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1999-03-23 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      岩城 光英君     石川  弘君  三月十九日     辞任         補欠選任      石川  弘君     岩城 光英君      筆坂 秀世君     畑野 君枝君  三月二十三日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     森山  裕君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 森山  裕君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 鶴岡  洋君                 畑野 君枝君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    参考人        日本放送協会会        長        海老沢勝二君        日本放送協会専        務理事技師長  長谷川豊明君        日本放送協会専        務理事      河野 尚行君        日本放送協会理        事        石渡 和夫君        日本放送協会理        事        酒井 治盛君        日本放送協会理        事        松尾  武君        日本放送協会理        事        芳賀  譲君        日本放送協会総        合企画室経営        計画局長    中里  毅君        日本放送協会経        理局長      笠井 鉄夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出) ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十九日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。     ─────────────
  3. 小林元

    委員長小林元君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査及び運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査のため、日本放送協会役職員参考人として、今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小林元

    委員長小林元君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  6. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま議題とされました日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入は六千三百五十四億円、事業支出は六千二百五十九億円となっており、事業収支差金九十四億円は債務償還に使用することとしております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入資本支出とも八百二十一億円となっており、放送設備整備など建設費に六百八十六億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備整備及び新しい放送技術研究開発などに積極的に取り組むこととしております。  あわせて、業務全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣意見といたしましては、これらの収支予算等につきまして、適当なものと認めた上で、引き続き事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、地上放送を初めすべての放送デジタル化推進等我が国放送の発展のための先導的役割を積極的に果たしていけるよう、事業計画等実施に当たって特に配意すべき事項を付しております。  具体的には、受信契約締結等促進地上デジタル放送の円滑な導入に向けた研究開発等への取り組み、青少年向け放送番組充実映像国際放送推進等の六項目であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願い申し上げます。
  7. 小林元

    委員長小林元君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。海老沢日本放送協会会長
  8. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) ただいま議題となっております日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成十一年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備整備及び新しい放送技術研究開発などに積極的に取り組むこととし、視聴者要望にこたえ、公共放送としての役割を着実に果たしてまいります。  あわせて、協会の主たる経営財源視聴者負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいります。  平成十一年度の主な事業計画につきまして御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備整備を行うとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備などを実施いたします。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  国内放送におきましては、多様な視聴者要望にこたえて、番組充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービス福祉番組などの充実を行ってまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、ラジオ国際放送充実及びテレビジョン国際放送の拡充を行ってまいります。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度に対する理解促進を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい放送技術研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進して、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開することといたします。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内百九十人の純減を行い、総員一万二千六百五十五人とし、給与につきましては適正な水準を維持してまいります。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額六千三百五十四億五千万円を計上し、このうち、受信料については六千二百十億七千万円を予定しております。これは契約総数において五十一万件、衛星契約において七十万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など総額六千二百五十九億七千万円を計上しております。  事業収支差金九十四億八千万円につきましては、債務償還に使用することとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百八十六億円、出資一億円、長期借入金の返還などに百三十四億円、総額八百二十一億円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、事業収支差金減価償却資金及び放送債券など、総額八百二十一億円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億八千万円、支出四億円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金需要及び調達を見込んだものであります。  以上、日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、一層効率的な業務運営を徹底し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  9. 小林元

    委員長小林元君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 加藤紀文

    加藤紀文君 自由民主党加藤紀文でございます。  私は、地上放送デジタル化について若干のお尋ねをしたいと思います。  今地上放送を含む放送デジタル化というのが世界的趨勢であることはだれしもが認めるところでありますが、我が国がなぜ二〇〇〇年からデジタル放送にするか余り明快な説明がなかったような気がするわけであります。  確かに、私なりに考えますと、情報通信技術革新、すばらしいものがありました。これが先行しておって、ではこの技術革新放送メディアにいかに活用しようかという議論といいますか検討が進んでまいっておりましたが、そこには放送事業者やまた視聴者の立場からの議論が余りなされていなかったような気がするわけであります。私は、むしろ後者の問題の方が最も重要な問題ではないのかなという気がいたしております。  そして、二〇〇〇年からデジタル化が始まりますと、データ放送とか高精細度放送ですか、HDTV、また多チャンネル化、大体それぐらいが予想されるわけでありますが、例えばHDTVといったところで、放送番組からすれば標準放送のSDTVとのモードの変更にしかならない。そして、多チャンネル化といったって衛星放送やCATVを通じてもう既に多チャンネル化に至っているわけでありますから、むしろこれからはデジタル技術によらなければできないような付加サービス開発や、またデジタル放送にふさわしい映像コンテンツそのものに関するサービス提供が必要になろうかと思うわけでありますが、郵政省はこの点につきましてどのようなお考えを持っているのか、まずお尋ねいたします。
  11. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま映像コンテンツ重要性について先生から御指摘がありましたけれども郵政省としてもまさに最も重要なことであると考えています。  以前から、すぐれた放送番組視聴者皆さんにお届けできるためには、やはり放送番組制作流通、そして保存の各方面において各種の支援策整備することが必要なんだと、そういうふうに考えてまいりました。  具体的にどういうことに取り組んできたかと申し上げると、例えば番組制作におきましては、番組制作設備デジタル化促進するための税制や金融の優遇措置平成十一年度からさらに拡充していく。また、デジタル技術を使ってコンテント制作に資するシステム開発、これは平成十年度三次補正の予算ですけれども、それを支援していく。また、番組流通に関しましては、それぞれ今までの放送番組が個別に保存されているということで、二次利用の促進考えたときには共通のデータベースが必要ではないかということで、データベースマネジメントシステムというのを今開発しております。さらに、番組保存に関しましては、ソフト保存環境整備するために、よい放送番組保存、公開を行う放送ライブラリーデジタル化ネットワーク化を行い、相互に検索とか視聴ができるシステム開発、こういうことを進めてきたところであります。  またあわせて、経済学的観点ということで、放送番組流通市場のあり方についても関係皆様方のお知恵をかりながら今研究を進めているところでございます。  いずれにしましても、先生まさにおっしゃったとおり、これからのデジタル放送時代にふさわしい放送番組ソフトがより充実されるよう環境整備に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  12. 加藤紀文

    加藤紀文君 ありがとうございました。  それで、いよいよ二〇〇〇年から地上放送試験放送開始されるに向かって、ことしの秋には郵政省チャンネルプラン策定すると聞いております。日本の場合、御承知のように周波数事情が大変逼迫しておる中で、今のアナログ放送視聴者に大きな影響が出るということが言われておりますが、いわゆる視聴者負担をかけることなく技術的あるいは資金的な問題をいかにクリアするか、郵政省の責任は大変重いと思いますが、その点につきましていかがお考えでしょうか。
  13. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) デジタル放送開始に向けまして、途中、いわゆるアナログからアナログへ変換していただくなど、視聴者の方には御迷惑をかけることがあると思いますが、これは単に迷惑をかけるということではなく、やはり将来のデジタル放送をするに当たって必要なものであるという御理解をいただきたいなと思っています。あわせて、それをすることによってアナログ放送視聴を確保しつつデジタル放送視聴を可能にする、そういうこともございますので、このことについては非常に重要なものだと受けとめています。  そこで、やはりコストの問題になりますけれども、今私たちが取り組んでいるのは、チャンネルプランが一応出ましたけれども、それの改善に次ぐ改善をし、さらには、いろいろな作業を進める中でいかにコストを最小にするかということで検討を進めていきたいと思います。その上で、そのコストの性格から見て、国民の皆さん理解いただけるような合理的な手当ての方法を関係皆様方知恵を出し合いながら検討してまいりたいと思っております。
  14. 加藤紀文

    加藤紀文君 このチャンネルプラン策定に当たって、NHKお尋ねいたします。  NHK技術的な協力をされるということを聞いておりますが、どういったような協力をされるのか。また、もう既に地上デジタル放送をやっているアメリカもやはりチャンネルプラン策定には大変難儀をしたということも聞いております。アメリカ日本では周波数事情が大きく異なりますので直ちにアメリカがどうこうというわけじゃありませんが、何らかの参考にもなろうかと思いますが、その辺はNHKさんも研究されたんでしょうか。
  15. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、日本においては周波数が非常に込んでございます。御質問としては、NHKとしてどういう協力をしたのかという問い合わせでございますけれども、今二点ほど郵政省の方と御協力させていただいております。  一つは、デジタル放送のためのチャンネルを選ぶためには、空きチャンネルと申しておりますけれども、あいているチャンネルがあるかどうかということを調べなきゃなりません。そのためには、現在のアナログ放送電波がどういうぐあいに全国に届いているか、逆に言うと届いていないかということを知ることによって空きチャンネルがあるということになるわけでございます。そうした意味で、現在のアナログ放送電波がどういうふうに強く届いているかというデータにつきまして郵政省の方に御提供させていただいております。これが一つでございます。  もう一つは、郵政省の方でもいろんな技術審議が行われておりまして、今度、デジタル放送を行ったときにどの範囲まで放送サービスとして入れるかというような、電波の強さをどこまで決めるかという技術基準、あるいは電波には必ず干渉というものがございますので、その干渉をどのぐらいなら許容するかというようなことを郵政省審議会で今やっているわけでございますけれども、この審議会に私どもも参加いたしまして、よりよいプランをつくるための基礎的な検討を行っているというところでございます。  それから、先生のもう一つお尋ねの、アメリカにおいてどういうことになっているかということでございますけれども、私どもが知る限りでは、アメリカでもチャンネルプランをつくるというのは大変な作業だったというふうに聞いております。広く関係者合意を得るために約七年ぐらいの歳月をかけてアメリカの現在のチャンネルプランをつくったというふうに伺っております。  アメリカにおいては、チャンネルプランについてはいろんな組み合わせがございますので、いわゆるコンピューターを使いまして、そのコンピューターのプログラムをどういうふうにつくるかというのに約四年かけた、その後、いろんなチャンネルプランケースにつきまして数万種類のチャンネルプランをつくって、その中から最も関係者合意の得られるプランはどうか、そういう最適なプランを見出したというふうに聞いております。  もちろん、日本においてはアメリカと国情が違いますので右から左そのままというわけにはまいりませんと思いますが、私どもとしては、最適なチャンネルプラン関係者合意を得られるチャンネルプランという意味では、先ほど郵政大臣が申し上げました、改善改善を加えてというお話もございましたけれども、いろいろなケースについて検討し、広く合意を得られるようなチャンネルプランを求めることが必要なんではないか、かように考えておるところでございます。
  16. 野沢太三

    野沢太三君 自由民主党野沢太三でございます。  私は、NHKの取り組んでおられます国際映像放送に関して若干の御質問を申し上げたいと思います。  NHKにおかれましては、既に国際放送に関してはラジオ等を通して世界的なネットワークを展開しておるわけでございます。一九九〇年の湾岸危機の折、私は、イラクに人質の取り返しに伺った折にも、唯一の情報源短波ラジオによる情報でございまして、皆さん非常に乏しい情報の中で短波ラジオにかじりついて正しい情報を聞き取っていた、こういう思い出がございます。  九四年には放送法が改正になりまして、NHK必須業務として取り上げられるようになったわけでございます。特に、昨年から始められましたいわゆるNHKワールドテレビ、これはNHKテレビ国際映像放送としてほとんど全世界に向けて発信ができる、こういう状況が実現をすることになったわけでございますが、この放送の現状、何カ国に何時間くらいサービスができているのか、そしてこれはどのような技術的手段によって実現しているのか、そしてまた、その費用はどうなっているのか、これについて御質問を申し上げたいと思います。御説明願います。
  17. 河野尚行

    参考人河野尚行君) お答えします。  平成十年、去年の十月から、NHK世界の三つの衛星を使いまして百七十四の国と地域放送を出しております。その地域でパラボラアンテナとデジタル衛星のチューナーを使いますと放送が見えるわけでございます。  今世界で働いている日本人は七十八万人ということでございますが、その中の九八%の世帯をカバーをできるということでございまして、一日放送時間は十八時間でございます。今後ですが、四月からは放送時間を一時間繰り上げまして一日に十九時間の放送をいたしますし、十月からは二十四時間放送考えております。  それで、テレビ国際放送の経費といたしましては三十二・一億円を計上しております。
  18. 野沢太三

    野沢太三君 海外で働く日本人にとってはもうこれは情報の命綱とも言ってもいいくらいの大変な価値があろうかと思います。それからまた、明治以来、諸外国に移住されました日系人皆様も、一世から二世、三世、ところによってはもう四世、五世というお話まであるわけでございますけれども、この皆様日本の便りを聞くという中でこのテレビ映像というのはもうかけがえのない情報でございます。  その意味で、これがどのように受け取られているのか、活用されているのか、視聴率というほどまだ普及はしていないかと思いますけれども、これについて、おわかりの範囲で結構でございます、わかっているところがありましたらお願いしたいと思います。
  19. 河野尚行

    参考人河野尚行君) NHKテレビ国際放送は、できるだけ多くの人に見ていただくために、無料でノンスクランブルでございますので、実際に何人の方がごらんになっているのかはNHKの方では正確な数字は持っておりませんけれども、これを開設するに当たって、これまで千四百人近い人から問い合わせがございました。それから、モニターも二十人ほど世界で募集しておりまして、NHKテレビ国際放送がどういう見方をされているかはNHKとして把握する努力をしております。  これまでですと、ペルーの日系人のお年寄りからは、生きている間に日本ニュースが生で見られるようになったということは本当に信じられなく、大変よかったというふうなことでございますとか、ネパールでレストランを経営している人からは、日本語を学ぶカトマンズの学生にテレビを開放して生きた日本語の学習に協力しているというふうなこともございまして、いろんな意味でよい反応をいただいています。  NHKとしましては、これからも在外邦人とか外国人NHK国際放送をどういう形で聞いているのかという中身についても数についても把握して、一層国際放送充実したいというふうに思っております。
  20. 野沢太三

    野沢太三君 日系人皆様に対するサービス、これはもう大変意味はあるわけですが、同時にまた、日本に対する関心の深い諸外国皆様、商売上の取引とか、教育上の問題とか、あるいは観光を含めた関心であるとか、大変日本に対する関心がそれぞれの地域で深まっているというふうに受け取っているわけでございます。  そのためには、日本語放送するということがまず何よりも大事ではございますが、同時にこれを現地の言葉に吹きかえる、ラジオでは既に十数カ国の言葉に置きかえてやっておるわけですけれどもテレビでこのような手段を講じた場合、技術的な問題、費用の問題等あろうかと思います。また、字幕テロップを流すというような技術的な手段もあるやに伺っておるわけでございますが、この辺についての取り組みはいかがでございましょうか。
  21. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 現在のテレビ国際放送の場合は、NHKの「ニュース7」、「ニュース9」、それから経済を扱いました「経済最前線」という三つの番組、合わせて一時間五十分につきましては日本語と英語の多重放送をやっておりまして、これは英語でも聞けるわけでございます。  今先生指摘のように、字幕で英語をつけるという方法もあるんでございますが、これですと、放送が終わった後どんなに急いでも今の体制ですと二時間ぐらい時間がないと英語のスーパーがつけられない。そういう意味では生のニュースとしては若干不備だということと、それから、そのためには一日に三十分の番組でおよそ百万円程度の費用がかかるということがありまして、現在のところはなかなかそういうような理由でできにくいと。ただ、多重放送、音声によるサービスについては今後も充実していきたいというふうに思っております。
  22. 野沢太三

    野沢太三君 今重要な会議は同時通訳を入れて、今言った音声多重方式、こういった手段を活用することによってもう即座に情報が受け取れるということでありますから、今後ともひとつ工夫をしていただいて、そういった両方聞けるということが大変番組の厚みを増すことになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、私は、かつてベルリンの壁が破れましたときに、その直後に東ドイツに入った経験がありますが、あのときに、東ドイツのホテルのテレビはすべて西ベルリンの放送が全部入っている。もうどんなに当局者がこちらは天国、向こうは地獄と言ってみても、テレビはそれを全く逆な形で伝えていた。私はその事実を見まして、あの壁はテレビ電波が向こうから破ったんだなというイメージを受けたような次第でございます。  今私どもは、北方四島の返還についていろいろと努力をしておりますけれども、何よりもまず、毎日茶の間で日本とロシアとの交流ができる、特に日本情報が向こうに届くんだと、一緒にやってもうまくいけるんだというイメージを、そういう実感を持っていただくことが何よりも大事だと思います。  そこで、ビザなし交流その他でいろいろ実績を上げてきておりますが、日本放送がロシアの沿海州あるいはサハリン、北方四島でどのような受信状況にあるのか、この周りの皆様に対する配慮はいかようになっておりますか。まずNHKから御意見を伺いまして、その後、外務省からの御見解を伺いたいと思います。
  23. 河野尚行

    参考人河野尚行君) まず、北方領土に関してお話しいたしますと、ロシアのテレビ受信機というのはSECAM方式でございまして、NHKの方式、日本の方式とは違うんですが、現地に行った特派員等の報告によりますと、例えば釧路あたりで日本テレビ受信機を買っていって北方四島では見ているということもあるそうでございますし、それからBSのアンテナを立てて放送を見ていると。  どういうものが役立っているかというと、余りきめの細かい地域放送をロシアの方ではやっていないらしくて、やっぱり海に生きているということもあって、日本の天気予報が大変役立っているということでございます。それから、最近は中古の自動車を買っていっているものですから、むしろラジオNHK並びに民放の音楽番組等を聞いているということでございます。  それから中国に関しましては、昨年の九月、中国政府NHKワールドテレビとワールド・プレミアムを中国全土で配信することについては許可をいたしました。しかし、個人が外国放送を受けることは中国は許可しておりませんから、現実におきましてはホテルとか外国人に限られているそうですけれども、これまで二百ぐらいは既にパラボラもつけてチューナーをつけているらしいということでございます。  それから韓国ですが、原則としては日本番組の受信は禁止されておりますが、最近、金大中大統領はこれを時間的に緩和していくという方針だそうでございます。ただ、事実としては、かつて衛星放送が漏れるスピルオーバーについては非常に厳しかったんですが、そのためにNHKとしてはフットプリントを狭めて、しかも著作権等の関係で「NHK BS」というスーパーをしているんですが、現実としてはかなり多くの人たちがごらんになっている。  それから、ロシア、サハリンでもそのように伺っております。
  24. 野沢太三

    野沢太三君 そこで、テレビの受像方式等に違いはあろうかと思いますが、周辺諸国を含め、特に発展途上国あたりにはODAの予算を活用して日本衛星放送が見れるような配慮をしたらいかがか、かように思うわけでございます。  先ほどのお話のように、チューナー、アンテナ等があればもうどこでも受信できる、特にケーブルテレビの普及しているところではその基地局で受ければ全部の受信者に配信ができるということでございますので、これをぜひひとつODA戦略の柱の一つに加えていただけたらありがたいと思うわけでございます。  そして、その過程で、技術的な問題については両方の方式、PAL方式といわゆるNTSC方式、これらが両方受けられるような工夫が可能かどうか、このことも含めてひとつ御努力をいただきたいと思いますが、まず外務省からひとつ。
  25. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) このたびNHK映像国際放送の区域が拡大をすることになり、アフリカの一部を除きまして事実上全世界がカバーされるようになりました。大変に朗報であるわけでございます。  そこで、特に開発途上地域に対しますODAの活用の余地について検討をいたしました。まずアジア、中南米、中央アジア、欧州、中東の合計三十二カ国に対しまして大使館を通じまして調査を行ったわけですが、非常に多くの国におきまして大きなニーズがあると、意義が高いということが判明をいたしました。特に日本語普及、日本文化の普及あるいは日本からの情報発信機能、こういった側面を中心にいたしまして大変に有効な手段たり得るということが判明いたしました。  したがいまして、ODAの活用の余地があろうということでございますので、このたび、学校等の公的な団体、機関等を中心にいたしまして、ODAを活用いたしまして受信機材を供与する方向で対処していきたいと思っております。具体的には、今月、中南米のドミニカ共和国にあります二つの日系人団体に対しまして受信機材の供与を進めております。  こういう形でODAが活用可能であるということを海外に通報いたしまして、これからも具体的な要望に添いまして積極的に進めてまいりたいと思っております。
  26. 若林正俊

    ○若林正俊君 加藤委員に引き続いて、テレビ放送デジタル化についてお伺いしたいと思います。  テレビ放送デジタル化の流れは世界的趨勢でございます。日本でも衛星デジタル放送が二〇〇〇年から、地上デジタル放送が二〇〇三年から二〇〇六年にかけて順次サイマル放送として開始されると聞いております。その前にも一部のUHF帯のアナログ放送が別チャンネルに移行せざるを得ないという事情がございます。  これらのデジタル化に伴う設備投資というのは膨大な量になるんではないかと思いますが、それぞれについてどんな設備投資が予想されるのか、お伺いしたいと思います。
  27. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お答えいたします。  まず、衛星デジタル設備の経費といたしましては、総額で約百億円程度と見込んでおりまして、十一年度分につきましてはこのうち六十六億円を計上いたしております。  それから、地上デジタル設備の経費といたしましては、デジタル放送用の周波数チャンネルの割り当て、これが明確にならないと計画策定が大変難しゅうございますけれども、粗い試算ですと地上デジタル化経費は総額で約五千億円と考えております。  五千億円のうち、千五百億円がハイビジョン化を中心とする番組制作設備、カメラとかVTRとか編集機、中継車、こういったもののデジタル化経費、これが千五百億円。それから、番組表に従いまして放送を送り出す送出設備、つまりVTRをかけて放送を送り出す設備でございますけれども、これに五百億円。それから、放送を家庭に送り届けるための送信設備、これは鉄塔とか中継局、こういった整備にざっと三千億円と見込んでおります。  それから、デジタルならではの番組制作に要する経費でございますけれども、これは全体的な放送サービスの内容がまだ確定しておりませんので、検討中でございます。  それから、もう一点御質問がありましたアナアナ変換の経費、これもチャンネル変更等の影響につきましては、NHKの場合、全国に大変多数の局を抱えていることもございまして、検討結果をお示しするところまでに至っておりません。チャンネルプラン策定検討状況の推移を勘案しながら詰めていきたい、こういうふうに考えております。  いずれにしましても、対策経費についてはいろいろな影響世帯なんかの検討をあわせて試算していくことになろうか、こういうふうに思っております。  以上でございます。
  28. 若林正俊

    ○若林正俊君 今の御説明の中で、アナログ放送をいわゆるアナアナ変換で約十年ぐらいやらざるを得ないという部分、アンテナあるいはケーブルなど、アナアナ変換の部分については今検討中というお話ですが、おおよそどのぐらいの経費が予想されるんですか。投資が予想されるんですか。
  29. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) 先日、アナアナ変換につきましては郵政省の方から一定の試算が明らかになっております。それによりますと、影響世帯が、アナアナ変換を必要とする世帯が約一千万、それに対する経費がざっと一千億というふうに伺っております。
  30. 若林正俊

    ○若林正俊君 海老沢会長さんは、二〇〇〇年までは受信料の値上げはしないということを言明しておられます。しかし一方で、今お話がありましたように、衛星あるいは地上のデジタル化には膨大な設備投資が必要になってきます。こういう投資を経営面でどう回収していくのかということが経営上大変大きな問題だと思いますが、このことによって近い将来値上げをせざるを得なくなるんじゃないかというふうにも思うんですが、どうですか。
  31. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) アナログデジタル化するためには、今先生指摘のように、莫大な設備投資が必要なことはもう言うまでもありません。私ども公共放送としてできるだけ視聴者国民に大きな負担をかけないようにするにはどうするかということで、今経費の節減と自己改革を進めているところであります。そういう中で、やはり必要なものは必要としていろんな予算を計上しているわけであります。  これまでのラジオテレビの発達の状況を見ましても、テレビの場合は東京、大阪、名古屋圏あるいは四十七都道府県の平野部に七〇%の視聴者がおりますけれども、これまでに普及するのにやはり八年ほどかかりました。そして、全国に普及するには三十年という歳月を要しております。そういう面で、これから地上波をオールデジタル化するためにはやはりかなりの歳月が必要だろうと見ております。  したがって、これを急速に早くやる場合には非常に財政的には大きな負担がかかるだろう。ただ、市場原理に基づいた条件でやりますれば、年次計画を立ててやりますと、我々は自分たちの自主財源でできるだけ賄うように努力しなきゃならぬだろうと思っております。これを新幹線にたとえますと、やはりどれだけ地元が負担するのか、あるいはまた公的資金がそこに投入されるのか、それによってかなり条件が変わってくると思います。私ども放送事業者だけで急速に普及させていくことは非常に容易なことではないというふうに見ております。  それと同時に、今、酒井の方から説明しましたように、番組制作設備、いわゆるカメラとかVTRはこれまで既に千五百億の設備更新をしております。ですから、これは年次計画でやりますと、老朽化更新ということで我々の自主財源で賄うことができます。問題は、いわゆる各家庭に届ける送信設備が三千億かかってしまうということであります。  そういうことで、私は、できるだけ我々放送事業者が自主財源で賄うように努力するつもりでおりますし、これからの年次計画の中でできるだけ受信料を値上げしないように努力していきたいと思っております。
  32. 若林正俊

