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1999-04-13 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十三日(火曜日)    午後一時十分開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      森山  裕君     山下 善彦君      小川 敏夫君     北澤 俊美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     関谷 勝嗣君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        公害等調整委員        会委員長     川嵜 義徳君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        文化庁次長    近藤 信司君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        林野庁長官    山本  徹君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省河川局長  青山 俊樹君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (ダイオキシン対策に関する件)  (入札談合及び建設省の天下り問題に関する件  )  (白神地域保全に関する件)  (廃棄物処理等に関する件)  (神環保問題に関する件) 〇鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する  法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月三十一日、森山裕君及び小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として山下善彦君及び北澤俊美君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 国土整備及び環境保全等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 太田豊秋

    太田豊秋君 本年二月、テレビ朝日の報道を契機といたしまして、所沢周辺で生産されたホウレンソウに対する消費者の不安が非常に高まりまして、その価格が暴落をいたしました。これは、まさに生産農家にとっても大変な損害をこうむったところでありまして、こういった事態を見てみましても、いかに国民皆様方が健康の問題、食品の問題、ダイオキシンの問題に関心が高いかということを感じたわけでございます。  一方、ダイオキシンという超微量の汚染を把握して対策を立てて、そして国民に正確に理解いただくという点では、ダイオキシンの問題というのは非常に難しい問題だというふうに理解をいたすわけでございます。  このために、私ども自由民主党は、二月十六日に政府に対しまして実態調査早期にかつ効率的に実施して、早急にこれの成果を公表するようにというふうなことで、ダイオキシン摂取量と人体への影響にかかわる基準TDIについて早急に基準を明確にすることなど、ダイオキシンに関する取り組み強化について七項目にわたりまして申し入れをいたしたところでございます。  政府は、所沢周辺の問題についていち早く環境庁、それから農林水産省、厚生省の三省庁合同調査を実施いたされまして、短期間のうちに安全宣言を出されたわけでございます。また三月三十日、ダイオキシン対策関係閣僚会議におきましてもダイオキシン対策推進基本指針を決定いたされました。このような政府の迅速な対応は、私は非常に評価できるものと考えておるところでございます。  今回、所沢の問題において国民の不安を増大させた背景には、安全に関する基準が明確でないということが一因と考えられます。この基準についてのTDIにおいては、五月に世界保健機関が主催した専門家会議においてダイオキシン対策基本となるダイオキシン摂取許容量、つまり耐容一日摂取量見直しが行われましたが、その結果、一九九〇年にWHOが出しました一日体重一キログラム当たり十ピコという基準見直しをいたしまして、これを一から四ピコグラムということに見解がまとめられました。ダイオキシンの毒性に関する研究というものは日進月歩でありまして、従来からの発がん性の観点からの検討はもちろん、さらに生殖に対する影響など、近年の研究成果を十二分に検討いたした結果と聞いておるところでございます。  このような状況の中で、現在、昨年のWHOでの検討結果を受けまして、環境庁厚生省審議会合同で、我が国としてのTDIの再検討を進めている状況にあるとは聞いておりますが、TDI国民の健康を守っていく上で最も基礎となる基準でありまして、科学的に正しいものであるべきことはもちろんでございますが、現下の我が国ダイオキシン対策緊急性にかんがみますと、世界に先駆けてWHOの新たな基準を踏まえた我が国考え方を早急に取りまとめていくことも大変必要なことだというふうに考えられるわけでございます。  その意味で、先般ダイオキシン対策関係閣僚会議で決定をいたされましたダイオキシン対策推進基本指針に示されております三カ月以内という期限を一日でも早く、少しでも短縮をしてこの成果を出していくことが非常に大事だというふうに私は考えるわけでございます。現在、TDIについてどのような検討を行っているのか、またその結果がいつごろ出せるのかをお尋ね申し上げる次第であります。
  5. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生指摘のように、ダイオキシン問題につきましては政府を挙げて取り組んでおるところでございます。  ダイオキシン対策関係閣僚会議というのを開催いたしまして、今年に入りましてから三回その集いを持って、三月三十日に一応の基本指針を発表させていただいたわけであります。その中には、安全という文言が入っておるわけでありますけれども、果たしてその安全宣言がこのままでいいのかどうなのか、いろいろと議論をされておるところであります。  そこで、政府といたしましては、その基本指針宣言をすると同時に、専門家会議を開いていただこうということで、環境庁厚生省挙げてワーキンググループをつくりまして、数度検討会を持ったわけであります。その検討の結果を踏まえて、明日実は環境厚生両省にわたる専門家会議を開催いたしたい、こう計画をいたしておりまして、その専門家会議の中でできるだけ早く数値を出してほしいという願望を述べておるところであります。  環境庁といたしましても、その数値早期提出はもちろんでありますけれども、慎重に審査して結論を得たいと思っておるわけでありまして、それがためにということで三カ月という期限を切った公表をいたしましたけれども、それはもう一日も早くという願いが込められておるわけでありまして、先生指摘のような形で結果を出していこう、こう思っておるところであります。
  6. 太田豊秋

    太田豊秋君 今ほども大変重要な課題なので慎重に検討しながら、しかし一日も早く結論を、成果を出していきたいというふうな御答弁でございますので、とにかく一日も早くというふうなことで、日本ダイオキシン問題について国民が理解でき、そして安心で安全な食生活ができていくような、そういった環境基準というものを早くつくっていただきたい、このようにお願いを申し上げるわけであります。  同じく基本指針においては、健康及び環境への影響実態把握を進めることといたしておるわけでありますが、ダイオキシン廃棄物の焼却を初めとして多様な発生源から排出されまして、大気とか土壌だとか広く環境汚染し、主に毎日の食事から我々の体に入ってくる汚染物質であると言われておるわけでございまして、ダイオキシンによる健康及び環境への影響実態把握のためには発生源とかあるいは環境、生物、労働環境等各方面におけるダイオキシン類について関係省庁が緊密な連携のもとで計画的に調査を進め、そのデータを公表していくことが不可欠だろうと思われるわけでございます。  また、実態調査調査研究を進めるだけでなく、現在起こっております、また起こり得るダイオキシン汚染に対する早急な発生源対策及び対策基準となる環境基準が必要であろうと考えるわけでございます。  そこでお伺い申し上げますが、ただいま申し上げました調査対策というのは総合的なダイオキシン施策を講ずる上からでも両輪であるというふうに考えられます。今後、どのような調査をいつどのように進めていくのか、また発生源対策や各種の基準などについて具体的にどのような作業を進めていかれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  7. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) ダイオキシン類発生につきましては、先般もG8の会議ドイツのシュベリンで行われました。  ちなみに、ドイツを例にとってみますると、ダイオキシンの各発生箇所測定機器を設置いたしておりまして、その機器によりましていち早く測定するという努力をいたしておるところであります。しかしながら、日本のようにピコグラム等によって表示するというのは大変時間と金がかかるということで、ドイツにおきましてはナノグラムの億単位の測定値を使って大方の測定をして、そして危険度のあるところにはその都度早急に対策を講じていくということにいたしておるようでございます。  そこで、我が国といたしましては、発生源対策については、今後四年以内に排出総量平成九年に比べて約九割削減することとし、本年六月までに排出量の目録を整備して排出削減対策をさらに推進することといたしております。また、基本指針において、産業廃棄物の円滑な施設整備を推進するために、国または地方公共団体が関与する新たな制度の構築や廃棄物減量化目標量の半年以内の設定等を盛り込んでおるところでございます。また、基準づくりにつきましては、TDI見直し後、大気環境指針見直し等に速やかに着手してまいろうと、こう考えておるところであります。  いずれにいたしましても、ダイオキシン対策につきましては全般的な責任を有する環境庁でございますから、環境庁が中心になってこれらの問題に引き続き取り組んでまいろうと、こう決意を新たにいたしておるところでございます。
  8. 太田豊秋

    太田豊秋君 長官のただいまの御決意、早急な結論を得られるようにひとつよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
  9. 北澤俊美

    北澤俊美君 きょうは、少し建設業状況についてお聞きをしたいと思います。  建設業は五十七万社とも言われておりまして、また六百万を超える従業員で、我が国就業者の大変なパーセンテージを占めているわけですけれども、この業界が今日の厳しい経済環境の中で生き残っていくにはなかなか大変だというふうに認識をしております。そういう中で、金融機関とのかかわりが非常にこれから重要になってくるわけですけれども、金融関係の問題については、先年の前国会でおおよその処理、事のよしあしは別にして、いわゆるセーフティーネットというものが設置されて不良債権処理等について歩き出したわけでありますけれども、建設業実態を見ますと、そういう中では非常におくれておるわけであります。  これから具体的なものを少しずつ聞いていきますけれども、まず冒頭に、大臣に今日の建設業を取り巻く環境について、後でゆっくり聞きますから、おおよその考え方といいますか、現状認識をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私はいろいろな場所へ行きましてお話をさせていただくのですけれども、今、国を挙げて、もちろん中央省庁の編成であるとか行財政改革であるとかいろいろなものが大きく変わろうとしておる、そういう中にあって建設業というものも大きく変わってこなければならない。  その前に、公共事業というもののスタンスといいましょうか、そのこともまた大きく変わってこなければならないと思うわけでございまして、建設業も今のようなままでは成り立っていかない。世の中の変化についていけないということもありますが、それよりも今のようなままの構造あるいは内容であるならば世の中から捨てられていってしまうのじゃないかというようなことを感じまして、建設経済局長にもこれからの建設業はいかにあるべきかということをまとめてほしい、私も考えるからということで、正直のところ今まとめておるところでございます。  ただ、先生指摘のように、今五十七万社ある、しかし倒産する数よりも新しくできる企業の数の方が多いというようなことですから、一つの県の中で行う建設業者は県知事の許可、それから二つ以上の県にまたがりますと建設大臣許可になるわけですが、やはりそういうようなことももっと厳しくやっていかなければならないのではないかなと私は思うわけでございます。  それは何も規制緩和に反することではないと思うんです。それは建設業というものをその時代に合ったもの、また国民の皆さんから信頼され尊敬される、そういう業界に今後は変えていかなければならないわけですから、私はそういう意味において、もっと建設業を起こすときにはいろいろな条件をつけてしっかりしたものにしなければならないと思っております。  そういうようなことで、近々どういうふうにやるべきかというようなことをひとつまとめて、また先生にもいろいろと御指導いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 北澤俊美

    北澤俊美君 木下局長建設業には雇用吸収力というのが今まで大きく期待されてきたんですね。  そこで、一九六六年だったか、官公需法というのを閣議で決定して、地方にどのぐらいとかやる法律、余り正確なことは覚えていないのだが、地方にどのぐらい分配して、官房長わかるのかな、当初は二四、五%ぐらいなのが今は四、五〇%になっているんでしょう。これは一つには雇用をつくってきたということと、それからもう一つには、そのことによって逆に日本の国の建設コストが非常に高くなっている、分割しますから、細かくするから、そういう非効率部分がある。  それからもう一つは、私は地方議会にいたからよくわかるのだが、日常生活に直結した仕事というのはゼネコンや何かではできないんですね。雪国なんかへ行きますと、建設業者がほとんど通勤通学の除雪を、あれはもう利益を度外視してやっている。そういう日常生活に対する貢献度というのは高いわけです。  しかし、金融と財政のこの厳しい時期になってきて、これが建設業を今直撃しているわけです。そうすると、生き残っていくためにどうしたらいいのかという問題が起きてくる。そうすると、今のようなものを改良していく道があるのか。要するに、市場原理建設業をぽんと投げ出していけるのかどうかという問題。  今、冒頭大臣が総合的なことを言われましたけれども、そこまで踏み込んでいくのかどうかということ、そういうことについての検討はしていますか。
  12. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生から幾つか御質問をいただいたわけでございますが、簡単に申し上げまして、先ほど来お話ございますように、我が国経済の中で建設産業の今果たしているあるいは占めているウエートは大変大きいと思いますし、それだけに社会的責任も大きいと思います。  一方では、お話のございましたように、地方の足元における事業と申しましょうか、そういうもので地方貢献あるいは地方における雇用吸収もやっております。一方では大変大きな企業もございまして、全体で五十七万と一言で申しますが、その様相はそれぞれ大変違うと思います。したがいまして、お話のございましたようなことで、ほかの産業もそうでございますが、過剰設備あるいは過剰債務、さらには過剰雇用という日本経済の今直面している問題に対してこれからの建設業そのものがどうやっていくか、とりわけ六百六十万から七十万が常時ある雇用でございますので、我々としてはこれからの課題としてこれをどう吸収し、かつ一方ではリストラもしていかなきゃいけないという部分があると思います。  とりわけ、先生がおっしゃった地方業者の問題というのは、御質問の中にありました官公需法というのは、いわば大手と中小でどのぐらいの仕事の分け方をするかということは一つの国なりの政策的課題として、目標として持っている数字でございますが、お話のございましたように、おおむね中小の割合は五割弱ぐらいが平均的な数字と承知しております。そういうことも念頭に置きながら、しかしくどいのでありますけれども、建設コストという面での効率性も一方で果たしていかなきゃならない。  大変課題は多岐にわたっておりますが、大臣からも御指示いただいておりますので、新しい建設産業に脱皮するような方向づけを鋭意早急にまとめたい、こう思っております。
  13. 北澤俊美

