運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-06-16 第145回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十六日(水曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  六月十五日     辞任         補欠選任         岩城 光英君     佐藤 昭郎君      本岡 昭次君     藤井 俊男君      魚住裕一郎君     山本  保君      渡辺 孝男君     但馬 久美君      吉川 春子君     山下 芳生君      戸田 邦司君     高橋 令則君      石井 一二君     佐藤 道夫君  六月十六日     辞任         補欠選任         加納 時男君     岩永 浩美君      森山  裕君     長峯  基君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 芳男君     理 事                 石渡 清元君                 大島 慶久君                 田村 公平君                 吉村剛太郎君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 弘友 和夫君                 富樫 練三君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 岩永 浩美君                 海老原義彦君                 太田 豊秋君                 狩野  安君                 亀井 郁夫君                 久野 恒一君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 田浦  直君                 長峯  基君                 畑   恵君                 水島  裕君                 脇  雅史君                 江田 五月君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 輿石  東君                 高嶋 良充君                 寺崎 昭久君                 藤井 俊男君                 山下洲夫君                 但馬 久美君                 山下 栄一君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 八田ひろ子君                 山下 芳生君                 大脇 雅子君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 星野 朋市君                 奥村 展三君                 菅川 健二君                 佐藤 道夫君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     陣内 孝雄君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   尾見 博武君        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局長       河野  昭君        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        内閣官房内閣情        報調査室長    杉田 和博君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  板倉 英則君        国土庁防災局長  林  桂一君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局次        長        坂  篤郎君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        運輸省航空局長  岩村  敬君        郵政大臣官房長        事務代理     鍋倉 真一君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省河川局長  青山 俊樹君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君        常任委員会専門        員        入内島 修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇内閣法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) 〇内閣設置法案内閣提出衆議院送付) 〇国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) 〇総務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇郵政事業庁設置法案内閣提出衆議院送付) 〇法務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇外務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇財務省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇文部科学省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇厚生労働省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇農林水産省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇経済産業省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇国土交通省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇環境省設置法案内閣提出衆議院送付) 〇中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律  の整備等に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) 〇独立行政法人通則法案内閣提出衆議院送付  ) 〇独立行政法人通則法施行に伴う関係法律の整  備に関する法律案内閣提出衆議院送付) 〇地方分権推進を図るための関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉川芳男

  3. 大島慶久

    大島慶久君 おはようございます。  私は自民党の大島慶久でございますが、本題に入る前に、昨日、朝鮮半島の西に位置する黄海上で発生いたしました北朝鮮艦隊並びに韓国艦隊との銃撃戦について、外務省の見解をまず賜りたい。  きょうは、せっかく全国的な国会中継の日でございます。新聞報道はされておりますけれども、国会中継の場から改めて、現在、承知されている内容について御説明をいただくと同時に、もしよろしければ内閣としてのコメントもちょうだいしていきたい。  よろしくお願いしたいと思います。
  4. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 韓国国防部説明によりますと、十五日午前九時半ごろ、北方限界線を越境してきた北朝鮮警備艇韓国海軍艦艇に対して射撃を加えてきたため、韓国側が応射し、両者の間で約十分間にわたり射撃の応酬が行われたものということであります。  これによって、北朝鮮側艦艇が二隻沈没し、一隻は確認中でございますが、多分二隻沈没したであろう、こういうことでございます。韓国側にも哨戒艇等が一部破損する等の被害が出た模様でございます。  また、同日午前、板門店において国連軍司令部と朝鮮人民軍との間の将官級会談が行われ、本件事件について話し合われましたが、特段の進展はなかったと承知しております。  我が国政府としては、このような事態に立ち至ったことは非常に残念である、今後も事態の推移を注視してまいりたい、こういうふうに考えております。韓国側が、一方で断固たる対応をとると同時に、話し合いによって物事を解決しようとしているということを日本側評価し支持をしているということでございます。一刻も早く平和的に解決されることを期待しているということでございます。
  5. 大島慶久

    大島慶久君 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。  総理は、今国会施政方針演説におかれましても、また昨日の同僚議員質疑の中でも、現在を明治維新あるいは第二次大戦後に続く第三の改革の時期と位置づけられております。私も全く同感でございます。まさに、平成時代における大改革であろう。  ただ、私はこうやって国会審議に携わらせていただきまして、その重要性意義その他感ずるところも多くございますし、それなり理解ができるわけでございますが、残念ながら国民皆様方は、昨日の地方分権にかかわることは割合身近な問題として理解が得やすいのかもしれませんが、今国会のまさに中核を担うと言っても過言ではありませんこの大改革にかかわります中央省庁再編をということでございます。国民皆様方がどういう感覚でこの重要な法案を見据えておられるのか、極めて私は疑問でございます。  きょうはそんな意味で、テレビを通じて総理の口みずから、できるだけわかりやすいお言葉でそういったことの重要性についてお話をいただきたいと存じますと同時に、改革ということになればいろいろとショックも大きなものがあるはずでございます。特に、我が国におきます今までの中央集権にかかわる国づくりというものはそれなりにいろいろと意義の深いものがございましたし、また認めなければならない立派な役割も果たしてきたと存じます。けれども、それが時代の流れの中で大きく変貌してきております。そこに国民皆様方のいろんなギャップもあるのではないかと思うわけでございます。  特に、行政にかかわる、国家公務員もとよりでございますが、地方公務員皆様方もこの改革省庁再編ということが本当に、後世ある時期になればそれなり評価につながると思いますけれども、現時点ではこの改革を成功させるか否かは、やはりそういったいわゆる公務員と言われる役人の皆様方が本当にこの内容理解し、今後の二十一世紀の国を憂いながらしっかり従来どおり頑張っていくんだと、こういう強い決意がなければなかなかはかどらないのではないか、そこら辺を私は危惧いたしております。  その点もあわせて、総理からそういった国民皆様方へのメッセージと同時に、いわゆる公務員と言われる皆様方が引き続いて十分に力を発揮し国家のために頑張っていただけるような説得といいますか、コメントをいただければ幸いに存じます。
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) このたびの中央省庁改革は、前内閣でいわゆる六大改革ということで目標を立てました。その中で行政改革ということを一つ大きく俎上にのせ、国民理解を得ながらこれを実行しようということでございます。  このことは、言うまでもありませんが、内外経済情勢の変化を踏まえまして、国の行政組織及び事務事業運営を簡素かつ効率的なものにいたしたいということでございまして、その総合性機動性透明性の向上を図りまして、戦後の我が国社会経済構造を転換して自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものであります。  現在御審議をいただいております法律案中央省庁等改革地方分権行政改革の大きな枠組みの重要な一部として位置づけられておりまして、これらの改革を速やかに具体化させるために法律案の一刻も早い成立をお願いいたしておるところでございます。  私といたしましては、国政の最重要課題として、また二十一世紀に向けた我が国経済の繁栄のかけ橋として、さきにいただきました経済戦略会議の答申もしっかり受けとめながら行政改革に今後とも積極的に取り組み、その推進のために全力を尽くしてまいりたいと思います。  大島議員が申されましたように、今なぜ中央省庁大改革しなきゃならぬかと、こういうことでございますが、やはりこれは明治以来、中央集権的な政治体制の中で、いわゆる官主導的な政治に対しての御批判も生まれてきておることは事実でございまして、やはり官から民へ、そして中央から地方へ、こういう形のものが今回の行革の大きな柱であると思っております。  日本官僚制度といいますか、そうしたものは私は、これは世界のいわゆるビューロクラシーと言われる制度の中では、役所の方、国家公務員あるいは地方公務員にいたしましても、世界に比べれば非常に高いモラルとモラール、道徳とそしてまた士気というものを持っておるという認識でございます。ございましたが、最近の状況を見ますと、国民皆さんから見ましてもやや惰性に堕しておられるわけでありますし、またそうしたいろいろの権限を持って行政を行うということについての批判も多く出ておるわけであります。また、残念ながら綱紀が緩んでいろいろの不祥事も散見されるわけでありまして、そうした意味での国民的な信頼が非常に失われつつあるという事態でございます。  時あたかも新しい世紀を迎えることでございますので、この際、日本官僚制度をきちんと見直し、政治優位の体制をしっかり確認し、そして真に国民理解を得られるような制度改革を行う絶好の機会と、こうとらえて今回こうした改革を進めさせていただくということであると思います。  ぜひ国民皆さんの御理解を得て、新しい機構もと、新しい志を持って役所皆さん国民に対する公僕としての責任を果たしていただきたい、そういう強い念願も込め、またそれに期待されるという形をつくり上げることが今回の改革の大きな趣旨であると認識をいたしております。
  7. 大島慶久

    大島慶久君 現在、我が国は、総理の強いリーダーシップもと経済再生に向けて全力を挙げております。このことは、我が国のみならず、目を向ければアジア全体にもかかわる重要なことでございます。さらには全世界の、特に経済関係のある、我が国にとってはぜひともなし遂げていかなければならない経済再生。くどいようでございますが、その先頭に立って、総理初め、きょう御出席閣僚が一丸となってこの難局を乗り切っていただきたい。そのための糧として今回の中央省庁再編をぜひとも成功させていただきたい。国民の一人といたしましても、心からお願いを申し上げたいと存じます。  それでは次に、具体的な内容について質問を申し上げます。  まず、内閣機能強化でございます。  新たな国家行政機構の構築へ向けた広範な内容から成る中央省庁等改革課題の中で、特に内閣機能強化対策については各方面から高く評価をされるところでございます。この点につきましては、内閣指導性強化に向け、内閣法第四条改正による総理大臣基本方針明確化、あるいは同十二条改正による内閣官房企画立案機能の付与を初め、総理及び内閣補佐、支援する戦略的趣旨に立って内閣府の創設等が盛り込まれております。  これにより、政治主導による行政運営制度的にも法的にも裏づけられることとなり、ますます複雑化の様相を見せる内外の諸情勢にあって、総理リーダーシップもと、より迅速に総合的、効果的な施策を展開できるようになるものと大いに期待をいたしております。  そこで、一連の内閣機能強化についてどのように受けとめておられるのか、まず総理の御所見を賜りたいと思います。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 行政全体の戦略性総合性を確保いたしまして、機動的で迅速な意思決定を可能とするため、国政運営の上で内閣及び内閣総理大臣指導性をより発揮しやすい仕組みを整えることが喫緊の課題でございます。  このため、今回の法案におきましては、第一に内閣総理大臣内閣主要政策に関する基本的な方針等発議権明確化、第二に内閣府及びこれに置かれる四つの合議制機関新設、第三には強力な調整権限を有する特命担当大臣新設、第四に内閣総理大臣の直接補佐体制整備等により内閣機能強化を図ってまいります。これらの措置の実施によりまして、国政運営上内閣及びその首長である内閣総理大臣指導性がより一層発揮できる体制整備されるものと考えております。  現行の内閣総理大臣ももちろん内閣の首班としてその責任を負っておるわけでございますし、また大臣罷免権も有しておるという意味ではそれなり指導性を発揮できる形にはなっておりますが、それぞれの省庁に対する大臣を通じての指揮その他につきましての不明な点がございます。そうした法的な根拠もこのたび改めて、内閣府という形で、先ほど申し上げましたような形をきちんととることによりまして総理大臣責任をより明確化すると同時に、指導性も発揮できる形にするということは、ひいては結論的に言いますと、政治が優位な形でこれを行い得るような体制をつくり得るというのが今回の眼目の一つでございまして、こうした新しい内閣府を形成し、そしてそれに対するそれぞれの組織を充実し、またこの発議権明確化等が達せられれば、その責任もまた重大でありますと同時に指導性も発揮し得る体制になるものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 大島慶久

    大島慶久君 従来もそれなりにはおやりになっておられるかと存じますけれども、内閣機能強化に関し、災害、事件事故等突発的事態、あるいは危機管理機能強化に関してもさらに取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  そこで、さき能登半島沖合における北朝鮮工作船事件の際には、政府自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動の発動の前提として持ち回り閣議を持たれましたが、複数の閣僚は残念ながら事後承諾となるなど、緊急時における政府意思決定のあり方を問うものとなったような気がいたします。緊急時に際しては、事後閣議承認を条件に、事前の閣議によらず迅速に指揮監督できるような方向での対応が私は望まれるのではないかと思うわけであります。  これは内閣法第六条改正問題とも絡んだ大変難しい問題かとは存じますが、総理の御所見を重ねてお伺いを申し上げます。
  10. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のように、先般の能登半島沖不審船事案に当たりまして、安全保障会議及び閣議を経て、自衛隊による海上警備行動を実施したところでございまして、閣議決定につきましては各大臣の了解をいただいておるところであります。  政府といたしましては、去る六月四日に関係閣僚会議を開催いたしまして本事案についての教訓、反省事項を取りまとめたところでありますが、不審船への対応につきましては、官邸対策室を中心にした関係省庁間の連絡を密にし、海上警備行動による対応が必要と判断される場合には迅速に閣議を開催し、閣議決定を行うこととしたところであります。  今後とも、本件に関する一層の検討を精力的に続け、我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいらなければならない、先般の事案に対する対応にかんがみまして改めて内閣といたしましてもしっかりとした対応をとらなきゃならぬ、このように考えておる次第でございます。
  11. 大島慶久

    大島慶久君 次に、経済財政諮問会議について質問をいたします。  総理直属の合議体が常設される内閣府のあり方で、特に重要なのが経済財政諮問会議であります。経済全般の運営基本方針、財政運営基本方針、予算編成の基本方針経済財政政策に関する重要な事項についてはこの経済財政諮問会議の任務とされており、これも総理大臣の総合戦略上の立案能力を高めるための具体策の一つとして高く評価いたすところでございます。  そこで、経済財政諮問会議の答申の予算編成等への反映、実効性について伺いたいと存じます。  閣議との関係で、経済財政諮問会議の答申する予算編成の基本方針等がすなわち閣議決定に結びつくのかどうかという点が明確ではありません。もちろん、座長は総理がお務めになり、大臣出席した上で答申されることとなるので、閣議においてもそのままの形で決定されると考えてよいのか。閣議経済財政諮問会議関係について、御答弁を願いたいと思います。
  12. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 経済財政諮問会議内閣府に置くということでありますが、その事務局機能は内閣府の内部部局のうち経済財政政策に関する総合調整を担当する部門が担うものでありまして、同部門には行政組織内外から人材を登用することといたしております。  このため、任期つき任用制度、すなわち役所皆さんがあらかじめある一定期間というものを定めて任用する制度でありますが、こうした制度とか、民間から専門的知識を有する人材を積極的に登用する仕組みの整備に努めてまいりたいと思います。  法的な面と実態の面があろうかと思いますが、法的には、言うまでもありませんが予算の編成権は内閣に属することでございますので、閣議においてこれを決定いたさなければなりません。それに対して、一方、総理大臣が議長たるこの経済財政諮問会議、これには先ほど申し上げましたように民間からも有能な方にお入りいただくということでございますから、そこでのいろいろな御議論というものを踏まえながら、これをいかに反映していくかということが起こってくるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、制度的にしっかりと内閣責任を負うと同時に、内閣府の中にこうした機関を設け、より一層幅広く国内外のいろいろな考え方を取り入れながらしっかりとした予算ができ上がるように、実態的にはいろんな角度からのよりよき御提案等を取りまとめることができるのではないか、このように考えておるところでございます。
  13. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 経済財政諮問会議は、経済財政政策に関して内閣総理大臣リーダーシップを十全に発揮するとともに、有識者の意見を十分反映させることを目的として内閣府に設置される機関であります。  この会議は、内閣総理大臣を議長として、関係国務大臣、民間有識者等の合議により調査、審議をするものであり、予算編成の基本方針等に関する同会議の答申や意見は内閣総理大臣が重要政策に関する方針として閣議において発議をし、この発議をしということが、今回の内閣法改正の最大の改正点が総理自身による発議権の明記ということでございます。  わざわざこれを書いたのは、まさにこういう予算編成の基本方針のようなことは内閣総理大臣自身が発議をするのであるということで、その発議権をここに書いたわけでありますから、この今おっしゃったことがまさに一番大切なポイントであって、総理発議権内容をこの経済財政諮問会議がつくるんだ、企画立案はここでやるんだということでございますから、その点については尊重する尊重しないということではなくて、まさにそれが今回の中央省庁改革の一番のエッセンスであるというふうに御理解を賜りたいと思うのでございます。  ただし、これは閣議決定が我が国内閣法では最終的な行政権の行使でありますから、閣議決定に至る途中で閣僚の中にだれかこの際非常事態だからこれは言いたいというふうなことが出てくるかもしれませんけれども、もとより総理が両方とも主宰をしている会議でありますから九〇%はそのようなことで、内容もそこで決まるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  14. 大島慶久

    大島慶久君 きめ細かに御説明いただきまして、よく理解ができます。  その実務を担当することとなる事務局が出向官僚によって占められ省益が顔を出したのでは、結局は、予算編成について官僚主導でなく政治主導で実施しようといたしましても、例えば言葉は悪いかもしれませんけれども、依然として大蔵の権限が温存されるのではないか。そういう意味で、当初の目的どおりに諮問会議が機能するかどうか、こういった疑問視をする向きもございます。その意味で事務局体制のあり方は大変重要でありますが、今回の内閣府設置法では書き込まれておりません。政令事項とされております。その中身には国会のチェックがきかないわけでございます。  基本法では、行政内外から人材を登用するとあり、その趣旨に沿って民間人の積極的登用も進めていくべきと考えられますが、経済財政諮問会議の事務局構成について、総理の御所見を伺いたいと存じます。
  15. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、大島委員から御指摘の点につきましては、十分これを承知してその事務局体制はつくり上げていかなきゃならないということは、もう御指摘のとおりだろうと思います。  ただ、これはあくまでも予算の編成権に関連する問題でございますので、内閣としてこの機関が十分その任に値し得るようなことをいたしていかなければなりません。そういった意味で、その事務局に、率直に申し上げて政治が振り回されるようなものであってはならぬことは当然のことでございますので、その体制につきましては御指摘の点を十分留意して整えていくべきものと考えております。
  16. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これにつきましては、事務局というよりも、経済財政諮問会議のメンバーそのものがみずから筆をとってその基本方針の文章を書くというふうな組み立てになっておりまして、今、総理の御答弁のとおり、事務局がリードをするということにはならない設計になっております。
  17. 大島慶久

    大島慶久君 次に、省庁再編について質問をいたします。  一八八五年の内閣制度創立以来、中央政府を根本から見直し、ここまでの大幅な縮小に踏み切ることは初めてのことと伺っております。その点からも、省庁数をほぼ半減する今回の中央省庁改革がいかに大改革であるか想像ができます。  各国の人口比での公務員数を見ますと、人口千人当たり公務員数では日本が三十七人であるのに対して、アメリカは七十一人、イギリスは七十七人、フランスは九十三人。もちろん、各国とも制度が異なるわけでございますので一概には言えませんけれども、数字だけ機械的に比較をいたしますと、既に日本政府組織は規模の小さいものになっているかのように見えますが、特殊法人や公益法人等膨大な官庁周辺産業と言われる組織があり、民業圧迫等が大きな問題となっております。これをさらに、省庁再編とあわせて分権や規制緩和の諸改革との複合的取り組みにより、より一層効率化、スリム化していくのが今後の行政改革の眼目であります。  改めて総務庁長官に、本法案に盛り込まれた行政スリム化の道筋について御説明を願います。
  18. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この法案は、中央省庁等改革基本法の官から民へ、国から地方へという観点に立った国の行政組織事務事業の減量、効率化を基本理念として立案したものであります。  具体的な方針は、法案と同時に決定した中央省庁等改革推進に関する方針に整理をいたしております。すなわち、事務事業の廃止、民営化、民間委託という手段、それから独立行政法人制度というものを活用すること、それから省庁の大くくり化、官房、局等の内部組織の整理、地方支分部局の整理などの組織自体の減量化、そしていわゆる定員の二五%削減という目標を掲げて行政組織の効率化を行うことといたしておるわけであります。  あわせて、政府としては、特殊法人の整理合理化や規制緩和等の改革を進めておりまして、今後ともその改革推進していくという考え方であります。
  19. 大島慶久

    大島慶久君 次に、新体制移行への地方対応について伺いたいと存じます。  明治十八年の内閣制度発足以来、戦後改革等幾多の改編を経つつ拡大の一途をたどってきた中央集権行政システムを今回抜本的に改め、行政目的別に再編し、一府十二省庁体制が来世紀の始まる二〇〇一年一月にスタートする方針であります。これは政府・与党として決定した大方針であり、特に異を唱えるつもりはございませんが、多少技術的なことになりますが、一月という年度途中での組織改編に懸念される点がありますので、お伺いをさせていただきます。  それは、中央省庁再編への都道府県、市町村の対応についてでありますが、これを政府はどのようにとらえておいでになるのでしょうか。特に、中央組織に合わせて地方もその体制を組んでいる側面もあるため、年度途中で中央省庁組織が改編されることにより地方に不都合が生じないかという懸念もされます。実際、地方にはそういった声が極めて高いと私は思っております。  そこで、省庁再編に合わせた地方対応は進んでいるのかどうか。政府として、地方としっかり連絡をとりつつ不都合が生じないよう改革を進めていく必要があると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  20. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 中央省庁再編の移行開始の時期でございますが、これは御承知のように基本法で二〇〇一年の一月を目標とすると書いてございまして、せっかくやることはなるべく早く、二十一世紀当初からやるべきであるということで、現在、先ほど御説明した方針の中で二〇〇一年一月ということを書いているわけでございます。  今後、移行に当たってのいろいろな手続でございますが、まず、この法律をお通しいただきますと、中央省庁組織につきましては早速政令、組織の精査が必要であるということでございますし、あるいは独立行政法人につきましては、通則法をお通しいただきますと、それに続きまして個別法の立案というような作業があるわけでございます。  おっしゃるように、中央の国の行政地方行政、大変密接にかかわりがございますので、私ども、なるべく前向きに地方行政組織についても精査をいたしまして、そこら辺、移行期に混乱がないように万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  21. 大島慶久

    大島慶久君 冒頭申し上げましたように、これは政府・与党として決定をされた大方針でありますから、別に異を唱えるわけじゃございません。  今極めてさらりと御答弁をいただきました。けれども、これは中央省庁においても、今までの行政システムの中で、例えば予算編成一つをとりましても大体四月一日からというのが日本行政型のあり方でございました。  果たして、こういう大改革であるから二十一世紀から始めるんだ、そういう意味で一月一日というふうに私は設定されたのではないかと、この意味もよくわかります。けれども、本当にこれをそのまま実行した場合、そういったことに対する支障はないのかどうか、私は今でも、あの答弁をお聞きした後でも心配でたまりません。再度御答弁いただきたいと思います。
  22. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) こういう大改革というものは、物事を円滑に運ぼうと思っていることに余り重点を置き過ぎると私はできないんだろうと思うんです。そこは気合いというか精神でもって、この時期までに必ずやるんだというふうにどこかにけじめをつけて、そこに向かって、それこそこの法案の提案に至るまでの過程につきましても、四月にこの法案をまとめるということもこれまでの政府の仕事ぶりからいえば相当無理があったと思いますけれども、ともかく小渕総理が大号令を発して、そのとおりにしなければいけないということで大変無理に無理を重ねておりますけれども、大改革というのはそういうものであろうかというふうに考えておりますので、必ずそれは混乱なく移行できるものと確信いたしております。
  23. 大島慶久

    大島慶久君 限られた時間でございますのでこれ以上突き進みませんが、今、太田長官の御答弁に総理もほほ笑んでおられました。これがスタートするために支障があってはなりませんけれども、ぜひ勇気を持って、ここはやはりこういう国会議論を踏まえて変更した方がいいのかな、こういうお考えがあればぜひ変更していただけたらな、こんなことを申し上げたいと存じます。  今回の省庁再編に際して、国と地方自治体の関係に混乱が生じないよう万全の体制を整えておくべき、今、長官からも御答弁がございました。  例えば、市町村が清掃工場を建設する場合、国、都道府県、市町村と設備の規模あるいは処理方法、建設費、これは補助金を含んでおりますから、等々について具体的な内容についての密接な協議あるいは指導が行われて事業化へと進んでいく、こういうのが今までのやり方であります。しかし、二〇〇一年一月一日から、廃棄物行政一元化に伴い、恐らく厚生省ではなく環境省へとその協議先が変わっていくことになることだと思います。その場合、担当官と密接に深い協議を継続してきたものが最初から協議やり直しになるというようなことが決してあってはならないわけでございます。スムーズな引き継ぎがどのように担保されるのか、考えておく必要があると思います。  また、国には大量の許認可権限が引き続き残ることとなるわけでありますが、再編や統合を理由に事務のおくれは許されるものではございません。  さらに、各省庁に類似の補助金が見られますが、補助率や補助対象に多少の違いがございます。補助目的やその省庁の補助目的との関係からやむを得ないものと理解できますが、同じ省庁の中で協議に行った局や課によって補助内容が異なってくるというようなことは極力避けるべきと思います。統合されれば、同じ省庁の中の類似の補助金を統合整理することが混乱を回避することとなると思うわけでございます。  今後、統合再編に向かって事務的な調整、話し合いが行われていくものと思われますが、二〇〇一年一月以降の事務事業の円滑な引き継ぎについての対応をお伺いしたいと思います。
  24. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 移行に伴いましては、先生がおっしゃいますように、例えば許認可の有効性等々いろいろその経過措置が必要なわけでございます。今おっしゃいました補助金等も含めまして、必要な経過措置につきましては、本法律案施行後、これに沿いまして逐一確認しまして、必要であればまた新たに国会で御判断いただきたいと考えております。
  25. 大島慶久

    大島慶久君 官房と局の削減についてでございますけれども、官房、局の削減数、百二十八から九十六に、これは結構でございます。これも事務事業のスリム化を伴わなければ、単なる看板のかけかえとの評価も避けられません。  局の削減の結果、当然ながら局長ポストも減少することとなるわけでありますけれども、これに伴い、局長クラスの分掌官の増設は必要最小限にとどめるべきとあります。これについての設置要求については極めて厳正に対処すべきと考えますが、総務庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  26. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 行政総合性機動性の向上は、今般の中央省庁等改革の基本理念の一つであります。中央省庁等改革基本法におきましても、状況に応じて機動的に事務を遂行できる職の活用を図るということと定めております。局長級の分掌職というのは、まさにそういう状況に応じて機動的に事務を遂行できる職ということでございます。  しかしながら、分掌官といえども、行政組織のスリム化の観点からはこれを必要最小限度とすることが求められているのは御指摘のとおりでございまして、さらに衆議院においても今、委員おっしゃった同趣旨の附帯決議をいただいているところであります。すなわち、分掌職のもとには新たに固定的に人を集める、定員をそこにつけて集めるということはいたさないという、もとより我々もその考えでおりますけれども、課とか局とかいうふうな固定的な組織ではないということでございます。  分掌職の設置につきましては、おっしゃいますように、必要最小限となるように取り組んでまいりたいと存じます。
  27. 大島慶久

    大島慶久君 次に、地方支分部局の整理合理化についてお伺いをいたします。  中央省庁事務事業をスリム化する上で、地方支分部局の統合は最重要課題一つであります。国家公務員の数は行政機関が約八十四万六千人であり、そのうちいわゆる霞が関勤務の職員は約三万九千人にしかすぎず、その大部分、約五十万人は地方支分部局所属となっていることからも、この改革なくして行革の実効性を期待はできません。  この地方支分部局の改革については、基本法において、その事務事業の必要性見直し、再編に合わせた総合化などの合理化方向が示されました。これを受けて、今回の減量・効率化計画において、府省編成に合わせたブロック機関の総合化、府県単位機関の総合化が打ち出され、地方建設局八局と港湾建設局五局を統合し、地方整備局八局の設置等が示されておりますが、大部分は二〇〇一年以降の課題として先送りをされるなど、やや迫力不足の感は否めません。不満の残る内容となっております。  これについては、原則、中央地方がそれぞれ実施困難なものは除いて、単なる中央地方との中間的経由機関となっているものなどは廃止、整理を進め、また府県、市町村と事務が重複するものはでき得る限り自治体に任せていくなど、さらに積極的に組織事務の縮減合理化を図っていくべきと考えます。  地方分権とも密接に絡んだこの改革は、行政の効率化、スリム化の点からは中央省庁再編よりも意味があり、国家公務員数二五%削減を達成する観点からも、政府においても早急に第二次の整理合理化策を打ち出すべきではないかと思いますが、その取り組み方針について総務庁長官にお伺いをいたします。
  28. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 地方支分部局の整理合理化につきましては、中央省庁等改革推進に関する方針において、当面実施すべき措置として地方建設局と港湾建設局の統合など、十四事項の実施を決定したところであります。同方針にも、「引き続き検討を行うこととする。」というふうに示してありますとおり、府省の編成に合わせたブロック機関の総合化などの地方支分部局の整理合理化を引き続き検討してまいりたいと考えております。  これは、考え方でございますけれども、中央省庁改革の中のさらに中央の部分をともかくきちんとやろうということで、この二段階目、地方支分部局については第一段階と第二段階というふうに分けて考えたわけでございますので、今、委員おっしゃいますように、このことが、今のこの改革にめどがつき次第次の改革に取りかかるというつもりでいるわけでございます。
  29. 大島慶久

    大島慶久君 めどがつき次第次の改革にというお言葉でございますけれども、ならば、めどのつかない前にもある程度腹案的に、今回は地方建設局と港湾建設局、これを地方整備局にということで、何か一つだけぽっとスポットを当てて、あとは二〇〇一年以降ですと、こんな感じがしてならないわけでございますが、果たしてそれでいいのかどうか。再度、長官の腹案的なものも含めて何かおありでしたら御答弁を願いたいと思います。
  30. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今のお話でありますが、地方建設局と港湾建設局だけでなく、地方医務局あるいは地区麻薬取締官事務所あるいは営林局の局支局、あるいは府県単位機関については公安調査事務所、都道府県の労働基準局、あるいは都道府県の女性少年室など、さっき申しましたように十四事項でございます。  私は、改革の手順といたしまして、一番本丸から改革をしていって、ここがめどがついたらばその次ということでやっていかないと、何もかも一斉に出発をして最終的に何が何だかわからなくなるということを一番恐れるわけでございます。残った地方支分部局の整理についても大体わかっているわけでございますから、それをどうするかということは、要は、この改革の次の段階として臨む決意は固めているということで、具体的にどこが次はあるんだと、それは幾つかしかありませんので、大体おわかりのことと思うのでございます。
  31. 大島慶久

    大島慶久君 次に、定数削減についてお伺いをいたします。  昨年六月成立した中央省庁等改革基本法では、国家公務員数削減については十年間で一〇%とされておりましたけれども、自民・自由合意を受けて二五%とさらにハードルが高くなったわけでございます。  国家公務員定数約八十四万六千人、これは非現業五十三万二千人、現業三十一万六千人。このうち郵政公社化移行で約三十万人を除き約五十四万六千人が対象となるわけであります。二五%削減となりますと約十三万七千人減らさなければならない。独立行政法人での定員削減は約七万人になりますから、残りの半分をいかに削減していくかが大きな課題となるわけであります。その達成のためには、独立行政法人の対象の拡大や民営化等のアウトソーシングの推進、新規採用の大幅抑制を初め、地方の出先機関の縮減や規制緩和、地方分権による中央事務事業の徹底したカットが必要となってくると考えられます。  そこでお伺いをするわけでございますけれども、削減をあらしめるためにはあらゆる手だてを講じていかなければなりませんが、いかにしてこの二五%目標を達成していかれるのか、その道筋を描いておられるのか、その具体策についてお伺いをいたします。
  32. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 十年二五%削減の方針につきましては、自民、自由両党の合意を受け、政府方針として閣議において正式に決定したところであり、政府といたしましては、自自連立の合意を尊重し、与党とも密接に連携しつつ、この方針に沿った定員削減を実施する所存であります。  すなわち、各府省の定員の少なくとも十年一〇%の計画的削減を進めるとともに、独立行政法人化という行政組織改革による一層の定員削減を強力に進め、増員の徹底した抑制を図ること等により、二五%純減を目指した定員削減を実現するために最大限努力してまいりたいと考えております。  具体的には、四月二十七日の国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画において、八十九の事務事業の独立行政法人化等を既に決定したところであります。これに加え、民営化、独立行政法人化、さらには規制緩和や、今般の中央省庁等改革における行政組織の整理に関するさまざまな取り組みがございます。平成十二年度から新規採用を減らし、増員の徹底した抑制を図るということ等、十年間にわたるさらなるさまざまな改革努力を行うことといたしております。  こういうことでやってまいりたいと考えております。
  33. 大島慶久

