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1999-10-13 第145回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十月十三日(水曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  九月三十日     辞任         補欠選任      江田 五月君     岡崎トミ子君      広中和歌子君     木俣 佳丈君      大渕 絹子君     大脇 雅子君      入澤  肇君     鶴保 庸介君  十月一日     辞任         補欠選任      小泉 親司君     八田ひろ子君  十月十二日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 久世 公堯君                 佐々木知子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 小川 敏夫君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 佐藤 雄平君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        農林水産大臣   玉沢徳一郎君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      二階 俊博君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        科学技術庁原子        力局長      興  直孝君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        厚生省保健医療        局長       篠崎 英夫君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        厚生省老人保健        福祉局長     大塚 義治君        農林水産大臣官        房長       竹中 美晴君        農林水産省経済        局長       石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        食糧庁長官    高木  賢君        林野庁長官    伴  次雄君        水産庁長官    中須 勇雄君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省鉄道局長  安富 正文君        運輸省自動車交        通局長      縄野 克彦君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        運輸省航空局長  岩村  敬君        労働省労働基準        局長       野寺 康幸君        建設省都市局長  山本 正堯君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      鶴岡 俊彦君        日本政策投資銀        行総裁      小粥 正巳君        西日本旅客鉄道        株式会社専務取        締役       金井  耿君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成八年度一般会計歳入歳出決算平成八年度  特別会計歳入歳出決算平成八年度国税収納金  整理資金受払計算書平成八年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成八年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成九年度一般会計歳入歳出決算平成九年度  特別会計歳入歳出決算平成九年度国税収納金  整理資金受払計算書平成九年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成九年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九月三十日、入澤肇君、江田五月君、広中和歌子君及び大渕絹子君が委員辞任され、その補欠として鶴保庸介君、岡崎トミ子君、木俣佳丈君及び大脇雅子君が選任されました。  また、去る一日、小泉親司君が委員辞任され、その補欠として八田ひろ子君が選任されました。  また、昨十二日、小川勝也君が委員辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鶴保庸介君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林水産省運輸省北海道開発庁農林漁業金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。  本日は、農林水産省運輸省、非常に重要な省庁につきまして決算が審査されるわけでございますが、そのトップバッターとして質問をさせていただきます。  また、両大臣におかれましては、このたびの組閣におきまして力量を認められて就任されたわけでございまして、心からお祝い申し上げます。今後ともひとつ大いに手腕を発揮して日本のために頑張っていただきたい、心からお願いする次第でございます。  一葉落ちて天下の秋を知る。これは、先国会の七月二十七日に交通情報通信委員会で、JR西日本コンクリート剥落事故につきまして我が党の野沢太三先生質問冒頭に使った言葉でございます。  このところ、先月には、九月二十四日から二十五日に新幹線停電がありまして二十九本立ち往生、八千人が十一時間缶詰になったというような事故新聞をにぎわしたところであります。そして十月九日には、午前四時、山陽新幹線北九州トンネル、これが、始発前の点検コンクリート塊五個を発見いたしまして、合計二百三十キログラムのコンクリートが剥落しておったわけですが、これはコンクリート打ち込み口にある突起部落下したということでございます。  このように数カ月の間に次々に無事故神話を誇っておりました新幹線事故が起きますと、一葉落ちてではなくて、台風に揺られてざらざらと葉っぱが落ちるような感じがするわけでございます。  新幹線というものに対する無事故神話というのは、創業以来関係者の大変な御尽力によりまして事故がなかった、なかった状態が続きましたので今後ともないだろうとい信頼、また新幹線トンネルコンクリート剥落が大変なショックをもって感じられましたことは、最近もイギリスで民営化された旧英国国鉄がロンドンの近くで脱線、衝突いたしまして、三十人から四十人が亡くなったというふうな事故が起きましたり、自動車交通事故年がら年じゅう起きておるわけです。また、航空機等におきましても、JALではパイロットが操縦桿をぐっと前に押して墜落したとい事故もありましたし、御巣鷹山に墜落した坂本九さんが亡くなった事故もありまして、ほかの交通機関でも事故というのはあるんですけれどもトンネルの中でコンクリートが落ちてくるということは別の響きを持って我々に大変な恐怖感を与えておると思います。  このたびの六月の事故では、パンタグラフが破損して飛び散って、人体に実害はなかったわけですが、操縦士乗務員の真ん前に落ちてきたらどうだったのだろうかとか、あるいは落ちたコンクリートトンネル壁等に当たって窓を突き破ってお客に死傷を与えるということになったらどだったのだろうか、あるいは万が一そういうことはないと私どもは期待するわけですけれどもコンクリートによってトンネル内で脱線するというようなことになるとどんな悲劇が起きるかということが想像できるわけでありまして、その意味で、この新幹線コンクリート剥落事故というのは大変に我々にあってはならない事故であるというふうに思うわけでございます。  けさの新聞を開いてみますと、各新聞が取り上げております。  東京新聞は「社長減給本部長ら更迭」。産経新聞も同じような記事ですが、東京新聞には、「運行停止し抜本的補修を」、「震度四起きれば落下続発」、「職員士気低下指摘」「危機管理に全力を」、こんな記事がございます。  日経新聞の「春秋」とい天声人語のような欄では、英国事故に比較いたしまして、「「民営化以前」の問題も指摘される。高度成長期山陽新幹線建設は工期に追い立てられた。拙速工事で安全が犠牲になったのではという見方だ。」。また、読売新聞によりますと、奥田日経連会長東海村の「臨界事故トンネル壁はく落」「技術立国日本危機」と、こういう新聞記事がこの件に関して躍っておるわけでございます。  そこで、まず冒頭お伺いするんですが、きょうはJRから金井専務が来ていただいておるわけでありますが、きょう処分をされたということですが、どういう理由で処分されたのか、まず教えていただきたいと思います。
  10. 金井耿

    参考人金井耿君) JR西日本金井でございます。  今、先生から御指摘ございましたように、短期間の間に重なる事故を起こしまして、国民の皆さんの信頼を損なうような形になり、また利用者に大変な御迷惑をおかけしたことを最初に一言深くおわび申し上げる次第でございます。  御指摘処分の件でございますが、先生から御指摘ございましたようなここ数カ月の間のトンネルコンクリートの崩落二件、それから停電関係お客様に御迷惑をかけた件、さらに保守用車の衝突といったような事態を踏まえ、今回特に十月九日に再度発生したことにかんがみまして、その責任を明確にするということで私どもとして社内処分を行ったところでございます。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 私も前に役所におりましたので処分というような言葉にはなれておるわけですけれども、このたびの事故を見ますと、JRが一方的に申しわけない申しわけないと、こう言うんですが、JR国鉄から新幹線としてつくった施設を買い取ったわけですね。そのつくったときに欠陥があるような感じを受けるわけです。買い取った後にJR西日本補修が悪いとかケアがまずかったから起きたというわけでも、その部分もあろうかと思いますが、買い取ったときからということであれば、これはそもそも欠陥商品を買い取ったわけでありまして、それ以前に責任を追及しないといかぬというような問題もあるのではないか。  ただ、先般の事故の際にも、営業を停止してチェックしなくても大丈夫ですと。いろいろコールドジョイントとか検査をして、また高架橋についてはハンマーでたたき落として、防錆というんですか防さび処理等を行って、二度と起こさないと言った舌の根も乾かないうちにまた事故が起きたということで、本当に大丈夫なんだろうか。その点において、この前の事故点検に不備があったから申しわけないと言うのならわかるわけですけれども日本的なあれで、ただただ申しわけなかったということでは何のことか国民にはよくわからないといった感じもあるわけでございます。  今のようなお話を前提にいたしまして、本論に入っていきたいと思います。  まず、さき福岡トンネルコンクリート剥落事故について、事実関係及び原因等についてJR西日本の方から御報告願いたいと思います。  これも先般の交通情報通信委員会戸田委員から御指摘がありまして、官の責任と民の責任はどうなのか、やはり民が責任を負うべきことに官が申しわけないと言うのはおかしいのではないか、しかし安全という点でいえば官にも責任があるではないか、こういう御指摘もあるわけでありまして、まず民の方からお話をお聞きしたいと思います。
  12. 金井耿

    参考人金井耿君) お尋ねの点、二点ございます。  最初に、まず事実関係でございますが、事故概要につきましてはこれから申し上げるとおりでございます。  十月九日の土曜日でございますけれども、四時ごろに、小倉—博多間の北九州トンネル下り線を走行しておりました保守用確認車でございますけれども、これがトンネルの両サイドの壁、側壁といいますが、そこのコンクリートの一部が剥落しているのを発見いたしまして、このため小倉—博多間につきましては始発列車から運転を見合わせ、さらに六時十分には全区間において列車運転を見合わせましてトンネル点検を開始いたしました。  その後、その剥落しました箇所側壁コンクリートの打ち込み口と申しておりますが、これはトンネルをつくります際に上の方のアーチ型になっております部分、これを先につくりまして、その後に側の壁をつくるわけでございますけれども、その側の壁をできるだけ一体化させるために考案された工法でございまして、その工法によりまして、残りました突起状のものでございますが、その打ち込み口が落ちたということ。  それから、新大阪—広島間につきましては、同じ構造が存在しない、そういう工法をとっていなかったということでございまして、そのことがわかりましたものですから、新大阪—岡山間につきましては八時三十分に、岡山—広島間につきましては九時ちょうどに運転を再開いたしました。残る広島—博多間の同種の構造トンネルにつきましては、打ち込み口の点検を実施いたしまして必要なたたき落としを行いました。これは三カ所でございますが、たたき落としまして安全を確認しました上、十六時から運転を開始いたしました。  この事故原因につきましては現在調査中でございまして、詳細は今後の究明を待つ必要がございますけれども、今の時点では私どもとしては次のようなことではないかと推定をいたしております。  第一に、側壁コンクリートと打ち込み口に十分一体化していない不連続な面が比較的早い時期から形成されておりまして、その不連続な面にトンネル地山側からトンネル内側に向けて漏水が流れ込みまして、徐々にその不連続面拡大をしたということがございます。そうした劣化の拡大が徐々に進みまして、最終的に自重、みずからの重さ等によりまして落下に至ったものと推定をしております。この点につきましては、あくまでも現時点での推定でございますことを重ねて申し添えます。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 今回の事故におきまして、その再発防止に向けてどうした措置をとられたのか、また今後、トンネル構造物耐久性全般について抜本的な安全対策を講じていくことが必要だと思いますが、どのような対策をとられるのか、まとめてお伺いいたしたいと思います。  そして、そのためには新幹線を一定期間とめてでも徹底した検査をすべきとい意見がありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。  といいますのは、この六月の事故に関しまして、運輸省鉄道局長からJRに対して点検を指示しまして、この結果、措置が必要な箇所は十九カ所あったと。その十九カ所というのは、具体的にはコンクリートが必ずしも密にまじり合っていないジャンカという現象のところが十五カ所、漏水といが劣化している、これが三カ所、コンクリート壁面補修の鉄板がさびて塗装が必要である、これが一カ所であるというふうにさき国会でも報告されておるわけですが、この措置が必要な箇所という十九カ所はただいまお話がありましたコンクリートを注入する口の問題には触れていないわけです。  それから、このたびの東海村の事故でも痛感するわけでありますが、必ずしも科学技術庁行政と比較することはできないと思いますが、旧動燃等事故がありますと、対策をして大丈夫だ大丈夫だと言いながら次々に事故が起きる。起きた同種類の対策は行われておっても、ドラム缶が破裂したというようなことでその対策をやっておると、今度はウランの濃縮の工程でバケツでまぜ合わせておった、しかも量も何も関係なくまぜ合わせておった。こんな話が次々出てくるわけであります。  これは、先ほど新聞指摘してあるように、昔は日本大学工学部出技術者と、それから工業高校等を出たベテランの職員、さらには小学校出職員の本当に職人わざと言えるような経験に裏打ちされた技術、この両方が相まってうまく日本の高度な科学技術を支えてきた。ところが、だれもがみんな普通高校から大学へ行くようになりまして、そのような熟達した職人がいなくなってきたのではないか。そうすると、その少ない職人に任せておって、その報告を聞いて上の方が大丈夫だ大丈夫だと言ってまた同じ失敗を繰り返すということでは、何ら科学技術行政と変わらないのではないかというふうに思うわけでありますけれども、そのような観点から、今までの再発防止措置、今後の対応、また一定期間営業をとめる、原子力発電所もそうですが、とめるということは大変な決断が事業者として要るわけです。ましてやJRにおいてはお客さんがもう一年先、三カ月先までぎっしり詰まっておる、そのお客の予約をどうするかといったことまで含めて考えると頭が痛くなって夜中にやってしまおう、こういうことになりがちではないか。  しかし、先ほど申しましたように、一たん事故が起きたときのその反響といいますか影響たるやこれはもう大変なものがあるということからしますと、JRにつきましても、かつてJR東海が、東海新幹線がやりましたように一カ月に半日休んでこれを五年間続けて無事故神話をつくったというようなことも踏み切るべきではないかというふうにも思うわけでございますが、お話を聞かせていただきたいと思います。
  14. 金井耿

    参考人金井耿君) まずお尋ねの第一点目の再発防止に向けて今回どのような措置をとったのかという点でございますが、剥落箇所と同じ構造を持っておりますコンクリートの打ち込み口につきましてすべて点検をいたしまして、先ほど申し上げたとおり、不良箇所三カ所をハンマーによりましてたたき落としをいたしました。これは当日の運休中のことでございます。  それから、九日の夜及び十日の夜の二日間にわたりまして、山陽新幹線の全トンネル、百四十二カ所ございますが、これにつきまして漏水といなどの剥離落下のおそれがあるほかの設備につきましても点検を行いまして、特に問題がないことを確認いたしました。さらに、このコンクリートの打ち込み口につきましては、トンネル構造上からいえば特に必要なものではないということでございますので基本的にすべて除去することといたしまして、昨晩も試験を行っておりますが、現在最終的な施工方法詰め等を行っておるところでございます。また、昨日、運輸大臣から当社の社長に対しまして強い御指示がございましたトンネル関係設備の総点検を早急に実施したいというふうに考えております。  また、二番目の御質問でございます。抜本的にどういう対策をとっていくのかということでございます。  トンネル関係では福岡トンネル北九州トンネルと二回事故が起こっております。福岡トンネルの方の事故につきましては、既に申し上げておりますとおり、コールドジョイント部の総点検を行いまして必要な予防的措置を講ずるなどの対処をしてまいりました。この関係につきましては、運輸省トンネル安全問題検討会で現在原因究明、今後の対策等について御検討いただいておりまして、それらの成果を踏まえまして安全確保に最大限の努力をしてまいる所存でございます。  その他の部分につきましては、私どもとしては日常の保守点検によりまして安全を確保すべきものというふうに考えまして努力してまいりましたけれども、今回コンクリート打ち込み口の落下ということを未然に防止することができずに発生をいたしました。まことに申しわけなく思っております。今申し上げましたように、残ったコンクリート打ち込み口の安全は緊急に確認いたしましたけれども、今後、先ほど申し上げましたトンネル関係設備の総点検、これの実施結果を踏まえまして打音検査の対象をより明確に少し拡大してやっていくというようなことなど、新しい視点に立ちました検査を確実に実施し万全を期してまいりたいと思います。  それから三点目に、一度とめて徹底的に検査をしたらどうかという御指摘がございました。そのような御意見があることを私ども重々承知いたしておりますが、御承知のとおり新幹線につきましては、在来線と異なりまして毎日おおむね六時間程度の保守間合いが安定的に確保されております。これを最大限活用することによりまして、新しい視点に立った検査を実施することは可能であるというふうに考えております。  御指摘にもございましたように、山陽新幹線の場合、たくさんのお客様を輸送するという重要な使命を担っておることでもございまして、その点も考えあわせまして、今申し上げましたような方法によって必要な検査をできる限り漏れなくやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 松村龍二

    松村龍二君 繰り返して申しますが、今回の事故は生命、身体に直結しかねない安全にかかわる問題でありまして、そうした点からも国民の関心も非常に高い問題であります。こうした安全問題に関しては、事業者任せにせず、国民にかわって政府としてしっかりした対応をしていくことが強く求められる分野であります。  そこで、今回の事故を踏まえて、監督官庁である運輸省におきましてどういった措置を講じ、また今後の再発防止に向けてどういった対策をしていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  16. 安富正文

    説明員(安富正文君) 御指摘の点でございますが、運輸省では今回の事故に際しまして、事故当日、九州運輸局長からJR西日本に対しまして、早急な事故原因究明と具体的な再発防止策を講じてその結果を報告するよう警告書を発出したところでございます。  また、あわせて同日、鉄道局の方から各運輸局を通じて、ほかの鉄道事業者に対しても、今回の事故で発生したトンネル側壁コンクリート打ち込み口にある突起部と同様の箇所を抱えるものにつきまして緊急に安全点検を実施するよう指導しておりまして、その点検結果を十月末までに報告するよう措置しているところでございます。また同日、本省及び運輸局の担当官、それからトンネル安全問題検討会のメンバーである朝倉先生を現地に派遣して、状況をつぶさに見ていただきました。  運輸省としましては、今回のJR西日本のいろんな当面の措置を受けまして、トンネル剥落事故再発防止について、具体的な点検方法等の見直しを含めまして今後改めて総点検を実施するよう昨日大臣の方からも指示しておるところでございまして、厳正な指導を進めてまいりたいと思っております。  また、今回のトンネル事故も含めました今後のトンネルの保守管理のあり方につきましては、先般の福岡トンネル事故の際に設けましたトンネル安全問題検討会において現在検討を進めておりまして、今回の事故も含めてこれからトンネル安全対策全般について議論を深めていきまして、その結果を受けまして鉄道事業者を適切に指導監督するということで、鉄道の安全輸送に対する信頼回復に努めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 松村龍二

    松村龍二君 今回の事故は、バブル期で資材不足とかセメント不足とか人員の不足とか、そういう中で行われた、それから海砂をろくに塩抜きをしないで使ったということが指摘されておるわけであります。昨日伺ったところによりますと、橋梁については塩分がまじっていると鉄骨に影響があってよくないけれどもトンネルは鉄骨を使っていないので塩分は関係ないというようなお話もちょっと聞きまして、そうかなと。私は技術的には素人ですからその話を真に受けているわけですけれども、こういった問題がありますので国民の皆さんは心配しているわけです。  大臣は就任後の記者会見で、冒頭、安全がまず第一である旨御発言されておりまして、安全問題に対する思いは特に強いものと思います。また、こうした考え方から、御就任後、早速運輸省事故災害防止安全対策会議を設置されたとも伺っております。  本件に関し最後に、今回の事故は鉄道の安全にかかわる問題でありますから、安全対策に熱意を持って取り組まれようとしている大臣の決意、さらに先ほど申しましたように、状況によっては営業を停止してでも安全をチェックする、そして国民を安心させていただきたい、また万全の新幹線を構築していただきたい、こういうふうに思うわけですが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  18. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 松村先生から先ほどから御質問にありましたこと、一々ごもっともなことでありまして、お話にもありましたように、私も就任早々から運輸行政の最も重要な視点は安全の確保が第一であるということを内外に申し上げてまいりました。にもかかわらず、今日こうした新幹線に関する事故が頻発しておりますことに対し、心からおわびを申し上げたい、そういう気持ちを持っております。  先般の閣僚懇談会におきましても、運輸省の考え方を申し上げるとともに、昨日はJR西日本社長を招きまして、安全に対する、もう一度初心に返って対応してもらいたいということを厳重に申し入れました。そして、毎日列車を走らせる前に試験運転をいたしておるわけでございますが、その試験運転にもっと責任ある立場の人がこれに関与すること、そしてその点検の結果をこれまた本社の責任ある立場の人に報告、確認するというふうな作業を行ってもらいたい。あわせて、私どもはこれからのJR西日本に申し入れもしておりますし、JR西日本側も早速取り組もうとしておりますコンクリート打ち込み口の処置等につきまして、そのことの確認に私ども運輸省の専門家も現地に派遣するなどということを申し渡しておるところであります。  今お話しのように、一たん列車をとめて、運行をとめてといお話がございますが、これは利用者の利便という立場も考えなくてはなりませんが、同時に、今のところ六時間とい列車が全然走らない時間がございますので、この時間をフルに活用して昼夜兼行でまさに安全の確保のために対応してまいりたいというふうに考えております。  そして、先ほど局長からも申し上げましたように、トンネル安全問題検討会というのを既に設置してございますが、この検討会の報告は今年度末ということに相なっておりますが、それをさらに前倒しをして早急に結論を急ぐように指示しておるところであります。  また、昨日、たまたまでございますが、私の就任以来安全問題に対する運輸省挙げての組織の編成に取り組んでおりましたが、昨日その委員会を発足し、事務次官を議長とし、そしてきょうは第一回の会合を開く、このような対応をいたしております。我々、JR西日本あるいはまたその他のJR各社に安全の適切な指導監督を行っていくことは当然でありますが、運輸省自体も心を引き締めて国民の皆さんの安全輸送と信頼の回復に全力を尽くしたい、このように思っております。
  19. 松村龍二

    松村龍二君 この件についての御質問はこれで終わりたいと思いますが、先ほど申しました日経新聞のコラムを見ますと、「拙速工事で安全が犠牲になったのではという見方だ。その検証も不十分なまま景気対策で政治家が整備新幹線の建設促進を叫んでいる。民営化後も鉄道の安全性を監督する役所や政治の責任は残る。監督される側もする側もネジがゆるんでいないか。」、こんなコラムもあります。ただいまの事故再発防止ということと日本全体を大変活性化する新幹線を促進するということとは別の問題である。私ども地元北陸の方ではこの新幹線を渇望しておりますので、今後ともひとつよろしく大臣の御尽力を賜るようお願い申し上げます。  さて、それでは次に農水省にお伺いしたいと思います。  お米の問題についてお伺いしたいと思いますが、昨日もこの質問をする前に百科事典をいろいろひもといておりましたら、日本というのは西暦ゼロ年前後のころお米が入ってきて、天皇のいろんな行事も新嘗祭その他お米と密接な関係がある。また、徳川時代には大名の位は石高で示されたわけでもありますし、日本で一手にお米を商売として扱う大阪の堂島ですか、その他大変な役割をしてきた、こういうことであります。  戦中戦後の食糧難の時代、また戦後の増産の時代、食管制度が終わりまして、今は民がお米をつくる、自由にお米も売れるといったようなことになっておりまして、お米をめぐる問題というのはいかに管理することが大変かということを痛感するわけであります。昔は米が足りなくて高騰、あるいは高騰すると米騒動というようなものもあったわけでありまして、余っても困る、足りなくても困るといったのが米。  この問題を農水省、新たな時代に苦労して対応しておられる。新食糧法制度が始まりまして、やっておりましたら米が余った、価格がどこまで下落するかわからないということで二年間の緊急対策をいたしまして在庫を減らすということでどうにか落ちつけた。または、米の価格が低落した場合には八割生産者に補償しようというような大きな保険システムも生産者とともにつくるといったことで対応してこられているわけです。  そこで、二年間の緊急対策が終わりまして来年から新たな対応に入る。二年間で減反を強化いたしたわけでありまして、二年間の緊急対策が終わればもう大丈夫かと、またもとに戻るのかなと思っておりましたら、そうするわけにもいかないということでやはり米の生産を調整する。そのためには、麦や大豆をつくるというふうなことで対応しようというふうにお伺いするわけですが、これらの米の計画的生産、麦、大豆の本格的生産をどのように展開していくのか、この辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  まず大臣、もう大ベテランでございますので。
  20. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) このたび、農林水産大臣を拝命した玉沢徳一郎であります。よろしくお願い申し上げます。  ただいまのお話でありますが、今日まで二年間、過剰対策としまして緊急対策に取り組んできたところでございますが、その結果といたしまして、過剰傾向は解消されたかということになりますと、残念ながらまだ過剰傾向は解消されていない、こういう状況でございます。  それはこの二年間における豊作、また消費の減退、こういうことで在庫が適正在庫よりも六十万トンから七十万トン超えておる。こういう観点から、過剰在庫の解消としまして米の緊急需給安定対策を講じまして適正な在庫の状況にまず持っていく、これがなされなければならない、こう思います。また、こういう状況の中におきましては、今後とも米の生産調整はどうしても続けていかなければならない、こういう点があるわけであります。  したがって、この点に関しまして、今後米の生産調整の仕組みを抜本的に見直しをしながら需要に応じた米の計画的生産を推進する、同時に水田の有効活用、こういう観点から自給率の低い麦、大豆等についてその品質、生産性の向上を図りながら本格的な生産の定着、拡大を進める、こういう方向で対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  21. 松村龍二

    松村龍二君 麦や大豆をつくるといいましても、お米の場合は非常に安定して高収入である、麦というのがもともと乾燥した地域に適した作物であるといったことから、私の地元は福井ですけれども、なかなか安定したいい麦づくりに苦労しておるといったようなことであります。  そういう意味におきまして、麦や大豆を本格的な作物として水田でつくるということは難しい問題があろうかと思いますが、麦につきましては、実需者のニーズに応じた品種改良や栽培技術の改善などにより品質の向上、安定化を図り、国産の麦に対する需要を維持拡大していくことが基本的な課題であると考えるわけであります。  産地の生産・流通条件の整備などにより、良質な麦を安定的に供給できる生産地を育成していくことが重要であると考えるわけですけれども、良質な麦の生産に取り組む産地の体制整備に対する支援方策についてお伺いします。
  22. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) お話がございましたように、麦の生産を定着、拡大していく、なかなか全国一律ではございませんで、北の方と南の方では気候が、条件が違いますものですから課題が違うわけでございますが、それにしましても一番大事なのは、お話がございましたように実需者のニーズに対応したものが提供できなければやはり生産拡大は難しいということでございまして、例えば生産の形態でいきますと転作あるいは水田裏作、畑作、いろいろございます。  それから、今お話し申し上げましたように、寒冷でかつ積雪がある地域と、それから南の方では梅雨にかかります。したがいまして、わせを導入しないといけないとか課題が違うわけでございますので、そういう産地ごとに具体的な振興目標をつくっていただいて、それに応じた栽培マニュアルをつくるとか、それから取引に対応した供給体制をつくる、あるいは期間借地、それからお話がございましたリースを導入する等々あるわけでございますが、地域の課題を具体的に設定していただいて、それに見合った対応方針、それに見合うようないろんな支援措置ということが必要ではなかろうかと思っております。  そのためには、前提としまして、今進めております産地で関係者にみんな入っていただいて具体的な目標をつくる、その目標達成のためにどういう支援ができるか、そういう具体的な対応を行うということを重点的にやっていかなければならないと思っております。やはり全国一律ではなくて、地域の実情や産地の要請に応じたような対応ということでございますが、いずれにしても、消費者ニーズに対応した良質な麦を安定的に供給するために必要な支援ということが大事かと思っております。
  23. 松村龍二

    松村龍二君 次に、大豆についてお伺いしたいわけです。  国産大豆は、豆腐、納豆その他、外観、食味、風味がすぐれており、根強い需要がある。また、最近の外国のあれは遺伝子組みかえの食品が多いということでありますが、日本の場合はその点でも今まで信頼を持たれているということで根強い需要があるわけですが、作付面積が大きく変動することや安定生産技術が確立していないため単収変動が大きいということで供給量が不安定な状況にある。このことが実需者側が使いにくい原因になっておると言われております。  このような中で国産大豆の振興を図っていくためには、生産者及び生産者団体が実需者ニーズに沿った生産、販売を行うことを基本としながら、大豆に関連する施策を再構築していくことが必要でありますことから、先般、新たな大豆政策大綱を取りまとめたところであります。交付金を八千五百円ですか決めていただきまして、私どもの地元でもこれだけにしていただけばやる気が起きるというふうな話でございます。  国民全体の立場からすると、大量ロットで高品質の大豆がつくられるということは大切でありまして、そのようなことを奨励したいということにもなるわけですが、一面、減反をしながらやっている水田を持っている零細な農家からすると、ささやかに大豆をつくっても、ある程度助成金、交付金がしっかりあるということでありませんと、国全体として大豆や麦等を本作としてやっていくということにはならない。両面の難しい問題があろうかと思います。  今後の大豆の生産をどのようにしていくのか、大臣の見解をお伺いします。
  24. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 松村委員指摘のとおり、大豆は日本国民にとりましては非常に親しみのある主要農産物、主要穀物の一つである、こういうふうに私は考えております。したがいまして、今まではともすれば米の転作の一つとしまして行われてきた、しかしながら米が現在のような過剰な状況になってまいりますと、どうしても米にかわるものとしまして、それに見合った所得の得られるような作物を生産していくということが今問われておるわけです。  そういう中において、大豆は自給率は九%でありますけれども、ともすれば今までは全部まとめて、いいものも悪いものも合わせて平均価格が出まして、それに対して国が助成するということでございましたから、いいものをつくっても悪いものをつくっても大体所得は一緒である、こういうような位置づけでありました。  しかし、今、委員が御指摘になりましたように、国民の多くの消費者の皆さんは国産大豆を求めている、こういう傾向があります。したがいまして、そうしたニーズにもこたえるという上におきまして、意欲を持っていい大豆を生産する農家がその努力が報われるような、所得が得られるような政策というものを推進していくということが必要ではないか。  そういうことで今回の大豆政策大綱といいますものを作成したわけでありますけれども、これは、それぞれ銘柄ごとに一定した生産がなされて、そしてニーズが高いものであれば高く売れる、それによって農家の所得が向上してくる、こういうことをねらいとしておるわけでございまして、そういう観点からいいますならば、今回の処置は委員指摘のとおりの方向を目的とするものである。  今、大豆の自給率九%と言いましたが、これは麦の方でございまして、三%の自給率に訂正いたします。  そこで、一方、大豆を生産していく場合におきましては、価格が不安定な状況になりますことを生産者は一番心配しておると思うんです。そういう観点から、価格が下落した場合におきましても、それにこたえるための大豆作経営安定対策、生産者も拠出しまして政府も助成しまして基金をつくって、価格が下落した場合におきましてもこれを八割は補償する、こういうような対策を講じましてこの政策を展開していく、こういうことになったわけでございますので、この点を御理解賜りたい、このように思います。
  25. 松村龍二

