじむのかというと、私は必ずしもなじまないのじゃないかと思うんですけれども、この辺、再度の質問で悪いんですが、いかがでしょうか。
  20. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 営業秘密というのは、この中ではそんなに多くないわけです。ですから、一定の定義というものをきちんと決めてルールを確立すれば、そんなに地方自治体にそういうことが非常に難しいということではないと思っております。
  21. 加納時男

    加納時男君 今の御意見とは私は若干違うところがありますけれども、この議論は時間の中ではちょっとこれ以上は無理だと思いますので、きょうはお話を伺ったと、私も言いたいことを言わせていただきました。ありがとうございました。  次は、非点源の問題に移りたいと思っています。  化学物質は、点源と言っておりますが、届け出の対象となっている場所、その点源から出るだけじゃなくて、非点源、例えば移動発生源としての自動車ですとか、家庭における防虫剤、塗料、接着剤、それから農地における農薬の散布、これは同僚議員山下善彦さんが一昨日質問されたことですが、すそ切りされる中小企業事業所から出る例えば塗料等、これは非常に大きな問題になってくると思いますけれども、こういったようなことについて伺ってみたいと思っております。  環境庁に伺いたいと思うんですけれども、今回の政府案では非点源からの排出量を国が推計する。これはOECDガイダンスマニュアルと同じだと思うんです。ついては、自動車とか家庭、こういったところからの排出量はどうやって推計するおつもりでしょうか。
  22. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  私ども、パイロット事業におきましても、幾つかの試行錯誤的な実験といいましょうか経験をしてまいりました。こうした経験を踏まえまして統計情報をもとに算出する考えでありますが、今具体的にお示しの家庭であるとか自動車等の移動体につきましては、全国的に行われている統計調査の結果等を用いて対象物質ごと、地域ごと等の集計を行うことを考えております。  推計に当たりましては、有用な知見を有する関係行政機関の協力を得るとともに、今後さらに情報収集や推計手法の改良のための技術開発に努め、推計精度の向上を図ってまいりたいと考えております。
  23. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  同じようにして、社民党さんに伺いたいと思います。  社民党さんの案では、第九条だったと思いますけれども、非点源からの排出量は自治体が調査し算出するとなっているわけであります。実は、この化学物質なんですけれども、点源から出るもの、非点源から出るもの、いろいろあるわけです。特に、非点源から出るもので自動車から出るもので考えますと、ベンゼンなんというのもあると思うんです。ベンゼンは点源が大体三〇%ぐらい、それから非点源からが七〇%ぐらいというふうにパイロット事業の報告書にありました。正確に言うと六九%は非点源、そのうち六〇%は自動車なんです。  こういうところから出るものをどうやって自治体が推計できるんでしょうか。自治体が調査と書いてありますけれども、何かお考えがありましたらお願いします。
  24. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 地域の住民や生態系を守るのは都道府県知事の任務でございますし、それから非点源推計もやはり知事が中心に行うことが必要だと考えておるわけです。ですから、それは地域の実情に詳しい都道府県知事が調査を行うことによりまして、PRTR対象とならない小さな事業所や車、それから家庭や農地などからの排出量とか移動量の推計もあるわけですから、それらをまず正確につかむということから始まると思いますし、そしてそれをきめ細かく分析するという、それはやはり地域が一番適切だと思っているわけです。  確かに、非点源につきましては、一つの都道府県に限った調査が困難な場合もあります。したがって、国の統計資料の利用や全国的ないし複数県にわたった調査が必要なものについては、環境庁長官やその他の関係行政機関の長、または関係地方公共団体の長に対して協力を求めることができるということを明記しております。  自治体の専門知識や能力の問題についてでございますけれども、やはり二十一世紀に向けて地方分権の流れに沿った環境行政を確立していかなきゃいけないというのが私たちの基本的な考えでございます。したがって、既にもう先進的な取り組みを行っている自治体もございますし、その他の自治体につきましても早急に体制の整備を図っていくべきである、それは国も自治体の基盤整備に協力していかなければいけないという考えに基づいております。
  25. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  国の協力、自治体の能力といったキーワードでおっしゃったと思います。国といっても、件数は決して多くないけれどもかなり専門的なものでありますから、専門能力を生かしていくという観点から、委員とは結論は若干違うんですけれども、プロセスにおいて貴重な御意見を伺えたと思います。  最後、二分残りましたので、リスクコミュニケーションについて、これは資源エネルギー庁になるかと思うんですが、一つ伺いたいと思います。  特に、放射線の問題というものはリスクコミュニケーションで非常に問題になっておりますが、今回のPRTRと放射線、私はリスクコミュニケーションという面では非常に相通ずる面があると思うんです。特にがんは、放射線における直線仮定と言っているICRPの非科学的な前提が最大のリスクコミュニケーションの障壁だと思うんですが、こういったことについて何かお感じがあったら教えていただき、私の質問を終わらせていただきます。
  26. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 我々の生活の中に相当のリスクがあり、それを管理しながらある種の文明を築いてきたという理解でございますが、原子力につきましても、ポジティブな側面だけでなく、潜在的な危険性についても世の中に示した上で、これがいかに制御されているのかという観点から安全性についての説明をしていくことがむしろ原子力についての正確な理解を深める上で有効な考え方ではないかというふうに確認いたしてございます。  ちなみに、原子力発電所にかかわります事故、故障あるいは放射性廃棄物の管理状況などの情報についても積極的な提供を行っているところでございまして、こうしたものも含めて、今後とも情報公開、国民への説明というプロセスを経ながらリスクコミュニケーションというものを実現していきたいと思っております。
  27. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。終わります。(拍手)
  28. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  きょうは、PRTR法案について、まず民主党・新緑風会のトップバッターとして質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回、法制化されようとしているPRTR制度の原型というのは、先生方御案内のように、アメリカで八六年に制定をされました知る権利法に基づくTRI制度であると言われています。  この制度というのは、今から十五年前、十二月二日の深夜に、インドのボパールで、ある工場の劇薬の漏えい事故が契機となって制定をされた。この事故自体というのは工場の保守要員の本当に簡単なミスだったんですが、何が悲劇だったかといいますと、この工場でどんなリスクを持った化学物質がつくられていて、そしてその非常事態にどう対応したらいいかといった情報が住民や、もっと言うと自治体の行政機関までが持っていなかった。そして州政府も知らなかったということで、結局朝までに二千五百人以上の周辺住民の方が亡くなったという大変大きな悲劇になりました。  それを機会にアメリカでTRI制度、有害化学物質排出目録制度がつくられたわけです。もしその周辺住民が工場の実態を知っていたら、工場に対する住民の要求が強まって劇薬の使用量が減ったかもしれないし、工場側も保守設備をもっと充実させたかもしれない。事故に対しても十分な避難措置もとれたかもしれない。ところが、実態は行政にも住民にも知らされていなかったということで大惨事になったわけです。  つい先月も、きょうは七月一日ですから先月になるんですが、六月五日には埼玉県の幸手市で、塩化ビニール原料や農業用の殺虫剤のスプレー缶二百五十万本が保管してあった工場が爆発をしました。ここにその新聞記事もあるわけですが、「倉庫爆発 火柱五十メートル」と。幸いけが人がなかったということですが、周辺の水田には爆発によってスプレー缶が散乱していたと報告されています。  政府からもお話がありますように、毎年数千種類と言われる新しい化学物質が生み出されていまして、現在、日本国内だけで数万種類使われている。こういった化学物質によるリスクというのは年々高まっていると言えると思います。そういった意味で、このPRTR法案がこの連合審査で、またこの国会でできるということは私は大変評価をしていますし、いいことだと思います。  そして、日本化学物質がなくていいかというとそうではないですし、化学物質の利便性、有効性も否定をするものではありません。しかし、やはり日本全体に言えることですけれども、これはひょっとすると化学物質だけではないのかもしれませんが、一つ一つリスクというものに対する無関心、それからリスクとどう向かい合うかということに対してもっと我々が国民も含めて感じていく必要があるのではないかというふうに思っています。そのためにも、衆議院で修正をされまして、公明党さんの修正案が出てきて私はさらによくなった法案だと思っていますが、ぜひこの参議院で議論を尽くした上で、さらに実効性のあるものに修正ができないかという観点の中で幾つ質問をさせていただきたいというふうに思います。ちょっと前置きが長くなりましたが、よろしくお願いします。  まずは、公明党の修正の発議をされた先生にお伺いしたいというふうに思います。  事業者による届け出情報の扱いについて、営業秘密判断を求める情報は御案内のように主務大臣に直接行く、営業秘密以外のものに関しては都道府県知事を通じて主務大臣に行く。これは届け出窓口が都道府県になったわけですから事業者にとっては大変便利になった、いつも事業者にとって一番近い都道府県が窓口になったので便利になった。さらには、届け出の回収率も恐らくこれによってよくなるだろうということで私は大変評価をしております。私の認識はこういった形で評価をしているんですが、修正案の認識としてはこれでよろしいのでしょうか。また、公明党さんが都道府県を中に入れられた意図、そして自治体を入れられたのは、自治体に一体何を求めておられるのか等についてお答えいただきたいというふうに思います。
  29. 福留泰蔵

    衆議院議員(福留泰蔵君) 福山先生からは、事業者による届け出情報の扱いについて、私ども衆議院の修正点とその理由についてのお尋ねだろうと思います。  政府原案におきましては、事業者の届け出情報の扱いにつきまして、排出量等の届け出は主務大臣に直接行うものとしていたところでございます。先生指摘のとおりでございます。衆議院におきます委員質疑を踏まえまして、事業者からの届け出につきまして、営業秘密に係る請求がある場合を除き都道府県知事を経由しなければならないものといたしました。そして、その際、都道府県知事は意見を付すことができるものとするとの修正を私ども行ったところでございます。  届け出を都道府県知事経由といたしましたことによりまして、地域の中小企業の便宜や届け出の確保等の制度運営に当たりまして都道府県の役割が増大をいたします。そして、より主体的に都道府県がこのPRTR制度に参加することとなることを私どもとしては期待しているところでございます。  こういった観点から、非常に有意義な修正であったと考えているところでございます。
  30. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたように、私も大変有意義な修正だったというふうに思いますし、都道府県の主体的なかかわり、それから中小企業に対しての届け出の実効性の多分アップということで大変よかったというふうに思います。  少し観点を変えます。これに関しては後でまた続いて質問させていただきますが、では指定事業者でございますが、政令で定めることになっていますが、指定事業者というのは、この制度で該当している事業者というのは届け出義務についてどのように知ることになるのでしょうか。また、その事業者に対して届け出をしろというような通知が行くのか。そこはどういった制度になっているのでしょうか。通産省、どうぞお答えをいただきたい。
  31. 河野博文

    政府委員河野博文君) お尋ねの点でございますけれども、PRTRの届け出の対象事業者という通知を国から個々の事業者の方々に行うということは実は考えてはおりませんけれども、法施行までに、法律内容あるいは対象事業者要件などにつきまして、地方自治体あるいは業界団体、または中小企業関係の団体などさまざまな機関の協力を得て、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図っていくということを考えております。  また、PRTR実施のための準備作業として今私どもが考えておりますことは、事業所企業統計調査のリストで、基本的にはほとんどの企業が網羅されているリストでございますけれども、これをもとに対象事業者の把握調査を実施して、あらかじめ対象事業者の候補リストを作成するといったようなことも今後検討していかなければならないというふうに思っております。
  32. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、基本的には個々の事業者には通知が行かないということで広報なり業界団体等、自治体を通じてということは、今候補対象リストをつくるのを検討されるとおっしゃいましたが、中小とかある業界に加わっていないようなところ、例えば中小の工場とか町工場とかは漏れる可能性はあるわけですね。
  33. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほど申し上げたようなさまざまな努力で、対象となりますすべての事業者の方々にこの制度を御理解いただくように努力してまいりたいと思っております。
  34. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ぜひそこは周知徹底をしないと、逆にフリーライドするところが出てくれば出てくるだけ、きちっとやった事業者は自分のところの排出量移動量は出していると、それが表に出るわけですから、事業者にとってはちゃんとやればやるほど表に出てくる。それによって地域の住民等があらぬ疑い、危険性に対して騒ぐことによって、ちゃんとやっているところ、届け出をしているところが逆に被害をこうむるというような状況がないようにしないと、フリーライドして出さないところが逆に住民からのチェックを受けないというような、制度をつくったことが逆にマイナスになるようなことはぜひ避けていただきたいというふうに思いますので、そこの周知徹底等については本当に御努力をいただきたいと思います。  さらに、先ほどから出てきています例の営業秘密に関してですが、これは衆議院の方でも御答弁をいただいたんですが、先ほど公明党の先生がおっしゃいましたように、営業秘密を希望する情報とそうでない情報の提出方法を分けた。我が国でこのPRTR制度が始まった場合に、一体営業秘密になる情報営業秘密にならない情報の割合というのはどの程度になるのか。  アメリカの例などもあると思いますし、またその営業秘密に対しては、法案の中にもありますが、どういった要件営業秘密だということを主務大臣判断するのかということについて、お答えをいただけますでしょうか。
  35. 河野博文

    政府委員河野博文君) まず、この法案におきます営業秘密判断要件でございます。  これは不正競争防止法の営業秘密要件に倣ったものでございますが、それを法律上三つの要件として明記いたしております。  具体的に申し上げますと、まず秘密として管理していること。二番目に、生産方法その他事業活動に有用な技術上の情報であること。三番目に、公然と知られていないことでございまして、この三要件に照らしまして毎年度厳格に営業秘密判断を行っていくということでございます。この三要件すべてに該当する場合に営業秘密として認められるということでございます。この営業秘密判断基準は、先ほど申し上げましたように、諸外国の営業秘密に関する判断基準ともほぼ同様のものというふうに考えております。  その同様の判断基準で判断を行っております欧米諸国についてのお尋ねでございますけれども、例えば米国におきましては、九五年の実績でございますけれども、提出数が七万三千件余りのうち、営業秘密として最終的に取り扱われましたものは十三件にすぎないという状況でございます。我が国においてはこれから制度が行われるわけでございますので、明確に予測することはなかなか難しいわけでございますけれども、我が国においても営業秘密の件数がそう多くなることはないというふうに考えているわけでございます。
  36. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ということは、七万三千件のうちの十三件というと〇・一%以下ということでよろしいですね。  ということは、我が国でも大体〇・一%以下ぐらいになるのではないかというふうに推定をされているというふうに判断してよろしいわけですね。
  37. 河野博文

    政府委員河野博文君) 制度の開始前でございますので精緻な数字をお答えすることはできないかと思いますけれども、先ほど御紹介したアメリカの例などに比べまして大きく離れることはないのではないかというふうに思っているところでございます。
  38. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほど言われた、営業秘密として認める三要件がございました。主務大臣がそれぞれ判断をするわけですが、各主務大臣の中で確かにこの三要件は一定として、ただ所管の各省庁によって判断の基準なりが、この三要件である程度の一定の水準がそれぞれで確保できるのかどうかということについてはどのようにお考えでしょうか。
  39. 河野博文

    政府委員河野博文君) 一つの業種といいますか業態の中で営業秘密というものは意味を持つという側面がございますから、その業種の中で統一的な判断がまずなされなければならないと思います。その際に、国内はもとより国際的な競争環境の中で判断をしていくということも重要かと思います。  また、主務大臣が複数にわたるといいますか、業種によって異なるということになりますけれども、この営業秘密判断にかかわります三要件の適切な運用を図るためには、この法案をもし成立させていただければ、環境庁あるいは私どもが中心となりまして、事業所管官庁と営業秘密判断にかかわる三要件などの適切な運用については、例えば連絡会を設けることなどして準備していきたいというふうに考えております。
  40. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  では、営業秘密が大体〇・一%以下だということになりますと、九九・九%ぐらいはほぼ開示をされるという前提でこのPRTR制度は成り立っている、そういうふうに今の御答弁で私は判断をさせていただきました。  きょうはパネルをつくってまいりましたので、ちょっとこれを。(図表掲示)九九%以上のものが営業秘密ではない。営業秘密ではないものに関して言うと都道府県知事を経由する。営業秘密のものは、秘密事項ですから主務大臣に行くという形になります。  今回は、この九九%以上を占める営業秘密以外のデータについて絞ってお尋ねさせていただきたいんですが、この九九%以上の情報というのは一度都道府県知事を経由します。経由をしてから主務大臣に行きます。営業秘密のこの白い部分はそのまま直接主務大臣に行きます。そうすると、この九九%以上のものというのは都道府県知事、主務大臣に行って、そこから環境庁さんと通産省さんに行くわけです。  そうすると、この九九%以上の情報に対して主務大臣は一体どんな役割が想定をされて、具体的にどういった処理をされるおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  41. 河野博文

    政府委員河野博文君) 届け先につきましては、業種ごとの技術実態あるいは化学物質の取り扱いに精通した事業所管大臣あてに行うという仕組みを御提案しているわけでございます。  事業所管大臣の具体的な役割といたしましては、届け出を経由することになった都道府県が事業所からの問い合わせを受けた場合、こういった問い合わせに対して対応をしていく、その際に工業プロセスですとかあるいは化学物質の取り扱いに関する事業所管省庁の専門的な立場からの対応を確保することがございます。  また、御承知のように、このPRTR制度はかなりのものにつきまして推計マニュアルによりまして排出量を推計して届け出るということになるわけでございますけれども、事業者排出量等を推計する上でこの推計マニュアルの適用方法などについて事業所管省庁が専門的知識を生かしながら適切に指導してまいるというようなことが考えられると思っております。
  42. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の政府委員の御答弁はまさにそのとおりで、事業所管庁が問い合わせに対していろいろ答えたり、マニュアルを渡したりということは私もわかっているつもりです。しかし、問題は、この上がってきた情報に対して、データに対して主務大臣がどうのこうのしないですね。主務大臣事業所に対して、少なくとも事業所の主務官庁としていろんな指導ができたりマニュアルを配ったりはできるけれども、都道府県知事から主務大臣を経由して通産省環境庁へ行くときには、この情報に対しては基本的に具体的には何も関与はないはずですね。
  43. 河野博文

    政府委員河野博文君) 主務大臣が受けまして、もちろん基本的には届け出でございますから受理をするわけでございますけれども、例えば同規模の事業者に比べて排出量の値が違っている、あるいは経年変化を見て従来と違う数字があるというようなことになった場合に、これは都道府県知事を経由する場合もありましょうし、あるいは場合によっては直接事業者に対して問い合わせをする等のことは当然考えられるわけでございます。
  44. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 確かにおっしゃるとおりなんですが、その場合には都道府県の窓口でやればいいわけです。つまり、都道府県の窓口で今おっしゃられた正確性の確保というのをしないことには意味がないわけです。逆に、都道府県の窓口が正確性の判断等ができない状況で、都道府県知事もそのままスルーして主務大臣に行くような状況なら、公明党さんの趣旨、都道府県が主体的にかかわれる役割というものを重要視しているし、営業所とのコミュニケーションの問題、届け出の比率が上がる問題、有効性の状況から都道府県知事を中にかませたという公明党さんの趣旨があるわけです。この修正案に対しては、先ほど申し上げたように私も大変評価をしている。  そうすると、先ほど言った知事段階で正確性に対しての確保ができるんだったら主務大臣はこのデータを持っている意味がなくて、そのままスルーして通産省環境庁に行くなら、九九・九%の基本的には営業秘密でない情報が主務大臣を経由する意味合いがどこにあるのかを明確に御答弁いただきたいんです。
  45. 河野博文

    政府委員河野博文君) 都道府県の経由の際に都道府県が主体的にかかわっていただいて、例えば経年変化でございますとか地元で御存じの同規模の事業者との比較、こういったことについていろいろ参考になる意見を付していただけるということは今後考えられることだと思っておりますが、同時に主務大臣も専門的な知見を生かしながら、届け出られた数字について必要に応じ指導をし、あるいはある種のチェックをしていくということは主務大臣の仕事だというふうに思っております。  衆議院で御修正いただきました内容も、主務大臣の努力と地方公共団体の努力が相まってPRTRの届け出の回収率といいますか正確性といいますか、そういったものを期していくということだというふうに私どもは理解しております。
  46. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のお話はまさにそのとおりなんですが、別にそれは通産省環境庁へ行ってからだって主務大臣判断できるじゃないですか。  だって、このまま都道府県知事から通産省へ直接行って、営業秘密ではないわけですから、営業秘密について僕はどうのこうの言っているわけではありません。営業秘密ではないわけですから、そこの部分については直接環境庁通産省に行った方がよっぽど都道府県もすっきりするし、都道府県にとってみれば、来た情報を各省庁別に分けてそれぞれの主務大臣に届ける方がよっぽど事業の仕事量としてもふえますし、ややこしい。そうしたら、環境庁通産省にそのまま行って、主務大臣が例えばそこに重大な関心があったとか、その事業所に対して何か重大な問題があるという懸念があるときは、遠慮なく環境庁通産省に状態を聞けばいいわけですから、別にここの部分を遮断しているわけでは決してないわけです。  そこの意味合いについて、僕はここの部分は公明党さんの修正案を大変評価しつつも、結果としてここはもう一段踏み込んだ方がこの法案がさらによくなるのではないかと思っているんですが、もう一度御答弁いただけますか。
  47. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほどお答え申し上げましたように、地方公共団体と主務大臣の努力が相まってこの制度を円滑に運営していきたいというふうに考えているわけでございます。また、情報流れといたしましても、主務大臣経由で最終的な取りまとめ官庁であります環境庁通産省流れてくるというのは自然な流れだというふうに思っております。
  48. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何も情報に対して手を加えないのに、そこを経由することが何が自然な流れなのか、もう一度御答弁いただけますか。
  49. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほど申し上げましたように、その事業所管省の専門的な知見も生かしまして、経年変化等々のチェックは都道府県知事と同様に事業所管大臣でもいたすことになると思います。  また、推計マニュアルの適用は、これはそれぞれの工業プロセスなどの実態を生かして推計方法をこれから定めていくことになると思いますけれども、その適用状況についても主務大臣が場合によっては指導し、あるいは出てきたデータについてもチェックをする、そしてできるだけ正確なものを環境庁長官通産大臣に届け出ていくという仕組みが適切だというふうに考えているわけでございます。
  50. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ですから、それはできるわけです、ここからこれでも十分。そして、先ほど言ったようにこの修正の趣旨は、都道府県知事に正確性を確保して、そこに対してやれという話ですから、確かにマニュアルとかでチェックをすることは必要かもしれません。それは必要だけれども、この段階でその情報に対して別に何らかの形の手を加えるわけではなくて、事前にマニュアルで指導をしたり、先ほど言われたようにできるだけ広報をきちっとしていくというお話をされているわけですから、都道府県のところでそういう正確性や今おっしゃられたことのチェックができなければ逆に意味がないわけです。  これは修正の発議をされている公明党の先生に、その辺の趣旨がどのような状況であったのか、もしお答えをいただければありがたいと思います。
  51. 福留泰蔵

