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1999-07-02 第145回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  七月一日     辞任         補欠選任         田浦  直君     依田 智治君      魚住裕一郎君     山下 栄一君      渡辺 孝男君     松 あきら君  七月二日     辞任         補欠選任         森山  裕君     阿南 一成君      川橋 幸子君     今井  澄君      福山 哲郎君     寺崎 昭久君      松 あきら君     魚住裕一郎君      山下 栄一君     日笠 勝之君      吉川 春子君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 芳男君     理 事                 石渡 清元君                 大島 慶久君                 田村 公平君                 吉村剛太郎君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 弘友 和夫君                 富樫 練三君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 岩永 浩美君                 海老原義彦君                 太田 豊秋君                 狩野  安君                 亀井 郁夫君                 久野 恒一君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 長峯  基君                 畑   恵君                 日出 英輔君                 依田 智治君                 脇  雅史君                 今井  澄君                 江田 五月君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 輿石  東君                 高嶋 良充君                 寺崎 昭久君                 藤井 俊男君                 山下洲夫君                 魚住裕一郎君                 日笠 勝之君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君                 小泉 親司君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 星野 朋市君                 奥村 展三君                 菅川 健二君                 石井 一二君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣     有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        運輸大臣     川崎 二郎君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣     野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   尾見 博武君        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局長       河野  昭君        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        内閣官房内閣情        報調査室長    杉田 和博君        人事院総裁    中島 忠能君        人事院事務総局        任用局長     森田  衞君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        国土庁長官官房        長        久保田勇夫君        外務省北米局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        坂  篤郎君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        国税庁次長    大武健一郎君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省健康政策        局長       小林 秀資君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        社会保険庁次長  宮島  彰君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        水産庁長官    中須 勇雄君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        郵政省貯金局長  松井  浩君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省河川局長  青山 俊樹君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君        常任委員会専門        員        入内島 修君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 〇内閣法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇内閣設置法案内閣提出衆議院送付) 〇国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) 〇総務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇郵政事業庁設置法案内閣提出衆議院送付) 〇法務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇外務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇財務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇文部科学省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇厚生労働省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇農林水産省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇経済産業省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇国土交通省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇環境省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律  の整備等に関する法律案内閣提出衆議院送  付) 〇独立行政法人通則法案内閣提出衆議院送付  ) 〇独立行政法人通則法施行に伴う関係法律の整  備に関する法律案内閣提出衆議院送付) 〇地方分権推進を図るための関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、内閣法の一部を改正する法律案外十七案の審査のため、日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 吉川芳男

  5. 依田智治

    依田智治君 おはようございます。  大臣、お忙しい中、本当に早朝から御苦労さまでございます。  自由民主党の依田智治でございます。  きょうは、防衛庁の省昇格問題、それから中央行革に関連して、やっぱりぜひ地方行革、特に市町村合併という問題、ぜひ促進する必要があるなという感じを持っていますので、この問題、それで内閣機能の強化、この三点について御質問させていただきたいと思います。  官房長官が途中退席されるようでございますので、前半、防衛庁の問題、それに内閣機能の問題をちょっと触れさせていただきます。  行革会議最終報告でも、この国の防衛に関する基本問題については政治の場で議論すべき課題だということで、防衛庁省移行というか昇格の問題は先送りされたわけでございます。そこで、やはり先般ガイドラインのときにも私、国の安全保障はどうあるべきかという立場からこの問題は解決すべき問題じゃないかという視点に立って若干質問させていただいたんですが、きょうは国の国家行政組織という問題等をどうするのかという、組織という面からは大変な重要な問題ですので、そういう立場も加味しつつこの問題を質問させていただきたいということで、この国会こそ政治の場として、討論の場としてふさわしい。一部新聞論調等では、政治の場における議論が少ないという声もありますので、十分きょうは議論させていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、総務庁長官行革を主管する立場ということで、そもそも今回、中央省庁再編とか行革をやる、私の認識では、やはり国のやるべきことは国がやり、地方に移せるものは移す、官がやるべきものはやりつつ、民でできるものは民に大きく移行する、こういう基本に立ってこの行革審議等が進められている。それで、私の認識は、申すまでもなく、国の防衛というものはやはり国のなすべき仕事ではないか、こういう認識に立っておるわけでございます。これを進めるに当たって、この基本的認識を主管する立場である総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  6. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 依田委員のおっしゃるとおりでありまして、中央省庁改革は、中央から地方へあるいは官から民へといった思い切った改革を実行するということが基本的な考え方であります。そのため、その方向に沿いまして、例えば国の行政組織を簡素効率化するとか、あるいは政府としての施策の統一性整合性を図る、あるいは透明性の向上を図るといったことに努めるわけでありまして、これによって戦後の我が国社会構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものであります。
  7. 依田智治

    依田智治君 そこで、官房長官にお伺いしますが、今、総務庁長官がお話しになりましたように、国から地方へ、官から民へという大きな流れの中で中央省庁改革をやっていこうということで、防衛というのはまさに国の仕事である、こう思うわけでございます。そして、大臣が主管してやる仕事は、しっかりと内閣のもとで行政を執行していこうというのがねらいではないか。  そこで、今回の改革でも大幅に省庁を再編していく、一府十二省庁ということ。そこで、よく国民からも聞かれるんですが、省庁と言うけれども、これは何ですか、どういうわけで十二省じゃないのか。一府十二省庁、これは一府十二省とやれば非常にわかりやすいと思うわけですが、このあたりはなぜこうなっているのか。わかりやすく、内閣府を総理のもとで統括する立場にあります官房長官にこの点をお伺いしたい、こう思うわけであります。
  8. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 防衛庁の省への移行につきましては、委員十分御承知のように、この基本法を提案される前にそれぞれ与党内におきましてもいろんな議論があったことは御承知のとおりであります。さらに、行革会議におきましてもさまざまな御議論がなされたわけでございます。  最終的に、御承知のように、前橋本総理に御一任をされまして、橋本総理が、従来どおり防衛庁は新たな業務が加わったことでないということで防衛庁として結論を出されたわけでございます。したがいまして、この基本法を受けまして、今回の省庁再編法案防衛庁として現状どおりお願い申し上げておるわけでございます。  行革会議におきましても、委員指摘がありましたように、国際情勢のもとにおける我が国防衛基本問題については別途政治の場で議論をするべき課題とされたところでございます。  いずれにいたしましても、国民の十分な理解が得られる形でこの問題についての議論が尽くされることが重要であると考えておるわけでございます。  国の防衛は、委員が今御指摘ございましたように、国家の存立の基本でございます。その重要性は論をまたないところでございます。防衛庁の省への移行につきましては、先ほど申し上げましたように、さまざまな議論行革会議を初め行われたところでございまして、この業務は、先ほど申し上げましたように追加する業務がないということで整理をされたわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、防衛基本問題等もかかわる問題でございますので、これから政治の場で十分議論をしていただきたいと考えておる次第でございます。
  9. 依田智治

    依田智治君 これから十分議論をして、私としてはできるだけ早期に実現を期すべきものだと考えておるわけです。  総務庁長官防衛庁は庁のままでしょう、庁になっていて、府の下に庁がある、こういう感じになっておるわけでございますね。恐らく、英語で言えばエージェンシーということになるのかな。これからいろいろ内閣府の規定の中でも、防衛庁長官というのがいて、各省は副大臣が置かれるけれども、防衛庁は副長官がおる。一方、施設庁長官がいる。何か国家行政組織上非常に、庁というのが、科学技術庁あり環境庁あり国土庁あり、だあっと並んでいるときはそういうものかと思ったんですが、国の大改革をするときに、今、官房長官から話がございました橋本内閣のときに、新たに加える仕事がないからそのままだと。しかし、時代の変化の中でやはり改革というのはそのふさわしい位置づけ、どうやって国が責任を持つかということを新たに考える、これが行政改革だと思うんです。防衛庁は全然新たに仕事が加わらぬから庁のまま、これはちょっと理屈に合わぬのじゃないか。  そんなこともありまして、いわば省と庁はどう違うのか。英語的にはエージェンシーと。どこが正式に訳すのか、私どもも防衛庁におりましたときはディフェンスミニスターとかというようなことで防衛庁長官外国人なんかと会うときは言って、そうしないとわからぬので。そのあたりについての総務庁長官の見解をお伺いしたい。
  10. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。━━━━━━━━━━ただ、その中で英語の名前をどうするかということについては、まだ工夫の余地があるのかどうか、いまだ英語名称については、例えば独立行政法人をどういうふうに英語で呼ぶのかということもまだ定まっておりませんので、よく今の御意見を踏まえてまいりたいと思います。
  11. 依田智治

    依田智治君 これまでの審議の中でも省昇格という言葉省移行という言葉とあるんですね。そうすると、省と庁というのは、庁から省に上がるのか。防衛庁の場合は大臣庁だから、庁であるが大臣の庁だからもう昇格の問題というよりもむしろ移行なんだと。このあたりについてはどのように行政組織として考えておるのか、ちょっと総務庁長官に。
  12. 野中広務

    国務大臣野中広務君) この問題につきましてはいろんな議論があろうと思いますけれども、私は、少なくとも我が国がかつての戦争の経過等の反省を踏まえまして、厳格なシビリアンコントロールの諸制度を採用してきたと考えるわけでございます。  したがいまして、具体的には、自衛隊の定数や主要組織防衛出動可否等については国会が議決、承認するほか、行政部内におきましても、内閣総理大臣内閣を代表して自衛隊に対する最高指揮監督権を有して、そのもとで文民たる防衛庁長官自衛隊隊務を総括するということになってきたと思うわけでございます。また、これはシビリアンコントロールという民主主義国家における政治軍事に対する優先を確保するということであろうと思っておるわけでございます。  したがいまして、先ほど来累次申し上げておりますように、行革会議におけるさまざまな議論があった上で、防衛庁現状どおり内閣府の中における防衛庁長官と位置づけて、行政部内におけるシビリアンコントロールの体制を現状どおり維持することを尊重するべきであるという趣旨に基づいたものでございまして、いずれにいたしましても、今後国民の十分な理解を得られる形で議論が尽くされることが必要であると考えております。
  13. 依田智治

    依田智治君 この点、衆議院審議においても、官房長官が、過去を踏まえつつ、シビリアンコントロールの見地から内閣府のもとに防衛庁というものを置くことが我が国のたしかありようとしては重要な意味を持つんじゃないかというような発言を私はテレビを通じて拝見しておりました。  私はそこで、現実にいろいろ議案を出す、予算書を出す、省令を出すというときに、本当にそこの内閣府、今は総理府ですが、のもとに置くことが本当にシビリアンコントロールになっているのか。ただ判こをつく時間が実質的に中身を、あれはただ判こをもらわないと閣議請議もできないし、政令もできない、予算調達するときも総理府会計課へ行って判こをもらうという、そういう手続みたいな感じなんです。  そこで、私は真のシビリアンコントロールというのは、今、官房長官も言われましたが、国会がきちっと自衛隊防衛庁というものを管理する。内閣のもとに防衛庁というものをしっかりと行政権の中に位置づけて、それを内閣を通じて管理していく。そしてもちろん、どういう立場になろうと総理自衛隊最高指揮官という立場でしっかりと自衛隊を直轄する。さらに、現在もそういうシステムがありますが、安全保障会議というものがあって、国家重要事態、それはしっかりと管理していく。さらに、防衛庁においては文民による、このシビリアンというのは文民防衛庁長官文民である、それで内閣文民参事官制度というものもしっかりと確定している。  そういうことによって、むしろ実質的にシビリアンコントロールというのはなされるのであって、内閣府のもとにおいて判こがふえるというそういう形で、かえってそんな形を置くことによって、むしろ私はなぜこの命をもとに本当に日夜精励している自衛官自衛隊、職員も入れると三十万近いこういう組織、そういうものが昇格とかいろいろ言われているということは、何か各省並みに扱われていないということ自体国家として大変な損失であり、自衛官の士気にも関係があるからこう直せというわけじゃないけれども、国家として私はこの点は大変重要な問題じゃないか、こう思うわけでございます。  先ほど長官も、今後十分議論して深めていきたいという、いわば私としては前向きにとったわけですが、そういう御回答もありましたので、この点は指摘しておくだけにします。  防衛庁長官、私の認識では、本当に先進国家後進国家はもちろん軍事国家みたいな、北朝鮮みたいな軍事委員会委員長国家主席を廃止した上で最高指揮者というような国もあります。これは例外として、大体もう国家があるところにしっかりと国防というものを位置づける。国防省、韓国とか中国は国防部と言っています、これは省ですね。スイスみたいな国でも、むしろ民間防衛も含めて国防という問題についてしっかりとやっておるというのが国の常識なわけですから、その常識にかなったことをすること自体は全く私は当然なことではないか、こう思うわけですが、防衛庁長官、各国の状況は大体私が今言ったような認識でよろしゅうございますか。
  14. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 諸外国国防組織でございますが、今、委員が御指摘になりましたとおりでありまして、例えば中立国としてのスイスを含めて、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアあるいはイタリー、カナダ、オーストラリア、およそ主要国で省扱いされていない国はないと承知しております。
  15. 依田智治

    依田智治君 我が国においても、昭和二十九年に保安庁というのを自衛隊にしようというときに、やはり政党等の中から、この際、防衛省にすべきじゃないかという議論があったけれども、まだ当時の状況としては時期尚早ということで見送られた。それから、三十九年には閣議決定までして、しかしその法律はやっぱり総理の権限として、最高指揮官として、省にしてもなお総理としてのしっかりとしたコントロールは十分可能だと、そういう規定も加味して閣議決定したけれども、当時の審議会、臨時行政調査会でしたか、等はまだ各役所の問題を総合的にいろいろ検討しておるのでこの際防衛庁だけ省に取り上げるというのは時期尚早だという感じもあって、その他いろんな状況もあって先送りされた、こういう状況があるわけですね。  防衛庁長官、この省昇格問題、私が今、主として昭和二十九年の保安庁から防衛庁になる時期、それから三十九年ころ、このあたり議論が大体中心ですか。ちょっとお聞きします。
  16. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員が御指摘なさいましたとおり、昭和二十八年の末ごろから二十九年の初めごろにかけまして、防衛庁の前身であります保安庁の改組についての議論政治の場でなされた際に、当時の与党は自由党、改進党、日本自由党でありましたが、改進党が中心になりまして保安庁を国防省または防衛省とする提案が出されたわけでありますが、二十九年一月の与党間の調整の結果、省とする提案は取り下げられまして、二十九年七月に防衛庁自衛隊が設置されたものと承知しております。  また、三十九年の六月十二日に防衛庁の省昇格法案閣議決定されたわけでありますが、当時のいろいろな政治状況などから国会への提出については見送りになったものと承知しております。
  17. 依田智治

    依田智治君 以上、私、いろんな角度からやってきましたが、やはり今日、戦後五十数年も経過して世の中も大分変わってきて、今や民間と言わずあらゆるところで抜本的に改革をしようと、こういう中にあって、この国としての重要な問題をこのままにしていいのか、これはやっぱり私は非常に大きな問題だと思います。  官房長官、最後に、この問題を締めくくる意味で、ぜひこれは真剣に政治の場で議論して、できるだけ早期にこの問題について前向きな結論、もちろん私の見解では国の基本としての防衛省という、そして国民の安全、国の防衛というものについて内閣としてもしっかり責任持てる体制をつくるべきだ、こう思いますが、その点についての御見解をお願いしたいと思います。
  18. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 依田議員の御質問に、期待にこたえられるような答弁が申し上げられないことを申しわけなく思うわけでございますが、私は過ぐる戦争世代を生き抜いてきた人間でございます。常に私には戦争世代の反省がつきまとっておるわけでございます。  今日、ガイドラインの法案が通過いたしました後も、米軍の行動に対する我が国自衛隊の後方支援のあり方について、近隣諸国では、アジア各国にそれぞれ懸念を呼んだり、あるいは理解される国もありますけれども、なかなか御理解いただく向きが少ないし、むしろ我が国の自衛のあり方について非常な警戒をされておるところでございます。  それだけに、警察予備隊から自衛隊に推移してきた経過を踏まえ、あくまで我が国自衛隊は専守防衛に徹するんだということを改めて私どもは認識をしていかなくてはならない重要なときである、そして近隣アジア諸国と信頼関係を構築していくべきだと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、行革会議にも示されましたとおりでございますので、防衛庁組織のあり方につきましては、それぞれ政治の場で十分な議論をいただきたいと存じております。
  19. 依田智治

    依田智治君 官房長官の個人的御認識を伺いました。(「個人的じゃないよ。官房長官だよ」と呼ぶ者あり)余計なことを言うな。  ただ、専守防衛というか、これは省にするからといって専守防衛から逸脱するというものじゃありません。国の基本というものは、むしろ防衛をしっかり位置づけることによって我が国防衛基本政策というものを内外に鮮明にする。ただ、形の上で判こが多くなるということが私はシビリアンコントロールではないと、この点を重ねて指摘して、今後政治の場でしっかりと議論して早期に結論を出すことが重要だ、こう考えております。  官房長官、退席される前に内閣機能強化で一点お伺いします。  ペルー事件があったときに、私は自民党の国際テロ対策小委員長ということでいろいろ提言させていただきまして、内閣はその後行革を先取りして、私が昔内閣にちょっとおりましたときに比べると相当改革が進んでおるな、こういう感じは持っております。ただ、これから新官邸もでき、いろいろ対処していくにはまだ何か経過措置的な形で措置がなされているような感じがします。官房副長官危機管理専任で一人置いたらどうだという提言もしていますが、現在、内閣危機管理監という形で、多少中二階的ですが、いろいろ聞いているとどうやら運用はできているようでございます。  そんな問題も含めて現状と今後の内閣における今回の行革等を通じての危機管理体制の強化という問題についてどのような御認識を持っており、将来に向かってこれについてどう考えておられるか、この点を一点お伺いしたいと思います。
  20. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 内閣危機管理機能に関しましては、依田議員、それぞれ党内にありまして大変な経験を踏まえた御提言をいただいたわけでございまして、平成九年五月の行革会議の中間整理の提言を受けまして、先行的に平成十年四月に内閣官房に今御指摘ございました内閣危機管理監を置く等、その機能強化に努めてまいったところでございます。  さらに、今回のお願いをいたしております法案におきましては、防災を内閣の重要政策と位置づけまして、内閣府が内閣官房を助けて防災に関する企画立案、総合調整機能を担うことといたしまして、内閣全体の危機管理機能の充実を図るところでございます。  このうち、内閣危機管理監につきましては、危機管理に関する高度の専門性が求められるわけでございますので、これに常時専念する必要がありますことから、国政全般に係る事務を扱います内閣官房副長官とは別に、危機管理を専門的に担当いたします官房副長官に準ずる職として、行政改革会議の中間整理を受けて、内閣官房副長官に準ずるクラスの職としたものでございます。  内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、新たに設置されます内閣官房副長官補等を指揮するとともに、みずから関係省庁の総合調整に当たるものでありまして、そういう点で、今、依田議員が御指摘になりましたように、中二階という理解もされるかもわかりませんが、内閣危機管理に専念する、専門的知識を持って専念するという意味において新たな体制において十分機能するものと考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、危機管理機能の強化は内閣の重要課題でございまして、内閣危機管理監を中心にいたしまして、緊急事態の発生時のみならず、平素から内閣全体としての危機管理に万全を期してまいりたいと考えておるところであります。
  21. 依田智治

    依田智治君 ひとつよろしくお願いします。  官房長官、結構でございます。  この内閣危機管理強化という点で私は情報体制と、それからあと一つは突発事案その他に対処する即応態勢等、事前準備のためのいわゆる予防措置というか、こういう視点に立ってちょっときょうは、官房長官はいなくなっちゃったんですが、情報調査室長と安保室にお伺いしたい。  情報体制、この問題はやはり世界各国に比べると非常に弱い、我が国は極めて弱いというのが私の実感でございまして、ペルー事件の発生なんかについても、国家として、こういう国際テロとかそういう問題に対して、内閣を中心に本格的に取り組む体制というものがなかったという点にも大きな問題もあった、こういう視点に立って情報体制の強化を提言したわけです。  今後いろいろ考えますと、これから指摘しますが、情報分析要員、当時聞いたら、何か定員は八十何名で、他の省から来て百数十名が我が情報調査室、その後若干ふえて二百くらいになっているというような話も聞きますが、これはやっぱり世界各国これだけ広がりがある中での内閣の情報分析体制としては非常に弱い。  それから、合同情報会議、これは前は副長官のもとに任意につくられていたのが、今度は閣議決定で格上げしてしっかりとやるようになったということですが、このあたりが本当に機能がされているのかどうか。  それから、やはり各省がそれぞれ外務省を中心に外国等に情報的見地から派遣されておりますが、やはり内閣という国家を全体に眺める立場で、もっと担当官を派遣する体制というのが必要じゃないか。  さらに、これから情報衛星というものを保有するということになってきますと、それを国家的視野に立って分析する、これは要員の養成とか大変なことだと思うんですね。そういう点で、片手間的に、手弁当で各省から寄せ集めてということでは到底これは担い切れないくらい重い仕事になると思うんです。  このあたりについて情報調査室長、ひとつ現状と、これからうこういう問題についてどう対処していくか、四点御報告していただければありがたいと思います。
  22. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) 御質問の四点についてお答えを申し上げます。  委員指摘のとおり、情報機能の強化というのは内閣機能強化の重要な課題の一つでございます。今回のいわゆる中央省庁等改革の中でも、要員の拡充等、体制の強化を図ることとしておるところでございます。ただ、これは単に要員を量的にふやすということだけでなくて、やはり質的により高い分析能力を持った要員を確保する必要がございますので、お認めいただいた枠の中で要員の養成、さらにまた場合によっては民間からスペシャリストを中途採用する、そういうことも考えながら強化をしてまいりたい、かように考えております。  また、委員指摘の第二点の合同情報会議等でございますけれども、御承知のとおり昨年の十月に内閣情報会議を設置いたしました。そのもとで、従来から開いております合同情報会議、この二つをいわゆるインテリジェンスコミュニティーの中核と正式に位置づけまして、今後、各省庁とのいわゆる情報、これを内閣に集約をしまして、そこで分析そして検証する、そのことによって情報機関が相互に共通の認識を持つということといたしたわけであります。また、緊急時には、こういった情報コミュニティーの幹部がすぐに参集をして、直ちに情報を持ち寄ってそれを集約して総理に上げる、こういうことといたしております。  また、海外の情報収集体制でございますけれども、これまでのところでは、海外の関係政府機関、さらにまた民間のシンクタンク等、ありとあらゆるチャネルを通じて収集をしてきておるわけでありますけれども、御指摘のとおり、直接要員を派遣して、その地で見て聞いて情報を分析するということも大切でございます。関係当局ともよく相談をいたしまして、今後、その点について充実をしてまいりたいと考えております。  最後に、情報収集衛星でありますけれども、国会で補正予算さらにまた十一年度予算でお認めいただきました予算に基づいて、現在、情報収集衛星、着々と進めております。その中で、やはり一番大切なことの一つは、その衛星から来る情報をいかにきちっと分析、判読するかということでありまして、これはやはり生なかなことではとてもそういう能力は持てない。ただいまから要員を確保して、何年かかけて十二分にやはり訓練をいたしまして、衛星が打ち上げられた、運用されたという時点で直ちにきちっとした対応ができるような、そういう準備をきちっと進めてまいりたい、かように考えております。
  23. 依田智治

    依田智治君 しっかりと強化に、要員の養成というのはやっぱり時間もかかることですから、やっていただくようにお願いしたい。  あと、安保室長、今回の改革を見ますと、何か柔軟に、例えば内閣に官房副長官補という、今は三室、内政、外政、安保室とあるけれども、これはなくしてバリアを取って、その三人の副長官補の下に置いて、しかも何か柔軟かつ弾力的な要員配置が可能な仕組みとする方向で必要な措置を講じる、こういうような方向で検討しておる。  ただ、私も経験に基づいて申しますと、やはり危機管理対策というのは事前の準備、それには継続的にしっかりとやっていく、専門的にかつ継続的に常時ウオッチしていくという体制が必要ですから、このあたり柔軟かつバリアを取って柔軟にやれるという形で果たしてできるのか。  また、新官邸ができた場合には、物すごくそれに対する体制をするためには要員等も必要です。各省から臨時に弁当持ちで来てもらうというような考えでは到底あれなんで、やっぱり事務の合理化といっても、行革といっても、国民の命にかかわるような重要な問題については遠慮なく増員してしっかりと対応するということもまた重要だと思っております。  このあたりについての考えを、簡単で結構です。
  24. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先生御指摘のとおり、今回の内閣法改正に関連いたしまして、内政、外政あるいは安全保障危機管理室というものを廃止して、新たに設けます内閣官房副長官補というものが三名できることになります。  そういう意味で、組織の柔軟対応ということを目的としておるわけでございますが、先ほど官房長官御答弁もございましたように、内閣危機管理監は当然そのまま任務を継続するわけでございます。そのもとで、ただいま御指摘のとおり極めて専門的なものでございますので、そういったことを十分考慮して、職員による十分な体制というものを平時から確保していくということは今後とも変わらない施策でございます。  また逆に、今回の改正によりまして、何か突発的な大規模災害とか緊急事態がありました場合におきましては、内閣危機管理監がむしろ三副長官補を含め官邸のいろいろなスタッフを指揮して、より一層柔軟かつ弾力的な対応ができるようになるというふうに考えておる次第でございます。  それから、新官邸でございますが、現在工事中でございますけれども、ここにおきましても危機管理センター、大変充実する予定になっております。そういう中におきまして、十分な運用体制ができるよう、まだしばらく時間がございますので、この間に十分検討してまいりたいと存じております。
  25. 依田智治

    依田智治君 よろしくしっかりと対応をとるようにお願いしたいと思います。  次に、どうも自治大臣、最後になって申しわけなかったんですが、また総務庁長官も、国、地方、車の両輪ですのでしっかりと対応していただく必要があると思います。  やはり地方行革、国の行革とその受け皿としての地方行革、これがしっかりしないことには、私はこれは本当に、かえって国だけがっとやったけれども地方の方は全然受け皿が間に合わないというのではどうにもならぬと思うんです。その点で、やや今回の国の行革地方分権の取り組みというのは、やはり地方分権の方がこれからということで非常におくれぎみだなと。  地方行革といっても、規模をどうするかという問題、財政をどうするのか、人材確保をどうするかと、いろいろあるわけですが、私はまず、きょうは時間の関係もあり、規模ですね。  私の山梨県は、八十八万の人口で六十四の自治体がある。それは全国で二番目の規模です、市町村が人口の割には多いというのか。そういう点を考えますと、やはり市町村合併の促進ということは大変に重要な問題だな、こう考えるわけでございます。  ただ、行革を考える場合に、本来はもっと明治以来の県のあり方、一千万以上の自治体があると思うと百万以下の自治体、これは本当に地方自治を尊重するのがいいんだと言うんですが、やっぱりこのあたりの、私は、道州制とかそういう問題の導入も含めた抜本的な地方行革の取り組みというものが必要じゃないか。  しかし、今回その議論をやっていても始まらないんで、まず自治大臣に、市町村合併問題の具体的質問に入る前に、この地方行革に取り組む基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  26. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方分権を促進していくために、その受け皿、担い手であるべき地方公共団体がその処理能力を高めていくということは致命的に大事な問題だと。そういう意味で、行政体制をどのように整備していくか。これは今回の法案の中でも、例えば特例市制度を設けるとか、そういうできるだけ地域の実情にも配慮しながらあるいは権限移譲を進めていくというやり方を一つ行っておるわけですが、さらに市町村の合併ということも不可欠のテーマであります。そういう意味で、合併特例法の改正案もこの中に盛り込んでおるところでもございます。  御指摘のありました都道府県の合併をも含むような道州制ということも中長期的には大事な課題であると考えておりますけれども、今それを一緒に論ずるということになりますと、かえって議論だけが先行して実情が進まないということにもなりかねないということでありまして、ここのところは中長期的検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。
  27. 依田智治

    依田智治君 そこで、市町村合併ですが、この自治省の方からいただいた資料、明治に七万以上あったのを明治の大改革で五分の一に減らした。それから、昭和に入って昭和の大改革、二十八年にはまだ一万近くあったのが今日に近い三千台になった。それで、その後、自治省は市町村合併に関する特例法みたいなものを大分出したり延長したりしているけれども、ほとんど進んできていない。特にここ平成に入ってから、いろいろな試みがなされているけれども、進んでいないというのが実態ですね。  そこで、自由党には自由党としての考えはありますが、自治大臣として、今三千二百以上もある市町村の規模というものを大体どのぐらいに、今度特例法を、いろいろ審議会等の意見も入れて従来よりも大分前向きな法案提出しておりますが、自治大臣としては、この三千二百以上あるのを当面どのぐらいの形をねらいとして合併を促進しようとしているのか、それからそれに到達するためには何を重点にやろうとしているのか、この点を御説明していただければありがたい。
  28. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今御指摘がございましたように、明治の時期、それから戦後、この大改革に比肩をして今いろいろ議論が行われておるわけです。ちょうどその当時、市町村の合併が同時に行われておりまして、結果としておおむね三分の一ぐらいに、それぞれの時期に、若干の時間的誤差はあるかもしれませんが、そういう形で整理が進んできたということが実態でございます。  そういう点でいえば、今約三千三百弱ある市町村、三千二百を超えている市町村をおおむね三分の一程度というのは、一つの考え方として議論がなされておることは私もよく承知をいたしております。ただ、初めにそういう数値目標を出して、しゃにむにそういう形でいくというと、何かそれだけでひとり歩きしてもかえって誤解を招いたり、逆に弊害を伴うこともあり得る。何とかやはりそれぞれの自治体なりあるいは住民が合併を進めていくということが結局住民の福祉の向上につながるのであるという、このことにしっかりと思いをいたしてもらいたい。  そのためにいろんな、例えば今回は合併特例債であったり、あるいは合併をしたら取り残されてしまうのではないかというような不安感、これをどうやって除去して、合併後においてもそれぞれの地域におけるきちんとした意思を反映することができるのか、そういう仕組みをどうするかということで地域審議会を新たに位置づけして規定をしておる、こういうような形で、今までにない強力な形での合併支援策を今回盛り込んでおるところでございます。  私も、この問題は、本当に真の意味で地方分権地方自治を強化していくという上で、市町村合併問題は本当に致命的に大事なテーマであると心得ておりまして、この問題にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。これは、やはり余り長い時間をかけてずるずるやるべきテーマではないと思っています。  それから、何よりもぜひ御理解を住民の皆さんにもしていただきたいのは、市町村の担うべきいろんな住民サービスのニーズというものが非常に広域化、高度化、専門化してきております。そういったことに広域連合とか、いろんな広域行政だけで本当に対応できるのか。やはり組織力なり財政力なり人材確保をしていこう、そういったことを考えますと、行政主体として一体として包括的な総合的なサービスをやれるようにするということが非常に大事な、これからの地方自治を進める主体としての、主役を演じてもらわなければならない行政主体としての強化ということにぜひ御理解をちょうだいしたいというふうに考えております。
  29. 依田智治