    松村龍二君 最後に、米の関税措置あるいはミニマムアクセス米、今後のWTO交渉についてお伺いしたいわけです。  かつては日本もお米が不足状態のときはタイ米、中国米等を輸入していた時期があったというふうに聞くわけですが、戦後米の増産で自給が完全にできるようになったということで、外国のお米は一粒たりとも輸入しないとい国会決議が二回にわたって行われて、五年前ですか、ウルグアイ・ラウンドでそのことを突っぱねた結果、ミニマムアクセス米を入れることになった。そのミニマムアクセス米が半端な数ではない、四%から八%にふやしていかなければならないということから、現在七十万トン近い米を輸入している。  片方で減反を強制しながら、片方で七十万トンの米を輸入しておる。また、その米は国内の米市場には関係ないようにするからということでありますが、七十万トンも入ってくるお米が国産米に全然影響がないということは理屈上考えられないわけです。  そういうような中で御苦労されておるわけですが、米の関税措置への切りかえは、そのような立場を切りかえまして交渉のポジションを強化する、当面のミニマムアクセス負担も軽減するという観点から、本年四月、米の関税措置への切りかえに踏み切ったわけであります。国会におきましても、食糧法等関係法令の改正を行ったところであります。  この切りかえに当たりましては、諸外国からいろいろ文句が出たようでありますが、EU、豪州、アルゼンチン、ウルグアイの四カ国・地域は異議申し立てを行ったけれども、ウルグアイを除いては全部取り下げたということで、我が国の敢然とした対応が非常に適切であったというふうにも思うわけでございます。  しかし、依然として七十二万トンのミニマムアクセス米が頭の痛い問題であります。最近のミニマムアクセス米の販売動向がどのようになっているのかということも気になるところであります。引き続き政府として、ミニマムアクセス米の国内への影響を回避するためにいかなる対応をとるかお伺いしたいというような気持ちも持っているわけですが、時間が限られておりますので、まとめて御返事を賜れば幸いです。  そこで、次期WTO交渉方針についてお伺いしたいと思います。  いよいよ次期WTO交渉が来月三十日のシアトル閣僚会議で開始されます。輸出国側は当然、農産物について関税の大幅引き下げやアクセス枠の拡大を要求してくると思われます。一方、我が国は今後、新基本法のもとで自給率向上を図っていくこととしており、次期交渉においては輸出国側が要求するような関税引き下げやアクセス枠の拡大などを受け入れるわけにはいかないのであります。特に、我が国の主食であり基幹的農産物である米について、将来にわたって生産者が安心して営農に取り組んでいけるようにすることが必要であります。  ついては、関税率やアクセス枠について輸出国側の要求にどのように臨んでいこうとしているのか、米の次期交渉での取り扱い方針についての大臣の見解、御決意をお伺いしたいと思います。
  26. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) これは極めて重要な課題でございますので、先生方と一緒になって頑張ってまいりたい、こう思っておるわけであります。  御承知のとおり、WTOは貿易の自由化あるいはその拡大、こういうことを求めておるわけでございますけれども、やはり農業は単純に貿易上の理由だけで律するわけにはいかない、このように思っております。特に、世界の食糧事情がますます不安な状況になってまいりますときに、単に食糧の貿易を自由化すればいいということだけではこの状況に対応することはできない、このように思います。あくまでも食糧は自国の責任を持って安定的に供給するということを主体としなきゃいかぬのじゃないか。  そういう観点から、農業の持っておる役割、そういうものを強調しまして、我が国としましては、まずこのWTOに向かう姿勢としましては、農業の多面的機能の重要性、また食糧安全保障への配慮、さらにはまた輸出入国間の権利義務のバランスの回復、こうした点を主要点としまして交渉に臨んでまいりたい、こういうように考えておるわけであります。  また、先ほど申し上げました関税の引き下げの要求等があったわけでありますけれども、これはあくまでもウルグアイ・ラウンドの共通のルールに基づいてやっておるわけでございますので、いかなる国がそのような関税の引き下げを要求してまいったといたしましても、我々はルールに基づいて行ったものでありますから、現在、要求されましても応ずる考えはないということもあわせて申し上げたいと思います。  以上です。
  27. 松村龍二

    松村龍二君 ちょっと私の時間配分がまずくていろいろ御迷惑をおかけしたかと思いますが、いずれにいたしましても、日本の古来の伝統的な作物であり、我々最近食事が洋風化してきたとはいえ、砂漠の真ん中に飛行機が落ちておにぎりとパンがあれば、大概の日本人はおにぎりの方に手を伸ばすんじゃないかというふうに思うわけです。そしてまた、このお米が日本の農村を形づくっておる、また文化を形づくっておるという意味におきまして大変重要な問題であろうかと思います。  冒頭申し上げましたように、大阪の堂島でやっていたことを国が、農水省が知恵を絞ってやるわけですから、なかなか大変な難しい問題であり、また国のバックアップ、大蔵省といいましょうか財政的なバックアップもなければ解決しない。そしてまた、このたびのWTO交渉においては、さきの交渉は伺うところによるとちょっと力の入れ方が足りなかったというふうに思うわけですが、政党あるいは政府または生産者団体、これらが一致して力を合わせれば難局を打破できるのではないか。その先頭に玉沢大臣が立ってやっておられることも重々承知でございますので、今後ともぜひお力を賜りますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  28. 岩城光英

    ○岩城光英君 自由民主党の岩城光英です。  私は市長時代に、数年前ですが、アメリカとかヨーロッパ各国の行政の調査に参りました。主に環境政策や農業の振興策、そしてまた自転車を含めました都市交通対策、そして港湾の利活用、そういったものを学ばせていただきました。  もちろん、我が国とは歴史、伝統、文化、気候風土が違いますので、先進的な事例とはいいながらも、それをそのまま受け入れることはこれは妥当でない部分もあろうかと思いますが、いいところは工夫しながら取り入れていく必要があろうと思っております。そういった観点から幾つか質問をさせていただきます。  まず、農業体験学習についてでありますけれども、去る六月に生涯学習審議会において「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」というタイトルの答申がなされました。体験学習の大切さは言うまでもありませんが、先般は文部省に対しても質疑を行わせていただきました。  いろんな分野の学習がありますけれども、その中でも、とりわけ農業の体験学習は子供たちの生命力を強化し、また創造力や判断力さらに体力など総合的な能力を発達させるものであります。また、食糧の生産活動等に対する理解を深め、食の大切さを実感させることにもつながるものだと思っております。  フランスでは農業教育が活発に行われております。教育ファームというのがございます。普通の農家が子供たちに農場を開放して、そして家畜の世話や農作業を見学、体験させることで生きた教育を実践しておりますし、行政もさまざまな分野でそういった制度をバックアップしているわけであります。  現在、我が国におきましても全国各地でさまざまな農業体験学習に取り組み始めていることは非常に心強いことでありますが、まず第一の質問としまして、文部省との連携施策として、農水省が学校外を中心とした農業体験学習を目指した子ども長期自然体験村やあぜ道とせせらぎづくり、こういった事業に取り組まれていらっしゃるわけでありますが、その状況等につきましてお伺いをいたします。
  29. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 私の方からお答えを申し上げます。  まず、先生お話がございましたように、農業体験を子供たちがするということは、次の時代を担う子供たちが農業農村の果たしている役割を正しく理解してもらう絶好の機会であるという点と、それから子供たちに対しての教育という面では、生き物や農村、自然、そういうものと触れ合うということで食べ物をつくり育てる喜びを学んで、そういうものを大切にしていく心を養う、そういう点はおっしゃるとおりでございまして、それは私どもと文部省さんと考え方が一致をいたしまして、昨年の秋に両省の大臣のリーダーシップのもとに、これからいろんな面で連携をとりながらやっていこうじゃないかということが、御指摘のように連携して推進しようということに結びついたわけでございます。  それは、主として両省の合意をしましたものは基本的方針ということでペーパーになっておりますが、概要を簡単に御説明しますと、一つは学校外を中心としたそういう体験学習をどうやって連携していくか。それから、学校教育の場でどういうふうに連携をしていくかという点が二点目でございます。それからもう一つは、やや年齢が上がりました青年農業者などにつきましてどういう連携をとっていくかということが中心になっていくわけでございます。  御質問がございましたのは、どちらかというとやや年齢の低い方の子供たちのことではなかろうかと思いますが、特徴的な点を御紹介しますと、大体学校の外での取り組みを中心にお話を申し上げますと、子供会やPTA等の、グループといいますか、そういう組織が学校外へ出ていろいろ勉強されるというときに農業サイドで受け入れの体制を整備するということになるわけでございます。大別をいたしますと、農業サイドでは、どちらかというとそういう学習の場の企画とか、それから条件整備、例えばおっしゃいましたせせらぎの場ですか、そういうものを整備するというような条件整備、つまり場の設定というものに力を入れて対応しようじゃないか。それから、文部省さんの方では、子供たちがそういうものに参加をできるように、できるだけ参加の機会をつくるということで両省で一緒にやっていこうということになっているわけでございます。  個別に御紹介しますと、学校農園を設置するというだけではなくて、そこに農家の方が来ていろいろお手伝いをして手ほどきする、例えばそういうケースがございます。それから、授業の中で実際に、学校でも勉強するし、出かけてみようじゃないか、授業の中で取り入れて学習してみようじゃないかと。それから、もっとやや発展をしまして、もう圃場へ行ってそこで実際につくってみる、植えてみる、収穫をしてみる、そういうところに実際対応しておられる農家の方が手ほどきをされたりアドバイスをしたり管理等々のお手伝いをされる、さまざまな取り組みがございます。  農林水産省が調査しましたものを一つだけ最後に御紹介しておきたいと思いますけれども、県庁所在地の小中学校を対象にアンケート調査したものがございます。これでは、七四%ほどの小学校、三〇%ほどの中学校がこういう農業体験学習に取り組んでいるという状況にございまして、国だけではございませんで、県あるいは市町村レベルの農業行政に携わる関係者と教育行政に携わる関係者がよくよく連携をとってさらに進めていきたいと思っております。
  30. 岩城光英

    ○岩城光英君 農業につきましての学習についていろいろ御説明いただきましたが、例えば水産業とか林業の分野では具体的にどういったプランをお持ちでしょうか。
  31. 中須勇雄

    説明員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、水産の分野におきましても沿岸漁業就業者の数の減少あるいは高齢化というものが進んでおりまして、若い方々に漁業に参加をしていただく、大変重要な課題でございます。  こういった観点から、沿岸漁業担い手活動促進事業というものの一環といたしまして、県の水産当局と市町村の教育委員会とが連携をいたしまして、少年水産教室というような形で若い小中学生を中心として漁業の実体験をしていただく、こういうような試みを今支援しているところであります。  具体的には、水産業の概要の学習のほかに栽培センター等で稚魚の飼育とか放流の体験を行う、あるいは漁業者とか漁協の職員に御協力をいただきまして定置網とか地びき網の実習をする、こういうような形で進めておりまして、昨年度全国で約八千名の小中学生に参加をいただきました。さらに、今年度も一万人規模で実施をしたいというふうに思っております。  そういうような機会を通じて漁業に親しんでいただくと同時に、後継者づくりというかそういうものに努力をしていきたいというふうに思っております。
  32. 伴次雄

    説明員(伴次雄君) 本問題につきましては、森林それから林業分野におきまして以前から緑の少年団という格好で、全国で四千の少年団があります。人数で三十一万人が参加しているということで、そういうものを中心に実は進めてまいった次第でございます。  このほかに、森林教室という格好で、営林署の人やらそれからその県の人が森林教室を開くということで、年間大体千数百回開催したような状況でございます。  今後、文部省と連携をして、いわゆる森の子くらぶということで、森林の手入れやら木工教室やら、そういうものを平成十一年度から始めておるような状況にありますし、もう一方で、指導者が必要だということで、今、実は森林につきましては森林インストラクターというような制度がありまして、八百名程度の専門家がいるような状況でありますけれども、さらに学校の先生方に森林につきましての研修を行うというような格好で、両面から進めておるような状況でございます。
  33. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございます。引き続きその充実を図っていただきたいと存じます。  今、学校の先生方のお話が出ましたが、子供たちだけでなく、その子供たちを指導する先生方に農業あるいは林業、水産業に理解いただくことも非常に大事なことだと思っております。ですから、実際に農業とか林業、水産業に携わっている方々に学校に来ていただいて、教員も含めて子供たちに指導していただく、こういったこともぜひ考えていただきたいと思っております。  そこで、この質問の最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣は農政の実力者としまして農業関係者から大いにその手腕が期待されていらっしゃるわけでありますが、農業の教育、農業の体験学習につきまして、大臣のお考えをお伺いいたします。
  34. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 私は、私自身も農林水産業の地域から生をうけて育ってきた者でございますが、今委員がおっしゃられました農業ばかりでなく林業、漁業、それぞれ体験学習をするということは非常に教育上大事なことだ、こう思います。  特に、よく自然との触れ合いということを言うわけでありますけれども、我々人間は自然の恵みの中に生かされているということ、それを実感していくということがこういう体験学習の中で子供さんたちによく理解されるということが大事だ、こう思うわけでございまして、やはり学校の勉強だけではなくして、体験教育というものは自然との触れ合いということがいかに大事であるか、これは強調しても強調し切れないものがある、こう思います。  そういう観点から、今後とも中曽根文部大臣ともよく相談しつつ、体験学習の一層の取り組みの強化を進めてまいりたい、このように考えております。
  35. 岩城光英

    ○岩城光英君 心身ともにたくましい子供たちを育成するためにもぜひとも取り組みをお願いしたいと存じます。  次に、体験学習にも関連しますが、グリーンツーリズムについての質問をさせていただきます。  私も実際ドイツのバイエルン州というところの農家の民家に泊まってまいりました。その農村で地域挙げての振興策につなげていこうというさまざまな試みがなされておりますし、これも行政からのいろんなバックアップがあるようでありました。  いずれにいたしましても、農山村の自然保護あるいは農業農山村の振興といった意味からこれから取り組むべき課題だと思っておりますし、さらに都会の人々との交流により、農村に住んでいる方々が自分たちの仕事あるいは地域に誇りを持つ、こういうことも大切になってくるのかなと思っております。  平成七年に農山漁村滞在型余暇活動促進法、これが施行されまして、農林漁業体験民宿登録制度がスタートし、現在、各市町村においてその取り組みがなされております。私が市長を務めておりましたいわき市でも、平成六年にこのモデル整備構想策定地区としての指定を受けまして、以来、整備構想の策定やさらには体験ツアー、こういったものの実施等に取り組んでまいりました。  ただ、非常に残念なのは、あの広いいわき市の中で登録しているのがたった二軒なんです。これはいろんな問題があるかと思います。全国的に見ましても七百五十軒程度の登録でありまして、やはり既設の民宿とかあるいは公的施設が登録しているというのがほとんどのようであります。そういった背景を考えてみますと、登録をするための法的な規制、また事前の改装、それから改築、そういったことが必要でありますので、農家側の取り組みが難しい面もあろうかと思います。  そういったことからちょっとお伺いしますけれども、現在、このグリーンツーリズムの全国での取り組みの現状と問題点、それから今後の課題等につきましてどのようにおとらえでしょうか、お伺いいたします。
  36. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 現状と問題点ということでございますけれども、この五、六年、状況は非常に上昇といいますかいい方向には向いております。総理府あるいは国土庁のどの調査を拝見いたしましても、農村に出かけるチャンスが欲しい、出かけたい、あるいは農村に住みたいという方が五割、六割という高い率でアンケートに答えていらっしゃいます。おっしゃいましたように、国民の健康でゆとりのある生活という点にも寄与いたしますし、それから農村における就業機会、所得機会の向上にもつながるわけでございます。  現況でございますけれども、この五、六年、地域の共通のコンセプトといいますか、グリーンツーリズムの整備構想を樹立いたしました市町村の数が三百六、それから農業構造改善事業を通じまして交流施設を整備いたしました数が二百十八。こういったことの活動を通じまして、一地区当たりの状況で見ますと、この施設整備なり整備構想をする前の交流人口が一カ所当たり四、五万人というところでありましたけれども、現況は二十六万人というところまで増加をいたしております。  傾向としてはそういう方向にあるわけでございますけれども、今先生の御指摘がありましたように、体験民宿が少ない、まだやや停滞ぎみであるというところにもございます。その背景といたしまして、一つは国民の間に長い休暇をとるという習慣がまだ定着していない。それからもう一つ、これは残念なことでありますけれども、情報に対するアクセスが必ずしも十分でない、もちろん本を出したりホームページを開いたりはしておるのでございますけれども、まだまだアクセスが十分でない。そして、農家民宿の例に見られますようにノウハウが確立していないという点が非常に大きな問題としてございます。  これからの方向として、例えば二〇〇二年には小中学校が完全週休二日制にもなりますし、やはり家族で楽しめる時代がやってきたのだろうと思いますので、今申し上げましたような問題点を一つ一つクリアしながら、そういった方向に向けましてグリーンツーリズムの普及、定着に努力をいたしたいと考えております。
  37. 岩城光英

    ○岩城光英君 こういった登録をしてみたいという農家はあるんです。  実は、夏休みになりますと田舎には都会から兄弟や親戚の方々が泊まりに来て、結構長い期間家族でお世話になっております。友人関係の方々をお連れになって泊まることは間々あります。そういった延長上でとらえていただけるのなら決して難しい話ではないわけでありますけれども、現実的にはトイレ、ふろの整備や何かで三百万から五百万かかるというのが試算の結果でございます。これはやはり旅館業法や建築基準法あるいは消防法、そういった法的規制がネックになっていることは事実であろうと思います。  そこで、全国的にもっともっと広がりを見せるためにも法的な規制を極力行わず、主体的な取り組みができるよう規制緩和措置関係省庁と協議しながら講じていただきたい、こう思っておりますし、また先ほども申し上げましたとおり、農村で生活することを誇りに思えるような、そういった農家滞在型の運動が推進できる施策もあわせて御検討いただきたいと思っておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  38. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 国民の皆さんが農村で生活をしたい、また長期滞在をしながら心身をいやしてまいりたい、こういう要望がたくさんあることは委員指摘のとおりでございます。  そういう中におきまして、グリーンツーリズムを推進していく上におきまして、民宿をつくる場合にいろいろな規制があるということで規制緩和をすべきではないかという御意見であったわけでありますけれども、ただグリーンツーリズムを推進するということは大事なことでありますが、観光客といいますか滞在する人を宿泊せしめるわけでございますから、やはりそういう場合におきましては、民宿でありましても旅客の生命、それから身体の安全性を確保するということは大事だと思うんです。  そういう観点から旅館業法、建築基準法等の規制があるわけでありますから、安全を期すという観点からいいますならば、すべて規制を緩和するということだけではなくして、やはり安全を期すための法律にのっとってやっていくということが大事なことじゃないかな、こう私は思います。
  39. 岩城光英

    ○岩城光英君 もちろんおっしゃるとおりでありまして、安全が一番大切なことであります。したがいまして、そういったことでありますならば、例えばもっと強力な助成策を講じるとか、そういったことも今後御検討いただければと思っております。  次に、運輸省の方に質問をさせていただきます。  ただいまのグリーンツーリズムにも関連するわけでありますが、観光の振興ということについて若干御質問をさせていただきます。  観光事業は、地域の文化、経済活動の活性化につながり、雇用はもちろんのこと、地域の振興、国際交流に大きく影響する事業であります。また、交流人口が増大するということは、グリーンツーリズムでも話がありましたけれども、観光産業以外の幅広い産業にも波及効果があるわけであります。  運輸省におかれましては、最近はウエルカムプラン21のもと、外客来訪促進地域の整備や宣伝など観光振興のためのさまざまな施策を講じていらっしゃいます。  このたび新しく運輸大臣の重責を担われます二階大臣は、先日の就任時の記者会見で、海外からの観光客数が日本からの観光客数に比べ四分の一であるという御指摘をされまして、そのギャップを埋めることが必要であるといお話をなされましたし、また国内観光の振興についても力を注ぐ、こういった御決意をいただいておるわけであります。  大臣は全国旅行業協会の会長も務めていらっしゃいまして、まさに観光政策のエキスパートでもあります。大臣の観光振興についての御所見を初めにお伺いさせていただきます。
  40. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 岩城議員にお答えをいたします。  御指摘のように、観光は我が国の産業の中でも極めて重要な産業であると同時に、運輸省としましても今後最も力を尽くしていくべき分野の一つだというふうに考えております。  観光の経済効果は、現在のところ約二十兆円規模に成長してまいりました。お話のように、波及効果等、他の分野を含めますと五十兆円規模に上るいわゆる巨大マーケットの種類になってございます。国民の消費需要を喚起し、景気浮揚や雇用の創出を図っていく上でも観光振興は極めて重要な産業だという位置づけをいたしております。  お話しのとおり、外国からの観光客はわずかに四百万人で、世界的には三十二番目に位置しております。経済の規模等を考え、他の分野における我が国の存在からいたしますと、三十二番目という数字は極めて寂しい数字だというふうに思っております。  それは、お話のように、いわゆる日本から海外に出ていく人が毎年千六百万人、海外から日本にお越しになる方々が四百万人。そのアンバランスは、黒字減らしということがよく叫ばれたときには、観光だけはこういう全くの赤字になっていることで、これでいいんだというふうな式の風潮がずっと流れておったことは事実であります。  しかし、今日、日本のこの不況から脱却していくためにも、観光の分野、国際観光においても一段と頑張っていかなくてはならない。しかも、今四百万人の訪日観光客のおかげをもってホテル業等が今日の景気低迷の中においてもどうにかしのいでおるというのは、外国人観光客の来訪であります。したがいまして、それらを考えますと、私はこの四百万人を倍増するという方針でこれから努力をしてまいらなくてはならないと思います。  今、議員も仰せのとおり、運輸省としましてもウエルカムプラン21などという海外キャンペーンを展開し、同時に最近はインターネットを通じた英語による情報提供等の基盤整備も進めてございます。  また国内的には、先般、議員各位にお世話になりました祝日三連休化の法律もいよいよ来年からの実施がなされるわけでありますが、もう既にことしに入りまして先般の土日月、それから四月にもありました土日月、これが偶然祝日三連休になっております。一方で祝日三連休の宣伝がなされておりますので、あのことが法律に決められた祝日三連休かというふうな感じも持って、早くも法律の実施よりも前倒しで三連休の効果が上がってございます。  そこで、先ほど来の御議論の中にもありましたが、これからは公立の小中学校、いわゆる子供たち、家族一体となって休暇を楽しむことができますように、第一土曜日の休日化に向けて、これまた文部省にも働きかけてまいりたいと思っております。  また、政府全体といたしましても、一回当たりの平均の宿泊日数を一・六日から二日に拡大しようということでありますので、旅行期間の長期化に向けた取り組みを今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  41. 岩城光英

    ○岩城光英君 関連しまして、公的宿泊施設について触れさせていただきますが、先般、平成九年度の会計検査報告におきまして衆議院決算行政監視委員会の要請のもと公的宿泊施設の現状分析がなされ、そのあり方についていろいろ議論されてまいりました。これらの事業は、戦後の福祉娯楽施設の少なかった時代に国民の福利厚生に役立てる、そういった目的のもとに進められてきたという経緯があるわけでありますが、現在の我が国においてはその意義が薄らいでいるのではないか、こんなふうに思われます。よく例に挙げられますコンパニオンの問題とか、それから料金の設定の問題、こういった現状を見ますと方向性が違っていると言わざるを得ません。充実したサービスは民間に任せて、民間では担い切れない他の部分において新しい存在意義を見出すことが必要ではないかなと思っております。  大臣お話にもありましたとおり、日本におきまして、観光それから旅行とか余暇の過ごし方、そういったライフスタイルが変わりつつあります。そういった時代の要請に合ったものをこれからの行政が提言していきながら提案していく、こういったことも必要ではないかなと思っております。  私も市長時代にオートキャンプ場の建設を計画いたしました。これも少し前まではほんの一部の人しか楽しんでいなかったわけでありますが、今では気軽に楽しめるアウトドアとして多くの方に定着しつつあります。公共の機関が新しい余暇の過ごし方を提案し、国民に提供していくというのも時には必要ではないかと思っております。  そういう意味で、本来の意義に即した公的宿泊施設の新しい活用法が生まれてくる可能性があるのではないか、こんなふうに考えておりますが、観光政策全般の中でのこういった公的宿泊施設を含めまして国や地方自治体が果たす役割、こういった点につきまして大臣のお考えをお示し願います。
  42. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 観光サービスの提供につきましては、基本的に議員御指摘のように民間に任せるべきだというふうに考えております。  その御指摘はもっともだと思いますが、国際観光の振興や広域的な観光振興については、これは国が積極的に観光振興政策を推進していく必要があると考えております。観光基盤施設の整備につきましても、民間が整備を行うことができないような施設が観光振興にぜひとも必要な場合は、国や地方自治体も整備を進めていく必要があると考えております。  先ほどお話しのオートキャンプ場等の整備などにつきましては、地方公共団体等が中心になっておやりになっておりますが、大変盛んになっております。家族ぐるみでキャンプを楽しむということがもう日常化されてきております。大変うれしいこと、喜ばしいことだというふうに思っております。  そこで、公的宿泊施設の問題についてのお話がございましたが、その設置目的からいいまして、民間のホテル、旅館とは性格をおのずから異にしているはずであります。そのために国の助成等も行っておるわけでありますから、民業との間においてトラブル等が生じないように、当該施設につきましてはその設置目的に応じた適切な運営が行われるべきだというふうに考えております。
  43. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございました。  次に、港湾整備の促進についてお伺いいたします。  いわき市には重要港湾、小名浜港というのがありまして、この港を利用しまして貿易の拡大また内国貨物の流通活性化を積極的に推進しまして、背後圏を含む地域経済の振興を図るために私も努力してきたつもりでございます。  その一環としまして外貿コンテナ航路、この開設を目指してシンガポールや香港、上海という港に行ってまいりました。そこでびっくりしましたのは、港づくりがすごいペースで進んでいるということであります。どの港も、外国のほかの港と自分の港を結ぶことを大切な戦略としまして、世界の物流センターに成長しようとバースの増設やソフトやサービス面での充実、こういったものに努めておられました。国家戦略として港湾整備にも力を注いでいるわけでありますが、それに対しまして我が国の現状はもう御存じのとおりであります。  これから二十一世紀社会を迎えるに当たりまして、限られた予算の中でありますが、港湾の整備につきましてどのように運輸省として取り組んでいかれるのか、大臣の御所見をお伺いいたします。
  44. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今後の港湾建設につきましてまことに的を射た御指摘、同時に運輸省港湾行政につきましての激励をちょうだいしまして感謝いたします。  お話しのように、これから我が国の港湾整備において考えていかなくてはならないことは、物流のコスト制限による産業競争力の強化という問題であります。議員御案内のように、輸出入の物資の九九・八%を港湾が取り扱っておるわけであります。  そうした面からいたしまして、今後運輸省におきましては中枢、中核の国際港湾における整備を重点的に推進してまいりたい。十二年度内にはアジアの主要コンテナ港と並ぶ水深十五メートル級の高規格コンテナターミナル十四バースを中枢港湾で供用を予定いたしております。東京だとか横浜だとか名古屋、大阪、神戸等であります。  今後私たちが考えていかなくちゃならないことは、ただいま港湾に対していろんな内外の御批判を受けていることも承知いたしております。つまり、透明性の確保に留意しながら、限られた公共事業予算の中で効果的、効率的な実施を図ってまいる、コストの縮減を図る、国家プロジェクトである中枢、中核港湾への投資の重点化、先ほど申し上げたとおりでありますが、事業採択段階での費用対効果の分析、さらに事業採択後における再評価の実施等の諸施策に取り組んでまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、今後、国と地方の役割の分担を見直す、さらに産業競争力の強化を支えるための物流コストを削減するための港湾の建設に一層努力をする、さらに二十一世紀を展望した新たな環境と生活空間を創造する。  少し具体的に申し上げれば、新たな環境と生活空間の創造とは、過去の開発等で失われた干潟あるいは藻場、約四千八百ヘクタールございますが、平成十四年度までに約六百ヘクタール、一二%を回復する予定であります。さらに、深刻なごみ処分問題に対応するために、廃棄物の海面処理場の整備の推進等も念頭に入れて対応してまいりたいと思っております。
  45. 岩城光英

    ○岩城光英君 港湾の整備を進める上で一番大切な基本的なものは、やっぱり国民の理解を得ることだと思っております。  ところが残念なことに、高速道路ですとだれもが完成しますと利用できますからその利便性がわかるわけでありますが、防波堤とかは目に見えない部分での工事が多いですし、ほとんどの方がこれは利用できないわけであります。そういう意味ですから、なおさらPRが大切だと思っております。私も、福島県の内陸部の市長に小名浜の港の大切さを理解してもらうためにわざわざいろんな会合を小名浜で、あるいは船の上でやったり、そういった努力をしてまいりました。  地味な努力が、もちろん運輸省でやられていらっしゃると思いますけれども、こういった幅広いPRにこれまで以上に努めていただきたい、こんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  46. 川嶋康宏