    衆議院議員(福留泰蔵君) 基本的に都道府県を経由して主務大臣に届け出ることと修正したわけでございますが、最終的に届け出先を一元化する修正は行わなかったというのが私どもの提案でございます。先生指摘のことも十分理解するわけでございますが、今政府委員が答弁をした内容を私どもは理解しているつもりでございます。その上で、実は私どもの考え方として、このPRTR制度が私たちの環境を守るための、前進するための大いなる第一歩であるだろうと思っているところでございます。  私どもの修正は、私ども市民の環境問題というものにこれからは住民と行政企業が三者一体となって取り組んでいく、そのベースとなる制度ではないかというふうに思っております。そういう意味で、地域環境問題というものに取り組むのは、やはり地方自治体が主体となってやっていかなければならない。そういった観点から、都道府県を窓口とすべきではないかということで修正を行ったところでございます。  その上で、ただデータだけですと、政府案ですと主務大臣にそのデータの届け出を行った上で都道府県へそれを通知するという中身になっておりました。ですから、データの取り扱い自体は恐らく政府案でも取り扱うという意味においては同じ意味だったのでしょうけれども、届け出を地方自治体が受けるということによって主体的なかかわりがそこに出てくるだろうという意識でございます。  あわせて、それを逆の言葉で申し上げれば、主務大臣というのはそれぞれの産業の育成という観点を持っているのだろうと思っております。これからの産業というのは、環境問題への対応なくして産業の育成はないだろうと思っておりますし、そういった観点から、今政府委員の答弁のとおり主務大臣と都道府県が一体となってそれぞれPRTR制度の推進を図っていくということは、ある意味で重要ではないか。一元化したデータを主務官庁が受け取るだけではなくして、届け出の段階からそこにかかわっていくということは意味があるのではないかと私どもも今受けとめているところでございます。  しかしながら、今回の修正によって法案検討事項における見直し期間が十年から七年に短縮されております。修正案提案者としても、この法案がこれからもよりよい形に進化していくということを期待しているものでございます。
  52. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大変誠実にお答えいただきましてありがとうございました。僕は、何ら今のお話に対しては異論はございません。  ただ、この法案目的は、「事業者による化学物質の自主的な管理改善促進し、環境の保全上の支障を未然に防止する」ということで、最終的にデータ環境庁通産省が持つわけです。それを否定しているわけではなくて、主務大臣を一々経由していることに対して、環境庁通産省が持ったデータをほかの主務大臣に渡さないと与謝野大臣真鍋長官も言われているわけではないわけですから、それは都道府県の立場で言えば一本化して渡した方が法案としては非常にすっきりするし、営業秘密について僕は否定をしているわけではないわけですけれども、この辺について環境庁長官はどう思われますか。
  53. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 初めて取り上げるPRTR法案でありますので、やはり都道府県の責任者と主務大臣との連携を図らなければならないし、また主務大臣によって科学的知見をいただかなければならないし、また交換しなければならないという観点から、そのような対応がなされたと思うわけであります。  うまく運用していけば、この問題は将来的には先生がおっしゃるような点にまた配慮していかなければならないのではないだろうかと思うわけでありまして、都道府県からダイレクトに通産省環境庁が受けるような体制でないというのはそういうゆえんじゃないだろうか、こう考えております。
  54. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 では、もう一つお伺いしますが、通産省環境庁が持っているファイル記録事項の開示というのは、主務大臣が持っているところに情報公開法に基づいて資料請求、開示請求もできるでしょうし、これは恐らく通産省または環境庁にも請求ができるわけですね。  つまり、個別事業所データに関しても、営業秘密ではない場合は、別にその主務大臣ではなくて環境庁さん、通産省さんにも開示請求はできるわけですね。
  55. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のように、先ほどのような情報流れでございますので、環境庁長官及び通産大臣はすべての個別事業所排出量等データをファイル記録事項として保有しておりますので、その開示請求は個々の主務大臣以外に通産省または環境庁に対しても行うことができるものでございます。  もちろん、個別事業所に係るデータ請求は、環境庁長官通産大臣だけでなくて当該事業を所管する大臣に対しても行うことができます。
  56. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうなんですね。  これは、例えば当該事業所の所管官庁のところだけで情報開示がされるんだったらまだよくわかるんですが、これは結局一本化された情報で、通産省環境庁情報開示請求しても同じデータが出てくるわけです。  そうすると、僕は主務大臣を経由することの意味が余計よくわからなくて、これはもう言っていても切りがないですし、先ほど公明党の先生もそれから長官も、この法案は発展途上でよりいい方向にというお話がありますから、私はぜひこの参議院でこの部分については修正を含めてもう少し考えていただきたいなというふうに思います。  では、ちょっと次の観点で行きます。  例えばファイル記録事項に対して、きちっとした情報公開法に基づく手続で請求をされた場合に、その営業秘密以外のファイル記録事項について開示請求を拒否することはあるんでしょうか。
  57. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法案におきましては、第十条の第一項におきまして、何人もファイル記録事項の開示の請求を行うことができると規定しております。  同条第二項に基づいて開示請求が行われる限り、それを拒否することはないと思います。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 開示請求を拒否することはないんですね。  ということは、先ほどからこだわっていますが、営業秘密は〇・数%で、九九%が営業秘密ではない情報で、主務大臣を経由するかどうかはもういいです、主務大臣を経由するかどうかは別にして、このファイル情報というのは開示請求を拒否することはないんですね。  そうすると、拒否しないということは、すべてを開示するということです。その九九・九%についてはすべてを開示することです。つまり、その段階で役所が開示をするかしないかという判断をしないわけです、この情報に関しては。では、その判断をしないものなら全部開示できるわけですから、なぜわざわざ請求をさせて、なぜわざわざそこで手数料を取る必要があるのか。  だって、もともと営業秘密は別にあるわけじゃないですか。九九%は、経由はどうであれ、環境庁通産省に行って、このデータファイルというのは開示請求に対して拒否はしないと今答弁された。開示請求を拒否しないということは、すべてを開示するんです、この九九・九%は。  そうしたら、そこで開示請求についての判断をしないわけです、請求したものに対しては全部出すわけですから。それに対して、何でわざわざ請求をさせるのか、何でわざわざ手数料を取るのかがよくわからないんですが、お答えをいただけますか。
  59. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法案におきましては、PRTR制度実施によりまして、事業者の皆さんによる化学物質の自主的な管理改善促進して、環境の保全上の支障の未然の防止を図るということを目的といたしますと同時に、事業者が主体的に国民の理解の増進を図るということによりまして化学物質管理に関する信頼性を高めていくということを目的としております。  こうしたPRTR制度の趣旨を踏まえますと、化学物質排出及び管理状況について国民の皆さんの理解を深めることは、第一義的には事業者の皆さんの役割だというふうに思っております。事業者自身が創意工夫をしてみずからの責任で実施すべき性格のものではないかというふうに考えるところでございます。  こうしたことから、この法案では事業者取り組みを第一義として、国は、こうした事業者の皆さんが必ずしも十分にデータを開示できないような場合、それを補完するという立場から、個別事業所ごとのデータに関心を有してそれらを必要とする方々に対して確実に開示を行うというふうにしたところでございます。したがって、個別事業所データを国民からの請求によって開示する制度としたものでございます。  なお、OECDあるいはEUにおきます環境情報の取り扱いの基本的な考え方でも、集計データのような一般情報については国が主体的に公表していく、一方で個別事業所データについては請求に応じて開示するという制度としていると承知しております。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、事業所の自主的な開示を促したりそれに対しての啓蒙をいろいろやるということは事業者側の話であって、それを促すからこの開示請求を認め、開示請求でやるんだというのは、何か説明として全然よくわからないんです。  だって、もともとこれは全部出す前提で開示請求に対して拒否をしない情報なわけですから、それを一々手数料を取ってわざわざ請求させる必然性とか合理的な理由がどこにあるのか。今の御答弁だと、申しわけないですけれども、それの合理的な理由には僕はならないと思うんです。  だって、意味がないじゃないですか、もともと物を出すという前提で来ているわけですから。いかがですか。
  61. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 今、先生が議論されている条文というのは、実は先般国会を通りました情報公開法の規定を打ち破る条文であるわけです。  国の行政機関が持っております情報の中で開示をいたしますのは、いわゆる法人情報は実は除かれております。これは行政機関が持っております組織の共用文書、これは磁気テープとかそういうものも含まれておりますが、そういうものは出しますが、一般的に法人の情報は出さないという法律の構成になっております。  今、河野局長から御答弁申し上げましたように、化学物質移動に関する全国的な集計というものは当然公表いたしますし、恐らくそういうものは県別に統計をとって公表することも私はできるんだろうと思います。  ただ、情報開示ということは、具体的にあの事業所は一体どうなっているんだ、自分は近くの住民なんだけれども、あの事業所に関しては少し心配なのできちんとした情報開示をしてくれと、こういう開示を請求するということがあって、当然それに対しては法律の建前上、営業秘密以外のことはお断りしないということになっておりますが、今先生がおっしゃっております情報開示を全部やれということは、全国にあります届け出た情報を全部明らかにするということですから、それは恐らく膨大な資料になるんだろうと思います。  しかし、個別の情報開示請求に関しては、「何人も、」と書いてございますから、その県に住んでいる方でも地球の裏側に住んでいる方でもだれでも開示を請求できるということになっておりますから、実際に情報請求された方に届くか届かないかということは、これは疑問を呈するまでもなく必ず届くシステムになっております。  ですから、これをあらかじめ全部開示しろという御主張でありますと、それはやや非効率な部分もございまして、もちろん情報を集めました県別の集計とか国全体の集計というのは当然全体の統計としては公表いたしますけれども、請求ベースで個別の問題を開示していくというのは、情報公開法の考え方と多分軌を一にしているだろうと私は思っております。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大臣の御答弁も僕は一部そうだと思いますが、逆に非効率だというレベルで言えば、全部出しちゃった方が国としては、例えば請求に対して一々手続もしないで済むし、どちらが非効率かというのは大変僕は議論の余地はあると思います。  それともう一つ、先ほどの話ですが、事業所情報データ都道府県知事に渡して、それが主務大臣から通産省に行って、都道府県知事と主務大臣へ戻し届け出を送る事務は、これは法定受託事務になりますね。それでよろしいですね。
  63. 河野博文

    政府委員河野博文君) 都道府県知事の経由の事務は法定受託事務でございます。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 環境庁通産省データをまとめて、このファイルデータ都道府県知事に渡して、この都道府県知事が住民の請求に応じていろんな形で情報を開示していくのは、これは自治事務ですね。
  65. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のように、法律案第八条におきまして都道府県にファイル記録事項を通知する旨規定しております。したがいまして、ファイル記録事項は都道府県知事に渡るわけでございますけれども、それの管理は基本的には自治事務と認識しております。
  66. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、通産省環境庁からファイルデータとして都道府県知事に行った。このデータに関しては、先ほどから申し上げているように営業秘密ではないわけです、原則として九九・九%は。ということは、例えばある都道府県が、この国から来たファイルデータに関しては自治事務だから、うちは職員も行革の時代だ、お金もかかる、請求に対して一々開示をして手数料を取るよりも、これは九九・九%営業秘密外のものだから、このファイルデータについては私の都道府県は全部開示しますよ、ファイルデータとして例えば都道府県のインターネット上で全部開示しますよという状況は自治事務ですから可能なわけです。そうすると、与謝野大臣がおっしゃられたように国は同じ情報です。これは間違いなく同じ情報なわけですけれども、請求ベースでそれに対して個別に出てきて、ある都道府県に行けば自治事務の中で同じ情報を無料でインターネットで公開するということがあり得るわけですね。
  67. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほど大臣からも行政情報公開法との関係について御説明申し上げたところでございますけれども、この開示に要します費用は、例えば郵送代ですとかあるいは封筒代ですとか、こういったものは実費の範囲内で徴収することは妥当だと思いますし、またインターネットのような電子媒体を用いる場合でも、セキュリティー確保のためのシステムコストあるいはコンピューター使用料等の実費を負担していただくことが適当だというふうに考えております。これが国の考え方でございます。  一方、先ほど御説明いたしましたように、ファイルは都道府県知事にお渡しをいたします。この管理都道府県知事の自治事務でございますから、基本的にどう対応されるかは都道府県知事の御判断ということでございますけれども、先ほど来御説明しておりますようなPRTR制度の趣旨を都道府県知事にも十分御説明し、また都道府県知事がそれぞれの情報開示に要します費用等を御勘案の上、態度を決められるということだと思っております。
  68. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のは非常に遠回しの表現なんですが、要は可能だということでいいんですね。可能なんですね、先ほど私が申し上げたことは。
  69. 河野博文

    政府委員河野博文君) 都道府県におきましてもデータセキュリティーコスト等がかかるとは思いますので、その辺がどういう御判断になるかわかりませんが、それは不可能ではないと思います。
  70. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これは、おまえが言うほどそんな単純な問題ではないと言われるかもしれませんが、要は基本的には営業秘密は確保されているわけです。それで、リスク管理をするためにこのPRTR法案があって、リスク的にこれは企業としては出してもいいよというものが出ているわけです。  つまり、個別情報に対しての守らなければいけないような状況というのは別のところで営業秘密でしっかり確保されているということですから、逆に言うと、変な話ですけれども、ある都道府県が無料でインターネットで公開すれば行政側は手間も要らない、人件費もかからない。先ほどネット上のリスクの問題と言われましたが、先ほど言われたみたいに、これは基本的には営業秘密外のものですし、表に出ることを前提に事業者は出しているわけですから、そこに関しては手数料はかからない、行政も手間もかからない、人件費もかからない。  そういう状況ですから、わざわざスタッフを配置して書類を請求ベースで書かせてそして情報を開示させるということは、それこそ与謝野大臣はこれからの日本情報通信社会の先頭を切っておられる通産省大臣でいらっしゃるわけですし、逆にこんな当たり前のように、絶対情報を開示します、拒否をしないようなものに対してインターネット上で公開もできないような状況の中で、これからの情報通信の社会の中でということに関して言うと、実はこのPRTR法案というのはチャンスではないか。行政というか、日本の政府がある一定の情報については国民にこれだけの開示をしているよと、今までのような知らしむべからずよらしむべしではなくて、我々としてはこういった形で、情報公開やインターネットの時代にこういった姿勢で政府が臨むんだということに対しては、私は営業秘密についてどうのこうの言っているわけではありません、九九・九%のものに対してこれはある意味で言うといいきっかけでありチャンスだというふうに思うんですが、与謝野大臣、どうお考えになられますか。
  71. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 実は先生にお考えいただきたいのは、推定で二万社も関係してくるわけですから、少なくとも一社一枚は報告が来ているはずですから、一枚で二万ページ、五枚で十万ページ、十枚ですと二十万ページのものを開示するということです。それは、恐らく請求ベースで開示した方がはるかにコストもかからないでしょうし、こういうものの情報開示請求というのは、自分たちの町に化学工場がある、そこがどういう活動をしているのかということを考えたときに、それではあそこの化学工場の情報を聞いてみようということで、数百円のコピー代で恐らく請求できるんだろう。これの方がはるかに具体的であり、ピンポイントであり、効率的であるんだろうと思っています。  二万ページから二十万ページとか、そういう単位のものをネット上で公開するということは、毎年これをデータとしてインプットしなきゃいけないわけですから、そう費用も安いわけではなく、また全部見なければわからないということよりも、自分の町のこの件ということを開示請求された方がはるかに具体的であり、効率的であるんだろうと私は思っております。
  72. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 実務上は、そういう議論が多分大臣のおっしゃるように成り立つと思います。しかし、これから先の時代というのはこういう状況がいっぱい起こってくるわけでして、それに対して一々全部この量は非効率だからといって、そこを工夫していただくのが逆に言うと僕は行政側のお仕事ではないかなというふうに思っております。  おっしゃっていただく意味はよくわかります。よくわかりますが、これはシステムとして可能ですし、先ほど政府委員の方もおっしゃられたように、ある都道府県はおれは開示するよと言えば開示できるわけで、それに対して国はやめろと言う権限もないわけですね。ところが、国は有料だという話で、国は余りにも膨大な量だから都道府県はまあいいという状況になったときに、これは実務的には多分大臣のおっしゃるとおりだと思います。しかし、もう一歩進んだ判断をこれに対していただきたいというのが私の今の考えでございまして、そこは御理解をいただきたいと思います。  そうすると、今の話の中で、先ほどの話の続きで戻ってきますが、自治体の届け出窓口、事業者が自治体にデータを届けるときに、自治体の窓口はどこに行くんでしょうか。  先ほどの話ですと、主務大臣と都道府県の基本的なやりとりの中で、お互いが連絡をとり合うことによって、正確性やいろんなものを担保したいとおっしゃるとなれば、都道府県の窓口はその事業所の所轄の窓口になって、事業所はそれぞれの部署にデータを届けなければいけなくなって、これは都道府県の業務としては大変煩雑な業務なんですが、これに関してはいかがお考えですか。
  73. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  都道府県内部における事務分担につきましては、それぞれの都道府県において決定されるべき事項だと考えております。  もちろん、一般的には各業種に属する事業所の存在状況であるとか事業実態は事業所管部局がよくわかっているわけです、そっちが強いと。一方で、また特定化学物質排出状況地域における環境状況については環境部局がそれぞれ知見を有していると、こんなことがございまして、どこでどうするかということについては、各都道府県において適切に経由窓口を決定していただくことを期待しているところでございまして、具体的に窓口を国がどうしろこうしろというようなことを指示するようなことは考えておりません。
  74. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、僕は揚げ足をとるわけではないんですが、先ほどおっしゃられた主務大臣と都道府県がお互いが一体となってという前提で考えれば、それぞれ個別の事業所は担当の都道府県の窓口にデータを持ってこいという話になります。しかし、今の岡田局長お話によれば、それぞれの地方自治体にゆだねると。  しかし、私は、先ほど申し上げた都道府県を一回経由することの意味、公明党さんが修正をされた意味を考えても、各地域事業所がややこしくないようにすることを考えても、都道府県の窓口は、環境部なら環境部、商工部なら商工部でも結構ですが、一本化をした方がより効率的だと考えられます。  つまり、今申し上げたように、自治体と主務大臣関係考えれば全部ばらばら。岡田局長の話を伺うと、自治体にゆだねる。私は、これは環境の保全に資するための法律だと考えて、もしくは将来的には一本化して環境庁通産省に行くと考えれば、環境部や商工部に行った方がより効率的だと考える。これは、はっきり言ってこれぐらい考え方が異なるわけです。  これを都道府県に任せるという話は、ある意味で言うと非常に乱暴な話でございまして、都道府県の事務も含めて大変煩雑になる。これについて、通産省はどのようにお考えでしょうか。
  75. 河野博文

    政府委員河野博文君) 環境庁からも御答弁がございましたように、私どもの考え方も都道府県の御判断にゆだねたいというふうに思っております。私どもの対応は、事業所管省庁も巻き込んで政府全体としてこの問題に取り組むという姿勢をるる御説明しておるわけでございます。  都道府県におきましても、そういった都道府県のさまざまな部局が一致協力してこの制度の運営に当たる、これもあり得る一つ考え方かと思います。ただ、一方において、都道府県におきましてもそれぞれの部局の人員あるいは専門的な知識等々についてばらつきもあろうかと思いますので、そういった点も全部踏まえて都道府県知事の御判断にゆだねるというのが私どもの考え方でございます。
  76. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうするとまたわからなくなるんです。  先ほど、都道府県の正確性は担保したいとおっしゃるわけです。都道府県で集めた情報について、事業者の出したデータについての正確性を担保すると。その正確性を確保するには一体どうやったらいいのかと考えたときに、窓口に関しては各自治体で自由に決めなさいと。ある考え方もあればある考え方もあると。そういう状況の中で、どうやって都道府県の実務者レベルの話で見たときに、事業所から出てくるものに対する正確性を本当に担保するのか。  先ほど、それを主務大臣が指導したいから主務大臣を経由するんだとおっしゃったけれども、実際受け取る窓口に対しては自由にやりなさいと、いろんな考え方がありますと。では、どうやってその正確性を担保するんだということに対してはどのように説明されますか。
  77. 河野博文

    政府委員河野博文君) 都道府県の御判断でどのような部局を窓口にされたにせよ、主務大臣としてその部局と協力をしながら、先ほど申し上げましたように都道府県知事のある種のチェックといいますか検討、そして主務大臣の知見を生かした検討、これらが相互に補完し合いながらこの制度を円滑に運用できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  78. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、都道府県はばらばらで部署を決めた場合には、それぞれ主務大臣はばらばらに対応するということになるわけですね、具体的には。
  79. 河野博文

    政府委員河野博文君) これは都道府県での御判断でありますけれども、それぞれお決めになった担当部局と私どもは全面的に協力してまいりたいと考えております。
  80. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう時間がありません。実はあと五問ぐらいお伺いしたいことがあるんですが、もう私のいただいた時間がないのでそろそろやめにしたいと思いますが、私は冒頭申し上げたように、この法案について否定的に思っているわけではありません。評価をしています。さらには、公明党さんが御苦労されて修正をされたことに関しても、私は実は大変評価をしている人間だと思っています。  しかし、修正をしていただいたからには、逆に冒頭申し上げたように、この法律案をもう少し実効性を高めていきたい。もしこの良識の府と言われる参議院で、さらにこの法案をよりよくするためには、先ほど申し上げた主務大臣を経由することの合理性の問題、それから今の都道府県の窓口をどのような形にするのかを国があなたのところに任せますよみたいな話の中で言われると、もともとの前提の話がなかなか説得性がなくなるような問題、そのほかにもあるんですが、こういった問題をぜひこの参議院の連合審査、また行われるこの法案審議に際して、より実効性のある修正を何とか委員の皆さんの御賛同をいただいてできることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  81. 小川勝也

    ○小川勝也君 福山委員に引き続きまして質問をさせていただきます。  民主党・新緑風会、国土環境委員会に所属しております小川勝也でございます。  通産大臣におかれましては、お疲れのところ御苦労さまでございます。  私は、国土環境委員会に所属しているという観点、あるいは環境という問題に非常に大きな重要性を見出している立場から、少しお聞き苦しい発言の仕方もあるかと思いますけれども、御容赦をいただきたいと思っております。  順次、質問をさせていただきます。  まず最初に、衆議院における修正者にお伺いをしたいと思います。  法案の第二条第四項の修正の意味について、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  82. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 小川委員にお答えをさせていただきます。  第二条四項の趣旨でございますが、政府原案は、どちらかというと科学的知見やあるいは安全性の評価基準といった純技術的な事項を掲げてあるだけであった。そこで、私どもとしてはこれに加えて、本法の目的の中に、化学物質による環境の汚染によって、人の健康に対する被害ですとか、あるいは動植物についての生育等に対する支障、そういうものを未然に防止する、こういう目的をここに入れて、そしてまた国際動向というものをしっかりにらんで、できるだけ未然防止という観点でこの指定をきちっとやるようにという思いを込めて修正させていただきました。
  83. 小川勝也

    ○小川勝也君 続いて大口議員にお伺いしたいと思いますが、この書き方で、いわゆる環境ホルモン的物質が含まれるというふうに読めるんでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  84. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) これにつきまして、私の思いとしては、いずれにしても対象となる化学物質の範囲はなるべく広く広がるようにすべきである、そしてまた重要な物質が落ちないようにすべきである、こういうことで未然防止というものを入れたわけです。  そういう点で、国民の関心が非常に高い環境ホルモンについては、未然防止ということからいっても、早急に科学的知見というものを集積して科学的解明を積極的にやって、そしてできるだけ速やかに環境ホルモンについても研究を進めて、解明をして、そして素早くこれを指定していくという思いを込めて修正したということでございます。
  85. 小川勝也

    ○小川勝也君 環境ホルモンあるいはそれを含む意味合いをこのPRTR法案に盛り込んでいただいたということで、非常に高い評価をさせていただいております。  先ほど福山委員からも評価がありましたように、私ども民主党は、残念ながら衆議院で法案に反対をいたしました。しかしながら、今回のこのPRTR制度というのをほかの政党と同じように、あるいはそれ以上に待ち望み、期待をしていたというのも事実であることをここで表明させていただきたいと思います。  そして、環境ホルモンに対しての関心というのは、私も大口先生と同じ感じを持っておりますし、参議院に提出されております社民党さんの案もまさにそのところに大きなポイントを置いております。  大変御苦労をされた文章だと思いますけれども、もし差し支えなければ、どんな苦労があってこの文章になったのか、裏話などもお聞かせいただきたいと思います。
  86. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 大変お心遣いに感謝を申し上げます。  我が党におきましても、非常に環境ホルモンということにつきましては、民主党さんと比べてどうのこうのではないですけれども、積極的にこれはかかわってきております。そういう点で、本年度の予算においても環境ホルモンについてしっかりとした予算づけも我々は努力をしてまいりました。  そういうことで、党内においても環境ホルモンを対象にすべきだ、こういう意見もありました。丸ごとそこに内分泌攪乱物質、内分泌攪乱作用のあるものというものを明確に書くべきだ、こういう議論もありました。しかしながら、これは科学的解明ということがまず大事だろうということから、むしろ未然防止という形で、こういう形で盛り込むという形に党内の議論が落ちついたわけでございます。  心は先生と同じでございますので、よろしくお願いします。
  87. 小川勝也

    ○小川勝也君 大口先生の党には、本院には福本先生、加藤先生を初め権威が続々とおられるわけでございます。  それで、この修正をされた文章を読みますと、「人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮して定める」、御苦労されたな、こういうふうに思うわけでございます。  清水先生にお伺いをしたいと思います。  この公明党さんの修正の気持ち、この提出された社民党案も、あるいは質問に立っております民主党の仲間も、この環境ホルモンに対しての考え方というのは非常に近いものがあると思います。そんな中で、社会民主党案の方がどちらかというともっと素直にわかりやすいような気がいたしますけれども、その辺の違いについて御説明をいただきたいと思います。
  88. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 修正されたことにつきましては、私どもも評価をしております。  しかし、ここで努力はされましたけれども、修正されたのはあくまで政令を定めるに当たっての配慮事項でありまして、対象となる化学物質の定義そのものは変わっておりません。未然防止の観点ということが加わったことは非常にいいことだと思うんですけれども、対象とする範囲が広がったわけではありませんので、やはりまだ問題があると思います。  依然として政府は、有害性の判明した化学物質のみを対象とするとして、環境ホルモンについてもその作用が科学的に明らかになったら対処をするというふうに答弁されております。  社民党案は、被害の未然防止の観点から、有害性の疑いのある化学物質対象とすることとして、そして環境ホルモン作用があり、またはそのおそれのあるものを明記いたしました。つまり、環境ホルモン作用が疑われる段階から柔軟に対応できる仕組みとしております。  また、法律環境ホルモンを明記すれば、対象物質を定める際に、化学物質環境ホルモン作用について政府はさまざまな意見を踏まえて広く検討しなければならないことになり、説明責任を負うことになります。  ですから、本当に未然防止を図るのであれば、やはり私ども社民党案のように、対象化学物質の定義からしっかりとしたものにすべきであると考えます。
  89. 小川勝也

    ○小川勝也君 化学物質というのは奥が深くて、科学的知見の解明が大変に難しいものであること、時間がかかること、あるいは確定をしていない評価がひとり歩きすることが大変に危険なことであることは重々承知しております。  しかしながら、考えてみますと、このPRTR法案というのは化学物質の届け出をするわけでありまして、いわゆる劇薬、毒物だけを指定するわけでもありません。あるいは、例えば農薬などで言いますと最も危険なものは製造中止になってしまうわけでありますので、科学的な知見を最終段階まで待っていてそこに盛り込むという考え方も適当でないような気がいたします。どちらかといえば、社会民主党案に盛り込まれているように、多くの国民が関心を持つ環境ホルモン的物質に関して、一つでも多くの物質がこのPRTRの中に含まれるように望む一人でございます。  質問を変えたいと思いますが、国際的な流れの中でPRTR法案を我が国でもという真鍋長官のお話もございました。いろいろ調べてみますと、諸外国ではおおむね環境を所管する官庁が担当している、このように聞いております。通産省は同じ情報を把握しておられますでしょうか。
  90. 河野博文

    政府委員河野博文君) 諸外国のPRTR制度仕組み、これは国により区々ではございます。また、政府の組織の名称、役割分担もさまざまではございますが、私どもが承知していることを申し上げます。  PRTR制度実施されております米国、カナダ、英国、オランダについて見ますと、その担当しております組織はそれぞれ環境保護庁、環境省、環境・運輸・地域省、住宅・国土環境省であると承知しております。
  91. 小川勝也

    ○小川勝也君 我が国にも、今度省になる環境庁という立派な役所があるわけでございますけれども、なぜ我が国だけが環境庁と通商産業省の共管なのでしょうか。素直な素朴な疑問なんですけれども、お答えいただける方がいらっしゃったらお願いしたいと思います。
  92. 河野博文

    政府委員河野博文君) 化学物質管理、これを事業者生産活動にビルトインするということを通じまして化学物質管理改善促進するということが環境保全上の支障の未然防止に効果的であろうというふうに考えております。  こうした考え方に基づきまして、この法案では、事業者による化学物質の自主的な管理改善促進することが環境保全上の支障の未然防止につながるという認識に立ちまして、環境保全行政を所掌する環境庁長官、それから化学物質管理を所掌する通産大臣、さらに加えて各産業を所管する大臣が一体となってPRTR制度に取り組むという体制を御提案申し上げているわけでございます。
  93. 小川勝也