    ○若林正俊君 できるだけ自主財源で賄いたいというその気持ちは多としますけれども、今お話がありましたように、五千億を超えるような投資を急速に進めなければ、予定どおり二〇〇三年から二〇〇六年の地上デジタル化を進めるということは難しいわけです。それだけの膨大な設備投資には、受信料の値上げもあり得ると私は思うんです。受信料の値上げなくしてNHKの合理化だけで、努力だけで賄い切れないんじゃないかというふうに私は心配をしております。  そこで郵政省に伺いますけれども、この設備投資を二つに分けまして、アナログを十年間サイマルで同時放送しながらアナアナ変換をしていく部分については、これは民放の場合もそうですけれども放送事業者がみずから進んでそのような選択をするのではなくて、全体のデジタル化を進めるという方針に従いましてやむを得ず同時放送の形でアナログ放送を続けていく、デジタルもやらなきゃいかぬという負担をかぶるわけです。  そういう意味では、電波法七十一条は、命令があってのことですけれども、事実上はそういう変換を強要されるというようなことがありますので、七十一条の場合は国が全部負担することになっております。このアナアナ変換部分について国の方が相当部分といいますか、趣旨からいえば全額国が見てもいいじゃないかという声もありますが、そのことについてどうお考えか。  そしてさらに、その他全体を含めて、NHKデジタル化に伴う設備投資について、財源対策として郵政行政の面で特段の配慮を必要と考えているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  33. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  前段のお尋ねでございますけれども周波数アナログからアナログへの変換というのは、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたけれども、デジタル周波数を生み出すためのいわば前段の作業になるわけでございます。これがないとデジタル放送ができない。かつ、できるだけデジタル周波数を有効活用して少ない周波数の種類でやっていく。もう一つは、今アナログ放送を見ておられる視聴者の方々の視聴を確保しながらデジタル放送を実現する。かつ、いかにこの移行コストを小さくするか、三つないしは四つの命題を実現しなければならないわけでございます。  このために、まずデジタル周波数を見出すためのコストをいかに小さくするかということが大事でございまして、そのためにチャンネルプランをさらに改善する、あるいはアナログ変換のための作業をもっと合理的なものにするということを今進めているところでございます。  これについて国がどのように対応するかということでございますけれども、今申し上げた性格のコストでございますので、やはり国民の皆様の御理解の得られる、そしてまた合理的なコスト負担はどうあるべきかということをこれから考えてまいりたいというふうに思っている次第でございます。  それから、電波法七十一条の活用でございますが、これは確かにそのような法律がございますけれども、この周波数帯の変更について七十一条を使うことが果たして有効かどうか、十分研究してまいりたいと存じております。  それから、デジタル化設備投資のための支援でございますけれども、既に今まで全国十カ所でこの共同実験を通じてデジタル技術開発なりあるいは利用について支援を申し上げるということを進めさせていただいておりますし、これから十一年度予算でも御審議賜りますけれども、税制あるいは政策金融の面で全体のデジタル化投資の支援を申し上げる、このような施策を今考えているわけでございまして、引き続く十二年度予算に向けまして、さらに我々、国として何をやるべきか真剣に考えてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  34. 若林正俊

    ○若林正俊君 何かはっきりしませんけれども、私は、世界の趨勢でもありますし、また多面的なといいますか複合的な有効な電波利用ということを考えて、デジタル化を積極的に推進することに異を唱えているわけではありません。ありませんけれども、こうして急速にデジタル化を進めることに伴う負担受信料という形で安易に求めることについては大変疑問を持っているわけでございます。  そういう立場から、NHKが一定の規制のもとに広告料を得る、広告放送もやるということについてどうお考えかということをお伺いしたいと思うんです。  イギリスのBBCは広告をとっておりませんけれども、ドイツ、フランスの公共放送はいずれも二〇%あるいは七%といったような広告料収入経営に充てているわけでございます。  民間放送との広告料をめぐります需給関係というのもあるかもしれませんけれどもNHKが公共的な立場で許容されるような広告をとるということについて、郵政省はどういうふうにお考えなのか。また、NHKはどうお考えなのかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。もちろん、現行制度の上で認められていないことは承知の上でお伺いをしているわけでございます。
  35. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 先生指摘のとおり、NHKは今広告放送をしてはならないという建前になっております。財源論だけからしますと、確かに一つの案かと存じますけれども、やはりNHK受信料で成り立っておりますし、今のような広告放送いかんということになりますと、これは単に財源論だけではなくて我が国放送システム全体としてどうあるべきなのか、それからまた国民視聴者皆さん、それから今放送界を支えておられる民放の方々がどうこれを受け取られるか、相当広範に慎重に検討を要する問題ではないかというふうに考えております。
  36. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 御承知のように、日本放送体制は受信料NHKと広告放送の民間放送の併存体制で来ております。  御承知のように、日本受信料制度は非常に世界にもまれな、NHKの職員が一軒一軒回って集金するという、いわゆる公権力が働かないで受信料を集めているという例のないシステムであります。そういう面では理想的な放送体系だろうというふうに私は思っております。  これを崩して広告放送をした場合に、本当に日本の国民にとっていいのかどうか、私は非常に疑問だと思っております。御承知のように、ヨーロッパで広告放送、隣の韓国でもやっておりますけれども、やはり広告放送に伴って番組の質の低下を招く、あるいはいろんな問題がそこに発生する、そういうことで、私は弊害が多くなるだろうと見ております。  そういう中で、私ども性善説といいますか、国民との信頼の上に我々は成り立っているわけでありますけれども日本ではそういう国民と私どもの信頼関係が非常に定着し、そしてこの制度が年二%前後の伸びを見せているという中で、私はこの体制を今後とも堅持、維持していくべきだろうというふうに今自信を深めているところであります。そういう面で、広告放送はやはり日本にはなじまない制度だろうというように思っております。
  37. 若林正俊

    ○若林正俊君 終わります。
  38. 田中直紀

    ○田中直紀君 自由民主党の田中でございます。きょうは、海老沢会長わざわざ御出席をいただいておりますので、NHKを中心に御質問をいたしたいと思います。  いよいよ二〇〇〇年末にはデジタル化になるわけでありますけれども平成十一年度の予算におきましては、ハイビジョン強化策ということで大変会長も意欲的に取り組んでおられるということを伺っております。今後のハイビジョンの充実強化、促進についてお伺いをいたしたいと思います。  それからあわせて、ハイビジョンの強化の中で大変心配されますのは、来年末のBSデジタル放送につきまして、世界共通のいわゆる放送規格の問題でありますけれども、御存じのとおり、我が国におきましては、各家電メーカーはデジタル化の中で世界共通の規格を中心に販売していくということで、ハイビジョンがちょっと取り残されるというような世界的な傾向にあるという環境に立ち至っているわけであります。その辺の技術的な放送規格との関係、これはちょっと専門的なお話で恐縮でありますが、どういうふうに乗り越えていかれるのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  39. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 先生御承知のように、ハイビジョンは私どもNHKが一九六四年、昭和三十九年のオリンピック東京大会以来開発を進めてきた世界に誇る技術開発商品だろうと我々は自負しております。このハイビジョンのディスプレーというのはすべてデジタルでございます。ただ、当時デジタルの伝送部分がなかなか開発が進まなかったということで、ミューズという新しい方式で放送を始めたわけであります。その後、MPEG2という新しい技術ができて、いよいよ二〇〇〇年、来年十月一日からBSハイビジョン放送を始めることになったわけであります。  この間、私ども国際規格にしようということでいろいろ世界各国に働きかけたわけでありますけれども日本のハイビジョンが非常にすぐれた開発商品でありまして、アメリカ、ヨーロッパがそれぞれの国益をかさにして日本NHK開発したこの規格を阻止するといいますか、そういう動きでなかなか統一規格にならなかったというのが歴史的事実であります。  その後、アメリカもヨーロッパもこのNHKの方式をだんだん認めてきたわけであります。その一番いい例として、去年の秋にアメリカNASAのスペースシャトル・ディスカバリーに私ども開発したハイビジョンの一体化カメラが搭載されて、グレン上院議員初めブラウン船長以下七人のクルーが五時間にわたってハイビジョンで撮影し、放送した。その後私ども、アトランタ・オリンピックあるいはこの前のフランスのワールドサッカー等はすべてハイビジョンで放送し、世界放送業界の中でNHKのハイビジョンの鮮明さ、優秀さが再認識されたわけであります。  私は、これから二十一世紀のデジタル時代はハイビジョンが中核的な受信機、ディスプレーになるという確信を持って今世界的にその推進を図っているところであります。そういう面で、我々はもっと自信を持ってハイビジョンを普及、推進すべきだろう、そういうふうに思っているところであります。  技術的には長谷川から答弁いたさせます。
  40. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) ただいま先生からハイビジョンが世界標準規格にならないのではないかという御心配の向きでございます。  技術規格には二つございまして、電波の部分とそれからスタジオ規格と言っていましてカメラ、VTRとか、電波に乗せる前の規格と二つございます。  電波の部分の規格につきましては、各国の事情によって方式が違っておりまして、これはやむを得ないことでございます。ハイビジョンは、先ほど会長が申し上げましたように、今まで電波の部分はミューズというアナログ方式をとってまいりました。しかし、二〇〇〇年から始まりますハイビジョンについては、電波の部分だけがデジタル化になるわけでございます。したがいまして、スタジオの部分、カメラとかVTRとかそういうものは従来のアナログ時代のものをそのまま使えるわけでございます。  世界規格につきましては、現在欧米の放送事業者の中で協議が行われておりまして、ことしの五月にはITUで一〇八〇iという規格が高精細度テレビジョンとして統一の方向になるものだというふうに考えております。
  41. 田中直紀

    ○田中直紀君 ハイビジョンとデジタル化につきましては、専門的な分野もあろうかと思いますが、聞くところによりますと、我が国の大手の家電メーカーもやはり世界共通型を販売していくという姿勢が非常に強くなってきているわけです。二〇〇三年には世界で二千五百万台のデジタル化のものが販売ができるということでありますから、我が国におきましても、恐らく受像機はデジタル化の中でハイビジョンは取り残されるという状況に流れがなっていく。私は、ハイビジョンがしっかり着実に世界の受像機として広まっていくことは大変必要なことであるということでありますけれども、その辺がもう少し、来年は民放も出てくるわけでありますから、NHKのよさというものをしっかりととらえてハイビジョンに取り組んでいただきたいと思います。  ハイビジョンの問題でもう一つアナログハイビジョンをいつまで放送していくかという問題が報道をされております。当然今ハイビジョンの受像機を持っておられる方々に対しては責任があるということで、次のデジタル化までは継続してNHKは放映していくんだ、こういう姿勢でありますけれども、ハイビジョンは六メガヘルツでありますから、デジタル化になっていきますと新規参入の問題があるわけであります。私は、民放が出てくるとしても、デジタル化の中でもっともっと新しい新規参入というものを取り入れていくということから考えたら、早く私はアナログからデジタルに切りかえて、それも時期を明記して、そして視聴者に迷惑をかけないような形で、やはり供給の方の余裕に協力していくべきではなかろうかな、そういうふうに思いますが、会長、いかがなものでしょうか。
  42. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) ハイビジョン放送でありますけれども、ハイビジョンを普及させるためには、やはり値段が安くなる、ディスプレーを低廉化させるというのが一番の普及の促進だろうと思っております。そういう面で、私どもも、ソフトの方の開発も急いでおりますけれども、メーカーに対してもっと値段を安くするようにという働きかけをしております。安くなれば私は爆発的に普及するだろうと見ております。  二〇〇〇年の十二月からデジタル放送に入るわけでありますけれども、今アナログハイビジョンは百八十万世帯で見られております。私どもは、やはりこれを保護するということで、デジタルハイビジョンとアナログハイビジョンは同じ内容のものを放送するつもりでおります。そして、いずれにしても二〇〇〇年からはハイビジョンも二十四時間体制で、NHK単独でこれをやるつもりでおります。それと同時に、民放さんも六社これに加わるわけでありますから、そういう面で、七つの社がハイビジョンで放送しますれば、視聴者の方も安いいわゆる変換器といいますか、アダプターで変換できれば、かなりなスピードでハイビジョンの方へ転換できるだろうと見ております。  問題は値段を安くすること、操作を簡単にすること、そしてディスプレーも、またアダプターも安くなること、そして我々のソフト視聴者に魅力あるような豊かな番組提供することによって転換を早く進めるよう努力したいと思っております。
  43. 田中直紀

    ○田中直紀君 BSデジタル放送一つの条件といたしまして、データ放送ができるということがデジタル化放送事業者にとっての一つの大きな武器といいますか、視聴者にとってはメリットということになるわけであります。会長の御発言の中で、放送法の改正でデータ放送ができるようにお願いをしておる、こういうお話があるわけでありますけれども、この問題が一方であろうかと思いますけれども、既にデジタル化世界の潮流になっておるわけでありますし、今の技術の中で十二分にやっていけるわけであります。民放の方は当然五社工夫をしてきておるわけであります。  この改正法が前提であるというようなお話が少し先行しておるように思いますが、今の状況の中で、NHKがまず努力をされ、民放もいろいろな工夫をデジタル化の中でやってきておりますから、その辺の工夫をして、来年のスタートに間に合わせるようなことしの計画を発表されたらいいのではなかろうかというふうに思いますが、その辺はいかがなものでしょうか。
  44. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) デジタルのメリットはいろいろありますけれども、一番大きいメリットは、画面がきれいで音声が質の高い、いわゆる高画質高音質、それがハイビジョンであります。それといわゆるデータ放送、ハイビジョンのカメラとハイビジョンの受像器とデータ放送を組み合わせたもの、これが車の両輪だろうと私は思っております。ハイビジョンとデータ放送をうまく組み合わせてそして新しい放送サービス視聴者国民に提供することがデジタルの最大のメリットだろうと思っております。  そういう面で、私どもはもうここ二十数年来、データ放送については研究を重ねております。そして、非常災害のときとかあるいは選挙の開票とかいろいろ国民生活に役立つような、そしてまた非常災害があったときに国民の生命、財産を守るようなそういう情報データ放送としてデジタル時代になれば十分に活用できるだろうと思っております。  そういう面で、このデータ放送についても、いろいろな面で一般に公開しております、それをさらに私どもこれからPRに努めて、そしてデジタル時代にはこういう大きなメリット、国民の生活に役立つんだということをさらに推進していきたいと思っております。
  45. 田中直紀

    ○田中直紀君 私の分担の時間はほぼ終わりですが、御要望としてちょっと申し上げておきたいと思います。  NHKでは、デジタル化をにらんで、二〇〇三年までに埼玉県に映像保管施設ということで、今までの放送を初めとする、ラジオもそうでありますが、大変膨大なデータを保管される、こういう御計画であると聞いております。この点につきましては非常に期待をしておりますし、長年放送あるいは映像に貢献をされたNHKでありますから、大変貴重な資料も保管されるのではなかろうかというふうに思います。大いにこの施設を活用してこれから日本の文化をきっちりと保管していただくということだと思います。  一方で、デジタル化でありますから、データ放送にも活用されるということであります。書籍もそうでありますが、今桜木町にあると聞いておりますが、放送ライブラリーということで、NHKの御努力で貴重な資料がもっともっと一般に公開されるようなそういうスタートにこの計画をしていただければありがたい。著作権の問題、いろいろあろうかと思いますが、やはりNHKには大変重要な、我が国の歴史をつくった映像もあるわけでありますから、古い資料が中心になろうかと思いますが、できるだけ早く検討をしていただいて、一般の方々に公開をしていただけるようなそういう努力を会長さんにお願いいたしたいと思います。
  46. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私どもが保管管理しておる番組は、これは国民共通の財産と受けとめております。今、東京、鶴岡、浜松の三カ所に分散しておりますけれども、これをできるだけ早く一カ所にまとめて、埼玉県の川口のラジオ放送所跡地に二〇〇三年を目指して今設計を急いでいるところであります。そして、これをできるだけ国民に公開し、公開ライブラリーという形で活用してもらうように今いろいろ準備を進めているところであります。  いずれにしても、これから映像の資産というものは大いに活用する時代だろう、そう認識しております。
  47. 田中直紀

    ○田中直紀君 以上で終わります。
  48. 山本一太

    ○山本一太君 自由民主党の山本一太です。  昨日、小渕総理のお国入りに同行いたしました。小渕政権八カ月の中で、個性を失わず一つ一つ実績を積み重ねておられる同世代の野田聖子大臣に大きな期待を寄せつつ、まず、NHK放送倫理の問題について質問させていただきます。  テレビが取材の過程とかあるいは番組をつくる過程できちっとした基本姿勢を持たなければいけない、すなわち放送倫理というものを持たなければいけないということが極めて重要だということは申し上げるまでもない話だというふうに思います。社会的なメディアの影響力の大きさから考えて、この点を間違えると非常に大変なことになるというのは、先日のテレビ朝日のダイオキシン報道の問題からも明らかであるというふうに思っております。  昨年だったと思いますが、名前を間違えると大変ですが、東京の帝京大学のラグビー部員数名が婦女暴行の容疑で逮捕されるという事件がありました。実は、この事件に対する報道の姿勢をめぐって、先般、BRC、放送と人権等権利に関する委員会というのだそうですが、このBRCが審査の結果をまとめました。  それによれば、この事件に係る一部民放の報道には、容疑者の段階で犯人としての断定につながりかねない表現や顔写真の繰り返しの使用が見られ、放送倫理上問題があった、こういう結果が発表されたわけでありまして、これは放送事業者は重く受けとめていただきたいというふうに私は考えております。  これはNHK関係ございません。NHK関係ないと今海老沢会長も心の中で思われたかもしれませんが、しかしながら、これは人ごとではないと思います。それは、NHK公共放送として民放よりも重い責任を担っているからでございます。  それを踏まえた上で、NHKがこの人権等に対する配慮、人権やプライバシーの保護についてどのように取り組んでいるのか。特に、現場において放送倫理を徹底させるためにどういう取り組みをされているかについてお聞きをしたいと思います。  あわせて同時に、NHK、民放を指導する立場の政府郵政省としてこの点についてどうお考えなのか、野田大臣の方からも一言お願いしたいと思います。
  49. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生から御指摘がありましたように、テレビの社会的影響というのは非常に大きくなっております。そして、我々の責任もしたがって重いということはもう言うまでもありません。そういう面で、私ども常に放送倫理といいますか、相手の立場に立つ、いわゆる人権、プライバシーを侵さないというのが基本であります。  そういうことで、数年前に民放連とも一緒になって放送倫理基本綱領というものをまとめました。そのほか、私ども番組基準ハンドブックにいろいろ具体的に細部にわたって番組制作あるいは人権の問題についてまとめてあります。  それと同時に、やはりこういうものは下に浸透させませんと効果がありませんので、各職場ごとに放送倫理の委員会を設けてしょっちゅう勉強をさせております。それと、毎年十月には放送倫理強調月間ということで、これについては外部の先生方を招いて話を聞いたりあるいは外国のことを勉強したり、そういうこともしております。  我々は国民の信頼の上に成り立っている公共放送でもありますし、国民視聴者理解、支持がなければ我々の公共放送は立ち行かないわけでありますから、そういう面で、常にそういうことを心がけております。  ただ、私どもも人間でありますので、時々過ちを犯す面もあります。これはあってはならないことでありますけれども、常に自戒をしながら、おごり高ぶらず、放送倫理をきちんと守りながら公共放送としての王道を歩んでいこう、そういうことを常に心がけているわけであります。  今過熱した報道あるいは過剰な報道、人権を侵すような報道がいろいろ問題になっております。そういう面で、私どもはしょっちゅうこの問題については自戒をしながら、これからも国民視聴者意見に耳を傾けながら謙虚に対応していきたいと思っております。
  50. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 例えば取材とか番組制作過程について、放送法で何か定めがあるということではありません。しかし、大前提として放送は公共の福祉への適合というものが求められているわけであります。ですから、そういう本来のあり方に従えば、当然放送事業者におかれましては、今海老沢会長からいろいろ具体的なお話がありましたとおり、十分その指摘された点については配慮され、努力されているものだと考えているところでございます。
  51. 山本一太

    ○山本一太君 前も質問に立ったときに申し上げましたけれども、私は、NHKはドラマについてもニュースについてもドキュメンタリーについてもなかなかいい番組をつくっておられるというふうに評価をしております。ぜひ、今おっしゃったような取り組みを通じて、特に新しく入ってくる新入社員の方々に対する教育を通じて、人権の大切さ、そういうものの意識を持っていただくようにNHKにも要望を申し上げたいというふうに思います。  さて、先ほど野沢委員質問にもございましたが、私は、NHK映像国際放送に対する取り組みについては大いに評価をしているところです。  平成六年六月に放送法の改正があって、その中で映像国際放送についての制度がしっかりと確立をされたというふうに記憶しております。昨年はほとんど全世界をカバーできるようになったということです。さっき答弁をお聞きしていたら百七十四カ国でやっているということで、在外邦人のほとんど九八%の世帯をカバーできるという話がありました。ことしの十月からたしか二十四時間の枠に拡大するということで、これは野沢委員がおっしゃったように、在外邦人の方々あるいは日系人の方々に対するサービスということはもちろんですけれども、それよりも日本についての情報日本の文化を世界に向けて発信するということから考えれば、日本の国益のみならず国際社会に対する貢献も非常に大きいというふうに思っております。ぜひともここのところを進めていただきたいと思うわけです。  そう考えながらNHK予算をちらちらと見ておりましたら、国際放送関係予算というところに短波の国際放送映像国際放送予算がありまして、短波の方は随分国からの交付金が入っております。恐らく四割近い予算が国からの交付金だと思います。  これに対して、先ほどたしか御答弁で三十億ちょっとというふうにおっしゃいましたが、映像国際放送の方には国の交付金がほとんど入っていない、NHK独自の予算でやっているということがわかりました。これは、NHKの方で国営放送だというポジションに加えて、お金が入ることで命令放送的な要素が出て、特にアジアの国々なんかはいろいろ歴史問題等でなかなか微妙なところもあるので、文化侵略的なニュアンスが出ることをもしかしたら心配されているのかなというふうにも思ったわけです。  その点について、まずNHKの方から大体一分ぐらいで御答弁をいただきまして、その後、郵政大臣の方からこれについて政府としてサポートしていくような取り組みがあるかどうかを伺いたいと思います。
  52. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) ちょっと一分では舌足らずで誤解を受けそうで恐縮でありますが、御承知のように、短波のラジオ放送というのは、もともとこれは各国の宣伝放送として世界的に認められた、ITUで周波数割り当てを受けてみんな各国が公的資金あるいは国営でやっていることでありまして、全く映像国際放送とは異にした放送であります。  映像による国際放送、国境を越えたテレビというのはそういう規定は何もありません。各国、それぞれのところが国の資金なりあるいは民間なりあるいはいろんな業者が独自にやっている放送であります。  そういう中で、御承知のようにアジア各国、世界各国でも映像国際放送を国民に見せない、いわゆる遮断している国がかなりあります。アジアでも中国、韓国、マレーシア、シンガポール、イラン等は、外国人なりホテル等では許可制で見せておりますけれども一般家庭では禁じられる、そういう中であります。それと同時に、日本の場合は、第二次世界大戦という事態もあり、一時NHKのBS放送が韓国などいろいろなところにスピルオーバーした場合にも文化侵略的な言い方をされたという歴史的な背景もあります。  そういう面で、私どもは、アジア・太平洋放送連合という四十九カ国、百の放送機関が加わった放送連合というのがありますけれども、この中でも国境を越えるテレビに当たっては一つのガイドラインをつくって、アジアはそれぞれの多様な文化と歴史と宗教を持っている国でありますから、そういう面で、主権を侵さないようにという大枠のガイドラインをつくっております。そういう中で、私どもNHKは国から独立した、時の政権から独立した公共放送として高い評価を受けている。そういうことで今各国ともNHK国際放送というものを認めてもらっているわけであります。  国の予算が入った場合の反応はどうなるかというふうになりますと、非常に問題があるだろうということで、私は今政府の方から公的資金をいただく考えは持っておりません。
  53. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ということで、映像国際放送NHKにおかれましては自主業務ということになっております。でも、もし仮に今後海老沢会長の方から御要請があれば、郵政省としては御相談にあずかりたいと思っております。
  54. 山本一太

