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1999-06-03 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任         岡崎トミ子君     千葉 景子君  六月三日     辞任         補欠選任         千葉 景子君     岡崎トミ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 千葉 景子君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君    政府委員        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        国土庁土地局長  生田 長人君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    参考人        住宅都市整備        公団総裁     牧野  徹君        住宅都市整備        公団理事     今泉 浩紀君        住宅都市整備        公団理事     平岡 哲也君        住宅都市整備        公団理事     島崎  勉君        住宅都市整備        公団理事     荒田  建君        住宅都市整備        公団理事     増山 雍二君        住宅都市整備        公団理事     福田 秀文君        住宅都市整備        公団理事     下田 公一君        住宅都市整備        公団理事     伊藤 英昌君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇都市基盤整備公団法案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、岡崎トミ子君が委員辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 前回に引き続き、都市基盤整備公団法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 弘友和夫

    弘友和夫君 今回のこの法案というのは、特殊法人整理合理化一環として、現住宅都市整備公団あり方というものを抜本的に見直して新たに都市基盤整備公団設立しようと、こういうものでございますけれども、私は、特殊法人整理合理化という方針が出されたのでやむを得ずということでなくて、やはりこの新公団設立に当たりましては、公団が現在また将来において何を求められているのか、また公団に対する国民ニーズは何なのかということを的確に把握して、現公団あり方を十分に精査し見直した上で法案化が図られ新しい公団に移行していくべきだと、こういうふうに認識をしておりますので、そうした観点に立って質問させていただきたいと思います。  まず、今回の都市基盤整備公団法を提出されたことに対して、現行法と新しい本法案、そしてまた今までの住都公団と新しい公団とではどこがどういうふうに異なっていくのか、またその理念、目的内容等について、背景説明も含めて、きょうは時間がたっぷりありますので、きちっとお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  5. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 全く時代の変遷、それから住宅に対します国民の要求の内容、角度というものが大きく変わってきたわけでございます。そういうようなゆえをもって、今回の都市整備公団都市基盤整備公団と変わるわけでございます。ですから目的は、今までの住宅事情改善のための住宅宅地大量供給から、今後は健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動確保する基盤整備へと変わっていくということが大きな基本だろうと思います。  それから、基本的な姿勢といたしましては、民間分譲住宅市場が成長した一方で都市基盤整備がいまだ不十分という現状を踏まえまして、民間に任せるべきは任せるという、いわゆる行政改革の今の流れにも適応、対応したものと考えておるわけでございます。  それで、業務面では、地方公共団体民間事業者との役割分担観点から必要とされる業務特化をするということでございまして、まず一つは、分譲住宅から原則撤退をし、賃貸住宅も政策的に特に必要なものに限定する、それから市街地整備改善事業に関する業務を拡充していくというものが大きな流れでございます。  そういうようなことで、法案の主な変更がございます点を御報告いたしたいと思いますが、その目的においては、地方公共団体民間事業者等との協力及び役割分担のもとに都市基盤整備を行うということ。二番目に、組織面では、管理委員会運営委員会改め権限を強化するとともに、理事定数を十四名から十名に削減する。三番目に、建設大臣が定める基本方針において重点を置くべき業務を明示すること。四番目、建築物整備原則として民間にゆだねる。五番目、市場と連動した合理的な賃貸住宅供給を行えるよう、これまでの原価家賃から市場家賃へと変更する。六番目、従前居住者保護等観点から、賃貸住宅の建てかえの手続等を法定化したというようなことがこの中にうたわれておるわけでございます。  その中にあって、やはりこれからは少子高齢化に対してどうやっていくか、いわゆる弱者に対してどうやっていくか、あるいはまた高齢者に対してどのようにやっていくかというようなことも考えつつ、この法律を施行していくということに努力したいと思っております。
  6. 弘友和夫

    弘友和夫君 公団総裁、通告しておりませんけれども、今大臣答弁されましたけれども、聞くところによりますと、この際本当に本格的に公団も変えていこうという思いで今取り組まれているとお聞きしておりますけれども、つけ加えられることがありましたら、その思い等をお聞かせください。
  7. 牧野徹

    参考人牧野徹君) もう大臣の御答弁で尽きておりますが、発言の機会を与えていただきましたので、現場を預かる者として若干の思いを申し述べさせていただきます。  前回も申し上げましたが、当公団は昭和三十年に日本住宅公団として発足して、言ってみれば日本に今までかつてなかった良質な耐火建築集合住宅をずっと供給してきたわけでございます。しかし、以降四十年を経過して、私がちょうど当公団に参りましたのは平成七年というときでございますが、これは非常にある意味で特徴的な年で、一方においてバブル期にゼロになっておりました売れ残りとかあるいは空き家が再び発生をしかかっていた時期、それに対して世の中からは非常に厳しい批判を浴びせられた時期でありました。一方、平成七年一月十七日に例の阪神・淡路大震災がございました。それに対して、六月でございましたが、公団政府指示のもとに全力を挙げてその復旧復興活動の御支援をさせていただいた時期でございました。  そういう時期に当たって、御批判を踏まえ、あるいは復旧復興活動を踏まえて公団全体で物事を考えましたときに、私ども基本的に新しいものに生まれ変わるためには二つ原則を立てたわけでございます。  一つは、民間で完全におできになるものからはもう潔く撤退しよう、今まで分譲住宅も三十万戸近く供給してまいりましたが、建てかえとか再開発に伴うものを除いてもう原則撤退、これを一つの命題といたしました。  それからもう一つは、日本人口問題、これを考えましたときに、もうピークアウトすることが目の前に見えてきた。先生もおっしゃったような少子高齢化にもなりますので、これからは原則として都市外延的拡大を図ることはやめよう。言ってみれば、巨大なニュータウンを新たにつくるというふうなことは、単なる宅地供給のためだけのニュータウンをどんどんつくるというようなことはやめよう。一言で言えば、都市へ戻ろう、都市の再開発といいますか再構築、あるいは再生でもいいと思います。  この二つ原則を立てた上で、今まで私どものやってきた事業不要不急のものは切り捨てるし、さらにその後、詳細は省略いたしますが、いろいろな経済対策上の観点から政府の方からの御指示もございますので、そういうものも取り入れて現在の法案にしていただいているというふうに認識しております。
  8. 弘友和夫

    弘友和夫君 今詳しく説明をしていただいたんですけれども一つは、新しい公団がいろいろな事業を考えられているけれども、例えば賃貸でどういう対象階層というのを考えられているのか。  平成七年の特殊法人等整理合理化の中には、公団大都市地域中堅所得者層対象とするとして、地方公共団体民間では対応困難であるものについて事業を実施する、これを基本とするというふうに平成七年の特殊法人整理合理化のところにあったわけです。ところが、現公団の廃止、また新公団設立を決めました平成九年六月の閣議決定におきましては、中堅所得者層対象とするという部分の記述がないわけですね。また、今回の法案にも、特にそうした所得階層というものを定めた規定というのは見当たらない。  そういうことで、現公団と新公団対象とする所得階層に変化があるのかどうか、また新しい公団は本来的にどのような階層対象としているのかということについてお尋ねします。
  9. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先生指摘平成七年の閣議決定と今回の改革契機となりました平成九年の閣議決定をごらんいただくとおわかりになりますように、平成七年二月の閣議決定は、住都公団につきましても相当な行を費やして比較的丁寧に記述されております。それに対して平成九年六月の閣議決定は、私ども事務当局から見ましても大変大胆に、簡潔に改革方向が示されているところでございます。そういう大胆かつ簡潔に示された改革方向に従って、今回法案を提出させていただいておるわけでございます。  今御指摘の、新しい公団対象階層ということでございます。これは、新公団も担うべき賃貸住宅業務についてのお尋ねと理解するわけでございますけれども、従来の住都公団におきましては、御指摘のように大都市地域中堅所得層住宅事情改善重点を置いてきておるわけでございますが、今日の大都市地域等における住宅事情あるいは住宅政策上の課題等から見まして、新公団におきましては、良好な居住環境あるいは住宅性能を有する住宅市街地等形成のために必要な賃貸住宅を主眼とするという考え方をとっております。  あわせて、民間による十分な供給が困難であると見られる都心居住住宅等住宅になるわけでございますが、これらは総体としては、結果として賃貸住宅の主たる需要層対象層中堅所得層になるものと考えております。
  10. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後でやっとわかったんですけれども。要するに、新しく大都市における市街地開発等事業をやる、そこに賃貸をつくったときには中間所得者層だと、何かそういうニュアンスだったと思う。では、今までの七十三万戸、二百万人の方が入られているそういう賃貸住宅があるわけですが、その対象となるものが変わってきたのか。  今の御答弁は、要するに新しく大都市における市街地の再開発、そこに賃貸を建てたときは中間所得者層だ、何かこう言われたような気がする。では、今まであるものはどうなのか、それも変わってきたのか変わってきていないのか。変わってないなら、ないというふうに答弁していただいたらいいと思うんです。
  11. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団の新しい業務基本については、中堅所得層が主たる対象になるだろう、こう今申し上げました。しかし、現に七十三万戸の賃貸住宅管理しておりまして、その入居者方々がだんだん高齢化しているというような現実も同時に踏まえて諸般の対策を講じていくべきだと思います。
  12. 弘友和夫

    弘友和夫君 わかりました。後で家賃のことをいろいろやらせていただきますが、そういう絡み、また政策的なものが入ってきているので、多分これを抜かれたのじゃないかという気もしておるんですけれども、それはそれで結構です。  もう一つ、先ほど来大臣、また総裁のお話の中で、二つ原則民間でできるものは民間に任せるということで分譲から撤退をされた、こういうことでございますけれども住宅の単体で言えば、確かに民間で今対応できてきているというふうに考えます。しかしながら、この間公団住宅に入られている参考人の御意見もありましたけれども住宅は周辺の環境をあわせた住環境というのが大事なんだ。そして、将来の建てかえの容易性だとか防災上の安全性、子供の安全な遊び場の確保など、そういう空地や緑地が確保されていることが重要だ。ところが、民間分譲物件を見ますと、そうしたものというのはやはり採算性等から非常におくれている、また備わっていないものがたくさんある。これはデータとしてもうはっきり出ているんです。  民間が育ってきたので分譲民間に任せます、撤退をします、それはそれでいいのかもしれませんけれども、今まで公団が果たしてきた良質な住宅住環境整備するというパイオニア的な役割、これは住宅政策を誘導していく、そういう担い手としての役割が今まであったわけです。では、その部分はどこがやっていくのかというふうに思いますけれども、御答弁をお願いします。
  13. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団の新しい業務について、端的に二本柱として、市街地整備改善ということと、政策的に必要な賃貸住宅供給管理、こういう御説明を申し上げてきているところでございます。  それぞれ住宅政策という観点で若干詳しく申し上げさせていただきますと、まず現在の大都市地域等における住宅事情住宅政策上の課題認識でございますけれども、それはただいま先生パイオニア的役割を果たしてきたということの裏返しになるわけで、いわゆる公共施設整備がおくれて環境整備が十分でない市街地が広がっていて、そこに狭小な居住相当数大都市地域には存在しているということがありますし、また外延的な都市拡大が続いてきたことによって通勤時間も相当遠隔化してきている、こういうような全般いろんな問題があるわけでございます。  先ほど申し上げました二本柱の一つである賃貸住宅供給というのも、都心居住に資する住宅とか、あるいは良好な住宅市街地形成に資する市街地整備一環として供給される賃貸住宅というようなことを御説明申し上げておるわけでございます。こういう政策的に特に必要な賃貸住宅というのは、そういう現下の住宅政策等課題にこたえられるような、例えばさらにもっと敷衍して申し上げれば、少子高齢化社会にとって今後どういう住宅供給形式が必要となるか、いろいろ考えられると思いますけれども、当面、例えば今回も新しい公団で一部措置しようとしておりますけれども高齢者向け優良賃貸住宅供給というようなこともつけ加えながら対応していきたい、こう思っております。  また、市街地整備という観点で申し上げますと、まさに先生さっき御指摘になりましたように、民間でできるものは民間に任せるのですけれども、全くほうっておくということではなくて、やはり二十一世紀の少子高齢化社会にふさわしいような、同じ分譲住宅でもそういう住宅がちゃんと立地してもらえるように、その基盤となる敷地公共施設等について公団は先導的に整備していく、みずから賃貸住宅供給することもあるでしょうけれども、同時に民間分譲住宅もどんどん誘導していくということを、市街地整備という観点からもパイオニア的役割を担っていきたい、こう思っております。
  14. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、今まで住宅政策というのは、そういう社会的弱者なり低所得者対象とした公営住宅制度、それから中堅所得者層のための公団住宅制度、そしてまた住宅金融公庫からなどの融資制度、その三つの柱でやってきたんじゃないか、このように思うんです。  自治協議会の調査によっても、所得分位が第一、第二分位に該当する公団入居世帯が七二・一%、同じ所得階層の方が多く入居してきている、その境界線が非常にあいまいになってきているということから、しかしそれはだんだん高齢者になっていけば、そういうことはあり得るということは当然考えられたんじゃないか。今回、新しい公団になることによって、そういう制度等も取り入れるようでありますけれども、そういう施策は今まで不十分だったんじゃないかというのが一つ。  それから、そういう住宅政策三本柱、これを平成八年の公営住宅法の改正だとか今回の都市基盤整備公団法、こういう中で住宅制度の体系について従来の三本柱枠組みが変わるのかどうか、新たな枠組みになっていくのかどうか、そういうことも含めてお答えいただきたいと思います。
  15. 那珂正

    政府委員那珂正君) 御指摘のとおり、我が国はこれまで先進諸国では類を見ないようなスピードで人口高齢化が進展しておりまして、住宅政策といたしましても、第六期住宅建設五カ年計画、今七期でございますが、前回から五カ年計画の中で取り上げて、その対応に種々取り組んできているところでございます。  公団におきましても、平成三年度から新規供給団地については設計仕様についてすべてバリアフリー住宅を標準とするとか、あるいは既存住宅につきましても高齢者の方が居住しやすい一階住戸へ順次改善を図りながら移っていただくというようなことをやってきておりますし、またこれまでの家賃改定時におきましても、低所得高齢者方々については必要に応じて減額措置を講じてきたわけでございます。  そういうことは不十分ではなかったかという御指摘でございましたけれども、確かに十分であったとは言えないとは思います。今回、改革契機にいたしまして、公団賃貸住宅に現に多数の高齢者方々がお住まいになっているというような現実も十分踏まえて、例えば家賃改定の際には特別の国の減額措置ができるように財政措置を講じるとか、あるいは先ほども申し上げましたけれども既存のストックを活用して、改造いたしまして、それを高齢者の方に低廉な家賃でお貸しする高齢者向け優良賃貸住宅というような制度公団としても導入するとか、これらについて拡充していきたい、こう思っております。  二番目にお尋ね住宅政策枠組みが変わっていくのか、こういうお尋ねでございますけれども、変わっていくかといえば変わっていくと思います。  それは、この十年、先ほど申し上げましたように平成三年の第六期住宅建設五カ年計画のころから大変人口高齢化傾向がはっきりしてまいりましたし、また経済状況も非常に、バブルはありましたけれどもバブルも崩壊して先行きやはり今までのような成長型経済に依存するという体質はよくない、そうはならない、こういうふうな傾向もはっきりしてまいりました。そういうことで、住宅政策につきましても他の施策と同様、いろんな点で見直しを進めてきているところでございます。さらに、現実我が国住宅事情、とりわけ大都市地域においてはこれまでもいろいろ御指摘いただいておりますように、非常に住宅が狭いとか環境が悪いとか災害の危険性が高いとか、そういうような御指摘をいただいている課題がいろいろ残っているわけでございます。  そういうことを考えますと、一世帯住宅以上の、住宅がたくさんあるとはいえ、やはり本当に国民のいろんなニーズに応じた適切な供給がなされているかというと相当程度疑問がある。そこは、やはり国民各層のいろいろなニーズに応じた的確な供給がなされるようなそういう仕組みを考えなければいけない。  そのまず第一が、せんだっても当委員会で御可決いただきましたけれども、例えば品質確保法案のように、そういう公正で効率的な住宅市場整備していくということが基本第一であろうと思います。  その上で、例えばそういう市場を誘導するという観点から、住宅金融公庫による低利融資とかあるいは住宅減税ということで国民の良質な住宅取得を促進する、支援するとか、あるいは今回の新公団によりまして健全な住宅市街地形成のための公共施設整備敷地整備をしていくとか、特定優良賃貸住宅という制度平成五年にできておりますが、これらも使って民間賃貸住宅供給を促進するというような各般の誘導施策が考えられます。  さらにその上で、低所得者層のための公営住宅供給に加えて、新公団によりましても、今申し上げましたように民間では十分な供給が困難と思われます都心住宅とかあるいは良好な住宅市街地形成一環として供給される賃貸住宅供給とか、言ってみれば直接事業を行って市場を補完するという観点から直接供給をするという事業もあわせて進めていこう、こういうことでございます。  いずれにしても、公、公にも公共団体公団、国、いろいろ立場、役割がございますが、それと民間とも適切な役割分担をした上で総合的に進めていくべきものと考えております。
  16. 弘友和夫

    弘友和夫君 たっぷり時間があるつもりでしたけれども、なくなりましたので短く今度からは。  次に、この間から同僚の議員小川議員岡崎議員からも質問がありました、この新公団目的、名称。  これはやっぱりどう考えても少し納得がいかない部分がありまして、今までの「国民生活の安定と福祉増進に寄与する」と、こういうことで明確に「福祉」というのが目的に入っていたわけです。それが、「国民生活安定向上国民経済の健全な発展に寄与する」と、こうなった。その「安定向上」の中に福祉部分は入っているんだと、この間の御答弁にもありました。  しかしながら、「福祉増進」というのが入っていたものを、わざわざ落として「安定向上」だと、こう言う必要はないんじゃないかと思うんですけれども、その削った理由というのを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  17. 那珂正

    政府委員那珂正君) 福祉という概念は大変重要な課題であると認識しております。したがって、本法案におきましては、高齢者等のための家賃の減免とか、建てかえに際しての公営住宅社会福祉施設の併設など、そういうような規定を設けて大いに福祉観点を盛り込んだところでございます。  一方で、新公団は、いわゆる弱者対策としての福祉観点にとどまらず、広さとか防災性とか、あるいは通勤時間等においてゆとりと潤いを実感できるようなより豊かな都市生活基盤の提供を目指すという観点から、先ほど来御説明しておりますように、市街地整備改善賃貸住宅供給管理を行おうとするものでございます。これらの目的として、今言いましたように、福祉観点も含む「国民生活安定向上」という表現が最も適しているというふうに考えた次第でございます。
  18. 弘友和夫

    弘友和夫君 そういう説明をされるんですけれども、私は、新たに高齢者のための施策だとかいろいろな福祉観点を取り入れた事業というのがより多く今までよりも入っていると思うんですね。それが、その部分をなくして、「安定向上」だと言う必要はないんじゃないかと思う。それは入っているかもしれないけれども、わざわざそれを外すという必要はないと思うんです。  法制局は来られているんですか。いろいろな法律をざっと見てみましたら、やっぱりその「福祉」が入っている、「福祉」だとかが使われているところがいろいろあります。では、例えばその「福祉」というのを目的の中に使う基準というか、こういうときには「福祉」を使うんですよ、こういうときには使わないんですよと、そういう基準はあるんですか。
  19. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) 法律の目的規定につきましては、それぞれの個別法の目的やその政策の方向等に照らしましてケース・バイ・ケースで目的としてふさわしいものを規定し、また表現しておるというのが実情でございます。  「福祉」あるいは「福祉増進」という表現につきましても、それを目的規定中に規定している法律はおっしゃるとおりたくさんございます。その一方におきまして、内容的に見て福祉対策内容としているなと思われます法律につきましてもそういう表現を含まないものもございまして、要はそれぞれの目的規定の文脈におきましてその表現を採用することが適当であるかどうかということを個別に判断して規定されているものというふうに理解しております。
  20. 弘友和夫

    弘友和夫君 総理府の出している高齢者の云々という、あれはまさしく福祉だけれども福祉」という言葉を使っていない法律だと、こう言われているんだと思うんです。  だけれども、例えば私はこれを見ましたら、土地基本法というのがあるんです。ここに、目的の中に今回のこの公団と全く同じ、「もって国民生活安定向上国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と。全く同じなんです。今、「国民生活安定向上」の「向上」の中に福祉が入っていると、こう局長は言われたけれども、土地基本法の全く同じ文言ですけれども、この「安定向上」の中に福祉という概念が入っているかといったら、その土地基本法というのはそういうのが入るような法律じゃないんです、これは。  またちょっと見ましたら、「福祉」があるというのはここなんです、「土地についての公共の福祉優先」。公共の福祉を優先するという、むしろ個人の利害関係というのを制限するような部分なんです、「福祉」が入っているのは。  だから、全く同じ言葉。そのくせ「安定向上」という「向上」に福祉部分が入っているんだと、こう言われています。法律によっていろいろ使い分けをしていると法制局は言われたけれども、何かがないと、では目的というのは何でもいいのかと。やっぱり何かをやるんだという、そのために目的の中にそういう条文が入るわけですから。  もう一回、答弁をいただきたいと思います。
  21. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団は、先ほど申し上げましたように、いわゆる弱者対策としての福祉観点にとどまらず、より豊かな都市生活基盤を提供する、そういうことを目指す観点から、市街地整備改善という業務賃貸住宅業務を行おうとしているものでございます。  そこで、「福祉増進」という言葉をこういう公団の新しい使命に即して申し上げてより具体的、より積極的、広範に表現すれば、国民生活の向上という表現に言いかえることができるのではないか。従来ありました「国民生活の安定」とあわせて「国民生活安定向上」とさせていただいたわけでございます。
  22. 弘友和夫