    北澤俊美君 そこで、建設業にいつでもつきまとっておる国民から見ての不信感というのは、発注受注のあり方なんです。談合あるいは話し合いだとか調整だとかありますね。これはなかなか悩ましい問題で、努力はされております。努力はされておりますけれども、ずばりお聞きするが、談合というのはなくなっておるのですか。
  14. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先生の御質問そのもの真意を私が十分とらえていないかもわかりませんが、ちょっと言葉で申し上げるとあれですが、建設工事の場合は大変工事そのものが早目から、特に大きな工事の場合は仕込み期間がございますので、そういう意味では、工事発注段階では例えば発注業者などが相当目星がついているような例をもって調整が行われているじゃないかということでありますが、少なくとも独禁法世界におきまして犯してはならないことについては建設産業も同じでございます。  今の段階談合ありやなしやというのは、私の立場からいきますと、それは加えて入札におきます透明性とかあるいは競争性とかというものを一層高めたいということに今取り組んでおりますので、ぜひそういうものがない産業界にしていきたいという気概だけをお答えしたいと思います。
  15. 北澤俊美

    北澤俊美君 では、ちょっと視点を変えて聞きますが、建設業界が生き残っていく上で、ある種の話し合いとか受注業者が決まるということは、健全であるかないかは知らぬが、今の段階でそういうことは是認されますか。
  16. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) お話のございましたように、話し合いという言葉意味が大変広範でございますけれども、現在は、独禁法世界では基本的に話し合いというようなことについては禁じられております。
  17. 北澤俊美

    北澤俊美君 そうすると、世間一般で、談合があってあの業者受注した、こういうことについて現象面で言うとどういうことを指しているんですか、実際の入札落札のことを言うと。
  18. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 私が御質問趣旨を十分とらえていないかもわかりませんが、入札制度そのものにおきましては、例えば指名競争入札とか、あるいは最近では大型工事につきましては一般競争入札ということで一定の要件をクリアしたものについては自由に参加して入札をするという世界もございます。  今、先生がおっしゃられた入札あるいは受注という世界におきます手続論で申し上げますと、私たちとしてはより透明性の高いものにしていくというお答えにとどまるんじゃないかと思います。ちょっと質問の御趣旨を違えておるかもしれませんが。
  19. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) いわゆる違法な談合というのはないと思います。違法ないわゆる談合というのは行われるものでもないし、それは私はないと思うんです。  いわゆる建設業協会に入っている者じゃないと仕事がとれないとか、ABCですか、何かランキングがあって。ですから、そのランキングに入るまでがまた大変なわけで、その過程において先生がおっしゃるような話し合いといいましょうか、談合という話ではないんでしょうけれども、それのひ孫みたいな感じのことがあることはあるんだろうと思います。しかし、先生指摘のように、そういうことがないと建設が成り立たないという部分もあるんじゃないかというお話だろうと思いますが、そこはもうこのときに思い切って是正していかなければならないのではないかなと私は思っております。    〔委員長退席理事太田豊秋君着席〕  ですから、そういう意味において、ドラスチックになるかもしれませんけれども、もうそこまで来ておるんじゃないかなと私は思っております。
  20. 北澤俊美

    北澤俊美君 談合に違法なのと違法でないものがあるかどうかは知りませんが、談合独禁法に触れるものという認識で私は申し上げておるんです。  私は、話し合い談合がなければこの業界が生きていけないのかどうなのかということを建設省はどういうふうに見ているかというふうにお聞きをしたわけでして、現象的なことを聞いたというのは、これは局長は私の真意がわからぬと言ったけれども、それはあなたの職責からいえば、談合だとか話し合いで何かが決まったということが新聞記事になるときに必ず出てくることは、応札した値段がきちんと段階的になって何度やっても同じ差が出るとか、そういうことを僕は言っている。談合とかそういうのが現象面であらわれるとすれば、そういうことじゃないんですか。
  21. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 従来、私たち幾つか経験した例では、先生おっしゃったようなことも一つの象徴的な数字ではあろうと思いますが、結果において、例えば何回も入札をしまして落札に至る過程において、一番札を入れた業者が大体決まっているということをもって直ちに談合がありやなしやということも、なかなかこれは一概に言いにくいところがあると思います。  ただ、くどいのでありますけれども、少なくとも大変大きな税金を使う公共事業におきまして、世間から入札上いろいろ指摘されていることにつきましては、我々は仕組みをいろいろ変えましてもそれに参加する業者の心構えの問題もあろうかと思っておりますが、しかしできるだけ入札制度そのものは今お話のあったような誤解を招かないようにしていかなきゃいけない。  それと、先生から御質問のあったもう一つは、それではそういうことをやったときに本当に小さい業者とか地方業者受注できるのかという問題もあろうかと思いますが、それは例えば発注する工事の規模その他につきましての配慮も、今いわば地域性、地域条件なども加味しているところはございますが、これからもそういう点については何らかの我々として工夫する余地はまだまだあろうと思います。  基本的には、他産業に比べて建設業の受けておりますイメージダウンをこれからも我々としてはできるだけ払拭するような形での入札制度の改善に一層努めていくべきであろうという立場に立っております。
  22. 北澤俊美

    北澤俊美君 努力されていることはわかるけれども、成果の上がらないところへ一生懸命なたを振るっているんじゃないかと思うんだが、そういう徒労感みたいなものをあなたの部下でおやりになっている人たちは感じているんじゃないか。  そういうことを感じないで、現実に、今ここに資料も幾つかもらったが、入札契約制度改革とかなんとか、いろいろある。こういうものをやって、成果が上がっているとか、このぐらいまでいけば談合だとか話し合いがなくなるというふうに仮定して努力をしているのか。現実と努力との間には大変な乖離があるような気がするが、どうですか。
  23. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほども、地方での議会の御経験もあるということでございますから、地方公共団体発注などについても十分お詳しいということでお答えするわけでございますが、確かにおっしゃられましたように、工事の規模とかあるいは工種によって、今、先生から御質問のあったようなこと、いろんな多様な様相を示していると思います。それをすべて解決するには確かにまだまだ我々は道遠いわけでありますけれども、今日的にはかなりの工夫がされてきております。  例えば業者側から積極的に提案をするような、そういういわば入札方式としても新しい方式なども入れておりますし、片やお話がございました除雪とかあるいは除草とかという工事の中身が大変単純化されているようなものについては、それほど大がかりな入札制度に取り組む必要もないわけでございますから、これらについてはおっしゃられたようにもっと簡便で地域にその公共事業が貢献できるような入札の仕組みもあろうかと思います。  ちょっとなかなか一言では答えにくいかと思いますが。
  24. 北澤俊美

    北澤俊美君 時間が余るかと思ったら少なくなってきました。  民間の方が成果が上がっているんです、談合とか話し合いを排除するのに。特定の業者に注文して、ぎゅうぎゅう施主と話し合いをして下げていくとか、それから提案をさせておいてどこかこうやる。ところが公共事業というのはそれができないんです。だから、民間の方がむしろすっきりした受注をさせているんです。ところが公の方はそのようにいかない。  そこで、時間がないからちょっとはしょりますが、官房長、天下りと一概に言うと今はもう言葉が余りよくないのかもしらぬが、建設省の役人が各ゼネコンや、地方で言えば県のお役人が地方の大手その他にみんな引く手あまたで行きますね。これは何を求めているんですか。
  25. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) お答えいたします。  確かに先生指摘のとおり、私どもの職員であった者がOBになって、その後民間企業にぜひ来てほしいという御要請をいただくこともございます。  これは、一般的に建設行政と、行政で言えば建設行政でございますが、民間の部門からいえばやはり建設工事と申しますか公共工事、そういうものについてのいろいろな知識とか、あるいは特に技術というものについてそれなりの専門的な大変深い知識もあるだろう、そういうような者をぜひ企業において働かせてもらいたい、こういうようなお話だというふうに私どもは受け取っております。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕
  26. 北澤俊美

    北澤俊美君 今の答弁は明治の議会なら通用するんです。明治のころは技術はすべてお国にあったんです。近代国家になって、それがやがて民間に仕事を出すようになっていって、会社ができ上がる、技術を持った人間がそこへ行く、そういうことだったんです。だから明治の話だ。  今は、国のお役人さんが来て技術を新たに欲しがるなんというゼネコンはいない、そう思いませんか。
  27. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) 国の方にそういう技術がないというお話ではございますけれども……
  28. 北澤俊美

    北澤俊美君 ないというんじゃないんだ、欲しがっていないというんだ、民間が。
  29. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) いろいろな契約方式にいたしましても工事につきましても、やはり私どもはかなり大規模な工事をやっておりますから、どういうような形でそれを実施していくのかという施工管理、いわゆる技術的な意味での技術という、建設工事等の場合には施工管理的な部分とか、どういう工法を採用していくことが一番ベターであるとか、そういったようないろいろな意味での施工管理的な技術というのはもちろんあるわけでございます。  そういうものについてぜひ力をかしてもらいたいとか、アドバイズ的な技術顧問といったような形での就任を要請される場合というものが大変多いということは事実でございます。
  30. 北澤俊美

    北澤俊美君 この話はまたゆっくり時間をいただいて、これは永遠の問題ですから、質問を急がなくたっていつでもタイムリーになると思いますので、またにいたします。  ところで、局長、ゼネコンのフジタが経営危機に陥ってきていて、オーナー経営者が退くことによって責任をとって、そのかわり再建をするために建設省のOBを欲しいと言って、これは新聞に出ていた話ですが、これを建設省がほぼ了解したというふうに報じられておりますが、事の事実と、どういうルートでそういうことを要請してきたのか、そしてまたこれに応ずるに当たって、どういう考え方建設省はしているのか。
  31. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 若干前置きになりますが、昨年の十二月二十八日にフジタは中期の経営改善計画を立てまして、その中で債務についての免除を各金融機関に要請しておりまして、去る三月三十一日におおむね千二百億円の債務免除ということを主要な取引銀行と合意した模様でございます。  その過程におきまして、関係の金融機関との間でいわば経営者としての経営責任を明確化するようにというふうに要請を受けて、三月二十三日の取締役会で四月一日付をもちまして社長退陣ということで社内的ないわば取り決めをしたと聞いております。  建設省に要請があったかどうかということでございますが、社長の人事等でございますので余りつまびらかに申し上げるのは控えたいと思います。ただ、日ごろから建設業そのものにつきまして、我々は各建設業がどういう状況であるかということは聞いておりますが、個別について社長をぜひ建設省にという要請はございません、新聞にはそう報じられておりますが。  ただ、今後どういうふうになるかということでございますが、これは当然金融機関と当該企業とが御相談されて新しい経営陣を早急に決めるべきだと思っておりますので、現在は社長の代行という姿でございますから、できるだけ早くお決めになったらいいんじゃないかと思っております。
  32. 北澤俊美

    北澤俊美君 そうすると、OBというのもたくさんあります。タケノコと一緒で下の方はたんと衣を着ていますが、できたてのほやほやもいる。多分、迂回融資じゃないが、相当民間で経験を積んだ、こういう言い方になるかもしらぬが、そういう人でも要請がないというのか、それから少なくとも建設省のOBはフジタへは行かぬ、こういうことでいいんですか。
  33. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今の段階で、こういった場でお答えするには、私は明確にお答えを持っておりません。  といいますのは、先ほど申し上げましたように、三月二十三日でございますか、取締役会を据えた後、社長が記者会見しておりまして、社長は社内あるいは社外に広く人材を求めたいということで、私どもの方にもそういう趣旨のことは伝わってきておりますから、場合によってはいわば社外に、例えば金融機関あるいは同業者、同業者の中でも先ほど官房長からお答えしましたように、長年建設業界で経験を積んだ、ルーツをたどれば建設省に籍があったという方も中には候補として挙がっているかもしれませんが、ただ私どもはできるだけ早く体制を決めていただくことが必要じゃなかろうかと思っております。  現時点において、一切建設省OBがこの会社に行くことはないのかという御質問に対しては、会社のお決めになることでございますので、この場ではっきりとしたお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  34. 北澤俊美

    北澤俊美君 それでは、具体的に要請は一切なかったということですか。
  35. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 先ほどお答えいたしましたように、広く経営全体の御相談は私どもの方にございましたが、個別の人事についての御相談なりあるいは具体的に社長そのものを出すようにという要請は、私ども聞いておりません。
  36. 北澤俊美

    北澤俊美君 その広くということは、再建に当たってあなたのところへ相談に来ているんですね。
  37. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 建設業の場合は、多少口幅ったい言い方でございますが、金融機関等のような直接的ないわば指導監督というよりは、私どもはもう少し広い意味業界との、いわば指導をしております関係でございますので、全くないかということでございますと、当然我々は先ほど来申し上げたように日本経済における建設業、個々のゼネコンの影響も大変大きいと認識しておりますから、新聞等で報じられることも含めてでございますが、主要な建設業から事情を聞くことはございます。  それは広く経営的な面も含めて聞かせていただいておりまして、今回においても、その中でこれからどういうふうに会社を立て直そうかという話は伺っております。
  38. 北澤俊美

    北澤俊美君 そうすると、これは朝日新聞、それから日経、さまざまなところへこの記事は出ているんです。そういう中で、仮にあなたの言うような姿勢で古いOBが就任したということになったときに、建設省としてはこれについては我関せずで建設省にもダメージはない、こういうことですか。
  39. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 今私がお答えいたしましたように、広く御相談を受けておりますが、先生がおっしゃられたダメージということでございますが、建設省OBが行くことについて新聞等が報じるところによると、いささかそのところに何らかのいわば会社としての思いがあるというふうに解説されておりますが、そこのところは我々がそんたくするというのは少し出過ぎの立場であろうと思います。  結果的に、その会社に建設省のOBがどういう形であるかは別といたしまして就職するということが、先ほど先生がおっしゃったように、この段階で私がはっきりあるともあるいはないともお答えするにはいささか状況としてはまだ流動的でございます。
  40. 北澤俊美

