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1999-03-15 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十五日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      海野  徹君     本田 良一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     川崎 二郎君    政府委員        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        運輸省海上交通        局長       宮崎 達彦君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        運輸省航空局長  岩村  敬君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        環境庁企画調整        局地球環境部企        画課長      柳下 正治君        海上保安庁次長  長光 正純君        自治大臣官房審        議官       石井 隆一君        自治省税務局府        県税課長     武田 文男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十一年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管海上保安庁海難審判庁、気象  庁及び港湾整備特別会計を除く)及び郵政省所  管(郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会  計を除く))     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、海野徹君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君が選任されました。     ─────────────
  3. 小林元

  4. 若林正俊

    若林正俊君 自由民主党の若林正俊でございます。  きょうは、十一年度予算に関連して、運輸省所管のうち鉄道局中心に御質問を申し上げたいと思います。  まず、鉄道輸送評価の問題でございます。  最近、EUの域内中心ヨーロッパ高速鉄道計画が提唱されまして、ヨーロッパのほぼ全域を国際的な高速新幹線で結ぶ構想が現在進んでおります。アジア地域におきましても、韓国、台湾で国内主要都市を結ぶ高速鉄道網計画推進されておりますし、とりわけ中国の超特急構想北京—上海間を結ぶビッグプロジェクトとして二〇〇〇年の着工を目指して準備が進められております。  これらは環境に優しく、省エネにすぐれ、安全確実な高速鉄道機関としての評価であろうかと思いますけれども、運輸大臣にまずお伺いいたしますが、このように鉄道輸送が再評価されております背景と、我が国における鉄道の復権という問題につきまして御見解を承りたいと思います。
  5. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたけれども、やはり我が国整備新幹線網というものは外国から見て高い評価をいただいておるんだろうなと私自身思っております。特に、御指摘いただいた中国新幹線問題につきましては、私も四月の初めには訪中をいたしたい、このように思っているところでございます。  私ども、まず国鉄の破綻という大きな反省があったように思っております。そして、昨年一つの議論の結果を出していただいたところであります。一方で、一昨年あたりは新幹線も一部のマスコミにかなり悪者にされた時期もございましたが、しかし、大きな流れとして、やはり環境なり安全なり、またお年寄り、そして学童、こういう問題を抱える中で鉄道というものの利便性というものが大きく脚光を浴びていることは事実だろうと思っております。  過日もこの委員会で車の利便性というものがかなり御議論をいただきました。そういった意味では、車に対する期待は極めて高いものがありますけれども、一方で、今申し上げた環境、安全というものからしますと、ある程度制約というものがかかっていくのはやむを得ないのではなかろうか。そうなれば、やはり鉄道と車というものをもう少しうまく組み合わせながら我が国社会を構築すべきではなかろうか。そういった意味で、鉄道というものをもう一度見直したらどうであろうか、こういう御議論をいただいておるのだろうと思っております。  そういった意味におきまして、我が党におきましても二十一世紀を展望した鉄道整備を強力に推進するという決議をいただきました。また、運輸省におきましても、昨年の十二月十八日、運政審に中期的な鉄道整備基本方針及び鉄道整備円滑化方策について諮問をさせていただいて、鉄道の将来の姿をどうつくっていくべきか、国鉄反省も踏まえながら次の時代を考えてまいりたい、このように思っているところでございます。
  6. 若林正俊

    若林正俊君 川崎運輸大臣、御就任以来、鉄道の再評価、二十一世紀を目指した鉄道整備のあり方について積極的なお取り組みをいただいておりますことに敬意を表する次第でございます。  今お話の中にありましたけれども、いろいろな鉄道特性の中に、高齢者が安心して利用しやすい、あるいはまた障害者社会参加という機運が高まっておりますが、障害者にとっても鉄道利用しやすいようにそういう整備を進めていく必要があるというふうに思います。  そんな観点から、昨年の平成十年度予算第三次補正で、鉄道駅でエレベーターエスカレーター整備を進めるために、いわばバリアフリー化のために事業費百五十億円、国費五十億円、いわば国が三分の一、地方が三分の二という予算措置で思い切ったエレベーターエスカレーター整備を進めることにしたわけでありますが、平成十一年度予算を見ますと、これが一億弱というふうに大幅に減っております。これは十五カ月予算であったということが主なる理由だと思いますけれども、しかし、これからの鉄道施設高齢者利用あるいは障害者利用利便性を考えますと、主要な鉄道駅については思い切った整備が必要である、こう考えております。  エレベーターエスカレーターの各主要駅の現在の設置状況、さらに、聞くところによりますと、二〇一〇年までに整備を終えたいという意気込みだと聞いておりますが、一体どんな計画鉄道駅におきますバリアフリー化を進めようしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  7. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 高齢化社会の到来、身障者の自立と社会参加の要請の高まりの中で、鉄道駅におきましては高齢者障害者などのために安全かつ身体的負担の少ないモビリティーを確保することは重要な課題というふうに認識しております。  そういうことで、運輸省におきましては、平成五年に策定いたしました鉄道駅におけるエレベーター整備指針などに基づきまして、高低差が五メートル以上、一日当たりの乗降客数が五千人以上の主要駅にエレベーター等を順次計画的に設置するよう鉄道事業者を指導しているところでございます。  JR大手民鉄営団公営地下鉄の主要駅におきますエレベーター等設置状況は、平成九年度末におきまして、主要駅数千九百四十五駅ございますが、このうちエレベーターは二九%、エスカレーターは五四%となっております。  運輸省といたしましては、鉄道駅におきますエレベーター設置などバリアフリー化促進するため、先生お話しのように、平成十年度三次補正におきましては、交通施設バリアフリー化設備整備費補助金として五十億円を計上するほか、地下鉄駅におきますバリアフリー化等の大規模改良工事推進エレベーター等に対する税制優遇の創設等総合的な取り組みを行っておるところでございます。  なお、主要駅についての将来整備目標でございますけれども、原則として二〇一〇年までにエレベーターエスカレーター整備することを目標に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  8. 若林正俊

    若林正俊君 主要駅におけるエレベーターエスカレーター設置状況について今お話がありましたが、分類で見ますと、エレベーターについては、JR六社が二一・二%、大手民鉄が二五・八%、営団公営地下鉄が四三・三%であります。また、エスカレーターにつきましても、JR六社が三六・一%、大手民鉄が五〇・二%、営団公営地下鉄が八五・七%という状況になっております。  今、二〇一〇年までに主要駅についてこの整備を終える目標推進するというお話がございました。それぞれ経営上の負担が伴うことでもありますけれども、JR六社について、早く大手民鉄営団地下鉄に追いついて、そしてみんなそろって整備を進めるように特段の御指導をお願いしたいと思います。  これら整備を進めるに当たって、地方公共団体負担が大変重くなると思います。今の援助システムでいきますと、三分の二は地方公共団体負担ということになっておりますから、これは自治省との協議もあろうと思いますが、地方公共団体負担障害になって停滞することがないように、両省よく協議の上で促進を図っていただきたいと思います。  今お話しになりました高低差五メートル以上、あるいはまた乗降客五千人以上という主要駅についてでありますが、こういう高齢者障害者利用を広く進めるという観点から、さらに対象の駅を広げながら、できるところから着実に進めてもらいたい、これは御要望でございます。  さて、そこで整備新幹線の問題について、御意見を伺いながら御要望を申し上げたいと思います。  二月二十六日の予算委員会総括質疑で、整備新幹線について、北陸新幹線長野までの開業一年の実績を数字を挙げて具体的に御説明しながら、整備新幹線が持っております大きな経済開発効果、あるいは地域活性化効果などについて強力な推進、とりわけ重点的国家戦略的に新幹線整備を進めるべきではないかとする御意見を申し上げたわけでございます。  その際に、川崎運輸大臣からは、整備新幹線を二十一世紀先導プロジェクトとして位置づけてしっかりやるという御答弁がありましたし、野田自治大臣からも、やると決めた計画は早くやるということが大事だ、ナショナルプロジェクトとしての位置づけをした上できちんとやります、一生懸命取り組んでいくという積極的な御答弁もありました。小渕総理からも、新幹線の持つ意義は大変大きいという評価をなさった上で、政府としても十分検討するというお約束をいただいているわけでございます。  そこで、お伺いいたしますが、整備新幹線整備計画が策定をされましたのは昭和四十八年なんです。運輸大臣整備法に基づいて整備計画を決定し、建設主体に対して建設すべきことを指示いたしております。今から二十六年も前のこと、四半世紀になります。今もなおいつ完成するかはっきりしないというような状況でありますことは、政治家の一人として内心じくじたるものがあります。申しわけないという思いでありますが、この整備新幹線建設促進につきましては、毎年全国の大会が開かれ、与野党、各政党とも代表者が出られてその積極的な整備を約束してきている事項でありまして、いまだにこの完成の時期が見えないということは政治の怠慢だと言われてもいたし方ないと私は思うのでございます。  そこで、論議に入る前に運輸大臣に確認をいただきたいわけですが、四十八年に定められたこの整備計画整備五線につきまして、全体をフル規格で行うというふうに計画は決められているわけでございます。その後、いろいろな経緯を経て、ミニ新幹線とかスーパー特急方式とか、早く効果が上げられるところは暫定的に利用ができるようにしようという趣旨からいろいろなことが行われてきましたが、今なお整備新幹線整備計画の全線フルで行うということについては有効である、というよりそれが目標として生きているということを御確認申し上げたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) その前に、先ほどJRをしっかり指導してバリアフリー化を他におくれないように進めろという御指摘をいただきました。JR東も独自の計画を出してまいりました。JR西のスピードが少し遅いのかなと私の感覚としては受けております。よく話をしてまいりたいと思います。  同時に、地方自治体は三分の二の御負担というお話がございましたが、三分の一で、残り事業者ということで、国と三分の一ずつということで御理解を賜りたいと思います。  いわゆる整備五線の整備計画は、全国新幹線鉄道整備法に基づき昭和四十八年十一月に決定され、全線フル規格整備することとなっております。この全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画については、特に変更されておらず、現在も維持されております。  御指摘のとおり、北陸新幹線、それから九州新幹線につきましては、一部スーパー特急方式により整備を進めております。これは、平成三年に一部改正された全国新幹線鉄道整備法に基づく暫定整備計画として整備を行っているものでございます。
  10. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、今お話もございました新幹線のうち、北陸新幹線糸魚川—魚津間、石動—金沢間、九州新幹線鹿児島ルートにつきましては、現在基本スキームの上ではスーパー特急方式によるということになっております。  フル規格で運行した場合とスーパー特急方式で運行した場合には時間短縮効果が大幅に違います。新幹線の持つ有効性という点においても大変差があるんですが、これらの線区についてスーパー特急方式にしているというのはどういう理由か、お伺いしたいと思います。
  11. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 現在既着工区間として整備が進められております北陸新幹線糸魚川—魚津間、石動—金沢間、それに九州新幹線の新八代—西鹿児島間につきましては、昭和六十三年八月に政府与党の申し合わせにおきまして、新幹線鉄道規格新線、いわゆるスーパー特急方式という現行整備方式が決定されたものでございます。  その考え方は、従来の整備計画によりますフル規格新幹線建設財源問題などによりまして当面困難であること、それに各線ごと投資効果を考慮して、時間短縮効果の高い施設整備を行うこととしたというふうに理解しております。  その結果、御指摘区間におきましては、既存の在来線との接続性を確保しつつ時間短縮効果が高い区間について整備を行ういわゆるスーパー特急方式が採用されたというふうな経緯でございます。
  12. 若林正俊

    若林正俊君 全体として財源上の制約がいつもネックになっていることは十分承知しておりますけれども、ただ、フル規格整備する場合とスーパー特急方式整備する場合、特にスーパー特急方式路盤についていつでもフル規格に転換できるような路盤整備など基礎的投資をすることになっております。そんな観点で、いわば財源上の問題としてフル規格スーパー特急方式とどの程度の差が全体で出てくるものなんですか。フル規格でやった場合は、スーパー特急方式よりも何割ぐらい余計の財源がかかるというふうに見ているんですか。
  13. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  先生お話しのように、フル規格スーパー方式ということでのその整備に要する費用の差の問題でございますけれども、同一区間フル規格あるいはスーパー方式ということでやるといたしますと、この場合につきましてはさほどの実は格差は生じないものと理解しております。  ただ、スーパー方式につきましては、ある区間のうち特定の時間短縮効果が見込める部分に限ってそのような工事をするということになっておりますので、その区間のとり方によりまして実は事業費の抑制ができるという考え方でございます。  具体的に申し上げますと、まず北陸新幹線につきましては、これまでいわゆるスーパー特急方式による整備議論されてまいりましたのは金沢まででございますが、その金沢までで申し上げますと、例えば上越—金沢間でフル規格スーパー特急方式事業費を比較いたしますと、スーパー特急方式の場合の方が約九千億程度事業費を抑制することができるということでのスタートになってございます。また、九州新幹線博多—西鹿児島間につきましても、同様にフル規格スーパー特急方式事業費を比較いたしますと、スーパー特急方式の場合の方が事業費が約三千億程度抑制されるということでスタートしております。いずれも平成九年度の価格ということで試算させていただいております。
  14. 若林正俊

    若林正俊君 その線区を早く供用開始するという意味合いで、線区を限っての整備費で見ますと今お話しのようなことがあるわけですけれども、しかし、その線区整備を先行させてスーパー方式でいたしますと、いずれフル規格に切りかえるときには新たな追加的投資が必要になってくるわけです。いわば手戻り事業費がかかってくるということがございます。  そういうような点を考慮して、全線フル規格とした場合と暫定的にスーパー特急方式整備をした場合と先ほど大した差がないとお話がございましたが、もう一度お伺いします。全線フル規格整備をした場合と部分的に今言ったようなスーパー特急方式整備をした場合と、さらにそれはアクセスの工事費も含めてですが、総体的に相互比較をしたらどのような差があるんですか。
  15. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  ちょっと説明が要領を得なくて恐縮でございましたけれども、先ほどの例で申し上げますと、上越—金沢間で比較させていただきますと、全線フル規格整備した場合と一部スーパー特急方式による整備を行いましてその区間スーパーで走るという現行整備方式、これを比べますと、スーパー特急方式の方が事業費として約九千億程度安くでき上がっておる、こういうことでスタートさせていただいております。同じように、九州新幹線博多—西鹿児島間については三千億程度安いということでございます。  なお、先ほど工事費の差がほぼないと申し上げましたのは、時間短縮効果をねらってスーパー整備をするという区間がございます。ここにつきましてはフルで整備した場合とスーパー方式整備した場合とさほど差はない。それから、将来その区間スーパーではなくてフルで利用する場合には、線路は現在の狭軌でつくりますので、当然標準軌へゲージをかえる必要がございます。こういう費用が後ほどかかってくるということになるわけでございます。その意味で、スーパーとしての具体的な工事を入れます区間についてはフルとはさほど差がないということを申し上げたわけでございます。
  16. 若林正俊

    若林正俊君 これは後ほどまた御意見を申し上げますけれども、今着工中の工事新規着工分については完成まで二十年かかる、こういうふうに言われているわけでございます。  そういう気の遠くなるような期間を想定して、部分的に開業するという意味で部分的なスーパー方式建設費だけを比較すればそうかもしれませんけれども、最終的に全線フル規格にする、こういう計画のもとにそれを積極的に進めるという前提に立てば、そのときの、一度整備をしたスーパー方式のものをフル規格の方に規格変更して工事をする、そういう追加的な工事費を含めると、私はフル規格を初めからやったのと比べてむしろ高くつくのじゃないかというふうに思っております。いろいろな鉄道関係技術者の話を聞きましても、結局は高くつく、こういうお話がございます。  問題は、一体いつまでに全体を完成させるかということの展望の問題だと思うんです。そのことは後ほどまたお伺いをすることにいたします。  昨年決めた基本スキームの中で、新規着工区間として、北陸新幹線では長野—上越間、九州新幹線では鹿児島ルートの新八代—船小屋間までを追加しているわけであります。  しかし、考えてみますと大変不自然な決め方のように思います。上越にいたしましてもあるいは船小屋にしましても、この区間を暫定開業するということを念頭に置きますと、その利便性あるいは新幹線としての効用の面からも大変これは効用を発揮しにくい位置づけだと思うんです。こんな不自然な限定した区間を決めたのは、どういう理由でそんなふうに決めたんですか。
  17. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  新規着工区間整備区間につきましては、平成八年十二月の政府与党合意に基づいて検討がスタートしたわけでありますが、その平成八年十二月の政府与党合意に当たりまして、新規着工区間に充てられる財源というものがどれぐらいあるかということを試算していただいたわけであります。  実は、今後公共事業関係費が一定の率で将来とも伸びていく、それからまた新幹線建設のために用意してございます特定財源七百二十四億でございますが、そういうもの、あるいは将来供用いたしますと入ってまいります貸付料等、そういうものを試算いたしまして、今後二十年間ぐらいに約二・四兆円の財源規模が確保できるという見通しが立てられたわけであります。  そのうち、既着工区間につきましての残工事約一・二兆円が必要であるということの中で、残りの一・二兆円、これにつきまして新規着工区間に充てられ得る財源であると。その一・二兆円の財源の範囲内で先ほどの区間が用意されたというふうに理解しております。
  18. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、本日、私は運輸大臣に対して新たな提案をしたいと思っているのであります。  今まで暫定的な開業念頭に置きながら財源を考慮してスーパー方式などの整備をしてきておりますし、なおいまだに環境影響調査をしながら整備計画実施計画に及んでいない、着工に及んでいないといったような区間が非常にあることを考えますと、私は、それらの計画を立てた前提というのは、公共事業全体の中における運輸公共さらに鉄道公共、そして新幹線がこのぐらいしか投資できないだろうということを前提に枠組みを決めた上で、これだけの計画しかできない、実行できないというふうに決めてきた経緯があると思うんです。  しかし、御承知のように大変苦しい財政事情にありますけれども、こういう社会資本としての公共投資費用効果を考えながら国家戦略として重点的に整備をしていくという考え方に立ちますと、今から十年、二十年、二十年も先に、今のシェアを前提にして定めたこのような計画はやはり思い切った見直しを必要としているのではないかなというふうに私は考えております。  そこで、そういう前提に立ちましてまずお伺いしたいんですけれども、国全体の公共事業の中に占めます鉄道公共、さらに新幹線の国投資部分、公共事業費に占める比率は一体どうなっているんでしょうか。また、運輸省の中に占めるそういう公共事業の中における鉄道、そして新幹線の比率はどうなっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  19. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 平成十一年度政府予算案におきまして、鉄道整備に係ります公共事業関係費として九百九十億円お願いしているわけであります。このうち、新幹線鉄道整備事業として三百十七億円が計上されておりまして、国全体の一般公共事業関係費に占める比率を見ますと、鉄道整備全体で約一・一%、新幹線鉄道整備事業で〇・三%でございます。  また、運輸省所管の一般公共事業関係費に占める比率を見ますと、鉄道整備全体で二〇・六%、新幹線鉄道整備事業で六・六%でございます。  なお、御案内のように、新幹線鉄道整備につきましては、さきの一般公共事業関係費のほかに、特定財源として運輸施設整備事業団交付金七百二十四億円が計上されているところでございます。
  20. 若林正俊