    依田智治君 今、広域連合という話がございました。地方自治法では、広域連合とか一部事務組合とか、各市町村が寄り集まってある特定の、廃棄物処理とか火葬場とか、今度介護保険というような問題が大きな問題になってくるんですが、そういう形で市町村としては維持しつつそれをやろうという動き、これは私は個々の自治体が個々でやるよりはその方がましでいいな、こういう感じは持っていますが、ただあくまでも個々の小さい市町村が存続する限りは、それはいろいろ庶務もあり総務的なものもあり議会もある。ある事務については組合をつくったり連合しても、結局基本は残っているということですから、これはやっぱり私は行革の受け皿というものとしては、どうしても適正な市町村規模というものをしっかりと確立してやる。  それで、国としても適正な省庁というものを再編し、また自治体の方も受け皿としてしっかりとそれを確立する。そして、その中で国としても財源というものもしっかりと見ていく。それが今は上から下までばらばらですから、なかなかしっかりした統一、あれができないというのが実態じゃないか。  そういうことで、私はやはり市町村合併という点を中心にやっていくべきで、こういう動きになってくると、どうしても合併は自分らの発言も遠くなったりいろいろあれだから嫌だ、ついては何とかするためには連合しようというような動きがこれからふえてくるのかどうか、あるいは合併がスピードダウンしちゃうということは非常に問題だと思いますので、広域連合とかこういうものに対して、自治大臣としてはどういう御見解を持っておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  30. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今御指摘ございましたように、それから先ほど私も少し申し上げたんですが、広域連合とか一部事務組合とか協議会とか、そういう形で特定の事務事業について連携をしてやっていくということは、その特定の分野においては成果が上がっておる、私はそう考えております。  しかし、基礎的自治体として、それだけにとどまらないかなり広範な部分が今日の市町村の区域を越えて包括的、一体的に処理していかなければならないという現在のニーズが私は現にあると思っています。そして、やはりそういったことを乗り越えてやっていこうと思えば、対応力を強化する。地方自治の担い手として、受け皿としての対応力を強化するというためには、やはり市町村合併がそのことによって妨げられるというか、それがあるからもういいじゃないかという議論には私はならないと考えております。  ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、いろんなそれぞれの地域の経済的なつながり、文化的、歴史的な経緯、あるいは地理的な諸条件、人の交流、そういったことがありまして、なかなか画一的な論議がしにくいところもございます。  そういった点で、地域の実情に応じた合併のガイドラインといいますか、人口二、三十万ぐらいの都市を目指していこうというような合併というのも一つの形であろうし、あるいは非常に山村というとなんですけれども、そういったところでどういうような形で、体制で行政サービスを責任持って供給できるのかという、それぞれの地域によってかなりパターンが異なっていると思います。  そういった意味で、画一的に人口規模だけで全部一律にこうすべきだというやり方はなかなか難しいと思いますが、この法案を成立させていただいた後にそれぞれの類型的なパターンをぜひガイドラインとして自治体にお示しをしよう、こう考えております。
  31. 依田智治

    依田智治君 地方財政の関係でいろいろ議論する中で、やはり憲法に言う地方自治の本旨というものを最大に尊重するということは大変重要で、いろんな行革の提言の中でも国、地方の対等な関係を前提としてやるというようなことが必ず入っている。  そういう気持ちは大事なんですが、しかし私つらつら考えてみますと、東京都のように一千二百万人もあるというようなところから、県でも非常に少ない、また千人以下のような村もあるというような実態を考えた場合に、しかも国はどんな小さなところでも、自主財源がこれしかない、じゃあとは全体の中で交付税なりで面倒を見ようと。要するに、生活できるような面倒を見ておるわけです。  これは当然なことだといえば当然なんですが、そうならばやっぱり小さいなら小さいなりに固まっていた方が居心地はいいということは間違いないと思うんです。そういう点を考えると、ただ合併せよ合併せよといったって、今の地方財政の仕組み、そういうものを残しつつ希望があったらと。しかし、いろいろ地方制度調査会等のアンケート結果を見せていただくと、やっぱりやらなきゃいかぬなという感じを市町村はみんな持っているようですが、その点、地方自治の本旨というのは、個々の住民やそれぞれ自治体の意見を最大に尊重して、希望がなきゃやらぬということでは永久にできない。  やはり平成の大改革というぐらいで、国が責任を持ってしっかりとやる。そのかわり、実現した限りは、やっぱりよかったなという形がとれるような形のものを国がむしろ主導的な形で地方自治体の意見も聞きつつやっていく。それには、ある期間限って、それでできない場合には不利になるくらいな形も含めて強力な取り組みが必要じゃないか、こう思いますので、このあたりについて、最後に自治大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 確かに今日の状況で、極めて小規模な村、人口規模が少ないところでも、それだけの財政能力がないところでも、組織的能力のないところでも、別途国の方で何らかの財政的な裏づけをすることによって逆に合併機運を阻害しているのではないかという指摘があることも事実でございます。そういったことも念頭に置きながら、やっぱりある程度ノーマルな姿というものは考えていかなきゃなるまいというふうには考えております。  ただ、それは財政的な側面だけでなくて、今御指摘ございました介護の問題等々、きちんとした責任ある行政サービスをやっていこうとすれば、それに必要な人材を確保するためには、決して財政力だけではなくてそれだけの組織力なり対応力というものが一方で必要でございます。  そういう点で、合併のメリットということを、釈迦に説法とは思いますが、合併をすることによって専門的な職員を確保することができて高度な住民サービスの提供が可能になる。それから、財政規模も拡大するわけですから、そのことによって重点的な投資が可能となって基盤整備も進展をすることができます。あるいは広域的な観点に立って町づくりをやれるわけですから、効果的な展開もできるでしょう。さらに、公共施設の効率的な配置、利用も可能になるでしょう。あるいは合併によってもちろん管理部門の経費が削減できるわけですし、そのことによって新たな住民サービスの方に向けることができるだろう等々のメリットがあるんだと。  だから、何もしないでじっとしているよりははるかに自分たちのプラスになるんだということをぜひ住民の皆さんも理解をし、PRもしていかなきゃならぬ。我々としてもそのことをこれから精力的に努力をしてまいりたいと考えております。
  33. 依田智治

    依田智治君 しっかり推進していただきたいと思います。  終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
  34. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  35. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 速記を起こしてください。  ただいま伊藤理事から総務庁長官の発言について御指摘がありましたので、その取り扱いは理事会で協議することといたします。
  36. 日出英輔

    ○日出英輔君 自民党の日出でございます。  きょうは先輩議員の御配慮でこの委員会で質問できますことを大変ありがたく思っております。  この委員会での同僚議員のお話を時々伺っておりますが、党派を超えて今回のような中央省庁の再編が実現できたことについて驚きの発言をされておられます。私も実は全く同様の考えを持っておるわけでございます。  そこで、きょうは中央省庁再編関係を中心に幾つか政府側の考え方をただしたいと思っております。野田大臣には申しわけございませんが、中央省庁の問題はあすの地方自治体の問題でもございます。また、ある意味で地方自治体の画一性とか硬直性というのはやはり中央政府の方のそういった硬直性にも通ずるわけでございますので、ちょっときょうは申しわけございませんが、太田総務庁長官の方を中心に御質問させていただきます。  私は、三十二年ほど公務員生活をしましてその後、平成八年一月にやめておりますので、実はこの中央省庁の動きというのは新聞やテレビ等で知っているというわけでございます。私がやめました後の秋に行政改革会議が発足している。これは橋本前総理がみずから会長になられて、発足当時から既に中央省庁再編の問題でありますとか、あるいは内閣機能の強化の問題でありますとか、二十一世紀の国家機能をどうするかといったような問題点をある程度絞って議論が始まったというふうに新聞では拝見したわけでございます。  その意味では、橋本前総理から今の小渕現総理にバトンタッチがなされまして今申し上げた三つが実現している、実現されかかっているということにつきましては、私は行政改革が大いに前進をしたというふうに評価をしておるわけでございます。そういう意味で、現在審議中のこの中央省庁等改革関連法案あるいは地方分権推進一括法案、これは大いに賛意を表するわけであります。ただ、私は長年行政に身を置いた者といたしまして、今のこの行革の関連につきましてのいろんな議論について幾つかの異議というと大げさでございますが、ひっかかりがございます。  そこで、きょうは、最初に独立行政法人の話を中心に総務庁長官あるいは事務当局の方々の御意見をお伺いしたいと思っておるわけでございます。  新聞やその他を見ますと、この独立行政法人は今度の行革の象徴みたいに取り扱われております。先般のN紙の社説なんかでも出ておりますが、今の独立行政法人の扱いなどを見る限り期待外れであるとか、行革のふりをするのではなくてまじめに行革に取り組むべきであるとか、こういったことが出ておりますし、幾つかの経済紙でも、再編の天王山は独立行政法人の問題であるといったようなことが言われているわけでございます。  私、前からこの独立行政法人につきましては大変興味を持っておったわけでございますが、ただ、この行革会議で、何かこれは行政機能の減量、アウトソーシング、こういったことのために行うんだというふうに記している部分がございます。これが少し間違いではないかということを実は思っておるわけでございます。  今、世間では、行政改革は突き詰めますと公務員の削減だというふうにとられている向きが実はあるわけでございます。先ほど申し上げました行革会議最終報告では、これはちょっと表現が乱れておりますが、何かどうも定員の削減に見られるようなところもありますし、そうではなくて、行政の責任領域の肥大化というような言い方で、人の問題ではないというように読めるところもあるようでございます。何か世間様では、そういった行革を人の問題、国家公務員の数を減らすことであるというふうに受けとめ、その上で、中央省庁をスリム化する手法として独立行政法人というものを受けとめておるというふうに見ているのではないだろうかと思うわけであります。  その上で、この社説では、財源は国の予算でやるんだ、あるいは大半の機関で職員が国家公務員の身分のままでやっているんだということでは今の特殊法人と同じで、何も行革にならないじゃないか、こういう批判のように思います。しかし、やっぱりこれは非常に誤解があるのではないかというふうに実は思っておるわけであります。  私は、後でおいおいと御質問を申し上げますが、この独立行政法人のもとになりましたイギリスのエージェンシーのことを少し調べてみたわけでございます。これを見ますと、別に公務員の定数減らしを即ねらうのではなくて、行政組織の活性化でありますとか効率化でありますとか、こういうことを民間の経営手法を導入することによって実現していこうというのがまず第一の目的であるというふうに思っておりますし、私は、日本版のエージェンシーといいましょうか、独立行政法人につきましても、現業に近い部門を活性化していく手法としてまず大事なんではないかというふうに考え、また、もちろん自立化へのプロセスが決まればそういう形で進むのも当然である、こういうふうに受けとめておるわけであります。  そこで、まず私が申し上げると手前みそになりますので、総務庁の事務当局の方に伺いたいわけでありますけれども、サッチャー内閣で進められたエージェンシー議論についてちょっと実態その他を伺いたいわけでございます。  これにつきましては、武藤総務庁長官が九七年四月にイギリスへ行きまして行政改革の実情調査をなさっておられ、これはありがたいことにホームページで見せていただきました。また、いろんな雑誌の中で総務庁の行政管理局の方が英国行政機関のエージェンシー化の意義といったようなことも書いてございまして、かなり詳細なことがこの二つを見ましてもわかりますし、また、いろんな学者の方々の中にもこういうのがあるわけであります。  どうもサッチャーさんの内閣で進められましたエージェンシー化というのは、私の理解では、政策形成に当たる部門と執行に当たる部門を分離させて、執行に当たる部門では民間の仕事のやり方をしっかり導入してサービス改善をしていくんだ、こういうふうな形で進められたというふうに理解をしているわけでありますが、こういう理解でよろしいのかどうか、総務庁の事務当局の方に伺いたいと思います。
  37. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 結論から申しますと先生のおっしゃるとおりでございますが、英国のエージェンシー制度創設の契機となりました行政管理改善のための報告書というのがございます。これには、政府行政活動は大きく分けて政策の立案部門と執行部門に分けられる。そこで、執行部門の組織の運営管理は、より多くの裁量を組織自体に与える新たな仕組みにより、行政サービスの質の向上と組織運営の効率化を図るという、その二つが目標として掲記されております。
  38. 日出英輔

    ○日出英輔君 そこで、さらに伺いますと、今、英国の公務員の四分の三が何らかのエージェンシーに属しているというような大変驚くべき事実があるわけでありますが、当初からエージェンシーに属して今に至るものと途中からエージェンシーから民営化したものがあるようでありますが、この民営化したものについて、どういうエージェンシーが民営化したのか、あるいはその機関数はどのくらいなのか、所属している人の数はどういうことなのか、わかりましたら伺いたいと思います。
  39. 河野昭

    政府委員(河野昭君) エージェンシーに所属しています職員のトータルは約三十五万六千人でございます。そこで、エージェンシーの機関全体は百三十八機関でございますが、当初から民営化されましたエージェンシーが十一機関ございます。  この十一機関といいますのは、例えば科学研究所、運輸研究所、資源研究所等の研究所、あるいは給与等計算センター、公務員試験評価局、それから人数的には一番多いのでございますが、政府刊行物印刷販売所。民営化される以前のそれらの機関に属しておりました職員のトータルは約六千二百人でございます。
  40. 日出英輔

    ○日出英輔君 見てみますと、エージェンシーから民営化していくというものについては実は極めて少ないわけでございます。  ただ、そうはいいましても、このエージェンシーの効果というのは予算の削減その他大変大きなものがあるんです。これは、イギリスの公務員組織の活性化に大変役に立っているだけじゃなくて、イギリス国民に対するサービスの提供といいますか、こういう面でも大変着目すべきものがあるというふうに思っております。  ただ、これにつきましては、日本の場合には、エージェンシーになると言われている八十九の機関はまだそういうことはありませんが、例えば刑務所がエージェンシー化している。刑務所から脱獄事件がありまして、一体、刑務所を運営しておりますエージェンシーの長に責任があるのか、あるいは刑務所を所管している行政の長に責任があるのかなどという、政策形成と事業を実施する機関のそれぞれの責任の所在の問題等も出てくる。やはり、いいものだいいものだという、そういうものだけでもないというのが実態だというふうに、調べてみた結果、そういう話があったわけでございます。  私は、そういう意味でいいますと、エージェンシー基本的にはあくまで公務部門の一部であって、組織にかかわる変革ではなく管理に関する変革だということが武藤長官の報告にも出ておるのでありますが、人減らしのためにストレートにこれを行うんだというのはやはりおかしいのではないかという感じが実はしてございます。  先ほど申し上げましたように、行革が即公務員の数を減らすのだという、そういう悲壮なとらえ方でこれを受けとめたのが悪いのか、あるいはどうも行革会議最終報告の書き方が少しそこが甘いのか、あるいはそれを発表した仕方がおかしいのかわかりませんが、何かここに誤解が非常にあるのではないかという感じがいたしております。  ちょっと長々と前提を申し上げたわけでございますが、総務庁長官に、この独立行政法人についての今後の進め方にもかかわりますので、今私が申し上げたことにつきましての御意見なり御感想を伺いたいと思います。
  41. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  今の日出委員の御質問といいますか御意見は我が意を得たりという感じがいたします。  行政改革会議最終報告においても、「効率性の向上、質の向上及び透明性の確保を図るため、」「「独立行政法人」を設立する。」というふうに明記をいたしておりまして、別のところでは別の言い方もあるかと思いますけれども、この視点の方が私は本質だと思っております。  たびたび国会でも申し上げているところでございますけれども、独立行政法人化するということと定員削減をするということはどちらが難しいか、どちらがその職場におられる方々にとって厳しい選択になるのかといえば、結局私は独立行政法人化する方がより厳しい選択であろうかと思います。そして、そういう厳しい選択をお願いするには、まずは透明性を確保する、行政の姿を切り分けて、外に見えるように、国民から見えるようにするということ、そしてその緊張感の中でみずからの責任でもって効率化を求めていくということが独立行政法人化の目的でございます。  ただ、そういう改革の努力というのは、独立行政法人ばかりではなくてさまざまあるわけでございますけれども、その改革のトータルとしてどのぐらい深い改革をやるかというときに、トータルとしての何かみずからを縛るものがなければいけないので、こういう二五%削減というふうな話になってくるわけでございまして、その決意を示すために、定員管理は内閣が直接行う定員管理ではなくてそれぞれの独立した行政法人の責任で定員管理が行われることになるので、それが二五%削減という話に結果として結びつきますということでございます。
  42. 日出英輔

    ○日出英輔君 私は、自分の持論でございますが、自分が管理職になりましてからこの方、十数年の行政のあり方を見ましたときに、規制緩和とかその他行革が着々といろんな形で進められたわけでありますが、その中で行政の肥大化ということが安易に使われております。これはよく考えますと、この行革会議の中で注意深く使われている行政の領域の肥大化という、ちょっと難しい言い方になるかもしれませんが、そういうこととしては当たっていると思いますが、これはさらに行政組織の硬直化ということのイントロと言うとなんでありますけれども、そういったことではないかと思います。  定数は、総定員法が昭和四十三年にできまして以降、着実に減っているわけであります。一方で業務がふえる、あるいは複雑化する、あるいは迅速な対応が求められる、こういったときに今のような縦割りの行政で本当にいいのかどうかということについてはみずからも自問自答したものではございますが、そういう意味で今度の独立行政法人につきまして、やれるところからこういった形で民間の経営手法も入れてやっていくということは硬直化の打破に大いにいい影響を持つんではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、今、太田長官からお言葉をいただいたわけでございますが、そういった気持ちといいましょうか、この通則法にも書いてございますが効率化という、そういったことを前提にいたしまして、具体的に今いろいろなところで実は作業が行われていることを聞いているわけでございます。私も知っている人たちがこの八十九の機関の中にございまして、いかに独立行政法人として実を上げるかという検討を着々と始めておるようでございます。  もう少しあけすけに申し上げますれば、独立行政法人て何だというところからございまして、なかなか最初はのみ込みが非常に悪かったということのようでございますが、おいおい検討していく中で、いろんな形で自分たちの可能性をもう少し広げられるのではないか。例えば、試験研究機関でございますと、今までは民間や都道府県からの受託研究なんかも一々受託費を国庫に一回入れてからやるとか、あるいは人の雇い方についてもやや拘束があるとか、あるいは共同研究がなかなか円滑にいかないとか、いろんなことがあったようでございますが、私は前より検討が進み始めたというのは大変結構なことだというふうに実は思っております。そういう意味で、本来の独立行政法人の趣旨に沿った検討が行われ始めたというふうに言っていいのかなという感じを実は持っておるわけでございます。  そういう意味で、さらに少し伺いたいのでございますが、ぜひともそういった独立行政法人制度の趣旨を生かすようなことが、一つ一つのこれからの発足に当たっての協議その他でできてこなければいけないわけでありまして、そういう意味で総務庁なり大蔵省なりあるいは人事院なり、こういったところの御努力をお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。要は役員になる方なり、あるいは職員のやる気を引き出さなきゃいけないということになるわけでございます。  そこで、毎年度の予算措置の話につきまして総務庁の事務当局に伺いたいのでございます。  この独立行政法人の予算措置につきまして、中期計画の中でいろんな議論をし、あるいは中期計画に定めた目標に従って努力をしていくわけでありますが、一方で毎年の予算措置が非常にそういった中期の努力を打ち消すような形になってはいけないわけであります。これにつきまして、例えば運営費交付金、この中にはもちろん人の数をどうするかとか、給与はどうするかといったことが入るわけでありますが、こういった毎年度の予算措置については一体どういうふうにしようとしているのか、御説明をいただきたいと思います。
  43. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 先生御指摘になりましたように、基本はやる気が起こるように極力弾力化していくということでございます。そこで、先般決定いたしました「中央省庁等改革推進に関する方針」でございますが、その中で「中期計画に定めるところに従い、運営費交付金及び施設費等を毎年度の予算編成の中で確実に手当てする。」、そして独立行政法人の「事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮する」こと。  なお、つけ加えさせていただきますと、この運営費交付金というのはいわゆる渡し切りの交付金の性格でございまして、その運用次第、工夫次第では効率的に運用できるような制度を考えております。
  44. 日出英輔

    ○日出英輔君 それからもう一つ、職員の採用とか給与、これも実はこの法人が円滑に動くかどうかということの大変大事な点でございます。特に公務員型の法人は、例えば特定の職員については外国の学者を呼ぶだとか、あるいは若手の人を育てるとか、あるいは研究者というよりは実務者ですけれども、特定の法律事務とかあるいは財政、金融といったことに強い方を呼ぶとか、いろんなタイプの方が職員の中に入ってくることによってこの独立行政法人の実が上がるという気もしているわけであります。  この公務員型の方の法人で、これらの人が公務員試験に合格していないことになると採用できないというのではうまくないわけであります。もちろん、今でも一部例外的だと思いますが、公募型というのがとられていることは私も知っているわけでありますが、せっかくの独立行政法人の長所を発揮するために、人の関係、こういうことにつきましては総務庁はぜひ直接あるいは間接的にきちんとした支援をしていただきたいと思うのですが、この点につきましてはどうでしょうか。
  45. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 職員の任用につきましても極力弾力的になるというふうに考えております。  ただ、国家公務員の身分を持った者につきましては、基本的には国家公務員でございますので原則は公務員試験からの採用としておりますが、先ほど申し上げました方針の中で、「公正・中立性の確保に留意しつつ、従来の取扱いと比較して独立行政法人の長の判断により採用を行うことができる範囲を拡大する」ということで決めております。  先生がおっしゃいましたように、今は極めて限定されておりますが、今後、人事院等とも相談しながらこの範囲の拡大に努めていきたいと考えております。
  46. 日出英輔

    ○日出英輔君 同じことを人事院の事務当局の方にも伺いたいのでございます。  現在でも一部公募型で採用というのが行われていることは私も知っておるわけでありますが、最近こういったことがどのくらい広がっているのか私はちょっと今最新の知識を持ち合わせておりませんが、人事院がそういう意味では相談の窓口ということに相なると思いますので、今のようなこの独立行政法人の長所を発揮するような、そういった取り扱いをぜひともお願いしたいわけでございますが、人事院の方からも一言御答弁をお願いします。
  47. 森田衞

    政府委員(森田衞君) お答えいたします。  特定独立行政法人の職員につきましては、この法案の第五十一条におきまして国家公務員ということにされておりまして、一般職の国家公務員でございますので、成績主義の原則に従いまして、いわゆる公務員試験、競争試験でございますが、もしくは選考によりまして、能力の実証に基づきまして採用することになるわけでございます。  先生御指摘のように、私ども人事院といたしましては、例えば独立行政法人化の対象となっております試験研究機関の研究員につきましては、大学院の博士課程の修了者につきましては、あらかじめ採用計画をいただきますと任命権者の選考による採用を幅広く認めることにしておりまして、必ずしも公務員試験に受かっている方ではないというふうなことにしておりますし、また御指摘のございました任期付研究員法というのがございまして、これにつきましては、特にすぐれた研究者と認められる方につきましてはそれを招聘するという形の採用の仕方、もう一つは先導的な役割を担う有為な研究者に育っていくための登竜門としての若手育成型の二つの型から成ります研究公務員の任期制の導入をするということもしておりまして、採用の弾力化につきまして工夫をしてきているところでございます。  特定独立行政法人の採用につきましても、私どもといたしましてはできるだけ特定独立行政法人の長の判断を尊重いたしまして、必ずしも公務員試験というような競争試験にこだわることなく、任命権者の選考によりまして採用を行うことができますような弾力的な運用や、またその手続の簡素化等につきましても鋭意検討してまいる所存でございます。
  48. 日出英輔

    ○日出英輔君 それから、もう一点だけちょっと伺いたいのでございます。  これも独立行政法人仕事がしっかりいけるかどうかということについての関連でございますが、税金の関係でございます。この独立行政法人通則法施行に伴う関係法律整備に関する法律案十八条以下で独立行政法人に対する税の課税の関係が出ております。ちょっと読みにくいのでありますが、一定のものについては課税されないというふうに書いてあるように思うのでありますが、この内容をちょっと御説明いただきたいと思います。
  49. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 税法上の扱いにつきましては、今、先生がおっしゃいましたように、この整備法の中で手当てしております。  まず、国税についてでございますが、国税につきましては、民間出資のない独立行政法人については法人税法上の公共法人として扱うことといたしまして、これは非課税とすることとしております。  それから、地方税でございますが、地方税につきましては、全額政府出資で国から引き継がれる事務事業のみを実施する独立行政法人については法人住民税等を非課税とする、こうした措置をとっております。
  50. 日出英輔

    ○日出英輔君 こういった話につきまして、国税の方は比較的弾力的な取り扱いをしていただけがちなのでありますが、地方税が意外にがちがちになってくるという傾向があるように伺っております。急に独立行政法人になった途端に税の方で仕事が動かなくなったというのではどうにもなりませんので、ぜひともこの辺につきましてのウオッチをしっかりお願いしたいというふうに思います。  私は、今申し上げましたように、幾つかの点について独立行政法人の検討がその筋道どおり始まったのではないかというふうな印象を実は持っておるわけであります。今の八十九機関、七万三千人の機関といいましょうか、そういうところにつきまして独立行政法人がうまく進みますれば、問題になったと言われます国立大学の関係、これも本質的に独立行政法人になじむのかなじまないのか私もちょっと判断しかねるところでございますが、いずれにしても現業といいますか実施に近い方の部門についての機関の活性化あるいは効率化、あるいは国民に対するサービスの向上ということに直接につながるものだと思っておりますので、ぜひともこの八十機関についての独立行政法人としてうまくいく、成功するということを確実にしていただきたいというふうに思っている次第でございます。  私は、ただ少しこだわりがありますのは、やっぱり行政が普通の民間の形態と違っておりますので、責任の追及の仕方も、先ほど申し上げた刑務所の脱獄の話を出すのは余りいい例ではありませんが、事柄が試験研究機関であれその他の機関であれ、問題が起きましたときにだれが責任を問われるのかということについては、実はなかなか問題のあるところであります。また、昨日の参考人の方々のお話の中にもあったように思いますが、国会がきちんとした監視役をするためにという観点から見たときも、この独立行政法人につきましてはこれから長い歴史の中で育てていくべきものだというふうに理解をしているものでございます。ぜひとも総務庁長官におかれましては、この独立行政法人がうまくいきますように御努力をいただきたいというふうに思う次第でございます。  それから、超多忙の官房長官、申しわけございませんが、一言御答弁をいただきたいと思っております。本来であればこの質問の冒頭で申し上げてからとも思ったのでございますが、一言だけ御見解あるいは御感想をいただきたいと思っておる次第でございます。  私は、前に御不在のときに、橋本前総理が言われて現小渕総理がバトンタッチをした今回の行政改革は大いに前進をしたものというふうな評価を申し上げたわけでございます。ただ、やっぱり他の同僚議員の中で行政御出身の方も申し上げたところがございましたが、ややひっかかりといいますか、そういうものが少しございます。  行政改革というとすぐに規制緩和という議論が出てまいりますが、私の記憶に新しいところで昭和六十三年に臨時行政改革推進審議会がございました。そのときに規制緩和について大議論が行われた後の答申でございましたが、規制緩和について、社会的規制と経済的規制に分けまして、経済的規制は原則廃止、社会的規制も大いに見直すといういわばガラガラポンに近い議論が出たりいたしました。あるいは行政改革につきましては、これも御不在中にちょっと申し上げたのでありますが、公務員の定数を減らすんだという話に尽きるというようなことをおっしゃる方が非常に多うございます。そういう意味でいいますと、霞が関の公務員の人たちは、私も実は三年前までそうだったのでございますけれども、何となく落ちつかない議論でございます。  ただ、こういった中央省庁の再編という画期的なことがまさに実現せんとしているこの時期でございますので、私は、あわせて行政改革、本当の行政改革を進めるためには、今のような中央省庁の再編といったこと、あるいは今回盛られております内閣機能の強化といったような問題のほかに、この行革会議で幾つか書かれております例えば行政の領域が肥大している、それに対して迅速にいかない、硬直化しているという、このあたりを本当は本格的にもっと進めなきゃいけないということがあると思うのでございます。  ちょっと場所柄も省みず新人議員としてやや暴言に近いかと思うのでございますが、霞が関におりましたときの印象を申し上げますと、二つございまして、一つは国会自身の問題でございます。これは官房長官に申し上げるのがいいのかどうかわかりませんが、私の気持ちということでお聞きいただきたいのでございますが、国会自身が行政に対してきちんとした監視役といいましょうか、そういうことになっているのかどうか、システムとしてそういうことがあるのかどうか。  これは議員になる前もあるいは議員になりましてからもよくよくわかっているわけでございますが、予算委員会が予算の審議をほとんどしていない。確かに大玉の話はしておるわけでありますが、余りしておられない。それから、決算委員会も、前々年度、前々々年度でしょうか、審議をしておりますが、この審議結果が次年度の予算あるいは次々年度の予算にほとんど反映できない形で行われている。これも行政の監視役としてのシステムがある意味では構築されていないのではないかという印象を実は強く持つわけであります。  さらには、決算、予算を通じまして、政治の側から行政についてきちんとした意見あるいは分析をする尺度がないのではないか、こういう印象もございます。ちょっと暴言に近い話だと思いますが、何とか国会、特に参議院ではこういったことについてできないものだろうかという気が実は強くしておったわけでございます。  もう一つは、これもまたちょっとしかられる話なのかもしれませんが、政党自身が政策を判断して国民に示していく過程で、きちんとした尺度なり基準というものを示しているのだろうか。これも非常に振れの大きい議論がございます。  もちろん、自由な議論の中から一つの真実が生まれてくるということは事実だと思いますが、私は昨年の秋の金融国会で金融特委の委員としてずっと発言等も聞かせていただきましたし、自分も発言させていただきました。あるいは衆議院の方についても気をつけて見ておったわけでございますが、あれは一体何だったんだという、まことに申しわけございませんが、そういう気持ちもございました。ある意味では国会自身あるいは政党自身が行政の監視役としてのシステムを持っていないのではないかという感じがするわけでございます。  せっかく歴史に残る中央省庁再編ということが今回行われんとしているこの時期に、私は、そういう意味でいいますと、国会議論、あるいは政党の議論も含めて、何か心を一にして進めていかないと本当の行政改革は進まないのではないかというような感じがしているわけであります。  政治行政の間には強い緊張関係がないともちろんいけません。緊張関係はなきゃいけないのでありますが、ただ協調というのも当然必要でございます。最近の不祥事なんかを聞きますと、大変残念なことで、想像を絶するという気がするのでありますが、私は今申し上げたような気持ちを持って国政の場に臨んでいるわけでございます。  内閣のかなめとしておられ、また私の大変尊敬する政治家のお一人としての官房長官の御意見といいますか、御感想といいましょうか、そういったことを伺わせていただければ大変幸いでございます。
  51. 野中広務

    国務大臣野中広務君) ただいま日出議員から今回の中央省庁改革に伴います幾つかの課題について御指摘がございました。  内閣官房長官としての立場からお答えすることが適切かどうか、私も戸惑うわけでございますが、お互いに政治の場にある国政に参画する者といたしまして、日出議員が御指摘になりましたように、たまたま官僚の腐敗した一部官僚の事件、不祥事が相次ぎました時期とこの行政改革と時期が一致しましたために、なぜか官僚バッシングのような感じを与えて、そして公務員全体が萎縮をするようなことになっておるのではないかということを、私も危惧する一人であります。  しかし、最近、それぞれ省庁の変革をして、二〇〇一年一月からスタートをする姿が具体的に見えてまいりますと、それなりにその時期を目指して新しい官庁像をつくろうという努力が官僚諸君にあらわれておることを私は非常に力強く感じますとともに、一方において、大臣の数は減らしましたけれども、副大臣あるいは政務官として多くの政治家が今度は行政組織の中に入っていくわけでございます。それはそれなりに活性化のためにいいことだと思うわけでございますけれども、お互いに緊張感を持って、そして節度をわきまえ、この新しい行革を成功さすための努力をしないと、政治が時に行政を支配してみたり、過度に介入してみたり、それによって行政の中立性が失われてみたり、あるいは政党にこびへつらうような状態になるとするならば、私は行革が目指す姿とは異なってくると思うわけでございます。  そのことを私どもとしては自戒しながら今度の行革全体に取り組んでいかなくてはならないし、そうすることによって、官僚諸君のまた新しい今の戸惑いを払拭して、そして新しい行革組織に適応していただくようにしていかなくてはなりませんし、今度の再編も、いつも申し上げますように地方分権とともに私はまだまだ一つの段階だと思っております。それだけに、これからも不断の努力と改革が必要ではなかろうかと思っておるのでございます。  これに対しまして国会のありようは、今、委員がおっしゃいましたように、基本的には政党自身がその監視役としての適切なシステムづくりのあり方について国会が御判断される問題でございますけれども、政党によります国民への政策の提示の仕方等につきましても、政党はこの際考え方を新たにして取り組まなくてはならないのではなかろうかと思うわけでございます。  また、こういう発言が適切かどうか、適切でないと思うんですが、衆参同じ形式で同じ法案を扱っておることが本当にいいのかどうか。官僚行政機構を改正するとするならば、これに適応して国会衆参それぞれの審議のありよう、あるいは政治家同士の討論のありよう、そして官僚と議会とのまた質疑応答のありよう、こういうものが委員審議や本会議審議を通じて改革されなければ、国会は依然として変わらない、しかし行政機構は変わっていくということでは、真の改革が全うできることではないと思うわけでございまして、せっかく国会議論を期待してまいりたいと存ずる次第であります。
  52. 日出英輔

