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1999-05-20 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     倉田 寛之君  五月十八日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     脇  雅史君  五月十九日     辞任         補欠選任      奥村 展三君     椎名 素夫君  五月二十日     辞任         補欠選任      上野 公成君     仲道 俊哉君      北澤 俊美君     石田 美栄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 仲道 俊哉君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 石田 美栄君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 椎名 素夫君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        水産庁長官    中須 勇雄君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        建設省河川局長  青山 俊樹君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇海岸法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇環境事業団法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) 〇鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する  法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、奥村展三君が委員辞任され、その補欠として椎名素夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 海岸法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  前回委員会に引き続き、仕上げと言うべききょうの午前中の質疑、一生懸命やらせていただきたいと思っております。  建設大臣におかれましては、早々と御到着あそばされまして、心の準備をされていたことと思います。  ちょっと変化球をまず大臣に。アラメカジメホンダワラ、これは何のことか、御存じでしょうか。
  5. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 海藻だそうでございます。
  6. 小川勝也

    小川勝也君 御助言をいただいてお答えいただきました。  これは海藻でございまして、当然愛媛県にも海がございまして、そこの陸から近いところにはアラメとかカジメとかホンダワラとか昆布とか、そういう海藻が生えております。これは、自然環境とか地球環境とか言われておりまして、当然のことながら、森林であるとか自然、生態系、動植物、いわゆる環境重要性ということが多くの国民にも認知をされてまいってきている最中だと思いますし、建設大臣におかれましても、歴代の建設大臣に比して、自然環境あるいは環境との調和ということに非常に重きを置いておられると、非常に尊敬のまなざしを岡崎委員とともに向けさせていただいているところでございます。  私はなぜホンダワラの話をさせていただいたかといいますと、その海の環境が大変な状況にあるんだという、こういう情報をもとにきょうの海岸法質疑をさせていただく、そんなことで冒頭そんな質問をさせていただきました。  当然のことながら、海のことでございますので、当然我が国状況から考えてみますと、いわゆる水産業漁業との関係も非常に密接であります。きょうは水産庁からもおいでをいただいておりますが、今言ったような海藻日本沿岸から少なくなっている、消えている。海の底が荒れている。あるいはいそ焼けなんという言葉もあります。あるいは藻場が少なくなっている、こんな情報を耳にいたしますが、水産庁としてはどのように状況を把握されておられますでしょうか。
  7. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま先生からお話しございましたとおり、いわゆる藻場というか海の中に藻が生えている、こういう場所は海の生物にとっての生育あるいは成長の場として大変重要な位置づけがなされているというふうに我々は思っております。  残念ながら、今我が国沿岸海域におきまして、例えば環境庁の方でお調べになった調査でも、十三年間に約六千ヘクタールの藻場が消失しているというふうなデータもございます。その一因として、今御指摘になったいそ焼け、そういうものもあるわけでございます。  私ども、今後とも持続的な漁業を続けていくという上では、こういった藻場を確保していくということは大変重要だということで、一つは、なくなることを食いとめるということと同時に、各種の事業を通じまして積極的な藻場等の回復、造成を図る、こういうことにも取り組んでいきたいというふうに思っております。
  8. 小川勝也

    小川勝也君 いそ焼けその他で藻場が減っている、これは漁業とも密接で非常に大切なものだという、そういうお答えをいただきました。  陸上環境には非常に熱心な環境庁でございますけれども、この海の方にはどういう認識あるいは取り組みをしておられるのか。陸上における自然環境は大切だけれども、海の中はいわゆる水面下だからどうでもいいのか、それとも海洋性植物動物生態系が維持されることが自然環境を守ること、あるいは地球全体の環境にとって重要なのかどうなのか、環境庁の御認識をお伺いしたいと思います。
  9. 遠藤保雄

    政府委員遠藤保雄君) 環境庁におきましては水質保全局というのがございます。この水質保全局は、河川等だけではなく、海洋環境についても日夜力を入れておるところでございます。  先生の御指摘海洋、特に沿岸域環境保全ということでございますけれども、私ども、この藻場等生息する地域、特に先生指摘アラメカジメホンダワラなどの植物、これは栄養塩類を固定いたしまして、それで生育の過程において窒素、燐を吸収するということで、水質浄化に非常に大きな役割を果たしていると思います。かつまた、水産庁長官指摘されましたように、この地域はやはりプランクトンが増殖し、かつ魚介類産卵場生育場である。そういうことからいいましても、こういう地域はトータルとして沿岸生態系の維持の上で非常に大きな役割を果たしているということでございます。  我々の取り組みでございますけれども平成十年度から三カ年間で、藻場干潟などの環境保全機能定量評価基礎調査を実施しております。この調査によりまして、藻場干潟が有する環境保全機能を定量化しよう、そしてこれらの機能を考量したシミュレーションモデルをつくりまして藻場干潟保全に資していきたい、こんなふうに考えております。
  10. 小川勝也

    小川勝也君 先ほども申し上げましたとおり、陸地環境に比べて海洋環境がこの国会で議論されることも非常に少ないと思います。ぜひとも、今回、海岸法改正ということで、そのテーマの中に環境とか自然を盛り込まれる絶好のチャンスでございますので、環境庁も大いに意見を具申してきたと思いますし、これからも密接に連携をとりながら環境庁の果たすべき役割を果たしていっていけたらなというふうに思います。  当然のことながら、私は専門家でもありませんし、つけ焼き刃勉強でございますので、どの程度私の情報が正しくて認識が正しいのかわかりませんが、今回の改正において、建設省のメニューにもありますいわゆる人工リーフという概念が非常にすぐれたものであって、二十一世紀に向けてさまざまな観点から可能性を秘めたそういう施策である、こういう情報を入手いたしました。技術的なことがわかりませんが、例えば今までのいわゆる防護主体とした海岸の施工ということになりますと、津波や高潮から陸地を守るために高い堤防をつくってきた。これからはそういうことに頼らない砂地砂浜を造成する、あるいは離岸堤人工リーフなどというさまざまな工夫をしていこうということであります。  それで、私はわからないんですけれども離岸堤人工リーフ、例えば二つの概念がございます。どのように違うのか、双方にどんなメリット、デメリットがあるのか、簡単に概略を御説明いただきたいと思います。
  11. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今お話しございましたように、近年の海岸防護主体とします工事におきましても、直立堤防や消波堤によります線的防護と私どもは呼んでおりますが、それにかえまして、沖合施設、それから砂浜によって波のエネルギーを弱める面的防護方式という整備方式が主流になってきているわけでございます。  その離岸堤人工リーフといいますのは、ともに沖合に設置しまして、波のエネルギーを低減させる施設でございますが、離岸堤は常に海面の上に出ている、人工リーフの方は常に海面の下にある施設でございます。  人工リーフそのものの消波効果ということでございますが、これは常時、干潮時においても海面下にありますので、消波効果離岸堤に比べては少のうございます。したがいまして、逆に離岸堤よりも幅を広くとる必要があるということでございまして、そういったことから、コスト面工期面からいいますと離岸堤よりは効率が悪いということでございます。  ただ、今お話がございましたように、人工リーフ生物生息環境の面からも、また景観上も、水面上に出ないことから非常にすぐれたものでございますので、こういった工法工夫を加えながらやっていきたい。例えばタンデム型人工リーフというのがございますが、これは水面下で二山にすることによりまして表面積が非常にふえます。表面積がふえるということは生物生息環境にも非常にいいし、消波効果におきましても単一断面の場合よりはかなり大きな効果が得られる。また、工費も安くなる。こういった技術開発も進めながら面的防護方式を進めてまいりたい、このように考えております。
  12. 小川勝也

    小川勝也君 実は、この質問をするに当たっていろいろ勉強させていただきました。ここに「滅びゆく海の森」という小島さんの本があります。それと、参考のために見たビデオにNHKのETVスペシャル「よみがえれ海の森林」。こういうビデオを見ていますと、三重県の漁業地域海藻が少なくなってきたので漁ができなくなってきた、それで自分たちでその海に隣の漁協からアラメをもらってきて移殖するなんということも行われているわけです。  それで、考えてみますと、その漁業をやっておられる方が藻場をふやしたいと思っているときに建設省でこういう法改正をする。これを利用しない手はないと思うのです。一石二鳥をやっぱりねらってほしい、このように思います。それどころか、当然藻場がふえて魚がふえるというのは大変いいことだろうと思うのですが、それ以上に、まだ未開分野でありますけれども、さまざまな効果指摘されている。  一つ大変大きな話になりますけれども、すべては水に流すという言葉がありますように、地球上で製造された、あるいは誕生した汚染物質は大体は海に行くわけでございます。海のどこかにそれがたまっているかと思いますと、そうでもないような気がいたしまして、海にはやはり我々にははかり知れないだけの浄化作用がある。その浄化作用を最大限生かしていく工法というのがもし海岸域にできるとすれば、これからの二十一世紀型の建設あるいは環境にふさわしいものだろう。これはわからない分野なんですけれども模索してもらいたい、そんな気持ちがございます。  例えば、前回委員会でも私が発言をいたしましたダイオキシン、あるいはもっと平たく言いますと、日本全国で使われている農薬あるいは肥料の量、これはすごい量だと思います。いつかは土壌を経由して河川を経由して海に流れていきます。それは私たちにとってはどんな効果があるかわからない化学物質も含まれておりますし、全部それは海に吸収していただいているものでございます。河川から海に行く、その近くにもしその浄化作用を特段に発揮していける地域ができるとすれば、七つの海がきれいになる最たる例になると思います。  ある統計によりますと、近海魚介類におきますダイオキシン含有量は、例えばカナダ、イギリス、スウェーデン、アメリカ合衆国と比較しますと、日本魚介類がどうも一番多いように思います。その原因は科学的にすぐわかるようなことじゃないと思いますけれども、最大限の努力をしていただきたいと思います。  そんな中で、先ほど環境庁から御答弁がありました窒素や燐、これも海にとっては富栄養化をもたらす物質一つであります。それとか、前回委員会でも指摘しました家畜のふん尿あるいはダイオキシン、そして化学物質。これは海にも生態系がありまして、いわゆるカビや菌のような超微生物から植物プランクトン動物プランクトン、小魚、大魚。最終的にはその食物連鎖の先で人間が食べるわけです。この海岸域海洋環境の一部でありますけれども、今回の海岸法改正を機にうまく考えることができないだろうかというふうに思います。  そして、今の藻場メリットについては大体御理解をいただけたと思いますけれども人工リーフがもたらす海岸静穏域、これが微生物やバクテリア、プランクトンにとってどういう影響があるのか。今、把握しておられることだけで結構でございますけれども環境庁からコメントをいただきたいと思います。
  13. 遠藤保雄

    政府委員遠藤保雄君) 人工リーフにつきまして、これは消波機能があるということ、その延長線上で藻場等が形成されやすいということ、藻場機能を通じまして窒素、燐の固定、そして水質浄化、そういう点については大いに期待されているのじゃないかと思っております。ただ、まだケースが少のうございますので、今後これはいろいろ研究していかなきゃいかぬ点だと思います。  さらに、先生指摘浅海域にできました砂地、そこで波打ち効果が出て、それで微生物自体のいろいろな生活活動それ自身が、人間活動によって河川等から流入する汚染物質等々についてどう分解作用を果たしていくかということにつきましては、やはり一定の効果がある。これはかなりある。しかし、それについては今後まだいろいろ研究していかなきゃいかぬ、こう思っております。
  14. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど水産庁から、藻場が減っている、いそ焼けもある。これはどういったメカニズムでそうなったかというのはまだ正確にはわかっていないと思います。  前回委員会から引き続きその原因となるものを、まだ推測ですけれども挙げてみますと、例えば河川にいろいろな工作物、これはダムとか三面張りとかをしたことによって森からの恵みが海に少なくなってしまった。河川中流域において砂利採取をたくさん行うようになった。港湾施設を整えるために、港を建設したり防波堤をつくったこともその原因になっているのじゃないか。あるいは地球温暖化原因として海流の温度が変わったなどということもあります。  わからないこともたくさんあるわけですけれども、そんな歴史も振り返りながら、少しでも海の環境が保たれますようにさまざまな工夫をしていただきたいわけでございますけれども建設省がわかることも限られておると思います。環境庁の中でも海洋についていろいろなことを研究する施設があったり、水産庁の方でも藻場がどういうふうに変遷しているのか、漁業との関係研究しておられると思います。  再度のお願いでございますけれども、この海岸施設をつくっていく事業を展開するに当たっては環境庁水産庁と、あるいは運輸省もそうであろうと思いますけれども、綿密にしっかりと連絡をとって、すべてが幸せになれるという道が必ずあると思いますので、その連携を密にしていただきたいと思います。再度の御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
  15. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 環境庁の方からお話がございましたように、海岸はいろいろ働きがあるわけでございます。砂浜は魚の生息生育の場となっておりますし、また微生物等働きによります有機物の浄化作用があるということも言われております。また、人工リーフは、砂浜保全に有効であるという本来の役目のほかに、それ自体に藻が繁殖したり魚礁としての効果も期待される場合もあるということ、これは環境庁の方と全く同見解でございます。  また、関係省庁との連携ということでございますが、私ども本年度から海岸省庁共同自然環境生態系と共生するための海岸保全のあり方について検討していこうということを予定しております。また、同じく本年度から魚をはぐくむ海岸づくりというものを開始しまして、海岸事業水産庁沿岸漁場整備開発事業とが連携して、人工リーフ等増殖場の一体的な整備を開始したところでございます。また、環境庁を含めた関係省庁連携しつつ、人工リーフ等による面的防護方式を用いて、砂浜保全、復元を主体とした整備を促進し、また結果的に藻場等整備にも寄与したい、このように考えております。
  16. 小川勝也

    小川勝也君 環境庁海洋あるいは海岸域環境ということに非常に関心を持っておられると答弁されました。  特に、海洋の持つ浄化作用研究とか、どうしたら海がきれいになるかという研究が熱心に行われていると思いますけれども、ちゃんとした研究施設というのはあるんでしょうか。
  17. 遠藤保雄

    政府委員遠藤保雄君) ございます。国立環境研究所というところがございまして、そこの一部局におきまして、例えば平成八年度からでございますけれども海域保全のための浅海域における物質循環水質浄化に関する研究というものをやってきております。こういうことを通じて、いろいろ研究成果を発表しているところでございます。
  18. 小川勝也

    小川勝也君 これは仄聞をしたわけでもありませんけれども、察するに環境庁として潤沢な予算がその面に充てられているといった話は聞いたことがありません。私は、これから建設省防護も含めてさまざまな施策海岸域にしていくときに、便乗してと言ったらなんですけれども、さまざまな工法に変化を加えることによって、どういうケース海洋に与える環境がいいのかというデータを蓄積していくということも、先ほど河川局長答弁された連携の中で可能であると思います。  これから、二十一世紀に向けて環境といったことは非常に大事なことでありますし、先ほど申し上げましたように日本近海の魚がダイオキシンを多く含んでいるということも事実であります。きれいな海で私たちが安心して魚が食べられるような二十一世紀になりますように、環境庁といたしましてもずる賢く建設省に乗っかってさまざまなデータ、知見を集めるぐらいの努力をしてもらいたいと思っております。  最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。  人工リーフの効能ということでさまざまなアドバイスを研究者からいただいたりして、私なりにつけ焼き刃勉強をしてまいりました。きょう青山河川局長から、離岸堤に比べてコスト面でちょっと高いんだよと、こんな話もありました。まだ未開分野でありますけれども、これが今までの概念防護だけでなくて、海洋環境漁業、それにプラスアルファするさまざまな成果の卵になるかもしれない。そんなことで、他省庁との連携をしながらこの人工リーフ研究し、あるいはさまざまな工夫をしながら的確に施策を推進していっていただきたいと思うわけでありますけれども大臣の抱負をお伺いしたいと思います。
  19. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生指摘のように、離岸堤人工リーフコストの比較でございますが、離岸堤で一メーター当たり百六十万円、人工リーフで一メーター約倍の三百万円というふうに見積もられておるようでございますが、そういうようなことも凌駕して、こういう環境保全しながら、また安全面を確保しながら人工リーフというものができるだけの、いささかの余裕はできてきた昨今でございます。  この人工リーフ整備というのを、今後とも環境面と十分に連携を密にしながら積極的に推進していきたい、そのように考えます。
  20. 小川勝也

    小川勝也君 今申し上げましたように、従来型の防護あるいは漁業分野への影響、そして二十一世紀にますます重要になります環境ということ、一石三鳥という言い方もありますけれども、ぜひ大臣答弁のとおりよろしくお願いを申し上げて、質問を終わりにさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  21. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  前回、今回の法改正に当たって、防護のほかに環境利用ということで、利用面も含めてさまざまな質問をさせていただきました。  今回の法改正の中に環境というものが大きな柱で位置づけられ、小川委員からもさまざまな角度から質問がありました。私自身環境という問題はこれから二十一世紀に向けて人類が最も対応していかなきゃいけない問題がさまざまあると思います。ダイオキシン対策規制法も我々は出させていただいて、成案の方向に行っているということもあると思います。  最近、環境といえばある意味ではもう百点で、開発というと零点のような認識というのはかなり進んでいる現状があると思います。リオで地球サミットというのがあったときに、サステーナブルディベロプメント、学会によってさまざまな訳をしておるようでございますが、持続可能な開発という訳し方をしております。  と同時に、先進国地球温暖化のためにかなり酸素を使って二酸化炭素を排出する、地球が温暖化するという問題のときも、ブラジルアマゾンは保存しておかなければいけないという声が上がったときに、ブラジルから、先進国は進んでおるのに我々おくれて開発を進める国には環境を守れというだけで、ここのアマゾンにそんなに過大な負担をかぶせるのかということで、むしろそういうところから問題が起こった。ある意味では南北問題になる。  日本国内でもさまざまなところで起こっていまして、公共土木事業が大変進んだところは非常にいい。四国の方とか開発がおくれている方は、逆にぜひとも道路をとか、ぜひとも河川改修をという形で進みます。そういうときに、木を一本切るときにも地球温暖化に悪影響するということで、木一本が切れないで工事が進まないというような問題も起こっているということを考えますと、環境開発、このテーマ、関谷大臣も第十堰に絡んで、取材の方法が悪いのかもわかりませんけれども、意見がぶれているというような話が出ていたりしております。自然保護というものと公共土木事業関係を整理しておかないと、公共土木事業は全部悪というような形でやったときに、現実に地方行政は進められないということが多くのところで起こっています。  水田というのを日本は多く持っていますけれども、自然が豊かでいいね、ため池があるといいねと言いますが、あれもそもそも考えれば開発したものでございます。開墾という言葉で象徴されるように、林野を切り開いて開墾した開発の結果でございまして、決して自然ではないわけでございます。ため池で水田に水を引く、それをつくるときは開発してああいうため池が残っている。瀬戸内海沿岸は水不足ですから、そういうため池もつくられています。  ですから、ここらで建設大臣に、自然保護と公共土木事業関係、また環境開発関係に関してどういうふうに考えておられるか、理念をお伺いさせていただければと思います。
  22. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 確かに、時代とともにその両面の関係、重さというものは変わってくるものだろうと思うわけでございます。  終戦後半世紀たちましたが、終戦当時におきましては、どうしても我々の生活維持あるいは生活環境をよくしていくという意味において、いささか自然破壊というもの、いささかという言葉は的確でないかもしれませんが、ある部分においては行き過ぎた自然破壊もあったと認識せざるを得ないと思うわけでございます。今日までの一応の発展というものを達成した時点においては、これからは自然環境を保持しながら、あるいは共生する範囲内において開発を進めていかなければならないと思うわけでございます。  そういう中で、先生指摘のように、今世間ではとにかく福祉それから環境ということに対しては一つたりとも反論ができないような、これはマスコミの扱いでしょうか、あるいはこの論議をするいろいろな場所においてそういうものがあるわけでございます。  ちょっと話がずれるかもしれませんが、先般の閣議におきましても、例えば環境庁長官から環境、いわゆる温暖化防止のためにも夏時間を導入すべきだと言われました。それから、与謝野通産大臣は省エネの感覚からもこのものを導入すべきだというようなことが出てまいりましたが、それに対して、果たしてそうであろうか。運輸大臣からは、これを夏に切りかえるという場合は、国際線の時刻表などというのはもう一年前からつくられておるわけですから、もしこれを日本がやるとするならば二年間の猶予期間がなければ実施できませんというようなことが言われたわけでございます。  いずれにしましても、前段の環境、温暖化防止、それから省エネというような言葉で言われると、私は内心このことは余り好きではないんですけれども、そういうことが言えないんです。そういうようなことが公共事業であるとかで、逆に評判が悪いように言われるところに私は間違いがあると思うわけでございまして、これからはそういうようなことははっきりと発言をしていかなければならないのではないか、そのように思っております。
  23. 福本潤一

    福本潤一君 建設行政を預かるに当たって、環境の問題というのは大いに今後取り入れていくと同時に、必要な建設事業というのは推進していかなければいけないという答弁だというふうに受けとめさせていただきました。  我々は、河川の問題、二年前河川法改正、今回海岸法改正というふうにするときに、洪水というのは各地で、特に昭和以前、水害で二階まで家が流されたりというような状況というのを映像で見ています。最近で言うと多摩川の大水害、我々はまだ大学院の学生でしたけれども、テレビを見ていたらピアノとともに家が流されるというのが現実には起こった。ただ、これは回数が非常に少ない。百年に一回ぐらい起こるようなところにとってはそのときだけは大変だと思うわけですが、現実にそれが起こったときにはふだんの手当てが足りなかったということになったりするわけでございます。特に、中国や何かの洪水、この前大陸の中で大洪水が起こりましたけれども、その中では四国と同じ面積ぐらいが数カ月にわたって水没したというぐらいの大きな洪水が起こるわけでございます。  日本の中で吉野川というのは、大陸の黄河、揚子江というのとはまた違うかもわかりませんけれども、大変大きな河川で四県に全部またがっているという状況でございます。そうしますと、先ほどの自然保護と公共土木事業というときに、治水の面では万一のときの、ちょうど地震対策のように、地震のような頻度でしか起こらないけれども手当てはしていかなければいけないということがあると思います。  大臣、そういう形で、自然保護と公共土木事業お話をしていただきましたけれども、これは河川局長でもある、今回海岸法の担当部局にもなっておられます、政府委員ということにはなるんですけれども、現在担当しておられる方にもこの自然保護と公共土木事業の考え方というのを同時に聞かせておいていただければと思います。
  24. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今、大臣の方からお話がございましたように、やはり環境というものも非常に大切な要素である。けれども、また一方、住民の生命、財産を守るということも非常に大切な事業である。また、利用者の方に適切に利用していただくことも非常に大切なことである。  海岸法の第一条の「目的」で、そういった意味防護に加えて環境と利用が加わったというのも、防護環境、利用を総合的に考え、またそれを調和させて海岸というものを考えていかなきゃいけないということでございましょうし、また河川法の第一条の「目的」に、洪水、高潮等の災害の防止、それから河川の適正な利用に加えて環境保全という項目が加わったのも、これも同じ趣旨だろうと思います。  いずれにしましても、何かをするということは何かを変えるということであるわけでございますが、私どもこの法律の精神に基づいてそれぞれが調和する道を必死で探りながら、よりよい海岸、よりよい河川とは何かというのを絶えず考えながら仕事をしていかなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  25. 福本潤一