    若林正俊君 各委員、お聞きのとおりであります。全体の公共事業の中でわずか〇・三%という新幹線投資の部分を、国が定め、そして建設の指示をして四分の一世紀たってもなおこれから、既に今着手しているものでも二十年かかるというような計画になっているというのは、今言いましたような公共事業のシェアといいますか、公共事業位置づけを変えない前提でつくっているわけですね。  今後二十年も変えないんだという前提でこれだけ大きなプロジェクトを決めているというのはいささか問題ではないかと私は思います。私も、ずっとこの問題にかかわってきた一人として、本当に申しわけないことだなというふうに思うのでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、実際、地元負担JR負担分などを除いた純粋な公共事業費で見ますと、今お話しありました国全体の公共事業費の中ではわずか〇・三%にすぎないわけであります。交通関係だけで見ましても、道路が二兆六千百八十億円、港湾には三千三百二十億円、空港には千三百七十億円の公共事業費が計上されておりますけれども、新幹線につきまして純粋な公共事業費は約三百億円というごく少ない投資になっているわけでございます。  このような現状を考えますと、新幹線に対します収支採算性とか投資効果というようなことはさらに詳細を詰める必要がありますけれども、結論を申し上げますと、私は全線をフル規格で思い切って整備してしまうということが投資効果を発現するのに最も有効ではないかと考えております。  私自身、いろんな民間の経済研究機関などの調査やあるいは今までの運輸当局における調査結果などから、これ全体を整備計画どおり、北海道新幹線、北海道は札幌まで、そして九州は鹿児島まで、さらに長崎まで全体整備してもわずか全体で、価格を置きかえてみて八兆円前後だというふうに推定をしているわけでございます。その八兆円をどういうふうに投資することがさらに投資効果として発現されるのかと考えると、できるだけ短期にこれを完成させた方がその投資効果は大きいということでございます。  フル規格でこれらの投資をするとして、いろいろな研究、検討をその後いたしておりますけれども、線区別に申し上げる時間がありませんから線区別には本日は申し上げませんけれども、東京—札幌間をフル規格整備する、あるいは博多—西鹿児島間をフル規格整備する、また東京—金沢あるいは福井までフル規格整備をする、こういったときの新幹線鉄道の収益をそれぞれ試算していきますと、JR各社のそれによる増収益が予定されます。その収支採算性の見通しから出てくる増収益分におきます使用料、鉄道施設の使用料を鉄道建設公団に支払うわけですが、その使用料分と、さらにJRの収益増分に係る法人税などの国税収益、仮にこの建設費をすべて国債で賄うにしてもこれで十分償還可能である。国債は御承知のように六十年償還ですが、そんなにかからないで、線区によっては二十年あるいは三十年でほぼ償還可能であるという試算もあるわけでございます。  そういう新幹線のもたらす地域経済への波及的な効果だとか、あるいはまた地方自治体の財政におきましても固定資産税の増収効果だとかといったようなものをそれぞれ詳細に分析し、そしてここでこの基本スキームを思い切って見直して全線フル規格整備をするというふうに踏み切りますと、既に着工している線区については五年程度、さらに途中切れているところをつないでも、七年もあれば十分供用開始になる。  環境影響評価などを今行っております、あるいは、もう完了をしております地域、九州、長崎の新幹線とか、あるいは北陸新幹線の南越以西の地域でありますとか、こういうところを入れても、ほぼ十年でこれは完成できるというふうに思うのでございます。でありますから、改めて新幹線整備の持つ経済効果、あるいは景気回復への効果などを見直した上で思い切った新幹線建設促進を図るべきであるというふうに考えております。  新幹線がまだ整備されていない予定地域の都道府県の方々、十八都道府県ですか、知事さんを初め議会の議長さん、あるいは地方公共団体の市町村長さんや地域経済界の代表の人たちは、本当にもう毎年全国で結集をしまして各政党あるいは政府への強い要請活動を続けてきております。この人たちが二十年以上にわたってこういう要請活動をせざるを得ないその心情、心境を思いますと、もうそんなことをしなくても、決めたことはきちっと実行していくということをしてやらないと、政治全体に対する不信感につながっていくんだと私は思うのでございます。  昨今、景気回復の見通しがつかないということで大変暗い気持ちになっている方が多いわけでありますけれども、この新幹線については、北海道から九州まで、沿線の直接的な利害関係のある住民の皆さんだけでも四千万人にも達しているわけであります。こういう地域の人たち、特に社会資本整備がおくれて高度成長に乗り遅れてしまった地域の皆さん方は、現在の不況の影響をさらに強く受けている地域であります。そういう地域の皆さん方に将来に対する単なる夢ではなくて具体的な希望がそこで示されるということは、経済対策としても大変大きな効果があると私は思うのでございます。  その意味で、政府に対しまして、今までの経過は承知の上で、財政再建下でありますがゆえに、むしろ投資対効果、そしてさらに広く地域開発効果をもたらし、小渕総理が言います空間倍増計画、国民の活動の領域を大きく広げて元気が出るというプロジェクトとしてこの整備新幹線を重点的に、そして戦略的に、景気対策にも有効なプロジェクトとしてこれを取り上げていく。そのためには現在の基本スキームを見直さなきゃならないわけであります。基本スキームに縛られているわけでありますから、基本スキームの見直しについて積極的に取り組んでいくべきだと思うんです。  全線フル規格に向けて基本スキームを見直していくんだということについて、運輸大臣の御見解、御決意を伺いたいと思います。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 若林委員、すべてのことを御存じの上での御質問だと思っております。今日まで積み上げられてきた議論、それを少し視点を変えて新しくやりかえてみろという御提案であると思いますし、また政府与党間でそのような議論がこれから持たれるというふうに承知をいたしております。  ただ、私自身思っておりますのは、まず第一に、小渕内閣は経済再生内閣、景気対策最優先でありますので、経済効果という面では、今取りかかっておるものを一日も早く完成して利用者の方々がお使いいただく、それによって効果を出していく。建設による経済効果利便性による経済効果、これを一日も早く出すべきではなかろうかなという方針のもとで今日まで来させていただいたところでございます。  それから、もちろん収支というもの、これは二度とかつての国鉄の二の舞をしてはならないわけでありますので、十分収支というものを考えていかなきゃならぬ。しかし一方で、委員が言われますように地域の皆さん方の夢というものに政治としてこたえていく必要はあるだろう、こう思っております。特に、私の住んでおりますところは新幹線もなければ空港もない地域でございますので、夢を持っているということはいいなという思いを余計強くいたしているところでございます。  いずれにせよ、今御指摘いただいたことも含めて、政府与党間でさまざまな議論が重ねられるであろうと思っておりますし、一方で当然財政再建というものも一つの大きな議論として出てまいることは事実であります。そして一方、御指摘いただいておるとおり、運輸省の中でこの財源を何とかひねり出せといってもとても出せる話ではない。まさに政府与党一体となった中での一つの議論をしていかなきゃならぬ、こういうことであろうと思っております。
  22. 若林正俊

    若林正俊君 運輸大臣がかねてから新幹線建設促進に、直接みずからの出身地域の受益がないにもかかわらず大変意欲的な取り組みをしていただいてこられたことに本当に敬意を表しているところでありますし、ただいまもるるお話がございました。これは重ねて要望として申し上げておきたいと思います。  私の推定、試算によりますと、先ほど申し上げましたように、札幌まで、長崎まで、それこそすべてをフル規格整備しても八兆円程度の投資でできるわけであります。さらに、既に財源として二兆円程度は想定した上で現在の計画を進めているわけでありますから、新規に検討し確保しなければならない予算は総体として六兆円前後ということになるでありましょう。仮にこれを十年で整備しようと与野党一致の決意を持ちますと、年間で六千億ずつ整備していけば十年ででき上がるわけであります。  運輸大臣が、既に投資、着手したものを早く効果を発現させるためにそちらに重点を置いてきている、置いてきたと言うのはよくわかります。そういうことで長野新幹線については既に開業いただいているわけで、もう予想を超える大変な効果を上げております。これは総括質疑の中で詳細に御報告をしたところでございます。  でありますが、今着手をしております各線区について、これを最も有効に効果あるものにするには、やはり短期に集中的にフル規格整備するということが大事だというふうに思うわけでありまして、今申し上げましたように、新規に必要とされます公共投資財源としては六兆円程度のものでありますから、十年間で整備する、そして既に着工している線区については原則として五年で仕上げてしまう、そういうことをぜひとも実現をして、四分の一世紀にわたって夢と希望ばかりぶち上げてきた我々でありますけれども、ここで責任をとる意味で、約束したことは確実に実行するということを明確にしたいものだ、このように思い、我々も検討を続けます。運輸大臣におかれましても、政府部内にあって新たな視点で見直していくことに積極的に取り組んでいただきたい、このように願うのでございます。  そこで、新幹線と関連をいたしまして御質問をしたいと思いますのは、いわゆるフリーゲージトレーンの開発の問題でございます。  もう既に皆さん方御承知のとおり、広軌のフル規格鉄道新幹線を走らせるということでありますが、新幹線計画が立たない地域、例えば山陰などがそうですけれども、山陰地域の鉄道整備する、こういう視点に立ちますと、山陽線から山陰に入って乗りかえなしで広軌の列車を狭軌に乗り入れていく。これは、ヨーロッパなどではそれぞれの国によって車両幅が違うわけでありますが、それを機関車を取りかえながら、客車についてはレールに合わせて整備していくという方式が既に実用化されているわけであります。  しかし、日本の地形を考え、いろいろな諸条件を考えて、新たな試みとして、機関車のみならず車両も含めて全体を走行しながらゲージを変えていくという技術の開発を進めてこられたわけでございます。既に山陰線の米子—安来間で走行試験を終えて、今船の中でありましょう、ことしからアメリカのコロラドに持ち込みまして試験線で走行実験をするという段階にまでなっていると聞いております。  こういうフリーゲージトレーンが実用化されたことを想定しながら、運輸省におきましてもどの地域にフリーゲージトレーンが実用化されるかといったようなことの調査に既に着手していると聞いておりますが、フリーゲージトレーンの実用化につきまして、今検討がどこまで進んでいるかお伺いしておきたいと思います。
  23. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お話しのフリーゲージトレーンについての開発状況でございますが、お話しのように平成十年十月に新しい試験用車両が完成いたしまして、今年の一月下旬には山陰線の米子—安来間におきまして時速百キロメートル程度までの在来線での走行試験を実施させていただいております。さらに、来月、四月早々から十二年度の半ばまでの約一年半の間、米国のプエブロの試験線で時速二百五十キロメートル程度までの新幹線と同じ軌間での走行試験を行うこととしております。  これらの結果を踏まえまして、平成十二年度までに実用化のめどを立てたいということで鋭意努力させていただいているところであります。  なお、お尋ねの新幹線在来線の直通運転の可能性についての調査でございますが、この調査費につきましては、実は十一年度予算案に一・二億円の予算を計上させて御審議いただいているところでございまして、お認めいただければ新年度早々からその調査に入りたいというふうに考えております。  以上でございます。
  24. 若林正俊

    若林正俊君 今まで新幹線整備に直接関係のなかった多くの地域の人たちが、具体的に新幹線と直結する形で自分たちの地域の鉄道利用できるんだという希望を持っております。安全性にかかわることですから慎重な検討が必要であることは言うまでもありませんけれども、着実な実験を繰り返しながら、できるだけ早くこれが実用化されますようにさらに一層の御努力をお願い申し上げたいと思うのでございます。  ただ、この問題で一言つけ加えさせていただきますと、であるがゆえに、今暫定としてスーパー特急方式でやっている地域はフリーゲージトレーンを実用化すればそれでいいじゃないかという、そういう議論を誘発しがちでございますが、これは投資効果が先ほど申し上げましたように全く異なるわけでありまして、一度この投資をフリーゲージトレーンを活用した形でスーパー特急方式開業をしてしまいますと、これをフル規格に切りかえるのは追加的投資を含めて容易ならざることであります。先ほど申し上げましたように、十年以内にフル規格でやれるという技術的な背景及び地域の協力が得られるわけでありますから、この問題とは混同しないようにひとつお願いをしておきたいと思います。  なお、さらに、夢の新幹線と言われておりますリニア新幹線の開発状況及びこの実験はいつまで行う予定でありますか、お伺いしておきたいと思います。
  25. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) いわゆるリニアモーターカーの技術開発についてでございますが、山梨実験線におきまして平成九年四月より本格的な走行試験を開始しておりまして、平成九年十二月には実験線におきます目標最高速度時速五百五十キロメートルを達成しております。十年度からは二編成の車両を使った高速すれ違い試験等を実施するなど、一応着実に成果を上げさせていただいているところでございます。  現在まだ残された課題も多いわけでございまして楽観できませんが、十一年度までに長期耐久性、経済性の一部を除きまして実用化に向けた技術上のめどを立てることが重要と考え努力させていただいているところでございます。
  26. 若林正俊

    若林正俊君 以上で鉄道整備に関します質疑を終えます。  最後に、観光にかかわることでございますけれども、昭和五十八年五月に閣議決定され、またその後も会計検査院あるいは臨時行政調査会などで指摘があり報告があるわけでありますが、いわゆる公的機関によります宿泊施設の設置運営に関する問題でございます。  戦後、大変困窮をした時代に、公的機関が全国各地に、保養のため、休養のため、あるいは現実に必要のために各種の宿泊施設を整備してまいりました。それは時代の要請としては大きな効果を上げてきたことは評価されるわけでありますけれども、今なおこの公的宿泊施設が主要な観光地などで運営されております。そのこと自身を非難すべきではありませんけれども、民間のホテル、旅館などの宿泊業をやっている皆さん方は激しい競争の中で頑張っているわけですが、この宿泊施設が公的助成、補助金でありますとか内部助成でありますとか税制上の措置でありますとか金融上の措置でありますとか、公的助成を受けながら民間と競合をするような管理運営をしているということは、昨今見直さなければならないんじゃないかということでございます。  そのような指摘はしばしばありまして、行政管理庁に関しましては総務庁でありますし、郵政関係でありましたら会計検査院の指摘を受けて郵政省などが検討、是正をお約束してきておりますが、民間の立場の人たちから言わせますと、その効果は余り上がっていないというふうな不満が多いわけであります。  運輸大臣は、直接これらの施設の管理運営にかかわるわけではありませんけれども、観光業の健全な発達と振興という責任をお持ちでございます。各省庁にまたがって行われております、いろんな複雑な利害関係があるわけですけれども、ひとつ総務庁の方とも協力をし合って、行政改革とも関連しておるわけですから総務庁とも相談をして、政府部内でひとつ公的宿泊施設等の設置あるいは管理運営について是正をしっかりと行うということに御努力いただきたいと思うのでございます。運輸閣僚としてひとつ関係省庁との間を取り持っていただきたい、このように御要望を申し上げますが、御意見ございましたら御答弁をお願いいたします。
  27. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的には、民業圧迫にならないように新規のものは自粛すべきであろうと、かつて閣議決定も行われているところでございます。  ただ、一方で、古いものを新しくしていくという中で、全く新しいものはどんどんでき上がっていると思っておりませんけれども、古いものを建てかえるときに、今までより何か二倍とか三倍ということになってしまって、そこで少し議論が出てきておるように思っております。  それからもう一つは、必ずしも中央省庁の関連だけではなく、地方自治体が中央から補助金をもらって、農水省なんかも多いと思いますけれども、そういう宿泊施設型をつくっていく、これはまさに地方との兼ね合いの問題にもなってくるだろうと、そういった意味で党の中にもさまざまな議論がございますけれども、委員が御指摘いただいたことも踏まえながらよく話し合いを続けてまいりたい、こう思っております。
  28. 若林正俊

    若林正俊君 これで終わりますけれども、最後に取り上げました公的宿泊施設の問題については、やはり事実上イコールフッティングであるような諸条件を整備していくということが大事だと思いますので、その点に十分配慮をしながら、政府間の調整といいますか検討を進めていただきたいという御要望を申し上げまして、終わりたいと思います。
  29. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午前十一時二分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  30. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度総予算中、運輸省所管及び郵政省所管を議題とし、運輸省関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  31. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 まず、運輸大臣に十一年度の運輸省予算のつくり方等につきましてお伺いしたいと思います。  国家であれ企業であれ、事業の基本方針、政策を決めるというのは、その後の企業なり国家なりの命運、浮沈にかかわる重大事だと思っております。  ことしの場合には言うまでもなく積極型予算ということで、多額の国債の発行を前提にした予算になっているわけであります。これは、言ってみれば、景気対策であるとかあるいは金融不安であるとか雇用不安に対して緊急に手を打たなければならないという背景のもとで行われたのであろうということは容易に推察できるわけでありますけれども、とりわけこういう年には、国の予算というのはどういう考え方に基づいて、あるいはどこにポイントを置いて予算編成をするのか、責任ある立場の方はこの点について十分考えなければいけないんだろうと思います。  よく予算の話をしますとシーリングという言葉が出てまいります。私はその言葉を聞きますと、最初に大蔵省等がシーリングを示して、各省庁がその中に自分のところの予算をはめ込んでいるのではないかというようにすら思えてならないときがあるわけであります。予算編成過程で、例えば閣議といったような場面で、来年度予算というのはどういう性格を持たせようか、何に力点を置いて編成しようかというようなことを十分議論された後大枠を決められたのかどうか、あるいは、もしそうだとすれば、運輸省として何を反映されようとしたのか、その辺について御説明いただければありがたいと思います。  私もまだ予算編成にそういう場面で関与していないものですから、閣議でどんな議論をされて出発するのかなというのを大変関心を持っております。
  32. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本は経済再生、景気対策にあることは間違いないと思っております。  大蔵大臣からお話がございましたのは、十五カ月予算として組みたい、これがまず第一であります。第二に、景気に即効性のあるものがあれば何でも出してください、何でも取り入れますからと、こういう御指示をいただいた中での運輸省としての考え方でございました。  まず、非公共の分野でございますけれども、必ずしも予算だけではございません。いろんな分野で景気対策に手をつけなければならないなという思いの中で、例えば、観光振興ということで初めて西海岸にスポットの広告を打たせていただいております。今までなかなか国の予算ではなし得なかったことを、ある意味では民間の分野まで手を突っ込んでやらせていただいたと思っております。  それから、午前中から御論議いただいておりますバリアフリーという問題に取り組ませていただいた。これは当然民鉄なりJRも一緒に投資をしていくわけでありますので、ある意味では景気効果はあるというように考えております。それから、予算ではございませんけれども、地方空港の使用料を下げさせていただいた。こうしたものを通じながら、まず非公共分野で内需の拡大、こんなものを考えてまいったところでございます。  もう一方、公共事業の話でございますけれども、これはこの委員会でも何度も御質問いただいてお話ししているところでございますけれども、一つはタックスペイヤーといいますか、まさに税金を払っていただいている方々、大都市の方々にどう還元をしていくかという問題と、地方の夢、国土の均衡のとれた発展、こういうものにどう配慮しながらまず基本的な予算の骨格を決めるか。これもお話し申し上げましたけれども、御批判もあろうと思いますけれども、五七%から六〇%に大都市の方へ三%ほどシフトさせていただいたことは事実でございます。やはり都市型公共事業というものにもう少し力を入れていくべきではなかろうか。そういう意味で、今回は地下鉄とか中部国際空港、関西国際空港、それから成田、羽田、こういう問題に取り組ませていただいたということになります。  しかしながら、同時にまた、午前中御論議いただいたように、地方の夢ということで新幹線網をしっかりやらなきゃならないと。いろいろこの二、三年間議論が続いてまいりましたけれども、新幹線網はしっかりやりたいという明確な姿勢を打ち出させていただき、補正予算でも実は予算を入れさせていただいた、こういうことでございます。  いずれにせよ、予算全体、一つの考え方が出てまいりますと、同時にいろいろな意見のバランスも当然とらなきゃならない。そういった中で今のような判断をしながら進めさせていただいたところでございます。
  33. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今大臣から十五カ月予算である、それから景気のためには何でもという大胆な御発言がございましたが、財源にとらわれず大型予算を組まれたのだろうと思います。  そこで、予算案の全体について、やや特色めいたところを中心に大蔵省にお伺いしたいと思いますが、今もお話がありましたように、十一年度予算案というのは十五カ月予算であるということが一つ、それから五千億円もの公共事業等予備費を盛り込んだというのが特徴だと思っております。  そこで、まず公共事業等予備費について伺いたいんですが、第一に巨額の公共事業等予備費を計上した理由、第二番目は過去に五千億円というような予備費を計上した例があるのか、それからこの予備費の支出に当たっては国会の承認を求める考えはあるのかどうか。この三点についてお伺いします。
  34. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃいました公共事業等予備費は、予算総則にその対象が規定されております。  具体的には、その使途を公債発行対象経費である公共事業関係費と施設費に限定がなされております。これは、景気回復を図る中で、予見しがたい経済情勢の推移等によりまして公共事業等の経費に予算の不足が見込まれる場合に備えまして、これに機動的に対処し得るようにするために計上をされたものでございます。  具体的なかつての金額でございますけれども、従前三回ございます。昭和五十一年度は千五百億円、五十三年度及び五十四年度はそれぞれ二千億円ということになっております。  そして、このかつての例で申し上げますと、五十一年度におきましては災害等に対応するために使用の実績があるわけでございますが、この公共事業等予備費も他の予備費と同様、国会に事後的に承諾を求めるということが規定をされております。  以上でございます。
  35. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時代も違い、物価の違いということもあるかもしれませんが、過去における千五百億ないしは二千億という予備費に比べて来年度予算の五千億というのは決して小さい金額ではないと思っております。  この問題については、予算総則にも盛られているということでございますし、十五カ月予算といっても実際には十一年度予算に十五カ月分を盛り込んだわけではなくて、前年度の第三次補正予算と合わせて十五カ月であるということですから、財政法上の問題は何もないと私もそう思うわけであります。  ただ、平成十年度において補正予算を三回も組んだ、これは異常ではなかろうかというように思うわけでありますが、このことはさておいて、第三次補正と合わせて十五カ月予算を組むというのは、考え方の上で予算の単年度主義に反しないだろうか。もしこれが許されるのであれば、例えばこの先のことも考えて二十四カ月予算なんということも理屈としては出てくるのではないかというように心配しているわけであります。  単年度主義との関係で、そういう十五カ月、この先も含めて二十四カ月とかという考え方をとることは財政法上問題のないことでしょうか、お伺いします。
  36. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃいましたように、十一年度予算におきましては、十年度の三次補正予算と一体的にとらえまして当面の景気対策に全力を尽くすという観点で編成がなされておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、第三次補正予算におきましては、昨年末十二月の予算編成、しかも年度内にその執行能力を踏まえつつできるだけ事業を確保するということで、大規模な三次補正予算の計上が行われたわけでございます。そういう意味からいいまして、まさしく年度末から年度初めにかけての切れ目ない施策の実施を行うことといたしたわけでございまして、これがいわゆる十五カ月という発想での予算編成ということを従来から申し上げてきたところでございます。  他方、今先生おっしゃいました予算の単年度主義の問題でございますけれども、御承知のとおり、国会における予算の議決は各会計年度ごとに行うべきであるという原則がございます。これは財政民主主義の観点から、国会の予算に対する審議権を確保することによりまして予算に対する国会のコントロールを保障するものであるということでございます。十年度三次補正予算及び平成十一年度予算につきましても、それぞれこれを遵守しているということでございます。
  37. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 巨額の公共事業等予備費を計上する、しかもこれの支出については事後的に国会に承認を求めるということでありますけれども、決算の実態からして、事後に求めるということは、国会に対して予備費についてはあらかじめ行政にフリーハンドをくださいと言っているのと同じじゃないかなというように思うわけであります。これが度を過ぎると、国会の議決権というのは何なのかということにも抵触するんではなかろうかと思います。  そうしたことを考えますと、財政法十四条の三にありますような、例えば繰越明許費というのがありますけれども、それの扱いのようなことをこの予備費についても行うべきではないか。これは私の意見としてお尋ね申し上げるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  38. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答えいたします。  今先生おっしゃいましたように、予算作成時に予見し得なかった事態が年度途中に発生した場合どのように対応するかといった場合、一般的に申し上げまして二つの方途があるわけでございます。一つは補正予算による場合、そして一つは予備費による場合、こういうことでございます。  五千億という金額がどの程度の規模かということにつきましてはいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、予備費に計上することによりまして機動的な対処が図り得るのではないだろうかということで、景気回復に万全を期す観点から、今回、公共事業等予備費ということで対応する方が適当ではないだろうかという判断をいたしたものでございます。  なお、これは既に先生御承知かと思いますけれども、予算の国会審議権という観点で言いますと、公共事業等予備費は、本来限定されていない予備費の使途につきまして公共事業等に限定することにつきまして国会の判断を求めるものでございます。そういう意味で、それだけ政府予算執行につきましてみずから制約を課すものであるということで、予算の国会審議権尊重の考え方に立っているのではないだろうかというように考えております。
  39. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私が予備費の国会事前承認ということにこだわるのは、この予備費というのは考え方によれば補正予算の前倒しではないかというように考えられないこともないからであります。具体的に何に使うかというのは決まっていないけれども公共事業に使いますからあらかじめ五千億ちょうだいというやり方というのは、本当に国会の議決権との関係で問題がないんだろうかということを懸念するわけであります。  この問題にかかわってそう時間を割くわけにいきませんから、大蔵省にもう一つお伺いしますけれども、十一年度予算は三十一兆円の国債発行が予定されておると伺っております。これから財政事情がもっと悪くなるのかなという思いで見ているわけでありますけれども、もしことしと同様の予算規模あるいは行政経費、税制ということを前提にしますと、向こう五年ぐらい毎年どれぐらいの国債を発行しなければならないのか、概略で結構でございますから、幅を持ったお答えでも結構です、ちょっと教えてください。
  40. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) 将来の各年度におきます公債発行額は、当然のことながらその時々における経済、もろもろの事情等を勘案しまして予算編成を行っていくということでございますので、今の段階で申し上げられるものではございません。  ただ、あくまで一定の仮定のもとで機械的な計算ということで、従前から中期財政試算というものをお示ししております。今回、国会に提出しておりますこの試算におきまして、これは十一年度予算を発射台といたしまして十五年度までの財政事情を機械的に試算いたしているものでございます。  これによりますと、将来の各年度の公債発行額につきましては、一般歳出が〇%から二%と何通りかのケースを置いているわけでございますが、名目成長率が一・七五%の場合、平成十二年度で二十九兆九千億から三十兆九千億、十三年度で二十九兆から三十兆九千億、平成十四年度で二十八・六兆円から三十一・六兆円、十五年度で二十九・二兆円から三十三・四兆円ということで、これがいわば歳入と歳出の足らざる部分、ギャップの部分として公債発行額ということでこの試算上示されているということでございます。  いずれにいたしましても、機械的な計算ではございますが、十一年度予算とほとんど同額水準の公債発行額によらざるを得ない、試算上の機械的計算ではございますが、そういう姿が示されているところでございます。
  41. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 前提を置きながらも三十兆前後の国債が必要であろうと。これは景気がよくなる悪くなるということに大きく影響するんでしょうから、これ以上詰めてもいたし方のないことだと思いますけれども、このところ一カ月、二カ月ほど、市中では国債を消化し切れないのではないかという懸念があってか、日銀に引き受けてもらったらどうかというようなことも話題になったと思います。日銀による現行の国債の買い切りオペレーションは別にしまして、それを拡大するとかあるいは新規の国債を日銀が引き受けるということについて、これはもちろん日銀が最終的に決める問題だと思いますが、大蔵省はどのように判断されているんでしょうか。
  42. 藤井秀人

