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参考人(
石井幹子君) 御紹介いただきました
照明デザイナーの
石井でございます。
本日は、このような大切な
委員会にお招きいただきまして大変ありがとうございました。ただ、私はこのような場は大変ふなれでございますので、ひとつ
先生方よろしくお願いいたします。
私は、日常は
照明デザインの
仕事をしておりまして、後ほどどんな
仕事をしているかという若干の御紹介をまぜながら
スライドで見ていただきたいと思います。
国会等移転調査会につきましては、一九九三年から
参加をさせていただいておりまして、いろいろなさまざまな議論、御
意見、また
調査等について勉強させていただいております。また、あわせて九六年の一月には
ブラジリアの
視察に同行させていただきました。その前にも
オーストラリアの
キャンベラであるとか、または
ワシントン、
ベルリンといったような
調査、
視察のお誘いもありましたが、そのほかの
都市につきましては以前に見ておりましたので、九六年一月の
ブラジリアにつきましてはまだ行ったことがない、見ていないということで
参加をさせていただきました。若干そういった新しい
ブラジリアの
スライドも後ほど交えて見ていただきたいというふうに思っております。
その後、
国会等移転調査会から
国会等移転審議会になりまして、そちらの方の
審議会委員といたしましてもまたさまざまな御討議を伺って勉強させていただいております。また、あわせて九八年二月には、これは私の個人的な
視察でございましたが、
ベルリンの
状況も
視察をしてまいりました。そしてまた、
イメージ部会の
部会長というふうな大任を仰せつかりまして、きょうこの後見ていただきます
イメージにつきましていろいろとまとめさせていただいております。
それでは、何か明るい昼間に
会場を暗くさせていただきまして恐縮でございますが、ちょっと
会場を暗くして
スライドと
イメージの映像を見ていただきたいと思います。(
OHP映写)
私は、
照明デザイン、主に
都市環境の大変大きなスケールでの
照明の
仕事を日常しておりますが、皆様方大変身近に
御存じでいらっしゃいますのは多分この
東京タワーでございましょう。
東京タワーは
平成元年一月に
照明を開始いたしまして、それまで大変小さなイルミネーションがついておりましたが、足元からライトアップするということで、
東京の新しい
夜景として復活いたしました。
これは冬の大変暖かい色味のものでございまして、今現在この色になっておりますけれども、実は
東京タワーは二つの衣を持っておりまして、こちらは夏になりますと涼しい光で
照明をされております。
よく
照明につきましては
電気料のことなどを皆さんおっしゃられますけれども、電気を光として使う場合は大変経済的で、しかも
日本では今省エネの技術が大変進んでおりまして、私どもはそういったものを生かしながら
夜間の
照明、
都市景観照明を行っております。
これは
東京駅でございます。
東京駅のれんが駅舎、これは大変古いしかも文化財的な意味を持つものでございますが、これも
照明をしております。
そして、
レインボーブリッジでございます。
東京湾の
埋立地、お台場の方にかかる
レインボーブリッジ、これも実は一部
太陽光発電を使っておりまして、自然との共生、エネルギーの節約ということでも貢献しております。
これは横浜の
ベイブリッジでございます。横浜は
大変夜景の
整備が進んでおりますが、そのきっかけになりました
ベイブリッジです。
さて、これは奈良の
東大寺大仏殿の
夜景でございますが、
日本の各地に今やみに埋もれております文化財、または大変すぐれた
景観、
建築物、橋梁といったものも、古いものも新しく光をまといまして名所として復活しているところも多い、そういった
状況でございます。
そして、これは
世界文化遺産の第一号に
日本から選ばれました姫路城です。真っ白なしっくいの色が
大変光に映えております。
これも
御存じ函館の
夜景でございますが、こういった
都市全体の光をどうしていくかということも私どもの