    ○小川勝也君 環境庁の応援団を自認している私でありますけれども、いろんな場面で通産省と利害が対立したときに環境庁が押し込められていた、こんな認識をすることもございました。今度に限っては共管ということで、通産省という大きな力が環境庁のバックについて今度はいい法律になるかな、そんな期待もございました。しっかりとサポートしていただいて、環境庁の本来の役割を果たせるようなPRTRの両所管官庁になっていただければありがたいと思います。  共管という、これはいろんな場面にも例があると思いますけれども、今回のPRTRを所管する環境、通産の両省庁はどんな体制で事務局を構成するおつもりなのか、青写真がございましたらお知らせいただきたいと思います。
  94. 河野博文

    政府委員河野博文君) 特に共同の事務局を設けるといったようなことを今決めているわけではございませんけれども、制度の運用を一体としてやっていこうということでございまして、これまでも法案の作成過程で一体の作業部隊で作業をしてまいりましたので、今後もそういった協力関係を続けていきたいというふうに思っております。
  95. 小川勝也

    ○小川勝也君 御案内のとおり、環境庁にもすばらしい人材がたくさんおられますけれども、人数とか予算とかいろいろビハインドがあるような気がいたします。  環境庁通産省に丸め込まれるようにならないでしっかりとPRTRの所管ができるんでしょうか、環境庁長官の決意をお伺いしたいと思います。
  96. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) PRTR法案の作成に当たりまして、環境庁通産省との両省間で数十時間にわたっての議論をいたしてきたところであります。まさにパートナーとしての仕事に着手できたと思っておるわけでありまして、こういう関係を密にして両省間の対立なき、間断なき対応をしていかなければならないと私は考えて、またそのように実行してまいったところであります。ようやくにしてこの法案がこの委員会で審議され、最終段階を迎えたわけでありますけれども、ぜひ私は、これからの日本環境、通産にまたがる法案としていい法案にしていきたい、またそれを運用していきたい、こう思っておるわけであります。  決して通産省に丸め込まれたとかなんとかいうようなことはございませんで、両省間の話し合いの中にでき上がったものである。ただ、前提といたしまして、化学品審議会であるとか中央環境審議会であるとかいう審議会の答申も得ながらでございましたので、その点は難しい点もありましたけれども、決して後ずさりをしたわけではなくて果敢に取り組まさせていただいたわけでありまして、そんな点の御理解をいただきながら、この法案の成立の一日も早からんことをお願いいたす次第であります。
  97. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど来期待感を申し上げましたとおり、環境庁環境省になり、諸外国で見られるように環境省だけでPRTR法案を所管できるようになったり、あるいはもともと環境庁というのは調整官庁でございますので、いろいろな分野に幅広く関係してくるというのは当たり前のことであります。  今回のことも、通産省の手をかりながら、その届け出先が都道府県を経由して、業所管官庁を経由してまた来る。これは先ほどの福山委員とのやりとりを聞いていてもなかなか納得できないわけであります。これは常々考えていることでありますけれども、日本のいわゆる霞が関と呼ばれているお役所のおきて、ほかの省庁の縄張りには立ち入らないということが非常に大きく影響しているのではないかというふうに思うわけであります。  時あたかも、中央省庁の再編法案が今参議院で審議されております。先ほどフリップを見ながら説明を聞いていますと、例えば何々業界何々会という産業界がすべて都道府県から縦割りになり、中央省庁まで縦割りになっていく、そんなPRTR法案になるのじゃないか、そんな思いをいたしております。  中央省庁再編も行われますし、環境庁環境省になるし、環境のウエートというのも大きくなっていっているというのは私だけが考えることじゃない。そんなことから考えても、もっと未来型の青写真がPRTR法案に描けなかったのか、そんな悔いが残るところでございます。真鍋長官と与謝野通産大臣が共管するというPRTR法案でさえ、なぜ都道府県から我々の共管の事務局に届け出をさせるよとほかの省庁に言えなかったのか、そんな思いをしているところでございます。  これは、例えば法律を提出するいきさつは詳しくはわかりませんけれども、環境、通産の両省庁が所管となって法案をつくる際に、各省庁のさまざまな担当者といろんな意見交換をするんだと思います。そんな中で、今回は二十一世紀型のこの法案は我々のところに直接届け出をさせるよとなぜ言えなかったのか、そんな考えを持っております。どなたかお答えをいただける方がいらっしゃいましたら。
  98. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 日本国政府というのは各省庁に分かれておりますけれども、国民のために行政を行うという点については実は一応しているわけでございまして、ある役所がある役所と権限争議ばかりしているというイメージは、そうは我々思っていないわけでございます。  それで、いよいよ二十一世紀が近づいてまいりましたけれども、国会で扱う問題もそうでございますし、また役所が扱う問題もそうですが、今までの省庁の国境線の中だけでは解決できない、幾つかの役所がまとまってその衝に当たらなければならないという問題が実はたくさん出てきております。  例えば、小渕さんが言っておられますバーチャルエージェンシーというのは、一つの問題に対して一々組織改革ができないから、組織図の再編成ができないから、こういう問題については頭の中で新しい役所をつくって各省協力してやろう、そういう考えすら出てきているわけでございまして、PRTRもどういう断面から切っていくのか。環境の問題から切っていくのか、化学という産業の持つ安全性とか、そういう問題から切っていくのかということで切り口によっていろんな考え方が出てきたわけでございます。  しかし、そういう切り口の話ばかり議論していては国民のためのPRTR制度が進まないわけですから、それぞれ環境庁の立場、通産省の立場をお互いに尊重しながら、またともに責任を持ちながらこういう制度導入しようということが今回の立法過程の両省の考え方であったと私は思っておりまして、その中ではいたずらに省庁のエゴをむき出しにして交渉したという事実は全く聞いておりませんし、そのようなものはなかったと私は思っております。
  99. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは所管する側ですので、エゴをむき出しにしたというよりも他省庁に配慮したのではないかと、そんな方向性の考え方でございます。  また、改めて大口先生にお伺いしたいと思いますが、都道府県を経由させていただいたという意味は非常に幾つもの大きな意味合いを持っていると思うのであります。例えば、先ほど来繰り返しておりますけれども、環境意識というものが大変高くなっている。身近なところでこんなことが行われているのかということを行政の中で行われること、この意義も大変に大きいと思います。  そんな中で、先ほどフリップがあったんですけれども、大口先生は見ておられないと思うんですが、都道府県を経由した場合の都道府県の担当部署はどこに届けることを想定して修正案をつくられたのか、お伺いしたいと思います。
  100. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 今、委員指摘の担当部局をどこにするか、非常に重要なことだと思います。ただ、これは一つは、都道府県が事務分担についてどこに担当させるか、都道府県で決めていただくということが地方分権ということからいっても大事なことだと私は思います。そういうことですから、私どもでこうあるべきだと、そこまではちょっと言いづらいんです。  ただ、担当部局には事業所管部局というところ。これは、事業所の所在だとかあるいは事業の実態をよくわかっているところが事業所管部局。それともう一つは、化学物質排出状況だとか地域環境に関することは環境部局というところがそれぞれ専門的な知見を持っているわけです。ですから、縦割りの弊害にならないようにという御心配はよくわかりますので、そこら辺の弊害を乗り越える連携は密にしていかなきゃいけない、こう思います。  その上で、今回、都道府県を経由したということは、やはり中小企業の便宜ですとか履行の確保について都道府県が主体的に参加してもらって、PRTR制度の中で都道府県にしっかり仕事をしていただく。そういうことによって事業者側の、届け出側の便宜を図るとともに、またきちっと正確に届け出がなされるように、そのためにはいろいろな専門知識が要りますから、そういう趣旨を最大限生かされるような形で都道府県においてしっかり私は考えていただきたい。その場合に、縦割りの弊害を乗り越えて、専門知識をそれぞれの部局が持っているわけですから、それを協力して発揮していただきたいということを私は考えております。
  101. 小川勝也

    ○小川勝也君 昨日の基礎産業局長の御答弁も、都道府県のどこの部署が所管するのかということまでは口を出せないと、そうだと思います。今回の修正案でも、都道府県のイニシアチブを縛るものではないことは重々承知しております。  これは私個人の考え方ですけれども、先ほど来申し上げている脈絡から、都道府県の環境部局がもっと充実してほしい、あるいはさまざまな仕事をこなすことによって強力になってほしい、こんな気持ちを持っております。  そのときに、先ほどのフリップなんですけれども、(図表掲示)この主務大臣を経由するということが都道府県の担当部局をばらばらにする要因になっているということですね。もしここが、例えば環境庁通産省の共管の事務局ということであれば、おおむね都道府県の環境課、商工課、どちららかの部局に統一されてくる。これが、いわゆるところの口幅ったい言い方をすると、立法府の責任じゃないかと思うわけであります。ここまでしっかりとつくっておいて、環境庁通産省が事務局をします、あとは都道府県で決めてくださいと、そこまでやって衆議院の大口先生を初め御苦労いただいたすばらしい修正に画竜点睛を加えることができる、こんなふうに思うわけであります。  御感想で結構ですが、いかがでしょうか。
  102. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 先生の御指摘は、非常に説得力のある御指摘であると思います。  ただ、今回、化学物質排出量あるいは移動量というものをきちっと事業所も把握して、そして工業プロセスだとかあるいは化学物質の取り扱いだとか、またこういうことを改善していくという事業所の主体的な取り組みのきっかけにもしなきゃいけない。そういうときに、都道府県は主務官庁と連携をとりながら事業所に対して適切なアドバイスをしていく、こういう部分の必要性もあるんです。  ですから、そういう役割をどういう形でやっていくか、いろいろ御議論があるんですが、私は今回の政府案においては、そういうことも見据えて、主務官庁と都道府県が連携をとって、そして事業所に対して事業プロセス、工業プロセス、それから化学物質の取り扱いということのアドバイス体制をきちっとしていくという意味もあるんじゃないか、こう思っております。  ただ、これにつきましては附則の三条を見直して、十年を七年に短縮させていただきました。こういうことを積み重ねていく中で大いに議論すべきではないか、こう思っております。
  103. 小川勝也

    ○小川勝也君 時間がなくなってきたので、先ほど情報開示のところで、大臣から例えば二万件の膨大なデータを開示するのは大変だ、こんな御答弁がございました。社民党さんは、独自案にインターネットという考え方を入れています。本当にうまくいくのか。  例えば、諸外国などでは先ほど通産大臣が述べられたような懸念をどう解決しておられるのか、事例をお示しいただけたらと思います。
  104. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 個別事業所データをインターネットで無料公開している典型的な例であり、最も進んでいるのがアメリカでございます。国民は、環境保護庁のコンピューターデータシステムを通じて終日データにアクセスができます。また、EDFというNGOが、このデータを活用してアメリカのすべての地点の環境リスクマップを作成して、インターネットを通じて無料で配信しております。  PRTR情報は、いろいろな人がいろいろな視点で利用し加工することで初めて意味を持つものだと思います。そうすることで、社会全体としてリスク評価やリスクコミュニケーションが進み、そして被害の未然防止に大きく役立つものと受けとめております。  このEDFの例は、インターネットでの無料公開のメリットをはっきりと示していると思います。逆に、無料公開によって大きなトラブルは生じておりません。むしろ、行政企業、市民の間で理解と信頼が深まり、対話と合意が形成されていると伺っております。
  105. 小川勝也

    ○小川勝也君 時間がなくなったんですけれども、実はいい法律なので私たちは賛成したいんです。衆議院で独自案を出して否決されてというかたなざらしになって反対してきましたので、どこか直らないと私どもは賛成できないんです。  主務官庁のところが直接行くか、あるいは最後の情報公開のところを、開示を無料でやってもらえるか、環境ホルモンをもっと色濃く出すかとか、もう多くは望みませんので、皆さんの御議論をよろしくお願い申し上げ、最後に、長官どうですか、この考え方、問題点、浮き彫りになったと思いますけれども、簡潔に御答弁をいただいて、質問を終わります。
  106. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 政府案はベストなものだと思って出しておるわけでありますが、この問題につきましては、修正問題等は各党間でお話し合いをしていただいて、それで対応させていただきたいと思います。
  107. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございます。(拍手)
  108. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時三分開会    〔国土環境委員長松谷蒼一郎委員長席に着く〕
  109. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会経済産業委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、まず最初に通産省にお尋ねしたいんですけれども、非常に基本的な質問でございます。PRTR対象物質についての質問でありますけれども、放射性物質対象とすべきだという意見もございますが、今回は対象になっていないように私は聞いております。この辺についてはどのように御見解をお持ちでしょうか。
  111. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のとおり、この法案第二条におきまして、化学物質とは放射性物質を除く元素及び化合物と定義しておりまして、PRTR制度対象物質に放射性物質は含まれていないのでございます。  放射性物質につきましては、原子力基本法を初めとする関係各法におきまして、原子力発電関連事業者等放射性物質を取り扱う事業者は、環境への排出について漏えいなきよう厳重な管理をすることとされていることから対象外としたものでございます。  環境基本法におきましても、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染の防止のための措置につきましては、原子力基本法その他の関係法律の定めるところとされております。
  112. 加藤修一

    ○加藤修一君 放射性物質については、原子力発電所あるいは再処理工場の関係を含めて、規制されている基準値の値以下についてはごく微量でありますけれども排出されているというふうに聞いているわけであります。  この点に関連いたしまして、諸外国でもさまざまな形で報告書が出されたり議論がなされているというふうに聞いておりまして、例えば原発周辺で白血病がどうのこうのとかそういったことが報告されているわけであります。この辺について別の委員会で私も少し質問させていただいた経緯がございますので、それについて多少踏み込んだ形で質問させていただきたいと思います。  例えば、原子力施設周辺におきますさまざまな症状に係る話として、住民における悪性腫瘍による死亡率、こういった面についての調査、日本では岩崎論文が有名でありますけれども、この論文の中で、原子力発電所施設とがん死亡率との間に有意な関連を示唆する証拠は見出せなかったという結論が出ているわけです。しかし、この論文についてはドイツで相当な反論がありまして、その反論に対して再反論をしていないということがございました。  これについては科技庁長官が、そういった点についてはぜひとも反論をすべきである、反論をしなければいけない、そうでなければそれを認めてしまうことになるということがありました。これについては、その論文にさらにデータを加えた形で、なかなか分析が大変であるけれどもきちっと分析していくというような努力をすべきである、そういうふうに大臣からも答弁をいただいているわけであります。  さらに、その岩崎論文について、どういう経緯でそういうふうになっているかということについても調べる、あるいはこれについて論文をさらにリバイズした形で後継者が正しく答えることができるように所長に対して伝えておく。そういうふうに答弁をいただいているわけですけれども、この辺について科技庁さんの方から御答弁をいただきたいと思います。
  113. 今村努

    説明員(今村努君) お答え申し上げます。  ただいま御質問を賜りました件は前々回の経済産業委員会での御質疑内容だと思いますが、前回の御質疑内容につきまして、科学技術庁から放射線医学総合研究所に対しましてその内容を御連絡いたしました。  その上で、まず、岩崎先生の論文とこれを批判したドイツの研究者の反論につきまして、きちっと対応するようにという指示をいたしたところでございます。  なお、岩崎先生御自身は既に放射線医学総合研究所を御退官になっておるわけでございますけれども、念のためこの趣旨を放医研に伝えたところでございます。  放医研におきましては、学術的観点から、今後、一九八八年以降のデータも含めましてより信頼性の高い分析を行うべく調査を継続することとするということでございます。  さらに、その分析に当たりましては、今回御指摘になりましたようなホフマン先生からの御批判にも対応できるように、外部有識者による委員会などを設置いたしまして、その他国際的にも認められた方法によって解析を行うということでございます。岩崎先生の研究自身は既に完結しておりますが、それを受けた形で放射線医学総合研究所におきまして、こうした疫学調査を継続して行う、さらにその内容を拡充するということを今対応しつつあるところでございます。  また、岩崎先生御自身につきましても、このホフマン先生に対する研究者としてのコメントを現在準備しておられると聞いております。その内容については、岩崎先生御自身の御見解としては、みずからの研究手法の正しさというものに自信を持っていること、ホフマン先生考え方、特にその結論部分についての解釈は極めて性急なものではないかという御見解を持っておられるようでございまして、その趣旨の内容をレターとして送る御意向であるというふうに承っております。
  114. 加藤修一

    ○加藤修一君 原子力発電施設等関連の施設も含めてそうですけれども、安全性の問題というのは私も非常に関心を持っておりまして、やはりそういった面に関しての症状があるとかないとかという、それについて危惧の念を持つわけでありますし、それから、因果関係がない場合も当然今後の研究によってはあり得る話であります。ですから、情報が先行する、情報が乱れて飛んでしまうということも含めて、その辺については整理をしなければいけない。そういった観点から、やはり疫学的調査をきちっとして対応を図ることが望ましいと思うわけであります。  それで、青森県では小児がん等に関して、六ケ所村の再処理工場が操業する以前からのデータを取り上げて、全体でそういった面における疫学的な調査を行っていくというふうに言われているわけです。この中身でありますけれども、発症あるいは発生数と言っていいんでしょうか、単に死亡率だけじゃなくして、そういった面を含めて私は調査すべきだと考えているわけです。もちろんこれについてはバックグラウンドデータということも十分フォローしていく、そういった意味でのデータを整備して疫学的なアプローチによって調査研究を進めていく、そういうことが当然理想的なあり方だと思いますけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  115. 今村努

    説明員(今村努君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました青森県に関連する調査でございますが、御承知のとおり、青森県六ケ所村におきます再処理工場は二〇〇五年の操業というふうに予定されております。それに先立ちまして、できるだけ県民の健康不安の解消を図るために、あらかじめしかるべきデータをとっておいて問題がないことを明らかにするということは極めて重要ではないかという点がございまして、この点につきましては青森県の強い御要望によりまして、国といたしまして資金面の支援をし、内容的にもバックアップしていくということで、本年度より調査予算を国として計上いたしまして、この調査を開始することといたしております。  この調査の概要につきましては、小児がん等のデータを継続的に収集蓄積いたしますとともに、既存のデータも合わせまして青森県内に調査委員会を設けまして、評価検討した上でその結果を公表するということでございます。  したがいまして、現時点におきましては、どのような調査の計画を設計するかということも今後の課題でございますけれども、来年一月からのその調査開始に向けまして、この調査委員会の構成あるいは事業の、要するに調査計画の具体的な進め方につきまして目下調整を行っているところでございます。  調査委員会そのものの構成はまだ検討中でございまして、確定はしておりませんけれども、八月からこの調査委員会を立ち上げることができるように、今鋭意詰めているところでございます。  現在のところ、弘前大学の医学部の先生あるいは青森県の医師会の方々の御協力も得まして、県内外の疫学等の学識経験者によって構成する予定でございまして、ただいま御指摘のような点につきましても、当然それを念頭に入れて調査計画が立てられるものというふうに理解いたしております。
  116. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、特定しまして青森県という話を申し上げましたけれども、原発施設が集中的に、その地域にとっては極めて密度が高い、多数立地している、そういうところについて、既に立地しているわけですからバックグラウンドデータをとるというのは極めて難しい部分もあるわけですけれども、そういうところについても人口動態統計、さらに発生数を含めて、やはり疫学的なアプローチに基づいて調査研究をすべきだと私は思っているわけですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
  117. 今村努

    説明員(今村努君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたように、これは学術研究の一環といたしまして放射線医学総合研究所におきまして岩崎先生の調査を受けた形でその内容を拡充し、原子力施設周辺における影響の把握のための疫学調査を実施するというふうにいたしております。  一般的に申し上げますと、原子力施設周辺におきましては、もちろん厳密な放出管理あるいは環境監視ということで、安全は確保されているというふうに理解いたしておりますけれども、こうした学術研究の成果も踏まえまして、きちっとした形で国民に御安心をいただけるような安全対策を講じていくという考え方でございます。
  118. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、先ほど人口動態統計という話を申し上げましたけれども、これはそもそもが厚生省の統計でございますし、それから発症数ということになってくればこれは病院が関係してくる話でありますから、科技庁さんが主体的にやっていくのは当然でございますが、私は今まで法案説明を受けたときにほかの省庁との連携に基づいてやるということもたびたび聞かされております。この問題についても、科技庁さん、そして厚生省さんということで、そういった病院の関係、それから人口動態統計の関係を含めて厚生省に協力を要請すべきだと、そのように思いますけれども、この辺についてはどうお考えですか。
  119. 今村努

    説明員(今村努君) お答え申し上げます。  この問題につきましては、今ほど御答弁申し上げましたように、学術研究として今後も疫学調査の解析の精度を上げるといったような課題もあるわけでございますが、あくまで研究現場の横の連絡ということがあろうかと思っております。  現在、放医研で岩崎先生の研究を受けて、さらに疫学調査を拡充いたしますけれども、その際には放医研の中あるいは科学技術庁の中に限らず、関係の疫学の先生方の御協力も得られる、現に意見もいただきつつあるというふうに考えておりまして、研究現場における横断的な連携によって対応していくことができるものというふうに認識いたしております。
  120. 加藤修一

    ○加藤修一君 青森県の話、そして今議論していた対象としての密度が高い立地の県についての疫学調査を含めて、ほかの委員会では、放射線医学総合研究所、そういったところが検証、解析をしていく、そういうふうにやることがその研究所の責務であるというふうに答弁してございますけれども、これはそのまま理解していいですね。
  121. 今村努

    説明員(今村努君) 科学技術庁が所管いたしております放射線医学総合研究所の極めて重要な任務の一つというふうに認識いたしております。
  122. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたします。  それでは、本法案の修正部分について質問をしたいと思います。  特に第七条の第五項、これについてこの修正の趣旨、午前中もこの辺については議論になったところでありますけれども、営業秘密上の件に関しての中身になっているわけですが、そもそも第七条第五項の修正の趣旨、それ自体はどういうふうにお考えでしょうか。
  123. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) この趣旨でございますけれども、営業の秘密についてはこれは全国統一的なルールで判断すべきもの、こう思うわけであります。  そういうこともあって、営業の秘密に係る部分については事業者から直接主務大臣の方に届け出をする、そしてまた通知について分類名でその通知がなされるよう変更請求をする、これについて六条の三項で都道府県知事にその分類名で通知が行く、こうなっておるわけでございます。都道府県知事としては、みずからの都道府県の中において化学物質をしっかり管理する、そしてまた環境保全考えるという点において責任がある立場でございますので、都道府県知事がそういう点で我が地域のそういう環境保全のためにこの営業秘密に係る部分についても関心を持たなければいけません。七条の四項には環境庁長官説明を求める権利がございます。そういうことで七条五項に、都道府県知事においてもこの説明を求める権利、これを認めるようにした、こういうことでございます。
  124. 加藤修一

    ○加藤修一君 営業秘密に係る届け出について説明を求めることができるようにしたということでありますけれども、これは主務大臣の方の立場になった場合、そういった都道府県知事からの要求というのを拒否することは果たしてできるのかどうなのか、それはいかなる場合かということについて御見解を示していただきたいと思います。
  125. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) まず、七条の五項の法文を読みますと、「求めることができる。」、こうなっておりますので、理論的には主務大臣が拒否することもあり得る、こう思います。  しかしながら、都道府県知事がみずからその都道府県の化学物質管理、そしてまた環境保全に対して責任ある立場でございまして、そのために七条の五項というのを設けたわけでございますから、基本的にはこの請求権ということに対応して主務大臣は十分尊重していただかなきゃいけないと思います。  そういう点で、私は、一見して極めて明白に権利の乱用があると判断できるような場合などについては例外的に拒否できるものとする、こういうふうに解釈しております。
  126. 加藤修一

    ○加藤修一君 それに関連してですけれども、都道府県の方で、ある広域の汚染があったとして、北海道にあったと。似たようなことがそのほかの地域について起こっていることはないだろうか、営業秘密に関連しての話ですけれども。  都道府県の区域を越えるような広域の汚染が懸念される場合、ほかの都府県における届け出事項に係る営業秘密が必要である、どうしてもそれは環境対策上その当該地域にとっては必要であるということがあるわけでありますけれども、そういった場合についてはどのように考えておりますか。
  127. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 七条の五項の修正をするときに、やはりこういう修正にはいろんな経過があったわけでありますけれども、都道府県知事がみずからの都道府県について責任があるからということで七条の五項というものを認めたわけであります。そして、そういう点で、広域汚染ということになってまいりまして、その都道府県でない地域においては、七条の五項から、その都道府県以外の地域の事項についての説明を求める権利というのはないということになります。  ただ、七条の四項に環境庁長官が主務大臣に対して営業秘密について説明を求める権利があるわけで、環境庁としましては全国的なレベルで環境汚染について環境保全考える、そういう庁でございますので、その環境庁が七条の四項によって説明を求めていただけるものと思いますし、また都道府県知事におきましても、広域汚染がその当該都道府県に影響がある、こういう場合は、環境庁長官に対して七条四項の説明請求権というものを発動するよう職権発動を促すということで要請はできると思います。  これに対して環境庁長官は、その都道府県知事の要請にこたえて、七条四項に基づいて主務大臣に対して説明を求めていただけることが期待できるのではないか、こう考えております。
  128. 加藤修一

    ○加藤修一君 わかりました。もう私の質問はございませんので、退席されてよろしいです。  それでは次に、また対象物質関係でありますけれども、通産省にお聞きしたいわけです。非意図的物質であるダイオキシン類、これが新たに定義が変わるというふうに聞いております。ダイオキシン類も当然その対象となるというふうに私は考えているわけですけれども、これについてはどうでしょうか。
  129. 河野博文

    政府委員河野博文君) この法案におきましては、非意図的な生成物も対象物質たり得るということになっておりまして、具体的な対象物質審議会の御意見をちょうだいした上で政令で定めるということになっているわけでございます。  御指摘のダイオキシン類につきましても、正式には今後こういった手続を踏みながら検討していくことになるわけでございますけれども、一般的に申し上げれば、その有害性に関します科学的知見の状況から考えまして、対象物質に選定される条件に該当しているというふうに考えております。
  130. 加藤修一