    説明員(川嶋康宏君) 先生指摘のように、港湾の重要性について広く国民の皆様方に御理解をいただくということが非常に重要なことだというふうに考えております。たまたまことしの八月は一九九九年の八月ということで、先ほど大臣が申し上げましたが、港の外貿貨物の取扱量は日本全体の九九・八%を扱っているということで、ことしの八月にはそういう時期もあわせて大キャンペーンを張ったところでございます。  私どもは、港の重要性につきまして港湾管理者の皆様あるいは関係団体とも協議をいたしながら関係の各種のパンフレット、それから物語風の漫画等も作成をいたしましたり、あるいは広報ビデオを作成いたしまして、関係機関あるいは小中学校等の教育機関、図書館等にも配付をして皆様方に読んでいただいているところでございます。また、将来を担います子供さん方に港湾の重要性というものを理解していただくために親子の港の見学会というようなものも催しまして、皆様方に港の理解を深めていただくように努力しております。  いずれにしましても、さらにこの広報活動の内容充実に努めまして、皆様方に理解を深めていただくようにしてまいりたいというように考えております。
  47. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) つけ加えて一言だけ申し上げておきたいと思いますが、先ほど議員のお話の中にもありましたように、いわゆるシンガポール等の状況等を見ておりますと、我が国の港湾の整備とかなり差があるということを率直に認めざるを得ないと思います。  そのために、私どもも財政当局ともいろいろ議論をするわけでありますが、今、日本経済の状況等を考えますと、すぐ港湾からたくさんの貨物を海外に出し、また海外からもたくさんの輸入を求めるというふうな事情には経済的に環境が立ち至っていないとい指摘をされる場合があるわけでありますが、先ほどからも御経験に基づいた岩城委員の御質問の中にもありましたように、港湾というのは三年度とか五年度とかという、そういう期間ででき上がるものではありません。御承知のとおり、構想を立ててから完成するまで十年も二十年もかかる場合があるわけです。  その長期的な視野に立って、国のために国家プロジェクトとして中枢港湾の重要性ということをぜひ多くの国民の皆さんに御認識いただいて、そして港湾こそ先ほども申し上げましたように国の産業の中心であるということを御理解いただくようにしたい。そして、次の時代の方々にも御理解をいただくためには、修学旅行等においても私は港湾の現場も見ていただけるような、そういう港湾にしていかなくてはならない、諸準備を進めてまいりたい、それも考えているところでございます。つけ加えておきたいと思います。
  48. 岩城光英

    ○岩城光英君 力強いお話ありがとうございました。ぜひとも一層の取り組みをお願いしたいと存じます。  次に、地方の交通システムについてお伺いをいたします。  公共交通機関のアクセスが不便な地方の都市におきましては、一家に複数の自動車があるということはもう当たり前であります。それが交通渋滞あるいは地球温暖化対策上いろんな問題を及ぼしているわけであります。私もドイツとかほかの都市も見てまいりましたけれども、市街地になるべく車を入れないようにする、こういった政策がとられております。我が国におきましても地方自治体においてノーマイカーデーなどさまざまな試み、あるいはパーク・アンド・ライドやトランジットモールなどの試みがなされるようになってまいりましたし、バスなども例えば低床式バスの導入等いろんなことに取り組んでおられます。これから公共交通機関をどう生かしていくか、重要な課題だと思っております。  運輸省あるいは建設省におかれましても路面電車等に対する支援策を講じていらっしゃいますが、今後、地方自治体がいろんな自主的な取り組み、例えば路面電車やバス、そしてライトレールトランジットですか、こういったものも含めまして導入を検討して試行錯誤しているわけでありますが、地方自治体の取り組みはもちろん基本でありますけれども、地方都市圏のこういった新しい交通体系の構築に国としてはどう地方をリードし取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
  49. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 地方都市においてのマイカーの分担率が大変高くなっておりますが、鉄軌道、バスといった公共交通機関を整備することは、サービス改善を図りその利用を促進していくことがマイカーと公共交通機関のバランスのとれた交通体系を確立していくという上で極めて重要なものだと認識いたしております。  このため、御指摘にありましたように、運輸省としましては従来より鉄道駅の整備あるいは超低床式路面電車の導入、コミュニティーバスの導入等に対し所要の支援措置を講じているところでありますが、今後とも関係自治体と連携を密にしまして公共交通機関の整備に一層努力をしてまいりたいと考えております。
  50. 岩城光英

    ○岩城光英君 ただいまの話に関連するわけでありますが、地方での、都会でもそうかもわかりませんけれども交通体系の構築にこれから自転車の果たす役割も非常に重要になってくるものと私は思っております。これもいろんな効用があるわけでありますが、中心市街地の空洞化対策から、交通渋滞をなくす、あるいは地球環境問題、そして何よりも健康の増進に役立つという効用もあるわけであります。交通体系の中での主要な交通手段の一つとして利用促進が求められております。  イギリスでは、一九九六年に国家自転車戦略を定めまして、自転車は周辺交通手段ではなく公共交通機関などと並ぶ中心的機関、このように位置づけまして、自転車交通施策を伴わない新たな交通計画は一切認められない、このようにされております。アメリカやデンマーク、オランダ、ドイツ、フランスなどでも、それぞれ自転車を生かした交通体系、交通政策を進めております。  しかしながら、我が国におきましては、そういった総合的な交通体系の中、自転車がどのように位置づけられてきたでありましょうか。運輸政策審議会がこれまで出されました答申を見てみますと、昭和四十六年の答申には自転車については何も触れられておりません。昭和五十六年に放置自転車が問題になり、自転車利用の秩序化が必要であり、そのための施策は原則として公的に行っていくことが必要である、こうされております。また、平成三年には、「地方公共団体によってパーク・アンド・ライド等のための駐車場等の設備及び駐輪場が整備されることが望ましい。」、このようにされているわけでありますが、こういった答申の中では総合交通体系の中の自転車の位置づけは明確になっておりません。  ちなみに、昨年三月に閣議決定されました新しい全国総合開発計画において、初めて徒歩、自転車利用促進のための質の高いネットワーク化された歩道、自転車道、駐輪場の整備、こういったものが盛り込まれるようになりました。  これまでの自転車問題は、放置自転車の問題が大きなウエートを占めてきましたが、これからは交通体系の中に自転車をどう組み込んで活用していくかを国民全体のレベルのもと、大きなビジョンで考えていかなければいけないと思っております。  そこで、運輸省は、去る五月二十日に、運輸政策審議会に対しまして二十一世紀初頭における総合的な交通政策の基本的方向について諮問され、その中で主要検討テーマ具体例として、環境負荷の少ない交通体系の構築、例えば交通モードとしての自転車の活用、こういったことも挙げられているわけであります。来年平成十二年の秋ごろには答申がなされるとお伺いしております。  また、平成十三年一月からは国土交通省として新たに発足されるわけでありますけれども、こういった審議会での審議等を踏まえるわけでありますが、総合交通体系の中で、あるいは交通政策の中で自転車をどう位置づけされようとしておられるのか、現在のお考えを大臣にお伺いいたします。
  51. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 自転車の活用につきまして、御経験から御指摘をいただきまして、私としましても大変我が意を得たりという気持ちをいたしております。  私は、昭和四十五年か六年ぐらいであったかと思いますが、自転車道路法が制定されたときのいきさつに多少かかわり合いを持っておりました関係で、その後自転車がどのように進展していくかというのを注意深く見守っておりました。そのときの記念的な意味で太平洋沿岸自転車道路というものが制定されまして、千葉県の銚子から和歌山県の加太に至るまで、延長千二百キロメートルの自転車専用道路の建設が、今建設省の手によって進められております。もう三分の一ぐらいでき上がったかなとい感じがいたしておりますが、改めて建設省とよく御相談をしてまいりたいと思っております。  お話しのように自転車は、健康の上におきましても、あるいは公害という面におきましても、あるいはまたスポーツという点からいたしましても大変費用のかからないスポーツ、自転車で家族がずっと列をなしてお弁当を持って遠足のような形でサイクリングを楽しむなどというのも、これは健康や家庭の交流の上にまことにいい効果をもたらすものでほとんどお金がかからない、そういう意味で大いに推奨すべきでありますが、今、議員からは、これを交通政策として改めて考えてはどうかという御指摘であったかと思います。  もとより、さきの法律を制定するときのいきさつからいたしましても、中小企業の皆さんのいわゆる経営、事業を営んでいく上において自転車は欠くことのできない存在であった時代があったわけであります。最近、これが車に取ってかわられたというふうなことがありますが、環境の問題、健康の問題等が重要視される時代になって再び自転車が今見直されようといたしております。  こうしたときでありますので、今後、御指摘にもありましたように国土交通という立場に相なりますと、建設省と運輸省が力を合わせて自転車の総合交通体系の中における位置づけをしっかりしていく、同時に自転車の専用道路の建設にも一層力を入れていくというふうにいたしたいと思っております。  今、念のために、建設省において行われております自転車事業、平成十一年度におきまして、自転車道、自転車歩行者道路、自転車歩行者専用道路等を集計いたしますと、事業費で一千百九億円であります。四百四キロメートルの規模で整備が行われておる状況であります。やがてこれらの問題については、目標等を設定するようなことも考えてきちっとして進めてまいりたいと思っております。
  52. 岩城光英

    ○岩城光英君 自転車の利用を促進するといった観点からの質問ですが、近年まで自転車通勤の手当、これはマイカー通勤と一緒にくくられることが多かったわけでありますが、最近は徒歩とか自転車の通勤を別途に定める企業、機関等がふえてきております。これだけにとどまらず、補助等も視野に入れまして、もっと自転車あるいは徒歩の通勤を奨励するような制度を策定すべきだと私は考えております。  そこで、質問につきましては、運輸省で観光地を対象としまして鉄道車両内への自転車持ち込みモデル事業を実施されておられますが、その成果はいかがなものでしょうか。また、あわせまして、鉄道車両への自転車持ち込み、これを通勤に利用することも考えていく必要があろうと思っておりますが、その点につきましておただしをいたします。
  53. 羽生次郎

    説明員(羽生次郎君) 先生指摘がございましたように、平成十年度におきましてJR北海道、富士急、JR四国等四事業者を対象に余裕のある鉄道車両のスペースを利用して自転車持ち込みに関するモデル事業ということを行いまして、延べ二千百九十七台の持ち込みがございました。  モデル事業の結果わかったことは、ホームと列車との間に段差があって載せにくい、あるいは改札口が狭く自転車を通しにくい等の指摘がございます。この辺はまた改善していかなければならない点でございますが、十一年度においても、引き続きこの自転車持ち込みというのがほかの場所にも広がるように、近畿鉄道、福岡市交通局、JR九州、松浦鉄道の四事業者においてモデル事業を実施しております。今、先生指摘がありましたように、この通勤への可能性ということも含めまして福岡市交通局等で御協力をいただいているところでございます。  ただ、非常に混雑時でございますと、やはりスペースの観点その他がございますので、その辺はこれからの解決課題である、このように考えております。
  54. 岩城光英

    ○岩城光英君 今後とも御検討いただきたいと思っております。  ところで、私も自転車に乗りまして時々レースにも出ますが、レースよりも危ないのは、町の中に出たとき、自動車と一緒に走る、とりわけ暗いトンネルの中を走るときには巻き込まれそうで非常に危険を感じるわけであります。残念ながら日本におきましては、自転車通行帯が分離されて、いわゆる自転車に配慮された道路というのはすべての道路に対してわずか〇・六%である、こう伺っております。  先ほど運輸大臣からお話がありましたけれども、こうした折、建設省におきましては自転車道網整備の調査委員会、この報告書に基づきまして、今年度中に自転車道網整備のガイドラインを作成して全国の自治体に配付する、こんなふうにお伺いしておりますが、今後全国的に自転車道の整備促進に向けましてどのようにお取り組みになられるのか、お伺いいたします。
  55. 山本正堯

    説明員山本堯君) 自転車道整備等についての御質問でございますが、先ほど運輸大臣からお話がございました。それに尽きるわけでございますけれども交通渋滞の緩和でありますとか、沿道環境への影響の軽減とか地球環境への負荷の低減等のためには、日常的な都市内交通の手段として自転車利用の促進が大変重要な課題であるというふうに私どもも認識をしております。  このため、市街地におきまして、自転車が走行できる空間である自転車道等の整備、あるいはまた駐車できる空間である自転車駐車場、それらをネットワークとして今後整備していくということが大変重要であるというふうに思っております。特に、中心市街地等におきましては、通過交通を排除するといったような点からのバイパスの道路や環状道路の整備等とあわせて、ネットワーク化した自転車に対する整備、ネットワークとしての整備が必要であるというふうに考えておるところでございます。  今、先生指摘のように、全国的に展開するためのガイドラインの策定も今検討しておるところでございますし、また、こういったような自転車利用を促進するための環境整備を図るために、現在、広島市とか静岡市等の五都市をモデル都市として指定いたしまして自転車の走行空間や自転車駐車場について重点的に支援をするということにしておるところでございます。このモデル都市につきましても追加指定のためのコンペを現在実施しておるところでございまして、さらに積極的にこういう点についての整備を図っていきたいというふうに思っておるところでございます。  環境に優しい町づくり、親しめる町づくりの観点からも、そういったような自転車駐車場あるいは自転車道等についての特定交通安全事業による整備でありますとか、あるいは融資でありますとか税制での措置でありますとか、あらゆる手段を通じて今後とも積極的に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  56. 岩城光英

    ○岩城光英君 これは質問ではありませんけれども、私が前から考えていることなんですが、今子供たちが、小学生が夏休みを利用して全国を自転車で旅行するということがありますが、正直言って非常に危険ですね。ですから、高速道路に自転車道を併設するというようなこともこれからおいおい考えていく必要があるのではないかなと思っております。そうすれば安全にどこにでも自転車で全国旅行ができる、こういうことも可能ではないかなと思っております。  それから、ただいま若干触れられましたけれども、駅周辺などの商店街、これは空洞化が進んでいるわけでありますが、自転車をうまく利用することによりまして中心市街地の再活性化につながることもあろうと思っております。例えば、駅まで自転車を利用し、その帰りにちょっと買い物に寄るにしましても、商店街に駐輪場があるのとないのとは全然違います。日曜日に閉店する銀行などの駐車場をうまく利用している商店街や、あるいはトランジットモールを整備して同時に駐輪場を設置したり、ゾーンシステム、こういったものを採用する地域がふえつつありますが、道路それから自転車道、歩道、駐輪場、こういった整備は町づくりの観点から一体化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 山本正堯

    説明員山本堯君) 先ほどもお話し申し上げましたように、中心市街地の活性化のためには、先生指摘のとおり中心市街地に用のない通過交通を排除する、あるいはまた町に来る人にとってアクセスがしやすく、かつ中心市街地において快適に動き回れるような利便性の高い総合的な交通体系の整備が必要であろうというふうに思っております。  したがいまして、まずバイパスの道路でありますとか環状道路の整備促進等によって通過交通に起因する交通渋滞を解消するといったようなこと、さらにまた環境問題とかエネルギーの観点から、交通需要マネジメント施策によりまして公共交通機関の利用促進のための施策についてもいろいろ促進していくことが必要である。先生、今お話がございましたように、駅前に駐車場を配置する、公共交通機関の利用促進を容易にするといったような手法でありますとか、都心部の道路を歩行者や自転車にとって利用しやすくするための歩道、自転車道の整備でありますとか、自転車駐車場の整備等をいろいろ積極的にやっていく必要がある。  いずれにいたしましても、中心市街地における空洞化対策等のためには、それぞれの市においてそれぞれの事情に応じて交通実験も行いながら、ふさわしい施策を選択しながら都市整備を進めることが大変必要であるというふうに思っております。  建設省といたしましても、地域にふさわしい都市交通体系の拡充のために、今申し上げましたような各種補助制度、融資制度、税制上の優遇措置等によりまして積極的に支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  58. 岩城光英

    ○岩城光英君 最後の質問にさせていただきます。  これまで港の話、それから陸上の話が出ましたので、空の話も一言お話しさせていただきますが、十月七日の新聞に、大臣がこのようなお話をされたということです。「首都圏第三空港、用地選定難航なら 「福島」「静岡」暫定使用も」というふうに記事に載っておりますが、大臣の記者会見ですか、質問に対するお話なんでしょうけれども、趣旨について御説明をいただきまして、質問を終わります。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 首都圏第三空港につきましてはさまざまな御意見があることは委員も御承知のとおりでありますが、既に閣議におきまして、海上を中心とした新たな拠点空港を建設することを前提として事業着手を目指し、関係地方公共団体と連携しつつ総合的な調査検討を進めるということになっておりまして、平成八年度から海上を中心とした総合的な調査を進めているところでありますが、平成十二年度の調査費はことしの一億円に対しまして三倍の三億円を要求するという姿勢で臨むことにいたしております。  しかしながら、首都圏空港が整備されるまでには相当の年数を必要といたします。そして、近ごろは、一カ所に焦点を当ててここに建設したいということを政府が明らかにいたしますと、その翌日から難しい運動が始まってくる可能性すらあるわけでありますから、今後は成田の二の舞にならないように、数カ所適地を選定しながら、その中で最も地元におきましても御協力のいただけるところ、そして交通アクセス等を考え、首都圏第三空港の名にふさわしいところに建設をしてまいりたいという基本的な考えを持っておりますが、そのことがすぐ直ちにということにならない場合には、福島県の須賀川空港も今既に二千五百メートル、立派な国際空港として活用できるわけですから、新幹線とのアクセスを考え、あるいは静岡県の静岡空港も新幹線とのアクセスが極めて良好な関係にあるわけでありますから、これらを首都圏の第三空港が建設される日までそれを念頭に置いて対応していく。既に須賀川の空港におきましては、成田が満杯のときにチャーター便等は須賀川に今おりておるわけで、既に国際化が進んでおるわけでありますが、それらのことを念頭に入れて、静岡、福島、両空港も含めて、首都圏第三空港に運輸省として懸命に取り組んでいきたい、そういう姿勢を明らかにしたわけであります。
  60. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  61. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  きょうは、農水省所管を中心にまずお尋ねしていきたい。  その前に、きょうも実は昼に会館に戻りましたら福島県の双葉町というところの町長さんと議員の皆さんがお見えになっておりまして、どうしたんですかと聞きましたら、福島県の双葉町というのは原子力発電所の所在地、また原発銀座と言われる福島県の浜通りの地域を代表する町でございまして、先般の東海村のジェー・シー・オーの大変な事故について、もう一回きちっとたださなきゃいけないということで科技庁の方に行っておられた。  まず、巷間、今大変問題になっている東海村の事故からお尋ねをしたい。所管大臣ではありませんけれども国務大臣として玉沢大臣お尋ねしたいということでございます。  日本のエネルギーのもうほとんどが電気に頼っているところがある。さらにまた、その電気の中で原子力発電というのが相当のウエートを占めておる。私自身、国土・環境委員会で先般も質問をさせていただいたときに、いわゆる環境問題、CO2を中心とした地球温暖化防止をどうすべきかという中で、どうしてもやっぱりエネルギーの活動源である原子力発電の推進というのが出てくるわけであります。  そういう中での突発的な大変な、ある意味では世界を震撼させたこの事故について、私は政治と行政というのは、国民生活をいかに安心で安全な生活をつくるということが政治と行政の基本的な役割ではないだろうかと、そんなことを思うと、本当に今度の事故についてはもう情けない。さらにはまた、これが災害とかそういうふうなもの、自然の影響の中でのものであればまた別でありますけれども新聞等の記事を見る中で、どう見てもこれは人為的なものが大きな原因になっている。  やっぱりあるはずのないこと、これが間違いなく起きているんです。あるはずがなかった。これからのいろんな国の行政を進める上で、これだけ日本はいわゆる法治国家と、我々は毎日議論をしている中ではそのバックボーンとして全部法律にかかわっているわけでありますし、また一国会で六十、七十の法律が成案となっているわけでありますから、その法律をつくる上で最も大事なのは、百に一つ、千に一つあるはずのないことが起きるであろうということの前提の中で国務に専念していただかなきゃいけないかなと、そんな思いであります。  大臣に、野菜等についても、これはもう本当に茨城県の人が、一つの風聞の中で野菜をつくっている生産農家なんかが非常に苦しんでいる実態を見たときに、農水大臣また国務大臣としてこの事故についての現況、さらにまた法案をつくるに際して閣議等でいろんな議論があると思いますけれども、まず玉沢大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  63. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) ジェー・シー・オー臨界事故でありますが、委員がおっしゃられますようにあってはならない事故であると、このように考えます。  したがいまして、今回の事故に関しまして農林水産省といたしましては、九月三十日に事務次官を本部長とする対策本部を設置するとともに茨城県、厚生省と連携しまして農林畜産水産物の被曝に関するサンプリング調査分析を実施いたしまして、十月二日に政府として安全宣言を行ったところでございます。農林水産畜産物の安全性は確認をされました。  したがいまして、国民の皆様や流通業界等関係者に茨城県産の農林畜産物、水産物については何ら問題のないことにつき十分理解を得、風評被害の発生を防止することが重要であると考えております。このために、関係業者に対する指導を徹底するとともに、国民の皆様に正確に事実を認識してもらえるよう努めているところであります。
  64. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ぜひ生産農家のためにも、また茨城県の県民の皆さんのためにも本当に安全であるということのコマーシャル等を進めていただいて、安心して生産農家がつくることに喜びを感じ得るような農政を進めていただきたいと思います。  次に、ちょうどこれまた十月九日、WTOについてでありますけれども、日経新聞に載っておりまして、その項目で「農業では詳細な文面で補助金や輸入関税の大幅な引き下げを求めた。環境や国土保全への配慮など日本が国内農業保護の根拠として強く主張している「農業の多面的機能」とい言葉は採用が見送られた。」。  こんな記事を見ながら、先国会で、まさに戦後の一つの農業政策を振り返りながら新しい食料・農業・農村基本法ができたわけでありますけれども、その基本法の中で大きな柱になっているのが、食糧の安全保障というのと、いわゆる農山村における多面的機能、これは人間の生活、ある意味では大都市圏に対してもいろんな機能を示しているんですと。その地域の中で、単なる農業生産じゃなくて、いろんな意味で人の生活に大事なものをつくって、また保っているということだと思います。  私は、今度の新農法の中で最もその基軸となっている多面的機能というのがWTOの中間報告の中で言葉から外されたということは、これはもう本当に大変なことであろう。まさに今グローバルスタンダードと言われるぐらい、日本の農業は世界にも影響する、世界の農政というのがまさに日本の農政になっている昨今を考えると、その文言そのものについて、私自身はこれからまたさらにその交渉をしていく過程の中で当然頑張っていってもらうということになっていると思いますけれども、今までのWTOの一つの経過、この点についてお伺いをしたいと思います。
  65. 石原葵

    説明員(石原葵君) 現在WTOにおきましては、二〇〇〇年から開始されます次期交渉に向けた準備作業が行われているところでございます。  去る七日の日にジュネーブにおきまして、閣僚宣言の案がWTOの一般理事会の議長より各国に配付されまして、各国間での調整が開始されたということでございます。この議長案でございますが、現在内容につきまして詳細な検討を行っております。しかしながら、先生の御指摘にもございましたように、我が国が強く主張しております農業の多面的機能の扱いを初めといたしまして、我が国の立場を反映しているものにはなっておりません。議論のベースとは全くなり得ないものと我々は認識しております。  御案内のとおり、我が国は、農林水産分野につきましては我が国の基本的考え方を日本提案として取りまとめましてWTOに提出しているところでございます。今後の準備作業におきましても、このような立場を踏まえまして、EU、スイス、韓国等我が国と立場を同じくする国々との一層の連携を図りながら強力に対応してまいる考えでございます。
  66. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ぜひそういうふうな中で進めていただきたいと思います。でないと、せっかくそれぞれ苦労してつくった新農法というのが、もう本当にほごにされてしまうということになるわけですから、ぜひ全力を尽くして頑張っていただくことをお願いいたします。  次に、新農法等についてでありますけれども、いろんな議論の中で新しい農業基本法がおできになった。私は、戦後五十四年間の日本を振り返ってみると、確かに産業立国になって世界に冠たる国になった。しかし、一方ではまた第一次産業である農業がどうなっているか。私自身福島県出身で、いろいろ山村を歩いてみますと、まさに疲弊している状況であります。農村を歩いてくるとこういうふうな言葉が聞かれるんです。どうしても農産物というのは工業製品の犠牲になってしまったのかなと。決してそうではないと思うんですけれども、農山村の今の実態を見ると、どうしてもそれに反論する言葉がなかなか見当たらない、そんな状況であります。  私は、この新しい農法の中で、農産物の全体の産業の中での位置づけというか、これはもう食糧だから本当にこれは大事な、人間が生きる大前提となる農産物であるわけですけれども日本の産業の中でのどんな位置づけ、とらえ方をしながら新農法をおつくりになられたか。  さらにまた、もう当然その新農法でも、いわゆる消費者というふうなことを十分お考えになった新しい法案でありますけれども、消費者と生産者の間、市場主義というふうなことが出ているわけでありますけれども、これについても農家の皆さんは非常に心配、いわゆる企業的な感覚というのは残念ながら今日まであったかというと、欠如している部分もあったかと思うんです。しかしながら、そのほかに地方を守っている農村地域、自然を守っているというふうな位置づけの中で、生産者それから消費者、政治というのはどういうふうな役割を果たさなきゃいけないのか、この辺についての御所見をお伺いしたい。
  67. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 新しく制定されました食料・農業・農村基本法の理念でありますけれども委員御承知のとおり、四つの目標を定めておるわけであります。  一つは、あくまでも国民の皆さんに対して我が国農業の果たすべき役割といたしまして、食糧の安定供給の確保、また同時に農業が果たす役割としまして多面的な機能の発揮、こういう役割もある。また同時に、農業をさらに持続的発展させていくということを目標といたしまして、自給率を設定し生産基盤を充実するという目標も掲げております。それを通じて農村の振興を図る、こういう観点に立っておるわけでございます。  そこで、やはり食糧は、将来世界的に見ましても必ず不足する事態が来る、こういうことを考え、また貿易によって賄うという考え方も決してこれは否定することはできないと思いますけれども、しかし一方的に全部自由化するということになってまいりますと、これは平均耕作面積の小さいところとそれから大きいところでは全く競争力が違うわけでありますから、非常に不安定な状況になってまいります。したがいまして、食糧はあくまでも自国の農民、漁民によって確保するということを主体として進めていくという、これが食糧の安全保障の考え方でありますが、これが大事である、こう考えます。  そこで、生産基盤をより充実するという観点から、この基本法の中におきましては我が国農業の四〇%を占める中山間地域農業に対しまして直接支払い制度を設ける、こういうことによりまして農地を確保する、持続的な農業の展開、こういうものを図っていきたい、こう考えておるわけでございます。  同時に、国民にとりましては農業に期待するところ大なわけでありますが、農業に対する国民的合意を十分いただきまして、そしてまた消費者の皆さんに対しましても、これは安定した食糧を安定した価格で供給するということと安全な食糧を供給する、こういう視点を持って進めていかなければならないんじゃないか、こう考えているところでございます。
  68. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今、大臣から食糧の安全保障ということも含めていろいろ答弁をいただきました。  就任の記者会見のときも、たしか自給率の話がお出になったと思います。私は、やっぱり今まさに何が起こるかわからないという、こんな世界の状況でもある意味ではあるかなと。  昨年の気象状況を見て、我が県も大変な災害が起こったわけでありますけれども、あの我が県の災害も百年に一つあるかどうか、とても考えられないようなことが起きておる。ことしに入ってからもいろいろ気象状況を見ると、本当になかなか予測できないような事態が起きるということでありますから、当然私は食糧自給、これはきちっとしたものを我が国としてもつくっておかなきゃいけないのであろう、そんな思いであります。  そういうふうな中で、先国会での基本法成案のときに、自給率の数字目標を挙げましょうという話になっていると思います。それぞれ米から始まってそのほかの農産物、いわゆる食糧自給率の数字目標が今の段階ではどのような審議の状況になっているのか、その件についてお伺いしたいと思います。
  69. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 食糧自給率の目標でございますが、これにつきましては今後、新しい基本法に基づきます食料・農業・農村基本計画の中で明らかにしていくことを考えております。この基本計画につきましては、現在、九月に発足いたしました食料・農業・農村政策審議会におきましてその策定に向けた御審議をいただいているところでございまして、政府としましては本年度中にこれを策定いたしまして、新しい基本法に基づきまして国会に御報告させていただくことにいたしております。  なお、食糧自給率の目標を設定するに当たりましては、ただ無前提に何%というように数字を掲げるのではなくて、政府はもとよりでありますが、農業者、食品産業事業者あるいは消費者等の関係者がそれぞれに取り組むべき課題を明らかにしました上で、そうした課題が解決された場合に実現可能なものとして定める必要があろうというふうに考えております。  このため、生産面では、主要な農産物につきまして品目ごとの品質やコスト面における課題を明確にしました上で、そうした課題が解決されました場合に到達可能な水準として生産努力目標を明らかにすることにいたしております。また、消費面では、栄養バランスのとれた健全な食生活の実現とか、あるいは食べ残しや廃棄の抑制といった取り組みも考慮いたしまして、その上でこれらの数字を積み上げて食糧自給率の目標を定める、そういった方向で現在考えているところでございます。
  70. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 カロリーベースというのはわかるんですけれども、本当にただカロリーベースというふうになりますと、やっぱり生産者からする、いわゆるおいしいものとかそういうふうな味わうということが場合によっては欠如するようなこともあるのかなと。そんなことを思うと、もちろんカロリーベースということも大事でありましょうけれども、やっぱり量的なことをも、また味的なことをもいろいろ加味した中でひとつ進めていただければなと。  次に、米の問題でございますけれども、その自給率の中で、日本の主食はまさに米であるわけです。ある意味では二千四百年の歴史の中で米飯というのが日本の一つの文化になり、いわゆる食卓の中でもいろんな意味で米飯そのものが日本を形成した大きな基礎になっている。米がとれ過ぎて困ったと、そんなこともありながら、かつて、それこそ私も国会議員の秘書をやって、いわゆるベトコン、米価の値上げのときいろいろ御案内をさせてもらった経緯、経過の中で、本当に米価のときというのは農民の皆さんが目を光らせて頑張って、幾ばくかでも上がると次の農業に希望をつないだ状況から見ると、大分その当時の状況とは変わって、需給のバランスもその当時と比べると余剰的なものも少なくなってきたかなと思うわけであります。  先ほどの食糧安全保障という中でのいわゆる主食としての米の今の需給状況、さらにまた米に対して将来的にどのような政策をおとりになっていくのか、この御所見をお伺いしたいと思います。
  71. 高木賢

