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1999-03-11 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員長異動  三月十日松谷蒼一郎君を議院において委員長に  選任した。     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      陣内 孝雄君     上野 公成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松谷蒼一郎君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        公正取引委員会        事務総局審査局        長        平林 英勝君        北海道開発庁総        務監理官     斎藤 徹郎君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        林野庁長官    山本  徹君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     大森 昭彦君        林野庁指導部造        林保全課長    石島  操君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (北海道開発行政基本施策に関する件)  (環境行政基本施策に関する件)  (公害等調整委員会業務に関する件)     ─────────────
  2. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  昨日の本会議におきまして国土環境委員長選任されました松谷蒼一郎でございます。  本委員会の運営に当たりましては、皆様方の御協力を賜りまして、公正かつ円満に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしく御指導、御支援のほどをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 委員異動について御報告いたします。  去る九日、陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として上野公成君が選任されました。     ─────────────
  4. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  私が委員長選任されたことに伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事市川一朗君を指名いたします。     ─────────────
  6. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 国土整備及び環境保全等に関する調査を議題とし、北海道開発行政基本施策に関する件、環境行政基本施策に関する件及び公害等調整委員会業務に関する件等について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  川崎北海道開発庁長官真鍋環境庁長官にきょうは質問をさせていただきます。  まず、北海道開発庁長官にお伺いしたいわけでございます。  私は北海道生まれ北海道育ちで選挙区も北海道でございますので、北海道名前がつく役所ということで非常に親しみと信頼とそして厚い期待を持っておる一人でございます。  そんな中、以前にも国土庁長官との兼務やあるいは沖縄開発庁長官と同じ方が北海道長官となるという例は数限りなくございました。運輸大臣が兼務されるというのは私としても聞いたことがなく、非常に新しいことではないかなというふうに思っております。当然のことながら、行革道筋の中で国土交通省ということで将来一緒になる役所でございますので、その流れの一環として今回御就任をされたんだと思います。  一人一人の大臣がおられるたくさんの役所一つになるということ、いろいろと議論があるところでございます。実際、運輸大臣としてお務めいただいておりました方が北海道開発庁長官を兼務されるということで、周りからははかり知ることができない御経験もされたことだと思います。今回の行革省庁再編における意義はどういうものなのか、実感を交えて御説明をいただければありがたいと思います。
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、一月十四日、北海道開発庁長官を拝命いたしました。  実は拝命の直前運輸省北海道開発庁の両政務次官に来てもらいました。私が兼務することになるだろう、そういう状況になると今まで国会でもいろいろ議論されてきたところでありますけれども、政務次官によりリーダーシップを発揮してもらいたい、林さん、石崎さん、どうぞもう副大臣になったつもりで省内で頑張ってくださいよ、こういうお話をいたしました。  その後運輸省の内部で、成田問題が大きな課題でございます、これを特に解決のために全力を尽くしてくださいと。また、北海道開発庁としては苫東の問題が大きな問題でございます。今、先生北海道生まれ北海道育ちというお話をいただきました。石崎政務次官も全く同じでございますので、あなたが一番熟知しているんだろう、先頭に立って道庁との調整等を頑張ってほしい、こういうお願いをいたしました。  そういう私一人でやり切れる話ではなくて、お互いが、政治家リーダーシップをとれるような体制を心がけていく、ここに今回の行革一つのねらいがあるんではなかろうか、このように思っているところでございます。  ただ、北海道開発庁に入ってみまして感じておりますのは、先ほどの御指摘のとおり、割合、国土庁兼任だったとか沖縄と兼任だったから北海道開発庁の方がなれておりまして、逆に運輸省の方が大臣がいない日があるということで少しまだ戸惑いがあるようでございますけれども、一生懸命努めてまいりたいと思いますので、御指導お願い申し上げたいと思います。
  9. 小川勝也

    小川勝也君 テレビなどで、車はきょうはどこの役所のやつを使うとか、どこに行くときはどの秘書官だとか、例えば文部省と科学技術庁の例もとりながらおもしろおかしく取り上げていたことがあるといろんな人に聞いたことがございます。これは私どもの話でございますけれども、国会審議でも大臣がいないと審議ができないということがございまして、いわゆる大臣の取り合いなどという問題もあります。  中央省庁再編というのは熱心に議論をされ、いろいろな反対もあったでしょうけれども、決断をした事柄でございます。しかし、そのことがなぜ前倒ししてこの一月から行われたのかということが非常に疑問でなりません。この一月から兼務されるような、大臣の数が減るようなことがあったというのは、どんな意義があったとお考えでしょうか。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国土交通省という立場からとれば、四つのものが一挙に一つになるよりは段階を置きながらお互いがなれていくという利点はあるように思っております。  また一方で、自自連立の中で協議されましたように、国民の皆さん方経済の中で大変苦しんでおる、各所でリストラが進む中において政治の中においてもできるだけの努力をすべきではなかろうか、こういうことで、一番象徴的に大臣数の削減、先取りに取り組まれた、こういうふうに理解をいたしております。
  11. 小川勝也

    小川勝也君 今、行革で求められていることは政治の側のリーダーシップだと思います。大臣がその役所指導するということが肝要なわけでありまして、大臣の数を減らすということはそのリーダーシップが届きにくくなるということでもあると思います。  川崎運輸大臣には大きな期待を抱いておりますけれども、実は、今一番大事なときじゃないかなと思うわけであります。北海道開発庁名前がなくなってしまうということで、多くの道民が数々の心配をいたしておりますし、その議論の中に直接加わっておりませんでした私なども非常に心配がございます。そんな中で、国土交通省ができた暁には北海道局という形になるんだ、こんなふうに知らされております。今、その北海道開発庁という長年続いた役所国土交通省の中の北海道局になる道筋を果たしていただく最後の、一つ前の大臣か二つ前の大臣かわかりませんけれども、非常に重要な役割を担っていただいていると思うわけであります。  運輸大臣をやっておられてその実力も期待されているわけでございますけれども、北海道開発庁がなくなって北海道局はこういう形にするんだという御所見をお伺いしたいと思います。
  12. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そこのところは、まず、国土交通省北海道開発庁仕事は全部引き継ぐ、特に最大仕事でございます各省庁調整をしながら北海道関係の予算の一括計上を行う、これはまさに基本法上でもう明記されて、国会で御審議いただいて御了解をいただいたところでございます。そういった意味では、基本的なものは北海道局に移っていく、変わりはないという形で理解をいたしております。  それから、先ほど申し上げましたように、副大臣なり政務次官なりがどうリーダーシップを発揮していくかというところに今度の行革最大の要点があるように思っております。そういった意味では、今まで政務次官についていろいろ言われてまいりましたけれども、先ほど申し上げたように、まさに委員と同じように北海道出身石崎政務次官が頑張っておりますので、ひとつ温かい目で御指導いただければありがたい、こう思っております。
  13. 小川勝也

    小川勝也君 行革あるいは省庁再編ということで霞が関かいわいが大混乱、右往左往したというふうにも伝え聞いております。  北海道方々の関心は、北海道名前がつく国務大臣がいなくなるということでもあります。非常に心配をいたしております。せめて北海道局担当の副大臣ぐらいはいてもらわなくちゃ困る、そんな意見も数々寄せられておりますが、北海道局担当の副大臣というのは確保できそうでありましょうか。
  14. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私は、運輸大臣立場としても他の委員会でお答え申し上げているんですけれども、簡単なのは、旧運輸省担当大臣がいて事務次官補佐がいて、旧建設省担当大臣がいて事務次官補佐がいて、国土庁も同じよう、北海道開発庁も同じようということなんだろうと思います。しかし、それでは果たして行革目的が果たせられるか、国土交通省という大きな枠組み、大きな官庁をつくり上げたという目的が達せられるだろうかとなると、私はちょっと違うんだろうと思っております。  やはり、交通というものを取り上げたときに道路との関連。そうすると、副大臣担当が旧役所単位ごとの副大臣というのは、当初はそうかもしれません。しかし、やはりそこはまさに大臣リーダーシップで副大臣担当というのはある程度私は動かしていった方がいいんだろうと思っております。  例えば、北海道局担当する副大臣は当然おられる、しかしその副大臣北海道局だけしか担当しちゃいかぬよとなると、これは違うんではなかろうか。例えば、総合政策調整部分がありますから、その調整部分北海道局、両局を担当する副大臣がいるというケースも考えられるのだろう。そういう意味では、しっかり北海道局を見ていく副大臣というのは当然いるだろうと思いますけれども、その人が北海道以外のことは何もやらないというのはちょっと行革とは違う動きになるんではなかろうか、こう私は思っております。
  15. 小川勝也

    小川勝也君 私も大臣と同じように名前にこだわるものではありません。ただし、北海道開発庁というこの名前がなくなるということに対する気持ちの中の整理というのは大変なものだと思います。  実は、私の世代になりますと、もう北海道開発だけの地域だという意識はほとんどありません。そして、そのことも考慮され、中央省庁再編行革の中で行われることだろうと思うわけであります。  開発がおくれているので開発をする北の地域北海道、これが北海道開発庁やあるいは北海道開発法のいわゆる歴史であり意義だったと思うのであります。しかしながら、先日、北海道開発審議会に私も出席をしてまいりました。この北海道地域というかエリアというか、新しい意義日本国土の中で見出そうというそんなパンフレットも完成しておりました。開発する場所という概念から、新しい北海道位置づけというものを川崎大臣には何とかなし遂げていただきたいと思うのであります。  そんな中で、今私が申し上げたように、開発というその言葉自体がむしろ時代おくれだろうと私は思うわけであります。そんなときに省庁名前がなくなる、そして、寂しい話かもしれませんが、担当大臣がいなくなる。そして、ほかのことがうまく機能すれば要らなくなるかもしれませんけれども、担当の副大臣さえも必要の意義がなくなるかもしれない。そんなときに私は、国土交通省に変わる前に、北海道開発法の改正あるいはそのかわりとなる北海道地域位置づける新しい法律、そんなことを開発庁がなくなるという最後仕事にしていただきたいと思っておるわけでございますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  16. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昭和二十五年に北海道開発法ができ上がっております。中央省庁再編というその直前に思い切って新法をつくったらどうだ、有力な意見一つであることは事実でございます。また一方で、昨年お認めいただきました第六期の北海道総合開発計画、これはまさに開発法に基づいて十カ年戦略ができ上がってきております。ある意味ではこの十カ年戦略こそ北海道の精神じゃなかろうか。かなりソフト的な面も加えさせていただいておりますので、これを着実に実行する方が必要なんではなかろうか、こんな意見もあるんです。  開発法というのを変えれば当然この第六期も見直しをしなきゃならぬということになると、さあ、どちらの方が北海道のまさに存在感というものを高め、そして道民の幸せにつながっていくか。両者の意見を今聞かせていただきながら、どうあるべきか、ある段階決断をしなければならない、このように思っております。
  17. 小川勝也

    小川勝也君 よく北海道に足を運んでいただいて、北海道地域人たち意見も聞いて御決断をいただきたいと思うわけでございますけれども、私は、先ほども申し上げたとおり、北海道開発庁がなくなるというこのときを一つの転機にすべきだと思うのであります。  今大臣の口からもおっしゃられましたように、開発をするんだ、おくれているんだということではなくて、北海道には無限の可能性があるので、そこに暮らす人々、産業を含めて日本の中の位置づけを、私は、できれば北海道開発法をなくし新しい法律を制定していただきたいと思うわけでありますし、そのためにさまざまな形で提案や提言もさせていただこうと思っております。  続いて、環境庁長官にお尋ねをいたします。  御就任以来、地球温暖化の問題やあるいは藤前干潟の問題などさまざまな面で特色を出して頑張っていただいておるな、そんな印象を受けるわけであります。特に藤前干潟は、いろんなNGOの方々やあるいは我々政党サイドもさまざまな動きをしてまいりましたけれども、最後はおいしいところを全部大臣にとられた、そんな印象もあるわけでございます。  この藤前干潟にかかわった大臣として、御感想をまず述べていただければと思います。
  18. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 藤前干潟は、先生御案内のように日本有数のシギ、チドリ、鳥類の休息地であり、また採餌場でもあるわけであります。特に、ラムサール条約指定地域にもなろうかという候補地でもあるわけであります。この干潟というものが大事に保全されていかなければならないという意見は所々方々から出ておりました。  私も、それを踏まえまして、昨年就任以来できるだけ早くということで十月に現地を訪問させていただきました。予想にたがわず立派な干潟であるという認識をいたしまして、これを何とか保全できないものか、そう考えて関係省庁にも当たってまいりました。  この干潟必要性という点につきましては、当時人工干潟等々も言われておったわけでありますけれども、その問題につきましても専門家意見を聞きまして、どうしても失われた干潟というものは天然のものは返ってこないよというような結論をちょうだいいたしたところであります。  それ以降、運輸省におきましても愛知県におきましてもいろんな深い御理解をちょうだいいたしましてその方向性を見出すことができたわけであります。おかげで、皆さん方のお力添えによりましてこの地を保存していこうということに相なったわけであります。  片や、この地をごみ処理場にしようという計画名古屋市は持っておったわけでありますけれども、そのごみ処理問題についていろんな面からお願いをいたしておるところであります。ごみ処理というのは、燃えるごみとか燃えないごみとかいうような分別でなくてやはり循環型社会の中でこの処理を考えていかなきゃならないということで、いろいろ指摘もさせていただいておるわけであります。その方向に向かって市も大変な御協力をいただいておるわけでありまして、一つの今後のごみ処理モデル地区になってもらいたい、こう考えておる次第であります。  このごみ処理投棄場の問題につきましては、運輸省を初めとして関係省庁からの大変な御協力をいただいておるわけでありまして、この御協力のもとで名古屋市、また愛知県のごみ処理がスムーズにできることを念じておる次第であります。  そんなところが印象でございます。
  19. 小川勝也

    小川勝也君 一方の港湾を担当しておられる運輸大臣もおられるので、この話をもっともっと聞くとおもしろいわけでございますけれども、きょうは私は真鍋長官とちょっと哲学的な話をしたいなと思っておったのであります。  僣越ながら、拝察するに環境庁という役所に入って初めてわかったことがたくさんあるんじゃないかなというふうに思うわけであります。私も、わからなかったことが一つ一つわかってくる、そんな喜びとか驚きとか使命とかを今感じているときであります。  最終的には、今のこの社会における我々の生活の中における利便性とか経済性とか、これは非常に大事なものでありますけれども、子孫や五十年後あるいは百年後に残しておかなければならないことというのは必ずあるんだと思います。今大臣からお話がありました干潟などというのはその最たる例だと思います。一度埋めてしまうとなかなか復元ができないし、復元をしたとしても鳥がまた来るかどうかもわからない、なるべく自然のままに残す。そしてもう一つは、先ほど北海道開発庁開発という言葉で使いましたけれども、今まで開発をしてしまったところもできれば少しずつ戻したい、そんな気持ちも私は持っておるわけでございます。  一つお伺いをしたいわけでございますが、環境庁で作成した里山パンフレット、これは環境庁里地という言葉で呼んでおられると思いますが、大臣は読まれましたでしょうか。また、どんな印象感想をお持ちだったでしょうか。
  20. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 精読はしませんでしたけれども、積ん読はさせていただいたところであります。  里地里山というのは私も子供のころに遊び戯れたところであり、またその環境のすばらしさを感じておるところであります。何としてもこの里地里山というものを大切にして、これから人間生活の中で環境とともに生きる楽しみを味わっていただきたい、こう思っておるところでありまして、私自身もそういう生活を送ってきた者の一人であります。  それだけに、これからの里地里山というものを大切にしていく方向行政処理をしてまいらなければならないと思っておりますけれども、このところそれが往々にして見失われがちになっておるわけであります。やはり、人工的な手も加えて、その中にその意義を出してもらいたい、こう思っておるところであります。  愛知万博にいたしましても、これが一つのメーンテーマにもなっておるわけでありますし、また里山を活用して博覧会を充実させていこうという目的であるわけでありまして、そんな点からもこれからの里地里山ということについての意義をあらしめていきたい、こう思っておるところであります。
  21. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの質問で、例えば愛知県や名古屋市のごみの減量の問題なんということもお話しになられました。  里地里山というのは、私は北海道で、余りその言葉を使ったこともありませんし、何というかちょっと印象が違うのでありますけれども、先日、NHKのハイビジョンのテレビ番組で滋賀県の里山というところを映した番組を見ました。私はもう感動を交えて見たわけでありますけれども、里地里山というのは一方では究極のリサイクルの場所なんですね。例えば山から落ち葉を拾ってきて田畑に施すなんということもありますし、例えばそこに動物や昆虫が自分たち生活エリアとして戯れる。  長官子供のころ遊んだという話でありますけれども、実は長官子供のころに比べて日本全国からどれだけの里地里山の面積が減ってしまったのか。あるいは、我々のこの国において子供たちが学ぶべきことはたくさんあると思います。英語や数学も当然学ぶべきだと思いますけれども、里山には子供たちが生きるために学ばなければいけないことがぎっしり詰まっているんじゃないかな、そんな思いも持っております。  その里山に欠かせないのが広葉樹でありますけれども、広葉樹は、山に生えている、あるいは公園にある。長官、哲学的ですけれども、広葉樹の果たす役割をどのようにお感じになっておられるでしょうか。
  22. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 里地里山国土の四五%を占めておるということであります。それに関連しまして、先生が今言う広葉樹林の果たしておる役割というものを関連づけられると、こう思っておるわけであります。  広葉樹林の存在というものが日本国土の上でいかなる役目を果たしておるか。これはもう私は水の面におきましても大きな役割を果たしておると思うわけでありますし、またその山が活用されることによって大きな目的が果たされておるわけであります。例えば、その中に生息する植物や動物を見てみましても、いわゆる常緑樹の中で針葉樹の占めておるよりも広葉樹の天然林の、杉、ヒノキに比べて非常に多いということも承知をいたしておるわけでありまして、そういう面の大きな役目があるわけでありまして、この役目を十分に活用していきたい、こう思っております。
  23. 小川勝也

    小川勝也君 役割は御認識いただいておると思います。  大きな問題に水源の涵養ということがございます。長官場所は一番水の厳しい場所であります。きのうも我々の仲間と話をしておったんですけれども、四国も御多分に漏れず、いわゆる自然林が切り出されて人工林ばかりになってしまった。人工林の大半は杉であります。四国全体の人工林を広葉樹を交えた混交林にすると、香川県の水問題はダムをつくらなくても一挙に解決する、こんな言葉もございます。  きょう、環境事業団法の説明を受けたわけでございますけれども、そんな中で地球温暖化対策という言葉がありました。地球温暖化対策とは何するのかなと思ったら、産廃処理場の跡に木を植えるという話であります。どのぐらいの面積かわかりません。廃棄物処理場の跡や処分場の跡に木を植えることがどれだけ効果があるのか。ちゃんちゃらおかしいと思います。長官は、もし今言ったことが本当だとすれば、おれが日本全国に木を植えてやる、そのぐらいの気持ちを持っていただけたらと思っております。衆議院でも、国有林の管理を環境庁がすべきだという踏み込んだ御発言があったやにも聞いております。私も同感でございます。  きょうはちょっと来ておりませんけれども、我が党の北澤国対委員長も国有林は環境庁が所管すべきだ、こういって農水省ににらまれている、こんな話も聞いたことがございます。  今申し上げたように、次の世代にすばらしい自然やすばらしい山や、あるいは開発してしまったことを悔いて戻すためにも、私は人工林の一部を順次天然林に近い形で混交林を残していく、この事業が非常に大切だと思っております。  どうですか、長官環境庁がやる、おれがやる、そういう気持ちをお示しいただけたらと思います。
  24. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) そもそも論になりますけれども、私は地球温暖化のために二酸化炭素の同化作用を行う植林をしてほしいという要請を所々方々でさせていただいておるわけであります。これは、日本だけでなくて、世界的な規模でのお願いもいたしておるわけでございます。  例えば、昨年水害に見舞われました中国の長江周辺に対する植樹ということもお願いをいたしておるわけです。日本国といたしましても、経団連の中にありますそういう企業関連の応援も得ておりますし、また特別、企業におきまして、固有名詞を申してもあれですけれども、イオン財団というのがありまして、そういう財団から毎年中国や東南アジア諸国に対しまして植林をしていく。そしてまた、多くの材木、資材を購入した国々に対してもそのような応援をしていくということで、日本としても、目に見えない形で評価されないところもありますけれども、世界の中で私は一番植林に力を入れておる国だ、こう自負をいたしておるわけであります。  そんな観点に立ちまして、森林をつくっていかなければならない、また森林を荒廃させてはならないという気持ちは人一倍ございます。  そこで、今森林の関係を申されましたけれども、人間というのは自然とともに生活していかなければならないし、自然の中である意味では生かされておるという気持ちを持って森林管理をやっていかなきゃならない、そういう観点に立てば森林関係の仕事というものは環境庁の大きな仕事の題目じゃないだろうか、こう私は思っておるわけであります。  決して林野の方へ行って手を突っ込んでそれをとってくるというのでなくして、一緒になってやっていく、そしてまたその仕事の中に大きな環境仕事が生まれてくるのではないだろうか、現にそうあらねばならないことだ、こう思っておるところであります。
  25. 小川勝也

    小川勝也君 この委員会、続いて質問の機会ずっとあるわけですけれども、私は鳥獣保護法の法案審議までずっと山にこだわっていきたいと思います。  そんな中、大反対をいたしましたが、去年、国有林野の法案が成立いたしました。まことに今大臣が考えていることに逆行しているんじゃないかと私は思います。何が問題かというと、まだ企業会計なんです。林業、植林をする、杉を植える、育てる、これを切って売ると。これは、森林というのは一番国民の共有財産としてふさわしいものであるし、それをいつまでも企業会計でいるというのは絶対に納得がいきません。水源の涵養や空気の浄化あるいは地球温暖化防止あるいは災害を防ぐなどという多面的な機能を持つ、これは環境庁の大きな大黒柱として将来的には森を守り育てていけるようなそんな期待をして、これからも私も活動を続けてまいりたいと思っております。  私の質問は以上で終わります。
  26. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、ダイオキシンあるいは環境ホルモンが焦眉の課題になっております。有害な化学物質の使用をできるだけ減らす、なくそうという時期に来ているというふうに思っております。  今月初めにも、脱有害化学物質ということで、国会議員と市民団体とで政府に対する対策の強化ということについての集会も開かれましたけれども、そのときも政府の取り組みの遅さということにいら立つ意見が相次いだということなんです。そして、スウェーデンではもう十年前に九割以上もダイオキシンを削減したのに、今回、日本だと埼玉県所沢市でこのような事件にならない限りなかなかその取り組みがきちんとなっていかない、対策をとっていないという状況で、やはり国民の盛り上がり、市民の方の盛り上がりしか政府を動かすそうしたすべはないのかというようなことの訴えもございました。  ところで、松枯れ対策としていまだに農薬空中散布が行われております。二十二年間にわたって松林に農薬空中散布を続けてきておりますけれども、まだ松枯れはなくなっていないという状況です。松枯れの原因も、虫害説よりも複合説が有力になってきておりまして、予防としての運び屋のマツノマダラカミキリの成虫を殺す目的の農薬空中散布というのは、効果の面でも大変疑われております。  これまで何度も指摘はしてきておりますけれども、農薬空中散布によって人体への被害が出ております。大変ゆゆしいことだというふうに思っております。特に有機燐系農薬は神経毒性があって、周辺の子供たちに被害が出ております。アメリカでは、子供の安全のために大人よりも十倍の安全率をかけるように議論が進んでいるということなんですが、農薬は微量でも危ないというこの認識が必要ではないかというふうに思います。  環境ホルモンとして疑わしい農薬が全国で空中散布されてきたということですから、環境中の野生生物に与える悪影響ははかり知れません。これ調査すらできない状況でございます。  環境庁長官にお伺いいたしますけれども、環境ホルモン作用が疑われている物質が空からまかれるということについて、可能であれば避けることは大変望ましいと思います。この農薬空中散布という問題について、長官はどのようにお考えになりますか。
  27. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 私も、自分の郷里を含めて松くい虫の被害が大変大きく出ておるわけでありまして、この対策を急がなければならないということで、この関係関連予算にもお手伝いをさせていただいたところであります。そして、その散布によって非常に大きな効果もおさめたことを承知いたしております。しかしながら、一面やはり住宅街やその他空中散布ということで被害をこうむった場所も承知をいたしております。  どういうふうにすれば両目的が十分に達成できるか、こういうこともいろいろ思いをいたしたところでありますけれども、片や自然を大切にする環境庁といたしまして森林の育成また保護に当たっていかなければならないわけでありまして、それがための薬剤散布ということも必要でございましょう。しかしながら、そういう被害が出てくることに対する防御ということについての思いもこれやっていかなければならないわけでありまして、その両目的を達成するためには、例えば空中散布をするときに風の強い日とかまた天候不順のときには遠慮をして、地域に対する思いやりを持ってやっていくのも一つの方法かなと。また、空中散布でなくして何か樹木に注入するような形で処理していけないか、あれやこれやと思いをめぐらせておるところであります。  先生は、空中散布に対する被害ということにつきましては大変熱心に取り組んでいただいておることは承知いたしております。そういうことで、これらの使用目的をしっかりと考えながら、これからの対応をしていくことが必要じゃないだろうか、こう思っております。
  28. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 長官は、迷いに迷ってどちらなのかよくわからないという感じに受け取れてしまいましたけれども、これからまた進めていきたいと思います。  九六年までに松枯れ空中散布に使用されてきましたナック、これは九七年に突然使用されなくなりましたけれども、その理由は何でしょうか。それから、これは何年間、どのぐらい使われたのか。最初のところを農水省に、あとは林野庁にお伺いしたいと思います。
  29. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) お答えいたします。  松枯れ対策として使用されてまいりましたナック剤につきましては、昭和三十四年に登録されまして、それ以降使用されてまいったわけでございます。しかし、一九九六年にFAOとWHOの合同専門家会議におきまして、食品への残留農薬に関する国際基準の見直し作業の一環として、このナック剤につきまして新たに提出されました毒性試験に基づいて毒性の再評価が行われまして、従来よりも厳しい評価結果が示されたわけでございます。  このことを受けまして、本剤を国内で製造、販売しておりました農薬メーカーの方で、空中散布の場合にはこれが比較的高濃度で使われるというふうなこともございまして、このナック剤、水和剤でございますが、その出荷を自主的に見合わせたものと承知しております。
  30. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 林野庁に、何年間、どのぐらい使われてきたのか伺います。
  31. 石島操