    ○山本一太君 大臣の簡潔な答弁、ありがとうございました。  それでは最後に、大臣にお聞きしたいと思います。  野田大臣は、大臣になる前から政治家としてバリアフリーということについて非常に情熱を燃やされていたというふうに記憶をしております。大臣になってからも郵便局のバリアフリー化とか簡保のバリアフリー化、公営宿泊施設は余りふえちゃうと困るんですけれども、しかしそういうことをずっと進めてこられたわけであります。  字幕放送についても大変NHK、国としても力を入れておりまして、免許制度を改正したり、いろんな取り組みをしていることを十分存じ上げております。この質問は前にも一度大臣にさせていただいたんですけれども、例えば、七割近くの番組に字幕放送を導入しているアメリカ、あるいは二割から三割導入しているヨーロッパに比べると、それでもまだまだ日本の字幕放送についての取り組みは不十分であるというふうに思うわけでございますが、最後に、それについて今後また郵政省としてどのように積極的に取り組んでいくかについてお聞きをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  55. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) バリアフリーに取り組んでおりまして、郵政省では郵便局、簡保の施設のバリアフリー、これは順調に推移しています。これはなぜかといえば、ユニバーサルデザインとかバリアフリーのいろいろなデザインが既にあって、そこからどんどん進められるということがありますけれども、字幕放送に関しては、ここの委員会でも何度かお答え申し上げたように、技術そのものがまだまだ大変だと。外国のアルファベットに比べて日本語の場合は漢字、平仮名、片仮名と本当に多くのキャラクターを使わなければならないという、その技術面のクリアが今一番最重要課題ではないかと思っています。  とはいえ、今先生指摘のように、放送法を改正する、または技術に関してはみずから研究開発をしていく、そういうことを引き続き努力して、とにかく皆様方の総合的ないろいろな御支援をいただきながらこのことについては推進してまいりたいと思っています。よろしくお願いいたします。
  56. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。
  57. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 私は、自民党の山内俊夫でございます。  海老沢会長におかれましては、第七十四回の放送記念日、大変おめでとうございました。また、御案内もちょうだいいたしまして、ありがとうございました。  そして、それとあわせまして、先週十九日だったと思いますが、第五十回の日本放送協会放送文化賞という大変すばらしい賞の贈呈式もあったわけでございますが、そのときに八名の受賞者の方々から大変すばらしいコメントをいただいておりました。女優の池内淳子さん、脚本家のジェームス三木さん、そして作家の杉本苑子さん、人形劇の須田輪太郎さん、放送技術的なものを開発しました長尾真さん、歌舞伎俳優の中村雀右衛門さん、そして東洋思想家でもございますし、また教育分野で大変放送との関係が深い中村元さん、そして私大好きなんですが、作詞家の星野哲郎さん、八名の方々の大変すばらしいコメントがあったんです。  その中で、ジェームス三木さんが大変すばらしいコメントを出されまして、私も非常に頭に残っております。放送とは送りっ放しだという話、コメントがありました。確かに、視覚、聴覚に訴えることには大変強いインパクトがある、嗅覚とか味覚とか触覚、そういった分野にはまだまだ及ばないけれども、そういった弱点もあるんだが、知らず知らずのうちに放送というのは人の心に入り込み、また人の心に教育をしているんだろう、社会的なやはりリーダー役も果たしているんじゃないか、大変気をつけていかなきゃいけないなというような意味のコメントがございました。  私も全くそのとおりだと思います。先ほど山本一太先生からもありました放送と倫理というような問題がありますけれども、今回、私は、教育と放送との絡みという形で少し質問をさせていただけたらと思うわけでございます。  NHKには教育番組を初め大変優秀な番組ソフトがあるかと思います。先ほど田中先生からも話がございました。私は膨大なすばらしい資料があるんではないかなと思うわけでございます。特に、一つ制作をしますには、「生きもの地球紀行」なんか大体四十五分で一千万ぐらい制作費がかかりますし、「元禄繚乱」、これ今放送されているのが大体二千八百万ぐらいかかっております。  それだけの膨大な費用をかけて、その番組ソフトが将来また再度教育現場にどれだけうまく還元されているかどうか、そういったものに対してNHKはどのように取り組まれておるか。特に番組のビデオ化、すばらしい番組、これはどうしても社会に訴えたい、若い人たちにこれは教育番組としてすばらしいよというようなものに対して、ビデオ化したり、最近では大変きれいな映像ができておりますからレーザーディスク化というような問題もあろうかと思います。多少著作権との絡みもありますけれども、そのあたりのNHKの取り組みをちょっとお聞かせいただけたらと思うんです。
  58. 河野尚行

    参考人河野尚行君) まず、教育現場で先生方が授業にお使いになる場合は、著作権的にいいまして複製をとって授業にお使いになるのはこれは自由でございます。そのために、NHKとしましては、来年度は教育テレビの深夜の時間帯に学校の先生向けを意識しまして、学校放送を中心とする番組をパッケージして送って、それを録画してもらって教室で使っていただくというふうなことを考えております。  しかし、これをライブラリー化するということは別でございまして、このことにつきましては著作権その他でそれはできないことになっております。  NHKとしましては、先ほどからお話が出ています川口につくる映像アーカイブセンターでは、そこで一般に公開をする、そういうふうなことを考えておりますし、それぞれ全国の放送局の中でも自分のところのつくった番組については公開をするように全国的なことも考えております。  ただ、これに当たっても公開用の著作権をクリアしなきゃなりません。しかし、これを一般に貸し出すといいますと、また貸し出すための著作権問題が発生いたしまして、例えば「生きもの地球紀行」のようなものをある種のライブラリーに貸し出すとすると、それだけで四十万円ぐらいの著作権料をクリアしなきゃなりません。自然番組につきましては、ほとんどNHKが著作権を持っているような番組ですけれども、音楽著作権とか出演者の問題とか、そういうものでございまして、やはり世界的にこれからは著作権が極めて大切になっております。  ですから、NHKとしてそれを外へ出す場合は、大切な受信料によってつくったものでございますから、一般的な公開をしたいと思っておりますけれども、ある程度の対価をいただくというふうになっております。
  59. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 確かに著作権の問題があろうかと思います。  NHK番組の中で、昔「シルクロード」という大変すばらしい映像をつくられました。これは、中国政府に対して事前に世界にこのソフトを売るのでと、契約の中身もそのようになっているというふうに聞いております。私も実はあの番組を見ながら、敦煌、トゥルファンの方まで行ってみたいなということで敦煌までは足を延ばしておるわけなんですが、そういったすばらしい映像というものは大変人の心に確実にしみ込んでまいります。  今現在、お答えいただきました著作権の問題があるんだと。確かに著作権の問題はあるんだけれども、その具体的な中身を一つ一つ取り崩しながら、人類のやはり財産だと私は思います。日本の財産だと思います。そういったことを踏まえて、その著作権を思い切って変えていく、そして一般の人が自由にビデオショップまたいろんな機関で見れるようなことを私はしていく必要があるんではないかなと思っておりますけれども、そのあたりもう一度お答えいただけますでしょうか。
  60. 河野尚行

    参考人河野尚行君) NHKとしましては、一般の方々に広く放送以外でもごらんいただくようなものにつきましては、ビデオ化とか出版化の努力はしております。そういう場合も、また別の形の著作権処理をして、権利を持っている人たちに著作権料をお払いしておりまして、今後、ビデオでも販売し、出版物でも販売して、放送とは違った形で御利用いただくようなことは工夫していきたいと思っております。
  61. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 確かに、今お答えいただいたわけでございますけれども、この著作権問題を思い切ってクリアしていく法改正も、これはやはり一般国民、またいろいろな業界にも働きかけて、今後NHKが持っている、国民から視聴料としてお預かりしたお金でつくっているわけでございますから、ぜひ還元をしていただきたい。  ただ、還元する場合、私はやはり受益者負担ということは今後の社会において当然必要だろうと思います。それは私も必要であれば自分の気持ちに忠実にいけば何万円であろうとも買おうという気になります。くだらないものは、私には興味のないものは買いません。それは選択の自由であります。そういった意味で、この著作権問題があってでも、国民にもう少し議論を広げていただく。  なおかつ、NHKさんも視聴料で運営しているんですが、このデータを見ますと副次的な収入が大体六十六億ぐらいになっておりますけれども、私はこれは十倍ぐらいになってもいいんじゃないか、その分だけ視聴料が安くなればいい、副次的なところでしっかり稼いでいただいてもいいんじゃないかと思うわけでございます。  教育との関係については、先ほどお答えが一部ございましたので、ぜひ文部省等と連係プレーをとっていただいて、NHKのすばらしいソフトをいろいろな意味提供していただきたい。  最後に、一つ要望を兼ねてお願いしたいのですが、朝の連ドラですね、一番私が印象に残っておりますのは「おしん」という番組でございまして、この「おしん」が今中国とか東南アジアでも大変受け入れられていて、これは感性にぴったり合っているんだろうと思います。  私なりに分析いたしますと、朝の連ドラというのはそれぞれの時代によって、例えば「ふたりっこ」ならば女流の棋士をテーマにした問題になっておりましたし、今やっているのは私は余り好きじゃないんですけれども。これは個人的な意見ですけれども。お酒屋さんをテーマにしたり、大工さんをテーマにしたりというような大変幅広いジャンルで、またスポットを当てながらNHKらしさを出しております。  今教育が大変荒廃をいたしております。では、教育の原点はどこにあるんだろうと私もいろいろ考えておりますと、実は、私の香川県の小豆島にありまして、ことしはちょうど壺井栄の生誕百周年ということで地元でもいろいろなイベントが組まれておりますけれども、朝の連ドラで半年間「二十四の瞳」を再度NHKでドラマ化していただければなと思うんです。  よく言われるんですが、地元の人たちも、何だおまえ、「二十四の瞳」はみんな知っているよと言いますけれども、実は地元の人さえも少し忘れかけております。あの「二十四の瞳」の中には本当に教育者と生徒の触れ合いというのが入っております。そして、やはり今の飽食の時代じゃないあの時代に、子供が一生懸命教育に向かおうとする、それを先生がサポートしていくという、どうも最近の教育現場に薄れかけたものがあると思うんです。あれを何とかやってほしいなと。  確かにドラマはわかっております。例えば今「元禄繚乱」もやっておりますけれども、赤穂浪士の話なんかは戦後、テレビでも映画でもそれこそ何十回もやられておりますけれども、わかっておりながら見るんですね。あれは何か日本人の心に訴えるものがあるという気がするわけでございますから、そういった意味から「二十四の瞳」でそろそろこの荒廃した教育現場に一つの光を当ててほしいなという要望を兼ねまして、ちょっとお答えをいただけたらと思うんです。
  62. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 「朝の連続テレビ小説」も三十数年私どもやっております。これも、今先生指摘のように、「おしん」とか今四十六カ国で放送された名作もありますし、またこれはなというもう一つ力不足の作品もあります。そういう中で、この四月から北海道を舞台に「すずらん」という番組制作しております。これは「おしん」に続くヒット作になるのではないかと期待されているわけであります。  いずれにしても、今こういう教育の問題、子供の心の問題がいろいろ問われる時代であります。そういう面で、私どもも去年から部内に少年少女プロジェクトという組織をつくって、二十一世紀を担う青少年たちの健全な育成を図るためのいろいろな番組をつくっております。  そういう中で、今「ドラマ愛の詩」ということで、いろいろな子供たちに考えさせるような番組をつくっております。この四月から教育テレビで毎週土曜日夕方六時台にそういうドラマをつくるつもりでおりますし、また、「朝の連続テレビ小説」、私も「二十四の瞳」を子供のときに見ましたけれども、本当に感銘深い、今でも目に浮かぶような名作であります。そういう面で、現場の方に先生の気持ちを伝えておきたいと思っております。  それと同時に、今、BS2で「おーい、ニッポン ○○県」というのをやっておりまして、この五月に香川県を生放送で十二時間ほど取り上げる予定にしておりますが、その放送に先立って映画「二十四の瞳」を放送してみようと今現場は考えているようであります。私はそれを見てまたいろいろ考えさせてもらいたいと思います。
  63. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 どうもありがとうございました。
  64. 岩城光英

    岩城光英君 午前中のしんがりを務めさせていただきます岩城光英でございます。  既に我が党の先輩方から大きな課題について質問がございました。私からは、昨年十月、決算にかかわって質疑をさせていただきました地域に身近な放送充実、そういった観点から引き続き今回も質問をさせていただきます。  初めに、平成十一年度の事業運営計画の中で、地上放送充実ということで六項目挙げられておりますが、その中のニュース情報番組の強化、そして地域放送充実、この二つの項目について具体的に御説明いただければと思います。
  65. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) やはり総合テレビは、国民に基本的な情報提供する、我々は総合波と呼んでおります。そういう面で、総合テレビというものは何かあったらば国民に見てもらうというチャンネルでありますので、特に力を入れているわけであります。  そういう中で、ニュース報道番組の強化につきましては、「おはよう日本」というのを朝五時からやっておりますけれども、土曜日は朝七時からでありましたものを、今度は一時間早めまして六時から一時間ニュースを増設することにしております。  それから、週間ニュース、一週間のまとめのニュースを是非欲しいという視聴者要望がありますので、これも土曜日の朝の八時半から九時十五分まで四十五分間、「NHK週刊ニュース」という時間を設けたいと思っております。もちろん何かありますればすぐ速報というのはもう当然であります。  それから、地域放送充実、これはますます多メディア多チャンネルになればなるほど地域放送充実すべきだということで、去年も首都圏は六時台から一時間ふやしまして五時台から七時台まで二時間やりましたけれども、今度は全国的に午後五時から七時までということで一時間増設することにしております。また、地域によっては午前十一時台を三十分ふやすところもあります。そういう面で地域放送も一時間ほど増設するということであります。  それと同時に、やはり地域情報を全国に発信する地域発全国放送というものも十一年度はふやしていきたい、そう思っております。
  66. 岩城光英

    岩城光英君 前回も申し上げましたけれども、全国のそれぞれの地域が個性を生かして魅力あふれる町づくりをするためには、情報の発信というのは非常に大事な問題だと思っておりますし、放送メディアの果たす役割は大きなものがあろうと思っております。とりわけ、全国的なネットワークをお持ちになるNHKさんの果たす役割が非常に大きいものがある、こう思っております。  そこで、公共放送としてのNHKですが、地域から見まして同じように扱われているかというと決してそうでもない部分がございます。例えば、NHKの総合テレビに限って申し上げますと、私のいる福島県ですと、全国ニュースの後に東北ブロックのニュースがある、その後福島県域のニュースになるわけですが、事一都六県、首都圏に限って言いますと、全国ニュースの後のブロックニュースが関東甲信越のニュースなんです。いわゆる福島県に相当するニュースが一都六県、首都圏、関東圏のニュース、こういうふうになっているものと思います。  この辺で考えますと、つまりNHKニュース番組の中では福島県と首都圏、一都六県が同じように扱われているというふうに受けとめざるを得ないわけでありますが、この点につきましてはいかがでしょうか。
  67. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 確かに首都圏の場合は大電力圏でございまして、各地域放送局に総合テレビの独自の波はないわけでございまして、東京からまとめてお伝えするというふうになって、先生が御指摘のように、福島県は他に比べては例えば昼のニュースなどのサービスは薄いということでございます。しかし、そのために、むしろ午後の五時ごろから七時までの二時間、大きな枠をとりましてその中でサービスをやっておりますし、特に昼前は、来年度からは一時間の生活お知らせ番組をつくりまして、その中では各地の、例えば前橋とか茨城、そこのアナウンサーが顔を出してやるというふうに、別の時間帯でその欠点はカバーして努力をしているところでございます。
  68. 岩城光英

    岩城光英君 工夫されている点につきましてはある程度理解できるわけでありますが、やはりニュースにつきましてはきめ細かな、それぞれの県、都ごとのニュースを図ることもまた地域の住民としての意気を向上させるためには効果のあることだと思っております。  と同時に、関連して細かい指摘で恐縮なんですが、これはニュース、それから気象情報にも言えることなんですけれども、例えば福島ですと、全国ニュースのアナウンサーと東北ブロック、福島県域のニュースのアナウンサーは当然違うわけです。首都圏ですと、大体、全国のニュースを担当されたアナウンサーが関東甲信越あるいは首都圏のニュースも担当される。例えばきょうの「NHKニュース おはよう日本」の中で、全国ニュースについては野村さんと道傳さんがアナウンスされましたけれども、関東甲信越のブロックのニュースあるいは関東地方のローカルニュースにつきましては道傳さんがアナウンスされていらっしゃいます。こういった点につきましてはどうお考えになりますでしょうか。
  69. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 確かに、朝の「おはよう日本」もそうですし、昼のニュースなんかも全中とローカルとが同じアナウンサーなんですが、ただ、全国放送を読んでいるアナウンサーはこういうニュースを読むアナウンサーの中でも選ばれたアナウンサーでありまして、その方にローカルの放送も続けてやってもらいたいということで御理解を願っておりまして、同一のアナウンサーがやることについては、これまでに視聴者から私どものところには、それほどけしからぬのではないかというふうな声は余り届いておりません。  それからもう一つ、例えば朝のような場合ですと、またそれなりに早朝三時ごろから別のアナウンサーが出てくるというようなこともございまして、やはり能力的にいって高いアナウンサーにはあわせてその時間ローカルもやっていただく、こういうことになっておりまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  70. 岩城光英

    岩城光英君 事情につきましては理解できないわけではありませんが、首都圏の住民の皆様方から見ればそれは当然のことなんですけれども、地方の人間から見ますと、なぜ首都圏のアナウンサーだけローカル番組も全国を担当するそれこそ優秀なアナウンサーが担当するのか、こういう違和感、疑問を感じることもこれもまた事実であろうと思っております。指摘だけにとどめたいと思います。  それから、次の質問は、地域放送充実ということでありますが、前回も質問させていただきました。県と県との境、ブロックとブロックとの境、この情報交換、情報提供につきましては、なお取り組んでいくということでの御答弁をいただいておりますが、平成十一年度はどのようにお取り組みになられますか、お伺いをいたします。
  71. 河野尚行

    参考人河野尚行君) ブロックとブロックの境のことについては、この前も委員から御指摘されたことはよく覚えております。ブロックごとはそれなりの歴史的な意味合いがあったんですけれども、便宜的といえば便宜的なことでございまして、NHKとしましては、インターブロックといいますか、隣の県同士のニュースはブロックを超えたものであっても十一年度は一層綿密に連絡をとって地域サービスに努めたいというふうに思っています。
  72. 岩城光英