    ○日出英輔君 大変情理を尽くした、また血の通ったお話を承りました。ありがとうございました。  私は、今、官房長官もお話しになりましたように、行政改革はあるときに爆発的にやるというのではなくて、やはり日々進めていく、これが行政改革の本道ではないかというふうに私も思います。  そういう意味で、行革会議最終報告なども一生懸命見させていただきましたし、いろんな多くの関係者の方々からもお話を伺いました中で、私は大変大事なことを指摘しているというふうに思いましたのが、実は政策評価の部分でございます。  最終報告には何かいろいろ書いてございます。「今回の行政改革の要諦は、肥大化・硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、」とか、あるいは今日の取り組むべき行政改革の中核を戦後型行政の問題点で幾つか挙げておったりしております。その中で実は客観的評価基準の欠如ということが問題点として挙げられ、これに対応して各論では政策評価ということを挙げておるところが非常に私は着目すべきところだと思っております。この点は、ある意味ではもろ刃のやいばと言ってもいいというふうに行政組織が受けとめるのかもしれませんが、こういった情報公開の時代でございます、やはり積極的にこういった政策評価をしていかなきゃいけないんではないかと思うのであります。  この点を含めて、行革会議指摘しております現在の行政組織の問題点あるいは対応について、私はそういうような総括をしているのでございますが、総務庁長官の御意見を承りたいと思います。
  53. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  政策評価は、従来、我が国の政策においては法律の制定や予算の獲得などに重点が置かれ、結果としてその効果がどうであったか、あるいはその後の社会情勢の変化に基づき政策を積極的に見直すといった評価機能は軽視されがちであったという行政改革会議最終報告の反省に立って、行政がみずからその政策の効果について事前、事後に評価を行い、それが企画立案に反映されるようにするために導入するものであります。  このため、政策評価については、国家行政組織法改正案等において各府省が政策についてみずから評価することを規定するとともに、総務省設置法においても、総務省は各府省の政策について統一的もしくは総合的な評価を行い、または政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行うことを規定したところであります。  政策評価は本当にやらなければなりませんし、やるとすればそれは相当の勇気と決意が要るわけであります。この制度、今回の行政改革の成否ということもこの政策評価がきちんとできる政治行政の体制になるかどうかにかかっていると思っております。  何とぞ、そういう意味で御協力をいただきたいと思います。
  54. 日出英輔

    ○日出英輔君 私は、この政策評価という大変難しいことをよく取り上げたなと思います。ことしの四月に中央省庁等改革推進本部で方針が出されております。その中にこの政策評価というのもかなりの部分を占めて書いてございます。これも実はしっかり読ませていただき、また関係の方からもこのことにつきましていろいろ伺って、体系的あるいはシステム的にきちんとした政策評価をやっていこうということをお話しいただきました。大変いいことだと思いますし、なかなか難しいことに踏み込んだという思いも、役人の古手でございますからいたします。  ただ、気になりますのは、こういったシステムなり全体的な体系化をするためには時間もかかります。これは間違いなく時間がかかりまして、すぐにきょう、あす、あるいは何カ月で出てくるという、こういう代物では全くないように実は思います。  一方、国民の側からしますと、実はそういうことを待っていられないというとなんでありますが、例えば公共事業の関係でありますとか幾つかの点につきまして、これは政策評価と呼ぶかどうかというのはいろいろあるのかもしれませんが、関係省庁がどういうような評価をしているのか、やっぱりそれを国民は知りたいし、あるいは当然国民に知らしめなければ、本当の公共事業や公共事業の役割が理解されない、そういうふうに思います。  そういう意味でいいますと、システムが全部できて体系化してからおいおいと始めるんだということではなくて、例えばこの方針にもございますけれども、緊急に政策評価を実施する必要があるときには機動的に対応するなんということも一項書いてございますが、私は、そういう意味でいいますと、個別の幾つかのテーマについてやはりこの政策評価のことを急ぐ、並行してでございますけれども、そういう必要が実はあるように思います。これは私の意見だけでございます。  それからもう一つ、これも政策評価ということに該当するのかどうかということがあるわけでございますが、先般新聞に、国の会計にバランスシートを入れよという話が実はございました。今の官庁会計は現金会計ということでありますが、バランスシートをきちんと入れてストックを明確にすると、こういうことだろうと思います。私は基本的にはそういうのは必要じゃないかというふうに思いますが、なかなか実務的には難しいんだというようなことも聞いておるわけであります。  そこで、大蔵省の方に実は伺いたいのでございますが、私はこういうのは、難しいことは難しいと思いますが、やはり早急に取り組んで、ここまではできる、あるいは逐一毎年少しずつ手直しをしていく、こういったこととして取り組むべきではないかというふうに思いますが、御意見をいただきたいと思います。
  55. 坂篤郎

    政府委員(坂篤郎君) 結論を最初に申し上げさせていただきますと、先生の御指摘の方向で私どもも考えておりまして、既にいろいろな勉強はさせていただいております。  御承知のように、最近、アメリカでございますとかあるいはニュージーランドでございますとか幾つかの国でバランスシートを作成するという、どこの国も完全にはなかなかいかない、アメリカなんかもいろいろ苦労しているようでございますが、そういった努力が行われておりまして、私ども、そういった外国の事例等も勉強いたしたり、あるいは我が国でそういうものを実施するとするとどういった問題点が出てくるかと。今、先生おっしゃいましたように技術的にはなかなかいろいろな問題点がございます。あるいは費用もかなりかかるということもあろうかと思います。  そういった問題点あるいは費用、導入することについての意義、そういったものについていろいろ実務的な検討を今鋭意させていただいているところでございます。  ちなみに、若干つけ加えさせていただきますと、既に国の会計でも、いわゆる特別会計がいろいろございますが、特別会計でも比較的企業活動に近い活動をやっている特別会計というのがございます。三十八の特別会計のうち二十四の特別会計においてはバランスシートあるいはバランスシート的なものが既に使われているということがございます。  それからまた、先ほど先生が御議論になっておられました独立行政法人でございますが、これは原則として企業会計原則に基づいて経理を行うというふうに私ども承知をいたしているところでございます。
  56. 日出英輔

    ○日出英輔君 国の会計にバランスシートをというのは、どうも新聞なんかで見ますと、今はやりの債務超過をより効果的に言うために何かつくったというふうに言わんばかりのところもあることはありましょうが、やはり本質は、こういう形で国民に知らしめるということが大事だと思っております。  地方自治体でも幾つかのところでこういったことについての試みも始まったというふうに思っております。地方自治体以上に国の場合には非常に複雑なことが多いようでございますが、ぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。  最後になりましたが、一言だけ総務庁長官に御感触あるいはお考えをいただきたいのでございますが、この行革会議の報告の中には国家公務員制度改革がございます。公務員がみずから硬直性を打破するためにはこういった公務員制度もしっかりやらなければいけませんけれども、幾つかの点が出ておりますが、これに対して総務庁長官の御答弁をいただいて、私の最後の話にしたいと思っております。
  57. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 国家公務員制度につきましても、この中央省庁改革の中でも位置づけておりますし、また同時にさまざまな新しい試み、そしてまたよりよい国家公務員の姿を求めるための努力をこれからも続けてまいる所存であります。
  58. 日出英輔

    ○日出英輔君 言葉がちょっと過ぎたようでございますが、御容赦をいただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  59. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。私の持ち時間は短時間でございますので、ぜひ答弁は中身の濃い答弁をお願いしておきたいというふうに思います。  まず最初に、厚生大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。  今回の法改正によって地方事務官制度が廃止をされて、国の厚生事務官へ身分が切りかえられるということになったわけであります。そして、この身分の切りかえに伴って衆議院において附則の修正がされました。それは、新たに厚生省社会保険関係共済組合を独自に設立するという内容になっているわけでありますが、そこで、厚生大臣にこの身分切りかえに当たっての点について二点ほどお伺いをいたしたいというふうに思っております。  一点目は、地方事務官がこれまで加入をしてきております福利厚生関係の実態について十分に把握を、把握というか調査をいただきたい、そしてそれらを考慮いただきたいというふうに思っているわけですが、そうした考えがあるかどうかお尋ねをしたいというふうに思っています。  二点目は、第三次勧告において次のように述べられています。「地方事務官制度は、暫定的な制度とはいえ、過去五十年にわたって継続してきたことに鑑み、これを廃止するに当たり、職員の処遇等について十分な配慮が必要である。」、こういうふうに触れられているわけです。  そういう観点からして、先ほどの福利厚生を初めとした職員の処遇についてぜひ考慮いただくと同時に、もし後退するようなことがある場合については激変緩和などの経過措置を設けていただきたいなというふうに思っているんですが、それらについて御意見をいただきたいというふうに思います。
  60. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) この改正法案が成立いたしました場合におきましては、これまで地方事務官が加入してまいりました地方職員共済組合や都道府県の職員互助会というのがございますが、これにおける職員の福利厚生につきましては、今仰せのとおり、その実態を十分調査したいと考えております。また、その調査結果を踏まえまして、福利厚生などの職員の処遇につきましては、国として対応可能なものについてはできるだけ努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 前向きの答弁をいただきました。  若干激変緩和の部分等についてはちょっとまだ考え方がわからなかったんですが、ただ衆議院審議でも公明党の若松謙維議員がこの種の質問をされておりまして、大臣としては職員の処遇について十分に配慮するという答弁をいただいておりますから安心はしておりますけれども、もしその処遇が後退をするというふうなことになるような場合についてはぜひ激変緩和措置をお考えいただきたいというふうに思って、これは要望ですので、お願いをしておきたいというふうに思います。  非常に忙しい中お越しをいただきまして、御退出いただいて結構でございます。ありがとうございました。  では、引き続いて自治大臣にお伺いをいたしたいというふうに思っています。  私は、前回の質問で国と地方公共団体の関与の問題についてかなり詳しく質問させていただきましたが、きょうは都道府県と市町村の関与の問題について御質問申し上げたいというふうに思っております。  まず一つは、都道府県の処理する事務というのが明確になってきたわけですけれども、ただ都道府県の処理する事務からして、都道府県の市町村に対する関与の性格が私はまだ不明であるというか不明確ではないかなというふうに思っているわけであります。  とりわけ、地方自治法の改正案の中にあります二百四十五条の七の第二項、都道府県の市町村に対する是正の指示という部分でありますけれども、ここでは都道府県が市町村に対して権力的な関与ができるというふうに私は読み取れると思っています。自治省の事前の説明等でも文書が全体に出ておりますけれども、これは法的義務が伴うんだという、ただ明文化はしていないけれども解釈でと、こういうふうになっているわけです。  ということは権力的関与だというふうに思うんですが、そういう都道府県が市町村にこの種の権力的な関与をできるとしたのはなぜなのか、その点について自治大臣にお伺いしたいと思います。
  62. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 改正後の地方自治法に基づいて都道府県が市町村に対して行うことになる関与の中で、今御指摘のようないわば強い形での関与、これは係争処理手続の対象になるような関与でありますが、そういう類型としては、市町村の処理する法定受託事務については是正の指示それから代執行というのがありますし、市町村の処理する自治事務については各大臣の指示を受けて行う是正の要求というものがあるわけです。  何でそういう形をとったのかといえば、国が直接市町村に対してこういった形での関与を行うよりも、やはりその地域の実情やその中における、市町村は各都道府県の中にあるわけですから、そういう意味でその中における市町村の立場、その事務処理の実態等をはるかに国よりも都道府県の方が十分に把握をしておられるわけでありますから、そういう意味で都道府県が行うこととする方が適当であるというようなことから、第一次的には今回の改正において都道府県が行うということにしたということであります。
  63. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 実態、実情を把握しているからというふうに言われました。これ以上はあれですけれども。  ただ、都道府県と市町村、国と地方公共団体も対等な協力関係にするんだ、こういうことで今回の分権法案が出されていますね。その中でも、とりわけ同じ地域にいる都道府県と市町村というのはより対等、平等でなければならないし、より一層の協力関係がなければやっていけないと思うんです、広域行政等も含めて。  そういう状況の中で、ややもするとこの種の対立をあおるような、そういう措置というのは私は好ましくないのではないかと。そういう観点では、ぜひこの種の関与、是正の指示、これらについては、前回も申し上げましたけれども、都道府県の市町村に対する関与を最小限に限定するという、そういう方向で大臣として今後御努力をいただきたいなというふうに、これは御要望として申し上げておきます。  そこで、次に、紛争、係争処理の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。  市町村が国と争う場合には国地方係争処理委員会で争う、こういうことになります。しかし、市町村が、先ほど申し上げました都道府県の是正の指示に不服があって都道府県と争う場合については、自治紛争処理委員のところで争う、調停が今度廃止されますけれども、そういうことになるわけです。ということは、紛争、係争処理について二つのシステムがあるというふうに解していいというふうに思うんですが、国の直接指示に基づく関与については、私はこの二つのシステムでいいのかなというふうに思います。  ただ、問題は、国が都道府県に指示をして、助言、指導ですか、そういうことをやって関与をして、そしてそれに基づいて都道府県が市町村に是正の指示をする場合は、都道府県がその主体的な意思で指示をするということではなしに、国の意を受けて指示をするわけです。だから、市町村からいえば国の間接的指示を受けていると、こういうことになるわけですが、そういう場合は一体どこへ市町村は訴えたらいいのかというふうに思うわけです。  今までの衆議院等の若干の御答弁を聞いていると、これは国が都道府県に関与をして、そして都道府県が市町村に指示した部分だから、直接は後ろに国があっても都道府県がやっている部分だから、これは自治紛争処理委員で処理すべきだと、こういうふうに政府側は考えられているというふうに思うんですが、実際に中央省庁からの指示に従った都道府県が市町村に指示をしてその市町村と紛争になった場合は、自治紛争処理委員ではなしに国地方係争処理委員会で扱うべきではないかというふうに考えているんですが、その点について自治大臣の考え方をお聞きしたい。
  64. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 市町村が行う法定受託事務の処理について都道府県が関与する場合には二通りのやり方があるわけです。それは、みずからの判断において関与する場合と国の指示を受けて関与する場合と、この二通りあるわけです。  その中で、国の指示を受けて都道府県が市町村に関与する場合、これは何も機械的な単なる伝達者としてというようなことではなくて、都道府県自身が国の指示を受けて、主体的な判断をして、その上で市町村に関与をするということであります。もし、国の都道府県に対する是正の指示が不服である、不当であると思料される場合には、その次元において今度は都道府県と国の間の係争処理の対象になる、こういう形になっているわけです。  したがって、あくまで都道府県が市町村の事務に関与するという場合には、都道府県と市町村との係争処理という形になります。したがって、いわゆる国地方の係争処理機関ということではなくて自治紛争処理委員会になっていくという考え方で整理をいたしておるわけです。  この場合に、あくまで都道府県に対して国がそういう是正の指示をする、当然のことながら、法令違反のような処理が行われているとかあるいは著しく適正を欠いて公益を害していることが明らかであるというような場合、まさに異例と言うとなんですが、そういう例外的なケースにおいて初めてこういった措置がなされることであるというふうに考えております。
  65. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ちょっと納得ができないんですが、国が都道府県に関与をして都道府県がその関与を主体的に判断する、そういうことを申されました。  もし、主体的に判断して都道府県が是正の指示をしなくてもいいと、そういうことを都道府県が判断をした場合、国はそれで結構ですということになるのかどうか。その場合、国は直接市町村に関与するということになるのか。同じ問題でも国が都道府県を通じてやった場合は自治紛争処理委員ですね。そして、都道府県がもう主体的に関与しない、そうした場合、もし国が直接市町村に関与した場合は同じ案件であってもそれは係争処理委員会で処理をしていくということになるのかどうかというのがまず一点。  それともう一つは、その自治紛争処理委員の事務局は自治省に置かれるというふうに私は聞いたんですが、都道府県と市町村の直接の争いなら私は自治省に置かれてもいいというふうに思うんですが、今のようなケース、自治省から都道府県に指示をして、そして都道府県が主体的に判断をして市町村に是正の指示をして、そこで争いになった場合、その自治紛争処理委員の事務局が自治省に置かれるということについてはやっぱり不公平ではないかというふうに思うんですね。  そういう場合は争いの一方の当事者も自治省になるわけですから、争いの原因をつくっている、こういうことになるんですが、その当事者が審判員の事務局を持つというのは、よく言われるどこかの野球チームが審判員、こういうふうになるわけですが、そういう不公平、不信感というのが市町村から生まれるのではないかというふうに思っておりまして、自治省に事務局を置くという問題についてはぜひ再検討をお願いしたいなというふうに思っています。  この二点です。
  66. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 第一点の、法定受託事務の場合、都道府県を経由しないで国が市町村に対して直接関与する場合があるか、これは第二百四十五条の七の第四項で緊急の必要がある場合には国が直接指示を出すことができることになっております。この場合は当然のことながら国、地方の係争処理ということになる理屈になるわけですね。  それからいま一つは、自治紛争処理委員が自治省に置かれるということがおかしいじゃないかという話があったんですが、私自身はどういう場合を想定して自治省がそれぞれ市町村に対してその種の事務処理に関して関与していくのかというとなかなか想定できないんです、率直に言って。ですから、論理の世界ではそういうことがあるいは言えるのかもしれません、ぎりぎり言えば。これは衆議院でもそんな話があったんです。中桐さんだからぎりぎりということになったのかもしれないんだけれども。  率直に言って、やっぱりこういったものはその地域のことに限定されているわけですから、国と地方というのではなくその地域のことに限定されているわけですから十分公正な判断というのは当然できるわけですし、またその事務局のことについてお話があったんですが、実際に都道府県と市町村の間の係争について審査をして、そして勧告などを行うのは自治紛争処理委員でありまして、いわゆる庶務を担当する職員がやるわけではありません。  その自治紛争処理委員というのはどういう形で選ばれるのか。これは国地方係争処理委員会のメンバーを選ぶのと同じような基準に基づいて過半数が同一の政党その他の政治団体に属することのないようにするとともに、在任中政党その他の政治団体の役員になり、あるいは積極的な政治運動をすることを禁止する規定などがあるわけでありまして、そういう意味で、そういう政治的対立がこの中で妙な形でねじ曲げられるなどということは、私は到底考えられない。私は、この点はぜひ御理解をいただきたいことだと考えております。
  67. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 済みません、時間が参りました。終わります。
  68. 輿石東

    ○輿石東君 民主党・新緑風会の輿石ですが、きょうは教育行政の分野から何点か質問をさせていただきます。  有馬文部大臣、昨年九月の第十六期の中教審答申も出されたわけですが、大臣は御承知のようにその中核におられ、まとめられた人ですから、思い入れも深いというふうに思います。私はその折に、今後の地方教育行政のあり方というのがテーマだったと思うわけですが、そこでその中教審の答申で現在の教育課題をどのように分析され、何が問題で、何をどのように変えていこうとしたのか。  その趣旨に沿って今度の分権一括法にかかわる教育分野の改正も行われているというふうに思うわけですから、まず最初に、その中教審答申の基本的な考え方と改革の方向づけは何だったかということを簡潔に御答弁いただければと思います。
  69. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) お答え申し上げます。  中教審を初めとしていろいろ教育改革を今文部省としても行っておりますけれども、何といっても、国民の平均学力の水準は保ちながら個性豊かな教育をしていくということが一つ大きな問題であると思います。  それからまた、いよいよ国際的に活躍をしていかなきゃならない、そういうときに、やはり国民が皆、倫理観をしっかり持った思いやりのある心というふうなものも育てていかなきゃならない。そういう意味で、まず生きる力というものを提案いたしました。それは、みずから考えみずから問題を解決していくという力と、それから先ほど申し上げました思いやりの心、倫理観、そういうものを持つ、そして美しいものを美しいと思う健康な心と体力、こういうふうなものを備えた人物を育てていきたい、これが一番大きな目的であるかと思います。  それに向けまして今大いに努力をしているところでございますが、同時に、心の教育という面でも大いにこれから考えていかなければならないといたしまして、さまざまな方向に手をつけているところでございます。
  70. 輿石東

    ○輿石東君 私がお願いしたのはそういうことではなくて、この地方分権一括法、教育行政のあり方、それに焦点を絞って、今度の改革でどこをどういうふうに改革しようとしているのかという点をお答えいただきたかったわけであります。
  71. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 少し広くお答え申し上げて失礼いたしました。  先ほど申しましたように、子供の一人一人の個性を尊重していく、そして先ほど生きる力ということについて申し上げましたが、その生きる力をはぐくむために、現在、文部省においては教育改革を進めているということは申し上げましたし、心の教育の充実、学習指導要領の改訂など教育内容の見直しを図っているところだということをまず申し上げます。  このような教育改革を実現するためには、各学校が地域の特色を生かして創意工夫を凝らした教育活動を展開できるよう学校の自主性、自律性を確立するとともに、教育委員会が地域の実情に応じて主体的かつ積極的な教育行政を展開し、学校や地域の活動を支えていくことができるよう教育委員会の機能の充実を図ることが必要であると考えております。  こういう観点から、平成十年九月の、先ほど御指摘中央教育審議会の答申「今後の地方教育行政の在り方について」では、学校の自主性、自律性の確立や教育委員制度のあり方など、地方教育行政制度全般にわたってさまざまな具体的方策を提言いたしております。  文部省では、このような答申を踏まえまして、まず第一に、国の役割を明確化する、二番目に、文部省や都道府県教育委員会が行う指導、助言、援助に関する規定などを改めるなど、国、都道府県、市町村の関係の見直しを図っております。三番目に、教育委員の数の弾力化、教育長の任命承認制度を廃止し、都道府県等の教育長を教育委員のうちから選任することなどの教育委員制度の改善等について今回の法案に盛り込み、御審議いただいているところでございます。  今後さらに、学校の自主性、自律性の確立に向けて、学校管理規則の見直しなど学校と教育委員会の関係のあり方の改善、校長の責任のもとに教職員が一致協力して学校運営を行うことができるよう校内運営組織の見直し、地域住民の学校運営への参画を促すための学校評議員制度の導入などを積極的に進めていくことを考えております。
  72. 輿石東

    ○輿石東君 今、文部大臣から、国の役割を明確にし、教育行政においては指導、助言というような形がよく行われる、これの見直しをして、学校が主体的に自主的にできるような運営にしていく、それが個性重視の教育につながるんだ、要約すればそんなことを言われたのかなと思いますが、それでよろしゅうございますね。──結構です。  それで、私がきょう問題にしたい点は、文部省はいわゆる指導通知というような形で指導、助言を学校現場や教育委員会にやるわけですけれども、この指導、助言のあり方が大変問題で、ややもすると中央集権的な仕組みになっている、こう中教審でも指摘をされているところだと思うわけであります。その辺を文部大臣に、みずからつくった答申ですから言ってほしかったわけですけれども、言われませんので私の方で指摘をしておきたい、こう思います。  そこで、通知や通達の見直し、文部省では指導通知の見直しというような言い方をしていますけれども、教育の問題にかかわっていますけれども、自治大臣にここで、先ほど高嶋委員とのやりとりもありました、文部省、県教委、市町村教委という指示系統の中で、今までは指導、助言というような形でいろんな関与がされていた。そして今回、改正自治法の二百四十五条の九にもかかわって法定受託事務の処理基準、これを今後各大臣が、来年の四月からこれが施行されるとすればその間に処理基準というものをつくらなければいけない。それに当たって、そのつくり方が余り明文化されているとも思えない。  そこにかかわって、最初に通知と通達というものの違いをもう一度自治大臣から教えていただきたいし、それと機関委任事務廃止に伴ってその処理基準を来年四月までに各大臣がつくるとしたら、そのつくるに当たっての方法といいますか、どのようにしていけばいいのかという点について触れていただければありがたいというふうに思います。
  73. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 従来、通達というのはいろんな意味で使われていまして、必ずしも厳密な意味で定義づけをされた上で通達という言葉が使われていなかったわけです。しかし、基本的に法的な裏づけということから言えば、機関委任事務については国の包括的な指揮監督権がある、したがって事務の管理、執行全般にわたって通達という形で一般的に定めるということができたわけでございます。  その中で、一般的に定めるということもできたし、また具体的な事例について個別の指示を通達の中において定めるということも可能であった。あるいはまた、一定の事項については国との協議とか承認を義務づけるというようなこともこの包括的な指揮監督権という背景の中で可能であった。通達というのはそういう背景があったということでございます。  これに対して助言、勧告というのは、これはこれからも行われるわけですが、あくまでそういった権限的なものはございませんで、御指摘ございました通知ということになるわけであります。したがって、これはいわゆる義務的なものを伴うものではございません。そういう点で明確に通達というものが整理をされなければいけないというふうに考えております。  繰り返しますが、これまでそういう助言や勧告として行われてきた通知も含めて通達というふうに呼ばれたわけでありますが、今後においては、明確にこの処理基準というのは助言、勧告とは異なるものであるということで定められなければならないと考えております。  そこで、ではその処理基準というのはどういうふうに定められるのか、いつまでに大体定めるのかということになるわけです。  これは、現時点で各省庁において整理整とん、交通整理してもらわなければなりません。要らなくなったものは廃止になるでありましょうし、なお拘束力を持って必要であるというようなものについては、これは処理基準という形で本法案施行までのできるだけ早い時期において作成されることになるものであると考えておるわけでございます。  この処理基準というのは、機関委任事務のときとは異なりまして、あくまで一般的な基準として定めるものであって、その内容も目的を達成するために必要な最小限度のものに限られるということでございます。また、先ほど申し上げましたが、機関委任事務時代における通達では、一定の事項について国との協議や承認を義務づけることも可能であったわけですが、この処理基準というのはそのような関与を定めることはできないというふうに考えております。
  74. 輿石東

    ○輿石東君 今、通達と通知の違いもありましたし、機関委任事務が廃止され、包括的な指揮監督権、これが取り払われても、なお通知という形で国が一定の関与をしてしまうような危険も残されていると思います。そのためにも、この処理基準の交通整理をしなければいけないと自治大臣からも指摘をしていただいたわけですけれども、そこで文部省の方にお伺いしたいと思います。  地教行法、地方教育行政組織及び運営に関する法律という長ったらしい法律ですけれども、地教行法四十八条では、指導、助言、そういうようなものがうたわれていますが、ここも今回の改正の対象になったというふうに思います。  そこで、今、自治大臣が言われましたような処理基準を来年の三月までに設定するとすれば、どのような形で文部省としてはこれを行うつもりなのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  75. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 現在、文部大臣は、地方教育行政組織及び運営に関する法律四十八条によりまして、都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会等に対しまして指導、助言、援助を行うものとすると、こうなっているわけでございますけれども、これは、今後、援助を行うことができるという形での法改正を現在お願いしております。  これは、今後、都道府県や市町村の主体性をより尊重するという観点、都道府県や市町村の自主的な判断を過度に制約することがないようにという観点から文部省の指導行政あるいは通知、通達等のあり方も含めまして全体として見直す、こういう観点から法律改正をお願いしているところでございます。  既に文部省内におきましては、昨年の中教審の答申を受けました段階で必要な通知、通達等の見直しに着手しているわけでございますけれども、現在のところ、通達というものにつきましては機関委任事務に限るということで当面整理をさせていただいておりますが、今後、改正地方自治法の規定に基づきまして機関委任事務制度が廃止されるという際には通達というような形式はなくなるもの、こう考えているところでございます。  御指摘のように、これまで機関委任事務あるいはそれぞれの地方公共団体の団体事務等を含めまして通知という形で指導されているものも大変多いわけでございまして、先ほど自治大臣からお答えがございましたような趣旨を私ども十分踏まえまして、指導のあり方等を含めまして、処理基準で示すべきものにつきましては、それが処理基準であるということがわかるような外形的な側面を含めまして今後十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  76. 輿石東

    ○輿石東君 今、御手洗局長の方では、この処理基準は文部省のその問題にかかわるものは法定受託事務に限っていく、そしてその法定受託事務ということがはっきりわかるような方法でこれを見直していくという答弁があったわけですけれども、法定受託事務としてどんなものが文部省関係にはあるのか、教えていただきたいというふうに思います。
  77. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 今回の一括法によりまして、今後、文部省関係で機関委任事務を廃止した後なおかつ法定受託事務となるものにつきましては、法律レベルでは四十一本と考えているところでございます。  その大きなものは、学校法人、宗教法人に関する事務の取り扱い、学校法人の寄附行為の認可、あるいは宗教法人の設立の際に行う規則の認証、これが一つのグループでございます。  もう一つは、教科書発行のための需要数の報告や文化財保護のための史跡、名勝、天然記念物の仮指定など、国が直接執行する事務の前提となる手続の一部のみを、地方公共団体が処理されている事務で当該事務のみでは行政目的を達成し得ないもの、こういったものにつきましては地方分権推進計画に従いまして法定受託事務として残していくこととしているところでございます。  このほかに、各省庁と同じ並びの事務でございますけれども、市町村に対する国の負担金、補助金を都道府県教育委員会にお願いする、この点につきましては今後とも法定受託事務という形で処理されるものと考えているところでございます。
  78. 輿石東

    ○輿石東君 今聞いた範囲では、文部省関係では法定受託事務として扱うものは学校法人の寄附行為に対するものその他幾つかありましたけれども、これは教育課程や教育行政の余り中身にかかわっていない、そう思いますので、それなりにいいだろうと思うわけですが、教育内容や教育指導という中身まで法定受託事務、法的根拠がありますというような形で今後は通知や通達は出さない、こう言い切れますか。
  79. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 学校教育法におきましては、各学校において教育活動を実施する際の基準となります教育課程につきましてその基準を文部大臣が定めるということになっているわけでございまして、この学校教育法の法定に基づきまして、現在全国的な教育課程の基準といたしまして学習指導要領が設けられているところでございます。  これは現在新しい学習指導要領、平成十三年度から全面実施ということで予定をしておりまして、その内容につきましては、現行のものよりもさらに一層の大綱化等を図りまして、各学校におきます教育活動がより主体的創意工夫を持って行えるようにという観点からの弾力化等の措置を図っているところでございますけれども、これは全国的な基準といたしまして、今後とも各学校における教育課程の編成並びに実施におきましては、基準として従っていただくという法的性格を持っているものでございます。  なお、これに基づきまして、文部省が助言、指導あるいは必要な支援措置等をする、これは今回の地教行法の四十八条の改正に基づきまして、より一層その趣旨を踏まえた上での指導、助言、援助等のあり方を私どもとしてもつくり上げてまいりたいと考えているところでございます。
  80. 輿石東

    ○輿石東君 ちょっと局長の答弁は長くて何を言ったのかよくわからない。私の質問は、指導要領とか教育内容について、法的拘束力があるかのようにきつい指導は今後は教育委員会や学校現場へは行いませんね、こう聞いたんですから、するとかしないとか答えていただけば結構です。
  81. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 学習指導要領につきましては、法定受託事務であるとか自治事務であるとかということではございませんで、文部大臣が定める教育課程編成の基準でございます。したがいまして、これは今後とも全国的な基準の設定として文部大臣が学校教育法に基づいて持っている権限でございますので、学習指導要領は法的拘束力を持つという考え方は今後とも変わらないわけでございます。  ただ、学習指導要領の個々の内容につきまして、それがどの程度現場を縛り、どの程度の弾力化を与えているかということは、学習指導要領個々の規定の内容に照らして判断されることと考えているところでございますが、全体としてはこれは法的拘束力を持つということでございます。
  82. 輿石東

