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1999-03-16 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十六日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 久保  亘君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    政府委員        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        運輸省海上交通        局長       宮崎 達彦君        運輸省航空局長  岩村  敬君        建設省道路局長  井上 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振  興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 太田豊秋

    太田豊秋君 今回のこの二法の延長というものは、基本的には条件不利益地域における地理的、自然的あるいは社会的に恵まれていない地域特性のために生じている本土との格差是正という大変重要な法案だと私は思っております。特に、奄美群島並びに小笠原諸島というのは戦後長い間米国軍施政下に置かれておりまして、ある意味では日本の今日の繁栄というものはこれらの島の皆様方の大変な犠牲の上で私は成り立ってきたのかなと、こんなふうに考えましたときに、この離島、しかも本土からは遠く隔絶され、そしてまた外海離島という大変地理的条件にも不利益な、しかも台風の常襲地帯という地域で、厳しい地理的条件の中でこれらの島の人たち生活をいたしておるわけでありますから、政府としても当然ここの地域のこれからの継続的な支援というものはまさに重要な課題であるだろう、こんなふうに考えられます。  今、委員長の方から、十分だけれども五分にしろというようなお話だったので、そういった中でちょっと絞ってお伺いをいたします。  今ほど申し上げましたように、大変に離島という、しかもこういう台風襲地帯というのは、サトウキビだとかカキだとか、こういったものを栽培していく場合でも、台風の襲来時を避けた収穫のできる作物だとか、あるいはまた谷間だとか、そういったことによって台風の影響、被害の少ないような場所を選んでしか農作物などはつくれないわけでありますし、それと同時に大島つむぎも最近は非常に需要が低下いたしておりますし、構造的な不況というふうなことも生じてまいりました。  こういった中では、大変にこの地域所得というものは恵まれない状況にあるわけでありまして、農業振興などはある意味では奄美群島につきましては非常に大きな収入源になるんじゃなかろうかなというふうなことを考えましたときに、農業の現在の状況だとかこれからの問題点などについてどのようにお考えなのかをまずお伺いいたします。  と同時に、小笠原諸島にありましては、東京から約一千キロも南に離れております、これもまた外海離島でございまして、本土と結ぶ交通機関というのはおおむね六日に一回だけ、二十五時間半所要というふうな形の中でしか連絡船がないわけでありますから、これは島に住んでいる島民皆様方にとっては生活の安定だとか、あるいはまた産業振興などというふうなことにおいては大変な問題になってくるわけであります。  ここで問題なのは、やはり一日も早い空港建設というのが小笠原諸島全体の中で独立的な発展をしていくためにも大変重要な課題だというふうに考えられるわけであります。しかも、今現在、二十五時間半も要しながら約三万五百六十三人の観光客平成八年には訪れていただいておるようでありますから、これが飛行場開設、運航によりますと、恐らく十倍ぐらいの観光客を見込むこともできるのかなと。そうなったときの島のまた財政的なあるいは経済的な繁栄というものもなお活性化されるんじゃなかろうかな、こんなことを考えますので、国土上の考え方として、この小笠原空港建設について一日も早く私はお願いしたいわけでありますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) まず、奄美群島におきます農業振興等産業振興対策についてのお尋ねお答えを申し上げます。  奄美群島振興開発基本的方向といたしまして、群島自然条件等を生かし、積極的に産業振興を図り、社会基盤整備を進め、自立的発展を可能とする基礎条件を改善することによりまして、本土とのもろもろの格差是正するとともに、住民が安心して暮らせる、活力に満ちた地域社会の実現を図ることを目標として振興開発を進めることといたしているところでございます。  そのためには、交通基盤整備はもちろんでございますが、亜熱帯性気候など恵まれた自然条件を生かして群島基幹産業であります農業振興を図っていくことがお説のとおり必要不可欠な要素であろうと考えております。  また、これまで農業発展阻害要因となっておりましたウリミバエが元年の十一月で根絶をされたということもございまして、従来サトウキビ一辺倒でございました奄美群島におきましても園芸農業などの振興も図ることができるようになったところでございます。  しかしながら、奄美におきましての農業現状は、畑地のかんがい率を初め整備水準において他の地域に立ちおくれている面も多々ございますし、また、若年層流出に伴います過疎化あるいは高齢化の進行も著しいものがございます。  このような現状にかんがみまして、奄美群島農業農村の健全な発展を図るために農業農村整備を強力に推進し、農業生産性向上農業所得の増加、担い手の確保農村生活環境整備農地等防災保全等を図ることを振興一つの大きな柱に位置づけているところでございます。  続きまして、小笠原空港建設についてのお尋ねがございました。  ただいまお話がございましたように、小笠原諸島本土から約一千キロメートル離れておりまして、船便がおおむね六日に一便、二十五時間半を要する定期船が唯一となっているところでございます。また、小笠原諸島は広大な圏域、豊かな自然環境などを有しておりまして、これらを活用する中で環境と調和した振興開発を図っていくことが必要でございますが、そのためには本土との交通手段の改善が求められているところでもございまして、このようなことから航空路開設島民生活の安定や産業振興など小笠原村の自立発展にとって必要不可欠なものであると認識をいたしております。  現在、東京都において環境調査等各種調査を行いまして、昨年の五月に空港建設地を父島の時雨山周辺と決定したところでございます。現在、環境アセスメントのための調査など事業着手に向けての各種調査を進めているところでございまして、国土庁といたしましても関係省庁と対応しながら適切にこの問題に対処してまいりたいと考えております。
  5. 太田豊秋

    太田豊秋君 いろいろ申し上げたいことがございますが、一つ一つ両島についてお伺いいたしたいのでありますが、この法案延長に当たって大臣の御決意などをお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  6. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 結論から申し上げますれば、戦後一定期間米軍軍政下にあった、そういう特殊な地域でございますから、特段振興開発をやっていかなければならないと思っております。  衆議院審議のときにも述べさせていただいたんですけれども、これは両法案ともいわゆる特別措置法でございまして、時限立法なんですけれども、奄美の方などは今や五十年になんなんとしておるわけでございますから、果たして本当にしっかりとしたことができておるのかどうか見直さなければならない。今までのように延長延長でやるのであれば、それは一般離島振興に変えるのが法律的に言えば当然のことだろうと思うわけでございます。  ですから、先生指摘のように、小笠原におきましては空港建設というのは今までになかったことでございますから、こういうふうなことを特段にやっていく。そして、早くこの時限立法を超えて、いわゆる一般法に移っていくことができるように対策をやっていかなければ、机上の論議だけではどうにもならぬのではないかというふうに思っておりますから、私は決意をかたくやっていきたいと思っております。  それと、私が奄美を視察いたしましたのはもう十何年前でございますから、私が国土庁長官になりましたのは一月十四日でございまして、それから日がなかったものですから、その後見たことがない。それからまた、小笠原なんという場所へは行ったことがないんですから、それが答弁するというのは本当に私も恥ずかしいと思っております。いずれ近々視察に行きまして、なおやっていかなければいけないと思っておるわけでございまして、どうぞ委員先生方もぜひ現地を御視察いただきたいと思います。
  7. 久保亘

    久保亘君 私はおととい奄美大島に行ってまいりました。  きょうは最初に、先ほど質問がございまして、国土庁からもお答えがございました小笠原空港に関してお尋ねをいたします。  小笠原諸島振興開発特別措置法の前回の延長に当たっての審議の際にも、国会は附帯決議の中に空港建設の問題を取り上げたと思います。そういう経過がございますけれども、小笠原諸島振興開発特別措置法の第三条「振興開発計画」を定めるに当たって箇条的に決められております中に「道路港湾」という条項はございますが、今なお空港に関する条項はございません。これは当然に改定を要することではございませんか。
  8. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 小笠原空港建設に関しまして、既存の小笠原諸島振興開発特別措置法との関連についてのお尋ねでございますが、お説のとおり、この法律三条には空港という文言はございませんので、空港建設が具体化し今後の振興計画の中でその位置づけを行って取り組む段階になりますれば、この法律をどのように考えていくのか検討しなければならないと思っております。
  9. 久保亘

    久保亘君 奄美群島振興開発特別措置法は「道路港湾空港」と明記してございます。小笠原の方は「道路港湾」だけになっているのでありまして、これは速やかに空港を加えなければ先ほどからの御答弁と一貫性がない、こう思いますが、いかがですか。
  10. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 空港建設現状につきましては、現在、東京都におきまして環境アセスメントのための調査など事業着手に向けての各種調査を進めている段階でございまして、この法律を改正してその振興計画建設を位置づけるという段階ではないという前提のもとに現状法律に従っているわけでございますが、先生指摘のとおり、奄美との比較からいたしましても、建設段階に至りますれば当然その点を十分検討しなければならないと考えております。
  11. 久保亘

