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1999-06-08 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月八日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月七日     辞任         補欠選任         岡崎トミ子君     木俣 佳丈君  六月八日     辞任         補欠選任         木俣 佳丈君     櫻井  充君      佐藤 雄平君     松崎 俊久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 木俣 佳丈君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 櫻井  充君                 松崎 俊久君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    委員以外の議員        発議者      清水 澄子君    衆議院議員        修正案提出者   大口 善徳君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        環境庁自然保護        局計画課長    小林  光君    参考人        住宅都市整備        公団総裁     牧野  徹君        住宅都市整備        公団理事     今泉 浩紀君        住宅都市整備        公団理事     平岡 哲也君        住宅都市整備        公団理事     島崎  勉君        住宅都市整備        公団理事     荒田  建君        住宅都市整備        公団理事     増山 雍二君        住宅都市整備        公団理事     福田 秀文君        住宅都市整備        公団理事     下田 公一君        住宅都市整備        公団理事     三宮 満雄君        住宅都市整備        公団理事     伊藤 英昌君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇都市基盤整備公団法案内閣提出衆議院送付  ) 〇特定化学物質環境への排出量把握等及び管  理の改善の促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇化学物質に係る環境リスク対策促進に関する  法律案清水澄子君外六名発議) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨七日、岡崎トミ子君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 前回に引き続き、都市基盤整備公団法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  今般、住都公団が改組されまして都市基盤整備公団に生まれ変わるということでございますが、どんな場合でも古いものがなくなって新しいものができるというときに、新しい組織によりよく動いてもらうために一番大事なことは、やはりこれまでの歴史をきっちりとレビューといいましょうか総括といいましょうか、振り返ってみることではないかというふうに思うわけであります。これまでも同僚の先生方から、住都公団の過去の実績につきましてさまざまな御質問がございました。私は、住都公団そして住都公団に代表されます住宅行政の果たした役割といったことについて、もう少し広い範囲から考えてみたいと思うわけであります。  私たち日本人暮らしといいますものが、戦後、本当に大きく形を変えました。暮らしに対する価値観といったものも随分大きな変遷を見たと思うわけでありますが、そういったものに何が影響するのか。例えば、私はモータリゼーションというのは極めて大きな影響を与えたと思いますし、またはテレビ、こういったものも極めて大きいと思います。しかし、とりわけ大きいのは、やはり毎日そこで暮らす住まい方といいましょうか住まいの形、そこで人間がどう過ごすかというその過ごし方が大きな影響を与えるのではないかというふうに思います。  ある人は、戦後、最も日本人生活に大きな影響を与えたのは進駐軍といいましょうか、我々が敗戦をして米軍が入ってきて、そこでディペンデントハウスというんでしょうか、進駐軍の家族の方々の家を戦後すぐに建てたわけであります。代々木ハイツとかグラント・ハイツとか、当時、戦後のどさくさの時期ではあったわけですが、先行オーダーで一気に家を建てた。ところが、家を建てたのは日本人の大工なんですけれども、その中身たるやかつての日本人住まい方と全く違う。芝生を敷き詰めた一戸建てで、大きさは三十五坪といいましたでしょうか、そんなに大きな家ではなかったようなんですが、非常に今までになかった家を建てた。そして、その中での暮らし方が既に電化製品がいっぱいありまして、全く違う住まい方というのが忽然と日本にあらわれた。それが非常に大きな影響を与えたとおっしゃる方がいるわけであります。  それもそうなんでしょうが、私は、三十年代から住都公団が進められた団地というものの与えた、実際にそこに住まわれた方よりも、団地という概念を与えてその設計思想を国の標準といいましょうか、見本みたいな格好で日本じゅうに知らしめたということが極めて大きいのではないか。  私も周りのことを振り返ってみますと、昔の家というのは、中産階級と言えないような家庭でも必ず応接間なんという部屋があったんです。つまり、一つの家の中に日常空間以外の非日常空間といいましょうか、いざというときのための部屋といったような概念が随分残っていたわけでありますが、団地というものはそういったものを一切切り捨てて、これはいい意味と悪い意味があるのでしょうが、極めて合理的な考え方を提供したわけです。  要らないものはもういい、そして団地の中だけは全部自分のものだから自分の好きなようにしていいし、そこで幸せな暮らしができればそれでいいんだという、ある意味で非常に日本人が小さくまとまってしまった一つの大きな原因ではないかなと私は思うわけでありますが、一度そういったことをこの機会にきっちりと振り返っていただきたい。  そんなときに、きょうは牧野総裁がお見えであります。戦後と言っては失礼でありますが、長らく建設行政の中枢にあられてそういったことに一番造詣の深い方でありますから、ひとつぜひ我々に教えていただきたいと思うわけであります。  総裁お話を伺った後に、それぞれの局長さんもおられますので、補足することがありましたらあわせてお願いしたいと思います。
  5. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 私も実は存じ上げないようなことをただいま先生がおっしゃられました。いわゆる進駐軍が三十五坪平均で、余り大きくないとおっしゃいましたが、私の感じで言うと大きいなとは思うんです。  ただ、戦後すぐのときの日本の総世帯数住宅数の差、つまり住宅の絶対不足はたしか記憶では四百二十万戸ぐらいだったと思います。御指摘のように、それが充足されながらも昭和三十年の当公団前身である日本住宅公団が発足したときには二百七十万戸の住宅の絶対的不足、そういう時代に、ともかく絶対数が足りないんだから住宅をつくれというので、日本の内政上の最重要課題一つとして当公団前身がつくられたんだと思います。  したがって、これは日本民族の属性かもしれませんが、まず戸数を多くつくって絶対的な不足を解消するという点に何といっても力点が置かれた。しかもその際に、こういう地理、地形、気候風土日本ですから木造住宅が多かったわけですけれども、やはりこれも今先生がおっしゃったようなあるいは進駐軍影響されたのかもしれませんが、少なくとも昭和三十年に日本住宅公団がスタートしたときの第一条の「目的」を見ますと、何と「耐火性能を有する構造集団住宅及び宅地の大規模供給」、耐火性能という言葉が出ておるわけです。さすがに現公団法のときは「良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅」となっているんですが、やはりこういうところにもつくられた時代問題意識というのが、私は強烈に反映されているんだと思います。  そういう意味で、二百七十万戸の不足とか、あるいは日本がそれからすばらしく発展していく中で、民族の大移動とも言えるような大都市部への人口移動が起きて、それに対して私ども住宅供給並びに大規模団地開発も行って宅地供給もやってきたわけでございます。  その中で、今設備の話にも先生お触れになりましたが、住宅公団としては少なくともガス、水道、風呂、水洗便所、こういうものが完備した住宅をつくって、やがてはステンレス流し台というものに象徴されるようなものもつくり出していった。これも先生のお言葉にありましたが、日本団地だとか団地生活だとかそういう言葉で代表され、それがある意味で私はその時点では、庶民がああいうところに入れればいいなというあこがれの的でもあった、新しいライフスタイルパイオニアを演じさせていただいたんじゃないかと思います。  そのことは、前回のこの委員会でも申し上げましたので恐縮でございますが、現在の天皇陛下が皇太子の時代昭和三十五年九月でございますが、アメリカに行かれる前に日本の新しい姿を勉強されようということの一つとして、私どもひばりが丘団地等を御視察いただいているわけです。そういうことからも明らかであろうかと思います。  その後も、最初の三十年代の住宅はたしか平均三十何平米だったと思いますが、十年ごとに切れば着実に四十平米なり五十平米なりと広さも大きくしております。あるいは参考人方等意見陳述でもございますが、私ども団地では可能な限り緑というか広場とかあるいは集会場ですとかそういうものも用意して、駐車場整備率などというもの、そういうトータル的な意味での環境のよさも、もちろんまだ御不満はあろうかと思いますが、他の主体の提供しているものに比べればはるかにいいものを提供してきた、そういう自負心といいますか感じを持っております。  ただ、それではいいことばかりであったのか。まさに光と影があるわけでございます、影と言うとちょっと強過ぎるかもしれませんが。  一つは、今も申し上げましたように、三十年代に建てられたものは、やむを得ない事情があったとは言いましても、ちょっと先生お触れになりましたが、伝統的な戸建て住宅に比べて、いわゆる団地サイズという言葉もありましたように非常に規格化され合理化され、ある意味で言うとゆとりがないようなものが結果としてできている。だから、それを現時点の目で見れば良質な国民的ストックと言えるのかということも反省されますし、それから団地にお住まい方々の御努力でどこでも良好なコミュニティーが形成されているわけではございますが、やはり今まで住んだことのないこういう中層の構造上の問題があって、これは言葉は適切かどうかあれですが、いわゆる昔の長屋というか、向こう三軒両隣が何があっても助け合っていくというふうなコミュニティー関係が必ずしも形成しにくいなという一部の指摘もある。  それからもう一つは、大きなニュータウンをつくって、民族移動的な若い方の移動もございましたが、例えば同世代の方が一斉に入居された関係で、一斉に子育てをなさる。一斉にお子さんが卒業していく。そうするとおじいさん、おばあさんが残される。場合によるとおひとりになる。そういうことで、何か本当の町というのは、老若男女、あるいは若干所得の多い人少ない人いろいろ入りまじっているのがいい町だというのが通説だと思いますが、結果的に、今申し上げたようなことでやや古い団地の方では、大規模なところでは活気が失われつつあるのかなというような面も見受けられる。こういう点が、今後我々が施策を進めていく上で大いに参考にしなければいけないことではないかと思います。  そこで、私は前回も申し上げましたが、日本少子高齢化、特に少子の問題で、やがて人口がピークアウトしていくということ等も考え合わせれば、ライフスタイルといいますか、ライフステージと言った方がいいのかもしれませんが、そういうものに合わせてうまく集合住宅を使っていくような、つまり可変性のあるような、前回担当理事がSI、スケルトン・インフィルの説明も若干いたしましたけれども、そういうことも念頭に置きながら、よりよい国民的なストックを築き上げていくというふうに今後施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  6. 那珂正

    政府委員那珂正君) ただいま総裁の方からお話がありました点について、総じてそのとおりだと思うんですけれども、あえて住宅政策という観点から若干付言させていただきます。  御案内のとおり、戦後十年ほどたって旧日本住宅公団が設立されたころから、我が国は本当に都市、なかんずく大都市への人口産業の集中は大変激しくなりました。いわゆる高度成長期を迎えたわけでございますが、そういう都市に集中する人口に対応してその住まいを提供する、量的に住都公団が果たしてきた役割というのは実に相当なものがあるというふうに考えております。  従来から住宅政策としては、公営住宅、そしてこの公団住宅、さらには住宅金融公庫による取得のための融資、この三本柱で住宅行政を進めてきたわけでございますが、とりわけ住都公団は、今の大都市における量的補完ということのほかに、我が国居住水準向上させる、あるいは新しい住まい方普及定着させるという面で多大な功績があったと思います。特に新しい住まい方定着については、今総裁からるる御説明があったところだと思いますし、居住水準向上についてもそうだと思うわけです。  あえてつけ加えさせていただきますと、個別の住戸住まい方もさることながら、団地という一定規模開発整備を行うことによって、それまではほとんど整備されてこなかった、例えば日照とか通風とか植栽とかそういった自然環境というような観点を十分加えてきたこととか、あるいは一定公共施設整備水準を高めてきたとか、あるいは今もお話がありましたけれども幼稚園とか学校とか利便施設等についても整備を図ってきた。そういったいわば我が国における住宅地整備住宅地開発ニュータウン開発の先鞭をつけてきたという功績は大きなものがあろうと思います。  加えまして、やや技術的なことでございますけれども、限られたスペースでいかに合理的で住みやすい住戸を設計するかというその設計技術についても、昭和三十年代、四十年代に住都公団民間を先導するという意味で果たしてきた役割は相当なものであったと考えております。  あわせて、例えば工業化工法などによって品質の確保の安定を図りながらコストダウンするというような技術開発についても、これも余り指摘されることはないんですが、今民間における住宅建設技術がこれだけ普及定着してきたのも住都公団のいろんな初期におけるそういう事業があったからだというふうに思います。  総じてそういうことが、ハード、ソフト両面にわたって民間における中高層住宅事業、とりわけ分譲マンション事業市場形成を図って今日のように大きく育て上げてきた、その誘導の役割を十分果たしてきたんだ、こういうふうに思うわけでございます。  反面、問題点としては、先ほど総裁が述べられたことに加えますと、都市の、とりわけ大都市の非常な外延化傾向住都公団としては十分歯どめをかけられず、むしろ助長してきた嫌いがある。そういうようなことで、住宅として見れば、それはいわゆる職住遠隔化、通勤時間の長時間化、こういうような悪いというか反省すべき点もあると思います。  それから、先生お触れになりましたけれども、いわゆる団地サイズというもの、最近でこそ余り聞かなくなりましたけれども、十年ほど前までは、日本住宅をこんなにせせこましくしたのは住都公団が悪いんだ、こういうような御意見もあったわけでございます。先ほど申し上げましたように、限られた予算、限られたスペースでいかに合理的な住戸設計をするかということに意を用いる余り、やはり結果としてそういう団地サイズというようなある種の観念の定着が過去にあったことは事実でございますが、これも昭和五十年代以降、現住都公団になって以降は、民間マンション民間賃貸住宅を誘導するような方向で規模の面における居住水準向上につきましても大いに努めているところだと、こういうふうに思っております。  ちょっとつけ加えさせていただくという点でお話しさせていただきました。
  7. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 住宅都市整備公団のこれまでの実績評価等ということでございますが、先ほどの総裁並びに今の住宅局長からの御答弁に尽きるわけでございますが、都市づくりの面から少し私どもの考えを御紹介させていただきます。  住宅都市整備公団は、昭和三十年に日本住宅公団として発足しまして、住宅供給中心に業務を推進してきたわけでございますけれども昭和五十六年には現在の住宅都市整備公団に改組をされまして、従来日本住宅公団及び宅地開発公団が行っておりました住宅宅地供給のための区画整理事業あるいは市街地開発事業に加えまして、都市機能の更新を図るための都市の再開発事業を行うこととされたわけでございます。住宅供給から住宅宅地供給、さらには都市開発というようにその時代時代に応じて事業拡大、拡充を図ってきた、こういうことであろうかと思います。  特に、都市の再開発につきましては、旧国鉄の操車場跡地でありますとか大規模工場跡地等活用して行われます土地区画整理事業、あるいは施行面積が広く権利関係が非常に複雑であるというような場所における市街地開発事業など、大規模公共施設を必要として事業期間が非常に長期にわたるといったような点から、地方公共団体民間事業者等が単独で行うことが大変難しいといったようなものを適切な民間等との役割分担のもとに現在も実施してきておる、こういうことでございまして、その時代時代に対応して国民のニーズにふさわしい事業を推進してきておる。こういうことで、私どもとしても公団の果たしてきた役割は相当の評価がなされるものであるというふうに考えておるわけでございます。  なお、近年、都市スプロール化が鈍化する一方、都市中心部が衰退してくるといったようないわゆる都市の再構築といったことが大変都市政策の重要な課題になってきておる、こういうことでございます。特に、大都市地域におきましては木造密集市街地整備でありますとかあるいは工場跡地虫食い地等の低未利用地の有効な活用でありますとか、そういったような解決すべき課題が大変多いという状況でございます。  こうしたものに対応いたしまして、先ほど申し上げましたように地方公共団体民間事業者のみでは対応が困難な問題、そういうようなものにつきまして、住宅都市整備公団はこうした町づくりについてのノウハウや組織を有する都市づくり専門機関でございますので、新しい公団になりましてもこの公団役割は一層重要になってくるということであろうかと思います。  私どもといたしましても、都市整備のためにこの公団の一層の活用を大いに図っていく必要があるというふうに思っている次第でございます。
  8. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 既に答弁が多々ございましたのでつけ加える必要もないんですが、私の方で担当しておりますものが都市開発事業、いわゆる宅地供給をやってまいりまして、これまでに住宅公団時代あるいは宅地開発公団時代のものを合わせますと全部で二百六十八地区を担当してきております。今事業計画認可を進めております二十八地区がございますが、その大半は既に事業を完了し、あるいは事業を現在続行中でございまして、これによりまして計画規模約三万八千ヘクタールの宅地供給をやってきたというのが今までの歴史でございます。  先ほど来申し上げておりますが、単に個々の住宅供給するという時期も確かにあったわけでございますが、最近はいわば計画的な市街地整備をしていこうという方に重心を移しておりまして、参考人質疑などでも、私ども伺っておりますと、周辺の住民の方が公団施設を利用するというような新しいコミュニティーづくり公団ニュータウンが活躍しているといいますか貢献しているお話も御紹介いただいております。  こういうような経験を踏まえながら、これから時代の要請を受けた住宅宅地供給というものに心がけていくべきであろうかと思っておりまして、今残されたまだ事業認可をとっておらないところの見直しも含めてでありますが、さらにこのあたりの計画的な精査も含めて事業促進していかなきゃいけないと認識しております。
  9. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  かなり長い時間を割いてこれまでのことを振り返っていただいたわけでありますが、私の印象を申し上げますと、それなりにしっかりしたことをやってきたというのは事実でありますが、やはり問題意識といいましょうか将来に向けてもう少し直すべき点、向かうべき点といったようなことが明快に言われるとありがたかったかなという気がいたします。  総裁のお言葉で、ライフスタイルパイオニアという言葉がありましたが、いい言葉だなとお聞きをいたしました。まさに、箱といいましょうか場所を与える、スペースをつくるというだけではなくて、そこで営まれる生活の質を問う、それを与えるものだというそういう自意識のもとに今後とも進めていただきたいと思うわけであります。  それでは、そういった公団が改組されてなくなっていくわけでありますが、今の時点国民が新しい公団に一体何を求めているのか、どんな需要があってどの需要にこたえていこうとしているのかということを、これからは少し簡略にお願いしたいと思います。
  10. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現在の大都市状況を見ますと、やはり大都市が戦後何十年もかけて大変外延的な拡大を続けてきた結果、都市の内部には御案内のとおり大変災害の危険性の高い木賃密集地域などがありまして、そこの住居は大変狭く、また長時間通勤というような状況。それと、都市の中の産業活動を見ましても極めて非能率、非効率だと。そういうような状況において、新しい公団としてはもっと健全で活気のある都市生活都市活動を促すために何かできることがあるのではないかというふうに思って新しい公団の業務等を整理させていただいたわけでございます。  それを国民の期待という観点で見ますと、具体的に申し上げますと、今申し上げました職住の近接したといいますか、都心に近い通勤に便利なところで環境のよい賃貸住宅供給するとか、あるいは従前から引き続いて既存の賃貸住宅を安定的に適切に管理していくというようなことは、国民の豊かで快適な都市生活を求めるというようなニーズに的確に対応しようという考え方の一つでございます。  もう一つは、都市の内部に非常に低未利用の虫食い地等が残されているという現状を考えますと、こういうものを土地の集約化等を通じてより有効利用を図っていく、あるいは町づくりをしていく、そして住宅市街地、全体的な市街地として再整備していくということはそれぞれの地域のコミュニティーの再生ということにもつながりましょうし、さらにはまた土地の流動化という側面もありますので、都市活動あるいは経済活動の活性化にもつながると思います。  そういうことも、現時点では広く国民から求められているというふうに認識しております。
  11. 脇雅史

    脇雅史君 それでは、新しい公団の仕事の中身について少しお聞きをしたいと思うわけであります。  今までの住都公団の大きな役割の中に、いろいろな地方公共団体の方、その他の方々から見ますと、都市開発住宅建設に関する極めて立派な技術をお持ちになっている、その技術を何とか生かしていきたい、その技術はどうなるんだということを言われている方が随分私のところにも来るものですから、公団のお持ちになっているノウハウあるいは技術力といったものを今後どのように生かそうとされているのか、まずその辺のことをお聞きしたいと思います。
  12. 増山雍二

    参考人(増山雍二君) 公団のノウハウ、技術力をどうこれから生かしていくのかという御趣旨かと思います。  新しい公団の使命は、既にいろいろ述べられておりますけれども大都市地域等において市街地整備改善を図ったり、政策的に必要な賃貸住宅供給管理を着実に実施するということでございます。  住宅都市整備公団は、昭和三十年に日本住宅公団として発足以来、伝統的にいろいろなノウハウ、技術力を駆使して幅広い事業を実施してまいりました。この技術力という言葉を別の言葉で表現させていただきますと、一つには幅広い事業の経験ということがあろうかと思います。それから、豊富な情報の蓄積という部分もあろうかと思います。また、これは大変重要なことでございますけれども、多様な人材がふくそうして蓄積されましてこのような事業を実施してきたということが言えるのではないかと思います。新公団の使命も、これらの技術力を駆使して達成してまいりたいと考えております。  先ほど来触れられておりますけれども住宅都市整備公団はこれまでに百四十四万戸の住宅を建設してまいりました。そのうち約七十三万戸が賃貸住宅でございます。この賃貸住宅を管理、維持、保全するということが非常に重要な技術と言えるのではないかと思います。住宅につきましては、とりわけ安全で耐久性のある基本性能にすぐれた設計を基本とするということで実施してまいりましたし、コストダウンを目標とした工業化技術の開発、それから先ほど申し上げましたけれども、品質維持のための保全技術の開発ということが重要な要素になろうかと思います。さらに、高齢化対応という昨今の重要な事柄、それから環境対応というようなことも社会的課題として重要さを増してきているわけでございます。こういった中で、さきの阪神・淡路大震災においても公団住宅の被害が最小であったということにつきましては、先ほど来触れております保全技術ということが非常に重要であったのではないかというふうに考えているところでございます。  近年、社会経済の変動が大変著しいわけでございますけれども、これからの技術開発の大きな課題は、長寿社会に対応した町づくり、それから環境、省エネルギー、省資源といった町づくりが大変重要であろうかと思います。特に今後は、ストック社会ということが言われておりますけれども、長期の耐久性を持つ都市住宅をつくるということが大変重要でありまして、このために現在、長寿命、高耐久、いわゆる百年住宅と申しておりますけれども、これを目指しまして、躯体と内装を分離したスケルトン・インフィル住宅開発ども試みておりまして、住宅産業の発展に寄与してまいりたい、このように考えているわけでございます。  これからの公団の機能に、いろいろ社会的、経済的要求があろうかと思いますが、この中にいわゆる緊急時対応ということがあろうかと思います。さきの阪神・淡路大震災の復興事業において公団が果たしてきた役割、さらに最近では、都市における土地の有効活用事業という面におきましても機動的に対応をいたしてまいりました。こういった緊急の政策課題にも機能してまいりたいというふうに考えております。  新公団におきましては、御指摘のこれまで培ってきたノウハウ、技術力を生かしまして、新たに必要となる先進的な技術を開発いたしまして、民間とも共同して政策的使命にこたえるということを実施してまいりたい、そして安全で安心できる美しい町づくりというものを目標に積極的に取り組んでまいりたい、かように考えているわけでございます。
  13. 脇雅史

