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1999-10-28 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十月二十八日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員長異動  八月十三日小林元委員長辞任につき、その補  欠として齋藤勁君を議院において委員長選任  した。     ─────────────    委員異動  八月十三日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     野間  赳君      小林  元君     齋藤  勁君  十月二十日     辞任         補欠選任      本田 良一君     谷林 正昭君      松前 達郎君     簗瀬  進君  十月二十七日     辞任         補欠選任      鶴岡  洋君     日笠 勝之君      森本 晃司君     弘友 和夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         齋藤  勁君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 簗瀬  進君                 弘友 和夫君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 野間  赳君                 山内 俊夫君                 谷林 正昭君                 寺崎 昭久君                 内藤 正光君                 日笠 勝之君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     二階 俊博君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        運輸大臣官房技        術審議官     藤森 泰明君        運輸省鉄道局長  安富 正文君    参考人        西日本旅客鉄道        株式会社代表取        締役社長     南谷昌二郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査  (山陽新幹線コンクリート剥落事故に関する件  )     ─────────────
  2. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月十三日の本会議におきまして当交通情報通信委員会委員長就任いたしました齋藤勁でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  委員各位の御指導、御協力を賜り、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) まず、委員異動について御報告をいたします。  去る十月二十日、本田良一君及び松前達郎君が委員辞任され、その補欠として谷林正昭君及び簗瀬進君が選任されました。  また、昨日、森本晃司君及び鶴岡洋君が委員辞任され、その補欠として弘友和夫君及び日笠勝之君が選任されました。     ─────────────
  4. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  寺崎昭久君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  委員異動及び理事辞任に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事簗瀬進君及び弘友和夫君を指名いたします。     ─────────────
  7. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査のため、本日、参考人として西日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長南谷昌二郎君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査のうち、山陽新幹線コンクリート剥落事故に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。二階運輸大臣
  10. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 山陽新幹線における十月九日の北九州トンネルコンクリート剥落事故及び山陽新幹線トンネルに係る安全問題への取り組みについて御報告を申し上げます。  まず、北九州トンネルコンクリート剥落事故概要でありますが、平成十一年十月九日の午前四時十分、山陽新幹線北九州トンネル内において、始業前の点検の際にコンクリート塊五個、総重量二百二十六キログラムを発見いたしました。その後、このコンクリート塊は、トンネル側壁部分にあるコンクリート打ち込み口──委員長の御了解をいただきまして、今図面を二枚お配りいたしております。図一の一番の「作業前」と書いてあるところに「コンクリート打込口」という小さな文字で矢印を書いておりますが、ここのところを指すものであります。コンクリート打ち込み口にある突起部落下したものであることが判明をいたしました。  このためJR西日本は、広島—博多間を始発から、新大阪—広島間は六時十分から運転を見合わせましたが、新大阪—広島間については、同種突起部を有するトンネルがなく、問題がないことを確認いたしました。新大阪—岡山間は午前八時三十分、岡山—広島間は午前九時に運転を再開いたしました。他方、広島—博多間は同種箇所を有する七つのトンネルについて緊急点検実施し、打音検査及び三カ所におけるたたき落としの処置を講じるなど、安全を確認し、午後四時に運転を再開いたしました。  なお、その後、その日の夜に同じようなトンネルが一カ所確認されたことから、当該トンネルにつきましても緊急に点検実施いたしております。  次に、コンクリート落下原因については、現在、トンネル安全問題検討会事務局である鉄道総合技術研究所において科学的な分析作業等を行うことにより詳細を調査中であります。現時点では、比較的早い段階で突起部側壁本体との間に不連続面が生じ、側壁アーチとの打ち継ぎ目を介して漏水不連続面供給され、年とともに劣化が進むとともに不連続面拡大し、このような不連続面拡大が全体を支えていた両端部にも徐々に進行し、最終的に剥落に至ったものと推定されております。  また、福岡トンネルコンクリート剥落事故に係る原因推定については、鉄道総研によれば、まずトンネルを覆う覆工コンクリートトンネルを掘削する際に最初にトンネルH形のいわゆる支保工というのを先につくって、そこからコンクリートを打ち込むということに相なるわけでございますが、いわゆる覆工コンクリートを打っておる最中にコンクリート材料供給中断が生じ、アーチ下部コールドジョイントが形成されたわけであります。コールドジョイントというのは、連続してコンクリートを打ち込む場合に運搬が中断することなどにより先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートが完全に一体化していない部分のことをいうわけであります。  一方、コンクリート打ちまでの間にトンネルを一時的に支えるために設ける支保工に対しましてコンクリートを打つ際に与えた振動、あるいは型枠を外す際の影響等により、コールドジョイント下側コンクリート内部不連続面が形成され、さらに同箇所漏水が浸透して不連続面周辺骨材劣化が進行するとともに不連続面拡大して、最終的に列車振動空気圧変動により剥落したものと推定されています。  さらに、これらの原因につきましては、本日この後に開催する予定でありますトンネル安全問題検討会で詳細な分析検討が行われることになっております。  運輸省としては、安全で安定した輸送サービスの提供は鉄道基本的使命であり、特に輸送大動脈であります新幹線における安全の確保は最優先の課題としての認識のもとに、鉄道トンネルの安全の確保に向けて最大限の対応をしてまいりました。さきの福岡トンネル事故の後、JR西日本を初めとする全鉄道事業者に対しトンネルの安全総点検を行うよう指示するとともに、トンネル安全問題検討会を開催し、事故原因究明及び再発防止策確立に努めてきたところであります。  運輸省指示に基づき、JR西日本は、福岡トンネル事故原因推定されておりますコールドジョイント重点を置いた安全総点検実施し、八月四日までに打音検査により問題とされた箇所すべてについて補強措置を行い、安全を確認したところでありますが、それにもかかわらず再度こうしたコンクリート剥落事故が生ずるに至ったことはまことに残念であり、遺憾と言わざるを得ないのであります。  私としましては、福岡トンネル事故に続くコンクリート剥落事故再発にかんがみ、今後こうした事故が起こらないよう、さらに徹底した対策を講じてまいる決意であります。  具体的には、事故当日の十月九日に九州運輸局担当官現地に派遣するとともに、九州運輸局からJR西日本に対し、事故原因究明及び具体的な再発防止対策の策定を行うよう、文書により厳重に指示したところであります。  また、その日のうちに、トンネル安全問題検討会のメンバーであります朝倉俊弘京都大学助教授及び運輸本省担当官現地に派遣するとともに、このような事故再発防止のために、今回の事故発生したトンネル側壁コンクリート打ち込み口にある突起部と同様の箇所について十月末までに緊急に安全点検実施し、必要に応じ適切な措置を講ずるようすべての鉄道事業者に対して指示したところであります。  さらに、十二日には、私が直接、本日御出席JR西日本社長から今回の事故に関する報告を受けましたが、これに対し、改めて山陽新幹線の安全総点検実施するよう強く求めるとともに、この際徹底した安全対策確立を厳しく要請した次第であります。  これを踏まえ、JR西日本は直ちに責任者の更迭を図るなど処分を行い、決意を新たに安全点検全力を挙げるとともに、さらに十五日には、鉄道局長からJR西日本に対し、この安全総点検実施に当たっては、打音検査点検範囲拡大等点検方法を見直し、これに基づき改めて徹底した総点検実施するとともに、事前に総点検に係る実施計画を当局に提出し、点検終了後は速やかにその結果の報告を求めているところであります。  また、私は、二十四日の深夜から翌二十五日未明にかけまして、事故現場及び今回の事故発生したコンクリート打ち込み口と同様の箇所のはつり落とし作業を視察するとともに、あわせて、三時四十分ぐらいにいつも出るわけでありますが、始業前の確認車に同乗いたしましてJR西日本安全点検作業状況現場で確かめてまいりました。  その後、直ちにJR西日本から安全総点検に係る実施計画が提出され、同社は十月二十五日より総点検作業に着手したところであります。  この安全総点検に当たっては、JR西日本はもとより、JR他社やあるいは会社OBの方々、グループ企業等協力を得て延べ四万九千人の人員を総動員し、人海作戦をもって十一月八日から広島—博多間の一部列車運転休止による点検作業時間の確保を行うこととするなど、同社総力を挙げて実施をすることになっております。  運輸省としましては、年末年始の繁忙期が迫っているために、実施計画どおり十二月十五日までに点検を完了させるよう強く求めているところであります。  私としましては、山陽新幹線トンネルにおけるコンクリート剥落事故が引き続いて起こったことを踏まえ、トンネル安全問題検討会において徹底した原因究明を行うとともに、トンネルにおけるコンクリート剥落防止対策確立及びトンネル点検方法補修方法等を含めた中長期的な保守管理あり方についてできる限り早急に取りまとめるよう指示したところであります。  また、私は、大臣就任後直ちに、安全に係る危機管理体制確立等観点から、運輸省に事務次官を議長とする運輸省事故災害防止安全対策会議を設置したところであり、この際運輸省は、みずからも初心に返って、マニュアル遵守状況等法令遵守体制の総点検運輸省事故対応体制点検確認を行い、危機管理対応の強化を図るように強く指示したところであります。  山陽新幹線北九州トンネルにおけるコンクリート剥落事故概要山陽新幹線トンネルに係る安全問題への取り組みについて御報告をさせていただきました。  これらの措置を通じ、今回の事故で損なわれた山陽新幹線の安全に対する国民信頼を一刻も早く回復するとともに、今後のトンネル保守管理あり方検討し、このような事故が今後再び発生することのないよう最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。  委員会皆様におかれましても、引き続き御支援、御指導をちょうだいできますようお願いを申し上げまして、御報告を終わります。
  11. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 次に、南谷参考人から説明を聴取いたします。南谷参考人
  12. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 初めに、本年六月以降二度にわたり山陽新幹線において発生いたしましたコンクリート剥落事故に関しまして、お客様を初めとする国民皆様に御迷惑や御心配をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げます。  当社は、安全輸送を最大の使命とする鉄道事業者としてこれまでさまざまな安全対策に取り組んでまいりましたが、このような事態となりましたことはまことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめているところでございます。私といたしましては、皆様からの信頼早期に回復すべく、全力を傾注してまいる決意であることを改めて申し上げる次第でございます。  山陽新幹線コンクリート剥落事故に関して、まず、去る六月二十七日に発生いたしました福岡トンネル内での剥落事故概要対策について御報告申し上げます。  当日の午前九時二十四分、山陽新幹線小倉—博多間の福岡トンネル内で下り線の覆工コンクリートの一部が剥落し、新大阪発博多行きひかり三五一号の屋根上に落下するという事態発生いたしました。このため、パンタグラフが破損、架線曲引き金具が損傷して架線停電となりましたが、車両応急措置架線の復旧を行い、運転に支障がないことを確認した後、約四時間後に運転を再開いたしました。  事故原因につきましては、運輸省トンネル安全問題検討会において御検討いただいているところでもあり、本日も同検討会で御議論いただくものと承っておりますが、鉄道総合技術研究所によりますと、覆工コンクリート打設中コンクリート材料供給中断によりコールドジョイントが形成され、さらにコンクリート打設時支保工振動型枠を外す際の影響などによりコールドジョイント下側内部不連続面が形成され、ここにコールドジョイントを伝って漏水が浸透し、これにより骨材劣化が進行するとともに不連続面拡大し、最終的には列車振動空気圧変動により剥落に至ったというように推定されているところでございます。  この事故発生に対し、当社といたしましては、直ちに山陽新幹線の全トンネルについて点検を行い、二千四十九カ所でコールドジョイント確認いたしました。さらに、このすべてのコールドジョイント下部について打音点検を行い、濁音のあった三百一カ所すべてについて、同種事故再発防止を図るための予防的措置として、山形鋼あるいは平鋼による補強工事実施いたしました。  これら当社が講じた予防的措置につきましては、運輸省トンネル安全問題検討会におきましても同種事故再発防止に十分有効であることを御確認いただき、当面の新幹線安全運行確保されたとの評価をいただいたところでございます。  さらに、当社といたしましては、トンネル安全問題検討会等と連携しながら、同様の事故再発防止を図る観点から、事故原因推定を踏まえた中長期的な保守管理あり方検討するなど、トンネル安全確保に努めてきたところでございます。  こうした中で、極めて遺憾ながら、去る十月九日、山陽新幹線小倉—博多間の北九州トンネル内において側壁コンクリートの一部が剥落するという事故発生いたしました。その概要につきまして御説明申し上げます。  事故当日の朝四時ごろ、北九州トンネル下り線を走行中の確認車側壁コンクリートの一部が剥落しているのを発見し、このため、小倉—博多間は始発列車から、さらには六時十分には山陽新幹線全区間において列車運行を見合わせ、トンネル内の点検を開始いたしました。  その後、剥落箇所側壁コンクリートの打ち込み口であることが判明いたしました。打ち込み口と申しますのは、アーチ部コンクリートを施工した後、側壁コンクリートを打設する際に、アーチ側壁を一体化させるために型枠上部を拡幅してコンクリートの注ぎ口を設けたもので、施工後は突起物としてトンネル側壁に残ったものでございます。  事故発生後、全トンネルを至急調査した結果、新大阪—広島間には同種構造が存在しないことが判明したため、新大阪—岡山間は八時三十分に、岡山—広島間は九時に、それぞれ運転を再開いたしました。広島—博多間の同種構造トンネルにつきましては、打ち込み口の点検実施し、必要なたたき落としを行い、安全を確認した上、十六時に運転を再開いたしました。  この事故原因につきましては、現時点推定しておりますところでは、福岡トンネル内で発生したものとは事象が異なっており、おおむね次のようなものであろうと考えております。  まず、側壁コンクリートの打ち込み口の根元に十分一体化していない不連続面が比較的早い時期から形成されており、その不連続面トンネル地山側からトンネル内側漏水が流れ込み、徐々にその不連続面拡大したものと考えられます。そうした劣化拡大が徐々に進み、最終的にコンクリートの自重によって落下に至ったものであろうと現時点では推定いたしております。  私といたしましては、原因が何であれ、福岡トンネル事故後に同種事故再発防止を図った山陽新幹線において、日常の保守点検実施していたにもかかわらず再びコンクリート剥落発生し、山陽新幹線の安全についての信頼を揺るがせる事態となったことにつきまして、お客様を初めとする国民皆様方に重ねて深くお詫びを申し上げる次第でございます。また、こうした事態を極めて深刻に受けとめ、深く責任を痛感し、私を含めた幹部に対する処分を行うとともに、鉄道部門運営についての最高責任者である鉄道本部長及び当該トンネルを管轄する福岡支社長を解任いたしたところでございます。  一方、その後の緊急対策といたしまして、九日夜及び十日夜の二回にわたり、山陽新幹線トンネルにおきまして漏水といなどの剥離落下のおそれがある他の設備につきまして点検を行い、特に問題のないことを確認いたしました。  このように、運転再開に当たり、打ち込み口の点検と必要なたたき落としを行い、安全を確認したこと、並びに漏水といなど剥離落下のおそれのある他の設備についても緊急点検を行い、特に問題のないことを確認したことから、平常ダイヤ運行を継続しているものでございます。  なお、コンクリート打ち込み口につきましては、トンネル構造上特に必要なものではないことから、基本的にすべて除去することといたしております。  また、今回の事故時において、情報連絡に必要以上に時間を要したことにかんがみ、情報連絡におけるマニュアルの趣旨を再徹底するとともに、関係社員危機管理意識の高揚を図り、迅速かつ的確な情報伝達に努めてまいる所存でございます。  さらに、運輸大臣から強い御指示をいただきましたトンネルの安全総点検につきましては、当社といたしまして、今回の事故の反省を踏まえて、点検範囲拡大並びに点検方法見直し等を行った上で総力を挙げて取り組むこととし、去る十月二十五日に点検作業を開始し、十二月十五日に完了する予定でございます。  今回の総点検においては、すべてのトンネル覆工を対象として打音点検実施することといたしており、その際、アーチクラウン、一番トンネル頂上部になる部分でございますが、このアーチクラウン部等重点点検箇所につきましては、その部位を明確に指定した上で入念に打音することといたしております。また、総点検に当たっては、当社として全力を傾注することはもとより、JR他社OB当社グループ会社コンサルタント等から広く協力を得て、人員及び保守用車両機器等確保し、必要な点検体制を構築しており、総点検期間延べ約四万九千人を動員する予定でございます。  なお、当社といたしましては、福岡トンネル内の事故を踏まえた同種事故再発を防止するための予防的措置を完了していること、及び北九州トンネル内の事故を踏まえた緊急の点検実施していることから、当面の安全が確保されていることにかんがみ、また多くのお客様への輸送サービスを提供するという新幹線使命にかんがみ、これまで平常ダイヤでの列車運行を行い、点検作業等については通常保守間合いを利用して実施してきたところでございます。  今回の総点検におきましても、通常保守間合い時間帯に作業実施することを基本といたしておりますが、広島—博多間におきましては、より多くの作業量が見込まれることから、作業時間帯の拡大を図ることとしております。具体的には、作業持続性及び輸送への影響等を考慮し、拡大時間を約一時間とし、運転終了時間帯近傍の一部列車運転休止とする予定でございます。なお、お客様への周知期間等を勘案し、作業時間の拡大は十一月八日をめどに実施することといたしております。  当社といたしましては、以上のような総点検と並行して、必要な補修等を行うとともに、トンネル安全問題検討会等の御指導のもと、今後の保守検査あり方についての検討を進め、山陽新幹線安全性をさらに高めることによってお客様を初めとする国民皆様からの信頼早期に回復すべく全力を傾注してまいる決意でございます。  私どもが運行しております山陽新幹線は、西日本地域大動脈であり、我が国全体にとりましても極めて重要な社会的インフラであるとの認識に立ちまして、将来にわたって御安心して御利用いただけるよう、万全を期してまいる所存でございます。  以上に申し上げました当社取り組みに対しまして、皆様の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  13. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 以上で政府及び参考人からの報告及び説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 自民党の山内俊夫でございます。  大臣、このたびの就任おめでとうございます。  きょうは初めての参議院の委員会で、まず一番バッターで質問させていただきます。  なお、南谷社長におかれましては大変忙しいところ、参考人としてお越しいただきましてありがとうございます。  私は、今回の事故にかんがみまして、まず冒頭に頭ではっきり分けておかなきゃいけないことがあろうかと思うんです。それはなぜかといいますと、今回の北九州トンネル剥落事故、それと前回のコールドジョイントによる事故の中身、コンクリートという共通項はあるんですが、基本的には中身は違うんだろうと自分自身理解をいたしておりますし、私も大体月七、八回新幹線は利用させていただくんですが、やはり当初の福岡トンネル事故については少し乗るのが怖かったかなという気がいたしておりますが、今回の事故について中身をいろいろ聞いてみますと、比較的軽微なことであるということは認識しておるんです。  ただ、一般国民については、やはりコンクリート剥落したということについては非常に危機感を持っております。特に、今回のたび重なる事故、六月と十月ということで余り時間的にかけ離れていなかった。中には、途中安全宣言が出された後ということもあって、大変国民皆様方には不安が広がっているというところがあるのは事実であります。  サンプル的に新聞社が各駅でこの事故についての意見を聴取した記事が載っておりましたが、特に岡山駅では、今回六月に起きた事故からわずか三、四カ月の間にまた同じような事故が起きたというような認識で、点検その他の内容が十分じゃなかったんじゃないかという意見を述べておりますし、高い料金を支払っているんだからという非常に女性特有の答えなんです。それと、新神戸駅での意見は、これは少し極端な意見なんですが、いつまたコンクリートが落ちるかわからないと思うと新幹線は怖くて乗りたくない、走っている最中にコンクリートが落ちてこない保証はない、安全宣言は一体何だったのか、営業よりも乗客の安全を優先してトンネルを解体するぐらいの本格的な検査をしてほしいと、こういうちょっと極端な意見なんですけれども、そのぐらい国民というのは、事故内容が十分把握できていないということもあろうと思うんですが、大変不安に思っておるというのは事実であろうと思います。  そこで、今まで新幹線というのはもうほぼ三十五年ぐらい運行しているわけでございますけれども、お客様に人身事故があった、命がなくなったというような事故は皆無である。これは我々の誇りとするところでありまして、特に中国、台湾等で新幹線導入という、我が国の技術をしっかり輸出しようというこういう時期に、中身は少し違おうとも新幹線でこういう事故があったという非常にマイナスイメージが広がっておりますので、このあたりはまた関係の皆さんの反省も含めまして、ぜひ一言コメントをいただきたいのですが、どなたでも結構でございます。
  15. 安富正文

