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1999-03-09 第145回国会 参議院 国土・環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員長異動  三月八日委員長陣内孝雄君は法務大臣に任命さ  れたため委員長の地位を失った。     ─────────────    委員異動  三月八日     辞任         補欠選任      泉  信也君     田村 秀昭君  三月九日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     泉  信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     理 事                 太田 豊秋君                 松谷蒼一郎君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  板倉 英則君        国土庁地方振興        局長       中川 浩明君        国土庁防災局長  林  桂一君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        文化庁次長    近藤 信司君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        建設省住宅局長  那珂  正君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        労働省労政局勤        労者福祉部長   松崎  朗君    参考人        住宅都市整備        公団理事     島崎  勉君        住宅金融公庫理        事        邊見敬三郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備及び環境保全等に関する調査  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)     ─────────────    〔理事松谷蒼一郎委員長席に着く〕
  2. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員長が欠員となっておりますので、私が委員長の職務を行います。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備及び環境保全等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団及び住宅金融公庫役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 国土整備及び環境保全等に関する調査を議題とし、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について質疑を行います。    〔理事松谷蒼一郎君退席、理事太田豊秋君着席〕
  7. 太田豊秋

    理事太田豊秋君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 初めに、小渕内閣政策一つの大きな柱となっております生活空間倍増戦略プランについて御質疑をお願いいたしたいと存じます。  内政審議室長はお見えと思いますが、生活空間倍増戦略プラン概要について説明をお願いいたします。
  9. 竹島一彦

    政府委員竹島一彦君) 生活空間倍増戦略プランでございますけれども、これは小渕総理のイニシアチブによりまして始まったものでございます。  その趣旨は、経済再生内閣ということで、現下の景気にかんがみまして緊急経済対策を実施する、あわせて金融システムの安定に向けて緊急な課題に対応するということがございますけれども、当面のことだけではなくて、二十一世紀を控えましてこれからもろもろ社会資本整備をどういう観点から行っていくかということにつきまして、生活環境の質の面を含めまして、言いかえれば国民生活ゆとり潤いを持って行われるようにという条件整備を向こう五年間を視野に置いて重点的に実施していこう、こういう考え方に基づいて組み立てられたプランでございます。  具体的には、二つの政策分野から成っておりまして、一つ全国的な施策でございます。もう一つ国土庁中心になっておまとめいただいております地域戦略プランというものでございます。  それで、全国的な施策について申し上げますと、今申し上げましたような国民生活の質をよくする、ゆとり潤いを与えるということでございますので、これは都市に住んでいる方々地方に住んでいる方々、また年齢層によってもそれぞれのニーズが違うわけでございまして、一つ空間ということに限定するわけにはまいらないということから、私どもといたしましては、住空間から始まりまして、全部で十の生活空間というものをグルーピングいたしております。それにそれぞれの施策を割り当てておるということでございます。  例えて申しますと、住空間でございますけれども住空間につきましては、数字的な目標といたしまして、一人当たり床面積を向こう五年間でヨーロッパ並み水準、すなわち一人当たり四十平米弱の水準に引き上げることを目標といたしまして、もろもろのことをやる。御案内のとおり、大きな政策といたしましては、住宅税制の大幅な拡充、住宅金融公庫融資の大幅な改善ということ、あわせまして都市における住宅着工を、五年間で快適な都市居住環境に資するということで、五十万戸の都心部における住宅供給を行うといったような政策を盛り込んでいるものでございます。  以上でございます。
  10. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今説明があったようなことでありますが、一般的な意味での生活空間というと、住宅であるとか買い物空間とか公共的な空間とか、そういうのはわかるんですが、この空間倍増内容というパンフレットを見ますと、そういうような空間とは若干異なるようなものがかなり多いんです。生活空間倍増するという戦略あるいは政策というものは私も非常に共感を覚えるんですが、いかにも取ってつけたような観光の問題だとか、それ自体は悪いことではないけれども生活空間とは若干異なるニュアンスのものがかなりたくさん入っている。  その辺については、どういうようなお考えでしょうか。
  11. 竹島一彦

    政府委員竹島一彦君) 生活空間倍増戦略プランというネーミングになっているわけでございますけれども、その心は、先ほど申し上げましたように、生活ゆとり潤いを与えるということが実質的な問題意識でございます。  そういう意味から、今、観光ということはどうかというような御指摘でございました。これは三つ目空間として掲げております「遊空間田園空間健康空間」というのがございますが、この遊空間なり田園空間にかかわると思いますけれども、やはり観光ということでリフレッシュということにもつながって、心身のリフレッシュにも役立つということで、観光一つ意味のある位置づけだろうと思っております。  ただ、具体的に観光と申しましても、観光拠点整備でありますとか景観の保全というような事業観光という名のもとにやろうとしておりますので、ソフトだけじゃなくてハードのものも入っておる、こういうことでございます。地域によりましては、やはり最近観光の入りも減っているというようなところもあるわけでございますが、もともとが観光をいわばセールスポイントにして地域づくりをしてきたというところもありまして、そういうところを活性化するということも特に地域プランの中では幾つかのところが出てきていると、こういう状態でございます。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 私は特に観光だけを取り上げたわけではないんですが、そのほかにも、それ自体政策はいいとしても、空間という印象から遠く離れたような、例えば廃棄物処理であるとか緊急時の体制整備であるとか、何かそういうのが、いかにも生活空間倍増というイメージからは離れているような気がするんです。  池田内閣のときの所得倍増というのはきちっとした、はっきりしたイメージがありましたけれども、今回何となくそれがぼやっとした、言葉は悪いですが若干あいまいな政策に転化されているような気がするんですが、そこのところはできるだけシャープに問題点を絞ってやっていただいた方がいいんじゃないか。どうもこれを見ていますと、各省に投げているものだから各省がおのおの出してきたような気がするんですけれども、その辺はきちっとした対応を内政審議室中心でやっていられると聞いておりますので、今後ともそういうような形で取り組んでいただきたいというように思います。  そこで、一番大きな生活空間といえばやはり住空間でありますが、住空間については、住宅建設五カ年計画等住宅規模等についてのことを規定している、目標値を掲げているわけですが、これとの整合性はどうなっておりますでしょうか。
  13. 竹島一彦

    政府委員竹島一彦君) 公共事業につきましては既に各種の五計とか長期計画があるわけでございます。そういう言ってみると分野ごと公共事業長期計画というものを前提にいたしまして、今回の戦略プランはそれを生活ゆとり潤いを与えるという、いわば横の軸でもってとらまえ直したというような面がございまして、そういう意味整合性があるといいますか、物のとらえ方が縦と横というような関係にあるということを御理解いただきたいと思います。  具体的には、住宅につきましては今第七期住宅建設五カ年計画が走っておって、十二年度まで現行計画があるわけでございますが、そこにおいては一戸当たり平均床面積というのは百平米に持っていこうということが掲げられているわけでございます。  それと、今度、先ほど申し上げました一人当たり四十平米弱ということになりますと、何人家族かということになるわけでございますが、四人だったら四、四、十六、百六十平米弱ということになるわけでございますが、それと一戸当たり平均百ということにつきましてはちょっととらまえ方が違いますので、そのことだけを議論して整合性がない、あるというのはちょっとなじまないのかなと思っています。  ただ、期間が一致しているようなものもございまして、下水道の場合、これは下水道処理人口普及率を六六%に引き上げるということを生活プランでもそのまま使わせていただいているわけですが、これは現行下水道の七カ年計画と平仄がとれている。それから、都市公園整備につきましても同様でございまして、都市公園につきましては人口一人当たり公園面積を九・五平米にしていこうということが現行の第六次都市公園等整備七カ年計画、これは下水道都市公園もいずれも十四年度までの長期計画になっておりますが、これの最終目標であります数値目標整合性がとれているということでございまして、現行長期計画整合性のとれるというか、タイムスパンの合っているものはそれを使わせていただいている、こういう関係にございます。  これからもそういったそれぞれの部門の公共事業長期計画の進捗というものと合わせまして、両々相まってこの生活空間倍増戦略プランの実も上がるように各省施策との連携を図ってまいりたいというふうに思っております。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 建設省の方で見解はございますか。
  15. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 基本的には、今、内政審議室長からお答えしたとおりでございます。  住宅について申し上げますと、基本的な数値目標等については五計を踏まえながら整合性を持って作成したつもりでございます。ただ、横の総合的な観点というふうなことから住宅に関して申し上げますと、例えば「ヨーロッパ並み水準」という五計には触れていないような切り口での提示でございますとか、あるいは防災上危険な地域について五年間で半分程度をめどにして対応するというふうな新しい切り口提示というふうなものは行われておりますが、いずれにいたしても両者相まって努力をするというふうなことだろうと思っております。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今説明のように、ひとつ両者相まって、新しい切り口で新しい住宅政策を展開してもらいたいというように思います。  そこで、この戦略プランと、もう一つ地域戦略プランというのがあるんです。この生活空間倍増戦略プランのもちろん関連地域戦略プランというのはあるんでしょうが、空間倍増地域戦略プランの間の関係というのか連携というんでしょうか、そこのところがちょっとわかりにくいんですが、これはどんなふうになっているんですか。
  17. 竹島一彦

    政府委員竹島一彦君) 地域プランにつきましては全国的施策というのが、まさに全国的施策で、全国民を対象にした典型的なのは住宅減税というようなものがあるわけでございます。生活空間倍増戦略プランといえば地元住民により密着したそういった事業で、やはり住民方々が目に見え事業が展開されている、かつそれに自分たちの意思も何らかの形で反映されている。言いかえれば地方公共団体複数連携をとって自主的にテーマを選んで、地元に非常に密着した、かつ五年ぐらいできちんと実の上がるような事業を選んでやっていくということが実際問題非常に大事だろう、こういうことを考えまして地域戦略プランというものをこしらえているわけでございます。  したがって、その中身は、先ほど申し上げました住空間から始まりまして十の空間がございますが、これのどこかには関係することをそれぞれの地元においてニーズに従って選択してこられるだろうと、こういうふうに思っておりますので、全体は生活空間倍増戦略プランでございますが、この中の地域プランというのはまさに質的に、また意図するところは同じであるというふうに思っております。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 地域戦略プランは各地方公共団体に一応自主的に申請をしてくるという形で任せているんだろうと思うんですが、現在その事業申請の数はどのくらいあるのか、それから全国での事業規模はどのくらいあるんでしょうか。
  19. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 地域戦略プランにつきましては、一月の末にこのプランをつくるための材料である骨子ということで、どの市町村が組むかということと、そのテーマは何かということ、それから主な事業は何かということで骨子の御提出をいただいたところでございますが、現在、数字としては四百七十六カ所から出ております。  そして、事業費については、閣議決定でも総額五年間で四兆円ということになっておりますが、実は各地域方々からの骨子中身はまだ精粗まちまちでございまして、こういうこともやりたい、ああいうこともやりたいということが全部積み上がった形になっております。したがいまして、数字としては現在六十兆ぐらいの数字のものが出ておりますが、これは最終的には当然四兆円規模というものにしていきたいというふうに考えております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 四兆円規模に六十兆円というのはえらい乖離があるんですが、中身を見ても住宅中心というか生活空間中心地域戦略プランというのは余りないんです。川をつくるとか下水道をつくるとかそんなのばっかりで、何かその辺が、最初に内政審議室長が話した高邁な理想と若干違和感があるなという思いがあるんですが、そこのところの調整というものは国土庁内政審議室でどんなふうに行われていくのか。
  21. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 地域プラン事業採択基本方針として五つほど策定要綱上決められておりまして、例えば第一が地域みずからテーマを設定することとか、あるいは地域みずからの主体性と創意工夫のもとにつくられたものであることとか、関連施策間の連携が図られたものであるとか、あるいはトータルプロジェクトとして高い事業効果を持つものとか、あるいは民間投資の誘発や投資の拡大などの高い経済効果を有するものというようなプランとして出てきたものを、二十二省庁のもとにその原則を満たしたものだということを認定していこうというような手はずになっております。  今後、関係省庁とかあるいは地方公共団体連携協力のもとに、趣旨に沿ったものがつくられるように私ども全力でサポートしていきたいというふうに考えております。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 生活空間倍増という基本的な考え方に基づいて、今後六十兆円規模申請になったものをいずれかの地域に選択していくんでしょうが、やはり基本的な考え方生活空間倍増だという趣旨で選択していっていただきたいというように思います。  住宅に限らないんですが、例えば買い物空間であるとか子供たちが遊んでいく空間とか、そういうようなものをできるだけ中心に据えながら、観光客とかなんとかそういうのはできるだけ後回しにしてやっていただければと、本旨にのっとってやっていただきたいというように思います。  以上で生活空間倍増戦略プラン関連する質疑を終わります。  次に、住都公団から理事さんがお見えになっていらっしゃると思いますが、住都公団用地の問題について若干質疑をいたしたいと思います。  本年三月七日の朝日新聞に大きな見出しで「住都公団六百三十六ヘクタール未着工」という記事が出ておりました。郊外団地向け三百八十二ヘクタールが自治体と連携不足で全く開発めどが立っていない、こういうことでありまして、ある人の話によれば、これはむしろ銀行で言えば不良債権問題と同じ構図だというような記事でございましたが、この概要についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  23. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 住宅建設のために現在住宅公団保有している土地でございますが、九百二十三ヘクタールでございます。そのうち、ただいま先生の方からお話がございましたいわゆる未着工用地というものが六百三十六ヘクタールということでございます。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 数字だけでなくて、こういうような記事について住都公団としてどういうふうに考えられているのか。このとおりで不良債権が山のようにあって、これは大変なことである、住都公団はこのままいけばぶっつぶれるんじゃないかとか、そういうような心配をどうしても我々はこの記事を読むと感じるわけですが、それについてどういうお考えなのか。
  25. 島崎勉

    参考人島崎勉君) ただいま申し上げました六百三十六ヘクタールの保有地内容でございますが、いわゆる未着工というふうな表現になっていると思いますけれども、これは建築工事に着手していないという意味での未着工というような内容でございまして、そのうちのほとんど大部分は既に造成工事に着手しているものでございます。極端に申しますと、造成工事をしていないというのはほんの一、二団地というような状況でございまして、しかも今その団地の中には既に着々と入居者の方が入っている団地がございまして、その意味で現在進行中の用地であるというふうに理解をしております。  また、土地につきましても、例えば三十年以上の用地というようなことで具体的な名前も載っておりますが、例えば一番古い団地として高槻・阿武山という団地がございます。この団地につきましては公共団体との調整が若干おくれましたけれども、既に造成も終わりまして入居が着々と進んでおりまして、今年度も入居をしております。しかも、その団地につきましては非常に緑豊かな団地ということで、逆にいろいろな意味で評価をいただいておるようなことでございます。この土地の中で未着工土地として挙がっております用地につきましては、今後センター用地とかこれから住宅として建設する造成し終わった用地、それが含まれておりまして、その意味では具体的に使える用地である、こういうふうに考えております。  そういうことでございますので、不良債権化というようなことは、そういうものは全くないというふうに思っておるところでございます。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 不良債権はないというお話ですが、用地取得の時期というのはその用地ごとにいずれも違っているとは思いますが、かなり古いとき、例えば十年、二十年前からの用地取得であったとしますと、この用地が、右肩上がり用地価格が上昇をしているときであれば問題はないんでしょうが、今のように右肩下がり用地価格が下落をしているときには、これを保有しておりますと、保有についての金利もかかる、土地価格は安くなっていく、そういうような状況の中で果たして住都公団の財務を圧迫しないものかどうか。  中身をずっと精査しますといろんな用地があるんだろうと思うんです。例えば、用途からいえば、賃貸住宅用地もあれば分譲住宅用地もあるでしょうし、既に宅地造成をしたのもあれば宅地造成もしていなくて、この中には開発許可ができていないのがあるというような表現もあったように思います。いずれにいたしましても、全く造成にも手がついていないというような用地もあろうかと思うんですが、そういう中身を精査してみて、今のお話のように全く問題がないと言えるのかどうか、その点はいかがですか。
  27. 島崎勉

    参考人島崎勉君) ただいま申しましたように、現在進んでいる部分につきましては、その個別の分譲計画に基づきまして用地を処分しているということでございます。また、一部開発許可がおりていないというような団地につきましては、当初住宅用地ということで用地を買収したわけでございますが、必ずしも住宅用地にこだわらずに、現在の社会状況等の中で必要とされている土地利用ということで、そういう形の中で幅広く用地の活用を検討してまいりたいというふうに考えております。  その意味で、できる限り早く具体的な事業化に対応してまいりたいということでございます。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それでは、具体的に数値等について質問いたしたいと思いますが、住都公団賃貸住宅分譲住宅建設するための保有地面積価格。個別の価格というのは大変でしょうから、全体の価格で結構です。
  29. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 平成九年度の決算書ベースでございますが、住宅建設仮勘定というものがございますが、そこの仕掛かり中の面積が九百二十三ヘクタールでございます。それに対応した用地費は九千百二十三億円ということでございます。
  30. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その中で、住都公団の未着工面積は、新聞によれば六百三十六ヘクタールと出ておりました。ということは、九百二十三ヘクタールとの差が二百九十ヘクタールあるわけですが、これはどういう土地ですか。
  31. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 今の九百二十三ヘクタールと六百三十六ヘクタールとの差の約二百九十ヘクタールでございますが、これは現在建物が建ちつつある、現在建築工事に着手しているというような土地部分でございます。
  32. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そうすると、この二百九十ヘクタールは問題がない、既に事業に着手している、こういうことですね。問題はやはり六百三十六ヘクタールである。  では、六百三十六ヘクタールというのは全く何も手がついていないのか、先ほど言いましたように造成中ではあるのか、あるいは開発許可も出ていないのか、そのまま放置されているのか。それから、平均的に言えば何年ぐらい前から取得したものなのか。一番古いものは何年前から取得したのか。そういうことについてお答えいただけますか。
  33. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 六百三十六ヘクタールの具体的な活用でございますが、そのうちの一部につきまして、これから分譲住宅としては活用しない、今後分譲建設を行わないという土地が二百五十四ヘクタールございます。これらにつきましては、経過措置としてやむを得ずにやるものを除きまして、一部賃貸住宅への切りかえですとか、ないしは戸建て住宅用地としての宅地分譲、さらには民間の事業者とのいろんな共同分譲事業、そういうようなものとして活用をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、いわゆる分譲として予定していた用地以外の用地でございますが、この用地の中には既に学校用地とかあるいは道路、公園用地、そういうものも含めてこの保有土地の中に入っております。ですから、それは必要な本来の目的として公共団体にお引き取り願うとか、そういうことを行ってまいりたいと思います。  なお、それ以外に、先ほど申しましたように当初住宅用地として計画しておった用地につきまして、必ずしも住宅の用途ということにこだわらずに多面的な観点から土地の利用の仕方を考えてまいりたいというふうに考えております。
  34. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 開発許可を得ていないで取得した用地というのもあるんですか。
  35. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 調整区域での用地取得でございましょうか。一部調整区域の状況であるというような用地がございます。
  36. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 どのくらいの規模でしょうか。
  37. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 二カ所で約百七十ヘクタール程度でございます。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 百七十ヘクタールといえばかなりあるんですが、山林か何かよくわかりませんが、調整区域なんでしょうね。そういうところはやっぱり住宅を建てようという計画、そこに学校とかなんとかというのは余り考えられないので。そういう目的でしょうか。
  39. 島崎勉

    参考人島崎勉君) その二カ所のうちの一カ所につきましては、住宅ということにこだわらずに地元の市町村と具体的な土地利用の協議をこれからも鋭意いたしまして、広い意味での用地利用を考えているというような、今地元市町村との協議の段階でございます。
  40. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その用地はいつごろ取得したものですか。
  41. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 昭和四十八年から昭和五十年にかけて取得したものでございます。
  42. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そうすると大分前ですね。四十八年、もう二十年以上前だ。では、大分土地価格が下がってきているかもしれないですね。  なかなかそういうのを処理するのは大変ですが、今度は住都公団都市基盤整備公団に移行する、その法案がいずれこの委員会にかかると思うんですが、その場合に、都市基盤整備公団としては分譲住宅から撤退をするとなると、そういうような土地はどういうように都市基盤整備公団に移管されるのかわかりませんが、賃貸住宅中心にして建てるということになるわけですか。
  43. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 都市基盤整備公団につきましてはこれから御審議をいただくわけでございますが、今現在時点での考え方といたしまして、賃貸住宅につきましてはできるだけ都心居住ということを目指してつくるというような考え方でございます。  具体的な今お話がございました土地につきましては、相当距離的にも郊外部でございますので、その土地の利用につきましては、必ずしも住宅ということにこだわらずに考えてまいりたいというふうに思っております。
  44. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅にこだわらないといっても、そんな遠いところはなかなか難しいだろうと思うんだけれども住宅でも余り遠いところは難しいかもしれない。では、どういう目的で当初買ったのかという問題はあります。そのころは、土地がどんどん上がっていくだろう、とにかく用地を押さえておかなくちゃいけない、あるいは大規模開発をやろう、こういうような考えでやったんですが、それが調整区域のために開発許可がなかなかおりないとか、そういうような問題もあって若干不良資産、不良債権化してきたのかなというように思うんです。  新しい公団に移行する時期でもありますから、こういった用地については、できるだけ早く基本的な考え方を整理して、それでこれを処置していく必要があるだろうというように思います。このまま行けば、九千億を超える用地費で一兆円に近いわけですから、これについては住都公団としてもきちっとした対策を立てられる必要があるだろうと思うんです。  もちろん、住宅というのは用地がなければ建設ができないわけで、そういう意味では先行取得をする必要がある。先行取得については、予測というか見通しというのが求められるのでなかなか不分明なところがあって、とにかくこれはいい計画用地として出ているから何とか早く用地取得をしておこうよと、その気持ちはよくわかります。わかりますが、現在になってみれば、そういう調整区域にあるような用地については若干赤字が出ても処置をしていく必要があるんじゃないかなというように思いますが、その点いかがですか。
  45. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 現在の公団が保有しております用地につきまして、個々の用地についての固定資産評価等との関係考えますと、具体的な処分ということに関しましてはそれぞれの個別の話になるわけでございますが、公団全体の用地保有状況考えますと、現在、保有土地に見合う推定の評価、そういうものがマイナスになっているということはございません。  その意味で、全体としての経営的な問題はないというふうに考えてございますが、特に分譲から撤退を計画している用地につきましては、できる限り全体の計画の中で速やかに不必要な用地の処分を進めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そういえばそうかもしれません。四十八年というと非常に古いから、逆に言えばその後だんだん土地は値上がりしていって、それからまた下がってきて、今はちょうどとんとんぐらいと。だけれども、この後また下がる傾向がありますから、やっぱりその辺はきちっとされた方がいいだろうというように思います。  余り土地が下がり過ぎるとこういうような問題が各所に出てくるんだろうというように思うんですけれども、いずれにいたしましても、公団としては、先行きの見通しを十分立てながらきちっとした対策を立てる必要があるだろうというように思います。  ところで、六百三十六ヘクタールというのが未着工である。これは、価格にすれば時価で大体どのぐらいの価格になるんでしょうか。
  47. 島崎勉