    脇雅史君 業務の中身、「目的」の第一条のところにあるわけでありますが、簡単に言えば三つありまして、市街地整備改善、賃貸住宅供給及び管理、そして根幹的な都市公園の整備という三つの業務があって、それぞれの三つの仕事というのは「大都市地域その他の都市地域」で行われると、こう書いてあるわけであります。  多分、大都市地域その他の都市地域というのは地理的な概念だと思うわけでありますが、どの辺までが入るのか。簡単に言えば、今まで公団がおやりになってきたような都市はみんな入るのかなという気がするわけでありますが、私のところは入らないのじゃないだろうかと心配している方もあるいはおられるかもしれませんので、いろんな需要に応じてやられるということでしょうけれども、あらかじめそういったことが特定されているのかどうか、お考えを伺いたいと思います。
  14. 那珂正

    政府委員那珂正君) 「目的」の中にあります「大都市地域その他の都市地域」についてでございますけれども、今先生まさに御指摘いただきましたように、これは例示として申し上げますと、三大都市圏や政令指定都市及びその通勤圏というようなところが代表的な例として挙げられるかと思いますが、「目的」の記述等から見て、都市人口とか産業が集中した結果いろんな都市問題が生じて、秩序ある都市形成を図るためにその基盤整備が必要な地域というようなやや抽象的な表現で非常に広くとらえておるところでございます。  実際の業務につきましては、それぞれ新公団が行う予定となっております業務の種類に応じて、個別具体的に予算等におきまして一定の範囲を限定していこうと、こういうふうに思っております。
  15. 脇雅史

    脇雅史君 簡単に言えば、それぞれの業務について優先順位の高いところからおやりになるということなんでしょうが、なかなか優先順位といったものもこの種のものについてはつけにくい部分もあろうかと思いますので、いろいろな住民の方々の御意見であるとか公共団体の御意見とかさまざまな方々の御意見を聞きながら、的確に進められるように努力をしていただきたいというふうに思います。  業務の中身で賃貸住宅があるわけでありますが、日本住宅が主として持ち家政策で、持ち家志向ということに偏ってきたというのは事実だと思うわけであります。先ほど総裁も言われましたけれども、人が生まれてから死ぬまでに一生同じ家に住み続けるというのはむしろ不合理なので、それぞれの家族構成、状況に応じて住みかえていく、ヤドカリではありませんが、そういった思想も我が国においてこれから少し根づかせる必要があるのではないか。民間の方に賃貸住宅をお任せしておけば、商売になるところからしかやりませんから、そういう市場がなかなか形成されにくい。むしろ、公的なセクターがそういった市場をサポートしてやる必要があるのではないかなというふうなことも思うわけでありますが、ここで言っておられます「賃貸住宅供給及び管理」という概念にそういったことが入っているのかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
  16. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今後、新公団供給していく賃貸住宅についてでございますが、一口で申し上げますと、都心に近い通勤に便利な地域で、居住環境のすぐれた住宅市街地整備と一体的になって良質な賃貸住宅供給していこうというものでありまして、当然その賃貸住宅の主たる需要者は中堅所得層だということでございます。  こういう賃貸住宅というのは、先生指摘のように民間市場においては現実問題として十分供給されていないということから、これまで申し上げておりますけれども、特に国として政策的に必要な賃貸住宅、こういうような説明もつけ加えて説明させていただいているところでございます。
  17. 脇雅史

    脇雅史君 現在既につくられている、存在する賃貸住宅、二百万人の方が住まわれているわけであります。  これまでの質疑あるいは衆議院の質疑の中でも、現実に住まわれている方々の不安に対してどうおこたえしていくのか、そういった質問は数多く出されましたので、私も大体皆様方のお考えといいましょうか答弁はわかっているわけでありますが、やはり現に住まわれている方々が不安に思うというのは、情報が足りないとか、急にこうやって法律ができるときですから無理もないと思うわけでありますが、不安にならないようにこれからもさまざまな形でお考えをお出しいただいて、私がお聞きするところでは、そんなに今までより悪くなるということはないというふうに伺っているわけでありますが、情報を十分に開示していただいて、そういった不安を解消していただきたいというふうに、これはお願いでございます。  それから、業務の三本柱の一つに根幹的な都市公園の整備住宅でありますとか市街地整備といったものは、お金を借りてきて整備して、結果としてそのお金を後から取れるということが考えられるんですが、どうも公園はつくってもなかなかペイしないという言い方はおかしいんですけれども、とりあえずだれか受益者からお金をもらうというのはもらいにくいので、かなり公的な部分が多いんじゃないか、そういった意味でほかの二つとは少し性格の違う仕事ではないか。  直感的に思うのは、お金を借りてつくるのではなくて、どこか公共団体から受託をしてつくるとか、そういったイメージに見えるわけでありますが、この根幹的な都市公園の整備といったものも、どんな場所でどんなぐあいにどういうお金でつくっていかれるのか、公園の実態といいましょうか、その辺もひっくるめてお話を伺いたいと思います。
  18. 伊藤英昌

    参考人(伊藤英昌君) 公園緑地のお話でございますが、都市におきます公園とか緑地というものは、先生御存じのとおり、環境の改善ですとか大震火災時におきます防災の拠点ですとか、レクリエーション活動、また先般の本会議の場でも先生から御指摘がございましたけれども、さまざまな交流を通じてのコミュニティー形成の場としてかなりいろんな機能を持っている公共空地でございます。ところが、その整備の現状というのは大変立ちおくれております。したがって、都市基盤施設としてなお一層の整備が必要だというふうに考えております。なお、公団でございますが、昭和三十年の住宅公団発足以来、良好な住宅宅地供給の一環としてこの整備を進めてまいりました。  それから、今お尋ねの、これからどうするんだということでございますが、これは昭和五十六年の住宅都市整備公団の発足によりまして、今申し上げましたさまざまな機能を持っております公園の整備について、これは自治体からの要請を受けまして、受託を受けてでございますから、財源は自治体の財源ということになります。これを受けて、公団の持っております技術力をフルに活用して整備して自治体にお渡しする、こういうような事業をやっております。  現在、これも先ほど先生の方から御指摘がございましたけれども公団は三十年の住宅公団発足以来、例えば造園ですとか、土木ですとか、建築ですとか、機械、設備、多様な技術陣を抱えております。この技術力を自治体の町づくりの一環であります根幹的な公園の整備活用して町づくりを支援しようと、こういうことでございます。なお、根幹的なという意味は、現在のところ政令で定めるということになっておりますが、四ヘクタール以上ということになっております。  平成十年度まででございますが、全国の三十六の都府県で百八十四の公共団体から、合計いたしますと百九十八の公園の受託を受けまして、設計から工事まで担当させていただいてお引き渡ししておる、こういうことでございます。  今後とも、公共団体の町づくり支援の観点から、これは地方公共団体と密接な連携をとりながらでございますが、重要な都市基盤としての公園の整備を引き続き進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  19. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  一通り聞いてまいりましたが、参考人先生方の御意見にもありましたけれども、これからは市街地、町をさらに大きくつくっていくという時代ではなくて、既にある町をいかに住みよく再編成していくかという時代だというふうに言われました。そういった意味で、今回新しくできる公団の果たす役割といいましょうか、極めて大きなものがあるなということを再確認したわけであります。  いずれにいたしましても、町をつくり直すというのは、口で言うのは簡単でありますが、大変なことであります。手法、お金、いずれも大変なことで、特に住民の方々意見をどう集約していくかといったことは極めて大変なことだろう。現在、大都市では特にコミュニティーがなくなってしまっていますから、だれに言えばいいんだと、てんでんばらばらな意見が出てきてさっぱり収拾がつかないというのが実態だろうと思うわけです。  そういった意味で、新しく町をつくり直していくということ、今後、この公団一つの大きな武器にして建設省に取り組んでいただきたいわけでありますが、その辺の決意につきまして、きょうは最後になってまことに恐縮でございますが、建設大臣から、残り四分ほどございますので、よろしくお願い申し上げます。
  20. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 住都公団総裁を初め、各局長がそれぞれの観点から今日までの公団が果たしてまいりました経過等々るるございましたが、本当に私はそれはそれなりにしっかりとした対策を講じてきたと思うわけでございまして、この委員会におきましても、いわゆる住宅というものが我々国民にとってどういう関係にあるかというようなこと等々も論議をされたわけでございます。  そういう中にありまして、住宅というのは、そういうようなことで、いわゆる公、国というものでもってしっかりとしたものをやっていくということもまた一つの見方でございましょうし、また戦後五十四年たった今日において、住宅に対して個々人の要望、また考え方もいろいろ変わってまいりましょう。  今までは、とにもかくにも住宅を持つということが第一義的でございましたから、これからは、例えば住宅の市場においても中古住宅の分野も出てまいりましょう。それから、先生指摘のように、ただいろいろ物をつくっていくというだけではなくしてリニューアルをしていく、それは地域の整備自体もそうでございましょうし、個々の住宅にしても建て直していくというようなこと、そういう分野もまた考えていかなければならないと思うわけでございます。ですから、今まではいわゆる公的機関の比重が重かったのだろうと思いますが、これからはそこへ民間のポイントも、いささかまたその専門分野を加えていくというようなことにもなってくるのだろうと思うわけでございます。  そういう中で、今度新しく都市基盤整備公団というものができ上がるわけでございますから、本当にこの法案の今審議していることが今後の住宅政策の五十年の第一歩になるわけでございますから、このときに本当に大いに論議をし合ってしっかりとした法律として世の中に出していきたいと思っております。  それともう一つは、何といいましても住宅というものは経済の発展の大きなもの、あるいはまた雇用の場の大きなものでございますから、そういう角度からも大いに努力をしていきたい、そのように考えております。
  21. 脇雅史

    脇雅史君 終わります。
  22. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私は、民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。本日は、私、先輩議員に成りかわりまして御質問をさせていただきたいと思っております。  大きく分けますと二つでございまして、一つは、きょう傍聴でお越しの今住んでいらっしゃる方々、この方々に対してどのようにお考えなのか、そしてまたこれからの方向性というのはどのようにお考えか。今賃貸だけでも約二百万人の方々が住んでいらっしゃる。この方々の保障というものをやはりきちっとしなければならない、こういう必要条件、そういった質問が第一。  第二番目には将来方向。新しい公団ということで、住都公団から基盤を整備する公団ということで審議されておりますが、将来方向としてはどういう方向か、これを若干細かく伺いたいと思っております。  まず初めに、冒頭になりますけれども、よく日本では衣食住という言葉が使われます。生活の三要素として衣食住、これは重要な順番だというふうに考えますが、いかがでございましょうか、大臣。
  23. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私もそう思います。
  24. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これが例えば中国に行きますと食住衣の順番になるそうです。そして、欧州に行きますと住食衣の順番になると言われております。いかがでございましょうか、建設大臣
  25. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私が今答弁をいたしましたのは、並びの言葉はそのとおりであるということで、それは何といいましても食が一であることは私も間違いないと思います。食事がなければ生命を維持できませんから、それはもう一番であることは間違いない。
  26. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 この話は、実は最低限の、いわゆるBHNというんですか、ベーシック・ヒューマン・ニーズのことではないと思うんです、今、日本では、この順番は。私は、今や住食衣の順番になっていると思うんです。つまり、もう飯が食えなくて飢え死にされる方は非常に少なくなっていると私は信じたいし、そう思いますが、いかがでございましょうか。
  27. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) そういう論議は、それもまた当たっておると思いますが、どういう時代が来ようとも食がなければ生命は維持できませんから、食が一番であるということには間違いない。先生のおっしゃるように、食はもう十分足りておるからこれからは住であるという、その表現もまた間違ったことではありません。
  28. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大先輩に本当に偉そうなことを言ってあれでございますが、日本で今例えば学級崩壊、学校崩壊なんという言葉があったり、社会もこれだけ富んでおるのに何か病んでいる、アメリカの病気が何かうつってきている、このように言われておると思いますが、この御認識はおありでしょうか。
  29. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) これは、それぞれの国あるいは国民性あるいは教育制度あるいは宗教上の感覚などもいろいろあるんだろうと思います。ですから、それは国においていろいろ違ってくると思います。  いずれにいたしましても、経済的なものあるいはまた社会的なファッション等々がアメリカに追従しておるといいましょうか、そういう今日までの流れではあったと思うわけでございますが、もう戦後半世紀たった今日からは、そうすべてがすべて先進国の流れに追従していくといいましょうか、そういう流れに行くというようなことはないのではないか。これからは日本独自のもの、それはあらゆる業界、分野においてそういうものが出てくるんではないだろうか、また私はそうすべきだろうと思っております。
  30. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私が申し上げたいのは、日本のことわざ、中国かもしれませんが、衣食足りて礼節を知るという言葉があります。これは皆さんも御案内だと思いますが、実は日本はもう衣食は足りているのに礼節を知っているでしょうか。ますます礼節は悪くなるばかりだと思うんです。つまり、衣食じゃだめだということなんです。残ったのは住じゃないかということを私は申し上げたくてそんな話をしたんです。  先ほど同僚議員の方からもありましたように、住居というのはやはり精神の安定につながりますし、安全、安心ということがこれからの二十一世紀の、先ほど環境というお話もございましたけれども、大事なテーマということで私取り上げさせていただきながら、これから日本は住をもっと重要にした、住食衣なんだという思いでぜひ職務に当たっていただければなと心から思う次第でございます。  それで、住が大事であるということを申し上げた上で、きょう傍聴にお越しの皆様方にもわかりやすく、大臣そしてまた総裁の方からもぜひ御説明いただきたいというふうに思うわけでございます。  現在、二百万人いらっしゃるという賃貸の公団にお住まい方々、年齢で六十五歳以上になられた方が今どのぐらいおありだとお思いでしょうか。
  31. 荒田建

    参考人(荒田建君) ちょっと資料が古うございますが、私ども全国統一の居住者調査をしておりますが、平成七年で世帯主が六十五歳以上の方が一四%おられるということでございます。
  32. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 昭和五十五年あたりはいかがですか。
  33. 荒田建

    参考人(荒田建君) 昭和五十五年はちょっと手元にございませんが、平成二年、今から十年前で見ますと、同じ世帯主が六十五歳以上で八・三%ということでございます。
  34. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 平成二年というのは本当にわずか九年前のことでございますが、今挙げられましたように八・三%で、平成七年ではそれが一四%。私の手持ちの資料では、公団賃貸居住者像の推移、これは公団賃貸住居者定期調査よりということで、若干これは数字が違っておりまして、平成二年で五・七、平成七年は八・九%。先ほど言った昭和五十五年の時点では二・七%であったわけでございまして、参考人が今おっしゃられた方がずっと加速度的に高齢者の方々の入居が進んでいる、そういうことでよろしゅうございますか。
  35. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今、先生お示しの、お手元におありの平成二年、五・七%、平成七年、八・九%という数字でございます。これは、六十五歳以上の老年の方々のお住まい人口比でありまして、私が申し上げたのは世帯主ベースで申し上げました。  そこで、スピードの問題といいますか、確かに公団の入居者がこのところかなりの割合で高齢化が進んでいるということは事実でございますが、全国的にももちろん非常なスピードで高齢化が進んでいる。同じような傾向に公団の入居者の方々の年齢構成でもなっているかと思います。
  36. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 世帯主ベースだと思いますが、高齢の方々にはどのような対策がされましたか。そしてまた、これからされようとしておりますか。
  37. 荒田建

    参考人(荒田建君) 現在高齢化しつつあるわけでございますが、公団賃貸住宅は御承知のように中堅所得者といいますか、先ほどの総裁答弁にもございましたが、中堅所得者、サラリーマン向けにこれまで供給してまいった、しかるに今のような現状だというようなことで、私ども高齢化対策ということになりますと、ハード面での対策あるいはソフト面での対策両方あろうかと思いますが、ハード面の対策では、バリアフリー住宅といいまして、階段の手すりですとか段差の解消ですとか、そういうようなことをここ十年ぐらい前から改良の団地を幾つか指定しまして、そういった住宅の一階部分についてバリアフリーに対応した改良工事を行うというようなことをやっております。  また、ソフトと言いますか入居の関係でいいますと、住宅変更ということで、高齢者の方々が例えば四階、五階に住んでなかなか階段の上りおりに難渋するというようなことが次第に出てまいっておりますから、そういった方々にはできるだけ一階の、あるいはエレベーターがある団地ですとエレベーターのとまる階層にその団地の中で引っ越していただく、こういったこともやっておりまして、そういった対応で高齢化対応を考えているということでございます。
  38. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ソフト面というのか、例えば資金面とか、これもハード面に入るんですか。ハード、ソフトと言われたので、もうちょっとあれば言ってください。
  39. 荒田建

    参考人(荒田建君) 資金面というのはちょっと趣旨がよく私もつかみかねるんですが、今申し上げたのは、ハード面はそういう物の改良をやっている。ソフト面というと、ちょっと言葉があるいは舌足らずだったかもしれませんが、高齢者が住みやすいような形で、住宅変更といいまして、同じ団地の中で一階部分があいた場合に、普通ですと公募して、皆さんから一斉で募集して入居させるということになるんですけれども、そこの団地にお住まいの高齢者を優先して入れるというふうなことをやっているということでございます。
  40. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 年金は何歳から日本では始まりますか、今は。
  41. 荒田建

    参考人(荒田建君) 私もまだ受給していないものですからあれですが、ちょっと間違っているかもしれませんが、六十歳からでしょうか、私も不勉強で申しわけございません。
  42. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 済みません、役割外のことをお聞きしましたけれども、もちろん理事が六十を過ぎているとは思いませんが、つまりもう六十五歳の方々というのは完全なる年金、一部の方は違うかもしれませんが、ほとんどの方は年金生活者の方であるということだと思うんです。ですから、そういった意味で賃金、要は給料が非常に低くなるわけですから、賃貸の補助とかそういうのは考えていらっしゃらなかったのか、そういうことです。
  43. 荒田建

    参考人(荒田建君) 年金生活者はそういうことだと思いますが、特に居住者の方々が一番関心が深い家賃の点でございますけれども、私どもこれまで過去何回か家賃改定を行ってまいりました。そういったときに家賃を一部減額するというふうなことをやっておりまして、具体的には六十五歳以上の高齢者世帯の方々に、家賃改定をして家賃が上がる、そういったときにその改定後の家賃が生活扶助限度額といいまして、生活保護法に定めます住宅手当の額がございますが、そういった額を超える場合にはその額で据え置くというような形でこれまで高齢者の方々の家賃減免に努めてまいっておりますし、いろいろな制度の拡充はこれから行われようとしております。
  44. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 それで十分だとお思いでしょうか。
  45. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今、生活扶助限度額以上に家賃は、高齢者の方々一定の低所得者ですけれども、上がらないと申し上げました。  それで十分かとのお尋ねでございます。先ほど来の流れで高齢化がだんだん進んでいる、年金の問題もあるというふうな流れでお答えいたしますと、私どもも決してそれが十分であるというふうには考えておりません。  このたび新しい法案で家賃の考え方が新しくなりますけれども、建設省、国の方においてその家賃改定に伴って家賃が上がる場合に備えまして、低所得高齢者について家賃を減額するというような新しい補助制度を設けていただきましたので、今後はその補助制度を活用いたしまして、できるだけ低所得高齢者の家賃の負担軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 端的にお伺いしますが、今六十五歳以上でお住まいの方がいらっしゃるとします。同じところで、今度新公団になって算定方式をお変えになるわけでございます。そのときに、端的に申し上げますと、家賃は上がりますか下がりますか、六十五歳以上の方で、所得は同じとします。
  47. 荒田建

    参考人(荒田建君) 家賃は、新しい法律によりますと、空き家家賃と継続家賃と二つございますが、継続家賃の方でいきますと、実はまだ新しい家賃改定ルールを部内で検討中なものですから、そのルールがはっきり確定しませんと確たることは申し上げられないと思います。  ただ、家賃そのものは市場家賃基準でやりますから、入居者の属性といいますか、例えば年齢ですとか収入ですとかそういったものによって決める体系ではございませんので、あくまでその住宅の持つ客観的な市場価値といいますか、そういったもので決めるものですから、家賃そのものは年齢で決めるということではございません。  したがいまして、お尋ねは多分家賃が上がるか下がるかというようなお話だったろうと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、市場家賃に準拠いたしましてルールをつくってやっていくときに、継続家賃でこれまでずっと低目に毎回毎回抑えてきていますから、上がる部分も多うございますけれども、今日のような右肩下がりの状況下になってまいっていますから、あるいはそのルールによっては下げなければいけないものも出てくるのではないかというふうに思っております。
  48. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 家賃のお話で、お仲間の皆さんがつくっていただいた資料がございます。(資料を示す)  つまり、バブルの崩壊以降、若干というか大いに下げた、二〇%ぐらいは下がったという資料がございます。しかしながら、こういうグラフでかいてみますと、要するに相関性が余りないわけです。物価が大体横ぐらいで、消費者物価というのは最近は余り上がっていません。それに対して土地の値段は御案内のように最近はPKOで、プライスキーピングで若干下げどまっている感が大都市圏を含めてあります。下がっています。それに比べて家賃というのは、どちらかというと相関性で言うと右上がりなんです、このいただいたグラフなんですが。若干最後のところで落ちておりますけれども、それでも物価の上がり方から見ますと、家賃の上がり方の差があるんじゃないか。つまり、上がり過ぎているんじゃないかというような感じがあるんです。ちょっとそれを伺います。
  49. 荒田建