    説明員(安富正文君) ただいま先生の方から御指摘がありましたように、福岡トンネル事故、それから北九州トンネル事故という形で、先生がおっしゃいますように、コンクリートの態様につきましては、事故原因については若干異なりますけれども、二回続けて同じような事故が起きたということで我々としても非常に問題であると。  先般、福岡トンネルにつきましては、コールドジョイントを中心とした総点検とはいいながらも、安全総点検実施するようにということで私ども指示しまして、それに応じてJR西の方でやっていただいたわけですけれども、その際、今回の北九州トンネルコンクリート剥落による事故について十分な点検ができなかったと、そういうことで我々としては非常に遺憾に思っておりますし、残念に思っておるところでございます。  そういう意味で、先ほど大臣の方からも報告がありましたように、あるいはJR西日本社長からも報告がありましたように、もう一回安全総点検というのを徹底的にやるという気構えで、我々の方もその総点検の中身について十分関与しながら、ぜひ今後二度と起こることのないように万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 これは単なるJR西日本だけの事故じゃないと思うんです。今後やはり劣化したコンクリートに関する事故というのは当然想定されるべきことであろうと思います。  今回のコールドジョイント、これは多分把握もされておると思いますけれども、JR西日本については先ほど説明の中で二千四十何カ所かあると聞いておりますが、JR東日本でも、東北その他全部入れましてもコールドジョイントが発見されたのは四十六トンネル中二百五十二カ所という数字も出ております。そのうち異常音が四トンネルの中で九カ所あったということも聞いております。  それと、点検した結果、コールドジョイント数は東北百六十五カ所、上越八十五カ所、長野二カ所です。特に東北新幹線の蔵王トンネル、これは福島、宮城県のところなんですが、四十二カ所。二番目としては上越新幹線の大清水トンネル、これは群馬と新潟県の間なんですが、二十二カ所あったということも聞いておりますし、一ノ関トンネルが三カ所、真柴トンネルが一カ所、白坂トンネルが四カ所、塩沢トンネルが一カ所、比較的数は少ないんです。その中でも、やはり山陽道は三百七十七カ所というように大変異常音が確認されているということで、これは点検もさることながら、実は施工時におけるミスがあったのではないだろうかとか、そのミスの原因についてはいろいろあろうかと思うんです、種類は。工期を極力短縮させたばかりに少し手抜きになったとか。それと、広島—福岡間が特に今回多いように聞いております。  それで、技術的にはそれよりはるかに前につくられた東海道新幹線、これは比較的少ないんですね。この場合、一説には海砂が山陽新幹線で使われ、東海道は一切それは使っていない、山砂であるというようなことも言われておるんですが、ここらあたりは原因に多少関係しているのかどうか、それをちょっとお聞かせいただけたらと思うんです。
  17. 安富正文

    説明員(安富正文君) おっしゃいますように、コールドジョイント点検を行ったところ、先生の方からも数字がございましたけれども、JR西日本山陽新幹線につきましては三百一カ所で濁音がある。それに対しましてJR東海につきましては、コールドジョイントは東海道新幹線三十五でございましたが、濁音はゼロということでございますし、それから、JR東日本につきましては、コールドジョイント数二百五十二に対して濁音箇所九カ所ということで、ある意味では山陽新幹線に非常に集中しているという感がございます。  これにつきましては、当然、福岡トンネル、それから北九州トンネルのそれぞれの事故原因につきまして、現在JR総研にいろいろお願いいたしまして、具体的な材料分析、それから施工方法等について詳細な調査をしているところでございます。  ただ、おっしゃいますように、当時の施工の環境と申しますか、海砂、川砂、そういうことの供給体制、あるいはコンクリートの実際のセメントの状況とか、そういうことも含めまして現在調査しているところでございまして、それを踏まえて、では今後、山陽新幹線、特にこういう広島以西の問題についてどういう対策を講じていったらいいのか、中長期的な問題も含めて今後検討していきたい。先ほど来申しておりますトンネル安全問題検討会で専門家の意見を聞きながら今後の対応検討していきたいというふうに考えております。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 海砂の問題、山砂の問題等については、今後のいろんな経緯、調査に基づいて一度また御報告をいただけたらと思っております。  今ちょっと海砂の話が出てきたんですが、コンクリートのアルカリ骨材反応というのが海砂に絡んで出てくるわけなんですが、今現在、鉄道総研においてはコンクリート構造検討委員会というのを持っておられると聞いております。  これはトンネルというだけじゃなくて、特に山陽新幹線でも、この前阪神・淡路大震災があったんですが、不幸中の幸いというか電車は走っていなくて、すぐ点検に入って何カ月間か運行停止しましたからそれなりに強化はされたと思うんですが、例えば新大阪—西明石間で総延長約十八・二キロあるわけなんですが、すべての高架のうちこの区間わずか六・五%ぐらいの高架だけなんですが、実はもう年間一千個を超えるコンクリート片をたたき落としたという実績があると聞いております。新幹線が開通してからほぼ十年、一九八二年ぐらいに劣化が非常に目立ってきた。普通、コンクリートの場合は五十年から百年、特に高架については五十年から百年ぐらいはもうもつであろうと言われておったにもかかわらず、ほぼ十年目にコンクリートの破片が落ちてき始めたということで、年間二十袋ぐらいはもう既に回収したということも聞いております。  これは専門家に言わせますと、劣化原因というのは、強アルカリ性のコンクリートが空気中の炭酸ガスとある程度反応して中性化して内部の鉄筋がさびてくる、それによって中性化現象というのが起きるということも聞いております。やはり海砂と山砂との大きな違いというのは確実に私はあるのではないかなと認識をいたしておりますが、こういった場合、コンクリート構造検討委員会というのはどういうような委員会であって、どのような具体的な項目について検討しておるのかどうか、このあたり少しお知らせいただけますでしょうか。
  19. 安富正文

    説明員(安富正文君) 山陽新幹線コンクリート構造物につきましては、従来、JR西日本の方でもコンクリート委員会というのを設けて六十三年ごろから検討を始めておりました。それによって一応問題のある箇所については、はつり落としをしまして補修工事等も若干行いまして、ライニング工法等を使いましてそういう補修工事をやってきたわけですけれども、今回、トンネル事故にかんがみまして、コンクリート全般の問題として、我々としても山陽新幹線、特にコンクリート構造物につきまして検討委員会を総研に設けてやるということで指示をしまして現在やっております。  総研の方では、具体的に現在の山陽新幹線の高架橋の現状と、どういう実態になっているのかということをそれぞれの箇所につきましてコア等を抜きまして現在調査を進めております。これを踏まえまして、それぞれの分析を踏まえて、具体的に先生がおっしゃいましたような海砂の問題あるいは中性化の進行の度合いの問題、そういうものにつきまして詳細な分析をしまして、どういう状況にあるか、いわゆる病気の状況を診断して、その結果どういう形で今後補修をやっていったらいいかということを細かく検討していきたいということで現在作業を進めているところでございます。  先般、八月十二日に第一回がございまして、近々またその検討結果を踏まえて開かれるというふうに聞いております。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 少しそこから視点を変えまして、今回の保守点検、これが国民から見るとちょっと甘かったんではないかというような意見も大変あったようなんです。  それで、ハイテクな新幹線において、これは素人考えなんですが、目と耳で打音を確認するということの作業、確かに人間の五感というのは鋭いものがあるんですが、科学的にこれはできないものかどうかというのを非常に疑問に感じるんです。これはもう国民、皆さん一緒だろうと思うんですが、そのあたり、新しい技術開発というのがこの検討委員会とかそういったところでなされておるのか、またそういうような具体的なものがもう既にでき上がってきておるのかどうか、そのあたりちょっとお知らせいただけますか。
  21. 安富正文

    説明員(安富正文君) 現在のところ、先ほど来より言っておりますように、打音検査という形でやっております。これにつきましてはもうちょっと非破壊検査方法がないかということで、トンネルの問題あるいは高架橋の問題、両方ともでございますが、特にトンネルの問題につきましては、先ほど申しました検討会においてどういう方法があるかということを細かく分析して、今後の方向としてどんなものを検討していったらいいかということは我々としてもこれから検討していかなきゃいけないなと思っております。  それから、具体的には、例えば赤外線を使うとかレーザーを使うとかいろんな方法がありますが、残念ながら現在開発あるいは導入が予定されている非破壊検査の方法は必ずしもトンネル内部あるいはコンクリート内部まで明確にわかるというものではございません。表面についての何ミリかのいわゆる亀裂とかひずみとか、そういうものについては把握することが可能でございますが、その奥にある不連続面がどうなっているのかというようなことまで、コンクリートの内部に至るものについてはまだ十分それが実用化に向けて成るところまではなっておりません。  そういう意味で、現在一番ある意味で確信が持てる方法は打音検査ということでやっておるわけですが、そうは言いながらも、やはりこの検査方法については我々としてもこれから開発をしていかなきゃいけないというふうに考えております。  そういう意味で、現在二次補正の問題をやっておりますが、その中でもぜひ我々としてはこのコンクリート問題にかかわる検査方法の開発研究というものについて何らかの要求をしていきたいというふうに考えております。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 なかなか原始的なというか、原初的なやり方というのはそれなりに理解はできます。  それと今度、コンクリートそのもので、最近新しい溶剤ができ上がっているとも聞いております。これはお答えいただかなくて結構なんですが、コンクリートに薬剤を塗布することによってコンクリートの中に浸透していって、そこから増殖をしていって従来の空気層その他をふさいでしまう。以前よりもコンクリートが強くなるという溶剤もできておるように聞いておりますし、青函トンネルの中にはそれが使われている。また、最近の原子力貯蔵所のコンクリート壁にもそういったものが使われておる実績があるようでございますから、このあたりも十分検討していただいて、より安全でより経費がかからなくて迅速にやれるというようなことも検討していただけたらと思うんです。  それで、もう一つの質問に入ってくるんですが、今回、先ほどの大臣報告の中で、事務次官を議長として運輸省事故災害防止安全対策会議というのが最近設置されたというんですが、この事故災害防止安全対策会議は具体的にどのような検討をやるのか、その項目とか会議運営方法、そのあたりを聞かせていただけますでしょうか。
  23. 安富正文