    弘友和夫君 余りこればかりやっているわけにいかないんです。  だから、同じ言葉を使っている、これも入っていると言われても、この法律にはそういう事業もないし、だから僕は入れるべきだというふうに考えます。これはこれ以上やってもあれですけれども。  それと名称も、この間参考人の方から、都市基盤整備公団に住んでとか、言いにくいとか何かいろいろありました。大臣は、少なくとも法律ではあれだけれども愛称というものを考えられているというお話がございました。私は、広くこういうのを募集でもして、本当に親しみやすい、法律そのものの名前、名称を変えるのが一番いいのかもしれませんけれども、いろいろ法的な制約なりなんなりある。それであるならば、愛称を広く募集してやるべきだと思いますけれども、ハッピー公団ではちょっとぴんとこないなという気がしますので、募集して何かやるべきだと思いますけれども、一言お答えを、大臣もう一度いかがでございますか。
  23. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これは総裁の方からも伺いましたが、そういうようなプランニングもあるようでございますから、ぜひ先生も投書していただきますようにお願いいたします。
  24. 牧野徹

    参考人牧野徹君) その問題につきましては、前回のこの委員会でも、大臣から、もし新公団になることが許されるのであれば総裁以下役職員はまず意識改革をしろというきつい御指示がございました。私どももそのことが必要だと思っておりますので、既に幾つかの前例を勉強して、いわゆるCI活動といいますか、そういうものも公団の中で一生懸命やって、こういうニュース等も出しておるわけでございますが、まだその愛称の点までは行っておりません。今のところは基本理念とか我々のとるべき態度とか、そういうところの勉強をしております。  実は、この愛称というのは、私ども日本住宅公団のときは住宅公団と言われたんです。昭和五十六年、十八年前に、厳密に言いますと住宅都市整備公団なんですが、これを我々は住都公団と呼んでいただきたいと思って名刺にもそう刷っているんですが、そうおっしゃっていただく方もいますが、住都公団と言われれば私どもは、はいと返事をするわけです。そういういわゆる略称が愛称になっているのかなと、いわゆる世の中の識者が。そういう御意見もありますし、この間大臣からありました、今先生もありましたハッピーという名前はいいのかどうかわかりませんが、いろいろ勉強しますと、例えばNTTだとかJTだとか、それから建設省の関係公団で言えば日本道路公団がJHと言っているとか。つまり、与えられた正式名称の略称ではない別のものを使っておられる。  この辺は今後も勉強させていただいて、私どもには、公団のモニターという一般募集で百数十名の方をモニターにお願いしています。その中には居住者代表の方も二十人ぐらいおりますし、基本懇というようなものもございます。広く有識者の意見もお聞きしながら決めて差し支えないものなら決めていきたい、このように考えております。
  25. 弘友和夫

    弘友和夫君 目的は、福祉が明確に入っているんだということで理解をさせていただきたいし、今後まだいろいろ御意見が出てくると思いますけれども、次に移らせていただきたいんです。  今回、役員の数、十四名を十名以内とするとされて、定数四人減ったのかな、こういうふうに思うわけです。ところが、実数は今十四名じゃなくて十一名なんです。要するに十一名が十名に減っているわけです。一名しか減っていない。理事が十一名から十名。だから、現役員の実数が十六人が十五人になる。実際は一人減ということで、それで今回新たに特殊法人整理合理化、いろいろそういう削減もしていこうというときに、たった一名の減でいいのかなと思うんです。  では、十名は、例えば定員が十名以内ですから十名じゃなくてもいいわけですね。もっと減らしてもいいわけです、今まで十四名を十一名にしていたわけですから。そういう十名以内ですから、もっと減らす考えがあるのかないのか。  それともう一つは、十名以内と決めたということは公団の理事の役割分担がありますね。その役割の担当です。どういうところは減らして十名以内、十名にしているのか。その担当部門、それはどこをどうこの組織を変えて十名以内としたのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  26. 那珂正

    政府委員那珂正君) 現在の住都公団の役員は、総裁一名、副総裁二名、理事は法定で十四名でございますが、現員十一名、監事二名、うち非常勤は一名という状況でございます。これは現在の住都公団業務につきましても、業務範囲が単一ではなくて大変多岐にわたっているというようなことからこういう役員の配置となっているわけでございます。  新公団におきましては、分譲住宅から原則撤退すると、そういうような業務の見直しをすることとしたところでございますが、新たな新公団業務につきましては、市街地整備改善という大変複雑な業務を実施するという使命を負っているわけでございますが、これにつきましても大変専門性、困難性が高いわけでございます。また、これらに加えてといいますか、もともとございます賃貸住宅供給管理、公園事業と、大変多岐にわたる事務を引き続き実施することとしておりますので、事業を的確に遂行するため副総裁を二名置くとともに、担当理事を十名に、法定ではマイナス四、実質マイナス一という範囲にとどめさせていただいて、効率的な事業運営に当たらせることが必要と判断したわけでございます。
  27. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、どこの担当を減らしてどこをふやした、そういう組みかえというか、それはもうはっきりしているわけですか。
  28. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) お答え申し上げます。  ただいま役員の仕事の中身につきまして住宅局長から答弁があったわけでございますが、私もその理事の一人といたしまして、若干どういうことをやっているかにつきまして簡単に御説明させていただきたいというふうに思います。  先ほど住宅局長から話がございましたけれども、私ども業務は非常に広範多岐にわたっておりまして、例えばどういう業務があるかと申し上げますと住宅建設……
  29. 弘友和夫

    弘友和夫君 全部言わぬでもいいんですけれども
  30. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 結論を申し上げますと、仮に十人といった場合にそのそれぞれの理事に任命されました方々の知識、経験、あるいは手腕等でそれをどういうふうにして担当するかというのは総裁が決めることになっています。この総裁は、この新公団法の附則の第二条で、建設大臣総裁になるべき者を指名いたしまして、その指名された総裁が任命されます理事がどういう分担でやるかということでございますので、端的に今の担当している理事のどこの部分をカットするということはその時点で判断されるのではないかというふうに思うわけでございます。
  31. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、要するに法定では十四名が十名になった。実際は十一名が十名になった。それにしても、何で十名なのかという根拠。それは、こういう担当する部門に理事が必要なんです、ここが必要なのでこうなってくると、それが十名なのか何名なのかというのははっきり出てくる。それを一人ぐらい減らしていかないといかぬということで一人減らして、あとの業務をどこを減らすかどうかしようかというのは今から考えようということでは、本当の意味のあれにはならないんじゃないか。だから、きちっと何名、こういうことをやらぬといけないので十名必要なのなら必要だということがはっきりあった上で理事の数を決めるんだったらいいんですけれども、適当に十一名が十名じゃいかぬのじゃないかなということを私は申し上げたいわけでございます。答弁は、もう時間が余りなくなりましたので。  先日来いろいろ論議になっている家賃の改定の問題でございますけれども、これは私ども公明党としても衆議院の段階でもかなり時間を割いてやらせていただきました。しかしながら、こちらの参議院でもぜひもう一度確認しておきたい部分とかいろいろございますので御質問をさせていただくわけですけれども、まず最初に簡単にお答えいただきたい、時間がありませんから。  要するに、市場家賃化を行う理由、それから近傍同種の住宅家賃、こう言われているわけです。公営住宅法でも、近傍同種の住宅家賃という概念があるわけです。公団においても公営住宅でも近傍同種の住宅家賃、では同じものがそこに出てくるのか。私は多分違うと思うんです、いろいろな要素が入ってきて。しかし、均衡しないという部分がありますけれども、そういう場合に具体的にどのような、例えば近傍同種の住宅家賃のプラスマイナス一〇%ぐらいですよだとか、公営住宅とあれしてもどれぐらいの範囲内の違いにとどめるとか、そういう基準を数値化するなり決める必要があるんじゃないか。近傍同種の家賃、均衡を失しない家賃といってもそういう基準がなければいかぬのじゃないかと思うんですけれども、それについて。
  32. 那珂正

    政府委員那珂正君) 幾つか御質問されたのでなるべく簡潔にお答えさせていただきます。  まず、市場家賃化することとした理由でございますが、簡単に申し上げますと、従前の公団住宅は、住宅公団設立時、昭和三十年のころの状況を考えてみますと、とにかくこういう鉄筋コンクリート住宅の団地形式の住宅というのはほかになくて、原価を基準として家賃を決めていくということは最も合理的といいますか、ほかに決めようもなかったというのが実態でありました。  しかし、その後時間がたつにつれ民間でも同種の住宅供給されるようになって、いわゆる市場が少しずつ形成されてきたというようなことにつれて、原価を基準とする家賃設定のままでいきますと、一時的に大量な空き家とかあるいは逆に極端に高い応募倍率というような、そういう結果になってしまいます。そういうような不合理さを解消するために、実際上これまでも、現住都公団におきましても近年はなるべく市場家賃とバランスを図る方向でいろいろと家賃を決めさせていただいてきたわけでございますが、平成十年の住宅宅地審議会住宅部会におきましても、公団家賃につきましてそういうような観点から原則市場家賃化すべきだというようなことの提言もございましたし、今回、市場において賃貸住宅を合理的に供給できるよう、かつ公平で透明な家賃設定というような観点も加えまして、近傍同種の住宅家賃をもとに算定する方式へ移行することとしたわけでございます。  そこで、近傍同種の住宅家賃とは何かという問題が次にあるわけですが、これもこれまでるる御説明申し上げてきたかと思いますけれども、当該公団住宅と類似したいろいろな賃貸住宅の事例を集めまして、それとその公団住宅との建設年代とか駅からの距離とか、それから規模が違うとかそういう差を適切に補整を行って、家賃のもととなる近傍同種家賃を算定するわけでございます。  その場合、均衡を失しないことについてのお尋ねでございましたけれども、当該公団住宅家賃が近傍同種の住宅家賃とバランスがちゃんととれるようにしろと、こういう趣旨で理解しております。
  33. 弘友和夫

    弘友和夫君 入居されている方は、今回のこの新しい市場家賃化によって自分のところの団地は、自分の家は果たしてどうなるんだろうかなという不安が物すごくあるわけです。  まだはっきり決まったことじゃない、こういうお話がございますけれども、そういうモデルケースについて、東京、大阪、福岡ですか、福岡は私どもで要望したんですけれども、試算をしていただいていると思うんですけれども、それについてお答えいただきたい。
  34. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今、先生お示しの試算値でございます。  管理開始年代が平均的に四十年代の団地、これが公団は一番多いんですけれども、それであくまでモデル団地、大体二DKで四十五平米程度のところである算定式を仮定いたしまして、それで試算を行ったわけでございます。  まず、空き家家賃、募集家賃ですけれども、東京都日野市の場合は現在四万六千二百円。従来ルール、原価主義のルールでいきますと改定後が八万三千円と試算されます。引き上げ額は三万六千八百円。それから新ルール、この市場家賃ルールでございますが、改定後五万一千円、引き上げ額が四千八百円。それから大阪市の場合は、四万八千六百円の住宅の場合ですけれども、従来ルールでいきますと改定後が六万三千五百円、引き上げ額が一万四千九百円。新しいルールによりますと、試算によりますと、それが改定後五万三千二百円で引き上げ額が四千六百円。それから、福岡とおっしゃいましたが、北九州の例で申し上げますと、北九州市で二万六千百円の住宅の場合は、従来ルールでいきますと改定後が三万三千百円になりまして、七千円引き上げ。新ルールでいきますと、改定後が二万八千二百円で引き上げ額二千百円でございます。これが既存賃貸住宅に新しく入る方々家賃であります。  現在、継続してお住まいになっている居住者、これは継続家賃でございます。それの例でまいりますと、東京都日野市の先ほどの四万五千六百円の住宅の場合ですけれども、従来ルールでいきますと改定後が六万四千三百円で引き上げ額が一万八千七百円。ただし、これは限度額がございますので七千円で打ち切りということでございます。それが新ルールになりますと、改定後が四万五千六百円が四万七千七百円ということで引き上げ額が二千百円。それから大阪市、四万八千百円の住宅の場合ですが、従来ルールですと改定後が五万五千八百円、引き上げ額が七千七百円。限度額が七千円でございますので、七千円で打ち切り。それから新ルールでいきますと、改定後が五万百円になりまして引き上げ額が二千円。  それから、北九州市の継続家賃二万五千五百円の住宅の場合ですけれども、従来ルールでいきますと改定後が二万九千三百円、引き上げ額が三千八百円になります。新ルールでいきますと、改定後が二万六千六百円、引き上げ額が一千百円ということになりまして、従来ルールに比べますと、新ルール、これは現在家賃部会で検討中でございますからまだ確定したわけじゃございませんが、一応の目途として新ルールでやりますと、従来ルールに比べますとはるかに低い改定額で済むのではないかというふうに試算をしておるところでございます。
  35. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の御説明では、従来ルールでいった場合よりも新ルールの方が引き上げ額がはるかに低い。しかし、これはあくまでもモデルケースです。従来ルールよりも高くなるケースというのはあり得るんですか。それと最大でどの程度増になるか、または減になるか、そういうのはわかっているのですか。
  36. 荒田建

    参考人(荒田建君) 従来ルールよりも上がるケースは、これはまだ全部試算しておりませんからわかりませんが、多分それはないと思います。新しい市場家賃ルールの方が上がり方は少ないと思います。  それから、今おっしゃった最高額、最低額、これはやはりあくまで今の試算値でございまして、そういう数字を出すということになりますと、どうしても数字が、例えは悪いかもしれませんけれども、ひとり歩きすると言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、どうしても数字が出ますと後々、前はこう言ったじゃないか、ああ言ったじゃないかと、とかくなりがちなものですから、私どもとしては公団全体の賃貸住宅家賃水準、これは全国的に公平さを保たなければいけませんから、あくまで全体試算をした上でそのルールが適当かどうかということを判断すべきものと考えておりますので、せっかくのお話ですが、ちょっとそれは御勘弁いただければと思います。
  37. 弘友和夫

    弘友和夫君 従来ルールより上がることというのはまずあり得ない。もしそういうことが出てきた場合、それは何らかの措置をとっていただかないといかぬのじゃないか、やっぱりそういう不安がありますから。そういう措置をとられるお考えがあるかどうか。  それともう一つは、今までは現行の家賃の改定では引き上げ限度額というのを定めておられました。極端な引き上げがないようにということで引き上げ限度額というのを設けていたんですけれども、新たに市場家賃化をされて、やっぱりそういう引き上げ限度額的なものを設けるべきじゃないか。このように考えますけれども、いかがですか。
  38. 荒田建

    参考人(荒田建君) 最高引き上げ額のところの居住者の不安ということはもっともでございますから、今先生まさに御指摘いただいたように、限度額をどうするかということに帰着すると思います。現在のルールですと、先生御承知のように、例えば二居室の場合で、先ほど二DKで七千円と言いましたが、七千円ということを限度に最高限度額を打つようにしております。  これを今後どうするかということでございますけれども、先ほど来局長から御説明がありますように、今般、新公団になって新しい家賃ルールになるにつきまして、特に低所得高齢者に対する家賃減額措置を講ずることにしたとか、あるいは新ルールを今議論しておりますけれども、それに当たってもできるだけマイルドな、なだらかな改定になるように方式の中で居住の安定に配慮するというようなことも考慮しておりますから、そういったものとの相関でございまして、限度額というのを設ける必要があるのではないかという御指摘も踏まえまして、限度額を設ける必要があるかどうか、あるいは設けるとした場合にどういうやり方がいいのか、そういったものを、あくまで居住者が過大な不安を持って困るようなことにつながらないように、我々は今後家賃部会等々で検討をしていきたいと思っております。
  39. 弘友和夫

    弘友和夫君 それと、今回、低所得高齢者等の減額措置というのがやられておりますが、具体的な数字をお聞きするのはもう時間がありませんので省略させていただきますけれども、これは建てかえの場合、五十五歳以上の方が対象と。今までは六十歳だったが五十五歳以上です。五歳引き下げられた。だけれども、実際は六十五歳以上になったときにそれは対象となる、こういうことですけれども、では五十四歳以下はどうなるのか。  私はちょうど五十四歳でございますけれども、そういう制度というのはもうないわけです。では、我々五十四歳以下は六十五歳になったって受けられないのかという不安があるわけです。そのときはどうされるんですか、五十四歳以下は。
  40. 那珂正

    政府委員那珂正君) 建てかえ、家賃改定等のときに低所得高齢者の方に一定の減額措置をとるということについて、その対象については六十五歳以上になったときにそういう措置をとらせていただくわけですが、実際その対象者については、今先生がおっしゃったように六十五歳以上の高齢者となるまでの期間が既に十年を切った五十五歳以上の方については、今の時点で生活スタイルといいますかライフスタイルの変更をすることもなかなか難しいというような観点から、五十五歳以上の方はやはり同様な措置をとろう、こういうふうに決めたわけでございます。  お尋ねのその余の方についての問題でございますが、新公団におきましては、先ほども説明申し上げておりますけれども既存のストックを有効活用することとして、これをバリアフリー化など改造を行った上で高齢者向け優良賃貸住宅として供給することとしております。  この高齢者向け優良賃貸住宅制度においては、公団賃貸住宅入居者に対して一定の割合で優先枠を設定すること等によりまして、将来、高齢者になっていかれる、新公団移行時に五十四歳以下の現在の公団居住者の方々の将来の居住の安定ということにつきましては、こういう制度を活用して対応していっていただくことと考えております。
  41. 弘友和夫

    弘友和夫君 五十五歳以上はライフスタイルが変えにくい、五十四歳以下は変えやすいかどうか知りませんけれども、それ以下の方は高齢者向け公営住宅なりいろいろやって優先枠をつくってやりますよと言うけれども、それは全部対象となるかどうかという不安があるわけです。では全部入れるんですかと。そうじゃないわけですね。今から、どれぐらいの割合で対象となる人が出てくるかというのは統計的にわかると思うんです。だから、そういうのを前もって施策として進めていただきたい、このように思います。  時間が余りなくなりましたけれども、これはたまたま今回の市場家賃化というのが、三年か四年ごとの従来の値上げ時期といいますかそういうのにぶつかった、ぶつかったと言うのは語弊がありますが、それがあって従来型よりも抑えられる。よく考えてみたら、では市場家賃化を今からやるのであれば、市場家賃が変わらなければずっと値上げなんというのはないということなんですね。そうでしょう、市場家賃化ですから。市場家賃が変わらなければ値上げはしませんよと、こういう理解でいいんですか。
  42. 荒田建

    参考人(荒田建君) 理解としてはそのとおりでございまして、これから空き家家賃の見直し、あるいは継続家賃といいますか、今入居されている方々家賃の定期的な見直しはしたいと思っておりますが、おっしゃるように見直し段階で市場家賃が変わらなければ、家賃は変わることはございません。
  43. 弘友和夫

    弘友和夫君 まだ事業内容の詰めだとかいろいろございますけれども、もう一回質問するチャンスがございますので、それに譲りたいと思います。  七十三万戸、二百万人の現在おられる皆さんが、家賃に関する、また将来に対する、公団が新しい公団になったら見捨てるというか、今までやっておったからしようがない、やるんだというような、そういう不安を抱いておられると思うんです。ですから、この部分というのは本当に大きな公団事業の中で占める部分ですから、今まで以上により一層一つ住宅政策の柱としてやっていただきたいと、このように思いますので、最後に大臣に御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  44. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) おっしゃるように、住宅問題というのはやはり我々にとって生活そのもの、また安らぎを得る唯一の場所でございますから、そういうようなことで、家賃一つとってみましても過剰な負担にならないように、そしてまた少子化対策高齢者対策あるいは弱者対策、そういうようなものに十分に配慮した運営の仕方をやりたいと、そのように思っております。
  45. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  46. 泉信也