仕事の大変大きな部分です。夜になりますと
函館市は大変美しい
夜景になりますが、上から見ただけの
夜景ということではなくて、この
夜景をめぐって歩いて皆さんに楽しんでいただける、また
観光客を誘致するといった
夜景の創造ということもしております。
このときは
函館市の中の歴史的な
建造物を二十二カ所ほど選びましてライトアップをし直したわけですが、こちらは旧市役所、それから旧公会堂といった木造の古い
建築物を新たに
照明しております。
これは
函館とは対照的な
夜景の町ですが、
長崎市でございます。
長崎市も今後
夜景の
整備をしていこうということでいろいろと
基本計画をつくらせていただきました。その中の一つ、
大浦天主堂ですが、国宝の建物、こちらも夜明るく照らし出して
観光客の
方たちが見られるようにしているというふうな、そういうことを
仕事としております。
さて、これは
長崎のハウステンボス、オランダの町をそのまま復元したものですが、こちらの
夜景全体の
照明もいたしました。これはドムタワーというその中の
ランドマーク、一番主要な塔でございますが、そこの
夜景です。
こちらは恵比寿のガーデンプレイス。サッポロビールの
工場跡地に、ホテル、住宅、また
ショッピング街につくり直したそこの全体
照明の一部です。
こちらは昨年できました下関市の
海峡タワーという
展望台でございますが、こちらを夜大変目立つようなといいますか、夜の
景観を引き立たせるような光をつくりまして、これは昨年
アメリカにあります
国際照明デザイナー協会から
優秀賞をいただいたものでございます。
そして、
最後にお見せいたしますのは、昨年竣工いたしました
明石海峡大橋、
世界最大の全長四キロという橋でございます。
兵庫大震災の傷もいえないというふうなことから何とか
観光客がたくさん来るような、殊に
夜間の
観光をぜひ目玉にしたいということでこういった
照明をさせていただきました。実は、これは
日本の大変新しい技術を使っております。この光ですが、実は二十年間電球をかえなくてもいいという
大変長寿命の光源で、なおかつ何百という色に変えられる。すべてコンピューター制御されておりまして、これは今
毎正時に虹の色を出しておりますが、七色にだんだんと光が移っております。ふだんは
パールブリッジという名前のとおり白い色になっておりますけれども、
毎正時、毎三十分にはこういった光の
演出をしております。
以上、
東京タワーから
明石海峡大橋までを見ていただきました。
そこで、私ども、そういった
夜景の
デザインと光の創造ということを日常やっておりますが、
夜景をつくる上でも昼の
都市景観がどうなっているかということの
調査をして、そして
夜景をつくっていくわけですので、昼間の
景色ということについて大変私は長年にわたりましていろいろと研究、
検討を重ねてまいりました。
ということで、恐らく
イメージ部会につきましては不肖私がまとめ役といったようなことを仰せつかったのではないかというふうに思っております。
さて、話を
国会等移転に戻したいと思いますが、ちょっとここで世界の幾つかの
都市の
夜景、
夜景でないものもございますが、見ていただきたいと思います。
こちらは
アメリカの
ワシントンです。多分夜の
ワシントンというのは余り
先生方も
ごらんになっていないと思いますが、
ワシントンは
アメリカのまさにショーケースといったような感じに
夜間の
景観を非常に美しく
演出をしております。
これは
ポトマック河畔のちょっと引いたところからモニュメントを見たところの
景色です。
これは
連邦議会でございますが、こちらも大変暖かい光の色で、しかも豪華な美しい
夜景の
演出がなされております。こういった水面がありますと、
大変光が映り込んできれいです。
これは
御存じホワイトハウスでございます。本当にこういった
首都の夜というのは
先進国では非常に美しく光の
演出をしておりますが、この
ホワイトハウスも決してけばけばしい光ではないんですが、
大変暖か味のある光の色で、なおかつ非常に光のバランスもよく、美しい
演出がなされていると思います。
そして、これは