    説明員(安富正文君) 運輸省事故災害防止安全対策会議でございますが、これは大臣就任して直ちに、東海の事故とかあるいは我々のトンネル事故等ございまして、安全問題というのは運輸省にとって一番重大な問題だということで直ちに指示をいただきまして、先ほど言いましたように次官を議長として現在設置されて、先般第二回も開きまして議論を進めているところでございます。  具体的な中身としましては、今後の運行あるいは検査点検等によるそれぞれの運送事業者の社内規程あるいはマニュアル、そういうものについての遵守状況はどうなっているのか、あるいは各運送事業者における教育訓練等はどうなっているのか、あるいは検査体制、点検体制等についてどうなっているのか、そういうことについてそれぞれ分析しまして、横断的に各運送事業者にそれぞれ自覚を持っていただくとともに、我々としてもそこら辺を厳重にこれから指導監督していくという形で、今後具体的ないろいろな成果を議論して出していきたいというふうに考えております。
  24. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま鉄道局長から申し上げたとおりでありますが、私は、たまたまといいますか、運輸大臣就任の最初の記者会見で安全が第一であるということを申し上げました。そして、省内におきましては直ちに、東海村の原子力の問題につきましてはこれを他山の石として、我々はこれを運輸行政の中に置きかえて初心に返ってやろうではないかということを申し上げた、そのまさに口も乾かぬうちにというぐらいに次々と事故発生いたしました。  直ちにこの会議を招集して、三万七千の運輸省の職員全員がそのつもりになって対応しよう、そのためには運輸省の事務次官をトップにしてこの体制をつくってもらいたいということを厳重に申し入れ、それは急ぐんだということで進めまして、今何回か会合を繰り返しておりまして、鉄道局長から申し上げました点につきまして安全の徹底をしようと思っております。  私たちの運輸省に関連する対象の企業というのは約二十万社ございます。三百五十万人ぐらいを対象とするわけでありますが、そのうち、旅行業とかいわゆる安全という面では直接何かをやっておるというのではない企業を除きますと、対象は十三万社ございます。この十三万社に対して、年末年始の輸送等に関する安全総点検をそれぞれおやりになるわけでありますが、今回は特に重点的に緊急総点検を行っていただき、運輸省に御報告を願いたい、こういうことで今安全について取り組んでおるところでございます。
  25. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございます。  次の質問で大臣に今回の事件、事故等々に対応した決意を述べていただこうと思ったんですが、もう今のことで大体決意として受けとめさせていただきます。  ただ、マニュアルづくりというのはどこでもやるんですね。これは自動車工場の会社もいろんなところでマニュアルづくりをされておるんですが、私はどちらかというと、つくったけれども実はそのマニュアルに対する全員の危機意識というんですか、これはシミュレーションが十分できるかどうかということにもつながってくるんですが、危機意識が最近日本の社会に非常に薄れてきたんじゃないか。戦前の日本人というのは割かし危機意識というのは常に持っておったんですが、どうも薄れてきた。幾らマニュアルをつくっても、危機意識がなければそれは単に見過ごしてしまうということにもつながってくる可能性がある。話は変わるんですが、東海村のこの前の事件みたいに、マニュアルを持っていてもそのとおりやらないとか、危機意識管理というのが非常に薄れてきた。このあたりもしっかりお願いしたいと思います。  余り時間がなくなってまいりましたが、少し西日本の南谷社長、せっかくおいでいただいておりますので。この一連の事件についてはいろいろ大変バッシングにも遭っただろうと思います。  実は私、丸亀に住んでおりまして、瀬戸大橋線というのは我々としては本土とつながる動脈でございます。JR四国に所属していますけれども、実は岡山—四国というのは、備讃線というのは非常に有効なまた有益な経営をやっておりますので、そのあたりでひとつフリーゲージを、先般私もプエブロの方へ行って乗ってまいりました。このフリーゲージトレーンというのは四国としては非常に期待をしているところなんです。ところが、最近整備新幹線のいろんな発表を見ますと、四国はいつも真っ白なんです。  そういったことで、今回七つの路線が一応研究路線に入ったということを聞いておりますけれども、ただ、備讃線で茶屋町─岡山間というのは単線なんです。今あれだけの特急、備讃線等々の列車運行回数が多いにもかかわらず単線でありまして、一部大元駅周辺は連続立体交差事業、都市計画事業で行われておりますけれども、茶屋町─大元間というのはまだまだめどがついていないんです。一つだけ、そのめどについて具体的に今の段階でわかっておりましたら社長からお聞かせいただけたらと思います。
  26. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 今先生御指摘の岡山─茶屋町間の現状でございますが、確かに御指摘のように本四備讃線の中でとりわけ重要な線区でございまして、かなりこのところ輸送密度も上がってきておるということで、私どもとしてもその輸送需要に対して適正な輸送力をもってお客様の需要に対応していく努力をしているところでございます。  本四備讃線開業後の増加に対しまして、実は途中に妹尾駅というのがございまして、妹尾駅の構内付近で一部複線化を行いまして増発に対応をしてまいったところでございますが、JR四国の方からは、特に早く複線化をという強い要望がなされているところでございます。  私ども、現在大元駅付近の連続立体交差化事業を平成十四年度までの完成を目指して、まずこれを片づけるということで、今お話しの高架・複線化ということになりますと莫大な工事費もまた必要となってまいることでございますので、今後の輸送動向を見きわめながら十分また検討を進めてまいりたいと思います。  今のところまだ具体的にいつまでというところまでは進んでおりませんが、なおJR四国なりあるいは地元の岡山県ともよく御相談してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  27. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  もう最後になりました、時間がございませんので、南谷社長におかれましては、ぜひ四国も連結をしておりますJR西日本の方でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それで、一つ最後に提案をさせていただきたいと思うんですが、先般私プエブロの方へ行って実験線に、フリーゲージに乗ってきたんです。ところが、私は単なる実験線だけかなと思いましたら、中にはタンクローリー車を本当にそこの場所でぶつけて倒して、それによる災害、火事の度合いとかそういったものの実験を現実にやっておられるんです。全国から、鉄道事業者だけじゃなくて市町村の消防隊員とかそういった人たちも定期的にそこに来られて非常に体験型の実験をやっておられるんです。これを見まして、我が国は少し土地が狭いのでそういったことはできないんですが、せめて北海道ぐらいで実験線を持って、またプエブロのような実験のやり方、そういったものは大いに私マニュアル作成にはプラスになるだろうと思いますので、このあたりは私の提案だけで答えは結構でございますので、御検討いただけたらと思います。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  28. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 運輸大臣にまずお伺いします。  山陽新幹線北九州トンネル内で起こったコンクリート剥落事故は、乗客、乗務員の生命をも直撃しかねない、そういう極めて憂慮すべき事態だったと思っております。幸いこれまで大惨事に至っていないわけでありますが、それはむしろつきがあったというぐらいに考えるべきで、それだけに、今のうちに徹底した再発防止策を講ずることが大事だと思っております。  先ほど大臣から、御報告の中で、今回の剥落事故に関して遺憾の意も表明され、総点検指示された、また省内には安全管理対応を強化するための体制もつくられたということでございますから大いに期待したいわけでありますけれども、加えて、JR西日本に対して事業免許を交付し、また指導監督する立場から認識をお伺いしたいわけであります。  たび重なるコンクリート剥落事故に対して指導上何か問題がなかったのか、あるいは足らざるところがなかったのか、そういう点に関してどのような御認識を持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) もとより、安全で安定した輸送サービスの提供というのは鉄道基本的使命であり、私たち運輸省としても、またJR西日本といたしましても、その安全の確保を最優先の課題として対応してまいることは当然のことでございます。  ただいま寺崎委員から御指摘のございました運輸省としてのJR西日本に対する指導監督でありますが、私の就任する以前のことではありましたが、五回にわたっての警告文を出してございます。  私も、現にその警告文のコピーを持ってこいということで、そのコピーも拝見するとともに、だれが、いつ、どこでこの警告文を渡したのか、五回も警告文を渡して、五回も警告文を受け取られた西日本も西日本ですが、出す方の運輸省も五回も同じようなペーパーを出すということはいかにも軽過ぎはしないか、警告文そのものが軽く扱われておるのではないかということを厳しく叱責しておるところであります。  今後そういうことが二度と起きないように、私は、でき得れば警告文もどこかの机にしまっておくのじゃなくて、西日本にもきちっと、これからそういうことがないことを期待しますが、警告文を出された場合にはそれに対してやっぱり真摯な真剣な対応が、先ほど委員御指摘のとおり、国民の皆さんに対して双方にその責任があるのではないか、運輸省の反省も込めてそのように思っておるところであります。
  30. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 その警告文も指導の一つの方法だと思いますけれども、改めて運輸省に伺います。  鉄道事業者に対して、鉄道輸送安全運行に関して法律ではどのような指導措置を講ずることができるのか、またその実効性を担保するためにどうした方法、手段があるのか、お聞かせいただきたいと思います。例えば、安全対策確認するまでの間、鉄道事業者は運休してでも点検しなさいということを命ずることができるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  31. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず、ただいまの御質問の後段の部分でございますが、運転を停止してでも安全の確認を行うように命ずるということは、現行の鉄道事業法において、行う状況になった場合には、運輸省が行おうと決断した場合にはそれを実施することはできます。  ただし、まず、鉄道事業法における安全の確保に関する規定としましては、鉄道施設の建設を行う場合の工事施行の認可、さらに工事が完成した場合の完成検査、そして車両が技術基準に適合していることについての確認列車運行計画の届け出等の手続を定めており、これらによって鉄道の安全に関する事前のチェックがなされておるところであります。  さらに、事業者の事務所に立ち入って、いわゆる立入検査、業務や施設の状況検査できる権限が鉄道事業法の五十六条に定められております。  利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときには、鉄道事業者に対して改善の命令を行う権限が鉄道事業法第二十三条に定められておるところであります。この改善命令には、鉄道安全運行に関するものとして、「列車運行計画を変更すること。」、そして「鉄道施設に関する工事の実施方法、鉄道施設若しくは車両又は列車運転に関し改善措置を講ずること。」、「旅客又は貨物の安全かつ円滑な輸送確保するための措置を講ずること。」が定められておるわけであります。
  32. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 先ほども警告文の重みの問題を大臣がおっしゃられましたけれども、私もその点では同感でございます。そういう気持ちを持ちながら、改めて確認をさせていただきたいと思います。少しお答えいただくのが多岐にわたるかもしれませんが、それぞれの担当のところでお答えいただければありがたいと思います。  今お話がございましたように、運輸省JR西日本に対して、五月二十五日、六月二十八日、九月二十五日、九月二十七日、そして十月九日の五回、警告を発しております。この件に関して運輸大臣は、ただいまも御発言がございましたが、十月十三日の参議院決算委員会でも、「警告書の重みを鉄道事業者に感じてもらうようなことでなければ、次々警告書を出しても意味がない」との御発言がございまして、私もそのとおりだと思いますが、一つお尋ねしたいのは、この警告書というのは性格としてどういう性格なんでしょうか。口頭で行政指導すべきところを文書にしたものなのか、あるいは強制力を伴った文書なのかが第一点でございます。  それから二つ目は、大臣は、「警告書を出しても意味がない」と、こうおっしゃったのは、どういう状況を指しておられるのか、もう一度確認させてください。  それからもう一つ、警告書は、事故に係る原因究明及び再発防止対策確立することというような文言になっているわけでございますけれども、警告書を出すときには、単にこの紙を渡すというのではなくて、恐らく具体的な方法についても指示をされているのではないかと思うんです、これは私の推測でございますが。もしそうだとしたら、どういうふうに指示をされているのか、この三点についてお尋ねいたします。
  33. 安富正文

    説明員(安富正文君) 三点ございましたけれども、最初の警告書の意味について御説明したいと思います。  もちろん、この警告書は、先ほど大臣の方から鉄道事業法でのいろいろな規定がございましたけれども、具体的な改善命令とかいう形での二十三条に基づくものではございません。そういう意味では、我々が通常の行政指導と申しますか、それを強い意思としてこういう形で鉄道事業者に通知しまして、具体的な事故に対してその原因究明であるとか再発防止対策について早急に報告を求めるという報告徴収の一環ということと、先ほど言いました行政指導という両方の意味合いを持っている文書であるというふうに考えております。
  34. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 警告書の重み、そして同じようなことを何回も繰り返しても意味がないということを申し上げましたのは、五回警告を出しておるわけですから、その五回の警告文の内容を十分に実施していただいておればこういうことに対してもう少し防ぎようがあったのではないかという思いが、私は当然素人でございますが、このことに対してそうした思いを強く持っておるわけであります。  時間の都合もありますから省略して簡単に御説明したいと思いますが、例えば第一回目の五月二十五日に出しました警告書では、原因究明再発防止対策、再教育の実施計画平成十一年六月二十五日までに文書をもって報告されたい、そういう意味のことを述べております。  第二回目のは、列車を長時間にわたり現場に停車させ、利用者に多大な迷惑をかけたことはまことに遺憾である、幸い大事に至らなかったが、このようなことは一歩間違えば重大な事故につながるおそれがある、したがって今後万全を期せられるようにということで、事故連絡体制を確立し適切な措置を図られたい、それらにつきましても何日までに報告を願いたいということが書かれております。  以下、同様のことが次々に行われたわけでございますが、それにもかかわらずああいうふうな事故を招いたということに関しまして、運輸省はもとよりJR及び鉄道事業者全般に警告のシグナルを発する、そういう意味で私は申し上げておるわけでございます。
  35. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 ところで、十月九日に剥落事故発生したとき、これは時間にして午前四時と報道されております。その後、点検をやり、運転再開が行われたわけでありますけれども、新大阪—岡山間が八時、岡山—広島間が九時、広島—博多間の運転再開が十時と伺っております。  こういう状況に接しますと、国民の大方の人は、安全の点検あるいは補修というのはそんなに短時間のうちにできるものだろうか、あるいは福岡トンネル剥落事故が起きたときに本当に万全を期してやったんだろうか、あるいは運輸省は安全確認を自分の目でやったんだろうかと、こういう目で疑問を持つのは当然かもしれないと私は思っております。  そこでお尋ねしたいんですが、この運転再開に関して事前に運輸省は相談を受けられたのかどうか。あるいは、JR西日本運輸省との間でどのような協議が行われたのか行われないのか。また三点目は、運輸省自身で安全確認を行ったのか行わないのか、行ったとすればどういう方法でやったのか。それから、運転再開してもいいよという同意を与えられたのか与えられないのか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 安富正文

