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1999-04-26 第145回国会 参議院 行政監視委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十六日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     有馬 朗人君  三月三十一日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     脇  雅史君  四月十二日     辞任         補欠選任      藤井 俊男君     堀  利和君  四月二十日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     陣内 孝雄君  四月二十一日     辞任         補欠選任      陣内 孝雄君     脇  雅史君  四月二十六日     辞任         補欠選任      堀  利和君     藤井 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         続  訓弘君     理 事                 大島 慶久君                 塩崎 恭久君                 田村 公平君                 千葉 景子君                 渡辺 秀央君                 田名部匡省君     委 員                 阿南 一成君                 加藤 紀文君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 小宮山洋子君                 輿石  東君                 櫻井  充君                 長谷川 清君                 藤井 俊男君                 大森 礼子君                 松 あきら君                 岩佐 恵美君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君    政府委員        警察庁刑事局長  林  則清君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        国税庁課税部長  森田 好則君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        海外経済協力基        金理事      篠塚  徹君        国際協力事業団        理事       伊集院明夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (政府開発援助等に関する件)     ─────────────
  2. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会海外経済協力基金理事篠塚徹君及び国際協力事業団理事伊集院明夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 次に、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査議題といたします。  本日は、政府開発援助等に関する件について、前回に引き続いて質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 阿南一成

    阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。本日は、ODA関係の問題を中心担当当局の所見なり対応をお伺いいたしたいと思います。  二十一世紀を間近に控える今日、グローバリゼーションが進む国際社会の中におきまして、今なお多数の人々が貧困に苦しみ、経済的困難の中で苦闘をしております。また、アフリカや旧ユーゴ諸国では新たに紛争が激化し、多くの難民が発生しておるところであります。また、気候温暖化等環境問題、それからエイズ、マラリア等感染症、さらには麻薬問題と地球環境規模の問題も深刻化しておる現状であります。これらの問題により最も影響を受けているのが開発途上国であろうかと思います。二十一世紀国際社会が調和ある発展を遂げていくためには、開発途上国がこれらの問題を克服し、自立への道を着実に歩むことが不可欠であると思うのであります。  貧困対策難民救助は人道上の観点からそれ自体大変に意義がありますが、資源供給貿易投資の面で海外、特に開発途上国と密接な相互依存関係にある我が国がいろいろな形で開発途上国支援することは先進国としてその国力に応じた責任であると思うのであります。また、我が国の国益にも資するものであろうかと思います。  しかしながら、我が国が未曾有の不況にあえいでおる現状であります。このような国際的な責任は果たしていかねばなりませんが、そのためには国民にわかりやすく国民の納得を得られるような努力が必要であり、関係各位の一層の御努力をまず冒頭にお願いいたしたいと思います。  それでは、具体的な質問に入らせていただきます。  小渕総理が、昨年、ODA透明性効率性を見直すという指示を出されたと伺っております。政府はこの総理指示を受けて具体的な措置を申し合わせたと承知をいたしております。その進捗状況がどうなっておるかをお聞かせください。また、特に透明性向上観点からの情報公開の問題、それからODA事業が実際に役立っているのかどうか、事後の客観的な評価が重要であろうかと思いますが、これらの点についてどのような具体的進展があったかをお伺いいたしたいと思います。
  6. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) お答え申し上げます。  昨年七月に小渕総理大臣から、ODA透明性効率性向上に向けて見直しをするように御指示がございました。十一月二十七日に政府対外経済協力関係閣僚会議幹事会、これは局長レベルで構成をいたしておりますが、そこで申し合わせを行いました。  まず、効率性につきましては、ODAについて大体五年程度をめどとする中期政策をきちんとつくるべきである、それから国別援助計画を作成すべきであるということになりまして、この両者につきまして本年中の作成を目途にいたしまして現在政府部内で作業取りかかっておるところでございます。  それから、情報公開につきましても幾つかの点につきまして措置をとりつつございます。  まず、入札過程のより一層の情報公開を進めるということで、本年度、四月以降の案件につきまして、応札企業名でございますとか応札額、あるいは受注企業名契約額、こういった事項につきまして情報開示を進めてまいりたいと思います。  さらに、年次報告を毎年出しておりますし、特に外務省についてはいわゆるODA白書を出しておりますが、こうした年次報告白書の内容の充実を図ってまいりたいと思います。また、インターネットによる情報の集約と公開ということが非常に効果的になりつつございますので、この点についても充実を図りたいと思います。  最後に、事後評価について御指摘がございましたけれども事後評価については特に重要と我々が考えておりますのは客観的な外部評価あるいは第三者評価というあたりをさらに充実させていくということでございまして、この点につきましても専門的な知見を有します外部援助研究機関等に委託することを含めまして充実を図ってまいりたいと思います。
  7. 阿南一成

    阿南一成君 いろいろと政府としても努力をしておることはわかりました。  しかしながら、他方、マスコミではODAについていろいろと批判的な問題を報じております。例えば、昨年来のブータンの通信案件あるいは食糧増産援助をめぐる談合疑惑インドネシアに貸与した日本米取り扱い、いろいろとODAをめぐる問題が伝えられております。また、一部の省庁ODA予算を使いましてその省の都合で自分たち海外留学の経費に充てておるといった批判もなされております。  これらはあるいは根拠のないうわさや過去の例外的な事件もあろうかと思いますが、またさらに既に効果的な是正措置がそれぞれとられておるとの説明も受けておりますが、このような報道が重なりますと政府への信頼が損なわれ、国民ODA全体に対して批判的になりかねないと思います。引き続き厳正な対応を求めたいと思います。  この関連で、最近インドネシア円借款事業関係して日本企業リベート、わいろを渡しておったという報道がなされました。日本に比べますと開発途上国では多少ルーズなところもあるのかもしれませんが、ODA事業関連して相手国政府の腐敗が促進されるというようなことがあってはならないと思うのであります。  報道された事例について事実関係確認がなされたかどうか、また外務省としてはこれらの問題をどう受けとめ、どのような改善策を講じようとしておられるのか、またインドネシア側はどのように対応しようとしておるのか、簡潔に御説明を願いたいと思います。
  8. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ODA国民の貴重な税金、それから貯金、こういったものを原資に事業をやっているものでございまして、いささかたりとも不適正な使用とかあるいは疑惑を持たれるようなことがあってはならないということで、問題が生じますれば厳正に対応するということで努めてまいっておるつもりでございますし、幾つか御指摘のございましたケースにつきましても対応に厳正を期してやっております。  ただいまのインドネシアのいわゆるODAリベート疑惑報道に関しましてでございますけれども、まず今まで事実関係確認といたしまして、海外経済協力基金を通じまして受注企業、これは円借款事業ということで報じられておったわけでございますが、受注企業からヒアリングを行いました。具体的には二つの会社がこの関連新聞報道されたわけでございますが、この二社についてきちんと聞き取りを行いました結果、いわゆるリベート供与の事実というものは確認をされておりません。  国税庁に対しまして外務省から照会をいたしました。国税庁からは個別具体的な税務調査についての照会は税法上の制約があって国税庁としては応じられない、こういう回答を得ております。  それから、インドネシア政府に対しましても調査を申し入れることといたしまして、措置をとりました。すぐに在インドネシア日本大使館を通じましてインドネシア政府援助担当機関でございます国家開発企画庁に対しましてハイレベルでこの事実関係調査を申し入れ、先方も事実関係をきちっと調査したいということで了解をいたしまして、現在調査をしているというふうに了解をいたしております。  さらに、インドネシア側からは、この日本報道が現地のインドネシアの各地の新聞報道にも幾つか報じられたというようなこともございまして本件を重く見ておりまして、去る四月十三日にギナンジャール調整大臣から在インドネシア川上大使あて書簡が参りました。インドネシア政府として本件リベート疑惑報道を重く受けとめておって、右について調査を行います、加えて日本政府に対しても資料提供等を求めたい、そういう趣旨書簡が参っております。  外務省としましては、もちろん円借款等ODA供与につきましてはこれら資金が当然適正に使用されるという確保のもとに実施をしており、かつ調達その他の実施面の各段階におきましても厳正に行われるように常日ごろ留意をしておりますけれども実施機関による事業実施というものは、報じられた案件について念のために聞き取りをしましたけれども適正手続のもとに行われたという報告を受けております。  以上でございます。
  9. 阿南一成

    阿南一成君 さて、今後は限られた財源をこれまで以上に適正に効果的に活用するという必要があろうかと思うのであります。特に、どのような国に援助するのか、優先度の高い課題は何かといった点をしっかりと踏まえ、めり張りをつけた援助実施すべきであろうかと考えております。  一つの例として中国についてでありますが、我が国隣国として十二億の民を擁し、改革開放政策に基づく近代化努力をしております。他方では地域格差貧困の問題があり、また環境問題、大気汚染深刻化日本酸性雨の原因ともなっておると言われております。このような中国にどう協力をすべきかということでありますが、私はでき得る限りの協力隣国中国にはすべきではないかというふうに考えておる者であります。  先月の全国人民代表大会では年率七%前後の成長見込み報告をされました。時間はかかっても、好むと好まざるとにかかわらず、いずれ中国発展をしていくと私は考えております。歴史的にも文化的にも密接な関係があり、アジアの安定にも極めて重要な役割を有する中国を今助けることは将来にわたっての友好関係観点からも必要ではないかと考えるところであります。  ただし、いろいろな分野にばらまくというのでは効果がありません。先ほど述べましたように、例えば大気汚染対策等環境問題に明確に重点を絞って援助をするということが非常に効果があるのではないかというふうに考えております。特に酸性雨対策などに資する協力を進めるべきだと考えておりますが、中国側取り組みの現状、そしてODAを活用した対策についての協力関係はどうなっておるのか、御説明をいただければと思います。
  10. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 中国に対しますODAを通ずる協力は、中国の基本的な改革開放政策日本として支援していくことがこの地域の全体の安定にも資する、それが我が国のためにもなる、さらに非常に緊密、密接な日中間の経済貿易等関係、これを促進していく、そういった大局的な判断、総合的な判断ということで積極的に進めてきております。  近年、特に先生から御指摘のございました環境分野というものが我が国の対中ODA協力全体の中で重要性を増すに至っている。特に酸性雨対策といったようなことにつきましては、国内でもいろいろな調査が行われておりますけれども日本国内に沈着する硫黄の少ないところでは五%、多いところでは四〇%といったようなものが中国に発しているのではないかといったような調査結果もあるわけでございまして、ODA手段を通ずる協力によりまして我が国のためにも直接的に影響のあるこういった問題には積極的に取り組むという姿勢で近年やっております。  具体的には、日中の環境全体の協力支援するために、日中友好環境保全センターというものが既に九六年の五月から開設をされておりまして、環境対処能力向上支援を行う中心になっております。  さらに、対中国円借款の中におきましても環境案件を積極的に取り上げていくということで、例えば火力発電所硫黄酸化物等をもくもく排出するところに装置が備えつけてございませんので、したがって排煙脱硫装置を設置するための円借款供与する、こういったようなことをやっております。  さらに、ごく新しい例といたしましては、これは二年前の日中首脳会談の際に合意されました二十一世紀に向けての日中環境協力ということで三つの都市、重慶、貴陽、大連の三都市を対象としました主として大気汚染対策に向けた協力をスタートさせておりまして、つい最近、第三回目の専門家会合の協議に基づきまして、この三モデル都市に対する大気汚染防止のための具体的な提言日中両国政府に提出されたところでございます。これを受けまして、この提言、提案を具体的なプロジェクトにどういうふうに生かしていくかということが日中両国政府に課せられたこれからの仕事でございまして、これを鋭意進めてまいるつもりでございます。  それから、アジア酸性雨の問題につきましても、日本環境庁を中心モニタリングネットワークというものがつくられつつありますが、中国側もこの東アジア酸性雨モニタリングネットワークにはこれから参加するという意思表示もいたすに至っております。
  11. 阿南一成

    阿南一成君 次に取り上げたい問題は麻薬の問題であります。  日本国内で警察などが取り締まりに努めておるわけでありますが、海外から流入する麻薬の量、事件の数は増加の一途をたどっておるわけであります。青少年等の低年齢層にも蔓延するおそれがあり、国民の健康の面からも問題は深刻であります。水際作戦国内取り締まりの強化も必要でありますけれども、問題は発生源への対応であると思います。  すなわち、麻薬栽培の背景にはその生産地域における貧困の問題があります。麻薬生産地域での代替作物生産麻薬栽培をやめる農家に対する一時的な生活補償措置など、ODAを活用しての効果を上げさせていかなければならないと思います。日本も多少やっているかと思うんですが、もっともっと力を入れて大規模取り組んでもよいのではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  12. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 薬物の問題解決のためにODAという手段を通じてどういうことができるかということでございまして、従来も例えば取り締まりといった側面におきましては技術協力をやってきておりますし、啓蒙活動あるいは国際機関を通じた麻薬対策、こういったものには我が国としましても相当程度これまで実績があるわけでございます。  ただいま先生から御指摘のございました麻薬生産にかわる代替作物生産、これを支援するということによって麻薬栽培をとめるような方向に持っていけないかということでございます。  実は、本来これが行われれば直接的な支援というものに最も結びつくわけでございまして、私どももいろいろ研究をし、かつ若干の実績もあるわけでございます。ただ、御案内のとおり、麻薬生産は大体山岳地帯、アクセス一つとりましても大変に難しいところでございまして、代替作物をつくってもそれを市場に届けるには道も必要でございますし、大変に困難を伴うということは想像にかたくないわけでございます。  NGOの方々も一部こういった仕事に関与されておりますので、NGOを通ずる協力一つ手段かと思います。非常に難しゅうございますけれども我が国としてもこういったことに立ち入って、できることはこれから研究をしてやっていく必要があるということで取り組んでまいりたいと思っております。
  13. 阿南一成