    岩城光英君 先ほどもお話がありましたが、「NHK週刊ニュース」というのを新しく新設されるそうであります。これは四十五分の番組で、恐らく全国向けになるんじゃないかと思いますが、その中で例えば五分でも時間を割いていただけるなら、そういった私が指摘したような地域が全国に幾つかあろうと思いますので、そのニュースをお互いに放送し合うということもお考えいただければと思います。  それから、最後質問になろうかと思いますが、前回も申し上げましたことにかかわりますけれども、全国で数多くのロードレースとかトライアスロンの大会とか、そしてサイクリング大会とかが行われております。健康志向という観点からも多くの参加者がいらっしゃいますし、また、それを地域おこしにつなげている市町村もあるわけであります。これらを順番に「NHKのど自慢」のような形で取り上げて放送していただくこともまた地域にとりましては大きな励みになり、また、その地域の持つ特性、さまざまな特産物等のPRともつながっていくということで、全国的なネットワークをお持ちであるNHKさんでしかこれはできない問題かなとも思っておりますので、こういった私の提案につきましても、今後御検討さらにいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  73. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 先生指摘の、地域が隣接するところのニュースをお互いに交換するということについては、先ほどお答え申し上げましたようにこの一年努力してきておりまして、例えば福島ですと、一年間に五十二本ぐらいほかの東北ブロック以外からのニュースをとって放送しているということでございます。イベント、スポーツなどにつきましても、その地域ならではの非常に個性的なものについては、テレビニュースラジオのリレーニュースというのがございまして、その中で話題をとって全国に発信するようにしております。  それから、番組等でも、地域のブロック全体、ある県でなくてブロック全体についてはスポーツその他については放送をいろんなところで工夫してやっておりますが、ただ、若干難しい問題がございますのは、その地域の人たちにとっては大変意義を感ずる魅力的なイベントでも、そのほかの地域の人たちが同じように興味を持っていただけるかどうかというのがなかなか難しくて、発信する側と受け取り側というずれが若干ございます。そういう努力はいたしますけれども、そこのところがちょっと歯切れよくお答えができない。受け取る側の事情もありましたものですから、そういう意味で、見る側の立場とそれを発信する側の立場のバランスをとりながら、趣旨としては、全国各地でいろんな工夫したものを全国に発信するというのは確かにNHKの務めでございますから、そういう努力は今後もしていくつもりでございます。
  74. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  75. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通・情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 九七年六月に、電気通信審議会が「情報通信二十一世紀ビジョン」というのを答申されました。それによりますと、将来の通信関係の市場というのは恐らく十年で倍増するであろうというぐらい拡大を予想しております。さらに、市場関係者によりますと、放送というよりも今後はマルチメディアサービス化するであろうというようなとらえ方から、サービス関連収入がふえるはずだと。また、デジタル化が進むとソフトの多元的利用というのが広がるであろうから、二次市場も大きくなるはずだと。ということになると、二倍どころではないという強気の予想をされているところもあります。いずれにしても、メディアサービスが拡大方向にあるということは間違いないと思います。  そうした中で、NHKは現在はデータ放送が法律上認められないわけでありますけれども、これへの対応も含めて、例えば二〇一〇年のNHK像というのはどういうものなのか、構想とか青写真というものをお示しいただければありがたいと思います。
  77. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 本当に技術革新といいますか技術の発達は日進月歩、非常に激しい変化をしております。そういう中で、私どもは、新しい技術でありますデジタル化の推進にこれから本格的に取り組む所存であります。  二〇一〇年、あと十一年後どうなるかというと、見通しはなかなか難しいわけでありますけれども、いずれにしても私は二十一世紀はデジタル技術が中心になって、そのデジタル技術の中心は私どもNHK開発してまいりましたHDTV、いわゆるハイビジョンが中核になるだろうと思っております。ハイビジョンとデータ放送の組み合わせ、いわゆるハイビジョンとデータ放送を私は車の両輪というふうに申しておりますが、これがうまくかみ合って、本当に子供から高齢者まで、だれでもどこでもいつでも操作が簡単で安くこれが活用できる、そういう時代になるだろうと思っております。  今放送と通信が融合する時代、垣根が低くなる、そして通信のいろんなメリットが放送にも活用される、そういう時代になっておりますけれども、いずれにしても放送は不特定多数の方々に本当に簡単に安く活用できるというのが大きなメリットでありますから、そういう面で、このハイビジョンとデータ放送が一緒になって発達する、人に優しい放送といいますか、そういう時代になるだろうと思っております。  それに向けて、我々も放送技術研究所あるいは放送文化研究所を中心にハード、ソフト両面にわたって国民視聴者の生活に役立つような、そしてまた新しい文化が育つようなそういうソフト開発もこれからどんどん進めていかなければならぬだろう、そう思っております。
  78. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 郵政省お尋ねしますが、今のNHKデジタル放送に関してはもしやるとすれば法律の改正が必要である、そういうことになると思いますが、その検討は今どういう状態になっておりましょうか。
  79. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  NHKデータ放送を行う件につきましては、いろいろ社会的に御議論がございました。私どもの方針を、また皆様の御意見を伺うべく、今パブリックコメントをお求めしておりますけれども、方向といたしましては、やはりNHK役割からいたしまして、これまで同様にいろんな分野での技術的、先導的役割を果たしていただく、それからデジタル技術の成果をできるだけ広く国民の皆様に享受いただくということからすれば、NHKデータ放送を行うことは適当ではないかということで、今御意見を求めているところでございます。  したがいまして、今後、いずれまた関係法令の御審議を賜るかと存じますけれどもNHKデータ放送については今申し上げたような方向で実現できるような検討を進めているところでございます。
  80. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 郵政大臣お尋ねします。  十一年度NHK予算等につきまして、大臣は受信料に関して、「受信料の公平負担の観点から」「受信料体系の在り方について検討を行うこと。」という意見を昨年に引き続いてつけられておりますが、どのような問題意識で「検討をすること。」というのをつけられたのか、御説明いただけますか。
  81. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま御指摘受信料体系のあり方の検討につきましては、NHK経営の大もとをなす受信料体系については絶えずそのあるべき姿を検討いただきたいという趣旨から今回も付しております。  具体的には、平成十一年度におきましては、受信料免除措置の適用範囲の見直しをお願いしたいと考えておるところであります。
  82. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 NHKはこれに対して何かお考えがまとまっているとか、そういうことはありますか。
  83. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私どもは、今の受信料制度というものは、日本公共放送NHKと民間放送との併存体制というものを維持する上からもこの受信料制度を今後とも堅持、維持していきたいという考えであります。これを今改めて変える計画は持っておりません。  ただ、免除措置について、小中学校等の職員室並びに校長室について免除の解除をお願いしたい、そういう意見を持っております。
  84. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今のことに関連して、BSデジタル放送をスクランブル化したらどうかというような議論もあるようでありますが、NHKはそういうことをお考えになっていらっしゃるのかどうか。
  85. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) BSのデジタル化に伴ってNHKもWOWOWのように有料化しスクランブルをかけたらどうだ、いわゆる音声と映像を遮断して有料としてはどうだという意見がありましたけれども、私どもは、我々の根幹をなす受信料制度をこのまま維持していきたいということと、これをまた変えますと、日本放送体系そのものの抜本的な改組に当たりますし、まだそういう機が熟しているとは私は思っておりません。  それと同時に、今アナログ衛星放送の方は受信料でやっておりますし、デジタルの方だけ有料スクランブルをかけますと、非常に混乱も起こします。  そういう面で、いろいろ検討した結果、二〇〇〇年の十二月から始まりますBSデジタル放送については引き続き受信料制度でお願いしたいということを申し上げているわけであります。
  86. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 郵政大臣も今の方向でよろしいんでしょうか。
  87. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵政省として若干このことについて補足させていただきますと、NHKのBS放送のスクランブル化については、先生も御承知と思いますが、昨年末パブリックコメントを求めました。その中から、例えばBS放送全体の普及とか事業者間の公正競争、さらには受信者の公平負担というようないろいろな観点からの御意見が出されました。  それを受けまして、郵政省としては、BS放送全体の普及、事業者間の公正競争という観点からはBSデジタル放送開始される二〇〇〇年時点でのスクランブル化の実施は適当ではないということ、さらに、受信者の公平負担の観点からはスクランブル化以外の別の手段を使うことが受信料の性格からも望ましいのではないか、そういうことからスクランブル化は適当ではないと判断させていただきました。
  88. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 次に、十一年度予算案のうち退職年金についてNHKお尋ねいたします。  昨年の七月に、東芝とか日立あるいは本田技研というような日本の代表的な企業二十三社が、企業年金が積み立て不足であるという指摘をされた旨報道されております。金額で言うとおよそ三兆八千億円というようなことも言われて、その巨大さに驚いたような次第でありますけれども、民間の調査機関によりますと、これは前提の置き方によって違うわけでありますが、およそ数十兆円の企業の将来債務があるというような報道もあるわけであります。  この問題がクローズアップされてきた背景というのは、言うまでもなく年金財政の悪化、それから二〇〇一年三月期から企業会計が国際化されるというような中でクローズアップされてきたには違いないわけであります。もし隠れ借金があるとそれが企業の格付にも影響するというようなことから、それぞれの企業がこの手当てに大わらわというのが昨今の状況だろうと思います。  例えば、報道によりますと、住友化学は予定利回りを引き下げたとか、あるいは会社の利子補給をさらに引き下げたとか、給付についても下げたというようなことで健全化を目指した取り組みをやっているわけであります。これは住友化学に限った話ではなくて、いろんな企業で行われているというのは伝わってくるところでございます。  こういう対策が講じられるところはまだいい方でありまして、中にはどうにもならないということで事態の推移をじっと見ているというような企業もあるやに聞いております。もしそういうことになりますと、将来の年金受給権というものが保障されるのかどうかという懸念も出てくるわけであります。  そこで、そういう中でNHKの十一年度事業計画を拝見しますと、給与の中に二十二億円の減少という項目があり、福利厚生の中にその分がそっくり増額になるという内容になっているわけであります。  これは、お話を伺いますと、その範囲で企業年金の積み立て不足があるんでしょうか、それの補てんに充てるというように伺っているわけでありますけれども、現在のNHKの退職年金の予定利回りというのは何%で設計されているのか、あるいは将来債務に対する積み立て不足というのがあるのかどうか、あれば幾らあるのか、また、退職年金の財政健全化のために今回の措置以外にこれまでどういう措置を講じられたか、また将来にわたって何をされようとしているか。この辺について御説明いただきたいと思います。
  89. 松尾武

    参考人(松尾武君) 先生指摘のように、社会の低金利時代でございまして、ここ数年NHKの年金についても利差損が生じております。  予定金利でございますけれども、七・〇から変更いたしまして、五年前に五・五にいたしました。ただし、現在は三・五ということで計画を変更しております。  こういう計画を変更することによって当然利差損が生じてまいります。その部分につきましては、従来から計画的に予算措置で償却等を講じておりまして、十一年度予算におきましても、先ほど先生指摘ありましたが、十年度比で二十三・五億の予算を計上しております。  総体としては株価の動向に大変微妙に影響してまいります。したがって、現在の時点では全体の評価額は数百億円ということでございますけれども、株価が上がりますとこれは一気にまた解消してしまうという大変流動性の強いものであります。  したがって、今後も年次計画ごとに差損が生じないように具体的な数値で検討をしていきたいというふうに思っております。年金財政の健全運用ということに努めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  90. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 もう少し丁寧に説明していただきたいんですが、会計の国際化が適用されますと、積み立て不足は表に出さなければなりません。現状において幾らあるんですか、それからそれを解消するためにこれまでどういう手を打たれたのですか、これからもしできた場合にはどういう手を打たれるんでしょうかと伺っているんです。
  91. 松尾武

    参考人(松尾武君) 現在試算しております額はトータルで八百七十億円であります。これが債務、要するに必要な年金基金、NHKで計算しますと大体三千億円ぐらいないと利息だけで運用することが難しい。その差額が八百七十億円であります。これを年次ごとに十年で償還をしようということで現在計画を進めております。  これは差損のこととはちょっと事柄を異にいたしまして、要するに年金の基本的な基金が一体幾らなきゃいけないかという、先ほど言いましたように、その時代とともに利率の問題等々で必要な額ということでございます。ですから、必要な額は、その時代によって違いますが、大体三千億程度ということでございますから、その差額分が現在不足しておるということになります。  以上でございます。
  92. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 この問題はいろいろな仮定、前提があってのことですから、余りこれ以上深入りしないで次の問題に移らせてもらいます。  人材育成と企業のスリム化の問題についてNHKお尋ねします。  先日、「放送文化」という雑誌を読んでおりましたら、教育テレビの目指す方向という記事が載っておりました。大変啓発されるところがございましたが、この中でデジタル化時代に向けての準備ということについて意見が述べられており、双方向性には二つの意味がある、一つ視聴者の参加、もう一つ情報を蓄積しておくという意味でアーカイブ化だと。それから、専門領域を体系的に把握し、しかも新しい才能を内外で発見できる目ききの存在、総合プロデューサーの存在というのが大事なんだと、こういう御意見を述べられておられまして、私も大変感服いたして読んでおりました。  ところが、ことしの一月十日の日経新聞ですが、これはNHKとは関係のないことなんですけれども、「経営を拓く」というコラムがございまして、ここに氏家民放連会長の懇談記事が載っておりまして、ちょっと気になりました。  テレビは一%視聴率を上げれば見る人が百万人ぐらいふえる、優秀な番組ディレクターが二、三人いれば売り上げが変わる、しかし半面、四十五歳を過ぎると当たる番組をつくるのは難しい、日本ではレイオフはできないんだと、こんなことをおっしゃっておりました。コマーシャリズムの立場から言えばそうかもしれませんけれども、私は、企業の社会的責任とかを考えると、おっしゃっていることがちょっと違うのかなというようなことを感じた次第であります。  そこで、NHKお尋ねしたいのは、本当に四十五歳限界説というのがあるのか、それから経営のスリム化、今回も百九十人の人員削減をされたということでありますが、どういう考え方で実施されたのか、その辺をお尋ねします。
  93. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私ども報道機関であり、また番組制作する企業体としては、やはり人間が財産であります。豊かな経験と感性を持った人材が必要であることは言うまでもありません。先ほども野田大臣と人間は年齢でなく感性だという話をここでしたわけですけれども、いずれにしても、個性豊かで専門性を持った人材をどれだけ確保できるかというのが一つの企業の存立にかかわる問題であります。そういう面で、若い人の感性も必要でありますけれども、やはりベテランの経験なり積み重ねも大事であります。  そういうことで、私は、こういう放送産業については年齢は関係がないというふうに見ております。私どものいろいろ番組に携わっている第一線は五十代後半、六十過ぎでも現場で頑張っております。そういういろんな人材をどういうふうに我々が活用するかということにかかっているだろうと思っております。  それから、十一年度百九十人の人員の削減をしますけれども、私ども、現場で実際に報道に携わる者、番組をつくる者についてはほとんど減らしておりません。いわゆる管理する部門を中心に減らしているということであります。  それと同時に、今年間六百人から七百人の定年退職がありますけれども、これを全部補充するわけにいきませんで、年間三百人ほど採用をしております。三百人以上採用しますとどうしても人材のばらつきがありますので、我々の長い経験で三百人の採用がやはりいい人材を採る限界だろうと見ております。  そういう中で、関連会社の育成とか、あるいは外部プロダクションなり外国のEMソフトの購入とか、いろいろそういう工夫をしながらバランスいい番組編成をしておるということであります。  いずれにしても、人材の育成というものが我々の一番大事にするところであります。
  94. 本田良一

    ○本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一でございます。  午前中は自由民主党先生方から大変突っ込んだ内容の質問がありましたので、私たちのところに来ますときは相当ダブったり、内容が薄っぺらになったりしております。また、今の寺崎委員質問も私の質問を少し侵しましたし、これから私より後にされる方は英知を結集してひとつお願いします。  まず、放送法。  NHKというのは私などは身近でございますけれども、今回質問をするに当たりまして最初に放送法を読んでみました。さすがNHKだなと思いましたのは、第一章総則の一条一項三号に、「放送が健全な民主主義の発達に資するように」というくだりがありまして、私は、これはNHKの今まで果たしてきた役割とかそういうことを考えますと、本当にすばらしい精神が織り込まれているなと思いました。  そこで質問をいたしますが、世論調査、まず今回この質問をするに当たりまして、世論というのはヨロンと言うのかセロンと言うのか放送皆様方に聞いてみました。どちらをとってもいいということでございましたから、私はヨロン調査ということで言わせていただきます。  この世論調査は、放送法第四十四条の二項に言う調査とそれ以外の世論調査があります。特に四十四条二項は、「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、」「その結果を公表しなければならない。」とあります。この四十四条二項の世論調査とそれ以外の世論調査調査事項はだれが決定をして実施されるのか、協会の判断のみでこれまでやってこられたのか、この二つの内容を一部御紹介いただきたいと思います。
  95. 河野尚行

    参考人河野尚行君) NHKの世論調査には幾つかの種類がございますが、いずれにしても、NHK内部から広く項目等の提案を求めた上で、放送文化研究所で検討しまして、研究所の所長が決定をしております。
  96. 本田良一

    ○本田良一君 内容は省略をされたようですが、四十四条の二項というのは、六月の「全国個人視聴率調査」あるいは十一月の「全国個人視聴率調査」とか、「デジタル時代の視聴者」という調査を過去やっておられますね。それから、それ以外の世論調査は、放送意向調査で「幼児視聴率調査」とか「教育テレビに関する調査」、「好きな歌手・タレント」、「メディアと中学・高校生」とか、政治的には、総合世論調査の中で「京都府知事選挙調査」、「衆議院熊本一区補欠選挙調査」とか、編成世論調査では「政治意識電話調査」とか、こういうものがあるようでございます。  そこで、今のお答えでは、NHK皆様の組織の中でこれを決定しておられるようでございます。それで、これからの時代に対応するのには、情報というのはいろんなさまざまな時代の要求によって変わっていきます。やはり自分たちだけでは案外気づかない面がいっぱいある。だから広く世論調査に当たって、国民あるいは視聴者の声を聞いた、反映した中で決定していかれるということをお願いしたい。  先日、「クローズアップ現代」で悪徳弁護士のことを取り上げておられました。これは大変勇気あるNHKの行動でもあった、報道でもありましたが、本当にこういう悪徳弁護士というのは現実に今、日本の中で多く存在をしております。だからこれにメスを入れていただいたというのは、非常に私は世論の反映ではなかったかと思います。こういう報道をされるときも、十分な世論調査をしておられたら、それだけ自信を持って国民の期待にこたえる報道ができると思いますから、積極的に多くの声を聞いてやっていただきたい。  その場合に、特に今からはインターネットの時代ですから、ホームページなどを開設して、世論調査だけの聞き取りなど、情報収集、こういうことをひとつやっていただきたい。これについてお考えをお聞かせください。
  97. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生指摘のように、世論調査というのはその時々の国民の意見といいますか、鏡のようなものだと私は思います。そういう面で、私ども、中央放送番組審議会なり各地方放送番組審議会、あるいは視聴者会議とか、いろいろなそういう機関があります。あるいはいろいろ投書も寄せられます。そういう中で、国民からこういうものを調査したらどうかとか、いろんな意見が出てきております。そういう意見参考にしながら、現場で文研の方に要請をして調査するというのが大半でございます。去年来、青少年の問題が大きく取り上げられましたので、早速去年の十一月に「メディアと中学・高校生」というような世論調査もし、これを発表し、番組参考なり、いろんな面でさせてもらいました。  そういうことで、その時々の大きな社会問題なり関心事について我々は直ちに世論調査をして国民の意向を聞くと、そういう体制でやっていることを御理解願いたいと思います。
  98. 本田良一

    ○本田良一君 会長の答弁ありがとうございました。  それで、私から要望と申しましょうか、例えば女性の起業家、これから産業のいろんな分野におきまして女性の声というのも重要と思います。先般、郵政大臣にも御質問をしましたけれども、女性起業家の現状と展望とか、あるいは新産業政策の特にベンチャー、これはNHKで一度そういうベンチャー企業の報道があっておりましたが、さらにこれからの産業政策上これをもっと追っていただければということで、新産業政策の現状と展望とか。それからもう一つは、後で質問もいたしますが、ワールドカップ世界大会の放送権料、例えば五百億もするワールドサッカーの放送権を国民がNHKに求めているのかどうか、そういう調査どもできればお願いしたい。  それから、既にアメリカはなっておりますけれども、これからのインターネットの時代に、日本は大変こういう点ではまだおくれております。これからのインターネット時代を担うのは小学生、中学生、今から育ってくる生徒たちでございますから、現状、教育部門における現場でのインターネットの普及はどうか、パソコン一台が渡っているかどうか、あるところもあるけれどもないところもあるとか、あるいは、例えばパソコンを教育機関に置いた場合に、東京都とか大阪府などは、悪い情報が子供たちに渡るのでインターネットのパソコンなど使用をしない方がいいとか、そういうおかたい声もあるようです。しかし、これからの時代はそういうことでなくて、やっぱりインターネットに対応できる子供たちの成長が重要だと思いますから、そういう点をひとつ世論調査でやっていただければと思います。  次に移りますが、先ほどの寺崎委員質問と案外一致すると思いますけれども地上放送を今後いかに達成していかれるのか、大体時台ごとにわかればそれを説明いただいて、あとのお願いをしたいと思います。
  99. 河野尚行

    参考人河野尚行君) デジタル時代、まず最初に衛星によるデジタル放送が始まるんですが、CSを含めまして今のところ何百チャンネルになってもこれは全国一律でございます。  そういう意味からいいますと、全国五十四放送局を持っているNHKとしては、そういう時代であればこそ地域社会に真正面から向かった地域サービスを一段と充実していきたいというふうに思っております。例えば教育問題もそうですし、雇用の問題とか環境の問題、すべて全国一律の問題であると同時に地域社会固有の問題であります。ですから、地域社会できめ細かいサービスをぜひやっていきたいと思っています。  それから、NHKの使命は、何かあったときの緊急報道が最も大きい使命だと思っています。ふだんからそういうふうに地域社会に目を配っていてこそ初めて緊急報道対応もできると思っておりますから、デジタル化時代はまず我々としては地域放送をより一層充実させる。  それから、地上デジタルになりますと、データ放送を含めてよりきめ細かいサービスができるものというふうに思っております。
  100. 本田良一

    ○本田良一君 私の質問は、そういうことをちょっと数字的に言っていただきたかったわけです。例えば、九八年は十七時台、九九年は十七時台ですか、そういうことを地域で達成していかれるという大体の年次計画があるようでございますから、そういう点を聞きたかったんです。
  101. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 例えば、総合テレビですと現在多くの放送局は十八時台を地域放送局の時間帯としておりますが、十一年度からは夕方の五時から七時まで二時間枠をたっぷりとってそれを地域の時間帯といたしますし、それから午前中の、昼のニュースの前の時間もございますが、この時間帯もふやしながら生活情報その他を伝えるということが一点でございます。  それから、地域から全国に発信する地域発全中の番組もより一層充実させる。それはスペシャル、特別な番組もそうですけれども、定時番組として地域発全中番組をより一層充実する、そういう方向でいきたいと思っております。
  102. 本田良一

    ○本田良一君 ありがとうございました。  しかし、今のようなことを達成していかれる場合、技術的、経験的面からやはり報道というのは要員の確保というのが一番重要だと思います。だから、これは労使問題のことにもなりますが、十分NHKの中で労使理解のもとにこれをひとつ今後達成していかれるようお願いしておきます。  次に、公共放送のユニバーサルサービスについてお伺いをいたします。  まず、NHKではユニバーサルサービスを、つまり公共放送の理念を「あまねく」としていますが、この理念達成について今日までどのようにしてこられたのか、お伺いをいたします。  「あまねく」ということは、当初は、まず画面の質はともかく、全国にあまねく放送をし受信をさせるという情報享受そのものの格差是正の達成にあったと思います。しかし、今日はBS時代を迎え、ほぼこれを全国に達成をされました。今後、放送番組の多様性と質を問うためのあまねくの時代になるんではないかと思います。デジタルの時代にユニバーサルサービスのあまねくがどう達成されるかお伺いをします。  午前中、相当これは質問を深く突っ込んでいただいておりますが、デジタル化の問題は後で法改正の審議の中で詳しく郵政の方の御意見を聞きたいと思いますので省略をいたしますが、今のデジタル時代に備えるユニバーサルサービス、これについてお答え願いたいと思います。
  103. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お答えいたします。  御指摘のとおり、NHK放送法によりましてあまねく受信できるよう、あまねく普及義務が課せられております。  テレビにつきましては、御指摘のとおり、昭和五十九年の衛星放送開始によって全国普及が達成されたものというふうに考えております。それから、ラジオについてもほぼ全国的にカバーされていると考えております。  私どもとしては、放送デジタル化に当たりましても、この普及義務は変わらず、そのための環境を整備していく、特に、地域的なあまねくというだけじゃなくて、放送の質、そこのところ御指摘のとおりでございまして、そこのところを特に力点を置いてこれから図っていかなきゃいけないんだろうと。特に、デジタル時代にはサービスの選択肢が拡大して、地上放送、BSそれからCS、CATV、インターネットと実にさまざまな伝送路を通して情報番組に接することになると思うので、その辺の特に質的なところを重点的にこれから取り組んでいかなきゃいかぬ。また、それに接する機会を確保していくことが極めて重要だと。  そこで、私どもとしては、アナログ放送と同様に、全国津々浦々でNHK放送が受信できるように送信ネットワーク整備するとともに、人材育成にさらに力を注いで番組の質の強化というものに力を入れていかなければいけないというふうに思っております。
  104. 本田良一

    ○本田良一君 ありがとうございました。  次に、NHKの知的技術の産業貢献についてお伺いします。  NHK報道が専門ですから、これで産業貢献とか受信料をいただいていてそういうことはという頭にひらめきがあると思いますけれどもNHK技術というのは社会の産業に寄与する、そういう面も十分持っていると思いますからお尋ねをいたします。特に、NHKの知的技術の現状についてお伺いをします。
  105. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) お答えいたします。  知的現状、特許について具体的に申し上げますと、十年度末で私どもが持っております国内外の特許件数は千五百件ほどございます。特許収入といたしましては、平成九年度におきまして約一・五億というのが実績でございます。  それから、産業応用ということでございますけれども、産業応用で特に最近顕著なのは、ハイビジョンの技術というふうに理解しております。これには、医療診断への応用、それから美術館への応用、それから宇宙関係の応用というものがございます。宇宙につきましては、最近では「すばる」の天体望遠鏡にハイビジョンの高感度カメラをつけまして非常に深い宇宙の星座の模様などを観測いたしまして、天文学的な研究の面及びそれを放送いたしまして一般皆さんから大変御好評を得ているところでございます。  私ども放送技術が産業にどのように貢献したかという点では、一つの例だけ申し上げますと、衛星放送が現在千三百万台に普及しております。これは放送を通して結果的に受信機の普及等産業に貢献したものというふうに理解しております。  以上でございます。
  106. 本田良一