    説明員(安富正文君) 今回の北九州トンネル事故に当たりましては、事故等によってJR西日本の方で運行休止ということを決めたわけですが、こういう事故等による運行休止となった場合の運行の再開につきましては、一義的には、やはり当該鉄道運行責任を有する鉄道事業者において所要の点検補修等を行って、一応安全性確認するということからその再開の決定を行うということでございます。  その際、当然我々の方にも、こういうことで具体的に点検、補修を緊急に行って安全を確認することができたということで、こういう状況なので運行を再開したいという報告が上がってまいります。我々もその際、うちの職員が具体的に安全を確認するという作業は行っておりませんけれども、その報告を受けることによって、当面そういう内容である程度我々としても安全が確認できるということを理解した上でそれを了承するという、了承するようなものではございませんけれども、報告を受けてそれを我々としても当面の安全としては確保されているというふうに認識したところでございまして、そのJR西日本の判断を一応尊重しているということでございます。
  37. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は今、協議をされたのか同意をされたのかと伺ったんですが、この点もう一度お聞かせください。
  38. 安富正文

    説明員(安富正文君) 具体的に、運行再開に当たっては、運輸省の方に協議をするとかあるいは同意をするという形での従来からの取り決めがあるわけではございません。  そういう意味では、こういう形で再開をしたい、その再開するに当たっては、当然緊急にトンネル点検をしまして、こういう補修もしましたと。今回の場合には、突起部で濁音が認められるところについては三カ所ほどはつり落としもしましたという報告を受けましたので、そういうことであれば我々としても容認できるというような形で、明確にこれを同意するとか、やっていいよという命令をかけるとかいうものではございません。
  39. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 安全運行に関して第一義的に責任を負うべきはJR西日本であることは間違いないと思います。しかし、これは国民がひとしく関心を持っている問題ですから、指導の立場にある運輸省としてもそれなりの責任を負っているんだということを目に見える格好で示さないと国民の不安はずっと続いてしまうんじゃないでしょうか。  先ほど列車運転に係る安全確保の法的な措置について御説明いただきましたけれども、報告を受けたが協議をしていない、あるいは同意をする立場にないというのは、私は指導監督官庁の態度として少し踏み込みが足りないのではないかというように感じているわけであります。  鉄道事業法二十三条は、報告を受けることができるというように書いているわけではなくて、「列車運転に関し改善措置を講ずること。」、それを「命ずることができる。」となっているわけであります。協議もしない、同意も与えない。具体的にあれとこれと安全対策をやりなさいという細かい指示も余りしていないようでございますし、それから、運転再開の判断はJR西日本の判断を尊重しますよというのはわからないわけではないですけれども、ちょっと踏み込み方が足りないんじゃないでしょうか、初めて起こった事故ならともかく、再三にわたり起こり、なおかつ運輸大臣がおっしゃるように五回も警告文を出しているわけですから。見方を変えると、少し運輸省は腰が引けているんじゃないか、責任を負いたくないんじゃないか、負いたくないからこういうことを言っているんじゃないかと。
  40. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 寺崎委員御指摘の点、もっともだと、私自身の率直な感じでございます。  したがいまして、先般来、お隣におられるJR西日本南谷社長に対しましても、まずは現場調査あるいは点検、そしてすべてを終了した後、先ほども申し上げましたが、朝の三時四十分ごろいわゆる最終点検列車を発車させるための最終点検確認車というのをお出しになるわけでありますが、そのいずれの作業に対しましてもJR西日本の幹部、責任者現場に立ち会ってもらいたいということを強く求めております。あわせて、運輸省の職員もそこに立ち会い、ともに責任を担う、そういう気持ちで、安全に対する今失われかけております信頼を取り戻すために、運輸省JRともども懸命に取り組むべきである。そのために、私自身も先般はつり落としの現場にも参りまして、朝の三時四十分の点検車にも乗せていただきまして、一々その点検状況確認してまいりました。  確認に当たっては、極めて慎重に丁寧にやっておることを私もこの目で確かめてまいりました。これはきょうだけかということを率直に私はそのJRの社員の方に尋ねましたが、これはきょうだけではなくて毎日このようにいたしておりますということでありました。  私は、ここ当分は運輸省もそれに立ち会いながら、今後この安全の総点検ということがいかに重要なことであるかということを現場の皆さんにも周知徹底していただく、そういうことをお願いしたいというふうに思っておる次第であります。
  41. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 南谷参考人にお尋ねいたします。  先日、新聞紙上で交通評論家の角本良平さん、この方は国鉄OBの方でありますけれども、こんな発言をされておりました。線路は刃物と思え、ちょっとした油断が事故につながるなどと先輩からたたき込まれたものだけれども、先人の緊張感も今や昔の惨状を呈している、相次ぐコンクリート落下は無念のきわみ、緊張感も自負心も失った結果だ、JR輸送機関としてだけではなくて会社機関としてもフェールセーフが機能していないのではないかと疑問を抱かざるを得ない、このようなことを指摘されております。  また、大方の国民は、山陽新幹線コンクリート剥落問題について、またやったと見ている人もおりますし、前回も今回も本当に安全点検を徹底してやっているんだろうかと疑問を持っている人もおります。あるいは、八月四日に安全宣言を出されましたけれども、あれは営業上の必要に応じて言ったんじゃないかとまで言う人がおりました。まさかそういうことはないと思いますし、先ほども参考人が遺憾の意、あるいは信頼回復に全力を挙げるとおっしゃっておりましたので、それに期待したいわけであります。  ただ、気になりましたのは、先ほどの報告の中で、例えばこれは福岡トンネル事故事故後の取り組みについてですけれども、「事故再発防止を図るための予防的措置として、山形鋼あるいは平鋼による補強工事実施いたしました。これら当社が講じた予防的措置につきましては、運輸省トンネル安全問題検討会におきましても、同種事故再発防止に十分有効であることをご確認いただき、当面の新幹線安全運行確保されたとの評価をいただいたところでございます。」と。悪いことではないんですけれども、これを読んでおりまして、JR西日本の主体性というのはどこにあるのかということを私は大変疑問に持ったような次第であります。つまり、人からお墨つきを与えられたり人から指示されなかったら安全対策というのはなかなか動かないものなんですかと。  JR西日本の立場というのはいわば独占的な立場にありますから、ほかに代替機関があるわけじゃありませんから、不安を感じながらも国民はそれを利用しているわけでありますけれども、もしほかに交通手段が、便利なものがあったとすれば、お客はみんなそちらの方へ移ってしまうと思います。安全というのは経営の根幹にかかわる問題だという意識が薄いんじゃないですか。  運輸省からお墨つきをもらうのも結構です。だけれども、何か言われる前にやらなくちゃいかぬということでやったんですか、あなた。少し私は腰が引けているんじゃないかと思う。お伺いして安全は守れないと思いますよ。社長がみずから現場へ飛んでやらないと安全なんというのは守れないと思いますが、どうですか。
  42. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) ただいまの寺崎先生のお話の中での先輩である角本様の記事、私も読みまして、現にその後の国鉄を受けましてJRの経営を任された者として、大変私としても反省すべき点が多いというふうに思った次第であります。  特に、私自身も、国鉄に入りまして、まさに線路は刃物と思えということで指導を受けた者でございまして、そういう意味では、常にお客様をお運びするという意味で安全第一ということは大前提でございますので、そういう意味での緊張感を持ってやっているつもりでありました。しかし、理由はともあれ、結果として二度にわたってこういう結果を招いたということの責任は極めて大きいというふうに私自身思っておりまして、そういう意味では、一日も早く信頼を回復しなければならないと思っております。  先ほど御指摘の冒頭で御説明いたしました福岡トンネル予防的措置につきまして、私どもとしてはこれが最善であるということで、私どもとしてこれを考えまして、その上でまた委員会にもお諮りしたというものでございまして、決して主体性のないものではございませんで、私ども自身がこれが最善と考えて私どもから持ち上げたものでございますので、その点御理解賜るようお願いしたいと思います。  最後にお話しございました他に交通手段があればという御指摘は、まことにそのとおりでございまして、私も、この二回目の事故がありましてから直接社員に訴えかけておりますのは、そういうことを実は訴えかけておりまして、とりわけ国民皆様から大変御批判をいただいていることはなぜかということをよく考えなければならないというふうに、私自身も全くそのとおりに思っておりまして、深く反省しつつ、社員にも訴えかけ、一緒になってとにかく信頼回復に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  43. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 十月二十三日の読売新聞によりますと、南谷社長は、山陽新幹線トンネルや高架橋には弱い設備があると発言されたように報道されています。さらに、「岡山以西の建設当時は全国的に資材、人材不足で、博多開業を三か月遅らせたほど」、「高架橋一つとっても、必ずしも健全な状態ではない」、「弱い部分がある事実は事実として、きちんと直せば使える。」ということを発言されているわけであります。  前回の事故のときには、八月四日に安全宣言を出されて動かしております。今回はそういう安全宣言というのを聞いていないわけであります。もし安全が担保できるということであれば安全宣言を出すべきじゃないですか。ちょっと自信がないというのであれば、安全宣言が出せるまでの間は当面は安全第一の措置をとるということが必要なんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  44. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私どもといたしましては、鉄道運行する以上は安全であるという確信を持って運行しなければならないのは言をまたないところでございまして、そういう意味では、安全第一というこの信念のもとで現在もそれを行っております。  実は、八月の場面で、私どもがコールドジョイントに対して予防的措置をとりましたということで、コールドジョイント問題に関する御報告を記者会見で申し上げました。その際、これは言葉のあやでございますけれども、マスコミの用語として、JR西日本も安全宣言ということで実は記事が出たわけでございますが、もちろん私どもとしても、これでもって御安心してお乗りいただけますという表現をとったことも間違いないわけでございます。  そういう意味で、私どもとしてはより安全な措置をとったという意味で、また再びコールドジョイントに起因して落ちることはないということを申し上げるために、事実として私どもの確信を申し上げたわけでございまして、そういう意味では、列車運行している以上、私どもは安全第一で、安全であるという確信を持ってやっております。  現在、総点検を二十五日から始めておりますが、私どもも二度にわたって結果としてコンクリート剥落を起こしたわけでございますので、結果からいいましてこれは弁解の余地がないわけでございます。そういう意味では、もう一度私どもの点検に漏れがないかということを改めて全体にわたって念を押すという意味で、運輸省からの御指示もあり、私どももその必要性を考えまして総点検に今かかっているわけでございまして、その結果に基づきまして、将来にわたるトンネルのメンテナンスのあり方点検の方法についてきちんとしたものを打ち立ててまいりたいというふうに思っているところでございます。
  45. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 安全運行というのは、私は物理的な安全の確保とそれから利用者の心理的な安心感、これがなければいけないんだと思います。今、総点検をされた結果、安全宣言とおっしゃるのかどうかわかりませんが、きちんとした表明もされたいということですから、早急なる点検、当面の補修をお願いしたいと思います。  時間ですから、これで終わります。
  46. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  今回、剥落事故の起きました福岡トンネル北九州トンネルはまさしく私の地元でございまして、本当に地元の皆様も大変な衝撃を受けているわけでございます。小倉—博多間だけでもトンネルばかりで、乗ってしまえばもう携帯電話をかける暇がないというぐらいとにかく全部トンネルです。それで、今はもう通勤区間になっていますから、新幹線で通勤をしているというような状況です。  今回の事故は、福岡にしてもたまたま、あれが新型の車両だったらまさしく客室までコンクリートが入って大変な事故になっていたんじゃないかとか、また運転席に落ちたらもう大惨事になっていた。北九州トンネルにしましても、未明であった、また横に落ちていたのでという、そういう非常に幸いが重なって大惨事に至らなかったということで、私はやはりこうした事故というのは大変重く受けとめないと今後大問題になるというふうに思っております。  二階大臣は、就任直後でございましたけれども、日韓閣僚会議の後早速現地に行かれて、未明に調査された。大臣は、阪神・淡路大震災のときにも時の総理、運輸大臣よりも早く現地に入って指揮をとられたというので、その行動力に対しましては敬意を表しているところでございます。しかしながら、この対応、また今までの審議を聞いておりましてもまだまだ不十分な点があるんじゃないかと、このように思います。災害や事故というのは与党、野党関係がございませんので、少しきつい質問になるかもしれません。  それで、視察をされたときに大臣は年内に安全宣言を出したいと、総点検をして、こういう発言をなされているわけでございますけれども、それは安全宣言を出したいという気持ちはよくわかるんです。では、何を根拠に年内に安全宣言が出せるのか。今の寺崎議員の質問にもありましたが、では安全宣言というのは、これはJR西日本さんが出すのか、運輸省が出すのか。大臣は年内に出したいと、こう言われておりますけれども、どちらがまずその安全宣言というのを出されるんですか。
  47. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般、北九州トンネル視察のちょうど中間のころ、一度新幹線のホームにおりました際に報道陣からいろんな質問がございました。  その際に、新幹線の担う役割としては、年末年始に相当の乗客を運ぶ責任を担っておるわけでありますが、でき得ることならばそうした繁忙期までに新幹線は安全であるということを国民の皆さんにしっかりと御認識いただけるところまで持っていくために、今回JR西日本に安全の総点検を命じておるわけでありますが、それについては、JR西日本だけではなくて他のJRの皆さんにも御協力、御参加をいただき、機材の提供等もお願いして、先ほど私も申し上げましたが、南谷社長もその決意を語っておられたとおり、延べ四万九千人の関係者を総動員して点検を行うわけであります。  その点検の終了時点に、今運輸省で取り組んでおります、きょうもこの後その会議が開かれるわけでありますが、トンネル安全問題検討会の専門家の御意見を聴取した上で山陽新幹線トンネルの安全の確認を行い、その確認の結果を公表したい。それは、JR西日本とこの際は運輸省と同時にやることが適当であろうというふうに考えております。
  48. 弘友和夫

    弘友和夫君 JR西日本さんは、福岡トンネルのときに安全宣言を出されておるわけですね。先ほどの南谷参考人の御答弁でコールドジョイント部分について検査をやったと、記者の質問に答えて、言葉のあやというか、安全だと、こういうふうな御答弁をされておりましたけれども、言葉のあやというよりも、十年間は大丈夫ですよと言われたんじゃないんですか。それは言葉のあやというよりも、今後十年間は大丈夫ですと、このように言われたんじゃないんですか。  参考人、いかがでございますか。
  49. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) ただいまの御指摘、そのとおりでございまして、私どもとしてコールドジョイントに起因してああいうコンクリート剥落が起こるということは実はまことに思いがけないことでございまして、そういう意味でいろいろと対策を講じて総点検をいたしました。  このコールドジョイント対策としては、いわゆるL字形鋼でありますとか平鋼とかという、こういう鋼の棒なり板を打ちつけることによりまして、それが実は三百七十七カ所に及んだわけでございますが、コールドジョイント箇所というのは三百一カ所でございますけれども、そういうことによりまして、コールドジョイントに起因する同様のコンクリート剥落はこれで十年二十年は大丈夫でありますということを申し上げたことは間違いございません。そういう意味で、それをもって安全宣言というふうに一般に受けとめられたというふうに私は理解をしております。  ただ、結果として、場所等は異なりますが、実は原因がやや異なるとはいえども、またトンネル内においてコンクリート剥落したということは、これはお客様国民皆様に対して大変な不安感を与えたことは間違いないことでございますし、私どもとしても責任を痛感する次第でございます。何としてでも信頼回復に努力してまいりたいというふうに思う次第でございます。
  50. 弘友和夫