    ○加藤修一君 厚生省にお伺いしたいんですけれども、先日、「ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について」という報告書が出ました。中央環境審議会、生活環境審議会、食品衛生調査会の三者から報告されたわけですけれども、この概要版の中に、四として「ヒトに対する影響」という項目がありまして、「通常レベルの暴露」、実際の値でありますけれども、これは二・六ピコグラムTEQ・パー・キログラム・一日当たりという数字が出されております。この二・六という値を出す経緯ですけれども、定量下限値以下の値についてはどういうふうに処理をされておりますか。NDの処理の仕方です。
  131. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 本問題につきましては、先生、参議院の予算委員会におきましても御質問がございました。  今回のこの二・六あるいは食品からの二・四一につきましては、NDにつきましてはゼロとして扱っているところでございますが、先生の御指摘もございましたので、現在、これの扱いにつきまして、どのように扱うべきかにつきましては検討中でございまして、できるだけ早く結論を得たいと考えているところでございます。
  132. 加藤修一

    ○加藤修一君 「概要」の「ヒトに対する影響」のところで「通常レベルの暴露」ということで、欧米諸国が二から六ピコ、日本は二・六ということで表示してございます。これはそれぞれNDの処理の仕方が違うわけでありますけれども、国民の皆さんに向かってこういう発表をされているわけですから、ただし書きぐらいはするべきだと私は思うんですが、なぜそういうただし書きもつけないでやっているわけでしょうか。これ、はかり方は当然違うわけですね、欧米の二から六ピコということと二・六ということのはかり方は当然違う。NDの処理の仕方が違う。どうでしょうか。
  133. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 四月に私ども、担当係官を欧米の主要諸国に派遣いたしました際に、御指摘の点につきましても情報収集をいたしました。オランダではゼロと扱い、イギリスでは一、ドイツでは二分の一というふうに扱っているというふうに聞いておりますが、これらにつきましては、正確な情報をさらにきちっと収集いたしまして公表していく必要があるというふうに考えております。  つきましては、本年九月にイタリアで国際的なダイオキシンの研究者の会議が予定されておりますので、我が国からも専門家が行きますし、係官を派遣いたしまして、その間の詳細な事情につきまして事情聴取をいたしまして整理をいたしたいと考えております。
  134. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が予算委員会で質問してもう四カ月過ぎるわけであります。そもそも四Pを定めるプロセスについてもお聞きしたいわけですけれども、この点については審議会の中でいかなる議論がなされたんですか。どういう経緯をもとにして四ピコになったんですか。
  135. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 昨年五月のWHOの発表以来、WHOの専門家会合が検討いたしました各種文献、それからそれ以降に公表されました各種データというふうなものをもとにいたしまして、さまざまな視点から議論がされたわけでございます。  そこで、これらの結論につきましては、「TDIの決定」というところで「各種試験の結果を総合的に判断し、概ね八十六ナノグラム・パー・キログラム前後をTDIの算定根拠とする体内負荷量とする。」ということでございまして、WHOの指摘も引用しつつ、「以上から、当面の間のダイオキシンのTDIは、八十六ナノグラム・パー・キログラムの体内負荷量から、ヒトの一日摂取量を求め、不確実係数の一〇を適用し、四ピコグラムTEQ・パー・キログラム・パー・デーとすることが適当。」という結論が得られたところでございます。
  136. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、余り整理されない受け取り方をせざるを得ないのです。  きょうの新聞でありますけれども、この辺に関して、「環境庁は「純粋に科学的立場で議論してもらった」というものの、作業班のある委員は「四ピコグラムを基本にしなければならないような雰囲気があった。研究者に行政的な判断までさせるのはおかしい」」と、記事ではそういうふうになっていますが、実際にこういったことがあったとは到底答弁されないと思います。どうもよくわからないのですけれども、もう少し丁寧な答弁はございませんか、四ピコに決まるまでの経緯について。
  137. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 検討に当たりまして行政サイドがそういった介入をするといったような態度で臨んだというふうに私は聞いてございません。  それから、議論は確かにいろんな視点から御議論がございましたが、最終的に今私が申し上げましたような報告をするということにつきましては全委員異論がなかったというふうに承知をしております。
  138. 加藤修一

    ○加藤修一君 二・六の方に話を戻しますけれども、要するに、ダイオキシン類の排出される量とそれを測定する場合の方法、とりわけ先ほど申し上げましたようにNDの処理の仕方でありますが、今回その二・六という値が出てくる経緯の中で、それぞれ厚生省の方式とかWHOの方式、あるいはEPAの方式という三方式で試算ぐらいはしているわけですね、どうですか。
  139. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 御指摘のWHO方式という方式があるということは私ども聞いておりません。  ただ、これは先ほど私御答弁申し上げましたように、我々も情報収集を各国政府からいたしておりますが、九月に大々的な国際的な会合もございますので、そこできっちりとした情報を収集し、整理をし、できるだけ早急にこの問題について、食品衛生調査会等の御意見も聞いて結論を出したいというふうに考えているところでございます。
  140. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、質問の趣旨に沿った形で答弁いただきたいと思うのです。  いわゆる私が言っているところの三方式、厚生省方式については測定していると思いますけれども、残りの二つの方式について、参考値というか、今後の検討を踏まえた形で当然やっておくべきことだと思うのですが、私はその辺については別の機会に要求しているわけですけれども、やっていないという理解なんでしょうか、どういうふうに理解したらよろしいですか。
  141. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 今回の二・四一につきましては、従来どおりNDをゼロとして扱ったわけでございますが、ちなみに平成九年度のトータルダイエットスタディーのNDの値のとり方による差を試算してみますと、NDをゼロとした場合はダイオキシンとコプラナPCBを合わせまして二・四一プラス・マイナス〇・六三、二分の一といたしました場合には三・〇三プラス・マイナス〇・六五、一といたしました場合には三・六四プラス・マイナス〇・六九という値になります。
  142. 加藤修一

    ○加藤修一君 今そういうふうな答弁をいただきましたけれども、これは今回の「概要」の中にも「最も感受性が高い胎児期の暴露の影響を指標とした」という文言もございます。予防原則的な点から考えて、より影響の大きいと思われる数値の方に寄った形で考えることも一つの見識じゃないかなと思いますけれども、この辺についてはどうお考えでしょうか。世界大会というか、それまで待つという話になりますか。
  143. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 今回の報告は、先ほど御説明申し上げましたように、胎児への影響あるいは生殖機能の変化等々、さまざまな報告、権威あるレポートすべてを全部原典に当たってチェックをしていただきました上で得られました結論でございますので、私どもとしては妥当なものと考えておりますけれども、御指摘のようにダイオキシンに関しましては現在もさまざまな研究が進行中でございます。WHOにおいても五年後には見直すということとされているところでありますが、私どもといたしましては、こういった研究成果を踏まえながら、必要があれば見直しをしていくということは言うまでもございません。
  144. 加藤修一

    ○加藤修一君 きょう、お手元に資料を、A3サイズで一枚だけ配付してございます。最終的に二・六〇になる、トータルダイエットの関係では二・四一になるという数字はどこから出てくるかということをちょっと考えてみますと、左のA、これは北海道のものを抜き出したわけですけれども、七つのジオキシンの異性体の関係、十のフラン類の関係、それからコプラナPCB異性体について三種類、それをそれぞれND処理はゼロと考えて、最終的に北海道の米については例えば〇・五九ということに数値が出てきているわけです。  Bのところに行きまして、北海道は〇・五九、そのほかの九地域も全部出てくると、合わせて平均が一・一七五、四捨五入して一・一八。それがCの方に参りますと、一・一八ということでダイオキシンの摂取量が決まってくるという理解をしているわけなんです。その前のCの表がございますけれども、A掛けるBで一・一八になって出てくるというところが私はちょっと理解できない計算過程だなと思っているんです。説明をお願いいたします。
  145. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 各食品群ごとのダイオキシン摂取量の詳しい求め方についてでございますが、Cの図の中ほどのダイオキシン摂取量、例えば先生指摘の米で申しますと、一・一八ピコグラムの数値の求め方についてでございますが、Aの表は北海道地区での検査データでございます。ダイオキシンの二十種類の異性体ごとに検査の測定値と各異性体ごとの毒性の強さを示します毒性等価係数を掛け合わせまして求めた毒性等量の値が掲載をされているわけでございます。  米について見ますと、ほとんどダイオキシンは検出されておりませんので、大部分の異性体でNDと記載されておりますが、これは言うまでもなく検出限界値以下でございます。先ほど申し上げましたように、合計する際にはゼロとして扱っているわけであります。わずかに検出されましたものを合計いたしまして、米一グラム当たり〇・〇〇一ピコグラムのダイオキシンが含まれているということでございますので、一日当たりの米の摂取量は四百四十四・一グラムでございますから、これを掛け合わせまして、〇・五九ピコグラムというのを求めているわけでございます。  その上で、Bの表でございますけれども、本調査は全国十地区で行っておりますので、それぞれの値を平均しまして、米から一・一八ピコグラムを摂取しているという計算をしているところでございます。
  146. 加藤修一

    ○加藤修一君 私、先ほどそういう説明をして、一・一八という値が出てきているんだというふうに言っているわけです。CのところのA掛けるBというのは、Aに当たるのが一日当たり食品摂取量ですね、これは国民栄養調査から持ってきた値だと、それに食品中のダイオキシンの濃度というのを掛けて一・一八を出しているというような表現、説明になっているわけです。これは非常にわかりづらい。細かい質問かもしれませんが、私は先ほどから言っておりますように非常に重要な数値だと思っておりますので、あえて細かいところについても質問している次第です。
  147. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) Cの表の読み方でございますが、一日当たり食品摂取量というのは、先生御承知のように国民栄養調査から出てまいります。それから、ダイオキシンの摂取量、Cにつきましては実測値で出てまいります。AとC、A掛けるBがCになりますので、CをAで割り戻しますとB欄が出るということで表に提示をしているところでございます。
  148. 加藤修一

    ○加藤修一君 わかりました。要するに、食品中のダイオキシン濃度というのは、実態調査に基づいてやったわけじゃなくて、割り返してやったという話ですね。ということは、A掛けるBをもとにして一・一八が出てきたんじゃないということですね。説明が違いますね、ここの説明というのは。違うんじゃないですか。  それはともかくとして、時間がございませんから別の方に質問を回したいと思います。  今回のPRTR関係で、運輸省との覚書が交わされているわけです。環境庁通産省、運輸省、その三省庁で結んだ覚書には、これは運輸省の話でありますけれども、運送、荷役、保管業者に関してでありますが、無視し得るほど極めて小さいのが実態であるとの運輸省の知見等を踏まえて、運送、荷役、保管業者などをPRTR対象外とすると。実態が無視し得るほど少なかった場合は対象とされないという話でありますけれども、そうでない場合、無視し得ない、そういった場合についてはこれはどういうふうにお考えですか。そういう実態調査があるんですか。
  149. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  先生御案内のように、運送業というものは、荷主から荷物を預かりまして、それを所有せずかつ利用せずに、預かったものをできるだけ迅速に質量とも変わらぬまま相手方に渡すというのを業としているものでございます。したがいまして、運送業者において貨物の滅失とか変質につながるというものはしない、そういうこん包の解除等を行わないということが商慣習あるいは商慣行として成り立っているものでございます。したがいまして、そういった環境への排出があるという事態というのは私どもほとんど考えられないわけでございます。  さらに、各種の化学物質、危険物につきましては、それぞれ消防法等、規制が運搬についてございまして、それを満足している限り、それが環境への排出もないということから、私どもとしてはこの運送、荷役、保管についての化学物質環境への排出というのは通常ほとんどあり得ないと。すなわち、この規定に基づく包装等を行った場合、それから運送中に漏れていくということはあり得ないのではないかと考えております。もし、仮にあるということになれば、それはそういうことのないように運送、保管についての管理を強化して、出さないようにすべきかと思われます。
  150. 加藤修一

    ○加藤修一君 実態調査に基づいて答弁されたというわけじゃないということですね。そういう理解でよろしいですね。  環境庁長官にお尋ねしたいんですけれども、同様に、例えば「鉄道、自動車、船舶、航空機等の移動体からの排出量については、移動体という一つの区分に包括して行う」、そういうふうに覚書に書いてございますが、これは非常に私は問題ではないかと思うんです。それぞれの移動体ごとに、あるいは事業所ごとに分けて集計する、こういったことが望ましいというふうに理解しておりますけれども、環境庁はどういった見解をお持ちでしょうか。
  151. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 移動体からの排出量の推計については、現段階においては、技術上の制約から輸送機関により推計精度に差があるために、輸送機関ごとに公表、比較することは適切でないという運輸省の説明を踏まえて、とりあえずの三省庁間の判断を事務的に確認したものであります。したがって、今後、算出区分を定める省令制定までに推計精度について検討し、十分な精度を確保できれば、区分公表することが可能となると考えております。  技術的な制約を克服するよう、推計技術開発、向上を図るとともに、省令の制定に当たってはいわゆるパブリックコメントを、手続に従って広く国民の意見を求め、算出区分を決定する予定でございます。
  152. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の御答弁の中で、運輸省からこういったことについては適切でないというふうに聞いた、それに基づいてそういった判断をしているという話ですけれども、運輸省は適切でないと言ったその根拠というのはどういうふうに考えているんですか。今、答弁の中に多少はございましたけれども、相当の排出量を含めて考えられるわけですから、航空会社とかを含めてやはりやるべき内容を持っていると私は思うんです。どうでしょうか、その辺については。
  153. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 今、環境庁長官がお答えになりましたとおり、十分な統計精度を確保するということが現時点では困難であるので一つずつ区分するというのはいかがなものかという私どもの意見を申し上げた次第でございます。したがいまして、もしそれが可能であるならば、これも環境庁長官が申し上げたとおり、これを区分するということも可能であると考えております。
  154. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、そもそも今回の覚書についてでありますけれども、法案提出に際して通常なされているというふうに聞いております。法案を閣議決定するに当たって交通整理だと、そういうふうなことも聞いているわけですけれども、これは今回請求されたからこういう覚書が出てきたわけであります。これは経済産業委員会でも話があったんですけれども、透明性確保の観点から特に問題はなく秘匿するものではない、そういう答弁をいただいているわけであります。今後、PRTR制度とかあるいは化学物質関連に関して覚書、確認書、そういったたぐいのものは必ず公表する、そういうふうに私は思っているわけですけれども、どうでしょうか。
  155. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  覚書の性格につきましては先生が今御指摘のとおりで、私ども、法案を提出する場合に各省庁といろいろな議論するときに、後々みんなの理解が違っていたというのは困るものですから、交通整理のために事務的にさせていただいております。これは、今お話しのように通常の法案をつくるときに通常行われていることでございます。したがいまして、もちろん特段隠すべきものというわけではないのではございますが、一方で、そういう政府部内の覚書でもございますものですから、こうした覚書の開示につきましては今後は情報公開法に則した手続により行われることになるものと考えております。
  156. 加藤修一

    ○加藤修一君 議論を弾ませる、あるいは国民的な合意を形成していく上では、私はこういった覚書というのは前もって公表するということは非常に大切だと思うんです。あえて請求されてから公表するという姿勢は私はいただけないと思うんですけれども、この辺について通産省はどうお考えですか。
  157. 河野博文

    政府委員河野博文君) ただいま環境庁から御答弁がありましたと同様の考えを持っております。
  158. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、次に環境庁にお願いしたいわけですけれども、PRTR制度の適用範囲でありますが、これは自衛隊は対象になりますか。対象になるとしたら、どういった単位で対象にする予定ですか。
  159. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  具体的なPRTRの届け出対象業種につきましては、これを定める政令の検討段階において、業種ごとの化学物質排出に係る実態をもとに選定することといたしておりますが、今御指摘の自衛隊につきましては、対象業種について政府関係機関も民間事業所と同様に扱うことを考えておりまして、自衛隊だからといって例外にするという考えは持っておりません。
  160. 加藤修一

    ○加藤修一君 それは、十分検討して対象にするということになるわけですか。
  161. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど御答弁申し上げましたように、具体的な届け出対象業種につきましては、これを定める政令の検討段階におきまして、業種ごとの化学物質排出に係る実態をもとに選定することといたしております。
  162. 加藤修一

    ○加藤修一君 アメリカ国内においては、軍事基地はTRIですか、そちらの方で対象になっているわけです。連邦関係の施設についても当然対象になっているわけですが、これは十分参考に値すると思いますけれども、アメリカが既に先進的にやっているこのことについてはどういうスタンスでおりますか。積極的にやっていくという話になりますか、どうですか、その辺のスタンスは。
  163. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘のとおり、米国におけるTRI制度におきましては、軍の基地は私どもが報告書を調べたところによりますと、七十四の陸海空軍、海兵隊及び戦術担当の施設から報告があったというふうに聞いております。  私どもの方の取り扱いにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、排出量の実態等を確認、調査の上、対象業種を定めることとしておりまして、この点につきましては、したがいまして、特に自衛隊を排除するというような考えは持っていないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  164. 加藤修一

    ○加藤修一君 自衛隊一本でやるという話にはならないですね。それぞれ師団がございますけれども、大きい単位としては師団になりますが、さらにその下には連隊を含めてそういう単位がありますけれども、現時点でどの辺を単位にして報告させようということでしょうか。  今まで我々が議論してきた中には、地域環境政策、それに対応して考えていく上で非常に参考になる化学物質についての情報開示であるという理解でいるわけです。それは自衛隊も同じであって、北海道も相当数の自衛隊の基地があるわけですが、基地別とかそういった単位が非常に私は望ましいと思っているわけですけれども、その辺について踏み込んだ答弁をいただきたいと思います。政令云々で細かく決めるという話じゃなくして、せっかく議論をしている中で、こういったことについても明確に答弁をいただきたい、そう思います。
  165. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) この点につきましては、まだ現時点におきまして自衛隊における事業所の単位あるいはその対象範囲についてどういうふうにするかということについて具体的に申し上げ得る段階にないということを御理解いただきたいと思います。  要は、民間事業所等と同じように、排出量等の実態を踏まえ、どういう対応を考えていくかということをこれから検討させていただきたいと思います。アメリカにおけるTRIでの七十四なら七十四というところから出されておるというあたりも参考になると思っています。
  166. 加藤修一

    ○加藤修一君 では、アメリカの軍事基地の話が出たわけでありますけれども、これは在日米軍基地は対象になりますか。
  167. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) まず、一般国際法上、先生も御承知のとおり、駐留を外国に認められました軍隊につきましては、特別の取り決めが接受国との間でございません限りにおきましては、接受国の法令は適用されないということが原則でございます。  このことは、日米安保条約及び地位協定に基づきまして我が国に駐留する米軍についても同様でございます。そして、この本件、PRTR法につきましても、我が国の法令に服するものを適用の対象としているというものと承知しておりまして、在日米軍はこの法律の適用対象としては想定されていないというふうに承知をいたしております。
  168. 加藤修一

    ○加藤修一君 在日米軍基地の環境汚染の問題について私はたびたび取り上げてきておりますけれども、似たような答弁を今いただいております。ただ、PRTR、これを在日米軍基地に適用するしないという点について、適用されればこれはある意味で厳格なあり方だと思うわけでありますけれども、どうでしょうか、厳格であるか。適用されると厳格だと考えるか、適用されないと厳格でないという私は理解でいますけれども、どうですか、その辺は。
  169. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) ちょっと私、先生の御質問の趣旨を正しく理解していないのが恐縮でございますけれども、日米間におきましては、この環境問題につきましては、御承知のとおり、これも先生に何度もいろんな機会に御答弁がなされていると思いますが、日米合同委員会の環境分科委員会におきましていろんな協議、情報交換というものが行われているわけでございまして、そこのところで米軍の基地における環境問題についても日本政府との間ではいろんな話し合いが行われ、情報の交換も行われている、こういうことだろうと思います。
  170. 加藤修一

    ○加藤修一君 なぜ厳格云々という話をしたかといいますと、今まで政府答弁の中にはそういった言葉が頻繁に出てくるものですから、あえてそれをもとにして質問したわけであります。  どういうふうに言っているかといいますと、米軍について、在外基地においては、日本というふうに考えてもいいと思うんですけれども、一定の評価基準、ファイナル・ガバニング・スタンダーズ、FGS等を用いて米側は環境アセスメントを実施していて、在日米軍においてもこの基準が用いられているというふうに承知しておりますと、このように政府は答弁しているわけです。そして、この評価基準はアメリカ国防省の方針によりまして、在外基地にありましては健康及び環境保護のためにオーバーシーズ・エンバイロンメンタル・ベースライン・ガイダンス・ドキュメントというのがございまして、それに示される米国の基準あるいは接受国の基準のうち、より厳格な基準を選択して定められることになっているというふうに承知しておりますと、このように答弁されているわけなんです。  ですから、PRTRを適用するかしないかということについても、より厳格ということを考えていくならば適用するということが私は望ましいと思っているわけですけれども、今の厳格というこの答弁を踏まえて、もう一度答弁いただけますか。
  171. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 失礼いたしました。  まさしく先生先ほどおっしゃいましたようなオーバーシーズ・エンバイロンメンタル・ベースライン・ガイダンス・ドキュメントというのがございまして、それに基づきまして、在日米軍は米国のいわゆる環境管理基準と日本の国内法の基準ということを比較考量して日本におきます環境管理基準、EGSというものを定めております。  先ほど御引用されましたように、答弁で我々も申し上げております米国の国内法の基準と接受国であります我が国の基準のうちでより厳格な方を選択して日本における環境管理基準というものを定めておる、こういうことはおっしゃるとおりでございます。  ただ、ここで我々が申しておりますのは、まさに環境管理基準の話でございまして、ただいま問題になっておりますいわゆる届け出と申しますか、情報開示と申しますか、そちらの方の問題のことを念頭に置いて厳格性ということを従来から申し上げているわけではございませんので、そこのところは御理解いただきたいと思います。
  172. 加藤修一

    ○加藤修一君 環境基準という話を申し上げましたけれども、そのほかの委員会で私は質疑応答しておりますが、その中ではそういった面だけじゃないと思うんです。環境項目という形で非常に抽象的な言い方でありますけれども、そういうふうに議論しているところもあるわけでありますから、もう少し踏み込んだ答弁があっていいように思いますが、あえて再質問したいと思います。
  173. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 私が承知しておりますところによりますと、今度のPRTR法目的と申しますのは、この第一条で書かれておりますとおり、化学物質を扱う事業者による化学物質の自主的な管理改善促進して環境の保全上の支障を未然に防止するといったことだろうと思います。そういたしまして、そのために情報開示を事業者に義務づけまして、国や地方公共団体が事業者に対して改善措置を助言できるというような機会を設けるということであろうと思います。  この点からいたしますと、在日米軍との関係におきましては、先ほど申しましたように、日米合同委員会におきまして、いろいろ環境問題について特に議論をする環境分科委員会というのがございまして、そこで情報についても交換をし、意見も交換し、協議もするということで行っております。この場合は、米軍によります自主的な環境管理行動ということについて日本側としてもいろんな助言もすることができるという機会が与えられているということで、この法律が究極的に目的としておりますところと合致した仕組みが在日米軍のところにもあるのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  174. 加藤修一

    ○加藤修一君 多少視点が違うかもしれませんが、米国防総省は次のように言っているわけです。  どういう指示文書を出しているかというと、国防総省の海外活動における環境回復対策、こういう指示文書が出されておる。海外で既に返還された軍事施設についても環境汚染の浄化活動を義務づけている、あるいはそういった意味では海外の基地に相当します在日米軍基地、そういった面についても、PRTRというふうに特定しているわけじゃありませんが、適用されるというふうに私は理解していますし、アメリカもそういうふうに言っているわけでありますけれども、この辺についてはどういうふうにとらえているでしょうか。
  175. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米国防省におきましては米国防省指示というのがございまして、国外の国防省施設または設備に関して、接受国への返還対象となっているものも含め、国防省の活動によって生じた環境汚染のうち、人間の健康及び安全に対して急迫かつ実質的な危険を及ぼすものについては、これを回復するために迅速に対応しなければならないという旨が定められているものと承知いたしております。
  176. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、今まで沖縄なんかで起こっている環境汚染問題については必ずしも迅速に対応されていないというふうに私は理解しておりますけれども、ちょっと矛盾するように思いますが、その辺はどうでしょうか。
  177. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 沖縄におきまして、返還された後にその土地から環境汚染物質が発見されたというような事例が確かにございました。ただ、今引用いたしました国防省の指令と申しますのは、返還された後のことではございませんでして、現在国防省関係の施設で起こっていることがあれば、それに対してきちんとした対応をすべきである、こういうことでございます。  現に、米軍が使用している施設・区域におきまして環境の問題があるということがわかりましたときには、当然のことながら日米合同委員会におきましてそれを取り上げたりいたします。環境分科委員会等におきまして議論をいたしまして、しかるべき実地調査を行うというような措置をとるというのが現在の仕組みでございます。
  178. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや私は、実態はそういうふうになっていないと。例えばPCBの問題についても、基地の中においてやっている話でありまして、必ずしもそういう実態にはなっていないと私は思います。  私が、先ほどから考えていたことは、日米地位協定を変える必要があるのではないか。やはり環境条項というのを入れてやっていく必要がある。何もこれは私が特別なことを言っているわけじゃなくして、ドイツが実際にやっている話でありまして、相当の熱意を持って地位協定を変えて、その中に環境条項を入れて対応を強化しているわけであります、環境政策について。この辺についてはどういう見解をお持ちですか。こういった問題は極めて重要な問題だと私は思いますよ。そういう熱意を持ってやっていく方向性を示すぐらいは答弁としてあってしかるべきだと私は思いますけれども、どうでしょうか。
  179. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 先生、時間ですよ。
  180. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米軍基地におきます環境問題というのは我々も極めて重要な問題だと認識をいたしております。  したがいまして、先ほど来申し上げております環境管理基準に関しましては、日米間でその基準についてチェックする、日本におきましても米側の基準をチェックするという仕組みができております。合同委員会の環境分科委員会においても協議、意見交換をするという仕組みができておりまして、これをぜひとも活発にさせましてこの問題に真剣に対処していくということでございますので、これは地位協定の運用でございますけれども、そういうところで熱意を持って重要な問題として取り扱っていくということに努めてまいりたいと思います。
  181. 加藤修一

    ○加藤修一君 それが期待できないから言っているんです。  終わります。ありがとうございました。
  182. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下です。  まず初めに、環境庁長官にお伺いをいたします。  PRTR、一言で言いまして、従来の手法と比べて何がどう違うのか、どこに値打ちがあるのか、環境庁長官のお言葉で簡潔に御説明いただければと思います。
  183. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 化学物質にはいろいろなものがあるわけでありまして、近年その量は増加の傾向にあるわけであります。それらに対応する情報は不十分であります。それを十分なる情報提供をして国民の健康保持に当たろうというのが今回のねらいであるわけでありまして、その目的に向かっていろいろな検討がされておるわけであります。
  184. 山下芳生