    大島慶久君 独立行政法人についてお伺いをいたします。  行政スリム化の切り札としてその導入が期待をされ、また政府が最も力を入れてきた課題一つが独立行政法人制度の実現であります。  この独立行政法人は、各法人の自主的、自立的運用を基本として、独立行政法人通則法では、運営効率化のための三年から五年の中期目標を設定、企業会計を導入し、予算の繰り越しや積み立てを認める等、合理的な経営手法を取り入れようとするものであります。また、中期計画の終了後、主務官庁と総務省に置かれる評価委員会がその業績評価を行い、主務大臣が業務、組織の見直しを行う仕組みも工夫されておるわけでございます。  そこで、独立行政法人移行が示された八十九機関のうち八十五機関は職員身分が公務員であることから、国民からも、結局のところ定員管理の外に置くだけで国の財政負担の軽減にはつながらない、実質的には何ら変わりはない、そういう批判も寄せられていることは事実でございます。  そこで、中期計画後の見直しの際には、業務内容の変化に応じその職員身分のあり方もぜひ検討していくべきではないかと存じますが、総務庁長官の御見解を伺います。
  34. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 独立行政法人の中期目標期間の、三年とか五年とか言われておりますけれども、終了時の見直しにつきましては、国家公務員の身分を与えるかどうかも含めて、当該独立行政法人の業務継続の必要性、組織形態のあり方など法人の組織及び業務全般について行い、その結果に基づいて所要の措置を講じることといたしております。  ただ、国家公務員の身分を与えるということが本質的に行政改革の考え方と逆のことであるということは、そうではないわけでありまして、独立行政法人がみずからディスクロージャー、経営内容の開示を行い、そしてそれが外部の国民の目にさらされるということ、そしてその経営の責任はまさに自己責任であるということ、さらにその役員は特別職であって任期途中でも交代もあり得るということで、非常に緊張した状態でこの独立法人の運営はなされるわけでございます。  したがって、そこで働く方々も相当の緊張感を持って、意識も全く違った意識で仕事に携わることになられますので、言われているような国家公務員の身分だから今までと同じであるということでは決してないということは御理解を賜りたいと思うのでございます。
  35. 大島慶久

    大島慶久君 今申し上げましたように、政府が最も力を入れてきた課題一つでございます。今、長官お答えいただきましたが、ぜひそういう道筋で達成が一〇〇%されますように、さらなる御努力をいただきたいと存じます。  思い切った定員削減のためにも、独立行政法人の積極的推進が不可欠であると思います。運営費、施設費等、予算措置がされ、その弾力的運用が可能といった点や給与に業績が反映される、そういった独立行政法人になることにより生じるメリットがいまだ浸透いたしていないのではないか、こんな感じがいたします。この点での周知の度合いが低いのではないかと思いますが、重ねて長官の御見解を伺います。
  36. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 委員の御指摘のとおりでございまして、独立行政法人は、細かな各省庁による事前の統制という状態から、つまり一つ一つの項目についての予算措置ではなくて一括した渡し切りの交付金、ちょうど地方自治体に対するようなものでありまして、使途を定めない一括した交付金の形で、渡し切りで交付金を出すわけでございますので、その中で組織、定員や予算などにつきましては、それぞれの項目について自立的に弾力的にその独立行政法人自体として自己の責任でもって対応することになるわけでございます。そして、それを事後の徹底した評価やディスクロージャーによる事後チェックによって管理をするということになるわけでございます。  こういう独立行政法人の持っておりますメリットというものは、おっしゃるとおりまだ十分に世間の認識を得ているわけではないわけでございます。随分政府の広報としても努力をして、さまざまな機会にPRはいたしておりますけれども、できますれば、こういうやりとりをしていることをマスメディアに取り上げていただいて、内容がきちんと報道されることを願うわけでございます。引き続き努力をしてまいりたいと存じます。
  37. 大島慶久

    大島慶久君 長官にもう一点御質問申し上げますが、独立行政法人は、国、大臣の関与が最小限に規定をされ、自主的あるいは自立的運営が基本となっております。よって、その責任体制のあり方を明確にしておく必要があろうかと存じます。  独立行政法人と対比されることの多い特殊法人の場合は、特殊法人に何らかの不祥事件等、問題が生じた際、国会の主務官庁に対する責任追及は徹底してなされております。このたびの独立行政法人の場合、問題が生じた場合の責任をどうとっていくのか、この仕組みを考えておく必要があろうかと存じますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  38. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 独立行政法人制度は、細かな事前の統制ではなく、徹底した評価や公表による事後チェックに移行するということでございます。組織、定員や予算執行などの面では、今申し上げましたように、自立性や弾力性を高め、効果的、効率的な業務運営を行わせることといたしております。このために、主務大臣の関与というものを法令に定める一定のものに限定する、主務大臣の関与を限定し、いわゆる一般的な監督権は有しないものといたしております。  その独立行政法人の長の任命権、解任権、中期目標の期間の終了時における組織、業務全般にわたる見直し、中期計画の変更命令等の明示的な、はっきりした権限を主務大臣は有するものであり、何度も申し上げますように、一般的な監督権は有しないわけでございます。これらの適切な行使によりまして主務省庁行政責任を果たすものであります。
  39. 大島慶久

    大島慶久君 二五%の削減目標を達成するためには、独立行政法人化の候補として挙げられている約十二万五千人を擁する国立大学にも切り込む必要があるのではないかと存じます。  この国立大学の独立行政法人化については、大学の研究開発の企業への技術移転、大学教授の会社役員の兼任等の必要が論じられていること等を踏まえ、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得ることとなっておりますが、この点についての御所見を総理からお伺いいたしたいと思います。
  40. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、委員からも、御理解いただいておる内容と思いますが、独立行政法人化を含む国立大学のあり方につきましては、大学の自主性、これを尊重いたしまして、国立大学が教育研究水準の向上を図り、技術移転を初め産学連携など、期待される役割を十二分に果たし、社会に貢献することが可能となるよう、大学改革の一環として幅広く行うことといたしておりまして、現下、文部大臣はこの問題につきまして検討を十分いたしております。  内容につきまして、大臣から御報告いただければありがたいと思います。
  41. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) ただいま御指摘のとおり、国立大学の独立行政法人化につきましては、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得るとされているところでございます。  国立大学の改革につきましては、大学審議会の答申、中央省庁等改革基本法を踏まえまして、責任ある組織運営体制の確立、情報公開の推進など、内外に開かれた国立大学を実現するための法改正を今国会で行ったところでございます。また、引き続き、人事、会計等の柔軟性の向上、適正な評価システムの確立を図っていく考えでございます。  独立行政法人を含む国立大学のあり方につきましては、今後、大学の自主性、自立性を尊重いたしまして、これらの改革の状況を見つつ、国立大学が国際的に評価される教育研究の実施をできるようにすること、御指摘の技術移転を初めとする産学連携など、期待される役割を十二分に果たし、社会に貢献することが可能となるよう、大学改革の一環として幅広く検討を行う必要があると考えておりますし、現在着々と実行しているところでございます。  いかなる方策をとるにいたしましても、世界的水準のすぐれた大学にすることが最も大切なことと私は信じている次第でございます。
  42. 大島慶久

    大島慶久君 次に、政策評価制度について質問をいたします。  政策評価制度については、各府省の政策を事前、中途にチェックすることができ、そのため行政組織の自己拡大あるいは自己増殖する傾向に歯どめをかけるすぐれた制度と大変評価をいたしているところでございます。  これは、各府省に設置予定の政策評価担当組織が新規に開始しようとするもの、一定期間経過して事業等が未着手または未了のもの、新規に開始した制度等で一定期間を経過したもの、社会的状況の急激な変化等により見直しが必要とされるものに関する政策対象について評価を行います。  そして、総務省においては、全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要があるもの、複数の府省にまたがる政策で総合的に推進するために評価する必要があるもの、府省の評価状況を踏まえ、厳格な客観性を担保するために評価する必要があるもの、その他、政策を所掌する府省からの要請に基づき、当該府省と連携して評価を行う必要があるものについて、必要性、優先性、有効性等の観点から改廃等の評価を行い、かつ省内に民間の有識者等で構成される第三者機関を設置し、十分チェックしていくシステムになっております。  しかしながら、何点か心配される点もございますので、以下伺ってまいりたいと思います。  第一点は、各府省は自己の領域にわたる政策について自己チェックを行いますが、これでもって果たして中立、公正、厳正な評価を行うことができるかどうかということでございます。ややもすれば身びいきな評価となるのではないか、こんな懸念がございますので、御説明を願いたいと思います。  第二点は、各府省の政策評価の段階における第三者チェックは、高度の専門性が必要な場合、実践的な見地が必要な場合等は民間等の第三者の活用を図ると示されております。しかしながら、中立、公正の観点から、原則各府省の政策評価の段階から民間等の第三者によるチェックも活用すべきではないでしょうかという点でございます。  第三点目は、総務省が省庁横断的な政策などに対して評価を行い、同等の他省庁閣僚に勧告をもって果たして実効性の担保が保てるかどうかということでございます。つまり、総務省は他省庁に対して政策の見直し等にまで口を挟むことができるだろうか、こんなことを疑問に思うわけでございます。  第四点目は、政策評価基準のガイドラインは総務省が作成を進める方針と伺っておりますが、政策評価基準そのものを私は法律で定めるべきではないか、こういうふうに思いますし、事実そういう声も聞かれるわけでございます。その点についていかがお考えか、伺いたいと思います。  最後、五点目でございますけれども、参議院自由民主党は五月十八日、決算審査を予算に反映させるために、「決算審査の重視等に関する提言」を取りまとめさせていただきました。その中で、決算報告がまとまれば直ちに国会提出できるよう財政法第四十条の改正をするべきと提言しております。この第五点に関しましては、恐縮でございますが、大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。  以上の一から四点は総務庁長官からお答えを願いたいと思います。
  43. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 四問まとめてお聞きをいただきますが、ちょっと長くなることをお許しいただきたいと思います。  政策評価は、行政がその政策の効果について事前事後評価を行い、それが各省庁の企画立案に反映されるようにするために導入するのであります。このため、中央省庁等改革推進に関する方針においては、まず府省庁において所掌する政策について厳正かつ客観的な評価を行うこととし、実施計画、実施要領、評価結果の政策への反映状況等について公表を進めることといたしているところであります。すなわち、企画立案をする当事者そのものが前の仕事、前やったことについてきちんと事後評価をしてから企画立案に取り組むということがまず大切であります。  その上で、総務省において府省の枠を超えた立場から、政策評価総合性及び厳格な客観性を担保するための評価を行うことといたしました。第三者的な評価を可能とする仕組みとして総務省に政策評価・独立行政法人評価委員会、仮称でありますが、こういうものを設置することによりまして客観的、厳格な実施を担保することといたしております。  広く政策のあり方に関しまして国民的な議論を喚起していくために、政策評価に関する情報の公表を進めるということをしておりまして、それから、これらの措置を通じて、政府全体の政策評価が客観性を持ったものとなるように努力してまいりたい。評価そのものも国民の目にさらすということでございます。  それから、第二問目でございますけれども、各府省の政策評価は、その対象とする政策がまことに膨大であって多様でありますので、政策の評価内容に使われる手法もさまざまであると思います。このため、第三者の活用につきましては、各府省一律固定的に定めることはせずに、政策の内容等に応じて、高度の専門性が必要な場合、実践的な知見が必要な場合等は、学識経験者、民間などの第三者の活用を図ることといたしております。  こういうやり方でやるんだということを、今確定したことが申し上げられる状態ではないわけでありまして、試行錯誤の要素が多分にあると思われるわけでございます。  第三問目でございますけれども、総務省が行う評価は、政策を所掌する府省の立場とは別に、政策評価総合性及び厳格な客観性を担保するため実施するものであります。このため、民間有識者で構成する第三者機関の審議、総務省においては第三者機関の審議を経て各府省大臣に対して勧告をするわけでございます。勧告でございます。各府省大臣に対し、勧告に基づきとった措置について、勧告をしたことがどうなったのかということについて報告を求める規定、徴求権というんですか、報告を求める権限というものがございます。  さらに、内閣法に基づく内閣総理大臣行政各部への指揮監督、これは内閣法というよりも憲法でございますけれども、内閣総理大臣の憲法に定められた指揮監督権というものを行使してもらうということで意見具申、内閣総理大臣に対して、例えば是正命令のようなものを出してもらうということも含めて、意見具申権という大変強力な権限を総務省は持っております。ですから、有効に総務省のチェックはきくはずでございます。  最後に、政策評価についてでありますけれども、法律をつくるべきではないかという御意見はございました。そして、それにつきましては、あるいは全政府的にそういったものが必要であろうかと思いますので、中央省庁再編後、各府省の政策評価の実施状況を分析検討し、速やかに法制定の実現に向けた検討をしてまいる所存であります。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御質問がございましたので念のために調べてみましたが、毎年の決算が完結いたしますのは七月三十一日、いわゆる主計簿の締め切りをもって完結いたします。そうしまして、これは、過去ほとんど、三十年余り見ておりますが、最近も変わりございません。大体七月三十一日に締め切りまして、十月の初旬、十日までには会計検査院に決算を送付いたしております。  会計検査院は、これもほとんど例外なく十二月の半ばに決算が済んだという報告を大蔵省の方に通知しておられます。そのような検査院の検査は、通常国会が開かれます日に国会提出をされておりまして、したがいまして、平成二年以後は一月の国会召集日に国会に送付されております。  したがいまして、これで見ますと、大蔵省が会計検査院に送付いたしますのに使っておる時間が、八月、九月の大体二月でございます。それから、検査院が検査に使っておられます時間がやはり十月の半ばから十二月の半ばぐらいまで二月ぐらい。  国会が召集されたときに国会提出いたしておりますから、大蔵省ないし検査院において余計に長い時間を使っておるようにも見えません。ただ、御指摘のことは、財政法におきまして「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会提出するのを常例とする。」と書いてございますので、そのとおりいたしておりますが、ただ、これを早められないかということは、もとより立法府としてお考えになるということはあり得ることだと思います。  私どもは、「常例とする。」というのはそれより前に提出することは妨げないと考えておりますから、この法律でも事務的に急げればもっと早く提出することができると考えておりますが、その場合は、恐らく今、国会の召集は一月の二十日過ぎでございますから、仮に臨時国会がございましたときに、十一月とか十二月とか、そこに提出できないかと。  そうしますと、大蔵省あるいは会計検査院が今ほとんど四カ月使っておりますが、それをどうやって短くできるかという行政の方の、立法府のお求めがあれば、行政がどれだけ努力をできるかということを私たちは会計検査院と協議して検討いたしたいと思っております。しかし、それとは関係なくこの「常例とする。」ということをもっと法律を変えて促進する必要がある、こうお考えになれば、それは立法府の御意思ということになると思います。  行政府は、いずれにしてもできるだけ大蔵省、会計検査院間の作業を早めよという御意思であれば、そういう努力はいたさなければならない、こう思っております。
  45. 大島慶久

    大島慶久君 政策評価制度について長官からも大蔵大臣からも今御答弁いただきました。  長官から、政策評価国民の目にさらす、そういう御答弁がございましたけれども、ややもすれば今の日本社会政治不信なんという言葉がよく使われますけれども、大変残念でなりません。総理を中心といたしまして閣僚皆様方も、日夜本当に御努力をされて国民の幸せのために頑張っておられる。けれども、その中身は我々国会審議する者にはおおよその状況を見ますことができておりますけれども、残念ながら国民皆様方にはそういった評価には至らない。  私は、今回の省庁再編の大きな目玉として、この政策評価ということをもっと細部にわたって御検討され、そして国民皆様方政治に面と向かって目線を向けていただけるような制度でぜひあっていただきたい。心から願いを申し上げておきたいと存じます。  それでは、次の質問に移らさせていただきます。  今回の中央省庁再編に当たりまして、医療、福祉の観点から、私の最後の質問になりますけれども、質問を申し上げたいと存じます。  二十一世紀の少子高齢化社会を迎え、医療、保険、年金、介護、諸問題はますますその重要性を増しております。社会保障制度の構造改革をどのように進めていくか。我が国政治行政、財政、経済社会全体に大きく影響し、その展望を明確にして取り組んでいく必要があります。長く続いた不況もようやく明るさが見え始めておりますが、やはり先行き老後の不安等が大きくのしかかっている。それをある程度払拭しないと本格的な景気の回復はおぼつかないのではないか、私もこんな感じを受ける者の一人でございます。  経済構造改革において、市場原理、自己責任原則の確立が重要なことは言うまでもございませんが、他方、社会の安定、健全な発展のためのセーフティーネットが不可欠であるわけであります。社会保障、福祉については、国と地方公共団体との関係は、国が全国的に統一した基準、制度について分担をし、地方自治体が住民への身近なサービスを推進していくということになろうかと存じます。  中央省庁再編において厚生省、労働省が厚生労働省として統合されることは、このような国民生活の安定、安心という大きな視点で厚生行政と労働行政をどのように一体化して国民福祉の再構築を行うのか、福祉政策の展望、社会保障の見直し等に当たり、どのようなメリットがあるのか、まずお伺いをしたいと存じます。  そして、社会保障の見直しに当たっては、第一に、医療、年金、福祉等の各分野について、制度が縦割りになっているためにすき間が生じたり重複によるむだが生じてはいないかなどを点検し、制度横断的な再編等による全体としての効率化を図ることがまず大切であります。それから、利用者の立場に立ったサービスの確立や公私の適切な役割分担と民活の促進を図り、規制緩和の推進と相まって効果的にサービスを提供していくことが重要ではないかと思うわけでございます。具体的には、二〇〇〇年四月から介護の視点から医療と福祉を再編した介護保険制度がスタートいたします。  以上申し上げたことを踏まえて、社会保障の今後のあり方、見直しの進め方について、総理の御所見あるいは厚生大臣の御所見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。
  46. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、中央省庁改編に伴いまして、厚生労働省が設置されることになりまして、本格的な少子高齢化に向けまして、国民生活の保障及び向上の観点から、児童福祉施策と女性施策、年金と高齢者雇用施策、障害者福祉施策と障害者雇用施策など、厚生行政と労働行政の連携、強化がますます重要になり、そういった意味での同省の合併というものは大変重要だと考えております。厚生労働省におきましては、こうした行政課題を的確かつ機動的に対応することが可能となるものと考えております。  また、厚生労働省は、社会保障制度に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進を考え、少子高齢社会への総合的な対応に関する関係行政機関の事務の調整を担当する省として位置づけられておりまして、今後、厚生労働省を中心として社会福祉及び社会保障の向上及び増進等のための施策の総合的な推進に努めてまいれるものと確信をいたしております。  そこで、このような少子高齢化が進行する中で、安心ができる社会を築くために、国民に信頼され、将来にわたり安定的に運営できる社会保障制度を構築していくことが何よりも重要だと考えております。  とりわけ、高齢化の進展に伴いまして給付の増大が見込まれる中、社会保障制度を、高齢者介護や子育て支援といった国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済との調整がとれ、将来世代の負担が過重なものにならないようにしていくことが必要であると考えております。  このような考え方に立ちまして、制度相互の整合性、連携等に十分配慮しながら、社会保障に対する国民の需要に適切に対応すること、利用者本意の効率的なサービス提供の仕組みをつくること、公私の適切な役割分担を明確にしつつ規制緩和等を進めることによりまして民間活力の導入を促進するという基本的方針に沿って、社会保障制度全体の構造改革に取り組んでおるところでございます。  御指摘がありました介護保険制度でありますが、来年度からぜひ円滑な実施を図りたいと念願をいたしておりまして、目下課題でありますところの年金制度改革、医療制度の抜本的改革などの社会保障構造改革に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  47. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 基本的な方向性あるいは理念等につきましては、今、総理から御答弁のあったとおりでございますが、私どもとしては二十一世紀におけるこの構造改革、少子高齢化あるいは経済の低迷というようなことも背景にございますので、国民が安心して安定できるビジョンを示しまして、そして新しい世紀を乗り切っていかなければいけない。目下、今、総理のおっしゃられましたように年金の改革、医療保険の改革あるいは介護制度の問題、また社会福祉の問題等々、広範な領域にわたりましてビジョンを示して、国民が本当に安心できる状況をつくり上げるために懸命な努力を払おうとしておるところでございます。  他方、雇用面の労働省、現在は労働省でございますが、統合いたしますれば、雇用の関係とこの社会保障制度というものは非常にリンクしておりますし、表裏一体の点が多々ございますから、それらが総合的に機能が発揮できるように、かつては厚生省一省でやっておりました。二十三年に労働省が独立したわけでございますが、その後大きな変化もありますので労働省の役割も非常に大きくなっております。したがって、それらをさらに統合することによってこの方向性を誤らないようにしていかなければいけないというように考えております。
  48. 大島慶久

    大島慶久君 ただいま総理からも宮下厚生大臣からも介護につきまして来年からのスタートを期すのだ、こういう御答弁をいただきました。  初めて日本における介護保険法という法律ができたわけでございまして、それぞれ受け皿となる市町村がいろんなシステムの中で大変御苦労をし、また不安を感じている、こういった声は私も十分承知をいたしております。けれども、初めてできた法律を施行するわけでありますからいろいろと、一〇〇%最初からうまくいくとは限りません。けれども、勇気を持って、せっかく必要性を感じてつくった大事な法律でございますから、後退することなく、ぜひ来年四月からは介護保険法がスタートを切っていただくように再度御要請を申し上げまして、残りの時間は同僚の田村議員がまた関連の質問をいたします。  私の質問をこれで終えさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。(拍手)
  49. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 関連質疑を許します。田村公平君。
  50. 田村公平

    ○田村公平君 おはようございます。  総理にお伺いをしたいと思います。総理就任以来もう約一年が、三百日を超えたと思いますけれども、前内閣もとでこの中央省庁等改革関連法案というよりも、あの夏の暑い日にキャピトル東急で腕まくりをして一府十二省という構想ができたというふうにマスコミ等からは承っておりますが、私は小渕政権発足のときに一票を投じた者の一人として、景気対策を一生懸命やっていただいて、とにかく前内閣の六大改革、いろんな問題にいっぱい手をつけておりましたけれども、それよりも景気をよくすること、経済が上向くこと、それを専一にやっていただきたいという思いを一人の政治家として持っておりました。  景気は、きょう経済企画庁長官も、全閣僚おられますが、下げどまりとかなんとかその間にいろいろ表現がありましたが、よくわかりません。ただ、株価がだんだん上がってきたということも一つの事実でありましょう。  そういう中で、先ほど来、きのうは地方分権、きょうは中央省庁改革ということで議論をしておりまして、議論を聞いておりましてもよくわからない部分があります、正直言って。  分権というのは平成五年だったと思います。私、浪人中だったものですから、暇はありましたのでいろいろ勉強する機会もあったんですが、地方分権推進法に基づいて一次、二次、三次、四次、五次というふうに勧告が出て、国と地方との関係をどうしようとか、そういうことでありましたけれども、何で一府十二省庁体制になるのかというのがよくわからない部分がありますので、ちょっと総理から教えをいただきたいと思います。
  51. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは基本法の指し示すところを忠実に一府十二省として取りまとめさせていただいたということでございます。  考え方は、やはり行政というものは、各省庁は一般的にはどうしても拡大の傾向といいますか、あるいは各省庁を細分化するというのが世界の趨勢でございまして、明治以来、内閣ができまして以来、恐らく今日までそういう傾向であったわけでございますけれども、ここはひとつ大くくりをして、そして今までの省庁が拡大してきたことに対し、いま一度再編成をすることによってより効率的な行政が行い得る、そうした精神に基づいて、今回お話をいたしましたような一府十二省体制をつくり上げていく、こういうことだろうと考えております。
  52. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 総理のお答えで尽きているわけでございますが、省庁を大くくり化するのはどうしてなのかということでありますが、それは従来の縦割り行政の弊害から脱皮するというところが中央省庁改革の一番の眼目でございますので、大くくり化するというのは一つのやり方であろうと思います。  それから、任務に基づいて今までは対象ごとに縦割りでやってきたものを、行政の目的である任務ということから大くくりにしていこうということで十二省庁になったわけでございます。ですから、共通の目標を持っているもの、競合するもの、あるいは重複するものについて大くくり化していったというのが十二省庁の姿であります。
  53. 田村公平

    ○田村公平君 総務庁長官、そういうふうに今おっしゃったから今度逆に質問しますが、縦割り行政の弊害とは何ですか。具体的に全部教えてください。
  54. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 縦割り行政の弊害というのは、それぞれの省庁が自分の縄張りを決めてそこで群雄割拠しておるというか、つまりそれぞれの省庁が自分自身の権限というものをばらばらにふやしていくという過程が縦割り行政の弊害であるというふうに理解をしております。
  55. 田村公平

    ○田村公平君 私はNHKの芸能局のディレクターをやっていたものですから、頭の中で考えたことを台本にして、それをビジュアルな映像にして一般の人にわかるようにせぬといかぬのです。あなたの話を聞いていると、ちょっとわからぬ。  どういうふうに言ったらいいのかね。きのうからの審議のやりとりを聞いていても、特に役人の答弁がそうなんですが、何々法に基づいてと、法律なんてそこにいっぱいこんな分厚いのがあって、これ全部読んだってイメージがわいてこないんです。だから、政治家同士の、つまり政務官を置いたり副大臣を置いたり政治主導でやろうというのであれば、もう少し自分の言葉で見えるような……。  では、何で二〇〇一年の一月一日からになるのか。極端なことを言いましょうか、僕の類推で。要するに、二十一世紀の初頭の一並びがいいから一月一日にしたぐらいの発想で僕は決めたと思っているんですよ。間違ってたら教えてください。
  56. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 委員に申し上げますが、去年の六月に基本法が成立しておりまして、私も一般の議員の一人であって、委員も一緒でもってそれに賛成していただいておるわけですよ。私も賛成をした。いただいておるじゃなくて、賛成をしたわけであります。そこからスタートをしないと、その議論をもう一回また繰り返すというのは私は得策ではないというふうに思います。
  57. 田村公平

    ○田村公平君 あなたは政府の人間であって我々は与党でありますが、しかし与党であろうと政府であろうと国民のみんなにもっとわかるように、結果は交わる平行線であっても、やはりわかるようにすることがこの議会の議員の務めであります。なぜかというと、国権の最高機関はこの国会であります。間違えないでください。  私も当時、平の議員ですよ。長官、それはわかっています。だから、僕が言っているのは、もっとわかりやすく見えるような議論をこれからしていきたいなというためにやっているわけでありまして、それについては何か不都合があるんでしょうか。
  58. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) まさに田村議員と同じ気持ちでございます。ここで議員同士で、政治家同士やりとりをして、そのことが国民に伝わって理解をしていただくということが最も大事なことであります。
  59. 田村公平

    ○田村公平君 では、一応、台本じゃないですけれども、通告のところにちょっと戻りますけれども、もう手短にやっていきますからね。  現在の審議会、二百十一から七十二へ統合されると。実質は九十の審議会が残るというふうに伺っておりますが、これはアバウトな計算で約三分の一の審議会にするというその根拠は何でしょうか、総務庁長官
  60. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 正確に申しますと、我々の審議会整理の目的は、政策を審議する政策審議型の審議会の数を減らすというよりも原則なくしたいということであります。  ですから、正確に申しますと、百七十六を二十九ですか、六分の一にいたしたわけでございます。それが正確な数字であります。
  61. 田村公平

    ○田村公平君 六分の一にするぐらいだったらどうして全廃しませんか。  つまり、これからの行政改革の中で、先ほど申し上げましたけれども、副大臣を置いたり政務官を置いたり、政治主導でやっていこうというのであれば、審議会なんて隠れみのとよく言われるじゃないですか。兼職をしている人がいる、あるいは役所のOBの人が入っている、あるいは委員であってもほとんど出てこない人がいるということを承っております。それなら全廃して、お互いが自信を持ってよりよき国をつくるために議論を闘わし合い、そしてもし万が一過ちがあればお互いがその非を認めてよりよきものをつくり上げていく、そういう形をとった方がいいんじゃないでしょうか。  僕は、何々の審議会とかいうのは何か隠れみの、そうは言うけれども法律ができたからやらぬといかぬじゃないか、もとの議論に戻ったらと。法律があるからといったって、法律というのはだれかがつくったわけですから、それは賛成したことも事実だけれども、よく中身がわからないからわかるようにするための審議をしているわけですから、どうですか、ゼロにするというような方向は。
  62. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) これまた田村議員のおっしゃるとおりでございます。  ただ、基本法に何と書いてあったかと、また基本法に言及して申しわけないのでございますが、基本法に何と書いてあったかというと、基本的なものを除いてはというふうな書きぶりになっておりまして、全部なくすということは書いていないわけでございます。そこをつかれると大変弱かったということでございます。
  63. 田村公平

    ○田村公平君 だから、政治主導ということを言うのであれば、これからお互い、これは自戒を込めて言っているんですよ。なぜかというと、私は、テレビ中継があるからと、先ほど言いましたでしょう、イメージがわいてこない、だから基本法にあるとかそれがどうのこうのなんて言われても、やっぱりおかしいなとお互い思っているのなら、それはいい方向に過ちを恐れることなしに、僕だって一〇〇%完璧な人間だと思っていませんよ。間違いはありますよ。だけれども、間違えたときにやっぱり謝れる人間でありたい。  こういう議論ばかりしていると議論が前に進まぬようになるから、なるたけイメージをみんなにわかるようにやってほしいなと思います。  ちょっともとへ戻って、公務員制度改革ということも言っていますね。それは先ほど言ったように、縄張りがあるとか弊害が出るとかと。僕は、実は弊害がないと思っています。  そこで、ちょっとこれは建設大臣にお伺いした方がいいと思います。お互い四国で、私は土佐の高知です。山一つ越えた愛媛県の建設大臣ですから地形的な条件もよく理解していただけると思っていますのでわかりやすく言いますけれども、建設省の出先機関として四国地方建設局というのがあります。  大臣の選挙区には松山工事事務所というのがあります。私の選挙区には、土佐国道工事事務所、高知工事事務所、中村工事事務所、去年の五月十五日から四国山地砂防工事事務所、四つの直轄の事務所があります。(「多いな」と呼ぶものあり)いや、県の面積が七千百平方キロもあって、雨ばかり降って台風ばかり来るところで、僻地ですから。  それで、わかりやすく言うと、高知工事事務所というのは海岸事業と道路と一級河川の管理をやっています。例えば、静岡県の沼津工事事務所というのは河川、海岸、道路、砂防と非常に大きな事務所です。高知には重要港湾というのがありますけれども、これは運輸省は三建といいまして神戸にあります。  運輸省の三建と四国地建が今一緒になって、そこから先の話は大島先生の先ほどの質問の中で出て、まだよくわからぬと言うけれども、それだけはよくわかっている。似て非なるものが一緒になってそれで地方整備局ということらしいんですが、その枝葉にあるところの直轄の、先ほど申し上げました大臣のところであれば松山工事事務所、私のところでは土佐とか高知工事事務所。その先にも出張所というのがあります、維持管理をせぬといかぬ、一級河川の水位が上がってきたら警戒警報をいつ出そうかと。  大臣にも来ていただきましたけれども、去年の九月二十四日、二十五日なんというのは一日で千ミリの雨が降って二万四千世帯が床上、床下浸水しました。情けないけれども、NHKを含めたほとんどのマスコミは書いてくれません、そういうところですから。  そういうところに住んでいる人は役所の、つまり法務局が統廃合あるいは営林署が三分の一に統廃合されました。それだけでも地域の方は不安感があるんです。公的機関がいてくれるだけで非常な安心感があるんです。最後の清流とかなんとか言われていますけれども、四万十川は実は暴れ川なんです。そこに建設省の中村工事事務所があります。水防訓練はそこが中心になって、地元の消防団や警察や一般住民の方と一緒になって演習をしています。そういう関係がみんな不安なんですよ、この省庁再編でどこへ行ってしまうかと。  そういうことを、今もう既に国土庁長官も兼務されて何か国土交通省に近いところまで来ている、兼務している大臣ですから、イメージをちょっと教えてください。
  64. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の御指摘の、先ほど大島先生の御質問またお考えの中で、中央の役人の数に比べれば大部分の方が地方に出ていっておる、それを徹底してリストラしなければ人員削減にはならないではないかというような御意見がございました。  その御意見のときに私も感じておったわけでございますが、ただいま先生の御指摘がありましたように、建設省でございましたら地方建設局がございまして、そのもとに工事事務所、そのまた下に出張所というのがあるわけでございまして、それがもう細かく網の目のごとく地域の方々と連係プレーができておるわけでございます。  大島先生の御意見はそれを減らすようにということ、また先生のお話はそれがもう行き渡っておるからそういうようなことを小さなものにすると住民が不安を覚えてくるのではないかというようなことでございます。ですから、そこが大変難しいわけでございまして、改革というのは一〇〇%、右から見ても左から見ても、上から見ても下から見てもすべていいなんということはあり得ないわけでございます。  ですから、逆に言えば、これからの地方整備局というのが先生の御心配のようなことが起こらないように、職員の意識改革というものも行ってそういうことがないようにしていくというのが私は先生の御心配を払拭する唯一の方法ではないかなと思っておるわけでございまして、逆に、今後はそういう地方整備局というものを通して運輸省の港湾局であるとかそういうようなところと一体として、まず地方整備局の意識改革といいましょうか、そういうものを徹底してやっていく以外には方法がないのではないかというふうに私は今思います。
  65. 田村公平