    説明員(高木賢君) ただいま米についてお尋ねがありました。  まさに今需給状況は、需要が減退をしておるというところに大きな苦難がございます。これは徐々に逓減をしてきたわけですが、特にことしになりまして、景気の低迷の影響もございましょうか、見込みより約二十五万トン程度需要が低下をする、こういう事態に遭遇いたしました。一方で供給の方は、御案内のように若干天気がよかったものですから、ことしはついせんだっての作況では一〇二ということでございます。これが両々相まちまして、見込みの数量といたしまして、ことしあるいは来年という見込みを立てますと、六十万トンないし七十万トンぐらい予定よりは多いという状況になっております。  また、そもそも現在の状況が過剰ぎみでございまして、政府には現在二百六十七万トンの在庫といいますか備蓄量がございます。それに加えましての今の需給見通しということでございますから、かなりの余剰が見込まれるという状況でございます。  そこで、先般、九月二十二日に緊急需給調整対策というものを決定いたしました。これは、ことしの作況をオーバーする分、その当時といたしましては三十万トン程度見込まれたわけでございますが、これを主食用の世界から外して、これは政府米と入れかえての話で新米を直ちにえさにするというわけではございませんが、主食用の世界から外しまして、政府の備蓄米と交換の上えさ用に振り向ける、十万トンは海外援助用の備蓄に振り向ける、二、三十万トンは政府米の販売を凍結する、こういう対策を講じたわけでございます。その結果、余剰感のありましたことから価格の低下傾向が見られておりましたが、下げどまってきたのではないかというふうに見ております。  それから、今後のことでございますが、そういったことでございますので、十一年に引き続き十二年の生産調整規模につきましては十一年産と同様の生産調整規模を維持するという方針でおります。  あと、これからの問題としては、それを県別にどう配分するのかという問題とか、それからこれまでいわばネガティブな生産調整ということでやってまいりましたが、これをポジティブといいますか、どれだけ売れる量の、需要のある米を適正につくっていくかという方向での生産調整のあり方の見直し。  それから、麦、大豆、飼料作物というものにつきましては、これまでは転作作物ということで位置づけてまいりましたが、それでは米の生産調整の規模が動くたびに移ってみたり、あるいは過渡的なものだという意識から脱却できなくてなかなか定着しないという問題がございますので、麦、大豆、飼料作物など自給率が低くて、これから我が国で定着を図るべき作目につきましては本作としてこれをやっていく、こういう方向での助成体系の見直しというものを進めたいと思っております。  それから、先ほど来お話もありましたが、米の備蓄、政府の役割は備蓄をするということに新しい食糧法では限定されましたけれども、この備蓄の運営として、来年度の適正化に向けてどれだけの米を政府としては買い得るのか、またそのときの価格水準をどうするかということにつきまして今月末をめどに決定していきたい、来年に向けての方針を決めていきたい、このように考えております。
  72. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今、長官から減反のお話が出ましたので、質問とちょっと前後させていただいて恐縮でありますけれども、減反の状況を見ている中で、どうしても専業農家と兼業農家、これが一律に減反というのは、生産意欲というのか、とれちゃまずいというふうなことでいくと、やっぱり生産意欲もどうしても減退しちゃう。しかしながら、さっきの食糧安全という前提の中でいくと、生産意欲はどうしても当然のことながら必要であろうかと思うのでありますけれども、その中で減反割り当てが一律になっているということについては、やっぱり私は問題があるのかなと。この辺について、いろいろ減反の割り当てのときの配慮というのはないものだろうか。  さらにまた、地域間での調整が、これは直接的には農林水産省ではないと思うのでありますけれども、しかしながら適地適作ということを考えていくと、地域間の調整の中にもある意味では農水省の、食糧庁の御指導があっていいんじゃないだろうか。そんな思いをしているわけでありますけれども、この辺についてはいかがでございましょうか。
  73. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 私の方からお答えを申し上げます。  いわゆる生産調整の配分のときに考慮をすることができないだろうかという項目として、専業農家と兼業農家の比率を例としてお挙げになったわけでございます。  先ほど食糧庁長官からもお答え申し上げましたけれども、今度のといいますか、新しい生産調整のあり方を検討する上で大きな柱が二つございまして、一つが需要に見合った米の計画的生産をするということが一点でございます。それからもう一つは、優良な生産装置でございます水田を有効に活用して自給率の高い麦、大豆をつくっていく。そういうことを前提にいたしますと、生産調整をどこでどのような形でだれがやっていただくかというときに、この二つの柱をどういうふうに具体化していくかということが課題になるわけでございまして、もっと具体的に申しますと、配分のときの決め手になるのかなと。その前提の作業のときにこういうことを考慮しないといけない。  その場合に、御指摘ございました専兼の比率でございますが、これは私どもが全国いろんな形でデータを眺めさせてもらっている中の一つの数字ではございますけれども、これは地域の兼業機会があるかないかとか、あるいは地域の自然条件といいますか作目をどういうふうに選択されたか、そういう形の経営の結果が数値として出てきているというものでございまして、先ほど挙げました二つ、特に最初に挙げてお話を申し上げました需要に見合った米の計画的な生産とい部分とはなかなかマッチングしないといいますか、そぐわない面があって、この出てまいりました数値を需要に即した米の生産を反映するような形で生かすというのはなかなか難しいかなと思っていることが一点でございます。  それから、専兼で一律配分しているのをちょっと考慮したらどうかといお話でございますが、これはお言葉を返すようで恐縮なんですが、実は一律ということではございませんで、例えば県なら県全体でこういう数字と、その中でまた配分をしていただくときはいろんな要素、地域との話し合い、あるいは御指摘ございました調整をやられた上で配分をされているということで、全く無視して一律に配るということが前提になっていないということだけは御承知をお願いしたいと思います。  いずれにしましても、具体的な、どこでどのように担っていただけるか、また何を重視することが必要かということは、これから最終的な詰めをするという状況にございます。
  74. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 各県の配分でありますけれども、各県にもやっぱり農水省で減反のときにそういうふうな意向でもお示しいただけるような状況でもあればなと思っているところであります。  次に、お米に非常にこだわって恐縮でありますけれども、自給の今の局長の話の中からもお出になっているわけでありますけれども、たまたまこの間地元に帰るとき、JR東の列車に乗りながら「トランヴェール」というのを読んだら、あそこに実りの秋の写真が載っておりました。まさに黄金色の写真でありました。そこを何ページか開いてみたら、いわゆる和食について書いて、また写真も載っているんです。まさに新米とサケとノリと卵と、これは本当にあれを見ただけで何か、また弁当食っても次に飯食いたくなったなと。  私は、和食の啓蒙と啓発をどんな中でしなきゃいけないか、これはもうやっていると思うんですけれども、一つにはやっぱりそういう需要をどう進めるか。多分に今の子供たちはコンビニエンスに行って弁当は買っているものの、本当の米の味と和食の味というのをわからないまま一生を過ごしちゃうんじゃないかなと思うような節もあるんです。私は、一方ではそういうふうな啓発啓蒙運動をぜひしていただきたい。  これは、また先ほどの繰り返しになるかもわかりませんけれども、やっぱり米飯そのもの、日本の食卓、食事、それが日本の一つの古来の家庭をつくっており、極端な話、私なんか田舎ですから、昔、小さいころ、食事をするときはお父さんの座るところ、お母さんの座るところ、おじいちゃんの座るところ、我々の座るところも決まっておって、それが今思えば一つの習慣になって、それが一つのまた道徳になっているような、今の青少年の社会問題にも通ずることがやはり農家にあり、米飯のところにもあるのかなと。  そんな思いをすると、今の小さな子供たちにもぜひ和食というのは本当においしいものだというような啓蒙啓発運動をしていただきたい、そんな思いであります。今やっていると思いますけれども、どんな状況の中で啓発運動をしているか、お伺いしたいと思います。
  75. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 今、先生指摘ございましたように、昭和五十五年の農政審議会答申におきまして、栄養的観点あるいは総合的な食糧自給力維持の観点から、米飯を中心とします日本の食生活のすぐれた点が評価されまして、これを受けまして、農林水産省といたしまして日本型食生活の維持、定着に努めてきているところでございます。  しかしながら、今、先生指摘のように、現在の我が国の食生活の状況を見ますと、食糧の相当部分を海外に依存するというような事情、また脂質の摂取割合が適正範囲を上回るような世代が見られるなど栄養バランスが崩れているというようなこと、あるいは食べ残しなり食品の廃棄などの資源のむだというような問題が生じているわけでございます。  こうした状況を受けまして、今度の食料・農業・農村基本法におきましては、第十六条の第二項におきまして、「食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するため、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及及び情報の提供」等を推進するということとされているわけでございます。  現在、厚生省あるいは文部省等関係省庁とも連携いたしまして、今申し上げました食生活指針の策定検討委員会におきまして、健全な食生活に関する指針につきまして検討を進めているところでございます。また、あわせまして、その普及定着のための方策の検討も行っているところでございます。今後、広範な関係者の賛同、御協力を得まして、食を考える国民会議を組織しまして、これを通じました食生活の見直しあるいは改善運動の展開など、食生活に関する情報提供に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  76. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 健全な食生活、当然でありますが、おいしい組み合わせとか、そんなこともよく啓発していただきたいな、そんな思いでございます。  次に、生産基盤の整備についてであります。  これもまた地元の話で恐縮ですが、先月、ずっと磐梯山ろくを歩いておりますと、本当に片方は黄金色で、よく見るとまたそこに真っ白いソバの花が咲いていて、さらにまたそこから車で動いたら、そこには今度は田んぼの中にブルドーザーとかユンボとかそういうふうなものがある。多分、ソバは転作のためにつくったのかなと。転作というのは、先ほどの米の需給のバランスの中で、減反政策の一環でもあるのかなと。しかしながら、また歩いてみると、今度は片方で圃場整備をしている状況がある。一体この一貫性、農政はどういうことなんだろうと。  そんなことを思うと、圃場整備をする、集落排水をする、それは米をつくるためにしていると思うんですけれども、米をつくるために圃場整備をしているにもかかわらず片や転作している状況、これはもう本当に、今までもそれこそ農林省のある意味では最大の政策としてのつらいところであったかとは思うんですけれども、やっぱりグローバルにいろいろ考えていただいて、一緒のところでつくっている方と減反しているなんというふうな状況はだれが見ても農政の一貫性がないなというような疑問を抱かざるを得ないようなところがあるわけです。  その辺、食糧庁、構造改善局、全体的な政策の基本だとは思うんですけれども、基本的には私はやっぱり適地適作の遂行であるのかなと思います。この辺について、これからのいわゆる構造改善局を中心とした基盤整備、どういうふうな方針で遂行していかれるのか、お伺いしたいと思います。
  77. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 米の生産調整と水田の圃場整備の関係でございます。  御案内のことと思いますけれども、圃場整備の目的は二つでございます。一つは、圃場の区画を大区画化いたしまして生産コストを下げるということ。それから二つ目、この点につきましては水のコントロールを自由にできるようにする、排水条件を整備するということになりますけれども、それを通じまして水田の汎用化を図って畑作物もそこで十分に生産ができるようにするということでございます。  水田の汎用化をいたしますと、これまでは稲作にしか適用できなかった水田が麦作にも大豆作にも使えるということになります。それから、当然のことながら、地域によっては一年二作、裏表、場合によれば二年三作というふうに耕地利用率を向上することができるわけでございます。  現況、耕地利用率は平均で九三%、それから裏作だけを見ますと二八%ということで、残り七割が冬の間は作付がされていないという状況にございます。こういう状況のもとで耕地利用率を高められるような圃場整備を実施いたしますと、転作、生産調整も円滑に実施をすることができますし、耕地利用率の向上によりまして、食糧自給率の向上ということも可能になるわけでございます。  土地改良長期計画で、平成十八年に向けまして圃場整備率七五%という目標を私ども持って、それを目指して圃場整備をこれからも着実に進め、日本の食糧自給率の向上に寄与したいと考えておるところでございます。
  78. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 時間が迫ってきておりますので、農林省に関する質問についてはまた機会があればということで、林野庁長官がお見えになっておりますので、林野庁に関する質問をさせていただきます。  地球温暖化防止のいろんな議論をさせてもらっている中で、二酸化炭素を吸収して酸素を出している、これは森林、緑が当然でありますけれども、私は環境問題を考えるときにもちろん環境庁も行政の中でいろいろ頑張っていくことが大事であろうと思いますけれども、現実問題としてはやっぱりある意味で現場を持っている林野庁が相当の一翼を担わなきゃいけない、そんなふうに思うところでもあります。  緑の大事さ、日本全体の山林のシェアを考えたときに、この林野行政というのは単なる材木としての物というよりも、本当に日本を、ある意味では地球環境を考えた中での林野行政になるのかな、そんな思いをしているわけでありますけれども、林野行政の中でいわゆる環境に寄与する、こんなことでやっているんだ、そんなところがありましたら、長官からお伺いしたい。
  79. 伴次雄

    説明員(伴次雄君) 今の先生の御指摘があったとおり、森林というものは非常にいろいろな機能を持っておるわけでございます。いわゆる水源の涵養から始まって、災害を防ぐ国土の保全、そのほかに最近では環境面で非常に大きな使命を果たすということに変わってまいっております。  一点目は、既につくりました人工林、一千万ヘクタールあるわけでございますけれども、これは従来でありますと四十年ぐらいで切って皆伐しようというような方策であったわけでございます。今ちょうど間伐の時期を迎えておる次第でございますけれども、将来はやはりこういうものは長伐期にするとか、一回で裸にしないで複層林にするとか、それから針広混交林にしていくとか、そのようなことで新しい造林の方策というものを考えておる次第であります。  また一方、国有林には非常に天然林が多いというような状況にありますので、自然環境保全地域というような指定をしまして、立派な自然林の保全を図っていくというような方策を講じておるところでございます。今後とも、やはりCO2の問題がありますので、新植とか間伐の推進とか、それからやはり水源林の造成の問題とか、新たに人と森と野生の鳥獣の共存というような森林やら、それから針葉樹一辺倒じゃなくて広葉樹をつくっていくような造林の政策というものを一緒に進めていきまして、自然環境の保全ということに寄与していきたいと思っております。
  80. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 次に、国有林の活用というか、もっと国民にずっと開放していただきたいというある意味ではお願いであります。  私もたまに休みができると高尾山に時々行くんです。もう本当に高尾山は東京都民の大きなオアシスになっているのかなと。しかし、高尾山に登っていろんな子供に、これはどこがやっていると思うと聞くと、ほとんど林野庁であるというようなことをわからない部分があって、ある意味でがっかりしたときがあったんです。  私は、今、林野庁でいわゆる局が統廃合になって職員の皆さんもいろいろ御苦労なさっているのかなと思う。そういうふうな中で、私は局の統廃合を好んでの話では決してないんですけれども、あそこの中で一つ、それぞれの局の地域の人があのときみんな反対をしました。私は改めて思うと、営林局と自治体が一緒になって本当に統廃合困るよと言ってきたのは初めてじゃないかなと思うんです。そういうふうな意味で、地方の営林署とそれからまた営林局と自治体が本当に一緒になってこれからの森林行政をどうするべきであろうというような話が生まれつつある。私は、これは非常にいいことだと思うんです。  林野行政の一つに例えば林道という仕事があります。この林道というのは、基本的には木材を伐採したものを運ぶという目的のための林道である。しかしながら、地域に行きますとまさにある意味では生活道路になっているところがたくさんあるんです。部落と部落を結んでいる。それが場合によってはその基幹道路の代替道路になって、救急車で一命を取りとめたというような話もあるんです。しかしながら、原理原則論としてのいわゆる材木を運ぶための道路というのは、今は木はそうは切っていないわけですから、整合性がないような気がする。  そういうふうな中で、私はこれは法改正になるかどうかわかりませんけれども、もっと広範囲に、多岐にわたる林道であるというような、ある意味では積極的な行政の進め方というのはできないのであろうか。さらにはまた、助長するかもわかりませんけれども、それが国民にとっての健康増進森林道路になるとか、またハイキングをするとか、いわゆる交通体系が今着々とできている中で高速体系もきちっとできております。その核ごとに東京都民、また大都市部の人が行ったときにちょっと森林浴をしたいななんというとなかなか状況としてはできないような状況があるときに、まさに私は森林を開放するというのは、それぞれのつかさごとにそんなハイキング道路があったり、または舗装といといろいろ差しさわりがあるかもわかりませんけれども、本当に自然の道路で森林浴ができるようなそんな道路づくり、そんなことを期待するわけでありますが、ぜひ国民の健康増進という前提も含めながら林野行政を進めていただきたい。  長官の御所見を願って、私の質問にかえます。
  81. 伴次雄

    説明員(伴次雄君) 今お話にありましたように、林道というものは初めは林業生産の活動ということでスタートしたことはもう現実の問題であります。それで、やはり地域の振興という意味で生活道的な意味も大きいと思っております。  それで、最近はやはり都市と山村の交流の手段としての林道なり、それから森林内の歩道の整備ということが非常に重要になってきているというふうに考えております。  そういう意味で、林業地域総合整備事業というものがありますが、これは広い意味では林道事業でございますが、そういうもので林道と一緒に歩道の整備をやる。それから、広場といいますか園地のような整備をやる。一方また、林業構造改善でも地域の交流を含めましたそのようなもの。それからあわせまして、治山事業でも生活環境保全林ということで、一般の方がそこに入っていただけるような歩道なり、それから園地の整備というものを必要最小限やっている。それで、今後ともやはりそういう意味では林道というのは非常に広い意味になっておるということを十分踏まえながら、林道なり歩道の整備等は進めていきたいと思っております。
  82. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ありがとうございました。
  83. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農林水産省に遺伝子組みかえ食品の表示問題を伺います前に、民間ウラン加工施設の臨界事故を踏まえまして、原子力労働者政策についてお伺いしたいと思います。  私は、九六年、百三十六国会のときに衆議院労働委員会におりまして、労働安全衛生法と労災保険法改正の審議の際に、原子力発電所で働く労働者の安全管理について質問をいたしました。  その際に、平井憲夫さんという方のお話を伺いました。平井さんは、原発労働者、つまり被曝者救援センターの代表として被曝者の救済に当たった方でございます。技術者としてみずからも被曝した経験を持って、肺がんで苦しんでいらっしゃいました。九六年十二月三十一日に亡くなられました。何度か国会に足を運んでいただきまして、委員会でも傍聴していただきました。話をするときにせき込みながら現場で働く労働者のさらされている危険性や窮状を訴えて、私もこの問題を取り上げたわけです。それにもかかわらず、その後の国の安全教育への取り組みが全く不十分だったと、今回の事故で明らかになったと思います。  今回の事故について、核燃料施設であります民間ウラン加工施設ジェー・シー・オー東海事業所でも、副長が臨界については全く知らなかった、臨界について考えたこともなかったというふうに話しておりまして、雇用管理者の方がこれでは、実際に作業に当たる作業員が危険性や手順について知らない、十分認識がなかったことも無理からぬことかなというふうに思います。下請を含めまして作業にかかわる全員に対する十分な教育が事故防止のためにも彼らの安全のためにも欠かせないと思います。  まず科学技術庁にお伺いしますが、原子力発電所、核燃料施設等で放射性物質を扱って被曝の可能性のある労働者の数は各省庁どう把握しておりますでしょうか、事業所と労働者の数を伺いたいと思います。
  84. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。  我が国の主な原子力施設における放射線業務従事者は、平成九年度の調べによりますと、実用発電用原子炉施設の放射線業務従事者七万一千三百七十六人、その他の原子炉施設の放射線業務従事者七千百六十人、主な核燃料施設の放射線業務従事者一万二千五百七十六人、廃棄物埋設施設及び廃棄物管理施設の放射線業務従事者九百三十人の九万二千四十二人、これは一部重複計上がございますが、そういうことであると承知しております。
  85. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 労働省の方はいかがですか。
  86. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 今、先生指摘の点でございますけれども、放射線業務に従事します方につきましては、原子力施設の労働者の安全と健康を確保するという観点から、放射線障害を防止するための被曝管理あるいは健康診断の実施、さらには企業内の安全衛生管理体制に対します教育等について義務づけてやってまいっております。  さらに、放射線業務従事者が核燃料の危険性につきまして十分理解されますように必要な教育が実施されるべきであるというふうに考えておりまして、引き続きこういった観点から、関係労働者に対しまして、安全衛生法に基づきます雇い入れた場合の雇い入れ時教育あるいは作業内容を特に変更した場合の変更時の教育等々、十分なされるように必要な指導を行ってまいっております。
  87. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、科学技術庁そして労働省から御答弁がありましたけれども、労働者の安全確保と作業管理の整備の見地から、労働省としては独自に把握する必要があるというふうに思いますが、その点について今のお答えだというふうに思っております。  科学技術庁とはどういう連携体制がとられているか、具体的に説明してほしいと思います。
  88. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 例えば今回のジェー・シー・オーの事故につきましても、国として早期に対策本部を設けまして、そこで臨機応変に連絡をとりながら対応しておりますけれども、さらに、現地におきますジェー・シー・オーに対します調査等々も、労働省、科技庁初め通産省、あるいは現地の警察も連携いたしまして調査をし、今後フォローしていくということになっております。
  89. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話は今回の事故のことだけをおっしゃっているのですが、私がお伺いいたしましたのは、私が質問した後の安全教育に関する各省庁との連携体制がどうなのかということについてお伺いしたわけなんです。  朝日新聞十月九日によりましたら、科技庁は七年間調査をしなかったということですし、今回のことで言えば、労働環境を茨城労働基準局では近く捜査をして、しかも非常に過密な労働の中で、非常に劣悪な労働環境の中で事故との因果関係がどんなふうになっているのかの捜査を始めるというふうになっておりますが、私がお伺いいたしましたのは、これまでの連携体制がどうであったかということについて伺っているんです。
  90. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 例えばと申しまして今ジェー・シー・オーの例を挙げたわけでございますけれども、従来は特に原子力発電等原子力施設に関しましては、国はもとより、現地におきます連携体制をとっております。  例えば、労働省の場合には、現地の発電施設を所管する監督署と企業との間の連絡協議会を設けてございますけれども、この連絡協議会という形を通じまして関連各省の出先と連携をとりながら必要な措置をやっているという状況でございます。
  91. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今回の事故に関する報道の中で、被曝した作業員がそれほど危険な作業とは思いも寄らなかったというふうに言っております。また、ジェー・シー・オーの幹部が、社員には臨界を起こすなとは言っていたけれども、臨界が起きるとどうなるかについては教えていなかった、こういうことを言っているわけなんです。  安全教育が全く不十分だという実態を私は三年前に衆議院の労働委員会で質問して、そのことについて言っておりますけれども、今言われました十万人になんなんとするような人たちが原子力労働者として働いている、しかも放射性物質の危険性や扱い方について熟知しているのはどのぐらいなのかと心配になりますけれども、これはどの程度と把握していらっしゃるでしょうか。その把握の方法についても伺いたいと思います。
  92. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、安全教育というのは事業主に対する罰則をもって担保する義務でございまして、私どもはこの義務が法律との関係で履行されているかという観点からの監督等々を行っているわけでございます。したがいまして、例えば原子力施設に対しましても、監督等に入りました際に教育等の実績を帳簿等を参照させていただきまして調べておる、こういうことでございますので、基本的には法違反はないものというふうに承知いたしておりますけれども、今後とも監督の際にその辺が従来以上に担保されますように厳しいチェックを行ってまいりたいというふうに承知しております。
  93. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 全く実態がおわかりになっていないので私はびっくりしてしまいますけれども原子力発電所で働く作業員、また孫請あるいはひ孫請、そうした会社で働いていらっしゃる日雇い労働者の場合には、安全教育と称しましてビデオや講演があります。しかし、眠っていたり、ただ座っているだけで、そういう人たちが本当に中身まで理解していないということを平井さんもおっしゃっているんですね。安全だというふうに言われていることを信じて現場に入って、中は四十度以上にもなっておりますので、暑さの余りマスクを外したり防護服を脱いだりしている、こういう告発がありまして、現場の作業員の話では、入所時の教育に安全性ばかりが強調されて放射線被害の正しい知識が伝わっていないのが実情だというふうになっていて、私はこの質問をしたわけなんですが、そのときに、労働者に安全衛生教育を積極的に進めることが極めて重要だと、そういう答弁をされているわけなんです。全く今のような把握の状態では、そこが問題なのだというふうに私は指摘をしないわけにはまいりません。  そこで、労働安全衛生法では安全衛生教育を行うべきことがもちろん規定されております。原子力発電所における放射線業務に係る労働安全衛生教育実施要領が策定されて、この実施要領の徹底というのはどういうふうにされていますでしょうか。
  94. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 今、先生お触れになりましたのは、昭和五十九年六月二十六日付労働基準局長名、原子力発電所における放射線業務に係る労働衛生教育推進要領、これを、安全衛生法の下に省令がございますが、電離則という省令がございますが、その省令に基づきます内容でございます。これが先ほど申しましたように原子力施設の場合の安全教育の基本でございますので、この要領にのっとって教育がなされているかという観点を先ほど申し上げたとおり監督の際にチェックしているということでございます。
  95. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 各事業所に実施要領を受けた実施計画を出してもらう、その提出を求めるとともに実施した結果を報告してもらう、その報告を義務づけるというのはどうでしょうか。
  96. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 先ほど申しましたように、この実施要領そのものが最終的には安全衛生法に基づきます罰則で担保されているという全体の構造になっておりますので、私どもは監督に入りました際チェックはいたしますが、仮に違反があれば、最終的には法違反ということで刑罰法規がかかるという全体の担保体制になっているわけでございますので、この形でいいのではないかというふうに思っております。
  97. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 でも、そのことが実施されていなかったんですよね。本当に十分そのことがわかっていないというのが実態なので、計画を出させる、そしてまた報告を義務づけるということがやはり本当に十分に担保できる、徹底できる方法ではないかというふうに私は申し上げたいと思います。  どのぐらいの労働者がきちんと自分たちの扱っている物質の危険性を理解しているのか、現時点ではそれを判断する材料もありません。ただ教育プログラムを持っていればいいというのであれば、一方通行になってしまいますので適切な教育が行われたかの検証のしようがないというふうに私は思います。その理解度を確かめるための試験とかあるいは資格制度、この導入を真剣に考えるべきときだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  98. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 労働省の関係でございますので、当省の関係につきましては、例えば安全関係の主任を選任するであるとか衛生関係の主任を選任するとか、教育だけではなくて周辺部分から全体的に管理体制がしっかりするようになっているわけでございますので、教育の点だけからおっしゃいますと、確かに、これをチェックできるかといお話があるかと思うんですけれども、安全関係責任者を選任し、衛生関係責任者を選任し、そういった者を通じて教育がなされるというふうに理解しておりますので、これらが全部働けば問題になるようなケースは起こらないというふうに考えております。
  99. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 主任とかその人たちが理解するのではなくて、働いている人たちがどうであるかが結果的には教育が生きているかどうかをわかるシステムとして私は申し上げているので、そのことを強調しておきたいと思います。  さきに紹介いたしました平井さんから、国の検査は事前に通告があるので、その前から体制が変わって実態とはかけ離れた状況を検査しているといお話も伺いました。そこで、抜き打ち検査を提案いたしましたけれども大臣からはできるだけその趣旨を生かして対応していきたいという答弁を受けておりますが、それは生かされておりますでしょうか。どう改善されましたでしょうか。
  100. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 先生のおっしゃいます点は十分わかるわけでございますし、大臣お話というものも承知いたしましたが、事原子力関係施設に関しましては検査に入る監督官等の防護ということも一方で考えねばならないわけでございます。特に、ウランに対します放射線関係の防護服等々を着用いたして施設内に入るというようなケースの場合に、その防護服に仮に放射線が付着している場合には、これをそのまま外に持ち出すことは大変危険でございます。  したがいまして、そういった施設の中で洗浄いたすということが当然必要になるわけでございますので、そういった全体の準備体系を考えますと、場合によりましては事前の予告も必要な場合もあるわけでございますが、なお、先生の御質問の趣旨を十分勘案いたしまして今後対応してまいりたいというふうに考えております。
  101. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 どう改善されたのかを伺っているんです。三年間に大臣が十分に趣旨を生かして対応していきたいと国会で言ったことについて、生かされたのかどうなのかということが問題なのでございます。
  102. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) まず、通告を必要最小限の場合に限っているわけでございまして、いわゆる定期監督の場合には、申し上げたような防護の問題がございますのでできるだけ事前に通告しておりますけれども、それ以外に、全く不定期に監督に入る、指導に入るということがございますので、そういった場合には通告なしでやっているという状況でございます。
  103. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、通告なしで行ったのは労働省としてどのぐらいの頻度で、最後に行われたのはいつですか。
  104. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) これは施設によって違うわけでございますが、大体各施設とも年一回定期的に入るということで御承知おきいただきたいと思います。それ以外に、これはいつとは申しませんけれども、不定期に入るということでございます。
  105. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のもお答えにはなっておりません。抜き打ち的にはやっていないということと、どのぐらいの頻度でやってきたのかということについてはきちんとした報告も受けていないという現状で、お答えになれないのではないかなというふうに思うんです。  原子力発電所における放射線業務に係る労働衛生教育実施要領は、その名のとおりに原子力発電所における労働衛生教育に係る教育の実施要領なんですけれども、これはウラン加工施設についてはどのような措置がされているでしょうか。
  106. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 先ほど触れましたこの通達の中身に教育の細かいことが実は書いてございまして、例えば放射線防護に関する基礎的知識ということで、放射線に関します基礎知識、放射線の人体に及ぼす影響、被曝限度と管理基準放射線の測定と防護あるいは関係する法令、さらに放射線防護に関する実務的な知識といったようなことも教育することになっております。
  107. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ウラン加工施設についてはどういう措置がされているのかということなんですけれども、されていたんですか。
  108. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 例えばジェー・シー・オーのようなケースにつきましては、電離則そのものの対象から外れていたのが実情でございます。したがいまして、こういった教育はジェー・シー・オー等々の場合にはなされていないということでございます。
  109. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今お話しされましたように、労働安全衛生法五十九条の三項では、危険または有害な業務で労働省令で定めるものに労働者をつかせるときには安全または衛生のための特別な教育を行わなければならないというふうにしています。そして、労働安全衛生規則三十六条で対象業務を指定しているわけですけれども、その中に原子力発電所と核燃料施設等で放射性物質を扱うような業務は入っていないわけなんですね。  今までこのように法的整備がされてこなかったこと、このことに改めて驚いているわけなんですけれども、規則への明文化、今おっしゃいました電離放射線障害防止規則、電離則五十二条の五第一項への追加について早急な取り組みを求めたいと思います。そうすれば、先ほどの実施要領も教育規定という法的根拠を持ったものになるだろうというふうに思います。  原子力発電所、核燃料施設等で放射性物質を扱う業務を特別教育を行わなければならない業務に加えることについてどうお考えでしょうか。
  110. 野寺康幸