    説明員(石島操君) ナック剤の使用につきましては、昭和四十九年五月に松くい虫空中散布用農薬として農薬登録されてございます。それ以降、今回使用が中止されるまで使用してきたわけでございますけれども、昭和六十年度の四万八千ヘクタールをピークにその後年々減少してまいりまして、平成八年度におきましては一万六千ヘクタールという使用実績になってございます。
  32. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ナックは、環境庁のSPEED98や外国の文献でも内分泌攪乱物質の疑いがあるとされております。長年にわたって内分泌攪乱物質を空中散布してきたことの責任はだれがとるのか、だれもとれないと私は思います。だからこそ疑わしい物質の使用をやめるべきなのだというふうに思うんです。  通産省の報告書などに内分泌攪乱物質が疑われる物質として有機燐が挙げられておりますが、この有機燐系農薬のマラチオンは具体的に名前が挙がっております。松枯れ空散には同じような毒性を持つと考えられておりますスミチオンが使用されているわけなんですが、このスミチオンは精子形成異常を起こすという報告もございます。スミチオンは環境ホルモンではないのか、環境庁として調査すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
  33. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ただいまスミチオンの精子形成異常という報告の御指摘でございますけれども、私どもその報告については承知しておりません。
  34. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境庁はこの報告を受けていないというふうに言っても、例えばそのような問題が起き上がってきているときに、内分泌攪乱物質の作用があるのではないか、そういうような疑いがあるという農薬の食物毒性調査をすることになっているんじゃないんでしょうか。ちゃんとその調査の中にスミチオンを入れてみるべきじゃないでしょうか。  例えば、今年度もこれを空散するわけです。去年、おととしと九億もの税金を使って空散しているわけです。そうだとすれば、ぜひともその中身についてどうなのか調査すべきだというふうに思います。
  35. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) スミチオンの件でございますけれども、一般論といたしましては、内分泌攪乱化学物質問題につきましては、環境庁先生御案内のとおり平成十年五月にSPEED98を取りまとめまして、内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質につきまして緊急全国一斉調査を進めてきたところでございます。関係省庁も健康影響調査とか作用機構の解明などの調査研究を行っております。  御指摘のスミチオン、学名ではフェニトロチオンと言うようでございますが、これにつきましては、環境ホルモン戦略計画、SPEED98に記載のある化学物質には含まれておりません。したがいまして、調査対象ともしておりません。  しかし、今後必要性を示唆する新たな知見が得られれば、調査対象とすることにつきましては検討してまいりたい、こう思っております。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農薬工業会がリストに挙がった二十の農薬を調査したけれども、この中ではどういうふうに言われているんでしょうか。
  37. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) 環境庁が作成したSPEED98の中の現在登録がございます二十の農薬につきまして、農薬工業会において催奇形性あるいは繁殖に与える影響等につきまして既存のデータを改めて解析し、再評価を行ったところでございます。  その結果といたしまして、これらの二十の農薬につきましては、現在までの知見からいたしまして、催奇形性あるいは胎児への影響、世代を超えての繁殖に対する影響というものは見られないというふうなことで、哺乳動物に対します内分泌攪乱作用はないというふうに結論づけまして、昨年十二月の京都で行われました国際シンポジウムにおいてそのような報告がなされておるところでございます。
  38. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これは業界だけにやらせている調査ですね。農水省としてきちんとなされている調査でしょうか。
  39. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) 私どもの方におきましても、このような内分泌攪乱物質の作用等につきまして、農薬の関係でございますが、平成十一年度から調査研究を取り進めるというふうなことにしておるところでございます。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひともこのスミチオンについて検討をしていただきたい、調査をしていただきたいと強く思います。  それで、農薬は、有効成分以外に高濃度の界面活性剤などが使用されております。このAPE系の界面活性剤は、分解して内分泌攪乱物質のノニルフェノールとなることが知られておりますけれども、環境庁はどういう農薬にAPE系界面活性剤がどれくらい使われているか知っておりますでしょうか。
  41. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) APE系界面活性剤でございますけれども、これにつきましては、農薬に言及する前に、洗浄剤あるいは分散剤として繊維工業とか金属工業、さらには農薬工業などに広く使用されておると認識しております。  農薬につきましては、展着剤として農薬登録があるものが四十種類ございます。さらに、水和剤や乳剤の補助成分として含有している農薬もございます。そういうふうに認識しております。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農水省はどうでしょうか。
  43. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) ただいま環境庁の方から御説明のあったとおりでございますが、APE系の界面活性剤、これは繊維工業あるいは金属工業等々、生活環境全般にわたって広く使われておるわけでございますが、その中で農薬における使用量の割合、これは一・八%程度のシェアであるというふうに承知をしておるところでございます。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 こうした農薬が使われているということに関して、情報がしっかりと公開されていくということが大変大事だというふうに思っております。ぜひとも、このことに関して資料を出していただきたいなというふうに思っております。そして、行政が情報公開をしないと化学物質の害は減りません。しっかりと環境庁にもお願いをしたいと思いますけれども、いかがですか。
  45. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 私どもの認識といたしましても、今農水省の方から答弁がありましたように、農薬に使用されているAPE系の界面活性剤の数量、これは現状では把握しておりません。しかし、APE系の界面活性剤を含む界面活性剤全体、これのうちの農薬への使用量は、先ほど一・八とありましたが、私どもの方では約二%程度であると認識しております。したがいまして、そういう情報収集には今後とも努めてまいりたいと思います。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 松枯れの空散は、松枯れ被害がある四十五都道府県のうち三十二県で実施されております。国の補助金支給面積は九八年度で三万九千ヘクタール、少しずつ減ってきておりますけれども、減ってきている理由は何でしょうか。また、唯一増加している県は長野県ですけれども、増加の理由は何でしょうか。
  47. 石島操

    説明員(石島操君) 松くい虫の被害につきましては、各都道府県で真剣にその対策に取り組んでいただいておりまして、その結果、被害量につきましてはピーク時の三分の一の八十万立方と減少をいたしてきております。そうした被害量の減少に対応しまして、空中散布面積につきましても、ピーク時の十三万六千ヘクタールから今ほどお話がありました四万ヘクタールを下回る水準にまで減少をしてきているということでございます。  なお、増加している理由ということでございますけれども、一部の標高の高い地域あるいは寒冷地等におきまして松くい虫被害が増加傾向にございまして、こういった増加傾向に対応して適切な防除を実施していくというような観点から、特に長野県におきましては空散面積が増加してきているということでございます。  いずれにしても、私ども、この空中散布特別防除を実施していく際には、自然環境あるいは住民の意見等を十分踏まえまして、慎重かつ適正に空中散布を実施していきたいというふうに考えております。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 空散以外の方法をとっている県がふえている中で、空散をふやしているということは納得ができないわけなんですけれども、やっぱりもっと危険性や代替的な方法について周知徹底をしていただきたいなというふうに思うんです。  現に、長野県のある自治体の担当者に市民グループのつくりました資料を見せたところ、たちどころに空散がとまったというケースもあると聞いておりますけれども、周知徹底にぜひ努めてほしいと思います。林野庁、お願いします。
  49. 石島操

    説明員(石島操君) 特別防除の実施に当たりましては、従来から私どもの農林水産大臣の定める基準に従いまして、農業、漁業者等への被害防止について十分留意する、あるいは地区説明会等を通じまして関係の方々理解協力を得るということで指導もし、やってまいりましたけれども、さらにこうした指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 新聞報道によりますと、公害調停委員会が松枯れ空散に関して、将来特別防除の必要性がなくなることを目指すと、事実上将来の空散中止という調停案を出しております。  これまでの附帯決議の精神も踏まえまして、削減に向けて具体的な取り組みが必要と考えますが、林野庁、どうでしょうか。
  51. 石島操

    説明員(石島操君) 先ほども御説明をさせていただきましたが、現時点におきましても松くい虫被害量は八十万立方と相当程度ございまして、これらに適切に対処していくために特別防除、いわゆる空中散布につきましては現時点では有効な措置の一つというふうに考えております。  しかしながら、将来にわたってこの特別防除を実施していくかどうかという点につきましては、私ども伐倒駆除、樹種転換、あるいは松林の健全化といったような対策を総合的に実施いたしまして、こうした特別防除が必要でなくなるような条件整備をしていくことが極めて重要だというふうに認識しておりまして、そういった認識に基づきまして努力をしていきたいというふうに思っております。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境庁長官にお伺いしたいと思いますけれども、大木前長官が予防的原則が必要ということを繰り返し指摘をしておりました。先ほどのお話にもありましたけれども、藤前干潟のあの埋め立てをやめたという真鍋長官は、ぜひこの予防的原則の重要性を確認していただきたいなというふうに思います。  どれだけ有害化学物質を減らすのかという努力をこれからもやっていくという、今のお話にもございましたので、ぜひともその原則を踏まえるのだということも含めて、最後長官お話を伺いたいと思います。
  53. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 予防的原則ということで藤前と化学物質と両方にまたがっての御意見をちょうだいいたしたわけであります。  確かに、今までの法案の範囲ならば環境庁に与えられた権限というものも限度があったわけでありますけれども、それを最大限活用して有益性を出していかなければならない、こう思っておるところであります。  環境庁にいたしましても、今回アセスメントの法案処理によりまして新しい対応もできるようになったわけでありまして、その活用も一段と強めてまいりたいと思っておるところであります。  また、化学物質の問題につきましても、今国会におきましてPRTR法案を通産省ともどもに提出させていただくところでありまして、これらの問題につきましても、今後対応の過ちのないように、また化学物質に対する対策というものは、PRTRの中で検討していけば安心、安全だというような答えを出していきたい、こう思っておるところであります。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 きのう三月十日の新聞各紙に、環境庁など四省庁の「ダイオキシン対策に、政府は真剣に取り組んでいます。」という、お母さんと子供が手をつないだイラスト入りの新聞広告が出されました。  「Q・私たちの食生活は、安心ですか。」「A・健康に悪影響はありません。」、「Q・廃棄物の焼却施設からダイオキシン類が出ていると聞きましたが。」「A・平成九年から排出規制を導入しています。」、「Q・私たちにできることがありますか。」「A・ごみを減らすなどライフスタイルを環境に優しく変えましょう。」、これは目に飛び込んできます。  ところが、この「私たちの食生活は、安心ですか。」という問いに対する答えとして、「WHOが開催した科学者の会合では、健康影響を判断するための目安を一日当たり四ピコグラムとしています。」というのが書いてございます。そして、「注」としてその下に、私は見えますけれども、でも虫眼鏡で見た方がいいという小さな字で、「当面の許容量を四ピコグラムとし、究極の目標として一ピコグラムを目指すべきとしています。」と書いてあります。なぜこのような大きな字で四ピコグラムと書くんですか。最初から一から四ピコグラムとすべきではないでしょうか。国民に誤解を与えるような書き方を政府みずからがやっていいんでしょうか。これは訂正を出すべきだと思いますけれども、どうですか。
  55. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生の御指摘のところは、「私たちの食生活」のところのことでございますが、WHOで言っております一から四という問題について具体的に今議論している最中ということでございます。  それから、今のWHOの方が決めてから日本に知らされるまでの問題という時間がございます。そして、その内容についても日本の学者の中で十分に議論していただく形の中で仕事を進めるということが一番大切かというふうに思っています。  そういう意味では、ここに四ピコというのが書いてございますが、WHOの方で考えている、国会の中でも答弁されているように究極の目的の一ピコという、しかし一ピコがどうかということよりも、私たちとしてはダイオキシンはどんどん減らしていかなきゃいけないということを基本的に考えておるわけでございます。そういう意味では、ここに盛られているのは、まず国民に大きな見出しで食生活のこと、そして廃棄物の問題、リサイクルの問題というのを強くアピールしていくという形の中で、これから政府で閣僚会議で決められております五つの事項についてきちっと基本指針を示しながら動いていくという形を段階的にとっていくための第一歩であるかと思っております。  そういう意味では、先生の御指摘の大きい字と小さい字という見出しのつけ方のところはやや問題あるかもしれませんが、内容的それからこれから政府が出していく指針、方向づけの中で考えていくならば、これでかなり国民に伝えられる。それから、今後三月末までに政府の五つの基本指針、基本方針が出てまいりますので、その中できちっと国民に誤解のないよう、そして国民に理解あるひとつの生活を求めていくということも含めて、なお政府としてはしっかりした形で数値というものを国民に理解されるような対策を具体的に出していく。  その一つのきっかけは所沢で現在やっております調査結果の公表ということもございます。その中にやはりしっかりした気持ちで国民に訴えていくための公表の仕方ということを考えていくことが筋かと思っております。これは第一段階一つの政府の持っている姿勢を示していくということでございますが、これになお詳しく基本方針が出てまいりますので、そういうことでダイオキシン対策は進めてまいりたいというふうに思っております。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう一つ違っているんです。WHOのプレスリリースには、最終的に目指すのは一ピコグラム以下となっているではありませんか。一ピコが最終的な目標ではないんです。一ピコ以下にするわけで、先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、本来ならばゼロにすべきものなわけなんです。ですから、ここに書かれている書き方、この虫眼鏡の方もちょっと違っているというふうに思います。後ほどまたそれについて詰めたいと思います。  環境庁長官は、八日に埼玉県所沢市産業廃棄物施設を視察なさいました。どのように感じ、どのような対策をとるべきと思われましたでしょうか。
  57. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) ダイオキシン対策関係閣僚会議を開催いたしましてこれからのダイオキシン対策の諸問題を検討しておるところでありまして、それがためにはということで、いち早く現地を視察してみたい、こう考えておったところであります。ちょうど予算委員会の合間を見まして現地を視察させていただいたわけであります。現地の市長さん、そしてまた県議会の先生方、そして土屋知事さん、各埼玉県の行政にかかわる皆さん方の御一緒をちょうだいいたしましていろいろと見せていただいたわけであります。  くぬぎ山周辺に林立しております廃棄物処理場がやはり他の地域に比べまして多うございました。それがために焼却炉から排出されるダイオキシンが多いのじゃないだろうかということを目の当たりに見たわけでありますけれども、そこに広大な農地が広がっておるわけであります。その農地から生産される生産物というものにどのような影響を与えるんだろうかと、いろいろ私なりの考えをまとめさせていただいたところでありますけれども、しかしこれはダイオキシン対策関係閣僚会議の場においてしっかりした発表をさせていただきたい、こう思っておるところであります。  いずれにいたしましても、あのくぬぎ山周辺にはたくさんの廃棄物処理場が林立いたしておりまして、その対応を図っていかなければならないというのが実感でございました。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 厚生省のマーケットバスケット方式による調査によりますと、すべての食品群からダイオキシンが検出されております。空気、土、水、この環境が汚染されているためであります。ダイオキシン対策は食物の基準値を決めるよりも発生源対策が重要だと思います。  そこで、ダイオキシンの発生を抑えるために環境庁は発生源ごとにどのような対策をとっているのか、計画はどうなっているのか、関係のあるところは厚生省にもお答えいただきたいと思います。
  59. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) まず発生源対策として排出の部分で大気に出さないようにということでございまして、そのために燃焼炉から出ております部分を抑えるという考え方で大気汚染防止法を改正して大気の指針値を〇・八ピコと決めて、その中で監視を続けるという体制をとっております。そして、それに連動しまして、焼却施設の基準値が廃掃法、厚生省との関係で決められてきているというふうに思っております。  そして、先生がおっしゃるように、燃焼過程で出てくる非意図的物質であるということに着目して、これをどのような形で減少を進めていくか、そして今あるダイオキシン、今までの蓄積分もありますが、それを頭に置いて今後の減少していくことをどこまで持っていくかという考え方がございまして決められたものでございますが、新設では〇・一ナノというのを決めてございます。そして、既設については暫定的に平成十四年までの間八十ナノという形で動いております。  しかし、この暫定の八十ナノというのはございますが、これは平成十四年までの間で指導を進める中でいきますと、一と五と十というのが平成十四年から動くわけでございますので、それに合わせていくような形で指導していくということになります。そこは厚生省と共同で動いていくという形になります。そして、その結果については、厚生省も指導していく中でかなりの効果を上げてきている、つまり一、五、十に近い形の指導効果が既設についても上がってきているというふうに思っております。  その次についてはまた厚生省の方からお願いしたいと思います。
  60. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン問題は国民の健康にとりまして非常に重要な課題であります。厚生省といたしましては、ダイオキシンの主要な発生源であります廃棄物焼却施設につきまして、廃棄物処理法に基づきまして既にダイオキシンの排出規制を強化するなどの対策を講じているところでございます。  具体的な数値は先ほど環境庁の方から答弁がありましたので重複を避けますが、具体的には、新設の焼却施設につきましては、既に平成九年十二月一日より基準の強化を図っておりますし、既設の施設につきましても、平成十四年十二月一日から厳しい基準を適用することとしております。また、規制を施行いたします前の平成八年の調査で排ガス中のダイオキシン類の濃度が八十ナノグラムを超えておりました一般廃棄物焼却施設につきましては、その改善を指導してきたところでございまして、現時点におきましてはすべての施設におきまして八十ナノグラム以下に改善をされているところでございます。  厚生省といたしましては、こうした規制措置にあわせまして助成措置を講じる必要があるということでございまして、細かいことは避けますが、主な点を申し上げますと、市町村が新設をいたしますごみ焼却施設に対する国庫補助あるいは施設の改造事業に対する補助というふうなものもやっておりますし、それから平成十年度の第三次補正予算におきまして、平成十四年十二月から適用されます厳しい排出基準を満たす焼却施設の前倒しの整備のために百八十二億円の予算を確保いたしておりますほかに、平成十一年度予算案におきましては、十二年度までの緊急、特別の措置といたしまして、いわゆる焼却炉の設置、改造に加えまして、これらと一体的に行います建物部分の設置、改造に要する費用も対象といたしております。  これらの対策を確実に講じていくことによりまして、ダイオキシンの発生の削減に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  61. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境庁は平成九年にダイオキシン排出抑制対策検討会の報告を出しておりますが、その中で農薬原体中のダイオキシン類の濃度を発表しております。PCNB以外はすべて検出限界以下になっておりますけれども、単位がppbなんです。現在ではpptレベルで問題になっております。余りにも検出限界が高いと思います。もう一度調査すべきではないかと思います。pptレベルまで分析すれば、農薬からダイオキシンが検出されるのではないでしょうか。
  62. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 平成九年五月、先生指摘の検討会の報告におきまして、ダイオキシン類を含むと指摘されました七農薬の原体中のダイオキシン類の分析結果、これが示されたところでございます。それで、先生指摘のとおり、PCNBにつきましてはダイオキシンが検出されました。また、それ以外の農薬につきましては毒性のあるダイオキシン類は検出されなかったわけでございます。  農薬中のダイオキシンの分析でございますけれども、水や農作物中のダイオキシン類の分析と異なりまして、類似の化学的物質がその物質の性状の中に含まれておりまして、その化学物質の中から不純物としてごく微量含まれるダイオキシン類を抽出するという難しい操作が必要になるという特性がございます。  したがいまして、当時の技術水準のもとでは、定常的に維持可能なレベルとしまして、2・3・7・8TCDDで〇・一ナノグラムとし、その他のダイオキシン類につきましてはそれぞれの毒性に応じた適切な測定法をとったものでございます。  しかしながら、最近分析精度が先生指摘のように向上してきておりますので、農水省の指導のもと、農薬メーカーが最新の分析技術で再調査していると聞いております。環境庁といたしましては、このような調査結果を踏まえつつ、さらにはこのような分析精度の向上とか毒性等価係数を総合的に勘案して適切に対処していきたい、こう思っております。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農水省にお伺いしたいんですけれども、PCNBにダイオキシンが含まれていたことが判明したのは環境庁の報告からなんです。農水省は、農薬メーカーに分析させるのではなくて、独自に農薬中のダイオキシンの濃度を分析すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  64. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) ただいま御指摘のございましたPCNBにつきましては、そのような結果を踏まえまして、現在は製造中止に至っておるところでございます。  そこで、農薬中のダイオキシンのチェックでございますが、私どもは、農薬取締法によりまして、登録時の検査におきましてダイオキシンが含まれないことを確認した上で登録することとしております。  そういうことから、農薬メーカーサイドにおきましてそのようなデータを出していただいておるわけですが、ただ今説明がございましたように、検査水準というものが向上してまいりました場合にはそれに応じた再チェックを随時してまいってきております。そういう中から、最近はさらに分析技術の水準が向上したということから、現在、工業会で今流通しておりますものにつきましてその農薬中にダイオキシンが含まれないことの確認をしていただいておる、こういう流れでございます。  私ども農林水産省としてどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては私ども現在の工業会のチェックシステムの中で十分機能しているというふうに考えておるわけでございますが、特段新たな知見が出てまいりまして、それについて早急に国としての判断を求められるような場合には私どもの機関で分析を実施していくというふうなことも、これは含みとして持っておきたいというふうに思っております。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そういうのが非常に取り組みが遅くなっていくというふうに私思うんです。メーカーにやらせるという方法で不安が高まってきているわけですから、登録の際に企業が提出されますデータ、これ農水省は当然持っていて、塩素を含む農薬についてはやはり農水省で独自に検査をして、その結果は公表すべきだと思います。  殊に健康にかかわってくる問題ですから、ぜひその結果を公表すべきだということをお約束いただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  66. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) 私どもの方で調査いたしましたものにつきましては、公表することを前提に調査させていただきたいと思っております。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、環境庁長官にも最後に一言。  こうした農薬空散のことについてきょう触れました。やはり、農水省、厚生省もかかわってきている問題もすべて含めまして、環境庁としてはこれから環境省になっていく。その環境省創設の動きと相まって高まりを見せる環境行政への期待にこたえ、顔の見える環境行政を進めるという基本姿勢からもぜひ努力をしていただきたいので、その御決意を一言伺って終わりにしたいと思います。
  68. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 環境庁の顔の見えるように一つ一つ問題に取り組んでおるところでありまして、必ずその意に沿った努力をし、その体制をつくり上げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  69. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  環境庁長官の所信、伺わせていただきました。その中で、環境を守り子孫に引き継いでいくことが不可欠であると六個の柱を立てている。その中に環境ホルモン、ダイオキシンがありますので、そちらの話を質問させていただきます。  最初に、環境と人間という関係性を考えるときに、よく私は質問するんですが、環境、食物、空気、水、これらを体内に取り入れるときに、どこの時点までが環境でどこの時点で人間の生命になって、どこの時点でまた環境に戻るのかという話を投げさせていただきながら、環境庁長官環境と人間の関係というものをどういうふうにお考えか、最初に伺わせていただきます。
  70. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 国民が豊かで安心できる暮らしを実現するためには、人間の生存の基盤である環境を守って子孫にいい状態を引き継いでいきたい、これが不可欠である、こう思っておるわけでございます。  私も、このところ、何か一言書いていただけないだろうかということで依頼を受けるわけでありますが、その中に、自然との共生とか自然との共存、そしてまた自然との徳風という字をしたためるわけであります。やはり人間というものが自然の中に生かされておる、また自然と共生しなければいい人材というものは生まれてきませんよという気持ちを字句にあらわしておるわけでありまして、そんな気持ちでいっぱいであります。  できることならば、この人間社会の中の人間形成で占める自然の役割というものをお互いに認識を深めながら生存していきたいものと、こういう考えを持っておるわけであります。
  71. 福本潤一

    ○福本潤一君 さすがに自然豊かな四国で生まれ育てられた環境庁長官のように、自然の中に生かされているということでございます。  食物の方の話、体内に入るときにどこまで環境かというのも投げておいたわけでございますが、なかなか区切りがつきにくいということがあると思います。  あるときは自分の肉体の一部になるそういう食物を人間は環境から取り入れ、また環境に出していくわけでございますので、ここらの一体感、一体性というものを重視したときに、今回の環境ホルモン、ダイオキシンの問題も同時に本気になって取り組めるのではないか。  仏教的な考え方の中には環境と人間のとらえ方に依正不二という言葉がありまして、環境は二に不二である、二にして二つではないというとらえ方がありまして、環境をもって人間はつくられるけれども、同時に人間はまた環境にも働きかける存在であると。ちょうど例えでは母体と胎児の関係であるということで、環境が侵され破壊されるときはそこに住む人間生命も侵されるという考え方がありますので、若干最初に述べさせていただいた上で質疑に入らせていただきたいと思います。  環境庁長官、早速所沢に行かれて、先ほどその所沢に行かれたときの所感を述べられました。公明党、昨年対策本部をつくりまして、私も本部長として、さまざまな地域で現地視察、また四十回ぐらい講演したり、二十回ぐらい環境庁、厚生省、国会にも申し入れ、請願もしてきたと思います。  そして一月二十七日、公明党としては法案を参議院に提出させていただいた。十二月に発表し、その後民主党も二月に法案として出していただけるということで、その法案も含めて、自民党も本気になって対応してこられるような形になってきたということで、公明、自民、民主三党で三党実務者協議会を開いて、法案の中身を精査して、ダイオキシン対策法案も通そうという動きで我々は取り組んでおります。ここにおられる国土環境委員長の松谷委員長就任早々その実務者委員会のメンバーとして、小川理事、私、三名その委員として入って、今検討しておるところでございます。  この法案、いろいろなところで検討していただいているようでございますけれども、今回情報公開法というのも大変通してほしいということがアンケートで出ておりますが、それが二位で、一位がダイオキシン対策法だというぐらい国民に不安が高まっておるようでございますので、厚生省また環境庁から見た今回の法案、公明党案、民主党案に対する見解、また差異に関する見解でもよろしいと思いますので、それぞれの立場から見たこの法案の中身についての御見解を最初に厚生省から伺わさせていただきます。
  72. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン問題につきましては国民の健康の観点から非常に重要な問題だと従来から考えておりまして、先生指摘のございました公明党あるいは民主党御提出のダイオキシン対策法案におきましても、このような観点から、TDIの設定あるいは環境基準の設定、総量規制基準の設定、廃棄物焼却炉に関します焼却灰及びばいじんの処理基準の設定等、あるいは土壌に関する措置等について規定されているものと承知をいたしております。  厚生省におきましては、既に廃棄物処理法に基づきまして破棄物処理に関します諸般の施策を講じているところでございます。また、その施設の整備の促進につきましても助成措置を講じてきているところでございます。公明党並びに民主党からそれぞれ提出をされております法案につきましては、よく勉強させていただきたいと考えております。  なお、両法案ではTDIを一ピコグラムと規定されているわけでございますが、TDIは種々の科学的な知見を評価、解析の上設定されるべきものと認識をしておりまして、まず十分な科学的議論を行うべきであると考えております。  なお、諸外国におきましてもTDIを法律において規定している例はないというふうに聞いているところでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、食品の安全対策あるいは廃棄物処理対策を着実に推進するということでダイオキシンの対策の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  73. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  公明党の法案が一月二十七日に出され、民主党法案が二月十七日に提出されておることはもちろん承知しておりまして、私どももその内容については勉強させていただいております。両党の法案の中身が一緒のところ違うところ、それぞれ私どもなりに勉強させていただいているところであります。  ただ、いずれにしましても、私ども環境庁といたしましては、当面既存の法制度を十分活用するとともに、最新の知見を踏まえつつ、ダイオキシン対策関係閣僚会議の場を通じ幅広い観点から総合的な対策の確立及びその推進を図ってまいる所存でありまして、御提案の法案についてはなお引き続き内容をよく勉強させていただきたいと思っております。
  74. 福本潤一