    ○田村公平君 どうも意識改革なんて言われますとますます形が見えなくなってきまして、大都市に住んでおられる、僕は別に都市と地方のことでけんかをしたいとかそういうことじゃありませんが、こういう機会はなかなかないものですから。都市の人は、スイッチを入れれば全部動いていく、スイッチをひねればガスも出てくる。うちの方は中山間地域が多いものですからいまだに薪のところもありますし、特にプロパンガスを運んでくれといっても、七百メーターぐらいの山の上に住んでいる人たちは配達料を払っても、高齢化が進んでいますし、そういう中で生活していますから、何か公の機関がなくなっていくというのは非常に寂しいというか、先が見えない不安感。  それで、地すべりがあったり土砂災害があって人が生き埋めになっても、都市の近郊は、同僚議員には栃木の選出の方もおられます、福島の方もおられますから、私も災対で行かせてもらったんですが、同じような規模の災害があっても、こっちには新幹線が通っていたり高速道路が東京へ向けて入ってきていますので大ニュースになるんです。山手線が五分とまっても大ニュースになります。うちの唯一、一つしかないJRの土讃線が三カ月とまってもニュースにはなりません。  そういうところの人たちの思いというものと非常な乖離を感じるわけです。省庁再編といったときに、何か頭のいい東大法学部を出た事務官が、前総理が腕まくりしてぱっと決めたか何か知らぬですけれども、それを整合性のあるようにきれいにまとめ上げたというふうな感すら私は抱いておるんです。  そういうことについて、これはだれに聞いたらいいんですかね、それは事実とはいえなかなか言いづらいでしょうから、そういうことにも思いをいたしてくれるかどうかというのは、これはやっぱり総務庁長官に聞かぬといかぬのですかね。
  66. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 田村議員のお考えになっていることは、この中央省庁改革法案の過程でいわゆる優秀な官僚の方々が中心になってこの考え方をまとめたのではないかということをおっしゃりたいんだろうと思うわけでございます。  実は中央省庁改革の本部で実際の法案の企画立案の作業をしておる方々はまさにそういう方々でありますけれども、その方々もこの国がこのままであっていいとは思っておりませんし、また橋本総理小渕総理のようにまさに国民の声を背にして、こういうふうにこの国の形を変えていかなくちゃいけないという考え方というものがお互い相まってこのたびの改革法案はまとまっているというふうに考えております。  決して官僚の作文だけではありません。血の通った政治家の声も十分に入っておりますので、ぜひそこは御理解を賜りたいのであります。
  67. 田村公平

    ○田村公平君 お言葉を返すようですがというようなことをだんだん言いたくなりますが、与党の立場ですからちょっと控えまして。  僕は今ずっと人間のことを言っているんです。きのうも同僚の議員の方からそういう人間の問題が出ましたが、どうも組織論ばかり言っているけれども、そこに人間が浮かび上がってきません。  そこで申し上げますが、例えば、今、本省の局長クラスの方々、二〇〇一年までですから肩たたきをもう既に受けて局長に残っているはずです。三十人ぐらいの課長の中から何々の局長になれるのは年次でいうと、次官候補を含めて、大蔵省なんかにも優秀な主計局長が次の次官をねらっておって七月の人事が発令されるとかというのを新聞でも見ました。それはともかくとして、本省、あるいは本省じゃなくてもいいですが、いわゆる地方採用の方々を含めてⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の人間が働いているわけです。では、この局の数が十局になるとか、おれは今課長補佐をやっている。ついこの間も補佐クラスの方と話をする機会がありました。自分の人生が見えない。当然、このラインでいけばここまでだ。官舎に住んでいて、五十前後で追い出されてというか、公務員じゃなくなるから外へ出なきゃならない。子供はまだ小さい。そういう中で、残業手当もろくにつかぬ中で一生懸命仕事をしている。それは、強烈な自負心と国家というか国益というものに対する誇りの中でやっていると思います。  そういう人たちの将来が見えないような形で、もちろん民間もリストラで大変でありますけれども、しかし国家公務員になっている人も人間なんです。そういう展望が、特殊法人の合理化だ、統廃合だ、住宅・都市整備公団が何とか公団になる、それはわかるんですが、何か人の人生というものをどういうふうに考えておるかと。政治にとって一番大事なのは人間なんです。組織のためにやるのじゃなくして人のためにやるのが政治だと思っていますので、それぞれの主義主張、やり方があると思いますけれども、特に私は自治大臣にそこいらのことを、お門違いかもしれませんが、大臣はたしか僕の記憶が間違っていなければ、第二議員会館当時で大昔の話になりますけれども、役所から政治世界に転じた方ですから、どう思いますか。
  68. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 大変難しいテーマだと思うんです。  結局、今我々が置かれている状況というのは、なぜ今行政改革なり地方分権なり規制緩和なりということをテーマにしているか。それは、百年に一遍か二遍しかない大きな我々自身の意識変革をも実は求められている。そういうことを乗り越えていかないと、長い意味で、今の人間も大事だけれども、これから先の次の世代の人間も大事にしていかなければいけないという両面を我々は備えている。  そういう意味で、政治というのは、決してそんな理屈ばかりで世の中は動くものじゃありません。どんなシステムをつくっても動かすのは人間でございます。そういう意味で、このシステムを変えるということは、すなわち裏腹の問題として、そのシステムを動かしていく我々人間の意識そのものも一緒に変えていくという、連動していかなければ意味がないと思います。  そういった意味で、先ほど来いろいろ御議論ありましたが、中央省庁のスリム化の問題も大くくりにしたといういろんな話がありますが、私の理解でありますから過ぎたならばお許しをいただきたいと思うんですが、それはすなわち、できるだけ国の仕事を減らそう、民間がやるべき世界についてはできるだけ国も地方も、言うなら政府セクターがくちばしを入れる分野を減らそうじゃないか。そして、自立という言葉が今キーワードになっていますが、個人も企業もみずからの判断で自己決定していく、そして自己責任、そのことがやれるような環境づくりをしようじゃないか。そのためには、国も地方も民に対して過剰介入は避けようじゃないか。もちろん、セーフティーネットはしっかりしなければいけません。危機管理、セーフティーネット、これは大前提でございます。そういう中で、国の仕事をどんどん減らしていく、地域においてやるべきことはどんどん地域の自主決定にゆだねていこうじゃないか、これが地方分権である。  私の地元でも、都市もあれば地方もございます。地方が、農業などがどんどん厳しい環境に追い込まれて、本当に農山漁村というものが非常に危機感を今覚えている現状にあります。そういう中で、どうやって地元の人間が主体になって自分たちの地域をよくしていくかという、きついけれども多少意識変革が迫られている。今までは、どちらかというと国に何かさせて、あるいは国にすがって地元をよくしていこうというのが地元に貢献する政治家の仕事だった。そういう面も全く切り離してというわけにはいかないけれども、多少やっぱり今までのやり方だけではなくて、自分たち自身の主体的な発想の中でメニューも自分たちでつくっていくんだというような国づくりの方向に向かっていかなければならないという、今そういう環境にあるんじゃないか、そんな感想を持っておる次第でございます。
  69. 田村公平

    ○田村公平君 突如、自治大臣に話を振りまして申しわけございません。本当はここで総理にちょっとコメントをもらいたいところですが、それは後でまとめていただきたいと思います。  今、自治大臣、そういうお話でありましたけれども、そうはいいながら、やっぱり地方公務員にもこの国家公務員二五%削減ということの影響が出てくると思います。特に、地方では地方公務員というのは大変雇用の場所としては、ほかに産業がなかなかないものですから、私どもの高知県で言いますと、県税収入が六百億円でございますので、それで六千億円の予算を組んでいる、やっぱり国におんぶにだっこという部分があります。そういう意味では、僕は大臣がおっしゃる悪い政治家かもしれません。  そういう意味での、天下りが一概に悪いとか、それは悪い役人も中にはおりますけれども、一律で見るのじゃなくして、きめ細かい配慮をこれから二〇〇一年に向けて、この法案が通るか通らないかはまだ知りません、何せあしたは会期末なので、これはどういうふうになるのかわかりませんが、ここにおられる全閣僚は居眠りしないできちっと聞いておいてほしいと僕は思うので、さっき冒頭におはようございますと、こう言ったわけであります。  そこで、今地方との関係が出たものですから、きのうの論議でもありました、地方がいわゆる自己責任でやれと。ところが、これは知事のメール友達が覚せい剤汚染で、地域おこしで、オウム関連企業と取引しておる池川町委託業者覚せい剤事件。これは、中心人物が知事の紹介、知事はインターネットで二、三行で知り合ったのを、これはすばらしいというので池川町というところにその人間を配置して、前科六犯なんですが、去年の暮れからことしにかけて、高齢化率四〇%の町でありますけれども、それでもインターネットというものにこれからの時代の産業ですから興味を持っている方がおります。主婦とか娘さんが来ると、コーヒーやお茶に覚せい剤を入れて、それで大事件になったんです。高知県知事というのは非常にそういうことに熱心な方であります。  それから、元県幹部が一千五百万円詐取、これは知事の側近中の側近で、私も個人的に知っておる人間ですけれども、そのときの平成九年に商工政策課長、つまり監督責任を持っておる課長当時に五億二千五百万円を無担保で現金で、これはちょっと信じられない話ですが、現金で金が渡って、それで高知商銀が破綻をいたします。  それやこれやで、ここにおる法制局長官もかつて私は国籍条項の件で御質問したことがあるので御記憶にあると思いますけれども、なかなかいろんなところに、ついこの間も四万十川サミットということで県民の税金を使って、岩手県知事、宮城県知事、秋田県知事、三重県知事、それに私どもの知事ということで、非常に全国的にいろんな形の、いい意味悪い意味を含めて、情報発信はしてくれるんですが、それでとうとう県議会も統一地方選挙直後の組織議会で問責決議をいたしました。私どもの参議院も、実は初めて問責決議というのが通りまして、時の防衛庁長官は辞職をいたしました。  この国会地方議会の問責決議の意味は違うことは重々承知しておりますが、きのうの分権の話にちょっと入り込んで申しわけないんですが、地方に全部、そういうことを言うけれども、じゃ地方の自己責任、自浄能力というのがない場合に、つまりスーパースターの知事さんなんです。前総理の弟さんですよ。なかなか刃向かえぬのです。何か言うとがつんとやられますから。なぜかというと、田舎は土木、公共事業依存型の経済ですから、刃向かうと指名から外されたらもう絶対だめですから。そういう実態を余り全国の人は知らぬでしょう、そんな人口八十一万人程度の、あらしがあったり土砂崩れがあったり、そういうところなんですが、そういう事例を見たときに、果たして分権について本当にこのまま突き進んでいいのかどうかという、若干というかかなりの疑問を感じるんですけれども、自治大臣いかがでしょうか。
  70. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 地方分権を進めていくということになれば、当然の事柄として、それを担っていく地方公共団体あるいは住民の自主性、自立性といいますか、私は、いわゆる地方自治を申し上げるときに、ジリツというのに二つを言っておるんです、みずから立つという自立とそれから自己規律という自律。そういう両面が必要である。それは意識改革ということと同時に、また制度的にも、あるいは行政の役割分担のみならず財政的な側面、そういったことまで含めた一つの自主性、自立性を保障していくようなことをしていかなければなりません。  ただ、今日まで長い間、口ではそういうことを言いながら、なかなか実態がそこまで伴い切れなかった側面もあって、結果として、地方においても相変わらず国に対する依存心が最終的になかったか。最後は国に頼めば何とかなるかもしれぬ、できなかったことのエクスキューズを国に求める、そういう嫌いもなくはなかったのではないか。  しかし、それを前提にして、いや、地方は最終的には自己責任をとり切らないんだからやっぱり地方分権はだめだよと言ってしまえば身もふたもないのであって、そういう意味で今そこへ向けて必死で頑張っていかなければならない。方向性は地方の自己決定、自己責任といいますか、その自主性、自立性を確保していく。それを阻害しないようなバックアップをしていきたい。  現状においてそれが完全にでき上がっているかと言われたら、まだまだその点で満足できる状況に立ち至っていないということは、御指摘の側面はあろうかと思います。それだけに、住民においても、自分たちで自分たちの地域の行政機関あるいは議員あるいは首長というものは自分たちの自己責任で決めるんだという選挙の際にしっかりした自己判断を行っていただいて、言うなら自律作用といいますか自浄作用といいますか、そういう中で御決定をいただくということが大事ではないかというふうに考えております。
  71. 田村公平

    ○田村公平君 非常に、まさに絵にかいたような立派な答弁だと思います。なぜかといいますと、僕は、高知県は情報公開条例を持っていますのでいろんな方々から情報をいただいたんですが、北海道の県人会があって雪祭りに行ったり、あるいはシンガポールへ行ってみたり南米へ行ってみたり奥さんを連れてペルーへ行ってみたり、一年のうち一カ月以上日本にいないんです。今もヨーロッパへ行っていますけれども、十三日から八日間。何というんですか、そういう任意団体。つまり、雪祭りに行くというのは高知県知事としての公務でもないんです。北海道の県人会だって任意団体なんです。それに奥さんを連れていく。全部旅費を切って、八級というランクで日当手当まで出している。  それを幾ら言ったって、結局一部週刊誌がどうのこうのみたいなもので、その一部週刊誌というのは高知あたりですと部数が少ないですから買い占められちゃって一般に知られていない。かといって、私がそれをコピーして全部配ったところで、そんな偉い知事さんに逆らったら、私はそうじゃなくても次の選挙は危ないと言われていますからあれなんですが。だから、僕は目の当たりにそういう事例を見ているだけに、自分のしかも政治生命がかかっているだけに、非常にせつない部分があります。  そういう中で、やっぱり行革というのであれば、省庁再編も大事かもしれない、分権も大事かもしれないけれども、しょせんは、行き着くところ人の問題です。特に、地方のいわゆる知事というものは、地方というよりも四十七都道府県の知事というものは、合衆国大統領より偉いかもしれません。軍隊は合衆国大統領は持っていますけれども、ただし合衆国大統領は二期八年です。議会もなかなかうるさいです、与党だと思っても嫌な法案は拒否されます、反対されます。しかし、いわゆる知事というのは、地方警察という名のもとに県警本部まで動かせるという、いわば地方版軍隊まで持っている。しかもこれは五期でも六期でもできる。しかも人気があるとなれば、うかつに逆らってだれだって冷や飯食いたくない。県議さんだって、自分の選挙のことを考えたら余り議会で知事に余計なことを言って嫌われて自分のところへ予算が回ってこなくなっちゃ困る。そういうおどろおどろしたものと、そして表面上のきれいなつき合いというもの、地方自治の中には複雑なものがあります。言いたくてもこれはなかなか言えぬのですよ、僕だってこれ言いながら参ったなと思っている部分がありますから。  そういうことにも十分留意をしていただいて、健全な、本当にこの国が二十一世紀に向かって、司馬遼太郎さんの言葉じゃないですけれども、まさに誇り得る、もう世界の中の日本と言われて四半世紀たったんじゃないですか。立派な国をつくっていく、その始まりにするために我々こうして審議をしているわけです。これは全閣僚本当に肝に銘じて、真剣にお互いが自分のこととして悩みながら審議を、あしたまでしかありませんけれども尽くしていただきたいというふうに思っております。  私の持ち時間はまだあと三十一分ありますけれども、予定では中継の関係がありまして元ディレクターとしてはつらいところでありまして、十一時三十一分までに終わっていただけるとありがたいと言われておりますので、なるだけ短縮をしたいと思っております。  そこで、規制緩和の問題に入らせていただきます。  私は、規制緩和を言うときにグローバルスタンダードとよく言われますけれども、何で横文字を使わぬといかぬかなという気がしております。というのは、もう歴史が証明しておりますが、憲法もメード・イン・USAならば、すべての国際的な基準というのもメード・イン・USAのグローバルスタンダードと。こういうものじゃなくて、我が国には我が国の規制すべきもの、緩和すべきもの、いろいろあると思いますが、通産省のお役人もやられ、大阪万博でも頑張られ、この前の参考人質疑もさせていただきましたけれども、今度は堺屋長官、経企庁長官としてちょっと規制緩和ということについてお答え願います。
  72. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) グローバル化といいますのは必ずしもアメリカに合わすことではございませんが、世界の潮流といたしまして、人、物、金、そして情報が流通するようになりました。国境がどんどん下がっていく、これは世界の技術的な進歩と人々の欲求の多様化によってとめがたいところでございます。そうなりますと、やはり自由競争が激しくなり、それによって価格も下がれば需要も生まれる、そしてまた新しい産業もやり方も出てまいります。  今の行政におきましても、いい行政がはやって人々の注目を浴び、それに至らぬところはやはり改善が求められていく、それが選挙を通じて繰り返される。一回や二回ではなかなかそうはなりませんでしょうし、部分的には違うところもあるでしょうけれども、大きな流れとしては国民の、経済でいいますと消費者の主権を信用していく、これが規制緩和の基本でございます。  もちろん、先生御指摘のように、日本として残さなきゃいけない規制というのがあります。現在は、残さなきゃいかぬもの以上に残っている部分がございますから、これは徐々にやはり自由経済の方に向かっていって、その効果を発揮して需要を拡大する、そして新しいものを生み出す、価格を安くする、そういった効果を発揮するのが筋だろうと考えております。
  73. 田村公平

    ○田村公平君 堺屋長官に、通産省におられたということの前言を入れたのは、有名な戦争がありまして、これはベータでいくのかという、ソニーのベータが世界的に、プロの技術屋さんから見ると一番情報量も当時よかったんですけれども、いわゆるベータ・VHS戦争で負けまして、ベータシステムというのは今全部VHSになっています。ビデオの世界です。  そういうことがあったときに、つまり僕は一民間企業の肩を持っているわけではなくして、それがもし世界基準になっていた場合に大変な国益が我が国に入ってきたと思います。あるいは、コンピューターの時代になっていろんなICが入っていますけれども、ほとんど、知的所有権というか基本特許はアメリカが持っております。我々の国がつくればつくるほど労せずして他の特許権を持っている国を富ませている。そういう愚かなことをしていただきたくないなということで、何でもかんでも何か横文字使ってグローバルスタンダードと言えばいいということじゃないという意味で規制緩和のことについてちょっと御質問させていただきました。  というのは、ITSというのを平成二、三年ころから私たちの若い建設省の仲間と勉強し始めまして、今これが郵政とか通産とか建設だけじゃなくていろんなところで、形としてはスマートウエーということで、将来的にはいろんな情報をもらいながら無人走行、あるいは僕も年をとっていきますから、加齢は皆さん平等に来ますけれども、もし運転中にダウンしてもそれを察知してきれいにちゃんと目的地まで着く、あるいは異常事態が起きればヘリなり救急車が来る。これは大変大きな成長産業と言われております。  当然のようにEUやアメリカあるいは我が国のシステム、基本はITSというぐらいですからアメリカのものでございますけれども、そういうものに対してもきちっとした省庁間のまさに壁を越えて取り組みをしていただかないといけないと思いますが、これは建設大臣はもう十二分に承知されておる話だと思う、通産大臣にこのITS、スマートウエーのことについて御所見を承りたいと思います。
  74. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ITSというのは、理論的には私は成り立つシステムだと思っておりますけれども、具体的にこういうものが交通システムに入ってきたときに、やっぱり自動車の利用者というのは若い方も高齢者もいろんな方がおられるということで、これが実際に用をなすまでには相当私は時間がかかるのではないかと思っております。  ただ、こういうものを導入いたしますと、例えば料金所での渋滞とか、そういうものは確実になくなると思います。ただ、これは導入するときには相当システマチックに導入しませんと、かえって交通が混雑するとか混乱が起きるとか事故が起きるとか、そういうことも十分注意しながら私は導入する必要があるというふうに常に思っております。
  75. 田村公平

    ○田村公平君 導入するときは当たり前の話で、いいと思って入れたら、それで社会のシステムが壊れちゃったなんてなったらばかな話で、そうじゃなくて、官僚間というか役所の壁を取り除いて、来るべき日にいつでも備えるようなことをという意味の答弁、前向きな答弁がもらいたかった。  ここで、野田郵政大臣、ちょっとこの問題、答弁してください。
  76. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) お尋ねのITSに関しましては、先生御指摘のとおり郵政省もプロジェクトにかかわらせていただいておりまして、既に汎用化されているGPSを使ったカーナビゲーションシステム、これは民間の方の御努力で進んでいるわけですけれども、それに付加価値をつけようということでVICS、これはカーナビゲーションの地図情報に合わせて渋滞情報を載せ込むことで、よりドライバーの方に利便性を得ていただこうということで、これも省庁間の壁を取り払われた形の協議会で推進されていて、今全国で大変皆様方にも導入を求められているところでございます。  あわせて、今、与謝野大臣がおっしゃった有料道路でのドライブスルーシステム、これも今実用化に向けて全部の役所皆さん、英知を結集して取り組んでいるところでございまして、最終的には先ほど先生がおっしゃったスマートウエー、どなたでも安心して渋滞なく道路を利用していただけるような、環境にも大変適している、それに向けて私たちは一生懸命取り組んでいるつもりでございます。
  77. 田村公平

    ○田村公平君 交通情報だけじゃなくして、今宅配便がいろんなところにありますけれども、大体宅配便の有効な稼働率というのは三割程度で、七割が空っぽで走っている、丸々空っぽという意味ではありません、トンベースで言うと。そういうことについても、サテライトを使って最寄りの配達あるいは配達の依頼、そういうトータルなシステムとして、計算の仕方によっては六十兆円産業だとかあるいは百兆円になっていくのか。つまり、少子高齢化社会の中で我が国が間違いなく体力が弱っていく、そういう時代に入っていくときのそれにかわり得る新しい産業になるかもしれないと言われております。  そういうときに、我が国がきちっとした体制を持って、本当の意味での省庁間の壁を取り払って新しいものにチャレンジしていくときには、必ず縄張り争いがあります。だから、そういうことのないようにぜひ閣僚皆さんは一致協力してやっていただきたいと思います。  るる申し上げてきました。しょせん、大衆、国民の支持のないところには政治もどんなシステムも成り立ちません。  洋の東西を問わず、我々情報通信機関を持たないときに、いわゆるセザンヌやゴッホ、あるいは日本の浮世絵がパリに行き、いろんな印象派、バルビゾン派に影響を与えたりしました。あるいはテープもないときに、未完成な、今のような形の五線紙じゃありません。ベートーベンやいろんな作曲家。しかし、宮廷音楽からスタートした貴族のための音楽だったものが何で幅広く万人の心を打つか。それは人間には感性があるからだと思います。  そういう意味で、私は、小渕内閣発足の当時、大変低支持率だったのを非常に心配しておりましたけれども、官邸日記等によれば、大変な激務の中、奥様とともに絵画鑑賞あるいは音楽会に行かれております。政治家が文化を語らなくなったら僕はだめだと思います。  そういう意味で、歴代の、私が直接存じ上げている総理大臣といいますと、吉田茂さんは、小学生のときにうちへ来ていただくと、あの人も葉巻ばかり吸っていて、カメラのフラッシュをたくといきなりコップの水をぶっかけたりとか、余り好きじゃなかった、怖いおじいさんだなと思っていましたけれども、そういう意味で大変親しみの持てる総理、今までのやりとりについての論評は余り要りませんが、あさってから予定どおりケルン・サミットに参ります。どうか、我が国の国威発揚とは言いません、我が国が自信を持って世界の中で生きていく、そういう国としての存在感をアピールしていただきたいと思っております。文人宰相とは申しませんが、文化が語れる、会議の合間には、ドイツは音楽のことに関しては大変造詣の深い国でもあります。また、首脳の方々もそうだと思っております。  そういうことをちょっとつけ加えさせていただきまして、最後に、五分程度で結構でございますが、今までのやりとりを聞いておって、総理大臣としての行革及びいわゆる省庁再編、分権、両輪あるわけでございますが、決意表明なり、一応私も与党の一員でございますので、聞かせていただいて私の質問を終わりたいと思います。
  78. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいま田村委員から御自分の考え方を申されつつ、今問題についての御指摘をいただきました。  お聞きをいたしておりまして、今日、行革をなさなければならないということについては、これは基本的に考え方は一致しておると思うんです。しかし、初めに行革ありきということでこの法律案を提案いたしておるということを批判される向きも世にあることも承知をいたしております。  委員のお話を聞いておりますと、もちろん、光と影とは申し上げませんが、まず行革を今日時点でなし遂げなきゃならない時代的な要請というものは、これは断固として遂行していかなきゃならない、しかしこれを実行いたしていこうとするといろいろの問題があると。その問題の諸点について具体的にかなり御指摘をいただいたような気がいたしております。  例えば定員にいたしましても、二五%を十年間で削減するといいましても、これは目標は高いものがあります。しかし、現実にこれを実行していくという過程におきましては、今、委員が御地元の建設関係機関の末端のことをお話しされておりましたが、そうした方々のみずからの生活を確立させていきながらどのようにしていくかという問題はなかなかもって難しいことだと思います。私は、大島委員も実は御指摘はそこにあったんじゃないかなという気がいたしております。  また、審議会その他につきましても御指摘がありましたけれども、これをゼロにしろということもわからないではありません。しかし、やはり審議会の中で、言われるように隠れみのとして行政がこれを利用といいますか、そうした点もあったような気がしますけれども、そうしたものについては政治責任で解決していくということは必要なことだと思います。しかし、世に賢人という者もございまして、そうした方々の十分な意見を吸収することは国民のまた各界各層の意見を取り入れるということにもつながるということがあると思うんです。本来的に、国会は国権の最高機関でありますし、国会議員は国民を右代表してここにおられるわけでございますし、我々もそういう観点に立ちまして最高の機関としてここで論議されることが中心だろうと思いますが、一方、審議会という形の中でいろんな献策その他を得ることもあながち否定できない問題もあるような気がします。  等々を含めますと、田村委員の御指摘されましたのは、御指摘もまた憂慮しなきゃならぬこととして、何が何でも行革ありき、そして定められた基本法に基づいて法律をつくってそれを遂行するということの中にはいろんな問題があるということをお話しされたのではないか。ですから、法律はぜひ通していただいてこれを実行していかなきゃなりませんけれども、てんからこれを遂行するということの中にはいろんな問題を含んでおる、その一つ一つを法律を施行する段階におきましては十分目を通しながら進んでいかなきゃならないという御指摘をいただいたものだろうと思っております。  そういった意味で、十分今の御質問等のことを承りながら、ぜひ、これをもとにして法律が制定されました以降は、真に国民のためになる行革であるべき、また行革によっていろいろな問題がみずからの問題として起こってくることにつきましては、最小限度に問題をとどめていかなきゃならないと思っております。  ただ、行政責任者として考えれば、まずパブリックといいますか、公がありきということでございますので、まず、身を正すのは公におる公務員であり、またその頂点にある我々じゃないかという自覚を持ちながら、この法律につきましては真剣な気持ちで取り組ませていただきたいということを申し上げさせていただいて、答弁になりましたかどうかわかりませんが、私の気持ちを表現させていただいた次第でございます。  ありがとうございました。
  79. 田村公平

    ○田村公平君 本当に質問通告とほとんど関係なしで台本も何もないままにいろいろ閣僚の方々に質問いたしまして、ぶしつけがあったかもしれませんが、これからのリハーサルだと思っていただきまして、政治が主導権を持っていくということでお互いが切磋琢磨しながらいい国をつくっていくようにしたいと思います。  私も、二〇〇一年の一月一日じゃなくて七月には選挙でありますが、大変なアゲンストの風が吹いていたらどうしようかと思いながらも、世のため人のためにお互い頑張っていきたいと思います。  きょうはありがとうございました。(拍手)
  80. 江田五月

    ○江田五月君 おはようございます。お疲れでしょうが、お休みの方もひとつ目を覚ましていただきたいと思います。  中央省庁等改革関連を中心に、民主党・新緑風会を代表してトップバッターとして質問をさせていただきます。  まず、小渕総理、今もお話しのとおり、この国会はもうあすでおしまいなんです。あしたから総理はケルン・サミットにお出かけになる。どうされますか。この大法案、きのうは地方分権一括法できょうが中央省庁で、やっと総括、集中が始まったばかりのところなんで、これであしたまでに終わるというわけには到底いかない。  そこで、この両法案ともこの国会の当初から課題になっていたわけで、予算もありました、重要法案、いろいろありました。そして、ここへ来て、この法案を仕上げるために、私たちはすべて賛成というわけじゃありませんが、しかし審議をし結論を得るために、国会の若干の延長ということはあるいはそれはあるかもしれない、しかし通常国会というのは百五十日とルールが決まっているわけで、延長は一回と決まっているわけです。  いろいろ延長話が出ているようで、二十日程度という話があったかと思ったら、次は八十五日ですか、と思ったら今度は五十何日とか、迷走。八十五日というのは小渕総理が寝ずに考えた総理の決断と、こういうことだったのが、何かあっという間にしぼんだという感じですが、何をお考えなのか。自自公連立ということを考えておるのか、あるいは総裁選をどうするか、解散・総選挙というような動きを探っておられるのか、何を考えておられるのか。  これは、延長のことを口にされたら国会はその場でストップというようなこともあるいはあるのかもしれませんが、どうされるおつもりなのかをちょっとお聞かせください。
  81. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今さらでございますが、国会の会期につきましては、国会法の規定によりまして、「両議院一致の議決で、これを延長することができる。」とされております。  政府といたしましては、多くの法案を現在両院において御審議をいただいておるところでございます。国民のためにも、どうしても制定をしていただかなければならない法律案もございますので、ぜひこうしたものが御審議、成立をしていただけるようにお願いをいたしたい、こう思っております。したがいまして、会期の延長につきましては、国会でお決めをいただくことではありますけれども、特に政府といたしましては、去る六月十一日に、産業構造転換・雇用対策本部におきまして、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところでございますので、関連の補正予算と法案につきましてできるだけ早く編成あるいは法案化いたしまして、国会の御審議をいただき、これら対策を迅速に実施に移すべきものと考えております。  重ねてでありますけれども、現下の国内における雇用問題は、経済の再生とも非常に関連することではございます。競争力を強化するということの中には、各企業体におきましてもかなり厳しいリストラを実行しようということでございまして、これが行われるということになりますと当然のことながら雇用が失われるということでございまして、現下の政治の大きな課題であると思っておりますので、その解決のためにできれば補正予算等を国会に御審議願い、各種の政策を遂行していきたい、こう念願いたしております。そうした御審議をいただくためにも、でき得べくんば、国会における熱心な御審議によりまして、こうした問題について具体的な施策を遂行できるように御理解をいただきたい、こう考えておるところでございます。  念のためでございますが、私のところにも、民主党の代表並びに緊急失業・雇用対策本部長、両氏から、「必要な法整備と財政措置を今次通常国会中に講ずることを申し入れる。」、こう書いてありますので、そうした民主党のいろいろ具体的政策につきましても、御審議をいただきながら、政府としてはこれを実行することができれば幸いだと、こう願っておるところでございます。
  82. 江田五月

    ○江田五月君 いや、それだけの話なら、やれ五十何日だ八十何日だと迷走することじゃなかったんじゃないんですか。それが一体、総理リーダーシップで言い出されたものが急にしぼむとか、非常に何かほかの思惑でいろいろとやっていらっしゃるんじゃないかと。わかりにくい。わかりにくいこと、もう一つ総理リーダーシップがどこにあるのかということ。私はこういう政治の流れというのは国民皆さんにとてもわかっていただけないと思います。  さて、今のそういうわかりにくい政治じゃなくて、あるいは総理リーダーシップがどこにあるかわからない政治じゃなくて、もっと国民にわかりやすく、もっと政治リーダーシップがちゃんと総理を中心に果たしていけるようにという、私は行政改革というのはそのあたりが一番の眼目じゃないかと思っておるんですが、何のための中央省庁改革行政改革なのか、これがどうも皆さんの頭の中ですっきりしていないんじゃないかという気がして仕方がありません。  政府行政改革会議の最終報告、これはおととし、平成九年十二月三日に提出されている。今回、この法案審議に当たって、私も再度これに目を通してみました。  その「行政改革の理念と目標」、なかなかいいことが書いてある。しかも、この文章の書きぶりというのは、先ほどもいろいろお話がございましたが、心がこもっているんじゃないか、これは官僚の皆さんにはなかなか書けない文章じゃないか、そんな感じもするようなものがいろいろあって、この最終報告の全部ではありませんが、「はじめに」、あるいは「行政改革の理念と目標」、あるいは最後「未来に向けて(結びにかえて)」、こういうあたりは与野党を通じて我々みんなの共通の基盤になるものではないかというふうに思っておりますが、総理は、今回の行政改革中央省庁改革とこの行革会議の最終報告とはどういう関係にあるというふうに思っておられますか。
  83. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 行革会議のそういう御検討をいただきながら、前内閣におきましてこれを取りまとめさせていただいた。特に、橋本前総理総理時代に心血を注いで、みずから本部長となりましてまとめ上げましたのが今日提案になっております法律案の原点でございますので、そういった意味におきまして、今お示しをされたことも今日の法律の制定の原点として、そうした考え方に基づいてこれを制定しようとしておることでございます。
  84. 江田五月

    ○江田五月君 この行革会議の最終報告というものがあり、恐らくそれに基づいて基本法をおつくりになり、その基本法に基づいて今回お出しになったと。  最終報告で高らかにうたわれている理念と目標、これは私ども共通の基盤になる。しかし、そこから先がどうも国会の延長の話と同じように迷走をされておるんじゃないか、こういう感じがいたします。  この最終報告では、例えば「はじめに」のところで、「今回の行政改革の要諦は、肥大化・硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、自由かつ公正な社会を形成し、そのための重要な国家機能を有効かつ適切に遂行するにふさわしい、簡素にして効率的かつ透明な政府を実現すること」だと、そういうこと。あるいは「もはや局部的改革にとどまり得ず、日本国民になお色濃く残る統治客体意識」、だれかがやってくれるだろうという意識と言っていいんでしょうか、「に伴う行政への過度の依存体質に訣別し、自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体として自ら責任を負う国柄へと転換することに結び付くものでなければならない。」とか、もちろんセーフティーネット、そういう制度保障はこれは当然の話ですが、そして「従来日本国民が達成した成果を踏まえつつ、より自由かつ公正な社会の形成を目指して「この国のかたち」の再構築を図る。」とか、いろいろそういうことが書いてあります。  総じて言えば、私は、これはやはり従来の日本型のシステム、これを新しい二十一世紀型のシステムへ転換する、言いかえれば、行政改革だけでそれはできないですよということも書いておられるわけで、ほかのいろんな、経済のこともあります、あるいは司法のこともあります、さまざまなことがあります、そうやって行政改革を初めとする我が国の構造改革を実現しようと、こういうことではないかと思います。これは総理、いかがですか。
  85. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 最終報告のことにたびたび先ほどから江田委員が言及をしていただいておるので、最終報告の考え方は、まず一番象徴的には、国民主権の理念に基づいてという内閣法の一条と二条の改正にいろんな思いを込めて入っております。
  86. 江田五月