    福本潤一君 環境というテーマになりますと、今ほとんどの大学に建設関係の学科がありますけれども環境という名前を入れることによって実態はともあれというところが現実にあります。例えば、昔は土木工学科で、環境建設工学科とか、名前がさまざま変わっていくわけです。公害問題でも、今、環境問題という形で現実には変わっていく。一つのネーミングを変えることによって態様が大いに変わっていくという側面は、大学の学科ですら起こっている。  これは、環境ということによって免罪符を得られるということがあると同時に、環境というものが地球環境、例えば国土環境地域環境というそういうオーダーの違いをある意味では無視した議論というのが結構進んでいるなというのが私自身の実感しているところです。地域公共土木事業をするときに、木一本切ってはいけないという形になると何もできない、今のままがいいと。では、今のままが本当に自然なのかというと、今地球上に自然のままというのははっきり言ってほとんどないぐらいの状況になって、人間が利用しやすいようにという形で改変してきておるわけでございます。  ですから、そういうオーダーの問題と同時に、議論が地球環境が即座に木一本という形に行くというところの問題に対しては、きちっと建設省、具体的に進めるに当たっては納得できる理由として、説得できるような話を示していただきたいというのが、地域地域環境地域を新たな公共土木事業によって環境創造するというようなケースには必要だというふうに私ども思っております。  そこで、具体的に前回私も、第十堰という徳島市だけの問題のように思われていたその堰に関して、岡崎委員質疑に引きずられるように、事前に投げていないまま七分ぐらいお話しさせていただきました。  この第十堰自体が現実にさまざま、建設大臣、マスコミから追われて映像で拝見させていただくことがかなりあるわけでございますが、徳島県だけの河川ではなくて、もちろん四国四県の大河川でございます。四国山脈のあの中央構造線をずっと横に走っている、四県全体に影響を与える河川。早明浦ダムができたときには、そのダムをつくるに当たって上流で治水と利水両面に役に立つ。池田ダムを経て、四国山脈の地下パイプを通して香川という満濃池もある、ため池もあるところへ水利用で大いに貢献する。ただ、徳島、高知というところはある意味では水没農家、ダム建設のために被害者となった、また洪水はさんざん受ける大河川で治水事業は全然できていない。ただ、香川は大変だから利水のために大きなダムをつくる。そうすると、徳島住民にとってはそういう大きな治水に対しての対策が絶対必要であるという要望であの第十堰が採択されたという経緯があります。  この第十堰は、ただ単なる徳島県一県にとどまらず愛媛県、また高知県、香川県、全部に影響を及ぼす。それが必要だという水計算も、徳島新聞が持っている四十センチぐらいの水計算のデータを、私だと読み切れませんので福本先生、水の関係の学者でしたので、これを読んでくださいということで私に持ってきて、読んだ上で解説したことがありますけれども事業としては必要な事業だなという実感を持っております。これは、長良川堰のときの水計算または地域の方々の状況と違うというのが私の認識でございます。  ここの観点で、関谷建設大臣、マスコミに誤解されているかもわかりませんけれども、ぜひともその真意をここでお話しいただければと思います。
  26. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先般のテレビのインタビューの前に先生の御質問をいただいておったらもっとスマートに答弁ができたんですけれども、今回の私のあの発言で私自身もいろいろ考えさせていただきました。  それで、住民の生命、財産を災害から守ることが建設省として大きな使命であるという大きな一つの柱が私はあると思うんです。そのために、私はこの可動堰は進めていかなければならないと思っておるわけでございますが、また反面、公共事業を進めるに当たっては地域住民の意思を尊重することも重要であります。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕 その際に、地域住民の方は、今度は事業の性質を十分に理解いただいて、自己責任を持って、例えば投票にせよあるいは統一地方選挙にせよ意思を表明していただきたいという思いが私にはありました。  それともう一つは、先般の委員会でも答弁させていただきましたが、先生指摘のようにいわゆる公共事業というと余りいい評価をされなかったことに対するいら立ちもございまして、ああいうような表現になったわけでございます。  したがいまして、この双方のことを満たすためにも、この吉野川及び第十堰の置かれている状況について誠心誠意地域に説明し、御理解をいただきながら、第十堰の可動堰への改築は必要でございますから、河川整備計画や環境アセスメントの手続を進めて、そしてこの事業を進めていくということで私は結論を出したいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  27. 福本潤一

    福本潤一君 そういう意味では、具体的に揺れないところの右左ではなくて、現実に今の御答弁が第十堰に関する正式な答弁というふうに受けとめさせていただきます。  私も地元の市議会の議員団には、住民の意識としてきちっとその合意を得られなければ事業というのは進まない、そういう時代になっている、だから住民投票は賛成だ、と同時に長良川堰の状況とは違う地元の状況で、むしろ住民の方が要望しているということが住民投票にも反映するように、むしろ第十堰の建築推進ができるような形での働きかけがないということはまた問題がある。だから、私は第十堰は賛成だということで地元の方にも言わせていただいていますので、住民投票が即反対ということではありませんので、ぜひともこの必要性というものを訴えていただいて、建設省も推進方を図っていただければというふうに考えております。  今回、海岸法で海の水と川の水という問題をやりましたけれども大臣答弁の後、固定堰と河川改修の方が費用換算したら安いというような記事も出たりします。私から見ると、環境から見たら固定堰の方がはるかに環境に対する悪影響は大きいわけです。ましてや、アユや何か魚ですら遡上するときの弊害になるのはむしろ固定堰ですし、砂の問題も含めて考えますと、上流からせっかく河口まで来たのにそこでせきとめられる、可動堰ですとその排砂も可能だというような形で、そういうところのメリットも含めて大いに説明していただければというふうに思います。  ということで、特に韓国や何かは日本に河口堰の建設技術を学びに来ているというぐらい日本はそういう技術も持っておるわけですから、必要なところは適切に手当てをしていただくというふうにしていただければと思います。  可動堰全体の話をさせていただいた上で、前回質問を残していた男木島、女木島の小さな話でございます。瀬戸内海全体でかなり海岸侵食が進んでおります。海岸侵食のときに、男木島、具体的に地元の土地が大変減っている、瀬戸内海全体でもかなりの面積が海岸侵食でなくなっているという現実があると思います。そうすると、法務局に登録していた山林地の面積がいつの間にかはるかに減っていた、道路も壊れてなくなったということがありまして、現場の方では、これはどういう形で工事採択されるような状況になるんだろうかといって不安がっている。  これはサンプルでございまして、ほかのところでも男木島に似たようなことはいっぱい起こっているわけでございますので、瀬戸内海の海岸侵食の実態とそれの対応策方を建設省にお伺いしたいと思います。
  28. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 瀬戸内海での海岸侵食につきましては、全国的に見た場合には比較的穏やかな進行状況で進んでいると思っておりますが、それでもやはり海岸侵食が進捗しているのは事実でございます。  これに対応いたしましては、面的防護方式と申しますか、沖合離岸堤人工リーフ等を設けることによって砂浜がつくような整備をし、それをもって波のエネルギーを消していくというふうな防護の方法がこれから主流になっていくというのは、全国の海岸と同様でございます。  また、瀬戸内海は非常に景観的にも大切なところでございますし、漁場等の意味でも非常に大切なところでございますので、整備をする区域につきましては十分環境にも配慮しながら進めてまいりたいと思っております。
  29. 福本潤一

    福本潤一君 また、個別の問題で具体例でお伺いしたいことはいっぱいあるわけでございますが、もう一つ、瀬戸内海の海岸侵食の原因として、川砂が少なくなって、建設工事で海砂が、川砂に劣るとはいえ大量に採取されているという現実が起こっています。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕 広島県では海砂採取業者が全業者逮捕されるとか、計画を超えて採取していたというようなことも起こっていますので、海砂に対する対応策、これを具体的に現状認識とともにお伺いさせていただければと思います。
  30. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 海砂の採取の問題は、確かに海岸侵食にとっても影響があるわけでございまして、例えば海岸法制定以前におきましては、もう既に民地の砂浜になっている部分をたくさん土砂採取されたことによりまして、非常に大きな侵食の原因になったという例もございます。  現在は、砂浜の砂を採取するということはさすがにございませんが、沖合の海底の砂を採取するということは行われておるわけでございます。ただ、沖合の海底になりますと、これは先生もよく御存じだと思いますが、水の深さと砂の動き方とまた波のエネルギーというのが非常に微妙な関係にあるわけでございまして、そういった意味での因果関係、一概にどうだこうだとは言えないわけでございますが、現実に海底の地形がどうなっているか等の調査は必要だと思っておりますので、海象観測、横断測量等の必要な調査を実施していくというふうな方向で、その影響の把握に努めてまいりたいと考えております。
  31. 福本潤一

    福本潤一君 これは多省庁にまたがる問題でございますので、関係部局とも連携をとり合いながら、この瀬戸内海の海砂問題に対する慎重な対応もお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  32. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 初めに、改正案と関係住民の意見反映について質問いたします。  現行法では、海岸の管理は国の公物の管理として知事に機関委任され、関係住民の意見を反映する保障はなかったと思います。今回の改正案では、海岸保全施設整備に関する案を策定する場合には、公聴会の開催とか関係住民の意見を反映する措置が位置づけられております。  そこで大臣、この措置で関係住民の意見反映がどれだけ保障されるのか、それがどうなのかという点について、まずお伺いいたします。
  33. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この法律案の中では、都道府県知事が策定する海岸保全基本計画について、海岸保全施設整備に関して必要に応じて公聴会等関係住民の意見を反映するための措置を講じなければならないだけではなくして、基本計画全体に関してあらかじめ地先の海岸に関する関係住民のニーズをよく掌握している関係市町村長や、海岸に関する専門的知識を持っている学識経験者の意見を聞かなければならないとなっております。  これらの手続によりまして、地域の実情に合った海岸保全基本計画の策定が行われるよう指導をしてまいりたいと考えております。
  34. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 改正案では、海岸保全全体を定めるものとして、海岸保全基本計画の策定が盛り込まれております。  基本計画は、海岸保全施設整備に関する事項はもちろん、防護すべき海岸の範囲とか目標、自然環境保全の考え方、公衆利用のための配慮事項など、まさに全体的な事項を定めるものになります。にもかかわらず、この関係住民の意見反映の措置を海岸保全施設整備に関する事項だけに限定した。これはなぜなんですか。
  35. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今お話しございました海岸保全基本計画についてでございますが、大臣が御答弁されましたように、海岸管理者が保全部分については計画を定めて、都道府県知事はそれを受けて計画を定めるということになっているわけでございますが、海岸保全施設整備以外の部分については、関係住民の意見を反映させるというようになっていないわけでございます。  これはどういうことかと申し上げますと、海岸保全施設整備以外の部分ということは、主として規制に関するものでございます。具体的には、ここは貴重な動植物があるから車の乗り入れは規制すべきではないかというふうなこととか、ここは海水浴が非常に盛んな地域であるから船舶の放置を規制すべきじゃないかとか、規制にかかわる部分でございます。  例えば、何が貴重な動植物か、それはどの範囲に存在するかということ等につきまして詳しいのは当該分野専門家であります学識経験者でございますし、また地先の海岸に関する関係住民のニーズをよく把握していらっしゃるのは市町村長であるわけでございます。  このような環境保全や適正な利用のための規制の部分につきましては、直接住民の意見を聞くよりも、学識経験者と市町村長の両者の意見を聞くことが適切という考え方からこのような案にさせていただいているわけでございます。そういった形で、結果的には専門的知見を持っておられる学識経験者と地域の総合行政を担う市町村長の意見を聴取することで実効は得られるのではなかろうかと考えております。
  36. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 確かに、これまでの法律と比べれば、今度の改正というのは関係住民の意見を聞くという点で前進だと思います。しかし、そういう規制部分について、当該の市町村長とかあるいは学識経験者とかそういう方々が専ら判断できるというのは、若干私は偏見ではないかなと思うんです。やはり地域住民でも、その地域の自然保護とか、そういうことをずっと長い間観察されている方もおられるわけで、ですから私はそういう方々も含めて意見を聞く、これが必要ではないかと思うんです。  海岸保全基本計画というのは、海岸整備保全に密接不可分の関係にあるわけですけれども海岸保全基本計画全体についても関係住民の意見反映を保障する、これが私は必要ではないかと思います。同じく、海岸保全区域の指定、また海岸保全基本方針についても保障されるよう考慮すべきではないかと思いますけれども、この点について大臣、いかがですか。
  37. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今のお話でございますが、まず海岸保全基本方針につきましては、これを制定する際には環境庁等の関係省庁と協議するとともに、学識経験者の方の御意見はぜひ聞きたいというふうに考えておるところでございます。  また、基本計画につきましては、これは県知事さんが策定されるわけでございますが、今先生お話しのように非常に専門的な知見を有した方がいらっしゃるのであれば、その方は学識経験者として専門的知見を有していらっしゃるというふうに知事さんが判断されれば、当然学識経験者としての意見をお尋ねになるということになるのではなかろうかと思っております。
  38. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 基本方針は、大臣が直接主務大臣になっているわけでございますので、その点について今局長からお話がありましたけれども、私は大臣としてこういう関係住民の意見反映について努めていただきたいと思っておりますので、その点について大臣にお伺いいたします。
  39. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) もちろん、これからのいろいろな公共事業といいますのは、住民の方々の声をあらゆる角度から掌握するというのは当然のことでございますから、その基本的な考え方で対処をしていきたいと思っております。
  40. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 なぜ関係住民の意見反映が大事か、そう考える理由というのは、実は私は静岡県の事例をもとに少し議論したいと思うんです。  静岡県の海岸は、総延長が約五百六キロある。海岸線は、相模灘、駿河湾、遠州灘に面する東西に長い形状となっているわけで、外洋の影響を受けやすい状況になっています。そのために、毎年高潮それからまた波浪等の災害がいろいろあって、国民の財産が失われる危険に絶えずさらされているという状況があります。また、海岸の侵食等によって海岸環境の悪化も著しい、さらには大地震発生の可能性も予測される、そういう地域です。  こういうところで、海岸保全、利用については現行法によって海岸保全区域が指定され、海岸保全施設整備海岸保全区域の管理等が行われているわけですけれども、これらの所管が建設省運輸省、農水省そして静岡県の所管部局に分担された結果、さまざまな問題が生じていると思います。  その点で、私は総務庁にお伺いしたいわけですけれども、総務庁の静岡行政監察事務所では、九七年八月から十一月の期間、建設省静岡河川工事事務所、建設省沼津工事事務所、静岡県を調査対象として、海岸保全、利用に関する地方監察を実施していると思います。海岸保全区域の指定及び海岸保全施設整備状況調査した結果と総務庁としての改善意見について、その概要を説明していただきたいと思います。
  41. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、私どもの出先であります静岡行政監察事務所におきまして、平成九年八月から九月に海岸保全利用に関する地方監察を実施しておりますが、その際、海岸保全区域の指定及び海岸保全施設整備に関しまして、次のような問題が見られました。  一点目は、海岸保全区域の指定に関しまして、異なる海岸管理者の管理する区域が重複して指定されているもの、それから河川区域や砂防指定地と重複して指定されているものがある。二点目といたしまして、海岸保全施設整備に関しましては、海岸堤防等に連続性のないものや他の海岸堤防等または河川堤防等と段差があるものがある。これは、調査した七十三海岸のうち五海岸で見られたところでございます。  このような調査結果に基づきまして、平成十年一月八日に私どもの事務所から静岡県に対しまして次の二点を通知しております。  一点目は、海岸保全区域の指定の状況を的確に把握し、他の海岸管理者との調整が不十分なまま指定が行われているものについては、速やかに区域の廃止、変更等の措置を講ずるとともに、連絡調整体制を整備すること。二点目は、海岸保全施設整備状況を的確に把握し、隣接海岸等の海岸保全施設あるいは河川施設との整合性を確保しなければならない海岸保全施設については、整備計画の策定とその実施に努めること。この二点を通知したところでございます。
  42. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今説明がありましたけれども、やはり放置できない状況があると思うんです。堤防に連続性がない、平たく言えば間があいていて波が来たらそのまま大変な被害に遭う、そういう状況が放置されているということです。こういう状況があるということがわかりました。  海岸保全区域の指定が、建設省などの国が指定する河川区域や砂防指定地などと重複して指定されたために、海岸管理者が国なのか県なのかわからない区域が生まれている。事故があったときに一体だれが責任を持つのか、そういうことがはっきりしない、そういう大変重大な事態だと思います。  さらにお聞きしたいんですけれども海岸保全施設の維持管理、海岸保全区域の管理状況調査した結果と改善意見はどうなっていますか。
  43. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 先ほどの地方監察のうちで、海岸保全区域の維持管理の問題につきましては、次のような問題が見られております。これは、県の管理する海岸も調べておりますし、国の直轄する工事区域内の海岸も両方調べてございますけれども、国の直轄区域に関しましての問題を申し上げます。  海岸保全施設の維持管理に関しましては、堤防が破損しているもの、無断で堤防に鉄筋等が打ち込まれているものなどがある。それから、海岸保全区域の管理に関しましては、不法占用の例といたしまして、海岸保全区域内に無許可で物置小屋、漁具倉庫、トイレ、自動車、電柱、くいによる囲い等が設置されているものがある。これは九海岸中五海岸で見られました。また、不法投棄の例といたしましては、区域内にコンクリートブロック、廃車、廃船、タイヤ、木材等が不法に投棄されているものがある。これは、同じく九海岸中四海岸で見られました。  このような調査結果に基づきまして、静岡行政監察事務所におきましては、平成十年一月八日に建設省の静岡河川工事事務所と沼津工事事務所に対しまして、次の二点の措置を講ずるよう通知いたしております。  一点目は、直轄区域の巡視をさらに強化して海岸保全施設の実態把握に努めるとともに、破損しているなど維持管理が不適切な施設につきましては早急に復旧等を行うこと。それから二点目は、直轄区域の巡視をさらに強化することにより、不法占用物件及び不法投棄物件の実態把握に努めるとともに、把握した物件については排除または占用許可の取得等適切な措置を講ずること。この二点を通知したところでございます。
  44. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設省、お聞きのとおりなんですが、やっぱりこういう放置できない状況があることがはっきりしたと思います。建設省の直轄工事の区域でさえ、こういう状況があるということもはっきりいたしました。その点で、私は重大な責任が問われるだろうと思います。  建設省所管のもと、なぜこういうような事態が起きるのか、その理由がどこにあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  45. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) なぜこういうことが起きるのかということでございますが、やはり各部局での連絡調整が最も大切なことではなかろうかと思っております。  この静岡行政監察事務所の通知を受けまして、静岡県におきましても、海岸行政を所管する関係各課で構成されます海岸連絡会議の充実を図るというふうな措置をとっておられますし、また私ども直轄におきましても、絶えず県との連絡を密にする中でこのようなことが起こらないように対応してまいりたい、かように考えております。
  46. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 連絡の調整が悪い、これは言いかえれば縦割りだということでもあると思います。縦割りということは、運輸省とか農水省との連絡が悪いということがあると思います。ただ、建設省の直轄の工事の場で指摘され改善意見が出されている問題についていまだに放置されているものがある、この点についてはどういう理由になるんですか。
  47. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) これは建設省と県との連絡調整、また直轄同士の事務所間の連絡調整も含めての連絡調整が必要であろう、それをさらに密にすることが必要だろうと考えております。
  48. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、もう一つ大きな理由があると思うんです。それは、先ほど私が述べました地域住民との関係だと思います。はっきり言って、私はなぜこういうことが起きるのかということをいろいろ調べてみましたら、やはり建設省の出先の工事事務所は建設省に比べれば小さい範囲を受け持っているわけですけれども、現場を知らない、そういうことがわかりました。ですから、やはり地域に密接に結びついている方々と絶えず結びついてそういう意見をいろいろ聞く、ここはこうなっているよ、堤防が壊れているよ、そういうことがわかれば、それに対する対応がとれると思うんです。  ですから、そういう点で私が最初に述べた地域住民との関係、意見反映をスムーズに行う、これを制度的にもきちっと確立する、このことがやはりこういう問題を直ちに対処する上で非常に大事だと思うんですが、その点いかがですか。
  49. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) おっしゃるとおり、建設省工事事務所またその最前線としましては出張所がございます。海岸を担当します出張所もあるわけでございますが、絶えずその出張所長のところには地域住民からの意見が入ってくるわけでございます。また、出張所全体でパトロール、巡視等もやるわけでございます。  いろいろ現地に出て現地の実情を見る、また地域住民の方とコミュニケーションをやる、また地域住民の方からいろんな情報をいただいてそれを実際に行政に移していく、こういった形で地域住民の方々の御意見をお聞きし、また情報をいただくという体制は現在もできておるわけでございますが、直轄におきましてもより密に地域住民の方々とコミュニケーションを深めるように、私の方からも指導してまいりたいと考えております。
  50. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設省が総務庁からこういう形で改善意見というか勧告を受けたというのは、今回だけに限らないわけです。今から十二年前に全国規模で行われた行政監察でも勧告を受けております。結局、私も調べてみましたけれども、同じことが繰り返し言われているわけです。また同じような場所で言われている。私は、こういうことが十年単位で繰り返されている、十二年前に指摘されたことが、またそのフォローとして行われた九七年の調査でも指摘されたことが今も直っていない。やはりこれは深刻に受けとめていただかなければならない問題だと思います、特に人命にかかわる問題ですから。こういう実情では、とても適切な海岸管理が行えないのではないか。  今回の法改正によって、こうしたことを進める上で前進できるという法的な根拠とか裏づけとか保証とか、そういうものはあるんでしょうか。
  51. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今回の法改正で、八条の二でございますが、「何人も、海岸保全区域内において、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。」ということで、「海岸保全施設その他の施設又は工作物を損傷し、又は汚損すること。」、「油その他の通常の管理行為による処理が困難なものとして主務省令で定めるものにより海岸を汚損すること。」、自動車、船舶等を放置すること、また、「その他海岸保全に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるものを行うこと。」といった規定が初めて盛り込まれたわけでございます。  これをもとに、海岸管理者としましても、より積極的にきちっとした海岸管理をしていくという条文を整えていただけることになるんではなかろうかと考えております。
  52. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、きょう静岡県の問題を取り上げましたけれども、十二年前には全国で幾つかありましたけれども、行われているわけです。やはり同様な問題があるわけです。  ですから、取り上げたのは静岡県の例だけれども、しかしこういう問題というのは全国各地にある。実態調査によって、そういう現状というのは建設省はつかまれておりますか。
  53. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 大々的な実態調査ということは、現在実施しておりません。  ただ、直轄であれば絶えず現場の出張所と地域住民の方々とのコミュニケーション、また県の部分であれば県庁内の連絡会議等を密にしながら連携を密にし、かつ地域の声を吸い上げるという努力をするように考えております。
  54. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長は、直轄であればと言われるんですけれども、私が今ここで述べたのは、直轄でこういう問題が起きているということなんです、すべてじゃないけれども。静岡県だけでも何カ所もこういう問題が起きている、あるいは不法投棄が行われているということがあるわけです。  今、全国の実態調査というのは実施しておりませんというお話でしたけれども、私はこういう機会に、いつとは言いませんけれども、やはりこれは近いうちに必要になると思います。全国の海岸状況はどうなっているのかということを全国的に建設省でしっかり把握する、そして人命にかかわる問題ですから、この問題にきちっとした対策をとる、これはどうしても必要だと思います。実態調査を全国的に行って適切、迅速な対応ができるようにする、このことはどうしても不可欠だと思いますけれども、その点、大臣いかがでしょうか。
  55. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今、先生お話しになったような実態調査の件でございますが、人命にかかわるようなものは私ども非常に大切なことだと思っております。  それにつきましては、早急に実態調査をしてまいりたいと考えておりますが、何から何まで全部ということになりますと大変な作業になりますので、人命にかかわるものというふうに私ども判断しましたことにつきまして調査してまいりたいと考えております。
  56. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まず人命にかかわるところ、これは緊急だと思いますし、今言われたようにしっかりと全国調査をやっていただきたいと思います。  また同時に、今の総務庁の報告によりましても、狭い範囲ではありますけれども、やはり海岸状況、例えば不法投棄の問題等々もあります。あるいはまた、堤防の破損の問題もある、あるいは鉄筋のポールが打ち込まれているとか階段がつけられているとか、そういう問題もあります。  やはり、こういう問題についてきちっと対処していくということがどうしても必要であると思います。もちろん、一斉に全国的に海岸調査すると膨大な作業になると思いますので、これは軽々にすぐにとは言えないかもしれません。しかし、そういうことを視野に置いて、今局長が言われたように人命にかかわる問題については早急に調査するということを進める、そしてさらに全国的な調査をやはりきちっと位置づけて折を見て進めていく、これはどうしても必要だと私は思いますけれども、最後にその決意を大臣にお伺いして、質問を終わります。
  57. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 御指摘の意図するところは全く同じ考え方でございまして、できる範囲内において一生懸命調べていきたいと思いますし、かつまた、住民の方々もそういうようなことで遠慮なく地建等々また事務所等々に御報告をいただきたいと思います。
  58. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  59. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 昭和三十一年に海岸法が施行されて、その十年後、昭和四十五年に入りまして今の海岸事業五カ年計画ということがスタートをするわけですけれども、この長期計画を策定するという方向に踏み切った背景と経緯について、お聞かせをいただきたいと思います。
  60. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 海岸法が制定されましたのが昭和三十一年でございます。その後、三十四年の伊勢湾台風、あと三十五年のチリ地震津波がございました。こういったように、毎年のように重大な海岸災害が起こったわけでございます。  このような状況下にありまして、海岸保全事業をより強力にかつ計画的に実施すべきではないかという声が強く起こりまして、国会におかれましても昭和四十一年三月に海岸法の一部改正をしていただいたわけでございますが、その一部改正に際しまして附帯決議といたしまして、長期計画の速やかな樹立をすべきであるというふうな決議が行われました。  こういったことを受けまして、昭和四十五年度を初年度といたします第一次海岸事業五カ年計画が策定されたわけでございます。以後、逐次改定を行いまして、現在は平成八年度を初年度といたします第六次七カ年計画に基づいて事業を実施中ということでございます。
  61. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その第六次海岸事業七カ年計画ですけれども建設省は四千四百五十八億円、農水省が三千九百十七億円、運輸省が五千二十五億円という計画で、総額が一兆三千四百億円ということになっております。その進捗率が、平成十一年度の予算案が終わったところで、金額的にはそれぞれ農水省が六八・二%、運輸省が七二・二%、建設省が六五・二%という数字をいただいております。  金額的にはこういう状況で進んできておりますけれども、実際に目標とされました施設整備とか高潮、侵食対策とか、あるいは地震・津波対策、面的防護の推進あるいは海岸における緑の拡大、海辺へのアクセスの改善あるいは砂浜の維持・復元・創出、これらの目標に対してどれだけ進捗しているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 今おっしゃったように、第六次海岸事業七カ年計画におきましては、津波、高潮、波浪等によります災害及び全国的に顕在化しております海岸侵食に対処するとともに、自然と共生し、快適で潤いのある海岸環境保全と創出を図ろうとしているわけでございます。この中で、災害関連事業、地方単独事業等を除いて七カ年で総額一兆三千四百億円を投資することにしているというのは先生お話しのとおりでございます。  平成十年度末の状況でございますと、金額的には約五四%の進捗率でございます。今先生がおっしゃったのは十一年度の予算も入れて六八・七%ということでございますが、十年度末で見ますと五四%でございまして、施設整備の方は十年度末でしか比較できないものでございますのでそれでお許しいただきたいと思いますが、整備が完了している海岸の延長というものを分子にしまして、それから防護が必要である海岸延長を分母にいたしまして、それで割り算をいたしました施設整備率というものを私ども指標として持っているわけでございます。これは、平成七年度末が約四一%でございます。平成十四年度末で約四八%ということを目標としておるわけでございまして、平成十年度末での進捗は約四五%程度になるものと推定しておるところでございます。
  63. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 平成十年一月三十日の閣議決定で、財政構造改革の推進に関する特別措置法の第十五条一項に基づいて五カ年計画から七カ年計画に変更されました。その七カ年計画に基づいての今進捗率というふうに理解をしております。  この財政構造改革法が凍結をされましたけれども、この海岸事業はその凍結による影響はないのでしょうか。変更は全くしないのでしょうか。
  64. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 財政構造改革法の施行が凍結されたわけでございますが、昨年八月の平成十一年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針というのが閣議了解でございますが、ここでは、既に措置された計画の延長等については既定の方針に沿って引き続きその推進を図るものとされていることもございまして、これは海岸だけには限らないわけでございますが、計画内容の見直しの検討は行わなかったということでございます。
  65. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 公共事業全般に見直しが行われたというふうに承っておるんですけれども、なぜこの海岸事業だけは見直しが行われなかったのでしょうか。
  66. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) この海岸事業に限らず、すべての公共事業につきまして、既に措置された計画の延長等については既定の方針に沿って引き続きその推進を図るものという閣議了解になっているわけでございます。
  67. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この第六次海岸事業計画が終わった段階、いわゆる平成十四年です、今度終わるのが。これのポスト海岸事業計画というのはどんなことになるのでしょうか。
  68. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 次の五カ年計画、もしくは七カ年計画になるかもしれませんが、次の中期計画におきましては、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、砂浜保全、復元を主体とした整備、また動植物生息生育地の保全、自然との共生、公衆の適正な海岸利用の促進等によりまして、防護環境、利用の調和のとれた海岸が形成されるよう、関係者の御意見も十分お伺いし、次の中期計画にも適切に反映させてまいりたい、かように考えております。
  69. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この改正案が施行されるのは一年後ということだというふうに思っておりますので、この法律に基づいた海岸の基本計画がつくられて、そしてそこから海岸事業というのがまた新たにスタートをしていくということは極めて当然のことでありまして、今までの閣議決定による事業計画に基づいて行われてきた海岸事業計画そのものが、本来ならば財政民主主義の建前からすれば法律に基づく事業でなければならないということはこの間も申し上げました。その観点からいたしますと、第七次になるのか新しい第一次ということで立ち上げるのかわかりませんけれども、新しい改正法にのっとってぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。  そして、さらに直轄の海岸事業のあり方ですけれども、地方分権推進委員会では、できるだけ直轄事業は縮小し、地方公共団体にその事業をゆだねていくべきということで、推進委員会の方向というのが出されておるわけでございますけれども、九九年三月に第二次地方分権推進計画の見直し要綱が出されておりますけれども、その中で直轄事業のあり方、総額について十億円から五十億円にというふうに変更になるわけですけれども、この海岸事業において見直しをしなければならないようなことが起こり得るのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
  70. 青山俊樹