    久保亘君 そうではなくて、これは建設段階に入ったら法律を直しますよということじゃないんじゃないですか。振興開発計画として空港を位置づけるということが法律に明記されなければ積極的に取り組む姿勢が出てこない、こういうことでありますから、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  次に、今回の奄美群島振興開発特別措置法延長に関する御提案は、第三次奄美群島振興開発計画、これは平成六年六月二十四日に内閣総理大臣が決定し、二十八日に閣議に報告されたものでありますが、平成六年六月二十四日といいますと羽田内閣が既に総辞職を決定していたときでございます。内閣にとってこれは最後の重要な仕事であったと思っております。そして、それから五年たちます今日、この第三次奄美群島振興開発計画は具体的にどのような成果をおさめたか。  そして、この振興開発計画は今後どのような方向で取り扱われるべきかということについては、昨年五月二十九日、奄美群島振興開発審議会兼光会長から内閣総理大臣あて意見書が提出されているものの中にも明らかでございますが、この第三次計画とそれから昨年の審議会意見書、これらを今回延長を提案するに当たってはしっかりと基本に据えられておりますかどうか、お尋ねいたします。
  12. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 今回の奄美振興法延長についてお願いをいたすに当たりまして、ただいま御指摘のように、兼光会長奄美群島振興開発審議会からこの点につきましての意見の申し出をいただいておりまして、それに従いまして今回法案の御提出をしたところでございます。その際には、当然現行の振興計画の中身、実態を踏まえて、さらにその五年間の延長が必要であるということから、それもあわせて今回法案に盛り込んでいるところでございます。
  13. 久保亘

    久保亘君 大臣に伺っておきますが、この審議会意見書は大変重要なことを書かれております。それは、奄美群島はなお「本土との間はもとより、昭和四十七年に本土復帰した沖縄との間にも所得水準をはじめとする諸格差がいまだ残されている等多くの課題を抱えている。」という前提に立ちながら、このような奄美群島振興開発計画をさらに活用していくことについて、「振興開発を推進することは、わが国経済発展国民福祉向上にとって極めて有益である。」、そして結びとして「同群島に対する特別の措置を引き続き積極的に講じて行くべきである。」と意見書は述べられておりますが、この点について大臣としては全く同じ考え方にお立ちでしょうか。
  14. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) このうたわれております最後の、先生指摘の「特別の措置を引き続き積極的に講じて行くべきである。」、私もそのように思っております。  ただ、先ほども述べさせていただきましたように、今まで何度となく延長をしてきたわけでございまして、それでもまだ目をみはるようなもの、成果が出ていないのが私は正直だろうと思うわけでございまして、どこをどうすればいいのかということは正直悩んでおるわけでございます。  ただ、小笠原諸島でございましたら、先ほどございましたように、飛行場をつくるということは大きな進歩、前進であろうと私は思うわけでございますが、奄美振興ではさて何をどうすればいいか、補助率をもっとアップすべきであるかどうか、そういうようなことを真剣に対処していかなければ、ただ期限が来たから時限立法を延ばすというようなことだけになってしまう。そんなことでは意味がないと思っておるわけでございまして、正直いささか悩んでおるわけでございますが、いずれにいたしましても、積極的に講じていくということは私も同じ考えでございます。
  15. 久保亘

    久保亘君 奄美大島経済界リーダーでありました方から私はこういうことを言われたことがございます。特別措置法を我々はいつまでも望んでいるわけではない、早く特別措置法がなくなる奄美をつくりたい、そのためにはこの特別措置法の主目的である格差是正ということを実現してもらいたい、こういうことを言われたことがございます。私はこのことに答えて、地図の上の離島はどうしようもないが、政治行政の上で離島をつくらないというのが政治の本来の任務であるということを申し上げてまいりました。  奄美群島昭和二十八年に本土復帰をいたしましてから今日までほぼ半世紀を経て、この間、今回の延長を加えますと半世紀にわたって特別措置法が存在しているのでありますが、今なおこの奄美大島人口の減少が続き、昭和三十年対比で言いますと三三・九%も人口が少なくなっているのであります。最盛期には二十二万いました人口が今は十三万人台となっております。また、高齢化比率は二二・九%、これは沖縄の一一・七、小笠原の八・八と比べますと、群を抜いて全国で一番高い状態にございます。  所得格差本土のなお六三%にとどまっているのであります。一時かなり接近をしつつあったときがございますが、今日は格差は徐々にまた開きつつあります。奄美の六三・三%に比して、沖縄も大変厳しい状況でございますが七〇%でございます。小笠原は八七%になっております。  なお驚くべきことに、消費者物価沖縄小笠原全国平均を一〇〇とした場合にそれぞれ九〇%台、九六、九九といったようなところにございますが、奄美群島だけが消費者物価が一〇二・八になっているのであります。  このような格差状況は、これは奄美群島に責任を課すべきものではない。やはり、今日までの特別措置法あり方特別措置法の運用に関してなお心すべきことが残っているのではないか。それは何かということをお尋ねしたいのであります。
  16. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 確かに奄美地域振興を図るためには、公共投資を中心とする交通基盤等基盤整備のほかに、産業振興ひいては所得向上という措置が必要不可欠であることは先生指摘のとおりでございます。  ただ、奄美につきましては、外海離島ということもございますし、台風襲地という地理的条件もございますので、その産業振興には多くの課題があることもまた事実でございますが、その中においても、農業であるとかあるいは観光リゾート産業などについて積極的な支援を行うことによってその産業振興を図っていくような計画を立て、実行をいたしているところでございますし、また御指摘もございました大島つむぎにつきましても、需要の喚起に努め、技術指導なども積極的に行いまして、伝統産地としての地位の確保を図っていくような対策も講じてまいっているところでございます。  このような措置を通じて、産業振興あるいは民生の安定のための諸施策を講ずることによりまして、所得向上また人口流出の防止に寄与するように努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 久保亘

    久保亘君 それでは少し具体的なことをお尋ねいたしますが、まず、文部省見えておりますか。──あなたの方は、第三次奄美群島振興開発計画の中で教育充実に関して記述されていることについては御承知でしょうか。それから、このことにどのようにこたえてこられましたか。
  18. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 奄美群島関係で申しますと、やはり高等教育機関設置ということが一つ要望されておるわけでございます。  文部省といたしましては、現在、大学、短期大学設置ということを国立大学としては行っておらないわけでございます。他方、公私立大学につきましても具体の高等教育機関設置というふうなことについての相談というのがないわけでございますが、今後の社会あり方ということを考えた場合、高等教育機関についてできる限り進学の機会というものを拡充していくことが大切である、基本的に大切であるというふうに考えておりまして、引き続き文部省といたしましてもできるだけの努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  19. 久保亘

    久保亘君 平成六年に今の振興開発計画が決められますときに、閣議に報告されて了承されたものの中に「教育」という項が起こしてありまして、そして「高校卒業者の大部分が進学及び就職で島外流出する現状にあり、後継者や各分野のリーダーとなる人材育成確保が、奄美群島島づくりを進めるうえで極めて重要な問題となっている。」、「優れた人材育成及び定着を図るため、地域の実情にあった教育機能充実を図る。」、これは文部大臣も出られた閣議で了承された現在の振興開発計画の中に記述されていることです。  ということは、地元自治体団体等でもし、減少してもなお十三万五千の人口を有する奄美群島において、高等教育機関を子弟の教育とこの群島における文化センター的役割も持たせるというようなことで、そういうことでもし自治体等の間で要請があれば、これに文部省としてはあらゆる努力をもってこたえるというお考えがおありかどうか、お尋ねいたします。
  20. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 公立大学設置について、地元側の合意というものができるのであれば文部省としてもできる限りの適切な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  21. 久保亘

    久保亘君 わかりました。  延長が行われます際に、従来、地元自治体の意向を十分に尊重するようにというような附帯決議が付せられたことが多かったのでございますが、そういう立場からいいましても、今お答えになりましたような方向で、ぜひ奄美群島における地域要請する高等教育機関設置について積極的な御検討をお願いしておきたいと思います。  次に、道路は何といいましても離島の場合にはもう最大の課題でございます。  同じ納税者でありますが、離島の場合には鉄道は一センチもない。結局、あるものは道路とそれから空路と海上交通であります。そういう中で、道路整備というのは非常に地元としても強い要請のあるところでございます。私は、国道というのは北海道から沖縄まで海上はなかったという想定のもとに一本の線でつながるべきものと考えておりますが、現在、奄美群島にあります国道大島本島の笠利町から瀬戸内町古仁屋に至る一本のみであります。  それで、他の島を貫いて沖縄に至る国道構想というものは、建設省、お持ちになっておりませんか。
  22. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 一般国道については、社会経済の進展、それからその整備状況に応じまして今まで逐次追加指定をしてきております。そういう中で、最近では平成四年に百二路線、六千キロ余り追加指定されまして、現在、一般国道五万三千キロ余り国道網になっておるところでございます。  今、先生指摘のように、奄美群島におきましては、昭和四十九年に国道五十八号の一部というようなことで追加指定いたしました。その際には、奄美大島の中八十一キロとあわせて、大隅諸島の種子島についても五十キロ追加指定しておるところでございます。  現在、さらにその後の国道昇格というようなことについては具体的なスケジュールを持っておりませんけれども、地方分権委員会の御指摘も踏まえまして、今後の幹線道路網整備、管理のあり方について現在道路審議会で御審議いただいておるところでございます。  そういうところでございますので、この道路審議会検討結果も踏まえた上で、一般国道追加指定についても私どもとしてはそういう中で検討していきたい、またその際には地域の御要望等も踏まえながらというようなことを考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 久保亘