    政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。  御質問は二点あろうと思います。  第一点の買い切りオペの実施の問題でございますが、これは先生おっしゃいましたとおり、日銀の所管事項であり、具体的には日銀政策委員会金融政策決定会合において適切な決定がなされているところでございます。  具体的な長期国債の買い切りオペにつきましては、先般、これまでと同様の頻度、金額で実施していくこと等が決定されたと承知をいたしております。  二つ目の日銀による国債の引き受けの問題でございますけれども、戦前、戦中に軍事費等の調達のために多額の公債を日銀引き受けにより発行した結果急激なインフレが生じたということ、これは御案内のとおりでございます。このような経験を踏まえまして、現行財政法におきましては、健全財政主義の原則とあわせまして、公債の日銀引き受けを原則として禁止し、公債は日銀以外の市中資金により消化するという市中消化の原則が定められているところでございます。  私ども大蔵省といたしましては、こうした財政法の趣旨を遵守することが必要と考えておりますし、またたびたび大蔵大臣の方からはそのような必要性はないという答弁があったものと私ども承知をいたしております。
  43. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 運輸大臣にお尋ねします。  先ほど、冒頭で運輸省予算考え方についてお示しいただきまして、その中に、例えば生活環境重視の都市型予算に重点を置くとかあるいは新幹線云々というような御説明もございましたが、今お話がございましたように、景気対策は大事でも、しかしながらそのツケが後世に大きくついて回るよということになりますと、国民は大変不安に思うと思います。とりわけ、平成十年度の予算については緊縮型予算を組み、十一年度は打って変わって今度は景気刺激型予算といいましょうか積極型予算になっているわけで、戸惑っているのではないかという気もいたします。  公共事業というと運輸省がかなりの部分を担当されるわけでありますけれども、この景気回復と財政再建の問題について御所見を承りたいのと、もう一つ、冒頭で、何でもアイデアを出してくださいと、こう言われた観点からして、ことしの運輸省予算というのはかなりやったという評価をされているのかどうか、伺いたいと思います。
  44. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、選挙を経て小渕内閣が発足をし、方針の転換を図ったことは間違いないと思っております。財政構造改革の基本的考え方は維持しつつ、まずは当面の景気回復に向け全力を尽くす。これはもう御指摘のとおりことしの税収が四十七兆円の見込み、歳出が八十二兆円という構造でありますから、財政再建をどう考えるのだといえば、当面先送りにさせていただいて景気回復に全力を挙げるということになるであろうと思います。  それから、私自身が閣内で議論いたしましたのは、第一に、幾らいいものを上げてくれ上げてくれと言っても、単年度で終わる線香花火みたいな形でいい景気対策というのはないと思いますよと。したがって、ある意味ではこの対策を去年、ことし、来年、三カ年ぐらいにわたってしっかりやっていくという姿勢をまず示して、国民に逆に安心感を与えるべきではなかろうか。ことしだけ公共事業をふやしました、予算をふやしましたという話ではなくて、今の景気回復、やはり三年ぐらいはぴしっとしたスタンスを持って進めるべきではないですかと。それから、今申し上げましたように、全く新しいものを急に持ってきて、これをやったらすぐよくなりますというところはそうはございません。そういう意味では、質の高いプロジェクトを早く仕上げることによって経済効果を出していくのが大事であろう。そういう意味では、一つ一つの公共事業について年次というものを持たせていただいてやりたいという考え方を打ち出させていただきました。  同時に、それでは財政構造改革の基本的考え方は維持しつつというのはどこに残したんだということになろうと思いますけれども、運輸省としましては、公共事業の事業採択時の費用効果分析、事業採択後の再評価、それから公共工事のコストの縮減、こういうものにやはりしっかり財政構造改革の基本は残していかなければならない、このように思っております。
  45. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵省、ありがとうございました。退席していただいて結構でございます。  それでは次に、自動車関係税のいわゆるグリーン化という問題についてお尋ねいたします。  運輸政策審議会でCO2をいかにして削減するかという御検討を今されているやに伺っておりますけれども、現状における検討状況、あるいはここの結論というのをいつごろ出される予定なのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  46. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  昨年の九月に、低公害自動車の一層の普及のための促進策ということで運輸政策審議会に運輸大臣から諮問がございました。その諮問を受けて、運輸政策審議会総合部会に低燃費自動車普及のための小委員会というのが設けられまして、昨年の十月から三回にわたって議論がなされております。  その議論の中で、まず、低燃費自動車の普及の方策としてはどのようなものがあるかという議論をしていただいて、その後、自動車関係諸税の現在の性格、そしてそれをグリーン化した場合の意義、また諸外国における自動車関係税制の動き、それからグリーン化した場合の二酸化炭素排出削減効果といった問題について今御議論されております。現在までのところ三回終了いたしまして、あと数回開かれるのではないかと思われます。  私どもといたしましては、四月末ぐらいまでを目途に小委員会議論をまとめていただいて、その後、部会を経て答申をいただくことになればと考えております。
  47. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 環境庁、おいでいただいておりますか。  環境庁は、我が国の部門別CO2排出量について、運輸部門は全体の二〇%強、あるいはそのうち自動車は八四%という試算をされているやに聞いておりますが、これの計算方法、推計方法について簡潔に御説明願います。
  48. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) お答え申し上げます。  二酸化炭素の排出量の九割は燃料の使用に伴うものであります。したがいまして、算定に当たりましては、燃料の使用量にそれぞれの燃料ごとに定められます排出係数、これを乗じまして算定いたしております。  まず部門ごとでありますが、それぞれの部門ごとに使用される燃料の量というものを集計いたしまして、それにそれぞれの排出係数というものを乗じて求めることができます。もちろん、燃料以外のものにつきましても、例えば廃棄物の量などについても、焼却量というものを把握いたしまして、それに排出係数を乗じることによって算出をいたします。  そこで、さらに運輸部門、自動車に関して御説明申し上げます。  我が国全体の二酸化炭素の排出量を算定するに当たりましては、総合エネルギー統計の燃料使用量のデータを用いまして算出しておりますけれども、総合エネルギー統計には運輸部門全体での燃料使用量しか示されておりません。したがいまして、さらに詳細な内訳を求める場合にはほかの適切な統計データなどを用いて推計することになります。  自動車について少し御説明申し上げますと、まず運輸部門全体につきましては、先ほど先生のお話がございましたとおり全体のうちの約二〇%でありますけれども、運輸の関係につきましての統計といたしまして運輸省の方の統計がございます。例えば運輸関係エネルギー要覧というのがございますが、そちらの方に乗用車、貨物車、バスなどの燃料使用量の統計がございます。その燃料使用量を用いまして先ほど申し上げました排出係数をそれぞれ乗じまして排出量の推計ができるわけでございます。  ちなみに、平成七年度のそれぞれの排出量の占める運輸全体でのシェアを試算した結果を申し上げますと、運輸全体の中で自家用の乗用車が約五四%、自家用の貨物車が約一三%、営業用の貨物車が約一七%、バス約二%、タクシー約二%というような割合となってございます。
  49. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 運輸省にお尋ねいたしますが、今環境庁から部門別の対策目標というのは燃料の使用量に着目して算出したというお話でありますけれども、それは、今お話もちょっとありましたように、乗用車であるとかトラックであるとかいわゆるブレークダウンするときも同じ考え方で踏襲されたと考えていいでしょうか。
  50. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) そのように考えております。
  51. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 続いて運輸省にお尋ねします。  燃費の使用量に着目してCO2の排出量削減目標を決めるというのは私は大事なポイントだと思っております。  三月九日、運輸省の低燃費自動車普及促進委員会において自工会から意見表明がなされたと報道されております。それによりますと、自動車業界というのはCO2削減割り当て目標の三百二十万トンを達成するために今努力しておりますと。それから、運輸政策審議会の試算によりますと、改正省エネルギー法に基づく自動車の新燃費基準、これをクリアすれば三百五十万トンのCO2削減が可能と試算しているように主張しておりました。そんなことから、自工会としては税制のグリーン化の拙速な導入には反対であるということを表明したようであります。  お尋ねしたいのは、新燃費基準とCO2というのはどういう関係にあるのか、この新しい基準をクリアすればどの程度削減できるのか改めて伺いたいのと、それから、四月から新燃費基準を達成した自動車に対しては取得税について優遇措置を講ずるというようなことになっております。そういう他の施策との整合性というのも大事なのかなと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  52. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  確かに、先生御指摘のとおり、自工会の方から三月九日、税制のグリーン化の導入に当たってはその必要性、緊急性が慎重に検討されるべきであり、拙速な導入には反対であるという御意見が出されております。  それで、新燃費基準と三百二十万トンあるいは三百五十万トンとの関係でございますが、この新燃費基準は各自動車メーカーが二〇一〇年度において現実に販売した自動車の燃費の加重平均値によって判断するものであるため、消費者に燃費のよい自動車を現実に選択していただかなければ、仮に自動車メーカーが技術開発の努力をしても達成がすぐできるものではございません。したがいまして、自動車関係諸税のグリーン化というのは消費者が燃費のよい自動車を選択するように誘導するものでございまして、自動車メーカーの新燃費基準達成のための努力を助けるものである、こう考えております。  それから、お尋ねの税制につきまして、まだこれは事によると国会で今御審議中なのかもしれませんが、たしか自動車取得税を燃費基準を達成したものについて約一・五万円程度引くという税制だと心得ております。
  53. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 確かに、新燃費基準をクリアできるそういう車を使わなければ、幾ら技術開発したところでCO2の削減にはつながらないというのはよくわかります。それだからこそ、いろんなインセンティブをつけて車の代替促進をするということが大事になるんだと思います。その意味でも、私は余り拙速にこのグリーン化というのを急ぐのは後に問題を残さないだろうかということを懸念しております。  ところで、具体的な問題を例に幾つか質問させていただきます。  この三月に、東京都が自動車排出ガスの低減化を図るということを目的に自動車税の軽課と重課を取り入れる、そのことを都の税条例で決めたと伺っております。内容については既に報道されているとおりでありますが、とりわけ十年超の車については、バスを除き一割の重課を行うということが報道されております。  地方税法上は、自動車税に制限税率を導入する、この場合ですと自動車税の一・二倍までは都条例とか条例で決めていいことになっておりますから法的な問題は何もないわけでありますが、しかし、既存の税制に新しい税金の概念を導入し、それを理由に重課するということになると少し問題が変わってくるのかなというように思えるわけであります。  例えば、自動車税というのは資産課税でございます。資産に着目して課税するわけであります。これにグリーン化という根拠を導入して重課をするとすれば、その重課の部分というのはあるいは新しい税を導入したのと同じになるんではないだろうかというのが私の疑問であるわけです。つまり、環境税的なものを付加したということにならないだろうか。もしそういうことであれば、東京都の条例というのは地方自治法の九十六条をちょっと逸脱していないだろうか。場合によっては憲法第四十一条の国会の議決権、法律を制定する権利を犯すものになるんではないかというように考えられないこともないわけでありますけれども、東京都の問題なのでまず自治省にお伺いしましょうか。
  54. 武田文男

    説明員(武田文男君) 御説明申し上げます。  東京都が導入を予定しております自動車税に関する条例につきましては、不均一課税及び超過課税という方法が用いられることとされているところでございます。  先生の御指摘がございましたように、不均一課税につきましては地方税法におきまして公益上その他の事由がある場合において認められる制度であり、また超過課税につきましては財政上の特別の必要がある場合において標準税率を上回った税率で課税することができるというふうになっておりまして、いずれも地方税法におきまして地方団体の課税権の行使の方法として認められている手法でございます。  都におきましては、これらの方法を用いまして今回の条例制定を行うこととしているものというふうに考えているところでございます。  なお、具体的なそれぞれの団体における判断につきましては、超過課税におきましては財政上の特別の必要があると認められるか、または不均一課税におきましては公益上の事由に合致するかをそれぞれ課税団体におきまして適切に御判断いただくことが必要であるというふうに考えております。
  55. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 東京都はこれを提案するに当たって、一つは税収中立ということを理由に挙げております。それからもう一つはCO2対策ということを挙げております。今財政上の特別の事情とおっしゃいましたけれども、この両方とも当たっていないんじゃないですか。どうでしょうか。
  56. 武田文男

    説明員(武田文男君) 私どもお伺いをしております今回の条例によります増減収につきましては、二十数億の増収があるというふうに伺っておりまして、これらにつきましては、種々の環境対策上、財政としての必要性があるんだ、そういうふうにお話を伺っているところでございます。
  57. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私も東京都の試算というのを拝見しましたけれども、当初はたしか税収中立の試算になったように思います。どうも私どもの計算では入ってくる方が少し多くなるというようなことも推測されるんですが、課税根拠があいまいにして重課を図るというのはちょっといかがなものかというような気がいたします。  これは東京都の問題なので、余りここでやりとりしてもいかがかと思いますけれども、ただ、自治省に東京都との関係で一つ確認しておきたいんですけれども、今回、東京都は十年を境にして重課するという措置をとられているわけであります。十年超の車と十年未満の車には課税するだけの有意差というんでしょうか、違いがあると自治省もお考えなのでしょうか。東京都の措置は環境負荷との関係で十年以上の車に重課するわけですけれども、その蓋然性は認められているのでしょうか。
  58. 武田文男

    説明員(武田文男君) ただいま御説明いたしましたように、具体的な公益性等の御判断につきましてはそれぞれの課税団体において適切になされるべきものと考えております。  東京都の方からお話を伺っておりますのは、都におきましても環境と自動車税関係等につきましていろいろ御研究等もなされているようでございまして、そういったものに基づきましての御判断をされ、今回の条例提案になったものというふうに伺っているところでございます。
  59. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 運輸省にお尋ねしますが、私は、車というのは十年過ぎたからといって歴然とそこから排出するCO2が急に多くなるというものではないんだろうと思うんです。もっと極端に言えば、車を持っているけれども一年間一度も動かさないなんていう車はCO2を排出するなんてとても認められないわけで、ということを考えますと、そうしたことを根拠にして重課をするというのは少し税をゆがめるものであるというように思っております。  運輸省にお尋ねしたいのは、十年超の車と排出ガス対策、CO2排出量と性状劣化との間に因果関係があるのかどうか。あるいは、運輸省は車検制度を厳格に守らせる指導をしておりますけれども、もし十年以上の車は問題ありというのであれば、車検制度は要らないんじゃないですか。どうでしょうか。
  60. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 一言で言えば、車齢と排出ガス及び低燃費との関係は余りないと思われます。  燃費の関係でございますが、新車ではやや多いわけでございますが、ある程度走行いたしますと燃費がよくなります。約五千キロメートル走行距離と言われておりますが、その後適切な点検整備を行っていただければ、車齢にかかわらず燃費基準は維持されるというようでございます。  それから、NOx等の排出ガスでございますが、触媒を使います関係上、使用年数が長くなると装置、性能の劣化が進むことが考えられますが、ただ、それが十年で格段に変化するというものではございません。  以上でございます。
  61. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 十年超の車と排出ガスの問題について、私は運輸省の見解の方が妥当なのであろうと判断しているわけであります。どうも東京都の措置を聞いて、他の都道府県でも同種のことを検討したいというような動きがあるやに聞いておりますけれども、私は、それぞれの都道府県が単純な税制上の理由から増税するあるいは重課をするというのはそれは一向に差し支えないというか、それぞれの判断だと思いますが、新しい性格を付与してそれを理由にするとか、税収中立でもないのにあるかのような喧伝をするというのは大いに問題があると思うんです。  ですから、少なくとも、自治省はそういうCO2対策との関係で他の都道府県が導入するということについては控えるように行政指導するべき、そういう段階にあるのではないか。先ほどお話がありましたように、今燃費基準、燃費を上げようということで、それぞれの努力もされておりますし、そういった動きとか、ほかの政策との整合性というのも検討する必要があるのではないかと思いますが、他の都道府県への波及についてどのように自治省は指導されますか。
  62. 武田文男