    ○泉信也君 自由党の公団特殊法人に対する考え方は原則廃止ということでございまして、見直しをした上で必要なものは時限的に存続させるということでございます。そうした観点からお尋ねを申し上げたいと思います。  住宅の状況を思いますときに、住宅にかかわるこうした公団がまだまだ必要だろうなというふうには私自身も思うわけです。先ほど来お尋ねがあります新しい公団の第一条「目的」について私も少しお尋ねをいたします。  大変ややこしい書き方になっておるというふうに私は思います。後で少しお尋ねをいたしますが、この「目的」の最後に、「国民経済の健全な発展に寄与する」という文言がございますが、これは新公団にとって、これまでの住都公団に比べてこの「国民経済の健全な発展」というのがなぜ入ってくるのか、ここを御説明いただけますか。
  47. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新公団におきましては、市街地整備改善を主要な業務の柱の一つとして行うこととして、具体的には都市内に残っております虫食い地とか低未利用地の整形・集約化、あるいはこれに公共施設整備してそれで進めるわけでございますが、これらは言ってみれば都市における産業活動の基盤としての民間の建築活動に必要な基盤であるわけでございまして、そういうものの整備について重要な役割を果たすことが期待されているということから、新たにそういう「国民経済の健全な発展」という文言を加えさせていただいたわけでございます。
  48. 泉信也

    ○泉信也君 しかし、これを追加しなければ新しい公団目的が果たせないというような、私は公団法の中身を読みますとそうじゃないのじゃないか。先ほど来、福祉というような言葉も出ておりますが、むしろそちらの方が本来の新しい公団が目指す役割を意味しておる、あるいは公団が果たそうとしておるねらいをあらわす言葉としては適切なのではないか。  確かに、都市を機能的にするとか基盤整備するということをなさることが幾つかのステップを経て国民経済の健全な発展に寄与する、これは疑えない事実ですけれども、そうではなくて、やはり住環境をよくしよう、町の基盤をつくって住みよい町づくりに寄与しようというのがこの新公団目的ではないでしょうか。なぜこれを改めてつけ加えなければならないというほどの理由になっておるのか私には理解できないんですが、どうでしょうか。
  49. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今御案内のとおり、大都市の状況を見ますと、単にといいますか、住宅政策観点だけ、住宅事情観点だけではなくて、産業、業務全般から見て世界に伍して日本の経済が生きていくために必要な有効な機能的な都市活動が十分行われているかどうかという観点も重要だと思うわけでございます。そういう意味で、その都市の機能的な都市活動をもっと支えてもっと活発な都市活動を進めなければいけない、そのためには都市の構造再編を進めよう。  例えば、都市再生というような、あるいは都市再編というような言葉でいろいろと力説され主張されているわけでございます。その中にはいろんな側面があると思いますけれども、今回新しい公団で重要な任務として負っております具体の土地、虫食い地の土地の集約化とか、あるいは街区の中での公共施設整備しながら敷地を整序していくというようなことが全くそういう民間による、本来都市活動の主役は民間であると思うんですけれども、その民間によるいろいろな都市活動の基礎としてそういう今申し上げたような条件が整備されなければならない、それを公団が担っていく、こういう考え方に立ちますときに、やはり目的の中に「国民経済の健全な発展」ということを明確にさせていただく必要があると、こう理解したわけでございます。
  50. 泉信也

    ○泉信也君 局長のお答えのような意味合いを私は全く否定するつもりはございませんが、新しい公団をつくっていこう、新しい公団に改組しようという考え方の中に、言葉は悪いんですけれども、焼け太り的なそういう思いがこの目的のこの言葉で私にはちょっと邪推をしたくなるところがあるわけです。  最初に申し上げましたように、特殊法人については我が党としては原則廃止ではありますけれども、今日の住宅状況から見ますと、あるいは町づくりをもっときれいにしようじゃないかというような参考人の御意見も私は全くそのとおりだと思っておりまして、本来はもっと目的を絞ってやっていただきたかった。この「国民経済の健全な発展」という言葉を加えなければこの公団の存立が危うくなることでは毛頭ないと思います、もちろんそんなことをおっしゃっているわけじゃありませんけれども。この目的の書き方については、私は先ほどの福祉増進という観点とは別の意味でやや異論を持つものであります。  そこで、これは他の省庁の管轄する公団ですからお答えになりにくいところもあるかと思いますが、地域振興整備公団との関係です。  今議論をさせていただいておる新公団は、大都市その他の都市地域の都市基盤整備あるいは住宅供給というようなことになるわけですが、地域振興整備公団の中にも、大都市ではないのだけれども住宅供給するという役割が担わされておるわけです。こことはどういう整合性をとっていこうというお考えなのでしょうか。あちらはあちらで、産炭地域の振興だとかあるいは工業の再開発の促進に必要な業務というようなことで全然別建てなんだ、日本全体の住宅政策を論ずる上においては別々に走っても構わないんだと、こういうことになるのでしょうか。
  51. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) 都市基盤整備公団と地域振興整備公団との役割分担はどうだと、こういう御質問でございます。  先生御案内のとおり、現在御審議いただいております都市基盤整備公団は、「目的」の第一条にもありますように、人口及び経済、文化等に関する機能の集中に対応した秩序ある整備が十分に行われていない大都市地域その他の都市地域において、居住環境の向上とそれから都市機能の増進を図るため市街地整備改善を行うことを目的としておる、こういうことでございます。  一方、今先生指摘の、地域振興整備公団が産炭地域の工業再開発とかをやっておりますが、その中の地方都市整備開発業務、これもやはり地域振興整備公団目的でございますが、地方都市において大都市からの人口及び産業の地方への分散、それと地域の開発整備を図る、そのために地域社会の中心となる都市開発整備を行うことを目的としておる、こういうことでございます。  すなわち、新公団におきましては、人口集中の特に著しい大都市、既成市街地、あるいは業務都市及び人口五十万以上の都市といったようなところが対象になっておるわけでございます。一方、地域振興整備公団は、大都市以外の地方における都市が中心になっておる、こういうことでございます。  このように、両公団基本的にそれぞれ異なる地域、異なる業務目的に従って、それぞれにおいて市街地整備事業を行うことになっておるわけでございます。全体といたしまして、大都市と地方都市において区画整理事業あるいは再開発事業といったような都市開発事業等を行っておるわけでございますが、それぞれの目的に従いまして全国の都市整備を順次図っていく、こういうことであろうかというふうに思っております。
  52. 泉信也

    ○泉信也君 法律を読ませていただきますと、今お答えいただいたようなことになって、大都市とそれからその他の地域、住宅だけに限って申し上げますと。しかし、国民の側から見ますと、地方に住もうと大都市に住もうと、住宅の必要性のある方がたくさんいらっしゃるということは変わりはないわけですね。役所の所管が違うから、たまたま両省がそれぞれ地域振興策とか大都市整備ということで、二つ公団を持って進めなきゃならない住宅政策ではないのじゃないでしょうか。  ですから、これは建設省だけに申し上げても大変答えづらいと思いますけれども、地域振興整備公団住宅部門はこの新公団で全部やっていくんだと、そういうやりとりはこの法案をつくられる過程でなされたんでしょうか。
  53. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) 今、先生おっしゃいますように、地方都市開発整備、いわゆる宅地開発都市整備部門についての切り分けということでございます。  先生の御指摘のように、都市基盤整備公団につきましては大都市付近についての都市機能の増進という目的でございますし、地域振興整備公団につきましては、大都市等からの産業とか人口の分散とそれぞれの地域の整備開発を図る、こういう目的の違いがあるわけでございます。  ただ、この両公団につきましては、平成九年の閣議決定におきまして、こういう新しい公団ができた後に業務分野を明確にいたしましてその統合を検討するということにもされておるわけでございまして、さまざまな点につきまして統合に伴うメリット、デメリット等も明らかにしながら、この公団が新しく設立されました暁には、今後この閣議決定に基づいて検討していくべき問題ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  54. 泉信也

    ○泉信也君 このことについてこれ以上お尋ねをすることは差し控えますが、産炭地域の振興などということは、全国的には地域が限られてまいりましたけれども、まだやっていかなきゃならないことだと私も思っております。  ですから、地域振興整備公団の存続の話は別といたしまして、この住宅という、あるいは地方都市整備ということに限ってくれば、閣議決定内容から見ましても、いずれ統合して、公団という立場で質のいい住宅を本当に国民全体に提供していくという役割に編成がえしていただくということは課題として持ち続けていただきたい、そういうことを申し上げたいわけです。  それから、これは参議院の調査室でつくっていただきました参考資料で、住宅都市整備公団基本問題懇談会提言という資料を見せていただきますと、この懇談会のいわゆる提言が必ずしも十分にというか生かされていない。ここに書いてありますのは、どちらかといいますと町づくりのモデルや安全で快適な住まい方のモデルをつくれとか、あるいは総合コーディネーターとしての役割を果たせとか、技術集団と土地のストックを緊急時に使いなさいと、いろいろな御提言をいただいておるわけです。  実際の法律の内容は、二十八条の業務を見ますとかなり広範囲な業務を担当しようとしておられるように思うんですが、その点はどんなことでこういう二十八条の業務が書かれることになったのでしょうか。
  55. 那珂正

    政府委員那珂正君) 二十八条に新公団業務規定されているわけですが、先生指摘のように、記載されている事項が多岐にわたるというふうにお感じになられているかもしれませんが、私どもとしては新しい時代の特殊法人の形として、それぞれの行う業務についてなるべく限定して具体的に書いておいた方がいいというような趣旨もありまして、やや二十八条の書き方自体が少し文言が多いというような結果になっていると思います。  申し上げたいことは、二十八条では、平成九年六月にこの公団改革契機となりました閣議決定、すなわち分譲住宅からは撤退し、現公団を廃止した上で、新公団においては市街地整備改善業務と政策的に特に必要な賃貸住宅に限定するというような柱を具体的な事業の展開に移しかえて、二十八条の業務として記述させていただいているわけでございます。  具体的に中身のことを申し上げさせていただきますと、まず住宅につきましては、分譲住宅撤退ということはもう御案内のとおりでございます。賃貸住宅の必要性についても説明は要らないと思うのですけれども、多分特に一号業務であります市街地整備改善業務が非常に広くとられているというふうに御指摘いただいたものと思います。  市街地整備改善でございますが、なぜこういうことが必要かということにつきまして改めてちょっと御説明させていただきますけれども、これは我が国大都市の現状をどういうふうに政策として認識するかということに一にかかっているわけでございます。  ちょっと申し述べさせていただきますと、やはり現状というのは、端的に言いますと、我が国大都市公共施設が十分整備されないまま、かつそれゆえに内部に低未利用地、土地を必ずしも有効利用していない市街地、街区をたくさん残したままいわゆる外延的な拡大をこの五十年続けてきた。その結果、今はっと気がついてみると、はっとかどうかは別として、気がついてみますと、大変防災性から問題のあるいわゆる木賃密集地域が結構広がってきたとか、現実住宅居住という点で見れば非常に狭い住宅への居住が多いとか、長時間の通勤が相変わらず全然改善されないままむしろ拡大しているとか、それから先ほども申し上げましたけれども、そもそも非常に合理的、効率的、機能的であるべき大都市での産業活動が、道路の渋滞とか働く人々の住宅が遠いとか等々の理由によりまして必ずしも効率的、機能的な活動が展開されているとは言いがたいというような万般の状況にこたえるために、何か国としてやらなければいけない。  しかるに、先ほども申し上げましたけれども、そういう都市での活動というのは本来は民間活動が主役だ。公団はどういう役割を担ったらいいかということで、いろいろ目的等にも書かせていただいておりますが、民間あるいは公共団体との協力及び役割分担のもとと、そういう業務の進め方の精神をしっかりと書かせていただいた上で、今るる申し上げました具体的な土地の集約化とか公共施設整備とか、あるいは密集市街地の建てかえの支援とか、そういうことを新公団業務の柱の一つとして規定させていただいているわけでございます。
  56. 泉信也

    ○泉信也君 自治体、民間と協調して、あるいは役割分担をしながらということでございますが、それは大変大切なことだと思います。  ただ、これも調査室の資料、建設省の資料のようですが、例えば関連公共公益施設の整備という、この資料をお持ちかどうかわかりませんが、二十七ページの一番下に出ておるのを見ますと、例えば職住近接の宅地開発事業に係る面積要件の緩和、十六ヘクタール以上を五ヘクタール以上にするとか、いろんな経験の積み重ねからこれは十六じゃだめだ、五でなきゃならぬとか、三百戸以上を百戸以上にした方がいいとかということかもしれませんけれども、あの大原則、自治体と民間公団の協調、共同でいくという考え方からすると、どうしてこういうふうにもう一歩小さいところまで公団が入るようなことになるのか。
  57. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今御指摘になりました公共施設整備の関連の制度でございますが、これは本来整備すべき任務にある地方公共団体にかわって当該住宅開発とかいろんな再開発に伴う公共施設整備公団がすることについていろいろな助成措置を講じているわけです。それは民間のものでももちろんいいわけですし、公団のものでもいいわけですが、その対象となる住宅開発の要件をいろいろ緩和して、公団公共団体公共施設整備というものを何とか支援していこうという、その趣旨で緩和等の措置を講じてきているところでございます。  公団みずから、当該開発をどんどん進めていくという趣旨で公共施設整備対象基準を緩和しているわけではございません。
  58. 泉信也

    ○泉信也君 そういう公団が果たしていかなきゃならぬケースも私はあるだろうと思いますけれども、新公団の守備範囲は大都市とその周辺というようなところですから、本来的にはそういう事業は十分こなせる自治体がたくさんあるんだと思うんです。  ですから、むしろこういうふうに緩和するんじゃなくて、本当に出なきゃならぬところだけをやっていくよというふうに限定的にしていただくことの方が公団役割を果たしていただけるんじゃないか。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕 あそこもこっちもというようなことで、少ない陣容の中でこれからやっていただく上においては、私はこういう条件の緩和は公団にとってもプラスにならないんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  59. 那珂正

    政府委員那珂正君) おっしゃるとおりだと思います。  私も、公団事業を見ている立場で若干の反省をさせていただきますと、先生おっしゃるように大都市の中で本当に大事なことをやっていくのですけれども、やはり大変やりやすい地域とやりにくい地域というのはおのずから分かれてくるわけでありまして、そうすると、やりやすい方に流れてしまうというのは現実問題だろうと思います。本当に必要なところで進めていかなければいけない、それはおっしゃるとおりだと思います。  しかしながら、そのこととこういう要件を緩和していくということとはやはり別問題だと思います。例えば、東京二十三区内のいろんな自治体がございますけれども、本当に必要なところ、都はともかくとして、区の財政事情あるいは組織、人員等を考えますと、やはり本当はやらなければいけないというようなところであっても、公共団体である区の能力としては、なかなか特定の地区の公共施設整備に十分な資金と手間をかけるという余裕がないというところが非常に多いのは実態だと思うんです。  何も公共施設整備といっても、四車線とかそういうすごい大幹線街路を公団がつくろう、こう言っているわけではなくて、本当に地域の居住地の周りの整備に関連する公共施設でありますが、そういうものは小まめに公団整備していければそういう難しいところでも住みやすくなる、こういう観点でいろんな措置を補強してきたところでございます。
  60. 泉信也

    ○泉信也君 今の御説明のように、当該自治体に人材あるいは財政的な面で問題があって公団がそれを手助けするというようなことは、本当に国民経済的に見たらそういう場面が幾つか出てくると思いますので、このことを全く否定するわけではありません。  しかし、公団がこの組織改正に当たってできるだけ機能を純化していくべきだという思いがあるものですから、このことが純化の方向にそれるということではないかもしれませんが、私としては、公団がより機能を果たしていただくために組織をスリム化するということとあわせて、対象のところも厳密にやっていただきたいなというふうに思います。  それから、二十九条の基本方針についてお尋ねをいたします。  ここに、次の事項を定めるというようなことで三つ書いてございますが、この中身は先ほど申し上げました調査室の資料、建設省の資料に例示的に挙げてありますような、こういう定員・組織の合理化とかコストの削減とか防災性の向上といった、そういうことを基本方針に書き込むということになりますのでしょうか。
  61. 那珂正

    政府委員那珂正君) 検討中の段階の資料を提出させていただいたわけでございます。  その限りにおいては、ここに例示されておりますような、業務の運営に関する事項としては、例えば定員・組織の合理化とかコストの削減だとか、あるいは事業の評価・再評価の方法とか、こういうことも記述すべきではないか、こう思っておりますし、肝心の業務に関する基本的事項としては、そこに書いてございますような都心居住・職住近接の促進、そういうようなことに絞って、今先生がおっしゃったように純化とまで言えるかどうかわかりませんが、とにかく業務を絞って重点化していくという行政改革の本旨にのっとったことを少しでもこういう基本方針で示すという形で全うしていきたい、こう思っております。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  いずれにしてもこれは、現在こういうことはいずれも予定でございますので、新公団発足となります暁までには、国会での御審議等も含めていろいろ御意見を伺いながら策定していきたいと思っております。
  62. 泉信也

    ○泉信也君 すべての公団にこういう仕組みがあるのかどうか私はちょっと不勉強で調べておりませんが、いやしくも大臣基本方針を示されるということになりますと、検討中で例示だというふうには受けとめましたけれども公団業務の運営に関する基本的事項で定員・組織の合理化だとか、そういうことが大臣基本方針として定めることなんでしょうかね。  こんなものは、公団総裁が自分の組織をどうするかということで当然お考えになるべきことであって、逆に言いますと、コストの削減を図りますというようなことは公団総裁が決めて大臣にこれでよろしいかというふうに言うべきたぐいのものではないか。ちょっと次元が違うのじゃないかというふうに私は思うんですが、何かお考えはほかにございますでしょうか。
  63. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先生からそうおっしゃられるとそういうような気もするんですが、しかし、やはり今回の公団改革のねらいというのがどうしても頭にずっとあるものですから、まずは定員・組織の合理化だとずっと言われておったこともありまして、イの一番に例示させていただいております。  あえて申し上げさせていただきますと、新公団として新しい業務を担うについて、やはり業務のやり方についても新しいスタイルを模索すべきだと思うわけです。そのためには、少し言いにくいんですけれども、国の立場で公団業務内容について余り微に入り細に入り、はしの上げおろしまでという、表現は悪いんですけれども、そういうようなことをあれこれ言うようなことがこれまでなかったかと言うと、うそになるぐらいあったと思います。そういうことはやはり新しい業務の進め方としてはふさわしくないと私は思います。  その分、新公団として、ではどういう形でいわゆる情報公開とかいうことを通じて業務運営の効率性、公正性を担保していくかということが必要になるわけですけれども、その手段といいますか、そっちの公正さ、公共性を担保する手段と、なるべく余り口を出したくないなということと、バランスがなかなかまだ、はっきり具体的にこれといったルールをまだ考えつけない段階でいる、正直そんなところです。  今、たまたま例示になりましたこういうことについても、現下の状況からいたしますと、定員・組織等についてもやはりこの基本方針で何らかの方向を示すべきではないかな、こういうふうに思っております。
  64. 泉信也

    ○泉信也君 お尋ねの趣旨を御理解いただいたと思います。ぜひ、せっかくの大臣がお定めいただく基本方針でありますならば、公団の本当に基本的なことを示していただいて、公団総裁以下全体がそれに従って運営をしていただきますように御検討いただきたいと思います。  もう一つ、これは現公団のことにかかわるわけですが、新聞にも出ました、土地を過去に確保していただいて、それがどういう理由か、もう既に長い時間そのままと言っていいのかどうかはわかりませんが、活用されない状態で残されておるというように伺っております。三十年を超えるものもあるということでございます。  この土地を購入されるときには、土地評定等審査会というんですか、これは公団の内部につくってあるんでしょうか、そういう公団の中で十分検討されて意思決定をなさったと思うんですが、その公団の中の仕組みについて教えていただけませんでしょうか。
  65. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 土地の取得業務流れお尋ねでございますが、現在、土地に関しましていろいろな情報がございまして、それにつきましては、まず支社の方にそういう情報が一般的には持ち込まれるわけでございます。  支社の方で具体的な候補地として選定をいたしまして、その際に、ある程度立地条件ですとか、それから将来的な計画として適切かどうか、そういうようなことを勘案いたしまして支社としてそれが適当であるというふうになりました場合に、まず用地交渉に入っていいかどうかというような形でのそういう意味での意思決定が必要でございまして、公団の中ではA審というふうに言っておりますが、そういう審議を公団の本社の方でいたすわけでございます。一定の面積と一定の規模のものにつきまして本社でいたすわけでございます。  そして、その後、具体的な用地交渉に入らせていただきますが、用地交渉の後に具体的な価格が決まった場合にその価格で契約をしていいかどうかというふうになりますが、その契約をしていいかどうかにつきましてさらに再度審議いたしまして、これをB審と申しておりますけれども、そこで最終的な価格決定の承認をいたしまして正式な契約をする、こういう流れになってございます。
  66. 泉信也