    北澤俊美君 官房長、今の質疑を聞いていて、仮にOB、これはどんな立場になったってOBはOBですよ、OBが行ったとなるとあらぬことを疑われるのはこれは必然だ。好ましいか。どうですか。
  41. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) OBということで好ましいかどうかということでございますけれども、社長の記者会見のお話経済局長からお答えいたしましたけれども、広く内外に人材を求めていく、そういうみずからのフジタという組織の外に人材を求める範囲の中にいろいろな経歴を持った方が入ってくる。その中に例えばルーツを探ればかつて建設省の職員でいた者があったとしても、それはそれで一つの人材ということで考えていただくということではないかというふうに私は思います。  そういうOBの方が行ったことによって、先ほど談合の御議論もございましたけれども、例えば仕事の取得と申しますか受注が有利になるのではないかとか、そういうようなことをおっしゃるいろいろな識者の方もおられるわけでございますけれども、今はある程度の工事につきましてはすべて一般競争入札でやっておりますし、そういう疑いを持たれないような入札方式の改善ということも進めておりますので、一般的にはそういう意味の人材の中に入り得るというふうに私は思います。
  42. 北澤俊美

    北澤俊美君 そんな時代おくれな答弁を聞いていたらいつまで質疑しても、そんなことを世間が認めるわけがないんだ。大体、この記事が書かれたそのことで、建設省、新聞社のことはそんなに詳しいことは言えないが、業界がすべて怒っているんです。我々はもう必死になって今再建に取り組んでいる、一番努力しなかったところ、フジタが一番とは言わぬが、努力しなかったところがギブアップしてお上から人をもらって生き延びる、今努力している我々はどうするんですかと、これが業界の今の声です。  これは私は聞いてみたんだ。みんな怒っておる。フジタは何を求めているのか。もっと言う人が言えば、これは大変誤解があればいけないけれども、あえて申し上げるが、親族が県知事をやっていて、今度は社長が建設省から来たらおれたちはお手上げだと、そんなことまで言われるんです。建設省はわきが甘いんだ。こんな事態になっている。  これからちょっと申し上げるが、銀行が債権放棄を求めているんでしょう。銀行はなぜ債権放棄ができるんですか。資本注入を国から受けて体力を強化して、その上でやるんでしょう。税金がぐるっと回っているんだ。だから、金融問題のときにさんざん言ったでしょう、ゼネコン救済になるのではないかと。  我が国の体質として、銀行の下へぶら下がった不良債権の大宗をゼネコンが持っていることは仕方のないことだ、何とか救わなきゃならぬ。だけれども、そこにいる、大蔵省は非常に悪者になってきたけれども、建設省は悪者じゃなくて時代おくれだ。もうちょっとぴりっとした答弁ができないのか。国の金が行った銀行が百なくなるよりは五十なくなった方がいいと思って債権放棄するんでしょう。それで企業はぬくぬく。では、オーナー社長はやめて株式でも放り出したのか。それはちゃんと持っているんでしょう。身を引いただけだ。そういうところへ行くかもしらぬなんという答弁をしていると、それはおかしい。もう一回。
  43. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 人事そのものがまだ先行き私はよくわかりませんので、先ほど来この席で正確にお答えすることを控えさせていただいているわけでございますが、先生がおっしゃられたように、建設業界にいろんな声があることも業を担当する局長としてよくわかっておりますし、その声が一部はむしろ業界内部からあるということは、大変私はこれは意味が重いと思っております。  お話のございました債権放棄も他の委員会でも十分論議されましたから、ここでくどくど申し上げる必要はございませんが、金融再生委員会の考え方としては、先々につきましてのいわば見通し、さらには倒産による事態と比較いたしまして、いわば残存債権の回収の可能性とか、あるいは関連する下請への影響とか、そういうことをある程度総合的に判断して金融機関がいわば今回のような選択をなさっておられるわけでございます。  これは教科書的なお答えで恐縮ではございますが、我々としては、建設業の経営悪化への対応ということでは、あくまでも業者そのものが基本的には自助努力といいましょうか、自己責任をとってやるべきだと思っておりますし、もちろんマクロの話として、建設業界経済を損ねてはいけませんので、より努力をしていくための基盤づくりといいますか、条件づくりを我々はやっていかなきゃいけないと思っております。  私は、大変重い選択を、今例としてお出しになった社長人事においてもあると思いますので、十分そこは会社に対しても申しておりますし、今後どういう展開をするかはきょうはお答えいたしておりませんけれども、それなりの意味を持って対応していきたいと思っております。
  44. 北澤俊美

    北澤俊美君 銀行も百をなくすよりは五十なり三十をなくした方がまだ賢明だと言うけれども、この裏打ちは税金でやっているということを忘れてもらっちゃ困る。  それから、生き残ったゼネコンが残された負債を返していく試算が、債権放棄を求めている企業は大体五十年だとか百年、百五十年たたないと返せないような今の試算でしょう。我々のお墓にコケがむすようなころまで引きずるんですよ。そういう実態の中で、発注をする主体で、それは地方を含めて年間三十兆とも四十兆とも言われるものの一番の大元締めにいるところが、幾ら談合しちゃいかぬだとか、話し合いをしちゃいかぬだとかきれいごとを言っていたって、それはもとで人を出したら何にもならぬですよ。  冒頭に僕が申し上げたことはそういうことなんだ。絶対にこれはやっちゃいかぬことだ。自力で生きていってもらわなきゃだめだ。それでこそ初めてほかのゼネコンも努力をするし、地方業者努力をする。そのことがさっき僕が冒頭申し上げた、日常生活の中で、コストは幾らか高いけれども生活の利便性に寄与している企業企業人としての生きがいを与えることでしょう。僕はそう思うんだ。  この事態の中で、一つのゼネコンに建設省の、幾ら古かろうが見識があろうが、力量があろうが手腕があろうが、派遣したら建設省は天下の笑い者だ。大臣、そういう意味での見解をお聞かせいただいて、不十分ならばまた次回にさせていただきます。
  45. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 最初の談合の御質問からずっと確かに筋を追ってこられて、すばらしい私は質疑であったと思っております、本当に。  それと、今の先生の、そういう最後、どういう形のOBの人にしても、その人が行くということは他の企業の方がやはり批判をされるというところ、今その御意見を伺うまでは、私はやはり技能的、技術的にも、あるいは人物的にもすばらしい人であるならばそういうところへ行くのもやむを得ない話だろうと思いましたが、最後の先生の御指摘が強く私は今胸に響きましたので、そのことも頭に置いて検討をいたします。
  46. 北澤俊美

    北澤俊美君 終わります。
  47. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 熱がこもりまして私のところを十一分も侵食されておりますので、絞って話をしなければなりません。声患いをいたしておりますのでお聞き苦しいかと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。  昨年の秋、初めて白神山地に行ってまいりました。大変貴重なブナ林を持つ白神山地、一九九六年に世界自然遺産に指定されているわけなんですけれども、ブナの森というのはヨーロッパやアメリカ、韓国にもあって、しかしこれは全部二次林なわけですね。朝日連峰から白神山地にかけてのブナの森は原生林であって、地球上かけがえのない森となっているわけです。また一方で、縄文文化との密接なかかわりもあって、人々とともに生きてきた森だというふうな新しい評価もされているわけなんですけれども、これらを含めて環境庁長官にぜひ全体の評価をお伺いしたいと思います。
  48. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 白神山地の世界遺産地域は、ブナ林が原生的な状態で残存して、多様な動植物が生育、生息するなど極めて高い学術的な価値を有しておると私も認識いたしております。しかしながら、私はまだ現地を訪問していないので、できるだけ早く拝見させていただきたいと思っておるわけであります。  そんな地域でございまして、これからもこの自然環境が評価されて、世界の自然遺産に登録された価値を十分に発揮していただきたいものだ、こう思っております。
  49. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この白神山地は、世界自然遺産であるという前に国民の森であって、地域の人々等の暮らしも守ってきた森なわけなんですね。そのブナの森の水で農業を営んできた、あるいはブナの森に親しんで多くの自然の恵みを受けてきたというようなことの視点というのを大事にしていただきたいというふうに思うんですが、環境計画というのがあるんですね。これは、行政五団体で策定したというふうに聞いておりますけれども、少し研究が足りなかったというふうに思うんです。  ここに、青森県鰺ヶ沢町の吉川隆さんからの切実な訴えが届いております。   私が生活の一部として共存してきた山が白神山地と呼ばれ、世界自然遺産になった途端、営林署は入山禁止を言い出し、現在は二十七ルートに限り許可制による入山だけを認めています。山に入り、マタギ、山菜、魚をとり、昔から生活してきた流域生活者としては死活問題になっている。   今まで林道の延長とともに山菜を取っていた森周辺が伐採されて杉が植林されたため、林道を利用しなければ生活が困難になってきたからです。営林局はその生活の一部として利用してきた林道にゲートをつくり、鍵をかけ、一部の人しか利用できなくした理由を教えてください。  こういう手紙なんです。  長い間山の監視役をし、守り役でもあったこういう住民の役割は自然遺産となった途端に終わったんだ、今度は自分たちが管理をするんだという囲い込みをして、住民の生活権まで奪ったというのが現実なわけなんです。自然の山の恐ろしさ、あるいは恵みを最もよく知ってともに生きてきた住民と、彼らが森とともに培ってきた文化、生活、歴史、現在の管理状況はそのことを否定していることになるんです。  もう一つは、ユネスコでも、遺産計画担当上級専門官、ハロルド・エイズウイックという方が、こういった質問に対して、管理計画というのは一般の人々がそれを利用できるための仕組みをつくり上げるためにあるべきだと。世界遺産を利用することによって人間は自然を理解できて、そしてそこで得られた自然への理解を通して自然を守ろうという人間の連帯が強められるからだと。計画策定に関して住民から適切な意見をくみ上げることなしに余りにも急いで計画を策定してはいけないというようなこともおっしゃっているんです。  こういう一方で、学者や研究者はかなり山に入っているという報告もありますので、その数を林野庁にお伺いします。
  50. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 今御指摘白神地域の入山規制でございますけれども、この経過を一言申し上げさせていただきますと、関係省庁の出先機関、関係県で構成される地域連絡会議、ここにおきまして、今、先生指摘のような御意見を含め、入山規制すべきだという意見、あるいは規制すべきでないという意見もございますが、そのようなさまざまな御意見を、自然保護団体の方々、また地元関係者等の御意見を承りまして、自然環境に及ぼす影響が極めて小さいと判断される二十七区間を指定ルートとして、この区域に限り入山を認めているところでございます。  入山の状況でございますけれども、これは平成九年六月にこのルートを指定いたしましたが、平成九年度三百六十八人、それから平成十年度には二百八十人の入山者がいらっしゃいます。
  51. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話などを伺いまして、環境庁長官、ぜひもっと住民の声を真摯に聞いて、そして将来にわたって世界遺産を守っていくということは一体どういうことなのかということも含めて、これまでの管理計画の見直しというのはぜひ必要じゃないかというふうに思うんですけれども、長官いかがでしょうか。
  52. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 世界遺産になるがためには多くの皆さん方の御協力を得て今日を迎えた、こう思うわけであります。その間にNGOの皆さん方やいろんな関係者が努力なさった結果だと思っておるわけであります。  そこで私は、この白神山地の自然環境のみならず、ブナ林等の一つのかかわりに関する、先ほど先生が申しました社会的、文化的、経済的な調査を実施していかなければならない、こう思っておるわけであります。そしてまた、今、世界遺産センターを青森県側と秋田県側にセンターを持ちまして、片や学術研究、片や一般の皆さん方からの御意見というようなものを聞きながらこれを保存していかなければならない。  おとといの知事選の結果で、きのう石原さんがお墓参りをしておりまして、そこに石原軍団の皆さん方が同道をいたしておりました。そこの席で、石原軍団の皆さん方に新しい知事に何を求めますかと言ったら、教育だ、特にマナーが大切であるというふうなことを側近の軍団の人からも言われておる。自分は不良少年であったけれども、今、社会生活を営んできて大切なものは社会的マナーだと。その問題について触れられておりまして、私は、やはりこの白神山地の中に入山するにもそういうマナーを心得た方々がちゃんとルールを守ってやっていかなきゃならないな、それはやはり環境行政の中で教えたり学習することによって習得されるものじゃないだろうか、こんな感じを持ったわけでありまして、これからもこの世界遺産を大切にしていくならばそういう面の心がけも大切じゃないだろうかと、こんな感じもいたします。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 教育のことについて触れられましたので、文部省にお伺いしたいというふうに思いますが、自然とともに生きてきた、歴史的、文化的、そういうことを含めての幅広い調査研究が必要だと思いますが、文部省はどういうことをしているのか、簡単にお願いをしたいと思います。
  54. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 特にこの白神山地世界遺産地域の保護の問題でございますが、この中に貴重な動物群があるわけでございます。カモシカでありますとかクマゲラ、イヌワシ、ヤマネ、カモシカにつきましては特別天然記念物に指定し、その他のものは天然記念物に指定をしているわけでございますけれども、特にそういったものの保護、こういう観点から私ども、管理計画の策定に環境庁、林野庁ともども参画をしているわけでございます。  先ほど来お話がございますこの地域の自然環境でありますとか人為の影響につきましては、環境庁、林野庁の方におきまして大学等の研究者の協力を得ていろんな調査がなされているわけでございますけれども、文化庁といたしましても、今後とも必要に応じまして環境庁、林野庁と連携を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  55. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話を受けまして林野庁長官にお伺いしたいと思いますが、十二月十五日に、大規模林道計画廃止直前のこのときにNGOの側との話し合いが行われて、そのときにブナ林保護研究センターの開設の要請がありました。  四カ月過ぎましたので、文化庁、環境庁の協力を得て開設はできないものか、簡単にお願いをいたします。お伺いします。
  56. 山本徹