    参考人島崎勉君) 六百三十六ヘクタールに対応した用地費でございますが、今の用地費につきましては六千百五十一億ということでございます。
  48. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 かなりの価格でありますし、これの対策については住都公団としてもきちっとやらなくちゃなりませんが、あわせてやはりこういった公団の未着工保有地の活用につきまして、建設省としてきちっとした指導をしていく必要があるだろうと思いますが、建設大臣に御所見を伺いたいと思います。
  49. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 住都公団の方から答弁をしておりましたが、こういうような記事が出まして、私も調べてみましたら、いわゆる住宅自体をそこには建てないけれども、その購入いたしました土地はもう大半が造成工事等に入っておるというようなことを伺っております。ましてや、公団が分譲の分野からは撤退をするというわけでございますから、先生御指摘のように、これは早く、そういう購入したものはその目的に向かって的確に進めていかなければならないというふうに私は指導をいたしておるところでございます。
  50. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、住宅着工関係あるいは公庫関係について質問をいたしたいと存じますが、現時点で、住宅着工状況、昨年からことしにかけて着工状況、それからその中での見通し、これについて住宅局長、いかがですか。
  51. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 住宅着工データでございますが、御案内のとおり平成九年度百三十四万戸でございまして、平成十年度、この三月までに何万戸ぐらいが出るかということに私ども大変注視して、注意深く見守っているわけでございます。  そこで、毎月ごとに建設される着工戸数を年率に換算いたしまして、その月ごとに瞬間風速としてどのぐらいの建設着工の勢いがあるかという数値を出しております。これが、本年度、昨年の四月から六月ぐらいまでは百二十万戸台で推移しておりましたけれども、御案内のとおり、八月以降百十万戸台に下がりまして、十一月には百十万戸も切った、そういうような勢いでございます。  また、秋から年末にかけまして、緊急経済対策あるいは住宅税制の拡充等の措置によりまして少し、こういう着工統計の先行指標でございます住宅展示場への来場者数とか、あるいはマンションの販売契約者、契約状況等、これらの先行指標が十二月、一月と好転してきております。  着工戸数につきましては、先ほどの毎月ごとの瞬間風速は、十二月が百十五万戸、一月が百十六万戸とまだ停滞といいますか、必ずしも具体的な数値で好転は示しておりませんけれども、今申し上げました幾つかの先行指標が大変明るい兆しを示しているものですから、これから二月分、三月分という着工戸数にそういう傾向が具体に反映することを期待している状況でございます。
  52. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅展示場への来場者数がふえてきた。それから、その辺は私もちょっとよくわからないんですが、着工に向けての住宅の契約状況が好転してきた。契約してから着工になるまでは大体どのぐらいかかるものですか。
  53. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 先ほど申し上げましたのは、マンションの契約状況が具体的に対前年度何割増しという数値として出てきております。  御案内のとおり、マンションの場合はでき上がったもの、あるいはでき上がりつつあるものを契約するわけでございますので、次の着工に結びつくのは、また経営判断等ございまして、ダイレクトにはちょっと申し上げられないと思いますが、一般的に戸建ての注文住宅の場合で申し上げますと、大体リードタイムが平均して二、三カ月と聞いております。
  54. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 住宅ローン金利が非常に低い水準にある、住宅金融公庫の金利も二・二%である、それから住宅取得ローン減税の大幅な拡充がある、今、地価ももちろん下がっています等々によって住宅建設する環境というものが非常にいい環境にあるわけです。  一方、景気はなかなか先行きが不透明だ。その中で契約ベースがふえてきたということは、やっぱり潜在的な住宅に対する需要が非常に大きいものがあるからだろうというように思うんですが、心配なのは、減税は一年、二年単位で行われるでしょうが、金利の動向なんです。一時、長期金利がかなり上がって二・二%ぐらいになって、長期金利というのは財投金利に連動し、財投金利を原資とする住宅金融公庫の金利に影響するわけですから、ちょっと心配したんですが、今長期金利も安定して下がってきた。このままいくかどうかよくわかりませんが、そういうことからして、住宅金融公庫の金利がまだ二・二%で継続されれば、私はこういった住宅への契約のいい動きというものが助長されていくのかなというように思うんです。一方、住宅金融公庫の金利がこれからもずっと二・二%ですよ、あるいはもっと下がりますよとなると、逆に投資意欲が薄れるのかなという気もあるし、その辺がなかなか投資家の心理というものは難しいところがあるだろうというふうに思うんです。  ただ、言えることは、住宅金融公庫の金利が二・二%という非常に低い金利で今設定されております。これが非常に大きな影響を与えていることは間違いないと思います。ですから、できましたら何とかこの二・二%の低金利というものを今後とも据え置いて継続していけないものかなというように思うんですが、その辺はいかがですか。
  55. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 先ほどちょっと御説明漏れがございましたが、そういう幾つかの先行指標の一つとして住宅金融公庫の申し込みの状況がございます。  御案内のとおりかと存じますが、十二月末に締め切りました本年度第三回目の申し込み受け付け戸数も対前年約四五%増と大変いい傾向を示しているところでございます。そういう明るい兆しが見えてきたことを受けまして、現在、第四回目の受け付けを継続中でございますが、これが当初三月十二日までの受け付け期間でございましたが、基準金利は二・二%でございますが、これを三月二十六日まで実質二週間延長するところとしたところでございます。  なお、その受け付け期間終了後の金利につきましては、四月時点の財投金利などを踏まえましてその時点で判断することといたしております。
  56. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 判断はするんでしょうけれども建設省としては政策官庁だからやっぱり金利をきちっと、金利だけではないかもしれないけれども住宅建設がやっと高まりを見せてきたんだから、これに対しては建設省としても何とかこの勢いを持続するように政策的な展開をやっていきたいという強い希望を示していただけるかと思ったけれども、そこまではいきませんでしたので、ここは建設大臣にお願いいたしたい、そういうふうに思います。
  57. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今の小渕内閣が経済再生ということを至上命題として努力しておるわけでございますが、今先生御指摘の問題点がもうすべての問題に私は関連しておるんじゃないかと思うわけでございます。  金利が安ければこれにこしたことはないわけでございますが、この三月二十六日までまた延ばしたわけでございますが、それをどのあたりまで堅持を続けていけば、今のいささか住宅投資が上向きになってきておる、契約数も非常に大きなものになってきておるというようなことでいいんですが、これをいつまでも果たして続けていくことができるのか。そういうことになると、どうしても住宅金融公庫の今度は財政が堅持できないわけですから、それをどこで、どの時点で判断するかというのは本当に私は難しいところだと思うんです。  そして、いつまでもそういうような低金利でやらないと住宅が伸びてこないというのであるならば、それはどこかで切らなければますます赤字国債がふえてくるわけですから、もう本当に先生御指摘のように私も正直のところ悩んでおるわけでございまして、三月二十六日以降多少は延ばしてみたいなと思っておるのが正直のところでございます。しかし、これをことしいっぱい延ばすなんということはとてもできない、またやるべきことでは私はないと思っております。
  58. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 どうもありがとうございました。  大変厳しい経済政策の運営になると思いますが、やはり住宅あるいは公共投資社会資本投資というのはこれからの景気対策に非常に大きな影響を与えるものというように思いますので、建設大臣初め大いに御努力をいただきたく心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  59. 山下善彦

    ○山下善彦君 先ほど松谷委員からも御質問がございました生活空間倍増戦略プランについて、数点質問をさせていただきたいと思います。  このプランは、先ほども審議室長の方から御説明がありましたように、向こう五年間を視野に置いているということでございますが、果たして向こう五年間で生活空間倍増できるか、必ずしもそう簡単な問題ではないと思われます。しかし、二十一世紀に向けて国民が夢と希望を持って、ゆとり潤いのある生活空間を確保できるようにすることを目標にしている点につきましては、私は高く評価をいたしておる次第でございます。  現在、我々のこの日本はすべての面で閉塞状態に陥っております。日本の経済社会全体に元気がなくなって、将来に対する何とはなくの不安が日本人全体を覆ってしまっております。このような状況の中で、需要拡大と景気回復に資するようなこのプランは、まさに時宜を得たものであると私は確信をいたしております。ぜひとも、このプランの実現のために最大限の努力をしていただきたい。特に、総理がこのプランの中で五年間を視野に置いているという点は非常に私は重要であると思うのであります。  今回のこのプランに基づく予算を重点配分するという措置について、地方自治体の中には本当に五年間重点配分をしていただけるのか、こんなことを心配しているところがございますが、まず最初に、この処置は五年間継続していただけるのか、その点について伺いたいと思います。
  60. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 今、先生も御指摘ございましたように、このプランについては、向こう五年間を視野に置いてそれぞれ地域からプランをつくっていただく。そのつくっていただいたプランに関しましては、国として予算の重点配分を行うということを閣議でもお約束しているわけでございますので、そういう意味で、私ども五年間に関して国として最大限の支援を行うということを決めているところでございます。
  61. 山下善彦

    ○山下善彦君 閣議決定で確約をされていると御理解してよろしゅうございますね。
  62. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) というふうに理解しております。
  63. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  生活空間倍増といっても、地域地域によっていろいろこの生活空間をめぐる実情というのは非常に異なったものであると思います。例えば、都市部と地方というものを見た場合に、都市部の場合には、非常に居住空間というものは狭いけれども、文化だとか教育だとか娯楽などのそういう場面に触れるチャンスは非常に多くありますが、他方、地方に行ってみますと、居住空間そのものは非常に多いけれども、文化とか教育、娯楽空間というのは非常に少ない、こういうことが言えるのではなかろうかと思います。  地域のそれぞれの問題、そして実情を十分に反映して施策を講じることが重要であると思いますけれども、この点を今回のこのプラン全国施策の中でどのように考えておられるのかが一点。また、都市地方との間に施策の不均衡を生じないようにする必要があると思われますが、この点をいかに解決しようとしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  64. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 今回の地域戦略プランに関しましては、都市地方の各地域がみずからテーマを選ぶということでございますので、それぞれの都市なら都市地方なら地方の課題をお選びになっていただいて、複数の市町村が広域的に連携して関連施策間の連携が図られたプランをつくる。  例えば、これまで出てきているものを拝見いたしますと、都市の場合は安全、安心の問題、こういうことに関する空間をふやしていくとか、地方の場合は、にぎわいだとか活性化だとかあるいは田園のいろいろな整備にかかわるような空間づくりというような、それぞれの地域の特色を持ったテーマをお出しいただいているんじゃないかなというふうに思います。そしてこれに関して国が、二十二省庁でございますが、一体となってサポートしていくという仕組みをとっている次第でございます。
  65. 山下善彦

    ○山下善彦君 この生活空間倍増戦略プランの中というかそういう位置づけかどうか、先ほども若干説明がございましたけれども地域戦略プラン、今もいろいろ御説明をいただきましたけれども地域の複数の市町村が広域的な連携のもとにこのプランを策定してきている。この一月中がタイムリミットだったわけですが、そんなことをもう役所でも御存じかと思います、実情を。  具体的な事業を実施しようとしていきますと、これは通常のことでありますが、一つの市町村の中でさえも関係者の利害が錯綜してきている。今回のこの計画のように複数の市町村が共同でプランをつくらなければならないといたしますと、その間の調整が非常に難しかったのじゃないかなと私は推察するわけでございます。  またしかも、このプラン骨子の提出が一月中というタイムリミットの中で、地方もこういうことになったから提出をしてくださいよというものの、大変な苦労をされたんじゃないか。その苦労の結果がこの一月末ですか、各骨子として役所に提出をされたと思いますが、実情はどのような形になっているか、その点をお伺いしたいと思います。
  66. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) この地域プランにつきましては、参加と連携という今回の五全総の考え方にも沿って地域の方で自主的につくっていただくというようなことで考えておりまして、今御指摘のございましたように、一月中にプランをつくっていただくための材料である骨子というものをお出しいただいたというのが現在の段階でございます。  その中身につきまして、今御指摘ございましたように、それぞれの地域ではこういう事業もやりたい、ああいう事業もやりたいということで、現在のところいろいろな精粗まちまちの事業を盛り込んできております関係上非常に大きな数字で、先ほど松谷先生の御質問にもお答えしましたけれども骨子の段階では事業規模が六十兆にもなっているわけでございますが、これは集計自体意味があるわけじゃなくて、そういういろんなものをまず盛り込んでいただいているということでございます。  今後、実はこのプランにつきましては、事業の総規模を五年間で四兆円程度ということにしておりまして、現在、各都道府県別に事業費をお示ししまして、その内容とか規模が本来の趣旨に沿った適切なプランとなるようにコーディネートを都道府県の方にまずお願いしておりまして、国土庁としても、地域方々といろいろな意見交換をするために三月中にも全都道府県を回りたいというふうに考えております。
  67. 山下善彦

    ○山下善彦君 この地域戦略プランに対しての支援策としては、先ほども説明がございましたが、国が特に予算の重点配分を行うとしているわけでございますが、かつてふるさと創生事業が実施をされました際、市町村がみずからの判断で地域振興のために使える一億円を交付したことがあるわけでございます。しかし、私としては、この事業は市町村の主体性を尊重して弾力的に使える予算を提供したということに対して十分意義があったと思うわけでございますが、その経験を踏まえて、今回の施策に生かすべき点を十分生かしていただきたい、そんな気持ちを持っております。  そこで、いわゆるふるさと創生事業を担当しておられます自治省にお伺いをしたいと思います。  この施策によってこれまで全国でどのような事業が行われてきたのか、できるだけ具体的にわかれば教えていただきたい。また、各地域でどのような成果があったのか、その点についてもお伺いをしたいと思います。また、現時点でふるさと創生事業そのものをどのような形で自己評価というか評価をされているのか、三点、自治省さんに伺いたいと思います。  また、実績があるわけでございますが、その実績を踏まえて、今回のこの生活空間倍増戦略プランにどんな形で生かしていけるのか、そんなことのお考えがありましたら、あわせてお伺いをしたいと思います。
  68. 香山充弘

    政府委員(香山充弘君) お答え申し上げます。  自治省では昭和六十三年度にいわゆる一億円事業というのをスタートさせまして、その後ふるさとづくりハード事業を組み合わせまして、一連のふるさと創生施策によりまして自主的な地域づくりを支援してまいったところでございます。地方団体はこれらの措置を活用いたしまして、地域の実情に即して、ある場合にはイベントの開催あるいは伝統行事を復活させる、あるいは健康・スポーツ施設の整備、学習・文化施設の整備あるいは広範な文化振興その他各般にわたる事業を推進していただいたと考えております。  この評価でありますけれども、これによりまして地域づくりの機運が全国的に盛り上がりましたこと、これが第一の収穫だろうと思っております。同時に、地域の活性化に対して住民の広い参加が見られるようになったこと、これと連動いたしまして市町村の企画能力が向上したといったようなことが大きな成果であるというふうに考えております。  一方で、反省点といたしましては、これは何年も経るうちにやはり多少事業がマンネリ化したり、全国で画一的な事業がたくさん見られるようになった、さらには地方財政に批判的な方々からは、時に小規模団体に対する財政措置として手厚過ぎるんではないかといったような批判も見られるようになったところでございます。  こういったことを踏まえまして、自治省におきましては平成十一年度から、地域創意工夫は大切にするというこのふるさと創生の理念は生かしながらも、事業の目的といたしましては、地域を支える人づくりとか地域経済の再生といった、地方団体が自立するために基本となります重要なテーマに絞り込んで重点的な財源措置を講ずることといたしまして、事業規模一兆円で地域活力創出プランというのを推進することにいたしました。この関連で、いわゆるふるさと創生の一億円事業というのは廃止することといたした次第であります。  同時に、今お尋ねがありました地域戦略プランでありますが、これは私どもなりの理解でいたしますと、公共投資に関しまして地域の発想を大事にし、なおかつ広域的な連携のもとに進めていこう、こういう新しい方式だと考えておりますけれども、この事業の中に公共事業とあわせまして地方単独事業というのも盛り込んで、全体として地域の実情に即した膨らみのある計画をつくっていただきたいというふうに考えておりまして、この地域戦略プラン計画策定主あるいは地方単独事業に対しましては、地域活力創出プランで用意いたしました地域総合整備事業債の枠を用意いたしておりまして、この戦略プラン関連事業につきましても積極的に支援をすることといたしておる次第でございます。
  69. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございました。  総理は、昨年の景気対策の中で、公共事業の縦割り、ばらまきを改善していかなければいけないと言っておられるわけでございますが、この点については私も全く同感であります。これまで私も県会議員として県の行政とのかかわり合いの中で感じてきたことでございますが、地方の立場で言えば、縦割り行政の弊害を地方が一番よく知っていると言えるのでございます。  県では、各地域のための各種の計画や構想を幾つも作成いたしておりますけれども、これをいざ実現しようとすると、当然県の単独事業だけでは不十分であるために国からの補助金を要望することになるわけでございます。この際に、事業の種類ごとに関係省庁も異なるわけでございまして、事業ごとに要望書や申請書を各省庁に別々に提出をしていかなければいけない。同じ省庁の中でも、事業内容が違えば局も当然異なってくるわけでございまして、それぞれの局に陳情をいたすことになるわけでございます。このために、年末の予算編成時期には、御案内のとおり、地方自治体の職員は要望書を抱えて霞が関にちらばっている各省庁を一つ一つ訪問していかなければならず、公共事業関係省庁の廊下には地方からの陳情団が列をなすという場面が大体年末のテレビのニュースの放映で国民の皆さんの前に出るわけでございます。  このように、縦型陳情を受けて、各省庁の担当部局は分野ごとに、道路ならば建設省の道路局、河川改修事業ならば河川局、農業用道路ならば農水省と、そういった関係各省庁にそれぞれがそれぞれの分野ごとに有しております事業の採択基準を当てはめ、かつ予算の範囲内で箇所づけを行うという作業を行ってきたわけでございます。  しかしながら、このようなやり方では国の各省庁の都合で予算が決められて、実際に事業を実施する地方の実情が十分に反映されないとか重複投資、むだな投資が行われたりとか、これまでのこのような問題に対応していくために各省庁で公共事業を担当する方たちの連絡会議というのが持たれているということを伺っているわけでございますが、私どもが見ている範囲内ではなかなかまだ十分な連携がとれているとは言えない状況ではないのだろうか、そんなふうな感じがするわけでございます。  そして、一方で、地方分権委員会の第五次勧告の中で、地方事業の自主権を移譲すべきだという議論が出ていたわけでございますが、この路線上で、特定の目的を持った分野が異なった複数の補助金を統合して具体的な中身の配分は地方に任せるといった統合補助金の提言がなされたところであるのは御承知のとおりであると思います。  このような時代の要請を踏まえますと、二十一世紀型公共事業の推進を図っていくためには、今述べさせていただいたような縦型の陳情行政と分野ごとの予算配分方式を抜本的にこの際改善していかなければいけない時期ではないのか、こんなふうに考えられるわけでございます。  今回のこの生活空間倍増戦略プランの進め方として、地域戦略プランの実施に当たっては、地区一括採択方式ですか、この方式を導入すべきだとうたっております。私は、少なくともこの方式の導入は新しい時代における公共事業などの効率的な実施に向けまして、実に意義深い第一歩になるのではないかと考えております。  そこで、今回の生活空間倍増地域戦略プランの実施を契機に、公共事業に対する各方面からのいろいろな批判があるわけでございますが、これにこたえると同時により効率的にかつ効果的で国民の血税を真に有効に活用するといった観点から、公共事業関係費それ以外の地域振興に役立つような各種補助金については、その配分方法を抜本的に見直してみたらいかがだろうかと思うわけでございます。  そこで伺いたいのでございますけれども、この生活空間倍増地域戦略プランの実施におきまして、一つの実験的な試みとして、予算の配分に当たって重複投資を避けて効果的、効率的な投資を行うとともに、先ほど述べましたように地方各省庁回りをやらなくても済むように国が総合的な窓口を設置いたしまして、その窓口で一つ地域プランに含まれる事業について、省庁が異なるものでも一括して採択するといった方法をとるべきと考えますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  70. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生、鋭いところを突かれておるわけでございまして、またその方向に今この地域戦略プランにつきましては進めようとしておるところでございまして、そのために今回の地域戦略プランにかかわります国土庁の予算として二千五十億円の推進費というのを獲得いたしております。  それをもとにいたしまして、二十二省庁国土庁が総合窓口になりましてそのプランニングを選定し、またその決まったところに各省庁も予算を重点的に配分していただきますように指導するというような体制を組んでおるところでございまして、全く先生御指摘のような方向に現に進めておりますので、これが大きな試金石に私はなるのではないか。  ですから、今後はそういう意味において一括方式とか、また中央省庁の再編ということで、例えば建設省でございましたら運輸省と国土庁と北海道開発庁の四つが一つ国土交通省というものになるわけでございますが、今でございますと海岸の事業だとかそういうものは運輸省にもございますし、建設省にもございます。そういうようなことで、本当にそういう予算の張りつけは私はおかしいと思っておるんですけれども、そういうようなこともこの中央省庁再編で是正されるわけでございます。  ですから、予算の配分というようなこと、そして組織からいいましても今後は今までのような予算編成時になると各地方公共団体が各役所を回るなんというようなことは私は少なくなってくると思っておりますし、またその方向に持っていかなければならないと私も考えております。
  71. 山下善彦

    ○山下善彦君 ぜひことしの暮れにはなるほど変わってきた、こんなことで御指導いただければありがたいと、こんなふうに思います。  今の予算の関係関連するんですが、予算の配分方式の改善という立場からもう一つ重要な点は、公共事業関係費の対象が過去長期にわたりまして、どちらかというと固定的であったのではないか、こういうことでございます。  これから新しい時代を迎えていく、かつ我が国を取り巻く社会経済情勢が大きく変化をしようとしておりまして、世の中が産業構造から社会構造もグローバルスタンダードとの関係においても大きく変わっていくことが求められておるんではないかなと思います。このような状況の中で、我が国の社会インフラに対して投資の重要な部分を占めております公共事業関係費が、時代の変遷の中で実態に合わせてその内容を変化させていかなければならないということは、これはもう異論の余地がないと思うのであります。  特に、今回のこのプランにおきまして予算の実施となりますと、私も若干提出された骨子を資料として見させていただきましたが、公共事業中心となっているんではないか、その中でも従来型の道路や橋などを中心とするのではなくて高齢化社会を控えて高齢者が暮らしやすくするための社会基盤整備だとか地球環境の問題の解決に向けた投資、また情報化社会への対応などのための投資などの分野に公共投資というものを重点配分すべきではないのか、こんなふうに考えております。  さらに、これらの点を踏まえて、公共事業の定義につきましても今のこの時代に合わせた内容を取り込むよう考え直す必要があるんではないか、こんなふうに思っております。  以上、申し上げましたような観点から大蔵省に伺いたいと思いますが、公共事業関係費の各省庁別の配分割合は今日までどのような形で推移をしてきたのか、お伺いをしたいと思います。
  72. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。  御指摘の公共事業関係費の省庁別予算配分につきまして、いわゆる関係所管別の構成比の数字で申し上げますと、平成十一年度は、建設省が六七・〇%、農林水産省で一八・六%、運輸省六・八%、厚生省三・八%等となっております。  この十年間、数字には変動が見られるわけでございますが、同じ関係所管ベースで十年前に当たります平成元年度の数値を申し上げますと、同じくそれぞれ建設省で六八・二%、農林水産省で二二・〇%、運輸省で六・二%、厚生省で三・一%等となっております。  なお、若干付言して申し上げますと、この社会経済状況の変化あるいは国民ニーズの変化に対応した公共事業内容の見直しにつきましては、先ほど申し上げました所管別あるいは事業別のシェアの変動幅以上に個々の事業中身、例えば先生御承知だと思いますけれども、道路整備におきますところの高規格幹線道路整備とか港湾におきます特定重要港湾等整備というようなことで、中身が相当変わってきているということについてもぜひ御理解を賜りたいというように思います。  以上でございます。
  73. 山下善彦

    ○山下善彦君 ここで、今六十数%を占めております特に公共事業関係費の内訳の多くを占められます建設省に伺いたいと思います。  建設省の中の公共事業費の事業対象別内訳、過去十年間、どのように推移をされてきたのか、お伺いしたいと思います。
  74. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答えをいたします。  建設省所管公共事業事業別の配分推移でございますけれども、十年間で比べてみますと、例えば道路整備事業でございますけれども、過去十年間、十年前の平成元年でございますけれども、当初予算で四二・三%のシェアでございました。これが平成十一年度当初予算案、今御審議いただいております予算案で四〇・七%ということで、一・六%の減でございます。治水治山事業でございますが、これは二一・二%から一九・九%、一・三ポイントの減。都市計画事業は一九・〇から二〇・三ということで一・三%の増。住宅市街地整備でございますが、これは一七・五%から一九・一%ということで一・六%の増。こういうような形になっております。  非常に変動幅が少ないような感じをあるいは山下先生受けられるかもしれませんけれども、十年間ではこうでございますが、例えば昭和五十五年とか四十年というようなものと比較をいたしますと相当大幅に、例えば下水道でございますと、四十年度は二・五%ぐらいのシェアでございましたけれども、現在ではこれは一七・八%のシェア、そういうように大変大きな変動もございます。また、先ほど藤井次長から御答弁がございましたけれども、それぞれの事業内容によりましてその時々のニーズを的確につかむような形で相当変わってきているということを御理解いただきたいと思います。
  75. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  十年間では余り変化がない、五十年代から比べると相当の変わりがという御説明もいただきましたが、私どもがはたでいろんな資料を見ていると、公共事業関係費の内訳というかそんなものがあると、長い間ほとんど、確かに数字をきちっと並べていけば変化があるのは当然でありますけれども、トータルで見ますと変化がないように受け取られるわけでございます。  この公共事業費と非公共事業費という分類方式も、先ほども申し上げさせていただきましたように今見直すべきではないか、こういうふうに思いますが、これは今御答弁を大蔵省と建設省からいただきました。それをお聞きの中で、大臣からお伺いしたいと思います。
  76. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 確かに、公共事業というものももちろん大きく変わってきたわけでございまして、これまでは何といいましても道路だとか河川だとかダムだとか、もちろん住宅もございますが、そういういわゆる社会資本整備といいましょうか、そのもの自体であったと思います。  もう終戦後半世紀たってきたわけでございまして、今後公共事業という内容も私は当然大きく変わってくると思います。それは、国民の皆様方の要望がやはり生活そのものを豊かにする方向の関連する公共事業というものになってくると思うわけでございまして、結局そこに小渕総理が提案されました生活空間倍増計画であるとかあるいはこの地域戦略プランであるとかいうものが出てきたわけでございます。ですから、こういうようなことを進める過程において公共事業内容も当然私は変わってくると思います。  ですから、今後は住宅空間倍増していく問題であるとか、あるいはいわゆるバリアフリー化というようなことで、道路においてもそういうようなこと、あるいは共同溝の開発をしていくとか、下水道をなお一層整備していくとか、心の安らぎを得ることができる、いわゆる都市の大きな公園ではなくして数分でどなたでも行くことができるような、その町の中に一つぐらいは安らぎの公園があるというような、今度は心の豊かさを求めることができる公園の整備であるとか、そういうようなものに公共事業というのも変わってくると思います。  あるいはまた、昨年は特に豪雨で水害がございましたが、そういうような防災対策という意味での公共事業というものも大きく伸ばしていかなければならないのではないかなというふうに私は考えております。  今世間でとやかく、建設省公共事業は従来型あるいは古いとかいうようなことを言われまして、いわゆる科学技術の方面であるとか環境公共事業であるとか、これは今もございますけれども、文教関係であるとか科学技術の関係公共事業というものがいわゆる新型と言われておりますが、もちろんそういう分野もどんどん私は伸ばしていかなければならないと思います。  しかし、片や、いわゆる社会資本整備も、道路などに至ってはまだ半分しかこれが達成できておりません。ましてや高速道路だとかあるいは高規格道路というものは、まだそこまで進捗率が達成できておりませんから、その点もまた並行して私は伸ばしていかなければならないと思います。先生御指摘のように、もう今までのような形だけの公共事業の時代ではなくなってきた。それは建設省でも見直しておりますし、いわゆる我々の生活そのものを豊かにする、逆に言えばソフトの方向にも大きく方向がえをしていくときに私は来ておると認識いたしております。
  77. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  地域戦略プランの方ですが、地域戦略プランテーマというものは、地域が自主的に選択をしていけば予算を何でも配分するということでは困るわけでございまして、この辺は国として地域戦略プランの重点予算配分というかそういうものをしっかり心がけていただきたい、こんなふうに考えております。  最初に私ども説明を受けたときに、地域戦略プラン、四百カ所、百億円、こういう数字を見ていますと、地域説明の中でもこの紙切れがずっと出てくる。では百億円くれるんだな、それだったら何でもかんでも突っ込んでしまえということで、恐らく先ほど出ていたように一カ所で一千六百億円になってみたり、いろんなそこら辺の戸惑いも出てきたのではないか、こんなふうに思うわけですが、この地域戦略プランに対しての予算の重点分野の絞り込みと言うんですか、そんなものをしっかりやるべきだなと私は思っておりますが、その辺の考え方を伺いたいと思います。    〔理事太田豊秋君退席、理事松谷蒼一郎君着席〕
  78. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 現在、そういう事業中身をこのプラン趣旨に沿ったふさわしいものにしていただくために、都道府県別に事業費の総枠をお示しして、そして再度中身を詰めていただいている。最終的には、時期を二カ月ほどおくらせまして五月末までにプランをつくろうということで今作業をしていただいている。  そして、その重点化でございますが、ではどういうプランならば国として二十二省庁そろって認定するかということにつきましては、策定要綱上、地域がみずからテーマを設定したもの、それから二番目として、地域みずからの主体性と創意工夫のもとにつくったもの、さらに関連施策間の連携が図られたもの、それからトータルプロジェクトとして高い事業効果を有すること、さらには五番目として、民間投資の誘発や投資の拡大などの高い経済効果を持っているものというようなことで、各省庁でこれをお認めしようというような手順で運びたいと思っております。
  79. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  先ほど述べさせていただきました一括採択方式、これについて伺いたいと思います。この方式を直ちにこれから導入するということは難しいことかもしれませんけれども、少しでも理想に向かって実際に事を起こしていく、こういうことが必要であると思います。予算執行に当たっても十分にこの点を配慮していただきたいと願う次第でございます。  そこで、国土庁に伺いたいと思いますが、今度のこの国土庁の持つ推進費、二千五十億ですか、ございますね。この推進費は国土庁地方自治体から各種の補助事業に関する予算要求を受けて独自に予算の配分を決めるということなのか、その辺、一括採択方式について関連で伺いたいと思います。
  80. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) この予算の性格でございますが、この予算は地域戦略プランに基づく事業の円滑な推進を図るため計上されました目未定経費でございまして、プラン各省庁一括して皆さん複数の事業をそれぞれの地域事業として認定をして、そして各省の予算の重点配分を行うとともに、国土庁に計上されている予算につきましてもそれぞれの各省庁の事業スケールに合わせて国土庁から各省庁に移しかえを行った後、執行していただくということでございます。  したがいまして、このプランにかかわる推進費の配分については、国土庁プラン策定主体の事業推進の考え方各省の予算配分状況等を勘案して最終的に具体的な配分を決定するということとしております。
  81. 山下善彦