    説明員(野寺康幸君) 今回のジェー・シー・オーの事故に関しましては、これは一体どういうところに本質的な原因があったのか、新聞等ではいろいろ報道されておりますけれども、私ども刑罰法規を適用する立場といたしましては、現在まだ捜査中というふうにしか申し上げることができないわけであります。さらに、この事故を契機に、今週以降関連する全国の十六施設につきましても現在立入検査等を始めたところでございますので、こういった状況をすべて総括いたしまして、今後真に必要な手だてを打っていきたいというふうに思っております。
  111. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、総合的な調査をされているということでございますけれども、常に心配なのは、一方的に行われるということだけではなくて、企業やあるいは労働者の理解度が深まること、本当に教育が必要なものとして役立つもの、こういうふうなことにつながっていかなければならないと思いますので、その点本当に御配慮をよろしくお願いしたいと思います。  科技庁と労働省の今後の取り組みの充実について、一言ずつ簡単にお願いをしたいと思います。
  112. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) 今、先生おっしゃいました趣旨で、両省庁協力をさらに強めてまいりたいと思っております。(「まじめに答えてよ」と呼ぶ者あり)
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何か本当に、こちらの方からまじめに答えてよという声が出てきておりますけれども、今後の充実した取り組みということで、刻々と情報も公開されていくだろうというふうに思いますので、きちんと私たちも見守りながら、次にまた必要があるときに質問をしていきたいというふうに思っております。  さて、遺伝子組みかえ食品の流通が始まりましてから既に三年がたちました。  遺伝子組みかえ食品について世論がずっと表示を求めてきましたが、八月十日にようやく表示の骨子が発表されました。来年二〇〇〇年の四月に表示制度が告示されて、再来年二〇〇一年の四月から実施されます。当初、国が表示の必要性を全く認めていなかったことを考えますと、表示が決まったことは大きな進歩だというふうに思います。このことは市民の根強い運動とか、あるいは運動と連動した、私たちの党でいえば石毛えい子議員ら小委員会のメンバーの努力の成果だというふうに私は思っております。  しかしながら、発表された骨子を見ますと、まだ不十分な内容です。組みかえ技術、組みかえ遺伝子検出技術の進歩、これらを考えますと、制度の運用開始まで、その後もよりよい制度設計を続けることが必要だと考えます。望ましいのは、原料農産物から始まるすべての段階に表示をして、消費者が組みかえ遺伝子を含むものを見分ける選択、これを可能にする表示だというふうに思います。  表示骨子によりますと、原料農産物、種苗、飼料、加工食品、食品添加物の表示を必要とする。これでは表示対象はごく限られます。最終食品での組みかえDNAが由来たんぱくの検出のできるものという限定のために、現在最も組みかえ食品、品種が使われている大豆、コーン、綿、菜種、こういった油、それからしょうゆなどが表示されません。輸入される遺伝子組みかえ原料の九〇%は表示対象外と聞いています。輸入される組みかえ食品の一割程度しか対象とならないわけなんですけれども、こんな表示制度でいいのか、まず農水省に伺います。
  114. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 今回の農林水産省が決定した懇談会の方針を受けました遺伝子組みかえ食品の表示の方針でございますけれども、大豆、トウモロコシ等の農産物、それからこれらを原材料とするいわゆる義務表示の指定食品は三十品目でございます。こうした義務表示の対象食品でございますが、この報告書の中にもございますように、科学的、技術的な観点から表示の合理性、信頼性、実行可能性を確保することを旨といたしまして決定したものでございます。  もちろん、先生おっしゃいましたように、できるだけ多くの食品に消費者が表示を望んでいるということは理解しているわけでございますが、消費者が表示に対しまして最も強く望むものは表示の信頼性であるというふうに理解しております。義務表示対象品目をいたずらに広げた結果、技術的あるいは科学的に問題で、表示の信頼性あるいは実行可能性が揺らいでしまうことは、むしろ消費者の期待を裏切ることになってしまうというふうに考えているわけでございます。  また、遺伝子組みかえ大豆を原料としたとしても、組みかえられたDNA、あるいはそれによって生じたたんぱく質は加工工程により分解され、最終製品中に存在していないいわゆる第三分類、先生おっしゃいました油等の第三分類の食品は、遺伝子組みかえ大豆を原料としているものと遺伝子組みかえでない大豆を原材料としているものと製品レベルでは科学的に有意の差がないわけでございます。  したがいまして、違いがある場合に消費者への情報提供をするための表示をするという意味があるわけでございますが、違いがないわけでございますので、表示の原則論からいきましても表示義務におきます合理的な根拠がないというふうに考えるところでございます。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 種子や飼料、油なども表示の対象とすべきだと考えておりますが、遺伝子組みかえ種子に関して日本における現状を伺いたいと思います。  国内では、既に遺伝子組みかえによってつくられた除草剤の耐性大豆が試験用で植えつけられているというふうに聞いております。生産地、面積の把握ができておりますでしょうか。これは品種登録がされますと、日本でも商業作付というのができるようになるのか、農水省にお伺いしたいと思います。
  116. 三輪睿太郎

    説明員(三輪睿太郎君) お尋ねの食用作物としましては、栽培目的に供するものとして食品及び環境に対する安全性が確認されたものの一部が試験研究用に大学とか国、都道府県の農業試験場などで栽培されております。それらにつきましては、商業生産を目的に植えられたものではありませんで、極めて限られたものであります。  例えば、農水省の研究機関の例を申し上げますと、筑波の農業研究センターでは害虫抵抗性小豆を栽培しておりますが、面積は〇・二アールでございます。農水省全体でこういう一般圃場栽培がされておるのは六・五アールというようなことでございますので、極めて限られたものだというふうに思っております。
  117. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私がお伺いしたことについては全然答えていらっしゃいませんでした。日本全国の中で生産地、いろんなところ、今の筑波の話じゃありません、いろんなところでやっている現状を把握しているのかどうなのかということをお伺いいたしました。早急に調査をして実態把握に努めていただきたいと思います。  いずれにしましても、遺伝子組みかえ技術によってつくられました種子であることを知らずに生産者が購入したり、あるいは植えつけをすることがないように、種子にも表示を義務づけるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  118. 三輪睿太郎

    説明員(三輪睿太郎君) まず、安全性が確認されたものでないと栽培されないということでありますが、確認されたものにつきましては環境に対する影響その他、非組みかえの農産物と全く同様でございますので、一般の圃場で栽培しても区別する必要がないということで、現在までは事業者等に栽培状況等の報告は求めてはおりません。
  119. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう一度確認しますけれども、そういうはっきりしないところで、日本では商業作付というのはできるんでしょうか。表示はしないという方向だとすれば、こういうことについては絶対それ以上進めていただきたくないと思いますけれども、できますか、日本での商業作付。
  120. 三輪睿太郎

    説明員(三輪睿太郎君) 安全性の確認を受ければ、これは食品については厚生省において確認をしておりますし、飼料については農水省、それから環境についても農水省が行っておりますが、その確認を受ければ一般圃場で栽培することができます。
  121. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これは大変な答えだと思います。  遺伝子組みかえ食物は嫌だ、これは絶対に食べたくない、例えば国産大豆を少し高いなというふうに思っても買おうとしている、そういう動きが消費者の間でありますよね。生産者と消費者をつなぐ運動を展開しているグループもあります。ところが、国内でも遺伝子組みかえ作物が栽培される、さらに表示もない、こういうことでしたら消費者の選択の機会が奪われると思います。せっかくの国産大豆見直しの機運に水を差すことにはなりませんか。
  122. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 種子の話ですね。  安全性が確認されたものにつきまして商業作付ができると先ほど三輪局長の答弁があったとおりでございますが、先ほどお答えしましたように、その表示につきましては、要するに第二分類といいますか、組みかえたDNAあるいはたんぱく質が残っているものにつきましては表示を義務づけるという方向でルールを今つくりつつあるわけでございます。今、先生おっしゃいましたような大豆につきまして、国産大豆を振興する観点からも表示の適正化ということは生産者団体等から要請が強いわけでございまして、そうしたものにも今回の遺伝子組みかえ食品の表示ルールはこたえ得るものになっているというふうに考えておるところでございます。
  123. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 多分、消費者の人たちの今の動きを十分わかった上でお答えになっていない、わかっていてもそのことをわからずに今のことを答えているというふうにしか私はとれないわけなんです。今、多くの人たちは非組みかえ食品、例えばアメリカの中でもこちらの輸入の中では本当に選別をして、きょうあたりの新聞でも、米国で抑制の動き、組みかえ作物栽培、世界的な拒否反応を受けていると。初めてアメリカでは下院議員が表示義務法案というのを出そうと、アメリカでもこういうような動きになっているということなどを踏まえますと、消費者は当然それを選別して選ぶのでこういう動きになっているだろうというふうに思うんです。  そうしますと、日本の中で商業作付ができるようになっていく、種子の表示もしていかない、選択権が一体どこに行ってしまうのかというのが大変心配になってしまいます。  同じようなことですので続いて伺いますが、しょうゆや油について、こうした食品についても表示が必要だと考えますが、農水省が表示制度の目的だとしております消費者選択の観点からも要求が高いわけですが、見解はいかがでしょうか。
  124. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 私の方から、前の質問の種苗の表示のお話がございましたので補足してまず御説明をしたいと思います。  製品と違いまして、種苗につきましては大きく分けて二つの考え方がございます。一つは、種苗ですから生産者はどうしても品種に関心がまいります。我が国でも品種につきましてはどういう品種かというのは表示をすることになっているわけなんです。  その場合に、一つは、そういう流通の実態から種苗の名前を見ればこれはもう組みかえ食品だとわかるから義務づけなくていいじゃないかという考え方が片方にございます。片方には、いやそれでもやはり基本的に義務づけた方がいいんじゃないかということがございます。例えば国で申し上げますと、アメリカではどちらかというと前者の方でございまして、品種は当然書いてあるからこれはわかるからいいじゃないかという考えをとっております。EUでは義務づける方向で検討中と聞いております。  私どもの国では品種を表示する仕組みがございまして、一般的にはその品種を見れば、生産者は当然一番関心の事項でございますから、消費者と違いまして品種そのもの、それでわかるんじゃないかと考えられているわけでございますが、最近の表示をめぐります、先ほどもお話がございましたようなさまざまな動きがございますので、一番関心があるはずでございます直接の利用者である農業者の皆さんの要望がどうなっているかとか、それから種苗業界はどういうふうに考えておられるだろうかとか等々いろいろ整理をした上で、これについて表示をさらにどうするか検討したいと考えておりまして、今いろんな情報を整理しているところでございます。
  125. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農家の人たちに対しては省力化とい言葉で組みかえ作物を栽培してはどうかと、数年のうちに除草剤耐性あるいは病虫抵抗性がある、そういうものがはびこっていくということになるんですけれども、むしろそういうふうになったときに、遺伝子組みかえ作物ならば減るとされた農薬の使用量がかえってふえるんじゃないかというふうに農家の方の中にも心配している人もあるわけなんです。  そうすると、特有の病虫害が発生したり収穫が激減することも予想される、そんな心配もしておりまして、必ずしもいいという面だけで農家の人たちは受け取ってはいませんが、でも、やっぱり国が推進していくというので省力化で目を光らせてしまう。十分に意味がわからなくても、この種子が本当に遺伝子組みかえ食品かわからなくても使ってしまう、そういうおそれなどもありますので、やっぱり表示というのが大事ではないかなというふうに思うんです。  油について言えば、例えばアレルギーの問題も指摘されております。私もことしの通常国会のときに、食物アレルギーの子を持つ親の会の方々と一緒に厚生省に行ってお話を伺いましたときにも、原材料すべてが表示されているわけではないのでアレルゲンを避け切れない、一〇〇%表示されていなかったために食べて全身ショック症状を起こした例も現実に起きている、安心して食事を楽しめるようにぜひとも微量使用の原材料にまで表示を義務づけてもらいたい、遺伝子組みかえ食品についても同様に使用、不使用の表示を義務づけてもらいたいということで、よくわからないまま食べ続けてきたことの問題、微量のものでも死んでしまう人もいるという問題。油は、そのたんぱくが残らないというふうに言っているけれども、微量のことにこうして反応する子供たちがいることを考えますと、私はしっかりとその表示を拡大すべきだというふうに考えます。  先ほど表示対象が輸入される遺伝子組みかえ食品の一割でよいのかというふうに伺いました。輸入トウモロコシ一千五百万トンの七割が家畜飼料用、加えて輸入大豆、菜種、綿、油を搾った後のかす、こういうものは家畜飼料に回るわけなんですけれども、アメリカのコーンの三割が遺伝子組みかえのBTコーンであることもあわせまして、これは結局、牛、鶏が例えば食べるとすれば、それは消費者の肉、卵、牛乳への不安につながっていくわけです。  消費者が求めておりますのは、組みかえ遺伝子を含む食品すべてに表示をということであります。食品同様に飼料にも表示をすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  126. 本田浩次

    説明員(本田浩次君) 突然の御質問でございますけれども先生が御関心を持っておられたということは十分承知しております。  配合飼料の表示につきましては、御案内のとおり飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基づきまして、まず第一点では、有害畜産物が生産されまたは家畜などに被害が生ずることによりまして畜産物の生産が阻害されることを防止するという安全性の見地、それから第二点目には、飼料を使用する農家がその購入に際し栄養成分に関する品質を識別する見地から、飼料の名称、原材料名などの項目を表示することになっております。  遺伝子組みかえ体利用飼料につきましては、安全性の見地からは、平成八年四月農林水産省が策定いたしました組換え体利用飼料の安全性評価指針に基づきまして、既存の飼料と同等の安全性を有していることを確認しているということがまず前提にございます。また、栄養成分に関する品質識別の見地からは栄養成分が既存の飼料と同等であることを確認しているといった実態がありますので、当面、遺伝子組みかえ体利用飼料の表示を義務づけることは必要ないと考えているところでございます。  ただ、先ほど農産園芸局長から御答弁いたしましたように、これは生産者、それから関係業界の方々がどのように考えているかといった事情もございますので、私どもといたしましてもそういったもろもろの情報を整理いたしましてさらに検討してまいりたいと考えているところでございます。
  127. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 遺伝子組みかえ食品については、既に市民団体が反対をしているだけという段階を超えていると思います。食品業界では非遺伝子組みかえ食品にシフトする動きも見られております。この動きを背景を含めてどんなふうに評価するか、大臣にお伺いしたいと思います。  ジャスコあるいは伊藤忠の動きなどもございます。消費者の不安にこたえた結果がこういうふうなシフトになっているのだろうというふうに思うんです。つまり、産業界を動かすに足るニーズがあるということなんですね。消費者選択を言うのであれば、産業界の動きの意味するところを踏まえて幅広の対象設定をすべきだというふうに思います。産業界のシフトは非組みかえ食品へのシフト、分別のコスト、技術的な可能性についてもやはり可能性を示しているというふうに思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  128. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 食品業界におきましては、遺伝子組みかえ食品の表示の方針や消費者の需要の動向を踏まえて、遺伝子組みかえ農産物を原料として使用するかどうかの方針をそれぞれの企業が検討し、対応の準備をしているというのが状況であると存じます。  その中で、幾つかの企業におきましては、非遺伝子組みかえ農産物を原料として使用する方針を決定し、これを発表いたしております。  どのような原料を使用するかは消費者の需要の見方、コスト等を踏まえたそれぞれの企業の判断でありますが、いずれにしましても、表示ルールが実施される二〇〇一年四月以降におきましては、その表示ルールに基づき、原料調達の事実に即し、適正な表示を行うよう対応していただきたいと考えておるところであります。
  129. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 最後に、厚生省は新たに七品目の組みかえ品種を追加認可したということですけれども、欧州の動き等を踏まえて新しい安全評価の基準が確立するまでは新規許可はしないという姿勢が必要ではないかと思います。  厚生省に一言お願いします。そして、質問を終わります。
  130. 西本至

    説明員(西本至君) お答えをいたします。  組みかえDNA技術は非常に高度な先端技術でございまして、食品分野へ応用した経験が少ないということから、厚生省といたしましては、いわゆる遺伝子組みかえ食品等の安全性の確保につきまして十分な配慮が必要と考えておるところでございます。  御指摘の七種類の遺伝子組みかえ食品の安全性につきましては、私どもの食品衛生調査会にバイオテクノロジー特別部会というのがございまして、ここにおきまして個別に安全性評価指針への適合性の確認を行ったところでありまして、今後さらに常任委員会において審議されるところであります。現時点ではこの指針の内容の見直しが必要となるような科学的かつ合理的な知見はございませんので、新たな承認の凍結の措置は考えておりません。  なお、最近のEUの動向も含めまして遺伝子組みかえ食品に関する新たな情報につきましては、必要に応じ食品衛生調査会にも説明をし御審議をいただいているところであり、今後とも国内外における最新の科学的知見に基づき食品の安全性確保に適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  131. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 済みません、最後に一言だけ。  消費者選択ばかりでなくて、安全面でもやはり問題だというふうに思います。EUが遺伝子組みかえ食品の生産、販売の規制を強化するための新基準を作成して、二〇〇二年をめどに導入する方針を決めたという報道に接しました。検討されます項目の中には健康、生態系への影響評価、安全性基準の確立も含まれておりまして注目されておりますが、こうした議論が現在EUでは遺伝子組みかえ食品の生産、販売の許可を凍結していることだというふうに思います。  どうぞ、厚生省の中でも安全性の評価の見直しを求める声がたくさんあるということを踏まえて、ぜひとも検討をお願いしたいというふうに思います。  質問を終わります。
  132. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  私は十分間だけ短い時間をいただきましたので、砂糖に対する政策方針について主にお伺いしたいと思っております。玉沢大臣、どうぞよろしくお願いします。  私も実はこういう農水関係質問をするのは初めてでありまして、福祉でありますとか教育の方が専門でやってきましたが、実は大学は農学部を出ておりまして、勉強しなかったものですから今ここでそのお鉢が回ってきて大変難しいことでやっておる。先輩からちょっと砂糖のことをやってくださいとお願いがありまして勉強させていただきましたが、大変難しい、大変な課題だなと。  きょうも日本の農業のあり方についての議論があったわけですけれども、お米ほどの全体的な流れではないにしても、これも非常に典型的な問題であるというふうに私も認識いたしましたので、ぜひお教えいただきたいと思っております。  砂糖でございます。例えばこの数字は専門家から見ればもっときちんとしたものがあるかもしれませんが、消費者として私がまずびっくりしましたのは、輸入をしますと大体一キロ当たり二十四円ぐらいが輸入の原価であると。ところが、それに対して一キロ当たり三十七円、場合によっては三十九円の調整金というのを消費者が払い、そしてそのお金が回り回って北海道と沖縄そして鹿児島ですか、そちらの農家の方にお金が行く。これも大ざっぱに言うと、鹿児島の甘蔗というんですか、サトウキビの関係では大体二百六十三円ぐらい、北海道のビートの方では百七十円ぐらいの値段で買い入れているというようなことだそうでございます。  もちろん、この地域のこういうお百姓さんたちが砂糖生産というところで生活されておる。また、ほかの農作物というのも大変であるとか、地域のいろんな風土ということもある。こういう中で、砂糖・甘味資源作物政策、この大きな転換ということを今度農水省は発表されたと聞いておるんですけれども、一体これはどんなような考え方で、例えば消費者の値段は下がるのであろうか、または国内の生産者はどのような形で守られるのであろうか、大変気になるところであります。大臣、この辺についてお教えください。
  133. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず、砂糖は国民の食生活に欠くことのできない食品であります。また、その原料となるてん菜やサトウキビは、北海道、沖縄県及び鹿児島県南西諸島において地域農業を支える上で基幹的な作物であり、国産糖企業とともに地域経済の維持発展に大きな役割を果たしてきておるわけでございます。つまり、離島とか、また北海道の一応地理的に離れたところでありますけれども、そこではなくてはならない作物である、こういうことをまず認識しなきゃいかぬと思うんです。  それで、砂糖につきましては、確かに国際的な価格の差がありまして、それぞれ調整金をいただきながらやっておる。国際的に見まして、例えばアメリカとカリブ海諸国の砂糖の点におきましてもやっぱり相当価格の差があるわけです。アメリカはアメリカなりの保護政策をとりましてそれぞれの産業を守っておる、こういう実情にあるということを御理解いただきたい、こう思います。  現行の糖価安定制度は、近年、消費者の低甘味志向や砂糖に対する誤解等による砂糖需要の停滞、各種加糖調製品の輸入の増加、食品産業、消費者等からの内外価格差の縮小に対する要請の強まり、国産糖の価格支持財源を負担している輸入粗糖の減少等の問題に直面をいたしております。  このため、食料・農業・農村基本法及び農政改革大綱に示されました方向に沿って九月に策定されました新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱に基づきまして、食料・農業・農村基本計画への砂糖の自給率目標等の明記、糖価安定制度の基本的な枠組みであります輸入糖と国産糖の価格調整や国産糖への助成を行う仕組みの維持、砂糖の卸売価格の引き下げによる価格競争力の強化等、需要の維持拡大に向けた関係者の取り組みの具体化を図ってまいりたいと考えておるわけであります。  一方におきまして、御指摘にありましたように大変な価格差がある。この砂糖を使っておるメーカーもあるわけですね、菓子業界。製品として外国と競争しているわけですから、それは原料が安いにこしたことはないわけでございますので、ポイントは、やっぱり需要をされるユーザーの方々に対しまして原料である砂糖を少しでも価格を安くして提供することができれば非常に有意義である、こういう観点からも政策の検討を行っておるというところでございます。
  134. 山本保

    山本保君 大臣、一言だけ。  先ほども基本法の考え方などの、また今のお答えの中でも安定した価格という言い方をされておりますけれども、価格を下げていくというようなところにちょっと熱意がないのではないかなという気もするわけでございます。  つまり、経済的に考えますと、一番重要なところはまずそこであって、そのために合理化すべきところはないか、また、確かにそういう南のところでありますとか生活と絡むとは思いますけれども、いろいろお聞きしますと、もともとサトウキビやてん菜がずっとあったわけではなくて、これがふえていったことも実は農業施策の結果であるということもあるわけでございますから、当然これは変化ということもある。こういうふうに考えていただきたいと思っているんですが、時間がありませんのでそれはお願いだけにしておきます。  あと二つあるので一緒にお聞きいたします。  何か今度は第二次調整金というのがあって、これが言うならば輸入を制限して国内産をふやそうという効果があるものであると。これを引き上げて輸入量を減らそうではないかという動きがあるやに聞いておるわけでございますけれども、輸入量が減りますと、言うならば国民としての負担のお金はどうしても高くなるだろうというふうに考えざるを得ないわけでありますけれども、この辺はどうなのか。  またもう一つ、今までの砂糖価格安定のために千七百億円にも上ります糖価安定資金というのがあって、これを活用して今の構造についても抜本的な改革がなされるのではないかとも聞いておるわけでございます。  この二つの点について担当者の方からお聞きしたいと思います。
  135. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) まず最初に、二次調整金の御質問でございます。  粗糖を輸入するときに、通常年の輸入糖の数量を基礎として定める数量を超えるものにつきましては、砂糖の供給数量が増加すれば砂糖の市価なりあるいは国内産糖の売り戻し価格に影響が及ぶわけでございます。そうした程度を参酌しまして、一次調整金に加えまして二次調整金が課せられるということになっておるわけでございます。  この二次調整金やあるいは市価参酌を含めまして、今後の粗糖輸入のあり方につきましては、先ほど大臣から御答弁ありました新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱の中で、精製糖企業等の関係者と具体的な検討を進めまして、この十二月を目途に取りまとめていくというふうになっておりますので、その方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、もう一つ御質問ございました糖価安定資金の活用の件でございます。  そもそも糖価安定資金は、輸入糖の価格が安定下限価格を下回るときに積み立てて、輸入糖の価格が安定上限価格を上回ったときにこれを取り崩しまして、国内糖価の異常な変動を防止するということにあるわけでございます。  御案内のように、最近時におきまして輸入糖の価格は低位で安定的に推移しているわけでございます。先ほどの新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱におきましては、一つは、砂糖の価格競争力の強化と需要の維持拡大に向けました関係者の取り組みを支援するために糖価安定資金の活用等を検討する必要があるというふうに述べられているわけでございます。また、糖価安定資金につきましては、消費者が直接的に受益することを旨として使途の見直しを検討するというふうにもこの大綱の中で述べられているわけでございます。  こうした方針に即しまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  136. 山本保

    山本保君 もう時間が来ましたので終わりますけれども、消費者からお借りしている金です。ただ単にそれを上乗せして安くしたというような安易な方法ではないような構造改革をぜひお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  137. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。山本委員に引き続きまして質問させていただきたいと思います。  私の質問は、東海村の核燃料施設事故に関してと、それからあと農業関係質問をしたいと思いますので、二階運輸大臣、もし所用があるようでしたら私の時間帯は席を外しても結構でございます。  最初に、東海村の核燃料施設事故について質問をしたいと思います。科技庁と農水省にお伺いしたいと思います。  九月三十日に発生しました東海村のウラン加工施設臨界事故は、国際評価尺度でレベル四という国内最悪の事故となったわけであります。公明党としましても、事故当日に東海村核燃料施設事故対策本部を設置しまして、翌十月一日には現地調査を行っております。そして、政府に対しまして四項目の緊急申し入れを行ったわけであります。  その一つは、被曝災害の拡大防止の住民の安全対策と健康管理の徹底。それから二番目としましては、迅速かつ的確な情報公開。三番目としましては、再発防止事故原因の徹底究明。四番目としましては、同様の核燃料施設の緊急点検の四項目でございます。  第一番目の質問、科技庁にお伺いしたいんですけれども、この事故原因について科学技術庁としてはどういう見解を持っておられるか。また、原因分析を踏まえての今後の再発防止対策、特にフェールセーフシステム、過失があったとしても安全に工程が進むというような、そういうフェールセーフシステムの確立についてお伺いしたいと思います。
  138. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) お答えいたします。  事故のありました転換施設につきましては、例えば仮に間違って許認可上の管理されている量の二倍以上のウラン溶液を溶解槽に入れるといったような事態が生じたといたしましても臨界に至らないような設計上の配慮がなされているところでございますが、今回、事業者によりますと、通常では考えられない作業員の不正な作業によりまして、許認可上の管理されている量の七倍にも上るウラン溶液を入れたということを明らかにしているところでございます。当庁といたしましては、このような不正な行為等によって臨界事故が引き起こされた可能性が高いと考えております。  今現在、十月四日に設置されました原子力安全委員事故調査委員会におきまして徹底的に原因究明、さらには抜本的な再発防止対策を検討しているところでございまして、これを鋭意進めていきたいと考えております。
  139. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、事故施設周囲の環境への放射能汚染の状況について、どの程度周囲の環境に放射能汚染があったのか、その点に関しまして科技庁にお伺いしたいと思います。
  140. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) お答えいたします。  今回の事故による環境への影響でございますが、大きく二つございます。一つは、中性子線によるものと放射性物質の放出によるものでございます。  前者の中性子線によるものにつきましては、現在、調査検討が進められている段階でございまして、まだ取りまとまっていない状況でございます。  後者の放射性物質の放出によるものにつきましては、まず、事故当日、九月三十日でございますが、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDIネットワークシステムと呼んでおりますが、これで周辺環境の幾つかの地点で一時的に放射性物質の放出の影響があったことが観測されております。その後の十キロメートル屋内退避、あるいは三百五十メートル避難の解除のための検討材料として集中的な環境モニタリングが行われておりまして、今のところ問題がないということを確認いたしております。  さらに具体的に申し上げますと、環境モニタリングというのは当日より引き続いて行われているわけでございますが、中間的に取りまとめられたものといたしましては、十月五日に茨城県が公表したもの、あるいは十月八日に科学技術庁が先ほど申し上げました原子力安全委員会の第一回事故調査委員会に報告したものがございますが、沃素131等の量はごく少量でございまして、健康への影響を及ぼすものではないことが確認されております。  今後とも、茨城県とも協力をいたしまして十分な環境モニタリングを継続し、住民の皆様方の不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
  141. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 確認なんですが、中性子による環境汚染の方はまだまとまっていないということでありますけれども、これは周辺住民等に対しては健康被害が起こるようなものではないという、その前提でまだまとまっていないということでしょうか。
  142. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) 中性子線の影響につきましては、今後、今いわゆる建物の中に残っております放射性物質の分析等を行う必要がございまして、ただ、まだなかなか中のレベルが高うございまして、そういう作業ができる状態にございません。そういう分析を通じて明らかにされていくということでございます。
  143. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 なるべく早く調査結果をまとめていただいて安全性を公表していただきたい、そのように思います。
  144. 間宮馨