    ○輿石東君 学習指導要領に法的拘束力がある、その辺は十分私も理解をしているつもりであります。  その基準を決める、これが国の役割。中身は相当部分指導要領の弾力化、大綱化、文部大臣は触れませんでしたけれども、そういうものに変えていくというのが今回の中教審の骨格だったろうと思うわけですから、その趣旨を踏まえてきちんとやっていただきたい。  いつまでもこの議論をしていても時間がありませんので、次に学校教育法の百六条の改正、これは衆議院でも相当議論をされました。  戦後、昭和二十二年に学校教育法ができて、次の年に教育委員会ができた。そして、そういう一年違いの経過もあってこの監督庁を当分の間文部大臣とする、こういって当分の間が昭和二十二年から五十何年も来た、この経過はいろいろあったでしょうけれども。その折に政府委員が五十年前に指摘したことは、地方公共団体に教育委員会や受け皿が整備されたら国にある権限もできるだけ地方へ移していこうというのがその趣旨だったと思うわけですけれども、その確認をしたいと思います。
  83. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 過去の政府答弁の経緯でございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  学校教育法制定当時、昭和二十二年三月十九日と三月二十四日、衆議院と貴族院におきまして、当時の政府委員の答弁があるわけでございます。  御指摘のとおり、当時、都道府県、市町村に教育委員会という制度を予想しておりましたけれども、それがまだできていないという状況でございましたので、読み上げますと、「それが完成いたしました場合においては、相当の部分を都道府県、市町村に移しまして、文部大臣の権限からはずしていいのじゃないか。そういうようなことを考えまして、どの程度にそれをはずすかは、実際地方の分散の程度なり状況によって違うと思いますので、そういう際に研究して移すようにいたしたい。」、あるいは「其の地方の分権の程度に依りまして、残さなければならないものは矢張り将来共に残さなければならぬものがあると思います、」、こういうような答弁をしているわけでございます。その後、昭和二十三年になりまして教育委員会が設置されました際に、新たに百六条の二項が追加をされまして、具体的には、公立の高等学校、幼稚園の設置認可あるいは学校の閉鎖命令、これにつきましては、監督庁は、当分の間、都道府県の教育委員会とする、こういう見直しも行われた上で今日に至っているところでございます。
  84. 輿石東

    ○輿石東君 できるだけ国の関与や権限を地方に移すというのが今回のすべての分権一括法の精神だと、こう思われるわけです。  教育行政中央統制の象徴として、県の教育長を文部大臣が任命、承認するというのは、これは外されたわけですね。だから、よく議論の中で、顔も名前もわからない県の教育長を文部大臣が何で承認しなければいけないのか、これはだれが考えても少しおかしいのではないか。それがやっと五十年たって一つ分権への第一歩をやった。  しかし、なかなか中身は変わらない。その中身の変わらない典型として、文部省の中に教科調査官というのが置かれていると思います。また、県には、それを受けての県の指導主事、こういう人たちもいるわけですが、この人たちの任務とその見直しも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 教科調査官は、文部省に置かれます職でございます。「初等中等教育における教育課程の基準に関する調査及び教育課程に関する指導、助言に当る。」と職務が規定されてございます。それから、指導主事は、各地域の「学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導」を行うというふうに明定されているものでございます。それぞれの教科、道徳、特別活動の専門家として、教科調査官、指導主事、大変重要な役割を担っていると思います。  ただ、先生のお尋ねは、各教科調査官、各指導主事がそれぞれの各教科なり道徳なり特別活動という視点から見ることを強調して、学校教育全体の教育の編成、活動のあり方といったものを全体として見るということがもっと必要なのではないか、そのためには、全国的に画一的にならずに、各地域地域のさまざまな教育活動、特色ある教育活動を生かすようなそういう姿勢が必要なのではないかということだろうと思います。その点についてはそのとおりだと思います。  したがって、各教科調査官あるいは指導主事が、各教科、道徳、特別活動にのみとらわれないで、全体として子供をどのように育てていくかという広い視野に立っての指導というものが必要であろう、こういうふうに考えるところでございます。
  86. 輿石東

    ○輿石東君 ありがとうございました。今、辻村局長の言われるような方向で、教科調査官、指導主事というのをぜひ早急に見直していただきたい、こう思います。  一つ、くどいようですが例を言いますと、教育課程を再編成していくというのが最大の課題にもかかわらず、教科調査官というのは各教科の専門家であって教育課程をつくる専門家ではないわけですから、その人間に教育課程までつくらせているというところに教育課程がなかなか全国統一、画一的なものから脱皮できない最大の原因があるということを文部省も再認識していただきたいと思うわけであります。  なお、教科書調査官、なかなか紛らわしい言葉がたくさんあるわけですが、この教科書調査官というのが文部省の教科書検定に深くかかわっているわけですね。そのことについては、時間がありませんので省略をしたいと思います。  なお、文部大臣が非常に力を入れたナショナルカリキュラムセンター、そういうものもあるからこのセンターをつくろうということで御努力をいただいていることに敬意を表します。ぜひ実現をしていただきたいというふうに思います。答弁は結構ですから、お願いをしたいと思います。  なお、この種の話の最後になりますけれども、学校に自主性、主体性を持たせるというのも一つの大きなネックになっているわけで、その点から申し上げますと、学校経営上、学校事務職員という者の位置づけが大変重要になってくる。その学校事務職員の処遇や研修、そして力量を高めるということも捨てておけないと思いますが、この点についての考えがあったらお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  87. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 各学校が特色を持って生き生きと教育活動を展開する。そのためには、校長の指揮のもとに各教職員がそれぞれの力量を十分に発揮する、教育指導面での指導力の充実ということが大変重要であるわけでございますが、それを財政的な側面あるいは学校の管理の運営という面で支えますのが学校事務職員でございます。  例えば、理科の設備その他さまざまな設備について、自分の学校としてはどういった設備が備えられるべきであるか、あるいは学校図書館の図書の整備というのはどういう基準で整備されているか、そういった行財政上の基本的な知識といったものは、個々の先生は学校教育に専念しておるわけでございますので、そういった面はむしろ学校事務職員の専門とするところであるわけでございます。そして、その事務職員の方々が十分な知識を蓄えて学校を支えるということなしには学校は進展していかない、こういうふうに思います。  そういう意味で、個々の事務職員の研さんということも大事でございますが、時々に合った情報を的確に持つという意味で、研修も大変重要だと思います。これは、各県もそうした視点に立って一生懸命この研修について力を注いでおりますが、文部省といたしましても、中核になるような事務職員につきましては、全国研修等を実施いたしまして、今その力量向上ということに力を注いでおりますが、これからも大きな課題として力を注いでまいりたい、こういうふうに考えております。
  88. 輿石東

    ○輿石東君 ぜひそういう方向で御検討をいただきたいと思います。  本当に最後になりますけれども、官房長官に急なお願いで大変恐縮だったと思います。  と申しますのは、昨日から日の丸・君が代問題について衆議院内閣委員会でいよいよ審議がスタートしたというふうに思います。教育現場の過去の歴史を見ますと、この種の問題で文部省と教育現場が混乱を起こしたり対立をした悲しい歴史もあるわけであります。加えて、広島の世羅高校の校長先生がとうとい命をこの種の問題でなくされた。もうほうっておけない、そんなものも法制化のきっかけになった、そんな話も出てきているわけですが、先ほど朝の官房長官の答弁の中に、私自身も戦争世代を生きた人間の一人としてというお話もありました。  そこで、昨日、官房長官はこの問題について、学習指導要領、教育現場、そういうものの混乱を防ぐためにも、法的根拠としてこの問題にも取り組まなければならないという意味のことも発言されたやに聞いております。さらに、これが法制化されても決して強制をしたり義務化をするものではない、そういう国の姿勢を明言されたというふうにも聞いておるわけですが、この点について御確認をいただきたいというふうに思います。
  89. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 政府といたしましては、今回の国旗・国歌の法制化に当たりまして、国旗の掲揚等に関しまして義務づけを行うことは考えておりません。したがって、国民の生活に何らかの影響や変化が生ずることとはならないと考えておる旨を明らかにしたところでございます。  なお、学校におきます国旗と国歌の指導は、児童生徒が国旗と国歌の意義を理解し、それを尊重する心情と態度を育てますとともに、すべての国の国旗と国歌に対しましてひとしく敬意を表する態度をはぐくんでいくために行っているものだと考えておるのでございます。  文部大臣からもお答えがあろうかと思いますけれども、そういう意味におきまして今回の法制化といいますものは、今、委員が御指摘になりましたように、従来とかく、文部省の指導要領と国旗・国歌の掲揚あるいは斉唱を通じて、教職員組合、その他運動団体との間に、どこに根拠があるんだということで、管理者を初めとする人たちは大変な苦しみのはざまに挟まれてまいりました。  広島県の世羅高校の石川校長の自殺もまたそういうところにあったと思うことを考えますときに、今回、こういう第二、第三の石川校長を生まないためにも、法制化をして根拠を設けるということはむしろ明確な教育上の配慮であり、従来の教育上の方針が変更されるとは私は考えておらないところでございます。
  90. 輿石東

    ○輿石東君 今、官房長官の御発言の重みというものを文部大臣感じておられるというふうに思います。  そこで、文部大臣、先ほどちょっと教科書検定に触れましたが、もう議論する時間はありませんが、教科書調査官は、教科書会社に対してこの種の問題を、参考意見を言うことはできても、こうしろという指示はできないのに、それをあたかもあるかのように行き過ぎた指導をしている面もあるわけです。こうした点については、相当自重してもらわなきゃいけないし、今回の改正案について見直しの趣旨もそこにあると思いますので、その辺の決意についてだけお聞かせをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  91. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) この点に関しては、文部省はいろいろと手を打っているところでございますので、御趣旨が生きると思います。
  92. 輿石東

    ○輿石東君 ありがとうございました。(拍手)
  93. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  94. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  この際、委員長から申し上げます。  伊藤理事から、依田委員に対する答弁の際、太田総務庁長官の発言中、不適切な言辞があるとの御指摘がありました。  この取り扱いについて理事懇談会で協議の結果、当該部分を削除することといたします。  この際、太田総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。太田総務庁長官
  95. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほどの依田委員防衛庁昇格問題の御質問に対し、不適切な答弁を行いましたことを陳謝し、改めて答弁させていただきたいと存じます。  防衛庁の省への移行については、行革会議でもさまざまな御議論がなされたが、今回の中央省庁の再編に当たっては、防衛庁は現状どおりとされたところであります。  また、行革会議最終報告にもあるとおり、新たな国際情勢のもとにおける我が国防衛基本問題については、別途政治の場で議論すべき課題とされているところであります。  いずれにしても、国民の十分な理解が得られる形でこの問題についての議論が尽くされることが重要であると考えております。     ─────────────
  96. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 休憩前に引き続き、内閣法の一部を改正する法律案外十七案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 早速、自治大臣にお尋ねいたします。  六月二十九日に東京都議会が開催をされまして、この四月に誕生しました石原都知事が初めての施政方針演説を行いました。  それによりますと、東京都の財政に触れられた中で、平成十年度一般会計が実質的な赤字になり、その額は三千五百億に達するであろう、そうした厳しい状態はこれからも続くし、放置すれば東京都は財政再建団体への転落も免れない、財政再建を今後進めるに当たっては、職員定数の削減あるいは給与関係費の見直しを初め、聖域を設けず事業の見直しを行うなど、強調されております。  東京都の財政問題というのは、もちろんその財政再建ということについても第一義的には東京都の責任であることは間違いないと思いますけれども、そうはいっても、国は東京都の事務の八〇%を占める事務を委託しておりますし、また一般財源だけではなくて国庫支出金や地方債の起債を通じて東京都の財政を統制し、あるいは政策誘導等をしているのが現状だと思います。  そういう観点からすると、国としても、あるいは地方行政地方財政のあり方としても決して無関心ではいられないであろうと思います。  また、東京都の財政というのは、現行の地方自治制度そのものの危機の象徴かもしれません。そういう意味では、各都道府県もこれにどう対応するのか、あるいは国がどのように措置するのか、援助するのか、そういったことも含めて注目をしているのであろうと思います。  なぜ東京都が財政危機に陥ったのか、国としてどのような対処をできるのか、あるいはすべきかということについて御認識を伺いたいと思います。
  98. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今日の地方財政の状況は、率直に言って惨たんたるありさまだと思います。  御指摘のとおり、東京都においてもそうですが、それまでは比較的大都市部においては不交付団体がそれなりにあったわけであります。平成四年度まではそういう意味で神奈川県とか大阪府とか、こういったところも不交付団体であったわけですが、既に今日は交付対象団体になってしまっております。これは、やはり今日の経済の低迷を反映して、大都市部においては特に法人関係の税の収入が激減をしてしまっているということが極めて大きく影響を与えていると考えております。  したがって、もちろん国、地方の税源の配分の見直しということも大事なテーマでありますが、まずはこの景気を何としても立て直して、国も地方も安定した税収が得られるような、まずその前提になるところをつくっていかなければなるまいと考えております。  こういう厳しい状況下にあって、東京都も大変御努力をされておるように見ております。今日までそれなりに財政再建あるいは財政健全化の努力をしておられるわけですが、平成十一年度はさらに財政の構造改革を進めるために、今月末を目途に財政再建推進プランを策定されるというふうな自主再建に向けた取り組みをしておられるというふうに聞いております。つい先日も石原新知事から東京の厳しい状況について要請をいただいたところでもございまして、重大なる関心を持ち、できるだけの自治省としても支援ができる範囲においては支援をしてまいりたいと考えております。  なお、特に本年度については、こういう厳しい地方財政の状況の中にあっていわゆる恒久的な減税も行ったわけでありまして、それに伴って、交付税ということではございませんが、たばこ税の国、地方の配分割合を地方に一定割合を移譲するという措置が講ぜられる、あるいは今年度創設をいたしました特例交付金、これは不交付団体にも当然交付をされるというような形をとることによってそれなりの対応をいたしておるということは申し上げておきたいと思います。
  99. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 ただいまの財政再建推進プランをつくるに当たってということで、東京都はパンフレットをつくられました。  これはコピーでございますが、この「危機に直面した東京の財政」というパンフレットによりますと、東京都が実質的に赤字基調になったのは平成二年度以降であるということをまず冒頭に掲げまして、その原因は基本的には歳出と都税収入のギャップにあるということを言いつつ、とりわけ平成四年度以降税収が急速に落ち込む中、都債、地方債のことですが、を活用し、国の景気対策に呼応して公共投資を中心に景気対策を行うなど、歳出水準の維持に努め、右肩上がりの経済に期待した財政運営をしたために赤字がひどくなったんだということを訴えております。  もちろん、東京都の場合にはバブルに入ってから公共事業、公共投資みたいな事業を進めたわけではなくて、既に御指摘のように、東京武道館とか体育館とか、あるいは東京芸術劇場、都庁舎、あるいは江戸東京博物館その他がありますし、そのほかに一九八八年に策定された臨海副都心構想に基づく埋立地の問題も抱えている。そういったものが重なっているということは当然のことでありますけれども、この問題については、日本経済の持続的な成長というか、右肩上がりの経済を信じ、また土地神話を疑わずに東京都が展開した面ももちろんあるわけですから、東京都の責任は免れないとは思いますけれども、バブル崩壊後のツケについては、累次にわたる国の景気対策が相当大きく影響をしているのではないかと思うわけであります。  東京都の財政危機が国の景気対策と連動しているという見方について、自治大臣はどのように認識されておりますか。
  100. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 結論から言うと、そのとおりというわけにはいかないと思っています。  今、まさに寺崎委員指摘ございますように、臨海副都心の話であれ、かなりの部分は東京都が右肩上がりを前提として独自の地域開発計画なりいろんな施設をつくる計画をおつくりになったわけで、これは必ずしも、国の景気対策としての要請にこたえてやりたくもない仕事を無理にやらされたという世界のものではないと思います。  ただ、地方財政全般からいえば、もちろん国として景気ということは、それは何も国だけのテーマではありませんで、特に地域においては雇用であったり、地域経済あるいは地域における社会資本整備のニーズということも考えた上で事業を施行していただいたわけでありますけれども、いずれにせよ、国においてもそれに必要な財政的な支援措置を講じた上で協力を要請してきたことも事実でございます。それはそれなりのまた効果があったことも事実ですが、結果において地方財政にそれだけの負担を残したということもこれまた事実でございます。  ただ、東京都においてそういう他の道府県と同じ目で見ていいかどうかということは、少し素直にそのとおりとは言えない部分はあると思っております。
  101. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 それぞれの都道府県ごとの事情というものがあるわけですから一概に論ずるわけにはいかないと思いますけれども、しかしながら、バブル崩壊後の例えば地方単独事業を一覧表にしたものを拝見しますと、平成二年から地域づくり推進事業、総事業費として三兆三千億円支出しているとか、あるいは平成五年から始まったふるさとづくり事業が今も続いている、ないしは平成三年から商店街等振興整備対策事業、あるいは同年から高齢者保健福祉推進特別対策事業とか、平成四年からは看護系短期大学の施設整備等に巨額なお金が投じられているわけであります。  もちろん、今、自治大臣がおっしゃられたように、単独事業というのはそれぞれの都道府県の判断で行うわけでありますから、その責めは都道府県にあると言ってもいいわけでありますけれども、しかし、国と地方の仕組みからいうとそうとばかりは言えないんじゃないでしょうか。  というのは、地方単独事業といっても、結局のところ、起債枠の拡大とか、あるいは当該地方債の元利償還金について地方交付税措置を講じるなど強力な後押しをしてきたということは否めないと思います。言い方を変えれば、一九八〇年度以降、国は国の財政再建のために補助事業に対する補助率を下げてきました。その影響で地方単独事業が増加することになったんではないでしょうか。地方が国の景気対策を肩がわりしたと言ってもいいんではないかと思うわけであります。  その証拠に、地方単独事業の財源である一般財源と地方債の割合というのは、一九九六年を境にして圧倒的に地方債の比率が高くなっております。高くなったということは、地方単独事業、必要な事業を進めるということでもありますから悪くはありませんけれども、そのために放漫経営になった県もあるのかもしれません。長期展望のないまま不要不急の箱物がたくさんできたというのもこの時期なのかもしれません。  自治大臣にもう一度お伺いしますけれども、本来、景気対策とかフィスカルポリシーというのは国の機能だと私は思います。にもかかわらず、一方では国債発行を抑える、抑制する、全く出さないなんということは言いませんが、抑制することを一生懸命やり、それに肩がわりさせる格好で地方債がふえたというのはやはりどこかおかしいんではないか。結果として地方財政制度を破壊させてきたんではないか、破綻させてきたんではないかと思えるわけであります。  また、補助事業にしろ単独事業にしろ、それには地方の裏負担分を国が肩がわりするというのが大体ついて回っているわけであります。こういうやり方を今後とも続けていいんだろうかという疑問もあるわけでございます。  そういう国債を減額する、あるいは地方債に肩がわりさせる、それから今のような裏負担を国が補てんするというやり方を今後とも続けていいかどうか、そういうことについての御認識を伺います。
  102. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 何点かあろうかと思います。  御指摘のとおり、今日まで、特に緊急経済対策という形で地方公共団体に公共投資に対して協力を要請するというような場合に、補助事業については、例えばその財源手当てについて起債の充当率を高めるなりというような対応をし、そしてまた元利償還について、一定割合を将来の地方交付税の中に算定して実質的に地方負担をその部分だけ軽減するという形をとることによって公共投資の促進に協力をお願いしてきたということがあったことは事実でございます。  それは、単に国債の肩がわりを地方債に振りかえるというような意味ではなくて、今申し上げましたスキームから考えても、そのことによって地方財政にしわ寄せされることを極力避けるという、そのために元利償還について交付税で算定をして、その自治体の償還に対して財政の圧迫をできるだけ避けたいという配慮があるということは御理解をいただけることだと思います。  しかし、いずれにせよ、今日までそういったことが行われてきたことによって全く地方財政に何の負担も残さなかったかというと、そういうわけではありませんで、かなり大きな重圧となるような負担を残しているということも現実でございます。  そういった点で、今までのようなやり方でそもそも本当にいいのか、景気対策ということに対する対応のあり方、これは大蔵大臣の方でもこの前から予算委員会を初めいろんな場面で御答弁をいただいておるところでありますが、あり方についてもっともっと知恵を出していかなければならないというふうに考えておりますし、自治省としても今日までの延長線をそのまま今後も続けるということは私は再検討されなければならないテーマであると考えています。  ただ、全く今までのやり方がマイナス面だけで、地方自治体としては負担だけを強要されたのかというと、私はそうではないと思っています。それは、何といっても経済対策、雇用の問題ということは単に国だけの責任の話ではない。やっぱりそれぞれの自治体においては自分たちの地域における雇用、地域の経済をどうやって活性化させるかということは自治体固有のテーマでもあるわけでありまして、人ごとではないわけであります。  そういった側面もございますし、また公共事業という面でいえば、そういった社会資本の整備についておくれている地域については、やはり切実な必要を伴うような事柄も現にあるわけでありますから、そういう意味で公共事業は全くむだなものをやってきたということで片づけるのは行き過ぎではないか。  そんなことを考えますときに、いろんな反省点はありますけれども、私どもがこれからなすべきことは、地方財政をどうやって早く健全化できるような制度論における対応ができるのか、そのための前提になる経済の立て直しということをやはり優先しなければならない、そう考えております。  答弁が長くなって恐縮です。ただ最後に一点だけ申し上げますが、東京都の場合はそのように計算してもなおかつ基準財政収入の方が基準財政需要を上回っておるということの結果、不交付団体ということでございます。そのこともあわせて申し上げておきます。
  103. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 今の問題にかかわってもう一つお尋ねしますが、一九八〇年度以降、国の補助事業について補助率を下げてこられました。これはどういう理由ですか。補助事業に対する補助率を下げたというのはなぜですか。  景気対策をやるのであれば、補助事業をどんどんふやす。そのためには補助率を下げるのではなくてむしろ上げるというのが今までの国のやり方だったんではないか。したがって、私は先ほど、国の国債を抑制するために補助率を下げて地方債を発行させるようにしむけたんじゃないか、こう申し上げたんです。
  104. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 私の記憶が間違っているかもしれませんが、間違っていないとすれば、補助率のあり方というのは必ずしも景気対策ということとは関係をさせないで行われたと思います。そして、小さな零細補助金はもうできるだけなくしていこう、それから余り高い補助率も問題だということで、十年以上前でしょうか、補助率についてトータルとして補助金整理の一括法を出して、この国会で相当の議論を重ねてやった経緯があったと思っております。したがって、景気対策は必要か必要でないかというたびに個別事業の補助率を上下変動させるということはかえって財政のあり方としていかがなものかという判断があったように私は記憶をいたしております。  むしろ、そういう点で、地方団体にそれだけの景気対策としての配慮を要請しようということであれば、そのことが地方の財政を圧迫しないような配慮を国として行うという趣旨から、起債と元利償還に対する交付税措置という形での財政支援措置を講ずることにしておるというふうに私は理解をいたしております。
  105. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 少し観点がずれているのかもしれませんが、景気対策をするために公共事業はやらなければいけないと。従来だったら国の補助事業を拡大するという方法をとったのではないんでしょうか。であれば、補助率だって据え置きないしはもう少しふやすというのが当時のやり方としてはよかったんじゃないか。やっぱり国債費を減らすという気持ちがあって補助率を下げたんじゃないかと私は疑っているわけです。  突如として宮澤大蔵大臣にお尋ねしてよろしいですか。  国債費を抑制するために補助率を下げたという私の主張というのは、国全体の負担部分というんでしょうか、持ち出し部分を減らすためにやったというようなことはないでしょうか。そのために地方の起債がふえたということはないでしょうか。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど自治大臣がいみじくもお答えになられましたように、公共事業というものが、あるいはそこから生まれる雇用というものは国だけの問題でない。地方にもそれだけの受益がないわけではない。あるいはまた、今年度は国と地方でいろいろお話をし合いまして、従来の不交付団体に対する特例債でありますとか、あるいはたばこ税の取りかえでありますとか、いろいろなことを自治大臣と御相談しながらいたしました。という意味は、端的に申して、地方にもいろんな負担を背負ってもらうのでそれだけのことは国としてもしなきゃならない、そういう気持ちを持っておることは確かでございます。  ですから、おっしゃっている国の景気回復策のために公共事業をたくさんやる、地方の負担がある、あるいは単独事業をお願いするといったようなことで地方財政を圧迫していないかとおっしゃれば、それは国の財政が圧迫されるように地方財政もやっぱり圧迫しているということは私は否定のしようもないだろうと思います。ですから、地方にもいろいろ負担をかけておるなというような意味で大変素直な気持ちで申しますと、そういう感じはございます。
  107. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 また東京都の問題に戻りますけれども、九九年度の当初予算というのは、例えば中央卸売市場会計から二千億借りますとか、減債基金への積み立てを一部繰り延べますとか、都債の新規発行を抑えるとか、いろんな調整措置を講じて予算を組んだということを聞いております。  そうなりますと、先ほども自治大臣がちょっと触れられましたけれども、東京都は地方交付金の不交付団体であるわけですね。都民からいうと、東京都のように国から交付金も受けていないところが赤字で、たくさん交付金をもらっているところが黒字というのはおかしいんじゃないかと。都民はそんな詳しい仕組みは知りませんから、そう思うと思いますし、またそれだったら東京都も交付金をもらったらどうかと。先ほど計算の仕組みのことをおっしゃいましたけれども、それはあくまでも約束事なので、少し東京都に厳しい算定方法を採用しているのではないかというように考えることもできないわけではないわけです。  それなので、そういう都民の声にどういうふうに答えたらいいのか。ないしは、もし赤字再建団体に指定されたとすればどういう制約、都民生活への影響があるのか、その辺についてお話しいただきたいと思います。
  108. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 交付税を算定する場合に、基準財政収入それから基準財政需要という言うなら標準的な財政収支の計算をする、それに基づいて適正な配分が行われるようにという仕組みになっておることはもう御承知のとおりです。そうでなければ、やはり国としても、当然のことながら税源が偏在しておるわけですし、それからどの地域に住もうが必要な最低レベルの行政サービスの水準というものも現にあるわけですから、そういった意味で、団体間の財政的な不均衡、あるいは必要な行政水準の維持、そういったところから、この仕組みそのものは私は今後においても当然必要なことであると思います。  その際に、では大都市だけが不都合な、不利な計算になっているか。もしもそうであればこの制度は大体今までもつわけがありません。そういう点で、都市部については、特に昼間流入人口とか地価の高い状態とか、当該年度の税収の動向がそのまま素直に反映できるようにいろいろやっておるわけです。ですから、その結果、先ほどもちょっと触れましたが、平成四年度当時では神奈川県、愛知県、大阪府、これは東京都と同じように不交付団体でありましたが、その後残念ながら交付団体ということに転落してしまいました。これは本当に残念なことです。東京都の場合は、私から言えば幸いなことにまだ交付団体に転落しないでもっているということだと、私はそう思っております。  東京都はさらなるみずからの健全化努力を今一生懸命していただいております。それから、今お触れになりましたが、平成十一年度においては一定の条件のもとで財政健全化債というものを今御検討しておられるようでもございます。そういったことで、自治省としてはできるだけのバックアップはぜひ考えてまいりたいと思っております。  あってはならないことでありますが、もしもそういうような、東京都が財政が言うなら赤字に転落をして妙なことになって起債制限にでもなるというようなことになったら一体どうなるんだ、どういう不都合が都民に発生するのかということなんですけれども、これは少なくとも起債制限比率が二〇%以上というような団体になってしまうということになれば、おのずからそういう団体についてはまず歳入を増加させるための措置とか歳出を削減するための措置をとらなければなりません。  ということは、結果として都民に負担の増加あるいは行政サービスのレベルをカットダウンするというような見直しをお願いするようなことも現に出てくるであろうし、言うなら財政の自主性は、もちろんこれは自分たちで好き勝手にできないという、一定の枠の中でしか行動ができないということになることは、これはもう制度としてやむを得ないことだと思っております。
  109. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 この問題については東京都の努力を待つわけですけれども、そこにかかわって文部大臣に伺います。  石原都知事によりますと、六月二十八日に、義務教育教職員給与費国庫負担に関する地方交付税の不交付を理由とする財源調整は直ちに撤廃してもらいたいということを直接総理並びに関係大臣に申し入れたということをニュースで聞いております。  義務教育というのは言うまでもなく法律が定めたナショナルミニマムだと思いますし、そういう趣旨からいうと、地方公共団体の財政力によって国が負担に差をつけるというのは本当に合理的な根拠があるのか私は疑わしいと思っております。昭和二十七年にこの法律ができたことは調べまして知っておりますけれども、その上で、なおかつ合理的な根拠になるのかということを疑っております。    〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕  したがって、文部大臣はこの問題についてどうお考えなのか、つまり財政力を理由として負担金に差をつけるというんでしょうか。それからもう一つは、もし東京都が現在のような政令県でなくて一般県になったら、国の負担、つまり東京都の受け取り分は幾らふえるのか、その辺をお聞かせください。
  110. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 義務教育費の国庫負担制度というのは、義務教育についてすべての国民に対し教育の機会均等を実現する、それから全国的な教育水準の維持向上を図ることを目的として国と地方が適切な役割分担を果たすためという観点から設けられたものでありまして、原則として実支出額の二分の一を国が負担するものである、これは申し上げるまでもないことでございます。  しかしながら、財政力指数というものではかっているわけですが、一を超える都道府県に対しましては、その財政力を考慮いたしまして、昭和二十八年度の国庫負担制度創設当初から国庫負担の最高限度額を設定いたしまして国庫負担金の抑制を行っているところでございます、御案内のとおりでございますが。  東京都に対する抑制額は平成九年度では二百十四億円となっております。なお、過去には東京都以外に神奈川県、愛知県、大阪府が該当したところでございまして、この措置は東京都のみを対象としているものでないということを申し上げておきたいと思います。  義務教育費国庫負担金の財源調整措置は、国が想定しております義務教育の妥当な規模と内容を実現するのに十分な財政力を有している都道府県に対しまして、義務教育に関する国の負担責任を果たす観点から設けられているものでございまして、制度の趣旨、経緯等にかんがみますと、これを廃止することは困難であろうかと考えております。
  111. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 自治大臣に伺いますが、東京都には富裕県であるということで交付税を出しておりません。その上に今の教育費も値切っているわけです。これは二重調整じゃないですか。こういうことはあっていいんですか。地方財政の立場からいってどうでしょうか。
  112. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 義務教育費の国庫負担制度の趣旨というのは、義務教育に対する国の責任として、全国的に妥当な規模と内容の義務教育を保障する必要があるという考え方に立って国と地方の負担割合を定めておるものである、こう理解をいたしております。  したがいまして、そうであれば、個別の地方公共団体の財政事情によって国の負担割合が変更されるということは適当ではないことである、こう思っております。そういう観点から文部省に対しても改善されるよう申し入れを行っておるところであります。
  113. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 今の東京都の財政状態を考えると、首つりの足を引っ張るみたいな状態じゃないか、私はぜひやめるべきだ、そういう政令県と一般県の区別ですね。一〇〇%というか、ほかの県と同じように二分の一負担をするという方向で、これは政令事項になっているわけですから、政令を変えてほしいなと思うわけであります。  ところで、政令事項というのはどこまでゆだねていいものかという疑問が実はあるわけです。例えば東京都の場合には、政令で決めたから二百十四億円というもらい損ないができたわけです。それからもう一つは、平成五年までは、富裕県であるかどうか、つまり地方交付税の交付を受けているか受けていないかをもってこの義務教育費と連動させてきたわけです。にもかかわらず、平成六年からは計算方法を変えられましたですね、財政力一を超えるところは出さないよと。  私は、法律に確かに政令で最高限度額を決めると書いてありますけれども、ちょっと決めるだけで二百億円も変わっていいんだろうか、それから都合でその基準を変えていいんだろうかと。先ほど御説明ありましたように、基準を変える前までは東京のほかに愛知、神奈川、大阪も入っていたわけですけれども、基準を変えたことによってこの三つの県は二年間だけ不交付団体になりましたね。不交付というか、政令県になりました。二年過ぎて平成八年からはまた一般県になったわけです。ちょっとこういうことを政令レベルで変えていいんでしょうか。文部大臣、どう思われますか。
  114. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 制度の件について私の方からまず説明をさせていただきたいと思います。
  115. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 制度の説明は結構です。わかっています。  私がお聞きしたいのは、政令で許される変更とか裁量、政令ですから裁量と言うとおかしいですね、というのはどこまでも政令で決まればやれるんでしょうかということでございます。  一番経験が長いと拝見します宮澤大蔵大臣、いかがでしょうか。
  116. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 義務教育費国庫負担法におきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、第二条におきまして、国は毎年度各都道府県ごとの経費の実支出額の二分の一を負担する、これを原則としているわけでございますけれども、ただし特別の事情があるときは各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができるという、政令にゆだねるという規定があるわけでございまして、これに基づきまして今日まで政令を置きまして措置をしてきたところでございます。
  117. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 全く話を聞いていただいていないのか、とぼけておられるのか知りませんけれども、私が聞いているのは、一声で二百億も出したり引っ込めたりできるんですか、不交付団体にしたりしなかったりすることはできるんですか、許されるんですかと言っているんです。どうでしょうか。仕組みの説明はよくわかっています。私も研究しました。
  118. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 仕組みではございませんで、現在この仕組みを変えた理由でございますけれども、平成五年度までは単年度ごとの財政力指数が一を超えるかどうかということで富裕県とするかどうかということで仕分けをしておったわけでございます。これでまいりますと、毎年の交付団体か不交付団体かということが判明する時期が年度の途中になりまして、国、都道府県双方におきまして予算編成時の確定が難しい、年度の途中で別途の補正措置等を国もまたしなければならないというような事情がございました。また、経済情勢が急激な変化をした場合には、ある一年によって富裕団体調整となるかあるいはならないかということが単年度で決まってしまうというような急激な激変を避ける。  こういう観点から、平成六年度以降、その年度を含めます前三年度間の平均の財政力指数が一を超えるか否かということをもって抑制をするかしないかというような制度の変更をさせていただいたところでございます。
  119. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私はそれを聞いているんじゃないんです。「政令で定める」と書いてあれば、たとえ一兆円動くようなことでも政令で決めれば通るんですかと言っているんですよ。  私が聞いているのは、政令で決められる限度額というのはないんですか、あるいは方法についての制約というのは全くないと受けとめているんですか、こういうことを聞いているんです。一兆円でも政令で決めていればいいということですか。
  120. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 原則、実支出額の二分の一ということでございますけれども……
  121. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 いいです、その話は。私は政令で決める範囲を聞いているんです。
  122. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) したがいまして、原則の例外でございますので、それがどの程度かということになりますと、余りたくさんの金額になるということであれば法律上の問題を生じようかと思いますけれども、一定の範囲内であれば、私ども行政的な裁量の範囲内で行えるものと考えているところでございまして、東京都につきましても、現在それが一般県と比べますとほぼ一割程度の範囲内におさまっているところでございます。
  123. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私が調べているところでは、東京都には義務教育費国庫負担分として千九百億出ているんです。これを一般県に直すと、さらに先ほどの答弁のような二百十四億円追加される可能性があります。ですから、その限度額の決め方にある種の歯どめみたいなのがあるんでしょうか。  それから、基準を変えるときには、この範囲だったら変えてもいいという約束事というのがないのはおかしいんじゃないんですか。何でも政令にゆだねるという決め方はおかしいと思うんです。法律ですから、法律をつくるときに政令の限度額というのをつけるべきなのかもしれません。ですけれども、現実においてそうなっていない、昭和二十七年の法律ですから。どうかと伺っているんです。
  124. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のように、現在のところ昭和二十七年八月八日の法律によって義務教育費国庫負担法ができております。それで、この第二条の後半に「ただし、特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。」、これに基づいて今の御指摘の義務教育費国庫負担法第二条但書の規定に基き云々という法律がつくられております。  そして、御指摘のように、それに基づいて、先ほど申し上げましたように、一を超える都道府県に対しては云々ということが行われ、御指摘のように東京都に対しましては、現在のところ給料等は六十五億、退職手当に関しましては百四十九億、合計二百十四億の抑制を行っております。東京都に対する負担交付額は、今お調べくださいましたように千九百二十二億円出しておりますが、仮に一般県といたしますと二千百三十六億円になります。これはあくまでも、やはりその都市のあるいはその県の財政力がどのくらいあるかということをよく見た上での判断でございます。この辺に関して事情が変わればまた考えることがあるかと思いますが、現在はこれを変える予定ではございません。
  125. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 変える変えないという話じゃなくて、私は、政令で決められる範囲があるのかないのかということを伺っているので、今後御検討いただきたい、御研究いただきたいと思います。  本当はいろいろ用意してきて、前へ進もうと思っていたんですけれども、この問題でひっかかっちゃいましてまだ五分の一も行かなくなってしまいました。  私が政令県であるか一般県であるかということにこだわっているのは、今の国と地方との仕組みというのはどうも、極端なことを言うと赤字垂れ流しをしていると補助金がもらえる、また義務教育費の国庫負担分も余計にもらえるというのでは、これは地方財政をちゃんとしたものにしようとかいうような意欲だとかインセンティブはわかないんじゃないか、今の仕組みに問題があるのじゃないかということを申し上げているわけです。  昨日も、宮澤大蔵大臣からも税源の再配分問題について御見解が示されましたけれども、実は私もこの問題について少し、現状の問題やら何やら具体的に挙げながらお尋ねしたいと思ったんですが、あと九分しかありませんので、ポイントだけでお考えを聞かせていただきたいと思っております。  どういう方向で税源を再配分するかについてまだ政府として固まった案をお持ちではないのかもしれませんが、例えば地方分権推進委員会第二次勧告は、国と地方の税源配分と支出規模の乖離をできるだけ縮小するという観点から、地方税については課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図ることということが書かれております。この精神については読んでよく理解できるんですが、その次がよくわからないんですね。  というのは、「生活者重視という時代の動向、所得・消費・資産等の間における均衡がとれた国・地方を通じる税体系のあり方等を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討していく必要がある。」。私、これは何を言われているのかわかりません。  そこで、税目を挙げながら、安定性というのは何だとか、あるいは偏在がないというのはどういうことなのか。勧告ですから、これは政府として重く受けとめなければいけない性格のものですから、大蔵大臣はどのように把握されているのか、お考えをお示しいただけますか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今おっしゃいました前の部分はかなりはっきりしておりますけれども、後の所得、資産云々という部分は、これは地方税についても国税についても言えることでございますので、特に税源の再配分のときにその部分に触れた意味は私も実は必ずしもはっきりしておりません。  ただ恐らく、せんだっても申し上げたことですが、国と地方との行財政の再配分というのは非常に大きな仕事にならざるを得ませんし、行政につきましてはただいま御審議中の法案でも述べられておりますが、それに加えて、恐らく抜本的に地方中央の行財政の再配分をこの異常な経済状態が過ぎましたら根本的にしなければならないのであろう。そのときに、どういう財源が中央にふさわしく、どういう財源が地方にふさわしいか。だれでも安定した財源の方がいいに決まっておりますから、その辺のところはそれがメルクマールになるという話であっては少しおかしゅうございまして、これは中央にふさわしい、これは地方にふさわしい、あるいは仕事の再配分によりまして、この仕事をやっている限りこういう財源が必要だろう、そういうところまでいたさなければきっとこの話は終局しない、またそこまで行きませんとなるほどという答えが出ないのではないかというふうに私は思うのでございます。
  127. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 実は地方分権推進委員会の委員をされました西尾勝氏が、昨年の初め、「年報自治体学」という雑誌の中でインタビューをされている記事があります。  これを御紹介しますと、地方税については表現上は所得、消費、資産の均衡がとれた税体系とか、偏在性が少なく安定的な税体系となっているけれども、今の地方税は資産と所得に比重を置いており、消費に薄いので、ここに重点を置くとすれば消費税、人口数に比例して税金が入る可能性のあるものということからいえば、住民税と国の所得税の関係を組みかえて、そして地方に入る住民税の比率をふやすということなんだ、これはだれが考えてもわかるような書き方になっているわけだがと、こう言っているんです。私は、全然わからなかったのでお尋ねしたわけであります。    〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕  ただ、その際に、税の種目まで固有名詞を挙げることは大蔵省から徹底的な抵抗に遭いました、こういうことをインタビューで述べられているわけですね。  本来だったら、地方分権推進委員会というのは法律に基づいてできた委員会であり、御存じのとおり内閣総理大臣はその勧告を尊重しなければならないと書いている内容ですから、はっきり書いてもらう方がいいと私は思いますし、それから国民に対しても、今何が問題なのか、どうしようとしているのか、これを採用するかしないかというのはまたもう一つの判断があるにしろ、そういったことは明らかにするべきで、まして税目を挙げて書かれるのは困りますみたいなことで大蔵省が抵抗したとしたら、大変僕は問題だと思っております。何か御意見はありますか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういうことを抵抗と呼ぶかどうかわかりませんが、時間がございませんので大変簡単に仮に申し上げますれば、所得税をどういうふうにするかということになりましたら、いつぞやも申し上げましたが、やはり所得税というのはその機能の中に所得の再配分というような部分がございますので、そういうことが一つ。それから、都会と地方ではやっぱり所得の高い低いがございますから、これによって税源が偏在するというような問題が一つ。  ですから、この分権の見地からだけで所得税というものをこうやったらいい、ああやったらいいということは、もう少し高い、広い見地が必要だろうと思いますし、あるいは消費税がということでございますれば、昨今国会では消費税はやはり社会福祉と切り離さないものとして考えるべきだという御意見がございます。  そうなると、それについてはそれなりのまた意見があって、どの税がふさわしいかということは、分権だけの見地、それも大事でございますけれども、国と地方との行財政をどう分けるか、そしておのおのの税がどういう性格を持っているかという、そっちの角度からも議論をしていただきたいということが真意であったろうと思います。
  129. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 今、大蔵省の抵抗についてはお話しいただけなかったんですが、実はそのお話を伺っておりまして、昨年の暮れ、西尾勝氏が各省庁から交渉相手として認められなくなったということを理由に行政関係検討グループの座長を辞任したということが新聞に載りました。これを受けて諸井委員長は、第六次の勧告の検討は先送りすることになるなということを発言されております。大変残念なことだし、あってはならないことではないかと思っております。時間が参りましたので、機会があればもっとやりたいと思っていたんですけれども。  ただ、きのうの御答弁の中で、所得税のことを例えば挙げられてお話しいただきました。私も方向としてはそうなんだと思いますが、ただ、意見を異にするのは、日本経済が安定軌道に乗ってから云々と言われましたけれども、私は一刻も早く着手する必要があると思う。ここだけは大蔵大臣とちょっと意見が違いました。  どうもありがとうございました。(拍手)
  130. 日笠勝之