    久保亘君 国道に対する基本的な考え方というのは、私が申し上げたことでよろしいかどうか。  もう随分前になりますが、地元の強い要請もありまして、奄美大島から市外電話をかけます際には海上距離ゼロメートルとするということで、これはNTTの方も努力をされまして、今は奄美大島から本土へ電話をかけますときには、本土の一番南にあります電話局、大根占というところからかける料金と同じ、こういうことになっているのであります。  しかし、この計画にも書かれておりますように、なお通信について、「遠距離通信料金の引下げによる遠近格差の一層の是正と、離島への特例措置充実による本土への通信料金の一層の低減を積極的に検討する。」ということが閣議報告の計画の中に書かれているわけでございます。  道路の問題も通信の問題も、海上距離はゼロメートルにする、ただ、国道の場合は海上を走る船がその国道の役割を果たすということで北海道から沖縄までつながる、こういうことで基本的な考え方をきちんとしておくべきではないかというのが私の主張なんですが、いかがですか。
  24. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 四十九年の国道指定の際につきましても、鹿児島から今言いましたような種子島あるいは奄美大島とつながって、それで海上部はフェリー等の船でつながるということで沖縄の那覇までつながる、そういうようなことで国土の重要な県庁所在地等を結んでいくというようなことで国道五十八号に指定したところであります。当然、海上部は船でなければ参れませんので、そういうようなことでネットワークとしてつながっているという解釈のもとに国道網の指定をしているところでございます。
  25. 久保亘

    久保亘君 わかりました。  今具体的ないろいろなことについてお尋ねいたしましたが、やっぱり奄美群島振興開発格差是正ということにおいて一番重要な視点は何かといえば、経済の自立化に国が積極的な援助を行うということだと思っております。その主要な産業に対して今後は重点を置いて援助する。そのために必要な道路であるとか通信であるとか交通機関であるとか、こういうものに対して配慮がしっかり住民の生活の上に立って考えられなければいけないと思うのであります。  一番最初に大臣に積極的な取り組みということで審議会意見書に関するお考えを伺いまして、そのとおりであるということでございました。そしてまた、ただ単に特別措置法延長するだけではいかがなものかという御意見でもございました。その両方を合わせますと、ただ単に延長するだけではなく、現状に即してその内容を改善し、効果の上がる、格差が現実に縮小されていく政策的な課題を積極的に取り上げる。こういう意味において、私は単なる延長ではないものとしていかなければならないと考えているのであります。  私が申しておりますことと大臣がお考えになっていることはよもや違わないだろうと思うんですが、何かちょっと聞きようによっては特別措置法というのも余り長くなり過ぎてはどうかというような意味にも聞こえるのでありまして、そうでないことを私は強く期待いたしておりますので、大臣のお考えをもう一度伺いたいと思います。
  26. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私の考え方先生と全く一緒でございまして、私が言わんといたしましたのは、久保先生も大変御尽力していただきましたが、地域改善対策特別措置法、あれも結局最後はこの五年間で終わりますよといって、そして予算もつけてやったんですけれども、まだ完全にそういう地域を改善することはできなかったということで、最後の三年ということでまた切りまして、それで御承知のようにあれは終わりまして、今は一般法に移行しておるわけでございますが、そういうようなことで、もう五十年もやっておってこれだけの状態である。  ですから、私は、何か目標年次を決めて、それまでに強力にやっていかなければ、何となくだらだらと流していくように感じたものですから、それで私はちょっとそういうニュアンスで述べたわけでございまして、役所の答弁も、こんなことでこれは答弁にならないよと言ったのでございますが、先生、何か本当にお教えをしていただきたいです。  ですから、今の文部省関係のことなども、本当に私は、有馬文部大臣に私からも言いまして、それをやらせていきたいと思います。来られておる方も偉い人でしょうけれども、この人じゃ答弁ができない。やっぱり、政治家がこれをやっていかなければとてもそういう高等教育の施設は成り立たないと思うわけでございまして、私もこの機会にそのことはお願いをしておきたいと思います。  ですから、決して先生が疑われたようなことではありません。よろしくお願いします。
  27. 久保亘

    久保亘君 運輸省にせっかくおいでいただいておりますから、先ほど自民党の方の御質問にもございました空港問題について、運輸省として小笠原空港の実現については今どういう見通しでやっておられるか、ちょっと御説明いただきたい。
  28. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 小笠原空港建設の問題でございますが、先ほども御答弁ありましたように、現在、小笠原まで片道二十五時間、そして六日に一便しか船の便がないという、交通機関が非常に貧弱な状況でございます。そういったことから考えまして、航空路開設、そしてそのための空港整備は必要なものというふうに考えております。また、地元小笠原村の方からも強い空港建設の要望がある状況でございます。  こういったことを受けまして、平成三年度を初年度といたします第六次空港整備五カ年計画におきまして、予定事業という形で位置づけられたわけでございます。予定事業というのは、新規事業になるために幾つかのクリアすべき条件があるということであったわけでございますが、その一つ環境を踏まえた開発計画の策定と同計画に基づく航空需要の見通し、それから二番目が自然環境に配慮した空港計画の策定、そして三番目として建設費の費用負担の問題、この三つを解決して初めて新規事業になるというふうな位置づけがされたわけでございます。その後、東京都におきましては候補地を兄島にいたしたわけでございますが、環境問題がございまして事業着手に至らなかったわけでございます。  そして、平成八年度から第七次空港整備五カ年計画が始まりまして、その際にはいまだ予定事業の状況のままであるということで、第六次と同じ予定事業という位置づけがされて現在に至っておるわけでございます。  ただ、その後、東京都は兄島にかわる候補地の検討を行いまして、昨年の五月、小笠原空港の候補地を、これも先ほど御答弁ありましたけれども、父島の時雨山周辺域と決定をいたしたところでございます。  運輸省としましては、さきの諸課題環境問題等々、それから財源の問題もございますが、こういった点について東京都の検討状況を勘案しながら、関係省庁と連携を図り適切に対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 久保亘

    久保亘君 時間が参りましたので、最後に長官にお願いを申し上げておきますが、せっかく今回この二つの特別措置法を五カ年延長されるわけでありますから、後期の五カ年の計画が終わりますときには格差是正それから地域の活性化、こういうことについて見るべき成果を報告できるように、法律延長とともに実施計画の具体化に当たって積極的にお取り組みをいただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  30. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  先ほどから奄美また小笠原諸島振興開発について、特に自立化を積極的にやってほしいという声も含めて質疑があったわけでございます。今回、五カ年両案とも延ばすということになると思いますので、現実に今までやってきた段階で事業費、過去に実施した事業費が具体的にどの程度使われているのかというのを教えていただいた上で、事業実績が総予算にどういうふうに反映しているのかというのを最初にお伺いさせていただこうと思います。
  31. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 奄美群島におきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、昭和二十九年度から平成十年度までに復興、振興振興開発事業の実施をしてまいりました。その結果、港湾道路空港などの交通基盤施設、医療施設、廃棄物処理施設、公共下水道などの社会基盤施設、農林水産業振興観光開発などの産業基盤施設などの整備に努め、その総額については、総事業費で約一兆四千三百億円余、国費ベースでまいりますと約九千二百億円余の事業の実施となっております。  一方、小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、昭和四十四年度から平成十年度までの三十年間に復興、振興振興開発事業の実施をしてまいりました。港湾、船などの交通基盤施設、漁港等の産業基盤施設整備、住宅、学校、社会福祉施設などの生活基盤施設など、総事業費で約一千七十億円余り、国費で約六百三十億円余りの事業の実施をしております。
  32. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄も日本に復帰するのが遅かったということで、今までかなり大変な振興開発の予算が行っています。  小笠原奄美も同時に、小笠原は三十年間で今の費用ということで、私も若干どの程度の費用になるのか、東京都知事選挙で都会に余り金がないという話が財政問題で浮かび上がっておりますが、ただ単にそれだけではなくて、現実にどの程度の費用が使われているかと割り算してみますと、小笠原でいいますと一年に一人当たり百八十万円ぐらい使われています。国だけでいいますと百万円ぐらい一年に一人当たり使われるという費用になるようでございます。奄美の方では一年に一人当たり十五万円、これが国費で、総事業費は三十万円ぐらい使われている。人口規模によってまた違いはあると思います。  それで、今回、ある意味ではさまざまな点でハンディもあるところで格差是正が必要であったということもあると思いますが、離島振興、いろいろな振興法が何年も何年も続いて、先ほど長官の長期展望が必要だということがありましたけれども、五年後になったらまた同じ質疑をしているんじゃないかというような気にも、五カ年計画がありますので、我々としてもここらのところははっきりさせていただきたいということもありまして、国土庁長官、現在どういう課題が残っていて、今後その課題を克服するためにどういう対策を講じようとしておられるのか、大臣としての所感をお伺いしたいと思います。
  33. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 福本先生が感じられておるようなことを正直私も感じたものですから、役所にもっとしっかりしたものをと言っておるわけでございますが、本当に次、五年たってまた同じようなことをここで論議していたのでは恥ずかしいことでございますから、そういうようなことはないように努力をしたいと思います。  そういうことで、五年間国土庁長官をやらせていただいたら責任は持てるのでございますが、もう余り先長くないものですから。しかし、その地位は引いても私のライフワークとしてこのことは、奄美小笠原のことはやっていきたいと思っております。  それで、今は、奄美群島の方で申し述べますれば、確かにそれだけの予算も投入したわけでございますから全然進んでいないなんということではないわけでございまして、いわゆるし尿処理などの生活環境整備がまだおくれているというようなことを私は強く感じております。  それから、小笠原諸島におきましては、先ほど久保先生の御指摘もございましたように、本土との交通、通信が極めて不便であるということ。ですから、飛行場の問題などもこれは早期にきちっとやっていかなければならない。また、法律自体にそのことが入っていないこともこれはやはり直していかなければならないと思っておるわけでございます。  ですから、逆に言いますれば、奄美小笠原という地政学的な特色を逆手にとって、それを利用して開発していくというようなことも考えていかなければならないのではないかなと思っておるわけでございまして、ぜひまた先生方のいいお知恵をいただいて、本当に次の延長のときに同じような審議が行われないように鋭意努力をしていきたい、そのように考えております。
  34. 福本潤一