    ○泉信也君 時間が参りましたので、この問題はまた後日お尋ねをさせていただきたいと思いますが、購入の意思決定がなされた時点とその後の社会経済の状況の変化が大きかったということは重々承知の上でも、ややずさんなところがあったのではないか、あるいは逆に当該自治体との連携が悪かった、関連施設の整備がおくれた、いろんなことが幾つかあったのではないかというふうに私は思うんです。そのことが新公団の経営上重荷になってくるようなことになるのかならないのか、そのあたりをまたお尋ねさせていただきたいと思いますが、きょうはこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  67. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  68. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子君が選任されました。     ─────────────
  69. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、都市基盤整備公団法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  この法案は、従来さまざまな問題や体質を抱えながらも一定の役割を果たしてきた、勤労者に公的住宅供給するという点で役割を果たしてきた住都公団を廃止し、今後は都市基盤整備を中心に都市部の再開発を推進する、原則住宅からの撤退、そういうもので私は非常に重大な内容を持つ法案であると考えております。  私は、九七年一月の本院予算委員会で、当時の亀井建設大臣公団民営化をぶち上げたその直後に質問いたしました。住宅部門は黒字なのに撤退する、しかも居住者と一切相談なしにそういう方針を打ち出した、暴挙である、このように述べました。同時に、再開発は赤字なのに重点化する、全くおかしいじゃないか、本来の公団の仕事を投げ出して、ますます赤字をふやすことになるではないか、そういう質問をし、またその点を厳しく批判いたしました。  今度の法案は、私が質問を通じて批判、警告した重大な問題点をさらに極端にかじを切りかえるもの、住都公団本来の使命をかなぐり捨てるものだと、私はそのように感じております。  私はその予算委員会の質問の際に、公団市街地開発事業の典型として、都庁に近い西新宿六丁目の新宿アイランドビル、そして中野坂上のサンブライトツインビルを取り上げました。西新宿の方は公団東京支社、関東支社など身内で賃貸分の六割を占めて、マスコミからも身内で入居を穴埋めとやゆされてまいりました。この基本的な構造は今も変わらないと思います。  現在、この二つのビルの赤字はそれぞれ幾らになっているのか、お尋ねします。
  71. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 西新宿地区及び中野坂上地区の特定再開発についてでございますが、現在公団が所有している床につきまして賃貸をしております。賃貸経営に係る費用に対しまして、年間の賃料収入が下回ることから損失が生じているところでございまして、平成九年度におきます損失額は、西新宿地区におきまして約十五億円、中野坂上地区におきまして約十六億円でございます。
  72. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これの累計は幾らですか。
  73. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 西新宿地区におきましては累計が四十四億円、中野坂上地区につきましては累計が二十四億円でございます。
  74. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が質問した時点では二つ事業の赤字は十九億円だった、そういう答弁を得ました。この二年間で両方合計すると赤字が六十八億円、実に三・六倍になりますか、そういう額になっております。しかも、純粋な損金額がこういう額なわけですけれども、総事業費、それぞれ二千三十一億、そして七百九十三億で、合わせて二千八百二十四億投入されているわけです。  公団がこうした事業重点を移していくということ、これは、やはりこういう赤字をどんどんふやしていくならば国民の税金をそれで食っていくという点でも非常にまずいし、同時に私は、そういう点で赤字をふやすのじゃないかということを既に警告しているわけです。前総裁の豊藏氏も、事業費を回収できない初めてのケース、再開発事業の進め方を再検討する必要がある、そういうふうに述べられていたことを記憶しております。しかし、その道を進み、今や名実ともに都市開発の道にばく進しようとしている。赤字をふやさない、なくす見込みはあるのか、総裁にその点をお伺いしたいと思います。見込みはあるんですか。
  75. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 私もたしか二年前、先生からその御質問を予算委員会で受けた記憶がございます。ただいま理事の方から申し上げましたように、西新宿とか中野坂上の事案につきましては、バブル経済の崩壊の影響を受けまして、残念ではございますが、そういう赤字が累積していることは事実でございます。  さてそこで、先生のおただしは、幾つかに分けてお答えしたいと思います。  まず一つは、それでは西新宿とか中野坂上はもう立ち上がっていますが、これはどうだと。これにつきましては、私どもは今後は経費の節減ですとか業務の効率的執行とともに、実はバブル崩壊と逆と申し上げてはなんでしょうが、現在金利の低下がございまして、あの事業に長期で借り入れているお金の借りかえの時期が参りますが、平成十一年度から三年間でたしか千六百億ほどでございますけれども、この平均借入金利六%のものが今の金利で行くとかなり安くなりまして、その金利負担が減りますので、もろもろの公団内部の努力とかそういうことをあわせて、そう長くないうちに単年度でかなり改善をしていくというふうにまず思っております。  それから、先生のおただしで、より力点が置かれているのは、今後どうするんだと、多分こういうことであろうかと思いますが、当然、現在継続中の地区もそれ以外にもあるわけでございます。そこについては、今の地価の下落とか需要構造の激変でございますから、私どもは継続中工事については整備水準の見直しとか計画の修正とか工事費の削減等を図って採算をとっていこうと思っておりますし、さらに今後新しい公団になって事業採択を行っていく場合には、間違っても今までの轍を踏まないというふうにしっかりしたチェックをやって、仕事をやる必要があればやっていく、こういうふうに考えております。
  76. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総裁が今言われたことは前にも言われているんですね。しかも、総裁、あなたは私の質問の後に公団の支社長等々を集めた内部の会議でこう言われている。西新宿と中野坂上のようなことを繰り返してはいけない、総裁として反省すると。出ていますよ、活字になって。しかし、今そういうことをまた言われている。私はこれは重大だと思うんです。こう言っては申しわけないが、猿だって反省できると言われるでしょう。しかし総裁、責任ある方が何度も同じようなことを繰り返す、しかも今経済がどういう状況に向いているかということについては、ここでも一致して皆さん共通した認識を示されている。  そうした中で、今努力すると言われたけれども、赤字をなくす、そういうふうにあなたは断言できますか。その点だけお聞きいたします。
  77. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 冒頭、例に挙がった二地区の赤字については、私の申し上げたようなことで漸次減っていくということは申し上げられます。
  78. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかと聞きました。しかし、私は今の状況をいろいろ分析しました、財務状況等々。そういうふうにはならないだろうと確信しておりますが、どちらが正しいかということについては、遠からず歴史が審判を下すということだけ申し上げておきたい。  私は、やっぱり住宅部門から撤退して、民間企業は怖くて手をつけられない分野に公団が手を出していく、そこに根本的な間違いがあると思うんです。実際に撤退する、そしてますます隅に追いやられている、またますます軽く扱われている住宅の問題についてお聞きしたい。  私は、本会議質問で、総理、建設大臣に、我が国における公共住宅供給はもう十分なのか、そういう認識かということをお尋ねいたしました。小渕総理はこう答弁された。「我が国居住水準の現状を見ますと、大都市賃貸住宅を中心にいまだ低い水準にあります。したがって、豊かな住生活を実現するためには、低所得者対象とした公営住宅、新公団供給する都心居住住宅等、公共住宅の担う役割は引き続き重要であると認識をいたしております。」。総理が述べられた賃貸住宅を中心に低い水準にある、そういう認識については当然のこと、建設大臣も異議はないと思います。  そこで、私は大臣にお伺いしたいんですけれども、今、公団居住者の間で住宅をめぐってどういう声が、どういう不安あるいは不満が挙げられているのか、大臣認識されているところをお述べいただきたい。
  79. 那珂正

    政府委員那珂正君) お尋ねの点につきましては、私ども公団等を通じていろいろ伺っているわけでございますが、基本的には、既に私どももいろいろな公の場で申し上げていることですが、現在お住まいになっている、つまり公団管理いたしております七十三万戸の住宅につきましては現公団が廃止となっても新公団が引き続き適正に管理していくと、こういうことは再三申し上げてきたところでございますので、その点に関して不安を抱かれているというようなことは私はないと思います。  ただ、新公団に移るに際して、新公団法の中でも家賃の考え方をより合理化しようということで一定の新しい考え方を公団法に盛り込んでいるわけですが、その点につきまして、継続家賃が急に上がるのではないかというような御懸念を抱いておられるということは多分そうだと思います。その点に関しては、私どもも御懸念を抱くかもしれないということはよくわかるんですが、それゆえに、当委員会でも衆議院の委員会でもるる御説明申し上げて御理解をいただくよう努めておるところでございます。
  80. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 住宅局長公団等を通じて聞いていると言われましたけれども、私はやはり公団居住者と直接対話する、少なくとも直接意見を聞く、そういう場が必要だと思うんですね。住宅局長として公団居住者が何を考え何を願っているかということを直接つかまれない、やはりその点は重大な問題だろうと私は思います。  そして、大臣からお答えがなかった。大変残念ですので、別の角度から大臣お尋ねしたい。  九六年版の国民生活白書には、こういうくだりがあります。引用いたします。「借家の一戸当たり床面積は四十五・一平方メートルと、主要国中最も低い水準となっており、アメリカの四割の広さにすぎない。」。また、こういうくだりもあります。「東京の家賃は、ニューヨークと比べて二倍以上高い。」。広さでは、「国際的にみると、低い水準にあり、特に、借家の居住水準が著しく低くなっている。」、「住宅価格、アパート家賃とも主要国中で高水準」、このように書かれております。  あるいは、社会保障制度審議会、これは九五年のものですけれども、そこではこう指摘されている。「我が国住宅は豊かな社会における豊かな生活を送るためのものとしては余りにもその水準が低く、これが高齢者や障害者などに対する社会福祉や医療の負担を重くしている一つの要因である。」、「住宅、まちづくりは従来社会保障制度に密接に関連するとの視点が欠けていた。」。  私は非常に大事な指摘だと思いますけれども大臣、こうした指摘に異論を唱えられること、あるいは反論されることがありますでしょうか。
  81. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私の持っております知識なんというんじゃなくして知っております範囲のことでございますが、持ち家はスペースからいいますとヨーロッパ並みになっておる、ただ、今、日本で大変ひどい状態にあるのはいわゆる賃貸住宅のスペースであるとか、そういう内容が諸外国に対して大変おくれておると、そういうふうに私は認識をいたしております。
  82. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その賃貸部門がやはり非常に重大なんです。そこに非常に大きな貧困とそしてまた矛盾、それがあると思います。ですから、こういう中でますます国民の中での公共住宅役割、これが大きくなっている。総理の答弁で、新公団供給する都心居住住宅等、公共住宅の担う役割はますます重要と言われている。そこが大事な点かなと思うんです。  法案で二十八条六に「利便性の高い中高層の賃貸住宅」、「国の施策上特に供給が必要な賃貸住宅」、そう書かれている部門だと思いますけれども、ところでこの部分が今後新しい公団になったということ、その後に公団供給する唯一の賃貸住宅になるんですね、この部分が。とすると、この住宅というのは中堅勤労者のファミリー向けの賃貸住宅、そう言えるのかどうか、お尋ねしたい。
  83. 那珂正

    政府委員那珂正君) 新たな公団供給する賃貸住宅につきましては、その供給目的等については先ほど来るる御説明申し上げましたので省略させていただきますけれども、そういういろいろな新しい時代に合った目的に沿って供給していく、都心居住向けの居住環境が非常にすぐれて、また住宅の性能もすぐれたそういう政策的に必要な賃貸住宅というのは、結果として先生指摘のように主として中堅所得層をその主要な需要層対象層とするものでございます。
  84. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、局長の方で、私の聞き間違いでなければ、中堅所得層中堅所得層というのは中堅勤労者と同じ意味と解しますけれども、それを対象としたものだと言われました。それで間違いありませんか。
  85. 那珂正

    政府委員那珂正君) 間違いございません。そう申し上げました。
  86. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、手元に建設省が公団と一緒になってこの問題で開いた政策会議の論点メモを持っております。そこにはこう書かれているんですね。いいですか、よく聞いてください。「都心部で供給する賃貸住宅家賃は高額にならざるを得ず、中堅勤労者向けとの位置づけは困難」。  局長、一体これはどういうことですか。
  87. 那珂正

    政府委員那珂正君) 緒方先生指摘の文章について確認できませんので、どういう経緯でそういう表現がなされたか、前後の脈絡も想像がつかないわけですけれども、新たな公団供給すべき賃貸住宅の性質といいますか機能といいますか、そういうものについて種々私どもの内部でいろんな議論がされてきていることは確かでございます。  今、法案が形づくられた段階で私が公式に申し上げていることは、いわゆる都心居住住宅とはいいながら、実際供給されるものはいわゆる商業地、一等地、そういうようなところで供給されるというよりは、都心に近い周辺の未利用地とかあるいは工場跡地等、そういうところで実際には供給されるものを公団が担当していくだろう、こういうことでありまして、それらは結果として主たる需要層中堅所得層だというふうに私は考えております。  ただその際、今度は公団事業のやり方にかかわるわけでございますけれども、そういうところで新たに土地を公団が取得して、そこに住宅を建てていくというのは、家賃の方は市場家賃ということで合理的に決められていくことになるわけですが、実際にかかるコストというのは、土地代は、借入金は返済しなければいけませんし、建物は償却しなければならないわけでありまして、そういう点では事業の採算は大変難しいことにもなる。  こういうふうな理解から、国といたしましては、公団に新たにそういう都心居住住宅というようなことを重点的に賃貸住宅供給をやってもらうためには、例えば一定の出資金とか一定の財政支援が必要だろうという認識をして、少しずつではございますけれどもこの数年ふやして、今後とも充実に努めていきたい、こういうふうに思っております。
  88. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大変苦しい答弁だと思います。  委員長、質問に対しては要点を答えるように注意していただきたいと思います。今局長の方から、先ほどの答弁を繰り返し結論としては言われております、後でいろいろつけ加えましたけれども。  そのほかの文書でも、公団賃貸住宅家賃制度の見直しについてという文書の中でも、「中堅所得者層施策対象を限定しないことを前提として応益家賃供給する家賃制度に見直す」と書いてあるんです。ですから、あなたは、いろんな検討過程があった、私はそう思いますと、そういうふうに逃げたけれども、あなた方の考え方は明白なんです。  それでは聞きますけれども、これから新規に供給する住宅家賃はどのぐらいになるんですか。いろいろとり方はあるけれども、一平米当たり幾らになるんですか、見通し。
  89. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 公団が新公団になりましたときに、都心部で供給するファミリー世帯向けの規模で良好な環境を備えた賃貸住宅でございますが、ワンルームや高級マンションと比較しまして採算性が悪くて土地代を回収するのに長期間を要するために、実際には一部の土地所有者を除きまして困難でございまして、こういうものにつきまして、公団では市場の補完という意味で供給するということでございます。  それに対しましての家賃でございますけれども、現在のところ、具体的に家賃が幾らになるかということは答えることはなかなか難しいと思いますけれども、ただいま局長からお話がございましたように、基本的には市場家賃になるというふうに考えてございますが、公団といたしましては、建築費のコストダウンですとか土地の高度利用等を図ることによりまして、できる限りいわゆる公団のコストを低くしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  90. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 長い答弁だけれども、肝心のことに答弁がなかったですね。私は自分で調べてみました、そちらからいただいた資料で。東京二十三区内の公団賃貸住宅二百四十三団地の一平米当たりの家賃額、これを全部計算しました。千五百円未満は三十五団地、千五百円から二千円が七十三団地、二千円から二千五百円が五十七団地、二千五百円から三千円が四十一団地、三千円以上が三十七団地、四千円以上もありますがね。  こういうクラスの中で、これからつくられる公団賃貸住宅というのは大体どのぐらいのところになるんですか。そんな計画だって、そんなことまでちゃんと計算していなくてどうしてこんな法案が出せるんですか。
  91. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 東京二十三区で平成八年度と九年度に供給されました公団住宅の平米当たり家賃の実績でございますが、現在、傾斜家賃制度をとっておる関係で、初年度家賃が平米当たり二千三百円でございます。また、最終家賃が平米当たり二千八百円でございます。  これに対しまして、先ほど局長からも御答弁がございましたように、中堅所得者層、そういう方々対象にするということでございますが、京浜大都市圏の勤労者の平均世帯収入でございますが、総務庁の貯蓄動向調査によりまして平成十年度の実績を見ますと、約九百万円でございます。その九百万円に対しまして、家賃支出率を仮に二五%というふうに考えますと、月に直しまして約十五万円というふうになるわけでございます。  したがいまして、実際に供給される家賃につきましては、今はっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、都心周辺の工場跡地等の高度利用、そういうもの等を図ることによりまして、できる限りそういう中堅勤労者の方々が負担可能な家賃に近づけていくというふうになろうと思います。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 また具体的な答弁がありませんでしたけれども、先ほど言われた一平米当たり二千三百円から二千八百円、そういう額というのは、それはとられた数字でしょうけれども、これから建つであろう賃貸住宅と比べれば随分低いなと私は思います。  恐らくこれから建つそういう住宅というのは、ちょうど今あるもので言えば、八八年から九一年にかけて建設された中央区佃二丁目の一等地にある大川端のそういう公団、四十階近い高層で、家賃は一DKで十一万円、三LDKで三十二万円。あるいは九四年に完成した三田一丁目にある恵比寿ビュータワー、三十階を超える高層。そこでは家賃は同じく十四万円から三十万円、極めて高額です。  ですから、利便性の高い中高層の賃貸住宅、こういう住宅こそがこれから公団がつくろうとしている住宅、そういうことになるのじゃありませんか。こういうクラスのものじゃなくて、もっと庶民が入れる、もっと所得の低い人たちが入れる、そういう住宅をつくっていくんですか。
  93. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 今後の土地の買収等にもよるわけでございますが、ただいま御指摘のありましたリバーシティ21イーストタワーズないしは恵比寿ビュータワー、こういうところにつきましては確かに都心三区というような部分でございますが、もちろん私どもといたしましては、都心三区にも相当の供給を図りたいと思っております。  その周辺の区部につきまして、工場跡地等の有効利用を図ることによりまして、できる限り低廉な形で供給していきたいというふうに考えているところでございます。
  94. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が今挙げた大川端あるいは恵比寿の賃貸住宅、平米当たり幾らだと思いますか。三千五百円前後です。私は計算いたしましたからいいですよ。だから、やっぱりこういう住宅がこれからつくられるとなると、本当に庶民とは無縁なんです。局長はなかなか認められないけれども中堅所得者層には届かない、かなり高額なものになってしまうんです。ましてや低所得者あるいは年金生活者、そういう人たちが入る住宅なんというのはこれからつくらないということを宣言しているのと同じじゃありませんか。  そこに非常に重大な、ただ単に分譲から撤退するだけじゃない、賃貸からもそういう形で、まさにかなりの所得のある人たち、私も見に行きましたけれども、ベンツやポルシェが並んでいる、そういう方が入居されている。わかりやすく言えば、そういう層に充てた住宅供給する、そういうふうになっていくんです。ですから、私はその点で住都公団の変質、それが非常に大きい、そう思います。  その点で私はもう一つお伺いしたいのは、賃貸住宅供給がどんどんこういう形でなっていくと、建設省としては、こういう貧しい状況なのに賃貸住宅供給事業をいついつ終了する、そんなことも想定されているんじゃありませんか。
  95. 那珂正

    政府委員那珂正君) 全くそういう認識はございません。
  96. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長はそう言うけれども、あなた方の文書に書いてあるんだよ。書いてある。だからしっかりと、あなた方自分たちが出している文書なんだからしっかりしてほしいんだけれども、「市場補完的な役割が終了すれば新規供給は終了」する。これはあなた方のメモです。  ですから、私は衆議院の議論でも、当委員会での議論を通じても本当に腹立たしく思うのは、建設省も公団もこれから住宅をどうしようかということをすべて隠して法案を通そうとしていることなんです。  ですから、局長がどういう文書かということを言われれば私たちもあなた方に紹介する、そういう用意もあります、あなた方が誠意ある態度をとれば。だけれども、こういうことを言いながら、局長答弁はことごとく違うじゃないですか。住宅の新規供給は終了する、市場補完的な役割が終了すれば終わる、こう言っている。  それから、先ほどもこう言っているじゃないですか。これからつくる公団住宅は高額にならざるを得ず、中堅所得者向けとの位置づけは困難。中堅所得者はもう入れない、そういう住宅をつくろうというんじゃないですか。  大臣、いかがですか、こういう方向でよろしいんですか。
  97. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私は、そんな書類を見たこともありませんし聞いたこともありませんから、その書類をきちっとチェックさせていただいてから答弁いたします。
  98. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、この点については局長が責任者だろうからきちっと内部で調べて、そしてこの文書の有無、次の委員会までにはっきりと報告していただきたい。このことを要望しておきます。  もう一つお聞きしたいのは、今後住宅の建設、これがどういうことになっていくのか。公団賃貸住宅、これがふえていくのか、減らされるのか、その点についてはどうなんですか。
  99. 那珂正