    日笠勝之君 まず、六月二十九日の夕方から三十日の朝にかけまして、九州、中国、四国、また近畿、東海地方で梅雨前線による豪雨によりまして大きな被害が出たわけでございます。被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。  七月一日の朝九時現在の被害状況は、全国で死者が二十七名、特に広島県では二十二名、我が岡山県でも一名という痛ましい事故でございます。床上浸水も三千五百七十七戸、床下浸水が一万一千二百三戸ということでございます。公明党といたしましては、早速緊急の対策本部をつくりまして、本日、現地の救済対策に向かっておるところでございます。  そこでまず、この豪雨の被害につきまして速やかな復旧・復興対策を講じなければならないと思います。二点目は、太田長官の地元福岡で、恐らく日本史上初めてではないかと思いますが、ビルの地下へ浸水事故がありまして亡くなられたという痛ましい事故がございました。新しい都市型の水害というふうにも思います。これらを未然に防ぐ対策も今後講じなければならないのではなかろうか、こういうふうに思います。  以上二点、御答弁をお願いしたいと思います。
  131. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今回の豪雨によりまして多数の貴重な人命が失われたわけでございまして、亡くなられた方々に私からも御冥福を改めてお祈り申し上げますともに、被災者の皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の大雨によります被害の一番新しい状況でございますが、これは消防庁の調べでございますが、人的被害は死者が二十九名、行方不明者八名、重傷者十名、軽傷者二十一名になっております。  住家、家の被害でございますが、全壊が七十八棟、半壊が四十一棟、一部損壊が二百四十二棟、床上浸水が二千二百八十棟、床下浸水が一万一千百六十棟という大変な水害になっておるわけでございます。  それで、今回は被害箇所につきましては県や市町村に対しまして査定の申請を速やかに行うよう指導をいたしておるわけでございますが、災害発生から遅くとも三カ月以内には災害査定を行いまして、迅速な災害査定と早期復旧に取り組む予定にいたしております。  それから、越水が生じた河川につきましては、制度の改正によって新たに設けられました越水をさせない原形復旧を適用いたしまして、下流の河川の流量増が生ずるところでは、今回新しくできました河川災害復旧等関連緊急事業、略して復緊事業と言っておりますけれども、そういうものを積極的に適用いたしまして速やかに対策を講じていきたい、そのように考えております。
  132. 日笠勝之

    日笠勝之君 ビルの地下は。
  133. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 福岡で起こりましたビル浸水、いわゆる都会型のこういう災害でございますが、地下施設への浸水被害に関する一般の方への周知であるとか、その浸水対策を防災計画へ反映させていく努力をしていきたいと思います。  このビルの地下で一人の方が亡くなられたわけでございますが、これも最初私は、地下道といいましょうか地下鉄といいましょうか、そういうものの感覚でおったんですが、それはもちろん先生御存じですが、何か小さな洞窟みたいな中にいろいろなお店があって、ですから水が入り込んでいったらもう出口がないという状態でございますから、そういう地下施設に関しましてどのように対策を講じていくかということも、このことを一つの戒めとしてまた講じていきたいと考えております。
  134. 日笠勝之

    日笠勝之君 速やかな対策をお願い申し上げておきたいと思います。  では、本題の方に入りますが、二〇〇一年一月から新しい省庁が誕生する。八月三十一日、八月末を目指して概算要求もしなければいけない。概算要求までもう二カ月を切っておるわけでございます。  そこで、まず確認からいきたいと思いますが、ことしのいわゆる一般会計の歳出予算の各目明細書というのがございまして、これは運輸大臣、農水大臣には、いわゆる林野の特別会計と国鉄の長期債務の委員会でそれぞれの省庁の記載誤りといいましょうか、大蔵省が出しておる記載事例のマニュアルと少し違うのではないかということで、そうだということで御答弁いただいております。  きょうは建設大臣もいらっしゃいますが、建設省の方も何カ所かマニュアルどおりではないんじゃないかというのがございます。例えば、建設大学校は自賠責保険の予算は計上しておりますが自動車重量税は計上されていない。それからまた、地方建設局の庁費は一般事務の書く順番が違うのではないかとか、試験研究機関の庁費の同じく積算内訳を見ますと自動車交換差金の順番がマニュアルとは違うとか、国土庁の方も一件ございまして、自動車重量税はありますけれども自賠責保険の計上がない。  これをまず確認しますが、よろしいでしょうか。
  135. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) お答え申し上げます。  平成十一年度の一般会計の各目明細書でございますけれども、先生御指摘の自動車重量税でございますけれども、建設大学校の必要な経費に自動車重量税の記載はないわけでございます。これは、建設本省一般行政に必要な経費という中で、建設本省で所有しております自動車それから建設大学校で所有しております自動車にかかる自動車重量税を一括計上しているということでございます。  やはり建設本省それから建設大学校は組織が違うわけでございますので、そういう点について一括計上を従来からやってまいりましたけれども、大蔵省できちっと指導しておられますマニュアルというものに沿って今後やっていきたいというふうに思っております。  また、自動車交換差金でございますけれども、御案内のとおり、中古で出しました場合の措置でございますけれども、これにつきましても御指摘を踏まえまして、より一層統一化を図る方向でやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  136. 日笠勝之

    日笠勝之君 そこで、手書きのペーパーをお渡ししておると思います。これは、一般会計歳出予算の各目明細書の中で、職員旅費の積算内訳の記述でございます。  これを見ていただけば、各省ばらばらでございまして、大蔵省のマニュアルどおりやっているのが右の欄の五省庁、これは大蔵省のマニュアルどおりやっていました。あとはもうそれぞれてんでんばらばらでございます。  例えば今度、厚生省と労働省が一緒になりまして厚生労働省になりますと、これを見てください、大臣官房関係調査指導旅費と厚生省はなっておりますが、労働省は一般行政事務指導旅費でございます。これは一緒になったらどちらを使うのかなと、まずそういう疑問でございます。それから、建設省と国土庁それから運輸省が一緒になりますが、これもそれぞれ違うわけでございます。  そういうことで、私は、新しい省庁になるのを奇貨として、大蔵大臣はこの際きちっとした統一マニュアルをつくる、わかりやすい予算書にするためにもきちっとしたマニュアルをつくって、新しい省庁、新しいマニュアルのもとに、一般の方が予算書を見ても、これは記述が違うがこれは中身はどうなんだろうかという疑問がないような、そういう統一マニュアルをこの際つくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  137. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 各省庁に予算にいろいろ特殊性があるようでございますが、従来できるだけ統一のマニュアルにお願いをしておりまして、御協力も今の話のようにいただいておりますんですが、確かにおっしゃいますように省庁が統合したりいたしますから、この機会にこの趣旨を徹底して、各省庁にさらに御協力をお願いいたしたいと思います。
  138. 日笠勝之

    日笠勝之君 ぜひお願い申し上げたいと思います。  次に、環境省のことについてお伺いしたいと思います。  この委員会でも、当然参議院におきましても、環境庁が環境省になるということで多くの方が、とにかく環境庁はこの際、庁から省に昇格するといいましょうか、なるわけでございまして、職員のまた組織の充実強化を図るべきだ、こういうことを多くの方が委員会でそれぞれの立場で質問されました。総理も、環境省にふさわしい体制を整えようとか、そういう意味のことをおっしゃっております。官房長官もおっしゃっておられますね。  そこで、平成十三年の一月から環境省が発足いたしますが、先ほど申し上げました概算要求基準は、恐らく八月末を目指して予算定員というものをきちっとしなければ予算の概算要求が構築できないわけであります。もう二カ月あるかないかでございます。いよいよせっぱ詰まってきておるわけでございます。  そこで、この環境省のいわゆる組織、体制の充実のため具体的にいわゆる職員の人数を何人にするのか、これがなければ積算できないわけでございます。そういう意味では、まず官房長官、ぜひこのことにつきまして、いつごろまでにこの定員をはっきりさせるのか、お答えいただきたいと思います。
  139. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 環境省を含めまして、各省の定員のベースにつきましては、今回の中央省庁改革によりましていろいろな事務の移行等もございますので、今ベースの積算をしているところでございます。今後、八月末の概算要求に向けまして、十二年度要求の中で十三年一月に発足する定員をいかにするかと各省庁がまた要求してくる、そういう状況でございます。
  140. 日笠勝之

    日笠勝之君 では、環境庁長官、実は瀬戸内海国立公園がございますね。私は岡山で長官は香川で、これは瀬戸内海国立公園。大蔵大臣のところもそうでございますね、関谷建設大臣のところもそうでございますね、太田長官のところもそうですね。  では、この広大な瀬戸内海国立公園内に何人の環境庁職員が配属されているのか、それで十分事足りるのか。私の調べによりますと、たった十五名でございます。十五名であれだけの瀬戸内海国立公園の管理をされておられる。  そういうことを考えますと、長官、きょうは官房長官総務庁長官大蔵大臣もいらっしゃいますから、ぜひ環境省昇格と同時に組織と人員の充実ということを、改めて今の時点でのお考えをお聞かせいただければと思います。
  141. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 今日の環境問題は、新しくは環境ホルモンとかダイオキシンが出ておるわけでありますし、また地球環境問題についても引き続きグローバルに取り組んでいかなければならないと思っておるわけであります。また、環境省に昇格をするならば、ごみ処理が一元化されて環境省にも参ります。そしてまた、環境行政の中で新規に取り組まなければならない課題もたくさんあるわけでありまして、例えばリサイクル対策や化学物質対策など共管事務もふえてまいるわけであります。  これらの課題に取り組むためには、また国民の期待にこたえるためにはそれなりの対策を講じていかなければならないわけでありまして、必要な人員はぜひ配置できるように確保いたしたいと思っておるわけであります。先生御指摘のように、瀬戸内海の国立公園関係事務にいたしましてもわずか十五名という人員でございまして、やはりそういう充実を図っていくためには、必要な人員だけはぜひ確保できるようにお願いをいたしたいと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、大事な環境省昇格でありますから、それなりの自覚を持って事に当たっていきたいと思っておるところであります。
  142. 日笠勝之

    日笠勝之君 我が公明党も七月二十四日の第二回党大会を目指して今基本政策をつくっておりまして、環境という大きなキーワードのもとに今いろいろ政策づくりをしておりますが、その中に環境省の組織体制の強化充実ということを明確にうたっておりますので、ひとつよろしくまた御支援をお願い申し上げたいと思います。  さて、政策調整ということで、きょうは建設大臣運輸大臣、農水大臣も来ていただきましたけれども、その政策調整の中で公共事業、この公共事業の中に海岸事業というのがございます。  海岸事業は、公共事業いろいろございますけれども、三省三庁。農水省の場合は水産庁ということになれば二省四庁でやっておる。一番多いんですね、省庁が。新しい省庁になれば、今の建設省の河川局と運輸省の港湾局は一体になります。しかし、これもそれぞれの課が今あるわけですね。建設省河川局で海岸事業をやっているのは防災・海岸課、それから運輸省の港湾局は海岸・防災課と、名前がひっくり返っておるだけでございます。  これが国土交通省で一緒になったときは、どういうふうに海岸事業についての政策調整をまず省内でされるのか。いかがでしょうか。だれに聞けばいいですか、これは。新しい大臣がいないんですけれども。太田長官でしょうか。
  143. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今回の省庁再編は、現行の省庁行政目的別に大くくりして再編するものございまして、御指摘の海岸事業につきましては、国土交通省は国土の適正な整備、管理という観点から行いますし、農林水産省は食糧の安定供給の確保という点からそれぞれ行うことになっておるわけでございます。  私も、先生の考えていらっしゃることも考えてみましたけれども、内容がどうしてもすべてがすべて一致するというものではございませんから、やはりそれは分けていかなければならないのではないかなというふうに思っておるわけでございまして、海岸事業は、一般海岸は建設省が担当し、港湾区域及び港湾隣接地域における海岸事業は港湾行政と密接に関係することから運輸省が今までは担当してきたという経緯を十分に踏まえました上で、国土交通省における具体的な海岸事業への取り組み体制をどうするか、現在検討しているところでございます。  なお、現在でも、先生御指摘のように、海岸事業につきましては建設省、運輸省、農林省、水産庁の四省庁で連絡会議というものを設けておりまして、円滑に事業の執行ができるように努力をしておるところでございまして、国土交通省設置法案において社会資本の整合的かつ効率的な整備推進がその所掌事務として規定されているわけでございますから、省庁再編後も引き続き国土交通省として積極的にこの調整の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
  144. 日笠勝之

    日笠勝之君 これは運輸省港湾局のパンフレット、これが建設省河川局の海岸事業のパンフレット。(資料掲示)これは省がかわってみても大体同じようなことなんです。例えば、これは運輸省ですが、これを建設省と言ったっておかしくないし、これは建設省ですが、これを運輸省のパンフレットと言ってもおかしくない、海岸事業に関してですよ。  ですから、私が何を言いたいかというと、せっかく行政改革中央省庁を再編するにもかかわらず、今までのような縦割りで、港湾に関しての海岸事業は今までどおり港湾局でやらせてもらいます、河川関係は、建設省はなくなりますけれども河川局の方でやらせてもらいますと。ここを調整して、例えば建設省河川局の防災・海岸課は今、五十三名、運輸省港湾局の海岸・防災課は二十三名いらっしゃる。これを統合して少しでもスリムにする、そのための省庁再編であると言うんなら理解できます。  そういう意味で、きちっとした政策調整をしてこの行革の方針にのっとるような、スリムにしていく、そして国民の期待にこたえていく、そういう方向性が明確でないと、ただ集まって合体しただけである、こういうことになりかねないということで、そのことをきちっと踏まえながら今後の局、課、室、こういうものをどうするかということをぜひ前向き、積極的にお考えいただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  その際、先ほど言われました、今で言う国土庁も北海道開発庁も沖縄開発庁も水産庁もみんな海岸事業というのは、調整費かもしれませんが予算がついておるわけです。二省四庁でございます。これらをまた総合的に調整していかなきゃならない。内閣府かもしれません。  そういう意味で、海岸事業という公共事業に対して省庁の連絡会議をやっておりますが、今、一千三十二億円ほど海岸事業で使っておるようでございますけれども、この辺の今後の調整をどうするか、また積極的にやっていかなきゃならないということで、これは、まず運輸大臣
  145. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘でありますので、少し加えますと、今、私ども海岸・防災課で海岸事業を担当しておりますのは十四名、建設省が防災・海岸課で十五名というふうに聞いております。現実に仕事をしておる職員の数でございます。  一方で、当然農林省との話はこれからも調整作業として残るだろうと。しかし、一つの役所にする、これはまさに目的にかなって私ども努力していかなきゃならぬ課題だろうと思っております。  ただ、この海岸事業の問題だけでなくて、海という視点をどうとらえるか。建設省と私ども、ひとつ合体成ったときに大きな課題として検討しなきゃならぬだろう。例えば、関空の埋め立てがございます。これは一部は港湾地域にある、一部が一般海面でありますから建設省、そして環境庁と調整をしていく、こういうことで三省。そういう意味では調整作業というのは残るのかなと。  しかし、一つの役所になるわけですから、海全体という視点をどう考えていくか、国土交通省の中で御批判にこたえられるような形で努力をしてまいりたい、このように考えております。
  146. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 水産庁所管のいわゆる漁港海岸につきましては、漁港区域内の海岸事業でありまして、国土保全だけじゃなくて水産振興政策あるいは漁港整備と一体のものでございますので、水産政策の一部といたしましていわゆる漁港海岸事業を行っております。  なお、構造改善局の中に防災海岸というのがございますが、これは干拓地あるいは海岸の後ろに農地があるということで、農政上の観点から海岸と一体となっておりますので、そういう観点から農地海岸というものがございます。  いずれにいたしましても、四省庁間での連絡を密接にしながら海岸事業をやっていきたいというふうに考えております。
  147. 日笠勝之

    日笠勝之君 次に、通達行政でございますが、これは法務省、厚生省、農水省、運輸省、建設省、労働省、自治省しかちょっと時間がなくて引っ張り出せなかったんですが、その省庁だけでも、七省庁でございますが、百四十六通達全集が出ておるわけです、百四十六の通達全集。建築基準確認が多いんですけれども、これだけの膨大な通達が出回っておるということで、今後通達行政というものを一体どうするのかというのが一つ。  と同時に、やはり地方分権ということであれば、通達行政地方分権でそれぞれに地域の特性があるわけでございますから、お任せいただくものはお任せしてあげてもいいんじゃないかなと。例えば、福岡県のある町では、生ごみを肥料にしたいと。これは補助金のことでございますが、いろいろ申請しましたけれども、ごみの量が少なくて補助金対象ではありません、こういうふうなこともあったようでございますし、学校におけるエレベーターをつくりたい、しかし下限額が一千万だということで、五百万でできるんで補助金対象にならなかったとか。  こういうふうな、いわゆる地方にこんなことは任せてやってさしあげればいいものを、いや補助金は量が少ないからだめです、金額が五百万じゃ、エレベーターは下限が一千万ですからだめですと。こういうのは何とか改めて、地方が生き生きとしてバリアフリーなり環境問題に取り組める、こういうことを考えるべきじゃないかと思います。  そういう意味では、今後の通達行政などなど、どのようにお考えなのか。時間がなくなりましたので、文部大臣からそのエレベーターのことでお考えいただければと思います。
  148. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御指摘の学校施設における障害児等への配慮というのは大変重要だと思っております。公立学校について、今御指摘のように、エレベーター、スロープ、自動ドア等々の、障害児のための学習環境をよくするということで国庫補助の対象としております。  ただ、現在のところは大規模改造事業を補助対象としておりますので、今御指摘のように事業費が一千万円以上のものを補助するということになっております。事業費が一千万未満のものにつきましては、地方単独事業として地方交付税等による所要の措置が講じられているところでございます。
  149. 益田洋介

    ○益田洋介君 益田洋介でございます。  日銀総裁、御苦労さまでございます。何で自分が行革特に行かなきゃいかぬのかと懸念をされていらっしゃったかもしれませんが、行政改革というのは、国また地方行政の骨組みを堅固に再構築することにより、そのことによって逼迫した財政難の克服と、さらには景気の回復を目指していく、要するに財政とか景気ということになれば、当然のことながら大蔵大臣と日銀総裁にはおいでいただかなけりゃいけない、そんなことでございますので、お忙しいと思いますが、若干のお時間を拝借したいと思います。  昨日、アメリカのFRBが金利を〇・二五%、フェデラルファンドでございますが利上げいたしました。グリーンスパンFRB議長というのは、御承知のとおり、金融の引き締め感の下げどまりによってアメリカ株の一層のバブル化が進むことも望んでおりませんし、さらに金融の継続的な引き締め感が蔓延することによってアメリカの株式市場が混乱するということも望んでいないわけでございます。  そういう意味からしますと、今回の利率の上げ幅というのは熱くもなければ冷たくもない、言ってみればちょうどいい湯かげんの手当てだったんじゃないか、そのように世界市場は受けとめているようでございます。そして、アメリカの経済、株式市場は今軟着陸をしようとしている。  今回のグリーンスパン議長のこの手当てについて、総裁はどのようにお考えでしょうか。
  150. 速水優

    参考人速水優君) このたびのFRBのフェデラルファンドの引き上げは、前もってバイアスという形で連銀から意思の表明もありましたし、その後の経済情勢が比較的順調に推移しておりますけれども、行き過ぎないようにということと、株価が少し上がり過ぎているといったようなこともあって〇・二五%の引き上げをやられたものだと思っております。タイミングといい幅といい、まことに妥当なものだと思っております。
  151. 益田洋介

    ○益田洋介君 問題は、日本がアメリカの軟着陸に続いて経済のどん底から離陸できるかどうかというところが注目されているわけでございます。  一番理想的なのは、日経の平均株価と長期金利が二人三脚で連動するということだと思いますが、例えば株価が今一万八千円弱でございますけれども、このぐらいであれば長期金利は一・八%程度、二万円につければ二%程度というようにうまいぐあいに連動しないで、株価の上昇ピッチを上回るような長期金利の急騰があるとすればさまざまな副作用が出てくると思います。  いろいろと今金利の問題が言われておりますが、確かに長期金利が上がっていることは事実でございます。私は、速水総裁にもグリーンスパン議長のような巧みな手綱さばきをとっていただきたいと望むわけでございますが、いかがでしょうか。
  152. 速水優

    参考人速水優君) 去る二月以来いわゆるゼロ金利というのでここまで四カ月近く来ておるわけでございますが、その間に金利の引き下げ効果がかなり浸透してまいりまして、株価の方もごらんのように本日あたりは、ざらばで一万八千円を超えるといったようなことが起こっておりますし、長期金利の方も一・六八%と昨年末に比較しますとかなり下がっておるわけでございます。これをデフレ懸念というものが解消するまで続けてまいりたいということを私どもは考えております。
  153. 益田洋介

    ○益田洋介君 三十日の衆議院大蔵委員会で、自由党の鈴木淑夫委員の質問に答えて総裁は、報ぜられるところによりますと、ゼロ金利は異常事態だというふうな表現を使った。これに市場が飛びついた形になって、新発の十年物の国債の利回りは一時一・九九%に上昇した、終わり値は一・八三五%でしたわけですけれども。この総裁発言が市場に火に油を注いだような形になったことは事実だと思います。もう少しやはりマーケットに対する気配りがあってしかるべきだったのではないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  154. 速水優