リンカーン廟。言ってみれば建国の魂をこれであらわすというと申しましょうか、非常にこれは堂々と、しかも端正に
照明がなされております。
さて次は、
オーストラリアの
キャンベラでございます。昼間の
景色はこのように大変広々としたところでございまして、私なども、人が少なく、
余り道を歩いている人もいないということで、何か寂しいような感じも受けましたけれども、夜はやはりきちっと
照明が施されております。これはだんだん暮れなずんできたところを
展望台の方からずっと市内を見ていったところです。
こちらは
国会議事堂でございます。
議事堂は夜非常にインパクトの強い、
観光客なども見てああなるほどこれが
オーストラリアの新しい
議事堂だということがわかるような光の
演出がされております。
最後にお目にかけるのは
ブラジリアでございますが、
ブラジリアは一九五〇年代に建設が行われまして、全体が完成したのが六〇年というふうに聞いております。私などはちょうど
学生時代で
ブラジリアの新しい
首都建設というのはもう本当に胸躍らせながらいろいろな記事を見たわけですが、これは
ブラジリアの全景です。
そして、これは
国会議事堂。上院と下院、非常にこれはコンセプトが明瞭に、片方が上院、片方が下院というふうなことで、真ん中に建っておりますのが
事務棟だということです。
これは外務省です。
というふうに、
ブラジリアは、私ども伺いましたときに夜は
大変治安が悪いということで、残念ながら
夜間の撮影というのはできなかったのですが、やはりそれぞれにみんな
照明されておりました。
これは
中央広場です。
ちょっとここで機材を入れかえます。
それでは、お
手元の新しいパンフレットを、もう既に
ごらんになられた
先生方も多いかと思いますが、引き続き御
説明をさせていただきます。(
スライド映写)
「
首都機能移転 新
時代の幕開けとなる新
都市像」ということで
検討させていただきましたが、これはもちろん私一人でやっていることではございませんで、私が
部会長を務めましたけれども、交通の
専門家といたしまして
東京工業大学の
黒川先生であるとか、また
環境、
植栽等につきましては
東京大学名誉教授の
井手先生であるとか、または
都市計画としては東大の
森地先生であるとか、さまざまな専門の
先生方にも加わっていただきまして、いろいろな側面からの御支援をいただきながらまとめていったものでございます。
まず、中央に見えております扉ですが、全体に青く丸い、これは地球を
イメージしてつくったものでして、真ん中は
国会議事堂の建物を想定しております。円形、球形になって、そしてしかも天井がガラスで、大変透明感のある開かれた国会、明るい国会、透明感のある建築というふうなことでの
イメージでございます。
そして、これは土地全体の俯瞰図でございます。もう少し詳しく見ていただきますが、これはちょうど春のあけぼの、言ってみれば二十一世紀の夜明けといったような
イメージで描かれております。桜の花、菜の花の春らんまん。桜の花というのは、私たち
日本人にとりましては季節感ということだけではなくて、ある種の
イメージを伴ったものでございますが、桜が咲き、菜の花が咲き乱れ、そしてちょうど今朝日が上ってくるという日の出の
状況を描いております。
できるだけ
日本的な
景観を大事にしたいという思いが大変強くございまして、
日本人一人一人が何か胸の中に抱いておりますふるさとの原形といったようなものをここで表現したいというふうに思っています。川が流れ、そして小川も流れ、そこに里山があり、ところどころにちょっと水田が、水田をぜひ入れていただきたいというのは私たち大変強く願ったことでございますが、やはり里山と田んぼというのは私たちがだれしも持っているふるさとの原形ではないか。そういう昔からの伝統を大事にした
景観を保ちながら新しいものをつくっていくということを考えておりました。
中央に建物がちょっと見えてございますけれども、中央駅です。そして人工湖といいますか、少し水をたたえております小さな湖がございまして、その周りにいろいろ建物が点在しております。
このとき随分いろいろ議論をいたしましたが、高層ビルが建っているような新しい