    説明員(間宮馨君) 中性子線の影響は今申し上げたところでございますが、一つ追加的に申し上げますと、茨城県が十月二日から四日にジェー・シー・オーからおおむね五百メートル以内の周辺住民等について健康調査を実施いたしておりまして、昨日公表されたわけでございますが、その結果では直接の放射線障害が疑われる者はいなかったという結果を得ております。
  145. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 農水省にお伺いしたいんですけれども、放射能による農林水産物への直接的影響についてはどうであったのか、その点に関してお伺いしたいと思います。
  146. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 農林畜水産物の安全性の確認についてでございますけれども、総計二十四品目、例えばピーマンでございますとか大根でございますとか等々、あるいは鶏卵とか水産物についてもでございますけれども、二十四品目の五十一点につきまして分析をしました。この分析は、国、県等の関係のそういう放射性物質を分析可能な分析機関、試験研究機関において分析をしてもらっております。  農林水産省、厚生省としては、これらの検査結果につきまして学識経験者の評価も踏まえまして総合的に検討した結果、茨城県産の農林畜水産物の安全性について問題はない、そういう結論に達したということでございます。
  147. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回は農林水産物に関しまして放射線の直接的影響はないにしても、風評被害等々で作物が売れなくなっているというようなことがありまして、そういう意味での賠償が問題になると思うんです。  科技庁の方にお伺いしたいんですけれども、そういう損害の賠償というのはどういう形でなされるのか、簡潔にお伺いしたいと思います。
  148. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答え申し上げます。  原子力の事故によりまして放射能汚染等の被害が発生した場合に備える形で原子力損害賠償制度が整備されているところでございます。  この制度では、被害者保護等の観点から、原子力事業者の過失の有無にかかわらず、事業者が原子力損害の賠償責任を負うこととなってございます。このため、原子力事業者は、当座の賠償資金確保のため民間保険契約などを締結することが義務づけられておりまして、当該株式会社ジェー・シー・オーにつきましても、この保険契約等によりまして十億円の損害賠償措置が講じられているところでございます。  今回の事故につきまして、被害者から損害賠償請求が出され、原子力損害が確定された場合、ジェー・シー・オー社は基本的にすべての損害について賠償しなければならないことになります。したがいまして、仮に損害額が十億円を超える場合は、当該社は追加賠償資金を確保する必要が生じてまいります。なお、当該社の支払い能力に限界があるなど政府が必要と認める場合は、国会の議決を経て政府が援助することになってございます。  科学技術庁といたしましては、被害者救済に遺漏なきよう制度の適切な運用を図っていく考えでございます。
  149. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 よろしくお願いしたいと思います。  農林水産省としまして、そういう風評被害等で農作物が売れなくなって困っているという状況もあったわけでありますけれども、そういう損害賠償以外にどういう支援ができるのか、その点お伺いしたいと思います。
  150. 石原葵

    説明員(石原葵君) 農業者等への救済措置でございますけれども、先ほど科技庁さんの方からお話がございましたように、原子力賠償法に基づく補償、これが第一だと思いますが、今回の事故で被害を受けられました農業者等につきましては、その経営に必要な資金が円滑に融通をされる、それとともに個別の経営事情に応じまして既貸付金の償還猶予等が図られるよう農協等の関係金融機関に対しまして指導したところでございます。これらの措置によりまして農業者等が通常どおり事業活動を展開されることを期待しているところでございます。
  151. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 よろしくお願いしたいと思います。  次の質問になりますけれども、今回重症の放射線被曝者に対しまして末梢血あるいは臍帯血を用いました血液幹細胞移植が行われている、各一例というふうに聞いておりますけれども、その血液幹細胞移植による治療効果、あるいはその患者さんの現在の治療経過が順調にいっているのかどうかお伺いしたいと思います。これは科技庁ですね。
  152. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答え申し上げます。  御指摘の今回の重度の被曝患者のうち二名につきましては既に東京大学の病院並びに医科学研究所の方にお移りいただいているところでございますけれども、当初この被曝患者三名につきましては放射線医学総合研究所の方にお入りになられまして所要の医学的措置を講ぜられたところでございます。  他方、白血球数が激減するなど造血機能の障害が見られ、造血促進をする薬剤による治療では不十分と判断された患者お二人につきまして、血液幹細胞の移植によりまして造血機能の回復を図ることとしたところでございまして、三十五歳の男性につきましては、東京大学附属病院において、十月六日と七日の二日間、末梢血幹細胞移植が実施され、また三十九歳の男性につきましては、東京大学医科学研究所附属病院におきまして臍帯血移植が実施されたところでございます。  いずれの移植につきましても、成功した場合の造血機能の回復については、過去の成人に対します臍帯血移植の例などから推定しましても早くても二十日弱、遅ければ五週間程度かかるとのことでございまして、放射線障害に対します効果は過去のデータが非常に少なく予測することが難しいと聞いております。  移植を受けた両名の容体につきましては、今後ともその推移を慎重に見守ってまいりたいと考えてございますが、他方また、放射線医学総合研究所にいらっしゃる一人の患者につきましても、同様、放医研の方で努力を払っているところでございます。
  153. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 しっかり治療していただきたい、そのように考えます。  次に、最後の質問になりますけれども、きょうの新聞でも骨格が出ておりましたけれども政府が表明されました原子力防災法の制定に関しまして、その基本方針とスケジュールについて科技庁の方に簡潔にお答えいただきたいと思います。
  154. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答え申し上げます。  防災対策のための新法の問題につきましては、今回の事故の教訓を踏まえる形で、現在、災害対策基本法に基づきまして所要の施策が講ぜられておるところでございますけれども、その具体的な運用上のいろいろ明らかになりました諸点、そういう問題を整理いたしまして、より実効性のあるような形で措置を講じていくことが必要だろう、このように考えているところでございます。  また、そういう観点から、抜本的な強化を図るために、国、原子力事業者などの果たすべき役割を現在検討しているところでございまして、通商産業省を初めとする関係省庁、国土庁であるとか消防庁、さらには関係する省庁の協力のもと、科学技術庁の中に原子力安全・防災対策室を設置し、その検討作業を進めているところでございます。  今後とも、関係省庁と連携をとりながら、他方また広く国民の御理解を得ることが重要でございますので、国会におきます審議などを経て、これに対しますきちっとした作業を取りまとめていきたいと、このように考えている次第でございます。
  155. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 国民信頼を取り戻すために本当に真剣になって取り組んでいただきたい、それもなるべく早くそういうきちんとした防災対策ができるようにお願いしたいと思います。  次の質問に入らせていただきたいと思います。  次は、輸入鶏肉から分離されます高度バンコマイシン耐性菌につきまして質問させていただきたいと思います。  医療分野におきましてはこの高度バンコマイシン耐性菌の日本における蔓延というのが非常に心配なことでありまして、厚生省の方では輸入鶏肉に関しまして高度バンコマイシン耐性菌が分離されるのかどうかチェックしているわけでありまして、そのチェックしたところが、菌が分離されているということが新聞報道等されておりまして、私としても非常に関心を持って見ておるわけであります。  それに関連しまして質問させていただきたいと思います。時間の関係上、通告しました質問を一部カットさせていただくところがあると思いますが、よろしくお願いします。  まず、厚生省の方にお聞きしたいんですけれども、輸入鶏肉並びに国産鶏肉の高度バンコマイシン耐性菌汚染の状況についてお伺いしたいと思います。
  156. 西本至

    説明員(西本至君) お答えいたします。  食肉中の高度バンコマイシン耐性腸球菌のサーベイランス調査につきましては、平成八年度から研究班を設置して調査を行ってきたところでございます。  その結果、国産鶏肉につきましては、平成九年度百二十八検体、平成十年度六十七検体について調査をいたしましたが、高度バンコマイシン耐性腸球菌は検出されてございません。  それから、輸入鶏肉につきましては、平成九年度に合計百二十検体について調査いたしまして、フランス産鶏肉の六検体中三検体、及びタイ産鶏肉の十四検体中三検体から検出されております。また、平成十年度の調査におきましては、合計百二十七検体の輸入鶏肉のうち、フランス産鶏肉の四検体中二検体、タイ産鶏肉の四十三検体中九検体、及びブラジル産鶏肉の二十二検体中二検体から高度バンコマイシン耐性腸球菌が検出されているところでございます。
  157. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 これも厚生省にお伺いしたいのですけれども日本におきまして高度バンコマイシン耐性菌の人からの分離状況が八例あったというような話を聞いておりますが、その点に関しましてちょっと簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  158. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) 本年四月から施行されましたいわゆる感染症新法によりまして、バンコマイシン耐性腸球菌感染症の発生動向につきましては四類感染症として位置づけられておりまして、診断したすべての医師に報告していただくことが規定されております。  それによりますと、今年四月以降の話でございますが、患者の発生状況につきましては、九月二十六日までの累計で十五件が報告をされております。また、本年三月以前の状況については、これは法的対応ではございませんが、平成九年以降十四件が報告をされております。  以上でございます。
  159. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 高度バンコマイシン耐性菌の日本における分離もふえてきているということでありますけれども日本におけるこの耐性菌の人からの分離がふえている原因につきまして、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
  160. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) 今の感染症新法の報告に基づきますと、原因につきましては全部不明ということでございます。基本的にはさまざまな要因で薬剤に抵抗性を有することになった病原菌が出現した、そのように考えておりまして、感染経路その他から見ると一応不明ということでございます。
  161. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 いろんな学説があると思うんですけれども、厚生省の方はまだ原因不明と今お答えになりましたけれども、先ほど言いましたように、輸入鶏肉の方のバンコマイシン耐性菌が分離されるということでありまして、その輸入鶏肉からの国内への持ち込みといいますか、それからの波及等も心配される状況であります。  厚生省並びに農林水産省としましては、この高度バンコマイシン、特に鶏肉を原因とするようなものがあるとすれば、その防止対策等についてどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
  162. 西本至

    説明員(西本至君) バンコマイシン耐性腸球菌につきましては、畜産領域で使用されておりますバンコマイシンと構造が類似をしておりますアボパルシンというものの使用によりましてバンコマイシンの耐性菌が生じるとの報告がございます。  このため、我が国といたしましては、サーベイランス調査によりまして高度バンコマイシン耐性腸球菌が検出された輸出国に対しまして、アボパルシンの使用実態の調査及び使用の禁止等を要請してきたところであります。フランスにおきましては平成九年四月、タイにおきましては平成十年七月、ブラジルにおきましては平成十年十月に、それぞれアボパルシンの使用の禁止を行ったと報告を受けているところでございます。
  163. 本田浩次

    説明員(本田浩次君) 高度バンコマイシン耐性腸球菌が検出されている鶏肉、いわゆるVRE汚染鶏肉輸入の防止対策につきましては、ただいま厚生省から御答弁がありましたように、食品衛生に関することでありますので一義的には厚生省がその対策に当たっているところでございます。  農林水産省といたしましては、畜産物の生産段階での安全性の確保を図る観点から、平成九年三月にアボパルシンの飼料添加物としての指定を取り消し、我が国で生産される鶏肉がVREに汚染されることを防止しているところでございます。  さらに、厚生省によれば、VREが検出された鶏肉につきましては、まず第一点は通常の健康人が食べても直ちに健康上の問題が生ずることはないということ、また七十度Cで一分以上加熱処理すれば死滅するということでございますので、私どもといたしましては、このことを関係団体を通じて消費者や外食などのユーザーに対して十分周知させるなど、厚生省とも連携を図りながら適切に対応しているところでございます。
  164. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今後、日本は高齢化社会になりまして高齢者がふえてくる、そして厚生省の方では要介護者は在宅で見ていきなさいという方針を出しております。  先ほど、輸入鶏肉に高度バンコマイシン耐性菌が付着していると。料理するときにそういう菌が自宅の調理場に拡散されて、ヘルパーさんが来てそれをまた触って、ヘルパーさんが次の高齢者のところにうつしてしまうというようなことも懸念されるわけであります。国民に対してどういうものなのかということを周知することが非常に大切だということと同時に、介護現場での感染症対策というのが非常に大事になってくるのではないか、そのように思っております。  厚生省としましてどのような感染予防の対策をとる方針になっているのか、お聞きしたいと思います。
  165. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) ただいまお尋ねがございましたように、ホームヘルパーの方々は高齢者の方に直接接触することがお仕事でございますから、感染を受ける場合もまたホームヘルパー自身が感染経路となるという可能性もあるわけでございまして、私どもとしても十分注意をしなければならないと思っております。  ホームヘルパーになるためには、御承知のとおりでございますが、訪問介護員の養成研修がございます。その研修課程の中に感染症に対する理解、それから予防というような項目がございまして、これは必ず履修をしていただかなければならない項目でございます。また、さまざまな研修の機会などを通じまして感染症に対する知識と理解を深めるように努力をしておるところでございますが、新しい事態がさまざまございます。引き続き的確に情報を提供し、ホームヘルパーなど介護の現場の方々の知識の普及に努めてまいりたいと考えております。
  166. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 質問をほかにもいろいろ用意してきたんですが少し省略しまして、玉沢新農林水産大臣の方にお伺いします。  大臣は、就任に当たりまして、新しい観点からの林業基本法、漁業基本法の制定を目指すというような発言がありましたので、この法律制定に向けての基本方針あるいはスケジュール等が決まっておりましたら、その点に関しての御所見をお伺いしたいと思います。
  167. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず、林業基本法でありますけれども、これは昭和三十九年に制定されたものでありまして、それから三十五年が経過をいたしまして、非常に経済社会情勢が変化をいたしておるわけであります。そういう中におきまして、森林に対する国民の要請の重点が木材生産機能から国土の保全や水資源の涵養、さらには温暖化防止等の公益的機能へ関心が移っております。  これまで森林整備を担ってきた我が国の林業は、その後の外材輸入の著しい増加と木材価格の低迷、人件費等の林業生産コストの増大等により厳しい状況に置かれております。このため、森林・林業・木材産業政策の基本的な考え方を木材生産を主体としたものから、将来にわたり森林の多様な機能を持続的に発揮させるための森林の管理、経営を重視したものに転換することとして、具体的な施策の検討を急ぐように指示してきたところであります。  林業基本法につきましては、これらの検討を踏まえた上でそのあり方につき検討することといたしております。本年末をめどとしてそのあり方を含む対応方針その他について今後取りまとめをしてまいりたい、こう考えております。  漁業基本法につきましては、御案内のとおり、本格的な二百海里時代の到来を迎えております。したがいまして、この二百海里内における資源の確保、資源をいかに回復してこれを持続的に利用していくか、こういう観点に立ちまして、意欲と能力のある担い手の育成、水産基盤の整備と漁村の活性化等の課題への対応が急務である、このように考えておるわけであります。  そこで、この八月には水産基本政策検討会からの報告もいただいておりまして、今までの検討も踏まえて新たな水産基本政策の具体化に向けた検討を急ぎ、年末をめどに基本政策の内容と実施手順を政策の大綱及びプログラムという形で取りまとめたいと考えております。  いずれも年末をめどにやってまいりたい、こういうことでございます。
  168. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ありがとうございました。
  169. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、まず山陽新幹線コンクリート落下事故最初質問し、その後、中部国際空港関連の質問を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。    〔委員長退席、理事中原爽君着席〕  十月九日、山陽新幹線北九州トンネルコンクリートの塊の落下事故が起きました。長さ三・五メートル、重さ二百三十キロのコンクリートの塊が五個に割れて落ち、六月の福岡トンネル事故よりも大きな塊であるということであります。たまたま新幹線が走行していない時間帯に落下したものと思われますけれども、もし通常の運転時であったなら大惨事となった可能性もあります。しかも、わずか三カ月前に福岡トンネルコンクリート落下事故を起こしたばかりであります。トンネルも危険きわまりないんですけれども高架橋も実は剥落事故が相次いで起こっていまして、既にこの間約五十件にも上っています。  安全対策は鉄道事業者にとって絶対的なものであり、午前中の二階大臣もおっしゃいました。また、八月五日の運輸委員会で川崎運輸大臣も、同様の事故が二度と発生することのないよう最善の努力を尽くしていきたいと述べられていますが、それにもかかわらず同様の事故が起きました。  山陽新幹線は満身創痍で、JR西日本のこのままの姿勢では大事故につながる危険性は極めて大きく、一刻の猶予もできないほどの安全対策が欠如していると言わなければなりません。JR西日本責任は重大であるにかかわらず、福岡トンネル事件後、点検調査して、その結果今後十年以上は安心、心配要らないと安全宣言をされました。    〔理事中原爽君退席、委員長着席〕  ここにありますのは十月四日の新聞ですが、「安全信じていいのか」という特集に櫻井専務が答えておられまして、「事故後の補強で「二十年以上は大丈夫」という専門家もいるが、私どもは慎重を期して「十年以上」とした。トンネルなどの保守・点検項目も総洗いしてコールドジョイントを加えるなど、これまでの「穴」をふさいだ。安全は確保出来たと確信している。」と。これが事故の起きる五日前であります。  そして、事故が起きましたら、今度はJRの副社長が何とおっしゃったか。前回補修したところについての安全宣言だったと。事故原因と言われているコールドジョイントに限っての安全宣言だというふうに受け取れますが、こんな無責任な、国民利用者をなめ切った姿勢というのは絶対に許されないと私は思いますが、運輸大臣はどうお考えでしょうか。  また、JR西日本からも来ていただいておりますので、お答えください。
  170. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、さき運輸大臣に就任の際にも、記者会見で交通の分野においては安全が第一であるということを宣言しておりますが、今議員御指摘のようなことにつきましては私自身も大変遺憾に思っております。同時に、言葉でいろいろなことを言うのは簡単でありますが、私は、これは国民の皆さんに対して、失われた信頼の回復のためにJR西日本はもちろんのこと、運輸省も含めて全力を尽くしてその信頼の回復に取り組んでいきたいと思っております。  そして、いつも一番列車が走る前に安全の確認のための調査を行っておるわけでありますが、今度は現場の人にだけ任すのではなくて、JRの幹部もその確認に立ち会ってもらいたい、場合によっては運輸省もそれに立ち会わせていただくということを社長にも厳しく申し上げました。  そして、先ほど川崎前大臣お話にありましたように、二度と起こさない。二度と起こさないということは事故が起こったときにはだれでもが言うわけでありますが、私は、このようなことが次々に起こるという状況は新幹線の非常事態だということを内外に申し上げております。  ここでJR西日本運輸省が何かかばい合っているような姿ではなくて、徹底的に原因究明を行い、責任者を見えるような形で処分してもらいたいということをきのう申し上げました。そして夕刻、早速大阪の本社に帰られた南谷社長は、みずからも含めてJRの幹部の処分を行ったところであります。  現場に緊張感をもたらし、再びこういうことのないように運輸省としても最大の努力をいたしてまいりたい、このように思っております。  以上です。
  171. 金井耿

    参考人金井耿君) 今御指摘ございましたように、六月以降三カ月半の間に二回にも及ぶ剥落事故が発生をいたしまして、まことに申しわけないと思っております。  私どもとしては、もとより鉄道事業者として安全は最大の使命であるということで取り組んでまいったつもりでございますが、結果としてこういう事態に立ち至りましたことにつきまして、深くおわび申し上げる次第でございます。  御指摘ございました六月の福岡トンネルコールドジョイントにかかわる剥落事故に関しましては、従来の保守管理の想定外であったということもございまして、直ちにL形鋼等の補強工事によりまして再発を防止したわけでございますが、それ以外の部分について日常の点検できちんと管理をしていくべき事柄だということで考えて取り組んでまいりましたけれども、今お話がございましたように、今度は打ち込み口のところで剥落が生じたということで、まことに遺憾に思っております。  今後は、さらに点検項目の洗い直し等を白紙から見直しをいたしまして、打音検査の強化等も加えまして、大臣からの御指示を忠実に実行しながらさらに努力してまいりたいというふうに考えております。
  172. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 重大なのは、今JR西日本がおっしゃったんですけれども、今度の事故についても想定外だというふうに述べられているんですよね。前回の事故も想定外だと。同じなんです。そういう意味でも私は全く無責任きわまりないというふうに思い、安全第一を使命とする当事者として失格と言われてもいたし方ないと思います。  運輸省トンネル安全問題検討会委員であります朝倉俊弘京都大学大学院助教授が運輸省の要請で現地調査に入られていますけれども、そこで四つほど述べられているんです。  落下箇所というのは特別な構造なのに重点的な検査に含まれていなかった。剥落箇所はもともと不連続面、浮きがあって、それが漏水などの影響で拡大した結果、崩落したと見られる。三つには、破断面の色が茶色になり、割れ方からして不連続面は以前からあった。四つには、その不連続面は最近できたものではないと。  つまり、想定外どころか、点検をまじめにやっていたら予想できるということです。運輸省も朝倉先生から今述べたような報告を受けておられると思いますが、いかがなんでしょうか。
  173. 安富正文

    説明員(安富正文君) 委員指摘のように、運輸省では事故当日、トンネル安全問題検討会のメンバーであります朝倉助教授にうちの担当官一名をつけまして現地調査を行いました。  その際、詳しくはまた今後、トンネル安全問題検討会の中で私どもも状況を聴取していきたいと思っておりますが、一応の報告を聞いたところでは、一つは、剥落箇所の突起についてはコンクリートの打ち込み口という特殊なものである、これが落下してもトンネル構造上の問題が生ずるものではないという報告を受けております。  それからもう一つ、先ほど委員の方からも御指摘ありました落下したコンクリートの塊の浮きは比較的早い段階からあったものであると想定される。それがいわゆる漏水等の影響により徐々に進行し、結果として剥落に至ったものということが推定されるということでございます。また、この浮きにつきましては、自分が見た限りにおいて、打音検査というようなことをやっておれば発見できる可能性があったのではないかということを申しております。  今後、具体的な調査結果につきましては、先ほど申しましたトンネル安全問題検討会に報告して、今回の状況から、検査のあり方や必要な場合の処置についてさらに検討することを自分としても提案したいというようなことをおっしゃっていました。  以上でございます。
  174. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そういうことなんですね。  そこで、JRに伺いますけれども、七月に定期検査されました。この場所は目視のみで打音検査がなかったわけです。新聞やテレビでも現場を見ましたけれども、七メートル離れたところでは打音検査を行って実際にたたき落として応急処理をしています。この現場というのは非常に水もしみ出て目で見ただけでも大変なんですけれども、打音検査を行っていれば防げるということで、今の報告でも予測が可能であったということになります。それはどうなんでしょうか、金井参考人、お答えください。  また、あらゆる手だてをとって、想定外の事故でしたなどと三たび、二度とじゃないですね、これは三たび言わせない万全な対応をとるべきだと思いますが、どうなんでしょうか。
  175. 金井耿

    参考人金井耿君) 御指摘の七月十七日の検査におきましては、剥落をした箇所も含めて検査を実施しております。この検査は、目視によりまして変状の有無を確認いたしまして、必要なところについてはハンマーにより打音を行ったわけでございます。  今回剥落いたしました当該の箇所につきましては、漏水は認められましたけれども大きな変状であるとの認識には至らなかったものでございます。その結果このような落下につながってしまいまして、まことにその点については遺憾に思っております。  今、先生から御指摘がございましたように、三たびこのようなことは起こすなということで、私どもももとよりこの点については重々反省をしておりまして、今後の取り組みといたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども点検項目の見直しあるいは点検方法の見直し等を含めた総点検を実施いたしまして、その結果をまた検査体制の方に反映させていくという取り組みを強化して、安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
  176. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今お答えになったように、想定外どころか前兆を見逃していたことが明らかで、まさにJRのミスだと言えるんですよね。  先ほど大臣には大変真摯なお答えをいただきました。本当にそのようにやっていただきたいと思うんですが、厳重に注意するのは無論当然です。ところが、私ここに書類を持ってきたんですが、この五カ月に西日本に、先ほど言いましたいろんな事故が、崩落とか橋げたのあれとかありまして、五回警告を出されていますね。五月二十五日、六月二十八日、九月二十五日、九月二十七日、当日の十月九日。これは明らかに局面は重大に変わっていますという御認識があると思うんです。もしそういう御認識があるんだったら、鉄道事業法二十三条に基づく事業改善命令を出すことも視野に入れて当然検討されるんじゃないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。
  177. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のとおり、五回にわたって警告書を出しておるということに対しまして、私自身は、運輸省事務当局に対しましても、警告書というのはそんな軽いものか、もっとこの警告書の重みを鉄道事業者感じてもらうようなことでなければ、次々警告書を出しても意味がないじゃないかということをけさほども厳しく申し上げたところでありますが、今議員の御指摘のようなことにつきましては、今後の西日本対応をよく見ながら結論を出していきたいと思っております。  現在のところは、西日本が安全の再点検のために、一部だけではなくて安全の総点検を実施するように、しかも会社を挙げてやってもらいたい、現場の人にだけ任すのではないということを私も再三にわたって昨日も南谷社長に申し上げたところでありますが、そのJR対応を見てこれから対処したいと思っております。
  178. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は、大臣が今おっしゃったように、五回もちゃんと判この押してある警告書を出されるという、しかもその五回目は今回の事故ですから、その前にもいろいろあるわけです。ですから、当然、法律に基づく事業改善命令というのはこういうためにあるものだと私は思いますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。  JR西日本に伺うんですけれども、私ども運輸省に対しても再三にわたってこの安全対策の問題を提案してきました。特に、最初に御紹介いたしました安全宣言を受けて、これだけではもう大変なんじゃないかということで直ちに総理や運輸大臣にも申し入れをしてきました。コールドジョイント点検だけの対応で安全が保証されたということで宣言を出された。ところが、このコールドジョイント周辺以外、こういうところは目視での検査だとその時点で言われていたものですから、これは重大だと思ったんです。  具体的な対応として、コールドジョイント周辺以外の点検、今度はそれ以外で起きたわけです。この強化を図るために、目視だけでなくてサンプル調査とか徹底した調査を行うことを求めてきましたが、私ども指摘、警告が的中をして本当に残念なんですけれども、午前中にもトンネル設備の総点検とか打音検査拡大という答弁がありました。  JR西日本に伺うんですが、コールドジョイント、そして今度の打ち込み口は当初想定外だというのは、問題ないとされていた箇所だからですよね。ですから、今回の事故の教訓から、これ以外にも、つまり今問題ないというふうにおっしゃっている、あるいは考えていらっしゃるほかの部分も含めて打音検査など十分な検査が必要だと思うんですけれども、そういうことはお考えになっていないんですか。
  179. 金井耿

    参考人金井耿君) 御指摘のとおり、コールドジョイント、それから今回の打ち込み口の部分ということで、それ以外のところから次々に出たというような形になっておるわけでございます。  今回の事故にかんがみまして、私どもといたしましては、トンネル内の落下のおそれのある、今申し上げたコールドジョイントあるいは打ち込み口以外の、例えば漏水といのようなものにつきまして緊急に点検を行ったところでございます。  さらに、先ほども申しましたように、点検すべき項目としてまだ我々に見逃しがないのかどうかということを白紙に返ってきちんと検討した上で、先生指摘の打音検査拡大といったものにつなげた検査体系というものを構築してまいりたいというふうに考えております。
  180. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 高架橋などの総点検もすべきなんですが、こういうことを一刻を争ってやるということになりますと、JR西日本の今の体制と技術だけで十分なのかという心配があるんですね。二度の大事故というのも、今までもやってきたというふうにおっしゃっていますので、この範囲でやってきたことの限界を示していると思います。  しかも、検査体制の抜本的な見直しが必要だと私が思うのは、点検、保守する要員です。人減らし、合理化で極めて弱体化しています。これも事故の背景にあると思うんです。九州支社で私どもが調査しましたときには、わずか十七人で十本のトンネル、長さ四十キロ、十一キロの高架橋点検する。十七人ですよ。しかも、夜間の数時間だけで行う。今そういうふうにおっしゃっていますからね。これでは事故を未然に発見できるわけがないじゃありませんか。  この体制について、調査をして改善すべきだと私は思います。ほかのJRの専門職員とか、鉄建公団とか建設省関係、こういう政府系の技術者ども総動員をして山陽新幹線の総点検を行うべきだというふうに思いますし、必要があれば一時とめてでも安全の確認を図る、こういうのが必要だと思いますが、それはいかがでしょうか。両方に伺います。
  181. 安富正文