    政府委員那珂正君) 公団住宅に限らず政府施策住宅については、御案内のとおり、住宅建設五カ年計画ということで五カ年ごとに一定の投資、建設戸数、供給戸数、それを政府として計画を持って進めているわけでありまして、現在の時点で言えば、七期五カ年計画平成十二年度まで継続いたします。したがって、十二年度までの間は現在の住都公団計画を引き続き新公団も担って、戸数で申し上げれば同程度の戸数で行くということでございます。  また、十三年度以降についてお尋ねだと思うんですが、それについては、現在、住宅宅地審議会で種々検討しておる最中でございます。
  100. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これもやはり私は正直に言っていただきたいと思うんですね。  公団事業計画資料、平成十年度版、公団賃貸住宅、何と書いてあるかというと、公団賃貸住宅の総ストック量、括弧して七十二万戸と書かれておりますけれども、七十二万戸についてはふやさないことを前提にその適正量について検討中である、そうなっているじゃないですか。ふやさない、このことを決めているんですか、公団は。
  101. 荒田建

    参考人(荒田建君) その資料を私もつまびらかではございませんけれども、新公団を発足するに当たりまして、いろいろ中で今後の公団賃貸ストックをどうするかといういろいろな議論が当然のことながらなされております。その中の一つにそういうことがあるいはあったのかと思いますけれども、総ストックを七十二万戸でとめるというような結論を公団の内部でもやったことはございません。
  102. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、理事がそう言われたので、ここは神聖な国会の場所なので、そのことはきちっと確認しておきたいと思います。  その上で、公団でこういう文書があって、これが方針になっているかどうか、やはり次回の委員会までに私の方でもきちっと調査して、またしかるべき答弁を求めたいと思います。あなたの方でも、総裁にお願いしておきますけれども、きちっと責任者としてこの建設戸数についてふやさないことを前提にということがそうなのかどうか、はっきりと調査していただきたい。このことをお願いしておきます。  私はこのやりとりを通じてつくづく思うのは、住宅からの撤退、これはとんでもないことだと思いますけれども、これからわずかにつくる賃貸住宅でも、本当に住宅を必要としている、そういう層に合ったものではないということが非常にはっきりしているわけです。それをごまかしの言葉をいろいろ並べて、何かわからないような話にしている。それが政府公団の言ってきたことだと私は思います。  その点で私は、住宅建設という点で公団がやっぱり大きな変質を遂げている、そのことを今改めてかいま見た、いや直接目にした、そういう気がいたしますし、そのことは安心して住み続けることができる公団住宅を、そういうことを願っている居住者や国民に対する裏切りである、そうとさえ言える、私はそう指摘しておきたいと思います。  次に、都市基盤整備問題について質問いたします。  経団連は先月二十日、産業競争力会議に提言を提出し、遊休不動産対策として住都公団と財団法人民都機構による工場跡地の買い上げとそうした過剰設備の廃棄に伴う税制上の優遇措置を要望いたしました。経団連提言を受けて、建設省も土地の用途制限の規制緩和や税制改正を検討する研究会を発足させ、次期臨時国会に関係法案の提出を目指す、そのように日経新聞等では報じられております。  しかし、住都公団による工場跡地の買い上げやそのための優遇税制措置に対しては、大手企業の首脳からもこんな批判が出ているんです。  これは日経の五月十九日に書かれておりましたけれども、「過剰設備は自助努力で廃棄すべきだ。護送船団的に国の補助を受けるべきではない」。私はそのとおりだと思うんです。バブル期の乱脈経営のツケは企業側の自己責任で処理させるべきであり、工場跡地などの不良債権の処理に国民の税金を投入する、これは本末転倒ではありませんか、大臣
  103. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この問題は、きょう朝八時からちょうど第四回の産業競争力会議がございまして、その中でも出ておりました。  いずれにいたしましても、経団連から提言がなされましたのは、工場跡地など遊休不動産の有効活用というようなことをやって景気の回復をなお力強いものにしていこうというようなことでございます。それに対しまして、住都公団であるとかあるいは民間都市開発推進機構等を活用して工場跡地を利用した都市開発に取り組んでいきたいという意見があったものでございまして、そういう意味におきましては、工場跡地というのをそのプロジェクトとして推進してまいりたいと思っております。  それは結局、買い上げるということがそういうようなことで不良債権であるというような角度からの御質問でございますが、御承知のように今、金融に対しましても、社会的混乱を起こさないために資金注入というのが行われたところでございますし、また不幸にしてそういう工場跡地が生まれたものは、国がそういうものを買い上げて整地、整序をしてまた社会にそれを出していく、それをまた開発していくということでございますから、それは私は一つのスキームに乗ったやり方であろうと思っておるわけでございます。  ただ、一口に工場跡地と言いましても、景気のいいときでございましたらその地権者がそれを何に使うかというプランニングを持っておったわけでございますが、今はそういう工場跡地というのはそういうプランニングを地権者が持っておるわけではありませんから、そこでなかなか開発することは難しい。そうなりますと、どうしてもそういう住都公団であるとか民間都市開発推進機構というものがそれを開発していくという以外に方法がないわけでございまして、今の状態でございますと、そのままほっておけばそのままいつまでもそこにあるというようなことで、前向きの利用がなされないというところが現状でありますから、その方法でやっていく以外に方法がないなと、そのように私は感じます。
  104. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、大臣から御答弁のあった点については、経団連の中でさえも批判的な意見が出されているわけです。経団連の前田副会長は、五月十八日の記者会見の際に、設備廃棄のための優遇税制措置は企業のモラルハザードにつながらないのかとの記者団の指摘に対して、そうした心配があることは理解できると認めただけじゃなくて、過剰設備問題は個別企業の責任と自主判断で解決するのが基本だ、そう明言しているわけです。その点では、前田氏の発言というのは道理があると思います。  この発言どおり、工場跡地など設備廃棄に対する税金投入というのは、企業の経営責任を不問に付すばかりか、モラルハザード、企業の堕落、これをもたらすだけだと私は思うんです。  大臣、その点もう一度お伺いしたい。
  105. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) それでは、その跡地をほっておけという意味ですか。
  106. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 珍しく政府側から質問がありましたので答弁させていただきますけれども、私はそれぞれの企業の責任で処理する、これが当たり前です。どの家だって、どの商店だって、中小企業だって、倒産して政府が助けに来てくれることはないじゃありませんか。大企業だと何で助けてくれるのか。それがモラルハザード、企業の堕落だとアメリカからも批判されている点だと思います。  その点で、工場跡地などの企業の過剰設備の要因というのはまさに企業の経営責任に属する問題なんです。何も国民が税金で肩がわりする、そういう筋合いのものじゃありませんよ。にもかかわらず、政府として経団連提言を丸のみするというならば、私はこれは税金を使った個別企業救済と批判されても否定できない。そういう事態だということをはっきりと述べておきたいと思います。  次に移りますけれども、個別企業の不良債権を公的資金で買い上げるやり方については、先日の民都機構をめぐる本委員会の審議でも議論になりました。  そこで、今泉理事にお伺いしたい。あなたは五月十四日の衆議院建設委員会で、住都公団の進める土地有効利用事業について、結局は企業の不良債権が住都公団の方に移動するだけではないかとの我が党委員指摘に対して、こう答弁されている。引用します。有効利用事業自体がある程度のリスクを持っていることを私ども十分に承知しております、これがあなたの答弁でした。あなたがここで述べられた、十分に承知していると認められた有効利用事業におけるある程度のリスク、具体的にどういうことですか。
  107. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) お答え申し上げます。  土地有効利用事業につきましては、いろんなタイプがあるわけでございますが、その典型的なものがいわゆる虫食い土地と申しますか、細分化土地の土地有効利用事業でございます。  この事業は、例えばある地区がございますと、この部分は例えば駐車場になっておりまして、この部分は例えば古い民家が建っていたりする。駐車場につきまして、これを土地有効利用事業として買い取ってほしいというお申し出がございます。しかし、土地有効利用を完全に確立するためには、ここにありますお家を買い取るか、共同事業で一緒に事業をするか、あるいはもっとその地区内で土地を交換するというような形で土地を整形、整序しませんと本来的な有効利用事業が成り立ちません。  私がリスクと申し上げましたのは、そのお家の方が完全に同意をしてから例えば駐車場について買うということになりますと非常に時間がかかりますし、私どもが与えられた土地有効利用事業というのは、土地の流動化の促進ということと、それから有効利用事業を通じた町づくりということでございまして、その二つ課題におこたえするためには、この古い家と言ったら悪いのでございますが、お宅の方の完全な同意を得るということが十分にできない部分がございます。そういったものにつきましては、ある程度の同意ということを一応お話をし合いながら得られるだろうということで買うということで、最終的にここが買えるかどうかというのはわからないという部分でリスクというふうに申し上げたわけでございます。
  108. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それならば、相当大きなリスクになるんじゃないかと私は思います。私も、住都公団が買われた土地の隣接地に出っ張っているところ、これは恐らく買わなければ整地できない、整形ができない、そういうところに行っておたくは土地を売りますかと聞いたら、絶対売らないと、何軒もそういうのがありました。ですから、そういうところをきちっと確かめないで買われている。既に、相当大きなリスクを覚悟して進めているとなるのじゃありませんか。  特に、私は思うんだけれども、これまで住都公団は約四千三百件に上る土地譲渡を寄せられたと言っております。例えば、日経の二月十三日付によれば、公団に持ち込まれた土地に設定されている抵当権の債権額が公団の見積もった土地評価額の十一・六倍にも達する、そういうものがある。あるいは十社以上の抵当権を設定している土地、バブルのどさくさで隣地との境界線がどこにあるかはっきりしない土地さえある、こう指摘されているわけです。ですから、あなたが今言われたように、隣が土地を売るかどうかわからない、時間がかかるかもしれない、そういうこともあるかもしれないし、こういうものも多数購入されている、私はそう思うんです。  ですから、あなたが言われたことというのは、結局一〇〇%計画どおり民間にそれを売却して、土地の有効利用、あなた方が言うところの本来の目的が果たせるかどうかわからない、そういうところにあなたが言われているリスクという意味があるんでしょう。
  109. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 二つほどお答えいたしたいと思います。  最初のリスクの問題でございますが、その土地の有効利用ということは、その方の土地を買い取るということだけではなくて、先ほどちょっと申し上げましたが、土地を別のところと交換していただく、あるいは共同して事業をしていただくというような手法でその方々の御協力を得るという方法をとってございますので、ただ買い取るだけということではございませんので、その事業の可能性というのはその面では広がっているんじゃないかというふうに思っております。  それから、先生、今抵当権ということを申し上げられたわけでございますが、私どもはこの土地を買う場合には、そういう権利関係が完全になくなった更地としてお買いをするということでございますので、私どもそういった抵当権等の債権を処理するという立場にございませんので、御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕
  110. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が言ったのは、隣の土地が要するに公団に協力しない、そういうことを明言しているところが幾つもあるということです。そうすると、公団事業は進まないということになるんですね。ですから、買う買わないの話じゃなくて、それだけじゃなくて、そういう意味だということを述べておきたい。  それから、更地だと安全な土地だということを恐らく今泉理事は言われたいのだと思います。そこで、私は少し具体的に議論したいと思うんです。  第十二回土地有効利用事業推進本部会議参考資料一、部外秘と銘打っておりますけれども、そういうものがここにあります。これを見ますと、本会議で買い上げが承認された五つの案件が明記されているんです、ここには。ちゃんと地図が書いてある。驚くべきことに、経営破綻した長銀が不良債権隠しを行った土地までも含まれているわけです。今、安全な更地と言われたと思うんだけれども、この土地が含まれている。問題の土地、港区赤坂二丁目の約六百三十一平米の土地で、現在は駐車場になっております。この土地の登記簿、これを全部出して調べました。  一九六七年に渋谷区内の不動産会社が取得したもので、長銀は八九年九月にこの土地に百七十億円の担保を設定して、この会社の関連会社と見られる実態不明なパナマの会社に巨額融資を行っております。しかし、融資の大半が焦げついたために、長銀は東京地裁に競売を申請。地裁は九七年七月、最低売却価格を十六億四千七百三十九万円として競売を公示。ところが同年八月、競売で長銀の不良債権の受け皿会社であるエル都市開発が公示価格の約三倍の五十四億円で落札している。これがこういうことからわかった経過です。  落札資金の五十四億円は長銀が全額融資するなど、まさに長銀がみずから焦げついた案件を関連会社のエル都市開発に高値で買い取らせて不良債権隠しを行っていたところです。公団は、今あなたが言われたように更地の安全な土地、それならばいいとしても、なぜこんな土地を取得するんですか。どのような利用計画をしようとしているのか、はっきりと説明していただきたい。
  111. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) この土地有効利用事業につきましての基本的な仕組みなのでございますが、これは先ほど申し上げましたように……
  112. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 端的に、なぜ、どういう理由か言ってください。時間がない。
  113. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) はい。  総合経済対策の中で位置づけられたものでございますが、こういった土地の流動化という概念の中には、恐らく土地におきますいろいろな前歴と申しましょうか、そういったものが事業の中に包含されているというふうに思います。したがいまして、私どもはここの企業ここの企業ということではなくて、やはりそういった土地の流動化ということで企業から公団に持ち込まれた土地につきまして、これがいわゆる土地有効利用上本当に意味のある土地かどうかというのを審査いたしまして、その上で取得交渉を行い取得に至っているわけでございます。  したがいまして、その土地の前歴と申しますか、その過程がどうだということにつきましては、結果としてそういうことになるかもしれませんが、土地の有効利用事業のフレームの中にはそういったことが織り込んでおられるというふうに私ども理解をし、それで事業を進めておるところでございます。
  114. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これは承認案件だというんですよ、承認案件。あなたは前の委員会答弁でも、厳しい審査をして進めていると言われた。ところが、今結果としてこういうことになっても、それは私たちの関知することでないような、そういう意味のことを言われました。私は、なぜ公団が税金を使ってこういう土地を買い上げるのか、なぜこんな土地を取得するのか、何に利用するつもりなのか、それをお尋ねしているんです。
  115. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 土地有効利用事業によりましてでき上がる土地につきまして、基本的には民間の創意工夫で有効利用していただくわけでございますが、その多くの姿はやはりマンションをつくっていただくとかあるいは商業用ビルをつくっていただくとか、そういういわば土地の高度利用を図るような施設に使っていただくということでございます。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  もちろん、住宅系のマンションと資本系の商業床との共同のような利用の仕方もあると思いますが、そういったたぐいのものに使われていくということになっております。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 理事、全然答弁になっていないですよ。私は、何で長銀絡みの、しかもエル都市開発というのはあなたもよく御存じでしょう、どういう企業かというのは。説明するまでもないと思うけれども、この間倒産した長銀の関連ノンバンクの日本ランディックの子会社じゃありませんか。そこが出資して設立した。社長も日本ランディックの常務でしょう。ほかの役員もみんな長銀OBです。決算書を取り寄せてみたけれども、既に超過債務に陥っている、経営破綻しているわけでしょう。そういうところの土地を何で税金を使って買い取るのかと聞いておるんです。ちゃんと答えてください。
  117. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 先ほど申し上げたお答えと同じになるのでございますが……
  118. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 同じならいいです、時間がない。  そうしたら質問を変えましょう。  この土地を一体幾らで買うつもりですか。
  119. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) この有効利用事業も含めまして、公団事業につきまして個別の案件につきましてその内容をお話しするということにつきましては、事業の経営上非常に支障があるということがございまして、それは御容赦いただきたいというふうに存ずるわけでございます。
  120. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この間は情報開示を最大限やるなんて言いながら、都合が悪くなるとそういうことを言う。  それでは総裁、やはりあなたの理事のところが担当している、こういうことを私は今示しました。やはり私は、公団の責任者として、こういう長銀絡みの、しかも経営破綻した、そのことがはっきり認定されているところの取引、もう承認案件になっているかもしれないけれども総裁の決断でこういうところはやめる、私はこれが当たり前、国民の常識だと思うんですけれども、その点について検討していただけますか。
  121. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 先ほど今泉理事の方からお答えしましたように、その持ち込まれた土地が本当に私どもが取得して整地し、場合によれば公共施設整備した上で原則民間に有効活用していただくという観点で取得するわけですから、先ほど彼は前歴と言いましたが、その土地の前の所有者とかそういうことをとやかく言うという気はございません。
  122. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 あなた方が示している事業流れ、この案件というのは既に本部会議で買うことを決めているわけでしょう。そういう段階に至っているわけです。あと値段がどうなるのかという問題。  私は、今の総裁答弁は非常に情けないと思う。やはりそういうときには総裁の責任としてみずから調べて、さんざん赤字を出しているんだから、先ほど言ったように、やっぱりちゃんとこういうことを調べますと、何で言わないんですか。
  123. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 今申し上げたように、その土地が本当に有効活用するに適したものかどうかはしっかり調べて事務を進めるということを申し上げておるわけでございます。
  124. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それならば、こういう問題等々含めて、これについては買うことを控えるということもあり得るということですね。
  125. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 先生の御指摘を受けてということではなくて、私どもは相手のあることですから、価格も極めて、土地評定等審査会という厳しい第三者機関をつくった上で私どもは取得交渉に臨みますので、今までお話を申し上げて残念ながら合意に至らなかった件数も幾つもありますから、それがどうなるかはわかりません、今のところは。
  126. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今後を注目したいと思います。  資料にはそのほかにも、例えばゼネコンの東急建設が港区六本木三丁目に所有する約五千平方メートルの土地もあるんです。公団はこの土地を九十億円前後で買い上げたはずです。しかし、この土地も、東急建設が不動産業者の六本木開発に対する債務保証に伴い代物取得したような土地で、事業化のめどすら立っていないものです。六本木開発は、この土地を担保に住総や三井信託銀行など金融機関十社から借り入れていました。権利関係も整理されておらず、その上隣接地の地上げなしには利用もできない。  このような土地を取得することは、公団で決めた土地取得の前提条件にも反するだけではなくて、国民の税金を二重三重に使う、そういうことになりませんか。
  127. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) 先ほど先生は厳しい審査と申したわけでございますが、私もお答えしたように、大体申し込み案件の十分の一程度がそういった交渉案件になるということでは、内部では非常に厳しい審査を経た上で有効利用にかなうかどうかというのを決定しているところでございます。
  128. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 全然答弁になっていないわけです。  私は、ここで一つ問題提起をしたいと思います。こういう事案についてさまざまある、重大な国民の税金がこんなことに使われていいのかという、そういう事案が私たちが見ただけでもかなりある。私は、こういう重要な法案を審議しているこの委員会にその資料を出していただきたい。私はそのことが、こういう問題について国民の前で、この国会の場できちっと審議する上で非常に重要だと考えております。  委員長、その点で理事会で御協議をお願いしたいと思います。
  129. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
  130. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 さらに、公団は個別企業の不良債権取得を進めながら、これまで住宅建設や区画整理事業などを目的に購入した膨大な未着工用地を抱えているわけです。公団から既にお聞きしておりますけれども、二百四十四地区、千九百二十八ヘクタールに上る。膨大な数なわけですけれども公団は、国民的な批判もあって、九五年から九七年の三年間に七十六件、百九十二ヘクタールの物件を売却いたしました。このペースで売却したとしても十年はかかる、そういう計算になります。  これまでに要した固定資産税の総額、これは幾らになりますか。
  131. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) ただいまお話がございました地区に関しての固定資産税でございますが、平成十年の分でございますが、三十二億円でございます。
  132. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私がお尋ねしているのは累計なわけですけれども、それは出ませんか。
  133. 島崎勉