    弘友和夫君 一般の利用者、また国民の皆さんは、コールドジョイントについては安全ですよ、今回は違ったところの打ち込み口ですと、今度はこれを検査して、打ち込み口は大丈夫ですよと。しかし、いろいろな要素があるんじゃないんですか。安全ですということは、一般的、常識的に考えれば、もうコンクリートトンネルで落ちませんというのが安全ですということになるんじゃないんですか。前回はコールドジョイントでした、今回は打ち込み口でした、次は何があるかは知りませんけれども、いろいろな部分があるじゃありませんか。  年末にかけて一部部分運休して、十二月十五日まで総点検をやる。大臣も言われたように、徹底して四万九千名総動員してやる。それはそれで本当に大変な御苦労だと思います。だけれども、では今回検査をされるのは何をされるのか。もうコールドジョイントはやっておられるわけですね、十年間二十年間大丈夫だ、打ち込み口は大丈夫だと。では今度、トンネルに関する部分コンクリートに関する部分は全部やった上で安全と、こういう宣言が出されるのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
  51. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 先生の御指摘のとおりでございまして、これは私もいろいろな方から、二度あったことは三度あるではないか、どうしてもうないと言えるのかということを随分何度も御叱責を含んで御注意をいただいたわけでございます。私どもとしては、こう言っては今となってはまことに恥ずかしい限りでございますけれども、トンネルは壊れるはずがない、もちろんきちんとした点検をすればという前提でございますが、私どもが従来からやってきた点検を続ける限りはトンネルというものは壊れるものではないという確信を抱いておったところが、実はコールドジョイントに起因して落ちました。  したがいまして、これに対して対策を講ずれば従来のメンテナンスの方式とあわせて大丈夫だという確信を持ったわけでございますが、残念ながらこの確信に対してもう一つの盲点が実はございました。それが今回の打ち込み口の問題でございまして、これを私どもとしては言いわけをすることは許されないと思うわけでございまして、そういう意味で二回の盲点があるなら三回もあるのではないかということにこれはまたなるわけでございます。私どもとしましては、これ以上そういう盲点はないと確信はしておりますが、なお念のためにこの際、世の中の方々に、皆さんに御納得いただくことも含めまして、トンネルの全断面について、全表面について徹底的に打音をするということを今回講じておるわけでございます。  そのために、四万九千人という膨大な人工を使いましてやろうとしておりますのは、そういう意味で、今までのようないわゆる検査員が見て問題があると認定した箇所について打音をするということだけじゃなくて、全部の表面について打音をしていくということで、一度徹底的に私どもの先入観をここで洗い落としてもう一度やってみたい。これが次の、これから以降の検査の方式の重要なデータの採取になると私どもは確信しておりますし、先ほど大臣からもお話ございましたように、こういったデータをトンネル問題の検討委員会に上げまして、専門家の御意見も賜りながらあすにつなげてまいりたいというふうに思っている次第でございます。  どうか御理解を賜りたいと思います。
  52. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、要するにコールドジョイント、打ち込み口だけじゃなくて全断面について検査をされる、全断面について大丈夫だと、こうなれば大丈夫になるのじゃないかなという気はします。  大臣にお伺いしたいんですけれども、JR西日本は四万九千人総動員してやると、では、ほかはどうなのか。確かに山陽新幹線については工事を急いだとか当時の状況もいろいろあって、手抜き工事というかそういう工事もあって、海砂を使ったとか先ほどの話、いろいろあると思う。そしてトンネルが多い。いろいろあるけれども、ほかも決してないわけじゃないんです。  あの福岡トンネル以降についてもコンクリート落下報告というのは多分運輸省にも上がっていると思いますけれども、何件ぐらいありますか。
  53. 安富正文

    説明員(安富正文君) 西日本の事案以外で他の新幹線では、我々のところに報告が来ておりますものとしましては、上越新幹線の妙見トンネルの化粧モルタルの落下、それから長野新幹線の一ノ瀬トンネルでのコンクリート片の落下といったようなトンネル関係の落下件数が報告として上がってきております。
  54. 弘友和夫

    弘友和夫君 何件あるか。
  55. 安富正文

    説明員(安富正文君) トンネル関係では、今のところ二件でございます。
  56. 弘友和夫

    弘友和夫君 高架も入れて。
  57. 安富正文

    説明員(安富正文君) 高架橋につきましては、五件のコンクリート片の落下があったということで報告を受けております。
  58. 弘友和夫

    弘友和夫君 トンネルだけでも、今言われた上越新幹線の妙見トンネル、それから長野新幹線一ノ瀬トンネル。あと、上越は結構あるんです、この高架橋。越後、総武快速線と九件。あの福岡トンネル以降だけでもそれだけの落下事故があるわけです。  今、JR西日本は集中的にやっておりますけれども、ではほかについてはどういう対応をとられているんでしょうか。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お話のとおり、JR西日本のみならず他のJR及びその他の私鉄、いわゆる全鉄道事業者について、このような問題を再び起こすことのないよう鉄道基本的使命を十分認識されて対応されるように、事業者に向かって運輸省から呼びかけてございます。  コンクリートのいわゆる耐久性につきましては、建設省、農林水産省と共同で設置しております土木コンクリート構造物耐久性検討委員会においてコンクリートの建造物の点検補修のあり方等について検討を行っているところでありますが、この検討結果等も参考にしながら鉄道事業者に対し運輸省として指導監督を厳重に行い、鉄道輸送に対する全面的な信頼回復に努めてまいる決意であります。
  60. 弘友和夫

    弘友和夫君 落下原因というか、これはまだ解明されていないんですよね。  先日の福岡トンネル事故についても、鉄道総研報告というか原因推定についてというのがありますけれども、よく海砂云々という話があります。ほかの部分についてはそういう部分もあるんだと思いますけれども、今回は塩分については少量であり、内因としては考えられないと。この福岡トンネル事故については海砂というのも余り関係ないということです。では何が原因なのか、よくわからないという結論なんです。よくわからない。  しかしながら、新幹線全体についても三十年以上たっている。「コンクリートが危ない」という本もございますけれども、コンクリートの耐用年数というのは大体どれぐらいを考えられているか、運輸省として。
  61. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) お答え申し上げます。  コンクリートの耐用年数につきましては、良好な維持管理を行えば半永久的に耐用年数が期待できるのではないかというふうに私どもも考えているところでございます。
  62. 弘友和夫

    弘友和夫君 何を根拠にそういう、減価償却は三十年から六十年、こう言われていますよね、半永久的に良好な、何と言われたんですかね。
  63. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 維持管理。
  64. 弘友和夫

    弘友和夫君 良好な維持管理をやれば半永久的にコンクリートは大丈夫だ、トンネルも大丈夫だ、こういう今の御答弁ですけれども、ではその良好な維持管理というのは何なのか。現実に半永久どころか五十年もたっていないのがぼろぼろ落ちてきているわけでしょう。今まで良好な維持管理をやっていないということでしょう、それは。良好な維持管理をやっていない鉄道を通していいのかということになるんですよ。それで安全ですと言えないでしょう、もうそんなことでは。  そういう良好な維持管理というのはどういうあれがあるんですか、言ってください。
  65. 安富正文