    参考人速水優君) 一昨日の衆議院大蔵委員会、これは日本銀行の過去半年の半期報告書を御審議いただく会合でございまして、どちらかというと、過去半年にやったこと、それから今後の中期的な見通しについて質疑を受けたわけでございます。私はその席でゼロ金利政策の内容や考え方につきまして詳しく説明をいたしました。  鈴木委員の御質問は、今の情勢というのは、今の金利というのは異常ではないか、そう思わないかといったような意味の御質問がございましたので、私は、現在のゼロ金利政策は歴史的にも前例のない極めて思い切った金融緩和措置であって、その意味で、日本銀行としては金融政策としてなし得ることは既にぎりぎりのところまでやっていると認識しておるわけでございますと。御指摘の発言も、そうした考えを申し述べたものでございまして、先行きの金融政策運営について何か特定の意図を念頭に置いて申し述べたものではございません。  繰り返しになりますけれども、日本銀行としましては、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでは現在のゼロ金利政策を維持して、物価の安定と経済の回復を金融面からしっかり支えていく考えであるということを申したつもりでございます。
  155. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  七月五日月曜日にまた短観を発表される予定だと伺っています。この景況判断次第によってはまた金利上昇の圧力がかかるかもしれません。ぜひとも慎重な御判断をお願いしたいと思います。  次に、大蔵大臣にお願いしたいんですが、五十年前の話でちょっと大臣のお年がうかがわれてしまうわけでございますが、カール・シャウプ博士が一九四九年と五〇年、二回にわたってシャウプ勧告をなさいました。これは直間比率の見直しとか課税範囲の拡大などという現代でも共通するテーマで、日本側の交渉相手が宮澤大蔵大臣であったわけでございます。  今から高齢化時代を迎えるわけでございまして、消費税率の引き上げなんと言ったらまた大騒ぎする政党があるかもしれませんが、なども真剣にやはり論議されていかなきゃいけない。それから、直接税中心だったシャウプさんの勧告からは、やはり日本の場合直間比率を見直さなきゃいけないときに来ていると思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昭和二十四年にカール・シャウプ博士が来られまして、いわゆるシャウプ税制と言われるものがその後我が国の税制の基調になったわけですが、このときは昭和二十四年でございますので、今から御回想いただけますような我が国状況でございました。今日のような大衆消費、大量生産の社会では到底なかったわけでございます。  それに加えまして、前の年に、昭和二十三年に総選挙がございましたときに、御記憶だと思いますが、当時、取引高税、大変悪税と言われたものがございまして、それを撤廃するという公約を自民党がいたしまして、及び所得税の税率を下げるという公約もいたしました。しかしドッジ氏が来まして、減税のときではないといって両方とも退けられまして、そのかわりにシャウプさんに来てもらうということになりました。  したがいまして、シャウプ氏としては、まず取引高税というものは、これは政治的にもうとても不可能であるという判断をまず片方でいたしますと同時に、我が国は申告納税というものを始めたばかりでございますから、税制というものを一般に受け入れやすいものにしたいという気持ち、税制の大衆化と申すのでしょうか、国が一方的に取るものではないという税制を日本に残していきたいと思ったようでございます。それがシャウプ税制というものになったと思うのでございます。  ただいまのお話は、それから展開いたしまして直間比率のお話になっておるわけで、昭和二十五年度の国税の直間比率は五五対四五でございます。その後、所得が全体に毎年向上いたしてまいりましたので、昭和六十年度にはその比率は七三対二七になっております。これはしかし、明らかに直接税の方にまた行き過ぎたであろうというような反省もございまして、このあたりで消費税が導入されまして、間接税に少しウエートを変えようとした。ところが、不幸にしてその後非常に不景気になりましたので、大変に直接税の減収、減税もございますが、平成十年度もそうでございましたが、税収が十分に予定どおり入らないという状況もございまして、平成十一年度の予算では、直間比率がまたもや五七対四三、これは二十五年と数字としてはかなり近寄ってしまった。  これも恐らく正常な姿では私はないのであろうと考えておりますから、消費税云々とお話しされますよりは、まず所得税なり法人税なりが経済の正常化に伴って上がっていきますことによってもうちょっと直接税の方にウエートがかかる、そういう経済運営がいいのではないかというふうに考えております。
  157. 益田洋介

    ○益田洋介君 当時勧告の中にありました付加価値税、バリュー・アデッド・タックス、これは英国で現在行われていますが、これは事業税的な性格を持った税で、採用はされませんでした。  ところで、半世紀過ぎた今、政府の税調では外形標準課税というのが論議されております。これはシャウプ勧告の中の付加価値税に非常に似た性格じゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) バリュー・アデッド・タックスという勧告がございまして、当時私どもはそういうことを全く知らなかったものでございますから、その付加価値ということについて、そういう日本語にまず到達いたしますのにかなり手間取ったわけでございます。しかし、付加価値というような観念を昭和二十四年の日本でみんなにわかってもらうことは、これはとてもいかぬということで、これはそうなりませんでしたが、シャウプさんとしては取引高税のかわりにこういうことを置き土産にしたのかもしれません。しかし、その後に今の消費税になりましたが、この消費税でも完璧な意味での付加価値というものにはとうとう到達し得ないで御承知のようにおるわけでございます。  そこで、今おっしゃいました外形標準というのは、まさにここでおっしゃいますことの意味は私はよくわかっておりますが、そしてそれは地方税において野田大臣も非常に真剣にお考えであるように承知いたしますが、現在法人の六〇%以上が赤字でございますので、外形標準というと赤字法人を課税の対象にするというふうにどうしても解釈されますので、そういたしますと、それは全くその分だけネット増税になるかという問題を政治的にどういうふうに片づけるか。そういう問題が今恐らく野田大臣もいろいろにお考えの問題ではないかと思っております。
  159. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは、いわゆる地方税、法人事業税でございます。従業員数ですとか床面積などを勘案して、企業の事業規模が反映しやすいタイプ、これは地方財源の面から見れば財源の安定につながる税ではないか。一方では、今、大蔵大臣のおっしゃったような、その分増税になる。非常にこれは二律背反して難しい問題。大臣、この点いかがでしょうか。
  160. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 単純にある納税者から見て、制度改正前と後と比べて結果において増税になるか減税になるかということは非常に重大な意味を持つというのは、これは一つの視点であると思います。一方で、地方税を考えます場合に、所得課税がいいのか、あるいは別の課税標準を持ってくる方がいいのか、あるいは資産を課税標準にするのがいいのか、いろんな形の税の仕組み方があるわけであります。  そういう点で、地方税を考えます場合に、まず第一に、できるだけ各自治体間における税源の偏在が少ないようなもの、できるだけ共通性のあるようなものがいいですねというのを皆が考えることだと思います。  それからいま一つは、景気変動の荒波をもろに受けないような、そういうような仕組み方ができないものか。  それから、特に地方税の場合は、受益と負担との関係、言うなら負担分任型といいますか、あるいは教育であれ消防であれ警察であれ、地方の行います行政サービスというものはかなり景気とは違った性格のものがあるということから、どういうものがいいのか。  ということを考えますときに、既に所得課税というのは、国税における課税もありますれば、一方で、地方税においてもそれなりの住民税なり法人住民税の法人税割などいろいろある。その中で事業税というものを都道府県税の根幹の税として考える場合に、所得課税という現行の原則のままで本当にいいのかと言えば、やはり安定性あるいは納税者の応益という側面を考えれば、特に従業員の規模の問題であったり、あるいは事業所の面積の問題であったり、外形的な形の中で、しかも余り難しい計算方式を伴うようなものではなくてやる方がはるかに税としてはいいのではないかというのはだれしも考えられることであります。今日まで、シャウプ勧告のときには、所得プラスいろんな要素を加えた加算型付加価値税という考えでありましたが、そういう意味で、事業税の外形標準課税を、外形標準要素をあわせてやるようなやり方ができないものか。ただ、具体的にいつその形にいけるかどうかは、やはり経済の足元の状況等との関係もございます。  そういう点で、今慎重に政府税調においても御検討いただいておることでございますが、私は、この委員会においても本当に党派を超えて、地方財政の厳しい状況にどうやって皆で対応するかということで考えますならば、国から財源を持ってこいということだけでなくて、地方税の世界の中でやれるべきことは、それはお互いが自分たちの地域を守っていくという意味において理解をしていかなければならないし、そうしてほしいテーマであると考えております。
  161. 益田洋介

    ○益田洋介君 我々が今断行しようとしております省庁再編それから地方分権ということは大変な改革でございまして、言ってみれば革命です。革命家の名前が幾つかこの審議をしているうちに私の頭の中に浮かんできたわけでございますが、無類の読書家であり、またつとに博学として名高い自治大臣ですので、ジャンヌ・ダルクに関する本も読んだことがございましょう。私は、わずか十七歳のフランスの少女ジャンヌ・ダルクという人を非常に敬愛しておりまして、百年戦争してイギリスに連戦連敗していた当時のフランス、王室も僧侶も軍隊もみんな及び腰になって逃げかかっていた。そのときに、その市民の中で十七歳の少女が立ち上がって、農家の生まれでございますので、文字も読めない、書くこともできないということで、当時のフランスの、一四二〇年代でございます、軽べつをされたけれども、市民の中から支持を得て革命に成功した。この人の信念は何であったかというと、勝つということを確信するんだと。だから、行革を成功させると確信するということは非常に大事なことだと思います。これは、政府のみならず我々国会議員一人一人が肝に銘じなきゃいけないことじゃないかと思います。  さらに、ナポレオン一世は、これも革命家でございますが、こういうことを言っていたそうです。一たび戦うと決意したならば、その決意は持続しなければならない。もはや、しかし、いやとか言うことは断じて許されない。このぐらいのやっぱり不退転の決意がないと改革は断行できないんじゃないかというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
  162. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今、私たちが置かれている時代環境は、小渕総理もつとに申されておりますが、明治維新あるいは終戦直後、そういった状況に匹敵するほどの時代の変化がある。そういう中で、ただ単に後追いをするだけではなくて、国、地方を通じて思い切ってシステムそのものを根本から見直していかなければならないし、同時に、その際にはシステムの見直しだけじゃなくて、国民の意識改革もあわせて伴っていかなければならぬということであればなおさらのこと、これは、時の政府のみならず、国会を含め政治全体の世界の中で一人一人がそのことを自覚して対処していかなければならないことであるというふうに常々肝に銘じております。  私自身、まだまだそんな偉そうなことを言える立場ではございませんが、みずからに対する戒めとして、やはりお互いこれは今日に生きる政治家の一人としてそういう責任感を持って対処してまいりたいと考えております。
  163. 益田洋介

    ○益田洋介君 マーガレット・サッチャーさんは、政権をとりました一九七九年五月から三期連続十二年間首相を務めたわけでございます。私はイギリスに十三年間おりましたので、ちょうどサッチャーさんが非常に激しい、不退転の決意を持って行政改革をしていった姿を目の当たりに見ていました。  サッチャーさんの行革に対する姿勢、これを一言で、時間がございませんので、自治大臣お願いします。
  164. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 鉄の宰相と言われた人だけある、強烈な意志力であると、そう思っております。
  165. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。
  166. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  中央省庁再編法案を中心に質問をさせていただきます。  今回の中央省庁再編は、「この国のかたち」の構築ということで、旧来の行政の官僚主導から政治主導への改革、それから機動性、減量化ということが理由とされております。私たちは、国民が求めている行政改革というのは、これまでの浪費型の公共事業を抜本的に見直して、行政をゆがめる政財官の癒着構造を根本的に改革して、主権者である国民に奉仕する行政を目指すことが何よりも大事だというふうに考えております。  この立場から幾つかの点について質問をしたいと思います。  まず初めに、今回の中央省庁再編で、政府は、国家公務員を十年間で二五%削減する計画である。この問題は、やはり二十一世紀に向かう雇用の問題が大変重大な状況を迎える中で、このリストラという問題は国民生活にも大変深刻な影響を与えるのじゃないかというふうに思います。  太田総務庁長官衆議院での議論で、国民生活に密着している部門の削減に手をつけるべきではないという議員の質問に対して、十分留意しながら進めていくとしか言えないというふうに答弁しておられますが、これは国民生活に密着した部門の削減も配慮しないということなのか、この点まずお聞きしたいというふうに思います。
  167. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  それは配慮しないということじゃありません。もちろん配慮をするということであります。
  168. 小泉親司

    小泉親司君 日本の公務員の定数がサミット諸国と比べても大変少ないということは総務庁の調査でもはっきりしたことだというふうに思います。千人当たりの公務員の数で見ますと、アメリカやイギリスやドイツは日本の約二倍、フランスに至っては三倍というような状況で、いわばこの点だけを見ますと、行政から国民にサービスをする、この点では日本はこのサービスが世界でも一番少ないということになるというふうに思います。  長官は公務員の削減で何と言っておられるかというと、国家公務員を十年間で二五%削減すると職場の機能は大変大きく損なわれることは間違いないんだということをおっしゃって、いわゆる仕事をどう減らしていくかということになってしまうんだというふうに答えておられる。  そうなってくると、国民へのサービスは、これまでサミット諸国のいわば、最低と言いませんが、大変少ない部類にある日本の公務員のサービスが一層低下するのじゃないかという、私は大変重大な懸念を持っておりますが、その点、長官はいかがお考えでございますか。
  169. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 一つは、他のアングロサクソンの国々に比較すれば、我が国は事前調整の部門に人が多い、司法的な事後調整型の分野に人が少ないと言われております。そこで、従来、例えば規制緩和のようなことを、他の国々からは我が国は規制が非常に強いと言われておりますので、そういうことにかかわる分野の人が減っていく方向を目指すようなことを、事前調整型の分野を減らしていくという考え方だと考えております。
  170. 小泉親司

    小泉親司君 やはり国家公務員の大幅削減という問題は国民へのサービスの低下に直接つながる問題ですから、私はこの点については国民へのサービスの低下、切り捨てにつながらないようにすべきであるということを強く指摘したいと思います。  そこで、この問題と関連してお聞きしますが、今度の中央省庁再編では現在の二十二省庁から一府十二省庁に削減される、これは御承知のとおり。そこでお聞きしたいんですが、二十二省庁から一府十二省庁に変わって事務次官級のポストというのは減ると思いますが、どのくらい減るのでございましょうか。
  171. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  府省の大くくり化によりまして事務次官の数は二十人から十二人に縮減することとなります。また、官房、局の数につきましては百二十八から九十六に縮減することになります。  なお、事務次官に準ずる、事務次官よりも一格下の職として財務官、外務審議官等の各省に置かれる総括整理職というものがありますが、総括整理職については現在法律で十一人が定められておりますが、今回の設置法改正により十八人となります。そのうち二人は当分の間置かれるものであります。  また、国家行政組織法の改正等により置くことができることとなる局長級分掌官の数につきましては、必要最小限度にとどめることとする所存であります。
  172. 小泉親司

    小泉親司君 私、資料をお配りいたしましたが、政府の資料からこれはつくった資料なんです。例えば、お手元の資料を見ていただければおわかりのように、総務省では、自治省、郵政省、総務庁の二省一庁が総務省に統合される。本来事務次官一名なのに、それにプラスして総務審議官三名を置く。これは、事務次官級のポストは全く変わらないわけであります。文部科学省はどうかというと、文部省と科学技術庁が統合されるのに、事務次官が一名、審議官が二名、これも事務次官級ポストが温存される。国土交通省では、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁を統合する大変巨大な官庁になりますが、事務次官級のポストは一ポスト削減のみ。合計では、今、長官が言われましたように、三十一の事務次官級ポストは一ポストの削減のみで完全に温存されている。  私、国民生活に直結する部門の犠牲はやむを得ないという一方で、こういう高級官僚の事務次官級のポストをいろんな策を使って温存する、これで国民に説明がつくのか、この点、長官いかがでございますか。
  173. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 次官級の総括整理職あるいは局長級の分掌職というのはどういうことでこれを置くのかといいますと、局長局長のもとに課がありあるいは課の職員がいるわけでありますから、そこに固定的な定員の配置をしなければなりません。しかしながら、分掌職の場合はそのときそのときのテーマに臨むために臨時にチームをつくることになるわけでございますから、そのために定員が大きくふえるということはない。そのことによって弾力的な組織の運営をするために分掌職を置いているわけでございます。  ですから、そこを一緒にして、何かポストが減っていない、数が減らないんじゃないかということではないわけであります。
  174. 小泉親司

    小泉親司君 局長のポストのお話もされましたので、局長のポストについては先ほど長官も百二十八から九十六に削減されるとおっしゃいました。これ確かに計算しますと二五%であります。  ところが、今回の国家行政組織法の改正案では、局長級のポストである分掌職というのを置くわけですね。先ほど長官も言われましたように、これは最小限だとおっしゃった。  それでは、内閣府は局長職、分掌職を置きます。では今度、内閣府は十の局長のポストが削減されるんですが、分掌職を足すことによって、今度局長のポストは幾つになるんですか。
  175. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 私も先生の資料をちょっと拝見いたしまして、大変失礼ながら、若干これミスリーディングかと思いますので、ちょっと御説明させていただきたいと思います。  この資料を見ますと、これは単純に総理府本府と経済企画庁と沖縄開発庁が統合しまして内閣府になるという資料でございます。ただ実際は、この内閣府には、例えば現在国土庁にあります防災機能が移ってくる、あるいは現在科学技術庁が所管しております総合科学技術の事務が移ってくる。それは片一方では当然減っているわけでございます、その局長ポストは。それからなお、質的に申しましても、今回内閣機能の強化ということで、いわゆる重要な会議でございます経済財政諮問会議の庶務機能を持つ。  したがって、単純にこの表にありますように今までの機能で十であったものが今度十二になるということではございませんで、別途いろいろな機能が移ってくる。例えば防災の問題にしましても、こちらに移ってくれば従来あったポストは当然削減されているわけでございます。
  176. 小泉親司

    小泉親司君 実際あなた方は、内閣府の局長を、大臣官房、賞勲局、男女共同参画局、国民生活局、沖縄振興局、五つじゃないですか。あなた、移ってくるなんといったらどこだって移ってくるんですよ、そんなのは。当たり前の話じゃないですか。それを局長は五局だと。よろしいですか、五局じゃないんですか、それじゃ。もっとふえるんですか、局が。いかがですか。あなたがミスリードなんだよ。
  177. 河野昭

    政府委員(河野昭君) いや、この表の読み方が間違っているのかもしれませんけれども、私が拝見する限り、要するに局といわゆる局長級分掌官を合わせた数が十から十二にふえている、そのような記述であります。おっしゃるように局につきましては、官房の数を合わせまして内閣府には一官房四局を予定している、その点についてはそのとおりでございます。
  178. 小泉親司

    小泉親司君 理屈を聞いているんじゃなくて、それでは内閣府の局長級職は、局長五プラス局長級分掌職七の十二じゃないとおっしゃるんですか。  私はそのような資料を出したんです。あなたはそのことはお認めになるんでしょう。そんなぐちゅぐちゅ言わなくたってよろしいんですよ。数を言っているんです、私は。はっきりしてください。機能の話をしているんじゃないんですよ。
  179. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 現在の総理府本府、経済企画庁、沖縄開発庁を足しますと十になるということはそのとおりでございますし、今度の内閣府ではそれを足しまして十二を予定しているということもそのとおりでございます。  ただ、それは単純に十が十二になったのではなくて、内閣府の強化ということでいろんな機能が加わってふえている、そういうことを御説明しているわけでございます。
  180. 小泉親司

    小泉親司君 それではあなたに逆に聞きますが、事務次官級のポストが実際問題として三十一から一しか減らないということは、事務次官のポストの機能でいったら本来要らないじゃないですか、ほかは。あなたがそういうふうに説明されるのであればそれは要らないんですよ。  ですから、こんなへ理屈を言ったってしようがない。実際にあなたが言っているのは、内閣府の局長ポストは削減されるどころか十から十二にふえるということはあなたはお認めになっているわけですから、実際に局長級は今度の再編では五つしかないんですよ。このことはもうあなた方の資料でも、私はあなた方の資料でやったので、明確なので、あなたはミスリードというひどいことを言ったが、あなた方が出している資料を私は単純に足しているだけであります。  それで、私が追及をしたいのは、衆議院の附帯決議では「分掌官の任命は必要最小限」というふうにされております。長官も分掌官の活用は必要最小限としなければならないと答弁しておられます。  内閣府を見ますと、今言われましたように、局長級のポストは十から十二にふえている。それでは、ほかの局長はどのくらいふえるのか。私、改正しましたから、多くの省庁がふやすということだというふうに思いますが、いろんな省庁に全部お聞きしました。お聞きしましたが、これからの概算要求で決まるということのようです。  実際に長官は、この任命というのは内閣総理大臣局長級以上は内閣や各大臣でよく精査してつくるんだというふうにおっしゃっておりますが、実際、各省庁ともどれくらいの分掌職、つまり局長ポストをふやそう、今みたいな話ですと、どんどんふえちゃうことになるわけですよ、機能が残るんだ、残るんだと言っていったら。  それでは、実際に百二十八から九十六に削減される局長級のポスト、このポストはどれくらいのポストを考えているんですか。私はこの点、資料を出していただきたいと思うんですよ。いかがですか。
  181. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 先ほど次官級ということでお話がありましたが、それにもちょっと一言触れさせていただきたいと思います。これは先ほど太田大臣が御答弁されたように、実はこれは次官級ということではございませんで、太田大臣がおっしゃったように次官に準ずるということで、明らかに一格下のポストでございます。  それで、今回大くくりになりまして、所掌のいわゆる実施事務等はスリム化していくにしましても、企画立案事務等は残るわけでございます。そういう場合、スリム化というのは当然でございますが、片や行政責任というものを全うしていかなきゃいけない、それが事務次官一人でできるのかどうか、そういうことで補佐をする意味で置いたもので、あくまでも次官を別に次官にしたということではございません。  それから、今お尋ねの局長級分掌官の件でございますが、政令、組織につきましてはこの法律を成立させていただければ早速にその内容を詰めてまいりますが、いずれにしても衆議院委員会でも必要最小限という御決議をいただいているわけで、そこを十分尊重して検討してまいりたいと思います。
  182. 小泉親司

    小泉親司君 私は、職務を全うするというのであれば、国家公務員の二五%の削減だって、皆さん職務を全うしておられるんですよ。それだったら、削減なんかしないで職務を全うさせたらいかがでございますか。それを二五%削減して、局長級や事務次官は職務を全うするから残すんだと、私はこれでは全く説明が成り立たないというふうに思います。  その点で、私が聞いていることに答えないで何かごちょごちょへ理屈を言っても、局長級じゃなくて局長に準ずるだって、私だってそんなことはわかっていて、局長に準ずると長いから言わないだけの話で局長級と言っているだけなんです。あなたそんなでたらめを言ってはだめですよ。  その一方で、やはり今回の再編では国家公務員を十年間で二五%削減するという計画である。しかも、この削減では独立行政法人移行される部門、つまり国民生活と直結する国立病院とか国立研究機関などが行政から分離される、私これは大変重要な問題だというふうに思います。  今回の再編で、国民へのサービスを低下させる国家公務員へのリストラを大変大幅に行う。公務員の削減では二五%やりながら、太田総務庁長官衆議院の五月三十一日の論議では、「二五%ぐらいでは困るのですよ。もっとハイピッチで減らしてもらわなくてはいかぬ。」と、こう言っておられるんです。こういう大幅なリストラをどんどん推進する一方で、高級官僚のポストは温存する。やはりこれが自民党政府の言う行政改革なのか。  新聞でもマスコミでも何と言っているかといったら、行政改革の理念はどこへやら、高級官僚ポスト温存の肥満体質。次官ポストは温存、官僚制の抵抗反映と。私は、これでは政治主導と言いながら、実際は自民党政府国民の犠牲の上に立った高級官僚救済策じゃないか。  特に、今回の行政改革の発端というのは、住専問題とか薬害エイズの問題ですとか、厚生省の岡光次官の汚職問題ですとか、大蔵省の一連の接待疑惑だとか、いわゆる政官財の癒着構造、いわゆる護送船団方式、こういうものが大変大きな問題になったわけです。これが私はやはり発端だと思うんです。  だから、人事院の年次報告で何と言っているかというと、幹部職員の不祥事件に言及して、「行政官の政治化」として、高い地位の公務員が「自らが国を先導しているという誤ったおごり、特権的意識を持たせ、接待を受けても恥じない感覚を生んだという一面があったことは否定できない。」、そして「誤ったエリート意識の発生が行政官の政治化と深い関わりの下で生じることを踏まえれば、」「政治との関係における公務員の在り方の検討が求められる」というふうに指摘しているわけです。つまり、一連の不祥事は決して一般公務員の責任ではなくて、やはり政治が一部の高級官僚に特権意識を持たせておごりを助長させてきた、こういう政治の責任こそ明確にすべきなんだというふうに人事院が言っているんだと私は思うんです。  ところが、今回の再編法案では、事務次官級、事務次官に準ずる職、局長に準ずる職、こういった高級官僚のポストが温存される。しかも、これが一般公務員や国民には行政サービスの低下という犠牲を強いながら行われる。やはりこれでは行政改革側の指摘は人事院の指摘と両立しないというふうに思います。  その意味では、国民生活に直結した部門の切り捨て、国民へのサービス低下につながる国家公務員の大幅な削減をやめること、同時に高級官僚の優遇政策、天下りも含めて政治の責任できっぱりとやめさせるべきだという点を私は太田総務庁長官に要求しておきたいというふうに思います。
  183. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 国家公務員の数が一人でも減れば国民のサービスの低下につながるという御主張のようでございますが、必要な仕事、緊急の仕事、優先的な仕事ということをきちんと区別していって、そして国民が自己責任でもってやっていく自由主義の社会を基調にしようということが世界の流れでもあり、我が国もそういう生き方をこれからしようという決意のもとにやっていることであります。もちろん、今言われました不祥事というのは無視できない現象としてはあると思いますけれども、本質は国民政府の間を改革していこうということであります。  ですから、二五%に限らず、今の御主張を聞いていると、何でも一%でも減れば直ちに国民のサービスの低下につながるということでありますけれども、今やろうとしておりますことは、国民へのサービスの問題ではなくて、いわゆる事前調整の方にウエートがかかり過ぎているのではないかという問題意識から出発しているわけであります。
  184. 小泉親司

    小泉親司君 私は、先ほども指摘しましたように、政と官の癒着、政官財の癒着、こういう問題が非常に大きな問題になっているわけで、それに見合う行政改革をする、これが最も大事な問題だというふうに思います。国民サービスの問題も、一名減るから二名減るからというのではなくて、行政というのは国民へサービスを提供するということが主たる職務なんですから、この点をきっちりと踏まえた対応をとるべきだ、これが行政改革基本だ、私はそういうことを主張しておきたいというふうに思います。  次の質問に入りたいと思います。  内閣機能の強化、危機管理の問題について若干質問をさせていただきたいと思います。  今度の再編法案では、内閣機能の強化として内閣総理大臣の権限強化を明記しておられます。また、内閣総理大臣の権限を強化するために補佐支援体制の強化を進めておる。政府は、この総理大臣の権限強化について、国防の重要事項から大規模自然災害に至るまでの危機管理のために必要だというふうに説明しておられます。小渕総理は本会議の答弁で、危機管理の中には周辺事態法も含まれるというふうに答弁をされました。ですので、私は、この周辺事態法、特に日米ガイドラインの問題について幾つか質問させていただきたいと思います。  総理はケルン・サミット前の日米首脳会談で、周辺事態法の成立をアメリカ大統領に報告して、今後は日米ガイドラインの実効性の確保を行うというふうに述べられましたが、この周辺事態法の成立を受けて日米ガイドラインの実効性確保というのはこれ以上何をおやりになるという計画なのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  185. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) まず、周辺事態法そのものが日米防衛協力ガイドラインの実効性を確保するためにお願いしたものでございます。今後は、その成立も受けまして、そのもとでの日米の協力のあり方あるいは関係省庁との連携のあり方をいろいろ検討していく段階に入ろうかと思っております。
  186. 小泉親司

    小泉親司君 今、関係省庁と協議を始めるというお話でありましたが、既に日米ガイドラインの実効性の確保という点では日米ガイドラインの実効性確保に関する関係省庁会議というのが九七年十月二十日、官房長官の決裁で設置をされています。この関係省庁会議というのはどういう目的で日米ガイドラインの実効性の確保のためにどういうようなことをやるのか、それからこれはどのようなメンバーで設置をされているのか、お聞きしたいというふうに思います。
  187. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 包括的なメカニズムは、指針のもとにおきまして日米共同作業を実施するために日米両国により構築されたものではございますけれども、これには自衛隊及び米軍のみならず、おのおのの政府のその他の関係機関が関与することとされておりますので、我が国側においては関係省庁局長会議がこれに当たるわけでございます。  関係省庁局長会議は、内閣官房副長官、事務の担当でありますが、を議長といたしまして、内閣安全保障危機管理室、防衛庁及び外務省、その他関係省庁局長等から構成をされておりまして、相互協力計画についての検討を初めとする指針のもとにおきます日米共同作業のために必要な国内における検討を実施することとしておるわけでございます。
  188. 小泉親司

    小泉親司君 私は関係省庁のことだけをお聞きしたんですが、官房長官が包括メカニズムとお話しいただきましたので、もう一つだけ包括メカニズムに関係してお聞きしますが、この関係省庁会議が包括メカニズムという、何が何だかわからない機構でありますけれども、この機構のもとにあるということは政府の説明の資料でも明確であります。  それではお聞きしますが、日米ガイドラインではアメリカと日本が二つのメカニズムを構築する。その一つは、日米両国政府は計画についての検討を行うとともに共通の基準及び実施要領等を確立するため包括的なメカニズムを構築する。これには、自衛隊及び米軍のみならず、おのおのの政府のその他の関係機関が関与するというふうに、これが一つの包括的メカニズム。  二つ目には、第二に、日米両国政府は緊急事態においておのおのの活動に関する調整を行うため、両国の関係機関を含む日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。つまり、包括メカニズムというのと調整メカニズム、これはよくわからないのでありますけれども、こういう機構、これはどういう機構なんですか。
  189. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) ガイドライン特別委員会でも御議論いただきましたけれども、二つのメカニズムは、まず包括的メカニズムの方は、平素からあらかじめ両国政府の間で周辺事態が生じた際の協力のあり方、あるいはこの場合には日本有事のケースも含まれるわけでありますが、それを検討しておくための機構であります。そして、調整メカニズムの方は、これはまだ実は具体的に立ち上がっていないわけでございますけれども、実際に周辺事態というケースになりました際に両国の関係するさまざまな機関の間で調整を円滑に行うための機関ということです。いずれもガイドラインの実効性確保という観点から申しますと、そこで、先生も挙げられましたが、米軍、自衛隊のみならず日本のサイドでは関係する省庁にも関与していただく。そういう意味で包括的なメカニズムという用語を使ったわけでございますし、それを実施段階で円滑に行うというところで調整メカニズムというものが機能するということであります。
  190. 小泉親司