    参考人(島崎勉君) 累計はちょっとただいま手元にございません。
  134. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、次回に提出していただくことをお願いしておきます。  公団は、こうした未着工用地を膨大に抱えながら、その一方で企業の持つ不良債権をさらに抱え込むという非常に矛盾したことを同時に進めているわけです。このやり方は、結局公団が不良債権を抱え込み、そして国民に新たな負担を強いる、そういうことになることは非常に明白だ、私はこのことを指摘しておきたいと思います。  この点で、これまでも振り返ってみますと、八一年の住都公団設立の際の国会審議でも、その前身の日本住宅公団が大企業の遊休地を取得して一千ヘクタールを超える広大な未利用地を抱えていることを指摘されました。そのツケが結局のところ高家賃など居住者や国民の負担となる、そういうこともその当時から指摘されてきた。今回の法案というのは、これをもっと大きな規模で行おうとするもの、私はそういうふうに思うんです。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、こういうやり方が果たして公正なのかどうか、その点で大臣はどうお考えになるのか、お伺いしておきます。
  135. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今回、新しい公団に移行するわけでございますが、これは時代の変遷とともに法律改正というものが出てくるわけでございまして、その中にありまして、いわゆる分譲住宅、買う方から言いますれば持ち家になるわけでございますが、そのスペースはヨーロッパに比べても遜色のないところに今来ておる。いわゆる賃貸部分が外国諸国と比べて大変ミゼラブルな状態にあるというようなことでございまして、その分野は今後もこの新公団で努力をしていくというわけでございますから、本当に我々、国民の最終的に望みます住宅という分野は、そういうようなことで鋭意進めていくという状態にあります。  そしてまた、片や土地を買ってそれを整地し整序して、そしてまたそれを売却いたしましてその地域の開発に役立ててもらうということがいわゆる土地有効利用事業という分野であるわけでございまして、それはその地域のコミュニティーの再生というものにも連結をしておるわけでございます。そのことがまた、確かにバブルがはじけて不良債権、そして歯が抜けたような状態の地区がたくさんある。それをそのままほうっておったんではどうなるかというと、これはやはり公的な機関で買い上げて整地をする以外には方法がない。それがまた経済の立て直しでも私はあると思うわけでございまして、そういう前向きのいわゆる善意の目でひとつ見ていただくと、先生も今のようなひどいことはない、もっとやわらかく見えるんじゃないかなと私は思っておるわけでございます。  とにもかくにも、先ほど失礼な発言になりましたけれども、それではどうしたらいいんだ、もうほうっておけというのかということになってしまうわけですから、それはやっぱりこの新公団でもって努力をしていく。だから、私は過般、総裁を初め役員の皆様方に、この新公団になりましたときには、その法律の持っておりますものはすばらしい時代に合った内容にしたんだから、今度は、いわゆる公団も経営者でございますから、その役員の経営者の意識改革というものをきちっとやってもらわなければ、緒方先生の言われるようなことがまた出てくるよというふうに私は注意を喚起しておるわけでございまして、この役員のメンバーもまたそういうふうに意識改革をしておりましょう。おりましょうから、今の先生のいろいろな問題点が一刻も早く払拭されるように努力をしていきたいと思います。
  136. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、私は澄んだ目でリアルに見て質問しているんだということを申し上げておきたいと思います。  最後に、私は家賃問題で、市場家賃導入ということは一体どういうことになるのかということをお聞きしたいんですけれども、先ほど午前中の質問で東京については日野市の例が挙げられました。私は、三多摩で挙げるならば三鷹とかあるいは東京の二十三区、そういうところでどういうことなのかということを挙げてほしかったと思うんですけれども、その点でごくかいつまんで簡潔に、空き家家賃、継続家賃でそれぞれ三鷹市、そして中央、港、その例がどういうふうになるのかということについて、今後の試算例を挙げていただきたいと思います。
  137. 荒田建

    参考人(荒田建君) 先ほども答弁申し上げましたが、具体の試算内容でございますが、一定の算定式を仮定いたしまして、かつあくまで四十年代のモデル団地、二DK、四十五平米という換算値でもってやってみました。  空き家家賃でございますが、先生がおっしゃった三鷹の例でございますが、空き家家賃は、現在五万五千九百円の住宅の場合ですけれども、改定後は六万一千七百円、引き上げ額が五千八百円。それから東京都心部、中央区、港区の九万一千百円の住宅の場合ですと、改定額が九万七千七百円、引き上げ額六千六百円。これが空き家でございます。  継続家賃の方でございますが、まず三鷹の例の試算で申し上げますと、五万二千円の住宅の場合で改定後五万五千二百円、引き上げ額三千二百円。それから都心部の中央、港区のモデルケースでいきますと、七万八千六百円の家賃が改定後八万五千円、引き上げ額が六千四百円。こういう試算値を出しております。
  138. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われたケースも、やはり私は随分控え目だと思います、率直に言って。私は公団の中でのいろいろ内部の資料で試算しているものをちょっと手にしておりますので、この例で言うと随分大幅なんです。  例えば中央区のA団地、一DKで空き家の場合ですけれども、六万二千二百円。その家賃市場家賃になると九万四千六百円になる。三万一千八百円上がる。あるいは足立区の場合、三万五千二百円のものが市場家賃になると五万二千円になる、一万六千八百円上がる、そういう例があるわけです。  私は、そういうことで考えていったときに、やっぱり皆さんがきちっと試算しているそういうものは国会にすべて出していただかないと家賃の議論にもならない、そう思うんですね。ですから、私はその点で、この家賃の問題は非常に重要です。  時間が中途半端になりましたけれども、私は質問を終わるに当たって、東京で言えば二十三区の主要な団地が一体幾らになっていくのか。空き家と継続、それをきちっと出していただきたい。そしてまた、全体としてどういう傾向か。そのことについても、まだ次回の委員会まで時間はありますので、それをきちっと出していただく、このことを要求しておきたいと思いますけれども、その点を確認して質問を終わります。
  139. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今おっしゃった話ですけれども一つは、モデル団地ですから何か高いものはもっとあるんじゃないかというような御指摘でございますけれども、ルールを考える場合には、公団全体の経営を考えた上でのルール作成だということでございまして、どうしても全体の平均値で議論した方が客観的かつ公正なものになるということで作業をしているわけでございます。  都心部で一部確かに便益が高い、山手線の沿線ですとかそういうようなものももちろんあるわけでございますけれども、そういった考え方で試算をしておりまして、何か低いものだけを集めるというような考えは毛頭ございません。
  140. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間です。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 一言だけ。  ですから、あなたの言われることはわかりますけれども、しかしそういう議論は、具体的に出さなければわからないんです、家賃がどうなるのかは。ですから、こういうものをあなた方の中で検討しているわけだから、それを出してもらえれば議論になる、そのことをお願いします。  以上で質問を終わります。
  142. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 まず第一に、いろいろな議論がされてきておりまして、公団が四十四年間果たしてきた役割は認めるわけでございますけれども、戸数が世帯数を超えたという状況の中で、住宅部門から大幅に撤退をしていく方針が出された今回の法案というふうに読んでいるわけですけれども我が国、特に大都市圏における住宅事情をどう認識されておるのか、大臣にお聞きします。
  143. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) やはり地方におきましては、持ち家はそれなりのものになってきておると思うのでございますが、いわゆる大都市圏における住宅事情というのは、これは諸外国に比べましても、その大きさから、その質から、それから家賃から、大変厳しい状態にあると思います。  ですから、今後は都市を中心として賃貸住宅を中堅者の方々に極力モデレートな家賃でもって賃貸することができる、そういうことに力を入れていきたいということ、それと都市整備をやっていきたいということが今回の新しい公団に移行いたします大きなポイントではないかと思っております。
  144. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国際人権規約には、「自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。」と住居の権利についてうたっております。そしてさらに、我が国の憲法第二十五条には、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」ということで、すべての生活をする権利の中に住居も当然含まれるということで、基本的な人権として認めています。  その基本的な人権で認められた住まいというものをどういうふうにとらえておられるか、お答えください。
  145. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この住まいというものを考えます前に、日本ではいわゆる土地、不動産というものに対しましての感覚が非常に強いものがございまして、いわゆる資産、財産としての感覚が非常にあります。そういうようなこともございますし、あるいは日本は領土が非常に狭い、また都市が一極集中になっておる、そういうようなことでバブルがはじける前までは地価が大変高騰をしてきた、ずっと長期にわたって値上がりをしてきた。今は土地も大分下がってはまいりました。  そういうような中で、本当に私はそういうケースを幾度も見て思うのでございますが、とにかく私たち男性が一生懸命勉強して大学を卒業し、会社に就職をする。しかし、その給与でもって自分の家を持つなんということはもう一生の仕事でございまして、何十年か前にまずは土地を買う、それからまた十何年か過ぎてその上に家屋を新築するというようなことで、その方も振り返ってみれば、自分の人生は何であったかといえば、その一軒の家を残したということが人生であった。そういうような人生というのは本当にミゼラブルな人生だと私は思うわけでございます。  そうなりますと、私は、モデレートな家賃賃貸住宅が持てるものであるならば、もっと心豊かな人生を歩むことができると思うわけでございます。もちろん、衣食住というものは人間に保障された最低の権利だろうと思うわけでございますが、そういう中にあってやっぱり住宅というのはそれなりのまた経費がかかる。また、私権として一つのスペースを確保するというようなことでございますから、どうしてももちろん経費がかかってくるわけでございます。  ですから、豊かな国になるならば、住宅に対してやはり国が、税制にせよ、または住宅金融公庫の金利を極力安くするとか、そういうようなことにしましても、やはり国民の住居権というものを実現するためにはあらゆる努力をすべきではないかと思っておるわけでございまして、衣食住の衣食は一応のものがなし得ておると思いますから、あとは国がこの住宅問題に対してはそういう公なあらゆる角度からの支援をして、日本人として生まれて本当によかったというそういう社会をつくっていきたいと思っております。
  146. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣に大変前向きな御答弁をいただいておりますけれども、国連の人間居住会議が住まいの定義というので定義をしております。  風雪、災害から生活や命を守るものでなければならない。安全な飲料水や衛生施設があること。大気汚染や水質汚濁、もちろんダイオキシンなどからも守ることができる環境が必要ということです。強制立ち退きやプライバシーの侵害がないこと。学校や医療施設等に容易に到達できること。適正な通勤圏に立地していること。家族生活のための最小限の広さを確保していること。この部分で言いますと、政府が決めた最低居住水準以下の民間賃貸住宅は二〇%、いわゆる三百万世帯もまだ存在をしています。そういう状況からしますと、この住まいの定義を満たされていない層がまだ多く存在をしているということになると思います。  そしてさらに、負担し得る住居費であること。いわゆる賃貸の場合、あるいは公団分譲などのローンの返済がその生活を脅かすようなことになってはならない。こういう観点から、政府も恐らく公営住宅公団住宅、あるいは住宅金融公庫、これらの三つの柱で住宅政策を進めてきたと思いますけれども、なお今現在住居に困っておられる人たち、公団に入られない人はもちろん、民間のアパートで暮らさざるを得ない人たちが三百万世帯もあるというこの現実の中で、私は住宅政策は、今こそ本当に公的部分で保障する、生活を保障するというその責任を政治がとらないで一体どこがとってくれるのかという状況にあると思います。  一九九六年六月、トルコのイスタンブールで第二回の国連人間居住会議が開催をされました。ハビタットⅡという会議だそうですけれども、世界百七十一カ国が参加をし、大臣が言われました居住の権利は基本的人権だと、そういう位置づけをされました。そして、我が国もそれを承認しているわけですけれども、今回の法改正では、その住宅政策の公的関与をできるだけ縮小していこうという方向が映し出されているように思えてなりません。これは、前段の野党の皆さん方の質疑を聞いておりましてもそうですし、私自身法案の中身を見てもそのことがしっかりと読み取れます。  それは、まず第一条「目的」の部分、ここに最も大切であります福祉増進という言葉が欠如しています。今まであった目的条文を削除する、福祉の切り捨て以外の何物でもないことを私は申し上げておきたいと思います。ぜひここは福祉増進を復活することが必要だと思います。  大臣、自分の御答弁に責任を持ってお答えをいただきたい。
  147. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生のようにやわらかく言われますと、すべて前向きで答弁する気になるわけでございます。  まず二つ。私は正直に申し上げますが、いろいろな先生方から福祉という言葉が外れたということはおかしいということでございますが、もう今や改めて福祉なんということを言わなくても、福祉のことをするというのは当たり前になっておるんです、当たり前に。ですから、「国民生活安定向上」という表現の中にもう当然入っておると私は思います。それが一つ。  それと、もう一つは、福祉というだけで言いますと、今後はやはり住宅もいろいろ広さの問題であるとか、火災とかそういう防災性であるとか、あるいは通勤時間、仕事場と家が近い問題であるとか、今度は潤いの感覚であるとか、そういうようなこともあるものですからこの「国民生活安定向上」という表現になったわけでございます。  ただ、これもこういうようなことで法案で出ておりますから、これは法制局の問題になるんだろうと思いますけれども、今さら新たにまたこの文字を入れるということは今の時点では私は難しいんだろうと思います。それができるのでしたら、法制局でそういうことができるというのでありましたら、またやわらかく教えていただいたら私も検討いたしますので、これを何が何でもそういう、本当に私はそういう知識はありませんが、法制局で今からそういうことができるというならば、それを私はやることは何らやぶさかでないと思います。しかし、もう法案として提出されておって今からやるといったら、附帯決議にそういうことを入れるぐらいが関の山じゃないかなと私は思っておるのでございますが。
  148. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣、今この法案が適正かどうかの審議を国会のこの神聖な場所でやっているわけですから、これが不適正だと野党各党が全部同じ指摘をしてきているわけですから、不適切だということであれば直すという大臣のお言葉ですから、ここは住宅局長が指導して直せるのかどうかわかりませんけれども、与党に命じて修正案を出させることも政府としては可能でございますし、修正案を出すことによってそこに福祉を入れるということは可能でございます。  大臣がやれと言っているわけですから、自民党さん、与党の皆さん、ぜひやっていただきたいと思います。
  149. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これは本当にそういうことで、そういうことでしたらぜひ、私がどうとかいうことじゃなくして、理事会で決めていただかないと、そういうことはちょっとおかしいんじゃないですか、今まで例がないと思いますので。  それは、どうぞ委員長にお願いして、理事会で御討議をお願いいたしたいと思います。
  150. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣、それは違います。内閣で出してきた法律です。建設大臣が主査として取りまとめた法律です。その法律の不備について私たちは指摘をし、大臣はそれをお認めになりました。  ですから、それは入れなければならないという義務がございます。ぜひここは修正案を出していただきまして、全会一致とはいかないまでも、できるだけ多くの賛同者を得ながらよりよいものとして通していく。参議院の責務であります。いわゆる衆議院のコピーと言われてきた参議院でございます。参議院の良識において、大臣も認めたところはきちんと修正をしていくということで何とぞ御協力いただきたいというふうに思うところでございます。  私自身、大臣は先ほども住宅は個人の責任論あるいは私有財産主義でやられてきたという今までの経過がありますけれども、その今までの政策によっていわゆる富裕者層と一般の勤労者層の中に住宅問題に対しまして大きな二段階の層ができてきていることもまた事実でございます。こういう時代だからこそ最も大事なんです、この法案が。この法案方向によって、本当に政治がもう少し住宅政策福祉観点を取り入れてさらに充実をさせていける方向が打ち出せるのか、そうではなく、都市基盤整備という土地の流動化や景気浮揚対策や、あるいは銀行やゼネコンが持っている不良債権を公団によって処理させていくそちらに重点を置かせていくのかということが今後求められている極めて重要な法律なんです。私は、そのことをしっかりと認識した中でここは対応していただきたいと思います。  大臣からよい御答弁をいただきましたので、次に参りたいと思います。
  151. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 大渕先生、今専門家から聞きますと、やっぱり政府が提出した法律の文言を今さらどうこうするということはできないということでございます。私は、個人的には先生のお気持ちは十分理解できますが、ですからこの法律をどうこうということはできませんので、ひとつお許しをお願いいたします。
  152. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、委員長にお願いを申し上げます。  当委員会として、大臣の御答弁も踏まえ、そして各野党の質疑者の皆さんの内容もしっかりと精査をした上で、この「目的」のところに福祉の向上なりあるいは福祉増進なり、福祉という言葉を入れていただくことを委員会提案として発議できますように、後で理事会なりで検討していただきたいことをお願い申し上げます。
  153. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 後刻、理事会において検討をさせていただきます。
  154. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほども申し上げましたけれども、戦後一貫して何とか豊かな住居に住みたいという国民の努力の中で住宅も充足率は大変多くなってきていますけれども、いまだにまだ民間のアパートに住んでいらっしゃる人たち、公営住宅に住んでいらっしゃる人たち、また公団住宅に住んでいらっしゃる人たち、持ち家に住んでいらっしゃる人たちの間には住居についての格差、差別というものが生じてきているというふうに思います。  特に、今回の法案の審議に当たりまして、私は公営住宅公団住宅との関係がこれからどうなっていくのかなということをちょっと心配いたしました。恐らくこの法律をつくるときに、公団住宅公営住宅の方に移譲していく、地方自治体の方に移管をしていくというような議論があったかどうかはわかりませんけれども、そういう方向も考えられていたのではないかというふうに思われますけれども、そこらの議論はどんなになっていたか、お答えください。
  155. 那珂正

    政府委員那珂正君) 公共住宅のうち公営住宅につきましては、御案内のとおり住宅に困窮する低所得者層のために低廉な家賃供給する、しかも地方行政の観点から地方公共団体が地域の住宅事情に応じて供給管理していくということになっているわけでございます。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕  これに対して公団住宅は、都心居住を初めとする大都市地域における居住環境の向上というような観点供給をしていくわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、主として中堅所得層をその対象需要とするものでございまして、あわせて大都市における民間住宅市場の健全な誘導を図ろうと、そういうことにも資するというふうに期待しております。したがいまして、公営住宅公団住宅というのは、やはりそれぞれの目的を踏まえたそれぞれの適切な管理の仕方があるというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、そうはいいましても、むしろそれぞれの目的役割を分担していくためにも、同じ地域に公営住宅公団住宅が隣接あるいは近接して存在するような場合には、とりわけ公営住宅公団住宅それぞれの管理主体間の密接な連携が必要であることは申し上げるまでもないわけでございまして、新公団法におきましても、賃貸住宅の建てかえに関し公営住宅との併設を促進するとか、あるいは一般的な管理についても常に公営住宅事業主体と連携を密にするとか、そういうようなことに関する規定整備したところでございます。
  156. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 二十八条の二項第一号、二号、三号、それぞれに、「賃貸住宅又はこれらの施設の管理及び譲渡を行うこと。」ということで、今回初めてこの法案に「譲渡」という言葉が上がっています。これは何を意味するのですか。
  157. 那珂正

    政府委員那珂正君) これは、平成八年に改正されました公営住宅法によりまして、公営住宅事業主体として、従来はみずから建設して供給するという形しかなかった公営住宅を、民間のでき上がったものを、一定の条件はございますけれども丸ごと買い取って、それでみずから今度は管理するという方式ができるようになりました。  阪神・淡路大震災の復興の際にも、民間ではなくてむしろ公団が建設した賃貸住宅公営住宅事業主体である県なり市が買い取って、これを公営住宅として供給するというやり方をした経緯がございます。そういうようなことも想定して本規定を盛り込んだところでございます。
  158. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういう答え方をしていただけるとさっきも非常にわかりやすいでしょう。公団住宅から公営住宅に譲渡もあるのかなというふうに思っているわけで、そういう議論がなかったのかと。  しかし、法案の中には明快に「譲渡」という言葉が出ていて、地方自治体に移管していく。それは先ほど同僚議員の質問の中にも、公団賃貸住宅からの後退というところで明快にこの法文には出ているんです。住宅政策から、いわゆる福祉面からの撤退ということが出ているんです。だから、こういう譲渡という言葉が今回出てきている、そういうことでしょう。そのことがあるからこそ私は福祉を入れて、そういうことにならない、なってもいいんですけれども、ちゃんと地方自治体に受け皿があり、住んでいる人たちが不安のない、しかも家賃も安く抑えられる方向でいくならばいいわけです、この法改正で。そういうことを言っているんです。  もう時間がないのです、三時までだから。短く。
  159. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先ほど申し上げました買い取り公営住宅というのは、公営住宅事業主体としてみずから土地を取得して建設して供給するということを、技術的、財政的あるいは時間的余裕がないときに公団にお手伝いしてもらって、それで新規の住宅公営住宅として供給していくために、その前段部分公団に手伝ってもらう、こういう制度でございます。  公団の側から申し上げますと、公営住宅をみずからやるわけではありませんけれども、まさに地方公共団体の地域の住宅政策公団側からは支援する、協力するという、そういう事業制度を明確に盛り込ませていただいた、こういうことでございます。
  160. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 公団の方にお伺いをいたします。  公団に対する批判はさまざまございました。関連子会社の問題、天下り批判、あるいは売れ残り、空き家対策、経営感覚の欠如、民間を圧迫しているとか、あるいは不明瞭な会計であるとか情報公開が不足している、子会社は黒字なのに公団はなぜ赤字なのか、赤字の埋め合わせは国庫から出ている、そんなような批判がさまざまありました。  これは相反する批判であるかもしれませんけれども、これらの批判に対してどう改善されていくのか、お答えください。
  161. 今泉浩紀

    参考人(今泉浩紀君) ただいま、私ども公団改革につきまして法案審議をお願いしているわけでございますが、私どもこの法案の審議に当たる前に、もう随分長い間、公団をどうしたら改革できるかということで議論してまいりました。  先生、いろいろな指摘がございましたが、例えば先ほどおっしゃられました関連法人はうんともうけていて公団は赤字だというようなことがございました。これにつきましては、関連法人につきまして、平成七年の閣議決定に基づきまして、例えば非常に利益が大きいと言われておりました、先生は多分JSのことをおっしゃっているんじゃないかと思いますが、それにつきましては契約内容の大幅な見直しを行いまして、いわゆる利益を大幅に圧縮いたしました。また、関係会社との契約の適正化につきましても鋭意進めておるところでございますし、また関連法人の統合と申しますか縮小と申しますか、そういったことにつきましても、使命を達しました関連法人につきましては、株式を売却するとかあるいは統合する等によりまして数の縮小を図っているところでございます。  また、公団の経営全般から申しますと、すべての事業にわたっていわゆる経営感覚をより鋭敏にした形での経営をいたすような形で議論を進めております。その一つの例えでございますが、公団内部におきまして、公団はいろんなプロジェクトを抱えておるわけでございますが、そのプロジェクトを総合的にマネジメントする内部室を設けまして、公団の技術力、いわば経営力、その総力を挙げてプロジェクト管理を図り、公団の経営の健全化をしてまいるということで作業を進めているところでございます。
  162. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 健全な経営をやっていくのを監視したりあるいは見守るような組織はございますか。
  163. 牧野徹