    説明員(安富正文君) 先生おっしゃいますように、今回、山陽新幹線福岡トンネルコールドジョイント、今度は打ち込み口の剥落というような形で、ほかにいろいろあるんじゃないかという疑惑を国民の皆様に抱かせるようなことになったことについて、我々としても非常に問題だと思っております。  そういう意味で、今後、先ほど大臣の方からも言いましたように、JR西の社長に昨日、改めて山陽新幹線トンネルについて総点検を行うように指示したところでありますし、そのためにはあらゆる手段を通じてやる必要があると考えております。  そういう意味で、先生おっしゃいましたような要員の体制とかその他の技術陣の動員とか、そういうことも含めて我々としてどういう形でやった方がいいのか、少し検討してJRの方に指示していきたいというふうに考えております。
  182. 金井耿

    参考人金井耿君) 御指摘ございますように、現実に起こった事故を踏まえてどういう事柄を点検するのかということの見直しを今進めております。それを進める際にどういう体制でやるかということについての議論というのは当然ついてまいるわけでございますけれども、私どもといたしましては、実際に日常保守管理に携わっている要員以外に、間接部門と申しますか非現業等でやっております人間もおりますものですから、私どもとしてまず自力でできる限りの体制をとってやるというのが第一義的な取り組みだというふうに理解しております。  実際に点検をいろいろやってまいりまして、さらにその上にいろいろ補修等の必要性というようなことになってまいりますと、私どもだけでは手が足りないというようなことも可能性としてはあるわけでございますが、その場合に、まず我々の社員以外のところでは、OBでございますとか関連企業のグループでございますとか、そういうところに技術を持った人間がおりますから、そういうところで対応してまいりたい。なお、その上にということになりましたら、これは運輸省の方ともいろいろ御相談させていただきながら取り組みを進めていくことになろうかと考えております。
  183. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私どもの調査団に対して、現場では、応援をといお話をしましたら、もうそうしてもらったらどれだけありがたいかという声が実際に上がったんです。  私は大臣にこの問題で最後にちょっと伺いたいんですけれども、実際にいつ崩落事故がまた起こるかもしれないという不安と不信感というのは、最初大臣がおっしゃったように、国民に本当に大きいんですよね。そういう意味でも私、今のJR西日本のお答えというのは非常に不満です。ですから、この総動員体制ができるのかどうか、ぜひそういう総動員体制をしいて、しかも今まで六時間、夜しかできなかったんですから、とめることも含めて、やっぱり本当に真剣に考えていただきたいんです。  それと、さっき大臣がおっしゃった検討委員会での検討と報告を前倒しで早急に出すと、もう本当にそうしていただきたい。それは大体いつごろをめどに早めていただくのか。その二つの点で大臣の御決意をいただきたいです。
  184. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 検討委員会の方からお答えいたしますが、検討委員会のメンバーはみんな外部の人たちが中心でございますので、今関係者に当たっておりまして、年度内にということにはなっておりますが、私は、そうではなくて、もっと早く結論を出すようにということで今新たな検討を命じておりますので、議員御指摘のようなことを踏まえて、できるだけ早く結論を得るようにして、その結論が国民の皆さんに少しでも安心感を取り戻していただくように努力をしていくとともに、現場に対してまた注意を喚起していくということにつなげていきたいと思っております。  もう一つの調査、技術者の総動員ということでございましたが、これは今JRが答弁したとおりでありますが、私としては、現場の方に運輸省も出向くということを、昨日そのことを社長に特に申し入れをいたしました。夜やるんですがと。夜でも結構だ、伺うということを申しておりますので、その現場の状況等をつぶさに把握をしながら運輸省としての判断をいたしたいと思っておりますので、JR西日本としても、また他のJR各社としても、今回の運輸省の姿勢に対してしっかりこたえてくれるであろうということを信じております。
  185. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 政府責任で一刻も早く対策を講じていただきたいですね。  では、次の中部新空港の関連の質問に移ります。  中部国際空港の対岸部の前島の計画調査事業の発注をめぐって汚職事件が報道をされております。  まず最初に、この中部国際空港の建設、また問題の埋め立てでは運輸大臣の認可が必要でありますが、こういう公共事業に当たっての汚職について運輸大臣の感想を求めます。
  186. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中部国際空港の計画は、御承知のとおり、法律上既に諸手続に沿った適切な計画でありまして、愛知県の企業庁の一職員関係した今回の事件によってその計画を変更するという必要はないと考えております。  中部国際空港は、御承知のとおり、第七次空港整備七カ年計画におきまして最優先課題として位置づけられた大都市圏拠点空港の一つでありまして、二〇〇五年の供用に向けて平成十年度から事業に既に着手しているものであります。  中部空港は、当初、地元の三県一市経済界を中心とする中部新国際空港推進調整会議におきまして検討が進められておりましたが、その後、中部国際空港の設置及び管理に関する法律に基づき、平成十年五月に運輸大臣が定めた基本計画に従って、事業主体である中部国際空港株式会社が空港の設置及び管理に関する計画を定め、これに基づき航空法の設置許可を申請したものであります。  以上です。
  187. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は汚職事件についての感想を伺ったんでありますが、それでは、この容疑の事実について説明を受けたいと思います。  逮捕された課長は、九二年から中部国際空港関係の業務について、九六年には用地計画主幹、九八年には企画調整課長と、中部国際空港関連事業の現場の重要な立場の一人でありましたけれども、そういうことは間違いございませんか。
  188. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 今回逮捕されました現在の企業庁の奥谷企画調整課長の職歴でございますが、平成四年四月に企画部の航空対策局調整課課長補佐、そしてその後、対策局の調整課の主幹、そしてその後、企業庁の方に移っておる。企画部の航空対策局の仕事は空港にも関連するわけでございますが、本人は現在の名古屋空港関係の業務を主として行っておったということで、新空港の関連の業務は直接担当していないというふうに県の方から聞いておるところでございます。
  189. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 後でまた容疑もおっしゃってください。  それで、逮捕された課長というのは、企業やコンサルタントなどの民間会社との接点で業務をしていたのは間違いないと思いますが、容疑の業務だけでなく、中部国際空港本島の建設のための土砂取り事業など、こういうのも実際には中部国際空港建設の現場で中心的な役割を果たしてきた人物である、説明会にも本人が出向いていると。  したがいまして、今回事件となったイルクという会社からの収賄だけにとどまらない可能性があると言われています。当然そこまで視野に入れて厳重に捜査はされていると思いますが、いかがですか。
  190. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) まさにその嫌疑については司法当局の方でいろいろ取り調べをされているわけでございまして、現在うわさだけで物を申すのはいかがかと思います。  いずれにいたしましても、事実関係究明そして再発の防止に全力を尽くすべきは当然のことでございます。
  191. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 無論、おっしゃるとおりです。  この事件の新聞報道などによりますと、空港関係者に利権獲得をめぐる文書が出回っている。これはいろいろ複数のマスコミでも取り上げておりまして、そこでは県企業庁や空港会社などと登場人物の交渉の様子も詳細に記され、一兆円を優に超える巨大プロジェクト、中部国際空港の利権に群がる人物たちの暗躍ぶりが浮かび上がると、汚職の広がりについて述べられています。  こうした広がりについて当然視野に入っていると思いますが、それはいかがでしょうか。
  192. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 先ほども申し上げたように、まさに司直の手で取り調べが進んでいるわけでございまして、その状況なり事件の概要が明らかになってくるまでは軽々な判断はできないかというふうに思っておるわけでございます。
  193. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ここでまた最初大臣に伺った話に戻りますが、こうした汚職事件が発生する根本にあるのは、採算性を度外視した大型開発をどんどん進めるというこのプロジェクトの姿勢にあります。  この空港島の対岸部の開発のための公有水面埋め立てというのは運輸省の認可が必要なもので、そこでは埋立事業の必要性や採算性、公共性について厳重な審査が求められるものだと思います。ところが、この資金計画書は公表されておりませんし、愛知県の調査では、五千社アンケートをとって、本店、支店、営業所として進出を希望してみたいというのが五社しかありませんでしたが、こういうことは運輸省は御存じなんでしょうか。
  194. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 御指摘の前島の計画でございますが、愛知県の地方計画「新世紀へ飛躍 愛知二〇一〇計画」に基づきまして、愛知県が空港の立地効果を生かして対岸部の地域開発を行うため約百三十ヘクタールの埋め立てを行うものというふうに聞いております。  御指摘のアンケートでございますが、平成八年三月に取りまとめが行われておりますが、今先生は五千社とおっしゃいましたが、アンケートを配った会社が五千二百三十三社、まあ五千社でございますが、実は回答があった会社が八百五社、うち進出を希望したいというのが二十三社、それからあと検討したい、さらには興味がある等を含めますと、八百五社のうちの四三・四%がこの前島に進出を希望しているというような結果が出ておるようでございます。  ただ、この調査以外にも、前島に関しましては物流、製造、また情報通信等さまざまな観点からの各種調査研究を行っておると聞いております。愛知県は、空港と地域の持続的発展、さらには空港支援機能を確保するための前島計画の実施を図ることが必要であるという判断をしておりまして、そのため引き続き最大限の努力をするという、そういう意向を我々は聞いておるわけでございます。
  195. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 公有水面埋立申請免許のあれを見ますと、空港近接部に進出を希望してみたいというのが二・八%というのが公式文書です。  ところで、常滑市の駅前の一等地よりも高い、三・三平米当たり六十万円という価格になるそうですが、こういう御時世ではどこも手を出せないとい意見が出ている。これが現実だと思います。  次に、漁業関係者の同意が得られていないということですが、それはいかがですか。
  196. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 中部国際空港の整備につきましては、関係漁業者の理解を得た上で進めることが必要だと考えております。  現在、愛知県の漁業調整推進本部、そして中部国際空港株式会社が関係の漁業者と協議を進めているところでございまして、既に愛知県関係漁協のうち野間漁協を除く知多支部の漁協については事業同意を得ている。また、残りの野間漁協、さらには東三河、西三河、渥美支部の漁協及び三重県関係漁協の事業同意を得るべく、現在、地元において最大限の努力をしていると、そういうふうに聞いておるところでございます。
  197. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そういうわけで、漁業協同組合や漁連の同意も得られない、今度の問題が起きてますますその信頼というのがなくなっていくというのが言われております。  こうした空港島の対岸部、いわゆる前島や空港島の地域開発計画が無謀きわまりない計画だと言われ、環境アセスメントも不十分とい指摘がある中で、環境庁長官意見も求めずに新アセス法施行直前に駆け込みのように行われたと聞いております。この埋め立て認可をする立場の運輸大臣として、こういうずさんなとんでもない計画を認めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
  198. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 埋め立ての事案につきましては、公有水面埋立法に基づきまして免許の可否を判断することとなります。  本件の前島埋め立てにつきましては、去る八月二十四日に出願されておりまして、現在、公有水面埋立法に基づき埋立免許権者である愛知県において審査が行われております。埋立免許権者が免許し得ると判断した場合には運輸大臣へ認可の申請がなされることになっております。埋立免許権者より運輸大臣に対し認可申請がなされた場合には、公有水面埋立法に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。  先ほどから議員御指摘の問題は、今後の司直の手によって問題点が明らかにされるであろう、一日も早い捜査の結論を得ることを期待いたしておりますが、これはあくまでも汚職事件に関与した愛知県の一職員の疑惑であって、疑惑の多い前島計画といお話がございましたが、我々はそういう認識はいたしておりません。
  199. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変疑惑があるので司直の手も入っているというのが世論でございます。  この中部国際空港の建設や関連事業については、関西空港建設のときのりんくうタウンと同じ公共事業の失敗であると心配をされております。今日の時点ではこういう問題が出ておりますので、事件の全容解明というのが今おっしゃったようにまず第一なわけで、警察の捜査とともに、行政行政の立場から調査をすべきです。  先ほど私は信頼という問題を言いましたけれども、汚職や腐敗の疑いを抱えたまま事業だけはどんどん進める。運輸大臣も、新聞の企画の「新閣僚に聞く」ということで、この問題の出る直前なんですけれども、二〇〇五年の新空港の実現に自信、国は本当にやる気になっておると。このやる気になっておる、自信はいいんですけれども、こういう疑惑をそのままにしては国民信頼と納得は得られないと考えます。全容が解明するまで、一たん事業を休止してでも疑惑解明をきちんと図るという、そういう大臣の所見を最後に伺います。
  200. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 愛知県の職員の疑惑に関することでありますから、愛知県当局から詳しく事情を聴取して対応いたしたいと思います。この件が今回の二〇〇五年開港に向けての、中部国際空港全般の計画に影響を及ぼすようなそういう状況ではないというふうに認識いたしております。
  201. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 最後に。
  202. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間を過ぎておりますから、簡潔にお願いいたします。
  203. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今、そういうふうに大臣はおっしゃいましたけれども、実際には一体のものとして進められていて非常に疑惑と不信というのがあるものですから、やはり真摯にこのような疑惑解明を運輸省としても図っていただくということを最後に求めて、終わります。
  204. 大脇雅子

    大脇雅子君 ただいまは山陽新幹線北九州トンネルコンクリート落下事故についていろいろと質疑がございました。私は、JR日本に対して、運輸省の関東運輸局が局長名で去る九月三日、一連の首都圏を中心とした運行トラブルを重く見て、早急な事故原因の調査と改善策を講じるべく警告書が発せられたという点について質問をいたしたいと思います。  まず、一連の首都圏を中心とした運行トラブル、運行管理の根幹ともいうべき東京圏輸送管理システムの故障、従来の運行管理のあり方そのものが問われているというふうに考えます。この点について、事故原因事故の背景等についてどのような調査がなされておりますか、お尋ねをいたします。
  205. 安富正文

    説明員(安富正文君) 先生指摘のように、関東運輸局管内、特にJR日本運転阻害というのが最近非常に多くなっておる。そういうことで、利用者の皆さん方に非常に御迷惑をかけているということは我々としても非常に問題だというふうに認識しております。  その事故原因といいますか運転阻害の状況を見てみますと、例えば平成十年度の件数で見ますと総計六百十一件とい運転阻害。運転阻害と申しますのは、列車の運休それから三十分以上のおくれというものを全部カウントしておりますのでこういう数字になりますが、その原因等を分析いたしますと、一つは運転取り扱い誤りとかあるいは車両施設の故障といったようないわゆる鉄道事業者原因があるものが約五割ぐらいある。それから、いわゆる自殺、人身事故でございますが、人身障害あるいは線路内の立ち入り等の事業者外に原因があるものが約四割、自然災害によるものが約一割というような形で、原因が一応そういう形に分類されるかと思います。  ただ、最近の状況を見ますと、近年、いわゆる人身事故に至る事故は減っておるんですが、こういう遅延といったような運転阻害が非常に増加傾向が見られるということで、我々としても、先生の方から申されましたように、JR東に対する警告というようなことでいろいろ指摘をしまして、その原因究明とそれから対策ということで、現在JR日本をいろいろ指導しているところでございます。
  206. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、JR日本の方はその警告書に対してどのような返答ないしは対策について運輸省に回答をしてきているんでしょうか。
  207. 安富正文

    説明員(安富正文君) 現在、東日本の方から警告書に対する報告がございました。  一つは、委員の方から御指摘のような運行管理システム、ATOSと呼んでおりますが、このATOSについて、一つの駅で、例えば信号設備に故障が起こりますと、それが全体のATOS自体に影響するというようなことがございますので、そういうものをいわゆる二重系にするとかいう形でATOSの改修をやりたいというようなことが一つでございます。  それから、先般落雷事故がございまして、この落雷につきましても落雷対策として幾つかの設備の強化を行いたい。それから車両設備についても、更新時期を、毎年やっておるわけですけれどもこれを前倒しで実施するというようなことを実施したい。それからもう一つは、単に阻害事故だけではなくて、復旧に対するおくれというものもございますので、そういうものに対する職員の訓練というようなことも実施していきたいというようなことで、先般の関東運輸局の警告に対する報告を受けているところでございます。
  208. 大脇雅子

    大脇雅子君 運輸大臣お尋ねしたいのですが、そうしますと、このような異常事態とも言うべき事故の増加というものに対する取り組みというのが今あったのですが、これは効率性を追求する余り、要員の配置の確保とかあるいは蓄積された技術の活用というものを忘れているのではないかというふうに思われるのですが、この事態をどのように把握して対処されるのでしょうか。
  209. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のように、今回の事故はまことに残念な事件でございまして、しかもそれが頻発して起こっているというところに問題があります。  同時にまた、JR西日本のみならず、今のような東日本におきましてもそうした問題が起こっておるということになりますと、私どもとしましてはすべての鉄道関係に対して改めて安全に対しての対応をいたしてまいりたいと思っておりますが、鉄道事業者にとっても、一たび事故を起こしてしまっては大変高い代償を払うことになるわけでありますから、昨日も南谷社長に申し上げたのですが、経営全体の中で安全ということを最重点のテーマに考えてもらいたい、安全ということが少し置き去りにされておったのではないか、私自身そういう危惧を抱いておりますだけに、昨日もそういうことを率直に申し上げた次第であります。  運輸省におきましても、安全については省を挙げて取り組もうということで、私が就任以来、事故災害防止安全対策会議というものを省内に設置いたしまして、そして事務次官を議長にして全省体制で取り組むことにいたしております。きのう発足いたしまして、本日第一回目の会議を開いたところであります。組織の管理、検査点検、教育訓練等の課題を検討していくことにいたしておりますが、運輸省は、単に今回の問題はJRの起こした事故という感覚ではなくて、運輸省自体も安全の問題について真剣に考えていかなくてはならないということを三万七千の職員の隅々にまで徹底しよう、そういう意気込みで取り組んでいきたいと思っております。
  210. 大脇雅子

    大脇雅子君 省内に事故防止安全対策委員会が設置されたということで、その中で事故再発防止について深い対策の検討が行われることを期待してやみません。  ただ、日本再発防止システムというのは、事故がありますと犯罪捜査ということに重点が置かれて、再発防止のために原因究明を役立たせる、そういう視点が弱いようなことが言われております。恒常的な常設の第三者機関による事故調査委員というものを設置して、国際的な運輸安全のさまざまな情報を収集しながら、人間工学、安全工学の知識も集積して、やはり根本的にシステムをつくる必要があると思いますが、運輸大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  211. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの御指摘は極めて示唆に富むものでありまして、我々、今後検討してまいりたいと思っております。  ただ、今回の場合に、ただ単に、例えばトンネル内のコールドジョイントのうち、打音検査といいますか、金づちでこつこつたたいていく。新幹線及び鉄道の近代化について、鉄道総研を中心にし、また各JRともいろいろ工夫を凝らして世界一だということを言われておるときに、いかにも安全に対する検査体制が前近代的と言わざるを得ないのではないかと私自身率直に思っております。  ですから、今度、科学的な調査も含めて、新幹線が世界のトップクラスにあるならば安全に対してもトップクラスでなくてはならない、そういう思いで、次の予算要求に際しまして、そういう科学的な調査も十分でき得るような、幾ら熟練工であってもいつまでも金づちでたたいて回るということだけでは国民は安心できない、そういう面についてきっちりとした対応ができるようなことも考えていきたいと思っております。
  212. 大脇雅子

    大脇雅子君 点検サイクルを短縮して、せめて赤外線探知機とか超音波の活用ぐらいしたらどうだという批判が国民の中にあるわけですから、ぜひ技術面でも世界に誇れるような検査体制を確立していただきたいと思うものであります。  次に、自動車の賠償責任保険制度についてお尋ねをいたしたいと思います。  我が国では毎年交通事故が約八十万件、厚生省の統計によりますと、交通事故によって毎年約一万四千人ほどの人命が失われているという現実が指摘されております。このところお年寄りや子供に対して、動く地雷というような言葉でこうした車社会における安全対策を求める声が高まってきています。  運輸省としては、道路交通における安全性の確保とか事故防止対策というものを具体的にどのように実施しているか、お尋ねをいたします。
  213. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) 今御指摘ございましたように、我が国の自動車交通事故の現状は極めて深刻な状況にございます。運輸省としてもそのように認識しておりまして、本年六月に運輸技術審議会から「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」答申もありまして、運輸省としての事故防止対策に積極的に取り組むこととしております。  具体的には、車両、自動車安全対策や事業用自動車安全対策を初めとします運輸省の施策を総合的に講じることによりまして、二〇一〇年までに死者数を千五百人減らしたいという目標を持ちまして、この目的達成のために、自動車の安全性を総合的に評価する自動車アセスメントの充実、事業用自動車の運行管理制度の充実、安全に配慮した交通システムの形成などの施策につきまして、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  214. 大脇雅子

    大脇雅子君 不幸にして事故が発生した場合に、自賠責保険あるいは任意保険制度によって被害者の救済が図られることになっているわけですが、この三年間で交通事故によって死亡した者あるいは傷害を受けた者の人数と、それに対するいわゆる自賠責保険の支払い件数と支払い額を述べていただきたいと思います。
  215. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) ここ三年間の交通事故による死者数、これは統計上一年ずつ少しずれておりますが、死者数が平成七年一万四千八百四十人、平成八年一万四千六人、平成九年一万三千六百六十七人と、横ばいあるいは微減傾向でございます。また、交通事故による負傷者数は、平成八年でございますが、九十四万二千二百三人、平成九年、九十五万八千九百二十五人、平成十年、九十九万六百七十五人と増加をしている傾向でございます。  これらに対応いたします自賠責保険の支払い件数、それから支払いの総額でございますが、死亡、傷害、後遺障害トータルで申し上げたいと思いますが、平成七年度、件数で百五万四千百六十八件、支払い額が八千八百十一億円、平成八年が百七万一千五百六十九件、八千八百二十億円、平成九年度、百九万六千三百六十九件、八千九百六十三億円の支払い額となっております。  以上でございます。
  216. 大脇雅子

    大脇雅子君 今、自賠責保険において問題になっておりますのは、被害者の過失に関する認定が厳し過ぎる、無責死亡とかあるいは死亡重過失による減額、過失相殺というものが厳し過ぎて被害者の救済になっていないという批判があります。これに対してどのように受けとめられておりましょうか。  事故における真実究明において、被害者が死亡したり重度障害による入院を余儀なくされている場合の事故原因究明というものは、被害者にとって不利になるかどうかというのは容易にわからないということでありますが、この認定について現場ではさまざまな批判が行われております。とりわけ、そうした認定を担当している自動車保険料率算定会、いわゆる自算会のあり方というものについてどのように考えていらっしゃるでしょうか。運輸省自動車交通局の方としては通達を出すなどして指導をしていらっしゃいますが、指導の効果はあるのでしょうか、お尋ねをいたします。
  217. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) お尋ねの点でございますが、自賠責保険金の支払いのための損害調査につきましては、今御指摘のように、被害者が死亡したり重度の後遺障害を負うなどしたために被害者から事故状況についての説明聴取が困難、不可能な場合がございます。御指摘のように、このような事故では加害者に責任がない、被害者に責任があるということで自賠責保険金が支払われないケース、あるいは保険金が減額されるケースが想定されるわけでございます。  平成九年にこのような死亡無責問題、加害者が責任がないとされて保険金を支払われない、そういうケースが問題ではないかということで取り上げられましたことを受けまして、運輸省としましては、今おっしゃられました自動車保険料率算定会、自算会を指導いたしまして、平成十年四月から弁護士や医師などの第三者で構成される審査会、再審査会を設置いたしまして、これらの事案の損害調査につきまして一層客観、公正な審査を行うようにということで監督を行っておるところでございます。  その結果でございますが、死亡事故で加害者が責任がない、加害者無責であるという件数は平成六年度から平成八年度まで約一千件前後で推移をしておりましたけれども、ただいま申し上げました運輸省から損害調査の適正化を指示しまして以降、平成九年度、平成十年度では約六百件前後に減少しているところでございます。  私どもとしましては、今後とも必要に応じまして損害調査の公正、適正化に向けて必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  218. 大脇雅子

    大脇雅子君 私も弁護士をしておりまして時折こういう事件をやるわけですけれども、通達で自算会にいろいろな対策を指示しておられまして、とりわけ被害者に対する情報開示及び情報提供の充実ということを指導されているわけですけれども、現場においては、例えば後遺症の認定などありまして、異議の申し立てをして今言われた審査会とか再審査会に上がっても、何らかの別の資料がないとほとんど認定は変わらない、非常に硬直化している。  さらに問題なのは、自算会の認定の意思決定の経過がほとんど被害者に知らされていない。損害保険の加害者側が入っている損保の会社に対しては開示されるんですけれども、被害者に対してはマル秘扱いで全くそういう情報が開示されていないという現実があるんですが、この点について運輸省はいかがお考えでしょうか。
  219. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) 今御指摘の点も含めまして、自動車交通事故による被害者の救済についていろんな問題を御議論していただくために、本年二月から九月まで運輸大臣のもとにおきまして、被害者代表も入っていただきまして、損害保険企業も入ってもらいまして議論をいたしました。その中の議論の一つとして、今お話しの被害者に対する情報の開示、公開という問題がございました。  今お話がございましたように、交通事故の捜査という観点からは交通事故についての捜査情報があるわけでございますけれども、これは刑事公判前の非公開が原則になっております。  ただ一方で、先生御承知のように、弁護士法二十三条の二に基づく照会システムがございまして、これらが定着をしております。これらの活用によりまして、関係者間によりまして、特に被害者に対する情報の開示につきまして努力を求めておりますし、私どももそのような努力が必要であるというふうに考えております。
  220. 大脇雅子

    大脇雅子君 私が言いたいのは、損保の方には自算会は認定の経過などの資料を開示しながら、被害者にはそうした意思決定過程を提示しないという不公平、不公正なシステムということを訴えたいわけです。だから、自算会は本来ならば第三者によってもう少し損保と独立したような形の認定機関にする必要があるんではないかと私は常々考えているんです。私が念を押したいのは、そうした不公正、不平等というか、そういう扱い方というのはやはり通達に反しますよね。運輸省としては、そういうことに対して自算会に何か言われるとか、そういう異議を申し立てたときに何らかの指導をされる気がございますでしょうか。
  221. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) 被害者に対して加害者側あるいは損害保険会社との間で不公正な情報の開示の差があってはならないことはおっしゃるとおりでございます。私どもとしましては、損害調査の結果もさることながら、その過程におきます情報の開示につきましても平等が図られるように自算会を指導してまいりたいと思っております。
  222. 大脇雅子

    大脇雅子君 それから、法務省の方にお尋ねをしたいのですが、刑事記録は確定記録になった場合は所定の手続で閲覧されるわけですが、確定まではなかなか実況見分調書すら見られない。不起訴記録の場合も実況見分調書の開示もなかなかに困難だと。とりわけ今求められているのは、警察や検察の調書類をぜひ事実を確定するために開示する道を開いてほしいというふうに思っているんですが、この警察、検察の調書類というものはいかがでございましょうか。
  223. 松尾邦弘

    説明員(松尾邦弘君) 捜査記録、不起訴事件記録も入るわけでございますが、先生御案内のように、捜査手続の過程でさまざまな資料、証拠が収集されます。  その収集の態様を見ましても、任意に提出されたものももちろんございますが、強制力を用いまして、つまり捜索、差し押さえの令状で収集してくる証拠というものもございます。内容的にはそういったものでございますので、相当程度関係者のプライバシーにかかわるもの、あるいは他に公開すると著しくいろいろな諸問題を生ずるおそれが強いもの等が含まれております。したがいまして、捜査記録は原則として非公開ということになっております。  ただ、先生の御指摘のように、例えば実況見分調書でございますが、これは交通事故の現場でその直後に作成されるという性質のものがほとんどでございますが、ある意味では代替性がない、つまり後から同じことを繰り返して行うことがなかなか難しいというたぐいのものでございます。つまり、代替性がない、客観的な証拠であるということと、先生指摘のように、民事上の損害賠償等の請求の際に必要な書類であるということなどを勘案しまして、この実況見分調書については弁護士等を介して閲覧を求められた場合には現状では事実上ほとんど開示に応じております。  それから、もう一つは調書類でございますが、これはそういった代替性の問題等については実況見分調書と若干性質を異にしてくると思います。ただ、いずれにしましても、捜査記録に含まれております証拠書類ということにつきましては、証拠としての今申し上げた代替性の有無、あるいは開示を必要とする理由、あるいは開示により捜査、公判への支障を生ずるおそれがあるかないか、あるいは関係者のプライバシーを侵害するおそれの程度、有無等を個別的に判断いたしまして保管の検察官において可能な範囲で開示に応じるということにしております。  以上でございます。
  224. 大脇雅子

    大脇雅子君 ただし、現場では、例えば被害者あるいは加害者が死亡してしまって、実況見分調書に当事者間の大きな食い違いがある場合でも、警察や検察調書類というのはほとんど開示されないという実務になっておりますので、この点においてはやはり事実の究明ということのためにも検討を加えて、もう少し緩やかな形で被害者の救済に役立ててほしいというふうに思います。  とりわけ、これは時間がありませんので私の考えですけれども、累積運用益というものもかなりありますね、自賠特会は。それから累積の資産というか、それもかなりあります。それなのに、賠償責任ということで、やはり私はノーフォルト保険というか、過失があったとしても最低限、政府保障事業として死亡無責事故の保障を拡大する、そういうシステムに入れられなきゃいけないと思うんです。  今、特会と累積はどのくらいあるのかということと、こうした本当のノーフォルト保険、無責保険の方向へこの保険を組みかえていくという方向についてどのようにお考えか、大臣の考えをちょっとお尋ねしたいと思います。
  225. 縄野克彦