    ○福本潤一君 五年間国土庁長官やられようにも、任期がありましても、二〇〇一年には何か国土交通省になりましてなり切れないというのは確定的な話でございますが、我々としましては、ぜひともその心意気で今後の予算、また対策を図っていただきたいという思いがあります。  私は、奄美大島奄美群島へ行ったことはありませんけれども、小笠原には一度行ったことがあります。長時間、あのころで二泊三日ぐらいの船で、船酔いする人がいっぱいおりましたけれども、行ったことがあります。  そのときに、やはり人口が少なくて自然はたくさん残っているということになりますと、そこに住んでいる人が少ない、小笠原の方に若干話をまとめてさせていただければと思いますけれども、住んでいる人の意向というのをどういう形で対応されているかというのが非常に気になるところでございます。  沖縄の普天間基地等々の問題も大きな問題にはなってきましたので、地元の住民の方、また帰ろうとされる方を誘導しようというような政策も入っているようでございますので、地元の住民の人や市長さんの意見をどのように反映されようと思っているかというのをお伺いしたいと思います。
  35. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) これは、伺いますと、小笠原奄美両島も、いわゆるその地元の知事さん、それから県議会の議長さん、それから町村会の会長さんがその委員の中には含まれておりまして、ですから、そういうところからの積極的な発言はいただいておると伺っておるわけでございます。  しかしまた、もちろんその地域の代表の方々でございますが、いわゆる島民の方々の声も直接いろいろお伺いするというようなことは今後なお指導をしていきたいと思っております。
  36. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう地元の方々の御意見、特に小笠原先ほど言いましたように船便しかないということで、ほとんどの人が酔って途中で体から戻したりして届くというような、大きく荒れるとか、太平洋でございますので、というところですので、小笠原の場合、空港建設計画というのが非常に大きな今後の話となってくると思います。  週刊ポストですか、一時、普天間基地の小笠原移転の密約とかいうようなのを言っていると。官房長官はそんなことは絶対言っておりませんというお答えを言っておられましたけれども。  ただ、空港というのは現実に小笠原という場所には必要不可欠になってくるような、沖縄とほぼ緯度が同じぐらいの南方でございますので、そこの計画の今までの経緯と見通し、また規模、時期、総事業費はどの程度で考えられるのか、またその財源手当てについてお伺いします。
  37. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 小笠原空港につきましては、平成三年策定の第六次空港整備五カ年計画におきまして予定事業となっておりますが、その際の課題として、自然環境に配慮した位置、規模の選定、需要の見通し、費用負担等の課題が付されているところでございます。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕  その後の第七次空整におきましても、「前五箇年計画の対象事業で未着手のもののうち、計画地元条件等が整ったものについて毎年度予算の範囲内で順次着手する。」とされておりまして、現在、東京都におきまして課題解決に向けて調査検討を行っているところでございます。東京都は、空港建設地を父島時雨山周辺ということで決定をいたしまして、現在、環境アセスメント調査の着手等に取りかかっているところでございます。  なお、空港の規模、事業費、財源等につきましては、詳細な検討を行っておりますが、昨年五月に東京都の多摩島しょ振興推進本部会議において決定をされましたものによりますと、滑走路等については千七百二十メートルの長さを基本とするとか、あるいは建設経費については用地費を除き約六百五十億円と見込まれるというような記述がございますが、今後その詳細についてはさらに検討を加えられるものと考えております。
  38. 福本潤一

    ○福本潤一君 現在二十五時間かかって、若干我々が行ったときよりは早くなっておるようでございますが、こういう手当てに関して、環境問題も含めて適切な運用、また推進も図っていただければと思います。  と同時に、小笠原の方、人口はまだ二千人余りでございますが、父島に小型焼却炉ができた、クリーンセンターという。最近所沢で話題になったダイオキシン等々の問題も含めまして、焼却炉の問題というのがある意味では離島の問題として都会とは別の意味で起こっている。  例えば、沖縄の小さい石垣島等でいいますと、二十四時間連続運転してダイオキシンを出さない大きな焼却炉をつくりますと、逆にそれを燃やすだけのごみがないということで、ごみを集めて燃やさないと連続運転できないというようなことも現実に起こっている。不法投棄的な問題も起こっています。  きれいな空気の父島で、この処理の考え方も含めた上でこういう対応されておるか、取り組みがクリーンセンターにおいてどういうふうに行われているか、お伺いします。
  39. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 小笠原父島におきましては、昭和四十六年の整備のごみ焼却施設が老朽化したということもございまして、本年度末の完成を目指して新しいごみ焼却施設の整備を進めているところでございまして、処理能力も三トンから四・六トン・パー・八時間へと大幅に改善されるとともに、ダイオキシン対策についても対応ができる施設とする考えであると聞いているところでございます。  今後の課題といたしましては、父島に現在整備中の最終処分場の整備を進めるとともに、母島におきましても老朽化した焼却施設の整備を進める予定であると聞いておりまして、国土庁といたしましても、今後とも東京都、小笠原村とも連絡調整をとりながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  40. 福本潤一

    ○福本潤一君 では、関係して厚生省も来ていただいていますので、こういう離島等のごみ問題、小笠原また奄美諸島にもあると思いますけれども、いろんな新聞、琉球新報とか沖縄の新聞でもごみの問題なかなか大変だということが起こっているようでございます、野焼きの問題、また現実に野積みになっているごみ、連続焼却炉でそれをやるだけの対応ができていないとか。  そうしますと、こういう離島及び過疎の地点でダイオキシン対策をどういうふうに考えておられるかということをお伺いします。
  41. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 個別問題ということではなくて、一般的な考え方として述べさせていただきます。  ごみ焼却施設につきましては、今、先生指摘のございましたように、廃棄物を高温でより効率的、安定的に完全燃焼するということによりましてダイオキシンの排出削減が図れるという点、また、ごみ発電など焼却によりまして発生する熱エネルギーの利用の効率化が図れる等の観点から、二十四時間連続して運転することが可能な大規模な施設に集約していくということが望ましいというふうに考えております。  このために、厚生省といたしましては、平成十年度より、市町村の整備いたしますごみ焼却施設につきましては、処理能力が一日当たり百トン以上のものに限って国庫補助の対象としているところでございますけれども、離島につきましては、御指摘のございましたように、そもそもこうした大型のごみ焼却施設に集約することが困難であるというふうに考えられますために、百トン未満のごみ焼却施設でございましても国庫補助の対象とするように措置をしているところでございます。  また、離島のほかにも、全国的に見ますと過疎地のようにこれまた大型のごみ焼却施設に集約することが困難な地域もございますので、中型、小型の焼却施設による処理を行うことも必要だと認識をいたしております。このために、一日当たり百トン未満のごみ焼却施設の整備につきましては地方財政措置によりまして対応されているところでございます。  また、厚生省といたしましては、ダイオキシン類の排出削減対策に関します調査研究をいろいろ進めているわけでございますが、その中でも、中型、小型の焼却施設に適用可能な新しい削減技術についても調査研究を推進いたしております。  このほかに、一般廃棄物の減量化あるいはリサイクルを推進することも重要であると認識をいたしておりまして、具体的には、例えばRDF、固形燃料化施設あるいはリサイクル関連施設の整備というものも必要だと考えておりまして、これらにつきましては国庫補助によりましてその整備を推進したいと考えております。  これらさまざまな手法を組み合わせまして、地域の実情に応じまして適切な廃棄物対策とダイオキシン削減対策が図られていくよう措置をしてまいりたいと考えております。
  42. 福本潤一

    ○福本潤一君 二十四時間しないでも、また百トン未満でも新しい地方財政等々の予算手当てもあると。  また、地方、田舎、あと離島、過疎地帯特有の新しいダイオキシン対策の技術を含めて考えておられるようでございます。大きな焼却炉ですと、大企業が入って、公取が入って、談合関係の話も生まれているようでございますが、こういう島でこそ新しい技術、例えばエコビジネスのような形で焼却炉もいい安価なダイオキシン対策のものも出ているようでございます。  私も調べた中で、物理的にも化学的にもいろいろあるようでございますが、厚生省の方からあれば、そういう新しい技術で、焼却炉でどういうものを掌握されているか、私の方よりもそちらから言っていただいた方がいいと思いますので、よろしくお願いします。
  43. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ちょっと今手元に資料がございませんが、例えばガス化溶融炉といったような新しい技術が開発されておりますし、それ以外にも、この分野は大変技術開発のスピードが速うございますので、私ども別にメーカー側に立つという意味ではございませんが、関連するメーカーあるいは技術者の皆さんからいろいろ情報をいただきながら、研究者の皆さんの御意見を聞きまして、いいものであればどんどん採用する、採用するというのは変な話でございますが、そういったものを普及させるということも考えてみたいと思います。
  44. 福本潤一