    説明員(武田文男君) 御説明申し上げます。  他の都道府県も、課税団体としてそれぞれの御判断があろうかと思います。いろいろな御議論の中で、そういったことを関連して検討するということで私どもに相談があった場合には、今の先生の御指摘も含めまして、そういった問題点、あるいは今後の検討課題といいますか、そういったものも含めていろいろとお話をさせていただきたいと思います。
  63. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 どうぞよろしくお願いいたします。  ところで、先ほどからお話をしておりますように、燃費とCO2排出量というのは結構因果関係があるというとらえ方をされているんだと思います。そういうことを考えますと、私は現状におけるCO2対策車をふやすためには、重課をするのではなくてインセンティブをつける、軽課をするという方にウエートを置いて考えるべきではないかと思っております。そのことがメーカーに対する開発意欲を盛り上げると思いますし、またユーザーの購買意欲を喚起することにもなるのではないかと思っております。  ところで、排ガスの削減と連動する問題として、今指摘しました新燃費基準の関係について若干質問させていただきます。  最近、アメリカそれからEUから日本に対して意見書が寄せられていると伺っております。つまり、燃費基準でのトップランナー方式は日本製の小型車に大変有利で、アメリカ車の日本向け輸出車は中型、大型が九〇%であり、このままでは大変不利な状態になる、セグメントに応じた適用方法についてNATOのTBT、貿易の技術的障害に関する協定に基づいて早急に議論をしたいというような議論をしているように伺っております。  これに対して、我が国はというか、運輸省はどのような見解で臨まれるんでしょうか。
  64. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 改正省エネ法に基づきます新燃費基準がこの四月にも設定される予定でございますが、それに対しまして、世界貿易機構の手続を通じまして通報いたしましたところ、EU及び米国から今先生が御紹介されましたような意見書が届いております。  内容は、今燃費基準が輸入車にきつ過ぎるのではないかというようなこと、あるいは今後の法適用の内容の明確化等でございますが、それに対しまして、運輸省は、基準の設定自身はトップランナーと思われます技術の基準を国産車、外国車を問わず選別いたしまして評価して設定したものでございますので、その内容には御理解を願いたいと思っております。  一方、今後の適用の仕方についてまだ説明不足のところがありましたら十分説明すべきであると考えており、要して言えば、今後、米国及びEUに対しまして担当官を至急派遣いたしまして説明協議をしたいと思っております。  一方、この新燃費基準につきましては地球温暖化防止上不可欠なものであろうと考えておりますので、運輸省といたしましては予定どおり施行させていただきたいと考えております。
  65. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 環境庁にお尋ねしますが、環境庁はこの三月九日に自動車環境税制研究会の第一回会合を持ったと報道されております。どのような性格の会合なのか。あるいはどういう方がメンバーになっているのか。  それから、これは私の意見ですが、たとえ目的が少し違うといっても、自動車の税制に係る検討があっちでもこっちでもやられていいんだろうかという気もいたしますので、あわせて自動車の環境に係る税制というのはどこが主担当でやるべきだと考えておられるのか。  まず環境庁に伺います。
  66. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生の御質問にありました税制研究会でございますが、これは大気保全局長のもとで学識経験者が行うということで考えておりまして、委員の先生は五人の先生でございます。税制関係、それから自動車関係に詳しい先生方をお願いしております。  この背景でございますが、まず大気保全局、環境庁の中で特に自動車排ガスによる健康問題を含めての裁判事件を抱えてございます。川崎、それから尼崎、この前妥結した部分もございます。それから名古屋南部、それから東京西部という形の中で動いておりまして、この中で、NOx、二酸化窒素によるもの、それから浮遊粒子状物質によるものという感じの中で、これが健康に影響を与えているのではないかということになっております。  そういう中で、沿道における排気ガスの測定をいたしますと達成率が三〇%ちょっとでございまして、これが改善されておりません。そういう中で、低公害車をどう普及させるかというのが大きなテーマになっておりまして、昨年、この普及のために関係省庁とあわせて税制対策に挑んだわけでございます。そして、低公害車と言われている種類のものについての税制を少しでも軽減していくという形で認められてきており、今の関係で四月からできるよう税制の関係で上程されているわけでございますが、そのことを踏まえながら、今後低公害車をどう普及させるかというところにかかってきているということもございます。  そして、自動車にかかわっては、自動車に乗る人、それから加害を受ける人、要するに加害者も被害者も一つのパターンで起こってくるわけでございますので、加害者と被害者が同じというパターンでいったときにどうするかという問題がございます。  それで、単純に今までのあり方でいいのだろうかということになってきているというふうに思っておりまして、そういうことで税制の問題というのはどのように考えるかということで、まず対象となる物質にどのようなものを選んで考えていくかということが一つございます。  それから対象地域、今NOxに関しては六都府県が対象地域となっております。ここが一番大きい、ひどい状況でございます。そういうことを含めたとき、もっと広げてどうするのかという問題、県庁所在地とかそういうものを含めてどうなるのかということになります。  それから、対象となる税制というのはどういう形があるのか。それから、先ほどから話が出ていました税区分の中で軽課でいくのか重課でいくのかという問題も含めて話をしていく、考えていただきたい。  そして、これをある程度まとめた形で、関係省庁とも話し合いながらこの問題に取り組む。つまり、自動車の問題というのは環境庁だけで解決がつくものではないと思っております。そういう意味で関係省庁と力を合わせた形でこの問題に、大都市圏の特に自動車による公害の問題について考え方を示さなきゃいけない時期に来ているということの中で考えていくというふうに思っております。
  67. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 運輸省は同じような理解をしておられると考えていいですか。
  68. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 私どもの場合でございますと、先ほど御説明いたしましたように、京都議定書に基づきまして、運輸部門で二〇一〇年までに千二百万トンのCO2を減らさなければならない。その中で、自動車単体から減らす分というのは三百二十万トン、あるいは新基準でございますと三百五十万トンでございます。ただ、これを現実に具体化していくのにどういう施策があるかということ、これはやはり担保する必要がございますので、その点から審議会に諮問して今審議をお願いしているところでございます。  環境庁さんの低公害、これと私どもの低燃費、これは似たようなところがあるかもしれませんが、若干視点が違うかと思っております。
  69. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 いずれも原因者責任というのがはっきりしているわけなので、例えば今あります自動車税だとか取得税だとか、そういった税制に上乗せしていいのかどうか、一律に網をかけていいのかというのは甚だ疑問に思います。  先ほど、十年超のお話で伺いましたけれども、車齢とCO2排出量とは必ずしもリニアな関係にないというようなこともわかっているわけですから、一律に網をかけるというのはよくよく考えていただきたいと思いますし、当面は、先ほど申し上げましたように、施策はインセンティブにとどめるべきだと思っております。  現行税というのは、既に排気量だとか重量だとかそういったものによって課税形態が異なっているわけでありますし、それにさらにグリーン化ということで差を設けると、もう税制は大変複雑怪奇なものになるんではないかというように思います。この中では、よく伝えられているのは税収中立的な考え方のようでありますけれども、全体で見ればそうかもしれませんが、余分に払う人というのは必ず出てくるわけです。そうでなくても日本は世界でもトップクラスの水準を越えているんじゃないかというぐらい自動車に税負担を求めているようなところで、そんなことをやっていいんだろうかという疑問もあります。  それから、公害防止対策に当たっていろんな施策も講じられているわけですから、そういったものもよく勘案しながら誤りのないCO2抑制策を講じるべきであろう、そんなふうに考えているわけであります。  時間がもうそろそろ来ましたので、大臣、何か所感がございましたら。
  70. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ことし導入させていただきましたように、できるだけあめでやりたいというのが私どもの基本的な考え方でございますけれども、一方で、冒頭の御議論になった財政再建という問題があるものですから、特に地方税収との関連がこの問題については強うございます。今お話しいただいたように、自動車業界が、特に自動車自身が大変な税制をしょっている、負担をしょっておる。その中でどのような判断をしていくべきか。これは委員の御指摘も傾聴に値するわけでありますので、私どもこれから、先ほど局長の方から答弁させていただきましたように、四月で一つの節目、また秋で一つの節目、また年末で税制の問題ということで、いろんな議論の中で誤りなき税制を目指してまいりたい、こう思っております。  いずれにせよ、CO2を削減しなきゃならぬ、この大目標だけは完遂しなきゃならぬと思っております。
  71. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。
  72. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、寺崎委員の方から車社会の問題について、また環境の問題についていろいろと御質問がございました。  先般、私も低公害車の普及について大臣初め当局にいろいろと御質問をさせていただき、推進をすべきだというふうに申し上げてまいった次第でございます。  ふえ続ける車社会の対策として、これまで道路を延ばしたりあるいは拡張したりして対応してまいりましたけれども、先ほどお話がございましたが、昨年八月に川崎公害訴訟で道路のあり方が裁かれたり、車が余りにもふえ続けた今、地球温暖化など環境問題が注目されるようになってまいりました。  このような状況から、大都市を中心に車社会から脱却するために交通体系が考えられるようになりまして、例えば、渋滞緩和を目指して欧州の都市で盛んに導入されているパーク・アンド・ライド方式、自宅から最寄りの駅まであるいはバス停までマイカーで行って、そしてそこから鉄道に乗りかえて、車を駐車場にとめておく、そして都心の目的地まで行くということが考えられています。そういったパーク・アンド・ライド方式が名古屋で開始されておりますが、そのことについては欧州では二十年も前から見直されております。  もう一方、再評価されている路面電車の問題があります。我が国でも機運が盛り上がりまして、東京、岡山、岐阜、長崎等々、今それぞれそれを延ばそうということの検討に入っているところでございます。  環境を守るということではさらに低公害車を推進していくということでございますが、同時に、車を減らすには今車を乗り続けているのをある程度とどめようと思えば、公共交通機関の整備が不可欠であると思っております。基本的な見直しが必要になってきていると思います。その点について、大臣の方から御答弁願いたいと思います。
  73. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先日も、利便性にすぐれる自動車の時代、しかし一方で公共交通というものをしっかり整備をしていかなきゃならないというお話を賜りました。  私どもも、そういった意味で、昨年国鉄の長期債務問題が一つの結論を見ました後、これから、既にスタートいたしております整備新幹線の問題、そして他の在来線を含めた鉄道整備の問題、この問題に取り組みたいということで、今運輸政策審議会に答申を求めているところでございます。  同時に、私も実は最近、相模鉄道いずみ野線が完成をいたしまして、オープンのときに行ってまいりました。今委員指摘のとおり、まず駐輪場がかなりのウエートを占めておりました。また、新しくできた駅でございますので、車の駐車場も百台、二百台と準備されておる。やっぱり新しい時代に合わせて、最寄りの駅まで自転車で来る、車で来る、そしてそこからは大量交通手段によって自分たちの目的のところまで行く、こういう考え方がかなり進んでまいったのではなかろうかなと。これがもう少し前向きに進んでいけるように、まさに鉄道と自動車の組み合わせ、鉄道とバスの組み合わせ、そういったものを前向きに考えてまいりたい、こう思っております。
  74. 森本晃司

    ○森本晃司君 都心部等々の対策としてそういう今大臣がおっしゃっていただいたような交通機関の組み合わせが私は一つは大きな効果を出していくのではないだろうか、こう思っております。ぜひその点については推進方をお願いしたいわけでございます。  一方、そういった形で鉄道利用しようという動きと、既にJRのときにもう廃線となろうとしていたのを、地方自治体等々が第三セクターで鉄道をつくり、そしてそれを守り続けていくと、これも私はこういった時代に極めて大事な役割を果たしているんではないかと思います。  ところが、昨年六月四日に、運輸事務次官が、将来も赤字が続くところは国として見切りをつけざるを得ない、赤字の第三セク鉄道に対して路線廃止も検討されているということが発表されました。新聞記事に掲載されております。  現在、三十八第三セクターがあり、始動し始めて十数年、それぞれの地域で大変な課題を抱えつつもそういったことで頑張り続けているところが多々あるわけでございますけれども、これは新聞記事でございますが、事務次官の発言どおり、見切りをつけざるを得ないという考え方に今立っておられるんでしょうか。これと公害のCO2の問題、車を減らすという問題とあわせて今どのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  75. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  御案内のように、国鉄から分離いたしました第三セクター鉄道につきましては、本来バス輸送に転換することが適当であったところ、地元関係者が将来にわたる事業採算性等も考慮して鉄道転換を選択したものでございまして、所要の基金の確保等、地元の支援措置によりその運営を維持していただくのが原則と考えております。その意味で、我々の方からそれがバス転換すべきであるとかということの意思は持っておりません。  ただ、そういう過程におきまして、その第三セクターについて、苦しい経営の中、国の方に新たな助成措置等の要望が間々ございます。それに対して、事務次官の方から今申しました過去の経緯、原則論を申し上げたというふうに理解しておるところでございます。
  76. 森本晃司

    ○森本晃司君 今第三セクターのあり方について確かにいろいろと議論されているんですが、三十八社のうち黒字を出して頑張っているところもありますし、それから赤字のところもございます。八年度、九年度、どれほどの状況になっているか、お答えいただけませんか。──それじゃ結構です。  私の手元にちょうだいした資料によりますと、平成八年度、三十八社中、黒が八社です。それから平成九年度も黒が七社という状況になっておりまして、あとすべて赤字の中で奮闘しているという状況でございます。  こういった赤字を出しているところは、よく聞くあれですが、本来もう廃止すべきだというところを、あなた方自治体が何とか私たちで頑張りますから、廃止しないで第三セクでやるとあなた方が決めたんだから、責任の所在はもうはっきりしているから我々は知らないんだ、こういう考え方ですか、赤字の第三セクター鉄道に対して今考えておられることは。
  77. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 先ほど申し上げましたように、地方交通線問題の過程において、当該路線については需要等から考えてバス転換が適当であるというふうに国としては実は認識させていただいた路線でございまして、それを鉄道として継続していただくということにつきましては、我々としては、基本的には地元の御負担においてやっていただく、要するに運営していただくということが基本になろうと思います。  その中で、ただ我々としては、鉄道でございますので、ほかの中小民鉄と同じように一つの近代化補助という支援措置の中で最大限支援させていただくということでございます。
  78. 森本晃司

    ○森本晃司君 三セクがスタートしたときは、今日ほどCO2の問題、地球温暖化の問題がまだやかましく言われていなかった時代ではなかろうかと思うんです。だからこそバスへの転換ということをおっしゃったわけですけれども、今もバスへの転換、先ほど来、いろいろと公害に対する問題等々がある中で、地球を守らなきゃならないという中で、今もその十数年前の基本的な考え方と変わってはいないんですか。
  79. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  実は我々も地球環境問題、CO2の排出抑制について努力させていただいておりますけれども、鉄道が確かにそういう面でバスとかほかの交通機関に比べて有利な面があるというのは事実でございます。  ただ、その優位性も、鉄道の場合の特性、つまり大量性というものが実現できた場合での比較でございまして、それは、需要によりましては鉄道で運営するよりもバスで運営させていただいた方が環境上もより有利という場合もあるわけでございまして、そういう意味での我々としての鉄道に対する優位性というものは認識しなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  80. 森本晃司

    ○森本晃司君 十数年前にそういう方針を決めたからといって、そのままではなしに、第三セクターと環境、あるいは生活維持路線としての必要性というものをもう一度私はよく検討していただきたいな、このように思っております。それぞれ頑張っているところに何らかの形で、切り捨てるという方向じゃなしに、応援できないものだろうかということもよく検討いただきたいと思うんです。  私は奈良県でございますが、先日、十日ほど前、私はすぐ隣にある信楽高原鉄道へ行ってまいりました。それで、ここの町長さんやあるいは鉄道の社長さん初め関係者の皆さんからいろいろと意見等々を伺ってまいりました。  私は、信楽高原鉄道は第三セクの中でも非常によく頑張っていると思っております。昭和六十二年の開業以来十一年間が経過しまして、地域住民の安定した交通手段として、また生活路線として必要不可欠な今存在となっています。  旅客輸送人数は、開業時六十一万八千人でありましたけれども、現在は開業時を上回り六十五万人前後となっているんです。旅客収入も運賃改定などを行いながら約一億三千七百九十万円を確保しています。  旅客運送実績を細かく見ると、通学客は年間、開業時三十七万七千七百人であったものが、今三十八万一千七百人と、若干ではありますがふえ続けています。ただ、これから少子社会に入っていくと、この通学の生徒の数は減ってくるんではないかということは私も危惧しております。通勤客も約五万人の現状維持であります。  ここは御承知のように、大臣も近くでございますから非常によく御承知と思いますが、全国にあるいはまた世界でも有名な信楽焼の土地でございますから、団体客は年々ふえているんです。いろんな関係者が努力しました。開業時、年間二万九千六百人でありましたが、現在七万一千七百人と増加しているんです。駅のホームもいろいろと、信楽の駅におりた人がほっとするように、例えば、この間私が行きましたら梅鉢をいっぱい並べて来る観光客を迎えているとか、随分工夫されているんです。  しかしながら、多額な経常経費で経常収支は約五千万円が毎年恒常的な赤字になっている。この危機的な経営状況を打開するために会社もいろいろと増収対策とかあるいは経費節減等々経営改善を図っておられるところでありますが、おのずから限界のあるところであります。  この信楽鉄道は、他の三セクと違いまして、何市何町で支えているというものじゃなしに一町でこの信楽鉄道を支えているというところですから、町の財政負担も極めて大きなものになっているわけです。大きな市と隣り合わせがあって隣の市とあわせていろいろと支出をやるという状況ではないわけでございます。私は、こういう状況から見まして、何らかの国としての支援措置をしていかなければ地方公共交通機関としての役割を果たすことができないということを痛感します。  第三セクター三十八、どこも皆同様の問題を抱えておりますが、もう一度私は、切り捨てるという形ではなしに、支援できるところは支援していこうじゃないかという方向に、むしろ前向きに検討していただいた方がいいんじゃないかと思います。  この信楽鉄道利用する人は年間六十五万人ですから、廃止されて全員がバスの方向にということになりますと、これは通学生やあるいは観光客含めて六十五万人が全部車を使う、また、車を使えない通学生やあるいは御年配の人やお体の不自由な人たちはたちどころに困ってしまう。運輸省としては、最後の手段としてバスがあると、こういう答えになってくるかと思うんですが、私は、地域生活維持路線対策として補助制度やあるいは地方交付税の暫定として新たな支援対策はできないだろうか、こういうふうに考えるわけですが、今の信楽の状況等々踏まえましてお答えいただきたいと思います。
  81. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  三セク鉄道の経営あるいはその費用負担の問題等についての国の対応の仕方ということにつきましての原則論を申し上げておりますけれども、そういう原則論の中で、先ほど申し上げましたように、我々、例えば中小民鉄の対象になっておりますいわゆる近代化補助制度というようなものを三セクにも活用いたしまして支援をさせていただいているところでございます。  そういう中で、実は、地域交通の中で鉄道というものをどのように考え、また維持していくかという基本問題につきましては、先ほど大臣から御答弁させていただきましたけれども、昨年の十二月以来、運輸政策審議会の鉄道部会におきまして、基本は、幹線鉄道、大都市鉄道、それから地方鉄道、それぞれの部門につきましてそのあるべき姿、そしてまたその支援策につきまして、せっかく議論していただくことになっております。先ほど申しましたような原則の中ではございますけれども、我々としてもできるだけの支援ができないか、するとすればどういう形のものであるべきなのかにつきましてはせっかく御議論いただきたいと思っているところでございます。
  82. 森本晃司

    ○森本晃司君 自治省もお見えいただいているかと思いますが、地方バスの運行経費は地方交付税の措置対象となっているわけでございます。これをバスだけではなしに、地域で頑張っている第三セクターに適用できないかということを私は申し上げたいわけでございます。鉄道がなくなってもバスがあるじゃないか、バスがなくなると交通手段がなくなるからこれは地方交付税の措置対象となっているんだという答えが恐らく返ってくると思うんですが、そういう見方ではなしに、第三セクターの鉄道に対してもバスと同じように交付税の措置対象とするということを考えることはできませんか。
  83. 石井隆一

    説明員(石井隆一君) お答え申し上げます。  特定地方交通線の問題につきましては、先ほど運輸省からも御説明ございましたように、その引き継ぎの際にバス転換という選択肢もありましたところ、当該地域の自主的な判断の結果、鉄道存続の道を選ばれたものと受けとめております。  したがいまして、これまでは、こうした第三セクター鉄道の経営に関して生じました赤字につきまして地方団体が一般財源によりまして補助を行ったといたしましても、それはあくまで地方団体が地域の事情に応じて独自の判断で行っていらっしゃるところだということで、自治省といたしましては地方団体の共通の財源であります地方交付税による財源措置は行ってきていないところでございます。今議員おっしゃいましたように、地球環境問題への対応とかいろんな状況の変化もあると思いますけれども、そういった考え方でこれまでやっております。  ただ、今運輸省の方から今後運輸政策審議会等の場でもいろいろと論議していくというような話もございました。私どもも、そういった今後の論議の深まりを踏まえまして、また関係地方団体の財政事情等も十分勘案しましてこの問題については研究をしてまいりたいと思っております。
  84. 森本晃司

    ○森本晃司君 運輸省はどう考えていますか。それは自治省の考える問題だという考え方なのか、そういう問題をこれから自治省と話し合っていくかという点について、どう考えていますか。
  85. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 森本先生、私の地元を越えて信楽鉄道まで行っていただいたようで、心から感謝申し上げたいと思います。  町長さんが三重県の出身でございますし、伊賀・信楽焼というのは私の祖父が復活したものでございますので、そういった意味で信楽には私大変な愛着を持っておる政治家の一人でございます。ただ、信楽だけをどうせいという議論は難しいというのは委員も御承知のとおりでございます。  生活路線としてバス路線の問題を話し合うときも、当然、運輸省自治省が同じテーブルに着きながらどうやっていったらいいかという話し合いをさせていただき、同時に自治省も大変御理解を示していただいておると思っております。  今のお話につきましても、私どもまず運輸政策審議会の中で議論を煮詰めて、その上で自治省に御相談をしながら、特に信楽鉄道の場合でしたら、まさに滋賀県内のある意味では交通機関にもなってまいりますので、滋賀県という一つのパイプというものも考えながら我々しっかり勉強してまいりたい、このように思っております。
  86. 森本晃司