    政府委員(山本徹君) センターのお話でございますけれども、現在、地元の小国町で金目川源流域の地域を対象に百三十五年生以上のブナを主体とする天然林を活用した学術研究、自然教育、自然との触れ合いの場づくりの構想が進められております。こういった地元市町村や県のお考え、それから事業主体、それからブナに関する研究も農林水産省の森林総合研究所で研究を行っておりますし、ほかにも青森や新潟の試験場また岩手大学、名古屋大学でも行っておられまして、こういった機関との連携協力関係をどうするかという問題がございまして、私どもそういった諸問題の調整をしながらこの問題を考えていく必要があると思っております。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 積極的に取り組んでいくのかどうなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  58. 山本徹

    政府委員(山本徹君) このセンターという施設もさることながら、今御指摘のような自然保護の観点から、大変重要なブナ林を守り、またそれを十分研究し、将来にわたってこれを国民あるいは人類の遺産として守り育てるための工夫、仕組み、努力あるいは研究はどうあるべきかという観点からこの問題を考えていく必要があると思っております。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひとも環境庁、林野庁そして文化庁、ばらばらに縦割り行政でやらずに連携をして進めていくということを心からお願いいたします。  それでは、私の質問はこれで終わります。
  60. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。私は、ダイオキシンの関係の質疑をさせていただきます。    〔委員長退席理事太田豊秋君着席〕  政府ダイオキシン対策の閣僚会議をつくりまして、推進基本指針を三月三十日に何とかまとめたようでございます。私、もう手元にありますので、詳しい説明をしているとそれだけで時間が終わりますので、ダイオキシン九割削減という話をされたようでございますので、そういうところ、また食品の安全対策におけるTDIの策定の問題、あとごみの減量、リサイクルの絡みの三点ぐらいに絞って概要をお伺いしたいと思います。
  61. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ダイオキシン対策推進基本指針につきましては、第一に基本考え方というのと第二の個別の緊急に講ずべきダイオキシン対策というふうに二つに分かれております。  第二の緊急に講ずべきダイオキシン対策のまず一つ目に、耐容一日摂取量見直し等を初めとする各種基準づくりというのがございまして、そこの中で、今、先生お話TDIが一番最初に出てきておりますし、それに基づく環境基準づくりの話がまとめて出ております。  それから次に、排出削減対策につきましては、地域住民や事業者地方団体と一体となって排出総量を九割削減するために強力に推進するんだというのが第一の基本考え方のところの二番目に載っております。  それから、廃棄物処理につきましては、減量化目標を設定するとともに、安全で適正な産業廃棄物処理施設を円滑に整備するため、国または地方公共団体施設整備等に関与する新たな制度を構築すること等が六番目にまとめて出ております。  以上、簡単でございますが御報告いたします。
  62. 福本潤一

    ○福本潤一君 新聞にも報告されていますので簡単に述べていただきましたが、これは厚生省、特にダイオキシン自体を九割削減というのが新聞等に大きな見出しで出ております。九割削減というと、反応として、さすがに本気で取り組もうとしているなということがうかがえると言う人もいますし、いや、具体的にこれ見通しをきちっと聞いておかないといけないということがありますので、どういう形で九割削減の見通しを立てられたのか。
  63. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 具体的なダイオキシンの削減の対策でございますが、厚生省といたしましては、廃棄物焼却施設につきまして、既に廃棄物処理法に基づきましてダイオキシンの排出規制を強化するというふうな対策を講じているところでございます。  具体的には、先生よく御存じだと思いますが、新設の焼却施設につきましては既に平成九年十二月一日より基準の強化を図っておりまして、既存の施設につきましても平成十四年十二月一日から厳しい基準を適用することといたしております。  規制対象となっております廃棄物焼却施設からのダイオキシンの排出状況につきましては、昨年十一月末段階での状況を取りまとめまして先般公表したところでございます。これによりますと、一般廃棄物焼却施設からのダイオキシン排出総量でございますが、年間約千三百四十グラム産業廃棄物焼却施設からは約九百六十グラム、合計で約二千三百グラムと推計をされておりまして、平成九年一月時点のダイオキシンの規制強化以前の状況と比較をいたしますと、既に四割以上削減されているものというふうに考えております。さらに、先ほど申し上げました平成十四年十二月以降におきましては、厳しい基準の適用によりまして廃棄物焼却施設からのダイオキシンの排出は約六百グラムまで削減されまして、規制以前に比べまして約九割の削減が達成されると見込んでいるところでございます。  こういったことを実施いたしますために、廃棄物焼却施設のダイオキシンの削減に向けまして規制を強化するということとあわせまして、市町村に対します助成措置、あるいは民間事業者に対します低利融資、税制措置を講じているところでございまして、これらの活用によりまして焼却施設からのダイオキシン削減を速やかに図ってまいりたいと考えているところでございます。
  64. 福本潤一

    ○福本潤一君 この九割というのが、今の御説明のような形で考えていきますと、具体的には大気における排ガスの関係でございますけれども、前回私が委員会で言いましたように、ベトナム戦争では百八十キログラム近く、具体的に日本の農薬等々の蓄積量を考えると、益永先生の発表した経年変化によりますと何ともう既に日本の排出されたダイオキシンは八百キログラムになっているというデータを提示させていただいたわけでございます。ですので、排気ガス、今現在年間五キログラムぐらいにおさまっているとはいえども、全体の蓄積した部分に対する削減でなければ、特に今回コプラナPCBも入れるということになっていきますと、そういったものの問題点も含めて削減計画をしないといけないということがあると思います。  ですから、九割削減というのは過剰な言い方ではなかろうかというふうに私は思いますが、そういう蓄積されたダイオキシンに対する対策を含めてお伺いしたいと思います。九割削減というのは、具体的に計画だけじゃなくて、蓄積されておるダイオキシンに対する。
  65. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生の九割削減の問題でございますが、基本指針にある排出総量平成九年度に比して今後四年間で九割削減という目標を立ててございます。これまでに得られている排出総量の推計量をもとに、ダイオキシン類の排出の大部分を占めている廃棄物焼却施設、それから産業発生源の排出ガス濃度について、規制実施前に比して規制の徹底や実施取り組みの推進を図ることによって見込まれる削減量を考慮して算出しているということになります。  今回、先ほど厚生省局長が申しました、厚生省調査、公表した廃棄物焼却施設にかかわるダイオキシン類の排出実態調査結果等をもとに、先ほど大臣も答弁しておりますが、本年六月までに廃棄物焼却施設の産業発生源を含めダイオキシン類の排出目録を整備することによって、これを踏まえてダイオキシンの総排出量の九割削減のためさらなる排出削減対策を推進するという考え方を持っておるわけでございます。つまり、新しく出てきているダイオキシンの排出インベントリーをきちっと決めまして、そして排出を考えてまいりたい。そして、その目標を九割に置きたいという考え方でございます。
  66. 福本潤一

    ○福本潤一君 今の御返事でよくわかったことは、九割といっても、現実に日本に蓄積されたダイオキシン等々の削減は一切入っていないということで、ベトナムで百八十キログラム近く蓄積されたというもの等々の対策とは違うということでございます。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  関連がありますので、お手元にお渡ししている「ダイオキシン大気排出インベントリー」ということで、先にこちらの話をさせていただきますと、これは「環境資源対策」という本の三十四巻三号から引用したものでございますが、現在、大気中だけ取り出してみたときにも、英国での排出量、二十九種類が単年度にどれだけ出ているかというのがグラフで出ております。五百六十グラムから千百グラム、要するに一・一キログラムぐらいにおさまっている。日本ではこういう形のデータがそろっていないという現状があると思います。  特にこの中で、十八番は三千百グラムから七千四百グラムということですから、厚生省が言うところの五キログラム程度の値ではございます。ただ、「農薬産業」のところ、ここのところが具体的なデータでは出ていない。特に、現在もうダイオキシンが副生物として非意図的に出るという農薬が現状では少ないんですが、要するに蓄積されたものが大きいというものが前回質問させていただいて出たわけでございますので、先に基礎データとして例えばこの一から二十九まで、農薬まで含めて全体の排出量というのはどういう形で今後基礎データとして埋めようとされているか、それを先にお伺いします。
  67. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 今、先生の提示されました「日本排出量」のところでございますが、このところは平成九年五月に取りまとめたダイオキシン排出抑制対策検討会の報告において、一般廃棄物焼却炉、産業廃棄物焼却炉、金属精錬のほか石油添加剤、それからたばこの煙等燃焼系発生源についての八種類というのが一つでございます。それから漂白工程としてのさらしクラフトパルプ、それから農薬製造としてのPCNB、これはペンタクロロニトロベンゼンというものでございますが、計十種類の発生源についての推計を行ったということで、先生のおっしゃるとおり数が少なかったということは考えております。  そして、その後、平成九年五月以後でございますが、廃棄物焼却炉の各種産業発生源の排出にかかわる最新の知見が関係省庁による試算により明らかにされつつありまして、また環境庁においても未規制の小型焼却炉などいまだ排出実態が不明な施設についての排出実態調査を行っております。  そういうことで、ダイオキシン類の排出にかかわる知見は、前回のダイオキシン類排出量の目録を作成した平成九年五月当時に比べてかなり充実してきているということになっております。  これらの調査結果を踏まえて、環境庁で現在ダイオキシン排出抑制対策検討会というのを開催しておりまして、ここでダイオキシンの年間総排出量の推計について見直しを行っております。前回、検討会報告で対象となっていない施設も含めて、排出量の新たな目録を取りまとめたいというふうに思っています。  それから、日本国内の知見はもとより、海外の知見も積極的に活用するなど、日本におけるダイオキシン類排出量目録の一層の充実というのは今後続けていかなければいけないというふうに思っております。
  68. 福本潤一

    ○福本潤一君 特に農薬関係、PCP、CNP、2・4・5T等、日本でかつて使われていたもの、既に使われていないという状況でございますので、現在の農薬産業から出ているということではありませんけれども、水田に蓄積されたものも含めて、日本にはベトナム戦争どころではない量が蓄積されているというのがもう既に学者の中での定説になってきている段階でございますので、このデータは早急に埋めていただきたいと思いますが、いつごろ基礎データとしてこれが例えばイギリス並みに提示されるのか、時期をお伺いしたいと思います。
  69. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 先生質問の件につきましては、ダイオキシン発生というフローの概念ではなくて、過去に先生指摘の2・4・5TとかPCPとかCNPあるいはPCNBの中に不純物として含まれていたダイオキシンというものが農薬の使用に伴いまして何らかの形で蓄積されていないか、こういう御質問だと思います。  その点につきましては、私ども環境庁では平成十年度から、農用地につきましてダイオキシンの土壌中の含有実態につきまして調査に着手したところでございます。かつまた、農水省が平成十一年度、今年度から三カ年間で農用地と農作物双方につきまして、ダイオキシンにつきましての実態の把握に努めるということになっております。そういうデータを踏まえまして、農用地の中におけるダイオキシンの蓄積実態がどうなっておるか、さらにはまた、このダイオキシンというのは御案内のとおり太陽に当たりますとどんどん減少していくという実態もございますので、そういう実態なんかも踏まえまして、今後実態がどうなっているかにつきまして適正に探求していきたい。  ただ、時期についてはなかなか今の段階では明確に答えることはできないという実態でございます。
  70. 福本潤一

    ○福本潤一君 これをある程度基礎データとして埋めていかれるような実態把握でないと、フローで補てんしておくだけでは、具体的にはストックというものが現実に日本環境中に存在しているというところ自体がもう既に異常でございますので、それに対して対応する必要がある。そういう意味では、農薬と、ストックで言うとごみ焼却関係が一番大きいとはいいながら、これは循環して最終的には人間が食べる食物の中に蓄積されていくおそれがあるということでございます。  今回、公明党はダイオキシン対策の規制法を出させていただいて、TDIというものを具体的に明示した法案を出させていただきましたけれども、今、三党協議も続けておりますけれども、その三党協議の中で、TDIというのは法律じゃなくて政令でというような話が出たりいろいろしております。  そのときに、業界から例えば自民党の政調会長の方にまでかなり厳しいというお話をしているようでございますが、この二十九ある中で具体的にどういう業界が一番TDIというものを設定することが問題だということで陳情に上がっているのか。また、厚生省、通産省含めて話しておられるようでございますので、厚生省がここへ来ておられますので、どういう業界がこういう中で最も問題にして対応を考えていただきたいと言っておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  71. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 食品業界あるいはその他関係業界を含めまして、今御指摘のような要望が寄せられたということは私ども承知をいたしておりません。
  72. 福本潤一

    ○福本潤一君 厚生省としては承知してないと。そういった問題で法案中にTDI関係の、要するに健康に与える基準というものに関しては具体的に承知していないということでございました。通産省はあるということを私は聞いてはおりましたけれども、公式にはないということを承ったということにしたいと思います。今ストック関係を中心に、また単年度でキログラムお話しさせていただいたので非常にわかりやすい話でございました。  現在、TDIというものに関する値、耐容一日摂取量ということでWHOの一から四という値を中心に議論しておるわけでございますが、このTDIを出すときに体内蓄積量という値をまず算出して、それをもとにTDIというものを算出するというふうに聞いておりますが、このTDIと体内蓄積量の関係はどのようにとらえられておるか、それをお伺いしたいと思います。
  73. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  ダイオキシン類は蓄積性のある化学物質だということで、動物の種類により体内、体中から消失する速度が大きく異なるという問題がございます。このような化学物質に対しては、実験動物に投与した量、投与量そのものからではなくて、投与した量をもとに計算しました実際に体内に取り込まれた量、体内蓄積量からTDIを算出する方が正しいのじゃないかという議論に基づきまして、WHOでは体内蓄積量をもとにTDIを算出したというふうに聞いております。  先ほど来大臣もお答え申し上げているように、現在、環境庁厚生省審議会合同会合におきましてTDI検討を行っているわけでございますが、その検討に当たりましては、WHOの採用した体内蓄積量を用いた計算方法も参考にしながらTDIの設定が行われるものと考えております。
  74. 福本潤一