    説明員(安富正文君) 今、技術審議官の方から申しました点は、言ってみれば技術的に、本当のいわゆるコンクリートというものについて良好な維持管理を行えば半永久的に使えるということを科学的に言っているのではないかと思います。  ただ、今回問題になっておりますのは、現に山陽新幹線トンネルコンクリートが落ちている、あるいは高架橋で落ちてきている、こういう問題でございますので、ここら辺について、先般来より申しております各種の検討会あるいは山陽新幹線構造物のコンクリート委員会、そういうところで、では今後どういうふうな保守あるいは管理をやっていったらいいのか、このような状態の中でどういうことをやっていったらいいのか、恒久的な保守管理あり方というのも我々としてももう一回勉強して、もちろん専門家の意見を十分聞きながら勉強して、その上で一つのいわゆる方法を確立したい。その確立した内容に従って、ぜひ鉄道事業者それぞれの立場で我々としても指導していきたいというふうに考えておりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  66. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほどのコンクリート何とか委員会、要するに運輸省だけじゃなくて建設省でもコンクリートを使っているわけですからね。今度の補正予算で五千万ですか、そういう研究に使うというようなお話も聞いております。  だから、そういう事故が起こってそういうのを今から研究するというのじゃなくて、コンクリートというのは日本はもう世界最大、それこそ公共事業でコンクリートをどんどん使っているわけですから、建設省も運輸省コンクリートというものに対しては一番安全性そのものについての研究というのはなされていないといけないんじゃないか。事故が起こったから予算をつけて今から研究しますよといったって、しかも手で打って音を聞く、それが一番信頼性が高いというようなそういうことじゃしようがないと思うんですよ。だから、こういう安全面についてぜひ早急に技術開発というかやっていただきたいなと、このように思います。  それで、時間もございませんけれども、部分運休して検査をされると。私はやはり安全宣言をするまでは、十二月暮れまでに安全宣言をしたいと、では宣言するまでは安全じゃないものを通しているということにもなるわけです。だから、本来だったら全面運休して徹底的にこれはやるべきだ。そうなってくるとやっぱり経営上いろいろな問題もあると思うんです。  だから、これは私は肩を持つわけじゃありませんけれども、JR西日本だけじゃなくて、たまたまそういう部分が重なった、全部のJRそれぞれ、それが余りなかったからいいのであって、これは国鉄時代に建設されたものですから、やっぱり社会資本として、運休をしたりまた総動員して点検をしたり、そういうものに対して運輸省として財政支援を当然すべきものだと、このように思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
  67. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず、弘友議員の御意見の中に経営上の問題云々ということがございましたが、経営上の問題でJR西日本の運休を考える、あるいはまた停止をすることによって経営上困難を来すであろうというふうなことを運輸省は考えたことはございません。  あくまでも安全第一にこの問題に対処してまいる考えでありますが、現在のところは、JRの方からもたびたび御説明がなされておりますとおり、夜のいわゆる列車が走っていない時間、これは六時間ぐらいございますし、それでも少しタイトだということで終電車のあたりを若干停止して実際の安全点検に時間を回すということにいたしておるわけでございます。  財政的な援助をしてでもこの事態を一日も早く回避すべきではないかという御提案でございますが、私も当然そのように考えてございます。つまり、JR西日本の方からそうした要請があれば、阪神・淡路地震のときも御案内のように開銀から融資を行いその応援をしたわけでございますが、今度は政策投資銀行等を活用して、JR西日本の要請があればそれに対応する用意を持っております。  ただ、JR西日本は、今日現在、政府に対して財政的な援助を申し出るというふうな状況には至っていないようでありますので、そこはこれからJR西日本の方の方針を伺った上で、国民的な重要な課題でありますだけに、ひとりJR西日本に今回の問題を背負わせておくだけではなくて、運輸省としても全面的にバックアップをして一日も早く新幹線に対する安全を回復する、国民の皆さんの信頼を回復する、この一点に全力を傾けてまいりたいと思っております。
  68. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  69. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。  まず、JR社長にお伺いしたい。  六月の福岡トンネル事故、それから今回三カ月もしないうちに北九州の事故、それから高架橋からのコンクリート剥落、これはもう五十件に及んでおります。鉄道事業者の最大の使命と言われる安全対策がこれほど欠如している。国民、利用者は大変驚きあきれているというのが現状ではないかと思います。とりわけ、十年間は大丈夫と安全宣言を出した直後のトンネル事故であること、それから前の福岡のときにも想定外、今回も想定外というこの弁解、さらには運輸省の五度にわたる警告書、これについてもまさに馬耳東風という現状ではないかと思うんです。これでは鉄道事業者として失格の烙印を押されても仕方がない。同時に、こうした安全軽視の姿勢の背景に利益、収益優先、こういう姿勢があるのではないかということをまずお伺いしたい。  私はきょうここに、十月一日、南谷社長、あなたの名前で出した「当社の現状と緊急に取り組むべき課題について」とする緊急声明を持ってまいりました。これは、今回の事故の前ではありますけれども、既に福岡トンネル事故が起こった後の十月一日の声明であります。  ここで、当社の現状と緊急に取り組むべき課題、運輸収入が前年度を下回り憂慮すべき状況が続いている、対抗輸送機関との競争の激化など当社を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増しており、このまま手をこまねいていれば大幅な減収を見込まざるを得ず、株主の皆様にお約束した利益水準も到底確保できないと。これがまず出てくるわけですよ、この収益の問題が。その後ようやく安全という問題に触れているわけであります。毎日の十月十日付もこのことを取り上げて、「安全より経営重視」と見出しではっきり指摘をしております。  これは、あの福岡トンネル事故を起こしもう既に重大な事態になっていたわけですから、まずやはり安全という点で国民の皆さんにおわびをする、そしてまず緊急総点検再発防止、こういうことをきちっとやる。このことを第一に緊急声明というならば呼びかけるべきだと私は思うんですけれども、徹底した増収への取り組みが最優先されて安全が軽視された、それが事故の背景になった、そういうふうには思いませんか。
  70. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私ども、山陽新幹線を預かり運営し経営する者として、やはり何といいましても安全が第一でございまして、これは安全がなければまた経営も成り立たないだろうし、使命を果たすこともできないわけでございます。そういう意味で、私どもとしては全力を尽くしてきたつもりでございます。  いろいろと理由はともあれ、しかし二度にわたりましてトンネルにおいてコンクリート剥落するという事態発生せしめたということは、これは言いわけはきかないと私は考えております。そういう意味で、先ほど来、繰り返しになりますけれども、国民皆様、それから乗客の皆様に対してまことに申しわけないとおわびを申し上げなければならないと思います。  私の責任は、そういう意味では、全力を挙げてとにかく信頼を回復するということをもちまして、十月二十五日から全トンネル、百四十二のトンネルに対しまして全表面を、内面でございますが、打音検査するということで、JR他社のお力を、またグループ会社のお力をかりまして全力を挙げて今点検に入っているところでございまして、一日も早くそういう意味ではお客様国民皆様の御疑念を晴らしたいという一念でございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
  71. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 安全第一でやるということはもちろん疑いないですね。よろしいですね、安全第一でやると。そういう点に立って今おっしゃった点検をこれからやるということであります。  我が党は、福岡トンネルのあの事故の直後から、コールドジョイントだけでなくて全面点検を行うべきであるということを前回の質問でも申し上げてまいりました。その点では、遅きに失したとはいえ一歩前進だと思います。さらには、他のJRからも応援をということもこの間申し上げてきましたから、この点でも一歩前進だというふうには考えるものです。  ただ、十二月十五日までと、これはいささか時間がかかり過ぎるのではなかろうか。福岡事故から既に四カ月。福岡事故からすれば十二月といえばもう六カ月になるわけでありますから、一層総動員体制を強めて、そして徹底して点検をやっていくということが求められるというふうに思います。部分運休ということも言われておりますけれども、通常保守時間、これを基本にするということですから、やはりもっときちっと作業時間を確保するためにも部分運休を拡大して集中的に実施すべきではないか。  ぜひこの点についてJR社長のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  72. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 今の御指摘でございます。  私どもとしましても、さらに大勢の人員確保できればより能率が上がる部分がございますので、全力を挙げまして専門家をかき集めました。  実は、この打音による検査というのは、当社の社員の中のそういうことを専門として担当できる者でなければそういう検査はできないわけでございますので、そういった専門家と、それからかつてそれをやったOB、そして同じような業務についているJR他社の社員をかき集めまして、そういうメンバーを一ないし二必ずチームの編成の中に入れまして班編成を組みます。そのほかにいろいろな、オペレーターであるとか周りの機材の整備とか足場の組み立てとかといういろんな作業が一つのチーム編成には必要なわけですが、チーム編成の中にそういう核になる社員を、大体二名でございますが、つけまして班編成をします。そういうことを能力ぎりぎりやりまして、今回実はやった結果が十二月十五日までかかるということでございます。  しかも、先ほど申し上げましたように、アーチクラウンといいまして、天井の一番高いところを姿勢が上向きになってハンマーで打音するということは肉体的にも大変きつい仕事でございまして、これはせいぜい続けても三時間しかできません。そういうことを勘案しますと、夜間の保守間合いを使うということでそれが十分できますし、また、部分的に広島以西におきましてはやや打音の密度を高くしなければならない、そういうトンネルが多いわけでございますので。そういう意味では、広島以西において保守間合いを若干、一時間程度拡幅すれば何とか十二月十五日までには現在かき集めた人たちを有効に使って作業が全うできるという私どもの考え方で今回の結論に達したわけでございます。  これは、私どもとしましても、点検をおろそかにしない、なおかつ早くするというぎりぎりの、私どもとしての最大の努力の結果というふうに御判断賜ればありがたいと思います。
  73. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 もちろん点検を徹底してやるということが基本だと思うんです。  そこで、運輸大臣の安全宣言についてお伺いしたいと思うんです。  先ほど、この安全総点検を十二月の半ばまでにやって、それを受けて安全宣言を行うという趣旨の御答弁がありました。私は、この検査をもって安全宣言をするということは三つの理由から重大な判断ミスとなることを指摘したいと思うんです。  まず一つは、今度の検査について、政府運輸省としてどのようにチェックして安全を担保するのかということであります。点検JRがやる、そしてその結果をそのまま運輸省はうのみにするということになるのではないか。今までの事故の実例を見てもそういう状況であります。  私たちは、政府、関係者一体となって厳重な点検調査をすべきというふうに主張してまいりましたが、この点がきちっとやられる必要がありますし、打音検査自体も、視覚と勘と音というだけの検査ですから、限界があるというふうに運輸大臣はお考えになりませんか。
  74. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) JR西日本のいわゆる山陽新幹線の安全総点検、四万九千人を、延べでございますが総動員して行うということは、私はむしろ空前のことではないかというふうに思っております。しかし、それほど重要な問題だと我々は認識をいたしております。  ちょうど総点検する新幹線トンネルが百四十二ございます。その延長は二百八十キロ、東京から数えますと浜松まででございます。新大阪からでは三原、つまり尾道、広島間ぐらいまでずっとトンネルだというふうに御想像いただければ結構でございますが、それをJR及びJR他社、そしてOBの皆さんやJR西日本のグループの各企業の皆様、それぞれ最大限総動員して、保守用の車両、器具等も他のJRからも持っていくというふうなことを行いますが、これはまた、御承知のとおりそれぞれのJRも常に保守点検しながら運行しなければなりませんから、持っておる機材を全部提供するというふうなわけにもまいりませんので、それにはおのずから限度があるわけでありますが、とにかく可能な限りJR鉄道関係、すべての関係者がこの際協力し合ってやっていこうという体制が整いつつあります。  そこで、何をどうチェックするのかという御質問でございますが、運輸省としましては、JR西日本からこの安全総点検の結果の報告を受けて、安全総点検実施計画どおり的確に実施されたかどうか、また点検の結果適切な安全確保策が講じられたかを確認するつもりでありますが、さらにトンネル安全問題検討会の専門家にもこの報告を御検討いただき、日本の鉄道関係者の英知を結集して安全の確認を行ってまいりたいというふうに考えておるところであります。
  75. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 JRにお伺いをいたします。少し端的にお答えをいただきたいと思います。  私どもが問題だと考える第二は、目視や打音検査というのはあくまでも点検の一形態にすぎないというふうに思うんです。先ほどもお話がありましたが、ちゃんとしたコンクリートならば本来半永久的な耐久性を持つと言われているコンクリート建造物が、山陽新幹線の場合は開業して十数年でひび割れ、鉄筋腐食を起こしている。施工不良のコールドジョイントが二千四十九カ所。つまり極めて特異な状況にある。山陽新幹線劣化現象は特異性を持っているということは明らかだと思うんです。この特異性の要因を究明し、その対策を打たなければ安全だという確認はできないというふうに私どもは思います。  JRに聞くんですが、高度成長時代とオイルショックを挟んでセメントの資材不足、人手不足など施工上の問題が指摘されております。だから、どんな材料を使ったのか、また海砂はどの区間にどれだけ使われているのか、粗悪なセメントの材料はどこに使われたか、こうしたことを明らかにして対策を講じなければなりませんが、工事用の関係書類はJRでお持ちになっておりますか。それと同時に、海砂の使用の把握はしておられますか、どれだけどのトンネル、高架橋に使われているか。また、セメント等の資材の粗悪材料の使用実態の把握はできておりますか。お答えください。
  76. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) ただいま御質問の工事関係資料でございますが、国鉄当時のいわゆる契約書、それに附属する図面あるいは追加の仕様書等の工事関係書類は、私どもとしては保管をいたしておりません。  したがいまして、今回私どもとしては、現状のまさに把握、現状をいかに的確に把握し、それぞれの状況に応じた保守をこれからどう続けていくかが最も重要であるというふうに思っております。トンネルなりあるいは高架橋のそれぞれの状況に応じて私どもとしてはきちんと保守していくということが最も重要であり、それが長く設備を使うという根本であろうかというふうに思います。  そういう意味で、私どもとしては今回、トンネルの総点検を今実施しておりますが、実はそれと並行いたしまして、高架橋に関しましても十月から一年間かけて徹底的に検査をするべく進めておるところでございます。  そういう意味で、私ども自身が点検をし、現状をもう一度きちんと把握してこれからの対策を講ずると同時に、施工業者に対してもどのような状況で工事が行われたのかを実はアンケートをしました。既に大部分の事業者からは結果をちょうだいしておりまして、現在さらに細部のヒアリングをしております。どの部分に今御質問の海砂が使われたかどうかというところまで、まだ現在そこまでの部分部分に関してまでは実は把握できておりません。  簡単にその内容を申し上げますと、例えばコールドジョイントについて認識していたかということに対しては、名称は別として打ち継ぎ目の重要性は認識されていたとか、あるいはコンクリートにおける砂の問題につきましても、海砂が約半数で使用されていたとか、そういった報告が実は上がってきております。  こういったことを、さらに私どもとしても業者のサイドからのヒアリングを進めると同時に、私ども一番重要なことは、やはり現状がどうなっているかということをきちんと把握するということが大切かというふうに考えておりまして、これからの対策の資料としてまいりたいと考えております。
  77. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 工事関係書類もないというのは重大な問題ですよ。  私は、この山陽新幹線の工事がどのように進められたか、国鉄の下関工事局が出している山陽新幹線工事誌というものを、北九州トンネル福岡トンネル、それぞれについて読ませていただきました。それはもう工事は難航に難航をきわめたと、まさに中身がリアルに出ております。また、福岡トンネルでは「無理に無理を重ねた」という表現も出てまいります。  ですから、どういう工事が実際にやられたのかということをしっかりつかむ、そしてそのときのコンクリートはどのようなものが使われたのか、そういうことについてもしっかりつかんで、それの対策をとることなしに、ただ打音検査で全部やったからもう問題なしというふうには到底ならないというふうに思うんです。  既にとっておられるアンケート、結果も少し教えていただきましたが、五十七社にお願いをして集めた分、四十一社の半数以上が海砂を使ったと、こういう回答があったというふうにお聞きをしております。相当そういう海砂を使ったコンクリートが使われたということは明らかなんですね。だから私、そういうことを本当にはっきりさせずに、ただたたいたからというだけで安全宣言などは到底言えないというふうに思うんです。  第三の問題は、先ほどお触れになった高架橋の問題です。  これは安全宣言という以上は、トンネルだけの安全宣言というわけにいきません。またこの前の安全宣言はトンネルの話だけだったと、そんなばかな話はないんですから、高架橋についても徹底してやる必要があります。高架橋の点検をこれからやられるというふうにお伺いをしておりますけれども、やはり高架橋についても目視だとかあるいは打音というだけでなくて、きちっとコアを抜き取って中身についても検査をする、抜き取り検査をする、この総診断抜きに安全宣言などはあり得ないと思うんです。  この点、大臣、高架橋についてもそこまできちっとやる、そしてそれを見きわめた上でなければ安全という言葉をやっぱり口にしないと。いかがですか、これ。
  78. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 高架橋の非破壊検査手法として、JR西日本においては赤外線、レーザー等を用いた手法を開発しておるところでありますが、これらの機器の開発により、より正確で精度の高い検査が期待されておるところでありますが、委員御指摘のとおり、高架橋の問題につきましても十分安全を確認した上で、あわせてトンネルの安全とともに安全宣言といたしたいと思っております。  なお、委員からも先ほどから御主張のございましたとおり、施工業者、それからセメントの生産業者、またミキサーの関係者、こういうすべての建設に携わった方々、また砂だけではなくて砂利の問題もありますし、これらの問題について、既にJR西日本では、私も現地確認してまいりましたが、抜き取り検査を行っております。行っておりますが、これはそれぞれの、この区間は何という建設業者がやったかということは明らかであるわけでありますから、その区間ごとに抜き取り検査をきっちりやって、当時の施工業者、もう二十年も前のことであるとはいえ、やはりそれぞれ伝統のある、またある程度の規模の建設会社が担当しているはずでありますから、それらについても私たちは協力を求めるということを申し上げますが、本来、私は責任を感じてもらわなくてはならないということさえ思っておる次第であります。  なお、どこの場所に参りましても打音検査ということにつきましてよく言われるわけでありますが、私も当初はそのとおりだというふうに認識をしておりました。したがいまして、今度の予算におきましても、国費五千万円で鉄道総研への補助としてトンネル検査手法の開発、極めてこれは私が熱意を込めて各関係方面と当たっておるわけでございますが、同時にコンクリート劣化等の基礎研究、これを国費五億円をかけまして運輸施設整備事業団へ出資し、その分野における公募型の基礎的研究推進制度によって成果を短期間に上げるようにという観点から努めておるところであります。  先ほど来委員のお話しの点につきましては、我々十分念頭に入れて、運輸省としては、JRだけではなくて関係の、この建設に携わった企業に対しても可能な限り協力を要請すると同時に責任を求めてまいりたいと思っております。
  79. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 もう時間が参りましたので、最後に三点、運輸大臣にまとめてお伺いをして御答弁いただきたいと思うんです。  一つは、私の方も提案をさせていただきたい。点検項目、方法、体制、時期等のあり方について、抜本的にトンネル安全問題検討会を受けて見直すと、こうおっしゃっておりますけれども、これは年度内ということになっておりますが、ぜひとも早めて、我が党としてはぜひ年内に結論を出すというような方向で努力をいただきたいというのが一点です。  二つ目は、運輸省に今トンネル点検についての点検指針というのはないわけです。指導文書もないんです。ただあるのは、二年に一回点検しなさいということだけであります。ですから、今度の結論を受けて指導することになるわけですけれども、その指導に当たっては、ぜひガイドラインあるいは点検指針といったものを鉄道事業者任せでなく運輸省がつくっていただいて、そういうものを徹底するべきではないか。  最後、三つ目に、運輸省検査あり方も見直すべきだと思います。保安監査というのは、これまで五年から十年に一回ということになっております。JR西日本平成五年十二月に行って既に六年間たっております。ぜひこのチェックの内容、時期についても見直しを検討する。  この三点について、ぜひお答えいただきたいと思います。
  80. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 年内にというお話でございますが、私も同じような思いを持っております。とにかく専門家の委員皆様は大変御熱心にこのことに取り組んでいただいておりますが、私は、本日の委員会の御審議、御質問の趣旨を踏まえて各委員大臣としての書簡を差し上げる、そして一日も早くこの結論を出すように、それぞれの委員責任をさらに持っていただいて御協力を願いたいということをお願いしたいと思いますが、同じ思いであるということだけ申し上げておきたいと思います。  続きまして、正式の場所では私は年度内ということを、繰り上げていわゆる前倒しで結論を得たいということを言っておりますが、委員と同じような思いを持っておるということを申し上げておきたいと思います。  なお、ガイドラインの問題でございますが、点検指針、当然作成しなくてはなりません。その点を検討してまいりたいと思います。  保安監査のあり方につきましては、昨年十一月の運輸技術審議会の答申を踏まえまして、保安監査の時期、内容等も含めて、効果的な機動的な監査の実施方法について今日鋭意検討を進めているところでございますが、御指摘の趣旨に沿って早急に結論を得るよう努力してまいりたいと思います。
  81. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 終わります。
  82. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党・護憲連合の渕上でございます。  JR西日本は、前回の事故以後すべて点検を行いましたと、結果として八月四日には、先ほどお話しありましたとおり、十年から二十年間は安全だと安全宣言をいたしました。そのわずか二カ月後の事故発生です。私は、大事故に至らなかった、同時にあわせて乗客に対する被害もなかったというようなことを考えますと、心配した割には事故に至らなくてよかったなという思いが一方でしながらも、なぜこのような事態発生が防ぎ得なかったのかどうか、極めて遺憾であります。したがって、JR責任は大変重い、こういうふうに思います。監督官庁であります運輸省もやはりその責は重いと思います。  先ほど御答弁の中でも、警告を五回出したと。なお、その反省はいかにということで恐らく大臣現場を見られたと思いますし、事故の防止に役立つ安全調査をしていたのかどうかというのを検分してきたのではないかというふうに思っております。この問題に対する、運輸行政全般にかかわる安全問題についての大臣の御認識をまずはお伺いしたいと思います。
  83. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほども申し上げましたが、私は、就任に際しての記者会見におきましても、交通分野において運輸省としては安全が何よりも第一であるということを申し述べたところでありますが、私はその延長線上に、早速運輸省の中に事故災害防止安全対策会議というものを設置するよう、その日のうちに運輸省の事務次官に命じたところであります。この際の私の脳裏をよぎったものは、東海村のようなことが私たちの運輸省の行政の中にもあるんじゃないか、初心を忘れてはならない、そういうみずからに対する戒めも含めて、私はこの際、ただ形だけの審議会だとか形だけの委員会を設置したというようなことではなくて、真剣にやろうと、三万七千人の職員がすべての運輸省関連の二十万社に及ぶ企業の皆さんに御協力を呼びかけ、安全を無視しては経営は成り立たないんだ、企業は成り立たないんだということを改めて再認識していただくことが重要だということを申し述べこの委員会の発足をいたしましたが、それとほとんど時期を合わせるように次々に事故発生しましたことを大変残念、遺憾に思うわけでございます。  私たちは、先ほども申し述べましたが、今のところ十三万社に対して、年内に極めて真摯な、真剣な御報告運輸省に求めているところでありますが、そうした関連企業の皆様方を総動員して、国民皆様に、運輸行政を預かる者として、その責任の一端を明確にしてまいりたいと考えておる次第であります。
  84. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいまの大臣の答弁を聞きまして、大臣決意と姿勢には大いに応援を送りたいと思います。どうかそのことが、その二十万社とも言われる関連するところに隅々まで行き渡る御努力を今後は大いに期待をしておきたいと思います。  次に、JR西日本会社に対して御質問申し上げたいと思います。  前回の事故後、トンネル点検を行っていますけれども、それは目視とハンマーによる打音検査のみの実施で、しかも今回の落下箇所の打ち込み口については、コンクリートを一体化していたはずなどとの理由から、想定外として点検項目に入れていなかったというふうに言われています。ここはやはり安全に対する過信といいましょうか、同時にあわせて慢心があったのではないかというふうに思います。やはりトンネル全体についてどうあったのかということを考えながら安全という問題を考えていくべきではないかというふうに思っているところです。  例えば、福岡のトンネル事故が起きた場合でも、運行をとめて本格的に検査をしないとまた事故が繰り返される、これは識者が言ったことでありますけれども、そういう御指摘がございました。そういうコンクリート工学の学者の方が言われたことについても無視をしているところが今回の事故につながったのではないかというふうに思いますので、運休をして総点検を必要なしと言われるけれども、全面運休してでも点検をするということがJR西日本会社の姿勢であり、その姿勢に対して国民信頼をするんじゃないでしょうか。そういう姿勢というものがやはり国民の安全に対する信頼というものにつながっていくのではないかというふうに思っているところです。  したがって、ここでは全面運休をして、コンクリート構造物がどのような状況にあるのか、やはり徹底的に調査点検と補修を行うべきではないでしょうか。そのことが今の国民が不満に思っているJR新幹線に対する思いをなくしていくことにつながるのではないかと思いますが、JRはどうお考えなんでしょうか。
  85. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 総点検に際して全面運休をすることが最も信頼回復のチャンスではないかという御指摘かと思いますが、私どもといたしまして、一方で山陽新幹線使命を考えますときに、いわゆる山陽路におきます陸上の大動脈でございまして、これは社会的なインフラでございまして、このサービスをとめるということは大変な影響を及ぼすということは論をまたないわけでございます。もちろんその前提として安全第一ということは当然でございますので、安全が確保されている限りは極力全力を挙げてこのサービスを提供するというのは私どもの責務であるというふうに考えております。  そういう一方で、現在問題になっております総点検というものをどう両立させていくかということが私ども経営者に課せられた使命かというふうに思います。そういう観点で、私ども、今回運輸省から御指示いただきましたトンネルの総点検について詳細に実は内部で検討をいたしました。私どもの持っている現有勢力、それでは足りなければJR他社からも応援を求める、あるいは部外にもさらに応援を求めるということで最大限戦力をつけまして、その上で、ではどういう作業が可能なのかということを詳細に実は検討をいたしたわけでございます。  現実に、今回の総点検につきましては、全断面を四つに分けまして、一番高い部分の天井部分作業をやる組、それから新幹線の屋根の上に相当する二番目に高い部分、それからさらに三番目に高い部分、そして歩いて点検できる部分と、こういう四つの班に分けまして、歩行の部分に関しては、これは特に機材は必要ないわけでございますが、それ以外の三つのチームにつきましては、これは実はそれぞれ機械を使い足場を組んで作業するわけでございますし、大変高所作業でございます。先ほど来申し上げておりますが、特に一番最上部のアーチクラウン点検するグループは逆さ向きで上を向いて打音しなければいけないということで、大変作業条件として厳しい条件がある中で、その肉体的な条件も勘案いたしまして最適解を求めたのが今回の実は広島以西一部運休ということでございます。  実は、これは全面運休を仮にしてもそれだけの能率が上がらない、能力がないということもまた事実でございまして、そこのところが私どもとしましては、現在の安全が確保されている以上はやはり極力運転使命確保しなければならないという要請と、それからできるだけ早期に総点検をするという要請の中で今回最適解を見つけたつもりでございますので、どうか御理解のほどをよろしくお願いしたいと思います。
  86. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 国鉄時代はやっていたわけですから、そのことも考慮に入れて御勘案願いたい。  次に、先ほども御質問ございましたが、やはり点検の方法だとか機械だとかの問題について、技術開発について運輸省は今回の補正予算で五千万とか入れて、五千万をどういうふうに使うかは別にして、やはり運輸省の姿勢としてそういう技術開発をやるということをこの場ではっきり言っていただきたいし、補正予算に組むと。
  87. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 鉄道問題に対しての御専門であります渕上委員からの御指摘、また、ただいまの今後私たちが取り組もうという技術開発についての激励と受けとめて、大変ありがたく思っております。  つまり、トンネル検査手法等につきましては打音が一番いいんだというふうにJR各社もおっしゃるわけでありますが、私も先般韓国の運輸大臣に対して韓国はどうしているかと言うと、やっぱり打音でやっていると言う。中国から技術者が一昨日参りましたので、中国はどうだと言ったら、やっぱり打音だと言うんです。そして、通訳もちゃんとダオンと言うんですね。私は金づちでコツコツと言ってやったんですけれども、向こうはダオンとちゃんと言うんです。ですから、打音という言葉がどうやら鉄道技術の世界では定着しておるようでありますが、月世界へロケットが飛んでいくようなときに、あるいはJRそのものもリニアモーターカー等を開発してこれを現実のものとしようとしているときに、いかにもコツコツやって歩くだけでは、先ほど申し上げましたように東京から浜松までの間をやって歩かなきゃいけないんですから、金づちでたたいて歩くといったって、走っていくだけだってこれは大変なことでございます。  ですから、このことに対して科学的な検査手法の開発は何が何でも必要だということで、打音検査の際の音波による分析、今は勘に頼っているわけですから熟練工でなければできないわけで、JRに幾ら人がいてもだれでもができるというわけではない、こういうものに対してもっと科学的な技術開発が可能だというふうに私は判断をいたしております。電磁波、超音波の活用等も必要があろうと思います。そして、迅速かつ効果的な改修の手法の新たな開発として補修方法についても研究する、それから繊維シートの活用等にも対応していく。  そして、削り落としとかいろいろ言われるわけでありますが、コンクリート打ち込み口を削り落とすといってもなかなか簡単ではありません。御承知のように大変な高さでありますから、こちらに図二で説明いたしておりますトンネル構作車というのがございますが、ここからでもなかなか届きません。ですから、今後これを、ここからすぐコンクリート打ち込み口に届くような開発、こんなものはもう簡単にできるわけですから、直ちにやるべきだということを現場指示してまいりました。  そして、そこへ持っていくためには今何をしておるかというと、足場を組んで、そして列車の走らない間にそこでこつこつ落とすわけでありますが、その落としてまいりますときに、高圧線が御承知のとおりそこに横たわっておりますから、これの保護、防護の作業をしなきゃいけない。そこから落とすというんですからなかなかこれはもう本当に容易でないんです。こういうことがいつまでも行われておるということでは国民の期待にこたえられない。そういう意味で、しっかり頑張ってまいりますので、予算要求に対して各党、委員各位の御支援をこの際お願いしておきたいと思います。
  88. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうかひとつ、らつ腕運輸大臣として予算獲得に全力を挙げて、よろしく。  最後の質問になりますけれども、山陽新幹線の建設工事の欠陥というのは最近になって判明したものではない、明らかな欠陥の存在は既に十五年前に指摘をされている。それは国鉄時代で明らかであります。当時の国鉄の技術資料である構造物設計資料第八十号は、一九八四年に発行されたものですが、ここには、国鉄構造物設計事務所や下関工事局技術管理課の技師四人が岡山と広島の高架橋の五カ所を対象として高架橋のコンクリート調査を行った結果を発表しています。この調査は、コンクリートの中の塩分含有量、コンクリートの配分分析、鉄筋の発さび状況及びかぶり、それから四番目にコンクリートの圧縮強度等を調べたものですが、次のような驚くべき事実を明らかにしております。  第一は、コンクリートの設計基準強度は二百四十キログラムに定められているものの、調査した五カ所の高架橋のうち四カ所は設計基準を下回っていたこと。特に二カ所では二割近くも強度が下回っていた。第二は、コンクリートの配分分析の結果によると、設計では水、セメントの比が五三%なのに、三カ所の……
  89. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 渕上君、質問中ですが、時間が来ていますので、まとめてよろしくお願いします。
  90. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 もうすぐ終わります。済みません。前の方もちょっとやられたものですから、申しわけなく思っておりますけれども。  設計では水、セメント比が五三%なのに、三カ所の高架橋では一〇%から二〇%も上回っていて、いわゆる不法加水によるシャブコンが使われたことがうかがわれます。したがって、運輸省はこのようなことは恐らく知っていたと思うのでありますが、この十五年間一体どうしておったのか。また、このほかにもこの種のデータがあると思いますけれども、運輸省はこういうことはやはり公表すべきではないかと思いますが、いかがですか。  なお、質問通告をしておりましたが、今委員長の方から御忠告がございましたので、これで終わります。
  91. 安富正文