    ○山下善彦君 今のお話を伺っていまして、先ほど僕が述べさせていただいたように、廊下をあっち行きこっち行きという話をしましたけれども、これまた各省庁への配分の中で、今はこのプラン国土庁が窓口としていろいろ説明を受けておるわけですね。そうすると、建設関連すること、農林に関連すること、そうなってくると、またまた各地方公共団体国土庁へ行って説明したことをまた農水省へ行ったり建設省へ行ったりと、こういうことが起きる懸念があるんじゃないか。そんなことを是正する一つの今回のこの計画、非常にいい機会だなと思いましたものですから、その辺懸念をしておりますが、その辺についてはいかがでございましょうか。
  82. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 先ほど大臣からもお答えございましたように、一つの大きな試みとして今回こういうプランづくり、それから総合窓口としての国土庁と。先生からも一括採択方式というようないろいろな考え方、まさにそういういろんなところをぐるぐる回るようなことをできるだけなくそうという考え方のもとに現在仕事を進めさせていただいている。  ただ、最終的に実はこの予算の例えば補助事業の交付決定というのはそれぞれの大臣の権限ということになりますので、最終的にはこの予算を各省庁に移しかえて執行していくということでございますが、プランそのものの認定については国土庁を窓口としてやっていくということを考えております。
  83. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  公共事業関係の推進費が二千億円ということでございまして、内訳はソフト事業の方には五十億円、そういうことになっております。若干これから時代の要請にこたえてソフトの面も力を入れていかなければいけないんじゃないか、こんな意見が多いわけでございますが、ソフト事業などにも十分な予算計上をする必要があると思いますが、その辺についてお考えを、これは大臣に伺いましょうか。お願いいたします。
  84. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先ほどの御質問にも関連しますけれども、ですから今回国土庁が窓口になって事業の認定もいたしますし、それから予算の重点配分を行う。小渕総理が提唱されましたように、バーチャルエージェンシーというんですか、先生御指摘のように、いろいろな役所に陳情に行かなくてももう国土庁を通してやっていただくという形式でこれは進めていきたいと思っているわけでございます。  それと、先ほど御指摘がございましたように、国土庁からの地方公共団体に対します説明が私は本当に十分でなかったと思うわけでございまして、補正予算の陳情みたいな内容のものが非常に多かったものでございまして、私の愛媛県なんかは全部道路のことだけが載っておりまして、もう恥ずかしく私は思いました。ですから、そういうようなことは地方公共団体もいけないけれども、私はやっぱり国土庁の、この地方戦略プランというものはどういうものかというのが私は十分に行き渡っていなかったと思うんです。  それで急ぎ六チームをつくりまして、全国へなおその趣旨を徹底させるように役所の人が説明に行くようにいたしておりますし、それと三月の末までだったのですけれども、それではもうとても間に合わないということで五月の末まで延ばしましたので、この趣旨は徹底していくことはできると私は今自信を持っておるところでございます。
  85. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  冒頭、五年間これは確実にやっていただけるのかな、こういう確認的な問いかけをさせていただきましたが、この地域戦略プランが提出をされて認定される、こういうことになるわけですが、この地域戦略プランとして最終的に認定をされればこのプランに対する必要な予算というものは必ず配分されると考えている方が多いわけですね、考えている方というより地方公共団体なんかは。その辺はどんなものでしょうか。
  86. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) これは認定されたプランに基づく事業については各省庁において五年間重点配分するということをもうお約束しているわけでございますので、私ども国土庁としては各事業所長とともに万全を期してこの予算がつくようにしていきたいというふうに思っております。
  87. 山下善彦

    ○山下善彦君 たびたび確認をして済みません。  生活空間倍増戦略プランについてずっと伺ってまいりましたけれども、私はこのプランは二十一世紀をにらんで新しい地域振興の手法を試すための大きな意義を持った事業だと確信しております。公共事業関係費の使い方の見直し、縦割り行政の弊害の除去、地方分権を生かした具体的な事業の進め方などの点において、これからの時代を先取りするような新しい手法をぜひこの際取り入れるように努力をしていただきまして、このプラン国民の夢と希望の実現に貢献できるような形で実施されるよう願いながら、大臣の今後のこのプランに対しての御決意を伺いたいと思います。
  88. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 御指摘のように、この地域戦略プランが目的のとおり実行されましたら、あらゆる変革のまず第一歩が達成できたことになるんではないかなと思っておりまして、それだけ責任の重さということを感じております。  私もそうそういつまでも国土庁長官というわけにはいかぬのでしょうけれども、本人は希望しますけれどもなかなかそうはいきませんので、私がいる限り、あるいはまたかわりましても政治家として一生懸命バックアップしていきたいと思っております。
  89. 山下善彦

    ○山下善彦君 質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  90. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  91. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、田村秀昭君が委員辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。     ─────────────
  92. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、国土整備及び環境保全等に関する調査を議題とし、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎でございます。よろしくお願いいたします。  大臣は所信表明の中で、「建設行政の基本的使命は、住宅社会資本整備を通じて、限られた国土を適正に管理し、真に豊かな国民生活、活力ある経済社会を実現すること」だというふうにおっしゃっております。  そこで、大臣、建設行政目標である「真に豊かな国民生活」をどういう意味でおっしゃっているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  94. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 一口で述べますのは大変難しいと思うわけでございますが、これからは少子高齢化社会になってくるわけでございまして、まず御高齢の方々が穏やかに生活することができるようにバリアフリー化の推進による生活環境というもの、そして生活空間を拡大していきたい。あるいはまた道路だとか公園の整備とか、そういうようなものを推進いたしまして快適で機能的な都市空間の拡大を図っていく。あるいはまた、昨年は大変水害が多かったわけでございますが、防災対策の推進を行いまして、安全で安心できる生活環境をつくっていきたい。それから、道路の整備あるいは情報通信のネットワークの整備などを行いまして、都市地方のいわゆる利便性を享受するものに格差がないようにそういうようなことをやっていく。  そういうようないわゆるハードのものをつくり上げまして、生活の中でゆとり潤いを感じる、そしてまた経済的にも活力に満ちた社会をつくっていく、そういうような意味を含めて「真に豊かな国民生活、活力ある経済社会」というような表現をしたわけでございます。  ただ、そういうようなハードの面がまず第一歩には来るわけでございますが、やはりそれに続きますものとしまして心の安らぎといいましょうか精神的な安心、安定、そしてまた安全というものがなければ真の豊かさというのは感じることはできないと思うわけでございまして、いわゆるハードそしてソフトの面、両方から整備を行っていくということで述べたつもりでございます。  しかし、なかなかこれは言うはやすし行うはかたしのところがあるんだろうと思いますが、自分はそういう感覚で一生懸命建設国土行政をやらせていただきたいと思っております。
  95. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣が言うはやすく行うはかたしというふうに今おっしゃられましたように、多分私たち国民の側も、これまでの建設省が行ってきたことに対して、本当にそれが実現する方向で行くんだろうかという疑問を感じている人が非常に多いだろうというふうに思うんです。  これまでに何回も指摘されておりますけれども、やっぱり景気対策というところで公共事業地方財政の破綻の大きな原因になってきている。これはいろんなところで指摘されておりますし、大臣もそのように思っていらっしゃるだろうと思いますけれども、昨年発表の緊急経済対策や現在審議されております九九年度予算でもやはり公共事業に景気対策として大きな予算がつけられました。その効果は一時的に企業の在庫であるとか資金繰りを解消するものにとどまって、私はこれは対症療法ではないかなというふうに思います。  民主党としては、未来への投資、セーフティーネットの張りかえということを主張しておりまして、政府は雇用維持の手段と化してしまったこれまでの公共事業を続ける道を選んでしまっている。宮澤大蔵大臣も、緊急経済対策のための各省庁の予算要求の項目を見て、従来と変わらない項目ばかり並んでいるということを察しまして、工夫が足りないと嘆いたというふうに報道されているわけなんです。  これまでのやり方を反省して必要な投資を効率的に行うためには、公共事業のあり方の反省というものが必要だというふうに思っております。大臣の所信を伺いましても、また建設白書を見ましても、建設省公共事業に対する強い批判を相当意識しているということが感じられます。  建設省は、一つの対応として昨年、公共事業のアカウンタビリティ向上委員会を発足させましたけれども、その委員会が先月十日に行動指針を発表しております。この行動指針は、これまでの公共事業の推進の仕方は誤っていた、こういう反省に立った指針なんでしょうか、お伺いいたします。
  96. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答えをいたします。  先生御指摘のとおり、公共事業のアカウンタビリティーの向上を図るために従来いろいろな取り組みをやってまいりました。事業評価システムの導入あるいは公共工事のコスト縮減対策もそうでございます。あるいは入札・契約制度の改革自体も実施をしてまいりました。  しかし、行動指針策定作業の一環としてアンケート調査を私どもは実施いたしましたけれども、およそ一千人の方々のアンケート調査の結果、七割の回答者の方々公共事業についての情報提供の充実度につきまして十分でない面がある、不足をしている面があるというふうにお答えになっていることからもわかるように、現在の公共事業につきましては国民の方から見て十分に納得のいかない点もあるのではないか、こういうふうにも考えられるわけでございます。  ことしの二月に策定をいたしました行動指針は、このような点を踏まえまして、さらなる公共事業のアカウンタビリティーと申しますか説明責任と申しますか、そういうものを向上させることを目的として策定したものでございまして、今後はこの行動指針に基づいて情報提供の充実でございますとか事業の評価の明確化あるいは公共調達の改革の継続というようなことにつきましても、十分意を用いて実施していきたいと思っております。
  97. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この行動指針の意義というのは、不必要なものがあった場合にはそれをとめられるかどうかだというふうに私は思うんです。  例えば、県や政令市は建設省の方針に沿っていわゆる時のアセスメント機関である再評価委員会を発足させておりますが、日経新聞の調査によりますと、事業採択後五年間経過しても着工していない、あるいは一定期間経過しても継続している事業のうち、この再評価委員会の見直しによって中止、休止が決定された事業はわずか一%強にすぎない、こういうふうに書いてあります。これでは、期待した再評価委員会の実効性はどれほどのものなのかなというふうに思います。  この調査結果について、自治体による再評価の限界を指摘する声がある一方で、建設省の方は必要な事業が正確に必要と判断されたというふうなコメントを発表しているんですけれども、この認識のギャップを埋めるためにも判断基準や見直し過程の公開というのが必要だというふうに思うんです。  そして、わからないといえばダム事業に関するものなんですけれども建設省の再評価です。合わせて十九のダムが中止、休止となりましたけれども、直轄事業は中止になっておりません。これはなぜでしょうか。
  98. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) ダム事業の見直しにつきましては、ダム等事業審議委員会、またダム事業の総点検、さらには事業再評価システム等により適宜進めてきたところでございまして、直轄事業につきましては、平成八年度に日橋川上流総合開発事業、稲戸井調整池総合開発事業の二事業を平成九年度から中止するという決定をいたしております。また、平成九年度には、前の川ダム、矢田ダムの二事業について平成十年度から休止、また細川内ダムを十年度から一時休止、さらには平成十年度には、新たに江戸川総合開発、矢作川河口堰の二事業について平成十一年度から休止するという決定をしたところでございます。  中止したものもあり、休止したものもあるわけでございますが、休止というダム事業につきましては、事業の緊急性、地元状況等から、次年度の予算要求を行わずに代替案も含めた見直し、検討を行おうというものでございまして、その代替案が固まり次第、中止に至るというふうなものと認識いたしております。
  99. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 このダム事業の見直し基準について、行動指針の中で客観的な基準を設けるということがすごく大事で、判断理由を公開することにつながるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) それぞれダム事業は、個別にいろんな地域事情、河川の状況、また今までの洪水の被害の状況、また水事業状況等、個々にいろんな問題をそれぞれの流域で抱えているわけでございまして、その一つ一つ地域状況に照らして判断していくというものであろうかと考えております。
  101. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ところで、その中央省庁の改革推進本部で、政策評価がお手盛りになることを避けるために、総務庁に民間人によります第三者機関を設置する方針を決めました。  このことを建設省はどう評価なさいますでしょうか。
  102. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 政策評価につきましては、改革基本法におきまして、一つには各省ごとに政策評価部門を確立する、それからもう一つは、より一層厳格な客観性を担保するために省の枠を超えて政策評価機能を強化する、こういうふうに基本法では明定されているわけでございまして、これを受けまして先般、一月でございますが、政府で大綱が決定されました。その大綱の中に、先生が今御指摘になりましたような「第三者的評価を可能にする仕組みを整備することを検討する」と、こういうふうに大綱ではうたっております。  現在、この大綱を受けまして、具体的な実施体制といいますか、方法等について政府部内で検討を進めているという状況でございますが、私ども建設省といたしましても、政府全体としての検討の中で対応させていただきたいというふうなことでございます。ただ、もうしばらく実施体制、細部については時間がかかるかと思います。
  103. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひ今の第三者的ということと、その向上委員会は建設省の内部機関であるということでしたけれども、今後は見直し基準の設定、運営を行っていくに当たっては、やはり民間人による第三者機関、この活用がぜひ必要だというふうに思いますので、ぜひ検討をしていただきたいと願います。  ところで、昨年の本会議で大臣に対する質問で、建設リサイクルの取り組みについて伺いまして、前向きの御答弁をいただきました。この建設残土につきまして、本来リサイクルがしやすいはずなのに、あるところでは残土と別のところで発生した盛り土の需要がかみ合わないためにリサイクルが進んでいないというふうに聞いているんですけれども、この建設リサイクル推進計画97でもストックヤードの建設や情報交換システムを構築することを盛り込んでおりますが、その進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  104. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 環境問題の大変大きなウエートを占めますリサイクル問題ということについては我々も真摯に取り組んでいるつもりでございます。  御質問のございました建設残土でございますが、平成七年度、建設省で行いました副産物の実態調査、これによりますとリサイクル率は約三二%になっております。その後平成九年にリサイクルの推進計画97、今御質問ございましたようなことで取りまとめまして、これでは計画の中で、平成十二年度には今申し上げた三二%を八〇%までやっていきたい、大変数字としては高うございますのでなかなか問題も多いと思いますが、そんなことで特に公共事業の発注者に対しまして建設リサイクルのガイドラインというのを昨年八月に指示いたしております。  なお、建設残土の場合には、公共工事のいわば工事間の利用ということも大変重要だと思っておりますので、これは今申し上げました施策の中で、特に本年の四月から各発注者間におきます建設の発生残土の搬出あるいは搬入の情報をオンラインで交換するという仕掛けもやってまいりたいと、こう思っております。
  105. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 建設省が苦労しながら準備をされております建設リサイクル法ですけれども、私自身は、本来、環境庁がこれから環境省になりますので、そのリサイクルに関しては環境庁が指導力を発揮するということがすごく大事だというふうには思っておりますけれども、ぜひ建設リサイクル法の中で事業者責任の考え方をきちんと盛り込んで、また残土の処理について対処できるようにしていただきたいと考えております。その点、よろしくお願いいたします。  一番最初に、私は大臣に真に豊かな国民生活についてお考えを伺いました。みんなが自立して生活ができる、そして自立した個人なり企業なりといった社会の参加者、市民ですね、つまりみんなが協力し合う、全員参加という、そういう社会が真に豊かな国民生活だというふうに私は考えております。政府が真に豊かな国民生活の実現を目指す姿勢を明確に示すためには、男女の共同参画、バリアフリー、先ほど大臣が触れてくださいました自然との共生、そしてまたNPOの育成といった課題、目に見える形で重点的に取り組んでいくことが大事だというふうに思っております。建設白書でもこの課題を重要としておりますけれども、その問題意識が必ずしも予算配分には私は明確に反映されていないというふうに思います。  厚生省の国民生活基礎調査によりますと、六十五歳以上のいる世帯数は千三百五十九万世帯で、全世帯の三一%を占めております。およそ三世帯に一世帯が六十五歳以上の方がいる計算になるわけなんですけれども、この割合はわずか十五年程度で半分近くになるという数字も聞いております。  そうした中で、社会制度審議会は、平成七年度の住宅・町づくりは従来社会保障制度に密接に関連するというこの視点が欠けていた、このために高齢者、障害者が住みやすいという点から見ますと、諸外国に比べて極めて立ちおくれている、社会福祉や医療の負担につながっているというふうに指摘をしております。住宅都市のバリアフリー化が、高齢者や障害者の生活の質の点から大変重要であるというふうに思っておりますけれども建設省のバリアフリーへの取り組みについて代表的な例、そのための予算、その予算がどれだけふえているのかを含めてお示しいただきたいと思います。
  106. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 若干具体的な予算については、恐縮でございますが後ほど御報告させていただきたいと思います。  基本的な対応でございますが、私ども平成六年でございますが、六月に生活福祉空間づくり大綱というものを決めさせていただきました。これは、建設省が担当しております分野について、生活福祉という観点からもろもろの行政の方向あるいは講ずべき具体的な整備水準というものを体系的に定めたものでございます。  例えば、この中では二十一世紀の初頭を念頭に置きまして、高齢者の安全に配慮した住宅を五百万戸確保したいとか、あるいは車いすがすれ違えるような幅の広い歩道を約十三万キロ整備するというふうなこと、さらには歩いていける範囲に公園のネットワーク約十一万カ所、こういうふうなものを整備するということを目標としてうたっております。若干の現段階での進捗状況でございますが、例えばケアつきの公営住宅につきましては平成九年度末までに約八千戸強整備するとか、あるいは先ほど申し上げました幅の広い歩道につきましては十三万キロのうち三万七千キロくらいがもう既に整備済みであるというふうなことで、私どもなりに精いっぱい努力させていただいているということでございます。  御質問にございました予算については、後ほど御報告させていただきたいと思います。ちょっと手持ちの資料ございませんので、恐縮でございます。
  107. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 バリアフリー予算の今数字が出てこないんですけれども、そういうまとまったくくりはしていらっしゃらないということも事前に伺っているんですけれども、やはりこれまでの公共事業と比べたら非常に低いという印象を私は持っているんです。今努力をされているということなんですけれども、やはりバリアフリーの重要性から考えますと、素直に考えればそれは建設省としては非常にいびつな感じだと私は思います。ぜひともこれまでの公共事業をむだなものについては減らしてでもバリアフリー予算をふやすことができないかというふうに思うんです。  バリアフリー公共事業は中小の建設土木業者、こういうところでも受注できるのではないかというふうに思っております。もちろん、受注企業の事情もあって翌年に急にふやす、それから倍増とか、そういうことはできないだろうというふうに思いますけれども生活福祉空間づくり大綱で示されました目標規模を拡大する、それから二十一世紀初頭とされている目標、どのぐらいというふうに決められていないようなんですけれども、ぜひこれを私たちとしては二〇〇五年ぐらいまでには明確化して本格的に取り組む姿勢を示していただきたいというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
  108. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 具体的な数字につきましては先ほどお話ししたとおりでございます。ただ、例えば公共賃貸住宅整備等については、バリアフリー化のための予算が今年度につきましては国費で二倍を超えるような倍率で伸ばさせていただいております。  その意味では、私ども精いっぱいの努力をしているつもりでございますが、ただ今後の高齢化社会の進展を考えた場合には、平成六年のベースでそのままというよりは、やはり現実をにらみながら、その都度点検をして中身を充実させていきたいと思います。
  109. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民間住宅についてはバリアフリー化に関する指針を設けて融資の面で優遇を受けられる制度になっているようなんですけれども、指針による対応では間に合わないんじゃないかというふうに思うんです。  建築基準法の中に、例えば車いすの方が自立した生活ができるようにといった性能面からの規定を盛り込んでいただきたいというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  110. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 建築基準法は、御案内のとおりすべての建築主、建築物に対して一律に一定の基準の遵守義務を課す制度でございまして、その基準につきましては国民の生命、財産の保護という観点があるとはいえ、やはり必要最小限のものであるべきであると思います。  一方、現在、住宅を含めました建築物についてバリアフリー化を義務づけたらというようなお話でございますが、そういったことについてすべての国民のコンセンサスが十分得られていない現段階においてはなお難しいと考えております。このため、私どもとしては、いわゆるハートビル法、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律に基づきまして、補助、税制、融資などの施策を講じまして、高齢者や障害者の方々に配慮した建築物の整備の促進に努めているところでございます。  今後とも、まずはこれらの措置をもっともっと活用して積極的に建築物のバリアフリー化を推進していきたいと思います。
  111. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話の中で、国民全体の合意が得られていないというような御意見でございましたけれども、私たちは国民は全員参加で、あるいは住民の皆さんたちが一人一人参加して建設省のあり方や何かを考えていくことが真の豊かな国民生活であるというふうに、大臣もおっしゃっているわけですから、私たちもすぐに、あすもしかしたら障害を持つことになるかもしれないし、行く道は高齢者です。大臣も所信の中でもおっしゃっております。  それでは大臣にお伺いしなきゃならなくなります。今のようなお答えでは十分ではありません。やはりバリアフリーということは国民全体が願うものであり、私たちの将来の生活としてそうあるべきだというふうに思っておりますけれども、合意が得られないということに関してぜひきちんとしたお答えをいただきたいと思います。
  112. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) バリアフリー化につきましては、平成十一年度の予算でも、いわゆるシルバーハウジングの供給ということで約三千四百戸、それから高齢者向け優良賃貸住宅などは一万戸というような予算もつけておるわけでございまして、バリアフリー化ということは、これはどういいましょうか、もう常識の範囲だと私は思っております。  そういう方向に向かって進んでいくことは常識の範囲と私は思っておりますので、局長は今のような答弁をしましたが、彼の立場でそういうようなことを言ったんでしょうから、私が責任を持ちましてバリアフリー化を進めてまいりますから、よろしくお願いいたしたいと思います。
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。ぜひ一緒にそういうバリアフリー社会に向けて頑張り合いたいと思っております。  バリアフリー等の福祉型公共事業への転換あるいは社会のお金の使い方を転換していくためには、私は女性の視点も大変大事だというふうに思っておりますが、建設省職員のうち女性の比率をぜひ教えていただきたいと思います。
  114. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 建設省の女性職員二千四十八人ということでございまして、職員全体に占める割合は九・一%、これは平成十一年一月一日現在の数字でございます。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 総理府提出のこの通常国会で審議されます男女共同参画社会基本法案の中でも、あらゆる分野に女性が進出してそして物事を決定していく場に女性がいるというときに、建設省の職員の中にもその視点を持っている女性がいるということがとても大事だというふうに思っております。  このときに、アメリカと対比しては何なんですけれども、やっぱりアメリカのクリントンはすごいですね。ちょうどあれはブラックマンデーですから一九八七年のことになりますけれども、あのときに失業者が大量に出た。日本の中では今四・四%の完全失業率で二百九十八万です。そして、女性が四・二%、男性が四・五%ということで、男性と女性とそんなに違いなく厳しい状況にある。その失業者がふえたときに女性のオーナーをきちんと助成する、育てていくということで女性ビジネスオーナー法というものを一九八八年につくっているわけなんですけれども、そういう女性起業家の支援ということを国を挙げてやっていっていただきたいというふうに思うんです。この部分がクリントン政権は進んでいる。それは彼が力を入れたからということもあるわけなんですけれども、今そういうふうに盛んに女性たちが福祉から経済的自立へというスローガンを掲げまして、女性たちには非常にトレーニングもさせる、あるいはまた就職、起業の助けをするという政策をきっちり打ち出しているわけなんです。  この係は通産省の施策になるかもしれませんので通産省の方に、どうでしょうか、女性起業家の支援ということで力を入れてくださっておりますでしょうか、お答えください。
  116. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 私どもとしましても、意欲のある事業を起こしたいという女性を支援することは大変重要だと思っておりまして、実は来年度から、女性が起業する場合の設備資金それから運転資金につきまして、中小企業金融公庫とそれから国民金融公庫を通じまして低利の融資をするという制度を発足させたいというふうに思っております。  それから、こうしたことは広く女性に知ってもらうということが非常に大事だというふうに思っておりますから、PRにも重点を置きたいと思っておりまして、通常のこういった機関での窓口のPRはもちろんですけれども、特に今月の初めから全国主要都市で労働省と一緒になりまして起業家のセミナーを開催しているところでございます。
  117. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 せっかく来年度から本当にやる予算をとって滑り出すということでございますから、ぜひともこのPRを徹底して、女性たちがなるほど私がそうなってみよう、そのためのトレーニングですとかあるいはそうした各県の中でいろんな講演会を開いたり指導してくださるということをお願いしたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  118. 江崎格