    ○福本潤一君 今ダイオキシン研究者はかなりおりますけれども、TDIというのは、一日に例えばこれが一ピコグラムというふうな値になろうと四ピコグラムという値になろうと、それが一つ目標値、指針値ということになりますと、平均でございますから、例えば体重五十キログラムの人が一日に五十ピコグラム。一ピコに定まったためにとるという機会、毎日続けないといけないわけでございますので、基準値としては逆に難しい量かなという考え方研究者の中でも出てきております。  それに絡む話を何点かお伺いしたいと思いますが、今新聞でよく出るのは、血液の血中濃度、母乳濃度、これがこの前大阪能勢町では労災認定を申請した人が八百五ピコグラムという尋常でない値を検出した。私も、龍ケ崎で当初、平均の十倍、二十倍という値が血中濃度で出ているということで、所沢より龍ケ崎の方がもっと大変なのかなと思っておりましたら、焼却炉で働いている人から今度は八百五ピコグラムと非常に尋常でない値が出ている。  これは、労災認定の話でとりあえずはするとしまして、こういう体内に蓄積された量がわかる、例えば血液濃度とか母乳濃度というのを指針値、目標値として設定することに関しては厚生省はどういうふうにお考えか、そちらを先にお伺いしたいと思います。
  75. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) TDIの関係の御指摘でございますが、WHOを初めといたします国際機関あるいは諸外国におきましても、ダイオキシンの健康影響を評価する指標といたしましては主にTDIが用いられているというふうに承知いたしております。  また、先ほど御指摘のございました体内蓄積量につきましては、昨年五月に開催をされましたWHOの専門家会合におきましてTDI見直しの際に用いられたものというふうに承知をしておりますが、これはTDIにかわるものとしてではなくて、あくまでもTDIの算出の際に必要な投与量にかわる暴露資料として用いられたというふうに聞いております。  現在、TDIにつきましては、こういった点も踏まえまして、先ほど来答弁ございますように環境庁合同で専門家の御意見を十分聞いておりますので、そういった御意見を踏まえて対応してまいりたいと現在のところ考えております。
  76. 福本潤一

    ○福本潤一君 具体的に現在TDIを中心に考えておると。そのときに、法案に入れるというのはなかなか抵抗があるようだということで、血液濃度、母乳濃度も含めて具体的にストレートに症状に、例えば皮膚にさまざまな影響発がん性等々に関しては、すべての人間がはっきり言うと死ぬわけでございますので、死なない人がおれば影響がはっきり出るわけでございますが、結局ダイオキシンでがんになったのか、そうでないのでがんになったのかというのははっきり言ってなかなかつかめないわけです。  そういうところで、人間に対する影響というのはほとんど統計的な処理でしかない。統計的処理をしてもなかなかわからない。ある意味では、放射能の影響と同じような長期的な統計的な話しか人間ではできないということがありますので、そういう意味ではもっとわかりやすい値がいいかなと思いましたが、専門家にもさまざま議論があるようでございます。  そうしますと、例えばTDIが四ピコグラムとかいう指針値になったときに、これが土壌とか水質、大気環境基準というのを決めるというふうにこの指針に書いておりますので、フィードバックして、環境基準としての土壌、水質、大気基準というものが設定されるのか、その考え方を先にお伺いしておきたいと思います。
  77. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 大気環境基準の設定がTDI見直し後にどうなるかということでございますが、六カ月程度を目途に考えていきたいというふうに思っております。  その設定の方法論でございますが、具体的に申すと、環境全体におけるダイオキシン類のうちで、大気経由割合というのが一般的にどのくらいあるかというのが一つあるわけでございます。そして、それを具体的に、一般的な生活における食品摂取である場合、それから魚からの摂取の大きい場合、ごみ焼却場周辺の環境ということで、特に大きく変化が出るような数値ということをある程度想定した上で最大暴露ケースということを頭に置きながら想定していくという形になります。  そして、そのときに、基本的に導き出すときに、そういうことを想定しておりますが、TDI以下になるようにどの摂取がどうとられていくかという考え方で進めていくということになるわけでございます。ですから、TDIが決まった後で暴露経路を考えて設定されるということになります。  今回の〇・八ピコという環境指針値はそのようにして決めたことになっておりますので、それを踏襲する形になる、新しい知見がその中に加わってくるというふうになるかと思っております。
  78. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、大気経由の割合というような形で大気基準を決めていくという流れになるんだろうと思います。  そのときに、具体的に法案の中に例えばTDIの値が入ったときと、TDIを定めることと法律で言っていて具体的には政令で同じ値を定めた、そのときの違いを、法律論になるかもわかりませんが、お伺いしておきたいと思います。
  79. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 違いという形でどこまでとれるかなんですが、具体的に今の数値TDIというのがこの前WHOでも考えられているように、十ピコという世界が八年後ぐらいにすぐ変わってきているわけですね、一から四という形。その知見とかいろんな形での科学的な変化というものをどうとらえていくかということになれば、やはり科学的知見の結果が出てそれによって変更されていくというような部分がある程度あることの方がよりやりやすいかというふうには思っております。  それから、先ほど先生がおっしゃっているように、蓄積という問題がありますが、今出てくるPCBとかそういうものは今生産されておりません。そして、具体的には保存されている部分がございます。そういうものとかいろんなものを考えていったとき、新しく環境中に積み重ねられている量というのが少なくなっていくわけでございますから、その減ってくる量の計算とかをしながら、人間に取り込まれていく経路というものを追いかけていく中で、健康状態にかかわる部分をどう整理していくかということになるかとは思っております。その辺のところは、かなり研究体制がしっかりしてくることによってよりよい形態というのが考えられるんではないか、その辺のフレキシビリティーがどのくらいあるかということも必要かと。つまり、法律で決めていくことはある意味でかちっと固まるわけでございますし、法律の権限を振るうこともできるわけですが、環境基準値として決められれば、その流れは大気汚染防止法の枠の中できちっと考えられていくことになるだろう。  その連動で、厚生省で持っております廃棄物焼却炉にかかわる廃掃法とか、そういうことの関連も含めながらどう見ていくかということにはなるかと思います。
  80. 福本潤一

    ○福本潤一君 基本的には修正しやすいというようなことが一番大きい話として言われておるようでございますが、法案本文にあろうと、我々はかなりたびたび一部修正なりやっておるわけでございまして、修正はどちらであろうとできるわけですが、ある意味では行政が主導して環境問題をやろう、国会で法律、立法でそういう規定をされるとやりにくいというようなことが具体的にあるんでしょうかというのを伺いたいと思います。
  81. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 現在、ダイオキシンの方針が決められておりますから、その線の中でしっかりと動くというのが今私たち行政に与えられている仕事かというふうに思っております。  その意味では、大臣から厳しい指示のもとで絶えず動くということが今私たちに課せられている仕事かと思っております。それから、早急に対策のめどをつけていくということも今与えられていることかと。それを進めるに当たっては、また大臣の指示のもとで考えてまいりたいというふうに思っております。
  82. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、国会の一つの新しい動きとして議員立法で法案の中に入れるというのは、私自身は非常に意義があることだと思っておりますし、また今までの流れからいうと大体政令でやるんだという考え方、また前例に従うというような形、ある意味では惰性に流れて政令で決めるものだというふうに考える必要は私自身はないんではなかろうか。むしろ立法で、法律をつくる側として、こういう環境基準等も規定できるような指針になるものの値を入れる方がいいのではなかろうかというふうには思っております。  これは今後の経緯になっていくと思いますけれども、具体的な話として私は何点か聞いてみたいと思う話があります。  最近は、例えば大阪の能勢町とか所沢、龍ケ崎の話、たくさん出ます。福島のいわきでも廃油のドラム缶が五万五千本あった、また県で対応したとか、千葉県の成田では医療廃棄物がかなり深刻な問題だと、日本各地でいろいろな産廃最終処分場を含めて大きな問題がいっぱい起こっております。  世上よく言われるのは豊島という香川県、まさに大臣の、環境庁長官の地元でございますが、かなりニュースになっておりましたけれども、その経緯、経過がその後どうなっているのかというのが案外見えていない。五十万トンのうち五トンだけは溶融炉処理して県が負担したというようなことがあると思いますので、この豊島で公害等調整委員会にどういう形になっているのか。できるだけ審議中だとか言わずに詳しくお願いしたいと思います。
  83. 川嵜義徳

    政府委員川嵜義徳君) ただいま御指摘の豊島の産業廃棄物調停事件でありますが、これも御承知のとおり、瀬戸内海の小豆島のすぐ隣にあります豊島という小さな島に五十万トンの産業廃棄物が投棄された、これをめぐる調停事件であります。  この事件は最近のごみ問題の象徴のようになっておりまして、非常に著名な事件になっておりますが、私どもの委員会に係属いたしましたのが平成五年の暮れでありました。その後、いろいろ曲折がありまして、一昨年の七月に申請人側、住民でありますが、申請人側と香川県、被申請人側との間に中間合意が成立いたしました。この中間合意に基づきまして香川県に技術検討委員会というものを設置されたのであります。この技術検討委員会に専門家が集まられまして、その五十万トンの産業廃棄物をどのように処理していくかということを調査研究されました。この調査研究がほとんど終わりまして、近々その結果が書面にまとめられるものと聞いております。  そういう状況にありますので、私どもの委員会といたしましてはせっかくまとめられました専門家による処理方式、こういうものを踏まえまして最終合意に持っていきたいというふうに思っております。ごみ問題というものの解決は喫緊の課題であります。私どもとしては最善の努力を尽くしたいというふうに思っている次第であります。
  84. 福本潤一

    ○福本潤一君 中坊さんもこの弁護に当たっておられるということですが、現実に各地でそういう大きな問題が起こっているんです。瀬戸内海は特に都会のごみ等々にねらわれておるようでございまして、建設大臣の地元である愛媛、ここでも、豊島は五十万トンでございましたが、何と百七十万トンの最終処分場がありまして、川内町でございますが、地元の人間はかなり深刻な問題として扱っております。  そこに建設省は上水専用の中山川ダムをつくろうとしている。私は一度取り上げさせていただいた、この問題、深刻であると。焼却場としても深刻だし、そこに上水用のダムをつくるという大変な問題が起こっている。地元住民は、においだけでも大変な悪臭、それが豊島の二倍ぐらいの容量で、特に焼却場からのボトムアッシュという焼却灰の方まで捨てておる。これがフェリーで、また高速道路で現実に運ばれておるという深刻な問題が起こっておりますので、ぜひとも建設大臣に、こういう産業廃棄物処分場があるところでの、上流にそういうのがあるところの下流にダムができる、そういった現実の産廃場の問題、またそういう中でダムをつくる、そういった深刻な現在大きな問題になっている問題について、問題は本当にないのかということも含めて対処策をお伺いしたいと思います。
  85. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これは、先生も私も地元の中山川ダムでございまして、おっしゃるようにその上流にこのような廃棄物処理の場所がないことにこしたことはないのですが、現時点においてはそういうようなスタンスといいましょうか状態でこのダムが進められておるというわけでございまして、伺いますとこれは愛媛県の環境局が処理場からの流出水の水質調査平成二年度よりずっと実施しております。  それで、その調査の結果によりますと、流出水の水質は砒素を初めとする有害物質に関する総理府令の排出基準に適合しているというふうに報告を受けているところでございまして、昭和六十三年度よりダムサイトの予定地点も含め九地点で毎年水質調査を実施しているようでございますが、亜鉛についてはダムサイト予定地域で過去最大の検出量が〇・〇六四ミリグラム・リッターと総理府令の排出基準五ミリグラム・リッター以下と比べて非常に微量であるというふうに伺っております。  さらに、この水質調査結果によりますれば、すべての調査地点で昭和四十六年の環境庁告示の生活環境保全に関する環境基準をおおむねこれは満足の状態になっておるということでございます。いずれにいたしましても、このことにつきましては県の環境局と密接な連携をとって、水質問題に十分留意しながら中山川ダムの調査というのは今後とも進めていきたいと思っております。
  86. 福本潤一