    阿南一成君 次に、アフリカ等の重債務貧困国に対する債務救済の問題が最近話題となっております。IMF、世銀の認定により重債務貧困国と呼ばれる国が四十一カ国あるとのことでありますが、これらの国々の持つ債務全額帳消しにするべきではないかとの国際世論が欧米を中心に広がっていると聞きます。また、キリスト教団体中心としたジュビリー二〇〇〇といったキャンペーンも盛り上がっているようであります。債務帳消しの問題は六月のケルン・サミットでも主要な議題一つになると思うのであります。  実は、この点について幾つかの質問を準備して通告をしておりましたのですが、時間も迫りましたし、それから同僚の山内委員がこの点について集中的に御質問をされるようでありますので、私は最後ODA実施体制の問題について伺います。  現在、ODA予算は十七省庁に分かれ、それぞれの省庁が個別に事業を企画し実施していると承知しております。  一昨年の行政改革会議でもODA行政のあり方が議論され、政策立案段階、さらに実施段階での縦割りの弊害や相互の連携の欠如が指摘をされております。これらの議論を受け、行政改革のための中央省庁再編基本法では外務省編成方針としてODAについて政府全体の調整中核となることが規定されました。  ODAをめぐる種々の議論にかんがみますと、行政改革の中で外務省がより積極的なイニシアチブをとってODAについての目に見える改革を進め、効果的な援助を行って国民信頼評価取り戻していくことが大変重要であると思います。また、このために関係省庁実施機関一致協力をする必要があると考えるものであります。軍事力制約があり、資源も乏しい我が国にとってODAは将来にわたって国際社会における日本に対する信頼評価を保ち、また日本経済の活力を維持していくために非常に重要な投資であると私は考えております。  そのような中で、改めて担当局長の決意をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  14. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ODAというものはいろいろな切り口からいろいろ見方、考え方があろうかと思いますけれども先生指摘になりましたような将来に向けての重要な投資であるというとらえ方は私どももそういうふうに思っております。これをできるだけ効率的に行っていくということで、政府全体としてできる限り総合的に一体的になされる必要があるということもまたそのとおりでございます。特に技術協力につきましては、政府省庁のほとんどが何らかの形で専門的なノウハウを持ち、かつ参加をしております。そういうことで、全体の総合調整をきちんとやるということが極めて重要になってきます。  今度の行政改革におきまして、基本法の中でそうした政府全体を通ずる調整外務省がコアになって、中核になってやっていくという方針が出されております。現在、それを新しい各省庁設置法の中にどういうふうに反映させていくかということで作業が進められておるわけでございまして、この行政改革基本法の中に盛られた趣旨、その精神というものをきちっと体し、新しくできる設置法のもとで一丸となってやれるような体制が必要でございますし、私どもはそのためにあらゆる限りの力を向けていくということが必要であろうと思っております。
  15. 山内俊夫

    山内俊夫君 自民党山内俊夫でございます。  今、ちょうど自民党委員会の中でODAに関して法制化をしようというような研究会が設けられておりまして、我々の先輩であります山本一太先生を座長にいろんな角度でODAの検証をしているところでございますし、先般も成蹊大学の廣野良吉先生とか慶応大学の草野厚先生等々から勉強会を開きましていろんなことを教わっておるんですが、先ほど阿南先生の方から話がありました重債務貧困国について、私の時間をいただきましたものですから、これを集中的に質問させていただこうと思います。  確かに、日本ODAに関する基本的な理念というのは、もう皆さん御承知だと思いますが、海外資源市場を依存する我が国にとって国際社会の平和と繁栄は不可欠であるというような理念を持っております。そういうことですから、平和国家としての我が国にとり、世界の平和を維持し、国際社会繁栄を確保するためにその国力に応じた役割を果たすことは大変重要な使命であるというような考えのもとに今ODAが進められておるわけなんです。  実は、これは最近の総理府の調査なんですが、なるべく今後ODAは少なくすべきだ、予算も少なくしたらどうかというのが一九九六年は一二・九%あったんですが、九七年が一三・六%、九八年が一八・五%。なるべく少なくしようという意見がだんだん強くなってきております。そして、なるべくやめるべきだという意見の方は九六年一・八%、九七年二・三%、九八年三・五%。やめるべきだという意見がまた強くなってきております。現在程度でいいというのは四六・九%、四四・五%、四二%、積極的に進めるべきだというのが三二・九%から三一・二%、二八%と逆に下がってきているんですね。  だから、この傾向を見ていますと、確かにバブル経済がはじけまして大変日本自体が経済で苦しんでいる、そういう中にあって一兆円というお金、いかに日本の平和と安全のためとはいえ、それだけのお金をふんだんに使うについては少し抵抗感が出てきたのかなと。そういった中で、この最貧国に対しての債務がゼロになる、帳消しになるということは、私はODAに関する今後の政策遂行に当たって大変マイナスになってくるんじゃないかという気がするわけです。  そこで、質問の第一点なんですが、重債務貧困国は定義に当てはめると世界で三十二カ国、パリ・クラブが認めた九カ国を含めて四十一カ国となっておりますけれどもアジアでは、特に我々が重要視しなきゃいけない東アジアまた東南アジア等ではこの重債務貧困国というのは何カ国あって、三カ国か四カ国あるらしいんですが、トータルどのぐらいのお金が債務としてあるのか、それをまず教えていただきたいと思います。
  16. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 重債務貧困国の認定は、その国の貧困度及びその国が負っている債務の深刻度、こういった基準に従いましてIMFと世銀が認定をしておるわけでございますが、御指摘のように現在四十一カ国、主としてはアフリカ諸国でございます。  アジアにつきましては、三カ国がそのリストに載っておりまして、ベトナム、ミャンマー、ラオスでございます。この三カ国に対します我が国ODA債務、これは円借款供与の残高になるわけでございますが、合計をいたしますと約三千九百億円、こういうことになっております。
  17. 山内俊夫

    山内俊夫君 三千九百億円という金は大変大きな金額でもありますし、また、これはアジアだけの金額でございますから、アフリカ諸国を入れますと大変なお金になると思うんです。  今回、この重債務最貧国に対していわば元本ともにロハにしてやろうという提案が何かケルン・サミットの主催国でありますドイツから提案されたということなんですが、従来長期間の返済繰り延べしか認めなかったODA債務について債権放棄まで踏み込んだのはどのような背景があって、予測かもわかりませんが、背景とねらいというものをどのように認識されておるか、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  18. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) これら非常に貧困に陥っており、かつ重債務の負担を負っておるという国に対しましては、以前はパリ・クラブという債権国の集まりの場におきまして主としては返済期限の到来する債務について繰り延べをすることによって債務の返済負担を軽減する、こういう措置がとられてきておったわけでございます。  近年、そういった繰り延べ措置だけではとても一部の重債務の国について対応できない、それほど債務の返済負担が重い、こういうことでございまして、したがって債務の総額、いわばストックを削減するということで国際社会の中に動きが出てまいりました。この十年くらいのことでございますけれども、八八年ごろから起こってまいりました。主としては先進国サミットの場で大まかな政治的な合意をつくりましてそれを実施していくということでございまして、当初は三三%程度削減をする、続いて削減率を五〇%に上げる、続いて六七%に上げる、一番新しいところでは八〇%まで上げるというところまで今の国際的な枠組みのもとにおける債務のストックの削減措置が決まってきておる、こういう状況でございます。
  19. 山内俊夫

    山内俊夫君 このドイツ提案に反対しておる国はG7の各国の中で日本とフランスということを聞いておりまして、フランスは独自案を逆提案したということも聞いておるんです。その骨子は債務帳消しだけでは不公平であるので各国が公平に負担したらどうかというような提案をされておりますけれども、この提案に対する五カ国の反応というのはどうなんでしょうか。
  20. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先ほど御言及のございましたジュビリー二〇〇〇という民間のキャンペーンが国際的に展開をされておりまして、新しい世紀にかわるというこの節目にきれいさっぱりと債務を帳消しにしてはどうかと。これは何もODA債権といったものだけじゃございませんで、そういった民間運動の主張は国際機関の債権も民間の債権もきれいさっぱりにと、こういう非常に単純明快な主張であるというふうに理解をいたしております。  ドイツが提案しておりますのは、そういったジュビリー二〇〇〇の提案ではございませんで、基本的に重債務貧困国に対します債務救済というのは国際的な協調の枠組みのもとでやろう、先ほど最高八〇%というふうに申しましたけれども、一定の枠組みがございまして、その枠組みのもとで削減をしていこうと。今回の提案はODA債権については今八〇%まで削減率を決めておるものをさらに上げて一〇〇%まで上げてはどうかと、こういう提案を中心としております。  このようなODA債権につきます一〇〇%削減の主張は、G7の中でかなりの国が同じような提案を出してきておりまして、フランス、日本が反対しておるという御指摘がございましたけれども、フランスも特にそういう削減の率を高めるということについて反対をしておるわけではございませんで、一部の細部につきましてフランス独自の考え方というのはあろうかと思います。  我が国につきましても、基本的には六七%、さらに八〇%までの削減率という方向で従来国際的協調のもとで対応してきておりまして、この機会に我が国としてさらにこの削減率の問題にどう対応していくか、拡大するのであればどういうふうに拡大していくのか、この辺をまだ現在政府部内で検討中でございます。
  21. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かにドイツ提案に対してフランスが逆提案した、中身はそれぞれ各国の考え方が違うということで、そのベースに何か宗教的なものもあるとも聞いております。宗教的にいいますと聖年というのですか、ODAをやる大前提としてもう最初から差し上げるんだという考え方で特に米英なんかはやっておられるようです。ところが、日本は自助努力を促すという観点でのODA政策なものですからかなりの債務が残っておるということなんですが、日本の場合は無償資金、贈与と借款が約半分ずつだ、贈与が大半の米英とはかなり債権内容の違いが出てくる、日本国民が十分まだODAの中身まで理解されていない以上、ここで一気に債権放棄ということに突入してしまうと日本ODAそのものが瓦解してしまうのではないかと私は心配するわけなんです。  ただでさえ今ODAに関していろんな問題が挙がっておりますし、三月にもこの委員会でそういういろんな議論がされたところでございます。特に成蹊大学の廣野先生は、今後ODA大綱を実施するに当たって問題点をきっちりと明確にめり張りをつけていかなきゃいけないよという意見もいただいております。特に環境保全とか人権擁護・民主化というジャンル、それと軍事的脅威の削減というジャンル、市場経済化の促進という四つぐらいにきっちり分けてやるべきだ、それぞれ国別政策というものをきっちり出していこうじゃないかという意見を出しておりますが、もしこのドイツ提案が通れば日本ODAがどのようになってしまうか、そのあたり、予測になるか、心配な点があればぜひコメントいただきたいと思います。
  22. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘のとおり、我が国ODAにつきましては円借款という部分が非常に大きいという一つの特色がございます。特にアフリカ等いわゆる最貧国に対します援助、これが欧米諸国にとっては旧植民地関係とか地理的な関係とかが非常に強いわけでございまして、しかも相手が貧しい国でございますので、主としては無償援助ということで従来対応してきておる、もちろん借款も出しておりますが。他方日本は主たる協力相手国というのは東アジア中心とするアジア諸国でございまして、旺盛な借款資金に対するニーズ、需要というものがございまして、そういった基本的な問題が背景にあるかと存じます。  いずれにしましても、今の累積債務問題解決に当たりましては、我が国としては帳消しという考え方、これは我が国の自助努力から発する援助理念あるいは援助哲学というものがございまして、そういうものは従来とってきておりません。ただ、借款に対しまして返済が来ます。その返済に見合うものを見返りとして無償資金協力供与する、こういう債務救済無償という制度は以前から取り入れられておりまして、実質的には帳消しであるわけですが帳消しそのものではない、こういうやり方をとっております。  この我が国のとっております方式は実質的には帳消しであろう、そういうものと同等の効果を持つというふうに国際的にも今まで認められておるわけでございますので、こういう今までとってきた考え方、理念に立って今後の対応を行っていくということであろう、そうあるべきであろうというふうに私どもは考えております。  したがいまして、ドイツ案のようなものが今後通っていったとした場合にODAそのものに何か基本的に大きな変化が生じるかどうかというと、そこまでのことはないんだろうというふうに思います。
  23. 山内俊夫

    山内俊夫君 私自身は本当にこれは心配をしておりまして、ぜひ外務省、今回のケルン・サミットにおいては日本の主張をきっちりと出していくという姿勢だけは貫いてほしいと思うんです。  それで、また円借款を含んでODA予算の三割が郵便貯金などの財政投融資資金が原資になっておるわけなんですが、債権放棄をすれば国家資産の保全を定めた財政法にも抵触してくるというふうに考えるんですが、もしそうなった場合どのように国民に対して説明するのか、そのあたりをちょっと伺わせていただきたいと思います。
  24. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘のとおり、我が国の債権につきましては財政法の規定がございまして、国の債権の全部またはその一部を免除するには法律に基づくことが必要であるということで別途法律に定めがなければ、すなわち国会の御承認が得られなければ国の債権というものをそもそも放棄することはできない、こういう仕組みになっておるというふうに理解をいたしております。  そういうことも一つございまして、加えて先ほど申し上げましたように日本自身の援助理念というものも別途ございまして、したがって従来から我が国ODA債権の放棄あるいは帳消しという債務救済方式はとっておらないわけでございます。しかし、実質的に債務救済というものはほかの債権国と協調してやる必要があるということは認めておりますので、そういった状況のもとにいろいろ知恵を以前から出しまして、先ほど申し上げましたようなパリ・クラブの枠組みを通じました債務繰り延べ、これが一つございますが、さらに実質的に債務帳消しとは効果からいえば同等のものを持つということで債務救済無償といった手段を編み出して対応してきておるわけでございます。今後もこの延長線上で恐らく対応をしていくべきものであろうかというふうに思っておりまして、現在政府部内で検討を進めておるところでございます。
  25. 山内俊夫