    参考人(荒田建君) 先生のお示しのグラフはそのとおりだと思います。一方で、消費者物価はここのところ余り上がらない、地価は大幅に下がっているというふうなことでございますが、所得が少し上がってきて、最近はまた所得が少し下がっているというふうなことで、経済状況、社会状況、いろんな状況で家賃が決まってまいります。  一般的に言いますと、家賃というのは、新しく設定される部分ももちろんございますけれども、いわゆる粘着性といいますか、いろんな物価が上がっていくときに家賃はそんなに極端には上がらない。ただし、下がっていくときもなかなか下がらないということで、継続してずっとお住まい方々が多いものですから、家賃というのはどうもそういう経済指標に敏感に反映して上がり下がりするというふうな状況ではないと理解しております。
  50. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 全く解せません。そんなことあるわけないじゃないですか。僕は余り厳しい言い方はしたくないと思ったんですが、都心の家賃がどのぐらいになっているか知っていますか、参考人。都心の家賃なんか激減ですよ。それを上がり下がりないなんていうのは、ちょっと常軌を逸した発言としか思えません。
  51. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今、私は継続してお住まいになっている方々の家賃のことをちょっと念頭に置いて申し上げたつもりなんですが、先生おっしゃるように、新しく供給される都心部を中心とする家賃はバブル崩壊後かなり下がっていることは事実でございます。それはそのとおりでございます。最近、少し下げどまりがあるかなという感じはありますけれども、そこは先生おっしゃるとおりでございます。
  52. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ですから、私が申し上げたいのは、国家と市場の役割、今、市場市場と、取ってつけたようにいいところだけ市場と言うんですよ。いいところだけ国家の役割というか公団役割と、こう言われるんです。大臣、お願いします、ちょっと聞いていていただきたいんです。  だから、総裁、ぜひお願いします、役割はこうなんです、市場の部分はこうなんですというのを明確にしないと多分皆さん納得できないと思うんです。やたら下げりゃいいというわけじゃないんですが、やはりいいとこ取りでは本当に困ってしまう。特に、高齢化環境対策というお話があったわけでございますので、ぜひ高齢者の方に、そしてまた母子家庭の方とか当然ながら生活保護の方とか、言葉は私は好きじゃありませんけれども、そういういわゆる社会的に困難のある弱い立場の方々にきちっと安心を与える。総裁また大臣、お二人ともそれはぜひお約束いただけますね、お願いします。
  53. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) そういうシステムは、例えば年金だけで生活されている方で継続して入られる方等々に対します、いわゆる弱者に対します対策というのは、後ほど局長からきちっと答弁させますが、それはできておりますので、先生の御意見の御趣旨は私も十分理解できます。  私は、今日まで質問の先生方の心を心として前向きで答弁をしておるんですが、時々誤解されて転がされることがあるものですから、最近はもう少し厳しく答弁をしようと思っておりますので、そのあたりは局長から答弁をさせますが、先生の考え方と全く私は同じ方向を向いて考えております。
  54. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先生も御指摘になりました市場と国家といいますか、政策の役割分担のことですが、当新公団に即して申し上げますと、家賃の決め方について、従来の原価主義という考え方から市場の動向に応じて、具体的な法律上の文言としては近傍同種住宅の家賃という言い方をしておりますが、その近傍同種住宅の家賃に準拠する、そういう基本とする考え方をまずベースといたします。それが新しい公団は市場の動向に沿って供給していこうという基本でございます。  しかし、先生指摘にもなりましたけれども、現実に相当数の高齢者の方々が現公団住宅にお住まいになっている。そのうち相当数の方々がいわゆる公営住宅階層、低所得高齢者の方々あるいは母子家庭、心身障害者の方々、そういうようないわゆる弱者の方々も相当いらっしゃるというような現実を見まして、それらの方々については家賃が上昇する場合には極力抑制したい、すべきだという観点から、大臣が今申し上げましたように、このたび財政資金をそこに投入いたしまして、具体的に申し上げますと、家賃改定の際にも新しい市場家賃とそれから公営住宅並み家賃の中間まで減額する、またその現状家賃が高ければ現状家賃まででございますが、そういうようなことによって、まだ個別には試算が完了しておりませんのですべてと申し上げるわけには今いきませんけれども、相当程度の部分、家賃が上昇しないような措置をそういう方々にはとる、これは政策として措置することといたしております。
  55. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今のことは、今現在ある施策で法的な措置がされているんですか。
  56. 那珂正

    政府委員那珂正君) 法的な措置については、新公団法によって家賃の減額規定が明確に位置づけられております。それから、実際問題、予算上の措置としては平成十一年度予算に盛り込んだところでございます。
  57. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 続いて家賃でございますが、大体どのぐらいの所得の方々の何%ぐらいを家賃で負担できると、負担率のお話でございますが、どのようにお考えでしょうか。
  58. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) ただいまの負担率の点でございますが、平成七年六月十六日の住宅宅地審議会の答申におきまして、中間所得者層の家賃支出の目安は収入のおおむね二〇%とされているところでございます。
  59. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 中堅所得者層というと、所得分位だと第何分位ぐらいのどのぐらいでしょうか。
  60. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 所得分位で申しますと第三分位に入るわけでございますが、平均的な所得を考えますと、第三分位の上位になろうかと思っております。
  61. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうすると、第三分位の中位は年収が約七百二十万ということでよろしゅうございますか。
  62. 荒田建

    参考人(荒田建君) 全国の勤労者ベースでいうとそういう数字になります。
  63. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうしますと、二割だと月収六十万の二割で十二万円というのが適切というふうに考えられるわけですね。
  64. 荒田建

    参考人(荒田建君) 大体そのとおりでございます。
  65. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ちょっと恥を忍んで言えば、私は家賃八万円のところに住んでおります。十二万円というのは、私の故郷の豊橋では大変高い住居になるわけですが、そのような御認識はおありでしょうか。
  66. 荒田建

    参考人(荒田建君) 非常に難しい質問なんですけれども、地域によって当然供給市場が違ってまいりますし、家賃もそれぞれ違ってくると思いますが、私どもとしては全国の勤労者で中堅所得者層ということを政策のターゲット、もちろん高いのも低いのもございますけれども、おおむねそういったところを大宗としてターゲットにして供給をさせていただいているということでございます。
  67. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今公団に入っていらっしゃる方々平均の年収というのは大体どのぐらいとお考えでしょうか。
  68. 荒田建

    参考人(荒田建君) ちょっと古うございますが、平成七年度の定期調査の結果によりますと、賃貸住宅、主な働き手の年収で五百十二万という平均が出ております。
  69. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私がいただいた公団による定期調査、この推計された平均年収が五百九十五万ということで若干離れておりますが、独自の第五回団地生活住まいアンケート一九九九年に見られるこのアンケートで推計される平均年収は四百六十七万円というふうになっております。この差というのは統計上の誤謬と言えますか。
  70. 荒田建

    参考人(荒田建君) まず第一に、私どもは先ほど申しました平成七年の数字で、全国的にやっていますから、それで申し上げました。それで、居住者団体の方でお調べになったのはつい最近の時点でございますから、一つ時点が違うというのがございますし、それからアンケート調査でございますから、対象となる地域といいますか団地といいますか、これが必ずしも両方で突合していない結果そういう乖離が出ているものと想定いたします。
  71. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私もそう思います。そんなに違うのは、例えば有意水準九五%ぐらいでやっても標準偏差の差以上にありますので、これはちょっと当たっていない。つまり、このアンケートのとり方が残念ながらちょっと正しくないというふうに私は判断しますが、いずれにしましても五百万ぐらいなんです。そのぐらいの方々が多いということであります。  同じような給与の分位別のこの表で見ますと、昭和五十五年の調査のときには第三分位である。このときは三百六十五万から四百六十万がいわゆる中間層、第三分位に当たりました。これが三一%でいわゆるモードでございます。最も多い方々。このモードが昭和六十年から第二分位に下がります。そしてまた、平成二年でもいわゆるモードが二六%に、第二分位に下がります。そして平成七年の調査では、私の公的資料によっては第一分位が相当、モードが二下がります。つまり四百万までの層が二八%、これが最も多い給与の方々だというのがあるわけなんです。  ですから、重ねてお願いというか、まだ賃貸家賃の決定方法については現在審議中であるというお話でございましたけれども、やはり今言われたように、都合がいいときだけ市場市場と言って、それだったら公団は要らないわけですよ、市場に任せておけばいいわけですから。ですから、国家の役割として、安心して住めるというところを、どこのところへ持っていくかということを総裁また建設大臣にお願いしたいと思いますが、大臣、傍聴の方もいらっしゃいますので、もう一度ぜひ強いお言葉をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生のそのお考え方は全く私も同感であります。ですから、特に弱者の方々に対します対策というのはきちっと今後ともやっていくと思いますし、またそういう方向で指導をしていきたいと私は思っております。
  73. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございました。  ちょっと言うのを忘れましたけれども、住居費負担の推移というので、これは第七期住宅審議会中間報告の答申です。公団が二割というふうに言われたんですが、持ち家の方でもこの表で見ても一四%以下なんです。民営の借家は大体平均しましても一三%ぐらいなんでございます。ですから、それぐらいにおさまるように、今大臣おっしゃった方向でぜひお願いをしたいというふうに思っております。  それでは、続きまして、将来方向ということでございます。  これから新しい都市基盤整備公団というのができるのであれば、どういう方向に進んで、何をしていくのか。ミッションステートメントということでありますけれども、今賃貸のお話をずっとしながら賃貸の部分を続けていくんだということでありますが、財務体質を見ましても、今の住都公団を清算されるのかどうかわかりませんが、今までのような形では収入のうち半分は借財に消えるというような状況ではないかと思いますけれども、どのように方向転換をしながら、何を求めていくのか、大臣にぜひ伺いたいんです。
  74. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新しい公団役割、使命ということでございますが、再三御説明申し上げておりますけれども、現在の我が国都市状況、なかんずく居住水準状況等を考えますと、新しい政策的に必要な賃貸住宅供給と、それから良好な環境市街地整備という二本柱で都市構造再編という課題あるいは住宅居住水準向上という課題に取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。  その過程で、賃貸住宅につきましては、一口で申し上げますと、先ほど申し上げましたけれども、都心に近い通勤の便利な地域で、環境のすぐれた住宅市街地の形成と一体的に規模の大きい良質なファミリー向けの賃貸住宅供給していこう、それはいわゆる中堅所得層がその需要対象の中心になろうと、こう思っているわけでございます。  もう一つ市街地整備でございますけれども、これも都市の中には例えば災害の危険性の高い木賃密集地域とかあるいは低未利用の地域がまだまだ相当散在しておって、健全な都市活動、都市生活に非常に支障を来している。こういうことについて新しい公団はすべて何でもかんでも、またできもしないのにやるということではなくて、基本的には民間にお願いしたいんだけれども民間ではどうしてもできない、例えば公共施設等の基盤施設あるいは敷地を整序していくというような非常に手間暇のかかること、こういうことをあえて行うべきであろうと、政策としてそういうふうに思うわけでございますが、そういう二本柱を新公団の業務の中心に据えて進めていこうということでございます。  したがいまして、民間でできないことをやるということと、必然的に経営上の問題というのは現在までの住都公団としての経営採算以上に大変難しい事態も予想されると思います。でありますので、今まで以上に経営採算面について、必要な財政措置ももちろんですけれども公団の経営者の方々あるいは職員の方々にそういう経営マインドというものを今まで以上にしっかりと持っていただいて、そういう公共性の使命の達成と経営採算の確保、難しい両面を成り立たせるような努力をしていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  75. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 要するに何でもするということでしょう、今のお話だと。中間所得層の方々に対してとか軽微なところにとかいろいろ言われるわけですが、これは何でもやるということじゃないんですか、何となく。総裁、ぜひちょっと。
  76. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 先ほどからの先生のお言葉に対しましても含めて、ちょっと御意見を申し上げます。  私は今住都公団の現場をお預かりしているわけですが、当公団に四年前でございますが参りまして、いろんな批判が大変各方面から寄せられておりました。そこで、この公団は法律に基づいて設立されている特殊法人でございますから、自然人とか民間の会社とは違うわけでございますので、やはり国民から期待されるものもあって法律で命を与えられている。としたならば、確かに先ほど来いろいろお話し申し上げましたように、昭和三十年以降の当公団実績の中には胸を張っていいものがあるとは思います。しかし、以降四十四年を経た今日ただいまの現在で考えますと、また先ほどのあれには影と申し上げましたが、問題点もある。そこで私どもも、当然政府の方の御指導もありましたが、実際に事業をやっております私どもの内部でも非常に真剣な検討をしました。  それで、その際に私どもの今後の仕事はどうあらねばならないかというときの大きな考え方の一つは、民間住宅産業も非常に育ってまいりましたから、昭和三十年代というのは、先ほど言いましたような耐火構造集合住宅は八割は公団製、二割が民間でございました。ところが今は全く逆転で、ちょうどその二、八が逆になっております。そういうぐあいに民間住宅産業も育ってまいりましたので、民間にお任せして完全に大丈夫だというところは手を引こうというのが一つの考え方。  それからもう一つの考え方は、これも毎度申し上げておりますが、日本国民が数年以内にピークアウトして、人口が減っていこうと。この少子高齢化、あるいは民族の大移動とも言えるような地方から大都市への人口の大移動というのも終わっている。こういうことを率直に踏まえて我々の仕事を考えたら、今後は都市の外延的な拡大はやめて、一言で言えばもう都市へ戻ろう、今の都市です、これ以上大幅に、例えばニュータウンを山野をつぶして造成していくというようなことはやめよう、この辺の二つの考え方で仕事を進めていく、こういうことでございます。  それで、先ほど先生が市場家賃との関連で、そういうふうになるならば全く公団は要らないんだよとおっしゃったような気がいたしますが、誤解かもしれませんが、私はそんなことはないと思います。そういう家賃で国民の方が本当に希望されている住宅が、本当に全部民間の方がおやりになるというならそれはまたそのときの時点で議論すればよろしいわけですが、これは当委員会あるいは衆議院の委員会でも参考人質疑でも、私たちもテレビ等で拝見しましたけれども、要するに民間の方自体がそういう中堅所得者層向けのようなファミリー賃貸住宅を土地を買ってまで提供することは我々では困難だからやらないとおっしゃっているわけです。  ですから、私はそういう需要があり、それにこたえるのが、もちろんこれは私どもが考えてもだめなんで、国の住宅政策として必要だというならば及ばずながらその一部を担当させていただきたい、こういう思いでいますから、今後のことについてはまた御質問を。
  77. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大変力強い御答弁をありがとうございました。  ただ、今こう考えて、私は、委員方々のうちでアメリカやヨーロッパに住んだことのある方はぜひ手を挙げていただきたいんです。そういうのっていいんですか。ちょっと手を挙げていただけますか、どのぐらいの方がいらっしゃるか、公団の方で、アメリカ、ヨーロッパに一年以上住んだことがある方。──挙げていただけないんで、いないとは思いませんが、まあ半分以上の方かもしれませんが。私、一年ちょっとでございますがアメリカに住んでいて、ワシントンの近くのバージニアに住んでいまして、日本に帰ってきたときに本当に劣悪な住環境だなというふうにつくづく思ったんです。  今、総裁が力説されたように、これからの新しい公団役割、それから今までの、もちろん今までも大変なお役目を果たされて、住んでいらっしゃる方が二百万人も賃貸だけでいらっしゃるわけですから、そしてまた例えば分譲においても、私も知っています。道幅も民間より広いです。ですから、通行もしやすい、安全も確保されています。その辺ももちろんわかった上で私申し上げたいのは、今私がかかわっている、例えばベンチャーの皆さんがやっている賃貸の状況というのは御案内かということをちょっと僕伺いたいんです。  どういうふうな方法で、例えばこういうことなんですよ。集合的に賃貸住宅、一戸建てを建てるんですけれども、独身のときはこのぐらいでいいでしょう。その横には、夫婦になったらこのぐらいの広さで、ファミリーになったらもう少し広くというのを工夫して、だから全体を分譲のような形でレンタルして、それを大体六万円、七万円のお金でやっているんですよ、苦労しながら。  そういう事例というのは御案内ですか、総裁は。
  78. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 全部存じ上げているわけではございませんが、私のところにもそういう事業をされている方も見えますし、そういう今先生がおっしゃったような工夫の話も聞いたことはございます。  そこで、これまた質問の先取りになってしまうのかもしれませんが、先ほどから繰り返し担当理事等が申し上げておりますのも、それから冒頭私が脇先生の御質問に答えましたときに、ライフスタイルというかあるいはお住まいの方のライフステージと言った方がいいのかなという言葉をたしか申し上げたと思います。そういうことに応じて移り住めるといいますか、そういうふうなことも今後は大いに検討していかなきゃいかぬ。  そのときに、理想的に言うならば、壁というのか、間仕切りとか何かを全部がちがちにしておいてというとなかなか実際は難しい面もあるので、その辺も、もちろんこれは長い時間がかかると思いますが、今スケルトン・インフィルを検討しているということも申し上げました。そういうことで、私どもはやはり今後、国民の方が本当に望む賃貸住宅を先駆者の道として模索していかなきゃならぬ。もちろんその際に、主たるねらい目というかは、現に民間の方も供給しづらいとおっしゃっている広めのファミリー向け、中堅所得者層であることは間違いございません。しかし、多種多様な方がお住まいであることも事実ですから、高齢対応のような話も担当理事がしましたが、もろもろそういうことも考えながらよりよい賃貸住宅群を形成していきたい、かように考えております。
  79. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 聖書にも、先の者が後に行き、後の者が先に行くなんという言葉があります。今先駆者というお話がありましたが、確かにそうだと思います、昭和三十年。しかし、今はちょっとおくれているんじゃないかなという感じがするんです。ですから、総裁が今そういったベンチャーというか新規の住宅建設業者の方々ともいろいろお話を聞きながらというお話はすごく私もありがたい、そしてまた新しい発想をお持ちの総裁だな、すばらしい方だなというふうに改めて思い、建設大臣もどんどんそういうお考えを取り入れていただきたい。  大変なんですよ、彼らは今不景気で。都市計画道に六メーター接していなきゃいけないからというので、つながったあれで住宅をつくるんですよ。六メーターだけあれしまして、一戸の住宅みたいにして、それを割っていくみたいな、それで安く出していったり、いろんな手法を、法律の不備、こういったものをかいくぐりながら頑張っている方々があるということでありまして、私も今そういったお言葉総裁が聞いていただいているというのは大変ありがたいなというふうに思うわけでございます。  続いて、やはり安心というテーマでお話しさせていただいたものですから、今後の公団はどのようになっていくかという中で、例えば向こうの国会議事堂の本館の方は昭和十一年に完成でございますね。昭和十一年ということは一九三六年でございます。ということは六十三年たっているということでございまして、もう堂々たる建築。  そしてまた、先ほど来参考人の方がおっしゃいましたように百年住宅、これは民主党も声高に言わせていただいております。要はセンチュリー、百年もつ住宅を目指してということでございますが、百年もつとすれば、これは当然ながら家賃も安くなるんです。リペア、リペアして百年もつ。今までは、例えばRCでできたのだったら償却は四十年が限度である。それが百年もつとなれば、当然ながら償却のコストも下がるわけでございますから家賃も安くなるという論拠だと思いますが、そのように考えてよろしゅうございますか。
  80. 荒田建

    参考人(荒田建君) 償却年限が長ければ長いほど家賃は安く、回収する原価は安くなると思います。
  81. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これからは安い家に住めるようになると。ありがとうございます。私も本当に希望する次第でございます。  先ほど総裁がおっしゃったように、そのエリアで、やはり人、物、金と言いますが、物、金と人というのは全然違うんです。経済の三要素、人、物、金。物、金というのは自由自在にポケットに入れたり、飛行機の荷物置き場にぼんとやったりして移動できるんですけれども、人というものはボーダーレスエコノミーの中でボーダーフルだということを、つまり国境を越えて移動する場合というのはよほどの覚悟で、ですから日本に来ていらっしゃる日系ブラジル人の皆さんというのは決死の覚悟で来るわけでございます。もっと言いますと、サケが同じ川に上っていくように、その町に住んで、その町で老いを迎えて、そしてまたその町で死を迎えるというのがこれからの安心な生活だという思いを私は持っております。もちろん、移動したい人はどんどん移動すればいいんですが。  ですから、そういう意味で、総裁が今おっしゃったように、一つの町の中に公団が分譲したりまたは賃貸で貸し出しているところがあって、そこはもうまさに二十一世紀の日本というのはすばらしいところだなというところになって、ここに住んで、ちょっと手狭になったな、うちなんか三人も子供がいるものですから、今度はこっちへ移動してというようなフレキシビリティー、柔軟性があることを本当に心から期待するわけでございます。  もう一つありまして、ちょっと提案でございますけれども職住一体という話は先ほども聞こえましたが、こういうのはどうでしょうか。  例えば、フランスなどへ行きますと、リゾート地に公営のマンションというのかアパートというのかがあって、ちょっと一週間そういうコンドミニアムで休もうなんということができるんですが、例えばそういう演出をしていくとか、または今リゾート地に建っているものが不良債権化しているならばそういうのを買ってということはされているんですか。私も、ライフスタイルの演出ということで、ウイークデーは職住一体に近い形、だけれどもウイークエンドは公団のすばらしい二十一世紀型のそういうところにちょっと一週間だけいようかな、別荘を持つなんというのはもってのほかだと思っていますから、そういうことを思っておりますが、総裁、いかがですか。
  82. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今公団は、リゾート賃貸住宅というんでしょうか、そういうものを用意しているわけではございませんけれども、基本的に、先生指摘のように、本来豊かな生活ということを考えるならばいろんな居住形態があってしかるべきだと、こう思うわけです。その幾つかの選択可能な居住形態の一つとして、新しい時代一つとして週末居住型の住宅というんですか、そういうものがもっと整備され、利用されやすくなれば、それはいい方向だな、こう思うわけです。  昨年六月に議員提案の形で優良田園住宅の建設の促進に関する法律が整備されまして、施行されました。それに基づいて、私どもとしても地域ごとの地元の公共団体等と連携いたしまして、とりあえずは一戸建て住宅というようなことになっているわけですけれども、そういう郊外型の週末居住なんかも本当に豊かに楽しめるような、そういう基礎づくりを少しずつ政策的に考えていきたいと思っております。
  83. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 本当に長々ありがとうございました。  我が党は、とにかく今住んでいらっしゃる方々の安心を守り、そしてまたむだなところを省いて、将来宝となるインフラづくりはどんどんやっていただくという前向きな政党でございますので、それだけは御認識いただきまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  84. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  85. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤雄平君及び木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として松崎俊久君及び櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  86. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、都市基盤整備公団法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございますけれども、私は、先日、賃貸住宅の家賃の問題、建てかえの問題、さまざま質問させていただきまして、引き続き御質問させていただきたいことが少し残っております。それから、事業の見直し等についてお伺いしたいと思うんです。  まず、午前中の質疑の中で、大臣の御答弁でちょっと私はこのまま聞き過ごすというか逃すわけにはいかないんじゃないかな、こういう部分がございました。  大臣がこの委員会の雰囲気で非常に思った答弁をされる、本当に当然のことだし、どんどんやっていただきたいな、このように私は思っておりますし、別に答弁書のとおり答える必要もない、このように思うんです。だから、本当に積極的に答弁をしていただきたいと思うんですけれども、ただ、その答弁されたことに対しては、発言に対してはやはり責任も持っていただかないといけない、これは当然のことだと思うんです。  午前中の質疑の中で、木俣先生でしたか、いろいろ前提はありましたけれども、このままだったらこういう公団は要らないんじゃないか、こういう質問に対して、大臣は全く同感ですと言われたんです、全く同感だと。いや、そんなことを言われたんだから。いろいろ前提はありました。  ただ、その前提はいろいろ詳しく書いてはおりませんけれども、要するに、応能家賃的な、公営住宅的な意向の公団でないとそういう公団は要らないんだと、それに大臣は同感だとこう言われた。我々は、七十四万戸の、そしてまた二百万人の方が今の公団の管理のままで、ただ中堅所得者対象であるけれども、第一、第二分位が七二%を占める、実態的にはそうなってきた。  では、その住宅家賃の設定だとか、また変更に当たっては本当に居住者にとって負担にならないようにそういう十分な配慮をしなければならないとか、また高齢者や障害者、そういう方に対しても十分な施策をしないといけないとか、建てかえに当たってはこうだとか、公団が管理をしていくという前提のもとにそれをもっと充実させた、今入っておられる方が本当に納得のいくようなそういう公団であってもらいたい、こう思うからこそ前回からもずっとこうして質問しているんじゃないですか。  それが公営住宅に移管してもいいような話であれば、大臣は公団の基本方針を決められるわけですから、新しい公団公営住宅をやめる、こういう方針をとればいいじゃないですか。先ほどの答弁だったらそういうことになるわけですから、そこをちょっと答弁していただきたいと思います。
  88. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私は公団は要らぬなんて一言も言ったことはありません。
  89. 弘友和夫

