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市川一朗君 余り私としては納得できる答弁ではないのでございますが、せっかく
北海道開発庁長官お見えでございますので、
環境庁にはまた後ほど
質問させていただくことにいたしまして、
長官に二、三お尋ねしたいと思います。
午前中、
小川委員の方から、まさに
北海道生まれの
北海道育ちという思いを込めた
質問があったわけでございますので、私も若干同じようなテーマになりますから余りごたごた言うつもりはないわけでございますけれども、今回の所信表明でも明らかにされておりますように、
中央省庁再編の中でいよいよ
北海道開発庁が
国土交通省の中にその所掌事務も含めて一体化されるということになったわけでございます。
これは、
中央省庁再編という
日本全体の行政改革の一環として極めて重要なテーマであるわけでございまして、それ自体が非常に
意義のある歴史的なテーマでもあるわけですが、ただ、
北海道開発庁というその部分に限って言えば、また別な
意味で非常に歴史的な転換期を迎えることになるというふうに思うわけでございます。
小川委員の表現をかりて言えば、
北海道という
名前がなくなってしまう、
大臣も
名前がなくなってしまうというようなことになるのかもしれませんが、翻って
北海道の
開発の歴史というのを考えてみますと、釈迦に説法の話をするわけですが、なくなるという思いの中で、どうしても関係してまいりました人間としてはロマンを込めた話を若干したくなるわけでございますので、その点お許しいただきたいと思います。
明治五年にあの
北海道開拓十カ年
計画というのが立てられたんですね。それで約十年ぐらい、
北海道開拓使というところができて、有名な黒田清隆さんが次官から
長官代理になって
長官まで行って、
最後はあの方は総理
大臣にもなるわけですが、一生懸命取り組んだ。その取り組んだ内容とか姿勢については、今の
立場で言えばいろいろ批判もあるし評価もあるわけでございますが、いずれにしてもわずか十カ年なんですね、十年間で、しかし
日本の歴史に残る、
北海道開拓の歴史に残る、大体かなりの人が
北海道開拓使初代
長官黒田清隆というと何かみんなわかっているような、そういう歴史的偉業を遂げられた。
それから、若干の経緯を経て道庁時代に入って、戦後
北海道開発庁というのができて、正確には少し違うと思いますが、
北海道開発法でしたか、昭和二十五年にできて、それで
北海道開発庁ができてかれこれ数えて約五十年ということになります。
一貫してずっと来ておりますのは、
北海道開拓使以来、
北海道庁と言われた時代も含めまして、
北海道の
開発というのはいわゆるナショナルプロジェクトとして
位置づけられて、それで国のいわば直轄事業的な形で、しかも非常に
地域官庁として独立的にやってこられたという歴史を持っているわけです。
それで、いろんなことがありましたけれども、多分明治の最初のころは北辺の守りというのが一番大きな理由だったと思います。大久保内務
大臣がやはり軍備でロシアと戦うよりは内陸をきちっと
開発してそして北辺の守りを固めようということで、それで
北海道開拓使というのをつくって、それで札幌に本庁舎を置いてやったわけです。
それがずっと来て、戦後は、私も
法律をちょっと忘れたので見てみましたら、国民
経済の復興と人口問題の解決という、そういうあれで
北海道開発庁はできて、それで五十年たっているわけですから、やはり歴史的にはいろいろと変化があって、歴史的
意義という
意味ではここが転換期なのかなというのはここ十年来言われてきたテーマでもありますから、そういうことかなと思うわけでございます。
しかし、どうも今の
長官のお
立場も含めまして、閣僚もここのところずっと何かの
大臣を必ず兼ねておられますし、この調子だとやはり
北海道に行くこと自体がなかなかできないんじゃないか。昔はずっと
北海道にいたわけですから、在住して
北海道のために頑張っていたという時代に比べるとやっぱりあれだし、しかも、今の
北海道はどうなのかというと、すべてうまくいって万々歳で、歴史的
意義は終わってもうこれでいいよというよりは、むしろ
北海道拓殖銀行が、あの拓銀がつぶれるなんという
北海道関係者にしてみますと考えてもおらなかったようなことが起きた。そういう中で、
中央省庁再編という大きな国の歴史の転換の中で、
北海道開発庁が歴史的な幕を閉じるということになるわけでございまして、まことに複雑な思いがする。
この辺が午前中、
小川委員がとうとうと述べられたことだと思います。私もそれを裏打ちいたしましたのは、一緒にやろうねという
気持ちも込めて言っているわけでございますが、それにつきまして、
大臣も
北海道開発庁長官になられてこういう歴史的転換期に向かわれている
大臣としてどういうふうな考えを持って、それでこれからの
北海道、こういうふうにした方がいいんじゃないかなという思いも含めて一言お述べいただきまして、後はどうぞ予算
委員会の方へ行っていただいて結構でございます。