都市をつくるのではないと。ニューヨークのような高層ビルがたくさん建っているものは二十世紀型の工業化
時代の
都市であって、二十一世紀の
都市というのは超高層ビルが建ち並ぶものではない。もっと全体が低層で、そして緑がふんだんにあり、水があり、そして光があるといったそういう
都市を
イメージしております。
この絵をつくりますときにもう一つ私どもが大変留意いたしましたことは、現在、
候補地が大きく分けて三つのグループ、三地方に分かれておりますが、その中のどこにも似ない
景色をつくりたいということでございました。殊に山の形などは細心の注意をしたり、また、かといって何か外国の
景色のように見えても困りますので、あくまでも
日本の
景色でありながらどの三地方でもないというものを一生懸命つくったつもりでございます。何か後になりまして、いや、実はどこどこ地方のどこかの地点から見たらとてもこれと似ているなんということを言われましたが、それはあくまでも私どもは避けたいと思っておりましたことで、もしかしたらちょっと他人のそら似のようなところがあるかもしれませんが、一切そういうことは避けたつもりでおりました。
ずっと近寄ってまいりますと、ちょうど
国会議事堂が、小さな湖の真ん中辺にちょっと見えておりますが、そしてその左手のところに中央駅が見えております。朝日がまさに上がるときというようなそんな
日本の代表的な田園風景の中に大きな
都市、そしてその周りに小さな
都市があらわれているといったような情景です。
それで、「
国民や世界に開かれた政治・行政」、また「にぎわいと文化の香り」、「やさしさに満ちたコミュニティ」、「
自然環境との共生」といったそれぞれ四つのテーマに分けてこの後
イメージが展開いたします。
まず、
国民や世界に開かれた
都市です。
これは
国会議事堂の周辺でございます。また桜かというふうなことをお思いになるかもしれませんが、親子で、または家族、またはお友達とお花見をしている。身障者の方の車いすを押している方もあったり、そしてその向こうに
国会議事堂が見えますが、これは芝生に囲まれただれもが親しみを持てるような
国会議事堂というふうなことの
イメージです。
さて、これはその
国会議事堂。開かれた場所というふうなことでございますけれども、ここは危機管理センターを想定しておりまして、この
首都機能の中枢のセンターといたしまして、
全国でもしも何か万一仮に
災害が起こったときに、ここにすべての
情報が集まって迅速にここからまた
情報が提供できるといったような高い危機管理能力を持った新
首都ということが大変大きなファクターになるというふうに考えております。
日本は、大変、台風であるとか地震であるとか自然
災害が多いですが、こういったものにリアルタイムで
情報収集をしながら対応に当たるといったセンターの
状況を描いております。
ちょっとこれを
ごらんいただきますと、全体の
イメージの中で国際性ということ、外国の人たちも中にまじっておりますし、また男女共同参画社会ということで女性の働いている姿もできるだけ中に多く取り入れたというふうなことも前提としてございます。
そして、これは国際会議を開いているといった
状況ですが、大型スクリーンを使いまして、遠く離れた場所からでも交渉できる外交のシーンということで、国連の旗と
日本の旗がかかっております。今後こういった会議がふえてくると思いますが、それを想定しています。
それから、これは大使館街でございますが、緑も大変多い、そしてそこでゆったりとした空間で電気自動車が走っているといったようなそういう大使館街です。
これは
国会議事堂の中でございますが、大変外光がいっぱい入ってくる明るい議場でございます。そして、いろいろな最先端のメディアを使いながらの会議、それから傍聴席に大変大勢の
方たちがぐるっと取り巻いておりますけれども、こういった最新の
情報機材で活発な議論が展開できる効率的な開かれた政治行政を実現したいというそういった意図で描かれた絵でございます。
一般に新しく町をつくるといいますと何か大変寂しいところになってしまうのではないかというような、そういう御心配をなさる方も多いと思いますが、これはできるだけ活気と楽しさに満ちた新しい町、そしてさまざまなこれから二十一世紀に展開しますライフスタイルにも対応できるような町ということを