    ○本田良一君 先ほど出ましたけれども、特にハイビジョンという公称そのものが、今は民間ではハイビジョンとは言わないし、午前中もありましたが、こういうものの公称そのものも、やはり積極的に世界の標準化するのに努力をするとか、ITUで努力をしていくとか、そういうことを今後ひとつ心がけていただきたい。  それと、一・五億円という特許の量は非常に私は少ないと思います。もっとやはり特許申請そのものを積極的にやっていかないといけないんではないかと今率直に数字で感じました。  時間が来たようですから、本当はあとNHKワールドテレビ料についてとか、これからの番組制作についてとか、さっきのワールドカップ、それからNHK放送資料の保存と公開使用による社会貢献、これだけあったんですけれども、時間ですので省略いたします。
  107. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党の内藤正光でございます。  時間も大分迫ってまいりました。端的な答弁をお願いしたいと思います。  実は私は二歳六カ月の子供がおりますが、その子供も毎日のように「おかあさんといっしょ」を楽しみ、そして私自身も毎週日曜日は「元禄繚乱」を楽しませていただいております。  NHKは本当に良質な番組提供をし、その一方でデジタル放送だとか字幕放送などさまざまな研究開発に取り組まれていらっしゃる。さらには、平成二年度以降実質的な値上げを一切せずに健全な経営を続けられており、私は、これは海老沢会長以下NHK職員の皆様の大変な努力のたまものであると大変評価をしているところでございます。  こうした評価をさせていただいた上で、幾つか予算案と事業内容について質問させていただきたいと思います。  まず、地上波テレビ放送デジタル化、いわゆる地上デジタル化について質問させていただきたいと思います。  それにかかるNHK費用、午前中の答弁で五千億円だとお伺いをいたしました。この五千億円がどれぐらいの規模の金額かといえば、NHK予算総額が六千三百億円、そしてそのうち建設総額が七百億円弱、これらを比べ合わせてみますと五千億円が大変な金額だということがわかるわけですが、実際NHKといたしましては、どのようにこの費用を捻出されようと考えているのか、簡単にお答えいただけますでしょうか。
  108. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 五千億の内訳をちょっとおさらいさせていただきますと、三千億は一般視聴者、御家庭に電波を送るための費用でございます。  それから二千億、二千億のうちの千五百億は実際番組をつくるためのカメラとかVTR、そのための機械の更新といいますか、我々老朽更新と言っておりますが、これが千五百億です。この機械は今三千億ぐらいのあれがありまして、これまでに既に千五百億の資金で老朽化更新ということで今デジタル、ハイビジョンのに置きかえました。あと千五百億をこれから年次計画でハイビジョン、デジタル化へ持っていきたいと思います。これはこれまでの経験で自主財源で賄うことができるだろうと思っています。それから、五百億は各放送局、五十四の放送局から地域向けの放送をいたしたり、いわゆる送出の機械、これをデジタル化するために五百億必要、これも自主財源で賄うことができるだろうと思います。  問題は、いわゆる送信の三千億であります。三千億のうち東京、大阪、名古屋、いわゆる四十七都道府県の県庁所在地、全体の七〇%をカバーしますけれども、この費用が一千億であります。この一千億は、我々で今四百五十六億の財政安定化資金を持っております。それといわゆる建設予算といいますか、これで賄うことが私はできるだろうというように思っておりますが、問題は、日本の場合は山間僻地といいますか、非常に山の奥まで電波を届けなきゃならぬ。この費用が、わずか三〇%をカバーするために二千億の資金が必要だ、この資金をどうするかが一番の課題だということを申しているわけであります。  これをこれまでのように三十年ほどかけてやれば借入金とかそういうことで賄うことができますけれども、これを十年とかもっと早い段階でやりますと、NHK資金では非常に苦しいなというのが実態であります。そういう面で、それをやるために何かいい知恵はないかということで、これから実際にチャンネルプラン周波数が確保された段階でもう一度その辺を練り直してみようと思っているわけでございます。  もう一つは、今NHKと民放が両方並立してやっておりますけれども、民放と同じ施設を使うとかそういういろんな工夫がまた出てくるんではなかろうか。同時にまた、技術革新によってもっとこれが安くできるかどうか、その辺の研究開発も進めて、私はできるだけ自主財源でやっていく方向で検討しておりますけれども、そういう難しい面があるということを御承知おき願いたいと思います。
  109. 内藤正光

    ○内藤正光君 いろいろ工夫をされていることがわかりました。  そこで、その費用の捻出に関して何点か私なりの指摘をさせていただきたいと思います。  まずお伺いいたしますが、平成十一年度のBS受信世帯並びに契約件数、それぞれお答えいただけますでしょうか。
  110. 芳賀譲

    参考人(芳賀譲君) 平成十年度末で九百四十六万件の契約が獲得できるというふうに踏んでおります。十一年度につきましては、これに七十万の目標を持ってやっていこうというふうに考えております。そうしますと、普及がおよそ千三百七十万ぐらいのところになるんではないか、こういうふうに考えております。
  111. 内藤正光

    ○内藤正光君 受信世帯が千三百万、実際に契約しているのが一千万ちょっと、なぜ三百万の開きがあるんでしょうか。
  112. 芳賀譲

    参考人(芳賀譲君) 先生指摘のとおり、受信料を唯一の財源としていますNHKとしては、受信料の公平負担それから受信料収入の確保ということから、全力を尽くしてきているわけでありますが、この衛星放送の普及と契約数の乖離であります。  これは、衛星受信者の発見、把握、それからこの方々にお会いをする、そして契約をしていただくということに時間を要しているためでございます。今衛星放送の普及は全世帯の三〇%程度でございますから、受信者は点在をしておりまして発見の効率が低うございます。特にマンションとかケーブルテレビでございますが、これはそれぞれアンテナをつけておりません、共同アンテナになりますから、外見上発見が困難でございます。それから、プライバシーの問題等もありまして、ケーブルテレビの事業者さんから加入者の情報をいただくこともできません。したがいまして、一軒一軒訪問してお客様から直接お聞きをするということになります。それから、お客さんにお聞きしたいと思いましてもなかなか面接ができない等々がございまして、普及から契約までタイムラグが生じているということでございます。
  113. 内藤正光

    ○内藤正光君 一口に三百万の開き、これは金額に直すとどれぐらいかと言いますと、衛星付加料金として一月九百四十五円だと思います。三百万掛ける九百四十五円掛ける十二カ月、実に三百四十億円になるんです。つまり、毎年三百四十億円もの受信料徴収漏れがあるということです。NHKには、ぜひこの徴収漏れを極力なくすように、極力ゼロに近づけるように頑張っていただきたいと思います。  次に、二つ目の指摘といたしまして、国際放送について質問させていただきたいと思います。午前中、自民党の委員の方々から幾つか質問がございましたので、重複は避けさせていただきます。  ラジオ放送につきましては、昭和十年にこれは命令国際放送、つまり法律でNHK必須業務だということで開始をされたわけでございます。一方、テレビ放送に関しましては、平成六年に電波法が改正をされて、これもNHK必須業務に加えられて放送を続けている。そして、ことしの十月には二十四時間放送化される。私は、これは日本情報海外にいる邦人に迅速的確に伝えるという意味では大変評価しておりますし、また、相互理解という意味では大変評価をしております。  その上で質問させていただきますが、国際放送にかかる費用並びに収入、人件費を含めた費用を教えていただけますでしょうか。
  114. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 人件費等を含めますと、平成十一年度予算は百三十一億六千万になります。このうち、テレビが三十二億一千万、ラジオ関係が九十九億四千万円でございます。
  115. 内藤正光

    ○内藤正光君 収入の方はどうなっているでしょうか。
  116. 河野尚行

    参考人河野尚行君) テレビ国際放送も、ラジオジャパンと言っておりましたけれどもラジオ国際放送も、無料でございます。
  117. 内藤正光

    ○内藤正光君 それで、収入にかわるものとして交付金二十億円があろうかと思います。百三十億円の費用で行っている、そして入りの方は二十億円の交付金、つまり百十億円のNHKの持ち出しで国際放送を行っているということが言えるかと思います。  私は、国際放送の取り組みに対しては大変理解もしますし、評価もいたします。しかし、百十億円は実は国内の受信者から徴収しているということを考えると、果たしてNHKが命令国際放送をこのままの状態でやり続けることが適当かどうか、一抹の不安といいますか疑問も感じるわけですが、国民に納得のいく説明を会長並びに郵政大臣、簡単にお願いいたします。
  118. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 逆に申しますと、映像国際放送を国営でやるということになりますと、私は、新しくこれを立ち上げますと八百億から一千億の年間費用がかかるだろうと見ております。  私どもが今持っている地上波、衛星波の四つの波をうまく編集し、同じ人がいろいろ取っかえ引っかえやっているために、テレビだけで三十数億、ラジオで百億足らずのお金でできるんであって、これを別にやれば、今言ったようなこれの十倍以上の資金が要るだろう。  それと同時に、国営放送でやりますと各国がどれだけこれを受け入れてくれるか。私はかなりの摩擦が起こるだろうと見ております。私どもが戦後築いてきた世界に対する信用によってNHK国際放送が認知といいますか十分信頼を得ているためだろう、そう思っております。
  119. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 国際放送についてなんですけれども先生指摘のとおり、命令国際放送に対しては約二十億円の交付金となっていますが、これは、国際放送は自主放送と命令放送に分かれていて、二十億円の範囲内で命令国際放送をしていただくというふうなとらえ方をしていただければいいと思います。  それで、国際放送の自主放送に関しましては、私たちの理解では、国民全体に利益をもたらすことが期待される、そのための費用受信料を充てたとしても受信料の性格に反するものではないというふうに考えています。  先ほどと同じ答弁になりますけれども、国からの支援につきましては、NHKの方からの御要望があればいつでも御相談にあずかってまいりたいと考えているところであります。
  120. 内藤正光

    ○内藤正光君 話題変わりまして、次はデジタル化のメリットについて何点か質問させていただきます。  郵政省の方では、二〇〇〇年に関東圏での試験放送を皮切りに、二〇〇三年末には関東、近畿、中京圏で本放送、そして二〇〇六年末には全国で本放送開始する、そんな話を伺っております。  ところが、先月、三菱総研から出されたある調査結果によりますと、デジタル化についてその輪郭すら知らないという国民が実に五五%、半数以上を占めている。  これはなぜかというと、今まで議論されてきたのはどう普及させるかということだけで、何のためのデジタル化かという大切な視点が欠けていたのではないかと思います。私は、これからは、何のためのデジタル化かという議論を盛り上げる中で国民の理解を高めていかなければならないのではないかと思います。  そこで、NHK会長、三十秒ほどでお答えいただきたいんですが、視聴者国民の立場に立ったデジタル化のメリットとは何なのか、端的にお答えいただけますでしょうか。
  121. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 一つは、やはり鮮明な画像と高音質の音声で大画面で見ても非常にきれいに見えるということ。それと、データ放送がそれにかみ合ってきめの細かい交通情報なり天気予報なりあるいはニュースなりが直ちに呼び出して見られる。人に優しい放送であると同時に、生活に役立つ情報がいつでも見られる、そういうメリットがあると思います。
  122. 内藤正光

    ○内藤正光君 会長は、先ほどデジタル化のメリットを高品質高音質ということを挙げられました。私もそれは大変大事な大きなメリットではないかと思っておりますが、個人的に言わせていただければ、私は、デジタル化のメリットというのは、そこよりもむしろほかのところにあるんではないかというふうに考えております。一言で言うならば、デジタル化によってテレビというものをマスメディアからパーソナルメディアへと一歩近づけるところにこそデジタル化の本当のメリットがあるのではないかと思っております。  白黒で大変恐縮なんですが、私、こんな表をつくらせていただきました。(図表掲示)  パーソナルメディアがどういうものかと言えば、デジタル化には大まかに言って二つの利点があるかと思います。  一つは、電波をより有効に効率的に利用することができる。これによって多チャンネル化が可能となる。これによって、例えば多くの専門チャンネルをつくったり、例えば再放送を繰り返す中で擬似的なビデオ・オン・ディマンドを達成できる。これによって見たいときに見たい番組が見られる。  一方、デジタルですからその情報コンピューター処理に適すということで、端末側の方で各人の求めに応じたデータ処理が可能となる。例えば、私がドラマを見ているときに、あるニュースも見たい、それも政治関係ニュースだけを見たいという希望があればそれも可能なわけです。あるいはまた、ドラマを見ていて、それに付随する情報を入手したいということであればそれも可能。あるいはまた高齢者向けのサービスとして、速い会話についていけないという高齢者の方もいようかと思います。そういう方は会話速度を調整するような機能を盛り込めばそれも可能なわけです。  つまり、視聴者一人一人が望むテレビに変えることができる。デジタルのメリットというのはそんなところに本当はあるのではないかと私は思うんですが、残念ながらこういった本当のデジタル化のメリットを国民一人一人が享受できるような、体験できるような場が現実としてないんです。  こういったメリットを広く国民に理解してもらう場をもっとつくって、そしてデジタル化に向けてどんと進めていくべきではないかと私は思うんですが、時間もなくなってしまいました、それに対する取り組みを会長からお伺いしまして、私の質問を終えさせていただきます。
  123. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生がパターンで説明されましたけれども、詳しく申し上げますとそういうことになると思います。  いずれにしましても、やはりデジタルのメリットというものを国民にもっとわかりやすく説明するのが我々の使命だろうと思っております。今後とも、いろんな面でデジタルのメリットというものを国民の皆さんにわかりやすく説明するように努力したいと思っています。ありがとうございました。
  124. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本晃司でございます。  先日はNHK技術研究所を見学させていただきまして、いろいろと私どもデジタル化について教えていただき、あるいはまた我々自身もさわったり見たりしてその認識をさらに深めたところであります。  その中で思いましたのは、デジタル化が進むとテレビの使い方あるいはテレビの見方というのも随分変わってくるのではないかなと。今一方的に受けている状況じゃなしに、相互に発信しながらテレビを見ることができる、これは大きな発展につながっていくのではないかと私自身も認識をしたわけでございます。  もう一つは、非常に精密な高画質というのはやっぱりすばらしいなと。現在アナログを見ているわけですけれども、これは両方比べて見ないことにはなかなかそのよさというのはわからないと思っております。特にこれからそういった高画質のものを大いにふやしていく必要があるのではないだろうかと思います。雄大な自然を映し出す紀行番組あるいは「生きもの地球紀行」といった動物もの、さらに大河ドラマにもこういったものが積極的に取り入れられていく時代に入ってきたなというふうに思っています。  今、日本でも数多くものが世界遺産としてそれぞれ認められ、ふえてまいりました。私どもも先般、委員会で平村の五箇山を見学させていただいて、あの合掌づくりのすばらしさに我々見とれたものでございます。私の住んでおります奈良県は一つの県に二つも世界遺産があるという財産を残しております。そういう意味では、世界遺産等々一部報道されておりますが、そういったものもやがてシリーズ化されてハイビジョンや高画質で映し出される時代がやってきて、みんなも日本の中におってさらにすばらしい世界遺産を享受する時代に入ってくると思っております。  一方、NHK番組にとって一番重要な役割をしているのはやっぱりニュースではないかというふうに私は思っております。このニュース番組の高画質化に対してNHKは今日までどのように取り組んでこられたのか、あるいはまたニュース番組の高画質化にこれからどのように取り組もうとしておられるのか、会長の基本的な考え方をお伺いしたい。  同時に、ニュースの取材にはいろいろ機動性、速報性が必要でございます。機動的に取材するための機材の開発や局内の編集、あるいは送出機器の開発整備状況がどうなっているかということも伺いたいし、そういったことがコスト的にどれほどかかっていくものかということをお伺いいたします。  ニュースの一〇〇%ハイビジョン化は大変難しいことであるかとは思いますけれども、いろいろしし座流星群とかあるいはまたスペースシャトル等々放映されてまいりました。そういった番組を通じて普及していくべきではないかと思っておりますが、会長の御見解を伺います。
  125. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私ども、ハイビジョンの開発が始まって三十数年たちます。そういう中で、私も記者出身でございますので、できるだけ早くハイビジョン時代はニュースもハイビジョン化しなければいかぬということで、平成元年六月六日から衛星放送の中でハイビジョンの実験放送を始めました。その段階から現場に対して、これからはハイビジョン時代なのでカメラマンもハイビジョンを大いに勉強すべきだということで、もう十年前からニュースのハイビジョン化については研究開発を進めているところであります。  御承知のように、ハイビジョンは、当初は重い、大きい、金がかかる、値段も今のテレビの三倍から五倍かかっておりました。それがだんだん安くなりまして、カメラの場合は二割から三割増しの値段まで下がってまいりました。それから小型化し、軽量化してまいりました。  御承知のように、去年の冬の長野オリンピック等ではいわゆるカメラとVTRの一体化カメラという非常に機動性に富んだニュース専用のカメラが開発されました。それによって今でもかなりハイビジョンのカメラでニュースを撮影いたしております。  そういうことで、私は、二〇〇〇年、来年の十月一日からのBSハイビジョンでは五〇%、半分をハイビジョンのニュースにしようということで今準備を進めております。カメラも平成十二年までには五十台ぐらい現場に配備するつもりでおります。  私ども、五十四の放送局、百幾つの通信部を持っておりますので、全体をすべてハイビジョンにし、問題は、撮ったものをいかに東京へ伝送するか、あるいは地方で交換するか、それを海外に発信するか、いわゆるネットワーク化するために全部合わせますとニュースだけで一千億の金が必要となります。それを、先ほど言いましたように、かなりのものを今ハイビジョン化しておりますので、あと四、五年ですべてのニュースはハイビジョン化できるだろうというふうに私は見ているわけであります。  御承知のように、ハイビジョンで撮った映像というものは一切劣化しませんし、永久保存ができますし、デジタルですからいろんな加工ができます。ワンソース・マルチユースという言葉がありますけれども一つの素材でいろんな番組ができるという利点を持っておりますので、このニュースのハイビジョン化というものは我々の緊急の課題だというふうに思っているところであります。  御承知のように、平成七年一月の阪神・淡路大震災のときに私どもハイビジョンでかなりの映像を撮影しました。これは科学的分析、防災に役立つ映像ということで、大いにこれを科学研究所等にもお貸しして、これでいろんな勉強といいますか研究の材料にもしているわけであります。  このハイビジョンで撮った映像というものは医療の問題にしてもいろんな面で再利用、再活用できますものですから、できるだけ早くニュースのハイビジョン化を急ぐつもりでおるところであります。
  126. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、デジタル化の時代ではございますが、国民への周知徹底についてお伺いしたいと思っているところでございます。  私自身もなかなか理解ができなかったこのデジタル化でございますが、国民の皆さんも、言葉としてはあるけれども実感としてなかなかまだわいてこないのではないかと思っております。会長のスローガンは「公開と参加」ということでございますが、そういったことで国民の皆さんにデジタルのよさというのを周知徹底をしていただかなければならないのではないかと思うんです。  最近、NHKを見ていますと、番組番組の間にスポットで、かわいらしい女の子の声でBS1とかBS2とかあるいはハイビジョンという言葉、これは私も聞いていまして非常に印象に残っているんです。ところが、どうもデジタルのデの字も出てきていないのではないかな、こういうふうに一方で感じている次第でございます。  デジタルについては、いろいろ国民の皆さんへの大いなるメリット、同時にまた負担がありますが、どのような形で周知徹底をこれからされるか、お伺いしたいと思います。
  127. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生から厳しい御指摘がありました。このハイビジョンのPRにつきましては、私どもまだ十分にいっていないということで深く反省しているわけでありますけれども、二〇〇〇年十二月一日という目標にしております。そういう面で、まだ体制の準備を今進めている段階であります。  それと、地上デジタルの方も、周波数の確保の問題あるいは設備資金をどうするか、いろいろな課題があります。これは郵政省ともども、今いろいろ研究、勉強しているわけであります。  そういう面で、もうそろそろこのデジタルのメリット、デジタルのよさというものを国民にわかりやすくPRするように、新しくプロジェクトチームをつくって新しい視点でPRの活動を進めていきたいと思っております。  私ども、六月に組織改正をして、視聴者総局という新しい組織をつくります。そういう中で、これからNHK視聴者と向き合うためにどういう放送をしていくかということを改めて国民の皆さん説明する、そういう部署もつくりますので、そういう段階から本格的なPR活動を始めたいと思っております。  先生からおしかりを受けましたが、これから本格的に取り組みますので、御了承願いたいと思います。
  128. 森本晃司

    ○森本晃司君 今会長からお話がありましたように、来年十二月からデジタル放送開始されるわけでございますが、先般、報道によりますと、NHKは来年九月に行われるシドニー五輪をBSアナログ放送の予備機を使ってデジタル放送を行う方針を固めたとありました。私は、これが実現しますと、BSデジタル放送普及のためのよき露払いにもなるし、またよきチャンスではないか、このように思っております。  このシドニー五輪がきっかけとなってデジタルが普及して、そして二〇〇八年には、今大阪がオリンピック招致に一生懸命頑張っておりますが、そのことが全世界放送されるのを私は楽しみにしているわけでございます。試験放送免許の取得や民放との放送区分の問題があると思います。また、デジタルアダプターがそのときに間に合うのか、しかも安いコストで間に合うのかどうかということについて、NHKの準備状況及び郵政大臣はどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  129. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 来年の九月にシドニー・オリンピックが始まりますので、私は、これをPRするいいチャンスということで、民放各社にも今のBS予備機を使って実験放送試験放送をやってみようということを呼びかけております。  やはり、百聞は一見にしかずという言葉がありますけれども、実際に視聴者国民にデジタルの放送はこういうものだということをお見せしなければなかなか理解されませんので、こういう機会に民放と一緒になってそういう実験、試験放送をしたいと今呼びかけているところであります。  それの免許とかいろいろやり方につきましては、まだ郵政当局の方で検討しているというふうに伺っております。  私ども、これまで十五年になりますか、ロス・オリンピック以来、ずっとハイビジョンでオリンピック放送放送してきております。いろいろな面でやっておりますけれども、まだまだPR不十分だという面がありますので、今度のシドニー・オリンピックでは、もちろん我々はハイビジョンですべての競技を放送しますけれども、もう一つ、そういうデジタルの電波を使ってデータ放送も加味しながら実験をしてみよう、そう思っておるところであります。
  130. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 森本先生の今のお考え、大変すばらしいと思います。私も同感でございます。  それで、今後のことは、NHKとか民放から何か要請がありましたら、適切に対応していきたいと思っております。
  131. 森本晃司

    ○森本晃司君 ラジオからテレビへの時代は、私たちが小さいときに記憶がございますが、プロレスがあり大相撲があって大きく普及していった。これは耳で聞いているものを目で見るということで大きな変化があった。それから、白黒のテレビが今度はカラーテレビになっていくには、東京オリンピックがあったと私は記憶しております。どうぞ、このシドニー五輪がデジタル化への大きな出発点となるように、また普及されていくように、それぞれ御尽力を賜りますことをお願いしておきます。  次に、サイマル放送についてでございますけれどもデジタル放送と現行アナログがサイマルで放送されていくということでございますが、逆に、このサイマル放送があるからなかなかデジタル化が進まないのではないかなという意見もあるようでございます。アダプターも高いし、二〇〇七年の衛星の寿命が来るまでなかなか進まないのではないかと思います。  NHKは、現在のBSアナログ放送視聴者の保護とBSデジタル放送の早期普及をどうバランスをとっていかれるのか、お伺いします。
  132. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) やはり、デジタルの早期普及には、アナログでデジタルが見えるいわゆる変換器といいますかアダプターができるだけ安く視聴者の手に渡ることと、それからデジタルを見る受信機といいますかテレビを安くしてもらう、私はこの二つが大きな要件だろうと思っております。  また、我々放送制作事業者としては、やはり国民視聴者が非常にためになる、おもしろいと言われるようなすぐれた質のいいソフト提供することだろう、これが相まちませんと普及はおぼつかないと思っております。そういう面で、そういう努力をするのは当然であります。  それと同時に、今のアナログ放送を見ている方を保護するという我々は放送事業者としての使命があります。そういう面で、サイマル放送をしながらできるだけ早くアナログ視聴者にデジタルにかえてもらう、そのためにはやはりいいソフトをつくること、そして値段の安いアダプター、受信機が生産されること、この二つが相まつことが大事だろう、そう思っております。
  133. 森本晃司