    ○森本晃司君 信楽に御縁の深い大臣のことでございます。まさに今おっしゃった信楽のことも含めまして第三セクター全体に対して、バスに出しているような交付措置をぜひ三セクの中で頑張っているところにはやっぱり私は講じていくべきではないだろうか。  もう一度繰り返してまた自治省に申し上げて恐縮でございますが、そのときに自分たちは鉄道を選んだんだ、バスを使わないで鉄道を選んだんだから知らないということではなしに、もう一度よくその点を御検討いただいて、そしてそういう形での応援をした上でさらにどうするのかという問題は次の段階として出てくるのではないかと私は思いますから、ぜひ自治省運輸省と一緒になって、地方財源が非常に苦しくなっているときだけに、地方自治体を応援するという意味でもこういうふうに考えていただければと思っております。  今運輸大臣のお答えがありましたので、もう一度自治省から。
  87. 石井隆一

    説明員(石井隆一君) 先ほども申し上げましたように、特定地方交通線の問題につきましては、バス転換というほかの選択肢もあった、そういう中で地元が鉄道存続の道を選ばれたといったような経緯もございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、地方団体の共通の財源であります交付税措置の問題については行ってまいらなかったわけでございます。  今後の問題につきましては、先ほども運輸省の方で運輸政策審議会等でさらに論議を深めるというお話でございますので、そういった場での御議論も伺いながら、一方で、先生厳しい財政事情とおっしゃいましたが、逆に言うと大変厳しい財政事情でございますから地方の共通財源でございます交付税の配分についてもやはり多くの地方団体の共感が得られるような形での配分が必要だという面もございます。そういったこともよくよく考えながら勉強させていただきたいと思っております。
  88. 森本晃司

    ○森本晃司君 それから、先ほど鉄道局長の話の中で近代化補助事業を三セクにも適用してやっておるということでございました。安全対策設備整備についてもそれぞれの補助があるようでございますけれども、車両に対しては安全対策設備整備には該当しないわけですね。  信楽鉄道は既にもう十年を超えているわけでございますけれども、あの鉄道の特徴として、営業距離は短いんですが、急勾配のところが非常に多いんです。そこがまた観光客の皆さんの一つの魅力にもなっているわけでありまして、秋にはもみじのトンネルを越えるとか、そういう状況にあるわけですが、それだけに車両の傷みも極めて早い。平地を走っている鉄道の半分しか車両はもたないのではないだろうかとも言われている状況でございます。  こういった車両に対して補助率についても考えるべきではないか、特例措置を講ずるべきではないかと考えるんですが、どうでございますか。
  89. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  車両につきましての近代化補助の特例でございますけれども、御案内のように実は車両を従来型の車両からATSに対応するような車両にかえるというような場合、保安度の向上が見込まれるわけですが、そういうものにつきましては従来から特例補助率を採用させていただいております。  実は信楽高原鉄道に関しましてはすべてATS化されておりまして、今回、その車両の更新ということでございます。そういたしますと、現行の補助制度上は在来の原則の五分の一の補助率ということになるわけでございまして、その意味で、現在の補助制度上は特例は難しいということでございます。
  90. 森本晃司

    ○森本晃司君 現行補助率は国が五分の一、地方五分の一、鉄道五分の三ということですね。安全対策設備は国が三分の一、地方三分の一、鉄道三分の一、こういうふうに決まっているということは私は知っています。信楽鉄道の皆さんもそのことはわかっている。わかっているけれども、そういう車両の傷みが激しい、そういったところについてはその補助率を変えることができないのか、検討することができないのかどうかを聞いているんです。
  91. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  今申しましたように、現行の制度上、その運用としては非常に困難な事案でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、補助制度のあり方全般について運輸政策審議会の鉄道部会の議論の中で検討していただくことになっておりますので、問題意識としてその問題につきましても検討させていただきたいと思います。
  92. 森本晃司

    ○森本晃司君 ぜひそういった点も細やかに検討をしていただきたい。全国何でも一律、こう決まっています、私鉄も全部同様です、こう決まっていますという形じゃなしに、その点を細やかにやっていただきたいと思っております。  ところで、信楽鉄道は残念ながら事故がございまして、いろいろと関係者の皆さんにも御心労をいただいておったところでございますが、事故経過後もう数年たっているわけでございますが、先般行ってまいりましたら、一番ホーム、駅の改札を入ったところのホームはいまだ使用できないという状況になっています。それで、向かい側の二番ホームから人が乗りおりをしているということです。  見ますと、一番ホームを入って二番ホームへ行くのに、高架にはなっておりませんから、ホームから線路までおりて、そしてレールの上を渡って、そこからまた上へ上がって二番ホームへ行って列車に乗るという状況が続いているわけです。事故の原因等々についても、今それぞれ裁判をやるべきところはやっておられるようでございますけれども、もう一番ホームを使うことを考えるべきではないだろうかと思うんです。  健常者の場合にはそれでもいいです。だけれども、お体の不自由な方、お年寄りの方、あのホームから下までおりてまた上へ上がるということは大変だなと思うんです。レールの上ですから、列車が通りますから手すりをつけるわけにはいかない、だから駅員さんが抱えて渡っておられる、あるいはだれか介助者がいつも要るという状況なんです。  この信楽という町は、「住みよい福祉の街づくり」ということを掲げて町づくりをされているわけでございまして、ここにいろんな社会福祉施設があるんです。信楽青年寮といって知的障害者の更生施設がある。あるいは信楽知的障害者授産施設がある。さらにまた知的障害者通勤のための信楽通勤寮がある。あるいは知的障害児のための信楽学園がある等々、まだほかにたくさんあるんです。こういった障害者の皆さんに優しい町づくりも一生懸命されているわけです。  それから、信楽町の人が大きな病院へ行こうと思えば、信楽駅から一駅になりますか、水口という駅まで電車に乗られるのが一番便利がいいんです。だから、障害を持っておられる方あるいは病人の方々等々がこの鉄道利用されているにもかかわらず一番ホームがまだ使えないという状況なんですが、これは運輸省がまだ許可をされていないんですか。この一番ホームをどのようにすれば使えるようになりますか。  先般、運輸大臣のところへ信楽町長さん初め陳情に行かれたときは、非常に大臣が皆さんに温かい激励をしてくださったということで、地元の方々は大変喜んでおられました。どこをクリアすれば一番ホームを使うことができるのか。一日も早く一番ホームを使用できるように運輸省としても推進方をお願いしたいんですが、御答弁願います。
  93. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  我々の方も、先生お話しのように一番線を利用しての出発ということについてかねてから御要望いただいているところでございます。  本件につきましては、我々運輸省といたしましては、当該事業者の意向に前向きに実は対応させていただいているところでございます。ただ、その前提として、当該事業者におきまして、信号保安設備の改良等々施設面での整備をしていただく、あるいは新しい運用に当たっての社内教育等を充実いただくというような点が必要であるということは申すまでもございませんが、これらの会社の計画等が現在詰められているところでございまして、これを受けまして、我々としても早期に一番線ホームでの出発ができるように指導していきたいと思っているところでございます。  具体的には、会社側から聞いておりますところによりますと、十一年度の上期ぐらいには設備改善を図る予定と聞いておりますので、それができ上がりますと、そのあと一カ月程度の社内教育というようなことを経れば実現が可能ということでございます。  そういう意味での会社側の体制ないし設備の進行等を我々としてもお待ちしておる、こういう状況でございます。
  94. 森本晃司

    ○森本晃司君 では、会社側がそういうことを進めれば、極端に言うと、今もしでき上がったら今でも運輸省はオーケーなんですね。
  95. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 心のつもりとしてはそういうことでございます。やはり安全に関することでございますので、計画そのものとしては我々非常に前向きに対応しますけれども、やはりそういうことについての確認をさせていただくということだけが残っておるということでございます。
  96. 森本晃司