イメージしております。オープンエアのテラスに、
仕事をしている人もいるし、もちろん何かそこでくつろいでいる人たちもいます。
そして、これは中央の駅でございますが、幹線の交通機関が入っておりまして、それからまたそこからちょっと上側にモノレールのようなものが見えておりますけれども、幹線が入ってそして支線が出ていくといったような
状況でございまして、新
都市内を結ぶ新交通システムが発着する中央ターミナルの様子を描いております。こちらにも、車椅子に乗った方もありましたり、また大きな荷物を提げている方もある。エスカレーターのほかに、中央のところにガラスの円筒形のエレベーターがある。そして、全体に非常にこれも開放的な明るい建物を想定しております。言ってみれば、海外から来た
方たちまたは国内から来た
方たちもここが一つの玄関口になるといった新しい
都市の
イメージを考えております。
さて、これはナイトライフといいますか、言ってみれば新
都市の中でのにぎわいの一つでございます。海外から見えた外国のお客様が
日本食を楽しんでいるといったような
状況でして、外には世界的に有名ですが、
日本の花火が上がったり、またはライトアップされた建物が見えたり、そしてまたあわせて満天の星が見えるといったそんな新しい
都市の夜を表現しております。
そして、こちらの方は文化ホールの内部を描いたものですけれども、新しい文化的な大変高度な施設も中につくりたいということで、また新しい文化の発信地になるといったような
都市を想定しております。
日本のお祭りというのは大変楽しいものでございますし、また近年はいろんなところでお祭りが復活してまいりました。周辺
地域の住民の
方たちのお祭りというものを、この新しい
都市では
観光客や外国人も
参加してそして新しい
都市の住民も一緒になって行っていくという、そんな
状況を描いております。外国人がはっぴを着ている、そしておみこしを担いでいる人もいたり、また土地の人たちも楽しんでいるといった情景です。
これは野外彫刻展、そして美術館が見えているところですが、水のせせらぎも、今までのようなコンクリートでつくられた人工的なものではなくて、十分に自然のせせらぎを残した、そしてそういったところで大勢の人たちが水にも自然にもそして新しい美術にも親しむことができる、そんな
状況を描いております。
次は、「やさしさに満ちたコミュニティ」です。
これは周辺の
都市、言ってみればクラスターの中の住宅地といったようなものを想定しておりますけれども、集合住宅と一戸建て住宅が混在しまして、しかも豊かな緑に包まれた住宅地で潤いに満ちているといった、そんな住宅地を想定しております。
ちなみに、五階建てぐらいの集合住宅ですが、その上にはソーラー、
太陽光発電のコレクターがありましたり屋上庭園がある。そして、障害者の
方たちにも乗りいい低床式バスが中を巡回しております。右手の方にはモノレール、いわゆる新交通システムといったようなものが行き交っておりまして、そこに駅や商店街などがありまして、後ろの方には戸建て住宅が並ぶといったような、そんなところでございます。ここも、なるべくどこといった
地域でもないけれども、かといって外国の場所でもない、山のある大変緩い傾斜地のようなところを想定して描いております。
これはそこに住む住民の人たちの暮らしをちょっと描いておりますけれども、実はこれは国際結婚をしたカップルのところにおじいちゃんが竹トンボのつくり方を孫たちに教えているといったような想定で、
日本の文化を大事にしながら継承していく、それと非常に国際的になっていくであろうといったような
イメージを描いております。
そして、これは実は在宅勤務中のお父さんでして、勤務形態も恐らく二十一世紀になると大分変わってくるだろうと。通信技術の発達で在宅勤務が可能になる。最初これはお母さんが在宅勤務をしていて子供たちを見送るというのがいいんじゃないかというような御
意見もあったんですが、強いてこれはお父さんが在宅勤務をしているというふうな絵をかかせていただいております。