    ○森本晃司君 アナログデジタル放送の普及についてどうあるべきかということを私は今尋ねさせていただきましたが、もう一つのかぎは、BSアナログ放送とデジタルがどのように差別化できるか、どこがどう違うのかということが一つの明暗を分けるポイントになってくるのではないかと思うんです。  NHKは、来年のBSデジタル放送開始と同時にどの程度のデータ放送を行おうとされているのか。アナログとでは映像のきれいあるいは現状のままとか、非常にわかるわけですけれども、もう一つのポイントのデータ放送はデジタルでないとできないものでございますけれども、どの程度のデータ放送計画なのか。  また、郵政省にお聞きしますが、デジタルデジタルといろいろ言っている割に、現在のデータ放送放送法NHKの本来業務として位置づけられていませんね。また、統一方式もまだ決定していないようであって、私はそういった法的な整備の準備がおくれているのではないかと思っておるんですが、郵政省にお伺いします。
  134. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、データ放送をいかに充実させていくかということがデジタルハイビジョン放送充実とあわせましてBSデジタル放送の普及発展、これのかぎを握っているというふうに思っております。  データ放送の具体的なサービス内容でございますけれども、現在検討中でございます。要は、生活をより便利で豊かにするサービスをしていく、これを基本にしていきたいと考えております。  例えば、現時点で考えているところですけれども、地震、津波あるいは台風等の自然災害、こういったことが起きた場合は、全国にわたる情報だけではなくて、それに加えて自分の住んでいる地域の個別情報だとか、親戚だとか友人、友達なんかの関係のある地域情報をいつでも引き出せる。あるいは、ニュースのジャンル別の目次の中から御自分の興味のあるニュースをいつでも選び、コンパクトな形でそれを読むこともできる。それから、選挙の開票速報等でも自分の関心のある選挙区の情報がいつでも引き出せる。あるいは気象、交通情報、スポーツの結果等、知りたい情報をいつでも引き出してくる。さらに、電子番組ガイドと言っておりますけれども、見たいジャンルの番組を検索したり、番組開始時刻が変更になっても録画が正確にできるようになる。あるいは、問い合わせの多い番組にはより詳しい情報提供していこう。  こんなところをいろいろ考えておりまして、私どもとしてはこういったサービスがぜひ実現できるように、現在、データ放送用の帯域の割り当てを郵政省要望しているところでございます。
  135. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 先生指摘のように、ただいまNHKにおいてはデータ放送をできる仕組みになっておりません。このデータ放送NHKが行うことにつきまして、いわゆるNHK業務の肥大化になるんではないかとか、どうもデータ放送の中身がわからないということでいろいろ御議論ございまして、これにつきましては広くパブリックコメントを求めまして、一つの方向といたしましては、やはりNHKらしい、本来のNHKにふさわしい形でのデータ放送というのは国民の皆様デジタル技術のメリットを還元する意味でも望ましいんではないかという方向を得ておりまして、そういったことが実現できますように法改正も準備をさせていただいているところでございまして、いずれ先生方にまた御審議を賜りたいと存じます。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕  それからもう一つデータ放送技術基準でございますが、専門にわたりますけれども、今三通りの案が俎上に上っておりまして、MHEG方式、HTML方式、XML方式、どれがいいかと。私ども、これはあくまで視聴者の利益、それから技術発展の動向、それから時間との競争がございますので、欲張っているのでございますが、できるだけ早く開発できて、視聴者のメリットに合って、技術発展の動向にもふさわしい技術基準というものを今審議会において早急に決めていただくべく検討していただいているところでございます。その方針を審議会でおまとめいただきました暁には技術基準として明定したい、かように存じております。  以上でございます。
  136. 森本晃司

    ○森本晃司君 デジタルから話題を私どもの健康に変えさせていただきたいと思うんですが、ことしは国際高齢者年であります。そういった流れの中で、郵政省は新しい体操を考えようとされているとも伺っております。  ラジオ体操は昭和二十六年、一九五一年に第一ラジオ体操ができまして、それからもう四十七年、さらにまた第二体操が職場向けとして昭和二十七年、一九五二年にできてから四十六年たっているわけでございます。その当時から比べますと非常に高齢社会に入りましたし、皆さん大変長生きをしていただいているわけでございまして、同時に健康で長生きをしていただかなければならない。そういった皆さん方が親しめる、楽しめる体操というのをちょうどことしつくるのは私は一番いいのではないかなというふうに思っておりますし、郵政省NHKでその準備を進められていると伺っています。  私が漏れ聞いたところによると、どうも会長がラジオ体操をされて、おい、もう少し易しいものはないのかなというのがどうやら発案者であったような話も伺っておりまして、すばらしいことだと思っております。過去には、第三ラジオ体操というのがあったかなかったか、消えていったということも耳にしているわけでございますけれども、私は、今の時代にふさわしい体操が今度でき上がって、それが多くの国民に愛されるようなものにしていきたいな、こう思っています。  第一、第二については、今でも公園に行きますと、御年輩の人も含めて朝散歩している人たちが一緒になって体操をされている。非常に国民の中に定着しておりますが、これからそういった高齢の人たちやあるいは身障者の人たちも親しめる、楽しめるラジオ体操をぜひつくっていただきたいんです。  協議をスタートされているようでございますが、私は、一番いいのは、十月一日が国際高齢者の日でございます。ぜひ、この十月一日にNHKが発表する、野田大臣も一緒になって体操をする、我々委員会も小林委員長のもとでみんな一緒になって、当日は金曜日ですので定例予備日でございますけれども国会の前に集まってやるというふうに大いにPRをしていき、親しみを持っていきたいと考えています。御所見をお伺いしたいと思います。
  137. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) ラジオ体操第三につきましては、私は大分前から必要性を説いてまいりました。御承知のように、ラジオ体操第一は郵政省簡易保険局、全国ラジオ体操連盟それから私ども三者で主催をして今日まで来ております。私どもでは昭和三年から放送をしているものであります。  私も第一、第二をやりますととても追いつかないということで、やはり高齢化社会に向けて、高齢者の方もできるような新しい体操をひとつやってみようじゃないかということで郵政省等にも働きかけて、ようやく今話し合いがまとまりつつあります。学識経験者あるいは医療関係者、いろんな専門家に集まっていただいてどういう体操が一番好ましいか検討を始めました。そして、先生おっしゃるように、ことしは国際高齢者年でありますので、十月一日にこれを発表したいと、今これから作業を急ぐところであります。そういうことで、これを全国民に普及して、本当に高齢者のためになるようなものに我々も努力していきたい、こう思っているところであります。  ひとつ先生方のまたいろんな面での御協力をお願いしたいと思っているところであります。
  138. 森本晃司

    ○森本晃司君 ぜひ大臣も先頭に立って、お若い大臣ではございますけれども、親しみを皆さんに与えることができると思います。  きのう、おととい私は京都におりましたが、ことしの春は雪が降ったり大変寒かったりしたわけでございますけれども、今、春一番が吹いております。春の話題は地域振興券と「だんご3兄弟」と言われて、非常に明るい話題を提供しております。NHKとしては、まさに棚からぼたもちではなしにテレビからだんごということで、副収入もあったことかと思っておりますが、ことしの秋にはぜひそういった高齢者の皆さんに優しい体操が普及して、またすばらしい秋のスタートをできるように私も念願しているところでございます。  最後質問になりますが、先日、私は兵庫県のNHKの神戸放送会館へ行ってまいりました。平成七年の一月、阪神大震災がございました。このときにNHKの果たされた役割は大なるものがあったと思っております。また、NHKが全国九十カ所に設けられたスキップバックレコーダーというので、VTRと地震の感知センサーとそれからテレビカメラとが一体となって災害が起きたときにその発生する前から起きた瞬間まで放映することができた。あのときの神戸会館のスキップバックレコーダーが果たした役割は非常に大きい。どこも神戸の震度についてはかることができませんでしたけれども、専門家があのNHKの映像を見てこれは大変なことだということを認識し、私たち国民も認識したわけでございます。  そういう役割を果たされたNHKが、神戸会館も震災に遭ってつぶれてしまったということで、平成七年四月に神戸駅前のハウジング・デザイン・センタービルへ移転をされたようでございます。それから今日まで四年間、今も「復興99」として、日曜日の七時四十五分からだったと思いますが、あの震災を忘れないように、また今どういう状況になっているかということを毎週神戸放送局から神戸発の発信をしておられること、私は大変そのことに対して敬意を表するわけでございます。  しかし、私は、その今の仮住まいのところへ行って状況を見ていろいろと不安も覚えましたし、一日も早く新しい神戸会館を建てなきゃならないのではないかなということを痛感したわけです。それは、一つは緊急報道に非常に不安がある。報道車も徒歩十分の別のところにある。国民の生命と財産を守る放送をするNHKですから、これでは私はいざというときに大変だなということを思いましたし、スタジオも一つしか今のところないわけでございまして、緊急の場合の放送もなかなかできないんじゃないだろうか。  それから、ビルの特徴で、NHKの表示ができないということでありますし、二十四時間ビルでもないし、それからびっくりしたのは、水曜日にはそのビル全体がお休みになりますから、視聴者の方々は通用口から入らなければならないという状況にもなっております。また、小学校五年生の教科書にはNHKを見学するということが書かれているわけでございますけれども、今の神戸会館は子供たちが見学できるような状況にはなっていないなということを痛感している次第でございます。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕  再建に当たり、県と市とNHKが一緒になっていろいろ協議をされているようでございますし、会長も、再建に当たって視聴者と共生できる会館をつくるんだ、受信料が生かされる会館をつくるんだ、そういうお話もあったように伺っておりまして、まさにそのとおりではないかと思っております。  旧神戸会館のあった位置は異人館通りのすぐそばで、神戸の中でも中山手通りの圧倒的に観光客の多い場所でもございますし、私もぜひあの位置で、国民に親しまれるNHK、そして災害に対応できる、あるいは緊急時に対応することのできる新神戸会館が一日も早く建つように、大変財政難のときではございますけれども望んでいるものでございますが、会長のお考えをお伺いしたいと思います。
  139. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 神戸の放送会館の建設につきましては、私も、会長就任間もなく、改めて立地条件、あるいはどういう条件ならば最も早く建設できるか、いろいろ視察してまいりました。今のJR神戸駅前の仮住まいでありますけれども、これでは十分機能できないというふうに私も認識しております。  ただ、旧神戸放送局跡地は三宮駅の近くの市街地の非常にいい場所にあります。ここを、やはり私は、NHKというのは国民のための放送局でありますし、国民とともに歩むといいますか共生する、地域の活性化なり文化の向上に役立つような放送会館が望ましいだろう。そういうことで、できるだけ兵庫県、神戸市の方々と一緒になって、三宮駅の市街地の再開発の中でお互いに利用し合えるような放送会館がひとつできないかと。そういうことで、県、市ともいろいろ研究会をつくって、どういう形が市民、県民に喜ばれる放送会館になるか、それを今研究している最中でございます。できるだけ早く新しい放送会館を建設するのは私の望むところであります。  そういう面で、これから地元の人たちの意見を聞きながら、皆さんが利用できるような、有効に活用できるような、そういう新しい二十一世紀を目指した放送会館をつくるように我々もさらに研究を重ねていきたい、そう思っております。
  140. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  御承知のように、一九九六年の行政改革委員会の規制緩和小委員会、ここではBS放送の有料スクランブル放送化ということが求められました。また、先ほど来議論になっておりますように、九八年三月三十一日の閣議決定では、規制緩和推進三カ年計画としてNHKのBS放送のスクランブル化について、「実施について検討する。」としております。  これらの主張を見てみますと、NHK受信料放送しているということは市場機能を阻害するとして、NHKに市場原理に基づく民間放送との競争を求める、現行の受信料制度をやめて有料放送化を迫るという内容を持っております。これは現行の受信料制度の精神を根本から変質させるものではないかというふうに私は思います。  スクランブルをかけますと、BS放送を見る視聴者は料金を払って初めてスクランブルを解除して見るということになりますので、つまり見たければ金を払えということに、発想はそういうことになってまいります。つまり、放送サービスの対価としての受信料という発想になってくるというふうに私は思うんです。  しかし、現行の受信料の精神は決してそういうものではないと思います。放送法第三十二条、「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」、つまり、NHK公共放送として国家権力や企業などから独立して運営する財源をきちっと広く国民から集めること、徴収することを認めているわけであります。また、調査室がつくってくださったこの資料を見ましても、「「受信料」という名の特殊な負担金」だというふうに説明されておりまして、「サービスや商品の対価としての料金でない」、こうはっきり説明されております。  NHKは、このスクランブル化について二〇〇〇年時点では実施する考えはないというふうにおっしゃっております。しかし、同時に、BS放送がすべてデジタル化された段階ではスクランブル化の問題を含め改めて検討するとしておられますが、まず海老沢会長に、この問題はNHK公共放送のあり方にもかかわる大問題だという御認識があられるかということをお伺いいたしたい。
  141. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) デジタル放送についてNHKが有料スクランブル化するかどうか、これはたびたび御答弁申し上げていますように、私は有料スクランブル化は今する考えは持っておりません。やはりこれはNHK受信料制度の根幹にかかわる問題でありますし、私は、NHK受信料制度、つまり全国民から等しく公平に負担をしてもらう、そういう制度は世界にも例のない非常にすぐれた組織だろう、そういうふうに確信いたしております。そういう意味からも、できるだけこの受信料制度を維持したいというのが私の心からの希望でございます。
  142. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私、昨年一月にNHKが発表された「デジタル時代へのNHKビジョン」、これの中身を子細に読ませていただきました。この中で、「平成十―十二年度の受信料額については、経済状況やNHKを取り巻く環境に著しい変化がない限り据え置く」としておられます。この四年間の決算は黒字で推移をしておりますし、今年度の予算案では九十四億円の黒字を見込んでいるのですけれども、この要因は経費削減など経営努力もあるでしょう。また、受信契約、特に衛星放送の契約が毎年七十万件から八十万件伸びたことが大きいというふうに思います。  二〇〇〇年度までは受信料を値上げしないで頑張る決意というのは海老沢会長御自身の会長就任以来の公約だと思うんですが、現在の衛星契約の伸び状況が継続されれば毎年百億円程度の増収が見込まれる。また、前回値上げ時に設置した財政安定化基金、これは四百五十六億円残されております。デジタルという問題はあるかと思うんですが、これはまた後で議論するとして、現時点でそれを横に置けば、経理上からいえば二〇〇〇年度以降も現行の受信料を維持していくことは可能だと思われるんですが、いかがでしょうか。
  143. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私は、公約どおり二〇〇〇年も値上げしない方針でおりますし、可能だと自信を持っております。  御承知のように、今、日本の経済は非常に厳しい状況に置かれております。倒産の件数もふえておりますし、また失業者も戦後最高の失業者を出しております。そういう中で、受信料の滞納なり未払いというものがふえております。我々もこれに対しては非常に今苦心をしているところであります。そういう面で、一軒一軒回っていろいろお願いしているわけであります。非常に厳しい状態でありますけれども、しかしNHKを守り維持していくために、国民の理解を得るべく公平負担ということで今努力をしているわけであります。  来年も非常に厳しい経済情勢だと思いますけれども、二・二%の増収を目指して頑張っていきたい。なかなか厳しいと思いますけれども、そういう方向でこれから努力するつもりでおります。
  144. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そこで、問題になってくるのが、デジタル化の問題がやっぱり出てくると思うんです。  二〇〇〇年以降の問題として地上テレビ放送デジタル化、この地上波デジタル化には総合テレビ、教育テレビ合わせて約七千の中継局の送信設備だけでも三千億円かかるという話が先ほどございました。その他に制作設備、送出設備番組制作経費などがかかると言われております。これを二〇〇六年までの七年あるいは八年間で実施するとすれば、毎年約四百億円程度の投資が必要となると思われます。この間のNHK建設費は毎年六百億円というふうになっておりますので、その上に四百億円といえば、まさに毎年一千億円の建設費が必要だという、計算上はそうなってくると思うんです。先ほどこれはなかなか苦しいというお話もございました。  地上テレビデジタル化については、視聴者、この場合は特にほとんどの国民といって差し支えないと思うんですが、その国民には内容が現時点でほとんど知らされていないと思うんです。合意の形成が極めて不十分なまま、計画だけはどんどん進められていっているという感がぬぐえないと思うんです。  確かに、デジタル化によって多彩なサービスが可能になるかもしれません。先ほど内藤委員からもさまざまな御説明がございました。しかし、これは受信料にも影響を与えかねない問題だけに、国民視聴者理解と納得が第一だと私は考えるものですが、いかがでしょうか。
  145. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 御承知のように、地上波というものが全国くまなくあまねく今普及をしております。四千五百万世帯から四千六百万世帯まで普及しているわけでありますから、国民的な合意、国民的なコンセンサスを得ながらやりませんとこれは達成できない最大の課題だろうと思っております。  そういうことで、私どもは、この地上デジタル化に当たっては、できるだけ情報を国民に提供し、国民の理解協力を得なければできない事業だろう、地上デジタルの遂行のためにはこれは国家的事業として位置づけないと非常に大変なことだろうという認識を今持っているところであります。  そういう中で、NHKの今の財政規模の中で賄うかどうか、送信設備等に非常に難しい点がありますけれども、これはどのくらいのスピードでやるかによっても変わってきますし、また借入金をどういうふうに調達するか、いろんな課題があります。  私が今ここで受信料といいますか、国民に新たな負担を云々するまだ時期じゃありませんので、先ほどから慎重な答弁をしているわけでありますけれども、いずれにしても、これから周波数の確保なり資金調達について、チャンネルプランができた段階でさらに郵政当局ともいろいろ協議をしながら一つ一つ障害をクリアしなきゃいけない課題だろう、そう思っておるところであります。
  146. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 報道によりますと、IOCとJC、ジャパン・コンソーシアムとの間で二〇〇〇年シドニー・オリンピックから二〇〇八年夏季オリンピックまでの五大会の放映権料が五億四千五百五十万ドル、約六百億円という途方もない額が示されていると言われております。二〇〇二年の日韓ワールドカップサッカーについても、NHKからいただいた資料によりますと、スイスのマネージメント会社ISLが日本側に提示した放送権料は六億五千万スイス・フラン、日本円に換算して五百五十億円、まさに放送自体が危ぶまれる現状であります。これは、放送権の独占者が日本放送デジタル化の進行する中で放送局のコンテンツ競争を激化し、高く売れると吹っかけたものだというふうにも言われております。  NHKのことしの事業計画を見ましても、衛星放送について大型スポーツ番組充実というのを掲げておられます。NHKは、「BSは全部やる」というのがキャッチフレーズでございますが、二〇〇〇年以降は衛星デジタル放送NHK以外の放送局も参入してまいります。他局も大型スポーツ番組を全部やることができるようになるわけで、全部やるというのはNHKの専売特許ではなくなるわけです。  そうした状況のもとで、大型スポーツコンテンツ獲得競争にNHKが一プレーヤーとして参加していけばますます競争は激化しかねない。コンテンツ料金がつり上がり、結局それは受信料や有料放送の料金にはね返って、お金がなければスポーツも見れないということになりかねないというおそれもございます。まさかNHKがその片棒を担ぐなどというつもりはないと思うんですけれども、BS放送チャンネル化のもとで公共放送としてのNHKが果たすべき役割についてどう考えておられるか、海老沢会長にお尋ねしたいと思います。
  147. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 国際的な大きなスポーツイベント、例えばオリンピックとかワールドカップサッカーに代表されるわけでありますけれども、スポーツの放送権料は、一九八四年のロサンゼルス・オリンピック以来、いわゆるオリンピックが商業路線に入って以来、本当に高騰に次ぐ高騰を続けてきたという歴史をたどっております。  そういう中で、二〇〇二年の日韓共同主催のワールドカップサッカーが、今先生指摘のように、日本円にして二つの大会で六億五千万スイス・フラン、一スイス・フランを八十五円として五百五十億、これに税金が一〇%かかるとして六百億です。これを二つに分けても三百億、これまでの私ども放送権料の五十倍という法外な値段であります。  ちなみに、来年九月のシドニー・オリンピック、これはNHKと民放とジャパン・コンソーシアムを使って交渉しているわけでありますけれども、これが一億三千五百万ドル、日本円にして百二十円として百六十二億ぐらいです。オリンピックの倍の値段という、これをもってしてもいかに高額かというのがおわかりだろうと思います。  私どもは、衛星放送で冬のオリンピックあるいはワールドサッカーを放送したわけでありますけれども、ワールドサッカーは御承知のように、これまで五つの大陸の放送連合が一括して購入したものでございます。二十年前からNHKだけが日本では放送する、当時はそれほど世間には関心がなかったスポーツであります。したがって、ワールドサッカー・フランス大会は六億足らずの料金であったということでありまして、私どもがすべて放送しましたけれども、法外な値段ではありませんでした。今いろんな面で、大リーグなりあるいはゴルフなり、非常に高い値段がありますけれども、私どもは余り高い値段では買わないということで、一部民放さんに放送権を奪われてしまったという例もあります。  いずれにしても、私どもは国民の受信料で賄うという企業体でありますから、やはり世間から見て妥当な値段でなければ購入しないというのを原則にしております。  したがって、二〇〇二年のワールドカップにつきましても、民放と共同歩調をとりながら、またヨーロッパ各国の動きを見ながら、非常に厳しい交渉になると思いますけれども、粘り強くこれから交渉に当たりたいと思っているところであります。
  148. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 次に、字幕放送についてお伺いいたします。  字幕放送充実NHKが大変努力をしていただいているというふうに私どもも受けとめております。NHKは民放に比べて字幕放送の一週当たりの放送時間も九九年度の予算では二十八時間二十四分と非常に高くなっております。総合チャンネルのほかBS第二チャンネルでも字幕放送開始し、さらにことし一月から教育テレビでも開始するなど、前進は視聴者からも喜ばれております。しかし、米国は七〇%実施しておりますし、英国の五〇%等々に比べると、字幕放送、字幕番組実施状況はまだおくれているという面もあると思うんです。  それで、これの充実ということを繰り返し求めてきたわけですけれども、先日の衆議院での我が党の矢島委員質問に対して、質問の趣旨がよく通じなかったのかもという気もするんですが、毎年度の目標として、二〇〇七年までスケジュールをあらかじめ示すことを求めたのに対して、なかなか明確な御答弁をいただけませんでした。  民放の現状は、東京キー局でもまだわずか四%と四〇%の目標に対しても大きく立ちおくれている現状です。NHKには公共放送として我が国放送発展のために先導的な役割が求められているということはよく自覚していただいていると思うんですが、こういう分野でこそ一層先導的な役割を果たしていただきたい、ぜひ二〇〇七年に向けた毎年のスケジュールをはっきりさせていただきたいと思いますが、海老沢会長、いかがでしょうか。
  149. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 字幕放送につきましては、国会でもたびたび議論をいただいておりますが、総合テレビにつきましては平成十二年度までの年次計画がございます。衛星の第二テレビもそうでございます。教育テレビについては平成十三年度までの年次計画がございます。  そこで、二〇〇七年までに可能な番組にはすべて字幕を付与するという郵政省の行政の指針がございますが、総合テレビ衛星については平成十二年度中、それから教育テレビについては平成十年度中に二〇〇七年に向けての年次計画を立てるべく努力をすることをお約束したいと思います。
  150. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 郵政省にお伺いいたします。  郵政省のガイドラインが言う二〇〇七年四〇%というのは、五八%あると言われているニュース、生番組、バラエティーやワイドショーなど字幕付与が難しいとされている番組を除いて一〇〇%やり切るという目標だと思います。決して上限を定めたというものではないわけであります。  ニュースについても、先日の衆議院の審議で、郵政省からニュース原稿自動読み取りは現在八合目まで来ているという御答弁もございました。この技術開発が進めば目標を五〇%、六〇%と引き上げていくのは当然のことだと思います。NHKについては毎年予算計画を持って進めているけれども、民放は大きく立ちおくれている、そして進んでいるNHKも四〇%を目指してということになっております。  二〇〇七年四〇%は事実上の上限や努力目標になったのではだめでありまして、この点で郵政省として、NHKはもちろんですが、民放からも定期的に進捗状況、実施状況をつかんで、今後の計画を把握してしかるべき対策を講じるべきだと思いますが、いかがですか。
  151. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 今先生指摘になりましたとおり、私どもでお示ししました字幕放送普及目標というのは、今の技術水準を前提にしておることでございますので、今後、技術革新の成果を取り入れることによってこれはもっと膨らみ得るものであるし、そう願っておるところでございます。  それから、字幕放送の普及計画でございますけれども、今とにかく大事なことは、何かやれと言われてやるのではなくて、放送会社みずからが認めて積極的に取り組んでいただくということが大事でございます。  そういう意味で、私ども、今そういった方向におられますので、今直ちに計画を取り寄せてというふうには思っておりませんけれども、今後、進展状況のいかんによりましてはその計画を見せていただくことが有効であるということになれば、そのときはまたそのように考えたいと思います。  以上でございます。
  152. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は新米ですので、この質問を準備するのに改めてこの問題について一から勉強させていただきました。  字幕放送の拡充は、視聴覚障害者の皆さんの大きな運動と国際障害者年などの国民世論の高まりの中で、九六年六月十九日、当委員会において超党派で請願が採択されたことが大きな契機になりました。衆議院でも同じ趣旨の請願が採択されておりますが、その請願では、すべての耳の不自由な人がテレビ放送を楽しめるようにテレビの字幕放送を義務づけることが要望事項となっております。  また、九六年四月二十三日の視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会報告、ここでは、「放送事業者の社会的責務をより明確化し、原則として、地上放送に係るすべてのテレビジョン放送事業者に対して、字幕放送開始を義務付ける方向で検討を行うこと」、こうされております。義務づけの方向というのが原点であります。  これらを受けた放送法の改正では、放送事業者の自主性に配慮をして、先ほどおっしゃったように自覚的取り組みに期待をして字幕放送、解説放送実施についてできる限り多く設けるようにしなければならないという努力義務規定にしたわけであります。私たちは、これに基づいて進むことを強く期待してまいりました。  しかし、二年近くたって、このままでは四〇%すらままならないという現状も事実であります。国会が国民から負託された趣旨は、テレビの字幕放送の義務づけでありますから、自主性に信頼し、努力義務を求めた現状では進まない、そして郵政省はそれに基づく計画すら掌握しようとしないというようなことが続けば、国民の負託に照らして国会として義務化という措置をとらなければならなくなるというのも当然の筋だと、筋としてはあると思うんです。  郵政大臣、前進させるためにどう頑張るのか、ひとつ決意をお伺いしたいと思います。
  153. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 聴覚障害者の方向けの字幕番組につきましては、先生もちろんのこと、衆参大勢の先生方からも御要望があり、私もその都度、誠心誠意おこたえしてきたつもりでございます。  ただ、繰り返しになりますけれども、まだまだ技術的な面で伸び悩んでいるところもあり、郵政省としてはまず制度の改正、先ほど申し上げたように、放送法の改正をして免許を不要にしたとか、そういうところと、努力義務で放送事業者の積極的な取り組みに期待する、特にNHKを初めとして積極的に取り組んでいただきたいと。それと同時進行で、やはりそういう技術に関しては私たちの研究開発でサポートしていこうと。それが先ほどの八合目という話になるわけです。  いずれにしましても、たゆまなく努力をし、検討をし続けていくことをお約束すると同時に、今話題になっております放送デジタル化によりまして、データ放送を活用することによって、今足踏みしているような問題も迅速に解決の方向に向かっていくんではないかと。  ですから、二〇〇七年までの目標に関しては、やはりこれからも精力的に、積極的に進めていきたいと思っていますので、御理解いただきたいと思います。
  154. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 先ほどのお答えの中に、総合テレビ平成十二年度までに、これまでの年次計画があるので平成十二年度中に次の年次計画を立てます、教育テレビについては平成十三年度までに、これまでの計画がありますから次の計画平成十三年度中に立てますというふうに私は答えたつもりですが、平成十二年度中が平成十年度中、それから平成十三年度中が平成十年度中というふうに聞こえたということがございましたので、訂正させていただきます。
  155. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 終わります。
  156. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  昨年十二月七日に、郵政省の青少年と放送に関する調査研究会が報告書を出しました。テレビの子供への影響調査は、これまでテレビ放送開始時にNHKが一九五七年、一九五九年に、また日本民間放送連盟が一九六〇年から六二年に行っておりますが、今回は、NHKの海老沢会長、民放連の氏家会長など放送事業者視聴者、行政が一体となって海外実施状況、国内の子供たちや親、有識者へのヒアリングなど調査研究をしてきた日本では初めての報告書と言えるものです。  調査研究会は、一九九八年三月の文部省中央教育審議会中間報告でのVチップ導入の前向き検討を受けて、暴力や性的シーンのある番組について視聴者側の判断で映らなくする装置、Vチップ導入の是非を検討することなどが目的だったわけです。  しかし、最終報告では、制作者と視聴者との間の対話が不足していることなどを理由に、現時点でVチップを導入しても全く意味がないとして、「青少年問題に対し、放送として何が出来るか、何をなすべきかを考え、行動に移すことが、まず何よりも重要である。」、「第一には放送事業者の自主的な対応に委ねる」という提言になったわけでございます。  NHKとして、これまでもやってきたということにとどまらず、調査研究会の報告書を受けとめて、今後、青少年の問題についてどのように取り組まれるか、伺います。
  157. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 青少年問題は、私どもNHK放送の中でも最も大切なテーマだと思っておりまして、平成十一年度の番組基本方針を三つ掲げましたその中の一つに、「次世代への橋渡し」という項目を入れておるところでございます。  この青少年問題は、私は日本の社会すべてが抱える問題だと思いますけれども、マスメディア、中でもテレビの影響は大きいというふうに考えておりまして、テレビラジオ放送に従事する我々としても非常に責任があるというふうに思っております。  私どもは、一年前から少年少女プロジェクトというプロジェクトをつくりまして、広く子供たち自身の声を聞くと同時に、教育に当たっております学校の先生、それから文部省の行政を担当している人たち、それから家庭のお父さんやお母さん、つまり単なる評論というんじゃなくて、教育に当たるすべての人たちの知恵を結集して次世代の問題を考えようとしております。  それと同時に、子供たちに本当に喜んでもらえるようなドラマとかドキュメンタリーとか、そういう番組も今後積極的に番組開発し、編成をしていくつもりでございますし、平成十一年の教育テレビを中心とする編成の中にはその考え方を既に盛り込んでおります。
  158. 畑野君枝