    小泉親司君 包括メカニズムというのは、政府の資料を読みますと、アメリカ大統領と総理大臣を筆頭としまして、それぞれの日米の国防国務大臣、日本では外務大臣防衛庁長官、それからこれはまた米統合参謀本部、在日米軍、太平洋軍司令官、自衛隊統合幕僚会議。こうやって見ますと、外務、国防というのはシビリアンでありますけれども、実際にはこの包括メカニズムというのは、大変大きな包括的な軍事機構といいますか、そういうシステムであるわけです。  なぜこういうふうな大変包括的な軍事機構、私は今中央省庁再編の話をしていますけれども、全然別にそういう中央の包括的な機構がつくられるというのも大変重大な問題だと思いますが、このような軍事機構の一部になぜ関係省庁会議が入るようになったのか、この点いかがでございますか。
  191. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 先ほどちょっと舌足らずでございましたが、自衛隊もそうでございますが、各省庁も、自衛隊については今回の周辺事態法も含めてでありますけれども、それぞれが法律に定められた固有の権限に基づいて協力をしていくのでありまして、このガイドラインに言ういわゆるメカニズムというものによって特に新たな権限を付与したり、あるいは新たな組織を新設するというものではございませんで、円滑な協力のための、検討のための機構ということでございまして、いわゆる一般的な行政組織というものとは性格を異にしていると思います。  その包括的なものの中に関係する省庁に入っていただくというのは、これはまさにガイドラインの協力の実効性を確保する上で、自衛隊あるいは外務省だけではできない部分といいましょうか、各省庁の御協力をいただいてより実効性が上がるということを考慮して、まだ具体的にどういうことでどう関係するということは全部整理していないわけでありますけれども、関係するであろう省庁の参加をいただいて、おととしの九月に立ち上げたのが関係省庁局長級の連絡会議というものであります。
  192. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官、この関係省庁会議について、新治防衛大学校助教授が「防衛法研究」という論文の中で、旧ガイドラインというのは、米軍と自衛隊の間の対処要領を決めたものであるのに対して、新ガイドラインというのは、日米両国の総合的な協力の枠組みを規定したものと言えるんだ。日本側が協力する対象についてみれば、自衛隊だけでなく、政府各機関、地方自治体、民間、すなわち国民すべてが対象になっている。このことは、日米間の協議機関のほかに日本政府内でつくった法整備のための関係省庁会議に十七省庁が参加していることからも明確である。これは、新ガイドラインを履行するためには、日米両国が国家及び国民の総力を動員して実行していかなければならないことを意味するというふうに書いておられます。  つまり、関係省庁会議というのは、国家及び国民の総力を動員して日米ガイドラインの実効性を確保するメカニズムである、こういう意味を持っているということなんですね。
  193. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) まず、関係省庁局長会議で最初にやっていただきました議論は、先生今お触れになりましたように、ガイドライン関連法案の作成の過程での検討がございました。しかしながら、それは今引用されたように、その法律をつくっていくための会議というよりは、法律が通った後についてはさらにそのもとでのいろんな実効性確保の検討をいただくということで、特に法律をつくるためのということではございません。そして、いわゆる総力をというくだりもございましたが、これはかねてからもいろんな形で御説明、御答弁があったと思いますけれども、やはり周辺事態で我が国の平和と安全をより確実なものにするために米軍が活動をし、それに対して我が国としてできるだけの支援をするという際に、必ずしも自衛隊だけでは十分な支援ができないところがあるので、それぞれ自治体なり民間なりの御協力はお願いしようということで先般も法案をお願いしていたわけでございます。
  194. 小泉親司

    小泉親司君 少し具体的にお聞きしますが、関係省庁会議には十八省庁、先ほど二十二省庁と言いましたので、宮内庁とか環境庁だとか、こういう一部の省庁を除いてほとんど参加しておられる。いわば軍事色の強いというと言葉があれかもしれませんが、航空法とか港湾法を担当する運輸省、これは運輸政策局長が出ておられる。電波の割り当てなど、これは郵政省の電気通信局長などが出ておられる。大変異例なのは、厚生省の健康政策局長が出ておられる。それから、これは周辺事態みたいな紛争に余り関係ないと思いますが、文部大臣官房長が出ておられる。さらに労働省の職業安定局長が出ておられる。これは私は大変異例だと思うんですが、安保危機管理室に聞きますと、この会議出席者というのは各省が選抜して出したものなんだというふうな話がありました。  それでは、厚生省の健康政策局長、労働省の職業安定局長、文部省の大臣官房長、こういう方々はどのような目的でどのようなことを検討するためにこの会議に出ておられるのか。関係省庁会議の検討項目というんですが、その項目の中には日米ガイドラインの法的な側面を含めて検討するというふうに書いてありますが、どのような法的検討を行うために出席されているのか、厚生、労働、文部、それぞれの大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
  195. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) この局長会議は六回招集されておるようでございますが、五回目までは法案作成までの段階でございます。それから、六回目は法案が成立した後の協議ということを承っております。  厚生省では健康政策局長を出しておりますが、これは、医療協力の問題とかあるいは廃棄物の処理問題、また水道行政、これは一つの局、健康政策局が全部やっているわけではございませんが、おおむねその中心的な局長を参加させるという意味で参加させていただいておると思います。  ただ、どういうことを要請されているかといえば、まだ具体的に何らそういう話は聞いていないという状況でございます。
  196. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 例えば、周辺事態法で言う周辺事態に際して、後方地域支援で民間企業が協力をする場合がある、これは契約を結ぶわけでしょうけれども。その際に、スタッフが足りないということで、人を募集したいというケースも考えられなくはない。その際に、公共職安を通じて求人をかける場合があるのではないか。そういうことも想定して職安局長が参加をさせていただいております。
  197. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) この会議は、政府内の関係省庁間において必要に応じて連絡調整を行うために設けられたものであると考えております。その場において、現時点で文部省に対し何らかの具体的な要請が行われたり検討が求められているものではございません。
  198. 小泉親司

    小泉親司君 文部大臣の答弁が一番具体的じゃなかったんですが、ちょっと時間がないので。  私、本当は十八省庁大臣全部にお聞きしたいんですが、職業安定、労働省の問題だけについてちょっとお尋ねをさせてもらいますと、今、労働大臣は、今度のものは職業安定所での労務提供、こういうもののあっせんをやるというものもあるんだとおっしゃったわけです。職業安定局長出席しているのはそういう理由だということでありますが、問題は、じゃなぜ職業安定局が、ないしは職業安定所が米軍のための、特に周辺事態のいわば紛争のための労務の提供のあっせんの対策をとることができるのか。  私は職安法を見てみましたが、職安法の目的では、例えば工業その他の産業に必要な労働力を提供し、職業の安定を図り、経済の興隆に寄与するとなっているんですね。職安法のコンメンタールを引きますとどうなっているかというと、これまで戦前には旧職業紹介法があったんだ、それを職安法というふうに変えたんだと。何で変えたかというと、それは、戦時中の労務統制の色彩の強い法律を変えることによって経済の興隆に寄与するということだけにしたんだというふうに説明されているんです。  問題は、つまりこういう戦時中の労務提供を改めて経済の興隆に寄与するのに変えたと言っている職安法のもとで、なぜ周辺事態という米軍の戦争協力のための労務提供ができるのか。この法的根拠が一体どこにあるのか。この点、労働大臣、いかがでございますか。
  199. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 別に戦争に協力する労務を提供するのではなくて、企業が求人を、人を必要としていると、それに対して求人と求職を結びつけるということを無料でやっているわけでありますから、その業務の一環として参加をさせていただいております。
  200. 小泉親司

    小泉親司君 普通の企業がちょっとトラックの運転手が足りないから貸してくれという話じゃないんですよ。先ほども言いましたように、周辺事態といういわゆるそういう紛争時に例えば米軍のトラックの運転手を探すということなんでしょう。これが何で職安法でできるのか、私、大変、甚だ疑問であります。  法的権限がないのにこういう職業安定局長関係省庁会議みたいなものに出てこういう軍事的な、対米軍事支援みたいな中身を負うというのは、私、非常に重要な問題だと思います。  例えば、戦前には、一九九二年の参議院の予算委員会でこの職業安定法に基づく職安問題というのが取り上げられたんです。つまり、戦前と今がどう違うのかということが議論になった。当時の労働省の若林職安局長は一九九二年の参議院の予算委員会で何とおっしゃっているかというと、昔は国家総動員法のもとで国民徴用令があったんだ、しかし初めから国民徴用令がやられたんではないんだ、初めは職業紹介法に基づいていわゆる職業紹介所がまず募集したんだ、募集がだめだったら官あっせんと言いまして政府があっせんしたんだ、その次、それでもだめなら徴用だったんだというふうに若林局長は答弁されていますよ。  ということは、今度の周辺事態という紛争では、米軍のための労務提供をやるということは、昔の官あっせんという問題と同じ内容を持ったもので、私、こういうことに職安の経済興隆を主眼とする職業安定局長などが出るというのは大変やはり重大な問題だというふうに思います。  私、こういう法的な権限がないのに周辺事態法で日本の後方支援という取り決めだけで関係省庁局長が次々と動員される。私、本来、今回の行革でも、いわゆる関係行政機関が行政指導などというあいまいな権限で行政をやってはいけないというようなことを言っておるわけでありますけれども、実際、この米軍への、周辺事態への協力という重要問題を、特に職業安定局長ですとか文部省ですとか厚生省、こういった国民生活部門を扱う部署がこういう問題を法的権限なしに実行するというのは、私、法治国家としては大変やはり重大な問題をはらんでいるんじゃないかというふうに思います。  元外務・防衛官僚である森本敏さんという方が最近本を書いておりまして、この方が言っておられるのは、関係省庁会議の設置を大変高く評価した上で何とおっしゃっているかというと、戦後初めて日本が有事に関する法体系の整備に着手したということである、日本の国内法は一般に平時である、つまり国内法は何か有事が起こることを前提として想定されていない、それが初めて日本の官僚組織の中に、つまり関係省庁会議の中に、有事に対する概念と配慮が導入されるという意味で画期的な内容を含んでいるんだというふうに指摘をされておられます。  そこでお聞きしたいんですが、この日米ガイドラインの関係省庁会議の検討項目の中には、法的側面を含め日米ガイドラインの実効性を確保するための各種措置の検討ということを挙げておられますが、この法的側面を含め検討という意味は、もし現行法上問題が生じたら法改正を検討する、防衛庁長官、そういうことなんですね。いかがですか。
  201. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これは、会議が発足しまして第一回目が平成九年十月二十一日でございますから、その以前にこういうものが書かれてあるわけですから、むしろこの法的側面を含む指針の実効性を確保するというのは、この間のガイドライン法案をとりあえず指しているものではないか、こういうふうに思います。
  202. 小泉親司

    小泉親司君 いや、今の文書は官房長官が決裁されていまして、野中官房長官かどうかは、九年の十月二十日でございますから。  この中には明確に「法的側面を含め、指針の実効性を確保するための各種の措置についての検討。」ということでありまして、周辺事態法だけの話じゃないんですよ。指針の実効性を確保するための各種措置についての検討の中に法的側面も含めて検討と言っているわけで、これはやはり私は有事態勢の大変重大な問題だというふうに思います。  もう一つお聞きしたいのは、周辺事態法では政府は自治体や民間に対して協力とか依頼とか言ってこられましたけれども、日本の官僚機構のトップが局長会議という形で事実上恒常的な会合を持って法的な側面を含めた検討を行う、こういうことになると実際に周辺事態法の九条一項、二項のいわば協力とか依頼とかいうのにとどまらないものになるんじゃないかというふうに私は思います。  しかも、今回の関係省庁会議の包括メカニズムというものによりますと、総理大臣の指揮監督のもとにこの十八省庁関係省庁局長会議というのが置かれるんです。これは図に書いてありますからそのとおりなんですが、それぞれの大臣には具体的には指揮監督権はない。  それが、今回の中央省庁再編法案法案の中にはないんだけれども、行革会議の報告では、総理大臣の指導性の強化ということで、総理大臣が各省庁を直接指揮監督できるようにその弾力的運用を図るという項目があります。  こうなりますと、この関係省庁会議への総理大臣の弾力的運用というのは、これまでの政府の見解によりますと、あらかじめ閣議決定をしておけば各省を直接指揮監督できるというふうなことであると解釈されておるんですが、この種関係省庁会議に直接総理大臣が指揮監督できる、この点では総理大臣の弾力的運用のやはり先取りだというふうに私は思います。  この機構自体はこれから、午前の議論でもありましたが、内閣官房副長官のもとにこの関係省庁会議が置かれて大変具体的な日米ガイドラインの有事態勢の方向が進むという点では、こういった総理大臣指揮監督権限の具体化、先取りという点ではどのように考えられておるんですか。  防衛庁長官、いかがでございますか。
  203. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) これはあるいは内閣安全保障室の方からお答えいただくのが適当かと思いますが、包括的なメカニズムと申しましたのは、先ほど来申し上げておりますように、日本政府といいましょうか関係省庁としていろいろ協力をいただく、そのためのいわば相談のための枠組みであります。  ですから、これに対して内閣総理大臣が直接にどのような関係で指揮をされるかというところについては、この包括的メカニズムに関する限りはそういった直接の指揮をいただくということを必ずしも前提にしたものではございませんで、先ほど申し上げましたように、各省各省の既存の法令に基づく固有の権限に基づいていろいろ御検討をいただくということになっておるわけであります。
  204. 小泉親司

    小泉親司君 私が言っているのは、この包括メカニズムはあなたたちが出した資料の中に明確に総理大臣の指揮を受けることになっているんです。  私、時間がありませんので、中央省庁再編問題が進むその一方で、こういう日米ガイドラインの推進機構づくり、周辺事態法という戦争法の推進機構づくり、こういうものについては……
  205. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 小泉君、時間になりました。
  206. 小泉親司

    小泉親司君 私は重大な問題だというふうに指摘して、質問を終わらせていただきます。(拍手)
  207. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。  最初に、官房長官に二点お尋ねをいたします。記者会見があるということで、少し関連性のない質問を二問させていただきます。  一つは、一律定員二五%カットについてです。  行政のスリム化、効率化のために一律定員二五%削減が打ち出されておりますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。住民に対する行政サービスを低下させないために、二五%というもののシミュレーションがなされたのかどうかということもあわせお尋ねをいたします。  例えば、厳しい雇用情勢のもとにおける職安行政とか介護保険実施を前にした福祉行政を見ましても、一律という削減ではかえって政策実現の上で行政の硬直化をもたらすのではないか。少子高齢化社会の暮らしの設計という視点からも、どういう形で日本の国を見るのかという点においても、人員配置に対するイニシアチブというものは一体どこが握られるのか非常に不安を感じます。  その点についていかがでしょうか。
  208. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 十年二五%の定員削減につきましては、民営化、さらに独立行政法人化、なお新規採用の抑制や増員の抑制などさまざまな改革努力によりまして実現をするものでございまして、こうした行政のあり方の見直しによらずに一律に削減するということではないわけでございます。  定員削減の実施に当たりましては、今御指摘をいただきましたような行政各部門の分野におきまして見直しを求める必要があると考えておりますけれども、政策の実現に当たりまして、効率的かつ適切な対応ができるよう十分留意をし、配慮をしていかなければならないと存じております。
  209. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 第二は、予算編成についてであります。  今度の省庁改革では、内閣府の経済財政諮問会議が予算編成の基本方針を立てるということになっています。しかし、財務省設置法によりますと、その所掌は、国の予算の企画立案並びに事務処理さらに予算の作成ということになっております。  この二つの所掌事務の調整について、予算編成に向けた具体的作業が従来とどう違うのか、そして内閣のイニシアチブが新しい国の予算配分を可能にするのかどうかということについてお尋ねをいたします。
  210. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 中央省庁改革後の予算編成のプロセスにつきましては、まず、今御指摘ございました経済財政諮問会議内閣総理大臣の諮問を受けまして予算編成の基本方針について調査審議を行いまして、内閣総理大臣を議長として関係国務大臣、民間有識者等の合議によりまして取りまとめられましたその答申等は、改めて閣議決定を経まして内閣の重要政策に関する方針となるわけでございます。  この閣議決定をされた予算編成の基本方針に基づきまして財務省が概算作成等の具体的な予算編成事務を行い、閣議決定を経まして内閣としての政府予算案を作成し、国会提出するものでございます。
  211. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 さらに一点付加してお尋ねいたしたいのですが、経済財政諮問会議のいわば事務局体制のあり方についてさまざまな懸念が出されております。  各省庁の官僚の出向ということであれば、さらに省庁における官僚の権限が肥大をしていくということにもつながりかねない。また、朝日新聞などによりますと、これは一九九八年の十二月段階ですが、経済財政政策調整委員会というものが原案を作成すると言われておりまして、内閣総理大臣を議長として十名の議員で成ります経済財政諮問会議というものがどういう姿を持つのかということについてもう少し御説明いただけたらと思います。
  212. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 内閣総理大臣の諮問に応じまして経済財政諮問会議は経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他経済財政政策に関する重要事項につきまして調査審議をするわけでございます。  議員は、内閣総理大臣を長にいたしまして、内閣官房長官あるいは経済財政政策担当大臣各省大臣のうちから内閣総理大臣が指定する者、さらに法律国務大臣をもってその長に充てることとされております委員会の長及び庁の長のうちから内閣総理大臣が指定する者となるわけでございます。そのほか、関係する国の行政機関の長のうちから総理大臣が指定する者、また経済または財政に関する政策についてすぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する者でございまして、こういうようにいたしまして中央省庁改革後は予算編成にも内閣総理大臣のリーダーシップがより強く発揮される体制となるわけでございます。
  213. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 どうもありがとうございました。  それでは、予算編成についてさらに大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  財務省は国の予算の企画立案を担当する、そして予算を作成するということになりますが、今、官房長官のお話では、経済財政諮問会議で決められた基本方針が閣議決定を経て、具体的な編成作業が旧大蔵、新しく財務省で行われるという形ですが、大蔵省としては、これまで担当しておられた予算編成と新たな省庁再編後の財務省の予算編成のやり方、具体的なプロセスについてどのように違ったものになるととらえていらっしゃるんでしょうか。
  214. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから経済財政諮問会議のことにつきましてのお尋ねがあり、官房長官がお答えをしていらっしゃいましたが、文字に書いてありますことはそのとおりわかりますのですが、実際どういうふうにこういう仕組みが動かされることが大事なのかというふうに考えますと、大蔵省が予算編成方針というものを書きましてそれを閣議で決めていただいてそれで予算編成をするという今の仕組みでは非常に官僚主導になりやすいから、そうではなくて、総理大臣のところで、各閣僚も何人か入りますが、民間の人を集めて編成方針を議論しろ、それを閣議で決めてというのですから、それが今までの官僚主導の編成方針と違ったものができるようにするのにはどうすればいいか。  結局、こういう制度はどういうふうに運営することになるかということで恐らく決まっていくのだろう、そういうふうに想像をいたしております。それを考えますと、この会議は一遍きりというようなことではなくて、やっぱり常時、時々話していて、そしてその上で今の日本に必要な予算編成方針はこうだなというようなことを、お役所がつくったものを皆さんこれでいいやというのではなくおやりにならないと、総理大臣のリーダーシップになりませんので、しょっちゅうそういうお話をなさっていて、それをここで調査審議なさって、便宜閣議が決めなきゃなりませんから閣議で決めて、そのお下げ渡しがあって大蔵省が予算編成をすると。そうでありませんと今と同じことになります。  したがって、何度かそういう御議論があることと、その御議論は本当に会議のメンバーが議論の中から生み出されるということと、もう一つ、かなり前広にしていただきませんと、予算編成はどんどん勝手に進んでおって、編成方針そのとおりいたしましたと言われても、何もわからぬということではいけないわけですから、そういうふうに運営されることが望ましいんではないかと。したがって、それを財務省はいただいて具体的な予算にする、こういうことではなかろうかと思っております。
  215. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時代の要請に合い、政策の目的に応じた予算の配分を変えていくというようなところまで、ぜひ今回は経済財政諮問会議とそれから財務省との連携のもとで、二十一世紀に対応できる国家予算の仕組みをつくっていただきたいと切望しておきます。  続いて、省庁再編の効果につきまして、行政のスリム化や効率化ということが言われておりますけれども、行政サービスの向上と将来世代に対する財政負担を軽減するということは確かに重要な課題で、定員の削減ということはこれまでも厳しく行われてきたわけですけれども、それとともに、国と地方自治体合わせて数十万人の非常勤・臨時職員等、いわゆる定員外職員が職務に従事しているという現実があります。  総務庁長官自治大臣にお尋ねをいたしたいのですが、国のそうした定員外職員は大体総数何人で、どういうところに配置されているのかということについてお調べになったことがあるのでしょうか。お尋ねいたします。
  216. 中川良一

    政府委員中川良一君) まず、国についてでございますが、一般職非現業におきます非常勤職員、これは多種多様でございまして、統計調査員とか審議会の委員でありますとか、顧問、参与あるいは保護司などが含まれております。そういったものを全部トータルいたしますと、平成十年七月一日現在で二十三万六千九百十五名でございます。  このうち、いわば行政事務の補助をしておるということで、いわゆる事務補助職員ということに絞って数を取り出しますと、三万三百四名ということになっております。
  217. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) 地方団体におきましては、常勤職員のほか、定数の対象とならない臨時職員、非常勤職員が任用されているところでございます。  例えば、特別職の臨時または非常勤の顧問、参与など、また一般職の非常勤または期限つき任用の職員あるいは一般職の臨時的任用職員といろいろな形がありまして、その勤務形態、職務内容は多岐にわたっておりまして、また団体によりましてもそのとらえ方が異なっておりますので、全国的な実数ということになりますと、把握をいたしておりません。
  218. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 かなり前、労働委員会で問題になったときも、自治省はそういった把握をしていないというお答えであって、その調査をしていただくようにというふうに要望したことがあると記憶しておりますが、大体の実数はどのくらいかということはおわかりでしょうか。  例えば、自治労が組織している非常勤・臨時職員は二十数万と、こう言われているわけですが、そういうところに入っていない人もいるわけですから、大体全国でどの程度なのでしょうか。
  219. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。  お話しのように、臨時職員、非常勤職員につきまして実態を把握しようということで努めたことがあります。地方団体におきましてその任用根拠などの取り扱いが必ずしも同一ではない、またそれぞれの地方団体における職務内容、勤務実態も多岐にわたりまして、また団体によりとらえ方も異なるということで、結局有意なデータを把握するに至りませんでした。  それで、給与実態調査の関係でいわゆる常勤的非常勤職員というのは調査をいたしているわけでございますが、この数は平成九年の四月一日現在で五千七百二十人ということで把握をいたしておりますが、全体的にはちょっと有意なデータを得ておりません。
  220. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それはちょっと無責任ではないかと思います。自治省としては、定員外職員が各地方自治体で、確かに法的根拠も違いまして統計上困難であろうかと思いますが、一般職の補助としてたくさん活用されているわけです。したがって、地方分権も進むわけですから、しっかりとそういう実態を把握しておいていただきたいというふうにお願いをいたしまして、さらなる調査を要求したいと思います。  さて、そういう定員削減を行いまして正規の職員を減少いたしましても、現在のように非常に厳しい社会経済状況で、当然国や地方に要請される行政サービスの重要性は大きくなるわけですから、それにこたえるために定員外職員を活用するということでは何の役にも立たない、不安定な雇用だけが増大するということになると思います。  こうした省庁再編におきましてこういった人たちの処遇というものは将来どのようになるとお考えなのか、大臣にお尋ねいたします。
  221. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) お答えいたします。  二五%の定員削減によってその見返りに非常勤職員をふやすべきではないという御主張と理解をいたしております。  そして、この二五%の定員削減を私たちが目標としておりますのは、行政のあり方や政策実施の方法などについての見直しによって事務事業の減量化を行ったり、情報化に伴って事務運営の合理化、効率化等を図ることを通じて行うものでありまして、本来的に非常勤職員をもって削減の穴埋めを行うという性格のものではないわけでございます。仕事の方を減らしていこうとしているわけであります。  そして、行政機関の業務の中には、常勤の定員内職員を充てることが適当でない臨時変動的な業務がありまして、このような性格の業務を処理するため定員外の非常勤職員が雇用されております。例えば法務省の保護司、あるいは統計調査職員、大学の非常勤講師など、その職務内容は非常に多岐にわたっております。
  222. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 こうした定員外職員の臨時・非常勤職員の労働条件というものは、同一または同様の職務を遂行している正規職員と比較いたしまして、賃金、休暇など労働条件が大変低く、不安定な状態に置かれています。この点について早急に改善すべきだと思います。  人事院としては、この人たちの勤務条件についてどのような現状と把握しておられるのか、お尋ねいたします。
  223. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 勤務条件といいましてもいろいろございますが、私たちが決めております勤務時間及び休暇につきましては、法律で人事院規則で決めるようにというふうに書いてございますので、私たちの方で決めております。  また、勤務条件の非常に重要な給与につきましては、法律で各任命権者が常勤職員との権衡を考慮して決めるようにというふうに書いてありますから、各任命権者が、それぞれ今二人の局長が答弁しましたけれども、勤務実態あるいはまた勤務態様というものを考えながら決めていただくということだろうと思います。
  224. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 どうか、こうした省庁再編の中で最も不安定な立場にある臨時・非常勤職員の勤務条件をしっかりとしたものにし、かつ身分の不安定さがないように、そして真っ先にリストラされることのないように配慮を、自治大臣それから総務庁長官にお尋ねしたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  225. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方公務員の世界、特に地方行政の世界でなかなか臨時・非常勤職員の数について、率直に言って有意なデータを把握するのに苦労しているんです。  私もびっくりしたんですけれども、行政協力員、一般事務員、医師、指導員、教員、講師、技能労務職員以下十八ほどの職種がずらっとありまして、だから、どこまでをとるのかということになるとなかなか容易じゃない。自治労の調査だと二十三万人ほどいるという話なんです。本当にその中でどこまでをどういうふうにとるのかということでいうと、先ほど局長が申し上げた勤務時間あるいは勤続の月の数とかいうようなことでいうと、ざっと五千七百人余りという数字になっております。しかし、なお一層きちんとした把握ができるように努力をしたい、まずこれが第一点です。  それからいま一つ、不安定な雇用になるのではないかという話があるんですが、一方で、地方団体におきましては、必ずしも正規の常勤職員を配置する必要のない業務については臨時あるいは非常勤職員を充てるというようなことによって事務の種類や性質に応じて活用していくということが行政運営の簡素合理化というか、そういったことからも必要なことであるという考えもございまして、この点は地方公務員制度調査研究会というので勉強してもらっておりましたが、この四月に報告をいただきました。  その報告でまいりますと、今後の改革の方向として、「臨時・非常勤職員の今後の位置づけ」の中に、「地方公共団体が、簡素な組織を維持しつつ、行政ニーズの変化や多様化に的確に対応し、行政サービスの種類や性質に応じて弾力的に運営することが可能となるよう、事務の種類や性質に応じ、臨時職員や非常勤職員など多様な勤務形態の職員を活用していくことが必要である。」ということを言っております。一方で、ただ地方公務員の非常勤職員の給与のあり方や任用の方法等については国家公務員の非常勤職員の状況と取り扱いといいますか対応に差があると。そういう点で、そのバランスなどということも頭に置いて検討を進める必要があるということの報告をいただいておりますので、その趣旨を生かして検討してまいりたいと考えております。
  226. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほど挙げました幾つかの例でありますけれども、例えば保護司の方々あるいは統計調査職員の方々、非常勤講師の方々などは、今、先生がおっしゃいますように、我々、その有効な貢献に対して十分報いていないということはあるやもしれませんので、そのことは常に念頭から離さないようにしておかなければいけないと思っております。
  227. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 住民の人たちと最も密着したところで、恵まれない労働条件のもとで黙々と働いている人たちのことをどうかお忘れなく、省庁再編の中でもしっかりとその条件の改善を図っていただきたいと思います。  さて、総務省の政策評価勧告制度についてお尋ねをしたいと思います。  今までの官僚政治の中で、漫然とむだを生み出していくということがございました。確かに私どもも委員会でさまざまな視察をいたしますと、大きな田舎の中に水族館つきの巨大なレジャー施設があり、その水族館に行きますと、円柱形の大きな水族館の中でこのお魚は縦に泳ぎますという説明をされたり、あるいはもう広大な田んぼの中の体育館に行って、ぴかぴかに磨かれているので、これはいついっぱいになるのですかと聞くと、シャ乱Qの公演のときのみはいっぱいになりますとか、そうした形の返答が何の不思議もなく説明されているということにも象徴されるように、やはり大きな公共工事だけではなく、さまざまな政策の評価というものが行われる必要がある。それこそやはり行政の質を変えていく制度だというふうに思います。  ただ、総務省が行う政策評価勧告制度について、行政監察制度との関係は一体どのようにとらえたらいいのでしょうか。
  228. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答え申し上げます。  私ども現在実施しております行政監察は、主として適正性あるいは効率性、このようなところが主要な視点ではないかと考えております。これに対しまして、新しく導入いたします政策評価につきましては、政策や事務事業の効果が所期の目的どおり発揮されているか、効果が上がっているかというところを評価することが大きなねらいでございますので、行政監察との性格の相違はそのようなところにあるというふうにまず考えております。  それから、この評価した結果の処理でございますけれども、総務省は直接政策を所管しておりませんので、政策を所管している省庁に評価結果を伝えて尊重してもらうことが大事なわけでございます。したがいまして、私どもの評価結果につきましては、総務大臣から府省の大臣に勧告をすること、それから一定期間経過後、勧告に対してとった措置につき報告をいただくこと、それから必要がある場合には総務大臣から内閣総理大臣に対して意見を具申することができるようにすること、このような規定を今回の仕組みの中に盛り込ませていただいたところでございます。
  229. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 総務省の政策評価を見てみますと、全政府的見地から見て横断的な場合とか、複数の省庁にまたがる場合とか、あるいは厳格な客観性を担保する場合等、前段として各府省の評価状況を踏まえたり、あるいは要請に基づいたりして行うということになっておりますが、しかし各省庁がこうした政策評価を行わないときに、総務省としては積極的なイニシアチブをとれるのか、あるいは自治体と連携したそうした大きな事業の場合には総務省はイニシアチブをとれるのか、この点非常に読んでいてもはっきりしないということなので、お尋ねをいたします。
  230. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答え申し上げます。  まず、第一点目の府省の評価が行われていないときに総務省が評価ができるのかという点でございますが、先生が先ほどおっしゃられました私どもの総務省が評価をするパターンの一つに、府省の評価状況を踏まえ厳格な客観性を担保するために評価する必要があるものというくだりがございます。この府省の評価状況を踏まえという中には、府省が評価を行っていない場合、あるいは行ったけれども不十分な場合、両様を含んでいるというふうに考えておりますので、行っていない場合に総務省が必要があると判断した場合には私どもが評価をさせてもらう、こういう考えでございます。  それから、地方公共団体等の事務も関連して調べることがあるのかという御趣旨のお尋ねかと思いますが、政策は国の行政機関だけで実施しているわけではございませんで、国の補助金を通じたり、あるいは今後新しい仕組みとして法定受託事務を通じたりして地方自治体にもいわば国の行政目的を担っていただいている面がございますので、私どもの調査権限といたしましては、国の行政機関の評価、監視に関連いたしまして、地方自治体に対しても、補助金が出ているものあるいは法定受託事務になっているもので一定範囲のものについて調査をさせていただく規定を盛り込ませていただいたところでございます。
  231. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 新潟県の巻町の原子力発電を皮切りにいたしまして、吉野川河口堰あるいは神戸新空港問題等、住民の投票ということがさまざま地方自治の現場で行われておりますが、私はこの住民投票こそ最も地域に密着した住民による政策評価だというふうに理解しております。  そういう意味では、地方の動きということの方がまさに市民自治の原点に立ちながら政治を変えようとしているというふうに考えられます。どうか総務庁その他各省庁においては、この政策評価の制度というものを十分充実されて、行政の質を変えていっていただきたいと思います。  最後に、具体的な問題についてお尋ねをいたします。  今回、女性と子供の問題の所掌について労働省と厚生省それぞれの担当部局が統合いたします。それで、どのような観点、考え方で女性の問題に対処するのか、そして女性のみならず、男女の雇用平等あるいは男女の職業と家族的責任を両立しそれを保障する制度がどのようなシステムで進められるのか、少子高齢化社会においてそうした問題のシステムがどういう志を持って充実されるのかということは非常に大きな問題だと思います。  労働大臣厚生大臣にお尋ねをいたします。
  232. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 労働省の女性局と厚生省の児童家庭局が統合されて雇用均等・女性局を設置するわけでありますが、御案内のとおり、女性局は、女性があらゆる社会の場面に性差別なしに社会参加ができる、特に雇用の分野においてそれがなされるような環境整備をする、そして厚生省の児童家庭局は、保育政策全般、母子保護政策等々を担当しているわけでありますが、この二つは密接に関係がありまして、今までも連係プレーはとっているつもりでありますが、今度一緒になって一緒の局になると。そうしますと、職業生活と家庭生活の両立ということにお互いに資するというふうに思っております。
  233. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) これからの少子化の進行とか男女共同参画型社会の形成というようなことになりますれば、どうしても社会保障政策とそれから労働政策の連携強化が必要でございます。  今、労働大臣から児童家庭局の所掌にも触れられましたが、私どもは、少子化対策を中心にして、児童家庭局におきまして子育て問題とか児童の自立支援、健全育成等の施策をやっておるわけでございます。  一方、労働省の女性局は、女性が働きやすい環境の整備をやるということでございましょう。子育てと女性の就労の両立支援の分野で極めて密接な関係があるということでございまして、例えば少子化問題一つとりましても、総理の諮問機関である少子化の有識者会議の提言を見ましても、保育所等の整備のほか、特に職場環境における女性の地位向上、あるいは男性と女性との平等な参画、そういうことのウエートが非常に高まってきております。  そういうところから見ても、労働政策といわゆる厚生省の社会保障政策とは一体となってやることが極めて有効に働くだろう、こう思っております。
  234. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ありがとうございました。(拍手)
  235. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、きょうは地方分権をいかに効率的に進めていくかという視点から御質問を申し上げ、時間がありましたら中央省庁再編に関しまして一、二御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、各省庁の分権の数の一覧を教えていただきたいと思います。分厚い法律案を読んでいまして、どうも分権についての考え方が頭に入らない。そこで、一覧と同時に、分権についてどのような基準で各省庁に指導したのか。さらに、法律については一本一本精査をし、事実上休眠しているような法律もありますし、また廃止してしかるべき権限もございますから、そういうものについては十分に点検したのか、それが三つ目です。第四番目には、その結果、この次の概算要求に当たりましては、分権で事務が減るはずでありますから、当然その部分に関して定員の削減とかあるいは配置がえの要求をする手続、そういう指導を各省庁にやっているか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
  236. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。  まず、権限移譲の関係でございまして、この一括法案に含まれております各省庁別で申し上げますと、権限移譲の法律数で申し上げますと、建設省で十本、環境庁で八本、厚生省が六本、通商産業省が四本、文部省、農林水産省各二本、国土庁、運輸省、自治省各一本でございまして、合計三十五本の法律関係いたしまして権限移譲を行っているところでございます。  また、機関委任事務制度の廃止に伴いまして事務自体の廃止ということでございますが、そういうことも含めまして、これは地方分権推進委員会におかれまして個々の法律の運用状況を精査いたしまして見直しが行われたものと承知をいたしております。  政府といたしましては、同委員会の勧告を最大限尊重して地方分権推進計画を策定し、これに即しまして今回の法案提出しているというところでございます。  廃止する事務を含みます法律は四十本ございまして、例えば国民年金法における国民年金の印紙検認事務の廃止、また外国人登録法における外国人登録原票の写し票の送付に係る都道府県の経由事務の廃止、これなどがございます。  また、国の関与等の見直しでございますが、これを見直しまして廃止または縮減ということでございます。個別法における関与は、基本類型に沿った必要最小限のものにするという考え方のもとで、これも分権推進委員会においてそれぞれ検討が行われたわけでございまして、例えば自治事務について申し上げますと、漁港修築事業の施行に関する農林水産大臣の許可を届け出に切りかえるとか、あるいは自治省の地方債の発行に係る許可制度を原則協議の制度に切りかえるとか、また法定受託事務で申し上げますと、二級河川における建設大臣の認可を同意を要する協議または単なる協議制に切りかえる、こういうことの内容を盛り込んでおりまして、国の関与の見直しに係ります対象法律が百三十八法律ございます。
  237. 入澤肇