    ○福本潤一君 終わります。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 政府は、三月三十日、ダイオキシン対策関係閣僚会議で、ダイオキシン対策推進基本指針を決めました。実態調査基準の策定、排出規制など、こういう対応が重要であるということはもちろんですけれども、ダイオキシン問題の根本的な対策はごみを減らす、そしてダイオキシン発生の原因となるものを燃やさないということだと思います。  基本指針では、「廃棄物対策に万全を期した上で、循環型社会の構築に政府一体となって取り組む。」というふうに書かれているんです。具体的な対策が何かと思って一生懸命探したんですが、余りないんです。私が予算委員会で質問したときに、厚生大臣はデポジット制度について検討するという回答があったわけですけれども、その答弁に対して地方自治体から非常に早い反応がありまして、本当にそういう答弁をしたんですか、どういうことなんでしょうかという問い合わせもあったぐらいなんです。  私は、やっぱり循環型社会をつくるということでデポジットというのは最低限必要なやり方だというふうに思うんですが、厚生省環境庁が協力をしてこういうデポジット制度検討していく必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  88. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) デポジット制度については、日本国内でもいろいろ検討をいたしておるところであります。三月一日でございましたでしょうか、厚生大臣が答弁なさったことも、前向きにそれは取り組んでいきましょうというような答弁であったかと思うわけであります。  これは、リサイクルをする上において考えていくべき大きな問題だと思っておるわけでありますけれども、果たしてメーカーがそれを負担すべきであるか、また使用者が負担行為として認めていくべきであるか、いろいろ検討いたしておるわけでありますけれども、今、日本型の処理方法というのはでき上がっておりませんけれども、これはやっぱり積極的に取り組んでいかなきゃならない問題だ、こう思っております。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境庁の具体的な方策の一つに容器包装のリユースの促進を図るためリターナブルびん・モデル事業システム研究、これを実施するというふうにありますけれども、そういうリターナブル瓶というのは別に日本型で新しい試みではなくて、かつては一升瓶があったし、それから今でもビール瓶についてはあるわけですから、ぜひそういう点について検討していっていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので、次に進みたいと思います。  厚生省は四月五日、既存の産廃焼却施設の排ガス中のダイオキシン類の濃度について調査結果を発表しました。稼働中三千八百四十、休止中六百五十三の四千四百九十三施設の合計で年間排出量が九百六十グラムだったというふうにしているわけです。今回の調査結果では、九一年の産廃施設のダイオキシン排出量の予測値は五百四十七から七百七グラムでしたから、そういう値からすると一・三五倍から一・七五倍という数字になっているわけですが、九一年の推計値が非常に甘いものだった、いいかげんなものだったということになると思いますが、その点、いかがですか。
  90. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘の一九九〇年に推計をされました産業廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量、五百から七百グラムというふうにされているわけでございますが、この結果につきましては京都大学の平岡名誉教授が当時得られておりました諸外国での濃度データ等の知見をもとに大まかな推計を行われたものというふうに承知いたしております。  産業廃棄物焼却施設からの排ガス中のダイオキシン類濃度につきましては、これまでそういった意味でデータの入手が困難であったわけでございますが、平成九年八月の廃棄物処理法の政省令の改正によりまして排出基準値を設定いたしますとともに、年一回以上の測定を義務化したわけでございまして、これによりまして今回初めて排ガス中のダイオキシン類濃度の全国的な調査を行うことが可能になったわけでございます。  厚生省といたしましては、この産業廃棄物焼却施設の実態調査結果をもとにいたしまして、全国の産業廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量を今回初めて推計したものでございまして、こういったものを積み重ねていきまして削減策が着実に進んでいるかどうかということをはかる物差しといたしたいと考えております。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の調査には十万近いと言われる未規制の小型産廃施設からの排出量は含まれていないわけですけれども、それについてはどういうふうに対応されるんですか。
  92. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 小型の焼却施設につきましても、野焼き同然の焼却行為を行った場合の取り締まりを強化しなければならないわけでございまして、平成九年八月に焼却方法あるいは設備の構造に関する基準というものを明確化いたしまして、平成九年十二月より適用したところでございます。現在のところはこの基準を徹底するように指導いたしているところでございます。  また、現在このような小規模な施設におきますダイオキシン類の排出状況調査研究を進めているところでございまして、今後これらの排出状況調査結果等々を踏まえまして、未規制の小型の焼却施設につきましてもどのような対策をとるべきかということを検討してまいりたいと考えております。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それはいつまでにやりますか。
  94. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) いわゆるダイオキシン発生メカニズムの解明等、まだ……
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 未規制です。
  96. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) いや、そういったものから発生するものにつきまして、どういった状況にあるかということをただいま調査中でございまして、今のところまだ時期をお示しすることはできないと考えております。
  97. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 九百六十グラムというのも年一回の調査の自己申告を集計したものにすぎないわけです。果たしてその値が正確なのかどうかという問題があると思うんです。  ダイオキシン類排出量というのは、燃やすものによって変わりますし、それから焼却の管理次第でも非常に変わってくるものです。悪く言えば、測定するときだけ燃やすものをダイオキシン発生しないようなものにするとか、あるいは温度管理も非常に正確にするとかというようなことで、そのときにはかってしまうというようなことがあるわけです。  私は、最新鋭の焼却施設を見にいったときに、これは八百度以上で完全燃焼させていますと言って見せてくれたんです。見ていたら、ぴゅっと下がって六百度から七百度ぐらいになった。あれ、おかしいじゃないですか、今下がっているじゃないですかと言ったら、事務組合の方が、メーカーの子会社に管理を委託しているわけですが、今説明したのと違うじゃないか、何で下がっているんですかとか言って、非常に厳しく追及をしている場面に遭遇したわけです。それは生ごみとかをどんと入れたから、だから一時的に下がったんですとか言っていましたけれども、いずれにしても、そういうふうに現場はいろいろあるわけです。  だから、産廃の場合、業者の自己申告だけでそれで正しいというふうに、九百六十が正しいとはならないというふうに思うんですけれども、その点はどう理解をしておられるんですか。
  98. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物焼却施設の設置者に対しましては、廃棄物処理法に基づきます維持管理基準というのがございまして、平成九年十二月一日以降は、先ほど申し上げましたように排ガス中のダイオキシン類濃度を年一回以上測定しなければいけない。また、この維持管理基準におきましては、測定時だけではございませんで、通常運転の際もダイオキシン類の生成と非常に関連の深い燃焼温度を、今先生指摘のように連続して測定記録いたしまして、ダイオキシン測定したときと通常運転のときとで燃焼条件に違いがあるのかないのかということを事後的に確認することができるようにはなっております。  厚生省といたしましては、こういった施設の適正な維持管理の実施が担保されますように、設置者に対します報告徴収あるいは施設の立入検査を通じまして、ダイオキシン測定結果あるいは通常運転を含めました燃焼条件といったものについて調査をいたしまして、必要な措置をとるというふうなことで都道府県に対して指導を行っているところでございます。  なお、御指摘のような虚偽の報告を行った者、あるいは立入検査を拒否した者に対します罰則といたしましては、三十万円以下の罰金が設けられておりますし、また廃棄物焼却施設の設置者が維持管理の基準に違反をした場合には、改善命令あるいは使用停止命令等の対象となりますし、これに従わなかった場合には、罰則として一年以下の懲役または三百万円以下の罰金というものが設けられているところでございます。  こういった制度を適正に運営いたしますことによりまして、引き続きダイオキシンの削減に努力をしてまいりたいと考えております。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の調査では、稼働中の三千八百四十施設のうち六百八十七施設のデータが入手できていないわけですね。そのうち未測定が百八十四施設もあります。公然と法律を無視して、測定を行わないで稼働しているわけですから悪質だろうと思うんですね。ダイオキシンの排出濃度も高いというふうに疑うのが当然だと思うわけです。ですから、こういう違法な施設を野放しに稼働させておくべきではない。  ところが、改善命令とか使用停止命令というのはわずか十五件だけなんです。期限が過ぎてからもう数カ月もたっていて、いまだにそういうデータが入手できないということでは、幾らやりますやりますと言っても、ちっともやれていないということではありませんか。  この未測定については、早急にちゃんと手だてをとられますか。簡単に答えてください。
  100. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 測定をしていないというのは、厳格に申しますと法の違反状況でございますので、都道府県を通じまして速やかにそういう状況を是正するようにということで、この調査結果を受けまして四月五日に再度都道府県に指示をしたところでございます。
  101. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 排出削減が困難な施設を中心に二千四十六施設が休廃止しているわけですけれども、よく見てみると施設総数が減っていない県だとか、あるいは未測定の施設が多い県があるんです。排出濃度の高い施設が残っているような気がするんです。  環境庁は、大気汚染防止法による立入検査等の措置を活用して指導の徹底を図るということを言っておられるわけです。私は、もうずっと従前から大気汚染防止法というのは本当に動くんですかと。急場の場合、埼玉のあの問題も大問題になっているときに大気汚染防止法でやれないのかとかいろいろ言ってきたんですけれども、皆さんはそれでやるんだというふうに言われているんですが、本当にやっていけるのかどうか、具体的な手だてを教えていただきたいと思います。
  102. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 現在の大気汚染防止法で決められている排出基準というのがございます。そして次に、ばいじんの規制も動きます。そういうことで、先生のおっしゃるように厳しい形での立ち入りというか検査をし、そして具体的な方針を示していくことができるようになっていくというふうに思っております。  今考えられているのが、平成十二年の四月には、ばいじんの規制が動きます。そうすると、これは具体的に煙の大きさ、濃さですぐわかるようにそれの規制が厳しくなりますから、ちょっと黒いと直ちに関係のところへ連絡が入るということになります。そうすれば、直ちに測定に行けるという形になります。その体制が整う形で具体的に、より具体的に目に見える形での動きの中で行動してまいりたいというふうに考えております。
  103. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりやっていただきたいと思います。  それから、母乳汚染も非常に深刻であるということで、全国平均だとか、東京、埼玉においては全国平均よりも高い深刻な汚染であるということを私は常々問題にしているんですけれども、最近の専門家の調査では、ダイオキシン類は母親から胎児に直接移行している、九割方そのまま移行してしまうというような研究結果も発表されています。私は、母乳を赤ちゃんにあげられない、あるいは赤ちゃんをせっかく産むのにダイオキシンの不安を背負わせたまま誕生させなければならない、これは本当に悲劇だと思うんです。  それで、今までのデータを見ていると、大気による汚染よりも、あるいは水だとかということよりもやっぱり食べ物からの汚染ということが非常に主要な摂取源になるというふうに考えられるわけです。だとすると、日本で言えば魚介類だとか、あるいは東京都の調査では野菜からの摂取もかなりウエートが高いわけですから、そういうものを消費者として厳選して、できるだけ汚染されたものは食べたくない、どうすれば赤ちゃんをこのダイオキシン害から防げるのかということでみんな非常に心を痛めているわけです。  その点で私は、実態調査をきちんとする、そして個別名だとか産地名だとかをよくわかるようにしてもらって、そして安全なものを消費者が食べられるような環境をつくっていく、このことが今非常に求められているというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  104. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先般もG8でドイツを訪問したときに、ドイツのお母さん方から、母乳に含まれておるダイオキシン対策はどういうふうな対策を講じたんですかということを伺いました。そうしましたら、やはり食品関係に含まれるダイオキシン類が多い。それから、先生が今おっしゃったように個別に検査をして、これならば安全、安心だというところをしっかりと出していくべきだ。そういう対策を五、六年講じたら、結果的にはお母さんの母乳から出てくるダイオキシン類というのはうんと濃度が下がったということでありました。  それを聞きまして私も、日本環境庁厚生省も一緒になってその対策を講じていって、母乳こそは安心だという日が一日も早く来るように頑張っていかなきゃならない、こう思っておるところであります。
  105. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 きょうは時間がありませんので細かい点には踏み込めませんですけれども、その基本姿勢でぜひ考えていっていただきたいというふうに思います。  塩化ビニールの問題なんですが、塩ビがほかのプラスチックと分別できない現状では、塩化ビニールの焼却を避けるための努力が各地の自治体で行われています。  例えば神奈川県の大磯町では、一九九七年二月の測定では五百九十ナノグラムダイオキシンを検出していたわけですが、塩ビを含むプラスチックの分別を行って、それから助燃バーナーの設置をするなどの措置をとって、去年の十月の測定では〇・九一ナノグラムと、実に九九・八%の削減を達成しているんです。非常に効果は明白だと思います。  昨年十一月には、十三大都市清掃事業協議会が、ダイオキシン発生量を抑制するために原因物質の削減が極めて重要であるということを指摘して、塩ビ製品の代替品等の開発に関する要望を政府や関係団体に送付しているわけです。  そこで、政府ダイオキシン対策の柱の一つとして、塩ビの使い捨て、使用を規制するとか、あるいは分別したプラスチックの回収を関係業界に強く指導するとか、そういう方向にぜひ向かっていってほしいということで今まで主張してきたし、またそういう論議も重ねてきたわけですが、今般、この間伺ったんですが、建設省が官庁営繕部として、焼却してもダイオキシン等を発生しない電線の規格化を電線工業会に要請して、EMケーブルとして官庁施設に全面的に採用することを決めたということで、私は説明を受けて非常にいい仕事だなということで評価させていただいているわけです。  これは、官庁営繕だけじゃなくて公共事業全体にも取り入れていく必要があるんじゃないか。電線だけではなくて、ほかの資材にも同じような考え方で取り組んでいくべきではないかというふうに思うんです。済みません、時間がなくなってきているので大臣に直接伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  106. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 御指摘のとおりでございまして、このEMケーブルあるいはエコマテリアルなど、ダイオキシン発生抑制はもう重要な課題でございますから、そういうものが発生しない資材を使うということ、これは御指摘のように営繕だけではなくしていわゆる公共事業全般に進めていくように指導をしていきたいと思っております。  今のEMケーブルは、営繕だけではなくしてほかにもやろうとしておるんだろうと思いますが、それだけちょっと簡単に答弁してください。
  107. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) EMケーブルの使用につきましては、当然内部的には通知をしてやっておりますし、また、都道府県にもその旨、参考送付ということで。それから、規格化いたしましたら当然コストダウンになってくると思います。そうなりますと、当然官庁施設だけじゃなくて他の一般的なものについても使用が普及促進されてくるというふうに考えております。
  108. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと通産省に伺いたいんですが、ことしの三月十五日にドイツのデュースブルグ南のデュースブルグヒッテンハイムで、リサイクル業者ベルツェリウス環境サービス有限会社の装置故障によってダイオキシン類を含んだ約一トンの粉じんがまき散らされる、こういう事故が起こりました。粉じんキロ当たり最高二千百ナノグラムダイオキシンが検出をされ、ドイツの全国紙で報道されるなど大問題になりました。この粉じんは、オランダからの銅や黄銅の精錬残渣の処理過程で出たものだということです。  処理場から南一キロの地点で粉じん一キロ当たり八百二十七ナノグラム汚染が明らかになって、住民に対して、靴や着物を洗濯しなさい、住居の内外を水ぶきしなさい、子供を外で遊ばせないようにしなさいなどの注意を呼びかけたということです。この事故については企業側の情報提供がなくて、行政が住民に知らせたのは三日後になってしまって、住民の不安が広がったということです。  日本でもこういう装置がある限りこういう事故というのは起こる危険がいつもあるわけです。危険と隣り合わせ、絶対起きないとは言えないと思うんですが、通産省としてこういう問題についてどう対応されていこうとするのか、お考えを伺いたいと思います。
  109. 太田信一郎