スポーツというのはまた二十一世紀の人々の生活の中で大変大きなファクターを占めると思いますが、住宅地の一角などに、または
仕事場の一角にもこういったスポーツ施設がふんだんにあるような新
都市を想定しています。
これは小学校の高学年ぐらいの子供たちを描いたものですが、開かれた学校といいますか、広々とした教室の中でコンピューターなどを使って自主的に学んでいる、そんな学校の
状況です。
おなじみのといいますか、これは赤ちょうちんでございますが、こういったものも大事にしていこうというそういう姿勢でございます。
次に、「
自然環境との共生」ということで見ていただきます。
この新
都市には水と緑をふんだんに置きたい、そしてまさにふるさとの川岸といったそんな
状況でみんなが水に親しんでほしい、昆虫採集をしたり、また釣りをしたり、また浅瀬で遊ぶといったようなそんな水遊びができるようなそういう
状況を描いております。
そして、これは
都市内の公園ですけれども、小動物、リスが遊んでおりますが、ヨーロッパの公園などにはこういうものがよく見られますけれども、ぜひ今度の新
都市ではこういった自然とそして小動物なども遊びに来るようなこんな公園を想定しております。
これは、近隣の住民の
方たちとも一緒に過ごせるような家庭菜園といいましょうか、食べるということよりも、野菜を自分でつくって楽しめる市民農園、住民同士の交流にも役立つような市民農園の
状況です。
これは里山ですが、私どもがこれからも大事にしたい里山、その中で子供たちが昆虫採集をしておりますが、里山の近くに小さい町が幾つかできてくるといったようなそういう
状況、里山が身近にあるといったような表現です。
さて、このゼロエミッション型の社会を目指すということが今度の新しい
都市の一つの大きなテーマになるというふうに私ども考えております。特に、それまで住んでいらした
方たちにとってみますと、新しい町が近くにできるということは、まず、ではごみをどうしてくれるのといったようなことが一番大きな問題になるわけです。できるだけごみのリサイクルをするということで、これはオフィスビルまたは何か役所の建物の一つかもしれませんが、そういった建物の下にごみの処理場があって、そこで発電をするといったようなそういう建物を考えております。斜面のところが
太陽光発電になっておりましたり、また地下でもごみの焼却をしてそこで発電をするということでエネルギーにも寄与する、そういう新しい形での
都市づくりという、いろんな新技術をここで使っていきたいというふうに考えております。
ということで、私ども、いろんな意味でこれからの新
都市というものを二十一世紀の新しい
都市像としてとらえていきたいというふうに考えてこの四つの柱をつくってきたわけですけれども、このクラスター型の
都市ということが大変わかりにくいということで御質問等も多く受けるわけですが、真ん中に国会
都市、
中心クラスターと呼んでおります。当初は十万規模ということでお考えのようですけれども、その十万
都市のようなものが一つまとまって、それがどんどんと大きくなる。ただ、その一つがどんどんスプロールして大きくなることではなくて、周辺クラスターと呼んでおります新交通システム等で結びます周辺クラスター、そこにまた住宅地があったり、研究所があったり、何かコアの施設がありながら、幾つかの周辺クラスターと呼ぶ小さなグループ、ちょうど一つずつのブドウが固まってブドウの房になるように、
中心のクラスターの周りに周辺クラスターがあって一つの大きなブドウの房になる、それを新
都市の
イメージとして考えております。
これは、周辺クラスターの中の
イメージの例なんですけれども、また交通のターミナルがあります。道路があります。そして、そこの前に住宅地があって、大変ふんだんに緑がありまして、公園がありましたり、何か住民の交流のためになるような機関がありましたり、それからそこに川が流れている、そんなような
イメージを描いております。
そして、これは
夜景でございますが、大変柔らかな、ぎらぎらしたものではない柔らかな光に満ちておりまして、殊に道路それから
植栽等に柔らかな光が降り注いでおります。そういった優しい光が地上にはございますが、一方天空には満天の星空が見えるというような、そういう新