    弘友和夫君 いや、一言もと言ったって、質問のときに公団は要らないじゃないかと言ったんですよ、そうしたら全く同感ですと言われたんです。
  90. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) それは、私はそんなことを言っておりませんし、もし文脈がそういうふうになっておるならば、それこそ前段の質問の内容を聞き間違ってそういうようなことを言ったんだろうと思いますが、公団を要らぬなんて夢にも思ったことはありません。
  91. 弘友和夫

    弘友和夫君 総裁、どう聞かれましたか、あのときの答弁は。
  92. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 木俣委員のたしか割と長い御質問の中に、もしこういうことであるなら公団は要らないというときに、今度の法律で市場家賃化する、そういうことであれば要らぬだろうというふうなフレーズが確かにありまして、ただ、ちょっと不確かかもしれませんが、全体のトーンはそのことを問題にされた御質問ではなくて、大臣はだから全体のことにお答えになった。私は、多少差し出がましかったんですが、その点は大変気になったものですから、あえてその後で手を挙げて御答弁させていただいて、私は市場家賃化しても公団住宅の存在が必要ないというふうには思っておりませんと、理由も申し上げましたが、ということでございますので、あわせて御理解していただきたいと思います。
  93. 弘友和夫

    弘友和夫君 大臣は、そういう意識は全然ないから、あって言ったら大変なことになると思うんです。だけれども、そういう前提のもとに質問をされているわけです。それで、市場家賃化したり応能家賃でいくべきじゃないかという、そういうニュアンスだったと思うんです。  だけれども、我々は、先ほど言いましたように、あくまでも二百万の入られている方も、今のままの、要するに公団の管理のもとにやってもらいたい、ただ、それはきちっとした、充実した、家賃の改定にしてもそういう高齢者等の配慮にしても建てかえにしても、実態として本当に配慮をした公団のやり方をしてもらいたい。だから、苦労していろいろ御質問させていただいているわけです。  それを要らないと言うんだったら、最初から公営住宅と一緒にすればいいじゃないですか。そういう論法になるんですよ。公営住宅と一緒に管理をせいという、そういう理屈もあるんですよ。そうした方がいいじゃないかと言う人もいるんです。だけれども、住んでおられる方は、そうじゃないんだ、今のままやってもらいたい、だけれども内容を充実してもらいたい、こう言っているから、我々は一生懸命それに対してどうなるんだということを質問させていただいているんですから。  何かもし御答弁されることがあるんだったら、なければ次に移りますけれども、ございませんね。ぜひきちっと答弁には責任を持ってやっていただきたいな、このように思います。  次に移らせていただきたい。  先日、少し積み残してきた問題について質問させていただきますけれども、現行行われている傾斜家賃制度について、原価主義から市場家賃化というものになりますけれども、傾斜家賃制度については新公団はどのようにお考えなのか、お尋ねします。
  94. 荒田建

    参考人(荒田建君) 現行の傾斜家賃制度についてのお尋ねでございます。  その前に、先般、私は、先生への御答弁のときに、市場家賃が変わらないと公団家賃は変わらないんだなということで空き家家賃のケースだけを答えましたが、空き家家賃の場合はもちろん変わりません。ただ、継続家賃につきましては、現在検討しているルールでいくといたしますと、近傍同種家賃と支払い家賃の間に差があれば、その二分の一以下の範囲で改定が行われるということになりますので、一言補足させていただきたいと思います。  さて、傾斜家賃制度の取り扱いでございます。  公団家賃を近傍同種家賃を基準とする体系に改めることになりますけれども、これは新規と既存の賃貸住宅に分けて整理したいと思っておりまして、新規に供給する賃貸住宅の傾斜家賃は新公団設立以降供給するものから廃止したいと思っております。既存の賃貸住宅の傾斜家賃は、何万戸かありますけれども、これは家賃改定時に原則として廃止したいというふうに考えております。  なお、その際、現在傾斜家賃適用中の入居者にありまして、現行の傾斜家賃が近傍同種より下回っている場合は、経過措置といたしまして、近傍同種家賃まで家賃がすりつくまで低いところで傾斜を存続するということで考えております。
  95. 弘友和夫

    弘友和夫君 続きまして、この間なかった建てかえと住戸改善の関係なんですけれども、先ほども百年住宅の話が出まして、私は、ストック活用だとかリサイクルだとかそういう建設廃材の問題、いろんな点から、建てかえの場合に、一律除去して建てかえる、すべてを除去して建てかえるという考え方は再考した方がいいんじゃないか。  先日来もいろいろ議論をさせていただきましたけれども住宅政策の中でも中古住宅の問題だとか、その中古住宅をやっぱりストックとして生かしていくという部分が必要なんだという論議もさせていただきました。そういう中で、建てかえた方がいい部分と住戸改善をした方がいいとか、例えば建てかえより改修の方が効果的な場合は高齢者用のリフォーム改築を行うとか、そういう多様な選択があってしかるべきじゃないのかと、このように思いますけれども、お答えをお聞きしたいと思います。
  96. 荒田建

    参考人(荒田建君) 先生おっしゃるとおりでございます。  私どもは、一方で、古くて狭くなって現在の居住水準から見てなかなか共通の資産として入居者の皆さんに提供するということが、非常に水準が低いというものと、それから、おっしゃるように既存賃貸住宅ストックというのはやはり長い間大事に使わなきゃいかぬ。そういった意味では、何でもかんでも建てかえというのではなくて、先生がおっしゃるように、いろんなリフォームという形をとるべきじゃないかということはおっしゃるとおりだと思います。  私どもは今現在、実は三十年代の古くて狭い団地から建てかえを行ってきておりますけれども、まだ三十年代で相当残っておりますし、三十年代は一応建てかえを原則として考えたいと思いますけれども、四十年代の賃貸住宅、これは四十年といいますともう三十三、四年たつわけでございますが、四十年代の賃貸住宅につきましては、先般予算でお認めいただきました高齢者の優良賃貸住宅制度などを活用するとか、そして一階部分をできるだけ高齢者の方々がお住まいできるように改良をいろいろ施す。あるいはリニューアルといいまして、時代に即応した間取りの変更ですとか設備の改善ですとか、そういったものを四十年代の既存賃貸住宅ストックにやっていきたいということで、先生がおっしゃるようにいろんな手法があるわけですから、できるだけ既存の賃貸住宅ストックというものの活用という考え方をしつつ、しかし、そういうものではもう陳腐化してどうしようもないというものについて建てかえる、そういうようなことになろうかと思います。  いずれにしても、多様な選択の中でいかにしていい賃貸住宅に皆様にお住まいいただけるかという観点から努力していきたいと思っています。
  97. 弘友和夫

    弘友和夫君 よく建てかえのときに、建てかえた方がいいという方ももちろんいらっしゃいますね。ただ、設備は古くなったけれどもこのまま住み続けたいという方もたくさんいらっしゃるわけです。例えば、同じ団地の中で一棟はそういう方のために用意するとか、いろんな多様なことができるんじゃないかと思うんですけれども、何かありますか。
  98. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今ちょっと質問がありました。先生まさに御指摘のとおり、長く住み続けたい、このままでいいからという方々もたくさん居住者の中におられますから、一部残しといいますか一棟残しといいますか、建てかえに着手するときに我々は居住者の方からいろいろ御要望を聞いてまいりますが、そういった方々がたくさんおられるような場合には、一定期間ですけれども一部残す形で、これまでのところにずっと住み続けたいという方々の要望に対応していこうと思っております。
  99. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、これは通告もしていないので、今思いついたことで恐縮でございますけれども、午前中もやっておりました。今までは原価主義です。原価主義の中で、耐用年数というか償却年数というか、何年を想定していたんですか。
  100. 荒田建

    参考人(荒田建君) たしか施行規則にあると思いますけれども、七十年間です。七十年間を家賃の回収期間という形で想定して減価償却しております。
  101. 弘友和夫

    弘友和夫君 七十年間で償却ができるという計算のもとに家賃設定もしてやっているわけですね。  では、三十五年で建てかえますよとなったときには、あとの三十五年間分はどうなるんですか、だれが負担をするのか。
  102. 荒田建

    参考人(荒田建君) 三十五年で建てかえがありますと、あとの三十五年間は当然未償却が残るわけでございます。それをどういう形でやるのかということでございますが、私どもとしては、その未償却残の分を建てかえ事業全体の中で償却できるようにということですが、具体的に言えば、やはり建てかえ後の家賃といいますか、そういった形で回収しなければいけない、こういう仕組みでやっております。
  103. 弘友和夫

    弘友和夫君 建てかえ後の家賃で回収するということは、その三十五年間分の償却の分は新しく入る人に家賃を上乗せしないといけないということになるんですか。
  104. 荒田建

    参考人(荒田建君) 原価家賃という形になりますれば確かに原価を積んでいくという形になりますが、これからは近傍同種家賃ということになりますし、今までも家賃設定するときに、原価を一応基準にはしますけれども、当然他の近傍の公団団地とのバランスはとりながら決めておりますから、そこの分が多少コストアップになりますけれども、そこが上がったからといってそれで家賃を上げるというメカニズムにはなっておりません。  それから、当然のことながら戻り居住者に対しては激変緩和等々の対策をとって、家賃をできるだけ緩和するというような対策でやっております。
  105. 弘友和夫

    弘友和夫君 今ある三十五年たったものは大概古いものですから、これをあと三十五年間建てかえないでという前提に立っていないから、それは確かに建てかえないといけない部分があると思う。その分は、公団も今から利益の少ない都市基盤整備だとかいろいろなところに行かないといけない。だからといって、公団へ新しく入る方に三十五年間分を上乗せするということでは、これは納得いかないことですから、私は、国なりがきちっと三十五年分というか建てかえの分、それは当然補てんしてしかるべきだと、このように思いますけれども、大臣、いかがですか。
  106. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新しい家賃設定の考え方によりますと、家賃は近傍同種家賃を基準として定めていくわけでございまして、順序を変えて申し上げますと、先生今御指摘のように、例えば三十五年で建てかえすることとなれば、未償却分を新しい市場家賃で償却できるような余裕のある地域、あるいはそういう住宅建設が必要条件として出てくると思います。そういうところでしか、しかというか、そういうところでのみ込める形で供給することになる。それは一つ一つ対応するというよりは、公団賃貸住宅全体として対応していくことになると思います。
  107. 弘友和夫

    弘友和夫君 公団が対応するというが、対応する部分がないわけですよ。よそで何か物すごくもうかっておる場合はそこから持ってこられるけれども、その三十五年間分をどうするかという部分がないわけです。だから国がその補てんをすべきだと主張させていただいておるわけです。
  108. 那珂正

    政府委員那珂正君) これからの家賃の設定は、個々の団地ごとに原価を積み上げていくという原価を基準とする従前の考え方から、それぞれの地域、それぞれの建て方に応じた相場といいますか、まさに近傍同種家賃を基準にして決めていくわけでございますから、その際のコスト、原価と市場家賃とに余裕がある場合も想定されます。したがって、公団としては、そういう新たな賃貸住宅事業全体を見渡して、その余裕があればそういう未償却分を吸収していくということはできると思います。  なお、財政資金の投入の話でございますけれども、これは前回も御説明いたしたかと思いますが、建物の未償却分ではなくて、土地の取得に対しては出資金の投入という形で公団の新しい賃貸住宅の経営に少しでもそういう新しい形でスムーズに供給できるよう、一定の財政資金を投入することとしております。
  109. 弘友和夫

    弘友和夫君 余りこればかりやっておれませんので、次に移らせていただきます。  公団の賃貸の部分はもう時間がありませんのであれですが、新しい業務の見直しについてお尋ねしたいんですけれども、今回の新しいこの法案でも、社会実態に合わない、現公団で行われていない事業だとか、そういうものは見直すべきだ、今までそれが載っていたからそのまま引き続いてやりますよというのじゃなくて、今の時点において業務そのものを見直すべきだ。分譲はやめますよと、こうなりましたけれども、そのほかの業務、今どういう業務をやるかというのはいろいろお聞きする時間がありませんので、もうわかっていますから、それを見直すべきだという前提に立ってお尋ねをするんです。  先ほど総裁は、都市の外延的な、郊外の外延的なそういう整備というのはもうやめて都市へ戻ろうと、このように言われました。そうなってくると、いわゆる千葉ニュータウンのような新規の大規模ニュータウン開発というのはもう行う必要はないし、やらないという先ほどの総裁の御答弁でありましたけれども、新公団においてそうした都市型の大規模ニュータウン建設事業というのはどうなるのかお尋ねします。
  110. 牧野徹

    参考人牧野徹君) あるいは担当理事が詳しくまた後ほどお答えするかもしれませんが、私の申し上げたことを正確にもう一度申し上げさせていただきますと、私は、現時点までのものをどうこうというのではなくて、もうこれからは基本原則として、二つ言いました、民間で完全にできるものからは手を引こう、もう一つはこれ以上の都市の外延的拡大を招くようなことは原則としてやらない、こういうふうに申し上げたのでございます。例えば、今先生は千葉ニュータウンはやめるのかというようなことで、いやそれは、今手がけておるものをきちんとした形でやり遂げるのも私どもの仕事だというふうに思っております。
  111. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、千葉ニュータウンをやめるのかと言ったんじゃない。千葉ニュータウンのような大規模なものはやらないんですか、こういうことを聞いたんです。今の答弁では、千葉ニュータウンはそのまままだ事業が続いているから、それはきちっとやりますけれども新しいものはやらない、こう理解させていただきます。  今回のこの第二十八条一項二号で市街地開発事業である新都市基盤整備事業を施行することができる、こうなっているわけです。現公団でも新都市基盤整備事業というのができるようになっております。  では、この新都市整備事業実績はどういうのがありますか、お聞きします。
  112. 福田秀文

    参考人(福田秀文君) 当公団が行っておる都市開発事業におきまして、新都市基盤整備事業実績、これは今までのところございません。
  113. 弘友和夫

    弘友和夫君 建設省にお聞きしますけれども、これのもとになっている昭和四十七年にできました新都市基盤整備法というのがありますね。この新都市基盤整備法の適用を受けた事業というか、公団だけじゃなくて、ありますか。
  114. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お答えとしては、今御質問の中にありました四十七年以降はございません。
  115. 弘友和夫

    弘友和夫君 四十七年にこの法律ができているわけですから、以降というか、それは当たり前のことであって、要するに一回もないということですね。  新都市整備事業が四十七年当時どういう状況の中でできたか知りませんけれども、この法律は一回も使ったことがないんです。しかも、公団もこれは使えるようになっているけれども一回も使っていない。それを、今までやってきた千葉ニュータウンはほかの方式でやっているわけですから。今まででさえ一回も使ったことのないこの整備事業を何で今回の法案でも残すのか、こう思うんですけれども、いかがでございますか。
  116. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お話がございましたように、この法律、そもそも基本になります新都市基盤整備法の趣旨は、収用権を付与した買収方式と区画整理方式をあわせてやるということで町づくりをやるという新しい方式を考えたわけでございます。おっしゃったように、四十七年と私が申し上げましたのは、時代認識として当時既に相当都市の外延化は進んでおった状況でございますので、そういうさなかでこの法案を出したわけでございます。  くどくなりますが、当時、五万人以上ということを一つ念頭に入れまして、そうしますと、割り戻しますと一ヘクタール当たり大体百人から三百人ぐらいの規模ということで目安を立てますと、全体的には約二百ヘクタールから三百ヘクタールでございまして、その前にはそれなりの規模の大規模開発が当然あったわけでございますが、法案施行後、当時いろいろ社会的情勢も加味して考えますと、この状況の中では新しいものは確かに御指摘のあったとおりないわけでございます。  ただ、なぜそれをやめないのかということでございますが、確かに私どもも、現時点においてはいわば本制度の仕組みのポイントがいわゆる土地の取得について最小限度とするものとか、あるいは粗造成まで事業をやるというようなことになりますと、今回、新都市基盤を進めていこうというねらいは、その地域としては都心にあり、あるいは郊外から中心部へ移るということももちろんでございますが、その中で従来の反省といいますか点検はいたさなきゃならないと思いますが、現時点において全くこの制度、法律を一遍にやめるということじゃなく、一応土俵は残しつつも、例えば住都公団がやるということではございませんけれども、新しくそういう地域として全くこれから将来ないのかということになりますと、いささかそこについては先走るお答えかもしれませんが、例えば新首都の問題だとか北海道とか、そういう地域のどこかにおいてそれなりの規模での開発もあり得るかもしれませんので、今日的に私どももう少しこの制度の活用については、御示唆をいただいた点も含めまして点検をさせていただく時間的余裕をいただきたいと思っております。
  117. 弘友和夫

    弘友和夫君 今ちらっと新首都の話が出ましたけれども、私は、首都機能等の移転については五万人の五百ヘクタールですか、五万人規模じゃないと思うんです。首都機能の移転については首都機能の移転で新たな法律をやはり私はつくるべきだと思うんです。これを生かして、首都機能の移転の何かそういうのがあるのかもしれないとか、そういうことで全然一回も使われていない、今まででさえ使われていないのに、この間、小林参考人の論文でも、今からは都市化社会から都市型社会へ移行するんだ、既成市街地の再整備をやるんだと。総裁も、公団としても要するに都市へ戻ろう、こう言われたわけですから、今までですらやっていないことを、今から何か使ったらいけないから残すような、そういうことが少しおかしいんじゃないか。  ドイツでは、要するに大規模開発はこれ以上郊外では進めないということで、ニュータウン法というのはもう廃止したわけです。私は、この法律そのものを、使わないような法律をいつまでも残すんじゃなくて、これは廃止すべきだと思うんです。大臣もサンセット方式というのをよく御存じだと思いますけれども、要らなくなった、日没になった法律はなくしていくという観点がないと六法全書はどんどんふえるばかりですよ。こんなやっていない事業は残すべきじゃないと私は思います。  次に、鉄道事業ですけれども、これも今回は本来業務から削って、当分の間、千葉ニュータウンの鉄道事業のみを限定して行うこと、こういうふうにしたわけですが、その理由と、千葉ニュータウン鉄道の整備が終了した後に、今回当分の間残すけれども、鉄道事業から撤退するんだと、こういうことでよいのかどうか。
  118. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  千葉ニュータウンに関しまして、公団におきまして現在鉄道の三種事業の免許をいただきまして運営しているわけでございますが、その考え方は、他に適当な鉄道事業者がおらないという状況の中で居住者のために鉄道輸送力を確保する必要がある、こういう見地から公団において対応していただいているわけであります。この業務はまだ千葉ニュータウンにおきましては引き続き必要性が残っておるという考え方で今回引き続き行わせていただきたいということの案になっているわけであります。  一方、今後につきましては、先ほど答弁ございましたように、鉄道の運営を公団そのものが行う必要性のある大規模宅地開発等については考えないということでございますので、先ほど申しましたように千葉ニュータウンに限りましてその継続的な運営を図りまして居住者のための鉄道輸送力を確保してまいりたいということでございます。
  119. 弘友和夫

    弘友和夫君 完成したときに民間などへ業務を譲渡する見通し、それから今までかかった事業費の総額、譲渡額の見込み。要するに、今の運賃等も非常に高い状況に設定せざるを得ない。そうなったときに、反対にまた民間への譲渡というのもできないわけです。公団が半永久的にこの事業を行わざるを得ないということがあり得ると思うんですけれども、そういう部分がありましたらまた家賃にもはね返ってくるということにもなりかねないんでが、その点についていかがですか。
  120. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  御案内のように、ニュータウンの鉄道と申しますのは、実は開業当初、開発地区が熟成していないということもございまして、お客さんの数もさほど多くない。その後、熟成に伴いましてお客さんがふえてくる、それに伴いまして収支の方も改善されてくる、こういう特性を持っているわけであります。  その意味で、実は昭和五十九年の開業以来、移送人員というのは少のうございましたけれども、おかげさまで増加を続けてきておりまして、これに従いまして経営状況は次第に改善してきておるという状況でございまして、将来的には累積赤字を当然解消することができる見通しと、こういうことでございます。  そういう意味で、我々としては、将来累積赤字が解消されるということが期待できますので、その段階におきましては民間への移行ということも十分考えられるということでございます。その意味で、その時期を待ちたいというふうに考えております。
  121. 弘友和夫

    弘友和夫君 将来は取り戻せる見通しだということでございますので、それを信じまして次に移ります。  それともう一つは、公園の整備事業です。  これは、午前中に脇議員の方からも御質問がありました。都市公園の整備については、公的な部分が多い、非常に立ちおくれている都市基盤整備の一環だ、自治体から要請を受けてやっている、こういう御答弁でありました。先ほどの答弁は自治体から要請を受けた部分しか言われなかったんですけれども、国営というか大きな公園、そういうのもやっているんじゃないですか。
  122. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 新公団におきます公園に関する業務は、先生今御指摘のとおり、国営公園における有料施設、プールでありますとか水族館でありますとか、そういうような有料施設の設置管理を行うことが一つ。それからもう一つは、地方公共団体からの委託に基づきます根幹的な都市公園の建設、設計工事の管理監督という、この二つの業務がございます。  国営公園の有料施設の設置に関しましては、現在まで十三の国営公園においてプール等の設置管理を行っておるところでございます。また、地方公共団体の委託に基づきます根幹的な都市公園の施設等につきましては、ちょっと古うございますけれども、平成九年で三十四都府県からの委託に基づきまして百六十八公園の受託を行っておるところでございます。
  123. 弘友和夫

    弘友和夫君 国営公園というのは、もう事業は今からやらないんですか。
  124. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 国営公園につきましては、今現在まだ公園事業自体が施行中のものもございます。さらに、国営公園につきましては一部供用しているものもございますが、その中で特定有料施設、いわゆる水族館でありますとかプールでありますとか駐車場でありますとか、そういうようなものにつきましては今後とも効率性、採算性を十分視野に入れながら整備して進めていくことになろうかと思います。
  125. 弘友和夫