    ○福本潤一君 私、具体的なもう少し踏み込んだ検討の中身を聞きたいんですけれども、今のは総論ですね。これでは何を聞いたのか、一ピコのところだけを若干言っていただいたというところで、再度答弁を二人に求めたいと思います。
  75. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) これは各党の法案を意見としてすり合わせをさせていただいておるわけでありまして、三党によるすり合わせの上で立派な法案として提出していただきたいと思っておるわけでありまして、政府としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますし、また、このダイオキシン問題につきましては、対策協議会を開催いたしておりますので、その場を通じて披瀝させていただきたいと思っておるところであります。
  76. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう御配慮の上での総論的なお話だということで、私もこの深入りは今のところこれで終わろうと思いますが、自民党の方も民主党の方も私も、三名おりますので、そこでよくよく理解を深めた上でと思いましたけれども、では、そちらの場にこれは譲らせていただくということにいたしましょう。  そうすると、先ほどから一ピコというのだけは御見解を出していただいているということで、この四ピコと一ピコ、体重一キログラム当たりですから、大人七十キログラムぐらいの人ですと七十ピコ、四ピコですと二百八十ピコグラムまでは許容できる、一生とり続けてもという形の考え方で人間の体内ではいくわけでございますが、先ほど岡崎委員が言ったような一ピコから四ピコの値というのがあります。  現実に私多くの人と話していると、このピコとかナノというのは何だと、キログラムならば知っているけれどもピコグラムというのは余り知らないというので、よく東京ドーム一杯に一グラムぐらいの比率が大体一ピコで、五十メートルプールに一グラムぐらい入っているのが大体一ナノグラムだという言い方をして話するんですけれども、この一ピコと四ピコというのもかなり小さい値を現実には実験で取り出しますので、これ一けた上へ上がると一ピコでも四ピコでも十の単位で四捨五入するとゼロピコになるというぐらいの小さい値ではございます。  ただ、予算委員会でも、現在の検出器械で発見されないという、ND、ノーディテクションという値についての質疑が我が党の委員からありましたので、この点の扱い方、日本とWHO、EPA違うという質問を予算委員会でさせていただいて、要するに、その値が器械で検出されないときにゼロと見るか〇・五と見るか一と見るかという取り扱いの問題ですが、あのとき環境庁長官ですか、今後国際的な基準に合わせていきたいと思いますというお答えをいただいたようでございます。  そのときにすぱっと日本方式とかWHO方式、EPA方式という形で分けられるものではないかもわかりませんけれども、今後、コプラナPCBも入れるというデータの見直しの話、NDという値をどう見るかという二つの考え方が出てきて、それについて国際的に合わせていくということになりますと、今までの日本が出してきたデータとは違う段階がいつかの段階で来るわけですね。コプラナPCBが加わった値、またNDを国際標準に合わせてきた値。そうすると、いつの時点でそれが変更されるのかというのが、データの整合性を今後見出すときに、きちっと定めないといけないという問題が起こってくると思います。この、いつの時点で変更しようと思われるというのを、コプラナPCBとNDの値と二点、どういう考え方で今後そういう国際的なデータと合わせていこうと思われているか、その点についてお伺いします。
  77. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) コプラナPCBの取り扱い及び予算委員会で御質問のありましたNDの取り扱い方法につきましては、現在環境庁と合同の専門家によります専門家会合を開いておりますので、その場で所要の情報を十分御提供しながら、専門家の御意見の検討結果にまちたいと考えております。
  78. 福本潤一

    ○福本潤一君 としますと、その差異が、日本の値の方がWHOかEPAが出している値よりは現状では小さい値として出ているというのは間違いないところでございますが、そういう形で比較するときに、知っている人が見たら、日本のデータは若干出ておるけれども何倍か、コプラナが大きいと見たら二倍近くで読めばいいなとかいうのはわかるんですけれども、素人の人が見ると、これ同じ考え方で出している値というふうに見ちゃうという問題があります。ですので、速やかにそういう検討委員会で比較できるデータの出し方という形で今後対応していただければと思います。  その中で、日本の学者の方が出されているデータ、日本ではそもそも今までどれだけのダイオキシンが排出されて蓄積されているのかという問題が大きな問題として出てきます。ベトナム戦争で百七十キログラムから百八十キログラムと、今度はキログラムですので、総枠ですのでわかりやすい話になると思います。  最近、朝日新聞の中に、今皆さんのお手元にも配付させていただいた放出量の年変化というデータが出ております。このデータ、益永先生は厚生省、環境庁のリスク評価等の委員会も熱心に出ておられる先生でございますが、この表を見ますと、厚生省が確かに最近認められていますように、一番下の徐々に増加しているグラフはほぼ五キログラム程度という形になっております。五キログラム、五千グラムは焼却炉から出ているだろうという値でございますが、このデータで五キログラムというのは日本に排出するデータから見るとかなり全体の寄与率は小さいという結果の表でございます。  そしてコプラナPCB、これがその上に山の形で出ていますが、七〇年前後に日本でPCB、これは目的があってつくっていたものですが、かなりたくさん環境中に放出されたものだと。さらにはCNPという除草剤、これ農薬ですが、この農薬からも大変大きな量が蓄積されている。愛媛大学農学部の脇本先生、田辺先生からも、農薬で水田中にもかなり蓄積されているというのがここに現実に大きい値として出ていると。  PCP、これも除草剤でございますが、製造は今中止になっておりますが、かなり高いデータでございます。例えば、七〇年ぐらいには何とトータルで一年間で六十キログラム大気中、環境中に放出されている。一年間に六十キログラムといいますと、ベトナム戦争の三分の一が一年間に出ていたぐらいのデータになります。大気中ではないですけれども、農地等も含めると非常に大きな値である。  これトータルしますと、単年度でグラフが変化しておりますけれども、平均が大体二十キログラムより強でございます、以上になる。そうすると、一九五八年から九八年まで四十年間、二十キログラムというと八百キログラムという値が出てきます。そうすると、従来考えていた以上に、最近は焼却炉からの排ガスというのを中心に考えていますが、農薬を入れると日本環境中に蓄積されているダイオキシンはベトナム戦争と同等どころか数倍ではなかろうかというのがこのデータの見方でございますが、このデータを見られて、環境庁、農水省、どのようにお考えか、その御意見をまず伺いたいと思います。
  79. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) まず農薬の問題につきまして、先生議論の中の一つとして提起されましたので、それにつきまして私の方から御答弁をさせていただきます。  農薬に含まれていたダイオキシン総量をどの程度と認識するかということでございますが、大変恐縮でございますけれども、私どもといたしましては平成八年度使用量からの推計値は持っておりますけれども、それ以前につきましてはございません。  ちょっと申し上げます。平成九年五月に出されました環境庁のダイオキシン排出抑制対策検討会報告、これによりますと、殺菌剤として使用されているPCNBの原体、これは農薬の有効成分というものでございますけれども、それから毒性の弱い七塩化ダイオキシンが一グラム当たり十三ナノグラム検出されたと報告されております。その平成八年度の使用量から年間のダイオキシンの排出総量を推計いたしますと、2・3・7・8四塩化ダイオキシン、毒性等価換算で〇・〇六グラムTEQと算定されております。なお、このPCNBにつきましては平成九年度から製造を中止しております。  なお、先生御提示のPCPないしはCNPの点につきましては、ちょっと私ども知見が十分でございませんので、この試算の仕方等々なんかにつきましてはいろいろ検討させていただきたいと思いますが、PCPにつきましては平成二年に既に農薬登録が失効しておりますし、CNPにつきましても平成八年に農薬登録が失効されておりまして、現在は使われておりません。
  80. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 若干私の方からも補足させていただきます。  この資料そのものはただいまいただいたところなものですから、水質保全局長の方からお答えしたとおりで、これについて特段のことが申し上げられるわけじゃありませんが、今これを見ながら何か申せという御指示でもございましたので、私どもも実は過去に経年的にどうなっておるであろうかという問題意識は持っておりまして、十一年度にはこういう調査をしてみたいというふうに考えております。  こういう調査といいますのは、具体的には底質部分を含んで縦にずっと底質をとりまして、下の方から順番に蓄積されているものがどの時点で、ある程度時点がわかりますので、経年的にどういうふうになっているかという値は十一年度調査で私どもやってみたいと思っております。  その点をつけ加えさせていただきます。
  81. 大森昭彦

    説明員(大森昭彦君) 過去に使用されました農薬からどれぐらいのダイオキシンの排出量かということのお尋ねがございました。  先ほど環境庁の方からもございましたように、実際に過去に使われておりました時点でどの程度のダイオキシンの含有量であったかというふうな知見が非常に不確かなことがございまして、その排出量を見積もるということは非常に困難であるというふうに考えております。
  82. 福本潤一

    ○福本潤一君 このデータ、つい最近益永先生が出されたデータでございますし、私、益永先生は大学院のときからよく知っておる先生でございますし、恐らく厚生省また環境庁にもこのデータ、年変化のもお届けになると思います。そうして、CNPとかPCPがもう製造されていないというのはこのデータにも出ておるとおりなんです。もう八三年以後は農薬から出ているという形ではない。  ということは、先ほど言われた平成六年のデータで〇・〇六というのは当たり前の状況で、こういう形で過去に蓄積されたものに対してどうするのかということと、このデータを見られた、かなり大きな特集でございましたので、データに出ている結果を見て、案外農家に残っていた昔の農薬、この農薬を追うとだんだん農薬の中のダイオキシンというのは減っていっているということで、当初出た農薬とこれじゃまずいということで減っていった農薬、それの調べ方でもかなり変わる。  なおかつ、新潟大学医学部の薬学の山本正治教授は、新潟平野で胆のうがんとCNPの関係というものを前々から指摘していたわけです、農薬と胆のうがん、発生率多いと。ある意味ではこの表を見られて、この結果は今後の日本のダイオキシン研究を変えると思われるという話もされておるわけです。要するに、過去のダイオキシンの発生量というのをある意味では過小に思って、なおかつこの最近の焼却炉からのデータを中心に、大体日本では五千グラム、要するに単年度で五キログラムということで、十年間では五十キログラムではないかとかいうような話をしておったわけです。  もっと多くの量が出ているというのは、愛媛大学の脇本先生とかまた田辺先生も、農薬をかつて使っていた土壌がかなり高濃度のダイオキシン検出というのが日々新聞に発表されたり、学会で発表されたのが新聞記事になったりしているところでございますので、そういう意味ではダイオキシン自体の生命に与える影響は所沢のみならず日本人全体の問題になってきていますし、恐らくここにおられる方全員、何らかの形で体内の脂肪のところ、肝臓にはダイオキシンが蓄積されていると思って間違いない。私も自分の体の中にはたまっているだろうなと思います。  発がんという影響の中でWHOは値を提出しているわけですけれども、日本人の発がんとか死産、流産、こういったものとの関係も本格的に調べないといけないのではなかろうかというのが私の実感でございまして、高野委員が一度所沢で奇形児の話をしましたけれども、まだ出生するときにはそれでありますけれども、体内の母胎のゼロカ月から三カ月の段階で影響を受けたときにはかなりの強烈な影響を子供に与える。だから、出産する方がまだより少ないぐらいの影響で、死産、流産の方がもっと大きな影響ではなかろうかというふうに思われます。  こういう現実の深刻なデータが次から次へ出るわけですけれども、こういうことを現実に目にしますと、閣僚会議環境庁長官は代表のような形で出ていただいていると思いますけれども、本気でこういうダイオキシン対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。  今の話を聞いていただいた上で、今後の取り組む決意も含めて、お伺いしたいと思います。
  83. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生の御提出いただきました、この放出量の年変化を見ましても、やはり学者としての知見を持っておられる、また将来に取り組む見解についての御意見もちょうだいいたしたわけでありまして、大変参考になりました。  私も、かつてベトナム戦争であるとかセベソの工場爆破から排出したダイオキシン問題等々いろいろお聞きしておりまして、何としてもこの世界からその有害物質を除去していかなきゃならないという気持ちでいっぱいであります。この書類を貴重な資料として、今行われております対策閣僚会議の中でも生かさせていただきたいと、こう思っておる次第であります。
  84. 福本潤一

    ○福本潤一君 決意をお伺いしました。  と同時に、私、学者の経験もあり、また今参議院議員として質疑させていただいているという経験を踏まえると、この益永先生も恐らくそのうち委員会の中でこういうデータを出されると思います。そして、霞が関の官庁に行ったときに、委員会というので学者はかなり集まりますね。そうしますと、霞が関で発言して対応がどういうふうになるか、委員会審議会いろいろある中で、現実に各官庁でどの程度反映されるのか、時間が非常にかかるのが現実じゃないかなというのが私の実感でございまして、私も農水省、科学技術庁、建設省等の委員会は学者の時代に出ておりましたけれども、なかなかそこではかなりの知見を出すんだけれども反応が遅い。  ただ、国会でやると、マスコミに火がついた場合は対応が早いというのが現実の状況でございますので、せっかくこのデータ、厚生省の委員会にも所属されている先生のデータですので、各官庁の委員会審議会の役割が官僚の方が国会で答弁するノウハウなり考え方だけを教育しているだけで終わっているという感じがどうもするんですね、こういうふうに答えたら何とか国会答弁乗り越えられると。ですので、ぜひとも委員会審議会の各官庁の中での、きょうは大臣環境庁長官しかおられません、環境庁の中でそういう霞が関の委員会審議会の位置づけを教えていただければと思います。
  85. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 長官に御答弁いただく前に、この問題についてでございますけれども、私ども先ほど御答弁申し上げましたように、農薬由来のダイオキシンにつきましては非常にデータの制約性もございまして、推計は平成八年度のみ、こういうことでございます。  したがいまして、こういうデータにつきましては算定根拠なりその有用性なりにつきましてきちんと論議しませんと、非常にまたいろいろな不安のみが先行するというようなことになりますので、そういう点はきちんと対応しなきゃいかぬと思っております。ただ、私ども、この土壌について、ダイオキシンといいますのは一度そこへ入りますとストックされておりますので、もちろん半減期という形で減っていくものもございますけれども、ストックされておりますので、それにつきましては環境庁でダイオキシン類の実態を把握するために今年度から水質、土壌等につきまして農用地を含めましてきちんと調査しているところでございます。そういう中で私どもは、そうしますとこれはストックとして客観的にあるわけですからそれでもって評価していくと。そういう形できちんと対応はしておるということだけは御理解賜りたいと思っております。
  86. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先生のおっしゃるように、行政府の問題処理に私も疑念を持っておる一人でございます。やはり役所答弁を見ておりましたら、私もその一人になっておりますけれども、何とか審議会の答申を待ってというような答弁が余りにも多過ぎるような気がしてなりません。  そこで、私は環境庁長官になりましてから、もうその審議会の意見意見として聞きますけれども、各省庁意見をきちっとまとめて出していかなきゃならないんじゃないだろうか。そんな点では、環境庁環境庁意見を早く出してほしい。そして答申と相まってということで、答申はある意味では参考資料というような形で取り扱うのも私はこれからの方向性じゃないだろうか、こう思っておるところであります。  それがゆえにということで、実はこのダイオキシン問題についても、環境庁、厚生省、農水省という三省庁でまず取り組まさせていただきましたけれども、これだけでは国民に安心、安全感を与えないぞということで、いち早くこのダイオキシン対策関係閣僚会議というものを開催してはどうだろうかと。小渕総理もこのダイオキシン問題については所信表明でしかと述べていただいて、重要問題の一つとして取り上げていただいておるわけでありますから、ぜひそうしてほしいという要請もさせていただいたわけであります。  今先生がおっしゃいますように、ある意味では即効性を持った議員立法というのが私はこの法案処理の問題に当たって効果を大ならしめるんじゃないだろうかと思っておるわけでありまして、このダイオキシン問題についても議員立法をぜひお願いしたい。先ほど来、三党間でよくよく話し合いをしておるということでありましたので、そんな点を期待しながら、自分の置かれた立場ながら、感じておることを申し述べた次第であります。
  87. 福本潤一