    ○入澤肇君 今度、定員の削減だとか配置がえについて、もう全省庁で一斉に概算要求の準備をやっていると思うんですけれども、そういうことについては、当然この結果を反映するようにということは総務庁の方で指導しているんでしょうか。
  238. 河野昭

    政府委員(河野昭君) これは総務庁の話でございますが、総務庁の行政管理局で定員の管理をします際、要求理由あるいは削減理由、その中ではこういう問題も含めて各省からヒアリングし、検討をしているところでございます。
  239. 入澤肇

    ○入澤肇君 法案の審査がこうやって順調には進んでおりますけれども、一方で概算要求の手続が始まっておりますから、ぜひバランスのとれた、タイムラグがないように配慮しておいていただきたいと思います。  今御説明がありましたけれども、分権のその内容を見ていますと、許可が届け出になる、あるいは許可が協議に移るというようなのはわかるんですが、承認を同意に変える、あるいは命ずるというのを指示するに変える、こういうふうなものがかなり残っているんですね。  これは一体どういう意味があるのか。承認を同意に変えた場合、大臣の承認を受けるというのを大臣の同意を受けるとした場合に、同じ意味じゃないかと思うんです、行政上は。行政上の運用は同じじゃないかと思うんですが、いかがですか。  こういうふうに変えた場合に、例えば命令に反して罰則をかけられる、あるいは承認を必要とするのに承認を得ないでそれを実施したために罰則がかけられるという場合があります。そのような罰則規定にまで検討が及んだのかどうかについてお聞きしたいと思います。
  240. 鈴木正明

    政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。  国の地方団体に対する関与につきましての基本的な考え方でございますが、基本的には、地方自治法において関与の基本類型ということで、自治事務で申し上げますと、助言、勧告、資料の提出要求のほかは、協議、これは事前協議、それから事後のものとして是正の要求、こういう四類型を基本類型にして、各個別法の関与はできるだけこの類型に集約していく、こういう考え方が一つあります。  それから、法定受託事務につきましては、その事務の性格上、これに加えまして、例えば、同意を要するとか、許可、認可または承認を要する、それから指示、それに代執行、この七類型というものを法定受託の基本類型といたしまして、各個別法もできるだけこの類型に従う、特別な事情があるものはまたそれということで、地方分権推進委員会におきましてそれぞれ精力的な検討が行われまして、勧告がなされて、その勧告に従いましてこの一括法というものを今回御提出しているところでございます。  基本的には、国と地方関係を対等、協力という位置づけでとらえますので、そういったことで、許可というものを国と地方の間で協議という形に切りかえていく、こういう考え方でございます。  なお、協議は、国と地方が誠意を持って解決のために努力をするということでございまして、さらに、国として同意を要するものは、同意を要する協議ということで、国の同意が得られなければならない、こういうことで整理をいたしているところでございます。
  241. 入澤肇

    ○入澤肇君 分権を真に実効あらしめるために、私は二つの問題がこれから指摘されなくちゃいけないと思います。一つは、事務量を実質的に減らしていくという方法、もう一つは、受け皿となる地方公共団体の強化策、この二つをやっぱり同時に実行しなくちゃいけない。  まず業務のスリム化でございますけれども、定型的業務、これは前からいろんな議論がございまして、アウトソーシングを続けていく、拡大していくというお話がございますけれども、私、予算委員会のときに御質問申し上げましたけれども、これからの第二の大きな柱は、やっぱり千七百十六本ある法律の見直し、それから削減じゃないかと思うんです。前回も御質問申し上げましたけれども、佐藤内閣以来、こういうことはやられておりません。  今回、二十一世紀に向けての省庁再編、大行政改革に即応いたしまして、私は、我が国が持っている法律につきまして、既にかなり眠っているような法律があるんですね、そういうふうなものも整理するとか、あるいは小渕内閣が標榜しておられる経済改革、これにもとるような法律は見直しをして廃止する。こんな方針のもとに新しい基準をつくって法律を削減することが、真の意味で事務のスリム化を進めるための起爆剤になるんじゃないかというふうに考えているんですけれども、自治大臣太田長官、それぞれのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  242. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方自治体の行う事務にかかわる法律の数ということのみならず、国政全体において、御指摘のとおり、実際問題、随分古い法律があるし、眠っているようなものもあるのではないかという指摘もある。  そういう意味で、この機会に、トータルとして棚卸しをして見直しをするというような作業が本当はあってもいいのではないか。あるいは国会決議も、随分古い国会決議がたくさんございます。そういう中で、見直しの対象があっていいのではないかという議論も各政党の中でそれぞれされておるようなところもございます。そういったところは、できれば立法府において、まさにもう少し国の仕組みを、あるいは地方公共団体の事務にも及んで、簡素合理化する上で見直しをするということは非常に大事な発想法だと理解をいたしております。
  243. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今御指摘のように、千七百十六本の法律があるわけでありますが、その多くの部分につきましては、今回の中央省庁改革でこの法案を通していただいたとすれば、その後に個別の作用法の見直しをいたします。しかしそれは、根っこからというよりも、あとう限り次の国会にそれを出させていただいて、作用法の相当部分について手直しをいたすつもりであります。  しかし、根っこからということも実は必要なわけでありまして、それは大作業になりますし、しかも、ばらばらにやってはいけない、整合性が大切でございますので、整合性を保つためにはその大作業をどこかでみんなで腹をくくってやらなければいけないわけでございますから、行政府のみならず立法府の方の御決意もいただきたいわけでございます。
  244. 入澤肇

    ○入澤肇君 この法律と並びまして、衆議院では何省庁か通達の数が提出されまして議論がありました。通達に基づく各種の計画制度、これが膨大でありまして、末端の市町村の例えば産業係が、農林省、通産省、運輸省、建設省、各経済官庁の要求する計画づくりに追われて、なかなかその法律施行し、政省令を施行しても事務が滞っちゃって進まないということが聞かれますし、私自身もそういうことを経験したことがございます。  この通達に基づく計画制度をどのぐらい簡素化できるかという視点から総点検してみていいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  245. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方公共団体に通達をもって国の各所管官庁から計画をつくることを義務づけているというようなケースがあるわけです。こういったケースは、機関委任事務がなくなりますれば、当然のことながら、従来使っていた意味での通達はこの世からなくなるはずの概念でございます。    〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕  それにかわって、機関委任事務について今後は処理基準なりなんなりということになるわけですが、しかしその場合には、いわゆる計画をつくることを義務づけるということはできなくなるものであると。いわゆるよるべき処理基準ということであって、計画をつくることを義務づけるということはできなくなるというふうに私たちは考えております。
  246. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、補助金の統廃合、それからまた一括交付、これもいろんな工夫をして、実際にはなかなか難しい問題があるんですけれども、第二地方交付税みたいな考え方を導入してできるかどうかということがポイントだと思うんですが、補助金の数ほど計画があるわけですね。補助金を申請するために、一定の書式に基づいて、こういうふうな計画を出さなければ補助金を出さないよと。これは物すごい数なんです、毎年毎年。これをやっぱり簡素化するということが必要になると思いますので、ぜひそういう点から各省が配慮するように御指導願いたいと思うんです。  もう一つ、受け皿の強化策で、一つは合併です。合併についてはいろんな議論がありますから省略しますが、人事面で二つの大きな流れがあるというふうに私は見ております。  一つは、複数の市町村による交流人事、これは例えば足利市だとか、群馬県の大泉町だとか太田市だとかいうところで実現しているようでございますが、広域連合をつくって事務処理をすると同時に、複数の市町村による交流人事によって質を高めるということが一点考えられるんじゃないか。  もう一つは、本当の地方分権を進めるために、言葉は悪いけれども、自治省による中央集権的な地方自治では意味がないんです。自治省による中央集権的な地方自治では意味がない。  そこで今、税務署長の人事を引きますと、いろんな批判があったために今や税務署長は三十五歳以上じゃないと任命しないというふうなことを内部基準に盛っているようでございますけれども、各都道府県の自立を高める、自立精神を涵養するという意味からしても、各都道府県の管理職、課長以上になる人事は、税務署長と同じように、当該都道府県の平均的な課長の年齢に合わせて年齢基準を定めるということも必要じゃないかと私は思うんです。二十代の若いのが行って課長だといって上座に座って四十、五十の地元の職員を使うという図は、今日の時点では余りそぐわないのではないかという感じがしているのでございます。  交流人事のことと、それから出向のルールづくり、これについて自治大臣のお考え方を聞きたいと思います。
  247. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、これから地方分権がさらに進んでいかなければならない。それと同時に、地方公共団体の行政主体としてのいわゆる対応力をどう向上させるか、特に福祉の分野における高度な専門性を要求される、あるいは社会資本整備についてもやはりそれなりの専門的な知識なり高度なレベルを要求されていくということで、一朝一夕にしてできないというのであれば、御指摘のとおり各市町村間なりあるいは都道府県なり、そういった間で人事交流あるいは共同の研修なり共同の採用ももちろんでありますけれども、そういったことをぜひ進めていかなければならない。場合によっては社会人を中途で採用することによって対応するということも当然あり得ることであると思っています。  そういう点で、今日までそれぞれの自治体、都道府県も一緒になって、個別に見ますと現実的にかなり努力をしていただいておりますが、なお一層その努力をバックアップしていきたいと考えております。  なお、これは、既に二年ほど前になりますが、人材育成に関する基本方針策定指針というものを出しておりまして、そういった人材育成への努力について自主的努力を要請いたしておるところでありますので、さらにこれを強化してまいりたいというのが第一点でございます。  あと人事交流、特に国と地方の間の人事交流に関する一つのルールが必要ではないかという御指摘もございます。これは、ある意味ではいろんなノウハウを移転するということももちろんあります。できれば、本当は各地方自治体における任命権者がそれなりの自覚を持って本当に必要最小限の受け入れなり、そして同時にぜひ自前の人材育成ということにさらに一層の意を用いていただきたいということもありまして、自治省としてはその辺は十分な、同じポストを長期継続して指定席にしないようなこともしなければいけないということで努力はいたしておりますが、なかなかその努力の成果が百点満点ということではございません。なお一層努めてまいりたいと存じます。
  248. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今の特権意識の醸成につながるのではないかという御指摘の点でありますが、総務庁は人事管理運営方針において職員を地方公共団体に出向させるに当たっての統一的な方針を定めております。平成十一年度においては、職員を地方公共団体の管理職などとして出向させる場合には当該職員の経験年数に配慮するよう新たに定めるというようなことをしております。
  249. 入澤肇

    ○入澤肇君 各自治体の皆さん方は国に向かっては文句を言いませんけれども、しかし酒の席なんかではかなりの文句が出ております。自立の精神を強めて、真の意味での分権を実現するためには必要不可欠なことだと思いますので、ぜひこれは実現をしていただきたいと思います。  それから、国の試験研究機関につきまして独立行政法人にするという考え方が打ち出されていますけれども、地方自治体も同じような試験研究機関をたくさん持っているわけです。    〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕 これについては、自治省としては国に倣って独立行政法人的なものに切りかえていくように指導するのかどうか、ここの考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  250. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方公共団体の組織、機構について実質的に事務事業を円滑に遂行できるように簡素で効率的な組織、機構としなければいけないという考え方で、平成九年、地方行革指針というものを出しまして、各自治体に要請をいたしておるところであります。  試験研究機関については、例えば研究内容や研究成果などに関して評価制度を導入している茨城県の例とか、あるいは産学官の連携をやっております山口県の例とか、病害虫防除所を農業試験場へ統合したという香川県の例、こういうようなところもありまして、より効率的、効果的な研究体制に向けた取り組みが進められておるところではございます。  ただ、国が導入する独立行政法人、これと全く同じやり方で右へ倣えで同じようにできるかどうかについては、若干、地方団体においては既に地方公営企業なりいろんなそういう形での経営の方法等々もやっております。  それから、第三セクターに関してはいろんな意味で抜本的な見直しということも必要なのではないかというようなこともあり、これはこれとしてその適正な運営への対応を要請しているところでもございまして、トータルとしてこういった試験研究機関の見直しの状況、あるいは地方公営企業、第三セクターの運営の状況ということを踏まえてさらに今後検討したいと思います。
  251. 入澤肇

    ○入澤肇君 せっかく農林省の局長も来ていますので、一言だけ最後に御質問を申し上げたいと思います。  農林省関係地方分権、これはおととい海老原委員が非常に熱心に多角的な観点から御質問されましたけれども、私はもう一つ、農業委員会の権限の再配分のことが規定されていますけれども、戦後、行政委員会として導入し、今選挙制度として残っているのはこの農業委員会だけなんです。教育委員会や公安委員会、委員制度がありますけれども全部任命制になりまして、農業委員会だけが選挙制度として残されている。これは農地制度との関係が根底にあると思うのです。農地制度は大変ないろんな問題をはらんでいると私は思うのですけれども、今後、農地制度を運用するに当たって農業委員会をどのように位置づけていくのか、どのように変えていくのかにつきまして、一言だけ答弁してもらいたいと思います。
  252. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 御案内のとおり、現在、農業委員会は農地の権利移動の許可その他、非常に強い規制をやっております。ただ、非常に長い歴史の中で、最近活動が少し停滞ぎみということもありますけれども、今私たちがやらなければいけないことは農地の流動化と集積という分野でございます。その部分では、農業委員会はあっせんその他の指導等に推進員を充てまして、これはかなり活発に流動化と集積の指導をしております。  このたび農政改革大綱の中で農業生産法人制度について大きな改革をしようとしております。そのときの中核的な母体も、やはり私は農地を守るという点で農業委員会だろうと思います。農地制度の改正の検討の中で、農業委員会の活性化についても議論していきたいと考えております。
  253. 入澤肇

    ○入澤肇君 時間が来ましたので終わります。(拍手)
  254. 菅川健二

    ○菅川健二君 きょうは私が最後でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  私は、選挙区の広島県の全市町村長に対しまして今回の地方分権一括法について意見をお聞きいたしたわけでございます。異口同音に出された意見といたしましては、本委員会でもたびたび論議されております権限に対応する財源の問題でございまして、地方税財源の充実をぜひあわせて図ってほしいという切実な意見になっておるわけでございます。次いで、幾つかあるわけでございますが、国の関与の強化に対する心配とか、あるいは市町村合併の強制への懸念などの意見が出されておるわけでございます。  そこで、これらにつきまして、これまで議論を尽くしたものもございますので、できるだけそういったものは省きまして、若干の御意見をお聞きいたしたいと思います。  まず、地方税財源の充実につきましては、これはたびたび議論になっておりまして、総理初め関係大臣の方は経済が安定軌道に乗ったら必ず改革をやるよということでお約束いただいておると思うわけでございます。しかし、今の経済政策がうまくいけば間もなくそういう時期も来るのではないか、来ればいいなという期待も含めるわけでございますが、そのときに備えまして、今からでもぜひひとつ検討を進めていただきたいと思うわけでございます。  あわせて、国庫補助金につきましては、これは言うまでもなく財源の量的関係はないわけでございます。拡大をしなくてもいいわけでございまして、いわゆるシステム改革でございますので、これにつきましては経済状況関係なく今でも決断すればすぐできるという問題でございます。  そこで、この問題につきまして若干お聞きいたしたいと思います。  特に、公共事業につきましては、直轄事業の縮減と統合補助金化を図るということが決められておるわけでございます。まず、直轄事業につきましては、これは大半がこれからということでございますが、港湾関係につきまして地方分権推進委員会の第五次勧告を先取りする形で第五十二条で法制化が図られておるわけでございます。恐らく、今後の直轄事業の法制化の一つのモデルになるんじゃないかと思って期待して読んでみたわけでございます。  しかしながら、これを見ますと、中央省庁等改革基本法の四十六条では、「全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業の実施に限定」するということで縮減を図る物差しを決めておるわけでございます。  それに対応いたしまして、この港湾法五十二条を読んでみますと、最初の一号、二号、三号につきましてはそれなりに絞りがかかっておるわけでございますが、四号を見ますと、「その他港湾管理者が自らすることが困難である港湾工事」と書いてあるわけですね。これは何とでも読めるわけでございます。国がやれることで港湾管理者がやれないことはないと私は思うわけでございますが、そういった意味からしますと、せっかく規定されても従来と内容が変わらないんじゃないかというふうに読めるわけでございます。  これにつきまして、具体的な事業としてどのように縮減されるのか、運輸大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  255. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、運輸省の公共事業の中で港湾の事業につきましては、直轄事業についてまず基本的に限定をするというのが一つであろう、それから補助金につきましては統合補助金と、この二本立てでございます。  直轄事業の範囲を、重要港湾が国際・国内海上輸送網の拠点として機能するために必要な係留施設、外郭施設の整備や、重要港湾がこれらの拠点としての機能を発揮するために必要な港湾環境整備施設、廃棄物埋立護岸の整備等に限定をする、こういうことでございます。  ただ、言われましたように、まさに現実の問題としてこれからどうしていくのかというのがこの法案が成立をいたしましたと仮定をして出てくる課題でございますので、十一年三月に閣議決定された第二次地方分権推進計画に沿って詰めていく作業がこれから始まるというふうにお受けとめいただきたいと思います。  私も、今ちょうど時期でございますので、各知事さん、また港湾管理者、市長さん等お見えでございます。十分検討しながらやってまいりたい。  一方で、いろいろ御議論いただいておりますのはやはり港湾の事業の集中化、もう少し集中化しろという議論もいただいておりますので、そういった議論も大事にしながら詰めてまいりたいと思っております。
  256. 菅川健二

    ○菅川健二君 誤解のないように申し上げたいのは、港湾事業そのものについて縮減しろということではないわけでございまして、私の選挙区でも大変港湾事業にお世話になっておるわけでございまして、直轄工事自身は、私はいろいろな港湾事業を見てみましても、一つの港湾の中の一部だけが直轄工事をやるんです。何でこれは国がそこの部分だけやるんだろうかとこれまで現地におりまして大変不思議に思っておったわけでございます。したがいまして、国がやる以上やはり正当な理由があると、国が技術者を抱えておるからその分だけを国が消化しないといかぬのだという逆転の発想にならないようにひとつよろしくお願いいたしたいと思うわけでございます。  これにつきましては、具体的に来年度の予算編成からそういった新しい考えに基づいて編成されるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  257. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的には、この法律が成立するという前提の中で作業が進められていることは事実でございます。
  258. 菅川健二

    ○菅川健二君 直轄事業のモデルになるわけでございまして、その辺、国の役割につきまして明快なお答えを出していただきたいと思います。  次に、公共事業の統合化というのもこれからの予算編成におきまして具体化するわけでございますが、私はそれぞれの事業ごとの、河川事業あるいは道路事業ごとの統合化というのは余り意味がないと思っておるわけでございまして、ないよりはましだということではないかと思うわけでございます。  そこで、これは自治大臣に何遍かお聞きしながらもう一度お聞きするというのも大変失礼なわけでございますが、かねて新進党の時代から野田自治大臣も大変強く主張されておりました一括交付金化につきまして、これは自治大臣だけでできない、各省大臣の協力が要るんだということでございます。できるだけ早くその実現方へ向かってかじを切っていただきたいと思うわけでございますが、今後の見通しにつきまして一言お聞きいたしたいと思います。
  259. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方自治体が行っております仕事、それに伴う歳出と現在の地方税収とを比べれば相当の乖離があるという点で、地方税収が国の税収と比べれば大体国が六、地方が四になっている。実際に歳出規模で考えれば地方が六五で国が三五だと。結局その間は何によって埋められているかというと、一つは交付税ということがございますし、いま一つは御指摘の国庫補助負担金で、しかもそれが結果的に個別の補助金というような形によって地方自身の財政の自主性を阻害しているという側面がある。何とかこれを是正して、できるだけこの乖離を少なくしていきたい、これが一番基本だと思っております。  個別の箇所づけをできるだけやらないようにするという意味で、必要な公共事業については包括的に、何に優先して使うかはそれぞれ自治体の自主判断、自己責任で決めてもらうという制度に何とか移行できないかということ、その思いは今日も持っております。ただ、それは一気にできるかというと、なかなかそれだけの体制に今なっていない。  ただ、第五次勧告、そしてそれを受けまして本年三月に第二次分権計画をつくりました。その中で、公共事業についての統合補助金、これは二つの類型があって、一つは同一事業に関して自治体に対して言うなら枠配分をやる、したがって個別の箇所づけを一々国がやることはしないようにしましょうという統合の形式と、それからいま一つは複数の事業についてやれるようにしましょうというのが多少前進したということは事実でございます。これは小さな一歩だけれども、方向性としては非常に大事な第一歩だと。ただ、これで満足するわけにいかない、さらにその前進を図っていくべきことではないかというふうに実は考えております。  これとあわせて、今度の第二次分権計画の中で私が非常に注目をいたしておりますのは、五カ年計画、全国総合開発計画をつくるときに、内容を国が本来果たすべき役割に係る事項に重点化するということが明記されておりまして、今後二年を目途に国土審議会で御検討いただいて、その結果、結論を得て、そして各事業ごとの計画の見直しが進むことになるわけで、このこともあわせてぜひ頭に置いて努力をしていかなきゃならぬテーマであるというふうに考えております。
  260. 菅川健二

    ○菅川健二君 よくおわかりになっておるわけでございますので、ぜひ早く実現方をよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、先ほど入澤委員の方から話がございましたけれども、国庫補助金の中に負担区分等によりましてどうしても残る補助負担金もあるわけでございます。その補助負担金というのはやはり細かく補助条件が決められておるわけでございまして、これはまさに国の地方への関与の非常に大きなポイントになるんじゃないか、支障になるんじゃないかと思うわけでございます。そういった面で、この際あわせて思い切って補助条件について緩和をしていく、これを自治省の方から各補助金の所管大臣に強く要請をお願いしたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  261. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) そのように私どもも努力をしてまいりたいと思っております。  地方分権推進計画におきましても、まず同化、定着、定型化しているもの、あるいは国庫補助負担金が少額なものについては、まず一般財源化を図って整理合理化しなさいということ、それから存続する国庫補助負担金についても御指摘のとおり過度の国の関与が行われないようにしなければならないので、そこで統合・メニュー化あるいは交付金化、運用の弾力化、補助条件等の適正化、緩和、補助対象資産の有効活用、転用等の運用、関与の改革を図るということとされておるわけでございます。  そういう点で、今御指摘のとおり、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
  262. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、地方公共団体に対する国の関与でございます。  この点につきましてもいろいろ議論があったわけでございますが、法案におきましては法定主義、一般法主義の原則が導入されたわけでございます。  そこで、地方公共団体の事務というものを鳥に例えますと、今まではかなりざるといいますか、鳥も外に、例えば固有事務なんかにつきましては自由におりから、ざるから出られるような状況であったわけでございますが、これからの法案を見ますと、何か鉄製の頑丈なおりに入れられて、場合によっては運用次第においては身動きがつかないといいますか、国の統制がより厳しくなるのではないかという懸念もあるわけでございます。  そこで、是正の要求につきましては、先般来、高嶋委員がいろいろ細かく御議論されまして、自治大臣も極めて例外的なこと以外はこれについての発動はないんだという御答弁をいただいておるわけでございますが、できましたら、この規定そのものが事実上空文化していくということが望ましいのではないかという面から、厳しい制約をかけるべきだと考えるわけでございます。  そこで次に、自治事務に対する代執行というのはあり得ないというふうに私は考えるわけでございますが、改正案の地方自治法の二百四十五条の三の第二項によりますと「できる限り」という何か非常に文学的な表現が使われておるわけでございます。そういった面で、どうこれを解釈したらいいのかちょっと戸惑うわけでございますが、その点、自治事務については代執行はあり得ないんだということの確認の御答弁をいただければありがたいと思うわけでございます。
  263. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 率直に申し上げて、現在も自治事務とされておるものについての代執行というのはないわけであります。将来もつくらない考えでおります。  では、なぜ「できる限り」などと遠慮したのかということなんですが、率直に言って、これは関与の基本原則をそれぞれ書くときの立法技術上の問題であるというふうに理解いたしております。特に、この第二百四十五条の三、「関与の基本原則」、この中の第二項でそのことを規定しておるわけですが、そこでの書きぶりというのは、「国は、できる限り、普通地方公共団体が、自治事務の処理に関しては」云々という中でこの代執行ということがあり、法定受託事務の処理に関してはまた何々ということをしなければならないと。言うなら、自治事務に関する抑制と法定受託事務に関する抑制に関して共通して書いておるという書き方になっておりまして、そういう意味で両方含めてできる限り何々しないようにしなければならないという規定になっておった、こういうことのようでございます。  それからいま一つ、いずれにせよこれは国会が今度それぞれ法律をつくるときに、そのことに対して別の法律で事前に完全にそういったことを禁止するということまでできるのかどうかというような立法技術上の問題もあるというふうに言われておりまして、率直に申し上げて、冒頭申し上げたとおり、現在もそれから将来もこういう自治事務に対する代執行はあり得ないと私は考えております。
  264. 菅川健二

    ○菅川健二君 そういうことでしたら、「できる限り」というのは削除してもらいたいということでございますが、いずれにいたしましても、自治事務に対する代執行はあり得ないということで確認させていただきたいと思います。  それから、自治事務の代執行にかわり得るものといたしまして、これはもう代執行とかかわりなく国の直接執行の方式が出されておるわけでございます。この中でも、いわゆる両方が矛盾しないといいますか、バッティングしないような規定の場合はまだそれなりの根拠がある場合もあるわけでございますが、自治体の行為の効果を覆す効果を有する直接規定があるわけでございます。やはり国と地方団体が役割を分担し、お互いが自己責任、自己決定をしていくという原則からするとこれは反するんではないかと思うわけでございます。  地方分権推進計画では、国の直接執行につきまして、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合に限定するというふうに書いてあるわけでございますが、法律上このような規定が地方自治法にもないわけでございます。地方自治法二百五十条の六の規定は、このような限定的な場合にのみ個別法でも規定できる趣旨というふうに解釈していいのかどうか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  265. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) この点は御指摘のとおりでございます。少なくとも、国民の利益を保護する緊急の必要性がある場合には、地方分権推進委員会の勧告においても例外的な措置として個別法によってこれを行うことができるというふうにしておるわけです。実際、その根拠となる個別法は、今申し上げました要件、あるいはそれに準ずる厳しい要件のもとに初めて発動ができるものである、このように考えております。  そういう点で、今回のこの第二百五十条の六の規定で改めてそこまでの書き方はいたしておりませんが、この二百五十条の六というのは発動要件というよりも、むしろ発動要件が個別法できちっと限定されるということを決めた上で実際の発動、つまり国が直接執行を行う場合の手続について定めたのがこの二百五十条の六の規定である、こういう手続規定だということで、全体としての御趣旨は十分に生かされていることであるというふうに考えております。
  266. 菅川健二

    ○菅川健二君 今の御見解のように、国の直接執行については国民の利益を保護する緊急の必要がある場合に限定するんだということで、今後の個別法について厳しく制約をかけていくというふうに判断させていただきたいと思います。  最後に、町村合併につきまして若干御見解をお聞きいたしたいと思うわけでございます。  町村合併につきましては、今後非常に大きな問題になるわけでございますが、やはり町村合併というのはそれぞれの関係者だけでやっていくのはなかなか難しいわけでございます。とりわけ住民を町村合併の中に巻き込んでいく、そのためにはやはり一つのきっかけなり理念なりビジョンなり、住民を説得できるそういったものが必要ではないかと思うわけでございます。  幸いといいますか、現在、介護保険の導入に備えて広域化が急速に進んでおるわけでございまして、介護保険の広域連合も約五百近くの構成体でそういう広域連合が進んでおるわけでございます。私は、これからの高齢化社会においては自助、互助、公助の三助のバランスによって一つの地域社会が成り立っていくんではないかと思うわけでございまして、介護保険もその一つの大きなテーマであろうかと思うわけでございます。  これから、そういった面において、地域社会を形成するための高齢化社会におけるあり方から市町村の規模の適正化について住民を説得するというのも一つの大きな契機ではないかと思うわけでございますが、その点についての御見解をお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  267. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 合併問題についても、御指摘のとおり、ただ単に合併すれば共通コストが減るからいいんだよというような話だけではなくて、むしろ住民に対する行政サービスをどのように充実をし高度化していくか、そのことが住民福祉の向上に直結していくんですということを、今介護のことを例に例えてお話しになりました。私は、非常にこのことは大事なテーマであると思っています。  それは、まさにそういった高度の福祉サービスということは専門的な知識なりを要するわけでありまして、そういう専門的な知識を持っている人たちを採用するあるいは運用する、そういう意味での対応力を向上させるためには、どうしても小規模だけでは対応できかねる。広域連合なりということだけでも対応できかねる。やっぱり一体として包括的なサービスをやっていくという、そういったことが特に介護のこれからの高度の福祉ニーズに対応していく上で非常に大事なことなんだ、そういったことをぜひ住民の皆さんにも御理解いただくように努力をしてまいりたいと考えております。
  268. 菅川健二

    ○菅川健二君 どうもありがとうございました。(拍手)
  269. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  来る五日は午前九時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会