    ○福本潤一君 特に大型二十四時間連続運転だけじゃなくて、またバグフィルターに頼るだけじゃなくて、生物学的には、例えばEMによって、微生物によって対応できるようなもので九五%ぐらい削減できるとか、小型でも、新しく焼却炉をつくらないでも今までの焼却炉でそれに対応できるとか、化学的にも触媒による方法とか、物理的には超臨界水による方法とか出ています。こういう離島関係また過疎地域関係にはぜひともそういう形での対応も考えないと、大型焼却炉はできたがごみは実際どうするんだという形で、焼かぬでもいいような新聞紙まで焼いてしまうとかなりかねないというのが二十四時間運転の焼却炉でございますので、事細かな対応をお願いできればと思います。  引き続きまして、運輸省にせっかく来ていただいているのに先ほどの一問だけで残念に思って帰られるといけませんので。  航空路ができたときに、四国、私も国土庁長官も瀬戸内海に面しておりますが、離島もいっぱいありますし、本四架橋ができたときにフェリーができましたが、あれだけの長距離のフェリーが運航されているとき、航空会社ができたときには、採算性から見てフェリーへの補償というのはどういうふうになるのかというのもお伺いしておきたいと思います。
  45. 宮崎達彦

    政府委員(宮崎達彦君) 小笠原諸島への空路が開設されました場合に、海上の航路につきましての影響についてどのようにするかという御質問かと存じます。  まだ空港及び飛行機の運航につきまして全くと言っていいほど白紙の段階ということでございますので、その影響について思料することはなかなか困難でございますし、また、その対応というものにつきましても現段階では全く白紙の状態ということでございます。  いずれにしましても、空港が具体化いたしますとすれば、関係の海運事業者さんの方でもいろいろな対応を考えていかれると思いますので、その事態の推移をしばらく見守っていきたいというふうに考えております。
  46. 福本潤一

    ○福本潤一君 フェリーの問題も含めて、また、四国、瀬戸内海、離島もありますので、一般論としても離島振興方策について大臣から最後にお伺いしたいと思います。
  47. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 離島振興法というものがありますが、それだけではカバーできない特殊事情、こういう奄美小笠原のようなところには特別措置法というものをつくっておるわけでございますが、早くこの特別措置法の域を脱して一般法に移行ができるように十分なる特別なる指導をやっていかなければならないと思っております。  それから、一般離島振興法でございますが、これもずっと長いわけでございますが、ざっくばらんに申し上げまして、離島振興法ももう何十年とやっておるわけでございまして、これもそろそろ限度が来ておるんじゃないかなということも思ったりしておるところでございます。  いずれにしましても、過疎特別措置法であるとか半島振興特別措置法であるとか、そういう特別措置法というのは特段の対処をしなければその地域発展しないということですから、その目的に向かって鋭意努力をしていきたい、そのように考えております。
  48. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 奄美群島振興開発に絞ってお伺いをしたいと思います。  奄美振興開発事業は、復帰以来四十五年間、合計一兆四千億円の事業を行ってきました。ところが、この間、人口は二十万人余りから十三万三千人に激減し、伝統産業大島つむぎは最盛時の六分の一、農業、漁業は横ばい、本来の地場産業はもう衰退をして市町村財政は危機的な状況になっています。この問題について地元紙の南日本新聞は、二月四日の社説で、これまでの奄振事業は「ハード面での整備の域を出ない。」「めざしたのは奄美自立と魅力ある地域づくりだったが、残念ながら現実は目標とほど遠い。」「公共工事頼みの従来型の奄振に限界があるのは明白だ。」、そう指摘をしています。  奄振事業を四十五年やってきてこういう状況にあることについて、大臣、どうお考えでしょうか。
  49. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) いろいろ今まで行ってきたわけですが、御指摘のように確かに今までは公共事業といいましょうかハードの面が非常に多かったと思うわけでございます。今後はそういう域を脱しまして、ソフト面といいましょうか、例えば交通・情報通信体系の一層の整備であるとか、あるいは生活環境の改善、社会福祉、保健、医療の充実、そういうこと、そしてまたリゾート・観光というものなどになお力を入れていきまして、この地域発展に寄与していきたいと思っております。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  例えば沖縄の航空運賃を安くいたしましたが、その後そういうようなことで沖縄の旅行者は大変ふえておるわけでございまして、そういうようなことを考えますと、奄美もまたそういうようなことも考えなければならないのではないだろうか。そういうことをしないと地元の受け入れのいろいろな施設も、また民間事業者も入ってきませんから、ぜひそういうようなことも考えていきたい。  いずれにしましても、今後はソフト面に重点を置いて奄美発展に協力をしたいと考えております。
  50. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今そういう公共事業偏重といいますか、そういうことについて見直していかれるということでしたけれども、奄美関係の公共事業予算、国費ベースでいうと八八年度二百九十五億九千七百万円、これが来年度の予算では四百十七億四千五百万円、つまり四割も急増しているわけです。その中でも、道路港湾などに偏重した国の投資というのが市町村財政を疲弊させて、十四市町村のうち九市町が警戒ラインである起債制限比率一五%を超えています。財政が苦しいからますます国の補助率の高い事業にシフトする、そういう傾向を招いています。  ですから、補助率の低い教育施設の整備とか地場産業への支援、そういうところにはなかなか手が回らない、こういう結果を招いているわけです。交通が改善すれば大島つむぎとかサトウキビの生産がふえるというわけではないんです。今までの実態を見ると、むしろ交通基盤整備とともに地場産業が衰退をしてきている、こういうことであります。  ですから、市町村財政を圧迫するようなこういう公共事業偏重、そういう奄振のあり方というのは見直さなければいけないというふうに思いますが、大臣、重ねていかがでしょうか。
  51. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 確かに補助率の高いものを打ち出しておるわけでございますが、それでもってまだ地方財政を圧迫するようなことは無理でございますから、そういうようなことは今後考えていきたいと思います。
  52. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それぞれの事業の中で国費でどれだけ負担しているかというのを見てみますと、九六年度の実績で、交通・通信体系の整備は六六・九%で最高です。中でも、港湾は八〇・五%が国費です。一方、住宅は五〇・七%、環境保全が五〇%、教育・文化は四五・二%、社会福祉は四〇・五%、保健衛生は三八・七%、観光大島つむぎ、これが二七%、非常にアンバランスがあります。  前回の法改正で、地方債、医療、交通、情報・通信、高齢者福祉、教育地域文化について配慮規定が設けられました。これまでの五年間、予算の裏づけを持ってどうこの配慮規定が具体化されたのか、その成果はどうだったのか、このことをきちんと検証して、これからの五年間、この規定に沿った事業計画を私は積み上げて充実させていかなければいけないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  53. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) ただいま先生指摘のように、前回の奄美群島振興開発特別措置法法律改正におきまして配慮規定が設けられたわけでございますが、この配慮規定は、地方公共団体にあっては当該規定に係る施策を積極的に講ずる、国にあっては地元要望等を踏まえつつ関連する施策について必要な予算の確保に努める、こういうことを国及び地方公共団体に求めるものであると理解をいたしているのでございます。  この配慮規定を踏まえまして、ただいま御指摘の医療、交通、情報化、高齢者福祉等々の分野におきまして諸施策を積極的に推進してまいっております。今回の計画延長に当たりましても、このような配慮規定を前提とした振興を積極的に図っていくことといたしたいと考えております。
  54. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先ほど申し上げたように、公共事業偏重だから市町村は国の補助率の高いそういう公共事業にのめり込んでいって、そして補助率の低い、いわゆる医療だとか高齢者福祉、教育、そういうところにお金を使うことができないというゆがんだ実態にあるから今のようなこういうゆがみが出てきているわけです。ですから、そういう本当に必要なことにお金が投入されない実態を続けていってはならないというふうに思います。  奄振の延長に向けて地元の市町村がつくった要望書案というものがあるそうですけれども、その要望書には、振興開発計画に定住促進や住宅の整備などを盛り込んでほしいとか、あるいはさらに具体的な措置として、特定優良賃貸住宅などへの特別助成、定住促進助成金制度、消防・防災施設整備、含蜜糖確保対策事業などの要望が盛り込まれていたけれども軒並み県から削られてしまった、そういう話も聞きました。この中身は非常に当たり前な中身なんですけれども、そういうものが削られてしまうということでは本当に実態に見合った事業になるはずがないというふうに思います。  奄美群島振興開発審議会には、鹿児島県の大島郡町村会会長が入っていますけれども、いわゆる実務レベルの幹事には地元の市町村代表は一人も入っていないんです。こうした構成というのを改めるべきだと思いますが、どうですか。
  55. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 現在の奄美群島振興開発審議会の幹事構成についてでございますが、これは政令の規定によりまして、「幹事は、関係行政機関及び鹿児島県の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。」と、こういう規定になっておりまして、御指摘のように鹿児島県の職員の四人の方にお入りいただいておりますが、市町村の方にはお入りいただいておりません。  ただ、審議会の補佐をするのが役割でございますので、親審議会といいますか、審議会そのものにはただいまお話しのように町村会の会長にもお入りいただいておりますし、また、地元意見を伺うということで審議会にも現地にも行っていただきまして直接住民の方の意見も聞いていただいておりますので、住民の皆さんの意見が反映できる振興計画をつくることになっているものと理解をいたしております。
  56. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 なっていれば私はここでこういう問題提起をしないんです。幹事会というのは補佐をするだけじゃないんです。実際そこで作業をするんです。審議会に上げて、ほとんどその作業がそのまま通るといったらおかしいですけれども、やっぱり作業班というのが非常に重要なんですよ。大臣、いかがですか、そういう点是正すべきだと思いますが。
  57. 関谷勝嗣