    弘友和夫君 この公園整備事業も、現公団の基本問題懇談会の提言、各業務の課題と今後の方針というので検討を行っているんですけれども、公園事業についてはほとんど記述もないわけです。公園事業のあり方について、実際、公団がどのように見直しをされたのかというのがよくわからない。今からは民間にゆだねるべきものは民間にゆだねていくというふうにずっと一貫して答弁されています。  そうすると、例えば公園の中のプールにしても駐車場にしてもいろんな施設の運営にしても、むしろ民間の方がノウハウも持っているし、別にこれは公団が直接やっていく必要もないんじゃないか。また、きょうは詳しく述べませんけれども、雑誌等に、何で公団に公園緑地の部門があるんだとか、そういうものも含めて指摘もされているわけですから、そういう民間にゆだねるべきものは整理をしてゆだねるべきじゃないかというふうに考えますけれども、いかがですか。
  126. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 国営公園の有料公園施設につきましては住宅都市整備公団整備をいたしまして、その整備とか管理費を当該施設の利用料金の収入で賄っておる、有料の収入で賄っておる、こういう状況でございます。  こういう業務につきましては、国営公園は国が直轄でやっておるわけでございますが、そういう国営公園の事業との整合性を保っていく必要がある。事業の進捗でありますとか、そういう事業の中身の計画との整合性を保っていく必要があるといったような観点、あるいはこういう国営公園の中の施設でございますので、料金もできるだけ安く、国民の皆さん方に利用していただけるような料金にしていく必要がある。さらには、国営公園の中でもあるいは施設の中でも、地域によりましてはあるいは施設によりましては採算性が必ずしもいいところばかりではない、悪いところもある、こういったときに全国的な一定水準を見ながらそういう施設整備していく必要がある。こういったような観点から、私どもとしては、新都市基盤整備公団にこの事業を引き続き推進させることが必要であろうということでございます。  なお、こういう場合にも先生指摘のように民間の活力をできるだけ活用するべきではないか、こういう御指摘もあろうかと思います。私どもとしましては、そういう施設を設置するのは公団が行いますけれども、その営業といったようなものについては民間の方に営業していただく、経営ノウハウを活用していただくということも必要であろうかということで、そういう格好の活用の方法を今図っておるところでございます。
  127. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので次に移ります。  土地の有効利用事業、この間からも質問がいろいろ出ておりますけれども。平成十年度補正予算で三千億、今は一千ちょっとですか、土地を買われているということですけれども、この事業が新公団の中でどのように位置づけられているのか。例えば、新しい公団整備敷地等の処分というのは、今度の三十二条に基づいて原則公募をされるとか、そういうふうになっています。そのときに、新しい都市基盤整備のスキームと土地の、この参考資料にも土地処分というかそのスキームが載っておりました。それと土地有効利用事業の三千億の部分のものというのは同じなのかどうなのか。土地の整序、譲渡という目的は同じなわけですから、運用も一元化して行うべきじゃないかと思うんです。それを、こちらの部分は土地流動化のためにやりますよ、こちらの部分は新しい土地基盤整備でやりますよ、そうじゃない一緒の部分もあると思うんですけれども、やっぱり運用は一緒にすべきじゃないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  128. 那珂正

    政府委員那珂正君) 御指摘の土地有効利用事業は、総合経済対策等に基づいて都市内に残っております低未利用地の整形とか集約化を行って都市の再整備あるいは地域コミュニティーの再生という観点から行うわけでございまして、これは新公団における市街地整備改善業務の主要な柱の一つとして位置づけを行っております。  具体的には、先生も今御指摘になりましたけれども、新公団法二十八条一項一号の「住宅市街地その他の市街地整備改善を図るための建築物の敷地の整備又は宅地の造成」、同項二号、市街地開発業務のうち土地区画整理事業、同項三号、ちょっと省略しますが、第一項等において新公団法にも位置づけております。  土地の処分の方法についても、新公団法によって、例えば譲渡計画をちゃんと示して相手に条件を示した上で公募によって処分するというような方式がきちっと位置づけられております。これは新公団法で新たな市街地整備改善業務全般について適用されますが、土地有効利用事業についても当然適用されることとなるわけでございます。  例えば、具体の三千億という御指摘もございましたけれども、その運用につきましては、新公団法が成立いたしましたならば、当然その業務の進め方についてより精緻な、どういう市街地整備改善業務があるかということをより詳しく具体的に予算的な裏づけも含めて位置づけていかなければいけないわけでございますが、そういう意味では全体に一体としても運用していくべきものでありますし、また予算という観点からすれば、この三千億の出資金等の予算につきましては一定の使途等について制限がございますので、それはそれできちっと区分して運用していかなければいけないとも思っております。
  129. 弘友和夫

    弘友和夫君 私の持ち時間は二十一分までですので、あと何分かしかございません。それで、ちょっとこの公団法とは直接関係のないことなんですけれども、お尋ねしたい。  といいますのは、今大変厳しい現下の経済情勢、私はその中で建設投資というのがこの日本経済の好転のためにも非常に重要な部分であるというのは事実です。平成十一年度の建設投資の見通しというのは七十一兆五千五百億、GDPに占める割合というのは一四・四%、今民間の建設投資というのは非常に厳しいわけでございまして、政府の建設投資、十五カ月予算等の効果で三十五兆八千億と二年連続増加しているわけです。この建設投資が景気対策としても有効に効果的な執行がなされなければならないと思うんです。その景気対策の部分というのは非常にあると思うんです。  ところが、これらの建設投資で、例えば建設業者数というのは現在五十七万業者あるんですけれども、そのうちの九九%が資本金一億円以下の中小企業なんです。大手ゼネコンは数十社、その数十社のゼネコンがやはり大きなシェアを占めているのは事実なんです。  私はよく今地元等に帰りまして聞きますと、ゼネコンはバブル崩壊で多額の不良資産を抱えているわけです。主要ゼネコン百社で有利子負債というのは総額十兆円ある、保証債務も数兆円になる、このように聞いているわけです。  そのゼネコンにどんな発注をして、ゼネコンは負債があるものですからすべてに厳しく、もう下請、何請というのは鼻血も出ないようなことになるわけです。そして、その利益でその不良債権の処理をしたって、日本全体として全然景気対策にはならないわけですよ。ゼネコンの負債等をどうするかというのは別問題として考えていかないと、幾らどんどん建設投資をしても全く景気対策にならないという現状なんです。  だから、今いろんな方から、それはもうゼネコンの姿勢というのは厳しいですよ、とにかく全く我々のところには本当に考えられないぐらいの厳しさで来ている。それを吸い上げてさっき言ったように不良債権の処理をする。じゃ、何のためにこれをやっているんだとこうなるわけです。  ですから、ぜひ、これは期限を切ってでもいいですよ、できるだけ電気だとか設備だとかいろんなそういう業種ごとの分離発注をするとか、それからまた大臣も雑誌に「中小建設業者に仕事を」とこう書かれております。「中小企業対策の観点から、分離・分割発注が要請されており、建設省としても、中小建設業者の受注機会確保のため積極的に取り組んでいく」と、こういう雑誌も出ております。  それも含めて、本当に景気対策というのであれば、そこから先が潤ってこないと景気が動いてこないと、このように思いますけれども、最後に大臣の御答弁をお願いして、終わりたいと思います。
  130. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 中小企業に仕事が少しでも行くようにということはいろいろな角度から行っておるわけでございまして、今まででもいわゆるランキングが五段階でありましたのを四段階に分けて、極力中小企業者にも仕事が渡りますような努力等々はいたしております。そしてまた、基本的な考え方は中小企業にということで努力はいたしております。
  131. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最初に、賃貸の建てかえ事業について伺いたいと思います。  都市基盤整備法案では、賃貸住宅の建てかえ事業を法制化することとしています。過去の住宅都市整備公団の建てかえ事業、これは一方的な建てかえ団地の指定だとか、一律の全面建てかえだとか、あるいは高家賃化など多々問題がありました。公団住宅居住者の実態は、高齢者、低所得者層が増加をしているという状況です。年金暮らしの高齢者などが安心して住み続けられるよう、居住の安定の確保を公団住宅の管理、運営の基本に据えるべきだというふうに思いますけれども、まず最初に大臣の基本姿勢について伺いたいと思います。
  132. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) これまでも賃貸住宅の建てかえの実施に当たりましては、事前に説明会の開催を行うなどして入居者の方々の理解を求めつつ事業の円滑な実施というものを行ってまいりました。  また、新公団法におきましても、建てかえの実施の要件であるとか手続を明確にし、家賃減額や公営住宅の併設、優先的な入居についての配慮などの措置を法定化することにより、一層居住者の皆さんの居住の安定に配慮した事業の円滑な実施が図られるようにいたしております。  特に、所得の低い高齢者世帯、心身障害者世帯、母子世帯、生活保護世帯の家賃減額については、国が財政支援を行いつつ、さらに特別の配慮を行うようにいたしております。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 公団の建てかえ事業の戻り入居家賃については、昨年一定の改善が行われました。これまでの激変緩和措置では、一般公募家賃と同額になるまでの間毎年大幅に家賃が上がる仕組みでしたけれども、今後は五十平米までは二十年の長期傾斜家賃や、入居期間中公募家賃の八割とする、そういう選択肢が設けられるようになりました。  しかし、これまでに建てかえられた団地にはこれが適用されません。そのため、最終家賃はかなりの高家賃となります。東京多摩地域を例にとりますと、戻り入居の最終家賃は五十平米ぐらいの二DKで、武蔵野緑町の十二万八千円を筆頭にかなりの団地で十一万円から十二万円近い家賃となっています。六十五平米程度の三LDKだと十五万円から十六万円にもなります。傾斜家賃で毎年一万円から一万五千円も上がるために、いつまで住み続けられるか、そういう不安が深刻です。  過去の建てかえ団地の戻り入居家賃のあり方についても、生活実態に即して見直しをするべきだと思いますけれども、その点、建設省、いかがでしょうか。
  134. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今回、建てかえの際に戻り入居される方々の家賃の減額措置につきまして、平成十年度の公団改革にあわせて大幅な改善を措置したところは、ただいま先生指摘のとおりでございます。  ただ、制度の切りかえに当たりましては、一般的には何らかの線引きをせざるを得ないわけでございまして、建てかえ後の家賃減額措置につきましても平成十年度建てかえに着手、説明会に入った時点としてとらえますが、そういう団地から新制度を適用することとしたところでございます。  それ以前に建てかえ着手した団地につきましては、説明会において既に建てかえ後の家賃をお示しした上で入居者の合意をいただいておりますし、これに基づき既に戻り入居されている方々も多数おられるというようなことなどを踏まえますと、旧制度に基づく家賃減額によりまして公平、的確に運用を図っていくべきものと考えます。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 例えば武蔵野緑町パークタウンの例ですけれども、九六年四月戻り入居の方、七段階の傾斜家賃の四年目で現在の家賃は九万六千五百円です。父の年収が六百万円、毎月の手取りは母のパート収入を入れても三十六万円、大学生、高校生の教育費が十一万三千五百円、家賃を引くと残り十五万円で生活をしなければいけない。家賃は毎年一万六千円ずつ、あと四回上がって最終家賃は十六万円になる。今でも苦しいけれども、いつまでここに住み続けられるか不安だということです。  自治協のアンケートでは、同様の不安がたくさん寄せられています。私は、こういう問題は放置できないというふうに思いますけれども公団、いかがでしょうか。
  136. 荒田建

    参考人(荒田建君) 家賃が高くなる、これは建てかえの戻りの方々だけじゃなくて、先ほど傾斜の議論もいたしましたけれども、そういうようなことがありますことは事実だと思います。  私どもで、公団の与えられた制度枠内の中でやり得ることは実は最大限やってまいったつもりでございますし、これからは新法の制定にあわせまして家賃助成制度、建てかえの戻り者に対する助成制度も格段に拡充されました。  過去の話ということになりますけれども生活実態は先生おっしゃることはわかると思いますけれども、そこの生活の収入をどういう形で支出に割り振っていくかということも含めて、実は個々人の生活設計の問題でもありますし、個々の生活事情はよくわかりますけれども、それを公団の家賃だけに何か全部責任があるかのような話になりますと、これはなかなか公団の今の制度では限界があるんじゃないかと思います。  ただ、先生おっしゃるように、できるだけ我々としてはこれまでも最大限そういった方々の御要望を受けて、でき得る限り努力してきたつもりでございますし、これからも努力していくことをやらないということはございません。
  137. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 戻り入居家賃に新制度を導入した、こういうことは結局よかったと言えるんですけれども、逆に言えば今までのやり方に無理があった、そういうことから新制度を導入したんだと思います。  十六万円の家賃というのは、前回も議論になっていましたけれども、年収九百万円以上でないと無理な家賃です。二DKの十二万円でも七百万以上の年収が必要です。多摩地域の三十年代団地の居住者の四分の三以上、七六・一%は年収六百四十万円未満の第二階層以下です。年収四百八十六万円未満の第一階層が六割、五九・九%を占めています。  このままでは傾斜家賃が進むにつれて払えない、そういう事態が起こることが予想されます。既に戻り入居した人は住み続けられなくなっても仕方がない、そういうことでは私は済まない問題だというふうに思います。既に建てかえに着手した団地についても新制度を遡及適用するなど、何らかの対策をとるべきだ、考えるべきだ、検討するべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  138. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 制度の切りかえということはいろいろありますけれども、一般に何らかの線引きをせざるを得ないわけでございまして、建てかえ後の家賃の減額措置については、旧制度で建てかえに着手した団地の入居者の方について、既に建てかえ後の家賃を示した上で入居者の合意をいただき、これに基づき既に戻り入居されている方々も多数おられることなどを踏まえますと、新制度の遡及適用は困難であると思われます。
  139. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 所得の低い高齢者は、新しい措置制度で、五十平米以下の住宅への戻り入居なら六十五歳から無期限に公募家賃の五割減額を受けられる、そういうことになりました。説明会時に六十歳以上という年齢制限も、今度は五十五歳以上に引き下げられました。これなら何とか住み続けられる、そう居住者に歓迎をされています。しかし、原則として九八年度以降の建てかえ団地にしか適用されないので新特例措置を受けられない、そういう高齢者は深刻です。  こういう問題について、何とかならないのかという声があるのですが、公団、いかがでしょうか。
  140. 荒田建

    参考人(荒田建君) 新制度の適用関係についての御質問かと思います。つまり、選択のメニューが用意してありまして、粗っぽく言いますと六十五になって五〇%の家賃、公営並みの家賃ですけれども、それから入居時点で減額措置であるところの本来家賃の八割の負担を選択した方々は六十五になりますと六五%ということで、その点に関する御質問ということでお答えいたしたいと思います。  確かにそういう形で、選択するメニューによって六十五歳以上にお払いいただく家賃の額が違ってまいります。そういう制度を設けた趣旨は、戻り入居者の方々であっても、今後ずっと一生そこに住み続けようという生活設計をされる方もおられるでしょうし、いやいや、私は六十五ぐらいまでにはほかに移るかもしれないというような生活設計をされる方もあると思います。これからその団地にお住まいになる方々の今後お住まいになる居住期間の長さによって、どちらが有利か不利かということになるわけでございまして、一概にそこのところが、五〇%まで下がったからそちらが全面的に有利であるということは、居住者の意向を考えますと、必ずしもそうとも言い切れない部分があるんじゃないか。  要するに、私どもとしては、将来にわたって長期に定額家賃を選択する場合はこういうメニューです、しかし今家賃が安い方がいいという方々にはそれなりのメニューをという形で、生活設計に合わせた家賃支出が選択できるような形で新しい制度をつくったということでございます。
  141. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと具体的な事例を示したいと思うんです。  例えば武蔵野緑町の例なんですが、去年十月に戻り入居したわけですが、この団地には新制度が適用されません。従来の高齢者特例措置は説明会時に六十歳以上の人だけですから、今六十七歳の人は九一年の説明会時には五十九歳です。これまでの高齢者特例措置も適用されません。新しい高齢者特例措置なら同じ年齢でも対象になって一DKで四万五千円ぐらいの家賃になるんですが、同じ条件でもこの方の場合は対象外で、九万三千円の家賃になってしまいます。ある六十七歳のひとり住まいの男性の場合は、ビル管理の仕事で三百万円余りの収入ですけれども、家賃だけで百十万円を超えてしまうということになります。公営住宅に入居できる所得階層ですが、優先入居は所得階層一〇%までと厳しく制限をしています。ですから、この方の場合は適用されません。一般の公営住宅のあっせんは、単身者用というのはほとんどないわけです。  こういう制度のはざまになってしまう人も出てくるわけです。こういう人たちについてどうしたらいいのか。せめて従来の高齢者特例措置も説明会時の年齢制限を五十五歳以上までにするとか、あるいは公営住宅への優先入居を新公営住宅法の収入制限まで認めるとか、救済の方法があるはずだというふうに思うのですけれども、この具体例の場合にはちょうど制度のはざまに入っちゃっている。  何か対策がとれないかということなんですが、建設省、いかがでしょうか。
  142. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今、具体例としてお聞きした限りにおいては、確かにそのはざまといいますか、そういう状況にあるかと存じます。  ただ、この新制度におきましては、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、従前は説明会時において六十歳以上が条件だったものが、今度は一定程度、程度は同じではありませんけれども、五十五歳以上の方について家賃の選択制というんですか、そういう制度で一定の措置がとられることといたしました。それから、基本的に例えば公営住宅へのあっせん等についても、公団が現在の大家としての立場から地元の公共団体に対し公営住宅へのあっせんについてある種義務づけといいますか、そういう規定を新たに設けたわけでございます。その前提として、建てかえ事業については、地元公共団体に対して公営住宅の併設について協力依頼といいますかそういうことの連絡をよくとって、公営住宅の併設について土地を譲り渡すこともきちっと規定することとしております。さらに、既存の賃貸住宅ストックを高齢者向けに低廉な家賃で提供する高齢者向け優良賃貸住宅制度を活用するという方法も考えられると思います。
  143. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、建てかえ問題、特に戻り入居だとかそういう低所得者、高齢者の問題について、きょう具体的な細かい例を挙げて質問いたしましたけれども、居住者の非常に切実な要求があって建てかえ問題についてかなり前進した、そういう面があることは皆さんも喜んでおられるし、私は事実だというふうに思います。それでもなおかつ、今申し上げたようないろんな例があるんですね。  それで、もう今までやったからいいだろう、あるいは戻り入居のときに承知で戻ってきているんだからいいだろうということでは済まなくて、やっぱり生身の人間ですからいろんな生活状態があります。そういうことをよく配慮しながら、今後ともこの問題について、これでよしとするんじゃなくて、検討していく、そういうことが非常に求められているというふうに思います。  そういう点で、大臣、木で鼻をくくったような答弁ではなくて、積極的に居住者の立場に立って、そして愛される公団としてちゃんと仕事がやれるように、そういうことで目配りをしていただきたいというふうに思うのですけれども、大臣の決意を伺いたいと思います。
  144. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 例えば、建てかえ後の家賃に係る低所得で高齢者の方に対する特別措置などにつきましても、今局長答弁いたしましたように、年齢によって措置の内容に差が設けられておるというようなことがございますが、これはなかなか難しい問題でございまして、どのように線引きをするかということだろうと思うわけでございます。  建てかえ後の家賃の減額措置については、公団改革に合わせまして平成十年度に大幅な拡充を行ったばかりでございますので、今後は運営しながら、またるるいろいろな話し合いというものが行われてくるのではないか、そのように思っております。
  145. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先ほど理事さんからは、ちょっと検討をしていくというお話がありましたけれども公団総裁としてこの問題に基本的にどう対処されていかれるのか。簡単で結構でございますけれども、一言伺いたいと思います。
  146. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 基本は大臣並びに担当理事が申し上げたことだと思いますが、私ども公団も、俗なあれですが、打ち出の小づちを持っているわけではございませんし、いろいろな財政的な一定の条件のもとに良好な賃貸住宅経営に努力しているわけでございます。  そして、先生もおっしゃいましたけれども、今までよりも今度はまた改善したと評価していただいたわけですが、いずれにしても私どもはその時点その時点で最善の努力を尽くしてまいるということには変わりはございません。
  147. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 時間がなくなりましたので、都市基盤整備に関連する問題についてちょっと伺いたいと思います。  新しい公団は、住宅建設から大幅に後退をして都市基盤整備中心になるわけですけれども、郊外型の開発都市づくり、これについて伺いたいと思います。  里山、雑木林など、都市近郊に残った身近な自然が郊外型の大規模開発によって広範に破壊されてきました。国土計画において、かつてはそうした地域を低位利用森林地域と称して、積極的な開発利用を進めるべき地域として位置づけられてきました。そういう結果、乱開発が進んだわけですけれども、一九八七年に策定した四全総で初めて里山林という言葉が登場をしてきたわけです。国土計画においても、四全総以降、里山や都市近郊林は保全を基本として適切に利用すべきものというふうに位置づけられていると思いますが、その点、いかがでしょうか。
  148. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 昭和六十二年に策定されました第四次全国総合開発計画におきまして、里山林につきましては児童生徒の学習の場や都市との交流拠点の観点などから、また今御指摘がございました都市近郊林につきましては生活環境の保全や教育的観点などから、それぞれ整備を進めていくための基本的方向が示されたところでございます。  また、昨年の三月に策定されました新しい全総計画、二十一世紀の国土のグランドデザインにおいては、いわゆる生物多様性の保全、人と森林との触れ合い促進のため、美しく健全で親しみのある森林を整備することとしており、その方策として都市近郊林や里山林の保全、森林景観の整備等を示したところでございまして、国土庁といたしましては、関係省庁との緊密な連携のもと、この計画が総合的かつ適切に推進されるよう努めてまいる所存でございます。
  149. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 近年、里山は、国際的にも国内でも生物多様性や自然との触れ合いの場として、その豊かな自然環境が注目をされてきています。しかし、七〇年代の都市拡大やゴルフ場などのリゾート開発などによって急激に減っています。  九六年の第四回自然環境保全基礎調査によりますと、里山を主に構成している二次林は九一年の第三回調査に比べて十五万ヘクタール、二・一三%も減っています。他の植生に比べて一番減り方が大きくて、改変地面積全体の三分の一が二次林です。  一九九四年に環境基本計画が定められましたけれども、そこではこうした地域の自然環境保全についてどのような位置づけがなされているのでしょうか。
  150. 小林光

    説明員小林光君) 環境基本計画では、国土を山地、里地、平地、沿岸海域の四つに区分して記述してございます。  里地、里山のような二次的自然が多く存在する地域において推進する施策として、里地の雑木林、谷津田、水辺地等の自然で地域全体で維持していくことが必要と認められるものについて、適切な維持、形成を進めることを挙げております。  また、生物多様性国家戦略においても、里山のような地域はそこを生息の場とする生物も多いため、生物多様性の観点から注目される特性を有しているととらえておりまして、さらに地域の自然的、社会的特性に応じて的確に二次的自然環境を保全していく必要があると記述してございます。
  151. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 公団も、かつてはそうした地域での開発を計画して広大な土地を買収しました。都市近郊の二次的自然に対する位置づけは今大きく変わってきています。そうした地域での環境破壊につながる都市開発は根本的に見直すべきときだと思います。  具体的に、公団が一九七三年に大がかりに買収した里山について伺いたいと思います。  八王子市の川口リサーチパークの計画地です。山林百七十ヘクタールを開発して、就業人口七千二百人、居住人口一千人の産業研究所用地を整備しようというものです。九二年に都市計画と環境影響評価の手続を開始しましたが、九三年六月、計画区域の中心でオオタカの営巣が確認され、手続が中断されています。今後どうするのでしょうか、公団に伺います。
  152. 下田公一