    ○福本潤一君 いよいよ環境庁環境省になる前に当たって、今、環境庁長官のお言葉政治家として、国務大臣として対応されるに当たって、まさに二〇〇一年、環境庁環境省になるにふさわしいようなお言葉をいただいたというふうに理解させていただこうと思います。我々もそういう形でこの法案、国民の期待もありますので、本気で取り組みたいと思います。  その前に、先ほどデータの話、また委員会の話でお答えになった答弁の中で、ストックではあるからということでございました。  ストックであるから逆に、本来環境中にはないのがダイオキシンでございますから、PCBとかそういうのも環境ホルモンになるけれども、もともと目的を持ってつくった製造物とは違うものが不本意ながら出てきた、本来ゼロであって当たり前の物質が出てきている。ですから、ストックであろうと、ストックの中にあるものが変化していくときにはその土壌に対しても対応していかないといけませんし、なおかつ、河川、海、魚という形で生態系の中で何万倍、何百万倍という形で濃縮していくという形のものがダイオキシンなわけでございます。そういう意味では、すぐに自然に分解するような青酸ソーダのようなものと違いますので、毒性といっても、それだけの対応をしていく必要が逆にあると思います。  というのは、この前の所沢のはお茶であって、ホウレンソウでなかったという話も、今のストックというのが言われたのであえて言いたくなりました。  あれも、最初お茶だと正確に報道していたらもっと深刻な事態に僕はなっていたと思います。お茶が三・八ピコグラムだと言ったら、あそこはお茶の名産地でありますからもっと激しい不買運動が起こっています、正確に報道したら。だから、正確に報道していることが逆に大変になるだろうなと思ってむしろ葉ものと言ったんじゃないかという気が私はしておるわけです。  それはなぜかというと、(「違う」と呼ぶ者あり)報道の方はメディアの方で、郵政の委員会の方でやってもらおうと思いますけれども。  ただ、あの中で、捨てるお茶の葉っぱの方、二%しか出ないというなら、九八%の方には出て、また捨てて焼却炉へ行くわけでしょう。循環しておるわけです。だから、体内の環境と生命が一体化しているというのと同時に、廃棄物もそこにダイオキシンがあったらやはり大きい値は問題なんですよ。そこらのところに対する考察も含めてやはり対応していただかないと、ストックだからこれは毒がないんですという形の対応では、やはり環境行政もう一歩、本気で対応できる形にはならないというふうに思います、お茶であろうと。  ということで、ぜひとも今後対応していただければと思いますけれども、かなりダイオキシン対策、焼却炉で予算がつきました。  計測の話で、今、厚生省と環境庁、ダイオキシン、かなり値段が高いと。自分の体内の血液を調べてもらおうと思ったら三十万、四十万かかるというようなことで、奥さん方がすぐ調べたいと思って気楽に行ったときに、なかなか高い。談合問題とかいろいろありました。これはもう触れる時間がありません。適正価格は今どの程度だと思っておられるか、それを最後にお伺いします。
  88. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 直接のお答えにはなりませんが、ダイオキシン類の測定費用につきましては、一般的には市場の競争原理に基づいて決定されるべきものだろうと考えております。  ただ、ダイオキシン類の測定結果につきましては、試料の採取、分析のための前処理、分析、それぞれの段階で極めて高度な技術等が必要とされますので、価格の問題だけではなく、精度の高い測定データの集積もまた一方で必要だというふうに考えております。
  89. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時八分開会
  90. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備及び環境保全等に関する調査を議題とし、北海道開発行政基本施策に関する件、環境行政基本施策に関する件及び公害等調整委員会業務に関する件等について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は騒音環境の問題について質問いたします。  幹線道路開発優先のもとで、とりわけ都市の沿道の住民の方々が受ける騒音の被害、これは非常に甚大なものになっていると思います。一刻の猶予も許されない、そういう対策が求められていると思いますけれども、まず大臣に、この数年間、現在の騒音環境の問題点、評価についてお伺いいたします。
  92. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 環境庁では、道路交通騒音の現状を把握するために、毎年全国の自治体が測定した道路交通騒音レベルの結果を取りまとめておるところでございます。  平成九年度において全国の測定地点約五千地点のうち、これは朝、昼、夕、夜と四つのすべての時間帯で環境基準を測定しておるところでございますけれども、達成されておるのは一三%でございます。過去五年間を見ても達成率は同様の傾向を示しており、道路交通騒音は厳しい状況にあると認識をいたしておるところでございます。
  93. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 すべての時間帯で達成されないというその箇所はやっぱり五五%ぐらいになっている、ひどい状況だと思うんです。  ところが、環境庁は昨年九月に騒音基準を告示によって改定して、この四月一日から実施に入るとしているわけです。その問題点は多岐にわたるわけですけれども、幹線道路沿道の適用条件の緩和とか室内基準の導入とか、あるいは達成期間の延長など、どれをとっても騒音環境行政にとって重大なものばかりだと私は思います。  まず第一に道路とのかかわりなんですけれども、告示では幹線交通を担う道路に近接する空間の特例として、昼間七十デシベル、夜間六十五デシベルの基準を採用するとしております。この基準値は九五年七月の国道四十三号線最高裁判決で示された基準値六十五デシベル、六十デシベルよりも緩やかなわけですけれども、なぜこの特例を入れたのですか。簡潔にお願いします。
  94. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 幹線道路近接空間の導入された理由でございますが、今大臣説明したとおり大変深刻な状況にあるということを踏まえて、中央環境審議会で新たな科学的知見に基づき望ましいレベルを検討していただくとともに、道路交通騒音対策の推進、環境基準を目標としてより効果的に機能し得るものとするという基本的な考え方に基づいて、環境基準の基準値のあり方について検討していただきました。  そのときに、幹線道路に面して一列目にあるような部分を指しますが、道路交通騒音に直接暴露されている道路に面する地域の中でも騒音のレベルが高いなど特有の騒音実態があるほか、地域の状況によっては屋外の騒音低減対策に物理的あるいは技術的な制約があるなど、特別な条件にあります。現実にはこのような幹線道路近接空間においても居住実態は具体的にあるわけでございまして、行政としてその生活環境を適切に保全することが必要であるという考え方で、近接空間について、その特別な条件を前提とした上で固有の目標を環境基準の特例として定めたわけでございます。  これによって、幹線道路近接空間が、特別な条件に対応した具体的な施策を示すことができるというふうに考えております。
  95. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔にお願いします。
  96. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) そういうことで、これによってきちっとした対策がとっていけるという考え方を持っております。
  97. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 全然答弁になっていないと思うんです。非常に抽象的な話ですよ。  それで、今審議会のことを言われましたけれども、私も審議会の議事録を全部読みました。これを読んでも、最高裁の判決を薄めるような方針をとることはできない、そういう委員と、判決に縛られる必要はない、道路事業を行うことが困難になる、そういう委員との意見の対立がリアルにこの中にも浮き彫りになっていると私は思いました。  審議会の元委員の一人から私はお聞きしたわけですけれども、こんなことを言っていました。四十三号線判決のことが頭にあった、基準値は幾ら高くとも六十五デシベルが限度という暗黙の了解があった、ところが、これじゃ道路がつくれないと批判された、そういう証言をしておりました。  私は、結局これは道路建設をスムーズに進めるため特例を設けたんだ、そう言わざるを得ないと思います。いかがですか。
  98. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) これを決めるに当たって一つの大きな論点になっていることは、睡眠にかかわる影響、それから会話にかかわる影響ということを基本にまず考えて審議会は議論をしていくというふうに思っております。そして、会話に関して文献等を調査した結果で、会話ができる音というのはどのくらいの音かという考え方で考えておりまして、通常居室内で一メートルの距離で、通常の会話として一〇〇%の文章了解というのは四十五デシベル……
  99. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そんなこと聞いていませんよ。
  100. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) いや、そういうことをもとにして、そして防音装置の効果との関係を含めて具体的に七十デシベルというのが決まっているというふうに理解しています。つまり、二つの考え方があって、会話と睡眠とのかかわりの中で、そして防音技術の効果ということをあわせ考えて今回の七十デシベルが決まっているというふうに理解しております。
  101. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 会話ができるか睡眠ができるか、最低限のことですよ。しかも屋内でその基準で考えている、これは本当にひどい話だと思いますよ。  私は、具体的に話した方が非常に早いと思うんですけれども、名古屋市の環境保全局が市内の幹線二号線沿線二カ所で、現行の騒音評価法とそれから今度新たに導入する手法と二つで測定したリストが手元にあります。これは九八年四月のもので、これが時間帯です。そして、これが四月にはかった一カ月間のデータです。(資料を示す)  この赤い丸が現行の基準値をオーバーするもの。下が新しい基準値を適用したときにどうなるかというもの。全部きれいになって基準値以下になるわけです、新しい基準を導入すると。これが一つの例です。  もう一つの同じ沿線道路ではかった結果、これは九七年六月二十五日から一週間はかったものです。全部基準オーバー。それが新しい基準値に直すと、夜の時間帯にわずか六カ所で基準オーバーというふうになる、そういう状況なんです。  こういうことが各地で起こっている。こういうことを考えたときに、なぜ特例を設けたか、その理由というのが私は非常にはっきりすると思うんです。やっぱり厳しい基準だと道路がつくれない、六十五デシベルは実情に合わない、幾ら頑張っても基準がクリアできないから、ならば基準を緩くしてしまおう、そういう発想だと私は思います。もうそう言われても仕方がないんじゃないか、私ははっきりそう思います。  それで、お聞きしたいんだけれども、環境庁としては新基準値の導入に当たって多少なりとも全国的な調査をされているんですか。
  102. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 環境庁として考えているときに、この等価騒音レベルというのと中央値ということにかかわって具体的な相関関係がどうあるかということを見て研究はしてございます。そして、その中での考えですが、L五〇と等価騒音の間では、等価騒音はすべての音を評価するという形になります。L五〇というのは……
  103. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それはわかっています。調査したかどうかを聞きたいんです。
  104. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) そういうことで、全体的にすべてを調査したことはございませんが、その相関関係がどうあるかという形で見ております。
  105. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 具体的に全国の何カ所かで調査しているんですか。それを聞いているんです。
  106. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 具体的に実態的にとらえていることはございません。要するに、考え方として……
  107. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 わかりました。調査していない。これは重大です。たまたまこういう形で二つの測定方法ができる器械を持っているところは、こういう調査をしてこういう結果になっているわけでしょう。全然調査していないんですか、環境庁は。それでなぜ告示が生活環境を保全する適切な措置だと言えるんですか。おかしいじゃないですか。  大臣、どうなんですか。全然調査していないで、告示がなぜ生活環境の保全ということを自信を持って言えるんですか。  時間がないんだから、あなたはいいです。大臣答えてください。
  108. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 詳細なことは聞いておりませんので、事務局でもって答弁させます。
  109. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 委員長、いいです。  重大ですよ。大臣、告示で新しい方針を出していく、やっぱりこういう問題があるわけだから。そこで、いいですよ、百カ所でも二百カ所でも、五千カ所は必要ないけれども、実際に全国で調査する。そのことをやらないで何で自信を持って生活環境の適正な保全ということを言えるんですか。こんなおかしな話ないじゃありませんか。  今からでもいい、やっぱりきちっと調査する。そして、これは四月一日から施行するということになっているけれども、こういう実態が明らかになった以上私はやっぱりこれは延期すべきだと思います。  大臣、いかがですか。自信を持って言えないでしょう。
  110. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先ほど申しましたように、全部の問題についての掌握はできておりませんけれども、先ほど申されておりますように、騒音問題について環境庁として十分な対応をしていく体制をつくらにゃいかぬと。  私も、就任しましてから、騒音箇所、川崎であるとか大和町であるとかいろんな箇所を視察させていただきました。そして、その騒音防止の対策はどうあるべきかというようなことを意見具申したわけでありますけれども、非常に多岐にわたっておりまして、これでもって処理できるという対策はないわけなんです。  例えば、道路関係予算で騒音地区の防止のためにこれだけの予算を要求しましたといっても、その予算の費目は環境庁にあって、実際の実施は他の省庁にあるということで、そんなことでは環境庁の主体を失うような形になるじゃないかと、そういう予算関係があるんだったら、その予算はこっちの方にもらって環境庁としての対策を講じていくようにしなさいというような指示もしたわけであります。  これは四月から実施されるわけでありまして、その点について先生の今の意見は非常に貴重だと思っておりますので、参考にさせていただきます。
  111. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり環境庁全体も、それから大臣もこの措置については自信がないということのあらわれなんです。そういうもとでこれを四月一日から施行するというのはやっぱり非常に大きな問題だと、このことをはっきりと指摘しておきたいと思います。  改定では確かに厳しくなる箇所もあるんです、私、調査しましたけれども、そう思います。ただ、道路については大幅な緩和になるんです。加えて今回は、幹線交通を担う道路という内容の拡大があるんです。  環境庁の資料とか審議会の議事録、そして関係者の声を聞きますと、これを総合すると、当初は、特に緩やかな基準を採用する幹線道路は、東京では首都高、環状七号線、山手通り、そういうところが想定されていたわけです。それが告示では、幹線道路は高速自動車道路、一般国道、それに加えてすべての都道府県道、さらに四車線以上の市町村道まで含むとなっているわけです。市町村道ですよ。これは住民が生活しているすべてのほとんどの道路に入り込む、対象になる、そういうことを意味するわけです。そうすると、これは騒音をまき散らす、そういうことになってしまうわけです。これはやっぱり非常に重大だと思います。大臣、そうでしょう、そう思われませんか。
  112. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) この問題のところで、幹線道路というもののとらえ方でございますが、具体的には、先ほど大臣が申したとおり、各道路において大変騒音問題が出てきて、その達成率というのは問題だという形の中で考えていって、市町村道でも四車線という形であったときに、その道路が重要に使われているということで、各都道府県が指定地域とされた場合に、当然そこのところを保護するために物を考えていくというふうになると思っております。そういう意味で、四車線道路というのを重要視して入れてございます。
  113. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 市町村道というのは細かいところにまであるわけです。四車線というのも東京でいえばかなりのところにあります。ですから、それが隅々まで入ってしまう、七十デシベルがです。これはやっぱり非常に重大だと思います。  それから二番目に、先ほど局長も言われたけれども、屋内基準という、そういう仕組みが新たに導入されるわけです。私は、これは驚くべきことだと思うんです。騒音というのは屋外ではかる、これが当たり前です。それを屋内に持ってきて、しかも、さっき言ったように睡眠とか会話できるとか、これはどえらい話になりますよ。  私は、こういうことを考えていくと、それをやるならやるでいいんだけれども、屋内の防音性能のレベル、それをどのように確保するか、これが重要だと思うんです。屋内基準実施に当たって建物の構造の防音性能の基準、これはできていますか。
  114. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 審議会の中で議論されましたときに出されている資料がございます。そして、そのときの窓開きの状態、それから密閉状況という中で今までの事実についての統計が出ております。そして、それについて吟味をされた上できちっと対応ができるというふうに議論されていると思っております。
  115. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私はここにあなた方がつくったマニュアルを持っているんです、最近出たものだけれども。建物の基準について、構造基準については現在検討中と書かれているんですよ。ないでしょう、ありますか、基準。あるかないか答えてください。
  116. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 持っておりません。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ないわけですね。ですから、これもむちゃな話なんですよ。そういう基準もつくらずに実施しようというわけでしょう、四月一日から。本当におかしな話だと思います。  しかも、もう一つ私は言いたいんだけれども、例えば測定の器械、これはやはりLeqをはかるという新しい方式の器械、これを一体どれだけの自治体が持っているのか。これも実施に当たって非常に重大な問題になると思いますけれども、一体何台、そしてどのぐらいの自治体で持っていますか。
  118. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 測定するのは市町村が測定するというふうになっておりまして、全部の市町村が持っているというふうには理解しておりません。ただ、基本的に県の方が持っておりまして、それから騒音の指定地域を持っているところ、そういう形になりましたときに具体的にその騒音の器械は持っておるというふうに理解しております。ただ、静穏な町の場合にそれまで持っているというふうには理解しておりません。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに何台持っているか把握していないんでしょう。把握していますか。
  120. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 都道府県では持っております。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 すべての。
  122. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 都道府県で持っているというふうに理解しております。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 持っていないんですよ、すべての都道府県は。東京でもわずか、ほかの大きな道府県でもわずか。やはり実態をつかんでいないでしょう、それは。ですから、私は、やっぱりこういう状態、これで四月一日から告示を実行、履行、本当に条件が何もそろっていない、その上でやるということは大問題だと思うんです。  もう一つ、私つくづく思うのは、特に静寂を求められる地域、AA地域と言いますけれども、特に重症心身障害者施設とか療養施設とか社会福祉施設とか、そういうものがあるところ、これはやはりそういうことで基準が求められているんですね。全国で今十四あると環境庁からお伺いいたしました。  私はこれ非常に少ないと思うんです。しかもそういうところで今何が起こっているのか。日本科学者会議は非常にこのことを心配してAA地域をふやすべきだと、そして各都道府県に対して調査をして、集合施設七十二カ所、該当する地域が必要な九十二カ所、十四よりはるかに多い箇所で全部調査して、そして、やはりこういうところで環境ストレスによって障害児がひどい目に遭う、そういうことを非常に心配されるということを述べているわけです。  私は、こういう問題こそ環境庁環境庁長官が先頭になって守る必要があると思う。しかし実際、例えば一つの例を挙げますけれども、滋賀県の草津市の重症心身障害児の施設、びわこ学園に隣接して第二東名のジャンクション、草津インターの建設計画がある。これに対して県はAAの指定をしないわけです。AAの指定をすると道路ができなくなるからAに指定するわけです。それで道路をつくれるようにする。  私はこういう問題は絶対放置できないと思うんです。やっぱり道路が主役、車が主役、そして人間がひどい目に遭う、そういう形のものであってはいけないと思います。それを守るのが、人間を守るのが、環境を守るのがやはり環境行政の役目だと思うんです。  最後に、私は環境庁長官にお伺いしたいと思いますけれども、こういう話を聞いて心が痛まれないかどうか、そしてやはり先ほどから言っているように不備がたくさんあるわけです。実際調査していない、器械も幾つあるか把握していない、それからまた、屋内基準をつくっても、そのための基準値、建物の構造の基準、これもできていない。ないことだらけなんです。ですから、やはり四月一日の履行、これは少なくとも延期すべきだ。早過ぎる、条件がない、私はそう思うんです。  大臣、答弁願います。
  124. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 環境行政の中で都道府県や地方の権限移譲というものについて十分熟知していないわけでありますけれども、今お話をしておりました問題につきましても、環境基本法の第十六条第二項に基づいて都道府県知事に委任をいたしておるわけであります。  しかしながら、その委任した事項だけで事の処理ができないというところに私は問題点があると思っておるわけであります。ですから、そこは意思疎通を十分に図りながら、都道府県と、そしてまた環境庁との窓口をしっかりつくってこれらの対策を講じていきたい、こう思っておるわけであります。  四月一日実施につきましては、もはやもうその準備もできておるところでございまして、それに向かって努力していかなきゃならないと思いますけれども、ただいま先生から指摘された点は重々考慮しながら今後事を進めていきたいと思っておるところであります。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  126. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、白神山地のイヌワシの問題について伺いたいと思います。  白神山地の世界遺産地域で戦闘機の低空飛行訓練が頻繁に行われイヌワシの繁殖への影響が大きな問題になっています。イヌワシは絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の絶滅危惧種ⅠB類であり、天然記念物にも指定されています。  まず、全国的なイヌワシの生息状況及び繁殖状況について教えてほしいと思います。
  127. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) イヌワシの生息状況でございますけれども、全国でつがいの数で百六十程度という報告がございまして、生息数は四百羽程度と推計をされております。  繁殖状況につきましては、一九八一年には繁殖の成功率が五五・三%でございましたが、一九九五年には二二・二%に低下しているという報告がございます。
  128. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変繁殖率が低下をしているわけですけれども、白神山地の世界遺産地域及びその周辺での生息状況あるいは繁殖率についてつかんでおられますか。
  129. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 平成九年に青森県が実施した調査によりますと、白神山地と岩木山一帯でございますが、三ないし五つがいのイヌワシが生息している。ただ、秋田県側につきましては、詳細調査が実施されておりませんので把握できておりませんが、地元関係者からは数つがいが生息している模様という報告を受けております。  繁殖状況につきましては現在のところ確認できる情報はございません。
  130. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私、秋田県のイヌワシの専門家の方とちょっと電話でお話をさせていただいたんですが、繁殖率はかつては九〇%ぐらいあったけれども、今はもう五〇%に下がっている、五〇%程度というふうに言っていますが、下がっているというふうに言っています。全体として繁殖率を向上させる、そういう手だてをとる必要があると思いますけれども、いかがですか。
  131. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) イヌワシの保護増殖事業計画をつくっておりまして、これに基づきまして巣の補修事業など保護増殖に役立つような事業に取り組んでいるところでございます。
  132. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境庁、林野庁そして秋田、青森両県で構成している白神山地世界遺産地域連絡会議、ここで白神山地での低空飛行実態の聞き取り調査を行ったということですけれども、どんな状況になっているんでしょうか。
  133. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今お話しの白神山地世界遺産地域連絡会議におきまして、巡視員など大勢の方に飛行機の飛行に関する聞き取り調査を実施いたしましたところ、約半数を超える方が、低空飛行の定義は必ずしも不確定でございますけれども、飛行機の飛来を目撃したことがあるという回答がございます。なお、飛行機の所属、飛行時期、飛行方向、飛行高度等につきましては必ずしも特定できる情報ではございません。
  134. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この報告書によりますと、半分以上の三十六人が目撃を報告しておりますし、高度が不明という四人のほかは三十二人全員が低高度と報告をしている。そして、七回以上目撃した人が九人と一番多くて、大体二、三機の編隊飛行であるというふうに言っています。  私も現地の巡視員とかイヌワシの研究家に聞いてみたんですけれども、雷のような物すごい音がする、イヌワシの飛行高度よりも飛行機の方が下を飛んでいる、そういう証言があります。  環境庁がまとめた「猛禽類保護の進め方」には、「人間活動を避ける傾向が強く、営巣期に人為の影響の少ないところが選ばれる。特に造巣~抱卵~育雛初期の頃は、人に対して過敏になるため、人為の影響が繁殖失敗の原因となりやすい。」と書かれています。  この地域の低空飛行がイヌワシの生息にどのような影響があるとお考えでしょうか。
  135. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) おっしゃるとおり、騒音、振動、特に飛行機によります場合のイヌワシの繁殖への影響が指摘をされておりますけれども、この地域におきまして繁殖が失敗したかどうかといったような事実を確認できるような情報は得ておりません。
  136. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実は直接私どもが調べたんですけれども、いわゆる連絡会議の巡視員からの聞き取りの概要にはないんですが、峰浜村という世界遺産の地域の周辺の村ですけれども、この峰浜村で昨年に一つがいが繁殖に失敗をした、低空飛行の影響が考えられるという報告もあったと聞いていますけれども、確認していないというのであれば後でよく調べておいていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  137. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 調べたいと思います。
  138. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 森林総合研究所東北支所保護部長が九三年七月に「ヘリコプターによるノウサギ密度調査がイヌワシに及ぼす影響の予測」ということで予測をしているわけですが、ヘリコプターの飛行でイヌワシが営巣を失敗した、そういう事例が報告をされていますけれども、どういう例があるのでしょうか。
  139. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) その調査の中で、繁殖期に巣の周辺で工事用のヘリコプターが頻繁に飛来したところ営巣が放棄されたという事例が報告をされております。
  140. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この中には営巣に失敗した例も成功した例もあるんですけれども、しかし失敗した例などをよく見ると繁殖期の飛行は特に問題だというふうに読み取れるわけです。  また、報告では、「イヌワシのように警戒性、なわばり性が強い種類では、一時的な飛行であっても忌避行動、あるいは攻撃行動が生ずる場合がある」として、「ヘリの飛行は巣から一・五から二キロメートル離したコースで行う。特に巣のある谷内や山稜上空は飛行せず、巣から正面に位置する場所も飛ばないようにコースを設定する。」必要があるとしているわけです。その地域調査する必要があるヘリコプターでさえそういう注意が必要だということでありますから、今、白神山地で起こっているのは物すごい爆音を出す低空飛行訓練ということですから、これはもう到底許されないということになるわけです。  環境庁のマニュアルには航空機の影響については言及をしていないのですけけれども、調査研究をして保護に必要な措置をとる、そういう対応が必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
  141. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 現在、平成九年度からイヌワシの全国分布と生態調査を実施しておりまして、この中で航空機の飛行がイヌワシの繁殖に与える影響についてこの生態調査の中で事例が得られれば把握に努めてまいりたいと考えております。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 白神山地世界遺産地域連絡会議は八日に三沢防衛施設事務所長に申し入れをしていますけれども、どういう内容でしょうか。
  143. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 連絡会議におきます聞き取り調査結果の概要とイヌワシの一般的な生態等についての資料、これを防衛庁仙台防衛施設局三沢防衛施設事務所に提供し、特段の配慮を要請したところでございます。
  144. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これは自衛隊に対して申し入れたんでしょうか、それとも米軍に対して申し入れをしたんでしょうか。
  145. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 飛行機の所属が明らかでないために、仙台防衛施設局三沢防衛施設事務所を通じて自衛隊と米軍の双方に要請をしているものと理解しております。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 二日の予算委員会で高村外務大臣は、米軍機の可能性が強い、事実関係につき今照会していると述べているわけですけれども、ここに現地の方が撮影をしました低空飛行の写真がございます。見えますでしょうか。(写真を示す)  ここにあるのがそうです。この写真はどうも自衛隊機のようではないかというふうに専門家の方は言っておられるわけですけれども、いずれにしても、高村外務大臣は米軍機の可能性が強い、今調査をしている、照会しているというふうに述べているわけですが、回答は来ているのでしょうか。
  147. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) まだ届いていないという報告を受けております。
  148. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 米軍に対しては外務省からしっかりやってほしいというふうに思いますけれども、環境庁として、この写真にあるように、防衛庁に対しても自衛隊機の低空飛行の有無について事実確認をする必要があるのじゃないかというふうに思うんです。こういう現に写真があるわけですから、事実確認の作業をしていただきたいというように思いますが、いかがでしょうか。
  149. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先ほどの連絡会議におきましても防衛施設庁に要請をしたところでございますが、現時点では飛行機の所属を確定するだけの情報になっておりません。  また、防衛庁におきましては、白神山地上空付近を訓練空域として設定していないということを言っておるというように聞いております。
  150. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先ほどの防衛施設庁に対する申し入れを見ますと、「特段のご配慮をいただけるようお願い申し上げます。」ということで、絶滅の危機に瀕しているイヌワシの立場に立った文書とは到底言いがたいわけであります。そういう点ではきちんと低空飛行はやめなさいという申し入れを行うべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  151. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) まさしく先生のおっしゃるとおりでございまして、戦闘機の低空飛行問題につきまして米軍のものであるか自衛隊のものであるか、その確認を急がなきゃならない、こう思っております。  ただ、環境庁の出先の事務所も世界遺産地域連絡会議のメンバーでございますので、その協力を得ながらしっかりと申し入れをしていくつもりでございます。
  152. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 アメリカの空軍は、空軍低空飛行作戦のための包括的環境影響報告、GEISというのをまとめております。  九三年八月十七日付の文書であるわけですけれども、   連邦危険種法によって保護されている絶滅種や危険種は、その個体数が限られているため、そして、しばしば騒音にたいして敏感に反応するため、特別に懸念されている。   低空飛行は、野生動物に、騒音地域を避けさせ、あるいは繁殖を減退させかねない。そのいずれもが野生動物の個体数を減少させることになろう。感受性の強い野生動物は、騒音が比較的ひどい場合に、あるいは、野生動物がとくに騒音に敏感である時期に、低空を飛行する航空機によって有害な影響を受けるであろう。特別に影響を受ける種には、絶滅種と危険種、猛禽類、渡り鳥、狩猟の対象になる種が含まれよう。 と述べています。  米空軍自身がこういう評価をして、アメリカの国内ではハクトウワシなどの生息に影響を与えないように注意をしています。  ところが、日本では、絶滅危惧種で天然記念物であるイヌワシが生息する地域で平然と低空飛行を行っているというようなことがあれば、これは大問題だというふうに思いますが、どう御認識されますでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  153. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 低空飛行による騒音が営巣に大きな影響を与えるということは当然理解できるわけであります。そういう問題につきまして、低空飛行の許可されていない場所でそういうことが行われるならば、これは厳重な申し入れをして今後そのようなことのないように努めていただきたい、こう思っておるところであります。
  154. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実は、一九七九年のアメリカの大統領命令一二一一四号ですけれども、これでは、アメリカ国外の政府活動に関する決定をする場合には環境に対する影響を考慮すべきことを義務づけているんです。ここに言う「政府の主要な活動」の中には、「国際条約により指定された世界的に重要な生態資源に影響を及ぼすもの」も掲げられているわけです。  白神山地はまさに世界遺産として国際的に認められた地域でありますし、日本はそれを保存する国際的な責務があるわけです。アメリカに対して、きちんと調査して低空飛行中止を申し入れする、そして中止をさせるという毅然とした態度をとっていただきたいというふうに思います。  再度、しつこいようですが、大臣、その辺を踏まえてやっていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
  155. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) アメリカに対しましても、自衛隊に対しましても、環境上やらなければならないことはきちっと遵守していただきたい、こう思っておるわけであります。イエス、ノーというのははっきりしていかなきゃならないと思っておるわけでありまして、この点につきましては環境庁としても毅然とした態度で臨んでいきたいと思っております。
  156. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  157. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 連日御苦労さまでございます。しばらくよろしくお願いをいたします。  真鍋環境庁長官は、埼玉県の所沢市、三芳町それから寄居町でしょうか、産業廃棄物施設の視察に行ったというふうに報道をされておりますけれども、行かれて実情をごらんになって、今率直な御感想、そして早急にやらねばならないというようなことがあるのかどうか、そのお考えを聞かせてください。
  158. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 三芳地区を初めといたしまして、くぬぎ山周辺の視察をさせていただきました。初めての視察であったわけでありまして、どういうところに焼却施設があるのか興味を持って見せていただいたわけでありますけれども、くぬぎ山地域には余りにも多くの焼却場が設置されておることに驚いたわけであります。この施設からダイオキシンが排出されるならば、これは分散した形で設置を考え直していかなきゃならないのじゃないだろうかということを率直に感じました。  そしてまた、周辺に広がる広大な土地に立派な地元産のホウレンソウや野菜、お茶が栽培されておるわけであります。その栽培との因果関係を十分に考慮してやっていかなければならないなということが率直に感じたことであります。  それから、くぬぎ山周辺に対しましては、道路アクセス、道路整備が十分できていないという感じもいたしまして、産業廃棄物その他を搬入するならばもっとその辺の整備も急いでいただかなきゃならないのじゃないだろうか、こういう感じもいたしました。  それから、寄居の最終処分場に参りましたら、これはすばらしい整備ができております。この地域は県が事業者になりまして実施しておる最終処分場でありまして、まさにこれが処分地の模型であるのじゃないだろうかという感じを持ったわけであります。環境事業団からも百二十億余りの金が融資されておると聞いておるわけでありますが、やはり主体が県になりますと事業団に対しましても安心感があるのじゃないだろうかと思ったわけであります。この体制は埼玉県一カ所にしか施行されていないようなことも伺ったわけでありまして、こういうような状態を続けて、嫌がる問題や、そしてまた一般廃棄物、産業廃棄物ともどもに処理していく方策を今後考えていかなければならないのじゃないだろうかと感じました。
  159. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのとおりだと思います。私たち、この委員会環境特別委員会という形で持たれていたころなんですけれども、もう九年ほど前になりますが、ダイオキシンの汚染の問題がそろそろ言い始められたときに、当委員会でもいろいろな議員の皆さんがかわりばんこに立ちながら、焼却炉のあり方あるいは廃掃法のあり方、リサイクル法のあり方等々さまざまな分野から抑制をしていかなければならないということを言い続けてまいりました。ところが、行政側はいつも聞きっぱなし、本当に対策をしてこなかった。それが今現実としてこういう状況にまでならなければ行政が本気になってやらないんだというところに日本政治のお粗末さというのが存在をしていると思うんです。  私は、真鍋さんは環境庁長官になられてまだ日が浅いのにその責任を全部かぶれということは言えないと思いますけれども、官庁自体、政治のあり方そのものが、日本政治そのものがこういう状況にあるんだということをしっかり認識していただきまして、閣僚の中でもここはしっかりと発言をしていっていただいて、今おっしゃったような対策を、打たなければならない手があるならば、もう率直に厚生省なり通産省なりどこでも構わない、言っていくという姿勢を環境庁が持っていただかなければならないと思っています。  環境庁のあり方論を橋本総理と議論したときに、橋本総理も、今までの調整型の環境庁からきちんと環境に対しては指導力を持って各省庁をリードできるような省庁に変えていかなければならない、そのために環境省に格上げをしてでもやらせたいということを橋本さんはおっしゃったわけですね。  ところが、そのときからするとまた少し後退をしてきているかなというふうに思うんですよ。それはどういうところから思うかというと、環境に汚染を与える物質の排出とか登録制度、いわゆるPRTRという法制度をつくるという過程の中でもなかなか環境庁主導にはならないというのが新聞報道にも出たり、あるいはジャーナリストを通じて本にもなったりしている状況がありますけれども、当然主管官庁は環境庁だと思っておりましたのにこれが通産省との共管になってきたというここらのいきさつを、大臣、これはちょっと通告してありませんけれども、どういう経過があったのかお聞かせを願いたいと思います。
  160. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 私は、環境庁が後追い行政になった理由というのは、やはり環境庁が誕生してからまだ年月が浅い、二十八年の年月の中でまず取り組んだ仕事が水俣病であるとかワクチン禍であるとかいうような行政の後追いの中に埋没したと申しましょうか、仕事に追っかけられたんじゃないだろうか、そういうところに後追い行政の感を否めなかったんじゃないだろうかと、こう思っておるわけであります。  しかしながら、今日世界的な環境見直しが求められておるわけでありますから、何としても環境庁がしっかりしてやっていかなきゃならないということで、環境庁主導の仕事が多くなってまいりました。私も長官就任してから一つ一つの問題に果敢に取り組んでいこうということでその取り組みに当たっておるわけでありますけれども、しかしながらまだ日が浅いものですから全部解決するわけにはいきません。  例えばダイオキシンの問題につきましても、厚生省や農水省と一緒に力を合わせてやらなきゃいかぬけれども、その主導は環境庁でやりましょうということでいち早く提言もし取り組みもさせていただいたのが環境庁であるわけであります。そしてまた、この三省庁だけで問題を処理するわけにはいかない重要な問題ならば、これは閣議または関係連絡会議を開催すべしであるということで、ダイオキシン対策関係閣僚会議というものを開いていただきまして、それ以上の権限がない体制をつくって、この大きな問題解決に当たっていこうという姿勢をとっておるところであります。    〔委員長退席、理事太田豊秋君着席〕  それから、先生指摘のこの化学物質の問題であります。  ようやくにして化学物質の取り組みができる、先進国入りをさせていただこうという体制に入ってまいったわけであります。これもおくれた分野でありますけれども、しかしながら、何としても取り組んで、化学物質から排出される諸問題について、各省庁にまたがる問題もございますけれども、真剣に取り組んでいかなきゃならない。それがためにということで、通産省の方にもお願いをいたしまして、化学物質問題についての知識豊富な経験を生かしながら環境行政の中で一緒になってやっていこうというのが今回のPRTRの法案でございます。  しかしながら、厚生省も農水省も建設省も各省にまたがっておりますので、各省庁の連絡をいただきながらこの法案の処理に当たりたいと思っておるわけでありまして、決して私は逃げ腰の環境庁ではない、積極的に取り組んでおる環境庁、二〇〇一年には環境省になるんだという気概をひとつ見ていただきたいと思っておるところであります。
  161. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 真鍋さんの御活躍を期待しております。  それで、この関連事業者の届け出を受けるのがおっしゃったように通産省、厚生省、農水省などで、その情報を環境庁が取りまとめをして公表するということになっていますけれども、事業者とか自治体、国民からの問い合わせの窓口が大変不明確で、正しく迅速に対応されない可能性が強いのではないかと指摘されますけれども、これについてはいかがですか。
  162. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  現在検討中の法案におきましては、事業者の排出量等の届け出を全国統一的なルールで行いまして、集計の迅速な実施を確保し、無理なく継続的に実施することができるようにするために国を届け出先とすることといたしております。  この各省庁の届けられた排出量等のデータは、環境庁及び通商産業省において取りまとめて集計、公表する仕組みとすることを考えておりまして、事業者や国民におかれてこの制度一般についての疑問があれば、両省庁が制度全体の運用をする立場から問い合わせ窓口となると考えております。
  163. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 聞かれたことに的確にぱっと答えて、時間がないですので。済みません。  それでは、環境庁は神奈川県、愛知県でパイロット事業を実施しましたね。これで自治体を窓口にして情報収集する方向をきちっと明確に出して成功してきたじゃありませんか。なぜこれを継続しないんですか。
  164. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  パイロット事業では確かに神奈川県、愛知県に御協力もいただいてまいりました。しかしながら、その後いろいろ検討いたしましたが、既に先ほどちょっと触れてしまいましたが、全国統一的な処理を迅速に行う、それから届け出者の便宜を図る等々の理由で国の方に届け出てもらうことにいたしました。
  165. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 地方自治体で管轄をするより、パイロット事業で実施をしたよりも国が統括する方がいいと思っていますか。
  166. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地方にまた御協力していただくことは別途考えておりますので、その届け出のことについてであれば、今私どもが考えていることで何ら問題はないと思っております。
  167. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 情報の公開の仕方等が各省庁によって違ってくるというような懸念にはどうこたえますか、それでは。
  168. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) これにつきましても、集計、公表をするのは環境庁と通商産業省で行いますので、究極的には環境庁あるいは通商産業省できちっとおこたえできますから、ばらばらになることはないと思います。
  169. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 営業秘密の判断を所管省庁がするということで、関係業界や団体あるいは大企業等への命令、指揮、ここらが非常に所管の省庁に偏って、権限強化法になるおそれがないかという懸念がありますけれども。
  170. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、二点申し上げます。  一つは、企業秘密の判断というのは事業を所管している官庁が最も的確に判断できるということが一つ、さはさりながら、企業秘密として守るべきものというものは非常に限定されたものになるべく各省庁できちっとそこは連携しながら厳正に対応していくつもりであります。
  171. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 どうもよくわかりませんけれども、パイロット事業で自治体職員が説明会を数回行い、そして問い合わせなどの相談に熱心に応対をしても、中小事業者や非製造業では知識がない、面倒であるなど、報告されない場合や誤った報告がされた場合が約半数もあったと報告されています。  この事実から、いわゆるきめ細かな指導ができない国がデータを集めても、大企業中心になり、排出量の多い中小事業者等からの値が不鮮明になり、制度そのものの意義が問われるんじゃないかということが言われていますけれども、この指摘はどうですか。
  172. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) その点につきましては、事業所管大臣を窓口とすることによってまた逆の徹底の仕方もあろうかと考えております。
  173. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 対応ができない、いわゆる細かにパイロット事業で皆様が実施をしたときに、現に地方自治体の人たちが懇切丁寧にやっても、中小企業、いわゆる十人以下の小規模な企業が調査に対応できないのが半数以上あったということなんですよ。そういうことに対応できるのかというんです、国が統括してやることに対して。自治体の関与は要らないのかということなんですよ。
  174. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 通産省でございます。  現在、仮にこの制度を実現させていただきました後、環境庁とどのように運用するかについてもいろいろ御相談させていただいておりますけれども、実際に実施に移るまでには猶予期間もございますので、この間、環境庁と私ども通産省一体となりまして、例えば排出量の推計方法に関するマニュアル、あるいは届けの統一様式を作成するなどいたしまして、もちろん地方公共団体にもぜひともお手伝いをいただきたいと思っておりますし、私ども関係の中小企業事業団ですとか、あるいは商工会議所等の民間の機関の協力を得て、中小企業を含む対象事業者の皆さんにできるだけきめ細かなお手伝いをさせていただく予定にしております。
  175. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 通産省が言って、自治体中心じゃなくしちゃったんじゃないんですか。そういうふうに報道されていますけれども。  横浜国立大学工学部教授の浦野紘平先生は、「自治体が指導、助言などを通じて関与すれば、情報の収集力も上がり、地域のリスク管理もできる。市民の環境意識も間違いなく上がる」と、自治体主導にならないと実際には情報が集まらない状況になりかねないということを強調しておられるんです。  こういうことで、自治体の関与というのは非常に重要なんですけれども、通産省が指導の中で国家体制にしてきたというのは私はまことに遺憾だというふうに思うんですよ。地方自治体の責任と権限が不明確で、報告が生かされない可能性があると指摘されることにはどうこたえますか、それでは。通産省でもいいです。
  176. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 確かに、御指摘のように、私どもが相談してまいりました制度の設計といたしましては、先ほど岡田局長が御答弁のように、国に届け出をしていただくということでございますけれども、そのこととこの制度全般の運用に当たりまして地方公共団体の皆様方のお力を拝借するかどうかというのは別だというふうに思っておりまして、むしろ地方公共団体の方々のお力を十分拝借するという考えで臨む所存でございます。
  177. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境汚染物質の管理計画などはどうなさるの。
  178. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 今御指摘の点が、私どもが化学物質の管理指針というふうに申し上げている点でございましょうか。もしそういう考え方でございましたら、これは作成は環境庁と私どもが中心になって、関係行政機関の長とも相談しながらまとめ、それを国の機関、そして地方公共団体にもお手伝いをいただきながら事業者の皆様方に徹底する、そういう考え方でございます。
  179. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、知る権利について、PRTRを導入している米国では集まった情報のほとんどを電子媒体で入手できるようになっていますけれども、日本ではどういうことになるのでしょうか。
  180. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  現在検討中の仕組みにおきましては、個別の事業者から届け出られました排出量等のデータにつきましては、営業秘密等を除いてすべて開示請求の対象とすることを考えておりまして、その際、電子情報による提供を可能にすることなどによりまして、請求者の利便を阻害しないように検討してまいりたいと思っております。
  181. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その際の手数料はどうなりますか。
  182. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 手数料につきましては、できるだけ低廉なものにすべく、そうすることによりまして請求者の利便を阻害しないようにしたいと思っております。
  183. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 具体的にはお幾らぐらいというように考えていらっしゃるんでしょうか。
  184. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ただいままだ具体的に数字を固めるには至っておりませんが、実費の範囲内でかつできるだけ低廉にと考えております。
  185. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 企業秘密を守らなければならないわけですけれども、企業秘密を盾に知りたい情報が出てこないという弊害も出てくるわけですが、企業秘密の定義を厳格に定めるために、環境庁長官のもとに非開示審査諮問委員会をつくり第三者にもわかる形で企業秘密の定義というのを審査すべきではないかというふうな御意見もありますけれども、こういう考え方に対してはどう考えますでしょうか。
  186. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 別途、企業秘密については基準は考えますが、そういうような形の運用は考えておりません。  具体的な企業秘密の判断基準につきましては、別途河野局長の方から答えさせてもらいます。
  187. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この法律をあなた、ちゃんと見守る、監督するのは環境庁でしょう。環境庁がその定義をきちっとして、各省庁に、企業秘密として認めて出さないものはここまでですよ、しかしあとは出しなさいというようなことぐらいはできないんですか。それを第三者機関で審議したらどうですかという提案なんです。検討ぐらいしたらどうですか。
  188. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 今私どもが考えておりますのは、我が国の法制におきます先例としてある不正競争防止法における営業秘密の要件を参考にして、秘密として管理すること、それから生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であること、公然と知られていないことの要件に照らして厳格かつ限定的に行う必要があると考えております。  そうした方針に従いまして、対象は当然決めてまいる、こういうことでございます。
  189. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 化学物質安全データシート以外の情報提供についてどうなっていますか。情報収集。通産省でもいいですよ。
  190. 河野博文