    山内俊夫君 最後になりますけれども、特に我々はアジアの一員であります。先ほど言われました三カ国、ベトナム、ミャンマー、ラオス、特に最貧国であるということもありますが、実は最近のタイの通貨危機、それがきっかけで東アジアに広がった経済危機というもの、この深刻さというのはまだまだ変わっていないと思うんですよ。  それで、日本政府円借款の金利の引き下げ、そういったことを踏まえて総額大体三百億ドル規模の新宮澤構想というのを出してきております。これは最貧国に大変ありがたい話だし、最貧国に認定されていない国にも経済を活性化する意味では大変いい構想だろうと思うんです。円借款供与国に対するてこ入れを考えているようですが、この新宮澤構想が実施された場合、その効果に伴う危機打開の見通しというのはあるんでしょうか。そのあたりをちょっと聞かせていただいて最後質問にしたいと思います。
  26. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) アジア経済危機の今後の見通しにつきましていろいろな専門的見地から見方が出されておりますけれども、まず通貨危機そのものは通貨・金融市場の落ちつきというようなことが各国で出てきておりますので一応克服されつつある、ただ非常に依然として厳しいのが実体経済の方にあろうかと思っております。  そういうことで、我が国もいわゆる新宮澤構想に基づく支援を含めまして大変に大きな支援を行ってきておるわけでございまして、円借款につきましては金利の引き下げもやっておりますし、それから各国ともいろいろ雇用対策や景気対策のためにプロジェクトを立ち上げていかなきゃいけないわけですけれども、何せ資金がない、ローカルコストもないというようなことでございますので、そのローカルコスト支援にも配慮するとか、日本としてはできるだけきめ細かく相手国の今の必要に応じまして、これは日本の国益もかかっている、相手も困っているけれどもアジア諸国が景気回復してもらわなければ日本自身も困ると、そういう気持ちで一生懸命やってきておるつもりでございます。  危機に陥った国々は、依然厳しい指標は残るものの、最悪期を脱しつつある。例えば、アジア開発銀行の見通しによりますと、ことし、九九年には東アジアのほとんどの国がプラス成長に転じていくのではないかという予測も出されておるわけでございまして、国際機関等も支援をやっておりますけれども、特に日本がこうした危機を乗り切る上で支援をしてきたことが一つには大きな力になり、各国の自助努力もそこに加わってこういった状況にアジア地域がなりつつあるということで、引き続いて必要な支援というものはしっかりやって回復を待ちたい、こういう今の状況であろうかと思います。
  27. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。
  28. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  最近の新聞報道によりますと、先ほどの方の繰り返しになりますが、鉄建建設が四千万円、東海興業一千万円、鹿島建設八千万円、大林組一億二千万円、大成建設三千万円、それぞれリベート政府の役人などに支払ったというふうな新聞記事がございました。  まず、この点について外務省、再度お伺いしたいんですけれども外務省としてはこういう事実はないというふうな御認識なんでしょうか。
  29. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 新聞に報じられましたいわゆるインドネシアにおけるリベート疑惑につきましては、実際に事業実施をやっておりますOECFによりまして受注企業からヒアリングを行いました。  ただいま具体的な企業名も挙がりましたので結果について御報告させていただきますと、鉄建建設につきましては次のようなことをOECFに対して報告をいたしております。  まず、国情不案内の現地において円滑な業務遂行を図るために円借款の建設工事契約とは別に地元業者と業務委託契約を締結しました、その地元業者との業務委託契約の報酬の一部が我が国国税庁に税務否認されました、すなわち経費として認められなかった、その業務委託契約は通常の商取引に関する契約であって違法行為ではないというふうに認識している、以上が鉄建建設の報告でございます。  それからもう一社、東海興業、これは大学建設のプロジェクトに関与したということでございますが、その報告は、報道にあるような計一千万円のリベートを支払ったという事実はない、本件工事については税務調査を受けておりません、税務否認を受けたという事実もございません、こういう報告に接しております。  したがいまして、以上のような事実関係確認から、私どもとしては事実としてこういうものがあったというふうには理解をいたしておりません。
  30. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、スハルト時代にはあったということをまずインドネシア投資調整庁のハムザ・ハス長官が言っているわけです。この方が言っているにもかかわらず、ないということなんですか。その根拠は何ですか。
  31. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先ほど御説明申し上げましたように、本件につきましては、一応日本側の企業の聞き取りをやったわけでございますが、同時に私どもは、報じられているようなことについて仮に事実があるとすればこれは極めてゆゆしいことでございますので、インドネシア政府に対しましてもきちんと調査をするように申し入れを行いました。その結果、インドネシア政府もこうした報道日本でなされているということを非常に重く受けとめまして、内部で調査を進めるということを我が方に説明をしておりますし、あわせて、先ほど申し上げましたように、ギナンジャール調整大臣より我が国大使を通じましてその旨をきちっと書面で言ってきておるという状況でございます。  したがいまして、このインドネシア側における調査の結果というものをまず待ちたいというふうに思います。
  32. 櫻井充

    ○櫻井充君 なぜそれがインドネシア政府に任せっきりになるんですか。外務省は何をやっているんですか。
  33. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) これは援助実施にかかわる部分でございますので、もちろん外務省としてもODA全体をきちんと把握し監督する立場にございますので、そういう責任の一環といたしまして、まず実施機関による聞き取りをやり、かつインドネシア政府に対しましても外交的にきちんとした申し入れを行っておる、こういうことでございます。
  34. 櫻井充

    ○櫻井充君 新聞記者がそういう関係者に聞くことはできて、外務省は聞くことができないんでしょうか。  鉄建建設の場合には、仲介したウジンダ社の幹部は読売新聞社の取材に対し、金の八割をスハルト前大統領の秘書的な存在だった国家官房、国家開発企画庁、運輸省、それから陸運送局、工事担当チームの幹部に渡し、残りを手数料として取ったと証言していると、新聞記者がこういうことをきちんととれて、なぜ外務省がやれないんですか。
  35. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) こうした調査は、これはインドネシア国内においてどういう事実があったかということはインドネシア政府がきちんと責任を持って調査すべきことであろうと思っておりますので、その調査の結果を待ちたい、こういうふうに思っております。
  36. 櫻井充

    ○櫻井充君 このODA事業費というのは税金ですよね。日本国民の税金ではないでしょうか。そうすると、日本国民に対しての責任はだれがとることになるんですか。外務省ではないんですか。
  37. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 繰り返し申し上げるようになって恐縮でございますけれども、これはきちんと事実関係調査する、調査の結果適切な措置をとるということになろうかと思っております。
  38. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、読売の四月八日付ですけれども、建設省は海外でのリベート横行は無視できないと判断し、ODA委員会の加盟三十五社を集めて不正競争防止法を守るように注意したと。もう建設省はここであったということを認めているわけですよ。なぜ建設省と外務省との判断が違うんですか。
  39. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) この報じられている疑惑につきましては、あくまでもこれはまだ報道段階でございますので、きちんとした調査を待つことがまず必要であろうと思います。その上で、こういった事実が事実としてあったということがきちんと確認されれば、それはそれに従いまして日本の業者に対する措置、それからOECFによる適切な措置、例えば何らかの制裁措置というものが必要なのかどうか、さらにはインドネシア政府との間の必要な措置、こういったものが検討されて国民にもきちんと御説明のつくような、納得のいくような措置をとっていくということであろうかと思いますけれども、まだその事実関係というものがきちんと把握されておるわけではございませんので、それをまず行うべきだというふうに考えております。
  40. 櫻井充

    ○櫻井充君 新聞報道じゃなくて、新聞報道にはちゃんと建設省は注意したと、ODA委員会の三十五社を集めて不祥事をなくせと。新聞報道じゃなくて、建設省はもう注意しているわけです、事実。なぜ建設省と外務省と考え方が違うんですか。
  41. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 建設省にはもちろん建設業界に対する一般的な監督ということで予防的な意味も含めて注意をすることがこの際必要だろうということであろうと思いますけれども、これはまだ報じられているようなことが事実であるということを確認した上でこの種の措置をとったということではないというふうに私は理解をいたしております。  したがいまして、外務省としては、先ほど来申し上げておりますように、やはり事実に基づいてきちんとやりたいと思っております。
  42. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、建設省は事実の確認もしないけれどもこうやって注意したと、そういうふうに外務省はおっしゃるわけですね。
  43. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) その点は建設省から直接御確認いただいた方がよろしいかと思いますけれども、注意をしたということは報じられたことが事実であるという前提、それを踏まえた上で措置をとったものでは必ずしもない、少なくともそういうことではないというふうに思います。
  44. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、要するに建設省は不正があったかどうかわからないけれどもどうも注意したらしいということですか。
  45. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) それは建設省からどういう考慮でやったかというのは直接お聞き取り願った方がいいと思いますけれども、恐らく予防的な意味という段階で何かを注意しておくということを必要と感じてやったのではないかと、こういうふうに思います。
  46. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、こういうふうに横行しているということは無視できないと書いてある、これは新聞報道がうそだということですね。読売がうそを書いているということですね。
  47. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先ほど申しましたように、少なくとも具体的な名前が挙げられました鉄建建設という会社、東海興業という会社については報じられているような事実はないということをきちんと文書で説明があります。私どもは、一応それはそれとして、今の段階における調査としてはそういうことでございまして、あとはもちろんこれからも事実関係調査をあきらめるとかやめるということではございませんけれども、同時にインドネシア政府による調査が行われるということになっておりますので、これはこれできちんと事実関係というものを確認したいと思います。
  48. 櫻井充

    ○櫻井充君 とりあえず新聞記者、これを書いた方をまず私は参考人として呼んでいただきたい。それから、ついでにと言うと怒られそうですけれどもアジア経済研究所の地域研究部長だった三平さん、そして上智大学の村井教授、この方を参考人として呼んでお伺いしたい。そして、建設省ももし可能であれば参考人として呼んでいただきたいと思います。
  49. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 参考人の件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  50. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、実は新聞じゃなくて、海外でこういう事業に当たっていたあるゼネコンの方に直接お会いして、もうすべてをお伺いしております。そこの中で、どういう場合にお金を渡すのかといいますと、例えばコンサルという仲介業者がございますが、そこが決まった時点でまず一つは向こうの政府の方々が判こを押すんだそうですけれども、その時点で判こがもらえない、つまり金を渡さないと判こがもらえないんだそうです。その時点でまず金が渡る。それから、今度は受注されるゼネコンさんのところでまた決まりますけれども、入札制度がありますよね、無償資金協力案件の流れがここにございます。かなり複雑な流れになっていますけれども、そこの中でも今度、業者の契約時に、向こうの政府と調印する際に、そのときもお金を渡しているということをおっしゃっているんですよ。それは外務省も知っていると。  なぜならば、もうちょっと裏を言っておきましょうか。まず最初に、こういう事業に当たる際に無償工事というふうなものはどういうふうなことをやったらいいのかということを向こうの外務省の、どこの国でも結構ですけれども、どこかの外務省の方々とある企業の方がお話をする、お話というか接待なのかもしれません。そのときに暗にほのめかすことがあるんだそうです、今回はこういう事業をやってみたいと。そうすると、今度は地方自治体からそういうふうなものは書類を書いて上げてくるんですけれども、地方自治体では書けないのでいろんな企業が全部その書類をつくって出すんですよと、これは企業努力だというふうに言っておりましたけれども、そうやって自分たちが受注しやすいようにしてくるんだというふうな話もしておりました。そして、こういう企業の中で業者の選択なんかのときにも談合は絶対なくなりませんと。なぜ談合がなくならないかというシステムまで全部教えてもらっています。先ほどは新聞報道だけでしつこく言っていましたけれども、企業の方も私が調べた範囲ではそういうことが行われているというふうに言っておりました。  ですから、外務省の方ももう少しきちんとチェックしていただきたい。なぜならば、くどいですけれども、このお金は国民の税金なわけです。その税金の使い道が不正であった場合、例えば不正な金が相手国の政府の役人に入る、その役人に入ったお金をだれが払うのかというと相手国の国民の方々が今度は日本に払うことになるわけです。ですから、日本国民だって税金を払っている、その日本国民に対しての責任もあるだろうし、相手国の国民の方々のためにだってなっていないわけですからもう少しきちんと調べていただきたいと思います。  では、もう一つお伺いしたいんですが、現状外務省はこういうお金の流れをチェックするシステムはお持ちなんでしょうか。
  51. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ODA事業におきます資金の流れにつきましては、いろいろな段階におきまして、実施当局あるいは最終的には外務省当局、政府当局の目がきちんと届くようなシステムがございまして、それに従って実施されておるわけでございます。同時に、ODA事業におきましては、資金が適正に使用されるという見地からの仕組みもきちんとできております。したがいまして、こういう手続がきちんと踏まれ、手続が適正に運用される限りにおいては間違った使われ方がなされるということはないはずでございます。  したがいまして、その限りにおいては私どもも自信を持ってきちんと一定の仕組みに基づいて適正に資金が使用されているということでございますが、万が一悪意の行為がある、あるいは法律に触れるような行為があるということがあれば、それは法律に従ってきちんとした措置が下されていくということになろうと思いますが、仕組みとしてはきちんとしたチェック体制、手続、こういったものができているということははっきり申し上げられます。
  52. 櫻井充

    ○櫻井充君 まずどの機関がチェックするんでしょうか。
  53. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 円借款の例で申し上げますと、OECF、海外経済協力基金円借款の資金に基づく事業に当たりましてチェックをいたします。  具体的には、まず調達の段階がありますけれども、借款契約を結びまして、その借款契約に基づいて借款対象となっておる資機材とか役務の調達が行われます。これは借入国が行いますが、その借入国は勝手に調達していいということではございませんで、OECFが調達ガイドラインという厳しいガイドラインをつくっておりますので、そのガイドラインに従ってきちんと調達されるということをOECFは監視いたします。チェックいたします。  その手続は、各段階におきましてチェックの目が届くようになっておりまして、具体的には、事前の入札者の資格審査が行われますが、その審査結果がきちんとガイドラインに合っているかどうか、それから入札が行われましたら入札の結果についての評価を行います。きちんとガイドラインに従って入札が行われ、その結果がきちんと評価されるということでございまして、これもチェックされます。  それからさらに、契約に進みますと、契約時におきましてもガイドラインに従ったチェックが行われ、かつそのすべての段階においてOECFが一々相手に対して同意を与えないと先に進めないということになっております。  以上が調達段階でございますが、次に実際に貸し付けを行います。資金を供与することでございますけれども、その資金を供与する貸し付け実行の段階におきましても借款契約上必要となっておりますきちんとした個々の支払いについて証拠書類を徴取することになっておりますので、その証拠書類のチェックによってどういう目的に資金が使われるかという使途を一々確認するということになっております。  それからさらに、入札の段階におきましては、現在は円借款はアンタイドで実施されておりますので、原則国際競争入札というもので行われます。つまり、厳しい競争がそこであるわけでございまして、最終的には競争を通じて調達契約には合理的な価格が形成されていくということでございます。その際には入札の段階で、先ほど申し上げましたように借入国が行うわけですが、その入札結果をOECFが技術的な見地、それから手続的な見地、双方からまたチェックをいたしまして目を光らせておる、こういうことでございます。  したがって、制度としてはチェックというものが相当厳しくかかるようになっておりますが、悪意にこれをねじ曲げる、あるいは乱用する、それが何らかの法律の違反を構成するというような事実がございましたら、これはこれで別途処罰されるなりきちんとした措置がとられるということであろうかと思っております。
  54. 櫻井充

    ○櫻井充君 余りよくわからなかったんですけれども、後で資料をうちの事務所にいただければと思います。そして、調達というところは、ほかの省庁ですけれども、余り信用できないような印象を受けておりますので、できればきちんとした形で、どういうふうなところでチェックできるのか、そこを見せていただきたいと思います。  それでは、もう一つお伺いしたいことがあります。  例えばインドネシアの食糧関連援助なんですけれども、その際に商社が入ってきています、コンサルタントとして。その主要受注企業報告されているのは一九九一年以降でございます。これを見てみますと、決まった四社か五社だけで、同じ四社か五社だけが九一年以降ずっと主要な受注企業になっています。なぜこういうふうになってきているかというと、結局仲介するときのノウハウだとは言いますけれども、我々からするとどの役人に接触すればすべてうまくいくのかということを知っているからなんだということをこの資料を提供してくださった方が言っております。  実は九〇年以前の主要な受注企業がございません。これは外務省が提出してくれなかったということなんですけれども、この企業名を教えていただきたいと思います。
  55. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 受注企業名につきましては、本来は受注企業というのは具体的な契約事項に関することであるわけでございますけれども、基本的に政府自身は契約の当事者ではございませんので従来はこれを公表してこなかったわけでございますけれども、しかしやはり公的な資金で事業をしているということを考えると、特に国民の御理解、支持を得ていくためには公表が必要であるということで、インドネシアを含む相手国の同意が一応必要でございますので、関係国すべてに対して今後は公表するという了解をきちんととりまして、一九八九年度以降結ばれる案件については受注企業名の公表をするということで措置いたしております。  したがいまして、八九年度以降につきましては相手国政府の同意も得て公表するということでございます。それ以前については従来ずっとこれは基本的には相手国政府の契約事項であるということで公表しておらなかったわけでございますので、八九年以前の案件受注企業名については公表は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  56. 櫻井充