    山下芳生君 環境庁実施されたパイロット事業の報告書にも今長官がおっしゃったようなことが書かれてあります。「PRTRの利用価値を高めるために」という項目に、「排出移動量に関する情報を国民に的確に提供しながら、環境リスク低減・管理のために社会の構成員のすべてが参画し、費用対効果が大きい対策を実現する手法となりうるという点が、PRTRの最も大きな特徴といえる。」、「行政事業者、国民、NGO」、「異なるセクター間のいわば有効な架け橋となるために、PRTR自体の仕組みを確立する」。ですから、情報を共有する、そして異なるセクター間の有効なかけ橋となるためにPRTRがあるんだという位置づけであります。私はこれは非常に大事な観点だと思います。  そこで、この新しい手法がよりよいかけ橋になるために必要と私が感じている点について質問をいたしたいと思います。  まず、報告内容についてであります。  法案では、事業者が届け出、報告しなければならないのは排出量移動量ということになっております。しかし、私は、これはやはり対象化学物質の取扱量と貯蔵量も報告、公表をさせるべきではないかと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  185. 河野博文

    政府委員河野博文君) お答え申し上げます。  このPRTR制度は、指定されました化学物質環境への排出量を把握する、またそういうことを通じまして事業者による化学物質管理改善促進し、排出量移動量を減少させ、結果的に環境保全上の支障を未然に防止するということでございますので、事業者に届け出義務を課すのは環境への排出量及び移動量とすることが適当であるというふうに認識をいたしております。  PRTR制度実施しております諸外国の制度あるいはOECDの勧告などでも、取扱量及び貯蔵量については届け出を求めていないのではないかと思います。
  186. 山下芳生

    山下芳生君 環境庁の追加パイロット事業というのがやられておりますが、この事業では取扱量も報告させたんじゃありませんか。
  187. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  十年度のパイロット事業においてはそういう扱いでやっております。
  188. 山下芳生

    山下芳生君 つまり取扱量も報告させたということであります。  なぜ取扱量を報告させたのか。どんな理由からか。それから、それによって事業者から、そんなことをせぬといてくれ、負担が重過ぎるでという反発がありましたか。
  189. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 実はパイロット事業につきましては、今ここで御審議をお願いしている法案の骨格と違いまして、いわば自主的に、任意で御協力いただくという形でやっているものですから、そもそも協力していただける人しか協力していただけていないという現状の中でやっております。そういう意味からいって、直ちに今御審議を願っている法案での取り組みと同列には論じられないと思いますが、逆に言えばそれほど困るという意見も少ないのでございます。ただ、それはなぜかというと、協力してやろうという人しかそもそも対象にしていないという点については御理解いただきたいと思います。
  190. 山下芳生

    山下芳生君 それはおかしいです。パイロット事業でしょう。このPRTRをやるためにいわばパイロットとしてやっているわけですから、それと全然違うんだ、関係ないことをやっていますというのは、それだったらパイロットにならぬじゃありませんか。おかしいです。  では、もう一遍聞きますけれども、そのパイロット事業で、あなた方は概念が違うんだと言うけれども、概念が違ってもよろしいから、なぜパイロット事業で取扱量をとったんですか、その理由を言っていないです。
  191. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  実は、私ども、このパイロット事業で今現在考えましたことは、すそ切り以下のところでも、すそ切りというのをこれから考えなきゃいけないものですから、すそ切り数字それから実際取り扱い数字というあたりをチェックしたかったということが一番の理由でございます。
  192. 山下芳生

    山下芳生君 ちゃんとその理由は書いてあるんです、あなた方の事業評価報告書に、こうある。「取扱量については、カバー率の検討や報告データの異常値等の確認に有用な情報なので、報告対象とする方向で検討する。」、こういって追加事業については報告対象にしたんです。つまり、これは取扱量を報告させることによって、排出量とか移動量というのは推計値ですから、これは実際の実測値じゃないんです。その推計値が本当に正しいのかどうかというのをチェックしようと思ったら取扱量、使用量が要るんだ、だから報告させた方がいいとあなた方がそう認識をして報告させたんです。何で十年度だけで、今度のその到達点をPRTRの法実施については低めるんですか。
  193. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど通産省の基礎産業局長の方からも答弁いたしましたが、要は、事業者に届け出義務を今度は課すということで、義務を課すものはどこまでとすべきかということをいろいろ考えました結果、環境への排出量及び移動量とすることが適当であると考えた次第であります。
  194. 山下芳生

    山下芳生君 義務を課す、しかしパイロット事業でもそれを報告してくれといって反発はなかったんです。負担感についてもいろいろ聞いています。でも、この取扱量が報告義務になったからそれが負担だという声はないです。それはあなたも今おっしゃった。なぜそれを報告、公表させないのか、これは私、本当に納得できないです。  取扱量、貯蔵量の報告、公表が必要なのは私、二つ理由があると思うんです。一つは、今紹介しました報告データの異常値等の確認に有効なこれは情報だからであります。  もう一つは、先ほど福山委員から紹介ありましたけれども、やっぱりアメリカの経験です、TRI。これは、インドである大手化学会社が危険な物質を空中に漏えいさせたことによって一晩にして二千五百人が亡くなった、健康被害は二万人です。その八カ月後にアメリカ国内でも同じような漏えい事故があった。そういうことを背景にしてアメリカの国内では、住民は近隣工場でどんな化学物質が使用、排出されているか知る権利がある、こういう世論が高まったんです。だから、隣でどんな薬品、化学物質を使っているか、どれほど貯蔵し使用されているか、これを知ることは周辺に住んでいる住民の権利だ、それを説明するのはそこで活動している企業の社会的責任だというのがアメリカの到達点です。それをあえて低めるというのは、私は、せっかくいい制度、かけ橋をかけようとしているときに非常に残念でならないということを申し上げたいと思います。  もう一つ、予防原則について通産大臣に伺いたいと思います。  私は、PRTR実施に当たって予防原則、すなわち対応をおくらせれば深刻なあるいは修復不能な被害が生じるおそれがある場合は、完全な科学的確実性がなかったとしても、それは対応をおくらせる十分な理由とはならない、この原則で臨むべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  195. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) これからの企業経営というのは、いい製品をつくったりいい物質をつくったりというだけでは相済まないものが私はあるんだろうと思います。仮に先生と私が会社を経営しておりましたら、まず心配しますのは恐らくプロダクトライアビリティー、製造者責任ということ、これも考えなきゃいけませんし、環境へのきちんとした配慮ができているのか。これは、既にある法律を守るということのほかに、やはり一般的な常識から環境へどう配慮をしながら物事を行っていくのかということを考えながらやるというのがこれからの経営者のあり方であろうと思うわけでございます。  先生、今言われたものの典型というのは、例えばチッソなんかのやっぱり有機水銀の流出などというものは、これは戦後の混乱期といえば混乱期、あるいは科学的知見がないといえばない時代でございますけれども、あのことによってどれほどのとうとい命とか生活とかそういうものが混乱に陥り修復しがたいダメージを与えたかということを考えますと、これからの経済というのは、PL関係もそうですし、あるいは環境もそうですし、そういうあらゆる面を考慮しながら企業経営というものを行っていかなければなりません。やはりそういうものを構想し、設計し、製造し、販売、流通させる、あらゆる段階においてそういう環境への配慮というものが経営者に必要でございまして、結局はコストを下げようと思ってそういうものを犠牲にしますと最後には大変高いものにつくということは多分あるんだろう。環境に対する意識、こういうものをやはりこれからの経営者というものは十二分に持って会社の経営に当たる必要がある、私はそのように思っております。
  196. 山下芳生

    山下芳生君 非常にいい御答弁なんですが、どこで線を引くかということが問われているんです。私は、今日の化学物質をめぐる状況が先ほど言いました予防原則を求めているというふうに思うんです。  現在、世界で商業目的生産されている化学物質というのは約十万種あります。我が国流通しているものは四万八千種以上に上っております。しかも、毎年数百種を超える新たな化学物質が製造、使用されております。  では、これらの化学物質安全性は一体どの程度確かめられているのか。大半は毒性データがほとんど知られていないまま使用され、そして使用後には多くが廃棄物として環境に放出されているのが現状であります。例えば、アメリカ環境保護庁が調査をしておりますけれども、「年間生産量が五百トンをこえる化学物質(約一万種)の場合でも、」、五百トンを超えていますからかなり使われているわけですが、「毒性データが十分に知られているのは全体のわずか七%にすぎず、逆に四三%については安全性に関するデータがまったく報告されていない」。それから、ヨーロッパ環境庁のまとめでは、「現在市場に出ている既存化学物質は約十万、その七五%について毒性データはまったくないか、あってもごく部分的である」、これが実態であります。  こういうもとで、法案第一条、「環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。」、これをやろうと思ったら、やっぱり疑わしいものは報告や公表対象にするのが当然ではないでしょうか。環境庁長官、いかがでしょうか。
  197. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生御承知のように、医学の面においても予防医学というのは大切であるわけでありますけれども、まず臨床医学でもってその病気の治癒に当たらなければならないわけであります。予防医学という形になりますと次なる段階に参るわけでありますが、決してこの予防医学を粗末にしてはならないということは言うをまたないわけです。  今、先生がおっしゃるのは、予防の面において十分な対策を講じていけということでありますけれども、やはり事の順序があり、またその時代背景というものもあるわけでありまして、今ようやくにして日本PRTR法案に目覚めてその問題に取り組んでいこうということでありますから、この問題に対しましてはそういう観点からやっていくべきじゃないだろうかと、私はそう考えるわけであります。決して予防を粗末にするわけではないわけでありまして、それも相まってやっていくべきじゃないかと思っています。
  198. 山下芳生

    山下芳生君 いま一つあいまいなんですが、具体的に聞いていきたいと思います。つまり、化学物質の有害性とは何か、これが問われていると思うんです。政府はPRTRにおける化学物質の有害性をどのように判断するのか、具体的に内分泌毒性も判断する観点に含むのかどうか、お答えいただけますか。
  199. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  対象物質につきましては、動物実験等によりまして人の健康への有害性や動植物の生育等に係る有害性が科学的に確認されれば、その物質環境中の存在状況と人の健康等への悪影響との間の因果関係の判明の程度を問わず、幅広くとらえて選定することといたしております。  したがいまして、先生のただいまの御質問に即して申し上げれば、内分泌攪乱作用につきましても、その科学的知見が明らかになればこれは当然対象となり得ると考えています。
  200. 山下芳生

    山下芳生君 パイロット事業の報告書では、有害性の判断として発がん性、変異原性、吸入・経口慢性毒性、生殖毒性、生態毒性等の観点から有害性の程度でランク分けしていこうとするというふうに書いてありますが、今の御答弁では、内分泌毒性についても含んでPRTRについてはやるということで理解していいんですか。
  201. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  パイロット事業におきましては、先ほど先生が御指摘のような形のものを考えておりまして、現在も基本的にそういう毒性のものを中心に考えていくことになりますが、内分泌攪乱作用につきましてはまだ知見が十分でないということでそうなっております。知見が明らかになれば、対象とし得ると考えております。
  202. 山下芳生

    山下芳生君 現在は知見が明らかになっていない、したがって現在は対象にしないということですか。
  203. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 実は、いわゆる環境ホルモンというものにつきましてはまだ十分な知見が明らかになっておりません。私どもでは、世界の文献から専門家に分析してもらいまして六十七物質というものを、一応環境ホルモンという形の疑いが、いわゆる内分泌攪乱作用の疑いがあるという形でリストアップしておりますが、さらにこれは知見が広がればふえるかもしれませんし、この六十七物質の中についても、どれぐらいの強弱があるかについて必ずしもわかっているわけではありません。  したがいまして、その点をきちっと早く詰めて、本当に科学的知見が得られれば、当然、内分泌攪乱作用というのも対象になります。
  204. 山下芳生

    山下芳生君 私は残念ながら、与謝野大臣が最初におっしゃった、知見がなかったからといって起こったチッソの、あれほどの犠牲とおっしゃったけれども、せっかくPRTRをつくろうとしているときに、今の答弁でしたらまたそれを繰り返しかねないと私は危惧をします。  世界の科学者、研究者の間ではもう今や常識ですよ。動物実験で発がん性を認めた量よりも低い量で内分泌毒性が認められたという報告が今続いております。ですから、発がん性とか今知見が確定している観点だけではなくて、内分泌攪乱作用にもっと注目しなければならないという反省が今出ているんです。  そういう中で、この新しい制度導入しようとしているときに、知見が確定されていないから今はこれは対象にしないというのは、本当に私は残念でならない。これは、毒性やリスクにある程度不確実性が含まれている場合には、最悪の結果を想定して疑わしい化学物質をとりあえず暫定的に規制すること、そして後に安全性が十分立証されることがあればその段階規制を緩めることだってできるじゃありませんか。そういう対応を私はすべきだというふうに思います。  どうも聞いておりますと、直接は出てきませんけれども、やっぱり企業に対する配慮といいますか姿勢が、私はもっと毅然とやるべきだというふうに思うんです。今や新しい毒性概念というのが出ているわけですから、被害を起こさないうちにきちっと予防対策をとるべきです。  その点で、また通産大臣に聞きたいんですが、これからの企業のあるべき姿、社会的責任についてであります。リスクコミュニケーションということがこの法案をめぐってよく言われます。環境庁の報告書にも、「「リスクコミュニケーションとは」化学物質環境リスクに関して幅広い人々が認識をもつことが、化学物質環境保全上適切な管理を進めるために不可欠であるとの考え方に基づき、関連する正確な情報行政事業者、国民、NGO等のすべての関係者が共有しつつ、環境リスクへの認識を深め、また環境リスク管理の進め方について話し合いを進めること。」、これがリスクコミュニケーションだと。  私は、二十一世紀に活動する企業というのはやはりこういうリスクコミュニケーションというものをむしろ積極的にやるべきだ、行うべきだと思いますし、通産省としては企業がそういう立場に立つように指導すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  205. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) この法律に書いてありますように、一般的な情報というのは届け出をするということ、また自分たちもきちんと管理をしていくということが法律に書いてあるわけでございます。ただ、企業企業の営業上の秘密がございまして、何から何まで出すということは多分できないんだろうということはぜひ理解をしていただきたいと思うわけでございます。  ただ、できる限り、例えば周辺住民等に理解を得るために差し支えない、あるいは当然出すべき情報を出すということは、今の企業行動としては割に普通に受け入れられていることではないかと私は思っております。  また、この法律の中にございますように、最終的に通産省環境庁に集まる情報というのは、開示請求があった場合にはこれを開示するということになっておりますし、一方では今般国会で成立しました情報公開法に基づきまして行政情報も入手できるわけでございますから、いわば国としての説明責任やあるいは企業としての周辺住民との対話というものは一層私は進むんだろうと思っております。  ただ、あらゆるこの種の問題の議論の最終的に到達するところというのは、やはりそういう議論が理屈に合っているかどうか、あるいは科学的なデータや科学的な考え方にバックアップされているかどうかということに根拠を持たなければいけないわけでございまして、ただただ感情だけで議論をするということはやはり避けなければならないことの一つだろうと、私はそのように思っております。
  206. 山下芳生

    山下芳生君 今、与謝野通産大臣、今日の企業というのは周辺住民に理解をいただくために情報を割と出しているんじゃないかと。私もそうあってほしいと思うんですが、残念ながら今の日本企業活動の実態を見ますと、そうなっていない面があるということを指摘せざるを得ません。  去年の六月ですが、大阪府高槻市の松下電子応用機器株式会社で発がん性物質であるテトラクロロエチレンが地下水を汚染していた事実が明らかになりました。マスコミ各紙は、「松下系三工場も高濃度、最大、基準の九千四百倍」ですとか、「汚染責任「沈黙の一年半」応急措置も取らず」ですとか、「高槻市が一九八〇年代、水道水源の汚染をきっかけに土壌調査などの行政指導をしていたのに、同社は、汚染調査をはじめるまで十二年近く、指導を聞き入れていなかった」でありますとか。  そして、ようやく十二年ぶりに調査をして、「九五年十月に土壌中のガスについて、九六年十月には地下水について、それぞれ汚染を確認していたが、市に報告せず、対策も取っていなかった。」。ほかにも、松下の二工場、東芝の一工場で同様の行いがあったということは報道のとおりであります。  ですから、我が国のトップ企業と言われるところですら、残念ながら環境に対してこういう態度をつい去年までとってきたということであります。これが実態なんです。これは、私はもうリスクコミュニケーションとは全く反対の対応を実際に今の日本企業がやってきたと言わざるを得ないと思うんです。私はこれは、自主性にゆだねていたのでは、法案が求めている環境の保全にきちっと有効な対策をとるということにはならない。  こういう企業に対してどう指導を強めるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  207. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 日本には環境基本法もございますし、また国民一般の環境に対する考え方も成熟しつつありますし、今般のこのPRTR法案もできますと、それはやはり企業の意識も大幅に変わると私は思っております。  そういう中で、やはり我々もそういう意識を持って行政に臨みますし、また企業の経営に当たられている方々も環境問題あるいは化学物質の取り扱い等について細心な注意を払い、PRTR法案の目指しております目的に沿うような行動をされるものと私は期待をしておりますし、またそうであらなければならないとも思っております。
  208. 山下芳生

    山下芳生君 今度のPRTRというスキームが、事業者行政と国民あるいはNGO、三者が情報を共有するということがうたい文句になっています。それはそれで結構なんですが、私はやっぱり排出者の責任というのが一番重いと。排出者は事業者企業ですから、この責任を第一に問わなければならない。行政はそういう観点を貫いてこそPRTRも本当に実効性あるものになるんだと、そのことを強く主張して、時間はあと少しありますけれども、岩佐議員の関連質問に移りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  209. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 有害化学物質は、届け出対象外の小規模事業所や家庭、交通機関など、いわゆる非点源からも相当環境排出されています。パイロット事業では排出量の二三%を占めています。  そこで、非点源に係る移動体からの排出についてまず伺いたいと思います。  パイロット事業では、自動車、二輪車、船舶、鉄道と分け、七物質排出量の推計結果を出しています。全地域では自動車からの排出が半分以上を占めていますが、移動体の種類や地域によって排出している化学物質の構成や比重が相当違うと思いますけれども、環境庁、いかがでしょうか。
  210. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  パイロット事業でも、これまでに得られている限られたデータから移動体の排出量の推計を試みたところでありまして、移動体の種類ごとの排出量の算定に必要な諸データはまだ十分に整備されていないなということをまだ私どもが実感している状況にございます。  ただ、実際問題として、これらに対応するためには、今後さらに技術的な検討や調査を進めることによりまして、移動体の種類や燃料などによる排出量の差異の有無やその程度に応じた算出が可能か否か、さらに詰めた検討をしていかなければいけないというふうに感じている次第であります。
  211. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これはパイロット事業で移動体別排出量のシェアを示しているんですけれども、きょうこんなに大きな会場だと思っていなかったものですから、小さいものしかつくってきませんでした。  例えば、ホルムアルデヒドは九五%が自動車からの排出となっています。これがホルムアルデヒドで、自動車が黒い線ですから、見ていただければ一目瞭然だと思います。(図表掲示)ここがホルムアルデヒドで、それで自動車が九五%です。こういう具合になっております。  それで、あと、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、これは二輪車からの排出が多いんです。それから、鉄道と船舶は同じような傾向ですけれども、ブタジエンの割合というのが二輪車あるいは自動車に比べて高いんです。それから、川崎の臨海部では船舶による汚染が二割以上で、特にブタジエンは六割近くが船舶からの排出ということになります。これがブタジエンです。それで、ピンクが船舶ですから、非常に際立って高い。これは川崎の地域です。別に全国一般ではなくて、やっぱり特定地域でこういう特徴があらわれるわけです。これもパイロット事業でこういうデータが出ていて、それをちょっとわかりやすくグラフにしてみたわけです。  その中で、特に自動車排ガスについてなんですけれども、都市部の大気汚染の主要な要因となっています。環境庁は、浮遊粒子状物質、SPMと言われていますが、これに関する調査及びその対応についての検討結果を発表しています。九九年六月十一日です。それによりますと、人為的発生源によるものが多く、特にディーゼル中心の自動車の寄与割合が工場などより高いという報告結果ですけれども、実態について少し説明をしていただきたいと思います。時間がありませんので、なるべく簡潔にわかりやすくお願いいたします。
  212. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) お答えいたします。  先日公表しましたSPM総合対策に係る調査・検討結果によりますと、平成六年度ベースで大気中のSPM濃度に対するディーゼル自動車等の寄与割合でございますが、関東地域においては三五%、関西地域において四一%で、工場・事業場と比較して自動車の占める割合が大きくなっております。  以上です。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 自動車から排出されるガスやSPMの中にはいろいろな化学物質が含まれている、これはよく知られていることです。NOxやSOxあるいは炭化水素類は法規制対象になっているんですが、そのほかにもグレーゾーンと言われる化学物質がたくさん含まれています。これらについては当然PRTR排出動向を把握していく必要があるというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか、環境庁
  214. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 移動体からの排出量の推計につきましては、先ほども申し上げましたように、まだいろんな限界があるというふうに感じております。推計精度に差があるために輸送機関ごとに公表、比較することが難しいという、先ほど来のお話があったような現状にございます。少しでも早く単体ごとのデータが得られるような努力をしてまいりたいと思っております。
  215. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 川崎公害裁判の和解では、自動車による大気汚染の深刻な実態を重視して、SPMの状況把握などが求められているわけです。自動車メーカーは、生産する自動車がどんな有害化学物質をどれだけ排出するかを把握して、できるだけそれを減らすように努力する責務があると私は思います。  また、それを促進するために、買う側、ユーザーの側がどういうものを選択しようかという選択がとても大切です。そのためにも、自動車からの有害物質排出状況、これをユーザーが知ることができるようにする必要があります。  ところが、移動体からの排出量公表について、先ほども論議がありました、環境庁通産省、運輸省の課長レベルの確認書、九九年三月十五日にこれが取り交わされていますが、そこでは、「鉄道、自動車、船舶、航空機等の移動体からの排出量については、移動体という一つの区分に包括して行うものとする。」と書かれているわけです。  自動車メーカーを担当する立場にある通産省は、なぜメーカーの低減努力を促す情報公開に逆行するようなこういう覚書を結んだのか、お答えいただきたいと思います。
  216. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほどの運輸省からの御答弁と重複するようで恐縮でございますけれども、移動体からの排出量の推計につきましては、現段階では技術上の制約もあり、輸送機関によって推計の精度に差があるので、輸送機関ごとにこれを公表、比較することは不適切であるという運輸省の説明を踏まえて、とりあえずの三省庁間の判断ということで確認をしたものでございます。  また、先ほど御答弁ございましたように、今後省令制定までの間に推計精度について検討いたしまして、この結果十分な精度が確保されるということになりますれば、これらを区分して公表することも可能になるのではないかというふうに考えて、こういった努力をしてまいる考え方でございます。
  217. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 長官、全部の移動体を一括してまとめるというふうになると、個別の移動体からの排出がわからないし、またデータの意味というのがあいまいになってしまう。つまり、全体を減らして何とか環境をよくしていこうというような、そういうことに逆行してしまうと思うんです。  地域別の排出量も明らかにならない。先ほど申し上げたように、パイロット事業では地域別にその個別移動体を調べるとこんなに差があるわけです。例えば、自動車、二輪車、船舶、それが地域によって、川崎なら川崎ではこういう特徴が出るということでいろいろ変わってくるわけです。  ですから、自動車とか船舶とか航空機、鉄道、これに区分して公表するのが筋だというふうに思います。特に自動車については、ガソリン車、ディーゼル車、乗用車、トラック、こういう区分をして排出量を明らかにすべきだと思います。具体的な排出量データ公表を妨げるようなこういう覚書というのは大問題だというふうに私は思いますけれども、長官、いかがですか。
  218. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先ほど来、運輸省のこの見解について御答弁を申し上げたところであります。確かに、この区分ごとに仕分けをすることは、今すぐどうだというような形にはならないと思いますけれども、これはやっぱり検討していくべきではないかと思っております。詳細についてはまた事務当局の方からお答えさせます。
  219. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 補足させていただきます。  私どもも先ほど来、鋭意取り組みたいと申し上げているところなのでございますが、パイロット事業において実際に精度が不確かじゃないかと言われれば、目下の状況は事実そうなのでございます。  したがって、これを少しでも早く何とかその精度を高める工夫、努力をしていきたい。そうすれば、先ほど来の御指摘を受けているようなことについても克服できるのではないかと考えています。
  220. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この覚書についての考え方なんですけれども、事務方のレベルでこういう覚書を結んでいるわけです。国会でこれだけこういう覚書はおかしいじゃないかということになっているときに、この覚書に縛られて動きがとれないなどということはあってはならないというふうに思うんですけれども、その点きちんと、この覚書に縛られて何もできないということではないんだという環境庁の見解を伺っておきたいと思うんです。
  221. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) その点につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げました。私もここで何度も申し上げております。それから、先ほどは運輸省の担当者の方からもその趣旨の答弁がございました。私は、きちっとできるだけ早くに精度を高める努力をして何とかそこを克服したいと考えております。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それで、通産大臣、今環境庁が精度を高める努力をしたいと言っているんですが、環境庁はできないんですね。  そこで、通産省にちょっと伺いたいと思うんです。  先日、参議院の国土環境委員会参考人質疑で浦野紘平さんという参考人が、横浜国大の教授でいらっしゃいますけれども、自動車排ガスについては、官庁、自動車工業会、自治体に問い合わせをしたが、ほとんど情報提供してもらえなかったというふうに述べているんです。  事実、パイロット事業の中間報告を見ますと、自動車からの揮発性炭化水素、VOCの排出については、ヨーロッパの自動車からの排出資料によって推定したと書かれているんです。船舶や飛行機についても欧州の排出原単位を使っているんです。  法律には、非点源の推計については、「関係行政機関の協力を得て、」と書かれているわけですけれども、必要な情報提供義務、これは盛り込まれていないんです。  私は、通産省は、自動車の問題についてはきちんと情報提供させるということが必要だというふうに思うんですが、大臣のしっかりしたお考えを伺っておきたいと思うんです。
  223. 河野博文