    政府委員青山俊樹君) 直轄事業の見直しにつきましては、今先生お話しのとおり、平成十年十一月の地方分権推進委員会の第五次勧告を踏まえまして、政府といたしまして平成十一年三月に第二次の地方分権推進計画を定めまして、地方分権推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくということになったわけでございます。  直轄海岸事業につきましては、海岸法第六条に直轄事業の要件が規定されているわけでございますが、工事の規模が著しく大きな場合や工事に高度の技術を必要とする場合など、国土の保全上特に重要な場合に限定して実施していくということになっておりまして、今回の地方分権推進計画におきましては、予算制度上の採択基準の総事業費に関しまして十億円から五十億円に引き上げることによりまして直轄事業の重点化を進めるとともに、引き上げた基準に照らし改めて個々に現在の直轄事業を点検し、見直すものとしているところでございます。  また、今回の法律で沖ノ鳥島が全額国費負担で直轄管理ということを理解しているわけでございますが、これにつきましては、本来国がやるべきことは国がきちっとやるということについて、地方分権の趣旨には反しない、むしろかえって沿ったものであるというふうに考えております。
  71. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、最後に大臣に今回の海岸法改正に当たりまして、新たな海岸侵食を抑えさらに日本の国土を守っていくという観点、それから地方分権を進めながら地方が望む海岸整備のあり方というものを一体となって進めていくという観点、それから環境庁ともしっかりと連携をしながら日本自然環境そのものも守っていくという観点からの建設大臣海岸事業における取り組みに対して強い決意をお伺いいたしまして、終わりにいたします。
  72. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 毎年いろいろな法律が改正されたりあるいは新たにつくられたりするわけでございますが、それはいわゆる時代の変遷にのっとって国民の要望も変わってまいりましょうし、国の立場からいえば財政的な裏づけも変わってまいりましょう。そして、ましてや今回は環境という大きな問題を抱えての法改正でございます。  その中にあって、地方分権あるいは自己責任というような社会的な考え方が大きく前進している中での海岸法改正でございますから、先生指摘のように環境庁とも十分に連携を密にし、そしてまた地方分権の趣旨にも沿って、そして先ほど局長答弁いたしましたように、直轄事業というのは、本当にこれはあくまでも直轄の範囲というのはきちっと決めておりますから、その範囲内で直轄事業はきちっと行っていくという考え方でございますので、美しくて安全でビビッドな海岸をつくるということでやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  73. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海岸法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  74. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  75. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました海岸法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     海岸法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、海岸保全基本方針の策定に当たっては、海岸環境重要性にかんがみ、環境庁との連携を密にするとともに、海岸に関し高い識見のある者から幅広く意見を聴き、海岸環境保全に特に努めること。また、海岸保全基本計画の策定に当たっては、地域の実情に即した海岸の管理がなされるよう十分配慮すること。  二、離岸堤人工リーフ等海岸保全施設に係る整備事業の実施に当たっては、総合的な土砂管理対策が適切に推進されるなかで、海岸海洋環境保全に配慮しつつ、効果的かつ効率的に行うこと。  三、市町村が行う海岸の管理については、当該市町村における適切な管理が確保されるよう地方交付税等の措置の配慮を含め、その支援に万全を期すこと。  四、限られた財源のなかで海岸事業効果的な実施を図るため、コスト縮減等技術開発に努め、美しく安全でいきいきした海岸の実現を目指し、総合的な視点から海岸事業の充実に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようにお願い申し上げます。
  76. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  77. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷建設大臣
  78. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) ありがとうございました。  海岸法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました関係省庁との連携による海岸環境保全、総合的土砂管理の推進、市町村が適切な海岸管理を行うための配慮、効率的な海岸事業の実施等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
  79. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  81. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  環境事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 自由民主党の長谷川道郎でございます。  本改正案は特殊法人の整理統合の一環としての位置づけでございますが、おおむね良好な改正案ではないかと思うわけでありますが、事によるとまだ合理化する余地があるかどうかという観点で何点か質問をさせていただきたいと存じます。  この事業団の業務の一環に、産業廃棄物処理施設並びに一体緑地の設置という項がございますが、産業廃棄物問題は今まさに緊急的な問題でございまして、現在での最終処分地の余地、土地のキャパシティーというのは、首都圏では〇・九年分、もう一年分を切っております。全国でも二・六年分、このままで進行すればいずれにいたしましても二年半以内にギブアップということになるわけでございます。  一方、生活環境の問題で各地で産業廃棄物処理場の設置について非常に大きな激しい強い住民運動が起こったわけであります。また、岐阜県、岡山県、宮城県、千葉県、熊本県におきましては、住民投票で産業廃棄物処理場設置の取り消しの是非を問う住民投票が起こりまして、熊本県では一万六千人を組織いたします訴訟が起こっている大変な大きな問題になっておるわけであります。  環境事業団で産業廃棄物処理施設並びに一体緑地について今度新しくお取り組みになるわけでございますが、この概要についてまずお伺いいたします。
  83. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 廃棄物処理施設の立地が進まない中で、各地で廃棄物の最終処分場の残余容量が逼迫しつつあることは先生指摘のとおりでございまして、廃棄物処理施設整備による廃棄物の適正処理の推進は環境保全上重要な政策課題となっております。  こうした産業廃棄物処理施設整備、促進を図るためには住民の理解を得ることが第一でございまして、そのためには環境事業団の持てる技術力であるとかあるいは信頼性を活用していくことが有効であるというふうに考えております。  これまで、既に産業廃棄物処理施設については、事業団では平成四年の法律改正に基づきまして取り組みをさせていただいておるわけでございますが、一方で、地元自治体等からは、産業廃棄物処理施設建設とあわせまして一般廃棄物処理施設建設してもらうことが市町村の一般廃棄物処理施設に資するとともに、住民の理解と協力を得やすくなるので、産廃、一廃のあわせ処理を行ってほしいとの要望が出されているところでございます。  このような要望を受けまして、廃棄物行政推進のため、今回の改正におきまして、環境事業団の建設譲渡事業の対象を産業廃棄物にあわせて一般廃棄物を処理する最終処分場に拡大することを提案申し上げておる次第であります。
  84. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今お話のございましたように、従来産業廃棄物の処理施設だったものを一般廃棄物の処理と一体化して設置するということ、これは大変有効なことであると思うわけであります。  ちょっと私が疑問に思いますのは、産業廃棄物の処理施設というようなことは、一義的には事業者の責任もしくは地方公共団体の責任において設置すべきものであるというふうに考えるわけであります。そういう性質のものである産業廃棄物処理場、また今度は一廃も合併処理ということになるわけでありますが、今、地方公共団体や産業廃棄物処理業者が各地でいろいろ事業を進行しているわけでありますが、そういう中で第一義的ではない事業団がいわば現業の部門になぜ進出をしなければならなかったのか、そこら辺の意味についてお伺いいたしたいのが一点。  それから、いただきました資料で、必要と認められた地域に設置をするという項目が一項ございますが、この必要と認められた地域というのは、お役所の用語であるかもわかりませんが、どういう意味であるのか、この二点についてお伺いいたします。
  85. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  環境事業団が対象といたしますところの廃棄物の最終処理場の建設譲渡事業は、産業廃棄物の処分場一般ということではございませんで、今の御質問の二点目にもかかわるわけでございますが、緊急かつ広域的に整備すべき施設に限定いたしております。  要は、私どもがこれまで対象としてきておりますところの産業廃棄物の処理施設建設譲渡事業につきましては、対象は地方公共団体、それから地方公共団体のみの設立による民法法人、それから地方公共団体が一部を出資して設立したいわゆる第三セクター、これに限定いたしておるところでございまして、こうした公的主体が設置するものを対象といたしております。  他方、二点目の、先ほど若干触れましたが、要件につきましては、そんなことから広域的な処理が必要であると認められる地域で、最終処分場の残余容量がおおむね二年以下の地域というような縛りをまずかけまして、また一方で、当然、都道府県、市町村あるいは第三セクター等がやるものに限定していることもありまして、最終処分場の面積がおおむね十ヘクタール以上、または埋立容積がおおむね三十万立米以上の極めて大きなものを対象とするというようなことを定めている次第であります。
  86. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 お話でよくわかりましたが、あえて事業団が緊急かつ広域的な観点から処理場並びに一体緑地を設置するという、これは私どもからすれば、いわばパイロット的な事業、先端的な施設でなければ意味がないと思うのであります。  国内三カ所で設置をされているようでありますが、何か今までの既存の施設に比べてはるかに先端的な技術もしくは先端的な手法といったようなことで、いわばパイロット的な事業としてこれが取り組まれておりますのかどうか、その点をお伺いします。
  87. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘のように、平成四年度に法律改正お願いしまして、産業廃棄物の処理施設整備に取りかかりまして、現在、三地域において進行中でございます。そのうち出雲地区についてはもう遠からず完成にという段階まで来ております。  事業団の、先ほどの中でも技術力、信頼度ということを若干申し上げさせていただきましたが、きちんとした遮断の工事をするというあたりにつきましては極めて高い信頼を得ておると考えております
  88. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 お話にございましたように、技術的な問題、技術力、信頼性についてというお話でございました。  冒頭申し上げましたように、産業廃棄物は極めて緊急的な問題でありますし、実は地方公共団体の長が今一番弱っていらっしゃる大きな問題の一つであります。ぜひひとつ、私が申し上げましたように今国内三カ所で設置をされたわけでありますが、地方公共団体の長がごらんになってパイロット的な事業であるというような、ひとつそういう観点でお進めをいただきたいというふうに要望させていただきます。  続きまして、先ほど冒頭申し上げましたが、産業廃棄物の処理場について、全国で極めて強い反対運動、また住民投票、訴訟等が起こっております。その結果、産業廃棄物処理場が建設中止になったというケースがたくさんあるわけでございますが、住民投票について、これはちょっと難しい問題でありますので私自身もちろん解答を得ておりませんし、難しい問題でありますが、例えば岐阜県の御嵩町では住民投票の結果八〇%の反対で処理場建設が中止というか延期になっております。  私はかつて学生のころ、地方自治というのは民主主義の学校である、住民の意思を吸い上げるためにはありとあらゆる努力をしありとあらゆる試みをしなければならない、そういうふうに教わったわけであります。地方自治の歴史は戦後五十数年あるわけでありますが、民意を正確に把握する、そしてその正確に把握した民意を行政に反映させるという点では、まだ日本の地方自治は未熟であるかもわかりません。しかし、住民運動、住民投票の結果、産業廃棄物の処理場建設が断念をされたとしても全く問題の解決にはならないわけであります。ただしかし、ノット・オン・マイ・バックヤード、うちの近所でなければいいというそういうものは、単なる住民エゴだからというだけではまたこれは片づけられないわけであります。  そのせめぎ合いといいますか、その兼ね合いといいますか、これについて今の政治学では解答を得ていないと思うんです。私にとっても最大の問題であると思うわけでありますが、住民のそういう御意向と、そしてどうしても産業廃棄物は緊急的に処理をしなければならない、こういう問題のせめぎ合い、さっき申し上げたように地方の自治体の長が大変苦労されているところがたくさんあるわけです。これについて、いかがお考えになりますか。
  89. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境事業団が建設譲渡する廃棄物処理施設につきましては、周辺住民の理解と協力のもとに事業を実施することが必要でありますし、またそうでなければできないというものでもあります。そんなことから、環境事業団による廃棄物処理施設建設譲渡事業につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように高度の技術的ノウハウ、また極めて高い信頼性といったことのもとに行われることから、住民の理解が得られやすい手法であるというような一般的な地方団体の方々の評価をいただいておるところであります。  そんなことから、今先生お話の住民の意思と公共の利益の整合性という問題につきましては、私ども事業団の現在御審議をお願いしている提案との関係で申し上げれば、せっかくそういう評価を受けている環境事業団の高度の技術的なノウハウと信頼性が損なわれることのないように一層事業の充実に努め、それによって先生先ほど御指摘のありましたように、あるいはパイロット的であったり先進的な取り組みをも模範的に示せるようなものにしていくことが、少しでも先生の問題提起に対しておこたえする道ではないかというふうに考えております。
  90. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 産業廃棄物法、九八年の改正で、認定に当たってはあらかじめ地方自治体の意見を聞かなければならないという一項が入ったわけでありますが、この程度ではなかなか問題は解決しないと思うんです。今局長がおっしゃったように、まさに技術力、信頼性というものをいかに担保できるかということであり、大変難しい問題であるわけでありますが、今後とも私が申し上げたような観点でお取り組みをいただければと思うわけであります。  次に、本事業団の事業で、産業廃棄物処理促進事業ということで、技術開発並びに情報提供というような項目があるわけであります。しかし、産業廃棄物の処理につきましては、例えば厚生省ですとか通産省の所管事務であるわけでありますが、ここでなぜあえて事業団が産業廃棄物処理の技術開発情報という問題について手がけなければならないのか、その点についてお伺いいたします。
  91. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ただいま先生指摘のように、廃棄物処理技術の開発取り組みを強力に支援していく、そして自治体及び廃棄物処理業者が導入可能な廃棄物処理技術の整備を行うための支援をするということを現在御提案申し上げておるわけであります。  まず、私どもこの取り組みにつきましては、環境事業団は環境庁が全般的な統括をいたしておりますが、現在もそれぞれの仕事の中身に応じまして通産省あるいは建設省あるいは厚生省等々に支援をしてもらいながら一体となって運営しているというのが前提にございます。したがって、そうしたただいま御提案いたしておりますところの技術開発支援等につきましても、より具体的な実践的な課題として取り組みをさせていただこうとして提案させていただいているわけであります。
  92. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 続きまして、事業団の、これは前からあった事業でありますが、建設譲渡事業についてお伺いいたします。  この事業団は、集団設置建物事業というものがあるわけでありますが、こういった類似の事業につきましては、地方公共団体の例えば工業団地ですとか、地域振興整備公団の工業団地、また通産省においても高度化資金、合理化資金、それから各、国の金融機関、中小公庫、国民公庫、また地方自治体の融資等でかなり大きく網を二重三重に網をかけられている事業ではないかと思うわけでありますが、これにつきましてもなぜ環境事業団の事業としたのか。それについて御説明をお願い申し上げます。
  93. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  環境事業団の行っております企業団地の建設譲渡事業は、いわゆる住工混住地域におきますところの産業公害を防止するために、工場、事業場を移転集約化するために必要な建物等を建設譲渡するものでございます。本事業は、住民の方々からの苦情等によりまして、例えば地方公共団体の環境部局等からの要請により実施される例が多いわけでございますが、これによりまして、工場の移転を伴います公害、環境問題の抜本的な解決の手段となっておるところでございます。  もちろん先生指摘のように、地域振興整備公団が工場団地を造成して、入居者といいましょうか利用者を募集するというような形の手法のものもあるわけでございますが、それに比べますとこの環境事業団のものは、むしろ既存の工場、事業場が現にあって、幾つかのところが組合をつくって、一体的にそういう場所に入りたいからつくってほしい、それに伴って自分たちのそれぞれに合った建物も一緒にあわせてつくってほしいという形のものでございまして、言ってみますとオーダーメード型の事業であると同時に、それだけに中小企業、零細企業とも多いということもありますので、規模的には地域振興整備公団などが大がかりな団地造成をするものに比べますれば、やや小さいかなというような特色があるわけでございます。
  94. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 中小企業は、申し上げるまでもなく経営規模の問題で、また廃棄物というようなものについての投資が極めて困難であるケースが多いわけです。そういった意味で、この集団建物設置というのは、私は一つの大きな意義があると思うのです。  ゼロ・エミッションということでの物の考え方でありましょうが、ゼロ・エミッションというのは中小企業の場合はなかなか一社だけで、例えば今アサヒビールがやっておりますが、アサヒビールクラスの大きな会社であればゼロ・エミッションは単独でできるわけでありますが、中小企業の場合はなかなかそうはいかない。したがって、こういう集団的な集まりでゼロ・エミッションが一種のコンビナート、その地域の中でA社から出てきた廃棄物をB社が利用する、B社の廃棄物をC社が利用するというような、いわば新しい形でのコンビナート、そういうことを念頭に置いた集団建物設置ではないかと思うわけであります。  先ほどと同じ問題でありますが、これもひとつパイロット的な事業として、今、振興公団や各地でやっておりますことのまさにモデルプランとなるような事業を展開していただきたいというふうに考えるわけであります。  続きまして、これは関連質問でありますが、地球温暖化の問題について二、三お伺いをさせていただきます。  環境税の問題でありますが、これは一九九一年にOECDのガイドラインで環境税という問題が出てまいりました。環境庁の庁内でも、環境税検討会を設置されているというふうに伺っております。環境税であるのか、炭素税であるのか、その炭素税と環境税の定義がどういうものか、まだ私どもよくわかっていないと思うのであります。もう一点、目的税にするのか一般財源にするのか、ややこしい問題がいっぱい出てくると思うのでありますが、環境税について現在までの環境庁の基本的なお考えをお伺いしたい。
  95. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  環境税を含みますところの経済的手法と申しておりますが、こうした経済的な誘因を与えることによりまして事業者や国民が環境保全に適した行動をとるように促す政策手法でございまして、これにつきましては環境基本法及び環境基本計画においても極めて有用な手法であるということが明記されているところでございます。  環境庁といたしましては、環境税を含む経済的手法は、一つには地球温暖化問題や、また大気汚染あるいは廃棄物問題などの対策として有効な手段と考えておりまして、その活用につきまして幅広い観点から検討を行っているところでございます。
  96. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 幅広い観点から検討をやっていらっしゃるということでありますが、平成九年の環境白書に記載がございまして、環境に係る税・課徴金等の経済的手法活用研究会の最終報告が出ております。地球温暖化を念頭に置いた環境税のオプションが具体的に示されております。かつ、中央環境審議会でも同様の議論がなされたというふうに伺っておりますが、中央環境審議会での議論並びに先ほどの研究会でのオプションについて御説明をお願い申し上げます。
  97. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 中央環境審議会におきましては、平成九年十一月に地球温暖化防止対策のあり方について審議を行った際に経済的措置の導入についての検討が行われまして、中でも炭素税についての議論がございました。  そこにおきましては、低い税率でも地球温暖化防止対策の補助金として効率的に使用することで効果があるといった意見がある一方で、二酸化炭素の削減について大きな効果を得ようとすれば経済への影響が大きいといったような議論もございまして、国民的な理解を促進するために、各界を交えた幅広い視野からの意見交換を行って議論を深めていく必要があるのではないかということになったところでございます。  一方、先生指摘環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会、これは私どもが別途諸先生方にお集まりいただきまして検討をお願いしているものでございますが、ここにおきまして平成九年十月に地球温暖化を防止するための具体的な税のオプションとして四つのものをお示しいただいたところでございます。  これは先ほどの議論とも絡むんですが、低税率のかわりに集まった税を補助金として使う、あるいは補助金と併用するという形のものが一つでございます。一方で、今度は北欧型の炭素税というのをそのまま例といたします。これはそれだけ税率も結構高いわけでございます。それから低税率、補助金併用型の炭素・エネルギー税。炭素税だけじゃなくてエネルギー税もあわせて、炭素税とエネルギー税をいわば半々にするという形になっております。それからさらには、国際配慮型の段階税率炭素・エネルギー税。炭素税とエネルギー税を両方足したところは三番目と同じでございますが、国際的にも配慮しながら税率を順番に段階を追って上げていく。こんな四つほどのものをオプションでお示しいただきました。  これはどれがいいということでお示しいただいたのではなくて、炭素税にしろ環境税にしろ、みんな議論は幾つか進めておりますが、漠としておってなかなかつかみどころがない、具体的な姿がわからないと議論ができないではないかということで、具体的な議論を喚起するために四つの形をお示しするというのがこの研究会の御報告の中身でございました。
  98. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、局長お話しのように、一種のケーススタディーで幾つかのオプションが出されたと思うのでありますが、問題がないわけではございません。  これは新聞報道でありますが、例えばガソリン一リッターに二円の炭素税を課するという。二円程度では効果が疑わしいという点が一点。それから、今ガソリンですと一リッター五十四円の税金負担があるわけであります。これ以上の担税に耐えられるかどうかというような問題があります。最も大きな問題は、今の経済状況の中で果たして新しい税金というものが検討できるか。炭素税にしろ環境税にしろ、これは一種の消費税であります。消費者へ最終的にその税金が転嫁されるわけであります。これは試算でありますが、モデル世帯で年間六千円か七千円、金額的にはわずかな金額でありますが、六千円か七千円の新税ということになると思います。  大変難しい問題であると思うのでありますが、今、環境税、幾つかのオプション、また審議会での答申についてるるお伺いいたしましたが、環境庁は今後具体的に環境税、炭素税についてお取り組みになる御予定がおありになりますかどうか。
  99. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、中央環境審議会の議論等でも、国民的な理解を促進するためには各界を交えた幅広い視野からの意見交換が必要だという御指摘をいただいております。これまで、私どもは二度にわたっていろんな研究会で議論をしていただき、先ほど申し上げた四つのオプションという提示も議論の素材としてちょうだいいたしたわけでありますが、そうしたいわば学問的な議論なり議論の整理の段階から、もう少し国民的な理解を促進するといった観点からの議論が必要だろうということで、十年三月には新たに環境政策における経済的手法活用検討会というのを設置して、検討をお願いしております。  この違いは何かといいますと、参加していただく先生方が、従前ですと税法の先生だとか環境関係専門家先生であったわけですが、実際に消費者の方であるとか実業家の方々にも入っていただいて、実践的な検討をしたいということで進めているところのものでございます。
  100. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今後、地球環境の問題、地球温暖化対策という問題で、当然のことながら炭素税、環境税という問題が俎上に上らないはずがない、上らせなければならないと思うわけでありますが、先ほど申し上げたように一種の消費税である点、今この時期に新たな税金をということになりますと、なかなか大変な問題であります。  局長の先ほどの御答弁で、国民的な議論を促進しなければならないというお話がございました。これはもちろん重要なことでありますが、国民的な議論を促進する前に、実は政府内部の議論も促進していただかなければならないんじゃないか。通産省の産業構造審議会では、環境税、炭素税について、これは公平性を欠く、効果に疑問がある、したがって事実上反対であるというふうな、事実上反対とは書いてありませんが、事実上極めて問題があるという通産省の審議会の答申もございました。  大変難しい問題でありますが、いずれ取り組まなければならない問題でありますので、ぜひひとつ積極的にお取り組みをいただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  101. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  先般、決算委員会のとき、それぞれまた大臣質問をさせていただきました。その中で、おとといの閣議で、多岐にわたる環境行政を遂行するにつけては、どうしてもやっぱり人員の少なさ、これを訴えていただいたわけでありますけれども、私は、行財政改革それからまた省庁再編、これはある意味では二十一世紀に向けた役所のめり張りがあっていいのかと。本当に長い中での、その時々にこの行政が大事であるというめり張りが当然あると思うんです。  ですから、一蓮託生のごとく小さな政府といいながらも、その中でその時に合わせた、役所がやらないことについてはそれに該当せずというぐらいの気持ちでぜひやっていただきたい。  今、廃棄物の話が長谷川議員からありまして、また本当はきょうは公団の話でありますけれども、公団の話はそれこそ後段の方にしますけれども、前段階で、いわゆる産業廃棄物とそれから排出ガス、これは経済活動が続く限り必ずあるんです。これは、人類が出現して火を使ったときから温室ガスの話が当然あったと思うんです。  そういうふうな一つの歴史の流れの中で、なぜ環境問題が問題になってきたのかということは、まさしく私は、過去に言ったかもわかりませんけれども環境、自然というのは人が生活するについての必要条件なんです。しかしまた、車社会とかテレビ、冷蔵庫というのは十分条件なんです。その十分条件が盛んになっていわゆる必要条件も侵してしまうということは、これはまさに人類の滅亡につながるわけであります。  京都会議の中で、排出ガスを削減しようというのはそれぞれの国で大変な決断があった。特にアメリカ経済とヨーロッパ経済、また文化も全然違うわけですから、そういうふうな中で日本がこの環境問題について二十一世紀にどういうふうな方向性を示すかというのは、私は、アメリカ型になるんですかヨーロッパ型を選択するんですか、まさにその選択だと思うんです。  その中でのいわゆる排出ガスのマイナス六%と、それぞれの分担があったわけで、昨年この法案を成案して、大臣はブエノスアイレスへ行って頑張ってこられた。最近の新聞で排出ガスのいろんな話が出ておるわけでありますけれども、最後までこの問題について議論し、そのアクションプログラムまでは行かなかったが、この次、六回目で決めようということになったというふうに聞いております。  その方向性を決めるに至った経緯と、それからどういうふうな問題点があったのか、その辺についてのお伺いをしたいと思います。
  102. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) COP3の京都会議において決められた議定書というのは、大変立派なものであったと世界からも評価され、また我が国としてもその意識を強く持って責任を果たしていかなければならない、こう考えて私も就任以来その問題に取り組ませていただいたわけであります。  そこで、COP4に臨む前に、何としても発展途上国を見、そしてまた先進国にも参りまして意見交換をしたいということで、私は中国とアメリカに参りました。  中国はまさに発展途上国の最たる国でありまして、中国とインドを制しておかないと途上国の理解は得られないということが私の脳裏にあったわけであります。いろいろと話し合いをいたしましたけれども、中国の今の経済社会情勢からいってなかなか先進国並みの取り扱いをしていくということは難しいということにも気がついたわけであります。  その中国訪問の足を踏まえて、すぐさまアメリカにも参りまして、アメリカに参るときにはブエノスアイレスの会議の前であったわけでありますけれども、いろいろ意見交換をさせていただきました。  アメリカは京都会議において七%の削減計画を出していただいたわけでありますから、それを実効あらしめるためにいかなる対策を講じておるかということで意見交換いたしたわけでありますけれども、アメリカはアメリカなりの事情がありまして、なかなかその目的を達成するのは難しいような意見もあったわけであります。しかし、京都会議で決められた問題に対しては協力してほしいということで、実はアメリカがまだ京都議定書に対する署名をしていなかったものですから、どうしてもそれは急いでやってもらわなきゃならないという要請をいたしましたら、ちょうどブエノスアイレスの大会の開催途次でありましたけれども、署名をしていただきました。  私はこの交渉を通じて感じたわけでありますけれども先進国といえども我が国からの強い働きかけがあればこそそういうような署名の段階にまで至ったんじゃないかと思っておるわけであります。しかし、署名だけではいかないわけでありまして、それが発効あらしめなきゃならないわけでありまして、その後の努力もしていかなきゃならないと思ったわけでありますけれども、私は言うべきことをちゃんと言って、そしてお互いが協力し合ってやっていくという体制だけは何としてもつくっていかなきゃならない、こう思ってCOP4に出席させていただいたわけであります。  そこで、二国間交渉であるとか全体会議であるとかいうようなところで我が国の主張もいたしたわけでありますけれども、どうしても全体会議になりますと、本音が出ずに建前でいこうと、先進国、途上国等の仲間意識もありまして、なかなか意見の一致ができないわけであります。しかし、ブエノスアイレスでは、アルソガライというアルゼンチンの環境大臣に大変頑張っていただきまして、アルゼンチンで行動計画書をつくっていただいたわけであります。ブエノスアイレス行動書でございますけれども、その行動計画書に沿ってやっていこう、COP6までにはそれを実効あらしめようということであったわけでありまして、その行動計画書は大変私は意義があるものと、こう受けとめたわけであります。  一応COP6までの間にその過程の問題が整理されていくと思うわけでありまして、我が国先進国働きかけて、そしてまた発展途上国に対する理解も深めていかなきゃならない、こう思っておるわけでありまして、ぜひその方向で日本自身環境行政を進めてまいりたいと、こう思っておるところであります。
  103. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 いわゆる先進国に、さらに環境先進国にぜひなっていただくためにも頑張っていただきたい。  しかし、冷静に考えますと、今環境問題をこうして議論しているさなかでコソボでは爆撃がされているというふうなことを考えると、何か東西の中でもこうも違うのかなという思いもしながら、その中で今大臣から先進国と途上国の話が出ました。  三カ国間の環境会議のとき、中国の話が出ましたけれども、本当に環境の大事さというのは自国で守れないような状況になっている。例えば、酸性雨が日本に降るというのは、これは日本原因ではなくて中国の石炭掘りがこんな結果になっているという話も聞くわけであります。そういう中で、これから先進国、途上国間の中でどうしても出てくるのが排出権の取引の話かと。片方では経済活動をする、ある程度の経済成長をしなかったらこれはもう国民生活がある意味ではおぼつかなくなってしまう。反面、経済活動そのものは自動車を使う、油を使う、そういうふうなことで環境に対する影響というのは相当あるわけです。  そういう中で、もう既に電力会社にしても自動車会社にしても、また商社まで排出権の話になって、これは環境庁の皆さんは当然熟知しているであろうと思いますけれども、六%のうちの一・八%は排出権の取引にしていいじゃないだろうか、そんな話が出ております。基本的には、今度の削減というのはその国みずからが守っていかなきゃいけないという立脚点がきちっとしていないと、これはやっぱり先進国が途上圏に、では我が国の削減はほとんどもう買ってしまおうか、そんなふうにもなりかねない、そんなことがあると思うんです。そういう中で、ひとつ早く排出権取引の国際的なルールの方向性でも決めていかないと、産業界がもう始まっていますので、そういうふうな中で日本一つの方針、そしてまた国内的にいずれ産業界にそれこそ目標値というのは出さざるを得ないのかな、そんなふうに思うんです。  この辺については、環境庁がきちっと独自に決めることができればいいんですけれども、どうしても通産省とか運輸省との相談が必要であろう。私は、経済活動も大事であるからそれはそれとしていいと思うんですけれども、つけてもやっぱり主体性を持ちながらぜひ決めていただきたいと同時に、もうそろそろガイドラインぐらいはつくっていただきたい。  そしてまたさらに、これは困るというのは、それを商売にするような会社、これはおのずと出ると思うのですけれども、この辺もある意味では管理というか監視というか、基本的には国と国の排出権の問題でありますから、この辺もきちんとしてもらわないと、やっぱり排出権を売る商売をやっている会社が大きくなったなんというのは余り自慢できる話じゃありませんので、そんなことをも含めて現状認識と、これから環境庁がどういうふうな方向で進めていくのか、その所見をお伺いしたいと思います。
  104. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 排出権問題もさることながら、日本の温室効果ガスの排出規制の問題についていかなる方法をとっていくか、先生から今御指摘をいろいろといただきましたけれども、考えていかなきゃならないけれども、やはり何といってもまず隗からということで自助努力が最大限必要だ、こう思っておるわけであります。ましてや、先進国入りをした日本としてそれだけの努力をせずして他力本願的な考えを持つというのは、私はこれは考え直していかなきゃならない、こう思っておるわけでありまして、それがためにということで国内対策をいろいろ講じてきております。  と申しますのは、例えば大手企業で排出量の多い鉄鋼であるとか化学であるとか製紙であるとかセメント関係であるとか、いろんな業界の皆さん方にもう三度ほどお集まりをいただきまして、それなりの目標を立てて頑張っていただきたいということをお願いいたしたわけであります。また、国民個々にも呼びかけていかなきゃならないということで、待機電力の問題とか節電であるとか太陽光の利用とか、いろいろとお願いをいたしておるところでありまして、それやこれやで努力して何とか六%の目標値に近づいていこう、こう思っておるわけであります。  しかしながら、車社会で今日非常に二酸化炭素の増加が見られておるわけでありまして、年間二百万台の車が増車していくということになりますと、二酸化炭素の排出量だけでも一九九〇年の時点と比較したら随分上がってくるわけでありまして、それをなお少なくしていかなきゃならないわけでありますから大変なことであるわけであります。しかし、そうは言っておれませんので、何としてもその目標に向かって頑張ってまいりたいということで努力をいたしておるわけであります。  技術移転とか排出権問題等々につきましては、諸外国も考えることでありますけれども日本は何といってもまず自助努力からというところから入っていきたい、こう思っておるところであります。
  105. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 排出権にこだわって恐縮でありますけれども、これの国際的なルールづくりというのは、今どんな状況になっていますか。
  106. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  先ほど御指摘のとおり、ブエノスアイレス行動計画に基づきましてCOP6で結論を得ようということで、現在交渉を始めようというところでございます。  これは、基本的に具体的な量的な目標を持つ先進国同士の排出枠の移動でございますけれども、これをそういうものとして確実に実施できる信頼性の高い制度にすることが必要だ、抜け道のないような信頼性の高い制度にしていくことが必要だということで、排出枠の移転が確実に追跡できるような透明なルールの確立をしていこうということで、大体先進諸国の間ではそういう考え方は共通をしているところでございます。  もちろん、EUは排出量取引の利用の上限を決めるべきではないかというような問題を指摘しているところもございますし、それから一部の途上国は、その前に各国が地球の大気に対して排出する権利というのはどのぐらい持つべきなのかというそもそもの議論が要るのではないかということを主張している国もございますけれども、今申し上げましたような観点については大体共通しているところであります。我が国としても、きちっとした制度をつくっていくということもまた御指摘のとおり重要なことでございますから、国際交渉に積極的に参加をして、リーダーシップを発揮して、一日も早くきちっとしたルールができるように努力をしていきたい、このように考えております。
  107. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。COP6はまだ先の話でしょうけれども、今ODA、これは所管が違うかもわかりませんけれども政府開発援助、さらにまた民間の日本のメジャーたる会社がそれぞれ開発途上地域の中でいろんな応援をしながら、援助しながら事業をしていると思うんです。  これを見ますと、自然を壊すというか、いわゆる開発型の事業が本当に重立った事業になっているところを見ると、本当に環境会議できちっと決まる前に何かある意味では環境破壊、さらにまたいずれ開発途上国が一番の排出ガスを出す国になってしまうのじゃないか。そういうふうなことを考えると、やっぱり今のうちから政府の開発援助にしても、さらにまた民間の会社が途上国でいろいろ応援している事業につけても、そんな温暖化の話とかまた環境の話等はしておく必要があるのかと、そんなことを思いますと、環境庁サイドの所見で結構でございますから、今の段階での開発途上国に対する対応はどうなっているか、お伺いしたいと思います。
  108. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  現在、我が国のODAの実施に際しまして環境配慮をしていこうということで、円借款につきましては海外経済協力基金、それからそれ以外のJICAの事業につきましてはJICAがそれぞれ環境ガイドラインを設けておりまして、大規模な事業につきましてはいわゆるODA事業についてのアセスを実施するようにしているところでございます。  実は、この秋に今般の国会での御審議を経てつくられることになります国際協力銀行、ここはOECF、海外経済協力基金と輸銀が統合されるわけでございますけれども、そこで新たに環境配慮ガイドラインが作成されるわけでございます。このときに、政府部内で議論をいたしまして、環境庁といたしましては新たな国際協力銀行がつくる環境配慮ガイドラインの具体的内容の検討に際して、それからそれに基づいて新銀行が業務を実施していくに際しまして十分な意見交換をさせていただく、そして、環境庁として経済企画庁、大蔵省あるいは新銀行と密接に連携していくということで政府部内で合意をしたところでございます。  したがいまして、環境庁としてはこうした取り組みを通じて、御指摘地球温暖化防止も含めまして、ODAの環境配慮が適切なものになるように積極的に取り組んでまいりたい。最近は、世銀のガイドラインも温暖化に配慮するというようなことも入れてきております。新たなアセス法でも、地球温暖化というようなものも含めてアセスをすることになっております。そういう最近の動向がございますから、やはりODAの環境配慮にもきちっと温暖化の要素も入れていかなければいけない、このようなことで、現在環境庁においては技術的な準備の検討を急いでいるところでございます。
  109. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 それでは、事業団法の方に移らせていただきます。  この環境事業団は、そのさきは公害防止事業団、そして三回、事業内容の追加、変更、さらには環境事業団、そしてまた今度の法改正ということで、まさに時代の変遷とともにその中身も変わって、ある意味では時代にマッチしながら、その活力を持ちながら頑張っているのかなという思いはするわけであります。今までの三回にわたった事業の変更とその中身、さらにはまた今回、主に融資の方が開発銀行の方に移されるということでありますけれども、今度の法改正の本当に根本的な、基本的な意義づけについて。  時間もなくなってきましたので、次の質問をさせていただきます。  先ほど産業廃棄物の話がありましたが、産業廃棄物の業界は中小零細が多いんです。そして、最大の問題というのは、土地を確保するために八〇%ぐらい実は悩み、変な話、産業廃棄物とか、し尿処理場をつくると言ったら、その地域の人で好む人はおりませんので、そういうふうな中で産廃業界の方というのは本当に御苦労なさっておる。しかも、さらにまた新しいものをつくるというときになると今度は資金面でも御苦労して、メーン銀行から事業団に行ってそれぞれの審査を受けて、早くとも三カ月、半年、場合によっては一年という例があるわけです。  先ほども申しましたように、経済活動で、人が生きている限り産業廃棄物が出るという観点から考えると、これは避けて通れないところでございます。そういう意味の中で、融資事業が移管されたときに今までとどう違うのか。そして、手続的には今までとどう変わってくるのか。あと基準。これは多分、財投をお使いになると思うんですけれども、この辺も踏まえて、先ほどの法改正によって事業団がどう変わっていくのかということと、それから融資についての中小零細の皆さんにとって不都合はないのかどうか、この点についてのお伺いをしたいと思います。
  110. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御質問に順次お答えしたいと思います。  一つは、まず昭和四十年に公害防止事業団が設立されたわけでありますが、当時は大気汚染、水質汚濁等の産業公害の深刻化と国民の健康や生活環境への大きな脅威ということが背景にあって設立されたわけでございます。その後、昭和六十二年の改正におきましては、都市の大気汚染等の言ってみますと都市生活型公害に対応していくための改正が行われた。例えば、都市の大気汚染対策用緑地建設の譲渡事業が追加された。あるいは家庭雑排水と、し尿の合併処理浄化槽整備費の融資が加わった等々にごらんいただけるようなことでございます。さらに、平成四年の改正におきましては、これが環境事業団に名称も改称されたときでございますが、増大する産業廃棄物の適正な処理等々への取り組みが必要だということで、先ほど来議論されております産業廃棄物処理施設がここで導入をされた。さらには、平成五年には、内外の民間団体が行う環境保全に関する活動の振興ということで、地球環境保全基金が設立された等々がございます。  それで、今回の改正は、あくまで行革の考え方に基づきまして、平成九年九月二十四日の閣議決定で、特殊法人等の整理合理化に基づきまして、政策金融機関は、官民の役割分担を踏まえて、民間金融の補完に徹し、業務の減量化、重点化に務めるために政策金融機関の業務の再編が行われることになりました。その一環として、環境事業団の融資業務は新銀行に移管することになったわけでございます。  一番の御心配、御懸念の点についてでございますが、平成九年九月二十四日の閣議決定の中には、新銀行の業務分野といたしましては、環境政策を中心としてという言葉一つ盛られておりまして、また環境事業団の対象であった分野への金融が十全に確保されるための措置を講ずるといったことが盛り込まれておるところでございまして、その趣旨に即して今回の移管も行われることというように考えております。  具体的には、中小零細の事業者や廃棄物処理業者に不安が生じないように、日本政策投資銀行におきましても、引き継ぎ時点、これは予定としては今年の十月一日が予定でございますが、引き継ぎ時点で環境事業団が行っているのと同様の金利あるいは融資比率でそのまま引き継ぐということとなっておりますと同時に、これまでの業務に精通している環境事業団の担当者を日本政策投資銀行に出向させる等の措置を講ずるということで、人員的な面からもその辺が担保されるように手当てをいたしております。  いずれにしましても、融資制度は環境政策上重要な手段でございますので、中小企業者や廃棄物処理業者に対して適切な資金供与が行われますように、環境庁といたしましても積極的に関与いたしまして、新銀行を活用してまいりたいというふうに考えております。
  111. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ぜひそういうふうな形で行っていただきたい。産廃業界の方、時々は問題になる方もいるかもわかりませんけれども、本当に真摯にやっている姿を見るとそんな気持ちになってしまうと。  その中でもう一つ私が心配なのは、事業団も産廃施設をつくるということが業務の一つになって、審議会の答申の中で事業団の産廃施設は非常にすぐれておるかのように書いてあった。そのとき、やっぱり民間の方とどうしてもバッティングして、広域町村でつくるときは事業団かなというような、これはもう商売の圏域ですから私はどうこう言えませんけれども、やっぱり日本というのはお上の国であることは間違いないので、そういうふうなところからいうと、民間を圧迫しないように、事業団のつくる産廃施設がすばらしいということであれば、そういうふうなノウハウも民間にもぜひ開示していただきたい、そんな思いでもあります。  それと同時に、温暖化防止のためにも事業団は新たな事業に加わっている。その中で、原子力発電ももちろんでありますけれども、代替エネルギーを考えるというのも一つの業務の中にどうだろうか。NEDOもありますけれども、やっぱり地球環境を守っていく、いわゆるCO2を出さないようにしていくということであれば、当然のことながらそういうふうな業務も入ってよかろうと思います。  また、前段の話の中で、林野業務というのか、要するにCO2を吸収して酸素を出す光合成、こんなことを考えると、そういうふうな多岐にわたる業務的な情報交換、これも本当に必要だと思うんです。ですから、これについては事業団が中心にやるんだと、本当に思い切った中でこの政策を進めていただきたい。  全体を考えていくと、環境庁がこれから省になっていくわけですから、総理大臣の大登竜門が環境庁長官である、もうそれぐらいの時代だと思うんです。そういう気概の中でぜひ頑張っていただくことを希望しながら、もう一分、最後に大臣の所見を伺って、質問にかえます。
  112. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生からの数々の御指摘、ごもっともだと思います。  まさに光エネルギーとか風力とか地熱とか、代替エネルギーを模索していかなきゃならない時代になったわけでありまして、そういうものに重点を置いていかなければならない、こう思っておるわけであります。  いよいよ環境庁も二〇〇一年から省に昇格するわけでありまして、昇格するに際しましてはそれにふさわしい力をつけておかなきゃならない。今、少ない職員数ではありますけれども、精いっぱい頑張ってその体制をつくっていこう、こう思っておるわけでありまして、どうぞ御支援方よろしくお願いいたす次第であります。
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国の内外で地球環境保全に取り組むNGOの活動に対して資金助成そのほかの支援というのを総合的に地球環境基金で行ってきて、この制度が発足してからことしで七年目になるわけなんですが、創設されました七年前にも私は質問をいたしました。大変大きな意義があったというふうに私も思っております。特に、発展途上国に対して環境それから人権面で非常に影響を及ぼすことが多いので、慎重にお願いしたいということもあのときに要望をいたしました。  そのフォローアップの意味でも伺いたいと思いますけれども、まずはこの制度に対して評価している点、そして今後どう改善したいと考えているか、お伺いしたいと思います。
  114. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  平成五年五月に発足いたしまして、これまでの間に助成事業の助成件数は延べ千件、それからまた助成金額は三十八億円に達しております。また、地球環境市民大学校による研修事業も幅広く実施いたしておりまして、NGO活動の助成をし、NGOを育成するという観点では所期の目的は相当程度達せられているというふうに考えております。  しかしながら、これまでの事業の実績やNGOからの意見などを踏まえますと、例えば毎年一つのテーマを定めてこれに重点的な助成をする仕組みをつくったらどうかというような御意見もありますし、それから地球環境市民大学校の研修テーマ、開催場所などにつきまして、ニーズに対応してもっとふやしてほしい、あるいはふやしたらどうか、こういった意見等がございまして、こうしたことを今後の課題として検討していきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、今後とも地球環境基金事業の発展のために全力を注いでいきたいという趣旨につきましては、これはそういうつもりでただいまの問題等々について対応を考えていくということで申し添えたいと思います。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 NGO活動、こうした地球環境基金を発展させるという視点でお答えいただきました。認識が高まってくるに従って、これからもますます貢献をしていくNGO活動を支援していただきたいという気持ちなんです。  最初二百五十八件だったものが、その翌年に三百六十三件になって、そして今年度四百九十四件の申請ということからしましても、本当に大きく育ってきたなという思いをいたしておりますけれども、助成額は十分じゃない、したがって一件あたりの助成額がむしろ減っているということなんですが、そういう現状に対して今後どういうふうに取り組まれるのかという積極的な御答弁お願いしたいと思っております。
  116. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  先生もう既に御指摘のように、申請件数も逐年非常に伸びてきております。そういう中で基金の方の造成はそれなりに着々と進んできておるわけでございますが、一方で昨今の金利情勢といったこともございまして、正直申してなかなか単年度ごとの助成金額そのものが大きく伸びないという状況にあることは御指摘のとおりでございます。  そういう中ではありますが、個々の案件ごとにめり張りをつけまして、単純に額がなかなか伸びないから平均的金額はふえないというような形でない形で対応を考えていきたい。それが当面、こうした状況下の中における一つ努力のあらわれだというふうに御理解を賜れば幸いであります。
  117. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 貧困に対することで活動していくことですとか、あるいはまた地球環境に資することで大いに活動していくということ、その積み重ねというものや、あるいは予防外交というような国との信頼関係をつくっていくということが、今ガイドライン法案の審議が行われている最中ですけれども、実はこういうことの積み重ねがとても大事だというふうに私自身は考えております。どうぞこの制度の充実を通して、私たちが世界に発信していくというような気構えでぜひ地球環境基金というものを大いに活用していき、制度の充実のためにも頑張っていただきたいというふうに思っております。  この制度の質の点からなんですが、九三年の質疑のときにもそのことについて伺ったんですけれども、助成金はプロジェクトに対するものなんですけれども、従来から要望されておりました、人件費に対する助成をしてほしいという声がたくさんありましたので、そのことについてできないか、いま一度お伺いしたいと思います。
  118. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ただいまもNGOの方々から御指摘のような御意見、御要望はございまして、私どもも承知をいたしておるわけでございます。  しかしながら、そもそも地球環境基金の助成事業は、NGOによる地球環境保全活動重要性にかんがみまして、環境保全を通じて人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する活動、その活動に対して活動費を助成しようということで発足いたしたところでございます。  仮に、御指摘のような人件費等の運営に要する経費等を限られた予算の中で助成いたそうといたしますと、何らかの形で、例えば基準を設けなきゃいけない、対象団体の選別をしなきゃいけないといったことも出てまいります。そういうことになってしまいますと、かえって逆にNGOの自主性、自立性を損なうおそれもあるといった点もあるというふうに考えております。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕  他方、さはさりながら、NGOの自主性、自立性を育成していくことは環境行政上重要な課題であるということについては論をまたないところであります。このために、先ほどもちょっと触れましたが、平成九年度から開始いたしました地球環境市民大学校におきまして、NGOスタッフ向けにマネジメント、資金調達あるいはPR方法といったことについての講座を設けまして研修を行っているところでございます。  今後とも、その内容の充実を含めてNGOの能力向上、自立性向上に資する施策の推進を図ってまいりたいと考えております。
  119. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 実際にNGOで活動していらっしゃる方々は、マネジメントまで教えてもらわなくてもいい、環境庁よりも自分たちの方が実績を上げているというふうに、みんなそう思っております。  実は、本体の常勤の人たちが本当に育っていくために必要だという切実な声なわけなんです。アルバイトとかそういうところにお金が出てくるんですけれども、その常勤の人たちが積み重ねて能力も向上させていくというところにぜひとも必要だ、そういう声だということをぜひ知っておいていただきたいなというふうに思います。今のやり方だけでは大変苦しいということも知っていただきたいし、能力向上ということには十分じゃないということなわけなんです。  日本の中でも、企業あるいは市民の皆さんたちが寄附を出してこれを本当に大きく育てていく、そういう広がりを持っていくということはすごく大事ですし、PRもして広げていくということはとても大事なわけですけれども、自腹を切りながら公共のために貢献するということについての文化は根づき始めたばかりだというふうに私は思うんです。  しかし、払うことによってこんなことができるということを実感していって大きくなることが大事なので、そういう意味でのNGOの助成のためにもこういう視点を入れるべきだというふうに思っております。  今、NPO法というのが十二月一日から施行されていて、二十一世紀は企業と行政のセクターに加えて市民セクターを育てていくんだ。そういう二十一世紀にしていきたいという観点からいいますと、法人格を取得しようとしている人もいるけれども、取得していない人たちもいる。今回の地球環境基金が法人格を取得していないという人たちに対しても、助成団体の選別にならないかどうかだけ確認しておきたいと思います。
  120. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  特定非営利活動促進法が平成十年十二月から施行されたことに伴いまして、環境事業団の地球環境基金の助成につきましても、同法に基づく特定非営利法人、いわゆるNPO法人を新たに助成対象として追加したところでございます。ございますが、助成の採択に当たりましては、これまでの団体に加えてNPO法人を加えるということでありまして、それぞれの活動内容を審査して決めることでございまして、法人格を有しているかどうかということで採択の選別を行うことは全く考えておりません。
  121. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  次に、廃棄物行政の転換が模索されているわけですけれども、この事業団の役割として、自治体や事業者というのがみずからの力で緊急に責任を果たすことができない難しい場合がたくさんあるというふうに思うんです。当面の対処を事業団が行って、後から費用を本来出すべきところに出してもらう、徴収するという仕組みが考えられるというふうに思うんです。  例えば、中環審の環境事業事業委員会環境事業団の行うべき事業について議論がされた際に、地下水、土壌汚染について原因者不明、資金不足で地方公共団体が代行する場合の環境事業団の関与の可能性について議論もされておりますし、答申でも地下水、土壌汚染への対策が今後の検討課題となったというふうに思っておりますが、今回の法改正では残念ながら新しい事業の中には位置づけられませんでした。それはなぜでしょうか。
  122. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 現に、中央環境審議会の審議におきまして、先生指摘のように環境事業団が土壌、地下水汚染を浄化するための事業に取り組むべきであるとする意見があったことは確かでございます。  ただ一方で、議論をしてまいりますと、まだ制度的に環境事業団が大きくかかわっていくにはなお解決すべき点が結構ある。その一つ目は、先生がもう既にお触れになったような点も大きな問題としてあるわけでございます。したがって、こうした制度的なものをもう少し議論をきちっとした上で、環境事業団がどういう形で果たすべき役割があるのかといった点を明らかにしていこう、そういうことで検討課題とされたところでございます。
  123. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 原因者不明の土壌汚染の対策については強化すべきだというのは、多分意見が私たちは一緒だというふうに思うんです。土壌汚染防止法がない、この法律がないというのも一つの問題かなと私は思っているんですけれども、非常にやっぱり土壌汚染対策の取り組みがおくれているという観点から考えていかなきゃいけないんです。  この委員会でも前に触れました大阪の最北端にあります豊能郡能勢町のダイオキシン汚染の問題なんですけれども、本当にまだまだ不安が残っているんです。南側をポイント的に調査した。北の方からも新たなことが起きたので北の方も調査をした。そして、千ピコグラム以上のものについての調査だった。そうすると、それ以下のことについてはどうなのか。あるいは自分のうちの井戸水の問題についてはどうなのか。ただ単に水質調査ということであれば自己負担でもやろうという人も、ダイオキシン問題となりましたら一件三十万円かかるというようなことから、そんなにだれでもできるというものではない。また、森林汚染ということでも三千九百ピコグラムということで、これについての大変不安も高まっているというところなんです。  少なくとも、今回の法改正の中におきましては、原因者が不明であった、資金不足であった、このことに対して機動的に対応する仕組みを準備しておくべきだと思います。そこで、事業団に危機管理財団ないし基金としての機能を持たせることができないか、お伺いしたいと思います。
  124. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほどお答え申し上げたことと絡むのでございますが、環境事業団はこれまで基本的には財政投融資の資金を導入することによって、長期的に割賦払い機能を活用するという形でもろもろの事業をやってまいりました。  そうした事業の中に、今先生が御指摘のようなものがどうやったら組み込めるかということにつきましては、実はまず根っこの部分のどういうような対策をどうした制度や仕組みの中で行うのかということが固まってきますと、事業団の中でどう位置づけられるかということがその次の議論としてすることが可能になると思っておりますが、そうした仕組みが考えられた後の課題だろうということが、結局今回、次の検討課題ということになったような次第でございますので、その点については御理解を賜りたいと思います。
  125. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、現行法で想定されていない事態が発生した場合として、ぜひともそうしたことを準備しておくべきだということを要望しておきたいというふうに思います。  長官、まさにスキームがないから苦労しているというふうに思います。スキームはつくるものだというふうに思っておりますので、ぜひ合意形成のための御努力お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  126. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) そういう趣旨に沿って頑張ってまいりたいと思います。
  127. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ところで、アメリカのスーパーファンド制度については日本でも議論をされているところでございます。  これは米国の連邦法として包括的環境対処補償責任法としてあるわけなんですけれども、土壌汚染など有害物質放出責任者に対して浄化費用の負担義務というものをきっちり課しているわけです。そして、これは責任者に浄化費用の負担能力がない場合だったら責任者が契約している保険会社とか投融資を行った金融機関などにも責任追及が次々行われるということで、テネシー大学の試算によりますと、今後三十年間にアメリカでは必要な環境浄化費用は総額千五百億ドルに上るというものなんです。  それをそっくりそのまま日本でというのは非常に困難だというふうに、向こうでもなかなか難しいという面もあるので、それは思うんですけれども、ぜひ資金をプールしておいて機動的に対処して強制力を持って資金を回収するという仕組みを日本でもぜひ学んでほしいし、検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  128. 遠藤保雄