    ○櫻井充君 答えは最後の一行だけでよかったわけであって、だらだら時間を使わないでいただきたい。  これは日本国民の税金を使っている事業です。なぜ国民にそういうことが知らされないんでしょうか。こういう情報がなぜ公開されないんでしょうか。
  57. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) これは、先ほど申し上げましたように、基本的に本来政府自身は契約当事者になっておらないということで、当事者でない者が公表するということは適当でないということで以前は公表しておらなかったわけでございますが、八九年度以降のものについてはその時点で方針を改めまして公表に踏み切ったと、こういう経緯でございます。
  58. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、八九年以降を公表しましょうという姿勢に変わったんだったら、その前のやつだって公表してもらったって構わないわけですよね。そうじゃないでしょうか。
  59. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) それ以前のものにつきましては、これは相手国政府が契約をしているものでございますので、それ以後のものについて公表していくということで、インドネシア政府だけではございません、これは世界全政府でございますけれども日本政府としてきちんと了解をとって公表に踏み切ったと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  60. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、金は出すけれどもその後の流れというのは外務省はほとんどチェックしない、後は相手国にもうお任せしますよと、そういうふうに考えてよろしいんですか。
  61. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) チェックは、先ほど申し上げたとおりで繰り返しは避けたいと思いますけれども実施の過程におけるチェックにつきましては調達段階、それから資金の貸し付け段階につきましてガイドラインに基づき、またそれ以外の政府交換公文による適正条項といったようなものがございますけれども、こういった手段を通じてきちんと把握をするように努めております。
  62. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと言っていることと答えていただいていることが違うのでもうあきらめますが、ODAの大綱のところに、とにかく「我が国政府開発援助を巡って不正や腐敗を惹起しないよう十分配慮する。」、そして「内外の理解と支持を得る方策」として「情報公開の促進」と書いてあるわけです。ですから、情報公開だとすれば、くどいようですけれども、これは八九年以降は出します、それ以前は出せません、そうじゃないと思うんですよ。八九年以前のことについても調べたいから教えてくださいというときには、これは相手国云々じゃなくて出すべきものだと私は思っています。これ以上議論してもむだだからやめます。  これまで円借款でつくってきたダムというのはまず何カ所あるんでしょうか。
  63. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 四十五件ございます。
  64. 櫻井充

    ○櫻井充君 ダム建設のために塩害が引き起こされた地域は何カ所でしょうか。
  65. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ダム建設の結果、塩害が起こされた事例は具体的には承知をいたしておりません。
  66. 櫻井充

    ○櫻井充君 それはダムをつくってから何年後に調べに行ったんですか。
  67. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 案件が終わりますと数年後に完成後の評価を行いますが、そういった完成後の事後評価実施の結果確認された事実として塩害が生じたとか、あるいは相手国政府からダム建設をやった結果塩害が生じたといったような話に接する、そういった事例は承知しておらない、こういうことでございます。
  68. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩害というのは大体何年ぐらいで起こるか御存じでしょうか。
  69. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 私もちょっとその方面の専門家でありませんので承知しませんけれども、基本的には円借款に基づきましてダムを建設いたします場合には一定の環境配慮というものを行います。その一環といたしまして、責任放流量、一定の量の水を流すということを求めておりまして、塩水が遡上して塩害を起こすということを生じさせないように一定のそういう配慮を加えながら円借款の場合におけるダム工事も実施されております。
  70. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩害というのは十年ぐらいの単位で起こってくるわけですよね。つまり、最初の時点では乾期にも水を張ることができるから二期作、三期作ができる、そして米の収量も上がるということでいいわけですけれども、ところがそれが何年か続いていけば塩害が起こってきて、結局稲がつくれなくなっていく、そういう状況があるわけです。もしそれを外務省が知らないのであればぜひ調べていただきたい、そういうふうに思います。  それから、商品借款というのがございます。商品借款のお金の流れが非常に不明だというふうに言われておりまして、これはインドネシアに対してですけれども、一九九七年に二百億円の商品借款が行われています。この二百億円がインドネシアでどういうふうに使われていったのか、それについて具体的に教えていただきたいと思います。
  71. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 一九九七年にインドネシア供与いたしました二百億円の商品借款、これは私どもの分類ではセクター・プログラム・ローンと呼んでおりますけれども、この資金はインドネシア経済危機さなかにある状況のもとでのローンの供与でございましたけれども、生活必需品に向けられております。  基本的には、米、小麦等の食糧が約五〇%、それから薬品類が約二〇%、機械類が約一五%、それから綿その他の工業用の中間材が約一五%、以上でございます。
  72. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは商品を供与したところまでですよね。その後、向こうはその物を売ったりして政府がお金を手に入れて、その後事業を起こしているわけですね。その後のことをお伺いしたいんです。
  73. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 失礼しました。  このセクター・プログラム・ローンは外貨、円貨が供与されまして、その円貨によりましてただいま申し上げましたような生活必需品を中心とした購入に資金が充てられます。  いずれにしましても、外貨が供与される結果、政府には見返り資金ということで現地ルピア貨が入手されます。この現地ルピア貨の使用につきましては、この二百億円の供与に先立ちまして、あらかじめ日本インドネシア政府との間でその使途、どういう目的にこのルピア貨が使われるべきかということを合意いたしております。これは主として社会的弱者対策目的に充てることとされまして、具体的には職業高校の建設等を含みます人材育成、それから身障者職業訓練施設の整備等に向けられる社会福祉目的、保健衛生、例えば保健所の器材の整備であるとか環境衛生、感染症対策支援、こういった主としては社会的な弱者対策を目的としまして一定のプロジェクトを決めまして、こういう目的のためにルピア貨が使用されるべきである、それを別途日本側はモニターしていく、こういうことで合意の一部分をつくったものでございます。
  74. 櫻井充

    ○櫻井充君 時間が来たので終わりますが、私は基本的にODAに反対しているわけでも何でもなくて、国民の税金が使われているわけですから、国民の方々がまず納得されるようなお金の使い方をしていただきたいことと、そしてそのお金が相手国の本当に国民の方々のためになるようなそういう使い方をしていただきたい、それだけはお願いしておきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  75. 松あきら

    ○松あきら君 ただいま櫻井先生インドネシアにおけるリベート問題を御質問なさいました。外務省のお答えは、調査の結果はそういう事実はなかったというお答えでございましたけれども、非常におかしいなと私も不思議な気がしてなりません。あちらの方はもらったと言っているのに、なぜ日本の国はそういう事実がなかったと。ちょっと変じゃないかなと、普通で考えてもそういうふうに思います。  ことし二月十五日から不正競争防止法が施行されたわけでございます。外国公務員に対する不公正な取引について通産省の取り組み、不正競争防止法の概要について簡単に説明をしてください。
  76. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 今先生指摘の不正競争防止法でございますが、昨年の九月に改正法を国会で成立させていただきました。これは、一九九七年の十二月にOECDにおきまして国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約というのが署名をされましたが、これを国内的に実施するために成立した改正法でございます。これは外国公務員などに対する不正な利益の供与などを犯罪とするという内容のものでございまして、ことしの二月十五日にこの条約が発効いたしましたが、それと同時に国内法も施行されております。  この改正によりまして、何人であっても、営業上の不正の利益を得るために、外国公務員などに対して、その職務に関する作為ですとかあるいは不作為などをなさしめることを目的としまして、利益を供与するあるいはその申し込みをするあるいはその約束をした場合に罰せられることになっております。  この改正法における罰則としましては、外国公務員などに対する不正の利益の供与などを行った行為者に対しましては三年以下の懲役または三百万円以下の罰金の刑が処されます。また、その行為者の所属する法人に対しましては三億円以下の罰金刑が科されるということになっております。
  77. 松あきら

    ○松あきら君 インドネシアにおけるリベート認定ですけれどもリベートなどはいわゆる経費ではなくて交際費であったと。どのような理由で認定したのか、国税庁にお尋ねをいたします。
  78. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 新聞報道税務調査についていろいろとあったことは承知しております。個別にわたる事柄につきましては、私どもとしては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論で申し上げますと、法人が取引の円滑な進行を図るということを目的といたしまして、その事業関係者などに対する接待あるいは供応、慰安、贈答等々の行為のために支出する費用につきましては税務上交際費として取り扱われることになります。したがいまして、原則としてその全額が損金の額に算入されないということに相なるわけであります。  以上でございます。
  79. 松あきら

    ○松あきら君 交際費であるけれども、これはリベートかどうかということはわからないし、そういうふうにも国税庁としては思っていないということですね。
  80. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 調査の個々の中身につきましては、私どもは答えることが……
  81. 松あきら

    ○松あきら君 わかりました。時間がないからいいです。  とにかく交際費、それがこんなにたくさん、何千万も、いっぱいありますけれども、読み上げていたら切りがないぐらいあるんですけれども、これが単に円滑に事業を進めるための交際費であるとはとても私は、私というか日本国民というか、納得しないというふうに思います。一般人から思いますと、これだけのお金を使うということはやっぱりこれはリベートじゃないかと。リベートの認定ということは、それはリベートと認定したとはおっしゃいませんけれども、まさにわいろですよ。こういうことが日本で行われたら問題なく制裁されるところでございます。  報道では現地公務員にリベートを支払ったとされております。これに関しまして、不正競争防止法における内容的には日本の警察は現地と協力をし合って捜査ができるというふうに聞いております。  では、今回の問題について日本の警察は贈収賄事件として捜査をしたんでしょうか。警察はいかがでしょうか。
  82. 林則清

    政府委員(林則清君) 先ほども説明がありましたとおり、本年二月十五日に不正競争防止法の一部を改正する法律が施行され、外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止規定が創設されるまでは外国公務員等に対する贈賄的行為は我が国においては不可罰な行為であったわけであります。  御指摘のような報道がなされたということは我々も承知しておりますけれども報道されたような事実は、それが事実といたしましても、いずれにしても本年二月十五日以前のものでありまして、不正競争防止法の処罰の対象にならないものというふうに理解をいたしております。
  83. 松あきら

    ○松あきら君 では、二月十五日以前にお金を渡したのであればこれに当たらない、しかし二月十六日以降に渡したとなれば、これが今発覚したとしたら、これはどうなんですか。
  84. 林則清

    政府委員(林則清君) これまでも警察は、不正競争防止法に限らず、刑罰法令に触れる行為がありますれば、法と証拠に照らして厳正に対処をしてまいったところであります。  現在問題になっておる外国公務員に対する贈賄等につきましても、本年二月十五日施行の本法の趣旨あるいは内容を十分踏まえ、その罰則規定に触れる行為が認められれば、海外の捜査機関等とも協力連携しつつ法と証拠に照らして厳正に対処してまいる所存であります。
  85. 松あきら

    ○松あきら君 では、今回の問題でも、二月十六日以降に渡したということがわかればきちんと現地と捜査協力をして立件をする、こういうふうにとらえてよろしいわけですね。
  86. 林則清

    政府委員(林則清君) 本法施行後に行われた行為について、法と証拠に照らして処断すべきものであれば処断をするということになります。
  87. 松あきら

    ○松あきら君 今回、この報道につきまして建設省がゼネコン等に注意をしたと、そういうふうに伺っておりますけれども、やはり海外でこのような事態が起こったら、お金の収受は当然私は日本国内の本社が絡んでいると思うんですよ。こんな大きなお金を勝手に現地の会社だけでできるはずがない。海外の問題というふうに思われがちでございますけれども、これは非常に私は本社の幹部とも密接をしているというふうに思います。  そこで、例えばこういう問題を起こしたところに、これから国内の国の公共事業の入札に参加させないとか、それぐらいの措置をとってもしかるべきと思いますけれども、建設省、いかがでございましょうか。
  88. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答えを申し上げます。  建設省は、直轄工事につきまして従来から法令違反といったような行為が行われた場合には、その事実、例えば関係者が当該容疑によって逮捕されたとかあるいは公訴の提起があったといったような具体的な事実が明らかになった時点で速やかに指名停止措置を行ってきているわけでございます。  今般改正され、既に施行されております不正競争防止法につきましても、違反行為があった場合には同様に対応していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  89. 松あきら

    ○松あきら君 きちんとこういう問題は厳しくこれからもよろしくお願いいたします。  では次に、国際協力事業団についてお尋ねをいたします。  特殊法人の役員表を見ると、またぞろ理事十三名中十一名は天下りでございます。常勤役員は国家公務員からの就任は半数にしようということになっているのに、またぞろという気が私はいたしますけれども、この閣議了解に従わない、改善できない理由は何でしょうか。
  90. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘の特殊法人等におきます国家公務員出身の役員削減につきまして、閣議決定ができております。政府全体として、特殊法人の全常勤役員に占める国家公務員出身者の割合を全体の半分以内にとどめる、こういうことでございます。  国際協力事業団におきましては、現在十二名役員がおりまして、十名が国家公務員出身者となっておりまして、これを今後二名削減する方向で検討いたしております。
  91. 松あきら

    ○松あきら君 私も、特殊法人全体で五〇%以下になる、これは承知しておりますけれども国際協力事業団がこんなに高率であるということは、つまりほかの特殊法人ではないということもあるわけですよね、全体で五〇%ですから。ここが何でこんなに多く占めているのか、その理由は何でしょうか。
  92. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御案内のとおり、国際協力事業団という組織は政府ベースの技術協力をやっておるわけでございますが、技術協力はその実施に当たりましてそれぞれの専門官庁の持っておるノウハウ、人材、経験、これらに相当部分助けられながら、依存しながら事業実施いたします。  したがいまして、事業団とそれぞれの専門官庁との関係というのは極めて重要でございまして、一つにはそういうことを背景としてこういった構成というものが従来あった、しかし政府全体の決定がございますので削減に向けて今動いておる、こういうことでございます。
  93. 松あきら

    ○松あきら君 今、あと二名減らしますということでございましたけれども、やはりこれは十名以上の役員がいる特殊法人は一〇%削減ということにもなっておりますし、ぜひ速やかによろしくお願いいたします。  次に、麻薬対策についてお尋ねをいたします。  阿南先生からも先ほど御質問ございましたけれどもODA麻薬対策には一体幾らの予算が組まれているのでございましょうか。
  94. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 平成十年度のODA予算のうち麻薬関係の支出といたしまして、合わせまして約十六億円強でございます。
  95. 松あきら

    ○松あきら君 一九九九アジア薬物対策東京会議が一月三十一日から東京で開催されまして、総理もメッセージを出されているわけでございます。  やはり日本にとって麻薬対策は非常に大事な緊急の課題だというふうに思います。今は学生とかあるいは主婦の人にまで広がってきているという大変な問題になっているわけでございます。やはり麻薬は供給源を断たなければいけない。これはもう先ほど来お話が出ているところでございます。  私は、先ほどお答えを聞いておりましたら、アクセス、つまり道とかいろんなことがあってもう大変だという話で、この十六億円で一体何ができるのかなというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。どういう積算なんでしょうか。
  96. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 従来のODAを通じます麻薬あるいは薬物対策としましては、技術的な協力、例えば鑑識といったようなものでございます。これは技術協力として研修員を受け入れたり、日本から専門家を派遣したり、こういう形でやるのが一つございます。  それから、例えばミャンマーのゴールデントライアングルと言われるような地帯がございますけれども、こういった地域におきます国際機関、国連の麻薬統制機関がやっておりますプロジェクトに食糧援助という形で側面的な支援をする、あるいは草の根無償といった割と小口の手段を通じまして麻薬対策取り組んでいるNGO支援をする、こういったものでございまして、それが大体全体として十六億円強という姿になっております。
  97. 松あきら