    参考人(下田公一君) 今お話のありました八王子リサーチパークのことでございますけれどもお話がありましたように、都市計画の手続中にオオタカの営巣が確認されたところでございます。そういう事態になりましたので、オオタカの生態調査及び水文に関する残されておりました追加の自然環境に関する調査を実施いたしたところでございます。  その調査成果をもとに、オオタカの生息環境にも配慮した土地利用であるとか公共施設の配置であるとか造成計画、そういうことの見直しを行っておるところでございまして、当地区事業化につきまして引き続き関係機関と協議を進めてまいりたいと思っております。
  153. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 六月から環境影響評価法が施行され、東京都の新条例も施行されます。新たな計画の環境影響評価は新法、新条例に基づいて行うのでしょうか。
  154. 下田公一

    参考人(下田公一君) 当地区につきましては今のような状況にございまして、現在のところ、まだ確たる計画というところに定まっておりません。そういう事態であります。  一方で、今お話がありましたように、六月十二日に環境影響評価法が施行されるという状態でございますので、この件につきましては新しい法律に基づいて手続を進めるというふうに理解しております。
  155. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 計画地はJR八王子駅の北西八キロ、平地と丘陵部の境界に位置し、豊かな里山の様相と西峰に連なる山地的様相とをあわせ持っているところです。  絶滅危惧Ⅱ類のオオタカを初め、希少種であるハイタカ、フクロウなどが生息、植物ではレッドデータブックに記載されているエビネや東京都指定のクロムヨウラン、ナガハシスミレ、リンボクなどを初め、周辺ではもう見られなくなっている貴重な植物が幾つもあります。数少ないトウキョウサンショウウオの生息地でもあります。九二年の環境影響評価準備書では移植などで存続を図る、残留緑地や山地に移動して生息させるなどとしていますけれども、生態系を保全せずに個別の種だけ移植しても生存できる保証はないと思います。  新しい環境影響評価制度では、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持、生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全などを評価することになって、新たに生態系が評価項目になりました。当然、里山などの自然環境全体の保全がアセスの対象となるはずだと思います。希少種だけ移植すればよいとか、あるいはよそに生息するからよいということでは済まない問題だと思いますけれども環境庁、いかがでしょうか。
  156. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) アセス法の対象項目に生態系が追加されたことについては、今先生指摘のとおりであります。要は、里地など身近な自然の保全や多様な生物の生息基盤である生息地全体を保全することについて検討する必要があることから導入されたものであります。  また、環境保全措置につきましては、環境庁長官が定めた基本的事項におきまして、環境への影響を回避しまたは低減するための措置の検討が希少種の移植等の代償措置の検討よりも優先されるべきこととされております。  このように、アセス法では希少種の移植等の保全対策より幅広い対策が必要となってくると考えております。
  157. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この地域ですけれども、採算性という点でも非常に疑問を感ぜざるを得ないところです。  先日、私は改めて計画地のほとんど全域を歩いてみました。細い尾根と深い谷が入り組む急峻な地形です。平らな部分はほとんどありません。計画では、北西から西南にかけての周辺部と東西の主尾根の一部だけを残して大部分は尾根を削り谷を埋め立てることになっています。歩いてみたら本当にわかるんですけれども、非常に急峻で、そのままでは登れないものですからロープなどが張ってあります。私もそのロープを伝って登ったんですけれども、下が赤土みたいで滑って転んでくるりと一回転してしまったんです。  こういうところをどうやって開発するんだろうと思って後でいろいろ調べてみると、土工量が六百六十万立方メートル削って六百七十五万立米埋め立てるというんです。高さにして、切り土が三十メートル以上、盛り土が十八メートル以上という長大のり面が十七カ所にもなるという、そういう工事計画であります。それで、研究施設等の業務用地七十六・三ヘクタールなどを造成するということだそうです。  しかし、多摩ニュータウンでは業務用地百三十二ヘクタールのうち処分済みは七十三ヘクタールで、五十九ヘクタール残っています。八王子ニュータウンも、未整備分も含めて四十七ヘクタールあるんですが、企業用地のうち処分済みは三ヘクタールで、四十四ヘクタール残っています。隣のあきる野市の菅生テクノヒルズ開発事業も進出企業が見つからないでがらがらです。あの急峻で複雑な地形を環境に配慮しながら造成して本当に採算がとれるのか、造成して本当に売れるのか、そういうことを大変疑問に思います。  総裁は、前回のこの委員会で、採算のとれない赤字の事業、そういうものはやらないというようなことをお答えしておられたと思いますが、こういう問題についてどう考えられるのでしょうか。
  158. 牧野徹

    参考人牧野徹君) まず、八王子川口についての工夫をお答えするのであれば、より的確には担当理事がおります。それから、全体であれば私の方から申し上げます。
  159. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 全体です。
  160. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 全体について申し上げますと、確かにこの八王子川口については、先生もおっしゃったような地形でもございますし、いろんな工夫はもちろんした上で採算性の向上に努めたいと思います。  と同時に、公団の今後の事業展開を考えますと、従来までもそう安易ではありませんでしたが、基本的に採算性は全体に厳しさが増す。そこで、これはやはり今までの公団全体の意識改革もしなければいけませんし、全部の事業についてそういう採算性を厳しくチェックする組織の中の横断的なものを、もし新公団をお認めいただければ、本社の中につくり出先にもつくって徹底的にチェックをして採算性の保持に努めてまいりたい、かように考えております。
  161. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に大臣にお伺いしたいんです。  ひなの誕生で大変明るい話題を提供している学名ニッポニア・ニッポンというトキ、これが絶滅の危機に瀕しているのも、里山や田んぼなどの身近な自然の生態系が失われてきてしまったからです。  閣議決定された生物多様性国家戦略では、「自然の空間の特性、地域の自然的社会的特性に応じて、的確に二次的自然環境を保全していく」、「都市に残された大規模な森林空間について生物の生息・生育空間として適切に保全しつつ、都市住民の自然的環境とのふれあいの場となる都市公園等として公開する」などとうたっています。  こういう観点に立って川口地域を見た場合に、私はこれは大変な事態だというふうに思います。自然を破壊した上に採算もとれない、これでは泣き面にハチということになってしまいかねません。大臣、いかがでございましょうか。
  162. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 建設省といたしましては、先ほど公団理事答弁いたしましたが、公団の現在進めております検討状態を踏まえながら、環境面あるいは採算面等も含めまして適切に対応するよう公団を指導してまいりたいと思います。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  前回の質問の際に、政府側から確たる答弁が得られなかった点について、まず最初に確認したいと思います。  私は、新法人に関する会議、これは建設省で開かれたものですけれども、そこで配付されている内部資料の中にこんなくだりがある、そう紹介いたしました。「都心部で供給する賃貸住宅家賃は高額にならざるを得ず、中堅勤労者向けとの位置づけは困難」、あるいはまた「市場補完的な役割が終了すれば」公団賃貸住宅の「新規供給は終了」する、こういうくだりがあるということを述べて、一体どうなんだということを私は追及いたしました。  それに対して局長の方から、その書類をきちんとチェックすると言われましたけれども、こうした検討が建設省、公団の一緒の会議の中で行われたのかどうか、事実関係のみ最初に答弁願います。
  164. 那珂正

    政府委員那珂正君) 住都公団の改革につきまして、およそ二年ほど前から建設省内部でさまざまな根本的な議論を進めておりまして、その過程におきまして、先生前回委員会で御指摘になりましたと思われる政策会議資料というものは確かにございます。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私もそうした文書についていろいろ検討させていただきました。  確かに、建設省の三局長、そしてまた総務審議官が一緒になって開く会議のために取りまとめる、そういう作業がずっと行われてきた。その中でこうしたことが実際に検討された。住都公団が行く行くは賃貸住宅供給をやめる時期、そういうときをいつにするかということさえも、この法案が恒久法として提起されているにもかかわらず検討していた。あるいは繰り返し答弁されたように都心部の住宅が中堅の所得者向けである、そういう答弁に反して、そういう層が入るのは困難だという検討が行われた。  私は、そういうここに書かれている事柄はやはりはっきりと否定していただきたい、そう思うんですけれども、いかがですか。
  166. 那珂正

    政府委員那珂正君) これらの資料ないしそこで行われた議論につきましては、一定の方向を結論づけたものではなくて、先ほども申し上げましたけれども、あくまで公団改革についてさまざまな観点から議論をする過程での事務方の検討資料である、こう思います。  そこで、具体的にその検討結果についてどうかというお尋ねでございますが、少し時間をおかりして説明させていただきます。  そういう結論、例えば中堅所得層を対象とする賃貸住宅の必要性を私どもはこれまでもるる御説明申し上げてきております。その資料においても、中堅所得層に対する供給というのは実際問題なかなか大変になってきているという問題のとらえ方で、何にもしないというわけにはいかない。したがって、例えば財政資金をきちっと投入するとか、そういうことを検討している一つの過程でございます。  したがって、先生は今否定しろとおっしゃいましたが、議論したことはもちろん否定いたしませんけれども、今お示ししているこの新しい法案という形で成案を得ているわけでございますので、これまで申し上げてきた私ども説明が現時点での考え方でございます。
  167. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が一番危惧するのは、今出されている法案に私が紹介したような考え方が随所にあらわれている、そのことを一番懸念するわけです。しかし、今局長の方でそれは一つの過程であってと言われたので、やはりそういうことがあっては困るのでそのことは断じてないと、私はもっとはっきりと否定していただきたかったけれども、そのことをしっかりと確認しておきたいと思います。  次に、公団に伺いますけれども公団は私も前回紹介いたしましたけれども、これからの事業ごとの方針ということで、公団賃貸住宅の総ストック量についてはふやさないことを前提にその適正量について検討中である、そういうことがここにしっかり書かれているんですが、これについても公団の文書に間違いないかどうか。そして、ふやさないということを既定の方針にしているのかどうか、そのことをはっきり確認したいと思います。
  168. 荒田建

    参考人(荒田建君) まず内部資料の件でございますが、その後私ども調べまして内部資料があることは確認しております。  そこで、七十二万戸にとどめるということで、先ほど局長からも御答弁ございましたけれども、私ども今般の公団改革に当たりまして、いろんな角度から公団のあり方について検討した中でそういう検討項目があったということは事実でございますけれども、この間も御答弁申し上げましたが、公団として七十二万戸にとどめるという結論を出したことはございません。むしろ、十一年度におきましても所要の建設戸数を見込んでおりますし、住宅建設五カ年計画においても公団に所要の建設戸数が想定されておりますから、私どもとしては先ほど局長が御答弁申し上げましたように、中堅所得者層向けの都心居住等々ファミリータイプの住宅をこれからも供給していきたいというふうに考えて法案を御審議いただいているところかと思います。
  169. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣にお伺いしますけれども、やはり非常に重要なことは公団賃貸住宅を必要とする世帯のために、そういう層のためにしっかりそういう住宅をつくっていく。先ほど総裁は、ファミリー向けの賃貸は民間ではやらないと、確かに参考人もそう述べておりました。ですから、それだけに公団がこういう事業をしっかりやるということは非常に重要だと思います。そして、そのことがまさに国民的な願いにこたえていく道だと思いますけれども、その点で今の話をまとめて、大臣の方で責任のある御答弁をお願いしたいと思います。
  170. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 公団賃貸住宅の新規の供給につきましては、大都市地域等におきます賃貸住宅居住水準向上というのは重要な課題でありまして、このため公営住宅や特定優良賃貸住宅供給と相まって、新しい公団においては、民間による十分な供給が困難な都心居住住宅等国の施策上特に供給が必要な賃貸住宅供給を積極的に行うこととしており、その実施に当たっては賃貸住宅の主たる需要層である中堅所得層のファミリー向け賃貸住宅需要等に適切に対処していく所存でございます。
  171. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう点で今大臣から御答弁ありましたけれども、やはりそこをしっかりやっていただくことが国民の願いだと思いますので、そのことを要望しておきたいと思います。  次に、岩佐委員の方から建てかえについての質問がありましたが、私は一問この点についてお伺いしたいのです。  建てかえというのは、これまで住民の意向とは全く反する形でかなり公団が強引に強制的にそれを行ってきた。建てかえをやれば家賃が三倍、四倍になる、戻れなくなる、そういう叫びがあるにもかかわらずそれを強行する、立ち退かない者に対しては裁判に訴える、そういうことまでやられてまいりました。そういう中で、その一つの例として葛飾区の金町団地の建てかえ事業があります。これについては、去る三月三十一日に居住者と公団との間で一定の解決をする、そういう調印が行われました。  私は、この事業で二つの重要な点があると思うんです。一つは、二百戸台の比較的小さな団地で一律建てかえの方式をとらなかったこと、二つ目には、公団が従来の余りにも強権的な建てかえ事業を見直して、住民の要求、気分や感情を酌み取った対応をした。この二つの教訓は、私はこれからの建てかえ事業にとって非常に大事だと思うんです。その教訓を今後生かすべきだと私は考えますけれども、その点を公団にお伺いいたします。
  172. 荒田建

    参考人(荒田建君) 金町団地の和解を例に挙げまして、今後の建てかえ事業の進め方について先生の御見識を披露されたわけでございます。  私どもも建てかえ事業を始めて十年たちますが、できるだけ居住者の御意向に沿いながら説明会をし、事務所も設け、土日もいろんな形で要望を聞くという形でまいりましたから、何か一方的に意向に反して強行的にやっているというようなことを言われますと、そういうこともあるいはあったかもしれませんが、責任者としては誠心誠意、建てかえ事業について居住者の理解を求めてきたつもりでございます。  それはさておきまして、いずれにしましても、金町のケースで二百戸台のところで一定期間でありますけれども残した、あるいは強権的な建てかえを反省しているようだとかいうようなことなんですが、おっしゃるとおり今度新しい法案で建てかえに関する手続規定が整備されたこともございますし、また居住者の住み続けたいという要望もありますから、今後とも我々これから進めていく建てかえ団地について、できるだけ金町の教訓を生かしながら居住者の理解を得て進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  173. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 家賃の問題について前回伺いましたけれども、私は公団がまとめている家賃が市場家賃になったら一体どのぐらい上がるのかという資料を見て愕然としたわけです。昭和四十年代に建った賃貸公団が、広さ三十平米、四十平米台、そういうところが二万円、三万円台で上がっていく、そういうものを実際あなた方は示しているわけですね。それにもかかわらず、国会では値上がりはわずかですということを盛んに言い続けてきた。私は、本当に国会を一体何だと思っているんだという気持ちがあるんです。  そこで、私はお伺いしたいのだけれども賃貸住宅が空き家の場合、あなた方の試算で一万円以上上がるとみなす公団世帯数は全国的に大体どのぐらいあるんですか、答えてください。
  174. 荒田建

    参考人(荒田建君) これからでございまして、空き家家賃の改定ルールにつきましても継続費につきましても現在ルールを居住者代表がおられる家賃部会において内部で検討しておりまして、検討したものではございません。  ここで、一万円以上上がるものがどれぐらいあるのかというようなことにつきまして、まだお示しできるようなものは正確には作業しておりませんからあれなんですけれども、管理戸数全体の平均的な引き上げ、先生はこれをけしからぬというふうにおっしゃるんでしょうけれども、一応その数字で申し上げますと、空き家家賃の場合、四、五千円程度上がるのではないかということを一応の試算としてお出ししているということでございます。
  175. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 緒方君、時間が参りました。
  176. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、私はあなた方の資料を手元に持っているけれども、一万円から一万五千円上がるのが六万七千戸、一万五千円以上上がるのが二万五千戸あるんです。両方合わせて一二・六%を占めている。やっぱりこの実態を隠して国会審議をくぐり抜けるというのは非常に大きな問題がある、このことを私は指摘して、質問を終わります。
  177. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 前回委員会のときに指摘をいたしました、住宅政策は基本的人権だという居住の権利を踏まえて、福祉という言葉を目的に入れてほしい、あるいはまた公団の透明性のある運営をやっていただくためには、その管理をする団体としての運営委員会の中に公団総裁が入ることはおかしいということを申し上げて、ぜひ全会一致で委員会提案で修正したいということを申し上げてまいりましたけれども理事会で協議をした結果、残念ながら全会一致を見るに至らず、今回修正案を出すことができない、そういう状況になっておりますことを私は非常に残念に思っているところでございます。  参議院は、良識ある法案の審議をしながら、そこに出て浮かび上がってきた問題点はしっかりと直していくというような委員会運営をこれからもやっていただきたいことを委員長に重ねてお願い申し上げまして、きょうの質問に入らせていただきたいと思います。  さて、前回に続きまして法案の中身についてお聞きをしていきたいというふうに思っておりますけれども、今回、運営委員の報酬について現行法第十五条を削除していますけれども、これはどういう理由からでしょうか。
  178. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現公団の管理委員に関する、委員会に関する規定との比較でお尋ねだと思いますが、現公団の管理委員は兼職を認めていないこともあって、無報酬として交通費などの実費だけを支弁するということとしております。  今後、運営委員会となった場合には、そもそも審議事項も多くなりますし、開催の頻度も高くなるというようなことから、旅費だけではなく、会議の出席に応じた手当を支給できることとして考えておりまして、無報酬規定を置かないことといたしました。
  179. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その報酬は幾らで、どこが払うのですか。
  180. 那珂正

    政府委員那珂正君) 報酬の額というのは、これから公団において定めることとなると思いますが、例えば類似の審議会等の例を勘案して適切に定められるべきものだと思います。
  181. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 公団側にお聞きをします。  委員会委員報酬はお幾らですか。
  182. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) ただいま住宅局長答弁いたしましたけれども、現在のところはまだ決めておりません。
  183. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 役員や職員の報酬は規定がございますね。そういう状況にあるわけで、この法案が出されてきて、委員の報酬を出すということがこの法律によって決められるわけですが、それでまだ検討されておらないというのは私はおかしいと思いますけれども、検討さえもされておらないのですか。
  184. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) この委員の手当でございますけれども、ほかのいろいろな特殊法人の例もございますし、またほかの建設省等の委員会もございます。そういった報酬の額を参考にしながら、今、内部的には検討をしている状況でございますが、この委員会におきまして、こういう数字になるということはまだお答えできない、こういうことでございます。
  185. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 公団の費用としてお払いになるということでよろしいですね。
  186. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) さようでございます。
  187. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 法律の第二十四条、「公団総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。」、これは現行法と同じ条文になっていますけれども、この「公団総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項」というのは、具体的にはどういう事項でしょうか。
  188. 那珂正

    政府委員那珂正君) 例えば公団との土地の売買において、今御指摘総裁、副総裁または理事が契約の当事者になるような場合を想定してこういう規定を設けているわけでございます。  契約当事者、総裁理事がすごい土地を持っていらして、それを公団が業務上どうしても必要で買わなければいけないという事態、余り想定されませんけれども、若干の可能性があるかもしれませんので、それを想定してこういう規定を置いているわけでございます。
  189. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この条文を素直に読みますと、総裁、副総裁理事公団側に不利益な行為をしたときには、その役職にはつけないで監事が代表者になる、こういうふうに私は読めるように思うのですけれども、そうではないのですか。
  190. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先ほど私が申し上げましたような理解で、こういう規定を置いてございます。
  191. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、公団の利益とは何ですか。
  192. 那珂正

    政府委員那珂正君) いろいろな事業を執行する上で、今申し上げたような例で言えば、土地を買う場合は公団は一銭でも安く買った方がいいわけでございます。そういうのは公団の利益であります。一方、当事者になるかもしれない総裁や副総裁は地主としては一銭でも高く売れた方がいい、そういう意味でございます。
  193. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そうしますと、公団に著しい不利益を与えたときには、総裁、副総裁理事は代表権を失うわけです。そうすると、過去においてそういう事例が、さっき緒方さんあたりからも厳しく指摘をされていますけれども公団に著しい不利益があったときにはこの条文によって監事が代表権を得るということになるわけですね、今の御答弁ですと。
  194. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今みたいな、公団公団の役員の特定の方との取引が想定される場合において、直ちにこの条項が働いて、その件につきましては、公団総裁等役員は代表権を失う、そういうことでございます。  公団に著しい不利益を及ぼした等と先生はおっしゃいましたけれども、その規定はこの二十四条ではございません。
  195. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 後で議事録を精査させていただかないとちょっとわかりませんが、次に行きます。  二十八条に、「業務の範囲」が規定されておりまして、大変多くの法律によってこの公団都市計画法であるとかあるいは土地区画整理法であるとかさまざまな法律に規定された事業を行うことになっていますけれども、二十八条一項五号それから十号は「委託に基づき」というのが頭につけられております。十二号、十三号は「国の委託に基づき」とか「地方公共団体の委託に基づき」とちゃんと出ているんですけれども、ただ「委託に基づき」とある場合は民間の委託ということでしょうか。
  196. 那珂正

    政府委員那珂正君) おっしゃるとおり、これは民間からの委託も含みます。
  197. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この業務規定の中で、その委託に基づいて行った計画をつくるとか調査をするとかというところだけ、やったところだけ建設の業務も請け負うというようなことになっているんでしょうか。
  198. 那珂正

    政府委員那珂正君) ただいまの御質問が二十八条一項三号のことをおっしゃっているんだとすれば、御指摘のように公団があらかじめやりましたその参加業務、本体の事業だけについていろいろ建設事業をやるという意味でございます。
  199. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 二十八条三項二号、「政令で定める住宅の建設及び管理」となっておりますけれども、分譲住宅からは徐々に撤退をしていくというわけですが、この「政令で定める住宅」とはどのような住宅でしょうか。
  200. 那珂正

    政府委員那珂正君) これは、三項自体が前二項の業務のほか、業務に支障のない範囲内でということでございまして、余裕がある場合に委託に基づいてできるということでございます。  政令で定める予定でございますが、現在考えておりますのは、例えば民間の分譲マンションの建てかえについて公団が委託されるようなケースを想定しております。
  201. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 現公団も債券を発行していますけれども、この権利関係は新しい法律に移ったときはどうなるんでしょうか。
  202. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現公団が発行いたしております債券、住宅債券あるいは宅地債券があると思いますが、いずれもそのまま新しい公団に引き継がれることになります。
  203. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 債権者の権利が侵害されることはないということを確認させていただきたいと思います。  それと、現行法の第五十九条に「関連施設整備事業助成基金」という項目がございまして、これらの基金を積み立てて利息の支払いに充てるというようなことになっていたわけでございます。新しい法案ではこの基金の項目が削除されていますけれども、この助成基金の取り扱いはどういう手順でなされるんでしょうか。附則にも書かれておりますけれども、その手順どおりということでしょうか。
  204. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 御質問の基金につきましては、もう申し上げるまでもないかもわかりませんが、公団の立てかえ施行とかあるいは直接施行を行いますときに、関連公共公益施設、これを整備する場合には当然お金がかかるわけでございまして、その場合に地方公共団体公団に支払うべき利子の軽減、こういうことで当初、旧宅地開発公団時代から創設されておりました。  その後、基金は大分たまりましたが、その基金を一方ではかなり取り崩してまいりまして、現在ではほぼゼロでございます。その後どういう対応をしたかということになりますとちょっと長くなりますが、政府は補給金という形で公団が負担しております利子の補てんをしてきたというわけでございます。  今回は、新しい制度で、五年間の据置期間を置きまして、その間いわば無利子で立てかえするのに必要な調達金利負担総額、こういうものを一応新規の制度としてつくりまして、その助成制度を創設したわけでございますので、そういう関係からいきまして、御質問のございました基金制度というのは今回廃止して、新しい制度に切りかえたということでございます。
  205. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この現行法の基金制度というのは有効に機能しなかったということでございますか。
  206. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 御質問の有効なという意味があれですが、そもそも昭和五十年から宅地開発公団時代につくりました基金で、その後それなりに機能したわけでございますし、その時代時代でいろんな先ほど申し上げました補てん制度などもつくってまいりましたので、私は一応評価していただいていい制度の実績を持っていると思っております。
  207. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 附則の第三条に、設立委員会というものを立ち上げて公団の設立を図っていくというふうにこの法案は規定をされていますけれども、この附則によりますと、新たな公団として設立をされるために設立委員会をつくる。そして、「設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を建設大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。」というふうに規定をされています。  そうしますと、現住都公団は一度解散をして新たな公団としてこれが立ち上がっていくのですから、現在の役職員は一度解任をされるということになりますか。
  208. 那珂正