    ○森本晃司君 一日も早く一番ホームが使えるように、運輸省の方も推進方をよろしくお願いしたいと思っております。町や会社の方にも私もその旨を伝えさせていただきたいと思うところでございます。  最後になりましたが、運輸大臣、この間信楽の皆さんが陳情にお見えいただいて、皆さん激励を受けて大変喜んでお帰りになっておられました。この一番ホームの使用の問題や、あるいは第三セクターとして地域のために一生懸命頑張っているこういった鉄道に対する所感を述べていただきたいと思います。
  97. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、近代化対象工事として申請があればそれを受け付けてやってまいりたい。先ほど局長より答弁させていただきましたように、十一年度、ことし中には一番線が使えることを大いに私も期待したいと思っております。信楽町長さん初め、大変御苦労いただきながらこの鉄道を守ってきた、この気持ちは私も痛いようにわかります。  ただ、冒頭申し上げましたように、信楽だけ何とかせいと言われますと、私が愛着を持っているだけになかなか問題がありますので、三セク全体の議論を、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり運輸政策審議会の中でしっかりやってもらいたい、こう思っております。
  98. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣、ありがとうございました。さらによろしくお願い申し上げます。  それから、きょうは関空の問題で質問をさせていただく予定で通告をさせていただいておりましたが、時間がなくなりました。また次回にじっくりと質問をさせていただきたいと思います。わざわざお見えいただいて大変恐縮でございました。  終わります。
  99. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まず最初に、ブルーインパルスの展示飛行、曲技飛行について伺います。  ブルーインパルスというのは、御存じのとおり航空自衛隊第四航空団十一飛行隊の愛称です。このブルーインパルスというのは展示飛行あるいは戦技の研究等を行っています。この戦技の研究というのは、実際に戦闘を行うことを想定して、究極状態で戦闘機の特性やあるいは技量の向上を図っていくという目的で行われるものです。これは大変危険な飛び方ですから、当然原則としてはこういう曲技飛行というのは航空法で禁止されている。しかし、運輸大臣の許可を受けた場合にはこの限りではないということになっています。実際、曲技飛行でどういうことをやるかといえば、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストール等々の訓練を行う。  これが危険な訓練だということは、八二年には浜松で事故を起こしている。このときには一機が住宅地に突っ込んでパイロットが死亡し、市民十二人が重軽傷を負う。九一年七月には宮城県の金華山沖で二機が接触してパイロットが死亡する、こういう事故がありました。  ですから、こういう訓練が行われる場所というのは、これは安全性に最大限の配慮がされる必要がある。民間航空機の安全であるとかあるいは運航に支障があってはならない。これは大原則だと思いますけれども、まず最初に確認をしておきたいと思います。
  100. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 自衛隊機が飛行訓練を行う場合にはいろいろな形態があるわけでございますが、そのすべてが航空法上の手続が必要というわけではございません。  ただ、今先生御指摘のように、曲技飛行を行う場合には航空法第九十一条に基づきまして、原則として運輸大臣の許可を受けなければならないというふうになっております。それで、その九十一条のただし書きの許可によりまして、これまた先生御指摘のとおり宙返りだとか横転だとか反転だとか、こういった曲技飛行を行っております。  ただ、この曲技飛行につきましては、他の民間航空機なりに危険を及ぼしてはいけないということで当方で許可をするわけですが、その場合に、例えば民間機の飛んでいる時間帯をずらすとか時間による隔離、高度による隔離等々の条件を付した上でこの許可を行っておるところでございます。
  101. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ブルーインパルスの曲技飛行に対する許可件数というのは九八年の実績でどうなっていますか。
  102. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 平成十年におきます自衛隊の曲技飛行等にかかります許可件数は、訓練・試験空域内で十八件、それから訓練・試験空域外で十九件許可をいたしておるところでございます。
  103. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 合わせて三十七件ですね。  その中に千歳基地での曲技飛行、これが八月七日から九日に行われています。事前訓練として七日から八日、本番として九日ですね。いずれも一日に約一時間かけた予備訓練そして本番が行われています。ここは、もう御存じのとおり基地と民間の新千歳空港、これが隣り合わさっている、非常に近い距離にあります。  この訓練というのは、基地から半径五キロの円内真上の空域で行う。高さが大体十五メートルから三千四十メートルの空域で行うと。そうすると、新千歳の方にまともにかぶさっていくということにこの訓練はならざるを得ないと思うんです。  この訓練を昨年八月七日から九日までやった時期に、新千歳の民間機の方に支障はなかったのか、この点はいかがでしょうか。
  104. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 御指摘のとおり、千歳におきますブルーインパルスの訓練は平成十年八月七日から九日にかけて行われております。そして、展示飛行につきましては九日の日に一時間かけて実施をしておるところでございます。  それから、場所につきましても、千歳飛行場を中心とする半径十八キロメートル内の対地五十フィート、先ほど十数メートルとおっしゃいましたが五十フィート以上、一万フィート、三千三百メートルぐらいになるかと思いますが、以下の空域という場所を指定してございます。  それから、安全措置といたしましては、こういう曲技飛行が行われる、そしてそれが展示されるということについては航空情報、いわゆるノータムによりましてこういう事実を周知いたしておるところでございます。  それから、条件といたしまして、千歳飛行場の管制所の管制下のもとで実施をする、そして地上のレーダー等により当該空域に他の航空機が飛来していないことを確認して行うという条件を付しているわけでございまして、そういう意味では民間機との接近等がないように条件を付して訓練を行っておるところでございます。
  105. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 民間機に支障がないように実施しているということだったんですが、私調べてみましたら、新千歳というのは飛行機の離発着が非常に多いです。羽田—新千歳というのはドル箱と言われています。すき間なんかほとんどないですよ。  この昨年の八月九日の日、本番の訓練は九時から十五時三十分の間の一時間やったわけですが、この間に大体どのぐらい離発着しているか知っていますか、この期間に。
  106. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) ちょっと手元に民間機の発着の数字がございませんので。大変申しわけございません。
  107. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これは、一覧表つくってみたんですが、百四十二便。九時から十五時三十分、この間に大体二分四十秒に一便離陸する、あるいは発着する、こういう状況です。ですから、この間に一時間もの訓練をやると何らかの影響が出ていると。何せ二分四十秒に一便ですから、全く影響なしということはちょっと考えられないんですよ。全く何もなかったんですか。
  108. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) ノータム上、例えば九日の日の展示飛行でございますが、これについては十三時十五分から十三時五十五分の四十分という形で、一時間の申請がございましたが、時間を制限しておるということもございます。また、当然のことながら、新千歳空港の方に影響が出ないような形でこの展示を、すなわち千歳飛行場を使ってこういう曲技飛行を行っておるわけでございまして、それによって民間機の発着に支障があったというふうには我々聞いておらないところでございます。
  109. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これは二つ問題あるんです。  もし、民間機の離発着に何の支障もなかったと、全部時刻表どおりに離発着ができましたということになれば、二分四十秒に一回飛んだりおりたりしているわけですから、これはいわばそのすき間を縫ってやっているということになるんですよ。極めて危険な状況だということになる。いや、そうじゃないんですと、さっきずらすという話がありましたね、民間機の方をずらすと。そうしますと、ブルーインパルスが展示飛行をやる場合に民間機の方をずらす。  つまり、ずらすか、飛ばしておいて危険なところを、隙間を縫うか、二つに一つしかないわけです。つまり、いわば悪魔の選択なんですよ。選びようのない選択なんです。飛んでいない時間に飛ばすかというならそうじゃない、飛ぶのをおくらせたり早めたりする。多分おくらせるんでしょう、機材が遅くなりましたということでおくれることはよくあることですから。  つまり、これは支障が出ているんですよ。もし支障が出ていなかったとしたら、最も危険な状態で実は訓練がされているということになるんです。それが千歳の特徴なんですよ。なぜなら、千歳航空基地は自衛隊の基地だけれども、すぐ隣に日本でも有数の新千歳空港がある。百四十二便飛んでいるという状況にある。だから、私が言いたかったのは、これは必ずどっちかになるんですよ。危険な飛び方をするかおくらせるか。そういうことになりませんか。
  110. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 先ほど調整について時間ぶりのことを申し上げましたが、この許可に当たっては、今申し上げた航空機の航行が予定されていない時間帯に許可をするということ、それが時間ぶりでございます。それ以外に、空域の範囲及び高度、すなわち空域の分離をして、飛べる範囲、それから高度を限定して許可をするということをいたしておりまして、千歳の場合には、御承知のように千歳飛行場と新千歳空港とが併設されておるわけでございますが、空域的に処理をして同時間帯に民間機とこの曲技飛行機が出会わないように、先ほど申し上げたレーダー等により調整をしておるということでございます。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕
  111. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、時間で分けるのと空域で分けるのと両方あるから大体うまくいくんだという話ですが、それは理論上はそうでしょう。しかし、実際には果たしてそんなにうまくいくのか。  「セキュリタリアン」という防衛庁関係の雑誌があります。そこに、ブルーインパルスの隊員の方がアメリカへ行って曲技飛行をやった、そのときの話が出ています。アメリカでも国際空港あるいは市街地など、要するに展示飛行、曲技飛行、こういうものをやる場所というのは非常に厳しい制限があったということをパイロット自身の方が「セキュリタリアン」という防衛庁関係の雑誌で書かれていますよ。  ですから、大臣に私一言聞きたいんですけれども、少なくともほかに訓練空域はあるわけですよ、ブルーインパルスにとっての。もっと安全な場所というのは設定されていますね、訓練空域は。何も新千歳の隣の航空基地を使って、しかも百四十二便、二分四十秒に一機飛んでいるというふうなところで、時間と空域とそういう分け方をして飛ばすんじゃなくて、やはりこういうところではこういう危険な訓練はさせないという方向で防衛庁との間で、これは両方とも防衛庁が管制を握っていますから、やはり私は運輸大臣としては防衛庁に対して物を言うべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  112. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 千歳飛行場でやった曲技飛行は展示という意味がございまして、普段行っておる訓練空域では観客の方というか一般の方にごらんいただけないということでここでやったというふうに承知をいたしているところでございます。
  113. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどから局長から御答弁を申し上げておりますとおり、安全運航というものに最大の配慮を払いながら許可をしておると理解をいたしております。ただ、重ねての御質問でございましたので、改めて安全確認を徹底してまいりたいと思います。
  114. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところで、民間空港でも実はこうした曲技飛行を行っておる、こういう事実はありませんか。
  115. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 空港という点に限定をいたしますれば、先ほど御指摘ありました浜松での事故以来、民間飛行場でのブルーインパルスの曲技飛行の実績はないというふうに承知をいたしているところであります。
  116. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 新潟空港というのは民間空港です。そうですね。  私が調べたところでは、九七年六月十五日、今から二年足らず前、新潟空港を使った曲技飛行、これがやられているというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
  117. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 平成九年六月に新潟空港付近の海上におきましてブルーインパルスの曲技展示飛行がございまして、この許可を行いましたが、空港自体を直接したわけではございません。
  118. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私が調べたところでは、九七年六月十五日、時間は二時五分から二時二十五分の間、エリアは空港から半径五マイル、大体九キロ、高さ五百フィートから七千フィート、大体百五十メートルちょっとから二千メートル少しの空域、使用機はT4練習機六機使用。  問題は、この時間に新潟空港では民間機の離発着があるんです。新潟—ウラジオストク便、そして新潟—佐渡便、これが十四時五分、十四時二十分。ですから、ちょうどこの間に入るんです。この間、二便の民間機が利用している。それと同じ時間に空港から半径九キロですから、これはもう完全に空港のエリアですよ。  あなたは今すぐ近くでと言ったけれども、これすぐ近くなんてものじゃないんだ。明らかに新潟空港の管制エリアに入っている。これは明らかじゃないですか。
  119. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 新潟の空域におけるブルーインパルスの曲技飛行につきましては、事前に防衛庁の方と調整を行いまして、一つは航空機の航行が予定されていない時間帯に、かつ空域の範囲及び高度を限定いたしました。さらに、その飛行課目につきましても選定をいたしまして、かつさらに条件を付しまして、民間機が飛来した場合の飛行中止措置についても約束していただくというようなことで、十分な対策を講じた上で許可をいたしたところでございます。
  120. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、飛行中止措置を事前に言って、その約束までとらなきゃ飛ばせないようなところで何で曲技飛行をやらせる必要があるんですか。自衛隊の航空基地はいっぱいあるでしょう。訓練空域だってちゃんと決まっている。千歳基地とは違うんだ、これは。純粋な民間空港ですよ。  だから、私はこういうものを防衛庁から話があったときに許可する運輸省がおかしい。何でここでやるしかないんだと。そんな理由ないでしょう。だから、本当に安全性を考えるなら、これはいいですよ、もう終わったことですから、今後こういう危険な空域でのブルーインパルスの訓練、これは原則としてやらせない、原則というより絶対やらせない、こういう態度を運輸省はやっぱりとるべきだと。これは運輸大臣、いかがでしょうか。
  121. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私自身、新潟空港の状況がどういう状況になっているかよくわかりませんけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、改めて安全の徹底をしてまいりたいと思います。
  122. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 こういう危険な飛ばし方、別にここしかない、ここで飛ばなきゃ訓練できないというわけじゃないんですから、やはりぜひ改めていただきたいと思います。  次に、港湾の問題について伺いたいと思うんです。  今よく釣り堀という言葉がありまして、全国で港はつくったけれども釣り堀状態になっている。少なくないですよ。私も全国いろいろ見てきましたけれども、どことは言いません、差しさわりのある方もいらっしゃるかもわかりませんから。あるところに行きましたら、いや、釣り堀じゃないというんです。何でかといったら、今は釣りを禁止していると。釣り堀化させないのにはそれしかない。  我々は公共事業を全部否定するつもりはないですよ。しかし、本当にむだな事業はやめるべきだというふうに思うんです。  それで、私、今度の大臣の所信表明を伺っておりまして一つ注目したことがあるんです。別に意図があったのかなかったのかわかりませんけれども、これまでハブ港湾とかハブ空港、こういう言葉が運輸省の文章の中には随分出てきました。今回これがとれたんですね。とれたというか、少なくとも大臣の所信の中にはなかった。これは何か理由があるんでしょうか。
  123. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) ハブポートというふうな言葉を今まで便宜的に使わせていただいたことは確かにございますが、私ども、事業として予算要求をしておりますのは、いわゆる中枢港湾とそして地方の中核港湾といったものに、コンテナターミナルとしてはそういったものに重点的な投資をするということで考えさせていただいているものでございます。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、これがとれたことは非常によかったと思っているんです。私は、一度ここでハブ空港というのがいかに間違いかと。大体、ハブなんというのは空港設置者、港湾設置者が言う話じゃないんです。ここを拠点にするかどうか、乗り継ぎにするか、つなぎにするかというのは、これは利用する航空会社や船会社が決めることで、幾らハブ空港ですとつくったってハブになるかどうかは何の保証もないんです。ですから、私はこういう言葉遣いをしなくなったのは大変結構だと。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕  その上で伺いますけれども、港湾整備前提となる需要見通しというのが大事です。今の第九次ですか、港湾整備長期計画で貨物全体と外貿コンテナの取り扱い需要見通しというのはどうなっているでしょうか。
  125. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) ただいまの港湾整備七カ年計画平成十二年度を目標としているものでございます。  全体の貨物につきましては約三十七億トンという推計をしてございます。また、外貿コンテナにつきましては二億三千万トンぐらいを想定して考えております。
  126. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この見通しの根拠になったGDPの成長率というのは何%ぐらいに置かれているんですか。
  127. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 経済企画庁が長期計画を考えております、そこで想定しております約三%の伸びというものをもとに考えております。
  128. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 約三%とおっしゃったけれども、二・八%ですかね、これをもとにこういう今おっしゃったような需要見通しを立てられている。  問題は、そのGDPが実際どうなっているか。長期計画の初年度に当たる九六年度は四・四%。ところが、九七年度はマイナス〇・四%、九八年度はマイナス二・八、こういうことになっていますね。九九年度も、これはまだわかりませんけれども、〇・三ですよ。つまり、二・八という根拠がこの実績を見ればもう明らかに崩れている。需要見通しの前提となるGDPが全く違ってきている。  そういうことになれば、外貿コンテナにしろ全体にしろ、当然需要見通しそのものを見直していくという作業にかからなきゃ、これはとんでもない過大需要になるということになりませんか。
  129. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 経済の見通しにつきましては先ほど先生の御指摘のとおりかというふうに思いますが、例えば先ほどのお話に出ております外貿コンテナにつきまして、平成六年の実績に対しまして平成八年度の実績を計算いたしますと、経済は成長がとまっているという状況ではございますけれども、実績でいきまして六%ぐらいの伸びを実際には示してございます。  また、御承知のとおり、港湾関係の社会資本といいますものはいわゆる懐妊期間の非常に長い施設でもございますので、経済の跛行性というものがございましてもやはり一定の目標に向かいまして整備を進めていくことが肝要かというふうに考えております。
  130. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 経済の跛行性といったって、あなた方の先輩の住田正二さんが「お役人の無駄遣い」という本を書いて随分港湾整備計画を批判しまして、あなた方は反論されていますよね、港湾局。  この中でどう書いてあるかというと、「GDPとコンテナ貨物の相関は歴然としており、今後もGDPの上昇とともにコンテナ貨物は増えるものと考えています。」、「今後のコンテナ貨物量の見通しについては、経済成長の鈍化とともに伸び率は下がるものの、GDPの着実な増加に伴い増えていくものと考えています。二〇一〇年までのGDPの平均伸び率を二・八%とすると、十五年間で約二倍、年平均伸び率四・六%程度で増加するものと考えています」と。  これはあなた方の書いた反論ですよ。要するに、GDPとコンテナ貨物の相関関係は歴然としているとあなた方がおっしゃっている。跛行性なんて書いてない、ここには。  そうすると、GDPが下がってくれば、これは、相関関係明白だとあなた方が言うのであれば、需要見通しが変わってきたんだったら、長期計画そのものをGDPがマイナスになっているということに合わせて根本的に見直すというのが当然じゃないですか。
  131. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 先ほども御答弁いたしましたが、もちろんGDPとの相関もございますけれども、GDPが非常に伸びていない時期でも、先ほど申し上げましたように平成六年から八年度の実績では六%ということで、先生御指摘のありました四・八%よりも大きい伸びの実績を示しているところでございます。
  132. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何が伸びているって。
  133. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 外貿コンテナの実績ではそういうふうになってございます。  また、GDPということで反論をしたということも事実かと思いますが、貨物の推計につきましては、貿易相手国の経済指標等ももちろんのこと、私ども、GDP以外のものも含めて、そういった指標をもとに推計をしているものでございます。
  134. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 外貿コンテナの取扱量が少々ふえたって、それは今後ふえ続けるという保証には何もならないでしょう。だって、外貿コンテナの伸び率とGDPの伸び率とは全く別の概念ですよ。早い話が、コンテナ化していけば、荷物全体の総量がふえなくたってコンテナの量はふえるんです。  問題は、GDPが下がれば貨物全体量が下がるじゃないか。そのことは何で考えないのかということを聞いているんです。外貿コンテナが幾ら伸びたなんて関係ないですよ、そんなことは。
  135. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 貨物とGDPの相関について御指摘がございましたので、そういうふうにお答えをさせていただいたところでございます。
  136. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、相関じゃないんだよ、それは。
  137. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) いや、先生の方でそういう御指摘がありましたからお答えをさせていただいたものでございますので、先ほども言いましたように、GDPについての配慮も、もちろんそれをもとにいたしまして推計をいたしますが、その他のいろんな指標も含めて検討をしているところでございます。
  138. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 じゃ、幾つか聞いてみますが、あなた方の中枢・中核港湾の外貿コンテナの貨物量の予測、これは大変なものですね。  例えば北部九州、この北部九州というのは北九州港、博多港、下関港、この三つの港で形成されている。この計画では、北九州港、二〇一〇年には百五十万TEU、つまりコンテナ百五十万個ということですね。こういうふうになるという計画を北九州市は北九州港の計画で立てています。二〇一〇年には取り扱いコンテナ量が百五十万個。  運輸省の予測では、北九州港と博多港、下関港、つまり北部九州は二〇一〇年に何個になっていますか。
  139. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) ちょっと手元に資料がございませんので、お答えをすることはできかねますことを御勘弁願いたいと思います。
  140. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 運輸省の予測だと、二〇一〇年に北部九州全体で取り扱うコンテナが百六十万個ですよ。ところが、北九州港だけで二〇一〇年には百五十万個扱う計画なんです。もうほとんど博多港、下関港は要らないということなんです。こういう計画で港づくりが進んでおる。  私は、この運輸省の言う百六十万個だって相当過大な見通しだと思いますよ。だって、今実績は三つの港で六十七万個だから。百万個ふえる、二倍以上、ほぼ三倍化するというのが運輸省の予測。ところが北九州市は、下関、博多なんか要らない、北九州だけで百五十万個扱うんだと。こんなばかみたいな計画がありますか。
  141. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 先生の御指摘のございました数値につきましては、確認をできませんのでそれについてお答えすることはできませんが、貨物の伸びにつきまして、私ども自身も、それから港湾管理者であります北九州市あるいは下関市等もそれぞれ推計をしておりますが、私どもの推計をもとにその後すり合わせもしておりますし、先ほどの二〇一〇年という長期計画を想定しているその計画の中で、実際の五カ年計画等についてはいわゆるマクロとミクロのすり合わせというような形で適切に施設が整備されることとなりますように実施をさせていただいているところでございます。
  142. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私の数字は正しい数字ですよ。でも、そちらで確認されないから。  どう考えてもおかしいでしょう。三つの港で百六十万個が、一つの港で百五十万個。あと二つは何だと、五万個ずつかと、下関、博多は。そんなことはあり得ないですよ。だって、今だって博多は二十五万、下関が五万、三十万も扱っているんですから。減らなきゃ計算が合わなくなるんだから、そんなばかなことはないです。そんなばかなことはあり得ない。  問題は、こういうことがわかったときには、こんなばかな計画はあり得ないんだから、北九州市にも、あるいは福岡県にも、あるいは福岡市にも、きちっと本当にあなた方の計画はどうなんだと、おかしい点があったらやっぱりただしていくということをやらなきゃ、適切にやっていると言われたって、何が適切だということになりますよ。  それだけじゃないです、いっぱいありますよ。新潟港、九六年の実績が四万六千個、これはあなた方が言うように年平均四・六%でふえていくというふうに仮定したって、今四万六千個の新潟港の取り扱い量というのは八万六千個、四万個しかふえない。ところが運輸省、これわかりますかね、あなた方は二〇一〇年に新潟港は取り扱い量が何個になると予測していますか。
  143. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) ここにデータを所持しておりませんので、お答えをお許し願いたいと思います。
  144. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 運輸省の予測だと二十五万個ですよ。今四万六千個の実績。四・六%ずつふやしていって二〇一〇年には八万六千個になる。ところが、運輸省の予測では二十五万個になる。十七万個も過大になるということになるでしょう。だから、こんなことを全国各地でやっていたら、それは釣り堀もできますよ。  これは考えてもらいたいんです、だれの金でやっているんだと。最後はみんなこれは国民の税金ですよ。最小限の投資で最大限の効果を上げるというふうにやるのが当たり前でしょう。あなた方がやっているのは最大限の投資で最小限の効果ということになるじゃないか。これはまじめな予測じゃない。
  145. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 四・六%の伸びで推計をすると八万個ということの御指摘でございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、中枢・中核港湾ということで港湾整備の展開を申し上げたところでございまして、全体として伸びるその伸びの中で地方展開ということを考えておりまして、それも過大な量ではなしに、全体として約一〇%を切るぐらいのものでございますが、そういったものが地方展開によりまして新潟港にも及ぶということでございますので、新潟港が四・六%という伸びで伸びるというふうには考えていないものでございます。  ただ、二十五万個ということについては今数字を持ち合わせておりませんので、どちらの数字からそういう形が出たかということについてはちょっと申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  146. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 数字をお持ちじゃないようだからあれですが、いっぱいあります。広島港、九六年の実績が五万五千個、これは四・六で計算すると十万五千個。ところが、運輸省の予測を見ると三十万個、三倍ですよ。志布志港、これも一万個ですよ、四・六でいっても。運輸省の予測は十五万個。塩釜、九六年一万四千個、これが四・六で二万六千個になる。運輸省の予測は五十万個、何と二十倍。日本経済は高度経済成長をやっているわけじゃないでしょう。あり得ない推定ですよ、こんな推定は。何で塩釜港が一万四千個から五十万個になるんだ。常識的に考えたってあり得ないことだ。  今全国でどういうことが起こっているかというと、私も一斉地方選挙があるものだからあっちこっち回っていますけれども、要するに荷物の取りっこをやっているんですよ。我が港に、我が港に、隣の県もそう、隣の県もそう、みんな同じようなものをつくって、パイは一緒なんですよ。パイが二倍も三倍も膨れ上がるわけないじゃないですか。そんな経済成長をだれが予測していますか。政府だって民間だって、だれだって予測していない。運輸省の港湾をつくるときだけそういう予測がされているんですよ。  そんな予測をやって港をつくってどうするんだ。港を絶対つくっちゃいけないなんて言っているんじゃないですよ。しかし、もっとまじめな予測を立てなきゃ。だって日本じゅうそんなに要らないですよ、はっきり言って。だから、東京都の港湾局にもといらっしゃった方も、結局パイは一緒、それを奪い合いをしているだけ、これが今の港づくりの実情だと。専門家の指摘ですよ。  ですから、私は、もう時間が来ましたので終わりますが、公共投資を税金でやるわけですから、やはり本当にむだのないようにやるというのはこれはだれだって否定されないと思うんです。だったら、この見通しは本当にどうなのかと。今経済成長だってマイナスになっておる、来年度だってよくて〇・三だと言われているときに、果たしてこのままでいいのかという見直しは真剣にやるべきだというふうに思うんですけれども、最後に大臣の御答弁を伺って、終わりたいと思います。
  147. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) せっかくの御質問をいただきながら、細かい資料をこちらは持っていないので残念な質疑が続いておるように思っております。ぜひ事前にこういうことでということで、こちらも持った中で活発な論議をさせていただきたい。今後どうぞよろしくお願いしたいと思います。  私が全体的な数字として持っておりますのは、平成六年で三十三億九千九百万トン、それに対して平成十二年で三十七億三百万トン、平均で一・四%の伸びを想定して港湾計画を立てております。その中で、外貿コンテナはこれからより集中化が高まってくるだろうということで七・六%の伸びを見ておるところでありますけれども、今のところ平成六年から八年、六・〇%の伸びということになって、少し経済成長が御指摘のとおり弱まっておる中、七・六という数字にはいっていない。しかしながら、現実は六・〇という数字で、ある程度の数字が出てきておることは事実であります。  それから、ハブ空港とかハブ港湾のことが出ました。私も必ずしもそういう言葉を使いませんでしたけれども、国会での質疑は、このままいったら日本は諸外国に負けるんではなかろうか、ハブ空港、ハブ港湾をきちっとつくるべきじゃないかという御議論の方が正直言って多かったように思っております。そういった意味では、集中投資をして、特に外貿コンテナはこれからどんどん整備をしろという御意見の方が実は多かったように思っております。しかしながら、先生の御意見もございました。いろいろ聞かせていただきながら港湾局また運輸省として適切に対処してまいりたい、このように思います。
  148. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  149. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  二〇〇〇年問題への運輸省の対応についてお伺いをいたします。  二〇〇〇年のコンピューター誤作動問題における各モードごとの具体的な対応状況について御説明をいただきたい。
  150. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  鉄道、航空、海運の各分野につきまして、私どもとしては各事業者団体を通じて二〇〇〇年問題に対応できるように指示をしているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、この二〇〇〇年問題というのを各事業者に周知徹底し、改修の実施を行い、これもできれば本年六月までに行い、その後シミュレーション、テストを行う。そして、そのテストだけではなく、仮にこれらテストが改修、実施はしたものの万が一うまくいかなかった場合の危機管理計画を立てる。さらに、その危機管理計画を立てた上で、利用者の方々に安心感を与える意味でこのようなものを逐次公表していくということが重要であると考えております。  お尋ねの進捗状況でございますが、平成十年十二月現在、三カ月ごとに統計をとっておる関係で三月末はまだ出ておりませんが、数字が若干古うございますが、鉄道については、制御系重要システムで約四八%、五割近く既に進捗しております。事務処理系システム、予約、発券、その他でございますが、これは四五%でございます。  失礼しました。今のは代表三十七社でございますので、百五社全部ので申し上げますと、制御系が五六%、事務系が五二%でございます。  航空については、十一社、制御系で約六八%、事務系で八三%が模擬テストまで進捗しております。  海運につきましては、アンケート調査の結果でございますが、これより若干進捗率が悪うございまして、制御系では三六%、事務系では五六%となっております。  我々といたしましては、三カ月ごとにこの数を把握して、事業者団体を通じあるいは直接事業者を指導して二〇〇〇年問題に対応するように指導していく方針でございます。
  151. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、環境問題についてお伺いをいたします。  地球的規模で問題になっております温暖化問題、とりわけ二酸化炭素の排出が原因でありますし、その削減を求めて各国が努力しているところでありますが、我が国においても、地球環境温暖化防止京都会議を受けて、年二・五%の削減の目標を設定して取り組みがなされております。二酸化炭素の排出削減問題については、いろんな切り口があろうと思いますけれども、運輸省におかれましては、排出削減目標達成のための施策として低公害車、低燃費車の普及促進や、先ほどもお話があっておりました優遇税制などを打ち出しております。  しかし、輸送機関において最もエネルギー消費が高いのは乗用車でございまして、二酸化炭素の排出量が最も多いのもまた乗用車でありますが、乗用車の持っている有用性について、社会的な役割を果たしていることについて否定をしようとは思っておりません。資源の有効活用という観点から、低公害車、低燃費車の普及施策よりも、効果的な削減方法としては乗用車の総量規制をする中で鉄道やバスの公共機関へ誘導することが何より効果的ではないかと考えますが、いかがでございますか。
  152. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 先生御指摘のとおり、運輸分野というのは全二酸化炭素排出量の二割を占めておりまして、その約九割が自動車から排出されております。したがいまして、運輸分野におけるCO2対策というのは自動車対策というのが主になるわけでございますが、その場合、運輸省としては三つの大きな柱を考えております。  一つは物流でございまして、いわゆるモーダルシフト等をうまく推進することによって、あるいは効率的なトラック輸送をすることによってCO2を削減すること。また二番目、先生御指摘のとおり、公共交通機関への誘導を図ることによって、鉄道利用をしていただくことによってCO2削減を図ること。そして三番目が、自動車単体のエンジンの改善等によります燃費の改善でございます。この三つを有機的に組み合わせてこの千二百万トンという運輸分野に課せられた目標を達成することを考えております。  御指摘の自動車の総量規制でございますが、確かに、総量規制をやるということは、需要抑制を行うわけでございますから相当程度効果はあるかと思われます。一方、先生もおっしゃいましたように、自動車の利便性ということから国民生活に与える影響というのも多うございまして、直接的な総量規制について今の段階で国民の皆様から理解を得られるか否かについて確かな自信がないところでございます。  しかしながら、我々の考えている三つの施策がうまくいかなかった場合は、先生おっしゃいましたような直接規制というのも考えなければならないので、将来の問題として我々も研究してまいりたいと考えております。
  153. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 混雑緩和への総合計画についてお伺いをいたします。  小渕首相の指示によりまして都市鉄道調査費三億五千万円が盛り込まれておりますし、混雑緩和に向けた総合計画の策定がなされたとのことですけれども、混雑緩和のための事業には巨額の投資がやはり必要でございまして、現在、私鉄の資金面での公的な支援をする制度は整っておりません。したがって、総合計画策定に当たっては何らかの支援制度というものを創設すべきではないかと御要望申し上げますが、いかがでございましょうか。
  154. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お話しのように、都市鉄道につきましては、依然として深刻な通勤通学混雑の緩和を図るための輸送力増強等のため、その計画的かつまた着実な整備が不可欠でございます。従来より、厳しい財政状況のもと、地下鉄補助制度、鉄道建設公団に対する利子補給制度等の公的な助成、それから特定都市鉄道整備準備金制度の充実、活用等によりまして、新線建設、複々線化等の輸送力増強に努めてきております。  今後とも、必要な輸送力増強のほか、到達時間の短縮、乗り継ぎ利便の向上等の諸対策を引き続き推進していく必要があると考えておりますが、昨年十二月十八日に運輸政策審議会に中長期的な鉄道整備基本方針及び鉄道整備円滑化方策につきまして諮問をいたしたところでございまして、都市鉄道整備を円滑に進める方策等について御審議いただいているところでございます。  都市鉄道に対する支援制度のあり方についても、この審議結果を踏まえまして適切に対処させていただきたいというふうに考えております。
  155. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、鉄道整備の基本政策についてお伺いをいたします。  在来線の高速化や直通化など輸送設備の改善策、それからサービスの高度化策、国としての支援を含めた鉄道整備の円滑化など検討していくことを十二月十八日、運輸政策審議会に諮問いたしましたが、その審議会の進捗状況についてお伺いいたします。
  156. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 新たな社会ニーズに対応いたしました中長期的な鉄道整備基本方針鉄道整備円滑化方策を確立して利用しやすい高質な鉄道ネットワークを構築するため、昨年十二月十八日に運政審に諮問を行いました。同日より審議を開始していただいておりまして、これまで鉄道事業者地方公共団体利用者団体等計十六者よりヒアリングを行っていただいております。  今後、ヒアリング結果をも踏まえつつ、鉄道整備基本方針整備を円滑に進めるための方策等につきまして鋭意審議を進めていただくこととしておりまして、国としての支援のあり方などにつきましてもこの審議の中で議論していただくこととしております。  なお、答申時期につきましては、審議の状況によりますが、諮問からおおむね一年後を目途にしていただきたいということでお願いしておるところでございます。
  157. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、生活バス路線の維持についてお伺いをいたします。  運政審のバス小委員会においても十分議論がなされておることについては認識をいたしておりますけれども、規制緩和後であっても生活バス路線については参入、退出を自由にするのではなく、やはり地域住民の足として維持することが大変重要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。
  158. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 運輸政策審議会の乗り合いバスの小委員会におきましては、規制緩和の環境整備に関する議論が進行しております。  規制緩和の目的は、乗り合いバスにおきましても事業者の創意工夫を発揮させて効率的で利便性の高いよいバスサービスの提供が行われるようにするということでございますが、一方、規制緩和後の生活交通維持の仕組みをどのように考えるのかが大変大きな問題でございます。  運輸省といたしましては、必要な生活の足は維持するということが基本的な考え方でございますが、規制緩和後におきましては維持すべき対象となる路線はいま一度検討してもらう、あるいは維持の仕方はいろいろ工夫してもらう、必要な助成は行うといったようなことが論点になろうかと思います。  答申の骨子案におきましても、地方公共団体がより主体的に関与していくことが望ましい、あるいは乗り合いタクシー、スクールバス、福祉バス等の活用による効率的な輸送形態の選択や事業者の経営効率化を促すような措置を講じることが適当である、あるいは地域の足の確保のために都道府県が中心となって関係者をメンバーとする地域協議会のようなものを必要に応じて設置することが適当であるというような答申の内容が出ております。  生活交通を維持するという基本的な考え方に基づきまして、今述べましたような答申の内容を踏まえて、どのように生活交通を確保していくかということについて関係行政機関及び関係者と十分協議、調整を今後図っていくつもりでございます。
  159. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 同じく生活バス路線の二つ目でありますけれども、先ほども議論があっていましたが、地方自治体に生活路線の維持方策についてゆだねていくという場合に、複数の市町村にまたがる路線が自治体の財政の違いから寸断されるということも想定できるのでありますけれども、運輸行政としてはどのような指導監督をしていくのかお伺いしたい。
  160. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 先生御指摘のとおり、バス路線は複数の市町村をまたがって運行するバスも数多くございます。その場合、関係市町村が熱心なところと熱心でないところで維持の仕方に濃淡が、あるいは温度差が生じるということがございますので、地域の生活交通の維持確保のために、今申し上げました地域協議会を設置するに当たりまして、必要な関係市町村にできるだけ入ってもらうというようなことが基本になろうかと思います。  地域協議会のようなものが既に動き出しているものもございますし、うまくいっているところもございますし、逆にそうでないところもございます。今後、生活交通維持のための地域のベストの取り組みを求めるという姿勢から関係行政機関及び地方公共団体と十分協議、調整してまいりたいと考えております。
  161. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 地域連合会とひょっとしたら複合することになるかもしれませんけれども、いわゆる交通政策について総合的に調整する場合、財源の確保と配分、それから生活路線維持に責任を持つ機関として、地方自治法に基づく広域連合制度というのを活用した交通広域連合というのが考えられないかどうか、お伺いしたいと思います。
  162. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 広域連合の考え方地方自治の考え方から用意されている制度であることは承知しております。大きなメリットは権限委譲の受け皿になることもできるというふうに承知しております。  先ほど申しました地域の関係者のベストの取り組みという中でこの広域連合、とりわけ交通における広域連合の導入ということは全く否定いたしません。そのような場合もあろうかと思いますが、そのような形態も含めて地域の関係者の協議の実体を早急につくるというふうに努力してまいりたいと考えております。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、総合交通政策の確立と総合交通特別会計制度の創設についてお伺いをしたいと思います。  鉄道の輸送設備改善やサービスの高度化対策などを検討するとともに、利用者の利便を考えるならば、例えば鉄道から鉄道への乗り継ぎ、それから鉄道からバスへの乗り継ぎ、異種交通機関の乗り継ぎ連絡がなされることも大変重要であります。利用者の利便を考えるならば、おのおのモードごとに検討するのではなくて、これらを一体的にとらえて総合的な交通体系を構築する必要があると考えますが、一つは大臣の所見をお伺いしたい。  また、総合交通特別会計の制度でありますけれども、これらの政策を総合的に一体的に推進するという上からも財源の確立が必要でありますし、このために今ある交通関係の各種特別会計、航空特会、港湾特会、道路特会などを一本化して総合交通特別会計制度というものを創設すべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  164. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二〇〇一年に国土交通省になるという前提にしての御質問かと思いますけれども、この二年間で運輸省として何ができるかということをまず考えてみたいと思っております。  航空と道路とか、港湾と道路とか、こういうものも国土交通省の大きな課題であると思っておりますけれども、その前に、運輸省内の交通連携といいますかそうしたものを一度全体的に考えてみるいい機会ではなかろうかなと。そういう意味では運輸政策審議会、これも新しく省庁再編になりますと審議会はなくなるということになってまいりますが、そういう意味では最後の大仕事として、今委員が御指摘いただいたような考え方に基づいてここへ諮問してみるのも一つかなと、内部で検討させていただきたいと思っております。  さてその次の、道路特別会計と航空なり鉄道なりいろんなことを全部あわせてやったらどうかと、これはもう大事業のお話をいただいたわけであります。昨年来からいろいろいただいておりますけれども、一方で空港の整備をしていくのに、さあ港湾の特会から持ってくる、自賠責から持ってくると、国民の理解を得られるのか。正直、ことしの予算では消費税自体を福祉という方向にさせていただいて、国民にわかりやすい税ということになるとどのような特別会計のスタイルが正しいのか、この辺はもう少し勉強させていただきたいと思っております。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、新幹線在来線対策についてであります。  午前中のお話でもありましたが、新幹線建設が着々と進んでいます。一方で、新幹線の並行在来線をどうするかが沿線自治体住民にとってはやはり大きな課題となっているわけでございます。  そこでまず、全国新幹線の並行在来線の経営分離問題についての状況がどうなっているのかお伺いしたい。
  166. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 並行在来線JRからの経営分離後の代替輸送機関につきましては、基本的には地域の力で維持していただくことを考えておりますが、地域の足の確保に支障が生ずることのないよう関係者間で十分協議を行い、適切に対処することが必要と考えております。  具体的な取り組み状況といたしましては、東北新幹線盛岡—八戸間、北陸新幹線糸魚川—魚津間及び石動—金沢間、九州新幹線新八代—西鹿児島間におきまして、それぞれの地域ごとに運輸省JR、地元県から成ります協議会等を設けまして、代替交通機関について検討を行っているところでございます。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 例えば東北本線では、新幹線の盛岡以北の整備に伴いまして経営分離問題が起きていますし、貨物輸送をどうするかということを含めてその扱いが決定していない状況にあると聞きます。現在、一日二十四往復の貨物列車が走っているわけでして、十二トントラック二千台以上の貨物量と言われております。したがって、安全性や輸送コスト、環境面から見て鉄道による貨物輸送の重要性はこれからますます重要だと思っております。運輸省の見解についてお伺いしたい。
  168. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 先生のお話のとおり、我々といたしましても、鉄道貨物輸送の重要な役割というものを念頭に置きながら、並行在来線問題、鉄道ネットワーク問題について考えていきたいと思っております。  そういう視点から、この並行在来線問題につきまして、特に貨物鉄道ネットワークについては、その維持を図る見地から、しっかりやれということを政府与党の申し合わせでもいただいているところでございまして、我々としても、そういう方針に基づきまして、具体の方針について現在関係事業者間あるいは関係自治体と相談を重ねておるという状況でございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 同じく、新幹線のネットワークと鉄道貨物輸送の全国的なあり方をどうするかという問題は大きな問題であります。  岩手県議会が昨年の三月に、並行在来線に係る経営分離後の支援措置等についての意見書を決議いたしております。地域の住民の日常生活の貴重な足となっておりますし、広域的な物流の根幹としての重要な役割を担っている並行在来線を維持するため、事業用資産の無償譲渡の実現、貨物輸送における適切な線路使用料の確保を初めとして、財政上、税制上の支援措置が必要となってくると考えられますが、運輸省として、並行在来線におけるJR東日本、JR貨物、岩手県との間の調整をどのように考えられておるのか。また、並行在来線対策について運輸省の特段の御努力を求めたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  170. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 先ほどの鉄道ネットワークの中の東北線における鉄道ネットワークの維持の御質問でございますけれども、我々も、先ほど申しました基本方針ということで、それに基づきまして、当該ネットワークを維持するという観点から関係事業者間で相談を重ねており、また地元の地方公共団体とも相談を開始させていただいているところでございます。  その際に、先ほど申しましたように、鉄道のネットワークとしてそれが維持されるということと、JR貨物の線路使用料についても適正なものとなるようにという視点が一点でございます。そしてもう一つ、当然、線路を引き受けていただく第三セクターの経営にとりまして、適正な価格でJR東日本から譲渡されるということも大前提でございますので、その辺についての具体の相談をさせていただいているということでございます。
  171. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、EPIRB、非常用位置指示無線標識と海水脱塩装置の問題についてであります。  まず、一月二十日に八丈島沖で漁船の転覆事故が発生をいたしました。約八時間後に乗組員の救出が行われました。このとき、EPIRBからの信号発射を誤報と勘違いしたのが救援のおくれになったようでございます。EPIRBの信頼性、誤射発信率はどのくらいあるのかについてお伺いをしたい。  また、EPIRBとは別に、救命ボートに乗った乗組員からの救難用電波信号が海上保安庁の航空機に届いていなかったと言われていますけれども、それらの原因と対策についてお伺いをいたします。
  172. 長光正純