    政府委員(河野博文君) 御指摘の点が、もし化学物質全般につきましての種々の毒性その他の情報をできるだけ国民の皆様に提供した方がよいという御指摘でありましたら、この法律の中でも国のある種の責任というようなものとして、データベースの整備のようなことをうたいたいというふうにも考えておりますので、私どもとしては環境庁協力をしながら化学物質が持ちますさまざまな特性についてできる限りの知見を高め、またデータを集め、それをデータベースとして国民の皆様方に提供できるように努力をしたいというふうに考えております。
  191. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 届け出義務の対象外のものがありますね。小企業とか自動車とか家庭から出るもの、農地から出るもの、こういうものの排出、移動量を信頼できる推計ができるようなもとのものというのはあるんですか。
  192. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 具体的な推計手法については、なおこれから詰めさせていただきますが、専門的な知識を有するそれぞれの関係省庁協力を得た上で、環境庁と通産省が、それぞれ小規模な事業所であるとか家庭であるとか自動車から排出されるもの等々についての推計を統計資料等を含む既存の情報に基づいて信頼に足るものとして算出を行うように考えております。
  193. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今ざっと問題点について指摘をしてきましたけれども、OECDの勧告に示された国際的に守るべきPRTRの基本的原則、いわゆる情報を公開して社会的なチェックにゆだねるというこの精神、ここがしっかりと守れるような法体系をつくっていかなければつくった意味がないと思いますし、環境庁がこれからしっかり監視をしていく重要な法律だと私は思いますので、そういう意味でこの法律案をしっかりとつくっていくという御決意を真鍋長官からいただきたいと思います。
  194. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 今数々の御指摘もいただきましたけれども、これは通産省その他の各省にまたがるいろいろな問題でございまして、ようやくにしてここまでよくまとまってきたなという感を持っておるわけであります。  しかしながら、完璧なものはないわけでありますから、これは先進諸国に負けない体制づくりを急いでやっていかなきゃならないと思っておるわけでありまして、そこに目標を掲げながら今回の法律に取り組んでおるところであります。  しっかりとやってまいりますから、ひとつ御期待いただきたいと思います。
  195. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。ありがとうございました。
  196. 奥村展三

    ○奥村展三君 今の同僚議員の質問とよく似ておりますので、簡単にお聞きをしたいと思います。  時あたかも、きのう審議会の中の廃棄物部会の報告がなされたわけでございます。環境というものは非常に国民の皆さんには理解は深いようですが、私ども当時の新党さきがけは環境主義というポスターをつくって選挙でやったんですけれども、なかなかこれは受けずに負けてしまいました。しかし、その後ずっといろんなところでお話をさせていただいたり、新聞やいろんな報道あるいは国民の意識を見ますと、非常に環境という、各政党の皆さん方もそうですが、それを中心に物事を進められてきた、本当に喜ばしいことだと私は思っております。  そうした中で、先日長官の大量生産、大量消費、大量廃棄を見直して新たな生活を進めていきたいというような心強い所信もあったわけであります。特に私どもは、今日まで公約で経済循環法をつくるべきだということをずっとここ五年間言い続けてきました。やはり総合的な法制化に向けて、特に今お話がありましたように、もう厚生省だあるいは通産省だ何々だと言わずに、環境庁は今後環境省になるわけでありますが、ぜひリーダーシップをとって、総合企画から立案から調査から、あらゆるものはもう環境省でやるんだという意気込みで取り組んでいただかなければならない。  しかし、二〇〇一年からそうなるから今の段階ではいやなかなかというのではなくて、ダイオキシンの問題だとかいろいろ今出ておりますが、ぜひそこの長官の姿勢といいますかお考えをお聞かせいただきたいというように思います。
  197. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 環境行政の中で考えていかなければならないのは、循環型社会の到来という位置づけをしていかなければならないと思っております。すべての廃棄物処理にいたしましても、まず循環ありきという形で想定した体制の中で運営をしていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  私は、環境庁に参りましてから感ずるわけでありますけれども、大変多岐にわたって仕事がふえてまいりました。この体制だけではなかなか環境行政万般にわたって事の処理に当たるのは難しいかなという感もいたしておるわけでありまして、それがために、やはり人材育成とともに少し数をふやしていただかなければならないんじゃないだろうかという感もいたしております。ごみ行政一つにとりましても、地球温暖化の問題にとりましても、林野の問題にとりましても、いろんな問題がふくそうしていっておるわけでありますから、そんな感じを持っておるわけであります。  いずれにいたしましても、環境問題がアメリカにおきましてもまたヨーロッパにおきましても行政問題の大きな問題として、まさに一、二を争う大きな政治課題として取り上げられておるわけでありまして、これからの環境行政というのはそういう面に向かって皆さんと一緒になって努力してまいらなきゃならない、また御指導、御叱正もいただかなきゃならない、こう思っておるところであります。
  198. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。長官は私の地元の琵琶湖にもお運びをいただいたわけであります。やはり水質、あるいはまた沖縄の方にもいろいろ自然等の視察にも行かれたようでありますが、時間の許す限り長官みずからが出向いていただいて実態を把握いただき、先ほど各先生方が御議論されていますそういう問題につきましても把握いただいて、本当に環境省として立ち上がっていく準備段階としてしっかりとしたものを今おつくりいただきたいということを私は希望したいと思います。  なお、この間からの例のダイオキシン問題でありますが、最近お茶はカテキンがあって抗がん、よく飲まれるといいんだというようなことで、私の滋賀県でも近江茶という、わずかですが全国順位からいけば生産量は十五番目ぐらいだと思うんです。  しかし、この間、先週日曜日に帰っていきましたら、実は私の家内の親元も茶畑をつくっているんです。それで、兄貴が電話をしてきまして、このごろまたお茶が売れぬのや、所沢のお茶なのに、ウーロン茶がいいと子供らがそう言って走り回っておる。だから、テレビ朝日のそういうような問題に非常に敏感になっておると。環境というのは大事だけれども、そういう報道一つのことでこれだけ大きな影響があるんだというふうなことを私はじかに聞いたものですから。  特に学校給食なんかも、私はただ厚生省の問題だけではなくて、近海魚や牛乳やいろんな問題が出てくるわけなんですけれども、これも学校給食だから文部省だ、あるいは厚生省のあれだと言わずに、ぜひ環境庁そのもので調査をなされたり、いろんな指針を持たれたりするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  199. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 日本茶のよさというのはお茶にタンニンが含まれておってすばらしい健康体をつくるんだ、こうも言われておるわけであります。この間、埼玉県の知事さんが参りまして、私の元気はこのお茶を毎日飲んでおることだというふうに声高々に差し上げた情勢を見まして、まさに日本人の心ここにありというような感を強く持ったわけであります。  お茶が多岐にわたって有効性を発揮しておるということで、いつぞやは飲み物としては一番重宝がられたわけでありますけれども、先般の報道によりましてそれほど商品にも大きな影響を与えておるのかな、こう思うわけであります。やはり報道関係の機敏性と申しましょうか、またその与える影響というものがいかに大きいかということを痛感いたしておるわけでありまして、何が正しいか正しくないかというところの報道だけはきちっとやっていっていただかないと、その弊害も大きいんじゃないだろうかと思っておるわけであります。  ダイオキシンに見られますように、これも大きな問題でありますし、また日本人が今まで十分気づかなかった点を周知してくれると思っておるわけでありまして、これらの問題につきましても、先進諸国の意見等々を聞き入れながら日本なりの対策を急いでいかなきゃならないと思っておるわけでありまして、現在、ダイオキシン対策関係閣僚会議という最高の権限を与えていただいて、そこで問題の解決に当たらさせていただきたい、こう思っておるわけであります。  環境庁は弱きものと言われたわけでありまするけれども、決して弱きものではなくて今から元気を出してやっていかなきゃならない省庁だ、こう思っておるわけでありまして、どうぞよろしくお願いいたす次第であります。
  200. 奥村展三

    ○奥村展三君 学校給食についてどうですか。
  201. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 学校給食の問題に当たりましては、私もお茶の取り入れをぜひしてほしいという気持ちを持っております。そして、学校給食の中でウーロン茶と日本茶のウエートがどちらがいいんだというぐらいの議論も学習の上でしていただいたらと思うわけであります。  ただ、飲むお茶だけでなくして、このごろ食べるお茶ということでいろんな手法が講じられておるようでございまして、そういう国民的な消費の多面性というものもお茶業者の中に取り入れていただいて、学校給食を初めとして多くの場で活用していただくことを念願しておる次第であります。
  202. 奥村展三

    ○奥村展三君 あとの質問も通告をいたしておきましたが、長官、大変お忙しいようですから、以上で質問を終わります。
  203. 市川一朗

    市川一朗君 環境庁長官、予算委員会でダブっているようでございますから、どうぞそちらの方へ、よろしゅうございますよ。  それでは、環境庁長官がおられますので、かえって長官がいないところで伸び伸び質問しようかと思っていたのですが、御質問させていただきます。  この間所沢へおいでになりまして、新聞にも報道されておりますし、先ほど午前中の質問でもその点に触れた御質問があったわけでございますが、産業廃棄物の処理施設等につきまして実際現地をごらんになりまして、長官としていろんな感慨を持って帰ってこられたようでございます。  私どもがいろいろと調べている限りでは、長官がごらんになりました地域を中心として、あの辺は産業廃棄物焼却施設が非常に集中している地域で、かなり前からいろいろ問題になったところではあるんですが、この一年ぐらいでしょうか、いろいろ規制がかなり厳しく言われるようになりまして、少しは改善の方向も見られるという情報もあるわけでございます。そういったようなことも含めまして、実際、現地をごらんになりましてどんな感じでございましたでしょうか。
  204. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) なぜ埼玉県所沢周辺に廃棄物が搬入されるのだろうかというようなことを目の当たりに見てきました。半分以上が埼玉県以外から搬入される焼却物であるわけでありまして、そのごみ処理に当たって、やはり各県それぞれの責任の上に処理がなされていかなければならないんじゃないだろうかと思っておるわけであります。決して、所沢のくぬぎ山周辺が廃棄場所として一番いいというわけではございませんけれども、非常に高速道路の近くでありまして、迅速な対応ができるという利便性もあるやに聞いておるわけであります。しかし、くぬぎ山周辺に行きますと道路整備が十分でございません。そして、その搬入路が非常にジグザグしておるものですから、入っていってもその車の姿が十分把握できないというようなこともありましていろんな廃棄物がある意味では搬入されやすい、また搬入路から見れば搬入しにくいということでありますけれども、そういう相まった事柄がその地域で見られました。  それから、やはり一般廃棄物にしても産業廃棄物にしても規制を厳しく加えていかなければ、野焼きにしてもまた簡単な焼却施設にしても、ああいう林の中で行われておるということでございますから、その辺の規制も加えていく必要はあるかなという感じも持ったわけであります。  このところ規制が厳しくなって廃止になる業者もおられるようでございますけれども、やはりきちっとした基準を持って、そしてまたそれなりの対応ができる廃棄場所、焼却場であってほしい、こう願った次第であります。  それから、終末処理場を見せていただいたわけでありますけれども、寄居の終末処理場というのは本当にきれいな公園のような様相を示しておりますし、また周辺の住民からも決して忌避されていない、ある意味では歓迎された体制の中に行われておるということでございまして、きょう出たごみはきょうのうちに全部処理しておる。道路整備もきれいにできておりますし、またそれなりの対策が講じられております。  こんなにいい状態ができるんだったら各県ともどうしてやらないんだろうかというようなことを申し上げたわけでありますけれども、埼玉県としても試行錯誤した中にそういう最終処分場の決定がなされたようでございます。先ほど申しましたけれども、環境事業団からも大変な金額が出ておりまして、その対策に応じていただいたということで感謝もされておりました。それは何といっても主体が県であるということで、全国一つだったそうでございまして、その最終処分場も県が管理した中でやっておるというところでございました。  そういうものを見まして、廃棄物に対する対応のいいところをすべて取り入れた形で処理していくということが今後求められるのじゃないだろうか、こんな感じを持ちました。
  205. 市川一朗

    市川一朗君 昨年の百四十三国会でございましたか、この委員会でダイオキシンにつきまして集中審議しました際に、私もそれに関連いたしまして廃棄物処理焼却施設問題の、一般ごみ処理の問題が中心でしたけれども、質問をさせていただいたわけでございます。  その際にも申し上げましたけれども、あれからむしろますます全国的に産業廃棄物処理施設、いわゆる焼却施設に対する国民の不安といいますか、市民的な拒否反応といったものが強まってまいりまして、私の選挙区でもいろいろとそういう問題が出ておりまして、少なくとも私の選挙区から通じて見ている感覚では、少し弱気かもしれませんが、このままいけばとても産業廃棄物焼却施設なんというのは日本じゅうどこもできなくなってしまうのじゃないかなというような非常に危惧の念を持っておるわけです。  といいますのは、やはり廃棄物は実際出るわけでございますので、出さないようにするという努力と同時に、出てきたものをどうやって処理するかという、人間が生きていく以上どうしても避けて通れない分野と言ってもいいくらいの問題を抱えておるわけでございまして、そういう意味におきましては、相当しっかりとした行政的取り組み、また政治的取り組みがなされませんと大変なことになってしまうのではないかなという問題意識を持っております。  その点じっくり私自身も同僚の先生方と一緒にこの問題に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございますが、きょうは長官の時間が非常に限られておりますので、この辺はしっかりやっていただきたいということを申し上げながら、こういった問題につきましてやはり本当の意味で相当長期的な観点から取り上げなきゃいけないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  それに関連いたしまして、所信表明の中で、地球温暖化問題を主として念頭に置かれての表現だと思いますけれども、「我々の生活しているこの地球の環境に対するあらゆる負荷を全力で低減していかねばならない」という所信を述べられまして、その基本姿勢の一つとして、大量生産、大量消費、大量廃棄という我々のこれまでの経済社会システムや生活慣行を見直す必要があるんだ、こういうことを大臣は述べられておるわけでございます。  実は私も昨年の七月参議院選挙をやってきたばかりでございますが、やはりこういう今までのライフスタイルを変えて取り組む必要があるんじゃないかといったようなことを述べて、だから当選したということを自慢するつもりはありませんが、結構受けたんじゃないかなというふうに思っておる次第でございます。そういった問題が今るる申し上げてまいりました産業廃棄物処理の問題のやはり原点になるのかなというふうに思っておるわけでございます。  実際問題、そこまでは大変格好よく言えますけれども、さて具体的にそういった問題に取り組むとしてどういうふうに取り組んでいくのかなといったような問題があるわけでございますが、その点、環境庁の方でいろいろと考えた上での所信表明だと思いますので、ちょっとお聞きしたいと思いますが、環境庁、今の問題についてどなたかお答えください。
  206. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  申し上げるまでもなく、地球環境問題は人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれのある重大な問題でございまして、このためには、ただいま御指摘のとおり、現在の大量生産、大量消費、大量廃棄という私どものこれまでの経済社会活動あるいは生活様式の見直しが不可欠でございます。  とりわけ地球温暖化問題につきましては、経済社会のあり方と密接に結びついた問題でございます。この問題につきまして、昨年熱心に御審議をいただきまして成立をいただきました地球温暖化対策の推進に関する法律のもとで、徹底的な省エネルギー対策を初めとしたエネルギー需給両面にわたる対策でございますとか国民のライフスタイルの見直し、さらにはその支援などの各般の施策を強力かつ着実に推進してまいりたいと考えております。  また、生活慣行を見直すというところでございますけれども、こうしたための取り組みといたしましては環境学習の推進が最も重要であるというふうに考えております。環境を守る行動を国民の間に根づかせてまいりますためには、実際の体験や実践的な活動への参加が不可欠であると考えている次第でございます。このため、現在、総合環境学習ゾーン・モデル事業というものを平成十年度の補正予算もいただいて実施中でございます。本事業によりまして、全国約七十カ所でリサイクル活動や自然体験などの学習活動が大いに活性化されるものと考えている次第でございます。
  207. 市川一朗