    政府委員太田信一郎君) 私ども、ドイツの事故については新聞等で承知しております。ただ、現在、どういう施設でどういう形でこの事故が起きたかというのを調査しております。  別途私どもの方としては、産業活動でも金属の精錬過程等でダイオキシンが一部発生しております。これについては大防法なり業界の自主ガイドラインできちんと対策を講じておりますが、ドイツの事故の原因等がわかって参考になることがあれば、十分対策等に反映させていきたいと思っております。
  110. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  111. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 産廃処理業者、神環保に対する国庫による施設改修費の支出問題について質問いたします。  大事な問題なので責任者の防衛施設庁長官と論議したいと思いますが、よろしくお願いします。  私は、先月十二日の本委員会で、この神環保という業者が法人税七億円の脱税容疑で逮捕、起訴され、同時に不法投棄を行っている疑いを指摘し、このような業者に施設改修費と称して約十二億円に上る国費を投入することは到底国民の理解が得られない、そういうことを質問し、その点を強く要望いたしました。  その後、防衛施設庁が支払ったかどうか、お尋ねします。
  112. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 神環保との契約でございますけれども、三月五日に契約しているわけでございますけれども、三月三十一日までにRDF化施設の設置、稼働状況についての検査、確認が終了いたしました。  確認作業が終わりましたので、四月八日に工事費相当額十一億八千四百万円を支払っております。
  113. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 八日に支払った。あれだけ警告したのに脱税業者に十二億もの支出をした、本当に私は問題だと思います。この点は今後も追及するし、今後、事態の発展によって問題になっていくと私は確信しております。  同時に、私が危惧するのは、神環保への税金投入が果たして今回だけで終わりなのかということなんです。  昨年九月二十九日、本委員会での質問の際に防衛施設庁は、米軍当局からの要求として、今回のRDF施設の設置のほかにも、煙突の高度化、バグフィルターの設置なども行う予定だ、そう答弁しているわけですけれども、今後はこれらについて国費を投入するつもりかどうか。いかがですか。
  114. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 神環保に係ります米軍家族住宅の大気汚染問題につきましては、昨年九月の閣議了解におきましても緊急を要する課題であるということで関係省庁で取り組むという基本認識が示されているところでございます。そのようなことを受けまして、私ども、先ほども申しましたように、RDF化の設置に関する事業への支払いを行ったところでございます。  今後、米軍からの要望といいますか、焼却施設の改善に係る発生源対策といたしまして、煙突の高度化ですとかバグフィルターの設置というふうな要望が確かにございます。しかし、現時点でこのような発生源対策について今後具体的にどうするかということはまだ決まっていないわけでございまして、防衛施設庁といたしましては、閣議了解を踏まえまして、関係省庁とよく協議して措置してまいりたいというふうに考えております。
  115. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 わけのわからない答弁ですよ、今のは。何も決まっていないと言われる、これはどういうことですか。  要するに、これまでバグフィルター、煙突の高度化等々をやらなきゃいけないと言ってきた。それについてやる際には国費が投入されることになる。したがって、決まっていないということは、国費を投入することもあるし投入しないこともある、そういうことですか。どっちなんですか。
  116. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 米側の要望は確かにそういうことがあるわけでございますけれども、今後、焼却施設の発生源対策をどういうふうにすれば一番効果的なのかということにつきましては、私ども防衛施設庁としての知見を持っているわけではございませんので、関係省庁と十分協議した上で、具体的にどういうふうなことが適当なのかということを判断した上で、また予算措置をどうするかということを決めていきたいということでございます。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 相変わらずの答弁なんだけれども、今重要なことを言われましたよ。この期に及んで、国費の投入が必要かどうか、予算化するかどうかは他の省庁と協議して決めていきたいと。だから、投入については否定されない。このことが非常に大事なんですね。驚くべきことです。  私はきょう、国による施設整備費の負担をめぐって神環保が何をもくろんでいるのか、それを示す資料を持参いたしました。ここにありますけれども、この資料というのは、神環保が九七年に作成した施設整備事業計画書と題するもの。  資料には、事業計画が短期、中期、長期の三期に分けて策定されていて、いずれの計画も実現するには関係法令の許認可と膨大な資金が一体化して初めてできる事業だと強調しているわけです。国などの協力を強く要望しているわけです。  短期事業計画で見ると、今回のRDF施設の導入がしっかりと明記されている。中期事業計画では、焼却炉施設を現在の位置から二百メートル、米軍厚木基地フェンスから離すというそういう移転計画まで明記されている。しかも驚くべきことに、この移転計画を実施するに当たって、何と二百九十五億もの税金投入を要望しているんです、二百九十五億円ですよ。総事業費概算の内訳を見ると、一期工事費に百四十億円、二期工事費に百三十八億円、土地収用代金に十六億二千万円も見積もっているわけです。これらの費用について資料には何と書いてあるかというと、当施設を移転せざるを得ない状況になったことに関しては、米国と日本国との問題であり、一民間企業の能力を逸脱しており、公的費用による移転を強く要望いたします、そうはっきり書かれているわけです。公的資金による移転です。  脱税容疑で起訴されている悪徳業者が、日米間の懸案になっていることをいいことに、国費による事業拡張計画をこうやってちゃっかりつくっているわけです。その一部が既に実行された、それが今回の十二億円の意味なんですよ。この業者の筋書きどおりに最初の計画が進んだということになるじゃないですか。  そこで長官、神環保がこのような計画書を策定していた、こういう事実を把握されているのかどうか、お尋ねいたします。
  118. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 私ども防衛施設庁といたしましては、そのような計画といいますか、そのようなものにつきましては承知しておりません。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 長官、これは承知していないでは済まない問題ですよ。  私は、アメリカ軍関係者にいろいろ聞きました。説明してくれました。この資料は、九八年の一月、日米合同委員会の環境分科委員会の非公式会議日本側から米側に手渡されたものだというんです。  この委員会は、環境庁の水質保全局の企画課長が議長を務め、防衛施設庁の代表も恒常的にちゃんと出ているわけです。そういうところで渡された文書です。それを何で御存じないんですか。防衛施設庁というのはそういう組織なんですか。  こういう資料を知らない、そのこと自身で私は大問題だと思うんですね。私は、長官が今知らないと言われたから、この神環保の計画書についてきちっと調査して、後日報告するように求めたいと思います。今、防衛施設庁としては神環保と交渉する当事者なわけだから、こういう計画を知らずにいるということ自体重大な問題です。よろしいですね。  それで、私はさらに問いたいわけですけれども、三百億円もの税金投入を当て込んで神環保がこのような事業計画を策定している。そして今回、十二億円の国費が投入された。まさに歯どめなき支出、その始まりだと私は思うんです。  そういう今回の支出と神環保の事業計画が合致している。長官、もしそうではないと否定されるのならば、これ以上の税金投入は行わない、そういう態度を示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  120. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 先ほどもお答えしたとおりでございまして、私ども防衛施設庁といたしまして、神環保側の資料につきまして具体的に承知をしておりません。  いずれにしましても、政府といたしましては、厚木の住宅地域の大気環境改善の問題をどういうふうにするかということは政府として考えていかなきゃいけない。その面で、米側の要求も踏まえまして、私ども政府として何をすれば一番適当なのかということをこれから考えていこうと考えているわけでございまして、その上で神環保側と話をするというふうなことになりますので、その点御了解いただきたいと思います。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いいですか、この問題を扱っている四省庁、一々挙げないけれども、ありますね。私は問い合わせました。きょうここに呼んでいないから名前は挙げないけれども、この文書の存在は認めているわけです、あるということは。防衛施設庁は認めない、知らないと言われる。本当におかしいですよ。  しかも、今あなた方が中心になって、責任者になって神環保と交渉しているわけでしょう。神環保はこういう文書をちゃんとつくっているわけです。そうすると、こういうことを知らずにあなた方は交渉していることになる。これは驚くべき怠慢だと思います。  今後、仮に国費を投入する、そういうことになるならば、施設庁が神環保の計画を事実上容認することになるし、国が悪徳業者の言いなりになって踊らされている、そういうことになるわけです。神環保というのは、こういうものをつくって、これを実行してほしいということもやっているわけだから、本当にぶざまな話になるわけです、国としても。しかも、国費を投入する、税金です、そういうことになる。  ですから、そういうことから考えていくと、どうしてもこの問題については、一つは、長官自身知らないと言われ承知しないと言われた。調べていただきたい。いいですか、これは大事ですよ。  それで、しかもこういうことが書かれている文書があるということは役所も認めているわけです。とすると、既に行われた十二億円投入ということ自身が三百億円の支出の第一歩になるわけで、ですから重大問題なんです。その重大性については認識しているでしょう。長官、どうですか。
  122. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 政府といたしましては、先ほど申し上げましたように政府として厚木住宅地域の大気環境改善をどういうふうにするのか、どういうふうな措置をとればいいのかということを決めることがまず第一でございます。  その面で、防衛施設庁といたしましては、関係省庁とよく相談いたしましてといいますか御意見を賜って、第一段階としてRDF化をしたわけでございますけれども、それを踏まえて、今後具体的に何をすればいいのかということを決めた上で神環保側と話をするということでございまして、我々は、神環保側があらかじめどのような考えを持っているかということが重要であるというふうには考えておりません。
  123. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 緒方君、時間が超過いたしました。
  124. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、わかりました。すぐ終わります。  神環保が三百億円もの税金投入を当て込んだ事業計画をしているということが明らかになりました。
  125. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間が超過しております。
  126. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうした中で、これ以上の税金投入は絶対おかしい、そのことをはっきり申し上げて質問を終わります。
  127. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 御苦労さまでございます。ダイオキシン対策推進基本指針が三月三十一日に出されまして、そのことについて少しお聞きをしていきたいというふうに思います。  TDIを決定してから各種の基準づくりをするというふうに書かれておりますけれども、その基準づくりについて、生態系の保護に関する基準とかあるいは人の健康の保護に関する基準、これは乳幼児や胎児も含むということでございますけれども、それらの基準づくり。それから食品の安全の確保に関する基準大気や水、土壌等への排出基準、それからそれらを総合的に総量規制する基準というようなものがそれぞれ必要になってくると思います。  これらの取り組みに対して、環境庁からお伺いをしたいと思います。
  128. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) ダイオキシンによる大気汚染を防止するための総量規制を全体的に考えていくということになるわけでございます。  総量規制の考え方は、発生源対策としての廃棄物焼却炉等に対して実施可能な最善の対策を前提に排出抑制基準を定めるという考え方を持っておりまして、環境庁としては、まず早急に個別発生源対策を行うことによって地域の排出総量を削減することが必要と考えております。この規制の徹底によって、先ほどからお答えしておりますように四年以内に規制前の全国のダイオキシン類排出総量の九割を削減したい。  今後は、必要に応じて、発生源が集中している特定地域の排出量削減効果についても調査の上で、個別施設の排出規制のみでは大気環境指針の達成が困難な場合に総量規制についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  129. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 前段に申し上げた個々の基準についても早急に検討をして決めていかなければならないと思いますので、総量規制はそれらの基準が満たされてそれでもなおかつできないときにはということだろうというふうに私も理解をしておりますけれども、前段の部分のお答えをもう少し丁寧にやっていただけたらと思うのですけれども。
  130. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) それぞれについての規制値の取り扱いでございますが、まず基本的に焼却炉から出るということがわかっておりますので、焼却炉から出る排出を徹底的に抑えるということが基本だと思っております。そして、TDIの決め方を受けまして、当然大気への排出の環境基準をきちっと決めてまいりたい、そこを押さえておくことが一番の大事なところというふうに心得ております。  それから、そのほかにかかわっている母乳とかいろんな問題については、各省庁の中での研究を踏まえていく形になっていくかと思っております。
  131. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 三カ月以内にTDIが決まるということですが、その後の基準の決め方というのはそうするとどのくらいの期間でやるつもりでございますか。
  132. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) インベントリーというか、どこから排出するかというのを決める項目がございます。これを今年の六月までに決めます。そして、六カ月程度を目途に大気環境指針見直してまいりたいというふうに思っております。
  133. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この指針の中では、各種の基準づくりが一番目、それから二番には排出削減対策発生源対策、三として検査体制の整備、四は健康及び環境への影響実態把握、五は調査研究及び技術開発の推進、六は廃棄物処理及びリサイクル対策の推進、七は情報提供と情報公開、八が国際貢献という段取りで書かれてあります。  極めて緊急性のある指針だろうと思いますが、それぞれについて各省庁がどのような具体的な対策を実施していこうとしているのか、またそれに必要な予算をどのぐらい用意されているのか、十一年度それからその次の年度にまたがらなければならないのはどのぐらいあるのかというようなこともちょっとお聞きをしたいと思います。厚生省、通産省、それから農水省、建設省、労働省、環境庁、それぞれきょうは来ていただいておりますので、時間内に答弁が済みますように配慮をいただきながら、まず厚生省から、発生源対策とか汚染対策あるいは修復、摂取制限とか、さまざまあると思いますけれども、具体的にお答えをいただければと思います。
  134. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) ただいま御指摘のありましたダイオキシン対策推進基本指針に基づきまして厚生省が取り組むべき課題といたしましては、主要な発生源であります廃棄物焼却施設からのダイオキシンの削減対策の推進、あるいは耐容一日摂取量TDI見直し、あるいはダイオキシン類によります健康への影響実態把握のための調査研究といったことが重要であろうというふうに考えております  今後のダイオキシン対策に関する予算につきましては、各年度において検討していくこととなるわけでございますが、平成十一年度について申し上げますと、市町村の一般廃棄物焼却施設等の排出量削減対策及び人への健康影響の解明を中心にいたしまして七百五十二億二千五百万円、対前年度比二〇・三%増の予算を計上いたしております。  具体的には、ダイオキシン類早期削減を図りますために、平成十二年度までの緊急特別の措置といたしましてダイオキシン規制に対応いたしました焼却炉等の設置、改造に加えまして、これと一体的に行います建物部分の設置、改造に要する費用を国庫補助対象とすることなど、廃棄物処理施設整備費といたしまして七百三十一億八千六百万円を計上いたしまして財政支援を充実しているところでございます。  また、調査研究の関係でございますが、ダイオキシンの排出削減技術の開発、これも非常に重要でございますし、食品中のダイオキシン濃度の調査の充実、あるいは健康影響の解明等に関します調査研究を一層推進いたしますために、平成十一年度予算といたしましては対前年度比約二倍の二十億三千九百万円を計上いたしておりまして、先般決定されました指針を踏まえまして今後総合的なダイオキシン対策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  135. 太田信一郎