    ○松あきら君 先ほども代替作物、お尋ねになりましたけれども、お答えがなかったんですね、外務省から。実はソバが植えられているんですよ、日本のソバ。だけれども代替作物というのは私は換金作物じゃなきゃ意味がないと思うんですね。つまり、ケシを植えて麻薬をつくればお金になるわけですね。ソバを植えて自分たちで食べろというので自家用にしていると。自家用で五トンできたというんです。  それを考えてみましても、やはり何でソバになっちゃったのか。そしてまた、例えばソバを植えても、ではそれを全量、全部日本で買うからケシほどのお金にはならなくても幾らかのお金にはなりますよというようなそういう計画があるのか、一体全体。何でこれソバになったのか。全部自分たちで食えということですか。説明をお願いいたします。
  98. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ミャンマーが世界のアヘン生産量の約半分をつくっておるということで、このミャンマーの山岳地帯に対します代替作物プロジェクトというのが今先生が御言及になりましたプロジェクトであろうかと思いますが、これは確かにソバを代替作物としてつくっていこうということでございまして、現段階ではまだまだ初歩的な試験的な段階にあると。したがって、生産量もごく限られて、今五トンとおっしゃいましたけれども、その程度ではないかと思っております。  将来的にこれがどうなるかというのはもちろんよくわかりませんし、いろいろな環境整備も必要であろうかと思いますけれども、これはこれで、ああいう状況のもとでああいう土地に合ったものとして成功すればまた一つ代替作物計画としていいものに育っていく可能性はあるんじゃないか、こういうふうに見ております。
  99. 松あきら

    ○松あきら君 おそばというのは、ミャンマーの方たちにとって日本人が考えているおそばと同じように食べられるのかどうか、ちょっとわかりません。しかし、今、麻薬の問題というのは青少年に広がっておりまして、本当に深刻でございます。やはり国を挙げて供給を断つということがもう絶対に肝心であるというふうに思います。  私は、家計を安定させて、そして生活を改善するお手伝いをする、そのためにやはり換金作物をしっかりとつくっていただく、こういう順序じゃないかと。やはり計画の立て方から私は違うんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  100. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 確かに換金作物も一部の地域について、これはほかの外国がやっておる例でございますけれども、例えばコーヒーのようなものも中南米等では行われているというふうに承知いたしております。  したがいまして、いろいろな作物が可能だろうと思いますが、先ほどのソバも、アジアのああいう地域でもしいろいろな条件が整ってきますと、これはこれで一つの有力なものになるんじゃないかなというふうに今見守っておるところでございます。
  101. 松あきら

    ○松あきら君 しつこいようですけれども日本そばですから、中国のラーメンなんかに使うおそばじゃありません。  では次に、無償援助についてお尋ねをいたします。  政府開発援助につきまして、無償資金協力効果が上がっていないと会計検査院に指摘されたものが五事業ありました。今回の無償、有償含めまして、援助というものに対していろいろな話が今出ておるところでございます。  まず、この五事業、バングラデシュの水揚げ十三億四千万、バングラデシュの稲研究所稲遺伝資源研究施設五億五千万、パプアニューギニアの浅海漁業開発、これが一億九千三百万、スリランカの植物遺伝資源研究センター十九億八千八百万、ベトナムの上水道整備事業三十八億一千万。  この中で私は、パプアニューギニアの浅海漁業開発事業の一億九千三百万とベトナムの上水道整備事業三十八億を取り上げてみたいというふうに思います。  パプアの目的は、沿岸漁業の振興を図るために、水産集荷センターに漁網、製氷機、多目的用途船等を供与したわけでございます。初めはこれは順調に稼働して黒字経営ができていたようでございますけれども、センターの隣接地に油田が開発されて、平成三年から四年にかけて同センター前にパイプラインが設置されて、そのパイプラインに伴う補償料が地元の漁民に支払われたということで、その補償料も平成五年から支払われる、近接地の木材も伐採された、この両方あって補償料も支払われるようになったということで地元の漁民が漁業をしなくなっちゃったというわけですね。漁業をしなくても生計を維持できるようになってしまったということでございます。援助した製氷機、漁網は放置されて使われていなかったというわけですね。多目的船は平成六年から本件目的とは関係ないマグロの調査や漁獲に使用されていたということなんです。  そしてまた、ベトナムの上水道整備事業は、ハノイの上水道整備がおくれている地区において生活用水事情の改善を図るために、老朽化した既存の上水施設を廃止して将来の水需要に対応できる設備を整備することのためにございました。平成五年から八年まで三十八億円ほど贈与しましたけれども、これがさまざまな問題によって、つまり設計変更が起こったとか、あるいは各家庭に給配水管が到達していなかったこと、また料金支払いに納得しない一部住民が従来どおり井戸を使用する、こういうことで効果を十分に発揮していないということなんですね。  前回の委員会で大森議員がODA事後評価についておっしゃっていたわけでございますけれども、先ほどもいろいろ出ました。やはり私は、いろんなことをやったけれども、ただ上げただけよ、やっただけよということではもう本当に、後がどうなっているのか、きちんとした状況の変化ということをやっぱりつかんでいないといけないというふうに思っておりますけれども、これらについて外務省、いかがでございましょうか。
  102. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘ございましたように、数件の案件につきまして会計検査院から指摘を受けました。  私どもも個々のケースにつきまして、なぜ援助効果が十分発現していないかという原因について調査をいたしました。主としては相手側におけるいろいろな事情の変更、やむを得ない変更もあったかと思いますし、先方の対応すべきところが対応され切っていなかったといったようなこともございますけれども、しかしそれだけではなくて、やはり私ども日本側にも実施段階においてもっと注意をすべき部分もあったというふうに同時に反省もいたしております。  パプアの案件につきましては、油が出るようになって漁民が魚をとらなくなった、したがって機材が一部遊休しているということでございますので、これの有効活用を図るために、昨年度機材を、今までは中央政府の管轄にゆだねておったわけですけれども、州政府に移管をいたしまして有効活用をする方途を今探っております。  それから、ベトナムにおきます上水道の整備計画につきましても、先方政府予算不足ということで計画どおりにいきませんでしたけれども、その後予算の手当てもとりましてほぼ完成に向けて動きつつあるということで改善策は講じられております。  こういった事態ができるだけないように、なくなるように、今後とも注意をしてまいりたいと思います。
  103. 松あきら

    ○松あきら君 もう時間ですから、一言。  私は、お金だけじゃなくて、やはりソフトもきちんと提供するという姿勢をとっていただきたいということを申し上げて質問を終わります。
  104. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。前回のこの委員会で我が党の岩佐議員がODA問題の基本的な問題について指摘をしたわけでありますけれども、私の方からは先ほど来問題になっておりますインドネシアの鉄道建設事業、これについて質問をさせていただきます。  インドネシアの首都ジャカルタとその周辺で一九七八年から進められている近代化事業でありますけれども、借款供与の総額が一千十億四千三百万円、その一部がジャカルタ市内の高架事業、ここに使われているわけでありますけれども、鉄建建設が一九八八年から九〇年にかけて三回受注して、その過程で契約を結んだウジンダという仲介業者に仲介料として一回分の受注額の二%、四千万円を支払った、こういうふうに報道されております。三回の合計受注額は四十六億三千万円でありますから、仮に二%の仲介料を払ったとすれば合計一億円近くになる、こういう勘定であります。  インドネシアの入札制度というのは、入札のときの一番札だけではなくて、二番、三番も含めて数社とインドネシア政府との間で数カ月間かけて協議をして、その結果落札者を決める、こういう制度だそうであります。実際に鉄建建設は三番札であったんだけれども、この協議の結果落札をしているわけなんですね。  仲介業者であるウジンダの幹部は、先ほどもお話がありましたけれども、仲介料の八割をスハルト前大統領の秘書的な存在だった国家官房、それから国家開発企画庁、運輸省、陸運総局、工事担当チーム、こういう人たちに渡して、残った二割を自分の手数料として受け取ったと、国家官房へのリベートの一部、これは当然前大統領の側に渡ったというふうに認識している、国家官房にはリベート全体の三割を渡した、受注できたのは金の力だ、こういうふうに話をしているわけなんですね。仲介料がリベートであることを鉄建建設は知っているのか、こういう質問に対して、当然だ、必要な額も話してある、こういうふうに言っているんですね。しかも、OECFは知っているのか、こういう質問に対して、とぼけているだけで知らないはずはない、インドネシアでは常識のことだから、こういうふうに答えているんですね。  報道によれば、このリベートがスハルト政権側に渡ったとされているけれどもODAの資金が相手国の政治家や政府高官に渡っていた、こういうことだとすると、まさにこれは国際的な大疑惑事件であります。大問題だと思うんですね。  外務省経済企画庁、この点についてまず基本的にどう認識しているのか、お答えいただきたいと思います。
  105. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) このインドネシアにおきますいわゆるリベートODA関連いたします疑惑の問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたけれども、繰り返しで恐縮でございますが、まず事実関係をきちんと把握をしたいということでございまして、名前の挙がりました日本企業からはOECFを通じて聞き取り調査を行いました。その結果、そのような事実はない、承知しておらないということでございました。  次に、インドネシア政府においても、本件が広く報じられるに至って、これを深刻に受けとめて調査をするということでございました。さきに日本政府からもその調査方の申し入れをしておるわけでございますが、調査をすると、その旨を大臣名できちんと日本政府にも通報越しておるということでございまして、そうした調査の結果を経まして、事実関係をまずきちんと把握した上で、その上で適切なる措置を講ずる必要があれば適切なる措置をとっていきたい、こういうふうに思っております。
  106. 河出英治

    政府委員(河出英治君) 今、外務省から言われたことに尽きるわけでございますけれども、私どもとしてもまず第一に外交ルートを通じて先方政府に事実関係調査等を申し入れ、今その調査が行われているところでございます。また、海外経済協力基金におきましても関連企業につきまして任意のヒアリングを行ったところでございますが、これまでのところ新聞報道にあるような提供の事実はないというような報告を受けているところでございます。  いずれにいたしましても、円借款の適切かつ効果的な実施というのは極めて重要な問題でございますので、今後とも手続の透明性の確保など一層努力していきたいと考えているところでございます。
  107. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことだからこういう問題が大問題になるんだというふうに思うんですね。  国税庁に伺いますけれども、先ほども答弁がございましたのでちょっと確認をしておきたいんですけれども、例の四千万のリベートという問題は、これは交際費であって課税対象として認定をした、こういうふうに先ほどの答弁を理解してよろしいんでしょうか。
  108. 森田好則

    政府委員(森田好則君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、個別の調査にかかわることは差し控えさせていただきたいということと、あくまで一般論として法人税法上の取り扱いということで、先ほども言いましたように、取引の円滑な進行を図ることを目的としましてその事業関係者等に対する接待、供応、慰安、贈答等々の行為のために支出する費用については税務上交際費として取り扱われるということでありまして、原則としてその全額は損金の額に算入されないこととなるという一般論を申し上げたわけであります。  以上です。
  109. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういう課税の対象だと思うんですね。  そこで、再び外務省経済企画庁なんですけれども、先ほど来外務省が答弁をしておりますけれども、その答弁の中身というのは日本政府からインドネシア政府に対してぜひ調査をしてもらいたいということですね。インドネシア政府調査をした結果、そういう不正の事実があったら厳正に処置をしてもらいたい、こういうことをお願いした、こういうことですね。それで、インドネシア政府から文書で来て、インドネシア政府調査をするので資料を日本政府からぜひ下さいよと、こういうことですね。  そこで伺うわけなんですけれども、要するにすべてインドネシア政府調査をするんだ、その調査結果を待つんだ、こういう答弁ですね、先ほどからの答弁は。日本外務省は何をやるんですか。何か自分から進んで調査をするというのがあるんですか。
  110. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 現在のところはまだ事実をきちんと確認する段階であるというふうに思います。その事実の確認を行った上で、外務省としては本件についてどういうことが必要であるか、もしそういう事実があったということでございましたら、例えばOECFにおける調達ガイドライン、こういうものは今のままで適切なのかどうか、さらに予防的あるいは抑止的な意味を含めて見直す必要があるのかとか、そういった見地からの検討はもちろん必要でございますし、もし事実ということがきちんと確認されれば別途日本政府インドネシア政府との間でどういうことが措置としてとられるべきかということも当然考える必要があろうかと思います。そういうことでございます。
  111. 富樫練三

    ○富樫練三君 要するに、外務省はみずからは何もやらないということですね。そうでしょう。今いろいろ答弁しているんだけれども、みずから事実を調査するということは一回も答弁していないんですよ。  例えば、鉄建建設が問題になっているんだから、鉄建建設そのものを呼び出して事実を全部調査する、必要な資料は全部出させる、そういうことを何でやらないんですか。
  112. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 外務省は捜査機関でもございません。しかし、おっしゃるとおり、きちんと事実を確認するということは必要でございます。これは直接的には実施機関であります海外経済協力基金がまさにその実務に携わっておりますので、その基金による聞き取り調査というものを行ってもらったと、そういうことでございます。
  113. 富樫練三

    ○富樫練三君 さっきの答弁の中で、チェックはしっかりやっているんだという答弁がありましたね。  確かに、これは制度としてこういうふうになっているんですよ。交換公文を署名した後、これは書面審査で法律質問があって、ここでチェックしますね。これは外務省がチェックしますよね。その後、借款契約を結ぶ。入札に入る前にここでチェックしますね。これはOECFがチェックしますよね。その後、落札者の決定の前にもう一回チェックしますね。これもOECFですね。その後、契約の締結、この前でもチェックしますね。交換公文を署名してから請負契約が締結されるまでの間に合計四回チェックするんですよ。これは事前のチェックですよ。  四回事前のチェックをやって、中身は全部知っているはずですよ、外務省経済企画庁も。すべて知っているはずですよ。それでもわからなかったと言うわけだから、何のためのチェックですか、これ。どこをチェックしたんですか。具体的に言ってくださいよ。チェックしていないんじゃないですか。
  114. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ただいま御指摘がございましたように、報道で挙げられた案件につきましては、借款契約の段階、それから調達の段階、入札、それから契約、貸し付けの実行、各段階においてこれを担当しておりますOECFの方でチェックをいたしました。チェックをした結果、報じられるような事実関係を裏書きするような事実は今のところないという報告に接しておるということを申し上げました。
  115. 富樫練三