    市川一朗君 余り私としては納得できる答弁ではないのでございますが、せっかく北海道開発庁長官お見えでございますので、環境庁にはまた後ほど質問させていただくことにいたしまして、長官に二、三お尋ねしたいと思います。  午前中、小川委員の方から、まさに北海道生まれの北海道育ちという思いを込めた質問があったわけでございますので、私も若干同じようなテーマになりますから余りごたごた言うつもりはないわけでございますけれども、今回の所信表明でも明らかにされておりますように、中央省庁再編の中でいよいよ北海道開発庁国土交通省の中にその所掌事務も含めて一体化されるということになったわけでございます。  これは、中央省庁再編という日本全体の行政改革の一環として極めて重要なテーマであるわけでございまして、それ自体が非常に意義のある歴史的なテーマでもあるわけですが、ただ、北海道開発庁というその部分に限って言えば、また別な意味で非常に歴史的な転換期を迎えることになるというふうに思うわけでございます。  小川委員の表現をかりて言えば、北海道という名前がなくなってしまう、大臣名前がなくなってしまうというようなことになるのかもしれませんが、翻って北海道開発の歴史というのを考えてみますと、釈迦に説法の話をするわけですが、なくなるという思いの中で、どうしても関係してまいりました人間としてはロマンを込めた話を若干したくなるわけでございますので、その点お許しいただきたいと思います。  明治五年にあの北海道開拓十カ年計画というのが立てられたんですね。それで約十年ぐらい、北海道開拓使というところができて、有名な黒田清隆さんが次官から長官代理になって長官まで行って、最後はあの方は総理大臣にもなるわけですが、一生懸命取り組んだ。その取り組んだ内容とか姿勢については、今の立場で言えばいろいろ批判もあるし評価もあるわけでございますが、いずれにしてもわずか十カ年なんですね、十年間で、しかし日本の歴史に残る、北海道開拓の歴史に残る、大体かなりの人が北海道開拓使初代長官黒田清隆というと何かみんなわかっているような、そういう歴史的偉業を遂げられた。  それから、若干の経緯を経て道庁時代に入って、戦後北海道開発庁というのができて、正確には少し違うと思いますが、北海道開発法でしたか、昭和二十五年にできて、それで北海道開発庁ができてかれこれ数えて約五十年ということになります。  一貫してずっと来ておりますのは、北海道開拓使以来、北海道庁と言われた時代も含めまして、北海道開発というのはいわゆるナショナルプロジェクトとして位置づけられて、それで国のいわば直轄事業的な形で、しかも非常に地域官庁として独立的にやってこられたという歴史を持っているわけです。  それで、いろんなことがありましたけれども、多分明治の最初のころは北辺の守りというのが一番大きな理由だったと思います。大久保内務大臣がやはり軍備でロシアと戦うよりは内陸をきちっと開発してそして北辺の守りを固めようということで、それで北海道開拓使というのをつくって、それで札幌に本庁舎を置いてやったわけです。  それがずっと来て、戦後は、私も法律をちょっと忘れたので見てみましたら、国民経済の復興と人口問題の解決という、そういうあれで北海道開発庁はできて、それで五十年たっているわけですから、やはり歴史的にはいろいろと変化があって、歴史的意義という意味ではここが転換期なのかなというのはここ十年来言われてきたテーマでもありますから、そういうことかなと思うわけでございます。  しかし、どうも今の長官のお立場も含めまして、閣僚もここのところずっと何かの大臣を必ず兼ねておられますし、この調子だとやはり北海道に行くこと自体がなかなかできないんじゃないか。昔はずっと北海道にいたわけですから、在住して北海道のために頑張っていたという時代に比べるとやっぱりあれだし、しかも、今の北海道はどうなのかというと、すべてうまくいって万々歳で、歴史的意義は終わってもうこれでいいよというよりは、むしろ北海道拓殖銀行が、あの拓銀がつぶれるなんという北海道関係者にしてみますと考えてもおらなかったようなことが起きた。そういう中で、中央省庁再編という大きな国の歴史の転換の中で、北海道開発庁が歴史的な幕を閉じるということになるわけでございまして、まことに複雑な思いがする。  この辺が午前中、小川委員がとうとうと述べられたことだと思います。私もそれを裏打ちいたしましたのは、一緒にやろうねという気持ちも込めて言っているわけでございますが、それにつきまして、大臣北海道開発庁長官になられてこういう歴史的転換期に向かわれている大臣としてどういうふうな考えを持って、それでこれからの北海道、こういうふうにした方がいいんじゃないかなという思いも含めて一言お述べいただきまして、後はどうぞ予算委員会の方へ行っていただいて結構でございます。
  208. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いろいろな歴史をひもといてお話をいただきました。  私で七十代目の北海道開発庁長官になります。私は三重県でございますので、三重県人としては初めての長官ということになります。  ただ、私のもとの選挙区は三重県の三雲町というところに入っておりまして、北海道という名前をつけましたのが松浦武四郎、三雲町の出身でございますので、何かの御縁かな、一生懸命やらなきゃならない、このように考えているところでございます。  そこで、午前中も議論をしたところでございますけれども、開発法の最初に述べられている人口問題というのがそろそろ変化してきているのではなかろうか、こういう考え方がございます。そこは開発法の趣旨というものを体しながら、やはり一期、二期、三期と総合計画を組みながらやってきている。特に、昨年の春に第六期の総合開発計画をお認めいただいた。その中で、これをやはりしっかりやっていくのが、今度の北海道局になりますか、国土交通省の中において北海道局が一番頑張らなきゃならない課題だろう、こういうふうに思っております。  ただ一方で、こういう一つの歴史的な転換期だから、いっそ開発法全体を見直して次の時代に合わせていったらどうだろうか、こういう議論が当然ございます。特に、ハードの部分というものに着目しながら、予算の一括計上というものを大きな仕事として北海道開発庁はやってまいりましたけれども、もう少しソフトの面もあわせて、全体的な北海道総合計画というものに対して法律の裏打ちもされた中でやっていった方がいいんではなかろうか、こういう御意見も実はいただいているところでございます。  北海道庁初め、北海道の関係者の皆さん方、また各省庁皆さん方なり審議会そして委員皆さん方の御議論を賜りながら、さあ、どうしていくかというのはどこかで決めなければならないだろうと思っておりますので、いろいろまた御指導賜ればありがたいと思っております。  いずれにせよ一つの転機であることは事実でございますので、しっかり受けとめながらやらせていただきたい、このように思っております。
  209. 市川一朗

    市川一朗君 私も、北海道の将来を考えた場合には、今大臣が言われましたように、場合によっては全国計画の中にしっかりと位置づけてやっていくというやり方も含めて、いろいろ個々のあり方は検討した方がいいんじゃないか。さらに、今までのようなやり方を徹底させていくというやり方もあると思いますが、もちろん目的を変えて、その辺はいろんな意見があるわけでございます。  いずれにしても、それは北海道開発庁という使命を踏まえますと、北海道のために、そしてひいてはそれが日本全体のためにプラスになる方向はどうあるべきかというような意味合いにおいてその方向を探っていくべきテーマであるというふうに思っておりまして、例えば全国総合開発計画も都道府県計画と言わないんです。そのブレークダウンした地域が、都府県計画といって北海道は除かれているので、その除かれた分が北海道総合開発計画になるわけですが、それがまた北海道開発の歴史的な意義があって特徴だったんですけれども、果たしてそれがプラスなのかマイナスなのかということもやはりこの際冷静な目でしっかりと判断する必要があるテーマであるというふうに私自身も思っておるわけでございます。  そういった北海道の将来を見据える中で、いろんなことが心配になるわけでございますが、具体的には、やはり苫東がどういうふうになるのかなというのは一つ非常に大きな問題点だと思うんです。昭和三十年代に苫小牧に掘り込み港湾をつくりまして、その後背地、明野地区の開発も含めて北海道開発庁を中心に相当取り組みまして、それはそれで成功したと思うんです。その成功したのを受けて東の方に苫小牧東部地域開発、一万ヘクタールぐらいの大規模な計画を企画されたのは昭和四十六年ぐらいだと思いますが、まさにちょうど高度成長真っ盛りのときに企画して、それが計画として具体化していく過程で少しタイムラグが生じてしまったといったことが原因だと思います。  政府・与党でいろんな対策を考えて発表しましたね、昨年の暮れに。今その方向に向かっているんですが、当時の新聞論調を、これは年明けてからですが、見ますと結構厳しいわけです。やはり、基本的には開発したところを分譲して、そしてあの地域の発展を期すという考え方は、高度成長が終わった今ではもう無理なんじゃないかなといったような厳しい指摘もいろいろあるわけでございますが、私個人的には、やはり日本全体の中であれだけ広い地域がまとまってあって、しかも空港にも近いし高速道路もあるし港湾もあるし、それから札幌を中心とする都市圏にも近接しているわけでございますし、なかなかこれは利用価値が高いなと。変な処分なんかしないで、国家的にそれを持っていて、これぞというときに使った方がいいのではないか。金を直接用意している自分ではありませんので少し気楽な部分が入っているかもしれませんが、やはりそれだけの価値のあるところじゃないかなというふうに思うわけでございますが、あと一、二分長官は時間があるようでございますので、その点、一言、もしあれでございましたら触れていただきたいと思います。
  210. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まだ時間は大丈夫なようでございますので、御心配をいただきましてありがとうございます。  実は、私、民間の会社に勤めたのが昭和四十六年でございます。苫東が四十五年。そういう意味では、その当時、私の大卒の仲間というのは千人同じ会社におりました。大きな工場が次から次へとつくられていって、私の配属されました営業所は毎年三〇%、三年間連続売り上げが伸びました。一挙に倍になってしまった。そういう時代背景の中で苫東というものが考えられたことは事実であります。重厚長大というものがかなり、まさに北海道の人口をふやすという意味でも役立つだろうと考えられた。しかし、大きな経済変化の中で累積の赤字がたまりまして、清算せざるを得ないことを迎えたわけでございます。  そこで、今委員の御指摘のように、そういう意見がございました。いっそのことこれを国と道が抱えて、何十年間か場合によっては塩漬けするのも一つではなかろうか。そして、これというときに使ったらどうだ、こういう議論も大きくございました。  しかしながら、一つの結論といたしましては、この予算が通りますと二百二十二億円の出資が北東公庫から認められます。それから、北海道は知事選挙がございますので、それを終わった後で、お認めいただければ北海道にも出資していただく。それから、民間金融団が持っておる部分がございます。ここも土地の現物出資という形で出資をしていただく。今六十億の苫東会社でございますけれども、新会社は約十倍の資本を持つことになります。  そして、なるべく借金に依存しない体質にしてまいりたい。国鉄のときもそうでありましたけれども、借金が借金を呼ぶ、金利が金利を呼ぶということが今日の大きな原因でございますので、借金に依存しない体制というものをまずつくらせていただく。その中において、ある程度中長期的に持てるような、先生の御指摘のとおりのものを持っておかなきゃならぬ。しかしながら、一方で民間金融団に参加してもらわなきゃなりませんので、利益の見通しが立たないものに民間が投資するというわけには、これはまいらなくなります。  したがって、そこはやはり売却ができるものについて、分譲ができるものについては計画を立てながら仕事を進めていかなければならないだろう。中長期的にしっかり守っていくべき土地と、そして今経済というものもございますので、分譲を、特に港湾地域、近いところから始めてまいりたい、こんなことで考えをいたしているところでございます。  いずれにせよ、国の予算、それから北海道の予算をお認めいただき、そして民間金融機関の理解を得て新会社を四月にはスタートさせたい、そんなことで頑張っておりますので、いろいろまたお知恵を賜ればありがたい、このように思います。
  211. 市川一朗

    市川一朗君 前の北海道開発庁長官であられた佐藤守良先生が、首都機能を移転するなら北海道にいいところあるよと記者会見で言われたというので、私ちょっと飛んでいきまして、どこでしたかねと言ったら、苫東だよと、こう言われたのを覚えているものですが、苫東に首都機能移転というのは、これはなかなか、さすが大政治家ということで私も承って帰ったわけでございます。  しかし、よくよく考えると、それだけの価値のある場所ですよ、一万ヘクタールでまだ六千六百ヘクタールぐらい新会社の財産として持っておられるということでございますので、ひとつぜひ長官、必ずしも長官在任中だけではなくて、北海道開発庁長官になられた以上は最後最後までそういった問題について政治家としてもしっかりと御指導を賜りたい、またいろいろとお願い申し上げたいと思う次第でございます。  それではもう一点、北海道経済の状況はどうなっているのかなというのがやはり心配なのでございます。所信表明を拝見いたしましても、「昨年の経済対策による公共投資の増加等から一部に明るい動きが見られてきているものの、北海道経済は依然として厳しい状況が続いており、」と慎重な表現がされております。拓銀の問題もございましたから、いろいろ大変だろうなという話も想像もできますし、またいろいろな情報も伝わっておりますが、一方で公共投資を中心としてかなりいろんな施策が講ぜられていると思うわけでございます。  まず、全体としてどんな経済状況と把握しておられるかなということと、それとの関連程度で結構でございますから、昨年来の公共事業を中心とする国のいろんな施策、経済対策が北海道においてはどういったいい影響を出しているのか、余りはかばかしくいかないとすればどういった点があるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  212. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 開発庁として、一つ社会資本整備の傾斜的配分、それからもう一つは北東公庫を使いました貸し渋り対策、この二つが緊急経済対策の柱であるということで進めてまいりました。  十年度の三次補正予算で北海道開発事業費は、二千四百七億円を計上させていただきました。特に執行状況を早めろということで、上半期末で昨年は八八・八%契約を行ったところでございます。それから平成十一年度予算につきましては、前年度比二・五%増の九千三百億円でございます。合わせて十五カ月予算として見ますと、一兆一千七百八億円、過去最高の数字となっております。  そこで私どもは、公共事業の下支え効果が極めて高いものがあると信じて、そして早く執行しろということでやってまいったわけでありますけれども、日銀の金融経済概況ということで出ているのを見ますと、道内景気は公共投資の波及効果が一部に見られている、これが平成十年十二月二十八日。平成十一年二月一日、公共投資の増加等から一部に明るい動きが見られている、こういう形で公共事業が下支えとしてしっかり役立ち始めていると。しかし残念ながら、まだ民間の活力には結びついていないな、こういうところに尽きているんだろうと思います。  経済界の皆さん方とも私一月末に北海道へ行きましてお話をいたしましたところ、一昨年の秋のときは、もう北海道はどうなるものかと大変な心配を持ったと。しかしその後、今申し上げたような貸し渋り対策とそれから公共事業、これによってどうやら落ちつきを取り戻してきたな、いよいよ自分たちがやらなきゃならないな、こういう感じでお話をいただいてまいりました。  したがって、この予算をお認めいただきましたら一日も早い執行に努めて、より下支え効果を出しながら民間の一層の努力に期待をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  213. 市川一朗

    市川一朗君 どうもありがとうございました。  私も選挙区が東北ですので、去年の秋ぐらい、ちょうど百四十三臨時国会のころは、貸し渋り問題も含めてこれはどうなるんだろうといったようなことで、いや北海道はもっと大変だよという話もいろいろあったわけでございます。  やっぱり貸し渋り対策を中心として金融政策がある程度軌道に乗り出して、本当にどうなってしまうかわからないという状況は一応脱したかなというふうには思っておりますが、しかしまだまだ予断を許さない、もう一押し二押し頑張らなきゃいけないというふうな実感を持っておりました。今長官お話をお聞きしておりますと、大体それに近いような、表現がちょっと失礼になってお許しいただきたいと思いますが、人並みになってきたといいますか、そういったようなところをお聞きしたような感じがいたしまして、ほっとしている次第でございます。  じゃ、北海道開発庁への質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。  ちょっと環境庁にあと一、二お尋ねしますが、先ほど部長さんの答弁で、答弁としては一生懸命答弁していただいたわけですから、それはそれで評価せざるを得ませんが、実際問題としては本当に大量生産、大量消費、大量廃棄というライフスタイルを変えていく必要があるというところまでは国民的コンセンサスが得られるとして、さて具体的に何をやるとそれがいいのか、まず学習だというようなお話で、それはそのとおりだろうと思います。しかし、やはりできるだけ早く取り組んでいかなきゃならない、それは環境庁だけが取り組むべきテーマでもないという意味におきまして、こういう機会に議論を深めていくことが非常に大事だと思って御質問したわけでございます。  例えば一例を取り挙げますと、私も若い連中といろいろこういった問題で議論していますと、サマータイムがいいんじゃないですかと言われました。私はサマータイムというのは確かにライフスタイルを変えるという意味では一つのあれだと思います。  我々の世代ですと、一度サマータイムの経験が実は子供のころございます。大人になってからの経験ではないわけでございますが、サマータイムというのはアメリカ、ヨーロッパで普及されているものでもございますし、日本の今までのライフスタイルを変えるという点では一つの取り組みじゃないかな、そういう提案をされているところもいろいろあるというふうには聞いておりますし、真剣に勉強しているところもあると思うんです。  通告していませんので、すぐは答えにくいかもしれません。そんなに難しく考えないで気楽に考えて御答弁いただきたいんですが、サマータイムの導入がここで言うところの大量生産、大量消費、大量廃棄といったようなことからの脱皮という意味でのライフスタイルを変換する意味一つの例になり得るかどうかといったようなことについて、御意見を承りたいと思います。
  214. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) サマータイムについてのお尋ねでございますが、政府といたしましても昨年の六月に地球温暖化対策推進本部、これは内閣総理大臣が本部長になっておられるものでございますけれども、そこでまとめました地球温暖化対策推進大綱というものがございます。その中でライフスタイルの見直しの一丁目一番地的なところに、サマータイムの導入について国民的議論を展開するというものを挙げているわけでございます。  現実にそのために地球環境と夏時間を考える国民会議というものも設置いたしまして、昨年の秋から全国各地でも大いに御議論をいただいてきたところでございます。現在、中央国民会議におきましてその議論の取りまとめに入っていただいておりまして、近々その提言をおまとめいただき、再度全国各地からその提言の案についての御意見もいただきながら、何とか連休前後には御議論をまとめていただきまして御提言をいただこうというふうに考えているところでございます。  ぜひこうした国民的議論を通じまして、ただいまおっしゃいましたとおり、人々が、国民がみずから地球環境にやさしいライフスタイルを工夫して実現をしていく重要なきっかけとして夏時間の問題についての検討を深めてまいりたい、そしてコンセンサスの形成に努めながら、ぜひできるだけ制度として我が国に定着させていくように私どもも努力を傾けてまいりたい、このように考えております。
  215. 市川一朗

    市川一朗君 今の御答弁ですと、サマータイムはやはり有効であるという認識のもとに推進に努めておられるというふうにも感じ取れるわけでございますが、正直言って私は、サマータイムというのが果たしてそういう意味の、大量生産、大量消費、大量廃棄というものからの脱却を図るための、ライフスタイルの変更として模範例になるかどうかについてはいささかもう少し勉強しなきゃわからないんじゃないかという意味で御質問したわけでございます。  ただ、今の御答弁の中にありました一つのきっかけとして、そういったものに取り組むことによって我々日本人のライフスタイルを変えていく、あるいは地球人のライフスタイルを変えていくという一つのきっかけにしたいんだという意気込みとして前向きにとらえさせていただきたいと思います。なかなかサマータイム一つだけじゃうまくいかないわけで、あくまできっかけのきっかけのきっかけぐらいで、やはりじっくりとこういった問題を考えると同時にスピードを持っていろんな対応をして、今慎重にかつスピーディーにというのがはやりでございますが、まさにこの問題も早く取り組みませんと、先ほど長官にも申し上げましたように、廃棄物処理の問題一つ取り上げますと、これは本当に深刻な問題でございまして、基本的にはできるだけごみを出さないようにということから出発しなければなりませんが、やはりそれをなし遂げるというのはまたなかなか大変でございます。  そういう意味において、所信表明で言われているところの、社会経済システム、そして生活慣行の見直しといった意味での我々の今までの生活経済のあり方について果敢に取り組んでいこうという環境庁の姿勢、単なる声明に終わることなく、具体的な方向日本じゅうが動いていけるようにぜひとも積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思う次第です。  それから、ダイオキシンの問題、これも午前中からずっと取り上げられておりますが、先ほど大渕先生でしたか、法案のテーマで、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の促進に関する法律案が何で環境庁と通産省の共管なのかという観点で取り上げられましたが、ちょっとそれと同じではないんですが、やはり環境庁という役所は、これからの非常に重要な我々人類のテーマである環境という問題を所管するところですから、非常に役割は大きいわけです。  逆に、まだその辺の行政が定着されていない部分が多いということかもしれませんが、いま一つほかの省庁との職務分担、任務分担というんでしょうか、その辺がよく見えませんで、大体は一生懸命取り組んでいくという意味で同じ方向へ向かっている限りにおいては両方で頑張るわけだから邪魔し合わなければいいということにはなると思うんです。ただ、私この間のダイオキシンの問題をいろいろと見たり聞いたり調べたりしてみて、基本的には報道の問題であるとは思いますけれども、しかしやはりその辺の環境行政の、この場合は厚生省とのかかわり合いが密接だと思いますが、それとのかかわり合いでの取り組み方がいま一つ線引きがしっかりしていないことによって起きている混乱もあるのではないか。  例えば、私は、何回も申し上げますが、前の前の国会でダイオキシン問題を取り上げましたのでそれなりに勉強しておりましたから、WHOが一から四ピコグラムと言って、厚生省が十で、環境庁は五という意味合いは実はすんなり理解していたので余り混乱していないんですが、しかし国民的に見ますと、何で厚生省が十で環境庁が五なんだろうといったようなことで、それでいろいろ説明を聞いてもああいうレベルの説明だとちょっとよくわからないんですね。だから、結局そういう命とかそれから健康とかに直接かかわる問題というのは非常に敏感なわけでございますから、その辺の行政庁内での役割分担というのは、言ってみれば責任の所在なんですね、基本的には。何をやれるかということが本来役人レベルでは大事かもしれませんが、基本的にはどこに責任があるのかという意味合いにおいてやっぱり非常にあいまいだと思うんです。  非常に抽象的なことになってしまうわけですが、この程度の感想を持っている国民が非常に多いと思いますので、それに対して、環境庁立場で結構ですから、ここはこういうふうになっているんだ、我々はこういうふうにやるんだということについて、これはどなたでも結構です、あえて長官と言いません。御答弁いただきたいと思います。
  216. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ダイオキシン対策を一つの例にとりまして、厚生省と環境庁役割分担ないしは連携ということでございますけれども、まず一つ、ダイオキシンの排出源の問題として、いろいろ焼却炉からの燃焼物、それに伴って排出されている、それにつきましては、私どもは煙が出るということに対しては大気汚染防止法ということできちんと規制している。それに対しまして、廃棄物自体の扱い及びその延長線上での焼却炉の要するに構造基準とか処理基準というものについては厚生省がやるということで、出口と入り口できちんと対応していくと、こういう連携をしております。  かつまた、今先生具体的に御指摘になりましたTDIないしは指針値の問題でございますけれども、厚生省が平成八年六月に定めましたのは、人の健康を維持するためのダイオキシンの許容限度という観点で定められている。それに対して私どもは、その後より積極的に維持されることが望ましい水準ということで、いわば目標となるものとして定めまして、そこも一応許容と目標という形での連携はとれているんじゃないか、こう思っております。  さらに、今回、所沢の問題を一つ例にとりまして申し上げますと、これは野菜の問題のみならず、大気ないしは土壌等の問題にも関連しておりましたので、農水省、厚生省そして私どもが連携して、漏れがないような形の対応をしている。その際に私どもは極力主導権を発揮するという形での対応をしておるということでございます。  その延長線上で、今回閣僚会議が設置されました。そこにおきましても内閣と連携をとりながら、厚生省ともきちんといろいろ連携をとりながら対応していくということにしております。
  217. 市川一朗

    市川一朗君 一生懸命理解しようと思って聞いていると大体わかりますけれども、しかしなかなか難解です。  もう一回ちょっと聞いてみますよ。許容が厚生省で目標が環境庁と、こうわかりやすく言われましたが、ではなぜ許容が厚生省で目標は環境庁と、そういうふうに分かれるんですか。
  218. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 要するに、人の健康あるいは健康上安全であるということについての最終責任というものはやはり厚生省が主体として責任を持っておると思います。  それに対しまして、私どもが環境保健という観点からより望ましいまさに環境をつくっていく、あるいはそれをねらっていくということが私どもの責務だろうと、こういう形で対応しているということでございます。
  219. 市川一朗