    説明員(長光正純君) まず、EPIRBの信頼性についてのお尋ねでございますけれども、海上保安庁におきましては、平成九年に、一年間でございますけれども二百六十六件、それから平成十年には三百十四件のEPIRBの遭難警報を受信しております。うち、海難によらない、いわば誤発射ということになりますけれども、これが平成九年で全体の九二%二百四十六件、平成十年で九一%二百八十七件という状況でございます。  なお、ことしに入りましてからも、一月、二月の二カ月間でございますけれども、五十一件のEPIRBの遭難警報を受信しておりますが、やはり全体の八四%四十三件は海難によらないものとなっております。  こういった状況でございますけれども、海上保安庁では、遭難警報を受信したときには直ちに安否の確認等のための関連情報の収集を実施しておりますとともに、巡視船及び航空機を現場海域に向け出動させておるところでございます。  次に、レーダートランスポンダーの関係でございますが、先生御指摘のとおり、新生丸事件の当時、捜索に従事しておりました当庁の航空機は新生丸のレーダートランスポンダーの信号は受信しておりません。  その原因といたしましては、三つほど考えられようかと思いますが、一つは、いわゆる救命いかだにトランスポンダーが傾斜して設置されておりました。そういう設置の仕方では航空機搭載のレーダーにおきまして受信感度が低下する可能性があること。それから、航空機搭載レーダーの中には、通常の操作ではこのトランスポンダーの受信感度が悪く、これを画面上に表示するためには各種の操作を必要とするものがある、こういった点がございます。それから三点目でございますが、救命いかだからの距離によりましては航空機のレーダーがトランスポンダーの信号を受信できない場合がある。  このような原因が考えられるわけでございますが、これらがどのように作用し合って現実の問題として受信できなかったかということについては、現在まで特定をするには至っておりません。  なお、この問題につきましては、現在、運輸省官房長を座長といたしまして、郵政省及び水産庁といった他省庁、並びに外部の有識者の方々にもお願いいたしましてメンバーとなっていただき、調査検討会の場で検討を行っていただいているところでございまして、こういった結果も踏まえて今後対策をとってまいりたいというように考えております。
  173. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 事故原因について御説明をいただき、いろんな機器問題について検討していくことなどもございましたが、事人命に関する問題でございますから、ひとつ早急に結論を出して、適切な指示、それから技術上の問題があれば技術上の指示を行っていただきたいということをまずはお願い申し上げておきたいと思います。  次に、救命艇の非常用の海水脱塩装置についてでありますけれども、全日本海員組合から私たちの党に対しても強い御要請があっておりますし、当時、藤井運輸大臣は、日本政府として国際会議等で働きかけていく旨の答弁をされているわけです。  したがって、船員の確保対策の面からもいざというときの非常対策についてやはりなくてはならないと考えますし、むしろ積極的に国際基準をつくり出す気概というものが運輸省に求められているのではないかと思いますが、国際会議の状況とあわせ、運輸省のより一層の決意をお伺いしたいと思います。
  174. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) 昨年のたしか衆議院の運輸委員会だったと思いますが、御指摘をいただきまして、大臣の方で国際的に働きかけていくというお約束をしたと思います。  そのお約束に基づきまして、海水脱塩装置の強制化につきまして昨年の七月に国際海事機関の方に提案をいたしております。この提案はMSCという海上安全委員会でまず御議論していただくことになっておりまして、昨年十二月に開催された同委員会議論の対象に上がったのでございますが、時間がございませんで、その他の国々から出ております他の提案とともに、ことし五月に開催されます海上安全委員会で検討をするということにされております。したがいまして、ことし五月の会合で提案が実現するように最大限の努力をしてまいりたいと思います。  なお、先生御指摘がございましたが、IMOの場におきましては、オブザーバーとして国際自由労働組合連合、ICFTUが参加されております。そのメンバーに全日本海員組合もなっておられます。ぜひICFTUなどの国際的な団体からの強力な御支援もいただきながら実現に向かって努力をしたいということでございます。
  175. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、現在、沖縄県におけるバスの統合の問題が議論されていると仄聞をしておりますけれども、現状どのようになっておるのかお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  176. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 沖縄におけます乗り合いバス四社の統合問題は、長く問題化されております深刻かつ重要な課題でございます。  一昨年六月、平成九年六月に一般乗り合い部門の統合について基本的な合意がなされておりまして、現在、四社統合委員会という場で検討が進められておりますが、なかなか結論が出るまでに至っておりません。昨年十二月には考え方のスキーム案を現地の総合事務局から提示されておりますが、その後まだ結論には至っておりません。  この四社の話し合いの進捗に応じまして、具体策がまとまれば、運輸省といたしまして地元の自治体とも調整して可能な限りの協力を行うという姿勢でおるところでございます。
  177. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  178. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 いつものことではありますが、大分時間もたっております。この委員会の会議の進行に協力いたしまして、私は二問ほどお願いしたいと思います。  きょうはバリアフリーの話をさせていただきたいと思います。  バリアフリーの問題は、最近非常に大々的に取り上げられていまして、うちの中までいろいろと新しい工夫が進んできている。そうはいいながら、外を歩くときに一番悪いのは道路だという話がありますけれども、鉄道、バス、そういった運輸省所管のところでもまだなかなか大変であるなという感じがしております。  高齢者、身障者ですが、だれでも高齢者になる。元気なうちはそのときのことは余り気がつかないでいるという点もあるかもしれません。駅の階段などは上るより下る方がよっぽどお年寄りにとって大変だというようなこともありまして、これは経験者でないとなかなかわからない。ですから、お年寄りが外を歩くときに、きょうの経路はどういうところを歩くというので事前にそこにエレベーターがあるかエスカレーターがあるか、あるいは手すりがどうなっているかなどということを調べて出かける人もいるということも聞いております。  お年寄りは幾つになっても元気に外に出ていろいろ活動していただく。これは福祉関係の面からいっても、例えば老人介護の費用が少なくて済むとかそういったメリットもありまして、ひとつ元気に外を歩いていただきたいと思います。  運輸省も前から相当力を入れてこの問題を扱ってきていると思います。ただ、予算の問題その他、いろいろ制約がありますので、思ったほどには進んでいないというところかもしれませんが、駅のエレベーターとかエスカレーター、最近相当整備が進んできていると思いますが、まだ小さな駅などについてはなかなか手が届かない、そういう現状についてひとつ局長さんの方からお話しいただければと思います。
  179. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 運輸省におきましては、平成五年に策定いたしました鉄道駅におけるエレベーター整備指針などに基づきまして、高度差が五メートル以上、一日当たりの乗降客数が五千人以上の主要駅にエレベーター等を順次計画的に設置するよう事業者を指導しているところでございます。  現在の整備状況を申し上げますと、JR大手民鉄営団公営地下鉄の先ほど申し上げました主要駅におきますエレベーター等整備状況は、平成九年度末において、主要駅数千九百四十五ございますが、このうちエレベーターは二九%、エスカレーターは五四%の整備率になってございます。
  180. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 そこで、平成十年度の第三次補正でかなり大きな額が出て、五十億円ということですが、補助金を出して整備を進めていく。これをやりますとかなりのところまで進むと思いますが、まだまだ満足のいけるといいますか、一応やり終えたなということにはなってこないんじゃないかと思います。来年度予算を見ますと、五十億円と比べますとかなり少額になっているといった点もありまして、こういう点についてはぜひこれから運輸大臣も力を注いでいただきたいと私は思っております。  その点について、運輸大臣の今後の整備状況に対する考え方お話しいただきまして、私の質問を終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
  181. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 高齢者に対する、また障害者に対する社会全体としての優しさ、私は本来は企業の社会的責任だと思っております。企業が本来はエレベーターエスカレーター、さまざまな設備をつくるべきであろう。しかし、今日企業の収益が極めて厳しいところにあります。そして、これをやったからお客様がふえていくという話ではありませんので、思い切って国としてそこへ手を差し伸べるという考え方にさせていただき、地方公共団体の御理解もいただいて進めさせていただいております。  当初は、果たして五十億の予算がすべて消化されるだろうか、なかなか企業も渋いからな、三分の一になってもなかなか、いろんな声が出るんじゃなかろうかと心配しておりましたけれども、やっぱり全体の社会の理解の中で、各民鉄、JRも積極的に参加をしてもらえるようになってきた。そういう意味では、世の中全体の雰囲気がより障害者の方々に、高齢者の方々に優しい配慮というのをしていかなきゃならぬ、こんな形になり、全体がまた進むきっかけにもなればな、こういうふうに思っております。  ことしの予算は十五カ月予算と先ほども申し上げましたので、補正と合わせて地下鉄と合わせて八十三億円を計上いたしております。大体十年間でやるという目標を立てておりますので、規定の五メーター、そして五千人以上という条件からいきますと三千億円ぐらいの事業費が必要なのであろう。三分の一負担でありますから、国として一千億の負担になってまいります。すべてがいったとして一千億でありますので、ことしの予算を大体十年間ぐらい続けていければ二〇一〇年で目標は達成できるだろうと思っております。  したがって、これから皆さん方の御協力をいただきながら、また鉄道局中心になりながら、予算をやっぱりひねり出しながらやっていかなきゃならぬというように思っております。  ただ、何といっても国民的な理解の中で私ども施策を進めていく、それによって多くの方々、また財政的な理解も得られるものと信じております。一生懸命頑張ります。
  182. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。何点か御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  まず最初に、二年以上前になりますか、平成九年一月二日に日本海でロシア船籍タンカー・ナホトカ号が転覆いたしまして重油が流出した。まだ記憶に生々しい事件について、それに関連した質問をさせていただきたいと思います。  これは、御存じのとおり、日本海側一府九県、百四市町村に対策本部ができたという大変影響の大きかったことでございますし、本日ここにお並びいただいている委員の先生方の中でも、御心配された県の御出身の方が随分おられると思います。  そういう意味で、運輸省はいろいろと対策を講じていただいているとは思いますが、もう二年もたちますと、災害というのは何か忘れてくるというようなところもあろうかと思いますので、ぜひともその辺、忘れないためにもここで確認をさせていただきたいと思っております。  私はそのとき県におりましたけれども、県の立場で言いますと、事件そのものはまさに寝耳に水ということでございました。さらには、何か所管の新しい問題だということで、海は海上保安庁所管だ、海岸にくると建設省の所管になるとか、その所管の違い等でいろいろ手違いがあったように思っております。また、地方はこれはもうまさに災害だというような認識でおったわけで、そういうことから応急対策をやるのが使命だと思っていろいろやったにもかかわらず、この件は何か事故に分類されるというようなことで、補償の対象になるというようなことで、非常に災害復旧がやりづらかったという面もございます。  本日はその点は特に取り上げるつもりはございませんけれども、この補償がまだ終わっていないというふうに私は認識しておるんですが、その辺、各省にいろいろまたがる問題ではあろうと思いますけれども、運輸省の所管であろうと思いますので、その辺の状況についてお聞かせを願いたいと思います。
  183. 宮崎達彦

    政府委員(宮崎達彦君) ナホトカ号事故の被害者に対します賠償、補償の問題でございますけれども、現在、国際油濁基金などと被害者との間で話し合いが行われているという状況でございます。  基金の事務局からのお話によりますと、現在のところ、同基金に対します補償の請求額が三百四十七億円、そのうち、個別にいろいろ調査して結論を出しておりますけれども、話し合いが終了した請求について、補償の一部として現在までのところ約五十七億円の支払いがなされております。これは、これで終わりということではございませんで、今後残された課題について両者間で話し合いが進められていくというふうに承知しております。
  184. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 三百四十七億に対して五十七億といいますと、随分比率といいますか、大きな違いがあるように思います。災害というのは大体が見積もりからいくと大き目だというのは宿命かと思いますけれども、大体、総額として補償されるのはどのぐらいのところと予想されているかお聞かせ願いたい。
  185. 宮崎達彦