    政府委員(江崎格君) せっかくつくる制度でございますので、ぜひ皆さんに活用してもらいたいと思っておりまして、いろいろなチャンネルを通じましてPRに努めたいと思っております。
  119. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう一つ大事なことがありました。データベースの作成、これからスタートしないと、どのぐらい起業家がいて、そしてどのぐらいのことをしなきゃいけないのかというのがわからないと思いますが、データベースの作成はいかがでしょうか。
  120. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今確かに女性の起業家についての正確なデータがございませんでして、今、日本ですと経営者の中で女性の占める比率というのは五・五%ぐらいと言われておりまして、これに対してアメリカは三〇%を超えるというふうに言われております。  それからフローで見ますと、例えば国民金融公庫に開業支援ということでお借りになられる方の女性の割合というのは大体一五%前後でございますけれども、さらにデータの収集に努めるべく努力をしたいと思っております。
  121. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  最後に、大臣、NPO法というのが昨年十二月に施行されまして、私も民主党の中でNPO委員会というものをつくりましてその役割を仰せつかっているわけなんですけれども、このNPOの位置づけについて建設省考えをお伺いしたいと思います。  NPOに何を期待するか、そしてNPOに協力してもらうとか下請という形ではなくて、計画段階からNPOに参加してもらうことが重要だと思いますが、NPO育成について何を考えるか、この二つをぜひお伺いしたいと思います。
  122. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) まず、事実として私どもがやっておりますことについて事務的に御説明したいと思いますが、いろんな意味ニーズが多様化いたしております。その意味では行政と国民が力を合わせる共同作業が必要だと思います。  そういうふうな観点から、例えば河川管理でございますが、地域住民方々に河川敷管理の一環としての草刈り等々をお願いする場合に、あわせて花壇としてそれを利用するとか、そういうふうなことをお任せするというふうなことも現在進行形の話としてやらせていただいております。こういうふうな方向で、いろんな分野で同じようなことがあると思いますので、努力すべきテーマだと思います。
  123. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) このNPOの活動で建設省との関係ということでございますが、これは役所の方、私たちも考えますが、この分野は先生特段にお詳しいわけですから、どういうことがあるかということをひとつ逆にお教えをいただきたいと思います。そのことを私らはきちっとやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  124. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。大臣、それではそれを二人三脚でやりたいと思います。  二十一世紀はやはり市民の皆さんたちが自立をして、自発的に非営利で頑張っていくということで、私たちが考えます民主主義というのは、地方分権でそして情報公開されてそしてNPOだというふうに、私は自分がその役割を負っておりますのでそのように考えておりますので、ぜひよろしくお願いします。  質問を終わります。(拍手)
  125. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  まず、国会議員はもう一つ地域の代表でもある、そんなことを含みながらこれから質問させていただきます。  まず冒頭に、昨年、福島県も含めてまさに未曾有の災害が起きました。太田理事はおられませんけれども、同じ福島県でございまして、その中で先週ちょうど復旧河川等についての採択もいただき、また福島県でまさに念願であったんですけれども、阿武隈川の河川の大改修ということで、一様にそれぞれ被災地の皆さんは安堵している状況のまず報告と御礼をさせていただきます。  まず、先般の大臣の所信の中で、建設行政が経済的な大きなファクターを担っているという所信がありましたが、私は先般、これは半分冗談話かなと思いながらも、きんさん、ぎんさんの話が実はありまして、あるインタビュアーがきんさん、ぎんさんに、百四歳になってまだきんさん、ぎんさん働くの、どうしてそんなに一生懸命働くのという話をしましたら、きんさん、ぎんさんが老後が心配だからというような話をしたと。まさにそれぐらいある意味では経済が疲弊しているのかなと、そんな思いでもありました。  そのことを思いますと、どうしてもさらに思い出すのが、おととしの行財政改革法の中で公共事業のマイナス七%削減ということを国会で議決した。あの辺がある意味では風邪を引いたところに氷水をかけて、その後一生懸命いろんな事業をやるにつけてもなかなか立ち上がれない元凶になっているし、また事業の中でアルファ部分というか、民間投資に対する誘発部分も出てきていないというのが大きな今のこの低迷する景気の原因になっているのかなと。  そこで、大臣に、まさにマイナス七%、今凍結をされているわけでありますけれども、これはタイミングというのがうんと大事だと思うんですが、今後どんなふうに、建設相また国土庁長官それから国務大臣としてどのような思いであるか、所見をお聞かせ願いたいと思います。
  126. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 公共事業経済効果あるいは社会の資本整備におけるそのスタンス、位置、また重要度等々というのは、いろいろなところでそれぞれの御意見を伺っておりますが、戦後半世紀たった今日、その役割またその効果等々もいろいろ変わってきておると思うわけでございます。  変わってきておりますが、やはり私は、この景気を支えておるものには公共事業それから消費というものがあると思います。それからまた、側面からと言うとおかしいんでしょうが、税制改正であるとかあるいはまた地方分権であるとか規制緩和であるとか、そういうようなことがすべてうまく歯車が回って経済社会を足腰の強いものにしていくことができると思うわけでございまして、そういう中にあって、私は、やはりこの社会資本整備でございます住宅であるとか道路、河川、ダム、そういういろいろな建設省の範疇にある公共事業の役割というのはいまだ大きなものがあると思っております。  ただ、その内容はいささかまた変わってくると思うわけでございまして、先ほども答弁させていただきましたが、当然これからは環境と共生のできる、そういう開発でなければなりませんから、そういう意味環境分野の公共事業ということにもなってまいりましょう。それから、これからの日本の経済を支えますのはやはり日本発の科学技術の開発だろうと思うわけでございまして、科学技術に関連いたします公共事業というもの、それから、今も文部省等々で営繕事業ということで言われておりますが、そういう文教関係公共事業というのもまた時代に合ったやり方で進めていかなければならないと思うわけでございます。  当然そういうようなことで、私はとみに感じますのは、先ほどの御質問にもございましたように、この公共事業を進めていくためには、アカウンタビリティーといいましょうか情報公開ということ、これをきちっとやっておかなければ進めていくことはできませんから、なお私は説明責任というものが大きくなってくると思います。  それともう一つ、私は建設省に参りまして当初言いましたのは、先ほど言いましたように自然を破壊して今までの生活水準を得ておった。しかし、今までの我々の生活水準を少し落としてでも自然と共生できる、そういう開発でないとだめじゃないかということを私はお願いしたわけでございます。そういうようなことも考え合わせながら、自然を破壊することなく、この公共事業というのはそういうことにも注意をしながら進めていかなければならないと考えておるわけでございまして、大きに世紀が二十一世紀に変わりますが、それと時を同じくして、この公共事業というものもしたがってあらゆる意味から見直していくということは、私は当然やっていかなければならないと考えております。
  127. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 次に環境の問題の話をさせていただこうかなと思ったらもう大臣から答弁がありましたが、まさに今、二十一世紀に向かって、私はいろんな分野で自然環境との共生ということが出てくると思います。  たまたま我が県に国道二百八十九号線というのがありまして、ここもまたそれぞれの地域の念願であったんですけれども、その権限代行の直轄でトンネルを今掘らせてもらっているんですけれども、その起工式のときに初めて、これがエコロードの第一号であると、そんな話を聞かせてもらって地域の人は非常に喜んでいるわけであります。まさに二十一世紀の道路行政も河川行政についても、例えば道路行政の中で、本当に自然の中の道路、ある意味ではウサギとタヌキと一緒に走れる、そんなドラマというかドリームというか、そんな道路ができたらな、そんな気持ちも持っているわけであります。  そういう中で、今後の自然環境建設行政の調和、なかんずく道路、河川、これからの方針をひとつお伺いしたいと思います。
  128. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、建設行政の中でも環境政策というのは最重点課題だと私たちも認識しております。  若干旧聞に属するお話でございますが、平成六年一月に建設省環境政策大綱というのをまとめまして、環境を内部目的化したところから、そのときから既にそういう問題にも取り組んでおるわけでございます。  先生から御質問がございました道路、河川につきましても、先生方の御地元でも各種の事業をやらせていただいておりますが、その際に環境についても十分配慮していくという姿勢はそれぞれ現場で持っていると思います。多少細かくなりますが、例えばルート選定につきましても、今お話のございましたように当然豊かな自然との協調ということも考えておりますし、それから構造物につきましても、そういう意味では従来からデザインとかそういう点も十分配慮しながら、あるいは材料その他についても工夫しております。  まだまだ十分でないところがあろうと思いますが、これからの我が国をかんがみますと、ストックを活用していく、既存の投資を活用していく国土管理、国土整備の時代を我々は二十一世紀において迎えるわけでございますから、もちろんまだ社会資本整備がおくれているところは多々ございますけれども、そちらの方の促進とあわせて、その際には今申し上げました基本的な姿勢を持ってやってまいりたいと思っております。  くどくなりますが、河川につきましても、河川法の改正を平成九年六月にやらせていただきまして、その目的の中には河川環境整備保全という視点を入れさせていただいたことも、ひとつ建設省の取り組み姿勢として御理解いただければと思っております。
  129. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 おとといでしたか、出前行政というのが新聞の一項に載っておりまして、ある意味で私はこれはうんと大事な話かなと。  さっき山下さんからもお話がありましたが、どうしても公共事業等について都市地方のいろんな感覚的な乖離がある。たまたま、おととい私は檜枝岐という村に行ってまいりました。人口六百人、これは尾瀬の福島県側の入り口でありまして、行きましたら、いろんな過去のことを思い出させていただきました。  その中で、国道三百五十二号線というのが通っております。あそこのいろんな舗装事業をやっているときにちょうど尾瀬のハイカーの最盛期でありまして、尾瀬のハイカーが行って、何であんなところに舗装道路をつくるんだ、あのまま残しておいたらいいじゃないかと、そんな話が実はありました。  しかし、冷静に考えると、東京、関東、首都圏にいる人は年に一回か二回尾瀬を探勝に行く、しかしながら檜枝岐の六百人の村人は三百六十五日そこに住んでいる。お互いに、都市部から見るとあの村にあんな立派な道路は要らないんじゃないだろうかという話もあるでしょう。しかしまた、檜枝岐の村の人からすれば三百六十五日舗装のないところではとても住めない。  ある意味では、政党間の乖離よりも都市地方の乖離の方がはるかにこれから政策的にも大きくなるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で私は本当に出前の建設行政、これはうんと進めてもらって、都市地方のそういうような感覚的な是正、こんなことをぜひ進めてもらいたい。その辺について、ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  130. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 確かに最近、大都市都市開発ということが、私が受けます陳情でもここ一、二年多くなったのは事実でございます。それで、何か今、大都市の再構築の方が重きを置かれているようなイメージがあるんですけれども、決してそういうことではございませんで、地方地方なりに、また都会はそういう再構築に向かってお互いが努力をされておるわけでございます。  地方で言いますと、平成十一年度予算案におきましては、特に中心市街地活性化事業というものが大きく進められております。それから、広域行政などの地域連携を支援する、建設省でしたら道路の整備というのが行われておりますし、また町村部では下水道整備の普及率が非常にまだ低いものでございますから、このことに力を入れております。  片や都市部におきましては、先ほど言いましたように総合的、集中的な沿道の環境対策であるとか、あるいは市街地の再整備都市の再構築、それから密集住宅市街地の整備などということに力を入れて予算もつけておるというようなことでございまして、都会は都会なりに、また地方地方なりに建設行政は等分に進めていっておると自負をいたしております。
  131. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 全国に六十万ですか、建設業者がおられる。しかしながら、今の状況の中で、今日もう二十一世紀に向かって同じような状況が続いていくということは全く考えられない。  そういうふうな中で、この業界、これもまた場所によっては大変な雇用問題につながるところもあるわけでありますけれども、この建設業の将来像というか、どういうふうにこれから建設省としては、場合によっては合併とかいろんな道の中であると思うんですけれども建設省の方針をお伺いしたいと思います。
  132. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先生も質問の中で触れられましたように、現在、建設業者数は約五十六万八千ございます。したがいまして、私たちも建設業界の構造改革というのは何らかの形で新しいビジョンを出さなきゃいけないと思っております。  その際、我々が配慮しなきゃいけませんのは、規模とかあるいは担当いたします業種、これによって相当議論がまた分かれるのじゃなかろうかと思っております、言うまでもないことだと思っておりますが。ただ、基本的には先に企業ありきではなく、国土をこれから整備していく際に建設業界がどういう形で社会的にもあるいは国民的にも貢献できるかということを業界にも考えるように我々も提案しておるわけでございます。  ことしのところは、今、日本経済全体が相当傷んでおりまして、金融システムその他が再構築される中で、各業種、業態がいろいろ影響の中で苦労しておりますが、これから当面そうした時期を乗り越えました先では、果たして新しい二十一世紀におきます国土管理なり国土整備におきまして、今申し上げましたような建設業者のあり方というものはどうあるか。当然、その中には御質問の中にありましたような企業のいわば緩やかな連携、合併という問題もありましょうし、より専業化していくということもありましょう。  ただ、今いささかその議論がまだたどり着くまで行っておりませんので、これからのいわば建設業の先行きをしっかり定めながら、御質問のありましたような問題点についても取り組んでまいりたい、こう思っております。
  133. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 また道路に戻りますが、道の駅、これはたくさんあると思うんですけれども、成功例、またなかなか利活用のないところもあると思います。  これもたまたま私どものところにあって、この間行ってこんな話を聞きました。老夫婦がシルバーの楽しみでドライブしていたら、道がわからなくなってしまった。そうしたら、たまたまそこに道の駅があった。そうしたら、何人かやっぱり迷っていた人がいて、それが何となく話していたら友達になった。実はそんなホットな話がありました。  その中で、道路というのは、物流はもちろんですけれども、ある意味では文化とか地域間の大きな交流ですから、この道の駅の効能、効率をこれから考えるにつけて、やっぱりコミュニティーとかそんなことも考えていただきたい。そんなことを入れて、これから道路の中での駅をそういう意味で位置づけてもらう。  その点について、道路行政の中で位置づけはどうなっていくか、局長からお伺いしたい。
  134. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今、道の駅についてお尋ねでございますが、道の駅は、疲労運転に起因する交通事故の防止など、安全で快適な道路交通環境を形成するために道路管理者が整備する休憩施設と、それから地元の市町村が整備する物産館などの地域振興施設とを一体的に整備することによりまして、道路利用者の安全性、利便性の向上、あわせて地域の活性化に寄与する、また先生御指摘のように道路案内とかそういうようなものにも活用する、情報の発信源でもあるというようなことで、平成五年より制度を創設して事業を進めているところであります。現在、全国で四百七十カ所登録されておりまして、四百四十九カ所が現在までに供用されております。  今お話しのように、道の駅では、地元の市町村が整備する物産館などの地域振興施設において、地域の歴史的、文化的な資産の形成、継承に資する機能が備えられているものもあります。さらに、道の駅を核として、地域連携や交流、コミュニティーを形成するというようなことも言われましたけれども、そういうようなことで促進されることが期待されております。  先生の御出身の福島県では、百二十一号の「道の駅たじま」で、お祭り広場というようなもので年間を通じていろんなイベントが催されるというようなことで、大変コミュニティーから好評を得ているというようなこともあります。さらに、「道の駅川俣」では、絹織物の歴史、製作工程を紹介するなどというようなことで、地域の文化的要素も導入した施設が導入されているというような例もございます。  私ども建設省としては、こういうようなことで大変好評を博していることから、これから全国的にさらに二百カ所、この五カ年計画内に新たにつくっていこうというようなことを考えておりますし、将来的には倍増していけるようにというようなことも考えております。  各地域整備の促進にお手伝いさせていただければというふうに思っておるところでございます。
  135. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 あれは合築はできるんでしたか、例えば道の駅と商工会館を一緒につくるというのは。
  136. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 市町村が整備する施設と一緒になってつくる、それで道路管理者の方は休憩施設をつくらせていただくというようなことで、そういう施設も当然入ってくるということでございます。  ただ、道の駅を公共性のあるものというようなことで、一応そういうようなものに認定させていただいているというところでございます。
  137. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 たしか、前は一緒にはつくれなかったんですね。ですから、百二十一号線の道の駅も、実は林構の事業と一緒にやったんです。  本当に利便性をいろいろ考えていく中で、要するに建物がよく見ると二つあるんです。わずか十センチぐらいあいている。この辺がまさに行政のお互いに主張するところのすき間かなと思うんです。これからは、多分これは国土庁が合築を推進していると思うんですけれども、一緒につくれたらもっと便利になるかなと。そんなこともひとつ考えておいてもらえればと思います。  それから、これもまた豊かな生活環境の創造と大臣の所信の中であるわけですけれども、ずっと歩いてみると電柱の地中化、これが本当に必要だなというところが方々で実はあるんです。しかしながら、あれは建設行政と同時にまた、例えば電力会社がそれに一緒に伴ってこないとなかなかできない。  まさに、生活空間といいながら景観も大きなウエートを占めるんじゃないかなと思うわけですけれども、電線の地中化、これについて今後どのような進め方をしていくのか、お伺いしたいと思います。
  138. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 電線の地中化でございますが、安全で快適な通行空間の確保だとか都市景観の向上、災害に強い町づくり、それから情報通信ネットワークの信頼性の向上、そういうようないろんな観点がございまして、大変重要であると認識しております。  今お話しのように、エネルギー庁や郵政省等の関係省庁もございますし、また電力会社、通信事業者等の電線管理者とも協調しなければなりませんが、そういうようなところと協調しながら電線共同溝の整備を積極的に進めているところであります。六十一年から進めておりますが、現在まで三期にわたって電線類地中化計画を進めてまいりまして、今年度末に三千四百キロ地中化を達成する見込みでありますが、まだまだ我が国の電線類地中化の現状は欧米諸国と比較して低い状況でありまして、より一層電線類の地中化を推進する必要があると思っております。  今までは大規模商業地域というようなところで、歩道幅が広いところということで電線類の地中化が行われてまいりましたけれども、電線共同溝の構造をコンパクト化して、それから中規模程度の商業系地域でありますとか住宅地域のような主要生活道路についても対象を広げて一層推進しようというふうに考えております。現在、新たな電線類地中化計画の準備を進めて鋭意作業をしておるところでございまして、十一年度からはその新しい計画に沿って事業の推進が図れるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  139. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 予算的な処置としては、これは建設省だけではやれないわけですね。この辺は多分、具体的な例からすると、その地域の例えば電力会社とかNTTとか。それで、どういうふうな形でその配分というのは決めていって、どこでやるかということをどういう基準で選定していくのか。
  140. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 電力事業者等については単独地中化するような費用を払っていただく、道路管理者サイドは工事にかかわる費用等を負担しているというようなことでやっておりまして、かなりの部分、道路管理者が負担しているわけですが、トランス等を置くというような費用もかなりかかるというようなことで、今までなかなか進まない点もございました。  ただ、かなりその必要性も認識されてまいりまして、今ではかなり協調的に計画を立てられるような状況になってきたということで、ペースとしても従来に比べると相当レベルを上げることができるようになってきた。  そういうことで、新しい計画をそういうようなことで立てようということで今準備を進めているところであります。
  141. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 国土庁関係に移らせていただきたいと思います。  国土政策の中で、どうしてもまた地方都市の話が出てくると思います。その中で、かつて姉妹都市の推進ということで、これはたしか昭和五十年代だったと思うんですけれども国土庁都市地方のある意味では仲人役というか、それをやって交流していた事業があったと思います。これもまた福島県の常葉町というところで、これは中野区とやって非常に今成功している例なんですけれども、そういうふうないわゆる交流の制度というか政策というか、これは今、国土庁ではどのような状況になっているか、お伺いしたいと思います。
  142. 中川浩明