    ○富樫練三君 要するに、実際にはやっていないということでしょう、チェックしたんだけれども気がつかなかったんだから。  事後のチェックですよ。これは一九八八年、八九年、九〇年、三回落札しているんですね。その受注総額は四十六億なんですけれども、OECFはこの金を振り込むときに、その段階でどの事業でどういう工事内容に対して幾らの金を出すかという点について事後もチェックしているはずなんですね、これは工事が始まる前ですけれども。全部請負契約が決まって、落札者が決まって、契約した後にお金を振り込むんだけれども、この事後のチェックの機能も全然機能していないということじゃないですか。どうですか。
  116. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) お答え申し上げます。  確かに、先生おっしゃるように、実際の工事の進捗に応じまして出来高の証明がございます。それによって我々、OECFに対して資金の支払い請求を銀行を通じまして所定の手続にのっとりましてしてまいります。その証票書類をきちんと調達ガイドライン等をベースとしながらチェックいたしまして、その中身が適正と認められた都度私どもは支払いを行っておるという次第でございます。
  117. 富樫練三

    ○富樫練三君 というふうにやったけれども、やっぱり気がつかなかったということですね。  それで、今答弁がありました調達ガイドラインなんですけれども、これがその調達ガイドラインですね。いただきました。これは日本語じゃありません。この調達ガイドラインというのは、請負をやる日本の企業に対してもゼネコンに対してもちゃんと徹底しているんですか。
  118. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 調達ガイドラインは、基本的に事業実施者であります相手国の政府並びに実施機関とOECFとの間で交わされました貸付契約、ローンアグリーメント、貸付承諾に基づきまして、それと同様の位置づけで調達ガイドラインが適用されるわけでございますが、これは基本的にはその調達ガイドラインにのっとりまして事業実施者が適正な調達手続を行うわけです。  ただし、ここに国際コンサルタントが基本的に所定の手続で入っておりますから、その国際コンサルタントがまた調達ガイドラインについては熟知しております。したがって、事業実施機関に対して適宜アドバイスを行いながらその適正な運用を図っておるということでございます。
  119. 富樫練三

    ○富樫練三君 よくよく聞きましたら、これは日本語版がないんだそうですね、日本政府がつくったんだけれども。そうですね。日本政府がつくって、英語版でやっていると。最初から日本の企業に対しては徹底するという意思がないんじゃないですか。
  120. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 調達ガイドラインそのものの、先生が今お示しになったものにつきましては、これは基本的には公開しておりますので日本の企業も入手可能でございます。したがって、今のお持ちのガイドラインそのものにつきましては、内容を応札者は、これは日本企業に限りませんけれども、熟知しているということでございます。
  121. 富樫練三

    ○富樫練三君 このガイドラインではこういうふうに言っているんですね。経済性、効率性透明性、非差別、こういうふうに言っているんですね。これを本当に日本の企業に守らせるんだったら、日本語版をつくってちゃんと受注する企業に徹底しなくちゃだめですよ。最初からそういう気がないから日本語版をつくっていないんでしょう。向こうの政府任せなんでしょう。  それで、今度のリベート問題というのは、このガイドラインが言っている透明性とか非差別とか、こういう点から見たら全く違反でしょう。明確に違反だと思うんですね。私はどっちが先にできたか言っているんじゃないんですよ。中身の問題を言っているんです。  それからもう一つは、先ほどもちょっと出ましたけれども、九二年六月に閣議決定した政府開発援助大綱というのがありますね。これは閣議決定していますよね。この「原則」の中で「開発途上国における民主化の促進」、こう言っていますよ。リベートを渡して仕事をとってくるのが民主化の促進になりますか。それから、こういうふうにも言っているんですよ。その具体的な方策の中では「我が国政府開発援助を巡って不正や腐敗を惹起しないよう十分配慮する。」、こういうふうに書いてあるじゃないですか、閣議決定の中身に。  外務省、ちゃんとこれを守る気があるんですか。このとおりやらせようという気があるんですか。
  122. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ODA大綱にはそういうことで我が国ODA実施で腐敗といったようなことがあってはならないということを明示しております。  具体的には、この実施につきましては、資金協力の場合ですと、交換公文の中に日本側から提供される資金が適正に使用されるといういわゆる適正使用条項が掲げられておりまして、疑問があるときにはこの条項に従って協議が両国政府間で行われて、場合に応じて必要な措置がとられる、場合によりましたら一部の合意条項の破棄といったようなことももちろんあり得るわけでございますが、それが一つございます。  それからさらに、適正使用条項だけでは必ずしも十分ではございませんので、この適正使用ということの中にはいわゆる腐敗行為といったようなものも含まれるということを交換公文を締結いたします際に別途合意議事録の形でいわば確認的に明示をして相手国の間に了解をきちんとさせておる、こういう措置をとっております。
  123. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。そんなことは何遍繰り返したってこれはちゃんとなりませんよ。  みずからが閣議決定で決めた中身を外務省がちゃんと守ってそのとおり進める気があるのかないのか、ここを答えてくださいよ。やる気があるのかないのか、ここがはっきりしないんです、いろいろ言っているけれども。どっちなんですか。閣議のとおりやるという意思があるんですか。
  124. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) これは当然のことでございますけれどもODA大綱に沿った趣旨というものは、これは当然政府として挙げてきちんと実行すべきものということで心得ております。
  125. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということならば、何でみずから調査しないんですか。こういう事件が起こっているとマスコミで報道されている。重大な問題ですよ。国際的な問題でしょう。そういうことについて、先ほどからみずからは何も調査しないというわけだから、だったらこの閣議決定を守れないでしょう。閣議決定のとおりやるんだ、腐敗を惹起させちゃいかぬというのだったら、みずからやるべきじゃないですか、どうですか。
  126. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 本件につきましては、先ほど御答弁申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますけれども、今インドネシア政府においても調査をすると言っておりますし、かつ報道の中に名前の挙がりました企業につきましてはきちんと聞き取り調査もやっておるところでございます。  それから、インドネシア政府側からも別途書簡をもって日本側の協力ということも求めてきておりますので、これについては日本国内法令等に照らしてどういう協力が適切であるかということも含めまして、外務省として何もしておらないということではございませんで、なし得ることは着々とやっておるつもりでございます。
  127. 富樫練三

    ○富樫練三君 ことしの二月にソウルで開かれたシンポジウムで世銀の総裁がこういうふうに言っているんですね。汚職など腐敗が蔓延した国に対する開発援助は通常の三倍以上かかる、腐敗は開発のためのがんであると。インドネシアに長期駐在した日本の元都銀の幹部は、日本ODA事業リベート代として三割程度は消えていた、こういうふうに言っているんですね。さらに、ゼネコンや商社の関係者も、ODA事業の一部が役所やスハルト大統領周辺のリベートに回っていたのは公然の秘密だった、こういうふうに報道されているんですね。  こういうことについて外務省はどういうふうに思いますか。
  128. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 個々の個人あるいは団体についての報じられる発言について外務省として述べることは適切ではないと思いますので控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、もちろんのことODA事業の推進に当たりましていやしくもそういった腐敗行為というものがこれに関連して起きてはならないわけでございまして、そのための予防措置というのは、先ほど来先生も御指摘のいろいろのチェックという形で生きておりますが、加えまして国際的にもOECDで条約もできました。それを受けまして国内でも不正競争防止法という対策が進みました。  こういった対策を一国でとるのではなくて、やはり各国協力のもとに進めていくということは必要でございますし、こういうことについては外務省としても積極的に取り組んでいくべきものというふうに思っております。
  129. 富樫練三