    参考人牧野徹君) 先ほど先生、経営感覚が欠如していたのではないかというような御指摘がありました。結果として、バブル崩壊後の経済情勢を反映して分譲売れ残りとか賃貸の空き家が一定の数に達したのは事実でございますが、これは役職員が大変努力してくれましたので、一言だけ申し上げますと、五十二、三年ごろのピークは、あれはバブルで全部解消しました。その後また、今度のバブル崩壊後で出たそのピーク時に比べて、分譲賃貸、それぞれ最近一二、三%程度に激減しております。  ということも申し上げた上で、なおかつ今後の体制につきましては、まず内部の職員あるいは役員も含めてどういう態度で取り組むかというのは、今泉理事が今申し上げましたが、先生最後に、そういうものを外部からというようなお話でございます。今度の法律で、今までございました管理委員会というものを運営委員会というふうに改正していただいておりますが、私どもはぜひこの場で、中長期的な観点からも適切な御指導をいただきたいと強く希望いたしております。
  164. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その運営委員会なんですけれども、ここがまた摩訶不思議な法律になっております、住宅局長。  第八条、「運営委員会を置く。」とありますね。第九条、「公団の予算、事業計画及び資金計画並びに決算は、委員会の議決を経なければならない。」。「委員会は、前項に規定するもののほか、総裁の諮問に応じ、公団業務の運営に関する重要事項を調査審議する。」。第三項は、「委員会は、公団業務の運営につき、総裁に意見を述べることができる。」、こうなっています。そして、その次が変なんですね、第十条。「委員会は、委員七人及び公団総裁をもって組織する。」、こうなっています。ここはどうしても矛盾している。第九条で総裁の諮問や総裁に意見を述べることができる委員会総裁みずからが参加メンバーとなって組織されると、この法律は私は全く前後が矛盾をしている法律だと思いますけれども、ここはいかがですか。
  165. 那珂正

    政府委員那珂正君) この運営委員会は、先生から今御指摘いただきましたように、予算、決算の議決等、公団業務運営に関する最高意思決定機関として位置づけられているものでございます。その点で、国に設けられておりますようないわゆる審議会、意見を述べることができる審議会とは若干機能は違うと思います。  そういう意味で、公団の最高意思決定機関の意思決定と実際の事務執行とは実際問題相互に密接に連携をとってもらわないと困るわけでございますので、従来の管理委員会と同様、執行機関の長たる総裁委員とさせていただいたわけでございます。
  166. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国会の委員会の中に予算委員会、決算委員会があります。もちろん、予算や決算、内閣がつくったものを審議するものです。そこに大蔵大臣が参加をしますか、総理大臣が参加をしますか。  では、二十九条の基本方針をつくるところのこの役割というのはどういうことになっていくんですか。その位置づけからしても今の答弁は全くおかしいです。  そして、その後また条文を見ていただきたいと思います。十三条一項、「いずれかに該当する者は、委員となることができない。」、その中の第四号、「公団の役員又は職員」というふうになっています。総裁公団の役員、職員と規定をされていますね、十七条で。公団の役員、職員は入ってはならないという組織に入る。それは委員じゃないということはまやかしですよ。いいですか、委員会ですから、委員会の構成、七人の委員で構成をする運営委員会になぜ総裁が入らなければならないのか。  そして、建設省の同じ種類の、運営委員会に相当する公団事業団のこういう組織に総裁は入っているかどうか、そこも含めて。管理委員会じゃないですよ。
  167. 那珂正

    政府委員那珂正君) まず、後ろの方から。運営委員会ではなくて管理委員会を設けている法人は、現住都公団のほか、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四公団、帝都高速度交通営団等ございまして、これについても総裁がその委員会の構成員となっております。  最初の御質問ですけれども、まやかしだと言われるかもしれませんが、法文上の書き方は、運営委員総裁がなるという意味ではなくて、運営委員会を構成する一人として位置づけているものでございます。
  168. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほど、理事は、理事長さんですか理事さんですか、済みません、お名前がわかりませんで、公団の適正な運営を見張るために運営委員会が存在をしていると答弁されました。  いいですか、公団の適正な運営や経営がなされるのをチェックするところにその公団が行う事業や予算や決算のすべてをつかさどっている総裁が入ることでどういうことになるんですか、あなた。同じことじゃないですか、今までと。今までの住都公団管理委員会の中に総裁を含めてきた。あなたがおっしゃるように、道路公団や首都公団管理委員会があり、総裁が入っていることは承知しています。  しかし、日本下水道事業団の中には評議員会という今回の運営委員会と同じような評議員会が持たれていますけれども、そこには総裁は入っていません。  そして、今回法改正の中で、九条の二項、三項が新たに追加されて、前段の道路公団やこの住都公団管理委員会とは全く違ってきているんでしょう、組織が。それでなおかつ総裁が入っているという、ここは矛盾しています。  大臣、この法律が歩き出したとき、この矛盾を必ずつかれます、いつもいつも。九条、十条が矛盾をしているんです。これが今度これから先のこうした法律が立てられていくときの見本になっていくとしたら、この都市基盤整備公団法をつくったのは関谷大臣のときであり、私たち全委員が参加をして審議してここが見抜けなかった、委員会が承認をした、こういうことになるわけでございまして、私たちは断じてこれは許すわけにはまいりません。  先ほど福祉を入れるということを約束していただきましたから、ここも総裁を外す、これは総裁を外して、基本方針の中には当然建設大臣総裁も入りながら公団全体の運営はできる、いわゆる内閣はつくれるわけです。そこをしっかりと見張る役割としての運営委員会はより健全な独立したものでなければならない。それでないと、今までの批判というのは私はまたぞろ出てくるというふうに思いますので、ここはしっかりと法改正をしないと私たちは後世の政治家たちに笑われると思いますが、いかがでしょうか。
  169. 那珂正

    政府委員那珂正君) お言葉を返すようでございますが、例えば内閣あるいは予算委員会のお話をいただきましたけれども公団を企業として考えてみますと、企業の取締役会には当然その企業の長たる社長、会長、代表取締権を持っている者も入っているわけですが、それ以外のいわゆる社外重役、社外役員という人も入っておりまして、やはりいろいろな形がそこはあるんだろうと思うんです。  御批判の、今までの形が悪かったゆえに先ほど例示されましたようないろいろな公団に対する御批判が多かったということでは必ずしもなくて、管理委員会の、現管理委員会のことでございますが、現管理委員会のこういう構成の仕方に特段問題があるとはむしろ思いません。どちらかというと、今度新法案で改めましたように、常日ごろ公団の……
  170. 太田豊秋

    ○理事(太田豊秋君) 簡潔に。
  171. 那珂正

    政府委員那珂正君) 運営について諮問に応じて意見を述べられるような……
  172. 太田豊秋

    ○理事(太田豊秋君) 簡潔に。
  173. 那珂正

    政府委員那珂正君) そういう機能を付した形で改めたわけですが、そういう形が新しい時代の最高意思決定機関としてふさわしい、こう思います。
  174. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 おかしいじゃないですか。運営委員会が出席を求めればいつでも総裁は出席をしなければならないんでしょう。総裁は出席の求めに応じていつでも運営委員会に参加することができるんでしょう、この組織。そこになぜ構成メンバーとして入らなければならないんですか。そこが問題ですよ。大臣、おかしいと思いませんか。  いいですか。十八条に「総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。」となっているんです。そして、十七条では「公団に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十人以内及び監事二人以内を置く。」、こうなっているんです。そして、委員会の構成メンバーには役員、職員は入らないとなっているんです。そして、さらに九条では新たに二項、三項がつけられて、「総裁の諮問に応じ、」あるいは「総裁に意見を述べる」というこの二項が入ってきているわけでしょう。それで、なおかつ前回管理委員会と同じ構成で総裁をメンバーの組織に入れるという、これはもう摩訶不思議です。こんな矛盾した法律はありません。そこをぜひこれは直さなければなりません。ぜひお願いを申し上げます、関谷大臣の名誉のためにも。
  175. 太田豊秋

    ○理事(太田豊秋君) 簡潔に。
  176. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先ほど申し上げましたような趣旨でこういう形の方が実効性のある最高意思決定機関の運営ができる、こういうふうに思ったわけでございます。  また、先ほど例示いたしませんでしたけれども、他の法人においても同様の運営委員会規定がございますので、こういう構成が矛盾しているというように御指摘いただきましたけれども、私どもとしては特段矛盾しているというふうには思っておりません。
  177. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ほかに法律はないでしょう、こういう立てているものは。さっきの管理委員会はだめですよ、違うんだから。もう九条で二項、三項がつけ加えられていて、全く違うものになっているんだから。  そうしたら、ないじゃありませんか、建設省の中にもそういう法律は。
  178. 那珂正

    政府委員那珂正君) 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律に基づく新エネルギー・産業技術総合開発機構の運営委員会に同様の規定がございます。
  179. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 答弁になりません。建設省の中にあるかと聞いています。  さまざまな公団があり、日本下水道事業団法の中にも評議員会というのがございます、確かに。これと同じ立て方をしています。しかし、総裁は入っていません。そして、この運営委員会は、さっき公団側が言ったように、公団の運営や事業についてチェックをする機関だとおっしゃっているから言うんです。チェックをする機関に、なぜ公団を統括する総裁が入って指揮をしなければならないんですか。必要に応じて運営委員会には出席はできます、それは。毎回出席しても構いません。しかし、組織のメンバーとして入れることは、私は法案としてはこれはなっていないと思います。
  180. 那珂正

    政府委員那珂正君) 申しわけありません、もう一言言わせていただきますが、先生がおっしゃるように、建設省の中の他の特殊法人においても管理委員会として同様の措置が設けられているわけです。そのことは、今までの住都公団もそうでありましたけれども、先ほど申し上げましたように、よりこの管理委員会の機能を高めるためにこういう形に直させていただいているわけでございまして、実効上新しい形を模索しているというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
  181. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 全然答弁になっていません。  私は矛盾点をついていますし、その組織として基本計画を立てる部分それから事業計画を立てる部分と、チェック機関としての運営委員会あり方の問題を言っているんです。今までさまざまな問題が起こって、新たな公団として出発をする、その監視役である運営委員会総裁みずからが組織委員として入ることのマイナス点の方がずっと大きいと私は思います。それで、この運営委員会の七人のメンバーも建設大臣が任命をすることになっていますから、それなりのものはきちんとできるようになっていると思います。  ですから、ここは先ほどの福祉を挿入する部分と一緒に、ここの総裁部分は削除をするということを求めて、質問を終わります。
  182. 奥村展三

    ○奥村展三君 今回のこの公団法改正は、特殊法人整理合理化について改正をするわけです。大変意義があるものだと冒頭に申し上げておきたいと思います。  各同僚の先生方からいろんな質問がもう出ております。私も何点か出させていただきましたが、重点的なところだけお聞かせをいただいて、簡単に終えたいと思っております。  この公団、この間の参考人招致のときにも申し上げたわけでございますが、日本住宅公団として発足されまして、昭和三十年七月二十五日、日本住宅公団がスタートしたわけであります。実は、私ごとで大変恐縮でございますが、私の地元の滋賀県の甲賀郡甲西町というところは三村合併をいたしました。当時はわずか人口一万足らずの町であったわけでございますが、昭和三十七年、日本住宅公団に働きかけ、また御理解をいただいて、内陸工業団地として昭和三十九年から五カ年にわたって造成をしていただいて、そして四十年前半からいよいよ高度成長を続けていく日本の工業化の基本をつくっていただいた。そういう流れを考えますと、この日本住宅公団という機関そのものが、非常に有意義なものを先人はおつくりになって御努力いただいたと、私はある意味では感謝を申し上げたい気持ちでいっぱいであります。  当時は約九十万坪と言われました。現在はもう百万坪近くになっておるんですが、当時は六十六社、工場がここに張りついてくれまして、約七千人の雇用がございました。そして、その周辺にお住みになる住宅と工業団地とをこれは併用してつくられました日本で初めての工業団地でありまして、当時四千人の方々住宅団地にお住みになり、そして七千人の皆さん方が就労されておったというようなことであります。  現在もよく似た、景気が低迷しておりますから、こういうような状況の中にあるんだと思っております。しかし、こういう四十年間のノウハウというものをしっかりと、今審議をさせていただいておりますこれからの新しい特殊法人改革によって都市基盤整備公団、まさしく基盤をなしていく、このノウハウをきちっともう一度確立なされて、そしてこれからの二十一世紀のために日本の国土の均衡ある発展、今は都市住宅の問題を主に皆さん議論されておりますが、やはり地方のこともしっかりと考えながらひとつ整備を進めていただく、そういう公団になっていただきたいという思いを持っている者でございます。  そういうことを考えますと、この間も申し上げて大変僣越ではありますが、このときの町長は私のおやじでございまして、私は本当におやじに、いつも帰って仏さんに手を合わすんですけれども感謝をしています。それは、やはりそれだけの協力と、九十万坪ですから相当な曲折があったんですけれども、やっぱり住民の方々が何とかしなければならないというその思いで一生懸命取り組んでいただいた。そういう流れを思ったときに、私は一町民として考えて、あるいは県民として考えましても、大変すごかったことだな、三十年代後半にこれだけのことができたんだなというような思いで、今人口は四万二千人に膨れ上がっているところであります。  ですから、私ごとで申しわけなかったんですが、後世になってそういうことが言い伝えられ、そこに喜びを感じるような事業をどんどんとこの都市基盤整備公団が今後も考えていただきたいというように私は思います。  そういう流れの中で、今いろいろと公団住宅の問題でありますが、分譲住宅の方からは撤退をするということであります。これは、皆さんのきょうまでのお力もありますが、やっぱり民間にゆだねていく、そういうようなことは私は大事だと思うんです。そして、景気が今悪いわけでありますけれども、これだけ関谷大臣を中心として建設省が住宅政策をどんどんやっている。  私は、この間も地元へ帰って言ったんですが、今は超低金利じゃないか。二・二%でスタートしたけれども、長期金利が一%上がったけれども、まだ二・四%の超低金利でやっている。そこへまた住宅減税をやって、土地も入れていただいて、今まで六年が今度は十五年になって、約五百九十万ぐらいですか、六百万近い減税までしてもらえる。そしてまた買いかえ特例までつけて、四年間のそんなことまでやって、これで民間の企業の皆さん何しているんですか。もっとしっかりとその制度に乗せて持ち家をどんどん住宅促進のために、国がどんどん湯水のごとく公的資金を出していろんな批判を受けましたけれども、やはりこれは自助努力していただかなかったら、国が悪い、政府が悪い、政治が悪いとばかり言われておったら困るというようなことで、私は先週金曜日に帰って反論してきました。  それで、どんどんとやっていただきたいと言っておりましたら、そこの木材協会の親分が、おまえ偉そうなことを言うな、滋賀県はもっと低率でやっているんだ、在来工法の木材ローンでやったら一・八%の金利で、そこまで我々努力しているんだから、おまえそのこともしっかり言うてこいというようなことで、逆にハッパをかけられたんです。  そういうような、社会の公平性といいますか、都市ばかりに目を向けていただくんじゃなくて、やっぱり地方にも、だから大都市の周辺のいろんなことも考えながら、今地方分権がやかましく言われていますが、低所得者の皆さんや高齢者の皆さんにはもう動けというのは大変なことです。ですから、それはそれとしてきちっと保護してあげる。そして、そこの理解をしていただいて、賃貸住宅としての確立をしていくが、今後のことを考えると、その周辺の地域を私は十二分にこの整備公団等がいろんな都市計画を持ちながら発展につないでいただきたいというような思いであります。  私は予算委員会でも申し上げたんですが、日本の危機管理、あるいはまたいろんなことを考えましても、やっぱり説明能力といいますか、説明力の不足が非常に国民の皆さんにいら立ちがあり、そして政治不信にもつながっておる。ですから、こういう問題の改革公団はやるにしても、総裁もそうであろうと思いますが、関谷大臣が堂々と民間テレビでも使って話し、マスコミに、こういうことをやりますよ、こういうふうなことで不安はありませんよということを国民なり今入っておられる方々にはっきり言っていただきたい。  ただ、一方通行的に物がどんどんひとり歩きしてしまうんです。だから、入っておられる人をいじめているような雰囲気にとられてしまう。しかし、社会の公平性から考えて、地方のことも考えたら、いろんな住宅政策をやっておられるんですから、そういうような問題を私はやはり大臣みずから、あるいは公団総裁みずからが時あるごとにどんどんと物を言っていただく、そういうお願いをまずしておきたいと思います。  そういうことを思いますときに、今後の賃貸住宅の建てかえとかいろんな問題が出てくると思うんですけれども、そういうようなことについて、具体的にどういうふうに公団は取り組んでいこうとして、お住まいになっている皆さん方の不安を払拭していくかということについて、総裁からひとつお聞きをしたいと思います。
  183. 荒田建

    参考人(荒田建君) 今、公団が今後変わっていく中で、具体的に賃貸住宅の建てかえの事業がどう変わっていくのかという御趣旨の質問かと思いますが、これまで当公団といたしましては昭和三十年代から七十三万戸つくってまいりましたが、三十年代につくられたものが端的に言って非常に陳腐化が激しくて、物理的にはともかくとして、経済的な陳腐化あるいは居住水準の陳腐化というのが非常に激しくなってまいりましたために、過去十年ぐらい前から三十年代の古い団地から建てかえ事業を進めてまいってきております。  先生指摘のように、建てかえ事業というのはやはり長年住みなれた居住者の方々に、いろんなこちら側の事情はあるにしましても生活上の変化をもたらすものでございますから、私どもとしては、家賃に関する激変緩和の措置ですとかあるいはコミュニティーの維持ということから、せっかくつくられてあるいろんな植栽その他の環境をできるだけ維持する、あるいは公共団体との連携を強化して公営住宅ども併設していただくというような形で、できるだけ従前居住者が残って住み続けられるような形で努力してまいったわけでございます。  今後、新しく法律に建てかえに関する手続が明定されるわけでございますが、これまでやってきたことに加えまして、建てかえ後の居住者、戻り居住者でございますが、新しく家賃助成というような制度もつくっていただきまして、そういったものを踏まえた上での新しい立法でございます。  私どもは、今まで申し上げましたように、これまでも居住者の方々の意向とか要望を十分お聞きしながらやってまいってきておりますけれども法案ができた暁には、新公団法案の趣旨に即しましてさらに一層公共団体との連携を強めまして、居住者の方々の理解と協力を得ながら建てかえ事業を進めてまいりたい、かように考えております。
  184. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひお住まいになっておる皆さん方の不安のないように、御努力をより以上いただきたいというように思います。  そこで、関谷大臣に一点だけお伺いをいたしたいと思います。  先ほどいろんなことを申し上げましたが、この公団、今改正法を出しておられるわけで審議しております。参考人をやり、あるいはまたこれは三回も委員会を続けてやるわけでありますが、ぜひ国民の皆さんにとってメリット、あるいはどういうことで今後この公団が歩んでいくべきかというようなことについて、ひとつ決意のほど、お考えのほどをお伺いいたしたいと思います。
  185. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今までは、住宅といいますと何といいましてもその住宅を得るということ、そのことがもう第一義的なことだったわけでございますが、これからは災害に強い市街地あるいはまた住宅、そしてまたスペースもほどほどのものがあるそういう住宅、あるいはまた職場までの時間も適正な時間で行けるような、そういう本当に生活のゆとり、豊かさ、そういうものをやはりつくり出していかなければならないと思うわけでございまして、そういうような観点に特に私は重きを置いていかなければならないと思っております。  それで、今までずっとこの委員会でも論議されておりますが、その過程において過剰な負担にならない家賃で住むことができるということ、これは本当に重要なことだろうと思うわけでございまして、そのことを特に留意してやっていかなければならないと思います。  それと、この法案が審議されておるということで私たちにもそういう賃貸住宅に入っていらっしゃる方々からの要望として、やはり子育てが十分にできるような家賃とか、あるいはスペースの大きさは言うに及ばず、例えば保育所がその近くにあるような、そういうようなものにぜひぜひしてほしい。今、少子化というものが社会的な大きな問題になっておりますが、その中で、よく婦人が子供さんを余り産まないなんというようなことが言われておるけれども、そんなものではない。みんな結婚したら子供は二人、三人欲しいと思っておるけれども、そういうような住居の環境にない。また、子育てあるいは教育費が高いからそれだけの子供が産めないんだというような声もよく聞くわけでございます。  ですから、教育の分野は建設省の担当ではありませんけれども、とにもかくにも子育てができる、そういう住環境というものをやっていかなければならないと思っておるわけでございます。
  186. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  今、ゆとりや豊かさ、安らぎ等のお言葉を述べていただきましたが、やはり教育問題、あらゆる問題も今醸し出されておりますが、住環境というのは大変大事なことでございます。ぜひそういうことを率先して建設省なり、できることならあらゆる省庁の、公務員住宅なんかもそうでありますけれども、やはり住宅そのものの政策というのは一本化される方が私はどちらかというといいのではないかなという思いをずっと抱いてきました。国民の皆さん方の住宅政策というのは、基本的にきちっとした衣食住の確立した形の中に一本化するようなことで今後努力をいただければというようなことも期待させていただきたいと思います。  今後、この改革される流れの中に公団がしっかりと国民の皆さんの方に目を向けて、そして進まれることを希望して、質問を終わります。
  187. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私はきょうの最後の質問ですから、他の同僚委員から同様な質問があったかと思いますけれども、せっかく準備してきておりますので順次質問いたしますので、誠意ある御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  まず、現公団の立法目的は、「国民生活の安定と福祉増進に寄与すること」となっておりますけれども、新公団の立法目的では、「国民生活安定向上国民経済の健全な発展に寄与すること」と微妙に変化しております。福祉増進にかわって経済の発展がうたわれていることは、国民のための視点よりも公団や国のための論理が優先されている印象を私は持っております。  政府は、国民生活安定向上の中に福祉増進の概念も含まれると答弁しておられますけれども福祉の文言があるか否かは、単に言葉の問題ではなく国の基本姿勢のあり方にかかわる問題だと思っております。大臣の誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
  188. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この問題は大渕先生のときにもお話しさせていただいたわけでございますが、この言葉の中に福祉も含めてすべて含まれておるというふうに私は認識いたしております。  ましてや、福祉の問題というのは何十年にわたって国もすべてもろ手を挙げて努力しておるわけでございまして、それから後退する意味でなくなったというようなことでは決してないわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  189. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 他の委員からもその問題について触れておりましたから、ぜひ福祉が経済にかわっていくということじゃなくして、経済も含めて福祉増進というものが観念的にあるということを踏まえて頑張っていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。  そこで、新規賃貸住宅業務について政策的に必要なものに限定した理由は何ですか、お聞きします。
  190. 那珂正