    政府委員遠藤保雄君) 先生指摘の米国のスーパーファンド法のような資金システムができないかということでございますけれども、私どもはいろいろスーパーファンド法の運用実態をずっとトレースしておるのでございますけれども、いろいろな問題に直面しているというのが実態ではないかと思います。  これは、土壌汚染の情報をまず登録していただきまして、それでEPA、米国環境保護局が調査いたしまして、汚染の状況に応じまして環境保護局が基金を使って自分でやるか、あるいは汚染原因者に浄化を命令する、こういうふうなシステムになっているのでございますけれども、一番問題なのは、環境保護局が基金を使って代行施行する、そしてその後に費用を汚染原因者に徴求しようとした途端に訴訟が起きまして、それで本当に事業が進まなくなってしまっている。こういう実態がありまして、我々はこういうのをストレートに我が国に導入してもまた同じような事態、それでかえって混乱を招くのではないか、こういう気がいたしております。  したがいまして、私どもが今やっておりますのは、全国にどのような土壌汚染の実態があるかにつきましてまず着々と実態調査をやってきております。それと並行いたしまして、土壌とか地下水の汚染につきましての調査方法とか対策の方法、これについての一種の技術指針ないしはガイドライン、これをずっと検討してまいりました。それで、ことしの一月にこれを発表いたしまして、事業者とか地方公共団体に提示いたしました。それで、その中でどういうケースの場合にどういうふうな技術手法あるいは調査手法を講ずれば非常に費用が安くてそして迅速にやれるかというマニュアルを提示いたしまして、これについての反応が非常に高く事業者とか地方公共団体から出ているところでございます。  したがいまして、そういう現実的に対応しやすいマニュアルを提示しながら、一歩一歩それで突き当たる問題点が出てきましたら、それの解決方法はさらに何があるか、そういう現実的な対応をちょっと検討していく、あるいは追求していくというような方法で対応していくのが現実的ではないか、こう我々は思っております。
  129. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そういう強化していくという面でどんどん進めていただきたいというふうに思います。  今回は融資面は日本政策投資銀行に移管されることになった。しかも、それは行革の観点から進められるわけなんですけれども環境事業団の融資事業として一定の成果を上げてきておりますので、合理化のためにその成果を弱めることがないように、本来の目的がないがしろにならないように、その点について環境庁のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  130. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほども佐藤先生にお答えをいたしましたが、先生指摘のように、環境事業団がこれまでやってきた融資も、これまでの環境政策を推進する上では経済的助成措置として、環境規制などと車の両輪として大きな成果を上げてきたというふうに考えております。  したがって、今回こういうことになったわけでありますが、先ほども答弁しましたので繰り返しませんが、日本政策投資銀行に移管されましてもきちんとこれまでの対応が守られかつ拡充されていくように、環境庁といたしましては積極的に関与し、物を言い、積極的な新銀行の活用が図られるようにしていこうというふうに考えております。
  131. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、もう時間ですので一言お願いして、長官にお伺いして終わりたいと思います。  その融資案件を決定する審査の際にも、環境改善に資する度合いの大きなものについて、ぜひとも環境庁から大蔵省に言っていただきたいということと、長官、環境省になることが想定されておりますので、厚生省から廃棄物行政がやってくる、リサイクルと一体化した廃棄物行政を展開するというふうに期待しておりますので、どうぞその決意をおっしゃっていただいて、終わりたいと思います。
  132. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) まさに廃棄物問題は、環境行政においてもう真っ先に取り組まなければならない問題でございます。そういうことで、廃棄物行政と、またそれをリサイクルしていくという前提に立ちましての物質循環を基調とする循環経済型社会を形成していきたいと、こう思っておるわけであります。  二〇〇一年に向けてあらゆる努力をして、そしてその目的を達成いたしたいと思っておりますので、ぜひ先生にも御協力方よろしくお願いいたす次第であります。
  133. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほどもございましたけれども、今回の法改正は、平成七年、九年の特殊法人整理合理化の閣議決定、行政の減量化のために特殊法人の事業の合理化、効率化を推進すると、こういうことを受けての法改正だということでございます。一方、中央環境審議会の答申の中では、「環境事業団の事業検討の基本的考え方」という項目の中で、環境事業団の「財源、組織、人材の充実を図ることが必要である。」、このように書かれているわけでございます。  これは、行革の方向と、それからこの事業自体の財源、組織、人材等の充実を図るべきだと、ちょっとその流れが違うわけですけれども、そこら辺について、融資事業は今回廃止されたんですけれども、この考え方について局長の方からお聞きしたいと思います。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
  134. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘のように、「今後の環境事業事業のあり方について」の答申の中に、財源、組織、人材の充実の必要性というのがうたわれているところでございます。  ただ、その答申の中では、建設譲渡事業の今日的な意義は大きくなっていることを踏まえて、そういうことの必要性があるということをうたっておりますと同時に、他方、「従来業務については、時代の要請に合わせて不断の見直しを行い、事業の重点化、効率化を図る」ことをも提言されております。そういう意味では、先生が御指摘平成七年二月のいわば行政事務の減量化といった物の考え方の視点は一方できちっと提言もされておる、こういうふうに理解しております。
  135. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、先ほどからの議論もございますけれども環境問題というのは非常に今や経済社会システムのあり方というものを根本的に問い直す問題として認識されているわけですけれども、これに対応するために多様な政策手段というのを総合的に展開していく、もう本当に待ったなしのそういうときに来ていると思うんです。  その中で、この環境事業団というのは環境保全対策全般を対象とする唯一の特殊法人なわけです。廃棄物だとかリサイクル対策、有害物質対策、地球環境保全対策等、もう環境問題の今日的な課題に対応する唯一の特殊法人だ。だから、ある意味では、先ほどの環境事業団の考え方というか、答申の中にあるように組織とか人員だとかを充実してそういうものにどんどん手をつけていかなければいけないんじゃないか、こういう思いも一方ではする。もちろん行革は必要ですけれども。  だから、大臣にお聞きしますけれども、今回の改正案の特徴、それと、提案をされていて何か足りないものがあると言うわけにいかないかもしれませんけれども、本来だったらこういう事業もやっていきたいんだとか、そういうことがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  136. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生から先ほど来御指摘をいただきましたように、中央環境審議会におきまして、廃棄物・リサイクル対策とか地球環境対策とか有害物質対策等について重点的に考えていきなさいということであったわけでありまして、これらの御指摘の問題点につきましては、大方この法案の中でクリアできるように頑張ってきたところであります。  具体的に云々ということになりますけれども、そういうことで全体を網羅しておるということでお答えにさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、法改正に必要なものについてすべてを盛り込んでおるということでございます。
  137. 弘友和夫