    政府委員(宮崎達彦君) この国際油濁基金におきます補償と申しますのは、計算上限度額というものが出てまいりまして、これは二百三十億前後というふうに現在はじかれております。現在の補償の請求額には足らないわけでございます。  それで、事務局の方で被害者とその事実関係、また補償の対象になるのかどうか、いろいろ協議されておるというところでございます。  先ほど申しましたが、そのうち確定されたものについてのかつそのまた一部ということで現在支払いが行われているという状況でございまして、もう少し両者間の調整にまちたいというふうに思っております。
  186. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 実は、この重油の関係について、今御質問した補償のことが本質ではないんですが、これだけの額の補償を受けなきゃいけないほど大きな問題が、これは先ほど言いましたようにまさに寝耳に水の状態で予想もしないところに襲ってきたわけでございます。  よくよく考えると、これは地域に対して何も心配をしないで済ますことができたんじゃないかなというのが私の考えといいますか意見でございまして、ということは、それは水産関係の問題とかある程度の問題はあろうかと思いますけれども、これは海上で回収しちゃったら地域住民に対しては何も関係のないことであったんだと思います。これは技術的な問題もいろいろあるでしょうから、完全にできたということは断定できないかもしれませんけれども、そういう方向に努力していただくことが大事ではないのかなと思うわけです。  実際、事故が起こったのが一月二日で、これは当初、日本海の海流に乗って寄りつかないんじゃないかなという希望的な観測を我々地域にいる者は持ったわけですが、その後の経過を見ますと、やっぱり海流が片方へ流れると、その逆流が海岸に流れているんですね。そんなことから漂着しちゃったということなんです。  それにしましても、たしか福井県の三国沖が一月七日、ほぼ五日間あったわけです。その後日本海をずっと北上していって、石川県の能登半島一帯に漂着したのがたしか十八日だったと思います。非常に時間があったわけでございます。日本海の荒波、これは御存じかと思いますけれども、風光明媚なところですけれども、冬の荒波を見ているとまさに恐ろしいというぐらいな大きな波の激しいところでございますから、いつもいつもすぐには油を回収できるという状態にはなかったかとは思いますけれども、気象条件からいきますと一月七日から十八日の間に波高が一メーターにも満たないような晴天の日が三日間ぐらいあった。私もそのときにヘリコプターに乗って視察をさせてもらいましたけれども、そのとき漁船が出て回収していました。海の上に言うなればその漁船の十隻を並べたらちょうど直径になるかなというぐらいの油の輪がございまして、そこに漁船が操業をやめて油の回収に努めていたわけです。  その回収方法というのは何たるや、ひしゃくで油をすくうことしかできなかった。それも漁船ですから、搭載能力が余りないわけです。ドラム缶にして五つか六つ積んじゃうともうだめなんですね。港から現場まで大体二、三十キロもある。そこを五つか六つしかドラム缶を積めない状態で往復してもたかが知れている状況なんですね。  そんなことで、結局海が荒れたらそれが大きく能登半島の北側に漂着したというのが私なりの分析なんですけれども、そういうような油をまさに漂着する前に取れればいいなというふうに思っているわけでございます。  そういう意味から、その辺は運輸省も運輸技術審議会の方でいろいろ原因も含めて対策等の検討もされていると思います。その中で、平成十年度で荒天対策型油回収装置等の研究開発費というのがたしか一億円ちょっとで研究されておられると思うんですけれども、この研究の経過と今後の予定。  それから、新聞記事を見ますと、業界紙ですけれども、昨年の十二月に、六十億円程度でしゅんせつ機能と油回収機能を持った船を発注されたというようなことも出ておるんですけれども、それがこれの成果だったのかどうか、その辺をお知らせ願いたいと思っております。
  187. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) 先生の御質問のうちの油回収装置の開発状況についてまずお答えさせていただきます。  御承知のように、冬季の日本海のような厳しい環境下においては現下の油回収装置ではなかなか回収できないのが状況であります。  したがいまして、一応コンセプトとしては、最大波高が四ないし六メーターの荒天下において、油の性状につきましては水あめ状、C重油ないしは原油が波にもまれたときになる状況でございますが、そうした粘性の強い油の回収が可能な大型の油回収装置、それからそれをとめるオイルフェンスの開発を、先生御指摘のように、平成十年から四年計画でトータル十億円前後ぐらいの予算で今取り組んでいるところでございます。平成十年、十一年度に模型実験及びシミュレーションによる要素研究を中心に現在行っております。  具体的には、油回収装置の方につきましては、高粘度の油の吸引をする方法ということで、先生の方から私どもの若手に御指導いただいておりますが、ジェットポンプとかエダクターポンプを活用したシステムでございますが、その研究をやらせていただいております。  それからもう一つは、そういう吸引性能以外に、荒天下の波浪にも追従できるような構造のものにするという構造面の研究をしております。また、オイルフェンスについても、荒天時に油の漏出をとめる方法、それからそのときの構造を開発中でございます。  さらに、十二年、十三年度は、総合模型実験、それから最終的には総合実海域実験を実施することを予定しておりまして、本研究開発の成果が上がりましたれば、油流出防除体制の充実強化に貢献できるのではないかと考えております。
  188. 川嶋康宏

    政府委員(川嶋康宏君) 先ほど先生のお尋ねの油回収船でございますが、ナホトカ号の事故のときには伊勢湾におります清龍丸という船が出動をしたわけでございます。現在、第四港湾建設局、下関にございますが、そちらの方に海鵬丸という大型しゅんせつ船を持っておるわけでございますが、これを平成十年から十二年度の間に代替建造いたしまして、しゅんせつ機能とそれから油回収機能を合わせた船を建造するということで今進めさせていただいているところでございます。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今お話を伺って、二つの件、いわゆる研究開発としゅんせつ船の新設とは何か関連があるんですか、ないんですか。それは特にないんですか。
  190. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) 私の方で理解しておりますのは、既にこれは措置されていると思いますが、現在日本には荒天型の回収機能を備えたものがございません。それで、今年度、平成十年度の予算だったと思いましたが、特に北方油田開発をするときに北欧で開発されたものがございますので、それをとりあえず一基既に海上保安庁が購入して搭載しております。我々が開発しております荒天型の油回収装置は、将来日本できっちりと供給できるようにしたいということでやっております。そういった関係でございます。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 油の問題ですが、いろいろ研究していただいているわけですけれども、これまた地域住民にしてみれば、起こらないかもわかりませんがいつ起こるかわからない、大変いつも心配していかなければいけない問題であろうかと思います。ちなみに、先ほど申し上げました漂着しちゃったというのは、石川県だけで見ましても油の八三%が漂着してしまったんです。それによって問題を大きくしたのではないのかなというふうに思います。  それと、ただいまのお話で、高粘度の油を回収する装置そのものは、確かにそういう研究をしていただくのはありがたいんですけれども、あの波浪に耐える、船にどう積むかという問題もあるんだと思うんです。  私は、思いつきですけれども、あのときに海上自衛隊も来てやっていただきましたが、海上自衛隊でさえひしゃくとそれに毛の生えたものしか使っていない。あれだけでっかいのにです。本当はそこに水槽でも入れて、ジェットポンプといいますか、かなり有効だったポンプを積めばいいのかなというような気もいたしたぐらいです。また、いつ起こるかわからない事故に対して常備しておくというのもなかなか経済性から見て妥当とも言えない。そういう難しい面がございますが、日本海に面した人間みんながいつ起こるか知れないという心配があるわけでございまして、このときの事故を見ますと、ほとんど対応ができていなかった、これだと非常にこれから不安になるわけです。  今お話を伺いまして、いろいろやっていただいているのはこれはぜひとも早くやっていただきたいのと同時に、いつの新聞でしたか、海上保安庁が百年以上の御自身の情報を集めて情報のシステム化をされると。将来、重油が流れても、それがどんなふうに流れるのか、そんなことをシステム化されるというような、非常に前向きなことをやっていただいているのは感謝するわけですが、日本海側に住む人間のこういう心配を払拭するような対策をぜひ講じていただきたい。  その辺、大臣の御所見をぜひ伺わせていただきたいと思うんです。
  192. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員の実体験を踏まえた御指摘でございます。  実は、私は、湾岸戦争の後に、海上保安庁の職員がまさにひしゃくで油をすくっている現地に行きまして、もういいかげんに帰ってきたらどうだといって連れて帰ってきた記憶があるわけであります。そういう意味では、何年たっても同じことをやっているな、もう少し科学的な対応をということで御指摘いただいたものと思っております。  九年の十二月に一つの結論を出させていただいております。一つは、何といってもそういった外国船に事故を起こさせない、寄港国による外国船の監督強化、ポートステートコントロール、五十二名の増強をさせていただいております。そして、そこへ加えて、今御答弁をさせていただきましたように、油防除資機材また技術的な研究を行う。そして現実の問題として、早く船を用意しろということで、十二年には完成をすることになります。  それから、日本海ということになりますと、また韓国沖で起こるかわからぬ、どちらで起こるかわからない話でありますから、周りの国々とお互いに協力し合おうよというような国際協力関係をつくっていく。こんなことも大事だろうと思って努力をさせていただいているところでございます。  またいろんな意味で御指導をいただければありがたいと思います。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ぜひとも日本海側の人間が安心して住めるように対策を早く講じていただきたいとお願いする次第でございます。  特に、そのときの影響で観光産業というのは非常にダメージを受けております。それと同様に、最近の不況で、どうも私の感覚では真っ先に影響があるのは観光じゃないのかなと。金がないとやっぱりどこか旅行をするのを差し控えようというのが人情じゃないか、その影響が非常に観光産業に出ているような感じがいたします。  したがって、観光産業を重要な産業と位置づけている地域にとっては大変に大きな影響があるわけですが、この観光を所管されております運輸省としては、不況下における観光産業についてどのような施策等を講じていただけるのか、今講じようとされているのか、その辺をぜひお伺いさせていただきます。
  194. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的な認識として、二つから切り込んでおります。  一つは、日本から海外に行かれる方が千七百万人、日本へ来られる方は四百万人、この差を何とか埋めることができないものであろうか、これが第一であります。第二は、海外の、特にヨーロッパの方々を見てみますと、国内旅行で四泊ぐらいされるのが普通でございます。我が国は平均一・六日という統計になっております。この二つ、これを少しずつ改善していくことができないだろうか。  第一番目の海外からのお客様の誘致でございますけれども、基本的にまず少し割安感を出してもらわなきゃならない。この間、JTBの松橋さんの話を聞きましたら、かなり日本のホテルも安くなってきている、しかしホテルの待合いのあそこで飲むコーヒー一杯八百円とか千円というのはどうだ、こういう感覚でいたら外国のお客様は絶対来ないぞ、日本へ行けばコーヒー一杯飲むのに十マルクかかるのか、こんなのがヨーロッパの通り相場になって、実は泊まり代はそれほど高くないのに日本のホテルは高いぞというイメージを与えている、ここを何としても改善していくことが大事だろうと思っておりますと。習慣の違いだろうと思いますが、そんなお話を聞かせていただきました。  それから、西海岸にスポット広告を今打っております。金大中大統領が韓国へどうぞいらっしゃいと打っておられますが、私どもは西海岸向けに打たせていただいております。それから、ことしから中国から観光で来れるように変わりました。したがって、この誘致活動にも移っていこう、このようなことを対外国には今打たせていただいております。  国内向けでございますけれども、何といっても国会でお決めいただいた一月と十月の新たな三連休、これを何とか生かして二泊三日型の、普通ですと一泊で帰られてしまうのを、例えば金沢中心として二泊三日型の何かいいものがないだろうかというようなことで、今観光地で考えていただいているところであり、我々もそのPRをしていきたい。  今一つネックになっていますのは、文部省との話し合いで進めているところでありますけれども、せっかく月曜日が休みになって、お父さんは三連休なんだけれども子供さんは学校だという土曜日が実は出てきてしまうんです。この辺はひとつ頼みますよねというお願いをしておるところでございます。  それから、運輸省の具体的な施策として、まず地方の空港使用料を下げさせていただきました。特に、沖縄等はかなりの効果が出てきているところであります。  それから、北陸で言いますと、観光案内システムを我々で少し援助していこうということで、石川県の方は切り子型観光案内システムというんですか、これをことしの予算でつけさせていただいて、できるだけの支援をしていこう、こんなことを今やらせていただいております。
  195. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の大臣のお話にもありました観光案内型の標識ですか、こういうものは恐らく広域に観光開発しようとする一つの流れだと思うんです。その流れは大変いいのではないか。  私の認識では、旅館街といいますか、そういうところは商店街と違って、商店街でしたら一体となってその地域をよくしようという気持ちになるんでしょうけれども、旅館というのは、何かよくわかりませんが私の経験では、本音を言えば隣の家がつぶれた方が自分のところがお客がふえるというような気持ちがなきにしもあらずで、何かまとまりに乏しかったというのが今までの傾向じゃなかったかと。それから自分の旅館ばかりに人を呼び込む。そういうものの行き詰まりから、今は地域として発展させよう、それがさらには広域として発展させようと。  それで、今もお話にございましたが、こういうことに対してやっぱり観光を中心としている地域では大変期待しているわけでございますので、これは緊縮財政といってもそれほどお金のかかる話じゃないと思いますので、これからもその辺の取り組みについてぜひともお願いいたしたいと思うんです。  それともう一点、海外の面で、これは通称外客誘致法、外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律、来訪地域の多様化ということでこれは地方に重点を当ててくれたというふうに我々は理解しているわけですが、そういう意味では大変結構な法律だと思います。  それによって全国いろんなところに観光のテーマ地区というのができていると思うんですけれども、その取り組みに対してどのようなふうに運輸省の方で助成というか御支援をいただけるのか。不安に思っているところもちょっと見受けますので、その辺地元のそういう取り組みをやる人間が勇気を持ってやれるような何か御支援といいますか、その辺をちょっとお話し願えたらと思います。  広域と国際と両方お願いいたします。
  196. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  まず最初に、先生御指摘の広域化による広域的な観光振興でございますが、九〇年代に運輸省の方で、観光立県推進会議というのがございまして、各県で観光振興に関する具体的方策を提言し、それに運輸省それから関係業界御協力して盛り上げていくという方針をとっていたわけでございますが、最近でございますと、先生御指摘のように、各県というよりもより一層広域での連帯ということが必要であるとの認識が強まっておりました。  したがいまして、今年度、平成十年度より、今までの観光立県から広域連携観光振興会議というぐあいに変わりまして、本年第一回目は、東北において広域連携観光振興会議というブロック単位でいかに観光を盛り上げていくか、共通テーマを持つかという方向に変わっております。十一年度においては北陸地方においてこの広域観光連携振興会議を行うことにしております。  運輸省といたしましては、今後この地域の観光振興というのを広域連携型、地方主体型及びイベント連携・実体験重視型の方式で振興を目指したい、このように考えております。  次に、御指摘地方における観光振興でございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、現在三百五十万人から四百万人程度の訪日外客数というのを七百万から八百万に伸ばしたい、この目標を立ててウェルカムプランというのを立て、それに基づきまして御案内のように外客誘致法が制定されております。  私どもとしては、この外客誘致法を生かしまして、これも広域でございますが、まず国際観光テーマ地区というのを設定して、外国人観光客が一泊ではなくて多方面に日本のよさを味わってもらう、こういうような多様化の推進を図ろうとしております。また、それと同時に、外国人観光客の国内旅行の費用の低減を図る。これにつきましては、ウェルカムカードといったものを導入して運賃あるいは宿泊費の低減といったものをお願いしております。それから、さらに接遇の向上ということで通訳、言葉の面の不自由をなくそうと、この三本の柱を基本として各種施策を振興しているところでございます。  特に、最初に申し上げました広域の観光テーマ地区につきましては、各広域の地方公共団体がそれぞれ外客来訪促進計画を策定いたしまして地域を指定しておりまして、運輸大臣はそれの促進計画に同意しているところでございます。  御承知のように、平成十年十月十六日には、第六番目として、石川県、福井県、富山県が、「四季彩の温泉回廊」というテーマでもってこのテーマ地区に指定されております。私どもといたしましては、こういったテーマ地区に指定された場合には、国際観光振興会を使いまして海外で重点的に宣伝等の支援を行ってまいりたいと考えております。  さらに、二〇〇二年にワールドカップがございますので、これに向けての観光外客誘致ということも我々は図ってまいりたいわけでございます。  現在、観光分野での二国間協議というものを八カ国でやっております。これも東京、大阪というよりも、こういった協議地方で開催することによってネームバリューを広めるといいますか、地方の魅力を各国へ知らせていきたい、このように考えております。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 次に、運輸省も大変公共事業をたくさんやっておられますので、公共事業についてちょっとお聞きしたいんですが、時間もなくなりました、これを取り上げますと大分長くなると思いますが、簡単に一問程度御質問をさせていただくことにします。  公共事業のめり張りといいますか、盛んに出てきておるわけでございます。大臣もいろいろお考えをお聞かせいただいておるわけでございますけれども、ことしはまだ景気対策でありますから、公共事業を切るという痛さはまだ実際には感じていないんじゃないかというような感じがいたします。  私も、代表質問とか金融の委員会で総理とか大蔵大臣にいろいろこの辺を、景気といわゆる財政再建との関係について御質問いたしましたが、私どもの心配は、財政改革をしないで財政問題はこのままでいいのかと。要するに、今は景気が大切だということはわかるけれども、将来どういう姿なのかをわかってもらうことが一番国民に対して説得力があることじゃないのかなという意味から、財政改革についてはどんなふうに考えたらいいのかという御質問をさせてもらったんです。それに対しては、それは大切だけれども、どうするかというお考えはなかなか返ってこなかったわけでございます。  それを御質問するわけじゃないんですけれども、ただ、そういうお話から、皆さん方は、時期はともかく、財政再建をしなくちゃいかぬというそういうお気持ちがあると。そうすると、公共事業の見直しといいますか、削減というのが当然ついて回るわけでございます。そのときに、それを恐らく切るということになると思いますけれども、その切る痛さをどうやってやっていくかということは、今は景気対策であろうと、事業の進め方をきちっとルール立ててやっていかないとなかなかそういうことはできないんじゃないか。  私も公共事業に関係しなかったわけではないんですが、いわゆる公共事業、これは効果のない公共事業というのはほとんどない。ほとんどというか、ないんだと思います。マイナス効果のあるようなものがもしあるとすれば、これは言語道断で、絶対やめなきゃいけないということでございます。  ただ、それと同時に、受益する人が違うわけですから、自分はこれがいいと思う、ほかの地域の人はおれはこれがいいと思うという、その比較というものがなかなか難しい。そういう意味でこれは大変難しい問題が入ってきていると思うんです。しかし、それはこの先切らなきゃいけないという事態が生じてくるということも覚悟しなきゃいけないんじゃないかなと思っております。  それと同時に、効率だけで考えますと、今までの日本の一極集中をさらに助長させて、別の面の問題も出てくる。国土の均衡ある発展ということは大臣も言われておりましたけれども、日本全国を見てどういう社会資本整備をしたらいいのか。単に関連の企業が多いからそれに対して金を入れて景気対策ということでなくて、一つの社会資本整備することによってそこに発展的にどんどん産業が広がっていくというような、そういう社会資本整備でなければいけないなというような感じを私は持っているわけでございます。  景気対策をやっていることしの予算の質問としては適当ではないかもしれませんが、私はこれから各省ごとにこういうことを勉強していきたいと思うんですが、日本全体を視野に入れて、これからどのような社会資本整備をしていこうとお考えになっているか、運輸省の所管で結構でございますけれども、大臣のお考えでもお聞かせ願えたら大変ありがたいと思っております。
  198. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、基本は、ことしは何とか〇・五%、来年二%になって初めて我が国は普通の経済状況に戻ったなと、そこまでは財政が多少借金を重ねてでも引っ張っていく、こういう決断で小渕内閣は来ておると思っております。  今御指摘いただいたのは、優先順位をどうやってつけるんだというところに尽きる話だろうと思います。これはもうさまざまな議論を皆さん方からいただいておるわけでありますけれども、一つは税を払っておられる方々に対する社会資本整備という問題と、それから国土の均衡がとれた発展という意味での将来へ夢をかける、この二つをどうバランスをとりながら順番をつけていくか、ここにかけられてくるのかなと。  私としては、今回は大都市の地下鉄問題に取り組ませていただいた、同時に新幹線も新たな夢としてさせていただいた。それから、国際空港として関空、中部、成田、それから中央の羽田という形で整備を今急がさせていただいております。  やめる勇気をどうだと言われますと、まさにそのときの大臣に御答弁いただかなきゃならぬ話だろうと思いますけれども、言われるとおり、費用効果というようなものをきちっとして、場合によってはやめる勇気も持たなきゃならないだろう、こう思っております。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 終わります。
  200. 小林元

    委員長小林元君) 以上をもちまして、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、海上保安庁海難審判庁及び気象庁を除く運輸省所管郵政省所管自動車損害賠償責任保険特別会計自動車検査登録特別会計空港整備特別会計郵政事業特別会計についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会