    政府委員那珂正君) この法案は、民間でできるものは民間にゆだねるという行政改革原則に沿って、かつ平成九年六月の閣議決定特殊法人等整理合理化についての内容を実現するものでございまして、具体的に言えば、既に民間市場で育ってきております分譲住宅業務からは撤退するけれども、しかしなお賃貸住宅市場というものは十分ではありませんし、現に大都市を中心に賃貸住宅の水準がおくれているというようなことにかんがみて、特に政策的に必要な賃貸住宅については新公団業務の二本柱の一つとして位置づけ直してそれを進めていこうというものでございます。
  191. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、既存賃貸住宅について適切な管理を実施すると説明しておりますけれども、適切な管理とはどのような内容なのか、具体的に説明していただきたいと思います。
  192. 荒田建

    参考人(荒田建君) 既存賃貸住宅七十三万戸の適切な管理でございます。新しい公団が成立しましても、これを承継してまいっていくわけでございます。私どもは、常日ごろから日常的な小修理あるいは緊急の修理、あるいは外壁や屋上防水等々の計画的な修繕、非常に細かい日常的な問題から大きな躯体としての維持を良好にしていくということをやってきておりますけれども、これから新公団になりますについて、大きく言って、修繕といいますか管理のポイントとしてはハード面とソフト面の両方あろうかと思います。  ハード面について申し上げますと、一つは、予算制度でもお認めいただいておりますけれども、今後ふえてまいります高齢者のためのバリアフリーへの改良、段差解消その他いろいろございますが、そういった改良を既存賃貸住宅の主として一階部分になりますけれども、そういった部分で行っていくこと。  それから二番目には、これまでは取り組んできておりませんけれども、リニューアルと申しまして、最近の居住水準の向上やあるいは居住形態の多様化といいますか、そういったニーズに対応するためには、私ども供給しております住宅が余りにも画一的なパターンになっておりますためにどうしてもニーズの変化に対応できない、具体的には間取りを変更したりあるいは設備水準を向上させたりということでリニューアルを今後積極的にやっていきたい。  それから、三十年代の建てかえの話は、いろんな助成措置の拡大を受けまして、居住者の理解を得ながら良好なストックとして再生していくということでハード面ではやっていきたいと思います。  また、ソフト面でございますけれども、これも新公団への移行に当たって居住者にいささかの不安も与えないようにというようなことでございます。  家賃の問題ももちろんございますけれども、日常の管理につきまして常日ごろ、私ども居住者団体の方々と定期的な懇談の場を持ちましていろいろな御要望を承っておりますけれども、今後は少しでも現地におきます居住サービス水準というものを向上させるために、例えば現地事務所というものを増設したり、あるいは団地内にある管理サービスセンターというものもふやしていきたいというようなことで、要するに管理水準の低下を招かないというのはもちろんのことでございまして、ハード、ソフト両面にわたって少しでも居住者の方々に満足のいくような体制をとっていきたい、かように考えております。
  193. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ説明のとおりに管理をよろしくお願いしたいと思います。  そこで、一九九六年六月にトルコのイスタンブールで第二回国連人間居住会議、ハビタットⅡが開かれ、世界百七十一カ国の政府代表、国連機関、NGO代表などが集まり、人間居住に関するイスタンブール宣言をまとめ、行動計画、アジェンダを決めております。日本政府の代表もこれに合意し、調印しております。  宣言では、居住の権利を存在権の中でも最も重要な基本的人権として位置づけ、行動計画では、各国政府はその実現に向けて積極的に取り組み、自国の重要課題として展開することを確認し合っております。  これに調印した政府としては、その後どのような具体的な取り組みをしておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  194. 那珂正

    政府委員那珂正君) 先生指摘になりました九六年のイスタンブールでの人間居住会議における宣言を調印いたしました以降、日本政府といたしましても、宣言でも記述されておりますが、そういう相当な生活水準についての権利の重要な要素の一つとして位置づけられております住宅につきまして、さらにその実現に努めることを再確認して、それまでも行っておりましたけれども国民生活安定向上を図るために健康で文化的な住宅供給、普及に努めているところでございます。  具体的には、第七期、その後でございますので第七期住宅建設五カ年計画を策定いたしまして、低所得者向けの公営住宅公団住宅、特優賃等々、あるいは住宅金融公庫低利融資あるいは住宅ローン控除制度等住宅減税の拡充等の各般にわたる施策を展開してきているところでございます。
  195. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この宣言、アジェンダの日本語版はありますか。
  196. 那珂正

    政府委員那珂正君) 全文にわたっての正式な日本語訳はないと承知しております。  国土庁において編集されました「居住問題に取り組むハビタット」という小冊子がございますが、その中に一定の訳が掲載されていると思います。
  197. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは全文欲しいんですけれども、どこに請求すればもらえますか。
  198. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今の国土庁の「居住問題に取り組むハビタット」という小冊子であればすぐ用意できると思いますが、お尋ねがこのハビタットⅡの宣言の正式な日本語訳ということだとすれば、それは我が国の対外担当は外務省総合外交政策局と承知しております。
  199. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外務省であれば、後でまた外務省に次の機会にただしていきたいというふうに思っております。  宣言が言う適切な居住について、国連人間居住センター事務局長は七つの要件を挙げております。すなわち、一、風雨から守られていること。二、安全な飲料水や衛生施設があること。三、強制立ち退きやプライバシーの侵害がないこと。四、学校、医療施設等に容易に到達できること。五、適正な通勤圏内に立地していること。六、家族生活のための最小限の広さを確保していること。七、負担し得る居住費負担であること。以上、七つであります。  そこで、家族生活に必要な広さの確保、負担できる家賃という点から見て、特に大都市地域ではまだまだ良質で適切な家賃の公共賃貸住宅は不足している。狭さの問題も、広い住宅がないからではなく、高家賃で払えないから狭さに甘んじ、供給側も高家賃になって借り手がないから供給しないのが現状ではありませんか。  その意味で、全体として公団住宅は大きな役割を果たしてきたし、今後も特に低中所得層向きの供給が求められているのではないかと思っておりますけれども、御所見を承りたいと思います。
  200. 那珂正

    政府委員那珂正君) 御指摘のとおり、大都市圏、借家世帯中心に我が国住宅水準は非常におくれているというところでございます。したがいまして、これからも引き続き公営住宅公団住宅、特優賃、それぞれ役割分担をしながら賃貸住宅の水準の改善に努めていかなければならない、こう思っております。  とりわけ、新公団におきます新しい公団住宅についても、中堅所得層をターゲットにして、都心に近いところで、利便性のいいところでどんどん供給していってもらいたいと思います。
  201. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 公営住宅との連携について、公営住宅入居希望者に対する特別な配慮を行うというふうになっておりますけれども、その特別な配慮とはどういうことなのか、お聞かせください。
  202. 那珂正

    政府委員那珂正君) これは公団住宅の建てかえのときに際しての関連する規定でございますが、公営住宅公団住宅の建てかえにあわせて併設、隣につくって、公団からいえば公共団体に対してつくってもらって、そのつくってもらった新しい公営住宅に、従前の公団入居者の方が希望があれば新しい公営住宅に優先的に住んでもらえるよう公共団体によく協力を要請する、こういう趣旨でございます。
  203. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 賃貸住宅家賃について、原価基準方式から市場基準方式へ移行する理由は何ですか、お尋ねいたします。
  204. 那珂正

    政府委員那珂正君) これは先ほどもお答え申し上げましたけれども、現住都公団家賃の決め方のルールが原価主義ということでございますが、このやり方は住宅公団ができた昭和三十年当時、まだほとんど鉄筋コンクリート住宅というような住宅公団以外に余りないというようなときに、決める家賃としては原価主義、原価を積み上げていくというしか方法がなかったということで、それで進めてきたわけです。  その後、民間でも賃貸住宅が結構供給されるようになりまして、いわゆる市場ができて、その結果、逆に公団が原価主義で家賃を設定したものを供給するときに、やはり原価ですから相場と一時的にかけ離れることもあります。したがって、一時的に大量の空き家が出たり、逆に原価ですから安い場合もありまして、相場より非常に安いと本当に宝くじみたいな応募倍率になってしまうというようなことで、総体として合理的な供給になっていないというようなことから、従前の家賃の決定について反省がございました。  そういうようなことから、今回の新公団発足を契機に、市場において賃貸住宅を合理的に供給が行えるよう、あわせて家賃の決め方についても、相場ということから、近傍同種の家賃という観点からいえば、より公平、より透明性のある形で決められるわけでございますので、そういうような方式に変える趣旨でございます。
  205. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 新公団設立する、これを決めたいわゆる自社さ三党の合意では、新公団移行に当たって居住者が生活不安を抱かないよう万全の措置を講ずるというふうに決めているわけですね。公団住宅居住者の不安は、新公団法が市場家賃化を決めているため、家賃が今後どうなるかということが非常に不安であると、このような不安に対してどういうふうに対処されるおつもりですか。
  206. 那珂正

    政府委員那珂正君) まず、市場家賃化ということで改定ということになるわけですが、継続居住者の家賃改定に際しては、新しく基準となります近傍同種家賃を上回らないように、その近傍同種家賃と従前の家賃等を総合的に勘案して決めるということにしているわけでございます。  さらに、六十五歳以上の低所得の高齢者方々につきましては、財政資金も投入いたしまして、さらに特別の減額について配慮をする予定でございます。
  207. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 公団居住者の実態調査を五年ごとに実施しておりますけれども既存住宅居住者の世帯主の高齢化と収入分位の実態はどのようになっているのか、また十年先についてはどのような予測をしておりますか、公団側からお聞かせください。
  208. 荒田建

    参考人(荒田建君) 公団の住居居住者の定期調査はやや古うございまして、私どもは全体調査を五年に一遍行っておりまして、平成七年度になります数字、現在持っておる数字はちょっと古くて恐縮ですけれども、それによりますると、入居者世帯主の平均年齢は四十八・五歳、それから世帯主六十五歳以上の高齢者世帯比率は一三・五%でございます。それから、所得の状況でございますけれども公団賃貸住宅居住者の世帯全収入の平均は六百三万円。収入分位一分位という分位、これが低所得者という層でございますが、この割合は二八・五%ということでございます。  そして、今先生からお話しのありました十年後の見込みということでありますと、これは雇用、経済、その他社会情勢の変化を読まなければいけないので、これはなかなか私どもも十年後の居住者の年齢、所得を予測することは困難であります。ただ一般的に言えますのは、日本全体が高齢化してまいりますから、全国平均的な推移をしていくのかなとは思っていますが、細かい推計はちょっとやってございません。
  209. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 近傍同種家賃、つまり市場家賃居住者の負担能力とは無関係に変動するというふうに思われます。政策的な手当てをしないで、市場家賃が基準だといってそれに準じて値上げをすれば、住めなくなる人が出てくるのではないかというふうに思います。  居住の安定に配慮するということであれば、家賃設定の際、居住者の負担能力を考慮する必要があるのではないかというふうに思っておりますけれども、その点はいかがですか。
  210. 那珂正

    政府委員那珂正君) 入居者の収入に応じた家賃を設定する方式、いわゆる応能方式と言いますが、こういうことは基本的には低所得者向けの公営住宅役割認識しております。  しかし、現在公団管理しております七十三万戸に及ぶ賃貸住宅の中に、現実問題として高齢者方々、かつ低所得高齢者方々も相当いらっしゃるというような実態を踏まえて、先ほど申し上げましたように継続居住者の家賃の改定の際には、一般的にも現在の家賃も総合してそれほど上昇がしないようなやり方をするほか、特に低所得高齢者等の方については家賃のさらなる減額措置をとることとしているわけでございますので、この現住都公団七十三万戸の方々居住の安定についてそういう考え方で進めていきたい、こういうふうに思っております。
  211. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 新公団法三十三条二項は、継続家賃の変更に当たっては、近傍同種の家賃、変更前の家賃額、経済事情の変動等としております。居住者の家賃負担能力は算定要因としないのか。六十五歳以上の低所得高齢者の措置については配慮しているが、それ以外に居住の安定への配慮はしないのか、その辺をお聞かせください。
  212. 那珂正

    政府委員那珂正君) 今も申し上げましたように、三十三条二項で定めております継続居住者の家賃の変更の場合につきましては、居住の安定に配慮するために、近傍同種の住宅家賃だけではなくて、現在適用されている家賃等を総合的に勘案して適切に定めることとしております。  具体的に申し上げますと、近傍同種住宅家賃と現在の家賃の差額の半分を基本といたしまして、さらに長期的な全国の賃貸住宅市場家賃の相場というもの、非常にこれは穏やかなカーブを示しておりますが、そういう穏やかな変動率を加味した上で、急激な家賃変動を回避するような方向となるように、今具体のルールを検討中でございます。
  213. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 公団住宅施策目的を持つ公共住宅であるわけですから、単に市場家賃を追認するのではなしに政策家賃の立場を堅持すべきではないかというふうに思います。  今、研究中だとおっしゃいますが、やっぱり具体的に示してもらった方が入居者にとっては非常に安心できるんじゃないかと思いますが、もう一遍御説明願いたいと思います。
  214. 那珂正

    政府委員那珂正君) もう一度繰り返させていただきますが、継続家賃の改定に当たりましては、居住の安定に配慮するため、近傍同種の住宅家賃と現在適用されている家賃の中間の額を基本といたしまして、加えて長期的に安定している家賃の変動率がございますが、それを加味して、急激な家賃変動とならないような方式を検討しております。  さらに、継続居住者の中でも公営住宅の収入基準を満たしている高齢者等方々に対しては、さらに財政資金等も投入いたしまして、近傍同種住宅家賃公営住宅並み家賃の中間まで減額する。限度は現在の家賃が限度でございますが、その中間まで減額するという措置もあわせて講じまして、万般、居住者の方々居住の安定に資したい、こう思っております。
  215. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 公団側にお聞きしますけれども中堅所得層施策対象としてきたわけですけれども、高家賃のため大量の空き家を発生させてきた。今後、三十三条で近傍同種の住宅家賃額と均衡を失しないようなされるということになりますと、家賃はどのようになるのか。また、高家賃の空き家が今後発生するおそれはないのか、お尋ねいたします。
  216. 荒田建

    参考人(荒田建君) 空き家でございますけれども、先ほど総裁から御答弁申し上げましたが、これまでに一時期かなり空き家が出たことがございますが、直近時点では、全体約七十三万戸の管理のうち、この三月末で約千三百戸まで減少しております。千三百戸という数字ですと、私ども千六百団地の全体団地を抱えておりますから、一団地に一戸もないような状況だというようなことでございます。  そこで、新公団移行後の家賃、先ほど局長から家賃の算定の仕方について御説明をいたしておりますけれども、近傍同種家賃と均衡を失しないように設定するということになりますれば、常に需要に対応した家賃を適切に設定するということになるわけでございます。これまで時々空き家が出まして、その都度市場に合わせた形で家賃引き下げということも私ども何回かやってきております。近傍同種家賃というのは、何となく市場家賃化すると高くなるという印象がありますけれども、私どもから見れば、仮に高くするということになりますと、これまでの経験上必ず空き家が発生してまいりますから、直ちに経営上問題が出るということで、それを埋める、具体的には家賃の引き下げを行うというような形でやってきております。  したがいまして、近傍同種家賃を基準とする体系に改めるということでありましても、いわゆる高家賃化によって空き家がどんどん発生するというようなことはないものと考えております。
  217. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 公団家賃の値上げが検討されているようでありますけれども、この経済不況のさなかに公共の家賃を値上げいたしますと民間借家にも大きく波及すると思われますので、公団家賃あり方は十分時間をかけて慎重にやるべきじゃないかというふうに思います。  経済不況の中で、公の家賃を上げるということは好ましくないんじゃないかというふうに思いますけれども、その辺の検討の余地はいかがですか。
  218. 荒田建

    参考人(荒田建君) 実は、家賃を改定するにつきましては、この法律案が通りますれば、新しい家賃改定ルールをつくって、それに基づいて具体の家賃の作業を行うということになります。現在、この新しい家賃改定ルールにつきましては、居住者代表の方を含む有識者の御意見を公団内の家賃部会という部会で伺いながら検討しているところでございます。  実は、これまで家賃改定というのは周期的に、例えば継続家賃ですと三年に一遍、空き家家賃も大体三年ないし五年に一遍やってきておりますけれども、空き家家賃については前回の改定が平成三年十一月でございまして、既に七年以上を経過しております。また、継続家賃についても前回改定が平成七年四月でございましたから、四年以上を経過しているような状況でございます。  私どもとしては、先生の御指摘のように、確かにそういう経済情勢ということも当然考えなければいけないとは思いますけれども、近傍同種家賃への調整ということを図る過程で、家賃を引き上げるだけじゃなくて当然引き下げなければならないようなケースも出てくるんじゃないか。そういうようなことを彼此いろいろ考えますと、この家賃の改定というのは、ルールをつくった上での話でございますけれども、新公団ができましたらできるだけ早目に改定させていただくということでよろしいのではないかと思っております。  なお、民間家賃水準に対する影響でございますが、これは近傍同種家賃を基準とするという形になりますから、むしろ公団家賃市場の適切な水準にあわせて改定するということでございますので、私どもが改定すると直ちにそれが民間に波及するということにはならないものと考えております。
  219. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 むしろ、今おっしゃるように、引き下げも検討するというふうなことになれば、本当に入居者にとっては留飲が下がる思いだと思いますから、ぜひその辺も慎重に検討していただきたいというふうに思います。  そこで、継続居住者について、特に居住の安定を図る必要がある者を限定しておりますけれども、その理由は何か。一般入居者については居住の安定を保証しないのか。この二つの問題について伺います。
  220. 那珂正

    政府委員那珂正君) お尋ねの件は家賃の減免をする場合についてでございますけれども、先ほど来申し上げておりますが、継続居住者についても居住の安定を図るという観点から一定の新規の家賃の決定方式とは違う決定方式をとることとしているわけでございます。  その中でも特に低所得高齢者の方については、その居住の安定の図り方を特に必要な者という限定をいたしまして家賃をさらに減免する、こういう書き方をさせていただいているわけでございます。
  221. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 家賃上昇抑制措置の内容について、具体的に詳細な御説明を願えますか。
  222. 那珂正

    政府委員那珂正君) 具体的には、まず対象方々ですが、公営住宅の収入基準、収入の分位で二五%以下でございますが、この収入基準に該当する世帯で、主たる生計維持者が六十五歳以上の高齢者世帯、心身障害者世帯、母子世帯、生活保護世帯方々対象に国が補助を行いまして、変更前の家賃を下限といたしまして近傍同種の住宅家賃公営住宅並み家賃の中間まで減額いたします。  その際、現在の家賃の方が高ければそこが限度ですが、そういう中間まで減額する部分について、国は公団に一定の財政補助をいたしまして公団がそれを減額する、こういう仕組みでございます。
  223. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  224. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会