    説明員(安富正文君) 委員御指摘の国鉄時代の構造物設計資料等において、山陽新幹線コンクリート問題について幾つかの問題点が指摘されていたということは事実でございます。これを受けて、JRの方でも昭和六十三年にコンクリート問題の検討委員会を設置しまして、その原因対策について検討してきたということも我々としてつかんでおります。その結果、ひび割れ、剥離箇所等の部分的な補修につきましてライニング工法といったような全面的なコーティングの方法を改良しましてこういう対策を講じてきました。  ただ、残念ながら現在でもいわゆるコンクリート剥落というものが相次いでおりますので、我々として、先ほども申しましたが山陽新幹線構造物の検討委員会というのを開きまして、そこで今後の問題として、これは運輸省だけじゃなくて、建設省あるいは農水省とも土木のコンクリート問題についてどう考えていくかということで検討を進めて、コンクリート建造物の健全性の維持のための方策を今後検討していきたいと思います。その際、その委員会等で我々として検討しましたデータ等については、広く国民に公表するように我々としても努力していきたいというふうに考えております。
  92. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 時間もそうたくさんありませんので、二、三お伺いしたいと思います。  まず第一に、質問通告をしておりませんが、南谷社長に一つお伺いしたい点がございます。先ほどの南谷社長報告の中に、「鉄道部門運営についての最高責任者である鉄道本部長及び当該トンネルを管轄する福岡支社長を解任いたしたところでございます。」と、こう書いてありますが、この理由をお伺いしたいと思います。
  93. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私どもとしまして、運輸省からたび重なる警告をいただいているわけでございますし、そういう中で、実は山陽新幹線におきまして、六月のトンネル内のコンクリート剥落以降も、九月に輸送障害を二度起こしております。それに追っかけて十月九日の事故ということで、特に十月九日の事故につきまして、これは先ほど来申し上げておりますけれども、私自身も大変責任を感じておりますけれども、これを未然に防止することができなかった、結果としてこれは言いわけは、弁明はすることはできないと思います。とにかく事実としてそういうものが発生したということがございます。それにつきまして、私として大変心苦しいところがございますが、責任者であります鉄道本部長と、そして当該トンネルを管理しております支社長を交代していただいたということでございます。  以上でございます。
  94. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私はこの件に関しまして、もし前の剥落事故が起こって、それでそれに対する対応策について全社として同じ認識で取り組んでいたとしたら、なぜ鉄道本部長と福岡の支社長だけが責任を負わなければならなかったかという点については甚だ疑問であります。これは会社全体の責任でありますから、最終的には会長あるいは社長責任があると、そういうことに相なります。  それで、今回の事故につきまして、もし徹底的な対応をされるというなら、その人たちにもしっかり仕事をしてもらったらどうかと。これは本当に本人はやる気でやっていたかもしれない、やる気になっていたかもしれない。非常に現場の人の士気にかかわる話ではないか。本末がおかしいと思っております。あくまでもこれは会社責任であって、社長責任である。そのときに、現場責任者が、対応が間違っていたとか、あるいはサボっていたとか、そういうことであったとすればそれはその人の責任でしょう。会社全体が同じ認識でやっていたとしたら、それは社長自身の責任である、そういうふうに認識しておりますが、いかがですか。
  95. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 今の鉄道本部長並びに福岡の支社長でございますし、鉄道本部長は実は専務取締役でございますが、また福岡の支社長は私どもの執行役員でございまして、いずれも重役でございます。そういう意味で、私どもとしまして、私自身も減給という形で責任を明らかにさせていただいたところでございますが、この二人が個別具体的にサボっておったという事実よりも、むしろ私としては管理責任ということで組織としてのけじめをつけたというつもりで実は今回の人事を行ったわけでございます。  もちろん、鉄道本部長には引き続き技術開発の分野の仕事を担当してもらう、それから福岡支社長にはまた関連事業の重要な仕事を担当させるということで、十分その能力も私どもとしては使っていく。ただし、やはり組織としての管理責任といいますか監督責任といいますか、そういった組織責任という形で、今回、そういうことを社内全体に、社員の隅々までわかっていただけるようにというつもりで人事をいたした次第でございます。
  96. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 よく事故が起こるとそういう責任のとり方というのがありまして、私は余り感心しない責任のとり方だと思っております。責任者を解任して、それは世間的に責任をとった、会社としては一応の対応をしましたということかもしれませんが、むしろそんなことよりは、実質的にどういう手当てをするか、そこが問題だと思います。ですから、この「解任いたしたところでございます。」という御報告ですが、私は、非常に納得しがたい対応であった、そういうふうに考えております。これ以上議論するつもりはありません。  先ほど来、検査の方法についていろいろ大臣からもお話しいただいてきております。我々もこれは、本当にもっと手間暇がかからなくていい方法はないかというようなことを一生懸命考えているところでありまして、超音波あり、あるいはエックス線といったものも活用できるかもしれません。  いずれにしましても、先ほど大臣からお話しございましたように、予算措置も講じて早急に対応していかれるということでありますから、私どもとしても可能な限りの御協力を申し上げたいと思っておりますが、そういうものを試作して、試作したものをすぐに現場に投入していかなければならない、そういうようなことでもあろうかと思いますから、その辺についての考え方といいますか、お伺いできればと思います。
  97. 安富正文