    政府委員河野博文君) まずは、政府委員の方からお答えさせていただきます。  非点源推計は、この法律におきましても環境庁通産省が責任を持ちまして関係行政機関の協力を得てやっていくということでございますから、環境庁からお求めがあれば私どもでできる協力はもちろんしていく所存でございます。
  224. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 一台の車からどのぐらいのものが出てくるかというのは、それはエンジンの容量あるいはアフターバーナーがついているかどうかとか、どういう燃料を使っているのか、あるいは、例えば年間どのぐらい出てくるかということであれば年間走行量とか、坂道のあるところで車を運転しているような地形の問題も多分あるんでしょう、いろいろな変数がございます。環境庁が仮に何か推計をされるということであれば、もちろん通産省としては持っております我々のノウハウ、経験、そういうものを提供するのは当然進んでやるべきことだろうと思っております。
  225. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 欧州でできているわけですから日本でできないはずはないというふうに思うので、しっかりと協力をしていただきたいと思います。  次に、非点源の廃棄物としての移動について伺いたいと思います。  製品に含まれる有害化学物質移動は、PRTR対象になっておりません。最終的に廃棄物として処分されるときに、製品に含まれていた有害化学物質環境排出されます。しかし、廃棄物処理の段階で出てくる化学物質を十分つかみ切れません。だからこそ、事業所から廃棄物を出す段階でそれに含まれる化学物質移動量として集計をするということになっていると思います。  ところが、非点源については、廃棄物としての移動量を算出することにはなっておりません。これでは、中小企業だとか家庭からの廃棄物に含まれる有害化学物質、これはPRTRの集計から漏れてしまいます。環境への負荷を全体としてとらえることができないと思います。  そういう点で、社民党の案ではどういうふうになっているのか、提出者から伺いたいと思います。
  226. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 政府案では、今おっしゃいますように、排出量のみで移動量は非点源推計対象としておりません。それではPRTR対象とならない小さな事業所や商店、それから家庭からの廃棄物に含まれる化学物質情報が全然わからないことになってしまうと思います。また、移動量を推計することによって、身近な商品や廃棄物に含まれる化学物質を明らかにすることができるために、それは非常に意義があります。そして、それによって市民の意識を高めることにも役立ちますし、また企業取り組み促進することができます。さらには、廃棄物行政にとっても有効なデータになるものと考えております。
  227. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 パイロット事業では、非点源の廃棄物としての移動量についても部分的に推計しています。浦野参考人は、非点源の廃棄物としての移動量、有害物の移動量については、何とか法律の中に組み込めるような努力をして、それを準備して、可能になった時点でそれを取り込むべきだ、こういう考えを述べていました。私はそのとおりだというふうに思います。  こういう問題について検討して、そして具体化を図る、そういうことで努力をすべきだと思いますが、環境庁、いかがですか。
  228. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  私ども、パイロット事業でも部分的に取り組みをしてみたことは御指摘のとおりであります。  ただ、環境中への化学物質排出量の全貌を把握する観点から、非点源における移動量、すなわち廃棄物の処分、廃棄物についてどう扱うかというようなことは非常に難しい問題があるなというのが実感でございます。  なぜならば、一つは、まず、家庭、中小企業者等の小規模発生源について移動量を推計すること、そのこと自体が非常に技術的に難しいという点がまず一つございます。  それから、私どもとしては、究極、ごみとして出されるべきものは、焼却される等々の処分をされる処分場におきますところの排出量として把握しようとしておりますので、場合によっては二重計上になってしまうという問題もあります。  そんなことでもあろうと思います。PRTR実施している国においても、非点源推計実施している国においても、排出量の推計しか行っていないという状況にございます。  移動量の非点源推計につきましては、今申し上げたようないろいろな難しさがあるということがございますものですから、将来的な研究課題とさせていただきたいと思っております。
  229. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変難しいであろうということはよくわかるのですけれども、今、日本では廃棄物の処理について非常に大きな問題が起こっているし、また国民は大きな不安を持っているわけです。  先ほどの環境庁、厚生省、通産省の覚書の中に、「廃棄物には様々な物質が含まれ、それを取り扱う廃棄物処理事業者がその内容を把握することはきわめて困難であるという廃棄物の特性に配慮」しろ、こういうことが書かれているわけですけれども、こういう覚書に縛られることなく、きちっと積極的に私はこの問題は取り組んでいくべきだというふうに思います。  次に、製品に含まれる有害化学物質の含有量などの情報、これは、製品事業者に譲渡する場合にはMSDS説明が義務づけられることになっているわけです。  二十九日の質疑河野局長は、MSDS情報は、環境庁提供するとともに、国民にも提供すべきものと考えるという答弁がありました。  どういう形で国民に提供されるのか、あるいは個々の製品にどんな化学物質が含まれているかという情報も明らかにするのかどうか、その点、私、率直に伺いたいなというふうに思ったので、きょうちょっと伺いたいと思います。
  230. 河野博文

    政府委員河野博文君) 私ども通産省におきましては、化学物質の性状とか取り扱いに関する情報をできるだけ広範な皆様方に提供していくことが重要だということで、平成八年度からこうした情報に関するデータベースの構築を進めてきております。私どもの化審法の運用等によります知見がインプットされるということになると思います。  このデータベースの構築は、本年中にインターネットを通じて公開すべく整備を進めているという状況にございますので、この法律を通していただきました後、MSDSの部分が施行されますれば、このMSDSに記載されております情報も、こうしたデータベースに取り入れることによって、広くいろいろな方の御利用に供されるようにというふうに考えているところでございます。
  231. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 個々の商品については。
  232. 河野博文

    政府委員河野博文君) お尋ねの点が個々の商品ということでございますと、化学物質を原材料などとして使用する事業者に対して、その性状、取り扱い上の注意等を知らせ、そしてその化学物質管理改善促進するという趣旨でPRTR法案におきますMSDSを位置づけているわけでございます。したがいまして、個々の商品に関する提供の義務づけということであれば、当該化学物質について、それを使用されるユーザーの方にお届けする段階での義務づけというのがこの法律の趣旨ということでございます。  もしお尋ねが、家具ですとかあるいは家庭電気製品のような一般の家庭用品のようなものはどうするのかということでございますと、これは確かに化学物質を原材料とするものではございますけれども、一般の消費者の皆さんがお使いになるわけでございまして、この法案目的としております事業者によります化学物質管理という観点から定められた専門的な技術的なMSDSが一般的に最終製品に添付されて意味があるかどうか、ここは正直申し上げて疑問にも思っているところでございますので、そこまでの義務づけを考えているわけではございません。
  233. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 社民党の案では、有害化学物質を含む製品対象事業者以外に譲渡、提供する場合は、MSDSではなくて製品表示をするというふうにされていますが、なぜそういう仕組みを設けたのでしょうか。
  234. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) 政府案では、MSDSによって事業者までは情報が届くことになっており、消費者には届かない仕組みになっております。データベースの整備も重要でございますけれども、もっと消費者に利用しやすい形でデータを公開していく、それにはやはり製品表示というのは非常に必要なものだと考えております。  消費者にとって日常使用する製品に含まれている化学物質情報は、みずからの健康と安全にかかわるものでございまして、それを知るということは当然の権利だと考えております。同時に、製品表示によって情報提供することは、消費者化学物質が含まれている製品を購入する場合の注意とか、みずからのライフスタイルの選択、あるいは使用後の製品を廃棄する上において適切に対処するためにも不可欠なものと考えております。  ですから、製品表示することによって消費者の意識を高める、また、事業者によるリスクの低い製品開発を促していく、その両面の効果をねらったものでございます。
  235. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、それは非常に大事な点だというふうに思っています。政府案MSDSは業者間の取引段階のみで、消費者が即使える商品に表示の規定はないわけです。あと、プラスチック製品など有害化学物質が封じ込められている商品については業者間のMSDSもない。これでは廃棄物になった段階でどんな有害化学物質が含まれているかわからないということです。  プラスチック製品については、食器など家庭用品品質表示法の指定品目やPETボトル以外は材質等の表示が義務づけられていません。実は、二〇〇〇年からすべてのプラスチック容器が容器リサイクル法の対象として分別収集をされることになります。燃やすとダイオキシン類が生成される塩ビなどの材質表示が大きな問題となります。  去年の九月二十八日の行政監視委員会での私の質問に対して河野局長は、材質の表示についてもどういったやり方が可能だろうかということで検討しているところだという答弁がありました。ところが、PETボトル以外は、油化、高炉還元、ガス化などのケミカル・リサイクル中心の処理を予定しているから材質の表示は不要だという動きがあると新聞等で報道されています。  これまで一部で自主的に七分類の材質表示が行われ、塩ビの表示もあったわけですけれども、それもなくなるというおそれがあるのではないか。少なくとも塩ビについては分別収集ができるようにちゃんと表示をすべきだと思いますけれども、いかがですか。
  236. 河野博文

    政府委員河野博文君) 塩化ビニールを含みますプラスチック製容器包装の再商品化を進める観点からの検討は、実は昨年の十一月以降、産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会容器包装リサイクル小委員会におきまして、プラスチック製容器包装であるとの識別表示及び材質の表示について検討が行われているところでありますけれども、現時点では結論を得るまでに至っていないと承知いたしております。  当省といたしましても、この審議会検討を踏まえまして、関係省庁とも連携しつつ、平成十二年四月以降の塩化ビニールを含みますプラスチック製品、容器包装の再商品化が円滑に進みますように鋭意準備を進めてまいりたいと考えております。
  237. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変重大な事態にあるのかなというふうに思うんですけれども、実は自治体が、これは三多摩の地域で起こっていることですが、市民に不燃ごみを分別させていたんです、燃えるごみ、燃えないごみ。プラスチックは燃やしません、埋め立てますということを言っていた。ところが実際には、市民に知らせないでそのプラスチックごみを燃やしていたということで、これは市民不在じゃないかということで大問題に今なっているところです。  特に塩ビ製品の焼却が問題になる中で、塩ビは燃していませんと言っていたわけですけれども、廃棄物の処理に当たる職員が、塩素を含んだものと含まないものを現場で分別することは不可能だ、こう言ってもう悲鳴を上げているんです。市民からは燃さないでほしいと言われる。燃さないでいますと答えていたけれども、とにかくプラスチック製品がいっぱいたまっちゃって、日の出の最終処分場に負荷をかけないためには燃さなければいけないなというので燃してしまった、市民に知らせていなかったと。  そこで、今、塩ビを燃していることが大問題になっているところで、市の職員の皆さんは、そんなこと言ったって私たちだって困るんですということで、本当につらい立場に立たされているんです。  私は、ちゃんと表示をすれば、分別収集して燃やす燃やさないということが判断できるというふうに思うんです。廃棄物中の有害物質がわかるようになれば、リサイクル、中間処理、最終処分の安全対策もより的確にできるようになると思います。消費者もより環境に負荷がかからないもの、それを選ぶことができるようになると思います。PRTR制度の運用面からも、製品成分等が明らかにされれば非点源の廃棄物についてマクロ的な推計ができるということにもなります。  ごみ処理による環境への負荷を低減できる、そういうPRTR制度。つまり、PRTR制度がそういう面でも大きく役に立つという、そういうことを目指していくためにも、製品成分表示、これはどうしても進めていく必要があるというふうに私は思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  238. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) リサイクルの推進、廃棄物の適正処理の観点から、製品等の環境関連情報が適切に提供されることは循環型経済社会の構築に当たって重要な課題一つでございます。  そうした観点から、現在、容器包装については、容器包装リサイクル法の対象であるとの識別表示とあわせて、材質の表示について検討が行われているところでございます。  また、別途、一般消費者の利益保護の観点からは、例えば家庭用品品質表示法において、家庭用品の成分、性能、用途等、一定の事項について表示を義務づけており、現状でも一部の化学物質については表示対象となっているところでございます。  いずれにいたしましても、製品中の成分表示については、だれに対してどういう形で情報提供されることが適当かという観点から適切に対応してまいりたいと考えております。
  239. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 時間がなくなってきたので、最後に両大臣にお考えを伺いたいと思うんですが、その前に、今通産大臣が言われた一部の商品に表示がされていると。これは通産省が出している「表示道」とかというすごいタイトルのパンフレットですけれども、これでも一部の商品なんです。全商品ではないんです。もう化粧品にしても、化粧品は二〇〇一年から全成分表示するんです。食品添加物についても九二年から使用添加物は表示されているわけです。もう今や消費者情報公開する、そういう時代なんです。やっぱり通産省が率先して、一体どういう成分でこの商品は成り立っているのかということを積極的に表示しなさいと業界に対してアドバイスをしていくというのが私は時代の流れであろうというふうに思います。  それで、PRTR制度を本当に効果あるものにするために、やっぱり行政が、事業者やあるいはNGOや住民や学者……
  240. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 岩佐委員、時間が参りました。
  241. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 はい。  学者で、本当にみんなで平場でざっくばらんに話し合える。それで、話し合って、そういう意見を聞けるというような機会をきちっとつくっていくというのがかぎだろうというふうに思うのですけれども、そのことについて両大臣、一言ずつお答えいただけますでしょうか。
  242. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間が参りましたから、これで終わらせていただきます。(「答弁ぐらいさせろ」と呼ぶ者あり)
  243. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それでは、終わります。
  244. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 社会民主党の大渕絹子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  私たち社民党はこのPRTR法案に対案として提出をさせていただき、前回の質疑でも、また本日の質疑におきましても、また過日の参考人質疑におきましても、政府案よりもよりよい制度であるということをほとんどの方がお認めいただいているところでございます。  本来ならば、社民党案政府案にかわりまして通っていくことが一番理想でございますけれども、今の状況の中でそれはなかなか厳しいということを認識しながら、これから以降、時間の許す限り政府案についての問題点を指摘し、せめてここぐらいは改善をすべき、修正をすべきではないかという思いを込めまして質疑をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。  まず、与謝野通産大臣に、PRTR制度というのはどういう制度なのかというふうに御認識をなさっていらっしゃるのか、そこからお聞かせをいただきたいと思います。
  245. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先生ほど学識はございませんが、やはりこうして文明や文化が進展してまいりますと、人間の使います物質というものも、自然に存在するもののほかに人間の知恵でつくり出すいろいろな化学物質がございます。そういうものは、利便性を持つと同時に、やっぱり取り扱いの方法によっては人間に対して有害なものになる。そういう有害性をできるだけ事前に食いとめるというのが今回の制度だろう、私はそのように思っております。
  246. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういたしますと、有害化学物質あるいは疑われている化学物質について情報を国民や行政が共有する、地域社会が共有することによってその安全性を守っていくということが求められる制度だというふうに思います。そういたしますと、この法律の中にその知る権利について明快にうたわれていない。これでは情報を共有するということに極めて困難が生ずると思います。  午前中の質疑の中でも、小川委員の方から、情報公開につきまして無料にすべきであるということが指摘をされ、地方自治体が自治事務として管理をするときにそれが無料で公開されても、これは法律違反にはならないことが明らかになりました。  私は、さらに、情報開示によってNGOや市民の皆さんがその情報を得て、個別データについても情報請求をして得たデータをみずからのインターネットのホームページで公開するとき、それは全く何のとがめも受けないということになるだろうと思うんです。  そうしますと、一回は有料でそれを入手いたしますけれども、もう本当に公開をされたホームページの中でそれが明らかになったときに開示請求のシステムというのは崩壊をすると思うんです。  ですから、ここは当初、最初からもう公開の原則にのっとって公開をするというふうに決めた方がいいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  247. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 情報公開法でも同じような議論が実はございまして、開示請求をしましたときになぜ有料なのかという議論がありました。  ただ、情報公開法の場合の有料というものも常識の範囲内でございまして、多分東京都の情報公開条例ですと、例えばコピー代だけは持っていただきたいとかそういう世界でございます。有料有料と言ってそれが何かの妨げになるような料金制度ではない、ただ実費のコピー代ぐらいは持っていただきたいというのが例えば東京都の情報公開条例です。今回通りました情報公開法も使いやすい料金という物の考え方が入っておりますし、今回この法律による開示請求が来たときに若干の料金をいただくというのは、有料という概念よりは実費のコピー代ぐらいは持っていただきたいと、そういう考え方で成り立っておりますので、多分情報が必要な方が情報が手に入らないというような状況ではないというふうに私は認識をしております。
  248. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 情報が入らないということではないのです。情報が開示請求をすることによって与えられるのと普通一般に公開をされていることの違いを言っています。そのことですけれども、どうでしょうか。
  249. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 一般的な情報は、多分県単位とかあるいは国全体とかということで統計的な情報は当然公開をする、一般のはこういうふうに全体としてなっておりますということです。  多分先生が頭に描いておられるのは、NGOやそういう方々がある特定の問題について物をお考えになるときの情報の話でございまして、そういうものは開示請求しますと簡単に手に入るわけですし、それは必ずしも全国の情報を全部、届け出られたものをそのまま全部欲しいと言う必要はない問題でございます。営業秘密に係らないものは、役所が持っておりますものは、例えばNGOの方が必要であればそれは開示されるということで、現に情報がそこにあるわけでございますから、若干のコピー代等を御負担いただければ簡単に手に入る、そういう世界をつくったというのは大変な進歩だろうと私は思っております。
  250. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 午前中に清水議員からも御答弁があり、アメリカではもう本当に、私たち今ここにいてもアメリカ情報をとることはできますね。そういうふうに開示をしているんですから、数年おくれてやりますPRTR日本版ですから、ここはもう一番最先端のところと同じように情報を開示するというのがこれは極めて当たり前のことだというふうに思いますので、ぜひ大臣、もうしばらく、この法案審議が終わるまで考えていただいて、修正に応じていただきたいと思うところでございます。  それから、環境ホルモンについてももう随分と質疑が重ねられてまいりましたけれども、環境庁に改めてお尋ねをいたしますけれども、この法案環境ホルモンの扱いはどのようになりますか。
  251. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  我が国で用いられている化学物質は数万に及ぶと言われておりまして、それらの中には動物実験などによって物質そのものには有害性があることがわかっておりましても、それが環境中でどのような挙動をし、実際には人体に悪影響を生じさせるかなどの科学的知見が不明確なものが多い状況にございます。したがって、この法案では環境保全上の支障の未然防止を図る観点から、人の健康等への因果関係がたとえ不明確であっても人の健康等への影響が確認されれば、環境中に広く存在していると考えられる物質について幅広くとらえて対象を選定することとしております。  環境ホルモンにつきましても、法第二条第四項の修正の趣旨を重く受けとめまして、試験方法が定まり、内分泌攪乱作用が一定の科学的根拠により確認され次第、速やかにPRTR対象物質に加えたいと考えております。
  252. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 厚生省、おいでいただいていると思いますが、お尋ねをいたします。  厚生省では、これは国立医薬品食品衛生研究所化学物質情報部というところのインターネットから引き出したものでございますけれども、百四十八種類の環境ホルモンの疑いのある物質について報告がなされております。この化学物質について有害性が疑われたときに、厚生省は既存の法律においてどのような対処をなされるのか、お聞かせください。
  253. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 有害化学物質問題に対します対応は極めて重要なものというふうに認識をいたしております。  厚生省といたしましては、動物実験あるいは人の疫学調査等によりまして有害性が明らかになり、かつそれが人の健康に被害を及ぼすおそれがあるというふうな化学物質がわかりました際には、既存のさまざまな法律がございますので、それに基づきまして所要の対策を講じているわけであります。  一例で申し上げますと、難分解性、非常に分解しにくいという性状を持っておりまして、かつ人の健康を損なうおそれがあるといったような化学物質が明らかになりました場合には、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化審法と言っておりますが、それに基づきまして必要に応じて製造あるいは輸入等の制限を行うということとしているわけでございます。  今、環境庁の方からも答弁ございましたけれども、化学物質は非常に多岐にわたっておりますし、まだ科学的にも十分明らかになっていない点もありますが、そういった科学的な解明、あるいは世界各国の情報を適宜収集いたしまして、今申し上げましたようなカテゴリーに入るかどうか、入ったらどういう措置が必要かということは日々検討するべき課題というふうに考えております。
  254. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 有害性が確定をしたときにはほかの法律によって規制ができるんですね。厚生省、そうですね。  農水省、おいででございますね。  この環境ホルモンの分野で環境庁が指定した六十七物質の六六%、四十四の物質について、あるいは厚生省の百四十八の物質のうちの七十六、いわゆる五一%が農薬に関連をした環境ホルモンではないかと言われています。そして、農薬の管理をしていらっしゃる農水省も、もし有害性が確定をされたものについてはどのような対応をなさるのですか、短くお願いします。
  255. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) 農薬につきましてお答えいたします。  農薬の場合は、農薬取締法によりまして農林水産大臣の登録を受けなければ販売できないことになっておりまして、この登録に当たりましては、発がん性あるいは繁殖毒性、魚毒性、催奇形性、こういうことにつきまして厳正な検査を行うこととしております。そういう中から、人畜あるいは水産動植物への被害を及ぼすおそれがある場合につきましては、同法三条の規定に基づきまして登録を保留することとなっております。  御指摘化学物質の内分泌攪乱作用につきましては、これは最近の知見ということもございまして、農薬がそのような作用を有するかどうかということにつきまして、現在のところまだ明らかにはなっていないという状況にございます。  今後の知見の集積に伴いまして、一定の使用条件のもとでそのような有害性が明らかになりました場合には、この農薬の登録を保留する、あるいは同法第六条の三の規定に基づきまして、既に登録を受けている農薬の登録を取り消す等の措置をとることとなります。  いずれにいたしましても、この辺、科学的な知見の集積が重要でございますので、現在そういうことに努めておる段階でございます。
  256. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ほかにも通産省環境庁にも聞くわけですけれども、答えは同じと思いますからやめておきます。  いわゆる化学物質管理する我が国の法制度というのは非常にたくさんございます。そして、法律によってかなり厳しく管理がされています。有害性が特定をした化学物質については、こういう規制の中で今行われていることは明らかになったと思います。  そして、このPRTR制度というものは、この有害性が特定をした化学物質にだけ有効なのではなく、これから先予見しがたい、あるいはまたこれから起こってくるであろう人間の健康への被害に対して未然に防止をする制度だというふうに思うわけでございまして、環境ホルモンについて有害性が特定しない物質についても厚生省で既に百四十八という指定があるわけですから、せめてこれぐらいはPRTRのこの制度対象物質といたしていただいて、そして有害性が外れた部分、絶対に安全だということがわかったところからPRTR制度から外していけばいいんですよ。今までの規制法と違うところがここなんです。これをぜひやっていただきたいと思いますけれども、与謝野通産大臣にお尋ねをいたします。
  257. 河野博文

    政府委員河野博文君) 環境ホルモンの問題でございますけれども、累次御答弁申し上げておりますことと重複するのは大変恐縮でございますが、現時点では科学的不確実性が大きいということで、国際的な枠組みのもとでも調査研究されている段階であります。欧米におきましても、現時点で内分泌攪乱作用によりましてPRTR対象物質に指定している国はないと承知しております。  そういうことですので、科学的知見を高めまして、その結果、有害性が確認された段階で、しかし人の健康への因果関係が必ずしも判明しない段階であっても対象物質に速やかに指定するというのが考え方でございます。
  258. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 与謝野大臣、どうですか、今の御答弁を聞いて、あなたの配下の方がおっしゃっていらっしゃるわけですけれども。私は納得できないのですよ。  最初に与謝野大臣PRTR法制度というのはどういう制度なのかということを確認したのはここの問題なんですよ。未然に防止をすることができる制度であるならば、疑いのあるもの、極めて疑いの濃いものしか私は特定していないと思いますよ、厚生省でも農水省でもあるいは環境庁でも。疑いの濃いものについてこれは対象物質とする。これは政令で決めることですから法律改正の必要はなく、これからの判断でございますので、ぜひ環境ホルモンは加えるんだということを御答弁いただきたいと思います。
  259. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) ここは難しいところでございまして、やはりこの種の化学物質についてPRTRというような制度導入しますときには、科学というものが考え方のバックグラウンドになければならないわけでございまして、ただただそういう指定があったからということだけでPRTR対象にしていいかどうかということは、先ほど局長が御答弁申し上げましたように国際的にもそういうことはなかなかないわけでございますから、内分泌攪乱作用が一定の科学的根拠により確認され次第、当然のこととして対象物質にするということを御答弁申し上げているわけでございまして、この環境ホルモンを我々は決して避けて通っているわけではないということだけは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  260. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これ以上やっても同じところを行ったり来たりするんだろうと思いますけれども。  本当にPRTR制度というものがどういう制度なのかということを理解しておるならば、そういう答弁にはならないのではないかと私は思っています。また、この環境庁が行う、行わなければならないPRTR制度実施について通産省が共管という形で出てくることにも、今の答弁と全くイコールなところがあるということを申し上げておかなければなりません。  産業界を守るために国民の健康や環境を守ることには極めておくれている、そういうことを指摘しなければならない。私はこんな強い言葉を使いたくないんですけれども、そう思いますよ。本当に本当にそう思いますよ。本当に国民の健康とか環境を守るという視点があるならば、そんな答弁にはならないはずです。そのことを御指摘しておきたいと思います。ぜひこれからでも遅くはありませんので、お願いを申し上げます。  それから、環境庁へ窓口を一本化しないということにつきまして、本会議での答弁では、政府の組織や役割はその国によって異なる、本法案目的を達成する上で最も適当な体制として環境庁通産省を中心に業所管官庁を含め政府全体で取り組む仕組みとした、また届け出先が業所管官庁であっても環境庁の主体性は揺るがないと、こういうふうに大臣は答弁をされておりますけれども。  今までPRTR制度実施した国、米国、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、フランスあるいは韓国などにおいて、この主管庁が環境庁環境部局以外であった国がございますでしょうか。
  261. 河野博文

    政府委員河野博文君) PRTR制度実施されております米国、カナダ、英国、オランダ、フランスについて見ますと、この根拠法を所管しております省庁は、具体的には、それぞれ環境保護庁、環境省、環境・運輸・地域省、住宅・国土環境省、地域計画・環境省であると承知をいたしております。  ドイツにつきましては、州で独自に実施しているということでございまして、国全体としてのPRTR制度実施されていないと承知をいたしております。
  262. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 なぜ環境部局で取り扱っているとお考えですか。
  263. 河野博文