    ○江田五月君 それはいいので、そうじゃなくて総理に、この国の構造を、行政改革も含め、経済のこと、司法のこと、国会のこと、すべてこの国の構造を変えなきゃいけない、そういうテーマに我々は取り組まなきゃいけないんだという、それがこの最終報告の主張だと思いますが、その点は総理、まさか異論はないでしょうね。
  87. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 行政改革会議の真剣な御討議のもとまとめられたものは、そうしたことを企図しておると考えておりまして、できるものからぜひ取り組ませていただかなきゃならぬ、こう考えております。
  88. 江田五月

    ○江田五月君 今、総理は、この三月期のGDPが前期比プラス一・九%で、大変御機嫌だというように拝見しますが、そういうことに一喜一憂ではなくて、やっぱりきちんとした構造改革をやらなきゃいけない。今、経済がちょっと明るさが見えるように感ぜられると、これからまだ先わかりませんが。そうなってきたについては、私はやはり去年我々が与野党を通じ一生懸命に努力をしてまいりました金融再生法というものがひとつあずかって力があったのではないかと思っているんです。しかし、金融再生法にもかかわらずといいますか、もとより当たり前といえば当たり前ですが、それ以前からあった大蔵省を中心とする護送船団方式によるこの国の金融と財政の運営、これがいろんな問題を起こしてきましたし、今も起こしておる。  ちょっと最近のことを見ますと、たくさんありますね。国民銀行、幸福銀行、東邦生命、東京相和銀行、そして長銀では遂に元頭取らの逮捕と。いろいろ出てきた。これは、やはり私は、金融と財政の完全分離をきっちり図らなきゃいけない、それが残って、大蔵省改革が不徹底のままではこうしたことが次から次へ起きていくような、いわゆる金融と財政、この行政改革というのは徹底しない、こう言わざるを得ないと思う。  金融再生法のときに、衆議院の方で我々の鳩山由紀夫幹事長代理がお話をいたしましたが、あのときに私どもがどういう思いを持って総理と約束を交わしたか、それがどうほごにされているか、総理はこの点についてどうお考えなんですか。
  89. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 財政と金融の分離等に関する昨年の党首会談及び三会派実務者間合意の内容の具体化につきましては、これが政党間の合意であることから、政党間協議の中で整理が行われたところであります。  政府といたしましては、政党間協議が合意に至らなかったことにつきましてはまことに残念に思っておりますが、政党間協議の経緯等も踏まえながら法案化を行ったものでございまして、この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、金融システムの健全化の問題につきましては、江田委員御指摘のように、昨年夏に国会を開かせていただきまして、この二つの金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を通過させていただきました。おかげさまをもちまして、いろいろと今金融機関が大変厳しい現状でございますが、この法律によりまして、助けるものは助け、そしてみずから立つものは立つということにおきまして、それぞれこの法律に基づいて対処いたしておりまして、このこと自体は、現在厳しい環境にありますけれども、国際的に見ますると日本の金融システムが安定化したという認識においては大きな成果が上げられておるものと思っております。  それから、この分離の問題につきましては、さらに詳しく申し上げればよろしいかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この問題について新しい行政機構の中で対処することになっております。特に大蔵省におきましては、金融の問題について、これが非常に過去御議論になった経緯も踏まえまして、これを整理整とんいたしまして、それぞれ新たに発足いたします財務省の中で、この金融の問題について主体的に扱うことは決してないという形に相なっておるわけでございまして、そういった意味では、それぞれ政党間の話し合いで対処いたしておりまして、国民にも御理解をいただけるような体制になっておると思っておる次第でございます。
  90. 江田五月

    ○江田五月君 とても国民に御理解をいただけるようなものになっていないと言わざるを得ないですね。  一方で金融再生法をつくった、それと同時にもう一方で大蔵省改革をやるんだ、その両方が車の両輪になって初めて構造改革になっていくんですが、財金分離不徹底と。このままで行ったら今後も金融のさまざまな不祥事というのは続いていくんではないか。幾ら不祥事が続いたって、再生法があって一応セーフティーネットはできていますから金融秩序が乱れてしまうということにはならないでしょうけれども、しかしやっぱりそれはよくないですね。  さらにもう一つ、金融について健全化法をつくりました。これに私たちは構造改革として問題があるということで賛成をしなかったんですが、この仕組みの中で十八兆円のお金を用意した。そして、七兆四千五百億円の公的資金の注入が銀行に対して行われた。七兆四千五百億円。同じ時期に、銀行は放漫経営で破綻したゼネコン各社の債権放棄の要請を受け入れました。これはほぼ一兆円。一兆円のゼネコンの借金を棒引きにした。  なぜゼネコンは借金を棒引きにしてもらえるんですか。しかも、結果的には公的資金という名の税金で穴埋めされた形になっているんですが、これは構造改革と言えるんですか。どうですか、小渕総理
  91. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 今の御質疑にお答えする前に、金融、財政の分離の話は……
  92. 江田五月

    ○江田五月君 いいです、それは。
  93. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) よろしゅうございますか。ただ、先生の言いっ放しでは国民に無用な誤解を与えるというおそれもありますので……
  94. 江田五月

    ○江田五月君 時間もないですから。
  95. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) それでは、時間の面もありますから、今の御質疑にお答えさせていただきます。  まず、先生の御質問の中に、七兆五千億の我々の健全行に対する投融資が何か税金で、ストレートに税金であるかのような表現がありましたけれども、これはあくまでも私どもは投資であり融資であるという位置づけでもってやっておることをまず御理解賜っておきたい、このように思います。  そこで、企業が非常にうまくいかなくなったというときに、先生も御承知のとおりですが、倒産の法制によって残余財産の分配をするのがいいのか、あるいは企業の更生を図っていくことにおいてそれぞれの債権者等の権利をより多く確保していく方がいいかということは、選択の問題でございます。  そして、債権放棄というのは、概して言うと後者において行われていることを今、先生問題とされて提起されていると思いますけれども、これは我々の金融機関の側からも回収を極大化するという経済的合理性にのっとってやっていることでございまして、いたずらに債権を放棄してそれをバックファイナンスで、公的資金で穴埋めされているというような構造にはなっておりません。私どもは、金融機関が債権を放棄いたしましても、そんなことと関係なく私どもが投資をさせていただいた資金については回収をさせていただくという立場でありまして、金融機関はそれぞれの責任において、場合によっては代表訴訟のリスクを冒してまでそういう経営判断としての債権放棄をしているんだということをぜひ御理解賜りたいと思います。  そうして、ゼネコンの構造改革問題を我々の金融の方で面倒を見ろ、そこまで我々の金融機関行政の中でやれというのは、余りにも多くの政策を一つの政策部門でもってやらせるということになるわけでありまして、私どもは、その問題はその問題として、今建設省の方はこの六月いっぱいに結論を出すということで検討しているということも先生よくひとつ御調査等をお願いいたしたい、このように思います。
  96. 江田五月

    ○江田五月君 お願いですから、答弁の方もひとつ短くやっていただく技術を磨いていただきたいと思います。  今のことで私は国民には納得してもらえない。長銀の大野木前頭取のことをぜひひとつ考えていただきたいと思うんです。  さて、この最終報告にはすごいことが書いてあります。個人、つまり「自律的な個人の生、すなわち個人の尊厳と幸福に重きを置く社会を築き、」、そういう個人ということに重点を置いているわけです。そして、今社会は著しく画一化、固定化されてしまっている、知らず知らずのうちに実は新たな国家総動員体制をつくり上げてきたのではなかったか、そういうことが書いてあるんです。これを変えようと。  そういうときに、盗聴法あるいは住民基本台帳法あるいは国旗・国歌法と。私は例えば最初に盗聴禁止法をつくったらどうだ、最初に個人情報保護法をつくったらどうだ、あるいは国旗・国歌についてちゃんとした審議会などをつくったらどうだと。そうでないと構造改革に逆行するんじゃありませんか。
  97. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、江田委員からいろいろ御主張はございましたけれども、今我々のなさんとすることは、構造改革を実行していく一つの大きなステップである、こう考えて努力をいたしておるところでございます。
  98. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  99. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、内閣法の一部を改正する法律案外十七案を一括して議題とし、中央省庁改革等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続いて質疑を行います。
  100. 江田五月

    ○江田五月君 御苦労さまです。  私は、午前中に平成九年十二月三日の行政改革会議の最終報告に言及をいたしました。これはなかなかよくできている。改めてこの際読み直してみたんですが、本当に同感同感また同感ということで、お互い共通の基盤がここにあるじゃないか。ここからスタートして、しかし今の政府案というのは不徹底きわまりない、こういうことをこれから申し上げたいと思うんです。  午前中の最後に、行革会議の最終報告を引きましてこんなことを言いました。  今、社会は著しく画一化、固定化されてしまっている。敗戦の廃墟の中から立ち上がり、経済的に豊かな社会を追求する過程で、知らず知らずに実は新たな国家総動員体制をつくり上げたのではなかったか。こういう反省、そこに立って、これからは個人の尊重、一人一人の人間が独立自尊の自由な自律的存在として最大限尊重されなければならない。そういう自律的存在たる個人の集合体である我々国民が、統治の主体として、自律的な個人の生、すなわち個人の尊厳と幸福に重きを置く社会を築こうじゃないか、そういうことが書いてある。これが今必要とされる構造改革。  この国会は、振り返ってみると、例えば情報公開法であるとか、男女共同参画社会基本法であるとか、こういう自律した個人がみずから責任を負いながら社会をつくっていこうという方向に資する法律もつくりました。しかし、どうも最後になって、盗聴法あるいは住民基本台帳法、国旗・国歌法といった、何かそういう方向とはちょっと違うんじゃないかというようなものが出されていて、私は逆に、盗聴禁止法とか、あるいは個人情報保護法とか、国旗・国歌については審議会をつくるとか、そういうところからスタートしてはどうかと思っております。  さて、そこで中央省庁法案に入ります。  今回のこの法案は大きくくくって三つ、一つ内閣機能強化、もう一つ中央省庁再編、そして独立行政法人の通則法、こういうくくりになっているわけですが、いろいろ我々は批判したいところがあります。  国土交通省、どうしてこんなばかでかい公共事業担当の省をつくったのか。総務省、どういう任務でこの総務省というのはくくられるのか、あれもこれも全部入れてごたまぜになっているじゃないかとか、政策評価が総務省というところでいいのかとか、いろいろとあります。  例えば、小渕総理行政コスト三〇%削減とおっしゃるんです。三〇%というのはいつと比べて三〇%削減なのか、その数値は幾らになるのかということは、これははっきりするんですか。
  101. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 行政コストの削減につきましては、私は、行政の生産性向上に全省庁挙げて取り組むための政策イニシアチブとして掲げたものでございまして、去る四月二十七日に行政コスト削減に関する取り組み方針を閣議決定いたしました。  この取り組み方針では、行政の減量化と行政の効率化という両輪によりまして行政コスト削減のための不断の努力を行っていく必要があるとし、行政の減量化については、当面、中央省庁等改革推進により、行政の効率化について今回の方針で掲げられた取り組みを中心として全力を挙げて取り組むことといたしております。  また、この方針におきまして、中央省庁が所掌する行政は、おのおの行政目的や手法を異にし、その効率化のための手法もさまざまであること、行政コストについては、単に人件費や事務費といった行政経費としてとらえるよりも、むしろ広く行政全体の生産性向上に資する概念としてとらえる方が適切と考えられることから、各省庁が所掌する行政分野ごとに、時間、人員、経費等さまざまな指標により計測される行政コストを平成十一年度から十年間に三〇%削減することを目標といたしております。  各省庁は、今後この方針に従いまして行政コスト削減に積極的かつ計画的に取り組むこととしており、その進捗状況を見きわめつつ、二〇〇一年の中央省庁再編による新たな体制の中で改めてどのように削減できるか再点検するなど、行政コスト全体について見直しを常時図りながら、この目標を達成できるように最大限努力してまいる決意でございます。  御質問に対してちょっと長くなりましたが、要は、十一年度から十年間のコスト削減を図ろう、しかし省庁再編が行われますので、そのときもう一度、新しい行政官庁としてどのように削減の方向が定められるかということをもう一度点検させていただこう、こういうことでございます。
  102. 江田五月

    ○江田五月君 総理自身もおわかりですよね。長くずっとお読みになって、どうもこれでは余り国民には伝わらないなというので後で言いかえられましたけれども、それでもまだ伝わらないんじゃないか。要するに、生産性向上で政治的イニシアチブだと言われるんですけれども、三〇%という数字がさっぱりそれではわからないんです。私は、午前中の最初にも申し上げましたけれども、やっぱり政治のわかりやすさ、そして政治のイニシアチブというかリーダーシップ、特に総理大臣リーダーシップ、これが今必要なときだと思うんです。  中央省庁改革については、実は私たち民主党は基本方針を決定いたしまして衆議院の方で法案を出しました。その基本的な考え方は、これまでの行政改革、随分ありました。いろんな取り組みがございました。しかし、公社改革のように実を上げているものもあるけれども、いずれも竜頭蛇尾といいますか途中で切れてしまうというか、成果が上がらない。多分その理由は三つあるだろう。  一つは、やっぱり理念がはっきりしない、何をするんだと。私たちは、昔、大学で勉強したときの言葉をだんだん思い出して、行政の中に給付行政と権力行政と。例えば治安の維持とかあるいは通貨とか法務とか、こういうのは権力行政。公共施設とか福祉とか、そういうものは給付行政。権力行政、これは国がやらなきゃいけないでしょう。給付行政のうちの国全体の基準とかあるいは調整のルールとか、これは国が決めなきゃならぬけれども、その他はすべてもう地方にやってもらってもいいんじゃないか。そういうような理念を持って、もちろんこの最終報告の理念もすばらしい理念ですが、そうした理念を持つことが必要と。  二つ目は、行政改革というのは、時代とともに変遷する行政に対する要請、これに常にこたえる不断の取り組みなんだと。そのことが忘れられているんじゃないか。ですから、これからの行政改革というのは、そういう不断の取り組みに常に立ち向かっていける仕組みを内蔵していなきゃいけないんじゃないか。  そして三つ目は、行政改革をやる責任主体、これがはっきりしない。私は、かつて社民連時代に国鉄改革で逐次地域分割、非公社化という案を出したことがあるんです。つまり、国鉄改革はいろんな案があるけれどもどれもどうしても実現できない。だれが責任を持ってやるかがわからないからできないので、そういう責任主体をつくるところからまずということを提案したことがございますが、同じような気持ちを今も持っております。  そこで、この最終報告にも「行政に求められる役割は時々刻々めまぐるしく変遷しており、半永久的な、堅牢な行政組織を構築することは、新たな硬直的行政を生ぜしめかねない。政策内容評価を行うがごとく、行政組織についても、不断の見直しを行い得るような仕組みを組み込むことが必要不可欠であろう。」、そういうことを書いておられるんですね。  そこで、総理皆さん行政改革でどの部分が行政改革責任主体になり、これがあるからこれから不断に行政改革に取り組んでいけるんだという、どの部分がそういうものになるのかということを私はお伺いしたい。  総理に伺っています。
  103. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 小渕内閣は一体でございますので、お許しをいただきたいと思います。  総務省が基本的にはその仕事を担うわけでございますが、どういうふうにしてやるのかというと、いわゆる総務庁が行う仕事の中で政策評価というものがございます。各省庁が行う仕事について絶えずそれの評価をする。評価をして、これが要らないとかこれは不適切であるということになると勧告をいたします。勧告をしたことに対して、どうなったかという報告を求めます。報告を求めて、言うことを聞かなければ内閣総理大臣にその是正を求める意見具申をいたします。内閣総理大臣は、憲法に定められた行政改革に対する指揮監督権を行使して是正するということになるわけであります。総務省がやります。
  104. 江田五月

    ○江田五月君 私は、それではだめだと思うんです。やっぱり総理大臣リーダーシップだと思うんです。  今、私は総理に尋ねた。そうすると太田総務庁長官が出てこられた。太田さんはまだ総理になっておられないので、総理大臣リーダーシップというものをしっかり確立することが、行政改革を行うについても、あるいはその他の改革を行うについても今必要なのです。  ですから、私たちの提案は、行政改革というのは、一つは官から民へ、もう一つ中央から地方へと。しかし、もう一つは、行政行政改革をやらせたって、それはまないたの上のコイにみずから包丁で刺身になれと言っているようなものですから、それではだめなので、行政に対して改革をしようというのはやっぱり政治リーダーシップなんです。行政から政治へ、これが内閣機能強化であり、同時に、単に内閣機能と言ったって、その内閣機能行政をいっぱい入れて強化したってだめなんですから、その内閣の中の総理大臣政治リーダーシップ強化、これをやらなきゃいかぬ。  そこで、私たちは首相府、内閣府、こういうものをしっかりつくって、内閣総理大臣がちゃんとした政治リーダーシップを果たせるようなそういう仕組みをつくり、そしてこの二つのものができて、その上で総理大臣及び総理大臣がしっかりリーダーシップを果たす内閣行政各部をちゃんと掌握した上で行政改革というものをきっちりやりなさいよ、そういうプロセスを経なければできないでしょうということを言っているわけです。  ちょっと時間をおかりして、我々の説明をもう少し続けたいと思います。(図表掲示)  こういう形で、ここに内閣総理大臣一つ飛び抜けているわけです。その総理大臣を助けるために首相府という、これはざっと全部で百五十人ぐらいの規模になりますか、民間とかあるいは政治家だけでも三十人程度をここへばっとそろえる。これで総理大臣を完全に支える。  そして、内閣全体については、内閣府というものを置いて、こういう強力な総理大臣リーダーシップを確立した内閣でこれからの改革を行っていこうと。そのために内閣法改正する。  そして、閣議というもので決めなければ総理大臣は動けないというのじゃなくて、例えば閣議を引っ張っていくための総理大臣発議権であるとかあるいは閣議運営基本方針総理大臣が一人で決められるとか、そういうことをやる。  もちろん、総理大臣にいろんな力が集中しますが、それは中央集権というのじゃないんです。政治リーダーシップです。その総理大臣がだめなら国会は不信任すればいいわけですから。しかも、そういう総理大臣がいると、あの人を総理大臣にしてこの国を変えたいと国民が願えば、総選挙のときに、今度は小選挙区制ですから、そういうものが生きる。総理大臣を直接自分たちで選びたいという国民の思いが今あるんです。これはあるんです。そういう思いにもある程度こたえることができるようになって、国民がみずから主体になってこの国の形を変えようという、そういう内閣をつくろうと。  そして、次はこれに行きましょう。  これはちょっと大きいですけれども、「民主党行革の手順」で、一番上が現在です。中央政府がだあっと権限を持っています。そして、地方政府も持っていますが、民間はこうやってぐっと圧縮されてしまっている。  もう不要になった事務ではないか、これはやめましょう。民間部門でできるのではないか、規制緩和とか民間開放しましょう。地方政府でできるのじゃないか、地方分権しましょう。私は、公共事業なんというのはもう原則地方へ全部落として、国土交通省というのは本当にぎゅっと小さくしてしまっていいと思います。  そうやって残った中央政府の仕事がここにあります。このうち、さらに民間委託できるものは外部サービス購入。あるいは実施部門を分離できるもの、そこで初めて独立行政法人というのが出てくる。そして、残った本当に小さくなった中央政府皆さんの行革会議事務局長の水野さんが、三万何千人でしたか、随分小さな数を言われる。そういう小さな中央政府をどういうふうに構成したらいいか。そこで初めて省庁再編というのが出てくるのじゃないか。そういうのが私たちの考える手順です。  これをちなみに政府のものと比較してみますと、一番上、ちょっと字が小さいですが、総理の地位は、皆さんのは単なる首長、我々の方は首長として内閣を統括する、総理の強い権限をちゃんと明示する。行政事務の分担管理については、政府案は固定的縦割り行政、我々の方は課題に応じて柔軟に対応閣議運営は、内閣総理大臣基本方針を決定して閣議を主宰する。  案件発議について太田長官はいろいろおっしゃいますけれども、今でももちろん総理は当然発議権はありますね。書いていないだけで当たり前の話です。それから、ほかの大臣内閣総理大臣に案件を示して閣議を求められると。発議権はほかの大臣にあるとはいったって、総理大臣がそれはだめだと言ってしまえばおしまいですから、これは内閣総理大臣にのみ与えればいいじゃないか。  あるいは、行政の指揮監督の関係権限疑義の裁定の関係、中止権の関係などなど、詳しくは申し上げませんが、私どもの案は政府の方と、何か政府案の焼き直しだというような批判もあるように聞きましたが、それは理解していない。全然そこは違うんです。  では、伺いましょう。政府案の方で、これは総理大臣のことですから、一体どこが内閣機能強化されているんですか。政府案はどこが内閣機能強化されているんですか。
  105. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、民主党の行政改革に対する基本方針、今、江田委員がお示しをされまして、公党としてこの省庁改革についての御見解を示されました。そのことについては我々も謙虚に承らせていただいております。  そこで、中央省庁改革等一つの大きなポイントといたしまして、総理内閣リーダーシップ強化ということでございます。この点につきましては、民主党の案につきましても検討をさせていただきましたが、内閣機能強化という基本的な考え方につきましてはほぼ政府案と同様であるというふうに認識をいたしておりますが、内閣総理大臣が、内閣としての意思にかかわりなく、内閣総理大臣の単独の意思決定により指揮監督を行うことを認めているなど、合議体である内閣行政権の帰属主体としている憲法の趣旨に照らし問題があると考えられるものも含まれておると考えております。したがって、政府案においてその強化につきましての、先ほど来お話しのように、発議権明確化等の問題によって内閣総理大臣リーダーシップが発揮できるような組織体としての政府案をもって是といたしておるところでございます。  と同時に、副大臣制度や政務官の導入、これも結果的にはそういうことになるんだろうと思います。総理大臣としてそれぞれの大臣にいろいろな指示を行いますが、また同時にそれが各省庁に参りまして、大臣の考え方を行政のそれぞれ直にある方々にお示しをして協力を求めていかなきゃならぬと思います。そういう過程の中で、国会議員の方々が、それぞれの役所に今の大臣並びに政務次官、政務次官にかわりまして副大臣あるいは政務官という形で役所の中に入って、スタッフ並びにラインとしてきちんと仕事をしていくということも結果的には内閣権限強化し、かつ内閣総理大臣リーダーシップを発揮できる背景をつくるということも今回の改革の大きな柱である、こう考えております。  そうしたものを実行することによりまして、内閣総理大臣権限といいますかリーダーシップが発揮できる体制を整えていきたい、こう考えておるところでございます。
  106. 江田五月

    ○江田五月君 どこが内閣機能強化になっているんですかということについて、今、総理説明は、内閣総理大臣発議権等というのは一つおっしゃいました。だけど、そのほかには何もおっしゃっていなかったんですよ。そして、発議権については、さっきも言いましたとおり、それは今でも総理大臣発議権はある。当たり前の話です。  そのほかに、総理大臣、あなたがおっしゃったことは、それぞれの省庁について政務官とか副大臣とかそういう政治任用のポストがあって、これが大臣権限を強めて、それぞれの省、行政機構に対する掌握の能力を強めていくだろうと。それはもちろんあります。だから、我々もその点は、もちろんこれは反対していないどころか今一緒にそういうものをつくろうとしているところですよ。しかし、そのことによって内閣総理大臣権限が強まっていく、リーダーシップが発揮できるようになっていく。これは間接的にはもちろん役に立つでしょうけれども、直截じゃないですね。  今、総理は民主党案は内閣総理大臣が単独の意思決定でいろんなことが行えるようになって、それは憲法上問題じゃないか、そういう趣旨のことをおっしゃったんでしょうね、いろいろ言われたから。しかし、内閣制度というのは戦前からずっと続いてまいりました。そういう戦前からずっと続いてきた制度や慣行を受けて、新しい憲法のときに内閣法というものをつくって戦前からのものを受け継いだ。しかし、それをちょっとわきに置いて考えてみたら、戦前と戦後と憲法はがらっと変わっているんですね。行政権は内閣に属する。内閣というのは確かに合議体的性格はある。  しかし、一方では内閣総理大臣の位置というもの、地位というもの、これは大きく変わったわけで、国民から直接選挙で選ばれる国会によって直接指名されるんです、内閣総理大臣が。しかも、内閣総理大臣一人だけが直接指名される。あとの大臣内閣総理大臣が選んでいくわけです。しかも、いつでもやめさせることもできる。罷免自体は内閣総理大臣の任意の意思で行える。その罷免の上奏は内閣の決定が要るでしょうけれども、罷免自体は自由にできる。内閣総理大臣一人で内閣を構成することもあります。わかりますね。前の内閣が総辞職をしてもまだ大臣皆さんはずっとその職務は続きます。続きますが、次の内閣総理大臣国会で選ばれればそこで終わりです。そして、その次に各省大臣が選ばれるまでの間は総理大臣一人ですべての大臣の任務を遂行していくわけです。  そういう内閣総理大臣、つまり今の憲法はそういう二つの原理があるんです。その二つの原理があるときに、内閣の合議体的性格というところばかりに重点を置いて内閣総理大臣と。ひょっとしたら小選挙区制になりますと国民があの人を内閣総理大臣にしたいと思って選挙をする、ひょっとしたらじゃない、そういうことは強くこれから起きてくると思います。そういう内閣総理大臣にもっともっと権限行使できるような仕組みをつくらないと、そうでないと内閣という政治の一番中心部分の構造改革はできないじゃないかということを言っているんですが、いかがですか。
  107. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほどは発議権の問題の明確化を申し上げましたが、これも前に御答弁申し上げたところでありますが、今回の政府案におきましては、内閣府及びこれに置かれる四つの合議制機関新設、それから強力な調整権限を有する特命担当大臣新設、それから内閣総理大臣の直接補佐体制整備等によりまして内閣機能強化を図っておるところでございます。  そこで、今、江田委員がお話しされた点については、現行の内閣総理大臣も、御指摘のようにかつて旧憲法下における内閣総理大臣、各閣僚が署名を拒否すれば御案内のように内閣が常に瓦解しておったという歴史的な経過にかんがみれば、新憲法下における総理大臣権限というものは極めて強力なものでございます。ある学者によりますれば、日本総理大臣というものは各国に比較いたしましてまことに権限が強力であるという考え方もなされる。それは閣僚の任命権あるいは罷免権というものを現実に有しておるということはそのとおりだろうと思います。  しかし同時に、内閣総理大臣としての権限をさらに発揮する意味での発議権とか、こうした形あるいは組織としての内閣府というものを一つ組織体としてきちんと整備するということにおいて、より一層総理大臣としての権限国民の意思に沿って実行するということが可能なものとして、政府案としてはこの組織体で十分発揮できる、こう認識をして出させていただいておると、こういうことでございます。
  108. 江田五月