    市川一朗君 そうすると、一歩先に行かなきゃいかぬということですか、そういう意味では。  その辺一応わかったことにはしておきますが、大体、こういう大事な問題になった場合は、そういったようなことまでが全部含められて、そして行政への不信あるいは不安。それが、先ほど私も聞いていてびっくりしたんですが、奥村先生いなくなりましたけれども、まさか滋賀県のお茶にまで影響しておるというのを聞いてちょっとびっくりしたんです。  予算委員会で自由民主党の加納委員が取り上げていたんですが、あそこで異常に高い数値、三・八と。お茶だったのに野菜というふうなことを言って大混乱を生じたということになっているわけですが、その問題を取り上げて、お茶の場合は乾燥するんだと、ほかの野菜は水分を含んでいる。したがって、出てきたダイオキシンならダイオキシンという物質と、そのいわば母体となる体重といいますか重さとの比較でいくと、乾燥した分だけ軽くなっているから、それで比率をとるとその分だけ重くなるので、お茶の数字が異常に高い数値で出るのは、結局乾燥したお茶をはかるからそういうふうになるんだというような、そういうことでの質問をしておられました。私も予備知識なしで聞いておりましたので、そういうことはあるかなというふうに思って聞いていたんです。  あれは環境庁の方に通告した上での質問だったのか、あるいは厚生省だったのかもしれませんが、例えば今のような問題は非常に私は重要だと思うんです。報道が間違ったとか間違っていないとかということも非常に重要ですけれども、やはりそういった問題が表へ出たときに、いや、これはこうだああだということをどこか行政の責任あるところがとっさに反応できなきゃいけない。そうでないと、もうあっという間に不安が広がっていくと思うんです。  極端に言えば、よくアメリカでやっていますね。我々政治家の責任かもしれませんが、何か事件が起きると大統領が出てきて、ゴルフをしていようが何をしていようが、そこにテーブルを置いてテレビに向かって全国に向けて、これはこうだからこうだよ、安心しろ、こう言います。これは私ども政治家全体がああいったことを心がけていかなきゃいけないテーマだと思いますので、このことで環境庁をどうのこうの言うつもりはないんです。  この際、本来は厚生省に聞くべきテーマかもしれませんが、環境の問題に関してしっかり責任を持ってやろうという環境庁立場でいえば、ああいう問題が起きたときに何らかのことで反応しなきゃいけないとすると、しかし環境庁ではなかなか反応できないんじゃないかなというふうにも思うわけです。本来そういう専門的な数字は厚生省の分野であるかもしれないし、しかもまた、研究所が発表した数字の評価となるとこれはなかなか行政庁ではできないというテーマかもしれません。しかし、そこできちっと反応しないと今度のようなことになるわけなんです。  その辺の問題も含めて、きちっとそういったことに取り組みながら環境問題をやっていってもらわないと、もうダイオキシンでお茶も売れない、ホウレンソウも売れない。ホウレンソウなんか、私この本を読んでいますと、あの有名な宮田先生の本なんですけれども、日本では魚の方が大変だ、野菜はむしろダイオキシンを排出させる効果があるんですと。その中で、野菜で一番効果のある食物繊維の多い野菜はホウレンソウと書いてあるんですよ。それがあの問題でホウレンソウが売れなくなるというのは、やっぱり本当は福本先生あたりがちゃんとテレビへ出て、あれは大丈夫だというくらいの勇気ある発言も必要なんじゃないかなと思います。  そういった問題につきまして、どうでしょうか、長官が戻られましたので、まず長官感想からお願いします。
  220. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 一月末の予算委員会で、これは衆議院の予算委員会でございましたけれども、ダイオキシン問題についての質疑応答がございました。そのときに、中川農水大臣は、このダイオキシン調査に数カ月の調査期間がかかりますというようなことを返答しまして、その場はすっと流れていったわけなんです。  それが、二月一日のテレビ朝日の報道になりまして、わずか一、二分の報道であったやに聞いておるわけでありますけれども、それが全国に流れまして大きな効果が出てしまったということです。私は、国会審議が一番重要な審議場所であろうと思ったのに、国会の報道がその程度で、わずかのテレビ放送によって大きな影響が出てくるかな、報道のあり方というものについても一遍検討してみなきゃならないというふうなことをその当時感じたんです。  しかし、ダイオキシン問題について、あれほど大きく問題が出てきたんだからここはいち早く環境庁は取り組まなきゃならないということで、私は二月三日の質疑応答を聞いておりまして、何とか各省庁が寄り集まって対策を講じていこうじゃないかという提言をしまして、それが受け入れられるところになり、そしてなおかつ、それだけではだめだということで関係閣僚会議の設置にもなっていくわけであります。そういうふうに環境庁がイニシアチブをとってやっていかなきゃならない点が多々ある、こう私は思っておるわけです。  それから、影響評価でありますけれども、環境庁環境庁なりに所沢に研修センターというのをつくっておりまして、そこは協力していろいろな大気や土壌なんかのダイオキシン問題や、その他の影響評価というものについての数値は出ておるわけなんですけれども、しかしその数値が出ておってもそれを公表できない。公表することによって別の弊害が出てくるんじゃないだろうかという危惧に駆られてそれが出せなかった、こういうようなこともあるわけです。ですから、農協で調べた数字が発表できなかったというのもそういう背景があるんじゃないか。  だから、所沢のJAでその数値を出しながら、発表ができなくて対策がおくれたということで非難も受けたわけでありますけれども、公表して何ら心配のないという体制をこれから世論づくりとしてやっていかなきゃならないんじゃないだろうかという感じを強く持っております。  それから、環境行政についていろいろ御指示をいただいたわけであります。例えば古紙の処理であります。  循環型社会ということで、今までは古新聞ということで始末されておったわけでありますけれども、その新聞が再生されるというふうな状態になって、読者の方々が古紙を利用した新聞紙は読みにくいとかなんとかいって不満が出ておったわけでありますけれども、このところ、新聞社にしても古紙を七〇%から八〇%使っていっておるということで、やはり環境に優しい社会をつくっていくがためには新聞紙、古紙であろうがそういうふうな活用がされるんだ。また、その循環を繰り返さなければ日本社会というのは存続できないんだというぐらいの気持ちをみんなが持ってくれれば、私はいい環境ができていくんじゃないだろうか。  自動車にしても、リサイクルしていかなきゃならないということを言いながらも、新車が出れば新車にすぐ消費してしまう。そして、買いかえがどうだろうかという販売の宣伝に乗ってそういうものが利用されてしまう。ですから、もうある意味においては、このくらいの年月は車は使ってもらわなきゃなりませんよというような、これは法で縛るというわけにもまいらないと思いますけれども、税制上の恩典とか何か与えてこれを活用できるようにしていくべきではないだろうか。そしてまた、部品関係でももっと画一的な統一的な部品を使っていただければ、部品のリサイクルということも可能じゃないかと思うわけでありまして、私は環境産業から新規産業の創出がたくさんできると思っておるんです。  そういう面の活用をしていけば、今七十万とか百万の雇用創出だといって笛や太鼓をたたいておりますけれども、私はそういうものが可能になってくるんじゃないだろうかと思っておるわけでありまして、そういう面からも環境行政をしっかりとやっていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  報道関係にいたしましても、またリサイクル問題にしても、循環型社会を形成するにいたしましても、やっぱりみんなの理解協力というものが必要であるわけでありまして、環境庁としてもそのような対応をしてまいりたい、こう思っておるわけでありまして、より一層の市川先生の御協力、御指導を賜りたいと思っておるところであります。
  221. 市川一朗

    市川一朗君 私も、この委員会に入りまして質問はすべて環境問題を中心にやっておりますので、どうぞひとつ長官も頑張っていただきたいと思います。  同僚の田村議員とかわりたいと思います。
  222. 田村公平

    ○田村公平君 田村公平でございます。  環境庁の方に対して質問をするということで、私、環境とは何ぞやといろいろ考えてみましたけれども、なかなかよくわからぬ部分がありまして、ましてや分子式だとか化学式なんて言われてもそういう方面の勉強はとんとやっておりませんので、福本先生にちょっとお伺いをいたしましたら、自分の思うとおりやれといろいろ知恵をつけていただきましたものですから、自分の思うとおりでやらせていただきます。  私は昭和二十二年生まれですから、子供のときのことを考えてみました。  環境庁の発表によれば絶滅の危機にあるメダカとか、私の田舎でもメダカトラストなんというのがあるんですが、完全に循環型社会でありまして、まず私の村には車が一台もありませんでした。うちは大体百姓ですから、小学校になって労働力と認められると土、日は裏山に行って薪を拾ってきて、水道はもちろんありませんから谷の水をくんできて、電気はありましたけれどもガスも何もないものですから、薪で御飯、煮炊きをして、畑でとってきた野菜。そして、人ぷんを畑とか田んぼにまいて、したがって化学肥料も使っておりませんでした。もちろん牛は飼っていますから、耕運機のかわりに牛。牛の下わらでそれを堆肥にする、ついでに落ち葉も堆肥にする。ごみも堆肥にする、生ごみは堆肥と。あと燃やすものはほとんどないわけで、暖房器具がないものですからたき火。それから、おやじが山へ行って、裏山は雑木の山ですから、炭をつくっておりましたのでその炭が火鉢に入ってと。  これはまあそういう時代が果たしてよかったのかなと思うが、実は国分川水系にかかっております橋は丸木の橋なものですから、大水があるとすぐ流れまして何カ月も通れない。水が引いた後の堰のところにある石を飛び越えながら学校に通わぬといかぬ。コンクリートの橋もなかった。そういう時代に返れと言われてももう今さら我々返るわけにもいかぬし、それで環境問題とか、環境庁環境省になっていくんじゃないかなという気もいたしております。  そこで環境庁にお尋ねしたいんですが、循環型社会ということで、きのうの審議会の部会のこういう資料もいただきましたけれども、廃棄物、まあ平たく言えばごみのことだと思うんですが、廃棄物の総量というのは一体幾らぐらいあるんですか。
  223. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ごみは二種類ございまして、一つは家庭ごみ中心のもの、これが約五千万トンでございます。それに対して産業系のごみ、これは四億トンでございます。
  224. 田村公平

    ○田村公平君 そうすると、家庭のごみというのは私どものところでは、議員宿舎も同じですけれども、不燃物とか生ごみとか可燃物とかこう分けてやるんですが、じゃ家庭用のごみじゃないいわゆる産業廃棄物、その中における建設関係の廃棄物というのはどれぐらいあるんでしょうか。
  225. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 産業廃棄物のうち約二割程度を占めていると思います。
  226. 田村公平

    ○田村公平君 それのリサイクル率というのはどれぐらいですか。
  227. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) これにつきましては、建設省の方でリサイクル目標率というものを定めておりますけれども、平成七年度のデータによりますと建設廃棄物全体では五八%と承っております。    〔理事太田豊秋君退席、委員長着席〕  なお、その中でいろいろ区分されておりますけれども、例えばアスファルト・コンクリート塊ですと八一%、コンクリート塊ですと六五%、建設汚泥ですと一四%、建設混合廃棄物だと一一%、建設発生木材ですと四〇%、こういうふうになっております。
  228. 田村公平

    ○田村公平君 今建設省は目標を掲げておるというふうに言っておりましたが、建設省は、実際環境庁の言うとおりのデータでいいんですか。
  229. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先ほど先生はリサイクルなり自然との関係での廃棄物問題を取り上げられましたが、繰り返しになりますが、私の認識としてはほぼ環境庁のお答えと近いんですが、排出量が全産業の廃棄物の大体二割でございまして、最終処分場でそのうちの四割を処分しているということでございますから、出す方が二割で処分しているのは四割ということは、いわばリサイクル率が比較的おくれている業界であるという認識は持っております。  それで、目標でございますが、平成二年のときに我々の認識では四二%がリサイクルされておりまして、先ほど環境庁の方からお答えいただいた平成七年は五八%になっております。もちろんいろいろ廃棄物によっては差があるというお答えもそのとおりでございます。建設省はリサイクル推進計画97ということで平成九年十月に策定しておりますけれども、平成十二年に全体的にはリサイクル率を約八割にしていきたい、多少期待、思いがこもっておりますが、その程度を目標にしております。
  230. 田村公平

    ○田村公平君 公共事業のことはわかるんですが、いわゆる民間の住宅、民間建築、これは解体屋さんというのがいまして、解体しますと当然廃材がいっぱいできます。これは建設業法にも解体業というのはたしかあると思うんですけれども、ただ金額が少ないと、まあ無届けと言っては悪いですが、無届けでもできる。そうすると、民間の家を壊したり民間のビルを壊したのがうちらの田舎でも不法投棄、野積みにされたりしておることがあるんですが、そういうことの対策というのはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  231. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ちょっと不法投棄のデータを見てみますと、平成五年度から七年度の平均でございますけれども、全体の不法投棄が約四十万トン弱ございますけれども、その七六%ぐらいが建設廃材ないしは木くずと、こうなっております。  それで、そういうものに対してはどういう対応をしているかということで、せっかくでございますから高知県の例をちょっと紹介させていただきます。  高知県の環境白書によりますと、近年の産業廃棄物に関連した苦情の件数は年間四、五十件に上っております。中小企業に関するものが多く、一般に処理、解決が難しい傾向にある、こういうことでございます。  内容的には、建設廃材の山間、谷間、斜面、低地などへの投棄、木くず、廃プラスチックなどの野焼き、ずさんな自家処理などに関するものが多いとされております。  高知県では、各保健所単位に、保健所、土木事務所、市町村、警察などから成ります産業廃棄物等連絡協議会を設置いたしまして、廃棄物の不法投棄など不適正処理の監視点検パトロールを実施しておる。それで、その状況を把握しまして、不適正処理防止の啓発活動を実施して不適正処理の防止に努めていると聞いております。加えて、県と市町村、建設業界あるいは産業廃棄物処理業界が出資いたしまして財団法人エコサイクル高知を設立いたしまして、平成六年八月一日に廃棄物処理法に基づく廃棄物処理センターとして厚生大臣の指定を受けまして、現在建設廃材などの破砕選別施設あるいは焼却施設あるいは最終処分場などの整備に向けて準備を進めている、こういうことでございます。  高知県の例でちょっと説明させていただきました。
  232. 田村公平

    ○田村公平君 高知県の例を引いていただきましてありがとうございます。  ただ、現実は全然違うんですよ。それは紙の上の答えで、解体業をやっているのは大体暴力団関係が多い。だから、行政もわかっておってもよう言わぬのよ。それは至るところに捨ててありますよ。だけれども、民有地だから手を出せない。ナンバープレートを取った車もそう。そこいらじゅうにあります。だから、そういうペーパーの上とか何とか協議会をつくったとか、そんな、あなた、知事が現場に行くわけでもないでしょう。一番かわいそうなのは末端の土木事務所なり保健所の職員ですよ。それが、ちょっとおっかないのに、地域社会は狭いですからみんなわかっていますから、何だおまえ、文句あるのかと言われたら、実際何もできないんですよ。  そういう意味では、建設廃棄物含めて、ストックヤードだとかいわゆるリサイクルに向けてとか、そういう抜本的なことを省庁間の壁を抜いてやるべきだと思うんですけれども、これは環境庁でも建設省でもいいですから、何か知恵があればちょっとお答えしていただきたい。
  233. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 確かに先生おっしゃられるように、我々がこちらの中央で考えているとおりに現場が動いていないことも私は承知しております。  先ほど環境庁からもお答えいただきましたように、くどいんですが、土木系の方は公共事業でございますから発注者に対する指導徹底も比較的やりやすいと言うと言い過ぎになるかと思いますが、徹底しております。したがって、これは平成七年でございますが、六八%ぐらいリサイクルされております。建築系が四二%というのは、先生おっしゃられたようにやはり発注者が民間であること、それから例えば各家庭等から出てまいります廃棄物は多くは個人の住宅等が破砕されたときに混合で出てくるので大変処分しにくい、あるいは分別しにくいという状況があります。  ただ、そうはいっても、これからの環境問題として大変大きなウエートを占めていることも改めて申すまでもないと思っていますので、私たちは考えとしてはできるだけそういう廃棄物を出さない姿勢はまず持たなきゃいけないと思います。やむを得ず出る場合には、例えば一つの例で申し上げますと、建設工事の場合は契約上そのことについての処分費用をしっかり明記すること。それから、どなたがお捨てになるかということで、これは元請、下請関係にもつながるわけでございます。そこのところでのそれぞれの業務分担をはっきりさせることということを関係の業界なり、あるいはこれ多くの場合は民間が発注者でございますからなかなか隔靴掻痒になるかと思いますけれども、それぞれの関係の団体等にもこれから指導しながら、そういう契約あるいは施工体制の徹底ということでやってまいりたいと思います。  できるだけ、そういう意味では、リサイクルに対しての取り組みというのは全国民的な取り組みに広げていくことを我々としては環境庁ともども考えていきたいと思っております。
  234. 田村公平

    ○田村公平君 舗装事業なんかですと、アスファルトの再利用というのはほぼ一〇〇%進めるのに、うちの田舎にもプラントがあります。ただ、コンクリートをクラッシュかけても、なかなか骨材とセメントのはがれがうまくないものですから。  例えば、構造物であれば強度の問題とかいろいろあるんですけれども、ただ公共事業においては、建設省のデータ等を見ますと、わかりやすく言うために、いわば一億円の現場だけれども、そういうリサイクルの素材というか材料を使う場合は、ちょっと高くなるけれども、一億一千万にしようという努力をしておることは承知はしております。  今、ワインブームでガラス瓶がいっぱいあって困っておる。あるいはPETボトルもそこいらじゅうに散乱。PETボトルは洋服とかワイシャツとかTシャツにも化けたり、リサイクルが進んでます。  我が国全体のリサイクル促進、つまり建設省の公共事業だと、発注者がいて、受注者がいて、それで設計所にこういうリサイクルの骨材を使えとか、こういう材料を使えとかできるんです。環境庁、どうですか。例えば建材屋さんに行ったら、塩ビのパイプもあれば、鉄のパイプもある、JIS企画があるかどうか知りませんけれども、リサイクルでいろんな資材を、極端に言えば、公共事業全部材料はリサイクルの素材でやるんだというぐらいのことを協力してやったらどうですか。それは発注者の方が偉いんだから。民間は費用対効果を言われるかもしれないけれども、どうでしょうね、環境庁
  235. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 先ほど建設省の方で建設廃棄物全体でリサイクル目標率を定めていると、こう御答弁をいたしましたけれども、環境庁といたしましては、政府の率先実行計画の中におきまして、国の建築物の建築の際の廃棄物の発生抑制とかリサイクルの促進、こういうものに努めてきております。そういうものを媒介に徐々にいろいろ広めていくというのも現実的なステップじゃないか、こう思っております。
  236. 田村公平

    ○田村公平君 建設省、どうですか。
  237. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先生の御質問にまともにお答えしていないかもわかりませんけれども、ちょっと三点ばかり御紹介させていただきたいと思います。  一つは、先生お話しございましたように、当該企業で発生しているもの、いわば当該産業界で使っていくもの、これはちょっと細かくなりますが、先ほどお話しございましたような木くずなどは型枠として利用いたしますし、それから汚泥などはそれぞれの現場の戻し材として使ったりしております。それから、一番典型的なのは、我々も承知しておりますが、例えばアスファルトなどは八割以上は再利用で活用されております。加えて、他産業でお使いになる、先ほどおっしゃった例えばPETボトルとかガラス、こういうものもいろいろ加工の仕方によってはそれぞれ、例えば堤防などの穴あきシートのようなものに使ったりしているケースもかなりございますが、こういうことでできるだけ新規開発をやっていくという取り組みは、大いにこれは国としても一生懸命やっていかなきゃいけないかと思います。  二点目には、その際にいろいろ他の環境問題にも影響するわけでございますが、品質基準をしっかり定めて、それぞれのいわばリサイクル材の一定の基準というものをつくっておく必要があるんじゃなかろうかと思います。これも、今まで私ども手がけております作業としてぜひ急がなきゃいけないかと思います。  それから三つ目には、例えば、特に発生土といいましょうか、土砂の関係なんかも典型であろうかと思いますが、どこでそういうリサイクル用のものが発生しているかといういわば情報の交換ができるような、そういうネットワークをつくることも有効ではなかろうかと思います。  ちょっと細かくなりましたが、それぞれの対策を立てていくためにも、我々ぜひ、今省内でも先生方もお入りいただいた検討会の場をつくっておりますが、この結果が年度を越すかもわかりませんが、新年度早々ぐらいに出てまいりますから、できるだけ早いうちにこの法制度などの検討もさせていただきたいと、こう思っております。
  238. 田村公平

    ○田村公平君 建設廃棄物に限定しないでいろんな有用なものを再利用できるように、つくばの方には研究所もあるわけですから、勉強していただきたいなと思います。  環境庁、非常に頑張っておりまして、行政による集団回収ということで、県庁なんかで出てきた書類の山だとか段ボールだとかいろいろ出しておるんですけれども、それで古紙がどんどん出回るわけです。私は、去年の大水害で二メーター以上浸水して、床上どころか屋根まで浸水した大前田商店の社長と非常にじっこんにしていまして、この人は古紙の回収等をやっておるんですけれども、くず鉄、スクラップ鉄に至っては、一昨年トン当たり一万二千円しておったのが今はもう五千円です。段ボールは今五円ぐらいで、古紙、これはベーラーといってプレスして塊にするんですが、これが大体一円から二円。採算ラインは十五、六円なんですよ。そうすると、行政、例えば高知県庁や市役所やいろんなところから紙がどんどん出てくる。大前田商店さんは一生懸命トラックで運ぶ。それを紙問屋は工場に持っていきたい。しかし、もうその時点でお金は割れておるんですよ、コスト割れしている。  だから、循環型社会というのは、かけ声はすごくいい。役所はすぐやるよ、それは環境庁とかいろんなところへ行けば。地方自治体もそれはやるんです。かわいそうなのはそういう業者さんなんです。幾らでもどんどん集めぬといかぬ、集めぬかったらまた地域社会で生きていけない、集めたけれども、実際問題、引き取り手がない、だから価格がどんどん下がる。リサイクルと言うけれども、循環型と言うけれども、そこのところにきしっとした光を当ててあげないと、例えば有償回収をしなさいとか、紙は昔はちり紙交換、トイレットペーパーを上げたり、お金を出して古紙を買っていた、段ボールを集めていた。それがそうじゃない、逆の現象になっています。だから、ごみを出す方がお金を出さぬといかぬということも徹底していただきたいなというふうに思います。これ環境庁の大事な仕事だと思います。もうお答え要りません。  事ほどさように、環境問題というのは大事ですが、大都市の人はよく我々の地方をつかまえて、これも佐藤雄平君の選挙区も同じなんですが、何か地方の公共事業はすぐ要らぬと、むだな公共事業でばさっと切り捨てられて、道路も舗装されていない、地下鉄も走っていない、くみ取り式の便所で苦労しておる、そういうことはもう全く関係なし。清流四万十川とテレビで出てくると、都会からわっと来て、四万十川はきれいだと言うけれども、実は下水道も完備していない、道路も完備しておりません。三けた国道には一応なっていますけれども。  そういう中で、これ建設省、環境開発というか公共事業、常に二律背反する問題でありますけれども、それは費用対効果のこともありますが、そういうところの環境問題と公共事業ということで、自然をうまく取り込んで整備していく。たしか平成三年、私どもの高知県の安岡という道路課長が、木の香る道づくりということで、広葉樹ものり面に植えましょう、間伐材を利用してそれを棚にして、今までのようにのり面を切ってばっとコンクリート吹きつけじゃなくして、そういう自然に優しい景観、修景に配慮したということで提言もさせていただいておるところですけれども、こういうものの進捗率もあわせてお聞かせいただければと思います。
  239. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 自然環境と調和して地域の個性ある道路空間の形成を図るために、地域特性に応じた道路整備を推進していく必要があると考えております。周辺の森林と一体となった良好な景観や生態系を形成することを目的といたしまして、森林等の自然環境の豊かな地域道路、のり面等において、間伐材や風倒木などでつくった小段に地域の潜在自然植生を活用したポット苗工法などによる植栽を行う木の香る道づくり事業を実施しているところでありまして、そういう事業の実施によって、周辺環境や生態系と調和した道づくり、木材等の地場産品を活用した地域の個性を生かした道づくり、これを推進していきたいと思っておりまして、十年度におきましては全国で十三地域でやっております。  今、先生お話しのように高知県が先進県でございまして、十年度で見ますと全国的に百三十三億円程度の事業ですが、高知県ではそのうち三十八億円のような事業をやっている、非常に先進県として取り組んでいただいておるというところでございます。
  240. 田村公平

    ○田村公平君 そういうことなんですけれども、県土の面積の八四%が山でありまして、山が多いということは土砂災害も多い、そういう場所道路をつくったりしていくというのも大変な苦労があります。  ですから、今高速道路を実はやっていただいておりまして、去年十二月二十五日に対面のところは四車線化、そして窪川までの施行命令をいただいたわけですが、私どもの山の多いところの、いわば自然がいっぱいあり過ぎて困って、時たま自然が多過ぎて人が死ぬんですが、そういうところの高速道路のつくり方なんかについては、環境との関係においてはどういうふうにやっておられるんでしょうか。
  241. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 高速道路などの大規模な道路におきましても、自然環境との調和を図りながら整備を進めるということが重要であるというふうに思っています。例えば、高速道路の緑化について、のり面や環境施設帯、あるいはサービスエリア、インターチェンジなどにおきまして、地域の自然や風土等との調和に配慮した構造ということ、あるいは植生等をやるということで取り組んできております。  高知県内の高速道路におきましても、県花でありますヤマモモや、それから当地域に非常に多いトサミズキなどを活用して植樹を実施してきております。それで、盛り土ののり面、切り土のり面あるいはインターチェンジ、サービスエリア等、精いっぱい植樹をしていこうというふうに考えているところであります。
  242. 田村公平