    畑野君枝君 NHKの海老沢会長は、この青少年と放送に関する調査研究会のメンバーでもございました。報告書の核心は、送り手である放送事業者と受け手である視聴者相互作用の充実が重要だということだったと思います。青少年と放送のよい関係について放送業界全体が視聴者要望、提案などを総合的に受けとめていくことが求められていると思います。  日本PTA全国協議会が、平成九年度の家庭におけるテレビメディアの実態についての意識調査を行っています。子供が最も好きな番組と子供に見せたくない番組が重なっている、つまり子供と親の受けとめ方が違うわけです。NHKには放送文化研究所もあって、「小学生の生活とテレビ・一九九七」など、世論調査もされています。こうしたNHKのノウハウを生かして、子供と親とテレビ関係を積極的に提案していく、視聴者関係者と一体となって調査研究をしていくことが必要ではないか、テレビと青少年の問題について番組審議会など既存のものでなく、放送業界としてもっと気楽に視聴者と懇談できる場を提供することが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) テレビと教育の関係につきましては、いろいろな意見があります。私もこの問題の委員として氏家会長ともども論議に加わりました。  私は、いろいろな席でお話をしているんですけれども、私ども公共放送NHKは、やはり二十一世紀を担う青少年の健全な育成を図るのが我々の使命であって、とにかく子供たちに悪い影響を及ぼすような番組はつくらない、そして今後もそういう方針には変わりがないんだということを申しております。そういうことで、私はVチップの導入には賛成しかねるという立場をとっております。それよりは、やはり自分たちの子供、自分たちの孫たち、そして将来を担う青少年が本当に健やかに、心豊かに成長するためのものでありますから、我々放送事業者が心してそういう番組をつくらないことがまず第一で、それは自主的に我々がやるべきであって、法律で規制してやるような放送業界では私はいかぬじゃないかと思っております。  そういうことで、今放送局長から答弁しましたように、我々もさらにそういう青少年の健全育成のための番組充実させるのがまず大事だということで、少年少女プロジェクトをつくりながらいろいろな番組をつくってまいりました。ことしは特に教育放送開始四十周年という記念すべき節目の年でありますので、元日から十日間にわたっていろいろな番組をつくりましたし、一月十日には十四時間の生放送で学校の問題を取り上げました。これにはいろいろな方に参加してもらいましたし、視聴者も双方向でファクスなり電話でも応対してもらう。そういうことで、今それを積み重ねております。  きのうも、御承知のように、夜の九時から十時まで「NHKスペシャル 学校が好きですか」ということで、三十数年にわたってつくっております「中学生日記」を見ながら子供たちが討論し、またそれを見ることによって大人たちもやはり今の学校教育のあり方を勉強なさったんじゃないかと私は思っております。  そういう面で、こういうものは一回限りでなくて、継続は力なりという言葉がありますけれども、やはり継続していろいろな角度からこういう番組をつくっていきたい、そして、やはり我々のテレビというメディアを通じていろいろな方がこれに参加してもらう、それによっていろいろないい影響が出るように、そういう努力をしていきたいと思っております。
  160. 畑野君枝

    畑野君枝君 次に、この報告書の中でメディアリテラシーの向上を初めて行政として打ち出されました。すなわち、メディアの持つ特性を理解し、内容を正しく理解する能力を身につけるというのがメディアリテラシーという新しい言葉ですけれども、これにまた、テレビと青少年への影響調査も国としてようやく行われるということで、これらの予算も一億七千万円が計上されております。  報告書でも資料として紹介されているんですが、子供の権利委員会が日本に対して勧告をいたしました。印刷・電子・視聴覚メディアの有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから子供を保護するための必要な措置をとるようにということで、この批准国として、青少年への教育的効果の一層の発揮という点で報告書でも述べているわけです。  カナダでは十数年前からこのメディアリテラシーが教育の場だけでなく、市民団体、政府放送事業者などが取り組まれているというふうに伺っておりますが、放送への規制という観点ではなくて、行政が国民や視聴者と一緒に考えて論議する場をつくっていく、また放送事業者などにも意見要望が言えるようにしていくということが大事だというふうに思うんです。  こういう点で、メディアリテラシーやテレビと青少年への影響についての調査研究をどのように進めていくのか、伺います。
  161. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 私ども先生に差し上げた資料が不十分だったら申しわけありません。一億七千万ではございません、一千七百万かと存じます。そのぐらいの予算があればいいのでありますが、十年度で六百万、それから十一年度で一千七百万、今予算で御審議をお願いすることにしております。  先生、今御指摘のございましたように、個々の番組をいい悪いと言う以前に、もう就学前児童も二時間、三時間近くテレビを見ている、それから小学生も授業時間以上にたくさんテレビを見ているという状況でございますから、やはり子供たちがメディアをいかに上手に自分たちの学習に、生活に生かしていくかということがこれからますます重要になってくるように私ども考えています。  そのために、今メディアサイドからもどのようにメディアを子供たちに見てもらいたいかというメッセージを送っておりますし、それから学校教育におかれてもメディアをどう教育、学習の中に使っていくか、それから子供たち自身も自分たちでカメラを動かしたりあるいはスタジオに行って放送したりという形の中でメディアについてのみずからの体験を深めていく、いろんな場が進められております。  したがいまして、これにつきましては、行政としては例えばそういった場をつくれるように予算的な面で措置をするとか、あるいは放送事業者におかれては、会長の言葉をかりれば参加ということもそれを意味しているかもしれません。それから学校におかれましても、メディアをいかに教育の中で生かしていくか、それぞれの立場でこのメディアリテラシーを充実させていくということが大事かと考えておりまして、我々も、そういう視点で今後いろんな実態調査なり、あるいは海外の動向についても把握してまいりたい、かように存じております。
  162. 畑野君枝

    畑野君枝君 最後に、野田郵政大臣に伺います。  この調査研究会は公開で行われたんですが、その後、専門家会合は公開されていないということで残念なんですけれども、ぜひこういう論議を国民の中で公開で行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  163. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御指摘のとおり、調査研究会については会議を公開で開催し、会議資料、議事要旨についてもインターネット等で公開しました。  今回の専門家会合につきましては、やはり公開の方法についてはそれぞれ委員先生方の御意向を尊重することも大切だと思っています。この専門家会合については、委員先生の御意向によりまして、議事要旨については公開していくということになっています。この議事要旨は、前回の調査研究会と同様に、郵政省とかNHK、民放連のインターネット等においてどなたでも閲覧できるようになっているわけでありまして、これからも、そういう国民的関心が高いものですから、引き続き審議の結果について知っていただけるような努力はしていきたいと思っています。
  164. 畑野君枝

    畑野君枝君 ありがとうございました。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  NHK公共放送としての意義や役割については、多くの同僚議員の方から御質問がありましたし、会長や大臣の方からも御回答いただきました。したがって、いつでもだれでもどこでも本当に必要なときに見られるNHKテレビ、聞けるラジオということで、これから先も信頼される公共放送としてのNHKをひとつつくっていただくよう、まずはお願いを申し上げておきます。  NHK並びに民放を問わず、マイノリティーのサービスについて大臣にお伺いします。  音声多重放送を利用した解説放送、それから字幕や手話放送の拡充についてどのように考えておられるのか御質問申し上げます。これらの取り組みについての支援策はどのように展開しようとしているのか、まず郵政大臣にお伺いいたします。
  166. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 視聴覚障害の皆様方に対する、今先生指摘の字幕放送または解説放送等につきましてなんですけれども、諸先生方から多く御要望いただいておりまして、私たちとすれば積極的に取り組んでいるところでございます。  例えば、制度の改正によりまして、いろいろと字幕放送の免許が要らなくなったりとか、さらに字幕放送の努力義務化を推進しているところであります。また、助成につきましても、いろいろ費用がかかりますので、それについてもできるだけ支援をしていきたいと思っていますし、引き続き十一年度の予算では助成額も大幅に増額させていただいておりまして、一・三億円だったものを四・四億円まで引き上げさせていただいております。  さらに、まだまだ技術の面で難しいと言われている字幕放送につきましては、その自動制作なんかの研究開発を積極的に進めさせていただいておりまして、今後も積極的に普及に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ひとつよろしくお願いを申し上げておきます。  次に、在日外国人へのサービスの拡大はどのように進められておりますか。また、阪神・淡路の大震災時に問題となっておりました、とりわけ在日外国人障害者への災害時の情報提供についてNHKはどのようになされておるのか。  また、郵政省として、具体的に他の放送業界でどのような議論がなされておるのか、その議論の経過等についてわかれば詳細にお知らせ願いたいと思います。
  168. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 通常の段階におきましては、在日外国人向けのサービスとしては、「NHKニュース7」、「NHKニュース9」、それから海外ドラマ等を英語の二カ国語で放送しております。それから、ラジオの第二では四カ国語の外国ニュース放送しております。それから、衛星の第一放送では、朝の「おはよう世界のトップニュース」で十カ国のニュースをそれぞれの言語と日本語でお伝えしております。それから、ラジオの第一放送の場合は、近畿ブロックではハングル語を交えた地域情報番組を月曜日から金曜日まで行っております。  それから、現在、NHKが二カ国語で放送しているテレビ番組は全体で三十六番組ございまして、これは今後拡充の方向で検討したいと思っております。  特に災害時でございますが、警報等が発せられた場合は、NHKは一定の時間、BS1、BS2の副音声チャンネルラジオ第二放送を使いまして英語放送を行っておりますし、その後の総合テレビニュースの中でも随時副音声を使って英語ニュースで呼びかけるという試みはしております。  それから、例えば地域でFM放送の民間の放送がございますけれども、関西インターメディアというFM局とは平成七年に覚書を交わしまして、災害時にNHKニュース外国語に翻訳してそこのFM局で伝えていただいて結構ですという契約を交わしておりまして、日本で生活している外国人に向けて災害時にニュースを共有化する試みを続けておるところでございます。
  169. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  在日外国人の方々等への災害時の放送につきましては、たまたま時期が一致したわけでございますが、平成七年二月に、外国語FM放送の制度化と申しますか、積極的に放送を行いたいと希望される方に電波を用意するような仕組みをつくったわけでございます。  それから、これまでも申し上げてきたとおり、字幕放送、これは二〇〇七年までに字幕放送可能なものについてはすべて字幕をつけていただく、こういうことで行政も努力目標としていくということでございます。  それから、平成十年二月には、私どもの勉強会の場といたしまして、防災と放送についての連絡会、これは、放送事業者の方々と防災関係の省庁との意見交換の場を設けております。きょうのまた先生の御指摘を踏まえて、こうした勉強会での審議充実させたいと思っております。  また、これは自主的な活動でございますけれども、コミュニティーFM放送、全国で今百十八社開局しておりますけれども、大変積極的に災害情報等を、本当に地域に密着した、なかなか全国放送ではカバーできないような災害情報提供されております。あるいは、その中で外国語で放送しておられるところもございまして、そうしたいろんなメディアのそれぞれの努力で、総合的に今先生指摘のようなニーズにおこたえしていくということがこれから効果的ではないかと思います。  インターネットも普及してまいりますので、インターネット、コミュニティFM放送、それから外国語FM放送充実といういろんなメディアの総合的な力で御要望にこたえられるように努力してまいりたいと存じております。  以上でございます。
  170. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 災害時におけるそういう放送についてはさらなる努力をひとつ御要請申し上げておきたいと思います。  次に、公共放送としての財源問題について、先ほどもスクランブル有料放送導入の是非の問題について質問がございました。  スクランブルの有料方式をとらなければ、この問題については受信料制度そのものの根底が揺らぐのではないかというふうに思うのでありますし、同時にNHKが維持できるかどうか、先ほどお話もございましたけれども、再度、どのように考えているか、お聞きをしたいと思います。  また、受信料制度理解をどのような体制と施策で実行しようとしているのか。私は、より受信料制度理解を深めていくためには、やはり営業活動というのが大変重要ではないかというふうに思います。そこを強化する以外にないと考えるのでありますが、営業体制の強化はしたがって人になってくる。先ほども議論がありましたように、一軒一軒訪ねていくことの難しさなどのお話もございました。現実的には、やはりそこで契約をして収納に携わる人たちの実態を重視しなければならないのではないか。そういう意味では人の確保というのが非常に重要なことであると思いますが、予算上では一三%まで下げてきた営業経費率をここはしばらくこのまま凍結をしておいて、体制整備を図ることが必要と考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
  171. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私ども受信料制度日本にとって最も好ましい制度だというふうに申し上げてきております。  御承知のように、今国民の価値観は多様化しておりますし、また若い人たちにとっては対価主義といいますか、見たものに対して金を払う、そういう意識が年々ふえてきているという実態もあります。  しかし、我々日本国民はこういうNHK的な公共放送、多メディア多チャンネルになるほど、情報がはんらんし、あるいは画一的な番組が流れてくる中で、やはりユニバーサルサービスといいますか、国民の生活にとって必要な情報、それと同時に、情報に格差なくすべての人たちに報道、教育、教養、娯楽という四つの分野を総合的にバランスよく提供する、こういう放送は私は必要だという認識をさらに深めてもらうことができるだろうというふうに思っております。我々が安易にそういう対価主義、商業主義にここで走ってしまえば、後で取り返しのつかない文化の損失ではなかろうかというふうに思っている一人であります。  これから受信料収納が非常に苦しい時代が続くと思いますけれども、私どもは、そういう苦しい中で、NHK公共放送としての必要性、存在感はやはり訴えていかなきゃならぬだろうと思っております。それを実際に集金していく委託集金人の制度のあり方、待遇の問題、いろいろあると思います。そういう面では、いかに人材を採用し、またそれを育成するかにかかっていると思います。それと同時に、研修とか教育という問題もあろうかと思います。  私は、やはり質のいい番組をつくることによって国民の信頼をかち取る、そういう決意をさらに固めていくのが我々の使命だろう、そういうふうに考えております。
  172. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 受信料NHKが成り立っているとすれば、やはり契約と収納というのは非常に大事なことでありますから、引き続きNHKとしても努力をしていただくようにお願い申し上げます。  次に、情報開示の問題についてでありますが、財務内容等の積極的な情報開示を行うべきであろう。それは、NHK経営自体が受信料を基本の財源としてその役割を果たしているわけでありますから、聴視者に対しては十分に理解が得られるような情報開示が大事だと考えております。現在の取り組み状況についてお知らせ願いたい。
  173. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生から御指摘がありましたように、私どもやはり国民の理解と支持によって成り立っている公共企業体でありますから、できるだけ情報を公開し、ガラス張りにし、そして国民の意見に耳を傾けながら運営するのが我々の基本的な姿勢であります。  そういう面で、私は会長に就任以来、「改革実行」とともに「公開と参加」というのを経営理念の大きな柱に掲げております。そして、私ども、財務諸表といいますか、予算あるいは事業計画等についてはこれを一般に公開し、そしてまた新聞広告等にも掲載すると同時に、毎月私の記者会見もやっております。そういう中で我々の仕事ぶりを発表しておりますし、また視聴者会議なり審議会なり、いろんな面でいろんな方々の御質問に誠意を持って答弁しているところであります。それと同時にまた、こういう委員会等での先生方の御意見を十分に参考にしながら経営の指針にしたいと。  そういうことで、できるだけ、国民とともに歩む国民の放送局、そういう意識を忘れないで、これからも情報の公開に一層透明度を増していきたいと思っております。
  174. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 具体的には経営委員会の議事録も情報開示すべきであると考えますが、いかがですか。
  175. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 経営委員会の状況につきましては、NHK業務報告書の中で経営委員会の仕事ぶりを掲載しております。これは国会にも提出しております。  さらに、いろんな面で経営委員会の詳しい情報を公表すべきだという意見もあります。そういう面で、先生の今の御指摘につきましては経営委員会の方にも私お伝えして、これから経営委員会の情報公開をどこまでやるか、この委員会の模様をお伝えしておきたいと思っております。
  176. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 経営委員会の選任に当たっては、放送法第十五条で十二名と定められています。この十二名の枠を増員するかどうかは別にいたしましても、経営委員会の中に、先ほども議論になりましたように、これから先のマイノリティーの方々に対するサービスということを考えると、障害を持っている方々がどのように受け手として考えているかなどを考えたときに、やはり障害者団体の代表や労働組合の代表というのを参加させるべきだと考えますが、その点、郵政省はいかがお考えでしょうか。
  177. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 今先生指摘のように、NHK経営委員の選任につきましては、放送法第十六条で、条文をお読みして恐縮でございますが、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表され、かつ全国から四人を選出、それから関東甲信越等の八地区に住所を有する方のうちから各一名、計十二名選出させていただいておるところでございます。御案内のように、これは国会の同意人事でございます。  この経営委員会の役目というのは、NHK経営の重要事項を決定するという大変重い仕事をされているわけでございますが、これまでの運営あるいは御活躍を拝見いたしますと、この選任基準というのは、大変よくこの役目にふさわしい形での選出の物差しと申しますかバランスのとれた方法ではなかろうかと考えております。  今御指摘のあった角度からの御議論というのも、今の十六条に基づいて選任されたそれぞれ十二人の委員の方々が、そうした見識も踏まえて経営委員会において議事に参画いただいておるものと承知しております。
  178. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後質問になりますけれども、学校の受信料の一部免除の廃止の問題についてであります。  結果的に見直すということでありますが、とりわけ教育テレビ、これは四十周年を迎えて新たな展開をしようとする中で、学校で利用する率が大変私は多いと思うんです。最近、子供たちの理科離れというのが大変多いというふうに言われている。それらの対策などを積極的にやることを通じて、受信料がいただきやすいような形をとっていかなきゃいかぬと思うんです。  その点、具体的な番組対策も私は必要だと思うんです。ただ単に受信料を徴収するか廃止するかだけの問題ではないと思うんですが、その点いかがお考えでしょうか。
  179. 河野尚行

    参考人河野尚行君) 子供たちの理科離れの点でございますが、例えば、「やってみよう なんでも実験」という実験をする番組についてはこれまでよりもいい時間に放送を持ってきておりますし、それから昨今は宇宙に対しての興味が広がって、それをとらえる技術も発達してきたものですから、「宇宙デジタル図鑑」等の新しい番組開発して、子供たちにそういう科学的な、理科的な知識を増すような番組をしております。  それから、先ほどもちょっと答弁したんですが、そういう番組も踏まえまして、深夜の時間帯に一時間以上の教育番組のパッケージをして新たに編成をし直して、それを学校の先生が録画していただいて教室の授業に役立てていただくような、そういう編成上のことも考えておりまして、おっしゃるようなことについては努力してまいりたいと思っております。     ─────────────
  180. 小林元