    ○江田五月君 行革会議の最終報告はこの点ではやっぱりちょっと弱いんですよ。内閣機能強化内閣の調整機能の強化だと、こういうことであって、政治リーダーシップの確立という点に欠けている。このことを申し上げて、あと同僚伊藤委員の関連質疑に譲ります。
  109. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 関連質疑を許します。伊藤基隆君。
  110. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。  江田委員質疑に続きまして、関連で質問させていただきます。  まず、総理大臣にお伺いいたします。  私は、行政府の目的は国益の実現であるというふうに思っています。行政改革はどのように国益の実現を図るかの観点からの将来に向けたシステムづくりであろうかというふうに思っております。国益とは、国の立場から考える、そういうことでもありますし、国民の立場から考えるという切り込み方もある、しかしこれは一体とならなければならないというふうに思っています。  例えば、将来にわたる経済の安定的発展、そのための行政の支援システムと新しい産業の創出、こういう目的もあろうかと思います。二つに財政の健全化、三つに通貨の信用体制の確立、四つに金融の安定化と社会的機能の確立、さらに資源、エネルギー、食糧の供給体制の確立、危機管体制の確立、七番目に国民生活に直結する安心、安定の社会システムの確立、さらに教育です。  午前の自民党のお二人の委員の方からも、この国民生活に直結する安心、安定の社会システムの確立というところに着目された意見が出されておりました。いわゆるセーフティーネット論でございますが、そのことに重点を置いて質疑を行っていきたいと思います。  きょうは時間的な限りがございますから途中までしか触れられないと思いますけれども、後にまたチャンスをいただきまして、引き続き同じテーマで本特別委員会の論議の中でやっていきたいと思っております。  ただいま私は、例えばということで幾つか申し上げましたけれども、政府はどのような戦略に基づいて国益をどのように実現しようとして行革を実行しようとしているのか、総理の考え方を冒頭お伺いしたいと思います。
  111. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど来、江田委員からも御指摘がありましたが、行政改革会議におきまして本当に熱心に御討議をいただきました。その中では、国家が果たすべき機能といたしまして、国家の存続、国富の確保・拡大、国民生活の保障、教育、国民文化の伝承などがありまして、行政は法のもとでその実現のために適切な役割を担っていく必要があると考えております。今、伊藤委員から御指摘をいただきました七つの問題も、またそういった角度からの切り口として考えれば同様な考え方ではないかというふうな気がいたしております。  そこで、現在取り組んでおります行政改革におきましては、国の行政組織及び事務事業運営を簡素かつ効率的なものにするために、その総合性機動性透明性の向上を図りまして、これによりまして戦後の我が国社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指すことを基本の理念といたしておるところであります。  このような取り組みを通じまして、先ほど申し上げました国家が果たすべき機能を実現していくために適切かつ有効な行政をつくり上げることができるものと考えておりまして、そのために今回の法律を提出させていただいておるところであります。
  112. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 今、総理は答弁の中で、行革会議が熱心な討論をされたということでございますが、私はその行革会議の討論といいましょうか審議、決定の経過に、一九九七年の問題でありますけれども、少し触れなきゃならないというふうに思っています。そのときの思いもございまして、若干触れていきます。  一九九七年十月九日の読売新聞に瀬島龍三氏が行革についての考え方を述べております。私は瀬島さんがこういうことを言ってくださったかと思って、その切り抜きを今でも大事にとっております。行革論議が中間報告を終わって最終決定に至る間の議論が沸騰している時期でありました。行革はセントラリゼーション、集中化と、ディセントラリゼーション、分散化を同時進行で行わなければならない、よほど明確な理念と行革のテーマ間の整合性が要求されると述べました。これは一九九七年十月九日に発表された読売新聞の世論調査の結果に基づき行った発言であります。さらにこう続けておられます。  調査結果によると、橋本首相が掲げている六大改革のなかで、国民が関心を持っているのは「社会保障構造改革」(三九%)がトップで、「行政改革」(三一%)は「財政構造改革」(三五%)などに次ぐ四位だった。 さらに、政府行政改革会議の中間報告についても、評価する項目が「とくにない」という回答が三三%にも上っている。 「行革の実現に必要なものは」との問いに対し、「国民の強い支持」との回答が五三%しかないのでも分かる。 この数値は高いようで、実は高くない。我が国の中枢組織改革・改編に内閣が取り組んでいる時、頼みとなるのは、唯一国民の支援だけである。せめて七割程度の数値でなければ、本格的な行革の実現はおぼつかないだろうというのが、正直な感想だ。 と、そのときに瀬島さんがそのように読売新聞紙上で述べました。読売新聞は、当時行革キャンペーンを盛んに張っておりまして、郵政事業は民営化すべきだなどということを一面トップで出したような時期でございました。  一九九九年五月十五日、ついこの間でございますが、十五日から十六日にかけて読売新聞が行革に関する世論調査をまた行っております。  実現を望む項目というのがありまして、行政改革によって特にどのようなことが実現してほしいかという設問では、予算のむだ遣いをなくし、財政赤字を減らす、これが六三%でトップであります。これに行政組織を簡素化し、公務員数を削減する四五%、政策決定までの手順や内容国民にわかりやすくする三三%、省庁ごとの縄張り意識をなくす二七%などが続いております。これは太田総務庁長官の答弁と合致する部分がかなりございます。  行革を進める上でのマイナスとなっているものを聞いたところ、各政党の思惑や主導権争い四六%が最も多く、さらに官僚の抵抗三七%が続くなど、政治家や官僚の改革に対する後ろ向きな姿勢を問題視する回答が目立った。その一方で、国民の関心の低さ三六%、国民行政任せの姿勢二三%、これも今回の特別委員会の論議の中で問題視されている項目であります。  さて、総理にお伺いしますが、私はこの世論調査、一九九七年と九九年に行われているものにおよそ国民が今政府に何を求めるかという傾向があらわれているというふうに思っています。先ほど申しましたように、九七年十月といえば政治の舞台は行革論議に沸き立っていました。しかし、国民政府に対して社会保障構造改革、財政構造改革を望んでいた。行革は第四位の関心度だった。今また国民の関心は、同じ問いかけではございませんけれども、六三%の国民は財政赤字を減らしてほしいというふうに望んでおります。政府がやろうとしている行革と国民の関心はかなり開いているのではないかというふうに見なければなりません。  行革を達成してから財政赤字に取り組むということもあろうかと思いますけれども、この点について総理はどのように認識されているか、また国民の支持の状況についてどのように受けとめられておられるか、お伺いしたいと思います。
  113. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 伊藤委員御自身、第三次行革審の専門委員としてお取り組みいただきましてそうした思いもあろうかと思いますが、世論調査の関心度につきましてのパーセンテージも今お示しをいただきました。それにはプライオリティーがついておるような感じもいたしますけれども、前の内閣の六大改革、教育改革はある意味でまた違った観点から検討しなきゃならぬと思いますが、五つの問題は相互に極めて関連性の深いものではないかというふうに感じております。  その中で、社会保障改革というものは大変身近な問題でございますので、この点について国民の関心度が非常に高くなることは、これは必然ではないかというふうに考えております。  財政改革につきましては、これはそれこそ赤字体質を直さなきゃならぬということで、前の内閣も必死にこれに取り組まれました。もちろん、私自身も大きな改革のテーマであると考えておりますが、お許しをいただきまして、今日、財政改革につきましては法律で凍結をさせていただいておるわけでございます。  そういった意味で、行政改革につきましては、なるほどに国民皆さんの関心というものは必ずしも高いものと言いがたい点があります。  かつて、この問題につきまして非常に熱心にお取り組みをいただきました東芝の土光さん、このときには、土光さんの行革に取り組む姿勢もさることながら、毎日の食事も目刺し一本に絞っておる、このくらいにむだを省いていこうということが国民的アピールに非常に受けた点もございまして関心が高くなったと思いますけれども、自後、それは御指摘のように高いときも、残念ながら低いときもあったと思っております。  しかし、これらは相互に、それぞれの五つの改革というものは分けることのできない問題でございまして、そういった意味では我々も行革、特にこの行政官庁の再編の問題については、国民皆さんに層一層御理解を求めなければならぬかとは思いまするけれども、長い間行革会議で御検討いただき、また前の内閣としても懸命の取り組みをいただいたことでございますので、今日、この法律の御審議を通じまして、国民理解も深めながら、ぜひ二十一世紀に向けての新しい仕組みをまずはつくらせていただきたい、こういうことで今お願いをいたしておることでございますので、改めて御理解をお願いいたす次第でございます。
  114. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 さらに、瀬島さんの述べていることを少し申し上げます。郵政三事業について瀬島さんが述べています。   さらに気がかりな点を挙げると、郵政三事業、とくに「簡易保険の民営化と郵便貯金の民営化方針」に対する評価が一三%と低いことだ。郵貯の民営化については、離れ小島や山村の人々などに強い不安感があるのではなかろうか。銀行は経済効率で支店を設置しており、離れ小島などは見捨てられる恐れがある。また、国民の関心が行革より、「社会保障構造改革」にあることも考慮すべきことだろう。   郵便局の存廃と医療・介護・年金などの改正については、民意に配慮し、改革を進めてもらいたい。 そのように言っております。  私は、紆余曲折といいましょうか、大変なエネルギーを使って、郵政事業といいましょうか郵便局ネットワークというのは最終的な政府の判断でぎりぎりの線で守られたというふうに評価しております。  私は郵政事業に携わってきた経験があって、それも郵便局に働いた経験があるから言うわけではございませんけれども、きょうは郵便局そのものというよりは、民意の反映という立場から少し総理に聞いていただきたいというふうに思うわけです。  郵政事業を考えるときには、だれしもまず郵政省があってその下に郵政局があって郵便局があるというふうに見ておりますけれども、これでは本質がわからないんじゃないかというふうに私は思います。確かに行政組織としてはそのとおりなのでありますが、これを逆転させますと、まず郵便局がある。その郵便局それぞれが十分な機能をしていて、お客さんに親切で、それがネットワークされている。そのネットワークは人が介在する力によって維持されている。マイクロエレクトロニクスで維持されているわけじゃございません。これを支えるのは線路でもないし電線でもありません。専ら拠点たる郵便局の努力とそれを結びつける機能によっているわけであります。その郵便局ネットワークを統合して指導、経営するのが郵政省であります。  郵便局は通信・金融基盤サービスの提供をやっているのみじゃなくて、中山間地が七割を超すという我が国の事情から、高齢者にとって、特に積雪地帯などでは生活を支えるシステムの非常に大事な一部になっております。私は、郵便局ネットワークは国民共有の財産と考えております。国民の生活基盤を支えるセーフティーネットであります。郵便局のネットワーク二万四千六百は、まさに地域の人たちの協力のもとにでき上がってきた、そういうものでございます。  一九九七年の行革会議中間報告とそれ以後の議論の中で、実は三千二百を超す全国の地方議会、全体の九八%を超す議会が、郵政三事業の国営一体運営を堅持する意見書を内閣総理大臣関係大臣あてに提出しておりました。市町村議会に加え、全国知事会、平成九年七月二十五日、全国都道府県議会議長会、同年の七月十六日、全国町村会、同年の十月九日に同様趣旨の要望書を提出いたしました。四十七都道府県すべてで同様趣旨の決議がなされております。十一の県では県内地方議会の一〇〇%が意見書を提出しました。  これだけ全国の地方公共団体が一致した行動をとった例がかつてあったでしょうか。このような地域社会の一致した声が国政レベルで、行革会議に限って言ってみても一顧だにされなかった。その後の我々国会議員、政治家に与えた影響は強いものがありましたけれども、行革会議の中では一顧だにされなかった。  当時外務大臣でありました小渕総理は、その当時の郵便局ネットワークを守る地域社会の一致した声をどのように受けとめておられたのか。私も実は総理大臣のところに、当時の外務大臣でございますが、直接お伺いして訴えようかと思いましたけれども、遠慮申し上げて我慢をしておりました。言っておりません。  その当時内閣の重要な一員であった総理は、地域社会の一致した考えをどのように受けとめておられたか、お聞きしたいと思います。    〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕
  115. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、伊藤委員、当時のことを振り返り、当時の状況についてお述べをいただきました。なるほどに全国三千二百の地方議会からも意見書が出されるという状況でございましたし、また郵便局の持つ地域における大きな信頼性、そうしたものも承知をいたしておるつもりでございます。  ただ、この問題につきましては、当時、与党自民党の中でもいろいろと御議論がなされておりまして、そうした中で、私自身も閣内における一員として、考え方につきましては当時の橋本総理ともいろいろお話は申し上げましたが、最終的には内閣の方針に従うということでございました。  その結果、今日総務省として、郵政省の持つ郵便事業、それからまた自治省も御一緒になられまして、これから相協力して住民のためにいかに努力するかということを考えてまいらなきゃならぬということでございまして、先ほど来も御質疑がございましたけれども、総務省の中で、郵政省の持ってまいりました大きな役割、これと同時に自治省が果たしておる地域社会における住民のためのサービス、これと相協力していこうという形の中でこれからの方針は定められることでございまして、私自身もそれを理解し納得し、そして今日、この法律を出すに至りました前内閣においての責任を果たしてきたところでございます。
  116. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 ありがとうございました。  次に、自治大臣に一般論としてお伺いいたします。  地方自治体は、地方自治法第九十九条第二項の規定によって意見書を提出しました。地方自治法に基づく地方公共団体の正規の議決を経た上での正式な意見書でございます。地方分権地方時代が一方で強く叫ばれながら、全都道府県、そして既に述べましたようにほぼ全市町村の正式の意見書提出を受けつつ、中央政府に、そして行革会議関係者にそれらが正しく届いていないとすれば、もはやこれは民主主義の根幹の問題というべき事態であろうかと思います。  地方自治法に基づく地方公共団体の正規の議決を経た正式の意見書を政府はどのように扱うのか。一般的な問題として自治大臣認識をお伺いいたします。
  117. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 今御指摘ございましたとおり、地方自治法の第九十九条第二項では、「議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる。」と規定をされておるわけです。  この制度は、沿革的にはかつての府県制、市制、町村制までさかのぼるわけですが、明治以来、地方議会の意見を国の行政に反映させるという意味で一定の役割を果たしてきてはおるわけでございます。  そこで、これの取り扱いでありますが、この地方議会からの意見書を受理した関係行政庁においては、その趣旨を十分酌み取った上で、必要に応じみずからの行政運営に活用するというような形で適切な対応が図られているというふうに考えております。これから特に地方分権を強く進めていかなければならない、そうなればますます地方議会の役割も大きくなるわけでありますから、その地方議会の意見をなお一層尊重していくということが求められていくであろうと考えております。  ただ、ちなみに現在どれぐらい出ておるかということを申し上げておきたいと思います。平成九年度中に地方議会から自治省に提出されました意見書の数が一万二千四百九件でございます。全国の自治体の数が約三千三百ぐらいということでありますから、単年度でこれぐらいの意見書が出ておるということでございます。  そういう点で、地方議会もいろんな形で意見書を国のそれぞれ関係行政機関に提出しておられることであるということだと思いますが、国においてもそれぞれその意見を十分尊重して、行政運営の中で反映されていくべきことだろうと考えております。
  118. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 今、自治大臣の見解はまさにそのとおりだと私も思いまして、そのことには十分期待はしたいと思います。そうでないと、さまざまな地方の声が、やってもしようがないみたいなことになりますと大変重大な問題になるかと思います。  総理大臣には、私の思いのたけみたいなものを出しまして、ちょっと答えづらい面もあったかと思いますけれども、十分な答えをいただいたと思っております。  そこで、さらに総理大臣にお聞きいたします。  私は、先ほど申し上げたとおり、二十一世紀日本にとって必要なものの第一は社会の安定だと思っております。安定した社会、その基礎、基盤をつくることだと考えております。言いかえれば、社会の新たな発展の基盤の再構築というふうに思います。きょう、午前中からの各大臣の答弁もそういうことを目指しているんじゃないかというふうに聞き取っておりました。  そこで、現在の経済状況でございますけれども、一般に景気が悪くなりますと、その落ち込みをできるだけ和らげる役割、景気の下支え効果を果たすのは個人消費だというふうに言われております。バブル崩壊後の九〇年代前半も、例えば九二年から四年にかけては、実質経済成長率の〇・四%から〇・六%を上回る〇・七%から一%の個人消費成長率でありました。すなわち、景気の下支えをしておりました。しかし、戦後二度目のマイナス成長となった九七年度、個人消費は〇・七%減と戦後初めて景気の足を引っ張ったわけであります。これは、戦後初のマイナス成長となった七四年度でさえ個人消費は実質〇・九%成長ということで歯どめ効果としての役割を担ったことを考えると、今日の消費の冷え込みは大変大きいわけであります。  さらに、九七年度からの情勢を見れば、四月の消費税率引き上げ、六月以降の特別減税廃止と社会保険料の負担増、そして十一月には大手銀行や証券会社の破綻が相次ぎ、また日本経済全体をリストラの波が襲い、サラリーマン世帯を中心に残業代やボーナスカットが本格化しました。実収入そのものの減少が続いて、それがさらに消費を冷え込ませているのであります。  こういう悪循環から個人の生活を守るものが市場では提供できないセーフティーネットであろうというふうに思います。我が国は、高度成長期を通じて、年金、医療といったセーフティーネットと言える社会保障を構築してきました。その存在があったことによって、将来に向けた明るい展望を持って成長路線を進んだということも言えます。しかし、経済社会の構造が変わろうとしている現在、かつての右肩上がりの経済成長を前提としていたセーフティーネットがほころびを見せています。その一方で、すべてを市場にという主張が大変声高に言われている昨今でございます。  今、株価は安定しつつありまして、景気も安定化しつつあるように見えます。しかし、これは財政出動による経済対策の今日的効果のあらわれというふうに言えるもので、長く続くことをだれしも望みますけれども、これが本格的な景気の上昇につながるという予測はなかなか立てがたいんではないだろうか。しかも、国民の生活の基盤、セーフティーネットは不安定化を強めております。私は、これは構造改革が進んでいないことを示すものではないだろうか、構造改革の視点がどこにあるかということも同時に言えるのではないかというふうに思っています。  そこで、幾つかのセーフティーネットの問題についてお伺いいたします。まず雇用、年金、医療、介護保険、そういう順番でお伺いします。時間的に最後まで詰められないかもしれませんが、それはまた後ほど一般質疑等でお聞きしたいと思っております。  まず、雇用の問題は最重要課題として総理にお伺いします。  昨年四月に初めて四%台に乗った完全失業率が、その後も悪化を続けまして、本年三月は四・八%まで悪化しました。四月に入っても回復の兆しはなくて、全体では四・八%と三月と同率でございますけれども、男性失業率は最悪の五%に達しています。景気回復がおくれれば早晩五%を超えるのは確実であります。完全失業者数は三百四十二万と過去最多を更新いたしました。倒産やリストラなどによる非自発的な離職者数が百十五万人、より有利な就職先を求める自発的な離職者は百八万人でありまして、それを上回ったわけであります。しかも、非自発的離職者の半数強は三十五歳以上の男性が占め、この層が企業リストラの主な対象になっていることを示しております。  連合は、今国会において連日国会前で雇用対策を訴える座り込み行動を行ってきました。六月九日にその行動の目的を集約した政府国会に訴えるための国会請願デモと集会を開催いたしました。私もそのデモ、集会に参加した一人でございます。集会は、雇用不安を反映して、また政府の実効ある雇用対策の実現への期待を込めておりまして、鷲尾連合会長のあいさつに会場から激励の声が飛び交うという熱気があるものでございました。  私は、今日の失業率の上昇、雇用情勢の悪化が社会機能のあらゆる面に悪影響を及ぼす社会不安となっていくというふうに考えなければならないと思っています。雇用問題は政府の取り組むべき最優先課題と考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  119. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 雇用対策につきまして、今、伊藤委員から御指摘ありました。  私は共通の認識をいたしておると思っておりまして、現下の経済状況にかんがみ、かつ企業におきましても大変な構造改革を行おうとしておるわけでございまして、そうした中で残念ながら失業者が生まれてくるという環境にあります。  したがいまして、雇用問題というものはこれまた政府の最大の課題であるという認識もとに、六月十一日に産業構造転換・雇用対策本部におきまして産業競争力強化とともに緊急雇用対策を決定いたしまして、七十万人を上回る規模を対象とした雇用就業機会の増大策を実施することといたしております。これらの対策につきましてはスピーディーな実施が求められておりまして、今後、可能なものから実行に移すとともに、必要な措置について速やかに検討を進め、その具体化に努めてまいりたいと思っております。  今回の対策を決定いたしました当日、経済四団体及び今お話がありました連合の鷲尾会長にも御出席をいただきまして、ともどもにこれは官民あるいは政労使挙げて取り組まなければならない課題として御協力もお願いをいたしました。  なるほど、この連合の御主張すべてを受け入れることはなかなか難しいかとは思いますけれども、しかしできる限りの施策を織り込みながらこれから対応していかなきゃならぬ、そのためにはやはり予算も必要とあらばこれは編成をいたしていかなきゃならない、こう考えておりまして、現在大蔵大臣にお願いを申し上げて、総額五千億を超えるような予算を組むことができないか、こういうことで今検討いただいております。願わくば、これが編成を内閣としてできることでありましたら国会にもお諮りをして、一日も早くあらゆる対策を講じていきたい、こう念願いたしております。  重ねてでありますが、雇用の問題につきまして、お話のように五%を超えるというような状況になっております。そういった意味で、特に非自発の失業者というものが生まれてきておる、この状況を看過することはできない、一刻も早く対処しなきゃならぬ、こういう気持ちで政府としては対処いたしていきたいと思いますので、この点につきましても御激励をいただければ大変ありがたいと思っておる次第でございます。
  120. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 政府の雇用対策につきまして、緊急地域雇用特別交付金を新設して三十万人強の雇用を創出する、全体で七十二万人強の新規雇用創出の雇用対策を決定したと。大変明るいニュースでありますが、問題は、どう実現していくかということだろうと思います。  ただ、今そのことについて、私は実は具体化に向けた日程を聞こうかと思いましたけれども、ほかの問題にすりかわっていく危険がありますので、きょうはこの辺にしておきたいと思います。突然質問中止になったら困りますので。  そこで、労働大臣にお伺いします。  経済再生と競争力回復のための過剰雇用の調整と雇用流動化、これは経団連が強く主張しております。  しかし、現状の我が国のリストラ、雇用調整の対象は、四十代から五十代を中心とした中高年ホワイトカラーと管理職であります。総務庁の労働力特別調査では、就職できない理由として求人年齢と合わないということが最も多く、七十一万人となっております。さらに、こうした働き盛りの存在が雇用不安に直面しているということは、彼らが担っている家族に対する役割、教育や住宅といった生活基盤への不安を助長することになっております。  こうして考えると、雇用というものが社会のセーフティーネットの基礎として重要な役割だと考えられるし、それゆえに経済情勢や市場の原理と行政だけで対応することは問題があると考えますが、どうでしょうか。
  121. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) おっしゃるとおり、雇用の安定というのは社会の安定要因の重要な要素でございます。この安定のために政府挙げて今全力で取り組んでおります。  その中でも、深刻の度合いが一番大変であるというのは、確かに世帯主の方の失業、現在直近の数字で言いますと九十三万人くらいになっております。そして、その中でも自分の意思ではない、会社の都合で非自発的な理由によって職を失ってしまった世帯主、しかもその中でも特に家計支出のピークに差しかかっている中高年齢層、ここにプライオリティー、最優先順位で対策を打つというのが今回の対策の柱の一つであります。  そこで、新しい雇用が見込まれる部分の前倒しをして、それに合わせた職業訓練をするとか、あるいはもちろん先生御指摘の年齢要件につきましては、私自身が企業、事業団体を回りまして年齢要件の引き上げあるいは撤廃等の要請をしております。  公的セクターによる雇用の創出にも今回初めて踏み込みました。しかし、これは過去の失対事業の反省にかんがみ、民間活力をいかに利用するかということに重点を置かせていただいております。  職業能力開発と需要の先取り、それから雇用の創造、いろんなことに大胆に手を打ち、しかも総理からお話がありましたように、雇用対策としては最大規模の五千億を超えるという補正も恐らく近い将来組まれるということになるわけでありますから、政府として、ありとあらゆる知恵と策を投じて一番深刻な部分の雇用の安定に努めていきたいというふうに思っております。
  122. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 労働大臣に、質問通告をしていないことでちょっと認識をお伺いしたいと思っております。それほど難しいことというのでなくて、労働大臣がいつも考えておられることだと思います。  今、雇用の流動化、過剰雇用の調整とかいう一見合理的に見える文言があって、それによって経営者団体が雇用調整を進めている。私は、日本の企業は将来このことによってしっぺ返しを受けるんじゃないかというふうに思っています。というのは、何のために全力を挙げて働くかというのは、将来に対する安心感というか、企業がそこの従業員に対して、こっちも最後まで頑張るぞ、守るからなというのがあって、それが労働協約にあるにせよないにせよ、暗黙の了解であっても、あって日本は発展してきた。今それがどんどん崩れているんじゃないか。    〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕  かつて造船重機労働組合は、造船の構造不況のときに、残るも地獄、去るも地獄と言われたときに、残る者が自分のもらった給料を拠出して去る者に出したということが歴史にあります。私は、その造船重機労組は大変な労働組合だと思って深く尊敬しています。  オランダでも、経営者の方から給料を下げて雇用全体を守ろうという提起に対して労働組合が応じたという例があるようであります、話だけちょっと聞いただけでありますけれども。  そのことがいいか悪いかの価値判断は、経営者側にも労働者側にもあるかもしれない。しかし、日本の製造業が今日まで営々と努力して品質を改良し、世界に冠たる地位を築いてきたところに、一つは会社と労働者との関係一つは中小企業の存在というものがあったと思うんですけれども、その働いている労働者のセーフティーネットが崩れようとしていると同時に、日本の産業構造の重要な部分のセーフティーネットが崩れようとしているんじゃないか、今。そのことが物すごく心配です。だから、労働省はそのことをぜひとらえていただきたい。  そのことについて、考えていること、感じておられることがありましたら、労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  123. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘のいわゆる終身雇用に象徴される企業と従業員、雇用者との信頼関係に基づく長期雇用、これは内外からいろいろ言われますけれども、私は大事な雇用文化だと思います。そして、企業経営者は雇用について守っていく責任を持つ。経営者としての責任の重要な一つだというふうに思っております。  ただ、要は、企業というのは同じ業をずっと続けていて未来永劫何の心配もなく続くかといえば、企業三十年説にありますように、同一の事業というのは三十年もすれば必ず限界が来る。そのときにどういうふうに展開をしていくかということだと思うんです。その同じグループ内で新しい事業分野に展開をしていく。そのときに、そのグループ内での人の融通といいますか移動というのは、過去にも日本にはありました。それを現在、グループ内での人の融通といいますか移動を超えてやらなければならない事態が来るか来ないかということだと思います。  その際に、失業という形態を経ずに成熟産業から新しい時代を担っていく産業にスムーズに人材が移動できる。移動することによって損が起きないというような、年金を初めとする周辺の体制整備を行う。これは国際競争に勝ち抜くという点でも大事だと思います。  そして、もちろん産業自身が大競争に向かって立ち入っていくということと、それから働く側にとっても終身雇用のいい点は安定性でありますけれども、学卒で将来の職業を決めたときにそこですべてが決まってしまうということもいかがなものか。何年かやってみて、自分はむしろ別な事業分野でやりたかったんだといったときに、そこで残りの生涯をチャレンジできるような体制もつくっていく必要がある。  いろんなチャンネルを用意して自己実現を図れるように、そして、いることによっても移動することによっても不利にならないような中立的な周辺の保障社会保障体制ができているということが大事だと思っております。  トータルとして、失業の不安がないように、職をかわるときにも失業期間が極力短くなるようにどう体制整備するか、そういう視点で全力で取り組ませていただきたいと思っております。
  124. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は労働組合から出てきたために、そういうことに対する思いが強くて聞きましたけれども、ただいまの労働大臣の答弁は、日ごろから非常によく考えておられるということがよくわかりました。  しかし、私は、日本の産業界においてそういうことが起こる、企業と労働者の信頼関係が労働組合があっても損なわれていくというようなことが起こったとしたら、日本はアメリカ型社会と違いますから、取り返しのつかないことになるんだという危機感だけは強く持っているわけであります。  さて、セーフティーネット、雇用、年金、医療、介護に対する質問を続けた上で、総務庁長官にお聞きしたかったことがございました。きょうはお聞きする時間がございません。予告だけしておきますが、厚生省と労働省が統合されて厚生労働省になります。そうすると、なぜ日本は労働省をつくったのかというところに戻ってもらいたい。そこから考えないとならないんじゃないか。労働省をつくったことはその後の日本社会の発展に大きな役割を果たしたと思っております。統合することは機能を高めることになり得るんだろうか、あるいは統合することによってマイナス面は防げるのだろうかという危惧がございます。数合わせじゃないかとは申しませんけれども、そういう危惧がありますので、それは後ほどまた一般質疑でお聞かせいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  125. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  最初に、この両法案といいますか、たくさんの法案の前に、私からも少しお聞きしたいのでございます。  それは、きのうの韓国と北朝鮮との間の銃撃戦について、けさほど大島委員の方に外務大臣から事実関係について御説明があったと思います。  私は、もう時間がありませんので簡単明瞭でお願いしたいんですが、二つお聞きします。  一つは、この背景から見て、五月二十四日に成立した周辺事態法に言う我が国の安全に重大な危機をもたらすというこの周辺事態、この法律はまだ施行されておりませんが、近く施行される、こういうものに当たるというふうに考えられているのかどうか、第一。  第二は、これは私もここで何度も質疑をしましたように、こういう法律というのは三つの効果があります。もし万一こういうことになったときの準備。第二に、準備万端整っているから来てもだめだよという抑止力。そして三番目には、もし現場で不幸な小さなトラブルがあったとしても、それには決して我が国は巻き込まれないという、こういう効果だと。この三番目は私が自分で考えたわけでございます。  この三つの点からして、今回、その三つの点についてでもよろしいんですが、その準備は万端抜かりなくやっておられるんでしょうねということについて、政府からまず答弁をお願いしたいと思います。
  126. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いまだ日本の平和と安全に重要な影響を与える事態ではない、こういうふうに思っております。注視していかなければいけないとは思っていますが、このことで直ちに日本の平和と安全に重要な影響を与える事態ではない、こういうふうに考えております。
  127. 山本保

    山本保君 注意をしていく。
  128. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) それは当然のことながら注視をしてまいります。
  129. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。  それでは、本題に入らせていただきますが、最初に、今回たくさんの委員から、これまでの委員からもお話がありましたように、私も国民にとってなかなかわかりにくい法律改正といいますか、制度改正、大改正であると思います。すっきりしない。中央省庁の数を減らしたり、中央地方の役割の分担を見直したり、大事なことではありましょうが、国民生活にどのようにプラスがあるのかということをもっと政府はきっちりお話をするようにしなければならないと思っておりますし、私は自分自身の関心もそこにありますから、その観点から具体的にお聞きしたいと思っております。  まず最初に、現在この国の最も重大な課題といいますのは少子高齢化であるというふうに一般にも言われます。これはこの二、三年で片のつくような問題ではありません。  総理大臣に最初にお聞きしたいわけでございますが、この少子高齢社会の到来について対応重要性をどのように考えておられるのか、私は二つの点についてぜひお答えいただきたい。  一つは、もちろん子供を育てたい方が育てられない、産むことができないという意味での対応でございます。もう一つは、今後の日本、これまでの日本は子供がたくさん生まれてくるということをもとにして教育制度も雇用制度も、そして産業界も社会保障制度もできていた、これをここで大きく転換していくという改革課題であります。  この二点について、できれば総理大臣からどのような御所見なのかをお伺いしたいと思います。
  130. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現在、我が国は諸外国に例を見ない速さで少子高齢化が進行しております。その高齢化に伴いまして、社会保障の給付と負担の増大が見込まれる一方、少子化によるさまざまな社会的、経済的影響が懸念されておるところでございます。  このような少子高齢化に適切に対応していくため、今後の社会保障について、国民の不安を解消し、成熟した社会経済にふさわしい社会保障とするため、年金、医療、介護など、社会保障制度について将来にわたり安定的に運営のできるよう構造改革を進めていかなければならないと考えております。  また、少子化への対応につきましては、この五月に少子化対策推進関係閣僚会議を設置いたしたところでありますが、さらに少子化への対応推進する国民会議を設置いたしまして国民的な広がりのある取り組みを進めていきたいと考えております。  少子化の状況の中で日本の人口がどういうふうに推移していくかということについてはいろいろマスコミ等でも報道されておりますが、ある報道によれば、八十年後には日本の人口が半減するのではないかというような大変な数字を示すことも出ておりまして、国民皆さんにも大変不安感もありますし、特に高齢化になってまいりました場合に、それを支える人口がいかなるものかということについては本当に真剣に考えていかなきゃならぬと思っております。  余談になるかもしれませんが、明日から私はケルン・サミットに出席をさせていただきますが、その機会に、北欧五カ国のサミットというのがございまして、アイスランドで開かれますので、お許しをいただいてそこに出席をさせていただきます。  先般、そこの五カ国の大使の皆さんと懇談をいたしました。そのときに日本の少子化について話が出ました中で、実は北欧こそ少子化の一番の国々ではないかということでありましたが、昨今は出生率がやや上向きになってきておるということでございました。そういった観点で、この五カ国がどういうお取り組みをされてきたかということについて、もちろんその検討のためにこの間お話を聞きましたら、日本国会議員を初めとして大変関係者の皆さんが北欧に来られておるというお話をされておりました。  やはり、我々の心配しておったいわゆる社会保障が完備し、税が高いそうした国々において、また男女がともに働くというような形の中で、北欧の最も先進的に人口が減少してきたという国家の中でいろいろと学ぶべき点があるのではないかと思っております。日本としても、この趨勢にどこかで歯どめをかけてやはり安定した人口構造というものに持っていく必要があるんじゃないか、改めて政府としても真剣に取り組んでいかなきゃならぬということで、今申し上げたこの閣僚会議並びに推進のための国民会議というものを設置して努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  131. 山本保

    山本保君 政府は、確かにこれまでも健やかに子供を産み育てる環境づくりというふうな形で、また今、人口構造というお話もありましたけれども、私は、ぜひそれに加えて、構造をどうするという前に、もっと冷静にこの現状に対する対応というものも、この二、三十年間は必ず必要ですから、それもやっていただきたいと思うんです。  そこで、総務庁長官、そうなりますと、今度の内閣府の中にいろんな合議体をつくる、当然この少子化対策もしくは少子高齢社会対策という合議体があってしかるべきではないかと。今そういう会議もつくったんだというお話もありました。この辺はどのようにお考えですか。
  132. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 内閣府に設けられます今おっしゃった重要政策に関する会議というものでございますが、これは一つは、物事がこれからの内閣にとって大変大事な問題であるということももちろんですけれども、もう一つの要件として多数の省庁にまたがっているということが要件としてあるわけでございます。  そしてその中で、重要政策に関し行政各部の施策の統一を図るためにということがありまして、そのための必要となる企画立案及び総合調整に資するための機関として位置づけられているわけでございます。そして、内閣総理大臣または内閣官房長官をその長とするということ、関係大臣及び学識経験を有する者を構成員とする、この二つの構成要素となっておりますので、審議会とは異なるわけでございます。審議会は、閣僚は従来の感覚で言うと入らないわけでございまして、学識経験者だけでやるのが審議会でございます。今度内閣府に設けるものは、総理やあるいは官房長官閣僚も入ってそこでやるということが違いでございます。  そこで、なぜ少子高齢化のような極めて重要な問題がそこに入っていないのかということでございますが、これは、今申しましたように多数の省庁にまたがっているというよりも、すぐれて厚生省の持っております……
  133. 山本保

    山本保君 十四省庁の連絡会議はできています。十四あります。一つだけじゃないでしょう。
  134. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) それは多数の省庁にまたがっているんだけれども、すぐれて厚生省についての集中度合いの大きいテーマではないかということで、もしそういうふうにして、それぞれの省庁が持っている中で、厚生省を中心として各省間の調整を行うということでございます。
  135. 山本保

    山本保君 ちょっと苦しい説明だと思います。総理大臣も笑っておられますけれども、法律はそうなっておりますけれども、ぜひこの辺は検討していただきたい。これからまた質問しますけれども、まさにこれは少子高齢と絡み、各省が絡む問題なんだということです。  それで、時間もありませんので次に移りますが、一つ飛ばしまして独立行政法人についてなんですが、ただ、これはこれからつくるということでございますので、これに関連しまして、私は特殊法人のあり方について一点だけお聞きしたいんです。  これはいわば庶民感覚で言いますと、役所のトップの方が天下りをされ、大変高い給料で、そして一、二年で高い退職金を取られる。実は私もそう言いながら本当かなと。わからない、疑心暗鬼。つまり一番大きな問題は、こういう税金も使い、また財投ですか、国民の皆様の郵便貯金を四十兆円ぐらいも使うような大変な仕事をしているのにかかわらず、その財政的なというか、役員報酬でありますとか幹部の給料でありますとかが公開されていないのじゃないでしょうか。例えば昨年NPOという法律ができましたけれども、あのような法律において、小さな民間の地域の団体ですらそういうものを公開すべしという法律になっておるんですよ。どうしてこの特殊法人についてはそれがおくれているのか、急いでやる決意なのかどうか、お聞きしたいと思います。
  136. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 特殊法人につきましては、中央省庁改革の議論と並行してその存続の必要性を徹底して見直し、その結果、平成九年に三次にわたる統廃合等に係る整理合理化の閣議決定を行ったところであります。  政府としては、これら決定された方針に基づく整理合理化を着実に実施してきており、今国会でも日本政策投資銀行法案、都市基盤整備公団法案等所要の統廃合関連法案を成立させていただいているところであります。一方、独立法人制度の共通原則である独立行政法人通則法案は、特殊法人について指摘された問題点を念頭に置いて立案をいたしております。今国会にこれは提出されたものであります。  以上を踏まえまして、政府としましては、四月二十七日に閣議決定した国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画にあるとおり、累次の閣議決定等を踏まえつつ、徹底して見直し、民営化、事業の整理縮小・廃止等を進めるとともに、存続が必要なものについては、独立行政法人化等の可否を含めふさわしい組織形態及び業務内容となるよう検討をいたしております。  なお、今お尋ねの役員の報酬につきましては、平成七年十二月及び八年十二月に閣議決定を行い、特殊法人のディスクロージャーの一環として、これから述べますように毎年所要の情報を公開することといたしております。  平成七年の閣議決定、「特殊法人のディスクロージャーについて」に基づきまして役員の定数、各役員の氏名、役職、または任期を官報等に公示をいたしております。また、平成八年の閣議決定に基づきまして事業報告、附属説明書類、役員の定数、氏名、役職、任期、経歴、給与費の明細を記載いたしております。
  137. 山本保

    山本保君 いろいろやっていると言われましたけれども、私がお聞きしたことについてはやっていないということです。もう少し簡単にお答えを願いたいと思います、時間がないですから。  これは行政法人ができるまでじゃない、それまでにまずやらなければだめだと思います。一般の国民に、自分たちの苦しい生活とかけ離れたそういう世界があるのか、こういうことが行政かと。また、我々政治家に対しても不信感を生んでいるんじゃないですか。きちんと対応していただきたい。  総理、一言でいいですから、どうでしょうか。一言、イエスと言っていただければいい。
  138. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、太田総務庁長官が申されましたように、ディスクロージャーについてはきちんとやらせていくということでございます。  一言と言われますが、要するに山本委員がおっしゃるように、特殊法人の役員の給与その他につきましては、国民の目から見てこれでいいかという素朴な気持ちが非常に大きいことは承知をいたしております。  さすればということではありませんが、この内閣が発足いたしました初閣議で指示をいたしまして、実は総裁等の役員の給与は事務次官に等しいかあるいは以上というようなことでございましたので、閣議決定を行いまして本年四月から実施をいたしておるところでございまして、こうした一つ一つの作業を通じながら、やはり国民理解されるような給与体系でなければならない、こう考えておる次第でございます。
  139. 山本保