    政府委員(中川浩明君) ただいまお話しございましたように、地域の個性、魅力の発信と他地域との交流を推進して地域の活性化を図ることがこれからの地域の振興にとって重要な点である、こういう認識のもとに、複数の市町村の連携によります施設整備地域活動、情報発信、地域間交流の一体的な推進を支援するため、地域間の交流支援事業というものを平成九年度から実施いたしているところでございます。  この事業では、複数の市町村が連携を図りながら地域づくり、情報発信、地域間交流などの推進に資する各種施設の整備、これはハードになるわけですが、それとその施設を活用しながら行います地域活動等、これはソフト事業でございますが、この一体的な実施につきまして支援の対象としているところでございます。具体的な施設や施策内容につきましては特に制約は設けておりませんで、事業の目的に即したものであれば幅広く実施できることとしております。  ただ、ただいま先生のおっしゃいました大都市とそれから地方の交流についても、一定のこういう施設を活用してソフト事業もあわせて行うというものであればその対象とすることは十分可能だろうと思いますが、その具体的な内容に即して今後検討してまいりたいと考えております。
  143. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これは文部省にも絡んでくる話かなと思うんですけれども、ホームステイなんというのはどうですか。今、毎日のようにテレビで学級崩壊とか学校崩壊、いろいろ出ているわけでありますけれども、やっぱりそれはある意味では自然に遠ざかっている今の都市部の子供たちの悲惨なところがあると思うんです。  私は、なぜそこで質問させてもらったかといいますと、いわゆる中野区と常葉町、これは大成功例というのは、中野区の子供が常葉町に行きました。そうしたら、常葉町というのはたまたまカブトムシが非常に生息するところで、そのカブトムシを見て、これも冗談半分でありますけれども子供たちが先生にこのカブトムシに何でねじがついてないんですかという質問をしたというぐらい。そこからずっと発展しまして、常葉町では今度異業種間の交流をして、郵便局と森林組合と商工会、これが交流して、まさに今東京の中野区の子供たちにさなぎの状況でカブトムシを送って、着いて三日目には元気になっている。  そんなうれしい話もあるわけですけれども、そういう中で私は、やっぱりこれから二十一世紀を見据えた場合には、子供のいろんな交流がうんと必要であろう、そんなことを感じますので、特にせっかく地方都市の担当のいろんな構想があるんだとすれば、文部省、他省庁とのいろんな兼ね合いを含んでいただいて、子供たちのホームステイ制度、そんなことでも推進してもらうと明るい二十一世紀、全く乖離のない日本民族ができるんじゃないか、そんな思いであります。  次に、災害で、先ほど太田さんいないときに太田さんの分も含めて御礼を申し上げておきましたけれども、災害でいろいろ本当に復旧事業をやっていただきました。私はこれはずっと考えると、なぜ起きたのかなというと、やっぱり大変な降雨であったことは間違いございませんが、冷静に考えると、これはセパレートに考えた対応というのはたしかできなくなると思うんです。ですから、一つは山も川もそれぞれ一緒に、それこそ植林から始まって治山治水、こういうふうな行政の一体化というのが必要であると思うんですけれども、今後の災害対策としてどのような対応をしていくのか、その件についてお伺いしたいと思います。
  144. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 我が国の国土は、急峻な山地等の地形条件、それから台風や豪雨などに見舞われやすい気象条件など、風水害等による自然災害を受けやすい条件にありまして、このため、国の災害対策の基本的な事項を定めました防災基本計画におきましても、国及び地方公共団体は、地域の特性に配慮しつつ、風水害に強い国づくり、町づくりを推進するものとされているところでございます。  また、この点に関しましては、平成十年三月でございますが、新しい全国総合開発計画が定められましたが、この中でも流域圏に着目した国土保全と管理が重要になるという考え方から、洪水、土砂災害に対する安全性を確保するため、流域系単位で一体的に総合的に取り組む必要があるというようなことで、これらの施策の推進を図ることとしているわけでございます。  したがいまして、このように流域あるいははんらん源と一体となった洪水、土砂対策というものが重要でございますが、こういう観点に立ちまして、例えば治山治水事業を初めとする国土保全計画的な推進はもとよりでございますが、森林法、都市計画法等各種法規制に基づく安全な土地利用の誘導とか、あるいは洪水、土砂災害等に関する情報の周知、あるいは警戒避難態勢の整備等総合的な対策の実施に努めているところでございます。  最近におきます施策の一例を申し上げますと、例えば建設省におきまして、昨年夏の豪雨災害の状況を踏まえまして、上流部における災害復旧と一体となって下流部において緊急的かつ集中的に治水対策を実施する河川事業というものを新たに平成十一年度から実施するというようなことなど、上下流の一体的な整備というものを進めております。  また、情報の周知と警戒避難態勢の整備というような課題につきましても、昨年の特に災害弱者施設の被害が大きかった、福島県でも「太陽の国」の被害がございましたが、そういったことにかんがみまして、建設省、林野庁、消防庁、関係省庁において災害弱者の施設の緊急点検を行うとか、あるいはそれに関します総合的な土砂災害対策を検討いたしまして、今年一月に都道府県に通達を出したところでありますが、さらにソフト面における対策の充実強化なども努めているところでございます。  一例を申し上げましたが、国土庁といたしましても、今後とも関係省庁連携を図りつつ、また国土庁としていわゆる調整官庁の役割も果たしつつ、洪水、土砂対策の災害対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  よろしくお願いいたします。
  145. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 多分答えてもらったんだろうと思いますけれども、後で文書ででももらえればありがたいなと思いますけれども、河川局長はどんなお考え方でございますか。
  146. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) 今、先生がおっしゃったように、治水事業、治山事業、またソフト、ハード、総合的に防災対策を進めていくということは、私どもも極めて重要なことだと思っております。  今、防災局長の方からもお話がございましたが、治山治水事業を初めとする国土保全計画的な推進とか土地利用との調整だとか警戒避難の問題というふうな部分もございますし、また河川につきましては、上下流のバランスをとって緊急的に四年間ぐらいで災害が起きた河川を抜本的に改修するという河川災害復旧関連緊急事業というものを今の政府予算案で提案されているわけでございます。  そういった施策を通じてソフト、ハード、また国土全体を視野に入れつつ総合的な防災対策に努めてまいりたい、かように考えております。
  147. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 答えていただいたと思います。多分これも入っていましたね。これは福島県からの意見書の中で、去年でしたか、堤防のかさ上げ、あと拡幅河川の問題について、ありがとうございました。  では、続きまして国会移転の事項に移らせていただきます。  ちょうど聴聞会が先々週行われまして、私もちらっとのぞいてきました。その後のいろんなマスコミの報道で余りボリューム的には盛り上がっていない。しかし、首都圏また国会移転というのはもう何百年に一回の話であるというぐらいのバリューの話だと思います。そういう中で、なぜ国民的な声が盛り上がってこないのか。  そういうふうな中で、今審議会がどのような形で進んでおり、今週に多分答申がお出になる。答申の出方というのは、一カ所具体的にぱっと出ちゃうのか、それとも複数出て、さらにまたそこで検討していくという話なのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  148. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 先生、大変お詳しいわけでございますので、これまでの国会等移転審議会の審議内容について簡単に振り返らせていただきたいと思いますが、平成四年の十二月に議員立法で国会等移転の法律をつくっていただきまして、そして国会等移転審議会の前身でございます国会等移転調査会で選定基準等を御答申いただいたのが平成七年の十二月でございます。  現在、国会等移転審議会ではその選定基準に即しまして詳細な調査検討をしていただいているわけでございますが、昨年一年間で申しますと、昨年一月に北東地域、東海地域、それから三重・畿央地域の三つの調査対象地域が選定されまして、四月から五月にかけまして公共団体の知事さん等からヒアリングが行われまして、そして九月、十月に国会等移転審議会として現地調査を実施させていただいたところでございます。そして現在、先生先ほどお話がございましたように、国民の皆様方から広く御意見を承るという観点から公聴会を全国各地で開催させていただいておりまして、これまで三回実施をさせていただいたわけでございます。  これからでございますけれども、各分野ごと、あるいは地域ごとの詳細な調査、これは非常に多岐にわたる複雑な調査でございますが、その調査検討を進めてまいるわけでございます。特に、その中で総合比較あるいは総合評価という段階になりますと総合評価というものが方法論としても非常に難しいという点がございまして、この点につきましては別途検討会を設置させていただきまして、その適切な手法、方法につきまして御検討をしていただきまして、それがまとまり次第、各種データを総合比較しながら総合評価の作業に入っていく。私どもの作業の目標といたしましては、一応ことしの秋を目標調査、審議を進めていただく、こういうことでございます。
  149. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 時間でありますので、最後に。  大臣初めそれぞれ建設省国土庁の皆さんに、災害に強い建設行政、また人に優しい建設行政、そんな中でひとつ頑張っていただきたい。これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  150. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  まず、建設行政国土行政一般について御質問したいと思うんですけれども、本来でございましたらこの席に建設大臣、それから国土庁長官とお二人今までおられたわけですね。今回の内閣改造で兼務される。私が昨年の七月、この参議院に来させていただいて半年ちょっとですけれども、既に国土庁長官は四名かわられているわけです。亀井、柳沢、井上、それから関谷長官。半年の間に四名もかわられるということになると、一体国土行政をどういうふうに今の内閣が考えられているんだろうか。私は、国土行政は、長官がさきの所信でも表明されましたけれども、今の首都機能移転にしても、先ほど来問題になっている地域戦略プランにしても、さまざまな国土の根幹にかかわる非常に大事な行政だと思います。  これについて、まず国土庁の官房長、半年の間に四名かわって、役所としていろいろ今までの説明をしてやっと落ちついたかなと思ったら次にかわる。どうですか、役所として感想をひとつお聞きしたいと思います。
  151. 久保田勇夫

    政府委員久保田勇夫君) 大変難しい御質問でございますが、私どもといたしましては、国土庁の仕事自身は非常に大事なものだと考えておりまして、それぞれ置かれた状況のもとで常に任務遂行に全力を尽くすということでやっておりますし、今後ともそういうことでやってまいりたいと考えております。
  152. 弘友和夫

    弘友和夫君 そういうことしか答えようがないと思うんです。  大臣にもちょっとお伺いを、大臣というか非常に難しいんです、大臣でもあるけれども委員長も苦労されている。今までだったら建設大臣と言われたけれども国務大臣で、どちらの立場で答弁されるのか、私も今からいろいろ質問していきますけれども、非常に難しいんです。  就任されたときに、プライドを傷つけられた国土庁の幹部もいるだろう、政治の争いの結果で国土庁に対して失礼だと、こういうふうに長官は言われております。まさしくそういうことだと思うんですが、長官にお聞きしても、これは今までの流れですけれども、そういう所感をちょっと述べていただきたいと思います。
  153. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今、先生がおっしゃっていただきましたように、私も一月十四日に国土庁長官を拝命したわけでございますが、役所へ行きまして最初に述べさせていただきましたのは、本当にこのように短期間に長官が何度となくかわってまことに申しわけない、このことはいわゆる政治の世界でのいろいろなことの結果こういうことになりましたのでひとつ御理解をいただきたい、国土庁の皆さんの中には本当に国土庁を何と思っておるのかとかそういう立腹の方もいらっしゃるだろうし、また寂しく思われる方もいらっしゃるだろう、しかしそういうようなことは決してありませんのでどうぞ力いっぱい国土行政に努力してくださいというごあいさつをさせていただいたわけでございまして、二〇〇一年には四省庁国土交通省ということで一緒になるわけでございますが、それまでの過程においてこういうような状態になりました。  正直申し上げまして、私も建設省一本のときの方が本当にやりやすかったということは事実でございます。ここの委員会の答弁でも、どちらから攻めてくるのかと思ってびくびくしながら見ておるわけでございまして、建設省の方かな国土庁かなと思って見ておるのが正直のところでございます。本来、一つのところで思い切ってやりたいと思っておりましたが、しかしこういうような形になりましたから、二倍の力を出して両省に迷惑のかからないように努力をしていきたいと思っております。  そういうようなことで、先生の御質問は国土庁の職員の皆さんに私は本当に温かい激励をいただいたものと思って、私からも心から感謝を申し上げたいと思います。
  154. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、大臣、長官が述べられましたけれども、ぜひ国土行政、大事な行政でございますので、しっかりやっていただきたいと要望をしておきます。  次に、午前中に松谷先生、山下先生から御質問がございましたけれども生活空間倍増戦略プラン地域戦略プラン、それと経済戦略会議の日本経済再生への戦略、この三つのかかわり方についてちょっとお尋ねしたいんです。  先日、経済戦略会議が「日本経済再生への戦略」と題する最終答申をまとめられて、閣議決定じゃなくて閣議報告がなされましたけれども、これは建設省国土庁にかかわるさまざまな、例えば公共事業の改革だとか予算を固定化する長期計画の見直し、広域ブロックで計画をつくるといった提言、また首相直結の土地再生委員会の設置等いろいろな提言がございます。  これに対応して、建設省国土庁として、「日本経済再生への戦略」という答申をそれぞれの省庁でどういう位置づけととらえられているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  155. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先般、答申をいただきました経済戦略会議でございますが、建設行政に関しましてはその関連のところを見てみますと、既に取り組んでいる施策あるいはまた検討中の施策もあるわけでございまして、項目別に整理を今始めておりまして、それをまたできるものから新しいものは取り組んでいきたいという体制で今頑張っておるところでございます。  それから、経済戦略会議と生活空間倍増戦略、またその中の一部でございますが地域戦略プラン国土庁のものでございますが、その関係につきましては直接全くオーバーラップするというものではありませんけれども、もちろん生活空間倍増戦略部分も両省に関係はあるわけでございます。  例えば住宅の問題でございましたら、先ほども出ておりましたように、いわゆる住宅空間倍増していく、あるいはまたバリアフリー化を徹底して進めていく等々もあるわけでございます。したがいまして、一つの大きな流れの中の建設国土の指針にもなっておるのではないか、そういう感覚で私は受けとめておるわけでございます。    〔理事松谷蒼一郎君退席、理事太田豊秋君着席〕
  156. 弘友和夫

    弘友和夫君 この答申が今言われました大きな流れの指針だという受けとめ方、確かにそういう部分もあると思うんです。ですけれども、これは二〇〇八年までにというか、要するに中長期のいろいろな要素がありますけれども、早急に手をつけていかなければ、今のこれだけの不況だとかいうことで、それは小渕内閣が、総理が全力を挙げて取り組んでいる大きな柱が経済戦略会議のこの答申なんです。それを個々にいろいろお聞きしていましても、大きな流れの指針だから一つのそういう目標にしていくという受けとめ方が非常に役所の中では多いと思うんです。  だけれども、これは先ほど申しましたように、法律を改正しないといけないとか、また新法をつくらないといけないとか、さまざま具体的に取りかかっていかないといけない問題があると思うんです。  それが閣議決定じゃないからというか、役所がつくったものじゃないからということで大きな流れの指針だという受けとめ方で、具体的には別のいろいろな計画がありますよというとらえ方でいいのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  157. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 若干事務的に御説明させていただきたいと思いますが、戦略会議の提言の中には非常に抽象度の高いものもあれば、かなり具体性を持ったものもございます。  したがいまして、先ほど大臣から御説明がございましたように、既に取り組んでいるもの、これから取り組まなきゃいけないもの等々仕分けした上で、できるものについてはやはり具体的な政策にできるだけ早く翻訳をして実行に移したいというふうに思います。
  158. 弘友和夫

    弘友和夫君 午前中論議になっておりました生活空間倍増戦略プラン、それから地域戦略プラン、全部戦略プランだとか倍増計画だとかいろいろついているわけです。  まず最初にお聞きしたいんですが、生活空間倍増戦略プランというのは、倍増というのは何を倍増するのか。住空間は今まで平均三十一平米だったのが欧米並みの四十平米ですから、これは倍増じゃないわけです。何を倍増するという戦略プランなのか。予算を倍増するのか、何を倍増するのかというところをお尋ねしたいと思います。
  159. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) これは小渕総理が御答弁されると一番いいのだろうと思うんですが、閣僚の一員として私は私なりに、その倍増というのは、先生御指摘のように、住空間にしてもヨーロッパ並みにしても今のものよりも倍にはなっていないじゃないかという御指摘がありますが、そういう私はとらえ方でいいのじゃないかと思うわけでございます。やはり倍まで行かないにしても、今のような小さなもの、狭隘なものではなくして、ゆとりのあるものすべて、そういう意味での倍増という感覚じゃないかと思うんです。  池田元総理が所得倍増論と言いましたけれども、あれはすべてが、十万が二十万になったという意味ではなくして、大きくなってきたということでございましょうから、そういう感覚で私は受けとめております。    〔理事太田豊秋君退席、理事松谷蒼一郎君着席〕
  160. 弘友和夫

    弘友和夫君 所得倍増は具体的に所得を倍にするという目標があったんです。だから何を倍増するのかというものは、それは数値であらわせない部分もあるかもしれないけれども、これを見ましても全然はっきりしないというか、要するに内容が明確にならないんです。  先ほど来の審議でも言っておりましたが、全国的施策の推進と地域戦略プランの推進と両方ある。全国的施策の推進、これは事業規模でおおむね三十兆二千億、国費をおおむね十四兆三千億を措置する、こういうふうに書いてあります。  では、この三十兆二千億、国費十四兆は従来使っていた予算的なものとどれほど違うのか。従来ずっとやってきていましたでしょう。今回、十年度、十一年度で使う生活空間倍増計画、すごいものをやりますよということですけれども全国規模施策というのが内容をずっと見ましたらほとんどないんです。  具体的数値を挙げられているものは全部、例えば都市計画道路の整備だとか下水道整備だとか、そういうものだけ。それだったら今までと余り変わらないわけです、五カ年計画だとかなんとかいう。ただそれを挙げて、寄せ集めて生活空間倍増戦略プランというふうになっておるんじゃないですか。いかがでございましょうか。
  161. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 先ほど御質問のありました生活空間倍増戦略プランですが、本年の一月二十九日に閣議決定されて、その対象となっている空間というのは先生も御指摘のとおり十種類ほどございまして、住空間買い物空間遊空間……
  162. 弘友和夫

    弘友和夫君 全部言わぬでいい。
  163. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 等々十種類ございますが、いずれにしろそういう生活空間倍増するという切り口でこれまでの施策を体系づけて、そして国民に夢と希望を持っていただこう、そういう施策の体系ということで御理解願いたいと思います。
  164. 弘友和夫

    弘友和夫君 夢と希望は持てると。  では、地域戦略プランについて先ほどありましたけれども、これは大体四百カ所、一カ所百億円で四兆ですか、ということに五年間で具体的になります。だから、それは四百六十七カ所で大体六十兆円ぐらいのものが上がってきたということですね。地域が一生懸命自分の地域でこういうことをやりたいと骨子を出してきた。それが六十兆です。数はほとんど変わらない、四百六十七ですから。それを百億に。  要するに、出てきたものは四兆円と六十兆、十五倍です。その十五倍のものを、これは予算が合いませんと。箇所は大体四百ですから、今から絞っても六十七カ所ぐらい。十五分の一にどうして縮められるのかということです。考え方が全く違ってこないと十五分の一なんかに縮められませんよ、これは。いかがですか。
  165. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) それは反省をしておるのでございますが、これは国土庁のだれが悪いというわけでもございませんが、地方公共団体に十分な説明が行ってなかったのは事実です。午前中の答弁でも、関連のところで一つの例として挙げさせていただいたんですが、私の愛媛県なども全部道路の予算をとるような項目だけが並んでおるわけでございまして、これは地域戦略プランプランニングが意図しておるところとは全然違うわけです。  そういうのがたくさんありまして六十兆円になったわけでございますから、それで三月の末までというのを五月まで延ばして、十分に地域戦略プランの持っております意味を御理解いただいて、また新たに出していただくということをやっておりますから、まあそんなことで今日までの六十兆円というのは一度元に戻したような形で進めていこうと私は考えておるんです。ですから、必ず四兆円に絞りますので。
  166. 弘友和夫

    弘友和夫君 四兆円にそれは絞り込まないとどうしようもないんでしょうけれども、基本的考えは違うわけです。
  167. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) そうです。間違っていた。
  168. 弘友和夫

    弘友和夫君 間違っておった。  ところが、そのもとになるというか生活空間倍増戦略プランそのものが、具体的なものはそういう公共事業なんです。公共事業というか、具体的なものは道路の建設とかどうだとか、あといろいろ抽象的なものが述べられている。それに合わせて地方考えると、具体的なものは道路だとか何とかしかならぬじゃないですか、これは。それを四兆円に絞り込んだときにどういう内容になるのか、今から楽しみですけれども、どういうふうに絞られるのか。  だから、地域戦略プランというのは果たして本当に地域にとって五年間四兆円でいいのかどうかという問題もあると思います。いろいろ問題提起をしておきたいと思います。まだいろいろございますので、次に移らせていただきます。  次に、住宅ローンの件についてお尋ねをしますけれども、ことしの税制というか、要するに今の景気浮揚のために住宅の新規購入者への減税、住宅ローン控除制度が大幅に拡充されました。これは私どもも推進を図ってきた立場でございますので、これに対してどうこうというのじゃありませんけれども住宅ローン残高に応じて十五年間、最大で五百八十七万五千円が所得税から控除される、こういうことです。  だけれども、これは新規の人に対する手当てで、非常に好評ではあると思うんです。先ほど午前中に答弁がされておりましたけれども、申し込みが四五%ふえていると言われましたですか、非常にふえている。これはこれで確かにすばらしいというか、評価できる施策です。ただし、これで減収分一兆二千億です。  ところが、現在ローンを抱えてにっちもさっちもいかなくなった人、今失業者が三百万、自己破産が十万ですか、これはほとんど住宅ローンの破綻者だと、こう言われているんです。これに対する施策がほとんどないというか、住宅ローン返済困難者対策というのを打ち出されました。これが適用された方というのは、ローン返済期間を最長十年まで延長できますよ、元金返済の最長三年間据え置きができますよ、据え置き期間中の金利五%以上の方はこれを引き下げますと。ただ、これを延ばしても払わないといけないわけです。  では、国がこの施策をやりましたといって予算措置をとったら、実質幾らぐらいになりますか。
  169. 那珂正

    政府委員(那珂正君) お尋ねの既存のローン返済困難者対策としてとりました財政措置でございますが、住宅金融公庫に二百六十億円の出資金を昨年、平成十年度の第三次補正予算で措置したところでございます。
  170. 弘友和夫

    弘友和夫君 住宅公庫を今借りている方が個人で言えば大体五百八十万ぐらいいらっしゃる。二百六十億。片や今から新規に、百十万戸を百三十万戸ぐらいに新規着工をふやす、二十万ふやすためにというようなことでしょう、一兆二千億使われる。使われるというか、減収になるわけですから使われるのと一緒です。片や五百八十万人、本当に困っておられる方には実質的には二百六十億しか使わない。  実際、返済に困っている方のために出した資料がある。ところが、それで見ますと十年延長して、例えば借入金が二千万、当初金利が五・四%、十一年目以降は六・四%、元利均等返済の返済期間二十五年の場合。これは延長した場合です。延長前は三千七百九十三万九千四百四十円の総支払い額。これが延長したらどうなるか。返済額は四千六百二万八千二百三十五円。八百八万八千七百九十五円ふえる。延長することによって八百万余分な金利を払わないといけない。しかも、今までだったら定年までに返済できると計画していた。そうしたら例えば六十歳で返済できる。今は大変だ。これを適用してもらうと七十歳まで払わなきゃいけない。総計八百万余分に金利を出さないといけないわけです。こういうことで、ただ単に延長したりするだけで果たしていいのかどうか。実際に今困っているのはローン。景気は、それは新しく家を建ててもらうというのは大事かもしれない、それには一兆二千億。片や二百六十億です、五百八十万の。銀行だけの方はもっとあります。これは何らかの手を打てないのか。  大臣、どう思いますか。
  171. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 大変難しいことでございますが、おっしゃるように十年延長するという部分だけを見れば、その間先延ばしをしたというような感覚にもとられるだろうと思うわけでございます。これ以上の支援措置を講ずるということは、実際に苦労しながら返済をやっていらっしゃる方もあるわけでございますから、公平性というものを考えたときにはやむを得ないのではないかなというふうに私は思います。
  172. 弘友和夫

    弘友和夫君 難しいことでも何でもないし、実際返済しておる方に全部適用していけばいいじゃないですか。できないことはないんです。  例えば、住宅金融公庫。だんだん景気が悪くなってきて、ほとんど六カ月を超える、これはだめになるわけです。毎年毎年六カ月以上の延滞件数というのはウナギ登りに上ってきている。平成九年度末で一万八千五百二十五件、その前の八年度は一万五千八百ですから、一年で三千件。これはもっともっとふえます。  しかも、それに対して財団法人公庫住宅融資保証協会の代位弁済もどんどんふえているわけです。今からもっとふえます。九年度は九千七百十五件、弁済金額は千四百四十七億円です。これはどんどんふえていったら、公庫住宅融資保証協会の代位弁済が十倍にも二十倍にもなって、これはやっていけますか、どうですか。公庫住宅融資保証協会がやっていけるかどうか。
  173. 那珂正

    政府委員(那珂正君) お尋ねの代位弁済でございますが、これは財団法人公庫住宅融資保証協会が措置しているものでございます。確かに、平成九年度は金額にして一千五百億近くにまで上っております。  今後の見通しでございますが、十年度はまだ閉じておりませんけれども、若干増加傾向にあるかとも思います。しかし、このシステムが全体としてやっていけるか、こういうお尋ねでございますのであえて申し上げますれば、事業運営に必要な責任準備金というものがございますが、現在のところ十分な責任準備金を確保していると承知しております。  また、公庫におきましても、ローン破綻者対策を個別に丁寧に実施することによって、破綻前に返済計画を見直して、時間はかかりますけれどもある程度の返済ができるように対策を個々に講じていくことを実施しております。これらの実施や、あるいは景気回復の兆しも見られるようなことから、全体として当該保証事業の収支は中期的には好転していくものと考えております。  もちろん、経済の変動やさまざまな影響が予想されますので、事業運営には今後とも慎重に見守っていきたいと思います。
  174. 弘友和夫

    弘友和夫君 先日、日本に来られた世界的に有名な経済学者のレスター・サローという方が、個人が不動産価格を上回る額の住宅ローンを抱え込んでいるのは持ち金を東京湾に捨てるようなものだと。  要するに、今の日本の景気はとにかく不良債権の処理が一番大事だということから銀行には十五行、七兆五千億を資本注入した。そういう不良債権をどう処理していくか。今から住宅ローンの返済に困っている方がどんどん出てくるわけです。これをどういうふうに処理していくかというのが、私は景気の問題だけ考えても一番大きな問題だと思うんです。  例えば一番簡単なのは、今の公庫は借りかえができないでしょう。これは何でできないんですか。金利が高いときに借りたローンですよ、借りかえができない。
  175. 那珂正

    政府委員(那珂正君) まさに借りかえができるような仕掛けになっていないからでございます。  ただ、実態としては、住宅金融公庫の比較的高い金利で借りたものを一度に繰り上げ償還されて、民間の非常に安い変動金利のものに借りかえられているというのが相当数、過半そういうような対応で措置されていると思います。
  176. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、今民間からお金を借りてそれを全部支払う、住宅公庫を。昔は認めなかったけれども今は認めるわけです。そうしたら、借りられる人だったらそれはできるわけです、金利は今の方が安いわけですから。  ところが、その手続から何かいろいろ、民間に借りかえができるんだったら何で住宅公庫の中で借りかえができないんですか。それは仕組みになっていないと言われたけれども、今はこれが大事な問題なわけでしょう。その仕組みを変えるべきじゃないですかということを言っているわけです。  大臣、いかがですか、この仕組みを。
  177. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 一度貸付融資契約におきまして契約した貸し付け条件の変更を後ほど、自由にと言っては語弊がありますが、その時々の金利状況あるいは物価の状況等に応じていつでも変更できるようになるということは、そもそも住宅金融公庫が実施しております長期固定の融資という形が根本的に崩れるかと思います。  それゆえに、例えば金利で言いますと、民間の金融機関ではいわゆる変動金利、毎年変わっていくもの、そういうようなことを実施されているわけでございますが、住宅金融公庫住宅取得者の長期にわたる住宅取得計画を助けるという趣旨から、長期固定という考え方を堅持しているところでございます。
  178. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、今までの考えであればそうですよ、いつでも変えられる。だけれども、これだけ大変な事態になっている。これを救済するのが景気浮揚にもなるんだ、景気対策にもなるんだというのであれば、七兆五千億円をつぎ込むのと一緒で、これは具体的にそんなにお金は要らないわけですから、借りかえをさせればいいわけですから。現実できているわけでしょう。銀行から借りて、これを変えればできるというのであれば、その銀行から借りる分を何かの手当てをすればいいわけです。  どうですか、大臣。局長が答えても大体同じ答えですから。だから、政治的に今それが大事じゃないですか。
  179. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 二つの先生の御質問になると思います。  まず、現下の経済状況の中で大変住宅ローンの返済に困っておられる方々がたくさん出てきて、そういう方々の救済策としてどう考えるんだということであろうと思うんですが、その件につきましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、やはり実際にその個々の返済している方々の家計に応じてどういう返済計画がその方に一番適しているかという相談に乗って個別に対応していくということが何よりも重要かと存じます。
  180. 弘友和夫