    ○富樫練三君 マスコミではこういうふうにも言っているんですよ。問題は日本当局がどこまで海外要人への贈賄を解明できるかという点だ、これまでもODAをめぐって相手国政府の高官を巻き込んだ疑惑幾つも浮かんだが国境の壁を崩せなかった、政府高官への贈賄が事実だとすれば日本ODAの基本理念に反するものであり、政府は積極的に調査を行わなければならない重大な問題だと、こういうふうにマスコミから指摘されているんですよ。それで、海外援助問題に詳しい大学の先生はこういうふうに言っているんです。OECFは援助受け入れ国の主権を盾に情報公開を拒み、監視の届かない聖域の中でみずからをチェックすることを忘れたとまで言われているんですよ。  まさにこのODAというのは不透明部分が多過ぎるんですよ。だから国民も理解しようと思ったって理解し切れないですよ、これでは。だからこのODA問題の改革、これを考えたときには透明性を拡大するということがどうしても必要なんです、今後もやっていくんでしょうから。その場合に、今回問題になったこのリベート問題というのは一つのかぎを握っていると私は思うんです。これは過去のことなんだけれども、この過去のことを洗いざらい明らかにしてこれをこの委員会にちゃんと報告してもらう、こういうことをやらなきゃ行政監視委員会役割は果たせませんよ。  ですから、このことについて外務省経済企画庁はちゃんと調査をしてこの委員会報告する、この点についてどうですか。
  130. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 現在まで政府の方でやりました調査は、外交的な申し入れも含めまして、御報告させていただきましたけれども、引き続きまして、本委員会に対しましても、本件についての新しい事実等がございましたらきちんと報告をさせていただきたいと思います。
  131. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  132. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 外務省、今のような問題はずっと前からあったことですから、逃げることばかりではどうしようもないと思うんですね。真っ正面から取り組んでもらいたいと思います。  私は、話が変わりますが、ODAの質の転換というのか、ウエートの質の転換をやるべき時期だと思います。物をつくってあげるよりも人材の育成に重点を置いたODAを今後もっと力強く進めていく必要があると前回も本委員会で少し申し上げました。  三月二十四日の文部省の留学生政策懇談会の答申の中でも、知的国際貢献として留学生受け入れを位置づけおり、ますます人づくりに対する支援は今後重要になってくる、こういうことを言っておりますし、また外務省も二十一世紀初頭における十万人の留学生受け入れを目指す留学生受け入れ十万人計画、この実現も非常に今の見通しでは難しくなっているのではないか、受け入れ学生は減少の傾向にもあるようでありますから。  まず、人材の育成に関する政府開発援助を基本的にどのように受けとめておられるのか、お伺いします。
  133. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 恐らく我々日本人の大多数の人が抱くであろう援助に関する意見であろうかと思いますけれども、それは最後は人間、人を育成し人間を開発していく、教育を進めていくというところに一国の発展の最終的なかぎあるいは原点といったようなものがあるだろうと、多分大多数の人が経験的に直感的にそう感じておられるんだろうと思います。私どももそういうふうに感じております。  したがいまして、人材育成というものの重要性というのは、単に国際協力を進めるという次元、これも大事でございますし、知的貢献をするということもあろうかと思いますが、もっと突っ込んで言えば、日本国自身のいわば大きな一つの長期的な国家戦略、ちょっと言葉が大き過ぎるかもしれませんけれども、国家戦略と位置づけるなら国家戦略、それぐらいの位置づけでこの問題を考えていく必要があろうかと思っております。留学生政策も恐らくその一部分であろうかと思いますけれども、人材協力というものが最終的に日本と相手国、相手地域との間の長期的なつながりをつくるかぎを握っているというふうに認識をいたしております。
  134. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 我が国が近代国家に変わろうとしてスタートしたのが明治維新ですね。そのころ、本当に日本は先進諸国に比べますといろんな面でおくれておったと思うんですね。それは社会資本の関係にしてもあるいは人の知識の面でも、制度の面でもおくれておったけれども我が国は物を先進諸国からつくってもらった、そういう形で発展したのではなくて、やはり諸外国を見習いながら、特にミッション系のスクールが日本にたくさんそのころから出てきて、そういうものが教育に影響を及ぼし、近代国家の形成に向けても相当いい影響を及ぼした、このように言われておりますが、そういう面でのODAに力を入れるならば、今言われたようなリベート云々とかこういう問題はなくなってくると思うんですね。だから、さっき言われましたように、国家戦略としてというかヒューマニティーに富んだODA方針というものをやはり確立していく必要があるだろう、このように考えます。  それで、その一環として、その大きな輪の中に留学生の受け入れというのがあるだろうと思うんですね。日本全体でどのぐらいの留学生がいて、どうなっているかというのも大体聞きましたが、私も韓国や中国や東南アジア五カ国をずっと回ってきました。本院の国際問題調査会のメンバーとして行ってずっと見てきたんですが、確かに留学生が日本に来たい、あるいはアメリカにも行きたい、こういう人はたくさんいるようであります。しかし、行くにしてもお金がない、最大のネックはそこだと思うんですね。  だから、その面について何かもう少し思い切った予算措置といいますか、留学生は帰ったら今度は新婚旅行のときには嫁さんを連れて日本にまた来るかもしれない、あるいはまた十年たち二十年たち、その国の指導者あるいはその地域の指導者になるでしょう、そういう人たちが日本を第二の故郷といいますか、日本に対する感謝の念でこれからどんどんやっていただくならば日本の外交も非常にやりやすくなるし悪いことにはならない、そのように思うんですが、そういう点で何かもう少し積極性が出せないのかどうなのか、伺いたいと思います。
  135. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 今、先生指摘になったような趣旨で、平成十一年度におきまして、将来的には大きく花を開いてほしいなと思っておりますが、当初は小さな芽でございますけれども幾つか始めております。  一つは、従来無償資金協力というのはこの種留学生の呼び寄せには活用しておりませんでしたけれども、このたび文部省、外務省とも話をいたしまして、各方面の御理解を得まして、留学生受け入れ事業に無償資金協力を使うという制度がスタートいたしました。  さらに、国際協力事業団が受け入れております研修員の中で、きちんと日本の大学で技術研修をして学位を取った上で帰る、こういうことも従来認められていなかったわけですが、これが認められるようになりました。  さらに、日本留学経験者、帰国留学生の人たちが在外で後輩の日本への留学者に対するアドバイスができるようにするための若干の経費、アフターケアの経費、こういったものも外務省予算の範囲で認められております。全体からすればまだまだ少ないかと思いますけれども、若干の新しい支援策もできてきております。  加えて、別途円借款による日本への留学生支援、これは累計で今まで約五百億円弱でございますが、インドネシア、タイ、マレーシア等がこの円借款を活用いたしまして日本に留学生を派遣いたしております。  こういったODAの各手段を通じます支援策が講じられておりますので、私どもはこういったものを大事に育て上げていきたいと思っております。
  136. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ大きな規模で思い切ってやってもらいたい、物をつくれば相当な金が要りますから、それに比べると大したことはないわけですから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  私の地元に立命館アジア太平洋大学というのができるんです。もう御存じだろうと思いますが、ここは外国人教員が五〇%、そして半数は東南アジアを初めとする世界の五十カ国の学生を受け入れる、こういうことでこれは非常にユニークな大学になると思うんですが、御存じですか。
  137. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 大分にできる予定のアジア太平洋大学というものにつきましては、かねてより建学の趣旨につきまして私どももお話を承っております。将来的には恐らく海外から、特にアジア太平洋地域から日本にやってくる留学生の一部がこういった大学に受け入れられるといったようなことも想定されるのではないかと思っております。  在外公館を通じまして、これはこの大学に限りませんが、すべての新設、既存の大学に対する情報提供等もやっておるわけでございまして、こういった活動を通じて外務省のできる範囲のものはできるだけ積極的にやってまいりたいと思っております。
  138. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この大学は大変ユニークで、成功すれば我が国の外交上も非常に大事な位置を占めるようになると思うんですが、来年四月からの開学ですから、ぜひ育英資金も含めて政府の方も全体の中の一つとして位置づけて指導を願いたいと思います。  時間が参りましたからやめます。
  139. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 今まで同僚各位から具体的な案件等も織りまぜて質疑が交わされたわけですが、本質的にODAというものに対してやっぱり信頼感が薄いということだと思うんです。これは非常に残念なことです。局長がどうだとか何がどうだというより、やっぱり今までずっと積み重ねられてきたことが、もちろんいい面もある、大きな成果を上げている面もありますが、しかしどうも一面暗い面、不明な面がある。  私も、かつて実はこのODAに関して特別委員会委員長をやって、少し突っ込んで調べてみたりしたんですけれども、やっぱり途中まで行きますとはっきりしないんですよ。これは海外のことだからということが比較的安易に言われて、さっきの局長の答弁もやむを得ないことかもわかりませんが、インドネシアの問題でも、これは公平に聞いていて、やはりもう少し外務省として具体的に海外経済協力基金を通じて、あるいは現地外務省を通じてこうやっているというようなものがないと、話を聞いておってどうもこの場限りあるいはその場しのぎという感じがしてならないんですね。  この委員会は法案を審議する委員会ではない。だから、委員会が終わってある程度時間が経過すれば済むということも確かにあります。しかし、問題がずっと継続されていくことの方が私はどうも国家的に損失ではないのかなと。あるいはまた、外交ということではなくて外政というとらえ方をすれば、これはまさにゆゆしき問題だと言わなきゃいかぬと思うんです。  私の感じとして、ODA関係においては予算の消化、一兆円にも上る毎年の協力額というか援助額、そういうものを消化していくということだけの実績を積み重ねるのではなくて、中身と実効性と成果ということが上げられて、これからODAに関する評価の中で予算づけあるいはまた予算評価ということがなされていくということでないと、我が国の外交というのは、皆さん一生懸命やっているし、我々も民間外交、議員外交をやっているんですけれども、どうもそういう意味では、立地条件その他から見ても、あるいは過去の経緯から見てもなかなか実効性が上がらぬ。これは国連における常任理事国の選挙一つとらえたって、これだけの大協力をしておってもその票を集めるのは容易じゃないというのが過去の実態でもあった。そういうことをお互いにいろいろ反省してみて、これは外務省だけを言うのではなくて、政治家である我々も、内政と外政を担当していく我々として、やっぱりそういうことを考えながら問題に対処、両面からやっていかなきゃいかぬなということを感じました。  さらに、この委員会が発足して一年有余、そういう中で具体的に今海外におけるこういった不正問題ということのように取り扱われる、まだ断定されていないとあなたがおっしゃるが、これはそういうように取り上げられているわけですから、この問題はやっぱり早急に、新しい事実が出たらここで報告しますでなくて、むしろ積極的に報告をし、あるいはまた問題意識を持って解明していくということを私は心から期待いたし、かつまた望み、そしてこの委員会の審議においてもさらなる問題を明確にしていくということをやっていかなきゃならないということをつけ加えておきたいと思います。  そういう意味からいたしまして、経済協力の対象案件とするために具体的な案件には実施可能性調査、いわゆるフィージビリティースタディーを行いますけれども我が国では主として国際協力事業団が行っていますね。そして、国際協力事業団からこのFSを請け負うのがコンサルタントと理解しています。私はこの業界に対して何も変なことを言うわけじゃありませんよ。しかし、私も経験した一人として、ここが非常にはっきりしない。  国際開発ジャーナルの昨年九月号によれば、昭和六十二年から平成三年までの五年間を対象に調べたところ、FS百八十九件のうち、中止、消滅、遅延、中断しているのは二十八件のみで、事業化率は八五%となっていると聞いております。一部にコンサルタント、ゼネコンの癒着もうわさされ、コンサルタントにどこが選ばれるかによって今後のプロジェクトへの特定のゼネコンの参加が左右されることもあると聞いています。これは前からなんです、こういうことは。  そこで、どのようにして国際協力事業団ではコンサルタントを決めているのか、どういうような仕組みで、事業団に聞くことも簡単ですけれども、やっぱりこれは監督官庁の外務省、あなたのところがしっかりしないといけないからあえて私はきょうは局長だけでよろしいと申し上げてきたんです。ぜひひとつその現状を聞かせていただきたい。また、一部には国内の公共事業と同様な談合がなされているのではないかという声も相当大きい。コンサルタントを決める際の透明化あるいは情報公開についてどのような配慮がなされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  さらに、このコンサルタント問題ですが、医療関連のコンサルタントが絶対的に少ないということが言われておりますが、その充実が求められているようですけれども、この政府のコンサルタント育成について、さっきの人材育成とも多少ダブりますが、そこら辺のところを時間も少ないので端的にお聞かせをいただきたいと思います。
  140. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 冒頭、ODA全体に対する姿勢につきまして、身にしみるようなお話を伺いました。ほかの先生方からも厳しい御批判と同時に叱咤激励のお気持ちも込められた御指摘だろうと思っておりますが、これは私どもとしても当然重く受けとめまして対応すべきものと思います。  コンサルタントにつきましては、確かに援助案件の発掘とか形成、それから実施に至る一連のサイクルにおきまして大変に重要な役割を担っていると申し上げてよろしいかと思います。  具体的な選定につきましては、これは大体技術的な事項が多いものでございますから、提案書を出していただきまして、この技術提案書の中でそのコンサルタントの経験、能力がどういうものであるか、さらに調査業務をどのように実施する予定であるかその方針、それから個々の調査団に加わる団員のリーダー、団員の皆様方の経験とか能力がどういうものであるか、こういった幾つかの点を含みますものを技術提案書の形で提出してもらいます。これを、一定の点数評価によりますけれども国際協力事業団におきまして専門家が評価をいたしまして、その上で一番技術評価が高いところがいわば落札する、こういう方式でございます。他方、その複数の技術提案書の間の評価が僅差、非常にわずかの差である場合には価格の見積もりを別途考慮いたしまして最終的な決定をする、大体こういう方式でコンサルタントを選定いたしております。  情報公開につきましては、今、全般に情報公開の流れにありますので、当然これにつきましても情報公開を進めつつあります。  最後に、医療コンサルタント等一部の分野におきますコンサルタント、これは確かに特にいわゆるソフトと呼ばれている分野のコンサル業が我が国においては残念ながらまだまだ国際的に見ますと弱い、おくれているということがつとに言われておりまして、これから援助分野でソフト分野が重要になるという流れの中で、日本のコンサルタントのソフト分野における実力というものが非常に求められておりますので、政策的に強化できる部分は強化してまいりたいと思っております。
  141. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 提案書の中で評価をしていく、もちろん今まで長い間あなたたちがいろいろ経験を積んできて、これが一番いいんだろうということなんでしょうけれども、そこに癒着と話し合いが出るということだと思うんですよ。同じパターンでコンサルタントを使わずに、思い切って発想の転換、方向の逆流みたいなことを一回やってみて、話し合いだとかあるいは癒着だとかということを思わせない思い切ったコンサルタントを活用する方法を一回考えたらどうでしょうか。  私は、百点満点を積むための仕組みを考えられることはよくわかる。しかし、それが五年も十年も同じことをやっているからみんな中身がわかっちゃうんです。だから話し合いでもってやられてしまう結果になるんです。それは国のため、あるいはまた予算消化のためにも効率的だとは言えません。その辺は研究をしていただきたいと思うんです。  最近、ブータンにおける日本情報通信コンサルティングの無償資金の不正事件、さっきのインドネシアの問題などもありました。インドネシアの場合には、何か日総建のうその書類によるODA受注など相次ぐコンサルタントの不祥事ということでありますが、徹底的に調査を行い、原因を究明し、対策を立てなければならぬと。例えば今のようなことをお考えになってみたらどうか。  国際的に通用するコンサルタントを育成するためにも、例えば提案書の中身がいい、そういうこともいいかもわかりませんけれども、資格制度なんということは今の規制緩和の時期にそぐうかどうかわからぬが、しかし実績、そういうこともあり、職業倫理に対する責任と自覚を促していくことも必要だと思いますので、経営者の人格、それぐらい考えてやらないと日本ODAというのは、さっきも同僚議員が質問あるいは質疑しておられたように、せっかくやっても効果、それから評価、そして感謝されていかないという結果になってしまう。コンサルタントの一連の不祥事に対しての政府のもう少し決意を私は承っておきたいというふうに思います。  いろいろ用意をしたんですけれども、もう時間がなくなってしまいましたが、このコンサルタントのところがODAのまず一つ段階だということを十数年前から私は感じておりましたので、いい機会ですのでぜひその点についての刷新を求めて御答弁をちょうだいしながら、あなたの時代にしっかりとこのODA信頼できるものとして軌道に乗せていただくようにお願いをしたいと思います。
  142. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘がありましたブータンにおきます案件は、プロジェクトとしては大変に成功したわけですが、日本のコンサルタントに不誠実な行為がありまして、これに対しては徹底的に調査の上、厳正な措置をとったつもりでございます。  いずれにしましても、こういうことがあってはならないということで、この機会にODA参加に際しましてのコンサルタントのあり方につきましては全体を洗い出しまして、改善、反省すべき点があればこれはちゅうちょなくやっていくという心構えでやっていきたいと思います。  もう一つの点は、いわば国際的に通用するコンサルタント、国際競争力の強化ということであろうかと思います。これを達成する一番の早道といいますか、最も即効性があるのはコンサルタントを国際競争に開くということだと思います。しかし、日本国民の税金で行っている事業をこういった形で国際競争に付す、その結果外国のコンサルタントが入ってくる、これは日本人の顔が見えなくなるということでとても受けられる考えではございませんので、そうではない形で、しかし実力を伸ばしていくと。  どういうふうにしていくかということについては、これはJICA、外務省を初め関係各方面で長い間懸案になっておりました。幾つかのことも実行されてきておりますが、まだまだ不十分だろうと私どもも認識いたしておりますので、改善に極力努めるつもりでおります。御支援のほどもよろしくお願いをいたします。
  143. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 終わります。
  144. 田名部匡省

    田名部匡省君 大分同じような話になるので、別の角度から質問をしたいと思うんです。  国際化時代に外国での研修というのは私は大事だと思うんです。ODAというのはこれからもずっと続くんでしょうし、そういうことを考えると、どうも今の仕組みでいいのかなと。国内でもそうでありますように、さっきも質問があったようですが、国民の税金、汗水流して働いて納めた金をもっと大事に使おうという意識が少し役所全体に薄いんじゃないでしょうか。特殊法人から第三セクター、金融機関、地方自治体、全部がいろんなマスコミに出て、このために税金を納めるのならというのがこの選挙を通じてもやっぱり出てきているんだろうと思うんです。  そういうことで、きょうは私は、外務省にもっと頑張ってもらいたい、こう思って来たんですけれども、お話を聞いていると、外務省に行革絡みの話で任してうまくやっていけるのだろうかなと。その情熱も熱意もさっぱり私に伝わってこないんです。  昭和六十三年でしたか、私が予算委員会理事のときに大野明先生委員長で、私に三時間やるからODAの問題をやれというときにやったんですけれども、もっと前からフィリピンの問題にしてもインドネシアにしてもわいろがある、そんなことが言われておったんですね。不正競争防止法というものを今度つくったというんですけれども、これは不正があるからつくったんですよ。そうではないですか。それはどうですか。
  145. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) これは先生御案内のとおりで、OECDで外国公務員に対する贈賄を禁止するという条約をつくった、もともとはロッキード事件に発するというわけでございますけれども、経緯は別としまして、この種海外における商取引に伴う贈賄に対する関心というのは国際的に高まっていることは間違いないわけでございまして、そういう意味で一国が個別に対応するというのは国際ビジネスの競争が絡んでおる世界でございますから適当でなかろうということで国際的な条約、それを各国が受け入れて国内法化していく、こういうふうに進んできていると思います。  この流れの中でさらにできることというのは、これからいろいろ日本としてもやるべきことがあればどんどんやる必要があろうかと思います。特に援助事業におきましては、先ほど来ございますように、いろいろなチェック体制はできてきておりますけれども、さらに不正、腐敗が入り込む余地をふさぐという意味で、いわば一種の抑止力を高めるためにどういう工夫があるかということはさらに検討すべきものであろうと思っております。
  146. 田名部匡省

    田名部匡省君 十四分しかないので簡単に答えていただかないとならないんです。  そのとき私は一応いろんな質問をしようと思ってやりましたら、ある機械を納入する、これは皆さんも御記憶にあると思うんですが、メーカーが指定されてきた、ところがそのメーカーに関係ない人が落札しちゃって納めようにも納められない、売ってくれと言うと売らないと言われてこれは大問題になって当時新聞にでかでかと出ました。  私は、コンサルタントも呼んだしこの人も呼んだ。外務省も、当時あなたたちの先輩も来てもらったら、いや手がつけられませんと。どうしてこうなんだと言ったら、労働省は労働省で、文部省は文部省で研修生を呼びますよね、ところが来る研修生というのは大体その国のトップの子供たちが来るんですよ。これは中国だってそうですよ。研修生というと党幹部の子供たちばかりが来る。研修して帰る子供にどこどこのメーカーということをちゃんとおまえの方から言ってくれと言って、国へ帰ると、おやじは偉いんですから、こう言われてきたと。そうすると、ここのメーカーと言ってくる。ですから、もうあのあたりはひどかったものですよ、こういう話を聞いたら。それで、だれがかかわっているかというのをずっと私は調べたんですよ。とても質問できる話じゃない。やめましたよ。だから、これは見たわけではないんですが、話としてはもうずっとあって、これはひど過ぎるというのでこの法律ができたんだと、こう思います。  特に、このODA留学の官僚の人たちに国際協力事業団でお金を出してやっている、こういうのが随分新聞にでかでかと出ていました。ODAというものがずっと続くのであれば、本当にそこで最後まで頑張るという人たちが、大学院に行くのがいいのか現地に行くのがいいのか、ここで何をやっているのかよくわかりませんが、例えばコンサルタントでやっていこうという人もおれば海外の工事でやろうという人もおるだろうし、あるいは各国にどのような援助が必要かというようなことを学ぶのもいいんですが、アメリカとイギリスの大学院に行って何を学んでいるんですか。
  147. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) 私どもでやっておりますただいま御指摘の研修事業でございますが、開発協力にかかわる人材を養成したいということで、これは先進国に行っておられる方もありますし、後進国に行っておられる方もありますが、現在の時点では先進国の方に開発行政に関する知見が集積されている、途上国の方にはまだ十分にあるところが限られているということで先進国に研修に行かれる方が若干多くなっている、こういうことでございます。
  148. 田名部匡省