  58. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、ことしの二月五日から七日に奄美に行ってまいりました。奄振の実態を調査してきたのですけれども、本当に公共事業のゆがみの典型例をいろいろと見てまいりました。  そのうちの一つなんですが、名瀬市の市道山田線、国道五十八号線から崎原の集落に向かう路線ですが、取りつけ部から少し入って急傾斜になるところに巨大なループ橋がつくられています。どうしてこのようなループ橋をつくったのか、幾らかかったのか、教えていただきたいと思います。
  59. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) ただいま御指摘のループ橋でございますが、このループ橋は当該地勢が急峻な地形条件のため、他の工法では道路構造令に沿った縦断勾配を確保するということができない、あるいはさらに長い距離が必要となる、住宅や森林に多大な面積のつぶれ地が必要な多量の切り取り、盛り土工法となるというようなこともございまして、このようなループ橋という建設工法をとったものと聞いているところでございます。このループ橋は景観上への配慮や宅地等への影響の少ない工法でもある、このように聞いているところでございます。  工費については、昭和六十三年度から平成七年度までの事業期間で約二十八億円、ループ橋部分が約二十八億円、このように聞いております。
  60. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっとこれ、大臣に写真を見ていただきたいのですが。(岩佐恵美君写真を手渡す)実は、このループ橋ですけれども、名瀬市は初め十八億円で狭い旧道の改良計画を立てていました。ところが、ちょうど国が景気対策の補正予算をつけたときで、県からもっと大きな事業にしろというそういう指示があって、今二十八億と言いましたけれども、全体で三十五億六千万円の大型事業になって、市の負担もほぼ倍増したということでございます。  このループ橋なんですが、私は景観を損ねない建造物であるとは思いません。奄美大島に全く似つかわしくない巨大物だと思いました。しかも、道路として、上から見たら目が回りそうな感じですよね。いや、本当に、私の車を運転していただいた方は怖くてその道路は自分は絶対下りは使わないと言うんです。そういう人は島にいっぱいいるよと言うんです。清掃工場がつくられた、その清掃工場用に使うとかという事務方の何か事前の説明がありましたけれども、聞いてみたら清掃工場の車はそれを利用しないんです。なぜかというと、道路が汚れるからだと言うんです。  とにかくそういうむだ遣いの典型みたいなもの、旧道をちゃんと整備すれば済むような話なわけですから、そんなものをつくる必要が本当にあったのか。これ一つとってみても、私は奄美の公共事業というのは非常に問題がある。そのほかにも、山の中に二・五メーターの歩道をつけた道路がつくられていて、急斜面がもう破壊されているんです。こんなところは人間なんか通りゃしないんだと地元の人は言うんです。何でそんなものをつくる必要があるんだろうかというふうに思いますし、こういうむだ遣いというのは本当に改めていかなければいけないというふうに思いますけれども、大臣、その写真を見られて御所見いかがですか。
  61. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 私も急ぎ現地へ行きまして、見てから御答弁をさせていただきたいと思います。
  62. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 その写真にちょうど写っているんですが、名瀬中学校があります。六五年に現校舎を建設して、六六年には体育館、六八年に新校舎を建設しました。いずれも三十年以上たっています。壁のモルタルはあちこちはがれ落ち、木製の窓枠があるんですが、これは絶対あけられないと言うんです。あけたら窓枠ごと全部落っこちちゃう、そういうものでした。  体育館は雨漏りがするので子供たちが滑って危ない。床はささくれだってくぎが浮いている。教室の床も毎年二教室ずつしか張りかえしないんですね。古い床の教室に入るとごみだらけなんです。やっぱり子供たちは、新しいものはきれいにするけれども、古いものについては汚してもいいんだというそういう心理が働いてしまう。校庭に出ると、今の古い体育館のすぐ向こうにループ橋が見えるわけです。校長先生が言われるには、一千万円あれば体育館の屋根を張りかえられる、十億円もあればデラックスな学校が建てられる、あのループ橋は三十六億円余りかけたというけれども、見るたびに複雑な気持ちになりますというふうに言われるんです。私は、この奄振の実態を見た思いがいたしました。  そういう意味では、長官に再度伺いたいわけですけれども、こういうアンバランスを早急に解決するということで、先ほども文教関係の話で御答弁がありましたけれども、再度ちょっと短目に御答弁をお願いしたいと思います。長官、お願いいたします。
  63. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 確かにこの写真を見ましてもそういう感じは受けるわけでございまして、ですから、これはどうなんでしょうか、文部省の規定もあるわけでございましょうが、確かに老朽化しておるわけでございますから、これは対処できる年次になっておるんじゃないかなと私も思いますが、それはまた調べて御報告をします。
  64. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に、環境問題について伺います。  奄美群島自然環境の価値、奄美にいる希少種の種類と生息数について簡潔に御答弁お願いします。
  65. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 奄美諸島は動物地理区分上大変重要な境界に位置しておりまして、奄美固有で希少な動植物が多数にわたって生息をしておりまして、我が国の希少種の分布上重要な地域でございますが、具体的な野生動物の中で絶滅のおそれのあるものといたしましては、哺乳類でアマミノクロウサギ、ケナガネズミなど八種類、鳥類ではオオトラツグミ、アマミヤマシギ、ルリカケスなど四十四種類でございます。  これらの生息数につきましては、アマミノクロウサギが二千七百頭から最大六千五百頭、オオトラツグミにつきましては百羽などとなっておりますけれども、その他の種類は、百羽よりは多いわけでございますが、生息数が不明なものが多い現状でございます。
  66. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 アマミノクロウサギについては三千四百ぐらいしかいないんじゃないかと現地は言っていましたけれども。ハブ対策として、もともと島にはいなかったマングースが放たれて激増しています。マングースは手ごわいハブを攻撃すれば自分がやられるかもしれないわけですから、ハブを食べるよりも抵抗力が弱いクロウサギを攻撃して食べるというふうになっているわけです。  このマングースの数ですけれども、どのぐらいにふえているんでしょうか。
  67. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 一九九三年時点で数万頭ないし十万頭という報告がございますけれども、正確な推定数につきましては今後さらに調査を進めてまいりたいと考えております。
  68. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 このマングースの駆除なんですが、有害鳥獣駆除の認可を得て捕獲したマングースを一匹二千二百円で買い上げる、そして駆除を進めているわけですけれども、九六年度から県も九百円補助しているわけですが、予算が足りなくて、名瀬市が年間千頭、大和村が百八十五頭の予算になっていて、なかなか捕獲が進まないわけです。一匹二千二百円では割に合わないという声もありますし、とにかくマングースは、九七年度までに四千八百七十四匹駆除したけれども、年間五万四千頭を捕獲して初めて減少に転ずる、そういう結果もあるわけです。  二つの問題があると思うんです。予算が足りないということと、それからハブ同様に狩猟免許者以外の捕獲を認める、こうしないとなかなか捕獲が進まないのではないかということですが、環境庁としてどうでしょうか。
  69. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間が来ましたので、簡潔に答弁願います。
  70. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) よく検討させていただきたいと存じます。
  71. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 時間です。
  72. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もう一言。済みません。  大臣、九六年度で環境予算というのは二千八百万円なんですね、この奄美関係。全体の〇・〇三%でしかありません。余りにも少ないというふうに思います。奄美自然環境を保全するために、振興事業として環境保全のためにしっかりと予算をふやしていただきたい、そのことを申し上げて、終わりとしたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  73. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 きょうは、奄美群島について少し大臣お話をしていきたいというふうに思っております。  日本地図で奄美群島をじっと見ておりまして、私は、あれ、ここは鹿児島県なのかなという思いをいたしました。亜熱帯性の気候、四季を通じて温暖、多湿、それから伝統、文化、言語、あるいは生活様式等々、台風の常襲地帯ということまで大変沖縄県とよく似ているという状況にあると思います。  西暦一四六〇年ころは、全島が琉球王朝の緩やかな支配下にあり、南の島の特性の中で本当に人々はおおらかな暮らしを楽しんでおったという歴史背景がございます。  一六〇九年、薩摩藩の侵攻によりまして琉球から分割されて薩摩藩に直属をされて以後、大変厳しい時代を迎える。例えば黒砂糖の生産で、もう島民たちは、黒砂糖地獄という言葉が今に伝えられているというようなそういう厳しい時代、いわゆる暗黒の時代をこのときから迎える。これは、私たちは今は同じ日本だというふうに思っていますけれども、当時からするとまさに植民地支配が行われていたということになるんだろうと思います。  明治政府によって大島支庁が名瀬に置かれまして、その後、第二次大戦後は日本の本土から分離をされる形で沖縄に本部を置く米国軍の統制下に置かれるという、大変不幸な時代がございました。一九五三年には日本に返還をされるわけですけれども、鹿児島県の行政管理下に編入をされました。  奄美の人々の思いや願いにかかわりなく、外的な圧力に運命をゆだねざるを得なかった奄美諸島の人々は、母なる沖縄、父なる鹿児島という言葉、あるいは本籍は沖縄、現住所は鹿児島だと、こういうふうに言われる方もあるそうでございます。  この奄美の歴史について、大臣の率直な感想を聞かせていただきたいと思います。
  74. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 先生にいろいろな今日までのことをお教えいただいてなお思うわけでございますが、それがゆえにこの特別措置法をもっと徹底して実行していって、少しでも安らぎを感ずることができるような環境整備をしたいと思います。
  75. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 昭和二十九年、一九五四年からこの法律が施行されて、今日、四十五年、努力が続けられてきましたけれども、同僚委員質疑の中にも出ておりますけれども、必ずしも効果が上がっていない。  高齢化率は九八年十月一日現在で二四・九%、若者がいない、特に十八歳から三十二歳の若い労働者がいないという極めて偏った状況がつくり出されています。九五年から三年間で人口は二千五百八十四名減少しています。島民一人当たりの所得は百九十万九千円と、全国平均を一〇〇とするとき六三と非常に低い。財政力指数は何と〇・一四%ということでございまして、これらの数字を見るとき、この法律が本当に有効な機能を発揮してきたのかということを思わざるを得ないと思います。  あるいはまた、国土庁はこの法律があったからここまで来たというふうに言うかもしれませんけれども、本土との生活格差はむしろ拡大をしていると言わざるを得ないと思っています。公共事業を中心とした事業が行われることによって貴重な自然破壊も大変多く報告をされています。  この際、この法律の六条三項、あるいは六条四項、六条七項に規定をされております生活基盤の強化や、あるいは福祉、医療、教育向上になお一層の努力が必要だと思っています。むしろ、この奄振のあり方そのものを根本的にこの五年間で変えていく必要がある時代だというふうに思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  76. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 戦後、日本も五十四年たってきたわけでございまして、日本全体でもいろいろなことが変わってまいりましたが、そういう中にあって、今まで先生が述べられましたような歴史のもとでございますから、なおのこと奄美群島皆様方が大変であるということは認識をいたしております。  ですから、私もいろいろ法律の成立の過程での委員会の審議質問をする立場あるいはまた受ける立場、いろいろございましたが、正直申し上げまして、この特別措置法、もう少し、もうひとつ何かはっきりした目標を打ち立てての法律にできないものかということを正直私感じておるわけでございます。  それでは、何がどうなのだということはちょっと私もまだありませんので、いずれにいたしましても、そういう意識でもって努力をするということであろうと思っております。本当に今までの四十五年間のその延長線上での延長であれば私は何の意味もないと思っておるわけでございまして、そういうことを肝に銘じまして頑張っていきたいと思っております。
  77. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 奄美群島から十七年おくれて本土復帰をした沖縄県との生活格差を比較してもその違いは明らかなわけでございまして、奄美群島沖縄県との振興政策の違いというのは、ここはもうはっきりしているというふうに思います。そういう状況の中で、沖縄奄美群島を一体のものとして振興すべきだという声が大変多く上がっております。  例えば、ことしの一月二十九日ですけれども、琉球諸島自治政府構想という形で議論をするシンポジウムが開かれました。日本国憲法のもとで特別自治制度、いわゆる一国二制度を認めながらこの地域に特別自治制度を導入すべきであるというようなことを主張しながら、現地で大変盛大なシンポジウムが開かれる。あるいはまた、一月三十日には日本島嶼学会が二十一世紀奄美沖縄島嶼振興課題という形で、沖縄奄美の連携による相互振興の方策や両振興計画の終了後の展望などを話し合うということが積極的に行われています。  また、二月に入りましては、二月四日の日には鹿児島、那覇、奄美大島の三つの商工会議所が交流会議を開く。あるいはさらに、二月十八日には奄美・やんばる広域圏交流推進協議会、これはさっきの日本島嶼学会によって設立をされたわけですけれども、その設立がなされる。あるいは、二月二十五日には沖縄の民間シンクタンク、南西地域産業活性化センターが奄美に積極的に参加を呼びかけるという、支援をしていきたいということを沖縄側から呼びかけるというようなことが行われています。  ことしに入ってからもこのような形で一体のものとしてこれからやっていこうという気運が大変盛り上がっていますけれども、国土庁長官として、地元でこういう声が上がっていることにどうこたえていかれますか。
  78. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) まず、前段の問題でございますが、琉球諸島自治政府構想シンポで沖縄奄美が一体となった自治政府構想と言われましたが、これは現行の地方自治制度とは大きく違うわけでございますから、私自身の個人的な考えといたしますと、やっぱり無理があるのではないかなと思っております。  それから、沖縄奄美の交流推進、これは私はぜひぜひ沖縄の方々の御協力をいただいて進めていくべきであろうと思っておるわけでございます。確かに奄美だけでの発展ということは、逆に沖縄との連係プレーでの発展の方が私はスピードアップできると思いますし、また、大きなものがそこから輩出されると思うわけでございまして、このことはぜひ島袋先生にも御理解いただいて御指導をいただかなければならないと思うわけでございますが、これは確かに私はいい考え方だろうと思います。
  79. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 人間の進化といいますか民主主義の発展というようなものは、同じ環境の中で同じ文化をはぐくみながら同じ言語を話すということもありますけれども、そうした条件の中で人間というのは民主主義を発展させることもできるし生活向上も図っていくことができるという、人間が古来持っている性質だろうというふうに思っております。  沖縄奄美という亜熱帯地域に所属する同一地域の中で暮らしていらしゃる人たちの今後の生活向上のために、ぜひ努力を続けていただきますことを心からお願い申し上げまして、終わりにいたします。  ありがとうございました。
  80. 泉信也