    説明員(安富正文君) 先ほど来より大臣からもお話ありますように、現在の目視あるいは打音検査に変えまして非破壊検査ということで幾つかの方法がございます。一つはレーザーを使った方法、あるいは超音波を使った方法、あるいは赤外線を使った方法、場合によっては、例えばJR東海ですとデジタルカメラを使って表面を走査する方法、それからJR東だとレーザー法を使って、あるいは営団ですと赤外線カメラを使っているということで、これからいろいろ開発していくものもございますが、既に開発をいろいろ行ってきているものもございます。  したがいまして、今回我々が考えていますのは、こういう開発途上のもの、あるいはもっと新しい手法がないかということも含めまして、幾つかの方法をいろんな形で検査してみる。その結果として、打音検査と現在やっている以上の成果が得られるかどうかということを十分比較検討して、本当に適切な非破壊検査方法、これはもちろんトンネルの場合あるいは高架橋の場合という形で、その場面場面によって実際にどういう方法がいいかということはまた変わってくるかもしれません。そういう意味で、幾つかの比較検討をして適切なものを探していきたい、そのための予算を含めて我々として支援していきたいというふうに考えております。
  98. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 ひとつその点、よろしくお願いします。  それから、前の国会で、剥落事故がありましたときに、私は政府責任といいますか責任のありようといいますか、そういうことについて一言御質問いたしました。  先ごろの東海村の事故、こういったことが起こりますと、国会はすぐに委員会を開いて政府の担当の人に来てもらい、大臣にも出席をお願いし、さらに関係業者あるいは団体、そういったところも出席して、その真相をただすということを長いことやってきておりますが、私は先日の東海村の事故、これはやはり国会として考えるならば、危機管理、事故を未然に防ぐ、そういった点で定常的にそういうような調査をしていなければならなかった点があったのではないか、これは国会として反省すべき点ではないかと思っております。  国会の責任というのは、適切な法が存在するかどうか、それを直さなければならないかどうか、さらに行政府としてその法の執行が的確に行われているかどうか、こういったことをきちっと見ていかなければならないという役割ではないかと思っております。  行政改革その他で小さな政府というようなことになりますと、限られた人的資源、そういったものも含めて行政府の仕事のやり方というのは非常に難しくなってくる。効率よく適切にということを要求される。そうなってきますと、国の責任、これをはっきりとさせておく、ここまでは国の責任だと。それ以上とは申し上げませんが、今回の事故などで見ますと、実際にその現場を受け持っている組織、これはどんなことがあってもその責任を逃れられないと私は考えております。  そこで、そういった会社なり団体なりが的確に適切に運用されているかどうかをチェックしていくのが役所の役割だと思っておりますから、そういう点をこれからはっきりとさせて、ここまでは国がやりますよ、これ以上はできません、そういうことにしないと、その民間会社あるいは団体の責任がきちっと明確にならないという点があるのではないかと思いますが、この点について運輸省の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  99. 安富正文

    説明員(安富正文君) 実際のこういう事故あるいは運行に対する責任というものについては基本的に鉄道事業者が負うということは、これはある意味では当たり前のことだと思います。我々としても、そういう鉄道事業者責任をこれからもちゃんとした形で指導監督していく必要があるかと思います。そのために、鉄道事業者がそういう責任をちゃんと負って、安全で快適な輸送サービスを提供できるように、どういう形で我々として法律的な対応あるいは予算的な対応ということをやっていくかということが我々自身に課せられた責任ではないかと思います。  そういう意味で、どこで線を引くかというのは、これは現実の事故とか事件とかのそれぞれの事象で若干、明確に私も今のこの段階では言えないわけですが、我々としては、やはり鉄道事業者が十分な輸送サービス、安全、快適な輸送サービスができるように、それをどういう形で政府、行政としてフォローしていくか、いろんな点でこれからも検討していきたいというふうに考えております。
  100. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 終わります。
  101. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  今まで六人の先生方が山陽新幹線コンクリート剥落事故に関しましてあらゆる面から御質問されたわけでございますが、質問された先生方、皆さん思いは同じで、国民が安全、安心して生活できるための方策をと。御答弁された方々も思いは同じだと思います。  そういう意味で、これからいろんな面で手法の開発がされていかれるでしょうし改革がされていかれると思いますが、私は一つ残念といいますかおかしいといいますか、ちょっと心にひっかかるのは、本来こういうことは、もし責任感の強い技術者がおられたらもうこういうことは提案されているはずではないか、普通の技術屋であればこういうことはおかしいんだということがわかったのではないかと。わかるべきだと言っているわけじゃないんですけれども。また、そういう提案があれば経営者の方もこれはやらなきゃいけない。そういうふうなのが世の中の普通の進め方ではないのかな、これはある意味でいうと人の問題、つまるところ人の問題ではないのかなというふうな気がいたしました。  私、今回は皆さんいろんな面で御質問されましたので、今回この新幹線の問題で発言の機会を得ましたけれども、単にこれに限らず、最近起こっております東海村の事件、あるいは先般の熊本の不知火の老人の方々がお亡くなりになった台風の災害等も視察させていただいて、何か今のいろいろな物事が起こる問題は、結局施設の設計施工あるいは管理、そういう技術的なものを中心とした点で何か欠陥が表面化してきているんじゃないのかなというような認識がしてならないわけでございます。  したがって、そういう観点からの質問でございますので、JR西日本がおられますけれども、西日本に特化したということだけでなくて、いろいろとお聞かせ願えたらと思うのであります。  といいますのは、先般、読売新聞十月二十四日、「どうした技術大国」というシリーズ物で、前の東北大学の総長をやられて、今岩手県立大学の学長をやっておられます西澤潤一先生が書かれておるわけですけれども、原子力の問題あるいは新幹線の問題について指摘されている中で、「日本の教育──特に科学技術教育に大きな欠陥があったのではないか」ということを指摘されているわけでございます。いろんなことを述べられておりますけれども、「技術者には社会に対する大きな責任があるにもかかわらず、その自覚がさまざまな分野で欠けている。技術者倫理の必要性が叫ばれるゆえんだ。」と、こういうような指摘もされております。また、今の技術、科学教育については、「専門分野の教科が多過ぎて、人間教育にほとんど時間を割いていない。」と、こういうふうな指摘もされているわけです。  そういう面から、これがすべてじゃないかもしれませんけれども私もこんな面を前から感じているところでございます。教育といいますか、そういう人間の倫理的な、安全性はまさにこれは倫理の問題だと思いますけれども、そういうことをもし学校でできなければ、これは教育問題として学校の問題としても考えなきゃいけないと思いますけれども、そういう方々が入ってきた会社の中で、欠陥があるとすればそれは補わないと国民に対する責任が果たせないのではないかと思うわけでございます。  そういう面について、JR西日本の方は、安全研修といいますかそういう研修について、これは何も技術屋だけの問題じゃなくて常識的にわかれば、きょうの議論でも常識的な問題ばかり、事務系の方だってわかる問題ばかりだと思うんですけれども、そういう面について両方あわせた方々に対する研修というのをどうやっておられるか、あるいはこれから改革されてどういう方向に持っていかれるのか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  102. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私どもの鉄道事業はそのベースとして技術によっておるところ極めて大だというふうに考えておりまして、その技術も運行管理及び保守点検という部分の比較的地味な技術が主体になっております。  かつて国鉄華やかなりしころ線路をどんどんつくる、あるいは線増していくという意味では建設するという分野がかなり多かった時代もございましたけれども、現在、どちらかというと運行管理であるとかあるいはメンテナンスの分野で技術を維持していかなければならないというふうに思っております。そういう中におきまして、私どもとしましても、常に現場で職場内教育を中心にしまして、先任者が後輩を指導するということを中心にして指導をしてまいったわけでございますし、またそれで足らざる場合には、私ども社員研修センターというものを持っておりまして、そこで実は教育をしているというのがこれまでの体系でございます。  ただ、そういう中で、特に安全教育という面においてやはり何といいましても実地に現場に臨んで訓練を受けるということが極めて重要でございまして、そういう意味では、各支社に実設訓練センターというのを設けまして、そこで信号の取り扱いでありますとか異常時の訓練をするという期間を設けて社員の教育に努めております。  しかし、まだまだそういう点では私どもとしても必ずしも十分でない。最近、特に御指摘のように基礎的な技術力に低下の傾向が見られるという危機感を抱いております。特に私ども、国鉄改革におきまして社員が国鉄から移行する際に、国鉄の最後のころには採用ストップという事態もございましたし、一番若い現場の社員がもう三十を超えているというようなことで、技術断層ということも非常に職場でも問題になっておりまして、そういう意味では、若い社員をこれからどんどん入れていかなければならない中でどのようにしてその技術力を現実に承継、継承していくか、あるいは技術を向上するかというのは私どもとしても大変な問題になっております。また特に、いろいろな作業につきまして外注化をするという中で本体の技術力が低下するという問題も弊害として実はございます。  そういうことからかんがみまして、当面私どもとしまして、最近の事故等にもかんがみまして、異常時の取り扱いについてもう一度徹底的に教育しようということで、現在、現車訓練、特に新幹線の駅社員なり乗務員に対して実地の現車を使った、いわゆる車両を使った異常時の訓練に今全現場で入っておるところでございまして、そういったことをこれから恒例化していくということにしたいと思っています。  それからまた、在来線につきましても部分的に、例えば兵庫と鷹取という線がございますけれども、そこにおきまして乗務員訓練センターをつくりまして異常時の扱いの訓練をさらに充実させたいというようなことで、これから特に技術部門を中心にしまして技術の向上ということに努めていかなければならないという私ども実は危機感を持っておりまして、そういう面で御指摘のような面で力を入れていきたいというふうに思っているところでございます。
  103. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  そのような面で力を入れていただくのはありがたいんですが、実はもう一つ私が言いたいのは、西澤先生のこの中にもう一つの指摘として、「日本の社会全般が、科学技術──とりわけ技術を重んじなくなり、場合によってはべっ視さえすることが、巡り巡って人材難につながっている。」んじゃないか、そういうことが、結局技術者がなかなか育たないというか、技術的な面の欠陥が出てくるんじゃないかというふうに、私もなるほどと、なるほどといいますか前から何となく考えておって、私も実は技術屋なので身につまされる思いもあるわけですが、そういう指摘があるわけでございます。したがって、私、JR西日本の方にいろいろお聞きしたんですが、ないとおっしゃるんです。  実際に、来年の予定ということでも、事務系、技術系半々ぐらいお採りになる予定だとか。これはどういう職種かわかりませんが、実際に技術系、事務系と分けてお採りになるからには、やはり進む経路も違うんだろうと思うんです。そうした場合に、その人たちを同じように処遇をするというのはある意味じゃなかなか難しいんじゃないのかなというような感じがするんですが、その辺をちょっとどうやっておられるのかなということをお聞かせ願いたいのと、こんなことを言うとあれですが、現実に今の取締役、監査役の方々の表をいただきましたら、執行役員という分類があって、これは取締役と同じようだということでございますが、トップクラス、監査役も含めて十三名おられる中に技術系というのは一名しかおられないんですね。これはそれぞれ非常勤もおられますしいろんな分類があるかと思いますけれども、私が教えていただいたからにはこのような構成である。これはそういう技術だ事務だということで言っておられるんじゃないと思いますけれども、結果としてこういうことがあるというのはやっぱり下の人間の士気にかかわるんじゃないのかなというような感じもいたしますので、その辺、技術系といいますか差がないと言うのであればどういうような配慮をされておられるのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  104. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 事務系、技術系というふうに分けて表をつくりますと今御指摘のようなことになりますが、監査役の場合に事務系、技術系という果たして分類があるのかどうか。実は私ども、ことしの六月から執行役員制度をとりまして、それ以前は全部取締役でございました。そういう意味で、常勤役員という面で取締役と執行役員を見てまいりますと、事務系が十二名で技術系が十三名ということで相拮抗するという数字になっておりますし、むしろ技術系の者を技術以外の分野にも私ども登用しておるのも実態でございますので、そういう意味では私どもとしては適材適所を心がけてやっておるつもりであります。  ただ、御指摘のように、今回の六月以降の体制の中で、常勤の取締役におきましては事務系が五人と技術系一人という現状は事実でございます。これはたまたまこういう姿になっておりますので、これがバランス上いいかどうかというのはいろいろ考え方があろうか思いますけれども、私どもとしましても、会社全体の円滑な運営という観点から、これからも専門技術を持った方の人の登用ということはきちんと適材適所で考えてまいりたいというふうに考えております。
  105. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういう御説明だと思います。  なかなかこれは技術系が少ないなんということは言えないんだろうと思いますけれども、最近の一連の事故を見ると、どうしても何かその辺の、西澤先生の言っておられるようなことが感じられてならない。そのことが何か今のもろもろの事件につながっているような感じがするんです。  ここで、大変失礼なんですけれども、いろんな分野のことでございますけれども、大臣、見識のお高い方でございますから、何か今議論をやったことについてコメントでもいただければと思います。
  106. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) JRの役員人事につきましては、基本的には経営上のことでありますのでJR自身の御判断でありますが、当然人格、識見、十分な経験等を勘案して適切に配置されているものと思ってございます。  JR各社の役員の選任に当たっての手続を若干申し上げておきたいと思いますが、代表権のある会長、社長は閣議口頭了解、官房長官了解、運輸大臣認可が必要と。また、役付取締役また取締役、非常勤取締役につきましては運用上運輸大臣への報告等となってございます。  ただいま岩本議員からの御指摘につきまして、私も先生が技術系の御出身だけに特に関心を持って今お聞きをしておったところであります。私は危機管理という観点からの議員の御指摘、特に東北大学元学長の西澤先生のお話を引用されてでありますが、たしか阪神・淡路地震の当時、東北大学の学長であられた西澤先生は卒業生に向かって、社会へ出ればとっさの判断をしなければならないときがたくさんある、危機管理について十分の認識をすべきだ、しかし、そうあるためには常日ごろからとっさのときに備えての訓練をしておく必要がある、それには思考の訓練をしておく必要があるという意味の、大変示唆に富んだお話を私は印象深く覚えておるわけでございます。  今先生が御指摘になられたようなことにつきまして、今後安全の総点検実施していく上において、今JR南谷社長のおっしゃっているようなとおりになっておるのか、あるいは岩本議員の御質問の趣旨を必要とする状況になっておるのか、これらを我々も十分見守りながらJRともよく御相談してまいりたいと思っております。適切な人員の配置をなさっているものと信頼をしながらも、今の岩本議員の御指摘を念頭に置いて指導してまいりたいと思っております。
  107. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  108. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五分散会