    山本保君 方針がそうなのだということですから、ぜひそれを急いでやっていただきたいと申し上げます。  次に、今度は中央省庁の統廃合に関しまして、先ほどからお話が出ています厚生省と労働省についてなんです。  以前の委員会でも私お聞きしましたが、もう一度重ねて。今、大体百二十万人ぐらいの赤ちゃんが毎年生まれるわけでございますが、このゼロ歳児のお母さん、そして子供さんに対する支援というのは、労働省と厚生省で同じ対象に対して違うものをやっておるわけです。労働省では育児休業、それも最近は有給育児休業ということでございます。  労働大臣、まずこれについてどういう現状にあるか、簡単にお願いします。
  140. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 民間事業所における育児休業の取得者総数といいますか、そのすべてを把握するというのはなかなか難しいのでありますが、育児休業給付の受給者数は把握をいたしております。平成十年度でいきますと七万一千人、支給総額でいいますと二百九十一億。もちろん、このほかに公務部門の育児休業取得者というのがありますから、これは一般職の国家公務員地方公務員及び公立学校の教職員を合わせまして、これは平成九年度の数字でありますが、八万八千人程度となっています。
  141. 山本保

    山本保君 厚生大臣、ゼロ歳児保育という事業がございます。同じような形でゼロ歳のお母さんと子供さんに対する事業です。その辺、現状はいかがでございますか。
  142. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 十年の出生数は御指摘のように百二十万人でございますが、乳児、いわゆるゼロ歳児でございますが、保育所における入所児童数は五万九千人となっております。そしてまた、乳児の保育に要する費用は、一人当たり平均月額十五万四千円ということでございますが、年間に要する費用総額はおよそ千五百億円程度となっておりまして、厚生省の方では保育料等を含めまして二分の一の補助をしておるということでございます。待機児童等の問題も指摘されておりますので、施設整備を図ったり、あるいは低年齢児の待機の完全解消を図るために施設を増設したり今後やっていきたい。  特に、貴党との関係でこの問題について少子化対策の協議も行われておりまして、一応の成案は得ておりますので、それに基づいた措置を実行してまいりたいと思っております。
  143. 山本保

    山本保君 今、大臣が私のお聞きしたいことを先に答えられましたので、質問はやめますけれども、今お話しありましたように、労働省の方の育児休業については約七万人、それプラス今度は八万人、公務員の方の方が多いんですね。非常にここは差があるような気がします。そして、その場合、一人当たり計算しますと大体年額四十万円です。同じような数の約六万人の赤ちゃんに対して、今十五万と言われましたけれども、年間事業費で見ますと、同じようなゼロ歳児保育に関しては一人当たり二百五十万円ぐらいお金を使ってやっております。  これまで労働省というのは働く女性のための施策であり、厚生省はまさに子育ての支援であると。概念が違いますので別々な形で行われてきた歴史的な経緯はわかりますけれども、いよいよこれら二つの省が一緒になると。こうなれば当然ここで総合的な、また財源についてもいろいろ見直しをする。労働省の方は保険ですから、みんなで助け合っているわけで、国の金はほとんど入っていない。こういうことも含めて労働大臣はもっとその辺を努力していただきたいと思っております。きょうは時間がございませんので、ぜひそこはお願いしたいということを申し上げまして、次に移ります。  今度は、教育のことについてお聞きしたいんです。たくさんの法律が分厚い中に何げなく書いてあって、大変な問題じゃないかなと思ったことを三点ほど私はまずお聞きしたいんです。  一つは、地方教育行政法が変わります。そしてこれまで、昭和二十三年からですから五十年以上、どんな大きな市でも教育委員という人は五人しか置いちゃいけないと。これはこの前も私は大臣に申し上げましたけれども、二百万人の都市もあるのに何ですか、これは審議会じゃないんですよと。行政委員会でして、これで仕事をするんです。  ところが、大臣がこの前、ちょっと善処しますとたしかおっしゃったので喜んでおりまして、今度見ましたら、何と善処して五人がたった六人になった。一人ふえただけでございます。こんな一人ふやしたからといって善処とは言えないでしょう。地方分権という観点からいったら、こんな規定を置くこと自体おかしいじゃないですか。文部大臣、どうですか。
  144. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 確かに決して多いとは思っておりません。ただ、原則五人としていたところ、それから町村については条例によって三人とすることができるとしていたわけでありますが、今回の改正で御指摘のように都道府県及び指定都市については教育委員の数をふやすことができるように弾力化した。中教審で言っておりましたようにはまいりませんでしたけれども、ともかく一人ふやすと。  これは、私は一人でも随分国民の方々のいろんな御意見を聞き取りやすくなったと思いますが、なぜ七人にしなかったかというふうなことについて後であるいは御質問があるかと思いますが、先にお答えを……
  145. 山本保

    山本保君 基準をなくせばいいことですよ。
  146. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) それについてはほかの行政委員会との均衡があるわけでございます。地方行政制度全体の整合性というふうなことを考慮いたしまして、都道府県及び指定都市について条例で定めることにより委員の数を六人とすることができるようにしたものでございます。  なお、教育委員会は教育委員の合意によって重大な行政施策や教職員人事などを決定する執行機関であることから、教育委員の数を例えば人口規模に応じて余り増員するということは必ずしも適当ではないと考えている次第であります。
  147. 山本保

    山本保君 まさに、そのことを地方の各市町村で考えればいいというのが今回の法改正趣旨じゃないかと思います。苦しい答弁だと思いますから、次にもう一つお聞きします。  今度、地方教育行政法の変更と、また教員のいわゆる定数法です。  今こんなに教育問題が非常に大変で重要だから私はお聞きしているわけなんです。そして、今度いろんな改正がありまして、今まではいわば四十人ですか、学級規模を国が全部決めてしまって、どこに行っても同じだ、どんな授業の教科においてもまた学年においても全部同じだと。法律を見ると「基準」とか「標準」と書いてある。どこにもこうしなくちゃいかぬと書いてないはずなんです。ところが、文部省はそれで全部やると。そのもとになる法律が今度変わったんじゃないかなという気もするわけです。  というのは、地方教育行政法の方ではいろんな、そういうことについて市町村の教育委員会が自由に決めていいというのもありますし、定数法では今までは認可だと、どんな人数にするのかは県教委の認可であるということを、今度は同意を得るように、事前に協議して同意しなさいと。  大臣、簡単に答えていただきたいんです。私は、この規定によって、中教審も考えておるようですが、例えばある市が学校の全体の定員数だけを決めて、その定数をどのように配置するかは校長先生そして各教員やお父さん、お母さんのことも聞きながら決めていいですよという、そういう教育委員会規則を市町村がつくったら、それを県に出したらいいというふうに言ってよろしいでしょうね。どうですか。
  148. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今のところでは、市町村限りで学級編制を行うことができないということは現行の仕組みに変わりがありません。ただ、許可が事前協議と改められることによって、市町村教育委員会の意向がさらに十分都道府県教育委員会に伝わる仕組みとなるものと考えております。  なお、学級編制の弾力化につきましては、現在専門家の協力を得ながら今後の学級編制及び教職員配置のあり方等について検討を行っているところでございまして、都道府県や市町村教育委員会等関係者の意見をお聞きしながら引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
  149. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。  終わります。
  150. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 関連質疑を許します。但馬久美君。
  151. 但馬久美

    但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。  午前中、田村議員のお話を伺っていながら、政治家は文化、芸術性が必要である、そういうところを伺いまして、本当に私も同感だなと思いながら伺っておりました。  その中で、一つ御報告なのでございますけれども、ことしの秋、中国政府から要請されまして宝塚の中国公演が実現いたしました。これに関しまして、本当に皆様方の温かい御尽力によりまして実現したわけですけれども、今、抑止と対話、このときにやはり日中友好の文化のかけ橋ができたということを大変私は感謝しております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、質問に入らせていただきます。私はいただいた時間がもうあと十四分でございますので、どんどん行きたいと思っております。  まず総理に、大規模地震発生における総理の役割についてお伺いしたいと思います。  私は兵庫県出身なものですから、阪神・淡路大震災の被災に遭った一人でもあります。そういう中で、既に阪神・淡路大震災から四年半たちました。多少人の流れは回復してきましたけれども、復興状況は現在の構造不況と相まって進展しておりません。そういう意味では、国のさらなる支援が必要ではないかと思います。  そこで、総理にお伺いいたしますが、大震災当時は村山総理でありました。その村山総理の大震災に対する対応が余りにも無責任で、震災市民の心を逆なでするようなものばかりでありました。私もその当時本当にそのことをよく感じておりましたものですから、当時マスコミからもスイスの救助犬よりも遅いと言われておりましたし、そういうことは今も鮮明に残っております。  その中で、小渕総理、今首都圏に大規模地震が近い将来起こると予想されておりますけれども、総理権限強化や情報の伝達、収集等について、阪神・淡路大震災以後どのように改善されたか、まずお聞きいたします。
  152. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 阪神・淡路大震災は大変不幸な事件でございましたが、我々はこれを大いに参考の糧にして、二度と再びこうした災害が起こらないことを念願いたしておりますが、さりながら、万が一のことを考えますと、その対応には機敏にこれをいたしていかなきゃならぬと思っております。  その反省を込めまして、実は災害対策基本法改正によりまして、緊急災害対策本部におきましてその設置要件を緩和いたしました。そしてまた、全国務大臣を本部員として位置づけるとともに、新たな本部長たる内閣総理大臣国務大臣を含む関係指定行政機関の長に対して指示のできる旨の規定をいたしたところでございます。  また、総理リーダーシップを発揮しやすくするために、平成七年二月の閣議決定により、大地震発生時の関係省庁から総理官邸への迅速な情報伝達体制及び関係省庁の幹部が直ちに官邸に参集のできる体制整備いたしたところでありまして、こうした災害緊急事態の布告を設置要件の中から外す等々、この本部長または総理の指示権を拡大強化いたしまして、万が一のときに政府として少なくともこれに対して適時適切に対処のできるような体制に向けてさらに努力をいたしていきたいと思っております。
  153. 但馬久美

    但馬久美君 迅速な対応をぜひ総理みずからよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、震災で一番困ったのは電話回線のパンクでありました。役所関係も非常に困ったと思いますけれども、住民が一番困りまして、連絡がとれない状況が当時何日間も続いたわけなんです。  そこで役所関係は、事が起きた場合はNTT回線で方法を工夫すべきだという意見もありましたけれども、その後どのように改善されて、また住民の皆様に少しでも多くの回線を利用していただく、どのようにそれが可能になったのか、その辺を国土庁と郵政省にお願いいたします。
  154. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今回の本当に悲しい教訓を踏まえまして、国土庁では、先ほど総理も触れられましたけれども、官邸、指定行政機関、指定公共機関、それから各都道府県等を接続して情報の収集、伝達手段を確保する中央防災無線網をまず整備いたしているところでございます。  特に、阪神・淡路大震災後は大きなことが三つばかりございまして、中央防災無線網が中央省庁の庁舎の損壊等により使用できなくなる場合というようなことも想定いたしまして、首都直下型地震対応衛星通信回線というものを維持しております。それから二つ目が、防衛庁等がヘリコプターで収集した画像を官邸や国の災害対策本部に伝送する画像伝送回線というのをつくっております。それから三つ目が、四十七都道府県と官邸や国の災害対策本部との間の通信手段を確保する緊急連絡用の回線を整備いたしております。  これらの整備によりまして、災害時に確実な通信手段が確保され、適切な情報伝達が可能になるものと認識をいたしております。
  155. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生御指摘のとおり、災害時におきましては、多くの利用者の方が同時に通話を行うことによりまして、電話のふくそうが避けられずに交換機の容量を超えますと電話の不通が生じることとなります。これに対して、緊急の電話の自粛をトーキー、つまりアナウンスによってお願いするなどの対策をとりましたけれども、残念ながら十分とは言えませんでした。  そこで、いろいろ検討させていただきました結果、災害時の通信のふくそうを回避して家族の安否情報を的確に伝達するために、ふくそう地点以外の地域にメッセージボックスを置くという災害時伝言ダイヤル、これは一七一、発信するときは一、そして御自身の電話番号を出していただくと安否の伝言が残せるというものでありますけれども、これを去年の三月から開始させていただいているところであります。これによりまして通信の確保を期待しているところでございます。  あわせて、停電になりますと公衆電話の特にカードの課金システムが作動しなくなります。そういうときのための対策として、そうなった場合に公衆電話を無料に切りかえて、そして課金システムが動かなくても利用可能とする措置を講じたところであります。これは一昨年、平成八年からでございます。  今後とも、災害時の通信の確保のために事業者とともに努力をしてまいりたいと思います。
  156. 但馬久美

    但馬久美君 どうもありがとうございました。  時間がありませんので次に進ませていただきます。  警察庁、きょう来ていただいていると思います。  日本全国に独自のマイクロ回線を二回線持っていらっしゃいます。残念ながら、派出所や交番はNTT回線でありますので県警本部にはほとんど情報が入ってこない、そういう状態であったと伺っております。  それがどのように今改善されたのか、これは警察庁にお願いいたします。
  157. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 警察では、既に警察庁、管区警察局、それから都道府県警察の間を、災害に強い、委員今御指摘のございました大容量の無線通信回線を二つの異なるルートで敷設しておるわけですけれども、この通信回線で結んでおりまして、阪神・淡路大震災のときにも警察本部と警察本庁との間の通信などは確保できたわけです。  そこで、今御指摘の問題は兵庫県内の通信の問題です。これは、有線通信回線の切断などもございまして、県警本部と警察署、それから交番などの間の情報伝達を一部警察無線で代替したところであります、有線通信回線ができなかったものですから。  こうした点を踏まえて、警察におきましては、有線通信回線について二ルート化を図って一層の強化を図っていこうということでやっております。それからまた、回線が切断された場合のバックアップとして衛星通信の設備、各種の警察無線の増強整備を現在推進しているというところであります。
  158. 但馬久美

    但馬久美君 ありがとうございました。  国民への情報伝達といいますけれども、情報の共有化という観点で、国がCS放送での防災のチャンネルを確保することについて私も災害特別委員会で提言しておりますけれども、これは一つ提言として申し上げたいと思っております。  次に参ります。  建設省にお伺いいたします。二〇〇一年一月に国土交通省として出発するわけですけれども、公共事業の大部分を担当する官庁となります。巨大プロジェクトを推進するに当たりまして、省としての使命感と地域住民の意思をどう調和させていくか、これが問題であると思います。  特に、吉野川の第十堰改築事業はこれを象徴するプロジェクトであり、公明党といたしまして過日、六月九日に建設大臣にこの点を申し入れました。次の四点です。地域住民の意思を尊重すること。二点目には、現地視察を含めた事業説明・見学会を定期的、積極的に実施すること。並びに、以前実施され終結した審議委員会とは別に、住民の意見、要望を聞く場をつくって審議委員会の附帯事項を中心に議論すること。四点目には、さらに公正中立な機関による世論調査を県全体で実施するよう申し入れたところでありますけれども、この四点につきまして建設大臣に御意見を伺いたいと思います。
  159. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、建設大臣に就任しましてから、質問の先生方の心を心として答弁するものでございまして、時々、余り行き過ぎたもので役所の方に大変迷惑をかけたりしておるわけでございます。きょうはそういうようなことできちっと書いてまいりましたので、これを読ませていただきます、いい答弁になっておりますので。  住民の生命、財産を守ることは建設省の大切な使命と考えております。片や、大きなプロジェクトを進める際には地域住民の意見を尊重することも大切と考えております。吉野川第十堰改築につきましては、この両者を満足させることが大切と考えており、このため、あらゆる機会を通じ、誠心誠意地域に説明をしていくよう指導をいたしております。  次に、具体的には三月より地区別説明会、対話集会等を通じてわかりやすく幅広い情報提供に努めております。また、徳島県の協力のもと、県政バス等を活用した見学会や建設省主催の見学会を実施しているところでありますが、今後ともより積極的に事業説明・見学会を実施してまいりたいと思います。  三番目に、吉野川第十堰建設事業審議委員会については、約二年十カ月の間に十四回にもわたる慎重な審議を行った結果、可動堰への改築は妥当との意見をいただいたものでありまして、建設省といたしましてはこれを尊重してまいっております。  次が重要な答弁になるわけでございますが、一方、住民の方々との対話も重要であり、審議委員会において、今後とも情報開示のもと関係住民との対話の調整を図ることも要望されたところでございます。  したがいまして、先生の御陳情の中にございます、当面、第十堰をめぐる現下の状況にかんがみ、関係する住民の方々と住民参加の意義や対話のルールづくりなどを話し合う懇談会の設立を考えているところでございます。  最後に、事業を進めるに当たりまして、事業に対する理解の深まりぐあいを把握するのが非常に重要であると思っております。その方法として、世論調査も有力な手段の一つであるとは考えております。公正中立な機関により県下全域で世論調査を行うことについては、県全体の行政をつかさどる徳島県当局に相談をしてまいりたいと思っております。
  160. 但馬久美

    但馬久美君 大変ありがとうございました。  もう一点だけ、時間が来ておりますけれども。  昨年七月に臍帯血移植検討会の中間まとめが出ました。臍帯血移植の症例の収集や分析が必ずしも十分でなくて、全国的な期待の盛り上がりの中でも臍帯血を提供する体制整備が十分でないと言われております。こうした訴えを踏まえまして公的な臍帯血バンクの設立がようやく成ったわけでございますけれども、現在、財政措置がとられているために患者さんは臍帯血バンクの利用についてはコストがかかっておりません。臍帯血の採取、保存、検査等に莫大なコストがかかりますので、このままでは赤字体質の骨髄バンクと同じようになってしまいます。  ぜひ私は厚生大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、臍帯血バンクの利用料に保険が適用されるようにお願いしたいと思うんです。この点に関しまして御意見をいただきたいと思います。
  161. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 時間が参っておりますので簡単に申し上げます。  これは血液疾病であります白血病等の治療方法でございまして、今、臍帯血移植と骨髄移植というのがございますし、末梢血の幹細胞移植というのがございます。今御指摘なのは臍帯血バンクの方でございますが、現状どうなっているかといいますと、臍帯血バンクの場合には、採取にかかる費用は今まだ保険で見ておりません。それからまた、保存が大変重要であります。これもまだ、補助金としては四億程度出しておりますが、必ずしも保険で見るということになっていません。しかし、臍帯血の移植に関する費用はかなり高額なものがかかりますが、これは平成十年の四月一日から保険適用してあります。  今御指摘のように、検討会の中間結果も踏まえまして、私どもとしては、この治療方法の有効性にかんがみまして、できる限りひとつ前向きに取り組んでいきたいとは考えております。
  162. 但馬久美

    但馬久美君 ボランティアの会が非常に頑張っていらっしゃいますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  時間をオーバーして済みません。どうもありがとうございました。
  163. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  小渕内閣が目指す内閣機能強化とは何か、国と地方の新しい関係とはどういうものか、その具体的な問題として、私は、ガイドライン法、周辺事態法に基づく地方自治体の協力問題について質問をいたします。  日本共産党は、ガイドライン法がアメリカの戦争に日本が参加する憲法違反の戦争法であり、自衛隊のみならず地方自治体や民間をも動員するものであるとしてこれに反対をいたしました。同時に、ガイドライン法に必ずしも反対でない地方自治体からも不安の声が上がっていることは重要であります。  ガイドライン法の採決が強行される直前、五月二十日、米軍基地を抱える全国十四の都道県の知事が連名で総理に緊急要請書を提出いたしました。  そこでは、周辺事態法に基づく地方自治体の協力について、協力に当たっての手続、期間、程度など具体的な協力の内容が明らかにされませんでした。今後、国においては、同法第九条に基づく協力に当たって、地方公共団体の懸念を解消し、その意向が尊重されるよう要請いたしますと述べております。  具体的協力内容を明らかにせよ、自治体の意向を尊重せよ、総理はこの自治体の声にどうおこたえになるのか。  また、報道では、自治体、民間協力の解説書を政府が作成しているということですが、これは事実かどうか、お答え願います。
  164. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 周辺事態安全確保法につきましては、国以外の者の協力の条項もあること等から、地方公共団体や民間の関心も高いものと承知をいたしておりまして、政府としては、これまでも要望に応じて協力の内容等についてできる限り具体的に説明を行ってきたところでございます。  さらに、政府といたしましては、地方公共団体や民間の不安を払拭し、理解をいただくことが重要であるとの認識もと、先般の国会での御審議も踏まえまして、地方公共団体や民間の方々によりわかりやすく理解をしていただけるよう、政府内で周辺事態安全確保法第九条について解説書を作成いたしておるところでございます。
  165. 山下芳生

    山下芳生君 私は、政府提出資料などから、自治体への協力要請、協力依頼項目をまとめてみました。パネルにしてあります。(図表掲示)  港湾・空港施設の使用、弾薬など危険物の保管場所の設置許可、救急車による米負傷兵の搬送、市営バスなど公営バスによる米兵の輸送、武器弾薬を含む物資の輸送、給水、これは水道がないところにはタンク車で運びます。公立病院による米負傷兵などの受け入れ、物品、施設の貸し出し、そして公民館、体育館、学校、庁舎、公園などの使用の許可、いずれも市民生活に大きな影響を与えるものばかりであります。  問題は、国からこうした協力を要請された地方自治体が、協力するかしないかを自主的に判断できるかどうか、拒否できるかどうかであります。この間、政府は正当な理由があれば拒否することができると説明をしてきました。一体、正当な理由とは何か、だれが判断するのか、これが問われていると思います。  そこで、自治体管理の港湾と空港の使用について聞きたいんです。自治体の長が港湾、空港の使用を拒否する理由はいろいろあると思います。まず一つは、米軍が港湾、空港を使用することによって住民に危害が及ぶと考えられる場合であります。  実は、総理もお認めになった報道された政府の解説書原案にも、米軍艦船の入港で周辺住民に危害が及ぶと考えられるとき協力を拒めるのかという一問一答があります。自治体の長がこれは当然心配する点であります。ところが、この問いに対する解説書原案の回答は、入港しようとする艦船により周辺住民に直接に危害が及ぶことは想定できないと、こうあるんです。心配無用との回答であります。  運輸大臣政府はこういう検討を今しているんですか。
  166. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 自治体への解説書は今、安危室を中心に取りまとめを急いでいるところでございます。  答弁は再三、特別委員会で申し上げましたとおり、例えば港湾の使用につきましては、まず日米地位協定によって米軍は使用することが認められております。しかしながら、これは優先条項ではございませんので、例えば港湾が混雑をしていて入ることができないとか、そういう場合は当然順番を待ってもらうということになります。  港湾管理者が混雑を理由に少し待ってくれといった場合は断ることはできる、こういう理由だろうと思っております。
  167. 山下芳生

    山下芳生君 ということは、自治体の長が今非常に心配されている、また具体的に私は聞きましたけれども、周辺住民に危害が及ぶと考えられる場合、これは拒否する正当な理由になるんですか、ならないんでしょうか。はっきりお答えいただきたいと思います。
  168. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 周辺住民に被害が及ぶ、そのようなことは想定できないと思っております。
  169. 山下芳生

    山下芳生君 これはとんでもない認識だと私は思います。周辺住民に危害が及ぶことが想定できないと一体誰が保証するんですか。周辺事態というのは米軍の軍事行動を支援する、そういう港湾施設は相手国から攻撃の対象にされる、そういうことになるじゃありませんか。相手がどの国かもまだ決まっていないときに、なぜ住民に危害が及ばない、そう想定できるんでしょうか。私は、絶対そんなことを政府が勝手に想定することはできないと思うんです。  いろんな自治体が今意見書を採択しておりますが、その中で、例えば長野県議会、内容いかんによっては住民生活や地域経済活動に少なからぬ影響を及ぼすものであり、深い危惧の念を抱くと。それから、これは千葉県下総町議会、報道されたような軍事協力が行われたとすれば、ミサイルが空港とその周辺地域に撃ち込まれる危険性も十分考えられますと。周辺の自治体がこういう危惧を実際にしているじゃありませんか。何でこれで想定できないと言い切れるんですか。
  170. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的な認識の差だろうと思っていますけれども、例えば日米安保協定があれば戦争に巻き込まれる、このような議論を展開された方々はいらっしゃいますけれども、今日の我が国の平和をどうやって守ってきたか、御理解を賜りたいと思います。
  171. 山下芳生

    山下芳生君 これは認識の違いで済まされる問題じゃないです。実際に自治体からそういう心配の声が出ているんですから。  例えば、米艦船が運んできた、積んできた弾薬などの危険物、あるいは沖縄の少女暴行事件のような米兵による危害、これも当然考えられるじゃありませんか。住民の安全に責任を持つ自治体の長だったら、そうした点を考慮して米軍艦船の入港を拒否することだって当然あり得るし、当然全くもってこれは正当な理由になるじゃありませんか。どうですか、これ。
  172. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 港湾管理者が港湾を管理するに当たって、先ほど申し上げたように、例えば混雑をしている、したがって少し待ってくださいということは当然私どもは正当な行為であろうと思っておりますけれども、管理運営と今のお話というものは私は結びつかないものであろうと思っております。
  173. 山下芳生

    山下芳生君 結局、住民の安全に責任を負う自治体の長が幾ら住民に危害が及ぶと考えても、政府はそんなことは想定できない、拒否する理由にならない、問答無用でこれを排除する、つまり協力させるということであります。  もう一つ、それでは別の場合を聞きたいと思います。  港湾、空港が既にいっぱいの場合、今これは拒否できると運輸大臣はおっしゃいました。野呂田防衛庁長官も、民間の船がふくそうしたりしている場合には、これはもう正当な理由ですから拒むことができますと繰り返し答弁をされています。民間の船で既に港がいっぱいの場合、満杯の場合、それからいっぱいになる予定がある場合、これは正当な理由になるという答弁であります。  ところが、政府の解説書原案をよく見ますとこんな項目が入っております。民間船舶、航空機の港湾、空港の使用内容の変更を国が直接依頼することもあり得る、これは一体どういう内容の項目なんでしょうか。国が船会社に対して港の使用日数を縮める、係留期間の短縮を直接依頼したり、あるいは国が航空会社に対して空港の使用予定を変える、離着陸の停止を直接依頼したりできる、こういうことでしょうか。  運輸大臣、これは担当大臣運輸大臣じゃないですか。
  174. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、安危室が中心になって解説書をつくっております。解説書のことを言われましたので、私は詳細は承知いたしておりません。
  175. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先ほど総理からお話がございましたように、今私どもの方で九条に関します解説書と申しますか、できるだけ地方公共団体からのいろいろな御疑問なり御質問なりにお答えできるようなものを作成する作業中でございます。したがいまして、今そこに何がどう書いてあるかということはまだ申し上げられる段階ではございません。  今御指摘の点でございますけれども、九条につきましては二つ項目がございます。九条第一項、これは地方公共団体に対するものでございます。それから第二項は、公共団体も含みますが、一般的に民間の方も含む規定でございます。そうしまして、第一項につきましてはこれは協力を求めるということでございまして、基本的に応じていただくという考え方でございます。第二項の方はあくまで依頼するという法文でございますが、相手方の自由な意思決定に従うものでございます。  港湾等の場合に、周辺事態という我が国にとっても非常に重要な事態でございますので、どうしても入港が必要だというような場合に、場合によって国から当該の船会社なりなんなりに九条二項に基づく依頼をするということまでこの法律が禁じているということではないということでございます。
  176. 山下芳生

    山下芳生君 あるということであります。はっきり今答えました。  これは大変な項目なんです。地方自治体の長が港や空港が既にいっぱいなので米軍の使用はできません、拒否します、これはこれまで正当な理由として認めると言ってきたんです。ところが、幾ら拒否しますと自治体が言っても、政府が船会社や航空会社に、例えば一週間のバースの使用予定を五日間に縮めてくれとか、あるいは何月何日の離着陸の予定を変更してくれ、こういうことを直接依頼するということになるわけです。こんなことが行われたら一体どうなるか。  運輸省、政府というのは運輸関係事業者に対して大変大きな権限を持っています。例えば、運輸大臣は航空会社に運航計画の変更を命令できる権限を持っている。その政府から要請されたら、これは拒否できないのが実態ですよ。使用予定が変更され、港や空港の混雑はもう一遍に解消してしまう。自治体が米軍の入港あるいは離着陸を拒否する正当な理由がなくなってしまう、受け入れざるを得なくなってしまう。これでは、私は自治体管理の港湾や空港を事実上国の管理に変えてしまう、それと同じだと思いますが、運輸大臣、いかがですか。
  177. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、混雑している場合は断る正当な理由になり得ると申し上げたわけであります。  一方で、基本計画を組むときに、さまざまな港湾、空港があるわけであります。その中において調整という作業があることは事実だろうと。しかしながら、あくまで協力の依頼でありますから、そういったときに正当な理由をもってお断りになった。我々が、どうにかなりませんか、民間の皆さん方の御協力をいただけないだろうかと。しかしながら、再三申し上げておるとおり、これは強制ではありませんから、お断りになればお断りになったということになります。そして、正当な理由として、混雑ということは認めますよと申し上げているんです。
  178. 山下芳生

    山下芳生君 さっきはっきり安危室長が答えたんですよ、場合によってはあり得ると。国が直接民間の船会社や航空会社に使用内容の変更を依頼することがあり得ると言ったんです。そうしたら、運輸省からそういう依頼をされたら、そう使用変更されるのが当然なんですよ、これは。そうせざるを得ない。これはもうはっきりしましたよ。  幾ら自治体の長が周辺住民に危害が及ぶと言っても、それはそもそも認めないと。それから、もう港がいっぱいなので使えませんと断っても、国がいっぱいでなくしてしまう、そういうこともできるということをおっしゃいました。これはどうあっても自治体は協力を拒否できない、そういう仕掛けになっているじゃありませんか。  私は、これは本当に重要な問題だと思うんです。自治体の協力項目というのは港湾や空港の使用だけではありません。例えば、救急車による米負傷兵の搬送、それでなくても消防や救急職員が少なくて消防車出動中は救急車が残念ながら動かせないと言われる自治体もあるんです。その上、米兵の搬送に救急車を回したら、住民の消防や救急体制は一体どうなるんだろうかという不安もあります。  それからもう一つ聞きたいのは、自治体病院への負傷兵の受け入れであります。これも解説書原案を見ますと、一般患者を排除してまで協力に応じる義務はない、こうあります。これは当たり前だと思うんです。そんなことをやったら大変であります。  同時に、解説書原案では、ベッドが満杯でも受け入れられるよう、医療法施行規則の適用による増床、ベッド数をふやすことも想定しているとありますが、これは事実でしょうか。
  179. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先ほど申し上げましたように、今その解説書というものは作業中でございますので、そこでどういう記述をするかということは現在関係省庁と協議中でございます。
  180. 山下芳生

    山下芳生君 解説書に書くかどうかじゃなくて、そういう自治体病院に対して医療法施行規則の適用による増床、これはあり得るんですか。  自治大臣、どうですか。
  181. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 病院関係につきましては、先ほど御説明申し上げました中の九条第二項でございます。したがいまして、その「協力を依頼することができる。」という、国からの依頼でございます。これを受けた医療関係者は、当然その医療関係者自身の判断によりまして受け入れるかどうかということをお決めいただけるわけでございます。  その場合に、今、委員が挙げられましたような病床の問題等がありますれば、それは医療法の中で許される範囲のことはその医療当事者の判断でできる、こういうことでございます。
  182. 山下芳生

    山下芳生君 医療法施行規則の臨時応急に定員を超過して患者を収容できるという規定は、これは私も見ましたけれども、災害だとか疫病による患者の大量発生を想定したものであります。米軍がアジア太平洋地域で始める戦争を支援するための規定ではありません。  私は、医療関係者に聞きました。増床ということになれば、四人部屋を六人部屋にする、廊下などにベッドをふやす。しかし、医師や看護婦はふやされません。一般患者の治療や看護は手薄になることは明らかだと思うんですが、そういうことになっても、これは米兵に対する自治体での、これは収容するということですか。自治大臣、どうですか。
  183. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 病院の病床数をどう扱うかというのは、今お話があったとおり医療法をどういうふうに運用するかというテーマでありまして、これは厚生大臣の管轄下において法の運用を判断してもらうということでございます。  ただ、先ほど来いろいろお話がありましたが、アメリカが日本の平和と安全と無関係に勝手にアジア地域で武力行使をするという話をしている、独断と偏見でそう言われては困るんです。周辺事態安全確保法というものは、法案審議でも申し上げましたが、周辺における事態であって、我が国の平和と安全にとって極めて重要な影響をもたらすような事態、言うならば日本にとって準有事とも言うべきような事態においてどうするかという話をしているんです。  ですから、そういったときに、当然のことながら、我が国において国だけが勝手にやればいいという話じゃなくて、しかし、そういう場合でも、あくまで強制力を伴わないが、地方公共団体の長の持つ権限の行使については、関係行政機関の長がその権限の行使についての求めをするわけであります。一般民間については協力の依頼をするわけでありまして、いずれも強制力を伴わないものであるということは繰り返し繰り返し申し上げておることでございます。
  184. 山下芳生