    ○泉信也君 きょうは、小笠原の問題についてお尋ねをさせていただきます。  けさの日本経済新聞で、小笠原のある方が図書館的なものというか図書館の機能を持った建物を維持するために大変御努力をなさっておられることが報道されておりました。実態は私にはよくわかりませんが、長年のこういう振興開発法があるにもかかわらず、図書館すら準備できていないのかな、こんな思いを持ったものであります。  まず、国土庁お尋ねをさせていただきますが、時間がございませんので手短にお答えをいただきたいと思います。  二つお尋ねいたしますが、第一条の「目的」の中に小笠原地域での振興を図る、いわゆる定住を進める努力をしていながら、「併せて帰島を希望する旧島民の帰島を促進し、」ということがございますが、新しくお帰りになっておられる方々がこの数年間どれくらいいらっしゃるのか、その実態をひとつ教えていただきたいことが一つ。  第五条が、大変手続的な問題でありますけれども、毎年度幾つかの措置をしなければならない、こういうことの実態的な意味がどこにあるのか、この二点についてまず教えてください。
  81. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 小笠原諸島への旧島民の帰島でございますが、昭和四十三年九月の漁業者が六十人帰島されましたことから始まり、徐々に増加を続けておりまして、昭和五十年度末の六百五十六人がピークとなっておりますが、その後減少しておりまして、平成十年四月一日現在で五百四十五人の帰島者となっておるところでございます。  それから、お尋ねの二点目の五条の振興開発実施計画の策定については、毎年度、この振興計画を実効あらしめるために、各それぞれの事業を所管しております省庁からその実態を把握いたしまして、その全貌をできるだけ明らかにするために計画を作成しているものでございます。
  82. 泉信也

    ○泉信也君 こうして毎年度やっていくことによって成果が上がったというふうにお考えでしょうか。私は、この条項意味余り果たされていなかったのではないか。にもかかわらず、このままこれが書かれておるということは、もっといい方法を考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  83. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 振興のための事業をどのように把握して、さらにそれをどのように充実していくか、いろいろのお考えはあろうかと思いますが、現在の一般的な意味での振興法は、それぞれ五年もしくは十年の計画のもとに単年度ごとの計画を改めながらつくっていくことでその振興を図っていくという、そういうスタイルをとっているものと考えておりまして、小笠原についてもこのような趣旨で設けられておりまして、各年度の事業の内容を把握するという意味で十分に意義のあるものと考えております。
  84. 泉信也

    ○泉信也君 十分意義のあるものとするならば、もっと効果が出ておるはずだというふうに私は思っておるわけです。  ですから、こんな形式的に総理大臣の認可を受けなきゃならないとか審議会意見を聞かなきゃならないとか、こんなことは、意味がある場合ももちろんありますよ、次の改定時期までには十分御検討いただきたい、このようにお願いをしておきます。  次に、空港問題について環境庁にお尋ねをいたします。  平成八年の兄島案については、環境庁が容認できない、こういうことを言われて、ある意味では白紙に戻ったという経緯があると私は理解をいたしておりますが、現在の父島の時雨山付近という場所が一応の地元の候補地として出ておりますけれども、このことについて環境庁は今どういうことをやっておられるのか、あるいはどういう姿勢を示そうとしておられるのかについてお伺いをいたします。
  85. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 小笠原空港の問題につきましては、平成に入りましてから都が兄島を候補地として検討してきた経緯がございますけれども、この兄島につきましては、小笠原諸島の中で最も小笠原らしい自然が手つかずで残っておる地帯で、人が定住をしたことがない島でございます。かねてから空港の位置、規模についての慎重な検討が必要だと申し上げてきたところでございますが、東京都におきましては、その趣旨も踏まえられて、自然環境保全の観点などから候補地を再検討されまして、昨年の五月に従来の兄島案を見直して父島の時雨山周辺地域に変更されたものと承知をいたしております。  時雨山周辺地域につきましても、絶滅が危惧されるムニンツツジの唯一の自生地がそばにあったりということで、現在、都条例に基づく環境アセスメントの一環として環境調査を都が実施しているところでございます。  これらの結果が出ましたならば、いずれ都が自然公園法に基づきまして許可申請の手続を行うことになると思いますので、環境庁といたしましては、自然環境保全の観点から慎重かつ適正に審査をしてまいることにいたしたいと考えております。
  86. 泉信也