    弘友和夫君 やらなければいけないことを全体的に網羅しているという大臣の御答弁でした。  では、一つずつお尋ねしたいと思うんですけれども、まず、改正の中に「地球環境保全に寄与」する、これが目的に追加されましたね。では、その「地球環境保全に寄与」するという目的に対応する事業というのはどういうものがあるんですか。
  138. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 今回、建設譲渡事業の対象といたしまして、具体的に地球温暖化対策の推進に特に資すると認められる緑地の設置及びその譲渡業務というものを提案させていただいているところでございます。  もちろん、先ほど来の御質問にありますところの地球環境基金業務の中におきます地球温暖化対策の推進等も、これによってきちっと根拠づけられるといった点もあると考えております。
  139. 弘友和夫

    弘友和夫君 緑地の設置事業というんですか、地球温暖化対策緑地事業というのがその事業だと、こう言われましたけれども、先ほど来議論があっておりましたように、COP3において我が国の温室効果ガス排出量の削減目標というのは二〇一〇年ぐらいをめどに六%だと。先ほど長官も、まず自助努力だ、隗より始めよと、こう言われました。唯一の環境事業団の目的に「地球環境保全に寄与」するというのをきちっと入れて今の事業がある、こう言われました。  では、その地球温暖化対策緑地事業でもってどれだけの、例えばCO2を吸収すると言われておりますけれども、その六%目標の中のどれぐらいの吸収をする、一%なのか二%なのか〇・何%なのか、数値であらわしていただきたい、このように思います。
  140. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、数値につきましては、端的に申して、事業量いかんによるところもございますものですから、具体的に今数値でどれだけだということを申し上げるわけにはまいりません。  それからまた、これでもってどれだけの大きな効果があるかと言われますと、これだけで地球温暖化について大きな効果はないじゃないかということは、御指摘をされればそのとおりの面はあるわけでございますけれども、実は地球温暖化対策と申しますのは、国も地方自治体も事業者も国民一人一人の皆さん方におかれても、みんなで身近なところで少しでも対応していくというところがまず出発点でございます。今回、地方自治体がこういう形で取り組みをするというものを事業団が受けて、従来ございました大気汚染防止のための緑地事業とまた性格を異にする形で緑地造成をやろうということでございまして、自治体の方からのこういう要請があるということ自体、むしろ地球温暖化対策としての意気込みがある、それに対して事業団としても少しでもお力添えをしたい、こういうものだというふうに御理解賜れば幸いであります。
  141. 弘友和夫

    弘友和夫君 いや、この事業が悪いと言っているんじゃないんです。  だけれども、唯一の特殊法人の業務として地球温暖化の対策に寄与する、こう掲げた中の事業が余りにも、じゃこれを十年間にどれぐらいやっていくのか。そのやった結果、〇・〇〇何%でもいいです、数値としてどれぐらい削減効果があるのか。こういうことがきちっと出てこないと、もう余りにも小さ過ぎて多分出ないと思うんです。そうでしょう。  だったら、この事業をやるにおいて、ただこれをつくりました、はい引き渡しますよというのじゃなくて、先ほどもパイロット的なというお話がありました。それをつくることによって全国の自治体なりなんなりにこういうやり方があるんですよとか、そこに自治体の職員に出向してもらうとか技術を覚えてもらうとか、何かそんなやり方があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どんなものですか。
  142. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 全く御指摘のとおりでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、私どもも、少しでも身近なところから小さな取り組みでもということでこうした取り組みもやらせていただこうということです。  ただ、漫然とこれをやるというだけでは、取り組みをみんなのものにしていくというところで少しまだ知恵が足りないだろうというふうに思いまして、実は今般もこの事業につきましては、地球温暖化対策緑地と銘打つ以上は、従前の緑地とは違って、CO2の吸収力の強い樹木を選びまして密集型で植林をするといったようなことをもちろん考えるわけですが、そのほかに、いわば市民参加型とでもいいましょうか、ボランタリーに植樹に一緒に参加していただくというようなことも一つ考えまして、今先生の御指摘のように、こうした身近な取り組みが一人一人の地球温暖化対策に対する行動あるいはその考え方、思いにつながるようなものにしていきたい、その辺はひとつ工夫をさせていただこうと思っている点でございます。
  143. 弘友和夫

    弘友和夫君 少しでも身近な小さなところという、家庭であればそういうのでいいけれども環境行政の中の事業主体として唯一の環境事業団が、余りにも業務としてやっていることが小さ過ぎる。これでもって日本環境行政をどうするんだということにはもう全然なっていないという感じがあるわけです。一つ一つ今から聞きますけれども、大体これで網羅されているというんだったらこれは全く話にならない。こんなことだったらもうやめておいた方がいいというふうに私は思うんです。  次に移らせていただきます。  もう一つ、自然公園の整備事業、これについては今までも衆議院でもずっと問題になりましたけれども、国立・国定公園施設建設事業、その一番最初にやった事業が岡山県玉野市の王子リゾート、これは旧四号業務といわれるそうですけれども、これで大失敗をしている。失敗したから平成六年から五号業務というので、国立・国定公園複合施設建設事業、こういうふうになっているわけです。これも一番最後にやったのは、平成七年から十年の三年かけて十億円ぐらいで大分県の久住にやりました。  こんなものを積み重ねていっても、このこと自体意味がないとは言いませんけれども、こういう事業主体、それだけですよというのじゃ、全く事業団の意味がないと思うんです。まず、最初の旧四号業務と五号業務の違いというのはどういうところにあるんですか。
  144. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今、先生お尋ねの旧四号業務といいますのは、公園利用者の一部地区への集中などによります自然環境への悪影響を防止するという目的で公園施設建設、譲渡する事業として公害防止事業団法に基づきまして実施をされたものでございますが、リゾートブームの終息を踏まえまして公害防止事業団から環境事業団に移行する際に廃止いたしております。  現在の五号業務といいますのは、国立・国定公園の利用の拠点となる地区におきまして自然を保護いたしますとともに、自然との触れ合いのために必要な公園施設を一体的に整備するということで平成四年から創設をされたものでございまして、現在の事業によりまして植生復元などの環境改善を行いながら自然と触れ合う施設整備を行うということで、環境学習あるいは自然との触れ合いを求める国民のニーズに対応した本事業として今後とも効率的な運用を図ってまいりたいと考えております。
  145. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので。  この中でやっぱり宿泊施設というのも入っているわけです。だけれども、今までいろいろな会計検査院だとかそういう報告では公的宿泊施設というのはもう五割は赤字なんです。これは少なくとも国定公園の中でそういう宿泊施設はもうやめるべきだ、私はこのように思いますけれども、いかがですか。
  146. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 現在の五号業務におきまして、宿舎も先生お尋ねのとおり対象になっておりますけれども、事務次官通達により実施をしないということにしております。  近年、御指摘のような意見が強いことも承知しておりまして、現在のこの国立・国定公園複合施設建設譲渡事業におきましては、御指摘の点を十分参考にさせていただきまして、事業の対象から宿舎を外すことを含めて検討してまいりたいと考えております。
  147. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありません、ちょっと飛ばします。  融資事業が今回廃止されますね。これは新政策投資銀行に引き継ぐ。そこに業務を熟知している人も派遣するし、心配ないというようなお話が先ほど来ございましたけれども、この法律そのものは融資事業は廃止する、新政策投資銀行に移管しますよとはなっていないわけです。だから、新銀行の方にもそれを受け入れるとかどうこういうのは一切ないわけです。  今までは事業団、今度は銀行ですから、きちっとシビアにあれをして、それにかなわないものはだめだとなるわけです。しかも、融資事業についての閣議決定は、「重要度が高く、かつ、大規模なものに重点化する」というように書いているわけです。  先ほど来ありましたように、今まで借りている方の五九・七%は中小企業なんです。中小企業が大部分。新政策投資銀行というのは重要度が高く大規模なものにするんだとなると、幾ら環境庁の方でそういうふうにしますよと言ったってそうならないんじゃないか。しかも銀行ですから。こういう懸念についてはどういうふうに考えられますか。
  148. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 新しくできます日本政策投資銀行は、平成九年九月二十四日の閣議決定によりますところの特殊法人等の整理合理化に基づくものでございます。このときの閣議決定の中で、新銀行の業務は、要は地域整備関連分野環境対策、防災対策等の社会的要請にこたえる生活基盤分野を中心とするんだということを掲げておりまして、環境対策を中心とするというふうに先ほど申し上げたわけであります。  それから次に、業務再編に伴いまして環境事業団の融資業務は新銀行に移管するということと同時に、新銀行の業務において環境事業団の対象であった分野への金融が十全に確保されるための措置を講ずる、これは閣議決定において決められておるところでございます。
  149. 弘友和夫

    弘友和夫君 それに関連しまして、今問題になっているダイオキシン対策の融資です。  これは平成十四年十一月末までに基準に適合するための改造を行わないといけないとなっているわけです。ダイオキシン対策促進融資制度というのが今ありますが、これも新銀行に移管されるわけです。そうなったときに、今早急にやらなければならない待ったなしのものに対して、ただ銀行的な考えだけでいいのか。ダイオキシン対策をとらないといけないという、その融資が銀行の考えというかそういうものでいいのかどうか。  ダイオキシン対策の融資というのはどういうふうに考えられますか。
  150. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘のように、ダイオキシン対策についての融資も当然のことながら新銀行に移管されるわけでございます。  環境庁といたしましては、ダイオキシン対策を含めまして環境分野の融資が十分確保されるよう必要な調整は積極的にやっていくというつもりでございますし、日常業務的なことできちっとそれが担保されるようにということで、先ほど先生の方もお触れになりました、私も既に答弁で申し上げましたが、環境事業団の職員を新銀行に出向させるという手当てもしておるところでございます。
  151. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、環境事業団でやっておれば、もちろん返済能力とかいろいろ見るけれども、実際は基準が緩やかだったのかもしれない、百六十億のあれが残っているわけですから。一方ではそういう悪い部分があるかもしれないけれども、やっぱりそういう政策的なものがあったからこそやったわけでしょう。  では、このダイオキシン対策、本当にただ単なる銀行の貸し借りというか、審査する内容だけで、うちは適用できませんよということで全部けられたらどうされますか、ダイオキシン対策は進みませんよ。
  152. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) そういうことがないように、私どもといたしましては直接新銀行に話をすることはもちろんありますし、直接の監督官庁である大蔵省にきちんと物を言っていくということで、そうしたことについては新銀行発足の際に関係者とよくよく話をしておりますので、そうした話し合いに基づいてきちっと物を言い、そういうことが起こらないように、御懸念のようなことが起こらないように対応に十全を図っていきたいと思っております。
  153. 弘友和夫

    弘友和夫君 局長は起こらないようにと言いますけれども、この人は返せるあれがないから貸しませんよと言われたときに、それでも貸してください、それでも貸した方がいいですよ、こう言われますか。言えない。  だから、それは、九〇%とか何とかいいですよ、だけれども、何かそういう政策的なものを加味しないと、ただ単なる銀行の基準ではだめだ、これは進まない、こう思いますけれども、長官いかがですか。
  154. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 融資部門が新しい投資銀行に移管するに際しまして、その辺の懸念をしっかりと詰め合わせをいたしました。  ただいま御指摘のありましたダイオキシン対策費の問題に対しましても、この問題につきましては環境事業団が担当しておった当時以上に真剣な取り組みをしていただきたいということで申し上げたところであります。  また、ダイオキシン問題につきましては、政府自身が取り組んだ対策協議会が発足したわけでありますから、その辺の意見はもう最重要視した取り組みをしてほしいというようなことを申し入れたところでございます。
  155. 弘友和夫