    田名部匡省君 わからぬではないんですが、その国によってこれはやり方がみんな違うと思うんですね。そうすると、やっぱり現地に入ってみないと、ここの国は何をしてやればいいかわからない。さっきも麻薬とソバの話で、それは麻薬とソバの値段が同じならソバをやりますよ。値段が違うんでしょう、麻薬とソバは。そんなものを勧めたって、食うだけに援助するというのなら別ですけれども。別なものでそれと同じぐらいの収入の上がるものは何かないかとかなんとかという、そういう発想というものは行って見てこないとわからぬのですよ、アメリカやイギリスで勉強したって。  じゃ、これを勉強したことによって、どうですか、東方政策というのはこれでうまくいっているんでしょうか。
  149. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) それぞれ研修を希望される方にはどういうことを勉強されたいかという研修のテーマを出していただいていまして、こういうことをこういう国で勉強したいという提案といいますか、そういうものを出していただいております。それが我々の事業から見て需要の高い分野であればそういう方が優先順位が高くなるというようなことで、研修のテーマを選び、また研修の場所をそのテーマに基づいて選んでいると、そういうことでございます。
  150. 田名部匡省

    田名部匡省君 ですから、あなた方の方でこういうものが必要だとそっちの都合でやるのではなくて、そこがはっきりしていないと。帰ってきたってみんながそこへ勤めているわけではないでしょう。またもとの役所へ戻る。それはそれでも役に立つ部分もあるんだろうけれども、せっかくやるのなら命がけでODA事業に生涯をささげますという人たちを集めてこないことには。  これは一人当たりの費用は一体どうなっているんですか。今、役所で給与をもらっている。そっちへ行ったときはこれはどうなっているんですか。
  151. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) 特に国家公務員の場合でございますが、私どもの方では研修地に行く航空賃、それから滞在費、それと研修経費、これは授業料相当分でございますが、それを年額一万ドルの範囲内でお払いしている、それから国家公務員の場合は別途所属の省庁から国内俸が支払われているということでございます。
  152. 田名部匡省

    田名部匡省君 私は前にもどこかで質問か何かやったことがあるんですが、例えば中国でも、さっきも中国の話が出ておったんですが、私は軍事力の巨大なところにはODAをやるべきでないと、こう言っているんですよ。やらなければ自分の国でそういうものに金を使わなきゃならない。こっちからそれをやったら、その余った分で今度はミサイルをつくりますよ。間接的ではあるけれども軍備の増強を手伝っているようなものですから、過度にそういうことをやったり、いろんなことがあったらこっちで規制する、不正があったらそれもとめると、何かないと。ルールがないんですよ。  私はODAのことをやるときにいつも疑問に思うんです。何で軍備を日本よりも増強しているところに困っているからといってODA援助をするんだろうなと。すればするほどまた軍備に金をかける。北朝鮮だって同じでしょう、食う状況にないものをあんなミサイルをつくって。あれを食うわけにはいきませんから、ミサイルを。食糧の増産が先でしょう。それは外国に頼んで自分たちはそんなことをやっているのに援助するというのは、これはどうですか。私の考えは間違っていますか。
  153. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 政府の九二年のODA大綱の中で四原則というのを決めておるわけでございまして、その中には軍事費の動向、大量破壊兵器あるいはミサイル等の開発とか、こういった事項も十分考慮要因に入れながら決めるということになっておりまして、個々のケースに即しまして判断をしつつ運用をやっております。  具体的な運用に当たって、場合によったらこれはちょっと甘いというような御批判も過去受けておるわけでございまして、この点につきましては諸般の考慮要因というのがいろいろございますので、その結果として一定の判断が出てくる場合に個々の要素についてはちょっと判断が甘いんじゃないかというような御批判も時にはあるわけでございます。いずれにしましても、いろいろな要因を考慮しながらやるということで、ODA大綱にのっとりながら運用していくということで対応をいたしてきております。
  154. 田名部匡省

    田名部匡省君 時間ですから終わりますけれども、基準をきちっとつくってくださいよ。いいかげんな判断でやるんでなくて、こういうことをしたらもうおたくは対象外ですというのがなければ、出しておいてこっちが脅かされるようなことをやられたのでは、どうぞこれはもう本当にここだけの問題でなくて国会で基準を明確にしてほしいし、それから外務省が本当にもっと農業のことでも建設省の仕事でも労働省の仕事でも文部省の仕事でも専門的にやるスタッフをちゃんと育てて、もう外務省が先頭に立ってやってください、外国のことですから。ただ英語をしゃべればいいだけじゃないですよ。きちっとそういうことを自分のところでできるようにしていなきゃ、何か各省庁省庁と言っているからどれもおかしなことになっておるんですよ。これは激励の意味で申し上げます。  最後に、やっぱりこれは現地調査委員会も一遍行ってみて、どういうことになっているかを見てきて議論することと、それからアメリカの公聴会みたいな、関心のある人は出てくればいいし、ない人は、居眠りしたい人は部屋の方に帰って結構ですから、時間をかけてもう少し専門家を呼んでどんどん意見を闘わせる。役所でばかりやっていたらこれはだめです、守る答弁しか出てこないので。  委員長、どうぞそういうことをひとつ理事会で検討していただきたいと思います。  終わります。
  155. 石井一二

    ○石井一二君 私は、まずODAの現在の仕組みと今後の方向づけがいかにあるべきかという観点で所見を述べて御意見を聞きたいと思います。  ODAは大きく分けると無償資金協力技術協力あるいは国際緊急援助、有償資金協力、そして国際機関を通じた援助、例えば分担金とか拠出金とか出資、こういった方向にあろうと思います。こういった中で絶えず国際社会日本がいじめられておるのは、グラントエレメント、有償か無償かというようなこと、それからタイドかアンタイドかということです。  こういう中で、このグラントの無償か、あるいは貸し付け、借款、有償の方へ行くのかというので、どちらにあるべきか外務省の基本的なお答えを聞きたい。同じくタイド、アンタイドについても、方向としてはこちらをねらっているんだという御意見を聞きたいと思います。がちゃがちゃ要らぬことを言わずに名前だけ、有償とか無償とかアンタイドとかいうことだけ言っていただけませんか、時間の関係で、方向づけだけだから。
  156. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) それでは簡単にお答えさせていただきます。  グラントエレメントにつきましては、できるだけグラントエレメントを高めるということで努力をしてきております。ただし、これは財政的な予算その他ございますのでその制約を受けておりますけれども、できるだけ高めたいと。  タイド、アンタイドにつきましては、既に日本は国際援助社会の中では相当高いアンタイド率を達成してきております。これはそういうものとしては一応達成をしたというふうに思っておりますが、昨今、国内の景気等を反映いたしまして、むしろアンタイド化し過ぎたのではないか、もう少しタイドに戻せという意見を各方面からちょうだいいたしておりまして、具体的ケースに即してこれは対応する必要があろうと思っております。
  157. 石井一二

    ○石井一二君 私はあなたとちょうど逆で、タイドをもっとふやせ、ふやすべきである、またグラントよりも有償にすべきだと、こういう考えの持ち主なんです。やや国際的な趨勢には相反するかもわかりませんが、いずれにしろ日本は七年間連続で世界一だとか、あるいは日本の後ろにおっていつも日本政策について注文をつける米国はこのグラントエレメントでは日本よりまだ下におるとか、そういう条件がありますので、ひとつそういう方向でもう一度論議をし直してみていただきたいと思います。  特に、新聞等にも出ておりましたけれども日本ODAの債権を実質放棄、四十一カ国で九千三百億円、朝日新聞の記事ですが、一応有償にしておいても最後国際会議でこうなった場合はしようがないと思いますが、なかなか返してもらいにくくなります。どうせこういったことが将来起こるんだろうという予測で、だからといって上げっ放しというのは税金という立場で私はもったいない、そのように思うわけであります。それと、また受けた側の感謝の念が足らぬのではないかというような気がするわけです。  例えば、ちょっと古いですが、九四年十月十七日付の読売新聞ですが、ネルソン・マンデラ大統領のANCの内閣になった途端に今までのデクラーク大統領よりも大統領の給料を倍に上げている、年間二千四百万円、そういうこととか、マンデラ夫人が援助金の流用疑惑で、金額は約千四百万円でございますが、これは読売新聞の九五年二月十六日付です。後でコピーを回します。  こういう中で、私は、貸すべきものは貸して返してもらうという考え方、それで特に要請主義をとっておりますODAでは、一生懸命政府と話をして日本の商社等が積み上げてきても、アンタイドでぽこっとどこかよその国へ行ってしまうということならば熱心にやらない、それだけいいプロジェクトができないと思うんです。九九年四月一日、ついこの間の朝日新聞も、不況対策として特別円借款、三年間六千億はタイドにする、こういう方向を出しておりますけれども、こういう面でぜひ今後基本的な戦略を練り直していただきたいということをまず要望いたしておきたいと思います。  それから第二番目に、ODAの金額の決定プロセスですが、積み上げ方式でやっていると思うんです、こつこつと。これだけかかる、これだけかかるということで積算されたものを予算要求する、そういうことじゃないかと思うんですけれども、基本的にこのコスト積み上げ方式、そういう考え方は正しいですか正しくないですか、そこだけ言ってください。
  158. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 今までの経験では、やはりきちんとコストを積み上げていくということが最も適切な方法であるということで実施をいたしております。
  159. 石井一二

    ○石井一二君 それで、先ほど来インドネシアリベートの話が出て、同僚議員がいろいろ聞かれておりましたが、ではインドネシアのあの援助をすることを決めたときに、あなたが声高らかに、鉄建建設のあれは業務委託、契約費の一部が流れたものであり、我々もそう考えておると言われましたが、コスト積み上げ方式の計算でこんなばかげた項目が出てくるはずがないんですよ。あればそれは当然金額を小さなものにするとかカットされたはずだと思うんです。  そういう意味で、先ほどは鉄建と東海興業の名前が出ておりましたが、堂々と新聞に出ておるのは鹿島、大成、大林、東洋建設、こういった会社なんですから、私は委員長に要望しておきますが、一遍理事会で、こういった会社の人を呼んでこの委員会で意見を聞く、そういうことをできるかできないか論議をしていただきたいというように一委員として要望をいたしておきます。  それから三番目に、国連関係援助について聞きたいと思いますが、国連関係のいろんな団体にたくさんのお金が出ておりますが、一番大きいのが国連開発計画、UNDP、二番目が国連難民高等弁務官事務所計画、それから三番目が国連人口基金とあるわけです。それで、かなりの金額、例えば一番のところでは百二十億円です。二番のところが九十五億円、年度によって変わりますが、三番目のところが八十億、これはかなり大きな金額なんですが、少ないところではたった九百万円とか、あるいはことしはもうカットされてないとか、いろいろあるんですが、わずかな金でももらうと非常に効き目があるという分野もまだ水面に出ていなくてあると思うんです。こういうたくさんもらっているところというのはそれがもう当たり前になってしまって、飛行機のファーストクラスに乗って年に一回来て、ホテルオークラへ泊まってごちそうを食べて、ことしの増額は幾らですかと言うて帰るケースが多いんです。  私は、こういったものは一遍さいころを振り直して、ゼロスタートで一から中身を精査して、それに基づいて新しいやり方というものを模索するということがあってしかるべきだと思いますが、このことに対して大島局長、所見を簡単に述べていただきたい。あるいはかわりの方でもいいですよ。
  160. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 今御指摘の国連の関係の拠出金でございますが、国連は人道とか開発とか、先生が今お挙げになりましたようなさまざまな分野でいろいろな活動を行っております。また、日本がそれに対する拠出金をどういうふうに決めるかということでございますけれども、もちろん、日本といたしましてもやっぱり人道、開発といった分野を重視しておりますので、そういう分野への拠出を中心に総合的に勘案して決定しているわけでございますが、これらの計画、すなわち今お挙げになりました国連開発計画でございますとか国連の難民高等弁務官事務所の計画でございますとかはそれぞれ自体が予算規模が相当大きいわけでございまして、その中にあって日本側としてはそれに対応しまして、日本の財政状況からこれにできる範囲で対応するという考え方でございます。  昨年度、平成十年度におきましては、財政構造改革法の規定でODAを一〇%カットということでございました。この中にありまして、人道、環境、それから人づくり、こういった分野においてはやはり重要であろうということで拠出の下げ幅を極力少なく抑えてめり張りをつけた予算配分をむしろ平成十年度では行ったところでございます。  そういうことでめり張りをつけた予算配分を行ってきているところでございまして、今後ともそういうことで行ってまいりたいと思っております。
  161. 石井一二

    ○石井一二君 あなたの言う受け側がもう大きくなっているから、それだけ金が要るからそれだけ出すんだという考えは間違いですよ。それは鶏と卵の関係だと思いますので、いずれにしろ御検討いただきたいと思います。  それから、年々ODAなんかやっていると相手の国も、国は生き物ですから、政変があったりします。それで状況が変わればばさっと切るとか、わっとふやすということがあってしかるべきだと思うんです。  例えばミャンマーという国は、ああやって選挙で負けたにもかかわらず軍事政権が粘りついておる。その結果、昭和五十三年から平成九年までの債務救済無償実績を見ると六百三十億円にもなっておる。私は、国の様子が大きく変われば、今までの惰性で約束をしておっても、そういうことについてもう一度ネゴをする必要があると。  例えば私が今心配しておりますのはロシアなんですが、もうエリツィンさんがいつどうなるかわからぬような中で、どんどん物をくれという話があると。例えば、これは九九年一月二十五日、「ロシア 環境保全へ円借款要請」と。「政府苦慮」となっておりますからいいですが、最近橋本前総理が向こうへ行かれて、またエリツィンさんがこちらへ来るという話がまとまったと。これは喜ばしいのか喜ばしくないのか人によって解釈は違いますが、ああいった国も返済能力がどの程度あるかということをよく踏まえて、私はこれまでの路線にこだわる必要はないと。  例えば、ことしの三月十四日の各紙を見ておりますと、極東開発に日ロは六件の事業化を支援と言っておりますけれども、こういったものは恐らく返ってこない金だというような気持ちをお持ちなのかどうか私は伺いたいんですね。ODAの債権実質放棄は四十一カ国九千三百億円にも上るというような中で、国民の税金だということを踏まえて慎重にやってもらいたいと思います。  私の持ち時間はあと一分ですから、その範囲でひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  162. 西村六善

    政府委員(西村六善君) ロシアに対します援助は、今、先生がおっしゃられましたように、もちろん返ってこない金を貸すべきではないというふうに私どももかねてから考えております。従来やっておりますロシアに対します援助は、主としましては人道上の援助でございまして、その次に参りますのはロシアの市場経済化を促すための技術協力というのが大きな流れでございます。こういう流れのもとで今まで援助をしているわけでございます。  その他の大きな金額は輸出入銀行が行っている援助でございまして、これは貿易に伴います輸出保険という形をとってロシアに対して援助をしているわけでございます。もちろん将来どうなるかということは大きな問題でございますけれども、現在までのところ、これらの輸出入銀行の借款に対しましてロシアからは金が返ってこないといったような事態は生じていないわけでございます。
  163. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  164. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 申し上げます。  先ほど、田名部委員並びに石井委員から私あて御要望がございました。後刻理事会で協議させていただきます。  本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後四時六分散会