    山下芳生君 日本の平和と安全ということを言えば、これは何でもありだというふうには絶対なりません。周辺事態というのは、日本に対する武力攻撃がない事態なんですよ。米軍の軍事行動をそういう日本に武力攻撃がないときに支援するというのは、私は憲法上許されないと思います。しかし、あなた方はそういう法律をつくって仕掛けをつくった。あくまで、それでも自治体の協力は正当な理由があれば拒否できると、これは繰り返し言ってきたけれども、私が問題提起しているのは、事実上そういう仕掛けがいろいろなくなってきているじゃないかということを提起しているわけであります。  それから、医療問題について厚生大臣に答弁ということがありましたので私はもう一回聞きますけれども、一般の患者を排除してまで応じる義務はないとおっしゃいました。これは事実上、医療法の施行規則によって増床になればそういう一般の患者に対するしわ寄せが来るということになると思いますが、それでもやるということでいいんでしょうか。
  185. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 御議論がありますように、先ほど来の病院の収容の問題でございますが、まず何よりも一般患者の医療給付に支障がないようにというのが一義的に考えられなければならないことでございます。  しかし、今御指摘のようにベッドが満床の場合にどうするのかということですが、医療法令上は、今医療法施行規則の問題を指摘されましたが、これは臨時応急のために収容するときはそのベッド数を超えて収容することが可能であるという枠組みがつくられております。そして、この臨時応急の場合に該当するかどうかは、これは一概に言えないわけでございまして、これをどう判断していくかは、これから日米防衛協力のためのガイドラインの運用がどういう場合に本当に必要かどうかということで判断をさるべき問題だと思います。
  186. 山下芳生

    山下芳生君 私、アメリカの統合作戦における衛生役務、つまり医療支援教本というものを持ってまいりました。これがその原文であります。コピーであります。  ここに何と書いてあるか。このシステムの実効性をはかる尺度は患者を任務に迅速かつ可能な限り戦場の前方に復帰させる能力である、兵員の任務への迅速な復帰を促進するために傷病者を治療することによって統合部隊の戦闘力を強化する、こうあるわけです。  米軍の傷病兵の治療というのは、アメリカは戦力の増強を目的として位置づけているわけです。それが自治体病院でそういうことを受け入れて一般患者の治療に大きな影響を与えるということは、これは私はあってはならないことだと思いますが、それもあり得るという御答弁でした。  さらに、私は聞いてみたいと思います。  解説書原案では、公民館、体育館、学校、庁舎、公園など、自治体施設の使用許可も求められております。政府の原案によりますと、公共施設の使用は一般使用者より優先することは求められるのかという問いに、必ず米軍や自衛隊に許可を与えなければならないということではないとあります。  これは、優先使用は認める必要はないとはっきり書けない、書いていない。場合によっては米軍の優先使用もあるということでしょうか。自治体の公共施設です。
  187. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 先ほど来の繰り返しで恐縮でございますが、解説書はまだ作業中でございますのでその文言についてお答えをすることは差し控えたいと存じますが、公共施設等につきまして、これは周辺事態安全確保法の審議特別委員会においても何度か御答弁したことでございますが、例えば学校のような場合に、通常、教育で使っておる場というようなところについて使用をお願いすることは考えにくいというようなことを申し上げたと存じます。それ以外の場合でございましても、米軍、自衛隊に限らず、例えば周辺事態に関しまして、避難民があったとかそういうようなケースも考えられるわけでございますので、そういった場合に一時的にお願いすることがあるということでございます。  当然のことながら、それは一般の使用に原則としては支障がないということが前提でございますが、それぞれその地方公共団体、その公共施設の管理者の御判断によることだろうと思います。
  188. 山下芳生

    山下芳生君 それならはっきり優先使用はできないと書くべきであります。実際に公民館や体育館というのは何カ月か前にはいっぱいになる、そういうときには、たとえ米軍が来てもこれは優先使用はできないということをはっきり書いていない、書こうとしていない。そう読み取れる新聞報道などを私は見たわけですが、これは絶対にしてはならないということで、自治大臣、もう一遍確認をしておきたいと思います。
  189. 野田毅

    国務大臣野田毅君) いろいろ、先ほど来、何か解説書ですか、私自身もまだ承知していないものでございます。そういったものをどこで手に入れられたかわかりませんが、私は非常に不思議でございます。これが第一点。  それから、いま一つ……(発言する者多し)そんなに共産党の皆さんが私の答弁をやじるのなら、答弁しなくていいということですか。人が答弁しているときにはしっかり聞きなさい。  今のお話は、地方公共団体が所有している施設をどういうふうに利用に供するかということについて、中には、特定の場合に自治体が特定多数の中で議決を、たしか、今急なお尋ねですから個別の条文はちょっと今ここで手元にはございませんが、地方自治法の中で、議会において優先使用に関する特別議決があった場合に、一定期間、三回ほど議決が必要であったと思いますが、そういうごく限定されたケースでは現行法でも可能な体制になっております。  ただ、今のような場合、一般的に、その施設をどういう利用に供するかということは、それぞれ自治体における自主判断でお決めになることである、私はそう考えております。
  190. 山下芳生

    山下芳生君 自治体の自主性ということを強調されました。そうしたら、もう一つ聞きたいんですが、これも新聞報道ではっきり書かれてあります。協力内容について情報公開することは構わないのか、この問いに対して、公表により米軍のオペレーション、作戦行動が対外的に明らかになってしまうような場合、必要な期間、公表を差し控えるよう協力要請の段階であわせて依頼する、こうあります。  米軍の機密保護を優先して、協力内容の非公開もあるんですか。また、非公開の対象となる具体的協力内容は何か。だれが決めるのか、自治体か、あるいは国か、米軍か。いかがですか。
  191. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) ただいまの件につきましては、たしか衆議院の方の特別委員会でも同様の御趣旨の質問があったように記憶いたしております。  その際、私からお答え申し上げましたのは、当然、輸送なり、例えば港湾なりの使用をお願いする場合に、何を運ぶかということをわからずにお願いすることはあり得ません。ただし、それを公表することによっていろいろ治安その他の問題が生ずるおそれもある場合もあるでしょう、そういった場合には何から何まで公表ということにはならないケースもあるのではないですかということをお答えしたことがございますが、今、委員御指摘のことは、そのようなことを言っているのではないかと思います。
  192. 山下芳生

    山下芳生君 その非公開となる対象はだれが決めるのか、これについてはいかがですか。
  193. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 第九条でお願いをいたします主体は、あくまで関係行政機関の長であります。行政機関の長が当然のことながらその周囲の状況を判断いたしまして、お願いの中身はもちろん地方公共団体にお伝えするわけでございますが、その取り扱いについても必要な場合にはお願いをさせていただくということになろうかと存じます。
  194. 山下芳生

    山下芳生君 結局、武器弾薬の輸送や集積に関する情報が地元の住民に知らされない、提供されないということもあり得るということであります。武器弾薬を満載したトラックが一般道を前ぶれなく往来することもある。倉庫に集積される物品の品目が判然としない事態があり得るということであります。  非公開では住民の不安がぬぐえない、だから協力できない、これは正当な拒否する理由になるんでしょうか。自治大臣、いかがですか。
  195. 野田毅

    国務大臣野田毅君) その弾薬を満載したトラックが、どういうことですか、ちょっと質問の趣旨がよくわからない。
  196. 山下芳生

    山下芳生君 秘密を公表してはならないということを言われて、住民に安全を保証できない、不安が募ると、非公開では。したがって、これを拒否することもできるのか、正当な理由になるのかということを聞いているわけです。
  197. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 米軍のそれを非公開にすることが拒む正当な理由になるかどうかということですか。いや、そのこと自体はその施設の運用管理の話とは違う話じゃないでしょうか。
  198. 山下芳生

    山下芳生君 それを理由にすることだって自治体の長としたら当然あり得るわけですね。それもきっちりお答えになれないと思うんですが……
  199. 野田毅

    国務大臣野田毅君) いや、そうじゃないです。
  200. 山下芳生

    山下芳生君 いや、いいです、次に行きます。  あくまで非公開もあり得ると。そうすると、私が言ったように、住民には何も知らされないまま近所の自治体の施設が武器弾薬の倉庫になったり、あるいはトラックが武器弾薬を満載して通ることもあり得るということであります。
  201. 野田毅

    国務大臣野田毅君) ちょっと、委員長
  202. 山下芳生

    山下芳生君 次、もう時間がありませんので。
  203. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 答弁しますから。
  204. 山下芳生

    山下芳生君 じゃ、短くお願いします。
  205. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 住民が何も知らない間に、いつの間にか隣にあった地方団体の体育館や何かが米軍の武器弾薬の倉庫か何かに使われるような事態があるかもしれないというような趣旨の今の話でありますが、とんでもない。私はあり得ない話であると考えております。
  206. 山下芳生

    山下芳生君 さっき言ったじゃないですか。非公開もあり得ると言ったじゃないですか。それはだめですよ。
  207. 野田毅

    国務大臣野田毅君) あらゆる情報をすべて赤裸々に公開をしないということと、それから地方公共団体の持っている体育館なり学校の施設の一部を武器弾薬の倉庫がわりに使うなどということと同じではない。なぜ全部公開しないということが直ちにあなたの言うように武器弾薬の倉庫に使うという直結した話になるのか、私には全く理解ができません。
  208. 山下芳生

    山下芳生君 直結する場合だってあり得るということをさっき安危室長は答弁したんですよ。これは、あたかもないように言うのは私納得できない。(発言する者多し)
  209. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 静粛に願います。
  210. 山下芳生

    山下芳生君 次に進みます。  そういうことを理由にして、あくまで自治体が協力を拒否したらどうなるか。野呂田防衛庁長官は、これはあくまで協力を求めることであって地方公共団体に強制するものではありませんと繰り返しこれも答弁してきました。しかし、今回の地方分権一括法案を見ると、地方自治法改正案の中で、本来自治体に任され国の強制力の及ばない自治事務に対しても国がいろいろと介入し、押さえ込む権限を認めております。  例えば、自治体のやり方が国の方針と違う、こうなりますと是正の要求ができる。要求されれば、自治体の方は必要な措置をとることが義務づけられる。今度改正される地方自治法の二百四十五条の五であります。言うまでもなく、自治体管理の公民館、体育館それから空港などの施設は使用許可が自治体に任された自治事務であります。  そこで確認したいんですが、米軍に対する使用許可の協力要請をあくまで拒否した地方自治体に対して、国の方針と違うとしてこの新しい地方自治法に基づく是正の要求の措置、この発動をやるんでしょうかやらないんでしょうか。自治大臣、どうですか。
  211. 野田毅

    国務大臣野田毅君) これは、地方自治法のこの是正の要求というのは、国が地方自治体の自治事務に対する関与の一つとして一般的な形で決めておるわけです。  先ほど来の御議論の話は、あるいは港湾法の運用であったりその他の個別の法令に基づく運用の世界であろうかと思います。したがって、常識的にこの法律を運用しようという形よりもむしろそっちの方になっていくのではないかと推察をされます。したがって、今回、「各大臣は、」ということでありますので、自治大臣が要求するというものではなくて、あくまでこれは各大臣、所管大臣がその所管の法律の適正なる運用、執行という面において、自治事務であろうとその違法な運用がなされた場合、あるいは著しく公益が害されるような場合において初めてこの要求の措置が行われる、こういうことになっております。
  212. 山下芳生

    山下芳生君 もう一回確認します。  個別法で聞いているんじゃないんです、私は。個別法で規定がない場合もあります。例えば航空法とかであります。そういう個別法で規定のない場合、この改正地方自治法の是正の要求を受けたときには自治体は措置を講じなければならない、法的義務を負うわけですね。ガイドラインの地方公共団体への国からの協力要請を拒否した場合、個別法のない場合、これを適用することはあるのかないのか、はっきりお答えいただきたいと思います。
  213. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 周辺事態確保法、ガイドライン法の第九条の第一項に基づく規定とこの規定とは全く関係はございません。  したがって、ガイドライン法の運用においては、あくまでそれは一般的ないわゆる要求を求めることができるということにとどめております。こちらの方はそれとは別の問題として、あるいは個別の法令に基づいて行われる場合はそちらの個別の法令を根拠として、あるいは個別の法令の根拠がない場合には一般的にそれぞれの業務の所管の各大臣が要求をするということになるわけであります。  これは既に御案内のとおり、前から申し上げておりますが、現行法体系において是正措置要求という形で現存しておるということもあわせて申し上げておきます。
  214. 山下芳生

    山下芳生君 この法案の条文を見ますと、所管の各大臣は著しく適正を欠きかつ明らかに公益を害していると認めるときは是正の要求ができる、こう書いてあります。  では、もう一回確認しますけれども、例えば空港の場合、これは個別法で港湾法十三条のような不平等禁止規定はありません。ありませんから、空港が既に民間の飛行機でいっぱいであるということを理由に拒否した。しかし米軍から、それでは使えない、何とか使えるようにしてくれ、そういう要求が仮にあったとしましょう。これは仮定の話ではありません。実際に九七年、キャンベル米国防副次官補がブリーフィングで言っております。アメリカが、アジア太平洋地域の危機に際し、さまざまの港湾、空港をどのように使用できるかの保証、それが防衛指針、ガイドラインの目標だ、ガイドラインはそれをするためにこそ作成されたのである、こうはっきり言っているんです。  地方自治体の管理する空港が民間の航空機でいっぱいになっている、米軍の要求にこたえなければならない、しかし自治体はいっぱいだから拒否する。そのときに、これを使って民間の空港を米軍のために使用させるということは絶対にやらない、絶対に想定していないと、運輸大臣、はっきり断言できますか。
  215. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) いろいろ前提がつきました。  まず、混雑空港であるということの理由によって拒否をされる。これは、私ども再三申し上げている正当な理由だと思っております。それによって拒否された場合に、私どもがこのような要求を行うことはあり得ないと思っております。
  216. 山下芳生

    山下芳生君 今御答弁がありましたけれども、この地方自治法の是正の要求、これは今ガイドラインには適用がない、そのことは本当に重要な問題であります。しかし、私は今の質問でるる聞いてまいりました。周辺事態の認定も基本計画の策定も民間協力の内容も、一切政府が決めるわけであります。首相権限内閣機能強化は法令と一体のものであります。地方自治体の自主性、自立性はどうか。港湾、空港の米軍使用は事実上これは拒否できない。あくまで拒否しても……
  217. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 山下君、時間です。
  218. 山下芳生

    山下芳生君 私は、いろんなやり方で是正をするということが仕掛けとして今どんどんつくられていこうとしている、国と地方の新しい関係をつくるというんだったら、こういうやり方はやめるべきだということをはっきり申し上げて、質問を終わります。(拍手)
  219. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。  中央省庁等改革関連法案の基本理念と自己改革努力についてお尋ねいたします。  さきに成立いたしました中央省庁改革基本法に基づいて、今回の省庁再編法案のねらいは、行政に依存した政治から脱却して、政治家主導という政治の復権であり、行政の過剰介入を廃し、行政透明性の確保と簡素効率化の追求にあると思われます。総理は、省庁再編に伴う行政改革についての国民の関心と期待はどこにあると思われますか、お尋ねいたします。
  220. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) しばしば御答弁申し上げておりますが、今回の中央省庁改革行政システムを抜本的に改める総合的な改革でありますので、国民皆さんの関心も広範にわたるのではないかと思われます。  そこで、今回の改革の柱であります内閣機能強化等による行政における政治主導の確立、省庁の大くくり再編成等による縦割り行政の弊害の是正、独立行政法人制度創設等による行政透明性の向上、事務事業の見直しや公務員の定員削減等による行政のスリム化、効率化といったところがあるのではないかと考えております。  このように、国民の関心や期待にこたえるべく、本改革を強力かつ早急に進めてまいりたい、このように考えております。
  221. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、今述べられました総理の問題点のほかに、国民の関心と期待は、省庁再編に伴う改革によって政治主導が確立し、果たして政治家が変わるのか、官僚の省益追求という本質は改革されるのか、これによって国民の利益を忘れた政官財癒着の構造にメスが入るのか、国民政治に対する信頼を取り戻すことができるのかどうかということが大きな関心であると思います。  総理は、かねがね富国有徳と強調されております。総理の有徳の形についてお尋ねをいたします。
  222. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 富国有徳ということを申し上げておりますのは、やはり戦後の日本政治の中心がいかにしてあの瓦れきの中から立ち上がるかというところでございます。経済の発展ということに大きな精力を注いできたところでありますが、その結果というわけではありませんが、十年前にあのバブルが発生し、かつこれが崩壊してきたというようなことを考えましたときに、やはり一方で、国家といたしましても、経済的繁栄とともに高い志を持った国家としての日本が形成されるべきものと考えておりまして、経済とそしてまた心と、これが調和のある形で発展をすることは日本に対する世界の大きな評価とつながるわけであります。また、日本国憲法で世界の国々から尊敬に値する国家の姿として望ましい、こう考えて、その二つの調整、調和ということを願って、言葉といたしましては富国そしてまた有徳ということを申し上げさせていただいた次第でございます。
  223. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私どもは、行政改革におきまして、ともに姿勢を正し、内なる自己改革の決意をはっきりと国民に形として示さなければなりません。中央省庁再編という器をつくり枠組みをつくっても、そこに魂を入れる作業に取り組まなければ意味をなさないと思います。行政改革と自己改革はセットであると私は信ずるものであります。  志の高いいわゆる有徳の形の第一は、政治家に求められる高い廉潔性であると思います。これは、あっせん利得罪を創設することによって担保されます。第二は、国民全体の奉仕者としての公務員行政執行の公正さであり、これは国家公務員倫理法によって担保されます。  まず、国会議員が特定の者に不当な利得を得させる目的でその権限や地位を利用して公務員にあっせん行為をしその報酬を受ける行為を処罰するあっせん利得罪を創設し政官の腐敗を断つ、これが急務であると思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。
  224. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政治家が高い倫理性を持って職務を遂行するということは個々の政治家の責任であると私は考えております。しかし一方、法律によってこのことをいかに規制するかという問題についてかねがね議論のあることは承知をいたしております。  この点につきましては、各党各会派におきましていろいろ御議論があるところでございますので、ぜひそういった意味でその検討の結果を踏まえまして適切に対処いたしてまいりたい、このように答弁させていただきたいと思います。
  225. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 次に、国土交通省は交通事業の約八割を所轄する巨大な省庁として組みかえが予定されています。いわゆる許認可の件数も二千五百五十件と言われております。関係する政治家はますます高く強固な倫理性が要請されることは論をまちません。政官業の癒着を断つことが大きな課題とならなければなりません。建設大臣、いかがでしょうか。
  226. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 一昨年から昨年の前半にかけまして先生と毎週お目にかかりまして、政治改革を担当いたしました者といたしまして、ここで先生にお目にかかることは大変うれしく思います。  そこで、国土交通省、これはもう社会資本の整備ということで襟を正して行いますので、そういう間違いということはありません。
  227. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現在、国会議員の地位利用収賄罪の法案が民主、公明、社民の提案で参議院に提出されております。自由党も入札談合罪というものを提起しておりますから、私どもは早期成立のための全国会議員の協力をお願いしたい、改めてお願いをいたします。  それから、次の質問は、公務員の職務は国民から負託されたもので、執行の公正さには国民の疑惑や不信を招くものであってはなりません。これまでのロッキードやリクルート事件、最近では厚生省の老人福祉の彩グループをめぐる汚職事件、大蔵省の収賄や過剰接待事件、防衛庁の調達実施本部の水増し請求事件、通産省の石油卸商からの過剰接待事件など、行政に対する国民の信頼を地に落としめた不祥事が後を絶ちません。  これらの事件の反省に基づく将来への教訓として、私は公務員の資産や株取引の報告、贈与や接待を規制する法律、こういった国家公務員倫理法の制定が急務であろうと思います。  総理大蔵大臣防衛庁長官にお伺いいたします。
  228. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お名指しがありましたのは、大蔵省におきまして不祥事件が相次ぎまして、国民の信頼を裏切ったということであると思います。深い反省をいたしておりますが、最初には、実は政府といたしまして公務員の倫理規程というようなものを考えようかということがございました。しかし、間もなく私どもの党の方で特別委員会を設けまして、そういう立法をしようということで、それは昨年の一月のことでございますけれども、その後、三党にお呼びかけをいたしまして国会法案提出されておるわけでございます。  これに至りますまでにいろいろ経緯がございましたけれども、したがってこれ全部で十分だとは申せませんけれども、国会におきましてこの法案について御決定をいただくということは、私は一つの道を示すものではないかというふうに考えております。
  229. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 背任事件等防衛調達に係る一連の不祥事につきましては、防衛庁としては厳正に受けとめており、二度と再びこのような不信や疑惑を招かないように、綱紀の保全や職員の意識改革に万全を期してまいりたいと考えておるところであります。  国家公務員であります自衛隊員の不祥事等を防止するため、議員立法として、国家公務員倫理法案とともに自衛隊員倫理法案を御提案いただいているところでありまして、私どもとしても国会での御審議を期待している次第でございます。
  230. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 公務員の不祥事を防止するため、議員立法として、今、先生も御指摘ありましたが、各党から国家公務員倫理法の御提案をいただいておるところでございます。したがいまして、国会におきましてそれぞれ御審議をされて成立することを期待いたしております。  法律が成立いたしました暁には、その適正な運用に万全を期し、そして国民の信頼回復に努めてまいりたい、このように考えております。
  231. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現在、与野党の国家公務員倫理法案は、平成十年六月十八日、衆議院内閣委員会に付託されております。今なお審議がされておりませんが、各党ともこの法案の成立に向けてさらなる努力をすることを訴えたいと思います。  さて、今回の省庁再編につきまして、私は、不透明な行政指導、官民のもたれ合いの土壌であった権限規定がいわゆる所掌事務となり、法律に基づかない裁量行政が許されなくなったという点が大きく評価されます。しかし、これがそうあるべきためには、国民の不断の監視行動が大切であると思います。価値観の多様化の中で、さらに市民、国民がどう政策決定に参加していくのかということは、大きな国民の関心事であると思います。  省庁再編において審議会が六分の一に削減されます。審議会の本来の存在意義というものは、政策立案過程に専門家の知見や民意を反映するということにあったのですが、官僚政治の隠れみのとして、立法府や国民に対する密室的な政策手段の手法となってまいりました。その議事内容の公開が閣議決定されたとはいえ、まだ不十分であります。  今回、いかなる基準で六分の一というところに審議会の削減を整理したのですか、総務庁長官にお尋ねいたします。
  232. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほど手を挙げましたが御指名をいただけませんでしたので、ちょっと申し上げたかったことをここでやらせていただきます。  今回の省庁改革においては、政官財の癒着構造という言葉が適切であるかどうかは別として、考えております問題意識はそこにありまして、今回の改革においては、政策の企画立案をするセクションと実施機能というものを分離いたしたい。例えば、こういう事業をやったらどうかということを考えるセクションと実際に仕事を発注する部門は分けなければいけないというふうなこと。それぞれの部門の役割と責任の分担関係明確化したいということが一つございました。  それからもう一つは、独立行政法人の制度設計に見られる行政運営の透明化、自己責任化、そして政策評価の結果等の公表ということでもって広く国民にわかりやすい行政の姿をつくるということを求めております。  それから、規制緩和を推進して、事前規制型行政から事後チェック型行政への転換を図るということがございます。先ほどおっしゃいました権限規定の廃止ということは、事前規制型からの脱皮ということになるわけでございます。大脇委員の問題意識は、私どもと共通の問題意識でもございます。その点を強調しておきたかったわけでございます。  なお、審議会につきましては、基準というよりも原則は、政策を目的とした審議会はなくしたい、なくすという方向で検討いたしたわけでございます。  ただし、しかしながら、各省庁に設けられておりますものの中で総合的なものについては残すべしという基本法の制約がありましたので、例外として、今の二十一の省庁についてそれぞれ一つか二つの審議会については残すということにいたしました。線引きは、そういう総合的なものかどうかという判断でございます。なくなった方がずっと多いということで、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。  以上、お答えはこれでよろしいでしょうか。
  233. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 企画立案と実施機関とを分離するということは十分法案の中身を読めば了解しておりますが、私が今お尋ねしているのは、企画立案に対する住民の参加、政策決定手続に参加していく一つの手法として今まで審議会が一つの役割を担ったかに見えたけれども、それがなかなか本来の審議会として機能せず肥大化し、官僚政治の隠れみのになったということを指摘したかったわけであります。  この審議会については定員が二十人とされていますけれども、しかし法案などを読みますと、下部機関として合併だとかあるいは分科会を設置するということができるとされておりますから、結局見直しをした意義が損なわれることになるのではないかと危惧するわけです。また、審議会の公開が義務づけられてから局長等の私的研究会というものの設置が多く行われまして、政策立案のプロセスが不透明になりつつあります。  したがいまして、この点について歯どめはどのように考えられておりますか、総務庁長官にお尋ねします。
  234. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) まず、審議会の廃止をした中で、分科会などの形でもって姿を変えて同じものがそのまま存続されるのではないかという御心配でございますが、それについてはただいま作業中でありますけれども、分科会は限られた役目を担うものでありまして、特に分科会の委員は臨時の委員でありまして、一つ一つのテーマ限りでやめていただくということになるわけでございます。しかも、その必要性については、これは十分検討した上でその分科会を認めるわけでございますので、そのような御心配はないかと存じます。  なお、審議会について数を減らしたということではなくて、今の委員がお話しになったパブリックコメントのことについても触れておられると思うのでございますが、今まで以上に広く国民の意見を聞くことはやらなければなりません。それは、パブリックコメントの手続というものを新たに導入いたしまして、政令や省令などについての改廃、新たな規制を導入する際にパブリックコメント手続を新たに導入するわけでございますが、審議会が持っております広く民間の有識者の意見を聞くということは紛れもなく大切なことでありまして、これからもっとやらなくちゃいけないことであります。しかし、それを十人委員が集まって十人の意見を一つにまとめてそれに従わなければいけないということがおかしいのでありまして、十人は十人の大事な意見を持っておられるわけでございますから、それを十分に聞いて内閣責任でもって決断をするということが今回の審議会の整理の考え方でございます。
  235. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 同じ委員でたくさんの審議会の委員を兼ねていたりされる方も非常に多く、批判が出ていたので、厳しく審議会のあり方についてはチェックをお願いしたいと思います。  今、パブリックコメント制度についてお話しになりました。国民の価値観が多様化して、それを政策立案過程に反映させるための二十一世紀行政手続法というものはいかにあるべきか。  ことしの三月二十三日、今おっしゃいましたように、規制の設定または改廃に係る意見提出手続、パブリックコメント手続という閣議決定がなされました。  このパブリックコメント制度というのは、インターネット等を媒介いたしまして政策立案に市民の声や意見を広く募集していく手続ですが、今回は法案の中に入っていない。  総務庁のホームページからクリックして各省庁に飛んでみますと、閣議決定前から五十件を超える意見集約をパブリックコメント制で行われている省庁もある一方、全くゼロの省庁もたくさんありまして、温度差があります。そして、まだはっきりしていないのは、集められた意見をどう集約されて政策立案に反映させるかというところは全く明らかではないのですから、これは行政の情報公開とセットで速やかに私は法制化すべきと思うわけですが、それはいかがでしょうか。
  236. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 規制の設定または改廃につきましてパブリックコメント手続というものを導入いたしたわけでありますが、これは、内閣としての最高の意思決定形式であります閣議決定により決めたものでございます。そして、今は、この法制化についての議論もございますけれども、法律そのものについてはパブリックコメント手続はないわけでございます。法律による制度の改廃についてはまだパブリックコメント手続はいたしておりません。政令、省令についての手続でございます。  そして、法制化の議論でございますけれども、これは、法律そのものの改廃についてパブリックコメント手続ということになりますと、恐らくそういうことになってくるんだろうと思います。しかし、いずれにしても、ことし始めたばかりのことでございますので、総務庁といたしましても試行錯誤のスタートをしたばかりでございます。法制化のことについては、その試行錯誤の中からそのような妥当な姿を探ってまいりたいと考えております。
  237. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ぜひ立法化、法制化に向けまして御検討を鋭意始められるようにしていただきたいと思います。  行政のスリム化、効率化ということのために公務員の一律二五%削減というものが打ち出されておりますが、国民の側にとってみると、これがサービスの低下につながらないかという不安があります。この数値はどこに根拠があるのでしょうか、お尋ねをいたします。
  238. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 政府におきましては、基本法に規定された少なくとも十年一〇%の計画的削減、それと独立行政法人化によりまして十年二〇%の削減を目指してきたところでありますが、この目標を一層厳しくする観点から自民、自由両党間の合意がなされ、これを受けて十年二五%の削減の方針を閣議決定いたしたところであります。  政府としては、自自連立の合意を尊重し、この方針に沿った定員削減を実施する所存でございます。
  239. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その自自連立の合意ということは何度も聞いているわけですけれども、なぜその二五%なのかという根拠がさっぱりわからないので、再度お尋ねをしたわけでございます。  現在、失業率が四・八%、働き盛りの男性は五%。過日、私は労働・社会政策委員会の視察で新宿の職安の窓口に行ってまいりました。  夜遅くまで求職者が押しかけ、百五十台のコンピューターで職を探し、相談窓口に到達するまでに八十人待ち、約二時間ということであります。そして、到達いたしますと、職員は一人の相談時間が十分を切るというようなことを余儀なくされて、十分な相談サービスができない。池袋の職安では、失業給付も月間一万人に上って、待合室も大混雑であります。こうした場合、臨時的な定員増加等の有効な対策が必要ではないかと思うのですが、労働大臣はどのように対処されているのでしょうか。
  240. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘のとおり、今、公共職業安定所にとりましては、創設以来一番忙しい時期を迎えておりまして、職員も懸命に努力をいたしておりますが、なかなか求職者の方にとって十分なというところまで行かないのが実情であります。  そこで、行革の中で定数を十年間に二五%削減をする、これは私ども例外なくかかっている縛りでありますけれども、限られた中で人員配置に濃淡をつけて、行政需要の高いところにできるだけ多く人を配置していく、あるいは先般も千台、自己検索用のパソコンを導入して、四十七都道府県で立ち上げておりますけれども、最新鋭の機器を導入して人手をカバーしていく。あるいは、今職業安定法そして派遣法の議論をしていただいておりますが、民間の雇用のマッチング機能を活用して、官民相まってできるだけスムーズに職業紹介機能が働くように取り組んでいるところであります。そういう事情がありますので、きっと早いところ議論を尽くして採決をしていただけると信じております。
  241. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私が申し上げたかったのは、少子高齢化社会における市民の暮らしの設計、ふえ続けるごみ問題、自然破壊や環境ホルモンによる次世代への被害、外国人労働者の人権問題など、現代の行政時代の要請に応じて、あるいは政策目的に応じて臨機応変に組織され、改廃され、機動力に富む人員配置が必要だと思います。二五%一律カットの具体的なプログラムにおいて、行政サービスを低下させないための方策というものが大事だということを申し上げたかったのであります。  総理大臣はこの点はどのようにお考えでしょうか。
  242. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 二五%削減につきましては、これはやっぱり国民が強い行政に対するスリム化を要請されておられることで、民間におきましても、本当に乾いたタオルを絞るような気持ちで大変苦労されておられるわけであります。そういった観点に立ちますと、まず公の立場として十分この削減に努力をしていかなきゃならぬと思いますが、そのことによって行政サービスが停滞するということがあってはならないことでございますので、限られた定員の中でそれぞれの公務員がみずからの力を十二分に発揮することによりまして、もとよりサービスが低下しないように努力をし、またそれを達成していくことが今回の削減の目的でもあろうかと考えております。
  243. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 衆議院の附帯決議の第一項でも、中央省庁のあり方の見直しについて決議がされております。多くの問題点がございます。  内閣権限強化の問題、評価制度のあり方、独立行政法人のあり方など、お聞きしたい問題が多くありますけれども、もう時間が参りました。  国民主権、民主主義の理念に基づきまして、行政改革は不断の見直しが必要であり、今が出発点でありましょう。国民のための行革について、総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  244. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 期するところは、国民皆さんにいかに適切に行政サービスを行うことができるかということだろうと思います。今回の改革によりまして必ずそのことを達成し、新しい世紀を迎えましても、日本としてより効率的、効果的な行政を行えるように、この法律を制定することによってそれを達成してまいりたい、このように考えております。
  245. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。(拍手)
  246. 高橋令則