    政府委員那珂正君) そのとおりでございます。
  209. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この附則の手続どおりに行っていただきたいというふうに思います。  それと、今度分譲住宅から撤退をいたしますけれども、この分譲住宅から撤退をする期間を五年から十年という大変あいまいな期間にしてあります。普通何か事業をするときには、五カ年計画とか六カ年計画とかという明快な期日を置いて、そして事業を推進し完了していくというのが私は政治のあるべき姿だと思います。  今回、この分譲住宅におきましては、六十四ヘクタールの土地に五千六百戸の分譲住宅を五年から十年で実施したい、こういうふうになっておりまして、極めてあいまいだというふうに思います。私は、分譲住宅の撤退を決めておきながら、しかし五年から十年のスパンの中でずるずるとまた引きずられていって、政令で定める住宅を時間があれば、暇があればやるんだということでさっきお答えになりましたけれども、そういう形でまたずるずると引き継いでいくということになって、結果として公団にまた不利益な状況を起こしてくるということがありはしないかと懸念いたしますけれども、いかがでしょうか。
  210. 那珂正

    政府委員那珂正君) 確かに、分譲住宅からの撤退について五年から十年という幅のある期間でこれまで御説明させていただいております。  このことは、現に今分譲住宅につきまして、分譲住宅を予定して建設中のもの、分譲住宅を予定して土地を購入してあるもの等について、どういう形で賃貸住宅等に切りかえられるか、あるいは民間住宅へおろして切りかえられるかというようなことを一つ一つチェックいたしまして、そういう切りかえが事実上困難、例えばもう地元の公共団体とあらかじめほとんど約束していて一定の戸数をそこで建てることになっているもの、既に分譲住宅の建設を始めているもの等、ぎりぎり六十四ヘクタール、五千六百戸相当分について経過的に分譲住宅供給を行うこととさせていただこうと思うわけでございます。  これらについては、一口に六十四ヘクタールといいましても相当数のものがあります。やっぱり分譲住宅でありますので、住宅の市場、市況といいますか、そういうもの等もありますし、地方公共団体との調整も一定期間がかかりますし、先ほど御指摘になりました特別住宅債券積立者の権利保護の観点もありまして、こういう方々に対して一定の権利を保護するという観点からの経過措置に対応するものとしての期間も必要でございます。そういうようなことから、できるだけ早く切りかえたい、分譲住宅からは撤退したいと思いつつ、五年ないし十年という期間を目標とさせていただいているわけでございます。
  211. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 政治を行うときに、一年の期間というのは非常に長い期間だと思います。下手すると政権だってかわっちゃう期間ですから、一年というのは。それが五年から十年というあいまいな期間を設定すること自体、私たちはこのままでいいのかというふうに思うので指摘をさせていただいております。  具体的に、債権者がどのぐらいの状況にあり、その債権を行使していくのにどのぐらいの年月がかかってということを試算してこういうことになっているのかというのはわかりませんけれども、新たに債権を取得することもできるわけですから、でも分譲住宅の債権はないですね、宅地取得だけですね。そうしますと、この期間というのが本当に必要なのかどうか、ちょっと私は理解ができないのですけれども、いいです、指摘だけしておきます。  それで、最後になりますが、この特殊法人等の整理合理化についての閣議決定、平成九年六月六日、これが決定をされていますけれども、そこの住都公団についてというところに「都市開発・再開発業務(政策的に特に必要とされる賃貸住宅業務を含む。)については、現在子会社により行われているものも含め、業務内容を調整した上、新たに設立する法人に移管する。」と、こうなっていますけれども、業務内容を調整しなければならない具体的な事例について、何例か示していただきたいと思います。
  212. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) ただいまの先生の御質問にお答えする前に、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、先ほど公団が新しい公団に移る際に役職員は一たんやめるというような御発言だったというふうに思いますが、私が御答弁申し上げるのは大変僣越なのでございますが、職員は一切の権利義務の承継の中に入ってございまして、私も役員でございますが、役員は一たん切れる、こういうことでございますので、まことに申しわけございませんが私から訂正させていただきます。  ただいまの御質問でございますけれども、私どもの関連法人で言えば代表と申しますか、いつも話題に出る日本総合住生活、通称JSと言っている法人がございます。例えば、このJSをこれからどう役割分担するかということでございますが、現在も進めているわけでございますけれども、大規模修繕工事から段階に撤退をいたす、そういったことで今やっているわけでございますが、引き続きまして中規模工事からも段階に撤退をする、こんな形でJSの経営内容の改善を見ているわけでございます。  一方、私ども公団の例えば賃貸住宅の管理につきましても、ただJSだけにゆだねるのではなくて、例えば民間の業者の方に参入いただきましてそういった管理もしていただく、そういった見直しが一つの例でございます。
  213. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういう見直しはこの前の質問のときにお聞きをいたしました。そのときにも答えていただきました。  私は、名称変更になった大きな要因として、今の住都公団がいわゆる政府におんぶにだっこという形の経営をし、やらざるを得ない状況に置かれてきた、そうした現公団が引きずってきたもろもろの状況というのを一つ一つきちんと整理しなければ新しい公団が立ち上げられないのではないか、そういうふうに思ったわけでございます。  例えば、十四兆五千億円の借入金の返済はどうするのか、あるいは分譲収入や家賃収入に満たない支払い利息、分譲収入が四千六百億円、家賃収入が三千九百億円、利息だけで支払いが七千六百億円も払わなければならないという公団なんでしょう。毎年公的資金が九千億円もつぎ込まれてきている、こういうところをどう調整するかということだろうと思うんです。こういう体質をきちっと調整して新たな公団を立ち上げていかない限り国民が期待をするようなものにはなっていかない、こういうふうに思っているところでございまして、私は、本法律案の審議に当たりまして、特段、建設省、もちろん公団側両者がきちっと襟を正して経営に新たに乗り出していくという決意がなければならないと思います。  大臣に最後にお聞きをして、終わります。
  214. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 全く御指摘のことが基本でございますので、あらゆる努力をいたしたいと思います。
  215. 泉信也

    ○泉信也君 前回公団が取得されました過去の土地の事柄について若干お尋ねをいたしましたが、もう少しお聞かせをいただきたいと思います。  先ほども質疑の中に出ました八王子の川口地区の土地の手当ては、最初は住宅団地開発で購入をされたというふうに承知いたしておりますが、どういう経緯でこれがリサーチパークという方向に変換をされようとしておるのか、簡単にお話しいただけますか。
  216. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 八王子川口地区の取得当時は高度経済成長の進む昭和四十年代でございまして、大都市のみならず郊外部におきましての人口集中が激しかった、こういうことでございまして、早急な住宅供給が必要であったということで取得をしたわけでございます。その後、八王子市との調整等におきまして、特に調整区域の関係それから交通問題等がございまして開発がおくれておったということでございます。  そのような状況の中におきまして、人口の急増の状況も相当おさまってまいりましたので、広い意味で必ずしも住宅団地にこだわらずに、用地の造成ないしは利用について検討しようというような経緯で今の検討をしているところでございます。
  217. 泉信也

    ○泉信也君 社会情勢、経済情勢が変化をした結果、住宅開発を断念しなきゃならないということが生じるということはある意味では理解するものですが、こういう土地が各所にたくさんあります。  購入して二十年あるいは三十年というふうな時間を経過したものがたくさんありますけれども、今なお開発の目途が立っていない土地、こうしたものを購入した当時のというふうに申し上げた方がいいと思いますが、総裁以下公団の責任はどういうふうに問われることになるんでしょうか。
  218. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) ただいま公団が分譲住宅あるいは賃貸住宅として建設するために保有している用地でございますが、建築工事に着手していない土地につきましては平成九年度末におきまして二百二十地区、六百三十六ヘクタールございます。  これらの用地につきましては、購入時におきましては住宅の建設計画及びその販売や賃貸の見通し等を判断して取得を行ったところでございます。また、その後におきましても、土地の造成や住宅の建設に際しまして、その事業の節目ごとに具体的な事業費等をもとに経営判断を行っているところでございます。  現在のところ、この二百二十地区におきまして、最近買ったものにつきましてはこれから造成とか建築に着手するわけでございますが、五年以上経過しております百五十一地区について見ますと、ただいま先生からお話がございました八王子川口地区ほか一地区を除きまして既に造成工事に着手しているところでございます。順次建築工事にもまた着手いたしまして、用地の処分を行うというふうに予定しておるところでございます。  その意味では、具体的な仕事にかかっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  219. 泉信也

    ○泉信也君 そういたしますと、既に早いものは昭和三十八年度に購入されたような土地が、先ほど来指摘されておりますように、十四兆円余りの借り入れあるいは七千億余りの金利を払うという事態に陥れた一つの要因にはならないというふうに公団側は御判断しておられるんですか。
  220. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) ただいまの未着手という用地の中には、これから具体的に公共団体に対しまして、道路ですとか公園ですとかないしは学校用地として処分する予定のものが相当ございます。  その具体的な数字でございますが、百四十三ヘクタールございまして、そういうものにつきましては当然公共団体との調整を踏まえて順次公共団体に移管し、処分しているところでございます。
  221. 泉信也

    ○泉信也君 今御説明のように、ぜひ早く処理をできるものは処理していただきたいと思います。  私がお尋ねをしたかったのは、計画が順調にいっておれば、それはある程度の懐妊期間を持って物が動いていくということはやむを得ないと思います。しかし、余りにも長いではないか。その責任をどうやって公団は果たしていくのかということについては、明確な姿勢はお示しいただけなかったと思うんです。  ちょっと形を変えて申し上げますと、今衆議院で議論されております中央省庁等改革の法案では大臣の数を、十八名が現大臣の数ですが、原則十四名に減らすと、これは大変なことでございます。そして、国家公務員の数は十年間で二五%削減をする、これも盛り込まれる予定であります。  そういう中で、新しい公団の中ではどういう合理化あるいは経営改善というようなことをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  222. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 先ほどの先生の御質問にもあわせて若干お答えしたいと思うんですが、三十八年以来塩漬けになっている土地が現実にある、それを買ったときの例えば総裁の責任というような大変厳しいお話だったと思いますが、私が現在の公団をお預かりしている立場で自分なりに先生の御指摘を受けとめて今考えましたが、やはりその土地を購入したときには、それなりのきちんとした判断はあったと私は信じたいと思います。  ただ、その後においていろいろな状況変化、例えばオオタカが見つかったということもそうでございましょう、あるいは最大のものは何といってもバブルが発生し、それが崩壊していった。御多分に漏れず、公団もその影響を受けているわけでございます。  その責任が、それでは昭和三十八年のときの総裁にあったかと言われても、若干情緒的かもしれませんがお気の毒のような気がしますので、私は自分としては、やはりそういうもろもろの先輩のものを受け継いでいるのは私及び役職員でございますから、これが打って一丸、若干マイナスのところがあることも事実でございますが、プラスのところがあるのも事実でございます。ですから、私どもは長期安定的な原則として三十年もの長い期間の借入金をして仕事をやっているわけでございますから、そういうところで現役が大いに頑張るというのが一つの答えなのかと。  それから、中央省庁統合によって大臣の数もお減りになるとか、あるいは国家公務員の絶対数を減らしていくということでございますが、その点につきましては私の方も、説明は繰り返しませんが、役員の数も減らしますし、職員につきましても現在の四千八百七十六人の一〇%を上回る五百人を純減いたしますと、うち四百人は前の五年に前倒ししますと。私は、国家公務員の二五というのは、もし間違った理解であったら謝らなければならないんですが、国家公務員の身分を持ったまま独立行政法人に移られる方の数を引きますとほぼ同じ努力を私どももさせていただいているのではないかな、このように考えております。
  223. 泉信也

    ○泉信也君 そのことについて、総裁とここで議論をさせていただくのもいかがかと思いますので。  総裁、私はこの新しい公団住宅供給という大切な役目を持っていただかなきゃならないし、今日までもその機能を果たしていただいたことは評価するものです。それだけに、従来から抱えてきたマイナスの要因を早く消していただきたい、その努力をお願いしたいわけです。  先ほど申し上げましたように、状況の変化という言葉で片づけられるのであれば経営の責任というものはいつの時代にも問われることはない。やはり、そういう状況の変化も含めて経営者は責任をとっていくべきだ。民間の企業はきっとそういうことだろうと私は思っておりますので、ぜひこの点は公団総裁以下役職員の皆様方にお願いを申し上げたいと思います。  それから、この委員会で再三、多くの傍聴者の方々がお見えでございます。詳しくはわかりませんが、公団住宅にお住まい方々ではないかと思います。私は、さきの参考人質疑の際に、公団の家賃について公団自身あるいは建設省がいろいろ配慮をしていく、このことは大切なことだというふうに申し上げました。しかし、公団にすら入れない、民間借家に入っておられる方もいらっしゃる、また個人的に借金をして自宅をつくっておられる方もいらっしゃる。国民全体の公平性についても、ぜひお考えをいただきたいということを参考人の方にお尋ねしたわけであります。  建設省にお尋ねいたしますけれども、これは通告をいたしておりませんが、新しく入られる方、あるいは継続入居者、戻り入居者に手当てをして何とか御不便をかけないようにしようということは私は大切だと思いますが、今申し上げましたように、住宅政策として例えば個人住宅をつくった人に税制的に優遇してあげる、あるいは借家を借りておられる方に何らかの手当てをする。そうした国民全体から見て格差が生じるというようなことは、今回の法案の成立によっては起きてこないんでしょうか。  もう一度申し上げますと、国民全体が厳しい住居条件の中で苦労しておられる中で、ほかの分野の方々にもそれなりの手当てを住宅政策として打っていただくというお考えでしょうか。
  224. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現下の大変厳しい経済情勢の中で、住宅政策としてもいろいろな側面で難しい問題を抱えていることは、先生ただいまの御指摘のような基本的な観点も含めて、実際そのとおりでございます。  私どもとしては、持ち家あるいは借家居住の方それぞれ問わず、こういう時代にあってやはりその方の住宅ニーズに的確に沿うような選択ができるような住宅、そういう社会であってほしい、こう思うのが第一点でございます。そのためには、基本的には分譲住宅、持ち家住宅あるいは賃貸住宅問わず、いわゆる住宅のマーケット、市場がもっと円滑に活性化していくことが基本だろうと思います。  そのためには、例えば今先生が御指摘になりましたけれども、市場を活性化するために住宅金融公庫の持ち家取得のための融資制度の拡充ですとか、あるいは本年度からかなり大幅に拡充いたされました住宅減税の諸制度、こういう制度の活用が考えられるわけです。さらには、民間賃貸住宅につきましても平成五年度から特定優良賃貸住宅制度と申しまして、民間がお建てになった賃貸住宅を公的に借り上げて比較的安い家賃でお貸しする、こういう制度もございます。  そういう意味で、まず市場を刺激し、その条件をいろいろと整備していくということは第一に必要であるわけでございますが、その上でやはりマーケット、すなわち民間に任せておいたのだけではどうしても足りない、不足するという部分について、先ほど大臣からも申し上げましたけれども公営住宅あるいは今回の議題になっております公団による賃貸住宅、こういう直接供給方式というのが考えられるわけです。  これは、住宅政策の基本といえば基本でございまして、公営住宅公団住宅ももう昭和二十五年、三十年からずっと続いてきているわけでございます。今回は、この公団賃貸住宅につきまして、既存の七十三万戸という賃貸住宅の適正な管理について、あるいは新しく供給される賃貸住宅がもっとより合理的に、より立地のよいところに、より中堅所得層にフィットするような、そういう形で具体的に供給されるためにはどうしたらいいかというようなことも検討の上、こういう形で法案として出させていただいているわけでございます。  さらに、具体的なことになりますけれども、七十三万戸の管理のあり方として、公営住宅役割分担しているとは言え、現に七十三万戸の中にはいわゆる所得分位で言えば低い方、公営住宅階層に該当するような方も相当数いらっしゃいますし、高齢者の方もまた多いわけでございます。  そういう方々には、実際問題として恐らく、例えば政策目標としては公営住宅で手当てすべきだ、こう思います。しかし、現にやはり公団に住み続けていたいとおっしゃるし、それから民間の市場で公団のような環境のすぐれた賃貸住宅がそれほどまだ育っていないというような状況から、そういう方々に対して現実問題としてこのような一定の、例えば家賃改定時における減額措置あるいは建てかえ時における減額措置というものは、これは政策的にきちっとそういう措置をとるべきだ、こういうふうに判断いたしました。  そのことによって、先生が御質問なさいましたような全体として国民住宅のニーズに対する不公平感を増すのじゃないかというようなことは、私はこの限りにおいては全くない、こういうふうに思います。
  225. 泉信也

    ○泉信也君 今、局長にお答えをいただきまして安心いたしました。  この委員会で、多くの先生方の御質問は、まさに公団住宅にお入りになっておられる方々の家賃の問題に集中しておったと思いますけれども、国が行う住宅政策としては、今局長が御答弁になりましたような、幅広い観点から見て今回の法律は妥当なものだという御答弁をいただきましたので、そのことを受けとめまして私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  226. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 都市公園の整備について、まずお伺いいたします。  第一条の目的規定の中に、公団大都市地域だけでなくその他の都市地域においても業務を行うことになっているが、どの程度の規模都市を想定しておられるか、お尋ねいたします。
  227. 那珂正

    政府委員那珂正君) 目的で記述されております「大都市地域その他の都市地域」というのは、抽象的な考え方でございますが、基本的には人口産業都市に集中した結果、その都市の内部の土地利用が細分化したり、公共施設不足したり、いわゆる市街地環境悪化というような都市問題を抱えていて、秩序ある都市形成を図るためにはぜひその基盤整備が必要だというような地域で、例示といたしましてはいわゆる三大都市圏あるいは政令市とその通勤人口圏などを考えております。
  228. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、同条には「都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備を行う」というふうな規定がございます。しかし、第二十八条の業務規定の十一、十二、十三、十四の各号に規定する都市公園の整備に関する業務は、業務の内容が非常に限定的で狭いように思うわけです。  その点について、御説明を願いたいと思います。
  229. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生指摘のとおり、第一条の目的には「都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備」、こういうくだりがございます。これを受けまして、第二十八条の業務といたしまして三つ書いてあるわけでございますが、国営公園における優良施設の設置、管理、それからこの優良施設に密接に関連するものについての国からの委託に基づく設置、それから公共団体の委託に基づきます根幹的な都市公園の建設、この三つが現在の公団の公園事業として掲げられておるわけでございます。これは新公団にも同じ規定で同じ条文で引き継がれておる、こういうことでございます。  先生指摘のように、今申し上げました三つの業務について、少し業務の委託であるとか、国営公園の中の一部の優良施設についての建設ではないか、目的が非常に広過ぎるんじゃないか、こういう御指摘でございますが、この三つの業務を簡潔に包含する規定が今申し上げました目的の中の「都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備」ということであろうかというふうに思っております。  したがいまして、全体といたしましてその目的を全部包含した規定であり、あるいはまた第一条の趣旨を具体的に具現化したものとして二十八条の三つの号があるということで、私どもといたしましては整合性はとれておるんじゃないかというふうに考えております。
  230. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今年度は、第六次都市公園等整備七カ年計画の第四年目に当たります。今年度の事業について、その概要と現在までの累計、進捗率及び今後の事業の達成見通し等について、御説明をいただきたいと思います。
  231. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 平成八年度を初年度といたします第六次都市公園等整備七カ年計画の四年目に当たるわけでございます。今年度は一般公共事業費が三千七百十六億円をもちまして、昨年度に引き続きまして四つの重点項目事項について整備を推進しておるわけでございます。  一つは、安全で安心できる都市公園の整備、それから長寿福祉社会に対応した身近な公園等の整備。それから三つ目が、都市環境の保全、改善や自然との共生に対応した公園等の整備。それから最後四つ目が、広域的レクリエーション活動や個性と活力のある都市づくり、農村づくりに対応した公園等の整備。こういう四つの重点事項で整備に努めておるわけでございまして、十一年度当初予算までの累計の進捗率が一般公共事業費で約七〇%でございます。ほぼ順調に推移しておるということでございます。
  232. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、沖縄の都市公園の整備状況についてお伺いいたします。  まず第一に、公園供用面積はどれぐらいになっているのか、それをお聞かせください。
  233. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 平成十年度末現在でございますが、沖縄県の都市公園の供用面積は国営の沖縄記念公園等も含めまして全体で八百二十五・八七ヘクタールでございます。
  234. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは、都市計画区域内の人口ないし県人口当たりの面積はどれだけあるのか、その点について、全国平均との比較、それをお聞かせください。
  235. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) これも平成十年度末現在の数字でございますが、沖縄県の都市計画区域内一人当たり公園面積約六・九平米でございます。全国平均が七・五平米でございますので、全国平均より多少低い状況であろうかと思います。順位でまいりますと都道府県の中で三十二位、こういう状況でございます。
  236. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まだまだ公園整備が非常におくれているというふうな印象をぬぐえないわけであります。  それでは、国営沖縄記念公園、海洋博覧会地区と首里城地区整備状況についてお尋ねいたします。  首里城地区は、昭和六十一年から首里城跡地一帯十八ヘクタールを都市公園として整備を進め、平成四年十一月三日に国営公園区域一・七ヘクタールと県営公園区域二・二ヘクタールを供用開始していると私は承知しておりますが、この辺についてどうなっているか、お尋ねいたします。
  237. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 先生御案内のとおり、国営沖縄記念公園は、閣議決定を経て整備が行われている国営公園でございますが、昭和五十年度から沖縄国際海洋博覧会の跡地に整備を進めております海洋博覧会地区と、それから沖縄の復帰を記念する事業の一環として昭和六十一年度から整備を進めておる首里城地区、この二カ所がございます。  その中で、先生今御指摘の首里城地区につきましては、計画面積が五ヘクタールでございます。そのうちの四ヘクタールを供用開始いたしておりまして、主要施設は首里城の正殿、広福門等でございます。全体を合わせました計画面積は八十二ヘクタールということでございまして、海洋博も含めまして供用面積は七十三ヘクタールということになっております。
  238. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは、大臣にお伺いいたします。  首里城は、去る五月二十一日、文化庁が琉球王国のグスク及び関連遺産群として世界遺産に推薦することが決まりました。その関連遺産群の中には首里城のほかに中城城址、勝連城址、座喜味城址そして今帰仁城址と五つの箇所が決まっておりますけれども、そのほかに琉球王朝の聖域としての斎場御嶽、園比屋武御嶽石門、王家陵墓の玉陵、王家の別邸でありました識名園、その遺産群に大体こういったものが含まれております。  これは同日開かれた文化財保護審議会で了承されまして、近日中に国連教育科学文化機関、ユネスコに推薦書が提出される予定であります。二〇〇〇年十二月ごろ開催の世界遺産委員会で登録される見通しだと言われております。したがって、今後はさらに整備充実していく必要があると思います。これは沖縄全体としてやはり相当見直しをする必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  239. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生指摘のように、首里城につきましては五月二十一日の文化財審議会において琉球王国のグスク及び関連遺産群の一部として世界遺産に推薦されることが了承されたところでございます。  国営沖縄記念公園首里城地区は、首里城の中心部にありこれまでに首里城の復元等を行ってきたところでございます。今後も貴重な文化遺産の回復等のために首里城周辺の系図座、用物座等の建物の復元や内郭の石積みの整備を積極的に進めるところでございます。
  240. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の代表的な首里城の問題については、これは米軍の統治下にありましても県民の総意で石垣の修復をしたりあるいはそこに沖縄の泉がありますけれども、そういった地域の整備あるいは龍潭池の整備等着々と周辺の整備をして七年前ですか、首里城が正殿として完成したわけであります。これはアジア諸国からも非常に注目されている首里城であります。  それに関連して、先ほど申し上げました中城、勝連、座喜味そして今帰仁城といったような非常に幅広い沖縄のグスク関係が存在しておりますから、並行してやはり沖縄の公園整備をもっと充実させてほしい、そのことによって観光誘致にも大きな役割を果たしていくんじゃないかというふうに思っておりますので、再度その辺のことについて大臣の決意を承りたいと思います。
  241. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 御指摘の問題等々につきましては、これはもうあらゆる角度から沖縄に対しましては国を挙げて一に観光面とかそういうことだけではなくして、今日までの沖縄の大変な御苦労をおかけしたことに対して、あらゆる角度から御支援を申し上げるということが基本の姿勢でございますから、この首里城の問題等々につきましてもなお進めていきたいと思っております。
  242. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ強く取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、賃貸住宅業務についての問題でありますけれども、バブル期以降非常に高家賃が続いているというふうな御指摘があります。家賃の値下げをしてほしいというのが居住者の偽らざる声だと私は思っております。  そこで、公団としてはこの居住者の皆さんの声をやはり反映させるためにどういう努力をして家賃を引き下げていくのかというふうな点について、これはいろんな角度からお聞きがありましたけれども、私は、この問題については皆さん本当に熱心に傍聴されておる関係からしても、ちゃんとした国の施策あるいは公団施策というものを皆さん方に詳しく説明する必要があるんじゃないかということで、重複するかもしれませんが、お尋ねしておきたいと思います。
  243. 荒田建