    弘友和夫君 ついでにと言ったら申しわけないのですけれども、今、自民、民主、公明で議員立法としてダイオキシン類対策特別措置法案という、これは大体合意をして成立の動きにある、こういうことですけれども、非常に厳しい規制基準等が入っているんです。  これについて、長官としては感想は述べられないかもしれませんけれども、一政治家として、こういう法案が今国会で成立してダイオキシンに対する規制というのがきちっとなるということに対して、私は、環境庁としてもそれは政府で出そうと議員立法であろうといいんじゃないかと思うんですけれども、感想がありましたらちょっと述べていただきたいと思います。
  156. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ダイオキシン対策に係る特別措置法案が二党から参議院に提出されておることは私も承知をいたしております。議員立法ということでありまして、各政党間で話し合いをしておりまして、私からどうこう言うわけにはいきませんけれども、今、個人的にどうだというような意見を求められたわけであります。  私も国会議員として、みずからの発意でもってこの問題を企画立案するということは大変重要だと考えております。ですから、これはぜひひとつ各党間で話し合いをして、いい法案として提出いただき、また政府も一緒になってこれらの問題に取り組ませていただいて、充実した法案ができることを心から期待しておる次第であります。
  157. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので、次に、当初私が言いましたように、環境事業団というのはもっと大きな目でというか、地球の温暖化にしても何にしても、そういうものに寄与するような一つ一つ事業を本来だったら私はやるべきだと思うんです。  その一つに、環境マネジメントの支援というか、今、ISO14001というのが盛んに言われて、現在でも千九百六十の事業所が認証を得ている。聞くところによりますと、環境庁でもISO14001の認証を取得するという動きであるようでありますけれども、どういう目的で、また現在の取り組みについて、時間がありませんので簡単にお聞きしたいと思います。
  158. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境庁がみずからISO14001の認証取得に向けて取り組んでいる目的と意味は、第一に、環境庁自身これまでも率先実行計画に基づきましてみずから環境配慮に努めてきたところでありますが、こうした環境マネジメントシステムを導入することによってこれまでの取り組みを一層徹底を図りたいというのが一点でございます。  二点目は、みずから実行してみることでISO規格の効果や課題をよりよく把握して、今後の政策立案に役立てたいということでございます。
  159. 弘友和夫

    弘友和夫君 環境事業団は、この認証に向けてやろうということは考えていないんですか。
  160. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境事業自身環境事業団で、これまで環境保全のための事業を行うのみならず、事業の実施に当たっても環境に配慮するという形の取り組みはしてきておるところでございます。もちろん、本部等の事務所においても、これまでも再生紙利用だとかごみの分別排出などに積極的に取り組んできております。  こうした点では取り組みは十分やってきておりますが、環境庁自身がISO14001を取得することとしておるところでございますので、私ども取り組みを踏まえまして、ISO14001に適応するような取り組み事業団に対しても指導してまいりたいと考えております。
  161. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、このISO14001というのは、環境庁もその認証を受けよう、環境事業団にもそういう指導をしようと。それで、今、民間がもちろんやっていることですけれども、これを普及していく国の施策というのは、環境庁では何をやっているのか、他には何があるか、ちょっと簡単に。
  162. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ISOにつきましては、これは国際標準化機構がまさにISOでございまして、ここで国際的な基準をつくっているわけでございますが、本部はジュネーブにあり、日本の正式メンバーは工業技術院の工業標準調査会がメンバーとなっているという状況にございます。  こういうことでございまして、私どもは私どもでこのISOの普及活動に一生懸命取り組んでおりますし、そのまさに取り組みをするに当たって自分たちも率先して取り組もうというのが先ほど申し上げたような趣旨でございます。  一方、工業技術院の方がメンバーになっているということもありまして、工業技術院の方でも積極的な働きかけをしてございます。
  163. 弘友和夫

    弘友和夫君 私どもも一生懸命普及に努めているというが、事業としてはどういう事業があるんですか。
  164. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 一つには、私ども環境管理、監査、普及、推進事業ということで、環境庁と地方公共団体が一緒になりまして講習会等を開催しております。具体的には、十年度は全国九カ所で行いました。それからまた、実際こうした環境活動に助言ができる人材をきちっと登録しようということで、環境カウンセラー制度というのを平成八年度に創設いたしました。その中には、環境マネジメントの専門家も多数登録していただいているところであります。
  165. 弘友和夫