    政府委員河野博文君) さまざまな経緯があるとは思いますけれども、例えば環境規制あるいは立地規制を担当しております環境部局がそうしたライセンシングのプロセスと並行してこの届け出を受けているというようなケースが多いように見受けております。
  264. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、業所管官庁が営業秘密判断するのに一番適切であるという理由は何ですか。
  265. 河野博文

    政府委員河野博文君) このPRTR制度を構想いたします際に、この法律目的にも書かせていただいているわけでございますけれども、化学物質管理改善促進環境上の支障の未然の防止を図るということを車の両輪のように表裏一体として実施していくという観点から、特に化学物質管理改善促進につきましては通産省の知見をこの制度の中で生かさせていただくということを考えているわけでございます。
  266. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 各業所管官庁でいわゆる化学の専攻をしていらっしゃる大学や大学院の卒業生を国家公務員としてどれぐらい採用しているかということを調べさせていただきました。  環境庁に答弁をお願いしたわけですけれども、各省庁別のことには答えられないということでございますので私の方から言わせていただきますけれども、いわゆる化学専攻の職員を採用しているところは、科学技術庁で二名、環境庁で一名、農水省で二名、通産省で三名、工業技術院で一名、特許庁で九名、気象庁で一名、労働省で一名、計二十名、大体毎年のデータでこんなところでございまして、本当に事業所管官庁でその営業秘密について的確に判断できる体制があるのかどうかということは極めて疑わしいと思います。  それで、きょうは関係省庁の皆さんにおいでをいただいております。  まず、建設省にお伺いをいたします。もしこのPRTR法実施をされて建設省にこの報告書が上がってきたとき、営業秘密等の判断ができる人員体制があるでしょうか。
  267. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) お答えをさせていただきます。  建設省におきましては建設業を初めとするいろんな業種を所管しておるわけでございますが、建設省が所管をいたします業種が御指摘PRTR制度対象として該当するかどうか、現時点においては不明でございます。政令等で定めることとされておりますので、その時点で検討されるということであろうかと思います。  今後、政府における検討の結果、仮に当省所管の業種が本法の適用対象になった場合には、当該業種について専門的知見を有します担当課におきまして、関係省庁や都道府県などとも連携を図りながら適切に体制等についての対応を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  268. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大蔵省はどうでしょうか。
  269. 森田好則

    政府委員(森田好則君) お答えいたします。  国税庁が所管いたします酒類製造業者がPRTR制度対象となることとなった場合には、国税庁の担当部署におきまして届け出事項の受け付け、あるいは営業秘密判断について対応することになると思われます。  が、法律成立後……
  270. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今、人材があるかどうかです。今、人材があるかどうか。
  271. 森田好則

    政府委員(森田好則君) そういう意味で、法案が成立いたしまして政令が指定されるということになって、その場合に業種あるいは対象化学物質等が、現時点ではまだ不明でありますが、酒類製造業につきましてどの程度の者に届け出義務が生じるのか、また対象となる化学物質名のうち、営業秘密に係るものがどの程度排出等されているのかが現在不明でありますが、政令が明確になってくる段階で適切な対応ができるよう、法施行までの間に体制を整えてまいりたいと考えております。
  272. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 文部省、お願いします。人材があるかどうかだけ明快に答えてください。時間がありませんので。
  273. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 先ほどの各省庁の答弁と同じでございますが、私どもも化学出身の担当者というのはいないわけではございませんし、近い将来に科技庁と一緒になる予定でございますので、さらにふえる見込みではございますが、御案内のとおり、私ども行政というのは組織で行っておりますので、一人二人の担当者がその専門家であるからそこに任せるということではなくて、大学等の先生方とか専門家の御意見を承りながら対処するとか、いろんな方法があると考えてございます。
  274. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 与謝野大臣、お聞きのように、今、事業所管庁が担当した方がより精通しているんだという答弁はこれで崩されているわけですよ。現体制の中でそういうことはないんです。  そうすると、地方自治体がその受け皿となるべきという議論のときに、地方自治体にはそういう人材がないからだめなんだということではねたんです。でも、そうではなく、これから人材を育成するとすれば、地方自治体だってそういう人材を育成し、環境省ができるまでの間そういう環境部局をさらに強化していくということは当然できるわけでございましょう。そういう大事な私は時期だというふうに思っているんですよ。地方自治体に環境部局の専門部を設けていくということが非常に重要な局面だと思います、時期だと思います。それにこの法律がすごく役に立つ、そういう法律だろうというふうに思うんです。  そうした地方分権やあるいは人材を育成する、地方に環境プロパー、環境の専門家の人材を育成していくという観点からこのPRTR法を利用していくということには、どうでしょうか、その事業所管庁が受け取るということとリンクさせて答えていただければと思います。
  275. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 現在、国と地方の仕事の分け方、これは国民は国がやろうが自治体が仕事をやろうがそれは役所がやっているという考え方ですが、国と地方の事務の分け方というのは、国の事務、地方の事務というふうに分けてきたわけでございます。国の事務のうち、国がなかなか手が届かないものは機関委任事務として地方に、国の事務として地方でやっていただきたいというシステムをとってまいりました。  今回の地方分権法の考え方は、法律で地方に委任する、委託するという、少し考え方が変わってまいりましたが、それでも国の固有の事務、地方の固有事務という分け方をしております。この化学物質を全国的なスケールでやはり見ていこうというのは、地方の固有の事務ではなくて本来は国の事務であろうと思っております。  もちろん、私は、そうだからといって地方の関与というものを排除するべきだということを申し上げているわけではありません。本来、もともとは国の仕事だろうと、国の事務だろうと。その中でやはり地方が適切にこれに参加していただく、関与していただくということは、全体の行政を進展させていく上で大事なことだろうと思っておりまして、衆議院での修正もそういう全体の考え方を取り入れた大変すばらしい修正ができたんだろうと私は思っております。
  276. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 営業秘密判断をする機関をどこに設けるかということは極めて重要なことだろうと思いますので、これからどうなさるのか慎重に議論をしながら、当委員会での議論も踏まえた中で、第三者機関なりをきちっとつくって、そこできちんと営業秘密は守りながらさらにPRTRをより広範に広げていくという観点が必要だろうと思います。  そして、窓口を事業所管庁にすることによってさらに事務が煩雑になることは既に御指摘がなされています。地方自治体の受取窓口がどこになるのか、環境部局で一本化しても報告をするときにまたばらして各省庁に送らなければならないという煩雑な手続が行われます。  そしてさらに、一つ産業で、一つの会社で、本会議においては日本たばこ産業の例が出されましたけれども、例えば一つの会社で医薬品をつくったりあるいは農薬をつくったりあるいは花の栽培をしたりというような、あるいはたばこをつくったりというようなことがあった場合に、本当に業所管庁が三つにも四つにも分かれるということは、今あらゆる産業に手を出さないと生き残れないという状況の中で多くの会社がそういう選択をしていますけれども、そうすると、その扱っている生産物対応で事業所管庁が変わってきて、そこに一つずつ登録をしていかなければならないということになってくると極めてこれは煩雑な事務を要することになります。  そしてさらに、同じ化学物質でも、化学工場での生産段階、あるいはそれを原料として製品をつくる段階で異なってくる場合が出てきます。農薬や肥料をつくる場合には化学工場であったり肥料工場であったりしますけれども、薬品の場合も、化学工場であったりあるいは医薬品の会社であったり病院であったり、あるいはプラスチックの食器などは化学工場であったり食器の産業であったりということになりまして、それぞれ届け出る省庁が違ってくるという、これは極めて煩雑になってまいります。  これを防止することはたった一つございます。それは都道府県からの届け出報告義務を環境庁に一本化することなんです。しかし、ここは共管が通産省ということですから、環境庁がすべてのPRTRの責任省庁として取り扱うことが理想的でありますけれども、通産省も共管ということですから、環境庁通産省に一本で出してくる、それが可能になれば今私が申し上げたようなそれぞれの産業の事務について非常に簡素化ができ、市町村の事務も簡素化ができるというふうに思っておりまして、この件につきましては通産大臣環境庁長官、両方からお答えをいただきたいと思います。
  277. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 事業者からの届け出を全国一律のルールで行い、集計の迅速かつ効率的な実施を確保するとともに、都道府県が事業者からの問い合わせへの対応等を行うに際して、工業プロセスや化学物質の取り扱いに関する事業所管官庁の専門的知見が必要となった場合に、責任ある対応を確保する体制を明確にするという観点から、届け出先は事業所管大臣とすることが必要であると我々は考えております。
  278. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は読まないでやっていますのに。  どうぞ。(「踏み込んで」と呼ぶ者あり)
  279. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 踏み込んでという御意見もございますけれども、この法案提出は政府として提案いたしたわけでありますので、その枠を出るということは甚だ困難であるわけであります。  しかし、先生の御意見は私は非常に貴重な意見だと先ほど来傾聴させていただいておるところであります。まさに傾聴に値する意見として伺わせていただいたわけであります。  しかしながら、今通産大臣からお話がございましたように、修正により、届け出を経由することになった都道府県が事業者からの問い合わせへの対応等を行うに際して、工業プロセス等に関する事業所管官庁の専門的立場からの責任ある対応を確保する観点から、届け出先は事業所管大臣とすることが必要であると、これが優等生の答弁であります。
  280. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 行革の流れも、非常に事務の簡素化とか人員の削減とかということも言われている時代でございますから、こういう制度導入して、より簡素に、そしてスピーディーに処理が行われる方法を選ぶのは国会の役割だろうというふうに思っておりますので、法律を改正するとか修正するのは私たちの役割かなというふうには思っているところでございますけれども、ぜひこうしたよりよいものにしていくための努力を当委員会の皆さん方にもお願いしながら、私自身も一生懸命そのために努力をしていきたいというふうに思います。どうぞ皆さん御協力をよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  281. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 大分長い間で大臣もお疲れでしょうから、特にこの法案はもう衆議院でも終わっていますし、当然今までも大分議論も尽くされていますから、どうぞゆっくり休んでいただいて、私はそっちの岡田局長河野局長を相手に少しやりますから、安心してどうぞ。  時間内に終わるつもりですけれども、答弁もそのようにしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  今までのさまざまな議論、その論点も大分出尽くしてきておりますし、大分細部にわたって尽くされた感があります。審議内容を聞いていて、しかし多少まだ議論しておく必要があるのかなと。賛成の立場で、なおかつ確信を持てるように、若干の重複をお許しいただいて、幾つかの点を質問してみたいと思います。演説をやると時間をすぐオーバーしちゃいますから、私は少しまとめて口早に申し上げますからお願いを申し上げます。  かつて我が国では、熊本県水俣市のメチル水銀汚染、富山県神通川のカドミウム汚染、新潟県阿賀野川のメチル水銀汚染など、化学物質による環境汚染を経験してきたことはもう周知のとおりであります。その反省から、例えば苛性ソーダの製法として水銀を使用しないイオン交換膜法が開発されるなど、世界的にも一流の水準の公害防止技術が生み出されたというふうに思います。また、古い話ですけれども、PCBが食料油に混入して人体被害を引き起こしたカネミ油症事件を契機として、化学物質の毒性から人体を守るために、化学物質生産などに対する規制も強化されてきたところであります。  今後は、役所の方の資料によると五万とも十万とも言われている化学物質リスク評価を迅速に行うための人材育成と評価体制の整備が重要な課題であると思います。また、基本的に我が国生産体制は、自然の生態系を破壊することなく環境と調和したシステムを確立する必要があるのではないでしょうか。そういう意味で、この法律一つ位置づけられているとは思います。  例えば、かつて水銀を使わない苛性ソーダの生産方法としてイオン交換膜法が開発されたように、有害な化学物質を使用しない生産方法開発することは今後の大きな課題であると思いますが、通産省はいかがお考えですか。
  282. 河野博文

    政府委員河野博文君) 御指摘のとおり、この法律は、環境保全上の支障の未然防止と、それから化学物質管理改善促進の観点から、化学物質管理の一環といたしまして、産業界において代替物質開発導入が進められているとは思いますが、こうした活動をさらに一層促進する効果を持つものだというふうに考えております。  また、民間におきまして技術的、経済的に開発が難しいというものでありますれば、国が技術開発を行い、その先導的な技術を普及させていくということもこれから必要ではないかというふうに思っております。  こうした観点から、例えば私どもの場合には、CFCなどのオゾン層破壊物質における冷媒、発泡剤及び洗浄剤用途の代替物質の研究開発、塩素等ハロゲン系物質を使用しない革新的な化学工業プロセスの開発、非臭素系難燃材料の研究開発などをお手伝いしているという状況にございます。
  283. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 やっぱり国の研究開発が非常に大々的に迅速に行われていくことが極めて肝要であるというふうに思います。なお一層の努力を期待いたしたいと思います。  次に、本法律案の具体的内容について若干伺いたいと思います。  法案対象業種について伺います。  今までもこのことについては若干の議論があったと思います。化学物質は、今日、化学産業は言うまでもなく、非鉄金属、鋳物、金属加工、機械、電気・電子、繊維、紙・パルプ、印刷・出版、クリーニングなどのサービス業まで、あらゆる業種で使用されております。  衆議院における審議の中で環境庁の岡田局長は、対象事業者については、従業員数で二十人程度、事業所当たり年間取扱量で五トン程度で仮定して試算すると、二万程度の事業所が想定されると答弁していると思います。  対象事業者の指定要件として、従業員数と取扱量の双方が必要要件となるのでしょうか。仮に、対象事業者のすそ切り基準がどちらか一方の要件を満たしている場合に対象となると、従業員数十人未満の印刷業で八割近く、クリーニング業に至っては九五%が零細企業でありますから法案対象となるおそれもありますが、指定要件について通産省考え方も聞いておきたいというふうに思います。  また、このようなすそ切り基準に対して都道府県が条例により上乗せ基準を定めることについて、国土環境委員会における環境庁の答弁では、法文上は制限していないが、法律要件を定めている趣旨などを踏まえることが重要、ちょっとあいまいではないかなという感じがいたします。これはどういう意味でしょうか。地方自治体でばらばらな基準が設定されることもある程度容認するという意味なのでしょうか。  環境庁に以上の三点を伺いたいと思います。
  284. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  対象事業者につきまして、今現在どれぐらいのものを考えているかという御質問がかつてありましたものですから、パイロット事業等の実績をもとに、先ほど先生が御指摘のような数字ですそ切りをするとすれば二万ぐらいの人が対象となるのではないかということを申し上げました。  この点につきましては、実はまだ、なおこれから、具体的に政令指定に当たりましてはパイロット事業の結果などをもとにしまして、対象物質の取り扱い、環境への排出等の実態について再度精査の上パブリックコメントを求め、政府全体として政令を定めることといたしております。  それから、ちょっと飛びますが、先ほどの最後の方の御質問の、地方自治体の取り扱いでございます。これにつきましては、要は、私どもはこういう形で国の仕事としてPRTRという制度一つ構築すると同時に、地方自治体にも積極的に関与していただく、協力していただくという形の体系を考えております。  したがいまして、そこでもし仮に都道府県ごとにばらばらないろんなものが、例えば今も化学品の管理指針をつくっているところがあるとか、いろいろ現にありますし、そういうところでさらにいろんなことを始めたらどうなるんだという御質問がありました。それに対しましては、私どもは別に法律で明確に指定をしているわけではございませんものですから、地方分権ということで自治体の方で自治事務としてどういうことをなさるかということについて、これはいい、これは悪いと言える立場にはないということが前提でありますが、こういう一つ大きな制度をきちっとつくり、その中に各自治体も参画していただけるということもお考えいただきたいという趣旨のことを申し述べたわけであります。
  285. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 そうすると、いわゆる地方自治体でばらばらな基準が設定されるということは決してよしとはしない、またそうはならないだろうという想定なの、どっちなの。
  286. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  例えば、地方自治体が国が定めるすそ切り未満の事業者に対して一定の報告を求めるというようなことを自治事務としての取り組みについてなさった場合どうかという御質問がありました。  これにつきましては、先ほど申し上げましたように地方分権ということもございますので、法文上の制限があるわけではございません。ただ、法文上の制限はありませんが、法案がすそ切り要件を設けることとした趣旨や技術的な対応の可能性、要は、なぜすそ切りをするかということを言えば、今申し上げましたように、技術的な対応可能性ということ、できるだけ多くの方に登録はしていただきたいけれども無理なところにまではやはり無理であろうということで、すそ切りラインはできるだけ低くしたいとは思っています。そういうことでやるようなことを考えているという意味からいきますと、技術的な対応可能性なども十分踏まえていただくことが必要だろうというふうに考えている次第であります。  これを端的に申し上げれば、私どもがすそ切りラインをできるだけ低いところまで持っていくようにすれば、おのずから例えば自治事務でさらに取り組みを必要とするというようなことにもならないだろうという判断も入っております。
  287. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 まあもうちょっと研究しなさい。  では、あと通産省の答弁。
  288. 河野博文

    政府委員河野博文君) お尋ねの業種ですとかあるいはすそ切りの取扱量と従業員規模、この関係について御答弁させていただきます。  いずれもこれから政令等で制定していくわけでございます。したがって、今断定的なことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、業種につきまして申し上げますと、製造業を主体としながら、これからの実態調査を踏まえまして、化学物質排出等の可能性のあるサービス業などについても検討対象というふうに考えております。  また、すそ切りでございますけれども、化学物質の取扱量とそれから従業員規模を考えているわけでございます。この従業員規模は、やはり届け出をするその負担能力といいますか、過剰な負担にならない範囲内というふうに考えますので、例えば日本の場合には中小企業基本法によります小規模企業の定義が二十人というようなこともございます。  したがいまして、非常に規模が小さい事業所でありますとやはり負担能力の点に問題があるということでございますので、それ以上の企業の方、それから取扱量につきましては、これからの検討でございますけれども、一定規模以上取り扱っている事業所の方、その両方の要件をともども満たす方に報告をお願いするということでございます。
  289. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 答弁するとそういうことになるんでしょうが、しかし、これは人数が少ないから取扱量が少ないということはないし、逆の場合もあり得るわけなので、むしろ逆の方を心配しているわけなんです。  それから、ついでにと言っては恐縮ですが、要するにこの法律を執行するのには通産省環境庁も相当気をつけてやらないと、諸外国でやっている、だからやらなきゃいかぬということ、あるいはまた環境の時代である、我々が地球上で生存するのに、また子孫が安心して生存していくのにこのぐらいのことはということもわかるし、当然のことなんです。だけれども、私が言いたいのは、具体的な執行においてこれは不公平があってはならぬということなのであって、そこはぜひ踏まえて具体的な法執行をやっていくということが、注意をしていくということが大切ではないかと。  事のついでにもう一つ質問通産省に。  これ、中小企業者をどうする、あなた今、中小企業者のことを言ってくれたので、時間を気にしながら、委員長に注意されないように時間内に終わらなきゃいかぬ。中小企業者に対する支援策、具体的に、例えば貸し付けをやりますとか恐らくそういうことでしょう。だけれども、これは中小企業だけでないかもわからぬが、私は税制面で相当のことを考えてやらないとなかなか難しいんじゃないかと。  さっきもどなたか同僚議員が、管理の話、貯蔵量はどれぐらいかというのをはっきりしろとかという話もあった。そうすると、大企業はこの有害物質と言われているものを倉庫に貯蔵するのに、これは大変危険なものだからというので、こういう法律ができたら物すごい警備、管理をしていかなきゃいかぬ。これはコストがかかることになっていきますね。  そういうこともこれありで、大企業はそれはある程度のことは消化できるでしょう。しかし、中小企業においてもそういうことを考えたときに、資金における、貸し付けにおける援助等だけで果たしてやれますか。もっと具体的なことを考えているかいないか。
  290. 河野博文

    政府委員河野博文君) お尋ねでございますが、今実は資金的なことを中心に考えているのは事実でございます。中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫などの制度金融ももちろん考えております。  加えてソフト面といいますか、推計方法のマニュアルをつくりますとか、あるいは中小企業団体、業界団体等の協力を得て、中小企業の皆さんにこの制度内容、届け出の仕方、こういった点についての技術的なお手伝いをできるだけさせていただきたいというふうに考えております。  また、御指摘を受けまして、さらに検討するべき点があれば引き続き検討させていただきたいと思います。
  291. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 御指摘があればって、御指摘しているんですよ。税制面等も考えたらどうですかと。これは、新しい法律をつくったら、政策税制というのは通産省の得意なところじゃないですか。そうでしょう。  だから、そういう意味で、これは資金援助といったって、資金を援助したって返さなきゃならぬ金だ。私は、言うならば、ある意味においては政治、行政は絶えずあめとむち、少なくとも資金援助というのはあめにはなりませんぞということを申し上げておきたい。だから、それはぜひ十二月、この新しい法律が執行されるときに税制の面において大蔵省と話し合いしなさいよ。  次に、営業秘密の問題についてお伺いをいたしますが、これはさっき大分議論もあったようですけれども、多少の重複で恐縮であります。  この問題もさまざまな角度から議論されているところですが、衆議院における修正では、都道府県知事は必要があると認めたときは主務大臣に対して営業秘密が認められた届け出事項について説明を求めることができることになりましたが、この説明要求に対して主務大臣がどのような形で説明することを考えているのか。すなわち、ある企業が個別具体的な化学物質を使用していることは営業秘密に該当すると判断した根拠を説明するには、その化学物質名を挙げざるを得ない場合が出てくるのではないかと思いますが、その点どのように考えているか。  また、仮に化学物質名特定されずに分類名をもって説明がなされた場合は、都道府県知事が納得できないというケースが生ずる場合もあります。その場合にどのような対処を考えておられますか。  さらに、具体的な化学物質名知事に告げられる場合もあるとするならば、住民や環境保護団体等が情報公開条例をもってその公開を知事に迫ることも考えられるのではないかと思うんです。それらについて、どうぞ時間内にお答えをください。
  292. 河野博文

    政府委員河野博文君) まずこの修正後の法案におきまして、営業秘密の取り扱いの申請が主務大臣になされましたその化学物質名につきましては、分類名で主務大臣から都道府県知事に別途連絡をするということになっております。  また、御指摘の第七条第五項の都道府県知事が主務大臣に対して説明を求めることができるということに関してでございますが、御指摘のとおり、都道府県知事のお求めがこの物質名を知ることであるという場合も当然あるわけでございまして、その場合にはお求めに応じてお答えすることになると思いますが、この条文をお読みいただきますと、「主務省令で定めるところにより、」という条文が用意されておりまして、ここでは国が判断いたしました営業秘密判断と同じ判断をしていただくこと、それから国が行っておりますと同等の営業秘密管理をしていただくこと、こういったことをお願いする考えでございます。
  293. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 情報公開条例で情報公開を求められたらどうするんですか。
  294. 河野博文

    政府委員河野博文君) 情報公開条例で、通常私ども理解しておりますのは、こうした国の協力によりまして得られた情報については国の判断を尊重するというのが一般的なあり方ではないかというふうに思っておりますけれども、その点も含めまして、この主務省令で定めるところでは都道府県知事の方と主務大臣の間でお約束をしていただくといいますか、そういった考えを持っております。
  295. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 次の質問に入りますが、政府が収集した化学物質データについては、地域別、業種別データに関しては政府が公表して、個別事業所データに関しては開示請求に基づいてだれでも入手できるようになるわけですね。また、入手したデータの利用については個別データを含めて法律上制限がないということですが、例えば第三者がこの集計データを、余り品のいいことではないが、有償で販売することも可能なのだろうか。これは恐らく相手の側に立ってみると心配な問題ではないかなと思うんですが、どんなふうに考えていますか。  余り大した質問じゃないけれども、ちょっと時間があるから質問しておきたい。
  296. 河野博文

    政府委員河野博文君) 私ども、考えが至っていないところがあるかもしれませんが、今の段階では、公表いたしましたりあるいはそれぞれお知らせした情報について、その利用方法について制限をするということは考えていないわけでございます。
  297. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 考えていなくてもそういうことがあり得る。だから、そこもガードしておかなきゃならぬ問題の一つかなという感じがいたします。  まだ十分ばかり時間がありますけれども、時間を、私もさっき大声でやじったから委員長に協力の意味で。  しかし、連合審査会というのはもう少しやっぱりフランクにやったらいい。それから、答弁者側の答弁の時間があるので質問者側の責任じゃない。そういう面もあるんだから、委員長の運営については私は若干、一言申し上げて、質問を終わります。  以上。
  298. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ありがとうございました。
  299. 水野誠一

    ○水野誠一君 最後の方の質問者になりました。あと一人を残すところとなっております。大部分の質問といいますかポイントについてはもう既に質問が出ておりまして、いつも最後の方になりますと大変苦労するんですが。  ともかく、このPRTR法の問題というのは、私は、OECD勧告から既に三年が経過しているということからいけばやや遅過ぎた感もあると言えると思います。それだけに、ほかの国の持っている問題点を学びつつ、本当に実効性のあるすぐれた法律にしていかなければいけないと、こう思うところであります。  政府案あるいはその修正案に対する疑問点の指摘が今までいろいろ重ねられてくる中で、政府は、いわばこの法律というのは小さく産んで大きく育てるというお考えがどうも根底にあるような気がいたしました。しかし、その大きく育てるための条件を備えているものかどうか、こういう視点から幾つかの点について確認をさせていただきたいと思います。  自治体経由で届け出をするという問題からまずお尋ねをしたいんですが、これは修正案を提出した発議者の皆様に伺いたいと思います。  この事業者からの排出量データの届け出に際して、政府案では国に届け出るというものになっていたのが、修正によって営業秘密に係るものを除いて都道府県経由で届け出るものになったと。この届け出先をどうするかということについては最初から大きな論点となっていた部分であると思うんですが、地方分権の流れの中で自治体の役割をどう見るか、あるいは全国的な運用を図る必要性に照らすとどうなのかなどといった視点から、これは最初から両論それぞれ理屈があったというふうに思います。  さらに、最も議論となったのが企業秘密の扱いだったわけでありますが、これをだれが認定するのか、あるいはどんな基準が適当かなどを含めた議論の末に、現在の修正案である、営業秘密に係るものは所管官庁に直接提出するが、それ以外については都道府県を経由するという形になったものと承知しております。  先ほど来、福山委員、ほかの委員から既に質問が出ている点ではあるんですが、もう一度確認をさせていただきたいのは、これまでの答弁にあるように、秘密性有用性、非公開性の観点から各省が判断するとしたときに、いわゆる営業秘密に関するもの以外のデータに関する窓口であり経由するだけとなっている自治体の主な役割というのは一体何なのか。それから、戻ってきた情報の扱いについては自治事務とされているのに、この窓口業務を法定受託事務とした意味というのは一体何なのか。この点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。
  300. 福留泰蔵

