○水島裕君 ここで上辺だけの議論をしている分にはいいんですけれ
ども、これをだんだん議論していますと
局長がいかに御存じないかということもだんだんわかってきて、例えば、今遺伝子治療で一番見込みがあるのは血管新生遺伝子なんですね。それからたんぱく質も、詳しく言ってもしようがないけれ
ども、HGFなどのグロスファクター、それは心筋梗塞に一番役に立つんです。心筋梗塞というのは御存じのようにもう何百万人もいるわけでございますし、それから、先ほどから例に挙げておりますヒト化抗体も、これは関節リューマチを一つ例にとりましたけれ
ども、これも百万人日本でいるわけです。
ですから、ごく少数の難病というのは全く当たらないので、今、三大死亡原因のがん、それから心臓、それから脳の血管病、これ全部こういうのが使えるわけでございますから、何か学者が珍しい病気をつかまえて一生懸命研究しているともしも
局長が思われているとしたらこれは大変な認識違いでございますので、帰って科技庁でよく、まあ科技庁の中にも余り知っていらっしゃる方はどうもいそうもないんですけれ
ども、それだったらよその人とよく勉強会を持って、やはり決めるのはお役所でございますので、決めるときにいろいろなことを知らないで決めるというのは日本にとって大マイナスでありまして、せっかく
宮澤大蔵大臣あたりが一生懸命景気がよくなるのを待っていらしても、こんなことじゃいつになっても日本の景気はよくならないわけでございますので、大臣からもひとつ科技庁にきつくコメントを言っておいていただければと思います。
それでは、あとはまた個々にいろいろ苦情を言うことにいたしまして、次が、もう一つちょっとがらっと変わったテーマでございますけれ
ども、健康食品とそれから特定
保健用食品ということについて
厚生省の方にお伺いしたいのでございます。
なぜこんなことを申し上げるかといいますと、あちこちでこういうことに対して注目が上がっている。特に、農水省では食物の第三番目の点としまして、一番目が栄養、それから第二番目が味ですけれ
ども、第三番目の重要な食物の機能として健康とか病気に対する作用というのが非常に注目されているわけでございます。
私
ども学者もいろいろ調べてみますと、食物の中に今使われている薬よりか、よほど正確な試験をやっても健康か何かにプラスのものがあるんです。例えば、この間ちょっと見たのが、ショウガからエキスをたくさんとりますと、普通の消炎剤よりかよほど効くとか、抗酸化剤、これは赤ブドウ酒とかそれから日本茶もそうですけれ
ども、そういうものの抗酸化剤なんかが役に立つとかいろいろあるので、そういうことから健康食品などが注目されているわけであります。
それじゃ、その食べ物をそのままいつもずっと食べたらどうかとおっしゃると思いますけれ
ども、今私
どもが農水省と一緒にやっているプロジェクトは、タマネギに結構老化防止、糖尿病抑制作用があるというのでやっているんです。毎日一個ずつ食べていくと大体よさそうなんですけれ
ども、タマネギを毎日一個ずつずっと食べているというのはこれはなかなかきついのでございます。ですから、やはりタマネギから大体有効と思われるものを抽出して、それだったら毎日飲めるだろうというのが健康食品あるいは特定
保健用食品ということになるわけでございます。
こういうことに関しましては
国民も非常に関心があるので、それに、何というか
国民の健康に対する心を利用しまして幾つもの刑事
事件が起きているわけでございます。私の方で私的なところにちょっと調べてもらいましたら、こんなにたくさん健康食品で刑事
事件になったものがある。主としては健康食品の誇大広告などの薬事法違反というのが多いわけであります。
きょう何と何だけ申し上げたいかというと、二つ提案がございまして、一つは健康食品に、その効能がはっきりしていないわけですから、完全に証明されたわけじゃないんですから、効能をうたうことはもちろんできない。これは結構なんですけれ
ども、そういう健康食品、例えばタマネギの有効成分を毎日飲ませたらこうこうこういう作用があったというれっきとした学術研究を
信頼のある研究機関でやって、
信頼のある雑誌に発表したデータとか、そういうものの情報がむしろ消費者に届いた方がいいわけですけれ
ども、現在そういうものを一緒に示すとこれも薬事法違反になるということでございますので、もちろん一定のルールを決めて、やはり正確な情報はたとえ健康食品であってもユーザーのところに情報が行くような方法を考えるのが必要じゃないかというのが一つです。
それからもう一つは、ある程度健康にいいとか病気にいいということが証明できた場合は特定
保健用食品ということで
厚生省が認可なさっているわけでございますが、このときは食品の格好をしていなくちゃいけないというのであります。我々も随分相談を受けたものの中で、ある程度粉末とか抽出液で試験をしましてもこの許可をとるためにはまたそれをわざわざスープにするとかゼリーにするとか何かにしないと、食品の格好にしないと許可にならないというので、わざわざ食品の形態にしなくちゃ許可がおりないというのもどうももう一つ論理的に少しおかしなところがあるのじゃないかというので、直ちに、もちろんいろいろな問題があるのは私も重々承知しておりますけれ
ども、そういう問題点、
検討すべき事項もあるので、ひとつその辺、現状がどうであるか。一部何か
検討もされているという話もちょっと聞きますので、その辺を御紹介いただくとともに、将来の取り組み方を御
説明いただければと思います。