    説明員(縄野克彦君) 平成九年度末で累積は一兆五千億円でございます。  先生今御指摘のように、自賠責の根本的な制度は、加害者の被害者に対する損害賠償責任を保険するということでございます。そのような観点から、もちろんひき逃げとか無保険者によるそれが困難な場合の保障事業をやっております。  加害者が無責の場合にどのようにすべきかということについては、今先生がおっしゃられたように、やはり最低限の救済はすべきであるとい意見、あるいは一方で自動車のユーザーの負担を考えればやはりそういうものは自賠責ではなくて任意保険に任せるべきではないかとい意見、そのようないろいろな意見がございました。  先ほど申し上げました運輸大臣懇談会におきましても、被害者の保護を充実するためにそのような場合にも給付をすべきであるとい意見と、慎重に考えるべきであるとい意見とが結論として併記されておるところでございまして、私どもとしましては、被害者の救済を第一義としながら、自動車のユーザーの負担の意識の問題についても十分考えながらこの問題についての検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  226. 大脇雅子

    大脇雅子君 自賠責保険の民営化議論が浮上しておりますが、これについては運輸省としてはどのような方向性を考えておられますでしょうか。
  227. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 運輸省におきましては、本年二月より運輸大臣懇談会、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会を開催し、十二回にわたって、交通事故被害者の保護のあり方に重点を置きながら、自賠責保険の民営化政府再保険廃止の是非を含め、自賠責保険をめぐるあらゆる問題について幅広く検討し、九月三十日に報告書をまとめたところであります。  自賠責保険制度の根本問題の一つであります強制保険制度は、車検等の際に自賠責保険への加入をチェックし、四輪自動車の無保険車率はほとんどゼロ%を実現しており、運輸大臣懇談会においても、諸外国に例のないすぐれた制度として被害者保護上維持すべきだという結論で一致をいたしております。  もう一つの根本問題であります自賠責保険と任意保険の二本立ての制度につきましても、自賠責保険と任意保険は相互に補完し合って社会的使命を果たしていることなどから、自賠責保険の廃止、任意保険への一本化は不適当であり、現状維持が妥当として、運輸大臣懇談会において損保業界の委員も含む全員一致で結論に達しております。こうした根本問題のあり方を含め、自賠責保険制度のあり方については金融監督庁所管の自賠責審議会においても審議の対象となっております。  運輸省としては、こうした関係者に対し報告するとともに、今後の進め方等について協議を進め、今後とも基本保障としての自賠責保険の意義を十分認識しながら、被害者保護の充実に努めてまいる所存であります。
  228. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間が参りました。
  229. 大脇雅子

    大脇雅子君 はい。  農業経営基盤強化資金等について農林省の方にお尋ねをするつもりでしたが、時間がございませんので申しわけありません。  どうもありがとうございました。
  230. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党を代表いたしまして、質問させていただきたいと思います。  同じ党の先輩でもあり、また同じ和歌山県選出の二階大臣、本当に就任早々、JR問題、大変な問題に直面され、午前中、これまでの段々の質疑の中でもかなり突っ込んだ議論をされました。特に、JRの完全民営化を主張される大臣があそこまでおっしゃる、この決意を本当に我々国民は皆期待しておるというところであろうと思います。  ただ、このJR問題に水を差されるようにしまして、いわゆる高速鉄道網の整備という懸案事項があります。この流れに水を差すようなことになってはいけないというようなことを強く懸念する思いがあります。  私ども自由党の党の綱領の中にも、地方の調和ある発展というような内容があります。地方の発展と活性化を図っていくためにも高速鉄道網の整備を進めていくことが必要不可欠であるということは繰り返し申すまでもないと思います。  高速鉄道網の整備に当たっては、三月から協議会が開催され、去る九月九日には開業時期の大幅な前倒しというようなことの方向性が示されたところであります。国家プロジェクトとしての推進に大いに期待をするところでありますが、その整備新幹線計画に漏れた地域といいますか、整備が予定されていない地域では、我々の地域はどうなるんだと、私の地元和歌山県の方でも、この半島性の奪回といいますかそういうことについて危機感を募らせておる。  そこで、大臣が常日ごろ言われておられますフリーゲージトレーンについて若干の質問をさせていただきたいと思うんですが、大臣はわざわざアメリカのコロラド州にありますプエブロの試験線にまで出向かれて、自自協議会のメンバーの一員としてその技術開発の成果などを目の当たりにされてこられたと仄聞しております。実際に実験車にも乗り込まれたそうであります。何か二百キロ以上のスピードを出す新しい実験車に乗り込まれて、その御感想等も聞いてみたいわけでありますが、そういう高速鉄道ネットワーク、フリーゲージの構築に向けてその可能性と、それから技術開発の進め方、あるいは実用化のめどといったものを、大臣みずから経験された中での所感を含めてお伺いできればというふうに思います。
  231. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お尋ねのフリーゲージトレーンにつきましては、私は、目下運輸省が取り組んでおりますメガフロートあるいはテクノスーパーライナーと並んで革新的な技術開発だというふうに評価をいたしております。  フリーゲージトレーンにつきましては、今、鶴保議員から整備新幹線に漏れた地域という御指摘がありました。当然、整備新幹線に漏れた地域あるいはこの技術開発の結果によっては、場合によっては私鉄からでも新幹線に乗り入れることができるとい技術的な特徴を持っておるわけでありますが、現在、整備新幹線の地域におきましても、将来早く電車を走らせたいという地域につきましてはフリーゲージトレーンも視野に入れておく必要があるのではないか。そういう意味で新幹線に漏れた地域の専門の電車ではないということを先に申し上げておきたいと思います。  現在、調査を続行いたしておりまして、さきに国内におきましては十一年の一月下旬に山陰線の米子—安来間において時速百キロ程度まで在来線で走行試験に成功いたしております。今お話のありましたように、その後、アメリカのコロラド州のデンバーの近くでありますが、プエブロ試験線におきまして十一年四月から一年半程度を目標にして調査を行っておりますが、目下二百五十キロメートル程度までの走行試験を行うことにいたしております。  実用化につきましては、先般三十名程度の専門家の皆さんも御参加し、自由民主党、自由党の新幹線問題協議会のメンバーが参加をしたわけでございますが、専門家の話を総合しますと、実用化につきましては強く確信を持っておるということを肌身で感じておる次第であります。  当該技術開発は、実用化の際には国土の均衡ある発展、お話のように沿線地域の活性化に寄与することが期待される技術でありますから、今後本格的な実用化に向けて国内の走行試験や実用車両の開発等が必要となりますが、技術の早急な確立をまず第一番にし、この列車が走れるような環境をつくるために省を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
  232. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  一刻も早くというのが正直な国民の切望であろうと思います。  フリーゲージトレーンといいますか、整備新幹線網を整備するのは、何といっても地域の振興、発展であります。地域の振興、発展に関連いたしまして、そのことが目的ではない、こういう交通網の整備が関係の地域の産業の活性化に大きく貢献するものであるというところを大臣もおっしゃられたとおり期待するものであります。  そのうちの一つとして、午前中のどなたかの質問にもありましたが、大臣は観光行政には非常に造詣の深い、旅行業協会の会長も兼任しておられるというふうな話でありました。  そこで、観光に関する質問を一問させていただきたいわけでありますが、いわゆる国内観光の動向を概観いたしますと、経済の停滞というようなもの、あるいは国内旅行の費用の割高感といったことが理由になって非常に国内観光全体が低迷しているような状況にあろうというふうに認識するわけであります。  しかしながら、観光産業の経済的効果というのは、調べてみますと極めて大きいものがある。関連消費は二十兆円以上もある、あるいは生産の波及効果というのは五十兆円以上、GDPでいいますと約五・六%にも当たるというふうに日本国内での指標も出ております。海外では言うに及ばず、それ以上のものがいろいろな指標からも示されておるところであります。また、こういう効果、観光によって得られるソフトの面といいますか、そういうものは本当に指標では出てこない大きなものがあるというふうに私自身も感じております。  こういう観光の振興について、大臣が今までの経験を踏まえ、今後どのように力を入れ、またどのような展望を持っておられるか、感想、所見をお述べいただきたいと思います。
  233. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 観光行政の意義につきまして、ただいま鶴保議員からもお話がありましたとおりでありますが、古来、観光は国の光を見る、こう言われております。私たちは観光を通じて訪問する相手の地域あるいは国の状況を学ぶことができる、同時に相互交流によりまして、何よりも大事なことは、平和の構築に極めて大きな役割を果たしておるという側面があります。  観光は御承知のとおり平和産業そのものであり、平和の地域、平和の国でなければ存在し得ない産業であります。それだけに、観光の交流を深めていくことはお互いに国の安全にもつながるとい指摘も可能であるというふうに思っております。  世界的には、観光が進んでおる地域は大体十人に一人、観光で何らかの形で生計を営んでおります。一般の国々では十五人に一人とも言われておりますが、最近におきましては、地域振興の観点におきまして、多くの自治体から地域経済等に多大の波及効果をもたらすという観点から観光に対する期待が高まっております。全国各地域の知事で観光を語らない知事はいないとさえ言われるぐらいになっております。  運輸省でも調べてみますと、四十七都道府県すべての地方自治体の中に観光課あるいは観光対策室、観光部、それぞれ呼称は異なりますが、観光に対してのセクションをすべて備えておるということを見ましても、観光に対する期待のほどが理解できるわけであります。  運輸省としては、平成七年六月の観光政策審議会の答申を踏まえ、魅力ある観光地づくりの推進、地域と送客産業の連携により、国内観光促進のための旅フェア、広域連携の観点から地方ブロック単位の広域連携観光振興会議、いわゆるWAC21というのを行い、さらには地域伝統芸能全国フェスティバルの開催等を推進することによって国内観光の振興に力を入れているところであります。  さらに、昨年、議員各位の御理解をいただき、祝日三連休法が成立をいたしました。実際に実施されるのはこれからでありますが、既に本年二回にわたる祝日三連休がカレンダーの関係で偶然そのことが前もって前倒しの形で実現いたしました。そのことにおける各地域の観光収入というものは相当上がっておるわけでございまして、この祝日三連休というのはまだ始まらない間からこれは成功であるということが十分期待できる状況であります。  また、家族がそろって国内観光できるという体制を整えるためには、今後、地方の教育委員会やあるいは文部省とも御相談をしながら、小中学校におきます三連休の実現を順次進めてまいりたいと思っております。  また、情報通信技術の高度化を活用してインターネットで情報発信を行うとともに、カーナビや携帯端末等でも利用できる観光情報システムの整備を進め、旅行需要の喚起を図ってまいる考えであります。
  234. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  大臣が観光行政の意義を意義深く語られる、その中でお話がありましたとおり、外国人との関係でいいますと、本当に平和産業、最大の平和産業であると言っていいと思います。観光にまさる外交はないというふうなことをおっしゃる論者もいらっしゃるぐらい、かなり強力な外交手段になるというふうにも考えます。  翻って考えてみますと、その観光を外交の面から見ても、午前中どなたかがおっしゃっていましたが、まだまだ日本は立ちおくれていると言わざるを得ない状況であろうかと思います。  海外に出かける日本人が千六百万人、我が国に訪れる外国人はその四分の一の約四百万人にすぎないというような話があるわけであります。しかしながら、こういう状況に対して、まだまだ進んでいないとい国民の実感はあるにしても、平成九年にはいわゆる外客誘致法というようなものも制定された由に聞いております。外国人観光客を地方に誘致するための法律としての外客誘致法、この法律において我が国固有の文化、歴史等に関する外国人の理解の増進が図られればというふうに期待をするわけであります。  訪日をした外国人の対日イメージ比較というのを、これは運輸省の観光部の方からいただいたアンケートがあったので見ますと、訪日前の外国人に日本に対しての印象をどうだというふうに聞いてみますと、訪日前ですから大体知らない。知らないときに聞きますと、一番目は近代的で工業化が進んだ国であると。六番目に、人々が親切で好感の持てる国だろうというふうなイメージを持っておったと。ところが、アンケート調査では六番目だった人々が親切だ、好感が持てる国だという感想が、訪日後は一番になってくるわけです。  これぐらい日本を訪れた外国人が如実に感触が変わるといいますか思いが変わる事実を見ますと、ぜひともこうした運輸省の取り組み、あるいは観光行政に対する取り組みを推進していただきたいというふうに思うわけでありますが、こうした外客来訪促進計画の全国における策定状況、そしてまたその具体的な取り組みの内容についてお伺いをいたしたいと思います。
  235. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 訪日外国人のために、今、鶴保議員から御説明のありました、いわゆる人々が親切だ、これが私は何よりもの決め手だというふうに考えております。  私は、かねて運輸政務次官の当時に、カナダと日本との観光交流のためのミッションの団長としてカナダを訪問いたしました。後に、カナダの観光大臣日本が主催いたしました世界観光大臣会議関係者を帯同して訪れまして、私の郷里、和歌山県の山の中の南部川村というところに関係者を御案内いたしました。エプロン姿で、そして備長炭のいわゆる炭焼き、それから名産の梅を漬けるところの工場等に御案内をいたしましたところ、今でもカナダの観光業界あるいはまたカナダ政府の観光関係のトップレベルの人たちは、あのエプロン姿で奥さん方が親切に迎えてくれてお茶をごちそうになったことをいつまでも覚えておると、こうおっしゃるわけであります。  そしてまた、アメリカから日本を訪ねられた外国の市長とかのそういう団体でも、地方へ参りますと、初めて自分は日本へ来たような気がする、東京の一流ホテルに何日も滞在して会議をしてそれで帰るというのではこれはアメリカも同じだと。それが地方へ一たび出て、日本の四季また日本の生活様式、畳だとか浴衣だとかというのに接することによって改めて日本のよさということがわかるということでありますから、いわゆる外国のお客を招くということに関していろんな対応の仕方があろうと思いますが、さきお話のありましたとおり、私たちが親切に外国人を迎えるということに国を挙げて対応できるようなことをこれからはキャンペーンとして進めていきたいと思っております。  また、外国人観光客の国内の費用の低廉化についても取り組まなくてはなりません。外国人観光客向けのいわゆる割引運賃の導入が進められておりますが、外国人観光客向けの割引カードであるウエルカムカードが青森県、香川県等で既に導入されております。  外国人観光客に対する接遇の向上としては、地域の実情、そしてそれに応じた弾力的な通訳案内サービスが供給されますように、地域に限定した通訳案内業の制度を創設するとともに、外国人向けの観光案内所であるi案内所の機能向上にも取り組んでまいりたいと思います。  外国観光客の誘致法に基づく施策以外のものといたしまして、本年三月、アメリカの西海岸を対象とした集中的な訪日キャンペーンを実施いたしましたが、次世代観光情報システムの整備による観光情報の提供の拡充などの施策を推進しております。  さらに、二〇〇二年の日韓共同開催のワールドカップを活用した外国人観光客誘致のための取り組みも今後行ってまいりたいと思っております。  これらのことに今後積極的に取り組むことによって、四百万人と言われておる来訪外国人、世界で三十二番目の訪問国に今位置しておるわけでありますが、観光客の倍増を図り、来訪地域の多様化を図り、国内の国際化にも役立てるようなことを考えて努力してまいりたいと思っております。
  236. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 鶴保君、時間が来ておりますので。
  237. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 はい。  大変に短い時間でお話しをいただくには非常に大きなテーマであったことと思います。また引き続きこの問題についてもお話しをさせていただければと思います。ありがとうございました。
  238. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  本日の最後でございますので、ひとつ最後までよろしくおつき合いのほどお願いを申し上げたいと思います。  農林水産省に関しまして農業排水路についての質問を準備させていただきましたが、その質問に入る前に、農業排水路とは関係ないんですが、農林水産大臣並びに農水省の幹部の方がお見えでございますので、一つ要望を申し上げたいと思っております。  といいますのは、私、災害対策特別委員でもございまして、先月の二十三、二十四、二十五日だったですか、台風十八号、風が大変強くて雨も強かった台風が熊本県に上陸して、ずっと北九州を抜けて広島を越えて石川県の沖へ抜けたわけでございます。大変な台風であったわけでございますが、全国に報道された面では、不知火町で十二名の死者が出た大変無残な事故で有名でございますが、このことにつきましては、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするところでございます。  衆参合同の調査班が結成されまして、それの一員として熊本県に伺ったところ、この台風の被害をお聞きすると、農林水産の被害が非常に大きいんですね。二階大臣おられますから、運輸省関係も当然ございますけれども、それはそれとして農林水産の被害が大きい。死者が出たということとは別に、やはりそっちの被害が大変大きいということを思い知らされたわけでございまして、地元でもその災害復旧にいろいろ御努力されておるわけでございます。  そんな中で、農林水産業というのは大変脆弱な体質でございますので大変なことは大臣もよく御存じだと思いますけれども、やはり熊本県は熊本県なりに、しっかりと農業を復興させたい、特に県議会の議長さんが、せっかくやる気を起こした農業がこの打撃でやる気をなくしてしまうんではないか、それが大変心配だというようなことを言っておられました。  私は今は国会議員でございますけれども、それまでは主に農林水産業に携わったものですから大変身につまされる思いであると同時に、風台風というものの無残さといいますか、非常に予想もできないような被害を与えるということ。実は、八年前の平成三年に同じような経路をたどった台風十九号というのがございまして、そのとき私、個人的なことで申しわけございませんが石川県におりまして、台風に余り見舞われないところであったんですが、この風台風によって思いも寄らない被害が出て、その復旧に四苦八苦した経験がございます。そういう面からいいますと、大変身につまされる思いをいたしまして同情を申し上げた次第でございます。  今回も風台風によって、例えば温室のガラスが粉々に落ちて、それを除去するのにも大変な金がかかるとか、塩害に対しても大変だとか、いろんな御要望をされておりました。先ほど申しましたように、私もそういう経験を持っておりまして大変身につまされる思いですので、本来災害対策委員会で申し上げるべきかもしれませんが、この辺について、きょうは大臣おられますので、ぜひとも現地の実態をしっかりと把握されて、対応をしっかりやって、農業の再生のためにもひとつ頑張っていただきたい、その辺をまず要望させていただきます。  本題の農業排水路の問題でございますが、実はことしの春先に新聞記事で、メダカが環境庁のレッドデータブックですか、絶滅のおそれのある生物を集めた本に載る、もう載ったのかもしれませんが、載ることになったというような記事がございまして、これに関連して朝日新聞などは社説で取り上げておられたわけでございます。  メダカといえば、これは農村地帯へ行けばいつでも見れると思っていたものでございまして、まさに生態系といいますか自然環境といいますか、そういうものの代名詞であろうというふうに思っておりますが、それが絶滅の危機にあるということは、これは一つは農業が加害者かもしれない、あるいは加害者であると言い切ってもいいかもしれないような問題ではないかというふうに思うわけでございまして、農業と自然環境のかかわり合いが大きく問われているというふうに感じているわけでございます。  もちろん、それが農業排水路の問題、そのことに直接関係するとは思っておりませんが、自然環境と農業とのかかわり合いからいいますと、日本の農地は私が申し上げるまでもなく五百万ヘクタール。五百万ヘクタールということは五万方キロ、日本の国土三十七万方キロからいきますと大体七分の一と、大変大きな面積をしょっておられる。同時に、農業をやりますから、そこに降った雨ばかりじゃなくてよそからも水を導入して、水をかんがいとして使っておられる。  そういう中で、農業排水路として水を流下させている地域を受け持っておるのが農水省の所管の分野であると思っております。用水路の方は、これは限られた量を計画的に使わなければいけないから、しっかりとライニングをして水漏れしないようにするということはわからないわけでもないんですが、排水路の方は、昔からよく三尺流れれば水清しと言われるぐらい、自然の状態にある水路によって水が流れる間に浄化されていく、これが自然の姿であったんじゃないかなと思うんです。  どうも最近この辺で農村地帯を眺めてみますと、排水路がそういう昔あった自然浄化する機能というのからかけ離れたようなぐあいにでき上がっているような感じがしてならないのでございます。実を申しますと、私もこういう排水路みたいな事業の直接の担当者でもございましたので、そういうことでないようにいろいろ私自身も努力したつもりでございますが、現実は必ずしもそうはならない。  そこで、ひとつその大面積を受け持っておる排水路というものの舗装といいますか、そういう面についての現状をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  239. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 御指摘の農業排水路におけるライニングの現状でございますけれども平成七年三月の調査でございますが、全国の農業排水路の延長が七千二百キロメートルございます。そのうち水路断面のすべてをライニング、つまり、いわゆる三面張りにしておりますものは全体の約四割の三千二百キロメートルとなっております。また、いわゆる土水路は全体の約二割の千四百キロメートルとなっております。
  240. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  今お聞きしますと、局長がうまく整理していただいたと思うんですけれども、三面張りの水路というのは、これはまさに土と接触することがなくて浄化することがない。二割の土水路というのは、これは昔に近い水路である。こういう認識だと思うんですが、まあそれでも足すと六割にしかならないので、それ以外にいろんな工夫をした水路なんかもつくっておるのが現状だと思うんです。  先ほど言いましたメダカの問題から、農業はもっと昔の土水路に返って自然浄化を果たすべきであるという、これは私の個人的な考え方かもしれないんですが、その辺について、排水路を施工されておるというか指導されておる農水省として、排水路のあり方といいますか、どういうような指導方針でやっておられるかお聞きしたいと思います。
  241. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) これまでの指導方針は、いわゆる設計基準という形で次官通達とそれを受けた局長通達の中で基本点として三点挙げております。  第一点目は機能面でございまして、一連の水路系として必要な合流、分流、排水というのがスムーズにいくことという機能面、それから二つ目には、安全で合理的な水管理ができるという管理面、それから三番目といたしまして、コストが経済的となるようなということで経済面、この三つを主たる設計の基準といたしまして指導を行ってまいりましたけれども、現実面では地域地域の実情に応じて、先生指摘がございましたような一部土水路にするとか、あるいは土水路のまま工夫をするとか、三面張りの中にも捨て石であるとか瀬をつくったりふちをつくったりというふうな工夫もあるわけでございます。
  242. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 三つの観点からの整備ということで、それはわからないでもないんですが、最近こういう環境問題がいろいろ言われている中で、そちらの面の配慮といいますか、その辺はどうお考えなんでしょうか。
  243. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) もちろん国営でやっておりますようなものはかなりの基幹水路でございますのでなかなか工夫がしにくいわけでございますけれども、県営その他の事業の中では、例えば地元で産出されましたような間伐材を使ったり、あるいは事業の過程で出てまいりました石をそのまま捨て石、置き石としたり、それから同じ工作物で斜面を張るにしてもいわゆる石垣のようなやり方をする、それからできるだけ機能を損なわない範囲内で魚の営巣が可能なようなよどみをつくってやる、そういったような工夫はそれぞれ、例えば地域で農業者だけではなくて地域住民の中にそういった排水路自身を地域の資産として景観や生態系の面で見ていきたい、こういうふうな御要望があります場合には、市町村とお話し合いをしてそういった工法を取り入れている、これがこれまでの環境面への配慮ということの中心でございます。  ただ、先般の国会で食料・農業・農村基本法が成立をいたしまして、この中で農業生産基盤の整備に当たっては環境との調和に配慮しつつ推進をするんだということがきちんと位置づけをされました。したがいまして、この環境との調和という点はこれからこの種の農業農村整備事業を行う場合の必須事項でございますので、これからはこの条項を根拠といたしまして、より一層環境との調和という点に工夫をしなければならないというふうに考えております。
  244. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 要するに、今までとある程度方向を変えて環境に配慮してこういうことをやられるというふうに理解してよろしいわけですね。
  245. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 御指摘のとおりでございます。
  246. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そこで、先ほど言いましたように、私もこういう問題に直接タッチした人間でございますから余り傲慢なことは言えないんですけれども、要するに、正直言いまして、私も土水路にするべく地元にいろいろ説得した経験があるんですが、これは便利だからこうする、あるいはやるには非常に手間がかかる、金がかかるというようなことからこうするという人、人といいますか、そういうところが多いのが現実なわけです。  ただ、先ほどの新聞記事ではないですけれども、メダカがレッドブックに載ったということ、これは便利だとか地域だけの問題でなくて、大きな日本国全体から見た環境の問題であると思うんです。  したがいまして、地元だけの要望とかそういうことでなくて、農林省が積極的に取り組んでいただく。これは今そういうお答えがあったわけですけれども、手間がかかるとか金がかかるということを、これをまたただそれだけで地元に任すというのもこれまた気の毒なことでございます。  農家はそれぞれ今まで農薬や化成肥料を使ったにしろ、これはやはりそちらの方が便利だから、自分がいいか悪いかを考える前に便利だから使ったというようなことがありまして、そういう面の、農業の排水路にしましてもこうした方がいいんだという、そういう話し合いといいますか指導といいますか、そういうことと同時に、また管理費、金がかかる部分については何かの配慮をしてあげるべきではないのかなというような気がするわけです。  その分が過大になって、例えば基盤整備が農業生産だけのものである、あなた方の生活のためじゃないかというのなら、その管理費とかそういうものの助成はなかなか無理かもしれませんけれども日本国全体の問題としてこういう管理を、こういうところはしっかりとメダカがすむようにしないと問題だよということについては配慮が必要ではないかと思うんですが、今私が知っている限りではなかなか排水路の管理費というのはついていないというように思うんです。  この辺についての見方を変えた環境面からの配慮といいますか、そういう面について、局長、環境行政にも大変お詳しい方でございますので、ひとつ前向きなお答えをもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  247. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 御指摘が二つございました。  一つは、地域全体としての考え方なり話し合いの中で合意をどうするかという問題だろうと思います。これはいわゆる土地改良施設の一つでございますので、この排水路を農業用だけの資産として見るのか、それとも地域の資産として取り扱うのかということが大きな分かれ目だろうと思います。混住化が進んだ中ですので、地域の資産としてこの土地改良施設を取り上げていく、そして必要な負担についても行っていく、公的な支援を強めるというふうな方向が一つ考えられるだろうと思います。現在、土地改良制度の総合的な見直しを行っておりまして、そうした面での取り組みというのも一つその検討事項となっております。  それから、現実面での負担の問題でございますけれども、現況は国営と国営に一部関連するものがございますけれども、そういったものについて管理を都道府県や市町村に任せた場合には、そこに対して管理の費用を国の方から助成するというふうになっております。  ただ、この問題はやはり国営だけにとどまっていていいのかということもございますし、公共、環境、公益ということに関連する問題ですから、こういった環境面でのプラス、そしてそれに伴う費用負担をこれからどうしていくかという支援策の強化についても、制度面なり、あるいはそういった予算面でもう少し充実のための努力が必要だろうと思っております。
  248. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 その点はよろしくお願いいたします。  ただいま農業排水だけお聞きしましたけれども、農業は一般的に非常に環境に優しい、あるいは自然生態系に一番近いと、こう言われているわけですが、これはそれだけ近いだけに一つ間違えると環境破壊に直接つながるというようなものでもあるわけでございます。  余計なことかもしれませんけれども、農業で作物を栽培する、これは一種類しか栽培しないわけですね。そうすると、これはもう自然生態系と外れているというような議論もございまして、それこそ人間のための開発だと見る見方もあるようでございます。それをとやかく言うわけではないんですが、いわゆる環境問題と一番近い農業が気をつけなきゃいけないことがたくさんあると思うんです。  それは今の農業排水の問題でもそうですし、あるいは農薬や化学肥料、あるいは営農の仕方そのもの、最近は非常に兼業農家が多くなって昔のような丹念な田づくりをしなくなったとか、そういうことによる環境破壊といいますか、破壊までは行かなくても環境に対する負荷を大きく与えているという問題がございます。これから二十一世紀は環境の時代だとも言われているぐらいで、大きく我々が解決しなきゃいけない環境問題がのしかかってくるわけでございますけれども、農業の面でこういう環境を考えた農業について、新農業基本法もできた折でございますので、どのような御所見を持っておられるか、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  249. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず冒頭に、委員が言われました十八号台風の被害についてでありますが、大変な被害でございまして、被害を受けられました方々に対しましてお見舞いを申し上げたいと存じます。また同時に、この復旧対策等につきましては万全を期して取り組んでまいりたい、このように思いますので、よろしくお願い申し上げます。  今指摘をされました点でございますが、新農業基本法におきましては環境との調和をうたっておるわけであります。そういう観点から、これの具体化を推進するという観点から、前国会におきましては、堆肥等による土づくりと化学肥料、化学農薬の使用の低減を一体的に行う持続性の高い農業生産方式の導入や、畜産業における家畜排せつ物の管理の適正化や利用の促進等を図るための法律等が成立したところでございます。これに基づきまして必要な施策を講ずる、こういうことが大事であると思います。環境との調和に配慮した農業用施設の整備等も図る、このことも大事であると思います。  これらの施策を強力に推進してまいる所存でありますので、この点御理解をいただきたいと思います。
  250. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 最後に一言ですが、要するに環境というのは今までの産業と違いまして余り金のもうかることでないし、場合によっては後ろ向きにとられるような面もございますけれども、決して後ろ向きではなくて、人間が生きていけるかどうかの本当の大事なものでございますので、そういう意味で、ほかの省も当然でございますけれども、農林省もひとつよろしく今後の取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  251. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もないようですから、農林水産省運輸省北海道開発庁農林漁業金融公庫及び北海道東北開発公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十月十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会