    弘友和夫君 このいただいた資料を見ましたら、中小企業庁がISO14000セミナーとかそういうのをやっているわけです。大企業はいいから、中小企業庁がセミナーをやるんだとかじゃなくて、本来だったら環境庁環境事業団でもいいと私は思うんです、そういうものの普及だとか環境マネジメントだとかは。  例えば、きょうの日経のトップには、「富士通、初の「環境会計」 費用上回る効果」、百四十億かけて百八十億円の効果があったと。こういうことを本当に全国的に普及していこうと、こういう考え方、思想、またこういう具体的なものをやっていこうというのが環境庁であり、また唯一の特殊法人であるこの事業団であると思うんです。  それは、むだじゃないけれども、そういう事業だけを一つ一つ、何%貢献するかわからないようなそういう緑化事業だとかそんなのだけでは、まさしく唯一の特殊法人の意味が全くないんじゃないか、それぐらいだったらもうやめた方がいいんじゃないかという思いがあるわけですよ。だから、本当にそういう新しい事業を手がけていくんだ、先ほど長官はほとんど今度の改正で網羅していますと。私は、どこに事業として網羅しているか。もっともっと本当はこういうことをやりたいんだ、六%削減に対してもいろいろな事業をしていかないといけない。そういう思いというのがないと、こんなことを何年続けていたってこれは六%なんかとてもじゃないけれども減りませんよ。  最後に、長官の決意をお聞きして、終わりたいと思います。
  166. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先ほど来この事業団の歴史を振り返ったわけでありますけれども、公害防止事業団、この環境事業団、それぞれ時代の要望を取り入れて、その目的達成のために頑張ってきた、こう私は評価をいたしておるわけであります。今回の改正案によりまして、その至らない点を網羅しながらやっていこうと、環境事業団がまた公害事業団の当時から培ってきた信用と技術を駆使して、その波及効果を大きくあらしめていきたいというのが願いでございます。  個々の問題について、先ほど来先生お話をしておきたかったわけでありますけれども、十分な議論ができませんでしたけれども先生の意のあるところは十分踏まえてこの事業団運用に当たっていきたい、こう思っておる次第であります。
  167. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今度の改正案は、環境問題の今日的な課題について対応するということで、事業団の業務を新たに拡大するものです。国が取り組むべき今日的な環境上の課題として、地球温暖化対策があります。  改正では、事業団に地球温暖化対策緑地の建設譲渡事業開発途上国からの研修の受け入れなどを行わせるということにしておりますが、緑化対策や国際協力、これは本来補完的なやり方だと思います。やるべき中心任務は炭酸ガスなどの排出抑制だと思います。  それで、今回の改正で炭酸ガスの削減にどれだけ寄与するのかということについて伺います。
  169. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化対策につきまして、今回の提案で新規に目的にも加えさせていただいているところでありますが、今回事業として御提案申し上げているのは、先ほど来御議論になっているところの地球温暖化対策緑地でございます。  これにつきましての数量はどうかということにつきましては、先ほど来申し上げておるように、例えば緑地をつくって吸収される分というのがどれぐらいかといえば、それは確かに量としては微々たるものかもしれません。ただ、そうした取り組みを実際に市町村がやっていただける、それを事業団が協力していくということは、小さなことかもしれませんが、地球温暖化対策への取り組み一つとして私どもは大事に育てていきたいというふうに思っております。  また、先ほどもちょっと触れましたが、せっかくそういうことをやるのであれば、市民参加型とでも申しましょうか、地元の方々にも植林ボランタリーに参加していただくというようなことの工夫も加えていきたいというふうに考えているわけであります。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣も参加をされました、昨年十一月にブエノスアイレスで開かれましたCOP4ですが、私も参加をいたしました。  ここでいろいろな議論があったわけですが、京都で確認された温室効果ガス削減計画の具体化、これがどう進むかということが現地では期待されたんですが、アメリカが排出権取引ということにかなり固執をした。これは全体の中で抜け穴だということが言われていたわけですけれども日本はアメリカと一緒になってそういう部分にどうやっていくかというようなことで傾斜をしていた。そういう日本政府の姿勢を見ていて、NGOの代表の方が、国際会議に出ると本当に恥ずかしい、そう私に言われました。私も本当にそうだなというふうに思ったんです。  それで、炭酸ガスを本当にどう減らしていくかということで考えた場合に、では排出源は何か、それをどう減らしていくかということになっていくわけですけれども、炭酸ガスの排出量というのは、産業及び民生の全分野で九〇年度から九六年度で九・八%御承知のようにふえています。各部門別に見ていくと、運輸部門が一九%増、民生部門が一五%増、エネルギー部門で七%増というふうに各部門別にふえているわけです。  私は非常に驚いたんですが、廃棄物の焼却による炭酸ガスの排出量というのは七〇%ふえているんです。寄与率が一・八%程度だからいいじゃないかというような議論もあるようですけれども、先ほどこの事業団で新しく地球温暖化対策ということで銘打った緑化事業等について、微々たるものではかれないというような話がありました。現に、はかれるものとして焼却による炭酸ガスの寄与というのがあるわけです。  それで、ごみの焼却の問題について、私は三月十二日の委員会で、大型炉をつくってどんどんごみを燃やす、そういう方向でいいのでしょうかという問いかけに、大臣は、廃棄物を出さない努力を払っていかなければならない。出た以上は処理しなければならないが、循環型のリサイクル方法によって処理に当たっていきたい。どうしても処理し切れない問題は、できるだけ量を少なくして処理する、最終処分場で公害の出ない対応で処理していかなきゃならない、そういう考え方を言われました。これは、ほぼ私も同じように考えているわけです。  これまでの環境事業団の産業廃棄物処理施設建設譲渡事業では、焼却炉などは最終処分場に併設するものに限っていたわけですが、今後は単独の焼却施設でも事業をやれるというふうにしたいと、これを検討しているということですが、これでは結局環境事業団が焼却中心のごみ処理を応援するということになってしまう。つまり、温暖化対策をやると言いながら、一方で燃やしなさいよというようなことに手助けをしていくということになって、私は逆流だというふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  171. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生の厳しい御意見をいただいたわけでありますけれども一つ一つ反論もしたい気持ちもいっぱいであります。  地球温暖化防止対策の京都会議の目標値を踏まえて、日本がどれほど努力しておるかということについては、先ほど佐藤議員の質問にも私は答えさせていただいたわけであります。日本としては精いっぱいのことをやっておる、それも発展途上国に対する対応、そしてまた先進国に対する助言、忠告等々にも私は日本として口いっぱいのことを言ってきたつもりであります。そういう対応をしてCOP4に臨んだわけであります。  COP4に臨んだときに、NGOの皆さん方とも私は会見をさせていただきました。また出発前にも会見をいたしたわけでありますけれども、NGOの皆さん方の果たす役割ということについての理解ももう少し得ておればよかったと、こう思ったわけでありますけれども、それは後々の反省であったわけであります。  そんなことをしながら、官民一体となってこの目標に向かって頑張っていくということが私は大切なことじゃないだろうかと、こう思っておるわけでありまして、決して手を抜いておるとか、世界に劣っておる対応ではない。日本環境問題についてはリーダー国になってその自負にこたえていく努力をしておるということの御認識を私はいただきたいと、こう思っておるわけであります。  廃棄物処理問題につきましては、先生のこの前の御質問に私が答えたとおりでございまして、循環型の社会を形成していくためには、いかに廃棄物をリサイクルしていくかということが大切かということを述べたわけであります。しかし、最終処分場の問題についてはこれからの問題だと思っておるわけでありまして、一般廃棄物の問題に対しましても、最終処分場の処理がいかにうまくできておるかというところが成功した事例じゃないかと私は思っておるわけであります。  先般も、埼玉県の寄居町に参りまして最終処分場を見ました。今まで試行錯誤をして民間の力をかりながらやってきたけれども、最終的にはどうにもならぬということで、埼玉県が主体になって処分場をつくったわけであります。その寄居町の最終処分場の姿を見ながら、私は、産業廃棄物の問題に関しましても、こういうスタイルを一時的にはとっていかなければならないのかなという感じも持ったわけであります。  いろいろ意見はありますけれども、そういう点につきましては、ぜひひとつ御協力を得て、日本の産業廃棄物、一般廃棄物、いずれにいたしましても難しい問題があるわけでありまして、その処理に当たっていきたいと、こう考えておる次第であります。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大臣、私が申し上げたのは、要するにCOP4の評価はいろいろあるというふうに思いますが、今大臣は、とにかくCOP4に出てもあるいは帰ってこられても、炭酸ガスを減らすということで一生懸命やりたいという、そういう努力をしていきたいという気持ちを言われたと思うんです。  そういうことであるならば、今申し上げたように、炭酸ガスというのはいろんな部門から出ている。そして、増加というのがこういう状況にありますよということを述べたわけですね。焼却炉からの増加というのは非常に高いんです。ほかに比べて断トツにふえている。最終処分場とは今別に考えているんです。焼却炉プロパーでも、今度の法律をもとにしたやり方で焼却炉だけでも建設していく事業に踏み出したいということを言っている。これは逆行ではありませんかということを私は申し上げているわけなんです。その一点だけで伺っているんですが、その点はどうですか。
  173. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  私どもが現在提案申し上げているところでは、私どもは産業廃棄物処理施設にあわせて一廃という御提案をしておりますが、産業廃棄物処理施設に併設される焼却炉については現在もなし得るようになっておりますが、実際問題としてはそういう併設の要請は来ていないというような状況で、現在のところは実際には扱っていないという状況にありますことは御理解賜りたいと思います。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 何かよくわからないんですけれども、要するに焼却施設単独でもやれるわけですね、譲渡事業。政令を改正すればやれる。今後はそういう方向に行きたいということなのか。いや、もう一切要望がないからやらないというんじゃなくて、環境庁としてはそういうものは事業団としてやらせないという、そういうことなんですよということなのか。そのどちらなんですか。
  175. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、環境事業自身は時代の要請に即した形でどうあるべきかということを検討していかなければなりませんので、将来に向かってこれはやりませんとか、そういう申し上げ方はできないと思います。現在のところ、そういう状況でやっておりますということを申し上げたところでございます。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 本当に何か一問でなかなか先に行かないんですけれども、要するに大臣に伺っているのは、環境事業団として焼却炉もプロパーでやるような方向を検討するということが出ているので、そういうことでいいのですかということを端的に聞いているんです。
  177. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 事業団が焼却施設を設置します。また、投資してやっていきますというようなことを言っているわけではないわけでありまして、今までの信用と技術を駆使して、民間でやれない部分はやっていきましょう、またそれを範としなければならないところは提示していきましょうということであって、事業主体というのは個人、民間でやってほしいという願望は変わらないわけであります。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 こういう焼却炉のみのそういうところにまで手を伸ばしてやっていくということについては私はおかしいというふうに思いますので、そこはきちっと意見を述べておきたいと思いますし、また環境庁としてもそういう方向に踏み出さないようにしてほしいということを言っておきたいと思います。  次に、産業廃棄物処理施設建設譲渡事業について、改正案では一般廃棄物の処理をあわせて行う産廃処理施設、これも対象にするということにしたわけですけれども、その理由はどういう理由なんでしょうか。
  179. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほどもお答え申し上げましたが、産業廃棄物処理施設整備促進を図るためには住民の理解を得ることが第一でありまして、そういう意味では、私ども平成四年に改正していただいて取り組んでおりますところの環境事業団の産業廃棄物処理施設につきまして、その技術力、信頼性を活用していくことについては一定の評価を受けているというふうに思っております。  他方、私ども、私どもといいますか環境事業団が実施しておりますところの産業廃棄物処理施設建設譲渡事業は、先ほども申し上げたように規模が大きいとか逼迫しているとか広域的なものであるというようなことを条件にしまして、都道府県、市町村、直接一〇〇%出資の財団法人あるいは第三セクターに限定しております。そういうところなものですから、逆に一般廃棄物処理施設についても産業廃棄物処理施設建設とあわせてしてもらうことが市町村の一般廃棄物処理施設整備に資するということと同時に、住民の理解と協力が得やすくなる、そういうことからあわせ処理を行ってほしいという要望が現実に出てまいりました。  こうした要望を受けまして、廃棄物行政推進のため今回の改正において一般廃棄物をあわせ処理する最終処分場に拡大をさせていただきたいという御提案を申し上げているわけであります。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 事業団の産廃処分場等の譲渡対象というのは、今言われたように地方公共団体や第三セクターなわけです。地方公共団体、地方自治体の固有の事務ということで一般廃棄物の処理があるわけです。一般廃棄物専門の処分場ということは対象にはならない、しかし産業廃棄物とあわせ処理なら認めましょうということになると、地方公共団体が一般廃棄物を処理する施設、これをもし仮に事業団に建設譲渡してもらおうというところがあるとすれば、それはあわせ処理でなきゃできませんという話になってしまうわけです。  本来、私は、産廃の処理というのは民間の責任でやるべきだと思うんです。今度の事業団の考え方を広げていくと、地方公共団体や公共関与の第三セクターに産廃の処理施設もつくりなさいということになってしまうのではありませんか、あわせ処理ということで。
  181. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 私は、先生は少々誤解をなさっている点があるのじゃないかと思うわけであります。一般廃棄物の処理につきましては、各市町村単位で大方の処理ができておるわけであります。しかしながら、産業廃棄物処理になりますとその規制もございませんしマニュアルもないというところで、これは一時期、都道府県とか市町村また国が関与して指導していかなければならないのじゃないだろうかというところに思いをいたしまして、今回のようなあわせ処理を考えたところであります。  ですから、民間に任せていくというのは当然でありまして、この市場原理は生かしていかなきゃならないけれども、なお不足するところが出てきておる。例えば、先ほど申しました埼玉県の寄居町なんというのは、やはり民間に任せておったってどうにもならない、地域の信頼も得られない、またそれにこたえる対策が講じられなかったということで、結局埼玉県が最終的には責任を持って処理することによって地域住民に安心感も与えたし、また技術指導もできたということでございますので、ひとつその点の御理解をいただきたいと思います。
  182. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ひどい最終処分計画がたくさんある、処分場そのものもあるわけです。ですから地元が反対するのは当然だと思います。こういう問題については厚生省がきちんと対応、指導していけばいい問題だ、環境庁がそこに手を出して自治体に産廃の処分場をつくらせようというのは、私は違うというふうに思うんです。  現実に一部事務組合あるいは第三セクターの廃棄物処分場を見てきましたので例を挙げたいと思うんですが、一つは、環境事業団の建設譲渡事業でやっている福島県の双葉地区の特定産業廃棄物処理施設建設事業、これは市町村による双葉地方広域市町村圏組合のものです。十五ヘクタール、容積は五十万立米、総事業費は四十億円、工事費は二十七億円です。建設の目的を伺いましたら、いわき市の処分場で双葉郡内の産廃や下水汚泥の受け入れが困難になってきたためというふうに言っていましたけれども、ただイの一番の理由に挙げたのは、これからはこういう施設がないと企業は来ない、産廃の処分は大丈夫というお知らせをして企業誘致を進めていきたいという理由でした。  だから、私はさっきから言っているように、産廃の処理は企業の責任で行うべきもので、廃棄物処理法に排出者責任が明記されているのに自治体が産廃の処分場をつくって企業の廃棄物をどんどん受け入れていく、そのために環境事業団が公的資金、つまり財投を使って産廃の処分場をつくる、これは筋が違うのではありませんか、そういうことを申し上げているんです。
  183. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 二点お答え申し上げたいと存じます。  まず一点は、当然先生御承知のことですからくどくは申しませんが、廃掃法の十条におきましては、もちろん「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」というのが第一項の原則になっておりまして、ただし二項で「市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる。」、三項で「都道府県は、主として広域的に処理することが適当であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる。」というのがまず根っこにあるということが一点でございます。  それから、環境事業自身は、もちろんいわばそうした根っこがあるので、これを自治体から受ける形でやっておるわけでございます。それからさらに申し上げれば、産業廃棄物の処理が逼迫しているということが前提にあるものですから、我々もいわばやむを得ず受けているという面がございます。  他方また、現実問題としては、もう一点は、去る三月三十日のダイオキシン対策関係閣僚会議の基本指針の中にもございますが、昨今の産業廃棄物の処理の実態に即して考えれば、実際問題としては国なり地方公共団体がある程度関与していかないと実際にうまくいかないというような問題意識はございます。そんな点を申し上げたいと思います。
  184. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 根本は排出者の責任でやらなければいけない、これが原則なんです。私はそのことを言っているんです。その原則をきちっとさせるべきだ。  こういう地方自治体なり第三セクターでやった場合に、では資金的にどうなるかという問題なんです。この例で言うと、金利三・八五%、二十年の元金均等返済、年平均の元利償還額は二億五千万円。一方、収入の方は年間約二万一千トンの受け入れで四億六千万円の収入、そういう見込みを立てているわけです。ところが、実際には郡内の産廃で見込まれる最終処分量というのは下水汚泥を含めても一万六千トンしかない。だから、年間二億八千八百万円しかならない。元利償還金だけで初めは三億円を超えるわけですから、事業費や管理費を含めると長期にわたって赤字になるんです。何で自治体がこんな赤字覚悟で産廃処理施設をつくらなければいけないのか、そこに問題があると思うんです。  ごみ対策というのは、先ほど確認したようにまず廃棄物が出ない生産、消費、そのシステムをつくることが根本だと思います。次いでリユースする、リサイクルをしていく、そういうことだと思うんです。「今後の環境事業事業のあり方について」という中環審答申の中でも廃棄物の発生の抑制、これを第一に掲げているわけです。ところが、双葉の例でも明らかなように、事業団の大規模な産廃施設建設譲渡事業というのは、実際、企業にごみは引き受けます、安心して出してください、そこまではいいんですけれども建設費をペイさせようとするならば、ごみをたくさん集めなきゃならなくなります。ごみをどんどん持ってきてください、そういうことになってしまう。だから、肝心の発生抑制に逆行するではありませんかということを私は現場に行って感じている。だから、この場でも申し上げているわけです。  一般廃棄物についても、実はある市町村で大型のものをつくりました。八十億円以上かかりました。ところが、人口は六万人ぐらいしかいません。だから、ごみは足りないというんです。もうやっていけないわけです。建設費の赤字は年間数億円ずつ返さなきゃいけない。とにかく大きなものをお金をかけてつくってしまって大変ですと。  瓶とか缶とかいろいろ分別していたけれども、分別したらごみは減るんです。減るから困るんです。だから分別させない、何でもかんでも持ってきてちょうだいというふうにせざるを得ない。こういう現実があちこち回っているとあるんです。こういうやり方というのはおかしいんじゃありませんかということを言っているんです。
  185. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ただいま御指摘の点は、私も諸所にあるということはお聞きしておりますけれども、これは広域行政で問題処理に最初から取り組まなかった弊害だ、私はこう思っておるわけであります。ですから、市町村合併やその他これからの行政の中で、いかにして広域な面でこの仕事に取り組んでいくかということが分権化の中で求められておる、私はこう思っておるわけであります。  それから、一般廃棄物の問題についてはそういう指摘も当てはまりますけれども、それでは産業廃棄物、この間、埼玉県のくぬぎ山でダイオキシンが発生いたしましたけれども、これは実態はどうだったんでしょうか。小さい焼却場が林立しておって、野焼きまでしておった。これはだれもそれを取り締まるだけの指導ができなかったということで、やはり焼却施設の立派なものをつくりましょう、そしてまたダイオキシンの発生しないような対策を講じていきましょう、ダイオキシン測定器もつけましょうというふうなことでこれからの指導に当たっていくわけであります。  それは、ただ単なる民間業者にやりなさいと言ってもなかなかできない。できないからほっておいていいかというと、そうはいかないわけでありまして、その一つの過程までは市町村、都道府県が協力し合って、また事業団やその他国が助成して処理をしていく。もう採算がとれる、軌道に乗った暁には、すべて民間に委託してやっていただくというのがねらいじゃないだろうかと私は思っておるわけでありまして、その点の御理解度が若干先生と私の違いにあるんじゃないかと思っておるわけでありまして、決してむだ遣いをしようとは思っていないわけであります。
  186. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、環境事業団が大規模な産廃、一廃あわせ処理施設を行う、そういう一方で、厚生省も各都道府県に一カ所ずつ廃棄物処理センターの指定を進めています。現在八県で指定され、そのうち三県が一部稼働しています。これも第三セクターによる大規模な産廃、一廃あわせ処理施設です。厚生省の場合は、一廃分の補助金だけを出してあとは第三セクターがみずからつくるというやり方をしているわけですが、いずれにしても、省庁縦割りで産廃、一廃あわせ施設という同じようなものができることになるわけです。  時間がありませんので、私は、いわてクリーンセンターというところを見てきたので、そこの問題もちょっと提起をしたいと思うんですが、問題は双葉の場合と同じなんです。  総事業費は九十三億円かかっている。余熱利用施設を除いて約八十二億円。ここでもごみが足りない事態が起きています。当初計画では平均日量で焼却ごみが七十五トン、埋め立てごみが五十八トンという目標だったけれども、九七年度実績ではそれぞれ四十二トン、五十二トンにとどまっている。つまり、当初目標の五六%、九〇%という状況です。しかも、当初予定外であった自治体の一般ごみが約四分の一入っていて、産廃だけだと当初目標量の半分余りしか入らないという状況にある。  結局、ごみを集めるために処理料金の値下げをしたんです。九六年度から非感染性の医療廃棄物の処理料金を約半分に値下げしました。おかげさまで少しずつふえましたという状況だそうです。特に、有機性汚泥というのは当初目標量の半分も集まらない。しかも、その八四%は一般廃棄物で、産廃だけなら当初目標の一割以下という状況。今年度から処理料金を約二割下げて、それでもコンポストによる肥料化の方が安く済む。そういうことでなかなか必要量が集まらないというんです。  私は、本来ならコンポストによる肥料化こそ促進すべきで、焼却炉で処理する、これは流れに逆行しているというふうに思いました。それを行政が価格を下げてまで焼却に回そうということをしなきゃいけないというのは、本当に問題だなというふうに思いました。ダイオキシン規制の強化に対応できていない市町村からの受け入れ、産廃施設の廃止で徐々に受け入れ量がふえているというけれども、公共で大きなごみ処理施設をつくってごみ集めに四苦八苦する、そういうところもあるんです。  ちょうど現場で医療系廃棄物を処理しているところを見ましたけれども、ダンボール箱に入ったまま焼却炉に投入している。中に何が入っているかわからないんです。だから、温度管理など焼却の管理が大変だし、温度が下がると助燃バーナーで温度を上げなければならない。気も使うし費用もかかる。それなのに値下げしなければごみが来ない。  そのときにちょっと驚いたのは廃プラスチック類です。その焼却予備軍というのを見たわけですけれども、まず袋に入ったまだ使える糸です。こんな糸もったいないですねと言ったら、これだけじゃありません、その横にまだそのまま使える綿などもあるんです。そのときが特別ではありません、日常的にこういうふうにすぐ製品として使えるものがごみに回ってきているんですということを言われました。東京でも、縫いぐるみなど、全く使われていないものがごみ処分場に集まるということで非常に嘆いていました。  いずれにしても、資源としてそのまま使える、製品としてそのまま使える、そういうものまで悩みながらも燃さないと採算が合わないというような実態に置かれているわけです。これは本当に矛盾だなというふうに思うんです。  こういう状況をどう考えられるんでしょうか。私は、厚生省の問題もある、あるいは環境事業団の問題もある。こういう大きなものをつくってそれで済むということが、結局、今みたいな矛盾を生み出していくのじゃないだろうかと思うんですが、どうですか。
  187. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生指摘の問題は、地方の都道府県、市町村の問題であるわけであります。  先ほど来申し上げておりましたように、産業廃棄物の問題処理ということになると、今やどのように処理されておるのか、業者に委託したまでで、それ以後のフォローイングはできていないというようなことであるわけであります。全体を見回した場合に、そういう問題も、確固たる処理方法をとってやっていくということに思いをいたしながら環境行政をやっていかなきゃならないと思っておるわけであります。  先ほど来、先生はごみの問題は厚生省であるから余り環境庁は手をつけるなというような意を申されておりますけれども、それではなぜ二〇〇一年に環境庁はごみを全部おあずかりすることになったんでしょうか。その前の準備段階というものをしかとやっていかなければ私はこの役目を果たすことができないと思っておるわけでありまして、厚生省と環境庁の仕分けをその程度のところでやられたのでは私はいけないのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。  決して先生に反論しようと思ったわけではないわけですけれども、そういうような問題処理ということが大切なことじゃないかと思っておるわけであります。  広域性については、私が先ほど来お話ししたとおりでございまして、そういう行政指導をしていかなきゃならない。これは環境庁にも厚生省にも自治省にもその責任があるわけでありますけれども、そういう省庁の連絡をとり合った上で対策を講じていかなきゃならない。先ほど来、椎名先生の地元の岩手県の問題だということでありましたし、また佐藤先生の福島の問題にも言及されたわけでありまして、地元の先生方ともよくよく連絡をとりながら私はこれらの問題の処理に当たっていきたい、こう思っておるところであります。
  188. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、現実に各県を見てきたものですから、そういうことを申し上げたんです。  要するに、現場で大変だというふうに言っているのは何かというと、製造のところできちっと排出抑制をする、あるいは製品でまだ使えるようなものが回ってくるような、そういうことについては現場は悩むわけです。そういうことが起きるというのは、そういう施設があって、採算がとれないからそういうものが入ってくる。これは本来だったら、断ってどこか使えるところに回してほしいと言えるのが一番いいわけです。どこの施設もやっぱり市町村がお金をある一定出さなきゃいけないですから、それで現場の人たちは、市町村あるいは都道府県でもとにかく公共からお金を援助してもらっているという思いがありますから、やっぱり採算をとっていかなきゃいけないなと。現場で採算をとろうとすると、そういう本来ごみ行政というかごみ対策としてあるべき姿から逸脱してしまうんです。要するに、かかった建設費を回収していかなきゃいけないわけですから。だから、私はそういう問題を今言っているんです。  問題は、厚生省がやることに環境庁は口を出すなということを言っているわけじゃありません。それは、二〇〇一年から厚生省のごみ部門も全部環境庁に来るという方向になっている、それでずっとやらなきゃいけないという方向があるようですから、それはそれで環境庁がきちっとやっていくということを考えていかなきゃいけないでしょう。いずれにしても、そういう全体が協力してやっていかなきゃいけないということについて、私は口出すなとかと言っているんじゃなくて、環境庁として本来やるべきことは排出抑制でしょうと、地球環境全体を考えて、出たごみをどうやって燃やすかとかどうやって埋めるかということを考えるよりも、ごみを出さない、排出抑制についてどう考えるかということを考えるのが筋じゃありませんかと言っているのです。  中環審でもそう言っています。大臣も、大量生産、大量消費、大量廃棄、これが問題ですと言っておられます。だけれども、それはお題目にしかすぎないんです。つまり、そこのところを本当に考えるんだったら、もっと環境庁としてやるべきことがあるんじゃないですかということを私は言っているんです。出たごみをどうかするということに血道を上げるんじゃなくて、出ないようにどうするか。  二つあると思うんですね。私は、出たごみを焼却、埋め立てするなということを言っているわけじゃないんです。それは、最後に出たものを何とか処理しなきゃならないでしょう。しかし、あるべき姿というのは違うんじゃありませんかと。循環型と言っているんだったら言っているらしく、きちっとそのことを貫徹してくださいということを先ほどから私は議論の中で申し上げているんです。  それから、環境事業団というのは、そういう大路線から見て今度の事業というのは本当にふさわしいんだろうか。それは、最初に言った地球温暖化対策という点からいったって焼却炉はおかしいんじゃないですかという、そういう議論をさせていただいているんで、感情的にあれこれこうだああだということを言っているわけじゃないんです。  私は、ごみ問題というのはイデオロギーを超えていると思っているんです。それから、行政だけの責任だと思っていないんです。それは、もう住民……
  189. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 岩佐委員、時間が参りました。
  190. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 済みません。  消費者も考えていかなきゃいけない問題だと思っているんです。きょうは大臣の反論が随分あったものだから、済みません、質問がごたごたしまして。  そういうことなので、大臣、ちゃんとその点を踏まえて答えていただきたいと思います。
  191. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間がありませんから。
  192. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 最後に。  私の言及した言葉を先ほど引用していただいた部分がリサイクルして、最後に先生のおっしゃった言葉と同じことを申し上げたわけで、決して私こそ感情的になって問題を取り上げておるわけではないわけで、最終段階は最初私の言った発言どおりでございましたので、私はこれで安心いたしました。ありがとうございました。
  193. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  194. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今日的な環境問題を考えるときに、環境庁のあり方、そして環境事業団の重要性というのはだれもが認めるところでございますけれども、そうした今日的な環境状況を見ながらの今回の改正というふうに思うわけでございます。  今、岩佐委員からも御指摘がありましたけれども、一般廃棄物と産業廃棄物のあわせ処理をするというこの改正で、本当に住民が受けるメリットといいますか、そういうものが考えられてつくられてきているのかどうかということも一つお伺いをしていかなければならないなというふうに思います。  それから、今までは産業廃棄物は民間で排出者責任において、そして一般廃棄物については自治体でということで仕分けがされてきておったわけですけれども、今回のこのあわせ処理のやり方で地方財政の負担というのがさらに懸念をされるようになっているわけですけれども、このことに対して環境庁はどのように考えられておるのでしょうか。
  195. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、国と地方の、あるいは産業廃棄物処理の本来責任者はどこにあるかといった議論につきましては先ほど来申し上げているとおりでございまして、もちろん一般廃棄物は市町村、それから産業廃棄物については事業者というのが原則でございます。原則の中ではありますが、産業廃棄物については、先ほど来申し上げましたように、廃掃法の中でも都道府県、市町村ももちろん取り扱う領域として規定がなされております。  現実問題として、産業廃棄物の処理施設について事業団が現在取り扱っておりますが、先ほど来再三述べておりますように、対象者は、対象者ということは、受けておりますのは都道府県、市町村あるいは直接の一〇〇%出資の財団法人あるいは第三セクターに限定しておりますものですから、言ってみますと環境事業団に発注している立場の方々は、実際に一般廃棄物の処理の方の世界でも御苦労なさっている自治体の方々だということになるわけでございます。そんなこともあってだと思いますが、産業廃棄物の処理施設を発注するに当たり、あわせて、あわせの一般廃棄物処理の施設もぜひつくってほしいという要請が非常に強い、こうした要請を受けたのが今回の改正でございます。  一方、財政負担のお話がございましたので若干触れさせていただきますが、一般廃棄物にかかわる部分につきましては、他の一般の廃棄物処理施設建設費と同様に、厚生省からその建設費の補助金が得られるようになっておりますものですから、そういう意味では、環境事業団からの財政投融資の資金は、頭金と当該補助金を除いた額が財政投融資資金となる、こんなことになっておりまして、地方財政負担の増大につながるものだというふうには考えておりません。
  196. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回のこの法改正を機会に、いわゆるごみの行政を預かってきた厚生省、そして環境庁、あるいはほかの省庁も同様な施設をつくっているところがあるかもしれませんけれども、そうしたごみ問題にかかわってきた省庁が一体となって、この将来的なごみ管理のあり方というのをもう少し踏み込んで検討されて、そして環境事業団に一本化をする。  これから環境省が立ち上がっていく中で、ごみ問題を環境省に統括をするというのであれば、環境庁に今回の法案の改正に向けて一括をして、こういう問題を広域的にどこでどういう施設をつくったらその地域のごみは全体の処理ができるようになるんだというきちんと計画の中で行われないと、さっき岩佐委員指摘しているように、厚生省が行っている事業環境庁が行っている事業とが、もしかしたら隣り合わせにできているかもしれないというようなことが起こる可能性はあるのではないかということが心配をされるわけでございます。  そしてさらに、その循環型の社会をつくっていくのであれば、焼却炉建設というのは一定程度、何年かめどにしながら大規模なものだけ残していく、あとは中小規模のものは削減をしていくというような計画があってもいいというふうに思いますし、そうしたことに積極的に取り組むことこそ環境庁の最も大事な仕事になってくるのではないかというふうに思います。こういう施設をつくることが環境庁の仕事、環境事業団の仕事ではないというふうに思います。  民間活力による公共施設等の整備促進法、PFIというんでしょうか、そういう制度が今国会の中でも議論がされ、そして法律ができるようになっていますね。そうしますと、そこは民間の活力によって公共的な施設をつくる。いわゆるごみ施設であるとか、利益を上げることができる事業として、民間が利益を上げることができる施設、公共施設をつくって、それを地方公共団体や公共に譲渡をしていくという制度だそうですけれども、その制度が今考えられ、それを促進しようとする動きが顕著な中で、環境事業団が公的な施設をつくってそれを公的なところに譲渡していくというのは、こういうPFI制度の促進とは逆行する動きになるのではないかというふうに思うのですけれども、これはどうでしょうか。
  197. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  PFIは、民間の資金であるとか経営能力あるいはその技術的能力を活用して公共施設等の整備を促進するという観点で、効率的かつ効果的な社会資本整備を行うものでありまして、その早期の導入が期待されているというふうに考えています。  私どもが考えております廃棄物最終処分場の整備というのが決してこれと矛盾するとは思っていませんで、むしろそういうところできちっとなされていけば、それはそれで結構なのでございます。  ただし一方で、PFIにつきましては、どうしても収益性がきちっと成り立たないと実際に着手していただけないという問題が一つあるものですから、全部が全部PFIでこうした公共領域が機能していけるかどうかについては、私ども正直申してそこまで全部やってもらえるか。現実問題としてやっていただけるところも大いにあると思いますし、現に法律の成立前にもう幾つかの自治体等でPFI手法の導入というのはやっておりますから、私どももそれはむしろ支援をしている立場にありまして、決して矛盾はしないというふうに思っております。
  198. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 矛盾をしないということですので結構ですけれども、ごみの産業というのはこれからは民間で十分に利益を上げながら運用していくことができる分野ではないかなというふうにも思うのです。それは、産業廃棄物など処理をするのに多額な料金、多額なといいますか適正な料金を取ることによってその処理施設を運用させていくということもできるでしょうし、そしてそこに民間の競争があれば、よりダイオキシンの発生しない施設が選ばれる、そしてそこに持ち込まれていくということは、産業側でもそういうことを選んでいくというその循環、いわゆるよい方の循環の機能を回していくためには、一定程度の競争力というのは必要になってくるのではないかと思うんです。  そういう中で、まだ官に頼ってやらざるを得ない。もちろん、立地することが非常に困難ということもあり、最終処分場などは処分場そのものが少なくなってきていて新たに立地することもできないというような状況ダイオキシン問題などが深刻な状況がある中で、まだ公によって知恵を出しそして金も出していかなければだめだということもわかりますけれども、こういう分野であればあるほど技術革新を進めていかなければならないところだと思います。そこに民間の力を活用していくということは、私は重要な視点ではないかと思います。  長官、何かお答えがあれば。
  199. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) PFIの理解というものが、いま少し私は理解の仕方が違うんじゃないかと思っておるわけです。  PFIというのは、民間の資金や力をかりて目的を達成していくということでありますけれども、その中に政府関係の規制緩和がいろいろあるわけでありまして、その緩和政策なんかについては政府の方で、国の方でお手伝いをしていきましょう、そしてその目的ができるだけ早く達成できるようにしてあげましょうというのがこのPFIの最初のスタートの動機であるわけであります。  そのような形ならば、例えば高速道路で出口が非常に混雑しておる、そうしたら民間の力をかりて出口をつくりましょう、出口をつくるにも規制がいろいろありますから、その点については国の方として協力いたしましょう、そしてそこに売店やその他の施設を設置するならばどうぞ民間の方でおやりになっていただければ新しい雇用の創出もできますというところにねらいがあるわけであります。  今回のこの一般廃棄物処理施設、ごみ処理施設にしても、そういう目的の中にこれを生かしていけばいい施設ができるんじゃないか、だからあくまでも民間主導でやりたい、しかし民間主導のできないところをお手伝いさせていただければというのがねらいであるわけであります。
  200. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこの認識大臣と一緒なわけですので、理解しているというふうに思います。  この環境事業団の事業の中にゼロ・エミッション企業団地という構想が載っております。実際に廃棄物をゼロにすることで資源を一〇〇%有効活用する、そして循環型の社会構造をつくっていくんだということで、大変よい構想だというふうに思うのです。具体的に環境事業団が、これからゼロ・エミッション構想の中でつくっていこうとする企業団地があるんだということをお聞きしておりますけれども、どんな構想で、どんな企業体が参加をして、どんな規模で行われていくのかというのをお知らせいただけますか。
  201. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境事業団におきましては、先ほど来の御質問にもありましたが、住工の混在地域に立地する工場、事業場につきまして建設譲渡事業を使って新たなところに集団で移転するという事業がございますが、そのときにゼロ・エミッション型で機能していこうというものでございます。  具体的に現在取り組んでおりますのは、これは具体的に申してよいと思いますが、神奈川県川崎市臨海部の住工混在地域に立地する工場、事業所十五社が実際にまとまって川崎の臨海部の工場適地に移転する、移転すると同時に廃棄物の再資源化と資源エネルギーの有効活用を図るゼロ・エミッション企業団地をつくっていこう、こういう企画が現に進んでおります。  この企業団地は、臨海部の周辺企業からの蒸気の活用、これはたまたまその地域に高炉メーカーの余剰蒸気があるということが大きな前提になっておりますが、蒸気の活用をする。それからまた、公共下水道からの処理水を再利用する。また、団地内発生廃棄物の再資源化を行う等々の幅広い取り組みを進めるものであります。  また、そのほかにソフト面でも、企業団地レベルでの環境マネジメントシステムの構築を図って、企業団地内で排出される廃棄物をリサイクルするといったことなどを行って極力廃棄物の減量化を目指す、こういうものでございます。
  202. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総事業費が百五十一億二千万円というふうに資料でいただいておりますけれども、この費用によって図式されているこの工場はすべてでき上がる構想になっておるのでしょうか。
  203. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほども答弁申し上げましたように、この十五社が現実に組合をつくって進出する事業はこれでできることになっております。
  204. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 組合が参加をして、そして環境事業団がこの金額を負担して建設するんですね。譲渡をするときには、それでは、かかった費用とその譲渡の価格というのはどんな状況になるのでしょう。
  205. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境事業団が行いますところの建設譲渡事業と申しますのは、一部最初に契約金で頭金というのをちょうだいしますが、それ以外はそれぞれの契約に従って、若干の据置期間がございますが、例えば十五年、二十年という長期間の割賦返済で完済していただく仕組みになっておりまして、それぞれの利息に相当する部分が何がしか乗りますが、根っこの部分はもちろん当初かかった建設事業費になります。
  206. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのかかったお金を分割で返していただくということですね、そういう事業を今までもやってきておりますけれども。ここはわかりました。  それで次は、融資をしたり建設譲渡をしてきたお金について返済が困難になっている、いわゆる貸し付けが焦げついているようなものというのは、さっきのアルカディアリゾートなどのほかにはありますでしょうか。建設譲渡したものの中でございますか。
  207. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 残念ながら、王子が岳以外にもございます。
  208. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 なぜそんな意地悪なことを言っているかといいますと、国がやった事業、いわゆる苫小牧東部開発事業であるとか、むつ小川原の開発事業などという巨大プロジェクトを立ち上げて地域全体の構想の中でやってきた事業がことごとく失敗をして、その建設費はもちろんですけれども、これから先の運営費まで国で面倒を見なければならないというような事業があるわけです。  それとこのゼロ・エミッション構想というのが私は同じとは言いませんけれども環境事業団が行う事業がそういうことになりはしないかという懸念があるわけでございます。参加をされている十五の企業というのはことごとくきちっと精査をされた上で立ち上げたというふうに思いますけれども、絶対大丈夫ということは言えますでしょうか。
  209. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 実は建設譲渡事業につきましても、先ほど申し上げましたように、定期的な資金回収ができていない分野というのが現 に発生しております。これは、当初の審査がきちんとしていないということでは決してありませんで、審査のときにはきちっとしておりましても、逆にこれは非常に償還期限が長いということがございまして、その後の経済情勢等によって現実にそういう事態が起こっている。特に、昨今の経済情勢あるいは貸し渋りと言われるような金融情勢の中において、随分御苦労なさっているところがあることも事実でございます。  しかしながら私どもは、王子が岳の例を引かれたので非常に心苦しい点はございますが、事業の採択に当たりましては、採算性ということについて参加企業の一つ一つについてきちっと審査をした上で受けております。今ここで議論をさせていただいている事業は実はゼロ・エミッション型の事業として第一号、最初の事業でございまして、これが途中で問題を起こすようなことがあれば後にも影響を及ぼすものですから、環境事業団にきちんと取り組んでもらおうということできちっと審査をした上で対応していただいていますので、そういう心配はないものと確信しています。
  210. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 こういう事業に取り組んでいくことも重要なのかもしれませんけれども、現在もうさまざまな企業団地がつくられておりますけれども、企業団地の廃棄物のニーズをきちっと調査し、その団地内で処理あるいは循環ができるような構想を立てて、むしろ企業団地の中にある企業の要望にこたえられるような処理施設がつくれないだろうかというところから発想をし、そこの企業団地に合う廃棄物処理施設みたいなものがきちんとつくられていけば、産業廃棄物はその企業団地からは出ないということが実際にできてくるでしょう。  だから、そういう形で取り組んでいく方がこれからの時代に必要なのではないかというふうに強く思っているわけでございまして、もう時間がないわけですけれども、そのことについてのお答えをいただいて、終わりにいたします。
  211. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 既存の企業団地を中心にさらに廃棄物リサイクル施設等の整備を推進するための取り組みにつきまして、先生の御提言も踏まえて検討してまいりたいと思います。
  212. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 まだ少し時間がありましたが、きょう予告をいたしました土壌の有害物質の件や地下水汚染の件につきましては、同僚委員から質問もございましたので、質問を取り消させていただくことを申し上げまして、終わりにいたします。  ありがとうございました。
  213. 泉信也

    ○泉信也君 既に質問をなさった諸先生方と重複する部分もあるかもしれませんが、若干お尋ねをさせていただきます。  私の所属します自由党は、「日本再興へのシナリオ」という政策を打ち立てております。局長はお読みいただいたかどうかわかりませんが、その中で特殊法人については原則廃止ということを打ち立てておりまして、必要なものは時限立法で対応すべきだ、こういう考え方を持っておるわけです。そういう観点から、この環境事業団法だけを取り上げてお尋ねするのもどうかと思いますが、私どもの党の政策にのっとって少しお尋ねをしたいと思います。  まず、平成七年の閣議決定に特殊法人の整理合理化ということがあるんですが、この中で建設譲渡事業に対する項目がございます。このことと今回の事業団法の改正は若干矛盾をしていないか、そんな思いがいたしますが、いかがでしょうか。
  214. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘の閣議決定につきましては、いわば行政の減量化という観点から点検がなされたわけでありまして、その際は、環境事業団の特に建設譲渡事業につきましては、当時「地方公共団体等との役割分担の実態を勘案しつつ、環境行政上緊急性が高く、かつ、大規模なもの、先行的に対処すべきものに重点化を図る。」というふうに定められておりました。そうした観点につきましては、今回の中央環境審議会の答申等におきましても、既存業務については重点化を図っていくべきだという提言もあわせていただいておるところであります。  他方で、今回の融資の日本政策投資銀行への移管の出発点となりましたところの行革の閣議決定におきましては、今度は逆に、逆でもないんですが、重点化を図ることと矛盾することではありませんが、積極的にやらなければならないことはきちんとやりなさいというようなことも指示を受けているということでございまして、そうした中で今回の御提言もいただいているわけであります。  見直すべきものは見直し、新規に取り組まなければならないものは取り組むという意味で決して単純に仕事量をふやそうと考えているわけではないという点では、もろもろのこれまでの二回の閣議決定の提言に照らして矛盾はしていない、むしろそれに即した形で一生懸命努力しているというふうに私どもは考えております。
  215. 泉信也

    ○泉信也君 今、局長から答弁をいただきましたように、建設譲渡事業について閣議決定は触れてあるわけですが、審議会の答申の中では、確かに局長の御説明のように事業団の知識と経験に裏づけられた技術的支援、財投資金云々というようなことが書いてあります。  しかし、事業団のパンフレットを見せていただきますと、これは過去の一例しか写真が出ておりませんので全部がこうだとは言い切れませんが、例えば集団設置建物、企業団地あるいは共同福利施設というところのパンフレットの絵を見ますと、こんなものを、こんなものというのは外見上ですよ、こんなものを国の事業団がわざわざ取り上げてやる必要があるのか。  これから、このたぐいのものはもっと大規模なものに変わるというふうな見通しをお持ちでございますか。
  216. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境事業団が取り扱っております集団設置建物は、この写真でごらんいただきますように、決して規模は大きなものではございません。これはそもそもどういうことで出ているかといいますと、もともと住宅地域と工場地帯が混在しているような地域におきまして、むしろ工場の方が現実問題としてその場所では操業しにくいというものがあちこちに点々としてある。そういうものが自分一つ事業場だけではどこにも行きようがないというようなときに、例えば地方自治団体の行政部局、環境部局が相談に乗りまして、それでは何事業所かが一緒になってひとつ新しい言ってみればミニ工場団地をつくったらいいじゃないか、こういうようなあっせんをして、組合をつくって事業団の方に発注してくる。こんな仕組みになっておるものですから、どうしても規模は小そうございます。  と同時に、例えば地域振興整備公団がやっておりますような大規模な工業団地、土地をつくるんじゃなくて、小さいながらも土地と建物をセットにして、各事業者の、発注者の要望に合わせた形の建物とあわせてつくりまして、いわばオーダーメード型の事業団地をつくるというところに特色がございまして、こういう需要がなくなればもちろん必要ないわけでございますが、なお需要があることと、昨今はゼロ・エミッション型ということで、この企画運用にゼロ・エミッション型を加えた形でやってほしいという要望もあるものですから、ぜひ当面は取り組ませていただきたいと思っております。
  217. 泉信也