    ○田村公平君 道路のことはそれぐらいにしまして、環境問題といえば河川も大変重要であります。国民的関心も非常に高まってきております。広い意味で言えば、諫早の締め切りも川が後ろに流れておりますし、長良川河口堰のこともあります。  これは真鍋長官がおられるので、僕はきょうはいないというふうに聞いて話を持っていこうと思っていたものでやりづらいんですが、石鎚山に源を発し、私どもの高知県を流れ、四国山脈を分水嶺にして瀬戸内海に落ちるか太平洋に落ちるかというのが普通の川でありますが、四国三郎吉野川は真っすぐ中央構造線を縫いながら、そしてその堆積したはんらん原に徳島という県庁所在地があります。その途中で私どもの高知県のところに早明浦ダム、四国の命と言われておりますけれども、その水を水のない香川県に分けてあげて香川県が成り立っておるわけです。議員宿舎も隣で、選挙区も隣で、片や大臣、非常にやりづらい部分があります。  その中で、実は、阿波の徳島の殿様は蜂須賀でございまして、今から二百五十年ほど前に吉野川にいわゆる第十堰のもとをつくりました。ところが、これは山から流れてきていますから、雨が降ったらえらいわけです。その第十堰は斜めにあります。鳴門の方に向かっておるのが本来の昔からの吉野川です。今えらい大きくなっておるのが本川と呼ばれております。  そういうかんがいに使い、その第十堰は実は中はがらんどうみたいになっていまして、捨て石とか捨てブロックをしてようようもたしている。これは中が抜けていますので、水もようためぬし、本来の旧の吉野川の水もよう回さぬ。私ども高知県側で大雨が降るとどんといって、それがせくわけですね、川底から四メーターぐらいありますから、二階建ての家ぐらい。斜めにあるものですから、当たれば当然水は弱いところを押さえるものですから、しょっちゅうこっちが浸水する。  ところが、町の人というか、環境が大事という人は、そこに住んでいる人は吉野川の恩恵も受け、災害という、水害という恩恵も受けておる人たちは、第十堰のことについて、可動堰にしてほしいということは完全に理解しておりますが、徳島市内であっても、サラリーマンで第十堰を見たことのない人たちは、市民活動家と称する人たちが、賛成でも反対でもいいからこれに署名してくださいと、一人一人の住民の意見が投票ということによってというと、余り深く考えないで、それが十万人ぐらいおる。  これも関心を持っていただくことはいいんだけれども、実際そこで生活している人たちの声がマスコミによって増幅されて、全然関係ない人の意見がまるで正義の味方。その第十堰があるために大水害、大災害が起きるかもしれない。私たちは災害の常襲県ですからよくわかっています。去年の九・二六だって二万四千世帯も床上、床下浸水しています。そんなのは全然報道されませんから。  そういう中で、これは建設省と環境庁に、世論というものがつくられるのは、まさに所沢のダイオキシンではありませんが、マスコミの力というものが大き過ぎる気が僕はしています。悪いこともあるかもしれないけれども、いいことはいいという評価も、これから環境省になっていくのであれば、ぜひそういうところにもきちっとした目を向けていただきたいと思いますけれども、環境庁、いかがでしょうか。
  243. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) いろいろ公共事業をやる際に環境アセスメントを行います。その公共事業が計画されますと、先生指摘のように住民の方々がいろいろな意見を提起される、これが非常に多くなってきておるということでございます。  ただ、私どもといたしましては、環境アセスメントの手続の中に、このアセス法の中に環境影響評価の実施方法の案というものを事業主体がつくる、その際に住民の意見を聞く、さらには環境影響評価準備書の作成を行う、そういう際にまた住民の意見を聞く、こういうプロセスをきちんと定めております。そういう中で適正に意見は反映されていくべきもの、そういうプロセスの中で対応されていくべきものと考えております。  なお、一方いろいろマスコミ等で、例えば住民投票条例の制定の要求とか、この問題をめぐるさまざまな団体の意見表明等の動きにつきましては、もちろん私どもいろいろ情報収集を常日ごろからやっているということでございます。ただ、基本的には、やはり環境影響評価の実施方法の案とか、あるいは準備書の作成、その段階における意見の表明というものについてきちんと見てまいりたい、こう思っております。
  244. 田村公平

    ○田村公平君 非常に僕なんか、災害と共生しておるというか、ともに住んでいる人間としてみると、外部の人からとやかく言われることもはっきり言って不愉快なんです。そういう特殊な運動家がおりまして、何でも、水が足りないからダムをつくりたいというと、立ち木トラストといっていっぱい木を買って、だけれども、その人どこの人やといってもだれかわからぬという、そういうことも気をつけていただきたいと思います。  建設省、河川法をたしか改正しましたね。河川の開発というよりも、災害から国土を守るという点で河川法を改正されて、環境問題に対してどうでしょうか。
  245. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 河川法につきましては、先ほどお話ございましたとおり、平成九年六月に改正がなされまして、その目的に治水と利水に加えて河川環境の整備と保全というものが加わるとともに、計画段階から住民の意見を聴取し、計画に反映する仕組みができたところでございます。  また、先ほどお話ございました第十堰につきましても、私ども、もともとは先生お話しのように、現在の吉野川本川に水を流さないで旧吉野川に水を流すための堰ですから、むしろ本川には水を流さないための堰であります。かたいものがありますと水の流れはせき上げられ、また迂回流とか深掘れとか起こりまして、両脇に土でできた堤防があるわけでございますから、非常に危険な状態になるという認識を持っておりまして、第十堰につきましても、十分な環境調査をするとともに住民の方々への説明もきめ細かくしていきたいと思っておるわけでございます。  いずれにしましても、この河川法の改正というものが治水、利水、環境を総合的に考えて、またバランスをとりながらよりよい川をつくっていくべきだという思想のもとになされたという理解をしておりますので、このような観点から、川本来が有している良好な環境を整備していくということも含めて、総合的な観点からバランスをとりながら考えていきたい、かように考えております。
  246. 田村公平

    ○田村公平君 大分昔の話になりますけれども、多摩川が大はんらんを起こして、私らの田舎は余り金をかけてくれていないんですが、多摩川といえばもうこれは大変立派な一級河川でありまして、あれだけの護岸をやり、ところが運悪く古い堤防が残っておって、狛江市の住宅がどんどん掘られて、家が船のように流されていくのを目の当たりにした、あれがテレビ中継の怖さだと思うんですけれども、そういうことに吉野川もならぬように、環境に十分配慮しながらいいものをつくっていただきたいなと思います。  そして、去年、高知県だけじゃありません、福島も栃木も新潟もあるいは静岡も、特に私は視察に行かせていただいて、山を若干見る者としては、大変失礼な言い方ですけれども、福島あたりの山はあれは山じゃない、私に言わせると森か丘だと、里山ですよ。四国の山はこうなっていますからね。そういう意味では、そういうところであれだけの災害があるというのは僕はショックを受けました。だから、いつも災害を受ける側の人間としては、こんな平野に近いというか平穏なところでこんな災害があっていいのか。  そういう意味では、それは環境も物すごく大事ですけれども、僕は命あっての物種と。生産に適したいい緑地やいい畑地が、農地が失われた後の復旧というのは大変です。これは御案内のとおり国費ではやってくれぬわけですから。民家が流されたって、また住宅金融公庫からローンを借りぬといかぬ。だから、抜本的な復旧にはならない。公共物は復旧しますけれども、しかもそれは本激にはならない。標準税収がもう昭和三十七年からえらい乖離している。だから、せめて、そういうことに災害が起きてから手をつけるよりも、災害に強い、何も高知県だけじゃないです、本当に去年は至るところ、これは異常気象だと思いますけれども、そういうことと環境、これは省庁のせめぎ合いがあるかもしれない、しかし、建設省と環境庁に、ちょっとそこいらのすり合わせというか見解をお伺いしたいと思う。
  247. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 今お話がございましたように、昨年は全国的に大水害があったわけでございますが、私どもも、環境も大切だし、治水は、また人の命はもっと大切だというふうに思っておりまして、そこのところを総合的にどうしていけばいいか。例えば災害復旧におきましても、平成十年度に、美しい山河を守る災害復旧基本方針というものを定めまして、自然環境に配慮した災害復旧をやろうという方向で進めているところでございまして、河川事業を進めるに当たっては環境と治水という目的、両方を総合化しながらよりよい川をつくるという方向で努力してまいりたい、かように考えております。
  248. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 田村議員の御指摘の中で、今、私どもも二点お答え申し上げたいと思います。  昨今の異常気象とでも言うべき現象、これは私ども通常地球温暖化という言葉で言っておりますが、条約の名前でいきますと気候変動というふうに大きくとらえていまして、やはり気候変動、俗に言う温暖化の影響が昨今あるんではないかなという感じがいたしております。  まず第一点申し上げた上で、先生の御指摘の点でございますが、要は治水事業と環境保全の調和につきましては、私どもの立場で申し上げれば、環境アセスメントの結果を事業の認可決定に適正に反映させることで調和が保てる、こういうふうなシステムになっていると思っていますし、そういう運用をしたいと思っております。
  249. 田村公平

    ○田村公平君 今この水を飲んだら非常においしかったですけれども、やっぱりこの水がどこから来ているか。こういうコンクリートだらけのこの委員会室におっても水が飲める。この水がやがて飲めなくなる時代が来るんじゃないか。東京砂漠化とか、東京はだんだん暑くなってきています。そういうことを考えたときに、環境庁仕事も非常に重いものがあると思いますし、と同時に我々田舎に住んでおる者からすると、東京は金があって遊ぶのにはええとこやと思うけれども、余りこういうところで生活したくないなと。田舎へ帰って飲む水のおいしいこと。たばこを吸ってもたばこがうまい。酒もうまい。これはやっぱりそれだけ自然が残っているからうまいと思います。そういうことを言わせていただいて、せっかく大臣がお見えになっておりますから、このやりとりを聞いて、大臣にちょっと御感想だけ聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。
  250. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 手前みそを言うわけではございませんが、中国に昨年参りましたところが、中国の大水害をいろんな形で原因究明しておりました。そこで、温家宝さんという副主席の方が私にないしょ話のような形で、これは災害として人工災害でございます。決して雨が多かったから長江のはんらんになったのではございません。やはり森林伐採をして環境破壊をしたツケがそういう形になってあらわれてきたんだと思います。ですから、これから森林伐採をできるだけしないようにして、そして植樹をして環境保全のために尽くしていきたい、こういうようなお話も聞きました。  また、グアテマラ周辺で起こりました中南米の災害にいたしましても、これまたエルニーニョ現象にいたしましても、その災害というものはただ単なる災害でなくして、地球温暖化によって大きく気候変動がされたために生じた災害じゃないだろうかとも、こう言われておるわけであります。フィジーなんかの島嶼諸国の人たちが言うには、もう我々の国がなくなってしまうんだ、それがためにはもう地球温暖化をぜひ防止してほしいと。もう産油諸国でたくさん石油でもうけた金はありましょうけれども、そのようなことをいつまでも継続されたんでは地球が危ないですよというような意見も聞かされたわけでありまして、そういうことを思うと、この環境破壊ということについて我々はいま一度思いを直して対応に当たっていかなきゃならないんじゃないだろうか、こんな気もいたすわけであります。  確かに、四万十川にいたしましても、また吉野川の河口堰におきましてもいろんな問題はあろうと思いますけれども、人間というものは、前々から申しておりますように、自然の中に生かされておる。また、自然との共生である、自然の中の徳風をいただくんだと、こんな気持ちを持ちながらマッチした政治や行政をやっていかなければならないんじゃないだろうか、そんな感じを持ったものであります。
  251. 田村公平

    ○田村公平君 終わります。
  252. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 一番最後でありますので、大変お疲れのところ、ぜひ御誠意のあるところを御答弁願いたいと思います。  大臣を初め環境庁当局におきましては、環境行政の推進に日夜御尽力を賜っていることに対して大変御苦労を多といたします。しかし本日は、大臣の所信に対して率直な感想を申し上げて御所見を承りたいというふうに思っております。  まず最初に、大臣の所信の全体を拝聴いたしまして率直に感じますことは、環境問題の事柄の性質によるものとは思いますが、どうも課題に対する対応あるいは対策が後手後手になっているんではないか、そういう印象をぬぐえないわけであります。  環境省、こうした問題を初め国民の環境行政に対する期待は高まりを見せておりますが、環境行政の現状と国民の期待との間には大きなギャップが存在しているように見えます。このような点に関して大臣はどのような御感想をお持ちであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  253. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 敬愛する島袋先生でございますけれども、環境庁につきましては手厳しい御意見をいただいたわけであります。後手に回るような環境行政も多々あることは私も承知いたしております。  しかし、言いわけになるかもわかりませんけれども、環境庁が誕生してまだ日が浅いわけでありまして、当初申しましたように、やはり環境行政の中で後追い行政の仕事は多うございました。水俣病にいたしましてもイタイイタイ病にいたしましても、それからワクチン禍にいたしましても、そういうすべての問題が環境庁にどっと押し寄せてきまして、その整理に時間が随分費やされたんじゃないだろうかと思っております。  いよいよ、環境の中にも風としてはある意味では後押しをされるような行政になってきたわけでありまして、決して順風とは申しませんけれども、環境にまさに順応した風が吹いてきたわけでありますから、その風を大きく利用して、これから環境庁というものが存在感を大きくしていかなきゃならない。また、社会情勢もそれを歓迎しておるんではないだろうかと思っておるわけでありまして、皆さんの御協力をちょうだいしながら、頼れる環境省、元気のある環境省にしてまいろうと思っておりますので、一段の御協力お願いいたしたいと思う次第であります。
  254. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 すばらしい御答弁をいただきましてありがとうございます。  諸先生方の御意見質問等に対して多少重複するかもしれませんが、角度を変えて申し上げたいと思います。  所信において、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会システムや生活慣行を見直して、環境への負荷の少ない持続可能な経済社会への質的転換を図って活力ある社会を目指されておりますが、これは言うはやすくなかなか至難な事業だというふうに思います。  そこで、いかなる手法によってこれを進めていかれるか、その辺をお伺いしたいと思います。  また、この課題に関連して、総合環境学習ゾーンにおける環境学習の推進や中核拠点の整備というようなことがうたわれております。それらに対する具体的な御説明とあわせてその辺をお聞かせ願いたいというふうに思っております。
  255. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会システム、生活慣行を見直していく、こういうことが必要でございまして、そういう意味でライフスタイルを環境に負荷の少ない形に変えていくためには、やはりまず国民一人一人の意識を高めていくということが必要ではなかろうかと考えている次第でございます。  環境庁におきましても、従来から環境教育、普及啓発などに力を注ぎますとともに、エコマークなどによりまして環境保全型製品の普及などを支援してきたところでございます。  例えば、地球温暖化対策に即して申し上げますと、昨年十月につくっていただきました地球温暖化対策の推進に関する法律がございます。これに基づきまして、これから全国及び各都道府県に地球温暖化防止活動を推進するセンターを指定いたしまして、住民に対する普及啓発などの拠点として整備を進めることにしておるわけでございます。  また、御審議をいただいております平成十一年度予算案におきましても、国民の意識を高める普及啓発の活動を支援するための予算措置といたしまして、地球温暖化防止民間活動推進事業費も盛り込んでいるところでございます。  こうした施策の実施を通じまして、国民の意識を高め、そしてそれが生活慣行を見直していくことにつながっていくように、今後、普及啓発等の充実強化に取り組んでまいりたいというように考えております。
  256. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 後段の総合環境学習ゾーン、環境学習の中核拠点の整備の点でございますけれども、自然学習あるいは環境学習を根づかせていくという上で大変仕掛け、工夫が大事だと考えておりまして、大臣を先頭に環境庁一丸となって地球学校の構想を提唱いたしております。  第一に、現場におけるさまざまな体験学習あるいは実践的な活動が多様に展開されておりますけれども、それのネットワークの形成がまだでございます。これらを総合環境学習ゾーン・モデル事業としてネットワーク化をしていきたいということで、全国約七十カ所で例えばリサイクル活動ですとか自然保護活動などを素材にした環境学習が展開されておりますけれども、それの支援をすべく現在それぞれの現場の方々調整を進めているものでございます。  また、体験を踏まえながら知識を深めるということが大事でございますので、系統的な学習を行うための特別の展示あるいは高度な教材を備えた拠点的な施設を設けるということで、全国の環境学習を望む人が必ず訪れたくなるような、そういった施設が必要だと考えておりますが、その内容につきましては平成十一年度の予算案に盛り込まれた検討費を使いまして、総合環境学習ゾーン・モデル事業の成果を踏まえて、庁内外の衆知を集めて最善のものになるように検討してまいりたいと考えております。
  257. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大気汚染の問題について、先ほどもあったように思いますが、その中で低公害車の普及に対する制度的方策を検討されるということになっているようでありますけれども、その制度を念頭に置いて実際にやれるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  258. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生の御心配になっている制度的に本当にできるのかという問題なんですが、今までの考え方で、まず経済的措置で今年度、大臣を中心にして税制問題を積極的に進めたということがございます。それから補助金の問題もございますが、補助金も具体的にどう使うかという問題がございます。これも大臣指導で、具体的には低公害車を普及させるために天然ガス自動車の充てん施設をどうするかということが提案されて、それで環境庁のある建物の中に今工事を始めているという形になりました。  そういうことで考えていかなきゃいけないというのが、まず一つ一つ具体的にどう持っていくのか、頭の中で考えることではもう無理になってきているという感じを持っております。  それからもう一つは、規制的手法という形を考えていくということになりますが、これは何回か考えられているんですが、なかなか効果が上がらない。つまり、低公害車を導入させるための義務づけというのがうまく作動するのかどうかということがございます。それから、製造、販売に対して、低公害車を例えば考えているように何台、何%の車を売らなきゃいけないというようなことが本当にできるのかどうかというのがございます。そういうことも幾つか考えられているんですが、具体的制度になかなか乗せ切れないという問題がございます。  そういうことを踏まえながら、大臣指導のもとで、もっと積極的に具体策を提案できないのかというふうに言われておりまして、これに対してもっと積極的な意味で考えを進めていくということが十一年度の大きな目標になってきているというふうに思っております。  そういうことで、税制の問題も含めてもう一度きちっと考えていくということで動いておりまして、その上にまた具体的な義務づけの問題も含めてどのように持っていくかということを真剣に考えてまいりたい。その心の気持ちが第三のところに挙がっているというふうに理解しておりまして、これから本当に具体的にどう示せるかということで試されているというふうに思っております。
  259. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この物質循環、水循環の確保に触れられた中で、水循環の保全でパイロット事業を実施するとされております。これに関連して、平成八年度予算の中に、沖縄政策協議会で沖縄振興に対する特別調整費五十億円の中から環境庁の赤土流出による水環境保全事業に六千万円が配分されております。そこで、同事業の概要と事業効果についてお尋ねいたします。
  260. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 沖縄におきましては、大量の赤土の流出によりまして水質汚濁や水域生態系への悪影響が生じております。これによりまして、水産業への被害とか観光レクリエーション産業への悪影響も出てきているということでございます。  沖縄が自然環境を生かしつつ発展していく上におきまして、赤土の流出防止対策は喫緊の課題と認識しておるわけでございます。こうした状況にかんがみまして、先生指摘のように、平成九年度、具体的には平成八年度補正予算で予算を計上し事業は平成九年度実施しましたけれども、流域赤土流出防止対策事業を行いました。  これは具体的には、関係省庁、沖縄県、有識者、市民団体を構成メンバーとする検討会を設置いたしまして、三つの点について方法を取りまとめました。一つは、赤土流出状況の把握でございます。第二は、流域赤土流出防止対策の検討、整備、第三が、今後行うべき対策の整備でございます。  この報告を受けまして、これは来年度予算に計上しておるところでございますけれども、沖縄開発庁と連携いたしまして、赤土等流出防止対策推進事業を計上しております。これは、二つのやることをねらっておりまして、一つは人工衛星を活用した赤土の流出状況の把握手法の開発、これが第一でございます。第二は、発生源の一つとされております農地の赤土流出防止のための植生を施します実証試験、これを行いたいと思っております。  以上の事業の効果でございますけれども、今後行う実証試験の成果などを見て判断してまいりたい、こう考えております。
  261. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の赤土問題については、もう既に手おくれじゃないかということさえ感じているこのごろでございます。  もうほとんど復帰直後あるいは現在に至るまで、そういった赤土条例というのが最近できたのにもかかわらず、なお米軍や軍事演習によっていろんな赤土がまだ北部において流出しているというふうな状況は、もうたくさんの雨が降ればすぐ北部に行けば大変な赤土が流れているという状況というものはだれでもわかるわけなんですね。だから、沖縄にとっては赤土の流出防止というのは非常に重要な課題だというふうに認識しておりますので、ぜひこれから取り組んで強化をしていただきたいというふうに願っております。その辺について、どうですか。
  262. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) この赤土流出防止対策の今後のあり方でございますけれども、今まで先生指摘のように、パイナップル畑における更新方法の改善とか赤土などの流出防止条例の適用あるいは公共事業における流出防止対策の充実などによりましていろいろ対策をとってきております。それで一定の成果は上がっておるんじゃないか。ただ、いろいろまだ問題はある。  したがいまして、例えば内地から流域協議会というような方式を導入したらどうかということで専門家の方に沖縄に行っていただきまして、いろいろ論議もいただいておるということでございます。  そういう中で、一つは土工の管理とか表面被覆工とか流出抑制工とかあるいは沈殿施設設置とか、農地において行うべき対策とか営農行為のときに行うべき対策などいろいろ今後工夫していくことがあるんじゃないか、こういう論議が行われておると思います。  あと、先ほど申し上げました実証試験の被覆事業も行う、こういうものを総合的に今後実証していきまして、そして実効を追求していきたい、こう思っております。
  263. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 所信の第五の柱として、自然と人間との共生について触れられております。  九六年九月に設置されました沖縄政策協議会の三つの部会の一つ環境・技術・国際交流部会のもとに環境共生型地域の形成プロジェクトチームが設置されております。環境庁が取りまとめ省庁となってやんばる地域等の自然環境の保全活用を推進することになっております。  この沖縄のやんばる地域は、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネそしてリュウキュウハコガメ等、特別天然記念物に指定された動植物を初めたくさんの野生動植物が生息する東洋のガラパゴスに例えられているところであります。また、同地域の海洋部には、先般海上ヘリコプター基地建設の適地として普天間飛行場の移設候補地とされた辺野古沖の海域が含まれております。そこにはジュゴンが生息しております。  このような貴重な自然を保全し後世に残せるか否かは、まさに我が国の環境行政の真価が問われているというふうに思っております。  御所見を承りたいと思います。
  264. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) やんばる野生生物保護センターにつきましては、先般真鍋大臣に御視察いただいたところでございますけれども、平成八年度から環境庁で整備を進めておりまして、来年度、平成十一年五月ごろにはオープンになるという予定をいたしております。  やんばる地域に生息するノグチゲラ、ヤンバルクイナなどの希少な野生生物の調査研究あるいは保護増殖を行うということを目的といたしまして、研究棟また展示棟の整備を進めておりまして、やんばるの森がつくり出す水の流れを基調にしてさまざまな野生生物が生息している姿をわかりやすく見ていただきたいというものでございます。  なお、海洋環境保全構想につきましては、東シナ海などの海洋環境保全についての基本構想を策定するために進めるものでございまして、沖縄県で国際シンポジウムの開催を検討していたものと聞いておりますけれども、いまだ具体化には至っておらないと聞いております。
  265. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の北部の自然というものは本当にすばらしい今環境にありますから、ぜひそれを後世に残すために、やはり環境庁の任務というのは非常に大きいんじゃないかというふうに私は思っております。  したがって、今度SACOによって北部の訓練地域が一部返されるわけでありますけれども、それはまだいつ返されるかという見通しは立っておりませんが、いずれにいたしましても、米軍がそこで入って訓練をしたりなんかしているというふうな状況はよくはわかりませんが、恐らくそれは軍事施設の中でありましたから環境問題について荒らされているんじゃないかということを心配しているわけであります。  そういうふうな北部の一部の訓練地域が返されることによって、さらに県民が北部の自然公園をどうするか、あるいは森林公園としてどう位置づけていくかというようなことも含めていろいろ模索しているようでありますから、ぜひ環境庁としてもその辺を、北部の特にそういった自然を大事にされるような意気込みで頑張っていただきたいというふうに思っておりますけれども、どうですか。
  266. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 先般、辺戸岬の北端まで行ってまいりました。あの北部地域は大変新緑の候でありまして、まさに木の芽のすばらしい情景も見せていただいたわけであります。  そして、北部の演習場でございますけれども、一応平成十四年度末に返還されるということでございますから、それを契機にきちっとした国立公園を形成していかなきゃならないんじゃないかということで、その準備にも環境庁として入ったところであります。  いずれにいたしましても、貴重な自然がたくさん残されているわけでありまして、その自然を生かしながらいい環境をつくっていきたい、こう思っておるところです。
  267. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後になりましたけれども、環境庁長官はつい先ごろ沖縄を訪問されて沖縄の自然に対されて、そしていろいろな視察をされておることは新聞で承知しておりますけれども、沖縄のそういった環境問題についてどういう御感想をお持ちになったか、その辺をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  268. 真鍋賢二

    国務大臣真鍋賢二君) 沖縄は、先ほども答弁いたしましたように、自然環境を大いに活用しながら、そのすばらしい生息場所をいろいろと探索しておるわけでありますから、人間と自然というものがそこに調和のとれた生き方をしていかなきゃならないと思っておるわけであります。  先般もサンゴ礁のところを見せていただきました。白化現象が出ておるということで、海上に参りましてその状況も拝見させていただいたわけでありますが、まだ科学的な根拠というものが十分わかりませんけれども、やはり私は、自然の大きな力というものがそこにあらわれておるんじゃないかと思っておるわけでありまして、その白化現象をいかにして食いとめていくかというような対策も講じていかなければならないと思っております。  また、那覇周辺で見ました漫湖の干潟の周辺でございますけれども、これまたすばらしい干潟があるわけであります。人工橋によって少しは環境も破壊されたような感じもするわけでありますけれども、しかし、その環境の変わった中にも、どういうふうにしてその干潟を保全していくか。大切な干潟でございますから、これまた管理運営していくために環境庁としてやるだけのことをやっていかなきゃならぬ、地元の市町村長さんにもお目にかかりまして強い要請を受けたところであります。  いずれにいたしましても、沖縄の自然のすばらしさを生かしながら環境行政の中に大いに生かしていこう、私はこう思っておるところであります。
  269. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 もう時間がありませんけれども。  要するに、今沖縄の観光客が非常にふえております。それはやっぱり、沖縄の自然、いわゆる海、そして空、そしていろんな環境問題、あるいは沖縄の文化、そういったふうなものが非常に今国民の間から沖縄を見直していこうじゃないかということもありますし、沖縄県自体で今までの、卑屈といいますか、軍事基地があるためにいろいろと虐げられたこともありますけれども、そういったことをはね返して自然に生きていこうというような、きれいな海、空、あるいは自然に恵まれた沖縄でありますので、ぜひ環境行政としてすばらしい沖縄をつくっていただくように要望いたしまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  270. 松谷蒼一郎

    委員長松谷蒼一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  次回は明三月十二日午前十時に開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会