    弘友和夫君 個別的に対応してもできない。もう千何人しかなっていないじゃないですか。根本的に難しいから簡単にできることがありますよと提案した。もっといろいろな提案を今からしていきたいと思いますけれども、もう一項目あるので、簡単に一、二分で終わります。  これはやるまいと思っていましたけれども、余りにも対応が、深刻に考えておられぬ。深刻というか、一般会計歳出予算の各目明細書。建設省国土庁を見ましたら、大蔵省がマニュアルを出して、各目明細書、大蔵省の方来られていると思いますが、あれを出して、これはそのとおりしないでもいいんですか、一言だけでいいんですけれども、マニュアルどおりに。
  181. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) 今、先生御指摘の各目明細書でございますけれども、これは御存じのとおり、慣例上、国会の予算審議の参考資料として提出をいたしておるものでございます。  そういう意味で、この各目明細書はいわば予算審議の際の極めて重要な参考資料の一つということでもございますので、私ども大蔵省といたしましては、一律にこれを統一的に図っていくという点はなかなか難しい面も確かにあると思いますけれども、そういう中ででき得る限りわかりやすく、かつ丁寧なものとするように各省庁ともよく検討をいたしているところでございます。  具体的には、各目明細書の様式を定めますとともに、その記載内容の概略、いわば作成要領といったもの、これが先生がおっしゃっているマニュアルということかと思いますが、そういうことを各省庁にお示しし、それに基づいて各省庁から提出をお願いしているというものであろうと思います。
  182. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、来年度から、一々言いませんけれども、私はこれを実際に見ていまして、これはどこに入っているんだろうとかいろいろあるんですね。順番が違うというぐらい関係ないじゃないかと言われるけれども、これを見ていたらマニュアルどおりにやっておけばわかるわけです。どうですか、これは来年度から。
  183. 久保田勇夫

    政府委員久保田勇夫君) 建設省のお答えもあろうかと思いますが、御指摘のようにあるいは今次長が御説明いたしましたように、これは予算審議の非常に重要な資料でございます。他方、それぞれの支出項目は省庁によってちょっと形態が違っておりまして、そういう意味ではここに出ているものを厳密に全部そのとおりやった方がいいかどうかという議論も一つあるわけでございます。  しかしながら、今先生がおっしゃいましたように、これがその実態をあらわすようにする、よりわかりやすくするというのは当然の話でございますので、引き続きその方向で全体として議論したいと思いますが、必ずしも全く同じものになるかどうかというのは私どもも正直言って自信がございませんということを申し上げさせていただきたいと思います。
  184. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 各委員質疑が若干ずつずれて延びてきておりますので、時間はひとつ十分お守りいただきたいと思います。
  185. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 建設業退職金共済制度について質問いたします。  この建退共制度は、建設現場を移り変わる労働者のために三十五年前に発足した国の制度です。元請が労働者の実働日数に応じて証紙を共済手帳に張ることで退職金を計算し、業界を引退するときに証紙枚数掛金に応じた退職金が支給される、こういう仕組みになっているわけです。  現在、二百万人の労働者が加入しているということですけれども、この制度が本来決められているように正しく適用されるならば、現場労働者の福祉、また中小建設業者の雇用の安定、これに大きく寄与する、そういうものだと思うんです。非常に大切な制度だと思います。  この質問の機会に私は、今月十八日に決定される予定の建退共改善方策についての案、これを受け取り、詳しいものですけれども、これもよく読ませていただきました。この中には、やはりこの制度を普及徹底する、そういう方向が打ち出されていると思います。  そこで、まず最初にお伺いしたいんですけれども、大臣、この制度の重要性についてどのようにお考えか、伺います。
  186. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) これはやはり建設労働者の福利増進、そしてまた安定して、安心してそこで仕事に従事することができるということであろうと思いますので、これを私は先ほど先生が御指摘いたしましたように、いろいろなところで今後どういうふうにすべきかという改善策を検討してきておるところでございまして、労働省それから勤労者退職金共済機構とともに、その改善策を今検討しておるところでございます。  具体的に言いますれば、ICカード方式などの導入というようなことも考えたりいたしておりますし、あるいは共済証紙の受け払い簿による管理の徹底、あるいは共済証紙購入の目安の建設現場の実態に応じた改定など、そういうようなことが平成十一年度当初から実行に移っていくところに今到達しておるところでございまして、今後ともこの建退共制度の加入促進及び履行徹底に取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。
  187. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この制度を進める上で労働者への共済手帳の交付が不可欠なわけですけれども、手帳には一冊で二百五十日分の証紙しか張れない、その更新も確実に実施される、これが大事だと思うんですけれども、過去三年間で共済手帳の更新状況がどうなっているか、お聞きいたします。
  188. 松崎朗

    説明員(松崎朗君) 過去三年ということでございますので平成七年度から申し上げますと、平成七年度で七十一万一千五百九十一件、平成八年度におきましては七十三万一千八百六十件、平成九年度七十六万三千百三十八件というふうになっております。
  189. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二百万人の加入労働者がありながら、年間七十万余りのそういう利用状況だ。これは結局は現場で使われていない、多くの現場労働者が制度を十分に受けていないということを示していると思うんですね。私は、制度をきちんとやる、その点でやはり元請のゼネコンや国、自治体の発注機関の責任、これが非常に重要だということを痛感しております。  その点で私は、ちょうど勤労者退職金共済機構が昨年十二月に行った調査、これもいろいろ研究いたしました。これを見ますと、やはり大変重大な実態が明らかになる。元請の六五%がこの制度の加入指導について特に行っていないと回答している。発注機関でも五二・七%が特別にはしていない、そういう回答です。さらに、元請の四割が下請労働者を適用対象としていない、そう言っている。本当に私は驚いたんだけれども、ひどいことに七割近い企業が適用外の役員らを加入させていた、こういうことまでこの調査で明らかになっている。  私は、このずさんな実態を正していく責任は建設省にあると思うんです。建設省、こうした実態がある、問題点がある、そのことを的確に把握されているんですか。
  190. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 先生御紹介のございました実態調査等にいろいろ出ていることも事実でございますが、冒頭御質問の中にありましたように、建設事業そのものがやはり現地生産でありまして、いわば現場が移動し、かつ従来は常雇いが少なかったという環境の中でこうした退職金制度も導入してきたわけでございます。  若干古くなりますけれども、先ほどのお話にもございましたように、三十九年に始まってからは少しずつでございますが普及率が上がっておりまして、くどくなりますが、昭和五十年のときは三五%、それから昭和六十年には四二%、平成十年、今日的には四八%ということで、主として技能工を対象に私は今お答えさせていただいておりますが、技能工の対象母集団に比べまして約五割近くまでは達しております。  確かに、おっしゃられたように、元請の考え方等についてもいろいろまだ十分でないことも我々は承知しておりますので、この問題は事業者、元請、下請を含めてでございますが、雇われる方、さらには公共事業の場合には発注者、これらを巻き込んだ一つの総合的な対策を打つべきであろうと思っております。今回御紹介のございました対策も、機構と労働省、建設省が一緒になりまして、いろいろ課題を定めまして、この春からやりますことも含めてでございますが、相当総合的な対策を我々としては今回打ち立てたわけでございますので、ぜひこれの一つずつが実効が上がるように取り組んでいきたいと思っております。
  191. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、局長が言われたパーセントというのは、四八%で高いように見えるけれども、それは加入労働者に対する中であって、加入していない労働者がたくさんいる、それが現実なんです。建設労働者は一体何人いるか、数えてみればわかる。それで、二百万がどういう割合かということもはっきりすると思うんです。私は、やはりこの点で認識不足がある、そのことを痛感いたします。  さらに重大だと思うのは、公共工事の場合、証紙購入費が予定価格に積算されているわけです。下請が自社購入する必要がないにもかかわらず、この調査によれば、元請に請求しても交付されないなどの理由で約五割の下請が自分で証紙を購入している。強く要求すると次の仕事が回ってこない、これが下請の弁です。今の元請、下請の関係ではよく理解される話だと思うんです。  下請からの請求を無視するようなこういう行為に対しては、工事発注を制限するなどのペナルティーを科す。また、元請の怠慢による未交付が明らかな場合は遡求適用、さかのぼって交付する。この二点について私は当然検討すべきだと思うんですけれども、大臣いかがですか。
  192. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 若干実務的なところがありますので、私からお答えします。  御提案のあった件について、私はそもそも否定する気はございませんが、ただお話にございましたように元請、下請関係については一定の契約で成立しておりますので、おっしゃられたように、購入証紙についてどちらに責任があるかというのは、それぞれの現場、工事によっていささか私は慎重にお答えすべきだろうと思います。  しかし、そういう中で、今回私たちが取り組んでおりますのは、大手のゼネコンさらには地方の有力な業者、こういう人たちが結成されております日本建設業団体連合会とかあるいは土木工業協会、さらには全国建設業協会、こういうところを網羅したような形で我々は元請にも相当厳しく注文しておりますので、もちろん先生がおっしゃられたように個々の現場においてはまだ十分でないことも私どもも承知はしておりますが、さらに一層それぞれの元請を中心とした建設業者が自覚するように我々努めてまいりたいと思っております。
  193. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、一言。  今、局長は否定する気はないと言われたけれども、大臣、この大事な問題をやっぱり検討していただきたい、そのことをお願いしたいと思います。
  194. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この問題は、臨時国会のときにも委員会で指摘された方がいらっしゃいまして、そういう制度があるわけでございますから、これは建設省がなお一層指導を強めていくということで対処したいと思います。
  195. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 重要なのは、公共工事に積算されている証紙の購入費、これは国民の税金だということなんです。先ほどの共済機構の実態調査でも五割の下請が請求しなかった証紙購入費の行方、これは当然追跡調査をされていると思うんですけれども、これはどうなっていますか。
  196. 松崎朗

    説明員(松崎朗君) 機構におきましては、個々の公共工事につきまして、購入した証紙を一括して納めてもらっておりますので、個々について実際張られたかどうかという追跡は行っておりません。
  197. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 こういう税金の行方、これがわからなくなっている。やっぱりそういうことについてきちっと追及する、これは当然だと思うんです。ですから、これは要求しておきます。よろしいですね。
  198. 松崎朗

    説明員(松崎朗君) 補足して説明させていただきますと、購入した証紙はその段階で機構の方に納められますので、国民の税金と言われましたけれども、それはいわば全体としては建設労働者の退職金の原資となっているというところでございます。
  199. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そんなことはわかっていますよ。  しっかりと調査していただきたい。このことを要求しておきます。うなずかれた。  それで、この問題点全国共通していると私は思うんだけれども、具体的な事例を挙げたいと思います。  私は、昨年四月に建設首都圏共闘会議の皆さんと一緒に、建設省関東地建が発注した千葉県柏市にある科学警察研究所の建設工事の調査に入って、元請のゼネコンから聞き取りを行いました。大変ずさんな実態だということがはっきりした。  この工事の当初請負総額は三百四億円、証紙の購入目安額、これは単純計算でやっても七千六百万になるわけです。ところが、実際に証紙を購入していたのはわずか三%、二百三十二万円、それだけです。では、残りの七千三百万円余り、この証紙購入費が使途不明なんです。しかも、設備関係の五工事では証紙を一枚も購入していなかった。この問題は公共事業を指導する建設省の直轄のところで起こっただけに重大だと思います。  その点で、建設省ではこの事態についてどう対応したのか、お伺いいたします。
  200. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 確かに先生お話しのとおり、科学警察研究所の設備工事につきまして、お手元に資料はお届けしていると思いますけれども、既に終わりました工事の中で証紙の購入額がゼロのものがあるということは十分承知いたしております。  ただ、一般的に、電力工事あるいは設備工事等につきましては、直用の労働者を使用する割合もかなり高いというのが実態でございますので、この時点のゼロということのみをもって直ちに本来購入すべき証紙を購入しないで、日雇い労働者を使用していたにかかわらず、一切建退共の制度を利用しなかったということではないと思うのでございます。  ただ、既に契約を終わって、これは竣工検査もしているわけでございます。こういうものにつきまして実際にゼロという件数であるということにつきましては、どういう実態なのかというものを十分発注者といたしましても関心を持って調査していくというふうにしたいと思っております。
  201. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 発注者として調査をされるということを言われました。私は、これは本当に大事だと思うんです。  私たち調査に入って、細かいことは言いませんけれども、そこにそれぞれの工区ごとに、延べにして七千五百人、それから五千人、四百人、そういう労働者がいる、そのことはわかりました。そして、これは対象者じゃないかと言ったら、元請の方は、そういうことは余り知らなかった、制度そのものも。しかし、私たちがそのことをいろいろ話していく中で対象者が見つかったんです、ゼロなのに。やはりそれが非常に重大なんです。工事は終わっているかもしれないけれども、今、官房長が言われたように、この実態をきちっと調べて、そして報告していただきたい。  それで、その際に私が重大だと思うのは、契約したときに対象労働者がいないという理由書を受け取っているということなんです。これも調査の中でわかりました。よく調べもしないで対象労働者なしというそれを受け取る、私はこのこと自体がやはり非常に重大だと思うんです。結局は証紙購入を理由書を受け取ることによって事実上免除する、そういうことになるわけです。  そこで、私は大臣に伺いたいんですけれども、そういう事実上の免除措置、それをとること自体重大なんです。手元にこの免除の申請書、用紙があります、こういうのがいっぱい出ているんです。紙一枚で申請する、そして対象労働者がいません、したがって掛金免除をお願いしますと三行書いて免除される、こういうことが一般に言われているんです。大臣、こういう実態というのは非常に私はおかしいと思う。先ほど大臣は加入を促進し履行を徹底すると言われた。それならばやっぱりこういう形で、そもそも前の局長通達で工事を契約するときは一カ月のうちにこの建退共の掛金をきちっと申請する、そういうふうになっているわけです、これが原則です。  ですから、大臣、こういう問題を放置しない、きちっとする、これが建退共を改善することの非常に重要な柱の一つだと私は思います。その点で大臣の御所見を伺いたい。
  202. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 建設省の直轄工事におきましては、当面その建退共の証紙を購入する必要がない場合においても証紙購入を免除するという仕組みはございません。  いずれにいたしましても、建退共の証紙を購入する必要が生じたときにはきちっと購入し、掛金の収納書というのを工事完成時に提出するようにしてきているわけでございますが、なお不十分な点があるという御指摘もございますので、十分その趣旨を徹底していくようにしていきたいというふうに思います。
  203. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長は不十分な状況があると認められたけれども、本当にそうなんです。本当に不十分なんです。ひどい状況です。  それで、今言われたように、そういう免除の措置はやっていないと言われるかもしれないけれども、理由書を受け取る、それが免除になるんです。それが実態なんです。ですから、このことについて大臣はお答えなかったけれども、やっぱりしっかりと調査して適切な対応、こういうことはやめる、それをしっかりやっていただきたいと思います。  もう一つ問題があります。あと二、三分しかありません。  もう一つの問題は、購入を事実上免除されて、科警研の場合には二千万円相当の証紙代金、これがどこかに行ってしまった、これは重大です。建設省が過去二年間に発注した十億円以上の直轄工事、証紙の購入が一枚もない工事が幾つあると思いますか。八十件以上あるんです。建設省ではこういう工事費に積算された購入費を減額する措置、これはとっていないんですか。イエスかノーかで一言。
  204. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 八十件という数字につきましては、ちょっと私は定かではございません。いろいろな意味でのどういう調査か後刻また教えていただく必要があると思いますけれども、積算と証紙購入実態との差というものをどうするかということでありますけれども、公共工事の積算というのは、一般的には実態調査に基づきまして、標準的な工法とかあるいは材料で施工することを想定いたしまして、具体的に実際の請負業者が申請する各項目の費用というのはこの想定と違うということもございます。具体的には高い場合もあれば低い場合もある。  請負契約は総価契約でございますから、実際の積算価格の範囲内でそれよりも実際に請負業者の方が多く施工にお金がかかった場合もございますし、少ない場合もあるわけでございますが、これを一々契約金額の変更ということでその都度精算をするというようなことは、これは現実の実態問題としてできないわけでございます。積算と施工実態の差を税金の流用というような形でお話がございますけれども、そういう制度ではないということは御理解いただきたいと思います。
  205. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに購入費を減額する措置をやっていない、またそれは難しいということですね。これはやはり私はおかしいと思います。  それで、私たちもこういう問題、生活関連公共事業推進連絡会議の皆さんと一緒になって全国調査をいたしました。ひどいです。全国にこういう例がたくさんある。そして、特にマリコンではほぼ全社、全工事でこういう公金の取り込み、これはゼネコン、マリコンに行くわけです、結局は国民の税金が。こんなおかしな話はないと私は思います。ですからここにメスを入れる。これが先ほど大臣が最初に言われたこの制度の徹底ということになっていくと私は思います。  その点で、最後になりますけれども、大臣、こういうひどい実態、これについてきちっとメスを入れる、調査する、そしてその改善措置をきちっととる、そのことを約束していただきたい。
  206. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) その御指摘の問題につきましては、なお指導を徹底していくということで対処したいと思います。
  207. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  208. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、道路建設と史跡保全及び自然環境保全の問題について伺いたいと思います。    〔理事松谷蒼一郎君退席、理事太田豊秋君着席〕  国の史跡としての八王子城址の価値、これについて文化庁からお答えいただきたいと思います。
  209. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) お答えをいたします。  史跡八王子城跡でございますが、後北条氏の居城でございまして、堀、土塁、石垣などがよく旧状をとどめており、中世における城郭の規模を知る上で重要な遺跡であることから、昭和二十六年に史跡に指定をしたものでございます。
  210. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 文化庁は水への影響について確認をするよう建設省に求めているわけですけれども、なぜそのような調査をするようにしたのか、その点について伺いたいと思います。
  211. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 委員の御質問でございますが、本件の調査につきましては、事業者であります建設省がみずから行ったものでございまして、文化庁から建設省に対しましてその調査を特段指示した、こういう性格のものではございません。
  212. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この史跡には山頂付近の坎井やあるいは御主殿の滝などの重要な遺構がある。水がれが起きれば国の史跡として大問題、そういうことで文化庁はそのようなことが起きないようにという心配から建設省に対して水文調査をするよう、お願いなのか依頼なのかよくわかりませんけれども、そういう経緯があるのではないでしょうか。  自発的に建設省がそういう史跡を考えて行ったというだけのことなんですか。
  213. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 今回の史跡八王子城跡の地下を通過する予定の圏央道八王子城跡トンネルの建設当たりましては、事業者であります建設省において工事による影響についてさまざまな事前調査を行っており、その一環として八王子城跡内に位置する井戸などの水の流れに与える影響の有無について検討するため、この付近の水文調査を実施したものと私どもは承知をいたしておるところでございます。
  214. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、ちょっと伺いますが、文化庁は、この坎井は九六年一月から三月に長期間かれていますけれども、その原因は調査をされたのでしょうか。
  215. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 私どもは特段調査はいたしておりません。
  216. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 建設省はいかがですか。
  217. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今の坎井の水がれ等のことでございますが、三年から水文調査を継続して実施してきております。そういう中で、この三月五日の時点で水がれの状態になっておりますが、調査を開始して以来過去に三回冬季に水がれとなったことはございますけれども、春先には水位が回復しているという状況でございます。  水がれの時期、今までトンネルのためのボーリング等をやっておりますが、ボーリング調査の時期等は三カ月から一年半というような隔たりがございまして、ボーリング調査は八年度以降実施しておりません。現在の水がれはボーリング調査の結果ではないというふうに考えております。
  218. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと建設省に伺いたいんですが、こういう道路建設で国指定の史跡がある場合に建設省として調査する、水文調査などを行うというようなことがあるのでしょうか。  それから、なぜこの史跡の場合にはこういう調査を行ったのでしょうか。
  219. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 史跡にかかわりませず、トンネル工事等をやりますと、地下水等の水への影響あるいはそのトンネル工事の実施上いろいろ影響が出てまいりますので、そういうような意味で水文調査を一般的に影響がありそうな場合には実施しているということでございます。
  220. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 建設省が行った坎井の水位調査によりますと、九六年の一—三月のほか、九五年二月と九七年三月に短期間水がれが起こっています。私は、実は三月六日に現地に行ったんですが、やっぱり井戸にはほとんど水がなかった、もう五センチぐらいしかないということでありました。  建設省は、九四年、九六年に坎井の近くでそれぞれ二本ずつボーリング調査をしているわけです。地元の八王子城址の研究者は、この坎井はそれまで五十年来かれたことがなかった、そう言っているわけです。九一年二月からの建設省調査でも、九四年以前は水がれが起きていないわけです。ところが、ボーリングが行われて以降は毎年冬に水がれが起きている。  そういうことについて文化庁は、先ほど何も知らないということを言っているわけですけれども、こういう問題を関知しない、放置してよろしいのですか。
  221. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 今回、国指定の史跡の現状変更等の許可申請が上がってきたわけでございますが、基本的には申請を行う事業者におきまして当該行為が及ぼす影響等について必要な調査を実施すべきものと考えておるわけでございます。そして、本件につきましては、事業者である建設省におきましていろんな事前調査を行っており、その一環として井戸の水の流れに与える影響を検討するために水文調査も実施されたわけでございます。  私どもは、その調査の結果を十分に踏まえまして、史跡の保護という観点からさまざまな検討もしたわけでございます。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 要するに、文化庁は建設省調査は万全であるということでこれに同意しているわけですけれども、実際、今言ったような状況というのが起こっているわけです。トンネルの掘削で坎井に影響がないというふうに本当に断定できるのかというような問題があるわけです。  建設省は、九二年の二月にもトンネルのほぼ真上に当たる標高三百メートルの沢のところでボーリング調査を行っています。深さ五十五メートルで標高二百四十五メーターまで達しています。その柱状図を見ますと、地盤が悪いことは明らかです。岩盤の質を判断する指標であるRQD値というのがあるわけですが、これが極めて低いわけです。  RQD値は、ボーリングで採取したコアを一メートルごとに区切って、その中に十センチ以上つながった部分がどのくらいあるかを見るもので、九〇から一〇〇%であれば岩盤の状態が非常によい、七五から九〇%はよい、五〇から七五は普通、二五から五〇%は悪い、ゼロから二五%は非常に悪いとされています。  トンネルが通る標高二百六十メートルより上の部分について見ると、三十七本のコアのうち、よいと判定されるのは三本だけです。半分以上のコアはRQD値が非常に悪いとされる二〇%以下なんです。最大コア長というのは二十五センチしかないわけです。これはB—2の地点なんですけれども、言ってみればぐずぐずだということがわかるわけですが、その点について建設省、どうですか。
  223. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今、先生の御指摘もありましたけれども、私どもは八王子城跡トンネルのボーリング調査をした結果として、この地域の地層は小仏層群という比較的堅固な地質だというふうに考えております。  また、その調査結果によりまして山頂部の地下水と岩盤深部の地下水とでは五十メートル以上の大きな水位差があるとか、あるいは水文調査の結果、坎井の水の電気伝導率とそれから岩盤深部の地下水の電気伝導率に大変大きな差があるというようなことで、そういう意味で水自身がつながっていないというように考えられます。そういうようなことで、坎井と八王子城跡トンネルの間には遮水層が存在するというふうに考えておりまして、坎井の水がれについては今のような影響ではないというふうに判断しているところであります。
  224. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今私が言ったB—2の部分というのは、これは御主殿の滝の上流部に当たるわけであります。この御主殿の滝の上流部でちょうど真下をトンネルが通るわけですけれども、その地質がぐずぐずであるということで、ここを掘れば、御主殿の滝というのは八王子城址の言ってみれば坎井と並んで非常に大事な史跡の一つになっているわけですから、目玉になっているわけですから、そこが影響を受けるのではないかということを私は言っているわけです。
  225. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今の御主殿の滝の方につきましても、水文調査の結果といたしまして上流側の河川水の大部分は表流水または比較的浅い部分の地下水が河川に流出したものということで、岩盤深部の地下水はほとんど含まれていないというふうに調査した結果で判明しております。  また、トンネル位置と御主殿の滝は水平距離で五百十メートル離れているというようなことで、トンネルの影響はほとんどないというふうに考えている次第であります。
  226. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 後でよく見ていただきたいんですが、B—2の調査地点というのは本当に御主殿の滝の上流部にあるんですね。それはもうよく見ていただきたいんです。  それで、ボーリングの柱状図というのはこういうふうに建設省のデータで出ていますけれども、RQD値というのは、私これは赤線で引っ張ってみたんですけれども、ほとんどゼロです。いいところでこういうふうに出っ張っているところが三十とか五十とか、最高八十というのがあるんですけれども、一カ所です。あとはもうほとんどゼロなんです。つまり、ぐずぐずだということなんです。  私は、非常にこれは重大な問題だと思っているんです。この重大な問題、よく地質学者と現地を歩いてみてわかったんですけれども、私はその上に文化庁がさらに重大だと思っているんです。大体坎井の水がれについてもちゃんと本当にチェックしたんですか。御主殿の滝についても大丈夫だと言い切れるんですか。  あと、大丈夫です、そうですか、私どもはそれを認めましょうという文化庁の同意書があるわけですけれども、そういうものを出して、後でかれちゃって、いや私どももちょっと間違えました、それで済まされてしまったらこれは大変なことなんですね。文化庁としての存在価値が疑われるわけですから、その点、私は文化庁はきちっとこの問題について確認する、そういうことをすべきだと思うんですが、どうですか。
  227. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) 今建設省から御答弁がございましたとおり、建設省におかれまして事前に慎重かつ十分に時間をかけ調査をされたわけでございます。その調査結果が出ており、そしてそれを私どもも見させていただいたわけでございますから、その結果を評価し、その結果を踏まえて判断を下した、こういうことでございます。
  228. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 大変情けない文化庁の姿勢だと。きょうは次長が出てこられていますが、そういう姿勢では本当に史跡は守り切れない、そういうふうに思います。文化庁としてちゃんと調査するということをもう一度きちっと検討してほしいということを言っておきたいと思います。  それから、建設省も今の問題についてやはり専門家はそう言っているわけですから、これはもう水が抜けてからではどうにもならないわけですから、きちんと調査をしていただきたいというふうに思います。  あと、時間がもうなくなってきたんですけれども、前回大臣にも御答弁いただいたオオタカの件でございます。  この中心域についていろいろ議論があったわけですが、貴重種であるオオタカの活動、営巣だとか子育てだとか今いろいろそういう活動を行うところですけれども、その中心域について、建設省としてどういう判断をしたのかということを伺いたいと思います。
  229. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 先般の国会で、先生から大臣の方へ御質問がございました。環境庁のマニュアルについてのお話もございました。その際に大臣の方からも、調査や保護方策の検討に当たって猛禽類に詳しい専門家の指導、助言を仰ぐことが肝要というようなことで、環境庁のマニュアルに沿った検討をしていくというふうにお答えしておるところでございますが、その専門家によりまして、工事区域は営巣中心域に含まれていないという判断がなされております。  そういうようなことで、私どもは、今御指摘の営巣中心域について、専門家の報告でそういうようなことになっておるということでございますので、環境庁のマニュアルに沿った検討を進めているというふうに思っておる次第でございます。
  230. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、建設省中心域の設定について、考え方について何か独自の解釈をこの地域でされたんじゃないかというふうに思っているんです。中心域というのは、この間の環境庁との議論で古巣も含むというふうになっているわけです、古巣は残念ながら台風で倒れてしまったということですけれども。ただ、古巣があった地域全体、これは中心域になるわけですね。それを含むわけですから、そうするとトンネルをつくった部分、この部分と大体同じ斜面になるわけです。  だから、トンネルのところだけ見れば、確かにトンネルというのは平たいところにあるわけですから、活動地域、人間が出入りをするしいろんなことがあるわけですけれども、その斜面というのは、三羽のひなの子育てもやったし、三羽のひなが飛び回ったところなんです。それで、ひなが最初に飛んだりするようなところも中心域と言うんです。そういうところを全く見ないで、トンネル部分のところを見れば、これは何もオオタカの営巣とは関係ないとかいろいろ理屈をつけて、中心域とはみなさない、高利用域ではあるけれどもというようなことを言っているわけですけれども、こういう勝手な解釈をされてそれでオオタカの生存を脅かすようなそういう建設省の姿勢であってはならないというふうに私は思うんです。  時間もちょっとなくなってきましたが、大臣は前回の答弁で、「自然環境というのも、自然環境を破壊していろいろな事業を行うというのは、それは私は限度を超えておることだろうと思います。」という答弁がありました。これは一般論ということでお答えされたと思うんですけれども、私は地域に目を向けた場合に、一つ中心域とかオオタカを守るルールというのがあるわけです。そのルールにのっとってやっぱりやっていかなければならない、そういう慎重さというのが求められるというふうに思います。  先ほどの史跡保全の問題とあわせて、文化庁がああいう情けない態度なんですから、建設省建設をされて後で水が抜けちゃったというようなことがないように、きちっと対応していただきたい。  最後に、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  231. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 建設省も、判断をする基準に沿わないようなことをするということはこれは決して行うものでもありませんし、またそういうようなことは絶対させないわけでございまして、前回の私の、そのオオタカの問題につきましても、「専門家の御指導、御助言を仰ぎながら道路整備その他のことをやっていきたい、そのように思っております。」という答弁をしておるわけでございます。  それで、私もそういうことを建設省から伺いますと、この問題は環境庁のマニュアルではそういうようなことで、調査や保護方策の検討に当たっては猛禽類に詳しい専門家の指導、助言を仰ぐことが肝要であるというふうに言っておるわけでございます。その専門家によりまして、これが営巣中心域ではないというふうに判断をされておるというようなことでございますから、そういうことで私は適正であると判断をしておるわけでございます。  先生御心配のような、今までは水がれはありましたけれども、その後また水は戻っておるというような報告も受けておるわけでございます。そういうような先生の御指摘も多として、なおそういうようなことが起こらないように徹底した調査をするようには指示をしたいと思います。
  232. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  233. 泉信也