    ○泉信也君 外見だけで判断するのは差し控えなければならないと思いますが、局長の今御説明のように、中小企業の方々のため非常に今までの実績から見ますと役割を果たしてこられたということは私もデータ上承知いたしております。しかし、資料によりますと、この建設譲渡事業の契約額とかあるいは契約件数の中で、契約額で見ますと、共同福利施設とか集団設置建物というようなものが主体になっておるようなんですね。こういうものをこれからもやっていかれるんだろうかと思いますが、実績を見ますと、平成五年をピークにして金額的には下がってきておるというのが実態のように私は思うんです。  ですから、本当に環境事業団に期待されておるのは、まさにソフトな情報でありますとかあるいは建設の基準というか技術基準というか、処理技術基準というようなものでしょうか、そういうものをきちっとつくっていただく、そういうことが期待されておるのであって、具体的にこういうハードなものに手を出して団地をつくるとか公園をつくるというようなことではないんじゃないか、審議会の答申も私はそういうふうに読むべきではないかというふうに思うんです。  ですから、当面こういう事業をやっていかれるということを私は全く否定はいたしませんけれども、私も土木を専攻した人間で言いますと、事業団の性格はこんな土方作業をやるというような事業団ではないんじゃないか、変わっていくべきではないかというふうに私は思います。この点についてはもう申し上げるだけで、次に移らせていただきます。  その次に、都市部において緑地を整備するということが実はあるわけで、この件も先ほど弘友先生からも御質問があっておったようでございますが、十八条一項三の二号、ここは地球温暖化対策の推進に関する法律が引用してありまして、都市公園となるべき緑地を設置し及び譲渡する、こういうことになるわけですね。ところが、この引用されております法律の中で国の役割というのは、三条の二項あるいは三項のところに書いてありますが、本当に先ほどの話につながる事業団あるいは環境庁が自分で公園をつくってやっていくというようなことではなくて、「技術的な助言その他の措置を講ずるように努めるものとする。」というふうにここでは書いてあるわけですね。  ですから、この十八条一項三の二号によって都市公園をつくるというようなことは、私は、むしろ地方自治体なりあるいは場合によっては建設省お願いをする、そして必要があれば環境の視点から先ほど申し上げましたような技術的な援助あるいは特別な資金的な助成をするというようなことでやっていくべきことではないかなと思いますが、いかがでございましょうか。
  218. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御質問にお答えいたします。  一つは、まず、これまでも大気汚染対策緑地というものを手がけておりまして、緑地整備につきましての一つの実績を持っておったというのがまず出発点の一つにございます。  それからもう一点は、環境事業団の事業でございますので環境庁がやっておるというふうにどうしても思われがちではありますが、この領域の主務大臣は実は建設大臣になっておりまして、環境事業団と申しますのは、環境行政に資する事業について例えば通産大臣が関与される領域もあれば建設大臣が関与される領域もある、それから恐らく二〇〇一年以降は今度はこれは環境省になりますが、廃棄物の関係で現在でいうと厚生省が関与されている領域、こんな領域にそれぞれ分かれておりまして、私どもはそれを全体を統括しているという立場にございます。  そういう二つ。一つは歴史的にもう既に大気汚染防止事業というので緑地整備をやっておるということ、それも実は建設大臣が主務大臣となっている領域で環境事業団がやっている。それと同じ延長線上で、この際、今回地球温暖化対策に特に資するという観点に力点を置いた緑地というのをやろうということなものですから、この点については御理解賜りたいと存じます。
  219. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つ、十八条一項四号は三の二とまたちょっと違った緑地だというふうに思うんですが、「埋立処分が終了した後その跡地に、都市公園となるべき緑地」というふうに書いてございます。これは、埋立処分をやる方に地球温暖化とは直接関係ありませんけれども、そういう緑化とか環境整備というようなことを義務づけるということはできないわけですか。埋立処分をやる人に対してそういうことを義務づけてやっていただくということはできない仕組みになっているんでしょうか。
  220. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) この点はむしろ逆に、市町村が実際にこうした跡地を都市公園としようということで取り組む場合に事業団にこういう発注をしてくる道を開くというものでございまして、直接の個々の民間の事業者の領域についてまで私どもが今ここで提言している中身は触れるものではございません。
  221. 泉信也

    ○泉信也君 これは、海面における廃棄物処分場も対象になっておるんでしょうか。
  222. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 対象には考えておりませんし、実際これには入っておりません。
  223. 泉信也

    ○泉信也君 それではもう一つ、今回の改正事業団の仕事となってまいります地球環境の問題、国際協力事業団との関係を中心に一つだけお尋ねをいたします。  研修事業その他幾つかの国際協力をやっていこう、こういうことになるわけだと思います。これは私は大変重要な仕事だ、国際協力事業団がもう手いっぱいでなかなかこういうところに手が回らないという実態から、事業団が実務的なプログラムをつくって研修をやっていこうということだと思いますので、こういうことは事業団の仕事として適切かなと思うんですが、こういう仕事の会計とその他の先ほど申し上げました建設譲渡事業などの会計とは分離してやっていくというようなことは考えられますでしょうか。  私が申し上げたいのは、せっかく国際協力でやっていく仕事はできるだけ、譲渡事業から利益が上がれば幸いなんですが、どうも必ずしもそうでもないような事態も発生するわけですから、別会計できちんと事業団として国際協力が進められるような、あるいはまた国際協力の中で収益が上がるならばその金はさらに国際協力につぎ込んでいく、そういうことができるような仕組みが考えられるのかどうか。いかがでしょうか。
  224. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 国際協力事業団の方から環境事業団が技術研修員に対する研修事業の受託、要するに委託を受ける場合には、委託費はJICAの方の基準単価に基づいて実費相当額が支払われるということになっておりまして、原則として事業団に収益または損失が生じないという形のものを考えております。  したがいまして、そこは、もちろん経理はきちんといたしますが、どこかで穴が出てどこかから持ってこなきゃいけないということもないかわりに、逆にプラスが出るからその分をどこかで使う、あるいは将来のさらにJICAの方からの引き受けの拡大に使うといったこともなかなかしにくい状況になろうかと思います。
  225. 泉信也

    ○泉信也君 今、局長が御説明のとおりに、JICAの単価が甘いわけでもないし、そんな余分が出ると私も思いませんけれども、しかしなお事業団の中でコスト削減に努力をするというようなことで事業の拡大を図っていただくということが実は事業団の一つの大きな使命ではないかというふうに思っております。先ほど来お尋ねをさせていただきました建設事業そして譲渡というような仕事は事業団の本当の仕事ではないんじゃないか、私はそのような思いを持っておることを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)     ─────────────
  226. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上野公成君委員辞任され、その補欠として仲道俊哉君が選任されました。     ─────────────
  227. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  228. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表し、環境事業団法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  今日の日本の廃棄物対策の中心的な課題は、製品の製造・流通段階を含めて廃棄物の発生を抑制し、発生したものについては分別・再利用等、リサイクルを促進する資源循環型への転換を図ることです。しかし、本法案はそれに逆行するものです。  第一に、産業廃棄物処理施設建設譲渡事業の拡大は、産業廃棄物の排出事業者の責任をあいまいにすることになります。産業廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、排出事業者の責任であることが定められています。財投などの公的資金で産廃処理施設を設置するのではなく、排出者責任を徹底するべきです。  第二に、廃棄物処理の広域化・大型化路線は、現状では、ごみを何でもどんどん集めて焼却・埋立処分をするという事態を生み、また地球温暖化を促進することにもなります。産廃、一廃あわせ処理施設建設譲渡事業の推進は、ごみの発生抑制・分別リサイクル推進に逆行する結果を招くことになり、自治体の過重な財政負担を拡大するおそれがあります。焼却炉のみの建設を対象とすることにも賛成できません。  第三に、特殊法人に建設を一括委託する方式は、天下りや業界との癒着を招きやすく、住民や地方議会の監視を困難にすることです。自治体の廃棄物処理に対する支援は、事業団への建設事業委託を拡大するのではなく、財政支援や技術的支援によって、自治体の分別リサイクル体制と能力を強化する方向で実施するべきです。  また、融資業務の新銀行への移管は、中小企業の公害対策への融資を弱めるおそれがあるので賛成できません。その他、地球温暖化対策緑地の建設・譲渡事業環境浄化機材貸付事業、廃棄物のデータベースの整備、償還計画の策定の事項は賛成です。改正案の中心は融資業務の廃止と産廃、一廃あわせ処理施設建設譲渡事業の創設であり、廃棄物処理行政の基本方向をゆがめるものなので、全体として反対することを表明して、討論を終わります。
  229. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  環境事業団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  231. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました環境事業団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     環境事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、廃棄物、リサイクル、有害物質地球環境保全対策等、環境政策の今日的な課題に的確に対応し、環境事業団がその期待される役割を積極的に展開し得るよう適切な措置を講ずること。  二、環境事業団の融資業務を引き継ぐ日本政策投資銀行においては、環境対策分野への金融が十全に確保される措置を講ずるとともに、他の分野の政策金融機関においても、循環型社会の形成の視点に立った適切な融資を行う等、環境対策の実効が上がるよう努めること。  三、特殊法人の改革が行われているなかで、環境事業団の個別事業の実施に当たっては、将来国民に負担転嫁することとならないよう特に留意するほか、環境事業団が引き続き処理する既往の貸出債権の管理及び回収が今後とも適正に行われるよう適切な措置を講ずること。  四、環境分野については、非営利団体の活動が特に重要であることにかんがみ、その支援の一翼を担う地球環境基金のさらなる充実に努めること。  五、地球温暖化対策緑地の整備に当たっては、最終処分場跡地等並びにそれらの周辺の環境調査を十分に行い、その結果を公表すること。また、地球温暖化対策緑地の整備の際には、緑地整備に限らず太陽光発電施設の設置などの対策も併せて行うことを検討する等、再生可能エネルギーの普及にも資する施策に配慮すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  232. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  233. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、真鍋環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。真鍋環境庁長官
  234. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたす所存でございます。
  235. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  237. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る四月二十日に質疑を終局しております。  本案の修正について福本潤一君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福本潤一君。
  238. 福本潤一

    福本潤一君 私は、ただいま議題となっております鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、公明党及び自由党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨を御説明申し上げます。  野生鳥獣は、我が国生態系の不可欠の一部であり、国土全体の健全な生態系を維持回復し、もって自然と人間との共生を確保していくことは極めて重要な課題であります。しかるに、近時、一部の野生鳥獣の個体群が著しく減少し、あるいは逆に増加するなどの現象が生じ、自然と人間との共生を図る上で大きな問題を生じさせています。  このような状態にある特定の種類の野生鳥獣について、その生態や生息する地域の具体的な状況を科学的に明らかにし、保護管理の目標を定めた上で計画的に保護管理することにより、問題を解決していこうとすることが法案のねらいでございますが、本委員会での審議の過程において、科学的、計画的な保護管理を実行していくに当たってはさまざまな課題があることが明らかになりました。  このため、科学的、計画的な保護管理の内容が適宜適切に改善されつつ具体化されていくよう、附則に検討条項を設けることが修正案の趣旨でございます。  修正の要旨は、政府は、法律の施行後三年を目途にその施行状況を検討し、自然と人間との共生を確保する観点から必要に応じ適切な措置を講ずる旨の規定を加えることであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  239. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  240. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当委員会委員長質疑終局と言われたのが四月二十日、そしてきょうが五月二十日、ちょうど一カ月ありました。審議を通じまして明らかになったさまざまな重大な問題点、私はこの法案は廃案にすべきだと考えておりましたし、今もそう考えております。この一カ月間何があったのかよくわかりませんけれども、けさの理事会で修正案が提出され、そして今私がここに立って質問をするという形になりました。  そこで、修正案提出者の福本先生にお伺いしたいと思います。  この修正案には、「政府は、」ということで始まって、「特定鳥獣の生息状況及びその個体群の安定的な維持に関する見通し、」等々、三つのことが書かれていて、そしてそれを「総合的に勘案して、」、また「検討を加え、」「所要の措置を講ずるものとする。」ということが書かれております。主語が政府になっておりますから、総合的に勘案するのも検討するのも政府だと思います。  そしてまた、「所要の措置を講ずる」、これは漠とした言い方なんですけれども、この所要の措置を講ずるという中身、これは一体何でしょうか。
  241. 福本潤一

    福本潤一君 さまざまな審議をしていた中で明らかになったことも含めてでございますが、生態系の維持回復、また自然と人間との共生の確保という観点から、審議を踏まえた上での必要なあらゆる措置、必要なことはやっていくということでございます。  具体的に申し上げますと、計画策定の指針、マニュアルの変更などの技術的なこと、さらには今回の鳥獣保護法改正にかかわる法律の、政省令も含めて、法令の改正の検討、予算措置の充実、組織、人員等のなお一層の体制整備等、こういうことを含んでおるわけでございます。
  242. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、福本先生の方で法律の改正、また予算の措置、あるいは人員等々の充足、そうしたことを言われました。これはいずれも大事なことなんですけれども、しかしこの法案を読む限り、修正案を読む限り、そういったことがどこにも書かれていない。ただ、「所要の措置を講ずるものとする。」と書かれているわけですけれども先生が今言われた法改正を初めとする幾つかの内容というのは、法律上どこに担保されているんですか。
  243. 福本潤一

    福本潤一君 これはある意味では私がお答えする以上に具体的に政府、行政、監督官庁からお答えしていただいた方がいいと思いますが、今回、自然保護団体を含めて、我々のところに大変多数の方の陳情が参りました。私自身も現地、日光、栃木に行きまして、現実に政府の方と一緒に現場を見て、現行法のままの段階で既に鳥獣を狩猟している現場、ちょうど日光ではシカを二十一頭捕獲して、その捕獲した方に対しての質問もいたしました。だから、今回の法律改正がない段階でもかなりの大きな鳥獣が捕獲されている現状が続いておるわけでございます。  したがいまして、この法律改正で計画的な対応、保護に関しても管理に関してもするということがありまして、私も政府にここの念押しを、法律改正を含めて三年後にやるということを、現実に行われるんですねということを詰めた上での回答でございますので、ここはぜひとも環境庁長官にも念押しをしておいていただいて、それでこの改正趣旨について対応していただければと思います。
  244. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ちょっと聞き間違いかどうかわからないのでもう一回確認いたしますけれども福本先生は政府と協議されて、そして政府の方でそういうことを、きちっと入るよということを回答されていると言われたように聞こえましたけれども、そのとおりですか。
  245. 福本潤一

    福本潤一君 我々も、これだけ関心の的になっている法案でございますし、この改正がなくても具体的にいくということで、きちっと対応を確認した上で、法、政令の改正も含むという意味での措置でございます。  特に、二〇〇一年に環境庁環境省になります。したがいまして、三年という形での改正も、この法案自体が従来は林野庁所管、これが環境庁ができたときに環境庁に移管がえ、二〇〇一年に新しい環境省ができるということになりますと、三年後、二〇〇二年にはニュー環境省のもとでこの法案の中身について改正も含めて検討していただくという考え方でございます。
  246. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そこで、環境庁長官にお伺いしたいと思いますけれども福本先生の方から今「所要の措置を講ずるものとする。」というその内容がどういう中身を指すのかということについて話がありました。ここで繰り返しません。同時に、この中身というのはどこに担保があるのかと聞きましたら、政府とさんざん詰めた結果だという説明もありました。  そこで、長官にお伺いしたいんですけれども、この所要の措置を講ずるという内容、福本さんの方から今説明があった内容でよろしいんでしょうか。法律改正を含めて、予算の措置とかあるいは人員の補充とかマニュアルをつくるとかいろいろありましたけれども、その内容について答弁いただけたらと思います。
  247. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 政府としては、この施行に当たっては当委員会での御議論、そしてまた御意見を踏まえて本法の適正な運用に万全を期してまいる所存でございます。そして、将来の検討については、その時点の知見と情報に基づき判断されるものであると存じます。  現在は一切の予断を持っておりませんけれども、仮に必要があれば法制度面の一層の改善の検討にも取り組んでまいりたいと考えております。
  248. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、環境庁長官は、この修正案に書かれたとおりの話をされたと思うんです。確かに「必要があると認めるときは、」と書かれている。そしてまた、さまざまな、今予断を持っていない、そしてこれから必要なことがあればということを言われた。  そうすると、これは福本先生にお伺いしたいんですけれども、今、長官が話された、答弁された中には法律の改正ということが、しかもここには施行後三年をめどにということが書かれていますけれども、そういう答弁はなかったわけです。そうすると、先生が今ここで説明された内容というのは、やはり政府として保証していない、担保していないということになると思うんですが、その点御見解をお伺いいたします。
  249. 福本潤一

    福本潤一君 ただいまの長官の回答も含めて、我々、長時間の審議をして、ここに三点挙げておりますが、具体的にこの三点はある意味で例示でございまして、読むと、時間をとられると緒方委員に怒られますので、「その他の事情を総合的に勘案して、」という形で、三点にプラスして例示のほかのこともある、これは審議の中身の内容でございます。  そして、ある意味では多くの人に関心を持っていただいて、具体的にこの法案自体の問題点が出てきておりますので、その審議の中身も踏まえた上で具体的に政府側は対応する。また、対外的にも説得力のある時点が必要があると認めるときという形になっていくと思いますので、そういう意味では私は長官の答弁はむしろ法、政令もその時点で必要であれば改正を含むというふうに受けとめて、聞かせていただいたところでございます。
  250. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 環境庁長官、今提案者の福本先生から答弁がありましたけれども、そのとおりでよろしいですか。  つまり、法改正も含めて、そして先ほど言われたこともろもろ、この間の協議それから当委員会での審議、それを踏まえたものがあって、そしてその上で政府がそういう積極的な対応をとる、そういう話だという答弁でしたけれども、その点、長官にお伺いしたいと思います。
  251. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先ほど答弁いたしたとおりでございまして、それを実行してまいりたいと存じます。
  252. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) もう時間でございます。
  253. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  私は、福本先生から答弁があった内容、その点で大事なことだと思いますけれども、しかし同時に大臣はこの修正案の線に沿った答弁をされたと思います。ですから、その点で、それまでいろんな協議があって、そしてさまざまなことが行われたと言われましたけれども、私はこの審議を踏まえて積極的な形で、さまざまな問題点をカバーする方向で今後進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。     ─────────────
  254. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として石田美栄君が選任されました。     ─────────────
  255. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  256. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本委員会では、学者、NGOの専門家などによる参考人質疑を含め、二日間にわたり極めて活発な審議が行われました。この審議の中でさまざまな問題点が浮かび上がりました。それは、法の仕組みの大がかりな変更にもかかわらず、環境庁の事前調査を含め準備が全く不十分なこと、改正作業で各種の民間の自然保護団体の意見を広く聴取していないこと、特に哺乳類保護に専門的にかかわっている団体の意見を聞いていないこと、質問者に対する環境庁答弁が極めて不十分で、納得のいく説明がなされなかったことなどです。なぜ今この改正なのか、余りにも拙速で出直すべきだとの共通した幅広い認識がつくられたと思います。  以下、審議を踏まえて反対理由を述べます。  第一は、国及び地方自治体の鳥獣保護の体制が不十分なもとで、都道府県への特定鳥獣保護管理計画制度の導入には根本的に問題があるということです。  体制が不十分な地方自治体への権限移譲は、国の責任の放棄にもつながり、地域によっては種の絶滅を生じさせかねないものです。審議の中でも明らかになったように、国及び地方自治体の鳥獣保護管理の体制は財政的、人員的、調査能力的に全く不十分です。国は基準となる技術的指針を示すとしていますが、現状では鳥獣の個体群管理の手法は確立されておらず、その前提となる個体数の把握さえ極めて難しいのが実態です。  第二に、個体数管理に偏った対策になっており、過剰な鳥獣の狩猟、駆除が横行するおそれがあるということです。  法改正のもとになった自然環境保全審議会の答申では、確かにふえた動物、減った動物について言及していますが、その具体的内容になると、ふえた動物への対応が中心です。改正条文でも、減少した動物への対策が不十分なのに対し、ふえた動物に対しては環境庁長官が定めた特定鳥獣の捕獲の禁止、制限や狩猟期間を知事が緩和できるなど極めて具体的な施策が提示されています。このような個体数管理優先の施策では農林業被害をなくすという問題も解決できず、過剰な狩猟、駆除が横行するおそれがあります。  第三は、狩猟免許制度の緩和は、環境庁の言う野生鳥獣の保護管理はもちろん、狩猟者の減少防止にもならないことです。  せいぜいハンターの狩猟手段を少し広くする程度のことで、ふえた鳥獣をいかに減らすかの改正と言われても仕方がありません。射殺に使われた鉛弾による猛禽類の鉛中毒被害対策に逆行するものです。このような狩猟者に依存した駆除中心の保護管理は本来あるべき姿ではなく、またそれでは農林業被害の解決にも限界があります。  なお、農林業被害については、農水省は農政改革大綱に「鳥獣被害の防止技術の確立と防止施設整備」を掲げており、予算措置も含めて対策を強化することが求められています。  自民党、自由党、公明党提出の修正案につきましては、「施行後三年を目途として、」云々、そして「所要の措置を講ずる」とありますが、その保証も全くないばかりか、本法案の根本的な問題点を何ら是正、解決するものではなく、その点でも反対であります。  本法案を廃案とし、十分な国民的合意を図ることが重要であることを指摘し、反対討論を終わります。
  257. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、福本君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  258. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、福本君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  福本君から発言を求められておりますので、これを許します。福本潤一君。
  260. 福本潤一

    福本潤一君 私は、ただいま修正議決されました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、緑の国勢調査その他の自然環境に関する調査を徹底し、国全体の鳥獣の生息状況を適切に把握するとともに、都道府県における調査を支援し、これらの成果を野生鳥獣の保護管理施策に積極的に活用すること。  二、鳥獣の保護繁殖等を担当する人材の確保、資質の向上を図ること。また、野生鳥獣との共存の森づくりに係る事業、鳥獣保護区の適切な設定等を通じ、野生鳥獣の生息しやすい環境整備を進め、野生鳥獣の移動ができる回廊づくりを積極的に検討するとともに、防護柵の整備等の被害防除対策事業の推進、被害防除に係る対策技術の開発及び普及を図ること。  三、狩猟者が生態系の安定的な維持等に十分な配慮を行うこととなるよう、狩猟者のモラルの向上を図ること。また、狩猟や駆除が、事故、水鳥等の鉛中毒等の悪影響を及ぼさないよう、適切な措置を早急に講ずるとともに、関係地方公共団体と協力し、狩猟、駆除の対象となったシカ等の死骸の適切な処理体制の整備を促進すること。  四、特定鳥獣保護管理計画の策定のための指針等を定めるに当たっては、専門家及び自然保護団体等の意見を広く聴くとともに、計画の内容が、野生鳥獣の生息地の保全整備、被害の防除に万全を期し、過剰な捕獲をもたらすことがないように定められるべきである趣旨を明確にすること。また、都道府県において適切な合意の下で特定鳥獣保護管理計画が策定されるよう、科学的な調査の徹底、目標や対策についての野生鳥獣の被害者、専門家、自然保護団体、NGOなどの意見の十分な反映等に関し、政府は、都道府県に対し、助言、指導その他の支援を行うこと。  五、西日本地域のツキノワグマなどの個体数が著しく減少している特定の野生鳥獣の個体群についても、関係県において特定鳥獣保護管理計画が積極的に策定されるよう、政府は、その策定及び実施に対する支援に万全を期すこと。  六、関係地方公共団体における鳥獣保護行政の体制強化のため必要な支援に努めるとともに、都道府県知事の権限に属する普通種等の鳥獣の捕獲等に関する許可に係る事務について、地域の実状に応じて適切に市町村に委譲され、円滑に制度の運用が図られるよう、都道府県を指導すること。  七、関係都道府県が特定鳥獣の個体群の増減等に関する調査を十分に行い、その結果を当該計画の運用又は改定に反映させるよう、政府は、指導、助言に努めるとともに、国による適切なモニタリングを実施し、それらの結果緊急に必要な場合は、関係都道府県又は市町村に対し迅速かつ的確な指示を行うこと。  八、野生鳥獣の保護を一層明確にした法制度、鳥獣による農林業者の被害救済措置、公的機関が主導する捕獲体制の強化、野生鳥獣の保護管理のための国と地方の責務の一層の明確化等につき早急に検討を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  261. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいま福本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  262. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 多数と認めます。よって、福本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、真鍋環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。真鍋環境庁長官
  263. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  264. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会