    ○泉信也君 ムニンツツジというような御答弁がございました。私はどんなものかよく知らないでお尋ねするのは恐縮ですけれども、今の局長の御答弁ですと、環境アセスが行われて出てきた時点で環境庁は改めてこの地域の是非を判断する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  87. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) おっしゃるとおりでございますが、あわせまして、国立公園指定後、いわば公園計画の見直しも恐らく必要になってまいろうか、単なる空港建設だけではなくて、現在二万数千人の利用者が恐らくかなりふえるだろうということで、いわばいろんな施設の整備も出てまいろうかと思います。そういった全体としての計画を恐らく東京都がつくられると思いますので、それを私どもとしてもよくお聞きしながら、私どもの方は国立公園計画というのをつくっておりますので、いずれその改定も必要かと思っております。そういうことと相まって、全体としての対応をしてまいりたい。  その中で、やはり小笠原の自然として大変関心を持たれておりますのが、小笠原でのみ生息する動植物の中で絶滅のおそれのあるものにつきまして空港建設等によりまして影響がないかどうかということでございますので、これは影響がないようによく見守ってまいりたいと考えておるところでございます。
  88. 泉信也

    ○泉信也君 局長が御答弁の中でおっしゃいました、仮に空港ができて観光客等がふえてくる、それによってさらに環境への影響がないようにするためにはどうしておくか、むしろそういうところに環境庁としては力点を置いていただきたいんです。ムニンツツジがあるからこの新しい時雨山付近はだめだというような結論を仮に出されるとすれば、これはまことに私は残念なことだと思うんです。  誤解を恐れず言いますならば、環境庁はそういう判断をしてほしくない。島民の長年の願いを実現していただきたいという気持ちなんです。むしろ、その後にふえてくる観光客等の方々が小笠原の自然を阻害しないような手だてをどうするかということで御努力をいただきたい。  小笠原の方々にとって、急病人の対策、今は自衛隊に御努力をいただいておりますけれども、そういうことを考えたときに、空港をつくるというのは絶対に不可欠な事柄だというふうに思っております。ですから、環境を守るということと矛盾する点があるかもしれませんけれども、どうかこれからの環境庁の姿勢は、空港をつくっていくという前提環境アセスの評価をやっていただきたい、このように思います。  もし局長の何らかの御答弁がいただければお願いをして、質問を終わらせていただきます。
  89. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 東京都が長年の候補地でございました兄島案を見直したということは、私どもとしても評価をいたしているところでございます。  加えまして、父島におきましても小笠原特有の貴重な動植物がありますので、あわせてまた島民から空港路の早期開設の強い要望があること、また空港の必要性も十分認識いたしておりますけれども、いかにその両立を図っていくかということがこれからの課題だというふうに理解をしているところでございます。
  90. 泉信也

    ○泉信也君 今の御答弁ですと、これからどうなるか、私としては大変心配でございます。  小笠原生活をしたことがない人間がやれ何が大切だかにが大切だというようなことで他人事の評価をして、小笠原空港建設をさらに延期するようなことがあってはならないということを申し添えて、終わらせていただきます。(拍手)
  91. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 奄美群島沖縄よりも先に、十八年前に返還されて、沖縄県民の一人として非常にうらやましい限りでございました。そういった中で振興開発計画というものが現在進んでおりますけれども、そういったふうな三次にわたって振興開発計画をやってもなおかつ格差が縮まらない、あるいはまた、若い者が島からどんどん出ていく状況にあると同僚議員からもいろいろお話がありましたが、まさしくそういった経済的に非常におくれている島々をどのようにしてこれからやっていくかということは、非常に重要な政策を展開していかなければならない問題だと私は考えております。  そういった中で本年の三月三十一日に第三次振興開発が切れるわけでありますけれども、今までの成果と、それから総括説明と、その目標達成の度合い、それを御説明願いたいと思います。
  92. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 奄美群島におきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、国の特別措置に基づきます諸施策を講じてまいった結果、各般にわたりまして相応の成果を上げてきたところでございます。  いろいろな御意見がございますけれども、例えば空港について見ますと、昭和五十一年の与論港の開港により各島全部に空港建設され、徳之島空港奄美空港については、それぞれ昭和五十五年、六十三年にジェット化が果たされたということにもなっておりますし、また情報通信の面でも難視聴地域の解消が推進されるなど、個別に申し上げることも多々ございますが、相応の成果を上げてきたことは事実だろうと思います。  しかしながら、奄美群島本土から遠く隔絶した外海離島台風襲地帯という厳しい自然的、社会的条件下にございますので、なかなかその後進性を克服するということは容易ではなく、その結果、本土との間には依然として所得水準を初めとする諸格差が存しておりますし、さらに若年層を中心といたします人口流出高齢化の進行といった問題もなお引き続いて抱えているところでございます。  今後、自立した活力ある地域社会を構築していくために、なおその振興を図っていかなければならない、このように考えているところでございます。
  93. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 復帰後四十六年経過しておるわけです。そういう中で三次振計をやっていただいておりますけれども、説明がありましたように、いろんな空港あるいは港湾整備に非常に取り組んで充実しているように思われますが、なおかつまだおくれた部分が相当あるというふうな状況であります。  いわゆる本土との著しい格差の事態というものは一体どういうふうな問題点があるのか、そういったもろもろのおくれについてどういった根本的な原因があるのか、その辺をもう少し説明願いたいと思います。
  94. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 本土との格差について、これは格差と言えるかどうかわかりませんが、例えば人口増減率でまいりますと、昭和三十年の国調比較でまいりますと三三・九%の減少、全国は三九・四%の増加、こういうことになっておりますので、これはプラス・マイナス、大きな差が出ております。一人当たりの所得についても全国平均に対して六三%、こういう実態にございますし、また、例えば生活保護率につきましても三・六%、こういう実態で、かなり高率になっておる、こういう格差がなお存在していると言わざるを得ないと思います。  その理由でございますけれども、先ほども申し上げましたように、奄美群島本土から遠く離れて外海離島という地理的条件にある、あるいは台風襲地帯という厳しい条件下にあるということ。それから、奄美の経済を支えてまいっておりました大島つむぎ産業も低迷するという実態にございます。これにかわる有力産業が十分育っていない。こういうことが反映いたしまして、今申し上げましたような格差是正が目標どおり進まなかったものではなかろうかと考えております。  今後とも、振興開発計画を改定する中で、奄美群島の特性と発展可能性を十分生かした地方施設の整備あるいは産業振興を推進し、経済的な自立を図っていく必要があるものと考えております。
  95. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 奄美群島は自然的、地理的、あるいは歴史的、文化的に沖縄の諸島と深いかかわりが歴史的にもあります。そこで、その振興開発に当たっても、沖縄振興開発と有機的提携のもとに一体的な振興開発を図ることが効率的であるとともに、目標達成への近道であると考えておりますけれども、御所見を承りたいと思います。
  96. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 新しい全国総合開発計画におきましても沖縄との連携強化が明記されているところでございまして、国土庁としましてもそういうことの連携を強化しながら奄美諸島の発展を図りたい、そのように考えております。
  97. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄も一人当たりの所得というものはまだ全国平均の七〇%、奄美も六三%、こういった離島に限って非常に所得が低い。そういった面からすると、やっぱり経済的な自立というものをいかに図っていくかということはそこに住んでいる方々の大きな願いだと思います。  そこで、そういうふうなことをするためにはどのような施策を展開していくことが望ましいのかということは、やっぱり地元と十分提携して、相談されて地元の声を反映させるような施策をとって、そして経済自立はどうあるべきかというふうなことも含めて、沖縄もそうなんですけれども、今沖縄もそういった経済自立をどう図っていくかというふうな点については大変苦しい状況にあるわけであります。それにかてて加えて、今奄美というものはなおのこと格差がまだ是正されていないという点からすると、非常にそこに住んでいる方々の気持ちがわかるような気もするので、もっと政府として地元と話し合って、経済自立をどう図っていくかということについて真剣にお考えになっていただきたいというふうに思いますけれども、もう一言よろしくお願いします。
  98. 中川浩明

    政府委員中川浩明君) 奄美群島振興開発について今後どのような点に力点を置いて行っていくのかということについては、ただいま先生からお話がございましたように、やはり経済的な自立を図るために特性を生かした産業振興を図ること、これが重要でございます。  亜熱帯性、海洋性等の自然的特性を生かした農林水産業振興、あるいは個性ある観光・リゾートの開発を図る、さらには特産の大島つむぎ、黒糖しょうちゅう等、産業振興を図っていくことが必要であるということを考えておりますし、また群島内外との交流、連携の促進も重要なポイントでございまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、沖縄を含め地理的、歴史的、文化的につながりの深い地域との交流促進ということが今後奄美群島振興開発の重要なポイントになるものと考えておりますので、今後の計画策定に当たりましてはこのような点を特に重視する計画ということで考えてまいりたいと思っております。
  99. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  100. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会