    泉信也君 国土庁長官の所信についてお伺いをいたしたいと思います。  所信の第一、あるいは第三、第四、こういうところで述べておられます内容についてまずお尋ねをいたしたいわけでございます。  新しい全国総合開発計画である二十一世紀の国土のグランドデザインでは、多自然居住地域の創造あるいは大都市のリノベーション、こういう戦略を掲げて進めていきたい、こういう所信を長官はお述べでございます。昭和三十年代の後半ぐらいからの日本の国土政策あるいは地域政策というのは、一言で言えば過密過疎の対策ではなかったかというふうに私は思っておるんです。これから先、地方に行けば行くほど人口の再生産力というか力は衰える。ですから、これまで以上に地域の問題、地方の問題というのが大変重要になってくる。あるいは国土をどうつくっていくかというのは、どういうふうに地域を支える人口を確保していくかというようなことに尽きるのではないかと私は思うんです。  今申し上げました多自然型の空間でありますとか大都市のリノベーションというのは、そこだけ読みますともっともらしく私も読めるんですが、相互に矛盾するようなことはないのか。議論をした上でつくられた計画だとは思いますけれども、本当に大丈夫なのかということをまずお尋ねいたします。
  234. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) ただいま先生からも御指摘ございましたが、昨年の三月に「二十一世紀の国土のグランドデザイン」という名称で新しい全国総合開発計画が策定されております。この計画のポイントは、現在の一極一軸型の国土構造から多軸型の国土構造へ転換しようということで、多様な地域特性を十全に展開させ国土の均衡ある発展を実現することといたしております。  先ほども先生から御指摘ございましたように、こうした国土づくりを進めていくために、計画では、大都市地域についてはこれを修復、更新していくという大都市のリノベーション、それから豊かな自然や文化を共有する活力ある多自然居住地域の創造など四つの戦略を掲げ、参加と連携によりこの多軸型国土の構造をつくっていこう。ただ、全体としては、厚生省の推計でもあるように、二〇〇七、八年に人口が全体として減っていく世の中になっているというようなことで、いずれにしろこの計画におきまして掲げました戦略を着実に実施することによって、各地域の個性ある自立を促進して、都市地方それぞれの特性を生かした魅力ある地域づくりを進めることが重要なんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  235. 泉信也

    泉信也君 計画どおりに進めば大変すばらしいことだというふうに思うんです。  国土庁では、いわゆる大都市圏局が所管しておられる範囲、それから地方振興局といいましょうか、それ以外の範囲の人口動態がどうなっておるかというようなことをお調べになっておると思いますが、地方圏はどの程度、基準年次を何年にするかは別ですが、どんな動向を示しておりますか、今わかりますか。
  236. 中川浩明

    政府委員(中川浩明君) 地方振興局ではただいまそれぞれのブロック、大都市圏は除きますブロックにつきまして、二〇一〇年から二〇一五年を目標年次といたします地域開発促進計画を策定中でございます。  その計画の中において、二〇一〇年ないし二〇一五年の時点におきます人口についてそれなりの予測をいたしておりますが、各地域それぞれ若干の違いはございますが、おおむね現状とほぼ同じ、つまり二〇〇六、七年ぐらいまでは一たん増加し、さらにその後は減少すると見込んでいるところでございまして、特に地域によって大きな違いはないものと理解をいたしております。
  237. 泉信也

    泉信也君 予測の問題でありますので、何とも言いがたいわけですが、例えば先日、国土庁の方では京浜臨海部における工業等制限の見直しをやろう、また大学院を規制の対象施設から除外しようと、こういうことを検討しておられるやに伺いました。これは今日まで首都圏の人口増を抑えるための、あるいは阪神圏もそうだと思いますが、手だてとしてこの法律を活用してきたと思うんですが、こういうことを緩めるということは必ずしもすべてが純増になるとは言いませんけれども、国の国土政策の根幹が少し変わってきておるということになるんじゃないか。  たまたま臨海部に土地があいていて、ちょっともったいないから少し緩めて何とかしようというような、そんな安易な話ではないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  238. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 先生の今の御議論の中では、都市あるいは地域どちらを重点的に考えるんだと、そういう御指摘かと思いますが、今回の全総計画の中でも大変いろんな議論が行われたわけでございますが、やはり都市地方も人が住んでいる限り、そこの人々の生活が豊かで潤いのあるものになるべきだという御議論が基本でございます。  そういう意味でこの全総の中でも、確かに大都市地方、両方ともに施策を充実させていくということを書いておりまして、それが一つ考え方からすると矛盾をしているんじゃないかという御指摘もあるかもしれませんが、やはり先ほどから申し述べましたように、人が生活している限りそこには地域の課題がございますし、そういう課題を、今回の計画でもそれぞれの地域の特性を生かした魅力ある地域づくり、自立ある地域づくりということで施策の展開を図っていきたいというふうに考えております
  239. 泉信也

    泉信也君 人が住んでいる限りいい環境を整えるということはもっともですけれども、一番最初に申し上げましたように、地方人口構造的に急速に疲弊するということがもう予測されるわけであります。  ですから、私は、もう一つ国土庁に今お願いをしておきたいと思いますのは、たくさん地方振興にかかわる法律がございますね。もちろん議員立法のものもございますけれども、こういうものをそろそろ見直して、もっと強烈なものにする必要があるんじゃないか。それは産炭地域でありますとか過疎地域だとか半島振興だとか切り口はいろいろ違いますけれども、法律がたくさんある割にはパンチ力がないと言わざるを得ないと思うんですが、こういう法律の見直しについて、何か国土庁ではお考えになっておられますか。
  240. 中川浩明

    政府委員(中川浩明君) ただいま先生御指摘のように、国土庁といたしまして地域振興に関連します各種の法律につきまして主管官庁あるいは共管官庁という形で調整を図り、各地域において総合的、一体的な地域振興施策が進められるよううに努めているところでございます。  これらの基礎となっております地域振興立法につきましては、それぞれ背景、目的、国の役割、そして対象とする地域の特性などが異なりますことから、それらに応じた計画内容政策手段が定められておりまして、目的や地域特性等に応じた地域振興が行われているところでございます。また、ただいま御指摘もございましたように、その多くが議員立法という形で制定をされておりまして、国会の御意思ということもございます。そのような点に配慮する必要もあるものと考えております。  なお、これらの法律の中で、いわゆる条件不利地域の振興立法につきまして、ほとんどが時限立法となっておりまして、それぞれ法律の終期に際しまして、社会経済状況の変化に対応して意義、必要性、振興方策等々につきまして国会や審議会等の場で議論をしていただきまして、必要な見直しが行われてまいっていると認識をいたしております。  こうしたことから、現行地域振興立法は現時点においてそれぞれ存在意義があるものと考えられ、必要なものでございまして、これらの法律の整理統合を図るということは困難と考えておりますが、法律に基づく施策の推進に当たりまして相互の整合性を図りつつ進めていくことは当然必要であると考えております。  ただいま御指摘の法律に定められております支援策、振興策についてもっと強力なものにという点についてのお尋ねでございますが、確かにその振興方策、支援策についてはさまざまなものがございますが、ただいま国、地方を通ずる大変厳しい財政環境の中にありますので、さらにこれ以上大きな強力な支援ということについてはいろいろな面においてなお検討すべき点が多いものと考えております。
  241. 泉信也

    泉信也君 大変丁寧にお答えをいただきましたけれども、結局はやらないということをおっしゃっていただいたと思います。  しかし、新産法、時限立法ですが、新産法は何回延ばしましたか。工特法は議員立法です。新産法を今度もまた延ばされるかどうか知りませんが、本当に延ばす必要があるのかという議論は審議会であれ何であれどこまで議論されたか私は甚だ疑問だと思います。一応お答えは承りました。  そこで、所信の第六に総合的災害対策ということがうたわれておりますが、特に首都圏における大規模地震に対する具体的な災害対策はどのようなことが検討されておりますか。
  242. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 東京を初めとする大都市圏の震災対策につきましては、阪神・淡路の教訓を踏まえまして、特に第一点といたしましては、大都市地域の地震災害の特殊性、これは密集市街地などを含めます広範な市街地が展開しているといったような実態、あるいは国際的なあるいは全国的ないろいろなもろもろの機能がそこに集積している、そういう特殊性を考慮いたしました地震に強い都市構造を形成していくということが非常に重要であるということが第一点でございます。  さらに、こういうような地域に大きな地震等の発生がございましたときに、その被害の甚大性あるいは広域性等を考慮いたしまして、広域的な連携に配慮した的確な実践的、実効的な応急対策の推進が必要であるという二つの柱があるのではないかなというふうに考えているところでございます。  このため、特に直下の地震の発生の切迫性が指摘されております南関東地域につきましては、特に南関東地域直下の地震対策に対する大綱というものを定めておりまして、この中で、例えば住宅につきましては耐震化、あるいは道路、鉄道、ライフラインなどの構造物、施設等につきましては耐震化なりあるいはリダンダンシーの確保といったような形で地震、防災性の向上を図ることが必要である。また、公園、緑地等のオープンスペースの確保、あるいは密集市街地の再編などの都市防災構造化を進める。またさらに、救助、救急あるいは緊急輸送などを行う多様な防災活動拠点の体系的な整備を行う。またさらに、行政機能あるいは国際交流や経済機能等のさまざまなそういった高度の機能が被災してもなるべく早く復旧できるような、そういう被災対策というものも具体的に実行していくというようなことなどが定められているところでございます。  そのほかに、応急対策活動につきましても、先ほど申しましたような被害の甚大性あるいは広域性ということがございますので、やはり国、地方公共団体防災関係機関が連携して的確な応急対策を行わなきゃいけないわけでございます。特に幾つかのテーマを掲げまして、例えば医療と搬送活動といったような、神戸の地震のときの大きな反省の一つとして、ヘリコプターによって救急患者を運ぶというようなことが必ずしも十分にできていなかったというようなこともありますので、そういった個別のテーマをとらえてアクションプランというものを作成いたしまして、国や関係の機関が連携しながら応急対策を進めるというようなことも準備してきております。  さらに申しますれば、神戸、淡路の教訓の一つに、やはり国の初動体制のあり方ということが大きな課題でございましたものですから、そういう意味で、例えば同じような災害の状況のもとで、内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備とか、あるいは国土庁におきましても、中央防災無線網、あるいは地震被害をおおむね三十分以内に推計するような情報システムというようなものを設けておりまして、そういうような体制を整えながら初動体制の確保をしていく。  特に南関東の場合には、神戸でもそうでございましたが、危機管理の司令塔となるべき本部機能がみずから被災するというような危険性もございますので、そういったときにおきます内閣総理大臣の職務代行のあり方、あるいはそういった本部機能を果たすべき場所をどういうふうにするかというようなことなど、みずから被災する場合も想定しながらの対応策というようなこともしているところでございます。
  243. 泉信也

    泉信也君 阪神・淡路を参考にいろいろと検討していただいておることは大切なことだと思います。  例えばあの当時も言われましたが、地震が発生したときの規模とか場所等に応じて、発災の内容、程度をシミュレーションである程度想定して対応策を考える、そういうことをやるべきではないかという議論があったと思うんですが、そういうことをこの関東地区についてなされておりますか。短くお願いします。
  244. 林桂一

    政府委員(林桂一君) それについて簡単にお話ししたところでございますが、まさにそういうことをやっておりまして、その名前を申し上げますと地震被害早期評価システム、EESというものでございます。  大規模な地震であるほど、その地震の被災地の中からの情報というのがなかなか上がってこないという現実がございますので、コンピューターで震度の情報から、現実にその建物の状況、地質の状況等をあらかじめインプットしておきまして、震度の情報によって大まかな被害を推計する、建物の被害あるいは死者、それから負傷者といったようなことまでも、大まかなものでございますが大体の推定をするというようなシステムを平成八年から稼働しておりまして、これは東京だけでなくて全国のシステムとして稼働しているところでございます。
  245. 泉信也

    泉信也君 今の御検討の結果ですと、私が一番心配しておりますのは、いわゆる瓦れきが大量に出てくるだろう、それが復旧の阻害要因として大きな問題になるのではないか。あるいは今おっしゃいました、恐らく東京で地震があった場合は残念ながら万を超えるような死体が出てくる。どう処理をするかというようなことも大きなことだと思いますが、とりあえず瓦れきについてはどこでどう処理するような計画になっておりますか。
  246. 林桂一

    政府委員(林桂一君) 阪神・淡路の際にも、瓦れきの処理の問題について大変大きな問題になったということは十分承知しております。  それで、今回につきましても、瓦れきの処理については、基本的にはこれはそれぞれの自治体で、そこで発生する瓦れきについて、処理の場所、方法等についてあらかじめ定めておいたものをその状況に応じて実行していくというようなことでもございますけれども、基本的にはそういった地元への対策ということになろうかと思います。  一方で、国としてあるいはもう少し広域な立場からどういうことをしておかなきゃいけないかということについては、やはりそれなりの準備をする必要があると考えております。  例えば、先ほど申しましたアクションプランというのがございますが、アクションプランの中に緊急の輸送ということ、つまり輸送の手段を確保する、いろいろ最初に、被災の状況に応じて、医薬品であるとか食料であるとか水であるとか、そういったようなことが災害のニーズとしては先に出てくるものではございますが、順次時間がたつにしたがって、今度は瓦れきの処理をどういうふうにするかとかというようなことなどへのいろいろ計画が広範にできるような、そういう輸送手段の確保、あるいはそれに関する計画、こういったことなどを整備することによりましてそういうようなものへの対応ということも考えていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。    〔理事太田豊秋君退席、理事松谷蒼一郎君着席〕
  247. 泉信也

    泉信也君 食料とか水とかというのはもちろん大切なことですが、瓦れきを地方自治体に任せるといったって、具体的にどう処理させるんですか。どこに捨てさせるんですか。瓦れきを取り除かなければ輸送はできないわけですね。  ですから、阪神のときは海に捨てた、そういう対策をとっておく必要があるんじゃないかということを私は思っておるわけです。それをだれが音頭をとってやるのか。これは危機管理ですから使わなくて済めば一番いいわけですが、そういう体制がとれないまま復興なんかあり得ない。このことを私はとりあえず申し上げておきたいと思います。御回答はまたいつか聞かせていただきますので、ぜひ検討して、どこの場所にどういうふうにつくっていく、だれの金でつくっていく、これは海に求めざるを得ないというふうに私は思っておりますが、そのことについての計画をいずれ聞かせていただきたいと思います。  最後に、先ほど来同僚議員からございました、長官の所信の第二に言う生活空間倍増戦略プラン、私はこれはお尋ねをするつもりはありませんでしたので通告をいたしておりませんでしたけれども、これは地域独自の生活空間の高度化というような、政策目標としては私は大変立派だというふうに思います。ただ、事業内容とか取り組み方が非常に総花的で各省庁が悪乗りした典型的な例だと、こんなものが五年でできるなんてだれが考えたって思えないわけですね。そのことを国土庁長官に申し上げて、私は質問を終わります。
  248. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 答弁をさせていただきますが、泉先生御指摘の感を全面的に否定するものではありませんし、全面的に受け取るということでもありませんが、そういう答弁でひとつ御理解をいただきたいと思っております。さりとてそういうふうに進めておるわけですから、そういう先生からの御批判が少しでも小さくなるように実際に即してやっていきたいと思っております。  ですから、先ほど言いましたように、国土庁地域戦略プランでも、私が本当にそんなことを言うと失礼ですが、局長をしかったんですけれども、はっきりとその目的というものが地方公共団体に伝わっていないからこういうような予算取り合戦のような内容が出てくるのじゃないか、何も地域の独自のものじゃないじゃないかといって正直私はしかったわけです。  それで、骨格は一月末までだったんですけれども、その全体像は三月の末と言いましたけれども、とてもそれは先生が御指摘のようなことでできるものではありませんから、それを五月の末まで延ばして、そういう指弾を受けないようにやっていこうということでやっております。  ですから、いずれまた何カ月か先の委員会では、先生のそういうことに対してこういうことにきちっとなっておりますということを御報告できますように指導していきたいと思っております。
  249. 泉信也

    泉信也君 ありがとうございます。
  250. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 御苦労さまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  昨年の五月二十七日、臨時大深度地下利用調査会の答申というのが出されました。いわゆる大深度地下利用についてですけれども、その答申を受けて、国土庁は今後どのような取り組みを進めていかれるのか、お伺いをいたします。
  251. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 大深度地下利用に関しましては、十年ほど前から関係省庁で検討が行われてきたわけでございますが、先生御指摘のとおり、昨年の五月に内閣総理大臣の諮問機関でございます臨時大深度地下利用調査会におきまして答申を取りまとめていただいたところでございます。  答申では、技術、安全、環境上の課題を解決するための基本的な事項や使用権の設定、あるいは補償の問題を初めとしました法制度のあり方について御提言いただきまして、今後の法制度化を図る上で大きな前進であると私ども考えている次第でございます。  政府といたしましては、調査会の答申を尊重いたしまして、関係省庁間の調整を図りつつ、大深度地下利用に関する法制度化に向けまして今後とも鋭意検討をしてまいる所存でございます。
  252. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いつごろまでに法制化の予定でしょう。
  253. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、私ども答申をいただきまして、それを尊重する形で現在関係省庁間の調整を進めているわけでございまして、今後とも法制化に向けまして鋭意検討をさせていただきたい、こういうことでございます。
  254. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、具体的にこの大深度地下を利用してどんな施設をつくろうとか、どんな事業計画を立てようとかというようなものはございますか。
  255. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 既に大深度地下に相当する深度まで地下を利用している例といたしましては、先生御案内のとおり地下鉄、例えば営団南北線でございますが、後楽園付近でホーム面で地下四十三メートルというような利用がなされておりますし、またあるいは神田川の環七の下で地下河川というのをやっております。これは深度で言いますと四十メーターということでございますが、そういった例が挙げられるわけでございます。臨時大深度地下利用調査会の答申で御提言いただきました制度を利用して、これからどんな事業が出てくるのか、今、関係方面で勉強、検討をしていただいているところでございます。  なお、調査会の答申におきましては、大深度地下利用制度を適用する事業の例といたしまして、「鉄道、道路、河川、電気、ガス、通信、水道等の公益性のある事業であって、かつ、大深度地下を使用する必要性が高い事業とするべきである。」とされておるところでございます。
  256. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 リニアモーターカーについても期待が寄せられているように聞きますけれども、ここらの検討はどうなっていますか。
  257. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) リニアの実験施設につきましては、現在長期安定性あるいは空力といいますか、風に対して安定走行ができるかどうかといった技術的検討、さらには経済的な採算性、そういった検討を進めているところでございまして、技術的な検討についてもまだはっきりした見通しを立てるには至っていないというふうに伺っております。
  258. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 核廃棄物施設の検討はどこまで進められていますか。
  259. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 大変申しわけございませんが、その点について私はよく承知しておりません。
  260. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、南北線とか神田川の下とかというのは、これは実際にもう事業が行われているんですけれども、大深度地下利用の一環だというふうに定義をしてよろしゅうございますか。
  261. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 先ほど申しました例は、新しい大深度地下利用制度ができればもちろん活用することは可能な選択肢としてあるわけでございますが、深さが四十メーターということでございますので、その大深度という地下利用の形態に相当するものだと。現実は道路の下を使うというような形で行われているものでございます。
  262. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大深度地下の定義について、この答申にも細かく書かれているんですけれども、その利用状況とか地質とか地層などによって深さ何メートルなのかというところの査定が、極めてその状況状況によって違ってくるのではないかというふうに読み取れるのですけれども、この点はいかがでございましょう。
  263. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) 調査会答申でも、大深度地下利用の定義といたしまして、通常、土地所有者が利用しない深さというようなことでございまして、例えば超高層のビルの地下室あるいは基礎、そういったものが、建築する場合に、先生おっしゃいましたように下の地盤との関係で地下室で済む場合、あるいは基礎を打たなければならない場合、地下の地盤の状況によって異なります。  したがいまして、その土地状況によりまして大深度の深さは異なってまいるものでございます。
  264. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 民法では、土地の所有権について、法令の制限内でその土地の上下に及ぶというふうにうたわれておりますけれども、この法の解釈はこの大深度地下には及ぶのかどうかというところをちょっと。
  265. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) この問題につきましては、この調査会におきまして相当突っ込んだ議論がなされたわけでございますが、憲法あるいは民法で言う土地所有権、それにつきましては通常の利用がどこまで及ぶかということを見まして、そして例えば大深度地下という場合は使用権を設定することになるわけでございます。  使用権の設定によりまして、土地の所有権に実質的な損失があるかどうかというようなことを判断いたしまして、通常利用されない深さ以下のところを利用するのであれば、それは通常は、推定でございますが補償は要しないというような議論がなされまして、この大深度地下法制の実現、制度の枠組みについて可能ではないかという答申内容になっているわけでございます。
  266. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今の日本の社会あるいは地球全体がそうですけれども、今の現実においては利用しない、その権利が及ばないということがあるかもしれないけれども、遠い未来、例えばオゾン層の破壊などで地上で人間が生息することが困難なような状況が起こってきたときに地下を利用せざるを得ないような、私はこんなことになってほしいとは思いませんよ。しかし、極めて深刻な事態になっていった場合にはそういうこともあり得るかなと、そういう時代を迎えたときに利用するための空間として残しておくべき空間ではないのかなというような思いをしながら、この大深度地下の利用について、いろいろマスコミ等でも報道がされておりますし、答申もなされたということでちょっと読ませていただきました。  答申はあらゆる面で、安全性の問題とか環境への配慮とかさまざまな分科会を開きながら検討なされておりまして、これ自身は私は随分労作であったのかなというふうには思っております。しかし、それでもなおかつ今現在で、もっと適切に私たちが地球上を利用しながら快適に暮らす方法を求めていく方が賢明なのではないかなという思いをしながら、この適用される範囲というのを今答申でも大都市圏に区切るのか、あるいは一律にかける、法律は日本全体だという議論、両論併記というような形になっているというふうに思うんですけれども、ここらは国土庁としてはどんなふうに考えておられますか。
  267. 板倉英則