    参考人(荒田建君) バブル期以降、依然として高家賃という居住者の声がある、公団として家賃値下げをというようなことでございます。  公団の家賃は、もうこれまでるる御説明してまいっておりますが、原価を基準として公団のほかの団地とのバランスでもって決めてきているというようなことでございますけれども、これまでに実は何度か家賃の引き下げ、減額ということをやってきております。最近時点では平成九年一月、それから平成十年十一月、全団地ではございません、特定の団地だけでございますけれども高額家賃を是正してきておりまして、本日ただいまの空き家の発生状況等々から見て、需要に適切に対応した家賃であるというふうに認識しているわけでございます。  新公団移行後、新規入居者の家賃は近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないように設定する、また継続居住者の家賃は居住の安定に配慮するようなルールにするとか、あるいは低所得高齢者に対する助成措置というものを活用して、できるだけ上がらないようにするといいますかマイルドな改定にするということを考えておって、今その作業を家賃部会にもお諮りしながらやっているところでございます。  今後、市場家賃化によって極端に上がるのではないかという不安の声があるのは承知しておりますけれども、今申し上げましたように、これからのルールにもよりますけれども、家賃が上がっていくものもそれはあるだろうと思いますし、上がらないものも多分出てくる、場合によっては下げなければいけないものも出てくるのではないか。これはまだ現在の段階で確たる見通しを申し上げるわけにはまいらないわけですけれども、家賃改定時までにはその辺の見通しがはっきりいたしますから、そういうふうな状況かと今考えております。
  244. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先だって、空き家について状況説明してほしいという私の質問に対して、公団側から一団地当たり一軒にもならないとの御答弁がありました。しかし、利用者の皆さん方の話によりますと、やはりそれ以上に多いのではないかというふうな声があります。  その辺の認識のギャップがあるんじゃないかと思いますけれども、再度、この空き家問題について状況を詳しく説明していただきたいと思います。
  245. 荒田建

    参考人(荒田建君) 先般の先生の御質問に対して、平成十一年三月末の空き家戸数は約千三百戸ということで申し上げました。確かに、実感としてもっと多いのではないかという声があろうかと思います。  私ども、この空き家の戸数を経営的にどういう感じでつかまえているかと申しますと、一応空き家期間が三カ月以上経過したものを空き家戸数とカウントしております。その三カ月というのはどういう意味かといいますと、賃貸住宅の前居住者が退去いたします。そうすると、査定といいましていろんな査定をしたり、あるいは新しく入居する方々に向けて家の中をきれいにしなければいけません。補修をいたします。場合によっては設備改良もする期間ですとか、それから募集にかけるということになりますと契約の手続もありますし、募集して最初に予約した方がキャンセルするというようなことも日常起こってまいります。辞退とか延期とか、いろいろなことがございます。  三カ月という期間は、いわばそういう事務的に当然必要になっている期間、自然空き家とでも、ちょっと言葉が適切かどうかわかりませんが、そういう感じで考えておりますので、そこは除外して考えています。多分、そうは言ったって空き家はもっとたくさんあるんじゃないかという声になるのは、三カ月未満の部分があるということが一つの原因であろうかと思います。また、一時的に入居者がいない、長期出張というような形もあるでしょう。  それから、実は建てかえ事業の推進のために、これは戻り入居者の仮住居という形で建てかえ事業を推進中の団地には空き家がございます。なぜかといいますと、戻り入居の方々団地の中で仮住居というものを確保して、そしてそちらに一時引っ越してもらうこともあるものですから、そういった方々に対する空き家も事業遂行上どうしても出てくる。そういったところは、一時的に募集を停止してキープしておるというようなことがございます。  団地によって区々だと思いますけれども、空き家が一見多く見えるのはそういうような事情でございまして、私どもはもちろん空き家を減らす努力は今後とも最大限尽くしてまいりますけれども、何かもっと多いのではという感じは当たらないのではないかと考えております。
  246. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは、この前答弁していただきました一団地当たり一軒にも足らないということで確認してよろしゅうございますか。
  247. 荒田建

    参考人(荒田建君) 先ほど私が申し上げた三カ月以上の定義ということでいけばおっしゃるとおりでございまして、約千三百ですから、大体千六百団地を管理しておりますので、そういうことで間違いないと思います。
  248. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後に、公団が新たに供給する賃貸住宅について、都心居住住宅を政策的に推進すべきものとしておられますけれども、それはどのような手法で確保、供給していかれるお考えなのかを承って、私の質問を終わります。
  249. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 新公団におきましては、重点的に供給する住宅といたしまして、都心部で不足しているファミリー向けの規模で、将来にわたりまして有効なストックとなり得る住宅を考えてございます。  これは、都市基盤の整備というものを同時にあわせることが一番いいというふうに思っておりますが、こういう事業におきましては新たな土地を取得しなければいけない。それからもう一つは、比較的開発に要する時間が長いということがございます。さらには、公団住宅としていい環境をつくるという意味環境整備が必要であるということでありまして、相当な家賃に関する問題があると思います。  基本的に、これらの住宅につきましては市場家賃で供給をするということになってございます。でございますから、これに対しましてどうするかということでございますが、一つ公団といたしましても安定的な経営をする必要がございますので、国からの出資金ですとか補給金等の一定の財政援助を受けることとしているところでございます。  それからもう一つは、公団自身といたしましても、新公団供給いたします都心居住型賃貸住宅につきましては、都心の商業系の一等地よりも、むしろ都心周辺部の低未利用地工場跡地等でありまして職住近接ができる利便性が高い地区を一般的に想定してございます。また、このような形で立地の選定をすると同時に、住宅の形式につきましても相当シンプルなものをつくっていくというようなことですとか、土地の高度利用によりまして中堅所得層が負担可能な家賃になるように努力をしてまいりたいと思います。  そうすることによりまして、できる限り都心居住で、市場で不足しておりますファミリー向けの住宅供給することによりまして、結果といたしまして市場家賃が下がっていくということを期待しているわけでございます。
  250. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので終わります。
  251. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  252. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の都市基盤整備公団法案に対する反対の討論を行います。  この法案は、従来いろいろな問題を持ちながらも、勤労者に公的住宅供給する上で一定役割を果たしてきた住宅都市整備公団を廃止し、今後は都市基盤整備中心都市部の再開発を推進し、住宅建設から原則撤退するというものです。  以下、反対する理由を四点述べます。  第一の理由は、ただでさえ政府が低い水準と認める我が国の公共住宅からの撤退を図るものだからです。  八一年の住都公団設立の際に、前身日本住宅公団法の目的にあった勤労者のための住宅供給を削除し批判を浴びましたが、今回はそれをはるかに上回る国の公共住宅政策の撤退とも言えるものです。それは、当委員会の審議で私が建設省、公団の内部文書を示し、公団賃貸住宅の総ストック量七十二万戸はふやさないことを前提にその適正量について検討中とか、市場補完的な役割が終了すれば賃貸住宅の新規供給は終了する等を検討していた事実を指摘しましたが、これはまさに国民の居住権についての世界の流れにも国民の願いにも逆行するものであります。特に、公共住宅が量的にも質的にも低い水準にある我が国の現状で、住宅供給を市場原理にゆだねることは、国民の居住権を著しくゆがめるものであり、絶対に容認することはできません。現公団法の目的から「福祉の増進」を削除したことにそのねらいが端的にあらわされていると考えます。  第二に、公団が大企業の不良債権処理機関、公的地上げ機関に変身するからであります。  新公団が、金融機関、大手ゼネコンなど大企業のバブルで塩漬けとなった不良債権、つまり売れ残った虫食い状態の土地などの低未利用地を購入、取得の推進に加え、工場跡地などを新公団に取得させるとの経団連の提言を受けた政府、財界が一体となった産業競争力会議の提言等により、公団の土地取得事業は一層大規模となり、公的資金による土地流動化対策の新段階を画するものであります。こうした事業展開は、結局、公団が大企業の不良資産を抱え込み、それが将来新たな国民負担となるおそれがあります。  第三に、市場家賃制度の導入は家賃値上げとなり、国民公団入居に新たな障害を生み出すばかりでなく、家賃が払えず居住者が住み続けることができなくなるおそれがあるからです。  この制度が導入されると、新規入居家賃は市場家賃への値上げに、継続入居家賃は一斉に見直しが行われ、現行家賃を超える額で市場家賃を上回らない程度の額になる。また、継続の低所得者等には減免措置はあるものの、これも値上げ率を一定緩和するというものであり、値上げには変わりなく、結局、値上げに耐えられない居住者の追い出しにつながりかねないものであります。  第四に、建てかえ事業で強権的な居住者追い出しが推進されるおそれがあるからです。  従来、法律には建てかえという規定がないもとで、その事業は、居住者との合意のない一方的、強制的な建てかえが行われてまいりました。しかも、建てかえ後の家賃が三倍、四倍になり、従前居住者が住み続けたくとも戻り入居ができない情け容赦のないものでありました。  新法案では、建てかえという大きな柱で業務の中に位置づけられ、より強権的になるのではないかという懸念が表明されてきました。審議の中で、建設省は、建てかえ規定を入れたのは手続を明確にし建てかえがスムーズに進むようにするためと答弁していますが、肝心なことはいつまでも安心して住み続けられるかどうかであり、さらに居住者が長く住みなれた団地コミュニティーを去らざるを得ないような事態を断じて招いてはならないということです。  以上の点から、政府案に反対いたします。  ハビタットⅡで宣言されたように、住宅は人権であり、適切な住宅に住むことは基本的な国民の権利であります。欧米諸国に比べて著しく低い我が国住宅水準を引き上げ、良質で廉価な賃貸住宅、とりわけ公共賃貸住宅の大量供給が今こそ求められている、このことを強調して、反対討論といたします。
  253. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  都市基盤整備公団法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  254. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  福本君から発言を求められておりますので、これを許します。福本潤一君。
  255. 福本潤一

    ○福本潤一君 私は、ただいま可決されました都市基盤整備公団法案に対し、自由民主党、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     都市基盤整備公団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、政府は、国民生活の安定向上のためには住宅政策を通じた福祉の増進が不可欠であることを踏まえ、公団賃貸住宅公営住宅等の適切な役割分担と連携に配慮しつつ、大都市地域等において居住水準向上が必要な世帯等のために、良質な公共賃貸住宅を計画的に供給するよう努めること。  二、都市基盤整備公団(以下「新公団」という。)は、既存の賃貸住宅団地について、居住者との信頼関係を尊重し、十分な意思の疎通の下に住宅利便施設等の適切な維持管理を行い、快適な生活環境の確保に努めること。また、老朽化した賃貸住宅の建替えや住戸改善に当たっては、居住者の居住の安定に努めること。  三、新公団は、賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう十分な配慮に努めること。特に、低所得の高齢者等に対する家賃の減免や建替えに伴う急激な家賃の上昇の抑制については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること。  四、新公団は、地方公共団体等が推進するまちづくりを支援する業務に積極的に取り組むとともに、賃貸住宅の建替えに併せた公営住宅や福祉施設等の整備への協力に努めること。  五、新公団は、市街地整備改善に関する業務の実施に当たっては、事業の有効性、経済性等を確保するため、可能な限り初期の段階から地方公共団体民間都市開発推進機構、民間事業者等との協力及び適切な役割分担を図り、リスク負担の明確化に配意するとともに、関係権利者の意思が十分反映されるよう努めること。  六、新公団は、用地の取得等既に事業に着手している分譲住宅団地について、事業の見通しや採算性について再評価を行い、必要な計画の見直しを行うよう努めること。併せて、住宅建設工事未着工用地の管理を徹底し、有効活用に努めること。  七、新公団は、公団関連業務に従事する関係法人について、新公団発足後三年以内を目途に出資の見直しや整理合理化の推進に努めること。また、公団関連業務の業務契約について、関係法人との随意契約の適用を厳格に行い、競争入札を原則とすることにより、民間事業者の業務機会の拡大に努めること。  八、新公団に置かれる運営委員会に関しては、公正中立性を確保した権限の行使がなされるよう十分に配慮すること。また、新公団は、関係法人を含め、財務内容等の情報公開を積極的に進め、国民のニーズを踏まえた国民に分かりやすい業務運営を行うよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  256. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま福本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  257. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、福本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷建設大臣
  258. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 都市基盤整備公団法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました福祉の増進の重要性を踏まえた良質な公共賃貸住宅の計画的供給公団賃貸住宅の居住者、特に低所得高齢者等の居住の安定、家賃の設定及び変更を含めた公団賃貸住宅の適切な管理、地方公共団体民間事業者等との協力及び役割分担関係法人の見直し、運営委員会の公正中立性の確保、国民にわかりやすい業務運営の確保等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  259. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  261. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。真鍋環境庁長官
  262. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  現代では、日常生活や経済活動に用いられている化学物質が数万種類に及ぶと言われており、近年では毎年約三百種類の新規の化学物質開発、販売されております。一方、化学物質の中には、人の健康や動植物の生息などに有害な性状があるものもあり、特に近年、テトラクロロエチレン、ダイオキシン類等の環境への排出に関する社会的な関心が高まっており、化学物質への対策の強化が政府の急務となっております。  こうした現下の状況に対応するためには、有害性がある化学物質について、環境への排出規制や製造・使用規制を中心とする従来の対策に加え、化学物質の管理の改善を促進するとともに、環境保全の一層の推進を図るための新たな制度の導入が必要であります。このように、化学物質の管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するという考え方は、平成八年のOECDによる勧告等に見られるように国際的にも共通の認識となり、主要先進国で実施され始めていることから、我が国としても国際的協調の動向に配慮しつつ施策を進めることが必要となっております。  そのため、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進を図ることを内容とするこの法律案を提案した次第であります。  次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、この法律は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障の未然防止を図ることを目的とするとともに、国が定める化学物質管理指針に留意して特定の化学物質の取り扱い等に係る管理を行うこと等を事業者の責務とし、国及び地方公共団体は、事業者に対する技術的助言、必要な人材の育成等の措置を講ずることとしております。  第二に、事業者にその事業活動に伴う特定の化学物質排出量把握等及び国への届け出を義務づけるとともに、国はその届け出られた事項について集計し、集計結果を公表することとしております。さらに、個別事業所の排出量等の情報につきましても、営業秘密を確保しつつ、国民の請求に応じて開示することとしております。また、届け出義務を課されない中小の事業者、家庭等からの排出量につきましては、国が当該排出量を算出、集計し、その集計結果を事業者から届け出られた排出量等とあわせて公表することとしております。  第三に、事業者は、特定の化学物質等を譲渡し、または提供する場合、その相手方に対して当該化学物質等の性状及び取り扱いに関する情報の提供をしなければならないこととしております。  このほか、国による調査の実施、必要な罰則等に関し、所要の規定を設けることとしております。  以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  なお、本法律案は衆議院で一部修正されております。  以上でございます。
  263. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 次に、特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員大口善徳君から説明を聴取いたします。衆議院議員大口善徳君。
  264. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) ただいま議題となりました特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  御承知のように、本法律案は、特定化学物質について、事業者による自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するため、いわゆるPRTR制度及びMSDS制度を導入する措置を講じようとするものであり、これら制度の早期実施についての内外からの期待は非常に大きいところであります。  本法律案の衆議院における審査におきましては、制度の構築及びその運用等について参考人質疑及び連合審査会を行うなど、我が国における制度の円滑な実施及びその実効性の確保へ向けて慎重な審査を行いました。  その中で、法律の対象となる特定化学物質の指定に当たっては、人の健康に係る被害等の未然防止に十分配慮することが重要であること、また、排出量等の届け出先については地方公共団体とすることが、地域における排出量等の把握や事業者に対する相談指導等の実施において有効であること、さらに、本法律案が十年としている法律の検討期間については、化学物質の管理及び安全性に係る科学的知見等の国際的技術の進歩に迅速に対応することが重要であること等の議論が交わされたところであります。  衆議院においては、こうした経過を踏まえ、以下の修正を行いましたので、その概要を御説明申し上げます。  第一に、指定化学物質を定める政令は、環境の保全に係る化学物質の管理についての国際的動向、化学物質に関する科学的知見、化学物質の製造、使用その他の取り扱いに関する状況等を踏まえ、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮するものとすること。  第二に、事業者からの届け出は、営業秘密に係る請求がある場合を除き都道府県知事を経由しなければならないものとし、その際、都道府県知事は意見を付することができるものとすること。  また、営業秘密に係る請求がある場合については、主務大臣に直接届け出るものとし、届け出を受けた主務大臣は、届け出事項を都道府県知事に通知するものとすること。  第三に、都道府県知事は、必要があると認めるときは、主務大臣に対し、当該地域に係る営業秘密が認められた届け出事項について説明を求めることができるものとすること。  第四に、法律の検討に係る期間を七年とすること等であります。  以上が、本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。本修正は、我が国におけるPRTR制度の実効性を確保する上で意義のあるものと考えますので、何とぞ、慎重御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  265. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 次に、化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案について、発議者清水澄子君から趣旨説明を聴取いたします。清水澄子君。
  266. 清水澄子

    委員以外の議員清水澄子君) ただいま議題となりました化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  現在、世界の市場に出回っている合成化学物質は十万種類とも言われ、毎年、千種類もの新製品が市場に出回っていると言われております。  このような膨大な化学物質の安全性を明らかにするには極めて長い時間がかかり、有害性が判明した物質に対する従来の手法では対応できるものではありません。特に、ダイオキシンにもその作用があると言われる環境ホルモン問題等に対しては不安が高まっており、このような安全性が確認されていない化学物質に対しては、国民が絶えず監視し、未然防止の観点から、環境リスクを低減する仕組みづくりが必要となっております。  ところが、政府が提案したPRTR法案は、リオの地球サミットが推奨し、OECD理事会が勧告した原則やガイダンスマニュアルと似て非なる内容になっております。  そこで、OECDなど国際原則にのっとり、潜在的に有害性の可能性の疑いがあるものを含む広範な化学物質を対象とし、人の健康や生態系への被害の未然防止の観点から、環境リスクの低減を目的とするとともに、知る権利を保障して、政府、企業、地方自治体、NGO、市民などあらゆる主体での情報の共有と、リスクコミュニケーションによる排出量低減が促進されることを内容とする本法案を提出いたしました。  次に、この法案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、対象となる化学物質に、環境ホルモンなど有害性の疑いがあり、人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれのあるものを加えることとしております。  第二に、化学物質環境中への排出量などの把握について、地域の事情に最も詳しく、住民の健康保護と生態系の保全を図る役割を担っている都道府県知事を中心とする制度としております。また、国においては、政府案のように業所管官庁ではなく、環境庁長官が一元的に対応することとしております。  具体的に、知事は、事業者からの届け出の受理、公表、非点源から排出量移動量の推計、企業秘密の判断等を行うこととしております。  第三に、国民の知る権利に資するため、請求による開示ではなく、公開、公表制度とすることとしております。  すなわち、対象事業場のデータやそれ以外の国が調査したデータ等について、インターネットを通じて公表するなど利用しやすい方法とするとともに、化学物質を含む製品については、有害性に関する取り扱い上の注意事項などを製品に表示させるよう事業者に義務づけております。  第四に、調査研究について、国に計画策定を義務づけ、総合的に進めることを定め、計画についてはその実行に関する評価とともに公表することとしております。  第五に、環境リスクコミュニケーションの考え方を明らかにするとともに、環境リスク低減のため事業者への勧告制度を設けております。  以上が、この法案の概要でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  267. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 以上で趣旨説明等の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  268. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定化学物質環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律案及び化学物質に係る環境リスク対策促進に関する法律案の両案の審査のため、来る六月十日午前九時、本委員会に中央環境審議会環境保健部会長井形昭弘君、高崎経済大学経済学部講師水口剛君、横浜国立大学環境科学研究センター教授中西準子君、横浜国立大学工学部教授浦野紘平君、以上四名の方々参考人として出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る十日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会