    委員長小林元君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、鹿熊安正君が委員辞任され、その補欠として森山裕君が選任されました。     ─────────────
  181. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 本日は、海老沢会長初めNHKの方々も多数御出席いただいておりますので、NHKの方から二、三、NHK放送について常日ごろ思っていることについて御所信をお伺いしておきたいと思います。  放送法によりますと、放送事業者は事実を曲げないで放送しなければならない、それと同時に議論が非常に錯綜している、対立しているような議論については、できるだけ多面的な報道をしていかなければならないということになっているそうであります。  そこで、NHKの立場ということを考えますと、他の民放とは若干違ったといいますか、大いに違った点があるかと思います。それは、まさしく今放送法で定められているようなことについて非常に厳密な姿勢が要求されているんじゃないかと私は思っております。しかし、この実態を考えてみますと、非常に難しい問題ではないかと思います。論点を公平に扱う、事実をそのまま放送する、問題によっては両立できないというようなこともあり得るんではないかと思っております。  具体的な問題で申し上げたいと思います。私は仕事上原子力発電について相当の時間深いかかわりを持ってきたことがありました。原子力発電というのは非常に難しい問題であることは確かでありまして、安全面などについては、例えば米国のスリーマイルアイランド事故というのがありましたし、それからソ連時代だとロシアのチェルノブイリ事故、こういった事故が起こりますと、原子力発電というのは本当に大丈夫かと思うのは当たり前のことではないかと思います。NHK報道などでも原子力関係報道はかなりの回数が報道されております。例えば、具体的に申し上げますと、「クローズアップ現代」などでも取り上げられている。  こういったいろいろな事件が起こる、それをそのままきちっと放送していく。そうしますと、本当に原子力発電というのは大丈夫なのかという疑問とともに、大部分の人はなぜそんな危ない原子力発電を我々は運営していかなければならないかと思うのは当然ではないかと思います。ですから、事実関係をそのまま報道していくことによって、原子力発電全体の必要性に始まって、全体像といいますか、そういうようなものが損なわれていくというような場合もあり得るんじゃないかと思っております。  事実関係で申しますと、例えば「あふれる使用済み核燃料」というような題で報道がされております。これは黙って見ていれば、大変危険なものが原子力発電所はもちろん、その辺にあふれてしまうのじゃないかというような受け取り方にもなりかねない。この点については政府側にも非常に問題があると私は思っております。  しかし、そういったことで考えていきますと、我が国の場合、エネルギーのほとんどは輸入しなければならない、そういうような実態にあって原子力発電は非常に重要なわけですが、そういう面からのとらえ方、またCO2問題などについては原子力発電は非常に推奨されるべきシステムになっている、そういう視点とか、そういった全体の中での問題としてのとらえ方とそういった報道の間の問題で一般の人たちが受ける印象といいますか、こういったことのバランスをNHKはどういうふうに考え報道を進めていかれるおつもりでしょうかということをまず最初にお伺いしたい。
  182. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今、戸田先生から報道の公平な扱いについて御指摘がありました。  やはり、報道というものは誤ったりあるいは偏ったりあるいは一方的になるような放送を避けるのは当然であります。こういう複雑な世の中でありますから一つの問題についてもいろいろな多様な意見があります。そういう面で、私ども放送法にありますように、意見が対立したものにつきましてはいろいろな角度から公平に扱うというのはこれは基本であります。もちろん、一方的な偏った報道は避けなければならないのも当然であります。そういう面で、私ども、部内でも報道に当たってはそういう番組のガイドラインを使っていろいろ研修もしておりますし、また新人で入ったときから報道のあり方、客観報道、事実をどれだけ的確に正確に伝えるか、これはしょっちゅう研修をし、また後輩に指導をしていくのが我々の使命であります。  そういうことで、今具体的に原子力報道についていろいろ指摘がありました。もちろん、日本の場合は被爆国ということで原子力に対してほかの国に比べて非常に神経質な面があるのもこれは当然であろうかと思います。そういう中で、私どもはできるだけ多様な意見を公平に扱うということを基本にしております。  それと同時に、原子力問題、日本の場合はエネルギーが非常に少ない、輸入大国である、あるいはいろんな事故等も発生している。そういう中で、やはりこの原子力の問題については国民の関心があるわけでありますから、これを多角的に扱うようにということでいろんな番組をつくっております。そういう中で、私なりの基本的な考えとしては、できるだけ多くの方々の意見をきちっと伝えて、そして過不足なく報道するというのを第一にしております。  先日も、原子力問題についていろいろな討論会がありました。その中で、非常に公平に扱っていただいたというような意見もありました。また片方では、反対意見ばかりニュースで扱っているのではないかというような意見も我々は耳にいたします。  これは見方によっていろいろ違いますけれども、基本的な姿勢は今申し上げたように、いたずらに視聴者国民を不安に陥れないように、的確な正確なニュースをやるように今後とも指導をしていくつもりでおりますし、現場でもいろいろそういう研修、勉強を重ねていくのが我々の使命だろうと思っております。
  183. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 大変難しい課題ではあろうかと思いますが、常日ごろからひとつそういう点を御認識いただいて番組制作の際には特に御注意いただければと、こう思います。  第二の点であります。  けさほどから何回も話題になっておりました、重ねて詳しくお話し申し上げるつもりはありませんが、NHK衛星放送海外放送、これはかなり広い地域で今受信可能になってきている。ですから、海外に住んでいる日本人あるいは日系人、そういった人々にとりましては、日本の生のニュースを直ちに取り入れることができる。昔に比べますとまるで状況が違ってきているというようなことではないかと思います。  そこで、NHK衛星放送というのは、NHK海外ニュースを流していると同様に、相手方のジャーナリズムもあれを非常に注目している。そういうことになりますと、日本からのそういうような報道によって海外のジャーナリズムが直接に日本の状況についてのいろんな印象を受けることになる。そういう場合に、真の日本理解してもらうために必要な報道であれと願っているわけですが、そうではなくて、事実を流していくうちに相手に日本に対しての理解が変わっていくとか、あるいは悪い印象を持つとか、そういったことも起こり得るんじゃないかと思います。  先ほどの話と相通ずる点があるかと思いますが、これらの点についてはどうお考えでしょうか。
  184. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私ども、今一日十八時間、四月からは十九時間、十月からは二十四時間ということで世界百七十四カ国に三つの衛星放送を出します。これのニュースは私どもが今放送しております総合テレビ、教育テレビの一部あるいは衛星第一、第二の四つの波をミックスして放送しております。  二十四時間放送になりますと、またいろいろ編成の仕方を考えますけれども、これはあくまでも今私どもがつくったものをそのままほとんど生で流しているということですから、日本視聴者国民が見るものがそのまま流れるということであります。先生指摘のように、やはり世界に向けての発信であります。これはどこの国に対してもそうですけれども、我々は事実を的確に放送するのが基本でありますから、どこの国民が見ても、またどこの放送機関が見ても、また日本の人が見ても誤りがないようにというのが基本でありますので、私どもは自信を持って放送しているということでございます。  ただ、そういう中で、やっぱり人間でありますから思い違いなりあるいはちょっと勇み足的なものがあるかもわかりませんが、その場合は直ちにそれは訂正するなり、あるいはまたもう一度再放送するなり、いろいろの措置はしなければならぬと思いますが、いずれにしても、私どもは取材から編集、送出までいろんなチェック機関がありますので、それをやっておりますので、口幅ったい言い方でありますけれども、自信を持ってニュースを出しているということで御理解願いたいと思います。
  185. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 NHK番組というのは私も相当よく見ている部類じゃないかと思いますが、NHK番組の中で、海外放送局その他と提携しながらといいますか、共同で番組制作しているものがかなり出てきております。特にシリーズ物などで多いわけです。申し上げるまでもないことでありますが、そういういい番組国際的な協力制作していく、これはこれからも非常に大事な部門ではないかと思います。  特に、国際協力というのは、やはり日本との共同制作ということで相互理解する場が出てくる、そういうようなことで、これからも相当力を入れていただいてよろしいんじゃないかと思いますが、そういう共同制作、最近非常にふえてきていると思っておりますが、またテーマの選び方なども難しいのかもしれませんが、この点についてのNHKのお考えをお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私ども、今世界の三十七カ国、四十九の放送機関と協力協定または協力覚書を取り交わしております。これは取材の協力とかあるいは番組の共同制作なり交換なり、そういう面で協力関係を進めております。  そういう中で、NHKスペシャル「海 知られざる世界」とか、あるいはこれからつくりますNHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体Ⅲ」だとか、あるいは地球の自然ものとか、そういうのをいろいろ共同制作しております。これからそういう共同制作は年々ふえていくと思っております。  それと同時にまた、私ども開発途上国に年間三千本以上の教育関係、子供向け番組提供しております。これからますますそういう面で国際的な提携なり協力関係なりを進めていく方向になると思いますし、また私もそういう面で努力していきたいと思っております。  私、ことしの一月からアジア・太平洋放送連合、ABUの会長に就任し、これからますますアジア関係放送機関とはいろんな面で提携関係を強化していきたいと思っているところであります。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。十六番目の質問者でございますが、最後ですのでひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  大分いろいろ議論が尽くされておりますが、私も、いわゆる放送メディアアナログからデジタルに変わるというこの時代に、正直なことを言いまして、今までもいろいろメリットなりをお聞きいたしました。きょうもいろいろな御質問が出たわけでございますが、いろいろお聞きしましたが、言葉の上ではまだなかなか理解し得ないのが正直なところでございまして、本当にうまくいくのかなと。これはうまくいかなければいけないんだろうと思いますが、NHKはその先駆的な役割を果たしているのではないかなという気がいたしますので、きょうはたまたまNHKの会長以下皆さんお見えになりましたので、その辺に関してちょっとお聞きをいたしたいなと思っておるわけでございます。  来年の秋から新しい放送衛星デジタル放送が始まる。知らない間にといいますか、庶民の立場からいきますと、知らず知らずのうちにもう足を突っ込んで、見る見るデジタル化に向かうんじゃないかなと。  今やテレビは日常の必需品といってもいいぐらいなものでございますので、特に高齢社会、あるいは中山間地の余り娯楽のないところでは、これこそ本当にかけがえのない、娯楽と言っちゃ失礼でございますけれども楽しみの一つだと、こういう認識があるかと思います。知らない間に自分のテレビには何も映らなくなったということになっては大変悲しい思いに至るわけでございますので、その辺を踏まえて、時系列的にどのようにこれから変化していくのか、まだ予定の段階でしょうから余りはっきりとした見通しはないのかもしれませんが、ある程度その辺の具体的な数字的なものを教えていただけないかなというつもりでおります。  一つには、アナログ、デジタルでこの先お互いに並行して、最終的には片方が終わると、こういうことになると思うんですけれども国内放送に限ったもので結構でございますけれども、その辺のチャンネル数がこの先時系列的にNHKさんはどのように変わっていかれるのか、ひとつお聞かせ願えたらと思います。
  188. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お答えいたします。  チャンネル数が時系列的にどういうふうに変わっていくのかというお問い合わせでございます。  まず、現在放送しておりますアナログのBS放送でございますけれども、御承知のとおり、衛星第一と第二の二チャンネルテレビジョン放送実施しております。それから、これとあわせまして民放と共同でハイビジョン普及チャンネルチャンネル放送しております。  このうち、このハイビジョン普及チャンネルについてでございますけれども、民放はBSデジタル放送開始時点までにやめる意向を持っているというふうに伺っておりまして、BSデジタル放送開始時以降は私どもNHKが単独で実施する可能性が大きいというふうに受けとめております。  それから、もう一方の二〇〇〇年末に始まりますBSデジタル放送NHKに認定されておりますチャンネルは、こちらの方は現時点でBSアナログ放送衛星第一、第二と同内容の放送を行う二チャンネルでございますけれども、これに加えてデジタルハイビジョン放送実施できるよう今制度整備要望しているところでございます。  仮にそういうふうになりますと、BSデジタル放送開始時点で、NHKアナログ放送では標準テレビチャンネル、それとハイビジョン一チャンネル、合わせて三チャンネルテレビジョン放送になります。  それからもう一方、デジタル放送の方でございますけれども、こちらはアナログ放送と同内容の放送による標準テレビチャンネル及びハイビジョン一チャンネル、合わせて三チャンネルテレビジョン放送実施することになると、こういうふうに考えております。  ただし、この場合、アナログハイビジョンではデジタルハイビジョンと基本的に同内容の放送をサイマル放送する、そういうことでございますことから、実質的には標準テレビチャンネル、ハイビジョンテレビチャンネル、合わせて三チャンネル放送アナログ放送デジタル放送でそれぞれ実施すると、こういうことになります。  私どもとしましては、BSデジタル放送の普及が十分進んだ段階ではアナログ放送を終了してデジタル放送でハイビジョン放送チャンネル実施可能な伝送容量によるハイビジョン中心のテレビジョン放送実施したいと、こういうふうに考えているわけでございます。  それからもう一方の、衛星じゃなくて地上放送につきましては、デジタル時代においても今の総合テレビと教育テレビの二チャンネルを基本に考えていくことになりますけれども放送方式あるいはチャンネルプラン検討が現在進められている段階でございまして、現時点で衛星放送のように私どもNHKチャンネル数を時系列でお示しすることは大変難しい状況にございます。  以上でございます。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 残念でございますけれども地上放送のデジタルはおわかりにならないと。今番組の数もお答えいただきましたので、その点質問を用意したんですけれども、それはやめます。  端的に言って、今ごく一般の家庭は、ケーブルテレビを見ている人は別として、一つの受像機で地上のアナログ放送と、半分以上いるかどうかわかりませんがBSを見ていると、こういう状況が一般的だと思うんですが、この状態でこのままずっと進んだ場合、どの時点でどういう不都合が起こるのか、どういう不利益が起こるのか。  NHKさんにしてみれば、デジタル放送が始まったらデジタル受像機をお買いになればいいじゃないかというようなお考えかもしれませんが、普通の人の考え方では、利用できるものだったら幾らでも利用しようと、こう思うと思うんです。どの時点でどういう不都合が起こって、そのときはどうしたらいいのか。それはどのぐらいの価格で、どのぐらいの負担になるものか。視聴者の立場に立ったこれからの時系列的な流れをちょっと教えていただきたいと思います。
  190. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) お答えいたします。  今先生の御質問は、地上テレビなり衛星テレビを見ている普通の御家庭が今後どの時点でどういう不都合があるかというお尋ねでございます。  二〇〇〇年の末から衛星デジタル放送が始まります。普通の御家庭で、何もしなければ今までの地上テレビ及び衛星放送はそのまま、今のまま受信サービスができます。二〇〇〇年末から始まるBSデジタル放送には、NHKとさらに民放系といいますか民間の新しいサービスもございます。したがいまして、その時点で新しいサービスをごらんになりたいというふうにお思いになる方は、現在の受信機にアダプターというのをつけていただきまして、これは電波がデジタルなものですから、そのデジタルの電波を受けるアダプターがどうしても必要になってまいります。そのアダプターを購入していただければ、二〇〇〇年から始まりますBSデジタル放送のハイビジョン放送あるいは普通のテレビデータ放送、これがすべてごらんになれます。ただ、今のテレビが普通のテレビですと、ハイビジョンは画質的には今のテレビにダウンコンされますので、画質的には今の標準テレビと同じでございますけれども、内容的にはごらんいただけるということになります。  さらに、今衛星を受けている受信者はアンテナをお持ちですが、パラボラアンテナですけれども、それはそのままデジタル時代にも使えますので、結論的に申し上げますと、アダプターというものをおつけいただければ新しいサービスもお受けいただける。  私どもは、このアダプターをできるだけ安くということで、最終的にはメーカーさんがお決めになることでございますけれども、できるだけ安い方向にいくように私どもも全面的に協力してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私も議事録を後で読ませていただいて整理をしなきゃわからないところもございますけれども。  今のようなことでお進めになると思うのですが、先ほどもお話に出ましたけれどもNHKテレビを見ていまして、BSのPRといいますか、始めるよというようなPRは盛んにされておられる。これはこれで結構なんですけれども、この先どうなるのかという不安といいますか、それよりも前に、まずは関心がないのが最初ですので、先ほど申し上げましたように、日常の必需品ですから、むしろこの先どういう順番で、スケジュールでいくのかということを知った方が関心が高まるという気がいたすんです。  その辺、始まるというものばかりでなくて、あるいはやっておられるのかもしれませんけれども、どういうように変わるのか、その辺も含めたPRもやっていただいた方が私の印象ではもっと効果的ではないかな、こんなふうな気持ちがいたしますので、それはぜひとも要望させていただきたいと思います。  それから、先ほどもチャンネル数をいろいろお聞きしましたけれども、ふえたり減ったり随分変わるわけでございます。チャンネル数が変わるということは、それだけ仕事量の変化も大きく変わるんじゃないかなと。  これは、私、そこまで心配すべきかどうかわかりませんが、これをうまく進めるためには、そういう非常に変化の大きい体制をどううまく切り抜けていかれるかということがあろうかと思いますので、その辺、デジタル化といいますか新しいメディアの体系にうまく移行する実現性の判断をしたいという面から、ちょっとお話を伺わせていただきたいと思います。
  192. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) アナログからデジタルへの転換について、私どもも、組織のあり方あるいは番組制作の進め方、あるいは新しい技術の導入、いろいろな面で今段階的に切りかえをしている最中でございます。できるだけアナログからデジタルへの円滑な移行といいますか、これに向けて今努力をしている最中であります。  この新しい技術の導入というのは、組織なり人材の養成にもかかわる問題でありますから、この辺を今着実に移行できるようにいろんな面で今努力をしております。  それと同時に、今先生指摘のように、やはり国民にわかりやすくデジタルのメリットといいますか、デジタル技術の成果というものがどういうものかを知らせる我々は使命、義務を持っておりますので、今後一層努力してまいりたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 わかりやすくPRしていただくというのは大変結構ですが、先ほど申し上げましたように、そのいつからというのがわかっていないというのが私は一つの大きな心配だと思いますので、その辺も含めて、また繰り返しますけれども、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  それともう一つ、このデジタルに関しまして、例えばBS等が始まりますと、当然ながら全国をカバーするわけですね。デジタル化について前にも質問させていただきましたが、民放がチャンネル数を多く持てる、活動範囲が広がるということで地方のメリットもあることは事実でございますけれども、BS等によっていわゆる全国的にぱっと報道しちゃうことによって、地方の行動範囲が減っていくんじゃないかという心配もあるような気がいたすんです。これはNHKというわけじゃございませんが、そういう地方の放送者の不安もあるわけです。  そこで、NHKさんはローカル放送を持っておられますので、まさにローカル放送をどう扱われるかということが一つの地方放送のあり方の類型になるんじゃないかというような気がいたすんです。新しいメディアの時代でローカルの特殊性、特に、今地方の時代と言われている時代でございますので、その辺、無視されるということは地方の人間にとっては非常に困ったことだという気がいたしますので、その辺についての御所見をお伺いさせていただきます。
  194. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 私は、デジタル多チャンネル時代になればなるほど地方の放送重要性といいますか使命というのは大きくなるだろうと逆に思っております。  といいますのは、全国一遍に空から降ってくる、そういう時代になれば、やはり地方の文化なり産業にいろんな面で影響が出てくるだろうと。そういう面で、地方のそういう生活なりあるいは文化なり産業というものをお互いに知り合う、またそれを全国に発信しなきゃならぬ。多チャンネルになればなるほど地上波をさらに充実させて、そしてそれをまた全国に発信する、また衛星でそれを発信する。  そういう面で、私ども、地方五十四局ありますけれども、地方の放送局のさらなる充実を図っていくというのが我々の使命だろうと思っておりますので、デジタル時代になって地方放送局を、地域放送を軽視する考えはありませんし、拡充する方向へ持っていきたいと思っております。
  195. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 角度を時系列的な面でということで質問させていただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、そういう面で、これから先、伝えられるところによれば二〇一〇年にアナログ放送が全部終わる、その実現に向けて進まなきゃいけないと思うんです。  今の、私がNHKさんにいろいろお聞きした質問を踏まえて、大臣、これからの展開といいますか、そういうものについて何か御所見がございましたら、御決意がありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思っております。
  196. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生もこの委員会で何度か御指摘いただいていますとおり、情報通信の高度化というのはこの日本の国にとっても非常に重要だということで、既に国内においてはさまざまな情報通信機器のデジタル化というのは深く潜行して、知らない間に例えば通信なんかもデジタル化が進んでいるということで、いわば最後のとりでがこの放送デジタル化ではないかと。その中で、NHKにおかれましては放送に関しては非常に先導的に役割を担っていただきまして、今回、BSデジタルに関しても予定どおり進ませていただいているというところであります。  実は、先ほどお話が出ました放送記念日のときに、海老沢会長が非常に力強くデジタル放送の導入においてもNHK役割は重要であるということをお示しいただきまして、あわせてその際に、御来賓で来ておられた民放連の氏家会長もデジタル元年だということでごあいさつがあったところです。このお二方が、放送事業を支えている両雄としてそういう意思を持っていただければ、私たちはこの国のデジタル化は円滑かつまた着実に進んでいくんではないかということを期待しています。  ただ、気をつけなければならないのは、何せ未曾有の事業でございますから、やはり慎重に、いろいろな方がかかわっている、特に放送というのは国民にとってはもうまさに身近な存在でありますから、視聴者、そして放送のつくり手、さらには、先ほどアダプターとか受像機の話が出ていますけれども、そのつくり手であるメーカー、それぞれが同じ方向性で共通の思いで歩んでいただくことが一番大事だと思いまして、私たちはそういう環境を整備できるように努力を重ねてまいりたいと思います。  よろしくお願いします。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よくわかりました。  放送者あるいは産業界、これは非常にわかりやすいんですけれども、やはり視聴者というのをぜひお忘れにならないように、今の大臣のお話でその辺にもお考えいただけると私は受け取ったつもりでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。
  198. 小林元

    委員長小林元君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  200. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送の社会的影響の重大性を強く自覚し、放送の不偏不党、真実及び自律を一層確保するとともに、放送倫理の確立と徹底を図り、正確かつ公正な報道と豊かな放送文化の創造に努めること。  一、協会は、その主たる経営財源受信料であることにかんがみ、受信料制度への国民の理解促進を図るとともに、負担の公平を期するため、衛星契約を含む受信契約の確実な締結と収納の確保に努め、受信料免除の在り方についても、抜本的に検討を行うこと。    また、引き続き、経営全般にわたる抜本的な見直しと全職員の意識改革に取り組み、業務運営効率化によって経費の節減に一層努めるとともに、関連団体の業務の在り方について検討すること。  一、協会は、視聴者の一層の理解協力が得られるよう、協会及び関連団体の経営内容等の公開を含め、積極的な広報活動を行うとともに、経営及び番組編成に視聴者の意向が的確に反映されるよう努めること。  一、マルチメディア時代における放送をめぐる環境の変化に適切に対応し、デジタル放送の円滑な導入に向けた諸準備を推進するとともに、積極的な研究開発等に努めること。    また、デジタル放送の導入に当たっては、視聴者負担に十分配慮し、デジタル化の成果をあまねく国民が享受できるよう配意すること。  一、放送が青少年に与える影響を深く自覚し、青少年の健全育成に配慮し、豊かな情操を養う放送番組の拡充に努めること。  一、障害者や高齢者向けの字幕放送、解説放送等を一層拡充するための総合的な施策を推進すること。  一、我が国に対する理解国際間の交流を促進し、海外在留日本人への情報提供充実させるため、映像を含む国際放送を一層拡充するとともに、十分な交付金を確保すること。  一、協会は、地域に密着した放送番組充実・強化を図るとともに、地域から全国への情報発信を一層推進するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  201. 小林元

    委員長小林元君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田郵政大臣及び海老沢日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。野田郵政大臣
  203. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 日本放送協会平成十一年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認いただき、厚く御礼申し上げます。  御審議を通じた貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  204. 小林元

  205. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。
  206. 小林元

    委員長小林元君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  208. 小林元

    委員長小林元君) 電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  209. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における航空無線通信の多様化に対処するため航空機地球局等について電気通信業務を行うこと以外のことを目的としても開設することができるようにすることとし、あわせて国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則等の改正に伴い海上における遭難通信等に関する規定整備をするとともに、無線局の増加の状況等にかんがみ電波利用料の金額を引き下げる等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、航空機地球局及び航空地球局について、電気通信業務を行うことを目的とするものに加えて、同業務以外のことを目的としても開設することができるようにするため、その開設目的等に関する規定整備を行うこととしております。  第二に、新たな海上遭難・安全システムへの移行のための国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則等の改正に伴い、モールス信号による遭難通信の聴守を義務づけた規定を廃止する等の措置を講ずることとしております。  第三に、無線局の増加の状況等にかんがみ、一部の無線局の区分について電波利用料の金額を引き下げることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、航空機地球局及び航空地球局に関する改正規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  210. 小林元

    委員長小林元君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  211. 小林元

    委員長小林元君) 次に、郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  212. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便の利便の向上を図るため、郵便に関する料金の納付方法について所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、郵便利用者が郵便に関する料金の納付を他の者に委託して行うことができるようにすることであります。  なお、この法律の施行期日は、平成十二年二月一日といたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  213. 小林元

    委員長小林元君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会