    政府委員(板倉英則君) この新しい制度につきまして、その適用範囲を大都市あるいはその周辺地域に限るべきか、あるいは全国制度にすべきかということにつきましてもこの調査会で相当議論がされたようでございます。調査会の考え方は、要は必要性の高い地域に限定するというのが多数意見でございまして、やはり大深度地下利用というものは使用権の設定を公的な事業に認めるものでございますので、必要性の高い地域に限定すべきだという御意見が多かったようでございます。  一方で、財産権の内容というものについて全国的に同一であることが望ましいというような観点から、制度を適用する地域を限定せずに、基本的には全国制度として構築すべきだという御意見もあったように伺っている次第でございます。
  268. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私も、地域をできるだけ狭めて、必要最小限度に狭めた適用にすべきだろうというふうに思います。  大臣、大深度というのは多分地盤とか地下水とか、さまざまな状況の変化によって使い勝手も違ってくるんだろうと思って、極めて慎重な対応が必要だろうと思いますけれども、いかがでしょうか。この利用に対して、大臣のお考えを。
  269. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) るる先生の御意見、また役所の答弁を聞いておったわけでございますが、本当にこれは重要なことであり、いろいろなお論議を進めて、やはり法制度化というのは私はきちっとやるべきじゃないか。そうしないと、混乱が起こるようなことにもなってくるんじゃないかと思いますので、その方向で私は考えていきたいと思っております。
  270. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、次に、これは三月四日の日経ですが、「公共事業見直し進まず」ということで、日本経済新聞が独自の調査によって、公共事業の見直しの対象となった六千六百事業のうち、四日までに中止、休止すべきとしたのはわずか一%強だった、そして中止、休止が一件もなかったのは十七都府県にも及んでいるというような書き出しで、公共事業の見直しが大変進まない状況にあるというふうに報道されておりますけれども、時のアセスメント機関としての再評価委員会の活動の中間発表みたいなものはなされてはおらないのでしょうか。
  271. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 再評価委員会の中間発表をしていないのかというお尋ねでございますけれども公共事業の再評価は、例えば直轄でございますと建設省地方建設局で実施をいたしますし、関係公団、あるいは補助事業等では自治体の各評価主体ごとに評価を実施してきているわけでございます。それぞれ各評価主体が評価を実施いたしまして、評価結果が取りまとまり次第個別に公表いたしております。  これまですべての地方建設局、それから多くの都道府県等で中間報告などの再評価結果を公表してきております。私どもの所管事業全体につきましては、再評価結果の全体がまとまった段階で今年度の評価を取りまとめたい、こういうふうに思っているところでございます。
  272. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この日経の記事は読まれておりますでしょうか。この日経の記事数字についての評価をお聞かせくださいますか。
  273. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 先生御指摘の三月四日の日経新聞夕刊の「公共事業見直し進まず」という記事でございますけれども、私ども基本的な考え方といたしましては、やはり再評価は直轄事業につきましては国、補助事業につきましては自治体などが、事業実施主体みずからが行うことが基本だというふうに考えておるわけでございます。  各自治体においてそれぞれ再評価を実施されたわけでございますが、この記事内容は「中止・休止一%強」というようなことで、中止、休止の部分が少ない、そういう意味で見直しが進んでいないのではないかといったニュアンスにとれるような記事ではないかということでございますけれども、やはり個々の事業を適切に見直した結果が一%であったということで、評価がしっかり行われば、それはそれで私は一%という数字自体にこだわることではないというふうに思っております。  評価に当たって重要なことは、やはり中止、休止すべき事業が中止、休止となり、継続すべき事業が継続になるということが評価の結果のことではないかというふうに思う次第でございます。
  274. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これからも建設省はそれぞれの部門にこの見直しの促進方を要求してまいりますか。
  275. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 事業評価につきましても、各地方公共団体あるいは公団等にもこういう評価をやっていただくようなことをお願いとして要請いたしておりますので、公共事業の実施主体には、こういう評価が適切に行われるように関心を持っていきたいというふうに思っております。
  276. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 自治体自身による再評価というのは極めて困難なのではないでしょうか。自分たちで決めた計画自分たちでやめるというようなことは、これはなかなかできかねるのではないかというふうに思いますので、何かきちっとした第三者機関みたいなところできちんと評価をしていくというシステムづくりというのを進めないと私はいけないというふうに思います。  建設省も、この六千五百九十一件に対しては多かれ少なかれ見直しが必要だというふうに認識はされているんでしょう。
  277. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 見直しの対象の事業というのは、御案内のとおりその新聞記事にも出ておりますし、私どもの評価委員会の実施要領でも決めておりますけれども事業採択後五年間を経過した時点で未着工事業、あるいは事業採択後十年間を経過した時点でなお継続中の事業、それから最後が事業採択前の準備あるいは計画段階で五年間が経過をしている事業、要するに採択段階で五年間も経過してしまっている事業ということでございますけれども、こういう事業につきまして再評価を実施するということでございます。  これに該当するものにつきましては、当然各地方公共団体においても再評価を適切に実施しているものというふうに考えております。
  278. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この節、大変財政的にも困難な時代ですし、見直すべきは徹底して見直す。多少事業に入っていたとしても、将来有効利用されないようなことが判明をしたときには、きちんとそれはやめていくという方向を出していくことが必要だろうというふうに思っておりますので、ぜひ御要望しておきます。  住都公団のことにつきましては、午前中の同僚委員質疑の中で行われましたので、通告をしておりましたけれども取り下げさせていただきまして、一点だけ。  これは通告をしておらないんですけれども、新潟県は海岸線が非常に長いんですけれども、佐渡という島もございまして、その佐渡島は大変海もきれいですし、観光の名勝として多くの観光客が来ているところなんですけれども、どういうわけか海岸線をテトラポットの山が取り囲んでおりまして、海を見ようと思って海岸に出るとテトラポットの山が見えてくるという状況が近年とみに激しくなっております。観光の名勝の中心地であります尖閣湾などはそんなことにはなっておらないわけですけれども、佐渡全体がテトラポットで囲まれている、これは一体何の事業なのかというふうに思うわけでございます。  海をせっかく見に来られた方たちが、見たときにがっかりしてしまうんです。こんなんなら佐渡まで来なければよかったという、そんなことで佐渡の観光客も余り伸びない。せっかく福島との高速道路が貫通して、佐渡島に大きな観光客が来られると、私たちは新潟ですから期待をしておったわけですけれども、そうではなくて海を見に来たのにという、そういう苦情が大変あるわけですけれども、この事業は一体どういう事業で行われたんですか、あのテトラポットを積み上げていくというのは。テトラポットは一個幾らぐらいするんですか。それがあそこに何億個ぐらい入っているんですか。  それだけでも私は非常なむだ遣いというふうに思うのですけれども、これはいかがでございましょうか。ごめんなさい、通告していなくて。
  279. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 海岸事業ということで、海岸の保全ということで新潟県の方でやっておられるお仕事だというふうに思いますけれども、どのぐらいの数、あるいは予算としてどのくらいの予算を投入しているのか、後刻調べまして御報告を申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、日本海の荒波を防ぐという点ではやはり海岸の保全というのは大変重要な事業でございます。そういう観点からテトラポットという海岸保全事業ということで投入をしてきているというふうに思うわけでございますけれども、一面やはり環境というものにも十分配慮しなきゃいけませんし、佐渡は観光ということで大変大きな面を持っている地域でもございますので、そういう点にも十分配慮しながら、かつ自然環境保全に配慮した事業が行われるような形で今後事業を進めていきたいというふうに思います。
  280. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。ありがとうございました。
  281. 奥村展三

    ○奥村展三君 まず、公共事業建設産業についてお伺いしたいと思います。  先日の大臣所信におきまして、公共投資そしてまた住宅投資を大臣は強調されたわけであります。特に地方におきましては、今同僚委員からもお話がありましたように、まだまだ公共事業そのものの格差が非常にあると思います。ある意味では総花的にやっていただいているところはあるわけですが、やっぱり短期間に集中的にそれぞれの地域だとか事業に合わせた公共投資をしていただく、非常に効率的なものにするべきであるというように私は以前から申し上げてもきました。  やはり住宅関連産業といいますか住宅産業、これをもう一歩伸ばさないと、今日の景気、このような状況を見ましてもなかなか持ち家で頑張ってくれることが少ない。大体一軒の家を建てるのに最低二十万パーツぐらいは使用されているだろう、それを各企業合わせていくと相当な景気浮揚になりますよということをよく聞くんですが、ぜひそういうような意味で今後大いに進めていただきたいというように願うわけであります。  ただ、今日、このような景気の不況、いろんな問題があるわけですが、建設産業というのは非常に従来型の産業といいますか古い仕組みといいますか、そういう産業であるわけであります。今日の金融問題、破綻をしたりいろんなことになってしまったわけでありますけれども、構造改革をしていく、そういうときにやっぱり痛みも伴ってきます。そうなりますと、失業者がどんどんとふえてくる。そういうようなときに、その場面になってから手当てをするんではなくて、今からしっかりと目安を立てて体力をつけさせていろんな改革をしていくというような方向づけが大事ではないかなというようなことを私は常に思っております。  そこで、公共事業並びに建設業、今暗いときですが、夜明けの前は何とかとだれかがよくおっしゃいますけれども、ぜひ今後の明るい見通しを持ったあり方について、建設省の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
  282. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 公共事業は、これからは波及効果の大きいもの、あるいは緊急度の高いもの、それからまた何といいましてもその事業が行われる地元方々の協力がなければなりませんから、その協力をいただく前段階としてアカウンタビリティーといいましょうか、いわゆる説明責任、情報を大きく公開して御理解をいただく。それから、小渕総理がおっしゃっていますが、公共事業も未来に向かって伸びていくような性格の公共事業にしていこう、そういう分野にまた重点配分をやっていこうというようなことでございますが、私もそのような形で進めていかなければならないと思っております。  そして、形、大きさ、公共事業の効果などはいろいろ変わってまいりましょうが、いずれにしましても公共事業がゼロということはあり得ないわけでございますから、これからは公共事業の実施に当たりましては先ほど言いましたように真に整備のおくれている分野への重点化、それからまたコストの縮減、事業評価の実施、そしてアカウンタビリティーの向上など、一層の効率化、透明化を進めていくということをやっていかなければならないと思っております。  それから、昨年二月の中央建設業審議会で建議を受けておりますが、技術と経営にすぐれた企業が伸びられる建設市場を目指し、入札・契約制度の競争性、透明性の一層の向上を図るとともに、昨年の十二月九日でございますが、建設業の経営改善に関する緊急対策というのを取りまとめまして、これを直ちに実施いたしております。その内容は、公正な競争と適正な取引関係の確保の観点から不良不適格業者の排除の徹底。このことは非常に重要だろうと思うわけでございまして、私はいわゆる建設業者に対します世間の厳しい目というものがあると思うんです。また、そういう厳しい目が生まれてくるような評価の悪い業者も私はいたと思うんですが、そういうような業者は排除をしていかなければならないと思っております。  それから、建設市場の構造変化に対応した建設業者の再編ということもまた起こってくるでしょうし、建設業の構造改革を進めるという観点からは企業の連携あるいは協業化の促進、そしてまた建設産業全体の再編ということもやっていかなければならない。  何も建設産業が旧態依然としておるという意味ではありませんが、もっともっとやはり時代の変遷に合った産業界にしていかなければならないと思っておるわけでございまして、いわゆる構造改善というのを図っていくということでございまして、国民の皆さんから信頼される、そういう建設業界といいましょうか産業界に構造改善をしていかなければこれ以上の発展はないと思っております。
  283. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ、今、大臣が御答弁いただいたような姿で頑張っていただきたいと思います。  ただ、公共事業イコールゼネコンというイメージが非常に強いわけです。特に、地方でもどんどんとそれなりの体力をつけた企業がたくさんあるわけであります。私の地元でも事業をやっていただいていますが、大きなゼネコンさんが来て、何かその事業しかできないような雰囲気になっていく。そこの地域の人が潤っていくような、失業がだんだんふえてくるような時代、そういうような流れを考えますと、やはり地域との密着度、そういうものも非常に大事になってくるのではないか、その点についてもう少し目を向けていただきたいなというように思うわけであります。  特に、何か私どもさきがけは公共事業反対のようによく言われていますが、国土の均衡ある発展を考えますと、まだまだやっていただかなければならぬと、ただコスト的に我々は強調しているわけです。  特に、一つの例で官民境界、よく我々の田舎では青線とか赤線とかいうんですが、そこをやるときに、設計業者さんがずっと測量されます。そうすると、今度はまたこっちの方でそれを確定するために土地家屋士さんがまた出られる。そうすると、二重払いのような形で現実に行われているところがあるんです。こういうようなところを改革していく、コストダウンしていく、そういうようなものがやはり今おっしゃる一つの大きなメリットになって出てくるのではないかなというように思います。それは要望しておきたいと思います。  二つ目でございますが、先月の二十六日ですか、鳴り物入りで経済戦略会議がいろいろ答申をなされました。特にこの中で、「都道府県および市町村レベルの公共事業の効率性向上のための改革」とか「二十一世紀に向けた戦略的インフラ投資地域の再生」とか、いいことがたくさん書かれて答申をなされたわけでありますが、私はこれからこの戦略会議で出されたことが問われてくるのは、実行力と国民に対しての説明力、それがやはり経済に結びついてくるのではないかなというように思いますが、建設省としてはこの日本経済再生への戦略についてどのように受けとめておられるか、お伺いしたいと思います。
  284. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 建設省関係社会資本整備関連のものでございますが、具体的には地方広域ブロックレベルでの戦略プランの策定、それから公共投資についてコストの縮減を図るとともに、事業の透明性を高めるための費用の便益分析や事後的な評価の実施というようなことが盛り込まれておるわけでございます。  これらの提言につきましては、既に取り組んでいる施策もございますが検討中の施策もありますので、項目別に整理を今進めておりまして、できるものから直ちに実施していくということで現在進めております。
  285. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ、今おっしゃったように実行していただけますようにお願いしておきたいと思います。  最後に、地方分権第五次勧告が出たわけでありますが、特に中央省庁の再編、一府十二省庁云々とありまして、建設省国土庁もあるいは運輸省、北海道開発庁等が国土交通省になると言われておるわけであります。  そうした中で、基本法に示されました総合補助金というのがありまして、この道筋が示されているわけですが、これは大変私は評価すべきだと思うんです。直轄事業の範囲やあるいはまた基準等はなかなかこの中では明確になっていないわけでございますが、私はここで地方分権を論ずるつもりはありませんが、建設省、今日までのいろんな事業、そして今後国土交通省になっていく中で、直轄あるいは補助金、そういう問題につきまして勧告をどのように実行していこうとされているのか、お伺いいたしたいと思います。
  286. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この直轄事業の基準の見直しでございますが、これは今日までいろいろ論議もされましたし、いろいろな方の御意見もあるわけでございますが、現在、河川審議会それから道路審議会におきまして基準の一層の明確化の検討を行っているところでございまして、今後地方公共団体の意見などを十分に聴取するなど早急に検討を進め、この五月中旬をめどに結論を得るように努力いたしておるところでございます。  個々の直轄管理区間等につきましては、この基準に照らして改めて点検を行いまして、関係地方公共団体等の意見を聞くなどの手続を経た上で、その廃止であるとかあるいは新たな指定を行うこととなると思います。  建設省としましては、今後とも地方分権の推進に着実に取り組み、公共事業の適切な執行に努力したいと考えておりますので、またそういう意味でのいろいろな地方公共団体の方からの御意見なども聴取していきたいと思っております。
  287. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  ぜひ地方の実態を踏まえながらお進めいただきますことを重ね重ねお願いして、終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  288. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 しんがりでございます。島袋宗康です。大変御苦労さまでございます。  国土庁長官は所信表明の中で、二十一世紀を展望する重点国土政策の第一番目に、多軸型国土構造の形成に向け、新しい全国総合開発計画である二十一世紀の国土のグランドデザインを効果的かつ着実に推進するため、多自然居住地域の創造など四つの戦略を推進するための指針を本年夏前を目途に策定すると述べておられます。  その策定状況は現段階でどの程度進捗しているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  289. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) ただいま御指摘ございましたように、昨年三月に閣議決定されました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきましては、現在の一極一軸型の国土構造を四つの国土軸から成る多軸型の国土構造へ転換することを二十一世紀の国土づくりの基本と掲げております。  こうした国土構造形成の基礎を築くため、多様な主体の参加と地域間の連携により、多自然居住地域の創造、大都市のリノベーション、地域連携軸の展開、国際交流圏の形成の四つの戦略を推進することとしております。  先生も今御指摘ございましたように、これらの戦略の推進に当たっては、その具体的方策を明らかにすることとしているため、地方公共団体を初めとするさまざまな主体の意向や国土審議会の意見を踏まえつつ、戦略推進指針を今年夏を目途に策定し、その中で戦略の推進に関する国としての基本的考え方や具体的な施策提示したいと考えておりまして、現在準備段階の四つのこの戦略に関するそれぞれの委員会を設けて、そして御検討を進めていただいておるという状況でございます。
  290. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それはここにありますように夏までには計画できるという話でございますか。
  291. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) その予定でございます。
  292. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 九六年九月に閣議決定されました内閣総理大臣談話によりますと、沖縄政策協議会の第三回会合で各省庁から提案されました八十八項目の沖縄振興策の中から三十四項目の具体的検討事項が決まっております。その中に国土庁が取りまとめる省庁となっているのが二項目あります。  一つは、次期全国総合開発計画と沖縄県の役割、二つ目は、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域制度の活用であります。この二つの項目について、その内容並びにその後どのような展開があったのか、御説明いただきたいと思います。
  293. 小林勇造

    政府委員小林勇造君) 御指摘いただきましたように、沖縄政策協議会において掲げられている沖縄振興策のうち、国土庁では、新しい全総計画と沖縄の役割、それからもう一点が多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域制度の活用を取りまとめたところでございます。  このうち、新しい全総計画、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」においては、沖縄を太平洋平和の交流拠点として位置づけるとともに、地域整備の基本方向として経済の自立と雇用の確保を進め、地球社会と共生し、国際平和に貢献する自立的な地域を構築し、アジア太平洋地域における平和交流や技術協力等の国際的な貢献活動と多角的交流を促進して、世界に貢献する広域国際交流圏の形成を図ることが示されたところでございます。  今後は、政府一体となった緊密な連携のもと、この計画を効果的、着実に推進していく所存でございます。  また、もう一点の多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域制度については、沖縄本島中南部地域を国際貢献、国際交流の拠点として形成すること等を内容とする振興拠点地域基本構想、名称が「国際貢献都市OKINAWA構想」を平成九年十二月三日に承認。国土庁としても本構想に基づく開発整備の促進に努めてきているところでございます。  具体的には、その拠点の中に幾つか施設を整備することとしておりまして、例えば沖縄平和祈念資料館、これは平成九年に着手しておりまして、完了が十一年度でございます。それから、沖縄国際交流情報センター、これも平成十二年度に開設する予定でございます。さらに、既に完成したものとして、沖縄県工業技術センター、これは平成八年度に着手しまして、平成十年度に完成しております。そのほか、沖縄都市モノレール、さらには沖縄県産業振興会館、那覇空港新国内線旅客ターミナルビル、このようなものが着手あるいは着手予定というふうになっております。
  294. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄を平和のメッカとして、アジアのいわゆる交流拠点とするというふうな形で、非常に日本の国として重要な位置にあると思いますから、今のような策定を政府としてもぜひ努力していただきたいというふうに思っております。  今述べました三十四項目には入っていませんが、さきに各省庁が提示いたしました八十八項目の沖縄振興策の中で、建設省提示したものとして亜熱帯地域建設技術開発というものがあります。それはどのようなことを想定して提示されているのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  295. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 私ども、先生御案内のとおり八十八項目の中で、沖縄の気候、環境を生かした亜熱帯地域建設技術開発と国際協力の推進、こういうものを提案いたしました。亜熱帯総合研究所整備構想検討会というものが既に設置されております。その中で、具体的な各分野の検討作業のうち建設分野としてどういうことを想定しているのか、考えているのか、そういう御質問だろうと思うわけでございます。  沖縄のまず亜熱帯性、島嶼性を利用し得る建設分野の技術開発といたしまして、例えば水資源対策のための地下ダムでございますとか、下水処理水の再利用技術とか、赤土の流出対策技術、あるいは亜熱帯地域における省エネルギー住宅建設技術といったような課題が考えられるということでございまして、これらの課題の検討の進め方につきましては、亜熱帯総合研究所整備構想の動向を見守りながら対応していきたいというふうに思っております。
  296. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 了解いたします。  平成八年十一月に沖縄県が策定しております「国際都市形成構想 二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザイン」において、沖縄県は、「東アジア経済圏や環太平洋交流圏における国々との多面的かつ多様な交流を展開するとともに、亜熱帯環境交流圏の国々や我が国を結ぶ交流の中核的拠点として、主要な役割と機能を担い、アジア太平洋地域の持続可能な発展と平和に寄与することを目指す。」としております。  この構想に関する大臣の御所見を賜りたいと思います。
  297. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この国際都市形成構想でございますが、沖縄県を多面的な交流の展開をする場所として、太平洋平和の交流拠点として位置づけておりまして、平和交流や技術協力等の国際的な貢献活動を初め、経済、学術・文化等における多角的な交流を促進するということでこれは対処していこうと思っております。  また、その内容につきましては細かいことが多々あるわけでございますが、いわゆる地図で描きましても、沖縄を中心としての東南アジアの国際的な交流というものを描いておるわけでございまして、南北交流の拠点形成を行うとか、あるいは二十一世紀にふさわしい新しい産業の創出と振興とか、魅力あるリゾート地の形成、そしてまた質の高い、潤いに満ちた生活空間の形成等々、その内容は細かく決められておるわけでございまして、その一つ一つを早く実現していくように努力したいと思っております。
  298. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の御答弁のように、ぜひ政府として努力していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  長官は、所信の冒頭に、「我が国経済の再生を図るとともに、新しい世紀に向けて、豊かでゆとりがあり、安心して暮らせる社会を実現する上で、幅広い分野を担当する国土行政の役割は、ますます重要になる」との認識を示しておられます。  この点に関連して我が沖縄県の現状を見てみますと、私は寒気さえ覚えるときがあります。それは、余りにも過密に米軍基地が我が県に存在するからであります。全国の米軍専用基地の七五%、そして沖縄全県土の一一%、沖縄本島の二〇%が米軍基地に占領されております。とてもゆとりがあり、安心して暮らせる状況ではありません。身の危険さえ感じております。  長官は、このような沖縄県の現状についてどのような感想をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  299. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この新しい全国総合開発計画でございますが、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」においては、先生御承知のように、いわゆる基本的課題というのが五項目ありますが、それ以外に特定課題というものが二項目ございまして、一つが「首都機能と東京問題」、それともう一つが先生御指摘の「基地問題を抱える沖縄の振興」ということになっておるわけでございます。この「基地問題を抱える沖縄の振興」に当たりましては、沖縄の経済振興と基地問題がいずれも重要な課題であると認識をしておりまして、沖縄の主体的な取り組みを基礎に、国がその責務を果たすことによって各般の施策を進めることとしております。  この沖縄の問題につきましては、政府一体となって、緊密な連携のもと、計画課題を効果的に、また沖縄の県民の皆様方が納得をしていただきますように、私は細心と最大の努力をしていかなければならないと思っておるわけでございます。  その「基地問題を抱える沖縄の振興」というのは、この中に明記されておりますが、アジア太平洋地域において平和交流、国際協力の拠点としての役割を担う「太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)」というふうに位置づけてその振興を図るということでございますから、この国土庁のグランドデザインの中にも特別な課題として明記をいたしております。それだけ認識もいたしておりますし、重要課題として一生懸命やっていきたいと思っております。
  300. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 県民は基地の整理・縮小あるいは基地の撤去といったものに非常に関心を持って、政府の対応を、いかようにしてこれを打開していくかというふうなことについて非常に関心がありますから、ぜひ平和のメッカとして沖縄をどういうように位置づけていくかということを含めて、やはり今の米軍基地の過重な負担というものをいかに軽減していくかということは政府の大きな責任だと思いますから、ぜひその点を念頭に置きながら、国土庁長官として、沖縄の平和の交流拠点としてどう位置づけていくかというふうなことに対してぜひ御理解いただきまして、推進していただくように要望して終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  301. 松谷蒼一郎

    理事松谷蒼一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会