    衆議院議員(福留泰蔵君) 水野先生の御質問は、この届け出を地方自治体を経由するというふうな修正案を私どもで出しているわけでございますが、その際の自治体の主な役割に関する御質問、あわせて、この経由事務を法定受託事務としたその意味についてのお尋ねだろうと思っております。  今、先生の方からもお話しありましたとおり、政府原案におきましては、事業者の届け出情報の扱いにつきまして、排出量等の届け出は主務大臣に直接行うものとしていたところでございます。衆議院における委員質疑を踏まえまして、事業者からの届け出は営業秘密に係る請求がある場合を除きまして都道府県知事を経由しなければならないものとし、その際、都道府県知事は意見を付すことができるものとするとの修正を行ったところでございます。  都道府県の役割でございますけれども、経由事務の実施を通じまして都道府県は国と密接に連携、情報交換しつつ、事業者からの問い合わせへの対応、届け出義務を負っている旨の注意喚起、届け出記載内容のチェック等の指導業務を実行することを期待されているところでございます。もし届け出内容に不備があった場合には、このような役割を通じて届け出の適正さが担保されることを期待しているところでございます。  また、今回の修正によりまして、都道府県知事が届け出に関する事項に関し意見を付すことができることとなっております。都道府県知事が経由に際して付す意見といたしまして、届け出義務の履行状況に関する事項及び都道府県が届け出内容の正確性の確保を判断する際の事項等が想定されております。例えば、当該企業の届け出データが例年になく突出して増加または減少しているような場合を想定しているところでございます。  あわせて、経由事務を法定受託事務とした理由でございますけれども、政府が平成十年五月に地方分権推進計画を取りまとめたところでございまして、国と地方公共団体との役割を明確化する趣旨から、機関委任事務を廃止し、法定受託事務を例外的な位置づけとしていることは、修正案提出者としても承知をしているところでございます。しかしながら、衆議院におきまして、PRTR制度については都道府県の関与を強化するとの観点から、地域の中小企業の便宜や届け出義務の着実な履行の確保等に必要であるため、法定受託事務を創設したものでございます。
  301. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  ちょっとまたお尋ねしたいのは、今回、PRTR法制化について、ことしの二月と三月に全国知事会がコメントを出しております。しかし、この営業秘密に係る場合を除き、「都道府県知事を経由して行わなければならない。」という修正案が出た後、知事会からのコメントが出てきていない。これはどういうことなのか、知事会等はこれについてどういう見解を持っているのかという点。  それからもう一つは、環境部局が窓口となるのか、商工部局が窓口になるか、これも先ほど来御質問があるんですが、この考え方、決定というのは自治体ごとの判断にゆだねるという答弁をいただいているわけでありますが、本当に自治体側にこうした問題についての混乱あるいは戸惑いというものがないのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  302. 福留泰蔵

    衆議院議員(福留泰蔵君) 第一点目の知事会のこの修正案に対する意見については、まことに申しわけないことでございますが、私自身承知をしていないところでございます。  どの部局で届け出を受けるかなどの混乱が自治体側に生じないのかどうかというお尋ねに対してお答えいたしますと、御指摘のように制度の円滑な運営のために自治体の届け出窓口がどのように運営されるかが重要であることは、修正案提出者としても認識をしているところでございます。  ただ、都道府県内部における事務分担はそれぞれの都道府県において決定される事項であるというふうに考えております。修正案提出者としての立場から申し上げるならば、地域の中小企業の便宜や届け出の確保等の制度運営に当たって、都道府県の役割を増大させ、より主体的にPRTR制度に参画させるという修正の趣旨を踏まえますと、届け出をする側の便宜という観点及び指導業務を実施する側の便宜という観点に留意をしまして、都道府県において適切に経由窓口を決定していただくことを期待しているところでございます。
  303. 水野誠一

    ○水野誠一君 この点についてはこれだけにしますが、法定受託事務であるわけでありまして、それにもかかわらず、窓口が県によってあるいは地方自治体によって定まっていないということで混乱が起きないことを私は望みたいと思います。  次に、通産、環境両省への質問に移りたいと思うんです。  先ほど来お話が出ております昨年五月の環境庁のパイロット事業において、千八百の事業所に調査票を送付したところ、約五二%の事業所から回答が寄せられたと。対象化学物質の報告があったのはそのうちさらに約半分、つまり調査票の発送数から見ると二十数%まで回答率が落ちてしまった、こういう報告があります。  大企業はまだしも、中小事業者にとってみれば、例えば報告の必要性を理解し、意欲的であったとしても、実際そのデータの収集や整理から、また書式にのっとった報告にこぎつけるまでにはかなり苦労も予測されるのではないかと思います。  PRTR制度が始まった当初には高い報告率を望むのは難しいのかもしれないなと、こんな危惧も抱くわけですが、法案では報告義務を怠ったり、虚偽の報告をした者は二十万円以下の過料となっている。しかし、中には、例えば百万円のコストをかけてシステムを整備するより二十万円の過料を払った方が得だといった事業者が出てこないとも限らないわけであります。  これを避けるためには、もちろんその過料の金額が高い低いといった議論、あるいはPRTRの必要性の周知徹底ということもさることながら、より具体的、現実的な支援措置というものをいかに講じていくか、特に中小企業、そういうものに対する措置が必要ではないか、またそこには知恵が必要ではないかと私は考えるわけです。  一部の企業の社内の化学物質管理ノウハウをパッケージにして販売する計画など、こういうものも出てくる。さすがに知恵のある企業というのはこういうことを考えるわけであります。  こうした動きにも期待をしたい一方、国として実際の報告率を高める観点から、例えば中小企業向けにこうした具体的なノウハウの提供を図るなどの工夫を講じるおつもりがあるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  304. 河野博文

    政府委員河野博文君) この対象事業者といたしましては、いわゆる中小企業の皆さんもかなり含まれるわけでございまして、こういった方々につきましては、今後環境庁と私ども一体となりまして、例えば排出量の推計方法に関しますマニュアルあるいは推計ソフトあるいは届け出様式の作成等を行いまして、地方自治体あるいは中小企業団体また各種の業界団体などの協力を得て、できるだけきめ細やかな周知徹底あるいは技術指導、こういったことに努めてまいりたいと考えております。
  305. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、届け出情報の公開のあり方について伺いたいと思うんですが、個別事業所データについてはこれを開示請求方式とするということでありますし、また開示するか否かの判断についても余り恣意的な判断を行わないということで今までの御質問についてお答えをされておりますので、この点は理解をいたしました。  まず、条文中に、ファイル記録事項の開示に当たり、電子情報処理組織を使用してこれを行わせることができると、大変難しい表現になっているんですが、これは、単に公共施設に置いた指定端末などでしか利用できないようなクローズドなネットワークに限らない、いわばインターネットを含む想定であるというふうに理解をしてよろしいのか、これは確認です。
  306. 河野博文

    政府委員河野博文君) インターネットの利用までを想定いたしております。
  307. 水野誠一

    ○水野誠一君 ということになりますと、このインターネットによる情報開示の具体的なイメージ、これを知りたくなるわけでありますが、手数料決済の問題というのは一たん置いておいて、例えばホームページ上で特定の個別事業所を指定してその情報を得ることができるというイメージ、これは今インターネット上で盛んに使われておりますヤフーなどに代表されるいわゆる検索エンジン、サーチエンジンに近いイメージで使えるようになるのか、それともいかにもお役所的に一定の書式に従ったメール、すなわち申請書をどこかに送付すると人の手を介して電子情報をメールで送り返すという、いわば郵便のかわりにインターネットを使う程度のイメージでお考えになっているのか、これによって今後の対応というのは大きく変わってくると思うんですが、その辺はいかがでございましょう。
  308. 河野博文

    政府委員河野博文君) 具体的にどのようなシステムを構築していくかというのは今後の課題でございます。今後検討していくことになりますが、例えばイメージを申し上げますと、請求される方が氏名、住所等を明らかにした上で情報提供希望の事業所の名称等を入力して、それをインターネット上で送付する。その請求に対して、私どもの中央コンピューターにおいてその事業所データを検索して、手数料等をオンラインで徴収した上で自動的に請求者に対して検索データが返送されるようなシステムを考えていくということかと思っております。  私どもも、預かっておりますデータの保全という問題がございますので、そういった技術開発、それから料金の徴収方法、こういった点を今後検討していくことになると思います。
  309. 水野誠一

    ○水野誠一君 PRTR対象事業所の数、これは先ほど大臣が七万とおっしゃった後、清水先生から大体二万という大体修正があったので、恐らくその二万から三万の間ぐらいなのかなと思うんですが、確かにそれにしても非常に膨大な情報量になるということで、それに対応しそれにアクセスするための今御質問したコンピューターのいわゆるサーチエンジンの機能というのは、これは私は大変重要だと思うわけであります。これは手仕事で一々めくって答えていくというようなものではどうしても対応し切れないと思うわけなんです。  そこで伺いたいのは、一度に開示請求できるデータ件数というのは制限があるんでしょうか。  それからもう一つは、これも先ほど来幾つ質問の中にも出ているんですが、データを入手した者がそれぞれ第三者に提供することはできる、こういう解釈でよろしいんでしょうか。
  310. 河野博文

    政府委員河野博文君) このデータ開示方式は、情報公開法の基本的な考え方を倣っております。したがいまして、開示請求対象となります事業所特定するに足る事項を明らかにさえしていただければ、開示請求に当たって請求件数が制限されるということはないというふうに理解をいたしております。  また、その利用されますデータでございますが、先ほど御指摘がありましたような、ちょっと私どもも余り想定もしていなかったようなことも入っているわけでございますけれども、基本的にはその利用について制限をしていかないという方向で考えているところでございます。
  311. 水野誠一

    ○水野誠一君 そうなりますと、先ほど清水先生アメリカの例も引かれたんですが、アメリカとかイギリスではインターネットによってかなり大手のNGOがこの情報提供を賄っている、こういう話もあるわけでありまして、これはインターネット上に例えば無料でそのままNGOがこの情報を流すということもあり得るわけであります。これは大いに社会貢献活動の一環として民間企業が行うこともあっていいと私は思うんですが、今の御答弁によれば、そうしたことも起き得る、そういう理解でよろしいわけですね。
  312. 河野博文

    政府委員河野博文君) 先ほど手数料について触れさせていただきましたけれども、データを保全する、そしてインターネット等でアクセスしてこのデータを開示請求される方にうまく送り届けるようなソフトウエアを用意する、こういった費用をインターネット接続の場合でありましても実費の範囲内で御負担をいただくというのが情報公開法に倣った私どもの考え方でございます。  一方、民間の方がこれを利用される場合に恐らく同様のコストをかけられるのかどうか、その辺私どもはまだ研究を十分いたしておりませんけれども、理論的にそういったコストをその方が負担されるということであれば無料ということがないとは言えない、そういうふうに思っております。
  313. 水野誠一

    ○水野誠一君 そうすると、論点となっていたいわゆる一律公表方式と開示請求方式との垣根というのが事実上かなり低くなるというふうに思います。今後の政省令の制定作業や運用に当たって、こうした情報流通を妨げることのないように私は十分な配慮をお願いしたいというふうに思います。  しかし、それでも残るのは手数料の問題でありまして、役所の公式ホームページが有料で、同じ情報をNGOのページからだと無料でとれるということもあり得るわけであります。条文には「実費の範囲内において政令で定める額」の手数料とあるわけですが、窓口での請求とインターネットによる請求で差を設けたり、あるいはインターネット利用については無料とする可能性なども含めて十分な検討をお願いしたいと思うわけであります。  そこで、条文には、十九条に「ファイル記録事項の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の開示の実施に係る手数料を納付しなければならない。」という文章が書かれているわけですが、この読み方についてちょっと御見解を伺いたいんです。請求方法やその他の事情を勘案して、ある場合には無料にするということがあり得るという解釈、これはできるんでしょうか。
  314. 河野博文

    政府委員河野博文君) 実費の範囲内で、多寡においてはいろいろ検討の余地があるかもしれませんが、手数料はいただくという考え方でございます。
  315. 水野誠一

    ○水野誠一君 先ほど大臣から福山委員質問への答えとして情報公開法との絡みが出てまいりました。これは全く私は一理あるお話だと思います。  そこで伺いたいんですが、情報公開法における開示請求においては、請求の後に文書を発掘して判断して手渡すことになるという問題があるわけですが、PRTRの方は、今までも指摘のあったように、開示請求があった場合にはそれを出すか出さないかの判断を生じることはほとんどない、既に営業秘密に関する判断が済んでいるんだから、それ以外の、九九%とも言われているわけですが、営業上の秘密に関するデータ以外はいわば自動的に開示するものというふうに理解できると思います。  そこで、情報公開法を見てみますと、あれだけ国会でもめた手数料のあり方に関する条文が十六条にあって、ここでは「行政文書の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、」「実費の範囲内において政令で定める額の」「手数料を納めなければならない。」というふうに、まさにPRTR法十九条とよく似た条文があります。しかし、それに続く第三項に、「行政機関の長は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、第一項の手数料を減額し、又は免除することができる。」と、こういう規定もあるわけであります。  もっとも、この場合の「経済的困難その他特別の理由」というのは、開示請求者に係る理由を示しているものと読むべきだと思うんですが、一定の場合において手数料の減額または免除の規定が設けられているわけであります。  そこから考えると、この情報公開法との整合性ということから考えたときに、PRTR法の方にはこの第三項に当たる規定がないんですが、これは何でないのか、お尋ねしたいと思います。
  316. 河野博文

    政府委員河野博文君) 情報公開法の対象となります行政情報は、非常に多種多様な情報を恐らく含んでいるんだろうと思います。その情報を求める方々のお立場も、これは私、情報公開法そのものの専門家ではございませんけれども、例えば御自身が非常に困窮な状態におられる、その御自分の情報行政上どう扱われているか、そういったことを確認したいというような場合があるのではないかと思います。そんな場合も想定しての規定かと思いますけれども、このPRTR対象となります情報事業所化学物質排出状況特定された情報であるということでございますので、そういった場合を想定しなかったということでございます。  ちなみに、ややそれますけれども、情報公開法ではたしか請求時の手数料とそれから開示手数料と二本立てになっていたように思いますけれども、このPRTRの場合には請求される対象情報というのがある程度特定されておりますので、そういう意味では開示の手数料に絞っていただくという仕組みにしているところでございます。
  317. 水野誠一

    ○水野誠一君 時間がないのでこれ以上お聞きしませんが、ただ、PRTR法というのは範囲は情報公開法より狭いとは言われるものの、それを開示請求する対象者というのは大変広いと思うので、私は今のお答えでは必ずしもお答えにならないんじゃないかなと。むしろ、これは行政サイドというより、こちらにいらっしゃる審議に当たる先生方に申し上げるべきかもしれないんですが、何か修正をこれから加えるとすれば、その辺が一つポイントになるのかもしれないと私は思っております。  最後に、この問題はまだまだ討議すればいろいろあるんですが、私はこの法案の中で一つ気になるのは、政省令で指定するとされている項目が非常に多いんです。余りにも多い。ほかの法案と比べても非常に多い。これが特徴であると同時に大変気になるところであります。  しかし、いずれにしても、この法案というものが、冒頭申し上げたように他の国々に比べてやや後手に回っている。しかし、おくれたがゆえに、内容的に非常に濃い、そしてまた実効性のあるものになるようにしていただきたい、私はかように思うところであります。  PRTRというものは、事業者にとってもある意味で非常に大きな負担を課すものになるというふうに思うんですが、我々もこの点については理解をしなければいけないと思います。しかし、ある企業の担当者がある記事の中で述べていた言葉、これは私は非常に印象的に読んだので、これを御披露させていただきたいと思います。化学物質リスクの削減は企業経営にとって大変難しい問題で簡単ではないことである、しかし、情報を隠すことは経営にとってさらに大きなリスクになると。こういう発想を企業サイドの意識の中に植えつけていく、それを促していくことこそが非常に重要なポイントではないか、私はかように思うところであります。  最後に、通産大臣にこの点について御所見を、一言で結構でございますが、述べていただきたいと思います。
  318. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先ほどの先生情報公開のところからお話を申し上げますと、まずインターネットで情報が引けるというためには、もともと全国で二万、三万社の報告書と申しますか届け出を全部データベース化してコンピューターのサーバーの中に入れておくという大変膨大な作業が実は必要でございまして、そこから先は、もし情報公開ということであれば簡単に探せばいいわけでございます。ですから、むしろそこのところが大変なので、一たん入れてしまえば、インターネットでその情報を見ることが有料か無料かというのはほとんど実は問題にならない世界だろうと私は思っています。  それからもう一つ、今の最後の点でございますが、やはり化学物質を扱う会社というのは、こういう法律ができる以前から環境とか安全とかということを真剣に考えておりまして、こういうものをおろそかにしますと会社経営にとって致命的なことが起きるということはあり得るわけでございます。このPRTR法ができれば、さらに日ごろの注意、それから安全性の確認、それから経営態度、もろもろにいい影響と申しますか、きちんとした効果を持つものとなるというふうに私は思っております。  ですから、その社員の方が積極的に情報公開してみずからを律する、そういうことをおっしゃっているということは正しい意見なんだろうと思っております。
  319. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  320. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後になりましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。  私は、化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案、これは社民党発議でありますけれども、その賛成者としての立場から質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、社民党案について清水先生にお尋ねしたいと思います。  国民の知る権利に資することを目的として、届けられた排出量移動量を個別事業所データも含めて即時公表することにしている理由は何か、お聞かせいただきたいと思います。
  321. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) きょう一日ずっと論議がございましたけれども、PRTRとは、事業所で扱う化学物質について、その環境中での排出移動量を届け出させ、集めた情報公表する制度でございます。そして、その集めたデータをチェックすることによって化学物質による人体や生態系への被害を未然に予防するという、そういう制度でございますので、被害が生ずるのを待たずに対策をとるという予防行政の手法でございます。ですから、国民がみずからの健康を守るためにみずからを取り巻く環境リスクについての情報を知るということは基本的な権利であると考えております。  PRTRの概念を提示いたしましたリオ地球サミットのアジェンダ21では、行政事業者、NGO、市民など、あらゆる主体が情報を共有することで化学物質管理するという考え方が示されております。そして、地域住民と労働者の知る権利も明記をしているのであります。なお、アメリカでは、法律名そのものが緊急対処計画及び地域住民の知る権利法となっております。  よって、社民党では、法律目的に「国民の知る権利」を明記し、そして個別事業所データを含めてインターネットで即時公表することとしております。PRTR制度というのは、多くの人が多様な観点から情報を活用することによってより有効性が増してまいります。ですから、やはりできる限り利用しやすい制度にすることが重要だと考えております。  しかし政府案では、個別データは、今までも論議されていますように、請求開示としていますが、ファイルに記録されている個別データ企業秘密には当たりません。直ちに公表すべきものだと思います。政府は、手続や手数料については実費とか利便性を考慮すると言っておられますが、即時公表であればこのような手続や手数料自体が不要だと思いますし、また、政府案では事務処理の手間とコストがふえるだけであって、行政サービスの効率化の面からも問題があると考えます。
  322. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境庁長官、今の社民党案に対して政府としてはどのように対応されるか、また、どういうお考えなのか、ちょっとお聞かせ願えますか。
  323. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 政府としては、政府案を出しておるわけでありまして、それがもうベストな案だと、こう自負をいたしておるところであります。  先ほど来、党関係の御意見もございますけれども、これは各党間で話し合いをした上で処理していただきたいと思う次第であります。
  324. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 本法案は、従来の環境法規である大気汚染防止法、水質汚濁防止法とはどのような関係になるのか、これの相関関係ないし連携関係について御説明願いたいと思います。
  325. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  PRTRによって得られます化学物質排出量等情報や、また、それを勘案して行いますところの法案十二条に規定しますモニタリング等の調査結果は、さまざまな環境保全施策を企画立案する上で貴重な基礎的情報として活用していきたいと考えています。  大気汚染防止法であるとか水質汚濁防止法などの既存の法令との関係では、それらに基づく規制効果等の評価、あるいは企画立案に関する基礎的資料として活用できるものだと考えております。
  326. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大気保全行政、水質保全行政の立場からはPRTRの結果をどのように利用するお考えなのか、お聞かせください。
  327. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) お答えいたします。  環境庁においての大気汚染防止法に基づく大気中の問題でございますが、濃度が低濃度であっても、人が長期間暴露された場合の健康影響というのが懸念される有害大気汚染物質についての施策を展開するということになっております。  具体的に申しますと、有害大気汚染物質に該当する可能性がある二百三十四物質、その中でも優先順位をつけまして、特に取り組むべき物質二十二物質を選定しまして、大気環境モニタリング、それから健康リスクの評価、それから事業者による自主管理促進などを現在行っているところでございます。また、排出の抑制を早急に図るべき物質を指定物質として指定して、ベンゼン等四物質について排出基準の設定等の対策を講じて仕事をしております。  それで、PRTR等の実施によって、今後幅広い物質についての環境への排出量が把握されるということになります。そうしますと、有害大気汚染物質の有害性の程度や大気環境状況を勘案しつつ、このPRTRによる排出量データを活用して、有害大気汚染物質排出削減対策ということで環境保全施策が一層進むよう努力していかなければいけない。それで、PRTRができることによって、大気汚染防止法はより積極的な活動ができるというふうに考えております。
  328. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) PRTRの水質保全行政の活用の件につきまして、補足して答弁させていただきます。  水質保全行政上、現在のところ、二十六の環境基準項目あるいは二十二の要監視項目、さらには三百の要調査項目というものにつきまして、政府自身がこういう実態の把握に努めております。  この実態把握と今回PRTR実施により得られます発生源における排出情報、これらを総合的に活用いたしまして、水質汚濁の未然防止のための施策の推進、これに役立てていきたい、こう思っております。
  329. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 通産省にちょっと説明していただきたいのですけれども、この第一種指定化学物質と第二種指定化学物質との関係を具体的に説明してください。
  330. 河野博文

    政府委員河野博文君) お答え申し上げます。  第一種指定化学物質と第二種指定化学物質は、ともに動物実験結果などの評価をもとに、人の健康や生態系への有害性が一定の科学的根拠により確認されている物質対象とするという点では共通でございます。  さらに、第一種指定化学物質につきましては、その化学物質の分解性あるいは揮発性といった物理的・化学的性状、あるいは製造量や使用の状況、さらには環境モニタリングの結果などから見て相当広範な地域環境に現に継続して存在すると認められる化学物質を指定するということでございます。  これに対しまして、第二種指定化学物質は、現状では相当広範な地域環境に継続して存在するとは認められてはいないものの、物理的・化学的性状から見て、今後例えば製造量が増大いたしましたり、開放系用途が増加するなどにより、相当広範な地域環境に継続して存在することになることが見込まれる化学物質であります。  なお、第二種指定化学物質でありましても、その後の事情の変化、例えば製造・輸入量が増加することなどによりまして相当広範な地域環境において継続的に存すると認められるような状況になりました場合には、随時、審議会の意見をちょうだいした上で、政令によりまして第一種指定化学物質として指定することができるということになると思います。
  331. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 本法案では、個別事業所データ環境庁長官及び通商産業大臣が電子ファイル化して都道府県に提供することになっております。この電子ファイル化したデータは、都道府県において自由に活用して環境保全化学物質管理を進めることができることが重要であるというふうに思います。  都道府県は、この電子ファイルの使用、活用を自由に行えるのかどうか、その辺について国において何らかの制限をするのかどうか、お尋ねいたします。
  332. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  本法案では、国が事業所ごとの届け出情報を電子情報化した上で、地域のニーズに応じて自由に活用していただくために都道府県に提供することとしておりますし、これを都道府県に本当に活用していただきたいというふうに思っております。  都道府県には、その個別事業所の電子情報を自由に集計、解析し、地域の実情に応じた環境保全施策、化学物質管理施策を企画、実施していただきたいと考えておりまして、国が電子情報の使用、活用方法等を制限することは考えてございません。  環境庁といたしましては、都道府県との連携を強化いたしまして、PRTRによって得られた情報を最大限有効に活用していただけるよう、また私どももできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  333. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 できるだけ制限を設けないように、自治体が安心して対応できるようなことがこの法案については非常に重要な問題だと思いますので、ぜひ制限なしで開示していただくように要望しておきたいと思います。  次に、化学物質管理指針は事業者のガイドラインという性格を持つとの答弁がなされております。このガイドラインを活用して事業者管理改善促進していくためには、そのガイドラインの内容を個別の事業所へ周知徹底させることが必要であるというふうに思います。具体的にはどのようにして周知徹底を図っていくのか、お考えを聞かせてください。
  334. 河野博文

    政府委員河野博文君) この化学物質管理指針につきましては、法律の第三条第四項に基づきまして官報によって告示をいたしますけれども、それだけでなくて、事業者団体とかあるいは都道府県の窓口などを通じて事業者に必要なデータあるいは資料、参考になるような材料を配付する、またさらには説明会、講習会の開催などを通じて周知徹底を図るということを考えております。
  335. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 本法案は、事業者による化学物質の自主的な管理改善促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することが目的となっております。  環境庁長官は、この法律環境保全行政の推進にどのように生かしていかれるか、御決意を承りたいと思います。
  336. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先ほど来、水野議員からもお話がございましたように、この法案は小さく産んで大きく育てるということでありますが、まさに立派に育てる法案にしていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  そこで、今回の法案というのは環境法制とは異なった画期的なものである、こう思っておるわけでありまして、事業者による化学物質管理環境保全上の支障の未然防止を一体として推進できるものである、こう思っておるわけです。一日も早い成立をこいねがっておる次第でありまして、この運用を開始することによりまして化学物質対策のさらなる推進に全力を尽くしてまいる所存であります。
  337. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひその決意が法案に生かされるように全力を挙げて取り組んでいただきたいということを要望して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  338. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会