都市の
夜景を描いたものです。
ということで、四つの新しい
都市の全体像、それから四つの
項目について
説明をさせていただきました。
そして、お
手元に置かせていただいております「新
時代の幕開けとなる新
都市像」の新しいパンフレットでございますが、これは実は非木材紙のケナフというものを使っておりまして、そして印刷のインクは大豆油のインクを使っているというちょっと新しいものです。どうぞお手にとってくださいますと、何となく優しい、いい質感でございまして、私ども、あえてこの紙質を使わせていただきました。また色味の使い方も、最初の目次のところを
ごらんいただきますと、ちょっと
日本的な色合い、茶色であるとか紫系の色とか紺色、緑といったような、ちょっと歌舞伎を連想させるような色味でございますけれども、できるだけ新しい技術を使いながら、そして自然に優しく、なおかつ
日本の伝統文化ということに対しましてもいろんな意味でぜひ二十一世紀に引き継ぎたいというふうなことで、そのあたりのことについて強く意識しております。
また、もう一つお
手元にダイジェスト版といいましょうか、大変簡単なものがございますが、こちらの方はまさにダイジェスト版で、専ら絵を見ていただくというようなことを主眼にいたしましてつくっております。
なお、パンフレットの方には、これは
ごらんいただきますとかなり詳しい
説明がございまして、このパンフレット、厚い方でございますが、まず最初に表紙をあけていただきますと、
首都機能移転とは何かということについて極めて簡単に易しく、一般の
国民の
方々におわかりいただけるようなことで
説明しております。
例えば四ページ目でございますけれども、国際空港と幹線交通との問題でありますとか、それからそのほか、
中心都市と
国会等、
首都といわゆる経済的な
中心地、世界各国どんなふうなものがあるかといったようなことです。
それから、殊に六ページなどを
ごらんいただきますと、世界各
都市の国際会議の
開催件数といったものがちょっと書いてございまして、これで見ますと、本当に
東京というのはいかに人が集まってこないのかなと、これは私も大変びっくりして見たようなデータでございますが、香港といわず北京よりも国際会議の
開催が
東京は低いといったようなことなども出ております。
そして、それぞれの
イメージにつきまして御
説明をしておりますのとあわせて、十二ページには世界における
首都機能移転について、
アメリカ、カナダ、
オーストラリア、ブラジル、ドイツといったようなこれまでの世界各国の
首都機能移転についての記述がございます。
それからもう一つ、ちょっと見ていただきたいのは、二十ページにございますが、「人や自然にやさしい世界の交通システム」というのがございますけれども、最近交通システムに随分いろんな新しい手段がふえてきておりまして、殊に非常に床が低い、ですから御老人や身障者の方にも乗りやすいような交通機関であるとか、また、例えば地下トンネル式のバス道路といったようなものとか燃料電池の自動車とか、そういった新しい交通の手段というものの記述がございます。
また、「世界にみる
都市づくりのアイデア」という二十八ページ、こちらにつきましては、これは
日本の例もちょっと置いてございますけれども、水と緑、そして伝統というもの、そういったものを一律ではなくて、それぞれの各地の風土、文化といったようなものを踏まえながら新しい
都市づくりのアイデア、若干これも触れてございます。
そして三十六ページ、「段階的クラスター配置による新
都市づくり」ということで、このクラスター配置による
都市づくりということになりますと、いろいろな
候補地が今出ておりますが、その
候補地の
地形によりましてさまざまなバリエーションと、また発展段階におきましてもいろんな
状況によってつくっていくことができるというふうな
都市づくりの考え方、そういったものを書いております。
ちょうどいただきましたお時間になりましたので、
説明はこのあたりで終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)