    高橋令則君 自由党の高橋でございます。  ちょっと私事にわたりますが、私はまだ若干障害が残っておりますので、申し上げることがスムーズにいかないかもわかりませんので、それは了承いただきたいというふうに思います。  まず最初に、この二法案は、私は明治以来の本当に大きな改革、このように考えております。そのために法律案ができました。そしてまた、それは第一歩でありまして、今後さらに第二点、第三点にわたっていろんな政策が展開されていくだろうというふうに期待をしております。それによって改革ができるというふうに考えております。  この改革を実現するためには時間も必要だろうと思うんです。それから人も必要だと思います。そう考えておりますと、今回の法案もそうですけれども、今後あるべき制度等につきましてもやはり基本的な考え方といったものを明確にしなければならないというふうに思います。当然ながら、本会議でも申し上げましたように、いわゆる自立、そしてまた自己責任というものが基本であろうと思いますし、小さな政府の実現ということが根底にあるというふうに考えております。  しかしながら、今の実態はどうかといいますと、依存とか、それから大きな政府というのが実情ではなかったかと思うわけであります。これがそれなりに効果もあり、そして今の我が国経済社会をつくってきたということも私は認識をしております。  しかしながら、歴史的な転換をするためには、本当にもう国も地方国民も、やっぱりその意識を変えなければならないのではないかというふうに私は思うわけであります。その意識というものの根底が本当に変えられるのかなという危惧を私は持っているわけであります。特に、戦後の行政システム等については非常に心配をしているわけであります。  かつてマッカーサーが、日本人は十二歳だというふうに言ったように私は思うんですね。とんでもないことを言うなというふうに思ったこともありますけれども、いわゆる占領下の時代です。そういうふうなことが残って、行政なりいろんな面で依存体質が残っているのではないかというふうに思うわけであります。戦後のそういうふうな日本の意識は、占領が終わって自立してからもそれを引いているのではないかというふうに思うものですから、まず最初に、昭和の語り部というのは大変失礼ですけれども、歴史的な問題でありますので、大蔵大臣に歴史認識について御指導いただきたいと思います。
  247. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お答えをする資格はありませんけれども、戦争に負けましてここまで来たのは、私はお互いによくやったなと、こう基本的には思っています。  それで、今、依存とおっしゃる中に、確かに我が国の安全保障の問題というのはそういう面がないとは言えないと思いますけれども、しかし、今世界どこの国も、NATOもそうでございますが、自分だけで自分の安全を図るということはいたしておりませんから、その点はそんなに考えなくていいんではないかなと、いろいろ問題はございますけれども。  それから、本当に食うや食わずで来まして、今思いますと、もう一つの依存は、ひょっとしたら広い意味でのセーフティーネットというんですか、いろいろ福祉であるとかなんとかということ、これが国民のある意味で依存心を高めたかもしれない。しかし、我が国はこの地域では唯一のそういうセーフティーネットを持っておる国でございます。そのことは決して後退だとは言えないのではないか。  総じてそんなことでここまで来まして、多分一九八五年ぐらいに先進国に追いついたと思いますが、そのころから大変経済等々が悪くなりました。ただ、今悪いどん底におりますけれども、私はしょせん過去五十年やってきたことを次の世紀に同じことをやるわけにはいかなかったんだと思いますから、そういう意味で、こういう今試練の中で、我々はもう一度自立してというか、自分自身が責任を持って立ち上がってという、御審議いただいているこの法案もそうでございますけれども、そういうことをいずれにしても考えなければならない時期にあった、それでこれをやれば二十一世紀は必ず大丈夫だと。大変失礼でございますが。
  248. 高橋令則

    高橋令則君 ありがとうございます。  私も、それなりの時期に合わせた政策なりあるいは国民認識といったものはあるだろうと思っておりまして、それはそれなりのことがあったというふうに思ってはおります。しかしながら、こういう時代でございますので、それに合わせて変革していかなければ、全体としてできないと思うんです。最終的には一人一人の問題だと思うんです。  それで、私はどうかなというふうに思って、実はいろんな新聞社とかのアンケートをずっと調べてみたんです。そうしたら、ここに資料もありますけれども、全体的に申し上げますと、今は大変な時期だ、だから改革をしなきゃならないというのが多いんです、極端に。朝日だったかは大体九〇%ぐらいになっているんです。ところが、自分の問題になりますとそれが逆転しちゃうんですね。つまり、結果的には依存的な体質のお答えになっちゃうんです。これもアンケートで出ておるんです。したがって、総論ではそうだけれども、各論ではこうだというのが実態ではないかと思うんです。  したがって、我々がこれから法律をつくり、そしてそれを行政の中で実施していく中で、いろんな意味の隘路が出てくるだろうと。それには総理を中心に、そうじゃないんだと、二十一世紀を繁栄させるために、それを導いていくためにやらなきゃいけないんだということに対する自立、自己責任というのがぜひとも必要だということについて、繰り返し不退転の決意で総理を中心に、私どもも含めて努力しなきゃならないと思うんですが、総理のお考え、決意をお聞きしたいと思います。
  249. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) きょうの質疑の中でも行政改革会議の最終報告のお話が出ましたが、その最後のところで、「われわれの目の前には、「黒船」も「瓦礫」も存在しない。あるのはわれわれの意思、そして日本の将来に対する希望と勇気である。他の何者かの圧力や強要によってではなく、自らの意思によって、われわれは、勇気をもって、この大きな転換への具体的ステップを踏み出す瞬間を迎えている。」ということ、これを実は私も拳々服膺しておるわけでございます。  依存心とか依頼心というお話が高橋先生からございました。日本の明治改革、そして昭和二十年の改革、これはいずれも今申し上げたように黒船あるいはまた戦争によりすべてを失った日本ということで、それに戦後はいわゆるマッカーサー司令部のもとにおけるいろいろの改革が行われました。あの力なくして果たして農地改革その他が行われたかなという気もしないでもありませんが、今日のまさに第三の改革というものはみずからの力でここに示しておるようにしていかなきゃならぬと思っております。  一方、グローバルスタンダードという名のもとに外圧で日本改革を行うのではないかという批判もあるようでございますが、私は、確かに明治維新の四杯の黒船によって覚せい、目を覚まされるという点もあろうかと思いますし、また、戦後は確かに戦争に敗れてマッカーサー司令部におけるかなり強制的ないろいろの政策を行ってきたわけでありますが、この二十一世紀を前にした日本改革は、まずみずからの力によってなし遂げなきゃならぬという強い思いをいたしており、このことは恐らく国を代表しての議員各位におかれましても、また国民皆さんにもあろうかと思います。  今御指摘のように、総論においてはもろ手を挙げて賛成しますが、いざみずからの問題になってきますとなかなかそう簡単にはいきませんというのが事実のような気がいたします。これを乗り越えるためには、御指摘をいただきましたように、まず私自身、この国の大きな責任を負わされている立場からいえば、みずからが本当に真剣にこの問題に取り組むということが必要であろうと、常々反省を込めておるわけでございます。  そういう意味から、具体的には今回お出しをさせていただいておりますこの二つの大きな法律案につきまして、国民の御理解を積極的に得られる努力をさらにしつつ、これを通過させていただき、そのことを原点にいたしまして新しい世紀を目指し、すばらしい日本の形をつくることができる前提になろう、こういう信念のもとに進ませていただきたい、このように思っておる次第でございます。
  250. 高橋令則

    高橋令則君 大変ありがとうございました。  それから、私は、依存体質といいますか、こういう問題は結局、今のキーワードである官から民へ、そして中央から地方へというキーワード、これはよほどチェックしてやらなければそれが戻るようなことがあり得る、たまには。したがって、今後進んでいくべきいろんな例えば制度化なりシステム化の過程においては、このキーワードをやっぱり検証してきちっと見ていかなければだめだと思うんです。  実は、ついこの間の法案の中にも似たようなものがありまして、我が党の方である問題について二週間ぐらいとめたんですよ、申しわけないけれども。私も反対でありました。しかし、やむを得ないのでオーケーということにしたんです、事例は言いませんけれども。  この後、ちょっと労働大臣とそれから通産大臣にお願いしたいんですけれども、今後、緊急雇用対策が必要です。それから産業競争力強化対策、これも大事でございます。私も基本的には賛成をしております。今後いろいろ細かな問題が出てくるだろうと思います。そのときに、このキーワードに反するようなことのないような対策をやってくれませんか。これを基本的な考え方として二大臣に個別にお願いしたいと思います。
  251. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) お尋ねは、今回の雇用対策においても官から民へ、中央から地方へ、そういう方向性に沿って策定をされているかというお尋ねであります。  雇用対策につきまして、大きな柱を幾つか立てました。例えば、成長する十五分野で将来必要になろうとする人材を前倒しして採用する、その間に訓練をして時代の要請に見合う人材に育て上げる、そういう意味での前倒し雇用に取り組んでもらう。これも民の力を使って雇用吸収力を上げるということであります。  そしてもう一方、雇用創出交付金というものを創設いたしまして、これを自治体に配付いたしまして、公的セクターが中心となって各地域地域で雇用を創出してもらう。ただしこの場合も、官から民へという思想に基づきまして、従来の失業対策事業の反省にかんがみて、できるだけアウトソースするような形で、民の力を使ってどうやって雇用を掘り起こしていくかということに注意を払っております。  それから、中央から地方という視点も、今のもそうなのでありますけれども、例えば今回の雇用対策のキーワードの一つに地域ということがございます。雇用のマッチング機能というのは、各エリアごとに、求職側、求人側、使う側、働く側、その情報をしっかりと共有することが大事じゃないだろうかということで、県レベル、そしてもうちょっと大きいブロックレベルで政労使の雇用対策の会議を持つというようなことにも配慮をいたしまして、先生の御指摘に沿って対応を組んでいるつもりでございます。
  252. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 競争力強化の件でございますが、先ほど先生の御質問の中に、二十一世紀もまた繁栄の日本ということを言われました。私どもは、競争力強化というのは、過去を清算して二十一世紀日本が展望の開ける経済を持つ、豊かな日本にするためにこれから作業をしたいと思っております。  一つは、過去を清算するということで、これは、不要な部分に張りついております資本と労働をスムーズに他の分野に移動させるという、マクロに見ればそういうことでございますが、過剰設備とか過剰債務とかというものを解消していくことは、政府が果たす役割よりは、やはり民間それぞれの企業がみずからの責任でやっていただくということが大原則でございまして、我々政府ができますことは、また国会にお願いいたしますことは、そういう競争優位を確保できるような環境を整備する。これは、法律の問題であり税制の問題であり、そういう環境整備をするというのが我々の役目だと思っておりまして、やはり企業それぞれがみずからの責任で物事をやっていただくということが大原則であるというふうに考えております。
  253. 高橋令則

    高橋令則君 私は最後に、市町村合併について質問をさせていただきます。  私は地方で長年仕事をさせていただきました。この市町村合併についても直接やりました。その問題点を考えるとくたびれるぐらい経験があります。その中で一番必要なのはやっぱり地域のバランスの問題なんです。それから首長の意識なんです。それから当然ながら議員なんです。これが、おまえのできた分はどのぐらいだと逆に言いますと、まず議会を説得しなくちゃいかぬ。それから、議会を説得するために、それを囲んでいる経済団体とか商工団体とかそういう連中をそこに全部徹底的に、議会に、議員に何とか言えというような形でやりました。それから、最後には知事の姿勢だったんですよ。したがって、この問題は、具体的にはもう時間もありませんので、私は非常に重要な問題だと思いますので、自治大臣の取り組みをお伺いして終わります。
  254. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 御指摘のとおり、地方分権を積極的に進めなければいけない。そのためには、当然のことながら権限、財源等の移譲といいますか、自主性、自立性を高めていくシステムをつくるということも大事でございます。一方で、その受け皿になる自治体自身の事務遂行能力等々について、その組織力あるいは財政力等々の基盤強化をしなければいけない。そういった点で、この市町村合併ということは極めて大事な中心課題一つであると考えております。  細かくはもう時間の関係上申し上げませんが、本法案におきましても合併特例法の改正案を盛り込んで、平成十七年までの期限ではございますが全力を挙げて、もちろん住民が中心になって合併への仕事をしてもらわなければなりませんが、それを全力を挙げてバックアップできるように財政面等々の支援を行ってまいりたいということを盛り込んでおります。
  255. 高橋令則

    高橋令則君 ありがとうございました。  終わります。(拍手)
  256. 奥村展三

    ○奥村展三君 参議院の会に所属をいたしますさきがけの奥村展三でございます。  明治、戦後の改革、そして第三の改革と位置づけられまして、この中央省庁改革の議論をさせていただいているわけであります。いろいろ同僚の先生方からもお話がございますように、組織改革であるわけでありますが、私はもっと大事なことは意識改革だというように思っております。後ほど野田自治大臣にもお伺いをいたしますが、地方分権にいたしましてもやはり地方の受け皿といいますか、皆さんがその意識をどのように構築しながら進めていただけるかということが大きく課せられているものだと思います。  けさほどから民主党の江田議員からもいろいろ財政・金融分離のことにつきまして質問がございました。ちょうど私が当選をさせていただいた平成七年十二月の国会だったと思うんですけれども、例の住専に六千八百五十億という公的資金の投入が決定されたときでございます。当時は私も与党にいたわけでございます。それがやはり大蔵省の改革に大きく寄与してきたと思っております。そして、平成八年になって橋本政権ができたわけでありますが、そのときに新しい政権に向けての三党政策合意ということに基本等を置きまして、大蔵省中心の金融行政、検査・監督のあり方について総点検を行い、自己責任原則の確立と透明性の高い新しい金融システムの構築に取り組むということが明記されたわけであります。  しかし、それ以後も三党でいろいろと財政、金融の分離について速やかに検討するとかいろいろ進めてまいりました。しかし、考えてみますと、経済がこういう状況になっておりますから、長年の経過からいたしまして大蔵省が財政、金融を分離していくということはなかなか至難なことであろうと思いつつも、いろんな議論をさせていただいて、平成十年の一月だったと思いますが、きょうここにおいでになる、今、通産大臣をなされております与謝野大臣が副長官だったと思いますが、その当時、この財政、金融の分離は「当分の間」という言葉を入れるのに私どもの武村代表と頭をつくねていろいろと議論をいただいた結果、「当分の間」という文字が入って今日に至ってきたことを覚えているわけであります。そうした流れの中で考えますと、今回出されましたこの中央省庁改革の関連法案の中で金融庁と財務省の共管というようなことにされました。大蔵大臣も、先日我が会派の水野議員の質疑にお答えをいただいたわけであります。  こういうことを考えてみますと、今、小渕総理が一生懸命になって、お人柄だと思うんですが、人気もどんどん上がってきておりますし経済も上向いてきたようではありますが、やはり私は、それだったらこの三党合意とは一体何だったんだろうなと。あるいはまた、自民党と民主党、平和・改革の三会派が合意されたこともほごにされてしまって、一体この政権の枠組み、あるいは、大変自民党さんに失礼でありますが、これから単独政権というのはもうあり得ない。今の参議院の状況から見ても、これからも国民が期待するのは連立政権である。そういう流れを考えたときに、もう少し政権あるいはまた政党、その信義、信頼感というのは非常に大事になってくるというように私は思うのであります。  そういうことを考えますと、この三党合意やあるいは三会派が合意をされたこういうことがどんどん踏みにじられて、ある意味ではこの財政、金融の一つのことに象徴されるように、こういう結果になってしまうのではないかなという思いでいっぱいであります。  このことにつきましては、ぜひ私はこれからあらゆる諸問題を解決し、国民皆さんの期待にこたえながら進めていく我々の立場としても、そしてまた総理のお立場としても、ぜひこういう信頼、信義というものが損なわれるようなことがあってはならないというように思うわけでありますが、まず総理にお伺いし、後ほど大蔵大臣にこのことについてお伺いをいたしたいと思います。
  257. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 原則といたしまして、奥村議員の御指摘はそのとおりと認識をいたしております。政党間の話し合いというものは議会制民主主義の中ではしばしば持たれることでありまして、そういった意味で公党としてのお約束については誠実に遵守していくべきものと考えております。  ただ、この財金分離の問題につきましては、三党会派でいろいろお話をいたしましたが、実はなかなか合意に至りませんで、その結果につきましては大蔵大臣内容につきましては一番御存じのところではございますけれども、政府としてこれをどのようにするかということにつきまして努力いたしました結果、最終的にはこの問題について政府といたしましては国民理解をいただけるような形としてこの結論を得て進ませていただける、こうなったと考えておりまして、ぜひこの点につきましては新しい財務省とそれから金融庁がそれぞれ責任を果たしていくという形の中で、なぜそうしなければならなかったかという問題については、その結論を得て理解を得られるものにしてまいっていきたいと考えております。
  258. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お時間をとりませんように申し上げますが、大蔵省に対する長年の不信がございまして、国会におきまして昨年御議論がございまして、その結果を私どもはできるだけ忠実に反映すべくこの法案を御提出したつもりでございますが、非常に膨大な法案でありますために、意外に御存じいただいていない部分が、委員は御存じですが、ございます。  かなり明確に両方が分離されておりまして、すなわち財務省設置法案では第三条、これには金融ということは一切何も書いてございません。ですから、財務省は基本的に金融については何も持っていないということでございます。  これに反しまして、今度は、金融庁設置法には、金融庁は、我が国の金融の機能の安全を確保し、金融の円滑を図ると、すべて金融で任務が書いてございます。それから、さらにそれを確実にいたしますために、中央省庁等改革基本法の改正を行いまして、従来、財務省の任務の中に、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案等とございましたものを全部削除してございます。  したがいまして、現実にははっきり両方の仕事は分離されておりまして、ただ金融危機が発生いたしましたときに、それが財政とか国庫とか為替とかいうものに関係いたしますから、そういう流れがありますときには財務省も金融庁と一緒に仕事をすることができる。これは任務としてでなく、流れた所管事務として規定してありまして、この点だけが財務省がそういう事態に関与する、こういうことでございますので、法制的に私はかなりきちっと整備されたものと考えております。
  259. 奥村展三

    ○奥村展三君 そこで、総務庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  任務と所掌事務の関係はどのようになるのか。そしてまた、共管関係行政組織法上の説明も一緒にお願いをいたしたいと思います。
  260. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今回の中央省庁等改革におきましては、各省は任務を基軸として総合性、包括性を持った行政機能になるように編成をすることといたしております。  国家行政組織法改正案におきましては、任務及び所掌事務を各省の組織構成原理といたしております。各省等の設置法案において、任務規定は各府省が達成すべき行政目的をあらわすものであり、所掌事務規定は任務を達成するために各府省がつかさどる事務を列挙しているものであります。
  261. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その結果といたしまして、現在、大蔵省には金融企画局というのがございますが、これは財務省になりますと廃止されます。そして、財務省のこの問題に関する関係職員の数は必要最小限度にするということになりまして、局としてはなくなりまして、課であるとか室であるとか、そういうことになっております。
  262. 奥村展三

    ○奥村展三君 この財政、金融、いろんな議論をしてきたわけでありますが、ぜひスムーズに、財政、そして金融という根幹になる行政ができますようにお願いをしておきたいと思います。  次に、国土交通省についてお伺いをいたしたいと思います。  特に、先ほど来ずっといろんな議論の中に、巨大官庁と言われておるわけでございますが、国土交通省の地方整備局の組織体制整備に私は万全を期すべきだと思うのであります。  地方支分部局に公共事業の事務など、主体的かつ一体的に処理はなされるわけであります。そうしたときに、公共事業の見直しを行うことも不可欠であると思います。そういう流れを考えますと、現在の補助事業の事務を地方支分部局が行う、運輸省の事務も含めてでございますが、二重行政にならないかどうか、工夫を行う必要があると思います。  特に、国土交通省のこの部局におきましては、地方整備局について、従来の建設省の地方建設局が所管していなかった地方計画の調整だとか、都市計画だとか、住宅行政だとか、あるいは土地収用等の補助金事務が大幅に私は委任されると聞いておりますが、こういうブロックにおける公共事業の推進のために、責任体制整備するという意味で今回の改革の大きな目玉の一つであると思うんですが、この地方整備局の組織体制について十分な手当てを行う必要があると思いますが、総務庁長官の答弁をお願いいたします。
  263. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 現行の建設省地方建設局及び運輸省港湾建設局を統合して設置する地方整備局におきましては、基本法第二十二条第六号に基づき、公共事業の実施及び助成のほか、今おっしゃいましたように地方計画に関する調査及び調整、施設の管理、災害の予防及び復旧その他の国土の整備及び管理に関する事務を主体的かつ一体的に処理させることといたしております。  公共事業の実施に当たっては、事業の決定及び執行に関する大臣権限をできる限り地方支分部局長に委任するとともに、地方支分部局ごとに所要の予算額を一括して配分することにより地方支分部局長は主体的かつ一体的に公共事業に関する事務の処理を行うことができることといたしております。  地方整備局の体制整備に当たりましては、現在関係省庁との間で具体的に当該機関に担わせる事務及び委任する権限内容地方建設局と港湾建設局の統合による新たな管轄区域及び組織及び人員の体制などの事項につきまして検討を進めているところであります。統合後においても現行の地方建設局及び港湾建設局が担っている機能が十分に確保されるとともに、基本法及び方針の趣旨に沿った機関として設置されますように留意してまいりたいと存じます。
  264. 奥村展三

    ○奥村展三君 建設大臣、今、総務庁長官からお答えをいただいたわけでございますが、権限地方整備局の方にどんどん移譲なされていくわけです。今の答弁をお聞きになって所見がありましたらお伺いしたいと思います。
  265. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私も、先生御指摘のように、二つの観点からこの地方整備局に対しては考えていかなければならないと思うわけでございます。  一つは、まずやはりそれだけ大きな権限が移譲されるわけですから、その組織体制というものはしっかりとしたものをつくっておかなければならないということ。ということは、先ほど御指摘がありましたように、今まで地方建設局で行っていなかった都市行政であるとか住宅行政あるいは土地の収用、業行政あるいは補助金等に関する事務を本省から地方整備局に移すわけでございますから、そういう組織をやっぱりきちっとやっておかなければならないということ。  もう一つは、やはり意識といいましょうか、人的な問題。ハードの受け皿と同時にそういうちゃんとしたソフトの人材がいなければならない。その中にいる方々はそれだけの意識というものをきちっと持っていなければ、今までのような、やはり何だかんだ言いながら、地方建設局でございましたら最終的には本省に相談すればまた処理ができるというような安易な考え方もあったと思うのでございますが、すべてそちらに任すわけですから、相当なる努力、熱意、勉強というものをやってもらわなければならないと思っております。
  266. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、環境省の機能強化について、まず総理にお伺いをいたしたいと思います。  総理は、今後の環境省の体制については、さらにこれを担い得るものになるよう平成十三年一月の省庁発足時には組織、定員等体制の充実強化を図っていきたいと衆議院の特別委員会等で答弁をなされております。充実強化とは具体的にどのようにされるのか、その体制づくりを詳しく説明していただきたい。  廃棄物の対策等が厚生省から環境省に移管されるに当たり、この体制が十分確保できなければなりません。そしてまた、今日、国民的なあるいは世界的な課題となっております環境ホルモンあるいはダイオキシン問題につきましても、研究、科学的知見など不可欠であります。こういう問題について、やはり私は政府全体がリードしていくためにも研究体制の充実というのが必要になってくると思います。環境研究所の強化などどのようにお考えになっておるのか、総理にお伺いをいたしたいと思います。
  267. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回の中央省庁改革の中で、庁から省に格上げと申しますか、省として大きな責任を背負うことになりましたのが環境省でございます。  環境省につきましては、御指摘の廃棄物行政等の新たに付与された事務事業も含めまして、さらにこれを担い得るように、平成十三年一月の新省発足時に組織、定員等の体制の充実強化を図ってまいりたいということでございまして、具体的にと申されましたが、まさに組織、定員等につきまして環境省にふさわしい体制を整えるように、その時点まで十分その努力をしていきたいと考えております。
  268. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  環境庁長官にお伺いをしたいと思うんですが、やはり環境省の、政府全体のリーダーシップの機能というのは私は大事になってこようと思います。下水道を含めて、私の地元の琵琶湖などの湖あるいは川の水質保全について環境省はどのようなリーダーシップを発揮されようとしておるのか。そしてまた、安全な水を確保するために総合的な水環境保全法等を制定することが大くくりをコンセプトとする行革の趣旨に合致すると思いますが、いかがでしょうか。
  269. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 環境庁に対する御理解をいただいて感謝にたえない次第であります。  今、総理から御答弁いただきましたように、廃棄物を初めといたしまして、環境ホルモン、ダイオキシン、環境問題等々、たくさんの問題が続出いたしておるわけでありますから、それにふさわしい人員をぜひ確保させていただきたいと思っておるわけであります。中央省庁再編成という大命題はございますが、その中でやりくり算段をしてその体制を整えていかなきゃならない、こう考えておる次第であります。  それから、国立環境研究所の問題でございますけれども、私も先般現地を視察いたしまして、皆さんの御意見も伺いました。確かに研究者の数が少のうございます。今、ダイオキシンの対策研究棟もつくっておりますけれども、しかしながらそれに専念する人が少のうございます。環境研究所でしっかりとした研究をなさって世界的な知見を得た人たちがある意味では大学教授という名前に誘われてそちらの方に移転するというようなこともあるわけでありまして、そういう点をどのように対策を講じていったらいいのか、これは文部省とも十分相談してその対策を立てていきたい、こう思っておる次第であります。  それから、水問題でございますけれども、来年の環境サミットは先生の地元滋賀県で開催することに相なったわけであります。それはやはり滋賀県が環境行政にしっかりとした対策を講じていただいておるという証明じゃないか、こう思っておるわけでありまして、関西にまたがる千四百万人の水がめとしてしっかりとした対策を講じていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  そして、水質汚濁防止法や湖沼水質保全特別措置法等を引き継ぐほか、新たに浄化槽についての所管もすることになっておるわけでありますし、また下水道事業等、他省庁と主管する事業についての連絡もとっていかなければならないわけでありまして、これらの問題につきましては水質保全全般にかかわる行政上のリーダーシップを環境省として発揮していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  270. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 時間が来ました。
  271. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございました。  地方分権についてお伺いをしたかったんですが、時間が参りました。  私の地元から、五十市町村の首長からこれだけのファクスが送られてまいりました。後日、自治大臣にお伺いをいたしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  272. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 ラストバッターの登場でございます。昨日来、大変御苦労だと思いますけれども、持ち時間は十分だけでございますので、しばらくおつき合いいただきたいと思います。  今回の行政改革は二十一世紀国家行政のあり方についての基本を定める極めて重要な意味を持つ法案である、私もそう考えております。  しかし、昔から仏つくって魂入れずという言葉がありますとおり、どんないい制度をつくりましても、これを運営する人の精神がゆがんでいたのでは制度の成果をおさめられない、これは当たり前のことであります。  今度は、行政政治のかかわりが非常に深まっていく、これは間違いない事実でありまして、大臣、副大臣、それから政務官、合わせて百名ぐらいの国会議員が行政にかかわりを持つことになる。ですから、行政の側から見まして、国会の悪習を持ち込んできたと言われても大変な問題でありましょうし、それから利権あさりばかりしているというような批判が出てもこれは全く問題だと思います。何も仕事をしない、さっぱりわかってくれないと言われることも問題で、やはり行政の模範となるような政治家が行政にかかわりを持つ、そういう心構えが必要であろうかと思います。  そういう意味で、私は、政治家のあり方あるいは内閣のあり方にかかわる二つの問題を取り上げて、小渕総理の端的な御意見を承れればと思います。  第一の問題は、衆議院議員竹下登氏の動静についてであります。  彼は、三月二十三日、衆議院の本会議出席いたしましたのを最後として国会から姿が消えてしまいました。衆議院で本会議が開かれる都度、事故のため欠席という届け出がなされる。事故とは何だと、こう聞きましても、それはプライバシーですからお教えできませんと。委員会にはもちろんあらわれません。  どこで何をしているのかと思いましたら、五月八日、自民党のある集まりにテープが送られてきて、元気でやっているよということを言われたという話を一、二のマスコミが取り上げておりましたが、これも情報程度の話でありまして、本当にどういう状況になっているのか、皆目見当がつかない。  言うまでもなく、彼は私人ではありません。公人であります。選ばれて、国民の代表といたしまして国政に奉仕する、邁進する、そういう責務を帯びているわけであります。その人がどこで何をしているかわからない。えらい問題だと思います。  少なくとも、彼を選んだあるいは主権者である国民は、竹下氏がどこで何をしているのか、これをきちっと知る権利があると言ってもいいと思います。竹下氏には、自分が今どこにいる、こういうことをやっておる、国政以上の大変重大な仕事をしているとか、そういうことを説明する義務があると私は思います。  竹下氏はもう三十年来の国会議員をやっておりまして、こんな物事の道理は私が言うまでもなく彼の方がよく心得ておるんだろうと思いますけれども、遺憾ながら彼からは何のあいさつも我々にないわけであります。大変問題だと私は思います。国民だって皆、竹下さんはどうしたんだろうかといぶかしく思っておることだろうと思います。  本来ならば、竹下氏が記者会見をしてこうだああだと、あるいは声明を発してしばらく御容赦ありたいということを説明すべきだと思うんですけれども、それをなさる気は全くなさそうでありまするから、大変申しわけないんですけれども、彼が所属している自民党の総裁でもあられる小渕総理に対しまして、一体どこで何をしているのか、いつごろになったらこの国会にあらわれるのか、やっぱり党員一人一人、しかも国会議員でありますから、これは総理また総裁の私は重大な責任だと思います。  皮肉を言うようですけれども、多分今まで、竹下さん、やっぱりそういうことはきちっと国民の前に明らかにした方がいいのじゃないんでしょうかということを示唆されたとも思うのでありますけれども、そういうことを踏まえて、竹下氏がどこでどうやっているのか、ちょっと説明していただければありがたいと思います。
  273. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 竹下元総理は、本年四月から、変形性脊椎症で病院に入院し治療を受けていると聞いております。  このことは関係者から報告されており、また御本人の意向や病院の患者の皆様を初め関係者の配慮などをあわせ考えますると、私も長い間御指導もいただいてまいりまして、今日、どの病院であれ、どの事態であれということにつきまして御報告を一々申し上げますことは、病院にもまた病院に入院されておられる方々にも非常な御迷惑もかかるという御配慮もあろうかと思っております。  そういう意味で、今日みずから、佐藤委員御指摘のように、記者会見その他のようなことはされる状況にはない、こう考えております。
  274. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 わかりました。  竹下氏自身もそういうことを一切言う気はないというお話だったんでしょうか。それとも気がつかなかったのでありましょうか。言われてみたらなるほどそうだと、では声明文ぐらい出そうというふうなお考えでございましょうか。簡単で結構でございます。
  275. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 逐一承知をいたしておりません。
  276. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 総裁として大変私は問題だと思いますが、これはこのぐらいにいたしまして、次は首都機能移転について取り上げたいと思います。  これは前の予算委員会でも取り上げたわけでありますけれども、首都機能移転、もう二十年来の仕事が着々と軌道に乗りまして、近々候補地が決まる。そうして、二〇〇五年から移転作業が始まって、二〇一四年には新しい首都が完成する、こう言われておりますけれども、私が大変いぶかしく思うのは、そういうことを横目でにらみながら総理官邸の新営が始まったことと、それから霞が関でも同じように総合庁舎の建築が着々と進んでおることであります。  率直に言いますと、こういう建物をつくっている人たちは新しい都には移る考えがない、あんなものは国会が移ればいいんだ、我々はこの便利な東京で行政をやっていく、用があればそこに駆けつけていくからと、そう考えているとしか思えないわけです。しかし、国会だけ移して首都移転なんということは言えた義理じゃありませんから、国会が移ればまた総理官邸をつくる、行政各庁をつくる、こういうことにもなるわけであります。  今度は、しかし、国民が許さないと思うんです。東京でいっぱい新しい建物をつい最近つくったではないかと。総理官邸なんというのは五百億、七百億もかけて、五階建ての、けんらん豪華という言葉を使いますけれども、この前も使いましたけれども、けんらん豪華な建物をつくった、そしてまた新しい都市で同じものをつくろうとしている、一体何をやっているんだと。そんなことが日本政治かとみんな憤慨するでしょうし、国民だけじゃなくて外国から来た人も皆物笑いの種にする、日本政治家は少しく頭がどうかしているとしか言いようがありません、同じ国に二つの同じものをつくってどんなつもりなんでしょうかと、こういうことになります。  ですから、小渕総理、申しわけないんですけれども、もうこの時期まで来ましたら、一体首都移転をする考えがあるのかないのか、移転するとすればどういう規模で移転するのか、国会だけだ、総理官邸は動かさない、総理はここに、東京に残るんだということなのか、いずれでもいいんですけれども、もうそろそろ内閣としての方針をきちっと説明すべき時期ではないのか。将来の歴史家からばかにされないためにも、私はこれをお勧めいたします。はっきりさせてください、いずれか。
  277. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 首都機能移転につきましては、現在国会等移転審議会において調査、審議が精力的に進められているところであり、本年秋ごろを一応の目安として移転先候補地の選定作業を行うこととされております。  なお、審議会の答申が行われたときには、国会等の移転に関する法律の第二十二条で、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとされております。さらに第二十三条で、移転を決定する場合には、第十三条第二項、内閣総理大臣は、諮問に対する答申を受けたときは、これを国会に報告するものとするの規定による報告を踏まえ、移転先について別に法律で定めるといたしております。  首都機能移転は、内閣として取り組むべき重要な課題であり、その具体化に向けて積極的な検討をしてまいる所存ではございますが、今申し上げましたように、委員は、確実にこのことが既に三カ所においてその候補地が定められて、そこに既に国会が移転しかつそこに行政官庁も移転するという前提でお話しでございます。しかし、ここにありましたように、東京都とのまだこれから交渉もあるわけでございまして、私自身が今の時点で国会並びに官邸を移すということをここで明言することはあり得ないわけでございまして、佐藤委員が既にその時点がいつだと定められて、それまでに国会が移転しかつ官邸が移るという前提でお話しされておられることはそもそも誤りであると考えております。  現在の官邸につきましても、この前も申し上げましたが、機能としても現在十分とは言いがたい点もございます。どうぞひとつ佐藤委員も御見学をいただくなり、お入りいただいて見ていただきたいと思う次第でございます。
  278. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 時間ですから、一問だけ、簡潔に。
  279. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 時間切れでありますけれども、総理の答弁が時間が切迫をして、非常に長かったわけですから、私にも少しく弁解の機会を与えてくださいませ。  いろいろ言われていますけれども、私、これ常識の問題として言っているんですよ。官邸を新しくすればこれはもう五十年、百年使うであろうと、そういう恒久的な建物をつくっておきながら移転の方はまだふらふらでございますと、それがおかしいと、こういうことを言っておるわけでありまして、常識論ですから、私は。  自分の言葉でできたら答えてください、役人の書いたものを読み上げることはもう結構でございますから。  以上で終わります。
  280. 吉川芳男

    委員長吉川芳男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会