    政府委員太田信一郎君) 通産省の取り組みでございますが、まず製鋼用電気炉につきまして大防法に基づいて規制を行っております。さらに、鉄鋼業の焼結工程あるいは亜鉛回収、アルミニウム合金製造業の三業種についても自主的ガイドラインを制定して可能な限り排出を削減する努力を続けております。これをしっかりやっていきたいと思っております。  さらに、ダイオキシン類の生成過程の解明、あるいは排出削減技術の開発等を実施するとともに簡易測定技術、測定にはなかなかお金がかかって時間もかかるということで簡易測定技術の開発に今取り組んでおります。さらに、ダイオキシン類の計測方法の標準化、JIS化の推進をしっかりやっていきたいと思っております。  予算の件でございますが、開発関係で十一年度に約二十一億の予算を用意しております。さらに、ダイオキシン類等の排出削減に資する設備投資、中小企業それから中堅企業、大企業も含めて設備投資をしていただかなくちゃいかぬことが多々あるかと思いますが、そのための支援策として低利融資制度あるいは税制上の特別償却制度といった支援を実施しております。特に融資制度については、平成十一年度から最優遇金利にしているところでございます。  いずれにしても、こういう施策を通じてしっかりダイオキシン削減対策に努めていきたいと思っております。
  136. 石原葵

    政府委員(石原葵君) 農林水産省の取り組みにつきまして御説明をさせていただきます。  このダイオキシンの問題は、農林水産省にとりましても、安全な食糧の供給を確保するという観点から非常に重要な問題だと考えております。このため、ダイオキシン対策推進基本指針に沿いまして農畜水産物に関する実態の把握、それから調査研究による科学的知見の早急な集積等を図ることとしているところでございます。  具体的な施策といたしましては、従来から魚介類等の実態調査を行ってまいったところでございますが、平成十一年度からはこれに加えまして農用地土壌及び農作物の全国的な実態調査、それから土壌等環境からの農畜水産物への移行経路、蓄積過程の解明のための研究等を実施することとしております。  具体的な予算額は、例えば土壌それから農作物におけるダイオキシンの緊急実態調査といたしまして十一年度七千八百万円、それから魚介類の調査の予算といたしまして五千七百万円、それから農畜水産業全体のいろんな研究の予算といたしまして五億一千二百万円、それからダイオキシン類の野菜等の農作物可食部への付着の解明に関する予算といたしまして一千六百万円、合計で六億余りの予算を確保しているところでございます。
  137. 木下博夫

    政府委員木下博夫君) 建設省につきましても、今お話がございましたが、関係省庁とも十分連絡をとってやらせていただきたいと思います。  個別的には我々四つのテーマを持っておりまして、一つは下水道の下水汚泥の焼却炉、これにつきまして適正な維持管理をしていこうということでございますし、二点目には廃棄物処理施設の周辺の水環境の悪化、これに対して監視体制を組んでいくということでございますし、三つ目には一般の建築あるいは個人の住宅等から発生いたしますダイオキシン対策ということで、その建築物の処理の問題でございます。また、四点目には前の御質問にもございましたが、官庁施設におきましてダイオキシン対策もやってまいりたい、こういうのが個別でございます。  それに加えまして、特に建設省におきましては循環型社会ということを目指しておりまして、御案内かと思いますが、建設廃棄物につきましては廃棄物全体の中で大変大きな割合を占めておりまして、まだまだリサイクルも十分でございません。したがいまして、公共工事あるいは一般の個人の家も含めました建築物の解体に伴います廃棄物の適正な分別、リサイクル、このプロセスの中で出てまいりますダイオキシン対策もしっかりやってまいりたいと思っております。  御質問の予算でございますが、今申し上げました事業費の中に個々に組み込まれておりまして、いずれにせよダイオキシン対策だけというような分類もできておりませんので、事業費全体をそういう対策で重点的に対応させていただきたい、こう思っております。
  138. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 労働省といたしましても基本指針に基づきまして、働く方々の安全と健康を守る観点から、大きく言いまして二つ取り組んでおるところでございます。一つは、労働者の暴露防止を図るための対策を徹底すること、また働いている方々の健康状況、労働環境実態を把握すること、この二点でございます。  暴露防止対策につきましては、既に昨年私ども定期的に焼却炉周辺の作業環境測定して一定の濃度に抑えていくこと、あるいは発生源の密閉化や湿潤化等によって灰等の発散を防ぐこと、さらに大切なことでございますが、マスク等の適切な保護具の使用等を通達で示しまして、関係自治体、業者への徹底を図っているところでございます。今般、この指針を受けまして私ども改めてリーフレット四万部を作成いたしまして、これを活用して全国のごみ焼却施設業者、それから自治体に対しまして、都道府県の労働基準局長から文書をもって暴露防止対策の一層の徹底を要請するといった緊急の活動を展開しているところでございます。  また、労働者の方の健康状況、労働環境実態の把握につきましては、大阪の豊能郡美化センターにおきまして調査をいたしました。一部の方について高い血中のダイオキシン類濃度が出たところでございますが、こうした方々について引き続き再度の測定を初め健康状況のフォローアップを専門家の手をかりながら進めてまいります。同時に、国内の他の焼却施設につきましても、このダイオキシン類濃度の作業環境中の測定、あるいは働いている方々の血中のダイオキシン類濃度の測定を初めとした健康状況の把握を行うことにいたしておるところでございます。  これらに要する予算でございますが、平成十一年度は前年の千八百万円を六千六百万円に増額いたしまして、こうした健康状況等の把握を行うことにいたしております。
  139. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境庁におきます平成十一年度のダイオキシン対策関係の予算につきましては、大きく言って三つのグループに分けることができるかと思っています。一つは、汚染実態把握のためのモニタリング調査発生源調査、二つには、地方公共団体における測定分析体制の整備等の支援のための補助、研修、あるいは精度管理、それから三つのグループとしては、健康影響や関連の対策技術などに関する科学的な知見の集積を目的とした汚染土壌浄化技術の実証だとか、あるいは健康リスクの再評価のための調査研究といったグループに分かれると思いますが、これらの経費といたしまして総額二十三億五千四百万円を計上いたしております。  これを先生先ほど御指摘基本指針との関係で申し上げますと、一つ目のグループが主として基本指針の二番目と四番目、ダイオキシン類排出削減対策等の推進と健康及び環境への影響実態把握のグループになりますし、それから二番目のグループは主に三番目のダイオキシン類に関する検査体制の改善ということになりますし、最後のグループは五番目の調査研究及び技術開発の推進というグループになると思っております。これの平成十一年度関連予算を機動的に活用しまして、関係省庁地方自治体とも連携を確保しまして、基本指針に基づいてきっちりとした仕事をしていきたいと思っております。  来年度予算につきましては、この進捗状況、それから私どもはダイオキシン五カ年計画をつくっておりましたのでこれらの進捗状況を点検しながら、また予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
  140. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それぞれありがとうございました。お引き取りいただいて結構でございます。大体わかりました。  それで、今回の予算書の中に公共事業費等予備費という項目で五千億円というお金が計上されています。これは予算委員会の中でも私はその使い道についてフリーハンドであるということを確認してあるわけですけれども、このダイオキシン対策推進基本指針というのは極めて緊急性を要するということで、十五省庁の閣僚が会議を開いて取り決めたということになっていると思うんですね。そういう中で、これを本当に早急に対策として実施ができる体制をつくっていく必要があると思うんです。  私は、今各省庁の予算その他を聞いたわけですけれども、各省庁と比較をして環境を一番見張らなければならない環境庁の予算というのは極めて少ない、総額においても少ないわけです。二十三億五千万円ですか、この金額の中でどのぐらいできるのか。先ほど一つの検体を検査するのにも二十万円もかかるというようなことのお話が出ているわけでございまして、非常に心もとないというふうに思うわけでございます。  ぜひ、こうした政府のもとにつくられた指針に沿って緊急的に、具体的により実効性の上がる対策をやっていただくためには、ことしの予算はそういう組まれ方をしていますので、そこらも最大限に長官から主張していただいて、公共事業費としての取り組みに予備費、公共事業費等関連予備費というところから出せるかどうかわかりませんけれども、大いに使っていただいて、このダイオキシン対策に資していただきたいなと心から思うところでございます。いかがでございましょうか。
  141. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 今各省から予算額が示されておりますように、各省庁の総計をしますると八百二十七億のダイオキシン対策費用になるわけであります。  その中において環境庁が二十三億五千万ということで、数字の上においては少ないんじゃないだろうかという先生からの御懸念でございました。私もそのように思っておるわけでありますけれども、少ない予算の中で最大限の効果を発揮しなきゃならないということであります。これは平成十年度と比べれば増額が大きいわけでございますけれども、やはり大きいというのはそれだけの要求があってそれだけの仕事をしなければならないという位置づけがされておるものと思っておるわけでありまして、これを駆使して何としてもダイオキシン対策推進基本指針を内閣を挙げて取り組んで、そしてその実を上げたい、こう思っておるわけであります。  ただ、この中の予算額について私は思うんですけれども、厚生省とか通産省とか北海道開発庁とかいろんなところが環境庁と同然かそれ以上の金額を組んでおるし、また厚生省がやっぱり多くの額になっておると思うわけでありまして、こんな点では二〇〇一年には環境省になるわけでありまして、環境省が主体になって予算の執行ができるように、またダイオキシン類対策については環境庁がリーダーシップを発揮してやれるように、ひとつ御協力をこの機会にお願いいたしたいと思う次第であります。
  142. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。  終わります。
  143. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  144. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 次に、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。真鍋環境庁長官
  145. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) ただいま議題となりました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年、野生鳥獣の保護に対する国民の要請が高まっている一方で、シカ等一部の野生鳥獣につきましては、中山間地を中心とする地域において農林業被害の拡大といった問題が顕在化しております。また、一部の地域では、食害によって植生が衰退する等の生態系の攪乱も見られております。他方、クマ等の一部の野生鳥獣につきましては、地域によっては個体数が減少し地域的にその存続が危ぶまれるような事態も生じております。  以上のような状況にかんがみ、このような問題を生じている特定の鳥獣の個体群についてその保護管理の強化を図る等の観点から、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、特定鳥獣保護管理計画制度の創設であります。  都道府県知事は、当該都道府県の区域内において著しく増加し、または減少した鳥獣がある場合であって、当該鳥獣の生息状況その他の事情を勘案して長期的な観点から当該鳥獣の保護繁殖を図るため特に必要があると認めるときは、保護管理の目標、数の調整に関する事項、生息地の保護及び整備に関する事項等を内容とする特定鳥獣保護管理計画を策定することができることとしております。  また、都道府県知事は、特定鳥獣保護管理計画の達成を図るため必要がある場合には、その必要の限度において環境庁長官が定める特定鳥獣についての捕獲の禁止または制限にかえて当該特定鳥獣について捕獲の禁止または制限を定める等の措置を講ずることができることとしております。これまでは、都道府県知事は、環境庁長官の定める捕獲の禁止または制限よりも厳しいものしか定められなかったところでございますが、これにより、必要に応じてより緩やかな禁止または制限を定めることができることとなります。  さらに、鳥獣の捕獲等に関する許可に関して特定鳥獣保護管理計画に定めるところによる特定鳥獣の数の調整をその許可の事由として追加することとしております。  なお、環境庁長官は、鳥獣の保護繁殖を図るため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対して特定鳥獣に関する捕獲の禁止または制限等に関し必要な指示をすることができることとしております。  第二に、狩猟免許制度の改善であります。  装薬銃に関する狩猟免許であります乙種狩猟免許の狩猟免状を交付された者は、空気銃等に関する狩猟免許であります丙種狩猟免許の狩猟免状を交付された者とみなすこととしております。  なお、この法律案につきましては、狩猟免許制度の改善に関する規定は平成十二年四月十六日から、その他の規定は公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  以上でございます。
  146. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は来る十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会